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1995/02/24 第132回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第132回国会 本会議 第10号
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1995/02/24 第132回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第132回国会 本会議 第10号

#1
第132回国会 本会議 第10号
平成七年二月二十四日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第七号
  平成七年二月二十四日
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 武村大蔵大臣の財政についての演説及びこれに
  対する質疑
 阪神・淡路大震災に対処するための特別の財政
  援助及び助成に関する法律案(内閣提出)の
  趣旨説明及び質疑
    午後一時三分開議
#2
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説
#3
○議長(土井たか子君) 大蔵大臣から財政について発言を求められております。これを許します。大蔵大臣武村正義さん。
    〔国務大臣武村正義君登壇〕
#4
○国務大臣(武村正義君) 今般、平成七年一月十七日に発生した阪神・淡路大震災等に対応し必要な財政措置を講ずるため、平成六年度補正予算(第2号)を提出することとなりました。その御審議をお願いするに当たり、補正予算の大要を御説明申し上げます。
 今回の阪神・淡路大震災は、阪神・淡路地域に未曾有の被害をもたらしました。ここに改めて、亡くなられた方々と御遺族に対し深甚なる弔意を表しますとともに、被災者の方々に心からお見舞いを申し上げます。
 政府としては、今日に至るまで、被災者の救助や生活再建への支援など当面緊急を要する措置に努力してまいりましたが、今後とも被災地域の速やかな復興に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。
 今国会に提出をいたしました平成六年度補正予算(第2号)の大要について御説明を申し上げます。
 今回の補正予算につきましては、歳出面において、阪神・淡路大震災等に対応するため、当面緊急に必要となる経費を追加することとしておりますが、今回の大震災の甚大さにかんがみ、厳しい財政事情のもと、補助の特例等を特段の措置として講ずることとしております。他方、歳入面におきましては、今回の大震災により生じた被害を勘案して租税及び印紙収入の減収を見込むこととし、その他収入の増加を見込んでなお不足する歳入に対し、やむを得ざる措置として公債の追加発行を行うこととしております。
 今回の一般会計補正予算につきましては、歳出面において、災害救助等関係経費一千四百十億円、災害廃棄物処理事業費三百四十三億円、災害対応公共事業関係費六千五百九十四億円、施設等災害復旧費五百四十四億円、災害関連融資関係経費九百十三億円、その他の阪神・淡路大震災関係経費百十九億円、地方交付税交付金三百億円を計上しております。
 他方、歳入面におきましては、その他収入三百四十三億円、公債金一兆五千九百億円を計上し、合計一兆六千二百四十三億円の追加を行うとともに、租税及び印紙収入六千二十億円を修正減少しております。
 なお、公債金の増一兆五千九百億円のうち七千七百九十四億円が建設公債、八千百六億円が特例公債の発行によるものでございます。特例公債の発行等につきましては、別途、阪神・淡路大震災に対処するための平成六年度における公債の発行の特例等に関する法律案を提出し、御審議をお願いすることとしております。
 この結果、平成六年度一般会計予算の総額は、歳入歳出とも第一次補正後予算に対し一兆二百二十三億円増加して、七十三兆四千三百五億円となっております。
 以上の一般会計予算補正等に関連して、特別会計予算及び政府関係機関予算につきましても所要の補正を行うこととしております。
 財政投融資計画につきましては、阪神・淡路大震災等に対応するため、この補正予算において、日本開発銀行及び地方公共団体に対し、総額三千七百五十億円の追加を行うこととしております。
 以上、平成六年度補正予算(第2号)の大要について御説明いたしました。何とぞ、関係の法律案とともに御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑
#5
○議長(土井たか子君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。中田宏さん。
    〔中田宏君登壇〕
#6
○中田宏君 私は、新進党を代表いたしまして、ただいま行われました大蔵大臣の補正財政演説に対し質問をさせていただきます。
 先般の阪神・淡路大震災の発生より早くも一カ月余りが経過をいたしました。この間、まことに残念ながら、とうとい命を失われた五千四百余名の皆様には、改めまして心から御冥福をお祈り申し上げます。そして、今なお不自由な避難生活を送っておられる二十一万人余りの被災者の皆様に、この場より謹んでお見舞いを申し上げる次第です。
 さて、現実とは実に皮肉であります。大震災により失われたとうとい命が余りに多数に上った一方で、対照的にどさくさの延命を許されているのが村山内閣であります。(拍手)今回の大震災に対する村山内閣の認識の甘さと対応のおくれは、当初の被害を拡大し、復旧をおくらせ、さらには被災者にとって活力となり得るような復興計画すら今もって見えてこないままであります。事は単なる天災ではなく、明らかに人災になってしまったと言わざるを得ません。
 私は、震災発生十日後に当たる一月二十六、二十七、二十八日の三日間、兵庫県西宮市、神戸市灘区、東灘区でボランティア活動に携わってきました。関西方面の私の友人、知人とともに、瓦れきの山を片づけたり、避難所での力作業をさせていただきました。
 私が西宮市で瓦れきの山を満載したトラックを運転しているときのことでした。NHKラジオから、予算委員会の地震に関する集中審議の模様が聞こえてまいりました。一日じゅう続く委員会で、最善を尽くしていると総理は言い続けていたわけであります。私も、同僚ボランティアも、そして被災者のすべての方々にとって、どれほど情けなく、腹の底から怒りが込み上げてきたことか、総理、おわかりいただけますでしょうか。最善を尽くすと言うなら、現地に赴き、ただでさえおくれている現状把握に努め、そして救援対策の陣頭指揮をとる、そうすべきだったのではないのでしょうか。
 私は、小学生のお嬢さんを目の前で亡くした父親から、「一国の総理大臣がスイスの救助犬より遅くやってきて、大変ですね、頑張ってくださいと言って帰るだけなら、政治も行政もそんなものは要らない。なくしてしまえ」、そう言われた言葉を今忘れられません。軽々しい言葉ではない、行動の最善を見せてほしかった。被災者の全員がそう思っていると言っても過言ではございません。
 日ごと被害が大きくなるさまを深刻に受けとめた我々新進党は、まず国会の自然休会を申し出、さらに、今日に至るまで政府の救援・復旧活動に積極的に協力をしてまいりました。当然のことですが、地震を政争の具とすることなく、村山内閣に不信任決議案を出すべし、そういう国民の声をぐっとのみ込み、最善を尽くすという村山総理の言葉を信じようと努めてまいりました。しかるに、その良心を踏みにじり、今村山内閣は逆に大震災を政治的に利用しているのではありませんか。
 我々新進党が平成七年度予算を人質にとるといったような旧来の野党的手法を用いないことに対し、政府はそれをいいことに、平成六年度第二次補正予算の提出をずるずるときょうまで引き延ばしてきました。この補正予算は、まさに阪神・淡路大震災の対応に要する費用であり、緊急性が問われるものであります。幾ら早く成立させても、四月一日までは執行することのできない平成七年度予算の成立ばかりを急ぎ、復旧対策として喫緊である六年度二次補正予算は後回しにす。総理、なぜにあなたはことごとく行動が遅いのでしょうか、まずお伺いさせていただきたいと思います。
 同時に、総理が言い続けた「最善」は一体何をどうされたのか、地震発生から本日までの総括をお願いいたします。
 あわせて、国の財政を預かる大蔵大臣に、予算の順序としてこれでよろしいとお考えなのかどうか、お尋ねをさせていただきます。
 一方、平成七年度予算についてですが、こちらはなぜに速やかに組み替えを行わないのでしょうか。予算執行まであと一カ月以上もある今、これだけの大震災を受けて、そのための復旧・復興対策として可能なものについては新年度当初予算に盛り込むというのが最善を尽くすということの意味なのではないでしょうか。
 なぜならば、抜本的な防災都市づくりや公共事業の配分見直しなどは、財政法上、補正予算にはなじまない性格のものでありましょう。大蔵省の本予算成立への執念に抗し切れないのでしょうか。はたまた、既得権益分に加えて、理念なき新規事業までをも上乗せした相変わらずの放漫財政を考えれば、族議員の説得に自信がないのでありましょうか。だから、総理はリーダーシップがない、そう言われるのであります。総理の御見解をお尋ねいたします。
 さて、今般の平成六年度第二次補正予算では、歳入分として、やむを得ざる措置としての国債の追加発行を行う、これが大蔵省の説明でございます。平成七年度予算はいろいろとやりくり算段をして赤字国債の発行を抑えた。しかし、予期せぬ地震によって本補正予算はやむなく赤字国債を出すことになりましたので御理解を、こういうことになるわけであります。
 しかし、総理、大蔵大臣、私は考え方が全く逆であると思います。本来あるべき財政の姿とは、平時においては健全な状態を維持し、ところが一たび今回のような緊急事態が発生したときには、国債をこういうときにこそ発行して思い切った対策を早急に講じられる、本来そうした機動的な財政状態を整えておくべきでありましょう。
 戦後五十年、平常時になれ切り、常に経済成長をし続けることを前提とした財政システムを私たちは抱えているように思います。行政は縦割りで、その縦組織ごとの予算獲得争いをし、そして財政は膨張の一途をたどる。結果として二百十兆円を超える国債というツケが残りました。私は、見てのとおり若い議員でございますが、総理よりも大蔵大臣よりも、このツケを今後長年にわたりずっしりと背負わされている世代であります。大変な危機感を持っています。
 そういう意味で、理念の不明確な六百三十兆円の公共事業十カ年計画、六兆円のばらまき型農業対策費、合意未形成なままの整備新幹線着工などの膨張歳出を賄うために、いわゆる隠れ借金やNTT株式売却収入に係る無利子貸し付けの繰り上げ償還などの粉飾的財政手法をとることは、ますます危険な道に入り始めたと感じます。次の世代に対し責任ある立場の方として、一体どのような財政システムを今後お考えなのか、総理並びに大蔵大臣のビジョンをお示しいただきたいと思います。
 財政を健全化していく上で最も重要なのが行政改革であります。村山総理もみずから、内閣の最重要課題と明確に位置づけておられますしかるに、去る二月十日の特殊法人整理合理化案では、成果らしい成果もない結果となりました。またもや懸案事項が先送りされたことは、村山政権に対する国民各位の一層の失望を深めることとなりました。総理、これは明らかに公約違反でございます。(拍手)どうも総理は国民との約束を軽く考え過ぎているのじゃなかろうか。総理の責任ある答弁をお願いいたします。
 約束をほごにし、今年度末までにいま一度特殊法人の整理合理化案を出し直すということを一方的に公言しているようですが、百歩譲ってもう一度チャンスを差し上げるにしても、それが単なる数合わせであってはならないということを肝に銘じていただきたいと思います。
 今、納税をする国民側の意識として、税金をむだなく有効に使ってほしいという怒りともいえる声があふれ返っています。新進党が目指す効率的な政府が求められているわけであります。当然、特殊法人改革というのはその一分野であって、その先には根本的な行政改革を行わなければなりません。
 総理と総務庁長官に、三月末日までに実行する責任ある公約をお聞かせください。また、その約束が果たされなかった場合、よもや再び先送りするなどということは許されないと思いますが、その際の責任を明確にお述べいただきたいと思います。
 さて、話を移しまして、経営破綻した東京協和、安全信用の二つの信用組合問題についてお伺いをいたしたいと思います。
 想像を絶する乱脈経営により破綻した両信用組合に対して、大蔵省は今余りに不明朗な救済措置を強引に押し通そうとしていますが、一方では、大蔵省は、みずからの責任を潔く認めようとはせず、監督権限を機関委任していることを盾に、その責任を東京都にかぶせるかの発言を繰り返してきました。そこには、かつて九一年の証券不祥事の際にもそうであったように、みずからの責任を絶対に認めようとはしない高慢ちきな大蔵官僚の体質と、その官僚の論理に正義を貫き通せない政治家のリーダーシップのなさをまたしても見る思いがいたすのであります。
 大蔵省は、乱脈経営のそれら両信用組合の救済策として、日銀の二百億円の出資を初め、東京都による低利融資三百億円という国民の税金をつぎ込むこと、そして半ば強制的に全国の民間金融機関に二百億円を出資させるなどして、東京共同銀行なる新銀行を設立しようとしています。これは、金利が本格的に自由化され、ようやく我が国が国際的に自由と公正な金融自由化時代を迎えつつある中で、金融機関の自己責任原則をないがしろにするものと言わざるを得ません。すなわち、相変わらずの護送船団方式的な発想なわけです。それならばそれで、大蔵省は当局のみずからの責任を潔く明確に認めるべきであります。
 平成五年七月という早い段階から、東京都は大蔵省関東財務局に、両信用組合の預金受け払い状況、資金繰り状況などを報告し、両者は適時意見交換をしていたわけであります。また、昨年十一月より、大蔵省銀行局と東京都労働経済局は今回の支援策について協議を行っておりました。そして十二月一日、武村大蔵大臣が新銀行方式に最終決断を下したということになるわけであります。だれの目にも、大蔵当局が主務官庁として深く役割を担ってきたことは明らかではないです。大蔵省の責任について、大臣の明確な確認をお願いいたしたいと思います。
 なお、大蔵大臣並びに銀行局は、これまでの予算委員会の質疑の中で、東京都が、東京都が、東京都がと答弁を繰り返してきました。ここ二日ほどの議論の中で多少の責任を感じてきたようには見受けられますが、東京都の責任は東京都の責任として、ここで私がお聞きしたいのは大蔵省の責任についてでございますので、誠実な答弁をお願いいたします。
 この件に関しては、東京都の鈴木都知事が二十二日の東京都議会予算特別委員会の中で次のように述べました。「信用組合の監督は機関委任事務で、主務大臣は大蔵大臣である。今回の対策も大蔵省と日銀、東京都で相談をしてできたものである。人ごどのように言われるのは心外だ」と答弁をしているわけであります。これは実にもっともなことだと思えるわけです。この点、地方自治体を所管する自治大臣は一体どうお考えになるか、お伺いをしたいと思います。
 自治大臣は、同じく一昨日二十二日の予算委員会において、「信用組合は地域に根づいた中小企業が出資をし、協同部な組織として今日まで歩んできたために、その性格からして都道府県の機関委任事務としてきた。今回のように信用組合としてあるべき域を超えたような異常な状態が出るなど、都道府県が一定の限界を超えた問題として機関委任事務の返上などについて苦慮している」といった趣旨の発言をいたしております。これは、大蔵省に機関委任事務を盾にその責任をすべて押しつけられることに対する怒りの声と私は受けとめます。鈴木都知事並びに野中自治大臣の見解は当然のことであると思うわけですが、自治大臣の大蔵省に対する率直な御見解をお願いいたします。
 大蔵大臣は、予算委員会を通じた発言の中で、金融の自由化を唱えつつ、今回の救済策のように公的介入を安易に決定する、さらには金融機関の経営情報の開示、いわゆるディスクロージャーを唱えつつ、今般の二つの信用組合に関する経営情報を積極的に公開しないなど、矛盾に満ちた発言を繰り返しています。この点、大蔵大臣に矛盾のない答弁をお願いしたいと思います。
 現在、この問題は東京都議会においても重大課題として連日審議をされていますが、東京都が提出している三百億円の低利融資案を都議会が承認しない可能性もあり得ると存じます。大蔵大臣は、否決されることを全く予期していないと答えているわけでありますが、仮に否決をされれば、民間金融機関の出資も見送られることとなり、それこそ金融不安が発生するものと考えられます。しかし、これは、国民世論とかけ離れた感覚で大口預金者や乱脈経営金融機関を救済する策を強引に推し進めようとした大蔵当局がつくり出した安易なシナリオの失敗から生じた金融不安と断ぜられることになるでしょう。大蔵大臣並びに総理の、この重大なる問題が出た場合、引責についての御決意をお伺いいたします。
 最後に、私が敬愛する故松下幸之助氏はかつて次のように述べました。「およそ目標、計画を立てて行うことはすべて経営である。政治は国家国民全体を対象にした経営活動すなわち国家経営である」、このように説いたわけであります。
 私のような三十ちょうどの若い議員が、人生における、また政治家における大先輩であります村山総理大臣にこのようなことを申し上げるのは甚だ恐縮とは存じますが、村山内閣には、目標を掲げ、実行計画を立て、期日を区切って物事を達成するという経営の基本要素が著しく欠如しています。各種世論調査結果にも如実にあらわれてきたとおり、国民の多数は村山内閣に国家経営は任せられないと考えているわけであります。(拍手)
 私は、ここまで信頼を失っている村山総理の役割はそろそろ幕を引き、阪神・淡路地方の本格的復旧・復興の遂行に当たっては村山内閣にかわる新体制で取り組むべきだと御進言申し上げ、総理の御答弁をお願いして、私の質問を終わりとさせていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
#7
○内閣総理大臣(村山富市君) 中田議員の御質問にお答えを申し上げます。
 予算措置に関し、ことごとく行動が遅いとの御批判でございますが、今回の第二次補正は、当面の緊急救援対策を行う一方で、政府が一体となって、地元自治体の協力を得て、これまでに例のない早さで編成したものでございます。この間の作業に携わった者は、文字どおり不眠不休に近い状態で取り組んできたのでございます。政府としては、できる限りの努力を払って行ってきたことを国民の皆様も御理解をいただけるものと考えております。(拍手)
 次に、今回の地震発生以降、政府といたしましては、私自身が本部長となり、全閣僚により構成される緊急対策本部を設けたこと、災害対策基本法に基づき、国務大臣を本部長とする非常災害対策本部を置いてまいりました。さらには、その対策を徹底するため現地対策本部を神戸市に設置してまいりました。また、新たに兵庫県南部地震対策担当大臣を任命いたしまして、非常災害対策本部長を充てることにいたしました。こうした一連の経過を踏まえて、政府を挙げて、被災者の救援対策と復旧・復興対策にあらゆる施策を講じてまいったところでございます。
 また、今後とも引き続きこうした対策を推進するとともに、震災地の新たな未来の創造に向けて、幅広い見地から復興対策にも取り組んでいるところでございまして、あす二十五日に発足する阪神・淡路復興本部の本部長として、地元自治体と一体となって、さきに設置をされました復興委員会の意見も十分承りながら、万全の施策を講じてまいる考えでございます。(拍手)
 ただ、初動期における今回の政府の対応につきましていろいろと御批判のあることは、十分承知をいたしておるところでございまして、私も、今回の経験に照らしまして、見直すべきところは率直に見直さなければならないということから、政府といたしましては、大規模災害が発生したときの第一次情報収集体制の強化と内閣総理大臣等への情報連絡体制の整備に関し、とりあえず当面の体制の中で可能な限りの即応体制について先般閣議決定をいたしたところでございます。
 しかしながら、今回の教訓も踏まえまして、この際、我が国の防衛体制のすべての分野について抜本的に検討する必要があると認識をしておりますので、できる限り専門家や民間のご意見、お知恵をおかりしながら、いわば防災臨調といったようなものを設けてもよいのではないかとも考えておりますので、今後、詳細を詰めていきたいと考えていることを申し添えておきます。
 次に、平成七年度予算の組み替えについては、相当の時間を要するものでございまして、これによりまして、七年度当初予算の審議、成立がおくれれば、かえっていろいろと問題が生じてくることを御理解いただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、今回の地震災害に係る財政上の手当てにつきましては、必要な措置を適時適切に講ずるべく最善を尽くしてまいる所存でございますので、御理解を賜りたいと存じます。
 次に、被害の総額につきましては、今般、国土庁において現時点までに把握された被害状況をもとに取り急ぎまとめて概数推計を実施いたしました。これによりますと、阪神・淡路大震災による被害の総額は約九兆六千億円と推計されております。しかし、この概算額は、今後、被害の詳細が判明するに伴って額の変動があり得ることを申し添えておきたいと存じます。
 次に、平成七年度は暫定予算でスタートし、全容を把握し次第、復興基本計画に基づいた予算を本執行させていくことは考えなかったのかという御質問でございますが、現在御審議をいただいておりまする七年度予算案は、政府として最大限の努力を傾け編成をし提出いたしたものでございまして、景気や国民生活全体の安定に大きく資するものと考えております。したがって、この予算案の一日も早い成立をお願いすることがまず政府として努めるべきことでございまして、暫定予算を前提としたお考えにはにわかに賛成できないことについて申し上げておきたいと存じます。
 次に、財政システムのビジョンについてのお尋ねでありますが、まことに厳しい財政事情を踏まえ、後世代にできるだけ負担を残さないようにすることが極めて重要であることは、御指摘のとおりだと考えております。今後、予算編成におきましては、財政改革を強力に推進しながら、国民生活重視の観点に立ち、施策の優先順位の厳しい選択を行うなど、従来にも増して財源の重点的。効率的配分に努めてまいらなければならないと認識をいたしておるところでございます。
 次に、特殊法人につきましては、すべての法人の事業の合理化、効率化を実施し、さらに十四の法人を七法人に統合し、五つの法人について廃止、民営化を行うとともに、財務内容を積極的に公開する等の改革を本日閣議決定したところでございまして、私はこれまでの歴代内閣の実績に照らして相当な成果を上げたと認識をいたしております。(拍手)
 なお、政府系金融機関につきましても、他の法人と同様見直しを行っておりますが、行政改革は不断の課題であり、年度内になおできるだけの努力を払っていくこととしていることについて御理解を賜りたいと存じます。
 次に、行政改革の推進は、この内閣が全力を傾けて取り組むべき課題と認識をいたしております。規制緩和、地方分権、特殊法人など、各般の課題について全力を挙げて取り組んできております。
 規制緩和につきましては、本年度内に五年を期間とする規制緩和推進計画を策定することといたしておりまして、本日の行政改革推進本部会合でも改めて私の方から各閣僚に指示をしたところでございます。地方分権につきましては、地方分権の推進に関する法律案をできるだけ早期に提出をすべく現在作業を急いでおるところでございます。特殊法人の見直しにつきましても、ただいま申し上げましたとおりでございます。このように、これまで申し上げておりました計画どおり、着々と行政改革へ取り組んでいることについての御理解を願いたいと存じます。
 次に、信用組合問題についてのお尋ねがございました。
 信用組合問題についての東京都の支援についてでございますが、監督官庁である東京都は、預金者保護、地域の信用秩序維持の観点から、支援を行うことが不可欠であると判断したものと承知をいたしております。東京都からは、現在東京都の支援額について都議会の審議をお願いしているところでございまして、その承認を得るため、最大限の努力を傾注していると聞いております。
 私は、しかし、これまでの経過や事件の内容については議会で今まで集中審議等も行われてきたところでありますが、政府としてもその解明のためにはできるだけの御協力を申し上げたいと考えているところでございます。本件については東京都も適切に対処できるものと考えておりますので、そのように確信をしているところでございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
    〔国務大臣武村正義君登壇〕
#8
○国務大臣(武村正義君) 中田議員の御質問にお答えいたしますが、本会議直前になって質問要旨が届きましたので、いわゆる答弁書が用意できておりません。漏れがないように答弁をさせていただきたいと存じます。
 まず第一点は、おおむね総理がもうお答えをしたことでありますが、補正予算の提出が遅いではないかという御指摘であります。
 過去の例を見ますと、大体、災害が起こって、補正予算提出は二カ月ないし三カ月でございます。今回はこういう非常な事態でございますだけに、一日も早くという期待にこたえて全力投球をしてまいりました。問題は、大蔵省のデスクでこの作業ができるわけではありません。被災地の現場で、一つ一つの倒れた。壊れた。あるいは燃えた施設を点検し、そして復興にはどれだけの経費がかかるか、当面の救急対策で忙殺されていた兵庫県庁や神戸市等々の関係の職員さんがこの仕事に並行して携わりながら、やっと各省庁にデータが出てくる、それを大蔵省が受けて編成したわけでございまして、そういう意味では、災害発生後一カ月余りできょう提案ができますことは、私ども、異例な努力が実って今日を迎えている、そういう各般の努力も御評価をいただきたいと思うのであります。(拍手)
 また、たび重なる本予算の組み替えの御主張を承っております。
 よくお考えをいただきたいと思うのでありますが、一たん予算書を、あの分厚い予算書を提案いたして、それを撤回して組み替えするということは、今回の災害の需要項目の多様性からいってもほとんど全面的に組み替え作業を要します。これにどれだけの経費と時間がかかることか。さらには、そこに出てくるデータは、平成七年度の修正でございますから、やはり根底から、災害現地のさまざまな被害、被災の状況や復興に要する技術的な検討を終えて、その上で数字を上げてこなければなりません。そのためには相当な時間を要することは、御理解をいただけるところでございます。
 一体、平成七年度の予算がそれほどおくれていいのか。景気対策もこれあり、国民の各地域や各界の皆さんが一日千秋の思いで新年度の予算の成立とその執行を心待ちいただいている中で、大幅に当初予算をおくらすことがどれだけ妥当であるか、そのこととのバランスで判断をいたします限りは、この際は組み替えをしないで当初予算をお認めいただき、新年度の予算状況の中で災害に対する必要な対応をしていくことこそ一番正しい道であると思います。(拍手)
 次に、我が国の財政に対する大変な危機意識の御指摘がございました。この点は私どもも全く同感であります。
 しかし、申し上げたいのは、公共投資基本計画六百三十兆円にしましても、ウルグアイ・ラウンドに対応する六兆百億円の関連対策費にしましても、決してこれはばらまきではありません。今後十年間、我が国が比較的年齢構成の若い世代を擁する、しかも経済的には余力のあるこの時期に、必要な社会資本を積極的に整備していくことがいかに重要であるか、そういう認識に立って今回の十カ年の公共投資の基本計画が策定されたものでありますし、農業予算につきましては、たびたびお答えをしてまいりましたように、これからの国際化する厳しい農業状況の中で、新しい日本農政をどう切り開いていくか、そのための必要な予算を六カ年にわたって集約をしたものであります。その初年度として、私どもは、精査をして、この本予算に計上をいたしているところでございます。
 そういう意味では、財政再建に対する真剣な努力が今こそ一番重要な課題であることを十分認識しながら、今の経済情勢や国民世論の中で、かなり厳しく絞り込みながら精査をして、重点化、効率化をして当初予算を編成いたしたところでございまして、そのこともぜひ御理解を賜りたいと存じます。ぜひ野党の方からも、財政再建はともに認識を共有すると思いますが、具体的な再建の方策についても御提案をいただくことができればありがたいと存じます。
 次に、共同銀行の問題でございますが、まず大蔵省が責任逃れをしている、東京都と責任のなすり合いをしているかのごとき発言がございましたが、東京都も大蔵省もそんなことはしておりません。たまたま、きのうある新聞に、見出しかそんなイメージの紹介がありましたが、東京都知事さんがおっしゃっているのも、大蔵大臣が主務大臣ですよ、その主務大臣の仕事を信用組合に関しては機関委任を受けて我々やっているんです、しかしこういう事態になれば当然でありますが都だけでは処置できない、大蔵省も日銀もともに責任を負っていただきたいと。そのとおりでございます。だから、私どもはこういう決断を昨秋させていただいたわけであります。
 問題は、機関委任事務でございますから、当然の話でございますが、東京都には数十の信用組合がございます。したがって、東京都の行政機構の中には三十五名の職員の信用組合課を置いていただいております。ここが中心になって、この五十ぐらいの信用組合を日々チェックし、指導監督をしていただいているところでございます。信用組合に対する行政上の監督権、検査権は東京都に機関委任をいたしているところでございますから、決して責任逃れで申し上げるのじゃなしに、そのことの現実を素直に説明を申し上げているわけであります。
 しかし、大蔵省も大きな責任がございます。言うまでもなく、日本の金融行政全体の責任を預かっておりますし、機関委任をしております信用組合も含めた日本の信用制度全体に対する責任は大蔵大臣が負っているというふうに、私はこれも申し上げております。事は、東京都の立場で処理し切れない異常なケースであるだけに、今回は、大蔵省も日本銀行もともに、三者が知恵を絞って、この事態の深刻さを認識し、今回のような異例のスキームを発表させていただいた次第でございます。
 少なくとも、この日本経済の基底にある信用制度に対する不安がこの国で起こるようなことがあってはならない、取りつけ騒ぎのようなことが起こってはならない、その責任は大変重い責任だと認識をいたしております。その一点から、今回は、二つの信用組合に対する経営上のあるいは経営者の責任に対しては、今後も、その法律上の責任も含めて厳しく追及をしていかなければならない。その責任も感じておりますが、同時に、このことによって、いやしくも金融機関や預金ということに対する国民の幅広い信頼を崩すような、壊すようなことだけは大蔵大臣としては絶対に回避しなければならない、その責任感で今回の異例なスキームを決定させていただいたことをぜひ御了解いただきたいと思います。(拍手)。あわせて、ディスクロージャーの問題につきましても、そういう意味で、自己責任を今後は一層徹底してまいりたいと思います。そのためには、預金保険機構の法律の改正や、あるいは信用組合の中に、理事は兼務をしてはいけないとか、あるいは監事には外務から公認会計士のような方に入っていただくとか、さまざまなこの教訓に立った改善の努力をさせていただきます。ディスクロージャーを徹底する中で、預金者である国民の皆様にも、将来は金融機関が破綻をすることがあることを、場合によっては預金保険機構を発動しなければならないことがあることも認識をいただくような努力もしなければいけないと思っております。
 最後に、東京都の議会が三百億の出資の予算を否決した場合どうなるかというお尋ねでございますが、少なくとも東京都が監督責任の立場で三百億の融資の決断をいただき、そのことを前提にしながら日銀の出資やあるいは全国の各種金融機関の共同支援のこの仕組みが成り立っていることを思いますと、私どもはこれが否決されるということは全く予想をいたしておりません。必ずこれは東京都議会を通していただけるものと確信をいたしている次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣野中広務君登壇〕
#9
○国務大臣(野中広務君) 中田議員の私に対する質問にお答えをいたしたいと存じます。
 先ほど大蔵大臣からもありましたように、この本会議場に入る前に通告をいただきましたので、若干答弁漏れがあろうかと存じますけれども、あらかじめお断りをしておきます。
 鈴木東京都知事の発言に関しまして私の考え方を尋ねられたわけでございますけれども、私は、今回の二信用組合の救援に対する新銀行設立について東京都が三百億のいわゆる支援をするに当たって、現在都議会で御審議をいただいておられる東京都知事として、鈴木知事は、一つには、今任期をもって東京都知事の任期を全うし、引退をされることを表明しておられます。そのようなときに、国の委任事務とはいえ、この最終に、苦渋の選択をされた鈴木知事の気持ちがにじみ出たものではなかろうかと思っておる次第でございます。
 顧みて、もし、中田議員が御指摘でございますけれども、東京都が大蔵省に、ともに監査・指導を協議をして、そして監査を行った時点で前政権において的確に処置されておったとするならば、東京都知事のこの苦渋はなかったと思うわけでございます。(拍手)
 次に、機関委任事務の返上について言及がございました。
 私は、先般、細川議員等の質問に対しまして、今回の信用組合の不祥事について、それぞれ多くの都道府県からこの機関委任事務を返上したいという要望があるけれども、そういう報道に接して自治大臣はどう考えるのか、こういうお話がございました。今回の処置は異質異例な状態の、信用組合としてのあるべき限界を超えた処置である、したがって、それぞれ機関委任事務を受けておる地方公共団体にも苦慮しておるところがあるとは認識をしておりますけれども、地方分権が言われておる今日、国が機関委任事務を行っておる部門について、地方自治の本来のあり方から考えて慎重に行うべきであるということを申し上げたのであります。何とぞ御了承をいただきたいと存じます。
 次に、大蔵省に対する私の見解を求められました。金融行政にかかわる事務は大蔵省が所管されることでありまして、自治大臣として意見を申し上げるべき立場にありませんので、御了承をいただきます。(拍手)
    〔国務大臣山口鶴男君登壇〕
#10
○国務大臣(山口鶴男君) お答えいたします。
 特殊法人の改革につきましては、総理から具体的に御答弁もございました。いずれにいたしましても、過去十年間ほど歴代内閣がなし得なかった特殊法人の整理合理化について具体的な改革のメスを入れましたことは、高く評価をいただけるものと確信をいたしております。(拍手)
 さらに、政府系金融機関の問題につきましては、年度内にさらに引き続いて改革のために努力を続けている次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(土井たか子君) 寺前巖さん。
    〔寺前巖君登壇〕
#12
○寺前巖君 私は、日本共産党を代表して、ただいまの財政演説に対する質問を行います。
 阪神・淡路大震災が発生してから五週間がたちました。今なお二十万余りの人々が避難所暮らしを余儀なくされています。その生活は、厳寒の中、暖房もない、パンと冷たいお握りの食事が二回だけ、ふろも入れない、プライバシーもないというものです。しかも重大なことは、お年寄りなどが、こうした劣悪な避難所生活の中で、震災後、肺炎など百名を超す方々が亡くなっているということです。この方たちは、明らかに政治の貧困による犠牲者であり、人災以外の何物でもありません。
 震災直後の本会議で、私は被災の規模に見合った速やかな救援対策を強く要求しました。しかし、現実は被災規模の激甚さに対応し切れていないのです。
 何が問題なのか。我が党は、避難所生活の改善について、被災者の要望も聞き、政府に対して具体的な提起も行ってきました。
 食事の問題について言えば、一日八百五十円という国の基準を見直しなさいと主張してきたのです。これに対して、村山首相は、見直すところは思い切って見直すと述べ、井出厚生大臣も、地元自治体から要望があれば上げることにやぶさかでないと言明しました。ところが、実際には、この八百五十円の基準が一つの障害になって、今日に至るまで依然として改善されていません。
 もともと、この八百五十円というのは、七日以内という短期の避難生活を前提にしたものです。長期化すれば、当然、一日三食、温かい食事、栄養面にも配慮した献立が可能なように、その基準を根本から見直し、大幅な引き上げは必要不可欠です。地元から要望があればではなく、国の方から積極的に特別基準、雲仙・普賢岳噴火災害並みの千三百円を即刻設定し、実行すべきです。明確な答弁を求めます。
 また、応急仮設住宅の建設も遅々として進んでいません。三月中に三万戸、四月に一万戸追加する、さらに必要に応じて計画戸数を見直すとしていますが、現在完成したのは、二月二十日現在でたったの二千百七十八戸です。四万戸以上の計画の見直しも全く行われていません。これで被災者の皆さんの要求にこたえる仕事をやっているとだれが言えましょう。兵庫県の幹部は、ライフラインが復旧してから必要数を見きわめるなどとも発言していますが、ライフラインの復旧は早くて四月末です。それから目標を見きわめ、建設に着手するというのでは、完成は五月、六月までずれ込むことは必至です。
 ここでも政府の姿勢は、県から追加の要望があれば支援するという態度です。倒壊・焼失戸数が十五万戸、一時居住応募戸数が九万戸、兵庫県内外の公的住宅への応募戸数が一万四千戸、こうした実態からして、約十万戸程度の仮設住宅は必要です。こうした目標を速やかに明確にし、その上で、いつまでに何月という計画を具体化し、それに向けて土地を確保し、住宅メーカーを総動員し仮設住宅建設最優先で増産させるなど、総力を挙げて取り組むべきであります。
 非人間的な避難生活を一日も一刻も早く解消する、これが今日の政治の最大、最優先の使命ではないでしょうか。その第一義的な責務は、国が地方公共団体等の協力のもとに応急的に必要な救助を行うという災害救助法の目的にあるように、国にあります。自治体任せではなく、政府の責任ある対応が強く求められているのです。総理の具体的な答弁を求めます。
 次に、大震災からの復旧・復興問題です。
 我が党は、既に「阪神大震災の復興対策をどうすすめるべきか」を発表し、復興対策の原則として三つの柱を提起しました。
 その第一は、国の責任を明確にし、住民の参加と合意の民主主義を貫くということです。
 しかし、事態は、住民排除の復興計画、事業が進められようとしています。神戸市の震災復興緊急整備条例では、市長が計画を策定して公表する、それに対して市民は協力する責務を有すると、協力責務だけが課せられることになっています。しかも、先般本院を通過した被災市街地復興特別措置法案でも、地域住民の理解と協力を得るとあるだけで、住民参加の具体的保障が何も規定されていません。これでは、国、自治体が一体となって住民排除が加速されかねません。「主人公は住民」という地方自治の根本原則からも、また、被災地の大部分が民有地であり、住民合意なしには現実に事業が進まないということを考慮しても、上からの計画押しつけがあってはなりません。
 第二に、被災者の生活再建なしには復興はあり得ないということです。
 この立場から、住宅や家財などを失った被災者の生活再建に、住宅、家財、中小業者の営業用資産の損失が償えるよう、国家による個人補償が不可欠であります。雲仙災害では、基金を通じた間接方式で、金額は不十分とはいえ事実上の個人補償を行いました。しかし、今回の被災規模では、雲仙並みの補償をするとしても数兆円の基金の創設が必要になるでありましょう。伝えられている五千億円の基金のその運用益では、一世帯当たり年十万円程度のお金にしかなりません。どうしても国の財政支出による直接の補償措置が必要であります。
 地震による生命財産の犠牲を大きくした根本原因は、この地域を地震の特定観測地域に二十五年も前に指定しておきながら、特別の観測体制もとらず、それどころか、測候所の夜間無人化を進めたり、地方行革の名で消防力整備にブレーキをかけてきたことに見られるように、歴代政権の防災対策の軽視、立ちおくれにあることは明白です。この点からも、生活再建への国の責任の回避は許されません。
 第三に、防災優先の町づくりを進めることです。
 防災拠点、避難広場の確保、道路の拡幅などの土地問題については、公的な責任を明確にし、有償による公有地の拡大を中心に置くべきであります。土地区画整理事業で個人や中小業者に三割、四割の減歩、つまり無償で土地を一方的に提供させることなど断じてあってはなりません。
 さらに、政府は今回の大震災から真摯な態度で教訓を学ばなければなりません。根拠もないのに、今回の地震が関東大震災の二倍の揺れだったなどという責任逃れのことを言うことは絶対に許されません。高速道路や鉄道、港湾施設などはもとより、学校、病院なども震度七に耐え得るものにしなければなりません。
 以上の復興の基本的あり方について、総理の答弁を求めます。
 次に、復旧・復興対策の財源問題です。
 強調したいことは、本補正予算の震災復旧等の財源のためにも、さらに個人補償を含めた本格復旧・復興対策の実施のためにも、九五年度本予算の組み替えが不可欠だということです。本補正予算で大量に発行が予定されている赤字国債についてはあくまでも一時的なものにとどめ、来年度本予算の不要不急予算の削減などで対応することこそ、由民の立場に立った震災対策であります。
 大体、震災前に編成した来年度予算を、戦後最悪の大惨事が生じても何の変更もせず無修正で成立させることを急ぎ、復興対策は来年度補正予算でという政府・与党の態度は、無定見のきわみと言わざるを得ません。(拍手)しかも、それは復旧・復興財源を赤字国債か増税かという袋小路に追い込み、とどのつまり、さらなる消費税増税などにつなげようというもので、断じて容認できません。
 地震国日本で、国民の生命と財産を震災から守ること以上に切実で重大な安全保障はありません。この見地から、公共投資の流れを見直し、むだにメスを入れること、軍事費についても聖域にすることなく、米軍への思いやり予算や正面装備増強費などを削って震災復興対策に回すべきです。被災者の苦しみをよそに、政党だけが平然と巨額の政党助成金を受け取るというのでは、国民の怒りを買うのは当然です。予算上も全額カットすべきです。こうした予算の浪費に徹底的にメスを入れるならば、増税や赤字国債増発なしに復興予算を組むことは十分可能です。
 改めて来年度本予算の組み替えを要求し、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
#13
○内閣総理大臣(村山富市君) 寺前議員の御質問にお答えを申し上げる前に、中田議員の質問に対しまして、私は防災体制とお答えしたつもりでありますが、防衛体制と聞き取られましたようなことがございましたので、改めて防災体制として御理解賜りますようお願い申し上げます。
 続いて、寺前議員の御質問にお答え申し上げたいと思います。
 避難所生活の早期解消についてのお尋ねでございますが、これまでも国と地方自治体が一体となりまして、応急仮設住宅の早期建設等の応急住宅対策に全力を挙げてきたところでございます。しかし、御指摘もございましたように、私も、あらゆる意味で、集団で避難生活をされておる現状というのはもう限界に来ているのではないかというふうにも判断される節もございますから、今後とも県、市と協力をし、民間関係者の協力もいただきながら、全力を挙げて一層の建設促進と自立生活の支援に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、復興対策についてでありますが、今回の災害では極めて多数の地域住民が被災されており、復興を推進するに当たりましては、こうした被災者の方々の意向を尊重していくことが重要であることは申し上げるまでもございません。兵庫県や神戸市を初めとする地方自治体においても、住民の意見や学識経験者の意見等を適切に反映しながら復興計画の策定が行われておると承知いたしております。国といたしましても、地元自治体の復興計画を尊重しながら、復興のための施策を積極的に講じてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、自然災害により個人が被害を受けた場合には自助努力による回復が原則となっております。しかしながら、政府といたしましては、被災者の実情に配慮しながら、支援措置を幅広くかつきめ細かく実施しながら、一日も早く被災者の生活再建が実現されるよう努力してまいっておるところでございます。
 特に、今次の災害については、被害の甚大さにかんがみまして、特別立法によりこれらの支援措置を拡充することとしておりまするけれども、いずれにいたしましても、全面的な個人補償という形は困難でとりにくい点も多々ございますが、むしろ大幅な支援措置を講じることにより適切に対応してまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、復興町づくりにおける土地問題などについてのお尋ねでありますが、復興の推進に当たりましては、地域の創意工夫を尊重し、関係住民の御理解と御協力を得ながらこれを進めることが基本であることは、申し上げるまでもございません。国としても、関係住民の方々の負担の軽減を図りながら事業を円滑に実施することが必要であると考えておりまして、このため、公共的に必要な用地の先行取得などに対する支援を充実することによりまして、地元公共団体の取り組みに対し万全の支援を行ってまいりたいと考えているところでございます。
 次に、高速道路、鉄道等の耐震性についてお尋ねがございましたが、今回の被災状況を踏まえ、専門家による委員会を設置し、耐震構造のあり方等について検討を進めるなどの取り組みを行ってまいりたいと考えているところでございまして、これに基づき今後とも適切に対処してまいる考えでございます。
 次に、歳出の削減により復興のための予算を組むべきではないかとのお尋ねでございますが、平成七年度予算は政府として最善のものとして提出したものでございまして、御指摘の諸点も含め、歳出の削減による財源の捻出についてはにわかに結論が得られる問題ではないものと考えております。
 いずれにいたしましても、必要な財政需要を賄うに要する財源をどうしていくのかという点につきましては、国会の御論議や国民の皆さんの御理解もいただきながら、適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
    〔国務大臣井出正一君登壇〕
#14
○国務大臣(井出正一君) 寺前議員の私に対してのお尋ねは避難所の食事についてでございますが、食事は住民の方々の健康の維持を図る上で極めて重要なものであり、万全を期していく必要があると認識しております。このため、二月の十三日及び二十一日に、兵庫県を通じ、各市町において温かい栄養バランスのとれた食事の提供が行われるよう重ねて要請したところでございまして、兵庫県に対しましては、市町の取り組みを取りまとめた上で、特別基準の設定も含め速やかに厚生省に協議を行うよう、再度指導したところでございます。
 それから、病院についてでございますが、震度七に耐え得るものにする必要があると考えるがどうかというお尋ねにつきましては、既に現地において一部病院の被害の実情について専門的な調査を開始したところであります。今後、この調査結果を踏まえつつ、災害時にも患者さんの皆さんの安全が確保されるための病院のあり方について検討を進めることといたしております。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣小里貞利君登壇〕
#15
○国務大臣(小里貞利君) さまざまな緊急対応施策の中におきまして、お尋ねの住宅対策こそ要請中の最たるものだ、さように思っております。
 なお、応急仮設住宅の設置計画は、御承知のとおり、その設置者である兵庫県知事と、耳しげく、足しげく、順次協議を進めてまいっておるところでございます。御案内のとおり、四万戸の設置計画を立てました。その中におきまして、三万戸は三月中に完成をするべく最大限の努力をいたしておるところでございます。
 なおまた、追加戸数につきましては、地元自治体におきましてその実情を的確に御把握をいただくと同時に、それに基づきまして兵庫県と十分協議をいたしまして、いつでも具体的に機敏に対応するべく準備をいたしておるところでございます。(拍手)
    〔国務大臣武村正義君登壇〕
#16
○国務大臣(武村正義君) 今回の特例公債の発行につきましては、年度末ぎりぎりの段階で補正予算を編成しなければならなかったことを御理解いただきたいと存じます。
 また、歳出の削減による財源の捻出につきましては、御指摘のように、財政需要の増大に対し、歳出の合理化、効率化に取り組むことは大変大事でございますが、現在御審議をお願いしている平成七年度予算は政府として最善のものとして提出したものであります。不急不要の予算は含まれていないという考え方であります。(拍手)
#17
○議長(土井たか子君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 阪神・淡路大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#18
○議長(土井たか子君) この際、内閣提出、阪神・淡路大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣小里貞利さん。
    一国務大臣小里貞利君登壇〕
#19
○国務大臣(小里貞利君) 阪神・淡路大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 平成七年一月十七日に発生いたしました阪神・淡路大震災は、阪神・淡路地域において未曾有の震災被害をもたらしました。
 この法律案は、阪神・淡路大震災による甚大かつ深刻な被害に緊急に対処することにより、被災地域の迅速な復興に資するため、地方公共団体等に対する特別の財政援助並びに社会保険の加入者等についての負担の軽減、中小企業者及び住宅を失った方等に対する金融上の積極的支援等、被災者への特別の助成措置を行うこととするものであります。
 以上が、この法律案を提出する理由であります。
 次に、この法律案の要旨を申し上げます。
 第一に、公共土木施設の災害復旧事業等に関し、阪神・淡路大震災による被害が発生した兵庫県及び政令で定める市町村について、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律に規定する特定地方公共団体とみなす特例を設けております。
 第二に、阪神・淡路大震災による被害の実情等を踏まえ、特段の財政援助が必要な施設の災害復旧事業について、国が補助等を行うこととしております。なお、補助率については、現在、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律において対象とされている施設の補助率との均衡を踏まえ、さらに特段の配慮をして設定しております。
 具体的には、交通安全施設、水道、一般廃棄物の処理施設、工業用水道施設、改良住宅及び都市施設等については十分の八の補助を、警察施設、公立病院、公立火葬場、公立屠畜場、公立及び社会福祉法人設置の社会福祉施設、中央卸売市場並びに消防施設については三分の二の補助を、政令で定める民間病院及び商店街振興組合等の共同施設については二分の一の補助を、神戸港指定法人が管理する施設については補助及び無利子融資を行うこととしております。
 第三に、社会保険の加入者等についての負担の軽減については、医療保険等において、一部負担金及び保険料の免除等を行うこととしております。
 第四に、中小企業者及び住宅を失った方等に対する金融上の支援については、中小企業信用保険のてん補率の引き上げ、無担保・無保証人保険の別枠の設定、中小企業近代化資金の新規借入金に係る償還期間の延長、商工組合中央金庫の中小企業者への貸付限度額の引き上げ、住宅金融公庫における災害復興貸し付けの据置期間の延長等の措置を講ずることといたしております。
 その他にも、就職内定者を雇用安定事業等の対象とするとともに、船員保険における失業保険金等の支給の特例措置を実施し、さらに、平成六年度に加え、平成七年度にも歳入欠陥等債の発行を可能とするなど、幅広い特別の措置を講ずることとしております。
 以上が、阪神・淡路大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 阪神・淡路大震災に対処するための特別の財
  政援助及び助成に関する法律案(内閣提出)
  の趣旨説明に対する質疑
#20
○議長(土井たか子君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。小池百合子さん。
    〔小池百合子君登壇〕
#21
○小池百合子君 あの忌まわしい阪神・淡路大震災の発生から三十七日がたちました。阪神・淡路大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律案の審議に際し、私は、新進党を代表するとともに、一向に心休まることのない毎日を送り続けます被災地の声を代弁して、五つのポイントにわたって質問させていただきます。
 まず、今回の震災は関東大震災以来の大規模都市直下型地震であることへの総理の基本的な御認識を伺います。
 愛する家族を失う、またマイホームを失うということは、都市であれ、農村漁村であれ、被災者にとっては同じ悲しみであります。同じ損失であります。しかし、今回の阪神大震災は、死者五千四百余名、全壊した個人住宅戸数は十万を超え、また一部損壊に至りましてはその十倍にも及ぶなど、被害は余りにも大きいのです。つまり、従来の復旧・復興対策では十分カバーし切れないということになります。駅やビルの倒・半壊のすさまじさ、高速道路の倒壊。私は、我が国の人口の八割を超します人々が住む都市のもろさ、脆弱さを強烈に痛感いたしました。
 最大の衝撃は、都市に住む住民に対して、こうした大災害に向けた備えが国として十分にできていたかどうかという疑問であります。
 政府は、今回、新進党の強い要請もありまして、被害を受けた地域を激甚災害地域に指定し、激甚法を適用なさいました。しかし、激甚災害に対処するための激甚法は、今日の我が国の全体像には既にそぐわなくなっているのです。だからこそ、本日のこの本法案が必要になってくることは理解できます。
 激甚法が対象としておりますのは、一部中小企業者対策が含まれるにいたしましても、基本的に公共事業、公共施設でありまた農林水産といった第一次産業に対する助成が中心となっております。
 一方、今日の我が国は、災害基本法が制定されました昭和三十六年あるいは激甚法が制定された昭和三十七年から、大きく産業構造を転換させています。第一次産業人口は、昭和三十年に四一%であったものが、現在はわずか七%となっております。要約すれば、我が国は世界にも数少ない都市集合国家として成熟した大衆社会を実現しつつあると言うことができます。
 ところが、我が国の社会・産業構造の変化にもかかわらず、政治経済のシステムは、いまだ三十年、四十年前のままなんです。戦後の日本型システムが今日限界を迎え、その結果として、従来のシステムでは満足しない無党派層が増大していると言っても過言ではないと思います。
 現在の日本の基盤を支えているのは、都市を中心としたサイレントマジョリティーです。税金の捕捉率はほぼ一〇〇%、しかも、こういった人たちによる納税行為によって、日本という国は北から南まで支え合ってきたのでありますのであればこそ、災害対策基本法、激甚法等、国民の生命財産を守るための災害対策に関する法律そのものを、都市住民にも配慮したものにしなければならないのではないでしょうか。もしこうしたサイレントマジョリティーに対する対応を間違えますと、今後、我が国勤労者の納税意欲までも減少させてしまうことになりかねないことを、総理は認識しておられますでしょうか。
 私は、被災地において、エモーショナルになることを避け、冷静さを保ちつつも納税者として政府の対応に怒りを覚えている方々のことを思うと、やりきれない気持ちになるのであります。阪神大震災のような都市型災害には十分適応できない激甚法や災害基本法の見直しについてのお考えを伺わせていただきます。
 ちなみに、災害対策基本法については、過日、災害対策特別委員会に珍しく出席なさった国土庁長官が、基本法を見直すと御答弁を朗読なさいました。長官は、自衛隊のより積極的な活用についても触れておられます。政策を一夜にして百八十度転換された社会党の委員長として、閣僚の一人であります国土庁長官の御意見をお認めになるのかどうか、伺いたいと思います。
 また、この本法案は、すべてが賄える完全なものであるとは到底思えません。この法案を第一次として、第二次、第三次の法案が必要になるのではないかと考えますが、総理のお考えを明確にお聞かせください。
 第二のポイントをお尋ねいたします。
 都市住民への助成として、例えば六甲山系に広がる造成地の問題が浮上しております。
 神戸市、芦屋、西宮、宝塚市など、六甲山系に広がる地域では、山の斜面を切り開いて宅地を造成し、住宅地として今日の発展をなしてまいりました。今回の地震は、こうした宅地造成地をもろに襲ったわけでございます。見かけはしっかりと家屋が残っているようでも、肝心の地盤に亀裂が走り、雨が降るたびに崩壊の危機にさらされている地域もあります。海岸際の埋立地におきます液状化の問題も同様でございます。
 現行法では、同じ造成地にある道路や学校の復旧には対応できても、こうした個人の造成宅地には何らの助成もございません。土地そのものの問題でいうならば、長期化する奥尻や雲仙の対応も同じです。
 倒壊した家屋やマンションなど上物の問題も大変深刻ではございますが、宅地全体の復旧は個人の力を超えてしまうのです。それを個人の住居だからすべて個人で修理せよというのでは、気力だけでやれというようなもので、とても無理な話だというのが被災地の声でございます。また、地質調査や基盤調査については自治体の予算措置さえままならないのです。
 全国各地に広がるこうした造成地に対して、政府は一体どのように財政的助成をなさるのか。山国である日本全国に点在す。こういった造成地の問題をどう法的に対応されるお考えなのか。または、政府としての許容量を超える問題ととらえられるのか。明確にお答えいただきたいと思います。
 第三の問題は、以上のような災害対策にかかわる財源についてのお尋ねです。
 政府は、復興財源についてあらゆる財源の可能性を求めると明言しておられますが、それは一体どのような形をもって姿をあらわすのでしょうか。震災が発生してから既に一カ月以上がたっております。しかし、いまだに財政措置に関してはその骨格すら政府は明確な形で述べていないではありませんか。財源の明確な方針なく場当たり的な復興を進めるのは、災害発生に対しての対処を後手後手にしてきた初期対応の過ちを、復興という第二段階に際しても、いま一度繰り返すようなものと断定せざるを得ません。
 一体、政府は復興に際して赤字国債を発行するのでしょうか、しないのでしょうか。また、発行するのであれば、それはいつ、どの程度とするおつもりなのでしょうか。一般会計でしょうか、特別会計でしょうか。本年度の所得税減税は停止するお考えなのでしょうか、あるいは所得税の減税幅を圧縮するお考えなのでしょうか。もし減税幅を圧縮するのであるならば、それは一体どの程度と考えておられるのでしょうか。大蔵大臣は札幌での講演で、税負担としていただくしかないと発言しておられますのでは、いつ、どのくらい、どのような形で増税を実施すると想定しておられるのでしょうか。以上の点、すべて明快にお答えいただきたいと思います。
 既に被害の大枠が見えてきた今、復興に関する財源を現在のままずるずると明らかにしないままでは、復興対策を推進する政府としては全く無責任であり、財源の議論なしに復興を考えるのは無謀としか表現のしようがございません。
 新進党は、震災復興に対します財政の考え方として、九五年度予算の組み替えを要求しております。被災地の個人の家計が今回の震災で大幅に見直さざるを得ない、またライフスタイルさえ変えざるを得ないというのに、七十兆円を超えます国家予算がそのままというのは信じがたいことでございます。この際、九五年度予算は、不要不急の歳出を大幅にカットし、それを災害の第一次復興に充てるべきではありませんでしょうか。
 例えば、九五年度農林予算に計上されているおよそ一兆円に上る関連予算の見直しについてのお考えはどうでしょうか。ウルグアイ・ラウンド関連対策費と銘打ってはいるものの、内容的には我が国農業を抜本的に改善するものとなっていないことは、農業関係者自身がだれよりも知るところでございます。もっと腰を据えた形で、日本の農業の未来を確実なものにする必要があります。
 次いで、公共事業の見直しがあります。九五年度予算における公共事業費は総額十一兆円であり、このうち、港湾漁港整備事業費七千億円、農業整備事業費一兆円、治山治水対策事業費一兆五千億円などとなっておりまして、私たちの試算によりますと、総計六兆円程度が今回の復興財源の対象として考えられます。
 政府は、緊急に必要な復興対策費は九四年度の補正予算で処理すると言い、また、九五年度の予算組み替えには時間がかかると述べておられます。予算の組み替えに時間がかかるといっても、既に地震発生から一カ月がたっております。今国会で二カ月程度の補正予算を組み、その間に九五年度本予算を組み替えて、九五年度予算を復興予算とすべきではないのでしょうか。
 家族、家、そして職を失った被災者にはやる気のみで立ち直りを迫りながら、政府に予算の組み替えのやる気がないのは一体どういうことなんでしょうか。(拍手)それは官僚の抵抗ですか、族議員の存在です。それは、総理にとって組み替えが初めてのことだからでしょうか。
 第四点を申し上げます。これまた今回の法案で見落とされております私学、私立の学校の災害復旧に対してのお尋ねであります。
 今回の大震災で被害を受けた阪神問の私学の学校法人は二十九法人に上っております。学校によっては、校舎その他が甚大な被害を受けたものもございます。一体、文部省はこうした被害の実態調査に乗り出しているのでしょうか。寡聞にも私は、私学が受けた今回の震災の被害を文部省が調査したという話は聞いておりません。
 ちなみに、阪神間の私立学校が受けました被害総額は、物的損害だけでも約四百億円に上ります。加えて、授業料の減免の負担までも強いられております。こうした被害の助成について、政府はどのように考え、また、今回の特別財政に関する法律案ではどのようになさろうとしているのか、お尋ねいたします。
 最後に総理にお尋ねしたいのは、総理の責任についてでございます。
 今回の長田区などで発生した火事は、実に悲惨でした。つぶれた瓦れきの下で、まだ息のある人たちが次々と火に包まれていきました。自分の親がそこに埋まっている、何とか助け出そうとしたが火がそこに迫ってくる。子供の危険を察知した瓦れきの下の親御さんが、私はいい、おまえ早くお逃げと言って、子供さんは泣きながらそこを離れだというような胸の張り裂けるような話は、枚挙にいとまがないのです。なぜ被害がこんなに拡大してしまったのか。
 また、どんなに法を整備し、システムを整備しても、国民の生命と安全をつかさどるリーダーとしての認識と決断力が欠如していては意味がありません。こうしたことについてのあなたの責任、総理の責任を明確にしていただきたいと思います。何分にも初めてのこと、早朝の出来事、混乱したのは現地であって自分のことではないといった言い逃れ、言いわけ、責任転嫁は、一国のリーダーがすべきものではないと考えております。(拍手)
 また、国民の目から見て紛らわしい名称の対策本部を幾つつくれば気がお済みになるのでしょうか。霞が関主導で強力な復興本部もつくれない政権に、行政改革ができるはずはない。復興臨調も屋上屋を重ねるだけで、有識者の時間と気力をむだにすることは目に見えております。
 一国の安全と国民の生命を守るという政治指導者として最も必要な条件を欠き、それがために被害を拡大せしめたあなたの責任は、今後どうおとりになるおつもりなのでしょうか。反省と復興に全力を尽くすといった言葉以外の御答弁をお伺いしたいものでございます。
 以上五点、御質問させていただきまして、終わらせていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
#22
○内閣総理大臣(村山富市君) 小池議員の質問にお答えを申し上げたいと思います。
 このたびの阪神・淡路大震災に対しまして、政府としてはできる限りの対応を行ってまいりました。関係行政機関、地元自治体等から意見を聞きながら、応急対策として、閣議決定によりまして、被災者の実情に十分配慮した措置を講じてまいったほか、地元自治体や被災者に対する特別措置を盛り込んだ特別立法を行うことといたしたところでございます。今後は、今回の経験を踏まえ、都市化、高齢化、情報化、国際化の進展等、環境の変化にも対応すべく、防災基本計画の改定を初め災害対策全般について見直しを行ってまいる所存でございます。
 今回の災害の教訓を踏まえまして、情報伝達体制、初動態勢など広く災害対策基本法を見直していくことといたしておりますが、その際、自衛隊の役割のより積極的な位置づけについても念頭に置く必要があるということについて、国土庁長官の答弁がなされたものと私は理解をいたしております。私も、自衛隊が災害対策上果たしてまいりましたこれまでの役割については、国民の多くの皆さんの期待が寄せられておると認識をいたしておるところでございます。
 今回の大震災に対する対応についていろいろと御批判があることは、私も十分承知をいたしております。私は、災害対策の最高責任者として、迅速かつ的確な対策を講じるため、可能な限りの努力をしてまいりましたつもりでございます。また、関係閣僚にも、やれることはすべてやり尽くしてほしいと強く指示をしてきたところでございます。また、大規模災害発生時の情報収集体制の強化や官邸への情報連絡体制の整備について、当面の制度、当面の立法措置の中で、可能な範囲のことについてはやるように決定をいたしてきたところでございます。
 今後は、例えば防災臨調などの設置等を検討しながら、災害対策の充実強化に向け一層の検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。明二十五日に発足を予定いたしておりまする阪神・淡路復興本部の本部長として、さきに設置されました復興委員会の御意見等も十分に承りながら、万全の施策を講じていくことを考えておるところでございます。
 こうしたことについて全力で取り組んでいくことこそが私に課せられた責任であると自覚をいたしておりますから、これからもその決意で取り組んでいくつもりでございます。御理解を賜りたいと存じます。
 以下の問題につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
    〔国務大臣武村正義君登壇〕
#23
○国務大臣(武村正義君) 阪神・淡路大震災に関しましては、全力を挙げて復旧・復興事業を講じていく所存であります。
 現在、その内容、規模等を早急に検討し固めていくため、最大限の努力を行っているところでありまして、これに要する費用を今具体的な数字で申し上げる段階ではありません。今後、どのような経費がどのくらい必要になるかを明らかにしていくのとあわせて、その費用をどう負担していくかを真剣に検討しなければなりません。
 そのための財源につきましては、いかなる形であれ、いずれは国民の皆様にお支えをいただかざるを得ないということであります。その具体的方法については、歳入歳出両面にわたりまして、当国会そして国民各層の御意見を伺いながら結論を出していかなければならないと思います。
 歳出の削減による財源の捻出につきましては、財政需要の増大に対し、歳出の合理化、効率化に取り組んでいくことは言うまでもありません。現在御審議をお願いしております新年度の予算は、ウルグアイ・ラウンド関係費を含め、政府としては最善のものとして提出をしたものであります。
 いずれにせよ、必要な財政需要を賄うに要する財源をどうしていくかの問題につきましては、今後どのような経費がどのくらい必要であるか明らかになってくることにあわせながら、さまざまな観点からあらゆる可能性を真摯に検討してまいります。
 最後に、もう既にお答えをいたしましたが、七年度予算を組み替えるとした場合は、修正予算案の提出までには相当の時間が要ります。これによって、七年度当初予算の国会審議、成立がおくれれば、これら緊要な施策に係る支出もおくれざるを得ません。景気に対しても影響を与えます。そういう理由から、平成七年度予算を組み替え、再提出をする考えはありません。(拍手)
    〔国務大臣野坂浩賢君登壇〕
#24
○国務大臣(野坂浩賢君) 小池議員にお答えいたします。
 お話にもありましたように、今回の大震災による宅地被害は極めて甚大かつ広範囲であることから、御審議をいただいております本日の法案において、新たに、擁壁の損壊等宅地のみが被害を受けた場合であっても、その復興費用について、住宅金融公庫が長期かつ低利の貸し付けを行う災害復興宅地融資制度を創設することとしております。被災された方々を、そういう意味で積極的に支援してまいります。
 被災宅地の復旧については、個人の財産でもあり、一般的には、今回新たに創設する制度を含め、住宅金融公庫の融資制度等の積極的な活用等により対処していくものでありますが、しかし、現在、県、市等においては全力を挙げて今後の対応について調査を実施しているところであります。放置すれば周辺に大変な影響を及ぼすというおそれがある場合、あるいは公共施設の復旧事業に関連すると認められる場合等にあっては、被災原因の対策について、災害関連の公共事業の制度等を活用し、また積極的に運用して、できるだけの御協力を申し上げてまいりたい、そういうふうに考えております。
 以上です。(拍手)
    一国務大臣小里貞利君登壇〕
#25
○国務大臣(小里貞利君) 私学学校法人の被害状況及びその災害復旧に対する財政援助について、二つお尋ねでございます。
 御案内のとおり、今回の地震によりまして、私立学校の被害校は六百三十一校でございます。特に西宮市あるいは芦屋市、神戸市等が、その被害が顕著であると判断をいたしております。政府といたしましては、その被害状況の具体的な把握に努めますとともに、一日でも早い学校教育活動の再開を目指しまして、適切機敏な対応措置をとってまいりたい、かように考えて、なおかつ、またその対応措置も講じつつございます。
 次に、その財政援助でございますが、さきにも御説明申し上げましたとおり、激甚災害法によりまして二分の一の補助は決定をいたしております。さらにまた、その残りの分でございますが、これは日本私学振興財団等によりまして、長期低利の対応が既に計画されております。
 なおまた、その中身におきましては、災害復旧の国庫補助対象に応急仮設校舎も加えるということになっております。あるいはまた、教育研究用物品の復旧事業に対する補助等も考えております。なおまた、財団の災害融資の貸付金利をより低利にいたしまして、そして国庫補助と融資制度を充実いたしまして、これらを有機的に組み合わせることによりまして、私学の災害復旧を円滑にかつまた機敏にとり行いたい、さような方針でございます。(拍手)
#26
○議長(土井たか子君) これにて質疑は終了いたしました。
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#27
○議長(土井たか子君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時四十五分散会
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ソース: 国立国会図書館
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