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1995/05/09 第132回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第132回国会 本会議 第24号
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1995/05/09 第132回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第132回国会 本会議 第24号

#1
第132回国会 本会議 第24号
平成七年五月九日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十八号
  平成七年五月九日
    午後一時開議
 第一 沖縄県における駐留軍用地の返還及び駐
    留軍用地跡地の利用の促進に関する特別
    措置法案(第百二十九回国会、上原康助
    君外八名提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 日程第一 沖縄県における駐留軍用地の返還及
  び駐留軍用地跡地の利用の促進に関する特別
  措置法案(第百二十九回国会、上原康助君外
  八名提出)
 食品衛生法及び栄養改善法の一部を改正する法
  律案(内閣提出、参議院送付)の趣旨説明及
  び質疑
    午後一時三分開議
#2
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#3
○議長(土井たか子君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 金田誠一さんから、海外旅行のため、五月十八日から二十七日まで十日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、許可することに決まりました。
     ――――◇―――――
 日程第一 沖縄県における駐留軍用地の返還
  及び駐留軍用地跡地の利用の促進に関する
  特別措置法案(第百二十九回国会、上原康
  助君外八名提出)
#5
○議長(土井たか子君) 日程第一、沖縄県における駐留軍用地の返還及び駐留軍用地跡地の利用の促進に関する特別措置法案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。沖縄及び北方問題に関する特別委員長鈴木宗男さん。
    ―――――――――――――
 沖縄県における駐留軍用地の返還及び駐留軍用
  地跡地の利用の促進に関する特別措置法案及
  び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔鈴木宗男君登壇〕
#6
○鈴木宗男君 ただいま議題となりました沖縄県における駐留軍用地の返還及び駐留軍用地跡地の利用の促進に関する特別措置法案につきまして、沖縄及び北方問題に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、駐留軍用地及び駐留軍用地跡地が広範かつ大規模に存在する沖縄県の特殊事情にかんがみ、駐留軍用地を計画的に返還し、駐留軍用地跡地の総合的かつ計画的な有効利用を促進するために必要な国及び地方公共団体の責務等の特別の措置を講じようとするものであります。
 本案は、第百二十九回国会において上原康助君外八名から提出され、本委員会に付託されたものであります。その後、第百三十一回国会において提出者から提案理由の説明を聴取いたしましたが、質疑に入らず、今国会まで継続審査となっていたものであります。
 今国会、本委員会におきましては、四月二十七日、提案理由の説明を省略した後、審査に入りましたが、質疑の申し出もなく、本案に対し委員長たる私より修正案を提出いたしました。
 本修正案は、戦後五十年の節目に当たる今日なお、米軍によって強制接収された膨大な駐留軍用地が存在する沖縄県の特殊事情のもとで生じた軍用地地主の方々はもとより、沖縄県民の御労苦に配慮して取りまとめたものであります。
 その趣旨は、
 題名を沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律に改め、
 国は、アメリカ合衆国から駐留軍用地の返還を受けた場合、当該所有者等に対し、当該返還を受けた日の翌日から三年間を超えない期間内で、当該所有者等の申請に基づき、政令で定めるところにより、国が支払っていた賃借料または土地収用法に規定する補償金に相当する額を支給するものとし、この給付金の額は、年間一千万円を限度とし、かつ、総額三千万円を限度として支給するものとすること、
 国は、駐留軍用地の整理縮小を求める沖縄県民の意向に留意しつつ、この法律の円滑な実施に努めるものとすること、
 この法律及びこの法律に基づく措置は、日米安保条約及び日米地位協定の円滑な実施を妨げるものではないものとすること、
 この法律は、平成七年六月二十日から施行し、平成十四年六月十九日限りでその効力を失うものとすること等を内容とするものであります。
 本修正案について、私から趣旨説明を行った後、国会法第五十七条の三の規定に基づき内閣の意見を聴取いたしましたところ、小澤沖縄開発庁長官から、政府としては、原案に対しては反対であるが、同法案に対する修正案については院議を尊重することといたしたい旨の意見が述べられました。
 次いで、原案及び修正案について一括して討論を行った後、採決の結果、修正案は賛成多数をもって可決、修正部分を除く原案は全会一致をもって可決され、よって、本案は修正議決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#7
○議長(土井たか子君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。
     ――――◇―――――
 食品衛生法及び栄養改善法の一部を改正する
  法律案(内閣提出、参議院送付)の趣旨説明
#9
○議長(土井たか子君) この際、内閣提出、参議院送付、食品衛生法及び栄養改善法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。厚生大臣井出正一さん。
    〔国務大臣井出正一君登壇〕
#10
○国務大臣(井出正一君) ただいま議題となりました食品衛生法及び栄養改善法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 食品の安全性に関する問題の複雑多様化、輸入食品の著しい増加、国民の栄養摂取状況の変化など、我が国の食品保健を取り巻く状況は大きく変化しております。また、規制緩和の社会的要請、規制の国際的整合化の要請に対応していくことも重要となっております。
 今回の改正は、こうした状況の変化等にこたえ、食品の安全性の効果的な確保、食品を通じた国民の健康づくり等、総合的な食品保健対策を推進するため必要な措置を講じようとするものであります。
 以下、この法案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一は、食品衛生法の改正であります。
 まず、食品添加物の規制の見直しであります。規制の国際的整合化を図りつつ、食品の安全確保を推進する観点から、人の健康を損なうおそれのない場合として厚生大臣が定める場合に限り販売等が認められる添加物の範囲を、化学的合成品たる添加物から、天然香料等を除いた添加物へと拡大することとしております。
 なお、現在、販売等がなされている添加物については、従来どおりとすることとしております。
 次に、残留農薬基準の策定を推進するため、農林水産大臣に対し、農薬の成分に関する資料の提供等の協力を求める仕組みを設けることとしております。
 さらに、食品の製造規制の弾力化であります。
 従来、製造・加工の方法については、衛生上の観点から一律の基準により規制しておりましたが、近年の製造・加工技術の高度化に対応して、新たに個別承認制度を設け、規制の弾力化を図ることにより多様な食品の製造・加工を可能としようとするものであります。
 また、食品の輸入手続の効率化を図る観点から、電子情報処理組織を活用した届け出手続等を制度化することとしております。さらに、輸入食品の検査制度について、輸入者による自主的な検査の普及等を踏まえ、適切かつ効率的な検査を実施するための改正を行うこととしております。このほか、営業許可の有効期間の延長等、営業許可に関する規制の見直しを行うほか、指定検査機関の質の向上及び地域における食品衛生水準の向上のための規定を整備することとしております。
 第二に、栄養改善法の改正であります。
 まず、食品の栄養表示基準制度の創設であります。塩分、カロリー等の過剰な摂取が問題となる栄養摂取の状況を踏まえ、栄養強化に関する表示の許可制度を、栄養表示をしようとする者が遵守すべき基準を定める制度へと改めることにより、食品の栄養成分に関する適切な情報を広く国民に提供することとしております。
 また、乳幼児、妊産婦等が用いる特別用途食品については、その表示の許可制度を維持しつつ、表示方法の弾力化を図る措置を講ずることとしております。
 最後に、この法律の施行期日は、一部の事項を除き、公布の日から一年を経過した日からとしております。
 以上が、この法律案の趣旨であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 食品衛生法及び栄養改善法の一部を改正する
  法律案(内閣提出、参議院送付)の趣旨説明
  に対する質疑
#11
○議長(土井たか子君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。青山二三さん。
    〔青山二三君登壇〕
#12
○青山二三君 私は、新進党を代表いたしまして、食品衛生法及び栄養改善法の一部を改正する法律案について、村山内閣総理大臣並びに厚生大臣に質問をいたします。
 豊かになったと言われる日本人の暮らし、その中にあって、特に食生活は戦後五十年の間に大きく変化してまいりました。国際化の進展に伴う輸入食品の増大、食生活の多様化など、五十年たった今、飽食の時代とさえ呼ばれ、食べるものには何も不自由はしない豊かな社会になったはずです。しかし、私たち一般庶民のふだんの食生活は本当に豊かになったと言えるでしょうか。どこかに大きなひずみがあるように思えてなりません。見せかけの食生活は豊かになっているものの、多くの添加物が用いられ、人体への影響や安全性には疑問が多いのが現状です。
 私たち消費者の安全な食品を求める権利は、憲法により保障されたものでございます。憲法第十三条は「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とす。」と格調高く宣言し、また、第二十五条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」とも言っております。この二つの条文は、食品の安全に関する基本的な法律である食品衛生法の根底をなすものと理解しております。そこで、村山内閣として、消費者に安全な食品を供給することについて、総理の御決意をまずお伺いいたします。
 次に、食品衛生法の目的条項についてお伺いいたします。
 食品衛生法の条文の中には、残念ながら「消費者」という言葉も「食品の安全」という言葉も出てきません。飲食に起因する危害の防止と公衆衛生の向上、増進と言っているだけです。
 消費者が生命と健康を侵されないように安全な食品の供給を受けることを、だれもが当然のことと考えます。そこで、この当然のことを法的な権利として認め、国民の食の安全を守るための法律であることを明らかにするためにも、食品の安全の確保、積極的な国民の健康の保持増進等、消費者の安全を求める権利について明記し、国が国民の食生活に直接的な責任を持つという姿勢を明確に示すべきと思いますが、総理の前向きな御答弁をお願いいたします。
 次に、残留農薬等の基準の策定の推進についてお伺いいたします。
 輸入食品の増加と関連して人々が最も関心が高く、かつ不安を抱いているのは、残留農薬問題であります。残念ながら、食品衛生法には残留農薬を明確に規制する条文はありません。残留基準の定めがない農業は、規制がないため事実上野放しに近い状態となっております。政府は、この基準について、二〇〇〇年をめどに二百農薬程度まで計画的に作成することを目標とされておりますが、これでは健康や生命に直接かかわりを持つ大切な食の安全を守るには遅過ぎます。一刻の猶予も許されません。そこで、国内で使用されている約三百あるすべての農薬について早急に残留農薬基準の整備を行うべきであると考えますが、政府の対応をお伺いいたします。
 また、我が国はカロリーベースで六割強の食品を海外に依存しておりますが、食品衛生法上の残留農薬基準が百三農薬にしか設定されていないので、他の基準未設定の農薬について食品の安全性が確保されているとは言えない状況であります。そこで、基準未設定の農薬が残留する食品の流通を一律に禁止することは食糧の供給を困難にすることが考えられますが、食品の安全性を求める観点から考えますと、食品添加物の規制で現在導入されているポジティブリスト方式に変更すべきと断固主張いたします。この件に関する厚生大臣の御見解を伺います。
 現在、農薬の登録は農水省で、残留基準の策定については厚生省となっておりますが、これについては、一部に、農産物の衛生規制として不十分であるという指摘があります。今回の改正では、農水大臣に対し、農薬の安全性に関する資料等の提供を求めることができる旨の規定が創設されておりますが、情報が一元的に把握され、効果的に運営されるべきであり、今後国内で新たに農薬が登録される場合には、同時に残留農薬基準が設定されるような仕組みにすべきであると考えますが、厚生大臣の御見解をお伺いいたします。
 次に、食品添加物の指定制度の導入についてお伺いいたします。
 今回の改正では、化学的に合成された添加物だけでなく、天然添加物についても指定制度の導入が図られたことは評価できますが、現在食品に使用されている千五十一もの天然添加物については、安全確認もせず、そのまま使用を認めることにしております。これは、原則使用禁止、安全性の確認されたもののみ使用を認めるというポジティブリスト方式に例外を認めることになるのではないかとの国民の不安の声もあるわけでございます。
 食品添加物には、化学的合成添加物を含め実際には余りにも多種にわたっているため、一般消費者にはどのような添加物なのかわからないことが多いのが現実であります。これら既存の天然添加物については、速やかに安全性の見直しを行い、使用できるものとできないものに振り分け、有害であることが実証された場合には使用禁止などの措置を行うべきであると考えます。この点に関して厚生大臣はどのように取り組まれるおつもりなのか、お伺いをいたします。
 次に、食品の安全性確保のための調査研究についてお伺いいたします。
 食品の安全性評価に関する学際的知見の基礎整備と蓄積は重要な課題の一つであります。特に人体の影響については、食品からだけではなく、水や大気からの影響も含めて、化学物質などの安全性を考慮する必要も出てまいりました。さまざまな長期にわたる化学物質の摂取により、相乗的な人体への影響についても検証が必要と考えます。そこで、食品に含まれる物質の健康影響に関する研究、食品の安全性評価等の高度化に関する研究など、食品の安全性確保のための調査研究の推進について、政府の取り組みをお伺いしたいと思います。
 次に、食品の安全基準の国際基準との整合性についてお伺いいたします。
 本年一月に発効いたしました衛生植物検疫措置の適用に関する協定、いわゆるSPS協定により、コーデックス規格が事実上の国際基準と位置づけられる事態となりました。このことは、一言で言うならば食品の安全基準の規制緩和措置であります。しかし、この規制緩和の推進は世界じゅうで注目される課題ではありますが、食品の安全性を確保するための規制はむしろ強化すべき点が数多くあります。政府は、この緩やかな国際基準との整合性において食品の安全性の確保をいかにとっていくおつもりなのか、総理の責任ある御答弁を求めます。
 次に、輸入食品の検査体制についてお伺いいたします。
 近年、我が国の貿易収支の不均衡、内外価格差などを背景として、市場開放、規制緩和が求められており、できる限りの輸入手続の簡素化、迅速化を図る方向で今回の改正も行われておりますが、これは検査体制の強化になると言えるのでしょうか。この場合も、輸入食品の安全性を確保することを大前提とすべきと考えます。
 そこで、国民の食生活における輸入食品の比重の高まりを考えたとき、従来以上に輸入食品の安全性を確保することができるよう、検疫所における監視を強化することが重要と考えます。輸入相手国の多様化による輸入食品届け出窓口の増設、検査ニーズの多様化に対応するための検査機器の整備や担当職員の増員を求められておりますが、政府の対応をお伺いいたします。
 さらに、食品の製造・流通にかかわる衛生の確保が我が国ほど徹底していない国々からの食品の輸入が増加していることを考えますと、輸入時に水際で衛生の確保が十分でない食品を排除するだけでなく、こうした国々の食品製造や検査・輸出体制の整備にも積極的に協力し、我が国に輸入される食品の安全性が担保できるよう具体的貢献の道を探るべきであり、これはまさに国際貢献につながるものであると考えますが、この件について総理の御見解をお伺いいたします。
 次に、食品保健関係の情報の公開等についてお尋ねいたします。
 食品衛生法では大臣にさまざまな権限を与えておりますが、国民の声を立法や行政に反映させる道を確保するために、大臣が法によるこのような権限に基づき何かの決定をする場合、これを事前に公表し、国民の意見を聞くという規定はありません。そこで、私は、食品衛生調査会の委員等について、消費者、生産者も含めた広い範囲の学識経験者の中から任命し、食品の規格基準等の制定に関しては、消費者の意見、異議を聞き、適切に対処すべきであると考えますが、この件についての政府の対応をお伺いいたします。
 また、食品保健関係の情報については、消費者の要望を踏まえ、十分かつ利用しやすい形で提供し、食品保健行政の決定根拠の資料について可能な限り公開すべきと考えますが、総理の前向きな御答弁を求めます。
 最後に、政府の趣旨説明にもありますように、我が国の食品保健を取り巻く状況の変化に的確に対応することの重要性、また食品の安全確保、食品を通じた国民の健康づくりなど、総合的な食品保健対策の推進が十分に担保されなければなりません。このような趣旨を生かすためにも、真摯な態度で、率直な国民の意見を謙虚に聞くべきであると考えます。
 今後、あらゆる機会を通じて、国民の食の安全性第一、健康第一を図るべく政府に強く要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
#13
○内閣総理大臣(村山富市君) 青山議員の質問にお答えいたします。
 まず、消費者に安全な食品を供給することに関する決意についてのお尋ねでありますが、今回の食品衛生法及び栄養改善法の改正法案は、輸入食品の増大や食品の安全性の問題の複雑多様化、国際化といった諸状況の変化に対応し、食品保健行政を二十一世紀に向けて展開する基盤を整備するものと考えております。今回の法改正を踏まえ、今後とも引き続き、食品の規格基準の整備、輸入食品等の監視体制の充実など、国民の健康の確保を第一に考える見地から、総合的な食品保健体制に取り組んでまいる決意でございます。
 次に、食品衛生法の目的規定の改正についてのお尋ねでありますが、現行の食品衛生法は「公衆衛生の向上及び増進に寄与すること」を目的としてございまして、この規定は、青山議員の質問の中にもありましたように、憲法第二十五条、すなわち「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」という憲法の規定を受けて定められたものでありまして、国民の生命や健康の確保を第一に考える趣旨のものでありますので、あえてこの規定を改正する必要はないものと考えたところでございます。次に、国際基準と国内基準の関係についてお尋ねがございましたが、国際基準は第一に消費者の健康の保護を目的として作成されているものでございますが、我が国においても基本的にはこのような国際基準により国民の健康が確保できるものと考えております。また、衛生植物検疫措置の適用に関する協定、SPS協定では、科学的に正当な理由がある場合等においては国際基準よりも厳しい基準を採用し得ること等の規定も盛りまれているところであります。したがって、この協定の締結によって国民の健康確保に支障を及ぼすような食品の安全基準の緩和を行う必要はなく、今後とも国民の健康確保を第一に考えて対応してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、開発途上国に対する食品検査体制の整備の協力についてのお尋ねでありますが、これは、各国からの要望を考慮して、主として国際協力事業団を通じて実施しているところでございます。これまでにも、検査機器整備について中国の輸出入食品検査センターに対する無償資金協力を行うほか、技術協力につきましても、タイ国保健省に対する食品衛生強化プロジェクトの実施、中国等への個別専門家の派遣、開発途上国からの研修生の受け入れ等を実施してきたところでございます。今後とも、これらの事業を推進することによりまして、国際的な食品衛生水準の向上に積極的に貢献してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、食品保健関係の情報公開についてのお尋ねでありますが、今後とも、食品衛生調査会の審議に用いました資料について、知的所有権等に配慮しつつ、可能な限りの対応を行ってまいりたいと考えているところでございます。また、消費者等に対しましても、食品の安全性に関しましては、わかりやすく体系的に適切な情報提供を行い、その相談に応じる事業を実施するなど、一層の情報提供に努めてまいる所存でございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
    〔国務大臣井出正一君登壇〕
#14
○国務大臣(井出正一君) 青山議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、国内で使用されている農業すべてについて残留農薬基準を策定すべきではないかとのお尋ねでありますが、今回の改正案においては、農林水産大臣に対し残留農薬基準の策定に必要な資料提供を求めることができる旨規定されております。厚生省といたしましては、今後、国内で使用される農薬のうち食品に残留するものについて、本規定に基づき、農林水産省の協力を得て、国民の健康確保の観点から残留農薬基準の整備を進め保ていきたいと考えております。
 また、今後の残留農薬基準の整備につしては二〇〇〇年までに少なくとも使用量の多いもの等二百農薬程度について基準策定を行うことを当面の目標としておりますが、引き続き、食品に残留する国内外で使用される農薬をカバーできるよう基準を策定してまいる所存であります。
 次に、残留農薬の規制方式についてのお尋ねでありますが、我が国はカロリーベースで六三%の食品を海外に依存しておりますし、また、農産物に使用が認められている農薬は世界で約七百と言われております。現在、そういった状況のもとで、食品衛生法上の残留農薬基準は百三農薬についてしか設定されておりません。このような現状において、基準が未設定の農薬が残留する食品の流通を一律に禁止しますと国民への食糧の供給が極めて困難になること、また、国際的にも完全なポジティブリスト制を採用しておりますのは主要国では食糧自給国であります。アメリカのみであることから、現時点ではポジティブリスト方式への移行は困難であると考えます。
 ただし、ポジティブリスト方式への移行につきましては、将来、相当程度基準が策定された段階で、国内外で使用される農業数の推移とかあるいは国際的な規制の動向とか、さらには我が国の食糧自給の程度等を勘案して判断すべきものと考え保ております。
 続いて、国内における農薬登録と同時に残留農薬基準を策定すべきではないかとのお尋ねでありますが、今回の改正に当たり検討いただいた食と健康を考える懇談会の報告書におきましても、国内で新たに使用される農薬については、「農薬取締法の登録保留基準に沿った登録に併せて、残留農薬基準が設定されることが望ましい。」と指摘されております。したがいまして、厚生省といたしましては、懇談会報告の趣旨も踏まえ、国内で新たに使用される農薬については、農薬取締法に基づく登録後速やかに必要な資料を入手し、検討を進めることにより、できるだけ早期に残留農薬基準を策定することができるよう努力したいと考えております。
 四番目に、既存の天然添加物の安全性についてのお尋ねでございますが、これらの添加物は長い使用実績がありまた、人の健康確保にとって問題があるという具体的な知見の報告はなされておりません等の理由から、引き続き使用を認めることとしたところであります。これら既存の天然添加物の安全性確認につきましては、従来から行ってまいりました毒性試験の実施等をこれからも充実強化するとともに、万一安全性上の問題が明らかになった場合には、随時、流通を禁止する等必要な措置を講じるつもりであります。
 続いて、食品の安全性確保のための調査研究についてのお尋ねでありますが、食品の規格基準や国際基準の策定等においては科学的研究成果に基づく安全性評価が最大の根拠となることから、食品と健康に関する調査研究を一層推進すべきであると考えます。今後さらに、食品の安全性確保のために、有害物質による健康影響の実態をより正確に評価する研究とか、あるいは食品に残留している農薬を効率よく検査するための簡易検査法の開発等、食品と健康に関する調査研究を一層推進してまいる所存であります。
 続いて、輸入食品の検査体制についてのお尋ねでありますが、食品の輸入時の検査を実施している検疫所の整備については、従来より、残留農薬、抗菌性物質等の高度な検査を実施する輸入食品・検疫検査センターを横浜及び神戸に設置するとともに、食品衛生監視員をこの五年間で倍増し、輸入食品の届け出窓口も増設するなど、検査体制の充実強化を図ってきたところであります。今後とも、増大する輸入食品に対応して国民の健康を確保するため、輸入食品の検査の実施体制の整備には全力を尽くしてまいる方針であります。
 最後に、食品衛生調査会の委員についてのお尋ねでありますが、食品衛生行政に消費者や生産者の皆さんなど広範な国民の意見を反映させることは大変重要であると考えます。今回の法案策定に当たっても、各種の説明会等を行い、消費者団体等から広く御意見を伺うなど努力してまいったところでございます。今後とも、法改正を契機として、食品衛生調査会に消費者や生産者の御意見をより取り入れられるよう広い範囲の学識経験者の中から委員等の委嘱を行うこととするとともに、消費者等に対しても、調査会の諮問、答申等の状況についての説明の場を設けるなど、さらに努力をしてまいる所存であります。
 以上でございます。(拍手)
#15
○議長(土井たか子君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#16
○議長(土井たか子君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時四十二分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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