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1995/05/16 第132回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第132回国会 本会議 第27号
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1995/05/16 第132回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第132回国会 本会議 第27号

#1
第132回国会 本会議 第27号
平成七年五月十六日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十一号
  平成七年五月十六日
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑
 保険業法案(内閣提出)
 保険業法の施行に伴う関係法律の整備等に関す
  る法律案(内閣提出)
    午後一時三分開議
#2
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑
#3
○議長(土井たか子君) 国務大臣の演説に対する質疑に入ります。石田幸四郎さん。
    〔石田幸四郎君登壇〕
#4
○石田幸四郎君 私は、平成七年度補正予算審議に当たり、新進党を代表して、内外に山積する国政の重要問題に関し、若干の質問を行います。
 まず、サリン関連について総理の所信を伺います。
 本日、オウム真理教麻原代表が殺人容疑で逮捕され、その捜査は最終段階に至ったと報道をされています。警察当局の懸命な努力に深く敬意を表します。
 警察庁長官の狙撃事件、横浜や新宿における大量無差別殺人を意図した毒物散布は、まさに衝撃的に社会不安を巻き起こしました。このような反社会的、社会秩序の破壊を意図する犯罪行為は決して許されるべきものではありません。同種事件の再発防止のためにその真相の徹底的究明を強く要求するとともに、国会での論議を深めるために、一日も早い国会への中間報告を要求します。
 また、本日十時過ぎ、サリン事件に関し総理が記者会見をされ、真相究明と再発防止への見解を述べられましたが、その発言は短く、取り組みの経過、見通しを述べられているにすぎず、社会不安を取り除くための政治理念、政治哲学が全く語られておりません。極めて不満であります。関係省庁が真相究明、再発防止にあらゆる角度から検討すべきは当然でありますが、政府はかかる社会不安に対処するため、政治のリーダーシップを鮮明にするため何らかの形の見える対応が必要と思われますが、総理の所信を伺います。
 さて、村山総理、あなたは今日我が国が未曾有の難局の中で迷走を続けている実態の深刻さを理解しておられます。観測史上最大規模の阪神大震災、国家転覆をねらったかのような異常事件の続発によるいまだかつて経験したことのない社会不安、経済社会に深刻な影響を与えている未曾有の円高、また、信用不安、産業空洞化などの経済危機が一体となって、国家の根幹が揺らいでいる現実をどう認識しておられます。
 形だけの豊かさに酔っていた日本は、今いら立ちと不安が渦巻く社会となりました。原因のすべてを村山連立政権の怠慢にあるとは申しません。しかし、国民との約束を守らず、問題を先送りにし、ただひたすら政権にしがみついているとしか見えない自社さきがけ連立政権の消極的にして無気力な姿勢は、我が国を取り巻く難問の根本的解決を妨げ、政治不信のみならず社会不安を増大させていることを指摘せざるを得ません。(拍手)
 私は、かような視点から、総理が招いた三つの大きな失態ともいうべき問題について焦点を当て保て、順次質問を行います。
 村山政権の最大の失態は、阪神・淡路大震災への対応であります。
 初動態勢のおくれなどから犠牲者をいたずらにふやす結果となったことは、返す返すも残念であります。既に政府が実施している復旧対策も極めて不十分であり、いまだに避難生活を送っている方が四万人近くもいることは信じがたい事実であります。
 今回の補正予算でもおよそ一兆四千億の震災対策が含まれ、応急仮設住宅の建設、国民健康保険助成、中小企業への貸し付け、瓦れきの処理、阪神高速道路や神戸港のインフラの復旧などにかかわる措置が盛りまれていることは承知をいたしておりますが、今後の防災対策を含め極めて不十分であります。被害総額がおよそ十兆円と言われているのに、平成六年度補正と合わせて、震災対策はわずかに二兆四千億にしかなりません。政府は、一体、阪神・淡路大震災の被害総額を公共部門、民間部門に分けでどのように把握し補正予算を組んだのか、まず被害の全体像を国民に提示することを強く求めます。
 また、この五月の連休を利用して行われた与党のアメリカ訪問団は、七年度第二次補正に触れ、その規模は十兆円程度になるとアメリカ側に説明されたと報道をされています。もしこれが事実であれば、今回提出の七年度補正の意義は大きく損なわれてしまいます。二次補正が重点だということは、今回の補正予算は震災や円高に対する抜本的な補正ではないことを意味します。総理はこの議論を肯定されますか、否定されます。
 私ども新進党は、国民の期待にこたえるためには、今回の補正を最大限重視し、十兆円を超える規模が必要だと考えます。今回の補正の規模が小さ過ぎると指摘しているのであります。二次補正を含め、総理の見解を伺いたいと存じます。
 また、私は、震災によって住宅を失い、破壊された人々に対する根本的な対応が示されていないことに全く納得ができません。特にローンを抱えたまま住宅を失った人々は、ダブルのローンに追われることになります。現在ある地震保険は、建物では一千万、家財では五百万しか保障されず、しかも半壊や一部損壊ではわずかしか手当てがなされず、震災には対応できないことがはっきりました。国民全体で地震災害のリスクを負担し、住宅所有者全員加入の皆保険として災害安心保障
制度を法制化すべきであります。総理はこの深刻な問題にどう対処されますか、伺いたいと存じます。
 村山内閣の二つ目の失態は、円高不況に対する対策のおくれであります。
 我々新進党は、急激な円高が進んでいた三月七日には直ちに対応策を官房長官に申し入れ、さらに、円高が一層進行した三月二十八日には非常事態に対処するため緊急経済対策を提言しました。その後、一段と円が急騰した四月三日には官房長官に再度緊急対策の実施を申し入れ、続いて、一ドル八十円台を迎えた四月七日には談話を発表し緊急対策を促すなど、執拗なほどに不況、円高の深刻さを訴え、根本的な政策、改革の実施を求めてきました。
 その後、円高の急速な進展に政府もようやく重い腰を上げ、四月十四日に緊急円高・経済対策を発表しました。しかし、質量ともに不十分であり、新味に乏しく、実効性が薄いものと言わざるを得ません。四月十六日、アジア・太平洋経済協力会議の蔵相会議において、アメリカのルービン財務長官が、市場は日本政府の対策を肯定的に評価していないと発言したように、国の内外から厳しい評価を受けているのであります。
 我々新進党は、政府提案の補正予算案のような小手先だけで繕うのではなく、抜本的な円高不況対策を実施するように提唱をいたします。
 まず、実体経済からかけ離れた円高基調を正すことが必要です。一ドル百円という目標相場を定め、円高の構造的な原因である千三百億ドルの経常黒字を三年間で半分にすることを目標とし、これに取り組むべきだと考えます。
 対策の柱は、十兆円の国費を投じて、一般道路、国際空港・港湾、新幹線、情報通信、住宅、下水道を整備するとともに、中小企業の金利の減免、地方自治体が自由に使える資金の交付、石油、金、レアメタル、外国住宅の緊急輸入などを進めます。さらに、円高に苦しむ企業への特別減税・融資、雇用対策の強化、土地譲渡税率の引き下げ、有価証券取引税の廃止などを提唱します。
 また、内外価格差を是正し、輸入をふやし、新産業・雇用を促進するためにも、大胆に規制緩和を実施すべきだと考えます。
 政府の規制緩和政策は極めて不可解であります。本年三月二十一日、政府は規制緩和五カ年計画を発表しました。しかるに、円高・経済対策の前倒しと称し、わずか半月後の四月十四日には、これを三カ年計画に変更してしまいました。政府の五カ年計画の決定は、そんなに権威のないものであったのでしょうか。こんな不見識な政治手法が国民の政治不信を募らせていると指摘せざるを得ません。
 総理、国際的に求められている市場開放政策のための規制緩和、内外価格差を引き下げる規制緩和の柱は何なのか、この二点だけでも明確にしていただきたいと思います。
 村山内閣の三つ目の失態は、行政改革であります。
 村山総理が施政方針演説で「不退転の決意と勇気を持って実のある改革を断行する」とした行政改革も、すべて中途半端な内容にとどまっており、明らかに公約違反だと言わざるを得ません。既に指摘いたしましたように、規制緩和推進計画はびほう策にとどまり、特殊法人の改革も、日本輸出入銀行と海外経済協力基金の統合など小手先の数合わせが中心であり、財政投融資のあり方にメスを入れた根本的な改革とはほど遠いものです。中央省庁の統廃合については、具体的な案すら示されていないのであります。
 我々新進党は、行政改革を「たゆまざる改革」の一つとして、官僚主導、中央集権、一国繁栄型のシステムを、生活者、民間、地方が主役となる国際調和型のシステムに転換させる起爆剤と位置づけ、具体的な法案を提出するよう準備を進めております。総理府と総務庁の統合、建設省と国土庁の統合による国土省の創設、経済企画庁の国民生活局等と厚生省の統合による国民生活省の創設などにより中央省庁を再編し、大臣の数も二十人から十六人に減らすことを提唱いたします。
 特殊法人についても、すべてに五年間の存続期限を付し、原則民営化を基本にそのあり方を見直すサンセット制度を法制化し、類似の法人の統合を具体的に進める法案を近く国会に提出する予定であります。
 公約違反の指摘に対し、総理の所信を伺います。
 最後に、政局の問題について伺います。
 一昨年七月の総選挙の結果、自民党の一党支配体制が否定され、細川連立政権が誕生じ、新しい連立時代の幕あけとなりました。しかし、その後継続された羽田、村山政権は、その政権成立の由来はともかく、残念ながら選挙の審判を直接反映した政権ではなく、村山政権の脆弱さもここに起因をしているのであります。
 現在、この問題をめぐり衆参同時選挙、年内総選挙などの議論が注目を浴び、財界、労働界からも、早くも次の政権を待望する解散・総選挙論が叫ばれています。また、この議論が根強く展開されている中、五月十一日、二、三の有力紙に首相が退陣意向を持っていることが大きく報道されました。まことにゆゆしきことであります。
 そこで、連立政権を支える自民、社会、さきがけの村山、河野、武村三党首に伺いたいと存じます。
 村山総理は、この報道に対し、いかなる所信をお持ちなのか。河野、武村両党首には、七月に予定されている参議院選挙において、もし社会党が大幅に後退いたしたとしても村山首班は維持すべきだとお考えになるかどうか、伺っておきたいと存じます。
 また、来るべき次の総選挙に対し、三党首は、村山政権の枠組みはそのまま維持すべきだと国民に訴える決意であるのかも、それぞれ伺っておきたいと存じます。
 この問題は、単なる仮定の問題ではなく、近き将来起こり得る問題であり、日本の将来に重要な影響を及ぼす問題として三党首の政治家としての見識を伺っておるのであります。それぞれ、しかと答弁を求めます。
 以上をもちまして、私の代表質問を終わることにいたします。(拍手)
    〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
#5
○内閣総理大臣(村山富市君) 石田議員の質問にお答えを申し上げます。
 警察庁長官狙撃事件や新宿における毒物散布事件等についてのお尋ねでありますが、このような事件は法秩序に対する重大な挑戦ともいうべき悪質きわまりない犯罪であり、絶対に許すことのできないものと考えております。それぞれの事件につきましては、警察において捜査本部を設けるなどして犯人の早期検挙に向けた捜査が強力に行われており、必ずやその真相の全容解明が図られるものと確信をいたしております。事件の真相につきましては、捜査の節目節目において真相が国民の前に明らかにされるものと承知をいたしておるところでございます。
 次に、サリン問題に関連した政治のリーダーシップについてのお尋ねでありますが、私は、地下鉄サリン事件発生以来、機会あるごとに、犯人逮捕と全容解明、再発防止に全力を尽くすよう関係機関に指示するとともに、国民の皆様にも政府の対応について率直に申し上げてきたところでございます。
 このような観点から、本日の関係被疑者の逮捕着手に際しましても、私の指示で直ちに関係閣僚会議を開くとともに、サリン問題緊急対策会議を新たに招集させ、さらに、私の方から緊急の記者会見を申し出たところでございます。私といたし
ましては、引き続き政府の先頭に立って全力で事件解決に取り組むとともに、あらゆる機会をとらえて国民の皆様に語りかけ、社会不安の解消、安心できる政治の実現に努めてまいる決意でございます。(拍手)
 次に、阪神・淡路大震災、異常事件の続発による社会不安及び経済危機についての認識等につき御質問がございましたが、政府としては、それぞれの事態を御意見がございましたように厳しく受けとめております。それだけに、国民が安心して暮らしていけるよう全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
 具体的には、まず大震災につきましては、被災者の実情を踏まえた考え得るあらゆる施策を講じてまいりましたし、これに加え、本格的な復旧・復興に地元と一体となって取り組んでおります。
 地下鉄サリン事件等一連の事件につきましては、法秩序に対する挑戦ともいうべき凶悪な犯罪と認識し、犯人の早期検挙と全容解明に向けた徹底した捜査及び再発防止に向けた警戒に全力を挙げてまいりました。御承知のとおり、本日、関係被疑者の逮捕に着手したところであります。
 さらに、円高等の経済状況に対しましては、従来の発想を超えた対策が必要であるという認識のもとに、緊急円高・経済対策を取りまとめ、今回の補正予算提出など着実に実行に移しておるところでございます。
 困難な事態が続いて発生していることもあり、全体として危機的状況との見方があることは承知をいたしております。しかし、状況を厳しく受けとめつつ、冷静、的確に対応することが必要であります。何よりも私は、国民が長年にわたって築き上げてきた社会の健全性を信じており、これをさらに維持発展させることを目指して、国民の皆さんとともに今後とも政府は全力を挙げて取り組んでまいる決意でございます。(拍手)
 次に、阪神・淡路大震災の被害総額についての御質問でありますが、阪神・淡路大震災につきましては、被害が極めて甚大かつ広範なものであることに加え、一口に被害額と申しましても技術的に把握が困難なものが多いとの事情も踏まえつつ、民間部門の被害も含め被害額の概算を約九兆六千億円と推計したところでございます。これを公的な対応を要する額と単純に比較することは適当ではありませんが、国の予算において対応すべき救援・復旧・復興策につきましては、今回の補正予算を含め最大限の財政措置を講じているところでございますから、御理解を願いたいと存じます。
 次に、七年度第二次補正予算についてのお尋ねでありますが、現在提出しておりまする補正予算案は、現時点で考え得る財政施策を最大限盛り込んだものであり、政府として最善のものと考えております。今後の財政運営につきましては、緊急円高・経済対策にもあるように、「引き続き適切かつ機動的な財政運営に努める。」ことに尽きると考えておりますが、いずれにいたしましても、七年度補正予算を国会に提出し、まさに御審議をいただいている現段階において、政府として二次補正予算について言及することは適当でないと考えております。
 次に、地震リスクについて、災害安心保障制度を法制化すべきとのお尋ねでありますが、御提案は、地震保険の普及率向上の観点からは一つの有効な方法だと考えますが、他方、住宅所有者の保険料負担がふえるという問題、地域によって地震のリスクについての意識が異なる中で強制的お要素を入れることの是非等についていろいろと問題がございます。慎重な検討が必要であると考えております。
 なお、政府といたしましても、地震保険の一層の普及拡大を図ることが重要であると考えており、現在、大蔵省においてその商品内容の改善につき検討を進めているところでございます。
 次に、先般の経済対策に対するお尋ねでありますが、政府の対策は、最近の急激な円高に対応し、機動的な内需振興策に加え、規制緩和の前倒しや輸入促進策のほか経済構造改革策など、従来の手法とは異なる広範かつ思い切った諸施策を盛り込んだものでございます。いろいろと御提案もありましたが、政府といたしましては、この対策に盛りまれている各般の施策を強力かつ着実に実施していくことにより、景気回復基調をより確実なものとし、経常収支黒字がさらに縮小に向かうものと考えておりますので、御理解と御協力をお願い申し上げたいと存じます。
 次に、市場開放、内外価格差との関連も踏まえて規制緩和についてのお尋ねがございましたが、今回の規制緩和推進計画の策定に当たりましては、内外の意見、要望等を踏まえ内閣を挙げて取り組んだところであり、内容の充実した計画になったものと考えております。さらに、先般、緊急円高・経済対策において、平成九年度までの三カ年計画として前倒し実施することとしたところでございます。本計画には、JISやJASの国際的整合化などの市場アクセスの改善や米の流通規制の緩和、電気事業の参入規制の緩和など、内外価格差の是正・縮小に資するものが含まれております。
 なお、政府一体として内外価格差の是正・縮小を図っていくため、内外価格差の実態調査、要因分析を行うとともに、規制緩和をさらに推進するなど、競争環境の整備や輸入拡大に向けた具体的な対応を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、行政改革の推進についてお尋ねがございましたが、施政方針演説でも申し述べたとおり、この内閣の最重要課題の一つであると認識をいたしております。このため、規制緩和、特殊法人、地方分権、行政情報公開など、各般の改革課題について着実に具体化を図ってきておるところでございます。
 具体的には、規制緩和につきましては、その基本的取り組み方針と千九十一項目の具体的な規制緩和措置を盛り込んだ規制緩和推進計画を三月三十一日に閣議決定し、さらに、三カ年計画に前倒しをいたしました。また、特殊法人につきましては、すべての法人の事業の合理化、効率化を実施し、これまでに比べて遜色のない廃止、統合、民営化も決定いたしております。さらに、地方分権につきましては、地方分権推進法案を国会に提出し、昨日成立を見たところでございます。
 もとより、行政改革は不断に取り組むべき課題であります。今後とも、これまで述べた課題はもちろんのこと、中央省庁を含めた行政組織の改革合理化など各般の改革課題に積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、私の退陣意向の報道などに対する所信と、次の総選挙における村山政権の枠組み維持についてのお尋ねでございますが、私といたしましては、今日、内外に山積する困難な課題を前に、政治の空白は許されるものではないと考えております。(拍手)したがって、連立与党三党が一致協力して課題の解決に全力で取り組むべきこの時期に、退陣や総選挙を行うことは全く考えておりませんので、これらについて云々することは適当でないと思います。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
    〔国務大臣河野洋平君登壇〕
#6
○国務大臣(河野洋平君) 石田議員にお答えを申し上げますが、私ども連立三党によって支えられる村山政権が、この間、困難な問題を克服して相当な成果を上げてきているということについては、多くの方々にお認めいただけているものと思います。(拍手)議員の御質問は、特定政党の消長にかかわる、全く仮定に基づいたものでありまして、お答えをするのは控えさせていただきます。
 ただし、あくまで理論上という大前提で申し上げれば、首班指名は衆議院の優先性が憲法で認められており、本院衆議院の決定に変化がなければ、村山首班が継続されるのは当然のことだと考えます。
 もう一点ございます。選挙の際についてのお尋ねでございますが、この点は、先ほど村山総理からお述べになりましたように、我々は今日任期いまだ半ば、問題がたくさんある中で、総選挙についてあれこれ申し上げるべきではない、こう考えておりますことを御理解いただきたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣武村正義君登壇〕
#7
○国務大臣(武村正義君) 選挙になれば、社会党に限ったことではなく、どの政党も議席数をふやすべく最大限努力を傾けるものであります。したがって、仮定の話とはいえ、社会党が議席を減ずるという前提での御質問にはお答えできません。むしろ、連立政権をともにする社会党が、参議院選においても堂々と御健闘されることを期待申し上げたいと思います。(拍手)
 総選挙については、総理、副総理と同じ見解でございます。まだ二年の任期を我々は残しているわけであります。三党でしっかり頑張っていきたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(土井たか子君) 中川昭一さん。
    〔中川昭一君登壇〕
#9
○中川昭一君 私は、自由民主党・自由連合、日本社会党・護憲民主連合、新党さきがけを代表し、平成七年度補正予算案について質問いたします。
 本補正予算案は、阪神・淡路大震災への財政措置、急激な円高への対応、サリン等による社会不安対策など、緊急課題に対処するために編成された時宜を得たものと認識をしております。
 まず、本日、麻原代表が逮捕されたオウム真理教によるサリン事件を初めとする、毒物によって不特定多数の人が無差別に殺傷されるという事件が発生し、社会に重大な不安を引き起こしている点についてお尋ねいたします。
 我が国の治安のよさは内外から高い評価を得ていました。ところが、三月二十日、地下鉄内でサリンによって多数の死傷者が出るというかつて例を見ない無差別テロが発生し、さらに、警察庁長官が狙撃されるというまさに国家国民に挑戦する卑劣きわまりない凶行に我々は強い怒りを感じます。
 サリン事件は、その製造使用に関する幾多の証拠によってオウム真理教の組織的犯行と断定されました。全国の警察官の御努力を高く評価し、また、自衛隊の皆さんや地域住民の冷静な対応にも心から敬意を表します。
 もとより、代表の逮捕はあくまでも一通過点にすぎません。徹底的な事件の解明と厳正な処罰、さらには再発防止をすべての国民が求めています。政府は一体となってこれらの事件に対処する強い決意を示されていますが、改めて総理に、これらの事件への断固たる対応についてお伺いいたします。
 次に、阪神・淡路大震災対策についてであります。
 四カ月を経過し、被災地の皆様が少しずつ活力を取り戻し、復興に向かっているという明るい知らせもありますが、改めて、亡くなられた方々とその御遺族に対し心から哀悼の意をささげますとともに、今なお避難生活を続けておられる皆様を初め被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。
 これまで、被災者の救出、援護、被災地域の早期復旧等の対策が、地元自治体はもとより、国、民間、ボランティアの方々などによって実施されていますが、引き続き応急対策に万全を期す必要があります。これに加え、本格的な復旧・復興対策にも積極的に取り組んでいかなければなりません。
 急がれるのが、瓦れきの処理と住宅対策です。当面、応急仮設住宅の建設が必要ですが、被災者が安心して生活できる環境をつくるためには、恒久住宅を早期大量に建設する必要があります。このため、兵庫県では、ひょうご住宅復興三カ年計画により十二万五千戸の住宅建設を検討中であり、大半が公的供給住宅と聞いていますが、計画実現には政府の強力な支援が不可欠となります。
 また、防災性の高い、他の地域の見本となるような町づくりを行う必要があります。土地区画整理事業や市街地再開発事業を積極的に進めるとともに、特に住民の声に十分配慮した市街地形成を図っていくことが重要です。復興の現状と、住宅供給及び市街地整備に当たっての政府の考えを伺います。
 神戸港は我が国外国貿易の重要拠点であり、被災地域のみならず我が国の経済活動に大きな影響を与えております。二年をめどに回復を図るとのことでありますが、神戸港が果たしてきたアジア地域における国際物流拠点としての機能と、神戸港と他地域を結ぶ高速道路等各種アクセスの一日も早い回復に特に配慮することが必要です。
 さらに、産業復興も重要課題です。本社、事務所や工場そのものの移転を計画している企業もあると聞いています。企業が被災地域から離れることは、地元経済の復興や再活性化にとってマイナスです。既に、思い切った税制の特別措置や中小企業を中心に災害復旧貸し付けの拡充、高度化融資等きめ細かな政策金融を実施していますが、経済復興のため、財政を初め一層総合的な対策が必要です。政府の取り組みについて、地元経済の実態調査もあわせお答え願います。
 さらには、今後起こり得る同様の災害に対する万全の対策も重要です。政府は防災基本計画の全面的な改定を行うとのことでありますが、新防災基本計画は、震災対策を強化するとともに、都市化、高齢化、情報化等の社会経済情勢の変化に的確に対応したものでなければなりません。さらに、各地方自治体が策定する地域防災計画についても、地域の特殊性を勘案しつつ、新防災基本計画との整合性もとりながら、積極的な見直しを行うべきであります。
 いずれにしても、未曾有の被害をこうむった阪神・淡路の被災者の方々が一日も早く安心して生活できるように万全の対策をとり、これを教訓として真に災害に強い国づくりを進めることが緊急に求められています。そのためには、総理みずからが先頭に立って、官邸機能の強化も含め強力なリーダーシップを発揮すべきと思います。総理の決意をお伺いいたします。
 次に、円高対策について質問いたします。
 三月から始まった今回の急激な円高は憂慮すべきものがあります。その原因についてはさまざま説明されていますが、現実に百円から八十円へ、特に一週間で十円も円高になりました。明らかに異常な市場の動きです。現在、若干調整されているものの、このような状況はようやく回復基調にある我が国経済に大きな打撃を与え、輸出産業、中小企業等、日本経済を支える各方面への影響は深刻です。
 現在、公定歩合を史上最低の一%に下げ、今回の緊急円高対策でも、景気回復、貿易黒字縮小のため、税制・金融面での輸入拡大措置、三月に決めたばかりの規制緩和推進計画の前倒し、公共投資十カ年計画六百二十兆円の前倒し、さらには、あえて赤字国債発行に踏み切ってまでの科学技術、情報通信分野の大幅な予算追加等、与党三党主導で果敢な対応をしてきたところであります。
 しかし、為替相場の修正は一国のみの努力だけでは限界があります。我々与党三党代表団は、今月初め訪米し、我が国の積極的円高対策を説明するとともに、ゴア副大統領を初め政府、議会、金
融関係者等に財政赤字削減、貯蓄率引き上げなどを強く迫ったところであります。
 現在の円ドル相場に対する認識、我が国の今後の対応、そして特にアメリカ側にドル安是正のため具体的に何を求めるべきか、大蔵大臣にお答えいただきます。
 次に、円高による農林水産業への影響について質問します。
 スタートしたばかりのWTO体制により、もともと低い我が国の一次産品自給率がさらに低下することが予想されますが、今回の円高により農林水産物輸入に一層の拍車がかかり、一次産業への打撃が大いに懸念されるところです。政府としてどのように対応されるのか、お伺いいたします。
 さて、世界経済の安定と発展のためには、しっかりした国際通貨体制が必要です。最近では、EMSの崩壊やメキシコ・ペソ危機のような通貨危機が続きました。国際通貨危機を繰り返してはなりません。そのためには、日本、ドイツ、特に世界の基軸通貨国たるアメリカといった各国の国際通貨安定への責任の自覚と協調システムの構築が不可欠です。この課題をサミットで主要テーマにすべきではないかと考えますが、総理のお考えを伺います。
 最後に、一言申し上げます。
 このたびの阪神・淡路大震災の復旧・復興と緊急円高対策等を盛り込んだ本補正予算案は、被災地の方々を初め国民が一日も早い成立を待ち望んでいるにもかかわらず、利己的な理由によりその審議を引き延ばそうとして政争の具とすることは、国民の期待を裏切るものと言わざるを得ません。緊急重要課題について、積極的に審議に参加し、最善の結論を早急に得る努力を行うことが、国民の負託を受けた国会議員のとるべき態度であるということを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
#10
○内閣総理大臣(村山富市君) 中川議員の質問にお答えを申し上げます。
 まず、サリン事件等についてのお尋ねでありますが、これらの事件は法秩序に対する重大な挑戦ともいうべき悪質きわまりない犯罪であり、安全な社会への国民の信頼が大きく損なわれかねない事態に至っているところでございます。このような中で、警察におきましては、地下鉄サリン事件がオウム真理教幹部らによる組織的な犯罪であることを解明し、本日、早朝を期して関係被疑者の逮捕に着手するなど、徹底した捜査を行っているところであります。今後とも、国民の不安を一刻も早く解消するため、警察において早期に全容を解明すると上もに、警戒措置に万全を期し、政府としても、関係省庁が連携を密にして、同種事案の再発防止のため諸対策を強力に推進してまいる所存でございます。
 次に、一日も早く安心して暮らせる生活を取り戻すための対策と災害に強い国づくりを進めるための私の決意についての御質問でございますが、阪神・淡路大震災に対しましては、政府としては、私自身のリーダーシップのもとに、当面の措置として、災害発生時の総理官邸等への迅速な情報連絡体制と緊急に対応できる体制を整備するなど官邸機能を強化させたほか、災害応急対策や生活再建のための被災者支援を実施してきたところでございます。現在は、一日も早い被災者の生活再建と地域の復興に向けて、総合的な対策を内閣を挙げて推進しているところでございます。
 また、今回の震災を踏まえ、市街地の面的整備、建築物の耐震化、不燃化等、都市における震災対策を進めるとともに、災害に強い国土づくりという観点から、治山事業、砂防事業、河川事業等の国土保全事業を積極的に推進することといたしております。
 また、これらの施策にあわせ、災害対策の基本となる防災基本計画についても、今回の震災の経験や近年の社会経済情勢の変化に十分配慮しつつ、実効性の高い計画となるよう現在中央防災会議において見直しを行っておるところでございます。
 さらに、自然災害に対応した国、地方公共団体等による防災体制のあり方について検討するため、本年三月、内閣総理大臣の私的諮問機関として防災問題懇談会を発足させまして、現在精力的に見直しを行っておるところであり、政府としては、その結果を踏まえて、中長期的観点から防災対策の一層の充実を図ってまいりたいと考えているところでございます。
 次に、国際通貨システム安定のための協力システムの構築が不可欠であり、こうした課題を来月のサミットで主要テーマにすべきではないかとの御指摘でありますが、ハリファクス・サミットの議題につきましては、現在、議長国のカナダを中心に調整中でございます。世界経済の安定的発展のためには為替の安定が重要でありまた、メキシコ危機のような新たな問題に対応するための適切な国際的な枠組みをつくっていくことも重要であります。我が国としても、こうした認識を踏まえ本年のサミットに臨む所存であることを申し上げておきたいと存じます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
    〔国務大臣武村正義君登壇〕
#11
○国務大臣(武村正義君) 最近の為替相場の動向は、このところ反転の動きが見られるとはいえ、経済の基礎的条件によって正当化される水準を超えているというのがG7各国の共通の認識であります。
 四月二十五日のG7会合では、こうした変動の秩序ある形での反転が望ましいということ、そのために、各国が内外の不均衡を縮小する努力を強化するとともに、為替市場において緊密な協力を今後とも継続するということが合意されたところであります。こうした方向で各国が政策努力を行うことが、最近の為替相場の変動に対する最も有効な対応策であると考えております。
 我が国としましては、今回の四月十四日の緊急円高・経済対策の実現に全力を挙げて取り組んでいくことが基本であると考えます。そのことによって内需振興を図り、輸入の促進を図っていかなければなりません。その一環として、こうして七年度補正予算を御審議いただいているところでございますし、日本銀行も史上最低の一%に公定歩合を下げているところでございます。
 アメリカにおきましても、ルービン財務長官等の発言に見られますように、安定した強いドルの維持のために、財政と経常収支の赤字の削減、国内貯蓄の増強等、ファンダメンタルズの強化を目指しているところであり、今後ともG7会合の合意に沿った政策努力を期待いたしたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣大河原太一郎君登壇〕
#12
○国務大臣(大河原太一郎君) 中川議員の質問にお答えいたします。
 円高への対応についてのお尋ねでありますが、近年、食料品については、品質、価格面を含めた需給構造の変化を背景として輸入が増加傾向にありましたが、最近における円高がこれに拍車をかけておりますので、今回の緊急円高・経済対策に基づき、生産資材価格に円高メリットが還元されるよう関係業界を指導するほか、農業者、木材業者、沿岸・中小漁業者に対し、経営の改善と安定を図るため、低利資金の融通の円滑化を行おうとしておるところでございます。
 なお、中長期的には、構造政策の一層の推進により生産コストの縮減と品質の向上に努め、競争力の向上を図ることが基本的に重要でありますので、農業につきましては、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策に示された諸施策の浸透と着実
な実施に全力を尽くすほか、林業、水産業につきましても、それぞれ体質強化に向けた取り組みを進めてまいる所存でございます。(拍手)
    〔国務大臣小里貞利君登壇〕
#13
○国務大臣(小里貞利君) 四点お尋ねでございますが、まず、被災住宅の復興及びその供給状況について申し上げます。
 甚大な住宅被害に対応し、被災者が安心して生活できる環境をつくるために、恒久住宅の早期大量建設は最も必要であると判断いたしております。このため、兵庫県を中心に、国及び地元公共団体が協力をいたしまして、お話しのとおり、ひょうご住宅復興三カ年計画、案でございますが、作成されました。今後三カ年間に、既に着工いたしておりまする一万五千戸に加えまして新規に十一万戸を建設し、合計十二万五千戸の住宅を供給することといたしております。
 被災者の中におきまして特に注目するべきは、高齢者が多いということでございます。自力再建が困難な方が多く見込まれておりまして、大量の住宅を短期間に供給する必要があることから、御指摘のとおり、新規に建設する十一万戸の七割に当たる七万七千戸を公営住宅、特定優良賃貸住宅等により公的に供給することといたしました。
 これらの住宅建設を支援するために、公営住宅の建設等に係る補助率を引き上げ、さらに、被災者に対する入居申し込みの一元的受け付けあるいは登録や高齢者等に対する優先入居等を行う災害復興住宅制度の整備などを抜本的に図ってまいったところであります。
 また、平成六年度二次補正予算及び平成七年度予算の重点配分によりまして、既に七万七千戸の約三分の一、すなわち二万五千戸相当でございますが、これらの建設に着手することといたしまして、平成七年度第一次補正予算案におきましても、所要の予算を確保することによりまして、今年度中に七万七千戸の約二分の一の建設に着手することといたしております。今後とも、保政府といたしまして、被災者が安心して生活できる環境をつくるため、公的供給住宅の早期大量建設を強力に支援してまいる計画でございます。
 次に、復興の町づくりについてのお話でございますが、被災市街地におきましては、お話しのとおり、面的、集中的に焼失・倒壊した地区を中心といたしまして、被災市街地復興推進地域を初め、土地区画整理事業、市街地再開発事業等の都市計画が決定されております用地元公共団体においては、引き続き、とりわけ住民の方々の生活や地域コミュニティーに具体的に関連する事業計画の決定に向けて、住民の方々の参加をいただきながら地区の整備方針づくりを進めております。国といたしましては、被災市街地復興特別措置法の制定、市街地整備への特別の財政措置などを講じてきているところでございますが、引き続き、関係住民の理解と協力を得ながら、復興町づくりが円滑に進められるよう万全の支援を行ってまいりたいと考えております。
 次に、被災した地元の経済の実態いかんというお尋ねでございます。
 被災した地元の経済の実態は、震災からの復旧は進みつつあるものの、今なおさまざまな形で震災の影響が見られております。すなわち、消費面では、商業施設の被害や慎重な消費マインドを反映して、個人消費の落ち込みが続いております。住宅建設は、一月、二月には減少が見られました。生産面では、ストック面での甚大な被害により、一月、二月の生産は前年水準を下回っております。ただし、大部分の企業は操業を再開し、通常の生産体制に戻りつつあることから、落ち込み幅は徐々に縮小しつつあります。三月初旬までに約七五%の大企業が平常操業に回復しているという兵庫県の統計などもございます。
 最後に、地元企業の再建策についてのお話でございますが、お話しのとおり、地域の経済復興は重要な課題であります。このため、政府といたしましては、震災による被害の甚大さにかんがみまして、地域経済の一日も早い復興を図るため、山小企業対策を初めとして思い切った財政金融上の措置を講じてまいっております。さらに、被災拙域の力強い経済復興を一層促進するため、今般の震災対策関連予算といたしましても、一千億円券超える中小企業対策関連費を計上するなど、可能な限りの措置を講じてまいっておるつもりであります。
 最後に、政府といたしましては、これらの施策の着実な実施に万全を期するとともに、今後地元自治体が策定する予定の復興計画等を踏まえながら、引き続き被災地域の経済の復興のために必要な施策を具体的に進めてまいる所存でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(土井たか子君) 鳩山邦夫さん。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔鳩山邦夫君登壇〕
#15
○鳩山邦夫君 私は、新進党を代表し、村山総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 連立政権は限界だという村山総理の発言は、いよいよ村山政権の幕引きかと思わせる波紋を広げ、村山総理御自身や閣僚、与党関係者などが退陣説を全面否定するための釈明や陳謝に躍起になる騒ぎが続いております。村山総理の、連立政権は仕事をするのに限界があるという趣旨の発言が即退陣と結びつけられてしまうことこそ、この難問山積の時代に何ら十分な対処をすることのできぬ村山政権に引退を期待する国民の大きな声の反映ではないでしょうか。(拍手)
 阪神大震災への初動態勢のおくれや危機管理体制の欠如、今まで日本が体験したことのない凶悪なサリン事件、急激な円高、日米間の自動車協議の決裂など、今までほとんどの国民が信じて疑わなかった成長と安全な国家の神話はもろくも崩れ去りつつあります。これらの重要課題に対し、強力なリーダーシップを発揮できなかった御自身に対し、総理御自身がいら立ちを覚えておられるにしても、まことにやむなきことと存じます。
 総理、村山政権に限界があるとするならば、今の日本にとってどのような形の政権が真に求められているのか、あなた御自身の後の政権はどういう政権であるべきなのか、そのお考えを率直にお答えをいただきたいと存じます。
 政権を維持するため、妥協となれ合いの政治を続ける無気力、無責任な村山内閣が、行政改革や国家の危機管理ができるでありましょうか。本来、政治家とは、国家の指導者として公に尽くすことこそその行動原理であるべきなのに、政権を維持するための妥協の連続で私利や党利に走る現状が、国民を政治的に白けさせ、無党派層の台頭や政党拒否の主原因になっていると私は思います。総理の御認識はいかがでありましょうか。
 私は、政党政治の危機的状況を露呈した今回の統一地方選挙において、村山総理の母体である社会党の惨敗は、国民の政権に対する不信任であり、政策を無視して連立を組み続けることへの痛烈な批判であったととらえております。(拍手)
 私には、現連立政権を構成する政党間に、決定的な理念、政策の相違が大きく横たわっておるように思えてなりません。その関係で、今回の補正予算も非常に迫力を欠くものになっているのではないかと思うからであります。
 この政策の相違点を中心に、幾つか質問をしていきたいと思います。
 祖国を愛する気持ちを育てることは、教育の基本であります。平成元年に告示された学習指導要領に従って、卒業式、入学式等における国旗・国歌の義務化を徹底指導してきたことは、自民党の皆さんの御努力のたまものでありますし、私自身も、文部行政に携わった期間、懸命に汗をかいてまいりました。
 しかるに、与党三党は、昨年十月の政府統一見解において、わけのわからぬ第三項目をつけ加えることによって、国旗・国歌についての指導をあいまいなものにしてしまったのであります。
 しかも、社会党は党大会で、国旗・国歌についての強制には反対、文部省の動きを徹底監視すると方針を定め、村山総理は昨年、お国入りだったと思いますが、十二月二十九日、大分市におかれて、文部省の役人の姿勢が問題だ、卒業式で日章旗を掲げるのを義務化することは認めない、法律にないことを強制するとは何事だと、語気を荒げて文部省を批判されました。これでは、かつての自民党や私たちの今までの努力が水泡に帰し、二十一世紀の日本を担う誇り高さ青少年を育てることはできなくなります。
 村山総理、あなたが社会党の委員長として、あるいは野党として、政府の国旗・国歌についての扱いについて批判をしているころはよかったと思います。しかし、あなたは今や政府のトップにあって、人づくりの基本たるべき愛国心の育成をむしばもうとしているのです。自民党も、幾ら政権欲しさのゆえとはいえ、国旗・国歌という国家の基本町題について安易な妥協を続けるべきではないと思います。連立を解消するぐらいの意気込みで、自民党は村山総理と対決をしていただきたい、そう願います。
 この問題について、国旗・国歌の問題について、総理の文部省を批判するお気持ちをどうぞこの場でお述べいただきたいと思います。
 次に、ゴラン高原へのPKOの派遣についてお尋ねします。
 私は、かつて湾岸戦争当時、党の国際局長としてエジプト、ヨルダン、シリアを訪問し、ゴラン高原も視察をしてまいった者の一人です。世界各国のPKO要員の方々が生き生きと活動している姿を目の当たりにし、国連の平和維持活動が地域の平和と安定に役立っていることを実感し、感動をし、同時に、こういうところに日本が参加できれば世界の日本に対する信頼も百倍になるだろう、そう思って帰ってきました。
 その後、自公民の賛成でPKO協力法案が成立し、私の願いも法律的にはかなえられましたが、このゴラン高原に関して言えば、昨年五月に国連より要員の派遣要請を受けて以来既に一年が経過しているにもかかわらず、先日の与党政策調整会議では、とうとうこの十一月の派遣も見送られるという確認がなされたと聞いております。法律が整備されても、肝心なときにそれが実行できないのでは、まさに仏つくって魂入れずではありませんか。
 今回の派遣見送りは、社会党がこの十一日の中央執行委員会で、現段階での派遣決定は時期尚早との見解をまとめたことを受けたものと報じられておりますが、河野外務大臣も、現段階での派遣は時期尚早だという同じ見解をお持ちなのでありましょうか。それともやはり、あのとき法案成立に最後まで抵抗した社会党にこうした問題に理解を求めるのは、しょせん無理なことだとあきらめてしまっておられるのでありましょうか。率直なところをお聞かせください。
 昨年七月に作成された連立政権の樹立に関する合意事項には、「世界の平和とわが国の安全保障を確保するため、国連の平和維持活動に積極的に参加す。」とうたっているにもかかわらず、実際には何の対応もなされていない。その理由は一体何でありましょうか。三党の調整がうまくいかないのか、それとも総理御自身の優柔不断によるものなのか、明確な答弁をいただきたいと思います。
 次に、戦後五十年決議の問題について質問いたします。
 総理は、今国会中の決議を明言しており、連立与党のプロジェクトも今文案の詰めの作業を進めているというふうに認識いたしております。また、与党三党の党首会談では、決議の中に「植民地支配」、「侵略行為」という文言を盛り込むことが合意されたと聞いております。
 私は、個人的には、いわゆる不戦・謝罪の国会決議、不戦・謝罪の国会決議という言葉がよくひとり歩きしておりますが、そうしたたぐいのものには賛成ではありません。「侵略行為」、「植民地支配」などの用語の使用には慎重であるべきと考えます。
 社会党は、以前より不戦・謝罪の決議でなければ意味がないとしてきましたから、せめて譲れないぎりぎりの線として「侵略行為」あるいは「植民地支配」にこだわっているのでありましょう。しかし、「植民地支配」、「侵略行為」という言葉にこだわれば決議の実現が難しくなると考えますが、総理はあくまでも今国会中の決議を求めていく御意向なのか、そしてこの二つの言葉にどこまでこだわっていかれるのか、お答えを願いたいと思います。
 また、社会党の久保書記長がなかなか鋭いことをおっしゃいまして、久保書記長が、決議の実現が困難になれば連立政権を見直すのもやむを得ない、こう発言したことに対しての総理のお考えをお聞かせください。
 この問題に関しては、河野外務大臣にも質問をさせていただきたいと思います。
 外務大臣は、自民党総裁として会談に臨まれまして、「植民地支配」あるいは「侵略行為」という文言を盛り込むことに合意をされたということでありますが、もうその日から自民党内ですこぶる評判が悪いというふうにニュースが伝えております。そのような方向、すなわち「植民地支配」とか「侵略行為」という言葉を入れる方向で党内をまとめ切れる自信がおありなのか、ぜひ御答弁をいただきたいと思います。
 また、これも外務大臣にお尋ねをしたいわけでありますが、与党がまとまらないために決議が不調に終わった場合は、連立の解消に値するような重大問題だと考えますが、いかがでしょうか。さらに、注目して見守っている、あるいは期待を持って見守っている近隣アジア諸国を初めとする諸外国に与える外交上の影響についてどのようにお考えなのか、外務大臣の立場からお答えをいただきたいと思います。
 次に、行政改革に関して武村大蔵大臣に御質問をいたします。
 大臣が代表を務めておりますさきがけでは、私の兄、鳩山由紀夫が代表幹事を務めております関係で、結党のころから、兄弟で話をすることはこれでも案外多いわけでございまして、事あるごとに、さきがけの理念を兄から聞かされてまいりました。それによりますと、さきがけという政党は、政治改革よりもむしろ行政改革だ、そして地方分権だ、こういう話をいつも尊敬する兄から聞かされてきたわけであります。
 社自さ政権が誕生じ、村山総理が行革の断行を訴えましたが、だれも実現に期待はしませんでした。ましてや、既得権の維持を最重視する五五年体制の象徴たる自社両党が行革に逆行する動きをすることも、容易に想像がついたからであります。その厳しい状況の中で、行政改革を傘とするさきがけの武村代表がすべてをなげうって挑んでいただけるかと期待してしまった私が愚かだったのでしょうか。
 結果は、御案内のとおり惨たんたるものでありました。この村山行革の失敗の原因は何か。総理の指導力のなさなのか、それとも反対する勢力の力が強過ぎたからなのか、あるいは武村大臣が行政改革というさきがけの命をお捨てになってしまったのか、そのいずれであるか、択一式のような印象でよくないかと思いますが、お答えをいただきたいと思います。
 最後に、村山総理の政治姿勢について質問いたします。
 石田副党首の御指摘にもあったように、長引く不況の中、阪神大震災、サリン事件、円高などが国民の平穏な生活を脅かしているにもかかわらず、村山政権の対応のまずさ、失態の連続が、政治に対する失望感を加速させただけでなく、村山内閣は、連立三党の足並みがそろわず、重要な施策の遂行も思い切った改革もできない無力な政権であることを国民の前にさらしております。国の内外を間わず、村山政権への批判は痛烈なものがあり、この政権の存続を認めることは日本国民にとって最大の不幸であると言っても過言ではありません。(拍手)今、政権がつぶれたら自分たちが困るからと、政権維持だけを目的にすることはやめるべきです。
 村山総理、村山政権の役割は終わったという与党幹部の御発言、統一地方選挙の結果は政権が不信任を受けたのと同じだという労組代表のお言葉、政治空白は困ると言うが今だって空白みたいなものじゃないですかという経済界の代表の批判、それらをどのように受けとめておられるのか。
 さらに、今月十二日、社会党に離党届を提出したかつての同志は、社会党は歴史的な役割を完全に終え、復権した自民党に抱かれながら安楽死しようとしているとか、政権維持を自己目的化し日本の危機を打開する抜本改革を実行できないなどと批判をしておられますが、そのような社会党に離党届を出された方々のそんな言葉をどのように受けとめるのでありましょうか、答弁を求めたいと思います。
 それから、質問通告はいたしておりませんが、私テレビは見ておりませんが、昨日の新聞によりますと、自民党の加藤政調会長は、総理大臣は、村山総理は、いつでもやめる、やめる、やめるが口癖だ、こう報道をされているわけでございまして、一国の強力なリーダーシップをとるべき方がやめる、やめると、これが口癖であっては困るわけでありますし、同時に加藤政調会長は、そのテレビの番組で、もっと使命感を持ってもらいたいという意味のことをおっしゃられる。ということは、加藤政調会長から見れば、総理の使命感は不足だということを政調会長は示したんだろう、そう思うわけで、総理はそのような口癖を持っておられるのか、お尋ねをしたいと思っております。
 もし村山総理にできることがあるとすれば、それはみずからの進退について速やかに決断をされることだと思います。良識ある総理の最高指導者としての見解をお尋ねして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
#16
○内閣総理大臣(村山富市君) 鳩山議員の質問にお答え申し上げたいと思います。
 私の政権が課題に十分対処できず限界があるとすれば今の日本にどのような政権が求められているかとのお尋ねでございますが、私は、難問が山積し、しかも国民の価値観が多様化した今日、複数の政治勢力が透明で民主的な論議を通じて合意点を見出しながら進める連立の政治は、より民意を映し出す、この時代にふさわしい仕組みであると考えております。(拍手)また、そのような民主的政権が望まれていると思います。
 これまでこの連立政権では、与党三党がそれぞれの持ち味を生かしながら濶達な政策論議を展開し、諸改革の成果を上げてきたものと自負をいたしております。
 我が国は、今や戦後五十年の節目の年を迎え、二十一世紀を間近にして、これまでに経験したことのない課題に直面しております。私は、国民の皆様の御意見に謙虚に耳を傾けつつ、引き続き政治の先頭に立って課題の解決に邁進してまいりたいと考えております。(拍手)
 私の内閣は政権維持のために私利や党利に走り、国民を政治的に白けさせているのではないかとの御指摘でありますが、村山政権は、昨年六月に発足して以来、連立政権を構成する三党が自己変革と互いに切磋琢磨に努めながら、大胆な改革を推進してまいりました。その結果、政治改革、行政改革など、長い間の懸案に一つの大きな区切りをつけることができたと自負をいたしております。また、地下鉄サリン事件を初めとする相次ぐ事件や阪神・淡路大震災に直面し、対策の遂行と危機管理体制の確立に全力を挙げて取り組んでいるところでございます。したがって、政権維持や私利、党利のためとの御指摘は当たらないものと考えております。
 一方、政治腐敗や政官業の癒着構造などに起因する国民の政治不信を払拭するとともに、政党に対する信頼や支持を回復し、健全な政党政治を確立することは、今や極めて重要な政治改革の課題であります。私は、開かれた政策論議を通じて国民の皆様に率直に語りかけ、その御理解と御協力を得るよう最大限の努力を行いながら、引き続き諸改革に取り組んでまいる決意でございます。(拍手)
 次に、国旗・国歌の教育上の指導に関しての私の見解についてお尋ねがございましたが、御指摘の私の発言の趣旨は、学校における国旗・国歌に関する指導につきましては、これまでの国会において申し上げてきたとおり、これからの国際社会に生きていく国民の育成のために大切なことであるとの前提のもとに、国旗・国歌の指導は子供たちの内心にかかわる重要な問題であり、あくまで教育指導上の課題として指導を進めていくべきだということを強調したものでございますので、そのように御理解を賜りたいと存じます。
 次に、国連PKO活動についてのお尋ねでありますが、本件に関する「新しい連立政権の樹立に関する合意事項」を今後とも誠実に遵守していくことについては何ら変わりはございません。ただし、具体的なPKO活動につきましては、個別のケースにおいて、これに参加することが適当か否かなどについて慎重に吟味検討することが必要であることは当然であります。ゴラン高原PKOにつきましては、そのような吟味検討が連立与党間で現在行われている状況にございます。いずれにせよ、政府といたしましては、連立与党間の検討の経過も踏まえ、政府としての対応を早急に取りまとめたいと考えております。
 次に、戦後五十年決議の内容や久保書記長の発言についてお尋ねがありましたが、この問題につきましては、国会において決定いただくべき事柄であります。現在、連立与党の三党合意に基づき決議を実現するため、鋭意検討が行われていると承知をいたしております。久保書記長の発言も、三党合意が守られるべきであるとの認識の上に立って、書記長としての見解を述べられたものと理解をいたしております。
 戦後五十周年を迎えるに当たり、私は、我が国の侵略行為や植民地支配などが多くの人々に耐えがたい苦しみと悲しみをもたらしたことに対し、深い反省の念に立って世界平和の創造に向け力を尽くすことが日本の歩むべき道であると考えており、現在行われている検討を期待を込めて見守っておるところでございます。(拍手)
 次に、各方面からの村山内閣に対する批判に対する私の対応についてお尋ねがございましたが、御承知のとおり、戦後五十年の節目を迎えるとともに、二十一世紀を間近にした今日、戦後の我が国を支えてきた経済社会システムの思い切った見直しや改革のためにこの内閣が取り組むべき課題は山積しております。
 特に、地下鉄サリン事件を初め相次ぐ事件の犯
人逮捕と全容解明を早急に行うとともに、阪神・淡路大震災からの復旧・復興を初め、災害に強い都市づくりや危機管理体制の確立を推し進めることが、社会不安の解消、安心できる政治の実現に不可欠の課題であります。
 また、円高・経済対策を機動的かつ積極的に推進することにより景気の回復と経済構造改革を実現し、我が国経済の将来について明るい展望を見出していくことが求められております。
 さらに、日米間の当面する自動車・同部品協議への対応、来るべきサミット、APEC大阪会議への取り組みなど、対外経済政策もゆるがせにできない課題でございます。
 私は、こうした多くの課題について解決の方向を見出していくことが私の内閣に課せられた役割であると考えております。このため、私といたしましては、政治に空白があってはならないとの決意のもとに、目下、国民の皆さんから示された御意見や御批判に謙虚に耳を傾けながら、全力で諸課題に取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)
 次に、社会党議員の離党に触れてのお尋ねでございますが、社会党は、今、新しい時代の要請と多様な価値観を持っておられる国民の期待にこたえるために、全党を挙げて社会民主主義勢力とリベラル勢力を基盤とした新しい党づくりに取り組んでおり、その戦線から離脱する同僚議員が出たことは極めて残念に思います。しかし、社会党を離脱する人たちが離党の理由にしている内容について、この場で私から具体的に触れる必要はないものと考えます。
 次に、私の進退についてのお尋ねでございますが、私は、先ほども申し上げましたように、内閣の直面する課題は山積しており、政治の空白は許されるものではないと考えております。このため、国民の皆様の御意見や御批判に謙虚に耳を傾けながら、引き続き諸課題に全力で取り組み、未来への展望を切り開いていくことが総理としての私に課せられた使命であると確信をいたしております。したがって、言われましたような、そのような口癖はないことも明確に申し上げておきたいと存じます。(拍手)
 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
    〔国務大臣河野洋平君登壇〕
#17
○国務大臣(河野洋平君) 村山内閣は国際貢献に真剣に取り組む、これは三党の合意にも明記されております。それを受けて、例えばザイールにおけるルワンダ難民の支援、これは村山内閣の仕事でございました。
 ゴラン高原のPKOへの我が国の要員派遣につきましては、現在、与党三党において引き続き検討していただいております。本件につきましては、与党の検討経過を十分参考としながら、政府調査団報告書をも踏まえまして、政府としてその対応を取りまとめなければならない、こう考えているところでございます。
 国会決議についてお尋ねがございました。
 私は、戦後五十年という節目の年に当たって、世界の平和の創造に向けて我が国はこれから大いに力を尽くしていかなければならない、そういう決意を改めてするべき年であると思います。そのためにも我々は、過去を直視し、反省すべきは反省をして出直すという姿勢が必要なのだという多くの方々の声にも耳を傾けていかなければならないと思います。
 お尋ねでございますが、この国会決議はあくまでも院の話でございまして、閣僚が、私自身閣僚を務めさせていただいておりますが、閣僚がどうのこうのという話の筋ではないと思います。私は、国会議員の一員としては私の気持ちを申し上げたいと思っておりますが、現在またそれを申し上げる段階に至っておりません。
 これがまとまらなければどうかという御心配をいただいておりますが、三党は目下、謙虚にそして精力的にこの取りまとめのために努力中でございます。もうしばらくお待ちをいただきたいと思います。
 この国会決議については諸外国などから既に関心が寄せられていることは、私は十分承知をいたしておりますが、いずれにしても、御指摘の国会決議についてはあくまでも国会が決めることであるということでございまして、国会の御判断を待ちたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣武村正義君登壇〕
#18
○国務大臣(武村正義君) 率直に申し上げて、私はこの国の行政改革は今緒についたという認識でおります。これからが本番だと思っておりますし、短くて二、三年、長ければ数年かかるこの国の最大の政治課題であり、国民全体の関心事であるという認識を持っております。
 少なくとも村山政権、この十カ月で、細川、羽田政権のときの公約であり、村山政権になって、やや特殊法人は前倒しをいたしましたが、政権出発当初、総理が申し上げたことをきちっと踏まえて、着実に行革の第一段階の仕事をお進めいただいているというふうに認識をいたします。
 二月十日に、特殊法人は、あの地震のさなかでありますが、十数法人の整理合理化の案を発表いたしました。これは、私に対する御批判としては、あのときの、どうも輸銀、開銀の統合に反対したことが御批判の的になっているのかなと思いながらお答えいたしますが、輸銀、開銀の単純な統合には私は今も反対であります。しかし、政府の金融機関につきましても類似のものをなるたけ統合を図っていくべきだというのが私どもの考えでありましたし、したがって、輸銀とOECF、海外経済協力基金の統合を決断させていただきましたし、なお、政府系金融機関は、これから財投や公的金融のあり方の中で、より積極的な方針を進めていく必要があると認識をいたしております。
 規制緩和も、約束どおり、年度内、三月いっぱいで計画をまとめることができました。大変びほう策と石田委員長もおっしゃったし、今鳩山議員も惨たんたる結果と最大の形容詞をお使いになりましたが、私は、前政権、皆さんとともにさせていただいた経験もございますが、細川政権、あの円高のさなかで、あれは九月でございましたか、必死で規制緩和、政府・与党挙げてまとめたのが九十七項目でありました。翌年、細川政権の後を継いだ羽田政権、御苦労いただいておまとめいただいた項目が二百七十九でございました。今回の、三カ年計画になりましたが、一千九十一でございます。
 数だけがどうこうではありません それでも私は、これでも大変不十分だと思っています。毎年ローリングで見直しをするわけですから、層、この内容に満足しないで、年々さらに追加をし、改善をしなきゃいけないと思っておりますが、それでも、お互いに経験をしながら、口で言うほど規制緩和がそう簡単な話でないことを十分実感いたしているわけでありまして、そのことを認識しながら、まさに行革には与野党がありません。政治全体がより一層真剣にこの国の最大の課題に取り組んでいこうではありませんか。(拍手)
    ―――――――――――――
#19
○副議長(鯨岡兵輔君) 正森成二君。
    〔正森成二君登壇〕
#20
○正森成二君 私は、日本共産党を代表して、政府の財政演説に対し、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 まず、オウム真理教と麻原代表逮捕について伺います。
 麻原逮捕は、仮にも宗教法人とされる団体の代表が、組織的に猛毒サリンを使用した無差別テロを行い、殺人容疑で逮捕されるという前代来聞の事件であります。政府は、国民の不安を解消するためにも、引き続き、残存サリンの所在の有無、松本事件ほか多数の関連事件の解明、口封じのため殺されたとも見られる村井秀夫幹部の殺害背景、宗教法人の解散、住民の要望にこたえた各地の関連施設の撤去、報復テロの防止など、万全の方策を速やかに講ずべきであります。総理の答弁を求めます。(拍手)
 次に、円高についての基本的な問題について伺います。
 現在の円高・ドル安は、マルクやスイス・フランなどに対する大幅な低落からも明らかなように、基軸通貨であるドルの全面的な下落です。
 その根本的な原因が、第一にアメリカのいわゆる双子の赤字にあることは明白です。アメリカは、一九八二年から九三年までの十二年間に一兆一千億ドルの経常収支の赤字をつくり、基軸通貨国であることをよいことに世界に対しドルの垂れ流しを行い、これが膨大な投機資金をつくってきました。したがって、経常収支の赤字を減らすための節度ある財政金融・通貨政策をアメリカがとることは当然の責任です。
 ところが、クリントン政権が三月に発表した予算教書では、九六年度の財政赤字は千九百六十七億ドルとさらに拡大するものになっているだけでなく、日本との通商交渉でも、円高は最大のてこ、円高は放置するのがアメリカに有利という認識と戦術をとり、ドル安定のための政策努力を放棄しています。これは、みずからの責任を放棄する断じて許されない態度です。
 今回の円、マルク高・ドル安に対し、ドイツ連邦銀行総裁は、イタリア上院での演説で、通貨の安定には通貨の弱い国が自己責任を果たすことが原則、何よりも為替変動を引き起こしたみずからの原因に対する断固とした戦いが不可欠と述べ、さらにコール首相は明白に、現在の米国の金融財政政策は容認できないと批判しています。
 これに対し日本の村山総理は、円高は本当は喜んでいいなどと無責任な発言さえ行って、国民や経済界を唖然とさせました。政府はアメリカに対し、せめてドイツ同様、経常収支と財政の双子の赤字を改善するプログラムを具体的に提示するよう毅然として強く求めるべきではありませんか。
 前に指摘したイタリアでの演説でドイツ連邦銀行総裁は、外国為替市場への介入は特定の状況で、かつ一時的にしか通貨を支えることができない対症療法、本質的な解決にならないと明確に指摘しています。ところが日銀は、今回空前のドル買い介入を行い、四月末の外貨準備高は千五百三十六億ドル余りで、十八カ月連続で増大し、十四カ月連続で史上最高を更新しています。しかし、現在の円高は実需の百倍にも達するという投機資金によるものであり、ドイツ連銀総裁が指摘しているように介入は本質的効果がないことは、現に円高が解消しない現実が何よりも物語っています。
 米国の大手証券会社メリルリンチの四月発表では、日本の対外資産の累積為替差損は、一九七七年以降、一ドル八十八円で計算しても五千八百五十億ドル、約五十兆円に及んでいます。つまり、日銀の介入は、現在の状況では円高改善に効果がないだけでなく、我が国に膨大な差損を発生させ、他方アメリカは、日本の介入資金などで財務証券の購入を確保し、安心して財政赤字を続け、ドルの垂れ流しかできるというもう一つの「悪魔のサイクル」になっています。これは一体何事です。
 有力な一般紙の社説さえ、日銀の介入は控えるべきだとしているのは当然と言わなければなりません。政府は、ドル買い介入と、外貨準備を目減り、損失を増大させるドル資産に偏って保有すること、なかんずく米国財務証券で運用することを見直すべきであります。
 ドイツでは、貿易における決済通貨が、輸出でマルク七七%、ドルはわずか七・三%など自国通貨の比率が高いのに対し、日本は、輸出で円三九・六%、ドル四八・三%、輸入に至っては円一九・二%、ドル七三・九%と、極端なドル依存になっています。
 今回の円高・ドル安に伴い、中国、台湾、シンガポール、インドネシアなどアジア諸国は、一斉に自国の利益を守るため外貨準備に占めるドルの比率を下げ、円の保有比率を高めています。また、自国の輸出代金を円でという動きが、中国初め急速にふえています。それだけでなく、イランなど産油国でも、輸出代金を円で決済したいという動きが報道されています。これは、ドルが世界の基軸通貨としての信認を失いつつあることを明白に示しています。
 政府は、現在の国際通貨制度に抜本的検討を加え、我が国経済の対米自主権を回復し、経済主権を確立するために力を尽くすべきではありませんか。政府の明確な決意を伺うものであります。
 第二に、円高の日本側の背景には、自動車、家電などわずか三十社で日本の輸出の半分以上を占め、膨大な貿易黒字を生み出し、これを一つの原因として円高が進むたびに、労働者に対し長時間超過密労働、低賃金を押しつけ、下請中小企業には単価切り下げを強要して国際競争力を強め、これが再び異常な貿易黒字を生み出すという悪循環があり、これは財閥系の研究所でさえ「悪魔のサイクル」と指摘しています。
 日本共産党は、円高を口実とした大企業の低賃金、長時間過密労働と下請コストの切り下げを支援する政府の政策を根本的に改め、国民の購買力引き上げを中心とす局経済政策に転換すること、そのためにも消費税増税は中止することを村山内閣に強く要求するものであります。(拍手)
 特に、今回の補正予算では輸入促進税制を二倍に拡大することになっています。この制度はもともと、九〇年度に海部内閣のとき、対米公約に基づき輸入拡大の決め手として導入された世界にも類例のない大企業優遇税制でありまた、貿易不均衡是正にとり何ら効果のないものであったことは、五年間の実態が示しているではありませんか。
 この輸入拡大策は、日本企業の海外子会社などからの逆輸入にも適用されます。つまり、一、大企業の海外進出戦略で国内産業を空洞化し、雇用を減少させ、二、次に、これら海外企業から製品や半製品を輸入して国内下請中小企業の仕事を奪って、さらに空洞化、雇用減少を進め、三、その元凶である大企業には税制上、中小企業と差別扱いで減税の優遇と利益を与え、四、逆に競争力を強化してさらなる輸出拡大を支援し、五、しかも輸入による利益は当該大企業には確実に保証されるが、消費者に還元される保証は全くないという、文字どおり世界に類例のない言語道断の税制であります。日本共産党は、このような輸入促進税制をさらに二倍に拡大することには断固として反対します。政府の明確な答弁を求めます。
 次に、戦後五十年に伴う不戦決議の問題について伺います。
 総理は、羽田内閣当時の昨年五月十二日、社会党委員長としての代表質問で、侵略戦争の過ちに
対する国家意思の表明として謝罪と不戦の決議を行うべきと述べていました。ところが、総理になった現在、侵略戦争と認めなくなっただけでなく、政府・与党の中では、自衛戦争であったとか、植民地解放であり、戦いの相手方は米英だったという、侵略戦争と植民地支配美化の発言が横行しています。西ドイツのシュミット元首相はその回想録で、「日本政府は、日本の侵略と非行について遺憾の意の標も示さずに済まされると思い込むことによって、近隣諸国の間に信頼を築くことを不必要に困難にした」と述べています。
 日本の侵略責任を認めないこのような態度は、政治的、道義的に断じて許されないだけでなく、我が国が経済的にアジアの一員として貿易・通貨問題について国益を守る道を進む上でも、重大な障害になっていることは明白であります。
 日本共産党は、戦後五十周年に当たり、一、さきの戦争を侵略戦争と認め、その認識の上に政府が反省と謝罪を内外に表明する、二、戦争被害者への補償問題は国家責任を明確にして対処するという原則を盛り込んだ国会決議を行うよう断固として主張いたします。(拍手)総理の明確な答弁を求めます。
 次に、阪神大震災対策に関連して伺います。
 今回の補正予算では、我が党の主張した耐震性貯水槽の補助率のかさ上げを初め、復旧・復興・防災対策が不十分とはいえ講じられており、当然の措置です。
 村山内閣は、当初予算の組み替えを要求した日本共産党に対し、組み替えに匹敵する補正予算を提出することを理由に、これを拒否しました。ところが、今回の補正予算は、当初予算に何一つ手をつけず、上積みしただけのものになっているばかりか、財源はほとんどすべて国債に依存しています。これは前言に全く反するものと言わなければなりません。
 そこで、まず、歳出に関連して三つの点に絞って伺います。
 仮設住宅の建設は、希望する被災者全員が入居できる場所に必要な数を建設すること。地震によって被災した擁壁、がけ、私道の復旧は、二次災害を防ぐ立場から、すべての危険箇所を梅雨までに解決すること。雲仙・普賢岳、奥尻島災害でも実施しているように、地震による経済的損失を補うための個人補償制度を創設すること。
 これらは、兵庫県の要望「今なお五万人の人々が不自由な避難生活を余儀なくされてしる中にあって、一日も早く従前の生活を取り戻す対策を」にこたえる道です。総理、あなたは国会で、被災者への支援に万全を期するとともに、今後地震に対する備えを拡充強化することが政府に課せられた責任と述べ、一番大事なことは被災者の要請にどうこたえるかということだと述べておられます。被災者の心を酌んだ誠意ある答弁を求めます。
 最後に、歳入、財源について伺います。
 我が党は、本年度予算の組み替え要求において、公共事業のあり方の見直し、軍事費の削減、政党助成金の返上による財源確保を主張し、将来の財政を悪化させ結局国民への増税となる国債増発に反対しました。日本共産党は、この点を再度明確に要求いたします。同時に、日銀が異常な円高対策の一環として公定歩合を引き下げ、一%という史上最低としたことに伴い、二百兆円に達する国債の適切な早期償還と借りかえによる金利負担の抜本的軽減を要求いたします。
 政府の資料によれば、九三年末の数字で、国債の加重平均金利は五・三九%であり、七%台、六%台のものも多数含まれています。一方、最近の発行金利は、十年債で四・四%、二年債では二・一%と低下しています。
 今回の公定歩合引き下げに連動して預金金利も低下し、庶民の普通預金金利に至っては税引き後〇・一六%と限りなくゼロに近く、物価上昇を考えるなら預ければ損をするという状況であり、民間調査機関によれば、最近四年間で国民が失った利息収入は十兆町に上ると推定されています。
 他方、大部分の国債を保有しているのは金融機関と事業法人です。公定歩合引き下げにより、家計から企業への所得移転と称せられる莫大な恩恵を受けながら、高金利国債の利益は絶対に放さないというのでは、預金金利目減りに苦しむ国民の理解を得ることができないのは当然ではありませんか。我が国でも、国債の借りかえ、早期償還を行った前例があり、国債債券の券面にもこれが明記されています。
 政府がこの問題について当然の決定を断固として行うことを強く要求して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
#21
○内閣総理大臣(村山富市君) 正森議員の御質問にお答えを申し上げます。
 地下鉄サリン事件等について万全の方策を速やかに講ずるべきではないかとのお尋ねでありますが、地下鉄サリン事件につきましては、発生当初から警察が総力を挙げて捜査を行ってきたところであり、その結果、オウム真理教幹部らによる組織的犯罪であることを解明し、本日、麻原彰晃を検挙いたしたところでございます。オウム真理教におきましては、本事件のほかにも種々の犯罪容疑があることから、国民の不安を一刻も早く解消するため、引き続き徹底した捜査を行い、関連する事件を含めた事案の全容を早期に解明するとともに、関係省庁との緊密な連携のもとに同種事案の再発防止を初めとする諸方策を速やかに講じ、その万全を期してまいる所存でございます。
 次に、米国にマクロ経済政策の改善措置を具体的に提示するよう求めるべきではないかとのお尋ねでありますが、四月二十五日のG7会合では、最近の為替の変動は主要国における基礎的な経済状況によって正当化される水準を超えており、こうした変動の秩序ある形での反転が望ましいことが合意されております。また、双子の赤字につきましては、米国も、日米包括経済協議において、財政赤字を相当程度削減し、国内貯蓄を奨励し、国際競争力を強化するという中期的な目標を積極的に追求することを公約しており、クリントン政権のもと、努力は払われております。我が国といたしましては、米国がこの目標に向けてさらに努力していくよう求めてまいる所存でございます。
 次に、国際通貨制度を抜本的に検討し、我が国の経済主権を確立せよとのお尋ねでありましたが、世界経済の安定的発展及び我が国経済の不透明感を払拭するためには、為替の安定が重要でございます。各国間の自由な資本移動のもと、現状では変動相場制にかわる制度は見出しがたいというのが現在各国の共通認識となっておりますが、今後ともG7等を中心とした国際協調を通じて為替相場の安定に努めるとともに、より基本的な問題についても各国とともに地道な議論を続けてまいりたいと考えております。また、円の国際化についても引き続き努力してまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、現在の経済政策を転換し、また消費税率引き上げを中止せよとの御要求がありましたが、中小零細企業も含め我が国企業の活力をこれからも最大限引き出していくことは、経済の発展と国民生活安定のために極めて重要でございます。このため、今回の緊急円高・経済対策におきましては、中小企業対策に十分配慮するとともに、科学技術、情報通信など将来の発展につ
ながる分野の施策の充実に最大限努めております。
 また、規制緩和の推進へ円高差益の還元など、消費者・生活者の視点に立った施策も積極的に推進することといたしておるところでございます。
 なお、賃金、労働時間等の労働条件につきましては労使間の話し合いにより決定されているところでございますが、政府といたしましても、千八百時間の達成等各種施策を講じておりますし、下請の問題についても関係法令に基づき改善指導を行っておるところでございます。
 抜本的な所得減税や消費税率引き上げを含む税制改革につきましては、既に昨年秋の国会で成立をしたところであり、高齢化などの経済社会の進展にふさわしいものであると考えております。
 このように政府の経済政策は、我が国経済の現状に対処し将来を切り開くため必要かつ適切なものであり、これを強力かつ着実に実施してまいりたいと思っております。
 次に、国会決議に関する御質問でございますが、先ほどもお答え申し上げましたとおり、この問題につきましては国会において決定をいただくべき事柄でございます。現在関係者の間で検討が行われていると承知をいたしておりますが、戦後五十年を迎えるに当たり、私は、我が国の侵略行為や植民地支配などが多くの人々に耐えがたい苦しみと悲しみをもたらしたことに対し、深い反省の念に立って世界平和の創造に向け力を尽くすことが日本の歩むべき道であると考えており、現在行われている検討を期待を込めて見守っているところでございます。
 次に、地震による経済的損失を補うための個人補償制度の創設についての御質問でございますが、一般的に、自然災害により個人が被害を受けた場合には、自助努力による回復が原則であります。しかしながら、政府といたしましては、被災者の実情に配慮した支援措置を幅広くかつきめ細がく実施をし、一日も早く被災者の生活再建が実施されるよう努力をいたしているところでございます。
 特に阪神・淡路大震災につきましては、被害の甚大さにかんがみ、特別の立法などにより被災者の生活再建等の支援措置を拡充いたしておりまして、各般の行政施策を補完する阪神・淡路大震災復興基金への地方財政措置を行うなど大幅な支援措置を講じております。
 いずれにいたしましても、雲仙岳噴火災害、北海道南西沖地震に対する措置を含め、これらの措置は個人補償という形ではありませんが、被災者の立場に立ったきめ細かい支援を行っており、政府としても、今後ともその生活再建の実現に努めてまいる所存でございます。
 次に、共産党の予算組み替え要求に対する見解についてお尋ねがありましたが、公共事業のあり方につきましては、一般競争入札の導入など手続の公正化に努めておりまするし、防衛費につきましても、国際的な軍縮の方向を踏まえ極力抑制しているところでございます。また、政党助成金は、政治改革の一環として意義を持つものと考えております。したがって、御要求の組み替えには賛成できず、今回の補正予算案は政府として最善のものと考えていることを申し上げておきたいと存じます。
 なお、今回の補正の財源としては、公債の増発によらざるを得なかったところでありますが、経済運営に万全を期さなければならないこと等にかんがみれば、財源面における臨時緊急の措置としてやむを得ないものと考えております。
 いずれにせよ、我が国財政は巨額の公債残高を抱えており、公債の増発により財政体質が一段と悪化することから、その償還に係る国民全体としての負担のあり方について、さまざまな観点から真摯な検討が必要であるということについては、慎重に考えていかなければならないと考えているところでございます。
 次に、国債の低利借りかえについての御質問でありますが、国債の繰り上げ償還等は制度的には可能でありますが、御指摘のような低利借りかえは、国債保有者に不測の損害をもたらし、国債保有に対する安定性を著しく損なうことになりかねず、その結果、国債の発行条件の悪化をもたらし、必ずしも財政負担の軽減につながらないのみならず、国債の消化そのものに重大な支障が生ずるおそれがございます。したがって、御指摘のような低利借りかえを実施することは適当でないと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
    〔国務大臣武村正義君登壇〕
#22
○国務大臣(武村正義君) 六点お尋ねをいただきましたが、まず、外貨準備に関する質問でございますが、御指摘のとおり、変動相場への移行後の大勢としての円高により、円ベースでは外貨準備に評価損が発生しているのは事実であります。外貨準備は外貨で保有することに意味がある以上、円高の進行を反映して評価損が累積することはやむを得ないというふうに考えております。また、外貨準備については、これが平衡操作等に機動的に対応するための資金であること等にかんがみまして、流動性、安全性等に最大限留意をしながら運用を行っているところでございまして、その大宗を流動性等に問題のない米国債券に運用をしてきたところであります。
 次に、現在の国際通貨制度の抜本的検討については、総理がお答えを申し上げたと同じでございます。
 次に、消費税増税は中止すべきだというお考えでありますが、消費税に関する改正は平成九年四月から実施することとなっているところでございまして、これを変える考えはございません。
 次に、輸入促進税制については大企業優遇税制であるという御指摘でございますが、本制度は、実際に輸入を行い、輸入拡大に際し相当なコストリスクを負担している者に対して、事業規模にかかわらず、大小にかかわらず適用されるものであり、大企業優遇税制という御指摘は当たりません。
 なお、今回、緊急円高・経済対策に関連する税制上の対応の一環として、さらなる輸入拡大努力を引き出せるようこの輸入促進税制の拡充案を御提案いたしているところでございますが、他のさまざまな輸入促進策とあわせて、輸入拡大に相当の効果が上がるものと期待をいたします。
 次に、予算の組み替えについても、総理がお答えをされました。同じ意見でございます。
 また、もう一つの低利借りかえにつきましても、総理がお答えを申し上げましたように、低利借りかえを実施することは適当でないと考えております。(拍手)
    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
#23
○国務大臣(橋本龍太郎君) 正森議員からお尋ねをいただきました三点につき簡潔にお答えを申し上げたいと思います。
 私は、我が国の企業が下請企業とともに一体となりましてコスト削減の努力を行う、そして企業の競争力を維持しようとすることは、合理的な企業行動だと考えております。しかし、行き過ぎた円高などが、我が国産業の空洞化、さらには雇用への悪影響をもたらす、これは大変重要な問題であります。ですから、こうした問題に対処していきますためには、経常収支の黒字の是正を進めながら、経済フロンティアの拡大による産業の活性化を促すことによって、活力と創造力にあふれて国際的に調和のとれた内需主導型の産業構造の形成を進めることが必要だと考えております。
 このために、昨年度来、政府は五兆五千億円と
いう思い切った規模の所得減税を実施しておるわけでありますし、七年度につきましても、六年度と同規模の措置を講じております。さらに、今回の緊急円高・経済対策におきまして、景気回復を本格化させながら、生産、雇用の維持拡大を図るために、切れ目のない大胆な財政運営に努めることによりまして、内需の振興を図ると同時に、消費者が円高メリットを速やかにかつまた十分に享受できますよう円高差益の還元に努めているところでありまして、これらの施策が相まって国民の実質所得の増大に結びついていくもの、実現するものと私は考えております。
 また、円高の進行の中で、大企業の海外展開が進んでいく過程における下請中小企業についての御指摘がありました。
 この影響は既に調査をいたした中でも見えております。このため、通産省といたしましては、従来から下請代金支払遅延等防止法に基づいて親企業に対する立入検査を行い、改善指導などを行いますとともに、各都道府県に置かれました下請企業振興協会を通じ、取引のあっせんを初めとした下請中小企業振興施策を講じてまいりました。
 加えて、中小企業新分野進出等円滑化法及び去る四月十四日に施行されました中小企業創造活動促進法の実施を通じて全般的な中小企業対策を図っていく中におきまして、特に今回の緊急円高・経済対策におきまして、下請企業の受注量確保のための発注企業の開拓など中小企業の経営基盤の安定強化対策を行います土ともに、事業開拓コンサルティング事業の創設等の中小企業全般に対する対策を講ずることにいたしております。
 これに加えまして、新分野進出などの準備等を行う中小企業を支援するために、中小企業新分野進出等円滑化法の一部を改正する法律案を今国会に提案させていただきました。
 さらに、これは下請だけではありませんが、中小企業全体の官公需の受注機会の確保のための施策を通じて、下請企業の受注の機会の確保を図っております。こうした努力につきまして一層努めてまいりたい、そのように考えております。
 最後に、大蔵大臣から御答弁のありました輸入促進税制につきまして、一点追加をさせていただきたいと思います。
 税制上、中小企業と大企業を差別して扱っている、大企業優遇であるという御指摘がありました。しかし、この税制は、大蔵大臣から御答弁がありましたとおり、差別的な取り扱いをしていないだけではありませんで、むしろ中小企業に対しては特に利用しやすくするために、税額控除の限度額を、大企業が法人税額の一〇%に対しまして、中小企業につきましては一五%を設定しておるわけでありまして、正森議員御承知のように、中小企業をむしろ優遇いたしておる税制であります。(拍手)
    〔国務大臣小里貞利君登壇〕
#24
○国務大臣(小里貞利君) 仮設住宅についてのお尋ねでございますが、現在、仮設住宅を必要とする被災者全員に供給できるよう、約四万戸の設置計画のもとに、できる限り被災地の近くに用地を求め、国、地方公共団体、関係業界が一体となりまして全力を傾注し、約三万九千戸の完成を見たところであります。
 先般、兵庫県から設置計画の追加要望を受けましたが、これから建築する仮設住宅は避難所の解消を図るための最終的な必要数を確保するものでありますので、完成した仮設住宅の入居状況及び避難世帯の住宅の必要性等を十分把握いたしまして、設置場所も含めて最終必要戸数を協議したいと考えておりまして、そのように県、市にも指示をいたしておるところであります。今後、兵庫県が最終的な必要戸数を協議された場合には、適切に対応していく方針であります。
 次に、二次災害防止対策といたしまして、公共事業については、がけ崩れ対策等六十六カ所で事業実施を行っているところでありまして、また、平成七年度補正予算においても必要な対策を実施いたしておるところでございます。
 個人の財産である被災擁壁の復旧については、住宅金融公庫融資制度等の活用等による対処を初め、災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業の特例措置によります復旧等、災害関連の公共事業制度の活用を行い、早期復旧に資することといたしております。(拍手)
#25
○副議長(鯨岡兵輔君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#26
○山本有二君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 内閣提出、保険業法案、保険業法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、右両案を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
#27
○副議長(鯨岡兵輔君) 山本有二君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#28
○副議長(鯨岡兵輔君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。
    ―――――――――――――
 保険業法案(内閣提出)
 保険業法の施行に伴う関係法律の整備等に関
  する法律案(内閣提出)
#29
○副議長(鯨岡兵輔君) 保険業法案、保険業法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。大蔵委員長尾身幸次君。
    ―――――――――――――
 保険業法案及び同報告書
 保険業法の施行に伴う関係法律の整備等に関す。
  る法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔尾身幸次君登壇〕
#30
○尾身幸次君 ただいま議題となりました両案につきまして、大蔵委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 初めに、保険業法案について申し上げます。
 本案は、近年の金融の自由化・国際化等の変化に対応するとともに、保険業の健全性の確保等を図ろうとするものであります。
 以下、その主な内容を申し上げます。
 第一に、保険業の規制緩和・自由化の推進につきましては、生保、損保が子会社方式で相互参入等ができることにしております。
 また、保険商品・料率算出方法に関して、現在の一律認可制から一部届け出制へ移行することにしております。
 さらに、保険仲立ち人を、新たに保険契約の締結の媒介を行う者として法律上位置づけることにしております。
 第二に、保険業の健全性の維持につきましては、保険会社の健全性維持のための指標として保険会社の自己資本比率を導入する等、所要の規定を設けることにしております。
 また、保険会社は保険契約者保護基金を設け、同基金から救済保険会社に資金援助を行うこと力できることにしております。
 第三に、保険業の公正な事業運営の確保につきましては、相互会社における経営チェック機能の強化を図るため、少数総代権等の行使要件を緩和するとともに、社員の代表訴権について単独権化するほか、ディスクロージャー規定の整備を図ることにしております。
 次に、保険業法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について申し上げます。
 本案は、損害保険料率算出団体に関する法律の
ほか十九法律につきまして保険業法の準用規定を改正する等、所要の措置を講じようとするものであります。
 両案につきましては、去る四月十四日武村大蔵大臣から提案理由の説明を聴取した後、直ちに質疑に入り、参考人の意見聴取を行う等慎重な審査を進め、本日質疑を終局し、順次採決いたしましたところ、いずれも多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、両案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#31
○副議長(鯨岡兵輔君) 両案を一括して採決いたします。
 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の皆さんの起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#32
○副議長(鯨岡兵輔君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
#33
○副議長(鯨岡兵輔君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時十分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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