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1994/10/26 第131回国会 参議院 参議院会議録情報 第131回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第2号
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1994/10/26 第131回国会 参議院

参議院会議録情報 第131回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第2号

#1
第131回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第2号
平成六年十月二十六日(水曜日)
   午後三時二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十月二十六日
    辞任         補欠選任
     井上  計君     吉田 之久君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         坪井 一宇君
    理 事
                大浜 方栄君
                木宮 和彦君
                肥田美代子君
                池田  治君
    委 員
                伊江 朝雄君
                板垣  正君
                北  修二君
                糸久八重子君
                庄司  中君
                渕上 貞雄君
                北澤 俊美君
                武田邦太郎君
                風間  昶君
                木庭健太郎君
                島袋 宗康君
                三石 久江君
   国務大臣
       外 務 大 臣  河野 洋平君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  山口 鶴男君
   政府委員
       外務省欧亜局長  野村 一成君
       外務省条約局長  折田 正樹君
   事務局側
       第一特別調査室
       長        志村 昌俊君
   説明員
       国土庁防災局震
       災対策課長    藤井 友竝君
       国土庁防災局防
       災業務課長    大野 慎一君
       郵政省郵務局国
       際課長      渡辺 和司君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する
 調査
 (北海道東方沖地震の被害状況及び北方四島の
 被害に対する緊急人道支援に関する件)
 (北方四島へのビザなし渡航に関する件)
 (北方四島周辺水域における漁業の安全操業に
 関する件)
 (北方領土返還交渉の推進に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(坪井一宇君) ただいまから沖縄及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。
 沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○木宮和彦君 本日は両大臣を迎えて、当委員会としては大変画期的と言ってはおかしいですけれども、ともかく先ほどの話では、昭和六十一年の十一月に当時の倉成外務大臣がこの委員会にお越しになって一般質問をいたしましたが、以来もう八年間、私も六十一年七月の当選でございますが、外務大臣の顔をまだ見たことがございませんで、きょうは質問するかいがございます。どうぞひとつ両大臣よろしくお願いをいたしたいと思います。
 さて、まず最初に外務大臣にお伺いしますが、九月の末に外務大臣は国連の総会へ行かれまして、ニューヨークでコズイレフ外相と日ロ外相会談を行われました会談は四十五分で終わったというふうに私聞いております。実質的な中身は余りなかったかもしれませんが、しかし、去年の東京宣言、それによりまして日ロの領土問題解決について何か前進がございましたらひとつお述べいただきたいと思います。
 これは新聞でございますけれども、その日ロ外相会談で十一月にはソスコベツ第一副首相、十二月には平和条約の作業部会の再開、さらにはコズイレフ外相の十二月訪問というぐあいに三点、メジロ押しなことを外相が二国間の外相会談で決めていらっしゃったやに聞いておりますが、真相についてお話がありましたらぜひ報告していただきたいと思います。
#4
○国務大臣(河野洋平君) お尋ねをいただきましたロシアとの関係についてでございますが、私、外務大臣を拝命いたしまして四カ月になりますが、七月にイタリーのナポリ・サミットにもコズイレフ外相はエリツィン氏とともに来ておられまして、サミットにおきます外相会議でもお目にかかりました。さらに、ASEANの会合にコズイレフ氏も来ておられましてバンコクでもお目にかかり、今度のニューヨークは三回目でございます。
 お目にかかるたびに、東京宣言をベースとして日ロ関係を前進させるために討議をしようではないか、こういう話を私からいたしますと、コズイレフ氏は、昨年エリツィンさんが東京へ行ったのだから今度は村山さんに来てもらう番ですねと、これはやや笑いながらですがおっしゃいますから、そのためにもまずは外相コズイレフさん、あなたがまず日本へ来てそのために問題を議論しておく必要がある、ぜひ訪日をされたい。こんな話をこれまで三度お目にかかって、いずれもしております。今回のニューヨークでも同じような話をいたしました。
 私どもとしては、日ロ関係について東京宣言をベースにして本当の日ロの国交正常化を行う、日ロ両国間の関係の正常化を行うということが我々にとって極めて重要と考えております。もちろん領土問題の解決を図った上で、これは東京宣言に書いてあるわけですから。そう考えて、私の方からは繰り返しそういうことを申し上げているところでございます。
 さて、ニューヨークでコズイレフ外相にお目にかかりました際にも、一つは訪日を強く要請をいたしました。現在、ロシアからハイレベルの日本訪問というものを我々考えておりまして、我々の考え方としては、経済、政治両面にわたってバランスのとれた対話をしようと、こう考えているものですから、コズイレフ外相の訪日はいろいろな意味で欠かせない。しかも、それはできることなら早期の訪日が望ましいわけでございまして、早期といっても今月来いとか来月来てくださいということではなくて、十二月もしくは一月にということをコズイレフ氏には申し上げました。
 もちろん、なかなか二つ返事ではいそうですかというわけにはまいらないところだとは思いますが、外相からは努力しますというお話がございまして、これは私とコズイレフ氏とのいわば外相間の話でございますが「この周辺それぞれこうした話を両国間でしながらこの訪日を実現したい、こう考えているところでございます。
 さらに漁業問題、とりわけ安全操業の問題についてもその折に話をしたということがございます。
#5
○木宮和彦君 ありがとうございます。
 ところで、きょうは二十一分という大変わずかな、全体でも二時間でございますので、ひとつ簡潔にお答えをこれからいただきたいと思います。
 まず、実は先日、当委員会理事懇でもって、北方領土へ上陸してつぶさに見たい、ビザなしの渡航ができるわけでございますので、ぜひひとつそれを実現してもらいたいということを西田参事官にお願いいたしました。ところが、言を左右にして相手側がそれは嫌うからそれはなかなか無理だと。無理だったら、それじゃぜひひとつ大使に会わせてもらいたいという申し込みをいたしまして大使にも会いましたけれども、その前にまず日ソ外相の書簡というのがある。
 一九九一年十月十四日に日本とソ連の間で行われましたし、それをもとにして閣議の了解、告示第一号というのが同じ十月二十九日に現に出ておりまして、それからビザなし渡航が行われていると思いますが、いままでに何人が何回、どういう名目でどういうコースをとったか、ひとつそれを教えていただきたいと思います。
#6
○政府委員(野村一成君) 先生御指摘のとおり、日ソ外相間の書簡一九九一年十月十四日に基づきまして、北方四島交流の枠組みができて、それによって四島からの訪問の受け入れ及び我が方からの派遣というのが行われております。
 平成四年には五回にわたりまして合計二百三十二名、受け入れの方でございます。五年度につきましては八回、合計四百六名。平成六年度五回、三百三十六名。回数にいたしまして総計今まで十八回、延べ九百七十四名を受け入れております。日本側からの四島訪問実績は四年度二百六十八名、五年度四百十八名、六年度三百二十四名、合計二十二回でございまして、延べ一千十名でございます。
 したがいまして、おおむね往復を延べで申しますと、大体二千人の程度で行われているというのが実態でございます。
#7
○木宮和彦君 そういうことで実績も年々積んでいらっしゃると思いますが、北方問題につきましてはどうも日本の国内でもまたロシアの方も何か遠ざけているような気が私はしております。
 非常に残念なことだと思いますが、実は国会議員が北方領土にぜひひとつビザなしで渡航をさせてもらいたいということで、チジョフ駐日大使にこの間お会いをいたしまして、我々がいろいろと約一時間半にわたりましてお話を申し上げました。我が方には実は告示が出ているんだと、その中に適格要項としてこういう人たちは行ってもよろしいよということがちゃんと明記してある、しかも、それもこの参議院なり国会議員の事務局が窓口になってこれを扱うということが書いてあるというお話を申し上げたら、そのときの大使のお話では、それは私は知らぬ、あくまでも外交問題としては日ソ外相の書簡、これが唯一であって、我々はそういうことは聞いておりませんし存じておりませんと、実はこういう話で私もびっくりしたわけでございますが、その真実は外務省の方はどうお考えになっていらっしゃるのか。
 そしてまた、実はこういうことを大使はおっしゃっていました。私の方は無制限にビザなし渡航をしたいんだと、むしろ日本政府の方がいろいろ条件をおつけになるのであって、私どもの責任ではないがごときの発言がございましたので、その辺の実態あるいはそれはどうなっているのか、ひとつ外務省の方で責任ある答弁をぜひお願いいたしたい、こう思います。
#8
○政府委員(野村一成君) 先生御指摘のこの四島交流についての国会議員の諸先生の訪問につきましては、今御案内の告示あるいは閣議了解におきまして、北方領土返還要求運動関係者として四島交流の枠組みの中で訪問が認められる対象者に入っております。したがいまして、制度上は訪問というのは可能になっておるというのが私どもの理解でございまして、このような告示、閣議了解がきちんとあるということにつきましては、これはロシア側もきちんと理解、承知していることであろうと思います。
 同時に、この四島交流の枠組みにつきましては、向こう側と外務大臣との書簡におきまして、双方合意した上で、協議の上で決定するという点もございます。したがいまして、今までの四島交流におきましては、主として四島の旧住民、島民あるいは北海道を中心としました地域の関係者ということで行われておりましたが、そういう仕組みといたしまして国会議員の訪問ができないというふうには理解いたしておらないわけで、今後いろんな諸般の状況を考慮いたしながらロシア側とも協議していくことになろうかと思います。
 いずれにしましても、今回の地震につきましてはやはり現地、先方は物資の供与、緊急人道支援を非常に多としておるわけでございますが、同時に現地の受け入れ状況等からその物資の供与に必要な、何と申しますか、実務家、専門家のごく少数に限ってほしいということを申し入れてきておりますので、慎重に対処せざるを得ないということかというふうに思っております。
#9
○木宮和彦君 このビザなし渡航というのは、それはそもそも最初は人道的に墓参に行く、日本の領土でもビザが出せないということで、それじゃビザなしでひとつやろうということで、第四項というのがございますけれども、その四項によりますと、いわゆるお互いに相互の経済活動を開始して、そして配置されたソ連の軍事力の削減によってこれから日本側はさらなる話し合いをしようということが書いてあるわけでございます。それによって今回、今回といいますか九一年、中山外務大臣が共同声明の四項に基づいて、そして新たに閣議了解が実はつくられたわけだと思います。
 そして、その手紙の中にも2として、「日本の訪問団及びソ連邦の訪問団それぞれの訪問に関する基本的事項を定める計画は、半年に一回両国の外交当局の間で協議の上決定される。」と、これで積極的に日本がビザなし渡航をひとつ促進して、そして両国間が、将来これが日本に戻ってくるようなそういうものを醸し出すために、理解するために北方領土返還の団体を出してもよろしいよということが明記しであるように私は思うんです。
 日本の領土であるということであるならば、積極的にやはりいろんなチャンスをつかんで接触していかない限りは忘れられてしまうし、向こうは返したくないということであれば、さらに我々が幾ら言っても知らぬ存ぜぬで、日本国が積極的にこの問題についていろんな方策を講じない限りは先に進展していかないのじゃないかなと、こう私は思いますが、その辺はいかがでございますか。
#10
○政府委員(野村一成君) 先生御指摘のように、向こうと合意いたしましたこの両国外務大臣間の往復書簡におきましては、まず日本から行かれる方につきましてこのように書いてございます。「領土問題の解決を含む日ソ間の平和条約締結問題が解決されるまでの間、相互理解の増進を図り、もってそのような問題の解決に寄与することを目的として、日本国民から構成される訪問団」、そういうふうに書いてございます。
 私は、やはりこの中で相互理解の増進というのが重要な言葉かなと思いますし、何よりもこういう交流が円滑に行われるということ自体がこの領土問題の解決にもプラスになるという考え方は、この書簡の中にも既ににじみ出ておるわけでございます。
 ただ、御理解いただきたいのは、今回の地震の場合もそうでございますけれども、やはり現地の住民感情その他もよく考慮をしながら、あくまで向こう側との合意、協議の上で決定していくということになる必要があろうかというふうに存ずる次第でございます。
#11
○木宮和彦君 ごもっともな話だと私も思います。
 しかし、確かに政府はそうかもしれませんが、住民には、やはりいろいろ救助物資を持ってきてくれたり、いろいろ手伝いをしてくれれば、私は感謝されても邪魔にされることはないと思う。そういう意味では外交というものは、外交だけじゃありませんが、交渉というものは一歩退けば千歩退くみたいなもので成果は得られないと思うので、チャンス、地震がチャンスだとは私は言いませんけれども、ルーブルがまた大暴落しています、これがチャンスとは言いませんけれども、しかし、積極的にやはり意思表示と機会あるごとにいろんなことにアクセスをやっていかないと、この問題は到底先延ばしになるんじゃないかなという気がしてなりませんので、これは別に答弁要りませんが、これからひとつ大いに北方にも目を向けてやっていただきたいなと外務省にお願いしておきます。
 ところで、両大臣せっかくいらっしゃっていますが、北方領土の日というのが制定されておりますが、何日か御存じですか。
#12
○国務大臣(山口鶴男君) 二月の七日でございます。
#13
○木宮和彦君 御明解でございます。
 じゃ二月七日に決めたというそのいわれは長官御存じですか。
#14
○国務大臣(山口鶴男君) 明治以前の日本と当時のロシアとの交渉の日であるというふうに記憶をいたしております。
#15
○木宮和彦君 私は、実は参議院に参りまして翌年の二月七日に、自民党の国民運動推進部長をやらせられまして、数寄屋橋の前で街頭演説をいたしました。その原稿がここにございます。一緒にやったのが伊東正義さん、それから山下徳夫さんとか、こういう諸先生方と一緒に四、五人で北方領土返還のことを訴えた。この日は雨がちょっと降っておりました。
 そのときにも、実は二月七日のいわれについて私なりに勉強して、それを演説した覚えがございます。その記憶がちょうどあります。要するに、これはもう大分古い話でして、二百年前ですよ、江戸時代にロシアが通商交渉に幕府に来たんです。そのときに、日本はびっくりして、家斉将軍のときにですか、近藤重蔵だとかあるいは例の有名な間宮林蔵、この人たちを派遣して、そして調査をしたんです。ですから、そのときは明治じゃなくて、二百年前です。そのときにもう択捉という表標を択捉島に立てているんですよ、幕府は。四島は日本人しかいなかったんです。樺太はロシア人と日本人がいたんです。
 それから、約六十年たって、先ほど申し上げましたように、幕府の井伊直弼のときでございますが、日露通好条約をつくって、そしてこの四島は日本のものであると、そして樺太は日本人とロシア人が両方で住むところですということをちゃんと国際上決めたんですよ。ですから、この二月七日をもって北方領土の日としているわけでございます。
 どうぞひとつ今までの歴史をひもといて、もう少し主管大臣として決意を持って、北方領土についてもう一度再認識してやっていただきたいというのが私の切なる願いでございます。そのときの演説原稿がありますから、また後ほど、せっかくですから見やすいように大きくしてコピーしてまいりましたので、これを帰りにお持ち帰りいただいて勉強をしていただきたい、こう思います。
#16
○国務大臣(山口鶴男君) 私、書記長を五年いたしております前は、約四年半社会党の国会対策委員長をいたしておりました。二月七日の北方領土の日はいつも社会党は国会対策委員長が出席をする例になっておりまして、私は国対委員長に就任いたしましてから四回にわたりまして、北方領土の日に党代表として参加をいたしました。この安政元年当時は太陰暦でしたから十二月二十一日になっているそうでございますが、太陽暦に直し一て二月七日であるということは承知をいたしております。
#17
○木宮和彦君 それは安政からでは長いだろうけれども、よろしくどうぞお願いいたします。
 時間が来ましたから終わります。
#18
○板垣正君 私は、安全操業の問題とそれから地震に伴う北方領土支援の問題、これを中心に承りたいと思います。
 まずその前に、山口総務庁長官が十月一日から二日にかけて社会党御出身の閣僚としてはまさに初めて現地視察をされた。そしてまた、閣僚としては五年ぶりに保安庁の船で洋上からロシアの監視船を目の前にしながら御視察になった。これはある意味で大変歴史的なことだと思うのでございます。
 一番お感じになったことを承りたいと思います。
#19
○国務大臣(山口鶴男君) 総務庁長官に就任しまして、北方領土を視察に行く日をどうしようかということを事務当局から相談を受けまして、私は十月一日にしたいと、こう申したのであります。
 その理由は、御案内だと思いますが、十月一日に行政手続法という法律が施行になる予定でございました。これは、官と民との間が上下関係でありますのがよくない、やっぱり平等なものだと。そうして、行政手続さらには行政指導等々の問題について、透明性、公正性を確保する、そうして、官と民との間にある壁を取り払うという意味では画期的な法律でございます。
 したがって、この北方領土と北海道との間の目に見えない壁を取り払って一日も早く返還を実現したいという願いを込めて、視察に行くのには十月一日が最も適切だと、こういう判断で十月一日参りまして、翌二日には、御指摘ありましたように巡視船にも乗りまして、沖縄よりも広い国後島を間近に見ることができました。
#20
○板垣正君 それでは、安全操業、この問題はるる申し上げる時間もありませんけれども外務大臣に。
 とにかく、平和な時代に平和であるべき海に、平和な漁船に対して銃撃が加えられる、死傷者が出る。これはまことに許されざる行為であります。これに対して現地からも必死な声が上がっておる。極めて重大な問題でございまして、向こう側から入漁方式での協定を結ぼうという申し入れがあったとか、外務省もいろいろ検討され、また水産庁、北海道庁もいろいろ検討して、ある時期にはもう八月中ごろには案ができるんじゃないか、九月にニューヨークへ行かれるときはその案を持って行かれるのじゃないかぐらいの期待があったと思うんですが、どうもおくれているようですけれども、その辺の現状、そしてこれに対する基本的な考え方を外務大臣に伺いたい。
#21
○国務大臣(河野洋平君) 私どもといたしましても、北方四島周辺水域におきますこうした事案には大変憂慮すると同時に、こうしたことに対しては極めて遺憾というふうに思っているわけでございます。
 私も、先ほど申し上げましたが、ニューヨークにおきますコズイレフ外相との会談におきましても、民間漁業者の操業に対して発砲をされるなどということはあってはならないことであるということを強く注意を喚起したわけでございますが、にもかかわらずその日ロ外相会談の後にまた銃撃がなされるということがございまして、私としても甚だ遺憾に思っているところでございます。この北方四島周辺水域におきますこうした事件は領土問題に絡みますので、我々これは基本的立場というものを極めてきちっとした上で対応しなければならないというふうに思っているわけでございます。
 もしお尋ねがさらにございましたら、後ほど野村局長から御報告、御説明を申し上げたらいいかと思いますけれども、今月に入りまして、こうしたことのないように、ロシア大使を招致いたしまして野村局長から厳重に抗議をすると同時に、この北方四島周辺水域におきます日本漁船の操業問題について、北方領土問題に関する我が方の基本的立場を万が一にも損なうことがあってはならないという基本的立場の枠内で何ができるかということを鋭意検討いたしているところでございます。
 私も、この問題については漁期との関係もございますから時期は急がねばならぬということは十分承知をいたしておりまして、外務省事務当局一体となりまして、この問題の解決のために全力を挙げているところでございます。
#22
○板垣正君 新聞報道ですけれども、ヤロフ副首相ですか、日本側に再三問い合わせ、検討しているけれども検討中だ検討中だと言うのでどうなっているのかというような、私どもが見ておっても非常に手間取っておるといいますか、これは入漁方式は認められないことは当然でありますが、ではそれにかわって民間協定という形でもう相当程度進んでいるんじゃないのか。ではいつごろこれ両国の間でまとまる見通しでしょうか。
#23
○国務大臣(河野洋平君) 現在、事務レベルでロシア側関係者との間の非公式かつ予備的な意見の交換を行っているところでございます。実は、今月も二十四日、二十五日、おととい、きのうと二日間にわたりまして意見の交換を行ったところでございます。
 今お尋ねのように、いつごろまとまる見通しかというお尋ねにつきましては、相手のあることでもございまして今この時点でその見通しを申し上げることは控えさせていただきたいと思いますが、今申し上げましたように、全力を挙げて取り組んでおるということだけは申し上げていいと思います。
#24
○板垣正君 これは新聞報道ですけれども、ロシア側の大統領府の関係者いわく、あの海域でロシアの許しがなければ何もできない、既成事実を再認識させる効果があるんだと。つまり、国境警備隊の船をふやしてヘリコプターまで動員して、とにかく実力的に船を沈める、拿捕をする、これが彼らにとっては既成事実。それを日本は何もできないんだと。これはまさに力におごる姿でございまして、そういうものにさらされている現地漁民あるいはそれにかかわる生活を支えている方々の苦難というのは、これは大変大きな犠牲であり、しかも民間協定という形を結ぶにしても、現地もそれぞれ非常な犠牲を払いながら何とか操業の安全を願っているわけでありますから、これは緊急の問題としてぜひ積極的に取り組んでいただきたい。
 それと、この関連も出てくるわけでございますけれども、このたびの北海道沖地震です。特に北方四島の被害が甚大であったと報道されておりますし、我が方も人道的支援ということで第一波が食料とか医療とか薬品とかを持っていかれたということも聞いております。また、これに関連をしていろんなロシア側の意向、三つほどございますね。輸銀、開発銀行の融資を使わせるとか、漁業協定、入漁方式でその売り上げでとかいろいろありますけれども、どうもその姿勢というのがあくまでロシア側が管轄権を持っているんだ、これには一歩も踏み込ませないと。だから、人道的支援でこの間行かれた方々のあれによっても、向こうは警察とか軍隊まで来ておって、なるべく日本人と現地側の人たちを会わせたくない、会わせないようにする。
 こういう姿勢というのは、あの東京宣言というものが基本にあるにもかかわらずロシア側の姿勢というものは、災害を受けそれに対して我が方は人道的にできる範囲のことをやろう、こういう姿勢にいるわけだと思いますけれども、そういう今のロシア側の姿勢というものについて外務大臣はどういうふうに受けとめておられますか。
#25
○国務大臣(河野洋平君) これは一般論でまずお答えをしたいと思います。
 昨今、ロシアはロシア議会の選挙などがございまして、御承知のとおり、民族主義的な主張を激しくする集団といいますか政党が一定の支持を得たということなどもありまして、ロシアの対外的な発言には、まあいわば民族主義的な発言といいますか、あるいはこれは表現が適当であるかどうかわかりませんが、やや大国主義的な発言、振る舞いというようなものがかいま見られると、こういう国際的な評価が出てきております。
 これは我々にとっては甚だ残念なことでございまして、我々としては、ロシアのより民主的な政治体制というものが育ってほしい、こう念願をしているわけでございますが、なかなかそう簡単な状況ではない。しかし、ロシア国民の選挙による支持を根拠にしてそういう発言があるということになれば、これもまたそのことを我々がとやかく言うべきでないのかもしれませんが、そういったことがかいま見られるということをよく言われるようになりました。
 今、お尋ねのように、地震という大変大きな突然の災害に対しまして、我が方としてはいち早く人道的な支援を差し上げようという姿勢でおりますけれども、ロシア側の姿勢は、我々が見ますところもう一つはっきりいたしません。現地のニーズというものを我々はできるだけ正確に聞いて、その現地のニーズに合ったものを差し上げたい、持ち込みたい、こう思っておりますが、なかなか現地のニーズというものがはっきりしない部分がございます。医療とか医者とかそういう人的な支援は余り必要ないというような情報が入ってきたりしてよくわからない。
 しかし、こういう気候でございますから、ストーブが欲しいとか魔法瓶が欲しいとか、これは恐らく間違いなく現地のニーズでございましょう。そういうことが伝わってくるものですから、それに対して我々は適宜対応しているところでございますけれども、実際の現地のニーズが何かということについてはどうももう一つはっきりしないという感じがいたしております。
#26
○板垣正君 当局に伺いますが、第一次で持っていった医療とかなんか、第二次の人道支援も検討しているということですが、現地側からは学校とか幼稚園、通信、建設設備、できれば合弁事業、こういうものが欲しいんだということが一部伝えられていますが、第二次の人道支援というのはどの程度のものを考えておられますか。
#27
○政府委員(野村一成君) 今、大臣から御答弁がございましたように、あくまでこれは緊急人道支援という基本的な考え方で対応いたしております。もちろん、国と国との関係では領土問題という大変難しい問題があるわけでございますけれども、こういう大変お気の毒な自然災害を受けられたロシア住民に対する支援ということでございます。
 したがいまして、前回、石油ストーブとかそういったものを送りましたけれども、前回の調査団も行きまして向こう側の住民その他と接触の機会がございました。ニーズを把握してきている面もございます。総合的にニーズが何であるかということを今検討いたしておるところでございます。それをどういう段階で今後どうするかということを考えたい、そういう段階でございます。
#28
○板垣正君 抽象的な御答弁ですけれども。
 この支援、復旧に積極的に参加するということが、今度は逆に我々の立場で言えば北方領土を不法に占拠している、それを助ける、こういうことにもつながるわけですね。
 ですから、これは人道的な問題でありお気の毒な面は多々ありますけれども、例えばあの地震の後、ウラジオストクの世論調査では、今までは日本に返せというのは六〇%だったのが八九%。もうあの島は日本に返した方がいいと。モスクワでも一〇%しかなかったのが六〇%返した方がいいと。一万七千ほどあそこにいるそうですが、あるいは半減するんじゃないか、七千人から八千人はサハリンとか本土の方へ移ってしまうんじゃないか、こういうことも言われている。これはまさに惨たんたるものでございましょう。
 しかも、何も今度の地震で始まったことでもないんですね。いわゆるソ連体制が崩壊してから、ああいうへんぴな島ですから本土から食料も医療品もほとんどなかなか来ない。燃料も来ない、滞る。それで仕事も減る。そういう格好で、もうその当時から色丹の住民は住民投票をやって、もし日本が我々の永住権を認めてくれるとか、あるいは我々が本土に引き揚げることについての費用を出してくれるということでもあれば大変ありがたい、あるいは今度の被害の現地報道によりますと、何が欲しいかというと引っ越し荷物を入れるコンテナが欲しいと、こういうことが伝えられております。
 まさに現地に対して、今話が出てきたように学校を建ててくれ、幼稚園を建ててくれ、そのうち今度は住宅を建ててくれ、港湾とこうなってきますと、結局彼らはここの管轄権は我々だ、国境警備隊は今まで以上にやっぱり取り締まりはやるんだと。だから、本当にこれは日本の立場というものが、国家戦略はどこにあるかとこうなってきますね。これはまさに虚々実々な、こういう天災を境にして北方四島返還問題の運びによっては大きな転換、転機が来ているんじゃないのか。
 そういう意味合いでは、例えば、まさに積極的にサハリンに住宅を建ててあげましょう、あるいは本土に移るんならその旅費も出してあげましょう、七千名でも八千名でも、とにかくあの島というものは見捨てざるを得ないような惨たんたるところ、しかも現在のロシアの政治情勢なり経済情勢ではなかなかこれはどうにもならない。これはもうこの辺で日本に返した方がというまさに天の裁きが出た、こうも言えると思うんですね。そういう国家戦略に立って外務大臣に取り組んでいただきたいと思いますが、その辺の御決意のほどを。
#29
○国務大臣(河野洋平君) いつも板垣先生には国家戦略について御指導をいただくわけでございます。いろいろ貴重な御意見でございますが、私の立場から申し上げますと、現地の住民のニーズがコンテナにあるか小学校にあるかというのは、先ほども申し上げましたように現地のニーズがいずれにあるかが正直申し上げてどうもよくわからないという今状況でございます。
 これは国家戦略とは全く関係がありませんが、現実の問題で申し上げますと、もう現地は恐らく相当厳しい寒さが迫ってきているだろうと思います。と同時に、恐らく相当被害を受けた港湾に荒波が押し寄せて、船が近づいて荷役をするということもなかなか厳しい状況になりつつあるのではないかというふうに思っております。私どもが仮に次の支援物資といいますか緊急人道支援を行うとしても、これは船で物を運ぶタイミングとしてはもうぎりぎりのところへ来ているのではないかというふうに思います。これから何か大きな建物を建てるとか何をするとかというのは、恐らく少なくともこの季節ではもう無理であろう。つまり緊急という状況ではないのではないかというふうにちょっと思ったりしているところでございます。
 先生御指摘の、サハリンといいますかどこか別のところに何かをつくってはどうか、こういうことでございます。これは、現地のニーズといいますか現地に住んでおられる方々がどこへどう動くかということについて、我々が指図がましいことを言うとか何をするとかという立場ではないと思いますが、住民がそういうことを非常に強く望んでおる。避難先における設備とか物資の供与について非常にはっきりとした住民のニーズが、つまり住民側の全く自発的なニーズがそこにあるということがはっきりすれば、それはその場面で検討をする余地はあるというふうに考えているところでございます。
#30
○板垣正君 終わります。
#31
○肥田美代子君 タス通信によりますと、去る十月十九日未明なんですが、国後島の南の海域でロシア国境警備隊の警備艇が操業中の日本漁船に警告発砲したというふうにありますけれども、外務省はこのときの船名とか負傷者の有無について報告を受けていらっしゃいますか。
#32
○政府委員(野村一成君) 先生御指摘のような報道が、これはタス通信だったと思います、なされていることは承知しておりまして、事実関係を今調査中でございますが、これまでのところ日本漁船がそのような目に遭ったということは確認されておりません。
#33
○肥田美代子君 今、板垣委員からのお話もありましたけれども、この発砲事件はやはりけが人が出ておりますし、中国人の漁船の方では死亡者も出ておりますよね。人命にかかわる問題に既に至っておりますので、なるべく早い解決が求められるわけです。
 この間、当委員会でロシア大使にお会いしたときにも、ぜひ早い解決をというふうに切実におっしゃっていらっしゃいました。ですから、今、河野外務大臣もおっしゃいましたように、日本の基本的立場というのは最も大事ではございますが、やはり命にはかえられないと思います。二十四、二十五日と予備的なお話をなさったということで、ソスコベツ副首相がいらっしゃるまでに何とか解決しようというお気持ちでいらっしゃると思いますけれども、そのあたりの御決意を聞かせていただきたいと思います。
#34
○国務大臣(河野洋平君) 先生御指摘のように、ロシアのサスコベツ第一副首相の訪日が今検討されているところでございます。外交ルートを通じまして訪日についての調整が今行われているところでございます。これは御承知のとおりサスコベツ氏は第一副首相としてロシアの政治の中では非常に高いランクの方でございます。極めてハイレベルの方の訪日が実現をすれば、これはもう我々としてはこの人とさまざまな問題について討議をするというつもりでおります。
 事務レベルの予備的な会談というものもどういう状況に推移するかまだちょっと見通しを申し上げられる段階ではございませんけれども、これらの会談もよく見ながら、でき得る限り話し合いたいというふうに思っているところでございます。話し合いがどういうところまで行くかについてまだ申し上げられませんが、我々としてはこの問題は大変重要な問題だという認識をしておりますので、ぜひ話し合いたいと思っております。
#35
○肥田美代子君 一説には、ソスコベツ副首相がいらっしゃるのは十一月二十九日というふうに報道されておりましたけれども、それより早くなるということはないんですね。
#36
○政府委員(野村一成君) 今、大臣の御答弁がございましたように、外交ルートを通じて具体的な日にちにつきましては調整中でございます。
#37
○肥田美代子君 その際に、日本が入漁料を払うというようなことは領土交渉に決していい影響を与えないと思うのでございますけれども、あの海域で発砲を受けた船の中にはいわゆる第三国の操業漁船がまじっております。このことについて日本政府はその海域に入るなということを申し入れされたことはございますか。
#38
○政府委員(野村一成君) この北方四島、領海、要するに水域も含めてでございます、これが我が国の固有の領土であるという基本的な立場というのは常にいろんな機会を通じて関係国政府に伝えてあるわけでございまして、その辺のところについて少なくとも政府のレベルにおいて誤解はないように努めてまいっていく所存でございます。
#39
○肥田美代子君 間違っても日本以外の国から入漁料を取ってその海域に入れるというようなことはないと思いますけれども、それは大丈夫でございますね。
#40
○政府委員(野村一成君) 我が国の固有の領土である北方領土周辺水域につきましては、仮に第三国の漁船でありましてもロシアに対して入漁料を支払って操業するということは、これは領土問題についての我が国の基本的立場にかんがみて受け入れられないわけでございます。
 先ほどの発砲事件、御指摘のありました点につきましては中国とか韓国の漁船が含まれております。今申しましたような北方領土問題に関する日本の基本的立場につきまして、これまでも中国、韓国に対しまして累次説明いたしておりまして、基本的な理解は得られているというふうに考えている次第でございます。
#41
○肥田美代子君 先日、北海道東方沖地震の被害者に対して日本が救援物資を輸送されました。そのことは報道されておりますので大体の内容はつかんでおりますけれども、次の支援の希望の品物の中に、品物と言えるかどうかわかりませんが、大変大きなものが含まれておりまして、クレーン車であるとかブルドーザーであるとかそういうものを求めていらっしゃるやに聞いております。政府はこれに対してどういうふうに思っていらっしゃいますか。
#42
○政府委員(野村一成君) 先ほど大臣から御答弁がございましたのですけれども、非常に厳しい現在の状況の中で緊急的、人道的な立場からニーズに応じるということでございます。
 追加的支援物資の具体的内容につきましては、現在検討中の段階でございまして、個別具体的なものについて私が今の段階で言及することは控えさせていただきたいと存じます。
#43
○肥田美代子君 それは大き過ぎて運び切れないということなんでしょうか。それとも、やはりもう少し基本的な立場を踏まえてということなんですか。どっちでございますか。
#44
○政府委員(野村一成君) 両方ございます。
#45
○肥田美代子君 それから、人的支援の中で少し云々されておりますのが地震の専門家を派遣してほしいということでございますけれども、これは援助というよりはむしろ今後の日本の地震対策にとっても必要なことだと思います。共同研究という形でむしろ日本からそういう提案をされたらいかがなんでしょうか。
#46
○政府委員(野村一成君) 地震の専門家の派遣につきましては、これはたしかロシアのパノフ外務次官がサハリンに調査団で行っているときにそういうことに言及したというふうに承知しておるわけでございます。この点につきましては、具体的な話が今のところ来ておらないわけでございますけれども、必要性が明らかになるということでございますれば積極的に検討してしかるべきことであろうというふうに思っている次第でございます。
#47
○肥田美代子君 大人の思惑はいろいろございますけれども、私は子供たちがお互いにビザなしで交流するということについては大変意義があることだと思います。
 やはり二十一世紀を責任を持ってやってくれるのは今の子供たちでございますし、そういう意味でお互いの民族の理解が深ければ深いほど将来は明るいというふうに思うわけでございます。今回の地震で被害を受けた子供たちに対して北海道の地元の子供たちが大変心を痛めているということは事実でございます。
 それで、手紙を出したいと思っている子供もおります。ところが、子供たちの声の中に、六カ月ぐらいたたないと手紙が届かないというのがあるのですね。ですから、心配し心配ししていても、結局六カ月後にしかお友達のだれからゃんに手紙が届かないというのではこれはやはり子供たちの心を十分に満たすことにはならないと思いますので、その辺のところを郵政省にお聞きしたいんですけれども、やはり六カ月はかかるのでしょうか。
#48
○説明員(渡辺和司君) 郵政省郵務局国際課長の渡辺でございます。
 現在、日本から北方四島あての郵便物の送達でございますが、航空郵便物につきましては、新潟空港からウラジオストク局を経ましてこれは週六便飛んでおります。それから、船便郵便物につきましては、横浜港から同じくウラジオストク局を経まして、これは月二便なのでございますが、そういう形でそれぞれ送達をしているところでございます。
 先生御指摘の送達期間でございますが、私ども具体的な送達日数につきましては調査をしてまいりたいと思いますし、また、具体的に可能な期間短縮につきましては、ぜひロシア郵政庁にも協力方を要望してまいりたい、このように思っているところでございます。
#49
○肥田美代子君 外務大臣、このことについて大臣の方からも積極的に御支援いただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#50
○国務大臣(河野洋平君) 大変長い期間がかかるということは、子供たちにとっては大変つらい思いをすることになるかもしれません。
 しかし一つは、すぐ見えるそこなんだけれども六カ月、六カ月かどうかわかりませんが、大変長い時間がかかってしまうのだという現実を知るということもまた大事だと思うのです。それは子供たちから見ればいかにも不思議なことだとは思いますけれども、そういう現実があるんだということを子供たちに正しく知ってもらうということもまた大事だろうと私は思います。
 ただ、いかにも地震で寒かろう、何かおなかがすいているのではないかという子供の気持ちが、六カ月たってそういうものがほとんど忘れ去られるような時期に着くというのでは子供の気持ちが届かないわけで、早く着くために何かできればそれは大事なことだと思います。しかし、今、前段申し上げましたように、領土問題というこういうものが実はあるのだということを子供たちにも正しく知ってもらうということもまた大事なのではないかと思います。
#51
○肥田美代子君 大臣のおっしゃることは私も確かにそうだと思います。それでもなおかつ、一方では子供たちの心がすぐ届くということがやはりお互いの理解にとっていいということもまた御理解いただきたいと思います。
 それでは、次の質問に参ります。
 十月十日のソスコベツ副首相と渡辺大使との非公式な話し合いの中で、ロシア側から北方四島に自由経済地区を設ける旨の発言があったと報道されておりますけれども、事実関係はいかがですか。
#52
○政府委員(野村一成君) サスコベツ副首相と私どもの渡辺大使との会談につきましては、その具体的な内容につきましては、これはサスコベツ副首相の日本訪問問題ということについていろいろ話し合ったわけでございまして、その中身として、ああだこうだということの内容を、私、ここで公の場で言うのは控えたいと思います。ただ、そういう自由経済地区構想とかいう報道がなされたということは私も承知いたしておりまして、この辺についての私どもの考え方というのも、当時、たしか官房長官だったと思いますが、明らかにしているところでございます。
#53
○肥田美代子君 さらに、州政府は色丹島をサハリン州の直轄統治にするというふうに発表されておりますけれども、これについての事実関係はいかがですか。
#54
○政府委員(野村一成君) 日本の固有の領土でございます色丹島、彼らの言葉で言いますと南クリル地区政府から分離してサハリン州が直轄統治する、それで北方領土を重ねて自由経済地区とする、そういった提案があった旨の報道がなされたということは承知いたしております。
#55
○肥田美代子君 それに関しての事実関係はあったのでございますか、それともなかったというふうに理解してよろしゅうございますか。
#56
○政府委員(野村一成君) 報道によって承知しているという状況でございます。
#57
○肥田美代子君 さらに、十月二十四日のタス通信によりますと、グラチョフ・ロシア国防相がクリル島にロシア軍は今後も駐留し続ける、こういうふうに語っているそうですが、これがもし事実でありますと、昨年十月、エリツィン大統領が来られたときに細川総理との会談で四島からはいずれ軍は撤退させ国境警備隊だけ残すと発言したことから随分後退したというふうに私は思うんでございますけれども、どのように評価されていらっしゃいますか。
#58
○政府委員(野村一成君) 確かに、この領土問題解決についての話し合いの一つの大きな柱といたしまして、そもそもあそこに軍隊が駐留しているというのは極めて不適切でございまして、それを撤収していただきたいということは、これは今までいろんな、大臣レベルもそう、事務レベルもそうですけれども、繰り返しロシア側に申し上げている点でございます。
 それに対して、基本的には今御指摘のエリツィン大統領の立場といたしまして、減らすという、撤収するという方向性は見えておりますけれども、ただ具体的にいつという、その具体的な計画というのは示されていないというのが現実でございます。この問題につきましてはいろんな機会をとらえて繰り返し求めていくたぐいの話でございます。
#59
○肥田美代子君 ロシアはこの時期に四島の経営方針を変えたんじゃないか、そういうふうに見えるんですけれども、このままほうっておくと、日本以外の第三国の資本を導入することもあるいはあるかもしれない。そういうふうになりますと、大変この日ロ問題というのは複雑になってくるというふうに私は思うんです。外務省の方では、今の時期ロシアが四島の、経営方針というのはちょっとおかしいかもしれませんけれども、そういう方針について何だか変わってきたなという感じをお持ちになりますか。
#60
○政府委員(野村一成君) この四島、そもそもこの領土問題についての基本的な立場というのは私ども大きな歴史の流れの中で変化があったと承知しております。
 御案内のとおり、かつては領土問題は存在しないと言っていた時代から、東京宣言をごらんになっていただきますと、この四島の名前をきちんと書いた上でこれの帰属に関する問題が領土問題であるということ、それからまた、この解決についての指針としまして、法的、歴史的事実に基づいて、あるいは法と正義の原則ということに基づいて解決しなきゃならぬということをうたっておるわけでございますから。具体的に私どもはこの領土問題についてのそういう大きな流れの中でのロシア政府の変化というのに着目しておるわけでございます。個別具体的にどういう施策をとっているかということについていろんな報道がなされますし、また先ほど言及ございましたサハリン州云々ということについての向こうの決定はあろうかと思います。
 私どもの注目しておりますのは、やはり固有の領土であるという立場からする領土返還交渉そのものでございまして、それに一歩一歩でも前進が得られるよう努力してまいりたいと思っている次第でございます。
#61
○肥田美代子君 つい最近の報道によりますと、エリツィン大統領の支持率が少し下がってきている。そして宮澤総理が日ロ交渉の潮どきとおっしゃった時期に比べると、今は随分と領土交渉の寒い時期に入っているんじゃないかと。そういうふうに評論家たちの御意見があることも事実でございますけれども、私は今ほど北方四島をめぐって日ロの動きの激しいときはなかったように思うんですね。とりわけこの数カ月間の動きというのは大きいと思うんですね。それで、今までのスピードで日ロ問題についてかかわっていて本当にいいんだろうかという疑問が少しわくんです。
 それで、対ロ外交についてもう少し積極的にしていただいた方が本当はいいんじゃないか。むしろ今は日ロ交渉の時期じゃないという意見に対して私は真っ向反対の意見なんでございます。河野外務大臣は、先日の記者との懇談の席で、私はまだ若葉マークですからと大変謙虚な御発言をされたように伺っておりますけれども、私は今こそやはり大胆な河野色を出して、河野さんしかできなかった日ロ交渉というのをしていただくまたとないチャンスじゃないかと思うわけです。
 それで、うかうかしておりますと、韓・朝・ロの三国の経済協力構想というようなものも少しぶち上げられ始めておりますし、私は、この問題はなるべく積極的にかつ大胆にそして河野色を十分に出して解決していただきたい、そう思うわけでございますけれども、河野外務大臣の心からのお言葉を聞きたいと思います。
#62
○国務大臣(河野洋平君) 大変御支援をいただいてありがとうございます。
 私は今、日ロ交渉をやる状況の中で、冬の時期だというふうには思っておりません。私は常に、チャンスがあればいつでも思い切って交渉を進めるという心構えを持たなければならないと思っております。
 ロシアは、ことし欧州から兵力を全部引き揚げて、まさにヨーロッパにおいて戦後は終わったという状況ができました。しかし、残念ながらこのアジアにおいては、領土問題というものが未解決に終わって、戦後五十年を迎えようとしているにもかかわらず完全な戦後が終わっているとは言えないという状況であることは甚だ残念でございます。
 ただ、ロシアが、例えばG7、先進国首脳会議にいろいろな形で参加をするような状況になり、つまりロシアが国際社会の中で国際社会の一員として動こうとしている、あるいは動き出した。そういうことが今見えるわけでございますから、国際社会の中の一員として動く以上、ロシア自身が言う法と正義に基づいた外交、あるいは問題の解決ということを当然みずからがみずからに問うという状況でなければならないはずでございます。
 アメリカのクリントン大統領も、先般私お目にかかって、この問題については私から特に申し上げましたけれども、アメリカ政府はもう十分この問題は日本側の立場を理解しているし支持しているということの御発言がございました。
 私は、何もアメリカが応援してくれることがうれしいということよりも、国際社会の中で我々の主張というものが理解される、つまり客観的に見てもやはり日本の主張が正しい主張だということがはっきりするということに意味が非常にあるわけでございまして、我々はさらに一段と日ロ関係、この問題の解決をして日ロ関係を正常化する、何といっても目と鼻の先にあるわけでございますから、中国、朝鮮半島そしてロシア、こういったいわゆる北東アジアと申しますか、この地域における我々の関係というものを正常化するということは極めて重要なことだと考えますので、一生懸命取り組みたいと思っております。
#63
○肥田美代子君 ぜひ、目と鼻の先にあるところに手紙が六カ月たたないと行かないという象徴的な不自然な日ロ関係を一日も早く改善していただきたいと思います。そのために、やはり外務大臣が今おっしゃっていただきましたことを私はしっかりと与党として拝見させていただきたいと思います。
 それから最後になりますけれども、北方領土返還運動の総合調整機関でそのトップにあられます山口総務庁長官に、御決意、それから今お考えになっておられることなどをお聞きして私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
#64
○国務大臣(山口鶴男君) 先ほどお答えいたしましたように、去る十月一日、二日、北方領土を視察いたしました。大変好天に恵まれまして沖縄本島よりも広い国後島全島をよく展望することができましたし、最高峰の爺爺岳もはるかに見ることができました。
 先ほど申し上げましたように、北海道と四島との間にあります目に見えない壁を一日も早く取り払う。そして、現地の少年の皆さんとも懇談する機会を持ったのですが、ビザなし交流を通じて四島にお友達がたくさんできた、そういうお友達と家族ぐるみの交流をしているというような話も承りました。
 ビザなし交流を積極的にさらに進めまして、そして北方四島の皆さん方に日本というものの現実をよく知っていただく。そういう中で、先ほどお話もございましたが、北方四島を日本に返還すべしという世論がロシアの中でも高まってまいりますような、そういったやはり努力も私どもしなきゃならぬと思いますし、また、国内においても北方四島の問題が戦後の問題として今なお残っているという現実を全国民の皆さん方によく知っていただく、そういった世論喚起も私ども懸命にやってまいりたい、そして御期待にこたえたいと思っている次第でございます。
#65
○武田邦太郎君 戦争が終わって五十年たつわけですね。非常に素人的な問題意識でありますけれども、なぜこのように時間を経ても、簡単に言えばいつ解決するかわからない壁になっているのか、村山内閣あるいは河野外交において今までと特に違った手法を講じられるのか、その今までと特に違った点、もしできれば、いつごろになれば一応解決のめどがあるというようなことはあるのかないのか、そういうことを伺います。
#66
○国務大臣(河野洋平君) かつてのソ連でございますが、日ソ関係というものは極めて不正常な関係でございました。我々は、領土問題を解決して、平和条約を締結して、日ソというものが正しい姿で交流ができる、国交が正常化されるということが望ましい、こう考えて日ソ交渉というものをずっと続けてきているわけです。なかなか平和条約の締結までできないということで日ソ漁業協定を行ったり、その他、国と国との交流、大使の交換をするためのつらい厳しい交渉をやってきたわけですけれども、何といってもかってソ連時代にはなかなか領土問題の存在すら認めない、領土問題はないのだという状況でございましたから、この交渉はまことに長引いてしまったわけでございます。
 しかし、近年になりまして、ゴルバチョフ時代になって領土問題というものについて糸口が見え出してきたという状況になりまして、先ほどから申し上げておりますように昨年エリツィン大統領の訪日を期に東京宣言というものを出しました。この東京宣言の中には間違いもなく四島の島名を列記して、まさに日ロ間の領土問題というものはここに問題がある、これが問題なのだということを明記することができたわけでございまして、まさにこれからその地域の問題についてどうするかという作業に今入っているわけでございます。
 この問題を解決するためには環境の整備を行う必要がある。両国の学者が集まって歴史的な経過について、我が国が考えている歴史とあちらが考えている歴史との間に違いがあってはいけない。これはもちろん表裏一体のものでなければならないわけですから、両国の学者が出てその歴史について話し合いをし、突き合わせを行って一つのレポートをまとめるとか、あるいは両国の人的交流をできるだけ積極的に行う。先ほど木宮議員からもお話がございましたけれども、議員交流なども実は積極的にやっていただくことが非常にこの問題解決のために意味がある。こちらからも行っていただいて日本の状況を説明する、向こうからも来てもらって日本を理解してもらう、またロシアの状況を我々も理解するということは非常に意味があると思います。それから、四島との間の交流も実はもっともっと考えていかなければならない。
 こういった環境を整備し、何といってもあの四島には、もうやがて来年には五十年になってしまうわけですが、この五十年の間に現在は二万二千人ぐらいの人がこの四島にもう既に住みついている。我々の同胞は、かつてあの四島に住んでいた人たちは墓参に行きたい、墓参りに行きたい、こう言うけれども、もう五十年近く住みついている人は彼らのお墓も新たにできているかもしれないという状況で、なかなか長いがゆえに困難になったという問題もあると思います。
 しかし、歴史の必然、歴史をずっと一つずつ追っていけばあの帰属がどこにあるかということは極めて明白でございます。先ほども申し上げましたように、これは国際的にも日本の主張の正しさというものは認められているというふうに私ども思っておりますので、なお一層努力をしたいと考えております。
#67
○武田邦太郎君 これまでの御努力、もうずっと続いてきたわけですが、そういう御努力に加えてもう一つ考えることができないのかと思いますのは、歴史がだんだん発展して文明が進む、そうすると、情報通信のパワーが非常に広がっていくとか、あるいは交通輸送の手段が非常に広がっていくとか、あるいは経済的には特に国際的な金融のパワーが広がるとか、こういうことで現在の国家単位の経済がいわばヨーロッパ共同体に見られるように国を越えて国家連合とも言うべき大きい単位に広がる。だから、政治の単位と経済あるいは文化の単位に非常に乖離ができて、時たつにつれてどちらが力を持つかと言えば、むしろ歴史の流れとしては国家連合的な力の方が優越する方向ではないか。
 その流儀で言えば、現在東アジアのコミュニティーができるのかできないのか、アメリカはかなりこれに反対しているようでありますけれども、アメリカがいかに反対しても東アジアの共同体的なものはできざるを得ない。一国の権力じゃどうもできない方向に歴史は動く。アメリカはアメリカなりに北米自由経済圏的なものの方がよりアメリカが当面やるべきことでありましょうから。
 そういうふうに考えますと、現に、中国とハバロフスク以外のロシアの間には、食糧とかあるいは生活物資については行商的な活動で中国の活動が非常に広くロシアに入っている。そういうことが背景になって黒竜江の中の珍宝島その他の島の領有権は中国に有利な方向に解決をしているという事実もございます。
 そういうことで、これまでの御努力はいよいよ強くやっていかなきゃならぬことはもちろんでありますけれども、それと並行して、ロシアにとってハバロフスク以東というと、国家権力的には相当の抵抗もありましょうけれども、もう現に中国の経済活動は広がっているわけで、中ロ両政府にどの程度の了解があるのか全くわかりませんけれども、現実はそういう方向に動いて、中国の経済活動がロシアに非常に恩恵を与えている。双方の意思疎通に非常な力を持ちつつあるということはどうも確実ではないか。
 そういうことをもっとスケール広く考えれば、日本、ロシア、中国、朝鮮半島の二つの友邦、それから東南アジア、そういうところをあわせてアメリカのNAFTAと将来を期して十分に交流し和親を強めながら、もう一歩早くそちらの方に努力するということの中で、日本の経済力なり科学技術力はロシアに、あるいは言いかえてみればロシアの民衆に、あるいは地方政権に切実に日本と和親を結ぶことが大事だと。
 そういうことが濃厚に出た背景において四島の問題はむしろ、先ほどどなたでしたか大臣でしたか、向こうの方が進んで日本ともっと接近したいとかもっと経済的には一体化をしたいとか、さらに進めば、もともと歴史的に言えば日本の領土であったじゃないかというようなことが有力に浮かび上がる外的条件を形成できるんじゃないか、こういうふうな気がするんですが、いかがでしょうか。
#68
○政府委員(野村一成君) 大変長い視野に立った御意見と承りました。領土問題、私ども、先ほど大臣の御指摘がございましたように大変重要な問題、ロシアとの間でございますが、基本的にはやはり日本とロシアの二国間で解決すべき問題であろうと思っております。
 今ロシアという国は非常に重要な、一言で言えば改革ということでございますけれども、大きな変化を遂げております。また、片や先生御指摘のいろんな意味における歴史の流れというのがあろうかと思います。その歴史の流れの中におけるロシアの変化、そういう過程の中でこの領土問題を解決していくということが重要であろうと思っております。
 私あえてそういうことを申し上げますのは、改革といいますときに何もこれは市場経済どうのこうのだけじゃないんですね、やはり法と正義に基づく協調外交というのが改革の重要な柱としてあるわけでございます。法と正義に基づけば、これはもう領土問題、先ほど来申し上げていますように、日本に返還することによってこの両国の間の完全正常化が達成されるし、それがもってアジアひいては世界の平和の安定に貢献する、そういう大きな立場で臨むべきものだというふうに考えておる次第でございます。
#69
○武田邦太郎君 終わります。
    ―――――――――――――
#70
○委員長(坪井一宇君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、井上計君が委員を辞任され、その補欠として吉田之久君が選任されました。
    ―――――――――――――
#71
○池田治君 安全操業についてお尋ねをしようと思っておりましたが、もう板垣議員もお尋ねになりましたし肥田議員もお尋ねになりましたので私はもう質問を放棄してもよろしいんですが、せっかくの機会でございますので二、三質問させていただきます。
 肥田先生は十月の韓国並びに中国漁船の銃撃事件をお取り上げになりましたけれども、八月十五日には日本漁船も二隻が国境警備隊によって発砲され、一人が重傷、そして船も破損して曳航されてしまった、こういう事件がございました。
 これに対しましてロシア政府は、国境侵犯、つまり停船命令や警告弾を発してもそれでも従わなかったのでやむなく発砲したというような発表のようでございますが、こういう事実関係があった場合にはロシア政府から外務省に対して何らかの通告があるんでしょうか。そしてまた、外務省としてはロシア側の発表が正しいかどうかということを調査された経緯がございますんでしょうか、お答えを願います。
#72
○政府委員(野村一成君) 領事条約についての規定もございますけれども、こういう拿捕事件が起こったときには遅滞なくロシアの方から私どもの方に外交ルートを通じてその事実を知らせてくることになっておりますし、今までのまことに遺憾な事件それぞれにつきましても通報、場合によっては私どもの方から先に照会しまして、これは海上保安庁その他水産庁で事実関係が前もってわかるときがございます、それで向こうに照会して向こうの方からその結果を知らせてくるという場合もございますけれども。
 いずれにしましても、通報ということにつきましては、きちんと外交ルートを通じてなされておるというのが実態でございます。
#73
○池田治君 外務省もそれに基づいて調査をなさいましたか。
#74
○政府委員(野村一成君) これは漁船に関係する話でございますので、私ども、水産庁を通じまして、あるいは場合によっては北海道庁を通じましてその辺の事実関係をきちんと把握いたしております。
#75
○池田治君 同日発砲を受けた漁船は一隻でなくて二隻あった。一緒にいたのを、一隻はどうにかこうにか逃げ切ったけれども、一隻は弾が命中して船体が破損して拿捕されてしまった。こういうことのようですが、拿捕された漁船が現在どこで停泊しているか、そして重傷を負った人の氏名や傷害の程度はどういうものであったか。また、一隻は辛うじて逃げ切っだそうですが、この一隻は現在どうしておるか、こういうことの調査は確認をなさったことはございますか。
#76
○政府委員(野村一成君) ただいま先生、二隻と言われました。私ども、二隻いたという事実は承知しておりません。発砲されました船は、その後沈没したというふうに承知しております。
 それで、先生は、今どこに抑留されておるかという御質問がございました。
 ただいまの船舶、第六十八宝来丸でございますが、船長ほか三名、色丹島に抑留されているということでございます。それから、現時点で合計十名の漁船員の方々が抑留されておりますが、三名が樺太、樺太のユージノサハリシスクというところでございますが、四名が国後島古釜石というふうに承知しております。
#77
○池田治君 安全操業ができるよう一日も早く漁業協定ができることを祈っておりますが、外務大臣に最後にお尋ねしますが、入漁料を払って漁業をさせてもらうとか、自由経済地区があってその海域で自由にとらせてもらうとか、こういうことが新聞紙上時々出てまいりますけれども、日ロ交渉の進捗状況といいますか、その内容には日本側はどういうことを主張しロシア側はどういうことを主張しというようなことが、この場では言えないことかもしれませんけれども、わかる範囲でお教え願えませんか。
#78
○国務大臣(河野洋平君) 先生もよく御承知のとおり、我が方は我々としてこの領土問題に絡んで曲げることのできない基本的な姿勢がございます。
 こうした基本的な我が方の考え方をきちっと踏まえて交渉を進めているところでございますが、そうした基本的な姿勢、そして一方で現実に漁民の方々が大変不安な状況下で操業をしなければならないという現実、この二つをにらみながら問題の解決の方法を探っているところでございます。
 先ほど来申し上げましたが、漁期との関係で、この話急がねばならぬというふうにも実は思っております。急がねばならぬといっても、それは早いにこしたことはございませんが、今の交渉の相手方の出方などを見ますと、そうすぐにというわけにはどうもいかないようでございます。先方には、これは私の推測でございますが、地震その他ということもあって、対応にもいろいろと準備が十分整わないこともあるいはあるかもしれないということなども思いながら、しかし漁民の方々からすれば漁期との関係を考えでできるだけ早い結論をと考えておられるに違いない、そういう気持ちも大事にしながら予備会談を今行っているところでございます。
 内容につきましては、今、会談がまだ続いている状況下でございますので、ここで申し上げることは、まことに申しわけございませんが、控えさせていただきたいと思います。
#79
○池田治君 河野外務大臣のお父さんの河野一郎先生は、昭和二十年代の終わりごろロシアが初めて漁業制限をやってきたときに、単身モスクワに乗り込んで時の権力者と渡り合って、そして堂々と日本の漁業資源量というものを獲得した先生だと私は認識しておりますので、多分その息子さんの外務大臣もそれ以上のことをやってくれるだろう、こう期待しておりますので、ぜひよろしくお願いいたしまして終わります。
#80
○風間昶君 公明党・国民会議の風間でございます。
 質問を始めるに当たりまして、過日の北海道東方沖地震で被災された方々に本当に心からお見舞い申し上げる次第でございます。
 御承知のように、北方領土に隣接する根室市、それから別海町、中標津町、標津町、羅臼町、一市四町におきましても、生活基盤あるいは産業基盤等を初めとしてかなり大きな被害が発生しているわけであります。
 例えば、根室支庁管内で、去年の釧路沖地震のときは、港湾それから漁港の被害総額が四億六百万余りでありました。しかし、今回の中間報告、先般出されました報告でさえ港湾、漁港、四十六億円と十倍でございます。したがいまして、隣接地域におけるこの被害というのはかなり軒並み高いわけで、比べ物にならないというふうに思うわけです。
 そこでまず、東方沖地震での根室支庁管内での被害状況、復旧状況について簡単に教えていただきたいと思います。
#81
○説明員(大野慎一君) 北海道の東方沖地震災害によります被害につきまして、北海道の根室支庁管内を中心に、委員御指摘のように広い範囲で被害が生じたわけでございますが、これは支庁別に分けておりませんものですから全体として申し上げますと、負傷者が四百三名、家屋の全半壊は七十九棟などのほか、水道、電気などのライフラインや道路、鉄道、港湾あるいは農林水産業施設等にも大きな被害を生じたところでございます。
#82
○風間昶君 今お聞きしたのは、要するに全体でなくて一市四町ということだったんですけれども、把握していないということでございますか。――じゃわかりました、それは。
 テレビ報道でございましたけれども、今回一部地域で津波情報の伝達がおくれた、そして伝達されたときにはもう津波は過ぎ去っていっていた、何たることやという話があったわけですけれども、この辺の事実関係について、何がそうさせたのか、事実を教えていただきたいというふうに思います。
#83
○説明員(藤井友竝君) 北海道東方沖地震の際、停電ですとか防災行政無線交換機の誤作動によりまして、根室市等一部地域におきまして津波警報の伝達がおくれたことにつきまして、消防庁を通じて報告を受けております。
 なお、防災行政無線による警報の伝達がおくれました市町村につきましては、例えば標津町、羅臼町ではテレビ等から津波情報を入手し、広報軍による住民への広報などが実施されたというふうに聞いております。
#84
○風間昶君 ですから、聞いておりますじゃなくて、要するにおくれたという事実はあるわけですから、もっと防災を所管する国土庁としても、そういう交換機の誤作動があったという今お話ですけれども、それだけではなくて、情報の多角化というか、伝達方法のきちっとした総合的なやっぱり連携を密にさせるということがぜひ必要じゃないかというふうに思います。万が一の場合のための防災なわけでございますから、それに対して多角的に対応していけるということをぜひやっていただきたいと思いますけれども、どうですか。
#85
○説明員(藤井友竝君) 津波警報等防災情報の迅速かつ確実な伝達は防災対策の中でも重要な課題であると認識いたしております。
 津波警報の伝達につきましては、気象庁が発令した警報等を警察、電話局、海上保安本部、NHK等の複数のルートにより住民に伝達することとしておりますが、平成五年十一月に津波警報関係省庁連絡会議におきまして、沿岸地域における津波警戒の徹底について申し合わせを行い、津波警報の伝達の一層の迅速化、確実化を図ることとしたところでございます。
 また、防災無線につきましては、自治省消防庁におきまして、現在の地上系の伝達網に加えまして衛星系の地域衛星通信ネットワークの整備を図っているところでございまして、現在十九都府県で整備済みであり、北海道等六道県で整備を進めているところでございます。
 国土庁といたしましても、引き続き関係省庁と密接な連携を図りつつ、防災情報の伝達体制の一層の充実が図られるよう努めてまいる所存でございます。
#86
○風間昶君 まさに去年の南西沖地震では、間に合わないぐらい早く津波が来た。今回は要するに、きちっと対応できていれば間に合ったというふうに考えられるけれども、実際には伝わりが遅かった。何のために連絡会議をやっているか。去年の教訓をきちっと踏まえた形で、いつ起こってくるかわからない災害に対してもう少し真剣に国土庁としても防災対策と取り組んでいっていただきたいということをお願いする次第です。
 次に、せっかく八年ぶりに外務大臣を当委員会でお迎えしているということでございますので、外務省また大臣にもお伺いしたいわけです。先ほどから木宮先生、板垣先生初め、各委員の方々からもありましたように、同じような観点になるかもしれませんけれども、質問の切り口を変えてお伺いしたいと思います。
 北方領土においても、報道されているようにかなり大きな被害が生じている。生活基盤に壊滅的な打撃があって、復旧のめどが立たないという地域もあるやに聞いています。したがって、北方領土にいらしたロシア人がサハリンやロシア本土へ移住を余儀なくされたということも放映されておりました。
 今回、政府が千五百万円相当の物品を人道援助として十五日に根室港より発送したというふうに報告も受けました。現実に、本来我が国固有の領土であるけれども不法に占拠されている地域で、情報がある意味では入ってこないけれども、どうなんですか。送られたものが無事に現地の住民に届いたのかどうか、これは確認されているのかどうか。
 それからもう一点は、今回の、特に八割九割方やられているという色丹島を初めとして金額ベースで千五百万円の物資援助、千五百万、ちょっと少ないような気がするわけですけれども、先ほどの御答弁の中でも今後第二弾、第二陣といいましょうか、第三弾のこともやるように伺っておりますけれども、今後、金額的なベースでやるのかやらないのか。この二点、ちょっとお伺いしたいと思います。
#87
○政府委員(野村一成君) 最初の御質問につきましては私の方から答えさせていただきます。
 先生御指摘のように、非常に重要な点でございます。私ども、今回の支援がまさに四島住民に渡るという、そういう趣旨で行っておるわけでございます。四島をめぐる現状のもとでいろんな制約がございます。その辺については残念ながらそれを踏まえてやらないといけないわけでございますけれども、今回まず、私ども渡すに当たりまして、向こう側の責任者に対して、これはまさに被災民である住民に対するものであるということをきちんと指摘いたしております。
 同時に、この点につきまして報道関係者もあわせて今回の船舶に乗っておりました。私ども、マスコミを通じて、日本がまさに今回支援をやっているんだということを広く四島住民にもあわせて知っていただくということが大事だと思っておる次第でございまして、その辺、私どもの承知する限り、四島住民自身も我が国による支援についてよく承知しているというふうに考えております。
 したがいまして、現実に細かく現場でチェックというわけにはまいりませんけれども、被災者のために適切に配付、利用されているものと理解している次第でございます。
#88
○国務大臣(河野洋平君) 御質問がございました第二陣、さらに何かするかと、こういう御質問でございます。
 先ほど来お答えをしてまいりましたけれども、現地のニーズというものをできるだけ正確に把握をしたいというふうに考えております。現地のニーズというのは、つまり現地に住んでおられる方々が今一番欲しいものは何かと。私どもの支援の基本的原則は、緊急にそして人道的なものを届けるというのが我々の支援のための原則といたしておりますので、緊急に必要なもの、そして人道支援として届ける意味のあるもの、こういうものを準備したい、そのために現地のニーズを的確に掌握したい、こう考えております。もし、そういうことがきちっとできますれば、これは届けたいと思います。
#89
○風間昶君 もう時間がありませんのであれですけれども、今、外務大臣からお答えがあったように、まさに現島民の中に、北方領土返還になってこれから日本の統治下に入っていったときに十分ロシア人の方が安心していけるというような信頼感を醸成する意味でも、私はぜひ今後とも日本の持っている技術的な、いわゆる北方四島の社会開発を含めた支援というのも考えていくべきではないかと思います。難しいことがあるかと思いますけれども。
#90
○国務大臣(河野洋平君) 領土問題という極めて難しい状況下にある地域でございます。私どもはただいま、この支援については原則があって緊急で人道的なもの、こういうことを申し上げましたが、やはり何といっても、我々の主張する領土問題解決という基本的立場を崩すということのない、そういう支援をしなければならないというふうに思っております。
 そういう考え方に立ちますと、今、議員お尋ねの、社会基盤あるいはそのための技術支援というものが果たしてそういう緊急的な、なおかつ人道的なものであるかどうか、もっと具体的に言うと。そういうことについてもよく考えなければならぬと思います。
#91
○風間昶君 ありがとうございました。終わります。
#92
○委員長(坪井一宇君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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