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1994/10/27 第131回国会 参議院 参議院会議録情報 第131回国会 商工委員会 第3号
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1994/10/27 第131回国会 参議院

参議院会議録情報 第131回国会 商工委員会 第3号

#1
第131回国会 商工委員会 第3号
平成六年十月二十七日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         久世 公堯君
    理 事
                沓掛 哲男君
                吉村剛太郎君
                梶原 敬義君
                小島 慶三君
    委 員
                倉田 寛之君
                斎藤 文夫君
                中曽根弘文君
                前畑 幸子君
                村田 誠醇君
                吉田 達男君
                藁科 滿治君
                井上  計君
                松尾 官平君
                木庭健太郎君
                和田 教美君
                市川 正一君
   国務大臣
       通商産業大臣   橋本龍太郎君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       高村 正彦君
   政府委員
       経済企画庁調整
       局長       吉川  淳君
       経済企画庁国民
       生活局長     坂本 導聰君
       経済企画庁物価
       局長       谷  弘一君
       経済企画庁総合
       計画局長     土志田征一君
       経済企画庁調査
       局長       大来 洋一君
       通商産業大臣官
       房総務審議官   林  康夫君
       通商産業大臣官
       房商務流通審議
       官        清川 佑二君
       通商産業省通商
       政策局長     坂本 吉弘君
       通商産業省貿易
       局長       中川 勝弘君
       通商産業省産業
       政策局長     堤  富男君
       通商産業省機械
       情報産業局長   渡辺  修君
       通商産業省生活
       産業局長     江崎  格君
       資源エネルギー
       庁長官      川田 洋輝君
       中小企業庁長官  中田 哲雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        里田 武臣君
   説明員
       外務大臣官房外
       務参事官     安藤 裕康君
       大蔵省銀行局保
       険部保険第二課
       長        浦西 友義君
       厚生省薬務局企
       画課長      石本 宏昭君
       労働省職業安定
       局雇用政策課長  青木  功君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○産業貿易及び経済計画等に関する調査
 (日米包括経済協議に関する件)
 (景気の現状及び対策に関する件)
 (公共投資基本計画に関する件)
 (長期エネルギー需給見通しに関する件)
 (経済見通しに関する件)
 (円高の現状及び対策に関する件)
 (産業構造変革による雇用問題に関する件)
 (公共料金の改定に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(久世公堯君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○沓掛哲男君 自由民主党の沓掛哲男でございます。午前中よろしくお願いいたします。
 まず最初に、日米包括経済協議についてお尋ねしたいと思います。
 昨年七月の東京サミットの折に、宮澤・クリントン会談で日米間の経済問題を日米包括経済協議で取り扱うことが決まり、その後平成六年二月にワシントンにおいて細川・クリントン会談で日米包括経済協議が行われ、決裂して帰ってきた細川元総理は、日米間に大人の関係が構築されたと発言し、失笑を買い、心ある人たちは今後の日米関係に一抹の不安を持ったのであります。
 そのような背景のもとでのこのたびの日米包括経済協議でありましたが、橋本通産大臣には、日本時間十月一日未明から同二日深夜までカンターUSTR代表との精力的な交渉を積み重ねた結果、従来からの我が国の基本方針である、数値目標を設けない、また包括経済協議の対象は政府の手の届く範囲内の事項に限るとのガバメントリーチの原則を貫きつつつ、政府調達、保険、板ガラス及び米国の輸出振興・競争力強化といった日米間の懸案事項についての協議が基本的に妥結したことはまことに喜ばしい限りであります。これもひとえに、橋本通産大臣の長年にわたり培ってこられた日米両国での大きな政治力と信頼そしてこの問題にかける情熱とリーダーシップがあったればこそと心より敬意を表する次第であります。
 そこでお尋ねしたいのですが、このたび大筋決着した政府調達、保険、板ガラス及び輸出振興・競争力強化についての内容と、今回残念ながら合意に至らなかった自動車・同部品について何が問題なのかを説明してください。
 外務省、大蔵省、通産省の順でお願いいたします。
#4
○説明員(安藤裕康君) お答え申し上げます。
 日米包括経済協議に関しましては、橋本大臣と河野外務大臣が先月末御訪米になりまして米側と交渉されました結果、政府調達分野の協議も妥結いたしまして、今月七日には政府としてこの分野における措置を決定いたしました。今次協議の結果とられることになりました措置は、我が国の公共部門市場の電気通信及び医療技術分野における内外無差別、透明、公正、競争的かつ開放的な政府調達手続を確保するとともに、競争力ある外国製品及びサービスに対する市場アクセス及び販売を相当程度増大させることを目指したものでございます。
 具体的には、手続面に関しましては三月末の対外経済改革要綱で公表いたしました入札公告前の内外無差別、公正な情報の提供、随意契約の事前公示、苦情処理機構の設置等の手続を主体としつつ、今回さらに運用指針を作成いたしまして手続を補足した次第でございます。
 運用指針で規定された主要な改善点といたしましては、技術、機能要因を踏まえ総合的観点から入札評価を行う総合評価方式の基準額につきまして、現在予定されている九五年度八十万SDRから九八年度には三十八・五万SDRまで段階的に引き下げる等の点がございます。
 なお、措置の実施状況を評価するために用いる客観的基準に関連いたしましては、客観基準は数値目標ではなく、あらかじめ将来の結果を約束するものではないことを確認することができたわけでございます。
#5
○説明員(浦西友義君) 日米包括協議の保険分野におきます合意内容について御説明申し上げます。
 保険内容の分野におきましては、我が国の保険制度の規制緩和、それから生保、損保の中間分野でございます第三分野への相互乗り入れ、それから公正取引委員会による市場に関する調査等の競争政策等でございますが、それ以外にも、現在米国市場におきます外国保険会社、なかなか苦労しておるわけでございますが、米国保険市場に関するデータ、措置についても織り込んでおるところでございます。また、全体の措置の実施状況等の評価のための客観基準も含まれているところでございます。
 これらにつきましては、現在準備を進めております保険制度改革の目指す方向に沿ったものでございまして、金融の自由化、国際化の流れ等にも対応するものでございます。
 以上でございます。
#6
○政府委員(坂本吉弘君) 日米包括協議のうち、板ガラス並びに輸出振興、自動車・同部品につきまして簡単に御説明させていただきます。
 板ガラスにつきましては、大筋合意、細部をただいま協議中というのが実情でございます。
 この問題につきましては、我が国への米国製の板ガラスの市場アクセスに関しまして、我が国の民間慣行あるいは公共建築における外国製板ガラスの導入の促進といった幾つかの側面につきまして、私どもの方も輸入を促進するために業界の協力も得、また建設省の方におきましてもモデル的に外国製品を使うといったことも含めまして、調達先を多様化することも含めて外国製の板ガラスの使用を促進するという見地から、大臣にも直接交渉を願って大筋合意に達したところでございますけれども、具体的な文言、またさらに具体的な措置という点につきまして、なお米側と日本側とでさらに詰めるべき項目が幾つか残っております。今月末に向けましてただいま鋭意交渉をいたしているところでございます。昨日も少しレベルを上げまして交渉をいたして、月内に決着を見たいと、こういう態度で臨んでおるところでございます。
 米国の輸出振興・競争力強化につきましては、アメリカも当然のことながらその製品の国際競争力の強化に関して政府としてできることを最大限やってもらいたい、また輸出振興措置につきましても、アメリカ政府もアメリカの製品が我が国の市場に入りやすいように幾つかの強化措置というものをやってもらいたい、また日本もそれに対してできることは協力して当たる、こういうことでアメリカに当初より要求をしてきたことでございます。この点につきましては、商務省の方でもそれに熱心に取り組むということで合意に至ったものでございます。
 自動車並びに同部品につきましては、論点は大きく言って三点ございました。一つは、我が国の自動車メーカーが現地で生産いたしますときに米国の会社の部品の調達をふやすという点が一つ。またもう一つは、日本の市場におきまして米国製の自動車の販路拡大と申しますか販売促進のために我が国の自動車のディーラーの外車の取り扱いというものをどうふやすかという問題。くらに、運輸省の方で大変御努力をいただいたものでございますが、いわゆる補修用部品に関する安全規制面からの幾つかの政府の諸措置、これらを緩和並びに場合によっては幾つかの項目については廃止するといったことについての米側の要求がございました。
 このそれぞれについて詳しく申し上げるのは差し控えますけれども、一貫してアメリカ政府が要求いたしておりましたのは、民間の行動に対して政府が何らかの影響力を行使して市場に介入をするということを求めてまいったわけでございますが、先ほど沓掛委員から御指摘がございましたように、私どもといたしましては、今回交渉に臨むに当たりまして、数値目標というものを受け入れないとともに、政府が関与できるもの、また民間において処理すべきものとの限界線を明らかにし、いわゆるガバメントリーチの原則というものの立場に立ちまして臨んだわけでございます。
 本件は、この点は既にフレームワークのジョイントコミュニケに明らかにくれているところでございますけれども、米側からは端的に言ってかなり強い要求がございましたが、大臣にワシントンまで行っていただきまして閣僚交渉の結果、この点については我が国としては受け入れられないということを明らかにしたところでございます。
 なお、補修用部品につきましては、運輸省の方から現地まで責任者の方に行っていただきましてるる御説明いただいたわけでございますけれども、必ずしもアメリカ側の同意を得られず三〇一条の調査の対象になったところでございます。この点につきましては、一定の冷却期間を置きまして、米側から要求があれば我々としてその実情ないしは今後の方針、そのことを説明してまいる、かような状況にございます。
#7
○沓掛哲男君 次に、橋本通産大臣にお尋ねいたします。
 今回の日米包括経済協議に当たっての大臣の所感と、残された問題への対応について教えていただきたいと思います。
#8
○国務大臣(橋本龍太郎君) ただいま三省の事務方から御報告を申し上げましたような結果がまとまりまして、私自身ある意味ではほっといたした部分がございました。そして、特にその数値目標を排除したこと、包括経済協議の対象は政府の手の届く範囲内という原則に妥協をせずに済みましたことを、その意味では本当にほっといたしております。
 九月の初句にワシントンに参りました時点、非常に状況は厳しいものがございました。その状況の中で、最終的に一定の水準までの議論を煮詰めることができました原因は私は二つあったと考えております。
 一つは、隣においででありますけれども、高村経企庁長官に大変御苦労をいただきまして、公共投資基本計画の見直しにその時点で既に着手していただいておりました。またもう一つは、政府・与党の皆さんにも大変な御協力をいただいたことでありますが、減税を先行させる税制改正の論議がある程度煮詰まってまいっておりましたこと。この二点であると思います。
 これによって、少なくとも日本政府が経常収支黒字の意味のある縮小に努めるという姿勢をはっきりと示しましたことが、その後の個別分野の論議というものを随分スムーズにしていただきました。これは関係の方々に心からお礼を申し上げたいと考えておりますが、いずれにいたしましても、現内閣が一体となって解決に努力をする中でアメリカ側との間の信頼関係を築きつつあるその証左であると考えております。
 包括協議につきましては、現在十に近い非優先分野の協議が行われております。今後も我々としては粛々と協議を行ってまいりたいと考えておりますが、他方、自動車及び同部品につきましては、ただいま通政局長から御報告をいたしましたように米国が補修用部品につきまして三〇一条に基づいた調査開始を決定いたしました。これは非常に残念でありますし、カンター通商代表との議論の中でも、最後までそうした措置は事態の前進に無用な抵抗を生むということを私は力説をいたしましたが、アメリカ側としては国内法に基づいた調査開始を決定したところであります。
 一定の冷却期間を置いて、アメリカ側から求めがあれば再交渉ということを今局長から申しましたけれども、もし一方的措置が講じられます場合には、我が国はあらゆる措置をとる権利を留保しているという姿勢を譲るつもりはございません。
 また先般、紙及び林産物につきまして米国が将来スーパー三〇一条による優先外国慣行として特定する、その可能性の高い慣行というところとして掲げました。現在、このいずれもが非常に円満に事務的な協議が行われておる分野でありまして、私はアメリカ側がどういう意図をもってこういう措置をとったのかが理解できません。現在、そのアメリカ側の真意を確認しているところでありますけれども、いずれにいたしましてもこういう一方的な措置というのは非常に遺憾であります。
 引き続き、アメリカ側に対して指定の理由の十分な説明を求め、アメリカ側の意図を確認した上で対応を適切に考えていきたい、そのように考えております。
#9
○沓掛哲男君 橋本大臣初め関係者の皆様方の大変な御努力でこの日米包括経済協議も明るい方向に向かっていることに心から感謝する次第でございます。
 次に質問を移させていただきます。
 去る十月二十二日、二十三日に大阪においてAPEC中小企業担当大臣会合が開かれましたが、橋本通産大臣には議長としてこれを主宰され、各国の中小企業が抱える問題について意見交換があり、それを踏まえて中小企業育成に向けた諸施策について合意がなされるなど実り多き有意義なものであったとテレビ、新聞は報じております。橋本大臣のにこやかな笑顔が画面に映るのを私も何度も見せていただきました。
 橋本大臣から、直接今回の中小企業相会合の意義や会合を通じての所感をお聞きできればと思いますので、よろしくお願いいたします。
#10
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今回のAPEC中小企業大臣会合というものが初めて企画をされましたものでありますだけに、当初私どもとしては大変手探りの感じてこの会合の準備に当たりました。結果といたしましては、当初、次回以降の開催が全く予定されておりません状況の中で開会をいたしましたにもかかわらず、オーストラリアから、来年もう一度やりたい、自分の方でホストをしたい、今回の運営の方式を踏襲したいという発言が出てまいりまして、本当にその意味ではほっといたしました。
 今回の会合を意義づけるといたしますならば、一つは、中小企業というものがすそ野産業の担い手としてAPEC域内の産業構造を高度化していくと同時に、持続的経済成長の原動力となっている点について共通の認識が持てたこと。さらに、中小企業育成のための政策の方向性について、人材育成、情報、正確には情報アクセスと申し上げた方がよいかもしれません、さらに技術、資金調達及び市場アクセスといった分野を中心に政策の強化を図っていくべきだという点についても共通の認識を持ち得たこと。さらに、APEC域内の中小企業のさらなる発展のためにAPECとして行うべき具体的な取り組みとして、APEC産業見通しの作成並びに中小企業政策責任者による会合、日本流に申しますならばこれは中小企業庁長官に出席を願う会合になろうかと存じますが、の設置を勧告する旨の合意が生まれたことであろうと私は思います。
 そして、この成果というものは十一月のAPEC閣僚会議にも報告したいと考えておりますが、もう一つ大変大きかったのは、APECのやり方としては初めてのことでありますが、今回閣僚レベル会合と並行いたしまして民間セッションの会合を行っていただきました。これには本院御出身の谷畑政務次官に御出席をいただいて進めていただいたわけでありますが、政府レベル、閣僚レベルの会合と民間レベルのセッションとを午後からは一緒に開催をいたし、民間と政府双方向の対話を一般の参加者、聴衆の前で行い、くらに一般の方々からも意見をいただくという試みをしてみました。
 初め、必ずしも成功の自信があったわけではありませんけれども、この政府レベル会合と民間レベルセッションとの対話というものは非常に私は双方に得るものが大きかったと考えております。さらに、一般参加者として、APECに参加をいたしておりません例えばEUあるいはロシア、こうしたところからの代表者の発言の場も結果的に与えてさしあげることができた。そうした意味では、今APECの外にある部分からの意見も聴取することができたという意味で、このやり方はおかげくまで大変成功いたしました。来年のオーストラリアも同様の方式をとると既に宣言をしておりまして、こうした点は今後に引き継がれるものと思っております。
#11
○沓掛哲男君 日本で最初の中小企業担当相会合、非常に国際社会の期待にこたえられるようにやっていただいた大臣の手腕に心から感謝する次第でございますが、今大臣からもお話のありました次のAPECの首脳会議及び閣僚会議についてお尋ねしたいと思います。
 まず一つ、この十一月ジャカルタで開催されますAPECの首脳会議及び閣僚会議におきまして、我が国としてこれに臨む、アジア・太平洋地域発展のための基本的な施策をどのように考えておられるのか、事務局から説明いただきたいと思います。
#12
○政府委員(坂本吉弘君) 来月ジャカルタ並びにボゴールで開かれますAPECの閣僚会議並びに非公式の首脳会議に対する対応方針につきましては後ほど大臣からお話があろうかと存じます。そのベースとして、私どもとしてこのAPECの活動を中心として、アジア・太平洋地域に対してどのような認識で臨んでいるかという点について簡単にお話しさせていただきます。
 アジア・太平洋地域は、なかんずくこのAPECと申しますのは、御承知のとおりアメリカあるいは日本、そういった先進国とともにアジアの発展途上国を含んでおりまして、その内容はかなり多様な内容を含んでおります。しかしながら、いわゆる東南アジア地域を含めて近年急速に工業化が進んでまいりまして、それの持つアジア・太平洋地域経済並びに世界経済に対するインパクトはかなり大きなものがあるというふうに認識がくれると思います。
 したがいまして、この地域をさらに発展させていくためには、我々として従来から二つの柱、一つはこの地域の貿易・投資活動というものを可能な限り自由化していく、自由な方向に持っていく。しかし、発展段階のまだ進んでいない各国を急に自由化の風にさらすことは各国に混乱をもたらしかねない。したがって、同時並行的にこの地域の発展途上国に対する経済基盤のかさ上げ、経済基盤を引き上げるための措置を同時並行的に行っていくことが必要である。こういう認識をいたしております。ただいま話題になりました中小企業大臣会合もかような観点からこの地域の中小企業の促進、振興を図ろうという趣旨によるものでございます。
 それ以外にも、この地域の将来のエネルギーの問題あるいは人材育成の問題、技術移転の問題、こういった幅広い産業問題というものに同時に取り組みながら、そして一方において、この地域の経済水準のかく上げとともに、貿易並びに投資の自由な活動ができる地域に徐々にこれを持っていく、こういうことでアジア・太平洋地域に対する我が国の対応を図ってまいったところでございますし、またこの点を基軸にいたしまして今後とも対応していきたい、そういうふうに考えているところでございます。
#13
○沓掛哲男君 橋本通産大臣にお尋ねしたいんですが、今話題に出ております十一月のAPECの閣僚会議に向けた我が国の対応について、お話しできる範囲で結構でございますから、これから臨まれる大臣の抱負、決意等もお伺いしたいと思います。
#14
○国務大臣(橋本龍太郎君) 通政局長の答弁を補足するような形になりますけれども、多少お許しをいただきたいと存じます。
 私どもがこのAPECというものを考えました場合、GDPでは世界の五割を占めている、貿易量から申しますなら世界の四割を占めている、そしてまくに二十一世紀に向かい世界の成長センターとしての役割を担っている地域であるという基本的な認識を持っております。これは今後を考えました場台、必ずしもAPECだけではなく、世界経済全体にとりましても非常に私はよいことであると思いますし、共通の利益と考えております。
 その上、このAPEC地域内の貿易・投資の相互依存関係というものもどんどん進んでおりますし、そうした中で財、サービス、資本、そのいずれの流れもより自由かつ円滑にすることはこの地域内の持続的経済成長というものを促進するものでありますし、先般出席をいたしましたAEM・MITIの会合等におきましても、域内における貿易・投資の自由化に向けた声が一層強まっております。
 一方では、さまざまな発展段階を持つAPECの域内でありますけれども、この域内における経済協力あるいは技術協力の充実というものが、この地域の産業基盤の強化という視点から見ても非常に大切なものでありますし、アジア・太平洋地域全体の発展の基礎になるものと考えております。
 そうした中で、今局長から御答弁を申しましたように、貿易・投資の自由化という流れだけではなく、そのバランスのとれた発展を求めてまいりますためには、経済協力、技術協力というこの柱をあわせて進めていかなければならないというのが私自身の実感でありまして、十一月中旬の閣僚会議におきましても、こうした視点から日本としての貢献を考えてまいりたい、そのように考えております。
#15
○沓掛哲男君 では、これにも関連した質問ですが、世界の経済、政治の流れを見てみますと、昨年十二月十五日に実質合意したガット・ウルグアイ・ラウンドのように国際的な自由化を推し進める一方で、EUやNAFTAやAPEC等のようにブロック化しようとする動きがあります。さらに、マハティール首相の提唱するEAECの運動もございます。
 先月、私はAIPOの会議、アセアン・インターナショナル・パーラメンタリー・オーガニゼーションに出させていただきましたが、マレーシアの代表はこのEAECにおいて再三にわたって主張しておられました。帰りにマレーシアに寄りましたときにも、議会の副議長さんがこのEAECに非常に強い関心を示しでいろいろなことを発言しておられましたが、ここでは時間がございませんので省略して、こういうふうな、いわゆる世界を自由化していこうという動き、また他方でブロック化していこうという動きがございますが、こんなような動きをどのように見ておられるのか。通商関係という面も含めて、これは政府委員からひとつ学識経験のあるところを示していただきたいと思います。
#16
○国務大臣(橋本龍太郎君) 学識経験者からは後で補足をしてもらうことにいたしまして、今御指摘の点について私なりにちょっと考え方を述べてみたいと存じます。
 実は、私自身が今委員が御指摘のような地域化、ブロック化という流れを非常に懸念をいたしまして、一昨年NAFTAの成立以前に、当時の総理の親書を持ちつつメキシコに参り、NAFTAの動きというものが域外国を排除する方向に向かわないようにという話し合いをいたしてきた当事者であります。また、今回九月初旬にワシントンに入ります前に、そうした思いを持ちながらカナダに参りまして、四極通商会議を前にしてカナダに対しても同じような視点から議論をしてまいりました。
 私は、世界経済全体の中で、WTOを中心とする多国間の骨組み、枠組みというものの中で貿易・投資の自由化を図っていくことは極めて大切なことだと考えております。そして一方では、私は、欧州連合にいたしましても北米自由貿易協定保地域につきましても、それぞれの地域の地域統合の動きと申しますものは、域内における貿易・投資の自由化というものを通じて多国間の枠組みの強化に資する部分もあると思います。そして、あるいはAPEC等にも同じような声が寄せられるのかもしれませんけれども、域内の貿易・投資の自由化あるいはそうしたことを通じて世界経済の発展に資する面があるという議論は確かに成り立ち得るものだと思います。
 しかし、それが域外国に対する排除、差別的な扱いというものになったのでは多国間枠組みというものを損なう可能性を生じるわけでありまして、こうした観点から、WTOあるいはOECDなどの多国間の場で地域統合の動きについての監視を行わなければならない、そのように考えております。
 我が国自身、APECの一員として、その枠組みの中で開かれた地域主義という理念に基づいて現在も行動しておるわけでありますけれども、今後ともにWTOを中心とする多国間の枠組みの活用というものを中核にしながら、アジア・太平洋地域を含めた世界的な貿易・投資の自由化、ひいては世界経済の持続的発展に努めていくことが大切だと考えておりまして、こうした視点からこうした問題を眺めてまいりたいと考えております。
#17
○沓掛哲男君 では、今度は経済企画庁の方に少し質問を移させていただきたいと思います。
 まず第一に景気の問題ですが、景気の現状認識について説明してください。
#18
○政府委員(大来洋一君) 我が国の経済の現状を見ますと、設備投資につきましては、一部産業、例えば電機、機械のような産業で増加の動きが見られておりますが、設備投資全体として見ますと減少が続いております。また、雇用情勢につきましても、製造業を中心にいたしまして厳しい状態にあるというふうに申し上げなければいけません。
 しかしながら、住宅建設は着工戸数で見ましても高い水準で推移しております。また、個人消費には持ち直しの動きが広がってきております。減税等の効果が出てきている、あるいはストック調整が家計でも進んでいるということではないかと思います。
 さらに、産業面でも鉱工業生産は一進一退ながら持ち直しの動きが見られております。殊に八月の数字に関しましてはかなりよい数字が出ております。それから、企業収益につきましては下げどまりの動きが見られておりますし、日銀の短期経済観測などで見られますような企業の業況の判断、企業の景気の判断につきましては改善が見られておるところでございます。
 このように、我が国経済は企業設備等の調整過程にあるものの、このところ明るさが広がってきておりまして、緩やかながら回復の方向に向かっているというふうに判断をしております。ただし、為替相場の動向など懸念すべき要因もあるわけでございます。
#19
○沓掛哲男君 景気の見方についてはいい面も少し出てきている、そういうふうな感じだと思います。なかなか地方ではそういう感じをまだまだ実感しがたいのですが、今政府委員が最後に言われたように、文章はこの間月例経済報告に出た文章ですけれども、「我が国経済は企業設備等の調整過程にあるものの、このところ明るくが広がってきており、緩やかながら回復の方向に向かっている。」ということなんですが、回復の原動力あるいは起爆剤となったものは何なんでしょうか、今減税とかいろいろおっしゃいましたけれども。そこで、特に平成四年八月、また平成五年は四月と九月に、そして平成六年、ことしは二月に決められた総合経済対策の評価をどのようにされておられますか。
#20
○政府委員(大来洋一君) まず、景気回復の原動力につきましてお答えさせていただきます。
 最近の需要項目を見ますと、先ほど申し上げましたように設備投資はまだ減少が続いております。それから外需、輸出から輸入を引いたような数字で見るのがよろしいかと思いますが、この外需につきましてもマイナスが続いております。最近にかけましても輸入の方が輸出を上回っておりまして、先だって公表いたしました四−六月のGNP統計の中で外需がマイナスになっておりましたが、その傾向がそれ以降も続いているものと思われます。このように、設備投資と外需につきましては原動力とは言えない、むしろマイナスの作用を及ぼしている状況にございます。
 したがいまして、残りの部分が、景気の回復に寄与をしているというふうに考えられるわけでございます。殊に個人消費については、これは一部猛暑の動きもあったのではないかという見方もございますが、先ほど申し上げました減税の効果、それから最近自動車の販売が前年を上回るようになってきておりますが、これなどは減税の効果に加えまして買いかえ需要の顕在化というものがあるのではないかと思っております。これは言うなれば家計が手持ちの耐久消費財のストックレベルの調整をそろそろ終えてきたということではないかと思っております。
 それから、住宅、政府投資につきましてはこれまでのように下支え効果を十分に果たしているというふうに考えられるわけであります。それから、企業のマインドも改善してきておりまして、先ほど日銀の短期経済観測のことを申し上げましたけれども、そういった点から今後も企業の態度にも変化が出てくるということになりますれば、以上申し上げました以外にも原動力といったものが徐々に生まれてくる可能性もあると思っておるわけでございます。
 続きまして、対策の効果につきましては調整局長の方から。
#21
○政府委員(吉川淳君) 政府の経済対策の効果でございますけれども、今回の景気低迷過程の中で、平成四年八月以来ことしの二月の対策まで四回にわたりまして経済対策を実施してまいっております。
 総合経済対策の場合は、効果といたしましてはいわゆる需要喚起ということ以外の目的も入っておりますけれども、需要喚起に関する効果ということに限定して申し上げますと、主として大きな需要項目として政府投資の拡大と住宅投資の拡大が目的として掲げられておりまして、政府投資の場合は、特にこの効果が最もよくあらわれました平成五年度の場合におきまして、この年には一三%強の増加を見ておるところでございます。それから住宅投資は、これも効果が拡大いたしましたことしを見ますと、ことしの四−六月期でございますけれども、前期比で一〇%強の拡大、これは年率でほぼ五割という増加でございますけれども、こういう高い伸びに結実しているところでございます。このような二つの投資が今回の景気低迷過程の中で需要の下支えをしたというふうな意味で評価しているところでございます。
 過去の対策における効果との比較で申しますと、今回の場合は設備投資の低迷が非常に大きかったために、このような政府投資、住宅投資の堅調な効果をもってしてもなかなか設備投資の盛り上がりまではつながらなかったということでございます。
 ただその反面、今回は、今調査局長の説明にもございましたように、二月の対策におきまして減税の実施を決めておりまして、現在その効果が出てまいっているところでございまして、この点は過去の経済対策との比較でかなり顕著なものであるかというふうに考えておるところでございます。
#22
○沓掛哲男君 景気は、よろよろした状態の中で、四回の総合経済対策が景気の底割れを防ぎ、何とか少し薄日が差してきたようなところへ持ってきたというふうに思います。
 そこで、この景気浮揚を確実なものにするためにも年末にかけて総合経済対策の策定が必要だと思いますが、これについてはひとつ経企庁長官に御意見を伺いたいと思います。
#23
○国務大臣(高村正彦君) ただいま政府委員から説明いたしましたように、「このところ明るさが広がってきており、緩やかながら回復の方向に向かっている。」、こういうような状況下でありますから、ただいま必要なことは平成六年度予算を着実に執行することであると。もちろん先生御指摘のような懸念もいろいろあるわけでありますから、よろよろした面もあるわけでありますから、経済、為替の動向を現時点では細心の注意を持って見守っていきたい、こういうことでございます。
#24
○沓掛哲男君 今の財政状態で真水をふやすというのは私はなかなか大変だと思います。しかし、こういうことはできないでしょうか。それは、総合経済対策の中で年内に期限が来る施策がございますが、そういうものを一括して延伸を図ってもらいたい。すぐ真水は要らないけれども、真水があれば一番いいんですが、用意ができないと言うのであれば、この二月に決めてきた、その前からもずっと延伸しながら決めてきたんですけれども、そういう施策でもう十二月に打ち切ってしまうというのがあります。それは今お金が要るわけではないんで、その施策をもう少し延ばすという、せめてそれぐらいのことはできないでしょうか。
 例えば、民間設備投資を促進するための税制上の措置や、あるいは中小企業の構造的な経営環境の変化への対応の支援として創設された中小企業機械投資促進税制や高度省力化投資促進税制等は適用期限が平成六年十二月三十一日、ことしの十二月でもう切れてしまうことになっておりますが、こういう施策、設備投資をふやしていくための減税の施策は実は私はこれからが必要なんだというふうに思います。
 景気の悪いときに効果のあるのは何といっても真水、現ナマだというふうに思いますが、それによって明るさが見えるようになって税制などの誘導政策が効果を発揮するんだというふうに思います。税制上の優遇措置があるからといって、景気が悪くて物が売れないときに設備投資はなかなかやりはしないもんなんです。先行きに期待感が出てきたときに税制の優遇措置があれば、それじゃ少し早いけれどもひとつこういういい優遇措置もあるから頑張ってみたいなということで、私は今の税制の優遇措置というのは今まではあんまり効果がなかったんだと思います。
 ようやくこれから年末にかけて明るくなるんですから、そうしたら十二月にその税制を切ってしまうというのは、これはせっかくよくなるものに対して水を差すように思いますので、この総合経済対策の中で十二月にもう期限が来てしまう、そしてそれも真水でなくて今の税制上のようなものについてはもう少し、本来ならば年末までに総合経済対策をやらなきゃならない、しかし現下の財政状況を考えてみるとなかなかそれまではできないんだから、すぐ現ナマがなくてもやれるこういう税制等の施策を来年の三月まである程度延ばすとかなんとか、そういう措置ぐらいは経企庁でぜひやってもらいたいと思うんです。これはやっぱり事務当局ではだめですので、長官から御返事をいただきたいと思います。
#25
○国務大臣(高村正彦君) 今直ちに私がこれは延ばしますとか言える立場にあるとは思っておりませんが、景気が緩やかながら回復の方向に向かっているというのが一方であり、一方でそれにもかかわらず、企業設備等は多少の動きが見られるもののまだ調整過程にあるというのも事実でありますから、そういった状態を踏まえて個別具体的に判断していくべきだと、私はそういうふうに思っております。
#26
○沓掛哲男君 実力大臣の橋本大臣もおられるわけですから、みんなで力を合わせてひとつこの施策の延伸等に頑張っていただければというふうに思います。せっかくよくなってきたのに、いわゆる支えているものがここで全部なくなってしまうというのは、これは私は水を差すように思いますので、ぜひひとつよろしくお願い申し上げます。
 次に、公共投資基本計画に入りたいと思います。
 去る十月七日、閣議了解されました公共投資基本計画についてお尋ねいたします。
 一九九〇年に策定されました計画期間一九九一年から二〇〇〇年度の前公共投資基本計画がまだ四年目なのに、今回改定した理由は何なんでしょうか。
#27
○政府委員(土志田征一君) 委員御指摘のとおり、前の計画は四年たっておりますが、その間非常に、先ほどからお話がございますような経済対策ということもございまして、公共投資の増額あるいは社会資本の整備は順調に進捗をしております。同時に、先ほど通産大臣からもお話がございましたが、内需主導型の経済社会の実現に対しまして内外ともに強い期待が寄せられているところでございます。
 こういう状況をも踏まえまして、今般、本格的な高齢化社会の到来を控え、国民が真に豊かさを実感できる社会を実現するためには、人口構成が若く経済が活力のある現在のうちに、後世代に負担を残さないような財源の確保を前提として社会資本整備を一層促進していくことが必要である、こういう観点に立ちまして見直しを行ったわけでございます。
#28
○沓掛哲男君 主な改正点を簡単に説明してください。
#29
○政府委員(土志田征一君) 今回の公共投資基本計画は、ただいま申し上げましたように、本格的な高齢化社会の到来を控えまして二十一世紀初頭には社会資本が全体としておおむね整備される、こういうことを目標といたしまして、平成七年度から、一九九五年度からでございますが、十年間を計画期間としております。
 二点目は規模でございますけれども、公共投資の規模につきましては、この計画期間中におおむね六百兆円、これに内外の諸情勢の変化等に柔軟に対応し得るような弾力枠三十兆円を加えまして、総額おおむね六百三十兆円といたしております。
 また、三点目に質の面につきましては、生活者重視等の視点に立ちまして、前計画の考え方をさらに進めまして、生活環境、福祉、文化機能に係るものの割合を六〇%台前半に増加させるということにしております。さらに、これに加えまして新たなポイントといたしまして、急速な高齢化、に対応した福祉の充実あるいは高度情報化等にも適切に対応する、こういった点を施策としては考えております。
#30
○沓掛哲男君 前の公共投資基本計画は、スタートする前年の一九九〇年の公共投資額、ちょうどこれ決められたとき、夏ごろでしたでしょうか、三十兆二千億ということでしたが、これを発射台とすると、その前計画の四百三十兆円を全額使用するには年率六・三%の伸び率で事業費を増額していく必要がありましたが、今回の計画額六百三十兆円を全額使用するには事業費を年率何%で伸ばしていけばいいんでしょうか。
#31
○政府委員(土志田征一君) 総額六百三十兆円の考え方につきましては、先ほど申し上げましたように、社会資本が二十一世紀初頭には全体としておおむね整備される、こういった状態を目標といたしまして、同時に経済全体とのバランス等を総合的に勘案いたしまして設定したものでございますので、特定の平均伸率を用いて設定したものではない、この点をまず御了解いただいた上で、あえて機械的に逆算をさせていただきますと、現段階で把握可能な平成四年度の、九二年度でございますが、公共投資額の推計値が四十三兆円強という形になっておりますので、そこから機械的な伸び率は五%程度、こういうふうに試算されるところでございます。
#32
○沓掛哲男君 一、二年先のこともわからないのが、二十一世紀初頭においては大体社会資本が全部整備できるのをトータルにおいて見たんだから率が云々と言うのは、それは暴言だと思いますよ。やっぱりそれを着実にしていく、そういうためには現在よりも率を多くしていく、そういうような私は非常な努力が必要だと思うんです。
 そこで、次のことをお聞きしたいんです。十月二十日の日経の夕刊で米国の高官が日米包括経済協議について発言しておりますが、その最後で、日本がさきに決定した六百三十兆円の公共投資基本計画について、国内総生産に対する比率は低下すると述べておりますが、これをどういうふうに理解しますか。
#33
○政府委員(土志田征一君) 委員御指摘のような日経の記事につきまして、アメリカの高官が御指摘のような発言をしたかどうかということは私ども確認できておりません。
 しかし、先ほどから申し上げておりますように、総額六百三十兆円ということは、社会資本が二十一世紀初頭におおむね整備されるという目標と、それから経済全体のバランス、そういったものを総合的に勘案して設定したものでございますので、特にGDPに対する比率を念頭に置いたものではございませんけれども、今申し上げた経済全体とのバランスというような観点で申し上げれば、現在の経済計画における名目成長率の見通しとか最近の経済成長率の実績の推移、こういったものから見ますと、本計画の規模は経済全体とのバランスがとれたものになっているというふうに考えております。
#34
○沓掛哲男君 GDPとの関係が薄いとかと言うのは、それはあなた方玄人だからかもしれませんけれども、素人で一番わかりやすいのは、現在のGDPに対する比率よりもどんどん下がっていくようでは公共投資基本計画なんか決める理由は私は全然ないと思います。
 それで、あなたの計算は、九二年のいわゆる四十三兆二千億円をベースとして計算すると五%なんですね。前回のときは、一九九一年から発足したんですが、その前の九〇年に決めたとき、その時点でもう九〇年のその年の公共投資が幾らかを推定して三十兆二千億として計算して六・三%というのを出したんですね。
 それで、私もいろいろそういう方面は力がありますからちょっと自分で調べてみました。あなたが九四年の今を出すのを嫌だとおっしゃるから、九四年がどれぐらいになるかを推定して、そして自分で計算尺でずっと計算してみた。九四年の現時点で、私は自信を持っていますが、今、日本の公共投資をベースにしてこの六百三十兆円を満額ちゃんと消化するには幾らの伸び率になるかをやってみたら、四%を切っておりました。これはGDPは名目で言う値ですよ。ですから、GDPの名目は恐らくことしは四%、少し景気がよくなれば来年は四%、実質じゃないですからね、名目で上がっていくでしょう。ですから、これからGDPが四%名目で上がっていけば、いわゆる基本計画はアメリカの高官が言うようにGDPでは相対的に減じていくんですよ。GDPよりも減じていくような基本計画では、そんな胸を張って言える計画ではありませんね。
 ですから、あなたは盛んに二十一世紀の初頭に社会資本がおおむね整備できると。そんなことはわかりませんよ。それはそういう計画を立てるときの話で、それだったら今まであなた方のやったことを反省してごらんなさい。ですから、私は決してこれはそんな胸の張れるものじゃないし、米国のこの高官もただ言っているんじゃないと思いますね。だれかから私が今計算したようなことを聞いたからこういうことを言っているんだと思いますよ。そういう点、ひとつよく頭に置きながら、六百三十兆円で全体計画は決まったんですからいいですが、それを上回るような率で公共投資がなされるように努力していただきたいというふうに思います。
 そこで、次に移ります。
 公共投資基本計画の二番目の「社会資本整備のための主要な施策」の中で、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」を策定するということになっておりますが、これはどこの省庁がまとめるんでしょうか。答えられれば答えてください。答弁の後に述べたいと思いますが、企画庁にそういうまとめる意欲があるのかどうかもあわせてちょっと聞かせてください。
#35
○政府委員(土志田征一君) 御指摘のとおり、公共投資基本計画におきましては、「財源の確保に配慮しつつできるだけ早く新たな「高齢者保健福祉推進十か年戦略」を策定するなどにより、社会福祉施設、保健医療施設の充実を図る。」ということにしているわけでございます。
 本計画自身は基本的な考え方を示すわけでございまして、個別分野につきましてはそれぞれ各種の公共事業関係長期計画や各年度の予算というごとになっております。
 今申し上げた新たな「高齢者保健福祉推進十か年戦略」、最近では通称として新ゴールドプラン、というふうに言われておりますが、これにつきましては、老人保健福祉政策という分野の具体的な姿ということで、老人保健福祉を主管する官庁で取りまとめられているというふうに考えております。
 なお、私ども経済企画庁といたしましては、本年七月に経済審議会の経済計画のフォローアップ報告におきまして、いずれの世代においても不安のない生活を送れるよう総合的な施策の展開を検討する必要がある、こういう御提言をいただいたところでございます。
 現在、経済審議会のもとに少子・高齢社会委員会を設置いたしまして、こういった高齢社会への総合的な対応を御検討いただいているところでございます。
#36
○沓掛哲男君 これからの我が国にとって最も重要な課題である高齢者の福祉問題というのは、私は一省がやるんじゃなくて、やっぱりそういうものを全部まとめていくことが必要ではないか。そういう点で経済企画庁というのは、私も実は経済企画庁に昭和四十年から二年間お世話になったんですが、あのころは経済企画庁というのは光っておりました。いや、今だめだというわけではないけれども、藤山さんが経済企画庁長官で来られ、宮澤さんが経済企画庁長官で来られ、まさにあのころは経済発展というのが我が国の一番大事なことでしたから、みんな胸を張ってやっておりました。相対的な話ですからあれなんですが、気にしないでください。
 そこで私は、高齢者の福祉というのは生活にかかわるすべての面で、すなわち収入あるいは住居、ショッピング、医療、レジャー保といったそういう面で総合的にシステマチックに対応されているものでなければならないと思いますので、総合的なところでまとめてもらえればという気がするんです。
 特に私は、福祉というのはこれから大変お金を食うところですから勉強したいと思いまして、ことしの夏、医師会の代表で比例から出ております宮崎秀樹と二人で北欧へ行って、主にスウェーデンとデンマークでこの高齢者の福祉対策というのを勉強させていただきました。
 非常に私が感心したのは、一つはケアを必要とする程度に応じてサービスを提供するということ、そして二番はすべての人がいつでも受け入れられるという、この二つがなくてはだめだなというふうに思いました。
 一点目の、ケアを必要とする程度に応じてサービスを提供するために六段階が設けられておりまして、これを説明していると時間がないので六段階の名称だけ言っておきますけれども、第一段階はホームヘルパーによるもの、二番目はサービスホームによるもの、三番目が老人ホーム、四番目がグループホーム、そして五番目がナーシングホーム、そして最後がターミナルの病院、こういうふうに非常に合理的に分けられておりました。
 国民負担率についても、行く前に外務省から資料をもらったら、日本の国民負担率に相当するものは七二%ということですから、会う人ごとに、あなたの税金は幾らですか、あなたは一〇〇収入があったらそのうち幾ら自由に使えるのですかと聞いたら、まず最初に会ったナーシングの女性は、それは九〇%使えます、私ら一〇%、一五%程度しか払っていません、こういう話でした。
 また、もちろん日本の消費税に当たるものが二五%であるということ、またいわゆる保険的なお金については雇用者、雇っている企業者がその個人の負担の一・五倍を出さにゃいけないとか、そういう問題はあるんですが、非常に負担的には、税という意味では高い意識はありませんでした。私は日本より現実に払っているのは少ないというふうに思います。もちろん、いわゆる間接税が別にありますから、そういうものについてはいろいろあると思います。ただしかし、平均七二%の国民負担率ということは私はないと思います。私は帰りにデンマークの苅田大使にもそのことを強く申し上げたら、いや、私もこの人たちとつき合って、そんなに負担しているという実感はありませんねということでした。
 そういうことをいろいろ学んできた上で、やっぱりこれは一省がやるべきものではなくて、この間の製造物責任法のようなああいうまとめ方、国を挙げてやっていく、そういうことが大切だなと思いましたので、経済企画庁あたりがどうかなというふうに思ったので、これは私が言うべきことよりも、橋本内閣でもできたときにぜひひとつやっていただきたいというふうに思っております。
 さて、次に移りますが、十月七日の経済企画庁長官談話、これはいわゆる公共投資基本計画が決められた際の長官談話ですが、この中で非常に私も気にかかる重要な発言があるんです。それは、後世代に負担を残さないような財源の確保を図りつつとありますが、建設国債は後世代に負担を残す財源だと思います。そうすると、建設国債を活用しないでこの公共投資基本計画を実現していこうということなんでしょうか。それはとてもできることとは思いませんが、この真意をひとつここではっきり長官からお聞かせいただければありがたいと思いますので、よろしくお願いします。
#37
○国務大臣(高村正彦君) 先ほど政府委員からお答えしたように、必要な社会資本の整備を人口構成の若いうちにやっておこうということでこの計画を定めたわけでありますから、財源は全部後世代にツケ回したよというようなことは許されるわけではない。私はそれなりに当然の心構えを言ったつもりであります。
 ただ、それじゃ一切公債に頼らないのかといえば、それではできないというのは先生おっしゃるとおりでありまして、正確に言えば、過度の負担を残さないようにと、こういうことだと思っております。各時点での経済財政事情を踏まえつつ、可能な限り公債依存度を引き下げ、税財源を充当できるよう努めていく必要がある、こういうことを言ったというふうに御理解いただきたいと思います。
#38
○沓掛哲男君 これは大蔵省の言いそうなことで、この間いろいろ党でこのことについて聞きましたら、企画庁が答えるのを押し切って大蔵省の人が答えておりました。大蔵省の見解は、いわゆる軸足を今までほど建設国債にしないというようなことではないでしょうかねなんというのが大蔵省の担当の人の説明でしたが、きょう大変有意義な回答を長官からいただきまして本当にありがとうございました。
 次は、公共料金に移ります。
 公共料金について企画庁はどのような機能をお持ちなのでしょうか、事務局から教えてください。
#39
○政府委員(谷弘一君) まず、経済企画庁の方には、物価につきましては、設置法にございますが、物価に関する基本的な政策の企画立案、あるいは物価に関する基本的な政策に関する関係行政機関の重要な政策及び計画の総合調整という非常に広い権限がございまして、これを受けまして、具体的な観点といたしましては、物価及び国民生活に及ぼす影響という観点から、重要な公共料金の改定という問題がございましたときに所管省庁から協議等を受けまして必要な調整を行う、こういうことでございます。
#40
○沓掛哲男君 外から見れば、私たちは料金の協議省庁というふうに思っておりました。私もこういう料金関係をしておりましたので、そうですね二十年ほど前でしたが、物価局に何度も通った経験がございます。
 ところで、五月二十日に公共料金引き上げの年内凍結が閣議で決められましたが、当時凍結された七件の取り扱いがどうなったのか。これは時間もございませんので簡単に教えていただければと思います。
#41
○政府委員(谷弘一君) これにつきましては、まず七月の終わりに、この七事業につきまして経営の合理化あるいは一般の民間の経営努力というようなものに対応するようなことをしてもらいたいということで、事業の総点検というのを七つの事業についていたしました。
 これを受けまして、九月の終わりに高速道路の関連の料金につきまして料金の改定を進める、そのあとの六事業それから中小の事業等につきましても、この趣旨を踏まえましてこれから個別案件ごとに厳正な取り扱いをやっていくということでございます。
#42
○沓掛哲男君 私は、六月七日の本商工委員会でこの件について当時の寺澤長官に質問いたしましたが、羽田総理は、主務大臣の経済企画庁長官の意見も聞かず、五月十八日の昼ごろ長官に電話して、公共料金の年内の値上げの凍結を考えているとはっきり意向を示したと長官は答えておられます。そしてその直後の、二、三時間後の五月十八日の午後、熊谷官房長官が記者会見で公共料金の年内凍結を発表しております。その二日後の五月二十日に形式的に物価問題に関する関係閣僚会議を開いて「公共料金の取扱いに関する当面の措置につい保て」を決めております。
 公共料金の値上げ申請に至るまでの多くの関係者の並み並みならぬ労苦を顧みず、主務官庁としての企画庁の意見も聞かないという羽田総理の独断的かつ場当たり的なやり方に関係者はやりきれない無力感に沈んでいます、こんなことでは長い目で見て公共サービスの質は低下してしまいますよと。
 今後とも、公共料金の認可申請について経企庁に協議があるでしょうが、その際、私は言うべきことはきちっと言うべきだし、だめならだめとはっきり言うべきだと思います。しかし、その言葉には責任を持っていただきたいというふうに思います。時の総理が突然言ったからといって、何カ月もかけてきた協議が一瞬にして御破算ということのないよう信頼の得られる行政をお願いしたいと思います。
 今回凍結された料金についても、私は内容は申しません、だめならだめでもいいと思いますが、早く結論を出していただければというふうに思いますので、これについては企画庁長官に御答弁をお願いいたします。
#43
○国務大臣(高村正彦君) 羽田内閣で決めた年内凍結措置というのは村山内閣でもそのまま引き継いておりますので、公共料金の値上げそのものは来年からになる、こういうことは御了解いただきたいと思うわけであります。
 ただ、公共料金が上がることが来年からということは、必ずしもその認可手続に入ってはいけないということではないわけであります。総点検の趣旨も踏まえて、個別具体的に厳正に措置をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
 先ほど政府委員から答えましたように、例えば公共料金値上げ凍結といえば国民は皆さん喜ばれることは喜ばれるわけでありますが、それが一方では、既に建設命令が出ている高速道路が一切着工できなくなるというような状況もあったわけで、そういうことについては既に、値上げそのものは来年からでありますが、認可をしたと、こういうことでありますので、御了解をいただきたいと思います。
#44
○沓掛哲男君 次に、公共料金の決め方についてお尋ねしたいと思います。
 公共料金の規制方式としてプライスキャップ制、上限価格制のことですけれども、プライスキャップ制がアメリカの州際電気通信事業やイギリスの電気通信やガス事業等に適用されておりますが、経済企画庁ではプライスキャップ制について検討されておられますか。しておられればその状況を教えてください。
#45
○政府委員(谷弘一君) プライスキャップ制につきましては、現在日本におきましても大変議論が行われておりまして、あるいは学者の研究等もございます。
 そもそもはイギリスにおきまして電気通信事業の民営化ということで取り上げた新しい方式でございまして、基本的に規制緩和という方向には向かっているだろうというふうには考えておりますが、一方では、イギリス等の実績を見ますと、プライスキャップの上限のぎりぎりのところまで価格が、料金の改定が行われてしまうというような問題点もございまして、我々は、公共料金問題について日本にこれを導入するかどうかということについてはまた一長一短があるというふうな判断を事務的にはしておりまして、この辺は政府全体として慎重な検討が必要だろうというふうに考えております。
#46
○沓掛哲男君 去る十月十四日の日経新聞で、「通産省・資源エネルギー庁は十四日、電気事業審議会の料金制度部会に、電気料金制度の見直しを諮問する。」とあります。諮問されたのだと思いますが、新聞では、「欧米に比べて割高とくれる料金の水準を引き下げるためことあり、プライスキャップ制の導入の是非も検討するようですが、諮問の目的や内容について簡単に説明していただければと思います。
#47
○政府委員(川田洋輝君) 電気料金制度につきましては、今お触れの十月十四日に電気事業審議会料金制度部会を開催いたしまして検討に入らせていただいたところであります。
 まず、その目的、趣旨といったところから御説明申し上げたいと思いますが、我が国のエネルギー政策は、従来、安定供給確保ということを中心に据えてまいりましたが、これからのことを考えますと、この安定供給の確保というのは今後とも中心的な課題ではありますけれども、効率的な供給を加えるべきではないかという指摘が強くなってまいっておりまして、できるだけ低廉な価格あるいは消費者選択の幅を拡大するといったような論点が出てまいっておるところでございます。
 また、公共料金全般につきまして、先ほど委員お触れのようにいろんな論議が出てまいっておりまして、政府全体として公共料金の価格設定のあり方の検討あるいは料金の多様化、弾力化を進めるといったことが閣議で決定をされて基本方針になっているところでもございます。また、円高の進展によりまして内外価格差問題というのが大変大きな問題になってきておるところでもございます。
 こういった電気料金をめぐるいろんな問題を幅広い観点から御審議いただくということで、料金制度部会の開催ということをお願いいたしたわけであります。
 次に、その具体的内容に触れさせていただきたいと思いますが、今回の料金制度の検討に当たりましては、今後とも見込まれます需要の伸びに応じまして安定供給を継続していくため電気事業者の設備資金を適正に確保していくということが基本的前提でございます。その前提のもとに、電気事業者の経営効率化を促す仕組みをもっと制度的に導入できないか、あるいは料金の多様化、弾力化を通じた需要対策によって設備の増加を抑制できないだろうか、あるいは料金の持つべき基本原則である公平・公正をどうして確保していくか、あるいは料金制度の透明性の確保といったようなことが基本的な視点になるわけでございまして、保こういった目的あるいは基本的な視点というものを踏まえまして料金制度のいろんな課題を検討していただいて、来年一月末ぐらいには基本的なところでもひとつ取りまとめて結論を出していただくというようなことをお願いして議論を始めたところでございます。
#48
○沓掛哲男君 積極的に議論を進めていただきたいと思いますが、日本の官庁は民間の物やサービスの価格に私は口を出し過ぎるというふうに思います、自分の過去も反省して申し上げているんですけれども。料金や価格に関する客観的基準を決めて、その範囲内で民間の創意工夫を生かすべきだと思います。通産省や経済企画庁でも若い人たちがこのプライスキャップ制を随分勉強していろんな本に載せておられます。
 そこで私は、少なくとも株式会社にかかわる公共料金は原則プライスキャップ制のもとで自由にする、そしてプライスキャップ制では処理できない場合に限り例外で許認可にする、そういうことぐらいはひとつ目標を立てて速やかに実施してもらいたいというふうに思いますが、まず事務当局から、通産省、企画庁からお答えをいただきたいと思います。
#49
○政府委員(川田洋輝君) 御指摘の点でございますけれども、それぞれの公共的な事業の持つ内容などから総合的に考えなければならないと思います。
 電気について申しますと、すべての工場、事業場あるいはあらゆる家庭がお使いになるものでございまして、またほかにかわるものがないという商品特性、いろいろございます。したがいまして、公益事業規制を加える、そしてその中で料金規制というのが根幹になるということは、これは私は当然ではなかろうかと思っておるわけでありますが、ただ委員御指摘のように、その規制の内容をどういうものにすべきかということについてはいろんな論議をすべきではなかろうかというように思っております。
 ただ、先ほど経済企画庁からも御説明がございましたように、プライスキャップ制というのが、これが何かあるところでは万能の方式のように言われておりますけれども、実例を見ましても必ずしもそうすぐれたばかりというわけにもまいりません。
 したがって、私が先ほど申しましたように、電気事業における将来ともの安定供給確保ということを考えながら、かつ事業者に経営効率化を促す仕組みというプライスキャップで言われておりますいい点も加味しながら、幅広い観点から検討をしていただいて、我が国の実情にふさわしい料金制度をつくっていくということが大切なことではないかというように考えております。
#50
○政府委員(谷弘一君) 今、川田長官からお話がございましたようにいろんな要請がございます。国民生活あるいは物価全体の安定というような側面、あるいはそういう事業の合理化を進めていただかなければいかぬというような側面、あるいは地域的な一律の料金を設定しなければならないというような事態、いろいろな公共料金に背景がございます。
 しかし、そういう今ございますような規制の緩和と申しますか、規制のコストを減らしていくという一つの方向で、一方で物価の安定それから国民生活の安定あるいは経営の合理化というものが進むような、自主努力が進むようなそういう新しい方式というものをこれからも検討を続けていかなければならないというふうに考えております。
#51
○沓掛哲男君 もちろんプライスキャップ制が万能だとは私も思っておりません。しかし、そういうものを頭に置きながら、やはり今の公共料金の制度を改革していくことは、次に質問いたします内外価格差を見るとそうだなというふうに思うんです。私もプライスキャップ制が好きではありませんが、次に質問する内外価格差の実態を見たとき、これはやっぱり何かしなきゃいけないな、このままでいいというものではないなということを強く感じたので申し上げております。
 そこで、両大臣に今のこの公共料金についてお尋ねしたいんですが、企業のやる気を起こさせるためには創意工夫、努力によって利益が上がるようにしてあげることだと思います。努力してコストを下げれば料金は下げられる。努力しないでコストがかかれば料金を上げてもらえばいいではだめだと思います。公共料金について、以上のいろいろな議論を踏まえて両大臣のお考えをいただければと思います。
#52
○国務大臣(橋本龍太郎君) 公共料金のもとにおける民間事業というものは、これは低廉で良質なサービス提供というものを確保するために競争的な環境を整備し、事業の効率化を促進することが非常に重要であると考えております。さらに、その料金制度につきましても、事業者の創意工夫が働く、そしてかつ利用者の選択の幅が広がるように事業の内容、性格等を考えながら価格設定のあり方を検討し、料金の多様化、弾力化を図ることが大切であると考えております。
 こうした観点から、現在、当省におきましても電力・ガス事業につきまして、安定供給というものを基本的な前提とするものでありますが、事業者の経営効率化の観点も含めて幅広く料金制度の検討を行っているところであります。今後ともに我が国の実情にふくわしい制度の構築を図ってまいりたいと考えております。
#53
○国務大臣(高村正彦君) 企業合理化努力を促進するような仕組みをつくれということは非常に重要なことだと思います。非常に重要なことであると同時に、非常に難しいことでもあるわけであります。プライスキャップ制ということが議論になるようになったことは非常にいいことだと思っておりますが、必ずしもイギリス等でやられていい成果を上げているばかりではないというふうにも聞いておりますし、そういったプライスキャップ制あるいはその他企業合理化努力を促進する仕組みをどうつくっていくのかということはこれからも検討、勉強させていただきたい、こういうふうに思っております。
#54
○沓掛哲男君 次に、内外価格差問題についてお尋ねしたいと思います。
 我が国の一人当たりの平均所得は世界のトップクラスにもかかわらず、生活実感はとてもの感があります。所得と生活の豊かさの間に大きな乖離があるのは、日本の物やサービスの価格が外国に比べて著しく高いからと言われます。内外価格差の存在は我が国経済の閉鎖性、非効率性を示すものであり、豊かな国民生活を実現するとともに我が国産業を活性化させるためには内外価格差の是正が不可欠だと思います。
 平成五年十一月、経済企画庁の調査によれば、生計費比較では東京はニューヨークの一・四一倍、ロンドンの一・四六倍となっています。生計費の内訳で高いものから順に、食料品が平均で二倍、エネルギー・水道が一・八倍、被服・履物が一・六倍、家賃一・五倍などとなっております。
 そこでお尋ねしたいのですが、まず産業部門でも日米間の産業の中間投入における内外価格差は大変大きいものがございます。大きい順から見てみますと、石油が二・四倍、電力は一・六九倍、窯業が一・四八倍などとなっております。石油の保場合はいわゆる灯油の価格を上げないための手段とかいろいろございますので、ここでは電力についてお尋ねしたいんですが、電力が中間投入でアメリカに比べて一・六九倍と大変高いのは、これはどういう理由なのでしょうか。
#55
○政府委員(川田洋輝君) まず、内外価格差を論じます場合に幾つかの物差しというのがございます。確かに、現在の為替レート、一ドル当たり九十円台というようなレートで比較いたしますと相当大幅な差が出てまいります。購買力平価とかあるいは一時間当たりの労働賃金で買える電気の量というようなもので見ますと、また一つの見方が出てくるわけでございます。
 全体として見ますと、確かに今具体的な数字そのものについては委員御指摘のものと全く同じ数字ではございませんけれども、私が今手元に持っております数字で申しますと、アメリカとの比較では、現行の為替レートを用いました場合、家庭用の電力料金ですと日本を一〇〇とすると六七、産業用の電力料金で比べると日本を一〇〇として五九ということですから、今御指摘のようなおおむねの数字になろうかというように存じます。
 ただ、購買力平価で見ますとこれが一〇〇対一二六、一〇〇対一一一という数字に相なるわけでございます。また、一九八〇年から現在までの自国通貨での値上がりということで見てみますと、特定の会社ですが、アメリカは約三割上がっておりますが、日本は一三%下がっておる、こういう数字もあるわけであります。
 したがって、この違いが何によるかというところでございますけれども、我が国の電気事業によりますと、最大需要電力が大変高い伸びを示しておりまして、これに見合った供給設備、電気というのは生産と消費が瞬時に行われるというところから、この最大需要電力に応じた設備をつくるということで、設備投資額がアメリカに比べると大変な大きさになっております。我が国では、八五年以降の平均伸び率は五・九%でございます。平成五年度では四兆八千億という高い設備投資の水準がございます。アメリカの電気事業はこれに比べるとずっと低い設備投資の伸びになっておりますので、そういったあたりが基本的に違う点ではないかと存じます。
 それとあわせて、経営効率化を促す電気料金の仕組みといったようなものについて考えるところがあるのではないかということから、料金制度問題にも取り組んでいることは先ほど来申し述べてきているとおりであります。
 以上でございます。
#56
○沓掛哲男君 確かに、電力が高い理由は幾つかあるんだというふうに思います。今おっしゃったように確かに電力は設備投資が大変大きい、アメリカは少ないということですが、アメリカの場合は千を超える電力会社があって、それがある地域地域を供給しているんだというふうに思います。日本は九電力とか限った形で配電しているわけですから、どうしてもそういう違いはありますが、違うだけに規模の利益とかいろんなものもあるはずなんですね。今おっしゃった設備投資とか、それから為替レートももちろん影響していると思います。
 そこで、日本の国において、設備投資も大きく、そして日本の国にいますから為替レートのとおり影響も受けている例えば鉄鋼なんかを見てみますと、日米間で鉄鋼は日本が一・〇四、たった四%しか高くない。ほとんど鉄鋼については価格は日米間はイコールでございます。鉄鋼も大変大きな設備投資をされているし、為替レートも同じく計算してもそうです。それから、パルプ・紙なんかもほとんど一・二倍強です。
 こういうふうに不況であったとか、あるいは非常に国際競争力が厳しかったようなものについて見ると、いわゆる設備投資が相当大きなものであってもアメリカと余り変わらないんですね。競争が少なかったような部門のところは内外価格差が非常に大きいように見えてならないんです。もちろん、今おっしゃったように電力についてはピーク時を賄うということがございますので、そのためにはむだではありませんが、ピーク時のために備えたそういう余剰のものも必要だということはわかるんですが、それにしてもやっぱり高過ぎるなというふうに思えてなりません。
 それで、時間がないので、この内外価格差問題に取り組む方針などについて両大臣から御意向をいただいて、次の問題に移りたいと思います。
#57
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、内外価格差の問題は非常に大きな問題として国民生活の中でも取り上げられておる問題であります。しかも最近では、この内外価格差を放置いたしました場合に国内産業の競争力の低下というものが心配になるぐらい、現下の円高とも相まちまして、非常に深刻な状況を来しておることはもう御指摘のとおりであります。
 先般、当省といたしましては、税制改革大綱の決定の際、経済構造改革につきまして総理からいただきました指示に即して、消費財だけではなく中間財、サービスというものにつきましても価格差調査を実施いたしているところであります。従来、この中間財という部分に対しての我々の突っ込みが足りなかった。これは率直に反省をいたさなければなりません。
 その結果を公表することによりまして、消費者にも産業界の皆さんにも意識改革をしていただくよう、こうした努力を進めると同時に、価格差の要因と考えられるような政府の規制あるいは競争制限的な取引慣行というものを明らかにしながら、我が国経済全般の一層の効率化を図るための施策を講じていくことで内外価格差の是正に取り組んでまいりたいと考えております。
#58
○国務大臣(高村正彦君) 内外価格差の是正縮小に向けた取り組みについては、これまで実態調査に始まって、輸入の拡大、規制の緩和、商慣行の是正、円高差益の還元等、各般の施策の着実な実施を図ってきているところであります。
 現在、急速な円高の進展に伴って、産業界におけるリストラの対応、消費者の価格志向の強まりなどを背景に、経済全体において構造的変化とともに急速な価格体系の変化が生じているわけであります。
 こうした状況を踏まえまして、経済企画庁としましては、消費者・生活者の重視及び高コスト構造是正の観点から、物価構造を改めていくため、内外価格差の是正縮小を初めとする我が国経済社会が直面する物価をめぐる諸課題について、具体的な対応策も含めて物価安定政策会議に設けられた物価構造政策委員会の場で検討してまいりたいと思っております。
#59
○沓掛哲男君 次に、規制緩和に移らせていただきたいと思います。
 政府は、平成六年度内に五年を期間とする規制緩和を推進するための計画を策定するとしております。公的規制は、国民の生命、財産の安全の確保や環境保全といった社会的規制、すなわち安全の規制と、財、サービスの適切な供給あるいはまた望ましい価格水準の確保といった経済的規制に大別されると思いますが、昨年暮れの経済改革研究会、いわゆる平岩研究会の答申では、経済的規制は原則ゼロとし、規制を設けるならばそれは例外的な措置ということで考えるべきだとしておりますが、この平岩研究会の答申をどのように評価いたしておりますか。両省にお願いいたします。
#60
○政府委員(堤富男君) 平岩研究会の規制緩和につきましては、経済的規制と社会的規制と分けておりますが、経済的規制につきましては原則自由・例外規制と。それで、例外的な規制の分野としては電力・ガスあるいは石油に係る規制、公共料金などの価格規制、それから国際運賃等の国際的な共通ルールに基づく規制というようなものを例外としているわけでございますが、もちろん例外であるからといって何もしないということではなくて、それぞれ公正、簡素、透明性の原則のもとに弾力的な運用を図る、あるいは規制の弾力化を図るというようなことが書いてあるわけでございます。
 全体といたしまして、私たちとしましては、非常にバランスのとれた、かつ規制緩和に対する意気込みが明快に書いてあるものであると思って評価しておる次第でございます。
#61
○政府委員(吉川淳君) 平岩研究会は経済改革のための政策をどのように考えるかということで始められたわけでございますが、これはいわゆる私的研究会の流れといたしましては、かなり以前になるわけでございますけれども中曽根内閣当時に決定されました研究会の報告がございまして、その折に規制緩和については一応言われておったわけでございますけれども、その後の推移を見ますと必ずしも十分にやってこられなかったのではなかろうか、こういうふうな政策の提言上の流れがございます。したがいまして、平岩研究会におかれましては特に初期の段階でこの問題を重点的に取り上げて中間報告という形で早目に御発表になった、こういう経緯がございます。
 したがいまして、そういうやや長期的な政策の流れから申しますと、規制緩和に関するいわば決定版の提言であったのではないかというふうに考えております。その結果といたしまして、堤局長からも今お話がございましたように、非常に明確な原則的な考え方をお立てになったということではないかと思っております。
#62
○沓掛哲男君 次に、ここ一、二年で公的規制を何件したか、また同期間で公的規制が何件ふえたか、その結果として現在どれだけの公的規制があるかということをお尋ねしようと思ったんですが、それほどやっていないと思いますので、時間の関係上飛ばさせていただきます。
 さて、経済的規制緩和を徹底してやったらどうなるのかについてはいいお手本がアメリカにあります。昭和五十六年、レーガンが大統領に就任してから徹底した規制緩和をやりました。その結果どうなったかについては、大前研一さんが前に関係していたマッキンゼー社で調査してプレジデントに出ておりまして、その要約を説明しようと思ったんですが、時間がないのでそれを飛ばしまして、次にこの規制緩和についての私の考えを申し上げて、両大臣の御見解をいただきたいと思います。
 規制緩和は、企業の経営、雇用問題、労働関係、貿易等、各方面に大きな影響を与えるものですから、計画的に実施し、それによって派生する雇用問題等は雇用調整給付金などの制度を活用して対応するなどしながら精力的に取り組むべきものだというふうに思います。日本の役所は自分の所管行政については隅々まで徹底して関与いたします。それは一面では責任感、使命感が強いことによるものであり、他方、国民は悪いことをすべて役所のせいにすることにもなるというふうに思います。今まで程度の規制緩和では所期の効果は出ません。思い切った規制緩和を計画的に実施して、国全体の合理化、効率化を図っていただきたいと思います。
 その際、国民の自己責任についても十分PRしていただきたい。私はこれから国民の自己責任ということ、このことも重要な課題だというふうに思っておりますので、規制緩和について私なりの意見を申させていただきました。
 途中、説明すべきところを省略したことは申しわけございませんが、この規制緩和に取り組まれる両大臣の決意をお伺いしたいと思います。
#63
○国務大臣(橋本龍太郎君) 初めに、通産省として現在千九百八十六件の規制を持っておりますけれども、一割を目標ということで作業してまいりましたが、今年度末には恐らく二百件を超える規制の見直しか終了すると考えておりますということをまず申し上げたいと思います。
 その上で、私どもが規制の緩和と申しますものは、新しい市場を創出すること、消費者の選択の幅の拡大によって経済社会が活発化すること、さらに内外価格差を是正する上でも国際社会との調和と透明性の確保のためにも重要なかぎを握るものであると考えております。
 そして、今御報告を申し上げたような姿勢で既に通産省自身は取り組んでまいりましたし、今後ともに政府全体の規制緩和の牽引力になってまいりたい、そのような考え方を持っております。
 ただ、一点申し添えたいことがございます。
 実は、私は証券金融不祥事のときの大蔵大臣として、証券行政の見直しの第一歩に、いわゆる通達と言われる法律に基づいてはおりません規制の部分について手をつけました。そして、その通達の中で、証券業協会に任せるべき規制あるいは取引所に任せるべき規制というものを整理しつつ、必要なものは法律の中にむしろきちんと書き込むべきだという考え方で整理をいたしました。結果として、透明性は増しましたが、実は法律上の規制の数というものはふえたわけであります。必ずしも私は規制緩和というものを数の点からだけで論じないでいただきたい、自分の体験からそのような思いを持っておりますことも申し添えたいと存じます。
#64
○国務大臣(高村正彦君) 規制緩和についての先生のお考えには基本的に全く同感であります。
 経済企画庁は実質的規制は持っておりませんけれども、経済企画庁として規制緩和が経済にどういう効果を及ぼすのかというような研究成果を発表する等によって規制緩和の推進に貢献してまいりたい、こういうふうに思っております。
 具体的な経済企画庁の活動といたしましては、OTOを通じて市場アクセスの一層の改善とか、あるいは対日投資会議の運営を通じて外資参入環境の整備だとか、物価構造を改めていくため内外価格差の是正縮小に向けた具体的対応策の検討とか、そういったことをやってまいりたいと思っております。
 いずれにいたしましても、本年度中に政府が策定することにしております規制緩和五カ年計画の策定に経済企画庁としても積極的に貢献してまいりたい、こういうふうに考えております。
#65
○沓掛哲男君 次に、製造物責任法に移らせていただきたいと思います。
 製造物責任法は、本年六月二十二日、本委員会で審議、可決されました。七省庁から提案され、我が国民一億二千万人の権利義務に大きな影響をもたらす、さきの通常国会での最重要法案でありました。
 平成七年七月から施行されるわけですが、関係省庁はどのようにこの準備をくれておりますか。特に附帯決議九項目を頭に置いて、包括的説明を経済企画庁に、所管行政とかかわりの深い項目については通産省と厚生省から、時間の関係で済みませんけれども簡潔にお願いいたします。
#66
○政府委員(坂本導聰君) 御案内のように、製造物責任法は政府一体として取り組みまして、七省庁共同で提案させていただきました。
 この参議院商工委員会におきましても、あらゆる角度から御審議をいただき、全会一致で可決、成立させていただきました。また、附帯決議も全会一致で九項目をちょうだいいたしました。私どもは、政府といたしましては、この法律が着実に定着していくためには、ちょうだいいたしました附帯決議の趣旨の周知徹底を図っていくということが重要であろうと考えております。
 まず、その法律の内容の周知徹底、それから原因究明機関の整備充実、あるいは少額被害の紛争の処理の体制整備、あるいは事故情報の積極的提供、こういったような観点が重要であろうと考えております。
 経済企画庁といたしましては、今申し上げましたような趣旨から、七省庁共同の解説書をつくりまして周知徹底を図り、そのほかテレビ、新聞、ラジオ等を通じて広報を図っているところでございますが、さらにそれとあわせて引き続き、来年七月の施行に向けまして、広報の充実と同時に原因究明体制の整備、あるいは先ほど申し上げました少額被害の紛争の処理、あるいは事故情報の提供につきまして、関係七省庁と連携を密にして積極的な体制整備を図ってまいりたいというふうに考えております。
#67
○政府委員(清川佑二君) 来年七月一日の法施行までの一年間の周知徹底、対応準備期間の間に、通産省におきましては、附帯決議の内容を踏まえつつ、中小企業者、消費者などに対しましてこの法律に関する普及啓発活動を進めておりますほか、製品事故の未然防止、再発防止、そして被害救済対策から成る総合製品安全対策を衝極的に進めているところであります。
 具体的に申し上げますと、法の周知徹底につきましては法律の解説書の作成、多数のパンフレットの作成、テレビ、雑誌などの媒体による広報を行うほかに、各業界団体、地方の商工会議所、消費者団体等を対象にいたしまして説明会に取り組んでおりまして、現在までに八十カ所以上の説明を終わっておりますが、年内いっぱいまでに約百カ所、対象人員一万二千人を目途として説明会に取り組んでいるところであります。
 原因究明体制につきましては、国民経済上のコストもございますので、既存の専門的な機関、人材を活用しながら体制整備を進めているところであります。
 具体的に申し上げますと、通商産業検査所などの公的機関における究明体制の拡充強化、第二に、原因究明に関する知見を有する民間機関、例えば家電につきましては日本品質保証機構、日本電気用品試験所、あるいは日用品につきましては日本文化用品安全試験所などの民間検査機関におきまして原因究明の依頼の受け入れ体制を整備いたしております。第三に、原因究明能力のある民間検査機関、大学などに関する地域別、製品分野別の情報を整理いたしまして、これらの機関の紹介、あっせん体制を整備すべく、通商産業検査所に所要の検討委員会を設けまして、各般の意見を交換し、体制の整備に努めているところであります。
 裁判外の紛争処理体制につきましては、専門性、中立性、公平性の確保を図りながら、それぞれの製品分野の実情を踏まえて製品分野ごとの裁判外紛争処理体制を整備することといたしておりまして、近日中に関係の業界団体に体制の整備を要請する予定でございます。その際に、参考として、中立性、公平性を確保するためのガイドラインを提示することといたしております。
 なお、ついでながらでございますが、このガイドラインにつきましては、行政手続法にのっとりまして事前に公表いたしまして、行政指導の一環ではございますけれども行政手続法に従ったものとすべく努力をいたしているところでございます。
 事故情報の収集体制につきましては、通商産業検査所の事故情報室にフリーダイヤルファクスを設置するなど、収集体制を一層拡充強化いたしているところでございます。
 中小企業の支援につきましては、商工会、商工会議所、各種組合、中小企業事業団などにおける中小企業に対する法内容の説明、対応方法についてのパンフレット、テキストの準備が整いつつございますので、講習会などを開き普及啓発事業の実施を行っているところでございます。また、製品安全向上のための設備投資に関する中小企業金融公庫、国民金融公庫などの低利融資制度を創設いたしております。
 製品安全規制の合理化につきましては、本年七月の閣議決定を踏まえまして、平成七年度の実施に向けまして消費生活用製品などにつきましてそれぞれ検討を実施しているところであります。
 表示、取扱説明書の充実強化につきましては、通産省に設置いたしました表示・取扱説明書適正化委員会において取りまとめられました報告書に基づきまして製品ごとの自主基準の作成等を関係の業界に対して依頼を申しまして、附帯決議の内容を踏まえた施策を着実に推進しているところでございます。
 以上でございます。
#68
○説明員(石本宏昭君) 輸血用血液製剤につきまして、当院の附帯決議におきましては、「当委員会の審議を通じて明らかにされた製品の特殊性を考慮して総合的に判断されるものであることを周知徹底すること。」、また「輸血用血液製剤による被害者の救済については、その特殊性にかんがみ、特別の救済機関等の設置に努めること。」との指摘が行われているところでございます。
 御案内のとおり、輸血用血液製剤につきましては、現在の科学技術の水準では最善の努力を講じてもウイルス感染等の危険性を完全に排除し得ない一方で、今の危機に際してほかに代替する治療がないということで使用されるという特性を有しております。したがいまして、健康被害への対応のあり方を考えていく上で検討すべき課題は多くございまして、また血液事業を実施している日本赤十字社あるいは医療関係者の意見等も十分踏まえてまいる必要があろうと思います。
 このため、近く医学、法学などの専門家、日赤の参加を得まして検討会を設置し、幅広い観点から輸血用血液製剤による健康被害への対応のあり方につきまして検討したいと思っております。
 このほか、輸血用血液製剤の安全性確保のために、献血時における問診、B型肝炎検査あるいはC型肝炎検査、肝機能、HIV抗体検査等々の諸検査を充実しまして最高水準の安全対策を講じてまいりましたけれども、今後ともこの安全性の確保には十分努めてまいる所存でございます。
 また、関係省庁と協力しまして輸血用血液製剤の特殊性について周知徹底を図ってまいりましたし、また関係団体を通じて理解を図ってきたところでありますが、今後も日赤の献血事業あるいは職員の皆様が安心して事業を行えるよう、パンフレットの作成等も通じましてよく周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
#69
○沓掛哲男君 この輸血用血液製剤による被害者の救済についてはひとつ厚生省も全力を挙げてやっていただきたいと思います。
 今、いわゆる医者を患者が訴えるケースがふえてきております。私はそのこと自体は悪いことだとは思いません。しかし、この法律によってより今度は患者の方が医者を訴えやすくなるわけですから、それに対して今度医者は防衛しようとします。あなたがもし身近な方で、友人の親しい人に医者がおったらこの問題で聞いてごらんなさい。そうすると医者はどう言っているかというと、それだったらたらい回しになりますよということを言っているんですよ。ですから、何らかで救済する方法をきちっと考えないと、本当に助かる人がみんな輸血を受けられなくてたらい回しによって非常に不幸な目になることが多くなりますから、そのことをよく考えてやっていただきたいと思います。
 それで、次に移らせていただきます。
 次はエネルギー、特に電力についてお尋ねしたいと思います。
 去る六月二十二日、電気事業審議会の需給部会が長期電力需給見通しについて中間報告を行っております。それによると、電力需要の伸びを一九九二年度から二〇〇〇年度までを二・一%、二〇〇〇年度から二〇一〇年度までを一・六%とし、それに必要な電力供給目標を立てています。それによると、一九九二年度の実績、発電電力量七千八百八十二億キロワットアワーが二〇一〇年度には一兆一千三亘二十億キロワットアワーと一・四四倍が必要になります。その増分の三千四百四十七億キロワットアワーの電源内訳は、原子力で七四%、続いて石炭で二二%、LNGで一七%、水力一二%、地熱四%、新エネルギー一%、石油はマイナス三一%となっています。実に増分の七四%を原子力発電で賄わなければなりません。
 そこで、続いて二つだけ質問をして、もう時間が来ましたのでやめたいと思いますが、一つ目、石油火力発電による電力量は、一九九二年度二千百八十九億キロワットアワーなのを二〇一〇年度にはその半分の千百億キロワットアワーとするのはなぜでしょうか。ほかのものが随分上がっていくのにいわゆる石油火力発電だけを半分にしてしまうということ。
 それから二番目、原子力発電の発電電力量は、一九九二年度で二千二百二十三億キロワットアワーなのを二〇一〇年度には四千七百八十億キロワットアワーと二・一五倍にもする計画ですが、原子力発電は現在何基稼働しているのか。それを二〇一〇年度には何基稼働させなければならないのか。その増加の見通しを簡単に教えていただきたいと思います。
#70
○政府委員(川田洋輝君) 今後の電源構成をどう構築していくかということにつきましては、まず第一に供給の安定性、次に経済性、そして最近重要になっております環境特性、あるいは各電源の運転特性といったようなものを踏まえましたベストミックスを構成していくということが必要であろうという認識をいたしておるところでございます。
 その中で、今お尋ねの二つの大きなポイントでありますが、我が国の電源構成におきます石油火力のシェアについてでございますが、現時点でも石油火力のシェアは諸外国に比べまして依然として高いものがございます。これを今後においても依存度を減らしていくというのは、世界の中における我が国の立場として必要なことでございます。
 一方、石油火力というのはピーク電源として大変すぐれた需給調整機能を持っておりまして、電源構成の中で一定の役割、一定の任務を果たしていくということは必要なことだというように認識をいたしております。こういう考え方から、本年六月に出されました電気事業審議会の中間報告におきましては、石油火力につきましては、国際合意に留意しながら依存度の低減に努める一方で、老朽化に対応した設備のリプレースを適切に行うということを基本的考え方といたしておりまして、シェアで申しますとお触れのような一〇%を維持するというようなことでの供給目標が設定されている、こういうことでございます。
 もう一つの大きな課題でございます原子力発電につきましては、現時点で四十八基、三千九百六十四万キロワットが運転中でございます。そして、現在六基、五百八十九万キロワットが建設中でございます。運転中、建設中の原子力発電所を合わせますと五十四基、四千五百五十三万キロワットと相なります。二〇一〇年度におきましては、本年九月に閣議決定をしていただきました「石油代替エネルギーの供給目標」では七千五十万キロワットの原子力発電の設備出力を目標といたしております。先ほどのキロワットアワーは、この七千五十万キロワットの設備から生み出される電力量と、こういうことに相なるわけでございます。
 この二〇一〇年度の目標につきましては、具体的基数を前提といたしておりませんけれども、大体二千五百万キロワットということがこれから新増設をしなければならないものでございまして、仮に百十万、百三十五万キロワットの一基当たりの設備といたしますと、十八ないし二十三基程度の原子力発電設備をこれから新増設していく、こういうことに相なるわけでございます。
 そう簡単な目標であるとは思っておりませんけれども、ぜひとも安全の確保、平和利用の堅持を前提に、電源立地促進対策の充実などによりまして、国民の方々の理解と協力を得ましてこの達成に向けて努めてまいりたいと考えておるところでございます。
#71
○沓掛哲男君 最後に両大臣からち言葉をいただいてと思いましたが、時間が参りましたので、先ほど来大変有意義な貴重なお言葉をいただきましたことに厚く御礼申し上げまして、私の質問を終えたいと思います。
 どうもありがとうございました。
#72
○委員長(久世公堯君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   正午休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
#73
○委員長(久世公堯君) ただいまから商工委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#74
○梶原敬義君 通産大臣、これまで自民党単独政権のもとで大蔵大臣とか厚生大臣、重要閣僚を経験されました。今回は社会党の総理大臣のもとでの連立政権、その政権に今参画されておってどのような感想をお持ちなのか、そしてうまくこの連立政権というのがいきそうなのか、その点について最初にお伺いをしたいと思います。
#75
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、野党の立場にありました自由民主党の政務調査会長でありました。そして、日本社会党とさきがけの皆さんがまとめられました政策合意の案を拝見しましたときに、結構です、テーブルに着けますというお返事をしたその責任者であります。細かい点につきましてはあるいは論議はありましても、大宗として協力し合える、その時点で私は私自身の責任において政策的な判断をいたしました。今日、その認識が間違ってはおらなかったという気持ちをそのまま申し上げられることを非常に幸いに思います。
 それだけに、発足当初、内閣として私が一番気になっておりましたのは、委員からもそのような御質問が出る、それは恐らく当時の世間の受けとめ方一般というものを意識されての御質問と存じますけれども、非常に不安感を持たれて発足をした内閣でありましただけに、どうすれば三党が協力して社会党の委員長である村山首相をきちんと支え抜けるという姿を示せるか、その場をどこに求めるかが最大の課題と私は考えておりました。
 そして、ナポリ・サミットのお供をいたしましたときにも、そのナポリ・サミットの前に行われる日米首脳会談そのものの場が正念場、そのように考えておりましただけに、ここで村山総理が私どもがお願いをいたしました以上の首脳間の関係を築いていただきましたことに、その後の昼食の席上、私は本当に机に手をついて総理にお礼を申し上げました。
 今日、その状況をこれからも保ち続けられる、そのために全力を尽くしたいと考えております。
#76
○梶原敬義君 商工委員会の場でなんですが、政権が安定をして、特に経済を取り巻く環境というのは厳しいわけですから、両大臣ともそのように、中は安定させながら外に打って出るような体制をぜひ築いていただきますように、冒頭心から念願をする次第であります。
 そこで、二十五日でしたか、通産大臣と経済企画庁長官の所信、御発言をお伺いいたしまして、その中身を繰り返し読んでみました。通産大臣は、適切な経済運営をすることと、とりわけ「本年度中のできるだけ早い時期に本格的な回復軌道に乗せてまいりたいと思います。」と、このように述べられております。経企庁長官の場合は順序がちょっと逆でありまして、景気を一日も早く本格的な回復軌道に乗せるということを先に書いておりまして、そしてその後「我が国経済は、このところ明るさが広がってきており、緩やかながら回復の方向に向かっております。」と。まあ中身を入れかえたようなあいさつになっております。一つの政権の中ですからそんなに中身が変わるわけじゃないですが、ここは何で一体入れかわるのかというのをちょっと私は読んで疑問に思ったところであります。
 そこで、そういうことはいいんですが、当面最大の課題は、言われますように本格的に景気を回復軌道に乗せるということ、そしてそれは内需を拡大するということ、そして同時に、円高問題について後からお伺いをいたしますが、為替相場のあるべき姿を求める、それから日米貿易のインバランスを一体どのように解消していくのか、これらの課題に集約されると思うんですが、以下若干お尋ねします。
 我が国経済の現状については先ほどお伺いいたしましたから簡単で結構ですが、最初にもう一度お尋ねいたします。
#77
○国務大臣(高村正彦君) 我が国経済は、企業設備等の調整過程にあるものの、このところ明るさが広がってきており、緩やかながら回復の方向に向かっているということであります。ただし、為替等懸念すべき要因もある、こういうことだと思っております。
#78
○梶原敬義君 私は聞いておりまして、あるいは最近の資料の説明等も聞きまして少し気になるのは、ことしの夏というのは非常に暑かったですね。したがってどんどん扇風機が売れたりクーラーが売れたりいたしました。夏物の衣服もファッションも大分出たようです。同時に、ビールとか清涼飲料水の関係、それが出ますと今度は私が関係のあります段ボール箱の紙がどんどん売れる。非常に去年とは逆で、そういう面の数字が八月の経済指標あたりに少し多く出過ぎているのではないか、ちょっとそういう心配をするのですが、その辺は大丈夫かどうか。いかがでしょうか。
#79
○国務大臣(高村正彦君) 猛暑は一過性のものだからはしゃぎ過ぎてはいけないという意見があることはよく存じております。それはそのとおりなんですが、やはり波及効果もありますので、全体を見れば理論的には一過性なのかもしれませんが、景気は気のものでありますから、今後についてもかなり持続的に何らかのいい効果はある、私はそのように考えております。
#80
○梶原敬義君 本年度の経済見通しは二・四%ですね。これは前政権のときにはじいた数字なんでしょうが、しかしこれはいわば国民に対する、あるいは対外的にも公約みたいなものですが、ぜひ達成をしてもらいたいと思いますが、この点について今の時点でどのように把握されているのか、お尋ねします。
#81
○政府委員(吉川淳君) GDPで申しまして、ことしの二・四%の見通しでございますけれども、数字上は現在四−六月の数字しか出ておりませんので、これは毎年のことでございますけれども、第一・四半期の数字が出た段階ではまだ私ども経済見通しについて云々するということをしてきておりませんので、ことしもまた四−六月の数字の出た段階ではまだこの経済見通しにつきまして評価を下すということを今回も差し控えさせていただきたいと思います。
 ただ、内容的に少し御紹介申し上げたいと思いますけれども、二・四%の数字につきましては言うまでもなく内需中心の成長ということで描いておりますが、大きくこの需要項目を分けてみますと、政府の施策によりまして、かなりその影響もあって伸ばし得るもの、若干はやりの言葉で言いますと、いわばガバメントリーチがあり得るような需要項目と、それからかなり民間における御努力にまたねばならないそういう種類の需要項目とに分かれるかと思います。この大きな二つの需要項目のうち、特に政府がかなりかかわってまいっております例えば公共投資とか、あるいはさらに民間住宅もそうだと思いますが、このような需要項目につきましてはほぼ見通しのラインで今のところ走っているのではないかというふうな感じがしております。
 あと民間需要でございますけれども、まず消費でございますが、消費につきましてはことしは回復するのではないかという見通しを持っておりますが、この夏現在での判断では持ち直しの動きが広がりつつあるということでございまして、今後この広がりがさらに進みまして回復に達すればというふうに考えておるところでございます。
 問題は、消費よりもむしろ民間設備投資かと思っておりまして、民間設備投資につきましては、政府見通しではことしは前年比ほぼ横ばい、水準として上がりも下がりもしないような水準を実は描いておるわけでございます。これにつきましてはかなり御議論があると存じますけれども、他方でなお企業設備は余り動意が出ておらないのではないかという御議論がございますが、足元を見ますと、この三カ月ばかり機械受注が好調に上がってきておりまして、三カ月とも前年比増になっております。ただ、私ども若干慎重でございますのは、過去も三カ月先行指標が上がりました後また弱まったことがございますので、この辺はもう少し見てみたいと思っております。それから、その関連でもう一点、民間建設の受注もこの二カ月ばかり実はプラスになっておりまして、先行指標から見ます限り下期にどうやら設備投資が割合上がってきそうな気配もあるところでございます。
 したがいまして、この民間設備投資の見通しにつきましても、今のところ一応もう少し様子を見たい、こういうふうに思っておるわけでございます。
 それから、もう一点申し上げたいと存じますが、GDP上は四−六月までの数字でございますけれども、経済全体の大きな動きを反映しております鉱工業生産は割合最近までわかっておりまして、これにつきましては、今先生御指摘になりましたやや八月のでき過ぎということもあるかと存じますけれども、鉱工業生産の水準自体は政府見通しをかなり上回る水準に今現在ございます。
 ということで、片や明、片や暗というふうなことがありますが、現状ではもう少し状況を見させていただきまして、なおこの二・四%の達成を何とか遂げていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
#82
○梶原敬義君 やはりこれは診断をしながら、そしてどうも二・四%達成が難しいというような判断に立ては、そのときそのときに何か手を打っていかないと、自然に流されるままでは、これはやっぱり振り返ってうまくいかなかったなと、こういうことになりかねませんから、それはよく診断を企画庁の方で的確にしていただきたいと思います。
 まず、円高の問題ですけれども、あなたの大分前ですが、先輩であります吉冨勝さんという今長銀の総合研究所副理事長をされている人が円高問題に関する論文をエコノミスト誌に書いております。彼が言っているのは、落ちつくところに落ちつくだろう、そして九四年の均衡レートは百十から百十五円におさまるだろうと、このように見通しを立てられておるんですよね。
 どうなんでしょうか、今のこの円高。これはきょうの朝日新聞ですが、日銀の総裁はドルの全面安だというような言い方をしております。一方、新日鉄の会長は危機意識が薄いと、こういうような指摘をしておりますが、今大事なのは、為替相場というのは大体これぐらいが妥当だというような線を国民の前にやっぱり打ち出す必要があるんじゃないかと思うんですが、どのようにお考えですか、大体妥当な線というのは。
#83
○国務大臣(高村正彦君) 日銀総裁がおっしゃったように、ドルの全面安だというのは客観的な事実であろうかと思っております。ドルの全面安だと言ったからといって危機感が薄いということにはつながらない、大変警戒感は持っているわけであります。
 それで、このたびの円高というのは、十月中旬にドイツの総選挙の結果を見てマルク高、つられて円高、こういうことになって、必ずしもファンダメンタルズを反映していない、思惑を材料とした動きである、こういうふうに見ております。
 私が言える精いっぱいのところは、今の相場がファンダメンタルズを反映していない水準であるというところでありまして、だから百十円がいいとか百二十円がいいとか、そういうことはちょっと私の立場で言いにくい、こういうことであります。
#84
○梶原敬義君 かつてプラザ合意後の急激な円高で国内産業が非常に、輸出をやっている中小企業なんか壊滅的な打撃を受けまして、随分ここで議論をしたんですよ。
 そのときに、一つだけ記憶に残っているのは、経企庁はさすがだなと思ったのは、ある程度落ちついたら円高の効果が出ます、それは十兆円ぐらい出ますということをよく言っておりました。この苦しいのにようそういうことを言うわと、このように思いながら聞いておったんですが、時間がたちますと、石油にしても円高が響き、いろんなことが響いて、結果的には輸出競争力が非常に強くなって国内経済にも非常にプラス効果も出た。
 しかし、あのときに企業が対応したのは、輸出産業、例えば自動車あたりがよく言っていたのは、社内で三分の一合理化をする、利益を低めて三分の一合理化をする。あとの三分の一は部品等の納入業者、ここを三分の一ぐらい削る、安くする。三分の一は価格に転嫁をする。こういって随分絞ったんです。昔、乾いたタオルも絞って絞り上げるとやっぱり水気が出るというように、合理化を随分やってきた。
 今回もリストラというような言い方で合理化をやっているけれども、相当やられたけれども、前のときと今回の円高の状況というのは、企業やあるいは下請にも前と比べて対応力がない、現実的に。私はそう思いますよ、言葉は悪いけれども。ですから、それと同じような判断に立てるかどうなのか。私はやっぱりそこは違うんじゃないか。
 そして、空洞化の問題でも、私がよく知っている百名ぐらい使っている繊維工場の社長が、この前会いましたら、もう中国、上海へ行くんだ、このままいったらもう首つらなきゃならぬというわけです。もう五十四、五の人ですが、一億円持って、二年間帰らないんだと。悲壮な決意なんです。もう一つ違った話ですが、私のところも臨海工業地帯というのがある。そこの大きな化学肥料等をやっているメーカー、これがインドネシアにそれと同じぐらいの工場を今度つくるんですよ、もうこっちではなかなか大変だということで。そういう状況が幾つもあるんですね。
 だから、この点について少し認識が、前と同じような認識ではちょっと困るんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#85
○国務大臣(高村正彦君) 円高が急激に進んだ場合に、デメリットが最初にどんと出て、後だんだんメリットも出てくるということは私はあり得ることだと思います。
 ただ、前のときと全く違うというのは、今度の場合は内外価格差が開く方向での円高でありますから、前のときと基本的に状況が違うということはある、こういうふうに考えております。
#86
○梶原敬義君 まあそれまでにしておきまして、円高のやっぱり大きな原因というのは、それは確かにドル安だ、こう言っても、しかし今までどんどん外貨がたまって黒字が出た、これは否定できないと思うんですが、どうしてこの日米の収支をもう少し縮められぬのか。そういう手が一体あるのかどうなのか。
   〔委員長退席、理事沓掛哲男君着席〕
 私も前の連立のときに政策担当者でモンデールと話をしました。そうしたら、こんなにアメリカは失業者も出て大変なのに、何か買ってくださいよと、何か買うといったって、買うものがあれば買う、こういう議論をしたんですが、住宅と何か、余りないんですが、実際にしかしそれではやっぱり事が済まないので、何か日本がそんなに買う大きな買い物があるのかどうなのか、この点についてお考えを聞かせていただきたいと思います。
#87
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは、もし私の答弁の足りない点がありましたら事務方から補足をさせることをお許しいただきたいと存じますけれども、確かに委員が御指摘のように、非常に事態が深刻な中で、アメリカ側がまた日本から輸入しておりますものの中に資本財の占めるウエートが高いといった事情もありまして、この貿易収支幅を解消することは非常に問題を多く抱えております。
 そうした中で、公共投資基本計画の見直しとかあるいは税制改正というものがプラスに大きく作用する、これは経常収支黒字の圧縮という意味では私は効果を出すと思います。ただ、二国間の貿易に限定いたしました場合には、なかなかそれだけで済むものではございません。
 そうしますと、確かに今委員もちょっとお触れになりました例えば輸入住宅といったものは、私は一つの考え方の中にあり得るものと存じております。そして、これは製品輸入の促進ということだけではなく、逆に我が国自体にとりましても住宅価格が低減されるのではないか、あるいは国民にとっては住宅の選択肢が拡大するのではないか、そういったメリットも考えられることでありますし、住宅投資の拡大という点から経済の活性化、国民生活の向上にもつながる面を持っておると思います。
 そんなことも通産省として考えながら、輸入住宅展示場を開設したり、あるいは消費者への情報提供というようなことを今日までもいろいろ努力してまいりました。同時に、やはりよいものを提供するということが大事でありますから、輸入住宅の性能調査など新規施策に必要な予算要求も現在行っておるところでございます。
 なお、良質で安価な住宅を実現するために生活価値創造住宅開発プロジェクト、こうしたものを初めとする総合的な施策を進めながら、全体の効果としては、将来住宅というものについて現在の三分の一程度下がっていくことを目標として掲げながら努力をしておりまして、御指摘のような点からも住宅というのは一つの重要なポイントと考えております。
#88
○梶原敬義君 やっぱり内需の拡大、去年いろいろと私も参議院の政策審議会の仕事をしておりまして、自動車も売れないし電気製品も売れないし個人消費も冷え込んでおる状況の中で一体何があるのかと。確かに公共投資はあります。民間企業の設備投資は落ちている、操業度も落ちている。そこで、金利が非常に下がっておるから住宅金融公庫の貸出枠を、とにかく五十六万戸ぐらいを大幅にふやすと。これをもう思い切ってふやす。そして、金利は十年間固定金利ですから、ここに火をつければ民間資金も回る。そうすると、住宅が活況を呈してくると八百ぐらいある関連業種が潤ってくる。
 そういうことで、手元に届いておると思いますが、「公庫融資の経済波及効果」という紙があります。これは建設省の若い人と住宅金融公庫の若い人と私と三人でつくったものです、これはもう大分前ですが。
 これちょっと説明させていただくと、住宅建設事業、一兆円の事業を仮にやるとすると、その五三%、今までの統計から見ますと公庫融資五千三百億、五三%は公庫で、あと四七%が民間資金や手持ち資金だと。したがって、国が見るのはこの公庫融資の資金の利ざやだけ、財投から借りた利ざやだけです。わずかなものです。これもたかだか、高い方で見て四十二億円見ればいいわけですから、一般会計から補充している分はもうわずかでいい。だから、何十兆円も何百億円も出すようなことじゃなくて、わずかな金で大きな事業ができて、それで回るじゃないかということです。それで、物すごく大蔵省が抵抗しました、これは。建設省の担当者も大蔵省へ行ってははね返されて、もう言い切らぬわけですよ。これは政治的な判断で結局ふやしていったわけです。
 これは一つの例でありますが、本当にこの際、今大変需要も落ち込んでいる状況ですから、日本は何をしたか、バブルの後の不況のとき何をしたか、外貨がたまっているときに何をしたかと。やっぱり日本全体の住宅環境がよくなったぞと。こういう点でまだまだ力を入れる必要があるんではないか。
 住宅金融公庫の金利はどんどん上がり出しているからちょっと私もこれは心配でありますし、同時に、両大臣ぜひ頭に入れていただきたいのは、当時三%の消費税が全部がかる、今度は五%になるわけですが、そうすると、三千万円の住宅を取得した場合に百五十万円。だから部屋一つ分やっぱり消費税でかかるわけです。これに対する取得減税の措置はある。しかし、アメリカと比べると日本の住宅減税の内容は貧弱である。ですから、税制面と融資枠と金利の面等はやっぱりこれは後退をしないように、そんなに一般会計から金を出すわけではないから、もう一度ひとつぜひ御検討をお願いしたい。それが一つ。
 それから、もう一つは合併処理浄化槽です。これは厚生省の事業なんですが、地方へ行きますと川があります。川をずっと上ると、支流に上れば上るほど家は飛び飛びにあるわけです。今、排水の処理は、一つは公共下水道、それから農村集落排水事業、これはまとまってやる。それに単独処理と合併処理。この合併処理というのはし尿と生活雑排水と合わせて処理をするわけです。これが公共下水道とそれから集落排水等に比べると非常に安いんです、一世帯当たり。負担金も安いし、工事金額も安いんです。これはバクテリアで食わせる方法なんですが、この処理をずっと点々とある農村でやれば、上流の水源が非常にきれいに確保できるし、環境もよくなります。これは非常に予算が少ないんです、今厚生省の予算が。
 これは経済の波及効果というのは非常に大きいわけで、ここら辺の問題を新たな問題点として二つだけ、ほかのことはもう今やっております、公共事業もずっと言われているのはよくわかった上で言っているんですが、この二つについて、余り時間がありませんが、私の方からお願いをする次第でございます。いかがでしょうか。
#89
○国務大臣(高村正彦君) 住宅産業が非常にすそ野が広いというのはおっしゃるとおりでありますし、日本の住環境は必ずしも十分でない、先進国に対しておくれているというようなこともあるわけでありますから、こういったことについては累次の経済対策で今までもやってきて、そしてことしも非常に堅調に住宅投資が続いている、これが景気の下支えもしている、こういうことであろうかと思っております。
 当面大切なのは、平成六年度予算にも住宅促進的な施策が含まれておりますので、これを着実に実行していくことだ、こういうふうに考えております。
 それから、合併処理槽のこと、先生のお話を伺って私の頭に入ったわけでありますが、これから勉強させていただきたい、こう思います。
#90
○梶原敬義君 最後に、大臣に答えていただく前にちょっと一つ。
 やっぱり日本人の今の生活は、確かに所得は上がったかもわかりませんが、サラリーマンは非常に遣われているような毎日なんです。アメリカのサンフランシスコに行かれたらわかるように、ヨットがいっぱい浮かんでいますね、あの湾に。スウェーデンにこの前行きましたら、市役所の前のあの湖をずっと上ったら、別荘みたいなのがいっぱいあるし、ヨットもたくさんある。何で日本は厳しいのかというと、子供の教育費と住宅費にやっぱり金がかかり過ぎる。ここをどうかすることが、今の世代でやることが先の世代で相当ゆとり、豊かさが実感できるような社会になるんではないか、このように思うところであります。
   〔理事沓掛哲男君退席、委員長着席〕
 別荘がどんどんできるような、セカンドハウスができるような時代が来るように、特に日米貿易摩擦の昨今でございますから、何とかいい知恵を出して国民をリードしていただきたいと思います。通産大臣、御意見を伺いたいと思います。
#91
○国務大臣(橋本龍太郎君) 委員から御指摘のありました二点につきまして、経企庁長官が御答弁になりましたとおり私も受けとめております。関係の閣僚にも委員の御趣旨をお伝えしながら、全力を挙げて努力してまいりたい、そのように考えております。ありがとうございました。
#92
○前畑幸子君 先輩の梶原議員の後を受けまして、円相場の見通し、それから日米包括協議のこれからの先行きをもう少し、細かいことで申しわけないんですが、お聞きしてみたいと思っています。
 アメリカの根強いインフレ懸念から、円相場の先行きが大変危機感をぬぐえないでいるわけでございますけれども、先ほどからお話のありますように、緩やかなる回復基調にあるという大臣の御答弁でございますけれども、海外に生産の根拠地を移せるような大企業におきましては多少円高への抵抗力というものが強くなってきつつあるというようなことも考えられます。その証拠に、要するにアジアの方で製品をつくって逆輸入してきている電気製品などにおきましては円高が企業収益にある程度のメリットを与えてきているような気もいたしますけれども、もう少し私は中小企業を見させていただきますときに、そのあおりというものは大変中小企業には危機感になってきております。
 ですから、先ほどからおっしゃいますように、設備投資が減少しておりますけれども、電機などでは上向いている、そして建設業界も伸びておるという御判断のようでございますけれども、坪当たりの単価というものは完全に安くなってきております。単価の競争も厳しくなってきております。そしてまた、建築コストが安いので今建てるときですよという観点から、多少余裕のあるところは建設をしておりますけれども、その反面で、事務所、そして住宅にもあきが古いものでは随分目立ってきているという状況だと私は思います。
 それから消費におきましても、上向いてきているとおっしゃいますけれども、私の女性的な感覚からいきますと、デパートの売り上げそのものの内訳を見ますときに、やはり高いものは伸びていない、安いものを買わざるを得ない状況になってきて買うのである。子供の体が大きくなって買わざるを得ないとか、もう古くなって壊れたから買わなきゃならない、今まで耐え忍んだ時代が一年、二年と続いたわけですので、どうしても買わなきゃならない状況になってきたのではないかなというのが私の感じている今の回復の原動力のような気がいたしますけれども、企画庁としてその辺どういうふうにおとらえになっているでしょうか。
#93
○政府委員(吉川淳君) 現在、私の方では緩やかながら回復の動きが見られるというふうな判断をしております場合の一つのポイントは、確かに今お話のありました消費でございますが、ただ消費の方は、夏の歴史的な高温とかあるいは減税の影響とか、どの程度持続性があるものかにつきましては私どもやはりまだ判断をしかねておりまして、持ち直しの動きが出ているだろう、こういうふうな感じを持っているわけでございます。
 ただ、先ほどもちょっと御指摘させていただいた点でございますけれども、需要と同時に、需要と相並びまして動きます生産の動きも見ねばならないということで、生産の方は需要の動きから想定される線よりはかなり強うございまして、その辺が、判断をいたします場合にどちらに重きを置いて判断するかで大分変わってくるような気がいたしております。
 再び申し上げて恐縮でございますけれども、鉱工業生産の方は私どもが描いておりました見通しよりもかなり上回って現在推移しているところでございます。
#94
○前畑幸子君 上回っているというとらえ方をくれていますけれども、愛知県というのは工業県でして、日本に名立たるトヨタ自動車を中心に産業で今まで一生懸命頑張ってきた県なんですけれども、中小・零細企業におきましては、一時の一番いいときの受注率から言いますと半分から多くても六割というくらい受注が減っているというのが現状なんですね。まだこの秋口に向かってもその兆しというものは、私自身の見させていただく範囲では伸びているとは思えないんです。
 円高のデメリットだけが企業に反映されて、メリットというものが余り目に見えてこないんですね。デメリットがあればメリットが円高の中にはなければいけないんですけれども、今こうして百円を切って久しいわけですけれども、そのメリットというものはいずれは出てこなきゃいけないと思うんですが、その辺の先行きに関してはどのようにお考えになっているでしょうか。
#95
○政府委員(吉川淳君) 今回の円高のメリットの点でございますけれども、前回の円高に比べますと、これは水際での輸入価格の低下がどの程度末端の消費者段階での価格に影響しているか、こういうふうな形でとらえたものでございますけれども、前回の円高に比べますと今回の方が非常に早く、しかもその規模も大きい形で消費者段階には到達している。こういう形での円高のメリットは少なくとも前回に比べます限り今回の方があるのではなかろうか、こういうふうな点がございます。
 ただ、この点が、例えば現在言われておりますようないわゆる価格破壊的な動きとして非常に企業の間の競争等をめぐります状況に対して新たな要因をつけ加えている、こういうふうな面もございますので、今度はまたこれはこれで企業の方の新たな対応が要求されるという意味での問題があるんだろうと思っております。ただ、消費者の観点からいたしますと、少なくとも前回に比べてそういう面でのメリットはあるようだというとらえ方をしているところでございます。
#96
○前畑幸子君 平成五年二月以降の急激な円高の進行がついにことし、六年六月からはほとんどもう百円を突破してしまって、もう少し早く景気が回復するかなと思ったものを大変冷やしてしまっているわけですけれども、内需主導型経済への転換がなかなか進んでいないということが私は原因していると思うんですね。
 この状況のもとでの円高というものは、国内産業の空洞化やら雇用の不安をますます今強めておりまして、中小企業などの経営危機というものは、私は皆さんのお考えになっているよりももっと悪い状況ではないかと。それはある意味で国民の生活すべてに打撃を与えている。外国人労働者の雇用はなし、季節労働者の働く場所もオフ、そして主婦層のパートの働き場所も減ってきているという大変厳しい状況が続いているような気が私はいたしておりますが、この状況で年内には回復基調に向かうと思われますか。経済企画庁長官、先行きはどう思われますでしょうか。
#97
○国務大臣(高村正彦君) 確かに御指摘のように、円高等に伴って中小企業等大変厳しい状況であることは認識はしているつもりでございます。
 ただ、先ほどから申しておりますように、住宅投資あるいは政府投資が非常に堅調に進んでいる中で、政府委員も先ほど申しましたように、円高のある意味での消費者に対するメリットが前の円高のときよりは届いているというようなこともあって、個人消費も持ち直しの動きがあると。そういう中で、個人消費がさらに改善することによって企業マインドが改善する、そしてこれが設備投資の回復につながっていけば本年度じゅうに本格的回復軌道に乗るのではないかという強い期待と、そうしなければいけないという決意を持っているわけであります。
#98
○前畑幸子君 ぜひ年末までに明るい見通しを見させていただいてお正月を迎えたいと思いますので、お願いしたいと思います。
 また、橋本大臣は、先日来大変お忙しい中、日米包括協議で頑張っていただいたことを感謝いたしますけれども、クリントン政権の戦略として、日本市場の客観基準というものを数字ではかるということを大変主張してきているようです。私の地元は自動車がありますので、その中で自動車とか部品分野に関しまして大変強硬のようでございましたけれども、保険分野の合意の中には目標の設定ができたということで、次に自動車分野にも形だけの合意ではなくて今後の目標に圧力をかけてくるのではないかなという気がいたします。
 そうした意味で、今後のこの自動車部品における基本的な交渉の見通しというものについてちょっと御説明いただけたらと思います。
#99
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今回の包括協議の中での自動車及び自動車部品について一番大きなアメリカ側の関心事項は、委員の御指摘のとおりにまくに部品の自主調達計画、これは自動車工業会として加盟の各社がそれぞれに自分の経営の中での目標を設定されたものの集計でありますが、これをもっと積み増せということは一つの問題点として確かにございました。
 しかし、これはもともと包括協議の外のテーマでありますし、くらに政府の関与すべき範囲の外の話でもあります。そして、それを積み増すとか積み増さないとかいうのは、それは個々の企業経営の上での判断の問題でありまして、政府間において交渉すべきことではありません。
 私が一つ貫き通しましたのは、政府が関与できる範囲を超えた約束はできない、そしてそれは一つ一つの産業界、さらにはその産業界を構成する各社がみずからの経営戦略の中において決定すべき事項だ、この原則を崩さないということでありました。この点はおかげくまで守り抜くことができたと思っておりますが、にもかかわらず、アメリカ側は依然としてそうしたことを報道によりますと求めておる形跡はございます。しかし同時に、これからも譲るつもりはございません。
 ただ、問題はその補修用部品という部分でありまして、運輸省の言い方で言いますと重要保安部品と申しますものにつきましては、アメリカ側は一九七四年通商法三〇一条というものに基づきまして、この補修用自動車部品の分野について不公正貿易慣行という特定を行いました。私としてはこれは極めて残念であります。
 今回、運輸省の事務方の諸君は、安全というものを前提に置き、現行の制度を崩さない範囲で妥協できるぎりぎりの努力をしてくれたと私は思っております。しかし、その保安部品制度というものを一回全廃してしまった上で、改めてその安全に係るものだけをもう一度考えればいいではないかというアメリカ側の主張とは、どうしても食い違いが埋まりませんでした。基本的に制度を存続させていく、その中で譲るべきものを譲っていこうという考え方、制度を廃止してしまえ、その上で安全に係るものだけを拾えという主張、この部分はついに相入れなかった部分であります。
 ただ、多少時間をちょうだいして恐縮でありますけれども、このとき私がアメリカ側に申しましたのは、自動車事故の中における整備不良の率を見てくれということでありました。警察庁の調査によりますと、日本の自動車事故の中に占める整備不良を原因とする発生率は〇・〇三五%と言われております。アメリカは州ごとに制度が違いますために統一した数字はございません。しかし、アメリカの会計検査院の調査結果を調べてみましても、少ない州で〇・五%、多い州では三・五%が整備不良を原因とする事故でありました。少ない州でありましても日本とは一けたの差があるわけであります。
 これは、車検制度というものに基づき組み立てられております日本の検査制度、さらには重要保安部品という制度があって、それだけの役割を果たしている証左だ、私はそういう議論をいたしました。しかし、アメリカ側は廃止がまず前提であり、その上で安全性にかかわるものという議論の組み立て方をし、それが結果的に三〇一条の特定という事態を招いたということであります。
 現在のところ調査の開始が決定されただけでありまして、具体的な影響は生じておりません。しかし、もし一方的措置が講じられました場合には、我が国としてはあらゆる措置をとる権利を留保している、こうした姿勢で臨むつもりでありますし、当面私はアメリカ側から議論の再開を求められましても、冷却期間を置いた上で、求められればという構えを崩しておりません。
#100
○前畑幸子君 日米は基本的にまだ交渉をこれから続けられると思いますけれども、ぜひ信念老持って対応していただきたいとお願いを申し上げたいと思います。
 それから、先ほど午前中に御質問のありました法人関係の租税特別措置による、十二月で切れる中小企業機械投資促進税制についてちょっとお聞きしたいと思います。
 今、法人税の減収は、租特による減収というのはどのぐらいありますかということと、それからこのうち中小企業と言われるところに対応する税額分はどのぐらいあるでしょうか。
#101
○政府委員(中田哲雄君) 租特法全体につきましては、ちょっと私手元に資料がないのでございますけれども、中小企業関係の、現在景気対策として実施しております御指摘の機械関係の税制につきましては、四つの税制を合わせまして約一千億の減税というふうに考えております。
#102
○前畑幸子君 私のいただいた資料によりますと、法人税は四千三百二十億円で、大体中小企業はそのうち四割以下ぐらいだろうということのようです。
 そこで、私この租特という問題は、今特定の政策目的実現のために、税負担の公平などを原則的に考える場合に、なるべくならばこうした例外的なものを少しでも少なくするようにしていくのが今後の公平な税制を求める上では正しいのではないかなと思いますけれども、これは経済政策の一つとして入った税制ですけれども、目的効果というものは十分あったのでしょうか。その辺の結果はまだ出ておりませんでしょうか。
#103
○政府委員(中田哲雄君) 中小企業関係のただいま申し上げました機械関係の特別措置につきましては、中小企業の投資自体が大変に低迷をしておる中にありまして、これを刺激するといいましょうか、この投資を支えるという効果は相当に発揮してきているというふうに私ども考えているところでございます。
 ちなみに、これらの税制の対象設備につきまして投資の伸びを見ますと、設備を絞っている税制がございますけれども、これにつきましては前年比で六%以上の伸びになっている。全体の機械関係の投資が落ち込んでいる中で、この税制はそれなりの意義があるというふうに見ているところでございます。
#104
○前畑幸子君 与党税制改革大綱には、七年度改正で抜本的整理の方向を打ち出しております。この措置は経済対策関連で時限を区切って導入されたものですから、これが終了した場合は一度廃止してもう一度考え直すべきではないかと思うんです。
 やはりこういう不況のときですから、経済立ち上がりのためにもこうした税制というものが求められて私は正しいとも思います。しかし、私が先ほどから申し上げましたように、半分以下の中小・零細企業におきましては、この特別償却を認めていただいていてもその償却を実際に決算の上で反映していない企業が大半になってきているわけです。普通償却すら繰り延べているのが今の中小・零細企業の実態なんです。それをしなくても要するに赤字ということなんですね。
 今までの設備投資に対する金利負担に中小企業は今苦しんでいるという状況でございますので、このままこの特別償却を延長していただくなり再度導入していただいても、その恩恵というものは中小企業には余り日の目を見ないのではないかなと私の感じとしてとらえているんですが、いかがでしょうか。
#105
○国務大臣(橋本龍太郎君) 実際面においての専門家である委員の御意見として、今の御意見は私は真剣に拝聴いたしました。ただ、本日朝、日本商工会議所を初めとする中小関係団体の方々の御意見を伺いました時点で、それらの方々から租税特別措置の存続の御要望がありましたことも事実でありまして、これも御記憶におとどめいただきたいと存じております。
 もともと租税特別措置というものの性格が、時代の要請に応じて政策を遂行していくための最も行政コストのかからないすぐれた手段ということでありまして、景気の本格的な回復あるいは空洞化の防止、新規産業興し、リストラ支援、くらには経常収支黒字の削減など、経済改革のために解決すべき課題が山積しております中で、変革期における政策税制である租税特別措置というものの意義というものは、私は依然として大きなものがあると思います。
 ただ、まさに政策税制でありますから、時代の要請に応じて常にその政策的効果あるいは目的というものを見直していくべきでありまして、今日までもスクラップ・アンド・ビルドの原則に基づいてきちんとした見直しか行われてきたところでありますけれども、新たな政策課題が山積しておりますことからすれば、今後についてもより一層政策的な要不要の判断をきちんと行いながら見直しを進めていかなければならないと存じます。
 他方、委員が御指摘になりました既往の金利負担というものは、確かに私自身が問題だと思っておりますのでありますからこそ、昨年の暮れに出されました第二次補正予算案、さらには本年度予算案の衆議院議了の時点におきまして、当時野党でありました自由民主党として、既往の借入金利の高金利部分についての借りかえを予算の組み替え要求の一つの大きな理由として政府側に対し求めたところでありまして、そうした委員の御指摘というものは素直に私は拝聴したいと思います。
#106
○前畑幸子君 大臣には大蔵委員会でも大変この辺の租特に関しましては御意見を拝聴してきましたし、私自身もこの制度が全くなくなっていいというものではなくて、すべてがなくなるわけではないので、今回の十二月に切れるのは、要するに経済対策関連で入ったものですので、いかがなものかと思うわけです。一定の期限を区切って設備投資減税を実施したものですから、やはり現時点、ある意味では過剰設備投資の調整過程にある現時点ですから、さらなる投資減税の効果が果たして認められるのでしょうかというのが私の思いなんです。
 そこで、この減税という形よりも、私はむしろこれからの中小・零細企業が立ち上がるときには、設備近代化資金というのがございまして、無利子という貸し出しかございます。こういうものに無利子の融資を考えていただけたならば、税金が出なかった、二期、三期の赤字繰欠を今抱えています企業にとっては大変効果が出てきて、やはり投資をしようという気にさせるのではないかなと。
 それからもう一つ、機械だけが経済効率を求めるのではなくて、やはり美容院の設備にしても喫茶店の内装にしても、少し景気が上向けば直したい、きれいにしたい、新しくしたいと思っているいろいろな企業があるわけで、近代化の機械だけに限ってしていただくのではなくて、中小企業のあらゆる業種に金利負担という形で見ていただくと、繰越欠損金を抱えて悩んできた企業が明るい見通しが立てられるのではないかなというような、私の独断的な見方ですけれども、いかがでしょうか。
#107
○国務大臣(橋本龍太郎君) もう委員御承知のように、小規模企業の一部の部分につきましては無利子融資も行われております。ただ、私どもこの点で非常に感じますのは、委員も幾つかの業種あるいは医療機関等までお挙げになったわけでありますけれども、その中における政策金融の役割をどこまでにすべきかということでございます。
 私は政策金融は必要であると考えて今日までも行動してまいりました。他方、今行政改革という一つの考え方の中で、例えば特殊法人の廃止という議論はそのまま政策金融機関についてもその矛が向けられておるわけであります。しかし、私は政策金融機関は必要だと考えて今日までまいりました。
 そして、委員がお触れになりましたような、例えば喫茶店について環衛公庫がその役割を果たす、あるいは社会福祉・医療事業団が医療機関に対しての資金提供を行う、今後ともに私は、こうした厳しい経済情勢であればあるほど政策金融の必要性というものは拡大をしていく、そう考えております。
 行政改革というもう一つの我々の大きなテーマにつきましても、そのような視点を持って臨んでまいりたいと考えておる次第であります。
#108
○前畑幸子君 税制では追いつかない、先ほど御答弁にありましたと思いますけれども、優遇税制のみで景気回復を求めるということは大変厳しい状況に今ある企業が多いと思いますので、ぜひ金利面も考える中でこの租特のあり方も考えていただきたいと思います。
 以上でございます。
#109
○小島慶三君 新緑風会の小島でございます。本日は両大臣、御出席をいただきまして本当に御苦労さまでございます。時間が余りありませんので、要領よく問題点を四つ、五つに絞りましてお尋ねをしたいと思います。
 まず、先般の両大臣の所信表明、ここでうかがわれます現在の経済の状況、景気観といいますか、これは先ほど来いろんな方から御質問がありましたように、緩やかな回復、しかしまだ調整過程だということに尽きるかと思っております。それで、事務方のお話を伺いますと、これから下期にかけての経済、景気の回復というものはこれは期待されるというか、そういう形で政府の公約、公約ではありませんが、二・四%という政府見通し、これが達成できそうだ、あるいは達成しなきゃいけないと、こういう話もあったんですけれども、私の経済予測といいますか、そういう点から見ると、どうもこれは少し無理ではないか、希望的な観測が強いんではないかというふうに思われます。恐らく二%台まではなかなかいかないんじゃないかと思うんですけれども、この点は論争になりますから省略をいたします。
 それで、例えばOECDのレポート、それからモルガン・スタンレーのレポート、こんなものを見てみますと、日本のことしの見通しは一・六ぐらいになっております。これに対してヨーロッパ、あのフランスでさえ三%ということで、かなり日本はそういう意味では蚊帳の外といいますか、そういう状況になっているかと思いますので、これは大臣の所信にもございますが、今後の適切な経済運営をお願いしたい。これはお願いでとどめておきます。
 ただ、私もう一つもっと心配なのは、中長期の日本の成長力という点についてでございます。
 まず第一に、成長力の最初の要因というのは人口の成長率、成長力であります。しかし日本の人口は、御承知のように最近少子化ということに伴いまして、これは厚生省の人口問題研究所のデータで見ますと、九三年が一・四六、ここまで下がってきております。それで、これがこの辺で反転をして上昇していく、二〇一〇年ぐらいまでには一・八〇まで戻って、その後横ばいになるという見通しが示されておりますけれども、私はこれも大変疑問に思っております。よほどの人口政策といいますか、そういったものをあれしませんと日本の人口は成長要因にならない。殊に若年労働力のウエートが下がっていきますので、そういった意味で日本経済全体のバイタリティーというものは高くならないというふうに思っているわけでございます。
 それから、第二点としては、それでは人口の成長力をカバーする程度の技術進歩率というものは果たしてどうなるのか、資本の生産性と言ってもいいんですけれども、その伸びがどうなるかということでございます。これも最近はアメリカから逆に差をつけられてきているというふうな状態でありまして、これは今まで基盤的な研究開発をやってこなかったとがといいますか、そういうものがあると思うんですけれども、これが急にまたイノベーションを起こしてアメリカを追い抜くというふうな形に、果たしてそこまでの成長力があるのかということになりますと、私これも若干疑問に思っております。
 それから、三番目の要素というのは、これは今まで随分日本も海外投資をやってまいりましたが、その海外投資が実を結んでまいりまして、日本からの資本、日本からの技術というものがだんだん実を結んでまいりまして、それで逆に、日本と並ぶところか、物によりましては、産業によりましては日本にどんどん輸入が入ってくる、こういう状態になってきております。これに加えて、最近の円高の圧力というものがございまして、この圧力によってどんどん日本の企業が海外の賃金の安いところに進出せざるを得ない、こういう状態。きょうもいろいろお話が出ましたけれども、そういう状態でありまして、言うところの空洞化というものはどんどん広がってきている。これが産業的にも地域的にもかなり問題があるということであろうと思うんですね。
 それで、さらに円高になりますので、日本から今度は部品あるいは機械、いろんなものを輸出しまして、そうしてその現地化を図っていくということで、これがさらに日本の輸出の黒字ということにカウントされますから黒字がふえて、そしてそういう点から円高がさらに進むという円高の悪循環というものが出てきておるのではないかと思っております。
 今後もこれが緩和される見通しというのはちょっとないのではないかというふうな感じを持ちますと、さっきの人口、技術、それからこう。いったブーメラン効果といいますか、こういった三つの要素から日本の経済というのはこれからそう高い成長率は期待できない。私は、恐らく一%台といいますか、本年もそうだろうと思うんですが、一%台の成長をするということもなかなか容易ではないというふうに思うのでございます。
 かつてあのケインズが、イギリスが成熟期に入りましたときに、イギリスの経済というのは一%台の成長にたえないということを言ったことがあると記憶しております。そういう点で考えますと、これからの経済運営というものは一体どういうふうなことになるのか。ここのところを両大臣にお伺いしたいと思うんです。
 要するに、一%台が実力であるならば、それに沿って身の丈を考えるという、そういう考え方に立つのか。それとも、日本経済に覆いかぶさってきているいろんなニーズ、例えば国際貢献、高齢者対策、もう全部そういったいろんなニーズがかぶさってまいりますから、それを満たすだけの期待成長率といいますか、そういったところまで経済を引き上げていく、こういう考え方に立つのか。いわゆるこれは小さな政府と大きな政府という議論になるかもしれませんけれども、その辺のかじ取りが非常に私は問題だろうと思っております。
 そういう点につきまして、両大臣からひとつこれからの日本経済についてのかじ取りの見通し、こういうことについてお話しいただきたい。よろしくどうぞ。
#110
○国務大臣(高村正彦君) 政府が簡素で効率的でおる必要はあると思いますが、これからの成長率が中長期的に見て一%台でいいとは思っておりません。まだ欧米先進国と比べてやり残した社会資本の整備等々たくさんあるわけでございますので、いろいろな工夫をして、高度成長とは言いませんけれども、持続的、安定的成長を遂げていく必要がある、こういうふうに考えております。そのためには、経済の活力を出すために規制緩和等、経済構造改革を進めていく必要がある、こういうふうに考えております。
#111
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、高村経済企画庁長官から大きくお答えをいただきましたので、多少それを補足するつもりで、他の角度から私なりの考え方を申し上げてみたいと存じます。
 委員が御指摘になりますように、出生率の低下は、当然のことながら高学歴化と相まって若年労働力の激減を招きます。これは以前から実は私は申し上げてまいりまして、本院でも従属人口論に立つ御意見との間で大蔵大臣当時論戦をさせていただいたこともございました。
 しかし同時に、それでは我が国の労働力が逼迫する状態がすぐに想定されるかと言いますなら、私は必ずしもそうではないと思います。同時に、現在既に中高年齢層の雇用の問題というものは大きな問題になっておりますが、産業界も当然のことながら、今の雇用構造をある程度変えても必要な人材というものは現在のそれぞれの企業の中で受け入れている年齢よりも高年齢の方々を受け入れていく方向にならざるを得ません。
 同時に、国家としてある程度活力のある社会を維持しようといたしますならば、雇用人口が減少することは我々は避けなければなりません。むしろ微増するぐらいの状態に持っていきたいということを考えざるを得ないわけであります。
 その場合には、当然のことながら、中高年齢者の雇用と同時に、現在男性に比べて社会進出のテンポのおくれております女性の社会進出というものをより積極的に我々は誘導する方向に社会を変えていかなければなりません。しかし、その場合には今度は、子供たちに対して家庭にかわる環境をどうつくるかというテーマと同時に、社会活動の年齢を過ぎた高齢者に対する介護の仕組みをどう組み立てるかという問題を発出いたします。当然ながら、こうした分野に対しては新たな産業分野が成立するわけであります。これはもう委員が十分産構審の委員としても御承知のことでありましょう。
 今、産構審は十二の分野を今後拡大していくべき分野として想定いたしておりますが、医療・福祉の分野においてもこうした想定がなされております。私は、実は通産大臣就任直後に、産構審答申で見積もっているよりも医療・福祉の分野はより大きな職域となり得るのではないかということを申したことがございますが、今申し上げましたような考え方をとってまいります限り、当然のことながら私はそういう方向が出てくると思います。
 同時に、雇用構造の変化の中でもう一つ我々が着目しておくべきことがあろうかと存じます。それは、今非常に限定された範囲にとどまっております人材派遣業というものの役割をもっと社会的に拡大していき、人材派遣業における教育のレベルを高めると同時に、私は日本の大企業というものはやはり基本的には終身雇用制をどういう形であれ存続していくと存じますけれども、その中で、どうしても景気によるバンドの部分を生ずることが想定されます部分を埋めていくのはこの人材派遣業というものの活用のいかんである、そうした問題もあろうかと考えております。
 いずれにいたしましても、委員が御指摘になりましたような技術についての基礎研究について、我々はこれからより積極的な投資も行わなければなりませんし、これは高村長官に御苦労いただきました公共投資基本計画の見直しの中でも新たに取り上げるべき分野として我々がお願いをしたところでありますが、こうしたものと相まって成長率が保たれる努力というものを我々はしなければならない。委員の御指摘にもかかわらず私はそう考えております。
#112
○小島慶三君 どうもありがとうございました。
 それで、いろんな課題がかぶさってきておりますし、世界の中の日本経済でございますからその課題に向かわなければなりません。ということで、そういった成長力をこれから養成していくという必要があると思いますし、大臣のお話の中にも中長期的な産業構造の展望についてのお話もございました。そういった意味で、通産省のブレークスルーといいますか、その切り口としてはそういった産業構造の新しい成長力の展開というか、そういうことがあると思うのでございます。
 今お話しの中にもございましたが、産業構造審議会の総合部会の中でいろんな新しい分野が示されておりますけれども、その辺につきましてどういう分野がどの程度の成長力、それからどの程度の雇用力、市場と雇用の関係、これは政府委員の方で結構ですが、お伺いしたいと思います。
#113
○政府委員(堤富男君) お答え申し上げます。
 小島委員御指摘のように、日本経済の今置かれた立場というのは、今までの右肩上がりの時代とは大分違ってきたというふうな認識がございまして、産業構造審議会で二〇一〇年あるいは二〇〇〇年でどういう経済構造になるだろうか、あるいは産業構造になるだろうかということを御審議していただきました。その結果、実は二つのシナリオができておりまして、一つは三%程度の成長が続くというシナリオと、政策のよろしきを得ない場合にはその半分ぐらいの成長のおそれがあるということを言っております。
 ただ、その中で、今後どういう分野の需要が伸びるかということを真剣な議論をいたしました。その中で、一つはこれからの日本人が必要とするものは何だろかということをいろいろ考えた結果でございますが、例えば我々はもっと健康が欲しいとか医療が欲しいとか福祉が欲しいとか、あるいは環境、住宅、そういうものが欲しいというニーズはまだまだ強いんじゃないだろうかというようなニーズ分析から入ったわけでございます。
 あわせまして、これからどういう技術が出てくるか、その技術のシーズから見て先進国らしい産業を興すことができるであろうかというようなことで、例えば情報・通信関連分野ですとか、あるいは新エネルギーの分野、新しい製造技術の分野とか、そういうようなものを加えまして合計十二の分野で、一つの可能性としてこの分野の需要というのはまだまだ拡大していく可能性があると。金額にいたしますと二〇一〇年までに二百二十兆ぐらいの新しくつけ加わる可能性があるんではないだろうか、雇用におきましては五百五十万人ぐらいの追加を必要とする可能性があるんではないだろうかというような可能性の勉強をいたしました。
 もちろん、こういうことを実現するためには、現在日本が構造的な問題として持っております、例えば経常収支が大きくて円高がどんどん進んでいってしまうんではないかというような問題、あるいは日本の経済構造が非常に高コスト化してきておりまして、内外価格差に見られますように非常に効率的な産業と非効率的産業の二重構造になっているというような構造を、規制緩和等をやることによって日本経済全体のリストラを進める必要があるんではないかというようなこと、あるいは新しい分野の事業を展開することによって新しい事業が起きてくるような環境を整備し、さらに意欲を守り立てていくような政策をしていく必要があるんではないかというような、我々の言葉で三つの政策をあわせて行うことによってこの三%台の経済成長が可能になるのではないか、そういう可能性がある以上、そういうことに向かって努力をしていく必要があるのではないかというのが結論でございました。
#114
○小島慶三君 どうもありがとうございました。
 時間の節約のために私が知っている限りの知識で申しますと、この十二の分野というのは、住宅関連、医療・福祉、生活文化、都市環境整備、環境、エネルギー、情報・通信、流通・物流、人材、国際化、こういった分野ではないかと思うんでございますが、これで全体の市場規模が二〇〇〇年までに二百十二兆、それから二〇一〇年までに三百四十九兆というふうな大変大きな市場が見込まれておるようでございます。
 しかし、この前提としては大変多くの要素が書かれておるようでございまして、例えば規制緩和というのはあらゆるこういった新しい分野について必要であるということがありますので、こういう点は大変我々としては心強く思うわけでございます。また同時に、いろんなことを考えなければいけないなと思うわけでございます。
 ただ、私気がつきましたのは、幾つか問題があると思いますのは、これはきのうの規制緩和の委員会でも御質問したんですけれども、規制緩和によって生ずる失業者、これは三菱総研の計算ですけれども四百三万人という大変大きな失業者が出るということが言われております。一方、これの市場規模がこれだけのものになることによって、ちょっとこれも計算が別の計算になりますが、五百十万という新規の就業者が出てくるということで、全体としては四百万と五百万ということでバランスがとれているんですけれども、これは時間的にはその新市場が成熟するまでにかなり時間があるでしょうし、そうすると労働力のミスマッチがかなり起きるという心配がありますので、そういう点についてのいろんな配慮、例えば新しい職場に移った場合に不利にならないような配慮とか職業訓練とか、それからさっき大臣がおっしゃいました人材派遣の活発化とかいろんなことが必要になると思うのでございます。
 これはこれ以上お尋ねしませんが、ただ私もう一つ気がついたことは、全体の新市場の中で三三%が情報・通信なんです。ということは、これは情報・通信というものがやっぱりこれからのリーディングインダストリーになるのかなという気がするわけであります。しかし、そうするためにはやはり情報・通信、その中心にマルチメディアなんという花形産業があるのかもしれませんけれども、そういうことについての、国論の統一とまでは申しませんが、そういうことが大変重要なんではないかと思っておるわけであります。
 一方では通産省、一方では郵政省という形でこの情報産業のかじ取りが二分しているような、私の誤解でなければいいんですけれども、そういう気がするわけでございます。これから橋本大臣のもとで政府の特別の対策本部をつくられるのもよし、いろんな方法があると思うんですけれども、どういうふうにこの辺の調整はなされていく予定か、この辺をお伺いしたいと思います。
#115
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、委員からの御指摘でありますが、そうした心配を少しでも排除したいということは我々も同感であります。そして、政府は既に総理を本部長とする高度情報通信システムについての本部をつくっております。そして、総理を本部長として、そのもとに郵政大臣と私と官房長官が副本部長を拝命し、その会合も既に五回目を数えております。そして、それは閣僚が中心でありますけれども、民間の有識者の方々にもお入りをいただきながら、その専門的な御見地からの検討もいただいておりまして、御批判を受けることのないように全力を尽くしたいと考えております。
#116
○小島慶三君 どうもありがとうございました。
 そういう体制のもとで進められるということで、私も安心をさせていただきます。
 それで、時間の関係で次の問題に移らせていただきますが、先ごろ来円高の問題が大変深刻で、これは今後の日本の経済を左右するというところまで恐らくいくのではないかと思っております。
 この円高の生ずるゆえんというものはいろいろありまして、きょうもドル安であるというふうなお話もありましたが、そういうふうな二国間の関係を超えて、何か最近では十七兆ドルにも達するという金融派生商品、投機資金が蓄積されて、それがターゲットにどんどん出動していくということを聞いておりますけれども、この辺になりますとなかなか二国間の話し合いとかそういうことでもどうにもならないような問題になってくると思うんです。
 しかし一方では、最近トヨタさんが八十円でもやれるという体制をつくるんだと言っておられますけれども、これは八十円が七十円また六十円というふうに切りもなく遣いかけられたらとてもたまったものではない。実質的な購買力平価から見ればどんどん離れてしまうということであろうと思いますので、この対策を本当にどうしたらいいか私もわかりませんけれども、やはり新しいこれからの国際金融秩序に向けての何か各国間の合意というか、そういうふうな努力も一方では必要であろうというふうに思っておるわけであります。
 また、そう申しましても、全部がデリバティブの猛威によるものではないわけでありますから、今の円高によるものではないわけでありますから、やはりそのもとになる日本からのある程度のセルフコントロールといいますか、過当競争の自粛とか、そういったことも必要になってくるのではないか。
 かつて私が経済同友会の政策審議会の委員長をしておりましたときに、例えば過当競争の輸出版みたいなものについては、これはもう少し業界の話し合いを認めたらどうだと、あるいは輸出課徴金とか、あるいは逆に言えばアメリカ側の輸入課徴金とか、そういうふうな形である程度ブレーキをかけたらどうかと言って袋たたきに遭ったことがあるんです。
 そのかわりに、前川委員会のように、輸入で何とか稼ごうということで、輸入で稼ごうとすれば黒字の解消のためには一七%の成長率にならなきゃならないということで、これはとてもできない相談だと私は思っておりましたんですけれども、まあその方向でどんどんそうやっている間にまた円高が進行する、黒字がたまるという状況になってしまったので、これは公取さんの方にはしかられるかもしれませんけれども、やはりその辺の自粛といいますか、こういうことが大変重要になってくるでありましょうし、単に輸出の自粛だけではなくて、設備の大き過ぎる投資、それから働き過ぎの自粛といいますか、そういうふうな意味で、やはり問題は企業の体制の中の時短とか長期休暇とか、そういう話にもなってくるんじゃないかと思っております。
 いずれにしても、この辺のかじ取りが大変大きな課題になってくると思いますので、こういった点についてひとつ通産大臣から御見解を承りたいというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
#117
○国務大臣(橋本龍太郎君) いずれにいたしましても、今の為替の状況というものは、我々とすれば日本経済のファンダメンタルズをはるかに超えた水準にある。これについての是正を求めるという声は大変強いものがありますし、通貨当局同士の本当に連携プレーの中で、委員が御指摘になりましたような投機ファンドに対しましても全力を挙げて各国の政策協調の実を示していただきたい、これは心から願っておるところであります。
 また、そうした状況の中における産業界そのものにおけるみずからの節度のある行動というものにも言及をされましたが、そうしたものも当然それぞれの産業界としてお考えになるでありましょうが、これはまた政府が介入し一定の方向をつけるということは私は望ましいことではないと思います。
 むしろそういう意味では、委員が最後にお触れになりました労働福祉政策の観点から、例えばリフレッシュ休暇でありますとか、さまざまな角度からの検討を加えられながら、今の雇用制度の中で実質雇用を維持するための工夫をしていくという御指摘は一つの方向と、私もそのように感じます。
#118
○小島慶三君 どうもありがとうございました。
 私も随分前から、これからの国際社会を考えると日本の経済の生きる道というのは共存しかないということで、競争から共存への切りかえというのが企業として必要なんではないかということを言ってまいったんです。
 だんだん世の中でもそういうふうな形にどうもなりつつあるわけでありますが、一番私のひっかかっているのは、結局そうしますと公取さんの分野に抵触する、こういうふうな話にもなりましょうし、その辺が難しいんですけれども、しかし日本経済のこういった現状、窮地を救うというものであり、かつその話し合いがフェアなものであり、いろんな後のしこりを残さないようなものであり、それから言うならば消費者の利益を害しないものであるというふうなことであれば、ある程度今の危機の打開として何かそういうことも経済政策全体としては必要なんではないか。そうすることが大臣のお話の適切な運営ということにもなるのかなというふうにも思うんですけれども、これはそういう意見だけ申し上げておきたいと思います。
 それから次の問題は、公共投資の問題でございます。
 先般二百兆円の追加が認められて、この配分は恐らく企画庁の方でいろいろ年度予算とあわせて御検討になるんだと思っておりますけれども、通産省の方で前から主張しておられた新社会資本というもの、これはこのごろ新社会資本という言葉が余り使われなくなりましたので私は残念に思うんですけれども、こういう新社会資本というのは社会資本の形成の歴史から見ても画期的なものだと思っております。これはまた、通産省の新産業の形成ということの唇歯輔車といいますか、前提にもなることでありますので、ぜひ通産省としてはそういった主張をしていただきたいと思います。
 これは政府委員の方からお願いします。
#119
○政府委員(堤富男君) このたび、九五年を初年度といたします十年間の公共投資計画でございますが、経企庁の皆様の御努力もあって六百三十兆ということになったわけでございます。この六百三十兆の中で、通産省側から見まして幾つかのポジティブなメッセージが入っていると私は思っております。
 従来の公共投資基本計画には必ずしも明快でなかった、高齢化社会に向かう時代において、その発展の基盤となる分野についてこれからの公共投資の中で配慮していかなければいけないということが一つ書かれております。それからさらに、その重点を置くべき分野という中で、先ほど委員御指摘の情報・通信というような情報化に対する基盤整備ということ、あるいは研究開発に対する投資というものを重点的にやっていかなければいけない分野ということで特記していただいておるということは、新しい公共投資計画が将来の発展にとって、あるいは新しい産業の興る基盤をつくるという意味では非常にポジティブな役割を果たすのではないかと思っております。
 それから、公共投資という性格上、必ずしもソフトウエアとか、あるいはもっと簡単に言いますと運営費ですとか機器設備とか、そういうものはなかなか公共投資の中に定義として入りにくい部分がございます。そういう分野につきましても、公共投資全体を進める中で、単に箱物だけつくっても公共投資の実が上がらないという観点から、そういうことについての予算についても配慮するというようなことが書かれておるということ全体を通じまして、従来通産省は新社会資本というようなことを申し上げておりましたけれども、その考え方ないし思想というのは私は十分入っているのではないかというふうに思っている次第でございます。
#120
○小島慶三君 どうもありがとうございました。
 それで、最後の質問なんですけれども、先ほどこれからの長期のエネルギー計画に関連して御質問がありました。私はそれと重複しないように申し上げたいと思うんですけれども、先般のエネルギーの長期需給計画の見直しという点から申しますと、一方では石油依存度をうんと減らす、これはもちろん環境会議との関係でCO2の排出量を減らすという御配慮もありますし、石油依存度を減らすという大きなねらいがあると思うのでございますが、それに私は異存はないんですけれども、それにかわって原子力にほとんどウエートが移されているという点にちょっと疑問を持つわけであります。
 先ほど新規の原子力基数として十八ないし二十というお答えがあったんですけれども、私が科学技術庁の方からもらっているデータによりますと五十五基必要だということになっております。どうしてそれだけ違うのか。この点はもう少し勉強してみなきゃなりませんが、いずれにしても原子力の大幅な増加というものが必要になるということであろうと思うのであります。
 そういう点について、社会党さんの原子力アレルギーというのは大分薄れたと思うんですが、大変結構なことだと思いますけれども、一方では果たしてそれだけの、二十基にしても五十五基にしても、それだけの原子力立地が得られるのかどうか。私、電源開発の関係をやっておりましたからその辺が大変気になるわけでございます。一応必要なキロワットアワーをはじき出してそれを一基当たりの出力で割った数字ではないか、だから立地的には見当がついていないんじゃないかと思うんですけれども、その辺果たして大丈夫なのかなという感じがあるわけです。
 それからもう一つは、原子炉が大体もう古くなってまいりまして、三十年で廃炉になるということであろうと思うんですけれども、その廃炉になった分はこの二十基なり五十五基の中には入っていないんじゃないか、これは別にカウントしなきゃならないんじゃないかと思うんです。そうしますとますますその辺が膨れてくるということだと思うんですけれども、この辺はどういうふうに考えたらよろしいか、ひとつお伺いしたいと思います。
#121
○政府委員(川田洋輝君) 午前中もお尋ねがありましてお答え申し上げたところでございますが、今後の電源構成を考えていくに当たりましては、一つは供給の安定性、それから経済性、そして最近の大変重要な問題として委員もお触れになりました環境特性、特に最近ではCO2の発生というのが大きな問題になってきておるところでございます。こういった問題を考えながら最適な構成を考えていくということが基本的な考え方でございます。
 こういう中で、総合エネルギー調査会などで論議をしていただきまして、最近、長期エネルギー需給見通し、そしてそれを公的に推進していく形での石油代替エネルギー供給目標というものを御決定いただいたところでございます。これによりますと、現在運転中の原子力発電所が四十八基の三千九百六十四万キロワットで、建設中が六基、五百八十九万キロワットということで、運転中と建設中の原子力発電所を合わせますと合計五十四基、四千五百五十三万キロワットと相なっておるところでございます。委員がお触れになりました五十五という数字は、これに現在建設準備中の東北電力の女川三号機というのがございまして、これを入れると五十五基が今我々が具体的に保有しつつある原子力発電所の基数でございまして、多分五十五というのはそういう数字ではなかろうかと私は思います。
 今後ということになりますと、二〇一〇年度断面で七千五十万キロワットの原子力発電の設備出力を目標といたしておるところでございまして、基数については、一つ一つの炉ごとに異なりますので必ずしも明確に前提を置いておるわけではございませんけれども、大体これから二千五百万キロワットを新増設していくということで、最近一基当たりの原子力出力規模が増大をしてまいっておりまして、大体百十万から百三十五万キロワットというあたりを仮定して置いてみますと、十八ないし二十三基程度の原子力発電設備規模をこれから新増設していく、こういうことに相なるものでございます。
 私どもといたしましては、一方で省エネルギーをもっともっと力を入れて進める、あるいは太陽光発電その他の新エネルギーにつきましても相当な努力を今傾注しつつありますけれども、どうしてもボリュームということになりますと原子力を中心にする従来のエネルギー源に頼らざるを得ないということで、原子力発電につきましては御指摘のように電源立地のリードタイムがかなり長期化してまいっておりますので、これから二千五百万キロワットと申しましてもそう先の話ではないものとして着実に進めていかなければならない、こういう問題がございます。
 幸い、幾つかの地点で具体的な動きが現実に出てまいっておりますので、私どもとしては、この二千五百万キロワットの新増設、必ずしもできない目標ではないと思っております。しかしながら、そう簡単でないということもまた事実でございますので、これからも安全性の確保ということは大前提、あるいは平和利用の堅持というのも我が国原子力開発の大前提でございますが、あわせて電源立地促進策の充実を図ることなどによりまして、国民の方々の理解と協力を得ながら原子力発電の目標を達成してまいりたいというように考えておりまして、繰り返してございますが、そうたやすくはないが、またそう不可能な目標でもないという位置づけで頑張りたいと思っております。
#122
○小島慶三君 一方では石油の依存度を減らす、これも環境等の関係からいえば至上命題かもしれない。しかし一方では、また原子力が全体のキロワットアワーの四四%を占めるというのは、これは原子力に頼り過ぎではないかという感じが私はするわけであります。じゃ、おまえ、どうするんだと。石油を減らして原子力をもっと下げろと、例えば三割なら三割程度にとどめておくというふうなことはどうしてできるんだと。これはやっぱり一つは新エネルギー、代替エネルギーの開発が今のテンポであれば、とてもこれはベースロードを占めるのは無理だろうと思うんです。要するにエネルギー供給の四番バッターがいないということだと思います。
 だから、ここで考えられるのは、やっぱりLNGではないかということでございます。これは非常にクリーンなエネルギーでもありますし、それから例えばサハリンあたりの天然ガスですと必ずしもそう遠くはない。ヤクーチャにしたってそんな遠いわけではない。中央アジアを開発してあそこからパイプラインを引っ張るということになりますと大変でありますけれども、これもロシアからヨーロッパヘ行っているパイプラインの長さ、そういうものを見るとそれほど奇想天外なことでもないということで、御承知のように広域天然ガスパイプライン研究会というのができております。
 それは、こういったものを踏まえて国内に北から南まで八の字のパイプラインをつくる。それを受け皿にして、そしてサハリン、これはかなり今まで長い間苦労してきておりますけれども、サハリンとかヤクーチャとか、それから中央アジアのカザフスタンですか、ウズベク、あの辺からの天然ガスを受け入れるということにすれば、もちろんそういった国々のテークオフ、日本としての援助にもなりますし、それから今のエネルギーのベストミックスということにもつながります。それから、パイプラインで全体流していくわけでありますから、循環させていくわけでありますから、ある程度貯蔵という意味も含まれてくると思います。恐らくあと残るのはコストと開発費の問題だと思うんですけれども、こういう点については通産省としては目下これを研究の対象にしておられるかどうか。この見通しについてはいかがでございましょうか。
#123
○政府委員(川田洋輝君) まず、お触れになりました天然ガスの全体のエネルギー需給見通しの中での位置づけでございますが、環境の面では大変すぐれたエネルギーでございますので、オイルショック後現在までも相当開発導入が進んでまいりまして、実は石油依存度がこの二十年間で二〇%下がってきたわけでございますが、一〇%を原子力で、一〇%を天然ガスで増大させてまいっております。現時点で大体四千万トンの天然ガスを使っております。
 今後でございますけれども、非常に環境に優しいエネルギーであるということから、やはりこれの開発導入をふやしていくという動きは当然あるわけでございます。ただ一方で、資源的な面で従来我が国は日本の近くのインドネシア、マレーシアなどを中心に近くからのLNG輸入ということで進んできたわけでありますが、資源的に見ますとロシア、中東、そういったところにかなり埋蔵量が確認をされておりまして、これから日本からかなり遠くなっていく、あるいは難しい、深い海とかいろんなところで条件が悪くなっていく。
 それからもう一つは、この天然ガス、LNGという形で持ってまいりますと、山元から港の近くまで持ってきてそこで液化をして、そしてLNG専用船で運んでまいりまして、国内で気化をして使う、こういうことになります。仕様が一つのチェーンという格好で、かなり規模の大きい資金を要するということから、一つ一つのプロジェクトを立ち上げることが非常に難しくなってきております。
 こういうこともございまして、実はさきの通常国会で当委員会でも御審議賜りまして、石油公団法の改正をさせていただきまして、天然ガスの採取段階あるいは液化段階にも国の公的な支援ができるようにするということをお認めいただいたところでございまして、こういった施策も使いましてこれから天然ガスの開発導入を進めていく、こういうことにいたしております。
 長期エネルギー需給見通しの中では、二〇〇〇年度、二〇一〇年度に、現在四千万トン程度のものをそれぞれ五千三百万トンあるいは五千八百万トンということで、かなり大きく伸ばすことにいたしております。この達成に向けて努力をするということであろうかと思います。
 そこで、今お触れになりましたパイプラインでございますけれども、やはり天然ガスの開発導入を大きく進めますためには広域的なパイプラインが必要ではなかろうか、こういう問題意識が前からございまして、お触れになりました広域天然ガスパイプライン研究会というのが全長三千三百キロメートルにわたる国土縦貫天然ガスパイプライン構想というのを発表されておられます。これについては私どもも承知をいたしております。
 この構想につきましては、資金調達の方法あるいは採算性それから事業主体といったようなことで未解決の問題がいろいろ指摘をされているところでございますけれども、私どもといたしましても、今後天然ガスの需要の増大に対応してその本格的な導入を図っていくためには、天然ガスの供給基盤の整備という見地からこういった構想を進めていくということは必要なことではなかろうかというように思っております。
 また、こういう認識はこのほかにもいろんな場で示されてまいっておりまして、平成四年五月には、総合エネルギー調査会都市熱エネルギー部会基本問題検討小委員会で、大都市圏のLNG基地立地制約を克服して天然ガスの地域的な需給ギャップを解消する観点から、三大都市圏を連係する幹線パイプライン構想が提唱されておるところでございます。また、平成五年二月には、幹線パイプラインについて都市ガス業界独自のプランが発表されているところでもございます。
 こういうことで、私どもとしては、先ほどお触れになられました国土縦貫天然ガスパイプライン構想だけではなくて、こういった構想、さまざまな構想も踏まえて、現在長期的な視点からパイプライン等の天然ガスの供給基盤のあり方について多角的な検討を進めておるところでございます。こういうことで、我が国における天然ガス供給基盤の整備のあり方ということで広くこれからも検討してまいりたいというように思っております。
#124
○小島慶三君 どうもありがとうございました。
 本日はいろいろな角度からいろんな質問をさせていただきまして、両大臣を初め関係機関から御懇篤な御説明がありまして、本当にありがとうございました。
 これをもって終わりにいたします。
#125
○和田教美君 私は、日米経済協議との関連で、今後の通商交渉のあり方ということについて少しお伺いしてみたいと思います。
 今月の初めに、懸案であった日米包括経済協議がようやく部分合意に達しました。今度の部分合意は、全面決裂に比べればまずまずの成果だというふうな評価も確かにございます。
 しかし、これは少し極論かもしれませんけれども、今回の交渉も結局客観基準の定義だとか解釈、目標値の設定等、政府による保証措置をめぐる論争が大半で、日米半導体協定を契機に繰り返されてきました結果重視の二国間交渉に終始したという厳しい見方もあるわけでございます。そして、日米貿易不均衡を改善するための包括協議の場が、結局、特定個別分野における数値目標問題の処理に短小化されてしまった感があるというふうな批評もあるわけでございます。
 米国の数値目標ないしそれに近いものを設定するという手法だとか、あるいはスーパー三〇一条など制裁を前提とする交渉アプローチの背景には、もちろん膨大な対米貿易黒字という問題が存在することは言うまでもございませんけれども、しかし、そういう手法、強権的な交渉態度をとるのは、そうでもしない限りはなかなか日本には現状の根本的な改革ということを望めないんではないかというアメリカの日本に対する認識、つまり市場開放だとかあるいは徹底的な規制緩和というふうなことは言っているけれども、なかなかそれは実行できないんではないかという根本的な不信感というふうなものもあるんではないかというふうに私は推測をするわけなんです。
 その点について、通産大臣は直接交渉の当事者として何らかの感想をお持ちだろうと思うし、大蔵大臣時代にもそういう経験もおありですから、率直な御感想をひとつお聞かせ願いたいと思います。
#126
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先刻もちょっと御答弁をいたしましたけれども、結局九月に私は三回ワシントンを往復したわけでありますが、その最初、一回目とそれから後の二回と非常に差がありましたということを申し上げました。
 と申しますのは、第一回目に参りました時点では、公共投資基本計画の見直しそのものがまだ確定をしていない、あるいは減税先行の税制改革というものも確定していないという状況でありましたために、こうしたマクロの政策に対するプレッシャーというものが相当程度ございました。そして、九月二十七日に二度目に参ります時点、行ってみますとその辺のプレッシャーは確かにある程度減じておりました。
 ただ、今委員が御指摘になりましたような感じというものは、確かにアメリカ側として非常にいろいろなところにこだわりを見せたという気持ちは非常に強くいたしますし、少なくとも今まで私がレーガン政権あるいはブッシュ政権時代に交渉をいたしましたものと相当なニュアンスの差があり、非常に個別の部分での結果にこだわっているところはございます。そして、それが委員の御指摘になりましたようなものなのか、ある程度交渉担当者の手法によるものなのか、私にはこれはいずれともはっきりはいたしませんでした。ただ、非常に弁護士さん的な手法というものが目立ったというのが、これは率直な実感であります。
 それだけに、私はこういうことを考えますと、むしろこれから先もっと包括的な場で議論をしていける情勢が生まれること、多国間の枠組みの中で交渉ができること、こうしたことを考えていかなければなりません。しかし、そのためにはやはり経常収支黒字というものの意味のある縮小というものを一方で進行させながら、そうした対応を求めていく努力が必要ではなかろうかと思っております。
#127
○和田教美君 日米包括経済協議に見られますように、審判役、調停役である第三者のいない二国間協議というものは、費やした労力の割に往々成果に乏しく、貿易紛争処理の実効性にも限界があるということも考えられます。また、結果重視だとか一方的な制裁措置を背景とした力の交渉方式では、強い者勝ちの不合理な通商秩序を招く一方、報復合戦による保護貿易主義につながりかねないおそれもございます。せっかく来年一月にはWTOが発足する予定でございますし、多国間で貿易紛争を処理する枠組みが一応整うということにもなるわけでございます。
 したがいまして、二国間主義に偏り過ぎた日米包括経済協議も、WTOの紛争処理システムを活用するなど多国間協議の場において公正な手続に従ってなるべく解決していく道を大胆に探るべき時期に来ているんではないかというふうに考えるわけですが、今も大臣の答弁でそういう趣旨のことはお認めになったようでございますが、重ねてその点についてお伺いをしたいと思います。
#128
○国務大臣(橋本龍太郎君) もう既によく委員が御承知のとおり、WTOというものが、一方的な推置あるいは二国間主義、地域主義への傾斜の見られる中で、世界貿易の拡大というものを目的として行われたウルグアイ・ラウンド交渉の成果として生まれることになったわけであります。当然のことながら、今後の多角的な貿易体制の中核的な役割を果たしてくれることを私どもは願っておりますし、そのためにも国会でできるだけ早く批准をお願い申し上げたい、国内法の整備をお願いしたいと申し上げてきておるところであります。こうした考え方からいきますと、我々自身、我が国自身がWTOのルールにのっとった通商政策を行うということは当然求められなければなりません。同時に、WTO体制の維持強化に積極的に我々自身が尽くしていく努力、これを見せていかなければならないと思います。
 同時に、通商に関する問題が生じました場合には二国間交渉が私はこれからも残ると思います。しかし、二国間交渉を通じてだけではなくて、まくにWTOの紛争処理機能など多国間の枠組みの活用を図ってその解決に当たってまいりたい、私も同様に考えております。
#129
○和田教美君 日米包括経済協議に関連して直接お尋ねをしたいと思います。
 分野別協議では、医療機器、電気通信機器等の政府調達、それから保険、板ガラス分野では合意または合意の見通しがついたわけですけれども、自動車・同部品分野では先ほどから論議がございますように合意に達せず、日本の補修部品市場に通商法三〇一条調査が発動されております。
 そこで、まず合意に達しなかった自動車部品分野についてお伺いしたいんですけれども、まず組みつけ部品の自動車部品調達計画については、日米当局双方とも当分は関係業界同士の交渉状況を見るということのようでございますけれども、業界ベースで折り合いがつけば政府間に新たな摩擦が生じないというふうに我々割り切っで考えでいいのかどうか。あるいはまた、業界の動向とは関係なく、数値目標的なものあるいは政府保証といった従来のアメリカのスタンスは変わることなくこれからも出てくるのかどうか。その点についてひとつ通産当局の見解をお伺いしたいと思います。
#130
○国務大臣(橋本龍太郎君) この点は、私はちょっと委員と見解を異にいたしております。
 と申しますのは、自動車部品の調達につきまして米国側は、我が国の自動車メーカー各社が本年の三月末に自主的に公表しましたいわゆるボランタリープラン、部品調達計画につきまして大幅な上積みを求めたわけでありますが、これは日本として包括協議のもともと外のテーマであり、そして政府の権限の及ぶ範囲を逸脱した問題ということで対処してまいりました。その結果としてはっきりいたしましたことは、本件が民間の経営判断の問題、そして政府が介入すべきものではないということであります。
 そして同時に、今委員が、私はここが見解を異にすると申し上げたところでありますが、業界ベースでの交渉というお話でありますけれども、これはもともと日本の各自動車メーカーがそれぞれの経営判断の積み重ねとして行った部品の調達計画の総和でありますから、それが政府であれ業界であれ、アメリカ側と交渉して決するという性格のものではございません。あくまでも私は、日本の自動車業界そのものがみずからの判断においてできる限りの努力をされるものと考えておりまして、業界ベースの交渉を行うといった性格のものではないと思います。
 また、現に日米双方の関係業界間で例えば部品調達額について交渉をするといった予定はないと承知をいたしております。
#131
○和田教美君 次に、同じく合意に達しなかった補修部品についてですけれども、アメリカ側は自動車分解整備制度の緩和、構造検査制度の緩和を求めてきたということは先ほどの大臣の答弁にもございましたけれども、日本側はこれらの緩和は車検制度の根幹にかかわるということで要求に応じなかったということでございまして、この点は大臣が記者会見かなんかで述べたことが新聞にも出ておったのを拝見いたしました。
 しかし、安全及び公害防止対策としての車検制度というのと、それから分解整備業者への参入問題、つまりもう少し新しい業者を参入させるという問題は、本来は別次元の問題ではないかという見解もあるわけなんですね。ですから、その点について通産省としてどうお考えなのか、それが即車検制度の根幹にかかわるというふうに言えるのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
#132
○国務大臣(橋本龍太郎君) 補修部品につきましての論議と申しますものは、米国側が求めたものは分解整備制度等の原則全廃ということでございました。そして私どもは、運輸省が直接所管しております分野でありますだけに、運輸省事務当局の本当に最善の協力を得ながらこの交渉に臨んだわけでありますが、安全性の確保というものを前提にしてその中でできる限りのことはするという意味で、私は運輸省当局が非常によく努力をしてくれたと考えております。そして、事実専門家レベルにおきましては相当程度に私は理解が進んでおったと考えております。
 しかし最終的に、我が国はその安全性の確保及び公害防止という点から支障を生じない範囲内での規制緩和を行う、しかし根幹となる制度の廃止は不可能という立場をとりましたものに対し、アメリカ側は制度の原則全廃という立場に固執されたために合意に至らなかったということであります。
#133
○和田教美君 次に、紙製品、林産物についてお伺いします。
 十月三日付のUSTR報告書というのによりますと、今後、紙製品、林産物についてスーパー三〇一条の対象足り得るとの報告がなされているというふうに承知しております。これらの項目について通産省当局は今後どのように対応していこうと考えておられるのか、アメリカの要求は全く理不尽であるから妥協の余地がなく、スーパー三〇一条が適用されるのもやむを得ないと考えているのか、御見解をお伺いしたいと思います。
#134
○政府委員(坂本吉弘君) ただいま御指摘の紙製品並びに林産物に関して米国が三〇一条のいわゆる監視リストにこれを載せましたことは、いかなる理由があるにせよ、一方的にある国がある国の輸入品に対して措置をとるということでございまして、この点については、まずもって手段として不適切であり、我々としては遺憾の意を表明いたしたところでございます。
 一方、この監視リストに載るか載らないかは別といたしまして、従来より紙及び紙製品並びに林産物につきましては、外国製の品物の我が国への市場アクセスを進めるべく、業界並びに政府においてその環境の整備ということをアメリカとの間の合意に基づいて進めてきているところでございます。このたび、そういった交渉並びに手段の実行が行われておるにもかかわらず改めてこれを監視リストに載せたということの理由がいかなるものであるかということをアメリカ側にただすとともに、従来より進めておりますアクセス増大についての日米間の協議は必要があればこれを進めていく、こういう立場で臨んでいるところでございます。
#135
○和田教美君 次に、電気料金制度の見直しの問題についてお伺いしたいと思います。
 通産大臣の諮問機関である電気事業審議会の料金制度部会が、今月の十四日でしたか、初会合を開いて、電気料金制度の抜本的な見直しやプライスキャップ制など新制度の導入を視野に入れた検討を開始したという報道がございまして、その点は先ほどの資源エネルギー庁長官の答弁でも確認されております。
 また、同部会の議論に先立って資源エネルギー庁が独自に調査した電気料金の国際比較を説明されておりますけれども、それによると、九月の平均為替レート、一ドル九十九円八十五銭で計算をいたしますと、家庭用では日本を一〇〇とすれば、アメリカは六七、英国五九、ドイツ七七、フランス六九と、これは欧米が安いわけです。ところが、同じものを買うのにそれぞれ自国の通貨で幾らかかるかという購買力平価で計算すれば、家庭用ではアメリカが一二六、イギリス一一二、ドイツ一〇五、フランス一〇三と、これは欧米の方が高いという結果になっているというふうに報道されております。
 これは一言で言えば、円が実力、購買力平価のことですが、以上に高いということを意味するのかもしれませんけれども、いろいろな見方を含めて日本の電力は相対的に高いと見ているのか、いや言われるほど高いものではないと見ておられるのか、その辺のところも含めてひとつ電気料金の国際比較というものについて御説明を願いたいと思います。
#136
○政府委員(川田洋輝君) 端的に申しますことは大変難しい御注文でございまして、まさにお触れいただきましたように、現在の為替レートで比較をいたしますと日本が高くなり、購買力平価で比較をいたしますと必ずしもそうでもない。
 それからもう一つ、お触れになりませんでしたが、ある期間内における自国通貨での電気料金の上下の関係を申しますと、一九八〇年以降欧米の各国の電気料金は三割ないし八割程度の値上がりをしておりますが、我が国は値下がりということに相なっております。
 きょうも午前中触れましたが、こういうことから一概に日本の電気料金が相当高いということを言い切ることは難しい側面もありますが、ただ、電力は産業の非常に大切な中間財、中間の原材料という意味合いも持ちます。そこで、貿易で国際マーケットで競争をしておられる方々にとっては、日本の直接の為替レートで比べたコストがかかるわけでございますので、それは大変きついということになるのではないかということであります。私どもとしては、産業の非常に大切な中間財である点、あるいは国民生活に直接大きく触れる点から考えると、やはりこの内外価格差の問題について十分な検討もした上で、その電気料金のあり方からして、これにどう対応していく必要があるかというようなことについて真剣な検討が必要だろうという認識を持っておりまして、電気事業審議会料金制度部会で広い観点からの御検討をお願いしておる、こういう状況でございます。
#137
○和田教美君 次に、プライスキャップ制の問題点についてお伺いしたいと思います。
 プライスキャップ制は、簡単に言うと、物価上昇率から企業の合理化による生産性上昇率を引いて料金の上限を決める、そしてその範囲内なら企業が自由に値上げできるという制度であります。ですから、合理化を進めて費用を抑制すればするほど利益が上げられるということにもなるわけであります。したがって、費用に加えて利益まで確保できる現行の総括原価主義、原価方式よりも経営者の合理化努力を促すという効果はあるわけでございます。しかし反面、寡占状態にある場合は料金が上限に張りついてしまうという心配もございます。
 その点について先ほどの経済企画庁の人の答弁では一長一短だというふうな答弁もございましたけれども、この点はいかがお考えでしょうか。
#138
○政府委員(川田洋輝君) プライスキャップ制度の全体論議につきましては経済企画庁の物価局長の方から御説明があって、かつ今お触れいただきましたようにこの制度については一長一短があるものであって、この制度の我が国への導入については慎重な検討が必要だというのが物価当局の御見解かと思います。
 私どもとしては、今委員お触れになりましたように、このプライスキャップというのが、生産性向上卒を勘案して上限価格を決めてその範囲内では事業者の自由な設定を許すというものであることから、経営効率化という観点からは確かに意味のある制度であるという位置づけはできようかと思っておるところでありますが、またお触れになりましたように、独占を許している事業形態の中でこういう制度を導入するということは料金が上限に張りつく懸念は確かにあると思います。
 したがって、我々としては、競争のない状況において電気事業者に経営効率化を促す仕組みをどうやってつくっていくかということが大切な課題でございますので、現在の総括原価主義とプライスキャップ方式のいろんなメリット・デメリットというものを含めまして幅広い観点から料金制度部会の場で議論をしていただいて、我が国の電気事業の実情にふさわしい制度をつくっていくということが大切ではないかと思っているところでございます。
#139
○和田教美君 資源エネルギー庁は料金制度の検討の視点ということで、かねてから安定供給、経営の効率化、料金の多様化、弾力化を通じた需要対策、料金負担の公平・公正、料金の透明性というふうな五つの基本的視点を挙げておられます。新聞報道によりますと、現行の総括原価方式をやめてすぐプライスキャップ制が導入されるように受け取れる報道が多かったんですけれども、今の資源エネルギー庁の五つの基本的視点、さらにただいまの御答弁などを聞いておりますと、どうもそういうふうにすぐいきなりプライスキャップ制に直結するということにはならないのではないかというふうにも思うわけでございます。
 公益事業の料金制度としては、総括原価方式やプライスキャップ制のほかにも、スライディングスケール方式だとかあるいは費用調整方式など多種多様の方式があるわけでございます。また、仮にプライスキャップ制にしても、イギリスでは実質的にはその運用は総括原価方式と極めて似たものになっているというふうなことを言う人もございます。
 したがって、我が国の電気料金制度を考えるに当たって、余り特定の制度や方式にとらわれるということはいかがなものかというふうに思うわけで、むしろ優先すべき視点は、ピーク時の需要を賄うに必要な設備資金の確保など安定供給体制をどう確保するかということ、もちろんそれとともに、そういう条件を確保しながらなるべく安く供給するということ、この辺のところが要するに重点的に考えるべきことではないかというふうに思うんですけれども、その点についての御見解をお伺いしたいと思います。
#140
○政府委員(川田洋輝君) ただいま委員御指摘のいろいろな視点について、私ども同じように思っておるところでございます。
 まず、どういう料金制度をとるかというのに余りこだわりを持つことなく、どういう目標が必要であろうかという見地から論議をしていくべきであるという点についてもそのとおりであろうと思います。いろんな制度があるわけでございますので、その得失を含めて幅広い観点から我が国の電気料金の制度としてどういうものがふさわしいかということを考えていくべきであろうというように思っております。その際の基本的な視点といたしまして、やはり電気は安定供給という見地が欠かせないものでございますので、その見地は非常に重要であろうかと思っております。
   〔委員長退席、理事沓掛哲男君着席〕
 ただ、資本費の増大を適正に抑制していくということもまた必要なことでございますので、安定供給のために必要な設備資金を適正に確保していくということと、その資本費の増大を適正に抑制をしていく、こういうことを両方可能にするような仕組みを考えていくことが大切であろうというように思っておりまして、お触れになりました五つの視点をもとに幅広い検討をしてまいりたいと思います。
#141
○和田教美君 次に、産業空洞化問題について若干お尋ねをしたいと思います。
 最近の企業の海外進出には著しいものがございます。これらは従来の欧米志向型の海外進出ではなくて、経済発展の著しいASEANだとか中国など東アジアヘの海外進出が特徴でございます。しかも、最近の急激な円高が一層これに拍車をかけているというのが現状でございまして、先ほど他の委員の方々からもその点についてさまざまな指摘があったわけでございます。このままではいわゆる産業空洞化という問題がかなり重大な問題として広がってくるということが考えられるわけでございます。
   〔理事沓掛哲男君退席、委員長着席〕
 企業の海外進出自体は自由経済の発展、国際分業の見地から否定すべきものではないということは言えるかもしれませんけれども、このままほうっておいていいというふうな状況からははるかに異なって、余りに急激な円高だとか国内産業構造の硬直化が続きますと空洞化というのは取り返しのつかないような状況に陥るというふうにも私は恐れるわけでございます。
 その点について、先ほどからの御答弁を聞いておりますと、どうもこの空洞化の問題について政府の認識はもう一つ鈍いというか甘いというか、というふうな感じを持つわけでございますけれども、通産省あるいは経済企画庁どちらでも結構ですから、最近の一段の円高を背景とした製造業の海外投資つまり海外流出ですね、これの状況を一体どのように把握しているのか、どの程度の深刻度で見ているのか、御見解をお聞きしたいと思います。
#142
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私どもはこの事態を非常に深刻にとらえております。そして、現在もなお、今月いっぱいをかけまして改めてその実態の把握に努めつつあります。
 それを前提にお聞きをいただきたいのでありますが、我が国の製造業の海外直接投資額は八五年のプラザ合意による円高などによりまして急速に拡大いたしました。そして、八九年度に百六十三億ドルとピークに達したわけであります。その後、世界的な景気の低迷あるいは海外生産拠点の設立が一巡したといったことから進出ベースは鈍化しておりました。
 ところが、昨年の年初来の急激な円高などを背景にいたしまして、九三年度には対前年度一〇・七%増の百十一億ドルという増加を示しておる状況でありまして、九四年度におきましても同様の傾向で推移をいたしております。
 これは国際的な比較優位の変化でありますとか、さらには企業活動の国際的な展開の中で今後とも趨勢としては増加すると思われるわけでありますけれども、それ以上にこの円高の背景となっております経常収支不均衡、内外価格差などの構造的な要因もございまして、これを放置しては我が国の製造業の空洞化、委員が御指摘になりましたような状態、さらには雇用への悪影響をもたらす懸念があると深刻に我々は受けとめております。
 そして、それが新たな分野への展開を求める中小あるいは零細企業に対する創業の支援あるいは新分野進出への支援といった次年度の方針を、政策を考えつつあるその大きな理由であります。ぜひ御協力を賜りたい、この機会にお願いを申し上げます。
#143
○和田教美君 企業の海外進出、直接投資の増大というものに対しましては、空洞化を避けるためには、通産省流に言えば三位一体の政策の推進というのが必要だろうと私も考えます。すなわち、まず減税、公共投資計画の上乗せ等による内需拡大というマクロ構造調整、それから規制緩和、内外価格差是正等のミクロの経済改革及び新規産業の創造、リストラ支援等の産業構造政策、これらを一体的に進めることが必要だというふうに思います。
 しかし同時に、減税については税制改革、それから公共投資については事業配分の問題がございます。規制緩和、内外価格差是正につきましては、制度改革をめぐる所管官庁、関係団体との利害調整という非常に難しい問題が厳然と存在をしているわけでございまして、それほど簡単にできることでもないというふうにも思うわけでございます。
 そこで、通産、経企庁の御決意をひとつお伺いしたいんですが、産業空洞化を阻止するためにどのように積極的に対応して政府部内で主導権をこれから発揮していかれるのか、その決意があるのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
#144
○国務大臣(橋本龍太郎君) 経済構造の改革を進めていくとなりますと、委員が御指摘になりましたように極めて強い抵抗あるいはさまざまな難問が出てくるであろうことは私どもも覚悟をいたしております。しかし、現在の我が国の経済というものは既存産業の成熟化あるいは新規産業の展開のおくれ、くらに空洞化の懸念といった構造的な要因を抱えておるわけでありますし、今おっしゃったような三位一体の施策を進めていくということは必要不可欠なことでありまして、この点につきましては総理からも強い御指示を受けております。
 私どもは、こうした認識について関係者の御理解を得るべく全力を挙げて取り組んでまいるつもりでありまして、関係省庁との緊密な連携のもとに着実に前進を図ってまいりたいと存じます。どうぞ委員各位にもお力添えを心からお願い申し上げます。
#145
○和田教美君 対内直接投資という問題も私は重要だと思うんですね。空洞化を補う手段としては海外企業の国内誘致、今後これを促進することが必要だというふうに思います。これはまた我が国が開かれた市場であることの証明にもなると思うわけでございます。
 先日の二十五日でしたか、経済企画庁長官もあいさつの中で、OTOの活用とともに対日投資会議に言及して対日投資の必要性、外資参入環境の整備ということに触れておられます。対日没貸の促進については、従来からジェトロ事業等を通じて行ってきたほかに、輸入投資促進法による法的。促進策も講じられてきたわけですが、しかし高い人件費や土地代、激しい企業間競争、欧米と違った取引慣行等によって外国企業の進出はなかなか容易ではないと思います。これは通産省や経企庁の管轄ではないけれども、例えば最近の東京証券取引市場なんかを見てみますと、むしろせっかく出てきた外資関係がどんどん撤退していくというふうな状況くえ起こっておるというふうなことでございます。
 そこで、これは経済企画庁長官にお尋ねしたいんですけれども、最近の対日投資の状況に関してどういうふうに見通しを持っておられるか。また、対日投資会議を初め対内投資促進行動計画、つまり日本に対する投資促進という行動計画によって今後どのような方策を講じようとされているのかお聞きしたいと思います。
#146
○国務大臣(高村正彦君) 今までも税制、金融上の優遇措置だとか情報提供等の措置を講じてきたわけでありますが、それにもかかわらず大変な対内対外投資のインバランスがあるというのは御指摘のとおりであります。
 そして、御指摘のように何とか対日投資をふやさなければなりませんので、閣僚レベルの対日投資会議を設置して、第一回会合を開催して外国企業代表からもいろいろ意見等を聴取したところであります。この対日投資会議の運営等を通じてさらに対日投資の一層の促進のための環境整備に努力をしていく所存でございます。
#147
○和田教美君 次に、産業空洞化に伴う雇用問題について、これは労働省にお尋ねしたいと思います。
 あるシンクタンクの計算によりますと、企業の海外進出に伴う二〇〇〇年までの要調整雇用者数は千六百万人と言われております。実際は経済成長や新規産業等によって吸収されるために失業者がそれだけ出るという意味ではもちろんございません。しかし、少なくともこれだけの労働市場の流動化が生じる可能性があるというふうな推定はやはり非常に重大なことだというふうに思うわけでございます。
 そこで、こうした産業構造の転換に伴う雇用調整問題について、中長期的観点から通産省は一体どのような見通しを持っておられるのか、あるいはまた同じく労働省はどういう見解を持っておられるのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
#148
○政府委員(堤富男君) おっしゃるような意味で産業の転換をしていくということに加えまして、本当に日本が必要とする雇用が確保できるかどうかという大前提があるわけでございますが、先ほど御説明いたしましたが、通産省の産業構造審議会では二つのシナリオをつくりました。それで、政策のよろしきを得て民間の活力を保つことができれば二〇〇〇年あるいは二〇一〇年においてほぼ雇用はバランスする絵はかけるわけでございます。
 ただ一方で、その産業構造の転換という中でかなりの、数百万人ぐらいのオーダーでの業種を転換していくという必要性がまた出てくるわけでございまして、そういう意味では産業構造転換と労働雇用対策とが一体となった運営が必要だというふうに強く感じております。
 さきに総理からの指示もございましたが、中期的な観点を含めまして雇用問題と産業構造転換策とを一体として新しい考え方を、政策を推進するようにという御指示がございましたが、この指示に基づきまして、我々といたしましては、新しい分野の事業を展開するとか、あるいは先ほど申し上げました三位一体の一つでございます公共投資をふやすことによって雇用をふやすというようなことも踏まえまして、全体として雇用がバランスするような政策を展開してまいりたいと思っている次第であります。
#149
○説明員(青木功君) 雇用の関係について御説明申し上げます。
 先生から御指摘を賜りましたように、これからの産業構造の変化の中で、労働者の方々が職種を転換するだけではなくて、産業間で今までの経験と違ったところに移っていかなければならないというようなことが非常に多くなるというふうに思われます。
 私どもの労働省でつくっております学識経験者の皆さんで構成されます雇用政策研究会というのがございますが、そこでも中期雇用ビジョンという形で西暦二〇〇〇年の展望を出していただきましたけれども、いろいろ規制緩和とか産業政策よろしきを得れば雇用として総体としてはバランスはすると、しかし相当規模の産業間の雇用移動が不可避になってくる、その場合に産業間の労働移動に際してそのコストを働く方々の失業という形で痛みを与えるということは不適当であろう。私どもとしましても、そういったことで今後はそういった産業間の労働移動が間に失業を経ないで移っていけるような対策というものに全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
#150
○和田教美君 時間が参りましたので、価格破壊の問題についてもお尋ねしたいと思っておったわけですけれども、またの機会に譲りたいと思います。総理府にも質問通告しましたけれども、これもまたの機会ということで御了承願いたいと思います。
 ありがとうございました。
#151
○市川正一君 橋本通産大臣、お久しぶりでございます。
 大臣には冒頭、去る二十四日の衆議院税特委で侵略戦争に関して御発言なさいましたが、基本的政治姿勢にかかわりますのでお聞きしたいのであります。ここにその会議録全文ございます。よう読んでくれとおっしゃっていましたので、よう読ましていただきました。
 大臣は、日本が行った戦争全体の性格について、アメリカやイギリスなどとの戦争で戦域になった太平洋の地域には迷惑をかけたが、第二次世界大戦における日本が侵略戦争であったとは申し上げるつもりはないなどとおっしゃっています。本来、戦争の性格を規定するのは、その戦争目的が何であったのかという問題だと思うんです。
 そこでお伺いするのでありますが、ここに持ってまいりましたのは、外務省が責任編集した「日本外交年表 竝 主要文書」下巻であります。その意味では権威のある文献であります。これによりますと、例えば一九四〇年、昭和十五年九月十六日の大本営、政府連絡会議における決定「日独伊枢軸強化に関する件」では、これの四百五十ページでありますが、「皇国ノ大東亜新秩序建設ノ為ノ生存圏トシテ考慮スベキ範囲八日満支ヲ根幹トシ旧独領委任統治諸島、仏領印度及同太平洋島喚、泰国、英領馬来、英領ボルネオ、蘭領東印度、ビルマ、豪州、新西蘭並ニ印度等トス」、こうなっております。当時の日本政府が目指したいわゆる大東亜共栄圏とは、まさにこれらの国々、地域を侵略対象としたことがここに明記されております。
 そして、翌一九四一年、昭和十六年七月二日の御前会議の決定「情勢の推移に伴ふ帝国国策要綱」、五百二十一ページでありますが、南方対策がため「対英米戦準備ヲ整へ先ツ「対仏印泰施策要綱」」、「泰」というのは今のあそこです、「及「南方施策促進ニ関スル作」ニ拠リ仏印及泰ニ対スル諸方策ヲ完遂シ以テ南方進出ノ態勢ヲ強化ス」「帝国ハ本号目的達成ノ為メ対英米戦ヲ辞セス」、こう言い切って、これらの国々、地域へ帝国領土とするために行った。それがアメリカ、イギリスとの戦火を、火ぶたを切るわけでありますが、これ自体こういう文献から見ても侵略戦争であったことは明白であります。
 例えば一九四三年、昭和十八年五月三十一日の御前会議、「大東亜政略指導大綱」、五百八十四ページであります。ここで「「マライ」「スマトラ」」「「ボルネオ」「セレベス」ハ帝国領土ト決定シ重要資源ノ供給地トシテ極力コレカ開発並ヒニ民心把握ニ努ム。」、こう決定をいたしております。
 まさに極めて露骨な侵略目的をむき出しにしておりますが、例えばお伺いしたいのは、マライには、マレーとも申しますが、日本は侵略しなかったのですか。帝国領土にそこはならなかったんですか。スマトラ、ボルネオ、セレベスもそうだったんでしょうか。大臣の認識をまず伺いたいと思います。
#152
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先日の衆議院税制特別委員会の質疑の中で、私が答弁をいたしましたことの結果として、大変多くの方々に御心配をかけ、また国外におきましてもくまざまな波紋を呼んでおりますことを大変悲しく思っております。
 そして、今委員が御質問をいただきました細かい年月について、当時私は成人に達しておらないところか、敗戦時が小学校の二年生でありますから、そうしたプロセスをつぶさに存じてはおりません。そして、これは私速記を起こしてもらいまして、その部分を、申し上げた言葉どおりに読ませていただき、その上で申し上げたいと思うのであります。
 今、委員がお触れになりました諸地域につきましては、二度目の御質問に対して、「正確にお聞きをいただきたいと思うのでありますが、中国に対して私は侵略行為があったということを、そのとおりの言葉を使いました。朝鮮半島に対して植民地支配という言葉を私は使いました。」と。この二つの地域とまず申し上げ、「そして、当時の日本としてその地域の方々を相手として戦っているつもりはないままに太平洋の各地域を戦場とした事実がございます。」という言葉を私は使っております。
 今、委員会の御質問に対する答えでありますのでそこでとめたわけでありますけれども、今の歴史観からすれば、当然のことながらその地域の方々と戦っていたと私は思います。そして、遺骨収集をさせていただく中で、そうした現地の方々の声を私は肌で、また自分の耳で伺ってまいりました。いずれにしても、中国あるいは朝鮮半島の方々を含め、戦域となりました各地域の方々に対して、私は当時の日本が本当に御迷惑をかけたと考えております。
#153
○市川正一君 そこに事実と論理のすりかえがあるんですよ。結果として御迷惑をかけた、申しわけないと言うんじゃなしに、今ずっと御紹介した公式の決定あるいは公文書、これは明らかに大東亜共栄圏と称して、今私が具体的に御質問してお答えがなかったんだけれども、例えばマライやスマトラやボルネオやセレベス、そういう太平洋地域に、ここを帝国領土だと、こう認定するわけです。そして、そのために重要資源をそこから略奪していく、そして軍政をしくという、言うならば侵略戦争です。そして、現にここに私、あなたがおっしゃいますから、さらに一つ追加いたしますと、四一年十一月二十日の「南方占領地行政実施要領」、ここで、占領目的で「重要国防資源ノ急速獲得」、これは五百六十二ページでありますが、それを掲げてアジア・太平洋地域に全面的に侵略を開始するんです。
 ですから、あなたのおっしゃる、それぞれの戦線になってしまったところの方々に御迷惑をかけたというような性格のものではなしに、二千万人以上のアジア諸国民の命を奪い、領土と資源を略奪していった。これがあの戦争の性格なんです。実体なんです。私は、そういう点で事実と、それから同時に、こういう歴史の経過に即してあなたの御発言が誤っていると、根本的にゆがめているということから、中国あるいは韓国などから厳しい批判と抗議が寄せられるのは当然だと思うんです。私は、そういう点で速やかにこの発言を撤回なさる、謝罪をなぐるという態度をおとりになるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#154
○国務大臣(橋本龍太郎君) 委員の御忠告は、私は真剣に拝聴をいたしました。今までも党派を超えてしばしば私は委員から御忠告をいただいております。しかも、国際的な波紋を引き起こしておりますことでありますだけに、その御忠告は心からお礼を申し上げます。と同時に、少なくとも、他の院ではありますが国会の委員会という正式な場で発言をいたしましたこと、不足な部分、言葉の足らない部分がありましたならばそれは私は補足をいたしますが、取り消しあるいは謝罪という言葉を使われました。他の院として御注意をいただいたことにお礼を申し上げます。
#155
○市川正一君 通産大臣として、特にアジア地域におけるいろんな今後のかかわり合いをお持ちの重要閣僚のお一人です。ですから、そういう意味からも、本委員会としても看過できないというかかわり合いを持っています。
 戦後、日本は今申したような侵略戦争の深い反省の上に立って現憲法の平和的民主的原則を打ち立てました。この日本政治の原点を否定する発言ということについては、きょうは閣僚の任免権者である総理大臣がおられないので、その進退に直接触れるつもりはさらさらありません。しかし、あなた御自身、きのうある議員の出版記念会でのあいさつで、数日前に失言をいたし、首が風前のともしびであると、こうおっしゃっている。とすれば、あなたがそういう認識であるならば、みずから責任ある対処をなさる。失言だと認識される、首が風前のともしびだと、こうおっしゃっている。とすれば、みずから責任ある対処をなさるべきだということを、忠告というよりも、長い間おつき合いした同僚の議員として率直に申し上げて、所存を承りたい。
#156
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、今委員のお話を伺いながら、衆議院の特別委員会における質問者の方の御質問と委員の御指摘の角度が真っ向から反しておりますことに当惑をいたしております。
 そして、いずれの場合におきましても、私がお答えをすることは一つでありまして、政治家として申し上げることは同じことになろうかと思います。
 ただ、先ほども申し上げましたように、さきの大戦におきまして、我が国が過去の一時期に行いました侵略行為あるいは植民地支配というものが国民に多くの犠牲をもたらしました。しかし、それだけではなく、アジアの近隣諸国の方々などにも非常に大きな傷跡を残しておりますことを自分自身の遺骨収集等の体験でも存じております。
 あるいは日韓条約のイニシアルの直後に私は日本の学生を連れて韓国を訪問いたしましたとき、植民地時代における、例えば創氏改名でありますとか、あるいはその他の怒りを対話の中で生にぶつけられました。そして、そのたびに申しわけなかったと言いながら、しかしこれからの日本と韓国の間に何とか手は結べないものかということを対話集会をして歩いたことを今思い出しております。
 それだけに我々は、あくまでも再び戦わすという誓いを新たにし、平和というものがいつまでも続くように努力していくことが我々の務めだと、そのように考えております。
#157
○市川正一君 やっぱり国民世論あるいは国際世論はこの問題を決してあいまいにしないだろうということだけ申し上げて、次の問題に入ります。
 先ほど来もございました異常円高の進行でありますが、これは大企業の海外進出を促進し、中小企業の経営を圧迫して地域経済に一層の空洞化をもたらすのではないかという不安が広がっております。
 実は、私はこうした異常円高を引き起こしている日本側の原因の一つである大企業のリストラ問題を先日トヨタ自動車をめぐる現地調査で見てまいりました。トヨタ自動車は、御承知のように九四年の六月決算で二千百四十億円の経常利益を上げておるのでありますが、私どもの調査団に対して、二千億円は合理化効果であり、そのうち千五百億円は原価低減にあると、こう答えました。
 このコストダウンは、年二回実施している通常のVA、VEだけでなしに、トヨタ自動車の主査が下請企業に乗り込んで、SCDと申しますが、スーパーコストダウンと称する無慈悲なコストダウンを強要するということも行われておりました。アイシン精機、トヨタ車体など一次下請が、内製化するということで二次、三次、四次の下請の仕事を引き揚げております。その結果、二次以下の下請は単価を三〇%以上切り下げられ、仕事は半分程度あればまだいい方で、金型、生産設備ラインの業者あるいは部品業者は全く仕事がなくて転廃業に追い込まれております。
 労働者はどうですか。この二年間にトヨタ自動車の従業員は三千六百九十三人入減らされました。期間工は三千人減少です。構内下請はほとんどゼロになっております。
 また、豊田市の市税に占める法人市民税の割合は、九〇年度と比べて九三年度は三分の一に落ち込み、そして転出入人口を見ますと、九三年十月には転入人口を転出人口が上回るマイナス千八百五十二人という数字を示し、地域経済にも深刻な影響を与えております。
 若干状況描写が長くなりましたが、そこで伺いたいのは、最近、野村総研がその調査レポートで論じた悪魔のサイクルという言葉が話題になっております。先ほども小島委員の方から円高の悪循環という言葉が出されましたけれども、それは円高の進展が経営危機を招き、コストダウンで競争力を回復するとそれが再び円高の進展を引き起こすという、文字どおり悪循環を指摘したものでありますが、問題は、この悪循環を通じて結局下請や労働者また地域経済に犠牲がしわ寄せくれる、大企業だけは生き延びていく、こういうまさに悪魔のサイクルというものを放置していいのか、野放しにしていいのかということを私は現地へ行って実感したのでありますが、いかがでしょうか。
#158
○政府委員(渡辺修君) 今、委員から実態調査に基づきますトヨタ関連下請及び地元についての御質問がございました。
 御承知のように、自動車業界はこの長期にわたる不況の結果、連続三年大幅な生産減になっております。それに伴いまして厳しいコスト削減に努めておるということは、他の産業と全く同様というか、特に自動車の場合に直撃が大きかったわけでございます。そういった従来の経営方針を大きく見直しまして現在リストラに努めておるというのは、トヨタも例外ではございません。
 そういうことで、仕入れ事業者と一体となりまして、部品の共通化から始まって、先ほどおっしゃいましたが、設計、装備あるいはその辺のコストダウン、さらに車型、部品点数の削減その他、極めて厳しい見直しを進めておる。その過程におきまして、今申し上げましたように本体及び仕入れ業者、下請その他と一体となりまして、とにかくこの不況を乗り切ろう、こういうことで現在鋭意努めておるわけでございます。
 その過程におきまして、各種の雇用関係とかその他の影響が出てきております問題につきましては、地元の中小企業のリストラ法の活用だとか、あるいはそのほかの関連部品工業につきましても相当程度雇用調整助成金の活用その他によって対処して、とにかく現在の不況を乗り切ろうという最終段階に立ち至っている、こういうのが現実でございます。
#159
○市川正一君 私もできるだけわかるように言っているつもりですけれども、わかるように答えてもらいたい。
 それで、さっきも小島委員がお触れになりましたが、二十五日の日経新聞によりますと、このトヨタ自動車が、一五%のコスト削減を系列部品メーカーに求めるなどして、仮に一ドル八十円台になっても対応できるようにする、こう報道されております。
 きょうこの席には愛知とかかわりの深い同僚議員もいらっしゃるわけですが、もともとこのトヨタ自動車の豊田会長は、去年下請部品メーカーに対して、まだまだ締めないといかぬ、ただ、締め過ぎて死んでしまったら元も子もない、そこは上手にやる、こう発言をされた人物であります。ことしの日経ビジネス六月二十日号でも、「乾いたタオルもいつかは湿る」、こういってらなるコストダウンを計画されておられるようであります。
 私は、大企業が円高をてこにした海外進出を進めて国内での産業空洞化を推進していく、こういう事態、先ほどの悪魔のサイクルのようなことを放置してよいだろうか。もちろん、私どもも企業の海外進出一般を決して否定するものではありません。しかし、今日の事態は、雇用や中小企業、地域経済に重大な影響を及ぼす大企業の海外への生産拠点の移転については一定の規制を行うべきではないのか、そういうふうに考えるのでありますが、こういう点について大臣かどなたか。
#160
○政府委員(堤富男君) 我々も現在の空洞化の現象というのが非常に厳しいものであるという認識は持っております。
 特に、単なる円高ということに加えまして、最近の南と北の国のコスト構造の格差というのがございまして、日本企業、トヨタを含めてその生存をかけた厳しい競争の下にあるというふうに考えております。もちろん海外投資自身というのは、現在、先進国の間あるいは世界の貿易自由化の流れ、それから資本自由化の流れという世界の大きな流れがあるわけでございまして、この海外投資に対して規制を加えるということは世界の流れに逆行するということは委員もすぐおわかりだと思います。特に日本の場合には、先進国であり黒字国であるという責任がまた課せられているわけでございまして、日本が南の国に対しまして資本あるいは技術というものを供与していくということは、また国際貢献の立場からも重要なことだと思っております。
 それから、国内的に考えましても、例えば規制をしたといたしましても、これは海外投資をする場合の多くの企業というのは、日本にいても競争力がなかなか保ち得ないということが一つのベースになっているわけでございますから、海外投資を規制いたしますと、輸入という形で姿を変えてまた商品が入ってきてまた負けてしまう。そうなりますと輸入規制もしなければいけないという形で、規制が規制を呼んでいく。その結果、国民が全体として安い消費財あるいは耐久消費財を買うことが不可能になる可能性もあると。いろんなことから規制に伴う副作用というのがございまして、先ほどから委員会の中の雰囲気は、むしろ規制緩和を進める中で新しい分野に対して通産省としてしっかりした仕事、事業を展開していくべきではないかというような御意見だろうと思いますが、我々もそういう方向で、むしろ将来のダイナミックな発展をいかに実現するかということに意を用いてまいりたいと思っている次第であります。
#161
○市川正一君 私は、世界の趨勢という面からいっても私の論じている方向が今大きな流れになりつつあるということを事実で指摘したいのであります。例えばEU、欧州連合ですね、ここでは労働組合に対して経営情報の事前公開を義務づける欧州労使協議会の設置に関する指令案が採択されました。それによりますと、EU域内で千人以上め従業員を雇用し、かつ二カ国以上でそれぞれ百五十人以上を雇用している企業の事業所縮小や工場閉鎖、生産の移転、配置転換、大量の解雇などについては労使協議にかけることを義務づけております。そして、このEU域内の企業の中には、日経の報道によりますと、ジェトロの調査結果による内容でありますが、日産自動車、ソニー、キャノン、こういう日本の資本の系列にある大手企業グループ約三十社が対象になっているというふうに報道されております。言うならば、企業の行動について必要な規制をする方向というのが現に世界で底流として動いている。
 それは国内でもそうでありまして、例えば産業空洞化の日本経済への影響については、経済白書あるいはまた経団連もことしの夏季セミナーでさえ問題になっております。大臣の先日の発言の中でも、今まで空洞化問題についてはやや消極的であった通産省の姿勢が今度はかなり前向きにこの問題に触れていらっしゃる。お読みになって御存じだと思いますが、ソニーの盛田会長が九二年二月号の文芸春秋で「「日本型経営」が危い」という論文を出して波紋を呼んでおります。言いかえれば、今まで日本のルールなき資本主義というふうに言われてきたああいう大企業のあり方に財界内部からも批判と反省の声が起こってきております。
 私は、そういう立場から見て、企業栄えて国滅ぶ、そういうような空洞化に歯どめをかけて、大企業がその社会的責任を果たしていく、そのための必要な措置をとることは決して逆行していないということを強く力説して、最後に大臣の所見を伺って質問を終わりたいと思います。
#162
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今さまざまな角度から委員が展開をくれました御議論の中には、我々としても傾聴に値する部分も多うございます。しかし同時に、相当部分やはり意見を異にするところもあるな、これが率直な感じでありました。
#163
○市川正一君 これからまたやりましょう。
 終わります。
#164
○委員長(久世公堯君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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