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1994/10/20 第131回国会 参議院 参議院会議録情報 第131回国会 厚生委員会 第3号
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1994/10/20 第131回国会 参議院

参議院会議録情報 第131回国会 厚生委員会 第3号

#1
第131回国会 厚生委員会 第3号
平成六年十月二十日(木曜日)
   午後一時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         種田  誠君
    理 事
                清水嘉与子君
                宮崎 秀樹君
                菅野  壽君
                横尾 和伸君
    委 員
                大島 慶久君
                大浜 方栄君
                佐々木 満君
                前島英三郎君
                今井  澄君
               日下部禧代子君
                竹村 泰子君
                堀  利和君
                勝木 健司君
                萩野 浩基君
                高桑 栄松君
                西山登紀子君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  井出 正一君
   政府委員
       厚生大臣官房長  山口 剛彦君
       厚生大臣官房総
       務審議官     太田 義武君
       厚生省健康政策
       局長       寺松  尚君
       厚生省保健医療
       局長       谷  修一君
       厚生省生活衛生
       局長       小林 秀資君
       厚生省社会・援
       護局長      佐野 利昭君
       厚生省老人保健
       福祉局長     阿部 正俊君
       厚生省児童家庭
       局長       佐々木典夫君
       厚生省保険局長  岡光 序治君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        水野 国利君
   説明員
       大蔵省主税局税
       制第二課長    渡邊 博史君
       文部省高等教育
       局医学教育課長  遠藤純一郎君
       通商産業省環境
       立地局環境指導
       課再資源化対策
       室長       小川 恒弘君
       気象庁観測部管
       理課長      椎野 純一君
       建設省河川局水
       政課水利調整室
       長        小林 好實君
       建設庁河川局開
       発課長      青山 俊樹君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○社会保障制度等に関する調査
 (医療機関における消費税負担に関する件)
 (看護婦養成課程の改善に関する件)
 (保健所所管区域の見直しに関する件)
 (国立病院等の再編成に関する件)
 (病院給食に関する件)
 (渇水対策と水利権の調整に関する件)
 (新ゴールドプランに関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(種田誠君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 社会保障制度等に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○宮崎秀樹君 井出大臣、御就任三カ月で大臣のいすにももうおなれになられたことだと思いますが、日々御苦労さまでございます。
 きょう、最初に私が質問いたしますのは、二十一世紀福祉ビジョンというのが厚生省から出されました。たまたま私どもが野党のときにこれが出たわけでございますが、別にそのとき出たからどうこうということで申し上げるわけではございません。大変御苦労されてできているということは重々わかっております。しかし、この中で私は、理念的、哲学的にどうも納得のいかないことが書かれているというので、きょうはそのことについてちょっと御質問を申し上げたいと思います。
 一つは、医療の効率化という言葉が随所に出てまいります。医療の効率化という言葉は非常に誤解を招く言葉であると。例えば、医療システムだとか医療制度の効率化というのならば話はわかるんですが、その言葉をはしょって医療の効率化。医学、医術を用いて病を治す、医療でございますね。それから、効率という言葉は一体どういうことに使うかを広辞苑とか辞書をいろいろ引きますと、効率というのは「機械によってなされた有用な仕事の量と機械に供給された全エネルギーとの比。」ということなんですね。
 むしろ、医療というのは心の通ったものが医療であって、そして今インフォームド・コンセントとか、手間暇かけて時間をかけて、人と人とのつながり、医師と患者の信頼関係、こういうことが重視される中で効率化をしろと、これは大変誤解を招きます。やはりこういうことを平気で無神経に使うということは、私は、行政から出た物の中に書かれているということは大変な問題があるんじゃないかと思いますので、その辺について御所感を承りたいと存じます。
#4
○政府委員(太田義武君) ただいま先生からお話のありました医療の効率化という言葉及びその哲学の問題ということでございますが、今先生御指摘の点は、このビジョンの試算のところにいろんな前提条件を書いたものがございます。その中で医療費の伸びの推計をしておる部分、その前提といたしまして、「国民が安心して医療を受けることができることを基本としつつ、在宅ケアの推進、介護対策の充実をはじめ保健医療福祉の供給面も含めて医療の効率化を推進しこ云々、こういうふうに書いてございます。
 この考え方は、まさにこの前段にありますように、先生が今御指摘のありましたように、医者と患者の信頼関係を損なうような、医療の場面でそれを非常に効率化して、例えば時間をかけているのを短くする、そういう趣旨ではございませんで、ここで申し上げていますことは、実は本文にもるる述べてあるわけでございますけれども、先ほど言いましたように、「国民が安心して医療を受けることができる」ということを基本にいたしまして、医療施設の機能の体系化を図っていくとか、在宅医療の推進を図っていくとか、福祉施策の充実を図っていくとか、あるいは地域医療計画とか医師需給の見直しに基づきますところの医療供給体制の効率化を図っていくとかという、多分野にわたります取り組みの方向を総合いたしまして端的に述べな言葉でございまして、今先生御指摘のような、時間をできるだけ短くするとかあるいは医療内容を落とすとか、そういう趣旨のことを述べた言葉でないことは御理解いただきたいと思います。
#5
○宮崎秀樹君 それは当たり前のことでして、ならば、こういう言葉を略して使うということは非常に私は問題があると思うんです。それならそれで、この言葉は医療の効率化と言わないで、医療システムとか医療制度とかそういうことの効率化ということを前に入れなきゃおかしいので、これを読むとそういうふうにはとれない。だから、そういうことはやはりきちっと国民にわかりやすくしてもらわなきゃ困りますので、申し上げておきたいと思います。
 そこで、「社会保障に係る給付と負担の将来見通し」ということで試算をされております。四つのケースをやっております。
 そのケースUにつきましてこれは将来これでいこうというところにも、「年金については、改正後の制度を仮定し、医療については、効率化を図るものと仮定しこと、ここにはこれしか書いてないんですよ。これじゃあなたが幾ら言ったって通らないでしょう。「また、介護対策や児童対策等の充実を図ったと仮定した場合」と、これだけしか書いてないですね。だから、やはりこういう誤解を招くようなことは改めてもらいたい。どうですか。
#6
○政府委員(太田義武君) そこだけの言葉ではなくて、この本文全体で医療の効率化というのはどういうことを指しておるかということを考えた場合に、先ほど申し上げましたような医療施設、機能の体系化……
#7
○宮崎秀樹君 はい、わかりました。もう時間ないからいいです。
 幾ら言ってもあれだけれども、これだけ見た場合にはそれは通らない、そんなことは。だから、幾ら頑張ってもだめですよ、それは。そういうことじゃないということをおっしゃっても、このページだけ見ることだってあるわけですからね。何も書いてない。それはそういうことでは通らない。やはりそういうことだということは今の説明でわかりましたけれども、誤解を招くようなことはきちっと訂正してもらいたいということを申し入れておきます。
 そこで、そのページの一番下に、「医療の効率化を推進し、医療費総額が五%程度減少するものとして算定している。」と。最初に五%医療費を減少させるということを言っているというのはどうも納得いかないわけです。
 と同時に、今は年金が五、医療が四、福祉が一、それを将来は年金を五、医療を三にして、福祉を二にする。年金の問題はこれから、年金法案の審査を今衆議院でやっておりますけれども、確かに高齢化社会を迎えて、納める人が少なくなってもらう人が多くなればこれは大変なことになるわけですから、どっちみちこれは膨らむことはしょうがないんです。しかし、医療費も高齢化社会になってくるとどんどん膨らむんですね。平成十二年に四十三兆円の医療費がかかるということはもう試算で出ているわけです。そういうことがわかっておる。と同時に、医学、医術の革新があって新しい医療の技術が入ってくる、高額な機械が入ってくる、そういう進歩がある。そういうようないろんな因子がありますから、お金はかかるんですね。それを最初から医療だけ削る。私は福祉をどんどん充実させる、これは大賛成なんです。
 だから、総枠のパイを膨らまさないで、この中で分捕りごっこをやるとこうなるんだよというような考え方じゃなくて、全体的に充実させていくんだという発想でいいと思うんです。それを、ここではもう医療だけ抑制してやろう、だから医療費の抑制だということをはっきり明確にうたう。私は、むだな医療費はターミナルケアなんかでいわゆるスパゲッティ症候群なんというのがありますから、こういうものはきちっと対策を立ててやっていかなきゃいけない、これはわかるんです。しかし、最初から医療だけを削減していくというような発想があってこういう施策を立てるということは精神的に間違っているんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#8
○政府委員(太田義武君) 先生御指摘のように、ビジョンにおいては、社会保障費が今後は非常に増大してくる中におきまして、年金につきましては現在の改正案を前提としてそういう試算をしております。また、先生御指摘のように、医療制度については効率化あるいは長期的な安定化ということを考えて試算し、今御指摘のありましたように、福祉等の水準を思い切って引き上げるということを提言してございます。
 そして、全体の金額もそのパイが同じだということではなくて、これを二〇二五年の平成三十七年には現在の六十兆円が三百八十兆円にふえるというような格好で試算されていますから、パイそのものが大変大きくなるという前提でございますので、同じ枠でこれを削るということではもちろんございません。
 それからもう一つ申し上げたいのは、年金、医療、福祉のバランスでございますが、現在は先生御指摘のように五対四対一になってございますが、これを現在の制度をそのままにして延ばしますと、平成三十七年、二〇二五年には六対三対一となっております。それを現在の年金制度の改革、あるいは先ほど先生おっしやられました福祉関係の水準の大幅なアップ、このままいきますと六対三対一になりますのを五対三対二に持っていこう、こういうことでございまして、この福祉重視ということについては、先ほど先生から御理解いただいたので申し上げる必要はないと思いますけれども、そういう事情でございます。
 ただ医療については、先生御指摘のよう化、今後絶対額という、もちろん高齢化とか先ほどおっしゃられたような点を含めまして、質の向上とかあるいはいろんな技術の発展とかで増加は避けられないわけでございます。二十一世紀ビジョンの中でも医療につきましては、高齢化に伴う疾病構造の変化など医療需要の変化に対応し、質に配慮した医療環境の整備とか医療内容の十分な説明だとか良質な医療を提供していくことが提言されておりますので、まさにそういうことであると私どもは思っております。
#9
○宮崎秀樹君 医療費だけをターゲットにしてやるということじゃなくて、むしろ私は、これからはもうスウェーデンのように年金から医療に回すようなことも考えなきゃいけない時代に来ているんじゃないかと思うんですね。というのは、スウェーデンは、年金受給者で病院に入院した人は入院料の一部は年金からそちらへ回している、そういうような実態もございます。
 とにかく、効率よく社会保障費を運用していくと、国民全体が考える時期に今来ていると思うので、そういう中で配分というものをやはりきちっと考えて、国民が一番いいようなシステムというものを構築することが大切だと思います。
 大臣、最後にまとめて一言お願いします。
#10
○国務大臣(井出正一君) 二十一世紀福祉ビジョンの試算の前提にある医療の効率化とは、ただいま総務審議官が御答弁申し上げましたように、国民が安心して医療を受けることができることを基本方針とした上で、医療施設機能の体系化、在宅医療の推進、福祉施策の充実、保健・医療・福祉の総合化などを行うことを意味するものでございまして、先生御指摘の点も踏まえまして、その趣旨を丁寧に説明してまいるつもりでございます。
#11
○宮崎秀樹君 それでは、私は二十五分という大変短い時間でございまして、残りは医療機関の消費税の問題に移りたいと思います。
 平成元年の四月に三%の消費税が施行されまして、社会保険診療報酬の中に消費税分を実は入れていただいたわけであります。そのときに、一カ月の在庫調整を見たいわゆる薬剤、材料費、それをベースにしまして〇・七六%というものを見込んでいただいたわけであります。
 しかし、御承知のように医療機関は実際に患者さんに転嫁できないということで、医療機関が全部消費税を吸収しちゃっている。これは〇・七六%という数字の間に大変格差がありまして、国立大学の附属病院だけを調べても、今二つの病院のデータをいただいたんですが、大体平均一・八%、これは消費税でございます。それから全日本病院協会のデータでは、民間病院は平均一・四ぐらいでございますか、これは〇・七六と大変な格差があって、その分は損税としてこれを負担しているわけです。
 そこで、この消費税と社会保険診療報酬というものを考えると、社会保険診療報酬とは何だといいますと、これは国庫負担とそれから保険料と市町村の負担と患者さん負担、この四つのファクターになっているわけです。
 保険料というのは、被保険者が給料の中から一部出す、事業主も出します。国保なんかは地方の国保税という格好で取っております。医療は非課税だ、患者さんに転嫁できないと通称言っておりますけれども、もう既に給料の中から消費税の分も取られているんですね。しかも、患者さんは病気になってお医者さんにかかると、今度は窓口負担で本人一割負担、家族三割負担です。そこに消費税の一部がまた転嫁されてそれも払わされている、こういう実態があるんです。ですから、これは一種独特なものなんです。これを普通の消費税と同じテーブルにのせて議論をするということはいささか問題があるのではないか。
 例えば税金で払って、授業料なんかそうですね、国庫補助を大学に出しております。これは税金という格好でやっているからいいけれども、保険料というのはまた別の格好でやっております。しかも一部負担というのがあります。
 こういう実態を見たときに、消費税の問題はここから出発しなきゃならない。それについて厚生省はどういうお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
#12
○政府委員(岡光序治君) まず、先生お話のありました数字の関係から状況説明を申し上げます。
 御指摘がありましたように、消費税法施行の平成元年四月に診療報酬を上げたわけでございます。この考え方は、診療報酬そのものは消費税非課税取引ということにされているわけでございますが、保険医療機関が実際に購入する医薬品、そのほかの資材、こういった関係のものにつきましては消費税が課税される。こういうことで、その課税された消費税分を円滑に転嫁できるような環境をつくらなきゃいけないという観点から、消費税にかかるコストアップ分を診療報酬で手当てしたわけでございます。
 その考え方は、まず薬につきましては医薬品の実勢価格とか消費税がかからない在庫も勘案をいたしまして、薬価ベースで二・四%、医療費ベースでは〇・六五%引き上げたわけでございます。それから薬以外のものにつきましては、例えば医療材料であるとかあるいは委託費であるとかこういったものが対象になるわけでございますが、これにつきましてはそういった物件費にかかる点数、例えば給食料であるとかあるいは血液検査料であるとかそういう関係のある点数部分を引き上げたわけでございまして、その引き上げ分が医療費ベースで〇・一一%、合わせまして御指摘がありましたように〇・七六%の引き上げをやったわけでございます。一方で、診療報酬そのものは非課税ということにしたわけでございますが、こういった対応をしても対応できない部分につきまして診療報酬の方で手当てをしたということでございます。
 その後どうしたかということでございますが、その後は薬価改定あるいは診療報酬改定のたびに、まず薬価につきましては、医療機関に納入されている価格を消費税抜きの実勢価格を把握いたしまして、それに消費税分を上乗せして新しい薬価をはじいたわけでございます。それから、それぞれの診療報酬改定につきましては、消費税が導入されたことに伴うコストアップ分につきまして医療経済実態調査で把握をいたしまして、それを踏まえまして改定をしていたわけでございます。御存じのとおり、元年の改定後、平成二年、四年、六年、それぞれ改定をしておるわけでございます。
 そういう意味では、先ほど国立大学の附属病院のケースなんかもう少し実態がかけ離れている、こういう御指摘でございます。それはどうやってはじいたかということでございますが、要するに、平成四年度の病院の支出の中から課税対象の経費と非課税対象の経費を区分いたしまして、課税対象経費に三%を乗じて消費税負担額を推計して先ほどおっしゃったような数字になっておるわけでございます。
 これにつきましては、免税業者が存在する点とか、あるいは簡易課税の制度の部分もあったりいたしますし、あるいは在庫分もあったりするわけでございますので、課税部分に三%を乗じて出した数字と単純に比較するわけにはいかないというふうに私は考えております。しかも、ただいま申し上げましたように、元年以降二年、四年、六年と改定を行いまして、それぞれ実態に合うような格好で消費税のコストアップ分を織り込んだわけでございまして、そういう意味では単純比較をしないでこの内容を精査する必要があるんじゃないだろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
 いずれにしましても、またこれは御指摘がありましたが、診療報酬は国庫負担、地方負担、それから保険料負担、患者負担、この四つから負担関係が構成されているわけでございます。国庫負担、地方負担は要するに納税者一般が負担しているわけでございます。それから保険料負担は、サービスの直接の消費者ではない保険制度の加入者全体が負担している格好になります。それから、サービスの消費者たる患者は一部負担という格好で出している、それぞれが持っているわけでございます。今のような格好で診療報酬を上積みしてコストアップ分に対応するというシステムをとっている以上は、これはシステムとしては仕方がないんじゃないだろうか、そう考えているわけでございます。
 先生御指摘がありましたように、普通の典型的な消費税でありますと、サービスを消費した人が全部負担する格好になるわけでございますが、医療費は今申し上げましたように四つの要素から構成されておりますので、典型的な消費税とは違う負担関係になっております。対応としましては、診療報酬でコストアップ分も対応するという方式をとる以上は、どうしても患者さんが窓口負担あるいは保険料負担という格好で消費税の部分を負担してもらうというこのシステムは仕方がないんじゃないだろうか、こういうふうに考えているところでございます。
#13
○宮崎秀樹君 今の御説明は大変長くて、ポイントだけ言っていただければ結構だったんですが、私は改定ごとの数字というのを一回見せていただきたいと思うんですが、お願いいたします。
 それから、大蔵省さんが来ているので、この税の問題、大変今深刻な問題になっているんですが、社会保険診療報酬の仕組み、大蔵省としてはこれについてどういうふうにお考えになっているか、お聞かせ願いたいと思います。時間がございませんので、端的にお願いします。
#14
○説明員(渡邊博史君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、社会保険医療サービスにつきまして非課税になっているということでございますので、この非課税の売り上げに対応いたします課税仕入れについては、税の用語で申し上げますと、課税の累積が起こらないということから仕入れ税額控除ができないということが起こっているわけで、したがってその分が事業者の負担になるわけでございますけれども、これをどのような形で転嫁するかというのは、まさに価格の引き上げにおいて転嫁をしていただくというのが非課税の原則になっているわけでございます。
 今御指摘のように、社会保険診療というのが通常のあれと違うという面もあるかもしれませんけれども、基本的には価格の転嫁を適正な水準でやっていただくことによってその負担が変なところに偏らないようにしていただくというふうにお願いをできればと思っておるところでございます。
#15
○宮崎秀樹君 今の大蔵省さんの答えは、やはり性格の違うものだということはお認めいただいたと思います。
 そこで、現実の問題として、医療機関の経営状態が今非常に悪いわけです。さらに消費税がアップされるということになりますとこれはもう大打撃でありますので、この辺を深刻にとらえて今後この問題をよく検討していただくことを要望いたしますので、それに対する返答をお願いいたします。
#16
○政府委員(岡光序治君) 先生御指摘のとおり私どもも重大な問題として受けとめておりますし、中医協においても既に議論が始まっております。したがいまして、その辺は皆さん方の御意見を十分把握した上で、この中央社会保険医療協議会の席で十分議論していただきたいと思っております。
#17
○宮崎秀樹君 もう時間が来ましたので、この問題は次回に譲って、さらに細かいデータでまた質問させていただきます。
 終わります。ありがとうございました。
#18
○清水嘉与子君 先日の大臣の所信の中で、厚生省の重要施策として少子化問題の話、次代を担う子供が健やかに生まれ育つための環境づくりを目指すということが出されました。
 そこで、その問題に絡んで一つ御質問させていただきたいと思います。
 先月、カイロにおきまして国際人口・開発会議がありまして、私も出席させていただきました。地球規模での人口爆発に対処するため今後二十年間の行動計画を策定したわけでありますけれども、その中に、新しい概念としてリプロダクティブ・ヘルスというふうなことで安全な中絶を入れるかどうかというようなことが大分問題になったわけでございます。
 そういう議論の中で私ちょっと気になりましたのは、いろんな国の方々が未婚の少女の妊娠だとか人工妊娠中絶が非常にふえているというような問題を提起していたことでございます。
 たまたまこの春に、国際家族計画連盟におきましてもそういうレポートを発表しているんですけれども、世界で十五から十九歳までの少女約一千五百万人が子供を産んでいる、そしてそのほかに五百万人が人工妊娠中絶を経験しているというようなレポートを出しております。女性の体がその年代ではまだ十分成熟し切っていないこと、あるいは適切な医療だとか保健指導を受ける機会が少ないなどという点からいきましても、やはり母子ともにリスクが非常に高い、あるいは性行為の感染症のリスクも高いというようなことでございます。
 これは必ずしも途上国の話だけじゃありませんで、アメリカにおきましても、百万人以上の若い子供たちが妊娠をして四十五万人以上が中絶しているというふうなレポートなのでございます。そして各国の政府に、十代の若者を対象にした性と妊娠の問題について母子保健あるいは家族計画を徹底するようにというような注意を促しているわけであります。
 日本では、法的にもちろん人工妊娠中絶が認められているわけでありますけれども、そのデータを見ますと、幸いなことに年々この例が減ってきております。とてもありがたいのですけれども、しかしその中でも、十代の人工妊娠中絶の比率がふえてきているというデータが見えております。十代でございますから、恐らくこの中には望まない妊娠のためにそういう中絶をせざるを得なかったというものが相当含まれているんじゃないだろうかというふうにも思われますし、また報告されているもの以外にどうだろうかという疑問もあるわけでございます。そういうことによって精神的にも身体的にも傷を残して、将来本当に健全な母親になることができるんだろうかというような問題もあると思います。
 厚生省として、こういう十代の人たちの人工妊娠中絶がふえているというようなことにつきましてどんなふうに考えていらっしやるか。大体、こういう事態になったときに、そういう対象になった人が妊娠だとか出産について安心してあるいは信頼してあるいは気軽に相談なんかできるような体制というのは日本に余りないんじゃないかとも思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
#19
○政府委員(佐々木典夫君) ただいま十代の人工妊娠中絶の問題についてお尋ねがございました。
 今お話がございましたとおり、我が国の最近の状況を統計で見てまいりますと、十代の人工妊娠中絶につきましては近年はやや横ばいという感じもありますが、御指摘ございましたように、二十歳未満は大きく見ますと増加傾向というような感じがとれるわけでございます。手元の統計で見ましても、優生保護統計によりますると、一番新しいデータで、平成五年で全体では四十万近くございますが、二十歳未満のケースで約三万件が報告されている、こんな状況でございます。これは、基本的にはやはり十代の性意識の変化だとか、あるいは一方、避妊知識の未熟さといったようなことが関係しているんではないかというふうに考えるわけでございます。
 今、先生からもお話ございました十代のいわゆる思春期は、人間の一生の間でまさに心身の変化の著しい時期でございます。十代の人工妊娠中絶は、将来の精神的あるいは身体的な健康、そういう面で重大な影響が考えられるところでございます。したがって、この時期の人工妊娠中絶を防ぎ母性保護を推進していく、このことは女性の健康を考える上で大変重要なことというふうに私どもは認識いたしてございます。
 このため厚生省といたしましては、調査研究なり相談指導の体制ということでございますが、人工妊娠中絶の実態あるいは思春期保健対策のあり方についての調査研究、例えば思春期におきます性行動の研究だとか、あるいは望まない妊娠の防止等に関する研究といったようなことで調査研究を進めており、また一方、保健所あるいは市町村、民間団体等を通じまして各種相談事業あるいは普及啓発の事業を行っているところでございます。
 一例を申しますると、相談事業といたしましては、各都道府県、保健所等を通じまして十代の女性に対します母性保健知識の普及、あるいは保健上の問題で悩んでいる青少年への相談を集団なり個別で行うといったようなことを五十九年度から取り上げでございます。それから、家族計画特別相談事業といったようなことで関係団体等にお願いをして進めていただいているものもございます。
 それから、知識啓発等につきましては、思春期における保健福祉体験学習事業といったようなことで、まさに乳幼児との触れ合い体験学習といったような機会を通じて学習をしていただくといったようなことを、まだ必ずしも十分ではございませんが取り上げているところでございます。
 いずれにいたしましても、ただいま御指摘のございました調査研究あるいは各種相談事業あるいは知識の啓発等につきましては、御趣旨も踏まえまして今後ともさらに対策の着実な前進に努めてまいりたいというふうに存じております。
#20
○清水嘉与子君 余り時間がありませんので、この問題につきましてはもう厚生省は随分いろいろやっていらっしゃるようでございますので、ぜひ実効の上がるような対策を立てていただきたいというふうに思うわけです。
 実際、日本で十代の少女がどのような妊娠とか出産を経験して、そして子供が一体正常に生まれているんだろうかどうだろうか、後は問題ないんだろうかというようなことも余り知られていない点がございます。そして、人工妊娠中絶がふえている本当の原因は何なのか、それは予防できなかったのかといった点につきまして、やはりきちんとしたデータに基づいて対策を立てていただきたいなというふうに思っているわけです。
 地域ではこういう問題に、お医者さんでありますとか看護婦でありますとか助産婦でありますとか保健婦でありますとか、あるいはボランティアの方々も相当参加してかなりいろいろデータを持っていらっしゃいます。私も生々しい話をいろいろ聞いておりまして、とても言えないような問題がたくさんございますので、ぜひそういう方の意見も聞きながら、本当に健全な母性に育つようにぜひ対策を練っていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、時間が短いものですから、次に医療関係者の教育の問題につきましてお願いをしたいと思います。
 今日、医療内容の高度化に伴いまして、医療機関の中で行われている業務が非常に細分化されてきております。そしてそのたびに、いわゆる医療関係者と言われる専門技術者の身分法がどんどんつくられているというようなことでございます。
 現行法では、医療関係者につきましてはほとんど看護婦に横並びでございまして、高等学校を卒業して三年以上教育を受け、そして厚生大臣の行う国家試験を合格するというようなことが義務づけられているわけでありまして、必要な専門教育の中身でありますとか、あるいは指定要件につきましては厚生省、文部省共管の省令で規定されているというふうになっているわけでございます。
 ところが実際問題としては、今まではいわゆる厚生省所管の養成所でほとんどその教育が行われてまいりました。ところが、この数年に非常にさま変わりがありまして、看護婦ももちろんですが、OT、PT、あるいは放射線技師、臨床検査技師といったような方々の教育が大学あるいは短大に移行しているというふうに聞いております。
 そこで、ちょっと文部省にお伺いしたいんですけれども、医療関係者の養成機関が大学、短大に移行している状況、並びに文部省が直接運営している国立の附属のそういった機関があるわけですが、それがすべて短大、大学に移行してしまったのかどうか、あるいはこれからさらにもっとそういう大学、短大への移行が進んでいくのかといったあたりをちょっと教えていただきたいと思います。
#21
○説明員(遠藤純一郎君) 医療関係の技術者の大学、短大での養成ということでございますが、先生御指摘のようにここ三年ぐらいの間に、例えば作業療法士、理学療法士の養成につきましても初めて四年制の大学ができたというようなこともございまして、かなり進んでおるというような状況でございます。
 ちなみに数で申しますと、診療放射線技師の養成の課程を持っている大学が四校ございますし、臨床検査技師養成の課程を持っている大学が三校、作業療法士の養成の課程を持っている大学が四校、理学療法士養成の課程を持っている大学が四校、視能訓練士養成の課程を持っている大学が二校、臨床工学技士養成の課程が一校と。重複がございますので、大学の数で言いますと全体として九校、課程数にして十八、こういう状況になっておるわけでございます。
 国立大学附属のこういう医療技術者養成の専門学校の大学、短大化というお話でございますけれども、私ども順次短期大学にということで、かなり財政等も伴うものですから長期の期間にわたって、ちょっと今手元に数字がございませんが、二十幾つかの短期大学化をしたということでございます。
 最近では、ぜひ四年制にという声もございますので、四年制の学科の方に移行しているということもございます。まだ、例えば歯科衛生士とか歯科技工士等の関係では大学附属の専門学校というものが若干あるというような状況でございます。
#22
○清水嘉与子君 今、大学、短大への移行が大分早く進んでいるというふうに伺いました。恐らく短大になったところからも大学にしてほしいという声が、今おっしゃるように非常に要請が強いというふうに思います。
 厚生省はこれまで、医療関係者の需給の責任を持っているということから、必ずしも大学とか短大に移行することに対してそんなに積極的でもなかったのかなという気もするんですけれども、実際にこうして働いている方々の現場からも、それから世界の趨勢からも、やはりもうこういった医療技術者の養成機関が大学になっているというのは普通の形になってまいりまして、これからも移行がどんどん進んでいくんじゃないかというふうに思うのですが、厚生省の立場からは、医療行政上、専門学校から大学、短大に移行していくことについてはどんなふうに考えていらっしゃいますでしょうか。
#23
○政府委員(寺松尚君) 今、先生からの御指摘の件でございますけれども、私ども、三年間の養成課程におきます教育の充実によって医療関係職種としての必要な知識、技能は可能なものであると考えておるわけです。大学卒や短大卒でなければ医療関係職種として必要な知識、技能を身につけることができないものとは考えていないわけでありますけれども、最近の医療技術の高度化等に対応するために、医療におきましても看護におきましても質の確保ということが重要でございます。
 そういうような観点から、先ほど医学教育課長が言われましたように、大学や短大の取り組みが進んでおりますことについては意義があるものと考えております。
#24
○清水嘉与子君 そこで今、文部省はどんどん自分のところの附属の養成所を大学なり短大なりに切りかえてきたというお話があったわけですが、一番問題になりますのが厚生省の附属の看護学校等でございます。
 看護婦教育に関して見ますと、歴史的にはもう本当に教育をリードし、そして指導者をずっとたくさん養成してきたわけでございますし、また今日でも看護婦の三年コースの二〇%近くは厚生省の学校なんですね。そういう意味では、非常に大きな力を持っている厚生省の看護学校が一体どうなっていくのかということが問題だったわけでありますけれども、来年の概算要求で厚生省は、四年制の看護大学を設置することに踏み切ったというお話を聞いております。
 そこで、まず大臣に、ここで四年制の看護大学をつくろうというふうな構想に踏み切られた経緯とかその意義等につきましてお話を伺いたいと思います。
#25
○国務大臣(井出正一君) 国立病院には、現在全国で百二十五校の附属看護学校が設置されておりますが、近年の医療の高度化、専門化に対応して国立病院の看護教育全体のレベルアップ等を図っていくためには、先導的な役割を果たす中核的機関が必要となってきております。
 このため国立病院においても、看護学校教官の質の向上、優秀な幹部看護婦の養成、ナショナルセンターにおける高度先進医療や難病等に対応した専門看護の研究を進めるほか、医療分野における国際協力を推進するため看護大学校が必要であると考えております。
 この看護大学校は、現在ある国立国際医療センター附属看護学校を発展的に改組して、学位授与機構による看護学士の認定が受けられるようなものとして整備したいと考えております。現在の附属看護学校について人員、予算面において自己努力を行うとともに、看護大学校整備のための予算要求を行っているところでありまして、その実現に向けて努力してまいるつもりでございます。先生のお力もぜひちょうだいしたいと思います。
#26
○清水嘉与子君 大変力強いお言葉をいただきましてありがとうございました。今、概算要求の段階でございますので、ぜひ実らせていただきたいというふうに思っております。
 さて、こういうふうに大学がどんどんふえてまいりますと、私はかねてから文部省にお願いしていたんですけれども、同じ指定規則で教育をしている養成所と大学、短大、そこから出てきた人たちに差が出てくるということに対してはやはりいろいろな問題があるわけでございまして、養成所の卒業生が看護大学に編入することができないかということを前から申し上げておりました。
 今までは大学そのものが余りなかったわけですので、言っても余り効果がなかったのかもしれません。しかし、これだけ大学がふえてまいりますと、もう本当に実現していただく準備をしていただかなければいけないのではないかというふうに思うのですが、文部省いかがでしょうか、その点につきまして。
#27
○説明員(遠藤純一郎君) 看護の関係者やあるいは看護婦養成所等の専門学校、その他の分野の専門学校の関係者から、卒業した後にさらに学習を希望する者について大学への編入学を求める声が大変強いということはかねてから承知いたしておりますし、先生からも御指摘を受けているところでございます。
 ただ、こういった専門学校は、学校制度上、大学、短大、高等専門学校あるいは小学校、高等学校といったようないわゆる一条学校とは別個のものとして位置づけられております。大学や短大に比べまして緩やかな基準のもとで独自の目的、教育方針に基づいて設置、運営されておりまして、その教育内容も一般的にはさまざまでございますので、その卒業者に対しては、制度上大学の途中年次への編入学というのは認められていない、こうなっておる次第でございます。
 しかしながら、専門学校卒業者の大学編入学につきましては、大学における学習機会の多様化を図る方策の一つとして生涯学習あるいは高等教育の活性化の観点からも検討すべき課題である、こう承知しておる次第でございます。
 したがいまして、今、大学への編入学というのは短大や高専を卒業した人だけと学校教育法で規定されておるんですけれども、こういったような編入学制度との整合性というものも考慮に入れながら、現在大学審議会において御検討をいただいている、こういう段階でございます。
#28
○清水嘉与子君 今までより前に進んだ御答弁なのかどうかちょっとよくわからないんですけれども。
 一般の専門学校すべてをそういうふうにしろというのはやっぱり無理があるんじゃないかというふうに思います。しかし、少なくとも医療関係者につきましては、厚生省、文部省が両方で共管している指定規則の中で指定基準が決まって、教育の中身も決まっているわけですね。ですので、そこに道が開けないだろうかということでございます。
 もちろん、今の指定規則のままでは養成所として非常に条件がよくないというのはよくわかりますので、ある一定の条件をつけた専門学校の中でそういうことができるんじゃないかというふうに思うんです。もうその辺は課長さんもよく御存じでいらっしゃいますので、その辺の趣旨でぜひ御検討をお願いしたいというふうに思います。
 それから、最後になりますけれども、厚生省がこれから進めようとしています新ゴールドプランの内容を豊かにするためには、これらを支えますマンパワー、とりわけ医療関係者の質の確保が重要だというふうに思っております。今、大学とか短大への移行が進んでいるといいましても、圧倒的な多数を占めているのはやっぱり養成所でございまして、さっき寺松局長が言われましたように、養成所でしっかりと教育しているんだからそれでいいじゃないかという考え方もあるわけでございます。
 しかし、中身を見ますれば、やはり養成所なら養成所としての整備をもうちょっとしなければまずいんじゃないかという点がたくさん残っているわけでございまして、非常に伝統的な教育の跡が残っているといいましょうか、一々言うと大変ですけれども、近代的でない状態が残っているものですから、養成所の形から、むしろ基礎の教育はもう文部省の所管になってもらっていいんじゃないか、そして卒業したら厚生省の所管で指導してもらいたいというような極端な声さえ関係者の方から出てくるというのが実態なんですね。
 ですので、その辺はぜひ養成所としてもきちんとしていただきたいし、実際、養成所の中では相当医療費を食って教育されているという実態もあるわけですので、そこを何とか卒業していただきたいというふうに思っているところでございます。
 それから、私はきょうは教育のことだけに絞りましたけれども、各関係者が専門職として活躍するためには、今はこういった教育のレベルも高くなってまいりましたし、法律の中でもやはり専門職として誇りを持てるような規定があったらいいと思うんです。
 このことは、きょうは論議いたしませんけれども、例えば看護婦ですと、看護婦の仕事というのは診療の補助と療養上の世話、こういうふうになっているんですね。診療の補助は全部看護婦が独占しているものですから、いろんな職種ができ、身分法ができますときに、看護婦は診療の補助を全部独占しているけれども、このうちの一部だけはこの職種にさせるというふうな仕組みで法律をつくっているわけですね。大体、診療の補助の専門家というのがどうなんだろうかということは関係者の中からも盛んに問題が出てきているところでございます。
 もちろん、医療の中心は医者でございますから、医者が診断をし、その方針に従ってそれぞれの人たちが専門知識、技術を持ってそこの分野をきちんとこなしていくというのがこれがチーム医療の基本だと思いますので、この辺につきましてもぜひ今後御検討いただきたいというふうに思っているわけでございます。
 今回は教育のことだけに絞りまして、最後に大臣に、厚生省、文部省の間でいろんなやりとりがあっていろいろな難しい問題がありますけれども、やはり大きな責任は厚生省がお持ちでございますので、ここで医療関係者の教育、優秀な医療関係者を確保することに向けての大臣の決意を伺って、最後にしたいと思います。
#29
○国務大臣(井出正一君) 国民に良質な医療を提供していく上で、資質の高い医療関係職種を確保することが重要であると認識しております。このために、養成体制の充実強化、従事者の研修の推進など、その資質の向上を図るための施策を全力を挙げて推進してまいりたい、こう考えております。
#30
○日下部禧代子君 まず最初に、ことしの九月二十八日奈良地裁におきまして、非婚、結婚していない女性が出産した子供を父親が認知した場合、児童扶養手当を打ち切ることを定めた児童扶養手当法施行令が法のもとの平等をうたった憲法第十四条に違反する、つまり違憲であるという判決が出されたことはもう御案内のとおりでございます。この判決に対しまして、奈良県の知事は控訴しているわけでございますね。この違憲判決についてまず御質問をさせていただきたいというふうに思います。
 この違憲判決が出たところで厚生省は、この判決については残念である、あるいは遺憾であるというふうなコメントをお出しになったのを私はテレビなどでも拝見しているところでございます。現行制度では、両親が離婚した場合には父親の扶養意思の有無にかかわらず手当が支給されるわけでございますね。ところが婚外子の場合には、認知されれば一律に手当が打ち切られてしまう。このように非婚の母子家庭を離婚した場合と区別して取り扱うということに対して、合理的な根拠というものをどの辺に厚生省は認めていらっしやるのでしょうか。まず第一点、お伺いいたします。
#31
○政府委員(佐々木典夫君) 先般の奈良地裁の児童扶養手当に関する判決につきまして、どういう考え方だったのかということでございます。
 事実関係につきましては今もお話がありましたとおりでございますが、児童扶養手当法の規定によります未婚の母の子につきましては、児童扶養手当の仕組みが、父がいないかあるいは実質的に父がいない家庭に児童扶養手当を支給するというふうな仕組みにいたしております。その考え方は、父がいない場合、あるいはいる場合は実質的に扶養の遂行ができないというふうなことを想定して仕組みができている、こんなことでございます。
 ところが、先般の奈良地裁の判決のポイントは、児童扶養手当法そのものは、そもそも父の扶養の有無にかかわらず父親が不在の家庭の経済状態に着目して広く支給をする趣旨だ、こういうふうな解釈に立って判決が立論されているといったようなことでございますので、私どもの立場では、児童扶養手当法は離婚世帯等で父のいない世帯に手当を支給するものでございますけれども、扶養義務を有する父が存在する場合には父親としての扶養責任を果たしていただくことを前提としておりますので、今の仕組みはまずそれを見守るというようなことで構成されております。
 つまり、言いかえますると、未婚の母の子の場合でございますると、認知に伴いまして父があらわれたわけでございます。認知ということによりまして、出生にさかのぼりまして御案内のとおり民法で親子関係が発生し、そして父親としての扶養の義務が発生するということでございますので、本来は父がいないケースに出すわけでございますが、父があらわれたわけでございますので扶養義務の履行を見守ると、こんなような仕掛けで、父があらわれた場合は支給打ち切りをするというふうな扱いがなされているわけでございます。なお、そういう意味合いでは、離婚の世帯等の場合も所得による制限をかけるという考え方を法律上は基本的にとってございます。
 なお、実際問題といたしまして、認知がなされた後一年ぐらい経過してもなお扶養責任が果たされない、つまり遺棄の状態にあるような場合には、これはまた児童扶養手当が支給されるというふうな扱いになってございます。基本的には、法律婚の場合に、父親が婚姻は解消しませんが事実上遺棄をしておるといったようなケースの場合も同じ政令で、一年以上遺棄している場合は父のいない場合に準じて支給をしている扱い等と同様の扱いになっているところでございます。
 そのような趣旨でございまして、基本的に控訴をさせていただきましたのは、法務省等とも御相談をさせていただきまして、奈良県等とも御相談の上での結果でございます。
 繰り返しますが、基本的に扶養義務の存在する父がいる場合には、まずは父親としての扶養責任を果たしていただくことを前提としている、その制度が前提にございますので今のような構成がとられていると、私どもはそのように考えているところでございます。
#32
○日下部禧代子君 父親があらわれた場合には打ち切るというふうなことが、離婚した場合ではなくて非婚の母子家庭のみに適用されるということ、なぜそういう私どもが一般的に考えておかしいことが行われているのか、その合理的な根拠を私はお尋ねしたわけでございます。
 今おっしゃったように、一年間遺棄の状態が継続した場合には例外がございますというふうにはおっしゃったわけでございますけれども、認知ということがまずもって父親の扶養意思とは無関係だというふうにとらえるのが現状ではないかというふうに思うんですね。認知したからといって父親が必ずしも扶養するということにはならないわけであります。多分するかもわからないというふうに思われることはあるかもしれませんけれども、認知したから必ずお金を送ってくるというものでもないと思います。
 日本の男性が皆さんそのようなお気持ちでいらっしゃるからこういうことになるのかもわかりませんけれども、必ずしも現状はそうではございません。離婚した場合でも、日本の場合はもう養育費を送らなくなるというふうな場合だってあるわけでございますから、認知したからすぐに養育費を送ってくるという父親がそんなに多くいるとは言えないと思います。また、認知したからといって、あるいはまた養育費を送ってくるからといって、その送ってくる額が児童扶養手当よりも低い場合だってあるわけでございます。そういうことを考えますと、非常に実態から離れているというふうに思われるわけでございますが、いかがでございましょうか。
#33
○政府委員(佐々木典夫君) 確かに我が国の実情等を見ますと、離婚のケース等から申し上げましても、養育料がきちっといかなるケースも確保されるかという点につきましては、今お話がございましたような面があることは事実だと存じます。
 ただ、現行制度の組み立てにおきましては、全体を見ますると、やはり父がいる場合には子の扶養をまず履行していただくというふうなことが制度の基本で組み立てられているところでございます。
 そのような観点から、打ち切りの規定というと言葉があれでございますけれども、まずは認知によりまして民法によります扶養義務を持つ父親だとして名のって出てまいるわけでございますから、父親として果たしていただくべき扶養義務の責任をまず果たしていただく、それを見守るというふうな形でこの制度が組み立てられておりますので、この点はやはり全体の法律の支給要件、ほかの児童の支給要件等、支給対象児童等を勘案いたしますと、そのような構成になっております。
 繰り返しになりますけれども、もとより未婚の母子についても通常は出るわけでございますが、父親があらわれてきたケースにつきましては、先ほど申しましたようにまず扶養を見守る、こういう形の組み立てがなされていると、この点で御理解をいただきたいというふうに存じます。
#34
○日下部禧代子君 国だけではございませんで、各自治体が出しております独自の給付制度というものがございますが、そういうものもみんな国の今おっしゃったような児童扶養手当の規定に準拠しております。したがって、非婚の母子家庭の子供の場合には、ますます不利益というものが拡大しているのが事実であるということもこれはやはり認めていただかなければならないというふうに思います。
 大体、児童扶養手当というのは、「児童の心身の健やかな成長に寄与することを趣旨として支給される」、これは法の第二条第一項にございます。本来その原因を問わず、父と生計を同じくしていないすべての児童を対象とするものであるというふうに私は解釈しております。子供にとっては、離婚によって母子家庭になったのか、それとも初めから母子家庭であったのか生まれてくるときに自分で選ぶことはできないわけであります。
 そういたしますと、現行の施行令というのは児童扶養手当法の趣旨にも合っていないような気がするわけでございますが、いかがでございましょうか。
#35
○政府委員(佐々木典夫君) 現行の児童扶養手当は、私は先ほど、父親がいる場合はやはりその扶養義務というのを前提としておると申しておるわけでございますが、現在の制度は御案内のとおりでございます。
 法律の四条で支給要件が定められているわけでございますけれども、まずは「父母が婚姻を解消した児童」、「父が死亡した児童」、「父が政令で定める程度の障害の状態にある児童」、そして「父の生死が明らかでない児童」と四つ掲げまして、「その他前各号に準ずる状態にある児童で政令で定めるもの」といたしました上で、政令では具体的に、その場合は事実婚も含むわけでございますが、「父が引き続き一年以上遺棄している児童」、二つに「父が法令により引き続き一年以上拘禁されている児童」、三つに「母が婚姻によらないで懐胎した児童」、それでこの際に「父から認知された児童を除く」というのが今回のケースでございます。その他「前号に該当するかどうかが明らかでない児童」等のケースでございますが、掲げられておるということでございます。
 全体の構成を見ますると、先ほど来申し上げておりますように、父がいないか実質いない家庭を想定して、父がいる場合には父の扶養の履行を見守るというのが全体の法律の仕組みになっておるというふうに考えるところでございます。
 今の先生のお話は、父がどういう状態であれ支給をするようにと、子供に着目してやってはどうだというお話でございますが、やはりこの制度が租税を財源に賄われる福祉制度ということで構築されているわけでございますが、父に子の扶養義務があるにもかかわらず、これを無視して、父の状況にかかわらず手当を出していくということにつきましてはこれはいかがなものかというふうに考えるところでございます。これまでの法律の仕組みも、そういったような議論を踏まえた上で制度が構築されてきている、私どもは現行制度はそうなっているというふうに考えているところでございます。
#36
○日下部禧代子君 今、厚生省の御見解をるる承ったわけでございますが、九三年六月二十三日に、東京高等裁判所で非嫡出子の相続分差別の規定を違憲とする決定が出されていることは御承知だというふうに思います。それを受けまして本年七月、法制審議会が相続分について嫡出子と同等とするという民法改正要綱試案をまとめているわけでございます。今、私ここに持ってきておりますけれども、この非嫡出子の相続の部分というのはもともと中間報告にはなかった部分でございます。この判決を受けて速やかに対応したということだろうというふうに思うんですね。法務省がそのように速やかな対応をしたということについては私は敬意を表したいというふうに思うわけでございます。
 また厚生省においても、既に平成三年に、医療保険の保険証の続き柄の記載というものをすべて世帯員あるいは子に統一しているんですね。もともと非嫡出子に対する区別といいましょうか差別というのは、例えば嫡出子の場合には、戸籍、住民票では長男あるいは長女という記載がなされるのに対しまして、嫡出子でない子供の場合には、戸籍ではただ単に男あるいは女、住民票にはただ子という形でその記載も区別されております。ところが厚生省は、この医療保険証の続き柄記載をすべて世帯員あるいは子というふうに統一なさったわけでございます。厚生省もこういうふうに対応をなさっているわけでございます。
 この際に、扶養手当における差別、区別というものもお改めになるべきではなかったかなと。しかしながら、今からでも遅くはございません。こういう嫡出子あるいは非嫡出子の区別をなくしていく方向に、厚生省は別のところではなさっているわけでございますから、いかがでございましょうか。
#37
○政府委員(佐々木典夫君) 二点ございましたが、民法等における検討の状況の御紹介がございました。
 先ほども申しましたが、現在の児童扶養手当法の体系下におきます扱いは、文字どおり、政令におきましては認知によって生じました父の扶養義務を制度化したということを先ほど来申しておりますが、まさに認知によって生じた父の扶養義務を制度化した結果、婚姻外の児童の扱いに違いが出ているわけでございまして、結果として差が生じているわけでございます。この点は民法の相続等の規定とは異なりまして、最初から嫡出子と非嫡出子との間でその違いに着目して制度的な差別、区別を行ったものではないわけでございまして、その点の違いはひとつ御理解を賜りたいというふうに存じます。
 それから、厚生省の関係でございますと、今、健康保険の保険証の記載の関係のお話がございました。この保険証の関係につきましては、いわゆる保険証の裏側に被扶養者、家族の欄に続き柄の記載欄があるわけでございますが、これにつきまして従来は、その続き柄の記載の仕方を養子だとか養女だとかあるいは妻の子であるというふうな記載が確かにございました。これにつきましては、平成三年からそういうことをすることなく一律に子ということで記載する、あわせて内縁関係なんかでも一々区別せずに、夫なり妻ということを書くようにということで改めたわけでございます。このことはプライバシー保護の観点から、健康保険の保険証の記載要領について担当課長名で取り扱いの変更をしたというのが経過でございます。
 今取り上げていただいた児童扶養手当制度におきます問題につきましては、扶養義務を有する父親が存在する場合には父親としての扶養義務を果たし得ることを前提とした制度であるということから、この考え方に基づきまして児童扶養手当の支給要件を定めているものでございますので、先ほどのプライバシー保護の観点からの健康保険の保険証の記載要領の扱いの変更とは同列に論じられない問題がございますことを、ひとつ御理解賜りたいと存じます。
#38
○日下部禧代子君 それでは、大臣にお伺いしておきたいと思うわけでございます。
 認知を理由にいたしまして婚外子に対する手当を打ち切るということは、これは私は非嫡出子に対する差別的な取り扱いというふうに思わざるを得ないのであります。諸外国においても、現在は多くの国で嫡出である子と嫡出でない子との差別的な取り扱いというのはもう既に廃止しているのでございます。出生のいかんにかかわらず子供を平等に取り扱うということは、もう国際的な潮流だというふうに言ってもよろしいかと存じます。子どもの権利条約第二条、あるいはまた国際人権規約B規約の二十四条におきましても、出生によるあらゆる差別というものを禁じていることは御案内のとおりでございます。
 また、一九九三年十一月四日、国際人権規約委員会は、婚外子に関する日本の法律を改正し、差別的規定を削除するよう勧告する。日本に存続するすべての差別的法律及び慣習は、規約第二条、第三条、第二十六条に適合するよう廃止されなければならない。日本政府は、このことについて世論に影響を及ぼすように努力しなければならない。このような勧告を行っていることはもう大臣も御存じのとおりだと思います。我が国の場合、人権規約を批准しているわけでございますね。そういった観点からも、この国連の勧告に従うのは国際的な義務ではないか、責務ではないかというふうに思うわけでございます。
 村山内閣は、「人にやさしい政治」を旗印に掲げております。先般、大江健三郎さんがノーベル文学賞をお受けになりまして、さらに今度、日本で文化勲章の受章というものが言われたわけでございますが、大江さんは文化勲章の受章を辞退なさいました。そのことに関連いたしまして大臣は、その道一筋ということで褒章は理解できるが、この時代に国が一等、三等、六等などと格差をつけるのは個人的にはいかがかなというふうに記者会見でお述べになっていらっしゃいます。昭和生まれから叙勲を辞退するのも一つのやり方だというふうなこともおっしゃっておりまして、仮に私が対象者になっても叙勲は辞退するであろうというふうにお述べになっていて、非常に私は感銘を受けました。
 差別ということに対して、もう本当にこのような情熱を持っていらっしゃる大臣に私は改めて敬意を表したわけでございますが、この際そのようなお気持ちというものを、この児童扶養手当法施行令第一条の二第三号の改正という方向にぜひともお力添えをいただくというふうにはいかないものでございましょうか。奈良県の知事が控訴を取り下げるような、そういうふうな御指導も大臣ならおできになるのではないかというふうに、私は大いなる期待を持って御意見を承りたいと思います。
#39
○政府委員(佐々木典夫君) 大臣にお尋ねでございますが、国際人権規約等との絡みがございましたので、その事実関係だけ先に少し御説明させていただきます。
 ただいまございました国際人権規約等の条約につきましては、憲法十四条と同様、基本的に合理的な区別まで禁止したものではないというふうに私どもは承知をいたしておるわけでございます。
 先ほど来申しましたように、児童扶養手当法につきましては、父親が認知した場合には基本的には父親としての扶養責任を果たしていただくことを要請している、そのための仕組みとして設けた結果生じている差異というふうに私どもは認識しておりまして、これは諸条約に抵触するものではないと私どもは考えているところでございます。
 それからもう一点、諸外国の情勢のお話がございました。先生にはヨーロッパを中心に外国のいろんなお話を私どもいつもお教えいただいているわけでございますが、私どもの承知している限り、我が国の児童扶養手当にぴったり似たような制度というのはなかなかございませんで、フランスとイギリスがやや似たようなものと申しますか、母子家庭等に着目した現金給付をやっている例があると承知をいたしてございます。
 フランスの場合は、承知する限りでは、死別、離別等によりまして一人で児童を養育する者あるいは未婚の母として児童を養育する者に、一定期間に限って単親というか一人親の手当を出すというようなものがあることは私どもも調べでございます。詳しくはさらに精査が要りますが、この場合は支給の期間なんかも、例えばそういう状態になりましてから十二カ月間とか、あるいは最年少の子供が三歳に達するぐらいまでということで仕組みが持たれているようでございます。
 もう一つのイギリスの場合は、承知する限り、同じように単親、離婚あるいは永久別居等によりまして児童扶養の責任を単独で負っている母親に一人親の給付というようなことが設けられておって、これは家族給付、児童給付がありますが、それを受けている人にプラスするような構成というふうに承知しております。そんなような二つの制度があることは承知いたしてございます。
 ただ何分、私どもも各国の状況をさらにいろいろ今後とも検討してまいりたいと思いますが、それぞれ家庭の状況なりあるいは婚姻制度の違いなり考え方にかなり国情の違いがございますので、ストレートにはなかなかまねしにくいと思っております。しかし、いろいろ動きを見て研究はしたいと思います。
#40
○日下部禧代子君 答弁中でございますが、時間が限られておりまして、私は大臣の御見解を非常にきょうは期待してまいったわけでございます。初めて私は大臣に質問をさせていただくのでございまして、ぜひともお答えをよろしくお願いいたします。
#41
○国務大臣(井出正一君) 先ほど来児童家庭局長が御答弁しておりますように、この問題につきまして厚生省内でも十分相談をし、また法務省とも協議したわけでございますが、その結果、児童扶養手当制度というのは扶養義務を有する父が存在する場合にはまず父親としての扶養責任を果たすことを前提とした制度である、こうした現行の児童扶養手当制度の基本的な考え方について控訴審で御判断をお願いしようということに相なりましたものですから、せっかくの先生の御要望にいい御返事のできないことは残念に思いますが、厚生省としてはそういう態度でおります。
#42
○日下部禧代子君 大変私は期待をしておりました。大臣、もう少し御自分の御見解、大変な御見識というものをお持ちでいらっしゃるというふうに今まで私はお見受けしておりましたので、ぜひとも思い切った御自身の御答弁をいただきたいと思いますが、大臣からいかがでございましょうか、御決断をいただけましたら。
#43
○国務大臣(井出正一君) 先ほども申し上げましたとおりでございます。
#44
○日下部禧代子君 また次の機会に、大臣、改めて御見解、そしてとうとうと今度は御意見をお述べいただけることを大変期待いたしております。
 それでは時間の関係もございまして、次に移らせていただきたいというふうに存じます。
 次に、さきの第百二十九国会におきまして成立いたしました地域保健法についてお伺いいたしたいと存じます。
 明二十一日に、厚生省公衆衛生審議会総合部会基本指針検討小委員会におきまして、地域保健法の運用の中核ともなる基本指針の最終取りまとめが行われようとしているわけでございます。この地域保健法を運用していく上での根幹とも言うべき基本指針が決定される日が間近になっているということでございまして、この地域保健法の理念にのっとってその円滑な施行を担保するためにも重要と思われる幾つかの課題について確認をさせていただきたい、そういう観点から質問させていただきたいと思います。
 まず、去る六月二十日、衆議院の厚生委員会におきまして根本委員が御質問なさいました。その御質問に対して寺松局長は、保健所は八百四十八あるが、その地域の特殊性を考慮しても、現行では都道府県の保健所は六百三十一であるが、おおむね四百程度に集約されるのではないかと見込んでいるというふうにお答えになりました。
 翌日の二十一日、参議院の本委員会におきまして私が同様の質問をさせていただきましたときに、この衆議院における御回答に対しまして、「そういう御意見をおっしゃる方もいらっしゃいますということで御紹介したわけでございます」というふうにお答えになっております。そして、「そういうものを参考にされまして都道府県の方で御決定いただくために、私どもが数字を言うのはいかがなものか」というふうなお答えをいただいております。また、保健所を減らしたくない都道府県は逆に保健所をふやしてもいいということになりますかというふうな私の質問に対しまして、「理論的にはそういうこともあるのじゃないか」というふうなお答えもいただいております。
 衆議院におきます根本委員への御答弁と私に対する御答弁とはニュアンスが少しく違っているというふうに思いますが、私に対するお答えの方が時間的にも後でございますゆえに、私への御答弁をもって厚生省の最終的な御意見というふうに承っておいてもよろしゅうございますか。
#45
○政府委員(寺松尚君) 今、先生御指摘のように、時間的な若干のあれがございましたけれども、日下部先生からの御質問にお答えいたしましたのが当時、厚生省サイドのお答えでございました。
#46
○日下部禧代子君 当時ということは、今は違うということになるんですか。
#47
○政府委員(寺松尚君) 実は、今先生がちょうど御紹介になりましたように、地域保健対策の推進に関します基本指針につきましては、公衆衛生審議会の総合部会のもとに設置されました基本指針検討小委員会におきまして八月五日から御審議が続いておるところでございまして、明日恐らくお話がまとめられるんではないかというふうに思っております。その後、公衆衛生審議会におきまして厚生大臣が正式に諮問を行って答申を得るという予定でございます。その後、それをもとに大臣告示をさせていただく、こういうことになるんじゃないかと思います。
 私が申し上げましたように、この委員会で、基本指針の中で保健所の所管の地域というふうなこと、あるいは保健センターの整備あるいは運営というふうなことにつきましてもいろいろ御議論をされておりまして、ちょっと私が現在の時点でつぶさに御説明することはできませんが、明日ぐらいには起草委員会の委員のおまとめが小委員会の方に上がって、小委員会として取りまとめていただく、こんなことになるんじゃないかというふうに思います。
#48
○日下部禧代子君 具体的に保健所の設置基準、所管区域の設定に関しまして、前回の厚生委員会におきまして私に対する御答弁の中でも、繰り返し都道府県の考え方、都道府県の判断によるものだというふうにお答えをいただいております。
 保健所を設置するということは、地方自治体の自主性とかあるいは自律性というものに本来ゆだねられるべきでありまして、この法律の趣旨というのも地方分権ということでございます。したがいまして、基本指針におきましても保健所の設置基準につきまして具体的な数値というものを示して画一的な基準を設定するというのはこの法律の趣旨になじまないというふうに私は思いますが、その点いかがでございましょうか。
#49
○政府委員(寺松尚君) 今回の地域保健法の改正につきましては、生活者重視あるいは地方分権の推進というようなことを視点に置きまして改正を行い、先生方の御了解をいただいて成立したわけでございます。
 したがいまして、その中の一つの問題でございます保健所の所管区域につきましても、地域保健法及び今度取りまとめられます基本指針を踏まえまして都道府県等の各保健所設置主体というものが判断し、考えていただくものと思っております。
#50
○日下部禧代子君 特に保健所政令市におきましては、保健所政令市という制度自身は、今回の改正の中で大きなセールスポイントになっておると思われるというふうにさきの衆議院の厚生委員会において寺松局長がお答えになっておりますように、非常に重要だというふうに私も思います。特に保健所政令市におきましては、既に行政区単位にあるいは複数設置されているということもございます。また、昼間人口、夜間人口なんかの格差も大きいところが多うございます。そして、そういう人口の割に飲食店など環境衛生関係の施設が多いということなどもございます。
 そういうことなどから、複数の保健所を設置することというのはそう不自然ではございませんので、画一的な基準というのは余り意味があるとは思えないわけでございます。その点、この政令市は基本指針におきましても特に弾力的に扱うべきだというふうにも私は思っておりますが、その点いかがでしょうか。
#51
○政府委員(寺松尚君) 弾力的にとおっしゃるわけでございます。保健所とそれから保健センター、今政令市とかでは保健所を設置していないというよりも、私どもが補助をつけまして設置を促進していなかったものでございますから、保健センターがある政令市は少ないわけでございますけれども、結局、そういう保健所といわゆる身近なサービスを受け持つ保健センターとタッグで、一緒になって住民のニーズにこたえていくという対応でございますから、その辺はやはり設置主体のところで十分お考えをいただくということになるんではないかと思います。
 それから、今ちょっと既成の行政区域のお話がございました。これは指定都市のお話だろうと思いますが、そのことも一挙に急にそれを無視してやるというようなことはお考えにならないんではないかと私は思っておるわけでございます。
#52
○日下部禧代子君 今、市町村の保健センターとタッグになってというふうなお言葉がございましたように、今回、市町村の保健センターというのは非常に重要な役割を果たすようになってまいりますが、今の設置の状況というのはどのようなぐあいになっておりますか。
#53
○政府委員(寺松尚君) 今の保健センターの数は、一番直近の数字で千二百十五でございます。私どもも毎年予算要求をいたしておりますが、どうもなかなか保健センターの設置が進みません。関係の市町村長にいろいろと私どもも申し上げ、都道府県を通じましてまたいろいろな指示を行っているわけでございますけれども、なかなか進まないのは非常に残念に思っております。これからも保健センターの設立といいましょうか、整備に一段と努力をお願いしたい、このように考えております。そして、保健所とタッグでもって住民のニーズに十分おこたえいただく、これをぜひお願いしたい、このように考えております。
#54
○日下部禧代子君 今、局長のお答えにもございましたように、なかなか市町村保健センターの設置というのがスムーズに行われていないということでございます。整備がなかなかおくれているということでございますと、保健所の設置基準のあり方にも大きな影響がないとは言えないんではないかというふうに思うわけでございますが、市町村保健センターが十分に整備されるまで保健所の新しい設置基準の適用というのもなかなか難しいというふうにも思うわけでございます。つまり、平成九年から新しい設置基準を適用するにはなかなか難しい面があるんではないかというふうに私は思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
#55
○政府委員(寺松尚君) 今の先生の御指摘、いろいろな市町村によって違うかと存じます。しかし、ながら、平成九年の四月から身近な保健サービスが市町村の方に移ります。老人保健福祉なんかは既に五年度から移っております。したがいまして、市町村はその準備の心構えは十分あるかと存じますが、一層私どもも督励いたしましてその整備を図ってまいりたい、このように思っております。
#56
○日下部禧代子君 それでは、大臣にお伺いさせていただきます。
 御承知のようにこの法律、地域保健法というのは地方分権の理念のもとに成立したわけでございます。本法を運用するに当たりまして、中央からの画一的な指示によってその理念、趣旨が危うくならないように、この基本指針の策定に当たって地域の自主性を尊重しなければならないと思います。
 また、六月二十一日の参議院の本委員会におきまして附帯決議が出されておりますが、その内容は「保健所の管轄区域の設定に当たっては、地域の実情に十分留意すること。」、そのような内容の附帯決議がございました。その精神というものをぜひ遵守していただきたいというふうに思うわけでございます。
 この観点から、この法の趣旨に基づいて、その趣旨を曲げることなくこの法律を施行していくに当たっての、そしてまた基本指針がまさにあした取りまとめられようとしているこのときに当たりまして、厚生大臣の御決意のほどをお伺いいたしたいと存じます。
#57
○国務大臣(井出正一君) お答えをいたします。
 地方分権の推進及び生活者の立場の重視という観点に立って、基本指針の策定と地域保健法に基づく新しい地域保健体系の具体化に向けて、今後全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
#58
○今井澄君 それでは、引き続きまして今度は、国立病院の問題を中心にちょっと医療のあり方について質疑をさせていただきます。
 ただいまの質疑におきましても、地方分権の問題、その中で特にこの間厚生省が一生懸命進めてこられました福祉の分権化、あるいは保健の分権化のお話が出てきたと思います。特に福祉につきましては、市町村を基本的な福祉圏とするような考え方で今着々と実を上げつつあると思っております。
   〔委員長退席、理事菅野壽君着席〕
 ところで、医療につきましては医療の圏域と申しますか、どういうレベルでどういう責任を持ってどういうふうに医療サービスが提供されるのが好ましいあるべき姿だとお考えになっているか、特に医療の九五%以上は一般的な医療あるいはいわゆる地域医療と言われるものであります。そういう点に視点を当ててお答えをいただきたいと思います。
#59
○政府委員(寺松尚君) 先生の御質問は、一般的な医療についてどこがどう責任を持ってやっていっているのか、あるいはそれが望ましいのか、こういうような御質問だと思います。
 私ども、医療供給体制につきましては、地域の特性を踏まえて整備することが必要であるということから都道府県が医療計画を作成する。これに基づきまして医療資源の適正な配置あるいは医療供給体制のシステム化を図る、こういうことではないかと思います。
 また、国につきましては、都道府県に対し医療計画の手法等、重要な技術的な事項につきまして必要な助言を行うということ、そしてこれをもちまして医療計画の適正、円滑な策定の推進に努めていく、こういうことではないかと思います。
 それから、このように都道府県と国の役割分担のもとに必要な医療施設の整備が図られることによりまして、地域住民の一般的な医療需要に対応できる医療供給体制を整備していく、このように考えておるわけでございます。
#60
○今井澄君 大体そういうお考えで、方向でよろしいんではないかと私も考えますし、何もまねをすればいいというわけではありませんが、例えば北欧などにおきましても、福祉は市、日本で言えば市町村ですか、医療は県というふうな形での分担がされ、より身近なところで住民に対するそういう医療サービスが行われるという形になっていると思いますが、しかし一方、医療に関してやっぱり国が一義的に責任を果たさなければならないという分野もあるだろうと思います。その辺について、もし厚生大臣、お考えがございましたらお願いをしたいと思います。
#61
○国務大臣(井出正一君) 同感でございます。
#62
○政府委員(寺松尚君) 今、大臣から御答弁ございましたが、細かな点でということでございましたのでちょっと申し上げてみたいと思います。
 国は、国民に対しまして良質かつ適切な医療を効率的かつ安定的に提供する体制が確保されるよう努めなければならないと考えているわけであります。このために、医療供給体制の整備といたしまして僻地医療とかあるいは救急医療というふうな政策医療の確保を担っております医療機関等に対します支援を行っているところでございます。
 また、医療に携わります医師等の関係職種の資質の向上あるいはその要員の確保というものにつきまして、質、量両面にわたりまして確保に努力をし、いろんな形で支援をいたしておるところでございます。
 また、国立病院・療養所につきましては、昭和六十年に閣議報告しました「再編成・合理化の基本指針」に示されますように、高齢化の進展、疾病構造の変化、医学医術の進歩、医療機関の量的確保の達成等の情勢の変化を踏まえまして、まず第一は広域を対象とした高度専門医療等の政策医療、第二番目といたしまして臨床研究、三番目としましては教育研修などの機能を果たしていくべきものであると考えております。
 また、我が国におきましては、すべての国民がいずれかの公的な保険制度に加入している、その保障を受けておるということで国民皆保険制度と言っておりますけれども、今後とも国として必要な制度改革や財政支援をこれらに対しましても行うなどによりまして、高齢化が進みます二十一世紀においてもこの公的医療保険制度が安定的に運営されまして、国民の必要な医療が確保できるよう努めていく考えでございます。
#63
○今井澄君 確かに一義的には都道府県を主体として医療サービスが行われる、あるいはその責任が果たされるということですが、国の責任も今言われた意味で幾つか挙げられたこと、私はそのとおりだと思いますので、引き続き僻地医療ですとか救急医療ですとかあるいは一部の高度先進医療等について国が支援をすべきであるし、マンパワーの確保に責任を果たしていただき、また三点目として公的保険制度の安定のために頑張っていただきたいと思うわけであります。
 しかし、今お聞きしました中で、国立病院・療養所の行う政策的な医療ということについてちょっと私自身納得できない点があるわけであります。私は、自分自身が自治体病院で二十年ぐらい働いてそこを見てきた中で、国立病院は大変お気の毒だなと、国立病院は地域の医療や一般医療をできる条件がないなということをつくづく感じてまいりました。
 そのまず第一は、国家公務員の総定員法がある。もちろん、その中でも病院の職員等については非常に弾力的な措置がされていることは承知はしておりますが、しかしこの枠は非常に大きいものであります。
 そうしますと、例えば私どもは訪問看護をやろうということになりますと、一名ないし二名、ごく少数でいいわけですが看護婦の増員をするわけです。忙しい医療の中で、その現員の中でいきなりやるわけにはいきませんので、増員をする。自治体病院の場合はすぐ身近に議会がありますし、市町村長おりますので相談をして、議会を開いていただいて定数条例を改正するということをやれるわけですが、国立病院ではそれができないということがあって、率直に申し上げまして、私の見聞きしているところでは例えば国立病院が率先して地域医療の中の大事なことである訪問看護をやったということはほとんど見ていないわけであります。その定員の問題です。
   〔理事菅野壽君退席、委員長着席〕
 それからもう一つは、日進月歩の医療の技術革新の中で、例えばある医療機械がこの地域の医療のために必要だというふうになったときに、これは民間病院ですともちろん経営を考慮して買おうと思えばすぐ買えるわけですし、自治体病院でも補正予算を組んですぐ買えるわけですが、国立病院の場合にはなかなかそうはいかないんですね。国家予算ですし、全国に二百幾つある中での順番になるということで、買ったときにはもう近隣の民間病院なり公的病院が備えていて、今さら国立病院にこの機械を入れなくてもいいなどという時代おくれのことが間々起こるわけであります。
 それから三番目の問題としては、国立病院は地域の住民の医療ニーズを的確に反映させるシステムがない。公立病院ですと、議会だとか市町村長を通じてすぐ意見が反映される。例えばこれは職員の何か態度一つについても、いい悪いは別としてフィードバックがかかってきて病院の医療の姿勢が変えられるわけです。例えば公的病院でも、よく地域の皆さんを入れて運営協議会などができております。私の隣のさる公的病院も、医師会であるとか保健所長だとかあるいは婦人会の代表を入れて三カ月に一度とか運営の会議を開く。ところが、国立病院の運営については地元住民の意見を反映させるシステムがないということがあります。したがって、非常に硬直的な運営がされている。
 それから四番目に、これは運営、経営ともに大事なわけですけれども、この根幹に座っているのは実は病院では院長と事務長、このペアなんですね。ところが事務長さんは、国立病院の場合は大体二年か三年に一遍どこかから回ってくる。その地域には全然関係のない方だということで、病院の経営や運営に熱が入らないんですね。二、三年無事に過ごして次のところへ移ればいいということになるわけであります。
 ところが、やっぱり地域の病院になりますと、地域出身の事務長さんは本当に熱心に病院の運営にも経営にも取り組むわけであります。私が勤めておりました病院の事務長も、かつて大赤字が続いてつぶしてしまえと言われた時代には、子供にもお父さんの勤めている病院の名前を言うのが恥ずかしかったという中で本当に頑張りまして、最近は誇りを持って病院に勤めていることを言えるというふうにも変わってきたわけで、そういう地域の人が参加するということは非常に大事だと思うんですね。
 それから五番目ですけれども、そう言っては失礼ですけれども、国立病院の職員の士気は低い。そう言ってはなんですけれども、特にお医者さんの士気はまことに低いということを言わざるを得ない。これもやっぱり国立てあるということによって来るゆえんというのは私はかなりあると思うんですね。
 そういった点から、国立病院が地域の医療や一般医療をやるのは極めて不適切である、できるだけ地元にお任せいただければいいと思うわけですが、しかし一方で、国立病院が担わなければならない医療もあるということで、先ほどの政策医療のお話が出てまいりました。
 政策医療について、先ほどのお話は広域的な高度医療ですとかマンパワーの育成だとか研究ということがありましたが、それも大事かもしれませんが、そういうことは既に大学病院、県立病院あるいは民間の病院ですらやっていることなんですね。何も国立病院がやらなくてもいいことだろうと思います。
 厚生省の資料で、これは昭和六十年に「国立病院・療養所の再編成・合理化の基本指針」が出たときの政策医療として掲げられているものを見てみまして、今局長さんのお答えにはなかったわけですが、それを見ますと五つほどに分かれているわけであります。
 一つが、がん、循環器病、神経・精神疾患等の高度先駆的医療と書いてあるんですね。私は、がんとか循環器病、それから精神疾患についてもそうですが、国民的疾病と言われるものについての高度先駆的医療というのは、今も言いましたように大学病院でももう一県一医科大学ですし、地域の県立病院でも、民間病院ですらやっている。だから、こんなことを一般的にやる必要はないと思うんですね。ただ、例えば国立がんセンターとか循環器病センターみたいなものは国じゃなきゃできない。これは何も一個と言わず、二個三個全国にあってもいいと思うんですね。でも、各県に一つとかブロックごとに一つみたいな病院は、何も国立病院でやらなくてもどこか地元へ移管していただいても私はいいんじゃないだろうかというふうに、むしろ地域のためを考えて思います。
 それから次、二番目に書いてあるのが結核、重心、筋ジス、ハンセン病等、社会的に要請されている医療。これは確かにそうだと思うんですね。重心、筋ジス、ハンセン等は、率直に言って今国立病院以外にはやっておりません。ですから、国立病院から手を引かれる、療養所から手を引かれると困るという意味で、将来のことはともかく、福祉的要素を含めて頑張っていただきたいんです。
 この中に結核というのが入っているんですが、結核が入るのは私はもうおかしいと思うんですね。結核はもう一般の感染症とほとんど変わらないということですね。もちろん、全国に一、二カ所、結核というのもまだ大事な病気ですから、がんセンターみたいな形でセンター病院をつくっていただくというのはいいと思うんですが、各県に結核の療養所を国立て持っているという必要はもはやない。これは公立なり公的なりあるいは民間でもやってくださるところがあればやってもらえばいい。
 それから、三番目に難病。これも国立が先頭に立っていずれ地域でできるようにしていただきたい。
 四番目には、老人性痴呆に対する医療のモデル的実施とあるんですが、モデル的実施は確かに国立てやっていただいて早く地域の各病院で一般的にできるようにしていただく、これはいいと思います。
 それから、五番目に国際医療協力。これも国立だけがやることではないでしょうが、率先してやっていただくことは大変いいことだと思います。
 この時代にはなかったんですが、エイズですね、これも国立てやっていただきたいと思うんです。
 そういう意味でいいますと、今の厚生省の国立病院の統廃合計画を見ますと、当時二百三十九ある国立病院・療養所のうちの七十四を統合するなり移譲するなりして整理して、残り百六十五にするというんですけれども、私は、極端な話、一割残ればいい、二、三十あれば国立病院としての政策医療はやっていただけると。あとは地元の各種の公的あるいは公立あるいは民間に移管をしていただく、あるいは福祉施設に転用する、まあ老人病院みたいになっているところもありますから、そういうふうに考えているわけです。
 政策医療の内容について意見を申し上げましたが、いかがでしょうか。
#64
○政府委員(谷修一君) 私が申し上げなきゃいけないことをかなり先生の方で言われましたので、簡単にお答えをさせていただきたいと思います。
 国立病院あるいは国立療養所が行います政策医療の具体的な内容ということにつきましては、先ほど六十年の再編成・合理化の基本指針を引用されておっしゃいましたので、内容的には私どもが現在、その時代に考えておりました政策医療というのはそのとおりでございます。
 なお、例としてお挙げになりましたがんにつきましては、国立がんセンターを中心にした医療のほかに、ブロック単位に地方がんセンターというものを整備しているところでございます。
 また、結核の問題についてお触れになりましたけれども、確かに結核というのは一時代ほどの大きな問題ではございませんが、しかし今の時代においてもなお我が国最大の感染症の一つであるといったようなこともございますし、現実問題として、現時点では民間あるいは他の設置主体の結核の治療機関というものは減少しているというのが実態でございまして、そういう意味で長年の経験を持っている国立療養所が果たしていく役割というものはやはり非常に大きいんではないかというふうに考えております。
 なお、お触れになりました難病あるいは老人性痴呆のモデル施設等については、私どもなりに政策医療の一環としてやっていきたいというふうに思っております。
 また、エイズにつきましては、昭和六十年当時はこの問題について我が国においてはそれほど注目をされていなかったわけでございますが、現時点では世界的に非常に深刻な問題であり、また我が国でも増加をしているといったようなことから、国の政策医療として推進していくべき医療というふうに私どもとしては位置づけをいたしているところでございます。
#65
○今井澄君 時間もありませんので、最後にひとつお尋ねしたいんですが、私はちょっと内容的には全部納得できない点もあるわけですが、そういう方向で国立病院・療養所の統廃合計画を進めてこられたわけで、来年でちょうど十年計画が終わりになるわけです。七十四を何らかの形で国立てはない形にしようというふうに進めてきておられるわけですが、ことしで十ですね、目標の二二%。それで、今いろいろ計画が上がっているものを、来年以降のものを全部含めても二八%ぐらいしか名前が挙がってない。はっきり言ってこの統廃合計画は失敗している、うまくいってないと思うんですね。
 このうまくいってない理由に幾つかあると思いますが、私は二つ挙げたいと思います。そして、二つについて御意見をお聞きしたいと思います。
 まず第一は、やはり国立病院・療養所の果たすべきいわゆる先ほどの政策医療というものについて非常にあいまいである。そして地方が、自分たちが医療をやるべきなんだ、担うべきなんだという意識を地方に持ってもらえてない。福祉の方はうまくいっているんですね、市町村保健福祉計画、ああいうふうにつくっていただけたわけです、市町村が燃えて。ところが、医療に関しては都道府県を中心として地方があるいは民間がこの医療を担っていくんだと、そういう意識で厚生省が進めてないから、何だか政策医療というんでちょっと大きく網を広げ過ぎて、何でも国立病院・療養所がやっていいような、いきたいようなことを掲げているからいけないんだと思うんです。もっと医療について地域に任せるという、スリム化した方針を出さないからうまくいってないと私はまず第一に思います。
 それから二番目には、売るあるいは移管するということについて特別措置法ができておりますね。ところが、これがなかなか実態に合ってない。
 例えば一つは、さっき言いました国立療養所の中にはもう老人病院にしちゃった方がいい、あるいは福祉施設に転用した方がよっぽど地域のためになると思うのが、福祉施設には売れないんですね。移譲できない、移管できないということがある。それから、売る面積も、敷地は建物の六倍が限度なんというのがある。それから、職員は確かに首を切るわけにはいきませんから引き継いでもらいたいんですが、二分の一以上でないと無償の移譲ができないというふうな限度がついているんですね。それは幾ら地元で引き取るといっても二分の一残らない場合があるんですよ。
 そういう意味では、この特別措置法を早急に改正して、もっと地元で引き受けやすいように、民間でも買えるように、例えば対象も医療法人なんかも買えるようにするとか、そういうふうなことを私は考えるべきだと思いますが、まとめて簡潔に御意見を、御返事をお願いします。
#66
○政府委員(谷修一君) 統廃合の進捗状況、先ほど先生もお触れになりましたように、終了したものとして十県十七病院、現在具体的に動いているものとして十県十九病院でございます。
 政策医療についてあいまいではないかというようなお話もございましたけれども、先ほど申し上げましたように、六十年の基本指針に基づいて、その時代時代に合った、要請に合った国立病院ないしは療養所としてやらなければいけない医療というものを私どもなりに明確に示しているというふうに考えております。
 現行の特別措置に関する法律が十分ではないんではないかというお話もございました。この問題につきましてはいろいろ御意見があることは私どもも承知をしておりますけれども、六十一年に策定されました現行の再編成計画というのがおおむね十年の計画であるということで、平成七年度にはこの十年間を迎えるということでございますので、今後どのようにしていくかということについては私どもなりに検討をしていきたいというふうに思っております。
 なお、先ほど先生お触れになりましたことで、一つだけ申し上げさせていただきたいと思いますが、国立病院の職員の士気が低い、あるいはモラルが低いといったようなことをおっしゃいましたけれども、国立病院の職員、院長も含めまして、私どもは誇りを持ち、また高い士気を持って医療をやっておるというふうに考えておりますので、一言だけつけ加えさせていただきたいと思います。
#67
○今井澄君 終わります。
#68
○萩野浩基君 新緑風会の萩野浩基でございます。
 先日、井出厚生大臣の所信表明を聞かせていただきまして、特に最後におっしゃいました、厚生行政の課題はひとときもゆるがせにできないものばかりであり、国民の皆さんの関心も高く期待もまた大なるものがあると、まさにそのとおりと思います。特に、ゼネラルアドミニストレーションといいますか一般行政、それからウエルフェアアドミニストレーションといいますか社会福祉行政、この違いというのは、大臣が言われているとおりひとときもゆるがせにできないというのは、一般行政は一日手続がおくれたからといって命にかかわらない、しかし社会福祉、厚生行政、こういうものに関しては非常に命に関係すると。そういう意味で、ひとときもゆるがせにできないと言われたのには大変私は意を強くしたわけであります。
 それからまた、村山総理は、生活者また社会的弱者の気持ちに軸足を置いた「人にやさしい政治」ということを国会においても約束されました。私も福祉の方に関係しておりますので、非常にこの点には期待しておるところであります。
 そこで、ここから質問に入りますけれども、この十月一日から施行されました病院給食の問題でございます。きょうはこれに関連する質問を中心にさせていただきたいと思います。
 ことし一気に六百円、二年後ですか八百円になるというんですが、多分同僚議員皆同じだと思いますが、どうもこれはちょっとひどい、余りにもひどい法律だと。私もこれは通した一人でありますから責任を感じておりますが、ちょっとひどい言葉かもわかりませんが、怨嗟の声と言った方がいいような声がかなり蔓延していると言っても言い過ぎではないと思います。
 まず、大臣にこのことに関してひとつ御答弁をお願いします。
#69
○国務大臣(井出正一君) 今月からその制度に踏み切ったわけでございまして、きっとこれからいろいろな反応といいますか、意見が出てくると思いますが、まあこの程度でございますから、特に入院時の食事につきましては、入院時と在宅との費用負担の公平の観点から、平均的な家計における食費を勘案して無理なく御負担いただける一定額のお支払いをお願いするものでございました。
 ですから、これからそういう御意見もきっと出てくるかと思いますが、在宅でいらっしゃる方とのつり合い、兼ね合いといったものも勘案して、そしてそれから捻出された分をまた別な、より緊急なところへ使わせていただいたと、こういうつもりでおります。
#70
○萩野浩基君 この法案を通すときに、どうしてもマンパワーを確保しなきゃいけない、介護する人たちが足らない、そういう意味でこれは本当に仕方ないということであったのはここの厚生委員会でもそういう声でございました。先ほどもちょっと出ておりましたが、医療が、国民皆保険システムのすなわち厚生予算の枠組みの中でしか処理できないというところに、いろんな問題を突き進めていきますとそういうところに問題がある。
 こういうときに私は、先ほども申し上げましたが、あとまた後段で申し上げますが、特に社会福祉行政にかかわることは命に著しく関係する、だからこれはやはり国家予算の中でも、こちらのものをこちらに流用するという、本来そういうものではないという哲学なり理念なりそういうものがちゃんとしていなきゃならないと私は思いますが、その辺について大臣、よろしくお願いいたします。
#71
○国務大臣(井出正一君) 先生おっしゃるように、福祉、医療、これが国の政治の中でほかに要するものよりもちょっと別格な地位にあるべきだという点につきましては私も同じ考えを持っておりますが、ただ、だからといって私どもが必ずしも思う存分自由に使えるというところまで現状はなっていないこの難しさがあると思います。
#72
○萩野浩基君 その苦しいところもわかりますけれども、前の、八百円を欲しいということで結局六百円になったわけですけれども、だんだん後を追跡してみますと、介護も必要だしマンパワーも必要だと、そこで三千億余のものが必要だというんで、皆さん、これはあるところからの流用じゃないかというような声も出てきているんで、やっぱりこれは大蔵省の方から大事なものとしてとるということをひとつ厚生省としても今後とも頑張って、特に実力のある井出大臣でございますから、御期待を申し上げます。
 さてそこで、先ほども申し上げましたとおりに、私は食事についてちょっと質問を続けさせていただきたいと思います。
 我々は、体の維持のためには適切な栄養というものが必要なことは言うまでもございません。古い言葉にも、特に道元が「四つには、まさに良薬としてこの食を受く」、こう言っておりますが、食事は薬だということは昔から日本にもこういう言葉で残っております。
 そこで私は、食事が薬であり、また食事が命綱である、そういう人たちがあるんだということを指摘しておきたいんです。その一例を申し上げます。
 人工透析の方がございますね。これは厚生省ではわかっておられると思いますが、全国で大体何人ぐらい人工透析の方がおられますか。
#73
○政府委員(岡光序治君) 不正確でございますが、記憶では十三万人程度じゃなかったかと思っております。
#74
○萩野浩基君 私も大体そのように聞いております。
 年間とのぐらいずつふえているんですか、どんどん合ふえていると聞いておりますけれども。
#75
○政府委員(岡光序治君) 一万人程度ふえているというふうに覚えております。
#76
○萩野浩基君 そこが認識不足なんです。一年に二万人です。だから、一万人と二万人では差があるわけであって、こういう方々は非常に苦労されているんですね。
 そこで、次の質問に移ります。
 こうした患者さんの中には、昼働き、そしてそのあいた時間に人工透析をなされる。それからまた、それを続けている間は入院せざるを得ない。こういう入退院を繰り返されておられる方が多いわけでございます。こういう人にとっては、食事というものがまさに命取りになっていくわけです。本当に数ミリグラムの塩分、糖分、いろんなものの間違いが命につながっていくのであります。
 そういう観点からしますと、病院での給食ということが、これはまさに食事が薬というもの以外の何物でもないと思いますが、それはいかがお考えでございますか。
#77
○政府委員(岡光序治君) 御指摘のとおりでございまして、入院時の食事というのは大切なものだと思っております。特に、御指摘のありました腎臓病の入院患者の方々につきましては、疾病治療の直接の手段としましてお医者さんが食事せんを発行する、これに基づいて腎臓食を提供する、こういう特別食の仕組みがあるわけでございます。現在は、いわゆる入院時の食事療養費千九百円にプラスをして、こういった腎臓食のような特別食を提供するということになりますと三百五十円の加算をする、こういう仕組みにしているわけでございます。
#78
○萩野浩基君 だから、いずれにしてもこれは薬に当たるわけなんですが、別に安くなるわけじゃないでしょう。
#79
○政府委員(岡光序治君) 一部負担の関係で申し上げますと、基本の入院時食事療養費千九百円部分からいわゆる今回改正で標準負担額六百円というものを負担していただく。したがいまして、医療機関の方には千九百円から六百円引いた千三百円と、この腎臓食の場合には三百五十円を足したものを診療報酬として支払う、こういう仕組みになっているわけでございます。
 確かにお気の毒な人たちが多いわけでございますが、今回の改正ではそういう経済的な負担につきましては、低所得者は三月までの入院は四百五十円、四月以上の方には三百円、なお福祉年金受給者は二百円というふうに、その負担能力に応じて配慮しているわけでございます。
#80
○萩野浩基君 今おっしゃったようなことはABCで、こんなものは当然私はわかっております。
 言いたいのは、先ほど来申し上げておるとおりに、食事も薬であるんだと、こういう患者がおるという現実、こういうものを配慮に入れないでおいてやっていくというところに私は問題があるんではないかと。だから、法律というのはいつでも改正できますし、またここは間違っておるというのは直すべきであると思いますから、私は抜本的にこの問題は将来においても研究すべきと思いますが、いかがですか。大臣にお願いします。
#81
○国務大臣(井出正一君) 新しい体制が施行されたばかりなものですから、ここで先生の御要望に……
#82
○萩野浩基君 いや、将来に向けて。
#83
○国務大臣(井出正一君) ですから、無論そういうあれは検討していかなくちゃならぬとは思います。
#84
○萩野浩基君 そういうお答えをいただけたので大変心強く思いました。何事においてもいろんな問題点はあると思いますから、十分ひとつ厚生省の方でも御検討のほど、くどいようでございますが、食事もこれは大事な薬でございますから、その点を指摘しておきます。
 これに関連いたしまして、病院では病院給食を大体やっておりますね、大きい病院においては。だから、この病院給食について、患者さんの病院給食の受託について少し質問をさせていただきたいと思います。
 最近、大変急速に伸びております日清医療食品株式会社、これを御存じでしょうか。
#85
○政府委員(寺松尚君) そういう会社がありますことは存じております。
#86
○萩野浩基君 この株式会社の業務内容と業務状況がわかれば、簡単でいいですからお知らせください。
#87
○政府委員(寺松尚君) 今、先生の御指摘の日清医療食品株式会社、その業者につきまして私どもが今承知しておりますことを御紹介したいと思います。
 医療用食品の販売、病院等の給食の受託業務を中心に年商約五百億円を上げていると言われる医療関連サービス業者の一つでございます。資本金は二千万円で、従業員は約八千と、こういうふうに聞いております。
 それから、この医療用食品の販売分野につきまして約八〇%、病院給食の受託業務の分野におきましては約三〇%のシェアを有しておると、こういうふうに聞いておりまして、この分野におきましてはトップシェアを持っておるのではないかと思います。
#88
○萩野浩基君 その会社は医療用食品の販売及び病院給食の受託を業としておるということでございますね。
 また、病院の寝具とか、そういうリース等にもかかわる、それを業とする株式会社ワタキューセイモアというんですか、その子会社であると、こう聞いておりますが、それはそうでございますか。
#89
○政府委員(寺松尚君) 今先生がおっしゃった子会社かどうかわかりませんが、綿入グループの中の一社、こういうことだと思います。
#90
○萩野浩基君 そこで、先ほど来申し上げております医療用食品加算制度についてちょっと私お尋ねいたしたいと思います。
 この病院給食の治療食としまして質的向上を図ると、そういう意味で厚生省が昭和五十三年にそういう制度を導入されましたね。そして、調理加工後の栄養成分の値の安定というようなものを図るために、医療用食品には原材料の配合割合と、それから調理加工後の栄養分析、成分の分析、こういうものを表示させて、給食コストの負担増に見合った経済的補償をするためにこういう制度がつくられたと聞いておりますが、これはその後、点数とかそういうのはそのまま今変わらずにきておるんでしょうか。
#91
○政府委員(岡光序治君) 五十三年に導入をされまして、そのときの創設時の点数が十点、百円でございます。その後、点数を動かしておりまして、表示項目を例えばカリウムとかあるいは繊維とかカルシウムとか鉄とかというふうにどんどん加えていったものですから、その追加に応じまして点数を動かしておりまして、平成四年四月では百八十円になっております。
#92
○萩野浩基君 だから、五十三年に導入したもので、その後見直しというのはないわけでございますね。
#93
○政府委員(岡光序治君) システムとしては見直しておりませんで、表示項目、つまりそういった栄養分が加えられたというので点数を動かしておるということでございます。
#94
○萩野浩基君 はい、わかりました。
 この医療用食品は、調理後の栄養水準が実際の値によって明らかに保証された食品のことを私は言うのだろうと思います。
 そこで、原材料配分割合、また食品の成分表による分析値、こういう栄養分析値が明示されておるということで、それを証明するというので財団法人日本医療食協会による検定済みマークというのが使用されておると聞いておりますが、いかがでございますか。
#95
○政府委員(寺松尚君) 今、先生の御指摘は財団法人日本医療食協会のことについての御質問でございますので、私の方から、所管をいたしておりますこともありまして御説明申し上げたいと思います。
 財団法人日本医療食協会は、医療食についての調査研究、その内容、品質、提供方法の改善、普及、添加物の検査等を行うことを目的といたしまして昭和四十七年に設立されました公益法人でございます。
 私ども厚生省としまして、この協会の主務官庁でございますので、寄附行為に係ります許認可あるいは定期報告の徴収等、必要な監督は行っているところでございます。
 なお、申し添えますことは、この協会は健康保険法に基づきます医療用食品の唯一の指定検査機関などとして、食品検査の分野について相当の業務実績があると承知しておるところであります。
#96
○萩野浩基君 今お答えになったとおりで、それなりの一つの目的も持っておるし、ある程度の機能は果たしてきたと思っております。
 でも、先ほども申し上げましたが、この医療用食品加算制度ができた昭和五十三年当時というのは、まだ病院給食による必要栄養成分の摂取というものが不十分な時代であったんです。
 そこで、治療食としての質的向上を目指す、そういう意味でこの制度ができたと私は認識しております。それでいかがでしょうか。簡単でいいです。
#97
○政府委員(岡光序治君) そのとおりでございます。調理後にもそれが変化しないで、決められたものが正確に提供されるようにということが趣旨でございます。
#98
○萩野浩基君 昭和五十三年から今日までというのはかなり時間がたっております。現在では流通機構も変わりましたし、新鮮で良質な原材料を、非常なスピードでもって食品を運べる、そういうぐあいに時代は変わっておるわけですね。だから、新鮮で良質な材料をたやすく入手でき、かつまた給食業務の外部委託というものが刺激剤となりまして、治療食としての調理技術も非常に向上しております。
 そこで、私が言いたいのは、医療用食品というのは大体冷凍が多いんです。それで、このような鮮度が落ちコストの非常に高い既成の加工冷凍食品に頼らなくても、もう今の時代ですから病院内において、栄養士も置いておるわけですから、新鮮な良質の材料を使い、またおいしい給食というようなものが現在ではつくれるようになっているんじゃないか。その点いかがでしょうか。
#99
○政府委員(岡光序治君) 御指摘のような仕組みというのでしょうか、サービスを提供しようという病院もあろうかと思いますが、やはり医療用食品、加算の対象になるようなこういうシステムもそれなりの存在意義があるんじゃないかと思っております。特に、現在この医療用食品の加算の対象になっている病院が三三%くらいございますので、やはりこのウエートというんですか、実態もそれなりに注意をする、意を払う必要があるんじゃないだろうかと思っております。
#100
○萩野浩基君 パーセンテージで言われると、私もこれからどんどん反論していきます。まず申し上げたいのは、こういう点です、余り小さいことを言うとこれは時間食ってしまいますからね。
 この医療用食品の価格ということを、今三十何%の病院が使っているからこれはやはりそれなりの価値があるんだということをおっしゃいましたけれども、これはかなりの問題点があるので、これから随時指摘していきます。
 そこで質問申し上げますが、医療用食品の価格と一般市場の価格とどのぐらい差があると厚生省は認識しておられますか、明確にお願いします。
#101
○政府委員(岡光序治君) 申しわけありませんが、そういう分析をしておりません。
 といいますのは、先ほど申し上げましたが、現在の入院時の食事療養費の仕組みは、いわば基本的な部分について千九百円の療養費をセットしまして、その上に先ほどから御指摘があります一定の栄養水準を保つような食品を提供したときには、それに百八十円の加算をするという仕組みになっております。
 そういう意味では、全体としてトータルで材料が買われ、あるいは委託業者からそれが受託されというふうに動いていくんだと思いますが、そういうふうな基本部分とそれから加算部分とで構成されておりますので、御指摘がありましたように、この加算部分の百八十円部分だけピックアップしてそれがそのほかのルートによるものと価格的にどうなっているのか、そういう分析は残念ながらしておりません。
#102
○萩野浩基君 参考までに私の調査を申し上げておきます。これは同僚委員の方も御認識いただきたいと思います。
 フレンチポテト、これは一キログラムにしますと医療用食品価格の方は四百六十円、一般市場は二百九十二円、プラス五七・五%アップでございます。一番高いのはマスなんですが、七十グラムでしますと医療用食品価格は百九十七円、そして一般市場は五十九円でございます。何とプラス二三三・八%、これだけの差が出ております。鶏肉のミンチでも、もうこれもついでに言っておきますが、ここまで言えばわかると思いますから、五百グラムで医療食の価格は五百四十六円、一般市場は二百五十円、これは我々もみんな食べているものでございます。
 こういうところに、病院食はお金がかかるかかるというのを追跡してみるとこういうようなデータが出てくるわけなんですね。これをいかがお考えですか。
#103
○政府委員(岡光序治君) 医療用食品の仕組みがどうなっているかというのを御参考までに申し上げますと、業者がこういうふうな仕組みでこのような栄養内容のものをつくりたいということで医療食協会の方に食品を申請して、そして確かにそれだけの栄養水準が保たれ、しかも一定の流通システムの上に乗っかって、その栄養水準が調理後も保たれて患者にちゃんと届けられると、そういうチェックをした上で登録するわけでございます。現在、この登録の品物の数が二百六十七だったと思いますが、それだけの品目を登録しているわけでございます。
 それで、この医療食協会はどういうことをやっているかといいますと、つくられた食品のロットごとに検査をいたしまして、表示されている栄養が確かにあるか、そして調理後もそれが保たれているかというのをチェックするわけでございますし、流通経路におきましても、二、三カ所決めまして抜き取り調査をやってやはりその栄養水準のチェックをしているわけでございます。
 そういう意味で、そのような先生の御指摘の一般市場という場合の条件と、恐らく医療用食品加算の対象になる食品の位置づけというのか、手当ての仕方というのがそれだけ手厚いものになっている、そこが価格の差として出ているんじゃないか、こういうふうに理解をしております。
#104
○萩野浩基君 先ほど来私の言っていることを理解していないようですね。もう今は調理の技術だって非常に進んでおります。そういう意味で、五十三年のときの目的と現在ではかなり変化しているというその認識は、もう一遍もとへ返るんですか。
#105
○政府委員(岡光序治君) 恐縮でありますが、現在もこういう医療用食品の加算制度をつくっておるということから考えてみまして、調理後の実際の栄養水準の値がずっと維持されてそれがきちっと患者に届けられるというシステムは、どうしてもやはり必要性があるというふうに認識をしております。
#106
○萩野浩基君 じゃ、いつでも冷凍食品を食べさせるというようなことに理解される面も出てきますよ。
 それから、先ほど来私に答弁されていないのは、これだけの価格の差があるという事実に対して一体どのような認識を持っておられるか、もう少しそこをはっきり言ってください。流通でお金がかかると、やれ冷凍にしておくのにはお金がかかるとか、そういう問題とごっちゃにしないようにしてください。
#107
○政府委員(岡光序治君) 個々のケースについて正確に調査しているわけではございませんが、私ども医療食協会の方から聞いております話は、それだけの材料も選別をちゃんとしている、一般の市場のものは材料の検査がちゃんとしていないという意味ではありませんが、一定の栄養水準を保つというためにはやはり材料の選定から手間暇がかかっているんだ、しかもいいものを選んでいる、しかも加工後においても栄養水準が落ちないようにという工夫をしているものですからそれだけ手間暇がかかっている、こういうふうに聞かされております。
#108
○萩野浩基君 これは一般社会通念といたしまして考えるときに、やはりこれだけの価格の差があるということは疑問を抱く人が出るのは当然だと、私はそのように認識しております。
 これは平行線をたどりますからもうこの質問はこのぐらいにいたしますが、先ほど来私が指摘するまで、一般市場価格とそれから医療用食品価格はこれだけの差があるということをやっぱり厚生省としてもきちんとこういうことは調べておく必要があると思いますが、大臣いかがですか。
#109
○国務大臣(井出正一君) 今の先生の調査の結果を聞いて、私も大変な差があるなというのを初めて知った次第であります。十分調査をさせたいと思います。
#110
○萩野浩基君 だんだん時間がたってきますから、それじゃ次に移ります。
 結局、これが医療用食品だというのは、一枚のレッテルが張ってあるか張ってないかでその値段が違うんだというのが僕は一般社会通念だろうと思います。これは常識ある人なら、幾ら厚生省が説明しようとも、流通費でそんなにお金がかかるというようなことにはならない。検査だってそんなに何倍もお金がかかるはずはありません。だから、これはまた後日徹底的に追及いたします。
 現に、先ほど今井先生が言われた国立病院は、大変苦しい中で一生懸命努力されていると厚生省の方からも答えられましたけれども、国立病院ではこの医療用食品をどのくらい採用しているんですか。
#111
○政府委員(岡光序治君) 国立病院での採用率、ちょっと今手元に持っておりません。
#112
○萩野浩基君 こういうところに問題点が露呈されてくるんですよね。
 じゃ、一応私の知っている限りで申し上げましょう。ほとんどが使用してないということをここで申し上げておきます。後でこれはもし反論があれば、どうぞ厚生省の方で調査して私の方に申し出てください。
 これは、もしこれを使えば非常にお金が、食事代がかかるというんで工夫されているんですよ。だから、国立病院の特に栄養士の方たちはそれを余り使わないんですよ。したがって、国立病院の中ではこれを使うことに賛成ではない方も大分おるようですけれども、これはコスト高でともすると前時代的な医療用食品の使用を診療報酬で補償して推奨しようとする、そういう制度ではないかと、こういううがった見方もできるんですが、この反論をどうぞお願いします。
#113
○政府委員(岡光序治君) 繰り返しになって恐縮ですが、食事の栄養成分の確保と安定を図る、そういう意味で給食材料の質的な確保も図ると、こういう観点からのものでございまして、そのような観点から行われていて、その必要な掛かり、経費を診療報酬で補償しているということでございまして、今おっしゃったような特別の意図が働いたものとは私ども考えておりません。
#114
○萩野浩基君 そう答弁しなきゃならないだろうと思いますから、それはそれとしまして、事実を申し上げます。
 年間三百八十億円に上る医療用食品加算のための社会保険報酬金が使われておるわけです。これは社会保険財政の中にも著しく影響しているんじゃないか、僕はそのように思いますが、いかがでございますか。
#115
○政府委員(岡光序治君) 価格の面につきましては御指摘がありましたので、十分そういう調査はしてみたいと大臣もおっしゃいましたので、私どもやってみたいと思います。
 そういうことを除きますと、要するにかかったものをそれだけ財政的に事後的に償還、補償するということでございますので、そういう意味では、特別の医療食を提供しないでそういう報酬を得たというのだったら問題でございますが、一応の提供をしているものでございますので、個々の価格の問題については調査研究をいたしますが、報酬としてはそれだけのものはいわば支払われて当然ではないかと思っております。
#116
○萩野浩基君 私は調べていくといろんな、調べていくというよりも、私のところに厚生委員であるがゆえにいろいろなところからそういうデータが入ってくるわけです。
 前の値段を上げるときにも、今の企業だって大変苦しいところはリストラをやりながらいろんなのをやっていっている、そういう中でどうしてもこれは上げなきゃならないというように私は信じておったんですが、いろんなところからいろんな情報が入ってきますから、この辺については、新しい大臣になられたわけですから、やはり厚生省は公正であるというような面で私はきちんとしていただきたいと思う。
 一つの会社を挙げるのはどうかと思いますが、エグザンプルとして考えていただいてもいいですけれども、日清医療食品株式会社が現実には市場の中のどういうようなマーケティングを確保しているか、もしわかったらお願いいたします。
#117
○政府委員(寺松尚君) 先ほどちょっとお答えしたと思いますが、再度繰り返して申し上げますと、医療用食品の販売分野においては約八〇%、病院給食の受託業務の分野においては約三〇%のシェアを有しておる、こういうふうに聞いております。
#118
○萩野浩基君 私はもう一回それを言ってもらおうと思ってあえて質問を申し上げたわけで、この八〇%というのはどういう意味を持つかというと、ここに問題があるわけです。一つの独占的な面があるんではないか、この辺を私は問題にしたいと思います。
 それで、財団法人日本医療食協会の運営実態、またその目的について教えてください。
#119
○政府委員(寺松尚君) 先ほど私の方からもちょっと申し上げたと思いますけれども、いわゆる食品の栄養の分析等をやっておる協会でございます。先ほどこれも触れたかと思いますが、財団法人日本医療食協会の業務というものにつきましてはそのようなことでございますが、学識経験者や病院関係者のほか業界からも理事会に入りましていろいろと運営をやっていただいておる、このように承知しております。
#120
○萩野浩基君 いよいよ核心に触れるところになって時間が来てしまいましたけれども、あと五分なので御協力をお願いします。
 今御答弁になったところは先ほど聞きましたけれども、私がここで指摘しておきたいのは、これは厚生省のはっきりとした管轄の財団法人である。そうでございますね。
#121
○政府委員(寺松尚君) 厚生省の主管しております法人でございます。
#122
○萩野浩基君 場所はどこにありますか。
#123
○政府委員(寺松尚君) 場所は千代田区内神田二の六の四、こういうことでございます。
#124
○萩野浩基君 私のところにもそのようになっております。
 基本財産というのは二億六千万でございましたね。
#125
○政府委員(寺松尚君) 二億六千万ということでございます。
#126
○萩野浩基君 正確にはわからないかもしれませんが、収入総額は幾らでございますか。
#127
○政府委員(寺松尚君) 私どもが承知しておりますのは平成五年度の数字でございますが、約十六億ということでございます。
#128
○萩野浩基君 私も大体そのぐらいだと聞いております。
 役員、それともしわかれば職員は何名ぐらいですか。
#129
○政府委員(寺松尚君) 今おっしゃった職員といいますのは三十六名というふうに聞いております。
 それから役員につきましては、常勤、非常勤を入れまして十九名、こういうことでございます。
#130
○萩野浩基君 私の方の資料では、役員が何と多く二十一名、職員が三十六名となっております。もし間違ったら私の方に御指摘ください。
#131
○政府委員(寺松尚君) 私が申し上げたのは理事等が十九名でございまして、監事が二名そのほかにございますので二十一名、こういうことだろうと思います。
#132
○萩野浩基君 もう時間が来ましたので、最後にお聞きいたします。
 理事長は渥美さんという方と聞いております。また、専務理事は三浦さんと聞いておりますが、これはもしかしたら厚生省のOBの方ではございませんか。
#133
○政府委員(寺松尚君) 今、先生の御指摘の理事長は厚生省の元局長でございます。それからもう一人の方を挙げられましたが、専務理事ということでございましたが、厚生省の審議官でございました。
#134
○萩野浩基君 ベテランの厚生省の方がこういうところに出て活躍されるのをいけないと私は言っているわけではありませんけれども、財団法人日本医療食協会が本来の目的にふさわしい方向で今日発展しているのならそれでいいんですけれども、私、まだ本論に入る前に時間が来てしまいましたからこれで終わりますけれども、特にこういう問題についてはまだ今後徹底的に追及いたしますので、よろしくお願いいたします。
 特に大臣、最後に一つ。こういうところはやっぱりはっきりしておかないと、政官財癒着だとかというようなことが言われますし、特に病院食はあのように値段が上がったわけですから、この辺は明確にしていただきたいと思いますので、その決意のほどをお伺いして、私の質問を終わります。
#135
○国務大臣(井出正一君) 先生から私の全く知らなかったことについて今お聞きいたしましたし、まだ全容をお聞きしたわけではございませんが、私どもといたしましても、ただいまの日清医療食品株式会社あるいは日本医療食協会等、具体的にどのような問題があるかどうか、早急に事務局に調査させてみたいと思っております。
#136
○萩野浩基君 ありがとうございました。
#137
○横尾和伸君 公明党の横尾和伸でございます。
 私は、まず、ことしの夏、秋の異常渇水の問題について伺いたいと思います。
 のど元過ぎれば熱さを忘れる、こういうことがないように頑張るというのが村山総理の所信演説でございました。まさにのど元過ぎれば熱さを忘れるというふうなことがあってはならないわけでありまして、ことしの渇水、延べ四十一県、千五百万人の国民が影響を受けた。これは二重カウントはしておりませんけれども、延べで千五百万人。きょう現在でもまだ十三県、六百万人の人々が水道の減断水の影響を受けている、こういう状況でございます。実はこの数字の中には、例えば琵琶湖での水位が一メートル以上低下して関西の千何百万の人たちが震え上がったというような数は含まれておりません。そういうものも含めると、不安を持ったという数も含めると恐らく一千万人の何倍かになるんではないか、こういう状況であります。
 こういった水問題の基本であります水利権について、先日、九月十六日の決算委員会での私の対総理への質問に関連してまず確認をしたいと思うんです。
 そのときに私は、水利権には慣行水利権というのがあって、全体の水利権の中で七、八割が農業用の水利権だ、そのうちのほとんどが慣行水利権であって、この慣行水利権の特徴というのは、水量がわからない、そしてその記録がない、こういうのが慣行水利権だそうでございます。ということは、この中身を明確にしないことには水行政、水の管理というのは本来おかしな話になるんではないかということで、これを早く明確にしてほしいということで私は問題提起をし、質問をしたわけですが、その問題については総理もお認めをいただきまして、この点については取水量の多いところから是正をしていくとの答弁をいただきました。
 ところが、水量は不明であって記録もないというのに何でこういうことができるのかという疑問もありますけれども、いずれにしても建設省は前向きに対応されていることと思いますが、その状況についてお伺いしたいと思います。
#138
○説明員(小林好實君) お答え申し上げます、
 既に九月六日に、各地方建設局及び各都道府県に対しまして、慣行水利権の明確化のための全国調査を行うための予備的な調査依頼を行っているところでございます。
 なお、この中で水量が不明なものにつきましては、取水に係る受益面積、まあ田の面積などでございますが、報告するように指導しておりまして、これによっておおむねの取水量は推定できると考えております。したがいまして、この予備調査の結果を得て、取水量が大きいとされるものから本調査に入っていくということにしております。
#139
○横尾和伸君 私が八月二十五日のやはり決算委員会で建設省の河川局長からお答えをいただいて、その後の九月六日ですので、迅速に対応していただいたということで私は大変喜んでおります。ありがとうございます。
 そこで確認なんですけれども、今行っている予備調査とそれに続く調査、どのくらいの期間がかかるのかということと、それからその成果が出てきたときには量的な把握ができるという結果が得られるのかどうか、この点についてお伺いします。
#140
○説明員(小林好實君) この予備調査の結果が出てまいりまして、大きいものはどれくらいかというものが大体把握できますので、それに基づきましてかんがい期に何回か取水量をはかる必要があろうというふうに思います。かんがい期、大体四月から秋十月まででございますが、やはり計画的にやっていかなきゃなりませんので相当かかると思いますが、できる限り早期にやっていきたいというふうに思います。
 それからもう一点につきましては、これがきちっと調査できれば慣行水利権の取水量の明確化はできるというふうに考えております。
#141
○横尾和伸君 大変な問題だと思います。それから作業も大変だと思いますけれども、ぜひ頑張ってやっていっていただきたいと思います。また機会あるごとにお聞きしていきたいと思います。
 そこで、今度は別な角度から、ことしの夏の少雨の問題について気象庁にお伺いしたいんですけれども、夏から秋にかけての少雨の問題はどうとらえるべきか、またことしのような異常な少雨を今後は一般国民、または我々も含めてどのようにとらえていくべきか、その点について気象庁のお考えを伺いたいと思います。
#142
○説明員(椎野純一君) お答え申し上げます。
 ことしの六月から八月までの降水量につきましては、ほぼ全国的に平年を大きく下回りまして、東日本から西日本にかけて平年の四〇%以下ということでございました。また、この期間の降水量につきまして、統計期間が二十年以上ある気象官署百四十六地点、この中には百年以上統計がとられている気象官署もございますけれども、このうち約二〇%に当たります二十八地点におきまして降水量がこれまでで最も少ない状況でございました。
 それからまた、今後の見通しについてお尋ねかと思いますけれども、ことしの夏のような少雨は自然の持つ変動の中で起こっているものでございまして、来年以降につきましてもこのような少雨が起こる可能性は否定できないものと考えております。
#143
○横尾和伸君 異常ではあるけれども、極めて異常なものが通り過ぎだから後は正常になるということでもないというお答えだと思います。当然だと思います。
 そこで、水問題については、特にこの霞が関かいわいでは縦割り行政で大変複雑に権限が分散されておりますけれども、そこで当面渇水問題に限って、責任の所在がどこにあるかということについて整理の意味でお伺いしたいんですけれども、渇水問題に対する責任の所在という意味で、河川管理者としての建設省の責任はどういうところにあるのか。また、厚生省は水道行政を担当するわけですが、その厚生省はどういう責任があるのか。建設、厚生の順にお答えいただきたいと思います。
#144
○説明員(青山俊樹君) ことしの渇水につきましては、同時期に全国的に広がった渇水としては過去最大規模のものでございまして、国民生活や産業活動に深刻な影響があったと認識しております。
 私ども河川管理者といたしましては、ことしの渇水を教訓としまして、下水処理水や雨水排水の有効活用の推進を図るなど、節水型社会システムを構築することが大切であると認識しております。
 あわせて、ダム群連携事業、渇水頻発地域等における水資源開発施設の建設と渇水対策ダムの整備、水利用の合理化等を推進し、安定的水資源の確保に努めてまいるというのが河川管理者としての役割だと思っております。
#145
○政府委員(小林秀資君) 渇水問題に対する厚生省の責任ということですが、法律に規定がありますので説明をさせていただきます。
 水道事業者は、水道法第五条の施設基準に規定するところにより、渇水時においても必要量の原水を供給するのに必要な貯水能力を有する貯水施設を備えるということ、それから第十五条に規定するところにより、災害その他正当な理由があってやむを得ない場合を除き、当該水道により給水を受ける者に対し常時給水しなければならないこととされております。
 一方、国は、水道法第二条の二の規定により、水源の開発その他の水道の整備に関する基本的かつ総合的な施策の策定及び推進、それから水道事業者等に対する必要な技術的及び財政的援助に努める責務を有しているとされているのであります。
 このようなことから、水道事業者は渇水時を含めて水道の利用者に対する水道水の安定的な供給の確保に努める責務があり、厚生省は、水道事業者がその責務を果たすことができるように関係省庁と協力して水源の開発を促進したり、水道施設の整備を指導、支援する責務があると考えております。
#146
○横尾和伸君 大変難しくて、建設省と厚生省両方とも水源の開発をする責務があると、こう言われてその辺よくわからないんですけれども、それでは同じ問題をもうちょっと具体的にお聞きしたいと思うんです。
 具体的に、ある布なら市の水道が断水をしました。断水をしたことに対して責任はどのようにあるのか、建設省からお答えをいただきます。
#147
○説明員(青山俊樹君) 実際の渇水時におきます水利使用の調整につきましては、河川法第五十二条の規定でございますが、これは水道供給者だとか農業用水の利用者だとか工業用水の利用者、いわゆる水利使用者が相互に他の水利使用者を尊重し、互譲の精神で協議によって解決することを期待している規定でございます。
 したがいまして、河川管理者としては、そういった水利使用者の方々が互譲の精神で協議によって解決されるというための河川の流況等の情報だとかダムの貯水量等の情報を提供し、渇水調整にお役に立てていただくというのが立場であろうと考えております。
#148
○横尾和伸君 そうしますと、責任というよりも渇水調整がうまくいったらもうけもの、そんな感じなんでしょうか。もし渇水調整がうまくいかなくて渇水の状況がひどくなった場合には、建設省は余り責任はないということなんでしょうか。そこのところよくわからないんですが、明確にしていただきたいと思います。
#149
○説明員(青山俊樹君) 我が国は、日照りが続けば宿命的にすぐ渇水が起こるというふうなところにございますから、長期的な観点で水資源開発施設を洪水調節施設とともにつくっていく、これは私どもの大きな責任であろうと思っております。今回の渇水が非常に深刻化したのも、こういった水資源開発施設の整備が間に合わなかったということが本年の深刻な渇水の原因の一つと認識しております。
 短期的には、先ほど申し上げましたように、いざ間に合わなくて渇水が生じた場合には、渇水調整の基本的な考え方は河川法五十三条に基づく水利使用者の相互調整というのが精神でございます。
#150
○横尾和伸君 では厚生省、同じように、水道が断水した場合の具体的な責任の所在について。
#151
○政府委員(小林秀資君) 今回の渇水によりまして断水が生じた水道の状況はさまざまであります。したがって、断水の責任の所在を一概に論ずることは難しいのでありますが、断水が生じる状況としてはいろいろあります。
 まず、水源の開発や既存の水資源の有効な利用のための調整が困難ということで十分な水道原水が得られなかった場合、それから広域的な水道施設などの整備がおくれている場合、それから漏水防止の努力や節水努力が不十分であることが被害の程度を大きくしている場合などがあるわけでございます。したがって、それぞれの実情に応じて関係者がそれぞれの責務を果たせるように最大限の努力を払うことが必要である、このように考えております。
#152
○横尾和伸君 今、場合分けをせっかくされたので、それぞれの場合についての責任は具体的にどこにあるんでしょうか。
 基本的には地元の市町村、水道事業体、そしてそれを指導するサイドの厚生省、そこの分担だと思いますが、そこを細かくやっているとちょっと時間がなくなりますので、また別の機会にしたいと思います。
 お話を聞いていても、問題そのものが非常に難しいんだと思うんですけれども、やっぱりよくわからない。そこで、もうちょっと具体的にことしの夏からの渇水の例を挙げて、責務という観点からお聞きしたいんですけれども、一つは愛知用水地域、これは愛知県ですけれども、この地域は半田市とか刈谷市とか常滑市、そういったところ。ちょっと地図上でお示しできないんですが、この断水の問題について八月の中下旬に何か大変ミラクルな出来事があったということを伺っております。
 実は、私も八月三十一日に名古屋に行く機会がありまして、名古屋でタクシーに乗るとかあるいは人に会うとかという中でその話で持ち切りだった。その話というのは何かというと、十数時間断水が続いていたけれども、水源地に雨が降らないのにそれが九月一日からぱっと全部解除になる、そういう情報が流れた。その関係の市民は大変戸惑っていると、戸惑いと怒りと。タクシーの運転手の方なんかも、こちらから話しかけないのにそのことを言い出すというような状況でありました。そしてその後、新聞あるいはテレビ等を見てみましたら、やはり同じ市民の不満、不安の声が大きく上がっていた。
 これはどういうことかといいますと、もし間違っていたら後で訂正していただきたいと思うんですが、八月十七日から三十一日までの間に、百二十万人に十九時間断水あるいは十二時間断水、極端な断水があったわけですけれども、その断水が水源地に雨も降らないのに八月二十一日に十九時間から十二時間に緩和された、また九月一日からは全部解除されたと、これは一体何なのかということでありました。
 そういう点について、市民に対しても本来は十分な説明がなされなければいけない。これは水道事業体の責務だと思いますが、また厚生省がそういう責務をきちっと果たすように指導するのがお立場だと思うんですけれども、この件に関して厚生省はいかがでしょうか。
#153
○政府委員(小林秀資君) 今、先生が御指摘の愛知県の愛知用水地域における断水の状況は、大部分は先生が御指摘されたとおりですが、一部違いますのは、九月一日からは全部水が戻ったわけではなくて、減圧給水でまだ続いたということでございます。
 いずれにいたしましても、八月十七日から一たん五時間給水ですから十九時間断水ですね、それがあり、八月二十一日には十二時間給水になり、九月一日には減圧給水になったということは事実でございます。
 このような状況について愛知県にお伺いをしましたところ、水道用水を供給している愛知県企業庁から各水道事業者に対し、関係者間の水利調整に関する情報の提供が行われました。また、テレビや新聞などを通じて市民にもその事情が知らされたと聞かされました。
 水道の供給制限は国民生活に多大な影響を及ぼすということから、その実施や緩和について、地域住民に十分事情を説明して理解と協力を求める広報活動が重要であることは申すまでもないことと考えております。
 厚生省としては御指摘を踏まえ、水道事業者が渇水に関する広報活動を適切に行うよう指導していく必要があり、そのようにしてまいりたいと思います。
#154
○横尾和伸君 結局、解除された理由というのはどういうことだったんでしょうか。
#155
○政府委員(小林秀資君) 先ほど申しましたように、八月十七日に一たん五時間給水、十九時間断水というのが開始されてから起きましたことは、農業用水の水利権を有する土地改良区からさらなる節水協力の、農業用水を取り入れるのを自分たちが我慢をしますと、そういう節水協力の申し入れがありました。これを受けて水道用水の取水制限率を緩和したと。これによりまして八月二十一日より一たん十二時間給水にし、それから後は減圧給水にと変わっていったということでございます。
 愛知県の説明によりますと、八月の末に取水制限率が三五%から三三%に緩和されたということ、二番目に市民の間に節水意識が定着をしていったということ、それから八月下旬に若干の降雨があり、愛知池に貯水されていました水量のうち二十万立方メートルについて水道で有効利用することが可能になったことということにかんがみまして、各水道事業者が引き続き徹底した節水対策を実施することを前提に、九月一日から時間給水は解除されて減圧給水とされたということでございます。
#156
○横尾和伸君 ちょっと角度を変えて私がテレビで得た情報を申し上げますと、同じことなんですけれども、濃尾用水という農業用水路から愛知用水に対して水の融通がなされたと。農業用水は土地改良区が持っているわけですが、その水量というのはけた違いに大きいわけです。その土地改良区のトップの方の一声で、知事が訪ねていって、そこで決まったのかどうかわかりません、けれども、そういう映像もありました。
 一声で水の融通が決まったように報道されておりましたけれども、この融通がされたこと自体は大変市民にとってありがたいことであります。これは素直に感謝しなきゃいけないことなんですが、ただ私、今から申し上げたいのは、冒頭にも気象庁から、ことしのような異常渇水はもうないというふうに考えてはいけないという趣旨のお話もありましたけれども、やはりこれから世の中全体がある意味で管理レベルがどんどん上がっている、水だけが旧態依然としていていいものかどうかという問題提起があります、だれが悪いという意味ではないんですけれども。
 そういう意味で、今後のあるべき姿を考えたとき、もっと透明性というか弾力性というか、ある一人の地域のトップの方に知事が訪ねていって、そこには河川管理者が入っておりません、訪ねていって頼み込む。そして、そのトップの方の言うことは、これもテレビでおっしゃっていたので間違いないんですが、やっぱり僕のようなやつがおるから愛知県の水の秩序が保たれているということだと、こうおっしゃっております。これは河川管理者が言うことじゃないんでしょうか。そういうことを公然と言われているわけです。
 そこで私は、新しい水の制度といいますか、もっと透明性、弾力性のある制度を検討をしてはどうか、こう思っているんですが、ただしこの際に踏まえるべき問題点が一つあります。
 これは、今の建設省が中心になって行っている水の行政、河川管理の行政の基本は、水は公の水だと。分水論といいますか、公の水だと。したがって、要らなくなった水は、仮に使うことがなくなった水利権は一回建設省に召し上げられる。次に必要になったときにはダムをつくって、一トン当たり数百億かけて水を開発しなきゃいけない。こういう不可逆的といいますか、一万通行でただ召し上げられるだけ、こういう制度になっているということが実は水の融通を非常に硬直化している最も大きな原因ではないかと私は思っております。
 したがって、例えて言えば、北風を吹きまくらせて旅人のコートを脱がせようとしているような制度になっている。大変シンプルでわかりやすい制度ではあるんですけれども、実際に水利権を持っている側の人間からすると、それを融通したとなると融通をした分だけ要らないんだなと、こう言われる心配があるのでなかなか融通ができない、こういうメカニズムになっているわけであります。
 私は農業を敵にして言っているわけではなくて、むしろ農業が何百年も前から日本の国土と食を守ってきた。そのために大事に保持してきたのは水利権でありまして、その水利権に対して暖かい太陽をさんさんと浴びせるように敬意を払い、感謝の念を具体化するようなことが大きなポイントだと思うんです。そういう制度をつくっていく、あるいはそのための検討をしていくということが必要だと思うんです。その点に関して建設省はどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
#157
○説明員(小林好實君) まず最初、先生御指摘の木曽川の渇水対応について申し上げますと、ことしの夏の木曽川の渇水対応につきましては、中部地方建設局が中心になりまして、東海農政局とかあるいは東海三県から成ります木曽川水系緊急水利調整協議会におきまして、六月十四日以降十七回にわたりまして会合を持つなどいたしまして積極的に渇水調整を行ってまいりました。
 具体的にはもう先生御案内のとおりでございますが、発電ダムの底水を放流したり、発電の用量を放流したり、あるいは試験湛水中のダムの水を放流したり、あるいは三ダムのプール運用をしたりというような比較的弾力的な渇水調整を進めてまいりました。これにつきましては、その都度渇水調整協議会が終わりました後マスコミにレクをし、市民の皆様方に対しまして可能な限りの情報提供やPRなどを行ってまいりました。
 先ほどちょっと触れられました濃尾用水のことでございますが、特に八月二十二日の協議会におきましては、既得の農業用水につきましては当初四五%の取水節水を行うという予定でありましたけれども、愛知用水地域における渇水の状況とかあるいは協議会における強い意向とか、既得の農業用水の皆様方の御理解によりまして節水取水が六〇%に引き上げられました。この結果、当初上水を例えば五〇%というような取水制限をしていただこうというふうに思っておったんですけれども、それが三五%というふうに緩和になったわけでございます。
 私どもといたしましては、今後とも関係御当局あるいは関係の例えは農業利水者の皆様方の理解を求めまして、時宜に応じた弾力的な渇水調整を行ってまいりたい、かように思っております。
 それから、第二点の御指摘でございますが、仮に農業用水に余剰水があるというならば、その農業用水の余剰している水を何とか上水の方に振り向けていくというようなことを、農水省さんあるいは我々建設省はそういった格好でやってまいりました。先生も名古屋に行かれましたから御存じだと思いますけれども、濃尾用水地区は御案内のようにスプロール的に田が減っております。あの田の減った部分につきまして水を上水に回すとなりますれば、あれが例えば水道のようにパイプ的な用水機能を持つようなそういう構造にしなければならないというふうに思われます。
 これも先生御存じだと思いますけれども、例えば埼玉県の見沼代用水でやりました農水を上水に転用するといったことにつきましては、やはり長いこと農民の皆さんが守っていただいておりました排水路をきれいにしたり、あるいは水が末端までかかるようなことをやってみたりして農水の余剰水を、潜在的余剰水と申しますか、それを上水に向けたという経過は先生御案内のとおりだと思いますので、かような方法によって、仮に農水が余剰しておりましたらそのように向けていきたい、かように思っております。
#158
○横尾和伸君 私の申し上げたかったのはそういう点だけではなくて、ただ要らなくなったものは一回召し上げるということが、実際には水の融通を大変硬直化している、この問題点を十分踏まえて柔軟に検討していただきたい、こう申し上げたわけなんです。
 特に今回、先ほど申し上げた事例では、少なくとも私も含め地元の方の御意見も聞いていますが、河川管理者の顔が見えていない。もっと河川管理能力をレベルアップして、河川管理者としての責務を果たしてもらいたい。この際に、先ほど言いましたように制度の弾力性とか透明性などをさらに増すような検討も必要だ、私はこういうことを申し上げているわけです。この点については私からの要望としてこれからも御検討いただきたいと思います。
 次に、もう一つの事例としまして、私の地元でございますが福岡都市圏の渇水問題。いまだに十二時間断水が続いております、きょうの時点でもですね。これからも解除になる見通しは今のところ全く立っておりません。
 この福岡都市圏の水問題については、平成五年三月二日の厚生委員会の質疑でも私はこの問題点を明らかにしたところですが、ここはどういうことかといいますと、需給のバランスがもう既に崩れている、逆転をしている。これから先ダム開発は、まあ数カ所あるんですが、それが完成した後は全くその計画がない。人口はどんどんふえている。都市圏としては二百万規模を超えている。こういう状態で、近い将来大規模かつ長期的な水不足が確実に予想されるわけであります。
 この点については、厚生省も一年半前の厚生委員会でお認めいただいたわけなんですが、このような水不足がこれから数年後顕在化したとき、じゃ責任はだれにどのようにあるのか、この具体的な事例についてお伺いしたいと思います。
 まず厚生省に、こういう事例の中で長期的な断水が顕在化したとき、どこに責任があるのかお答えいただきたいと思います。
#159
○政府委員(小林秀資君) 福岡都市圏においては、水道事業者の個別の対応では渇水の対応が十分にいかないということで水道用水の不足を来すおそれがあることにかんがみまして、福岡県は当面、水道用水不足を解消するための中短期対策と、平成三十七年を目標年次とする長期対策を盛り込んだ第四次福岡県水資源総合利用計画の策定作業を行っているところであります。
 さらに同県では、この計画を踏まえて水道法に基づく広域的水道整備計画を改定するとともに、関係水道事業者等と連携をとって広域的水利用の促進、ダム建設の促進、既存水利の水道水源の確保に努めるほか、海水淡水化施設の導入についても調査を行うこととしていると聞いております。
 厚生省としては、福岡都市圏においても必要な水道用水の確保ができるように、海水淡水化施設の広域的水道整備計画への位置づけ等について福岡県及び水道事業者等に適切な助言、指導を行っていくとともに、水道施設整備に支援していく所存であります。
 そういう意味では、先生の御指摘以後は、福岡県が関係市町村だけの努力ではどうにもならないということで今一生懸命対応されているということがうかがわれるわけであります。
#160
○横尾和伸君 関係市町村の努力でどうにもならないという言い方をされるとよくわからなくなるんですが、関係市町村といいますか、当事者に一番責任があるんじゃないでしょうか。
#161
○政府委員(小林秀資君) 済みません、ちょっと私の説明が悪うございました。
 まず、水道事業者ですから各市町村ですね、水道事業者が将来の水需給を見通して、水道水の安定な供給の確保を図るために施設整備の最大限の努力をしていかなければならないということでございます。
#162
○横尾和伸君 要するに、地元の水道事業者が基本的には責任がある、そこに厚生省は指導をする責任があり、援助をする責任があるということだと思います。
 そこで、大臣にお尋ねしたいんですけれども、大臣の所信で、今回一千五百万人もの人たちが震え上がった、あるいはその何倍かの人たちが心配をしたと。この重大事に対して、「教訓として」という一言が入っているんですが、大変この水問題に対してさらりとお茶漬けのように書かれているように主観的に思われたんですが、大臣どうでしょう、これからこの教訓を生かしてどのように安心できる水道を構築していくのか、御決意を伺いたいと思います。
#163
○国務大臣(井出正一君) 今回の渇水では、今先生が言われましたように、水道の断水等の給水制限により延べ一千五百万以上の国民の皆様が影響を受けざるを得ませんでした。このような大きな渇水被害を教訓として、国民生活に欠くことのできない重要な生活基盤施設である水道を渇水に強いものとするため最大限努力をしていかなくちゃならぬ、こう考えております。
 このため、水道事業者等に対し、計画的な水道施設の整備の促進や節水指導の徹底などの渇水対策に一層積極的な取り組みを指導すること、また関係省庁と協力してダム等の水源開発の促進を図ること、さらに水道施設の広域化を図ることや海水淡水化施設などの整備を支援することなどの施策を総合的に進めてまいる所存でございます。のど元過ぎて熱さを忘れるということになってはいけない、こう考えております。
#164
○横尾和伸君 ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 次に、新ゴールドプランについて伺いたいと思います。
 新ゴールドプラン、名前が相当有名になってはいるんですけれども、どうもその位置づけがどうなのかということ、それから必要性、費用、この三点について御説明いただきたいと思います。
#165
○政府委員(阿部正俊君) ゴールドプランということ、それから新ゴールドプラン、少しごっちゃになっているような感じもありますので、簡単に御説明いたします。
 ゴールドプランといいますのは、平成二年から平成十一年度までの十カ年戦略ということで計画をつくりました。これはどちらかといいますと、国が示した一つの計画ということでございまして、それとそれぞれの市町村がどういうふうにするかということの結びつきというものは、いわば当初からあったわけではございません。
 ということでまず示しまして、その後、当委員会等の御理解等もちょうだいしながら法律改正をいたしまして、老人福祉法なり老人保健法の改正をいたしまして、改めて市町村が老人保健福祉計画というのをそれぞれつくるようにしましょうということで、それぞれの地域を中心に市町村から改めて計画をつくって県に出し、それを集計して改めてゴールドプランなりの計画を見直していきましょうというふうなスタンスで今日まで来たわけです。
 その計画なるものがことしの三月末までに大体出そろってまいりましたので、それを前提といいましょうか基礎にいたしまして、もう一度ゴールドプランというものを見直ししてみなきゃいかぬのじゃないか、こういうことで検討されましたのが新ゴールドプラン、こういうものだと、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
 それで、その必要性というものが幾つかのポイント、簡単にしますが、三点あるだろうと思うんです。
 一つは、当初考えました、国が推計いたしました数量的な整備量につきまして、市町村がつくりました計画を集計したのと比較検討してみまして、どれくらいの整備量が適当かというのを改めてもう一度見直しを進めなきゃいかぬというのが第一点。
 それから第二点は、平成二年のゴールドプランといいますのは、率直に申しまして、どちらかといいますと比較的狭い福祉の分野に限定されておったような傾向がございますので、さらにその後、例えばリハビリテーションの問題だとか訪問看護の問題だとかという新しい分野というものも、もう一度やはりゴールドプランの一環として位置づけすべきではないだろうかというような点が二点目。
 それから三点目が、ゴールドプランといいましても平成十一年で終わるわけじゃなくて、それから先さらなる高齢化といいましょうか、あるいはより質の高い福祉サービスというものが求められる時代に対応するためには、今までの水準というものをもう一度質の改善というような側面から見直してみる点はないだろうか。例えば特別養護老人ホーム等の居室面積の拡大というふうな点、結構こういったものに金がかかるわけでございますけれども、そういう質の改善というのももう一つやらなければいかぬのじゃないかということで、その三点を中心にいたしましてもう一度見直してみようということで検討され、私どもなりの案として現在提起しておるのがニューゴールドプランだというふうにお考えいただきたいと思います。
 そのための所要の財源でございますが、二言で言いますと、従来考えましたゴールドプランというものに対しましてこれから五年間どれくらいの割合で金をかけていけばいいのかということでございますが、私どものつくりました案では、現在想定されておりますここから先の五年間よりもさらに五割増しぐらいの水準のお金をかけていく必要があるんじゃないか、こんなふうな試算をしているところでございます。
#166
○横尾和伸君 五割増しといいますと、数兆円の五割増しというのはやっぱり何兆円単位ですよね、その増分というのは。
 そこで、大臣にお伺いしたいんですが、この新ゴールドプラン、厚生省はぜひとも実施したいということだと思いますけれども、そのための財源はどうされるのか、今時点でどうお考えなのかということをお伺いしたいと思います。
#167
○国務大臣(井出正一君) 新ゴールドプランの所要額を試算したところによりますと、平成七年度から平成十一年度までの新ゴールドプラン計画期間中の所要額は、事業費ベースで約十一兆千五百億円と見込まれており、同じ期間中の現行ゴールドプランに要する費用七兆八千五百億円の約五割アップの事業規模となるものと考えられるというのはただいま局長から申し上げたとおりであります。
 今般の税制改革に際しまして、大綱で少子・高齢社会に対応した安心と活力ある福祉社会の建設への取り組みが喫緊の課題として提起され、高齢社会に向けて当面緊急を要する施策について一定の財源措置が講じられたところであります。
 厚生省といたしましては、今回の税制改革に伴う一連の措置の一つの足がかりとして、消費税率の見直しについての検討の過程において、引き続き財源の確保にも配慮しつつ、できるだけ早くゴールドプランの策定を図りたいと考えており、関係省庁と鋭意協議を進めていく所存でございます。
#168
○横尾和伸君 大臣のお答えですと、消費税率をもう一度見直しする際に消費税率のアップとして考えていかなければならない問題だと、ぞうお考えのようでございます。
 時間の都合で次に移ります。
 実は今、我々の文明病とも言われております使い捨て文化、ごみの問題について伺いたいんですけれども、廃棄物循環型のごみゼロ社会というのは、政府、特に最近では十月七日に閣議了解されました公共投資基本計画、その看板のような形で出ております。大変難しい問題であり、必要な問題であると思います。
 そういう中で、特に廃棄物の減量化、リサイクルの問題、本気になって取り組まなければならないぎりぎりの時期に来ている。特にヨーロッパでも同じ問題を抱えていて、ドイツやフランスなどでは、包装用の包装廃棄物というんですか、容器、瓶とか缶とかプラスチック、こういう問題について製造事業者の責任を取り入れた方法で大変成果を上げているというお話も伺っております。
 そういう中で、基本的にはこの点を加味した提言が、通産省の関係ではことしの七月に産業構造審議会、厚生省ではつい先日、生活環境審議会の提言としてまとめられたわけです。私は大変結構なことだと思うんですけれども、問題はこれをどうやって実施するか、そこにかかっていると思います。
 まず通産省から、その実施に向けてどのような方針で取り組むのか、お答えをいただきたいと思います。
#169
○説明員(小川恒弘君) お答え申し上げます。
 通産省におきましては、先生御指摘の本年七月に、通産大臣の諮問機関でございます産業構造審議会から、我が国の廃棄物処理・リサイクルシステムのあり方につきまして意見具申をいただいたところでございます。その意見具申の中で、先生御指摘のいわゆる包装材につきましては、新しいリサイクルシステムの構築が必要との提言をいただいているところでございます。
 私ども通産省といたしましては、本意見具申を踏まえまして、まず予算などを通じましてリサイクル関連の技術開発を促進いたしますとともに、事業者が一層の責任を果たすべきとの観点から、真に実効性のある包装材に関係するリサイクルシステムを構築すべく、引き続き厚生省などを初めといたしまして関係省庁と建設的かつ精力的な議論を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
#170
○横尾和伸君 最後に、同じ問題について厚生大臣に、特に数日前の生活環境審議会の提言を踏まえて、この問題については厚生省一省だけの問題ではない、関係省庁も関係業者も多いんだと、そういったことも十分踏まえてどのように実行されていくのか、御決意のほどを伺いたいと思います。
#171
○国務大臣(井出正一君) 廃棄物の排出量が増大し、一方で最終処分場の残余容量が不足している現状において、廃棄物の排出を抑制しリサイクルを推進していくことは、そういう状況とともにまた資源が有限であるということから考えても極めて重要な課題であると認識しております。今般、生活環境審議会の中の廃棄物減量化・再利用専門委員会において提言された包装廃棄物についての新しいシステムは、廃棄物を減らしたり再生利用を進めれば消費者、事業者、地方公共団体のそれぞれが経済的メリットが得られるという画期的なシステムであると考えております。
 したがって、厚生省といたしましては今後この新システムの具体的な検討作業に入り、関係業界、関係省庁とも相談しながらできるだけ早く成案を取りまとめ、次期通常国会に所要の法案を提出したいと考えております。
 なお、本検討委員会の報告書は産業界からの委員の皆さんも御賛同をいただいた上で取りまとめられたものでありますから、新システムの具体化に当たっても関係業界の御理解は得られるものと考えております。
#172
○横尾和伸君 使い捨て文化を変えていくんだという強い決意に立って、厚生省また通産省にこれからぜひ頑張っていただきたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
#173
○西山登紀子君 私もまず最初に、新ゴールドプランにつきまして角度を変えて質問いたします。
 この計画が国民の期待にこたえるために指摘したいのは、十分な数量の目標とともに、いま一つは質の向上です。だれしも高齢化するわけで、お年寄りになったときに、長い人生を歩んできた人間として社会から評価され大切に扱われる、管理優先や効率優先ではなくて人間としての尊厳を全うできるような扱われ方がされるべきだと考えます。日本の生産力の水準は、そのような施策を可能にするところに来ていると考えます。
 数とともに質も向上させる、新ゴールドプランがそのような方向で策定されるべきものと考えますが、高齢者対策の基本にかかわることでもありますので、大臣のお考えをまずお聞きいたします。
#174
○国務大臣(井出正一君) 新ゴールドプランに関しましてはただいま横尾先生にも局長の方から御答弁申し上げたところでありますが、現行ゴールドプランが平成二年度から着実に推進してきているところではございますが、さらにこの際、全自治体が作成した老人保健福祉計画を踏まえて抜本的に見直し、新ゴールドプランとして策定したいと考えておりまして、さきに厚生省の素案を与党福祉プロジェクトチームにお示ししたところでございます。この主な内容は、ただいま先生御指摘の点も取り入れてあるつもりでございます。
 まず、理念上、利用者本位・自立支援、普遍主義、総合的サービスの提供、身近な地域主義という高齢者の介護サービスのあり方の基本理念を掲げておりますし、自治体が把握した実際の地域住民ニーズを踏まえてサービスの目標水準も大幅に引き上げておりますし、さらに特別養護老人ホームの居室面積の拡大とか介護機器の導入など、サービスの質の改善をも盛り込んだつもりであります。
   〔委員長退席、理事菅野壽君着席〕
 そしてまた、訪問看護ステーションの計画的整備などの新たな施策を盛り込むとともに、マンパワーの養成、確保など介護基盤を整備していくための支援施策も位置づけ、総合的なプランとしているところでございます。
 地方の自治体では、既に今年度から老人保健福祉計画に基づく事業を開始しておりますから、私といたしましては、財源の確保にも配慮しながらできるだけ早く新ゴールドプランの策定を図りたいと考えておりまして、関係省庁と鋭意協議を進めていく所存でございます。
#175
○西山登紀子君 そこで、具体的に有料老人ホームについてお伺いをいたします。
 有料老人ホームは、バブルの時期に鉄鋼メーカーなどが参入をしてふえてきたもので、設置主体も株式会社が五一・三%です。シルバー産業、シルバービジネスという言葉が端的にその特徴を表現していると思いますが、しかしそうだからといって、入居を希望するお年寄りが不利益をこうむることは避けなければなりませんし、ついの住みかにふさわしい場所にすべきだと考えます。
 有料老人ホームの利用者保護につきましては、九〇年の老人福祉法改正の後も依然として問題が絶えません。九三年十二月に公正取引委員会が、有料老人ホームの事業者及び全国有料老人ホーム協会に入居案内の表示の適正化に関する要望を行っていますし、またことし九月には、総務庁がシルバーサービスに関する調査結果報告をまとめて、その中でも有料老人ホームについて重要な勧告をしております。
 厚生省は、有料老人ホームの健全育成及び処遇の向上に関する検討会で来年の春に向けて検討中とお伺いいたしましたけれども、今回の公正取引委員会の指摘や総務庁の行政監察の結果も踏まえて改善方向をぜひ検討していただきたいのですが、いかがでしょうか。
#176
○政府委員(阿部正俊君) 有料老人ホームにつきましては、やはりこれからのかなり広範囲な老人のさまざまなニーズヘの対応ということで考えますと、公的なものも別途必要であることはもちろんでございますけれども、こうした民間といいましょうか、あるいは任意の契約ということをベースにした一つの施策というものも必要であろうというふうに考えますので、これからも健全育成ということに心がけていかなきゃいかぬと思っております、
 先生御指摘のように、有料老人ホームはまだまだ社会的にも定着していない面がございまして、特に介護というふうな状態になったときに、どういうサービスがどういう手続でどういう経費で行われるのかということについてのぴしっとしたルールづくりというのは率直に言ってまだおくれておりまして、先生御指摘のように、公取の指摘ということとかあるいは総務庁からの勧告というものも、いずれも介護ということをどういう形でサービスできるのかというところをめぐる一つのずれのようなところでございまして、そういった点の問題ももう少しどういうふうに整理していくのかということを含めまして検討会で十分検討していきたいと思っておりますし、その辺は民間サービスということを前提にいたしながらルールというのをもう少しはっきりさせていくように努力したい、こんなふうに思っております。
#177
○西山登紀子君 もちろん、すべての有料老人ホームに問題があるというのではありません。入居者と施設側の話し合いがよくされているところとか、経営の公開を毎年しているところ、痴呆老人の別棟をつくるなと思い切った努力を始めている老人ホームも私は見てまいりました。
 しかし最近では、バブル崩壊後は、もうからないとか介護に金がかかり過ぎるなど慎重な姿勢に変わってきていると言われております。おむつがえ一回幾らという介護の切り売りも、幾らビジネスだからといっても感心できません。厚生省が八九年から鳴り物入りで進めたいわゆる民間老後施設整備促進法に基づく事業も、有料老人ホームの建設が採算ベースに合わずやり手がいなく、特定民間施設が整備される十三地域でうまくいっていないとの報道もございます。
 民活導入ということで厚生省は主導してきたわけですから責任も当然あると考えますが、有料老人ホームが自宅を処分して入所されたお年寄りにとって住み心地のよいついの住みかとなるように、またどんなことがあっても倒産などしてお年寄りの行きどころを奪うというような事態にだけはさせないように、厚生大臣の御決意をお聞かせください。
#178
○国務大臣(井出正一君) 有料老人ホームの入居者の方々が安心して生活できるようにするためには、まず経営の安定が何よりも大切であります。
 このために、新たに有料老人ホームを設置しようとする者に対しましては、市場ニーズの調査あるいは入居見込み者の確保、さらに三十年の長期事業収支見込み等の作成などを求め、安定した経営が行われるよう事前に都道府県を通じて厳格に指導するとともに、既に設置した後においては、経済状況の変化の中においても経営の安定が損なわれることのないよう三年ごとの事業収支計画の見直しを行う等、所要の指導を行っているところでございます。
 今後とも、お年寄りが安心して生活できる有料老人ホームとなるようその健全育成に努めてまいりたいと思います。
#179
○西山登紀子君 次に、ケアハウスについて質問をいたします。
 幾つかの有料老人ホームを見学してまいりましたが、ついの住みかとして、生涯の最後を過ごす場所として有料老人ホームを選択する人があってもいいと思いますが、しかしもっと安い、健康管理や介護の面で安心できる、老後の安心をお金でやりとりするような不安のない公的な老人ホームの充実こそが必要だと感じたわけでございます。
 この間私は、九二年から創設されました軽費老人ホームの一つのタイプでありますケアハウスを見せていただきました。大阪の枚方市でことし四月に開所いたしました定員三十名のケアハウスでは、ケアハウスの特徴を、町中にあり便利であること、個室でプライバシーが守られること、費用が安いこと、この三点を挙げておられますし、入居されているお年寄りは、こんなところに入れてもらって長生きしなければね、こんなふうなことも言っておられたわけです。
 私の地元であります京都のこぶしの里も見てまいりましたが、ケアハウスが来年の開所に向けて募集いたしましたところ、定員五十名に今二百五十名が応募をしている、非常に好評だというわけなんですが、このケアハウスは整備拡充する必要があると思いますけれども、いかがでしょう。
#180
○政府委員(阿部正俊君) ケアハウスをごらんいただきまして大変ありがたいと思っております。
 実は、ケアハウスは私どもの方の新しいゴールドプランでございますが、現行のゴールドプランでも一番新しい施策なものですから一生懸命宣伝しているんですけれども、なかなか計画まで達しませんで、いつも当委員会なんかでおしかりを受けているわけでございます。
   〔理事菅野壽君退席、委員長着席〕
 私の方では、最終的には十万人分くらいまでやっていきたいというふうに思っておりますので、これはまさに先生御指摘のように簡便に、確かにデラックスではないかもしれませんが、しかも比較的経費も安いといいましょうか、妥当な額で利用できるというようなことでございますが、ぜひ各自治体が積極的にこれを促進していくような方策をこれからもとっていきたいと思っておりますし、最終的には当面十万人分というのを急ぎ整備していくことにいたしたいというふうに考えております。
#181
○西山登紀子君 PR不足もあるかと思いますけれども、確かに幾つかの今後の課題も抱えているなというふうにも感じたわけです。
 例えば施設側からは、今の職員基準では夜間、昼間に不測の事態に対処できない、そういう御心配がありますし、ほとんどの入居者が病院に通っているから、医師や看護婦のせめて一週間に一回、半日程度の借り上げ料補助が欲しいというような要望もございました。
 また一番深刻なのは、今後五年、十年、入居者が高齢化していった場合の介護の問題、これがやはり深刻な不安になっておりました。特別養護老人ホームあるいは病院、ホームヘルパーなどの密接な連携が求められるようになると思います。
 また、住みなれた地域に三十人以下の小規模なケアハウス、こういうような要望も出ているわけですけれども、たびたび大臣にお伺いしますけれども、このケアハウスは始まったばかりですが、施設側や入居者の実態、要望をよく把握していただいて、内容の改善充実を図りながら数もふやす、このような努力を求めたいと思いますが、いかがでしょう。
#182
○政府委員(阿部正俊君) 先生のいろいろ御要望を挙げられた中で、少し整理しておかなきゃならぬ点があると思います。つまり、ケアハウスというのは基本的に一つの住居でございます。いわゆる施設じゃございません。したがいまして、例えば介護というものが将来どうなのかということを考えますと、基本的に施設じゃございませんから、そこですべてをカバーできるというふうには考えておりません。そこは整理しておかなきゃいかぬことではないかと思います。
 したがって、基礎的な生活がそこで一応成り立つということで、例えば食事だとか入浴とかあるいは簡単な外との連絡とかあるいは緊急時の対応というものはやりますけれども、その他の必要なかなり重度の介護というふうになった場合には、外から例えばヘルパーの派遣をするとかということで対応しなきゃならぬというふうな割り切りを一応しておりますので、その間との程度のサービスがそこで必要になるかということについては、六年度にもさらに一人の職員の増の予算をつけたりしておりますけれども、その辺は今後の状況を見ながらでございますが、基本的には施設ではないんだというふうな割り切りをした中で、より充実を図っていくということは考えなきゃいかぬと思っております。
#183
○西山登紀子君 そういうことはもちろんわかった上で私も見てきて質問しているわけですから、わかった上でですけれども、まだ始まったばかりの施策であって、その辺の不安もまざりながら実施がされていっている。だから、そういう実施しでいっている人たちの要望やその実態をよく把握してこれから進めてもらうようにということで、大臣にお聞きしているわけです。
#184
○国務大臣(井出正一君) 今の御要望に関しまして局長の方から、基本的にはこれは住居であるということはまさにそのとおりでありまして、その上に立って、そこに入居された皆さんが快適な生活をできるように精いっぱいできる限りの体制は整えていかなくちゃならぬと思いますし、今後とも、在宅訪問福祉サービスの整備状況なども見きわめながら、ケアハウスにおいても入居者が安心して可能な限り住み続けられるよう充実に努めてまいりたいと思います。
#185
○西山登紀子君 ケアハウス関連の最後の質問ですけれども、大阪のあるケアハウスで、保母資格のある寮母さんが介護福祉士の国家試験を受けようと受験申請を出したところ、受験センターから受験資格はないと、こう言われたわけです。それで受験はできなかったわけです。理由は、ケアハウスの寮母は介護の経験にはならないということらしいんです。
 しかし、実際にはケアハウスで介護の仕事も外部のヘルパーさんにすべてを任せることができないのが実情でございますし、今後ますます介護の仕事も必要になってくるということで、ケアハウスでも寮母や生活指導員などの場合には受験資格を得られるように指定施設の範囲を拡大すべきではないでしょうか。
 六十三年の二月に指定施設の範囲が通知されたわけですけれども、その当時はまだケアハウスが制度化されていなかったということなので、今後こういう分野に働きながら、また特養老人ホームとの異動なんかもあるわけでございますから、働きながら介護の仕事に情熱を燃やし向上心を持って働いている人材を生かす方向で検討していただきたいんですが、どうでしょう。
#186
○政府委員(佐野利昭君) 先ほど老人保健福祉局長の方から答弁いたしましたように、ケアハウスの基本的な考え方が、健康な方々を原則とすると。ですから、特別の介護が必要な、例えば常時介護するような体制にはないというようなことが原因で、現在、該当する施設に厚生大臣が指定していないというのが実態でございます。
 これにつきましては、本当にそういう指定の必要性があるかどうかということは、これからのケアハウスの運営状況なども十分踏まえて考えていかなければならないだろうと。たまたま専門の保母資格を持った方がいらっしゃるからといって、すぐそれでそこを指定するというわけにはいかないのであり、やはりそこの実務経験が介護の実務経験として当然に認められるようなことというのが最低限度これは必要なものになると思いますので、そういう実態を踏まえてこれから検討させていただきたいと思います。
#187
○西山登紀子君 次に、生活保護の問題について伺います。
 埼玉県の桶川市で、生活保護を受けていると十九歳のお年寄りが、クーラーはぜいたく品だ、取り外さなければ保護を打ち切ると市の福祉課から言われて取り外した結果、この夏の猛暑の中で脱水症状で倒れて入院、あと数時間手当てが遅ければ今も危うかったと、こういう事件がありました。あってはならないひどい話だと思います。
 当時のマスコミは、あの酷暑の中ですから、厚生省や市の対応に厳しい批判的な報道が相次ぎました。ある女性週刊誌ではこういうカットも入れまして、「超現実 「お役所」 感覚」という見出しをつけて報道したわけです。
 大臣はいろいろマスコミにお話をされているわけですけれども、この場でも、生活保護世帯のクーラーの所有は認めるというのが今日の時代の要請ではないかと思いますので、はっきりと御答弁をいただきたいと思います。
#188
○国務大臣(井出正一君) 生活保護制度においてクーラーなどの生活用品については、受給者が生活している地域の一般世帯との均衡を失することのないもの、具体的には当該地域において七割程度の普及率で判断しておりますが、それらについては福祉事務所等の判断でその保有を認めることとしております。
 今般、新聞報道等において被保護世帯におけるクーラーの保有についての問題提起がなされたわけでございますが、本事例はどうもいささか手落ちといいましょうか、この趣旨が徹底していなかったことも一因と思われるものですから、都道府県を通じて全国の福祉事務所に対してこの趣旨の周知徹底を図っているところでございます。また、高齢者や病弱者等を抱えた生活保護世帯については、さらに個々のケースの実情に即した適切な保護が行えるよう検討を行ってまいりたいと思います。
#189
○西山登紀子君 大臣のお言葉を確認させていただきたいんですけれども、クーラーについてはその当該地域の七〇%基準を満たしていれば保有を認める、そういうことですね。そしてさらに、七〇%なくても障害者だとか病弱者だとか高齢者とか、そういう個々の方々の実情に応じて検討して保有を認めると、そういうふうに確認をさせていただいてよろしいですね。
#190
○国務大臣(井出正一君) そのつもりで申し上げました。
#191
○西山登紀子君 そこで、その大臣の方向を各府県、実施していただく現場の市町村など自治体に周知徹底をしていただくという問題なわけです。この桶川市のほかにも、厚生省がそうは言っても生活保護世帯のクーラー所有は普及率にかかわらず認めていないというふうに理解をしていた自治体もあったわけでございます。
 最近、私の地元の京都新聞なんですけれども、調査をいたしました。八九年のクーラーの保有率が京都では八四・三%、滋賀では七四・九%であるにもかかわらず、京都では四市、滋賀では一市が新設の場合は認めないとしている。最近の現状です。毎日新聞の調査では、普及率が高く当然必要性も高いと思われる山梨、奈良、高知、福岡、沖縄などではクーラー所有を基本的に認めないというふうになっていると報じられているわけです。
 これほどに対応の差があるわけですね。ですから、こうした現実を踏まえまして、クーラーの所有についてはこういう方向で保有を認めていいんだというような特別の周知徹底が必要ではないかと思うんですが、いかがですか。
#192
○政府委員(佐野利昭君) 大臣から基本的な点は御答弁申し上げたとおりでございますが、一点補足させていただきますと、基本的には一般世帯との均衡上余りにもぜいたく品と認められないものというのを、具体的な事務取り扱いで七割程度という形にまで具体的に提示しております。
 ただ、この七割という目安を何でどの時点でとるかというような点につきまして、やはり福祉事務所のケースワーカーが必ずしも十分把握できていなかったという嫌いがあったのではなかろうか、こういうふうに理解をいたしております。
 そういう点もございますので、従来からやっております七割程度の普及率のものにつきまして資産保有を認めるという方向性は、これはさらに私どもは、ブロック会議等を通じて大いに各福祉事務所の職員には趣旨の徹底を図っていきたい。特に今月は各福祉事務所の職員を集めたブロック会議が開かれておりますので、早速そのブロック会議におきまして趣旨の徹底を図っておるところでございます。
 なお、先ほど大臣が申し上げました、さらにそれに加えまして病弱者なりあるいは特にお困りの方々への特別扱いの問題につきましては、必ずしも基準では七割とは言えないということでございますので、これはやはり実施要領等も改定しなければならないと思います。これにつきましては近々具体的な内容を検討いたしまして、少なくとも来年度には間に合うように措置をいたしたい、こう考えております。
#193
○西山登紀子君 それは指導要領を改定して、そして文書で通知をするということでしょうか。
#194
○政府委員(佐野利昭君) 特別の場合につきましては今までの実施要領にございませんので、その部分を明確にさせていただきたいと思います。
 それから、追加で申しわけございませんが、先生の御質問の中でクーラーというふうな個別品目を御指定されておりますけれども、個別品目では必ずしも言えないわけです。地域によりましても生活上必要なものが必ずしも限定されませんので、例えば非常に涼しい地域であれば必ずしもクーラーは生活必需品という形にはなりませんので、そういう点につきましてはやはり個別品目でこれはいいんだ、あるいはこれは悪いというところまで徹底することにつきましてはいささか問題があろうかと思います。
#195
○西山登紀子君 クーラーはぜいたく品だということで厚生省がその所有を認めていないというような御指導が、地域の方では若干こういう問題を起こしたというふうにも私たちは思っているわけです。その点について今ここで論争するつもりはありませんけれども、ああいう事件を起こした後でもありますので、文書による周知の徹底、改善を十分図られるようにしていただきたいと重ねて要望をしておきます。
 最後に、生活保護世帯の医療券の問題なんですけれども、生活保護世帯の家族の方が病気になったときにどうやってお医者に診てもらうのか、その手続について教えてください。
#196
○政府委員(佐野利昭君) 生活保護法に基づきます各種の扶助といいますのは、先生もよく御存じのことですが、それぞれ個別に必要な扶助の内容に応じて福祉事務所の方に申請をされるという形になりますので、例えば病気の場合であれば、医療扶助が必要であるということの個別申請がある。その申請を受けましたならば、福祉事務所の方でそういう扶助をする必要があるかどうかということの要否を審査いたしまして、必要であると認めた場合には、指定医療機関にその旨を提出いたしまして医療の必要性を専門的に認めていただきまして、それをもとにして医療券を発行する。今度はその発行された医療券を持って医療機関に診察、治療に行っていただく、こういう手続になっております。
 なお、この受診手続につきましては、初回は本当に必要があるかどうかということがいろいろと問題がありますので多少の手間暇が必要でございますけれども、あと継続の治療なりあるいはまた緊急時の取り扱いにつきましては、直接医療機関に行って先に医療の給付を受けて、後ほど医療券を発行するというような便法も講じているところでございまして、個別具体的なケースとしましてはまず問題は起こっていないのではないか、こう考えております。
#197
○西山登紀子君 大臣もお聞きになったと思うんですけれども、御存じだったかどうか。私も実際、こういう医療券の発行の手続を具体的には初めてお伺いいたしました。公式的にはこういうふうになるわけですね。
 今言われたように、病気になった場合に、これも一症状、目なら目とか耳なら耳とかおなかならおなか、そのたびに福祉事務所に行って要否意見書の用紙をもらって、そして指定病院に行って、お医者さんに病院に行く必要があるかどうか印をしてもらって、また福祉事務所に行ってその用紙を出して医療券を発行してもらって、そしてまた指定病院に行ってお医者さんに診てもらう、それも一つ一つ違う科を受診するたびにですよ。こういうふうなシステムがあるということを知りました。これが日々八十万人を超える生活保護の人たちに行われていることなわけですね。これは非常に放置できない重要な問題だと考えます。
 先ほどから御議論がありましたように、厚生行政というのは日々国民の命に直結する重要な責任があるということがこの場でも論議になってきたところですけれども、京都の事例を私も調べてまいりました。
 例えば六十七歳の女性ですが、ひざが悪くて階段の上りおりが大変な方なんですが、福祉事務所に行くには国道にかかった歩道橋を二つ渡らなければならない。医者は近くにあるけれども、医療券をもらいに行くぐらいだったら熱が出てもしんどいのを我慢していると、こういうようなことですね。
 それからもう一人、七十三歳のこの女性の方はひとり暮らしなんですが、大阪の娘さんのところに行っていたときに病気にかかった、医療券がとりに行けないので自費で払ったと、こういうようなことですね。もう枚挙にいとまがありません。
 また、自治体の方も困っておりまして、私の調べたところでは、九二年度には医療券制度を廃止して医療証の制度にしてほしいという改正の要望を東京、大阪、神奈川、福岡、京都市など十二都道府県市が出しているわけです。その意見というのは実際現場で対応されているだけあって私は非常に説得力があると思いました。被保護患者の負担が大きい、差別感がある、診療報酬請求事務や医療券作成事務が非常に煩雑だということですね。
 それから、緊急時、休日・夜間診療、週休二日制への対応がなかなか難しいから改善をしてほしい、医師会からも要望がされていますと、こういうふうな理由も挙げられているわけです。
 中でも私が特に心に強く思いましたことは、修学旅行の際に子供の保険証の写しが求められるわけですけれども、その場合、保険証を持たない被保護世帯の子供は強い差別感を持つ、だからこれにかわる医療証のようなものを当面発行してほしいというような要望も上がっているわけなんです。
 大臣に最後にお伺いいたしますけれども、非常にこれは時代錯誤が甚だしい。経済大国と言われる日本でこういうことがまかり通っているということは、私は国際的にも恥ずかしいことではないかというふうに思います。国民皆保険の時代になっているわけですから、生活保護世帯の方が病院にかかるときに、こんなにも物理的、精神的に負担が負わされていいのかという問題です。大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#198
○国務大臣(井出正一君) 私も今、先生からいろいろ細かく事例を初めてお聞きしまして勉強になりました。
 ただ、医療の場合、保険で大部分の皆さんは自己負担をしたり保険料を払ってかかっておるわけでございますから、生活保護世帯の皆さんとそういう一般的な皆さんとの整合性といったものが果たしてどうなのかな、こんな感じも実はいたします。
 今、医療券じゃなくて医療証という、これも私は実は初めてお聞きしたものですから、そんな具体的な考え方などもこれから少し勉強させていただきたい、こう思います。
#199
○委員長(種田誠君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時三分散会
ソース: 国立国会図書館
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