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1994/10/31 第131回国会 参議院 参議院会議録情報 第131回国会 厚生委員会 第5号
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1994/10/31 第131回国会 参議院

参議院会議録情報 第131回国会 厚生委員会 第5号

#1
第131回国会 厚生委員会 第5号
平成六年十月三十一日(月曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十月三十一日
    辞任         補欠選任
     今井  澄君     清水 澄子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         種田  誠君
    理 事
                清水嘉与子君
                宮崎 秀樹君
                菅野  壽君
                横尾 和伸君
    委 員
                石井 道子君
                大浜 方栄君
                佐々木 満君
                前島英三郎君
                今井  澄君
               日下部禧代子君
                清水 澄子君
                竹村 泰子君
                堀  利和君
                勝木 健司君
                萩野 浩基君
                高桑 栄松君
                西山登紀子君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  井出 正一君
   政府委員
       厚生大臣官房長  山口 剛彦君
       厚生大臣官房総
       務審議官     太田 義武君
       厚生省薬務局長  田中 健次君
       厚生省社会・援
       護局長      佐野 利昭君
       厚生省老人保健
       福祉局長     阿部 正俊君
       厚生省児童家庭
       局長       佐々木典夫君
       厚生省年金局長  近藤純五郎君
       社会保険庁運営
       部長
       兼内閣審議官   横田 吉男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        水野 国利君
   説明員
       法務省民事局参
       事官       小池 信行君
       農林水産省構造
       改善局農政部就
       業改善課長    新庄 忠夫君
       労働局婦人局婦
       人政策課長    坂本由紀子君
       労働省職業安定
       局高齢・障害者
       対策部企画課長  太田 俊明君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国民年金法等の一部を改正する法律案(第百二
 十九回国会内閣提出、第百三十一回国会衆議院
 送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(種田誠君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 国民年金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○前島英三郎君 おはようございます。よろしくお願いいたします。
 私は、これまで主に障害者福祉を初めとした社会福祉の問題を中心課題として厚生行政の分野に取り組んでまいりましたけれども、その立場から見ましても、社会保障制度全体の中で年金の占める比重というものは大変大きい。それがつまり所得保障の各種の福祉サービスの基盤であって、やっぱりその基盤が採るんでは他のいろんな福祉サービスというものもぐらぐらしてしまうという思いに立ちますと、所得保障というのは大変重要だということを常々感じておりましたし、年金制度の大切さを実感してまいりました。
 そのような大切な年金をすべての人に保障するという国民皆年金の考え方というのは、大変すばらしいものと考えております。それだからこそすべての人が年金制度に加入をして、そして年をとっても、障害を持っても、また不幸にして遺族になっても必要な所得保障が受けられるようになる、すなわち名実ともに国民皆年全体制が達成されるということが目標であり、そういう方向になることを強く望んでもいるわけであります。
 また、今回の年金改正法案におきましては、五年に一度の年金額の実質改善が盛り込まれておりまして、二千八百万人という年金受給者が本年十月からの年金額の引き上げを心待ちにしているとのことでありまして、衆議院のいろいろもたもたした審議状況などを見ますと、十月のこの御期待に沿えるのかどうかなと参議院側にとってははらはらもいたしたところであります。
 また、参議院の方に参りましても、委員長初め理事の先生方あるいは各委員の皆さんが、こうした受給者の御希望にこたえて月曜日、こういう定例日以外でも本格的な議論をしていこう、こういう気持ちになっていただいてこうして質疑ができ、一日も早く成立して皆さんが安心して受給されるように心から期待をしているところでもございます。一日も早く、年内に確実に年金が手元に届くようにすることも大切なことであろう、まさにこれが優しい政治であろう、このようにも思っているところであります。したがいまして、本日の質疑に当たりましてはポイントを絞って行ってまいりたい、このように思っております。
 まず初めに、二十一世紀の福祉ビジョンについてお伺いしたいと思うわけであります。
 このビジョンでは、二十一世紀に向けて介護や子育て対策等の福祉重視型の社会保障制度の方向を示すとともに、将来の社会保障の給付のあり方やあるいは負担の規模に関して論議のたたき台となる定量的な見通しを示しております。全体を見ますと障害者福祉の面でやや物足りない、いや、かなり物足りないというところはあるわけでありますが、総体としては評価できるのではないかというふうに考えております。
 このビジョンで示された姿の具体化というのは現在の厚生行政の分野における大きな課題の一つでありましょうし、それが税制改革に絡み、年金にも絡み、あるいはありとあらゆるものに絡んで、何よりも日本人としてこの地に生まれ育ち骨を埋めても悔いはない、年をとることも幸せであるというようなことをつくっていく一つのビジョンとして大変重要だというふうに思うんですが、この点についてひとつ大臣のお考えというものを冒頭伺っておきたいと思います。
#4
○国務大臣(井出正一君) 皆さんおはようございます。
 きょうは月曜日、ただいま前島先生御指摘くださいましたように、大変タイトなスケジュールの中で午前中からこうして年金改正の御審議をいただけますことを心より御礼を申し上げるものであります。
 今先生から、この福祉ビジョンの具体化こそ現在の厚生行政の分野における最大の課題じゃないか、こういう御指摘でございますが、私もまさに同感でございます。
 ことしの三月、二十一世紀福祉ビジョンが提示されたわけでございますが、これは各界の有識者の方々の御議論に基づいて今後の少子・高齢社会に向けて社会保障の基本理念や方向について御提言をいただいたものでございまして、その基本的方向は今後の厚生行政を進めていく上での大きな指針になるものだと考えておるものでございます。
 また、今回の税制改革法案におきましては、社会保障等に要する費用の財源の確保等との関連で消費税率について検討し、必要があれば所要の措置を講ずる旨の規定が盛り込まれておるところでございます。その検討過程において新ゴールドプラン、エンゼルプラン等の内容についてできるだけ早く詰めを行うとともに、年金、医療等の自然増等の推計を行うなど将来の社会保障の具体的な施策とその必要経費についても明らかにしてまいらなくちゃならぬ、こんなふうに今考えておるところでございます。
#5
○前島英三郎君 ぜひ、大臣のお考えのその線に沿って頑張っていただきたいというように思うわけでありますが、このビジョンの全体を見ましても、さっきも障害者に対するビジョンは非常に希薄であるとちょっと当事者の立場から申し上げたところでありますが、しかし与党の福祉プロジェクトの中でもいろいろ議論が出てまいりましたし、また先般は厚生省の中に障害者保健福祉施策推進本部というものが設置されたということであります。
 ややもすると、最近は高齢者施策とか児童施策の後塵を拝した感のある障害者施策の分野なんですけれども、しかし生まれくる子供のことも大変重要でございます。あわせて人生を全うした、そしてまたいよいよそのフィナーレに近づく方の施策というものも当然重要でありますが、生まれながらにして、また人生を全うする中において肉体的、精神的、いろんな意味でのハンディキャップを持つ人々の苦しみ、悩みというものはやっぱりこれもおろそかにしてはならないし、このことこそに光を当てるということが私は大変重要だというふうに思っているわけであります。
 そういう意味では、ゴールドプランというものがある、エンゼルプランというものも考えられた、そして何かそこに、サンフレッチェじゃありませんけれども、もう一本の矢を、やっぱり障害者という問題にスポットを当てようとし始めている厚生行政に私は敬意を表するとともに、これが単なるテーブルの上だけでの施策推進本部ということであってはならないという思いが大変強くいたしますので、今後の本格的な施策の展開というものに私は心から期待をしているものであります。
 そこで、これから所得保障の問題、いろんなこともきっとこの施策本部では議論されるだろうと思うんですが、この障害者本部設置の目的、それからどのようなことをこれから福祉ビジョンの線に沿って検討していくかということについて、いろいろ計画はまだまだ遅々たるものがあろうかと思いますが、今後の目的、中身について例えれば伺っておきたいと思うんですが、いかがですか。
#6
○政府委員(佐野利昭君) 障害者施策につきましては、昨年三月の障害者対策に関する新長期計画の策定でありますとか、あるいは昨年十二月に先生方のお力によりまして障害者基本法の成立を見るなど施策の一層の充実に向けた枠組みが整理される中で、新たな時代を迎えつつあるのではないかというふうに私どもも認識いたしております。
 そのような状況の中で、ノーマライゼーションの理念を踏まえまして、地域における障害者の生活を支え、その自立と社会参加を促進していくことがこれからの大きな課題と考えておりまして、今後の障害者施策のあり方全般につきまして省を挙げて総合的な検討を行っていくという目的で、今般、障害者保健福祉施策推進本部が設置されたところでございます。
 同本部におきましては、障害者基本法の理念を踏まえまして、障害者についての新しい計画のあり方あるいは障害種別やライフステージを通じた総合的な障害者施策、効果的な施策の展開のための推進体制のあり方、あるいは地方障害者計画策定の推進方策等につきまして幅広く検討させていただきたい、こう思っております。
#7
○前島英三郎君 局長、例えばゴールドプランという高齢者保健福祉推進十カ年戦略、別に横文字がはやっているから私はどうということじゃないんですよ、ゴールドプランというものがあります。今度は子育て、少子社会に対する考え方の一つとして、まだ十分羽は立派に飛べるように育ってないにしても、プレリュードの状況であったにしてもエンゼルプランというものが出ます。
 もう一つ、障害者保健福祉施策推進本部というものができてこれから取り組みをするということになります。何かここにうまいネーミングはないですか。堀さんはノーマライゼーションプランなんということをおっしゃいました。あるいはハピネスプラン、いろんなプランという横文字が今はやりですから、そういうネーミングはどうですか。そうすると、厚生行政の基本たる三本のプランというものが大手を振って出発、旅立ちをするような雰囲気になるんですが、いかがでしょうか。
#8
○政府委員(佐野利昭君) まだそこまでの段階に至っておりませんけれども、私、今先生がおっしゃったようにノーマライゼーションプランも一つの大変いいお名前ではないかと思います。
 ただ、ノーマライゼーションプランは社会ニーズには大変いいお名前ではありますけれども、そうするとなかなか地域生活に適応しにくい方々の方が逆に取り残されてしまうんではないかという心配も多少ありまして、果たしてそれでいいかなという心配も多少いたしておりますので、もう少し検討させていただきたいと思います。
#9
○前島英三郎君 新・新党のように一般公募をして党名を募集するようなのがはやっていますから、そういうネーミングの募集を厚生省がやるのもおもしろいかもしれません。
 それは余談といたしまして、さて、今回の年金制度改正に当たっての最大の課題として六十歳代前半の年金の問題というのがあります。改正案では、六十歳代前半においては六十五歳以降の年金とは別個の給付を支給するとともに、年金制度自体を雇用促進的なものにしていくと、こういうことにされておるわけでありますが、そこで六十歳代前半の年金の見直しに当たっての基本的な考え方というのをもう一度伺っておきたい、このように思います。
#10
○政府委員(近藤純五郎君) 先生御承知のとおり、人口の高齢化とか少子化が大変な勢いで進んでいるわけでございまして、二十一世紀の超高齢社会を活力ある長寿社会にする、このためには六十歳で引退するという六十歳引退社会から、高齢者の高い就業意欲、その知識と経験を生かして少なくとも六十五歳までは現役で働いていただく、こういう六十五歳現役社会へ切りかえる必要があるんではないか、こういう認識があるわけでございます。年金制度におきましてもこれに対応いたしまして、人生八十年時代にふさわしいものにしていくことが課題になっているわけでございます。
 このために、雇用政策におきましても労働省を中心に高齢者の雇用促進を図っていただきますとともに、年金制度におきましては、この雇用政策と連携を図りまして年金制度自身も雇用促進的な仕組みに改める必要がある、こういう認識にあるわけでございます。
 具体的に申し上げますと、高齢者の生活設計のイメージといたしまして六十歳の定年制がほぼ定着をしてきておりますので、六十歳の前は賃金を中心とした生活をしていただきまして、六十歳代前半につきましては雇用の促進を図りながら賃金と年金を中心にして生活を支える賃金と年金を組み合わせた生活をする期間、それから六十五歳以降は年金を中心とした生活設計が行われる期間、こういうふうに三つの区分に分けて考えたわけでございます。
 こうした観点から、六十歳代前半の年金につきましては、六十五歳以降の老後生活の保障の中心でございます年金とは別の給付、いわゆる別個の給付として構成いたしたわけでございまして、その額につきましては報酬比例部分相当の年金としていくことにいたしたわけでございます。
 また、在職老齢年金につきましても雇用促進的なものにするということで、今までの考え方を改めまして賃金の増加に応じまして賃金と年金の合計したものがふえていく、こういうことで調整方式を全面的に見直しをいたしたわけでございます。
#11
○前島英三郎君 つまり、六十五歳現役社会というものを目指してやる、厚生省がそういう一つの旗振り役でありますと、どうしても労働行政の中で年金に絡んでいわば高齢者の雇用の問題というのは必然的に重要性が増してくるような気がします。
 定年も五十五歳から六十歳に移行されていく、それもまた十分ではありませんけれども、やがて六十五歳というスタンスは当然考えていかなきゃならぬだろうと思います。そうなると、高齢者というのが六十五歳という考え方でいいのかという議論もやっぱり先取りしてやっていく必要があろうと思います。六十歳で赤いちゃんちゃんこというのも何か、わびしいかどうかは別といたしまして一つの文化として考え直すことも必要でありましょうし、人生五十年時代の考え方を守るべきは守るにしても、やっぱり変えていくべきは変えていくということも厚生行政の一つの啓発の中で考えていくべきだと思います。
 六十五歳を高齢者として呼んでいいのかどうか、むしろ七十歳あるいは七十五歳ぐらいにそういう呼称を引き上げるような形の中で鼓舞していく中高年の方々への精神的な啓発も忘れてはならないだろうというふうに思っておりますので、その辺も十分啓発に御努力をいただきたいと思います。
 この年金法の改正に際して、六十歳代前半における年金と雇用の問題というのがどうしてもクローズアップせざるを得ないということになるわけでありますが、年金制度を雇用促進的なものにするとともに、雇用についても高齢者雇用を一層推進していくことが政府の方針として示されまして、さきの通常国会では高年齢者雇用安定法及び雇用保険法の改正というものが行われまして、かなり前進はしてきたと思っているわけであります。このことは、高齢者と同様、雇用面の施策が強く求められております障害者についても今後の進展を予感させるものとして歓迎いたしております。高齢者にとって年金という所得保障施策はもちろん大切ですが、やはり生きがいと結びつく雇用面での施策の前進を強く期待されているところもございます。
 この点について今局長の方からいろいろと厚生省の考え方が示されたわけでありますが、労働省としてどうこれに対してこたえていくのか、御説明を伺いたいと思います。
#12
○説明員(太田俊明君) 急速に高齢化が進展している中で我が国におきまして大変特徴的なことは、先ほどもお話がございましたけれども、高齢者の方々の就業意欲が極めて高いということでございます。調査いたしますと、六割近くの方が少なくとも六十五歳まで働くことを希望するなど極めて就業意欲が高いわけでございまして、こういった意欲にこたえて高齢者の方々がみずからの知識や経験を生かして働けるようにすることは、先生御指摘のとおり高齢者の生きがいの観点からも大変大切ではないかと考えております。
 このため労働省としましては、希望すれば六十五歳まで現役として働ける社会の実現に向けまして、先生からも御指摘いただきましたように、さきの通常国会で改正をいただきました高年齢者雇用安定法に基づきまして六十歳定年制を基盤とした六十五歳までの継続雇用を推進するとともに、多様な形態によって働くことができるようにするための施策を講ずることとしているところでございます。
 また、これとあわせまして、改正雇用保険法による高年齢雇用継続給付制度の実施によりまして高齢者の方々の雇用継続を援助促進することとしているところでございます。こういった施策によりまして、高齢者雇用の推進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
#13
○前島英三郎君 労働省、もう一問伺いたいんですけれども、今回の別個の給付の導入に当たって、働くことが困難な障害者には六十五歳前でも満額の年金が支給される特例措置が講じられることは現実問題としてかなりこれはいいことだというふうに思っております。しかし、理想としては、障害を持っていたとしても希望すれば働き続けられるというような社会を目標とすべきものであるというふうに思っているんですが、このような特例措置は評価しつつも一層の雇用政策が必要であると考えるんですが、この点についても労働省の一つの考えをお伺いしておきたいと思います。
#14
○説明員(太田俊明君) 障害者の雇用につきましてでございますけれども、今先生からもお話ございましたように、私どもといたしましても、働く意欲と能力を有するすべての障害者の方々に雇用の場が確保されるような社会を実現していくこと、これが私どもの労働行政の目標ではないかと考えているところでございます。特に近年は、重度の身体障害者の方、あるいは知的障害を持つ方々、さらにはメンタルな面で障害を持つ方々、こういう方たちの雇用対策の充実強化が求められているところでございます。
 このような状況を踏まえまして、先般、前島先生を初め先生方の大変な御尽力を賜りまして障害者雇用促進法を改正していただきまして、市町村レベルにおいてきめ細かな職業リハビリテーションを実施することや、通勤、住宅など障害者の職業生活を取り巻く環境を整備することなど、重度障害者の雇用対策の充実に努めているところでございます。
 今後とも、改正法の円滑な施行はもとより、企業に対する個別指導の強化、また各種の支援制度の活用に努めまして、障害を持つ方々の社会参加が一層進展し、障害者雇用が着実に前進するよう、全力を挙げてさらに努力を重ねてまいりたいと考えております。
#15
○前島英三郎君 ただ、一つ申し上げておきたいことは、六十五歳前でも働くことが困難な障害者には満額の年金が支給される、こういうことですが、実際は、年金の年齢まで到達し得ずして人生を終わる人々も障害が重いがゆえに多いんだということもやっぱり心に銘記しておいていただきたいと思うわけであります。
 あるいは知的障害者のようにもう四十歳代ぐらいから非常に高齢化が著しくなっていく、あるいは脳性麻痺者のようにもう三十過ぎあたりから大変労働に対しての肉体的なハンディキャップが重くなっていく、こういう人たちは、六十歳支給ということに据え置かれていましても、そこまで人生到達し得るだろうか、年金受給者として人生の最後を全うできるだろうかという不安が満ち満ちているんだということもあわせ持っていただいて、雇用面でも年金を考える上でもこの辺はしっかりと刻んでおいていただきたい、このように思っているところでございます。
 そこで次に、社会保障の分野における国費投入の考え方というのをちょっと伺っておきたいと思うんですが、これも衆議院ではかなりこの点が議論になったと伺っておるわけであります。年金の国庫負担の引き上げが大きな論議でもあったわけでありますが、これは高齢化の進行に伴い保険料負担が増大していくことの関連で年金の国庫負担の論議がされているものと理解しておるわけであります。
 しかし私は、国民の老後の大きな不安材料である介護問題への取り組みを初めとしたゴールドプランの推進や、次の時代を担う子供たちが健やかに育つためのエンゼルプラン、あるいは障害者保健福祉施策推進本部ができての障害者施策の推進、こういう分野こそ今やっぱり喫緊の課題として、現実問題として重点的に緊急に国費は投ずべきときではないのかなという気かするんですね。
 それは、国の財政的なゆとりか先々にあって、そういう方向が国民全体のコンセンサスを得られるという状況であれはまあそれもそれとして、国庫負担というのはやっぱり財政的なゆとりのあるときに考えるべきてあって、今は何よりも政策の中で国費はエンゼルプランや現実の問題の中に投入していくことかまず優先的でなければならないという思いかいたしますので、この点について厚生省の一つの考え方というものを伺っておきたいと思うんです。
 年金の一つの仕組み、あるいは国庫負担か今のままから二分の一への方向、そういうものがいろいろ議論されておりますけれども、厚生省は一体この問題についてどういう考え方を持っているんだろう。政党レベルてはいろいろありますよ。しかし厚生省として、年金を預かる一つの省としてこの問題にどういう見解を持っているか、ちょっと伺っておきたいと思います。
#16
○国務大臣(井出正一君) もろもろの面での介護と医療の安心を保障することこそ私は年金制度の安定にもつなかるんじゃないか、こんなふうに考えるものであります。その意味で今先生の御指摘、まさに私ども厚生省の考えと全く同じお考えをしていただいておるということを心強く思うわけであります。
 すなわち、本格的な少子 高齢社会に対応した社会保障制度を構築するためには、年金、医療制度の長期的安定を図るとともに、高齢者介護や子育て支援などの需要に対応した対策の充実を図り、年金、医療、福祉等のバランスのとれた社会保障に転換していく必要があると考えるものであります。
 その意味で、新コールドプランやエンゼルプランについては先ほども申し上げましたが、今般の税制改革に伴う一連の措置も一つの足がかりとして、引き続き財源の確保にも配慮しつつ、できるだけ早く具体的内容の詰めを行っていきたいと考えておりますし、関係省庁と鋭意協議を進めてまいるつもりでおります。
 また、障害者についての新しい計画、ノーマライゼーションプランというような大変有力なネーミングにはなってきておりますか、またこれは先生方のお知恵もおかりしたいと思いますか、その新しい計画につきましては、昨年成立した障害者基本法て規定された都道府県 市町村計画の策定状況も念頭に置きながら、これまた速やかに検討を行っていきたい、こう考えておるところであります。
 前島先生の本当に長い間の御経験や御識見を、ぜひまた賜りたいとお願いする次第であります。
#17
○前島英三郎君 冒頭にも述べましたとおり、国民皆年金という理念は大変すばらしいものでありまして、年金制度が名実ともにすベての国民をカバーしていくことを望んでおります。
 しかし一方で、国民年金に未加入の者や保険料を滞納している者が存在しておりまして、国民年金か空洞化しているのではないかといった指摘もされております。これらの者について、将来無年金になったりあるいは低年金になってしまうおそれもあるわけで、こうした事態を放置することは、国民皆年金という制度の基盤にも将来的に影響を及ぼすおそれもあるんじゃないかと考えております。
 国民年金の未加入者の七割は国民健康保険には加入しているということを伺っておるわけでありますか、市町村レベルでの施策連携を進めることが有効と考えますが、第一線である市町村レベルでの対応も含めてこの未加入者の問題にどう取り組んでいくか、お考えをお伺いしたいと思います。
#18
○政府委員(横田吉男君) 国民年金の事業を実施していくに当たりまして、未加入者、未納者をどうやって減らしていくかということは、私どもにとりまして最大の課題であると思っております。中でも市町村におきましては、いろんな書類の届け出の受理あるいは保険料の徴収等におきましての事務を行っていただいておりますが、極めて重要な役割を果たしていただいておりますので、市町村との連携は大事でございます。
 したがいまして、未加入者の対策を進めていくに当たりましては、一つは、市町村におきまして二十歳に到達した時点でできるだけ加入していただくということで、住民基本台帳等を活用いたしまして対象者のリストを把握して、この者に対する届け出の勧奨を徹底してまいりたいというふうに思っております。
 もう一つは、先生御指摘のとおり未加入者の七割程度か国民健康保険にも入られているということでございますので、国民健康保険制度との連携を強めまして、届け出書の一体化等によりまして届け出漏れのないように対策を進めてまいりたいというふうに考えております。
 また、未納対策につきましても、都市部に未納者か多いという状況にございますので、都市部を中心といたしまして、口座振替の促進あるいは専任徴収員等の活動を強化する等、市町村との連携を強化してまいりたいと考えております。
#19
○前島英三郎君 それで、年金のいわば基礎年金番号という議論になっていくんでしょうかね。
   〔委員長退席、理事菅野壽君着席〕
 これは被保険者に対するサービス向上というようなこともあると思うんですが、基礎年金番号の導入というのか検討されている、こういうことを伺っているんですが、検討状況とか、あるいはこれは空洞化対策ですか、どういうことを目的に基礎年金番号という検討になっているんでしょうか、その辺はどうですか。
#20
○政府委員(横田吉男君) 基礎年金番号は、現在各制度ごとに年金番号がつけられておりますのを統一しようとするものでございます。
 これによりまして、各制度を通しまして加入の記録か整理できますことから、未加入者等につきましても保険者としてこれを把握しやすくなるということで、例えば二号被保険者の異動があった場合に三号被保険者の人がいるかどうか、その方が未届けかどうかというのを保険者として把握いたしまして、こういった者に対しまして保険者の方から届け出を勧奨するということが可能になるという点で未加入、未届け対策にも大きな効果を発揮できるのではないかというふうに考えているところでございます。
 現在、私どもといたしまして、今年度からシステムの開発に着手いたしまして、関係省庁との調整を図りつつ、できれば平成八年度中にも設定をしたいということで努力をしているところでございます。
#21
○前島英三郎君 国民総背番号制、これは議論がいろいろこれから出てくるだろうと思いますけれども、サービス向上あるいは空洞化防止、国民皆年金の時代という一つの標榜していることにふさわしい方向を位置づけるための施策とすれはそれはやむを得ないのかなという思いを持ちますけれども、まだこれからの議論にゆだねたいと思います。
 さて、年金制度は今後の高齢化の進行に備えて現在百兆円近くの積立金を有しているということを伺っておりますが、百兆円という数字ていいんですか。
#22
○政府委員(近藤純五郎君) 約百兆円でございますが、見込み値でございますが、六年度末で国民年金と厚生年金を合わせまして百十一兆円になる見込みでございます。
#23
○前島英三郎君 これらの百兆円の年金基金につきましては年金福祉施設などの設置、整備にも有効利用されておりますし、年金審議会の意見書なんかを見ましても、「年金福祉施設については、国民に年金制度を身近なものとして感じてもらうとともに、高齢社会のニーズに応えていくため、更に工夫を凝らすべきである。」、こうされているんですね。
 この点に関して、いろんな施設とかいろんなものか、センターのようなものもあちらこちらにできまして、やっぱり社会資本整備の中で一役買っているなという思いを大変強くするんですが、これらの点に対して、障害者福祉も高齢者福祉もいわば年金というものはすべての国民のものであるという視点に立って、やっぱりこういう原資を利用して、積立金をうまく利用してやっていくということが大切だと思うんです。
 こういう障害者のニーズなんかはここにもかなり寄せられていると思うんですが、ひとつお考えを伺っておきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#24
○政府委員(横田吉男君) 御指摘のように年金福祉施設につきましては、広く被保険者あるいは受給者の方の福祉の増進あるいは公的年金制度に対する国民の理解を深めていただくということで、厚生年金会館あるいは国民年金の健康保養センター等各種の施設を設置してまいっております。
 その設置、整備に当たりましては、単に高齢者、被保険者だけでなくて障害者の方にも広く利用していただけるように、エレベーターあるいはスロープの設置、宿泊室やホールにつきましても車いす等の方も利用できるようなものにする等、障害者の方々にも利用しやすい施設づくりを目指しまして努力してまいっておりますけれども、今後とも一層努力してまいりたいというふうに考えております。
#25
○前島英三郎君 さてそこで、時間までちょっと障害者の年金の改善点についてお伺いをしたいと思うんですが、年金制度というのは、重い障害を持つ人々が障害を持たない他の一般の人々と同様な生活を営むために極めて重要なものでございます。もし年金制度がなければ、重い障害を持つ人々のうち現在よりずっと多くの人々が恐らくは生活保護に頼らなければならないと思っております。
 生活保護の制度も、生活のためのいわば最後のとりでとして非常に重要であります。事実、多くの人々が助けられております。しかし、資産調査を課せられますし、いろいろ制約もあるわけであります。クーラーがいいとか悪いとか、テレビがいいとか悪いとか、冷蔵庫がどうだとか、いろいろ制約もあるわけであります。また、病気などで一時的に保護が必要となった場合なら、やがて病気が治って保護から抜け出ることができます。しかし、障害による稼得能力の喪失というのはこれは永続性がありまして、生活保護から抜け出ることというのは極めて困難でございます。こういう一つの問題点があるわけであります。
 これに対して年金による所得保障は、自分自身の裁量によって生活を営むことができるわけで、自立生活の支えとしての意味がとても大きいと思っております。自分の労働や資産による所得で自立てきればもっといいでしょうが、障害がそれを妨げる場合が多くて、それゆえに障害年金が必要だという社会的な合意が得られたのであると思います。
 障害年金制度もここ十数年の間に随分充実してまいりました。特に、障害基礎年金の導入というのは画期的な出来事であったように思います。社会連帯の理念を取り入れ、ある意味では障害年金制度の概念を転換させたと言っても過言ではないと私は考えております。しかしながら、基礎年金だけで生活のすべてを賄うことができないことや、この年金制度の枠の外に置かれた無年金障害者の存在など、残された課題も幾つかあります。今回の改正においても、これらの点について相当の努力をしていただいたと思っております。
 今回の改正で障害年金についてどのような改善を行うこととしているのか、その概要をまず承っておきたいと思います。
#26
○政府委員(近藤純五郎君) 今回の年金改正は、五年に一回ということの制度の見直しでございますので、障害年金の改善につきましても、国民の皆様方の御要請、前島先生からもいろいろ御要請を受けたと思いますけれども、制度の基本的な仕組み、これは社会保険方式ということで行っておりますので、その枠の中でできる限りのきめ細かい配慮を行ったわけでございます。
 中身でございますけれども、第一点でございますが、二十歳前障害の障害基礎年金につきましては所得制限があるわけでございまして、一定の所得がございますと全額ストップされるということでございますが、障害者の就業意欲に配慮をいたしまして、現在の全額支給停止の制度に加えまして、今までの所得制限よりは若干高い所得制限を設定いたしまして一部支給停止の仕組みを設けて二段階制にしたということでございます。
 それから第二点といたしまして、三年以上障害等級に該当しない場合には年金が失権いたしまして、その後また再び障害等級に該当いたしましても年金は復権しないということになっているわけでございますけれども、これを改めまして、再び障害が悪化した場合には年金が支給されるようにいたしたいと考えているわけでございます。
 それから第三点でございますが、六十年改正のときでございますが、昭和六十一年の四月前に障害となりまして、当時の支給要件に該当しないために制度に加入いたしまして保険料を拠出していたにもかかわらず年金が支給されない方がいたわけでございます。いわゆる制度の谷間の無年金者等の方でございますけれども、この方々につきまして、現在の支給要件に該当している場合には障害基礎年金を支給する、こういう改正をしたいというふうに考えているわけでございます。
#27
○前島英三郎君 いろいろな知恵を絞っていただいたわけでありますが、障害基礎年金の額はどのような考え方で算定しているのか、念のために伺いたいと思うんですが、基礎年金の額をいま一歩水準を引き上げてほしいというのが障害者団体の共通した願いでもあります。その考え方としては、他の制度を利用しなくても基礎年金のみで最低限度の自立した生活が維持できるような額という願いであるわけでありますが、表現としては一級で十万円以上に引き上げてほしいとか、生活保護の生活扶助基本生計費に障害加算を加えた額程度等といった形で要望が出されておると思っております。
 今回の改善による引き上げは、これらの要望に比較いたしますとまだ開きがあるんじゃないかという思いがいたします。これには障害者の年金額が老齢年金の額と連動していることとも関連しているわけでありますが、障害基礎年金だけを受給する障害者の実態を考えてみていただきたいと思っております。資産形成の可能な期間のあった高齢者、やがて年老いていくわけでありますが、そこのプロセスの中においては、資産形成の可能な期間のあった高齢者と資産を蓄える期間のなかった障害者と同列に扱うのは、私は決して公平とは言えないと思うのであります。
 障害基礎年金の額を障害者が自立生活を営むのに必要な額ということで改めて算定を行うべきだと考えますが、今後の課題として考えていくおつもりがあるのかどうか、伺っておきたいと思います。いかがでしょうか。
#28
○政府委員(近藤純五郎君) 基礎年金の水準でございますが、基礎年金は全国民に共通いたしました保障ということで生活の基礎的な部分を保障する、こういう観点で支給しているわけでございまして、生活費のすべてをこれで賄うという考え方に立っているわけではございません。
 こうした考え方に立ちまして障害基礎年金の水準について考えますと、この障害基礎年金の水準につきましては老齢給付とのバランスを配慮いたしまして、二級障害の場合については満額の老齢基礎年金の額と同額の六万五千円、それから一級の場合には介護等の必要経費を配慮いたしまして、従来の一・二五倍ということで八万一千二百五十円の月額で設定いたしたところでございます。このほかに、一級のうち寝たきりなどの重度の障害者に対しましては月額二万六千五十円の特別障害者手当の支給が行われることになっているわけでございまして、障害基礎年金と合わせますと月額で十万七千三百円が支給されることになっているわけでございます。
 年金制度は、高齢や障害によりまして所得が喪失したり減少したりする、これに対しましてこれを補てんするということで定型的な所得保障を行うものでございます。障害基礎年金と老齢基礎年金の額との関係につきましても、過去からの長年の経緯もございまして定着をしてきているわけでございまして、老齢基礎年金と切り離して別の観点から水準設定をするというのは非常に難しいと考えているわけでございます。
 年金制度は、基本的には老齢年金を基本にしましてこれとどう考えるかという問題であるわけでございまして、諸外国の例を見ましても老齢年金を基礎に障害年金の設定をしているわけでございまして、ほとんどの国で同額になっているわけでございます。我が国のように障害年金の方が老齢年金を上回るケースというのは、どちらかといえば特殊な例に属するということでございます。
 先生せっかくの御提案でございますので慎重に検討させていただきますが、なかなか難しい問題だというふうに考えているわけでございます。
   〔理事菅野壽君退席、委員長着席〕
#29
○前島英三郎君 諸外国の例、まあ大体そうだということですが、そうでない国もあるということも申し上げておきたいと思うんです。
 資産形成の可能な期間のあった高齢者と、そういう資産を蓄える期間がもともとないという人たちが同列に扱われているということは、私は過去の行きがかりがどうであってもやっぱり考えるべきときではないかという気がしますので、検討はぜひしてみてください。
 そこで今回、先ほども説明を伺ったんですが、三年失権を廃止して、一度障害が軽ぺなって年金の受給がストップされた人でも、再び障害が重くなれば何年後でも年金を受給できるようにする、あるいは加入期間の不足や保険料納付の要件を満たしていないために無年金とされていた障害者のうち、今日の制度なら支給されるというような人は救済するといった改善策が図られたことは大変私も歓迎いたしますし、評価したいと思います。
 しかし、そのような改善が図られるだけに、この改善から漏れた人々は一層実は失望感が強いという面も見逃せないのであります。つまり無年金障害者の人々でありますが、昨年からことしにかけまして、無年金障害者を救済してほしいという当事者の運動がかつてなく盛り上がった事実を厚生大臣も十分御承知かと思います。
 そこで、無年金障害者の問題に対して厚生省がどのようなスタンスで取り組んだのか、問題をどのように整理して今回提案のような結論を導き出したのか、考え方を伺っておきたいと思います。
#30
○政府委員(近藤純五郎君) 先ほど来申し上げておりますが、我が国の公的年金制度は、制度に加入いたしまして一定の保険料を納付したことを要件にいたしまして、障害等の保険事故が生じましたときに所得保障を行うという社会保険の仕組みによっているわけでございます。さまざまな理由によりまして制度に加入していない、あるいは加入されていても保険料を滞納されている、こういった場合には、障害になりましてもお気の毒ではございますけれども年金制度としては対応が困難である。いろいろなケースにつきまして私ども何度も検討のやり直しをしたわけでございますけれども、やはりこの原則から外れたものにつきましては残念ながら年金制度として対応するのは難しい。
 したがって、加入されまして保険料を納めていた、ただそのときの条件に合わなかっただけという方については、これは今まで加入されて納めていた人と見てもいいのではないか、こういうふうな趣旨で、いわゆる制度の谷間等の無年金者については何とかぎりぎり社会保険方式と接点がある、こういうことで障害基礎年金を支給しよう、こういうふうなことで提案をさせていただいたわけでございます。社会保険方式という基本的な仕組みのもとでは、今回の措置がいわばぎりぎりの措置だということで御理解を賜りたいというふうに考えているわけでございます。
#31
○前島英三郎君 議論をしますと、社会保険方式でどうにもならない壁である、大体こういう答えがずっと返ってくるわけでありますが、一方では旧国鉄時代の共済年金には思い切った財政援助をしたり、あるいは沖縄の格差の問題も国民のコンセンサスが得られているんだと、あるいは中国残留孤児の人たちの問題はまた別個であるというとらえ方で、私はこの社会保険方式という基本的な厚生省の考え方というのは周りからがらがらと崩れているように思うんです。
 ハートとして、当時のいわゆる任意加入時代にだれだって障害を持ちたいなんて思った人はいないわけであります。しかし、それも社会保険方式だから、他の制度の人たちの落ちこぼれている部分は全部救済するけれども、当時そういう谷間の中にいた障害を持つ人々に、あなた方はこの社会保険方式では到底組み入れることはできないんだというぐあいにハートのない切り捨て方でいいのかという思いを持ちますと、やっぱり今回救済されない無年金障害者については何もしないでほっておくということはできないという思いから、衆議院では附帯決議の中で、一つの年金制度とは別の仕組みの中でいわば政策としてやるべきだということに、私は議員の気持ちとしてむしろ当然の思いになっていったように思うので、余りかつての社会保険方式みたいなことをやってしまうと当時の任意加入の時代の政策の反省点が見られないという思いがしますので、この辺は大変私は不満に思っているところであります。
 さてそこで、私はこの際、障害者の所得保障政策の再構築を検討すべきだというふうに思っております。
 私は、障害年金問題の質問の冒頭でも生活保障制度に触れましたが、障害による稼得能力の喪失は、多くの場合一時的な事故や病気とは性質が違うわけであります。ですから、緊急避難的に生活保護制度を活用するのと違って、永続的に保護を必要として生活保護から脱出することが困難であります。したがって、福祉的な措置といっても、生活保護制度とは別の所得保障の体系を用意する必要がある、このように思っているわけです。
 生活保護と年金制度の間を落ちこぼれないように安全ネットですくい上げるような制度の体系が今望まれるわけでありますし、今度厚生省の中にできた推進本部もその視点についてもしっかりと検討をしてもらいたいというふうに思うわけでありますが、いかがでございますか。
#32
○政府委員(佐野利昭君) 先生の御主張はよく理解できるわけでございますけれども、現在の制度の中ではなかなか難しい面もあろうかと思います。そういうことを十分踏まえまして検討はさせていただきます。
 それから、先ほど年金局長の方からもお話し申し上げましたけれども、現在の制度の中で福祉的措置で残っておりますのは、特に常時介護を必要とする重度の障害者に対しまして介護手当的に支給されております特別障害者手当でございます。こういう手当の制度がただ一つだけ残っておりますけれども、これ以外に果たして生活保護と別個にそういう手当制度のようなものができるかどうかというのは、これは新しい制度をつくるもので大変難しい問題があろうかと思います。その点を十分踏まえましてまた検討させていただきます。
#33
○前島英三郎君 難しい難しいと言って、その後つけて足して検討しますと言うと、もうはなからできないというのは何かがっかりするんですよね。ですから、その辺もしっかりと、やっぱり社会保障体系全体として永遠の谷間なんですから、これから皆年金というものがずっといきますと、この障害を持った無年金者というのは永遠の谷間に置かれちゃうわけですから、これはどう考えても私は優しい政治ではないという思いがしますので、この辺の保障体系、考えてみてください。年金制度という枠組みでは難しいとしたならば、何かほかに方法があるのではないかという思いがいたしますので、やはりその辺も考えていただきたいと思います。
 あるいは、将来行く行く国庫負担二分の一というような方向になったといたしましょう。でも、この無年金の人たちはその国庫負担の二分の一の負担者、納税者になっているんです。納税者になっていながら自分たちは谷間の中で、ほかの皆さんは二分の一の国庫負担でカバーされるのに、自分たちはその二分の一に相当するものさえも与えられないということになると、これは私は非常に強い不満が出るだろうと思うし、どうしても理不尽な思いがいたしますので、その辺もしっかりとこれから検討していただきたいということを強くお願い申し上げておきます。
 時間になりますので、最後に大臣に伺いたいと思うのですが、年金改革法案は国民の関心も非常に高く、今国会における重要法案の一つでありますが、年金制度を担う厚生大臣の責任というのも極めて大きいと思います。
 この大切な年金制度を将来に向けていかに運営していくか。今、私もいろいろるる申し上げましたけれども、そうした谷間に取り残されている人たちの問題も含めて、衆議院ではそういう附帯決議も出ているわけでありますから、これも当然これから検討課題としてやっていただきたいということも含めまして、ひとつ大臣としての御決意を最後に伺いまして、質問を締めくくりたいと思います。
 あとは清水嘉与子先生にバトンタッチします。
#34
○国務大臣(井出正一君) 年金制度は、高齢者、障害者等の生活を支えるものとして極めて重要な役割を果たしてきております。特に国民の長寿化が進み年金受給の期間が長くなっておりますことから、年金の果たすべき役割はますます大切なものとなってきております。このような大事な年金制度を、急速に人口の高齢化が進む中で、将来にわたり長期的に安定した制度として確立していくことが何より重要だと考えるものでございます。
 年金制度を二十一世紀の超高齢社会においても安定したものとし、高齢者や障害者等の皆さんの生活を揺るぎないものとするよう、今先生いろいろ御指摘くださいました事柄、省内で鋭意検討しながら誠心誠意努力してまいりたいと思っております。
#35
○前島英三郎君 どうもありがとうございました。
#36
○清水嘉与子君 ただいまは自民党の一番バッターとして前島委員の方から、今回の年金改正全般についての基本的な枠組みあるいは障害年金についての御質問がございましたので、私は女性の年金権を中心に、また国民年金の未加入の問題について質問をさせていただきたいと存じます。
 まず、女性の年金権の問題でございます。
 昭和六十年の法改正によりまして基礎年金制度が導入されました。そして、サラリーマンの妻は三号被保険者として位置づけられることによりまして、女性の年金権は一応確立されたということになっております。
 しかし、この三号被保険者というのは保険料は支払っていないわけでございまして、二号被保険者と事業主の拠出によりましてカバーされているというわけですね。専業主婦のように収入のない人から保険料を取るのは無理だという意見もある一方、働いている女性の方からは、保険料も払えない人たちのために自分たちが拠出したお金からカバーされるというのは不公平なんじゃないかという声が出ているわけでございます。
 また、一千二百万いらっしゃるこの方々の将来、これは御主人の年金と御自分の基礎年金の支給を受ける、そういう方がほとんどなのでございましょうけれども、しかし、例えば仮に離婚でもすれば、その女性は基礎年金の部分だけしかない。そして将来に備えて、例えば二階建ての基金、三号基金、今はないわけですが、あるいは国民年金基金に加入したいと思いましても、そういう道が開かれていないわけでございます。女性にとりまして長い老後生活を送れるというのは大変幸せなことではありますけれども、それだけに女性が年金によってどの程度安心して生活を送れるか、非常に大きな問題でございます。女性のライフスタイルも非常に多様化してまいります。
 そういう中で、年金審議会の意見書におきましても女性の年金をめぐる問題につきましてはいろいろありまして、引き続き検討すべき課題として挙げられておりますが、まず厚生省に、女性の年金のあり方についてどのようなお考えをお持ちなのか、またこの問題をどのように検討を進めていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
#37
○政府委員(近藤純五郎君) 第三号被保険者の問題でございますが、この第三号被保険者は、御承知のとおり第二号被保険者、これは被用者保険の被保険者の被扶養配偶者ということで、必ずしも女性とは限らないわけでございますけれども、大部分が奥さんだということで、女性の年金権の象徴的な問題になっているわけでございます。
 この第三号被保険者の制度は、女性の年金権の確立、こういう観点から六十年改正で導入されたわけでございまして、被用者の妻に独自の基礎年金を支給する、こういうことにいたしたわけでございます。そのときに、三号被保険者の費用負担をどうするのかということが大きな問題になったそうでございますが、従来、厚生年金におきましては、妻の分まで含めまして世帯として年金保障ということで保険料も払ってきたわけでございます。それから、配偶者があろうがなかろうが、所得に応じまして応能負担という形で負担をお願いしてきたわけでございまして、改正に当たりましてもこの考え方を踏襲したわけでございます。
 それで、しからば被用者の被扶養配偶者につきまして保険料負担を求めることでございますけれども、被扶養配偶者になっているということでございますので、一般的に所得がないか極めて少ないわけで保険料の負担能力というのは極めて乏しいわけでございまして、こうした被扶養配偶者から保険料負担を求めることは非常に難しい問題があるわけでございます。このために、女性の年金を保障する観点から被用者グループ全体で、これは事業主負担と本人負担すべてでございますけれども、被用者グループ全体でその保険料を負担することにいたしたわけでございまして、第三号被保険者本人からは保険料負担は求めないという形で決着したわけでございます。
 この問題につきましては、社会保険方式でございますので、収入があるところから応能負担をしていただくという建前に立っておりますので、収入のない主婦につきまして新たに保険料負担を求めるのがいいのかどうか、こういう基本的な問題もあるわけでございます。
 現実問題といたしまして、個人から負担を求めますと当然のことながら、今の自営業者に見られますように無年金とかそれから低年金に非常につながりやすい面もあるわけでございますし、事務手続上も大変難しい問題も抱えるということでございまして、年金審議会からもこれについて十分検討するようにということでございますので、私ども今後引き続きこの問題の検討を進めてまいりたいと考えているわけでございます。
#38
○清水嘉与子君 年金の世界では大変恩恵を受けられている三号被保険者だと思いますけれども、ただ、この該当者になったときに届け出が必要になるというふうになっているわけです。
 ところが、この届け出をつい忘れてしまったという人が結構いるというふうに聞いております。この三号被保険者としての届け出を忘れますと将来的に年金額が低くなってしまうわけで、個人の生活設計にとって大変問題になるわけだと思いますが、そのような三号被保険者で届け出の漏れちゃっている人というのは一体どのくらいいるのでしょうか。これは夫の会社が本当に気をつけてくださればかなり例は減らせるはずじゃないかと思うんですが、なぜそんなふうになっているのか、お伺いしたいと思います。
#39
○政府委員(横田吉男君) 第三号被保険者で届け出漏れの方の数でございますけれども、平成四年度の公的年金加入状況等調査によりますと約四十万人というふうに推計されております。第三号被保険者としての届け出は、本人ではなくて配偶者である第二号被保険者の異動に伴って生ずることが多いわけでございまして、第二号被保険者の方が資格を喪失した場合、あるいは他の制度に移った場合等において三号被保険者としての届け出が必要になるわけでありますけれども、どういう場合に届け出が必要になるか、ついうっかりというようなことで届け出漏れが生じているのではないかというふうに考えております。
 御指摘のとおり、こういった届け出がされませんと将来の年金給付に結びつかないおそれも出てくることから、私どもといたしましてはこれの解消に向けまして、御指摘のとおり事業主等に対しましても相当の広報を行っておりますけれども、今後とも一層の努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#40
○清水嘉与子君 今回の年金法改正におきましては、三号被保険者につきまして過去の届け出漏れの期間につきまして特例的に届け出ができる措置がとられるというふうに伺っておりまして、大変よかったというふうに思います。
 その内容について少し伺いたいわけでございますけれども、これまで届け出を忘れてきた方がこれによってどのくらい救われるのか、そして今回の特例によりまして回復される期間はどのくらいさかのぼってできるのか、そしてまた年金額がどの程度になるのか、あわせてお伺いしたいと思います。
#41
○政府委員(近藤純五郎君) 今回の法改正によりまして、第三号被保険者の届け出漏れにつきましては特例的な届け出を認めるということになったわけでございます。
 なぜやったのかということでございますけれども、六十年改正によりまして新たに導入されたわけでございまして必ずしも十分周知されなかったということと、それから未届けをこのまま放置いたしますと低年金、無年金になる方が多くなるわけでございまして、基礎年金制度の趣旨から問題であったわけでございます。届け出が行われた期間は将来に向けまして年金の計算上保険料の納付済み期間ということになるわけでございまして、この特例届け出によりまして回復されます期間は、この制度が導入されました昭和六十一年四月以降の未届けの期間の分でございます。
 回復される年金額は、個人ごとに未届け期間が異なりますので平均額はわからないわけでございますが、仮に六十一年四月以降のすべて未届けであったということですべてが回復されるということで計算いたしますと、加入可能期間というのが四十年というケース、比較的若いケースですが、今の計算のベースでやりますと月額約一万一千円の回復になるということでございます。
 なお、この措置はあくまで今回限りの特例的なものというふうに考えているわけでございまして、今後につきましては、先ほど申し上げましたが基礎年金番号の活用等を通じまして適切な届け出奨励、こういったもので対処をしていく考え方でございます。
#42
○清水嘉与子君 大変いいお話と思いますけれども、この四十万人の漏れている方々にぜひそれを徹底していただきまして、今回だけの措置だというふうなことでございましたけれども、しかし今のままの仕組みだったら数年後にまた同じようなことになって漏れてしまうということが出てくるんじゃないかと思いますけれども、先ほど前島先生の御指摘にもありました基礎年金番号によって、今局長もおっしゃいましたが、これによってかなりそういうことがなくなるんだということでございますが、これで本当にこういった事態がなくなるというふうに考えてよろしいのでしょうか。
#43
○政府委員(横田吉男君) ただいまの局長答弁にもありましたように、未加入者の基本的な解決のためには各制度に共通する基礎年金番号の導入が必要だと私ども考えております。こういった制度ができますと、どの二号被保険者に三号被保険者の方がおられるかというのを保険者の側としても把握できるようになりますので、仮にその方が未届けの場合におきましても私どもの方でこれを把握し、届け出勧奨を行うことが可能になってくるというふうに考えております。こうした意味におきまして、未加入者対策に大きな効果を発揮できるというふうに考えているところでございます。
#44
○清水嘉与子君 先ほどのお話ですと、この年金番号制度が八年からというお話でございました。今のこの特例が七年からということになりますと、その間にまた抜けてくる人がいないか心配になりますので、ぜひその辺はよろしくお願いをしたいというふうに思います。
 それから、今後女性の就労がもっと進みまして、女性自身が二号被保険者になる割合というのも高まるというふうに思います。今回の財政再計算におきましては、今後の女性の就労というのがどのように進むというふうに見込んでいらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
#45
○政府委員(近藤純五郎君) 今回の財政再計算におきましては、女性の就労につきましては労働省の労働力人口の見通しというものを使わせてもらったわけでございます。
 これによりますと、二十一世紀初頭の平成二十二年度までの将来展望がなされているわけでございまして、女性の労働力につきまして、育児休業制度の普及等によりまして三十代の女性の労働力というのが現在よりもかなり高まるという予測になっているわけでございます。例えば三十歳代前半の女性の労働力率は、一九九〇年の五二%から二〇一〇年には六九%へ上昇するものと見込まれているわけでございまして、財政再計算におきまして、三十歳代の女性の被保険者数は現在よりもかなり増加するものと見込んでおります。
#46
○清水嘉与子君 今のデータだけ伺いましても、相当な女性が就労するということでございます。
 労働省にお伺いしたいのでございますけれども、今後女性の就労がふえることは間違いないにいたしましても、恐らく就労の形態というのは大分バラエティーに富んだものになるんじゃないかというふうに思うんですね。今後の女性の就労の形態について労働省はどんなふうに考えていらっしゃるのか、またあわせて、そういった多様な形態でなされます女性の就業をどのように支援していかれるのか、お伺いしたいと思います。
#47
○説明員(坂本由紀子君) 女性の就業意欲の高まりが見られるのは先生御指摘のとおりでございますが、働き方についての意識も大変多様でございまして、最も多いのは、育児などで一たん仕事を中断した後再び働きたいという方が多いわけでございます。そのほかにも、仕事を中断しないで家庭生活と両立をしながら働きたいという方もふえてきております。したがいまして、社会経済の動き等も勘案いたしますと、これからも例えば通常よりも短い労働時間勤務するパートタイム労働でありますとか、あるいは派遣労働といったような多様な働き方も広がってくるのではないかと考えております。
 また、労働省としてそのような女性が働くことについてどういう対策をとるかという点でございますが、一つは、職業生活と家庭生活との両立が図れるよう積極的な支援策を講じてまいりたいと思っております。また、再就職を希望する方に対しては再就職につきまして施策を充実してまいりたいと思っておりますし、パートタイム労働者につきましては、その雇用管理改善のための施策を充実するというようなことによりまして、今後とも女性がその能力を十分発揮できるような対策を進めてまいりたいと考えております。
#48
○清水嘉与子君 今お話がありましたように、いわゆる専業主婦でずっと家庭にいるという方よりも何らかの形で社会に出てくる方が多くなるというふうに私も思うわけですが、今お話しのように、しかしパートのような形で働く女性もたくさん出てくる。そうすると、パートの場合は今は二号被保険者になれないわけですね。そして、三号被保険者になるためには課税限度額までの就業調整というのをやる女性が多いわけなんです。
 例えば看護婦なんかでも、もう少し働いてほしいと思うときにも、税金がかかるからもうこれでやめますといって年末にやめてしまうなんということがたくさんあるわけでございまして、そこでまたパート減税の話なんか出てきたりするんですけれども、こういった問題について女性労働を担当していらっしゃる労働省はどんなふうにお考えでしょうか。
#49
○説明員(坂本由紀子君) 先生御指摘のとおり、パートタイム労働者の方の中には収入が一定額を超えないように就業調整を行う方が見られまして、そういう意味では女性の能力が十分に発揮できていない状況が生じていると考えております。これは、妻の就労を取り巻く社会制度の枠組みですとか企業の賃金制度などが、妻は家庭内にとどまって夫に扶養されるのが通常であった制度等ができました当時の社会状況を背景としてつくられたということから生じている面があると考えております。
 これらの制度につきまして昨年七月の婦人少年問題審議会の建議でも指摘されておりますように、女性の生涯の中で職業生活の比重が高まってきております現在においては、女性を社会の基幹的な労働力として位置づけるという考え方に立って社会制度等の枠組みを見直すことを検討する必要があるのではないかと考えております。
#50
○清水嘉与子君 この年金審議会意見書におきましても、パートタイム労働者の厚生年金への適用について指摘がされておりますけれども、女性の就業形態が本当にこれからいろんな形で多様化してまいります。この問題について厚生省はどんなふうにお考えでしょうか。
#51
○政府委員(近藤純五郎君) 現在の厚生年金の適用の関係でございますけれども、労働時間等が通常の就労者のおおむね四分の三以上でございますと厚生年金の被保険者になるわけでございますが、四分の三未満でございますと厚生年金の適用対象外となるわけでございます。この対象外になった場合には、その収入に応じまして、百三十万円以上の方は国民年金の第一号被保険者、それから百三十万円未満の方は第三号被保険者ということで年金保障が行われることになっているわけでございます。
 パートタイム労働者の適用のあり方につきましては、そもそも被用者でございますので、被用者保険でカバーすべきだというのが一応この原則であるわけでございます。パート労働という形態が今後労働市場の中でどう定着していくかということも問題であるわけでございますけれども、その中で、労働市場の方で定着していけば社会保険の位置づけというのも見直していく必要があるのではないかと、こういう問題の指摘があるわけでございます。
 こういう背景で年金審議会の意見書では、「被用者はなるべく厚生年金の被保険者にするという基本的考え方に立って、制度の適用を検討すべき」と、こういう旨の意見をいただいているわけでございまして、その他各種検討会におきましてもパート労働者の厚生年金への適用拡大が提言されているわけでございます。
 この問題につきましては今後検討すべき課題と考えているわけでございますけれども、パート労働者本人、それから事業主の負担が厚生年金の適用をいたしますとふえるわけでございまして、その同意が得られるかどうか、それから厚生年金の被保険者にするに当たりましても労働時間等どのように設定するか、こういうふうな問題がございますので、いろいろの提言を踏まえましてパート労働者の就業状況の動向を十分見きわめまして検討してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
#52
○清水嘉与子君 働く女性が夫に先立たれましたときに、これまでですと夫の拠出によります遺族厚生年金、あるいは妻自身の拠出に基づきます老齢厚生年金、いずれかを選ぶというふうになっております。多くの場合は遺族厚生年金の方が多いというようなことがあって、ほとんどの方かどうかわかりませんけれども、多くの方は自分の年金をもらわないで夫の遺族年金をもらっているというのが実態でございます。そういう点からは、自分で支払った保険料が全く年金に反映されないということで女性からの不満がございます。
 今回の改正におきましては新たな選択肢が設けられるということでございますけれども、その具体的内容を御説明いただきたいと思いますし、またそれによって女性の不安が解消されるのでしょうかということもあわせて伺いたいと思います。
#53
○政府委員(近藤純五郎君) 御指摘のように、夫が死亡したときに遺族厚生年金をもらわれますと自分の納めた保険料に基づきます老齢厚生年金がむだになる、こういうふうな指摘が多かったわけでございます。このため、女性の加入実績を年金額に反映させるように改善いたしまして女性の就業状況の変化に対応した年金制度に改めたい、こういうふうに考えた次第でございます。
 従来の遺族厚生年金、つまり夫の老齢厚生年金の四分の三を選ぶか、自分自身の拠出に基づく老齢厚生年金を選ぶかという二者択一に加えまして今回加えましたのは、妻自身の老齢厚生年金の二分の一、それから夫の老齢厚生年金の二分の一、二分の一ずつを併給できる、こういう選択も認めることにしたわけでございます。夫の老齢厚生年金より妻の老齢厚生年金が高いときには当然妻の老齢厚生年金が生きるわけでございますけれども、それほどでもないけれども二分の一よりは高い、こういうときには今回の改正で有利になるということになるわけでございます。
 これで十分かとおっしゃられれば、十分と言えるかどうかわかりませんけれども、何らかの形で女性の加入実績を年金額に反映させる、こういうふうに範囲を広げたということで今回の改正に踏み切ったというわけでございます。
#54
○清水嘉与子君 何か妥協の産物で本当にこれでいいんだろうかという気がいたしますけれども、今までよりは多少選択の幅が広がっていいのかなと私も妥協せざるを得ないという感じがしております。
 今いろいろお話を伺いましたけれども、女性の年金権というものにつきましては、本来、夫の陰に隠れた存在としてではなくて、また夫の死亡だとかあるいは離婚で揺らぐのではなくて、女性自身の年金によって老後の生活設計ができるように、つまりもう年金は家族単位でなくて個人単位に考えていくというような考え方もこれからしていかなきゃならない時期になるのではないかというふうに感ずるわけでございます。
 しかし、今のように長いこと家庭を支えそして働き続ける男性像を中心に、それを想定して組み立てられていますような公的年金制度の仕組みの中では、まだまだ残念ながら女性が自分の年金だけでやっていくことができないというのが実態でございます。いろいろな形で就業する機会を得て、そして育児をし家庭責任を担っている、こういう女性が多くなるわけでございます。本当の意味での女性の年金権の確立について、今後ともぜひ御検討いただきたいというふうに思います。
 次に、ちょっと時間が残っておりますので、年金の空洞化の問題についてお話を伺いたいと思います。
 先ほど前島委員からも御指摘がありましたけれども、国民年金の未加入者、未納者が三割近くいるというようなことで、本当に国民年金の空洞化の問題が出ているのではないかというふうに思います。特に、未加入者が将来無年金になってしまうような問題は大変困ると思いますが、一体その未加入者の実態をどのくらいとつかんでいらっしゃるのか、伺いたいと思います。
#55
○政府委員(横田吉男君) 平成四年の調査によりますと、明らかに国民年金の第一号被保険者になるべき者であって未加入となっている者が約百九十万人というふうに推定いたしております。私どもといたしましては、これの解消を図っていくことが最大の課題であるというふうに考えております。
 なお、一号の未加入者の都市別の状況を見ますと、約六割の方が人口二十万人以上の市に集中いたしております。また、年齢階級別には二十歳代の方が約五割ということでございまして、私ども、学生などを含めまして都市部の対策を進めてまいりたいと思っております。
#56
○清水嘉与子君 さっき三号被保険者の問題が出て、無収入の人から保険料を取るのはどうかというお話がありましたけれども、平成三年から学生も国民年金への加入が義務づけられたわけで、学生も今、年額一万一千何がしかのお金を払わなきゃいけないということになりました。しかし、学生にとりましては年金の問題、まだまだ自分の問題として受けとめるには遠い存在だというふうに思いますし、額も高いということで未加入になっている学生の数が多いんじゃないかというふうに思うわけでございます。
 今度の改正におきましては、学生の保険料負担の面で随分配慮がされているというふうなことでございますが、その問題について少し御説明いただきたいと思います。
#57
○政府委員(近藤純五郎君) 学生につきましては障害年金の保障等が欠けるという意味で平成三年度から国民年金の適用を行っているわけでございまして、保険料の負担が困難な方につきましては申請に基づきまして免除をいたしているわけでございます。この免除基準の設定に当たりましては、親元の負担が過大にならないようにする必要がある、こういうことでいろいろの審議会とか国会の附帯決議等で配慮をすべきである、こういう御指摘があることを考慮いたしまして、親元の収入の水準が、学生を抱えます世帯におきます全国の平均的な消費支出、それから学費等の水準に達しない場合には学生の保険料を免除するということで、一般の免除に比べましてかなり高い水準の免除基準を設定いたしているわけでございます。
 このような学生の免除基準につきましては一般の基準より緩やかにしているわけですけれども、しかしやはり将来の年金、老齢年金を考えますと、これは納めていただいた方がいいわけでございますので、今回の改正案の中に親の負担軽減を図る、こういう意味で年金の教育資金の貸し付けを還元融資の形で導入させていただいたわけでございます。この中で、学生の国民年金保険料も融資対象にするということにいたしまして対策を講じているわけでございます。
#58
○清水嘉与子君 人が自分の年金のことを考えるのは一体何歳くらいになってからのことでしょうか。また、いよいよ年金のことを考えるという時期になりましても、本当にわかりにくいのが年金の仕組みでございます。未納者とか未加入者をこのまま放置しておきますと、全く個人の老後の生活が不安定というだけではなくて、この国民皆年金制度そのものがもう危うくなってしまうわけでございます。
 そこで、この問題につきまして早急に手を打たなきゃいけないと思いますけれども、総合的な対策につきまして、大臣、最後に御所見をちょうだいしたいと思います。
#59
○国務大臣(井出正一君) 国民一人一人の年金の確保を図るとともに、公的年金制度を健全に運営していくため、今御議論いただきました未加入、未納者の解消を図っていくことは最も重要な課題だと考えております。
 このため、年金制度に対する国民の理解と信頼を深めるための広報活動の強化充実、また保険料を納付しやすい環境づくり、さらに基礎年金番号の設定等を進めることによりまして未加入、未納問題の解消に努めてまいりたいと考えております。
#60
○清水嘉与子君 年金番号制度というのがいよいよ実現するというふうなお話でございました。ぜひその機会に、年金スタートの時期には恐らく連絡が行くんでしょうけれども、さらに三十歳、四十歳、五十歳、こういったときに、あなたの年金はこうなっていますというようなことをぜひサービスをよくして注意を喚起していただきたい、そんなことを注文して私の質問を終わります。ありがとうございました。
#61
○委員長(種田誠君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後零時三十分まで休憩いたします。
   午前十一時三十分休憩
   午後零時三十分開会
     ―――――・―――――
#62
○委員長(種田誠君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、国民年金法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#63
○竹村泰子君 年金法に入ります前に、ちょっと薬害について業務行政の責任を追及させていただきたいと思います。
 特に、ソリブジン薬害事件の全貌が明らかになるにつれまして業務行政への国民の不信感、これが増していくばかり、次から次へと起きているということを私は大変残念に思いまして、年金法の審議でありますけれども、その前にちょっとお時間をいただきたいと思います。
 厚生省に薬害根絶に向けて絶大なる力を発揮していただきたいというふうに思うんですけれども、九月十六日の参議院の決算委員会で堀議員が、ここにいらっしゃいますけれども、質疑を行っておられます。しかし、その後また明らかになった問題さまざまございますので、ちょっとお伺いをしてみたいというふうに思います。
 私も報道を読む限りなんですけれども、なぜ厚生省がこういう態度をとっていらっしゃるのか、どうしてここできちんとできなかったのかというふうなことがたくさん報道の中に出ておりまして、厚生省がソリブジンの出荷停止にまず反対をしていらっしゃるんですね。
 当時の責任者だった前業務局安全課長、今はかわっておられると思いますが、ある新聞社のインタビューに対しまして、帯状疱疹の治療薬としては非常に種類が少なく、ソリブジンはその中でもすぐれており貴重だった、だから、問題となったのはソリブジンの有効性ではなくて相互作用にあったわけだから、使い方が悪かったのだというふうなことを答えておられる。インタビューでありますけれども、こうした処置で十分だったのでしょうかというふうな記者の質問に対しまして、副作用が出たからとか、商売にならないからといって出荷を取りやめていたのでは、いたずらに医療現場を混乱させるだけだと。副作用が出たからといってと、これは死者が出ているんですよね。そういうお答えを安全課長がしていらっしゃる。非常に残念に思うわけです。
 そして、日本商事に対して百五日の出荷の一時停止あるいは工場の停止、そのようなことに対しても、出荷停止を日本商事が発表したことに対しても、なぜ勝手に発表したのかと厚生省からクレームがついたというふうな記事が出ておりますけれども、この理由は何だったのでしょうか。
#64
○政府委員(田中健次君) ただいまのお尋ね、事実関係を申し上げたいと思いますが、この併用によります副作用の発生を踏まえまして、昨年の十月八日でございますが、日本商事に対しまして、医薬品情報担当者、MRでございますが、MRを総動員してソリブジンを使用している医療機関に対しまして直ちに併用しないよう情報伝達をするということとともに、速やかに緊急安全性情報の配布を行うよう口頭で指示をしたものでございます。これが昨年の十月八日でございます。
 その後、土曜日と体育の日とそれから十一日が代休日でございまして三日休みが続いたわけでございますが、休日明けの十月十二日、この朝に日本商事から厚生省に対しまして、さらに同様の副作用の情報が医療機関から続いているということと、それから緊急安全性情報の配布には二、三週間が必要であるという報告を受けたわけでございますが、その報告にあわせまして、副作用の発生によりソリブジンは大きな売り上げが期待できなくなったことから出荷を停止したい旨の考えを伝えてきたわけでございます。
 そのため厚生省といたしましては、特に担当課長といたしましては、出荷の停止の検討より先に医療現場でソリブジンと抗がん剤とが併用されないように十分な情報提供を早急に実施することが最優先に行われるべきであり、直ちに医療機関に対する情報提供を実行するように指示したものでございます。
 そうしたわけで、新聞にはいろいろ報道されておりますが、厚生省といたしましては日本商事のソリブジン出荷停止の決定に反対したわけではございませんで、それよりも早く医療現場に併用をしてはならないという情報を伝えなさいということを言ったものでございます。
 それから、出荷停止をなぜ勝手に発表したのかということでございますが、メーカーに情報は連絡をしてくれ、こういうことを常々申しておったので、情報は事前に下さい、こういうことを申し上げたまでだというふうに思っております。
#65
○竹村泰子君 ちょっと細かく振り返ってみますと、一例目の死亡が出たのが九月二十日ですね、そしてそれが報告されたのが九月二十七日。今いろいろお話がございましたけれども、二、三例目の報告があったのが十月六日。八日には四、五、六例目の死者の報告があったわけですね。これは違っておりますか。
#66
○政府委員(田中健次君) 若干事実は違っておりまして、一例目は九月二十七日に私ども報告を受けております。それから、十月六日に二例目と三例目の口頭報告を受けております。それで私ども厚生省といたしましては、その三例につきまして患者の症状等の情報について文書で報告を求めまして、十月八日に開催をされました中央薬事審議会で検討するように依頼をしたものでございます。
 その結果、メーカーからの報告としては不十分な内容でございましたが、ソリブジンと抗がん剤の併用と副作用との因果関係が推定されたために、厚生省といたしましては十月八日の夜、関係企業に対しまして、医療機関に対しまして併用しないよう情報伝達をするとともに、緊急安全性情報を配布するよう口頭で指示したものでございます。
 その十月八日の調査会終了後に、さらに四例目と五例目の二例の症例報告が口頭であったわけでございまして、新聞報道では六例目までを副作用調査会に諮ったということになっておりますが、三例でもって副作用調査会にお諮りをした、こういう事実でございます。
#67
○竹村泰子君 午前とか午後とか少し前後するのかもしれませんけれども、八日にはとにかく四、五、六例目の被害状況が電話で届いていたというふうに私どもは聞いております。
 私が問題にしたいのは、安全課長が九月二十七日から十月六日までの間何をなさったかといいますと、日本商事に対して抗がん剤との併用を避けるための情報伝達の徹底を指示されているんですね。医療現場は全国十七万カ所とお聞きしております。そこに情報伝達が届くためにはどのぐらいの日時を要するものかということは安全課長が一番よく御存じのことではないかと思うわけですけれども、大きく公開をすることなく、この間一カ月近く、半月以上ですね、時間が無為に過ぎているわけです。
 報道などでは、十月八日の四、五、六例目を聞いて局長が、これはほうっておけないということで記者発表をなさったというふうになっているんですが、それは今のお答えで少し前後していたのかもしれないけれども、そこのところ、本当に死ななくてもよかった患者さんが死んでしまっている。都内のある病院のお医者さんがこの記者会見のテレビを見て、これはまずいといって、ソリブジンとほかのものとを一緒に使っておられた方がソリブジンの服用をやめさせて、入院させて治療を行ってその人は助かっているわけですね。
 そして、課長さんがこのときのコメントで言っておられますのは、十分な対応ができると考えていた、十二日になっても伝達が行われていないことがわかって、さらに副作用被害もふえて緊急を要すると判断したため記者会見をしたというふうに言っておられるんです。こういう甘さといいますか、命にかかわる問題ですから、もう少し素早い対応をしていただきたかったというふうに思いますが、大臣どう思われますでしょうか。
#68
○国務大臣(井出正一君) お答えいたします。
 ソリブジンと抗がん剤の併用によりまして副作用でお亡くなりになられた方はまことにお気の毒に存じております。また、今回の問題について、国民の医薬品に対する信頼を損なったことはまことに遺憾なことであると認識はしております。しかし、本件に関する厚生省あるいは中央薬事審議会の対応は、それぞれの段階で知り得る限りの情報をもとに適切であったと私は考えております。
 本件に関しまして、その後これまで詳細な調査を実施してきたわけでございますが、その原因がかなり明らかになってまいりました。その内容を見ますと、薬事行政等に対しても医薬品の安全性確保に関して治験から使用に至るまでの広範な問題を提起しているものと思われます。このため、治験から使用に至る各段階の医薬品の安全性確保のための総合的な対策を検討することを目的とする専門家から成る医薬品安全性確保対策検討会を設置したところでございまして、医薬品の審査体制の一層の充実を図るため、中央薬事審議会の組織や運営のあり方についてもこの検討会で御検討をいただくことに相なっております。
#69
○政府委員(田中健次君) 大臣のお答えを若干補足させていただきますが、私どもは……
#70
○竹村泰子君 ちょっと待ってください。私は今、大臣にお聞きしているんだから。ちょっと待ってください。
 大臣、私が後でいろいろお聞きしようと思っておりましたことを、今一括して全部答えてくださいましたんですけれどもね。ちょっと戻りますと、九月二日に大臣は見解を発表されまして、二日の閣議後の記者会見で、ソリブジン薬害の行政処分に関連して、製造、販売を認めた行政側の責任について、従事した人が最善を尽くしてきたことを信用しているのでそういう意味での責任があるとは考えていないと、一口で言っちゃえば行政に責任はないと、そういうふうにお答えになっているんですが、このお考えは今もこのとおりでございますか。
#71
○国務大臣(井出正一君) そのとおりでございます。
 後になってみますと、いろんなあれがそれこそ神様の目で見るようにもわかるでしょうが、その時点その時点では、与えられた知見といいましょうか、それに基づいて最善の判断をそれぞれの立場の皆さんがしてくれた、こう考えております。
#72
○竹村泰子君 今、この問題ではインサイダー取引のこともあり、とにかく日本商事が日本商事がというふうに責められているわけで、それは責められて当然だと思いますけれども、私は、厚生省に行政の責任はないと大臣がお答えになっていることで果たしていいのだろうかということで、これは人間の命にかかわる問題であるから、きょうは私は決して厚生大臣や厚生省をいじめようと思っているわけではありませんけれども、これは実に生きるか死ぬかの問題です。私たちもがんになった場合に、病院に入院してこういうソリブジンと抗がん剤との併用をされないとは限らないし、後でいろいろ治験の問題も申し上げようと思いますが、治験の段階でもその治験の被害者にならないとも限らないわけですから、それで今お聞きしているわけです。
 ソリブジンの治験中の二死亡例が未報告だったという報道もされております。厚生省は、ソリブジンの治験の段階で死亡患者二人が未報告だったとして日本商事の立入検査に入ったわけですけれども、二例ともその約四年前に既に厚生省に届けられていたということが、これは七月三十一日の報道ですけれども、明らかになったと。同省は、二例の未報告を最大の理由にして、日本商事に約百日間の製造停止処分を通告する方針だというふうに伝えられております。
 この未報告二件、これは本当に膨大な数の中で約五百のケースガードなどとともに厚生省に届けられて、その後返却されたと。ケースガードとその関連資料、その中に紛れ込んでいて、つまり実際は担当官が全部を見ることが不可能な状態だから抜き取り調査をすると、こういう状況で厚生省が実は見逃していたんだという報道がされておりますが、この真偽はいかがでしょうか。
#73
○政府委員(田中健次君) ただいまのお話は八月三十一日の新聞報道だと思いますが、厚生省が申請者から、ソリブジンの臨床試験におきます死亡例二例に関して承認以前に報告を受けた事実はございません。
 当該新聞報道によりますと、二症例の死亡の事実が明記されていた資料が九〇年七月ごろ、ほかの治験者に関するおよそ五百のケースガードとともに厚生省に届けられた、ただいま先生がおっしゃった内容でございますが、そういう事実はございませんで、この記述内容は事実に相違をしているというものでございます。
#74
○竹村泰子君 そういう事実はないということですね。
 そうしますと、この報道が間違って報道されたということになるわけですが、それでよろしいですか。ケースガードが膨大にあって、そこから抜き取りをされてたまたまそこへ漏れてしまった、二件はその中に紛れ込んでいたということはないのですね。
#75
○政府委員(田中健次君) さらに詳しくお答えを申し上げますが、このケースガード、症例記録というのは、厚生省への承認申請に際して提出される添付資料のうちの臨床試験成績の根拠となるものでございまして、これは薬事法の施行規則によりまして申請者が保管をするということとされております。
 それで厚生省では、提出をされました資料の信頼性を確保するために、事務局におきまして承認申請資料の根拠となった症例記録を含みます資料の点検や確認を行っているわけでございますが、しかしこの作業はあくまでも資料のもととなりました症例が存在することを確認することを目的としたものでございまして、症例記録に記載された内容を審査しているものではございません。
 それで、申請資料の根拠となった資料の点検あるいは確認は、通常、主要な大規模臨床試験でございます第三相試験の成績につきまして実施をいたしておりまして、本件の場合も、申請者でございます日本商事が保管しておりました第三相の比較臨床試験、およそ二吉例でございますけれども、これに関する申請資料の根拠となった資料を厚生省に持参をさせまして、申請資料との整合性を点検して確認をしたところでございます。
 このため、第二相の用量設定試験に含まれておりました二例の死亡例の症例記録は厚生省に提出されておりませんで、したがって先ほど申しましたように、厚生省が二例の死亡例を見逃したという指摘は当たらないわけでございます。
#76
○竹村泰子君 そうですか。それなら結構ですが、非常に膨大な資料の中からそういうものを見つけ出すというのはなかなか大変なことだと私も思いましたのでお聞きしたわけですけれども。
 もう一つ、国民の不信感を招いたほかの薬害における厚生省の問題をちょっとお聞きしてみたいと思いますが、それは血液製剤、HIVの汚染についてです。
 もうこの問題はみんなよく知っていることですが、八三年に厚生省は、製薬会社からHIVが混入した疑いのある非加熱製剤の出荷停止、アメリカに返送したという報告を受けていたにもかかわらずその情報を伏せていたと。これは、東京HIV訴訟で原告側が、HIVが混入した製剤をメーカーが回収した事実を承知しているかと釈明を求めたのに対して、厚生省が東京地裁で十月四日付で提出した書類の情報で明らかになったということです。二十四日開かれました第三十一回の口頭弁論で正式に陳述がされたというふうに報道されておりますけれども、この点はいかがなのでしょうか。日本のエイズ患者の七五%と言われる血友病の患者さんたちは、もしもこの時点で厚生省がきちんとした態度をとっていたら、ほとんどがエイズにかからなくて済んだのではないでしょうか。
#77
○政府委員(田中健次君) 一九八三年、昭和五十八年でございますが、今から十一年前の我が国のエイズに対する状況でございますけれども、一九八三年当時はエイズウイルスはいまだ発見されておりませんで、エイズの原因につきましては今日のように明らかではなかったわけでございます。また、日本ではエイズ患者がいまだ報告をされておらない状況でございまして、さらに血液製剤によってエイズが伝播するかどうかも不明な状態であったわけでございます。
 そのような状況のもとで、アメリカにおきまして血液製剤の原料の供血者の一人が供血後エイズ様の症状を呈したということから、この血液製剤をアメリカから輸入、販売をしておりました製薬企業が万が一のことを考えまして出荷停止等を行ったものでございまして、しかも医療機関に出荷される前の措置でございましたので、当時こうしたことを公表しなかったものであるというふうに私どもは理解をいたしておるところでございます。
 厚生省といたしましては、万が一の危険性を考えまして、製薬企業に対しまして輸入血液製剤の原料について、エイズのハイリスクグループ、当時は男性の同性愛者それから麻薬常習者等が考えられたわけでございますが、そうしたハイリスクグループから供血をされたものでないという旨の証明書の添付を当時指示いたしますとともに、エイズの実態把握に関します研究班を設置いたしまして専門家による検討を開始いたしますなど、当時のエイズに関する知見に基づきまして適切な対応をしていたものと考えておるところでございます。
#78
○竹村泰子君 日本で加熱製剤の販売が承認されたのはアメリカにおくれること二年四カ月、八五年七月ですね。この間、血友病患者がHIV感染したのは八三年以降に集中しているわけです。これはこれまでにも国会で何回も取り上げられましたし、私も衆議院の予算委員会で申し上げたこともありますし、厚生省のその二年四カ月の間の責任というのは、私はこれはどう考えても、まあ今東京、大阪で裁判で争われていることでありますから安易なお答えはできないというふうにおっしゃると思いますけれども、これはやっぱり何としても厚生省の責任、そしてこういうふうに情報まで明らかにしていらっしゃらなかったということが出てくれば、国民の健康を預かる厚生省としてはこういうことでは困るわけです。
 この問題は大きな問題ですので、また次の機会に譲るといたしますけれども、業務行政の姿勢と新薬審査体制で先ほど大臣が一括して全部お答えくださいましたけれども、しかしそういう体制を整えられた後で、またしてもこのイリノテカンの副作用死が治験段階にとどまらず販売後も防げなかったということが出てきているわけですね。これはどこまで続くのでしょうか。
 厚生省もどこかの報道で、一体どうやったら防げるのだろうかと慨嘆しておられるのを見ましたけれども、やっぱり抗がん剤というものの扱い、抗がん剤は細胞が自然に分裂するのを抑えてしまう薬なんですから、だから盛んに分裂する正常な細胞も抑えてしまう。ある臨床医は、わかりやすく言えば人工的にコレラや敗血症の症状を起こすようなものだと言っておられる。抗がん剤のこういった特性、それとソリブジンのようなものとの併用といいますか、その恐ろしさを本当に私たちは知らなければならないと思うんですね。
 薬が市場に出るためには、第一相試験それから第二相試験、第三相試験というふうにあるとお聞きしておりますけれども、抗がん剤に限っては第二相試験でもう第三相試験は必要ないということになっているんだそうで、このことは本当に私たちも知らなければいけないし、情報の公開ももっとされなければいけないし、そして行き着くところはやっぱりインフォームド・コンセントの問題であるというふうに思うんですね。
 時間がありませんので、イリノテカンについてもいろいろお聞きしたかったのですけれどもちょっと飛ばしますが、現在係争中の事件で、愛知県がんセンターの当時の婦人科部長が、承認申請中の抗がん剤254Sをプロトコールに違反して医療行為を行って、三人の患者が治験開始後一カ月から四カ月で死亡している事件、これを御存じだと思いますけれども、裁判ではインフォームド・コンセント違反を理由にして医療行為者が損害賠償を請求されております。この事件も塩酸イリノテカン同様、抗がん剤の不適正の使用が原因と考えるんですが、適正に使用していればそれでよしとするものでないことは自明のとおりであります。
 インフォームド・コンセントの問題についてですけれども、まず、さきの塩酸イリノテカンの投与についてこのインフォームド・コンセントについてはどんな状態であったのか、個々の事例、特に死亡例についてお伺いいたします。
#79
○政府委員(田中健次君) 塩酸イリノテカンについてでございますけれども、これは企業からの報告でございますが、企業からの報告によりますと、治験中において発生をいたしました十三の死亡例につきまして、全例インフォームド・コンセントは得られていたということでございます。
 そのインフォームド・コンセントの内訳は文書あるいは口頭等になっておりますけれども、いずれにいたしましても十三例ともインフォームド・コンセントが得られ同意を得ておった、こういうことでございます。
#80
○竹村泰子君 そのインフォームド・コンセントは文書で得られていましたでしょうか。
#81
○政府委員(田中健次君) 企業からの報告によりますと、文書での同意は六例、口頭での同意が二例、それからケースガードに文書、口頭の別についての記載がないもの、これが五例でございました。こういう内訳でございます。
#82
○竹村泰子君 インフォームド・コンセントというのはどういうことなんでしょうか。きちんと話をして、納得して、了解を得て、そして堀さんも九月十六日の決算委員会で文書でということを厳しく言っておられますけれども、なぜそれは徹底できないんでしょうか。なぜ口頭があったりケースガードがあったりするんでしょうか。
#83
○政府委員(田中健次君) 薬の治験に際しましては、これは被験者の人権保護が最優先されるべきものと考えております。このために厚生省といたしましては、平成二年に医薬品の臨床試験の実施に関する基準、GCPと申しておりますが、このGCPを施行いたしまして、その中で、治験に当たっては患者に説明を行って自由意思による治験への参加の同意を取りつけるように指導をしてきたところでございます。
 それで、GCPの円滑な実施と定着を図るためにGCPのマニュアルをつくりまして、マニュアルにおきまして、原則として患者の同意は文書によるべきであるといたしまして、治験に携わる医師あるいは医療機関、製薬企業等を指導しておるところでございます。
 GCP基準が施行をされて間がないということもありまして、文書による同意の取得の割合はまだ低い状況でございますけれども、私どもといたしましては今後とも治験に携わる医療関係者あるいは製薬企業に対しまして指導の徹底を図っていきたい、こういうふうに思っている次第でございます。
#84
○竹村泰子君 総務庁の行政監察の結果報告書の「医薬品等の安全対策を中心として」という号の中にも、文書でということはきちんと書かれておりますし、まさにそのGCPのあいまいさというか、欠点が今日明らかになったこの塩酸イリノテカンによる副作用死の問題の中に私は明白になっていると考えるんですが、それはインフォームド・コンセントの不十分性であり、情報公開の不十分性なのではないでしょうか。
 塩酸イリノテカンの治験中四・二%もの患者が死亡している。事前の十分な説明にあわせて、これらの被害者も含む治験者すべてに治験中に明らかになった情報がきちんと知らされていただろうかどうだろうか。その辺はどうお考えになりますか。
#85
○政府委員(田中健次君) この塩酸イリノテカンの治験を実施した時期でございますけれども、先ほど軒しましたGCP基準が施行されましたのが平成二年の十月からでございます。このイリノテカンの臨床試験はそれ以前に行われておったということもございまして、必ずしもGCP基準が実際上実行されたということにはならないかとも思いますけれども、その後GCP基準も施行いたしましたし、先ほど申しましたマニュアルで指導もいたしておりますので、その後は相当改善をされてきておるというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、先ほど大臣がお答えをいたしましたように、医薬品の安全性を確保していくということで専門家によります検討会を設置いたしまして、既に第一回の会合も開きました。そうしたことで、その検討会でもこの辺も含めまして検討していただくということで対応していきたいと思っております。
#86
○竹村泰子君 ここにお医者さんもいらっしゃるんですけれども、医師と患者が平等でない日本の現状においては、やっぱりまだお医者さんはとても偉くて、一方的に説明をされても、はいはいとうなずくしかないようなそういう患者の状況もあるんです、全部とは申しませんが。
 そういう中で、やっぱりインフォームド・コンセントというのは、大臣、本当にこれから身を入れてやっていただいて、きちんと納得できるまで何回でも説明をする。そして、特にこの治験の段階で死んでいたのではこれはもう浮かばれないですよ、患者は。何とかここは本気で、本腰を入れてこれからしっかりやっていただきたいと思いますが、大臣の御決意のほどを一言。
#87
○国務大臣(井出正一君) 先生おっしゃるとおり、治験に際しまして被験者の人権保護が何よりも優先されなくちゃならぬ、こう考えているものであります。したがいまして、このGCPの施行につきましてマニュアルを作成して今指導をしておるところでございますが、先ほど局長の答弁にもございましたように、なかなかまだ文書による同意取得の割合が低い段階にあることも事実でありますから、これからそれぞれの医療関係者あるいは製薬企業に対してよりきちっとした指導をしていかなくちゃならぬ、こう考えております。
 また、いわゆる患者側にもし私なんかが立った場合、それだけのいろんな専門的なことを例えばお医者さんとやれるようになるには、これまた患者といいましょうか、一般の人たちのそういう面における知識といいましょうか、あるいは知的な水準も上がっていくようにしなくちゃ理解もしてもらえるような状況になかなかこない面もあるんじゃないかな、こんなふうにも考えておるところであります。
#88
○竹村泰子君 お言葉ですが、一般の人の水準が上がるのではなくて、お医者さんが偉くなくなればいいのです。お医者さんが偉過ぎるからいけないのでありまして、どうせ素人には言ってもわからぬだろうとか、どうせこんなことを説明したってわからないだろうとか、そういう何というか、私もお医者さんは偉いと思いますよ、尊敬しておりますけれども、ここにも何人かいらっしゃいますが、偉いと思いますが、患者だって同じ人間だ、平等の舞台に立ってきちんと説明をしていただかないと、わからないと思ったら余計丁寧にしていただかないと困るわけで、そういうところで今後の厚生省の本腰を入れての活躍を私は大いに期待いたします。
 では、年金の質問に移らせていただきます。
 厚生年金の給付水準の新たな指標と申しますか、厚生省は従来、年金の水準については現役世代の賃金の七割弱という指標を打ち立てていらっしゃったと思いますけれども、今回の改正でこの指標はどうなるんでしょうか。放棄されるのでしょうか、そうではないのでしょうか。新たな厚生年金の水準の指標は何かを承りたいと思います。
#89
○政府委員(近藤純五郎君) 厚生年金の給付水準につきましては、昭和四十八年の改正におきまして、直近の男子の平均標準報酬の六〇%ということで考え方が導入されたわけでございまして、その後被保険者の加入期間が延びたことに伴いまして、昭和六十年の改正当時には約六八%に達したわけでございます。昭和六十年改正で基礎年金が導入された際にも、夫婦が一つずつの基礎年金、それから一つの老齢厚生年金という形で、制度成熟時の四十年加入の制度的水準、こういうことで六八%程度に設定したわけでございます。
 今回の改正でネット所得スライドが導入されたわけでございますけれども、以上のような考え方は今回においても維持をいたしているわけでございます。
#90
○竹村泰子君 わかりました。
 今の答弁で、厚生年金については今後現役世代の七割程度、八割程度という水準が維持されるということですけれども、今回の改正では二階部分の再評価率について変更したのにすぎないのではないでしょうか。従来、厚生年金の給付水準は一階部分と二階部分、これを合わせたトータルの金額で見てきたんじゃないでしょうか。ところが、この水準を今後とも維持する場合には基礎年金の改定率は報酬比例部分と同率でなければならないように思われますけれども、基礎年金部分の改定率は今後どうなっていくのでしょうか。
 基礎年金の水準というのは、そもそも高齢者の平均的な生活費のうちその基礎的な支出を保障するというふうに設定されたはずですね。今回もこの考え方は踏襲されているのでしょうか、生きているのでしょうか、あるいは変わったのでしょうか。老齢基礎年金の水準及び改定方法を伺いたいと思います。
#91
○政府委員(近藤純五郎君) 基礎年金は先生御指摘のように老後生活の基礎的な部分を保障するということで、基本的には衣食住を保障する、こういうふうな考え方で設定されているわけでございます。生活水準の向上に応じまして改定をするということで、前回の改正、平成元年の改正でございますが、平成元年以降の現役世代を含めました全世帯の消費水準の伸び、これを勘案いたしまして基礎年金の額を引き上げているわけでございます。元年当時の金額が五万五千五百円でございまして、今回は六万五千円ということで一七・一%の伸びでございます。
 ちなみに、老齢厚生年金の報酬比例部分でございますけれども、生の賃金はちょうど同じ一七%伸びております。しかし、ネット所得スライドを行うことによりましてこれが九九%になりますので、一・一七に〇・九九を掛けまして一・一六ということで、二八%の伸びになるわけでございます。今回の改正におきましては基礎年金の伸びの方が一%程度高い、結果的にそういうふうになっているわけでございます。
#92
○竹村泰子君 老齢基礎年金の改定率、水準も現役世代の消費支出を勘案して定めるということなんですね。であるとすれば、老齢基礎年金の水準は今後これまでより抑制されることにならないでしょうか。老齢基礎年金の給付水準については、厚生省が平成五年に行った有識者調査においても五五・三%の人がやや低いと答えておりますし、一階部分しか受給できない農林水産・自営業団体、女性などでは七割の人が低いと答えている。老齢基礎年金の水準は、老後の基礎的部分を保障する水準であるべきでありますし、法改正をせずに老齢基礎年金の給付水準、改定方法が恣意的に変えられるとすれば、これはちょっと問題なのではないかと私は思うんです。
 衆議院の修正では、次期改正時に基礎年金の給付水準についても検討を行うこととされております。次期改正時には基礎年金の水準について改めて見直しが行われると考えてよろしいかどうか、お答え願いたいと思います。大臣、いかがでしょうか。
#93
○国務大臣(井出正一君) 基礎年金の水準につきましては、老後生活の基礎的部分を保障するという考えに立って設定されているものでございまして、今回の改正におきましても、前回改正以来の国民の生活水準の向上に応じて実質的な改善を図ることとしているものであります。
 老後生活の基礎的部分を保障するという基礎年金の性格を考えますときに、現在の水準はまあ不満も一部にあるかもしれませんが、我々としては適切なものと考えておりまして、今後もその水準は適正に維持していくべきものだと考えるものでございます。
#94
○竹村泰子君 適切なものというふうにおっしゃいますが、今老人夫婦でもあるいは女性一人が残った場合でもどのぐらいの費用があれば足りるとお考えになっていらっしゃるか。大臣は主婦ではありませんから世帯の切り盛りなんてことは余りお考えになったことはないかもしれないけれども、私は主婦ですのでよくわかりますけれども、それはやっぱり非常に厳しいものだと、今の老齢基礎年金では物すごく厳しいものだと思います。次の改正の時期には、この給付水準も改めて衆議院の修正のように見直しを賜りたいとぜひ強くお願いを申し上げておきます。
 それで、男性と女性の年金額の差ということは後で同僚の日下部議員がきちんとなさると思いますので、私は簡単にちょっとだけ触れさせていただきます。
 別個の給付ということで、女性の平均年金額は男性の半分強しかありません。これは年金額が現役時代の賃金、勤労年数を反映しているからであります。女性の老後の所得保障という点で、この計算の仕方でいきますと非常に多くの問題点があるんですね。さらに今回の改正では、別個の給付が報酬比例部分に限定されることになっていますから、これでは現役時代の賃金格差がそのまま反映されてしまいまして、所得再分配効果が働かないんですね。女性にとっては非常に不利な制度となっておりますけれども、このことをどう考えられますか。
#95
○政府委員(近藤純五郎君) 別個の給付につきましては、六十歳代前半の方に対します年金給付のあり方の見直しの中で導入されたわけでございます。
 その別個の給付になぜ報酬比例部分を導入したかということでございますけれども、基礎年金に相当いたしますいわゆる一階部分といいますのは、自営業者も含めまして全国民共通でございまして、これは六十五歳から支給されておりますので、これとのバランス上六十五歳で統一する、こういうのが妥当ではないかというのが第一点。
 それから、六十歳代前半というのは賃金とそれから年金の組み合わせで暮らすということでございますけれども、基本的には高齢者雇用を促進していただきまして、その賃金収入を主といたしまして、これに年金がこれまでの賃金の状況を反映いたします上乗せを行う、これによって生活をしていただく、こういうイメージでいるわけでございます。
 三番目といたしまして、こういう仕組みにいたしますと、本人の希望によりまして老齢基礎年金の繰り上げ年金の支給が可能になる、こういうふうなことで六十歳代前半の方々の生活の多様なニーズにこたえる、こういうふうな趣旨で導入させていただいたわけでございまして、サラリーマンの独自の部分ということで報酬比例部分を給付することにいたしたわけでございます。
 確かに女性の場合には賃金が低いとかあるいは勤続年数が短い、学歴とかあるいは企業規模とかいろいろあるようでございますけれども、これを反映したという形で年金額が低い、こういうことになってございます。女性の年金の水準につきましては、この別個の給付は、女性の場合は男性の場合より五年遅く始まるということで、六十五歳が完成いたしますのは二〇一八年、二十四年ぐらい先ということになりますので、今後女性の勤務状況が改善されていけば年金額もこれに見合っていくのではないか。基礎的には賃金の格差あるいは勤続年数の縮小、こういうものが必要になってくるというふうに考えております。
#96
○竹村泰子君 たくさんお給料をもらっていれば、貯蓄もできるし老後の心配もないかもしれないけれども、お給料が男性の半分しかないのに年金までまだ半分しかないと。これは国際的に見ても、大体男女の賃金格差が男性の半分なんて国は先進国にはありませんからね。だから、恐らく年金額も半分なんというのは、これはやがて国際的には非常に大きな問題になってくる、もう既になっているかもしれない、男女差別の大きなシンボルになってくるかもしれないと私は思います。そこのところは報酬比例部分ではなく、やはりぜひきちんと考えていただきたいと思います。
 続いて女性の問題ですけれども、別個の給付の特例措置を検討する際にぜひ今の点も配慮されたいのですが、女性の高齢者に着目した雇用政策を推進する必要があるのではないかということです。衆議院においては、別個の給付の特例措置については、次期財政再計算期までに十分な検討を行い必要な措置を講ずることとされております。この検討を行う際には、今申し上げたような点についてもぜひ配慮をしていただきたいんです。
 女性の離別、死別を含む単身者で、女性がみずから生計を維持していかなければならない場合、六十歳代前半の雇用の必要性は極めて高いと思うんです。しかも、一般的に高齢者雇用というとなぜか私たちも男性のことをイメージしてしまう、何かとても不思議な気がするんですが、女性の高齢者雇用の現実は男性以上に厳しいです。女性はもう四十五歳過ぎたらほとんどパートとかそういったところしかないと言われて久しいわけですけれども、雇用に当たって直面する困難さから考えれば、女性に着目した高齢者雇用施策を考える必要があるのではないか。ぜひ労働省の御見解を承りたいと思います。
#97
○説明員(太田俊明君) 先ほどから御議論ありますように、急速に高齢化が進展する中で我が国経済社会の活力を維持するためには、今後やはり二十一世紀初頭までに希望すれば六十五歳まで現役として働ける社会、これは男性だけでなく女性も含め、みんながそういう働ける社会をつくっていくことが極めて重要となっているわけでございます。
 先生御指摘の女性の高齢者につきましては、そのニーズを見てみますと、男性と比べると短時間勤務雇用や任意就業など普通勤務雇用以外の形態での就業を希望する割合が高く、その就業ニーズの多様化が特に顕著に見られるところでもございます。
 労働省としましては、こういった就業ニーズの多様化も踏まえながら、さきの通常国会で改正されました高年齢者雇用安定法及び雇用保険法に基づきまして、一つは六十歳定年制を基盤とした六十五歳までの継続雇用の推進、また高齢者の就業ニーズに応じた多様な形態によって働くことができるようにするための施策の実施、さらには高齢者の雇用継続を援助、促進するための高年齢者雇用継続給付の支給などを行うこととしております。
 また、先生御指摘のような方、特に女性の方が、就職を希望する場合には、ハローワーク、公共職業安定所におきましてもそれぞれのニーズを踏まえてきめ細かな相談や紹介を行うこととしております。
 こういった施策によりまして、女性の就業ニーズにも十分配慮しつつ、高齢者の雇用の推進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
#98
○竹村泰子君 きょうはおいでいただけませんでしたが、浜本大臣にもぜひその点きちんとお伝えいただきたいとお願いを申し上げたいと思います。
 パートタイムの問題に関しましては次に譲りますけれども、検討のめどだけお聞きしておきたいと思います。第三号被保険者の保険料負担、パートタイム労働者の取り扱いについて今後の検討のめどを伺いたい。次期年金改正までに一定の結論が出されると考えてよろしいでしょうか。
#99
○国務大臣(井出正一君) 第三号被保険者の保険料負担のあり方については、収入のない者に新たな保険料負担を求めることが、所得に応じて保険料を負担するという社会保険の仕組みとして適当かどうかといった問題などがございますから、今後とも慎重に検討してまいりたいと思います。
 また、パートタイム労働者に対する厚生年金の適用については、被用者はなるべく厚生年金の被保険者になっていただくという基本的な考え方に立って今後も検討してまいりたいと考えております。
#100
○竹村泰子君 検討のめどをお聞きしたんですが、それはちょっと今おっしゃるのは難しいでしょうか。
#101
○国務大臣(井出正一君) 次期改正を目途として努力します。
#102
○竹村泰子君 ちょっと違う問題ですが、寒冷地福祉手当というのがございます。私は北海道ですけれども、北海道の寒さは想像を絶するものがございまして、北海道など寒冷地域に住む人々にとって暖房は生活を維持していく上で必要不可欠のものでございます。このため、北海道の灯油代は量的に全国平均の三倍以上ということで、灯油購入は年金受給者の生活を非常に圧迫しております。
 私どもは、九二年の三月六日に寒冷地福祉手当支給事業促進法案というのを議員立法で出しております。一般に福祉灯油と言っているんですけれども、これは審議に入ってはおりませんが、こうした現状から北海道及び北海道の各市町村におきましては、老人世帯や身体障害者世帯などに対して冬季生活資金の貸し付けや灯油の給付を行っております。
 国においてもこうした単独事業に対して補助を行い、寒冷地における年金受給者の生活の安定を図っていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
#103
○政府委員(佐野利昭君) 先生御指摘のように、確かに北海道地域におきます灯油代といいますのは、全国平均で見ますと約三倍から三・五倍ぐらいまでになっております。そういうような実態を踏まえて、一部の地方自治体におかれましてはそれを補てんするような形での助成措置を講じられているということはそれなりに大変意義のあることであろうかと思っておるわけでございますけれども、ただ、いわゆる光熱水費などの年間平均を見ますと、実は東京地区も北海道地区も余り大きな違いがない、こういうデータもまた別途ございます。
 それからもう一つ、生活保護の家庭でありますとかあるいは施設の皆様方の生活費というような形につきましては、例えば冬季加算をつけるようなナショナルミニマム的なものでその面も差額補てんするというような制度もございますけれども、こういう灯油代のような一品目だけの格差でもってそれを補てんするというふうな形をとるのは国の施策としてはちょっととりにくいのではないか、こういうふうに判断をいたしております。
#104
○竹村泰子君 北海道の冬のように冷たいお答えなんですけれども、これはそう簡単にいかないということはわかっていてお聞きしているんですが、何とか次期改正のときに、本当にそういった方たちに国が何か援助の手を差し伸べることができないかどうか、ぜひ御検討いただきたいと強く希望しておきます。
 次に、農業者年金への女性の加入を認めてほしいんですね。農業者年金の問題について、これは農業自営業の老後の生活の保障や、後継者への経営移譲の促進を目指してこの農業者年金基金が制度化されたものですけれども、加入者が農業経営者本人に限られているわけですね。ですから、その配偶者は加入できない。農村は家族経営で行われておりまして、妻も夫と同じように農業に携わっております。来年度は農業者年金制度の改正時期でもありますけれども、女性も農業者年金に加入できるように速やかに制度改正を行うべきだと考えますが、見解を伺いたいと思います。
 平成二年には、衆参の農水委員会でこの点について附帯決議がついております。政府も来年度の改正に向けましてぜひこの点をお考えいただきたいと思いますが、これは農水と厚生と両方にお伺いをいたします。
#105
○説明員(新庄忠夫君) ただいま先生御指摘のように、現在我が国の農業専従者は女性が過半数を占めているというようなことで、非常に我が国の農業生産の重要な担い手になっているわけでございます。そういった農業における女性の役割の重要性を考慮するということは当然しなければいけないと思っております。
 また、一方で農業者年金は、先生御指摘のように経営の移譲、具体的には農地の権利の移動ということになるわけでございますが、農地の権利移動を通じまして適切な時期に後継者の方に経営移譲をしていただく。これは経営主の世代交代による若返りといいますか、そういった農業経営の近代化、あるいは一人の後継者に一括して農地を処分するということによりまして相続時の農地の細分化を防止する、あるいは第三者へ経営移譲するというようなことで第三者の規模の拡大を図っていく、そういったいわゆる構造政策としての年金でございまして、そういった点を考慮しなければいけない。
 さらには、農業に従事する女性につきましては国民年金の上乗せ年金というようなことで、全国農業みどり国民年金基金というものが整備してございまして、こういった点も踏まえまして、総合的な見地からこの問題を検討していかなければいけないというふうに認識しているわけでございます。
 先生御指摘のように、農業者年金につきましては他の公的年金と同じように五年に一回財政再計算というものを行うわけでございまして、来年の次期財政再計算に向けまして、現在、農業者年金の事業なり年金の財政あるいは今後のあり方につきまして幅広く検討するために、学識経験者から成ります農業者年金制度研究会というものを開催しておりまして、この問題につきましても年金研究会の議論を踏まえながら検討していきたいというふうに思っております。
 以上でございます。
#106
○政府委員(近藤純五郎君) ただいま農林水産省の課長さんがお答えしたのと厚生省も同じ立場でございますが、国民年金の他の被保険者とのバランス、こういったものを考えて、今農業者年金基金というのは非常に厳しい財政事情もございますので、この辺も踏まえて農水省ともども真剣に検討してまいりたいと考えております。
#107
○竹村泰子君 何かこういう、私どもから見るとなぜ女性は入れないのかと、大分農業者の女性の方たちからも要望が来ておりまして、ぜひ御検討願いたいというふうに思います。
 さて、余り時間がなくなってしまいましたが、既に先日、日下部議員が質問されました児童扶養手当の件なのですが、本日の質問は前回の質疑を踏まえた上でのものでございますから、くれぐれも同じことは繰り返さないでいただきたいとお願いをしておきます。
 まず、離婚した場合の父親からの養育費の支給状況、未婚の母で認知された場合の養育費の支給状況についてお伺いしたいと思います。どのぐらいでしょうか。
#108
○政府委員(佐々木典夫君) 離婚した父親の養育費の支給の状況につきましては、私どもの一番新しい昭和六十三年度の全国母子世帯等の調査でございますが、これによりますると、離婚世帯のうちで養育費を現在も受けている世帯というのが一四・〇%、それから養育費を受けたことがある世帯というのが一〇・六%でございます。一方、受けたことがない世帯というのが七五・四%というふうな数字になってございます。
 なお、未婚で認知した父による養育費の支給の状況については私ども把握をいたしてございません。
#109
○竹村泰子君 未婚の母で認知された場合の統計というのはないんですね。
#110
○政府委員(佐々木典夫君) 未婚のケースにつきましては、私ども把握をいたしてございません。
#111
○竹村泰子君 認知すれば父親が扶養するというのは実態に合っていないんですね、先日の判決の例でございますけれども。今の答弁でありましたように、離婚した場合においても養育費を受けている者は一四・〇%、一年間に一度でも受けたことがある人が一〇・六%しかないんです。七五・四%の人は離婚をしていても養育費を受けていない。まして未婚の母が認知された場合の養育費の支給状況がもっともっと低いことは、これはもう想像にかたくありません。未婚の母が認知されたことによって扶養義務が生ずるとしても、これが現実の養育費の支給に結びつくとは限らないわけです。
 厚生省は、認知すれば父親の扶養義務が生ずるからと言っていらっしゃるんですね。その扶養を待ちたいという見解のようですけれども、認知すれば父親が扶養するはずというその前提がそもそも間違っていませんか、この数字。大臣、いかがですか。
#112
○政府委員(佐々木典夫君) ただいま、認知をしても必ずしも扶養に直結しないわけでありますから、その点とうかというお尋ねでございます。
 現在、児童扶養手当法につきましては、離婚の母と子のケースにつきましては、認知がありますれば支給を停止する扱いにしておりますことは先般も御説明させていただきましたけれども、基本的に児童扶養手当は、父がいないあるいは実質的にいない家庭を前提としておる。そこには父親の扶養の責任というものを前提とした制度ができておる。
 一方、未婚の母のケースにつきまして、父親があらわれた場合、つまり認知をいたしました場合には、文字どおり民法の規定によりまして出生にさかのぼって親子関係を生じかつ扶養義務を生ずることでございますので、まずはその父親の扶養義務の履行を期待する、まずそれを見守るということで制度が組み立てられております結果、今のような構成になっているということでございますので、御理解をいただきたいと存じます。
#113
○竹村泰子君 それは理解できませんね。
 法務省にお伺いしますが、離婚した場合の父親の扶養義務は法律的にはどうなるんでしょうか。
#114
○説明員(小池信行君) 親と子は直系の血族でございますから、民法上は相互に扶養義務を負うということになります。ただ、子供がまだ幼少で財産がないというようなケースにおきましては、父母が専ら子に対して扶養義務を負うということになります。この関係は、父母が離婚をいたしましても、また離婚に伴いまして母が親権者に指定されたといたしましても影響を受けるものではございませんで、母とともに父も扶養義務を負うという関係には変わりはございません。
#115
○竹村泰子君 離婚した場合にも父親の扶養義務が存続することは当然です。しかし、同じように父親の扶養義務があるにもかかわらず、離婚した場合には、父親からの扶養がされない場合当然児童扶養手当が支給されるわけですね、離婚した場合に父親からの扶養がなければ当然手当が支給される。しかし、未婚の母の場合には、認知されれば扶養されなくても手当が打ち切られる。これおかしくありませんか。
 法務省、どうですか。未婚の母の場合には、認知されるや否や全く扶養がなされていなくても直ちに手当が打ち切られちゃうんです。矛盾しているとお思いになりませんでしょうか。明らかにこれは非婚の子に対する差別ではないでしょうか。この点について見解を承りたいと思います。大臣の御見解も承りたいと思います。
#116
○説明員(小池信行君) 厚生省所管の法律でございますので、私どもの方でコメントを申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思いますが、ただ民法上の問題といたしますと、婚姻外にある男性と女性との間で生まれた子供につきまして父親が認知をしたという場合は、これは積極的に親子関係を父親が認めたということでございます。
 歴史的に見ましても、西欧の諸国では、認知というのは親子の関係の扶養義務を発生させる最も大きなポイントであったわけでございます。そういう歴史的な事情を踏まえて見ても、認知をした場合に、まず父の子に対する扶養を期待するというのは一般の考え方としてはあり得る考え方かというふうに思います。これはあくまでも民法上からの考え方でございます。
#117
○政府委員(佐々木典夫君) 認知をした場合の離婚の場合との違いについておかしくはないかというお尋ねでございますが、御答弁をお許しいただきますと、これは繰り返しと言ってはなんでございますけれども、やはり児童扶養手当の仕組みから申しまして、離婚をした母子世帯の場合に、扶養義務のある父親に所得があります場合、まずはその認知後の父の扶養義務を優先するという扱いでございまして、基本的にはやっぱり離婚の場合につきましても、考え方としましてはこれは扶養責任が消えるわけではございませんので、その扶養責任を果たしていただくという考え方を法律上も制度的にはとっているところでございます。
 私どもとしましては、繰り返し申しますが、認知がなされるということは、父親があらわれて扶養責任を有しているわけでございますからそれを見守っていく。なおかつ申しますると、もしも認知後の扶養義務が必ずしも守れないようなケースがありますれば、これは一年以上遺棄されたケースということで該当いたします場合には、別途の規定によりまして児童扶養手当が支給される、こういう全体の法律構成になっております点を御理解賜りたいというふうに思います。
#118
○国務大臣(井出正一君) 児童扶養手当制度は、今局長が申し上げましたように離婚世帯と父のいない世帯に手当を支給するものでありますが、扶養義務を有する父が存在する場合には、父親としての扶養責任を果たすことを前提とした制度であると考えております。認知により父があらわれたという場合には、父がその扶養責任を果たすのをまず見守るのが制度の趣旨であるので、この点はひとつ筋を通させていただきたいと考えております。
#119
○竹村泰子君 認知されたら扶養の義務が生ずるわけでございますからというお答えです。さっきの数字、あなたがお出しになった数字でしょう。六十三年度は、離婚した夫からの養育費を受けている者は一四・〇%、一度でも受けた人は一〇・六%、一度もされたことがない人が七五・四%もいるんでしょう。認知されたからといって養育費を負う義務があると思いますか、こういう父親の状況の中で。それに、認知されたからといっていきなり手当を切ってしまうというのはまことに矛盾も甚だしいと私は思うんですね。
 児童扶養手当は、今大臣がおっしゃったように、父親と生計を同じくしていない児童に対してその子供の健全育成を図るために支給されるものですね。そして、父親と生計を同じくしていないために生活に困窮し社会的、経済的に多くの困難を抱えている状況は、離婚した子供であれ未婚の母から生まれた子供であれ変わりはないんですよ。それゆえ、法は未婚の母から生まれた子と両親が離婚した子供とを区別して考えてはいけない、法の平等に反する、憲法に反する、まして子どもの権利条約に反する、児童憲章に反する、すべてのものに反すると私は思います。その点とうお思いになりますか、イエスかノーかで結構です。
#120
○政府委員(佐々木典夫君) 確かに先ほど私は、離婚の家庭のケースの養育費の状況についてはお話しいただきましたようなことを御報告したわけでございます。
 ただ、御理解いただきたい点は、この法律につきましては、基本的に父のいない世帯に児童扶養手当を支給するというのが制度の基本でございまして、認知によりまして父があらわれてまいったわけでございますから、その父親の扶養責任をまず見守るという点については制度全体の趣旨からこれを組み立てておる、この点は重ねて御理解を賜りたいというふうに思います。
#121
○竹村泰子君 別の観点から伺いたいと思いますが、厚生省は認知によって父親の扶養義務が生ずることを何度もおっしゃいますけれども、それならば、既に父と生計を同じくしているときは手当を支給しないこととしている児童扶養手当法第四条第二項六号の規定がありますね。認知に伴って父親が扶養義務を履行すればこの法の規定によって手当は支給されないはずで、わざわざ施行令に認知された場合を除くなんという言葉は書く必要はないと考えますが、いかがですか。
#122
○政府委員(佐々木典夫君) 大変恐れ入ります。基本が、先ほど来申しておりますように父がいない世帯に出している制度でございます、一方、父が認知によってあらわれてまいったわけでございますから、その場合支給を打ち切るということで初めて全体としての、父のいない未婚の母と子に対する支給の規定というのは制度全体とのバランスがとれてくる、そんなような組み立てと私どもは理解いたしてございます。
#123
○竹村泰子君 認知されても扶養してもらえないと言っているんですよ。離婚しても扶養してないんです、日本の男性の多くは。全部とは言いませんよ。認知されても、だから扶養義務が生じる、条件的にはそうかもしれないが、生じないと言っているんです。もう答えはいいです。
 最後の質問にいたしますが、大臣も日本の男性のお一人でいらっしゃいますから、この問題についてちょっと大臣の御見解を問いたいんですが、大臣は前回の日下部議員に対するお答えでは大分予防線をお張りになっておられまして、ガードをかたくしておられました。私は隣で聞いておりましてそういう印象を受けたんですけれども、きょうはもう十分にリラックスしてお答えをいただきたい。そして、この問題が法のもとの平等、出生による差別の禁止という人権の問題、私は人権をライフワークとしておりますけれども、人権問題の根幹にかかわる問題であることについてどうか認識を新たにしていただきたい。
 思い起こせば、障害福祉年金と児童扶養手当の併給禁止の違憲性を問うた堀木訴訟、厚生省は第一審の違憲判決の翌年の昭和四十八年、控訴中にもかかわらず速やかに児童扶養手当法の改正を行われたではありませんか。そうですね。私は、このよき前例に倣って厚生省の速やかな対応を念願するものでございます。
 今後とも、大臣の得心がおいきになるまで何度でもディスカッションをさせていただくつもりでございますけれども、この問題についての大臣の御見解、官僚の答弁ではなくて、一人の議会人として、あるいは一人の男性としての大臣の率直な見解を承って、質問を終わりたいと思います。
#124
○国務大臣(井出正一君) 先生のおっしゃる、確かに生まれてきた赤ちゃんには、その父親が認知しようがしまいが赤ちゃんの生命の尊厳というのは私どもきちっと担っていかなくちゃならぬということはよくわかりますが、ただもう一方、やはり子供をつくるということはこれは親として大変な責任が伴わなくちゃ、簡単につくられたんじゃこれはたまらないなという気持ちも私は一方であることも事実であります。ましてや、この児童扶養手当というのはそれこそ国民のとうとい税金であれするわけでございますから、そういった意味では、やっぱりきちっとしたルールのもとにやっていかなくちゃならぬというふうにももちろん思っております。
 したがいまして、先ほど来先生御提案の認知により父があらわれたという場合のケースでは、父親がその扶養責任をまず果たしてほしいと思いますし、それを見守らせていただきたい、これは先ほども申し上げましたが、今もそう考えているところでございます。
#125
○日下部禧代子君 厚生省の平成五年の国民生活基礎調査を見ますと、高齢者世帯の所得のうち五四・一%を公的年金と恩給が占めております。また、公的年金と恩給のみを収入源とする世帯というのは高齢者世帯の四九・七%、ほぼ半数に達しているわけでございます。
 また、総務庁統計局の平成五年家計調査の概要を見ますと、高齢無職世帯の総収入が一カ月平均二十四万七十九円でございますが、そのうち社会保障給付が八〇・四%を占めております。一つまり、高齢者の生活というのは公的年金に非常に高く依存しているということがこの統計からもわかるわけでございます。
 今後、出生率の低下、それから平均寿命の延びに伴う人口の高齢化というのはさらに進んでいくというふうに予測されているわけでございますが、しかしながら国民の間には、公的年金の将来に不安を持っている者、あるいは不信感を持っている者、あるいは世代間における不公平感というものが払拭されているとは言いがたいわけであります。
 こういう中で今回年金制度の改正がなされているわけでございますが、こういう現状も踏まえまして、どのような公的年金制度の課題が、そしてそれをどのように解決していこうとなさっているのか、まず厚生大臣の御見解を承りたいと思います。
#126
○国務大臣(井出正一君) 我が国の年金制度は、国民皆年全体制のもと、老後生活に欠くことのできない重要な柱として多くの国民の皆様方の理解と支援のもとに充実発展してきたところでございます。
 このような年金制度につきましては、今後とも長い老後生活を確実に支えていくことが強く期待されておるものと思います。このため、年金制度を二十一世紀の超高齢社会にふさわしいものとするとともに、人口の高齢化や少子化が進行する中で、将来にわたり長期的に安定した制度としていくことが何よりも重要な課題だと思います。
 このような認識に立つとき、今回の年金改正法案は、活力ある長寿社会に向けて高齢者の雇用を促進するとともに、年金制度もこれと連携のとれた仕組みとすることと、もう一つは、将来の現役世代の負担を余り過重なものとしないよう給付と負担のバランスを図っていく必要がある、こういった観点から制度全般にわたり必要な見直しを行うものだと考えております。
#127
○日下部禧代子君 今回の年金改正が本当に国民のためのものになるようにという思いを込めまして質問をさせていただきたいと思います。
   〔委員長退席、理事菅野壽君着席〕
 ところで、私は一年半前、昨年三月二十六日の本院の厚生委員会で、年金問題に関して質問をさせていただいております。そこで幾つかの質問をさせていただきました中で、今それがどのように改善されているのかということを端的にお答えいただきたいと思います。
 まず、遺族年金の子供の加算の問題、これを十八歳到達年度末まで延長する問題がございます。二番目に年金の毎月払いの問題、それから三番目にスライドの一月実施問題、四番目に物価スライドを賃金スライドに改善する問題、次に育児休業中の保険料負担問題、次に国民年金第三号被保険者の届け出漏れ救済問題、次に遺族年金を夫の死亡後三カ月は従前額を支給する、そういう質問をさせていただきました。これは後ほど私、論議を深めたいと思っているものもございますので、簡潔に御説明をいただきたいというふうに思います。
#128
○政府委員(近藤純五郎君) 今回の改正によりまして先生が御指摘の点で改正事項が盛り込まれておりますのは、育児休業中の本人負担分を免除する、それから第三号の被保険者に係ります特例の届け出を実施する、それから児童扶養手当等の高校卒業時までの支給、十八歳の年度末まで延長する、この三点を盛り込んでおります。ほかの部分につきましてはいろいろ問題がございまして、入っておりません。
#129
○日下部禧代子君 それでは、今入っておりません、改善がされていない課題につきましては、後ほどまたいろいろと論議を深めさせていただきたいというふうに思います。ところで、長年の懸案でございました六十歳代前半の厚生年金のあり方につきまして、六十五歳未満の者に対する弾力化措置というふうな形で別個の給付というものが導入されたわけでございますが、その概要と考え方についてまずお伺いしたいと思います。そしてまた、それは同時に、前回改正の際に提案されました繰り上げ減額制度とどのように異なるのかという点も含めてお答えいただきたいと存じます。
#130
○政府委員(近藤純五郎君) 六十歳代前半の方に対します年金の支給のあり方について、いわゆる六十五歳問題ということで問題になったわけでございますが、私ども今回考えましたのは、二十一世紀の超高齢化社会が間もなくやってくるわけでこざいまして、これを活力ある長寿社会にするためには、現在の六十歳の引退社会といいますものを、これからは老人の活力も活用する、少なくとも六十五歳までは現役で意欲ある方は働いていただけるような六十五歳現役社会へ切りかえていく必要があると考えているわけでございます。年金制度につきましても、これに対応いたしまして人生八十年時代にふさわしいものに変えていく、こういう課題があったわけでございます。
   〔理事菅野壽君退席、委員長着席〕
 それで、このために高齢者の雇用の促進を図りますとともに、年金制度におきましてはこの雇用政策と連携を図りまして、年金制度自身も雇用促進的なものに改めていく必要がある、こういうことで、具体的には高齢者の生活設計のあり方といたしまして、六十歳前は賃金を中心にいたしまして、六十歳代前半につきましては高齢者雇用の促進を図りながら賃金と年金を中心とした両方で生活をしていく、それから六十五歳以降は年金を中心に生活設計を行えるように、こういうふうなことで六十歳代前半の年金につきましては六十五歳以降の老後生活の保障の中心であります年金とは別の給付として構成をする、その額については報酬比例部分相当の年金としたわけでございます。
 元年改正のときには六十五歳に支給開始年齢を引き上げるということで、希望する者についてはそれまでの間減額年金が出る、こういうふうな提案をさせていただいたわけでございますが、減額されますとそれは生涯減額された年金になるわけでございますが、この別個の給付の方式で行いますと、六十歳から六十四歳までについては別個の給付ということで報酬比例部分の年金が出るわけでございますが、六十五歳からは減額されない満額の年金が出る、こういうふうな形になるわけでございます。
    ―――――――――――――
#131
○委員長(種田誠君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、今井澄君が委員を辞任され、その補欠として清水澄子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#132
○日下部禧代子君 今御説明いただきましたものは、いわゆる雇用保険との調整内容も含めた御説明でございましょうか。さらにもう少し詳しく雇用保険との調整内容について御説明を加えていただきたいと存じます。
#133
○政府委員(近藤純五郎君) 失礼いたしました。
 雇用保険の給付と年金の調整でございますが、雇用保険の失業給付とそれから年金というのはこれまで併給されたわけでございます。考え方といたしまして、厚生年金の老齢年金は引退した方に実際に所得保障で出すというのが基本的な考え方でございますが、失業給付の場合には、就業意欲と能力がある、まだこれから働きたいという方でなおかつ失業しているという方に所得保障として出るわけでございまして、考え方としては矛盾があるわけでございます。
 それから、現実問題といたしまして二つの給付が併給をされますとかなりの額になるわけでございまして、六十歳以降就労を続ける場合の収入に比較しましても高い水準になるわけでございます。雇用保険は三百日支給されますので、十カ月失業給付をもらうと後は就業意欲がなくなるのではないか、こういう指摘もあるわけでございます。
 それから、同じ離職の期間に対しまして所得保障を二つの制度から行うというのはやはり社会保障として過剰ではないか、こういうふうな考え方のもとに、六十歳代前半において失業給付を受給される場合には失業給付を優先いたしまして老齢厚生年金については支給停止をする、こういうふうな調整を行うことにいたしたわけでございます。
 それから、ことしの通常国会で雇用保険法の改正によりまして創設されました高年齢雇用継続給付との関係でございますが、賃金にその一定割合を上乗せした公的な現金給付が出ることになったわけでございます。これは失業給付にかわって出る同質の給付というふうに理解をいたしているわけでございまして、賃金や失業給付との調整に準じまして年金額につきまして一定の支給調整、具体的には四割程度をカットする、こういうふうな調整を行っていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
#134
○日下部禧代子君 ということになりますと、こういうことも言えるかと思うんですが、年金で雇用保障の肩がわりをしているような感じにも受けとれかねないのですけれども、そういうことではないのですね。
#135
○政府委員(近藤純五郎君) 年金はあくまで引退された後の、老後になって職業生活から引退した、こういうことで所得が減った、これを補てんするために所得保障という形で出るということでございます。
#136
○日下部禧代子君 雇用保険との調整につきましては、その実施時期について考慮できないかというふうなお声もあるわけでございますが、この点についていかがでございましょうか。
#137
○政府委員(近藤純五郎君) 雇用保険の関係はできればすぐというふうな考え方もあったわけでございますが、すぐやりますと老後の生活設計にも影響する、こういうふうなこともございまして、八年の四月から実施するということにいたしていたわけでございますけれども、これは衆議院の修正によりましてさらに二年間延びまして、平成十年の四月からということでかなりの猶予期間が設定されたというふうに考えております。
#138
○日下部禧代子君 別個の給付につきましては、今おっしゃいましたように衆議院の厚生委員会におきまして、「別個の給付の特例措置については、次期財政再計算期までに、十分な検討を行い、必要な措置を講ずること。」という附帯決議がなされているわけでございます。
 さらに、働く人々の最大の団体でございます連合からは、六十歳から満額年金を支給する特例措置である四十五年以上加入者と障害者に加えて、働きたくても働けない場合として、病気やけがで就労することが困難な者とか、家族の介護のために就労することが困難な者を加えてほしいというような強い要望も出されているわけでございますが、厚生省はこの衆議院の厚生委員会における附帯決議や、今申し上げたような働く人々からの要望を踏まえて、今後どのような対応をとるおつもりなのでございましょうか、お伺いしたいと思います。
#139
○政府委員(近藤純五郎君) 働きたくても働けない方については、別個の給付の特例措置で六十歳から満額の年金を出したらどうかという考え方が前々からあったわけでございます。
 私ども、この例外措置の対象といたしましては、働くことが困難であるということの認定が客観的に行われる必要がある、こういうふうなことと、あるいは現役世代とのバランスが必要である、こういうふうなことで障害年金の障害等級に該当する方を対象にしたわけでございます。そういうことで客観的な基準を満たし、なおかつ現役とのバランスがとれるのかな、こういうふうに考えているわけでございます。
 これにさらにプラスアルファの認定基準を設けることにつきましては、現役とのバランスとか、それから客観的な認定基準というのが本当にできるのか、こういうふうな疑問もございました。非常に難しい問題であろうかと思いますけれども、附帯決議でもございますしせっかくの御提案でもございますので、今後慎重に検討してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#140
○日下部禧代子君 ぜひとも働く人々のそういった要望、そしてまたこれから退職しようとする人にとっては今までもらえるものだと思っていた、そういう期待感というものもあります。そういうことも考慮して、この問題というのは非常に大きな問題でございますので、国民が理解できるような対応をしていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 次に、スライド方式の問題についてお伺いさせていただきたいというふうに思います。
 厚生省は、今回の国民年金法等の一部改正法案におきまして、厚生年金の五年ごとに行われる財政再計算による年金額の引き上げにつきましては、従来の所得スライドから、所得から税金と社会保険料を引いたいわゆる可処分所得によるスライド方式にしたというふうに言われております。
 その前にちょっと確認しておきたいのでございますが、可処分所得につきましては、提案理由説明では実質的賃金、厚生省のパンフレットなどではネット所得、そのほか手取り賃金などの表現がなされておりますが、このような表現の違いというのは、年金を受給する側の高齢者にとってもそしてまた一般の方にとってもこれは混乱を招くことになります。今申し上げた可処分所得、ネット所得、実質的賃金、手取り賃金、その定義あるいはその違いそしてこの表現をお変えになっていらっしゃる理由などをまず聞かせていただきたいと思います。そしてまた、これは法律上いささかの違いがあるのでございましょうか。
#141
○政府委員(近藤純五郎君) 先生御指摘の可処分所得、ネット所得、それから実質的賃金、手取り賃金、これはすべて私どもとしては同じものを指すということで使わせていただいたわけでございます。
 恐らく、一番正確には可処分所得スライドであろうと思いますけれども、それが一般の方にどれほど理解していただけるんだろうかということで、いろいろ知恵を絞ってネット所得、これはグロスに対しますネットだということで割とわかりやすい。それから実質的賃金、これは時々誤解されるんですが、実質的賃金といいますと物価スライドみたいな感じを受ける、実質価値を維持するというふうな印象を受けるんですが、名目に対しまして実質的というのがわかりやすいんではないか。端的に、俗っぽい言葉では手取り賃金ではないかと。
 いろいろ工夫した結果が不統一な形で出てきているわけでございますけれども、実際の基本的なコンセプトは、先生先ほど御指摘のように、税と社会保険料を除いた賃金、これを可処分所得なりネット所得と言っているわけでございまして、すべて同じ内容のことを、講学上の定義というのは必ずしも明確なものはございませんけれども、何とか国民の方に少しでもわかってほしい、こういう趣旨でいろいろ使わせていただきましたが、これからはもう少し統一的に使わせていただきたいというふうに考えております。
#142
○日下部禧代子君 今おっしゃいましたように、大変好意的に国民の理解ができるようにというふうな御配慮がかえって混乱を生じさせているというふうにも思えるわけでございます。年金の問題というのは非常に皆さん関心を持っていらっしゃいますので、これから一つ一つの表現についてもやはり注意をしていただきたい、混乱を招くようなそういう言い方は避けていただければというふうに申し上げておきたいと思います。
 ところで、数字でございますが、厚生年金のモデル年金額と、それから現実に受給されている平均受給額は幾らでございましょうか。老齢年金でございます。
#143
○政府委員(近藤純五郎君) 今回の財政再計算に当たりましては、特別のモデル年金というのはつくっておりません。
 私どもがよく申し上げておりますのは、一番把握できる最新の年度、平成四年度でございますが、平成四年度に新たに年金をもらい始めた者の平均月額、これを使わせていただきまして、これに基づいて今回どれだけふえるのか、こういうことを言っているわけでございますが、その平成四年度に新たにもらい始めた方の平均月額が二十万三百円でございます。これが今回改正後は二十一万四千三百円になります。
 それで、平成四年度の全受給者の平均額は十五万六千五百円という額でございます。これは改正後の額というのはちょっとわかりません。恐らくこれより七%程度伸びているんではないのかと、これは平均月額がちょうど七%ぐらい伸びておりますので、恐らくこれに比例して伸びているんではなかろうかということだけでございます。
 それから、いわゆるモデル的といいますか、制度的な成熟モデルというのを制度的な水準と申し上げておりますけれども、将来加入期間が四十年になりました場合の制度の成熟時の厚生年金額の水準としてこれまでもお示ししたわけでございますが、これは夫婦一人一つずつの老齢基礎年金、これが合計で二つ、それから老齢厚生年金が一つ、こういう水準でございますが、この合計が二十三万一千円でございます。
#144
○日下部禧代子君 実際に受給されている平均が十五万六千五百円というのは、これは相変わらず実際の給付額というのは高いとは言えない、非常に低いというふうに言ってもよろしいのではないかと思うんですね。
 実際に給付水準が低いのに、ネット所得によるスライド方式を導入なさったという意味をこれからお伺いしたいと思うわけでございますが、厚生年金の水準につきましては、現役世代の名目賃金の六九%からネット所得の八〇%になるというふうに承っておりますが、一体その給付水準というのはどのように違ってくるのかということをまずお伺いしたいと思います。
#145
○政府委員(近藤純五郎君) ネット所得のスライドを導入いたしまして、本来どれだけ伸びるべきものが伸びないのかということでございますけれども、これは平成元年の改正時点から今回の改正までのネット所得の動きでございますけれども、九九%でございます。したがいまして、グロスの標準報酬の伸びは一七%伸びておりますので一六%の伸びになる、こういうふうなことでございます。
 将来的にどの程度まで下がるかということは、この辺では今後のネット所得スライドがどうなるかによって変わってくるわけでございますけれども、私どもこれからの財政の見通しで計算しておりますのは、年金の保険料は確実に上がっていく、これを土台にいたしましてはかの税金でございますとか医療保険の保険料、こういったものは一応今までどおりという形で、それを捨象しまして計算をいたしますと、現在の制度的な水準というのは六八%でございますけれども、非常に大胆な推計でございますが、これが二〇二五年には六四%程度ではないか、こういうことでございます。
#146
○日下部禧代子君 将来的には、いわば給付の引き下げということになるのではないでしょうか。
#147
○政府委員(近藤純五郎君) 名目の賃金で伸ばす場合に比べますと引き上げが鈍化するというのは確かでございますけれども、現役の方から見ますとネットの所得というのはそれほど伸びていないわけでございまして、ネットの所得で年金額をふやしますと、これは現役が実質的にはふえないにもかかわらず年金の方だけはふえていく、これはやっぱり年金の受給世代とそれから現役の負担というのはバランスが崩れてくるのではないか、こういうふうなことでございますので、ネット所得との関係では変化はない、こういうことになるわけでございます。
#148
○日下部禧代子君 では、現役世代の名目賃金の六九%からネット所得が八〇%になるという、その数字の根拠というのはどういうところにございますか。
#149
○政府委員(近藤純五郎君) 六八%が六四%になるということでございますが、これはこれから年金の保険料がふえてまいりますので、その点で将来の年金額のアップというのはその分だけ落ちてくる、こういうことでございます。六八%とか六四%の基準はこれは名目の賃金に対する割合でございますので、ネット所得スライドに対する割合は今と変わらない、こういう関係になるわけでございます。
#150
○日下部禧代子君 ネット所得による二階部分の年金のスライドにつきましては名目賃金スライドから手取り賃金スライドになったというふうに言われておりますが、それによる再評価率というのは、平成元年設定の現行の再評価率に従来方式による再評価率一・一六を掛けて、そしてさらにネット所得割合の変化〇・九九を掛ける、そして一・一六となったというふうに御説明いただいていると思いますが、この際に用いた〇・九九という指標は家計調査によるものなのかあるいは標準報酬と年金保険料を勘案したものなのか、その根拠をお示しいただきたいと存じます。
#151
○政府委員(近藤純五郎君) 基本的には家計調査によるものでございますが、標準報酬と年金の保険料によりますものをとりましても〇・九九ということで、年金でとっても同じものであるということで〇・九九という数字を使わせていただいたわけでございます。
#152
○日下部禧代子君 その家計調査でございますけれども、この家計調査には単身世帯というものが含まれていない、つまり家族単位である。そしてまた、年金を今受けていらっしゃる年金受給者にとっては不利であるというふうな点だとか、一階部分と方式が異なっているなどさまざまな問題点が指摘されているのは御承知のとおりだというふうに思うんでございますが、このような観点についてはどのようなお考えを持っていらっしゃいますでしょうか。
 総理府における家計調査というのは、今後単身世帯を加える方向で検討されているというふうに私は聞いておりますけれども、厚生省の方としてはこれはいかがでございましょうか。
#153
○政府委員(近藤純五郎君) ネット所得スライドを導入するときにどんな指標を使うかということで、我々いろいろ検討をいたしまして年金審議会にも諮ったわけでございます。
 はっきり申し上げて決定的なものはなかったわけでございますが、一つは先ほど申し上げました家計調査のもの、それから標準報酬と年金保険料の関係のもの、これには当然のことながらボーナスも加味した指標として使うわけでございます。そのほかに、非常に有力な案といたしまして国民所得ベースのものを使う、こういうのがあったわけでございます。ドイツはこの方式によっているわけでございます。
 私どもはこの方式にできないかというのをかなり検討したわけでございますけれども、残念ながら、この統計が出るのが非常に遅いとかいろいろな問題もございまして、まだそこにそれをそのまま使えない、こういう技術的な問題もございまして、一番ポピュラーに言われている家計調査というのを今回は基本にしているということで、次回以降は国民所得のものも含めてさらに研究を進めていかなければいかぬと考えております。
 家計調査自身もいろいろ問題点というのを指摘されているのも私ども承知しておりまして、家計調査の弱点も補いながら、これからさらにもっと詳細な学問的といいますか、精査をさせていただきまして、次回以降についてはさらに研究を進めたい、こういうふうに考えているわけでございます。
#154
○日下部禧代子君 この指標というものをどのように設定していくかということは非常に重要な問題でございます。不公平感というものをなくすということにつきましても、どのような指標をどのような調査から設定していくのかということにつきましては、ぜひとももっともっと考慮と御検討をお願いしておきたいというふうに思うんです。
 その際、いわゆるこのネット所得ということを考えるときに、年金受給者のネット所得というものもやはり考慮する必要はないのかなというふうに思うわけでございます。年金受給者も税金あるいは社会保険料を負担しているのでございます。そういったことを考えますと、やはりそういった配慮ということも必要ではないかというふうに思いますが、いかがでございますか。
#155
○政府委員(近藤純五郎君) このネット所得スライドを導入するときに、ドイツでも先生おっしゃったような受給者の方に導入されている、こういうことで私ども入れたらどうかという線で検討したわけでございます。
 しかし、実際いろいろ検討した結果、家計調査で出てくる数字で見ますと、基本的には高齢者の関係はかなり優遇されてきているせいかわかりませんけれども、可処分所得ははっきり申し上げて上昇傾向にあるわけでございます。現役の方は、もちろん可処分所得は税金とか保険料がふえて減っているわけでございますけれども、高齢者の方は逆の動きをしておりまして、その数字を使いますと年金額をさらに下げる、こういう効果になるわけでございます。
 ただ、これのデータが非常に少ないということもございましてさらに検討を進めなきゃいかぬわけでございますけれども、どういうふうに可処分所得の率と傾向をたどるか見きわめながら、今後これを導入するかどうかは検討したいというふうに考えております。
#156
○日下部禧代子君 ぜひともその検討の経過というものを国会でお示しいただきたいということを要望して、次の質問に移りたいと思います。
 次は国民年金の問題でございますが、現在、国民年金の老齢基礎年金の平均受給額は幾らでございますか。
#157
○政府委員(近藤純五郎君) これも平成四年度末の数字でございますが、老齢基礎年金の平均年金額は三万七千三百円でございます。国民年金の当時の基礎年金額は、今の六万五千円に対応いたしますのが六万四百円でございます。
 これがなぜ三万七千三百円になったかということでございますけれども、五年年金とか十年年金をもらっている方が非常に多いわけでございます。いわゆるこういう経過年金が残っているということ。それから、繰り上げの減額年金をもらわれている方というのが三分の二いらっしゃいまして、これが平均年金額を押し下げている理由になっているわけでございます。
#158
○日下部禧代子君 本当に低い水準だというふうにもうお認めにならざるを得ないだろうと思うんですね。ですから、名目が幾らということよりも実際の受給額というものに着目した形でやはり議論を進めていただきたいというふうに思うわけでございます。
 ところで、今度の基礎年金月額六万五千円というふうになるわけでございますが、この根拠について、またその計算方法についてお示しいただきたいと存じます。
#159
○政府委員(近藤純五郎君) 今回の改正で基礎年金の水準を六万五千円にしたわけでございますけれども、平成元年の改正のときに月額五万五千五百円だったわけでございますが、それ以降の現役世代を含めました全世帯の消費水準の伸び、これが一七・四%程度であったわけでございます。それから、全世帯の一人当たりの基礎的消費支出の伸び、これが一六・六%でございました。そのほか、決まって支給いたします給与、これが一六・六%、こういう一七%前後の伸びになってきているわけでございます。
 こういった全世帯の消費水準の伸び等を総合勘案いたしまして、生活水準等の向上に応じて五万五千五百円を六万五千円ということでございまして、特別の計算式はございません。
#160
○日下部禧代子君 それでは、この六万五千円というので高齢者の基本的な、基礎的な生活が賄えるというふうに思っていらっしゃるんでしょうか。そしてまた、現実には今三万七千三百円という低い水準にとどまっているわけでございますね。これは経過年金あるいは繰り上げといった問題がクリアされていけばいわゆる六万五千円に近づいていくというふうなお考えでしょうか。
 やはりこの辺の問題というのは、ただ水準をここに置いたというだけではなく、現実ということといつもフィードバックをしながら考えていかなければならないというふうに思うのでございますが、いかがでございましょうか。
#161
○政府委員(近藤純五郎君) 水準として申し上げますと、基礎年金で全部の生活を賄うわけではございませんし、まして基礎的な年金でございますので、衣食住を基本としているということでございます。
 この基礎的な消費支出で見てみますと、老人の夫婦世帯の基礎的な消費支出というのは十一万二千円程度でございますし、全世帯の二人世帯の基礎的消費支出を見ますと十二万五千円程度でございまして、水準としてはこの水準を超えていることになっているわけでございます。満額の年金を待って支給を受ければかなりの水準というふうに考えているわけでございますが、残念ながら経過年金というのはまだかなり残っております。
 それから、減額されても早くもらいたいという方もまだまだ多いわけでございまして、こういう人たちが何とかそこは歯を食いしばって頑張っていただきまして満額の年金をもらえるというふうにしますれば、まさに私ども申し上げている水準に近づいてくる、こういうふうに考えているわけでございます。
#162
○日下部禧代子君 夫婦で十一万二千円、これはもう本当にかなり厳しいのではないのかなというふうに思います。
 ところが、これは今御夫婦でというふうにおっしゃいましたけれども、単身者というのもいっぱいいらっしゃるわけですね。高齢になりますと配偶者を失う方々というのは、特に女性の場合には多いわけでございます、もちろん男性だっていらっしゃいますけれども。夫婦と単身者、その給付水準というのはかなり違うんではないか、例えば単身者の場合、生活保護と比べていかがでございますか。夫婦の場合ですと、生活保護と比べてどっちがどうなっているのでしょうか。
#163
○政府委員(近藤純五郎君) 六年度の生活保護基準との比較でございますが、御承知のとおり生活保護は級地によって異なりますので、平均的なところは大体二級地の一というのを使っているそうでございます。これは県庁所在地等の場所の額でございますが、単身者で六十五歳でございますと、七万二百一円になってございます。
 それから、夫婦の場合の一人当たりの額でございますが、夫六十八歳、妻六十五歳でございますが、生活扶助費の額は二で割りますと五万三千百七十二円、こういう扶助費になっているわけでございます。確かに単身の場合では非常に厳しい水準であることは否定し得ないわけでございますけれども、何度も申し上げますけれども、年金というのはそのすべての生活を賄うというものではございませんで、定型的な夫婦の生活を想定いたしました水準の設定という形になっているわけでございます。
#164
○日下部禧代子君 今、典型的な家族の形というふうに、夫婦の形とおっしゃいましたか、でも、やはりこれからは単身者というのも非常にふえていくだろうと思います。特に高齢者にとりましては結婚なさっていらしても単身になる、先ほど申し上げたようにそういう場合がございます。したがいまして、やはりここでも家族のあり方というのは夫婦であるということが前提ということではなく単身者もあり得るという、そういう多様な家族のあり方というものを考慮に入れた上での年金水準、基礎年金の水準というものを考えていただきたいということを要望しておきます。
 次に、スライド方式の変更ということにつきまして御質問いたします。
 財政再計算により五年ごとに年金額が見直されているわけでございますが、お年を召した方々、高齢の年金受給者の方々にとっての実態というものに余り即していないんじゃないかというふうに思われるわけでございます。高齢になられでのこの五年間の年月というのはかなり大きなものでございます。この間に不幸にも死亡なさった年金受給者というのは、物価スライドの改正分しか改善の適用はないわけでございます。
 そこで、毎年の年金額の物価スライドを賃金上昇に合わせたいわゆる賃金スライドに改善すべきではないかというお声がかなり高いのでございますが、この辺の問題につきましてどのようにお考えでいらっしやいましょうか。
#165
○政府委員(近藤純五郎君) 年金額の改定につきましては、先生御指摘のように五年ごとの財政再計算期に決めさせていただいているわけでございまして、その際には、国民の生活水準でございますとか賃金の変動等を考慮して水準の設定を行っているわけでございます。これはやはりそれを負担するという面とかかわりがあるわけでございまして、必要な保険料の設定との見合いで給付の改善を行うということで、保険料がすべてじゃなくて両々相まって決まるということでございます。それ以外の年につきましては、年金の実質的価値の維持というために前年の物価の上昇でスライドをするということが適当ではないのかというふうに考えているわけでございます。
 それで、毎年度の年金額の改定の指標として何を用いるのが適当かということでございますけれども、先ほども申し上げましたように、将来の保険料負担との関連に一番留意する必要があるわけでございまして、実質的な価値を維持するという点からは物価で行うという現在の方法が一番いいのではないか、こういうふうに考えている次第でございます。
#166
○日下部禧代子君 物価スライドを行うにしてもその前年の消費者物価指数により決まるということであるならば、四月実施ではなく一月実施というふうにはできないのでしょうか。
#167
○政府委員(近藤純五郎君) この物価スライド制ができましたのは昭和四十八年の改正だったわけでございますけれども、そのときは年度ベースの消費者物価指数を用いていたわけでございます。そのときに、厚生年金は翌年度の十一月から、それから国民年金は翌年度の一月改定と、こういうふうな仕組みになっていたわけでございます。早くしてほしい、こういう要望というのは当時非常に強かったというのを記憶してございますが、昭和六十年の改正で、いずれもそのベースになります消費者物価の上昇率を前年の暦年ベースに改めましてそれでやっと四月から改定できるようになった、こういうことでございます。
 物価の統計は総務庁から出るわけですが、年末のものは通常一月末に発表されるわけでございまして、そのときに年平均の消費者物価指数が出るわけでございます。これを踏まえまして年金額を改定するという仕組みになっているわけでございますが、できるだけ早い時期ということで四月にいたしたわけでございまして、これ以上早くということはなかなか難しいというふうに考えている次第でございます。
#168
○日下部禧代子君 その難しい理由というのは、どういうことが一番難しいことになりますか。
#169
○政府委員(近藤純五郎君) 一月末に出るわけでございまして、その分を一月から上げるといいますのは、それ以降にもかなり時間がかかりますので実務としてはとても間に合わない。そうしますと、またそれを前の年にずらすとか、データになります消費者物価のものをさらに先に繰り延べるとかいう方法をとらないといかぬわけでございますけれども、これはどこまで行っても切りがないことになるわけでございます。今の形態で四月から改定、これは賃金等も四月から改定しているわけでございますので、一月からということは余り必然的な理由はないのではないか、こういうふうに思っている次第でございます。
#170
○日下部禧代子君 ぜひとも年金受給者の生活実態に合わせた形で御配慮、御考慮をいただいてこれからの改善をしていただきたいということを強く要望して、次の質問に移りたいと思います。
 次に、女性の年金の問題でございます。これは同僚議員、清水委員そして竹村委員もお触れになったことでございますが、まず老齢厚生年金及び老齢基礎年金の平均受給額の男女別の金額をお示しください。
#171
○政府委員(横田吉男君) 厚生年金の老齢年金の平均年金月額でございますが、平成四年度末におきまして男子が十八万五千円、女子が十万円となっております。
 また、国民年金の老齢年金の平均年金月額でございますけれども、平成四年度末におきまして男子が四万一千円、女子が三万五千円というふうになっております。
#172
○日下部禧代子君 特に厚生年金の老齢年金というのは、半額とは言わないまでも、男性が十八万五千円に対して十万円と非常に格差が高いわけでございます。
 これは男性と女性をどのような年金制度に加入しているかということで見ますと、例えば平成三年でございますと、男子ですと七五%が被用者年金に入っていらっしゃる。そして二四・八%が国民年金に加入されている。それに対しまして女性の場合は、被用者年金に加入していらっしゃる方というのは三五・七%しかいない。そして第三号被保険者と言われる方々というのが三五・九%、約四〇%近くが基礎年金とそれから被用者である夫の年金ということが女性の老齢年金を受けている方々の実態でございます。
 これは当然のことでございますが、先ほどからも御議論がございましたように、男性に比べて就業する割合が低いということ、そしてまた就業したとしても勤続年数が短い、あるいはまた職種が違う、さまざまな要因があるというふうに言われているとおりでございます。
 ところで、今回の年金制度改正の中で女性の年金権確立のため、女性の年金権と申し上げてよろしいと思いますが、確立のための改正内容というのはどのようなものがなされたのでございましょうか。
#173
○政府委員(近藤純五郎君) 今回の年金法の改正で女性に関係深いと考えられる事項といたしましては遺族年金の関係でございまして、遺族厚生年金と老齢厚生年金の調整の改善が一点、それから二点目といたしまして第三号被保険者の特例届け出の実施、それから三番目は育児休業中の厚生年金保険料の本人負担分の免除、こういうものがございます。
#174
○日下部禧代子君 それでは、年金制度における育児支援というのは、いわゆる育児休暇期間中の保険料の免除ということだけでございますね。
#175
○政府委員(近藤純五郎君) そのとおりでございます。
#176
○日下部禧代子君 女性にとって老齢年金受給資格を取得するまで先ほども申し上げましたように職業活動をなかなか継続できないという状況が、例えば子育てということあるいは年とった親の介護というふうなことでできない場合が男性に比べて多いわけでございます。また、子育てが一段落して職場に復帰する場合、賃金あるいは職種などについて不利になることも多いことは御案内のとおりでございます。
   〔委員長退席、理事菅野壽君着席〕
 さまざまな配慮がなされなきゃならないのにもかかわらず、残念ながら育児休暇の保険料の免除ということだけでございます。
 例えば他の国におきまして、これは御承知と思いますが、フランスですと、養育した子一人について二年間の被保険者期間の加算を認める。あるいはペアレンツリーブ、これは両親休暇、育児休暇と言ってもよろしいと思いますが、その期間を老齢年金拠出期間とする。それからまた、拠出制の最低年金と子の数に応じた加算制度、これは一九八三年でございますか、導入されている。フランスではそういう配慮がなされております。
 例えばまたカナダですと、七歳未満の子の養育のため職業生活を中断した場合、その期間を年金資格期間とする。あるいはまたスウェーデンでは、三歳未満の子の養育のために六カ月以上一年以内職業生活を中断した場合には、一年分の補足年金が保障されるというふうな配慮がされているわけでございます。
 我が国は出生率の低下ということが非常に大きなこれからの課題になっている。そういう状況におきまして、やはり年金制度における育児支援、そういった政策というものをまじめにもっともっと検討しなきゃならないというふうに思うわけでございますが、いかがでございましょうか。大臣にお伺いします。
#177
○政府委員(近藤純五郎君) 年金制度といってどこまで育児支援はできるのかということで私ども考えたわけでございますが、育児休業法ができておりまして、その育児休業法に準拠しまして、それに対応した形で年金保険料のセットをさせていただいたわけでございます。
 先生御指摘のような各国につきましては、育児に対します社会の目といいますか、これが非常に温かいといいますかあついというものがあろうかと思うわけでございまして、そういう面で育児の関係にはいろいろな制度からいろいろな支援があるということでございます。残念ながら日本の場合には、育児はやはり親のものだというふうな感じが非常に強うございまして、社会的な支援というのはなかなか手がつかなかったということでございます。
 今回、私どもは年金制度にとっても非常に大事な育児支援というふうなことで、今まではっきり言えばタブーに近いようなテーマであったわけでございますけれども踏み切ったわけでございまして、厚生年金でいいますと月額一万六千九百円ぐらい、それから政府管掌健康保険でも八千四百円ということで、月額二万五千円ぐらいの金額に平均的にはなるということでございまして、短い期間でありますけれども一つの萌芽としては意味がある制度ではないのか、こういうふうに考えているわけでございます。
#178
○日下部禧代子君 私、意味がないと申し上げたわけでございません。他の国に比べると配慮が足りないのではないかということを申し上げたのでございます。
 この際、これを機会にいたしまして、ぜひとも格段のといいましょうか、何も少しずつじゃなくてよろしいわけでございます、大胆な改革、変革ということもこの際やらなければならない、そういう時期ではないかというふうに思うわけでございますが、大臣いかがでございますか。
#179
○国務大臣(井出正一君) 育児支援の一環としてただいまの厚生年金保険料の免除もあるわけでございますが、これから厚生省内でも、あるいは関係省庁とも、また先生方にもお知恵をおかりしてエンゼルプランの実行を早急に詰めていかなくちゃならぬわけでございます。いろんな案はあるんですが、果たしてどの程度有効なのかなというのが、正直なところ私自身も、これをやれば大丈夫だというのをまだつかめないのも事実であります。
 これは大変予算が要ることですから、すぐにできるかどうかまだ検討しなくちゃなりませんが、例えば育児休業手当みたいなものを、まさに社会的支援として少しずっというか、考えられないかなというようなことも私個人的には考えておるのでありますが、少子化対策に一番有効といいましょうか、少しこれやればかなりのあれが見通せるぞといったようなものをまたいろんなお知恵をおかりしてぜひ打ち出していきたいと考えております。
#180
○日下部禧代子君 ぜひとも、年金制度のみならず社会保障制度の中で今おっしゃったような観点をさらに具体的にしていっていただきたいということを強く要望いたしまして、次の質問に移ります。
 ところで、遺族年金でございますが、今回女性が選択をすることができるという一つの幅ができたわけでございますが、これで夫の遺族厚生年金と本人の老齢厚生年金との併給調整というものは今回の改正で十分だというふうにお思いでしょうか。
#181
○政府委員(近藤純五郎君) 遺族年金とそれから自分の老齢厚生年金との関係でございますが、先ほど来語がございましたように、女性の年金が、老齢厚生年金が低いということもございまして、実際にもらえる年金は夫の遺族厚生年金である。したがって、自分の年金というのは無に帰するんではないか、こういう御指摘があったわけでございますが、今回の改正によりましてかなりの程度、二分の一、二分の一ということになったわけでございますので、自分の年金が残る道というのは非常にふえたということが言えるんではないか。
 もちろん、自分自身が非常に高い年金をもらっている方については影響はないわけでございますけれども、夫の老齢厚生年金の半分より多い方についてはプラスの影響があるわけでございますので、それなりの効果があるのではないかというふうに思っております。
#182
○日下部禧代子君 今ちょっとお触れになりましたけれども、給与が夫の二分の一以下という場合には、やはり妻の保険料というのは掛け捨てになってしまいますね。そうなりますか。
#183
○政府委員(近藤純五郎君) 従来どおり遺族年金を受給した方がいいということになりますので、その場合は今までと変わらないということになるわけでございます。
#184
○日下部禧代子君 やはり先ほどから申し上げておりますように、女性の賃金の問題、それが老齢年金に悪い意味で反映されてしまうというふうな状況の中で、やはり遺族年金の問題というのはもう少し考慮をされていかなきゃならないなというふうに思うわけでございます。
 ところで、今回の遺族年金にかかわる生計維持認定基準の引き上げ、この理由はどういうところにございますか。
#185
○政府委員(近藤純五郎君) 生計維持の年収で六百万というのが決まっていたわけでございますけれども、これはその後における賃金のアップを考慮いたしまして八百五十万円に引き上げたわけでございます。
#186
○日下部禧代子君 将来五年間の収入を勘案するというのはどういう理由でございますか。
#187
○政府委員(近藤純五郎君) 法律の規定で将来五年間程度ということになっているわけでございますが、これは共済年金の制度をこちらの方に持ってきたということで、余りにも高い収入がある方につきましては遺族年金を御遠慮願いたい、こういうふうな趣旨で入ってきたわけでございまして、これからその見通しがある程度長く続く人については御遠慮願う、一時的な所得であればそれは結構ですよという意味だろうと思います。
 先ほどの八百五十万円の根拠でございますけれども、平成三年の厚生年金の標準報酬月額の上位一〇%ということでございますので、これが八百三万円でございます。これを六年度まで延ばした数字が八百五十万円程度でございまして、上位一〇%になりますのでかなり高い年収の方というふうに理解しております。
#188
○日下部禧代子君 わかりました。その御遠慮いただくのはどうかということについてはちょっとここで議論をする場ではないというふうに思いますので、次の質問に移ります。
 今、遺族年金と申しますと妻が受け取るという形でお話を進めてまいったわけでございますが、これから女性が社会参加、社会進出してまいりますと夫に対する遺族年金ということも出てくるのではないかというふうに思うわけですね。そうした場合に、夫に対する遺族年金の要件というのはかなりいろいろとございますね。これはやはり妻に対するのと同一にする、そういう方向というのはお考えになっていらっしゃらないでしょうか。
 例えばベルギーだとかカナダ、フランス、デツマーク、そういった国々では法改正などを行っております。それから、アメリカなどにおきましてもまたオーストリアにおきましても、これは裁判でございますが、夫が受給する規定を廃止するというような判決も出されているのはもう御承知のところでございますが、我が国の場合はそういうことに関して女性と男性の遺族年金の要件、それを同一にするというお考えは全くございませんか。
#189
○政府委員(近藤純五郎君) 遺族年金というのは、どちらかといえば女性の保護と申しますか、今まで男性が外で働いて家庭は妻が守る、こういうふうな形態で制度設計がなされてきた、こういうふうなものが濃厚に反映されているわけでございます。したがいまして、夫の場合には厳しい制限をして女性の場合には比較的緩やかだ、こういうふうな形になるわけでございます。
 恐らく、将来的なことはまだ確言できるわけではございませんけれども、女性が社会進出をされまして男女平等、こういう社会が現実のものになりましたときにはこの遺族年金というのも実質的には経過的なものになる、こういうふうな感じになるのではないかという予測はしておりますが、当面は今のような形で、女性が有利で男性の方は厳しい制限がある、将来的には女性が男性の方に近づく、こういう感じになるんじゃないかという感じがいたしております。
#190
○日下部禧代子君 それでは、余り男性の援護をしないで、次の質問に移りたいと思います。
 ところで、離婚の問題がございます。離別による年金制度における女性の不利をなくすというさまざまな配慮がなされるのはこれは当然だと思うのでございますけれども、例えばカナダでございますと、婚姻期間中に取得した年金受給権は夫婦平等に分割するというふうなのがございます。そしてまたドイツの場合には、公的であれ企業年金であれ私的年金であれ、いずれについても年金権を平等にしてしまうというふうな例がございます。
 アメリカ、フランスなどは条件つきでございますけれども、日本の場合にそのような分割、基礎部分ではなくて二階の部分でございますが、それを夫と妻に分割するというふうなお考えというのは今まで御検討されたことはございませんでしょうか。
#191
○政府委員(近藤純五郎君) 報酬比例の部分の年金を分割すべきではないかということでございますけれども、これは社会的制度として、婚姻期間中に夫婦で共同で取得した財産について当然妻が半分だというような理解がまだ日本ではできていないのではないか、こういうふうな感じがいたしているわけでございます。したがって、婚姻期間中に取得した財産につきましては民法上離婚の際の財産分与の請求権が認められるということで、この場合、裁判所で妻の寄与度等を勘案して個別に判断されているわけでございます。税制でもその点は配慮されていないわけでございまして、年金制度で直ちにこういう分割という制度を取り上げるまでにはまだ我が国はそこまで熟していないのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
 今の段階では、離婚時の財産分与のとき当事者間で実質的に決めていかざるを得ないということで、今まで私どもこの問題についてまだ十分な検討はいたしておりません。
#192
○日下部禧代子君 次に、サラリーマンの無業の妻、つまり第三号被保険者問題につきましては、先ほどから清水、竹村両議員の御論議がございましたが、この問題につきまして厚生省のお考えも先ほど同僚議員の御議論の中からいただいたわけでございますが、年金審議会におきましてもあるいは社会保障制度審議会などにおきましても、妻が家庭にとどまり夫に扶養されるという家族を前提とした社会保障やあるいは税制、そういった社会システムというものを見直すべきだというふうに提言をしているわけでございます。
 これは女性が社会に進出していく、つまり労働に参加していく、と同時にまた男性も家事、育児をシェアする、そういうふうな家族のあり方、男性と女性のあり方というものがこれから志向されていくという中におきまして、我が国の社会保障制度あるいは税制といったものが、今申し上げてきたような女性の年金制度における立場あるいは第三号被保険者問題というものに象徴的にあらわれているような気がするわけでございます。
 そういたしますと、これからの社会保障制度あるいは税制におきまして、今までのいわゆる家族制度の色の非常に濃厚な考え方に基づいたシステムというものを変えていく、そういう時期がもう来つつあるのではないかというふうに思う方が多いのではないかと私は考えているわけでございますが、大臣のお考えをぜひ承りたいというふうに存じます。
#193
○国務大臣(井出正一君) 先ほど竹村先生にちょっとお答えしたことと重複すると思うのでございますが、第三号被保険者につきましては、働かない女性を優遇し、女性の就労インセンティブをそぐとの指摘があることは聞いておりますが、この問題は所得に応じ保険料を負担する仕組みとなっております厚生年金制度の中で収入のない被扶養者をどのように考えていくかという問題を含んでおりまして、今後慎重に検討していかなくちゃならぬ問題だと考えております。
 また、パートタイム労働者につきましては、労働形態の多様化もこれは考慮しなくちゃいけませんが、被用者はなるべく厚生年金の被保険者になってもらうようにするという基本的な考え方に立って、今後これまた慎重に検討していかなくちゃならぬ問題だと考えております。
#194
○日下部禧代子君 人口の中では女性の方が今はもう男性よりも多いのではないかというふうに思うわけでございますね。そういう女性の年金の問題は、本当にこれはもう何度重要であるということを申し上げても言い過ぎることはないというふうに思います。それが余りにも今までなおざりにされていた。この辺で、ぜひとも社会保障制度の中で女性の権利、立場というものをきちんと考慮したもの、そういうシステムをつくっていくことについて、厚生大臣、これから頑張っていただきたいというふうに思います。私どもも協力いたします。
 次に、未加入者の問題に少し触れさせていただきたいと思います。
 社会保険庁が発表した公的年金の加入状況調査によりますと、国民年金の第一号被保険者に加入すべき者が百九十万人も未加入である、あるいは地方自治総合研究所によると三百万人以上もいるというふうに言われております。これは先ほどお答えがございましたように、若年層が中心で大都市部に広がっているというふうに承ったわけでございます。
 将来の無年金者あるいはまた低額年金者の発生ということは非常に大きな問題であることはもう論をまたないところでございますが、それに対しましてこの保険料の徴収のための予算と人員というのは、国レベル、都道府県レベル、市町村レベルでどのくらいでございましょうか。
#195
○政府委員(横田吉男君) 国民年金事業につきましては、徴収事務のほかに適用、裁定、給付、相談等さまざまな事務をあわせて行っておりまして、これらは明確には区分されておりませんのでそれぞれごとに示すことは困難でございますが、平成四年度におきます国民年金事業全体に携わる職員は、都道府県と市町村を合わせまして一万六千六百人でございます。また、国民年金事業全体の事務費でございますが、平成四年度の決算で約一千四百四十億円となっております。
#196
○日下部禧代子君 この未加入者の問題というのはまた後ほど同僚議員が質問させていただくと思いますけれども、非常に大きな問題でございます。そしてまた、現場で徴収のために一生懸命頑張っている自治体職員もいらっしゃるわけでございまして、ぜひともこの問題に対して国ももっと積極的に取り組んでいただきたい。
 それと同時にまた、特に若い人々、つまり学生でございますね、それが納めやすいような国民年金の保険料の徴収の仕方、例えば段階制とか生涯の払い込みの総額が一緒になればいいというふうな弾力的な徴収の仕方というものも考慮に値するのではないか、御検討に値するのではないかというふうに私は御提言をさせていただきまして、次の質問に移りたいと思います。
 年金の水準を引き上げるということは非常に重要でございますが、それに伴いまして、いわば住環境の問題あるいは物価の問題、例えばインフレになってしまいますと、年金の水準がそれだけ上がったとしてもほとんどその上がった効果はなくなってしまうわけでございます。
 年金問題というのは、このように他の生活保障の充実との関連の上において論じなければならないということはもう言うまでもないと思います。だれもが長生きしてよかった、そういうふうに思えるような、そして本当に活力ある長寿社会というものを実現するには、個人の生活、個人の一生というものだけではなくて、行政においても保健や医療、福祉、住環境、町づくりという総合的なアプローチというものが必要なんじゃないかというふうに思うわけでございます。そういった意味でゴールドプランの充実、新ゴールドプラン、あるいはエンゼルプランというのが非常に大きな意味を持つと思います。
 それと同時に、このような総合的な観点から、これからの高齢化社会という全部のシステムが変わらざるを得ない、そういう社会に従来の縦割りの行政あるいはその縦割りに基づいた法律では対応できないのではないか。例えばスウェーデンの社会サービス法だとか、デンマークの社会支援法といった地方分権に基づいた総合的な一つの法律、新しい法律というようなものを策定することなしにはこれからの高齢化社会に対応できないのではないかというふうに思うわけでございます。
 その点も含めまして、これからの高齢化社会に対応する年金問題を中心とした対策、姿勢というものを総合的に大臣にお尋ねいたしまして、私の質問を終わりたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
#197
○国務大臣(井出正一君) ゴールドプランあるいはこれから早急に詰めようとしております新ゴールドプランについて大変御激励の御質問をいただきまして、ありがとうございます。
 現行のゴールドプランは、先生も御承知だと思いますが、平成元年の暮れに大蔵、自治、厚生の三大臣合意として策定され、平成二年度から着実に推進されてきているところでございます。
 さきに与党福祉プロジェクトチームに厚生省の案をお示ししました新ゴールドプランは、サービスの目標水準のみならず、サービスの質の向上やサービス提供基盤の整備を支援する施策を盛り込んだ総合的なプランとしております。その意味で、その着実な推進を図るためには財源確保対策を含めた総合的な支援措置を講じていく必要があるものと考えているところでございます。具体的な支援方策につきましては、財源の確保にも配慮しながら、この新ゴールドプランの策定への検討過程において、今御指摘いただきました点を含めて今後幅広い視点から政府部内で十分検討をしてまいる所存でございます。
 今御審議いただいております年金法の改正案は、冒頭にも申し上げましたが、今後人口の急速な高齢化等が見込まれる中で、活力ある長寿社会の実現に向けて高齢者の雇用を促進していくとともに、年金制度もこれと連携のとれた仕組みとすること。また、将来の現役世代の負担が過重なものとならないよう給付と負担のバランスを図るという観点から、制度全般にわたり必要な見直しを行おうとしておるものでございます。
 このように今回の改正は、二十一世紀の超高齢社会にふさわしい制度となるための不可欠なものであるとともに、六十歳代前半の年金の見直し、ネット所得スライド制の導入等の内容を含む画期的なものでございまして、年金制度の安定のためにも大きな意味を持つ改正と考えておりますゆえ、一日も早い法案の成立を改めてお願いするものでございます。
#198
○日下部禧代子君 ありがとうございました。
#199
○勝木健司君 厚生年金の国庫負担率の問題についてお尋ねをしたいというふうに思います。
 厚生年金の最終保険料率は現在の二倍程度の三〇%以内の水準に抑えることを目標としておりますが、この基礎年金の国庫負担率の動向いかんではこれも大きく変わってくるだろうというふうに思われます。基礎年金の国庫負担は、平成二十二年には現状のままでは約七兆円に達する、仮にこれを二分の一に引き上げますと十・四兆円もの国費が必要となると言われておるわけでありますが、人生八十年時代の高齢化社会にふさわしい年金制度の確立のためには、増大する年金給付額の安定的財源確保が急務であろうかというふうに思います。
 私どもも与党のときにつくったプロジェクトチームでの検討の際には、この国庫負担率を二分の一に引き上げると最終保険料率は三%前後、また国庫負担率を三分の二で七%前後の保険料率の引き下げが可能との試算をいたしておったわけでありますが、現在厚生省では国庫負担率を引き上げるとどのくらいの引き下げが可能なのか、改めてお伺いをいたしたいというふうに思います。
 また、基礎年金の国庫負担率の問題を含めまして、年金財政の今後のあり方についてどう認識をしておられるのか、お伺いをいたしたいというふうに思います。
#200
○政府委員(近藤純五郎君) 国庫負担率を引き上げた場合の最終保険料率がどの程度になるかということでございますが、衆議院の附帯決議にありますようなもので、仮に国庫負担率を二分の一に引き上げるといたしますと、保険料の引き上げ幅を現在の財政再計算ということで二・五%ずつ引き上げるという計算をした場合には、厚生年金の最終保険料率は三%程度低下するものと見込まれているわけでございます。
 年金財政の今後のあり方につきましては、人口の高齢化が進展してまいりますと、それとともに負担が増大いたしますので、現在の現役世代と将来の現役世代との負担のバランスを図ることが非常に重要になるわけでございまして、そのバランスを図りながら将来にわたりまして年金財政の安定を確保することが非常に重要であるというふうに考えております。
#201
○勝木健司君 この基礎年金の国庫負担率を論じるに当たりましては、厚生年金の保険料率の引き上げ抑制とか、あるいは将来の無年金者をなくすために保険料負担の引き上げ抑制を図ろうという考え方だけではなく、社会保険方式下での税と保険料のバランス、別の言い方をいたしますと、年金制度の財源をどこまで税金で賄うのが適当であるのかということ、あるいは将来の基礎年金の水準をどこまで高めていく必要があるのか、そういった意味でのビジョンとかあるいは理念の裏づけがなければならないというふうに考えておるわけでありますが、この点について大臣はどう考えておられるのか、お伺いいたしたいと思います。
#202
○国務大臣(井出正一君) 御指摘のとおり、年金の国庫負担のあり方を考えるに際しましては、社会保険方式を堅持する中で税と保険料負担のあり方をどのように考えるかなど、さまざまな要素を十分検討していく必要があるものと考えておるところでございます。
 こうした点も含め、衆議院での修正により提起された検討規定において、「基礎年金の給付水準、費用負担の在り方等を勘案し、財源を確保しつつ、基礎年金の国庫負担の割合を引き上げることについて総合的に検討を加え、その結果に基づいて、必要な措置を講ずる」こととされたものと受けとめておりまして、この規定の趣旨を踏まえ、今後幅広い観点から総合的に検討されるべきものだと考えます。
#203
○勝木健司君 大臣にまたお尋ねをいたしたいと思います。
 大臣は、将来は基礎年金の財源はすべて税金で賄うのが適当であるというふうに考えておられますかどうか。また、将来、基礎年金の国庫負担はどのくらいが適当であるというふうに考えておられるのか、お伺いをしたいというふうに思います。
 生活保護と基礎年金の水準がよく比較をされるわけでありますが、今後の高齢社会における基礎年金の水準というのは一体どのくらいが適当というふうにお考えなのか、お伺いをいたしたいと思います。
#204
○国務大臣(井出正一君) お答えいたします。
 基礎年金の国庫負担の問題につきましては再三申し上げておりますが、社会保険方式のもとで税と社会保険料のバランスをどうとっていくか、また今後も年金給付費の急激な増大に伴い、現行制度のままでも急増していく国庫負担の財源をどう確保していくかなどの問題がございます。したがいまして、国民負担のあり方については、附則第二条の趣旨を踏まえ幅広い観点から国民的な論議が必要であると考えるものでございます。
 基礎年金を税方式とすることにつきましては、膨大な費用をどうするかあるいは長期的に安定した運営が行えるかなどの問題がございまして、社会保険料負担を中心とした枠組みを基本的には維持すべきだと考えております。
 また、基礎年金は生活保護とは目的、機能を異にするものでありますことから、両者の水準を単純に比較することは適当ではないと考えるものでございます。基礎年金は老後生活の基礎的部分を保障しようとするものであり、現在の水準は適切なものであろうと考えるものでございます。
#205
○勝木健司君 この基礎年金の国庫負担の引き上げの問題につきましては、自民党はかつて野党時代に段階的に二分の一への引き上げを、また社会党も、財政抜本改革時に二分の一に、さらに二十一世紀初頭には三分の二に引き上げを主張しておったわけでありますし、さらに社会党、さきかけによる閣外政策会議の福祉プロジェクト報告書では、「基礎年金の税方式への移行を展望しつつ、税制抜本改正に当たって国庫負担率を段階的に引き上げていくよう、租税財源措置を講ずる必要があります。」としておるわけであります。与党になられましたこの三党の主張に近い線での修正を私たちは期待をいたしておりましたけれども、この基礎年金の国庫負担の引き上げについては道筋が明確にされなかったのは残念でありますが、どうしてこのような修正内容になったのか、お伺いをいたしたいというふうに思います。
 また、今世紀中にもう一度財政再計算、五年後の機会が訪れるわけでありますが、今回の修正内容あるいは附帯決議等々を踏まえまして、基礎年金の国庫負担の引き上げについて今後どのような方針で臨んでいかれるのかということで、厚生大臣としての御答弁を求めたいと思います。
#206
○国務大臣(井出正一君) 国庫負担の問題につきましては、本年六月二十四日でございましたか、社会党、さきがけ、それから青雲・民主の風の福祉・行革・税制協議会福祉プロジェクト、実は仏その座長を当時しておりまして、そのプロジェクトチームが、基礎年金の税方式への移行を展望しつつ税制抜本改革に当たっては国庫負担率を段階的に引き上げていくよう租税財源措置を講ずる必要がある旨発表したことは事実であります。
 ここでも示されておりますように、国庫負担率を引き上げるためには租税財源措置が必要でございまして、その点について確たる見通しがない段階におきましては国庫負担率を引き上げる旨明示することは適切でないと考えておりますし、その後こういう立場になりましてからも、私もそうですし、厚生省はもちろんこの法案を提出した立場でございますし、さきがけもそういう主張を通してきたと私は確信しております。
 年金の国庫負担のあり方の問題につきましては、衆議院で修正をいただきましたものですから、その御趣旨を踏まえ、費用負担のあり方や財源確保の問題、さらには社会保障施策の中での位置づけなど、幅広い観点から総合的な検討を行ってまいりたい、こう考えるものであります。
#207
○勝木健司君 政府はこの九月二十二日に税制改革大綱を決定されたということで、消費税率を平成九年四月から五%に引き上げるとともに、税率については必要に応じて平成八年九月末までに見直すことといたしておるわけでありますが、今回のこの税制改革については、どうも福祉ビジョンとかあるいは年金制度のあるべき姿といった根本的な問題が余り表に出てなかったように思いますし、税率の引き上げがまずありきだったという率直な感想を持っておるわけであります。
 やはり消費税率を引き上げるのであれば、それに見合ったような十分な福祉の拡充とか、あるいは国庫負担の引き上げといったものも含めました負担と給付のあり方というものを十分国民の前に示して理解を得られるものでなくてはならないのではないかというふうにも思うわけでありますが、年金の担当大臣としての厚生大臣の見解をお伺いしたいと思います。
#208
○国務大臣(井出正一君) お答えいたします。
 本格的な少子・高齢社会の到来に対応するため福祉サービスの基盤整備は急務でありまして、今般の税制改革に当たっては、与党における御論議の結果、少子・高齢社会に向けて当面緊急を要する施策について一定の福祉財源措置が講じられたところでございます。
 ただ、決してこれで十分とは言えないわけでございまして、今回の税制改革法案におきましては、社会保障等に要する費用の財源の確保等という観点で消費税率について検討する必要があれば所要の措置を講ずる旨の規定が盛り込まれておるわけでございます。したがいまして、その検討過程において新ゴールドプラン、エンゼルプラン等の内容についてできるだけ早く詰めを行うとともに、年金、医療等の自然増等の推計を行うなど、将来の社会保障の具体的な施策とその必要経費について明らかにしてまいりたいと考えております。
 さらに、年金の国庫負担のあり方についてでございますが、年金財政の将来見通し、費用負担のあり方、社会保障施策における位置づけなどを総合的に勘案し、国民的な議論を積み重ねながら、検討規定にもあるとおり次期財政再計算期を目途に検討を加え、国民のコンセンサスを得ていくべき問題だと考えております。
#209
○勝木健司君 年金の福祉税的な構想、消費税を上げるときにそういう構想も論議をされたように、私どもがかつて与党のときに論議したようにも思いますし、また消費税を上げるときに年金税的構想も本会議等々でそれに近いような答弁を村山総理もされておりますが、その辺につきまして厚生大臣の率直な考え方を聞いておきたいと思います。
#210
○国務大臣(井出正一君) 今回の税制改革の大綱が決定するまでに、残念ながら福祉あるいは社会保障等に関するいろんなプラン、あるいは年金、医療等の自然増の推計等を煮詰めるまでには至らなかったものですから、したがいまして今後そういうものの見直しの規定が設けられましてその検討過程において、もちろんほかの検討する諸問題もございますが、今申し上げましたような社会保障等に要する費用の問題につきましても精査し、そしてまた推計を行ってその必要な額を明示して、そこで消費税率も必要ならば御検討をいただくと私どもは考えておりますし、総理もそんな御答弁をなさったと理解しております。
#211
○勝木健司君 昨年の十月十二日に出された年金審議会の意見書の中にも、「基礎年金の国庫負担については、将来の保険料負担の水準を念頭に置き、国庫負担率の引上げについて検討すべきである。」ということと、「年金財政の現状及びその将来展望に関し、中立公平な立場からの調査その他の権限を有する第三者機関の設置等必要な対応を図るべきである。」ということで記されておるわけでありますが、そういった意味で早急にこの第三者機関を設置して、国庫負担の引き上げ等の問題も含めて年金財政のあり方について長期的視点からの検討を開始すべきではないかと思いますが、これについての大臣の見解を求めたいと思います。
#212
○政府委員(近藤純五郎君) 年金審議会の関係での第三者機関の設置の問題でございますけれども、年金審議会で念頭にございますのは、年金財政について的確な情報を提供するために、各年金制度の実情を把握するためあるいはそれを情報公開するための第三者機関ということで提案されたというふうに受けとめておりまして、国庫負担の引き上げの問題を行うような機関とは想定されていないと思います。
 したがいまして、国庫負担の引き上げ問題をどういうふうな形でアプローチするか極めて重い宿題をいただいたわけでございますので、これの検討の枠組みがどのようなものが適切であるかということにつきましては、これからいろいろな方面と相談をしながら詰めていく必要があるというふうに考えている次第でございます。
#213
○勝木健司君 それでは、次にお伺いいたします。
 高齢者の所得保障の観点からいいますと、本来ならば老齢年金の支給開始時期は退職時期とリンクされているのが当然だというふうに思いますが、この高齢者雇用の実態は、企業の六十歳定年制がやっと定着したとはいえ、最近では景況と相まちまして定年前の早期退職勧告という半ば慣例であるというようなことが蔓延をしておりますし、退職と年金支給の時期の乖離が進んでおるのが現状であろうかというふうに思います。
 そこで、六十歳代前半の年金の見直しは、希望すれば少なくとも六十歳まで働き得るような社会の仕組みが整うことを最低の条件とすべきではないかというふうに思うわけであります。高齢者雇用の状況を踏まえ、この支給開始年齢の引き上げについては、国庫負担の二分の一の検討とともに必要とあれば五年後にその見直しを当然すべきであるというふうに考えますが、御所見をお伺いいたしたいと思います。
#214
○政府委員(近藤純五郎君) 今回の六十歳代前半の厚生年金の見直しでございますが、これは二〇〇一年から実施に移るわけでございます。その後十二年の時間をかけて完了するという予定でございまして、改正から完了まで約十九年という時間をかけて行おうとするものでございます。
 確かに、現時点での高齢者雇用というのは非常に厳しい状況であるということにつきましては私どもも承知いたしているわけでございますけれども、二十一世紀になりますと若年、中年層が減少してまいりまして労働力の供給というのは制約されてくることが予想されているわけでございます。我が国の高齢者が非常に高い就業意欲と能力を持っているということでございますので、二十一世紀の初頭までに、希望する者全員が六十五歳まで働くことができます社会の実現を雇用施策の中で中心に据えまして努力をするということに政府として意思決定をいたしておりますので、この努力を私どもとしても労働省ともどもやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
 さらに、六十歳代前半の年金のスケジュールの見直しをいたしますれば後代の負担というのもそれだけふえるということにもなりかねないわけでございまして、六十歳代前半の年金の見直しの着手前でございます五年後にスケジュールを見直すというのは適当ではないというふうに考えているわけでございます。
#215
○勝木健司君 六十歳代前半の所得保障として、前回の平成元年改正時に提案された繰り上げ減額年金ではなく部分年金としていわば別個の給付が支給されることになっておりますが、この点についてはどのように評価しておられるのか、お伺いをしたいと思います。
 また、この部分年金を報酬比例部分としたことで在職時の報酬の格差というのがそのまま年金額に反映するんじゃないかということで、六十歳代前半の所得保障の観点からは問題があるのではないかという指摘も一部されておるわけでありますが、あわせてこの点についても御見解をお伺いしたいと思います。
#216
○政府委員(近藤純五郎君) 六十歳代前半の別個の給付のあり方としてどうするのかということでございます。
 先生も旧連立与党のプロジェクトチームの一員ということで、この問題を元年方式でやるか、それとも別個の方式でやるかというふうな岐路に立ったときにいろいろ御指導をお願いいたしました。いろいろその後も検討した結果、別個の給付という形でやるということで就労から年金生活ヘソフトランディングができるのではないか、こういうことで別個の給付が導入されたわけでございます。
 別個の給付につきまして報酬比例の年金を導入したわけでございますけれども、これは、基礎年金に相当いたしますいわゆる一階部分は、自営業者も含みまして全国民共通に六十五歳から支給する方がバランス上適当ではないのか。それから、生活の基礎的な部分というのは高齢者の雇用を促進いたしまして雇用収入によることにいたしまして、年金はこれまでの賃金を反映いたします上乗せ的なものとして位置づけた方がいいのではないか。それから、雇用収入がない場合など本人の希望によりまして老齢基礎年金の繰り上げ年金を組み合わせることがこの方法だと可能である。いろいろな要素を勘案いたしまして報酬比例部分の方がベターではないのか、こういうふうなことで設定させていただいたわけでございます。
 私どもとしては、このやり方の方が別個の給付の条件といいますか、別個の給付の給付部分としては相当なものであるというふうに考えているわけでございます。
#217
○勝木健司君 別個の給付とあわせてこの基礎年金の繰り上げ支給も可能であろうというふうに思いますが、その際、減額率をどのようにされるつもりか、お伺いをしたい。
 現在、六十歳からもう基礎年金の繰り上げ支給を受けると減額率が四二%となっておって、余りにもこの減額率が大き過ぎるとの意見が強いわけでありますので、この件に関しては別個の給付の実施時期における最新の生命表に基づき減額率が決められるというふうに聞いておりますがどうなっておるのか、お伺いをいたしたいと思います。
#218
○政府委員(近藤純五郎君) 今回の制度改正によりまして、先生御指摘のように平成十三年度から、特別支給の老齢年金の見直しに伴いまして厚生年金の受給者には基礎年金の繰り上げを新たに認め局ごとにいたしたわけでございます。その際には、その時点での直近の生命表に基づいた減額率に改めたいというふうに考えているわけでございます。
#219
○勝木健司君 いつごろやられるか、その辺はどうなっておるのかということについては……。
#220
○政府委員(近藤純五郎君) 目標年次としましては平成十三年度、二〇〇一年に別個の給付が動き出しますときにそのときの直近の生命表ができるわけでございますので、これからまずはその新しい生命表に基づいた減額率に改めたいというふうに考えているわけでございます。
#221
○勝木健司君 今回のこの改正案では、働くことが著しく困難な障害者あるいは四十五年以上の長期加入者には六十歳前でも満額の厚生年金を支給する特例というものが設けられておるわけであります。
 そこで、今後の雇用状況の推移によっては、この期間の短縮とかあるいは特例の拡大を図らなければならないケースというのもあるいは起こり得るのじゃないかというふうに思います。定年後に働くことを希望しても働くところがないなど、働くことが困難な場合には現行どおり満額の年金を支給する措置を講ずる必要が生じるという可能性もなきにしもあらずと思いますが、この点に関しての厚生大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#222
○国務大臣(井出正一君) 別個の給付の導入に際しましては、四十五年以上加入した者のほか働くことが著しく困難な障害者に対して従来どおりの満額年金を支給するといった配慮が行われておるところでございます。
 この特例措置については、四十五年以上加入した者を対象とするとともに、障害年金が支給される現役世代とのバランスの確保や働くことが困難ということの認定を客観的に行える基準であるということを考え、障害年金の障害等級に該当する方を対象としたところでございます。
 四十五年という期間については、今後厚生年金の加入期間が四十年の方が一般的になってくると見込まれる中においては長期加入者と考えられる期間は四十五年以上とするのが妥当と考えるものでございまして、短縮する考えはございません。
 また、働くことが困難な場合を加えるということは、現在の障害等級以上に新たな認定基準を設」けることになるわけでございまして、現役世代とのバランスや適切た認定方法がないことなどからなかなか困難でありましてこれは慎重な検討を必要とするのじゃないか、こう思うわけでございます。
#223
○勝木健司君 現在、在職老齢年金は標準報酬月額二十四万円以下の在職者について、報酬月額に応じて二割から八割の七段階に分けて減額された年金が支給されておるわけでありますが、こういう状況では働いても総収入が余りふえないために、従来から高齢者の雇用阻害の要因と言われておったわけであります。そこで今回の改正になったわけでありますけれども、この在職老齢年金というのは六十歳代前半の高齢者の所得保障と高齢者の雇用促進のどちらにウエートを置いておられるのか、お伺いをしたい。
 そしてまた、所得保障の観点からであるということであれば在職者に対する一律二割の年金カットというのは問題が多いのじゃないか、撤回すべきではないかという意見も出されておるわけでありますが、当初政府案では、賃金と年金の合計額が二十万円まで併給を認める、そして三十四万円を超えると年金が支給停止されるということになっておったわけでありますが、衆議院での修正において上限が二十二万円となったというふうに伺っておるわけであります。
 この修正の過程で、二割カットの撤回とか、あるいは男子の平均標準報酬月額である三十四万円の七割相当あるいは八割相当の二十四万円ないしはそれに見合うような、そこまでは無条件に併給を認めるべきではないかといった意見はなかったのかどうか、お伺いをいたしたいと思うのであります。
#224
○政府委員(近藤純五郎君) 在職老齢年金を今度抜本的に変えたわけでございますが、従来の在職老齢年金の考え方は、先生御指摘のように低所得者で働いている方についてある程度の給付をしようということでできていたわけでございますけれども、今回はその考え方を改めまして、六十歳代前半につきましては雇用と年金で支える期間と位置づけたわけでございます。働くことを希望する六十五歳までのすべての者に働く場を提供することを目指しております雇用政策との連携のとれた年金制度にする、こういうことに重点を置いて賃金が上昇いたしますと年金と賃金の合計額が増加する、こういうふうなシステムに変えたわけでございます。
 それから、在職者に対します支給停止につきまして、二割カットをやめろとかあるいは二十四万円まで併給あるいはそれをもっと上回るまで併給したらどうか、こういう御意見があったことは承知いたしております。
 いろいろな御意見があったわけでございますけれども、やはり後代の保険料負担といいますものが過重なものにならないようにということで、今回の改正の基本的な枠組み、三〇%を上回らない、こういうことを堅持するという立場に立って衆議院による修正が行われたものというふうに理解しているわけでございます。衆議院では二割カットの撤回というのはやめまして、二十四万円までというふうな要求を二十二万円ということで決着いたしたわけでございます。
#225
○勝木健司君 次に、雇用保険から失業給付を受給している人との併給調整は修正で平成十年からの実施となるわけでありますが、平成八年から十年という修正になりましたけれども、少なくとも雇用環境の改善が見られるまでは実施を見合わせるべきではないかとの意見も当然出たというふうに聞いております。
 また同様に、それとあわせて来年度から新設される高年齢者雇用継続給付との調整も撤回すべきではないかという意見も出されたというふうに聞いておりますが、この点に関しての見解をお伺いしたいというふうに思います。
#226
○政府委員(近藤純五郎君) 厚生年金と雇用保険の失業給付の関係につきましては、雇用環境の改善が見られるまで実施を見合わせるべきではないか、こういう御意見があったことは承知いたしております。
 この調整の実施時期につきましては、年金受給が間近な方に配慮いたしまして猶予期間というふうな形で、政府案では八年四月ということでございましたけれども、先ほど申し上げましたように、改正の骨格を維持するということで平成十年四月に延期されたわけでございます。
 それから同じように、雇用保険の中でことし設けられました高年齢雇用継続給付につきましてこれは調整を撤回すべきではないか、こういう御意見があったことも私ども承知いたしております。しかし、この雇用継続給付も賃金額にその一定割合を上乗せする、こういうふうな公的な給付でございますので、年金と賃金の調整に準じまして調整を行わせていただきたいというふうに考えているわけでございます。
 これにつきましても撤回すべきだという御意見であったわけでございますけれども、制度改正の基本的な考え方を維持するということで平成九年の四月から実施するという予定でございましたけれども、これについても失業給付と同じ十年十月からということで修正が行われたというふうに承知いたしております。
#227
○勝木健司君 次に、第三号被保険者の保険料負担のあり方については、年金審議会の意見書でも、「昭和六十年改正における女性の年金権確立の経緯、就業を中断した際の年金権確保の効果、社会保険における応能的負担の考え方等様々な問題があるが、税制上の取扱い等社会経済状況の変化も見ながら、女性の就業状況の進展等も踏まえて、検討すべきである。」との問題提起がなされておりましたけれども、今回の改正ではこの点については手がつけられていない状況であるわけでありますが、この問題は扶養控除の取り扱いとかを初めとして年金制度だけでは単純に片づかない点も確かにあろうかとは思いますが、次期年金改正ではぜひ適切な解決策が図られることを期待いたしたいというふうに思っておりますが、考え方をお伺いしたいと思います。
 また、この第三号被保険者の保険料負担の問題は、年金を個人単位で見るのかあるいは従来のように世帯単位で見るかによっておのずから決まってくるのではないかとも考えられるわけでありますが、これも健康保険との整合性を初め問題は確かに多いとは思いますが、女性の年金権の確保のためには個人単位の年金制度の確立を当然検討すべき時期に来ておるのではないかとも考えておるわけでありますが、あわせてお考えをお伺いいたしたいと思います。
#228
○政府委員(近藤純五郎君) 第三号被保険者の制度は、女性の年金権の確立を図るということで六十年改正で導入されたものでございます。被用者の妻に独自の基礎年金を支給するわけでございますが、この費用負担につきましては従来の厚生年金の考え方に従いまして、妻の分も含めまして世帯として年金を保障する、それに従ってそれに伴う保険料というものも被用者保険全体で負担をする、こういうふうな仕組みになったわけでございます。
 今後、その被用者の妻につきまして保険料負担を求めますことは、一般的に所得のない方に保険料負担を求めるというのは社会保険方式として大丈夫かというふうな非常に難しい問題もあるわけでございます。この問題につきましては、収入のない主婦に対しまして新たに保険料負担を求めることが適当かどうか、こういう基本論があるわけでございますので、年金審議会の意見書にも触れておられますが、社会経済状況の変化を見ながら女性の就業状況の変化等を踏まえて検討すべきであるということでございますので、女性の就業状況の動向を見きわめながら引き続き検討を続けてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#229
○勝木健司君 障害年金についても同僚議員が言われておりましたけれども、今回の改正でも改善が確かに図られ前進が見られておるわけでありますが、依然として制度の谷間に残された障害者の無年金の問題が残されておるわけであります。そこで、現在この無年金の障害者は一体どれぐらいおられるのかということ、あるいはまたなぜ年金を支給することができないのか、お答えをいただきたい。
 先ほどの論議の中でも、支給できない理由としては、社会保険である以上何らかの負担が必要との立場を貫かねばならないとも伺っておるわけでありますが、障害者に対しては別の福祉といった観点から見ることも重要じゃないかというふうに思うわけでありますが、この点についてのお考えをお伺いしたいと思います。
#230
○政府委員(近藤純五郎君) 障害者で年金を受給されていない方の人数というのは、はっきり申し上げて正確には把握できないわけでございます。年金を受給していない方を年金制度として把握するというのは非常に難しいわけでございますが、いろいろな統計で極めて大胆に推計をいたしますと十万人強かなという程度でございまして、はっきりしたことはこれでさえもわかりません。そういう感じでいるわけでございます。
 それで、なぜだめかということでございますが、先ほど先生が御指摘のとおりでございまして、社会保険方式のもとでは、やっぱり制度に加入いたしまして一定の保険料の納付を要件とするというのが非常に厳しい要件としてあるわけでございます。特に障害の場合には老齢年金と違いまして、老齢年金は加入に比例して年金が出るわけでございますが、障害の場合には基本的には同じでございますけれども、一カ月でも二カ月でも、極端には一日でも入って保険料を納付しておれば二十五年分の最低保障の年金が出る、こういうふうなシステムになってございますので保険的な色彩というのが濃厚に出てくる。
 老齢でございますと、過去入っていない期間とかこういう過去の期間というのが明確にあるわけでございまして、受給者とのバランスである程度の金額を後から追納すれば復権の可能性はある、こういうふうなのが技術的にもなかなか難しい、こういう問題がございます。老齢年金については追納等の制度も余り望ましくないわけでございますけれども、過去やむを得ずやったという例もあるわけでございますけれども、障害年金の場合にはなかなかその方法もとりづらい。こういうふうな事情もございまして、お気の毒な例は多々あろうかと思うわけでございますけれども、年金制度で対応するのは非常に困難というふうに考えているわけでございます。
 障害者に対します福祉の問題というのは大変重要な問題と認識しておりますので、各般の分野におきます障害者施策の推進に取り組んでいるわけでございまして、今後とも努力を続けていく、こういうふうな考え方を持っているわけでございます。
   〔理事菅野壽君退席、委員長着席〕
#231
○勝木健司君 次に、沖縄の厚生年金についてお伺いいたしたいと思います。
 年金の加入期間が短いため年金額が本土と比較して低い状況になっている沖縄の厚生年金については、将来に向けて特例的に加入を認めることとなっておりますが、具体的には示されておらないというのが現状であります。
 そこで、沖縄でこういった人たちが一体何名ぐらいおられるのかということ、あるいはまた、速やかにこの具体案をまとめられまして確実に実施すべきものと考えておりますが、検討状況というのは一体どうなっておるのか。例えば新たに基金等を創設するなど、具体策というものを速やかに検討、実施することをこの附帯決議に入れてもいいのではないかとも考えておるわけでありますが、検討状況とともに御認識をお伺いしたいと思います。
#232
○政府委員(近藤純五郎君) 沖縄の厚生年金の問題でございますが、この問題、沖縄復帰二十周年を契機にいたしまして大変な要請行動があったわけでございます。その関係もございまして、関係省庁の検討会というものを設けまして、私どもももちろん参加いたしまして検討をいたしたわけでございます。
 そのときに決まりましたのは、過去の加入できなかった期間に相当する期間、これを将来に向けて特例的に加入することを認めたらどうか、こういうことで現に入っていらっしゃる方とのバランスをとるということでございました。過去の保険料だけを納めたという形でございますと、これは現に加入した方とのバランスは崩れるわけでございますので、将来に向けて入る、したがってこれからの保険料を払っていただく、こういうふうなシステムで特例的にその是正を図ることにいたしたわけでございまして、この提案しております年金改正法案の中に盛り込んでいるわけでございます。この措置の対象は約九万人と見込んでおります。これは任意でございますが、全員が入られれば約九万人が対象になるということでございます。
 具体的な内容といたしましては、ことしの一月二十五日に関係省庁検討会が最終的な検討会を開きまして、そこに沖縄県の提案がございます。これは私どもともいろいろ意見交換をした上でできた案でございますが、対象の範囲は、沖縄の厚生年金に加入したことのある者で、ただし昭和二十年四月一日以前に生まれた者とする、対象期間それから納付とか加算の方法、それから雇用の証明が要りますので雇用の証明の問題、それから個人負担の軽減等にいろいろ触れられているわけでございます。
 それで、この個人負担の軽減との関係で、厚生年金の独自の事業ということで基金を設けまして保険料納付の個人負担を軽減する、こういうふうな案が沖縄県で検討されております。これには沖縄県と事業主等の拠出によります基金の創設が検討されているわけでございまして、国にも何とか支援を願えないだろうか、こういう要請も来ているわけでございます。このような沖縄県の出されました提案を踏まえまして制度改正に盛り込みまして、政令で決めまして実施に移すという考え方でございます。
 それから、附帯決議につきましてはこれは政府側で判断すべき事項ではございませんので、答弁を差し控えさせていただきます。
#233
○勝木健司君 次に、今回の改正に当たりまして第三種被保険者の扱いはどうなっているのか、お伺いをいたしたいというふうに思います。
 第三種被保険者は、これまで特殊な労働環境にあることから年金制度において特別な措置というのが講じられておったわけでありますが、今回の改正に当たっても当然過去の経緯を踏まえて十分な配慮がなされるべきであると考えておるわけでありますが、御見解をお伺いしたいと思います。
#234
○政府委員(近藤純五郎君) 第三種の被保険者、船員とか坑内員の方でございますけれども、第三種の被保険者の支給開始年齢につきましては、厚生年金におきましては非常に多種多様な方が加入されているわけでございまして、その中でも支給開始年齢が現在では一律に六十歳になっているわけでございます。
 さらにこれを、今後六十歳代前半の年金を別個の給付に置きかえていくということを考えますと、船員、坑内員の方につきましても段階的にそれにそろえていくというのが基本ではないかという考え方を持っているわけでございますけれども、船員、坑内員の方につきましては、従来から一般の厚生年金加入者よりも五歳早く年金が支給されてきたという経緯がございますので、今回の改正におきましても支給開始年齢を六十歳まで引き上げますが、六十歳からは満額の年金を支給することにいたしたわけでございます。
 なお、現在六十歳前に支給されている年金は在職中の場合支給されないということになっているわけでございますけれども、やはりこれについても就労へのインセンティブを高めようということで、経過的に残ります六十歳前の年金につきましては一般と同様の在職老齢年金を支給することにいたしたわけでございます。
 このように船員、坑内員につきましては、過去の経緯でございますとか現在の状況を踏まえた配慮を行っているわけでございまして、これ以上の措置をとるということは他の加入者とのバランスを著しく崩すことになりますので困難であるというふうに考えております。
#235
○勝木健司君 漁船乗組員とか坑内員といった極めて厳しい労働環境にある勤労者にとっては、どんなに働きたくても、そういう意思があっても労働が厳しいため働き続けることが困難であるという状況に置かれておるので今まで第三種の扱いがされておったというふうに思います。
 第一種被保険者は六十歳以上六十五歳未満については別個の給付が支給されることとなるわけでありまして、そしてこの第三種被保険者については五十五歳以上六十歳未満についても別個の給付は支給されない。支給されてもおかしくはないんじゃないかという考え方もあるわけであります。特殊性にかんがみて今まで同様の扱いをすべきであろうというふうに考えますが、再度御認識をお伺いいたしたいと思います。
#236
○政府委員(近藤純五郎君) 別個の給付は、賃金と年金を合わせまして生活を送る期間ということで位置づけられておりまして、六十歳代前半の年齢層を想定いたしているわけでございます。六十五歳現役社会を目指そうというときに五十歳代後半の方に別個の給付を支給するというのは他の被保険者とのバランスを著しく失するわけでございまして、極めて不適当というふうに考えております。
#237
○勝木健司君 私は本会議でも質問をいたしましたけれども、本当に安心して信頼できる年金であるためには、働きたくても働けないといった状況に置かれた人々への配慮というのが十分になされる必要があろうというふうに考えます。
 特例措置のこの対象は、四十五年以上の年金加入者並びに障害者等級三級以上の障害者となっておるわけであります。しかし、今の漁船乗組員とか坑内員等、あるいは障害者ではないが病気やけがで働けなくなった人とか家族の介護のため働けない人は一体どうしたらいいのか。こういった人たちには満額支給の道というものを開くべきじゃないかということで、そのためには認定制度の創設なりの工夫をすれば可能じゃないのかということです。
 確かに六十歳から六十五歳ということで問題は残るわけでありますが、極めて厳しい労働環境にある勤労者は一体どうすればいいのかということで、そこら辺の特殊性を十分に配慮すべきではないのかとも考えるわけでありますが、再度お考えをお伺いいたしたいと思います。
#238
○政府委員(近藤純五郎君) いろいろなケースがあると思いますが、働く場がないために働けないというふうなケースにつきましては、これは本来ならば雇用保険の方で対応していただくような問題ではないのか、こういうふうに考えているわけでございます。障害者ではないが病気で働けなくなったようなケース、これは現在の年金制度では恐らく障害年金というふうな形で考えるべき対象なのでしょうけれども、障害年金の場合にはある程度恒常的といいますか、ある程度の一定期間継続してこういう状態が続く、こういうときに初めて障害年金が出るという形になって、まさにこれが現役時代における障害年金ということでございます。やはり老齢になってからもこれとのバランスというのは当然考えなけりゃいかぬわけでございますので、一時的な就労不能ということまで対象とするのはこの制度そのものを根底から覆すものではないのか、こういうふうな認識を持っているわけでございます。
 それから、家族介護をした場合に満額支給したらどうかということでございますけれども、まあ介護休業とかは検討されているわけでございますけれどもまだ検討中の段階でございまして、介護について社会的な制度をつくることについてはまだコンセンサスの形成途上ということでございますし、ゴールドプラン等で介護の支援体制の充実等も必要であるわけでございまして、年金制度の方で先鞭をつけて別個の給付の形でやるべき問題ではないのではないか、こういうふうに考えている次第でございます。
#239
○勝木健司君 次に、厚生年金の保険料についてお伺いをいたしたいと思います。
 今回の改正案ではボーナスから一%の保険料の徴収が盛り込まれておるわけでありますが、ボーナスからの保険料徴収は将来の年金の給付に反映させないとの観点から一%としておるというふうに伺っておるわけでありますが、こういうことでは保険料率の軽減とかあるいは負担の公平化にはほとんど寄与していかないのではないかというふうに思うわけであります。
 そこで、今回のこの一%の保険料徴収は暫定措置として考えておられるのか、それとも恒久財源と考えておられるのか、確認をさせていただきたいというふうに思います。
#240
○政府委員(近藤純五郎君) 今回の改正で賞与等からも保険料をいただくということにしたわけでございまして、特別保険料と呼んでおりますが、この特別保険料につきましては、給付には反映させないことにいたしまして一%の料率でいただくということにしたわけでございます。これは、政府管掌健康保険の賞与からの保険料率一%を参考にいたしたわけでございます。
 今後、このボーナスの保険料のあり方につきましては、給付へ反映させるかどうか、料率をどうするのか、いろいろ問題があろうかと思います。したがいまして、さらに課題を抱えた制度ではございますけれども、制度上は暫定的なものとは考えておりません。制度上は恒久的なものということでございまして、しかしいろいろ検討すべき課題を抱えたテーマであるというふうには考えております。
#241
○勝木健司君 時間も余りありませんので、最後になりますが、今、恒久財源ということでありますが、公的年金の一元化の問題でもいろんな問題が負担と給付のあり方について当然論議をされていくことだろうというふうに思いますが、とにかく特別保険料としてボーナスから一%保険料を徴収されるということで、これは負担の公平化という観点からも、保険料の算定に当たっては現行の標準報酬月額ということじゃなく年間総報酬制ということを当然採用していくべきじゃないかと考えておるわけであります。そうすることによって、ボーナスからの保険料徴収によって毎月の保険料を引き下げることも可能になるわけでありますし、負担感というのも軽減されるというふうに考えるわけでありますが、御見解をお伺いしたいと思います。
#242
○政府委員(近藤純五郎君) 総報酬制の考え方でございますが、負担する保険料に応じまして給付をするということが年金制度の基本的な考え方の一つでございますので、保険料負担のあり方といたしましても総報酬制の導入というのは今後十分検討すべき課題だというふうに考えております。
 ただ、大変大きな問題でございまして、今のままの年金の給付設計でやりますと年金額の算定の基礎の額が非常に増加することになりますので、したがって年金額がふえるわけでございます。現役とのバランス上過剰な給付が生ずることになるわけでございまして、やはり給付設計そのものも抜本的に変更せざるを得ないということでございます。変更いたしますと、これまでの仕組みとの円滑な接続というものも非常に難しい問題もあるわけでございますし、個々の被保険者につきましてボーナス等の額につきまして記録管理が必要になり大きな事務処理上の問題が出てくるわけでございまして、いろいろの点を留意しながら慎重に検討する必要があるというふうに考えております。
#243
○勝木健司君 終わります。
#244
○高桑栄松君 それでは質問をさせていただきます。同僚委員の先生方の御質問と私のと重複する部分が幾つかあるように思いますけれども、都合上、私の予定した質問に沿ってひとつ質問させていただきたいと思います。
 まず最初に、国庫負担率の引き上げと財源のことですけれども、衆議院での修正の附則を見ますと、基礎年金の国庫負担率引き上げについて「総合的に検討を加え、その結果に基づいて、必要な措置を講ずる」と、こう書いてございます。
 そこで、総合的に検討を加えるという言葉は政治的な用語かなと思うんで、ときどき皆さんが使っておられるようでありますから政治的に使われるのかと思いますが、サイエンスの世界ですと、総合というからには複数の項目があると思うんです。ですから、どういう項目とどういう項目を総合するのか、もちろん細かいところまで聞きたいと思いませんが、柱となるような幾つかの項目を御教示願いたいと思います。
#245
○政府委員(近藤純五郎君) この条文の意味、必ずしも私はつまびらかではないわけでございますが、基礎年金に対します国庫負担の割合を考えるときには、ここに書いてございます年金事業の財政の将来の見通しとか、国民負担の推移とか、基礎年金の給付水準とか、費用負担のあり方等を勘案するとか、こういう面も当然入っているかと思うわけでございますが、そのほかにも考えるべき点といたしまして、ここに書いてございますように財源の確保というのが非常に大きいわけでございまして、これだけの巨額な財源をどうするのか、こういう問題。
 それから、実際問題といたしまして、日本の年金制度は社会保険方式をとってまいっておりますので、その中におきます国庫負担のあり方というのは税で負担するのかそれとも保険料で負担するのか、こういうふうな問題があろうかと思うわけでございます。それから、その財源が確保できましたとしましても、社会保障の中でどれだけどの面で、先ほどもエンゼルプランとかゴールドプランが出ましたけれども、どちらを優先するか、こういうふうな問題も当然出てこようかと思うわけでございます。それから、財源そのものにつきましても長期的な安定的な財源確保が本当にできるのか、こういう見通しみたいなものも考えなきゃいかぬ。
 ざっと今考えても幾つも出てくるわけでございまして、これから真剣に検討すればするほどいろいろ難しい問題というのは出てこようかと存じております。
#246
○高桑栄松君 今、幾つかの項目が挙げられて、財源に非常に大きなウエートがかかるようでございますが、一般に、総合的に検討というと、足して数で割る単純平均という方法と、それから加重平均という方法があるわけですね、ウエートをどれにかけるかと。今お話を伺っていると、加重平均の方にウエートが置かれているようでありますけれども、こうなると、それが正しい重みなのかということを判断するのはだれがやるんでしょうか。
#247
○政府委員(近藤純五郎君) これはいろいろな要素を勘案しながら国民的な論議をしなきゃいかぬ問題だと思いますが、最終的にどこでするかといいますのは、これはやっぱり国会であるというふうに考えております。
#248
○高桑栄松君 私が最初に申し上げた政治的というのはやっぱりその辺に落ちつくのかなと思うんです。サイエンスですと違うんですね。例えばその受給者の数字がどれだけ多いか、そのウエートがかかるわけですよ。加重平均というのはそういうことを言うんですね。したがって、総合的判断というのは総理大臣も使われたようでありますが、私は、これはほとんどサイエンティフィックには意味のないことを言っているんじゃないか、こう思って参考までに伺ったわけであります。
 そこで、「必要な措置を講ずる」と言うから、国庫負担率を引き上げない場合もあるのか、もしあるとすればその理由は何であるか、伺いたいと思います。
#249
○政府委員(近藤純五郎君) 先ほど申し上げましたとおり、年金の国庫負担のあり方については、さまざまな要素を勘案しながら国民的論議をした上でいろいろなプロセスを経て結論を出さなきゃいかぬということでございまして、現時点で引き上げないことがあるかどうかということについては予断を与えるようなことにもなりますので、差し控えさせていただきたいと考えます。
#250
○高桑栄松君 予断とおっしゃるけれども、余談はさておき、大体二分の一をめどにというのが附帯決議にありますね。したがって、一応上げる方にウエートがかかっているわけだ、これは。だから、二分の一をめどにと言うからにはそれが上限なのかどうか、必要に応じてはもっと上げることもあるのか、その辺いかがでしょうか。
#251
○政府委員(近藤純五郎君) 衆議院の厚生委員会の附帯決議におきまして、「二分の一を目途に引き上げることを検討すること。」としておりまして、この決議の言葉の意味だけで申し上げれば二分の一をおおよその目安にしている、こういうふうに考えられているのではないかと思っております。
#252
○高桑栄松君 そうすると、一応上限というのが二分の一くらいということですね、そんなふうに私は今受け取ったわけですが。
 この引き上げは一挙にやるのか段階的に上げるのか、附帯決議には書いてなかったように思うんですが、これどんなふうに考えられるんでしょうか。
#253
○政府委員(近藤純五郎君) この附則の検討規定の趣旨を踏まえまして、次の財政再計算期を目途といたしまして国民的論議を積み重ねて検討していくべきものでございまして、段階的であるかどうかというのはその検討した結果で決まるわけでございまして、現時点で申し上げることはできかねる次第でございます。
#254
○高桑栄松君 わかりました。その話はそれでわかりましたが、もし国庫負担率を二分の一をめどに引き上げたといたしますと、そのときの将来の、負担者側ですね、保険者の方でございますが、保険料負担率は何%ぐらいになると考えられるんでしょうか。
#255
○政府委員(近藤純五郎君) 仮にでございますが、国庫負担を二分の一に引き上げるといたしますと、保険料の引き上げ幅を今回の財政再計算で見込んでおります二・五%ずつ引き上げるということで計算した場合には、厚生年金の最終保険料率は三%程度低下すると見込まれております。
#256
○高桑栄松君 私は、トータルで何%になるかちょっと伺いたいと思っていたんです。
#257
○政府委員(近藤純五郎君) 今回、私どもが提案しております政府原案では二九・六%となっておりまして、修正で若干それを上回るプラスアルファが追加されましたけれども、そこから三%下がるということでございます。
#258
○高桑栄松君 今、大体二分の一程度負担をした場合の保険料負担率が約二七%ということらしく伺いました。
 そうすると、二分の一引き上げるとするとやっぱり財源のめどがなければ困る。これは大臣もおっしゃっておったし、勝木委員がここは何回か質問をされたので私からもう言うことは特にないんですけれども、改めてこれはやっぱり大臣に答えていただいた方がいいのかなと思っているんですが、国庫負担率は引き上げるべきであると私は考えて申し上げているのでありますが、財源をどうなさるのか。二分の一をめどにということで努力目標になったようでありますが、その基本的な考え方はどうなのか。これは税制改革と絡んでくるはずでありますから絡まないでは出ないわけで、そうするとやはり消費税というところへ落ちつくのかどうか。この辺について大臣に御返事いただければと思いますが、よろしいでしょうか。
#259
○国務大臣(井出正一君) 国庫負担のあり方を検討するに際しましては、財源確保の方策をどのように考えるかが大きな問題でございます。その具体的方策についてもさまざまな論議が必要であると考えておりますが、厚生省だけでその財源を確保することは困難でございます。
 いずれにせよ、衆議院の御意見として定められた附則、検討規定に基づきまして、今後幅広い観点から総合的に検討が行われる中で議論がされていく問題だ、こう考えております。
 ただ、いずれ中長期的にはそういうことももちろんあるでしょうが、これは従来の厚生省の考え方になるわけでございますが、この国庫負担率の引き上げの財源、もっと大変な巨額に上るわけでございまして、それよりもまず新ゴールドプラン等の実現のために必要な額を確保することの方がより年金の安定にもつながっていくんじゃないか、こんなふうに私個人的には考えております。
#260
○高桑栄松君 今、予定外に大臣に答えていただいて恐縮でございました。これは勝木さんの質問との引き継ぎみたいなものですから、そういうふうにさせていただいたんです。
 次は、年金未加入者と無年金者の問題についてちょっと伺いたいことがございます。
 最初に、一号被保険者、二号被保険者、三号被保険者というのが私は何遍聞いてもすぐわからなくなっちゃうので、例えばA号とかB号とかC号といかないんだろうか。三号はサラリーマンの妻は二号ではないみたいな話になりますと、ちょっとごろが悪いんではないかと。ごろが悪いという意味で、だから一号、二号、三号じゃなくてA、B、Cみたいな符号で言った方が、一号が一番目みたいに見えますし、そういうふうにしていただくとわかりやすかったんじゃないかなと。私は時々間違えちゃいまして、自分の間違いを今申し上げたわけでございます。
 そこで、国民皆年金制度のもとで一号被保険者に多数の脱落者が生じているようでありますが、その現状について御説明をいただきたい。
#261
○政府委員(横田吉男君) 平成四年の調査の結果によりますと、明らかに国民年金の第一号被保険者に加入すべき方で未加入の人が約百九十万人というふうに推計いたしております。これらの一号未加入者と加入者、所得の違い等もそのときに調査いたしておりますけれども、家計調査の状況等から見ますと両者の間にほとんど差がないということで、必ずしも所得が低いから加入してないというような状況ではないのではないかと考えております。
 それから、都市別に見ますと、約六割の人が人口二十万以上の都市に集中いたしております。また、年齢別には二十歳代が五割ということで、一言で申しますと、都市部の若年層に未加入者が多いというふうな実態にございます。
#262
○高桑栄松君 今、未加入者の件を伺いましたが、保険料免除者と滞納者というのもございますね。どれくらいあるんでしょうか。
#263
○政府委員(横田吉男君) 保険料の納付を免除されている人につきましては、平成四年度におきまして約二百七十万人でございます。また、未納者でございますが、納付につきましては検認率ということで出しておりまして、直接、未納の方が何万人というような推計はないわけでございますが、この検認率で申しますと八五・七%というふうになっております。これは後からまた徴収する場合もございまして、そういった過年度の保険料を徴収したものも加えますと約九〇%ぐらいの方が納付している。人ではないんですが、残り一〇%ぐらいの未納率になっているということでございます。
#264
○高桑栄松君 今伺いました点で、滞納者の方は将来は無年金になる可能性があるわけですか。
#265
○政府委員(横田吉男君) 未納の方でございますが、私どもとしてはこれをいかに少なくするかというのが最大の課題であるというふうに考えておりまして、この徴収対策といたしまして、市町村とも連携をとりましてできるだけ保険料を納めていただくような手を打っております。
 一つは、できるだけ保険料を納めやすい環境をつくるということで口座振替制度というものを強力に進めたいというふうに考えております。もう一つは、専任の徴収員を置きまして、そういった未納の方につきまして電話、戸別訪問等も含めまして徴収に努めたいというふうに考えております。
#266
○高桑栄松君 未加入者の中で若年層が多いというお話でございました。若年層というのは学生なんかが多いわけですね。そういう学生から保険料を徴収するわけですが、それは学費プラス保険料ということで親の家計を圧迫するようなことになるわけで、それが原因であるかどうか。もし原因であるとすれば、あるいは原因でなくてもやっぱり家計を圧迫していることは確かでしょうから、何か減額をする方法、考え方はないかどうかですね。
#267
○政府委員(近藤純五郎君) 学生につきましては、障害年金の問題がございまして、しかも四十年加入ということで、老齢年金が将来、学生である期間減ってしまう、こういうこともございまして、平成三年から学生につきましても適用を開始したわけでございます。免除を行っているわけでございますが、この基準につきましては親元の負担が過大にならないように、一般の免除基準に比べますとかなり緩やかな免除基準を設定いたしているわけでございます。
 もう一つの施策といたしましてこの法律に入ってございますが、ことしから年金教育資金の貸付制度を創設するということで、この中で学生の国民年金の保険料も融資対象にするなど、その対策を講じているわけでございます。
 保険料の減額制度を設けますことにつきましては、定額保険料で定額給付、こういう仕組みをとってございますので、今の国民年金制度に直ちに導入するというのは非常に難しい、こういうふうに考えているところでございます。
#268
○高桑栄松君 今の若年層、特に都会の若年層の人たちの医療保険とか生命保険への加入率はどうなんでしょう、データはありますか。
#269
○政府委員(横田吉男君) 年齢別にはちょっと出していないわけでありますけれども、未加入者のうちの七〇%が国民健康保険に入っているというふうな調査結果になっております。
 それから、個人年金への加入率について見ますと、三〇%ぐらいの方が入っております。これは全体の数字でございます。
#270
○高桑栄松君 例えば医療保険、生命保険の加入率と年金加入率に非常に大きな差があるということのようですが、そうするとこれは年金への関心を高める厚生省側の努力が少し足りなかったのではないかというふうに思うんですが、いかがですか。
#271
○政府委員(横田吉男君) ちょっと補足させていただきますと、個人年金の加入率が三〇%と申し上げましたけれども、いわゆる一般の生命保険まで含めますと、未加入者のうちで七割ぐらいの方が加入しておられるという結果が出ております。
 PRの件でございますけれども、私ども公的年金制度を運営していくに当たりまして、公的年金制度というものが世代間の扶養システムであるという基本的な性格、あるいは老後の生活におきます年金の役割というものの重要性を特に若い人を中心に国民に理解していただくということが一番重要ではないかというふうに考えておりまして、社会保険庁としても、各種の媒体を活用いたしまして広報には相当力を入れてやっているところでございます。
 大学、事業所を通じまして大学生や親に対するいろんな広報の周知徹底を図るとともに、中学校用の副読本をつくりましたり、年金セミナーなど学校教育との連携によります年金教育の推進、あるいは成人式を活用してさまざまな広報も行っておりますし、年金週間あるいはテレビスポット等の活用を含めまして広報活動をやっておりますが、今後こういった点につきましてはさらに一層努力してまいりたいというふうに考えております。
#272
○高桑栄松君 今、一般の学生の話になりましたけれども、大学院もこれ学生ですけれども、大学院というのがあるわけですね。大学院は一般の大学よりゆっくり卒業する人も大分いるんですね、論文ができないからもう一年待つとかというようなことがあるようです。
 もう一つは、学位はもらってしまったけれども就職先がない、オーバードクターという方々がいるんですが、こういう長期間未就業の方たちも今の滞納者に入ってくるおそれはないか、あるいは無年金予備軍になる可能性はないか。
 そして、大学院生なんかになりますと、実験途中で障害が起きたりして、障害年金の支給はどうなるんだろうかといったようなこともありますし、滞納が続けば老齢年金の給付水準が当然下がっていくだろうというようなことがあるんですが、この対応はどうすべきか、こういうところも何か検討の余地がないのか、こう思って実は質問したんですが、いかがでしょうか。
#273
○政府委員(近藤純五郎君) 若い方の未就業者につきましてはやっぱり国民年金に入っていただかなきゃいかぬということでございます。その場合に、所得がなければ免除の制度があるということでございまして、手続さえすれば無年金になることはございません。障害年金は、これはそのときに、障害につきその認定を受ければ当然障害基礎年金が出る、こういう形になっているわけでございます。
 免除期間にいたしますれば、過去十年間は追納できるという制度がございますので、その後で就職をされまして所得が得られるようになりますれば、保険料を追納いたしまして老齢年金の額を高める道は開かれているわけでございます。
 さらに、国民年金の場合フルペンションを得るために六十歳まで四十年加入というのができないケースが多いわけでございますけれども、四十年に満たない場合には六十五歳までは任意加入ができる、こういうふうな道が開かれているということでございますが、手続をしないで障害年金になりましたときにはこれはさかのぼってということは難しい、こういうことでございます。
#274
○高桑栄松君 ところで、難民条約が締結をされて、一九八二年の一月以降外国人も国民年金加入が認められるようになった。これはどれくらい加入しているかという推測というか、データはあるんでしょうか。
#275
○政府委員(近藤純五郎君) 数字の方はちょっと今調べておりますので、後ほどわかりましたら申し上げたいと思います。
#276
○高桑栄松君 いや、パーセントを聞こうと思ったというよりは、この一九八二年一月以降はそういう条件が整ってきたと、それ以前に障害者になった者は障害年金の支給がないということが当然あるわけで、そういう外国人に対する救済措置のようなことはやはり後でも届け出ればいいのだろうか、どうなんでしょうか。
#277
○政府委員(近藤純五郎君) 国民年金は、御承知のとおり昭和三十六年に日本人の老後保障あるいは障害者の保障をする、こういうことで発足したわけでございます。
 先生先ほど御指摘のように昭和五十七年に難民条約を批准しようと、こういうときに難民だけを救済するわけにいかぬであろうということで、内外人平等ということで国籍要件を撤廃いたして外国人の加入を認める、こういうふうな形になったわけでございます。昭和六十年の基礎年金の発足の際に、昭和三十六年四月から昭和五十六年十二月までの期間を資格期間に結びつけるためにいわゆる空期間という形で結んだわけでございますけれども、年金額には反映をさせなかったと、こういうことになっているわけでございます。したがいまして、五十七年度以降は在日外国人というのも国民年金法の適用になって内外人の平等というのは達成されたわけでございます。
 そのときのいろいろの議論でございますけれども、その当時既に日本人の方でも、加入していなかったためあるいは滞納等であるいは障害とか高齢になっていたと、こういう人とのバランス等もございまして、既に高齢や障害になっていた在日外国人につきまして特例措置を講ずることにつきましては年金制度として対応することは困難である、こういうふうなことで当時既にそういう意思決定をしておりまして、それは現在まで踏襲されてきているわけでございます。
#278
○高桑栄松君 ところで、無年金者というのは国民皆年金下ではあってはならないわけですから、そうするといろんな年金財政等々の予測にはやはりこういう無年金者の実態をつかんでおく必要があるのではないか。この実態はどうなっているでしょうか。
#279
○政府委員(横田吉男君) 先ほどの在日外国人の適用からちょっと申し上げますと、サラリーマンになっている人、事業所に勤めておられる人は一体的に適用されておりましてちょっとこれは分類が困難でございますが、国民年金に入っておられる在日外国人の数は平成四年度末におきまして九万四千人になっております。
 それから、無年金者の関係でございますけれども、六十五歳以上で年金を受給していない方の数でございますけれども、これも国民生活基礎調査をもとに推計いたしますと、平成四年度におきまして約九十万人というふうに考えられております。
#280
○高桑栄松君 我が国は国民年金の受給資格は二十五年になっていますね。主要先進国の受給資格というのはどうなっているんでしょうか。
#281
○政府委員(近藤純五郎君) 主要先進国におきます老齢年金の受給資格の期間でございますが、フランスは三カ月、ドイツは五年、それからイギリスでございますが、就労年数によって異なりますが、就労年数四十年の場合で最低九年でございます。それからアメリカが十年ということでございます。
 これは、年金の資格期間は制度全体の仕組みとか支給要件とか密接なかかわりがあるわけでございまして、単純に資格要件だけで比較するのは適当でないと思っております。例えば、フランスの場合に受給要件が短いのは、いろいろな制度が分立いたしておりまして、しかもそれらの間に通算制度が全くない、こういう事情もあるようでございます。
 以上が主要国の受給資格期間の例でございます。
#282
○高桑栄松君 今聞いて驚いたんですけれども、我が国は二十五年、フランスは三カ月、単純に比較できないとおっしゃるけれども、単純に比較して大変大きな差があるわけです。接近しているのだと単純に比較できませんけれども、これくらい違えばもう単純どころじゃなくてすぐわかる、これくらい大きな違いですよ。ドイツが五年、英国は九年ぐらいとおっしゃいましたね、アメリカが十年。なぜ日本は二十五年という長い期間を、二十五年以上でないとだめなわけでしょう。しかも給付水準は低いわけだ、そうなると足りない。ですから、これはちょっとやっぱり問題ではないだろうか。
 やはり先進国の理由もあるだろうし、我が国の事情もありましょうが、その辺を総合的に判断して、足して五で割れとは言っておりませんけれども、何かやっぱりこれは受給資格の条件を緩和しなければならないのではないかと思いますが、いかがでしょう。大臣に時々お話を願った方がいいかと思いますが、これひとつお願いします。
#283
○政府委員(近藤純五郎君) 先生御指摘のように、我が国の老齢年金の受給資格は二十五年になっております。ただこれは、日本の場合には数珠つなぎといいますか、通算されることになっておりますので、二十前後で社会に出まして、それから六十前後まで一生働けば当然四十年近い経過があるわけでございまして、その間まじめにこつこつ働いていれば、自営業者であろうが被用者であろうが通算をいたしますので、その間二十五年というのは当然満たせると、こういうことでございます。特に社会保険方式で制度ができておりますので、これは納めた期間に比例いたしまして年金額がふえる、こういうシステムになっておりますので、ある程度の期間を納めていただく必要があると、これがまず一つの理由でございます。
 それから、拠出期間を長くとりますれば延べの負担人員がふえますので、一人頭の保険料というのは比較的少なくて済む、こういう点もございます。先ほど申し上げましたように、二十前後から六十歳前後までの四十年間に善良な市民として生活すれば二十五年の拠出というのは当然満たすべき水準だと、こういうふうに考えておりますし、海外にいる期間はこれはまさに空期間という形で資格期間に入るという形になっておりますので、比較しますと非常に高いように感じますけれども、長い人生を考えますと比較的相当な制度ではないのか、こういうふうに考えておるわけでございます。
#284
○高桑栄松君 説明を承っても、やっぱり二十五年と三カ月とか五年と比べると気が遠くなるぐらい距離がありますよね。だから、やっぱりこれは何らかの調整というか、先進国に接近するような条件緩和の検討が必要なのではないかと私は思います。
#285
○国務大臣(井出正一君) お恥ずかしいんですが、私も今、先生の御質問に局長が、フランス三カ月、ドイツ五年等々の答弁をしたわけですが、そこで初めて知りました。こちらは二十五年、フランスは三カ月と、これはちょっと単純な比較はできないと局長は申しましたが、先生は逆に単純な比較でこんなに違うんだからと、こうおっしゃいました。
 やっぱりこれは制度といいましょうか、仕組みが全く違っているんじゃないかとしか思えないわけでございまして、果たしてフランス型あるいはアメリカ型に日本のこの制度あるいは受給資格期間を近づけることが年金受給者の皆さんに喜んでもらえるかどうかちょっと私はわかりませんから、少し勉強させていただきたいと思います。
#286
○高桑栄松君 大臣、ありがとうございました。突然の話で恐縮でございました。
 次は、六十歳代前半の年金ということで伺いたいと思いますが、特別支給の厚生年金と失業給付、これの併給を禁止するというのが出てきておりますが、これは制度としてはこの二つは違うものなわけで、その違う制度間の給付調整を行うというのはどういう理念に基づくのか、伺いたいと思うんです。
#287
○政府委員(近藤純五郎君) これまで厚生年金と雇用保険の失業給付が併給されておりますけれども、厚生年金というのは厚生の老齢年金でございますけれども、基本は退職年金でございまして、職業生活から引退した者に対します所得保障、まさに引退される方の所得保障でございますが、失業給付の方は、これからももりもり働きたい、知識も能力もある、こういう方に対する失業のときの給付でございまして、二つは相入れない理念であるわけでございます。これまでどうして調整されないのか、厚生省と労働省が分かれているからじゃないか、こういうふうな陰口を聞いたことも何遍かございます。
 しからば、二つの給付をいただきますと、高い人では、年金が二十万円ぐらいの者でも両方合わせますと五十万円ぐらいの月収になるわけでございます。これは高い人ですけれども、そうでなくても合計しますと相当な額になりますので、これで十カ月働いてしまいますともうあとは働きたくない、こういう就業を阻害するような機能も働いていたわけでございます。社会保障としてのあり方を考えてみましても、同じ時期の離職に対しまして所得保障を行うというのは社会保障として過剰給付ではないか、こういう指摘も受けたわけでございまして、雇用と年金制度を連携させるといいますか連結させるということもありまして、今回この調整に踏み切りたい、こういうことで提案させていただいておるわけでございます。
#288
○高桑栄松君 それでは、労働省に伺いたいんですが、平成六年雇用管理調査によりますと、定年年齢六十歳以上の事業所における定年後の勤務延長、再雇用、こういったものがあるかないかという統計が出ておったようでありますが、ちょっとお知らせ願いたいと思います。
#289
○説明員(太田俊明君) ただいま先生からお話のございました雇用管理調査でございますけれども、この調査によりますと、平成六年一月現在におきまして、定年年齢六十歳以上の企業のうち、勤務延長制度または再雇用制度のある企業の割合は六九・四%、約七割となっております。
 これを規模別に見てみますと、五千人以上の企業では五二・一%、千人から四千九百九十九人の企業では五五・六%、三百人から九百九十九人の企業では六四・九%、百人から二百九十九人の企業では七六・一%、それから三十人から九十九人の企業では六八・〇%となっておりまして、おおむね企業規模が小さいほど高いというふうな状況もございます。
#290
○高桑栄松君 これは、これから六十五歳現役制度とおっしゃっておられるのに対して非常に大きな障害になる部分ではないかと思うんですが、労働省としては、この六十五歳現役制度ということを何とか維持するための雇用確保対策というのはどういうことをやっておられるんでしょうか。
#291
○説明員(太田俊明君) 先ほどからも御議論ございますように、急速な高齢化の進展に対応しまして今後我が国経済社会の活力を維持していくためには、二十一世紀初頭までには希望すれば六十五歳まで現役として働ける社会、これを実現していくことが極めて重要な課題でございます。このため労働省としましては、さきの通常国会で改正いただきました高年齢者雇用安定法に基、つきまして、まず六十歳定年制を基盤とした六十五歳までの継続雇用を推進することとしております。
 この点につきましては先般の改正で、定年を定める場合には六十歳を下回ることができないものとすること、あるいは、労働大臣は事業主に対しまして六十五歳までの継続雇用制度の導入を計画的、段階的に進めるための計画作成指示等を行うことというような改正もしていただきましたので、今後このような制度を活用いたしまして六十五歳までの継続雇用の推進を図ってまいりたいと考えております。また、高齢者の方々は大変ニーズも多様化しておりますので、こういう就業ニーズに応じた多様な形態によりまして六十五歳までの雇用機会を確保するような施策を積極的に講じていくこととしております。
 さらにまた、これとあわせてさきの通常国会で改正されました雇用保険法によりまして、高年齢雇用継続給付制度というのを創設していただきました。この制度は、六十五歳までの継続雇用や再就職を援助するために、六十歳時点に比して賃金が相当程度低下した状態で働き続ける高齢者に対しまして、六十歳以降の賃金の原則二五%を支給するという制度でございます。
 こういう制度の実施によりまして、高齢者の雇用継続を援助、促進することとしているところでございまして、こういった施策によりまして高齢者の雇用の推進に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
#292
○高桑栄松君 そこで、これは厚生省の問題なのか、厚生省プラス労働省の問題なのかでございますけれども、今は六十歳代前半の所得保障を年金の側からも目指しているわけでございますが、けさのNHKのテレビでありますけれども、今団塊世代は肩たたきにあっていると。これはシリーズでやっているのかな、朝です。団塊世代ですから五十歳ちょっと前ですね。この人たちは子供がこれからだというのに肩をたたかれている。高給だからやめてもらいたいということらしいです。あるいは転職ですね、自分の系列会社に転職させる。全くやったことのない、経験したことのない職業に移される、課長クラスがですね。そういうことがNHKでやっておりました。だから、きょうはこれもひとつ御披露しなければいかぬなと。
 そういうところで安易に六十から六十五歳までの雇用確保というのができるのだろうか。現実はそうではなくて、今非常に厳しいと。そして、大企業というのはさっき労働省からございました。小企業は、小さな企業は家族的というか、その技術者がいなければかわりがいないというのか、この人たちは割合に長く再雇用されていく。大企業は高給取りになればすぐ切り捨てるということになっているようにNHKで団塊の世代は語っておりました。皆さん五十歳ぐらいの方ですね。
 ですから、とれについて厚生省に伺いたいのは、支給開始年齢六十五歳、段階的に引き上げるということになっているようでありますが、今労働省のデータでありましたように、雇用条件の非常に厳しい、再雇用の厳しいときに、雇用と年金の空白を生じないように対策を講じなければならないわけですが、六十歳代前半の所得保障はどうお考えでしょうか。
#293
○政府委員(近藤純五郎君) 先ほど労働省の方からもお話がございましたように、現段階での雇用情勢というのは非常に厳しいことになっているわけでございますけれども、今回の改正は二〇〇一年から十二年間をかけまして、今から考えますと十九年をかけまして六十五歳に持っていく、こういう考え方でございます。
 現時点における高齢者の雇用状況というのが非常に厳しいというのは私どもも認識しているわけでございますけれども、これから若年労働力が減ってまいりまして、二十一世紀になりましては高齢者の雇用と活用というものを考えませんと日本の経済力、活力というものは非常に減退していくことになるのではないか、こういうふうな認識を持っているわけでございます。
 私ども、今そのころの想定をしているわけでございますけれども、六十歳代前半につきましては、高齢者雇用の賃金とそれから今の額の半分の年金で生活をしていただく、こういうことで考えているわけでございます。もしそのとき職業がないということでございますれば基礎年金の減額年金を給付する、いろいろな手段があろうかと思うわけでございます。いずれにいたしましても、これから高齢者雇用というものを官民挙げて推進していく必要がある、こういうふうに考えているわけでございます。
 確かに、年金だけでそこを暮らせるか、今の半額でできるかといいますと、これはなかなか難しいということは言わざるを得ないと思いますが、そうでないような社会にしていく必要がある、こういうふうに考えているわけでございます。
#294
○高桑栄松君 その辺は労働省ともタイアップしていただきまして、ひとつしっかりやっていただきたいと思います。
 次に、保険料率と給付の問題なんですが、年金の給付水準は、これは竹村さんが質問をされておりましたが、従来は現役世帯の総所得の約七割、六八%ぐらいですか、を確保してきた。今度の改正で今後の給付水準をどの程度に確保していくことを考えておられるか、承りたいと思います。
#295
○政府委員(近藤純五郎君) 厚生年金の給付水準でございますが、昭和四十八年の改正当時、直近の男子の平均標準報酬の六〇%ということで設定したわけでございますが、その後被保険者の期間が延びたものですから、これは制度的に昭和六十年当時六八%程度にまで達したわけでございます。そのときの改正で基礎年金が導入をされまして、夫婦一つずつの基礎年金にプラスして一つの報酬比例部分の年金、この制度的な水準を設定したわけでございます。そのときの制度成熟時の給付の水準は同じく六八%程度に設定させていただいたわけでございまして、これにつきましては今回も同じような考え方を踏襲させていただいているわけでございます。
 そういうことで制度的な成熟時の金額を申し上げますと、加入期間が四十年というのを想定しておりますが、これは現在の給付水準の適正化措置が完了した状態の年金額を言うわけでございまして、制度の構造的な水準を示しているわけでございますが、先ほど申し上げましたように夫は基礎年金と老齢厚生年金、それから妻は基礎年金を受給しているというものでございますが、年金額が二十三万一千円程度でございまして、現役世代の月収の約六八%相当でございます。
#296
○高桑栄松君 そこで、保険料率を将来引き上げていくことに多分なっていくのだろうと思うんですけれども、そういう将来予測は人口推計に基づいているわけです。現在行われているベースの人口推計は、一番新しいので平成四年なわけです。厚生省は当然厚生省の人口問題研究所のデータを利用しておられるはずだと思いますが、一方、経企庁のシンクタンクのNIRAなどの推計では、高齢化は厚生省の人口問題研究所の推測よりももっと高度になると予測をしている。
 こうなりますと、人口予測は決定的に重要なんですね。予算を立てるにしても、将来予測をするのに人口推計が最も決定的に重要でありますが、この人口推計について厚生省は、今私は二つ挙げましたが、どういうふうにお考えでしょうか。
#297
○政府委員(太田義武君) 今度の財政再計算の基礎には平成四年九月の人口問題研究所の人口推計を使っておりますが、これは死亡率、出生率等の各種のデータと、それから出生動向調査といわれるようないわゆる意識調査等を踏まえまして、最も適当と考えられる前提を置いた計算を将来の男女別、年齢別に行っているわけでございます。我が国の人口高齢化の計算の基礎となる総人口及び六十五歳以上の人口につきましては、長期的に見ればこの人口問題研究所のような中位推計――高位推計と低位推計と中位推計をやっておりますが、中位推計のように推移するのではないかと考えております。
 今先生御指摘のNIRA、総合研究開発機構の推計は、将来の出産とか育児の時期の女性の労働力率、これを関数といいますか、つまり労働力が高まれば高まるほど出生が低くなる、あるいは親との同居が低まれば低まるほど人口が少なくなっていくというような、そういういわゆる社会学的な要素を一つの関数に置いて計算をしておられまして、例えば晩婚化がとまりましても出生率の低下は回復しないという前提で計算されております。先ほどの労働力率あるいは同居率、これを関数に置いて、そんなような考え方でやっておるのでございまして、そういう点からいって私どもの方の人口問題研究所の中位推計よりは高齢化が葦く進むという数値が出ておるわけでございます。
 ただ、私どもの方は人口学的にいろいろと、例えば一生結婚しない女性の割合、これは生涯未婚率と呼んでおりますけれども、その割合とか、それから夫婦の子供数、夫婦完結出生児数と言っておりますけれども、そういう子供の近年の実績とか、それから先ほどの出生動向調査を踏まえた意識調査ということを考えれば今後の出生率は回復に向かうのではないかという点が第一点と、もう一つは今後の子育て支援の施策、先ほどエンゼルプランの話がございましたが、それらの施策の充実の方を勘案しますれば、NIRAの推計というのは出生率に関するマイナス要因のみを強調し過ぎるのではないだろうかというふうに考えておる次第でございます。
#298
○高桑栄松君 時間が二分ぐらい早いわけでございますけれども、この後がちょっと核心に触れる部分がございますので、人口推計問題でもうちょっと質問したいと思っておりますので、多分私の順番はあさってでございますのであさってを御期待いただきたいと思います。
 それでは、私の質問は終わります。
#299
○西山登紀子君 私は、きょうは年金改正の経過と国民の要望につきまして、本改正案がこれまでの経過を踏まえ、国民の要望に沿ったものになっているのかという点について質問をいたします。
 まず初めに、大臣にお伺いしたいわけですけれども、本改正案の中心点は何といっても六十五歳支給問題です。これは八一年の臨調答申以来検討されてきたもので、八五年の改正時にも検討されましたが、時期尚早として見送られてきたものです。八九年の自民党政府時代の国会にも提出されましたが、しかし当時野党は全部反対、反対運動もあり、自民党の中でも、丹羽元厚生大臣のこの本にもリアルに書かれておりますように大もめをいたしました。乱闘まであったとも書かれております。その結果、結局六十五歳支給は削除されたわけです。
 大臣、六十五歳支給とはこのように国民に大きな影響を与える問題として扱われてきたと言えますが、そうではないでしょうか。そのような重みのある問題ではありませんか。
#300
○国務大臣(井出正一君) 今回の改正は、活力ある長寿社会に向けて高齢者の雇用の促進と連携をとって年金制度も人生八十年時代にふさわしい仕組みとすること、また将来の現役世代の負担を過重なものとしないよう給付と負担のバランスを図ること、こういう観点から制度全般にわたり必要な見直しを行うものであり、私はぜひとも必要なものと考えております。
 これまでこの支給年齢の引き上げにつきましてはさまざまな経緯があったことはもちろん私も承知しております。それだけに大変重いといいますか、今回は重大な大きな改正であることは先生のおっしゃるとおりでありまして、今回の改正により年金制度が二十一世紀の超高齢社会にふさわしい制度として長期的に安定したものとなり、将来にわたり老後生活の基本的部分を確実に支えていくことができるものと考えておるものでございます。
#301
○西山登紀子君 続いて、大臣にお伺いしたいわけですけれども、年金の改正が場合によっては人生設計や将来の展望に重くて暗い影響を与える場合があります。政治は十分にこのことをわきまえて、単に財政バランス論だけではなくて、深く国民生活に与える影響を考慮して改正を検討される必要があります。私は、明るい展望が持てるように年金制度に対する信頼が回復される必要があると思いますが、残念ながら本改正案はそのような方向ではなく、年金不信と失望感を増幅するものであると考えます。
 大臣は本改正案をどのように評価されますか、国民に将来の希望と確かな展望を与えるものであると胸を張って言えますか、御答弁ください。
#302
○国務大臣(井出正一君) 年金制度は国民の老後を支える柱として完全に国民生活に定着したものとなっているというふうに考えております。年金制度の課題をずっと振り返ってみますと、昭和三十六年当時は国民皆年金制度の確立が大きな課題でございましたし、昭和四十年代から五十年代にかけては国民が老後を頼れる年金とするよう給付の改善が課題でございました。
 しかしながら、時代が進むにつれまして、我が国の人口の急速な高齢化を控え、年金制度の中心課題は二十一世紀の超高齢社会においても長期的に安定した年金制度を構築していくことに移ってきておりまして、このような観点から、昭和六十年の改正以降財政再計算ごとに制度改正に取り組んできているところでございます。
 このたびの改正は、年金制度を長期的に安定させ世代間の給付と負担のバランスを図るものであり、活力ある長寿社会を築くためにぜひとも必要であると自信を持って申し上げることができます。
#303
○西山登紀子君 衆議院での採決を聞いた後ある若い国会の職員の方が、六十歳年金支給が魅力で勤めたのにこんなことになるというのは政府はひどいことをすると私に嘆いておられました。もっともな声、当たり前の声だと思います。当てにしていた将来の収入がなくなるということです。しかも五年間です。資産家ならともかくも、庶民にとっては生活設計の重大な変更を強いられます。民間の保険の場合、普通は加入時に保険契約を交わしますが、この契約条件や内容を会社の都合で一方的に変更することは一般的にはあり得ないことです。しかし、この間の年金制度の改正の経過をたどると国民がそう思うのも当然だと思います。
 一九七三年、昭和四十八年は福祉元年と言われました。厚生省は、我が国の年金は低い、引き上げる必要があるといって年金法を改正いたしました。それが十年たたないうちに一転し、つまり八一年、昭和五十六年の土光臨調答申で給付水準を下げよ、国庫負担を減らせ、支給年齢を引き上げよと答申は指摘をいたしました。そして、その答申に沿って八五年には基礎年金制度を創設し、保険料を引き上げるとともに給付水準と国庫負担を大幅に引き下げ、支給資格を二十年から二十五年にし、満額年金は四十年加入といたしました。そして八九年、六十五歳支給とする案を提出、先ほどの乱闘騒ぎもあったようですが、削除されましたが、今回再提出されてきたわけです。
 このような経過を見ますと、加入者、労働者から見ますと制度の改悪が連続しておりまして、例は悪いのですけれども、何か鼻先にニンジンをぶら下げられて、走っても走ってもニンジンが先に行く、そしてこれからはそのニンジンの形もかすんで見えにくい、そんなふうな感じを労働者が持つのは当たり前ではないか、国民の年金に対する不信と失望感、当たり前ではないでしょうか。お答えください。
#304
○政府委員(近藤純五郎君) 先ほど大臣からお答え申し上げましたように、昭和四十年代から五十年代にかけましては年金の給付水準が非常に低いということで改善が図られてきたわけでございますけれども、その後その水準は加入期間がふえますと当然水準がふえてくる、こういうことになっておりますので、それが六〇%をめどといたしたものが七割近くまで上がったということで、受ける者はそれの方がいいと思いますけれども、負担する方はこれは大変である。しかも、高齢化社会というのが急速な勢いてやってくると、負担する人が少なくなって受給する人が非常に多くなる、こういうことになってきたわけでございます。
 このために、二十一世紀の超高齢化社会に制度を長期的に安定させていくためには、やはりある程度の給付の調整とそれから負担が将来に向かって余り過重にならないように、こういう両方の調整が行われてきたということで、六十年の改正、今回の改正も合わせまして、来世紀におきましても年金制度が長期的に安定して世代間の給付と負担のバランスを図るものと。やはり給付だけを上げて負担をないがしろにしますと制度そのものが危うくなる、こういうことは自明の理だというふうに考えている次第でございます。
#305
○西山登紀子君 御答弁は簡潔にお願いをいたします。
 負担するのも国民だし、受給するのも同じ国民なわけです。
 次に移りますが、本改正案の最大の問題は、男性にとっても女性にとっても支給年齢を六十歳から六十五歳とし満額年金は六十五歳からしか支給しないという点です。
 この改正案の根本は、八九年に自民党政府が国会に提出したものと同じですね。八九年のときの提案は、六十五歳支給の実施は九八年からでした。だから、実施開始年度を三年おくらせるとか部分給付だとか在職老齢年金とかあるいは遺族年金だとかに若干の違いがありますけれども、しかし六十二歳支給でもないし六十三歳支給でもないしやはり六十五歳支給だと。こういう点では、六十五歳支給という根本は八九年当時の自民党政府案の提案と根本的に同じものではないですか。
#306
○政府委員(近藤純五郎君) 基本的には、考え方の方向としては確かに似ているわけでございますけれども、今回はやはり高齢期の就業から年金生活への円滑な移行、こういうことで高齢者雇用との連携を配慮して別個の給付方式をとったという点が元年とは大分違った趣があるというふうに考えております。
#307
○西山登紀子君 いろいう言われますけれども、六十五歳支給、こういう基本、最大の問題点というのはやはり八九年の政府案と同じだということです。
 ところで、この改正案のルーツというのは八一年の土光会長の臨時行政調査会の答申です。そこではこのようにはっきりと言っています。年金の部分を読み上げてみますと、「各種公的年金制度については、その長期的安定を確保するため、制度間の均衡を図りつつ、老齢年金の支給開始年齢の段階的引上げ等給付の内容と水準を基本的に見直し、保険料を段階的に引き上げる等、年金制度の抜本的な改正を検討し、早急な実施を図る。」と、こういうふうになっているわけです。この答申では、高年齢者の雇用促進については一言も触れておりません。
 この答申を受けて政府は、八五年、八九年に続く今回の改正案など年金の二元化を展望いたしまして次々と改正、私たちの言葉で言うと改悪をしてきたわけですが、このルーツは結局臨調答申ではないでしょうか、どうですか。
#308
○政府委員(近藤純五郎君) 六十年改正は、先ほど先生が御指摘のとおり臨調の答申を受けての改正でございますので明らかに臨調路線だと言えると思いますし、それから元年改正はそれを受けたという感じの改正になっていると思っておりますが、六年改正は特別にこの臨調答申を念頭に置いた改正ではございません。
 先ほど来大臣の方から申し上げておりますけれども、活力ある長寿社会をつくるために高齢者雇用の促進を図るということとともに、年金制度も人生八十年時代にふさわしいものに変えていく、こういうことを考えているわけでございますし、六十五歳問題は実はもう臨調答申以前から既に問題になっていた課題でございまして、必ずしも臨調から初めて言い出したというものではございません。
#309
○西山登紀子君 臨調以前からそういうことを考えていらっしゃったということなんですけれども、私はやはり本改正案というのは臨調答申の総仕上げたというふうに思います。
 臨調の方針が実施されてから十年以上たっているわけですけれども、そこでこの十年を振り返って見ますと、国民の負担がどうなっているかということなんですけれども、例えば八二年度から九一年度のこの十年間を見ますと、社会保障関係総費用の構成比なんですけれども、国庫負担は二七・〇から二〇・一に減っております。ところが、国民が負担をする保険料の割合というのは五三・六%から五七・四%というふうに逆に上がっているわけです。
 八三年を一〇〇といたしまして、九二年までの国民の暮らしぶりがどうかというふうに見てみますと、国民の可処分所得、これは一・五二倍上がっているわけですけれども、それに比較いたしまして社会保険の負担というのは一・九三倍、それを上回ってふえているというのがわかります。明らかに臨調が大目的といたしました社会保障に対する国庫負担減らしが着実に行われてきていることを示しているわけですが、このことは他方で国民の負担増を意味していると思いますが、そうではありませんか。
#310
○政府委員(太田義武君) 総理府に社会保障統計年報というのがございまして、それによりますれば、狭義の社会保障、これは広い社会保障から恩給とか戦後補償をとったものですが、もの実収入の構成比の近年の変化を見ますと、年により若干でこぼこはございますけれども、傾向としては国庫負担が減少して保険料が増加しているということを示しているということは先生御指摘のとおりでございます。
 これは、その傾向につきましてはさまざまな要因があるかと思います。一つは、いろいろ公平、公正ということを今後確保することが大事だということで、世代間とか制度間あるいは受益者の間の問題、あるいは真に国民のニーズに即したできる限り効率的なシステムを確保するという観点からいろいろと制度改革を行ってきたということも一つございます。さらには、国と地方の事務事業の見直しも行ってきております。あるいは老齢福祉年金等、国庫負担率の高い給付の受給者が低減しているというような、そのほかにもいろいろと要因はあるかと思いますが、影響しているかとも思いますが、傾向としては先生の御指摘のような傾向にあるかとは思います。
#311
○西山登紀子君 私の指摘いたしました傾向をお認めになったわけでございます。
 次に、大臣にお伺いいたしますが、私は憲法を振りかざすというわけではありませんけれども、臨調答申の方向、つまり国庫補助を減らして国民負担をふやすことで福祉や社会保障を賄おうという傾向、本改正案もそうなんですけれども、これは「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」とする憲法第二十五条の後段で言われる精神、これからますます遠ざかるものではないでしょうか。大臣の正直なお考えをお聞かせください。
#312
○国務大臣(井出正一君) 社会保障の給付やサービスは、最終的には税、保険料または受益者負担のいずれかによって求められるものでありまして、提供される給付やサービスの種類や内容によって適切な財源の組み合わせを実現していくべきものだと考えます。
 今後、少子化、高齢化の急速な進展に伴い社会保障需要も増大していくわけでございますが、こうした状況にあっても過不足のない給付を過度にならない負担で実現していくためには、制度の一層の効率化、公平化を図っていくことが必要であると考えておりまして、このような観点からの制度改革は憲法二十五条第二項の理念に反するものとは考えておりません。
 なお、税負担と社会保障負担の関係については、一般的に言えば、制度に対する貢献が給付に反映されるという点で受益と負担の関係が最も明確である社会保険料負担中心の枠組みは、今後とも基本的に維持する必要があると考えるものでございます。
#313
○西山登紀子君 そうおっしゃいますけれども、私が示しました実際の数字とそれから豊かさを感じられない国民の実感というものがやはりそのことを示していると私は考えます。
 次に、総理府が行いました世論調査について質問をいたします。
 この調査目的というのは、「公的年金制度に対する国民の意識を調査し、今後の施策の参考とする。」というものですけれども、この調査結果のどこをどのように参考にされたのでしょうか。
 そして、私はこの世論調査を見て少しおかしいと思ったことがあります。国民が最も関心の高い年金の支給年齢それから年金の給付水準、これについての設問がありません。いつから年金がもらえるのか、幾ら必要なのか、こういうことについての設問がないのは一体なぜでしょう。
#314
○政府委員(近藤純五郎君) 総理府が行われた調査でございますので、私どもは一応相談にはあずかっておりますけれども、最終的には総理府の方で行われたものと承知いたしている次第でございます。
 公的年金制度は国民生活に定着をしておりまして、国民の関心も非常に高いわけでございます。制度改正に当たりましても、国民の意識とか意見、これを把握していく必要があるわけでございます。
 御指摘の調査が公表されました平成五年の十一月でございますけれども、これはその前月に年金審議会の意見書が出ているところでございまして、その意見書を踏まえまして私ども政府部内で検討作業を行う、連立与党の関係でも並行してプロジェクトチームの進行をする、こういう制度改正の事業が進んでいた時期でございました。この検討過程におきまして、年金制度に関します世論調査の結果も私どもの検討している検討方向の妥当性を吟味する上の検証といいますかチェックといいますか、そういうことで参考にさせていただいたわけでございます。
 それで、個別の事項が載っていないではないかということでございますけれども、これは一般的な調査でございますので、制度改正の中身につきまして当然まだ方向が固まっていない時期でございますので、これについて世論調査というのは、個々の事項について聞くというのはなかなか一般の世論調査としては難しかったのかなと、こういうふうに考えております。
#315
○西山登紀子君 今、総理府の調査だというふうにおっしゃったわけですけれども、非常に私は、そのお答えは厚生省として国会と国民に対して誠実な態度ではないというふうに思います。
 多分そのようにお答えされると思って総理府に確かめております。世論調査の調査方法など技術的なことは確かに総理府の世論調査係が担当しておりますけれども、しかし設問は各省庁が行うということだったわけです。この調査の場合には厚生省が質問事項を設定したということでした。
 厚生省は、最も肝心な支給年齢や給付水準についての設問を抜いた。なぜ設問し、国民の意向を聞かなかったのか、ここが大事な点ではないでしょうか。それとも、初めから聞く必要がない、六十五歳支給問題は初めから決まっていることなのだからと、こういうふうなことなのかどうか、もう一度お答えください。
#316
○政府委員(近藤純五郎君) 設問の中身を全部私どもがつくったというのはちょっとあれだと思いますが、この最後のまとめの表の中に書いてございますが、表十一でございますけれども、高齢化社会の進展に伴います今後の給付と負担のあり方についての意識についてお聞きしております。
 この中で、長くなりますが……
#317
○西山登紀子君 短くお願いします。
#318
○政府委員(近藤純五郎君) 中身でございますので正確に申し上げますと、「現在の年金の給付内容を将来とも維持する必要があり、そのためには、将来の世代の保険料負担が相当重くなってもやむを得ない」、こういう設問と、それから「保険料負担世代と年金受給世代とのバランスを考え、保険料負担の上昇を抑えながら、給付内容の見直し」、これは当然そういう給付内容の六十五歳問題も含めたような「給付内容の見直しを行う」、こういうのも入っているというふうに考えられますし、――もう一つの設問は、「将来の世代の保険料負担を現在程度に抑える必要があり、そのためには、年金の給付内容を引き下げてもやむを得ない」、こういうことがございますが、真ん中の給付内容も見直しをする、こういう設問に対する答えが六五・九%、こういうふうなことでかなり中庸を得た結果になっているのではないのかというふうに受けとめております。
#319
○西山登紀子君 今のお答えでは聞いていてもよくわからないわけですけれども、私が質問いたしましたのは年金の支給年齢それから給付水準、このことについての設問がないような世論調査をどうして行ったのかということを質問いたしました。そして、この世論調査の時期は平成五年の八月二十六日から九月五日です。このころというのは年金審議会の審議の真っ最中なわけですよ。厚生省が間に合わそうと思えば間に合う時期に一方で世論調査をやっている、その世論調査には最も肝心な設問が抜けている、こういう問題を指摘しているわけです。
 厚生省が年金制度のすべてを律するわけではありません。国民の意向を第一と見るべきではないかというふうに私は思いますし、今お答えになった中で私は本当に語るに落ちるだなと思っているんですけれども、厚生省は聞きたい、都合のいいことはちゃんと聞いているわけですね。六十五歳支給の是非はありませんけれども、例えば「あなたは、六十歳以降、何歳くらいまで仕事をしたいと思いますか。」、こういう質問はあります。それからまた、「今後、高齢期における年金の給付内容と保険料負担のあり方についてどのように考えますか。」ということで、そして選択肢は厚生省の都合のよい設問を幾つか用意しているというようなことです。極めて政治的で非常に誘導する調査と言われても仕方がないと思うわけです。
 そこで、時間がありませんので、次に大臣にお伺いをいたします。
 このような非常に偏った調査でありましても、今後の重要課題で厚生省の用意した回答の選択肢の中でも、一番多いのは「老後の生活に必要な年金給付額の確保」は七五%、次が「公的年金制度の長期的安定」で六五%、三番目が「保険料負担の上昇の抑制」で四二%です。
 このことを見ますと、国民が年金制度のあり方について何を一番期待しているかが明らかです。このような声にどのように答えるか、本来この声に真剣にこたえるのが政治に求められていると思いますけれども、大臣の御意見をお伺いいたします。
#320
○国務大臣(井出正一君) 今、先生が御指摘くださいました数字は複数回答なわけでございます。じゃ、そういったものをどうやって読むかでございますが、長期的な公的年金制度の安定と、それから老後の生活に必要な年金給付額の確保というこの上位一、二位がこのアンケートでは一番回答者が望んでいるところかな、そんなふうに考えます。
#321
○西山登紀子君 それでは、労働者の実際の声というのは六十歳支給なのか、六十五歳支給でよいというのが多数なのか、どちらか。当然いろいろな調査をお持ちだと思いますけれども、どうですか。
#322
○政府委員(近藤純五郎君) 私ども、支給開始年齢の改正につきましては有識者調査というものを行ったわけでございまして、その有識者調査の中には労働者の関係の方も入っていらっしゃいます。二千名の対象者の中に一割程度労働者の方も入っているわけでございます。
 調査をいたしました結果でございますけれども、支給開始年齢の関係では、全体といたしまして、段階的に六十五歳に引き上げるべきである、こういう意見が一四・八%、それから、六十五歳で六十歳から六十四歳は弾力的な仕組みという形が七一・五%、現行の六十歳支給を維持というのが九・三%でございますが、労働関係の方は、段階的に六十五歳に引き上げてやるというのはほとんどございませんで〇・七%、それから、六十五歳で六十歳から六十四歳が弾力的な仕組みというのが四五%、それから、六十歳支給を維持というのが三九・三%ということになっているわけでございます。
 確かに数字はかなり差がございますが、労働関係の方もある程度の方は六十歳から六十四歳については弾力的な仕組みを考えていただいてもいいのではないか、こういうふうな意識があるということは私どもも認識しているわけでございます。
#323
○西山登紀子君 厚生省が行いました有識者調査ということで今数字をお出しになったわけですけれども、そこの部分で特に私は注目をしなければいけませんのは、先ほど言われましたけれども労働関係の数字ですね。「労働関係では「段階的に六十五歳とするが、六十――六十四歳の期間においても、本人のニーズに応じ得る弾力的な仕組みを講ずるべきである。」とする意見が四五・〇%、「将来とも現行の六十歳支給を維持するべきである」。とする意見が三九・三%となっている」と。労働関係は非常に高くなっているということを注目しなければいけないと思います。
 そして私は、もっと直截的にといいますか、国民や労働者の声がどのようになっているのかということを調べてみました。調べてみれば、そういういろんな調査というものはあるものです。一つは通産省の委託調査です。「中高年労働者の就業意識に関する調査研究」、こういうのがあるんですけれども、それを調べてみますと、厚生年金の支給開始年齢についてこういうデータの結果が出ております。この調査というのは、九百五十六人の労働者の方、主に中高年の四十歳代、五十歳代の方を中心に調査をされた結果です。
 ここでは、「全体としては「六十歳支給を維持すべき」が五四・〇%と半数以上に達し、「退職年齢と年金の支給開始年齢がつながるのであれば、支給年齢の繰延もやむを得ない」が三一・六%となっており、この二つの回答で八割以上を占めている。」と。そして結論的には、「現状では支給年齢の繰延はやむを得ない」、これは三・五%ということで、やむを得ないと答えた人はほとんどいない。「対象者の支給開始年齢に関する考え方は明瞭である。」と結論づけております。
 さらに、これは男女込みなんですが、「男性を年齢別にみると、「六十歳支給を維持すべき」は四十代では五割弱程度であるが、五十代前半では五九・八%、五十五歳以上では六六・一%にと、加齢するごとに急増している。」と、こういう結果が通産省の委託調査ですけれども出ております。
 さらに、労働省が委託をした調査ですね、「「中高年のライフスタイルと生涯生活設計」に関する調査報告書」、こういうものですけれども、それを見てみますと、この調査はやはり四十代、五十代の労働者を対象といたしました調査で、かなり膨大な調査です。
 その調査でも、支給開始年齢のところを見てみますと、「厚生年金の支給開始年齢については中高年層と定年退職者とで評価が分かれている。中高年層では「六十歳支給を維持すべき」五三・一%が「退職と支給時が一緒なら繰り延べもよい」四二・五%を上回っている」というようなことと同時に、特に現業の方ですね、労働が非常に厳しい人々につきましては、「六十歳支給を維持すべき」というのは六〇・一%と非常に率が高いです。そして、「退職と支給時が一緒なら繰延もよい」というのは三五・三%ありまして、「年齢に関係なく繰延は仕方ない」というのはわずか一・五%、非常に少数だと、こういう統計の結果も出ているわけです。
 通産省の委託調査、労働省の委託調査、このような調査をとりましても、やはり労働者の要求というのは六十歳支給が圧倒的ではないでしょうか、どうでしょう。
#324
○政府委員(近藤純五郎君) ただいま言われました数字は、私ども十分精査しておりませんので何とも申し上げられませんが、給付の関係というのは負担とも連動するものでございまして、一方的に給付についてだけどうかということでありますれば、受給する方の当事者とすればそれは給付内容がいいのに決まっているということでございまして、その辺全体をどういうふうな形で調査をされたのかと、こういう面もございますので、よく見せていただきまして精査をしたいというふうに考えております。
#325
○西山登紀子君 今の御答弁、私は本当に不誠実な態度だと思います。総理府の調査では設問を抜き、そして厚生省が六十歳支給か六十五歳支給がよいかという参考にしているのは有識者調査であると。そして、通産省や労働省が行っているこういう直截的な国民、労働者の声の調査については十分に参考にしようともしない。そういう態度では、六十五歳支給という今回の本改正案につきまして国民は納得いきません。
 最後に大臣の御答弁を求めます。
#326
○国務大臣(井出正一君) 今、局長が申し上げましたように、やはり私は設問の仕方にも問題があるんじゃないかなと思います。給付だけのことを尋ねれば、それはできるだけ早くに、しかもたくさんもらいたいと答えるのがこれまた普通じゃないかと思います。ですからそのときには、次の世代がこうなるんだとか、あるいはこういう負担をしなくちゃならぬだとか、きちっとこういうこともあわせて聞くような質問にしなくちゃいかぬのじゃないか、こう思う次第でございます。
#327
○西山登紀子君 どうも大臣は私の質問をずっと聞いていただいていたのかなというふうに思うわけですけれども、非常にこの問題は労働者にとっては本当に死活にかかわる問題ですよ。ですから、今の御答弁などを伺っておりまして、私は本当に厚生省は国民に対して不誠実だと、そういうふうに思わざるを得ません。
 これ以上質問いたしましてもあれですから、これで終わります。
#328
○委員長(種田誠君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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