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1994/11/01 第131回国会 参議院 参議院会議録情報 第131回国会 厚生委員会 第6号
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1994/11/01 第131回国会 参議院

参議院会議録情報 第131回国会 厚生委員会 第6号

#1
第131回国会 厚生委員会 第6号
平成六年十一月一日(火曜日)
   午前十時三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十月三十一日
    辞任         補欠選任
     竹村 泰子君     糸久八重子君
 十一月一日
    辞任         補欠選任
    清水 澄子君      今井  澄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         種田  誠君
    理 事
                清水嘉与子君
                宮崎 秀樹君
                菅野  壽君
                横尾 和伸君
    委 員
                石井 道子君
                尾辻 秀久君
                大島 慶久君
                大浜 方栄君
                佐々木 満君
                前島英三郎君
                糸久八重子君
                今井  澄君
               日下部禧代子君
                堀  利和君
                勝木 健司君
                萩野 浩基君
                高桑 栄松君
                西山登紀子君
   衆議院議員
       修正案提出者   戸井田三郎君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  井出 正一君
   政府委員
       防衛施設庁労務
       部長       涌田作次郎君
       沖縄開発庁総務
       局長       渡辺  明君
       厚生大臣官房長  山口 剛彦君
       厚生大臣官房総
       務審議官     太田 義武君
       厚生省保健医療
       局長       谷  修一君
       厚生省社会・援
       護局長      佐野 利昭君
       厚生省年金局長  近藤純五郎君
       社会保険庁運営
       部長
       兼内閣審議官   横田 吉男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        水野 国利君
   説明員
       大蔵省主計局主
       計官       丹呉 泰健君
       運輸省運輸政策
       局消費者行政課
       長        淡路  均君
       労働省職業安定
       局高齢・障害者
       対策部企画課長  太田 俊明君
   参考人
       年金評論家    村上  清君
       日本労働組合総
       連合会副事務局
       長        河口 博行君
       慶應義塾大学名
       誉教授      庭田 範秋君
       労働運動総合研
       究所理事     草島 和幸君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国民年金法等の一部を改正する法律案(第百二
 十九回国会内閣提出、第百三十一回国会衆議院
 送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(種田誠君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、竹村泰子君が委員を辞任され、その補欠として糸久八重子君が選任されました。
 また、本日、清水澄子君が委員を辞任され、その補欠として今井澄君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(種田誠君) 国民年金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本法律案の審査のため、本日、参考人として、お手元に配付の名薄の方々に御出席いただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。参考人の方々から忌憚のない御意見を賜りまして、法案審査の参考にいたしたいと存じます。
 次に、議事の進め方について申し上げます。
 まず、参考人の方々からお一人十五分程度御意見をお述べいただきまして、その後委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、発言の際は、その都度委員長の許可を得ることとなっております。また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いをいたします。
 それでは、まず村上参考人からお願いいたします。
#4
○参考人(村上清君) おはようございます。村上でございます。
 きょうは、三つの点について意見を申し上げたいと思います。
 まず、第一は給付の面でございます。
 今回、特に六十五歳問題が論議の焦点になりました。ちょうどここに一年前の雑誌の記事がございます。読んでみますと、当時のプロジェクトチームが「六十歳から六十五歳までの対応策のパターン八通り(年金評論家 村上清氏の私案)」を参考にして検討したと書いてございます。年金評論家村上清というのは私のことのようでございます。どうも大変光栄でございますし、当時のプロジェクトチームの方にはありがとうございますと申し上げます。
 出てきた案を見ますと、私の書いた八通りの中に入っておりました。別に優先順位はつけておりませんからなんでございますけれども、しかし私が書いたものの中に出ている以上だめだと言うわけにまいりませんので、結構でございます、賛成でございますと給付の面については申し上げます。ただ、若干のコメントをしたいと思うんです。
 今回の改正では、六十から六十五歳の問は定額部分はなくなる、ただし六十五歳からの年金を繰り上げて六十からもらうこともできる。減額率は今は五八%ですが、将来は合理的な率に見直すというふうに言われておりました。その合理的な率というのは私の計算では七〇%でございますし、国際的にもこれがまあ妥当な水準だとされております。
 仮に定額と比例部分を五対五といたします。そこで、定額部分を六十歳から繰り上げてもらいますと、六十からの年金は一〇〇が八五になる。つまり一五%のダウンになるわけですね。従来から厚生省の説明では、年金の水準は男子の月給の六九%と言われておりました。現役にはいろんな諸控除があります。社会保険料だけでも一二%ぐらいが引かれておりますね。税金を五%といたしますと手取りは八三%でございます。一方、年金はほぼ手取りでございます。現役にはほかにボーナスがありますが、これは住宅ローンとか教育費に消えてしまうものだと思います。
 そこで、ネットの収入、つまり手取りで比較いたしますと、現役とそれから年金は八三対六九。これはわかりにくい数字ですので、同じことを別の率で言いますと一〇〇村八三、あるいは年金を一〇〇にすると現役は二一〇、または五五対四五という率に直しても同じことだと思います。
 以前の世の中は家族内扶養でございまして、仮に私が五十万円の月給を稼いでいた、そのうち二十万円をおやじとおふくろに仕送りをいたしまして私の家族は三十万円で暮らしたとすると、多分あいつは親孝行だと言ってくれると思うんです。これは六〇対四〇でございます。今の率は五五対四五なんですね。どっちがきついでしょうか。若い人がそれだけ身を削っているということになるんじゃないでしょうか。今度、六十からもらった場合一五%ダウンだと申し上げました。一五%ダウンにしますと大体三対二ぐらいになるんです。つまり、親孝行の数字になるわけなんです。これが妥当な水準じゃないでしょうか。
 日本は自由社会でございます。老後の準備を全部国に頼るというのはおかしな話でございまして、これは連合さんがおつくりになった資料でも、一階、二階、三階、つまり国の年金、退職金、個人貯蓄、この三つを積み上げるんだと書いてあるわけでございますから、基礎的な部分を保障するわけでございますね。とすると、今度の改正は、六十五歳にしたというよりも給付の水準を社会保障としてあるべき妥当な姿にした、そう考えた方がわかりやすいんじゃないかと思うんです。
 そうすると、確かに国の年金だけで豊かな暮らしというのができるわけはございませんから多少の努力をするのは当たり前のことでございますけれども、それをするならば六十歳で引退ができる。六十歳から六十五歳はそれぞれの人が自分の選択で働きたい人は働いていただく。あるいはもっと別の、収入はなくても社会のために役立つことをしたい人もいるし、あるいは自分のやりたい趣味、たった一度の人生てだった一人の自分でございますから、やりたいことをやって、そして自分は幸せだったなと思えるそういう生涯を送ることができるようにしていいんじゃないだろうか。
 厚生省の案ですと、六十から六十五の問は就労プラス年金となっております。それ以前は就労で、六十五以後は年金と。私は、政府が国民の生活をパターン化するというのは好きじゃないんです。つまり、選択とか自由とか独立というのがあるのが自由社会の原則だと思います。これは今、世界共通の傾向です。大体、リタイアの年齢は六十あるいはもうちょっと上ぐらいのあたりで一人一人が自由な選択をする、それが当然の姿でございます。アメリカを例にとれば、定年制は違法なんですから自分が選ぶよりしょうがないわけでございます。そういう意味では、給付の面につきまして私なりの解釈も加えまして、今回の改正は大変結構なことだと思っております。
 それから、二番目は負担の側面でございます。
 物事は両面がございますから、給付と負担の両方を議論しなきゃ意味がないわけでございます。ただ私、これをしゃべろうと思って考えておりましたならば、たまたま衆議院の公聴会で高山憲之先生が述べられた内容が載っておりました。これを見ましたら、私が言いたいことと全く同じことを既にしゃべられておりますので、重複することは時間もむだでございますし、きょうは時間が限られておりますからごく簡単にいたします。
 ポイントだけ申し上げますと、厚生年金の財政計画では原則として五年に一回二・五%ずつ引き上げる。それを、五年に一度二・五%ずつ引き上げるのにかえまして、その五分の一ずつ、〇・五%でいいわけですね、そのかわり毎年、そういうふうにする方がいいんじゃなかろうかというふうに思います。その方が負担もしやすい。現に国民年金の引き上げは毎年やっているわけでございますからへできないことはないだろうと思うんです。
 それから、年金制度というのはもう膨大なお金が動くわけです。GNPの何割にも相当するお金にかかわる問題でございます。したがって、その運営あるいはその財政というものは国民経済に大きな影響を及ぼすものでございます。経済にとってプラスかマイナスか、結局のところ年金制度を支えるのは経済でございます。経済が豊かになればどんな財政をとろうといい年金が払えるし、それから経済が落ち込んでしまったら、財政計画がどうであろうと要するに年金も給料も粗末になってしまうと、そういうことでございます。
 これは、各国でもやはり国民経済と年金というものは大変大きな関係がございますので、例えば、それが貯蓄なりあるいは消費に及ぼす効果はどうかというふうなことまで考えた上で議論していただけるとよろしいんじゃないか。今回も二・五%ではなくてとりあえず二%、積み残しはまた二年後ということでございますので、若干の配慮がされていることは評価いたしたいと思いますが、将来はできればもっときめ細かな配慮もあってよろしいんじゃないかというふうに思うわけでございます。
 それから、三番目が国庫負担の問題でございます。
 新聞で見ましたところでは、衆議院の段階で国庫負担のことで何かもめてしまって徹夜したとか、一日延びたとかそんな話を聞いておりますのでも、どうもその国庫負担の議論が私たちにはぴんとこないんです。私は基本的には国庫負担というのは好きではございません。
 例えば、アメリカは国庫負担ゼロでございます。労使が払う折半負担の社会保障税だけで、給付もそれから事務費も全部賄っております。彼らの言葉で言うとセルフサポートと言うんですか、自分の足で立つ、財政的に独立していく、そういうことによって内容が透明になり、そして過剰な給付も制度の合理化もあるいは事務の効率化も厳しくやれるわけでございます。ただし、アメリカの場合には対象は働き手でございます。日本のような皆年金ではないわけです。適用の範囲を働き手以外に拡大する、つまり日本のような皆年金にしてしまうと国庫負担なしては済まないよというのは、これは外国の専門家に聞いてもみんな言うところでございます。日本も基礎年金というものをつくりまして、これは皆年金、だれにでも出すんだということにしたわけです。
 諸外国の基礎年金はどうなっているか。約十カ国でやっておりますけれども、概して税方式でございます。保険料の支払いもございませんし、三号の届け出のようなものもございません。要件は居住、例えばその国に四十年住んでいるということだけを条件にいたしまして、六十五歳になったら五万円を支給するとかというふうにだれにでもくれる。国際的な用語ではユニバーサルペンションとかユニバーサルベネフィット、日本語にすればもう本当の意味の皆年金なんですね。この基礎年金は大部分が税方式でございます。一般税収の場合もございますし、一部目的税の場合もございますけれども、要するに税金を払う。それで条件は居住、つまりその国にいたということだけなんです。そのかわり税率は高いです。御案内のように間接税はみんな二けたでございます。それだけの税金を取らなきゃ払えないのは当然でございます。
 それから、例外的にイギリスとオランダは社会保険方式でございますが、掛金は所得基準です。そして、その費用は所得税にプラスして税務署が徴収しておりますから、取られる方から見れば税金が少し余計に取られるというふうな感じだと思います。
 消費税を引き上げる問題、これは批判が大変多うございます。一つは逆進的だということなんです。これはもう世界共通の理屈でございますからそのとおりなんでございますけれども、もしあれが逆進的だといたしますと、お金持ちも貧乏人もみんなから定額の一万円を取り上げるという国民年金は逆進的じゃないんでしょうか。税の言葉で言えば人頭税です。最悪の税だと言われております。税も社会保険料も取られる方からすればもう同じなんです、公租公課の一部なのでございます。私の知っている限りでは、定額掛金で失敗した例はございます。かつてのイギリスです。成功した例はございません。
 難点が三つあります。一つは、日本の国民年金の場合は掛金が定額ですから、負担能力に一切関係ないということです。これじゃついていけない人がふえるのは当たり前でございます。
 それから二番目は、強制徴収できない。強制徴収できない社会保険というのは成り立たないです。どの国でも強制的だということになっているんです。アメリカの例がございました。クリントンが大統領になったときに司法長官になりかけた人が、メイドさんの社会保障税を払わなかったために首になったというのがございます。そのくらい厳しいものでございます。
 それから三番目に、管理のために大変多額の人手と経費がかかっております。つまり、もうテレビの受信料のように一軒一軒訪ねていっては、払ってください、おばあちゃん、と言ってやっているわけです。それじゃ手間暇かかるのは当たり前なんです。
 私の考えでは、将来の姿はやっぱり税方式しかないんじゃないか。こうすれば皆年金になるわけです。日本では基礎年金にしたいという理念を持っているんですから、そうなれば必要な金は決まっているわけです。例えば、お年寄りの数掛ける五万円なら五万円というその総額を何かの形で現役が負担しなきゃならない。その負担の方法を直接税、まあクロヨンがございますけれども、直接税でやるのかあるいは間接税、消費税でやるのか、これも益税なんてあっては困るわけでございますけれども、それとも人頭税式の定額でやるのか。それから、できることならば管理費を少なくしたい。つまり管理費は消えてしまう金なんですから、それを少なくすればそれだけ国民の負担は少なくて済むわけでございます。そういう内容、金の流れ、効果、そういうことを全部透明にして見せたら結論というのはおのずから出るんじゃないでしょうか。
 今回の国庫負担の問題につきましては二分の一にしようとかいうふうな話も聞いておりますけれども、それにしたって大した影響はないです。今の状態はそう変わらないです。要するに、ピークの掛金がやや低くなるというだけのことでございまして、今はまだ五合目なんです。五合目でも数百万人脱落しているんです。外国の人から、なぜそういうことになるんだという疑問の手紙がたくさん参ります。
 ただ実際には、先生方苦労していらっしゃるように、消費税の引き上げというのは容易じゃないです。もうあれをやったら選挙でみんな落っこっちゃうかもしれないと、そういう話でございますね。ですから、やっぱり時間をかけてやらなきゃならない。でも、先生方とそれから役所とマスコミが全部して大きな声で言えば、そんなのは国民にわかるんです。
 そのわからせる第一弾といたしまして、国庫負担という言葉はやめていただきたいんです。税負担という言葉にしませんか。同じことでしょう。国庫負担というと、何か大きな蔵があって、先生方が行って頑張ってそこから分捕ってこられるという感じなんですけれども、結局全部国民がしょっているんですね。だから、税負担をする覚悟がなきゃ年金は払えないですよ。覚悟してもらうんですね。そのかわり、税金を払う対価として年金、特に基礎年金ですね、これは必ずだれにでも出るんだ、無年金者は一人も起こらないんだと。本当にお年寄りを見ていると、年金があるのとないんじゃもう天と地の違いでございます。
 今の日本の基礎年金は、国際的に見て異常な姿でございます。国民年金が発足したあのときに苦労なされた小山進次郎さんという方の本を見ましても、定額の保険料ではいずれは行き詰まる、だから負担能力に応じたものに将来は改めるべきだと、もうつくった御本人が書いていらっしゃるんです。あれから三十年以上たちました。もうこの時点で抜本的に議論して、基礎年金は将来どうあるべきか、それをひとつ、今回は間に合いませんけれども、その次にぜひ御議論いただきたいと思うわけでございます。
 どうもありがとうございました。
#5
○委員長(種田誠君) ありがとうございました。
 次に、河口参考人にお願いいたします。
#6
○参考人(河口博行君) 労働組合連合の河口でございます。きょうはお招きいただきましてありがとうございます。
 きょうお配りいただきました改正する法律案の参考資料を拝見させていただきまして、最初に書いてあります「年金制度改正に至る背景と経緯」、非常に感慨深く読ませていただきました。簡潔にして意を徹した名文だと思います。前回の八九年年金改正に当たりまして、八七年十一月に連合が発足して年金審議会に対応しましたが、そのときの改正案に対しましては、「背景と経緯」に書いてありますように、連合は定年引退と六十五歳支給の連結がないということで当時政府の審議会について労働委員を退席、俗に言えばボイコットいたしました。八九年の年金改正にも反対を行いました。異例な行動をとったわけでございますが、結果、ここに書いてあるとおり、前回の改正では衆議院で与野党一致で今回の改正に先送りされて今日に至っているわけであります。
 さらにさかのぼれば、八五年の改正以来十年ぶりの結論、決着を出さなきゃならない場面、さらにこれから三十年先を見込んでおるわけですから、ある意味では日本の進路にかかわる重要な一つのテーマだと思って臨んでおります。その意味で、この臨時国会で与野党一致、さらに国民も納得した内容でもって決着をつけることが肝要と、このように考えて臨んでまいりました。
 そこで、改革の視点について三つほど、私どもが感じておりますことを申し上げておきたいと思います。
 今回の年金改正の場合は、日本の今日までの雇用制度と社会保障制度をリストラクチャリングしていく中身であるというふうに受けとめております。いわば人生六十年、労働力過剰を背景にしてつくり上げられた雇用制度を、労働力不足時代に対応して、しかも現実は人生八十年になっておるわけでございますから、人生八十年に対応したシステムにリストラクチャリングしていくという中身であるというふうに受けとめております。しかしながら、現実は人生六十年を前提にした雇用制度になっておりますから、そこになかなか難しいところがありますが、今からおおむね二十年ぐらいかけてそういうふうに移行をしていかなきゃならないスタートに当たっているというふうに考えております。
 二番目に、国民全体をとってもそうでありますが、とりわけサラリーマンにとりまして年金改正は、実感で申せば五年に一度の生涯所得の配分のルールを改定するときでありますから、あえて言えば最も重要なテーマであると思っております。ピーク時に向けて、二〇二五年に向けての基本論議でございますが、同時に、きょうあすの問題でありますし、ある面ではサラリーマンにとって生涯の問題でもあるし、家族の問題を含んだ問題として取り組んでおります。特に今回の改正の場合は、いわば来月の給料袋からサラリーマンにとって一%のチェックオフ、会社の一%の負担増と、こういうことになっていくわけでございますから、極めて現実的な問題であると同時に、二〇二五年、三十年先まで見通して、しかも法律で方向を決めていくわけでございますから、極めて重大な課題として考えております。
 三番目のスタンスといいますか、気持ちで、特にこの点は申し上げたくてきょう資料も持参したわけでございますが、政府は鳥の目のように上から改革の視点を見るわけでございますが、私どもサラリーマンの立場で申し上げれば、地についておりまして虫の目で全体を見るわけでございますから、上から見たプログラムと下から見た声とがインターフェースしたときに改革が円滑に進む、このように考えておりますが、少し資料を使って、下からのサラリーマンの声ということでお聞き取りいただければと思います。
 資料を使わせてもらいますが、二つ資料を持ってまいりました。いずれも連合の作成した資料であります。
 資料一ページのところ、これは大変恐縮でございますが、現役の高齢化社会に向けての意識でございます。現役の特に中高年は、率直に申し上げれば、高齢化社会に対してOBよりもはるかに暗い見方をしております。将来に対しての不安が非常に強い。同時に、高齢者の生活水準の格差が広がるというふうに見ているんです。これが現役の見方であります。
 それから、政府の資料にもついておりますが、有識者調査で、六十代あるいは七十代も大いに働きたいという意識が載っております。一般的に意識調査をいたしましても、同様な結果が出ています。私どもがやっても出ます。しかしながら、実態の意識と建前の意識は違うというふうに御承知いただきたいわけであります。
 ここでいったら資料二ページのところに詳細は載せておりますが、実態で申し上げれば、年金が減額されない範囲であれば働くという人と、もう六十で結構、疲れだというのが四割ということで、その二つで大部分でありまして、フルタイムで働いてもいいという方は現在でいえば二七%程度しかおられません。潜在的な意識のある方を加えても三〇%程度であります。したがいまして、建前というと失礼ですが、こうありたいという気持ちと実態の意識には相当の乖離があるという上に立って進めなきゃならない、このように考えております。あと、資料をつけておりますが、老後格差がかなり実態としてある、また将来も広がるというような面も持っているということであります。
 それから、資料の二として二つの資料がございますが、連合として、特にサラリーマンとしては負担を、もちろん今回は年金改正でありますから年金のことを最も重視して考えておりますが、年金だけではなく税そして年金あるいはその他の社会保険等を含めたトータルの負担、あえて言えば国民負担率ということになりますが、おおむね負担率五〇%を目標にしながら、税、年金及びその他の保険をどのように負担していくかについて納得していくかということの視点で取り組んでおります。
 ちなみに、年金改正と消費税が今回論議されておりますが、政府原案どおり上がっていくということになりますれば、ここの資料に載せておりますように、年収五百万の方であれば九四年度レベルで消費税一・七、それから所得税・住民税三・一、社会保険料九・〇ということで二二・八、九三年で一四・二ですが、減税が先行いたしますからことしと来年は下がりますが、消費税が上がる九七年、あるいは年金で申せば、保険料が一七・三五になる年は五百万の人で一五・七、九八年は一六・一と。さらに、社会保障制度審議会が提案されているような介護保険などというものが出てまいればこの上に加算をするという数字になっていくというように、トータルな負担率として見ております。
 あと、七百万、八百万と一千万の事例を挙げております。また数字的根拠も資料に載せておりますが、このように相当の負担増が来月から上がっていき、この五年間でも相当上がっていく。さらに三十年先、ピーク時に向けて保険料は三〇%というように上がっていくということでございますから、そういうことを決意して臨んでいっているということでございます。
 特に、前回の改正以来、連合としましては年金審議会に、この現在の保険料一四・五%をおおむね三〇%、倍にしていくということについて、厳しい負担であるが承知をして臨んでいく、同時に、賞与についてもチェックオフされることについて決意を固めて臨んでまいりましたが、特にこの国会の前の段階では、いわゆる六十五歳への移行のプロセスと、そして先ほど村上参考人から御指摘の基礎年金につきましては、連合は当初三分の二というふうに申し上げておりましたが、この国会の段階では二分の一ということを強く求めました。
 なぜ強く求めたかにつきましては、基礎年金の持つ意味も御承知のとおりでございますが、あえて申し上げれば、高い負担を来月から三十年先まできっちりと上げていくということを抱えてやっていくわけでございまして、企業サイドもそれを当然負担していく。したがいまして、政府としてどのように腹を固められますかという気持ちもございます。
 同時に、OBの方につきましてもネットスライドになったということを先ほど詳細に村上参考人からお話しのように、OBも一定の我慢をしておるということでございますから、政府の決意と目標というものとが明示されて、また将来への格差是正の展望も方向づけていくことが極めて重要と、このように考えております。
 その面で、現役とOBとそして政府の三者の合意といいますか、決意があってこれだけの負担を乗り切っていけるものと思っておりますので、とりわけ政府及び議会が国民に決意のほどを明示いただきたいということがこの改正に臨んでの最も重要な点の一つであります。
 もう一つは、移行のプロセスに当たってより円滑にするためにということで、既に衆議院で修正をされました諸点についてお願いを申し上げました。
 最後に一点、残っておると言えば失礼でございますが、働きたくても働けない人を法律の上であるいはまた議会の意思として何らかの形で明示いただきたいと思っております。現在の実感を申し上げれば、法にかない、現にかない、情にかないということでなければならないと思いますが、いずれにしても、サラリーマンなり国民の立場から見れば、六十歳支給が六十五に変わるという、現実はそうでありますから、そこへ法律としての情が必要であると思っております。
 とりわけ、最近私どものところに資料が集まってまいりますのは介護にかかわる点でございます。特に今、介護休業もかなり普及をしてきておりますが、その中で出てくる一つの事例を紹介いたしますと、奥さんが交通事故でけがをされて寝込まれた状態で、しかも完全な介護を要する状況になったとき、今公務員は三カ月、民間で協定されたのは一年の休業ができますが、無給ですが、その中で結局収入が閉ざされるために職場に帰ってくるという状況になっております。したがいまして、六十代の前半層で、障害者あるいは四十五年の保険を掛けた方だけではなく、そういった方がいろいろな形で社会の変化の中から出てくるというふうに思っております。
 そういった面で、いわば厚生大臣が認められる内容のものについては六十歳から部分年金を支給するなどというようなことをできれば法律の中に盛り込んでいただきたいと思っておりますが、できなくとも国会として意思をそこに明確に出していただきたいと思っております。
 総理も人に優しいということを所信の第一としておられますだけに、そこのところを法律の中に法と理とそして情というものを最後に入れていただいて、高い負担と国民の相互扶助に向かってもらいたい。また、労使の間におきましてもこれを機会に、六十代の前半層はもちろんでございますが、高齢者が積極的に就業していくように労働協約を変え、設備を変え、システムを変えていくことに全力を挙げていくということも申し添えまして、この国会で国民が納得する内容で決着をつけていただきますことを心からお願い申し上げたいと思います。
 以上です。
#7
○委員長(種田誠君) ありがとうございました。
 次に、庭田参考人にお願いいたします。
#8
○参考人(庭田範秋君) 慶応大学をつい最近定年退職いたしました庭田と申します。きょうは、諸先生がいろいろ具体的な問題に深く介入されるようでございますので、私はむしろその考え方といったような点から皆さんにお聞きいただきたい、そのようにお願いをいたします。
 今回の年金改正というのは給付と負担の公平ということが一つのねらいになっております。と同時に、財政健全化ということもねらいになっておりまして、この両方を同時に追求していくといったようなものではないかと思います。したがいまして、一万だけ追求する、一方だけ上手に解決したというのでは年金改正の本当の成功とは言えないのではないか、このようにまず私は考えます。
 今回の年金改正に際しまして、私も学生諸君や主婦の皆さんと接触する機会がございますが、相当厳しい表現をとって言われるときがあります。つまり、内容を見ますと我々勤労者にとってまたは国民にとってろくなことはない、どうもいいことは何もないじゃないですか、こういうような言われ方をいたします。私はその際は、いいことはない、ろくなことはない、本当にそうですよとはっきりと申します。
 ただ、年金というのはお金の操作の制度でございまして、生産活動をするというものではありません。どちらかというと分配論の領域に関する一つの制度でございます。そして、いいことがないというのは、出し分が少なくてたくさん年金が来るということを大体頭に置いておるんだろうと思いますが、それは私は間違いであると説明をいたします。
 いいことというのは、既にもう我々は先取りいたしております。日本国民が全国民的な規模で長寿化し、そして長生きをして、その割に結構健康という点でも痛めつけられることなく生活をいたしております。ですから、長寿化といういいことを我々は既に先取りをいたしまして、その金銭的、財政的帳じりを合わすのが年金改正である。したがいまして、長寿化はするわ、年金はまた飛躍的によくなるわ、あるいは悪くなることは一切認めない、これは私は大変虫のいい話ではないかと思うわけであります。
 仮に、日本国民が長寿化することがなければ年金改正の必要は毛頭ないわけでありますから、やはり我々は長寿化した、そして老後というものを昔に比べてより長く楽しむことができる、あるいはその中で自分のしたいこともできる、こういういいことを先取りしたのでありますから、これに対するお金の帳じり合わせでは少し厳しくなることはこれはもう覚悟せざるを得ないであろう、このように私はよく説明をいたします。
 結局、年金はお金の操作でありまして、生産活動そのものではありません。したがって、年金改正を緩くしたりあるいはずらしたりという過程で問題は具体的あるいは最終的には変わるものではありません。結局、我々はいつかは帳じり合わせをしなければならないのである、こうまず頭の中に置くべきだろうと思います。
 そして、年金改正に対しまして、各項目にわたり各種の緩和措置というものが行われております。それはそれで大変結構でありがたいことだと思います。とにかく、当面の痛みというものを和らげまして、例えて言えば苦い薬にオブラートをかけるとかお砂糖をまぶすとか、そうやって飲みやすくする、そして徐々に年金改正を行うということで、例えばソフトランディングなんという言葉が使われますが、その間に経済体制も極力立て直す、そして個人としても心の中で準備をする、そういう時間を持つということは大変よろしいことであろうと私は思います。
 しかしながら、そのことを是認すると同時に、どうしても私たちは認めなければならないことがございます。それは結局、年金改正を緩和するあるいは先送りするということは、要するに後代に負担を回すということであります。借金をせがれに残す、孫に残すということとほとんど事情は同じであります。しかも、それを残される後代は今よりももっと実は高齢化の厳しい時代であります。ですから、後代の人たちは自分たちのより厳しくなる負担というものを負い、同時に、仮に先送りされたのならその負担も負わなければならない、二重苦になるわけであります。
 したがいまして、改正すべきものはやはりこの際後代の立場も考えてあげて改正すべきではないか。私は、余りに緩和そのものをもってすべてであるというような、温情というような姿勢で経済問題に真正面から取り組むのは少しどうかと、こう思います。
 経済学の中にはいろいろことわざがありまして、ウオーム・ハート・クール・ヘッドということわざがあります。経済学をやる者は心に温かいものを持たなければならないが、頭はぜひともクールでなければならない、こういう言葉が経済学の泰斗であるマーシャルという人が書物の中で書いておりますが、我々も時と場合によっては年金改正にクールな分析をすべきではないか、このように思うわけでございます。
 いわゆる六十五歳問題、これが大変論議の的になりましたけれども、長い時間をかけているうちに、何もあすから六十五歳にするんではなく徐々になっていく、そういうことを我々は忘れてはいけないと思います。そのほか、六十歳代前半の年金にたとえ不足であり不満であろうかもしれませんが、別個の給付、すなわち報酬比例部分が出るということにもなりましたし、在職老齢年金は明らかに過去よりは改正されておる、このように私は思います。しかも、賃金と年金の合計額が二十万を超えたらこうこうこのような措置をとるというのも、今回皆さんの御努力によりまして二十二万になりそうだと、こういう点も六十五歳問題の痛みをある程度は緩和するのではないかと思います。
 そのほかいろいろございまして、何にも増して我々が忘れてはならないのは、六十五歳問題が最終保険料率に対して大体五%ほどの引き下げ効果がある。そして、あとの改正は全部ひっくるめてもこれに及ばない程度の財政効果しか生みません。したがって、この六十五歳問題を見送るということは心臓部分を除去してしまうということで、年金改正の意味はほとんど薄れてなくなるのではないか、このように思います。
 なおかつ、企業年金に対しましても複数保険料率というようなものを導入し、自家運用、自主運用も積極的に認めよう、こういうところも言われておりまして、企業年金の普及ということも今後は期待できる。しかして、これは六十歳から六十五歳のつなぎ機能という点に重点が置かれそうである。そういうことを考えますと、そんなに心配するべき問題でもないであろう。
 まして、高年齢雇用継続給付というようなものも創設されまして、年金と賃金と高年齢雇用継続給付、この三者も重なるわけでありますから、もろもろの改正措置を総合いたしますと、大部分あるいは相当程度に六十歳が六十五歳になることの痛みは緩和されるのではないか。しかも、これなくして年金改正の真の目的は達せられない、財政健全化が期待できない、保険料をなるべく内輪に引き上げるという期待もこれも流れてしまう。こうなりますと、私は年金改正における六十五歳問題はぜひ通すべき問題である、こう思うわけでございます。
 なお、厚生年金の保険料率の引き上げ、これも具体的に言いますと大変痛い話でございます。何のことはない、給料が減るのと同じようなことになるのではないかと思います。しかしながら、この上げ率が大分きつくなったということの原因の一つは、年金改正をその都度先送りしながら今日に来たからである、こういうことが言えます。したがいまして、年金改正を優柔不断のままあるいはなまぬるいままで先送りいたしますと、この二・五%という保険料率の引き上げがさらに後代に大きな数字となってのしかかる、こういうことでございます。過去の経緯は将来への警告を意味しておる、こう考えてよろしいのではないかと思います。
 そのほか、年金改正にはいろいろの問題がございますが、一つは可処分所得、別名ネット所得あるいは実質的な賃金スライド、こういうことになっております、恐らく、学術的には可処分所得スライドというのが一番正しいのではないかと思いますが、これは当面はさしたる効果は上げないかもしれませんが、将来に向けて相当大きな財政的効果を生むと思います。同時に、これは年金受給者にも現役世代と少しは痛みの分け合いをする、こういうような意味合いもありますのでこれも妥当な措置ではないか、こう思うわけでございます。
 また、雇用保険の失業給付と年金給付の併給調整というような問題も出ております。これはほとんど反対するお方がなかったように私は記憶いたしておりますが、どうしてかといいますと、やはり一つの筋が通っているからではないか。失業給付をもらいながら年金給付をもらうというのは、一方において定年退職して働けないから年金をもらう、片一方には働こうと思うんだけれどもその機会がないから当分失業給付というわけで、論理の使い分けがなされているのではないか。こういうふうに考えますと、この雇用保険の失業給付と年金給付の併給調整においてはやはり筋を通されておるという意味におきまして私は賛成でございます。
 それから、ボーナス保険料の導入、こういうわけでございますが、これもどちらかというとやはり痛いことは痛いです。たとえ何でも保険料を取られるんですから、サラリーマンにはやはり痛みを伴う措置だろう、こう思います。しかしながら、もしこのボーナスの問題を横に置いておきますと、どちらかというと好景気の会社あるいは大企業あるいは時流に乗った産業というところはこれからボーナスに相当逃げるんじゃなかろうか、そして年金掛金は取られないで済む、こういうことになるんじゃなかろうか。同時に、賃金と年金の調整をするときに、給料を少なくしておけば年金がたくさん来るという意味でそこでもうまいことをする、そういう表現が果たしていいかどうかわかりませんが、わかりやすく言えばそういうようなことがはやるんではないか。こう考えますと、どうもボーナスにも少し制約といいますか、制肘を加えるというような意味でボーナス保険料の導入というのは公平、公正の原理に合うのではなかろうか。
 と同時に、これから国際化の時代が参ります。そうしますと、雇用問題、雇用条件というようなものもだんだん国際化しなければなりません。国際的には余りボーナスといったようなことははやっておりません。こういうことを考えますと、やはり給料というものに中心を置いてサラリーマンは生きていくという国際慣行に近づくいいチャンスではなかろうか。同時に、総報酬制とか年俸給制などという新しい動きにも対応する条件を整備していく、そういったようなことも言えるのではなかろうかと考えるわけであります。
 また、先ほどから村上先生を初め国庫負担の問題ということが出ております。私聞いておりますと、それぞれまことに妥当でなかなか反発のしようもないような気がいたしますけれども、ただ、私は国庫負担の問題ということは少し時間をかけなければいけないんじゃなかろうか、どうしてもそう思います。
 まず、何はさておき財源の問題を考えなければなりません。そして、この財源の問題を考えるときには、税負担の不公正ということもあるかもしれません。それから、税金を取るとか年金を出すとかというときに、ミーンズテストとかインカムテストとかということを、どうしてもこれは国庫負担を導入し税方式になるには許容をしなければならないのでありますが、こういうことに対しましてなかなか社会には抵抗が強いわけであります。この抵抗を取り除かないと、何のことはないサラリーマンが税金の相当部分を負うように、また一段ときつくなるようになってしまうんではないかと思います。
 なおまた、それでは消費税ということでございますが、今軽々に消費税率をここまで上げると、恐らく五、六%上げないと三分の一から二分の一にならないんじゃないかと思いますけれども、そのようなことを、ようやく少し景気が上向いてきたときに公言することが、政府が率先してそういう方針を打ち出すことがどういうものだろうか。年金は、一方においては国民生産性、国家の成長力を無視してはあり得ないと同時に、やはりそれほど社会環境に影響されるのであれば、せっかくよくなりつつあるのに悪い形の景気刺激を生みそうな税金問題を余り軽率にいじくるのはどういうものだろうか、こういうことを思うわけであります。
 一番最後に、やはり一元化といったような問題が出てこようかと思います。一元化なくしては、結局日本の公的年金全般の安定と維持、永続ということはなかなか期待しがたいと思います。一つの年金団体、小さな年金団体が倒産でもいたしますと、もうその影響は一遍に広がります。それでなくても若者の中には年金不信感というようなものもあるわけでございますから、まして、どの年金団体であれ倒産とか崩壊とかということになれば年金不信は一挙に広がるんではなかろうかと思います。そのような中で高齢化に対応するほどの年金が果たしてうまく組み上げられるであろうかというと、なかなかきついと思います。したがいまして、一元化というのも公的年金の永続、安定のためにはどうしても必要なんじゃなかろうか、こう考えるわけであります。
 そのためにも、まず前提条件として年金改正が行われていなければ、とても年金の一元化などということは合理的になし得るという見込みはございません。年金改正の成功がなくては年金の一元化はないでありましょう。年金の一元化なくして年金の国家的安定、永続はないでありましょう。そして、年金の国家的安定、永続なくして豊かで安心のできる高齢化社会というものは生み出せないのではないか。
 こう考えますと、一元化の問題をにらんでも、なおかつ年金改正はある程度の痛みはどうにもやむを得ない。もともと長寿化といういい点があるわけなんですから、それの代償としての痛みと、このようにお考えをいただきまして、ぜひ年金改正を成功させていただき、そして長期永続的な年金の安定を図り、我々一般国民の老後というものをひとつ確保していただきたい、このようにお願いするわけでございます。
#9
○委員長(種田誠君) ありがとうございました。
 次に、草島参考人にお願いいたします。
#10
○参考人(草島和幸君) 労働総研の草島と申します。
 一言お断りさせていただきますが、労働総研というのは全労連と密接な関係がありますので、年金問題について全労連の主張や見解を踏まえて私の意見を申し述べさせていただくということにさせていただきます。
 私は、今回の年金法案に反対するという立場で意見を申し述べたいと思います。
 最初の問題点は、やはり支給開始年齢にかかわる問題です。
 六十歳から六十五歳にするということについて、政府や関係審議会は今度の法案を準備する過程で、六十歳引退社会から六十五歳現役社会にするんだとか、あるいはまた、現行の年金制度は雇用阻害的な制度だから雇用促進的なものにするということを挙げておられたようです。私はこの考え方について、実は内容上極めて問題の多い見解じゃなかろうか、つまりそれは、現実の日本の労働者の労働と生活の実態を余りにも無視した考え方じゃなかろうかというふうに理解しているところでございます。
 今、民間企業の大部分は六十歳が定年ということになっております。私、この定年制という問題について考えるに当たって、要するに六十までは雇用が保障されるという側面と、そのコインの裏側として六十になったら雇用は強制的に打ち切られる、その両方があるというふうに定年制について理解をするんですけれども、実態としては六十までの雇用保障という側面が最近は相当空洞化しているんじゃないか。そして、もう一つのコインの裏側である六十歳の強制退職ということについては、これだけは現実に生き残って合法的な解雇の制度と仕組みとして行われているというのが実態じゃなかろうかというふうに考えます。
 六十歳定年ということになるとするならば、六十を過ぎたら無収入状態ということになるのは当然の話です、仕事から離れるわけですから。無収入状態というのは、いわばサラリーマン、労働者にとっては地獄の入り口に立つという事態だというふうにとらえるわけですけれども、このときからの暮らしを支えるのは何かといったら、今までは、これからもしばらく続くようですけれども、公的年金が六十から支給されるということで地獄の入り口から救われるという状態だったわけですが、今回の法案ではそれが半分になる、報酬比例部分だけになるということにされようとしております。
 半分出るから地獄の入口から救われるかというふうに考えたら、これはとてもそんなものではないと思います。労働者と家族の暮らしというのはやはり一定の額が絶対的に必要だ、絶対的な要件としての金額というものが必要だというふうになるわけですから、半分でいいというその状態は到底理解できないというふうに考えます。
 そういう点から見ていきますと、引退社会から現役社会へというこのとらえ方というのは、六十から先、半額になった年金では生活できないからどんな労働条件であろうと高齢者が次の仕事につかなきゃいけない、えさを減らしておいて働けとしりをたたくという以外に考えられないというふうにとらえていかざるを得ないと思います。これは現実の事態として本当にひどい事態だというふうに思います。
 まして今度の法案によれば、六十歳からの後退が二〇〇一年から二〇一三年にかけて完成をするということになっておりますが、このときに六十歳から六十五歳にかかる世代というのはまさに戦後生まれ世代、第一次ベビーブームと言われるのが一九四七年から三年間だと言われておりますが、この世代の人たちは年間二百七十万人生まれたということですから、三年間で八百万人の大集団が世代としてあるわけですが、この世代が西暦二〇〇〇年の初めに一挙に六十から六十五に入っていく、まさに強制退職の時期ということと年金の支給開始をおくらせるという時期に重なってくるというふうになってくるわけです。
 言うまでもなく、戦後世代が六〇年代以降の日本の経済成長を支える労働力の主役であったわけです。今日の日本の経済発展の労働力供給の主役だった、主人公だった方々です。この人たちが四十年も働いて六十になる、さらには六十五になるというときに、年金は半分ですというのでは余りにも過酷な事態ではなかろうかというふうに言わざるを得ないと思います。
 私はこういう点で、六十五歳問題というのはぜひもう一度考え直していただきたい。日本の労働者の労働と生活の実態からしたら、これは余りにも過酷だ。まして、戦後世代のあの人たちがその一番最初に直面する世代に当たっているということについては、ぜひとも御考慮をいただきたいというふうに考えているところです。
 もう一つ、定年制についての空洞化、現実には空洞化しているという問題について、ぜひとも御理解いただきたいと思います。定年までが、六十歳までが完全な雇用保障の状態ではないという点についても御理解いただきたいというふうに思います。
 九二年十月に労務行政研究所というところが企業の調査を行った結果を発表しております。定年前の定期昇給はどういうふうになっているかということで企業からの回答を集計した結果によると、一般と同じだというのがたった二八・四%です。それ以外のところは、定期昇給を減らすとかあるいはストップをするとか、ひどい企業になると、マイナス定昇といって今ある賃金を逆に減らしていくという企業もある。これは三・六%と極めて少ないですけれども、そういう状態になっている。それから、定期昇給以外の賃上げではどうかというと、マイナスベアになるということも現に行われるわけですけれども、三三・七%が何らかの形で賃上げもストップをする、逆に賃金を減らすということをやっているという回答が寄せられております。
 六十までまともな状態で年功序列のてっぺんまで行けるなんという状態はもう既になくなっております。政府が五十五歳定年を六十歳に引き上げろというふうに強く働きかけたのは八〇年代です。八〇年代に企業の大部分が五十五歳定年を六十歳にしました。そのときにこういう事態が企業の中で起こっているという点は大変重要な問題、意味を持つのではなかろうかというふうに思います。六十歳から六十五歳ということを考えた際に、高齢労働者の賃金、労働条件についても同様な事態が起こり得るというふうに思っております。
 ましてや、最近はリストラ合理化といって、出向、配転、事実上の退職である移籍あるいは強引な退職勧奨ということが行われている現状ですし、労働省の行った雇用管理調査では、これは九二年の六月ですか発表されたところによると、六十歳定年制を持っていて一人でも六十歳定年でやめた労働者がいる企業はどれくらいかというのを発表しております。たった四八%しかない。六十歳定年はあっても六十前に半分以上がやめさせられている、企業としてやめさせているという結果も出ておるというところから見ると、この六十歳の支給開始を六十五歳におくらせるということの持つ意味というのは大変大きな問題点があるというふうに指摘しなければいけないと考えます。
 同時に、私はこの点について、高齢者の雇用をめぐる現状あるいはこれからの見通しという点についてもぜひ御考慮いただきたいというふうに思います。
 先ほど来、部分年金が出る、就労すれば賃金が上積みされる、雇用保険からの奨励金が出るという話がありました。問題は、高齢者が働く場があるかどうかというところでその上積みの効果が発揮されてくるわけです。在職老齢年金も同様です。雇用の場が確保されなければ上積みの効果はなしということになってしまうわけですので、高齢者の雇用が本当に確保できるかどうか、これについてやはりぜひとも御考慮いただきたいと思います。
 西暦二〇〇〇年の初め、先ほど申しましたように戦後世代が、第一次ベビーブームの世代が約八百万人、三年間かけてどっと高齢者の段階を迎えるわけです。これが労働市場に無職の労働者としてはじき出されてくるというときに、高齢者をめぐる労働市場の状態が民間の企業の努力だけで十分に吸収していくことができるのかどうかという点については甚だ疑問です。
 ということであるとするならば、六十五歳現役社会と政府がおっしゃるのでしたならば、六十五歳現役になるような高齢者の雇用について政府はどのような責任をとろうとするのか、その点をはっきりすべきでなかろうかと思います。今のところ何も示されていないというのであるならば、これにかかわっての年金問題についてぜひとも六十歳からの支給というのを確保しておかなければ、高齢労働者はそれこそ大量のホームレスにならざるを得ないんじゃなかろうかというふうに考えるところです。
 二つ目の問題点として、保険料率の問題について意見を申し上げます。
 現在、現役の労働者については実質賃金が二年連続で低下する、前年を下回るという状態がほぼはっきりしております。この八月に国税庁が民間労働者の給与実態というのを発表したところによると、名目賃金でもダウンするのじゃないかというようなことも言われております。大変深刻な事態だというふうに思います。したがって、政府も所得減税等を行っていく、来年も三兆五千億規模の所得減税を行うということになっているようですけれども、一体この保険料の引き上げ、十月からやるといいますけれどもおくれそうですけれども、この引き上げというのがこういう状態の中でどういう意味を持つのかというのをぜひ御考慮いただきたいと思います。
 労働者と事業主の負担分を合わせると、年金の保険料引き上げでトータルで約三兆円が政府の方に戻ってくるというふうに言われています。所得減税三兆五千億円ですから、減税の効果というのは保険料の引き上げによってほとんど帳消しになるという事態になってきます。ましてや、労働者は目に見えて一%の保険料を余分に負担するということになるわけですから、標準報酬の平均は約三十万円ですけれども、これに置きかえてみますと、毎月約三千円、一年間で三万六千円、ボーナスを含めたら、労使折半で一%の半分で約五カ月とするならば約七千五百円が引かれるわけですけれども、こういうことになったら個人としての労働者の減税効果はまるでゼロ、余分に持ち出しになるという事態になろうと思います。
 こういう時期に労働者あるいは中小企業の負担も大変だというふうに思いますが、こういう保険料の引き上げはやるべきではない。むしろ、消費を高めて景気を刺激してもっと豊かな状態になってから財政のあり方をどうするのかということを基本的に考えるべきじゃなかろうか、根本的に考えるべきじゃなかろうかというふうに思います。
 三つ目の問題としては、そういう年金財政を含めて全体の問題にも関連するわけですけれども、国庫負担の問題について一言申し上げたいと思います。
 基礎年金への国庫負担については、大変奇妙な事態が今の国会に起こっているというふうに私は思わざるを得ないと思います。旧連立政権のときに野党であった自民党と社会党は、衆議院段階ですけれども、基礎年金への国庫負担を二分の一に引き上げるという修正の御意見を出されていたようです。ところが、これが政権与党になった。今度は旧連立が野党になったということになると、旧連立、現に今野党の側が衆議院段階の審議では二分の一の国庫負担率引き上げということを御主張なさった。
 結果的にはちょっと先延ばし、先送りするということで結論が出ないまま今日に至っているという状況なんですが、この事態をトータルで見たらどうかといったら、国会を構成する政党のほとんどが基礎年金への国庫負担率を二分の一に引き上げるということを御主張なさっているという状態だと思いますのであるにもかかわらず結論が出せないというのは、国民にとってはなかなか理解できないというふうに言わざるを得ないと思います。
 当面、基礎年金への国庫負担率の引き上げというのは、先ほども村上先生がおっしゃったように、負担に耐えられない層が国民年金被保険者の中でどんどん膨らんでいるという事態も含めて大変緊急を要するというふうに思います。まして、基礎年金について二分の一国庫負担から計画的にこれを全額国庫負担へ持っていくような、いわゆる税方式の年金にしていくということでやるならばやはり無年金者の解消ということに直結するでしょうし、我々の公的年金に対するもっと充実した負担と給付の側面における改革が可能になるのではなかろうかというふうに思います。
 この問題についての財源としての消費税ということはここで言ういとまもありませんので、私はあえて消費税を使わなくてもやるべきじゃなかろうかというふうなところだけを申し上げておきたいと思います。
 次の点は、可処分所得スライドに関する問題です。
 可処分所得スライドが現役労働者とのバランス上必要だという御意見が多いようですが、現実の年金生活者についての実態からぜひ御考慮を願いたいと思うんですが、老齢年金の受給者については、現実に所得課税の対象として老齢年金から税金を持っていかれるという状態になっております。
 そういう実態を踏まえて、さらにまた健康保険の負担も強いられるということから見て、年金生活者にも可処分所得という、そういう概念があるかどうかわかりませんが、そういう事態があるということを考えていただくならば、均衡論というのはもう少しトータルの立場でお考えいただきたいというふうに考える次第です。
 雇用保険等について若干意見を申し上げたい点もありましたが、時間ですので省略をさせていただきます。
 最後に、年金問題が国政上のトータルの問題としてぜひとも慎重な御審議を、国政全般にかかわる立場からの御審議をお願いしたいということを申し上げて、私の意見を終わらせていただきます。
#11
○委員長(種田誠君) ありがとうございました。
 以上で参考人の方々の御意見の陳述は終わりました。
 それでは、これより参考人の方々に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#12
○前島英三郎君 参考人の先生方、大変きょうはお忙しい中ありがとうございます。私は、自由民主党の前島と申します。
 若干の御質問をさせていただきながら、一日も早くこの年金法が成立することに私たちも努力をしてまいりたいと思っております。
 村上、河口、庭田各先生はおおむね、いろいろ問題はあるにしてもぜひともという思いと同時にある程度の評価をいただいておりまして、草島参考人はかなりぼろくそに言われましたけれども、私は私としてわからぬところもないわけではありませんが、またいろいろお話を伺いたいと思っております。
 そこで、まず村上先生に伺いたいのですけれども、外国の基礎年金の国際比較の表をいただきましてちょっと興味深く拝見をさせていただきました。日本はどの国に沿ってということは現時点ではないにいたしましても、あるいは将来はどういう方式がいいのかという方向は、やっぱり国際社会の中でもいいところは学ぶべき点も多々あるのではないかという思いがいたします。
 ここにオーストラリアからイギリスまでの各国の税方式があったり、あるいは日本と同じような社会保険方式があったりするわけでありますが、大体どの国が将来としてはふさわしい年金制度であろうか、年金制度もいわば国の文化にも左右するところがあろうかと思いますので、その辺を専門の立場からお伺いできればと思いますが、いかがでしょうか。
#13
○参考人(村上清君) お答えいたします。
 日本で国民年金ができましたとき、これは違っているかもしれませんが、私の理解でございますけれども、その前にイギリスで国民保険といいますか、定額の年金をやっておったわけですね。ビバリッジという方が社会保障の神様みたいになっておりまして、ビバリッジが考えたのは、定額掛金で定額給付、だれからも例えば一万円ずつ取って三万円ずつ上げるとか、それが公平だと彼は考えたわけです。多分その影響を随分受けているんだろうと思うんです。というのは、発足当初の記録を見ますと、イギリスのことを随分調べていらっしゃるわけです。
 ところが、国民年金がいよいよ発足しかけたころに、イギリスでは定額じゃやっていけない、つまり定額方式というのは、当時のイギリスの白書の言葉をかりますと、たくさんの船が船団を組んで行く、一緒に行こうと思えば一番遅い人についていかなきゃいけない、つまりみんなから取ろうと思えば低い掛金しか取れないわけです。そうすると、まともな給付ができない、あるいは破綻しちゃうということで、もう既に所得比例に切りかえようという話が出ていたんです。
 小山進次郎さんは多分それを見ていらしたんで、将来は能力に応じた良担にすべきだと。ただ、それを言ったんじゃ始まらないから、とにかく始めるんだということでお始めになった。その功績は高く評価していいと思うんですね。もし国民年金がなかったら、今農村の、過疎のお年寄りは大変なことになっているわけでございますので、私はその意味で、小山さんだけじゃなくて厚生省の方の努力を大変高く評価したいと思うんです。
 ただ、そのときにイギリスはもうだめになっちゃったということを目の前にしながら発足したわけです。その後を見てもないわけです。社会保険料というのは能力に応じて徴収するのが当然じゃないんでしょうか。つまり、収入のない人から取れとか、日本では免除があるけれども、免除にしたら三分の一になっちゃいますね。
 そういうことを考えますと、これは私の意見というよりも、私は外国の専門家に会うたびに日本の窮状といいますか、困った状態を訴えて、何がいいと聞きます。そうすると、やっぱり一つの御意見は税方式だということです。これはごらんのようにほとんどの国が税方式です。それに対して目的税の国もございます。例えば、カナダなんかは最初は目的税でやって後で一般税収に変えたと。だから、それはどっちとも言えないんでございますけれどもね。
 それから、もう一つの御意見は、これはアメリカ人が言うんですけれども、自営業も全部厚生年金に入れちゃえと言うんです。アメリカの社会保障は、もう働き手全部、自営業であろうと何だろうと所得をがっちり捕捉して、それから社会保障税ですから税務署が税金と一緒に取っちゃうわけです。それで、基礎年金については居住だけを要件にして払ってやる。そういう意見を私はアメリカの大変偉い専門家お二人から聞きました。アメリカ人の発想からすればできるんですけれども、日本はクロヨンというのがございまして、それができるんだったら最初から自営業も厚生年金に入れちゃえばいいんで、そうすると、今で言うと、一号、二号、三号のうち一号がなくなって二号と三号になるわけです。三号というのはまさにもう税方式でしょう、働き手が所得に応じて払っている掛金でみんなが基礎年金をもらうわけでございますから。だから、日本も半ば部分的にはもう税方式のような要素が入っているんですね。
 そういうことを考えますと税方式しかないし、そうすると事務が非常に簡素化になるんです。人手も省けます。そして、その事務費にかかっているお金というのは税金なんですね。これはお調べになれば相当な額でございますよ、国民年金は。恐らく、外国人が見たらびっくりするぐらい高い率の負担になっております。これは役所の人が怠慢じゃないんです。大変な苦労をしていらっしゃるにもかかわらずそうなっているわけですね。
 ただ残念ながら、ある時期に消費税は悪い税だ、新税は悪税というイメージを、だれが植えつけたか知りませんよ、でも植えつけられた方がたくさんいるわけですよ。それが浸透しちゃう。日本のマスコミというのは要するに役所が言うことをただそのまま書くんですよ。木鐸じゃないですかと言ったら、皆さん昔はそうでしたとお答えになる。――きょうはいないでしょうね。木鐸も少しいると思うんですけれども。そういうことでございます。
#14
○前島英三郎君 ありがとうございました。
 保険料であろうと税であろうと負担には変わりないわけでありますから、今後の国庫負担、まあ国庫負担という言葉がいいかどうかも含めて御異論もあろうかと思いますけれども、そういう方向は衆議院段階でも大変議論になったようだと思います。
 続きまして、河口先生に伺いたいと思うんですが、人生六十年の雇用制度から人生八十年の雇用制度へと、いわば移行期でもあるわけですが、年金制度というものがむしろ私はその牽引車的な役目を果たしていくし、それがいわばこれからの労働行政の中においても雇用という面でも重要な位置づけというふうに思うんです。いわばこの年金制度がこれからの、六十歳から六十五歳への、働きたい人は大いに働いてもらう、生きがいを持っていただくというような方向を目指すその牽引的な役割を持っているような気がするんですが、その辺はどのようにお考えになっておりますでしょうか。
#15
○参考人(河口博行君) 確かにそういう面を持っていると思うんです。八九年改正のときはそれが余りにも露骨であったといいますか、引退と年金支給との結合がほとんどない、先行きも展望できないというような状況で出たので反対せざるを得なかったと思うんです。今回の場合は、年金はある面からいったら三十年先を見通しての方針なんですから、その面では年金が基本的に先行することは事実でありますが、それにできるだけ結合するように雇用政策をどこまで追いつけていくかということが非常に大事になっていくと思っておるんです。
 それは法律だけで全部律することは明らかに無理と思いますが、そこのところを雇用政策の上からも、あるいは企業における全体系ですね、年寄りが働けるような設備設計になっておりませんから、企業の設備設計から給与体系も含めまして、採用を含めて全体の体系につきましても高齢者が働けるような条件になっておりませんので、ある面で言えば、先ほど章島さんも御指摘のように六十歳でもって強制退職をさせる制度になっておるわけですから、そういった面では明らかに雇用の方とのギャップがあるわけです。
 それを今回の改正で、年金の制度の中では移行年を二〇〇一年から二二年、それから別個の給付というようなシステム、それから先ほど来の衆議院で修正された点、また私どもが申し上げた点で円滑にそういったものが進んでいくというふうに見ています。
 同時にこれから、労使はもとよりでありますが、国を含めまして全体のシステムをそういうふうに変えていくということに全力を挙げなきゃならぬと思っています。既に高齢給付の点とか在職老齢年金の改正が出ておりますけれども、それは一つの方向づけと見ておりますが、それだけで解決するとは思っておりません。先ほど草島さんも御指摘でしたが、そういう問題点を持っておることは事実でございます。したがいまして、前へ向いで今から雇用制度をそういうふうに切りかえていくということが必要と思っています。
 一つだけつけ加えさせていただきますと、労働時間の点で言うとわかりやすいから申し上げておきますが、六十歳から六十五歳までフル年金で働くようにということは、労働時間に直しますと約一万時間労働時間をふやすことになります。現在、国が目標にしている年間千八百時間を四十年働きますと七万二千時間ですから、五年分の労働時間を伸ばすことを意味しますが、そういったものは制度的には労働生理からいっても明らかに無理があるわけです。したがいまして、現役の労働時間のあり方も含めて変えていかなきゃならないというような、大きいシステムの改革から個々のシステムまで大きく変えていかなきゃならないものを持っているということをつけ足しておきたいと思っております。
 以上です。
#16
○前島英三郎君 ゴルフに例えますと、みんなそれぞれハンディキャップが重くても軽くてもプレーをする。そのハンディキャップはルールがちゃんと支えてくれるわけですから平等にグリーンに出られるわけですね。ところが現状の社会は、あなたは年老いているからゴルフ場でもたもたされたら困る、あなたは障害があるからこのゴルフ場には入っちゃいけないんだというような社会の仕組みがあるわけですね。
 こういうものはおのずと変えていって、そしてみんなが十八ホールプレーをして、そして時間もあるからあとハーフ回ろうよという思いの中にも、どんなハンディキャップが、隔たりがあっても、シングルプレーヤーでも三十でも一緒にプレーができる、いわば国がそのハンディキャップを補てんするというものが本来私は年金の役目であってほしいという思いがするんですね。
 そういう意味では、ゼロの人も三十の大もともども一緒にかかりながらグリーンに出られるというような、ゴルフを楽しむ人の一つの思いをむしろ年金の中に取り入れていくべきではないかという思いがするので、その辺は働く皆さん方は、やっぱりプレーが終わるとすぐ風呂に入って帰りたいんだという思いなんでしょうか、いかがなんでしょうか。
#17
○参考人(河口博行君) 考え方では先生の御意見に私は賛成でございます。まさにハンディでもって、特に高齢者の雇用の問題はそうでありますから賛成の意を表しておきたいと思いますが、現実の場合は、人生六十年を前提にしてつくられた制度になっておりますからそのようにならないわけですから、先生が御指摘のように、ハンディというものをつけていくという社会のシステムとルールをそのように雇用の面で変えていかなきゃならないということを申し上げておきたいと思います。
#18
○前島英三郎君 どうもありがとうございました。
 時間が限られますので、庭田先生にお伺いしたいと思うんです。
 幸せを先取りして今その帳じり合わせであるというお話を大変興味深く伺って、過去の怠慢は将来への警告であると、これは政治にもこの言葉は当てはまるのではないかという思いがするんです。負担ということはやっぱりどうしても避けて通ることはできませんし、そしてまた給付はたくさんがいいにこしたことはないわけでありますが、今後の国庫負担のあり方というもの、私は余り過剰に国庫負担に年金が偏っていくというよりも、今なすべき福祉の全般的な社会資本とでも言いましょうか、今そういう整備の時代だというような思いがするので、軽々な国庫負担というようなあり方というのには私も若干の異論があるんですけれども、その辺はどうお考えになっておられるでしょうか。
#19
○参考人(庭田範秋君) お答えをいたします。
 国庫負担の問題は、多々ますます弁ず、多く国が年金に出してくれればくれるほど国民は喜ぶ、こういうふうな話に持っていきやすい問題であります。ただ、先ほど村上先生が国庫負担という言葉をやめてむしろ税負担としろと言われたんですけれども、この辺に問題の本質があるんじゃないかと思います。
 私は、いろいろ経済を、資本主義初期から中期を経て後期になって、今は資本主義なんて余り言わないで福祉国家諭とかというようなもので代弁をいたしますが、必ずしもそれが妥当とは思っておりません。経済関係の思想の中には、よく働く者はよき報酬を得る、よき報酬を得た者はよい生活ができると。ここに年金を入れれば、よき報酬の人はそれなりに比較的高目の負担をいたすでありましょう。それを一つの条件にいたしましてよき老後があると。この原則を完全に否定いたしてしまいますと、じゃ何のために働くんだ、何のために努力するんだと、こういうことになりまして、じわじわと国の生産性は落ち勤労意欲は低下をいたしてしまう、こういうような事態になるんではないかと思います。
 したがいまして、いろいろの手段を利用して税をたくさん上げて、そして国庫負担で基礎年金のところをただどんどん厚くしていく。それはそれで福祉国家論というような物の見方で見ると大変よろしいんですが、しかし世界的な傾向でいきますと、どうもそれだけではなかなか現代の自由社会というのは持ちこたえられない。
 あの福祉国家の先進国で我々の手本としていたスウェーデンでも、今や福祉の後退と、はっきりそういう言葉が書いてありますが、福祉の後退を考えると。それから、何はさておきアメリカでも、医療保険に関しましても、いかにクリントン政権が頑張りましてもこれが国の経済発展にどうも余りいい影響を及ぼさないと、そのような見方から否定をされそうな状態にあります。
 したがいまして、我々は当面国庫負担を増額して、そして年金の負担を軽くしたりあるいは年金給付の抑制を少し緩めると、これはまことに結構なんでございますし、私らはそれで本当はもうよろしいわけであります。後、どういうふうに事態がなろうと多分私がいないところですから知ったこっちゃないと、こういうことになるんですが、それを言ったらおしまいだ、こういうことになるわけであります。
 日本の一つの特徴というのは、社会保障も随分よろしいんですが、やはり国民は貯蓄ということに対して相当な関心を払い努力をいたします。その理由を調査いたしますと、第一位が何と国の政策だけでは不安心だ、安心できない、早く言えば余り信用できない、こういうような物の言い方になっております。
 したがいまして、税にしろ何にしろ国庫負担を増すんだからたくさん取る、こう言ってもやはり国民はその割に喜ばないんじゃないか、どうもお金ばっかり持っていかれて、今後の年金のあり方には不安がいずれ残るんじゃないかと。そして、自分はこれだけ出した、したがってこれだけの年金が来ると、給付と反対給付をいつでも突き合わせて考える。この均衡をいつでも頭の中に入れて、その均衡が大幅に破られない限りにおいて国政に積極的に参加をする、こういう傾向が日本では強いわけであります。この国民の性情を考えましても、給付と負担というものを分断いたしまして関係を非常に薄くして、そして税方式とかあるいは国庫負担でもって年金財政を賄うといいますと、年金に対する各人の責任感も薄れますし、また年金制度の運営における合理化といったような要求もどうも後退しがちになります。
 そういう意味で私は、自由社会である限り、基礎年金というものはただ多ければ多いほどよろしいとも思っておりません。同時に、給付と反対給付を分断させて、そして給付が厚くなるんだからよろしいじゃないかと言っても、それではなかなか理性的に納得できないであろう。こういうことを考えますと、私は国庫負担の強化というのは、もう少し時間をかけてもう少し国民の精神構造に変化が出たときに初めて考えるべきではないかと。軽々にこういうことを導入して、一時の人気につながると言ったら大変申しわけないんですが、やや人気につながるようなそういう政策はこの不況のさなかにおいて余り私は歓迎できない、このように思っております。
#20
○前島英三郎君 あとお一人、草島先生にお聞きしたいところですが、ちょうど私三十五分までで時間になりまして、何をお聞きしてもかなり反論が来そうで、この辺で私、やめさせていただきます。質問ができませんで申しわけありませんでした。
#21
○日下部禧代子君 社会党の日下部禧代子でございます。
 きょうは大変お忙しいお時間を私たちのために使っていただきまして、そして今回の改正だけではございませんで、一九九九年の次期の財政再計算に向けても参考になる御意見を承り、大変に勉強させていただいております。ありがとうございます。
 まず最初に、大変失礼でございますが、今回の改正、お話の中で評価をしていただいている部分、そしてそうではない部分というのがございましたけれども、もし点数をつけるとしたら、どの辺の点数をおつけになるのでございましょうか。元教師の出なものですからついこういう癖が出てしまいます。まず四人の方に簡単に、大変に失礼な質問でございますが。
#22
○参考人(村上清君) 点をつけるというのは大変苦労いたします。私も大学でしばらく教えておりまして、採点が一番苦労いたしました。私の教えた大学では優良可としてそういうふうに分けるというので、真といたします。
#23
○参考人(河口博行君) 準ずるわけじゃございませんが、全体的には優良可で言ったら良だと思うんですね。先ほど来申し上げている税負担方式なり国庫負担なりというものが明確に出ておりますと、これは優ということになるわけでございますが。それと、最後にマル良といいますか、マルにしていくということが大事だと思っています。だから、それは最後のこの参議院の審議にかかっていると思っております。
#24
○参考人(庭田範秋君) 私はいろいろの見方もできると思いますけれども、余りいい点をつける人というのは学校なんかでも信用できません。九十点だとか九十五点なんていうのを乱発する先生というのは、どうも学生の前に行くと厳しい点をつける権威が不足しておりまして、したがって学生に譲歩することで人気をつなぎとめると、こういうふうな点もございます。この見地からいきますと、九十点なんていうのは本来あるべきものではないと思います。
 では、私自身どう考えるかといいますと、このいろいろの具体的な技法の考案に関しては舌を巻くばかりであります。さすが日本のお役人はこういうことを考えさせると大したものだと。とにかく、賃金が上がると二分の一の年金が来るとか来ないとか、いろいろああいうことはなかなか尋常一様では考えられません。そういう点では、その技法においてはまことに抜群であると、こういうふうな気がいたします。
 しかしながら、あちらこちらを見ていきますと、大分やはり無理のところがありまして、私は七十八点ぐらいの採点です。そのような気持ちでおります。ただし、これは常識的にいきますと随分いい点じゃないかと思います。このように考えております。
#25
○参考人(草島和幸君) トータルで言うのはなかなか難しいんですが、育児休業の問題であるとか沖縄の問題であるとか個別のところについて言うんだったら満点でやっていただきたいと思うんですけれども、トータルで言うことになれば、先ほど言いましたようにやはり反対という立場からすると、優良可で言えばその下の不可というのが私の考えです。
#26
○日下部禧代子君 どうもありがとうございました。四人の方、それぞれの大変に興味ある採点をしていただきましてありがとうございました。
 それでは、まず村上参考人にお伺いしたいのでございますが、基礎年金の国際比較の表をいただきまして大変参考になりましたが、我が国の基礎年金の水準というのを生活保護の水準と比較した場合に、そしてまた国際的に比較した場合にどのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
 それからもう一つは、今度ネット所得スライドという方式が取り入れられておりますけれども、この場合、指標というのが家計調査を指標としております。家計調査を指標といたしますと、この家計調査というのは単身者を含まないなど指標とするにはいろいろと問題もあるというふうにも思うわけでございますが、これからこのネット所得スライドの指標というものはどういうものがよろしいのかという先生の御意見を承りたいと思います。
 それから三点目には、女性の年金権でございます。これは言われてから久しいのでございますけれども、第三号被保険者は固有の保険料負担がないという問題、これは共働きの女性あるいは自営業者とかそういった方々からの不公平だというお声も強くなっているところでございますが、その点。
 そしてまた、パートの場合でございますが、パート労働者の場合の厚生年金、いわゆる百三十万未満の収入の方々でございます。この百二十万未満という金額の問題も含めまして、厚生年金加入ということに関してはどういうふうにお考えになりますかということでございます。
 それからもう一点は、先生は国際的なさまざまな情報を非常に詳しく知識を持っていらっしゃいますが、他の国々におきましては、年金制度におきまして育児支援というものほかなり考慮されているわけでございます。女性が育児のために職業を中断した場合には、それを年金制度の中でいろいろと配慮するというふうな考慮がなされておりますが、今回、日本の場合には育児休暇中の保険料の問題ということだけにとどまっているように思います。
 こういう女性の年金権ということを考えてまいりますと、これから年金というのは単身ということになるのかあるいは世帯単位になるのかというその単位の問題にもかかわってくる根幹的な問題でもあるかと存じますが、先生の御意見を承りたいと存じます。
#27
○参考人(村上清君) お答えをする前に、先ほど私、良と申し上げたんですけれども、厚生省の方からすると不満だと思うんです。私は、今やっていらっしゃる方については優という点を差し上げたいんです。ただし、いかにしてもできないことはあるわけです。過去からの連続とか、あるいは片方で財源がどうしても伴わない、そういうことのために良という点をつけました。役所の御努力は私は優でございますが、結果的にはいろんな問題がどうしてもできないんで、仕方がないから良ということでございます。
 それから次に、基礎年金の水準なのでございますけれども、資料を差し上げました。そこに何円と入れたのもございますけれども、日本に比べるとかなり低くなっちゃっているんですね。数年前に調べたら大体日本と同じなんです。聞いてみたら円高のせいだというんです。ですから、大体日本の基礎年金とちょぼちょぼぐらい、購買力でいったらそのぐらいじゃないかなという感じがいたします。
 これは基礎的な部分でございますから、別に生活保護の水準とどうこうという問題じゃないと思うんです。ある程度努力するのは人間当たり前のことでございますし、それから日本では生活保護を受けていらっしゃる人の割合というのは欧米に比べて極端に低いですね、それだけ日本人は勤勉に努力していらっしゃる。しかし、何かの事情で落ち込んでしまう人がいれば、それは当然救済の手を差し伸べなきゃいけないんですけれども、今の水準で諸外国とも似ているし、私はいいんじゃないかと思います。
 それから次に、ネットスライドのインデックスですけれども、これはいろんなのがあるので議論が随分あるけれども、長い目で見れば私はどれを使ったって大して違いはないと思うんです。ですから、ごくごく大まかに考えております。要するに、勤労者が実質的に手にする金ということです。
 それから、女性の年金権は、これは議論が本当に少なくて残念なんです。どうぞ日下部先生、もう大きく発言をしていただきたいんですけれどもね。
 まず三号の問題は、基礎年金を税方式にすれば全部解決するわけでしょう。つまり、みんなが物を買うたびに、貧しい人は少し払い、ベンツやダイヤモンドを買う人はうんと払っていただく。そのお金で平等なのを払えば、主婦もそれから働き手もだれも関係ないわけですね。したがって、一階の部分はそれで私は、すぐできるとは思いませんけれども、それがベストの解決だと。
 それから、残っているのは二階部分なんですね。二階部分は前と同じで、例えば離婚すれば全然ゼロになっちゃうと、そういう投書を随分離婚した御婦人の方から受けます。何十年も我慢したのに全部亭主のところへ行っちゃう、私には一銭もないんですか、何か議員立法というめがあるから、議員の方が法律をつくって直してくださいと大きな声で言ってくれというので、きょうは大きな声で言いますけれども。
 それで、私が見ているのでは、やっぱり将来の方向というのは所得分割といいますか、つまり夫ないしは夫婦が稼いだ給料を二つに割っちゃうわけですね。仮に私が五十万ならばそれぞれが二十五万稼いだ、あるいは両方で六十万なら三十万ずつと、そういうことで二階部分の所得比例の年金を払えば育児期間も何もないんで、要するに夫婦で稼いだ総報酬の半分ずつになるわけです。
 ただ、そこに若干色をつければ、例えばイギリスやドイツなんかに例はございますが、イギリスのことは先生がお詳しいと思うんですけれども、ホーム・レスポンジビリティー・プロテクションというのがございますね。これは、やっぱり働くのと同じように社会に貢献したんだということで、働いたと同じような給料があったんだとみなして加入を認める。その分は国庫負担になるか全体の負担になるかわかりませんけれども、そんなことも含めてやればいいんじゃなかろうか。
 所得分割は、現にカナダで近いことをやっておりますし、それから最近の情報ですと、スウェーデンは再来年に大改正しますが、やはりそれを導入するようでございますので、やっぱり世界の趨勢になっていくだろうと考えております。
#28
○日下部禧代子君 あと二、三分ございますが、パートの問題については。
#29
○参考人(村上清君) アメリカの例を引きますと、アメリカでは所得税を払わないぐらいの人でも社会保険料は払っているわけです。例えば、基礎年金を間接税にすればだれだって払うわけです。だから、所得税と関係なく、だれだって厚生年金を所得に応じて徴収していいんじゃないですか。
#30
○日下部禧代子君 それにもう一点、年金制度の中における育児支援の問題について。
#31
○参考人(村上清君) それは、育児期間中は働いていたとみなすような方法を入れるというふうな方法はいかがなものでございましょうか。
#32
○日下部禧代子君 それでは、連合の河口さんにお伺いいたしますが、これから人生八十年時代、この年金制度で六十五歳からの支給というふうな方向になってまいりますと、やはり働くということと生活ということの調和が非常に重要になってくると思うんですね。かつて定年後というのは余生と言われてきたのですけれども、定年後というのはもう余生でなくなってくる、そういうふうなライフサイクルの変化というものがライフスタイルの変化ということにつながらなきゃならない。そうしますと、働くということと生活の調和ということを定年後に急に言ってもなかなかこれは大変なことでございます。やっぱり働いているときからそういう姿勢をとらなきゃならない。
 この年金制度の改正、六十五歳支給というふうなことから、そういう問題というのは生き方ということが大きく変わってこなければならないと思うものでございますが、連合のお立場からどのようにその点とらえていらっしゃるでしょうか。
#33
○参考人(河口博行君) お答えします。
 視点は先生の視点と同じでございまして、今大事なことは生涯というコンセプトをはっきりと持つことだと思っております。生涯労働時間とかあるいは生涯所得と収支、それから生涯の生活ということで考えることが大事ではないかと思います。
 時間で申し上げるとわかりやすいので時間で申し上げますが、現在の平均余命を生きるとすれば七十万時間になります。労働時間が国の目標の千八百時間ということになりますと、先ほど申し上げたとおり七万二千時間でございます。したがいまして、おおむね国の目標である七万二千時間を生涯の労働時間として、それを十八歳から二十二、三歳をスタートにして六十から七十にかけてゾーンで就労してゾーンで引退していくという中で、四十五年間の中で七万二千時間をどのように配分するのかということがこれからの大きい課題になっていくと思っております。
 さらに、自由時間といいますかその他の時間を申し上げますと二十一万時間ございます。働いている時間の約三倍ございますが、そういったものをどのように設計していくのかということがこれから課題になると思います。
 あわせて、生活との調和で申し上げますと、現在でいえば、現在の賃金の実態に沿って生涯の所得を出しますと、おおむね賃金、賞与等で平均約二億でございます。年金がほぼ五千万でございますから、現役が生涯所得の二割の大部分を負担する、こういうことになりますが、約二億五千万が平均的な現在の労働者の生涯所得でございます。その中でどのように生活のバランスを考えていくかということも当然収支上考えていかなきゃなりません。そのときに、負担はふえていくけれども実質的には下がっていく、実質生活のコストが下がっていくという、ある面からいえば物価ということになってまいりますが、そういったことを考えていく状況になるのではないかと思います。
 あえてつけ加えさせていただきますと、昔そういったドイツと日本の生活を比較したことがございます。ドイツの場合は、勤労者の所得、家計簿を見ますと、税及び諸保険は明らかに日本よりも高い内容であります。しかしながら、実質所得が高いわけでありまして、それは所得再分配が進んでいるということでございます。先ほど育児支援のことを御指摘でございましたが、例で申し上げますと、児童手当がかなりの額で返ってくる、そういう形になっておりますから、負担と生活とのバランスもそういった形でとれていっているというような状況でございますので、生涯という概念の中でバランスをとっていくことが大事だと思っております。
 以上でございます。
#34
○日下部禧代子君 ありがとうございました。手持ち時間がなくなりましたので、今井先生に。
#35
○今井澄君 社会党の今井澄でございます。
 時間がありませんので全員の方にはお聞きできないんですが、今の河口参考人の御意見、人生八十年時代、もう五十年時代、六十年時代と違った働き方、生き方、細く長く働くということが私も非常に大事なんだろうと思います。
 さて、そこで最初に、雇用制度がこれまでと今後とは変わっていかなければならないということでリストラのお話をされました。しかし一方で、草島参考人などの先ほどのお話を伺いますと、現状が変わらないんじゃないかというふうな御認識もあるようですけれども、河口参考人としては、支給開始年齢が徐々に延ばされていくという段階の中でどういうふうな形に変わっていくあるいは変わる可能性ですね、将来の予測というのは余り意味がないのかもしれませんけれども、雇用情勢というのは変わっていくだろうと。
 例えば、これまでは労働力過剰ということを基本に考えてもよかったけれども、これからは労働力不足ということを考えると高齢者の雇用機会はあり得るというお考えもあるでしょうし、一方ヨーロッパなどを見てみますと、逆に失業率が高くて、しかも若年失業者を何とかするためにむしろ高齢者には早く引退してもらいたいというふうなこともあって、ある国では早期引退賃金という年金とは別の形のものが支給されて引退を迫っているということもあるやに聞きますが、日本の場合には、先ほどの意識の問題とあわせて雇用条件あるいは雇用制度はどんなふうに変わるだろうか、変えたいか、その辺をできれば簡潔にお願いいたします。
#36
○参考人(河口博行君) 何といっても、税を払うにしても年金を払うにしても、雇用の保障という前提があって払えることでございますので、何よりも雇用の安定を図りながら、あえて言えば、これは年金の世界ではございませんで雇用政策の世界でございますけれども、新しい産業、新しい雇用を創出していくということと、一方、情報化が急速に今進んできておりますから、中高年は現在でも厳しい環境に置かれておりますが、高齢化したら現状のままでいくとますます厳しい状況に置かれるということになりますので、移行スケジュールに沿った形で労働能力の再生と人生設計の再生を図るような総合的な雇用政策及び施策が必要と思っておりますし、また労使の最大の課題と思ってこの年金改革を機に取り組んでまいりたいと思います。
 以上です。
#37
○今井澄君 そこで、そうあらねばならないし、私どもも精いっぱい努力してお互いにそうしていくのがこれからの務めだと思いますが、実際にこれは連合の方も言っておられますが、そういうふうに全体の労働条件とか雇用制度が改善したとしても、やっぱりどうしても働きたくても働けないという人がいるということですね。
 現在は六十歳からでも四十五年加入者と障害三級相当以上は支給されるわけですけれども、それに該当しないで、どうしても働きたくても働けない、先ほど介護という一つの例を挙げられました、家族が倒れてどうしても自分が介護しなければならなくて働きたくても働けないという者についてはどうするんだという御意見だったと思いますが、それはそれでまた別の社会保障システムがあり得るかもしれない、介護保険制度とかいろいろなことがあるかもしれないと思うんですが、それ以外に何か具体的なことで、こういう場合には六十歳支給あるべしという御意見がございましたら、お伺いしておきたいと思います。
#38
○参考人(河口博行君) 一つは、今御指摘のように障害者は既に法律に入っておりますが、全体の蓄積疲労で、元気だけれども事実上蓄積疲労でできない状況にあるとか、あるいは先ほども申し上げましたように介護の問題は相当出ると思っております。
 それからもう一つは、こういう時代の変化でございますから、科学者であるとかあるいは文学者であるとか、学者もそうでありますが、人の働き方というのは一時に度外視をしてある一定時期に集中的に働くわけでございますので、そういった方々すべてを年金制度という枠で規定づけるというのは無理があると思っておりますが、あえて申し上げれば、厚生省の何といいますか、省是というふうに聞いておりますが、一隅を照らすというようなものが法律の中にあると皆も納得して安心して移行に取り組んでいけると思っております。
#39
○今井澄君 最後に、村上参考人にお聞きしたいと思いますが、私も基礎年金に関しては少なくとも税方式、国庫負担と言うより税負担と言う方がいいという先生の御提言、確かに私ども重く受けとめたいと思います。
 その方がいいと思うんですが、その場合に、よく厚生省なんかも言いますし、きょうお示しいただいた資料の中にも若干見られますが、税方式にしますとミーンズテストが必ず入ってきますよと。要するに、この人はお金があるから支給しないというものが入ってくるということが言われるんですが、私は税方式にミーンズテストは必須ではないというふうに思っております。それは、特に今、年金課税が緩いわけですが、年金課税をもっと考え直すとかいろんな方法で、必ずしも高所得者や資産家には年金を出さないというふうなそういう逆ミーンズテストみたいなものを入れる必要がなくてやっていけると思っているんですが、いかがでしょうか。
#40
○参秀人(村上清君) お答えいたします。
 基礎年金というのは、国際的な用語ではユニバーサルベネフィットと申しまして、これは普遍的にだれにでも上げるということなんですね。だから、むしろミーンズテストがないのが普通だと思います。ミーンズテストがあるのはオーストラリアとかニュージーランドです。これは所得によってでございますけれども、これでも大部分の人が受け取っているんですね。したがって、これは要するに制度の立てようだと思います。
#41
○横尾和伸君 参考人の皆さん、きょうはお忙しいところをありがとうございます。
 各参考人の方にお伺いしたいわけなんですが、まず、先ほど庭田先生の方から大変示唆に富んだお言葉をいただきました、過去の怠慢は将来への警告であると。私は、この年金問題こそその将来への警告をしっかり生かさなければいけない、こう思っているんですけれども、年金改正を先送りしてきたというお話もその前段でございまして、私も、怠慢というだけではなくて結果的な怠慢ということなのかなと。
 それは、実は半年ほど前にNHKで年金問題の特集をした番組がございまして、そこでたまたま厚生省のOBの方が、当時年金を担当された年金局の参事官と言っていらっしゃったんですが、四十八年の大改正によって給付額の方が倍増した、その後給付の方ばかりを、年金額の方ばかりを増加させる、それは選挙対策とつながっている、こんなことばかりやっていたのではいつまでももたない、そういうお話の中で、バナナのたたき売りというような言葉をお使いになった。
 私は、ある意味では政治に対する警告、政治がこの年金の問題をある意味で人気取りのために使ってしまったという面があるのではないか。これがすべてとは思いません。いろんな要因が重なったということだと思うんですけれども、ただやっぱり真摯に政治家としてとらえなきゃいけない部分については真摯にとらえることからこれからの改革、まだまだ改革しなければいけない問題というのは今回をクリアしたとしても多いわけでございまして、そういう意味で、そういう証言というか感想というかそういう御指摘に対して、四人のそれぞれの先生方はどのようにお受けとめになられるか。参考にさせていただきたいと思いますので、まず御意見を村上先生から順にお願いしたいと思います。
#42
○参考人(村上清君) 今、バナナのたたき売りとございましたけれども、私ももう何年も前から講演会のときにはそういう話をしているので、私が言つな言葉を使われたのかもしれませんね。
 今、厚生省の方が大変苦慮しているというのは、私率直に言ってやっぱり四十年代の失政だと思うんです。やり過ぎですね。つまり、あのころのキャッチフレーズは低負担高福祉でしょう、新聞が見出しにそう書いておったですよ。国会の先生方もそれに対して何も言わなかったです。低負担高福祉なんていうのはいつまでも続くはずないんで、私はならないよと書いたら、ある著名な評論家が、あいつの言うことは理屈はあるけれども心が冷たいというので、庭田先生に怒られるんですけれども、今や何か逆みたいになっちゃったわけですね。
 これはもう四十年代に日本はもっと早くスライド制を導入して給付率は余り上げないというふうにすればよかったんですけれども、いろんな事情でもって給付率だけどんどん上げちゃって、過去の全く目減りしちゃった賃金を使った。これは給付の面からも非常に不合理なんですね。
 それから、早く成熟させるのはいいんですけれども、上げたら横ばいにしなきゃいけないのにそういうこともしなかった。それを前々回の改正以後、今回の改正も含めまして役所が大変努力している、そういうことだと私は理解しております。
 それからもう一つは、何か今の風潮で、公的年金だけで全部見なきゃならないんじゃないかというふうな感覚が出ちゃっているんですね。これは困るんです。公的年金というのは生活の基盤の部分でございまして、それにある程度乗っかってそれで生活ができる、それが普通の姿だと思いますので、そこら辺に立ち返ってもう一遍根本的に見直す必要があるんじゃないかと思います。
#43
○参考人(河口博行君) お答えします。
 結論から申し上げますと、今回の改正などを通じまして適切に軌道修正されつつあると思います。
 振り返りますと、最も高齢化あるいは就業構造の変化、財政難等を含んで対応した改正が八四年、八五年の改正であったと思うんです。八四年の通常国会に出されて、結果、八五年の四月二十三日であったと思いますが、今日の年金改正の基礎がつくられたと思っておりますが、以来、いろいろな取り組みを通じまして、今回の改正でもって適切な軌道修正がされた。
 また、衆参両院で現在与野党含めて審議されている中身というのは極めて真剣で、敬意を表したいと思いますし、また内閣も、今次でいえば細川、羽田そして村山、三代にわたる内閣を通じての決着でございますから、衆参両院の政府含めての御努力に対して敬意を表しながら、適切に軌道修正されていると思います。
 以上です。
#44
○参考人(庭田範秋君) お答えをいたします。
 まず、過去のことを大変厳しく、選挙対策とかバナナのたたき売りとか、こう申されましたけれども、私はそこまでおっしゃる必要はないと思います。
 といいますのは、福祉というのも低い時代はちょっとなりふり構わず引き上げなければ国民生活も安定しませんし、それから国家の政局とか体制も固まらないわけであります。ですから、過去においてちょっと乱暴な給付の強化、そして負担の抑制ということがあったのは大方歴史上の法則でありまして、これはその割に問題視して余りたくさんの反省をされちゃうのは逆にまた問題ではないか、こう思うわけであります。
 ただ、これからの問題を考えますと、どうしても我々は日本における成長神話といったようなものを捨て切れていないと思います。ある先生方の御本を読みますと、日本の経済成長が今までどおり続くならばと、こう書いてあるんですね。こういうのは大変乱暴な前提の置き方でありまして、およそ社会なり国家なりそれから経済なりが成熟をしていきますと、金利は低くなるのは当然でありますし、それから世界全体がややハイペースが普通のペースになる、それから落ちついたペースになっていくというのもこれも当然のことなのであります。
 したがいまして、だんだんと成熟化していく、こういうことを言う反面において、何か成長神話を過信いたしまして、そしてこちらさえ順調に行けば年金財政もそんなに心配しないでいい、こうお考えになるかもしれませんが、この成長神話に対して我々はもう少し本気で、果たして持ち続けていいものだろうか、この辺で神話を捨てるべきじゃないか、このような反省は一度してみる必要があります。その反省をした後で、給付と負担とかこういうものを考えていきますと、おのずから収れんするところに収れんしていくのではないか、こう考えるところでございます。このように考えますと、過去はどうであれこれからの問題として我々は新たに考えよう、こういうことが言えると思います。
 なおまた、村上先生は大変外国の事情に詳しくていろいろ外国の例を引かれるわけでありますが、私自身の考えといたしますと、外国の年金改正のいろいろの手法、技法、手段というようなものは学んでうんと利用しなければいけないと思います。しかし、水準とか金額とかで外国と比べて日本の年金がどうだこうだというのは、私はその割に余り意味がないと思います。
 例えば、外国は年金水準が低いけれども、社会資本が充実いたしまして結構生活環境はよろしい。ああいうところでは日本ほどお金もかかるまい。物価も、食費、住居費が安ければ年金水準もある程度は抑えられてもよろしいんじゃないか。こんなことを考えていきますと、外国の事例を引いて将来の改正の足かせにしてはいけないであろう。
 同時に、成長神話を頼り過ぎてもいけないであろう。かつまた、過去において、非常にペースを速めて、俗に言う年金を飛ばしたわけでありますが、この飛ばしに飛ばした年金というものはあの時代においてはそれなりの意味があったと、このように私は解釈いたしております。すべては今後のあり方にかかるんではないか、このように思っております。
#45
○参考人(草島和幸君) 年金の個別の制度についてだけ考えを絞っていくということは大変困難だというふうに私は思います。というのは、日本の財政、経済全般も含めたところで過去何があって今どうなっているのかというとらえ方をしていかないといけないんではないかというふうに思います。
 多くを語る時間がありませんが、労働分配率の国際比較ということがよく使われます。全体としての国民所得の中に占める雇用者所得というふうに大きくとらえていいと思います、これはマクロの話ですけれども。西ドイツ、フランスに比べて日本の労働分配率というのが一〇ポイントほど低いというのが現実に続いてきているわけです。
 これは、不況下になって若干変化が、つまり高まっているという可能性はありますけれども、過去の分を含めてこの状況がずっと継続してきた、そこのところの問題についてだれも手をつけてこなかった。むしろバブル経済期を通じて拡大こそすれ縮小しなかったというところに根本の問題があるんであって、つまり労働者と国民の暮らしをよくするための雇用者所得の部分、賃金あるいは社会保険料負担分も含めてですけれども、どう公正な再分配のシステムをつくっていくのかというところについて過去にも欠落していた、今もその視点が欠落しているんじゃないだろうかというふうに私は考えているところです。
#46
○横尾和伸君 それでは、庭田先生にお伺いしたいんですけれども、今回の年金の改正は来るべき一元化の前提条件である、そのためにもぜひともやらなければならないし、またある程度の痛みもやむを得ない。私もそう思っておるんですけれども、ひとつ先生がこの一元化に関してどのようなイメージなり御構想、お考えを持っておられるのか。
 つまり、一元化のために現在の年金改正があるということは、逆に言うと一元化そのものさえもさらに大きな痛みを伴う部分が出てくるのかもしれない。そういう意味で一元化というものがどうなるのかということが大変大きな影響を与えるわけで、なおかつ、一元化というものに対する考え方がかなり根っこからの一元化なのか、部分の一元化なのか、そういうこと一つとらえてみても相当なイメージの違い、問題の深さの違いがあると思うんです。そういう意味で、先生がお考えの一元化というのは、今の時点で可能な限りで結構ですけれども、御教示いただけたらと思います。
#47
○参考人(庭田範秋君) お答えいたします。
 年金の一元化というときに必ず並べて言われるのが一本化と、こう言うんですね。全部年金を集めてかき回しちゃって、全国民一本の年金でこれは徹底的一元化になろうかと思いますが、そういうような発想がございます。しかし、どうもこれは自由社会においてとるべき年金の一元化の姿ではないと思います。
 といいますと、やはり基礎部分をまず一元化いたしまして、国民年金とそれから被用者年金を横につなげる。それから、今度は報酬比例部分ですか、そのうちの一部をまた横につなげていく。そしてその上に、今度は各年金団体が経済的な余裕、財政的な力に応じて自分たちで独自な年金をその上に積み立てていく。これが魅力になりまして、先ほど申しましたようによく働く者はいずれはよき老後がある、こういうようなことが一つの刺激になりまして自由社会が活性を失わないようになる、こういうふうに考えるべきではないかと思います。
 ところで、そうは申しましても、一元化をいたしますと、やはり損するところと得するところが出ることはこれは間違いがありません。もっとはっきりと言えば、厚生年金という一番大きな、そしてまた財政に何がしかの余裕のあるこの大きな年金団体が、義を見てなすとでも言うんでしょうか、どうしても身腹を切る以外にないと思います。そして、今のところもうにっちもさっちもいかなくなっておるJRとかJTとかという年金をある意味では財政的にてこ入れをしてあげる、こういうことになります。
 ただ、これが永遠に続くのでは大変もう希望がなくなってしまいます。だんだんと年金の成熟化がそろってくるにつれて、財政調整で厚生年金が痛みを感ずる部分は減退していくということにはなるのでありますが、約束どおりそんな簡単にいくかどうかという点では疑問があるんではないかと思います。
 ただ、どうもこれからはだんだんとあらゆる産業が一つの形が整ってまいりまして、そして労働力の企業間移動というようなものも活発になってまいりますと、きょう民間企業にいた人があすはJRとかJTとかそういうようなところに行かないでもありません。
 そういうことを考えていきますと、労働条件の近代化のためにも一元化はやむを得ないであろう。そして、さらに公的な年金全体の信用力を保持するという点においてもまたのまざるを得ないであろう。そして、各年金団体の成熟化がそろって、極力早く財政調整というような変則的な形での相互協力ということが修正されたならば、そのときに初めて我が国の年金が真に一元化をして、そして負担と給付の公正が達成されて、やや理想に近い状態になるんではなかろうか。
 大分時間はかかるでありましょうが、そのような方向に向けて我々は努力もしなければならないし、少しずつその方向に向いて歩みつつあるということも信じてよろしいんじゃないかと思います。
#48
○横尾和伸君 最後に、河口参考人にお伺いしたいんですが、先ほどの説明の中で国庫負担率の件について、本来ならば二分の一、さらには三分の二という要求をお考えのところ、現状を踏まえて、政府の決意、目標として方向づけだけでもと、現役、OB、政府三者ということで言われたわけなんですけれども、大変柔軟なお考えだと思いますし、私も賛同するものでございますが、その方向づけだけでもという、方向づけ以下にはならないものかどうか、そこのところを二言。
#49
○参考人(河口博行君) 方向づけ以下ですか、ちょっと……。
#50
○横尾和伸君 方向づけよりもレベルが低い形での政府の決意というのはあり得るのかどうか、連合さんのお立場でどのようにお考えなのか伺いたいと思うんです。
#51
○参考人(河口博行君) 衆議院で審議されて、附則の修正と附帯意見がついている中身につきまして、連合として結論、評価をいたしております。
 附則のところで、政府として引き上げることを検討すると、政府としての責任を明確に出しておられるというふうに解釈をした、そして附帯決議で二分の一を検討するというように、国会が国民に対しての決意であるというふうに受けとめています。
 その意味で、これが明確になってこそ倍にする負担に耐えていけますし、その他の説あるいはその他の保険等もこれから出てまいりましょうが、また先ほど庭田先生にお聞きになりました一元化の問題の対応にもこの年金改正の直後から取り組んでまいらなけりゃなりませんが、そういったときにもこういったものが極めて重要である。庭田先生の言葉をおかりすれば、義をもって対応するというようなことを考えるとすれば、やはり気持ちの一致というものが政府、負担者、そして受給者の間にないとできない、すべて不信の上に立って物事に対応することになると思っておりますので、くれぐれもこの点は明確にしていただきたいと思っております。
#52
○横尾和伸君 ありがとうございました。
#53
○萩野浩基君 四人の参考人の先生方には大変お忙しい中、もう十二時を過ぎております、長時間にわたって大変参考になる御意見を拝聴させていただきまして、ありがとうございました。
 私が聞こうと思っておりましたのは、もう既に今井先生それから横尾先生が聞かれたのでくどいようですけれども、一応この辺が私一番問題だと思いましたので河口さんに、今の予定ですと明日これを参議院で決定するということなんで、これは将来のためにも非常に大事なことであります。六十五歳まで引き上げる、だけれども、その方法論においてはみんな一生懸命工夫したわけでございます。その痕跡は衆議院の審議過程、修正、附帯決議等にも見えるんですけれども、はっきり申し上げまして、これはまたきょう午後、大臣にしっかり追及しようと思いますけれども、附帯決議というのはともすると軽くなってしまう、そういうこともあります。特に大事な点は、働きたくても働けない場合の満額年金支給ということは、やはり勤労者の立場に立っておられるユニオンとしては非常にこれは大事な点ではないかと思います。
 いよいよこの法案も委員会の中でも終盤に入っておりますので、先ほどおっしゃられたのと同じことでもいいですが、移行のプロセスの中においていろんな希望もあるんではないかと思います。この働きたくても働けない者という、これがドロップしてしまっておるんで、これは参議院の中では非常に重要じゃないかと思いますので、まず御意見を聞きたいと思います。
#54
○参考人(河口博行君) 先に附帯決議の方について申し上げておきたいと思うんですが、これだけの長い、十年からかけて今日の改革に及んだ中身でございますから、附帯決議の意味は従来よりもはるかに重く、また国民もこれを信用すると思っております。また、それだけの内容であると思います。その面では、国会が国民に対する目標等を約束することになると思っております。その面で、附帯決議の意味は従来よりもはるかに重いということを先に申し上げまして、盛り込んでいただきたいと思っております。
 最初に説明申し上げるときにも、法にかない理にかないということはできる範囲でできてきていると思っております。最後の情にかなうということを通じまして、これからの大きい課題に国民が政府あるいは国会とともに話をしながら共同で改革に取り組めると思っておりますだけに、そのときにすべてこういう制度である、こういう対象であるということを今特定しにくいと思っております。
 その面で、あえて条文にかかわることを申し上げさせていただけるならば、四十五年の年金を支払った方々それから障害者、加えて厚生大臣が認める者というものをぜひとも審議をいただきたい。それは、結果でいえば次期改正年度でも間に合わぬことはないわけでありますが、これからの改革に向けてここを示すことが、情があって、初めて先ほどの庭田先生の義に応ずるということもできると私は思っておりますので、よろしくお願いします。
#55
○萩野浩基君 わかりました。これは、あとは私たちの責任でありますから、その点を十分心得て、この後まだきょうの午後、明日と審議が残っておりますので、その辺を踏まえながら我々も一生懸命考えていきたいと思っております。
 それから、村上先生におかれましては外国の資料等もわざわざお示しいただきまして、大変ありがとうございました。これは時間の関係で庭田先生と村上先生御一緒にちょっとお聞きいたします。
 私も年金問題を昔から考えてきまして、特にスウェーデンだとか、きょうお示しの資料にもありますけれども、オランダ、ノルウェー、ニュージーランド、こういうところの、前から私も知っておりましたが、私たちがよく使う言葉では、賦課方式でいくかそれとも積立方式がというときに、先ほどちょっとおっしゃいましたけれどもイギリスのビバリッジですか、彼なんかがそう言うのでイギリスの場合には保険方式をとった。日本はそのまねをしたんじゃないかと思いますけれども、その裏には今日の経済の発展というものがある。そこのお金を流用すると、厚生年金だけでも今は九十兆円を超えるものがある。やっぱりそういうようなものをいろんなところに使いながら日本が今日の経済的発展を得てきたということは、これは私はあると思うんですね。
 だけれども、これから未来のことを考えていくときに、先生のお言葉をかりれば税方式という形になると思いますが、私は古くは学生たちに賦課方式というのを使ってきましたけれども、日本もこれから超高齢社会を迎えるわけだから、これはちょっと未来のことですけれども、せっかく見識のある先生方がいらしたので、私は日本ももう一度この辺で振り返ってみる必要性があるんじゃないか、そのように考えておりますが、村上先生それから庭田先生、いかがでございましょうか。一
#56
○参考人(村上清君) 年金制度、ここでは国の公的年金でございます。それは賦課方式か積立方式がというのは、主要国では賦課方式というのがまず常識だと思うんです。日本でも世代と世代の助け合いという言葉を使っております。つまり昔の家族内扶養、これを社会全体に拡大した、そうすればせがれが稼いできた金の一部を年寄りにやるわけでございますからね。ただ、異常な状態がいつ起こるかわからないから、若干の手元資金というんでしょうか、積立金というもの、支払い備金ですね、それは持っておくのが必要だと思います。
 ただ、国によりましてかなり積み立てを厚くしている国がございます。カナダとスウェーデンでございますけれども、これは資本不足なものですから、それを使って資本蓄積をしていろんなところへ使うと、それをはっきり明示して言っているわけです。それから開発途上国、これも資本がないから一種の強制貯蓄ですね、そういうのもございます。
 だから、そういう点をいろいろ配慮して、年金と経済との関係も見ながらどうやったらいいかというふうに考えていくことになるんじゃなかろうかと思います。
#57
○参考人(庭田範秋君) お答えをいたします。
 賦課方式がそれから積立方式がと、これはもう大変年金学の根源にかかわる論議のところでございますけれども、私は今の日本の状態では積立方式というのを一応の建前とすべきではないかと思います。賦課方式に早急に移行していくというのはどういうものかと思います。
 と申しますのは、徐々に制度が成熟化しながら、そして各制度の財政状態が大体横並びに類似してきて、しかも一元化というのが順調に進む、そういうようなところでは賦課方式というのは大変取り入れやすいと思います。しかしながら、とにかく各年金団体で財政の状態が大いに違っておるというようなところでは、それぞれの年金団体がある意味での自助努力的な積立金の形成ということに努めることはこれはやむを得ないであろうと思います。
 ただ、積立金は確かにインフレで目減りをするということになりますけれども、もしインフレで目減りをするということを念頭に置いて事を論じますと、じゃ個人の自助努力としての貯金も無意味であろう、一切の貯蓄的、将来に備える金銭的な諸制度はみんな解け去ってしまいます。ですから、日本の今まで程度のインフレならば、それでも積立式にしておきますと、金利とそれから目減りとある程度バランスをとると。しかも積み立てたものは社会資本の一種にもなりまして、最も日本でおくれている生活環境の改善というようなことにも役立ち得るかもしれない、役立てなければならない、このように思います。
 さらにまた、日本は古今東西類例を見ない高齢化現象が進んでおる、こういうふうに必ず言われるわけです。古今東西に類例を見ない深刻かつ急速な高齢化が行われるんだったら、とにかく積立金ぐらい持ってなかったらこれはどうにも対応できないんじゃなかろうかと。しかも、積立金の金利も少しは保険料の引き上げの抑制にも使われるわけでありますから、私はなるべくしてなる賦課方式への移行は賛成でございますが、あえてこの際火中のクリを拾うような早急な、せっからな賦課方式への移行措置、移行努力というものにはどうも反対せざるを得ない、このように考えるところでございます。
#58
○参考人(村上清君) 委員長、ちょっと一言、補足よろしゅうございますか。
#59
○委員長(種田誠君) では、村上参考人。
#60
○参考人(村上清君) 誤解があるといけないんですが、私も今すぐ賦課方式にしろという意味じゃございません。一昔前に賦課方式論というのがはやりまして、積立金を使っちゃえば安くできると、そういう意味じゃなくて、したがって庭田先生と大体同じことだと御理解いただきたいと思います。
#61
○萩野浩基君 私も今西先生のお話を聞きまして、そう急いでどうこうするときではない、やっぱりだんだん超高齢化社会に向かっていくわけだから、高齢社会を経験しておる先輩国の社会福祉の方法というようなことから、この辺ももう今は日本もちょっと考えてみていいときに来ているのではないか、もう一遍そういうのを学際的に研究するときじゃないか、そのように感じたので、大変貴重な御意見ありがとうございました。
 もう時間が来てしまいましたので、草島先生に一分ぐらいで、定年の空洞化ということがやっぱりこれは問題にもなると思いますし、その辺の先生のお考えをどうぞ。
#62
○参考人(草島和幸君) 六十歳定年が事実上六十まで働けないで空洞化しているという意味合いですけれども、これについては最近のリストラ合理化と言われる中高年管理職をねらい撃ちにする退職というのは最大の問題だろうというふうに思います。
 もう一つは、先ほど言ったように、八〇年代から始まった定年延長に合わせて高齢者の賃金が右肩上がりというのがもう事実上横に寝てくる、場合によってはダウンするという状態に入っているということであるならば、定年は名目上六十まであるにしても事実上空洞化しているに等しいじゃないか、雇用の場面においても、賃金、賞与においてもそういう状態がかなり広がっているという状態を指摘したわけです。
#63
○萩野浩基君 ありがとうございました。
 いずれにしましても、年金に関するこの法律は本当に大事な法律なので、先生方の御意見を参考にしながら、またきょうの午後、明日の我々の議論に生かしていきたいと思います。また今後ともよろしく御指導のほどをお願いいたして、終わりたいと思います。
#64
○西山登紀子君 日本共産党の西山でございますが、きょうは参考人の皆さんに大変貴重な御意見をいただきましてありがとうございます。
 私の時間は十三分ですので、お二人の方に絞って質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、河口参考人にお聞きしたいわけですが、連合は先ほどおっしゃいましたように、八五年の改正のときに強く反対をされ、八九年のときにも反対をされて、その後五年が経過をしているわけなんですけれども、やはり今度の改正でも最大の問題は六十五歳の支給の問題だろうというふうに思います。私は、やはりこういうことを法律で決めますと、一律に労働者すべてに強制をされていくという点で非常に問題が大きいというふうに思っております。
 そこで、現場の労働者の皆さんの声は今も六十歳支給の維持が非常に多いというふうに思いますけれども、連合としてはこの支給開始年齢についてどういう方針をお持ちでしょうか、重なると思いますけれども。
#65
○参考人(河口博行君) 八五年のときはまだ連合はできておりませんが、労働界としては御指摘のとおりの対応をいたしました。
 それで、八九年は先ほど申し上げたとおり、支給年齢と年金の結合の不一致ということで反対をいたしました。以来、今日まで五年の取り組みをしてまいりました。
 そこで、あえて申し上げれば、よその国のことも勉強したこともございますが、統一連合ができたとき、八九年の十一月二十一日でございますが、その前の十一月九日ベルリンの壁が崩壊した日に、旧西ドイツが九二年年金改正法を与野党一致、緑の党が反対をしていたと思いますが、与野党一致で可決をいたしました。というようなことをいろいろな有識者から啓発もされました。
 五年間かかりまして今日の結論を得たわけでございますが、年金と支給の結合というものを何としても図るということの中から、一応政府としても別個の給付という一つの方向を出され、また衆議院段階におきましてもそれを円滑に進めるための幾つかの条件整備が行われてきたということもあって、高齢社会の人口の推移というものを考えていけば非常に厳しいプロセスをたどっていきますけれども、現状でいえば一応ここが合意点である。最後のところを政府、受給者、そして負担者というものが一致してこれに取り組んで、生活等の安定を期したいということを申し上げておきたいと思います。
 その面で、五年間かかって今日に至ってきたということを経過として申し述べさせていただきます。
#66
○西山登紀子君 次に、草島参考人にまとめて二点お聞きをいたします。
 一点は、本改正案のように年金支給開始年齢が六十五歳になりますと、そのことが現役労働者の賃金にも影響すると言われているわけですけれども、低賃金化に作用する心配はないかどうかというのが一点。
 それからもう一つは、新設されました雇用保険の継続雇用給付金制度、これは六十歳以上の高年齢労働者の低賃金化を促進することになりはしないか。
 この二点お伺いいたします。
#67
○参考人(草島和幸君) 一点目の現役労働者層に対する影響という点について言うならば、日本の労働市場が一つであるという点からするならば、大量の無収入の高齢者が労働市場に流れ込んでくるということになると、供給過剰といわば賃金、労働条件の引き下げという事態が伴ってくるのは当然のことだろうというふうに理解して差し支えないんではなかろうかというふうに思っております。
 もう一つ、その点からするならば、最近の特に合計特殊出生率と言われているのが九三年で一・四六ですか、九三年の新生児出生が百二十二万人というふうに言われています。先ほど私、団塊の世代と申し上げましたが、一年に二百七十万人も生まれたというあの時代から比べると半分以下に減っているということになるとすれば、新規の労働力の供給は、八、九〇年代から約二十年たって労働力の世代になっていく二十一世紀の初めには極端に減ってくるという状況になってくるならば、高齢者の労働市場への滞留という事態との関係で見るならば、これはその世代も含めて労働市場における需給関係を狂わせて買い手市場化していくということになっていくことは明らかだというふうに思います。
 ですから、この点については現役労働者層としても、自分の賃金、労働条件と不可分の問題として、支給開始年齢を六十にしておくというところで食いとめないと大変なことになるというふうに思います。
 二つ目の継続雇用についての給付金の問題ですけれども、これについては、これを法律でこういう形に言うというのは私はどうにも我慢がならないんです。六十歳で退職した後の再就職について賃金が大幅にダウンするのが当たり前だという前提で、そのダウンしたものについて雇用保険の財源から一定の給付をするという仕掛けになっているわけですね。このことは、賃金とは一体何なのか、賃金のダウンした部分について保険料財源で埋め合わせていくということが果たして合理的なのかという根本的な疑問を持たざるを得ないと思います。まして、六十歳定年ということを境にするならば、きのうまではベテランの熟練の労働者だった者が、何でその就労の継続の中で賃金の大幅ダウンを我慢しなきゃいけないんでしょうか。やはり私は、そこのところに大きな狂いがあるというふうに思います。
 逆に言うと、今企業の中では継続雇用制度というのをずっと行ってきております。これは日経連等の資料等でも継続雇用の紹介の具体的な例を挙げているんですけれども、それによると、定年退職した者の継続雇用について時給千円なんていうのがほとんど当たり前だという状況で、これを具体例で模範例だといって奨励しているということを考えていくと、在職老齢年金という年金のげたを履かせて安い賃金で高齢者を使う、今度は雇用保険という保険の財源のげたを履かせて安い賃金で働かせる、これはどうも私は納得がいかないというふうに考えますし、そういう形で企業の支払う賃金部分を低くするということは、またもろに現役労働者の賃金その他の条件に悪影響を及ぼしていくという点で、やはり根本的に考え直すべき問題を含んでいるんではないかというふうに思うところです。
 以上です。
#68
○西山登紀子君 御答弁、大変協力をしていただきまして少し時間が残りましたので、私はぜひ村上先生と庭田先生のお二人に、最後に簡単で結構です。
 先ほど私、大変ユニークな御意見を伺いました。リタイアする、引退をする自由な選択。アメリカでは定年制は違法だというお話を伺いましたけれども、日本の労働者にとってリタイアをする自由な選択、一体何歳ぐらいからが適当なのかということと、今回の法案の六十五歳支給ということをその点でどういうふうにお考えになるかという点、簡単にお二人の方からお伺いします。
#69
○参考人(村上清君) わかりませんけれども、もう日本の生活のパターンとかそういうものほかなり欧米の影響を受けてきていますよね。ほとんどの分野で何年がおくれて起こっているということを考えると、やっぱり六十から六十五ぐらいの間で自由に選択してリタイアできるんじゃなかろうか。
 さっきから六十五歳のお話ばかり出るんですけれども、アメリカは原則六十五なんですけれども六十二歳から八割の年金をもらえる。実際には六十五まで待つ人は四人に一人しかいないんですね。
 そういうことを考えますと、さっき私は、今度の改正は水準を適正化したのか、つまり六十のままであって、現役とのバランスで従来はちょっと高過ぎたんじゃないかと考えれば六十でリタイアできる。そうすると、リタイアの自由もあるし、しかし一方、働きたい方がいらっしゃればそれは働ける道をどんどん開いてあげる。だから、就労の自由というんですか、あるいは就労の権利、それから引退の権利、その両方があって、その中で個人が自分の生きたい生活、自分が死ぬときに満足して、仕事もした、それから自分の好きなこともした、そういうふうにしてあげたいなと思います。
#70
○参考人(庭田範秋君) 先ほどから諸先生やなんかのお話を聞いておりますと、働きたくても働けないという言葉はもう何回も出てくるんですね。あたかもみんな働きたいようにおとりになっていますけれども、そういう感覚のあるのは大体御高齢のお方の感覚でありまして、若い者は今、就職口を決めるのだって、給料もさることながら週休二日制であるとか有給休暇がとれるとかそういうことを盛んに研究するのを見ますと、皆さんが買いかぶっているほどこれからみんなが働きたがるとは思えないわけであります。そこのところをまず一つ修正していただきたいんですね。
 そして、リタイアの自由と言いますけれども、みんなが仕事に必死になってぶら下がっているその背景には、恐らく終戦以来日本に悪い形で根づいた拝金主義というんですか、とにかくお金がすべてである、そのためには働かなければお金が入りませんから、何はさておき働いてお金を取って、そしてお金の多寡において自分の人生をはかってみる、こういう思想がある以上、これはもう何歳になったってみんなそれこそ馬車馬のごとくになるだろうと思います。
 ただ、こういうものは徐々に、時代とともに拝金主義も後退をいたしていきます。そして、着い世代の時代になりますと、恐らく五十七、八から六十二、三ぐらいのところでみんな必ず一度は会社をやめて自分の人生を持とうなんていうことをきっと今後の人は考えるように私はなるんじゃないかと思います。そういう意味におきまして、この選択というのは意外と早く日本人の間でも広まっていくだろう、こう思うわけであります。
#71
○参考人(河口博行君) 委員長、一つだけ発言させていただいてよろしゅうございましょうか。
#72
○委員長(種田誠君) では、どうぞ、河口参考人。
#73
○参考人(河口博行君) 終わりかけているところを恐縮でございます。
 最初に申し上げればよかったんですが、沖縄の厚生年金の格差是正のことにつきまして、既に基金創設が焦点になっておりますけれども、この点につきましても積年の課題でございますし、来年もう戦後五十年を迎えるときでございますので、ぜひこの参議院で格差是正についての強い御意思を御表明いただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
#74
○委員長(種田誠君) 以上をもちまして参考人の方々に対する質疑は終了いたしました。
 一言参考人の方々に御礼を申し上げます。
 参考人の方々には、長時間にわたりまして御出席を願い、貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 午前の審査はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。
   午後零時五十分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時開会
#75
○委員長(種田誠君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、国民年金法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#76
○堀利和君 昨日そして午前中の審議を聞いておりまして、私の質問を組み立てる上でも重複する内容も出てきますけれども、その点はお許しいただきたいと思います。
 まず、大臣にお伺いしたいと思いますが、各国の年金制度、それぞれ歴史を持ち、それぞれの制度があるわけですけれども、大まかに言いまして、財源を税による年金制度、そしてまた保険料による年金制度、大まかにこの二つに分けた場合、それぞれの年金制度についての評価、平たく言えばメリット、デメリットというものについてどのようにお考えか、その御所見を伺っておきたいと思います。
#77
○国務大臣(井出正一君) 我が国の年金制度は社会保険方式により運営されてきておりまして、そういう意味では既に定着していると考えておるのでございますが、この社会保険方式というのは、一つには給付と拠出の結びつきが明確でございまして、その意味では公平であると言えると思います。また、長期的な収支計算に基づく財政運営が行われることが可能であります。そういったメリットがあろうかと思います。
 これに対し税方式は、給付に必要な財源を税金、一般租税でございますが、で賄う仕組みでございますから、この税方式につきましては使途の面でほかのものとの競合が生じまして、安定性には欠けるところが出てくるんじゃないでしょうか。また、給付と負担の関係が間接的となりますから、一律定額の給付とされることが多くなり、一般的には年金額が低い水準とならざるを得ないということも言えると思います。こういった問題があるほか、税方式をとる場合は何よりも、急速に増大していく巨額な財源を税で賄えるのかどうかという問題があるわけでございます。
 税方式、社会保険方式のそれぞれのメリット、デメリットについて申し上げました。
#78
○堀利和君 私は個人としては、やはり我が国の年金制度はそれなりに三十年の歴史も持っての皆年金制度でありますから、急にその枠組みを、また柱立てを変えるというわけにはいかないとは思いますけれども、保険方式と税方式を見れば、確かにそれぞれのよさ、それぞれの欠落、欠点というのもあろうかと思います。私個人としてはやはり税方式という考えを持っているわけですけれども。
 そこで、今般の改正の中で大きなところは、段階を経て最終的には六十五歳、何といっても支給年齢の引き上げということだろうと思います。
 実は、前回八九年の財政再計算のときの当初の政府案でも、九八年から段階的に支給年齢を引き上げて、二〇一〇年で六十五歳という案もあったわけです。今般が二〇一三年に六十五歳ということを考えて、仮にというのもおかしいわけですけれども、今般こういう形にならずに、仮に次期再計算期の九九年にこの問題を法案として手直しするとなると、九九年から始めたにしても、二〇一〇年代前半ぐらいにやっぱり六十五歳ということになるんだろうかなということも考えられると思うんですね。
 そういう点では、何ゆえ二〇一〇年代前半に六十五歳というところにこだわるのか、その辺の理由についてお聞かせ願いたいと思います。
#79
○政府委員(近藤純五郎君) 年金制度の改正、特に先生御指摘の支給開始年齢の問題でございますけれども、これは国民の生活設計にかかわるものでございまして、制度改正は十分な準備期間を見込んで計画的に進める必要があるというふうに考えているわけでございます。一方、戦後のベビーブームの世代が二十一世紀の初頭になりまして六十歳に到達をいたすわけでございまして、今のままでいきますと年金受給世代になるわけでございます。このことを考えますと、できるだけ速やかに制度改正に着手する必要があったわけでございます。
 それで、今回の改正案でございますが、先生御指摘のとおり、平成元年の案に比べまして三年スケジュールをおくらせているわけでございます。平成元年から今回の改正までにちょうど五年を経過いたしているわけでございますけれども、五年おくらすべきである、こういう意見もあったわけでございますけれども、後代の保険料の負担というのを過重なものにしない、こういうことで、ぎりぎりの措置ということで三年おくれにとどめまして二十一世紀になってから施行に着手をする、こういうことにいたしたわけでございます。
 なお、この制度改正のときから別個の給付への移行が二〇〇一年から十二年間かけて二〇一三年に完了するわけでございますが、現在の時点から考えますと十九年ぐらいかかるわけでございます。厚生年金の支給開始年齢はかつては五十五歳であったわけでございまして、これは昭和二十九年の改正で、十九年かけまして四十八年に六十歳への引き上げが完了いたしたわけでございます。これとちょうど同じ時間でスケジュールが完了するということでございますので、妥当なものではないのかなというふうに考えている次第でございます。
#80
○堀利和君 人口構成の観点からいっても、戦後のベビーブームに生まれたいわゆる団塊の世代が年金を受給する年代に入るということで二〇一〇年代前半というようにも理解できるわけですけれども、ただ、六十五歳になるときは生まれた方がちょうど一九四九年であるわけですね。私は五〇年ですので、もうほとんど同じ世代なんですけれども、そういう我々の世代からいうと、年金が満額もらえるのが六十五歳になってしまうんだというふうに思うわけです。昨日からもいろいろ審議されておりますけれども、果たしてその際の雇用の方は大丈夫なのかというのが大変不安になるわけです。
 今日でさえ金融の空洞化とか産業、製造業の空洞化というふうにち言われて雇用に対する不安がある。十年、二十年先ですから一体どうなるかと非常に心配する。その直撃を受ける団塊の世代としてはそこら辺が心配なんですけれども、何度かきのうから取り上げられてもおりますけれども、改めてその辺のところについての政府の見解をお伺いしたいと思います。
#81
○説明員(太田俊明君) ただいま先生からお話のありました金融あるいは産業の空洞化の見通しにつきましては、今後の円高あるいは景気の動向、さらには経済成長率の推移とか産業構造の変化によって大分異なってくるものと考えておりますけれども、いずれにいたしましても、今お話のございました団塊の世代の動きもございまして、二十一世紀初頭には労働力人口の四人に一人が五十五歳以上の高齢者となる、そういう超高齢社会が到来することが見込まれているわけでございますし、また一方で、我が国の高齢者の方々の就業意欲が極めて高いという特徴もあるわけでございます。
 したがって、これに対応して我が国経済社会の活力を維持していくためには、今までも御議論ございましたように、二十一世紀初頭までに希望すれば六十五歳まで現役として働ける社会を実現していくことが極めて重要な課題となっているわけでございます。
 このため労働省といたしましては、さきの通常国会で改正いただきました高年齢者雇用安定法に基づきまして、六十歳定年制を基盤とした六十五歳までの継続雇用を推進するとともに、高齢者のニーズも多様化してきておりますので、高齢者の就業ニーズに応じた多様な形態によりまして六十五歳までの雇用機会を確保するための施策を積極的に講じていくこととしております。
 またこれとあわせまして、改正雇用保険法によります高年齢雇用継続給付制度の実施によりまして高齢者の雇用継続を援助、促進することとしているところでございまして、こういった施策によりまして高齢者の雇用の推進に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
#82
○堀利和君 私ども団塊の世代にとっては六十歳が引退なんだという意識から、いや、六十五歳までが現役であるといういわば意識変革をしなきゃいかぬだろうなというふうに思ってもおります。ただ、そのためにも、政府としてはこれからの金融政策なり経済政策そして雇用対策ということについてはやはり万全な努力をしていただきたいし、また我々もそうしていかなきゃならぬだろうというふうに思っています。
 次に、申しわけございませんけれども、少し年金とは離れたことについて一、二問伺いたいと思います。
 精神障害者の問題でございますけれども、昨年は障害者基本法が改正され、精神保健法も改正されたわけです。明確に精神障害者も障害者という定義になったわけです。今、厚生省の方では身障手帳と並んで精神障害者に対しても手帳の交付について検討されていると思いますが、それはどのような状況になりそうなのか伺いたいと思いますし、同時に、社会復帰対策についてもどんなふうに今進めているのか、あわせてお伺いしたいと思います。
#83
○政府委員(谷修一君) 精神障害者の問題についてお尋ねいただきましたけれども、一つは手帳の問題でございますが、これは先生もお触れになりましたように、身体障害者には身体障害者手帳、あるいは精神薄弱者には精神薄弱者手帳というのがあるわけでございますけれども、精神障害者には同様の制度がないということで、かねてから関係者の中からもそういう要望があったわけでございます。
 ことしの八月に、公衆衛生審議会で「当面の精神保健対策について」という御意見をまとめていただいたわけでございますが、その中でもそういったような対策を考えてみたらどうかというような御指摘もございまして、現在要求をしております来年度の概算要求の中で精神障害者に対する手帳の交付事業ということを盛り込んでいるところでございます。
 ただ、この内容につきましては、現在関係者の御意見を聞きながら具体的な詰めを行っている段階でございますし、また先ほどもちょっと触れましたように、いずれにしても来年度の概算要求との関係もございますので、内容について現在いろいろ検討しているという段階でございます。
 それから、精神障害者の社会復帰対策全体につきましては、先生もお触れになりましたように、昨年の改正によりましてグループホームの法定化あるいは精神障害者の社会復帰促進センターというものについてもことしの四月から指定をいたしたところでございまして、社会復帰施設あるいはグループホーム、そういったものの整備につきまして今後とも充実が図れますよう進めてまいりたいと考えております。
#84
○堀利和君 精神障害者の施策については、他の障害と比較しますと大変おくれているというふうに思いますので、ぜひ全力を挙げていただきたいと思います。
 同時に、手帳についても、身体障害者手帳が交付されるころもそうだったんですが、今で言えば精神障害者に対する偏見、差別というのがやはりそこにはまだまだ根強くありますので、写真を張るか張らないかという問題も関係者で論議になっているようです。人権という観点ですばらしい手帳をぜひ何とか交付していただければということをお願いしたいと思います。
 ついては、運輸省の古いらっしゃっていると思いますが、これも大変問題が難しいんですけれども、身体障害者、あるいは法律に基づいて言えば精神薄弱者なんですけれども、この精神薄弱者も含めて運賃割引が導入されているわけです。私が議員になってから、内部障害者の方がなり、その後、精神薄弱者に対しても運賃割引が導入されたわけです。
 そこの論議の中でも、もうそれは福祉的な観点から対策でやるべきだ、JR初め民間鉄道事業者に負担をかけるのは難しいというような論議もあったわけですけれども、しかし障害者基本法では、身体障害、精神薄弱、精神障害ということで明確に障害者として仲間に入ったわけですので、やはりその公平性からいっても、精神障害者に対しても運賃割引の導入というのを考えていただきたいと思います。
 手帳が来年度の概算要求にあるように、これからの検討ではありますけれども、それに合わせてあるいはそれに何とか間に合うような形で検討を進めていただければと思いますけれども、いかがでしょうか。
#85
○説明員(淡路均君) 今、先生のお話の中にもございましたけれども、私どもがそもそも障害者の方々に対する鉄道などの公共交通機関の運賃割引を始めた趣旨というのは、常時介護者の同行がなければ移動が困難な重度の障害者の方々について、負担軽減を図るということを基本理念として出発してきたと。
 その後、今御指摘のように順次対象は拡大しておりますけれども、この制度の問題点としましては、一般的に言いますと、この割引に伴う鉄道事業者等の減収部分を他の利用者の負担によって賄うということにございます。言いかえますと、公共政策の遂行のための費用を他の利用者に負担させる、こういうことになるわけでございますので、運賃割引の拡大につきましてはおのずから一定の限界もあるというふうに考えておりまして、御理解得られればありがたいと思います。
#86
○堀利和君 この問題は今後の課題ということにさせていただきたいと思います。精神障害者の施策についてはどうしても他の障害者の施策に比べておくれているし、いろいろなやはり複雑な特徴を備えた問題でもあると思うんですね。
 次に、無年金の障害者の問題について伺いたいと思いますけれども、やはり精神障害者の場合にも、精神病と精神障害というその辺のぎりぎりの判断のところで初診日をめぐって結局無年金になってしまったという精神障害者の方々の問題もあるわけで、そういう観点から無年金である障害者の問題について伺います。
 衆議院では附帯決議として院の意思を明確にしたわけですけれども、附帯決議の二項、これについてお伺いしたいと思います。
 附帯決議では、「無年金である障害者の所得保障については、福祉的措置による対応を含め検討すること。」というふうになっております。昨日、この問題の中で、無年金の障害者はどれくらいかという推計では十万人強というふうに言われておりましたけれども、こういう十万人強の無年金の障害者の方々がどういうような事情で無年金になっているのか、そういう事例、分類というのをちょっとお聞かせください。
#87
○政府委員(近藤純五郎君) 障害者であって年金を受給されていない方でございますけれども、類型別に申し上げますと、保険料を滞納いたしておりまして支給要件に該当しないということで支給をされない方、それから学生とかサラリーマンの妻が任意の加入の時代に制度に加入しなくて障害者となったケース、それから在日の外国人の関係でございますけれども、昭和五十六年度までは国民年金の加入の対象外でございましたので、その前に障害者になられた、こういう方々が挙げられるわけでございます。
 類型別に見まして人数を推計することは極めて困難でございますけれども、大部分の方が滞納または任意のときに未加入であった、こういう理由であろうというふうに推定いたしております。
#88
○堀利和君 特に在日の朝鮮人、韓国人あるいは中国人の障害者について無年金の方々には、多くの自治体が無年金であるということで手当を創設していると、こういうありがたい現状があるわけです。手当ですから額からいってもそう高いものではないわけです。
 この衆議院の附帯決議の中では、「所得保障についてはこというふうに文言を明確にしているわけですが、所得保障と言う限りは、私の頭に浮かぶのは今論議しているこの年金がまさにそうですし、あるいは生活保護がそうなんですけれども、所得保障と言う限りはそういう一定の水準の額になるんだろうと思うんです。この辺の所得保障ということについてどんなふうに理解されるか、政府としての御見解を伺いたいと思います。
#89
○政府委員(近藤純五郎君) 無年金の障害者の問題につきましては、これからどのような対応が可能かということで幅広い観点から今後慎重に検討していく必要があるというわけでございますが、その際、所得保障という面からの水準はどの程度が適当かということも議論の対象になるということでございまして、所得保障ということでございますので、確かにある程度の額ということは当然前提になろうかと存じます。
#90
○堀利和君 次に、大臣にお伺いしますけれども、この無年金の問題を取り上げておりますと、いつも戻ってくる答えが社会保険方式である、加入していない者が年金を受けることはできないんだということでもう答えはわかってしまっているんですが、しかし私は、それはそれとして百歩譲って、言ってみれば滞納、加入していなかったということでの無年金であるということをもって、だから年金を受けられない障害者に対して所得保障も何もしなくていいのかということは別な論理として考えなきゃいけないと思うんです。確かに年金は、政府の言い分としてはそうでしょうけれども、そのまま放置していいのかというふうに思うわけですが、その辺、大臣としてはどのようにお考えになるでしょうか。
#91
○国務大臣(井出正一君) 障害を有する方に対する福祉の問題は厚生行政にとって重要な課題であると認識しておりまして、各般の分野における施策の推進に努めているところでございます。
 今、先生御指摘の無年金障害者の問題については、年金制度の中で対応するか、それ以外の施策で対応するかを含め幅広い観点からの検討が必要でございまして、去る九月二十二日に厚生省内に設置いたしました障害者保健福祉施策推進本部の場を活用しながら、附帯決議の御意向も踏まえまして検討を行ってまいりたい、こう考えております。
#92
○堀利和君 ぜひそこは前向きに、そして無年金の障害者たちが期待を持って迎えられるような内容をぜひ検討されて実現していただきたいと思います。
 次に、無拠出の障害基礎年金受給者に対しての子の加算について伺いたいと思います。
 昭和六十年の改正で、障害基礎年金を受ける方についてはそのときまでに子供があれば子の加算がつくと。今度一万八千七百円というんですから、月にこれだけいただくというのは大変助かることなんですが、子の加算が創設された経緯と目的について伺いたいと思います。
#93
○政府委員(近藤純五郎君) 障害年金に関しましては、先生御指摘の昭和六十年の改正前でございますけれども、その前には厚生年金には子の加給があったわけでございますが、国民年金には子の加算という制度はなかったわけでございます。
 その六十年の改正のときに基礎年金制度が導入されたわけでございまして、その際に、障害という保険事故の性格からすれば、未成年の子の生計を維持している場合が十分予想されるわけでございます。子の養育費は基礎的な事情、こういうふうに考えられたわけでございまして、その際には障害基礎年金に新たに加給を設けたというふうに承知いたしております。
#94
○堀利和君 ぜひそこのところを十分踏まえていただきたいと思います。
 そこで、質問を続けますが、昭和六十年改正時に子の加算の件数と直近の子供の加算の件数はどういうふうになっていますでしょうか。
#95
○政府委員(近藤純五郎君) 障害基礎年金の中で、二十歳前に係ります障害基礎年金の子の加算対象の数というのは、残念ですが私ども把握いたしておりません。
#96
○堀利和君 把握していないということですから数字をもって論議することはできないわけですけれども、理論的にあるいは実態的に考えますと、二十のときに無拠出の障害基礎年金を受給するわけで、この受給権発生時の要件をもってはかるわけですね。したがって、二十前に子供があれば子供の加算がつくけれども、年金を受け取った二十以後に子供ができてはもうこれは要件をなさないということで子の加算がつかない。私はこれ前回の改正のときにも、理屈は理屈で理解できないわけではないけれども、余りにも実態からかけ離れているのではないかということで指摘させていただいたわけです。
 そうしますと、昭和六十年の改正のときに子の加算を受けたいわば一歳の子供があれば、今度で高卒までということになるんでしょうけれども、十八歳で考えると、二〇〇四年ごろになるとほとんど子の加算というのはなくなるんではないだろうか。もちろん、二十前に子供を産めば子の加算がつきますけれども、今や晩婚と言われ、もちろん結婚していなくても子供をつくるというのもあって、婚外子もあって当然なんですけれども、やはり子供をつくる年齢が高くなり、それで障害者の場合は特になかなか結婚しあるいはまた子供を産むというのも大変なんですが、やっぱり二十歳前に子供を産むというのは現実的には非常に難しい、ほとんどないに等しいかもしれないわけですね。
 そういうことからいうと、昭和六十年の改正時から考えると、結局十八歳になって終わりというのが二〇〇四年のころになりますね。そうすると、事実上子の加算の制度というのが全く空洞化する、制度としてはあるけれども子供の加算を受ける者がいない、こういう事態が理論的にあるいは実態的に考えられると思うんですね。その点についてはいかがでしょうか。
#97
○政府委員(近藤純五郎君) 確かに、障害基礎年金をもらわれている中で、二十歳前障害で障害基礎年金をもらわれる方の子の加算というのは先生の御指摘のとおりだと思います。
#98
○堀利和君 そこで大臣、これは年金受給権発生時の要件というのは本当にわかるんですが、今申し上げたように、せっかく子供を養育するためにつくられた子の加算が二〇〇四年になればおおよそ事実上実態としてはなくなってくるということは非常に残念なんですね。
 そういう点で、何とか次期改正時の九九年までにこの辺のところは検討していただいて、これだけを特例というのも難しいかもしれないけれども、しかし何とか特例で、二十歳に限らずもっと年齢を上げて、子供を産み育てることを考えた子供の加算という制度を改善すべきであると思いますけれども、大臣の前向きの御答弁をいただきたいと思うんです。
#99
○国務大臣(井出正一君) 年金制度におきましては、老齢、障害、死亡といった保険事故の生じた時点で権利関係が発生するのが基本原則でございまして、その時点の生活実態に着目して、その実態に応じた給付を行うこととしているわけでございます。
 このような考え方から、障害基礎年金の子の加算については、保険事故発生時に生計を維持されていた子についてのみ加算を行うこととしているものでございまして、保険事故発生後に産まれた子供さんについて加算を行うというのは実は大変困難だと考えられるわけでございます。
 六十年改正では、障害福祉年金受給者に対して新たに子供さんの加算がつく障害基礎年金の受給権を創設したものであり、その際の子供の有無に応じて加算が行われたものだと理解しております。したがいまして、六十年改正のような加算つきの障害基礎年金の創設や、それに伴う新規の受給権発生という事態にない今回の改正においては、受給権発生後産まれた子供さんすべてに対して加算を行うことは大変困難でございます。
 ただ、先生それは十分御承知の上、次回の改正にひとつ前向きに検討せい、こういう御指摘でございますから、大変難しいことは確かなのでございますが、慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
#100
○堀利和君 大臣が言われるように理屈の上では難しいんですね。難しいんですが、先ほど言いましたように、二〇〇四年になったら制度は残ったけれどもほとんどそれを受ける者がいないという非常に奇妙な話になりますので、ぜひ前向きにお願いしたいと思います。
 次に、障害者の雇用と年金、あるいは障害者の寿命ということについて関連して伺いますけれども、まず労働省の方に、障害者の雇用者数で二十歳代から三十歳代、それから現役の五十歳代、どんなふうな雇用者数になるか、推移をお聞かせください。
#101
○説明員(太田俊明君) 障害を持つ方々で雇用されている方の年齢別の構成比でございますけれども、私ども平成五年度に身体障害者等の雇用実態調査というのをやっておりまして、それで常用労働の身体障害者を年齢階層別に構成比で見てみますと、二十歳代で九・八%、三十歳代で一五・九%、四十歳代で二七・九%、五十歳代で三二・八%と、四十歳代、五十歳代の雇用が多くなっているという状況にございます。
#102
○堀利和君 そうしますと、四十歳代、五十歳代になって障害者で雇用されている人が多くなるというのは、途中で障害を負った方々が継続されて雇用になっているというふうに理解できるのかと思うんですけれども、その点はどんなふうにお考えでしょうか。
#103
○説明員(太田俊明君) 今申し上げましたように、身体障害者の場合には一般の常用労働者に比べますと中高年齢の雇用の割合が高くなっているわけでございますけれども、それは先生御指摘のとおり、採用後に何らかの理由で身体障害になるということが多いためでございまして、常用の身体障害者のうちの約四六%、半分近くがいわゆる採用後の中途障害者でございます。
 中途障害となる原因としては、疾病、交通事故、労働災害、いろんな理由が考えられるわけでございますけれども、特に中途障害者の場合につきましては疾病がその原因となっていることが多いわけでございまして、特に中高年齢時に発症する脳血管障害でございますとかあるいは心臓疾患等、いわゆる成人病に起因する障害の影響も大変大きいものと考えられます。
#104
○堀利和君 そこで、年金局長にお伺いしますけれども、これはちょっと難しいかと思いますが、雇用されている障害者の年金状態の分類といいますか、この辺はわかるでしょうか。
#105
○政府委員(近藤純五郎君) 残念ながら、今どういう状況になっているのかわかりませんが、現在、障害厚生年金の受給者につきまして実態調査を行おうと考えておりまして、その中で就労状況についても調査いたしたいということでございまして、現段階では十分な把握ができていない実情でございます。
#106
○堀利和君 昨日の審議の中で前島議員が、障害者で障害によってはかなり老化が進む場合もあるんだと。私たちの周辺でも、目いっぱい働くことが非常に困難だといって途中で退職されるとか、年金に入っていたんだけれどもいわゆる掛け捨てになってしまったとかいろいろ聞くこともあるんですが、今回、四十五年加入した方や障害者には六十歳から満額が出るわけですね。私の理解が間違っておれば指摘していただきたいんですが、二〇一〇年からは六十五歳ということを考えれば、障害者の場合六十歳で満額もらうとなると、六十歳から六十五歳までの間は他の部分的な年金をもらう方に比べると四百万かそれ以上ぐらいその時点で余計にもらうことになると思うんですね。
 そういう点でも大変有利だといいますか、非常にありがたい話なんですが、平たく言えば、人生八十年というときに、平均寿命からいって果たして障害者が健常者と同じように人生八十年ということがあるだろうか。これは私の全くの推測なんですが、果たしてそういうことがあるだろうか。
 六十から六十五歳までの間の四百万何がしの額を年金額で考えれば大体二年ぐらいの額になろうかと思うんですね。そうしますと、健常者がいわゆる人生八十年というと、二年分というと、障害者が七十八歳ぐらいで同じ年金総額をもらうということになるんですね。全く私にはわかりませんからこれは推測なんですけれども、障害者が平均寿命七十八歳で年金総額は損をしないというか、健常者と同じ額を結局人生においてもらうことができるんですが、仮にこれが七十歳前半ぐらいが障害者にとって平均寿命とすれば、年金の総額というのは健常者と比べて低くなるわけですね。
 そういうことからいいましても、雇用されている障害者の年金の状況を見ても、基礎年金をいただきながら保険料を納めている方もいるでしょうし、もちろん基礎年金だけいただいている方も無年金の方もいると思うんですが、ぜひ障害者の雇用の実態と年金の状況、さらには今申し上げたように、果たして一人の年金給付を受ける総額が健常者と比べてどうなるかという意味での障害者の寿命といいますか、障害によってかなり違ってもきますけれども、そういうものを考えて今後研究といいますか、調査といいますか、というようなことをぜひお願いしたいと思うんです。
 私もはっきりしたことが言えませんからこの程度しか言えないんですが、ぜひそういうようなことが課題になるのかどうかも含めてお考えいただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#107
○今井澄君 それでは、年金改正問題について質疑をさせていただきたいと思います。
 私は、現在の年金改正法案、確かにいろいろ問題がないわけではない。特に、雇用と給付の継続という重大な問題が確たる見通しがまだ十分ない中で、六十五歳への支給年齢の繰り下げをするということもまだ問題が残っていると思いますが、しかし今、私たちにとって一番大事なのは、国民の現在の公的年金制度に対する信頼、これを確固たるものにするということが一番大事だと思っております。
 そういう意味では、やはりこの急速な高齢化あるいは超高齢社会の到来ということを踏まえて年金財政を安定させるということ、今の現役世代あるいはこれからの若い人たちが年金をもらえなくなるんじゃないか、掛けてももらえなくなるんじゃないかという、不安を生ずるようではいけないということから、まず何といっても財政の安定化が必要だと思いますので、いろいろな問題があるにしても、私は今回の年金法改正案については早期に成立させ、一日も早く安定化に向けてスタートしていくべきだというふうに思っております。
 そういう意味では、私はきょうは、今の年金法の改正案そのものについて問題があるとか、そういうことについてどうかという議論は余りしたくないんですね。むしろ、この法案を早期に成立させて次のスタートを切る中で、今後どういうふうにして、またいろいろな問題点をどう解決するかということでの若干の議論といいますか、質疑を行わせていただきたいと思います。
 ところで、公的年金制度に対する国民の信頼と言うときに、その信頼が揺らいできているということの一つの証左として、国民年金、基礎年金についての未加入者の増大ということが挙げられ、その国民年金、基礎年金の空洞化ということが問題になっていると思います。そのことを私は取り上げて、三時十五分までの質疑をさせていただきたいと思います。
 まず第一に、きのうから幾つか質疑の中でも出ていることですけれども、改めてここで数字的なこと、人数を確認させていただきたいと思いますが、去る八月、厚生省と申しますか社会保険庁ですか、未加入者等の数字を発表されたと思います。新聞に大きく取り上げられて、基礎年金の未加入者百九十三万人というふうな数だったと思いますが、それでよろしいのかどうかということと、その未加入の理由、そのことを出していただきたいと思います。
 それとさらにもう一つお願いしたいのは、未加入者はこの百九十三万人だけではないはずなんですね。それ以外の数字についても一応ここで出していただきたいと思います。よろしくお願いします。
#108
○政府委員(横田吉男君) 国民年金の未加入者の実態でございますけれども、平成四年の公的年金加入状況等調査におきます結果といたしましては、明らかに国民年金の第一号被保険者になるべき者で未加入となっている者が百九十万人でございます。またこのほかに、第三号被保険者となるべき者であって届け出がないために未加入となっている者が約四十万人、その他の未加入者が百十一万人というふうになっております。
 その他の未加入者百十一万人でございますけれども、大きく分けると三つございまして、一つは住民票の登録がされていない者、あるいは登録はされておりましてもその者の実在が確認できないというようなことで、行政的には捕捉することが大変困難な者であります。
 もう一つは、その年に給与所得者として分類されている人でございますが、ちょうど調査時点におきましてどの制度にも加入されていなかったということでございます。この者は恐らく失業あるいはその時点における退職というようなことで、短期的な失業者というふうに考えられるところでございます。
 それから三番目が、老齢年金の受給権を既に得ているということで加入する必要がない方であります。
 私どもといたしましては、加入対策といたしまして、一号被保険者に当然加入すべき方で加入していないということが明確な百九十万人を対象にいたしましてさまざまな対策を講じているところでございます。
 こういった未加入者の出てくる理由でございますけれども、先生の御指摘の中にもありましたように、一つは年金制度の将来に対する不安というようなものもあろうかと思います。あるいは手続とか制度についての理解が不足しているというような場合があるかと思います。また、忙しくてなかなか届け出する暇がなかった、あるいは本人が加入する意思がないというようなさまざまなケースがあるというふうに考えております。
 いずれにしましても、未加入者の問題は私どもにとりまして最大の問題でございまして、この解消に向けて鋭意取り組んでまいりたいというふうに考えております。
#109
○今井澄君 今のお答えですが、転職したり短期に失業したりして厚生年金等から脱落した人、これは第一号被保険者たるべき人ですね。それだと思うんですね。それから住民票の未登録者というのも、これはどうなんでしょうか、やっぱり大部分は第一号被保険者たるべき者と考えていいんでしょうか。それから、老齢年金の受給権者はどんどん減っているわけですね。これは数としては数十万人以下でしょうか。そうすると、大部分は住民票の未登録者ということになるんですか、百十一万三千人ですか、それのうちの。それはどうでしょうか。
#110
○政府委員(横田吉男君) 住民票の未登録の者というのは、行政的にその人が確認できないということで、一号被保険者たるべきなのかあるいはどこかよその住所におきまして就業されているのかという実態も含めまして、行政的には大変捕捉することができない者というふうに考えております。
 それからもう一つは、給与所得者として分類される者で、たまたまその時点におきましては厚生年金あるいは国民年金いずれにも入っていなかった方でありますが、確かに失業した場合等におきましては、その期間、本来一号被保険者たるべき人でありますけれども、恐らくこの方たちはそのうちに二号被保険者となっていく人であろうというふうに考えられるわけであります。私どもとして未加入対策の重点というふうに置いておりますのは、明らかにこの一号被保険者になるべき人で入ってないという方を対象にしているわけであります。
 なお、こういった短期的な期間、失業で漏れてしまうというような方につきましても迅速に捕捉し、これを届け出勧奨していくためには、より根本的に、各制度に共通する基礎年金番号のようなものを設定いたしまして、保険者としてもそういった制度間の移動が速やかに把握できるようなシステムをつくっていく必要があるのではないかというふうに考えております。
#111
○今井澄君 ところで、第一号被保険者の未加入者百九十三万人ぐらいの人ですけれども、これはきのうからの質疑の中でも大都市に住んでいる人で若い人というお話がありまして、そうなりますと、学生とかあるいは卒業したばかりの無職とかあるいは今はやりのフリーターみたいな人、そういう人たちが多いというふうに理解してよろしいんでしょうか。
#112
○政府委員(横田吉男君) この未加入者百九十三万人について見ますと、二十代の方が約半数を占めております。また、都市別に見ますと人口二十万人以上の市に居住する者が約六割を占めるというようなことでございまして、先生御指摘のとおり、若くて都市に居住している者が大部分であるというふうに考えております。
#113
○今井澄君 ところで、今は未加入者の話でしたが、そのほかに未納者それから免除者というのがいるわけですね。未納者の数及びその未納の理由、それから免除者の数、それから免除者には法定免除と申請免除とあると思いますが、その区分についてお答えいただきたいと思います。
#114
○政府委員(横田吉男君) 未納者につきまして私の方からお答えさせていただきたいと存じます。
 未納者でございますけれども、私どもの統計といたしまして、国民年金保険料を納付すべき総月数に対する納付された月数の比、いわゆる検認率というもので納付率を把握いたしております。これによりますと、平成四年度におきまして八五・七%ということでございます。これはその年度の分だけでございますが、それが過ぎますと、過年度分の保険料ということでまた別途督促等によりまして徴収する分がございますが、これも加えますと約九割の方が保険料を納めている。納付率としては九割程度というふうになっております。したがいまして、未納率で言って約一割というふうに考えております。
#115
○政府委員(近藤純五郎君) 免除者の数でございますが、御指摘のとおり免除には法定免除とそれから申請免除がございます。法定免除は、障害年金を受給されている方とか、あるいは生活保護法の生活扶助でございますとか、らい予防法によります生活援助を受けている方、あるいはらい療養所等に入所されている方でございますが、この法定免除を受けられている方は平成四年度で八十六万人でございます。
 それから申請免除ということで、所得がない方でございますとか、それから生活保護法による生活扶助以外の扶助を受けられているような方とか、それから地方税法で定めます障害者とか寡婦でございまして年間の所得が百二十五万円以下の方、その他保険料を納付することが著しく困難である、こういうふうな方々でございますが、こういう方々は平成四年度で百八十一万人でございまして、法定免除と申請免除を合計いたしますと、平成四年度で二百六十七万人ということになっております。
#116
○今井澄君 そうしますと、さっきの未納者の件ですけれども、検認率が八五・七という数字が出ていまして、計算しますと、その人が十二カ月丸々納めてないとすると、大体二百二十二万人という数字が出てくるわけです。ちょっとだけ納めている人もいれば、前年度、過年度の納付者もいるということを差し引きすれば、やっぱり二百万人ぐらいは未納者がいるだろうというふうに考えられるんじゃないかと思います。
 そうすると、先ほどの未加入者をいろいろ入れると、百九十三万人だけではなくて合計三百五十万人ぐらい、それから今の免除者が二百六十七万人、それから未納者が二百二十万人ぐらいとしますと、八百万人以上の人が何らかの形で未加入か未納か免除ということになるわけです。
 こういう人たちがこれからどうなっていくかということが一番心配なわけです。無年金者あるいは低年金者になるのではないか。今度の改正で月六万五千円ということになるわけですが、例えばずっと免除者のままでいきますと、国庫負担率は三分の一ですから、その三分の一しかもらえない。二万円ちょっとしかもらえないということになるわけです。六万五千円で十分かどうかは別としても、二万円ちょっとではこれは生活ができない。しかも、そう言っては何ですけれども、そういう免除者はもともと生活していく上で経済的に力のない方であるとなれば当然預金したりすることができないわけですから、いざいただくことになったときの保険料というのが幾らいただけるか、大変これは心配なところです。
 そこでお尋ねしたいわけですが、今こういう八百万人を超えるような人が、少なくともこのままほっておくとフル年金をもらえないかもしれない。これは受給資格が二十五年以上ですね、掛けているのが。そして、フル年金をもらうには四十年掛けなければならないわけです。そうすると、先ほど未加入者が二十代に多いということだったんですが、そういう人たちが捕捉できて督促できたとして、今の状況では何歳までに掛け始めればフル年金はもらえることになるわけですか。
#117
○政府委員(近藤純五郎君) 二十五歳からでございます。
#118
○今井澄君 そうすると、まだ余裕がないわけではないので、まだ打つ手もあると思います。
 ところで、こういうことがもしおわかりならばぜひお答えいただきたいと思いますけれども、今八百万人を超えるそういう加入してない人や何かがいる中で、将来無年金者はどのくらい発生するだろうか。あるいは低年金者は将来どのくらい発生するだろうか。例えば、今免除者が二百六十七万人いるうち、一生ずっと免除者のままでいく割合は一体どのぐらいになるんだろうかというふうなことです。
 これは責任のある数字じゃなくてもいいんですけれども、例えば推測で、厚生省内で議論されている中でこんな数字が挙がっているということがあったら教えていただきたい。それがわからないまでも、現在、無年金あるいは低年金の人がどんなぐあいに存在しているのか、そういう数字があったらそれも教えていただきたい。
#119
○政府委員(近藤純五郎君) 保険料の免除を受けるのは一時的に所得が乏しいという方が多いわけでございます。その間も、所得が低いときでも滞納しないで免除という形で資格を確保するということで、状況が回復すれば十年間は回復可能と、こういうことになっているわけでございます。一生涯ずっと免除対象者に該当するケースというのは私どもまだ調査しておりませんのでわかりませんけれども、余りないんじゃないかということで、この数字につきましてはちょっと把握いたしておりません。極めて少数ということではないかというふうに考えております。
#120
○今井澄君 今少数と言われましたけれども、私は必ずしも少数ではないと思います。少なくとも百万大規模で、あるいは多い場合には二百万人ぐらい無年金者が出るんではないだろうかという推計値もあります。
 現状から見れば、現在はまだ年金制度が成熟していないわけですから現状の数字がそのまま言えないと思いますが、今、国民年金、この基礎年金の平均の受給額は幾らになりますか。
#121
○政府委員(近藤純五郎君) 老齢基礎年金の平均年金額は、平成四年度末で三万七千三百円でございます。
 それから、先ほど先生、どのくらいもらっていないかということでございますけれども、六十五歳以上の人口の中で約九十万人が年金あるいは恩給をもらわれていないということでございますので、現段階でございますのでこれからどうなるかわかりませんが、六十五歳以上の人口で全然そういう年金とか恩給が出ていないという方は約九十万人というふうに推計されます。
#122
○今井澄君 そうしますと、これから対策を立てて減らしていくということが大事なんで、現在九十万人ということだとすると、そう何百万人も生じないかもしれないということも一つ見通しが立ちますが、もう一つ、平均受給額が三万七千円ということは、三年度末というと満額では六万円ぐらいですね、ちょうど。そうしますと、やっぱりかなり低年金者なんかが多い結果こうなっているということが言えると思うので、やはりゆゆしき問題だと思います。
 そこで、こういう無年金者をなくす方策、これについてどういうふうにお考えになっているか、お答えいただきたいと思います。
#123
○政府委員(横田吉男君) 先生が最初に御指摘になりましたように、年金制度に対する未加入者を解消していくためには、年金制度に対する信頼を高めていくということが一番大事な点ではないかと私どもも考えております。
 こうした点につきましては、社会保険庁といたしましても、年金制度に対する広報ということで、学校教育と連携した年金教育あるいは年金週間の実施、テレビスポットの活用等、各種の広報活動をやってきておりますが、こういった点につきましてさらに一層強化してまいりたいというふうに考えております。
 また、具体的な対策といたしましては、若年者に未加入者が多いという実態も踏まえまして、二十になったらそこでできるだけ加入していただくということを重点に考えまして、市町村における住民基本台帳等を活用いたしまして二十歳到達者を把握し、この者に対する文書、電話、戸別訪問等による勧奨を小まめにやりまして未加入対策を徹底してまいりたいというふうに考えております。また、未加入者の七割が国民健康保険の方には入っておられるというふうな実態もございますので、国民健康保険との連携を強化いたしまして、届け出書を一体化するとかそういったことで、片方だけ届け出が抜けてしまうようなことのないようにしてまいりたいというふうに考えております。
 今後の基本的な対策といたしましては、各制度に共通いたします基礎年金番号を設定いたしまして、それによって届け出者を保険者としても把握いたしまして勧奨を行ってまいりたいというふうに考えております。
#124
○今井澄君 今幾つかお答えをいただいたわけですが、その中で、二十歳になったら入るように説得をするというお話なんですが、二十歳以上の学生というのが二百万人弱、百六、七十万人いると思います。この学生に払わせるというところに今の制度は一つ無理があるんじゃないかという気がするんです。
 私ごとですが、私も皆様と一律の高給をいただいているわけですが、学生を二人持っておりまして、やっぱり月々四人分払うというのは非常に大変なことなんです。まして通常では非常に大変だと思うんです。
 きのうの清水委員のいわゆる第三号被保険者の問題の質問に対するお答えで、年金局長はこういうことを答えられたんです。要するに第三号被保険者、サラリーマンの妻は自分でお金を払うということが困難だと、払うお金がないというふうなことで、個人に負担を求めることは非常に困難であって、第三号被保険者に負担を求めることになると無年金、低年金を生じやすい、徴収も困難であるからそれは無理だというふうな趣旨のお答えがあったんですね。
 だとすると、そもそも二十になった学生に一万一千幾ら払えということを言うこと自身、やっぱりこの制度自身ちょっと無理があるんじゃないんですか。どうでしょうか。
#125
○政府委員(近藤純五郎君) かつて学生が任意加入であるということにつきましては、先生御指摘のような同じような議論があって任意加入になっていたわけでございますが、学生の場合、障害年金が出なくなる、こういったような問題も生じてまいりまして、それと先ほど先生のお話でございました、四十年加入をできないと将来の老齢年金にも影響を来すと、こういうことでございます。
 確かに学生は所得がないわけでございますけれども、二十以降でございますので、二、三年すれば職業について稼得能力ができる。それから主婦の場合には、必ず数年後にはなるとかそういう未確定の要素が多いわけでございまして、学生の場合にはそういう要素が非常に少ないということで、免除にしますれば、職業についた後これは追納というのが可能でございますので、そういう意味で学生の関係は強制適用に前回の改正で踏み切った、こういう事情でございます。昨日も御説明いたしましたが、この学生の関係につきましてはかなり緩やかな免除基準を設けまして、今井先生は対象には絶対なりませんけれども、かなりの中堅層まで免除の対象にする、こういうふうなこと。
 それから、今度の法律に入れておりますけれども、教育資金の貸し付けを還元融資で行う。この中で、年金の保険料についても融資をする、こういう対策を講じているというところでございます。
#126
○今井澄君 任意加入にすれば、稼得所得が出てくるまで待っているということになると障害年金なんかの問題が出てくることはもうよく承知しているわけですが、この矛盾を解決する方法は一つあるわけで、税方式ということなんですが、そのことはちょっと後に譲ります。
 今、年金番号の一元化のお話が出ましたが、これは確かに未加入者やなんかをなくすあるいは説得をする、勧める上で対象者の把握のために非常に有効な方法だと思います。きのうもお答えがありましたが、これはもう早速手がつくということでしたが、いつごろからやるかということをお聞きしたいのと、もう一つ、この年金番号の一元化をやった場合、先ほどの数字の中にありました住民票未登録者、これがどのぐらいいるのかわかりませんが、これまで把握できるのかどうかということ、この辺ちょっとお尋ねしたい。
 それからもう一つは、やはりこの年金番号一元化というときも、これは社会保険庁の方でただ一方的にやってもなかなかうまくいかないと思うんですね。これは市町村の協力がないとだめだと思うんですけれども、今その辺の連携はうまくいっているのかどうか。これは非常に大事な問題だと思います。年金は国の仕事でありますが福祉は市町村ということで、市町村も住民の福祉のために頑張っているわけで、その辺の連携を十分にとるように努力すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
#127
○政府委員(横田吉男君) 基礎年金番号についてでございますけれども、現在各制度ごとに年金番号がつけられているわけでありますが、これを各制度に共通するものにしたいということでございます。これにつきましては本年度からシステムの開発に着手いたしておりまして、私どもといたしましては、関係省庁等との調整を図りながら、八年度中には振りかえ作業も含めまして設定をいたしたいというふうに考えておるところでございます。
 それから、基礎年金番号のつけ方でございますが、二十に到達した時点、あるいは被用者年金でございますと二十前に入られる方もありますけれども、それはその制度に入った時点において番号をつけるというようなことを考えておりまして、この場合、住民登録がされていないという方でどこにも届け出がないような方についてはその時点では番号がつけられないわけであります。ただ、どこかで勤められるとかあるいは住民登録をされますと、その時点で番号がつけられるというふうになると考えております。
 それから、市町村との連携についてでございますが、国民年金事業を実施する上におきましては、市町村は適用でございますとかそれから保険料の徴収などの面で極めて重要な役割を担っていただいておりまして、未加入対策等を進めていく上におきましても大変重要な役割を果たしていただくべきものであるというふうに考えております。
 現在におきましても、社会保険事務所と市町村が協力いたしまして、年金相談あるいは保険料の過年度分の徴収それから口座振替の利用等さまざまな事務を行っておりますけれども、今後とも市町村との連携をさらに緊密なものにいたしまして、この事業の円滑な推進に努めてまいりたいというふうに考えております。
#128
○今井澄君 最後に、大臣にお尋ねしたいと思いますが、現在の制度の中にいろいろ矛盾がある、いろいろやってみても、例えば今の年金番号を導入してみても、案外やっぱり捕捉できない人が出てきたり、それからどんなに広報しても、うっかりといえば、本人の責任といえばそれまでですけれども、やっぱりいろいろなことがあって、期間が足りないの納付額が足りないのといろんな問題が出てくるわけですね。
 この基礎年金の理念というのは、やはりみんなが年老いていく、そして収入を失っていく中で最低限のところを社会的に保障しようというものだろうと思うんですね。そうしますと、そういう欠格者が出ないように、低年金、無年金が出ないようにするためには、日本国民全員が基礎年金をもらえるためにはやはり賦課方式、保険料方式、積立方式ではなくて税方式にしていくのが理想だろうというふうに思います。
 その点で、先ほど堀委員からの質問に対して、メリット、デメリットの中で税方式は一律の定額にならざるを得ないというふうなことがありましたけれども、この基礎年金に限っては、二階建て以上は別として、この基礎年金の理念からすれば、まさに税方式がかなうということが先ほどの大臣のお答えの中からも導き出せるのではないかと私は思います。
 それから、巨大な財源ということでありますけれども、確かにすべての二階建て、三階建て入れれば巨大ですが、基礎年金だけだったら一定の限られた財源だと思います。計算ができる。それでも確かに巨大だと思いますね。だけれども、この巨大な財源は結局国民が担っているわけですね。その三分の一の国庫負担は税で担っているわけですし、ほかの掛金は一人一人、毎月毎月一万幾ら掛けたりして担っているわけです。そちらの保険料の方が今負担にたえなくなってきているという現実もあって、それが空洞化の原因にも一つなってきているわけです。
 そうしますと、広く浅くその巨大な財源をうまく負担するという方法もあるわけでして、その税方式の方向へ向けて今後検討を進めるべきだと思いますが、大臣の御所見を伺って私の質問を終わります。
#129
○国務大臣(井出正一君) 我が国の公的年金制度は、国民の負担と給付の関係が明確ないわゆる社会保険方式で基本的には運営されてきておりまして、全国民の参加と連帯感を基盤とするものとして我が国の社会に定着しているものと考えております。もちろん、先ほど来先生御指摘あるいは御心配なさっていらっしゃる未納、未加入問題の解決により一層努力していかなくちゃならぬことは当然でございます。
 そこで、先生従来ずっとその税方式を主張してこられておることを私も承知しておる者の一人でございますが、基礎年金を税方式として全額国庫負担とすることでございますが、確かに税方式のメリットとして、いわゆる無年金者、低年金者を生じさせないこととか、あるいは所得の再配分効果がより高いといった面もあることもわかりますけれども、それはそれとして、先ほど来申し上げております保険料の拠出に見合った給付を行う社会保険方式が非常にもう国民の間に定着をしておりまして、より公平な仕組みととられているんじゃないかなと思うこと。
 それから、これも先ほど堀先生の御質問にもお答えしましたが、使途についてはかの政策、大変これもまたいろんな面で費用、金額を要する政策との競合が生ずるわけでございまして、税収の景気の変動によって左右されやすいといった意味で長期的な安定性に欠ける嫌いがあるんじゃないかということ。
 さらにまた、諸外国の例を見るときに、一般に税方式をとる国では年金の給付水準がどうしても低くあるいは所得制限がある場合などもありまして、果たしてこのような年金でいいのかどうかといった問題もあろうかと思います。
 全額国庫負担とすることにより必要となります巨額な財源をどう確保するか。また、高齢化に伴い年金の給付に要する費用はこれも急速にふえていくわけでございますが、税方式とした場合そのテンポに見合う対応が果たして可能かどうかといったような慎重な検討を要する問題が多々あるだろうと考えております。
#130
○大浜方栄君 今回の年金改正は五年に一回の制度の見直しであります。目指すところは、これからの高齢化社会に向かって年金制度を中長期的にどういうぐあいに安定させるか、こういうことが大眼目であろうと思います。
 ところが、最近の年金改正の論議を見ていると、私は年金の国庫負担の引き上げのみに議論が集中している感がしてならないのであります。したがって、私の本日の質問は、年金制度の根幹にかかわる部分、原理原則、そういうようないわゆる総論的なものに絞って質問をさせていただきます。
 それから、私はまた後半で沖縄の年金問題に絞って質問もさせていただきますので、前半の部分はできるだけ近藤局長、大臣、簡潔明瞭に答弁をお願いいたします。
 まず、この国庫負担の議論を行う前に、私は社会保障のあり方について基本的なコンセンサスを形成しておく必要があると思うのであります。しかしながら、国庫負担率がいわゆる高福祉高負担の北欧型がいいのか、自立自助のアメリカ型がいいのか、あるいはそれと関連をして社会保障の給付と負担をどの程度に設定していくか、こういうようなものに対する視点を踏まえにゃいかぬ。まず第一に、何といっても、いわゆる臨時行政改革推進審議会の答申では、国民負担率を五〇プロの手前でとめる、五〇プロを下回る、こういうことがうたわれて、ずっとそれにのっとって政策を進められてきたと、私はこう思っております。
 しかるに、各党の間でコンセンサスが得られていない、さらにまた党の中でも意見が分かれている、こういうようなことは非常に私は社会保障を論ずる場合に困った問題だ、こう思っております。それはとりもなおさず、いわゆる大きい政府を目指すのか小さい政府を目指すのかという問題にかかってくると思うのでありますけれども、まず冒頭、その点に関して、私はどうも国庫負担ありきという点でやっていっているものに対してどうかと、こういうふうに思えてならないので、こういう社会保障の負担の問題について、まず第一にその見通し等を簡単に御説明願いたい、こう思います。
#131
○政府委員(山口剛彦君) 御指摘の問題について私どもは基本的にこんなふうに考えております。
 今後の少子・高齢化社会の進展に伴いまして、年金も医療も福祉もその費用は増大をしていかざるを得ない。したがいまして、今国民負担率三八%程度でございますけれども、これも相当程度増加をしていかざるを得ないというふうに見ております。ただそうであっても、経済社会の活力を維持しながら福祉社会を実現していくということが重大であるというふうに考えております。
 そういう中で、先生御指摘の今後の国民負担のあり方をどう考えるかという点につきましては、基本的には国民の皆さんの選択にゆだねられるところが多いと思いますけれども、そういうことを御判断いただく素材として、二十一世紀福祉ビジョンということでいろんなケースを想定して提出させていただいたということでございます。
 しかし、いずれにいたしましても、経済の活力を維持しながら必要な給付を実現していく、しかも将来に過重な負担を残さないということだと思いますし、また御指摘の行革審の答申でも五〇%以下に抑えるというような目標も掲げておるわけでございますので、私どもとしてはこういった基本方針を十分踏まえながら今後の政策を展開していきたい、基本的にはそう考えております。
#132
○大浜方栄君 この年金の国庫負担の問題につきましては、昨年の十月八日、十二日の第百二十八回国会の参議院の予算委員会でも私はその問題を取り上げました。そしてそのときに、社会党の党首であられる山花国務大臣、公明党の党首である石田総務庁長官と藤井大蔵大臣との間に意見の不一致を見て委員会が紛糾しました。それは、私がこの財源問題、政党の公約問題に引っかけて質問をしましたところ、答えに窮して紛糾した例がございますので私はあえてこの問題を申し上げるわけでございます。
 それと関連をいたしまして、今度の衆議院での修正、附帯決議について井出厚生大臣はどういうぐあいにお考えでございますか、簡潔にお願いをいたします。
#133
○国務夫巨(井出正一君) 年金の国庫負担のあり方につきましては、受益と負担の関係が最も明確な社会保険料負担中心の枠組みを維持していく中で、税と保険料負担のあり方をどのように考えるか、さらに、巨額の財源を要する問題であることからそれが年金財政や国家財政にどのような影響を及ぼしていくか、また社会保障政策の中での位置づけをどのように考えるかなど、さまざまな要素を総合的に勘案しながら検討していく必要があろうかと思います。
 その意味で、今回衆議院の修正で付された検討規定も、まさにこうした諸問題を一つ一つ吟味しながら、国庫負担を引き上げることについて総合的に検討した上で結論を出すべきものであるとの趣旨であると受けとめております。
#134
○大浜方栄君 医療、介護、社会福祉等の充実や、さらにまたゴールドプラン、エンゼルプラン等の財源の確保もままならない状態にあります。これはもう大臣御承知のとおりと思いますけれども、年金の費用は社会保障給付費の半分以上を超えておる、さらにこれから人口の高齢化を迎えている、こういうような中で安易に国庫負担を引き上げるとこれは財政面でつじつまが合わなくなるのではないか。
 もうだれでもわかっていることですけれども、現在の国庫負担率のままでも三・九兆円、それから二〇二五年には八兆一千億円。二分の一に引き上げた場合には今年度で五兆六千億円、さらに一兆七千億円の財源が必要であります。二〇二五年には十二兆一千億円というぐあいになる。私は、今年度の一兆七千億円の財源があるならば、この財源でもほかにやるべきことがあるんじゃなかろうか、こういうぐあいに率直に考えております。
 国民全体が参加して支える年金でございますから、拠出と給付とが結びついていく、こういうことが私は原則じゃなかろうかと。そのためには本当に費用の支出が必要であると言われて、特に今国民が大きい関心を寄せ、厚生省において問題になっている介護等の問題に優先して金を使うべきじゃないかとも考えているんですが、厚生省の社会保障政策の金の使い方の優先順位について御意見を拝聴したい、こう思います。
#135
○政府委員(山口剛彦君) 先生御指摘のように、本格的な少子・高齢社会に対応した社会保障制度をつくり上げていくためには、年金とか医療、これを長期的に安定させるということは大変重要でございますけれども、それとあわせて、御指摘のありました高齢者介護の問題あるいは子育ての問題などの需要に対応した対策がぜひとも必要で、年金、医療、福祉のバランスのとれた対策を講じていくということが大変大事だと思っております。
 したがって、私どもといたしましては、当面これに対応するために、高齢者介護対策としての新ゴールドプラン、あるいは子育て対策としてのエンゼルプランを構想しておりますし、今度の税制改革でも一定の配慮がなされておりますので、これを足がかりにいたしまして、これだけでは財源が足りませんので、引き続き財源の確保を図りながらできるだけ早くこの対策の具体化と充実を図りたい、関係省庁とも鋭意協議をしてまいりたいと思っております。
 年金の国庫負担の問題については、今度の検討規定にございますように、次期財政再計算期を目指して総合的な検討を加えながら国民の皆さんのコンセンサスを得ていくべき課題であるというふうに認識をいたしております。
#136
○大浜方栄君 先ごろ厚生省が発表しました二十一世紀福祉ビジョンによりますと、社会保障給付費の構成比を、年金、医療、福祉ですか、従来の五対四対一を五対三対二に変えていく、こういうことを言っておられるようでございますけれども、私はこの問題に関しましても、年金、医療、福祉の構成比を論ずるだけじゃなくて、額そのものを論ずるだけじゃなくて、政策的な横のつながり、有機的な面からの国民への説明が厚生省は不十分だという感じがいたします。
 例えば、福祉の財源として年金を充てるということも先進諸国の中では既に実行されつつあります。私自身が実際に体験したのでも、アメリカでは年金受給者がナーシングホームに入るときには、年金はもう差し上げます、要りませんと言って拠出をしてやっている。ただし、ナーシングホームのランクによって違いまして、全く自費でやっているところもありますけれども。それから、スカンディナビアあたりでも年金額の八割はそういう福祉施設に入るときに差し出している、そしてあとの二割はポケットマネーでお年寄りが自分で使っている、そういうようなことであります。
 特に、昨今は社会保障の財源をどういうぐあいに効率的に使うべきかということが今論議の的になっておって、特に医療界あたりでも福祉部門あるいは年金部門の財源を有効に医療方面にも使っていったらどうかというような声が多いんですね。
 これはちょっと余談になりますけれども、せんだって長野県に行きましたら、長野県の医療界の方々が胸を張って、我が長野県からは厚生大臣がこの一、二年の間に二人も出た、一人は下条進一郎であり、一人は井出厚生大臣であると。しかしながら、どうも医療の面では余り見るべきものがないと、それはいい意味でですよ。その関係者の方が言っているのは、効率の面でもっと考えてもらいたいと言わんばかりのことを言っておられたんですね。この問題は大臣からひとつ御見解を拝聴します。
#137
○国務大臣(井出正一君) 高齢化の進展等に伴い、今後、社会保障給付に対する需要の増大が見込まれる中で、限られた財源をできるだけ効率的に活用することが重要な課題であると認識をしておるところでございます。
 高齢者介護問題は、今日、早急に対応すべき国民的課題となっておりますが、厚生省におきましても本年四月、新たな介護システムを検討するため高齢者介議対策本部を設置するとともに、七月からは学識経験者による研究会を開催し、介護問題をめぐる基本的な論点や考え方について整理、検討を行っているところでございます。
 先生御指摘の年金の高齢者介護への活用については、高齢者の介護問題は年金のみならず医療、福祉など社会保障制度全般にわたる問題であることでございますから、総合的な観点から新しい介護システムの検討を進めてまいりたい、こう考えるものでございます。介護と医療の安心を保障することが、実はまた年金制度の安定にもつながることだと考えるものでございます。
#138
○大浜方栄君 次に、沖縄の年金問題についてお伺いをいたします。
 沖縄の本土復帰がおくれたために、今、沖縄の厚生年金の加入期間が全国平均の二十七年余に比べて沖縄は十四年余りとなっております。そのために、日本本土復帰時と平成二年の二回にわたってその是正措置がとられてきましたけれども、それでもなおまだ全国平均の七割弱という格差が残っておるので、この問題に関して関係省庁検討会、すなわち沖縄開発庁、厚生省、内政審議室ですか、三者一体になって検討が進められて、沖縄県の最終的な提案も受け入れて本年一月にそういう結果を得ております。
 それで、私はこの機会に、今まで格差があったのを関係省庁、関係各位の多大なる御尽力によってこれが是正されつつあることを県民にかわって厚く御礼を申し上げる次第でございます。ただし、まだまだいろんな未解決の問題が残っているようでございますので、本日はその問題について質問をさせていただきたいと思いますけれども、これもまたひとつ簡潔に、短い答弁で結構でございますから要点だけをお聞かせ願いたい。
 まず第一に、今度の沖縄県の年金の是正に当たっても、平均年金額がまだ全国並みにはなっていない、まだ格差が残るんじゃなかろうかといった不安が県民の間にはありますけれども、これはどうでございましょうか。
#139
○政府委員(近藤純五郎君) 沖縄の厚生年金の受給者につきましては、今度の新たな措置の対象者およそれ万人と見込んでおりますが、この全員の方が加入した場合として試算させていただきますと、加算後の額は平均値で全国対比八二%ぐらいになるというふうに一応試算をいたしております。これは、沖縄の平均標準報酬月額が全国の平均標準報酬月額に対する比が約八〇%でございまして、現役世代の標準報酬との対比で考えますと妥当な水準に上がってくるのではないかというふうに考えております。
 ちなみに、徳島県がちょうど平均標準報酬が全国の八〇%でございますが、この徳島県の年金水準が八二%ということでございますので、全員加入していただければこういう水準に相なるというふうに考えております。
#140
○大浜方栄君 次に、今回の措置の対象者は昭和四十五年に二十五歳以上の者とされて、当時二十歳から二十五歳の間の方々は対象になっていない、そのために対象者が圧縮されているという指摘がありますけれども、この対象者の範囲を厚生省ではどのように考えておられますか。
#141
○政府委員(近藤純五郎君) 今回の特例措置では、昭和四十五年前に厚生年金に加入できなかった、そのことによりまして甚大な影響が出た、こういう人たちだけを特例の対象にしたい、こういうふうな考え方であったわけでございます。
 具体的に申し上げますと、これまで二回の特例措置では昭和四十五年四月に四十一歳以上の方だけを対象にしたわけでございまして、これを二十五歳以上ということで十六年間縮めたわけでございます。それから、これまでの特例措置では昭和四十五年一月一日の時点で被保険者であることが必要であったわけでございますけれども、これは、昭和四十五年一月一日から復帰時の昭和四十七年五月十四日、この復帰時までのいずれかにおいて沖縄の厚生年金に加入した方には対象者として拡大するということでございます。昭和四十五年の四月に二十五歳以上の方といたしましたのは、二十五歳未満の方は六十歳までに三十五年間は加入できるわけでございますし、六十五歳まで勤めますと四十年加入できるわけでございまして、従前から本土にいらっしゃる方と同等の期間保険に加入できるということでございますので、二十五歳未満の方は対象にしなかったというわけでございます。
#142
○大浜方栄君 今回の措置は報酬比例部分に焦点を当てている。それで、定額部分の方はどういうぐあいになされるおつもりか、その点をお伺いしたいと思います。
#143
○政府委員(近藤純五郎君) 今回の措置では、救済の対象は二階の部分の報酬比例部分だけということにいたしておりまして、沖縄の厚生年金の基礎年金の相当部分につきましては、復帰時とそれから昭和六十一年の改正時の特例措置によりまして、新法の厚生年金の対象者につきましては基礎年金のフルペンションが受給できるだけの期間を加入できるようにいたしたわけでございます。
 それから、旧法の厚生年金の対象者につきましては、復帰時の特例措置におきまして四年から十四年の加入期間で二十年分の定額部分の保障をいたしたわけでございまして、現在の基礎年金のフルペンション程度の金額は既に受給可能になったわけでございます。
 それから、基礎年金部分も対象にいたしまして特例措置を講じますと、保険料の負担というのが、今回は本来納めるべきものの二分の一にいたしておりますけれども、やっぱり十分の十にならざるを得ないということでございますので、その点も考慮いたしまして報酬比例部分について是正措置を図る、これによって先ほど申し上げましたような水準に復帰できるということで、ほぼ格差是正は達成できるという判断のもとにこういうことにいたしたわけでございます。
#144
○大浜方栄君 次の二つの質問は、今御答弁になったのと重複するところがあるかもしれないんですが、追納する保険料について質問をさせていただきますと、昭和四十五年から四十七年までの標準報酬の平均ではなくて、加入時から退職時または特例措置の施行時までの平均としているために保険料負担が大きくなる、そういう指摘もあるんですが、それはどうでございましょうか。
#145
○政府委員(近藤純五郎君) 今回の特例措置は、過去にさかのぼるいわゆる遡及という考え方はとらなかったわけでございます。これは、現に厚生年金に入っていらっしゃる被保険者とのバランス上遡及という考え方はなかなか難しい、したがいまして考え方といたしましては、過去に入れなかった部分にこれから入っていただこう、こういうふうな考え方のもとに制度を仕組んだわけでございます。
 したがいまして、その趣旨をこのままやりますと、退職時の標準報酬があるいはこれからの自分の標準報酬をもとに保険料を納めていただくということに相なるわけでございますけれども、過去の自分たちが今まで納めていた標準報酬の平均値ということによりまして納めていただくということで、年金制度上としてはぎりぎりの配慮をいたしたわけでございます。
 この方式によりますと、昭和四十五年に近い期間を持ちます高齢者ほど過去の低い時点での標準報酬をもとに保険料を納めるということになりますので、比較的低い保険料で済むわけですし、比較的若い方でまだ現役の方もいらっしゃいますので、こういう人たちは新しい標準報酬になりますので比較的高い。こういう人たちは負担能力もあるということで、こういうやり方の方が合理的ではないかということでこういう方式を採用させていただいたわけでございます。
#146
○大浜方栄君 次に、保険料率の問題でございますけれども、さっきも近藤局長がおっしゃったように、厚生年金の保険料率の二分の一となっていますけれども、今回の改正によって厚生年金の保険料率が上げられると追納額もまたふえていく、こういうことになるんですが、その方面のことを簡単にひとつ。
#147
○政府委員(近藤純五郎君) 保険料率につきましては、本来納めるべき厚生年金の保険料率の二分の一にいたしたわけでございまして、今回の法改正が施行されますと一四・五%から一六・五%に上がるわけでございますが、これは将来に向かって入っていただくという趣旨からすれば新しい料率を使わせてもらわざるを得ない。ただし、五年以内に納めていただくという形にいたしておりますので、この期間につきましては一六・五%で固定いたしまして、この一六・五%の二分の一でございます八・二五%を適用させていただく、こういうことにしたいというふうに考えている次第でございます。
#148
○大浜方栄君 その追納額の平均が百三十万円になるだろうと。お年寄りによっては二百万円にもなる、少ない方々で三十万円だと。しかもそれが高齢者である。そういうことで、沖縄は高齢者の方が働く職場も少ないものですから、こういう多額の追納額を納めるぐらいなら辞退した方がいい、そういう声も向こうの新聞には大きく出ているんですが、この問題に対して厚生省はどうお考えでございますか、簡単でようございますから。
#149
○政府委員(近藤純五郎君) 今回の保険料の負担額につきましては、先ほど申し上げましたように本来の保険料率の二分の一にしましたとか、それから対象者の全期間の標準報酬の平均でいいとか、こういうふうに申し上げましたけれども、もう一つ加入期間につきましても、本人の負担能力に応じまして任意に決定できるということにいたしましたし、分割納付も認めまして、今のところ私ども検討しておりますのは三回の分割納付を認めようと。その分割の都度に年金額も負担しよう、こういうことでございまして、これについて融資を受ければ、年金額が上がった額で借りました元利をお返しするのにほとんどの人が数年でお返しできるんじゃないか、こんなようなことも考えております。
 沖縄県におきましては、県の独自の事業といたしまして、保険料負担の融資を受けた場合には基金によります利子補給を行いまして負担軽減を図る、こういう事業を検討しているということでございまして、私どももこれの支援をしたいというふうに考えているわけでございます。ただし、財源的な面倒を見るというのは非常に難しいわけでございますので、いろいろな助言をしている、こういう段階でございます。
#150
○大浜方栄君 今、近藤局長が最後に触れられた追納金の個人負担を軽減するためにいろいろ県の方では四苦八苦しているようでございますけれども、その基金が五十億だと、今考えているのは。そのうちで沖縄県の方で二十億、それから事業主の方々が二十億、その対象者のうちの二割を占めていると言われている米軍基地従業員の雇用主である防衛施設庁に十億、これは五年かかってですがら、十億というのは。二十、二十、十億が防衛施設庁、そういう考え方を今持っているようでございますけれども、正直申し上げて、沖縄県の方から厚生省、開発庁、防衛施設庁に沖縄の知事、役所の方々、それからお年寄りの受給者団体の方々がいろいろ足を運んでお願いをしているけれども、らちが明かない。こういうことはもう御承知だと思うので、この問題に関して私は厚生大臣にお伺いをしたいわけでございます。
 それはこの追納金の基金の問題で、今、厚生省、防衛施設庁、開発庁がみんなへっぴり腰でさわらぬ神にたたりなしといって逃げ回っている。かわいそうに、沖縄からあの方々は高い飛行機賃を払って何回も何回も来ても逃げ回っているというのは、私はこれはおかしいことだと思う。
 沖縄のこの年金制度是正の措置がとられても、あとの基金の問題がきちっと解決できないと、せっかく制度はつくってもこれは円滑な運営ができないので、そのためにも厚生省、開発庁、防衛施設庁の三者は一体になって、どうしたらこの基金の問題が解決できるかという協議をすべきだと、私はこう思っていますので、その点を厚生大臣と、場合によっては近藤局長が知恵者だからあなたの方にちょっと聞きたい。
 その前に、私はこういうことは余り言いたくない。言いたくないというのは、先ほども申し上げたように、これからの社会保障というのは自立自助の精神も非常に大事だから、沖縄が戦争で犠牲になったからといってぜひひとつ援助してくれと、いつまでもそういうことは言いたくないんだけれども、実際この問題は、沖縄の方々がお願いに来るというのはおかしいと思うんです。これは憲法二十五条に保障されている生存権の問題なんですよ。国民の権利の問題であり、県民の権利の問題であると思うんです。
 私は、こういうことを申し上げるのは非常に恐縮ですけれども、せんだってNHKスペシャルですか、あれを見ておったら、アメリカの第六海兵隊、これは沖縄戦に参加した方々ですけれども、この方々が戦後五十周年で沖縄のことを触れておられた。その中でアメリカの兵隊の方々が、参加した人たちが、いや沖縄には行きたくないと。なぜ行きたくないかというと、アメリカと日本のはざまに入って一番困ったのは沖縄の住民であるということを第六海兵隊の方々が言っておられた。
 私はこれを見て、ああ、まさに沖縄の方々がこの年金問題の該当者、受給対象者であると、こう思った。この沖縄方面海軍根拠地隊司令官は第二次大戦のときの海軍少将の大田実。局長も大臣も、大臣は五十五歳か、五十六歳だから、大東亜戦争のときはどこにおられたか知らぬけれども、この大田中将が「沖縄県民斯ク戦ヘリ 県民二対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランゴトヲ」という有名な電報を打っているんですよね。だから、私は戦争礼賛者じゃないんだけれども、いつも申し上げるように、戦争の跡を引きずっていきたくないけれども権利として考えられるんじゃないか。なぜ権利かということは、また僕はこれからの質問で申し上げますけれども。
 私が厚生省に申し上げたいことは、今この基金の問題で防衛施設庁も逃げ腰、厚生省も逃げ腰、沖縄開発庁も逃げ腰だけれども、これを三者で集まって知恵を出してどうにかして解決をするという同じテーブルに着いてもらいたい、こういうお願いでございますけれども、これはどうでございましょうか。
#151
○国務大臣(井出正一君) 昭和二十年、私は小学校に上がる前の年でございました。ただ、大田中将の電文はその後大きくなってから読んだことはございます。
 今度の年金改正に当たりまして、年金制度として沖縄の関係の改正は対応できるぎりぎりの案を考えたつもりでございますが、今先生御指摘の点等、沖縄県において特に保険料負担の軽減を図るために基金の設置を検討していらっしゃることは承知しております。
 実は、厚生省も沖縄開発庁とはこれまで意見交換を行ってきておりますが、防衛施設庁とは、関係省庁検討会のメンバーでもないというふうなこともありまして実は十分な経過説明を行ってきたとは言えない面もございます。したがいまして、なかなかこれ難しい問題もあるとは思いますが、防衛施設庁に対しましても十分経過を説明し、協力を要請していかなくちゃいけないと思っております。
#152
○大浜方栄君 ありがとうございました。
 もう一遍確認をさせていただきますと、厚生省と開発庁と防衛施設庁と、この問題についてお互いに知恵を出し合って解決に努力してもらいたい、こういうことでようございますね。大臣、もう一遍。
#153
○国務大臣(井出正一君) はい、努力をいたします。
#154
○大浜方栄君 次に、沖縄開発庁からきょうはわざわざ渡辺総務局長においでをいただいておりますので、ちょっと渡辺総務局長にお伺いをさせていただきますけれども、先ほどからちょっと耳の痛いことを申し上げておりますが、私がいろいろ情報を得たところによると、沖縄開発庁もこの問題に関しては、もう沖縄の年金格差の是正が今度の法律改正、年金改革の中に盛り込まれるのだからこれで終わっているんだと言わんばかりのことを言っていますけれども、私が先ほど申し上げたように、これはまだ終わっていないんだと。
 それで、沖縄開発庁の設置法をちょっと読んでみますと、沖縄に関する国の事務の総合調整などを行うことを任務とする、こういうことを書いてありますね。だから、この基金の問題が決着しない限り総合調整はなされていないんだ、これが円滑に運営されるまではやっぱり沖縄開発庁も責任があるんだ、私はこう思っております。
 そして、この問題に関しまして、先ほど申し上げた関係省庁検討会の中では、沖縄県の最終報告案を受けて個人負担の軽減措置に関しては県及び事業主等の拠出によって基金を創設する、そういうことを受けて了としたということをうたわれておりますので、私は沖縄開発庁は困っている沖縄県をバックアップするべきだと、こう思っております。特に、国による基金の出資については、いろいろ問題があると思いますけれども、これについての調整をお願いしたい、こういうことをまず第一に総務局長からお伺いしたい、こう思います。
#155
○政府委員(渡辺明君) 先生御指摘の基金造成のお話でございますけれども、今回の制度改正に当たりまして沖縄県が個人負担の軽減措置、具体的には融資に対します利子補給でございますけれども、この負担軽減措置を実施いたしますために進めようとしているものでございまして、当庁といたしましても県の事業が円滑に進むよう協力してまいりたい、このように考えているところでございます。
#156
○大浜方栄君 それと、これはもう専門家で、またその道に一生懸命取り組んでおられる総務局長に申し上げるのは非常に恐縮でございますけれども、私は、沖縄が復帰してから今日までの国の沖縄政策の原理原則は、本土との格差をどういうぐあいに縮めるかということが一番の柱である、こういうぐあいに思っております。
 調べてみましたらいろんな面で格差が縮まっている。例えば一人当たりの道路の延長、これは復帰時に本土の水準の四六・四%しかなかったものが、現在では六二・六%になっている。それから、農業基盤の整備率でも、復帰時には八・一%しかなかったのが、今では驚くなかれ四七・六%までなっている。また、一人当たりの県民所得六〇・七が七一・八、これは非常にまだまだ努力しなきゃいかぬ、こう思っておりますけれども、こういうように格差が歴然としてまだまだあるところもあるんです。その中の最たるものは、私はこの年金の格差是正がとられるまでの年金問題であったと思いますけれども、このたび関係省庁の努力で全国平均の八〇から八五%ぐらいまで縮められてきた、こういうふうに思っています。
 私は、この基金の問題は、先ほど申し上げたいろんなインフラの格差是正と同じように開発庁としても取り組むべきである、こう思っていますけれども、もう一遍ひとつこの問題に対して御見解を拝聴したいと思います。
#157
○政府委員(渡辺明君) 当庁といたしましては、この個人負担の軽減の問題等々につきまして現在県で鋭意検討をしているところというふうに聞いておりまして、県から具体的な説明というものをよくお聞きしながら、関係省庁とも話し合いまして、県の事業が円滑に進められるよう協力してまいりたい、このように考えておるところでございます。
#158
○大浜方栄君 今、総務局長が県の進捗状況を聞いてからというお話でございましたけれども、もう総務局長御存じだと思うんですね。基金は五十億を考えている、そのうちの二十億は沖縄県が出す、あとの二十億は事業主が負担していく、そしてあとの十億を防衛施設庁にお願いをしたいと、これが県の最終的な案でございますから、総務局長も当然そのことに関してはひとつきちっとした取り組みをしていただきたい。しかも、もうこの年金法があすは成立するということでございますから、今までは法律もまだできていないときに概算要求も云々と言って慎重に構えておられたと思いますけれども、この時点になると、もうそういう点をひとつぜひ御認識をいただきたい。それが一つ。
 もう一つは、沖縄開発庁に対しても先ほど厚生大臣にお願いをしたと同じように、この基金問題、特に事業主負担の問題に関しては沖縄県庁独自ではもうどうにもならない、また厚生省単独でも無理だろう、開発庁自身も単独では無理だと。防衛施設庁も今まで関係省庁の会議には出席していなかったんだから、相談にあずかっていなかったんだから無理だったかもしれませんが、もうここの段階になると、先ほどから申し上げているように開発庁も一緒になって、ぜひ三者でこの基金問題を解決するのに同じテーブルに着いていただきたい、こういうお願いでございます。先ほど厚生大臣にお願いしたのと同じお願いを開発庁にするわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
#159
○政府委員(渡辺明君) 沖縄開発庁といたしましても、先ほど厚生大臣の方からお話がございましたように、防衛施設庁、厚生省等との話を十分させていただきたい、このように考えておるところでございます。
#160
○大浜方栄君 十分話し合いをさせてもらうというのが、話し合いはしたけれどもだめだったというのはだめであって、解決に向けて話し合いをするという前提で私は先ほどから何回も合意に向けて、解決に向けてということを申し上げているので、この点もう一遍ひとつ。
#161
○政府委員(渡辺明君) 先生が御指摘ございましたように、県の基金造成の事業といいますものが円滑に進められるように私ども沖縄開発庁としても十分な努力をさせていただきたいと、このように考えておるところでございます。
#162
○大浜方栄君 どうもありがとうございました。
   〔委員長退席、理事菅野書君着席〕
 次に、防衛施設庁にお願いをします。
 本日は防衛施設庁宝珠山長官がおいでになる予定でしたけれども、防衛庁は創立四十周年でどうしても放せないと、国会優先ということも十分承知しておられるようでしたけれども。それで、本日は涌田労務部長さんがおいでいただいておるので、労務部長さんに御質問また御要望をしたい、こう思います。
 今、問題は、防衛施設庁に大きくかかっている問題でございます。私が沖縄県庁並びにマスコミの方々から調査したところによると、復帰前のことについては防衛施設庁は法的な責任はないんだ、こういうことを言っておられる。それからもう一つは、財政的にかなり厳しくて今すぐできるとかできないとかは言えない、関係省庁とも相談をしたいと。これは今御出席の涌田労務部長みずから七月二十一日におっしゃっておられる。さらにまた宝珠山長官は、改正年金法がまだ成立していない段階では概算要求にのせることは難しいというような発言をしておられるんですね。
 それで私は、今も防衛施設庁はこの段階でもこの時期に来てもそういう考え方を持っておられるのか、それをお聞かせ願いたい。時間の都合で簡潔にお願いします。
#163
○政府委員(涌田作次郎君) 御答弁申し上げます。
 いわゆる沖縄の格差是正問題につきましては、在日米軍従業員の生活の安定にかかわることでもありまして、施設庁といたしましても関心を持っているところでございます。
 今、先生いろいろおっしゃいました県からの副知事さんとか知事さん等々からの御要望がございます。我々として、沖縄県が創設される基金の拠出についてはそういう御要請を受けましていろいろ検討してきているところでございますが、現段階といいますか、今のところいわゆる法律的な根拠をまだ見出すことには至っていないというような状況でございます。
 ただいま厚生大臣それから沖縄開発庁の局長の方から御答弁ありました御意向を一応踏まえまして、我々としても、今後その法律的な根拠等を含め、厚生省あるいは沖縄開発庁の御意見を聞きながら検討することといたしております。しかしながら、先生も御案内のとおり、その法律的な根拠を見出すのは極めて困難であるということは御理解いただきたい、かように考えております。
#164
○大浜方栄君 今、涌田部長がおっしゃったように、法律的には根拠がないということでございますけれども、沖縄がアメリカ軍の施政権下にあったから駐留軍従業員は米軍との間に雇用関係があって、防衛施設庁との間にはそういう関係はなかったんだと。しかしながら、当時本土では、駐留軍の従業員は防衛施設庁との間に雇用関係があったわけですね。それで、厚生年金保険料について事業主負担を行ってきました。
 それで、沖縄がもし米軍の施政権下になければ、沖縄の基地従業員も本土従業員との間の雇用関係に合ってこういう保険料の事業主負担を行ってきたと思うんです。しかしながら、沖縄が米軍の施政権下にあった。米軍の施政権下にあったというのは日本国家の責任ですよね、あなたうなずいておられるから。だから、この問題は国が責任を負っているんだから、防衛施設庁もこういう問題からすると、契約上の関係がないからといってこれに無関心ではおられないと私は思いますけれども、それはどうですか。
#165
○政府委員(涌田作次郎君) 先生がいろいろおっしゃっている内容につきましては私たちもよく理解するところでございます。しかしながら、沖縄が米国の施政権下にあったことがなければということでございますが、それは当然本土並みの、いわゆる基地従業員と同様のそういう厚生年金の関係の施策は講じてきたところである、かように考えます。
 そういうことでございますが、いろいろな経過がございまして、我々としましてはこの問題につきまして先ほど申しましたようにいろいろ検討してきたんですが、仰せこういう点につきましては、いわゆる厚生年金の所管省庁といいますか、あるいはそのほかの関係省庁の御意見をいろいろ伺いながら、どのような知恵が出るか、そこのところを今後詰めていかなきゃいかぬ、検討してまいりたい、このように考えております。
 ただ、繰り返すようでございますが……
#166
○大浜方栄君 時間がないからもういいよ。
 私は、法的な根拠はないという、公共的な責任がないということをあなたに聞いていただかないとあとの話ができないから、今ちょっと少し強引に質問させていただいているんですがね。
 それからもう一つは、これは追納する、遡反するということが問題ではないんで、あくまでも沖縄と本土との厚生年金の格差を是正するということがこの法律の大きな根幹なんです。
 そうすると、今、本土の基地従業員と沖縄の基地従業員との間に格差がありますね。事業主負担の問題もそうだし、格差があります。この問題をどう思われますか。簡単に、もう時間がないですから。
#167
○政府委員(涌田作次郎君) お答え申し上げます。
 先生、先ほどからいろいろお考えを示していただいているわけでございますが、先生のおっしゃっておられる御趣旨はよくわかるわけでございますが、格差があるということにつきまして私どもといたしましては、このようなことを申し上げていかがかと思うんですが、やはり基地従業員の雇用主である時代の前の事柄でございますから、そういう面をフォローする上にはやっぱりいろいろな隆路があるということでございまして、そこのところを何か打開策がないかということで今いろいろ検討させていただいておる、かような状況でございます。
#168
○大浜方栄君 それからもう一つは、御存じのとおり歴代内閣、現村山内閣は安保堅持をうたっているわけです、日米安全保障を堅持していくと。そうすると、基地従業員というのは日米安全保障の一翼を担っているわけです。沖縄の基地従業員も本土の基地従業員も同じように一翼を担っている。そういう担っている人たちの働く条件の間に社会保障の面で格差があっていいかどうかということもお考えいただきたい。
 時間がないんですが、まだたくさんいろんなことを調べてありますけれども、そういうようなことを踏まえて先ほど厚生大臣も三者が同じテーブルに着いて協議をしたい、すると。また沖縄開発庁も同じテーブルに着いて知恵を出し合ってこの問題の解決に当たりたいと。
   〔理事菅野壽君退席、委員長着席〕
 それで今、涌田部長も同じようにいろいろ考えて検討したいと、こうおっしゃっておられますが、問題は、ばらばらに検討しておったんでは、今までと同じようにみんな逃げ回って、沖縄県のこの基金に取り組んでおる方々はどうにもしょうがない。だから、関係省庁検討会というのがありましたから、皆さんがまとまってその検討会を利用するなり、あるいは衣がえをするなり、あるいは公式にせよ非公式にせよ、ぜひひとつ知恵を出してこの問題の解決に当たるために同じテーブルに着いていただきたいと、私は改めてもう一遍これをお願いしたいと思います。
#169
○政府委員(涌田作次郎君) 先生の御趣旨を踏まえまして対応してまいりたい、かように考えます。
#170
○大浜方栄君 どうもありがとうございました。
 くどいようですけれども、今までの厚生年金格差問題、特にこの基金問題に関しては今までそういうようなみんなが知恵を出し合ってやる、同じテーブルに着くということがかつてなかったんで、私はこの問題は大きな前進であると思っていますから、せっかく沖縄の年金格差是正のいい法律、制度が盛り込まれたんだから、盛り込まれたけれどもこれが円滑に運用されないと、仏はつくっても魂が入らないということになりますので、今三省庁にお願いしたことをぜひ実現させていただきたい、最後にこのことを申し上げて私の質問を終わらせていただきます。
#171
○委員長(種田誠君) 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#172
○委員長(種田誠君) 速記を起こして。
#173
○萩野浩基君 大変皆さんお疲れと思います。今度のこの法案は大変重要な法案でございますので、あと一時間ちょっとと思いますが、ひとつよろしくお願いします。
 よく高齢化社会、高齢化社会と言っておりますけれども、私は十年前からもう高齢化ではなくて高齢社会だと。これは人口構成で見たら明白なことなんで、この辺も言葉を少しみんな統一した方がいいんじゃないか、そのように思っております。
 例えば、二十歳で国民年金に加入しようとしている人に政府は四十五年後の福祉を今どう約束できるかというと、これは大変な問題だろうと思います。こういうような重要な問題でありますので、責任を持ってどのような青写真を示すかというのがやはり政治の重要な点ではないか、そのように考えております。
 今度のこの改正におきましては、六十五歳現役社会、こういうものを目指しての国民のライフサイクルのギアチエンジといいますか、そういう意味でそれなりにいろんな面での苦心が見られたと思います。先ほど大浜先生が言っておられましたけれども、私も沖縄復帰のときに講演に行きましたが、もう本当にシーイング・イズ・ビリービングで、本当に皆さんに会ってみるといろんな問題がわかるんです。だから、先ほどのようなディテールに当たっても福祉の心といいますか、やっぱりそういうものを十分生かしていっていただきたい。そういう意味におきまして、我々厚生委員もこの問題については真剣に考えなければならない、そう思っております。
 高齢社会になりますと年金財政というものはどうもこのままでは破綻するんじゃないか、そういうので先ほど来同僚委員の方たちからも指摘がありましたけれども、これに入っていて本当に大丈夫なのかどうかというようなものもあります。だから、ここで何としても痛みを伴う改革も受け入れざるを得ないという、少しずつではありますが国民の共通理解となっているのじゃないかと思います。くどいようですけれども、問題はそうした国民の覚悟に政治がきちんとこたえるかどうか、この辺のところが大事な点ではないかと考えております。
 今のこの日本におきまして、国民の大多数が国民年金、厚生年金、それから共済年金、これらの公的年金をみんな当てにしております。つまり、老後の不安の最大の理由というのはやはり年金問題であります。また、最も当てにしているのが生活資金としての年金、これは言うまでもありません。
 そこで、税制調査会の中期答申でも指摘しておりましたけれども、税制改革と社会保障の支出とは大変密接な関係がある、このように言っております。実際の問題として、長期的な観点から国民負担率はほとんど社会保障の動向で決まっておる、こう言ってもいいです。ところが、厚生省の高齢社会福祉ビジョン懇談会の推計が増税の根拠としてともするとそのまま使われているんではないかと、そういう声がいろんなところから出てくるんですが、この点についてまずお聞きいたしたいと思います。
#174
○政府委員(山口剛彦君) 先生御指摘の高齢社会に向けて将来の社会保障のあり方をどういうふうに描いていくかということで、私どもはこの三月に、将来の社会保障の給付と負担のあり方について国民の皆さんに全体的な議論をしていただくその素材として二十一世紀の福祉ビジョンというものを出させていただきました。これは一定の前提を置いておりますけれども、給付と負担の規模についてもマクロ的な試算を行っております。
 私どもとしては、御指摘の高齢社会に社会保障がどういうふうに対応していくか、そのために現在の社会保障制度をどういうふうに再構築していかなければならないか、そのビジョンを国民の皆さんに大いに議論をしていただきたいということで出させていただいて、決して税の議論をするためだけにお示ししたものではございませんし、その後の税制の議論の中でこのビジョンについてもいろいろ検討がされて最終的な結論が出されたと考えますけれども、その点は、私どものこのビジョンは税のための資料として提出したものではないということについては御理解をいただきたいと思います。
#175
○萩野浩基君 そのように答弁されると、私まただんだん突っ込んでいかざるを得なくなってくるんですが、今回の税制改革案に私はある程度あいまいさというものが、まあこれはどんなものでもつきまとうことは私も承知しておりますのでも、その最大の原因は焦点の高齢社会政策との関連というか、そういうもので考えるときにどうも明確でないところが見えるのであります。
 それは、厚生省が来年がち老人福祉強化策として打ち出しました新ゴールドプランというのがございますね。これを賄うには消費税の、アバウトでいいですが、大体何%ぐらいのアップ分が必要と試算されておられますか。
#176
○政府委員(山口剛彦君) 私ども新ゴールドプランということで構想を発表させていただいておりますけれども、その構想を実現いたしますためには、現在のプランに加えて新たに国費として三千数百億の資金が必要であろうということでございます。国費ベースで消費税一%が丁三兆円ということでございますので、その分を換算いたしますと〇・三%程度だということでございます。
#177
○萩野浩基君 私の計算でも〇・三%アップ分が必要とされるんじゃないか、そう思われます。しかし、今度の消費税アップの五%とそれとの関連というのが明白にされなければこれは納得されないというような問題が起こってくるんじゃないか、そのように思っております。この関連性について明白な説明をお願いいたします。
#178
○政府委員(山口剛彦君) 今回の税制改革におきましては、消費税率は五%にする、それから増減税を一体処理する、それから平成九年度に増税を実施する、その間先行的に減税を実施するということでございます。
 そういう枠組みの中で、大変これは御議論があったわけですけれども、少子・高齢社会に向けて、当面緊急を要する施策について一定の福祉財源を措置するということで、九年度の消費税率引き上げの時点で四千億円をそれに充てるということが決められたわけでございますし、あわせて、今後の社会保障等に要する費用の財源の確保等々を勘案いたしまして、消費税率につきましては、それらを検討した上必要があれば所要の財源措置を講ずるというふうに決まって、今回の税制改正法案の中に盛り込まれておるというふうに理解をいたしております。
 したがいまして、今御指摘のございました新ゴールドプランそのものを前提にして今回の措置が講じられているということではないわけでございますけれども、私どもは先ほど来申し上げておりますように、新ゴールドプランあるいはエンゼルプランは緊急を要する福祉の大きな課題だという認識を持っておりますので、これについても今回の税制改正の措置を一つの足がかりにして早急に見直しをし、また詰めを行いまして施策の展開を図っていきたいというふうに考えております。
#179
○萩野浩基君 そういうファジーな答え方では、消費税の〇・三%アップで新ゴールドプランがある程度できるという、一応そういう数値的なものは少し福祉関係を知っていればわかることなのでありまして、だからこういう疑問が出てくるんですね。消費税を引き上げてもそれはもしかしたら減税財源に充てたりつなぎ財源にするんではないか、こういうところにみんなが疑問を持ち始めるんですよ。
 私は消費税を上げてもいいと思っております、はっきり申し上げますけれども。それは何らかの形で明確に福祉に還元するんだという考えを持たなければいけないんじゃないかと思う。だから、今回この五%の引き上げというのが一体何にどうなるのかということがファジーであるところに私は問題があるんじゃないかと思いますが、大臣、この点いかがでございましょうか。
#180
○国務大臣(井出正一君) 今般の税制改革に当たりましては、与党における議論の結果、少子・高齢社会に向けて当面緊急を要する施策について四千億円、年金等の物価スライドについて一千億円の財源措置が講じられたところでございます。あわせて、社会保障等に要する費用の財源の確保等の関連で、消費税率については検討し、必要があれば所要の措置を論ずる旨の規定が今回の法案に盛り込まれているわけでございます。
 したがいまして、その検討過程において新ゴールドプラン、エンゼルプラン等の内容についてできるだけ早く詰めを行うとともに、直近の経済動向等も勘案するなどしながら年金や医療等の自然増の推計も行わなくちゃならぬわけでございます。そういった将来の社会保障の具体的な施策と必要経費について、見直し期限である平成八年九月末日までにきちっとした姿を明らかにしてまいりたいと思います。
 先生御指摘のように、ことしの九月末の税制改革時点におきましては、福祉関係のいろんなあれがきちっとした姿に整っておらなかったということは御指摘のとおりだと思います。
#181
○萩野浩基君 大臣、そのとおりにお認めになりますから、私はもうこれ以上この問題突っ込みませんけれども、本当に福祉に必要なものは、これは例えばスイスなんかでも、高齢社会を支えるのにはこれだけ必要だというのでレファレンダムを、国民投票をやって、ただ感情的に消費税はいけないというのではなくて、やはりそれが福祉の向上につながっていくんだというように、特に厚生省が中心になってその辺は税の上においてもはっきりとした姿勢を将来示していただきたいと思います。
 次に移ります。
 一般的には、高齢社会における負担の増加はいずれにしても先ほど私申し上げたとおりに不可欠であると考えられます。つまり、高齢者がふえれば社会保障給付費がふえるというのはこれは当たり前のことであります。当然のことながら負担も引き上げなければならない。これはもう単純な論理だろうと思います。
 しかし、厚生省の先ほどの懇談会のビジョンを見ましても、全然とは申し上げませんが、年金については根本的な問題について検討が十分でなかったんじゃないか、そのように私思えてならないんです。ところが、先ほど申し上げました論理をここに使っておる、そのように思いますが、いかがでしょうか。
#182
○政府委員(山口剛彦君) 先生御指摘のように、これからの高齢社会に向けて社会保障の費用が増大をしていく、それをそのまま前提にして物事を考えていくのはおかしいじゃないかという御指摘でございますけれども、今後の社会保障制度を考える場合に、社会保障制度自体を効率的で安定的なものにしていくという改革の努力が確かに必要だと思います。今回の年金改正も、御批判はございましたけれども、まさにその一環として将来長期的、安定的なものにしようということで取り組んできたつもりでございます。
 そういう年金制度の姿を前提にして、なおかつ医療、福祉等の将来のビジョンを描いてみようということで二十一世紀の福祉ビジョンを描かせていただいたわけで、その中でもいろんなケースを御提言いたしておりますけれども、私どもの基本的な方向としては、適正給付、そしてそれに見合う適正負担という考え方をベースにして、できるだけ過重な負担にならないように配慮しながら将来の福祉社会を考えていく必要があるということで提言をさせていただいているところですし、基本方向としては、まさに先生御指摘の公平、公正そして効率的な社会保障制度をどう構築していくかということで御提言をさせていただいているということでございますので、御理解を賜りたいと思います。
#183
○萩野浩基君 今回の年金改正というものが実現したと仮定いたしまして、厚生年金の最終保険料率というのは二九・六%になると思います。これだけになりますと、これはどう見ても大増税、こういうぐあいに見えますね。税制調査会の中期答申は、所得税の負担が勤労世代に偏るから消費税の増税が必要と、このように主張しています。この論理でいきますと、当然消費税と保険料の分担ということが問題となるはずですが、当局の皆さんとしては具体的にはどのような検討をしているのか、お聞かせいただきたいと思います。
#184
○政府委員(近藤純五郎君) 消費税との比較におきまして、保険料と所得税がともに勤労世代の負担に偏る、こういう点で共通だという御意見のようでございますが、保険料の場合には負担に見合いました給付が伴うわけでございまして税とは同一には論じられないんじゃないか、こういうふうに考えているわけでございます。
 年金給付に要します費用につきましてどのように国庫負担を入れるべきかにつきましては、これまでもさまざまな議論があったわけでございますが、衆議院の方で附則の二条というのが設けられたわけでございますので、そこで示されました点にも考慮しながらこれからさらに検討を深めていく、こういうことであろうかと思っておりますし、先生御指摘のような問題もこの中の検討の一課題というふうに考えております。
#185
○萩野浩基君 大変重要な問題ですから、ひとつよろしくお願いいたします。
 だんだん時間がたってきましたので、通告しておりましたのは一つ飛ばしてまいります。
 高齢社会のビジョンの選択というものは、私は冷戦後の最も重要な政治課題であろうと思います。二十一世紀は、やはりそういう一番の大きい課題といえば高齢社会ということにこれは自然となってくるだろうと思います。これまではともするとイデオロギー論争の陰に隠れていたこの問題というものが将来への基本的な理念の選択となると私は考えております。
 社会保障や税制はますます著しく複雑になっていく。今やこの基本ビジョンというものは行政レベルの技術論ではどうも解決できないんじゃないか。もっと独自の政策オプションを示すことのできる政治が今必要とされているのではないかと私は思っておりますが、大臣いかがでしょうか。
#186
○国務大臣(井出正一君) 先生おっしゃるように、まさに二十一世紀の最大のテーマがこの高齢社会への対応だというふうに私も考えるものでございます。特に、我が国は世界でもいまだ経験のないスピードで本格的な少子・高齢社会を迎えるわけでございまして、その中にあって、国民が一生涯を通じて心豊かに安心して暮らせる社会を実現することこそ最重要また最喫緊の課題であると考えるわけでございます。
 二十一世紀を目前にした今、我が国が直面する活力ある豊かな福祉社会の建設という最重要課題に適切に対処するためには、幅広く国民の英知を結集して、国民のコンセンサスを得ながら解決をしていくことが必要でございまして、そういった面で政治に携わる私どもの責任の大変重大であることを認識しております。そしてまた、いわゆる行政レベルにともすれば引っ張られがちな点もないことはないわけでございまして、そういった意味では、政治家が行政の皆さんをも上回るような努力とまた見識を持たなくちゃならぬことも先生おっしゃったとおりだと思います。
 そういった意味では、まさに政治家が努力をしていかなくちゃならぬことでございますし、行政レベルのみでなくて積極的な政策論を政治家サイドで重ねることによって、福祉社会の実現に向かって努力していくことが政治に課せられた大きな使命であると考えるものでございます。
#187
○萩野浩基君 どうぞひとつよろしくお願いいたします。
 またちょっと細部に入っていきますが、今後、自営業者などが加入している国民年金をいかに健全に運営していくかという面において行政上の課題があると思います。つまり、先ほども申し上げましたが、若い世代を中心に年金制度への無関心というものが目立つこと。この点につきましては同僚委員の方からも質問がありましたから重複いたしますけれども、やはりこれはよく認識しておかなきゃならないだろうと思います。自営業者の所得把握はなかなか難しいというのは先ほどの御答弁の中からも察せられます。
 特に、定額保険料になっているために低所得者には負担が重いんじゃないかというような感じにとられるだろうと思います。そのためか、この加入者は千八百万人ですが、免除者は二百六十万人で、滞納も、一回だけ怠っているというような人までも含めると、これは推定でございますけれども二百数十万人おるのではないかとも言われております。またその上に、年金手帳さえ持たない未加入者も百九十三万人に上っているとも言われております。
 こういうような状況を見ますと、やっぱりこれは正常ではなくて異常な事態ではないか、そのように思えてなりません。政府や行政にとりましてもこれは重要な問題であろうと思いますが、こういうような現実に対してどのような対応ということを考えていらっしゃいますでしょうか。
#188
○政府委員(横田吉男君) 先生御指摘のように、未加入者なり未納者が多数おりますことは大きな問題でございまして、私どもとしてはできる限りこの解消を図ってまいりたいというふうに考えております。
 一番基本的な解決策といたしましては、先ほども申し上げましたように、各制度に共通いたします基礎年金番号というようなものを導入いたしまして、届け出漏れがあった場合にも保険者としてこれを的確に把握できて、保険者の方から届け出の勧奨ができるような仕組みにしていくことが必要ではないかというふうに考えております。
 現在の施策といたしましては、二十歳になった時点におきまして、市町村で大変御苦労していただきながら対象になりそうな方のリストをつくっていただきまして、これらの者に対して文書あるいは電話、戸別訪問等を含めまして一次、二次、三次というような勧奨を現在行っておりますが、これを一層徹底してまいりたいというふうに考えております。
 それから、国民健康保険に未加入者の七割の方が加入しているというような状況がございますので、届け出書の一体化を図る等によりまして、片一方だけ届け出が漏れるというようなことのないようにしてもらいたいというふうに考えております。あとは、あらゆる機会を通じましてPRを図ってまいりたいと思っております。
#189
○萩野浩基君 先ほど申し上げましたけれども、今のこの実態というのは決して正常ではない。こういう状態だと将来に不安を持つというのもこれは当然だろうと思います。今、番号制なりアピールをしていくということなんですが、これは今井委員からも質問がありましてその辺は重複するんですが、根本的な問題の解決ということを考えるときに、きょう午前中参考人の方々にいらしていただきまして、そこで我々論議を重ねたわけであります。私もそこでも申し上げたんですけれども、先ほど今井委員もその点をついておられました。
 私は、世界を見ますときに、きょうも資料をいただいたんですけれども、特に先進国、福祉先進国と言った方がいいかもしれませんが、また日本よりももっとずっと早い段階に高齢社会を支えてきたそういうところのを見できますと、社会保険をベースにしておるのはイギリスと日本だけなんですね。私は何も外国のがいいとかそういうようなことは言いません。イギリスの場合はビバリッジという人の理論というか、そういうのを使って社会保険というものがベースになったと聞いておりますけれども、日本は日本なりに社会保険、まあ積立方式と言ってもいいと思いますけれども、そういう方式でやってきて今日の日本の繁栄というもののもとになって、それはそれなりの一つの働きをしたということは認めます。
 今、厚生年金だけでも九十兆を超える積立金があることは国民は知っております。ところが、現在その大半をともすると大蔵省の資金運用部に回す運用の仕方をしておるんじゃないか、果たしてこれでいいのか、ぼちぼち考え直すときではないかと思います。また、経済状況が激変する中で五年ごとの機械的な保険料のアップということでは、経済全体の成長を促進するのにもこれは余り効力はないのじゃないか。
 だから、ここで私が言いたいのは、社会保険方式の積立方式はそれなりの価値を持っておりますし、大臣がきょう冒頭におっしゃったようにそれなりのメリットを持っております。それは私は十分認めます。しかし、これから二十一世紀に向かって超高齢社会というようなことを考えるときに、いわゆる先輩の諸国、ニュージーランドなりノルウェーなりオランダなりスウェーデンなり、いろんな国でいろんな工夫をやっておるわけですから、日本の社会保険方式が正しいんだともう最初から決めてかかるんではなくて、賦課方式、税方式と言ってもいいかもしれませんが、そういうのもやはりもうぼちぼち研究ぐらいはしてみたらどうか、そのように考えております。
 大臣、最後にひとつ感想でいいですから、先ほどの答弁と同じじゃなくて、こういう自由な討論の場ですから、本当にもしそういうぐあいにやれば無年金者なんかも出なくなってきますし、そして消費税の問題とかいろんな問題でも国民が理解できるようになるんですね。その辺のもっと広いグローバルな意味から、ひとつ大臣の前向きな答弁をお願いいたしたいと思います。
#190
○国務大臣(井出正一君) 社会保険方式が我が国で定着しておるということにつきましては、萩野先生、それなりの意味もあったしまた評価もしてくださるわけでございますが、いわゆる税方式、今後いよいよ超高齢社会がやってくるときに少し研究をする必要があるんじゃないかと、こういう御指摘でございますが、やっぱりこれは中長期的には取り組むべき課題だと私は考えております。かつて前政権時代、福祉プロジェクトチームで今井先生と御一緒に勉強したときもそんなお話をしたことはございますけれども、そんなことは私も考えております。
#191
○萩野浩基君 終わります。
#192
○横尾和伸君 公明党・国民会議の横尾和伸でございます。
 きょうは、衆議院からお忙しい中を法案の修正部分に関しての御質問をさせていただくためにわざわざお越しいただきまして、大変ありがとうございます。
 私は、自分自身が団塊の世代でございまして、昨日来、団塊の世代という言葉が随分出てきております。それはある意味で、雇用の問題で今大変厳しいリストラの対象に一番なっている世代でもあるし、また私自身がそうであるように、ちょうど私は六十五歳支給開始になる第一号なんです。昭和二十四年の生まれなんです。だからといって自分のことを言いたいわけではなくて、こういう世代のことを代表しているんだなと考えると、ますます今回の改正というのは厳しいものだというふうに感じるということを申し上げたかったんです。
 今回の改正に絡んでは、内外ともに厳しい情勢にあるということは言うまでもありません。保険料率が五年ごとに二・五%ずつ上がっていくとか、あるいは六十歳、六十五歳の問題。そのほかの外的な要因としては、サラリーマンの実質収入がことしに入って事実上横ばいないしは低下をしている。また、公共料金の値上げ問題について、凍結解除をする方針を出されている。また、消費税の税率アップが議論になっている。
 こんな非常に国民の負担ばかりが担保される世相になってきているという中で、今まで改正の話がずっと十年来あったにもかかわらず今回にならざるを得なかった。しかし、今回はやらなきゃいけないと思っておりますけれども、こういう中で何とか現役もOBも頑張るんだから、それに見合うとまではいかないまでも、それにある程度こたえるような形で国でも国庫負担率について頑張れないかというようなことで、各方面で意見表明がなされているのはゆえなきことではないと思います。
 例えば、連合では大変な御苦労を終始一貫されておりまして、これ言うまでもありませんけれども、二分の一から三分の二へという要望、要求の中から、現実を踏まえながら、今日では国庫負担率を引き上げる方向づけだけでもはっきりさせるべきだと、ここまで柔軟になっているわけでございます。
 しかし、それさえも大変厳しい状況ではあるんですが、そういう状況の中で国庫負担率の問題は大変重要な問題であり、また去る十月二十八日に私は本会議でこの修正部分について簡単な質問を総理、厚生大臣にさせていただいたんですけれども、この修正部分はこれは衆議院の意思である、私は知らないということで、衆議院が決めたことだから衆議院に聞いてくれと言わんばかりの冷たい御答弁をいただきました。
 私は、そういう意味で、衆議院の意見を聞く前に、衆議院で決めたそのことに対して大臣及びそれぞれ責任あるお立場の観点からどう思うかということを聞きたかったわけなんですが、それを誤解されて、自分が決めたことじゃないから知らないよ、答えないよということで事実答えなかったんですね。
 そんな経緯がありまして、実はきょう衆議院からわざわざお越しいただいたのは、ごく短時間で済むと思うんですけれども、ぜひ大事な部分の確認をさせていただきたい、こういう趣旨でございますので、このところをどうか御理解をいただきたいと思います。
 まずお聞きしたいのは、法の修正案の附則第二条の意味するところがどうなのか。というのは、大変難しい文章でして、端的に言いますと、総合的に検討するとなっているんですけれども、具体的に将来その総合的な検討をした結果、結果として引き上げを行わないということになるという可能性はあるのかないのか、この附則第二条の示すところはどうなのかというそのボーダーラインについて、明確なお答えをいただきたいと思います。よろしくお願いします。
#193
○衆議院議員(戸井田三郎君) 今、先生の御質問は、引き上げを行わないことが検討の結果あり得るのかということのようでございますが、この問題に直接私がお答えをするというのはちょっと難しいんじゃないかなと思います。
 それは、将来の問題として年金の安定というものを考えるというと、どうしても給付と負担の関係が問題になってくるので、今先生がお話しになりましたように、既にこの国庫負担の引き上げの問題は、六十年改正のときもそうだったし、それから平成元年の改正のときもそうだったし、そういう意味で常に関心の高い問題でございました。
 今度の場合でもそのとおりでございまして、御承知のとおり、この法案が国会に提案をされたときはちょうど私たちは野党の立場でございました。そして、大内大臣の趣旨説明があって今日まで来たわけであります。そこで私たちの立場は、この法案を作成する段階で自民党は入っていなかったわけで、それが今度は与党になってこの法案に責任を持っていかなければならない立場になりました。
 そこで、冒頭に私は、審議に入られる最初の理事会で、そういう関係であるから私たち与党でありながら修正をするということはちょっとおかしいんだけれども、そういう経過を考えるというと、私たちの考えていることもこの中に入れていただきたいというお話もいたしました。
 それで、私たちとその他の理事さん、関係者の方々、ここに先生もその話し合いをするお一人に入っておられたと思うんですけれども、そういうところで合意をしたものについて修正をさせていただきたい、こういうお話でありました。
 特に、八項目を私たちは出しましたが、八項目の一番は国庫負担の問題でございます。そのほかの二番から八番まではほとんど合意をいたしました。一番については合意をなかなか得られないで、与党案とそれから野党案が同時に委員会に提出をされて、そして採決で決まったわけでありますが、特に基礎年金の国庫負担のあり方につきましては、非常に巨額な財源を要しますのでその財源確保をどうするのか、財源問題一つをとってみてもまた非常に難しい問題であります。
 そこで、この二条には、年金事業の財政の将来の見通しとか、国民負担の推移とか、基礎年金の給付水準とか、費用負担のあり方等を勘案して、財源を確保しつつ国庫負担の割合を引き上げることについてと書いてありますが、この引き上げるという問題についてもいろんな意見がありまして、最終的には、野党の改革の御意見を私どもは見て、これでじゃ合意しましょうかということになったわけですが、結局は採決というような形になってしまったわけであります。
 でありますから、このこと自体非常に将来の年金の安定のために重要なこと、それから国民の期待にこたえていけるかどうか、特に国民の皆さんの御同意というものは私は非常に重要な問題だと思うんです。
 それはなぜかというと、例えば今、厚生年金で申しますと平均で二十万円の給付を受けている。そういうようなことをもし一般の考え方で見るというと、大体一億数千万円の定期預金をしているのに今の年金受給者がいただいている二十万円というのは相当するものだと。そういうことで、国民自体が年金というものにもっともっとそういう観点から理解をしていくようになると負担というものもあるいは可能なのかもしれませんけれども、そういうようなことを十分に検討していくほど重要な問題であるということでこの案を検討してつくり上げたということでございます。
#194
○横尾和伸君 大変御丁寧な御説明をいただいたんですが、お聞きしたいことは非常に単純でございます。御説明によりますと、若干変則的ではあるけれども、与党の考えを入れたいということでこの修正部分を出されたということなんですが、お聞きしたいのは、実はその中で与党の考えを入れたということですし、また繰り返しますけれども、本会議で各大臣にお聞きしたときに、衆議院の提案者に聞いてくれと言わんばかりの答えをいただいたのであえてまた聞くんです。
 この文章、状況ではなくて、この第二条の言っている「総合的に検討を加え、その結果に基づいてこということなんですが、その結果がいろんな可能性があると思うんです。その中で、やっぱり検討したけれども引き上げを行うべきでないという結論になるということもこの第二条の中で読めるのかどうか、そういう観点からイエスかノーかでお答えいただきたいと思うんです。大変大事な問題でございます。
#195
○衆議院議員(戸井田三郎君) 結果、今言ったように、私は五項目ぐらいあるように思うんですが、非常に一つ一つみんな重要な問題ですが、五項目を総合的に勘案して、そして、「引き上げることについて総合的に検討を加えこという文章のとおりに私は解釈いたしております。
#196
○横尾和伸君 どうも時間の問題もあって、押し問答をしていると時間が過ぎてしまいますし、また先生の意図するところはお答えとは別に私なりに感じさせていただきましたので、次に移ります。
 もう一つ、きょうは提案者を代表してということで、自民、社会、さきがけという観点もお踏まえになってお答えいた尤けるというように聞いているんですが、つまり聞きたいことは、自民党も社会党もさきがけも、いわゆる与党のそれぞれの党が半年前にはこの国庫負担率について、財源の確保を図りつつという趣旨のことは当然入っていたと思いますけれども、基本的に引き上げるということを明示されていたと思います。それが今回変わったというのは、私は変わってはいけないと申し上げているんではないんですけれども、変わったことは確かだと思うんですが、その変わったのはなぜなのか、状況の変化によるものなのか、お立場の変化によるものなのか、そのところをお伺いしたいと思います。
#197
○衆議院議員(戸井田三郎君) 状況の変化とか立場の変化とかいうことはどういうことなのか私はよくわかりませんけれども、この問題については非常に真剣な論議を各党間でいたしました。
 特に国庫負担の問題につきましては、先ほど申しましたように、最初に私どもは八項目の第一番目に掲げたんですが、改革の方からも最終的に、ほかはいいけれども、この一項目については私たちはこういう意見を持っておるといって三項目の提案がありました。その三項目を私どもは見まして、三番目に書いてあることが私たちが乗れる案だなと思いまして、そしてその案に基づいて修正を相互で書いて、そして合意を得たんですが、この案も最終的には完全合意を見るに至らなかったんです。
 それは、「財源を確保しつつこ「国庫負担の割合を引き上げることについて」というところですが、この部分について改革さんの方では、段階的に引き上げる方向、こういう意見が出ました。そして、それに対してまた与党側からも、そのことに関してというようなものが出て、最終的にこの案については、改革さんの方から「引き上げることについて」ということがあって私たちは合意をいたしたのです。ところが、それはしぱらくしてからだめだったと、やっぱり上層の方でこれにはうんと言わないということだったんです。
 それじゃ、もう時間も来ているので私たちの方は私たちの案で出します、あなた方の方はあなた方の方で出していただきたいと。そうしたら、もう既にそのときには修正案として出しておりました。そこで、それだったらうちの方も早く出さなきゃいかぬということで、現在の最終的に一度合意した案で附則案として提案をして、その結果採決で決定したわけであります。これがこの案の決定するに至る経過であります。
 私たちとしては、そういう意味でぎりぎりの線までその合意を得る努力をいたしました。国庫負担の引き上げ問題というのはそれだけ重要な問題でもありますし、その裏づけがなければ絵にかいたもちになってしまいますし、そういう意味できちっと検討をする課題を示して、その課題に基づいて結果を出すということを私たちは願っていたからであります。
 また同時に、先ほど言ったように、国民が理解し合意ができるような努力もしていかなきゃいけませんし、また今、年金というものに対する国民の高い理解が、期待が込められるような時代をつくり上げるためにも努力していかなきゃいけないし、そしてまた同時に、財源問題をちゃんとクリアできるかどうかということが特に重要な問題だと思います。また、新ゴールドプランやエンゼルプランなどの福祉問題もたくさんありますので、そういうようなものを総合的に勘案した結果であります。
#198
○横尾和伸君 今、交渉の過程を大変詳しく御説明いただいたんですが、それを求めたわけではないんですけれども、私も大筋では正しいと思うんですが、一部改革側の対応について誤りの部分がありました。今そのことを申し上げていると時間もなくなりますので、誤りがあったということだけ申し上げておきたいと思います。
 また、最大限の努力をされたことは大変私もある意味で認めておりますけれども、努力の限界というのが初めから見えておりまして、それは国庫負担率を引き上げることについて、引き上げるというベクトルを与えるということをしない、方向性を与えるということをしないというのが与党側の対応だったかと思います。それが第一番目にお聞きした中で明確にお答えいただけなかったことの理由であろうと思います。
 これから先は水かけ論になりますので、私は御提案された趣旨は一応今の段階で確認できるところはここまでだと思いますので、先生お忙しいと思いますので、先生に対する質問はここまでにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 続きまして、今の御提案者の御答弁にありましたけれども、本法律は厚生大臣の所管でございます。所管する大臣として、今申し上げた引き上げることが、この附則第二条の意味合いが、今のお答えをされたことに対して大臣はどう思われますでしょうか。
#199
○国務大臣(井出正一君) その前に、先生は先ほど、私が参議院の本会議で、これは院の方で修正あるいは附則がつけられたからということでお答えをしなかったというような御指摘がございましたが、実は私ども厚生省といたしましては、特に国庫負担のあり方につきましてはいろんな議論がかねてよりあったことはもちろん承知しておりましたが、これは大変な財源も要することですし、税と社会保険方式のバランスの問題もこれありますから中長期的に考えるべき課題でありまして、今回の改正案にはむしろこれは取り入れないという形がベストだろうと思って法案を提出した経緯がございます。
 しかし、御審議の結果、ああいう形の附則あるいはまた附帯決議がついたわけでございますから、これは内閣として大変重く考えて尊重しなくちゃならぬ、こういう姿勢ております。
 それともう一つ、この改正法案は三月の半ばに国会に提出された法案でございまして、当時の与党だったほとんどの党が今や野党でいらっしゃいます。それから、当時の最大野党であられた自民党が与党でいらっしゃる。また、社会党も三月時点では与党でいらっしゃったんですが、その後いろんな経緯がございまして、またいろんな修正のお考えも持つという大変入り組んだ今回の御審議でありまして、従来にない構図といいましょうか、そういう中で議論された法案であったということをまず申し上げておきたいと思います。
 ただいま戸井田先生が衆議院の修正者としてのお立場から、附則の検討規定が設けられた経緯や、今後検討していくべき視点等につきましてるるお話しをいただいたところでございます。
 私は、基礎年金の国民負担の問題につきましては、先ほどちょっと触れましたが、社会保険方式のもとで税と社会保険料のバランスをどうとっていくか、また今後の年金給付費の急激な増大に伴い、現行制度のままでも急増していく国庫負担の財源をどう確保していくかなどの問題があり、附則第二条の趣旨を踏まえ、幅広い観点から国民的な論議が必要であると考えておるものでございます。
 そういった立場からこれまでも答弁をしてきたつもりでございますが、ただいまの戸井田先生の御発言により一層その意を強くしたといいましょうか、ただいま申し上げましたようなもろもろの点を十分検討しながら結論を出していくべき問題だと考えております。
#200
○横尾和伸君 次に、やはりこれは十月二十八日の本会議において総理がお答えになった部分があるんです。
 基礎年金の国庫負担を段階的に上げることを検討していくことは重大なことだと思っておりますが、ただ財源の裏づけがないと単に絵にかいたもちに終わる、こういう趣旨のお話をされております。
 問いは、財源を確保しつつということを前提として、それに引き上げるという方向性を示さないのはなぜかということに対して、いわゆる絵にかいたもち発言が出たわけですけれども、この絵にかいたもちについて、厚生大臣もやはり同じようにお考えでしょうか。たしかお答えになるときに、総理と同じですがという前段が入ったので恐らく同じ御意見だと思うんですけれども、念のためにお聞きしておきます。
#201
○国務大臣(井出正一君) 基礎年金の国庫負担のあり方を検討するに当たりましては、先ほど申し上げましたように極めて巨額の財源を必要といたしますから、その財源確保の方策をどのように考えるかが大きな問題でございまして、その具体的方策についてもさまざまな議論が必要であると考えております。
 こうした財源確保の見通しがないままに国庫負担引き上げの方向性のみが明示されたとしても、それは実現可能性は極めて低いものと考えるところでございます。
#202
○横尾和伸君 趣旨は絵にかいたもちということでよろしいんですね。
 そこで、次にちょっと角度を変えてお伺いしたいんですけれども、国庫負担の割合が三分の一ということで仮に今のまま推移した場合、それでも将来相当な国庫負担の増になるわけですね。厚生省の試算によると、現在三・九兆円、五年後には五・三兆円、十五年後には七兆円、三十年後には八・一兆円、したがって兆円単位で財源が必要である。しかもこれは、その前提は平成六年価格でございますので、将来へいけば何とかなるというそんなものではなくて、将来へいけばもっと膨らむとイメージした方がいいと思うんですが、何兆円単位で今のままでもふえるわけです。これは財源をどうされるのか、その点をお伺いしたいと思います。
#203
○国務大臣(井出正一君) 今、横尾先生が御指摘のとおり、今年度の価格で推計してもまさに何兆円単位でどんどんふえていくことは事実であります。そして、これは既に法定化されている国庫負担率に基づく必要な負担額でございますから、これはぜひとも確保していく必要がある金でございます。
#204
○横尾和伸君 確保するという目標だけで方策が示されていないですね。大臣は先ほどの問いでは、財源を確保しつつという言葉だけじゃなくて、方策が明示されていないと絵にかいたもちだというふうに言われたんです。そうしますと、今厚生大臣が改正しようとしているものは絵にかいたもちなんでしょうか。念のためにもう一度お伺いします。
#205
○国務大臣(井出正一君) これはもう法定化されているという意味では絵にかいたもちとは言えないと思います。もちろん、そのときどきに必要な負担額を捻出するための財政当局との協議をしなくちゃならぬことは当然でありますが、その努力は議しているつもりであります。
#206
○横尾和伸君 絵にかいたもちではない、ちゃんと法定化されている、こういうことなんですが、大蔵省、このことについてはどのように受けとめられますか。
#207
○説明員(丹呉泰健君) 先生御指摘のとおり、基礎年金の国庫負担率が現行の三分の一のままでも、今後人口の高齢化のため将来の国庫負担額が相当増加すると見込まれております。これだけの財源を確保していくことは容易なことではございませんが、私どもといたしましても、必要な財源を確保できるよう毎年度の予算編成におきまして歳入歳出両面にわたりまして最大限の努力を続けていく所存であります。
#208
○横尾和伸君 兆という単位のお金になりますけれども、これはスクラップ・アンド・ビルドで厚生省の予算から削るんでしょうか、それともほかの予算をとってくるのか、その財源はどうされるのか。これは二分の一にするための問題じゃなくて三分の一のままで必要な部分でございますしっかり答えていただきたいと思います。
#209
○説明員(丹呉泰健君) 繰り返しになりますが、私どもといたしましては、毎年度の予算編成におきまして歳入歳出両面にわたる見直しを行いまして、必要な財源を確保できるよう最大限の努力を続けていく所存であります。
#210
○横尾和伸君 必要な財源はどこから出てくるんですか。税を上げるんですか。その辺のところがわかっていないと絵にかいたもちになりますよ。その点、大蔵省、また厚生大臣、もう一度御意見があったら発言をしていただきたいと思います。
#211
○説明員(丹呉泰健君) 大変恐縮でございます。繰り返しになりますけれども、現在、国庫負担率が三分の一に法定化されているということは先ほど大臣の方からお話がございましたとおりでございます。したがいまして、私どもといたしましてはそれを前提に、歳出歳入両面にわたる見直しによりまして必要な財源を確保できるように努力を続けてまいりたいと思っております。
#212
○横尾和伸君 要するに、何とか工面するという意味ですか。そういうふうに受けとめます、同じことを何回も繰り返されてもちょっと時間が貴重なものですから。
 そうしますと、大臣、今大蔵省が言われているのは、何とか工面する、具体的な策はない、方策は今答えられません、こういうことで今改正されようとしているんですが、そうすると、大臣が先ほど言いました財源を確保しつつという言葉だけではだめなんだ、方策がなければ絵にかいたもちなんだということを総理大臣と一緒にそう認識されているということなんですが、そんな無責任な態度で今の年金法の改正をされようとしているのか、そこを明確にお答えいただきたいと思います。
#213
○国務大臣(井出正一君) 法定化されておるわけでございますから、財源措置は当然伴っておる、こう信じております。
#214
○横尾和伸君 厚生省は当然大蔵省がやってくれるものという御認識だと思います。大蔵省も、将来忘れたころに財源のために増税するぞなんて言わないでいただきたいと思うんです。こういうことは前もって先を見込んでしっかり対応していくことが責任ある行政であり、また責任ある政治だと思いますので、あえてここで強く要望しておきたいと思います。
 次に、そういう意味でちょっとこだわって申しわけないんですが、大事な問題なので絵にかいたもち論をもうちょっと続けさせていただきたいんですが、社会党の半年前のお考えでは、具体的に言いますと五月二十六日の時点でやはり中間報告をしておりまして、「国庫負担率を三分の一から二分の一に引き上げ、二十一世紀初頭に三分の二に引き上げるなど国庫負担率を段階的に引き上げる。」、こう言い切っているんです。もっともそのための財源云々ということはその後に書いてありますけれども、しかし書いてあることは具体的な方策ではないのでこれは絵にかいたもちになると思うんですけれども、大臣は、この社会党の半年前の考え方、これはやはり絵にかいたもちなんでしょうか、どう認識されるでしょうか。
#215
○国務大臣(井出正一君) 他の党の御提言について私がコメントをすることは果たしていかがかなと思いますが、今先生お触れになられました社会党の高齢社会福祉プログラム特別調査会の中間報告に示されておりますように、国庫負担率の段階的引き上げのためには、「安定的な租税財源策を講じる。」、こう最後に述べられておるわけですが、安定的な租税財源策を講ずることが必要であり、その点についての確たる見通しがない段階においては、その実現はなかなか容易ではないこと。と考えるものでございます。
#216
○横尾和伸君 よく聞き取れなかったんですけれども、次がありますので。
 同じように自民党が半年前、具体的には六月一日に年金制度調査会年金改革検討小委員会の中間報告で、「国庫負担を現行の基礎年金部分の三分の一から二分の一まで段階的に引き上げる。政府案では、部分年金の創設ということもあって保険料率が三〇%近くまで上がってしまう。自民党政権下では、当初、サラリーマンの負担の限界ということから将来にわたって西独並みの二六%程度に留めるべきと主張してきた。」、こういうことで引き上げるということが明示されているんです。財源についてはやはり確保するという趣旨のことはうたわれておりますけれども、しかし具体的方策がありません。これもやはり絵にかいたもちなんでしょうか。
#217
○国務大臣(井出正一君) 基本的には、ただいま社会党の提言に対し申し上げたことと同様でございまして、財源確保の見通しがない段階ではなかなかその実現は困難なものと考えております。
#218
○横尾和伸君 財源確保の見通しがないということを盛んに強調されるんですが、当然だと思うんです。それがないということ自体私は間違っていると思いますし、財源確保の見通しは一番大切なことの一つだと思います。それだけに先ほどの話にこだわりますけれども、現在の三分の一のままでも財源の確保については大蔵省はそのうち何とかする、ちょっと乱暴な言い方かもしれません、厚生省はやってくれるはずだと。これがもしうまくいかなかった場合には、最終保険料率はそのしわ寄せを受けて将来上がる可能性はないのかどうか、大変不安に思うんです。
 厚生大臣としては今回の改正に大変な自信を持っておられると思いますけれども、自信を持つべきものはその財源の確保の部分なんです。そこのところをしっかり将来的に担保するという御決意を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
#219
○国務大臣(井出正一君) 今回の御審議いただいております改正案は、二十一世紀において到来する高齢社会に安定して機能が発揮できるような制度にすることがまさにその目的であり、眼目でございます。
 したがいまして、先ほど申し上げましたような保険料のアップもそれに応じて御負担をいただくことになっております。それがまた全然予想違いの形にならないように、きちっとした対策をとっていかなくちゃならないことは当然だと思いますし、その方向で頑張っていく決意であります。
#220
○横尾和伸君 何か語尾が弱くなってしまったので大変心配なんですけれども、財源の確保ができなかった分はもしかしたら将来の三〇%という目標をそのために超えてしまう可能性を、あるいはその心配をますます私は深めたんですけれども、しかしそれは危倶惧ありまして、これからそんなことのないように、大臣、今回の法改正施行の部分、それから財源の確保をしっかり頑張っていただくことをお願いしまして、今度こそ私の質問を終わります。
#221
○西山登紀子君 私は、昨日、実際の労働者の声は六十歳支給が多数であることを明らかにしてまいりました。
 そこできょうは、本当に雇用は確保できるのか、与えられた時間が二十六分ですので、この点に限って質問をいたします。
 年金と雇用が中断すれば大変なことになるわけですね。午前中の参考人質疑のときにも問題になりましたけれども、病弱な人、健康上働くことが無理な人、あるいは配偶者や年老いた両親を介護しなければならない、こういう人などが現実にはいるわけなんです。本会議でも問題になりましたけれども、現実には中断が起こるのではないでしょうか。大臣のお考えをお伺いいたします。
#222
○国務大臣(井出正一君) 今回の年金改正は、二十一世紀の本格的高齢社会に向けて、高齢者の雇用の促進と連携をとって年金制度を人生八十年時代にふさわしい仕組みとするということと、もう一つは、将来の現役世代の負担を過重なものとしないよう給付と負担の均衡を図る、こういう大きな二つの観点から、六十歳代前半は賃金と年金を合わせて生活設計を行う期間と位置づけ、六十歳代前半の年金は六十五歳以降とは別個の給付とすることにしたものでございます。
 六十歳代前半の時期は、働く意欲と能力のある方については、高齢者雇用を進めることにより賃金と別個の給付により生活を支えていただき、自己の都合により早期に引退したいという方については、預貯金や個人年金などの自助努力に加え別個の給付を支給し、さらに基礎年金の繰り上げ支給の道を開くことにより生活が支えられるようにしておりまして、個々人の多様なニーズに弾力的に対応できる仕組みとしたところであります。
 なお、別個の給付への切りかえは二〇〇一年から二〇一三年にかけて行うものでございまして、若年労働力が減っていく二十一世紀においても社会の活力を維持するためには、年金制度と連携をとって高齢者の雇用を進めていく必要があると考えておりますし、政府は産業界あるいは労働界ともどもその方向に努力をしていかなくちゃならぬと考えておるところでございます。
#223
○西山登紀子君 重ねてお伺いをいたしますけれども、健康上の理由などで働けない人は減額年金で生活しなくてはなりません。十分な蓄えがあればいいですよ、なければ医療費は余分にかかりますし、減額年金では本当に大変なことになるのではないでしょうか。本法案というのは、頑健で十分な労働能力がある高齢者、健康な高齢者のみを前提にして成り立っているのではないでしょうか。弱者に厳しい六十五歳支給ではありませんか。再度、大臣にお伺いいたします。
#224
○政府委員(近藤純五郎君) 御指摘のとおり、健康で意欲ある方につきましては、高齢者雇用を促進いたしまして雇用収入と別個の給付で生活をしていただく、こういう想定をいたしているわけでございます。六十五歳まで働くことが困難な障害者につきましては、これは現役世代では障害年金が出ているということのバランスにおきまして、こういう六十五歳まで働くことが困難な障害者につきましては六十五歳以前においても満額の年金を支給することにいたしているわけでございまして、弱者に厳しい改正案とは考えておりません。
#225
○西山登紀子君 もう一度、大臣にお答えをお願いいたします。
#226
○国務大臣(井出正一君) ただいま局長からお答えいたしましたように、健康な人は高齢者届用を促進して雇用収入と別個の給付で生活することを想定しておりまして、六十五歳まで働くことが困難な障害者等の方については六十五歳前においても満額の年金を支給することとしておりまして、先生おっしゃるような弱者に厳しい改正案とは考えておりません。
#227
○西山登紀子君 それでは話を先に進めます。
 端的にお聞きいたしますけれども、六十歳代前半層の雇用を確保すると言われますけれども、これは六十五歳定年制を法制化するということでしょうか。
#228
○政府委員(近藤純五郎君) 六十五歳定年の法制化につきまして働きかけることではございません。
 定年につきましては、これは六十五歳までの間には個人によってかなり個人差もございますので、定年という形ではなくて雇用延長ということとか転職とか、こういうものも含めまして六十五歳まで意欲のある能力がある方については働いていただく、こういうことで労働省におきまして雇用対策を立てている六十五歳まで現役で働けるような社会を築いてまいりたい、こういうふうなのが政府の方針でございます。
#229
○西山登紀子君 意欲もあり能力もある方には働いていただく、こういうわけなんですね。政府は、本当に年金と雇用の継続を希望するすべての労働者に雇用を保障する責任が生じてくるわけですけれども、年金支給開始年齢六十五歳というのは法律で決めるわけですから、これは全国一律に無条件で実施がされます。しかし、雇用状況には地域差もございます。また、企業や産業間にもいろいろな差があります。
 六十五歳支給は法定化したけれども、雇用は民間任せ、企業任せになっては大変だと思うんですが、この継続を保つ整合性のある体制は必ずできますか。
#230
○政府委員(近藤純五郎君) 年金制度におきましては、別個の給付という形で六十歳から出るわけでございます。雇用政策におきましては、高年齢雇用安定法の改正等によりまして、六十五歳までの雇用機会を確保するための施策を積極的にやっていく。しかも、二十一世紀初頭におきましては若年労働力も減ってまいりますので、ここにおいては、高齢者の方も希望する者が六十五歳まで働くことができる社会の実現を目指していかなければいけないというふうに考えているわけでございます。
 自由主義経済下ではございますが、官民挙げまして高齢者雇用の促進に努力いたしまして、これに個人の創意、努力を加えますと、雇用と年金の連携というのはおおむね達成できるものというふうに確信している次第でございます。
#231
○西山登紀子君 部分年金で暮らせというわけですけれども、通産省の委託調査でも、今の給付水準でも少ないと答えている方が約六割、五十五歳以上の方は七割の方が今でも少ないと言っているんです。それを部分年金、およそ半分ですね、これで暮らせと言われる。しかも、先ほど上積み効果のお金のことを言われましたけれども、これは働く場所がある人、それから働く個体の条件がそろっている人、こういう人には上積みの効果があるわけですけれども、それでは本当に働く場所があるのかどうかということなんです。政府は六十歳定年制は定着したというふうにおっしゃいますけれども、その実態は少し違うのではないかと思います。
 例えば、政府が肝いりで民営化をいたしましたJR各社の六十歳定年制、これを実際に私は調べてみて驚いたわけですね。六十歳定年制、確かに言葉はそういうふうになっております。しかし、例えば採算性のいいというJR東海、これを基本に見てみますと、五十五歳以上の賃金の扱いというのは基本給の八五%になってしまいます。北海道だと基本給の六〇%に五十五歳以上の賃金の扱いはなってしまうわけです。
 それ以上にJR北海道ですね、昇給は五十五歳以上はありません。昇格もありません。五十五歳以降は行わないというふうになっております。さらに、五十五歳以上の在職条件というのはどうかといいますと、原則として関連会社に出向させる。これはほかのJRも同じでございます。五十五歳になればもうほかの関連会社に行かせてしまうということです。
 さらに言えば、早期選択制の定年制度の新設、こういうことになりまして、五十五歳からさかのぼって早くおやめになる方には少し上積みをいたしましょう、例えばJR東海の場合だと、五十歳では二〇%の上積み、五十一歳では一八%の上積み、五十二歳では一六%の上積み、五十三歳では一四%の上積み、五十四、五十五歳は二一%の上積みで、それぞれ何の上積みかというと、五十五歳の退職金の算定基礎給、これを上積みしていくということであるわけです。これは皆さんどういうふうにお考えになりますか。
 今、私が申し上げましたように、政府が肝いりで民営化をいたしましたJRで六十歳定年制という名前で行われている実際は、まさにこれは五十五歳で早くやめてほしい、あるいはそれよりももっと早目にやめていただきたいと言わんばかりのものでございます。これが実態なわけですね。
 六十歳定年制が定着しているといっても、このように実は六十歳以前に、もう五十五歳までに早く出向もさせていくし、やめさせていくというのが今実際にやられていることではないかと思います。私は労働者にとって非常に過酷な状況だというふうに思います。乱暴な措置だと思います。また、人として非常にいたたまれないような状況に追い込まれる、こういう実態が進んでいるのではないかと思うんですね。六十歳定年制が定着したといっても、実際はおおむねこのように五十五歳からも雇用の条件が一段と悪くなる、これが実態ではないかと思うんです。雇用情勢は非常に厳しいのではないでしょうか、大臣にお伺いいたします。
#232
○国務大臣(井出正一君) 現状といいましょうか、外の雇用状況は先生おっしゃるように大変厳しいものがあると私も認識しておりますが、我が国の人口構造の変化を見ますれば、二十一世紀の初頭以降、特にベビーブーム世代が六十五歳となる二〇一〇年以降は、我が国の若年、中年層人口の減少に伴い労働力供給の制約が強まることが予想されるわけでございます。他方、我が国の高齢者の高い就業意欲にこたえ、二十一世紀を活力ある長寿社会としていくためには、増大する六十歳代前半層の雇用の促進は我が国の社会経済にとって重要と認識しておるものでございます。
 このような基本的認識のもとで、我が国の年金制度においても六十歳代前半の年金のあり方を見直すものでございますが、六十歳代前半の年金は極力弾力化し、またこの時期の雇用が必ずしも十分でないことにも配慮して別個の給付を支給することとしたものであります。
#233
○西山登紀子君 先ほどから非常に議論がかみ合わないんです。同じことを繰り返されるわけですけれども、実際もう五十五歳から高齢者の皆さんは職がない、職がある場合でも非常により悪い条件のもとに追いやられていく、こういうのが今の実態だということで、私は六十歳定年制が既にもう空洞化しているということを申し上げたわけです。さらに言えば、資本の海外進出が大いに進んでいるのは御存じのとおりです。
 労働省が九月三十日に発表した「企業の海外進出・生産が雇用に及ぼす影響について」を見てみますと、このように述べております。海外進出それから生産を実施、計画している企業からヒアリングをしたわけですけれども、「海外進出に伴って、国内従業員数については減少を見込む企業が四割超。但し、減少の方法としては、「新規学卒の採用抑制」や「中途採用の停止、削減」、「臨時・季節、パートの削減」が中心。」だと。さらに、親企業が海外に進出し生産をしたということで影響を受けた企業のヒアリングは、「親企業の海外進出により影響を受けている企業では、従業員数が減少するとする企業が約七割。減少の方法も、今後「希望退職者の募集」が増加する見込み。」である。このように、親企業の海外進出によって影響を受ける企業の七割が従業員が今後減っていく、このように見ているわけです。
 私は地元が京都ですけれども、京都でもこういうような企業が海外進出することによる雇用、仕事が奪われるという状況、影響は既に出ているわけです。九三年度ですけれども、京セラは海外に六十一の工場を持っておりまして、一万六百三十五名が現地雇用ということになっているわけです。
 大臣、このようにリストラとか海外への進出の広がりというものは、景気が多少回復したといたしましても今後も拡大するのではないでしょうか。したがって、雇用情勢は決して楽観を許さないというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
#234
○国務大臣(井出正一君) 二十一世紀の活力ある長寿社会を築いていくためには、雇用と年金の連携を図りつつ、高齢者が安心して生活できるような環境づくりが必要でございます。
 また、年金制度は国民や事業者の保険料負担により成り立っているものでございますから、年金制度を維持発展させていくためには今後とも日本経済が継続的に成長していくことが必要であり、年金制度に携わる者としては日本経済の動向に重大な関心を持っておるところでございます。
 一方、先生の御指摘のとおり、製造業の急速な海外移転等産業の空洞化により、今後、経済の停滞、雇用情勢の悪化等が生じるのではないかという懸念があることもこれまた事実であります。しかし、今後我が国においては、高齢・少子化の進展、快通性への欲求の拡大等がこれまでにも増して進むことによりまして、住宅関連分野とか医療、福祉関連分野あるいは生活関連分野等の社会ニーズに対応した分野の成長が望まれておるわけでございます。
 厚生省といたしましては、これらの産業の成長により引き続き日本経済が維持発展していくことを期待しておるのでございまして、政府としてもその方向で経済運営をしていくことは当然だと思います。
#235
○西山登紀子君 私は、大臣の御認識は非常に甘いと思います。海外進出を計画しているのは製造業だけではございませんで、今も労働省の報告を御紹介いたしましたように、既に海外進出に伴って国内従業員数の減少を見込む企業は四割を超えている、こういうことでございますので、非常にそういう点の大臣の認識は甘い、雇用情勢は決して楽観は許さないというふうに私は指摘をしたいと思います。
 労働省もバブルの時期の産物であります第七次雇用対策基本計画の見直しに入っているわけですが、労働省が六月六日に発表いたしました中期雇用ビジョンによれば、実質経済成長率三%未満であれば二〇〇〇年には労働力過剰としています。失業者が増加するということです。このように厳しい雇用情勢の中で本当に六十歳代前半層の雇用は確保されるのでしょうか。年金の支給は六十五歳になるわ、全体として雇用保障は高年齢労働者の自助努力で行いなさいでは無責任過ぎるのではないでしょうか。
 この点で、財界にも要請をして雇用の確保を体制として確立します、こういうふうに政府として確約ができるかどうか、お伺いをいたします。
#236
○国務大臣(井出正一君) 二十一世紀の活力ある長寿社会を築いていくためには、高齢者の高い就労意欲や知識、経験を生かして高齢者の雇用を促進するとともに、年金制度もこれと連携のとれた仕組みとすることが必要であります。
 このため、政府においては雇用政策において、二十一世紀初頭までに、希望する高年齢者が少なくとも六十五歳まで働ける社会の実現を目指して高齢者雇用安定法等の改正を行うなど、高年齢者の雇用対策を拡充していくこととしております。
 今回の改正に際しましても、労働省との連携について協議、調整してきたところでございまして、今後とも労働行政と連携を図りつつ、厚生省といたしましても産業界への雇用促進の働きかけを行ってまいりたいと考えております。
#237
○西山登紀子君 私は大臣の見通しが非常に甘いということを再三指摘を申し上げているわけですけれども、企業の態度というものはそんなに甘いものではありません。
 労働省が委託をいたしました「高齢者の雇用政策に関する労使の取り組みについての調査研究報告書」、こういうのがございますけれども、そこでは「高齢者届用の将来展望と今後の課題」というところで端的に率直に調査をしているわけですよ、この前の総理府の調査とは違って。
 公的年金の支給開始年齢六十五歳への引き上げと六十歳代の雇用政策はどうか、こういうことで調査をやっているわけですけれども、その結論はどうなっているかといいますと、調査をいたしました企業の総計では、公的年金の支給開始年齢の六十五歳へ段階的引き上げにおける六十代の雇用政策は「非常に難しく対処は困難である」、これが実に三八・五%を占めているわけです。製造業に限って見ますとそのパーセンテージというのは、つまり「非常に難しく対処は困難である」と答えている企業は実に三九・二%もあります。
 さらに、興味深いといいますか注意を喚起いたしたいのは、調査している企業、一万人以上の大企業ですね、これがその「非常に難しく対処は困難である」というパーセンテージは実に四〇%ということでございます。中小企業、例えば二百九十九人以下の小さな企業ではそのパーセンテージは三四・八%であるのに比べて、大きい規模の企業の方がより困難だというパーセンテージを上げているというところに注目をしなければならないと思います。
 簡単に企業が雇用に努力をするのかというと、そうではない。そういう現実について再度お伺いをいたします。
#238
○国務大臣(井出正一君) 長い不況の過程で企業がスリム化に走り、あるいは中高年社員には出向とか転籍あるいは早期退職の勧告等が行われていることも事実だと私も思います。それだけ現在のこの深刻さは重視しなくちゃいけませんが、しかし、私どもこの年金法改正で描いているのは二十一世紀初頭の時期を考えておるわけでございまして、そのころになりますと若年労働力の減少等ありますから、今とはまた全く違った状況が生まれるであろうし、また高年齢労働者の雇用が今よりはずっと進むような社会体制をみんなでつくっていかなくちゃならぬ、こう考えるのであります。
#239
○西山登紀子君 大臣、二十一世紀の初頭というのはもう目の前でございます。希望的な観測だけで年金を六十歳支給を六十五歳に繰り延べされる、この国民の側の痛みをどうぞよく直視していただきたいと思います。
 それで、財界の態度も決して甘いものではありません。その高齢者の雇用につきまして例えば東京商工会議所はどう言っているか。「労働政策に関する要望」というのがありますけれども、そこでは「六十五才までの雇用問題は労働者個人の自助努力とそれを補完する職業能力開発等の公的支援体制の整備が重要であり、現行の高年齢者届用安定法の改正強化をもって、企業のみに受け皿づくりを求めることは適当ではない。」、このように言っております。「また、同法における六十才以上定年制の導入に関する努力義務規定を、普及状況を理由として完全義務化に改正強化すべきではない。」、このようにも意見を述べているわけでございます。
 さらに、日経連はどういうふうに言っているか。これはさらに厳しいことを言っているわけです。定年到達者について、「再雇用あるいは勤務延長は、企業が定年到達者の事情に応じて個別的に決定しているものであり、定年到達者の多くが再雇用あるいは勤務延長されていても、これを直ちに、労使慣行化しているものとみなすことは妥当でない。再雇用あるいは勤務延長を行うか否かについては、企業の裁量に委ねられているというべきであろう。」と。さらにこういうことまで言っています。「高年齢になるほど精神的身体的機能の低下により作業能率の低下がみられ、健康により多くの不安を残すこと等からすると、高年齢者を一般の臨時労働者と同列に考えることは妥当でなく、更新するか否かについては、企業の裁量に委ねるべきであろう。」、このように言っているわけで、これが日経連の高齢化問題研究委員会中間報告が述べているところでございます。
 法律で雇用が義務づけられております障害者雇用でも、現に大企業の八〇%近くが雇用率未達成なわけですから、こういう年金と雇用の継続、絶対に中断することをしないと政府として約束できるかどうか、最後にお伺いをいたします。
#240
○国務大臣(井出正一君) 今後、我が国の若年人口の減少に伴って労働力供給の制約が強まることが予想されるということはさきに申し上げましたとおりでございますが、活力ある長寿社会を築く上で高齢者雇用の推進は重要でございます。
 現在、政府全体で、二十一世紀初頭までに、希望する者全員が六十五歳まで働ける社会を目指し各般の施策を講じていくこととしているところでございますが、個人の創意、努力とも相まって、雇用と年金の連携をおおむね達成できるものと確信するものであります。
#241
○委員長(種田誠君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
   午後六時二分散会
ソース: 国立国会図書館
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