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1994/11/02 第131回国会 参議院 参議院会議録情報 第131回国会 厚生委員会 第7号
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1994/11/02 第131回国会 参議院

参議院会議録情報 第131回国会 厚生委員会 第7号

#1
第131回国会 厚生委員会 第7号
平成六年十一月二日(水曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         種田  誠君
    理 事
                清水嘉与子君
                宮崎 秀樹君
                菅野  壽君
                横尾 和伸君
    委 員
                石井 道子君
                尾辻 秀久君
                大島 慶久君
                大浜 方栄君
                佐々木 満君
                前島英三郎君
                糸久八重子君
                今井  澄君
               日下部禧代子君
                堀  利和君
                勝木 健司君
                萩野 浩基君
                高桑 栄松君
                西山登紀子君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  井出 正一君
   政府委員
       厚生政務次官   狩野  勝君
       厚生大臣官房長  山口 剛彦君
       厚生大臣官房総
       務審議官     太田 義武君
       厚生省年金局長  近藤純五郎君
       社会保険庁運営
       部長
       兼内閣審議官   横田 吉男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        水野 国利君
   説明員
       大蔵省主計局共
       済課長      松川 忠晴君
       労働省婦人局婦
       人福祉課長    北井久美子君
       労働省職業安定
       局高齢・障害者
       対策部企画課長  太田 俊明君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国民年金法等の一部を改正する法律案(第百二
 十九回国会内閣提出、第百三十一回国会衆議院
 送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(種田誠君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 国民年金法等の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○今井澄君 おはようございます。委員の皆さん及び大臣初め政府関係者の皆さんも、本当に三日間朝から晩まで御苦労さまでございます。
 さて、昨日までの質疑の中で今回の年金改正のポイント、最大のところが支給開始年齢を段階的に六十歳から六十五歳に変更するという問題であるわけですが、そこでの最大の問題が雇用と給付の継続をどう図るかという、これは年金制度だけの問題ではなく、雇用制度を含めて国を挙げて、官民挙げて今後努力することだということになってきたと思いますが、そこで六十歳前半については別個の給付というものが出るということなわけです。この別個の給付の特例措置というものについても議論になったところでありますが、これについてきょうは端的にお伺いをしたいと思います。
 今回の改正法案のポイントの一つである別個の給付の導入に関連いたしまして、六十歳からフルペンションを支給する、いわゆる別個の給付の特例措置の対象者をどのように考えるべきかという点でありますが、この法案の骨格の取りまとめは旧連立政権時代に行ったわけですが、そのプロジェクトチームでも随分議論をされました。
 その結果二つの特例、一つは四十五年以上の長期加入者、二つ目が障害等級三級以上に相当する者というのがこの特例措置の対象として今回の法案に定められているところであります。今回、この法案の衆議院厚生委員会での審議の過程におきましてもこの点は議論になったと聞いておりますが、法案自体は一応この考え方を維持するということで、「次期財政再計算期までに、十分な検討を行い、必要な措置を講ずる」という旨の附帯決議が付されたというふうに承知しております。
 そこで、私は今回の法案及び衆議院での附帯決議の特例措置についての考え方を支持するわけでありますけれども、今後、長期加入者や障害等級三級該当者以外にもこの特例措置の対象とすべきかどうか判断を要する事例が出てくるのではないかと思います。そういった場合に、例えば客観的にあるいは外形的に特定できるかどうかとか、それからきのうもちょっと議論になりましたが、幾つかの事例の中には年金制度として対応することが社会的に適当かどうか、別個の制度で対応すべきものもあるのではないかと思います。
 そういった論点を勘案しながら、次期財政再計算期までに十分検討をしなければならないわけですが、政府の方でも、その検討の上で必要な措置を講ずるべきではないかというふうに考えます。この点について厚生大臣のお考えを伺いたいと思います。
#4
○国務大臣(井出正一君) お答えをいたします。
 別個の給付の特例措置につきましては、次期財政再計算期までに十分な検討を行い、その結果を踏まえて必要な法律改正を行うなど、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
#5
○今井澄君 どうもありがとうございました。
 それで、ちょっと鉄道共済年金の問題について大蔵省にお伺いしたいと思います。
 鉄道共済年金ははっきり言いまして破綻をしているということで、法律をわざわざつくりまして財政調整というのをこの間行っているわけでありますが、その財政調整に伴って自助努力というものが鉄道共済加入者あるいは年金受給者に要請されているところであります。
 確かに、鉄道共済年金につきましては、過去において退職時に一挙に何等級も給料を上げるとか、それで高い年金を出したとか、かなりいろいろな批判があることも事実であります。しかし、そういった運用がかなり乱暴に行われたとか、そういうことが鉄道共済の財政の悪化を招いた根本原因ではないことは明らかだと思います。
 これは、戦後の日本の国策として満鉄から帰ってきた人たち等の職場とか、いろんな意味で当時の国鉄に人を吸収したということがあるわけで国鉄の職員が大幅に膨れ上がった。また、そういう年齢の人たちを雇用したわけですから、当然この人たちがどんどん退職をするということで、年金の支給額が膨大に膨らむということはある意味では予想がついていたわけであります。しかも、産業の栄枯盛衰ということがあるわけで、この国鉄もリストラをしなければならない。最終的には民営ということになりまして、現役世代が減ってくる、それに比べて年金受給者が圧倒的にふえてくる、実はそこのところに根本的な原因があると思うわけです。
 その意味で言いますと、やはりこれは国の責任といいますか、ただ責任だけ追及してもしょうがないんですが、根本的には国の政策の中でこういうことが起こってきたというふうに認識しなければならないと思うわけであります。
 そうしますと、自助努力というものも当然のことながらお願いせざるを得ない。特に、ほかの各種年金から財政調整でお金を出していただく以上、そういう人たちのことも考慮して自助努力をすること自身について私は何も頭からいけないと言っているわけではないわけですが、この自助努力にもおのずと限度があろうと思うんです。それともう一つ、やはりこの自助努力にだけ頼るのではなく、国として抜本的な対策を考えていかなければならないと思うわけであります。
 そこで、大蔵省にお尋ねしたいわけですが、この自助努力の中身がどういうふうになっているのか、これは別の委員会で法案審議がされていると思いますが、厚生委員会としてもそういうことを伺っておく必要があると思います。
 まず第一に、平成元年の財政再計算分三・六%がずっと凍結されているわけですね。それは一応ことしの九月三十日までということで法律が成り立っていたと思います。それに対して今度の改正法案では、それをさらに三月まで延長するというふうに国会には法案が提出されたと聞いておりますが、現実に継続審議になりまして、十月を過ぎ、もう十一月になってしまったという段階で、この法案はどうなっているのか。この三・六%の凍結解除は自動的に十月一日から解除されたわけですが、どういうふうになっているのか、これをお尋ねしたいと思います。
#6
○説明員(松川忠晴君) 鉄道共済年金につきましては、委員御指摘のとおり制度間調整事業によりまして、他の年金制度からの財政支援を得てようやく年金の支払いを行っている状況にございます。
 御指摘の標準報酬の再評価の繰り延べ措置は、いわばこういった他の制度からの財政支援を受けている状況の中で、拠出側の制度の理解を得るための自助努力の一環として行われているものでございます。
 まず、平成元年の標準報酬の再評価につきましては、現行法上平成六年の九月まで繰り延べをすることとされております。そこで、今回の共済年金改正法案におきましては、各年金制度によって合意されております平成六年度末までの鉄道共済年金対策スキームに沿った形とするために、平成元年分の再評価につきましてさらに六カ月繰り延べ平成七年三月まで繰り延べるということとしていたところでございますが、本改正法案がさきの臨時国会で継続審議の扱いとなり、本年九月末までにまだ審議中の段階でございましたので、現行法に基づきまして、平成元年分の再評価三・六%は本年の十月から実施される扱いになったところでございます。
 これに伴いまして、改正規定に関しましては実施することが困難かつ不適当と考えられましたので、同規定は衆議院の委員会における修正で削除される扱いとなったところでございます。
#7
○今井澄君 皮肉なことに、継続審議になったためにこれは半年間の凍結が解除されたということです。
 引き続いて今度は、平成六年度の財政再計算分、標準報酬スライド三・四%、これについては引き続き来年の四月から繰り延べるということになっていると思うんですが、これについては衆議院でも附帯決議がついておりますけれども、早急に見直して、とにかくこういう大変気の毒なことは一日も早く凍結解除をするべきだと思っておりますが、このことについての見通しあるいは決意についてお答えいただきたいと思います。
#8
○説明員(松川忠晴君) 繰り返しで恐縮でございますが、鉄道共済年金につきましては、他の年金制度からの財政支援を受けましてようやく年金の支払いを維持している状況でございまして、まず拠出側の理解を得るための努力をする必要が肝要であるかと考えております。
 そこで、現行の対策のスキームにつきましては平成六年度までの対策のスキームが合意されているわけでございますが、平成七年度以降につきましては、これから関係者で協議いたしまして合意形成を図っていくべきものでございます。
 しかしながら、鉄道共済年金の厳しい状況は引き続き変わりませんので、引き続き拠出側の理解を得る必要があるということで何らかの自助努力をする必要があるものと考えておりまして、各公的年金制度の代表者から構成されております公的年金制度の一元化に関する懇談会の御了解もいただいた上で、平成六年分の再評価の実施につきまして、法律上次回の財政再計算期まで繰り延べるという扱いにさせていただいたところでございます。
 なお、この自助努力等を含む鉄道共済年金対策全体につきましては、同懇談会において公的年金制度一元化問題の議論の中で検討されるべきものと考えておりまして、自助努力等の扱いについてもその議論の中で検討させていただきたいと思っております。
#9
○今井澄君 自助努力のもう一つ大変気の毒な点が現役世代ですが、保険料率が非常に高いんです、一九・〇九%と。これは今度の改正でどうなるんですか。
#10
○説明員(松川忠晴君) 鉄道共済の掛金の扱いにつきましては、来年度以降の対策のスキームを考える際にどうするかということを議論させていただくことにいたしております。
#11
○今井澄君 そうするとこれは、厚生年金の方が二%上がるのが、この十月一日から二%上がるということではないんですね。
#12
○説明員(松川忠晴君) その点につきましては、厚生年金における保険料の引き上げの状況等もにらみながら拠出側の理解も得る必要がございますので、鉄道共済年金の対策全体をどうするかという全体の議論の中で議論されるべきものと考えております。
#13
○今井澄君 今までのお話を伺っていましても、一元化問題ということが先にはあるわけですけれども、どうも大蔵省の姿勢が何か腰が引けているというか、無責任なんですね。やっぱり国として自助努力だけを求めるのじゃなくて、大蔵省としてどうしたいかということ、一元化懇談会の中での議論にまつなんてそういう消極的な姿じゃなくて、もっとはっきり大蔵省としては、例えば一元化を積極的にやってほしいと、一元化を積極的に進める立場で関係の諸団体等に、関係官庁に働きかけるとか、そこのところをはっきり打ち出してもらいたいんですが、どうですか。待っているんじゃだめでしょう。
#14
○説明員(松川忠晴君) 鉄道共済年金につきましては、制度全体として従来からその重要性を認識いたしましてこれまで必要な諸対策を講じてきたところであります。
 昭和五十八年にはいわゆる統合法を制定いたしまして、国鉄共済の年金額算定方式を国家公務員共済の方式に合わせるとともに、国家公務員、NTT、日本たばこによる財政援助、掛金の引き上げ、年金のスライド停止などの諸般の財政対策を講じました。
 それから、さらにその後国鉄の分割・民営化あるいは基礎年金の導入等ということがございまして、そこで鉄道共済をめぐる環境にも変化が生じましたので、改めて対策のあり方について見直しが行われたところであります。有識者による懇談会が開かれまして、そこで鉄道共済の赤字の原因についての分析も踏まえた上で、今後の鉄道共済年金の対策のあり方について考え方が示されたところでございます。
 そこで、同懇談会では……
#15
○今井澄君 できるだけ短くね、もう大体わかりましたから。
#16
○説明員(松川忠晴君) 鉄道共済の責めに帰せられない部分を分析しておりまして、産業構造の変化によって鉄道事業の雇用が縮小してきているところに起因する部分が大きいということで、この部分につきましては年金制度一元化の方向の中で対応していく必要があるということを示唆しておりまして、それを踏まえまして、いわば一元化の中の地ならし措置といたしまして現在の制度間調整事業が行われているわけでございます。
 そこで、今後も一元化の方向の中で議論をしていただきたいと思っております。
#17
○今井澄君 要するに、これに責任を持っているのは大蔵省なんですよ。大蔵省がどれだけ熱心に強い意思を持って働きかけるかということが実は非常に大事なんですよ。待って待ってというんじゃだめなんですよ。
 そこで、厚生大臣にそれを強く申し上げておきますし、私も決算委員会にもおりますので、また今度、大蔵大臣に直接その辺はいずれチャンスを見てお願いをしたいと思っております。
 最後に厚生大臣、そういうことですので、年金一元化の問題は非常に重要な問題だと思いますが、こういう鉄道共済の問題なんかを受けて一元化を実現していくその御決意について、簡潔で結構ですがお伺いしたいと思います。
#18
○国務大臣(井出正一君) 年金制度の一元化については平成七年を目途とするという目標に向けて、現在、公的年金制度の一元化に関する懇談会において検討がなされているところでございます。
 その中では、今御論議がありましたような平成六年度末で期限の切れる日本鉄道共済年金に対する支援の仕組みについての新しい枠組みづくりなど差し迫った課題も含まれておるわけでございまして、それらの課題を含め一元化のあり方について精力的に検討してまいりたいと考えております。
#19
○今井澄君 どうもありがとうございました。
#20
○菅野壽君 年金改正法案の質疑も大詰めになってまいりましたが、私は今回の改正法案の経過を改めて振り返りまして、年金改正を実施していくに当たっての政府の決意をお伺いしたいと思うのであります。
 二十一世紀に向けて、社会保障の進め方について質問してまいりたいと思います。
 まず最初に、今回の法案は平成元年以来持ち越してまいりました課題に五年ぶりに回答を与えようとしているものでありますが、これは言うまでもなく厚生年金の支給開始年齢の問題であります。
 我々は、当時の連立与党年金改正プロジェクトチームにおいてこの問題について精力的な検討を重ね、改正法案をまとめ上げました。今日、当時の連立与党は与野党に分かれるという状況になりましたが、しかし私は、年金制度については長期的見地からその制度の行く末を論ずべきであり、政権交代によってその方向にぶれが生ずることがあってはならないと思います。老後の安らぎはすべての国民の願いであり、国民のための年金制度をつくり上げていくのが我々政治家の使命であります。
 そこで、大臣にお伺いいたします。
 年金制度改正について、二十一世紀を見据え、長期的観点に立ってそのあり方を決定すべきだと考えますが、いかがでございましょうか。このような立場に立った場合、この法案の評価についてここで改めて聞いておきたいと思います。
#21
○国務大臣(井出正一君) 年金制度は、長期にわたる国民の老後生活を生涯にわたり支えていくものでございまして、本格的高齢社会においてもこのような役割を確実に果たしていくことが必要であると考えます。
 このため、年金制度を人生八十年時代にふさわしいものとするとともに、人口高齢化や少子化が進行する中で、将来にわたり長期的に安定した制度としていくことが重要な課題となっております。
 今回の年金改正法案は、長期的視点に立って、活力ある長寿社会に向けて高齢者の雇用を促進するとともに、年金制度もこれと連携のとれた仕組みとすること、また将来の現役世代の負担を過重なものとしないよう給付と負担のバランスを図ることという観点から、制度全般にわたり必要な見直しを行うものでございまして、二十一世紀の超高齢社会に対応できる制度改革であると認識をしております。
 また、先生ただいま御指摘くださいましたように、まさに政権の交代でぶれるようなものであってはいかぬと思いますし、事実、今回の法案の御論議にそれぞれのお立場、与野党というお立場を超えて熱心な御論議をいただきましたことを大変ありがたく思っております。
#22
○菅野壽君 今回の改正法案について最大の論点となったものの一つとして、基礎年金の国庫負担の引き上げの問題がございます。
 ところで現在、国民の多くが寝たきりや痴呆等になったときにどうするかという不安を持っております。私は、長い間医師として医療に携わってきた者として、二十一世紀に向けて医療、介護は大きな問題となると考えております。また、子育ての問題も重要であります。
 基礎年金の国庫負担率の引き上げも重要な検討課題であることは確かであります。しかし、財源が限られていることを考えますと、介護や子育てといった緊急を要する課題との優先度についても慎重に考える必要があると思います。
 私は、社会保障制度については、二十一世紀に向けて、年金、医療、福祉といったそれぞれの重要度を慎重に考えつつ、めり張りをつけて実施していく必要があると考えます。この点について、大臣の御見解を賜りたいと思います。
#23
○国務大臣(井出正一君) 本格的な少子・高齢社会に対応した社会保障制度を構築するためには、年金、医療制度の長期的安定を図るとともに、特に高齢者介護や子育て支援などの需要に対応した対策の充実を図り、年金、医療、福祉等のバランスのとれた社会保障を実現していく必要がございます。
 このため、特に高齢者介護対策としての新ゴールドプランや子育て支援対策としてのエンゼルプランについては、今般の税制改革に伴う一連の措置も一つの足がかりとして、引き続き財源の確保にも配慮しつつ、できるだけ早く具体的内容の詰めを行いたいと考えております。関係省庁と目下鋭意協議を進めておるところでございます。
 また、年金の国庫負担のあり方につきましては、年金財政の将来見通し、費用負担のあり方、社会保障施策における位置づけなどを総合的に勘案↓、国民的議論を積み重ねながら、検討規定にもあるとおり次期財政再計算期を目途に検討を加え、国民のコンセンサスを得ていくべき問題だと考えております。
#24
○菅野壽君 第三点といたしまして、今回の改正法案は非常に長期にわたる検討の結果提出された法案であります。その実施にはさらに長期の準備期間が設けられております。すなわち、別個の給付は二〇〇一年から導入され、最終的にはその導入が終了するのは二〇二二年であります。今年から数えますと十九年にもかかる仕事であります。この間に、政府は約束どおり高齢者雇用を促進する責務があります。政府のみならず、事業主も労働組合もこの目的に向けて努力していかなければなりません。さらに、今後世代間での雇用機会の再配分も課題であります。
 今回の改正法案の実施に当たっても、働くことを希望する者が全員働くことができる社会づくりが最大のポイントになります。高齢者雇用の推進など、その円滑な実施に向けて最大限の努力を払うことが大変重要であると考えるものであります。
 そこで最後に、今申し上げた点を含め、今後の年金制度の長期的安定に向けて取り組む大臣の決意のほどをお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
#25
○国務大臣(井出正一君) 年金制度は、先生御指摘のとおり、国民の老後生活の所得を支えるものとして極めて重要な役割を果たしてきております。特に、国民の長寿化が進み老後期間が長くなっていることから、年金の果たすべき役割はますます大切なものとなってきております。
 このような大事な年金制度を、急速に人口の高齢化が進む中で、将来にわたり長期的に安定した制度として確立していくことが何より重要と考えております。今回の改正により、二十一世紀に向けて制度の安定化が図られるわけでございますが、今後とも高齢者や障害者の生活を揺るぎないものとするよう、政府といたしましても誠心誠意努力してまいるつもりでございます。
#26
○菅野壽君 ありがとうございました。
#27
○勝木健司君 まず最初に、労働省にお伺いいたしたいと思います。
 我が国の人口の高齢化が二〇二〇年代半ばでピークを迎えようとしている中で、年金制度においては、男子は二〇〇一年度から二〇二二年度にかけて、女子は二〇〇六年度から二〇一八年度にかけて支給開始年齢を六十五歳に引き上げることとしておるわけでありますが、そのためには六十歳代前半の雇用が保障されるということが前提と考えるものであります。
 私も本会議で、高齢者雇用ビジョンを示せと労働大臣に対して質問いたしましたけれども、この高齢者雇用の現状とかあるいは高齢者雇用対策の内容、将来の見通しについて簡潔にお伺いをしたいというふうに思います。
#28
○説明員(太田俊明君) お尋ねの高齢者雇用の現状、見通しあるいは対策でございますけれども、まず高齢者雇用の状況につきましては、六十歳定年制は着実に普及してきておりますけれども、完全失業率あるいは有効求人倍率で見ますと、まだまだ高齢者の雇用失業情勢は厳しいわけでございますし、また希望すれば六十五歳まで働くことのできる制度を有する企業もいまだ二割程度ということで、今後六十五歳までの雇用確保が大変重要な課題になっておるところでございます。
 他方では、今までも御議論ございましたように、二十一世紀初頭には労働力人口の四人に一人が高齢者となるということで超高齢社会が到来するわけでございますし、また我が国の高齢者の就業意欲は極めて高いという特徴もあるわけでございます。これに対応しまして二十一世紀初頭までに、希望すれば六十五歳まで現役として働ける社会を実現していくことが極めて重要となっております。
 このために労働省としましては、さきの通常国会で改正していただきました高年齢者雇用安定法に基づきまして、六十歳定年制を基盤とした六十五歳までの継続雇用を推進しますとともに、高齢者の就業ニーズに応じた多様な形態によりまして、六十五歳までの雇用機会を確保するための施策を積極的に講じていくこととしております。
 さらに、あわせて改正雇用保険法に基づきまして、高年齢雇用継続給付制度の実施によりまして高齢者の雇用継続を援助、促進することとしているところでございます。こういった施策によりまして、先生御指摘のとおりビジョンを持って高齢者雇用の推進に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
#29
○勝木健司君 高齢者雇用を考える上で、中途採用の停止とか削減、あるいは臨時、季節、パートの削減というのが労働力減少の原因となっていることを考えますと、やはり今後の高齢者雇用の促進といった観点からは困難な状況が想定されるのではないかというふうに思われます。また、平成六年九月の完全失業率も三・○となっておりますし、最近では定年制の空洞化現象も見受けられるわけであります。
 離職者の再就職が困難な状況を考えますと、景気動向がどうだからというのではなく、やはり高齢者雇用という観点から六十五歳定年制の導入というのを視野に入れて考えていかなければいけないんじゃないかということで、特に支給開始年齢が完了する二〇二二年には当然六十五歳定年制というのが定着をしておらなければいけないと思うわけでありますが、労働省の見解をお伺いしたいと思います。
#30
○説明員(太田俊明君) 先生御指摘のとおり、今大変雇用失業情勢が厳しい中で、高齢者の雇用失業情勢もなかなか厳しいものがあるわけでございますけれども、そういう中で、私どもも高齢者の雇用対策、先ほども申し上げましたような施策で全力を尽くしてまいりたいと考えております。特に、本格的な高齢化社会の中で高齢者の方が安心して生活が送れるようにするためには、やはり雇用政策と年金政策との連携を図りながら高齢者の雇用の促進を図ることが大変重要であると認識しております。
 六十五歳の定年制の問題でございますけれども、一般に高齢者の方は、六十歳を超えますと健康等の個人差が拡大するとともに、就業ニーズもいろいろ多様化してまいるわけでございます。高齢者の企業内における六十五歳までの雇用確保につきましては、こういった点を考慮しますと、少なくとも現時点におきましては一律に六十五歳までの定年延長によることは適当でなく、定年延長も含め勤務延長や再雇用といった多様な形態によって継続雇用を促進していくこととしておるところでございます。
#31
○勝木健司君 次に、介護問題についてお伺いしたいと思います。
 高齢化あるいは少子化の中で介護を必要とする家族を抱えた人たちは、介護のために収入が減ったとか、あるいはストレスや精神的負担が重いとか、あるいは十分な睡眠がとれないといった深刻な悩みを抱えておるわけであります。
 本会議において労働大臣に伺ったところによりますと、審議会において介護休業制度の法制化を含む有効な普及対策について検討が進められておるということでありますが、次の通常国会を視野に入れて期待しておるというふうに具体的に労働大臣からのお答えをいただいたわけであります。次の国会ではしっかりとした提案を私どもは期待をいたしておるわけでありますが、その辺の進捗状況も踏まえて、労働省の見解をお伺いしたいと思います。
#32
○説明員(北井久美子君) さきの本会議におきまして労働大臣が御答弁を申し上げましたとおり、現在関係審議会で専門家会合の研究結果を参考としながら、介護休業制度の法制化を含む有効な普及対策について検討を行っていただいているところでございます。
 労働省といたしましては、なるべく早く審議会での結論が取りまとめられるようによくお願いをしているところでございまして、その結論が得られ次第、速やかにそれに基づいて対応してまいりたいと思っております。
#33
○勝木健司君 もう時間が余りありませんので、労働省ありがとうございました。
 続いて、厚生大臣にお伺いしたいというふうに思います。
 介護という問題につきましては、私も本会議で質問させていただきましたけれども、高齢者介護対策本部を設置するとともに年内には取りまとめを予定しておると回答をいただきました。そこで今どういった論議がなされておるのかということ、また公的介護保険についての新介護システムを検討する上でこれは選択肢の一つであるとも回答をいただいておるわけでありますけれども、介護システムとしてほかにどういったものが考えられるのか、検討されておるのかということもお伺いしたいというふうに思います。
#34
○政府委員(太田義武君) 現在検討している中身ということでございますので、私から事務的にお答えさせていただきますが、現在の検討の形は高齢者介護対策本部の中に設置されております学識経験者による高齢者介護・自立支援システム研究会というところでこの七月から精力的に研究を行っていただいております。
 ここでは、我が国の高齢者介護の現状をレビューしていこうというのが第一点です。
 それから第二点は、内外の先進的な取り組み、これをよく勉強しようということで、例えば国内といたしましては、巡回介護による二十四時間在宅看護をやっておりますような福岡県福岡市のケースとか、あるいは秋田県秋田市にあります痴呆性老人グループホームとか、あるいは広島県御調町などで行っております医療、保健、福祉の連携の問題、そういうところ。あるいは外国につきましては、ドイツの介護保険制度とかあるいはスウェーデンの高齢者保険システム、こういうところの研究を行っております。
 第三番目には、現行の老人医療あるいは老人福祉制度の機能と課題、これはどうなっているかということで、例えば老人福祉につきましては、現在の制度の機能としてはニーズの高い方々に対して優先的なサービスの提供が可能でありますし、一定の水準のサービスの質の確保に現在の措置費とか職員の配置基準というのは寄与はしておりますけれども、そこにまたいろいろと課題もございます。例えばサービスの選択ができないとか、サービスが画一的だとか、あるいは応能負担の中高所得者の負担が大きいとか、あるいは手続の面倒さとか、サービス供給側に競争メカニズムが機能してないとか、そんな課題もあるかと思いますが、そういう点。あるいは老人医療の点に限って見ますと、フリーアクセスが保障されていて容易に医療を受けられるという状況にありますけれども、課題としては社会的入院があるのではないかとか、あるいは生活面の配慮が不十分ではないか、こんな課題もいろいろあると思います。そういう点の議論をしております。
 そして第四点は、高齢者の住宅とかマンパワーをめぐる問題について、例えば在宅生活を継続しながら療養ができる住宅の提供というのを積極的に推進するにはどうすればいいんだろうかとか、あるいはマンパワーの問題として、今後の介護需要に見合う大量のマンパワーの確保のための具体策はどうするか。その中で、特にケアマネジメント、横文字を使って恐縮でございますが、ケアマネジメントを行う、そういう人材の養成、確保をどうするかという点を四番目として議論しております。
 また、先生御指摘の第二番目の問題にありますが、選択肢としては公的な介護保険のほかに何があるかということでございますが、一つは、現行制度のような公費による方法があるかと思います、そしてもう一つは、公的介護保険という社会保障制度審議会の報告で言われているような方法もあるのかと思います。そのほかに、これがとり得るかどうかという問題はありますけれども、もちろん議論の対象として民間の介護保険というのはどういうものなのかということも研究はする必要があると思います。
 いずれにいたしましても、先生今お話がありましたように、この研究会は年内を目途に取りまとめを行うこととしておりますので、もう少しお時間をいただければというふうに思っておりますし、この報告を待ってさらに検討を進めてまいりたい、このように思っております。
#35
○勝木健司君 ある調査によりますと、介護のためにやむなく退職をしたり、あるいは勤務先や勤務条件を変えざるを得ない人が四割を超えるといった結果が出ておるわけであります。また、介護休業制度を導入している多くの企業でも、その多くがその期間は無給でありやはり深刻な問題であるということであります。
 今回、衆議院の附帯決議でも「次期財政再計算期までに、十分な検討を行い、必要な措置を講ずるLとしておるわけでありますが、六十五歳に達しないが家族にこうした要介護者を抱えている場合は一体どういう方法を考えておられるのか、厚生大臣にお伺いいたします。
#36
○国務大臣(井出正一君) 別個の給付の導入に際しましては、先生既に御案内のとおり、四十五年以上加入した者のほか、働くことが著しく困難な障害者に対しては、従来どおり例外なく年金を支給するといった配慮は行っておるところでございます。
 先生が今御指摘の家族介護の問題でございますが、まず介護休業制度の導入など介護についての社会的コンセンサスを形成していくことや、高齢者に対する介護サービスの分野で対応すべきでありまして、別個の給付の特例措置という形で年金で最初に対応すべき問題ではないのじゃないか、こう考えておるところでございます。
 なお、別個の給付の特例措置につきましては、先ほど今井委員にもお答えをいたしましたが、次期財政再計算期までに十分検討を行い、その結果を踏まえて必要な法律改正を行うなど、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
#37
○勝木健司君 次に、厚生年金の財政再計算時に過去の標準報酬の再評価を行っていくということで年金の改定が行われておるようでありまして、今回も再評価率は現役世代の税、社会保険料を除いた手取り賃金の上昇に応じたものとなっておるということです。そういった意味では、後世代の負担増を相当緩和させたということで効果が期待されておるわけでありますが、このネット所得スライドの採用によって財政の影響はどうなっておるのかということをお伺いしたい。
 そして、このネット所得スライドの採用によって給付水準の指標というのをどの程度に考えておられるのか、年金水準の新たな目標をどこに置かれるつもりなのか、ネット所得で現役世代の約八割という老齢厚生年金の給付水準は今後も当然維持されていかれるのか、従来の名目賃金に対して七割弱といった水準は今後一体どうされるのか、あわせて厚生大臣にお伺いしたいと思います。
#38
○政府委員(近藤純五郎君) ネット所得スライドは今回この法案に入れさせていただいたわけでございまして、それで再評価を行うということでございます。これによります財政影響でございますが、厚生年金の最終保険料率で二%程度低下する、こういうふうに見込んでいるわけでございます。
 このネット所得スライドを採用することによりまして年金水準の新たな目標はどうなるのかということでございますが、経緯を申し上げますと、厚生年金の給付水準は昭和四十八年の改正におきまして直近の男子の平均標準報酬、いわゆる賃金の六〇%を目途とするという考え方が導入されたわけでございますが、その後被保険者の加入期間が時代とともにふえてまいりまして、昭和六十年当時には男子の平均標準報酬の六八%まで達したわけでございます。
 その六十年の改正におきましては、厚生年金の定額部分と加給年金を夫婦それぞれの基礎年金に再編成いたしたわけでございまして、その再編成いたしました結果の制度成熟時におきます厚生年金の水準、基礎年金が夫婦で一つずつ、それから報酬比例部分の年金、こういうことで成ります制度成熟時の水準では六八%ということになったわけでございます。
 今回のネット所得スライドの導入によりまして、ネット所得に対します年金の割合というのは将来ともに維持されていくわけでございますけれども、平均標準報酬に対します比率というのは、ネット所得の割合が低下いたしますと比率も低下していくということでございます。私ども、他の保険料とかそれから税負担の関係がわかりませんので、これを一定といたしまして今回の財政再計算におきます年金の保険料率の上昇を考慮して推計を行いますと、二〇二五年では現役の標準報酬に対する比率というのは、六八と見ましたものが六四程度に低下するのではないか、こういうふうに推計をいたしておるわけでございます。
#39
○勝木健司君 次に、これも本会議でも質問させていただいたわけでありますが、未加入の問題であります。
 未加入者と保険料免除者とか滞納者を含めますと、第一号被保険者の三人ないしは四人に一人がいわば制度から脱落しているということになるわけでありまして、特にこの第一号に未加入の者は二十歳代が全体の五割弱にも達しておるということで、このまま放置しておきますとまさに年金制度の空洞化をもたらしかねない問題であるわけであります。
 この未加入、未納者対策ということで、国民皆年金という年金制度の根幹にかかわる問題だけに厚生省としても当然手を打っておられると思いますが、対策に精いっぱい取り組んでいただきたい。骨に、低所得者層が年金制度から脱落しないように、国民の理解とかあるいは制度の見直しにも積極的に取り組んでいただきたいわけでありますが、今後の対策について、番号制度についてはお伺いしておるわけでありますが、そのほかどういう手を考えられておるのか、厚生大臣にお伺いしたいというふうに思います。
#40
○国務大臣(井出正一君) 公的年金制度の運営に当たりましては、今先生御指摘のように、未加入、未納者の解消を図り国民の信頼を確保していくことは極めて重要な課題であると認識をしております。このため、国民の理解と信頼を深めるための広報活動の強化充実や年金教育の推進、基礎年金番号の設定、口座振替の促進などの保険料を納付しやすい環境づくり等を進めることにより未加入、未納問題の解消に努めるとともに、低所得者層については免除制度の適切な運用を図るなどの努力をしてまいりたいと考えております。
 また、国民年金の第一号被保険者として加入すべき者で、未加入の者や滞納者が少なからず存在していることにつきましては、国民一人一人の年金の確保を図り制度を健全に運営していく観点から、これをいかに減少させるかということが最大の課題であると考えております。このため、今後とも、特に若年層の理解を得るため、学校教育との連携による年金教育の推進、あるいはことしも近く始まりますが年金週間の実施、テレビスポットの活用等あらゆる方法を用いて広報活動を充実し、年金制度の周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
 また、二十歳に到達した時点で漏れなく加入していただくため、住民基本台帳等を活用して適用対象者を把握し、戸別訪問を含めて適用対策を徹底してまいりたいと考えておるところであります。
#41
○勝木健司君 この未加入、未納者の発生する原因の一つに、第一号被保険者の保険料定額制というのが考えられるのではないかと思います。
 保険料は国民年金のスタートした昭和三十六年から順次改定をされておるということで、将来の財政見通しては、平成二十七年には月額二万一千七百円程度になると伺っておるわけでありますが、将来こういう高額の保険料負担に低所得者層がたえられるのかという問題のほかに、国民年金の定額負担あるいは定額給付のあり方そのものにも国民の各階層間、特に若い者の将来の不安感ということで不公平感が生じてきているのではないか。収入の多い人あるいは少ない人、定額負担というのは制度創設時には定着させていく意味でやむを得ない、ある程度理解はできるわけでありますが、ここまで年金制度が定着をしてきておる、逆にまた空洞化現象も見られるという状況の中で、制度への不満とかあるいは不信感の原因というのもそこら辺にあるのじゃないかというふうにも考えられるわけであります。自営業者の収入把握というのは確かに非常に困難であるということでありますが、その人の収入の多寡によって保険料に差があっても私はいいんじゃないかというふうに考えております。
 年金制度は、それぞれの世代間の助け合いあるいは制度への信頼感が何よりも大切でありまして、応能の負担あるいはまた負担に応じた給付といった仕組みに変えていくということも考えられるのじゃないかというふうに思いますが、こういう点について厚生大臣の見解をお伺いしたいと思います。
#42
○国務大臣(井出正一君) 国民年金におきましては、今先生御指摘ございましたように定額保険料、定額給付となっておりますが、これらの国民年金の被保険者はそれこそ多種多様でございまして、厚生年金の被保険者に比べ所得の把握が困難なことから、制度発足の当初から定額の保険料としているものでございます。低所得者に対しては保険料の免除制度を設け、定額保険料に伴う負担の軽減を図っているところでもございます。
 これに対しまして、国民年金の保険料に応能負担の考え方を導入したらどうかということでございますが、そうしますとこれはやっぱり所得税に準拠して行わざるを得なくなることでございまして、国民年金の被保険者のうち所得税課税者の割合は、はっきりはつかんでおりませんが二〇ないし三〇%にすぎないと見られること、また所得の把握を正確に行うことができるかなど困難な問題が実はあるものですから、今先生の御指摘の点につきましては今後なお検討を要する課題である、こんなふうに考えておるところでございます。
#43
○勝木健司君 次に、厚生年金の保険料についてお伺いいたしたいと思います。
 本改正案ではボーナスから一%の特別保険料の徴収が盛り込まれておるわけであります。一昨日の本委員会で質問をさせていただきまして、これは暫定措置ではなく恒久財源であるという回答を得たわけでありますが、ボーナス保険料というのは、応能的負担あるいは同一世代間の公平、公正、あるいは月例保険料の漸増抑制効果等の観点からは私どもも理解できるものではありますけれども、今回の案ではこの保険料率の軽減とかあるいは負担の公平化にほとんど寄与していないのではないかと思うわけであります。
 負担の公平化の観点からも、保険料の算定に当たっては現行の標準報酬月額制度ではなくやはり年間総報酬ベースに移行させるべきではないのか。そしてまた、あわせて、ボーナスからの保険料徴収によって月例保険料率も当然引き下げる方向で検討をすべきであるというふうに考えるわけでありますが、御見解をお伺いしたいというふうに思います。
 ボーナスからの保険料徴収は将来の年金の給付には反映されないものということで導入されておりますけれども、やはり私は、それこそ不公平を生むんじゃないかということで負担と給付のアンバランスを助長するだけでありまして、当然給付に反映させるべきものであるというふうに思いますが、厚生大臣の今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。
#44
○国務大臣(井出正一君) 一賞与等から徴収する保険料を給付に反映させる場合には、給付設計の大幅な見直しが必要となること等から、今回導入する特別保険料につきましては給付には反映させないこととして、その保険料率は一%と低くしたところでございます。
 負担する保険料に応じた給付を行うということは、年金制度の基本的な考え方の一つであろうかと思います。また、保険料負担のあり方としても、総報酬制の導入は十分検討する意義のある問題だと考えております。このため、総報酬制の導入につきましては、いろいろ現実的には難しい問題もありましょうが、次期改正に向けての重要なテーマと認識しておりまして、今後十分検討していきたいと考えております。
#45
○勝木健司君 時間も参りましたので、最後に。
 この新しい制度は、六十歳代前半は年金と雇用所得でやっていこうということが前提になっておるわけであります。現状では、六十五歳までだれでもが働けるという環境はまだ緒についたばかりでありますから当然整っていないわけでありますから、そういった意味では、年金制度は社会経済の変化を踏まえながら絶えず見直しをしていくべきものじゃないかというふうに思います。
 今後もそういう姿勢で年金改革に取り組んでいくべきであるというふうに思うわけでありますが、厚生大臣の御所見を最後にお伺いしたいというふうに思います。
#46
○国務大臣(井出正一君) 長期的に安定した年金制度の確立を目指して少なくとも五年に一度財政再計算を行うこととしており、このような再計算の時点時点においてそのときどきの社会経済状況を踏まえ、必要な見直しを行ってまいりたいと思います。
#47
○勝木健司君 ありがとうございました。終わります。
#48
○高桑栄松君 それでは最初に、大臣に一つ伺いますが、一昨日私は、労働省の課長さんから六十歳代前半の雇用確保の重要性を伺ったし、対策も伺いました。きのうの参考人の御意見の中でも、六十歳代前半の雇用対策が非常に重要であるという御意見が出ておりました。
 改めて、大臣のお考えを承りたいと思います。
#49
○国務大臣(井出正一君) 今度の御審議いただいております年金法の改正案の最も大きな改正点の一つが、まさに六十歳代前半の皆さんに、元気な方は働いていただくような社会をつくり、またそういうような中で給付で生活をしていただくという点にあるわけでございますから、六十歳代前半の皆さんの雇用がきちっとした状況になくてはこの年金制度そのものが大変おかしなことになってしまうわけでございますから、そういった意味では、政府といたしましても六十歳代前半の雇用に対してそれがきちっと展開できるような方策や対策を講じていかなくちゃならぬ、こんなふうに考えております。
#50
○高桑栄松君 労働省ともタイアップされまして、ひとつしっかりお願いしたいと思います。
 それでは、年金そのものの方の問題に移りますが、現在の老齢基礎年金の繰り上げ支給の場合、減額率の算定基準というのはどういうふうにしてやったのか、それから何年のが今の基礎になっているのか、ひとつ伺いたい。
#51
○政府委員(近藤純五郎君) 基礎年金の繰り上げの減額率につきましては、平均余命と予定利率の関係で決まってくるわけでございます。六十五歳から本来受給する場合に受け取る生涯の受給額と、繰り上げした年齢から受給した場合に受け取る生涯の受給額が等しくなるようにその減額率を定めたわけでございますが、平均余命を使いましたのは昭和三十年の生命表でございまして、予定利率につきましては年率五・五%を使っております。
#52
○高桑栄松君 今のをお聞きして、実はびっくり仰天をいたしました。今、昭和三十何年のとおっしゃいましたか。
#53
○政府委員(近藤純五郎君) 昭和三十年です。
#54
○高桑栄松君 昭和三十年、国勢調査のあったときですね。私は三十六年かと思ってそういう意味で試算をしたので、私の試算よりも厚生省はもっと平均余命が短いときのことを言っているんですね。
 昭和三十年、男の平均余命、寿命ですが六十三・六、女性六十七・七、この場合男性だけに時間の都合上省かせていただきますが、私が計算の基礎としたのは昭和三十六年、六十六歳、既にこれで三歳の差がございます。そこで、平均余命の表を今日まで使っておられたとしますと、現在は平成五年で男七十六歳でありますから、昭和三十六年と比較しても十年以上の延びがあるわけです。その間この減額率を使ってきているというのは極めておかしな話ではないか。
 時間の都合もありますので、計算してくれという質問を出しておかなかったから私が計算したのを申し上げますと、現在の減額率というのは、六十ないし六十一歳でもらうと〇・四二が減額率、したがって給付率が〇・五八になります。その〇・五八を六十五歳になってフルに普通の人はもらう。それまで減額でもらっていく。これがあと十年、七十六歳まで生きたとすると十五年間この率でいくわけだ、そうですね。それで、〇・五八の給付率で十五年間もらいますと、十五年トータルで八・七、つまり、本来一年間の年金一〇に対して八・七しかもらえない。トータルが一緒になるということはありません。差が一・三、五万五千五百円が基礎年金ですから、つまりそれの一。三年分が少ないということであります。
 六十四ないし六十五歳の減額率が〇・一一、給付率はしたがって〇・八九、これを十一年もらいますと九一七九、つまり一〇に対して〇・二一だけ少ないんです。六十歳てもらった場合を想定いたしますと、実際に十五年間でもらうのが八・七年分でありますので、一・三年分は八十六万五千八百円になります。これは六十五歳からもらった人と同額というわけにはまいらないわけです。
 二十年もらったというのも計算してございますが、これでいいんでしょうか。これは減額をされた人が今の算定基準で生涯受給総額はほぼ等しくなる。それが十五年で一・三年違うと八十六万五千八百円ですから、これは大変な差でありまして、年金側はそれだけ払わなかったということでありますから、非常に早くもらった人のおかげで年金の財政が少しばかりプラスになったと思っておられるんでしょうか、ちょっとお伺いしたい。
#55
○政府委員(近藤純五郎君) 先生が御指摘になったような事実はあろうかと存じます。基礎年金は本来六十五歳から支給されているものでございまして、六十五歳から満額の年金受給というのが望ましいわけでございます。しかし、実際に受給されている方を見ますと、累積でございますけれども、三分の二の方が繰り上げていただいている、こういう状況になってございます。ただ、現在新しく受給者になる方は、年々少しずつ繰り上げされる方は減っておりまして、平成四年で見ますとそれでも四七%と、こういうふうなことで、私どもはなるべく六十五歳からもらっていただきたい、こういうふうなことで現行の繰り上げ減額率を維持している、こういうことでございます。
 ただ、今回の制度改正によりまして、平成十三年度から特別支給の老齢厚生年金の見直しをするわけでございまして、厚生年金の受給者の方については基礎年金の繰り上げを新たに認めよう、この制度を新たにつくろうと、こういうことを考えているわけでございます。その際には、その時点での直近の生命表、これはまだできておりませんが、これからできる平成十三年に使える直近の生命表に基づいた減額率に改めたいというふうに考えているわけでございます。その際には、自営業者の方も一緒に基礎年金のあれでございますから改定をしよう、こういう考え方でございます。
 それから、先生御指摘のように、今の減額率でいきますと財政効果というのは当然あるわけでございまして、これを改めますと保険料の増になる、こういう関係に相なるわけでございます。
#56
○高桑栄松君 財政効果というのは予測をしているだけでありまして、財政の動きが当たったためしがないわけです。いや、ためしがないと言っちゃ経済学者に失礼でありますけれども、天気予報と同じだと言っても困るし、当たる場合もあるし、当たらない場合もあるしということでありまして、それは予測しておられるだけでありまして、もらう側にすれば減額率が非常に損なんですね。
 面倒だから私が計算したのを申し上げますと、大体昭和三十年というのは驚きでありまして、そのときの平均寿命は男が六十三・六ですから、それで六十五歳までなんてもらえないです、これはね。だから、それは早くもらった方がいいぞと言ったに違いないんです。昭和三十六年で六十六歳ですから、私が計算の基礎にしたのはここですから。六十六歳、もう六十五歳まで繰り上げでもらっても、あと一年で死んでしまう。言い方悪いですけれども、平均寿命ですから、トータルすると六十六、一年で亡くなると。だから、もらえもらえと言ったに違いないんだけれども、これは昭和三十年を基礎にして言ったということがそもそも私には極めておかしいと。
 五年ごとに国勢調査が行われておりまして、昭和三十五年からは完全生命表が出されているわけです。その間に簡易生命表というのが毎年出るわけだから、これはもうそんな逃げ口上はできないです。
 余りにもひどいので実は私は驚いたんですが、私が現在の平均寿命七十六歳を基準にして考えまして、十五年間もらう場合の減額率を計算してみますと、厚生省のは〇・四二になっています、給付率は〇・五八。これを減額率〇・三三三にいたしますと、つまり給付率を〇・六六六、約七割給付をいたしますと、十五年間でトータルが九・九九になります。つまりほとんど一〇です。
 それから、六十四歳で減額率が〇・一一になっています。これは私の計算では〇・〇九一減額率を下げる、給付率を〇・九〇九に上げる、こういたしますと十一年間で九・九九九です。つまり、六十五歳以後十年もらったのと、減額をしてもらいながら合わせて十一年または十五年もらったのとがほとんど一〇で一緒になるんです。これがあなた方の言っている生涯受給総額がほぼ等しくなるような減額率と、こうなるわけですよ。
 ですから、昭和三十年を基礎にした生命表を用いて今日までほうっておいて、そしてこの先あと何年ですか、ほうっておこうというわけだ。それはもらっている人は大変な話ですよ。早速これは減額率を改定しなければ、さっき申し上げましたが、六十歳で減額率○・四二の人は一・三年分、一年四カ月近いわけだ、その分だけ損する。損というのは変ですが、トータルから少ない、八十六万五千八百円ですから。これはただじゃ済まされないと思うよ。これははっきり減額率の改定を取り急いですべきだと思いますが、いかがでしょう。
#57
○政府委員(近藤純五郎君) 先生、平均寿命でおっしゃっておられますが、平均余命の関係で恐らく計算していますので、ただ、まあ先生がおっしゃるのと余り変わらない結果になろうかと思います。
 私ども先ほど申し上げましたように、確かにこれは前々から言われた問題でございます。いろいろこれについては検討してきたわけでございますけれども、これはそのときどきにもらわれる方がそれを覚悟の上でもらわれるわけでございまして、私どもとしましては満額でもらうようなことでしたいというふうな政策的な考え方もございますので、現行の繰り上げ減額率は当面の間は維持させていただきたいというふうに考えております。
#58
○高桑栄松君 覚悟の土とおっしゃるのはおかしな話じゃありませんか。私が聞いている人は、わからぬけれども、ひょっとしたら早く死ぬかもしらぬから早くもらおうと。そして、それが死ぬまで続くんですよということは知っていますよ。覚悟の上しゃないんだよ。ひょっとしたらなんです。しかし、平均余命というのはそれにプラスマイナスが入って平均余命になっているんですから、それを、平均余命の生命表を昭和三十年を基礎にするから早く死ぬだろうと思って減額率を高くしているわけです。ですから、長くもらえるとなれば話は別なんだ。
 だから、覚悟の上というのは一人一人納得させていますか。インフォームド・コンセントがありますか。そのインフォームド・コンセントを医者にだけ言われたんじゃ困るのでありまして、医者は今それで多くの人も大分困っていると言うとまた語弊がございますが、いろいろと問題を起こしているんですよ。あなたは覚悟の土とおっしゃっている。国民のこれだけたくさんの年金をもらっている人にそんな説明をしただろうか。
 私も実際はこの質問に当たって勉強して初めてよくわかったのでありまして、うちの家内なんかわかっていませんよ。僕はわざわざ電話で、おまえどうなんだと言ったら、いや六十五歳からもらうようにしたけれども、何でも減額されたのがそのまま生涯続くんだそうですねと。それで僕は計算してみたんです。ですから、これは多分間違いない計算です。詳しく全部あるんですよ。二十年もらう場合とありますけれども。
 それから、平均余命が違うというのは、前後二、三年の間は同じですよ、確かに。しかし、昭和三十年は六十三歳、昭和三十六年は六十六歳ですよ。三年違うんですよ、これだけで。そして、現在は七十六歳ですから、昭和三十六年に比べて十年違うんです。これだけ長生きの方々が減額されて五八%の給付率でずっといくわけだ。私の計算でいくと、今十五年もらっている人が〇・六六六。これで初めて十五年間のトータルが九・九九になる。ほとんど一〇です。僕は利子計算入っていませんからね。
 そういうことでございまして、どうしても減額率の算定は急がなければいけない。だって、国民のそれをもらっている人が非常に不利なんです。きょうの私の質問を新聞に載せてもらいたいぐらいだ。そうしたらもう文句言いに来ますよ。大臣、どうなさいますか。これはやっぱり大臣に御答弁をお願いしたいと思います。
#59
○国務大臣(井出正一君) 今、先生の御質問あるいは御指摘に、局長、正直のところ大変苦しい答弁をしておるように私も思います。
 ただ、今までも随分この問題は検討をしてきたことも事実のようでありまして、その昭和三十年の寿命をいまだに使わざるを得ない状況にもあったようであります。しかし、先生のお話もまたよくわかるところも大変ございますから、これまた少し検討をしなくちゃならぬ問題がな、こう考えてはおります。
#60
○高桑栄松君 時間の都合もありますので、これくらいで次に進みたいと思います。
 次は世代間の格差の問題で、民間シンクタンクの三和総研が調査したのによりますと、保険料拠出に対する給付の割合が、一九九〇年現在、〇−四歳の者が〇・九七、つまり一に近いということですね。ところが、六十−六十四歳の者が四・七になっている。これは非常に格差が大きいし、年金法改正があってもこの世代間格差は拡大されていくだろうというシンクタンクの意見としては出ているんです。これに対してどんなふうにお考えでしょうか。
#61
○政府委員(近藤純五郎君) 先生御承知のとおり、公的年金は世代間扶養という仕組み、考え方でできておりますので、国民生活の向上や賃金の上昇に合わせて年金額の改善を行いましたり、物価上昇に応じましたスライドをする、こういうふうなことで老後の生活を終身にわたりまして確実に支える、こういう役割を持っているというふうに考えております。
 こうした公的年金の役割を無視いたしまして、単純に本人の負担しました保険料総額と年金の受給総額を比較しまして論ずるということは必ずしも適当ではないというふうに考えているわけでございます。高齢化が進んでまいりますので、現在の高齢者とそれから若年者とは当然差が出てくるというのは、これから議論をしていただきます今の保険料率が一四・五で、ネットスライド等をやりましてもこれが三〇%近くまでいくということを考えますと、かなりそれを投影しているということが言えるわけでございます。
 先生が御指摘になりましたのは民間のシンクタンクの三和総研の話だと思いますけれども、この試算のほかに私どももこういう試算をいたしております。基本的には同じような傾向があるというのは当然のことでございまして、ただ三和総研の場合には保険料に事業主負担を含めているわけでございますし、それから障害とか遺族の給付は含んでおりませんし、別個の給付というのも含まない計算になっておりますから、保険料は割と個人よりは多くいたしますし、それから給付の方は少な目に計算している、こういう関係にあるわけでございます。
 いずれにしましても、私ども計算いたしました結果では、いかなる年齢層につきましても御本人が納めました保険料総額、これにもちろん利子がかかるわけでございますけれども、納めました保険料総額よりは年金の受給額の方がどの年代においても必ず高くなるというふうに考えております。
#62
○高桑栄松君 たまには厚生省の味方をして、ひとつそちらの弁解、弁護を考えたのをちょっと申し上げます。
 確かに今の人は、今の物価水準で支払っているわけだ。六十の人はもう二十年も前から支払っているわけだ。そのときのサラリーの収入は今よりもっと低かったわけですよ。だから、その少ないときに払っているものの何倍かという話になるんだから、これはやっぱりそこを全部計算しないといかぬなと僕は思うんです。三和総研はそれを言わないで払った分だけ言うから、自分の月給が二十万のときに一万払ったか、三十万になってから一万五千円払ったかというようなもので、それは大分違うわけです。だから、月給の少ないときに支払ったトータルの何倍かと言われると簡単にはいかない、加重しなきゃいけないわけですよ。この前ちょっと加重平均のお話をいたしました。ウエートをかけて計算をしないといけない。つまり、物価指数だとか月給の上がり具合だとか収入のレート、それにウエートをかけて計算すると何倍というのはまた減ると思うんです。だから、たまには厚生省の味方もしないといけないと思いまして、今そのお話をしました。
 次は、年金制度の一元化についてでありますが、一元化は非常に重要であるときのうの参考人の方の御意見もございました。この一元化に向けていろいろな議論が交わされているわけでありますけれども、その検討課題はどういうことがあるのでしょうか。
#63
○政府委員(近藤純五郎君) 一元化の関係では、現在、公的年金制度の一元化に関する懇談会において検討を行っているわけでございます。
 この検討課題を若干申し上げますと、まず将来にわたりまして財政運営の健全性をどう確保していくのか、こういった点。それから、各制度に分かれておりますので、各制度の成熟化といいますか、高齢化の度合いというものが違っておりまして、それに従って負担の不均衡、例えばJRの関係では受給者が大変ふえて負担も非常に大きい、一方、私学の関係では受給者が比較的少なくて負担も少ない、こんなような状況にあるわけでして、この負担の不均衡をどのようにして公平化を図っていくか。それから、先ほどもお話がございましたが、給付の面で多少まだ差が残っておりますので、これをどう考えるのか。それから、これまで別個に各制度が運営されてきたわけでございまして、その財政運営というものをどう考えるのか。個別に給付水準を設定して個別に保険料率も決めてきたわけでございまして、積立金の度合いも違ってくるわけでございます。この過去の財政運営についてどう評価するか、こういう問題もあろうかと思います。それから、実務の問題といたしまして現業業務の一元化にどう取り組むか、これは基礎年金番号その他を含めましてどう取り組むか、こういうふうなのが問題でございます。
 特に喫緊の課題といたしましては、先ほどお話がございました日本鉄道共済組合に対します各制度からの支援の仕組みは六年度でもって切れるわけでございますので、七年度以降の支援の仕組みというのをどういうふうに考えるか、これはどうしてもことしじゅうに決めなきゃいかぬ課題だというふうに考えているわけでございます。
#64
○高桑栄松君 一元化懇談会で審議が行われているわけでありますが、情報によりますと、平成六年秋をめどにまとめるというふうに伺っております。秋も大分深まって冬が近づいておりますが、まだまとまっていないようであります。しかも、その内容が公開されていない。先ほど申し上げましたインフォームド・コンセントが足りないのではないかということで、公開をしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
#65
○政府委員(近藤純五郎君) 一元化の懇談会の関係でございますが、これは委員の先生方が自由な議論をしていただくということで、先生方の合意のもとで議事は非公開ということに決まっているわけでございます。
 一元化の関係につきましては、必要な情報の提供というのは十分行われなきゃいかぬわけでございますが、現段階におきましては、現場の関係の勉強をされたり、それからフリートーキングの段階に入ったということでございます。先生御指摘のように時間が非常に短くなっておりますので、これから精力的に詰めの作業をやっていただかなきゃいかぬという段階でございます。
 そういうことで、私どもも一元化懇の先生方に協力を申し上げまして鋭意検討を進めなきゃいかぬのですが、特にJRの問題につきましては、先ほども申し上げましたように喫緊の課題でございますので、これは早急に結論を出さなきゃいかぬ、こういうふうに考えている次第でございます。
#66
○高桑栄松君 時間がなくなってきましたので、急いで一問申し上げたいと思います。
 妻の年金のことですが、今度新たに第三の選択肢というのが考えられた。共働きの妻がある限度の高給をもらっている場合には、夫の老齢年金二分の一プラス自分の方の二分の一をとるという第三の選択肢ができた。しかし、その第三の選択肢も、妻が相当高額でなければ夫の四分の三の方が得だということでそちらをとることになりますよね。そういうことになると、自分の掛けた保険料が掛け捨てになるという不満がやっぱりあるというふうに承っております。これに対しては、第三の選択肢でも掛け捨てが起こるわけですから、そういう場合に何か対策がないものでしょうかね。
#67
○政府委員(近藤純五郎君) 先生が御指摘のような問題があるというふうなことで、何とか妻の老齢年金とそれから夫の遺族厚生年金が残るような形というのはできないだろうか、こういうことでいろいろ行ったわけでございます。これからの時代を考えますと、奥さん自身がかなり職業生活も長くなることも想定されるわけでございまして、妻自身の老齢厚生年金に加えましてさらに夫の遺族厚生年金が加わりますと、まさに逆男女格差というのも生じてくるおそれもあるわけでございます。
 いろいろ取捨選択したわけでございますけれども、結果としては夫の老齢年金の半分とそれから自分の老齢年金の半分、こういうふうな選択の道を開いたわけでございます。妻の老齢厚生年金が夫の老齢厚生年金より低くて二分の一より高ければこちらの方が有利になる、こういうことでございます。明快なことになかなかいかなかったということでございまして、折衷的な案という形で提案させていただいたわけでございます。
#68
○高桑栄松君 それでは、もう時間になりましたので最後でございますが、今の件で、私のアイデアでは比例部分的な考えで掛け捨てではない、わずかでもプラスになるというふうな考え方があってもいいんじゃないか、こんなふうにも思ったものですから今申し上げたんです。つまり、掛けた部分は夫の四分の三よりも足して二分の一、二分の一では低い。しかし、そのときでも掛け捨てになっているわけですから、そうでない専業主婦と損は同じわけですからね、だからその部分は比例部分的な形でうまくやれないものかなと。これをひとつ検討してください。
 最後に、大臣にお伺いして質問を終わります。
 五年ごとに年金改定があって、大変ホットなディスカッションが交わされてきております。私もさっき申し上げましたが、こういう機会にいろいろと勉強させていただいていろいろなことがわかってきたということであります。
 そういう意味では、改正のたびに新しいアイデアで改正が行われていく、これは大変いいことだと思いますが、同じように積み残された検討課題が幾つかあります。例えば、今ちょっと申し上げましたが女性の年金権の問題等々ありますので、積み残しのものでどんなことが検討課題としてこれから検討していかれるのか、大臣にこの辺をひとつ伺って、私の質問を終わります。
#69
○国務大臣(井出正一君) 今回の年金改正案は、二十一世紀の高齢社会を展望し、制度全般にわたり見直しを行うものでございますが、我が国の人口が今後急速な勢いで高齢化を経験する中で、年金制度もこれに対応すべく財政再計算期ごとに適切な見直しを行っていく必要があると考えております。
 今回の改正で残された課題といたしましては、まず、多くの論議を呼んだ国庫負担問題があるわけでございますが、そのほか、年金審議会等での御意見にもありますような一元化への対応、あるいは第三号被保険者の保険料負担やパートタイム労働者への厚生年金の適用、さらには国際通算協定の締結、先ほども御審議あったわけでございますが、総報酬制等といった事項について今後検討をしていくべきものと考えております。
#70
○高桑栄松君 ありがとうございました。
#71
○西山登紀子君 私はこれまでの質疑の中で、国民の声は六十歳支給が多数であること、それから年金と雇用の継続が極めて厳しいものであることなどを明らかにしてまいりましたが、きょうは保険料の引き上げなどについて質問をいたします。
 それに入る前に、まず大臣に政治姿勢などについてお伺いをいたします。
 厚生年金に二十年以上加入していた人の老齢年金を、平成四年度、一九九二年度から新たに受給することになった人で見てみますと、平均の年金月額は男性の場合は二十万円です。そして、女性の場合は幾らかといいますと一一・六万円、つまり男性の五八%にしか当たらないわけです。さらに、男子の平均年金月額が十五万円未満の方は一七・七%なのに対しまして、女子は実に八二・二%です。八二・二%が十五万円未満の方なんです。さらに、十万円未満はどのくらいいらっしゃるかということで見ますと、男性は一二一%なのに、女性は実に四三・四%が十万円未満なんです。このように男女格差が非常に大きいということは歴然としていると思います。女性の四三・四%が実に十万円未満で老後の暮らしを立てていかなければいけない、こういうことになっているわけです。
 別個の給付というのは、半分にすると月五万円で生活しなければなりません。一般的にいいまして、高年齢の女性は再就職というのは困難です。そういたしますと、六十五歳までは月五万円程度で生活をしなければならない、六十五歳になっても十万円程度だ、こういうことです。このような所得水準では所得税減税の恩恵にも浴しません。しかも、今検討されている五%の消費税は低所得者も同じように徴収されるわけです。その上、老人マル優の縮小まで検討されているわけです。
 大臣、六十五歳支給というのは、政治全体として見れば、低所得者、女性などに過酷だとはお思いになりませんか。本来、こういう人々にこそ政治の光を当てるべきではないのかと思いますけれども、いかがでしょうか。
#72
○国務大臣(井出正一君) 先生が今御指摘くださいましたそれぞれの数字は、そのとおりだと私も認識しております。ただ、女性のは確かに低いのでございますが、高齢になられてから加入した方が非常に多いということも事実だと思うわけでございます。
 さて、御質問でございますが、今般の税制改革は、今後の少子・高齢社会を展望し、安心と活力ある豊かな福祉社会の実現のために必要となる財源を安定的に確保するとともに、世代間の負担の分かち合いやライフサイクルを通じた税負担の平準化を図るため、所得税減税と消費課税の充実を行い、所得、資産、消費のバランスのとれた税体系を構築することを目指したものであります。
 また、今般の税制改革におきましては、与党における御議論の結果、少子・高齢社会に向けて、当面緊急を要する施策について一定の福祉財源措置が講じられることになっております。さらに、消費税率の引き上げに伴う物価上昇についても、年金等の物価スライドで対応することになっておるわけでございます。
 他方、所得減税の恩恵を受けない一方で消費税率引き上げ等により影響を受ける低所得の高齢者、障害者等に対しては、激変緩和のための措置として臨時給付金を支給することが与党において決定されているところでございまして、政府といたしましても、今後与党の決定を踏まえ適切に対応することとしておるところであります。
 今般の税制改革は、将来にわたり、所得の低い方々を含めすべての国民にとって安心して暮らせる福祉社会を築き上げるためにぜひとも必要な改革であります。どうかその趣旨を御理解いただきたいと思います。
#73
○西山登紀子君 私は、大臣の女性の年金の現状認識について、今の御答弁では極めて不誠実だというふうにすら思います。
 今の村山内閣は、消費税は上げるわ、六十歳の年金の支給年齢を六十五歳まで繰り延べするわ、マル優は縮小するわ、低所得者それから女性、高齢者、こういう方々に対して本当に冷たい政治を行っている、こういうふうに思うわけです。だからこそ国民は、せめて年金は六十歳からというような意見というのは非常に多いと思います。
 次に、保険料の引き上げと、国民年金の空洞化といいますか、国民年金制度の崩壊の心配についてお伺いをしたいと思うわけです。
 最終的に保険料は、厚生年金では月収のほぼ三○%になる、国民年金につきましては二万一千円になる、こういうことなんですけれども、国民年金の保険料の引き上げで滞納の増加などの心配がありますけれども、大丈夫ですか。
#74
○政府委員(横田吉男君) 保険料の収納状況について見ますと、これをはかる検認率で申し上げますと、基礎年金が導入されました昭和六十一年度におきましては八二・五%ということでございましたけれども、その後保険料は、当時七千百円であったわけですが、平成四年まで九千七百円に引き上げられてきておりますけれども、私どもの努力もございまして、この間検認率の方は少しずつ上昇してまいりまして、平成四年度におきましては八五・七%になっているところでございます。
 また、納付者の所得状況を見ますと、所得の低い世帯においても完納されております方がいる一方、所得の高い世帯でも未納の方がいるということで、必ずしも所得の低いことのみによ力未納となっているのではないというふうに考えられます。
 こうした状況を考えますと、保険料の引き上げが必ずしも直ちに保険料の未納の増加をもたらすというふうには私ども考えておりませんで、この点につきましては、年金制度に対する国民の理解を深めていくことが一番重要ではないかというふうに考えております。
 こうした観点に立ちまして、年金制度に対する広報の強化あるいは口座振替制度の促進等を図りまして寸保険料を納付しやすい環境づくりに努め、収納率の向上を図ってまいりたいというふうに考えております。
#75
○西山登紀子君 国民年金の満額年金を受けられない人、無年金もしくは減額年金になる人について、厚生省はかつて次のように答弁をしております。昭和六十年四月二十三日参議院の社会労働委員会の答弁です。年金局数理課長がこのようなお答えをしています。「国民年金の場合ですと、免除規定、それから未納の場合も当然予測されますので、現時点で得られております実績をベースにいたしますと、ほぼ二五%ぐらいの方が免除、未納の期間を持ったような状態になるんだろうと、こういうことでございます。」という答弁をしているわけですけれども、厚生省は今でもこのように見ているでしょうか。
#76
○政府委員(近藤純五郎君) 昭和六十年の改正時点でございますけれども、第一号被保険者につきまして満額年金とならない可能性のある者が二五%と推計されるというのは先生御指摘のとおりでございます。
 その当時といいますか、六十年の改正当時の実績値というのは昭和五十七年ごろの実績値で説明をしたそうでございますが、その当時の免除者と未納者、これを合わせた割合というのは一九%であったそうでございました。この免除の方それから未納者の方が一生こういうことであれば一九%というお答えになるわけでございますけれども、実際問題としまして免除の方もずっと免除ではございませんで、一部免除とか一部未納とかいうのもあるわけでございますので、そういう人たちをプラスという形にしまして二五%程度と、こういうお答えをしたというふうに調査した結果判明したわけでございます。
 昭和六十年の改正におきまして、保険料の未納のないまさに一〇〇%、任意加入ですから当然一〇〇%の納付率になるわけでございますけれども、この任意加入のサラリーマンの妻が三号被保険者になったわけでございます。この結果、それまでも必ずしも納付率が高くなかった自営業者等から成ります第一号被保険者でございますので、未納率が非常に上がったわけでございます。これを合わせますと最近のデータ、平成四年度でございますけれども、免除、未納を合わせた割合というのは二五%程度になろうかと思うわけでございます。
 現在の免除、未納者の割合に基づいて推計を行いますと、必ずしも正確な推計はできないわけでございますけれども、当時と同じような考え方に基づいて申し上げますと、当時二五%と言いましたのが三分の一程度に上がっているんじゃなかろうか、こういうふうな推計でございます。
#77
○西山登紀子君 三分の一程度ということは、三三%ということですか。
#78
○政府委員(近藤純五郎君) 三三%前後ではなかろうか、こういう感じでございます。
#79
○西山登紀子君 私も調べてまいりましたけれども、国民年金の保険料の免除の状況、これは非常に深刻です。昭和六十二年、一九八七年なんですけれども、この当時二百二十四万人ですね、免除されていた方が。この方々が平成四年で二百六十六万人にふえております。そして、免除率はどうかといいますと、確実に上がっているわけです。昭和六十二年に一一・九%の免除率が一四・七%と、このように免除率が高くなっているわけですね。
 しかも、これは保険料の検認率ということで先ほどお話がありましたけれども、保険料の収納状況、検認率、これを見ますと、先ほどお話にありました平成四年度で八五・七%。つまり、これは一四・二%の人が滞納ということです。そうすると、免除者と滞納者を加えますと既に二九%の人が満額年金、今回の改正では月額六万五千円を支給されない、減額年金しか受け取れないということになります。その上に、四十万人の三号被保険者が申請漏れというふうに言われておりますから、これはもう二九%を優に超えてしまうわけです。
 先ほど厚生省の方から、私が指摘をするまでもなく三分の一だというふうに言われたわけですけれども、昭和六十年のときの推計で二五%というのが三分の一だということ、これは見込み違いの範囲を超えた非常に大きな率でありまして、こうなりますと、これはもう公的制度としては欠陥制度だというふうに言ってもいいのではないかと思いますが、どうでしょうか。
#80
○政府委員(近藤純五郎君) 先生の数字でございますけれども、平成四年度の数字でございますが、免除率は一四・七%でございました。検認率は八五・七%ということでございますが、これは過年度分の保険料が含まれておりませんので、これを含めますと約九割、九〇%ぐらいになるわけでございまして、このような免除と未納分を合わせますと二五%程度になるわけでございます。
 先ほども申し上げましたけれども、この免除と未納を合わせた割合が高くなりますのは、六十年の改正によりまして任意加入のサラリーマンの妻が第三号被保険者に移った、こういうことと、それから平成元年の改正におきまして学生の適用が行われておりまして、これまでより免除の基準が緩めてありますので免除率が高くなった、こういう事情があるわけでございます。
 その間に制度的な改正があったということでございますので、六十年当時に申し上げた昭和五十七年当時のものと今の平成四年というのは、制度改正を挟んでいるということで必ずしも単純な比較というのは難しいんではないかということでございますが、先生御指摘のように結果としてふえているのは事実だと思います。
#81
○西山登紀子君 六十年のときの推計というのは、昭和百年にどれぐらいになっているかということで申された数が二五%なんですね、二〇二五年ですよ。今二九%、私がただいま申し上げました数字、合計二九%になります。そうなりますと、十年もたたないうちにもう二九%ということで、二五%を優に超えてしまっているということですので、私は、これはもう公的な制度としては破綻をしているというふうに申し上げてもいいのではないか、それほど深刻な問題がこの制度にはあるというふうに申し上げたいと思います。厚生省はもう少し真剣に受けとめる必要があると思うんですね。
 平成八年度から年金背番号制を実施するので改善されるようなことなどを言っておられますけれども、免除率が大幅に減るとは思えませんし、滞納もすぐに改善されるとは思えません。保険料は毎年毎年上がっていくわけなんですね。しかも、背番号制というのは確かに保険料の滞納状況などを把握することはできます。しかし、強制執行ではないわけですから、状況を把握できるということと滞納が一掃されるということは別問題です。
 八五年の改正時にこの問題が一つの大きな課題でしたが、しかし、また引用して申しわけありませんが、ことし六月に出版されました丹羽元厚生大臣も、この保険料の負担が大きいという問題について、本当に将来は大丈夫かと心配しているというふうにちゃんと書いておられます。保険料の引き上げというのはこれほど深刻な問題を含んでいると思います。
 この間の委員会の議論や参考人の意見などでも、我が国の年金制度というのは諸外国と比べましても、例えば二十五年の資格要件だとか四十年のフルペンション制、これは四十年間一カ月も休まずに納付し続ける、こういうことでございますが、四十年フルペンション制など、非常に厳しいことが論議の中で明らかになってきたと思います。諸外国にないこうした厳しい要件が、無年金者とか無年金障害者が出る原因の一つでもあります。昨日、村上参考人も述べられましたけれども、全国民を対象にした無条件に支給される最低基礎年金制度なども検討する必要があるのではないでしょうか。
 大臣にお伺いしますけれども、無年金者や無年金障害者あるいは低年金者をなくすためにも、こうしたすべての国民を対象にして無条件に支給される最低基礎年金制度、こういうことも検討する必要があるのではないでしょうか。
#82
○国務大臣(井出正一君) 今、先生の御指摘なさったような理由から、税方式にして全国民一律の基礎年金にしたらどうだという御意見は、この委員会でも何人かの先生方から御提言をいただいておるところでございます。我が国の公的年金制度は、国民の負担と給付の関係が明確な社会保険方式で運営されておりまして、国民の参加と連帯感を基盤とするものとして我が国社会に定着しているものと私は考えているものでございます。
 その基礎年金を税方式とし全国民一律の基礎年金方式にするという場合、保険料の拠出に見合った給付を行う社会保険方式の方が我が国に定着しており、かつ、より公平な仕組みではないか。あるいは、その使途についてはかの政策と競合を生ずるとともに、税収は景気の変動に左右されやすいなど長期的な安定性に欠けるのではないか。三番目に、諸外国の例を見ますと、一般に税方式の国では年金の給付水準が低く所得制限がある場合などもあるが、このような年金で果たしてよいのか。さらに、全額国庫負担とすることにより必要となる巨額な財源をどう確保するか。また、高齢化に伴い年金給付に要する費用は今後急速に増加するわけですが、税方式とした場合、このテンポに見合う対応が可能かどうか。さらに、これまで長年保険料を納めてきた者も、この間保険料を滞納してきた者も一律同額の年金とするのは著しく不公平ではないかといった慎重な検討を要する問題が多々あるものと考えておりますから、より一層慎重に検討しなくちゃいかぬ、こう思っておるところでございます。
#83
○西山登紀子君 今の日本の年金制度というのは本当に厳しい条件が多過ぎます。満額支給されない方が今でも国民年金で二九%あるということだとか、二十五年の資格要件、四十年のフルペンション制、考えても気が遠くなるような四十年間一カ月も休まずに納付し続ける、こういうふうな本当に厳しい条件です。私は、やはり憲法二十五条が保障する老後生活を確保するためには、すべての国民を対象にした無条件に支給される最低基礎年金制度が必要であるということを再度指摘しておきたいと思います。
 最後に、大臣にお伺いいたしますけれども、今最も必要なことは公的年金制度に対する国民の信頼性を高めることだと思います。国民みんなの年金なのだ、このような意識や信頼を確立することではないでしょうか。年金に対する信頼性を高めるには、年金に関する情報を広く国民に公開すること、二つ目には、国民の要望に沿ったあるいは生かした改正に努力すること、この二点です。
 まず二点目からいえば、国民の要望を生かした改正、これは政治の使命であり原点であります。国民の合意の形成に努力する、この姿勢が大切です。それとの関連で、年金情報の公開も必要です。
 年金の積立金は、二〇二五年には厚生年金と国民年金の合計で四百二十三・二兆円という想像もできない巨額となりますが、この管理運用などどれ一つとっても、大蔵、厚生両省が専らこれを行うのではなくて、広く国民的参加の機構をつくることなども大切なことです。私が指摘いたしましたように、世論調査も世論誘導的ではなく、国民の意向を率直に聞くように改めなければなりません。
 大臣に基本姿勢をお聞きして、質問を終わります。
#84
○国務大臣(井出正一君) 年金制度は国民生活に密接に関連するものでございまして、国民の皆さんの関心も高いことから、その改正に当たっては、現状や課題について広く国民に情報提供し、幅広く意見を伺いながら国民の合意形成に努めることが重要だと認識しております。
 このため、今回の制度改正に当たりましても、平成四年六月以降、有識者や労使の代表が参加した年金審議会において十分な審議を行っていただくとともに、平成五年三月には、初めての試みとして新人口推計等に基づいて年金財政の暫定試算を公表もいたしました。また、国民各界各層の有識者を対象とした調査を実施したり各種シンポジウムを開催するなど、幅広く国民的論議が行われるよう努力してきたところであります。
 今後とも、わかりやすい情報の提供に努めるとともに、各方面の御意見を拝聴しながら、時代の変化に対応した制度改革を進めてまいりたいと考えております。
#85
○委員長(種田誠君) 価に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#86
○西山登紀子君 私は、日本共産党を代表して、国民年金法等の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。
 反対理由の第一は、本改正案の最大の問題点である厚生年金を六十歳からは報酬比例部分のみしか支給せず、基礎年金部分は六十五歳に繰り延べることです。これは年金制度の抜本的改悪です。
 政府が本改正案を合理化するために示した考え方は、六十歳引退社会から六十五歳現役社会へです。六十五歳現役社会とは、その実、高年齢労働者を働かざるを得ない社会構造に追い込むものであり、その枠内に入れない高年齢者は減額された年金で生きていけという過酷な仕組みをつくり上げる宣言です。
 六十歳以降の雇用は保障されるのでしょうか。政府は、今後努力すると表明されていますが、私が委員会審議で指摘したように、継続雇用は非常に困難としている企業が多数ある現状を見れば、厚生大臣も認めざるを得なかったように、決して楽観を許しません。これは政府による乱暴な所得中断であり、生存権の侵害です。
 第二の反対理由は、保険料の引き上げです。
 最終保険料を国民年金では二万一千円、厚生年金では月収の約三〇%まで引き上げ、さらにボーナスからも徴収しようとしています。これは国民負担の大幅増だけでなく、年金制度そのものの崩壊に直結します。政府は八五年改正時、国民年金で満額年金を受給できない人の将来予測を二五%としていましたが、既に二九%の人たちが保険料の滞納等で部分年金か無年金者になる可能性がある状態です。保険料の引き上げが滞納に作用していることは明白であり、今後の引き上げは国民年金の空洞化を一層促進するものです。
 反対理由の第三は、年金の再評価方法の変更により、既に厚生年金を受給している人も含めて給付水準が切り下げられることです。
 我が党は、国民の声に沿って六十歳支給を堅持すべきであり、その上で、雇用継続を望む労働者には雇用を保障する制度を確立する、多様な選択肢を用意する必要があると考えます。その財源は、年金支給年齢六十五歳への改悪や保険料の引き上げに短絡的に求めるのではなく、国庫負担の引き上げ、保険料負担の割合を労働者に軽くするように変更すること、社会的存在である大企業に応分の社会的責任を果たさせる等により、十分確保することができるものと考えます。
 本改正は、高年齢労働者になお就労を押しつけ、長年社会に貢献してきた人々から、老後の安らぎも暮らしのゆとりをも奪うものとなります。このような重大な年金制度の改悪が、八五年改正時に比べても極めて不十分な審議で採決されることを断じて認めることはできません。私は、このことを強く指摘して、反対討論を終わります。
#87
○委員長(種田誠君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 国民年金法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#88
○委員長(種田誠君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、横尾君から発言を求められておりますので、これを許します。横尾君。
#89
○横尾和伸君 私は、ただいま可決されました国民年金法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、新緑風会及び公明党・国民会議の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 以下、案文を朗読いたします。
 国民年金法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
 政府は、次の事項について、適切な措置を講ずるよう努力すべきである。
 一 基礎年金の国庫負担の割合については、所要財源の確保を図りつつ、二分の一を目途に引き上げることを検討すること。
 二 無年金障害者の所得保障については、福祉的措置による対応を含め速やかに検討すること。
 三 別個の給付の特例措置については、働きたくとも働けない人々への配慮等次期財政再計算期までに、十分な検討を行い、必要な措置を講ずること。
 四 鉄道共済年金の再評価の繰延べ措置を含む自助努力等については、公的年金の一元化の在り方を踏まえ、その見直しを検討し、可及的速やかに措置すること。
 五 沖縄の厚生年金の特例措置の実施に伴って必要となる被保険者の負担について、その軽減が図られるよう沖縄県の設置する基金への支援等に配慮すること。
 六 国民年金の適用の推進並びに受給者及び被保険者に対するサービスの向上を図るため、速やかに基礎年金番号の導入を図ること。
 右決議する。
 以上であります。
#90
○委員長(種田誠君) ただいま横尾君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#91
○委員長(種田誠君) 全会一致と認めます。よって、横尾君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、井出厚生大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。井出厚生大臣。
#92
○国務大臣(井出正一君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、努力をいたす所存でございます。
#93
○委員長(種田誠君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#94
○委員長(種田誠君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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