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1994/12/05 第131回国会 参議院 参議院会議録情報 第131回国会 厚生委員会 第8号
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1994/12/05 第131回国会 参議院

参議院会議録情報 第131回国会 厚生委員会 第8号

#1
第131回国会 厚生委員会 第8号
平成六年十二月五日(月曜日)
   午後六時八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十一月二日
    辞任         補欠選任
     糸久八重子君     竹村 泰子君
 十一月十八日
    辞任         補欠選任
     西山登紀子君     吉岡 吉典君
 十一月二十一日
    辞任         補欠選任
     吉岡 吉典君     西山登紀子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         種田  誠君
    理 事
                清水嘉与子君
                宮崎 秀樹君
                菅野  壽君
                横尾 和伸君
    委 員
                石井 道子君
                尾辻 秀久君
                大浜 方栄君
                佐々木 満君
                前島英三郎君
                今井  澄君
               日下部禧代子君
                竹村 泰子君
                堀  利和君
                勝木 健司君
                萩野 浩基君
                高桑 栄松君
                西山登紀子君
       発  議  者  横尾 和伸君
       発  議  者  勝木 健司君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  井出 正一君
   政府委員
       厚生大臣官房長  山口 剛彦君
       厚生省保健医療
       局長       谷  修一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        水野 国利君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○原子爆弾被爆者援護法案(横尾和伸君外一名発議)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(種田誠君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律案及び原子爆弾被爆者援護法案を一括して議題といたします。
 まず、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律案について、政府から趣旨説明を聴取いたします。井出厚生大臣。
#3
○国務大臣(井出正一君) ただいま議題となりました原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 我が国は、世界唯一の原子爆弾の被爆国として、原子爆弾の惨禍が繰り返されることのないよう、核兵器の究極的廃絶と世界恒久平和の確立を全世界に訴え続けてまいりました。また、被爆者の方々に対しましては、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律及び原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律に基づき、医療の給付、手当等の支給を初めとする各般の施策を講じ、被爆者の健康の保持増進と福祉を図ってきたところでありますが、高齢化の進行など被爆者を取り巻く環境の変化を踏まえ、現行の施策を充実発展させた総合的な対策を講ずることが強く求められてきております。
 こうした状況を踏まえ、被爆後五十年のときを迎えるに当たり、恒久の平和を念願するとともに、国の責任において被爆者に対する保健、医療及び福祉にわたる総合的な援護対策を講じ、あわせて、国として原爆死没者のとうとい犠牲を銘記するため、この法律案を提出することとした次第であります。
 以下、その主な内容について御説明申し上げます。
 第一に、この法律におきましては、特に前文を設け、法制定の趣旨を明らかにするとともに、国の責任において総合的な被爆者対策を実施することを明確にすることとしております。
 第二に、被爆者であって、広島及び長崎で被爆し葬祭料制度の対象となる前に死亡した者の遺族である方に対し、特別葬祭給付金を支給することとしております。
 第三に、国は、原子爆弾の惨禍に関する国民の理解を深め、その体験を次の世代に伝えるとともに、原爆死没者の方々に対する追悼の意をあらわす事業を行うこととしております。
 第四に、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律に基づく各種の手当等につきましては、これを引き続き支給することとしておりますが、健康管理手当等の手当に現在設けられている所得制限につきましては、これを撤廃することとしております。
 第五に、福祉事業の実施及びこれに対する補助を法定化するとともに、原子爆弾の放射能が身体に及ぼす影響についての調査研究を促進するための規定の整備を図ることとしております。
 以上のほか、各種手当等の支給とともに、被爆者対策の柱となっております医療の給付につきましても、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律に基づく施策を引き続き行うこととしております。
 なお、この法律の施行期日は、平成七年七月一日としております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#4
○委員長(種田誠君) 次に、原子爆弾被爆者援護法案について、発議者横尾和伸君から趣旨説明を聴取いたします。横尾君。
#5
○横尾和伸君 私は、ただいま議題となりました原子爆弾被爆者援護法案につきまして、新緑風会及び公明党・国民会議を代表して、その提案の理由及び趣旨を御説明申し上げます。
 昭和二十年八月、広島市、次いで長崎市に投下された原子爆弾は、一閃両市を焦土と化し、実に三十万人余のとうとい生命を奪ったのであります。
 核爆弾の爆発時に放射される強烈な放射線、熱線及び爆風は、その複合的効果によって、大量かつ無差別に市民を殺傷し、あらゆるものを破壊し尽くしました。また、爆発時に空中で生成された強い放射能を持つ核分裂生成物、いわゆる死の灰は、地上にちりや黒い雨となって降り注ぎ、奇跡的に一命を取りとめた人たちにさらなる放射線被曝を与えたのみならず、体内に入り込んで深刻な放射線体内被曝をもたらしたのであります。
 この原爆による被害は、通常の爆弾等、他のいかなる兵器による被害とも比べることのできない特異な質的損害及びはかりがたい量的損害をもたらすことを如実に示したのであります。いかなる理由があるにせよ、絶対に二度とあってはならないのであります。
 したがって、原爆等の核爆弾は、人間の生存の権利を根本的に脅かすものであり、かつ、あらゆる生物の生存や繁栄を脅かす悪魔の兵器であり、許すべからざる絶対悪と断じなければなりません。
 人類史上初の原子爆弾被爆国となった我が国は、このような非人道的な悪魔の兵器とも言うべき核爆弾の惨禍を、地球上のいかなる地点においても再び繰り返させないとの強い決意と真摯な祈りを込めて、核兵器の究極的廃絶と恒久平和の確立を全世界に訴え続けるべきであります。
 被爆後満五十年を迎えようとしている現在、最も大切なことは、このような考えをより強い社会的決意とすることであり、そのための手がかりとなり、かつ、象徴ともなる具体的措置を制度化することであります。
 既に御承知のとおり、良識の府たる参議院では、既にこのような趣旨を踏まえ、国家補償の精神に基づく措置として、平成元年と同四年の二回にわたり原子爆弾被爆者等援護法案を可決しているのであります。
 また、現行の原爆二法、すなわち原爆医療法及び原爆特別措置法が、広い意味における国家補償の見地に立つという基本的考え方によるものであり、従来から延々と続けられてきた関係者の並み並みならぬ努力の成果であることを忘れてはならないのであります。
 しかるに、今回衆議院から送付されてきた政府提案による法案は、これらの重要なポイントを十分踏まえたものとは到底言いがたいものとなっているのであります。すなわち政府案は、生存被爆者を対象とした援護対策をいわゆる事後処理として国が行うことを基本としており、国家補償的配慮によるものではないのであります。
 今回私たちが提案しました法案の主眼は国家補償的配慮に基づくものとしたことでありますが、次にこの件について申し上げます。
 被爆者の健康上の障害がかつて例を見ない特異かつ深刻なものであることを考えれば、国は社会保障の観点から被爆者対策を講じなければならないことは当然でありますが、昭和五十三年の最高裁判決が判示するように、かかる特殊な戦争被害の原因をさかのぼれば、戦争の遂行主体であった国の行為に起因する被爆によって、健康が損なわれ生活上の危険ないし損失が生じたものであるという観点に目を閉じることは許されません。つまり、原爆医療法及び原爆特別措置法のいわゆる現行二法も、社会保障と国家補償の二つの側面を有する複合的性格を持っているということであります。このことは、前述の最高裁判決では、「国家補償的配慮」という言葉で表現されております。また、昭和五十五年の原爆被爆者対策基本問題懇談会の報告書では、広い意味での風家補償という表現になっております。したがって、原爆被爆者対策が国家補償的配慮に基づいて行われるべきということの国民的合意は既に形成されていると言わなければなりません。
 私たちは、かかる事実を直視して、国家補償的配慮を制度の根底に厳然と据えて、葬祭料制度発足前に亡くなられた原子爆弾死没者の遺族に対する特別給付金の支給を含め万全の援護対策を講じ、あわせて、国として原子爆弾による死没者のとうとい犠牲を銘記するための事業を行うこととしたものであります。以上がこの法案を提案した理由であります。
 以下、本法律案の概要を御説明申し上げます。
 まず第一は、健康管理及び医療の給付であります。被爆者の健康管理のために毎年健康診断を行うものとするとともに、被爆者の負傷または疾病につき医療を受けたときは、当該医療に要した費用を限度として、一般疾病医療費を支給することといたしました。
 第二は、被爆者年金を支給することであります。被爆者の健康障害の程度に応じて年額最低二十万四百円から最高六十万円(原子爆弾の放射能の影響による小頭症の患者である者にあっては五十五万九千二百円を加算した額)までの範囲内で年金を支給し、年金額は物価スライド方式による改定を行うものとし、その他医療手当、介護手当を所要の者に支給することとし、これらの給付についてはすべて所得制限を行わないことといたしました。また、被爆者が死亡したときは、葬祭を行う者に対し、葬祭料を支給することといたしました。
 第三は、特別給付金を支給することであります。葬祭料制度発足前に亡くなられた原子爆弾死没者の遺族に対し、国家的関心の表明として、また、核兵器廃絶の祈りを込めて、特別給付金として十万円を二年以内に償還すべき国債をもって交付することとしました。
 第四は、福祉事業として、相談事業のほか、居宅において日常生活を営むに必要な便宜供与事業及び養護事業を行うことといたしました。
 第五は、平和祈念事業を行うことであります。国は、原子爆弾によるとうとい犠牲を銘記し、かつ、恒久平和を祈念するための事業を行うこととしました。
 第六は、厚生大臣の諮問機関として原子爆弾被爆者援護審議会を設けることとしました。
 第七は、国は、この法律の規定により都道府県が行う事業に要する費用の全部または一部を補助することとしました。
 第八は、放射線影響研究所の法的な位置づけを明確にするとともに、必要な助成を行うこととしました。
 なお、この法律は、平成七年七月一日から施行することとするとともに、現行の原子爆弾被爆者の医療等に関する法律及び原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律を廃止することといたしました。
 以上が、この法律案の提案の理由及び趣旨でございます。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに可決されるようお願い申し上げます。
#6
○委員長(種田誠君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時二十一分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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