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1994/11/18 第131回国会 参議院 参議院会議録情報 第131回国会 大蔵委員会 第3号
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1994/11/18 第131回国会 参議院

参議院会議録情報 第131回国会 大蔵委員会 第3号

#1
第131回国会 大蔵委員会 第3号
平成六年十一月十八日(金曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十一月十六日
    辞任         補欠選任
     岡  利定君     佐藤 泰三君
     一井 淳治君     森  暢子君
     北村 哲男君     谷畑  孝君
 十一月十七日
    辞任         補欠選任
     森  暢子君     一井 淳治君
 十一月十八日
    辞任         補欠選任
     一井 淳治君     渡辺 四郎君
     野末 陳平君     小林  正君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         西田 吉宏君
    理 事
                竹山  裕君
                楢崎 泰昌君
                志苫  裕君
                峰崎 直樹君
                白浜 一良君
    委 員
                佐藤 泰三君
                清水 達雄君
                須藤良太郎君
                増岡 康治君
                鈴木 和美君
                谷畑  孝君
                堂本 暁子君
                渡辺 四郎君
                池田  治君
                小林  正君
                寺崎 昭久君
                野末 陳平君
                牛嶋  正君
                吉岡 吉典君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  武村 正義君
   政府委員
       大蔵政務次官   石井  智君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     竹島 一彦君
       大蔵省主計局次
       長        伏屋 和彦君
       大蔵省主税局長  小川  是君
       大蔵省証券局長  日高 壮平君
       大蔵省銀行局長  西村 吉正君
       大蔵省国際金融
       局長       加藤 隆俊君
       国税庁次長    松川 隆志君
       国税庁課税部長  堀田 隆夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小林 正二君
   説明員
       経済企画庁調整
       局財政金融課   塚田 弘志君
       経済企画庁調査
       局景気統計調査
       課長       池田  実君
       厚生大臣官房政
       策課長      江利川 毅君
       厚生省保険局企
       画課長      辻  哲夫君
       厚生省年金局年
       金課長      中村 秀一君
       建設省建設経済
       局宅地開発課長  尾見 博武君
       建設省住宅局住
       宅政策課長    山本繁太郎君
       自治省税務局市
       町村税課長    折笠竹千代君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の
 施行等による租税収入の減少を補うための平成
 六年度から平成八年度までの公債の発行の特例
 等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○所得税法及び消費税法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○平成七年分所得税の特別減税のための臨時措置
 法案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(西田吉宏君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十六日、岡利定君及び北村哲男君が委員を辞任され、その補欠として佐藤泰三君及び谷畑孝君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
 また、本日、一井淳治君が委員を辞任され、その補欠として渡辺四郎君が選任きわました。
#3
○委員長(西田吉宏君) 所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の施行等による租税収入の減少を補うための平成六年度から平成八年度までの公債の発行の特例等に関する法律案、所得税法及び消費税法の一部を改正する法律案及び平成七年分所得税の特別減税のための臨時措置法案の三案を一括して議題といたします。
 三案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○清水達雄君 自民党の清水達雄でございます。
 今回の税制改革につきましては、消費税率の引き上げを五%にとどめたというふうな条件のもとで、割合調整のとれたいい案をつくっていただいたというふうに私は思っているわけです。ただ、世の中にはいろんな批判もあるわけでございまして、例えば日経新聞が十一月十二日の社説で「議論不在の税制改革」、まあこれは衆議院の審議についてこういうことを言っていたわけですけれども、それによりますと、今回の税制改革は直間比率の是正が中途半端であった、また「これによって肝心の所得税率の引き下げが実現せず、わずかに限界税率二〇%の適用対象所得の幅を広げただけに終わった。」というふうな評価といいますか、言われているわけでございますけれども、これにつきまして大蔵大臣の御見解を伺いたいと思います。
#5
○国務大臣(武村正義君) 今回の税制改革案を発表いたしましてから、なぜか新聞の見方というのは今御指摘のようなやや中途半端といいますか、十分でないという感じの論説が見受けられます、私どもその後、議会の論議を通じて経緯や中身についていろいろと説明を申し上げているところでございまして、私どもは決して中途半端なものじゃないと。全体の姿がやや複雑に映っているのは事実でございますが、それもこれから参議院でも議論があろうかと思いますが、それなりの理由があって、四方に非常に気配りをした改革案であるというふうに思っております。
 今御指摘のございました直間比率も含めたお話でございますが、御承知のように、もともと直接税であります所得課税、これは垂直的な公平というのを図っていくのが特色でございます。しかしまた、所得をきちっと把握することが難しいという難点がございます。片方、消費税は水平的な公平に資するという点では大きな特色を持った税制でございます。
 今回の改革は、活力ある福祉社会を目的にするということが基本でございますが、いわゆる中堅所得者層に競負担が大変重く強く当たってきております現状を改めて、社会の構成員全体が広く負担を分かち合うということが基本になっておるわけでございまして、そういう意味で個人所得課税の累進緩和ということと、消費税制の充実ということを基本にしているところでございます。
 具体的には、直間比率の見直しも不十分という御指摘でありますが、数字で申し上げますと、直接税のウエートは国、地方、両方を足して見てみますと、現行七七%が五ポイント下がりまして七二%になります。間接税は二三%が五ポイント上がりまして二八%と、それぞれ五ポイントシフトをいたしまして、その分直間比率はそれなりに是正をされるということであります。直間比率を具体的数字で一定の目標を表現するわけでありませんので、十分であるかないかはいろいろ御議論があろうかと思いますが、かなりの直間比率の見直しを達成したことも事実でございまして、それなりの御評価をいただきたいと思うのであります。
 なお、二〇%のこともお触れになりましたが、「限界税率二〇%の適用対象所得の幅を広げただけに終わった。」という言い方はやはりちょっと不正確じゃないか。確かに二〇%のブラケット、幅をぐんと広げさせていただいて、サラリーマンなら大体九割ぐらいの人はもう生涯二〇%で済むということになります。現実に、標準世帯、これは収入ベースでございますが、平均が大体七百万前後と言われておりますが、それが千三百四十九万円までは二〇%で済む。今の約倍ぐらいのところまでぐんとシフトいたしますから、これだけ見てもかなり大胆な改革であるというふうに思います。
 じゃ、三〇%以上はどうなのかというと、三〇%も四〇%も五〇%もそれなりにブラケットを広げていっておりますから、例えば今三〇%の人はかなりの人、大方の方がやっぱり二〇に下がります。四〇の方も三〇に下がります。全部ではありませんが、かなりの人が下がります。五〇の人が四〇と。そういう意味では単に二〇%台だけの改革ではないということも御評価を賜りたい。もちろん、課税最低限を引き上げましたので、全体でもそれなりの減税になっておりますが、ぜひそういう全体を見た御評価をいただくことができればありがたいというふうに思っております。
#6
○清水達雄君 確かに所得税率が、例えば一〇%の人がどこまで所得が上がったら一〇%でとどまるかというふうな幅、これはかなり高くて初めの段階から終わりの段階まで二・二倍ぐらいたしかあったと思いますが、あとは、例えば二〇%の税率の人が二〇%の幅の中におさまる割合というのは一・七倍ぐらいの所得までおさまるとかいうふうなところが従来に比べてかなり是正をされて、私はかなりいい案になっているというふうに思っているわけでございます。
 それからもう一つ、やっぱり日経の社説の中で、消費税率が二%引き上げられれば制度減税との見合いでは大幅な増税になるというふうに言われておりますが、この増税の幅というのはどうなったのでございましょうか。
#7
○政府委員(小川是君) 消費税率が、地方消費税を含めてでございますが二%引き上げられますと、平成六年度ベースで申し上げますと、ネットで四兆一千億円の増収になります。国民の負担の増加がそれだけあるわけでございます。同時に、消費税の中小特例の改革による消費税の増収も三千億ほどございます。これで合わせまして消費税のネットの増収は約四兆四千億円になるわけでございます。
 一方、減税でございますが、一つは所得税、個人住民税の三兆五千億の制度減税でございますが、そのほかに、平成六年度に一年早くスタートいたしました相続税の減税約三千億、合わせまして減税が三兆八千億ということになります。国民のサイドの受益といたしましては、別途五千億円の福祉関係支出というものを見込んでおりますので、合計いたしますと減税と受益で約四兆三千億円ということになるわけでございます。そういう意味ではほぼ見合っているという姿でございます。
 いずれにいたしましても、今回の税制改革につきましては、こうした消費税率の引き上げでネットで増税になるということではございませんし、また、とりわけ消費税率の引き上げまでの間三年間にわたりまして制度減税が先行する、あるいは特別減税もそれに付加して行われるということもあわせて考慮に入れる必要があろうか、こういうことでございます。
#8
○清水達雄君 福祉の経費に回る分、これは税を取ったら当然支出をされますから、それを含めないでも大体六千億円ぐらいの増税だということになると思うんですけれども、この程度で将来の福祉の充実が図っていけるのかという不安が一方に私にはあるのでございますが、これはまた後ほど触れるといたしまして、そう大幅な増税というほどのことではないだろうというふうに私は思うわけでございます。
 それから次に、これは別に日経新聞が言っているわけじゃないんですが、所得税、個人住民税、相続税の減税率、相続税は平成六年度の減税になるわけですけれども、これが特別減税がないと仮定した場合に何%程度に見込まれるのか、つまり、全体として減税率は何%になるのかということを教えていただきたいと思います。
#9
○政府委員(小川是君) 今回御提案しております制度減税、まず国税で申し上げますと、所得税関係で減収見込み額は二兆四千億でございます。六年度の所得税の関係の税収は、ことしの特別減税を行わなかったと仮定した場合には約二十五兆三千億円でございました。したがいまして、二十五兆三千億円の見込まれておりました所得税に対して、今御提案しております法律が成立して制度減税が二兆四千億行われたといたしますと、約一〇%に相当するというのが所得税の減税規模でございます。
 もう一つ、相続税につきましては、六年度の税制改正、相続税の軽減の改正が行われなかったと仮定いたしまして六年度の相続税の税収見込み額を私ども出しております。約二兆九千億円でございました。これに対しまして、今回の相続税の平年度における減税規模は約三千億円でございますので、減税割合といたしますと約二%程度ということになります。
#10
○説明員(折笠竹千代君) 住民税の方についてお答え申し上げます。
 平成六年度の特別減税前の税収入の住民税の見込み額、都道府県、市町村合わせまして十兆二千六百億円程度と見込まれておったわけでございますが、今回の制度減税額が一兆三百億ということで、割合にいたしますと一〇%となろうかと考えております。
#11
○清水達雄君 この三税とも大体一〇%程度の減税幅だということだと思います。
 それから、政府は今まで所得、消費、資産についてバランスのとれた税制を実現しなければならないというふうなことを言っているわけでございます。
 今回の税制改革について国民にいろいろPRした資料の中でも、OECDの二十四カ国における税の構成比、例えば所得課税は日本は一位であるとか、あるいは消費課税は一番下の二十四位であるとか、資産課税については七位ぐらいだというふうなことが言われてきたわけでございますが、今回の税制改革後はこの税の構成比はどのように変化するのか。先ほど大蔵大臣から、直接税は七七%が七二%にとか、間接税が二三が二八にというふうなお話がございましたが、大蔵省のPR資料によるとちょっと数字が違っているんですけれども、その辺も含めて、改革後、国際比較で見てこれが何番目ぐらいになるのかというのを教えていただきたいと思います。
#12
○政府委員(小川是君) OECDの歳入統計の区分基準に従って御説明をさせていただきます。これまで一九九一年版が大体各国ございましたのが、最近九二年版でそろいましたものですから、九二年版で御説明を申し上げたいと思います。
 OECDの歳入の区分では、所得課税と消費課税と資産課税等、国、地方合わせてこれが計算できるわけでございますが、この場合の資産性所得、いわゆる利子配当であるとか譲渡所得といったようなものは、OECDの区分では所得課税のウエートの中に計算がされております。
 それで申し上げますと、所得課税のウエートは、改革前の六二%程度から五ポイント程度低下いたしまして五七%程度になります。これによりまして、二十四カ国の中ではこれまで所得課税のウエートが一番高いと申し上げておりましたが、第四番目に計算上なります。
 消費課税のウエートは、二二%程度から五ポイント程度増加いたしまして二七%程度になります。これは二十四番目、一番下でございましたが、二十二番目ぐらいに位置することになります。
 資産課税等のウエートにつきましては、一七%程度から一ポイントほど低下いたしまして一六%程度になると試算ができます。これは全体の中の第五番目で変わっておりません。
 以上です。
#13
○清水達雄君 この所得、消費、資産についてのバランスのとれた税制というのは、これは何がバランスのとれた状態と言うのかというのは極めて難しい問題で、私は余りこういう言葉を使ってほしくないというふうに思っているわけでございます。
 つまり、何がバランスがとれたかということがはっきり言えない、なかなか言えないんじゃないかという意味でそういうふうに思っているんですが、しかし、国際的に見て大体中間ぐらいのところにあればバランスがとれたというふうなことになるのかどうか。しょっちめうこういう言葉が使われますので、その辺、大蔵省はどういうふうにお考えになっているか伺いたいと思います。
#14
○国務大臣(武村正義君) 御承知のように国、地方を通じてさまざまな税がございます、この税を性格に合わせて分けますと、所得課税的なもの、消費課税的なもの、あるいは資産課税的なものと、こういうふうにその性格によってグルーピングをしてみますと、言ってみれば稼ぎに対する税が所得課税です。それから、使うこと、消費に対する課税が消費課税ですし、蓄えるというか保有することに対する課税が資産課税と、こういう分け方でございますが、こういう三つの性格から見ても極力バランスがとれている方がいいという、極めて抽象的ではあるんです。
 じゃ、バランスとは何なんだ、何%対何%なら理想なのかと言われると、それはそのときどきの状況によって、経済情勢やその国のさまざまな諸状況によって決まってくることで、一概に言うべきものではありません。
 先ほどもお答えしましたように、それぞれの性格に特色がある、所得課税というのは所得が大きくなるに従って累進的に御負担をいただく税制ですから、そういう意味じゃ垂直的な公平に資する、こういうふうに申し上げているわけですが、片方、捕捉に完璧を期そうと思いますと、さまざまな所得があるものでございますから、その点で困難があるというのが特色でありますし、消費課税というのは割合例外なく捕捉ができるという特色があります。同時に、そういう意味では水平的公平と申し上げているわけでございます。そんな特色があるわけで、今回の改正は主に所得課税と消費課税という二つの面からかなり大きな改革をさせていただく案だと思っているところでございます。
 個人課税は、極力偏りがないようにしていこう、中堅層の重税感を緩和させていただこうということが基本でありますし、したがって、消費課税というのは世の中の特定の階層にぐんと負担がのしかかるというふうなことではやっぱり公平を欠くわけでもございますし、将来の福祉社会を考えますと、そういうものは少しでも緩和をしながら、片方、消費課税の充実によって社会の構成員全体、言ってみればみんなが少しずつ負担をいただいて福祉社会を支えていこう、こういう考え方に立った改正だと思っているところでございます。
#15
○清水達雄君 さらに日経新聞では、「税の使途としての福祉充実の展望が示されたかというと、なんの前進も見られなかった。」というふうな評価になっているわけでございますが、この点についての大蔵大臣の御見解を伺いたいと思います。
#16
○国務大臣(武村正義君) 確かに今回の改革は、まず五%という御提案をいたしております消費税の充実の範囲内でとらえますと、所得減税が基本になっております。さらに、二年ないし三年間つなぎ国債を発行して大幅な減税を進めてまいります。この償還にも、二十年償還という考え方に立ってこの財源を充てております。
 それでもなお、幸いといいますか、五千億ほど余裕といいますか、他に使い得る財源を見つけることができました。これをすべて福祉財源に充てさせていただく。これも正確に言うと、そのうち一千億は物価スライドに充当しますからあれですが、あとの四千億は特老の充実、あるいはホームヘルパーさんの充実、あるいは三歳児未満の少子化対策というふうな、この三点に絞ってこの五%の消費税充実の中で見出した貴重な財源を福祉に充当させていただこうというのが考えでございまして、全くというのは間違っていると思います。
 もっと大きく言えば、年金、医療それから新ゴールドプラン全体をとらえた介護政策全体については、確かにこの二%の消費税充実では対応できるものではありません。これが今後の見直し条項でさらに真剣に議論を詰めていこうという形をとらせていただいているところでございます。
#17
○清水達雄君 それで、もうちょっと具体的に伺いたいのですが、厚生省にお伺いしたいと思います。
 今、大蔵大臣がお話しになったように、老人介護対策で〇・三兆円、それから児童対策で〇・一兆円支出を積み増しするというふうなお話でございますけれども、先般の二十一世紀福祉ビジョン、二の場合には、大蔵省の機械的試算の中で使われたいわゆる二〇〇〇年における福祉に対する公的負担として、社会保障関係全体で年間の支出五兆五千億円というふうな数字も出ていたわけでございます。
 先般の福祉ビジョンというのは、私自身も前の大蔵委員会でも質問したんですが、十分な検討が行われていたとは思えませんし、それから福祉ビジョンの中身につきましても、老人や子供を家庭から隔離していろんな介護とか保護をするといった感じが非常に強いというふうな気持ちもあったのでございますけれども、それにしましても、機械的試算で世の中に公表して議論がされたわけでございますので、その二〇〇〇年の公的負担のレベルに比べて、今回の平成九年からのこのような福祉に対する支出というのはどの程度の充足度というふうなことになるのかこお伺いします。
#18
○説明員(江利川毅君) お答え申し上げます。
 御指摘の四千億円の今回の税制のフレームで措置していただきましたのは、先ほど大蔵大臣からのお答えもありましたように、緊急に対応すべき老人介護対策とか必要最小限度行うべき消費者対策というものでございます。
 一方、二十一世紀の福祉ビジョンの方でやっておりますのは給付と負担の将来推計ということでございまして、大変マクロ的に見たものでございます。そういうわけでございまして、単純にマクロ的な計算と今回の措置を比較するというのは難しい要素があるわけでございます。
 ただ、御指摘でございますので、例えば老人福祉対策という面で考えますと、老人福祉対策の追加的な対応ということで今回の税制改革のフレームで三千億円措置していただいたわけでございますが、一方、それにかかわりのある部分につきましては、厚生省は厚生省案ということでお示ししておりますが、新ゴールドプランを出しているわけでございます。そういう中では毎年七千億とか八千億経費を要するだろうということでございまして、そういうことで措置していただいたものと、福祉ビジョンなりあるいは厚生省なりに考えている将来のあり方とはまた乖離があるということでございます。
#19
○清水達雄君 それで、今回の消費税法の改正案では平成八年の九月三十日までにこの税率を見直すということになっていて、この五%がまた相当上がるのかという見通しというか、予想というのか、懸念というふうなものがあるのでございますけれども、私は余りそうあっては困るというふうに思うわけなんですが、今のような厚生省のお答えですと、やっぱり福祉ビジョンを実現するためにはとてもこの五%程度の消費税率の引き上げでは賄い切れない。もちろんそのほかにも、行政改革の問題があるとか、あるいは今これからの年度税制で議論している租特の見直しをやるとかいろんなことがあるとは思うんですけれども、そういうふうなことで賄えるとはちょっと思えないような感じもするんですが、そこのところの大蔵省の御見解はどんな感じでございますか。
#20
○国務大臣(武村正義君) ここは大変大事な議論でございまして、そういう議論が大事であるから見直し条項が設けられたということだと理解をいたしております。
 この案に対する御批判も、行財政改革に対してきちっとした数字を示してないままに増税に踏み切っているという御批判もございますし、片方、先ほどもお答えしましたように、福祉全体の将来の財政需要に対する改革じゃないじゃないかという御批判もございます。
 両方ともそのとおりで御批判のとおりでありますが、時間がなかったというのは何か余り説得力がない弁解のように映りますが、しかし、政権が出発して盆前後から精力的に与党で御議論をいただいて、ですからもともと、この秋に法案をきちっとした消費税率まで固めてしまって提案をするのは難しいじゃないか、もう少し時間をかけて、そのかわりに将来の展望も行財政改革もきっちり見据えて税制改革案を仕上げた方がいいじゃないかという主張がありました。
 しかし、私ども税制を担当する当局としましては、何といいましても国民の生活に直接結びつく税制でございますし、法定主義といいますか、税ほど法律が厳格に適用されなければならない政策はないという意味も含めて、ここでそんなあいまいな政治判断、処理をすれば非常に無責任という批判を受けるし、また何となく先延ばし、先送りしたという批判も浴びなきゃならない。そういうことで最後まで総理中心に議論がありました。しかし、最終的には五%でお願いをして、そのかわり見直し条項を置いて、もう二年間かけて国民の一番関心をお持ちいただくそういう大きなテーマについてきちっとした結論を見出していこう、場合によってはそのときには消費税率を見直すこともあるという条文を設けさせていただいているということであります。
 一般的には、また上げるのかということでとらえますと、おい、慎重にしなきゃいかぬよというお気持ちは大変よくわかりますが、別にこれは上げるということを宣言しているわけじゃありません。行財政改革によりむしろ抑制する道もあるわけですし、租税特別措置とか他の税目はどうなるかということも影響してまいりますので、消費税率だけに限って言えば上げる要素、上げない要素、さまざまございますので、一つ一つ翼剣に詰めていって最終判断をお願いできればというふうに思っております。
#21
○清水達雄君 要するに、福祉ビジョンをどういうふうに描くというか、決めるかということだと思うんです。これはこの間総理も、福祉を達成するのに、家庭との関係でありますとか、あるいは民間の年金、私的年金との関係だとか、いろんなことを幅広く検討して福祉の達成を図っていかなきゃならぬというふうなお話もあったわけでございます。
 結局、福祉ビジョンをどういうふうに詰めていくのかということが非常に大きな問題で、私は中曾根政権以前の経済計画の作成なんかにも参画をしたことがありますけれども、これについては経済のフレームワーク、あるいは社会のいろんな諸問題、あるいは租税、それ以外の国民負担、いろんなことを絡み合わせて、それで福祉はどうすべきか、公的負担はどうすべきか、あるいは公共役賓はどうすべきかというふうなことをワンセットで決めるということ、そういう議論をやってきたわけで、要するにトータルの検討を経て福祉ビジョンを決めるというふうなことをやってきたわけです。最近、経済計画みたいなものがかなり荒っぽいものになっちゃって余りそういう議論がなされていない。この間の福祉ビジョンみたいなものも、何か厚生省の審議会が単独で出したものがばっと世の中に出てくるというふうな感じに今なっているのは大変ぐあいが悪いんじゃないかという感じがするわけです。
 大蔵大臣は、新しい経済計画をつくったらどうかという御提案もなさったようなんですけれども、何か政府全体できっちり議論をして決めるということが僕は必要ではないかというふうな感じがするんですが、これにつきまして厚生省と大蔵省の御見解を伺いたいと思います。
#22
○説明員(江利川毅君) 先ほどの答弁で乖離があると申し上げましたが、私どもとしましては、今回の税制措置でとっていただきましたことも踏まえて新ゴールドプランの内容の実現に努力したいと思っておりますので、先ほどの答弁、補足でございますがつけ加えさせていただきます。
 それから、検討体制の話でございますが、福祉ビジョン、厚生大臣の諮問機関ということで先般三月にまとめたものがございます。これは社会保障のあるべき姿あるいは方向、理念、そういうものをまとめたものでございまして、一つの方向は示されたんではないかと思っているわけでございます。今後、議論を深めていく上に当たりましては、各施策ごとの具体的な中身の詰めということが重要なんではないかと思っている次第でございます。
 年金や医療保険につきましては、医療保険はさきの通常国会で、年金は今国会で上げていただきましたし、また社会保険制度についてはさまざまな改正がこの後も予定されております。そういうものを国会の御議論を踏まえた上で将来を推計していく。それからまた、新ゴールドプランとかエンゼルプランを考えておりますが、この面につきましても政府部内でいろんな議論をしながらいわゆる施策の積み重ねとしての数字を考えていく。余りマクロ的なものでは全部の税制を議論できないんではないかと思っておりまして、そういうことを順次詰めて姿を描いていきたいというふうに思っている次第でございます。
#23
○政府委員(伏屋和彦君) お答え申し上げます。
 今、先と言われましたように、これからの社会保障をどういう具体的な姿を描くか、まさにこれは大事な話でございます。したがって、先ほど大臣からも答弁されましたように、まさに今回見直し規定が置かれておりまして、社会保障等に要する費用の財源の確保等との関連で見直しも、そのほかありますが、行われるということでございます。
 そのときに、今厚生省からお話がありましたように、この検討過程におきまして年金とか医療さらに福祉、例えば新ゴールドプランでございますが、これも今後検討が行われていくわけでございますし、エンゼルプランもこれまた検討が始まったばかりでございます。年金、医療と相まって、これら全体で今後の高齢化社会に向かっての将来の社会保障の具体的な姿を示しながら、そしてどの程度の財源が必要かと議論し、その上でさらに税負担、社会保障負担等総合的に議論をしていかなきゃならない問題、御指摘のとおりかと思います。
#24
○清水達雄君 大蔵大臣、経済計画の話を今したわけですけれども、政府全体で検討をして詰めていくという体制、これはどういうのがいいのかよくわかりませんけれども、経済計画ができるのかできないのか、関係閣僚会議をつくるのかどうかとか、何かそういう点についてのお考えはございませんでしょうか。
#25
○国務大臣(武村正義君) 先週の閣議で、今の経済計画を見直しをして新しい経済計画を策定すべきではないかという発言をいたしました。
 今、御指摘のような公共事業、福祉等々さまざまな個別の計画との整合性の問題も確かにございますが、基本的には日本の経済がこんなにさま変わりをしております。今の生活大国五カ年計画はまさにバブルの頂点で論議されてつくられましたから、名目成長率は五%を見込んでおります。実質三・五%。現実には昨年度はゼロ成長でありましたし、最近の経済状況を見ています限りはなかなかそういうテンポで日本経済が推移するとは思えません。
 加えて、産業空洞化というふうな問題も出てきていますし、雇用問題一つ取り上げましても、あのころはむしろ雇用が足りない、だから外国人労働者を場合によってはもっと積極的に受け入れていくべしと、こういう議論があった時期です。今はむしろ雇用不安が募ってきている。わずか三年、四年の違いでございますがさま変わりでございます。加えて、こういう税制改革や年金改革、あるいはWTOにかかわる農政改革や公共投資の六百二十兆円のプラン、そういう新しい政策も村山内閣になって次々と出てきているわけであります。
 そういう状況全体を考えると、あのプランをそのまま持っているということではなかなか政府のさまざまな政策を推進していく上でも見通しが立ちにくいし、ましてや国民は、日本経済が本当にどうなるのか、景気のこともありますけれども、これからどうなるのかというところに一番関心がございますだけに、これは村山内閣としては最優先の大事なテーマではないか。あらゆる知恵を結集しながら、この厳しい時代の日本の経済計画の論議を政府が中心になって真剣に始めていい時期ではないかと、そんな思いから発言をしたところでございます。
 経済企画庁を中心にこれから準備をしていただくという状況でございますので、議会も含めてぜひこの問題に目を向けていくことができればというふうに思っております。
#26
○清水達雄君 今、大臣がおっしゃったようないろんな問題があって、これは全体として整合を保つということがどうしても必要なものですから、やっぱりそういう中に福祉ビジョンの問題も含めて、国全体として整合のとれた形のものをつくらなきゃいけないんじゃないかということを私自身は思っているわけでございます。
 それから、消費税が上がりますと住宅への影響は極めて大きいわけでございます。さらに、固定資産税の評価額が上がりまして登録免許税も大幅に上がっているということでございまして、住宅に対する消費税と登録免許税というのはいわば二重課税ではないか、流通税というふうな意味で二重課税になるんじゃないかというふうな感じがするわけでございます。今、住宅取得促進税制でローン残高に対しまして減税をやっていただいて、戸当たり最高百六十万円というふうな減税が行われているわけでございますけれども、これがほとんど全部すっ飛んじゃうというふうなことになるわけでございます。
 ちょっと数字を申し上げますと、平成五年の首都圏における住宅建設の平均価額でございますけれども、マンションの場合、これは床面積が六十五平米、戸当たりの土地が四十平米ぐらいのものでございますけれども、四千四百八十八万円でございます。これの消費税が九十四万三千円。これが今度五%に上がりますと、百五十七万円になりまして六十三万円ほどふえる。
 それから登録免許税につきましては、これは場所によって評価の上がり方が違うわけでございます。違うわけでございますが、東京都の二十三区内の公開台帳六千二百二十七ポイントのうち百二十六ポイントを抽出しまして、これは不動産流通経営協会というところがやったんですけれども、それで最高、最低、平均というふうな数値を出しているわけですが、その平均値が四・六四倍、これは全国平均で三・〇二倍と固定資産税の評価の上がり方が言われておりますが、四・六四倍。
 これを使って、しかも登録免許税は平成六年度、七年度は〇・四を掛けるということになっていますから、そういうことで計算しますと三十一万円だったのが五十八万円に上がる、マンションの場合ですね、二十七万円上がる。そうすると全保体として九十万円上がるわけです。
 同じように戸建て住宅についてやりますと、これは建物、土地の価格が五千八百七十三万円なんですけれども、これの消費税が八十八万円から百四十七万円に上がる。それから登録免許税は五十八万円から百八万円に上がる。これを合計しますと、百九万円上がるというふうなことになりまして、これは大変な負担増になるわけでございます。
 住宅を取得する場合に、我々もそうだったんですけれども、やっぱり最初の五年とか十年とかの間が非常に苦しいわけです。それを過ぎると何とか落ちついていくのでございますが、そういう意味で、取得の初期段階におけるこういう減税施策とか、あるいは住宅金融公庫の利子補給も十年間で打ち切っちゃっておりますが、そういう初期段階の手当てというのが非常に大事ということを考えると、戸当たり百万円上がるというのは大変なことなんですね。
 ですから私は、何とかこれの埋め合わせを住宅減税等でやっていただかないと大変な影響が出るのではないかというふうに思うわけでございますが、その点についてのお考えをお伺いしたいと思います。
#27
○政府委員(小川是君) 消費税、住宅取得促進税制、登録免許税、あわせての御質問でございました。
 消費税の性格は申すまでもないことでございます、あらゆる財、サービスに幅広く均等に負担を求めるというものでございますから、そういう性格からいたしまして、住宅だけではなくて、衣類であれ食料であれ書籍などであれ一律に御負担をいただく。それが今回、二%相当分を九年の四月から価格上昇としてはね返って御負担をいただくということでございます。
 この消費税と登録免許税の関係でございますが、登録免許税の性格は、例えば不動産などに関する財産権の権利の創設であるとか移転であるとか、そういったものの登記により受ける利益に着目しまして、その登記等を受ける行為に課税をしているわけでございますが、そうした行為の背後にある担税力に着目して課される流通税としてこれまで課されてきているものでございます。
 この問題につきましては、消費税の導入の際に税制調査会でも相当深く審議をしていただきました。消費に対する課税と、こうした権利を保護する、あるいはその権利の移転等の背後にある担税力に着目しての課税、これはやはりそれぞれの目的あるいは担税力に応じて存在してよいのではないかという結論になったわけでございます。
 もう一つこの登録免許税と消費税の関係で申し上げますと、住宅をお建てになる、あるいはマンションをお買いになるというときに、消費税がかかりますのは上物の建物の部分でございます。ここにつきましては今度は、これは古くからでございますが、登録免許税につきましては相当思い切った軽減措置が講じられております。土地の部分につきましては消費税は課税されないわけでございます。他方、土地の登記につきましては登録免許税が課される。
 したがいまして、さっきおっしゃいましたように、土地の価格が上昇してまいりますと、これは固定資産税評価額でやっておりますが、登録免許税の負担が上がるというのは事実でございます。地価が下がってまいりますと、固定資産税の評価額が下がれば負担が下がってくるという性格でございますが、近年の固定資産税の評価がえに伴いまして確かに負担が上がっている、そのため負担調整措置がとられているというものでございます。
 最後に住宅取得促進税制でございます。これはかなり古くからございますが、現在の措置は住宅を借入金で取得した場合のその借入金に着目をいたしまして負担軽減措置を六年間行っているものでございます。こうした制度に大きく変わりましたのが昭和六十一年でございますが、当時は中堅所得者層のまさに住宅ローンの負担が大きいというところから、住宅税制の思い切った緩和、拡大をいたしまして、現在約七千億の減税になっているわけでございますが、その後、税制の抜本改革、今回の二度にわたる改革によりまして、実はこうした所得者層の所得税、住民税の負担が大幅に軽減されているわけでございます。
 例えば、今言われた四千四、五百万の住宅を買われるような方、仮に年収がその五分の一だといたしまして、給与収入八百八十万円の方について申し上げますと、抜本改革以前から今回の改革後までで年当たり所得税、住民税が六十万円軽減されているという状況にある、そういったこともぜひ御配慮いただきたいと思うわけでございます。
#28
○清水達雄君 所得税減税があったからというふうなお話がございましたけれども、いわゆる社会保険負担の増加とかいろんな要素があるわけでございまして、そういうのをひっくるめて議論しますとそんなに負担が減っているわけじゃないというふうに思うわけでございます。
 それから、住宅に対する消費税というのは、通常の消費税ですと短期間に消費されるものを対象に課しているわけですけれども、住宅の場合には二十年、三十年、四十年、そういう長期間使用するものに対する課税を一遍に課すということになるわけで、額が非常に大きい。
 それから登録免許税につきましても、それは担税力があるところに着目してというお話もありましたが、消費税がだんだん上がってくるとそんな担税力はないわけでございまして、登録免許税というものは一体どういう税なのかということを考えると、登録免許税法を読んでみても何のために取るのかということがはっきり書いてないんですね。手続規定みたいなことしか書いてない。額に応じてお金を取るということは、これは単に手続的な税金を取るというんではなくて、やっぱり流通税として取っているというふうに思わざるを得ないわけでございます。流通税が二つあるというのはおかしな話でございまして、やっぱり私は見直しかどうしても必要ではないかというふうに思いますし、この点は今ここでどうこうするというふうな結論が出るような話ではないと思いますが、十分検討をしていただきたいというふうに思うわけでございます。
 それから次に、土地の長期譲渡所得課税の問題でございます。平成三年度の土地税制改革というのが極めて激しく変わる改革をやったわけでございまして、そのうちのかなりの部分がもとに戻されるといいますか、そういうふうなことをここ二年ぐらいやっていただいたわけでございますけれども、やっぱり土地の長期譲渡所得課税と地価税という二つの問題が残っているわけです、大きなテーマとして。地価税の問題についてはきょうは余り触れまいと思いますが、土地の長期譲渡所得課税につきましては、これを高く課税する、つまり今、地方税を合わせて三九%ですけれども、三九%税金を払って土地を売ろうという人はいないんですよ、よっぽど困る人でないと。ということは供給阻害になる。
 我が国の土地問題の最大の問題点は、需要と供給がバランスしない、土地は長期的に見ると必ず不足するから、持っていれば必ずどこかで値上がりがあるからもうかるよというのが土地神話だと私は思っているんですけれども、そういう意味で、やっぱり土地の適正な利用というのが土地問題の最大のテーマである、これは土地基本法もそれをねらった法律ですけれども。そういうことを考えますと、こういう三九%みたいな高率課税を課しているということは土地対策に逆行するんではないか、供給阻害ということによって、というふうに思っているわけでございます。
 きょうは建設省からも来てもらっていますが、今住宅建設は順調であると言われております。順調な原因というのは、一つは金利が低いから時ち家を建て直そうというのがあります。それからもう一つは、市街化区域農地について宅地化農地が指定されて、これを使わないと税金を取られるから賃貸住宅を建てようというふうなことがありました。それからもう一つは、初期取得者用のマンション、これはいわば賃貸住宅に比べてそんなに重い負担じゃなく初期取得者用マンションが買えるよというふうな状況下で飛躍した。
 これが今の順調と見える住宅建設の中身でございまして、本当にいい住宅をつくるというふうな建設は進んでいない。住宅建設のあり方としては非常に不健全というか、余り日本の将来のためにならぬような住宅建設をやっている。持ち家の建てかえは別としましてね。賃貸住宅は空き家が非常に出てきているし、初期取得者用マンションも供給過剰ぎみになってきて、もうそろそろ限界に近づいてきている。そうなると、その後住宅建設は一体どういうふうになっていくのかという心配が非常にあるわけでございます。
 その点につきましてまず建設省の住宅局から、今後の初期取得者用マンションが限界に来た後の住宅建設は一体どういうものがどういうふうに進んでいくのかという点について御見解を聞きたいと思います。
#29
○説明員(山本繁太郎君) 御指摘のように、昨今住宅建設は非常に好調でございます。累次にわたりまして経済政策を講じていただきまして、さらに最近の金融情勢、金利の状況を前提に、特に持ち家の建設それから分譲住宅の建設が非常に好調でございます。特にこの一年間について見ますと、委員御指摘のように、一次取得者用の規模の比較的小さいマンションが大量に供給されているという状況でございます。
 それについて、住宅政策上どういうふうに評価するのかというまずお尋ねでございますけれども、非常に長い目で見た場合の住宅政策の目標、我が国の住宅の質をよくしていきたいという目標に照らしますと、現在の住宅供給の状況は決して満足のできる状況ではないというのが私どもの認識でございます。
 非常に住宅事情の厳しい大都市圏、特に首都圏におきまして土地を取得してそこに住宅をつくるという意味での持ち家が実際にどういう家計によって供給されているかということが今の論議に関係しますので、私どものデータは限られておりますけれども、住宅金融公庫を御利用になって持ち家を取得される方々の特性というものを統計的に処理して整理しております。
 これは非常に中期的に安定しておりますので、きょうの御議論の御参考に供するために紹介させていただきますと、まず自分の土地に住宅を建設する個人建設でございます。世帯主の年齢が大体四十二歳から四十三歳ぐらいの方、世帯人員規模で四人強の御家族を持った方、こういう方々が建設しておられまして、大体百二十平米から百三十平米の質のいい住宅を建設していただいております。次に建て売り住宅でございますが、年齢で見ますと三十九歳から四十歳、人員規模が四人弱でございます。取得される住宅の規模は九十三平米という規模でございます。それから新築のマンションでございますが、マンションをお買いになる方の世帯主の年齢が三十六歳でございます。世帯人員規模が三人弱、取得するマンションの規模は六十一平米ということになっております。
 そういう住宅取得行動を前提にいたしますと、私どもはできるだけ質のいい住宅地が供給される、そこにある程度家計の力を持った部分が質のいい住宅を建設していただくということがまず第一に大事だと思っております。
 それから第二に、これは次善の策になるわけでございますけれども、今あります住宅で質のいい住宅を一次取得者ができるだけ努力をして取得しでいただく、そういうことが非常に大事だと考えでおりまして、従来から住宅金融公庫の融資、税制で制度を拡充してきておりますけれども、次年度以降もこれを一層拡充してそういうことによる居住の向上を図っていきたいというのが私どもの姿勢でございます。
#30
○清水達雄君 今、特に大都市圏では、従来つくられた狭い宅地に狭い住宅を持っている人が買いかえて、いい宅地に質のいい住宅をつくるということを進めていかなくちゃいけないと思うんですが、そう考えるとそのための土地があるのかということになるわけで、そういうふうな造成宅地のストックもそれほどないのではないか。それからディベロッパーは、宅地造成事業は全然もうからない、やるのに物すごく苦労するというふうなことで本当に事業意欲がもうなくなってきているわけでございまして、そういう点から考えて、質のいい住宅をつくるような土地をどうやって供給させていくのか、その辺の問題点なり展望についてお伺いしたいと思います。
#31
○説明員(尾見博武君) 宅地供給についてのお尋ねでございますが、近年の状況はどうかということでございますが、総じて横ばいないし下落というような状況ではないかと考えております。また、素地取得が非常に難しくなっている、それから開発適地が不足している、それから地価の先行き等が不透明であるというようなことによりまして、民間事業者の方の開発意欲というものが非常に減少しているということだと承知しております。
 私どもといたしましては、このような現状を踏まえまして、開発適地を拡大していく、宅地開発指導要綱の行き過ぎ是正の徹底を図っていく、さらに、関連公共公益施設の整備の負担等が非常に重うございますので、こういうものの負担の軽減等によりまして宅地供給の促進に努めていきたい、こう考えております。
#32
○清水達雄君 いずれにしましても、いい宅地をつくるということが今後の住宅政策にとってのやっぱり最大の課題であるというふうに思っているわけでございます。
 それで、従来、この土地税制の議論をしますと、平成三年度の土地税制改革というのは地価が上がったからやった改革ではないです。土地問題についての構造対策である、土地神話をなくすための対策であるというふうなことが言われてきております。例えば地価の上昇は、東京圏ですと、昭和六十一年中、六十二年中に上がりまして、二一%とか六八・六%とか上がって、六十三年以降はほとんど上がっていないんです。
 それから税制改革というのは、平成三年度に改革はやりましたけれども施行は平成四年度からです。そういう時点の開き等を考えましても当然そういうことだろうというふうには思うんですけれども、ただ問題は、供給阻害になるような税制をつくってはだめなんです。供給阻害になるような税制の中で最大のものは長期譲渡所得課税の三九%でございます。
 だから私は、こういうことをやるということは、土地基本法を踏み台にしてとか、土地基本法を受けてとかというようなことをしょっちゅう大蔵省は言っているわけですが、私は全く違うことをおっしゃっているというように思っているわけでございまして、土地基本法の最大のねらいというのは土地の適正な利用なんですよ。適正利用のためには土地利用転換が必要であって、そのためには土地の円滑な流動が不可欠なんです。それを阻害するような税制をつくって、土地基本法にのっとってというふうな言い方は絶対やめてほしいというふうに思っているわけでございます。どうもこの土地基本法の理解の仕方といいますか、そういうものがこういった点についての考え方を余りにも軽視し過ぎているんではないか。
 それは確かに土地基本法の理念の中には受益に応じた負担というのが書かれております。私も関与しましたけれども、これはもともとは大きなインフラ整備なんかをやるときに受益者に負担させようというところから発したものです。しかし、受益者負担はどうやって実現できるのかというと、例えば鉄道を敷いたら、その沿線地域の受益者にこういう負担を課したらいいというような案はなかなかできませんから、これは固定資産税の評価が上がっていって、それで回収されて、その金をもって鉄道事業者に補助するとかいうふうなこともあり得るから税制も書かにゃいかぬよぐらいの話で入れた話なんですよ、本当は。
 だから、どうも受益に応じた負担というところだけが先取り実施といいますか、ちょっと言葉は悪いけれども、抜け駆け的につかまえられてやられているということを私は参議院議員に当選以来年じゅう言い続けているんです。この点について、もう余り土地基本法に基づいてというようなことは言わずに、供給がちゃんと促進されるような税制に直していただきたいということを強く要望したいんですけれども、お考えはいかがでしょうか。
#33
○政府委員(小川是君) 土地税制は、委員おっしゃられますように平成三年度に大きな改革をいたしたわけでございます。この大論議、土地基本法の制定に至る経緯、あるいはその後の税制上の論議の経過も御案内のとおりでございます。私どもは、建設省、国土庁を初めとして関係者の御意見をさんざん伺い、御議論をいただき、税制調査会でも御議論をいただきました。
 ただいまの優良な住宅地の供給という観点から申し上げますと、当時の議論では、まず住宅地、何よりも優良な住宅をつくるには土地が安く提供される、地価が国民から見て高過ぎないようにという地価の安定あるいは低下ということが一つの目標であったと存じます。
 もう一つは、土地はただ動けばいいというのではなくて、まさに今おっしゃった優良な利用に資するような動き方、そういうことが大事であるということの御議論でございました。
 建設省ともお話をいたしまして、土地の理念というよりは、むしろ土地基本法で土地はこういう性格のものである、公共の福祉を優先するものであるということから他の資産とは趣を異にする、しかも、税制上土地は資産として有利性を有しているということから、長期譲渡所得につきましては三九%と税率をそれまでよりも高くする一方、優良な住宅地の供給に資するものを一五%プラス五%の二〇%ということで、この対象範囲を非常に広くとったわけでございます。
 そしてまた、近年におきましても、住宅政策上の要請、良好な宅地の造成、環境整備のために、この対象範囲の拡大ということについて関係省庁からも御意見を伺いながら広げてきているという状況にあるという点は、ぜひ御理解を賜りたいと思うわけでございます。
 それから最後に、この税制につきまして最大の問題は、土地の有利性の神話を確固たるものにしているのが土地の税制をくるくる変えることである。したがって動かない。それならば税制を緩和しろということから土地税制の緩和期待、それが土地の資産としての有利性ということを長年にわたって強めてきた。したがって、確固たるものとして税制をつくるようにというのが最も大きな御議論であったように承知をいたしております。
#34
○清水達雄君 今の御答弁で、一つは、三九%というふうな一般的譲渡についての高率課税をやったけれども、優良住宅地供給については軽減税率の制度もつくりましたよというのが一つありました。それからもう一つは、土地神話の根底にある土地保有の有利性の縮減というお話がありましたから、この二点をちょっと詰めてみたいと思うわけでございます。
 まず税制というのが、これは平成三年度の税制改革のときにそうだったんですけれども、土地対策について税が補完的であってはならない、やっぱり主役の一人になるべきであるという議論があったわけです。それまでは常に政府税制調査会も大蔵省も、税は土地対策については補完的な役割を果たすのだということを言ってきた。
 私は、土地の利用転換あるいは適正利用というふうなことを考えた場合には、行政措置と税制がリンクをして初めてうまくいくというふうに思っているわけでございまして、三大都市圏の市街化区域農地について、一つは宅地化農地といわゆる生産緑地と区分けをしました。区分けをして宅地化農地については固定資産税をちゃんと宅地並みにかける、あるいは相続税の特例も廃止するというふうなことをやって、行政措置とあわせてやる。ところが、税制だけでやるというのはいろんな副作用みたいなことばかり出てきちゃってうまくいかないんですよ。
 そういう意味で、私は、国土庁とか建設省が土地の適正利用という面についての対策をもっと本当に汗を流して一生懸命やらなきゃいかぬというふうには思っているのですが、税制だけ抜き出たために供給阻害的な土地の流動を妨げるような要因が出てきているというふうに思っているわけでございます。そういう点についても、やっぱりもう一回税制とその他の行政措置との関係というのをいろいろ考えていただきたいなというふうに思っているわけです。
 それで、その土地保有の有利性につきまして、平成二年の政府税調の土地税制答申ではかなり細かく、こんな有利性があるよということを言っているんですけれども、バブル崩壊後の今日においてもやっぱり同じような認識を持っておられるのか、その点について伺いたいと思います。
#35
○政府委員(小川是君) その点は、結論を申し上げると全く変わっていないと存じます。と申しますのは、土地基本法が制定されて一番注目されましたのが、土地基本法の第二条でございましたか、「土地はこというくだりがございますね。土地というのは国民のための限られた貴重な資源であること、二つ目は国民の諸活動にとって不可欠の基盤であること、土地の利用と密接な関係を有するものであること、それから社会的経済的条件によってその価値が変動するものであるということ、こういった土地の資産としての特性が全会一致の立法によって位置づけられたということであったと存じます。そしてそこで、この土地の問題はこれをベースにして議論が行われました。
 土地が資産として有利であるということについてはたくさんのことが言われているわけでございますけれども、やはり資産としてリスクが小さい、壊れたり消えたりするようなリスクがない。あるいは、まさに我が国における高い経済成長を背景にしていつも地価が経済成長よりも高く上がってきているという過去があったとか、それから、基本法で言うように、自分の努力ではなくて、あるいはリスクをかけずして、周辺のさまざまな公共投資であるとか開発によって価値が上がっていく。しかもその上、保有についてのコストが、固定資産税が非常に時価とはかけ離れた安い負担になっておりますので、通常財産が持つ時価に対する保有コスト、リスクという観点から極めて薄い。そういうことがいろいろ議論になって、この保有の有利性に対して保有課税をもう少しきちっとしてはどうかということになったと存じます。
 こうした土地の特性という点につきましては、もとより地価でございますから上がったり下がったりすることがございましょうし、バブルで非常に上がり、それが崩壊して下がるという状況にあろうかと思いますが、土地の特性としての有利性というのは同じようにあるのではないか、そういう性格のものではないかというふうに認識をいたしているわけでございます。
#36
○清水達雄君 まず、長期的な需給逼迫傾向から地価上昇は土地の生産性の伸びや国民所得の伸びをかなり上回るというふうなことを有利性の一番先に掲げているわけですけれども、昭和五十八年を一〇〇とした基準地価格指数、これは都道府県地価調査による基準地価格指数ですけれども、これが一番新しいわけですからこれでいいますと、全国も東京圏もGNP指数よりも下回っているわけですね、現在も。
 それから、もっと長期で見て、昭和四十年を一〇〇とした六大都市圏の市街地価格指数も名目GNP指数を下回っているんです。つまり、昭和四十年以降の長期的な傾向から見て、決して国民所得の伸びを上回っているわけではないんです、地価の上昇というのは。ただ、昭和三十年を一〇〇とすると上回っています。これは、三十年代というのは日本経済が敗戦から復興して、昭和三十保にやっと戦前並みになったというプロセスだったわけです。そういうところですから、そこの場合にはいわゆる工業化が非常に進んだというようなこともあって三十年代に相当上がったんです。これを背負ったままの形で四十年以降は推移してきているということなんです。げたを履いているんです、三十年代の。ということであって、決してその地価上昇というのはGNPを上回るような伸びはしていないということがあります。
 それから、リスクが小さく値上がり期待が大きい資産で云々というような話は、今はもうみんな不良債権で苦しんで、会社はみんなつぶれそうだとかいう状況になってきているわけでございます。これは今度のバブルとその崩壊のプロセスにおいて、もう企業も国民も痛いほど土地を持っていることの怖さというのがわかってきている。これは昔から持っていろんならいいですよ、新しく買って持つということの怖さというのがわかってきていると思うわけです。
 それから、外部的な条件によって上昇するということはそのとおりでありますが、しかし昭和五十年から平成六年までの二十年間でその間の年々の地価上昇を見てみますと、金利よりも上回って地価が上昇した年というのは四年間しかないんです。あとの十六年間は金利水準以下の上昇でしかないんですね、地価上昇。何でバブル的に一気に地価が上がるかというと、これは仮需要も含んだ、あるいは過剰流動性を含んだ膨大な需要超過なんです。ここだけ手当てをすれば地価はもう余り上がらないんです。私は、税制をいろいろいじくるという必要はないというふうにむしろ思っています。
 これは、昭和五十七年度の税制改正のときに自民党の税制調査会会長だった山中貞則先生が、長期安定的な土地税制をつくるということで、例えば長期譲渡について言うと、譲渡益四千万円以下は二〇%、四千万円超は二分の一総合課税という制度をつくって、それが消費税の導入と所得税の税率の最高限度を引き下げたときに、二分の一総合課税は二五%と同じだからといって二五%にしましたね。だから、昭和五十七年度から平成三年度まで、言うなれば四千万円超の譲渡益については二分の一総合課税が課せられてきているんです。これをこのまま残しておけばよかったんです。そうすれば私は今こんな質問をしないで済むんです。
 そういうふうなことで、この間の世論調査でまだ土地保有の有利性があるとか言っていますが、これは、先祖伝来持ってきた土地を売って株を買ったり預金をするとそれは不安があるから、もうからぬかもしらぬけれども別に損することもないだろうから土地を持っていよう、そういう心理が働いていると思うんです。ですから、今後地価は上がるかという質問に対しては七〇%ぐらいがもう上がらないと言っているんですね。三〇%程度、二八%ぐらいがまだ少し上がるだろう、二%ぐらいがまだ大きく上がるだろうというようなのがこの間の世論調査なんですよ。だから、どうも土地を持つ有利性というのは大分変わってきているなというふうに思います。
 それからもう一つ、ちょっと時間がなくなっちゃって申しわけないんですが、いわゆる軽減税率の問題ですけれども、非常に軽減税率の適用の幅が小さいんですよ。これはもう言いませんけれども、平成四年度の五兆四千億円のうち軽減税率が二兆一千億、平成六年度は六兆円に対してこれも軽減税率は二兆一千億というふうなことでございまして、結局五百平方メートル未満の土地の移動というのが非常に多いんです。これは国土庁の都心部の土地の有効利用の議論の中でも七五%が五百平米以下なんですね。それから、土地取引につきまして土地白書に載っておりますけれども、東京圏では土地取引の八九%が五百平米未満なんですよ。全国では七八%が五百平米未満なんです。だから、小規模土地の移動については重課をし、大きい土地の移動については軽減税率を課しているというのが今の姿なんです。
 それで、土地区画整理事業なんかやる場合に、まず先買いをするときに軽減税率が適用できない。それから、区画整理が済んだ後これは画地に分かれますから、その画地を売るときも面積が小さいから軽減税率が適用できない。だから、本格的な宅地造成事業についてこの軽減税率が使えないんです。全面買収ならいいですよ。ところが全面買収なんかもうそんなにできませんから、そういうふうな状況になってきているわけでございます。
 それからもう一つは、土地取引というのは連鎖性がありまして、自分が持っている土地を売ったらまた別の土地を買いかえたいというのがあるんです。買いかえ土地が三九%じゃだれも売ってくれませんから、それならもとの土地も売らないよというようなことになってしまう。そういう連鎖性があるというふうなことも考えていただかなきゃならない。
 だから、何といいますか、これは建設省あたりが大蔵省によくそういう実態をきちっと説明していないというところに問題があると思うんですけれども、そういう意味において、やっぱり土地の流動化というのはなかなか机の上で区分したようなわけにいかないということを申し上げて、本当は答弁していただきたかったんですけれども、時間もなくなりましたので質問はこれでやめます。ありがとうございました。
#37
○委員長(西田吉宏君) これにて清水達雄君の質疑は終了いたしました。
#38
○佐藤泰三君 自民党の佐藤でございます。
 このたびの税制改革につきまして、税制一般につきまして御質問申し上げます。一昨日の質疑と、またただいまの清水議員の質疑で多少重複があるかもしれませんけれども、御勘弁願いたいと思っております。
 私はこの夏、参議院の同僚議員九名と、高齢者福祉の先進国と言われていますスウェーデンなど北欧三国と、フランス、ドイツ、イギリスに、消費税と福祉の関係の視察、勉強に行ってまいりました。
 ヨーロッパに行って驚きましたことは、ヨーロッパの消費税が日本に比べて非常に高い。スウェーデンが二五%、ドイツ一五%、イギリス一七・五、フランス一八ということがまず第一点でございます。これから日本も高齢化社会を迎え、少子時代が来ますから、所得税の増収を望めない時代になりますので、やはりこれから日本もだんだん消費税がこのようになってくるのかなという疑問を持って帰ったわけでございます。
 また考えますと、欧米の国は先祖が偉かったのかあるいは植民地資本が豊富だったのか、非常に社会資本が日本と比べまして立派に充実しております。道路、下水、河川、住宅、公共施設、予算を見ても社会資本はせいぜい補修か清掃ぐらいしか費用を使わなくて問に合うというぐらい完備されておるわけでございますが、我が国は遺憾ながらまだ社会資本の大きな立ちおくれがございますので、これらを考えますと、これから日本は福祉と社会資本の充実と両面作戦がありますので、非常に大変なことだなと考えざるを得ません。
 外人は、日本人はウサギ小屋に住んだ金持ちだと言っているそうでございますが、金持ちのうちに早く社会資本を充実しておかないと、いずれ将来大きな国家問題、社会不安を来すのじゃないかと憂え、心配するものでございます。
 そこで、大臣にお伺いしたいのでございますが、御案内のように我が国では、二十五年後の二〇二〇年になりますと人口の二五%は高齢者になる、四人で一人養うという状況になるわけでございます。いわば人口の半分の勤労者約六千八百万人が六千八百万のお年寄りと子供の面倒を見なくちゃいけないということになるわけでございます。
 また一方、我が国の国債も、余り国債については新聞報道もないし、地方の自治体の首長、議会の方は国債に対してはほとんど無関心で残高は御存じありません。かく言う私も地方に二十年いましたけれども、国の国債全然関知しませんでした、関係ないやというのが日本国民のすべてだと思うのでございます。国債二百兆円、地方債約百兆、国と県のこの三百兆という大きな負債がございます。国民一人当たり百五十何万になりますか、一世帯で六百万ぐらいの借金背負っている。そのうち生産性は落ちてくる、高齢者がふえると一体どうなるんだろうと思いますとき、このたびの税制改正のねらいもその辺につけたんじゃないかなと思うのでございます。それにしても平成九年の四月一日と、まことに猶予があってありがたいのでございますが、それで果たしてよろしいのかなと思うわけでございます。
 そこで、スウェーデンの国民負担が七四・三%でございます。そのかわり揺りかごから墓場までと、高福祉高負担であります。アメリカは低福祉低負担、三六・三%、イギリスが中間の五〇%、現在の日本は三八・六%でありますが、我が国の国民負担、将来はどのようにあるべきか、また大臣としましてはこの税制改正を含めましてどのようなお考えかと思うわけでございます。
 また、この税制改正の消費税アップで国民に負担を求めるからには、将来このような形で福祉の方に十分、何%上昇するというような説明があれば納得できるんじゃないかと思うのでございますので、その点をまずお伺いしておきます。
#39
○国務大臣(武村正義君) 佐藤委員に御指摘いただきましたように、現在と将来を考えますときに、税制あるいは国民の負担という視点にかかわるさまざまな問題がございます。私も今回の税制改革の論議の出発点でも自分なりに感じましたのは、今、二百兆円のお話を出していただきましたが、国家財政が大変深刻な事態に立ち至っている。その認識からいたしますと、本当は日本の財政を再建する、健全化するための税制改革という視点があるんだなと感じました。
 しかし同時に、もう一つは、昨年来の議論で減税のための増税と言われますように、当面所得税のかなり大胆な減税をしなければならない。その財源をどうするかという視点での税制改革の論議、増税論議が目の前にありました。もう一つ大事なのは、今お話しのように、福祉、社会書添とおっしゃいましたが、まさにこれからの日本を考えますときに最も大きな財政需要になってくるのは福祉の充実と社会資本の充実、この二つが一番大きなウエートを占めてくるわけでございまして、この期待にこたえていくための税制改革というとらえ方もあるなど。財政再建のための税制改革、減税のための税制改革、福祉、社会資本充実のための税制改革と、こんなとらえ方をいたしましたが、すべてにこたえる改革を一挙にやることはとてもこれはできない話でございます。
 そういう認識を持ちながら、今回は当面の景気対策として減税政策が先行されてもおりますし、サラリーマンの期待も大きいわけでございますから、まず減税は目をつぶって断行しなければならない。そのための税制改革ということがまず最優先になる。
 しかし、将来の財政需要の中では福祉保と社会資本がありますが、そもそも消費税は誕生したときからも福祉税というふうな議論が盛んに行われてまいりましたし、またこの税の水平的公正という性格からいきましても、みんなで負損してみんなの老後を支えていくという意味では、消費税と福祉のかかわりというのは大変国民の間にもいろんな認識が深まりつつあるわけでございます。そういう意味では、福祉の財政需要の立場から消費税制をどう充実していくかというテーマにも目を向けなければいけないと思っておりました。
 御提案をいたしております改革案は五%ということで、先ほど滝本委員の御質問にお答えいたしましたが、減税を基本にしながら約五千億の福祉財源を見つけて最小限必要な福祉の充実に資すると、こういうまとめ方でございます。しかし、見直し条項も置きながら、今御指摘いただいたような幅広い視野から、しかも長期的なレンジからさらに真剣に、今申し上げたようなさまざまな立場も含めて議論をしていく必要がある、私ども財政当局としましてもより一層真剣にこの問題に目を向けていく必要があるというふうに認識をいたしているところでございます。
 スウェーデンのお話がございましたが、高福祉高負担でいくのかどうか、あるいは国民負担率は将来どう考えるのかという大きなテーマがございます。まさに受益とサービスのかかわりでございますが、なかなか単純に答えるのは難しいと思います。厚生省では適切な負担、適切なサービスと、こういうふうにどこかで表現されておりました。あるいは中福祉中負担という言葉もあるのかもしれません。いずれにしましても、どこかから打ち出の小づちのようにお金がわいてくることは期待できません以上、厳しい御負担をお願いしながら、自分たちの福祉をしっかり支えていくという考え方に立ってこの問題を見詰めていかなければいけないというふうに思っている次第でございます。
 アメリカと日本は、今は三〇%台後半でやや低い負担率というふうに国際比較の中では言われておりますが、行革審の答申などでは、だんだんこれがふえていくという認識のもとに、しかし幾らふえても最高五〇%を超えてはならないと、こんな答申もいただいているところでございます。村山総理も、このことを繰り返し、今の政府の大事な目標の一つにしていこうというお考えでございます。
#40
○佐藤泰三君 また、我が国の税体系は、御案内のように所得課税、消費課税、資産課税と三課税になっておりますが、このバランス、清水委員の質問もございましたけれども、なかなかこの場ではバランスは難しいと思うのでございます。
 この消費税、六年前ですか大変な騒ぎがございましたけれども、何か日本では消費税は誤解を招いているんではないか。この前ストックホルム、ブダペスト等でいろいろ話したときには、消費税が一番公平なんですという意見を聞いております。自分で消費するんだから一番公平な選択課税ですというような意見を聞いておりますけれども、日本では何かその点が誤解を招いているのではないか。
 と同時に、前回も申し上げたんですが、大蔵省のPRが非常に不足じゃないか。大蔵の中に優秀な頭脳が集まっていて、一般国民は理解できないということで申し上げたんですけれども、そう思います。資料をこの間ちょうだいいたしました。立派な資料です。しかし、あの資料を累たして何人が見たか。恐らく、今の日本の国にこういう膨大なる国債があるということを知っている国民は一〇%ないんじゃないかと思います。
 今国民が知っていることは、非常に景気がよくて、ドルが余って日本の国は苦しんでおるから、ドルを使わなければ悪いんだ、ドルを使うのは国家のためなんだというふうなことが一般では非常に普及しております。ですから、若い者は海水浴はインド洋のペナン島まで行っている。シャカルタヘも行っている。専ら海外へ行ってお金を使うことが美徳なりと、国家の大きな方針じゃないかというふうな誤解を持っているように私は考えます。一千二百万人も海外旅行をする。この前ペナン島に行きましたら、二十七万人来るそうです、ほとんど若い人の海水浴だと。非常に驚きました。
 その点、もうちょっと大蔵省もレベルを下げるというか、中学一年生の社会科の講義程度の形でわかりやすくやらないと理解できないと思います。日本人は優秀で勤勉な学歴社会の国ですから、国の財政の窮乏を本当に大臣、総理が訴えれば、わかったとなるはずです。それがないからいろんな問題が起きるのだろうと私は思います。
 私は現に二十年近くやっていてわからなかったんですから、国の財政まで。地方自治体は起債起債と起債の競争をしておる、国は国債の競争をしておるということで、これで果たして気がついたらどうなるのかと思います。かつて、今から五十年前に、政府発表で勝った勝った、景気がいいと思って、気がついたら焼け野原になってしまった。極端な例でございますけれども、やはり国がこれだけあれしているんだと。恐らく国民はこういうことは一切知らない、金が余って余って困る、ドルが余って困っているんだと。だから使おう使おう、そういう気持ちが非常に充満しているようでございます。その点をもうちょっと、この前も申し上げたのでくどいのでございますが、どうぞPRしていただきたいと思うわけでございます。
 それからもう一つ、消費税も、どうしてもなくちゃならぬ生活必需品がございます、米、みそ、しょうゆ、こういうものに対するものはうんと低く、また娯楽、遊興、なくて間に合うものは当然税率は高くていい。その点の格差をやはりつけるべきじゃないか、そういうふうに私は思います。私、いつも冗談で言うんですが、ハネムーンで毎年六十万組海外旅行をする、一組三十万で一千八百億使う、どうだろう、ハネムーンで行く人にはハネムーン旅行税十万ぐらい負担してもらったら六百億入りますね。国内でいっぱい旅館も困っていますから、そのくらいの勇断があっていいと思うんです。
 まあこれはひとつ参考までですが、御見解はどうでしょう。
#41
○国務大臣(武村正義君) 経常収支の議論になりますと、いつも千数百億ドル日本は黒字であると。これが国家の黒字であるとありがたいんですけれども、これは民間ベースでございまして、国の赤字黒字とは関係のない話でございます。
 おっしゃるように千二百万人の方が海外にいらっしゃる。国民は大変豊かだという意味も含まれているのかもしれませんが、そういう中に税制もあるわけで、あるいは国家財政もあるわけで、もう少しわかりやすく国の財政状況も国民の皆さんに御理解をいただいて、その理解が進む中でもう少し積極的な対策を講じていくべきだという御指摘をいただきました。弟りがたく拝聴をさせていただきました。
 役所としてはどうですか、伏屋さん、財政状況を少しわかりやすく説明してくれますか。
#42
○政府委員(伏屋和彦君) お答え申し上げます。
 今、佐藤委員が言われましたように国の財政状況は極めて厳しい状況でございまして、よく平成六年度末の公債残高が二百兆円を超えるものと見込まれますとか、それから国債費の元利払いが歳出予算の中の二割を占めるなどというようなことも申し上げておるわけでございます。
 それらのことをまたいろんな形で私どもは国民の皆様に知っていただくために、例えば「財政改革を考える一というパンフレットでございますが、各年度の予算とか財政の現状、問題点を一般向けに私どもとしてはわかりやすく解説しているつもりでございます。あと、「高齢化社会に向けての財政改革」という、いわばポイントを絞って、絵等も入れながら一般向けにわかりやすい解説書みたいなものをつくっておるつもりでございます。
 おっしゃいますように、本来なかなか難しい内容のものであるわけでございますが、私どもといたしましても国民各層の御理解を得なきゃならぬわけでございますから、おっしゃいますようにさらにわかりやすくPRするような努力、これは本当にやっていかなきゃならないと思っております。御指摘、ありがたいと思っております。
#43
○佐藤泰三君 ちょっとお尋ねしますが、消費税の率の変化と申しますか、生活必需品と貴金属、すばらしい毛皮類とか、そういう率の変化のあれはどうでしょう。
#44
○政府委員(小川是君) 消費税の税率につきましては、消費一般、全体的に広くできるだけ例外なく課税をするというのが、現在世界じゅうで七十三カ国になりますけれども、わずか二十年余りの間に広がった消費税の特色でございます。その意味からいたしますと、できる限り例外がなく、そして税率を単一で課税するというのが、消費に応じた負担というこの税として最もふさわしいものであろうかと思うわけでございます。
 ただ、他方において、今委員御指摘のように、奢侈品にはやや高目に、そして生活必需品には低目にという議論あるいは制度がないわけではございません。
 一番典型的にございますのは、ヨーロッパ諸国におきましても食料品に限って軽減税率を置くというのがかなり多くの国で行われているところでございます。むしろ、奢侈品に対する割り増し税率というのは、かつてこうした税率を置いていた国がございましたが、現在ではフランスなどでも全部こうした税率を廃止いたしまして標準税率に一本化いたしております。
 したがいまして、残ります問題は、軽減税率といったようなものを設けることが果たしてこの税としてどうだろうかという議論でございまして、これまでも御議論がございました、これからも御議論があろうかと思いますが、税制としての問題点だけはぜひ御理解をいただきたいと思うわけです。
 例えば、食料品という場合にどの範囲にするか。食料品と申しますと、米、みそ、しょうゆといったような基礎的なものだけに眠れないかとか、あるいは全般にしますと、よく申し上げるわけですけれども、キャビアだとか松阪牛とかとろといったようなものでも食料品でございまして、そういったものをまた区分けしようといたしましても、税制としては実際上こうしたものを区分して制度としてつくり上げるということはほとんど手がないのではないかという感じがいたします。
 また、食料品全体を据え置くことにいたしますと、よく御議論がありますけれども、ほかにも住宅を下げてはどうかというような御議論がございます。食料品であるとか住宅ですと消費の恐らく三分の一ぐらいは占めてしまいましょうから、残りのところに非常に高い税率がかかってくることになりましょうし、衣類であるとかあるいは子供の学用品なんかにはみんなかかる、それでいながらこういうものには必需品であるからかからないということで、さて通るであろうかというような面がございます。
 またもう一つは、消費税というのは何百万という事業者の方々が扱っておられます。そこへ複数の税率が入りますと、品目の仕分けに大変複雑な手間がかかってまいります。また消費者にとりましても、どれが幾らのものであるか、例えばスーパーのレジなんかでも大変煩雑な手間がかかり行列ができるといったような問題もございまして、農民の方にとりましては還付といったような問題も出てまいります。
 いずれにいたしましても、軽減税率がもたらす政策的意味と、またこうした社会的なコストといった面からも今後とも御議論をいただきたい。現状では、こうしたできる限り軽減税率をとらない一般的な消費税というのを維持できるといいんではないかというふうに考えている次第でございます。
#45
○佐藤泰三君 次に、今度所得税法が改正になりまして、六百万から千八百万のいわゆる中堅の方が緩和されることは非常に歓迎するところでございます。さらに、高額所得者の最高税率は地方税合わせて六五%、また法人税も四九・九八%、これはそのままになっておりますが、この問題が非常に国内の産業また高所得者の海外逃避、空洞化を来すんじゃないかというわけでございますので、その点もひとつまたいかがでございましょうカ
#46
○国務大臣(武村正義君) 先ほどお答えいたしましたように、二〇%台だけではありません、それ以上も、もちろん一〇%台も少しブラケットが広がっております。
 標準家庭の収入ベースで言いますと、今おっしゃった最高税率六五というのは地方税も入っておりますが、所得税で五〇の場合は今までは二千四百八十三万円でございました。約二千五百万円を超えると現在は五〇%の最高税率になります。今回は三千五百六十万円。約一千万円ぐっとシフトしまして、それを超える場合が五〇%となりまして、ですから実質最高税率の適用者というのはぐんと数がこれで減るということになります。
 それでも、与党税調でもいろいろ議論をいただいて五〇そのものを下げるべきだという主張も確かにあるわけでございますが、今回はいろんな論議の結果、見合わせるという結論になりました。
#47
○佐藤泰三君 これは要望かもしれませんが、政府税調から大体五〇%が適当だという答申が出ているようでございますが、どうぞこれにまた近づけるようにお願いしたいと思っております。
 次に、医療機関におきます消費税の負担につきましてお尋ねいたします。
 今、医療機関が購入します医薬品、材料、器具、設備、建物、また委託業務も消費税が当然ついております。社会保険診療にかかわる分については、社会保険診療報酬が非課税となっておりますので、仕入れ税額を控除することができない現状でございます。
 このために、医療機関では一応消費税分を負担した上で、社会保険診療報酬に消費税分が加算され、回収される仕組みになっておるわけです。しかし、その消費税分が適正に上乗せ加算されていないために、不足する消費税分を医療機関が負担する羽目になっているわけでございまして、これに対して医療機関からほうはいとして不満の声が沸き起こっているわけでございます。
 社会保険診療報酬は公定価格でありますので、消費税の不足分を患者に転嫁するわけにはいかないので医療機関が負担することになる。他の事業では益税が出ると言われておりますが、逆に医療機関では反対に担税が発生しているわけであります。特に大きな医療機関等では、高額な医療機器の購入の際に大きな損税が出るということが今度の消費税問題で医療従事者の間で大きな話題になっているところでございます。
 そこで、平成元年に消費税が初めて導入された際、消費税分として診療報酬ベースで〇・七六%の上乗せ加算があったと聞いておりますが、その算定根拠を伺いたいと思います。
#48
○説明員(辻哲夫君) 診療報酬の課税問題につきましては、仰せのとおり非課税でございますけれども、医療機関が購入いたしますときには消費税がかかるということで、その部分についての手当てを平成元年にいたしたわけでございます。
 その考え方といたしましては、基本的には診療報酬はいわゆる診療行為に対応した一律の公定価格でございますけれども、実勢の価格に消費税がかかるわけでございますので、医薬品につきましては実勢の価格を調べましてそれに消費税を乗せたというようなこと。それから、その他のものにつきましても課税される部分につきまして価格の動向というものに対応する。その場合に、一定の在庫がございましたので在庫があるということも見込むと。こういうようなことに着目しまして、結果といたしまして、薬価基準につきましては薬価ベースで二・四%。これは医療費ベースに換算いたしますと〇・六五%でございます。それから、診療報酬につきましては〇・一一%。合わせて医療費ベースで〇・七六%の引き上げを当時の診療報酬改定で行いました。
 その後、平成二年、四年、六年と薬価基準、診療報酬改定が行われておりますが、薬価につきましては、実勢価格を課税分を除きまして調査して改めて課税分を乗せるといったこととか、それから診療報酬につきましては、医療経済実態調査におきまして消費税分を含めた費用というものを把握いたしまして、これを踏まえて改定率を決めるといった形で対応いたしてきております。
#49
○佐藤泰三君 平成二年、四年、六年の診療報酬改定におきまして、平成五年度の実態モデル調査によりますと、原価率が病院で四七・七%、診療所四二・九%となっていると言われておりますが、平成元年と同率の算定をしているとすれば実態と大分がけ離れているというふうに思いますが、その辺はどうなんですか。
#50
○説明員(辻哲夫君) この診療報酬における対応に関しまして、医療関係団体におきまして最近の医療機関の経費を分析して、課税されているものについて三%を掛けると、課税されているものの割合が一定割合であるということで、それに三%を掛けるというふうにいたしますと今までの手当てが不十分ではないかと、このような御指摘が行われているということについての考え方かと存じます。
 それにつきましては基本的に、先ほど申しましたように、導入時の実勢価格というものをベースに、まず消費税の影響というものを算定するということを導入時に行いまして、その後の費用の動向というものをそれに積み上げていくという形で現在行われている対応と、現時点の価格に対しまして三%を掛けるということ、これは算定の前提が違います。
 それからもう一つは、現時点で私どもの把握している限りでは、その御指摘によりますと、実際に課税されているかどうか、免税業者とか簡易課税とかいった仕組みのもとでの実態の課税があるわけでございますけれども、課税品目を単純に積み上げでそのような割合が出されたというふうに承知いたしておりますが、そのようなこと等を考えますと、単純に比較いたしまして対応が不足しているというふうなことになることにつきましては、なお精査が必要なことではないかと考えております。
#51
○佐藤泰三君 その点も、平成元年というともう六年たちますから、いま一度見直してひとつ対応していただきたいと思います。
 次に、診療報酬に上乗せ加算されております消費税分でございますが、これは内税とみなすべきだと思いますが、実質的には内税であり、形式的にもそのようにするのが混乱をなくすると思うのです。厚生省の見解ですと、すべて内税になって薬価に入っているということを言われておりますが、実際の商取引慣行によりますと、内税でなく外税として請求が出ております。それに対するまたいろんな医療機関の混乱等もございますので、ひとつこの点の見解、どうですか。
#52
○説明員(辻哲夫君) ただいまの仰せは、特に医薬品が、いわゆる卸と言っておりますけれども、卸業者から医療機関に納入されますときの価格づけが通例外税方式になっているということについての御指摘かと存じます。
 この点につきましては、基本的に医薬品は一般の商品と同様の形で消費税が課税されるということで、それにつきましては消費税を円滑に転嫁するために事業者の選択による問題としてこの問題をとらえておりまして、通常は現在外税方式がとられているわけでございます。これにつきましては、基本的には私ども事業者の選択によるべき問題であるということで、例えば全部内税にしてくださいというような指導を申し上げることは私ども難しいことであると考えております。
#53
○佐藤泰三君 指導は難しいと思うんですが、少なくとも保険医薬品に対する消費税につきましては商取引慣行によって内税とするというふうな形の指導はできればしていただきたい。末端の混乱を防ぐために、また消費税に対する不満を消すためにもそうしていただきたい。これは強く要望申し上げます。
 次に、医療を継承するときの相続税問題で、たびたび恐縮でございますけれども、病院、診療所で経営者が亡くなり、土地の関係で相続が不可能になって、東京都内の個人病院はどんどん廃院になっている現状でございます。
 大蔵省の見解は、医療だけを特例にできないという御見解をいつもちょうだいしておるんですけれども、農家は二十年間の延納を認められていますし、米は国民の命だから当然と思うんですが、今の医療というものも厳しい保険の枠で統制されておりまして、一種の国営事業のようなわけでございます。もちろん、医療においては利益の追求は禁じられておりますし、当然農家と同じように、国民の医療を守るという形でこの相続税の延納というものは、再々で恐縮でございますが、いかがでございましょうか。
#54
○政府委員(小川是君) 農地に係る相続税の特例制度につきましては、これも再々申し上げておりますように、農地の所育と経営の不可分という農地法上の制約などを考慮いたしまして、農業の自立経営を目指すものが民法の均分相続制にとらわれることなく農地を引き継ぐことができるようにという農業基本法の趣旨に沿ってとられましたまことに異例の措置でございます。
 こうした農地につきましては、土地の利用、あるいは転用が法律上厳格に制限されておりますので、医業用地あるいはその他のさまざまの事業用地とは性格が異なるものであるわけでございます。
 ただ、農地の相続税の猶予制度につきましても、やはりこの点が土地の資産としての有利性というものを膨らませているという観点から、平成三年度の税制改正におきまして、三大都市圏の特定市の市街化区域内農地等については原則として納税猶予制度を廃止いたしたところでございます。
 したがいまして、医業用地であれその他の用地であれ、相続税の課税上、何らかの特例をこれ以上考えるということには無理があると存じます。
#55
○佐藤泰三君 これは、医療だけの継承というと何か抵抗があるようでございますけれども、やはり保健所の監査が種々ございますから、立派に継承する場合には当然私は延納されてもよろしいんじゃないかと思うんです。年に一遍は必ず定期監査がございますから、それによって継承している場合には特定猶予等を認められてしかるべきではないかと思うわけでございます。
 それからまた、事業用の小規模宅地、この前も答弁があったのを調べてみましたら、二百平米でございます。二百平米では病院はできません。最低山干平米なければ病院はできません。ですから、この事業用の小規模宅地の課税に対する減免というのは、遺憾ながらこれはとても医療機関には当てはまりません。あるいはこれをもっと拡大して、病院の規模、ベッド数、あるいは保健所の定期の調査等によりまして、この点で延納、二百平米を特例で拡大できないかとも考えるんですが、その点はいかがでございましょうか。
#56
○政府委員(小川是君) 相続税の制度における土地の課税標準の評価の特例は、都心部、都市部における土地の大変な高騰から、その居住あるいは事業の継続が土地というものの価値のために大変苦しいというところから設けられている制度でございます。
 したがいまして、本来は財産価値に応じて課税されるべき相続税でございますけれども、そのバランスをどこでとるかというところで、小規模宅地という制度をとりわけの軽減対象にしているわけでございまして、これをさらに拡大するということにはこれまた無理があろうかと存じます。
 医療事業を継続する際の相続税問題に対応する唯一の方法は、実は特定医療法人制度というのが委員御案内のとおりございます。特定医療法人ですと、法人税率の適用も公益法人並みに軽減をされております。一定の要件を滝だしておりますこうした特定医療法人につきましては、持ち分の定めがない、あるいは財産権たる経営者の持ち分概念がないというところから、特定医療法人で継続される場合には相続税の課税問題が生じない、これが医療の社会的な継続の一つの道として現在あるわけでございます。
#57
○委員長(西田吉宏君) これにて佐藤泰三君の質疑は終了いたしました。
 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   正午休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三分開会
#58
○委員長(西田吉宏君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の施行等による租税収入の減少を補うための平成六年度から平成八年度までの公債の発行の特例等に関する法律案、所得税法及び消費税法の一部を改正する法律案及び平成七年分所得税の特別減税のための臨時措置法案の三案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#59
○楢崎泰昌君 自民党の楢崎でございます。本日議題となっております三法案について御質問を申し上げたいと思います。
 この三法案は、本年度の特別減税に引き続いて五兆五千億を減税とし、そして二年後に消費税の税率を三%から四%にする、こういう法律案でございます。
 そこでお伺いをしたいわけですけれども、五兆五千億の減税規模を継続された。このことについて、景気判断ということだと思いますけれども、なぜ五兆五千億になったのか、その点についてまずお答えを願いたいと思います。
#60
○国務大臣(武村正義君) 平成六年度の特別減税、所得税、住民税の規模が五・五兆円でございました。そのことが前提にございまして、日米包括協議のマクロの議論もございまして、たしかサミットに行く直前、しかも村山政権がスタートをして直後でございましたから、急速関係者協議をいたしまして、この減税に対する日本の姿勢をみんなで合意をして出発しようという運びになりました。それで、本年度とほぼ同規模の減税の継続という方針を政府・与党として決めていただいて出発をいたした次第でございます。
 そういう意味で、景気対策を来年度も継続する、そのためにことしと同じ規模という方針になりまして、五・五兆円になったというふうに今思い返しております。
#61
○楢崎泰昌君 景気対策ということで消費税に年行して減税をやる、景気対策のために必須の三十兆円の景気対策をやったけれども、なかなか日本の景気はよくならない。そこで、最後の決め手のような形で減税が出てきたということはおっしゃるとおりだというぐあいに思っています。
 けさの新聞を拝見をしますと、景気動向につきまして、実は景気の一番の底は去年の十月だったんだという新聞記事が一面に躍り出て、いや本当かなと。どうも十月に景気が底だったという実威は私どもとしては持っていないような感じがしているんですけれども、経済企画庁にきょう来ていただいておりますけれども、この景気判断について御説明をお願いしたいと思います。
#62
○説明員(池田実君) 私どもが昨日発表いたしました景気基準日付、景気の谷というものは、私どもが使っております景気動向指数、ディフュージョンインデックスというものがございますが、それを一定の計算をして導き出すものでございます。これは従来から景気の転換点を決めるときに使っているものでございます。それによりますと、経済活動の一番低い水準が昨年の十月ごろであったという計算結果が出たということであります。
 ただ、私どもはそれだけで見ているわけではございません。ほかの例えは実質GDPの水準あるいは日銀短観の業況判断の推移等々を見まして、それから篠原委員長のもとにある景気基準日付検討委員会の学識経験者の意見を踏まえて設定している次第でございます。
#63
○楢崎泰昌君 経済企画庁としてはというよりも、政府としては篠原先生初め大変な学者先生がいろいろな御判断をなさったんだと思いますけれども、昨年の十月が底だということになりますと、底は底でいいんですけれども、それ以後は一体どういうような経緯をたどっているんでしょうか。要するに、景況判断としては月例報告等々ありますけれども、どのような状況に今なっているんでしょうか。
#64
○説明員(塚田弘志君) 景気の動向と今後の見通しについての御質問でございますけれども、このところの我が国経済の足元の動きを見ますと、住宅投資や政府投資が総じて堅調に推移しております中で、個人消費には持ち直しの動きが広がりつつあるというのは先生御存じのとおりでございます。設備投資は一部産業で増加の動きが見られますものの、総じて減少が続いておりまして、雇用情勢には厳しさが見られるというところでございます。
 このように景気全体の動向は、企業設備等の調整過程にはございますけれども、引き続き明るさが広がってきておりまして、緩やかながら回復の方向に向かいつつあるというふうに判断しておるところでございます。他方で急激な円高など懸念すべき要因も見られるというふうに思っております。
 今後につきましては、これまでの経済対策の効果等によりまして、住宅投資や政府投資が堅調に推移する中で、個人消費の回復が本格化してまいりまして、それが民間部門のマインドの改善と設備投資の回復へとつながっていって、我が国経済が本年度中に本格的な回復軌道に乗っていくであろうと考えておる次第でございます。
#65
○楢崎泰昌君 今御説明いただきましたけれども、私としましては、昨年の十月が底だというと、ああそうだったのかな、余り実感ないなという感じもしないわけではないんですけれども、いずれにしてもずっとなべ底を打って今の経済が動きかかっている、そういう状態だろうというぐあいに思っているんです。
 そういう経済情勢の中で、五兆五千億の減税を来年度やろうということでございますけれども、実はこれは本格減税と景気対策と入りまじったような感じの減税であるわけでございます。この税制を議論するのに景気対策の話を余りやっても時間がございませんので、税制の骨格の方に議論を移したいと思います。
 今度の税制改革について実はいろんな議論がございまして、ある一部の人は五兆五千億を全部減税に回すべきだ、二階建てにしたのはおかしいねというようなことを議論する向きもあるわけでございますが、この二階建て減税議論に対する批判に対して政府当局はどのように御認識をしておられるのか、御説明願いたいと思います。
#66
○国務大臣(武村正義君) まず五・五兆円という減税全体のスケールを先決した中で、新政権としては税制の論議を進めていただいたわけであります。
 そうしますと、そもそも所得税、住民税の減税は何をどうしていくのか、したがって金額がどのくらいになるのか、まずそこに議論がいきました。そういう中で、あらゆる角度から総合的に検討し判断をいただいて、最終結論は三・五兆円ということになったわけであります。
 課税最低限をどうするかということと、所得税の累進税率をどの程度あるいはどこまで緩和していくか、この二点が焦点であったかと思いますが、課税最低限については、もう御承知のように現行三百二十七万まで来ておりまして、国際的には非常に目立って高い水準でございます。専門家の意見ではむしろ下げるべきだという主張もあるぐらいでございまして、与党の中でももう上げるべきでないという意見もあったようでございますが、最終的には、やはり消費税に伴う逆進性緩和の議論もございまして、そういう意味で一兆円前後、課税最低限の引き下げを考えていこうということになりました。
 累進税率の方もいろいろ議論がございましたが、午前中の御質問のような最高税率をどうするかという議論もあったようでございますが、やはり中堅層二〇%前後を基本にしながら重税感を取り除こうというところに議論を進めていただいて、御案内のような結果になったと。
 これを国際比較で改正後の累進カーブを比較いたしてみますと、大変なだらかになりましたし、むしろ先進国の中では一番緩やかな感じになってきたかなと、私もグラフを見ながら思っていました。相当大胆な緩和をこれで果たすことができると。
 御承知のように、六年前の低・中所得者届の思い切った改革が先行いたしておりまして、今度高いところをまた下げましたので、そういう意味で、いわゆる働き盛りの方々を中心にしたかなり思い切った累進税率の緩和を実現し、そのためには約二・五兆円ぐらい必要だと。足して三・五兆円の制度減税でほぼ目的は貫かれるということになりました。
 じゃ、あと二兆円、減税の規模は五・五兆円でもう内外に発言しておりましたから、来年も特別減税でその差を埋めて公約は守っていこう、こんなことになったような次第です。結果として、二階建てと言われます二重のシステムになりました。
#67
○楢崎泰昌君 今、大蔵大臣がお答えになられた点が今回の税制改革で非常に大事なポイントだと思うんです。五・五兆円というのは景気対策として、また諸般のいろいろな要請から前年度とほぼ同額の減税をなさった。それはそれで、経済効果としてはそうでしょう。しかし、税制全体としては所得税の減税がこれだけで済んでいるのかというのが論点なんです。
 税制の話ですから、低けりゃ低いほどいいやというのは、それはそのとおりかもしれませんけれども、しかしおのずから財政事情があるわけですから、その中で三・五兆円を所得税の減税に充てた、その結果が本格的減税になっているかどうかということだと思います。
 よく新聞等で、便宜的に二階建てにしちゃったんだ、消費税との関係だなというようなことを盛んに言いますけれども、所得税の税率をこういうぐあいにするんだということが、本格減税として、少なくとも今の財政事情のもとで十分であるということでなければ、三・五兆円と二兆円に分けた意味がないと思っているんです。
 先ほど大蔵大臣は、諸外国の例を引かれて、階層別の実効税率、それがどういうぐあいになっているのかということで、諸外国の中でも一番下の方のランクになっているというお話がございましたけれども、例えばイギリスなんかでは随分低所得者層の税額が高いというぐあいに伺っていますけれども、比較してみてどのような判断をされたんでしょうか。要するに本格減税である、これで諸外国の税率に対して十分であるということですね、その判断をお伺いしたいと思います。
#68
○国務大臣(武村正義君) 先ほど申し上げたのはこのグラフです。(資料を示す)ちょっと見えにくくて申しわけありませんが、これは四カ国を比較しておりまして、とにかくイギリスは一番上でまだこんなに高いレベルで、今おっしゃったことがこれで証明されているんです。日本はこの辺からこの辺で、最低というか、この中では一番低い方に下がりました。本当はこれをお配りするといいんですが、そういうことを申し上げているわけですが、詳細は主税局長から。
#69
○政府委員(小川是君) 委員御案内のとおり、我が国は課税最低限が諸外国に比べまして大変高いところにあります。それから最低税率は最も低いところにございます。また、最高税率は諸外国に比べると相当高いところにございまして、こうした構造を持っているために、低所得の段階では負担率が低い、そして真ん中からむしろ高所得者のかなり早いところから負担が急激に累増してまいりまして、数千万のところへ参りますと、改正前の状況でも、サラリーマンの場合には、三千五百万ぐらいを超えますと諸外国よりも一番高い負担率になるという姿になっているわけでございます。
 途中の段階では諸外国よりもかなり低い水準にございますから、それはそれで負担水準としては低くていいではないかという点もあるわけでございますが、実は毎年収入、所得が上がっていくに従って、その上がっていくものに累進課税がかかってくる、その累進課税のかかり方が特定の階層、七百万から一千五百万円ぐらいのところで申し上げますと、我が国の場合は大変急激に上がる姿になっております。今回の改正で中堅所得者層、あるいは大臣もおっしゃいます所得税率の二〇%のブラケットをできるだけ広げるという改正をいたしましたのも、ここの部分が一番大きな影響を受けるわけでございます。
 諸外国の場合には、課税最低限が低く、最初から税率が比較的高いために、収入が上がっていくに従ってなだらかなカーブで上がってまいります。繰り返しになりますが、我が国は下のところから入っていくときに大変低いところから入ってまいりますが、途中で急激な負担累増がある。その点を、今回の三兆五千億の制度減税の中の約二兆五千億をこの累進課税税率の構造の直しに充てているわけでございますけれども、その部分のなだらかさを持ちたい。これによりまして、ブラケットの幅で申し上げますと、給与収入で最初の一〇%刻みのあたりで約二・二倍の幅がございます。次の二〇%で約一・七倍ございます。それからその次で一・七倍ぐらいございます。改正前は二〇%のところが一・四倍、三〇%のところが一・五倍というようなことでございましたので、給与収入の伸びに応じて比較的早く累進を駆け上がっていく、それを相当基本的に直させていただいているということでございます。
#70
○楢崎泰昌君 私も所得税、個人住民税の実効税率の国際比較という表を拝見しまして、我が国の改正後の税率負担が非常になだらかになり、かつ、諸外国と比べても十分対応し得るものであるという意味で本格的な減税をなさったというぐあいに認識をいたしております。
 ただ、問題は最高税率の水準。平成六年六月の「税制改革についての答申しという政府税調の中間答申ですが、これを見ますと、「最高税率の水準については、「中期答申」の考え方を踏まえ、基本的には所得税・個人住民税を合わせて五〇%程度を目途に引き下げていくことが適当である。」というのが政府答申で出ているわけです。この最高税率についてはいろんな議論があると思いますけれども、政府税調の方で、どうも最高税率は高過ぎる、ほかの国に比べて高過ぎる、余り高くしちゃうと勤労意欲もなくなるばかりじゃなくて、国外に非居住者として逃げてしまうというようないろいろな問題を含んでいるわけです。これについては今回手をつけられなかったのはなぜでございますか。
#71
○国務大臣(武村正義君) 一つは、午前中も御答弁申し上げましたが、約二千五百万になりますと、標準家庭ですが、今日では最高税率五〇%になります。それを約一千万ぐらいずらしまして三千五百万近いところで最高税率ということになりましたので、現行の最高税率を御負担いただいている方々の多くはこれで減税の効果に浴していただけるということに相なりました。
 もう一つは、所得課税全体の議論もありまして、将来、資産課税の総合化、いわゆる総合課税を実現するようなときに考えればいいんではないかというふうな主張もあったようでございまして、これは与党の中でも甲論乙駁ございました。今回は見合わせるという結論になった次第でございます。
 政府税制調査会の答申では、御指摘のような御指摘をいただいているのは事実でございまして、そういう意味では、税調答申からいえば将来の課題ということになろうかと思っております。
#72
○楢崎泰昌君 私の今手元に欧州、アジアの主要国の税率の比較がございますけれども、これを見ても最高税率が極めて高いと言わざるを得ない。また今後いろいろと御判断をなさる機会もあると思いますけれども、ぜひこの点についても将来の大きな課題として受けとめていただきたいと思います。
 それから、もう一つ御苦労なさった点は課税の最低限の話です。課税の最低限についてはこういう話もあるよということを大蔵大臣言われましたけれども、課税最低限については、これも同じく平成六年六月の答申でございますけれども、「個人所得課税の課税最低限が累次にわたる引上げにより既に高い水準となっておりこ、国際的に見ても一番高いと思いますが、「また、個人所得課税は広く国民に負担を求めることが適当であること等を勘案すればこ「その引上げを行うことは適当ではない。」というのが平成六年六月の中間答申なんです。
 しかるに、今回は一兆円を費やして課税最低限を引き上げられた。それは主として消費税に対する配慮ということに尽きるんでしょうか。しかし、消費税はまだ平成七年は上がらないわけです。平成九年にならないと消費税は上がらない。そこら辺はどういうぐあいにお考えになっておられるんでしょうか。
#73
○国務大臣(武村正義君) 確かにこの政治的判断の根拠は消費税の引き上げを前提にしたものであったかと思います。いわゆる逆進性を少しでも緩和しよう、所得税減税をすべからく納税者全体にも及ぶようにさせていただこうという判断があったということでございます。
 内容的には、御承知のように基礎的な人的控除であります基礎控除、配偶者控除、配偶者特別控除、それに扶養控除、それぞれ三万円引き上げるということと、給与所得控除につきましても四〇、三〇、二〇という控除率がございますが、約一割ほどアップするということが内容でございます。三百二十七万七千円が今日の課税最低限でございますが、これによりまして三百五十三万九千円に上がるということでございます。
 以上でございます。
#74
○楢崎泰昌君 私は、消費税を三から四、地方消費税を含めると五ということになりますけれども、それに対して課税最低限を、国際的に見れば非常に高い水準なんだけれども、しかしいろんなことを総合的に勘案して課税最低限を上げていくということはそのとおりかなと思っています。ちょっとどうも年次が合わないなという感じもしないではないですけれども、非常に重要なポイントであると思っています。
 そのほか、午前中にもちょっと質問が出ましたけれども、社会福祉関係についていろんな御配慮もなさっておられて、消費税を引き上げることによっていろいろ影響を受ける方が出てくるわけですから、それについていろいろな配慮をなさっているということは、政府としては当然といえば当然、よくやったといえばよくやったということでございます。
 しかし問題は、年金生活者とかそういう方、あと二年後の話になりますけれども、それらに対する配慮というものが十分になされなければならぬということだと思いますけれども、その点についてはどのような措置をお考えなんでしょうか。
#75
○国務大臣(武村正義君) 六年前もそうでございましたが、当然消費税率が上がることに伴いまして物価にも影響を与えるわけでございますし、住金等を受給されている方々も、そんな意味ではこの消費税引き上げに伴う何らかの措置が必要である。社会福祉の手当てについても、このことに伴う措置は当然とっていくという考え方でございます。
 今回、その中でも物価スライドに対する対応が一年おくれるという状況でございますために、いわゆる老齢年金受給者を初め、生活保護の世帯あるいはいろんな施設に入っていただいている方々、児童特別手当の受給者とか被爆者とか、そういう約三百五十万人ぐらいの方々に対しては、消費税を引き上げる平成九年に限りまして一万円の特別給付を行うという方針であります。寝たきりの方には三万円というそんな措置も、これは予算化はまだしておりませんが、平成九年度の予算でさせていただくという方針を決定させていただいているところでございます。
#76
○楢崎泰昌君 ぜひそのような配慮を、今予算化しておりませんがというお話がございましたけれども、二年後になると一体どこがどういうようになっているのかというのはなかなかわかりませんが、ぜひその方針を政府として貫いていただきたいと思います。
 それから、ちょっと税制と外れるかもしれませんけれども、この減税が行われた結果として、平成六年度から勘定して約八兆円ぐらいの赤字公債を、特例債を出さなきゃならぬということで法律案が出されております。
 その中で、八兆円の特例債を発行してそれを返還していくということは、それはそれでよろしいと思いますが、また今回の税制改正の当然の帰結であるように思いますけれども、実は私ちょっと心配しておるのは、その特例債の償還年限を二十年になさったというところです。御発表になりました財政計画の中でも、二十年にわたって毎年四千億ずつ償還をして八兆円の償還をやるんだと。私はその二十年というのに非常にひっかかるんです。二十年というと一世代なんですよ。十年というと、ああ短いな、一生懸命政府もやっているなという感じもするんですけれども、二十年というと一世代違ってきちゃうんですね。要するに、この特例債というのは何かというと、我々が今の時点で楽をして公債を発行する、そのツケを後世代の者が払っていく、こういう格好になっているんですね。
 建設公債の方は六十年ということになっていますが、これは耐用年数があって、六十年後の人も受益するから六十年後の人も支払っていいやというお話だと思いますけれども、特例債の方はもう消費しちゃうわけですから、あと形に残らないわけですから、それを負担するのに二十年かかって公債を償還していくというのはいかがなものかなと。二十の人は四十になりますし、それはいいとして、四十の人は六十になる、六十の人は八十になって、もう負担しないんですね。ですから、特例債を発行するにしても、その償還年限はなるべく短い方がいいというのが財政的な見地からの考え方だと思いますけれども、いかがでしょうか。
#77
○国務大臣(武村正義君) 基本的な認識では全く同感でございます。
 フレーム全体を議論いたしまして、しかし建設国債はおっしゃるように六十年、従来発行してきました赤字国債と言われるものも六十年でございました。そういう中で、本当は十年ぐらいが一番いいのかもしれません。全体のフレームを考えて二十年という結論を出したわけでございまして、御主張はうなずきながらも、全体のフレームの議論の中でこういう結論を出したことに御理解いただきたいと思います。
#78
○楢崎泰昌君 財政の問題でございますから、理屈どおりに全部いくということでもないでしょう。総合的な判断ということで考えておられると思いますけれども、財政はできるだけ健全性をたっとぶんですね。それから、やっぱり負担は後世になるべく残したくないというのが財政の立場であると思っています。
 これは平成六年度の予算では、国債整理基金への繰り入れ停止等々で約五兆円の臨時財源というのですか、そういうものを生み出してきた。今度の税制改革についてはそれに触れてない。そうなってきますと、その中で、来年度の予算編成、今大蔵省で鋭意作成中だと思いますけれども、実際問題としては財源が五兆円足らないというような問題に逢着するのではないかと思いますけれども、この点については今回の税制改正の中では考慮に入っているんでしょうか、入っていないんでしょうか、いかがでしょう。
#79
○政府委員(伏屋和彦君) お答え申し上げます。今、先生おっしゃいましたように、平成六年度予算におきまして、いわゆる特例的な歳出削減措置ということで、一つの数字として五兆円という措置があるわけでございます。
 平成七年度の予算でございますが、これは現在御審議いただいておりますこの税制改革のフレームとは全く別個でございますので、その意味では、平成六年度に引き続いての歳入歳出の調整をどうしていくかという問題は当然残っておるわけでございます。
 その意味で、これからのちょうど予算編成の段階で歳出面でのいろんな洗い直し、それから税外収入等の歳入面でのいろんな手当て、努力等を含めまして、まさに厳しい財政事情の中でこれを調整していかなければならない問題でございます。おっしゃるとおりでございます。
#80
○楢崎泰昌君 ぜひ、重要な問題でございますので、今予算編成をやっている最中で、まだもちろん結論が出ている話じゃないと思いますけれども、財政の健全ということを基本に御努力を鋭意お願いいたしたいというぐあいに思います。
 それから、税制の問題ではあるんですけれども、税制と若干外れるかもしれませんけれども、最近の円高等々とも関連をいたしまして、産業の空洞化、もしくはさらに進んで金融の空洞化という問題が今盛んに議論をされているところでございます。
 空洞化とは何ぞやというような議論をしたいとは思っておりませんけれども、現象的に見ますと、株式市場ではアジア企業が日本を飛び越してアメリカで上場されているとか、東証の外国部における上場停止が若干続いているとか、海外市場における日本株の取引、東京でやらないでロンドンでやっているとか、あるいはユーロ円市場における債券発行が非常に増加しているとかいろんな現象的なものがございます。
 このほかにも、金融先物市場でも東京市場からSIMEX市場に移っているんではないか等々の議論がなされているわけですけれども、私は、それらが金融の空洞化そのものであるのか、あるいは日本経済がへたり込んでいるというんでしょうか、元気がないということの反映であるのか、十分にはよくわかりませんけれども、このような現象について大臣の御認識はいかがでございましょうか。
#81
○国務大臣(武村正義君) 御指摘がありましたように、最近金融の空洞化という言葉も言われるようになってまいりまして、金融資本市場の動向を注視しているところでございます。東証の外国部における上場企業の数が減ってきている、あるいはロンドン市場での日本株取引がふえてきている、こういうふうなことが象徴的な例として挙げられているわけでございます。
 ただ、一言に空洞化というふうにとらえていいのかどうか。これは産業についても言えることでありますが、空洞という日本語は何かもう空っぽになってしまう、丸々損をするという印象が強いわけでありますが、メーカーにしましても、東南アジア、中国にシフトをしますと、やはり大事な部品その他は依然日本が受注をして送るということになっているわけでありますし、大体海外の企業は新しいマーケットを開いていくという意欲で進出する場合もあるわけでございまして、全体でとらえると、丸々空洞どころか、かなりの部分は依然として日本産業と大きく結びつきながら存在していくという実態があります。
 金融につきましてはちょっと違いますけれども、例えばロンドンの市場で日本株が売買されているというふうなケースを例にとりますと、確かに外国機関投資家による日本株の売買高がふえるということになるわけですが、ロンドンでの取引の大部分は最終的には現地の証券業者を通じて我が国の市場に持ち込まれてまいります。そこでまた売買が行われるわけでありまして、そういう意味では必ずしも国内取引が流出していく、空っぽになるというふうにとらえる必要はないという見方もあるわけでございます。
 東証外国部の上場が減ってきたというのもこれは事実でございますが、しかしなぜそういう企業数が減ったのかということは、一番大きい理由は、株式の取引が二億株前後になって、最高の時期に比べると数分の一から十分の一に大きく減ってきております。そのことの影響を受けていることもありますし、また日本の投資家も急速な円高によっていわゆる外国企業に投資する魅力を失ってきている、これも事実でございますし、そういうことが絡まってそうなっていることも考えますと、事実ではありましても一概に空洞化と言っていいのかどうかという見方もあるわけであります。
 しかし、私どもとしてはこういう状況を非常に重視していきたいと思っておりますし、詳細にそういった実態を把握して分析していきたいというふうに思っておりますし、その上でとるべき対策、とれるものは積極的にとっていこうという考え方で臨んでまいりたいと思っております。
#82
○楢崎泰昌君 今、大臣のおっしゃるとおりだと思います。現象的に見て、一体空洞化なのか空洞化でないのかとかいろんな議論をしていくとそういうような話が出てくるわけですけれども、ともかくも日本の金融市場が全体として今非常に低迷をしているということは間違いない。その低迷をほっておけば、もちろん経済がよくならなきゃ低迷はなかなか直らないと言えばそうなんですけれども、その低迷をどういうぐあいにこれからやっていくんだという、私は大蔵省の姿勢というものが恐らく問題なんだろうと思うんです。
 世上、低迷化についていろんな議論が行われています。一つは株式市場における手数料が諸外国に比べてとても高いんだと。それは株式市場だけではありません。後で申し上げますけれども、先物市場でも随分手数料は高いようであります。その上に、実は有取税と取引所税がかかっている、こういう問題があるわけですね。
 余り論争はしたくないんですけれども、申し上げますと、株式の手数料、一九九三年は日本が〇・五五%であったのに対してアメリカは〇・一八五%である。イギリスは〇・三四七。真ん中にいるとか、あるいは日経二二五の先物取引コストは、シンガポールのSIMEXで、二十枚単位で申し上げますけれども、二億円です。これが六百円であるのに対して日本は三千七百二十円ないし二万六千七百二十円、こういうぐあいに資料で出ております。
 またさらに金融先物市場、シンガポールのSIMEXが金融先物市場の取引を日本と同じようにやっておるわけですけれども、SIMEXの場合には八十円、東京市場の場合には二百四十七円というような数字が出ています。取引がされるのは取引手数料の差だけでやっているわけじゃないですけれども、しかし取引手数料も恐らく大きな要素である。手数料ないしは税ですね、要するに税を含めた手数料が大きな要素であると。何しろ金融が国際化されちゃって、東京で取引したってシンガポールで取引したって全然変わらないんですから。そういう意味で、現在の株式あるいは金融先物市場、これ為替も大体同じなんですよ。為替も手数料が日本の方が高いんです。為替には税金がかっていません。しかしこれも日本の方が高いんです。
 これらのことを総体的に見て、いやそれは日本の土地代が高いんだからしょうがないよと言うだけじゃなくて、大蔵省は全体としてこの問題を、先ほど大臣は非常に重要に考えてというぐあいに言われましたが、まさしく重要に考えてこの問題に取り組んでいただく必要があるように思うんです。ぜひ大蔵省のこういう金融空洞化に対する姿勢をこの際お示し願いたい。
#83
○政府委員(日高壮平君) 金融証券市場の空洞化に対する私どもの考え方は、総論的には先ほど大臣から御答弁申し上げました。
 もう少し具体的に、今、手数料なり税の御指摘がございましたけれども、証券市場の空洞化の議論の一つの前提として、そういう手数料なり税金を含めてコストが非常に高いではないか、それが例えばロンドンにおける日本株の取引の増加の一因になっているではないかと、そういう御指摘があるのは私どもも十分承知をいたしております。
 ただ、先ほど大臣も御答弁申し上げましたように、ロンドンにおける日本株の取引というのは、私どもが実態を把握した限りにおきましては九割以上がリスク負担回避のために国内に還流をしている。還流した結果、国内におけるコストというものはロンドンにおける日本株取引のコストの中に入り込んでいるというのが私どもの実態調査の結果でございます。
 したがって、今おっしゃられたコストの高さというものが、私どもそれを全く関係はないということを申し上げるつもりはございませんけれども、それだけによってこういった現象が起こっているということではないだろうというふうに思うわけでございます。
 総論的に申し上げますと、先ほど大臣からお話がございましたように、金融市場あるいは証券市場の空洞化という場合にはいろんな側面がございます。それを一くくりにいたしまして空洞化対策といってもなかなか実効は上がらない。したがって、それぞれの側面に応じてそれぞれの対策を講じていくべきであろうというふうに考えているわけでございます。
 私ども、具体的には、例えば東京証券取引所の上場基準なり、あるいは外国企業の東京証券取引所における上場維持費用が高いではないかという指摘に対して、現在作業を進めておりまして、関係省令の改正、あるいは東証の規則を改正しようということで作業を進めておりまして、できれば来年一月から実施に移したいというふうに考えているわけでございます。
 このように、それぞれの実態に応じて適切な措置を講じていくべきものであろうというふうに考えているわけでございます。
#84
○楢崎泰昌君 いずれにしても、大蔵省としては十分な認識をしていると私は思います。また、してもらっていなければ困るわけですが。
 今おっしゃったように、全体として税だとか手数料だけが問題じゃなくて、日本経済を取り巻く国際環境というものが一番大きな要因なのかもしれません。しかし、今現実に低迷をしているわけですから、我が国政府としてはそれに対してどのような手を打てるのか、また打つべきなのかということを十分御議論願いたいと思うんです。
 大臣、今お聞きいただきましたように、この中には税金というものがひとつ入っているわけですよ。有価証券取引税というのは世界にないんですね。それから取引所税、これは印紙税その他でいろいろありますけれども、ほかの国に比べれば、ともかくも取引所税という名前でかかっているなんというのはほとんどないんですよ。ですから、これは本日議論しております抜本税制の話じゃございませんのでこれ以上申し上げませんけれども、その点についても、近く年度税制の議論が出てくると思いますが、十分御勘案を願いたいと思いますが、大臣いかがでしょう。
#85
○国務大臣(武村正義君) 私ども、関係の業界からも直接に陳情を受けている問題でございます。
 しかし、この国会の議論の中でも、資産課税については今後一層重視をしていくべきだ、より充実を図っていくべきだと、これはいろんな立場からの御主張がございます。有価証券取引税もその中に入る税制の一つであります。同時にまた、有取税だけを議論するというのは一面的であって、御承知のような有価証券譲渡益課税等々の全体の中でやはり議論をしていく必要もあるというふうにも思います。
 もちろん、最も大きい理由、大きいというか、五千億近いこれは収入でございます。地価税とかいろんな税制の廃止論も多く出ておりまして、衆議院でもそういう意見が非常に出てきました。法人税の引き下げも出てきました。専ら減る方ばかりでございますから、それぞれ理由はあるわけでございますが、財政担当者としては身がすくむような思いでございました。そういう現実も大変重い存在だということも含めながら判断をしていかなければならないというふうに思っております。
#86
○楢崎泰昌君 年度税制の話でございますのでこれ以上余りしつこく言うつもりはありませんけれども、今大臣が言われたのは有取税の話でございますね。取引所税というのは、例えば金融先物なんかについてはもっともっと小さい十億台の金額になっていると思います。いずれにしても、この問題はこの問題として十分御検討を願いたいと思います。
 時間もありませんので次に移らせていただきますが、実はこの消費税を三年後に、二年後ですか、に引き上げるということにつきまして、この前三%の消費税をやるときにいろいろ問題が方々にあって、物品税を全部直しちゃうというんじゃなくて幾つか残ったわけですね。それの一番大きいのが酒でありたばこであり石油であったというぐあいに思います。あと、地方税で特別地方消費税ですか、それと娯楽施設利用税ですか、五つ残ったと思いますけれども、これにつきまして実は三党合意の税制改革大綱では、「消費税率の引き上げ及び地方消費税の創設に伴う消費税及び地方消費税と個別間接税の関係についてはこ「引き続き総合的に検討する。」と、このような文言が税制改革大綱に盛られているわけでございます。
 実は、消費税というのは広く薄く国民にずっと負担をしていただくというのが消費税の性格だみうと思います。できる限り個別の物品税はない有がいいんですけれども、要するにこの消費税とダブルでかかりますと、タックス・オン・タックスというような言葉が使われていますけれども、大変なことになるなというようなことを考えておりまして、税制改革大綱では「総合的に検討する。」ということでございますので、酒、たばこ等の税率について、最初に消費税をやるときにはそれについての考慮をなされたわけですから「個別の物品税が突出するということはさていかがかなというぐあいに思っておりますが、御所見はいかがでしょうか。
#87
○政府委員(小川是君) 確かに、さきの税制改革におきましては、酒、たばこにつきましても、酒に対する課税、たばこに対する課税の制度の見直しとともに、消費税相当分を含めて総体として適切な負担を求めるという角度から見直しか行われました。
 一般的な議論として申し上げるならば、消費税というのは、個別間接税を含む価格に一律に上乗せして課税されるべきものでございます。したがいまして、各種の税が価格の中に潜り込んでいる以上、その上に消費税がかかってくるというのが基本的な考え方でございます。
 酒、たばこのように、特殊な嗜好品として、かつ長らく財政物資として大きな税負担を求めてきているものでございます。したがいまして、そうした財政需要であるとか税負担の水準であるとか消費動向とかいったようなものを見ながら、酒、たばこにつきましては今後ともこの税負担水準を見ていかなければならないというふうに思っているわけでございます。
 両者を消費税率の引き上げのときに何らかの調整をすべきではないかという御質問につきましては、ただいま申し上げました消費税と個別間接税との一般的な関係、そうした考え方を前提としまして今後総合的な検討が必要な事柄でございまして、政府の税制調査会におきましても、また本年九月の与党の税制改革大綱におきましてもそうした指摘がなされているところでございます。今後、そうした消費税の性格、酒、たばこ税の性格その他の趣旨を十分踏まえまして、適切に対処してまいりたいと思っております。
#88
○楢崎泰昌君 政府側がそのような認識をしているというならばそれで結構ですから、いずれにしても、きょうあるいは来年の話ではありませんので、十分の検討をやっていっていただきたいと思っております。
 最後になりますが、実は税金の問題というのは非常に公平さ、公平感というんですか、それが必要でございます。租税特別措置法等々が今話題になっておりますけれども、税制面の公平とともに、私は先日も大蔵委員会で大臣にお尋ねしたと思いますけれども、税の執行がどうも皆さん公平と思っていない。クロヨンであるとかトーゴーサンであるとかいうのは最近余りもてはやされない言葉になってきていますけれども、税務調査の結果を見て申告漏れが一体どうなっているんだろうかということを拝見していますと、実は毎年ふえていっているんですね。それだけ国税庁が一生懸命仕事しているといえばそうなのかもしれませんけれども、やっぱり全体として所得の脱漏が多くなっている。
 例えば、申告所得税で言えば五十五年は四千億、それが平成二年には八千億になった、倍になった。あるいは法人税で言えば五十八年度に一兆円であったものが、平成五年には一兆七千億になっているというような形で累増をしていっている。さらに、実調率と言っておられるようですけれども、実際に調査をする法人の数あるいは個人の数、そこら辺がどんどん、どんどんというほどでもないかもしれませんけれども、徐々に減っていっている。
 こういう状態にあって、私はやっぱり国税が大いに国民に呼びかけて、脱税しないで一生懸命やっていると思いますけれども、呼びかけていかなきゃいかぬ。それと同時に、税務に携わる人たち、この人たちを少しずつでもふやしていって、この前、その質問に対して大蔵大臣は、いや実は総定員法というのがございましで、一般的には減ずっているんですけれども、その中で遠慮しいしいであるけれども若干ずつ国税職員をふやしている、こういうお話がございましたけれども、その計数を拝見しておりますと、どうも最近の国税職員のふえ方が少し少ないように思っているんです。要するに、国税に対する熱意が少しずつ政府としては失われてきているんじゃないかというような感じがするんですが、いかがでしょうか。
#89
○国務大臣(武村正義君) 確かに平成元年度は八百五十七名増員、翌年は六百五十三名、その次も六百五十名、こうなっておりまして、平成六年は百六十三名とふえ方は少なくなってきているのは事実でございます。また、これは税制改革が行われますと当然新たな仕事もふえてくるんではないかと思いますし、そうでなくても、先般も御指摘がありましたように、きちっと厳正な課税執行をやっていくということからいっても、国税庁の定数については、大蔵省としましては充実を図る方向で努力をしていきたいと思っているところでございます。
 予算全体の歳出の責任を預かっておりますから、なかなか大蔵省みずからが勝手にふやすという主張はしにくいところがございまして、遠慮をしている嫌いがあるかもしれませんが、しかし大変大事な、しかもこのことによって税の公平が執行面からでもきちっと貫かれるということもありますだけに、御意見をありがたく受けとめて十分努力をしてまいりたいと思っております。
#90
○楢崎泰昌君 大事なものは大事ということで遠慮をなさらずに、ぜひその財政の重要性を認識して対処していただきたい。
 これで質問を終わります。
#91
○委員長(西田吉宏君) これにて楢崎君の質疑は終了いたしました。
#92
○堂本暁子君 新大臣と申しますか、武村大臣に初めて質問に立たせていただきます。よろしくお願いいたします。
 私は、ごく一般の消費者、そして店先で買い物をするお母さんやおばあさんの立場、それからもう一つはサラリーマンの立場、第三に与党行革プロジェクトのメンバーの立場という視点からきょう質問をさせていただきたいと思っております。
   〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕
 
 三十年サラリーマンをしておりましたから、中堅サラリーマンの所得課税が今回、累進構造が緩和されたということは大変よかったと率直に思っています。ちょっと早くサラリーマンをやめ過ぎたかなと思うところですけれども、後半の十年間は大変に重税感を感じておりましたから、そういった意味でやはり中堅サラリーマンにとってはよかったんではないかというふうに思っております。
 さらに、消費税についても今回いろいろな見直しか行われました。例えば限界控除制度を廃止するとか、それから簡易課税制度の適用の上限を四億から二億に下げるとか、そういったいろいろなことがこれから益税批判を幾らか減らしていく方向に行けばいいというふうに考えております。
 しかし、まだ一般の負担感と申しますか、不満とか、それからむしろ不公正感というのがぬぐえたものではないんではないかというふうに考えております。それは幾つかあると思うんですが、一つは免税点が三千万に据え置かれたということではないかと思うんです。免税点が諸外国に比べて高いということは野末委員が先日指摘されたところですけれども、それと同時に、そこで大事なことは、やはり益税がまだ取られているんではないかといった国民の不信感だと思います。
 確かに、その三千万という額で免税の方の所得というのはそんなに多くないというふうに聞いていますけれども、しかし、平成三年度では六三%に及んでいる。そうしますと、全事業者に対する免税業者の割合がそのように多いということは、例外ではないんじゃないか。むしろ特例という場合には、一〇〇に対して一割とか二割がということならなんですけれども、この場合には六割が免税点であるということが一つやはり益税に対しての不信感を払拭し切れない部分ではないかと思います。
 例えば具体的には、これからの見直しの中でその免税点を二千万に下げるというようなことは大臣はお考えでしょうか。
#93
○国務大臣(武村正義君) 全国に大小数多くの事業者がおられるわけでございます。そういう中で、消費税がスタートをするときに大変真剣な議論がございまして、もちろん反対の声も強かったということもあるかもしれませんが、やはりスムーズに消費税を日本でスタートさせていくということの中で、この大小さまざまな事業者の問題について真剣な議論が行われまして、三千万以下は免税点という制度がとられたところでございます。
 実際、数はおっしゃるように六〇%台かもしれませんが、売上高そのものは全体の三%ぐらいのウエートでございます。三%だからいいという問題ではありません。しかし、実態は小規模零細事業者と言っておりますように、本当に年老いたおばあさん一人がたばこを売っているとかまんじゅうを売っているとかという店もあるわけでございまして、そういう方々の便益ということもありますし、また、納税の煩雑さあるいは納税コストというふうな問題も議論が出されましてこの仕組みが出発をしたわけでございます。
 簡易課税制度、限界控除制度もその一環でありますが、今回、堂本委員も入っていただいて真剣に議論をいただいたプロジェクトチームとしては、今回はここには手をつけないという総合判断をしていただいたわけであります。しかし厳密に言えば、一千万の新設法人については今回課税対象にしていこうという結論を出していただきました。
 問題はこれからの姿勢でありますが、この問題は見直し条項で言う課税の適正化という中にも入っている問題だと私は思っております、簡易課税制度の問題も含めて。そういう意味でさらに引き続き議論をいただけるというふうに思っておりまして、今ここで政府として二千万とかそういう明快な目標を申し上げるのはひとつお許しをいただきたいと存じます。
#94
○堂本暁子君 これは今後検討していただけるということで、確かにおっしゃる業者の手間ということはあると思いますけれども、やはり不正感をなくすということが税では何より大事だと思っておりますので、三%ならいいというものではないというふうに思いますので、ぜひ今後の課題として御検討いただけたらいいと思っております。
 それから、免税業者と課税業者がわからないということもあると思いますので、これは提案ですけれども、前の消費税の議論のときに盛んに言われました表示ということもしていただいたらいいんではないか。課税している業者の方にはこういう表示があると。それに対しての大蔵省見解も存じておりますけれども、あえてそのことも申し上げたいと思います。
 次に移りますが、インボイス制度、これも今回は前回と違って余り議論されていないようです。請求書と欧米のインボイスとどう違うのかということがありますけれども、端的に申しまして、日本の請求書の類、これは非常に私たちがその辺で買えるような、もうそれぞれ違うお店が違った請求書を持っているわけですね。買えるというかつくれると申しますか。ですから、不正をしようと思えばできてしまう。ここもきちんとする必要がやはりあるんではないか。
 制度として、税制の上では税額が書いてある、ないというようなことはいろいろあると思いますけれども、何より必要なのは恐らくきちんと統一された公的なインボイス、請求書なりなんなりをつくるということ、それがやはり透明性につながっていくんではないか。それから、きちんと税額が記入されること。国民の納税番号制というのは出ておりますけれども、それとは別に、きちんとした事業者の番号というようなものが明記されているインボイスをつくる。こういったようなことで益税に対しての不信感が払拭できるのではないかというふうに考えます。
 その点で、やはりインボイス制度の導入というか、制度をきちんと整えるという意味で大臣はどうお考えでいらっしゃいましょうか。大臣にこの点を伺いたいと思ったんですが、いかがでしょうか。
#95
○国務大臣(武村正義君) 確かに、この税制をめぐって、きちっとしていくという意味では御指摘のとおりだと思っております。
 日本の商取引の現実というものも踏まえながら今回は、いわゆる日本型インボイスと称しておりますが、それぞれお店がとっておられる帳簿なり請求書なり、そういうものをきちっと残してくださいよということをお願いする改正でございまして、共通したルールで番号をつけながらきちっとやっていくということから考えますと、まだ第一歩という評価をしなければならないのかもしれません。今回はこういう形で踏み切らさせていただくことにしまして、この点もやはり将来のさらに議論を深めていくべき課題の一つだというふうに認識をさせていただきます。
#96
○堂本暁子君 先ほどクロヨンというようなことも出ましたけれども、平成五年十一月に出されました政府税調の中期答申、そこには、個人所得課税には所得捕捉の困難性という問題が伴い、実質的な公平を確保するにはおのずから限界があるというふうに書いてあります。いわゆるクロヨンがあるのでもっと公平にすべきである、そのために消費税のウエートを高める必要があるということが書かれています。
 ですから、大臣がよく使われる言葉で言いますと水平的公平と申しますか、そういうことを目指す必要があるということかと思いますけれども、同時に、それは売り上げとか仕入れが完全に把握できないんだということを言っていることと同じだと思うんです。そういたしますと、消費税の有にもクロヨンがあるということが言えるんではないか。したがって、そういった納税者に対しての公平ということをさらに追求していくためには、今お願いしたような形でかっちりしたインボイス制度をつくる。確かに手間はいろいろあるかもこれません。しかし、そういったことをやはり克服していかないと税の公平というのは担保できない。
 それから、きのういろいろお話ししている間に大蔵省の方からこういう御説明を受けたんです。
 外国の方が複雑ではない、日本型の経済形態がある、幾つもステージがあるということなんですけれども、だからこそ日本の消費者にとっては非常に価格が高い。これは大変私の素人的な判断かもしれませんけれども、税というのはいろいろなインセンティブを持っています。もしそういったなあなあで、インボイスを一々やったら差別がどうのとか免税業者がどうのといったような、情結論と言ってはなんですけれども、そういったものではなくて、やはりきちんとした税制を確保していくためにはそういった作業をどうやったら簡素化できるかということも一つの工夫するところでございましょうし、それからさらに、そういったやり方によって消費者に安い商品が渡るようなことのインセンティブができるとすれば、余りにも中間業者が多い日本の流通のシステムに対しての一つのインセンティブがあるとすれば、それもまたいいのではないかというふうにも感想を持ちました。この点は研究していないので、またしっかり考えなければいけないと思っています。
 それと、平成二年度の消費税の見直し案では、交際費の支出、これは消費税の仕入れ税の控除の対象から外してあったわけです。それが今回は外されていない。現在でもいろいろな商談がございますけれども、そういった食べたり飲んだりといったものが消費税に転嫁されているのはおかしいのではないか、そういった意見がいろいろ述べられております。この点については大臣いかがお考えでいらっしゃいましょ、つか。
#97
○国務大臣(武村正義君) これはちょと、主税局長にお許しいただけますか。
#98
○政府委員(小川是君) 消費税は、消費者が物品、サービスを購入する段階まで多段階で課税式れますので、その課税の累積を排除する、そして経済取引に対する中立を確保するという観点から前段階の仕入れ税額控除という制度を持っているわけでございます。
 今お尋ねの点は、途中の事業者の段階において、例えば社員の方が取引先の方を接待して食事をした、お酒を飲んだときに負担した消費税を仕入れの控除として認めないというやり方をとってはどうか、そういうことが平成二年の見直しのときにも議論され、あるいは提案されたてはないか、こういう御指摘であるというふうに存じます。
 確かに、消費税の性格が、個人が受益をする消費、最終消費に負担を求めるという性格のものからいたしますと、ただいまのような、事業者の段階における実質的な個人の消費に係る税負担を控除しないというのは一つの考え方でございます。ただ、その場合には現在法人税の課税上やっておりますいわゆる交際費の中にそれに当たらないものもございましょうし、また逆に、会議費であるとかあるいは会社の福利厚生費の中なんかにもそうした個人の消費に結びついた費用がございます。
 そうしますと、そういうものをどうやって抜き出してくるかといったような問題もあるわけでございます。そうした、
#99
○堂本暁子君 そちらの法人税のことは結構ですから、簡単にお答えください。
#100
○政府委員(小川是君) そういう問題がいろいろございますので、今御指摘の仕入れ税額控除のような問題につきましては、将来ともやはり勉強の課題であるというふうに考えている次第でございます。
#101
○堂本暁子君 ありがとうございました。
 法人税もございますけれども、私も本当にそれは会社にいて思ったことですけれども、もう常日ごろ問題になってきた問題で、法人格でもそれは問題ですけれども、消費税の場合はもっと問題だと思いますので、やはり見直しの中でぜひ御検討いただく、まあ考えてくださるとおっしゃってくださいましたので、ぜひそのことはきちんとやっていただきたいと思います。
 次に、今、所得税減税による赤字国債の発行に関しての法案を審議しているわけですけれども、一方で、行革のプロジェクトをやっていますと非常に矛盾した気持ちになります。どうして増税しなければならないのかというふうに思います。
 というのは、やはりいろいろな形でもう少しスリムにできるものがあるんではないか。いろいろなスリムの仕方がありますけれども、行政をスリムにする、例えば中央官庁をスリムにするとかいろいろそういうことが言われておりますけれども、そういうスリムの仕方ではなくて、特殊法人にしろそれから公共事業にしろ、今までずっと古くからあってもう完全にこれでは古い、一言で古いと言っては乱暴かもしれませんけれども、完全に時代からおくれているというものが幾つも幾つもこの一年間、本当に正直に一人の消費者として、国民として感じてきていながらそれが実現できない。連立与党のときもできませんでした。今度も本当に壁の厚さを痛感している日々でございます。
 そういった中で、一つ、公共事業の予算のあり方というのが今回の消費税のアップというものと関係があると私は思っているんです。それは、一九八〇年以降は大変事業別のシェアが固定化した。これは私は六月にも前大臣に伺ったんですけれども、例えば道路の場合だったら、これは一般会計の当初予算ベースなんですけれども、二八から二九%、それから治山治水は一六から一七%、それから農業基盤整備は一三から一四%というふうに、もう本当に十年間変わってきていない。
   〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕
 でも、もっと今やらなければならない大事なことは、連合審査のとき以来もう皆様がおっしゃり、大臣がおっしゃっているとおりでございます。高齢化を迎える。環境破壊がもう本当に私たちの生活の近くまで来ている。教育の問題もある。それで、こういった事業別のシェアが固定化してしまったのはなぜなのか。そして、大臣は大蔵大臣としてこれをどのようにして是正なさるおつもりなのか。その点を、細かいことではなく、ずばりと伺いたいと思います。
#102
○国務大臣(武村正義君) 確かにここ十数年来、各省庁別にしろあるいは事業別にしろ公共事業のシェアは余り変わらない、いわゆる固定化が強まってきているわけであります。昨年はかなりの努力をしていただいてそれなりの成果も上げておりますが、それでも相当な壁を関係者は感じたはずでございますし、昨年変えたことに対する反動といいますか、ことしは戻してもらいたい、あるいはけしからぬという陳情も昨今たびたび私のところへも届いている状況でございます。
 なぜなのか。戦後五十年私たちの国が平和で安定する中で、利害が固定してきているというか一つの秩序が固まってきている。いい悪いは別として。その中で多くの国民が生きているということが一番大きな背景かもしれません。そういう秩序を石を投げて波を起こして変えることに対して非常に敏感でもありまして、政治の世界では族議員とかあるいは圧力団体のプレッシャーとかそういうとらえ方もありますし、それも事実でありますが、その背景に、やはり国民全体の暮らしか一定の秩序の中で成り立っているというところにあるのかもしれないなと私は思っております。
 ただ、シェアの見直しというのはどうしてもこれはしなけりゃならないし、時代の趨勢だと思っておりますが、やはり相当な決意で臨みませんと、そう簡単にペンをなめて数字をいじってでき上がるというものじゃないなという思いであります。
 片方、しかしこのシェアを変えなさい、生活者重視の方向で変えてくれという声も圧倒的、まあ一人の国民が二つの顔を持っておられるというふうに申し上げてもいいのかもしれませんが、自分の利害にかかわるところは変えないでくれよ、ほかの世界は大胆に変えてくれよ、こういう声のようにもとれるわけであります。そういう矛盾はありますけれども、やはり責任を預かる私ども政治が、来年度の予算編成におきましても昨年と同じ姿勢あるいはそれ以上の姿勢でこのシェアの見直しについては取り組んでいく必要がある、そう認識をいたしております。
#103
○堂本暁子君 私が伺いたいことを大臣が話してくださったので次の質問がなくなった感じなんですけれども、本当に社会構造が、恐らく労働の構造までがすっかりもう五十年間でそのように確立されてしまったと申しますか、末端の末端まで行き渡っているという構造がある一方で、先日琵琶湖へ参りまして、そして水質をどういうふうにして保ったかとかいろいろ見せていただいてまいりましたけれども、水一つ守るのも今は大変になってきてしまった。そこにやはり社会構造と、それから今私たちが必要としている、カーブを切らなければならない必要性との間の乖離というか、ずれがだんだん大きくなってきている、そのことがやはり日本の政治の一番の問題点ではないかというふうに思いました。大臣は知事をしていらっしゃるときにまさに琵琶湖を守られたわけですけれども。
 先日、レスター・ブラウンというアメリカの地球白書を書いている人が、こういうことを言っていました。日本はそれに余り該当しませんが、例えば中国それからアメリカの西部、中近東、そこで地下水が非常に水位の低下を来している。これは単に水が不足するということ以上に、例えば石油のような資源が枯渇するとかと同じように水が地球の上で枯渇してきているんだと。これはもう大変に恐ろしいことだと思うんですね。
 大変細かい国連のデータを添えてそういう展開をしていましたけれども、もう中国はあと三年で間連いなく農業の輸出国から輸入国になる。しかも、人口増加を見ますと、先日カイロの人口会議へ私も参りましたけれども、あと四十年たつと恐らく二億トンぐらいの食糧を中国は輸入しなければならないというような世界の情勢がございます。アメリカは一方で、西部では水が足りなくなってきていてつくれない。
 そういった国際的な非常にトラスチックな自然と人間の生き方の厳しさが忍び寄っているときに、どうも私たち日本人はそれに対しての危機感が薄いのではないか。だからシーリングというようなことにまだこびりついていると申しますか、しがみついていると申しますか、そのことによって地球の中の一つである日本が、十年後なのか二十年後なのか、厳しい情勢に見舞われるということの危機感が非常に薄いのじゃないかというふうに私は認識しております。
 そういった認識に立って伺いたいんですけれども、シーリングの問題というのがどうしても変わらないとすれば、これが本当に必要なのかどうかということをきちんと調べる必要があるんではないか、それでみんなの納得のもとに経済構造、社会構造そして予算の立て方というのをやはり大蔵省で相当イニシアチブをとっていただく必要があるんではないかというふうに思います。
 現在では、公共投資の配分については概算要求のときに大蔵省、具体的には主計局でしょうが、事前の査定をしていらっしゃる。それだけですね。ですけれども、予算の今の縦割りは、おつき合いをしていてよくわかるんですけれども、例えば建設省には建設省の論理があって、道はまだシビルミニマムの五〇%にしか達しておりませんと、それは道だけを見れば確かにそうかもしれません。ダムだけを見れば、二百年に一度の災害を守るためにはここにダムが必要だと。ことしは三百幾つ着工しているそうです。あと二百計画があるそうです。私は、三百ができ上がってあと二百つくったら本当に日本の自然はすべて破壊されるのではないかという危機感を抱きましたけれども、それでも建設省には建設省の論理がある。
 しかし、それを建設省の論理で予算の査定をし、そしてシーリングを今までのように守っていったのでは、そういった地球規模での環境にも人口にも、そして私たちの日本人の生き方にもとても対応できない、そういった時代が必ず来るというふうな予感がいたします。大変細かい申し上げ方ではないのですけれども、省別の縦割りで行われているようなもの、こういったものをもっと総合的な査定を十分に大蔵省がしてくださる必要があるんではないか。
 例えば会計検査院にしても、不正があったかどうかは調べますけれども、それが本当に国民にとって必要なものであったかどうかというような、そういったところまではやりません。それから、事後的にもそれが果たして本当に必要なものであったかどうか、その反省に立って別のやり方をするといったようなこともありません。そういった事前のチェック、そしてさらに、終わってから果たしてそれがいいのか、中間でのエバリュエーションといったようなものがほとんどない。こういった形での予算編成がずっと行われている。
 ですから、私は一年間行革プロジェクトの中にいて、本当に言ってみればもう手かせ足かせという印象を毎日受けているんですけれども、それをどうやって打ち砕くのか。また新しい行革がスタートするというようなことも経団連の方でおっしゃっていますし、きのう経団連はこんなすごいのを持ってみえたわけです。四百幾つかの各分野における規制緩和に関する要望、こんな分厚いのを持ってみえましたけれども、本当に財界の方もできない、政治家にもできない、じゃ一体日本の国民はどうなるのか、そういう時点に来ていると思うんです、レスター・ブラウンの解析から見ても。
 とすれば、やはり私は大蔵大臣にぜひやっていただきたいこと、それは大蔵省が何といったって日本の中では一番イニシアチブがとれる役所なんですから、そこできちんとした事前の査定のシステムをつくる、それを強化する、そして公共投資を事前、事後できちんと評価する。もし役所でそれができないのであれば、民間人を入れたオンブズマンの制度のようなものをつくる。そうでもしてきちんとやらない限りは、このシーリングという制度からなかなか脱皮できない。
 それは、確かにおっしゃったような最初の構造があるわけですから急にはできませんけれども、十年、二十年という目標を立ててでも方向性をきちんと予算編成について示していっていただく、そのことが大事だと思うんです。そういった制度でもつくらない限り日本だけが、日本だけがとは申しませんけれども、日本は突出して産業基盤の充実という古い線路の上を走り続けることになってしまうのではないか。その辺のところを政治家としての大蔵大臣にぜひ伺いたいと思います。
#104
○国務大臣(武村正義君) 御指名ですから、先に申し上げて、後から事務的な話もちょっと聞いていただけませんかね。
 大蔵省がオールマイティーではありませんし、またあってはならないのは当然でございますが、予算編成の責任は預かっているわけでありますが、いわゆるシーリングの中における、これは何も事業別の見直しだけじゃありませんけれども、今ダムなんかの例もお挙げになりましたが、個々のプロジェクトについても優先順位といいますか必要の度合いといいますか、そういうものをもっとしっかりチェックしていくようなことも必要であります。
 なぜか東京で省庁別とか事業別のシェアだけを議論しているところに問題はないかなという思いもありまして、私、大蔵大臣というよりも個人の思いつきなんですが、四十七都道府県や三千二百の市町村で公共事業というのがほとんど執行されていることを考えますと、むしろ国民の現場からの優先順位といいますか、そういう希望が何とか吸い上げられて、そういうことをトータルする中で結果として見直す、何かそういう知恵はないのかなと思ったりするわけですが、地方もしかし大体中央の縦割り行政に従ってぴしっと秩序ができ上がっておりますから、そう容易ではありません。
 また、今申し上げたような大規模なプロジェクトについても、本当に必要でないものは一つもれいと私は思うんですが、それにしましても必要の度合いとか行政のいわゆる費用対効果の論議から、何を優先したらいいのかというもう少し厳しい議論があってもいいのではないかとか、そんなことを感じているわけであります。
 しかし、現実の予算編成、来年度はもう始まっているわけであります。そういう中でシーリングとこの予算の中身の改革との関係なんかも、これはなかなかこれ以外にいい知恵は出てこないんですよ、シーリングを変えてもっといい知恵があればぜひ御提案をいただきたいと思っておりますが。シーリングというのは大きな枠で、公共事業は五%とか経常経費はマイナス一〇とか、こういう枠を貫いておるという意味で大変有効なシステムだと思うんです。それは評価していいと思うんです。しかしこのままでは、今度は各省庁にとってはその枠の中で、枠さえきちっと守ればあとはかなり各省庁が役所の中で判断ができるという余地もありまして、個々に枝葉まできちっと議論し合っていないところがあちこちに矛盾を残しているという感じもございます。
 そんな意味で、シーリング制度は今のところ変える考えはありませんが、しかしよりいい改善というか、この制度についてもいい知恵が見つかれば少しでもやはり改善をしていかなければいけないというふうなことも昨今感じているわけであります。何か昨今の感想を申し上げた程度でございますが。
 事務的にどういう苦労があるのか、ちょっと伏屋次長から。
    ―――――――――――――
#105
○委員長(西田吉宏君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、野末陳平君が委員を辞任され、その補欠として小林正君が選任されました。
    ―――――――――――――
#106
○堂本暁子君 シーリングよりいい方法があるかという大臣から逆質問を受けましたけれども、本当にこれは大きな大きな宿題、すばらしい宿題をいただいたというふうに思いますし、それから、確かに厚生省とか文部省とか一つの枠の中では随分いろいろ工夫していらっしゃると思いますが、その枠があること自体が問題なのかなと思います。
 大蔵省からお答えいただくんでしたら、もう少し追加してそこに伺いたいことがございますけれども、九一年から実際には生活環境それから福祉、文化機能に六〇%配分するという方針がございましたよね。それが実際に六〇%達成されたのかどうか。その実績とそれからその実績見込みみたいなもの、これが今大臣のおっしゃった生活重視の方に移行していく方のプロジェクトだったと思うので、それをあわせてお答えいただきたいと思います。
 それから、今度は六百三十兆という大変大きな投資ですけれども、その比率は六〇%台の前半にすると。一体これは六一なのか二なのか三なのか、数字を扱う大蔵省にしては随分アバウトな書き方だなと思っているんですけれども、一体これはどういう意味なのかということを伺いたい。
 そして、これは今大臣のお答えは伺いましたが、役所の方として公共投資配分の抜本的な転換というのはどういうことなのか、できるのかできないのか。これは公共投資の中のいわゆる生活関連と言われる分野ですね。相変わらずインフラストラクチャーであって、その中に今叫ばれている質的な転換は余りなされていませんけれども、その点についてまずお答えいただきたいと思います。
#107
○政府委員(伏屋和彦君) たくさんの御質問でございますので、順番に分けて御答弁させていただきたいと思いますが、まずシェアの基本論及びシーリングの基本論は先ほど大臣が答弁されたまさにそのとおりでございます。
 委員御指摘の環境問題の話でございますが、この間決まりました公共投資基本計画に、社会資本整備を進めていくに当たっての課題ということで、今後より深刻になることが予想される環境等の問題に適切に対応し、持続可能な経済社会を構築していくため、社会資本の整備や運用においても、環境への負荷の低減、自然と人間との共生の確保等に配慮しつつ新たな対応を行うという、そういう記述がなされておるわけです。御指摘のように大事な問題でございます。
 それから今の生活の話でございますが、先ほど大臣からも言われましたように、六年度予算編成の際に生活者重視ということで思い切った公共事業の重点化、シェアの見直しを図ったところでございますが、委員の御質問の話は、実を言いますと、生活環境、福祉、文化機能に係る八一年から九〇年までの公共投資計画期間中の平均の実績が五三・四%であったわけでございます。そこで、前の計画で目標を立てまして、九一年から二〇〇〇年までに六〇%程度になるように目指して計画が動き出したわけでございます。
 そこで実績でございますが、経済企画庁によりますと、それまでの五三・四の平均実績から上回っておりまして、九一年度は五五・一%になっております。またこれは数字が出ておりませんけれども、私どもとしては、九二年度はまたさらに九一年度を若干上回るのではないかと。要するに徐々に上がってきているということでございます。
 もう一つ御質問の、今度の新しい計画の一九九五年から二〇〇四年までの目標が、生活のウエートが六〇%台前半、アバウトな数字とおっしゃられる御指摘もわかるわけでございますが、仰せずっと先の話でございまして、やはりそれは徐々に上げていかなければならないという意味でまさにそれを示しているわけでございます。そういう点で御理解いただきたいと思うわけでございます。
 それから配分の点でございますが、六年度には実際に、後でまた必要ならば御説明しますが、シェアはいろいろ変わってきております。変動幅も広がってきております。
#108
○堂本暁子君 続いて伺いますけれども、公共投資基本計画の中で、社会資本整備の財源として租税、公債、財投それから民間資金等を適切に組み合わせるとしていらっしゃいますけれども、これはどういう財源をどのような組み合わせをなさるか。国民にこういう言い方で御説明いただいても、それが十分に納得がいくだけのものではないんですね。どういうものなのか、租税なのか何なのかよくわかりません。その点をまず伺いたい。
#109
○政府委員(伏屋和彦君) お答え申し上げます。
 委員が御指摘のように、一体新しい公共投資基本計画の財源はどうなるだろうかということでございまして、これは一つは、この計画が十年間という非常に長い長期計画であるということと、も一つ一つは、具体的実施に際しまして、国とか地方公共団体とか公的企業といういろいろ実施主体も多様であるわけでございます。かつ、そのときどきの経済、財政事情はこれからまた変化していくわけでございます。もう一つさらにつけ加えますと、社会資本の性格によりまして、やはり金融の方がふさわしいものとか税で賄うべきものとかいろいろあるわけでございます。
 今おっしゃられましたように、租税、中でも国税と地方税、それから公債といっても国債と地方債、それから財投資金、民間資金等どういうぐあいに組み合わせていってこれらをやっていくかということはまさにこれからの話でございまして、現段階で比率とか財源を具体的に見通すことはなかなか難しいものですから、御了解いただきたいと思います。
#110
○堂本暁子君 これからのものについては明確に言えないということでございましたが、九一年から一年とか二年とか、さもなければその前の計画がありますね。八一年から九〇年というような、そういうところについては税と公債、それから財投というものの比率というのは明確に出ているわけでしょうか。
#111
○政府委員(伏屋和彦君) 確かに私どももそういう数字を知りたいという感じはあるわけでございますが、これは実を言いますと企画庁の方のいろいろ計算ということになるわけでございますが、今申し上げましたように財源が税、国公債、資金、非常に複雑であるということと、さらに国、地方、公的企業間の資金の流れも非常に複雑でございます。したがって、経済企画庁によりますと、過去の話も、日本国内全体でどれだけの公共投資総額があったかということは国民経済計算等から把握できるということではございますが、今言いましたように実施主体、財源等、そういうことで非常に複雑なものですから、公共投資のどの資金がどれだけ充てられたかというのはなかなか具体的に計算ができていない。したがってお示しできないということでございますので、お許しいただきたいと思います。
#112
○堂本暁子君 それでいながら、行革で具体的な何兆というのを出す作業をする側としては非常に納得いかないですね。一体税金がそこにどれだけ、大蔵省でそこがわからないんでは私たちはどういう形で考えたらいいのか、何かちょっと土台が全くないような印象を受けますけれども、これ以上ここで深入りすることはやめておきます。後でまたもう少し詳しく説明していただきたいと思います。
 そうであればあるほど、今回の六百三十兆の財源、大変なお金です、十年間で六百三十兆と言えば。これは前回も御質問したことなんですけれども、建設国債で六十年償還、このルールで決められている。そのルールのもとにこの六百三十兆が、しかも今はっきり税なのか、それとも財投なのか、国債なのかわからない、比率もわからない形で予定されているということには私は非常に不安を感じます。
 それは国民もその辺を直観的に不安を感じる。大臣おっしゃったように、いろいろ地方に行きますと、確かに道が欲しいという方もあるんです。だけれども、もう道はいい、道をつくるぐらいなら、私たちがあと二十年たってどこへ行ったらいいの、老人ホームはうんと遠くなのよ。東京だってそうです、埼玉県かなんかへ行く。
 私が会ったおばあさんは、下町で育って初めてこんな山の中でと言って、もうすごくかわいそうで、私は手紙を書いたら、入ってたった六カ月ですよ、こんな分厚い手紙が来て、何かと思ったら、亡くなったということをその施設から言ってきた。そうやって、自分が住みなれないところへもう強制収容の形で老人が行ったときに、やはり生きていかれないわけです。友達もいない、だれもいない。本当にそのときに、私はその封筒を見て、ああこれがと思いました。もうダムはいいから、二千億のダムをつくってくれるんなら、三億、四億でもいい、もっとそういった高齢者のことをやってほしい、それから人を養成してほしいというそういう要請は非常に強いわけですよね。
 ですから、私は、六百三十兆がそういった建設国債、財政法四条の縛りの中でやられていくということが一番これからの、先ほど大臣に申し上げた意味で、相変わらず産業基盤整備をますます硬直化――今まで硬直化しているから壊せないんです。恐らく百年ぐらいかかって硬直化させてしまった私たちの歴史がありますけれども、これをまた十年延ばしていくことは、その硬直化をさらにセメントで固めるようなものだというふうな印象を受けます。むしろ、何のためにこういった財政法があるのかと言えば、国民のためにある法律であり、国民のための公共投資なのに、その法律に縛られて間違った方向に日本が行ったんでは何にもならないわけですね。とすれば、今こそ私は見直してもいいんじゃないか。
 前回も伺いましたけれども、国債整理基金特別会計法というのがあるわけですけれども、前回の委員会の御答弁はどういうふうにおっしゃったかというと、財政法で基本的には借金で予算を組んではいけないということに日本はなっていますと。これが日本の財政法の基本にあるわけなんですね。にもかかわらず、今比率を伺ったけれども、これからどのぐらいが税金で、どのくらいが財投で、どのくらいが国債が。いずれにしても税金はそう多くはないわけでしょうから、直観的に言えばやはり借金の方が多いわけですね。で、先行投資をする。しかし、それをまた税金で返していくというこういうからくり、それはやらないということが日本の基本なわけですね。とすれば、財政法四条に私たちは縛られて間違った方向にまた十年進んでいくのかというところをやはりどうしても考えなければならない。
 それは、今回の消費税の値上げ、そして所得税の減税、そのことが景気の回復に大事だ。そして、六百三十兆を使うということ、それは景気ということではそういうことがありましょうけれども、その使い方なんですね。景気回復もしなければならない。そして、そのための財源としての消費税の比率アップというのがあるんだとすれば、やはり私たちが間違った方向を修正しながらそれを使っていくということ。
 そのためには、赤字公債というのをもっと弾力性のある形で、今回だってこの赤字公債は二十年償還ですね。ですから、どれだけの耐久年数を必要とするのかということによって、十年でもいい、二十年でもいい。そもそも赤字公債は今や建設公債と区別がつかない。どちらも六十年償還になっています。これだったらば、もうすっかりそこのところを変えて、もっときめ細かく実際に国民のニーズに見合った形、そういった形できめ細かく、二十年、三十年というふうにやっていいんではないかというふうに思うんですね。
 ですから、ここは相当大きな抜本的な改正を、改正というか考え方の基本を変えていくということをやっていいんではないか。ここの点については大蔵省の御答弁は前回ともう全く変わってないと思うので、こういったことについて大臣は、感想でも結構ですから、どのようにお考えになるか伺いとうございます。
#113
○国務大臣(武村正義君) 堂本委員がおっしゃっていただいておりますのは、必要があれば公債はまだ積極的に発行してもいいという前提なのかなと思いながらお答えをいたしますが……
#114
○堂本暁子君 いえいえ、そうじゃない。違う。できるだけ出さない方がいい。
#115
○国務大臣(武村正義君) そうですか。それじゃ午前中の佐藤委員の御主張と同じでございますね。
 確かに、公債そのものは先進国の中でももう悪い意味で一番、二番というふうな状況になってきておりまして、これは財政運営の一般論としましても厳しくこの現実を見詰めてこれを減らしていく、改善していく方向に向かわなければならないと思っているところでございます。
 ただ、今、建設国債、赤字国債についての具体的なお話もございました。建設国債は御承知のように、将来の子孫も社会資本の整備によって受益をするということから、日本の場合は六十年間ということになりますが、幅広い世代で負担をし合おうということから導入されているものであります。しかし、赤字国債はもう一般的にはむしろ発行すべきでないというのが建前でございまして、今回その例外としてこうした特別の法律をお願いして、お認めいただこうとしているわけであります。
 しかし、これも過去の経験からすれば、福田内閣以来、半歩踏み出したことが一歩、十歩、百歩というふうにぐんぐん広がって、その後またこれをかなり抑えてきてはいたのでございますが、やっぱり半歩が百歩になるということの経験も踏まえますと、ゆめゆめそういう赤字国債の道を二度と歩まないように私どもはしなければいけないという思いであります。
 償還の議論については、確かに両方とも六十年になっておりまして、この辺も姿勢としては、赤字国債にもいろいろありますが、赤字国債一般は建設国債よりも短期で償還をするぐらいの姿勢があるべきだという御主張については私も同感であります。同感でありますが、現実は同じ六十年になっていると。今回の特別減税に伴う赤字国債、いわゆるつなぎ国債については、頑張って二十年という姿勢を打ち出しているところでございます。
 ちょっと答弁になっていないでしょうか。
#116
○堂本暁子君 まさに伺いたかったところなんですけれども、私は、もう本当にそもそも借金をしない財政の方が健全だと思っています。ですけれども、実際問題としてこの六百三十兆という計画はもう立ってしまっているわけですね。とすれば、これの使い方をいかにすべきなのかという次の議論で申し上げていることで、それは例えば新ゴールドプランの総事業費が国、地方合わせて五年間で三兆七千億。そして、建設国債ですけれども一九九三年で何と十六兆二千億。これはその四倍の借金をしているわけですね。とすると、社会資本の内容だと思うんです、先行投資をする。ダムはどんどん先行投資をする、六十年の返還で。だけれども、果たしてそれが私たちがあと二十年たったとき、三十年たったときに役に立つ必要な先行投資すべき社会資本なのか。もっと違った社会資本の投資があるんではないか。
 例えば、私は情報なんかは一つだと思います。アル・ゴアは情報ネットワークというのを提唱しましたけれども、そういった情報ネットワーク、これはそんな六十年なんて言っていたらとっくに古くなって使えなくなってしまいます。もっと短い耐用年数でいい。それから例えば福祉の問題にしてもそうです。今、建設国債ならどんどんこうやって先行投資ということで、どんどんとは言いませんけれどもお出しになる。それでいながら逆の一般会計からのことは出せない。そうだとすれば、今こうやって出す国債の方の使い方をさっき申し上げたように四条公債の縛りでもって縛ってしまっているから、ダムだとか道だとかそれから箱物ばかりになってしまって、それがどんなにあれでも、生活と言われたところで、下水だとか、ここにずっと列記してあるものはそういうものです。
 ですから、例えば人材の養成とか、それから福祉で言えばいろいろな子供の問題、老人の問題に関して、この範疇に入らないもので今社会資本として整備しなければならないもの、それから日本の森、山、川、海岸、全部そうです。ですから、こっちの公債の方はどんどん出るからどんどん建設は進みますけれども、そっちの自然の資本という方は水だろうが自然環境だろうが、そういったものはもう幾何級数的な速さで失われております。植物なんかはもう六種に一種が絶滅種の方向へ向かっている。
 だから、私はいつも言うんですけれども、今に、昔日本はツルがいたそうだ、そして飛行機のマークはツルだったそうだ。もうそういう時代がいずれは来る。それから、昔は秋の七草があったそうだ。今は四草しかない、二草しかない、一つもないかもしれない。そのくらい今、日本の自然は破壊されている。とすれば、そういったものは私たちのやはり大事な大事な日本国の資源ではないのかということですね。社会資本だと思うんです。
 ですから、木にしろ森にしろ、そういったものを守るための、今は公共事業に自然公園というのが入りましたけれども、しかし下草を刈る人の費用は絶対だめだ。もうこれは前任者の竹島さんと二時間近くも私は議論したけれども、絶対だめだとおっしゃる。ストックだけです、フローは絶対だめです、こういう論理なんです。でも、そのことによって国の将来の方向性が間違うんだったら、やはり違うんじゃないか。やはりそこは弾力性を持って考えていただかなければいけないんではないか。だから、今の四条公債は、しつこいようですけれども、前回もさんざん御質問したんですけれども、やはりどうしてもそこのところは納得がいかないわけでございます。
#117
○国務大臣(武村正義君) 今のお話で御趣旨が大変よくわかりました。
 建設国債がこれだけ大きくなってきておりますし、また建設国債に頼った公共事業が非常に膨らんできていて、ほかの、より大事な事業とのバランスで考えるときに、建設国債が充当できない事業はいわゆる一般財源が基本でございますから、そっちの方は非常に厳しく抑えられて、逆に建設国債の方は安易にどんどん膨らませているじゃないか、こういうところが御指摘いただいている点だというふうに伺いました。
 決して安易にそういう財政運営をしているわけではないにしても、結果としてそういう感じをお与えしていることを私どもも率直に認識をしなければいけないと思います。どこへ帰るかといいますと、結局我が国の財政構造そのものが問われているわけでありますが、それにしましても、事業費の中のやはりシェアといいますか、プライオリティーといいますか、そこのところにも、毎年毎年予算の編成の中でどうしても前年度のシェアを確保する、それを認めていくということが今おっしゃるような結果を生んでいることを考えますと、改めていわゆるこの時代の国民の皆さんがより必要と感じていただいている事業にどうして新しい予算を組んでいくか、そのことに真剣に私どもが大きな関心を向けていかなければならないというふうに思います。
 それで、シーリングそのもののあり方も問われているわけですが、ことしも三千億の別枠を設定させていただいて、これから御議論をいただくことになるわけでございますが、従来の経緯を振り返りますと、結果的にはまた既存のシェアに上積みをする、仲良く分け合ってそれほどシェアを変えない、あるいは新しいところの主張というのはなかなか芽を出してもらえない。私も自民党環境部会長で大分環境で頑張ったこともありましたが、なかなか実績がないものですから認められない結果に終わってしまった経験もございます。ことしは非常に金額の少ないところも五十億は要求してよろしいというちょっと異例のシーリングの方針を出しておりまして、その辺にも少しでも新しい事業に可能性の道を開いていこうということでございます。
 ある人がこの間、これはやっぱり大蔵大臣、公共事業のうち何%か、五%ぐらいはもう総理大臣が留保して官邸で持っていて、そしてこれと思う事業にぽんぽんとつけるようにしたらどうですかと、こういう御提案をいただいたこともありましたが、いずれにしましても、結果としてそういう必要なところに金が回らないというような状況があるとすれば、そのことにはやっぱり大胆なメスを加えていかなければいけない。昨年の努力の延長線上の中でことしも大蔵省としては真剣な気持ちで予算編成にかからせていただきたいというふうに思っております。
#118
○堂本暁子君 七年度予算に大臣のビジョンが非常に明確に反映されることを期待して次に移りますが、今日、各省庁に大幅な歳出削減の協力を大蔵省としては求めていらっしゃる。そういう時代の中でやはりどうしても十年間の六百三十兆というのは気になるわけです。ですから、確かにシェアの問題もありますけれども、財政法の四条というところを大蔵省もぜひ考えていただいて、大臣がそういうふうにおっしゃっているわけですからぜひ考えていただきたい。
 日本の官僚制度の優秀さ、縦割りの行政も日本の経済発展に十分寄与したというふうに一方で思っていますけれども、変わるときの大事さというのもあるような気がします。ホワイトハウスがこの間、民主党になったときに大混乱で目も当てられないという感じてした。混乱して混乱して混乱し抜いているように見えましたけれども、でもそれは同時に、悪く言えば混乱だし、よく言えばやはり新しい時代への対応の変化だというふうにも思えるんですね。日本はそういった混乱はないかわりにカーブが切れない。
 どうしても今の六百三十兆というのが気になるのは、次の世代に残さないと書いていらっしゃりながら実際は借金を残していく、次の世代に負担を残すことに私たちがなりかねませんので、どうぞその点をぜひいろいろ考えていただきたいと思います。
 次に、けさも御質問がございましたけれども、これは高齢者福祉に向かって消費税の税率アップということだったわけですけれども、福祉に向かって高福祉高負担を日本がするのかといえば、けさ大臣がおっしゃったように適切給付であり適切負担だと。こんな適切というほどあいまいな言葉はないと思うんですね。国民が今貯金をし、不安に思い、そして政治に不信感を抱いているのはそういったところだというふうに思います。ですから、はっきりむしろ国はここまでやるんだと、そして国民は、あなたたちは自分で貯金をするなりなんなりして自分の老後をこうしなさいということを言った方がいい。適正給付ということだったら適正負担、それじゃ適正に自分のことはやってもらえるのかと思いかねない。しかし、それが何なのかよくわからないというふうに思うのではないかと思うんですね。
 私は、今の国の財政事情を考えても、スウェーデンやノルウェーがやっているような高福祉ができるとは思わないし、またそれが全面的にいいとばかりも思いません。必ず高い税金を払わなきゃならないこととパラレルなわけですから、五〇%近い税金を納めれば別ですけれども、そうじゃない限りやはり高福祉というのはなかなか実現できない。
 とすれば、きょう御質問申し上げたいのは、非営利組織がいかにも日本は貧弱だということなんです。これはちょっと申し上げなければなりませんけれども、国連ではNGOと申します。アメリカでは最近NPO、非営利組織という言い方をしていますけれども、大変その台頭が顕著です。何をやっているかといえば、かつては家族とか地域がいろいろやったそういったことを、政府がやらないことのつなぎの部分、そこを今度はそういった非政府の機関がやっている。きょうはっきり御質問申し上げたいことは、それがなぜアメリカでそれだけ多く今生き生きと活動しているかというと、やはり税制上の措置があるからなんですね。免税措置がある。
 私もこの「公益法人の現状と課題」というのを拝見しましたけれども、日本の場合は、これは明治二十九年の法律第八十九号と書いてあります。非常に公益法人について決めた民法三十四条が古い。しかもそのつくられ方が今の予算と同じに現代の社会体制に見合っていない。ですから、これもまた経団連の方から申し入れがあって、非常に官主導であると。天下り先とは書いてないんですけれども、それに近いようなニュアンスで、どうしてもっと民間がやりたいというときに早く認可するなり免税措置なりをとってくれないのかということがこれにも書いてあります。
 それ以上に欧米、それからロシアでも、それから途上国でも今盛んなのは、地域社会の中で本当にそういった非営利の団体が出てきて、ボランティアを大勢集めて、そして自分たちのために自分たちの必要なことをつくっていくということがあるわけです。ところが、日本はこれが本当にどこの国よりも育っていない。それはなぜ育たないかといえば、免税措置がとられない。それはもういろいろと、これは法律を読むといかに難しいか、そして、法律だけではなくて実際問題としての認可とか、それからその基礎になる、最初に資本が必要だとか、そういうことになっています。
 ですから、公益法人が学校とか社団法人とか保育園とかそういうところもいっぱいありますけれども、そういったものと別に、きのうの新聞にも載っていましたけれども、どこかの村でおばあさんが自宅にいる、それに対してボランティアの人たちがお昼や晩の食事を運ぶ、そういうことで施設に行かなくて済むんだと。そういうのも、じゃ全部行政が対応するとなったら大変なお金がかかるわけです。そうではなくて、そういったやり方でやっている。
 ピーター・F・ドラッカーという人が日本へ来て、日本のこういったNGOを分析したんですね。その中で言っていることが、日本の場合には第一セクター、いわゆる政府の組織はいろいろ仕事をしている。それから第二セクターとしての営利を追求する企業もある。そして、第三セクターを日本の場合はいささか地方自治体と企業とでやるものというふうに限定している。ところが本当は違うんだと、そここそが民間の活力なんだと。それがいわゆるNGOでありNPOなんだけれども、そういったものが日本ではないということを言っています。
 そういうものが私はこれからまさに福祉の時代になったときに非常に活発に動いていく必要があると思うんです。動いていくというよりも、そういった私たちの自助努力と申しますか、そういうものが必要だと思いますけれども、社会セクターと言ったらいいんでしょうか、大臣はそういったものについてはどういう御意見をお持ちでしょうか。
#119
○国務大臣(武村正義君) 私も個人としてはこの問題は大変関心を持ってきたテーマであります。この問題だけで議員連盟をつくりたいぐらいに思っていながら、全然そこまで行動ができなかった次第です。今、堂本委員のお話を伺いながら、最近NPOという言葉、もう覚えましたが、新党さきがけではこれをNPSと言っていますが、オーガニゼーションとシステムの違いでしょうかね。とにかく、それでもさまざまな国内、国外のボランティアのグループや個人が出てきて、主に若い人が多いわけですけれども、さまざまな活動に関心を示し始めていただいていることを大変うれしく思っております。そういう人たちを激励していくことが、これはもう文字どおりいい日本をつくっていくためには大変大事なテーマだというふうに思っております。
 先般も、ちょっと大蔵省の主税局も含めて関係者、若い人に集まっていただいて勉強会をしてみたのでありますが、既に指定寄附制度とか、それから特定公益増進法人ですね、これもできておりまして、問題はこれにそれほど寄附がいずれも集まっていないということは何なんだろうと。大幅な免税措置をとらせていただいていても、なかなか寄附が寄らないという現実は何だろう。
 私はたまたま昔、山本七平さんの本を読んで、日本人にはボランティア精神がないと、古代からエコノミックアニマルであるという文章を覚えておりますが、アメリカと日本と比べると、当時ある人の説明では、二十倍ぐらい一年間の寄附の金額の違いがあるということも聞いたことがあります。そんなことで答弁するつもりはありませんが、一つは、日本人のこういう問題に対する考え方というものも一つ論議の対象になるのかもしれませんですね。しかしもう一つは、こういう特定公益法人、指定寄附制度だけでなしに、もっと身近ないろんなボランティア組織に免税の仕組みが働くような制度を考えるべきじゃないかという問題提起も持っております。
 しかし、少なくともこれ単純に免税といいましても、まさに税を免ずるということは補助金を出すのと同じことでございまして、それはそれなりのきちっとした公益性というか公共性がなければ許されない話でございます。
 そうすると、ボランティア活動そのものはいいとしましても、どういう組織なら、どういう条件なら認めていくかというところはきちっと議論をする必要がある。二、三人寄って何々の会をつくったから免税にせよと言われても、結構今の公益法人でも、役員の一部で大変私的な運営がなされている問題の法人も少なくないわけでありますから、そういうところをやはりきちっとしなければならない。しかし、幅はぜひ広げてもっと弾力的にしていく必要がある。諸外国の寄附の条件も勉強したときにいろいろ表をいただいてさっと教えてもらったんですが、日本は特別厳しいわけじゃないんですね。よその国も結構厳しい中でやはりかなり寄附が集まっているということも含めて考えていかなければならない。
 最後に申し上げたいのは、今言ったように組織、民法法人、民法三十四条に由来するいわゆる公益法人からもう一歩進んだ幅の広い法人化の議論が必要ではないかなと。これはどこの役所の担当がよく私もわかりませんが、そんなことを勉強しながら感じていた次第でございます。
#120
○堂本暁子君 私は、この今ある組織ですと、今までのやり方は非常にやっぱり経団連さんに言われなくても官主導であり、そして、本当に草の根から上がってきたものが大きくなるというような形のものには認可もされなければ、それからその監督官庁があるわけですね。アメリカなんかは、行政というか政府から独立していなきゃいけないという逆の立場なんですね。そういうところが全然連うと思います。
 それから、今おっしゃった例えば家族だけで運営している保育園なんかがあるわけですけれども、そういった家族だけでやるということもアメリカの場合は禁止しています。そういったことはかっちりしなければいけないし、今私の手元だけでも三つぐらい、こういうふうにしたらいいんじゃないかということで法律の案なんというのももらってありまして、今いかに下からのそういう勢いが強いかということです。
 今、ボランティア精神とおっしゃいましたけれども、確かにそういった面が少し前まではあったかもしれません。しかしもうここ一、二年はそこが急激に変わっております。みんなお互いに助け合わなければいけないということを肌で感じていますし、日本の場合も、例えば田植えとか結婚式とかお葬式とか、みんな村の人が総出でやったわけなんですね。今そういうのが地方でもだんだん違った形で盛んになってきている。
 それはなぜかといえば、やはり精神的な素地以上に、政府と国民の関係、それから地方自治体と住民、あるいは企業と消費者、そういった間のつなぎ役としてそういった存在が必要不可欠になってきた。全部を国ではできないわけです、さっきの財政状況からいい何といい。しかもなおかつ、やはりどうしても公的なサービスというのは画一的にならざるを得ない。大変悲しいことですけれども、それはまた一つの宿命だとも思います。
 老人の方は、これだけ私たちが豊かに生きてきた日本、ある意味で言えば好きなような形で今の若い人たちも生き始めました。そういった個性のある生き方をした場合、多様性がある場合、やっぱりサービスの多様性を確保するのはむしろそういった非営利の団体であろうというふうに思います。
 アメリカは内国歳入法の第五百一条Cの三ということで免税措置をくくっているわけですけれども、ぜひ大臣に知っていただきたいのは、この租税控除が行われてから、今アメリカに非営利団体は百万あります。それからその年間の支出額は、一九八八年の統計ですけれども、NIRAの研究報告によると四千五百六十八億ドル、日本円に換算して四十五兆六千八百億円。これだけのことをやっているというのはすごい。GDP、国内総生産の九%、そういったものを活力にしている。これは財政的にも私はすごいことだと思うんですね。
 例えば五人の職員がいる。その人たちはもちろん所得税を納めますけれども、それで二百人なり三百人なりのボランティアをオーガナイズしている。ところが、日本はその五人の人たちがそういう仕事をするような組織が非常につくりにくくなっているわけです。
 それから国際貢献も同じです。日本はプロジェクト方式で、プロジェクトにはいろんなところからお金が出る。しかし、そこでもってボランティアを集めるための免税措置がない。今、私は本当に企業の方からも、免税措置さえあれば国際貢献のためのボランティアに寄附しましょうと。例えば、JVCは今予算が八億です。メンバーは六十人います。もう本当に一番危ないルワンダだとかカンボジアヘ行っています。それでもこの特定公益増進法人になっていないんですね。下から盛り上がってきて、それだけの予算を持ち、それだけのスタッフを持ち、下手な企業よりもよほど力を持っている。にもかかわらず免税措置がない。みんな安いお金で本当に働いている日本の若い人たちにそういったことがない。
 環境NGOもそうです。女性のNGOもそうです。日本のNGOは非常に動きにくい。例えば、私は女性のNGOをやっていますけれども、全世界から千五百人の女性が集まったところに日本からは二人とか三人です。私なんかが行くと、アフリカやなんかはみんな、日本のおかげで来た、日本のお金で来たと。だけれども、日本人はお金がないから行かれない、イニシアチブがそういうところでとれない、そういう状態でもございます。逆に、マレーシアとか、今やもう日本の人にも来てほしいからといって、途上国から日本のNGOはお金をもらって国際会議に出る、そんな状況なんです。それはなぜかといえば、やはりそういった免税措置がない。そのことがそういうことをもたらしている。
 ぜひお願いしたいことは、大蔵省のこの間出た「環境保全型の経済発展の在り方」というのを読みましても、今後NGOの役割がますます期待される。「我が国社会においてNGOが十分な評価を与えられ、また十分な活動を支えるだけの人的、財政的な基盤を確立していくことが重要である。また、そのためには、個人、企業の支援及びそれを可能にするような税制上の措置を含む制度的な手当てについても検討されるべきであろう。」これは大蔵省の文書です。
 そういうことで、私は、消費税の問題もございますけれども、これだけ公的なサービスで高福祉高負担ができないのであれば、適切ということをつなぐのは、もっと早くから日本はやってくるべきだったんでしょうが、こういったやり方でやるより仕方がない。仕方がないんじゃなくて、そういうやり方こそが現代的であり世界じゅうでやっていること。
 途上国の場合には、逆に言えば非常に公的なサービスが貧弱ですから、それを補っているのがNGOで非営利団体です。ですから、みんなのお金を集めて、自分たちが寄附して、そしてボランティアでもってサービスをお互いに提供し合っていく。それに対してのお金ももらうんですけれども、それは公的なサービスより安いぐらいのものをもらうようなシステムになっているところが多いということです。
 こういった税金の控除をやるような、さっきそういう組織をつくる方がいいんではないかというふうにおっしゃいましたけれども、それは税の免除があればそういうことのインセンティブが働くと思うんですね。そして、もっとボランティアで、自分たちの地域で、自分たちの老後なり環境なり子育てなり女性の問題なり、いろいろなことのために活性化していく、そういったインセンティブのためにも私は免税措置が大変に大事だと思いますけれども、ぜひ大臣にお考えを伺いたいと思います。
#121
○国務大臣(武村正義君) 御指摘の問題につきましては、私個人としましても、御主張に共感をしながら、ひとつ勉強をさせていただきたいと思っております。寄附の問題、より法人格が取りやすくする工夫の問題等を当面の課題として認識をさせていただきました。
 なお、新しい改革が進むまでも、先ほど申し上げたように、特定公益増進法人、あるいは環境事業団に地球環境基金もできましたね、こういうものを通じてNGO、NPOの皆さんが実質寄附の恩典を受ける道はあると、このことも知っていただく必要があるのではないかというふうに思っております。
 小川局長から少し補足をさせていただきます。
#122
○政府委員(小川是君) 現在の免税寄附金の中で、とりわけ指定寄附金あるいは特定公益増進法人制度の運用につきましては、実は現状では主税局の税制第一課というところで三人の職員が扱っております。今のアメリカの状況あるいはイギリスの状況、とりわけ何百人という人を抱えて一つずつの団体の公益性を認定していくというやり方が一つ社会的にはあろうかと思います。我が国の場合には古くから、委員が言われましたように、民法三十四条が我が国の公益法人というものを位置づけているものですから、これに頼って公益事業活動が行われている、それを免税制度としては主税局が受けているというのが実情でございます。
 さまざまの問題はむしろ、大臣が最初に申し上げたように、だれが一体この問題を処理していったらいいのか。どなたも善意とそれから事業の内容の重要さと、しかしそれが担保されなければいけないと、免税であるところから。それをどこでやったらいいのかという点が一つ非常に大きな問題としてございます。
 もう一つは、我が国の場合には、民法三十四条がございますが、宗教法人がここにはかかわっておりません。外国の場合ですと教会というのが非常に大きな助成をする活動主体になっております。そういった点が非常に違うのであろうと思いますが、最後に大臣が申し上げたように、まず現行制度の中では、助成財団のように、NGO、NPOであれ、その他の私人にであれ、公益活動の中で助成ができるその受け手である財団が特定公益増進法人としてでき上がってきている、こういうところを活用していただきながら進んでいくのかなというのが私ども扱っている者としての感想でございます。
#123
○堂本暁子君 そういたしますと、すぐにはなかなか新しい制度はできないでしょうけれども、特定公益増進法人はなかなか認可にならないそうです。もう本当に難しいとみんな言っています。やはり官庁の方の主導でつくられるものは、これはもう経団連のを読んでいただくのが一番いいんですけれども、きのう届いたばかりですけれども、官庁によってつくられるものは天下り先としてすぐにでもできると。しかし、今のように草の根からみんながつくってきたものはなかなか認可されない。しかも、主務官庁というのがあって監視監督する。これでは本当の意味のNGOではないわけですね。これはやはり明治二十九年の発想だと思います。ですから、そこのところは法改正が必要なら法改正をする。
 それから同時に、この特定公益増進法人のところに、「主務大臣の認定を受け」、というのがあるんです。だから、これは申し出にすればいいというふうに変えた方がいいと思いますし、それから対象範囲、これが非常にまだ狭いんではないか。例えば人権擁護とか、そういった時代に合った国際貢献に役に立つようなものももっと入れなければいけないだろう。
 しかし、大臣がおっしゃったように、明治二十九年のをまた変えるとなると、シーリングと同じでなかなか変えたくても変えられないしがらみがあります。そして、いろいろ問題もたくさん抱えているようですので、それよりは新しい法律をつくって新しい形でやったらいいのではないか。その場合にきっちりとやるべきことを、メンバーの責任も決めなければいけないでしょうし、それから事務局のあり方とか会計のやり方、アメリカの場合も全部ちゃんと報告するわけですから、そういった義務は全部負わなければいけない。
 それと同時に、やはり税制の優遇措置、それから法人化のための資金がなければいけないというようなことでは草の根の人たちはできません。何億というのがなければだめだというようなことではできない。それから、監督官庁というようなこともやはりやめなければいけないでしょう。もっと主体的に一人一人の市民が自分の身の回りの生き方、そして地球市民の生き方をつくっていくという、そういった思想だと思います。
 大臣は、「小さくともキラリと光る国しという題の著書をお書きになっていらっしゃいますけれども、これは余り大きな政府ではないんだろうと思うんです。「キラリと光る国」というのは小さな政府で、そして本当に国民が生き生きと生きられる国こそが「キラリと光る国」だろうというふうに思いますと、このNPOというのがもしかしたら大臣の理想を実現する担い手になるかもしれません。
 そういうわけで、大蔵省は多分その免税措置の部分のところになると思いますけれども、大蔵省の文書にもそこのところの検討が必要だということを書いていらっしゃいますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
#124
○国務大臣(武村正義君) この問題につきましては、政府の一員としても引き続き関心を持たせていただきたいと思います。ただ、政治家の一人としては、ぜひ党派を超えて国会の中で新たな立法についても関心の高まりが出るように期待をいたしたいと思います。
#125
○堂本暁子君 どうもありがとうございました。
#126
○委員長(西田吉宏君) 堂本暁子君の質疑は終了いたしました。
#127
○峰崎直樹君 日本社会党の峰崎でございます。
   〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕
 私は、税制改革大綱の作成に与党の一員として入れていただきまして、大変勉強をさせていただきました。その間、大蔵省や自治省を初めとして省庁の皆さん方の大変な努力も見てきたわけでございます。その意味で、私自身この税制改革に関連した資料や図書などに多少は目を通してきたつもりでございますけれども、大蔵委員会に所属する私として少し見逃せない最近の論文に接したわけでございます。
 実は、大蔵省OBで、今、一橋大学の教授をやっておられます野口悠紀雄教授が「税制改革のビジョン」という本を十月二十日に出されたわけであります。その最後の章に、「税制改革」の改革」という章でございますが、その最後に「忍び寄る言論統制」、こういう表題で、大変私たちからするとショッキングな内容が書かれているわけであります。
 例えば、「官庁の影響下にある業界では、主管官庁の政策方針に批判的な発言は、いまやほとんど封じられている。」、あるいは「官庁対官庁においても、同様の事態が生じ始めているのである。従来は、多くの官庁が、自民党族議員のバックアップによって独自の政策を主張しえた。しかし、それがなくなってしまったために、官庁対官庁の力関係が変化し、本来であれば各々の官庁の立場から異なる政策路線が示され、議論が戦わされて然るべきであるにもかかわらず、それが行われなくなってきている」。そして、先生自身もそれらしき、統制といえばあれですが、非常にソフトな形でこういうものが実は広がっているんじゃないのかと。
 そういう意味で、私どもこういう事態が生じては本当に困るなと思っているわけでございますが、主管大臣、ここは決して大蔵省ということを名指しにされているわけではありませんが、内容から見るとどうもそれのように感ずるわけでありますが、そのようなことに対して大蔵大臣の御見解をまずお聞きしてみたいと思います。
#128
○国務大臣(武村正義君) そんなことはあってはならないことだというふうに思うわけであります。現実にあるんだろうかとも思いますが、しかしそうおっしゃっている方がいるということは、ないとは言えないということだとしますと、もしあるとすれば、一体どういうことがそういう状況をつくっているのか。役所が、官庁が積極的にそういうことをしているとは、私も昔お役所に世話になった一人でありますが、実感としては全く感じません。だから、むしろ無形の形で、役所の外におられる方がそういうものを感じて発言されるとか、役所に逆らわないというそういう体質がひょっとしたらあるのかなというふうに、想像するぐらいでございますが、今感じた次第でございます。
 いずれにしましても、やはりそのことは、大変自由濶達な論議の中でいい知恵がどんどん出てきて、そしてこの国の政治や行政が前進を遂げていくということが一番大事なことでありますだけに、一層私としては留意をさせていただきます。
#129
○峰崎直樹君 今、同僚の堂本議員から大蔵省しっかりしろと、こういう叱咤激励がございました。私も大いにその点は望みたいところなんです。しかし、ちょっとこれは与党の一員として私どもが考えてみても、大蔵省というところは、片方で予算を決定する主計局がある。片方では税をつかさどっている。そして税収に大きな影響力を持つ国税庁を持っておる。さらに国債を発行する。その利率を決める。そういう意味でいうと、日本の現在の省庁の中では大変大きな権限を持っているんではないか。片や予算をつくり、片や税を徴収し、片や国債を発行し、その金利まで決める。
 そういう中で、ともすれば大蔵省の方々は、私は皆さん善意で大変努力をされていると思うんですが、そういう大きな権限が、あるいはたくさんの権限があるがゆえになかなか物が言えにくくなるというような雰囲気がもしあったとすれば、これは私たち自身与党にいる側としても、やはりこの政治改革の大きな対象に、かつて私どもよく聞いたことがございますが、私どもはやはりこういった点にも十分ある意味では目を向けていかなきゃいけないんではないかな、そんな思いを私自身感じたわけでございますので、冒頭、率直なところ意見を言わせていただいたわけでございます。
 さて、そういう観点で、旧来の野党的体質が多少私にも残っているのかもしれませんが、もっと内容的な問題でいろいろと実は質問をしてみたいことがあるわけでございます。社会党を代表して代表質問で今次税制改革の内容等についての評価は加えているわけでありますから、さらにそういった中で、私たち八九年に当選をされた方々の声も含めて、やはりどうしてもきちんと解明すべき点は解明しておく必要があるだろう、そういう観点でこの委員会で少し質問をさせていただきたいと思うわけであります。
 その前に、先ほど堂本議費の質問等の中でかなりのところ触れておられたわけでありますが、さきがけの代表もやっておられますので、税制改正を考えるときに一番論議をしておかなきゃいけないのは、将来の日本をどう設計していくのかということだろうと私は思います。
 そういう観点で、その点についての論議が与党三党の税制改革プロジェクトチームで十分やられたかなという自分なりの反省もしながら見てみると、まだまだ自民党の方と社会党とさきがけ、社会党とさきがけは結構以前から閣外政策会議とか旧連立で税制改正の論議はやっておりましたから、それなりに我々の人間関係はできておりましたけれども、自由民主党の特に税調の方との税制改正の議論というのは、なかなかまだ最初のうちはなじめなかったなと、そんな思いを実は持っておりまして、最初のころ、この種、日本の将来をどうするかということを十分議論したかなどいう点では、やっぱり多少不十分だったかなという気がしているわけであります。しかし、できばえは私自身はかなりのできばえだというふうに思っておるわけでございます。
 そこで、武村大蔵大臣にちょっとお聞きしたいわけでございますが、先ほど来、適正な給付、適正な負担というようなことが議論ございましたけれども、大きな政府を目指すか、小さな政府を目指すのかということが最近よく議論されております。先ほど衆の議論を聞いて、私もNPOの問題について堂本議員と同じ見解を持っていましたのであえてこの点に触れません。
 もう一つ実はよく議論するテーマの中に、さきがけの若い方々と勉強会をするときに、この社会の仕組みの中で結果の平等に力点を置くのか、機会の平等に力点を置くのか。先ほど来の大きな政府、小さな政府と並んで、この結果の平等あるいは機会の平等に力点を置くかということに対して、社会党がよく言われるのは、社会党は結果の平等に力を入れるんだろう、我々は機会の平等に力を入れると。これは後の相続税の論議などに関係してくる大変重要なポイントではないかなというふうに思っていまして、この点もし武村大蔵大臣の御意見、あるいは政治家、さきがけの代表としてでも結構でございますので、この点についての御見解をあわせてお聞きしてみたいなと思います。
#130
○国務大臣(武村正義君) どちらがより大事かと言われると、私ら機会の平等がより大事だというふうに思います。ただ、だからといって結果の平等はもう無視をしていいというわけじゃなくて、そこにもやはり社会政策の上では目を向ける必要があるというふうに思っております。
 もう一つの大きい、小さい政府の選択論でありますが、これは大変難しい議論だと思います。そもそも今我が国の政党というのは、小さな政府を主張している政党はあるんだろうかと。大体、中か大ではないかと私は前から言っておりまして、自由民主党にもおりましたが、自由民主党というのは、いかがでしょうか、参議院の先生方おられますが、小さな政府だとはなかなか言い切れないと思いますね。いい意味でもどんどん社会政策を取り上げてこられた政党であります。結果として今の政府が、あるいは日本の国の財政状況が示しておりますようなこういう姿を進めてきたわけであります。
 先ほどの高福祉高負担、低福祉低負担の問題で、適正な負担と適正なサービスですか、厚生省の高齢社会福祉ビジョン懇談会でそういうふうな表現が使われているということを紹介申し上げたわけで、じゃおまえはどうだと言われると、私は、これは大蔵大臣としてではありません、あるテレビでは中福祉中負担じゃないですかと。ほどほどの負担でほどほどの福祉。ほどほどの福祉というのは、それはもう理想どおりに完璧な福祉というのはなかなか難しいですと、ほどほどにならざるを得ぬでしょうと、それに見合うほどほどの負担だと思いますと答えたことがありました。これもあいまいな余り明快でない答え方になるかもしれませんが、でも、ひょっとしたら日本人の多くの皆さんはそういうお気持ちかなと私なりに思いながら答えているわけであります。
 今の御質問にはお答えになっていないかもしれませんが、いずれにしましても、今後の各政党再編の論議の中で、一つの政党がやはりこういうところに外交や安全保障と並んでしっかりした政党の選択を示していく必要があるんではないか、それが政界再編のむしろ輸になっていかなければいけないというふうに思っております。
#131
○峰崎直樹君 恐らくこれからも政界再編の軸をめぐって議論があるだろうと思うんですが、これは私個人の意見なんですが、どうもやはり社会民主主義、まあ社会党は社会民主主義という理念を最近はちょっと薄めかかっているのかなと思うんですが、非常に低い所得の水準の時代、つまり経済がまだ弱い時代にそれをトータルとして引き上げる、マスとして引き上げる、そのレベルではある程度のところまできたのかなと。
 そこから先にさらにまたマスとして高く引き上げるという、それが先ほどの堂本議員の、それ以上に引き上げれば、公と民があって、公的なものだけでいけばそれだけ負担がどんどんふえていくという、そこが恐らく画一的な負担と給付の関係というものではもはや対応し切れなくなっている。そして、自由で自律的な生き方を追求する人たちがどんどんふえてきている。そこにこたえていくようなシステムとしてのNPOというのがあるんじゃないのかなと。
 私は、今のいわゆる機会の平等というときに、本当に今の社会の中で、非常に恵まれた人もいる。あるいは非常に不平等のもとに生まれた人もいる。そういう意味でいえば、イコールフッティングになるように、競争条件が同じようになっていくための土台づくりという点を実はもっと重視をしていかなきゃいけない。そこに我々の大きな役割があるのかなという意味で私自身も機会の平等に力点を置くんですが、ともすれば非常に画一的な旧来の計画経済、つまり結果の平等を求めるというのは恐らく計画経済を求めているんじゃないのかということの批判だろうと思うんですが、私自身は今申し上げたような観点でこれから日本の将来像を設計したらいいんじゃないかなというふうに考えているわけでございます。これは、総論ではなくてやがて各論の税の問題の中で少し触れさせていただきたいポイントでもありますので、先に進めていきたいと思うのであります。
 実は昨日、朝日新聞の紙上に、朝日新聞社とアメリカのハリス社の行った日米両国民の税金に関する意識調査の結果が出されておりました。大臣も恐らくごらんになっただろうと思いますが、その中で、税の一番の関心事は、日米両国とも第一位はその使われ方が有効であるかどうかということであります。ところがその比率を見ると、アメリカはその使われ方が有効かというのが七四%、四人に三人ですが、日本の場合には、使われ方が有効かどうかに関心を持っているのはわずか二分の一、ちょうど半分。課税は公平であるかどうかということについて、日本は三四%、そしてアメリカは一二%。これは税制の違いだとか、その国の中における連邦それから州、自治体というようなところの違いなどもあるんでしょう。いろいろなことがあるにしても、主管大臣としてどのようにこの結果をごらんになっておられるか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#132
○国務大臣(武村正義君) まあアンケートでございますから、いつもそうでございますが、設問の仕方でいろいろ答えが出てまいります。
 この新聞を拝見しての感想でありますが、日米ともに税が重いと感ずる人、不公平と感じる人が七割という結果でございます。事実はともかく、これが税に対する両国の国民の皆さんの一般的な感覚なんだなというふうにまず感じました。税の使い道が有効かという大事な視点とあわせて、国民の皆様の税の負担についての理解をいただくことが大変大事だし、その負担がやはり公平、正しいものでなければいけないという認識を改めて強くさせていただいた次第でございます。
 今回の税制改革との絡みで見れば、まさにそういう中でこの改革案をまとめていただいたわけでありますが、消費税の二%アップということでございますから、負担が重いということに対しては、こたえるどころか逆にさらに重くなるという印象を与えることになりますが、片方、減税という重さを削減する努力もさせていただいているわけであります。ただ全体としては、ある特定の階層に偏った所得課税を見直して、幅広く国民の皆さん全体で御負担をいただく改革であるということが、この世論調査とのかかわりでは、あえて申し上げますと前進になっているのかなというふうに感じている次第であります。
#133
○峰崎直樹君 まだまだ興味深い点があるんです。特に今重税感の問題を挙げたんですが、この意識調査を離れて、まあ重税感といった場合、税の種類、対象によってまた違うんでしょうけれども、日本の所得税、とりわけ我々の払っている個人の所得税、住民税、これについては重いといいますか、大臣そう感じておられますでしょうか、どうでしょうか。それは国際的に見てても結構でございますが。
#134
○国務大臣(武村正義君) 私は、先ほどもお示ししたようなこういういろんな数字、データを見ながら議論の一角に参画をさせていただいておりますから、そういう意味で感想を持つわけでありますが、一般の国民の皆さんというのは、その国で生まれてその国で住んで税を御負担いただいていましで、実感としてはよその国との比較をされている方は少ないと思います。そうなると、国民負担率や租税負担率が示しておりますように、我が日本の場合も少しずつ負担率は上がってまいりました。そういう意味では、負担は重くなってきていると感じている人があるいはこういうふうに多いのかもしれません。
 ただ、所得も一方上がっておりますから、所得との相関で見ればどう感じておられるのか。特に所得税の場合も、実効税率でごらんいただいて一人一人の国民がどうお感じいただいているのか、私もよくわかりません。
 私は、あえて問われれば、特にヨーロッパの旅をしてきた経験からすれば、消費税が非常に高こうございますから、日本はまだ租税一般としてもそう重くない方だという、ごく観念的でありますがそういう認識を持っております。
#135
○峰崎直樹君 よく直間比率の是正といったようなことがあるんですけれども、あるいは所得、資産、消費のバランスということ、我々も与党の税調の中でいろいろ議論してみたときに、日本の所得税と言われているものの中で、我々の個人の勤労所得税と言っていいでしょうか、それと法人所得税と二つに分けたときに、どうも高いという重税感がここに出てきてはいるんですが、高いと言っているけれども、国際的に比較してみたりあるいはGNPとの対比で見たりすると、私たちのいわゆる直接支払っている所得税の比率というのは、比率だけを見たら決してそんなに高い比率じゃないんじゃないでしょうか。むしろ国際的に見たときには、法人税は日本は特に高い。ここら辺、小川主税局長が最も詳しいでしょうが、その点どういう実態になっているか教えていただければと思うんだけれども。
#136
○政府委員(小川是君) 今お話しございましたように、我が国の所得税は、個人所得に対する負担割合という観点から見ますと、住民税込みで直近で八%程度でございますから、アメリカの一一%、イギリスの一〇・八、ドイツの一一%といったような水準から見ますと決して高くはないわけでございます。
 問題は、いつも申し上げております課税最低限と最低税率、最高税率というものが、それぞれやや諸外国と比べては、特に形が低所得者の方の課税最低限を引き上げるという形、最低税率を低くとどめるという形を繰り返してまいりましたところから、途中のところの累進カーブが非常に強くなっているというのが所得課税の特色であろうと思います。
 法人税につきましては、御指摘のとおり、水準といたしましては諸外国とかつては大体並んでおりましたけれども、むしろヨーロッパ諸国が下げる、あるいはアメリカも下げるといったようなところで、国税だけを見ますとほとんど各国並び、地方税負担分があるものですから日本やドイツはやや高くなっております。
 それから、もう一つ法人税につきましては、我が国の租税負担率が全体としてこれまで諸外国に、特にヨーロッパに比べて低いということがございますので、税収の中に占める法人税のウエートが非常に高かった。高度成長であるということと法人税の負担率が諸外国並みであるということから、租税負担率が低いときには税収の中で大きなウエートを占めていた。次第に成長が安定し低成長になってまいりますと、どうしても法人税のウエートは税収の中では下がってくる。そういうプロセスに現在入ってきているのかなと、法人税についてはそういう特色があろうかと存じます。
#137
○峰崎直樹君 いろいろまたその中身を議論したいんですが、今の日米の世論調査を見て、決して国際的に見て高くないけれども重税感というのはアメリカと同じように重い。これは恐らく公平牲という問題と実は自分の負担している税との関係がやっぱりあるんじゃないのか。そういう点で、私は所得税というのを基幹税に置くべきだと思っているんですが、やはり所得税におけるクロヨンの問題あるいはフリンジベネフィットの問題、偽でまた述べますが、消費税の場合には今度は益税の問題とか、何か日本の税制というのはそこら切でどうも不公平さというものをずっと残し続けて、自分の払っている税金は高くないんだけれども、しかしほかの人と比べてこれはやはり重いというふうに痛感をされているんじゃないかと思います。
 私自身、税に対して非常に興味を持ったというよりも、特に所得に対する興味を持った最初のきっかけというのは、実は大学に入って、貧乏人のつもりで入ったところが奨学金がもらえない。なぜもらえないのか。おまえさん源泉徴収票持ってこいということで持っていったら、私よりははるかに生活水準が高そうな家庭から来た人の有が、いわゆる所得の捕捉が世にクロヨンと言われておりますから非常に所得が少ない。しかし、その人は当時、四輪の小さな車でございましたけれども、学生のときから車を乗り回している。我々はぴいぴいと言って寮にも入れなかった。
 実は、この問題は単にそれだけじゃございません、所得というのは。子供を保育所に預けるときに、東京にいたときに子供を都立の保育所に預けるときにも所得の証明を持っていらっしゃいと。全部の基礎にこれなっているわけでございます。
 そういう意味で、このクロヨンの問題に関して、これ今後の課題でございますから、一生懸命徴税に努力をされていることはわかるんですが、この日米のいわゆる意識調査にあらわれているように、公平性という問題を我々はもっともっとやはり大切にしていかなければいけないんじゃないかなということを私の意見として述べさせていただきたいというふうに思うわけであります。
 時間もありませんから先に進みたいと思いますが、さて次に消費税の問題にちょっと触れさせていただきたいと思います。これは先ほど堂本議員が益税の問題を指摘されました。そこではなくて、もっと一般論的な話からちょっと聞きたいわけであります。
 日本は一九八九年四月一日から多段階にわたる消費税が導入されたわけですが、ヨーロッパでは一九六七年EC指令が出て、たしか六八年から一斉にこの多段階の付加価値税が導入されて、以降、大変多くの国々に広がっているわけでございます。まして欧米では二けた台のところすら出てきている。
 私ども感ずるのは、所得税というのは超過累進課税制度である。本来これが一番の基幹税であって、しかも所得再分配あるいはビルトインスタビライザー効果もこれは持っておる。そういう所得税から、ヨーロッパ諸国も含め先進国で逆進性が強いと言われている付加価値税がどうして広がっていったのだろうかな、この背景にはどんなことがあるのだろうかなということについて、大蔵当局の御意見もちょっとお聞きしたいと思うんです。
#138
○政府委員(小川是君) 付加価値税が入りましたのは、一九六〇年代からだというのはそのとおりでございます。もうちょっとさかのぼって近代国家の税制を考えますと、当初はどの国も間接税が中心でございました。十九世紀に入ってようやっと所得税というのが生まれ始めたわけでございます。それでもなお間接税、当然のことながら個別の間接税が中心で各国ともやってまいりました。
 第一次世界大戦のときに、軍費、戦費の調達ということで次第に所得税も入ってまいりましたが、いかにして課税ベースを広げて間接税を徴求するかというところから取引高税のようなものが入り始めたわけでございます。第一次大戦から第二次大戦にかけまして、ヨーロッパ諸国は取引高税であるとか、あるいは単段階の卸売段階での課税であるとかいうことで課税ベースを広げてまいりました。戦後は取引高税がさらに発展し、あるいは卸売課税が発展し、そして付加価値税型に移っていくわけでございますが、大きく申し上げれば三つぐらいポイントがあろうかと思います。
 付加価値税がECで入り出して、アフリカあるいは南米、中米のようなところを含め、東南アジアを含めてわずか二十五年の間に七十三カ国にもふえた。その一つの要因は課税ベースの広さにあるというふうに思います。課税ベースが広いということは、消費支出に対して、あるいは経済取引に対して中立的であるという特色があろうかと思います。それは個別間接税のような我が国の物品税と比較してお考えいただければわかりやすいかと存じますし、また、製造段階だけで課税するとか卸売段階だけで課税するというのに比べますと大変広い課税ベースを持っております。
 二つ目は、取引高税と比較すると大変よくわかるわけですが、累積がない。累積しないような工夫というのが前段階税額控除という工夫を付加価値税が持ったということでございます。それまで、我が国も戦後一時期、取引高税をやったことがございますけれども、どうしても取引の都度税が累積をしていく。しかし、ヨーロッパ諸国はこういった税を持っておりましたので、先ほども若干話題になりました経済活動の垂直的統合が進んだというふうに言われております。したがいまして、事業者の数が日本なんかの方が中小零細事業者がたくさんある、ヨーロッパは比較的そこのところがこの過程で少なくなっていったのではないかといったようなことが教科書なんかに書かれているわけでございます。
 三つ目の特色といたしましては、課税の漏れが少ない単段階で、小売段階だけで課税をする、あるいは卸売段階だけで課税をするということになりますと、一カ所で税が漏れますと、脱税をいたしますと完全に税収がなくなるわけでございますけれども、多段階で課税をしてまいりますのでそういったところが少ない。先ほども御質問がありましたが、取引のクロスチェックがうまく働くという面がございます。
 大別いたしますと、そういったことがこの税を世界的に発展させていったのではないか。ヨーロッパがなぜそのスタートであったかというのは、第一次大戦後のそういった課税ベースの広い税を探し求めて四十数年かかったという経過であろうかと存じます。
#139
○峰崎直樹君 今ヨーロッパの導入の経過の背景を聞いて、なるほどなと思いながら、ではヨーロッパと日本の消費税の違いというか、相違点というものはどこにあるのかなというふうに考えてみると、今おっしゃられた課税ベースが広い、確かにそうだろうと思いますが、もう一つは課税漏れが少ない。そのためには前段階のいわゆる仕入れ税額控除制度というものが完備していなきゃいけないのじゃないか。その観点から考えたとき、先ほど堂本議員の方からも質問がありましたが、今度の改正は、仕入れ税額の問題に関して言うと、インボイスの問題で請求書とか領収書とか納品書とか、こういうものを保存をするということだけで終わったんです。
 実は最近、そのこととも関連して、これは後でお話ししようかと思ったんですが、OECDの閣僚理事会のもとの租税委員会の中の第八作業部会の中に税制の堕落部会というのがあって、七カ国で構成している。今とにかく国際的に、先ほど楢崎議員の質問の中にもあったように、非常に空洞化の問題がある。その空洞化を避けようとして、税の協調という中の分野として税制の堕落問題というのがある。ここの中で、なるほど日本のこの消費税が導入される過程の中において、導入しやすいように仕組まれたものがいわゆる現在の帳簿方式だろうというふうに思うんですが、こういうものに実はひっかかるおそれはないのかなというちょっと心配をし始めたんです。
 それは、私は経済問題を議論するときに、やはり日本というのは外国の圧力でないとなかなか日本の国内が変えられない。そういう意味で、何とか自分たちの政治家の力によって、外国から言われないまでも国際的に見て堂々と胸の張れる制度をつくってみたいものだ。そういう観点からしたときに、この日本的なシステムというのは、今度の税制改革大綱では内容はある程度進歩したというふうに私も思うんですが、この点、私自身、税制の堕落についてのこの部会、七カ国で、恐らく日本も入っているんじゃないかと思いますが、そういうものの中の対象にひっかからなければいいけどなという心配を持っているんですが、この点いかがなのでございましょうか。
#140
○政府委員(小川是君) 仕入れ税額控除をヨーロッパ型のインボイス制度ではなくて、消費税を導入いたしましたときには、いわゆる帳簿方式ということで、帳簿に仕入れが書いてあればそれを税額控除ができるという制度でスタートをいたしたわけでございます。
 今回の改正では、帳簿に書いてあるだけではなくて、請求書であるとか納品書であるとかいった書類が保存されていることを要件に加えたわけでございます。これを私ども当初は日本型インボイス方式と呼んでまいりました。EC型のインボイスと日本のインボイス、今回の制度はどこが違うかと申しますと、法律上の要件といたしまして、その紙に税額を改めて書けということにいたしておりません。それから、そこに書かれたものを控除するのだということにはなっておりません。それだけの違いでございます。
 今回の帳簿方式でございましても、請求書とか、つまり取引の事実を証することができなければ仕入れの税額控除ができないという法律のシステムにいたしましたので、そういう意味ではヨーロッパのインボイス制度と同じような立証を求めているわけでございます。その中で、御案内のとおり、免税事業者から仕入れた場合にもこれは控除をできるという形に日本ではいたしております。
 付加価値税を私どもが勉強を始めましたのは、先ほどのお話の一九六〇年代からでございまして、多段階の累積課税を排除するためにインボイスというのがあるというそのシステムに大変興味を感じました。そのために、このインボイス制度というのをずっと御説明をいたしてまいりましたが、今回のこういうやり方、我が国では事業者間に何らかの紙が古くから商慣習上動いておりますので、それをとどめておいてくださいというやり方に持っていくということは、実際上EC型のインボイス方式と実質的効果においては変わりがなく働いてくるだろうと私どもは考えております。
 実は、この制度を諸外国との勉強会で説明をいたしました。アメリカなんかは現在でも付加価値税の導入を勉強いたしておりますが、大変日本型のこういうやり方に対して興味を感じております。税法のために新しい書式をつくるとか、あるいは登録制度を持たなくても、かなりの程度帳簿方式あるいは書類の整備が整った進んだ経済取引の社会ではこういったやり方というのが一つの方法ではないかというふうに存じますし、もとよりこれからこれが動き出すわけでございますから、その運用状況を見ながら、将来は将来として検討をしていくべき課題であろうかと思っております。
#141
○峰崎直樹君 ただ、今回の改正で、本来仕入れ税額控除制度というのは、これはこれからの検討課題だというふうに私も思うんですが、仕入れ業者が仕入れに支払った税額が不明確だ、そして仕入れ税額控除が仕入れ税支払い額に一致しているということを証明できるという仕組みが、そのインボイスがないとやはり難しいんじゃないかなという、そういう指摘を我々はよく受けるわけでありまして、この点は今回一気に改正できませんでした。
 そこで、こういうことができないものかなということをちょっと提案してみたいんですが、領収奪、請求書、納品書、これを保存しなさいと。先ほど堂本議員からもありましたように、書式を統一できないかな。その上に企業の番号を、これは各税務署管轄ごとでも構わないんですが、企業番号を付して、そしてどこの企業から来た請求書、どこのかということがわかるような形になるようなものに、これはたしか内容の問題についてのインボイスのあり方についてはなかなか細かいことまではされておりませんけれども、そういうようなことを今次改革以降進められてみてはどうかなと思うんですが、この点はいかがでございましょうか。
#142
○政府委員(小川是君) 今度の法体系の中でも、そこで証されるべきことは、仕入れ先、だれからそれを買ったのか、何を食ったのか、幾らで買ったのかということが書かれていることを要件にしているわけでございます。たった一点ないのが、税額を別記していなければならないということにはいたしてございません。しかしながら、その点につきましては、仕入れ額の百三分の三というのが仕入れにかかる税額であるというふうに計算をする制度にいたしているわけでございます。
 実際の事業者間の取引におきましては、外税といいますか消費税額を別記して取引をされる事例が多いわけでございます。そういう場合には当然のことながら税抜き価格と税額が書いてございまして、そこのところは要件とはいたしておりませんけれども、現実の取引では、事業者間でございますから税額が書かれているという関係でございます。
#143
○峰崎直樹君 この問題については後でまた消費税について少し触れることがあろうかと思うんです。
 もう一つ、ヨーロッパの国々との比較で、ヨーロッパは軽減税率を適用している。これも実は今後の課題になっているわけでございますが、一昨日でしたか、私どもの志苫議員の方からこの点について食料品の問題がございましたけれども、私ども随分この点は議論いたしまして、今回は今後の検討課題になったんですが、食料品に限らずヨーロッパで軽減税率が入っているんですが、日本ではこれからどういう条件が具備されればいわゆる消費税の税率に複数税率を導入することがいいのか。この点については、どういう条件が具備したら複数税率を導入したらいいのかについてちょっとお聞きしたいと思います。
#144
○政府委員(小川是君) 税制の仕組みについて全般的に調査をし企画をしている立場から申し上げますと、消費税につきましてはできる限り単一税率であるということが、取引に対する中立性とかあるいは各種の公平性であるとか簡素性から望ましいということは言うまでもございません。
 したがいまして、ヨーロッパ諸国でもかなり高い二〇%を超えるような付加価値税率を持っているデンマークとかノルウェーとかフィンランドなんかの場合には、こういった二〇%を超えてなお食料品も含めて単一税率という国があるわけでございます。一方で、御指摘のように、イギリス、ドイツ、フランスといった国では食料品を初めとして軽減税率を持っております。
 どの段階になったら入れることが適切であるかというお尋ねに対しましては、やはり軽減税率というのは、先ほど申し上げました何を対象にするのか、また物品、物の規格、あるいは対象を物品税のときの、ようにどう決めていったらいいかといったような問題もございます。それから、隣り合った消費とバランスがとれているだろうかといったような問題もございます。執行上の問題もございます。これは事業者、消費者を含めて手間のかかる問題でもございます。そういう意味では、この制度としては、冒頭申し上げましたように、できるだけ単一の税率を維持するということが望ましく、どのレベルでそういう軽減税率を考えるかというのは、やはり今後とも広い御議論を待つ課題であるかというふうに考えております。
#145
○峰崎直樹君 また今後の検討課題ということで、私どももしっかり議論していきたいと思っておるわけです。
 今お話がございました課税ベースが広いために中立的であると、そのとおりだろうと思うんですが、個別間接税ではやはり経済に対するオブストラクションといいますか、ある商品は非常に高くなって売れないとかいろんな問題が起きるんだろうと思うんですが、それ以前に、税制と経済活力の関係で、所得に税をかける所得税よりも消費に税をかける消費税の方が勤労や事業活動に対するインセンティブを高め、経済社会の活力を高める、こういう意見を実は私ども聞いたことがございます。
 大臣、今もお話ししたように、所得税よりも消費税の方がいわゆる経済に対する活力を高める。これは非常に重要なことで、今後の経済の成長率がかつてのように右肩上がりで上がるんではなくて非常に成長率が鈍化をしてくる、そういうときにこれからの税目をどのように選んでいくのかというときに、このような意見があることについてどのようにお考えになられるか、ちょっとお聞きしたいと思います。
#146
○国務大臣(武村正義君) 個人的な見解になるかもしれませんが、やはり稼いたときに税金を払うよりは、使ったときに払う方が何となくみずから肯定しやすいというか、そういう感じはありますね。もちろん、所得税も例えば消費税のように均一税率であった場合はどう感ずるかというと、また違ってくるかもしれません。今のような累進税率で考えますとそんな感じを私は抱きます。
 学者の中でもいろんな議論があるようですが、今、峰崎委員がおっしゃったような主張をされる学者もかなり多いというふうに認識をいたしております。
#147
○峰崎直樹君 そういうことをいろいろ考えていくと、先ほど私は、所得税がやはり基幹税だろうと、そして垂直的公平に努力をするけれども、どうしてもその漏れも生じてくる。そこを消費税という間接税で広く薄くすくっていくという、消費税が補完税というふうに私自身も考えておったんですが、この点は今次の税制改革で私たちがそういう基幹税で補完税というふうに十分議論した経過は余りなかったように思うんです。
 主税局長、これはそういう今のようなとらえ方をしていいのかなと。しかし、今後の経済的な発展というものを見たとき、やはり所得税というものは、累進性を見ても、今、日本は五段階ですが、世界はずっといわゆる累進の税率の階段が減ってきて簡素になってきている。そうすると、所得税がほぼ二段階しかない、アメリカは今三段階になりましたか、そういう非常にフラットな税率に所得税がなっていき始める傾向を示してきている。
 そうすると、いわゆる所得再配分機能であるとか税の持っていた経済に対する対応から見ると、所得税が基幹税で消費税は補完税ですよという関係じゃなくて、所得税も消費税も両方同じようなウエートで押さえても構わないんじゃないのかと。あるいは逆に言えば、極端な人は、特に一千万あるいは二千万以上の金持ちだけで所得税は結構と、あとは消費税だけで結構じゃないかというような、大変極論すればそういう意見の出る方もおられる。
 この辺どのように考えたらいいんだろうかなということをちょっと税制改革の大綱を読みながら少し考えたんですが、その点ほどのようにお考えになっているでしょうか。
#148
○政府委員(小川是君) ただいまの課題といいますのは、理論というよりは、それぞれの社会が将来どういう選択をしていくかというところが大変大きいであろうと思います。
 ただ、税金の負担能力というところからは、従来やはり所得というのが何よりも負担の指標といいますか、とらえやすいといいますか、皆さんの御納得を得やすいと。したがいまして、所得税というのが引き続きどこの国でも基幹的な税として存在し続けるんだろうという感じがいたします。
 ただ、フランスのように、何と申しましょうか、財布の中を当局からのぞかれるのは余り好まないと言われます。ああいうどちらかといいますと典型的資本主義国家というよりは社会主義をも含んだ国家でありながら付加価値税のウエートを非常に高めた国というのは、やはりそれなりの国民性があるんであろうという感じがいたします。
 今、委員がおっしゃったように、例えば付加価値税だけというような国が将来あらわれるだろうか、日本はそういう方向へ向かうんであろうかということであれば、間違いなくそれは違うんではなかろうかと。一方で所得が発生している以上、所得に対する課税というのが将来とも基幹となり、そして、たくさんの細々とした間接税を持っていたのが次第に統合されて大きな間接税の基幹として消費税が位置づけられると、そういった姿に向かいつつあるのではないかという感じがいたします。
#149
○峰崎直樹君 時間がどんどんたってきたわけですが、ようやく何か本論の入口のところに入ったような感じがするんです。
 私、地元に帰ったりして税制の問題について学習会をやったりいろいろな人とお話をする機会があるんです。だんだんわかっていただくようになってきたんですが、唯一、今度の税制改革の目的、これは何なんですかと。あるいはもっと言えば消費税の引き上げ結構と、なかなかまだ結構というふうに言ってくれない活動家だとかたくさんいるんですが、多くの人はだんだん説明すればわかってくださいました。しかし、何のために使うかは非常に今度のやつはわかりにくいなということを実は指摘を受けるわけでございます。
 そのことについて、時間がありませんからあわせてちょっとお伺いしたいんですが、最近いろんな論文に接する中で、「説経通信」の一番新しい号に、東京大学の神野先生という方が今回の改革を比較的高く評価していただいている。手前みそに思っているのかもしれませんが。その中で、私も気がつかなかったんですが、今次の改革は「活力ある福祉社会の実現を目指す」とあって、中期答申にある「活力ある高齢化社会の実現を目指す一とは異なっている。高齢者に一律に消費税の網をかぶせるのではなく、高齢者の担税力に応じて資産所得の課税、いわゆる総合課税化への道として神野先生は評価をしていただいておるわけです。
 この点、私どもつくる過程でそのことを厳密に議論したという経過はなかったわけですが、恐らくこれは、今次改正の三・五兆円、すなわち五・五兆円を制度減税といわゆる二階建てにした。そのことが、いわゆる消費税シフトを少しでも和らげたい、そしてあるべき制度減税はやりたい、そのことを私どもは中途半端だとよく批判をされるけれども、税理論の観点からすれば、垂直的公平を持っておる所得税というものを非常に大切にして、さらに総合課税化、これは納審制の問題もあるんでしょう。そういう観点からすると、今度の改革はシャウプ税制への回帰すら見られるとまで非常に評価をされておられるんですが、この点いかが評価をされているのでございましょうか。
#150
○政府委員(小川是君) 昨年の九月に政府の税制調査会がこの議論を始めましたきっかけになりましたのが、夏の選挙の後に各党、税体系を見直す、所得、資産、消費のバランスについて見直すということでございました。その直前には、景気減税はやらないけれども所得税の累進性のところを見直す必要があると自分は思うと宮澤元総理が言っておられました。したがいまして、九月に政府税調が始まりましたときは、まさに公正で活力ある高齢化社会の実現を目指して所得税、消費税、その他の税を見直すということでスタートいたしましたのは事実でございます。
 その後の今回の取りまとめの結果、勤労者の払う所得税、それから消費税については相当程度改革を実現させていただいたのではないか。あと、これまでの御議論を通じまして、各種の資産、所得、あるいは資産の保有に対する課税の問題をもっと進める必要があるという御議論をいただきました。しかも、これまではどちらかといいますと何事も一律に、例えば高齢者が持っておられるものは全部お気の毒だから税負担は軽減するようにとかいうような議論だけでは済まされない、そういう形ででも資産の問題も考えていかなければいけない、いろんな状況にある方々をベールをかぶせたままではなしに考えていかなければいけないという御議論の指摘をやまやま受けている感じがいたします。
 そういう意味では、大臣がいつも申し上げておりますこの税制改革は第一歩というか第二歩というか、その先が今おっしゃったような意味で残されているというか、かなり大きな課題を持っているのかと、そういう気がいたしております。
#151
○峰崎直樹君 まだまだその点いろいろと議論したい点があるんですが、ちょっとポイントを変えて、我々税制改革大綱をつくり上げたときにも大変議論になって、今後の検討課題というか、総論の中に入っているポイントで年金の問題。きょうも厚生省から来ていただいていると思うんですが、社会党の本来の主張は、今直ちにでも基礎年金の国庫負担、現在三分の一でございますが、これを二分の一まで高める、将来は全額でもいい、これぐらいに実は私たちは思っているわけであります。
 その理由はいろいろあるわけですが、現行の基礎年金、とりわけ、あれは第何種と言うんでしょうか、国民年金と言われているところの税金を納めていない人が何人いるんですか。たしか数百万人の規模でおりますね。そういう意味でこのシステムというのはもうかなり形骸化し、あるいは空洞化、最近空洞化というのはよく使われる言葉になってきましたけれども、大変問題が多く指摘されています。
 それよりも、税方式に切りかえた方がいいのではないかというふうに私たちは考えているわけでありますが、厚生省の方に、今度のいわゆる附則、附帯決議ですか、二分の一、一九九九年次期改正期までという、この点についてはどのような評価になっておるんでしょうか。
#152
○説明員(中村秀一君) 基礎年金の国庫負担の件についてのお尋ねでございますが、我が国の年金は、昭和六十年の年金制度の改正によりまして、全国民の方に基礎年金に入ってもらうという制度になっております。その上に、被用者年金、サラリーマンなどにつきましては厚生年金などの制度で上乗せをする、こういう給付体系になっております。
 先生のお尋ねの国庫負担につきましては、基礎年金の三分の一を国庫負担していただく、こういう制度になっておりまして、平成六年度の予算で申し上げますと、基礎年金の給付額が十兆七千億に上っております。したがいまして、国庫負担につきましては現在三兆九千億の国庫負担、こういうことでございます。
 国庫負担の引き上げ問題につきましては、今回の年金制度の改正の際にもいろいろ御議論いただきました。年金審議会でも、国庫負担の問題については検討していく必要がある、ただし非常に財源も要するということでございますので、そういう財源の問題。それから我が国の年金制度は、やはり保険料を納めていただいて、納めていただいた保険料に応じまして給付をしていく、そういういわば負担と給付が直接的にリンクしている、こういう社会保険方式のよさもあるのではないか。そういった中で、これからの国庫負担のあり方については、財源の問題のほかに、そういう受益と負担の関係が最も明確な社会保険料中心の我が国の年金制度の中で国庫負担のあり方をどう考えていくか、これらについては中長期的な課題だと、こういうことで、年金の改正論議の中でも国庫負担の問題は意識はされておりましたけれども、中長期の課題として位置づけられたところでございます。
 所要額で申しますと、現在三・九兆円でございますが、今お話にありました国庫負担率を引き上げた場合に、今度の制度改正では二〇二五年のところまで財政計算できちっと出しておりますが、年金の方の最終保険料率も二〇二五年というところをやっておりますけれども、その場合、現在、平成六年度価格で現行の制度のままでも八・一兆円、それからお話にありました二分の一にするといった場合に十二・一兆円、こういうふうに所要財源が要るということで、こういったところをどうやっていくかということが国会の法案の審議の過程でも御議論になりました。
   〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕
 結論といたしまして、先生からお話がありましたように検討規定が入りまして、平成七年以降において初めて行われる財政再計算、つまり年金制度は少なくとも五年に一度は見直しをするように、財政再計算をするようにということでございますので、次期財政再計算を目途として、いろいろな要素を勘案しながら財源を確保しつつ、基礎年金の国庫負担の割合を引き上げることについて総合的に検討していくべきである、こういう附則規定が修正で入れられ、また衆参両院の厚生委員会の附帯決議で、政府としては、「基礎年金の国庫負担の割合については、所要財源の確保を図りつつ、二分の一を目途に引き上げることを検討すること。」という附帯決議をいただいているところでございます。
 私どもは、この附則の趣旨どおり、次期財政再計算をにらみながら、それを目途として、またその財源を確保しつつということでございますので、その財源の方のこともまたよく御相談しながら検討をしていかなければならない問題だと、こういうふうに認識いたしております。
#153
○峰崎直樹君 本当に受益と負担の関係がストレートにとれているかどうか、私はやっぱり本来税の論議をするときにはこの社会保険、この種の掛金の問題も一体で議論をしなきゃだめなんじゃないかというふうに思っているわけでございます。
 この点は別にいたしまして、先ほどのハリスと朝日の共同調査で、何のために使われるのならいいんですかということの中で、どういうものに使ってもらいたいか、そのためなら税負担をしていいかという中で、日本は福祉というのが非常に高かった。あるいは環境といったものが高い。ということは、国庫負担、いわゆる税で負担をするということについて、我が党はそういう主張をしているわけでありますけれども、私どもが地域へ行くと、何のために消費税を上げるんですかということがわかればいいと言っているんです。
 とすれば、これは決して私は目的税でそのままリンクしようと思わないんですが、いわゆる年金の国庫負担を、今まで集まるか集まらないか、あるいは逆進性が大変強いですね、消費税の逆進性よりも私は社会保険の掛金の方、基礎年金の掛金の方がはるかに逆進性が高いと思っておる者の一人なんです。ですから、その空洞化しつつあるいわゆる年金の負担、これを税に切りかえていく、そうするといわゆる社会保険の掛金の比率が低下をするわけでありますから、その方がよほどいいでしょうということを説明したら、それならおれは賛成だ、消費税を上げてもいいぞ、こういう主張が実は出てくるわけであります。
 こういった点は残念ながら今回の改革では十分できなくて、結果的に一九九九年というところまで延びちゃったんですけれども、実は考えてみますと、二年後の九月三十日にたしか見直しになってくるわけであります。一九九六年九月ですね。財政再計算は一九九九年ですから、それほど遠くないときにこの問題が起きてくるわけでございますから、ぜひともこれは税制の場でもどのように負担をしていくのかという点についての議論が求められると思うんですが、武村大蔵大臣、いかがでございましょうか。
#154
○国務大臣(武村正義君) ああした経緯で年金法の改正におきましても附則が設けられて、「総合的に検討を加え、その結果に基づいて、必要な措置を講ずる」ということになりました。
 この問題は、負担と受益という議論の中では大変わかりやすいテーマの一つではないかというふうに思っております。今も政府委員から説明がありましたように、今世紀いっぱいでというと六年ぐらい後でございますが、四兆円近くふえる、ピーク時には八兆円ぐらい財源が必要である、今こういう計算をいたしているわけでございまして、もし二分の一に上げるなら何によってカバーするのか、やっぱりそこは真剣に議論をしながら選択しなければならないというふうに思っております。
#155
○峰崎直樹君 今後も慎重にということで、我々も慎重に議論をしていきたいと思うんです。
 先ほどは所得税、消費税といったもの、基幹税をどうするかというような議論をいたしましたけれども、もう時間もありませんので、私、抜本税制改革あるいは税制改革という名前に値するというのは、地方税の改革、つまり国と地方の関係の税制のあり方が改革をされなければ抜本改革という名前には値しないというふうに思っているんです。その意味では今回は大変大きな改革がなされたというふうに思っているんです。
 そこで、ちょっと数字を調べてみて、これが間違いであったら後で指摘してほしいんですが、今回の地方の消費税の配分について調べてみますと、譲与税から地方消費税へ変わった分は一兆四千三百億円から二兆四千四百九十億円。それから、新しい地方交付税率の中に充当される分が二九・五%。そういたしますと、消費税全体を五%といたしますと、それに対する地方税の財源の配分割合は現在三九・二%から四三・六%になるというふうに見ているんですが、この数字は間違いありませんか。
#156
○政府委員(伏屋和彦君) お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘のとおり、地方財政措置で計算しましたところ、そういうところでございます。
#157
○峰崎直樹君 きょうは自治省の方をお呼びしていませんので余り多く地方税の議論ができないんですが、私も余り勉強していない中で、マスクレイブという人が地方税の原則というのを六項目にわたって記載をされている。その中で、いろいろあるのでありますが、「所得再分配を達成するための累進課税は、第一義的に中央政府に属す。」とか、あるいは「経済安定化政策に適合する租税は中央政府に属すべきであり、下級政府の租税は景気変動に申立て安定的なものが望ましい。」とか、あるいは「課税標準の地域間格差が大きい租税は、中央政府が行うべきである。」とか、六項目にわたっていろいろ出されているようであります。
 そうすると、現行の国税と地方税を見たときに、税目の中で非常に私自身が問題だなと思っているのは、地方税の中ではとりわけ都道府県の法人事業税は非常に景気に感応的でございます。このマスクレイブの原則からすると、「経済安定化政策に適合する租税は中央政府に属すべきであり、下級政府の租税は景気変動に申立て安定的なものが望ましい。」。折しも先ほど主税局長は、今度の消費税というのは景気に中立的なんだと、こうおっしゃいました。だとすると、この消費税という税目は一番景気に対して中立的であり、安定財源であり、地方自治体の税目に最もうってつけだと思うんですが、この点いかがでございましょうか、主税局長。
#158
○政府委員(小川是君) 消費に対する課税としてこれが地方税にふさわしいのではないかという点については、一つの重要な候補であると存じます。したがいまして、例えばアメリカでも州で小売売上税が課されておりますし、小売売上税の例は過去にいろいろあるわけでございます。
 ただ問題は、単段階の課税ですと、例えば鹿児島県は鹿児島県の小売業者に対して課税をするということが可能でございますけれども、消費税は多段階型の課税でございますから、これを各都道府県が個別に課税するというのは技術的に不可能だということでございます。
#159
○峰崎直樹君 だとすると、私も決して国、都道府県、市区町村、こう三つに分けてそれぞれ単一の税目ですべて賄うというふうに思わないんですが、国は何を基本に置くのか、都道府県は何の税目を基本に置いたらいいだろうか、市区町村は何の税目を基本に置いたらいいだろうかという点では、ある意味では一つの戦略目標があっていいんではないかなというふうに考えます。
 今お話のあった、非常に景気に中立的で本来地方自治体に向くかなと思っても今おっしゃられたような欠陥があるだろうと思うんですね。そうすると、じゃこの税目は国に向くとすれば、今一%地方消費税ができて画期的なことだと思うんですが、今ようやくこれを共同税だというふうに理解する人もいるんですが、その共同税として同じ税目を分け合っていく。恐らく所得に対しても、税率や課税最低限やいろんな違いはあるけれども、所得に対しても国税も地方税も同じようにかけている。
 こういう形での共同税化への道が望ましいのか、それともやっぱり消費税は今後国の基幹税にしていこう、であるならば、都道府県の税収が非常に景気に感応的である、そういう欠陥を持っているとすれば、そこに安定的な税財源としては何の財源がいいのかな、こういった点についての議論というのがこれから必要になってくるんじゃないかなというふうに思うんですが、その点、主税局長、もし御意見があればお伺いしておきたいと思うのであります。
#160
○政府委員(小川是君) ただいまの点につきましては、従来、現行税制を前提に変化のところだけの、変わるところの議論だけでなかなかそういった高い次元からの御議論は乏しいわけでございます。
 地方税を考えるときに、税をやっている者の立場から極めて重要であると思っておりますのは、三千市町村が別々に課税権を持って課税をするということになれば、せいぜいのところできるのは人頭税であるとかあるいは固定資産税のようなものではないか。やはり税というのは経済活動から生ずるわけでございますから、ある程度の経済活動の単位を考えながら課税権を設け、課税客体を考えていかなければならないだろうという点は、大変今の問題としては重要な点であろうかと存じます。そういう意味におきましては、将来の地方自治とそれに対する独自税源ということをお考えいただくときには、どういう経済ブロックを想定しながらいかなる税を置いていくかということだと思います。
 もう一つ、例えば所得税だけでも、現在のように所得税と住民税と同じ所得にかけている、二つの税を払うということのほかに、全く別の考え方で、例えば今課税最低限が若干違いますように、ある程度のところまでは、中低所得者までは地方税の住民税にと、そういう考え方がとれないか。あるところから上は所得税、国税を払う。つまり、国税の所得税の課税最低限と住民税とを相当程度差をつける、そういったようなお考え方もあり得ましょう。それは地方自治体のあり方、あるいはどういう、所得者がどういう分布をしているかということにもかかってまいりましょう。したがいまして、大きないろいろな御議論が必要であろうかと思います。
 なお、先ほど地方消費税について多段階であるから不可能であると申し上げましたけれども、今度の地方消費税というのは、そういう意味では一元的に国に委託をする形で、後の清算という形でそれを可能にしているわけでございますし、また、都道府県の方が集まって課税権を、さっきおっしゃった共同税のような形で都道府県が課税権をプールするというようなことができないだろうかと、昨年来の議論の中ではそういったことも議論をいたしてまいった次第でございます。
#161
○峰崎直樹君 この機会によく質問を受ける点をちょっとお伺いしておきたいんですが、地方消費税が設定をされたときに、事務は全部税務署それから税関と二つでやりますが、地方消費税に関する税務の査察とかそういった作業は、これは地方自治体、特に都道府県がおやりになるのか、それとも当分の間はやはりこれは国税がおやりになるのか、そのあたりはどんな作業になりますでしょうか。
#162
○政府委員(小川是君) 今回のこれは地方税法の規定でございますけれども、地方消費税につきましては、今言われました申告の段階保あるいは納付の段階、それから納付が終わりました後の調査であるとか、あるいは場合によって、今おっしゃったような強制的な調査といったような一切のものが税務署あるいは税関に法律的に当分の間委託をされている、そういう関係でございます。
#163
○峰崎直樹君 よくわかりました。当分の間は一切委託ということだと思います。
 残された時間、ちょっと資産課税の問題も後で時間があればお聞きしたいんですが、その前に所得税の点で、今次改正で中堅サラリーマン層が私どももある意味では重税感というものがある程度緩和されたと思うんですが、実効税率のカーブを書いていただくと、どうも一千二百万円の先のところにこぶがぽこっとできる。何かと思うと、配偶者特別控除は一千万円以下しか認めない。そうなると、国税てたしか三十五万でしたか、地方税で三十二力、六十数万円のこぶがぽこっとできちゃうんですね。
 ちょうど消失控除という、何といいましょうか、パートタイマーの関係がございますね。あれと同じような形で少しやらないと、何となくこのカーブがぽこっと飛び出しているということについては、我々が気がつかなかった点なんですが、そこら辺は少し、これはいきなり今すぐ直すといっても難しいでしょうが、どうもやはり税率のカーブを見たときにあそこだけぽこっと飛び上がっていくというのはなかなかきれいなものではないなと。大蔵省というのは美学もたっとばれていると思いますが、私自身も少し直されたらいいんじゃないかなと思うんですが、どうでございましょうか。
#164
○政府委員(小川是君) ただいまの配偶者特別控除三十五万円は、今回の改正で他の基礎控除、配偶者控除と同様に三万円引き上げることを予定しております。三十八万円になるわけでございますが、これは前回の昭和六十三年の税の抜本改革のときに設けられた控除でございます。
 そのときには、一方の配偶者の方だけが働いておられるときには所得の分割ができないというところから、そこは何か考えができないかというのが一点と、それからもう一つは、御案内のパートタイマーに出たときの御夫婦での手取り所得が逆転をするというところを何か工夫ができないかという二つの配慮から新しく設けられた控除でございます。しかし、三十五万という規模は、やはり税率一〇%、二〇%にいたしますとかなりの減税額になってまいりますものですから、ある程度のところで所得制限を設けてはどうかというところで制限が置かれたわけでございます。
 これをなくすためには所得制限を単純になくしてしまうということで済むわけでございますけれども、この配偶者特別控除につきましては、その後むしろ仕事へ出る女性、婦人の方がふえている状況のもとでは、かえってそういう方が不利ではないか、したがってこの配偶者特別控除のあり方というのは、課税単位の問題としてもう少し社会情勢の変化に即応して将来考えていくべきではないかと、こういう御議論もあるわけでございます。そういうことから今回は所得制限も従来のまま維持をしてこういう形で残した。したがいまして、将来の大きな流れの中での検討課題がなという気がいたしております。
#165
○峰崎直樹君 同じような問題は、人的控除のこういうものはむしろ予算で賄うべきじゃないのかということはたくさんございますので、この点はぜひとも将来とも税制改正の中で考えていかなきゃいけないなと思っております。
 消費税の問題について落ちている点がございます。今回改正された点は、本当に私も率直に評価をすべきだと。限界控除制度の廃止、簡易課税を四億から二億、あるいは新設法人の原則課税ということで、本当に大きな改革だというふうに言っていいと思うんです。
 ただ、その際に一点要望をしておきたいというか、簡易課税の問題で四億から二億に下がった。これも国際的に見たら結構高いですね。ですから、この点の将来的な問題は別にして、これからみなし仕入れ税率を実態に即して見直しをいたします、検討しますと、こう言っています。
 このときに、本則とそれから簡易課税両方適用できるようになっています。税法を見るとこういうの多いですね。どちらを選んでもよろしいと言っているんです。私は、これは簡便な方法を選ぶんだから、本則で一生懸命やっているような方が簡便な方よりも有利になる、もっと言えば、簡便な方法を選んでいる人がやっぱり損をするような仕組みにしないと。このみなし仕入れ税率を設定するとき、できれば、みなし仕入れ税率をやったら損する、それなら本則にいこうかと。もうこれは導入時ではないわけですね。税制改革のときの後始末だと言われている側面はもちろんあると思うんですが、私は本則適用になるようにみなし仕入れ税率のあり方をやっぱり考えていただきたい。これは今後の課題になっていますね。
 それから、業種区分も今二つから四つになりましたか。これもさらにもっとふやさないと、例えば業種を挙げて大変失礼なんですが、弁護士さんとか税理士さんとか公認会計士だとか、そういう方々はみなし仕入れ税率ということで、ほとんど仕入れしていないのにやっているじゃないかとかいろいろ私たちの耳に入ってまいります。
 そういう点で、業種区分というものをふやしたり、あるいはみなし仕入れ税率を、簡易課税を実際に採用されるならば、それはそれなりの、本則をやる人の方が有利ですよということをやはり入れていただかなきゃまずいんじゃないかな、そんなことを考えているんですが、その点はいかがでございましょうか。
#166
○政府委員(小川是君) 最後の点から申し上げますと、みなし仕入れ率を四本決めておりますけれども、これは時々実態調査をいたしまして、適正なレベルにあるかどうかということをチェックしていくということが重要であると思っております。
 現在、簡易課税制度は約百四十万社が適用を受けておられます。全体の課税の事業者が二百二十五万ぐらいですので、三分の二ぐらいの方が受けておられることになるわけでございます。それが今回の改正では十七万社ぐらいが対象外になりますので、なおかなりの人が残るわけでございます。
 改革の方向としては恐らく二つあろうかと思います。一つは、当然このみなし仕入れ率を見ていく。これを細分化するということは、せっかく簡素化のために設けられている制度がかえって大変複雑になっていくという問題があろうかと思います。免税点制度の将来的な引き下げとあわせて簡易課税制度というのは適用上限を次第に引き下げていくというのが、今御指摘のあった問題に対する一つの対応の方向として考えられるのではないかというふうに思うわけでございます。
#167
○峰崎直樹君 時間が参りましたので終わりたいと思いますが、最後に、今回の税制改正の中で資産課税というものが非常に取り組みができなかったなということで私自身も反省をしているわけでございます。その意味で、今後、所得、資産そして消費、この三つのバランスということでございますので、ぜひとも資産課税の強化ということを大蔵大臣以下、大蔵省、我々自身も頑張りますので、どうか頑張っていただきたいということを要望を申し添えまして、以上で私の質問を終わらせていただきます。
#168
○委員長(西田吉宏君) 峰崎直樹君の質疑は終了いたしました。
 本日の質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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