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1994/11/24 第131回国会 参議院 参議院会議録情報 第131回国会 大蔵委員会 第5号
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1994/11/24 第131回国会 参議院

参議院会議録情報 第131回国会 大蔵委員会 第5号

#1
第131回国会 大蔵委員会 第5号
平成六年十一月二十四日(木曜日)
   午前十時五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十一月二十二日
    辞任         補欠選任
     寺崎 昭久君     直嶋 正行君
 十一月二十四日
    辞任         補欠選任
     上杉 光弘君     野沢 太三君
     佐藤 泰三君     太田 豊秋君
     須藤良太郎君     岡  利定君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         西田 吉宏君
    理 事
                竹山  裕君
                楢崎 泰昌君
                志苫  裕君
                峰崎 直樹君
                白浜 一良君
    委 員
                太田 豊秋君
                岡  利定君
                片山虎之助君
                清水 達雄君
                野沢 太三君
                増岡 康治君
                一井 淳治君
                鈴木 和美君
                谷畑  孝君
                堂本 暁子君
                池田  治君
                直嶋 正行君
                野末 陳平君
                牛嶋  正君
                吉岡 吉典君
                島袋 宗康君
   国務大臣
       内閣総理大臣   村山 富市君
       大 蔵 大 臣  武村 正義君
   政府委員
       総務庁長官官房
       審議官
       兼内閣審議官   河野  昭君
       大蔵政務次官   石井  智君
       大蔵省主計局次
       長        伏屋 和彦君
       大蔵省主税局長  小川  是君
       大蔵省理財局長  田波 耕治君
       国税庁次長    松川 隆志君
       厚生大臣官房総
       務審議官     太田 義武君
       厚生省老人保健
       福祉局長     阿部 正俊君
       厚生省児童家庭
       局長       佐々木典夫君
       厚生省年金局長  近藤純五郎君
       社会保険庁運営
       部長     
       兼内閣審議官   横田 吉男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小林 正二君
   説明員
       厚生大臣官房政
       策課長      江利川 毅君
       厚生省老人保健
       福祉局老人福祉
       計画課長     吉冨 宣夫君
       厚生省保険局医
       療課長      下田 智久君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の
 施行等による租税収入の減少を補うための平成
 六年度から平成八年度までの公債の発行の特例
 等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○所得税法及び消費税法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○平成七年分所得税の特別減税のための臨時措置
 法案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(西田吉宏君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十二日、寺崎昭久君が委員を辞任され、その補欠として直嶋正行君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(西田吉宏君) 所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の施行等による租税収入の減少を補うための平成六年度から平成八年度までの公債の発行の特例等に関する法律案、所得税法及び消費税法の一部を改正する法律案及び平成七年分所得税の特別減税のための臨時措置法案の三案を一括して議題といたします。
 前回に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○一井淳治君 私は、所得税法及び消費税法の一部を改正する法律案について、まず質問いたしたいと思います。
 附則の二十五条でございますが、この附則の二十五条は、消費税の税率について、社会保障費用とか行財政改革の推進状況等々を勘案して、必要がある場合には消費税の税率について所要の措置を講ずるものとするという規定でございますけれども、この規定の重要性と申しましょうか、私どももそうでありますけれども、行政やあるいは関係者が真剣に取り組んでいかねばならない規定なのかどうか、この規定の重要性につきましてまず質問いたします。
#5
○国務大臣(武村正義君) 一般的には、租税の負担水準、国民の税負担の論議は国民の皆さんが必要とされる公共サービスの水準と表裏一体の関係に立つわけでございます。そういう意味では、国民的な論議といいますか、国民の皆さんの選択ということが基本になって負担水準、したがって消費税の税率も集約されていくものだと思っております。
 同時にまた、税負担の水準を議論するときには行政の側の努力も大変大事でございまして、昨今、特に行政改革、財政改革への期待が高まっております。もっとむだを省け、経費の節減をせよという要請にこたえていかなければなりませんし、また、消費税の課税の適正化という表現を使っておりますように、この税制をめぐる中小企業特例等を中心にした課税をより適正化していく努力も必要でございます。
 また、財政状況等も背後に存在をするわけでございまして、そうしたさまざまな事柄を明記いたしまして、十分論議をして必要があると認めるときには、平成八年の九月三十日までに所要の措置を講ずることができるという規定を置いているところでございます。
 したがって、現時点では予断を持つものではありません。こういう論議をいただいた上で慎重に結論を見出していただきたいというふうに思っております。
#6
○一井淳治君 この規定は、ただいまもお話がありましたように、消費税の税率ということももちろんこれに収れんしてくるわけでありますけれども、国民の間で行財政改革あるいは租税関係の適正化ということで非常に大きな期待を寄せている規定でありまして、政府の中でも、この問題につきましては大蔵大臣が何といいましても中心でありますから、ぜひとも一層努力いただきまして、国民の期待にこたえて行政改革とか、そこに書いてあることを推進されますように要望しておきたいと思います。
 今お話もあったわけでありますけれども、この二十五条の消費税の税率でありますけれども、そういたしますと、消費税の税率の動向については全くの白紙である、現時点では白紙であるというふうにお聞きしていいでしょうか。
#7
○国務大臣(武村正義君) 今、明確にしておりますのは、五%の充実をお願いいたしたい、そして課税特例といいますか、中小企業事業者に対する特例措置の見直しをさせていただきたいということでございまして、それ以上この問題については全くの白紙とお考えいただいて結構でございます。
#8
○一井淳治君 二十五条には「社会保障等に要する費用の財源を確保する観点こ、これを勘案して検討を加えるというふうな規定になっているわけでありますけれども、この社会保障等に要する費用に関して厚生省の方にお伺いいたしたいと思います。
 この社会保障等に要する費用については、この夏には新ゴールドプランの試算等が発表されまして、年間三千三百億円とか三千五百億円とか追加の費用が必要なんだという説明もございました。そういったことも私ども聞いているわけですけれども、現時点ではこの苦しい財政事情の中でどのような社会保障を実現していこうという方向をお持ちなのか、お示しいただきたいと思います。
#9
○説明員(江利川毅君) 社会保障の将来の姿についての御質問でございます。社会保障の将来の姿につきましては、ことしの三月に福祉ビジョンというものを厚生省として取りまとめまして一つの方向を出しているわけでございますが、それはマクロ的なつかみ方でございます。この附則二十五条に基づく規定の趣旨からいきますと、さらに社会保障の具体的な施策とその経費を明らかにしていくことが必要なんだろうというふうに考えております。
 私どもとしましては、そういう意味で各論ベースでというんでしょうか、高齢者対策につきましては新ゴールドプランの中身を詰めるとか、少子対策につきましてはエンゼルプランの中身を詰めるとか、あるいは年金につきましてはこの国会で通りました年金の改正の趣旨を踏まえて内容を詰めていくとか追求をしていくとか、そういう作業をしてその中身を詰めていくのかなというふうに考えておるところでございます。
#10
○一井淳治君 今の御説明を聞きますと、未来像が全くと言ってもいいぐらい描かれていないような感じを受けたわけでありますけれども、続けて厚生省にお聞きしますが、たしか概算要求時点でお聞きしたと思いますけれども、厚生省は当然増が一兆二千億円とかいうふうな数字をお聞きしたように思いますけれども、そういった中で一〇%のマイナスシーリングがかかるわけですから、これは大変だというふうに思います。そういった中で来年度は新ゴールドプランあるいはエンゼルプランを進めていくように、かなり急いででも進めていけるのかどうか、そのあたりをお伺いいたします。
#11
○説明員(吉冨宣夫君) 高齢者介護対策につきましては、既にすべての市町村で老人保健福祉計画が策定をされておりまして、平成六年度以降計画に基づきました事業が開始をされているところでございます。
 厚生省としましては、このような自治体の取り組みを支援しますためにも、今般の税制改革に伴います一連の財源措置も一つの足がかりとしまして、引き続き財源の確保にも配慮しながら、できるだけ早く新ゴールドプランの策定を図りたい、このように考えております。このため、今後関係省庁と鋭意協議を進めてまいる考えでございます。
#12
○一井淳治君 新ゴールドプランあるいはエンゼルプランというものが一応は示されたわけなんですけれども、来年度はこれの実現に向けてどの程度の足がかりをつくっていただけるのか、具体的に御説明いただきたい。
#13
○説明員(吉冨宣夫君) 自治体では、既に今年度から具体的に老人保健福祉計画に基づきます事業が開始をされているところでございます。このようなことから、厚生省としましては引き続き財源の確保にも配慮しながら、これからできるだけ早く新ゴールドプランの策定、実施を図るために関係省庁と協議を進めてまいりたい、このように考えております。
#14
○一井淳治君 これは大蔵省が「税制改革の概要」という、こういう色刷りのパンフレットをつくっておられますけれども、これを見ますと、平成七年度は〇・一兆円、平成八年度は〇・二兆円を措置しますというふうに書いてあるわけです。今のお話では、厚生省はどうなんですか、これを了解してないんですか。了解しておられれば当然そのお話が出ると思うんですけれども、出ないということはもっとたくさんもらうために努力中ということでしょうか。
#15
○説明員(吉冨宣夫君) 十二月末の予算編成に向けましてこれから関係省庁と協議を進めてまいりたい、このように考えております。
#16
○一井淳治君 今度は大蔵省の方にお尋ねいたしますが、このパンフレットに書いてあります平成七年度には〇・一兆円、平成八年度には〇・二兆円を措置しますと。これはもう恐らく数十万枚ぐらい印刷されておるんじゃないかと思いますけれども、これは確保してくださるんですね。そして、そのうち国費は幾らなんですか。
#17
○政府委員(伏屋和彦君) お答え申し上げます。
 まず、税制改革全体のフレームの中では五千億の福祉に充当し得る財源を確保したところで、そのうち一千億が年金の物価スライド関係で、今厚生省からも説明がありましたのですが、現在のゴールドプランに上乗せして当面緊急に整備すべき老人介護対策とか少子対策、これで四千億、これは税制改革のフレームの中の話でございます。
 そこで、今先生の御質問の話でございますが、これからゴールドプラン等の検討が行われるわけですが、この税制改革に関連いたしまして七年度には一千億、八年度には二千億円の財源を福祉に充当する、これはいわば前倒し的にそういうことが示されているわけでございます。これはまさに今御説明がありました地方公共団体の老人保健福祉計画の中でも特に手当てが急がれている特別養護老人ホーム等のいわば施策の充実を図ることとしたものでございまして、これが例えば七年度の一千億はどういう手当てかと言われますと、これは先ほどの先生の御質問で言いますと国と地方を合わせたものでございます。そこの中の国分は、今の趣旨も踏まえまして、これから協議しながら七年度予算編成の過程で適切に対応をしていくこととしているところでございます。
#18
○一井淳治君 これはパンフレットでも示されておるわけですから、国費分はどうしても確保していただきたいと思いますし、国民の期待が大きいわけですから、新ゴールドプランといいますか、そういう形での老人介護対策、大蔵大臣の前でございますので、そちらの方の確保をぜひとも要望しておきたいと思います。
 それから、社会保障に関連いたしまして、社会保険診療報酬について質問します。
 これは病院ではなくて例えば弁護士事務所を例にとりますと、仮に年間一億円の仕入れをいたしまして収入の方は七千万円しかなかったという事例を仮定いたしますと、この一億円の仕入れについての耐用年数、減価償却などには考慮をしないで、この差額の三千万円の三%、九十万円というものが払い戻しになるわけであります。しかし、社会保険診療の場合には非課税ゆえに払い戻しか全くなされない取り扱いになっております。
 国立大学附属病院の二つのデータが報告されておりますけれども、消費税の負担、これは仕入れに対する消費税ですが、一・八%に上がっている。それから、全日本病院協会のデータでも平均一・四%の仕入れ課税の報告がなされているわけでありまして、こういう消費税負担が十分に診療報酬によって回収できておるのかどうかということは極めて重要な問題であるというふうに思います。岡山県病院協会の調査では〇・六八%足りない、仕入れに対する消費税について〇・六八%分が診療報酬からは回収されないという統計数字も報告されておるわけであります。
 現在、病院は経営が非常に困難な中でこういうふうに仕入れに対する消費税の転嫁ができないという実情があるようでありますけれども、この仕入れに対する消費税負担を診療報酬の場合に何か回収する方法はないんでしょうか。大蔵省にお伺いします。
#19
○政府委員(小川是君) 税の仕組みとして御説明をさせていただきますと、医療につきましては特別の政策的配慮として非課税としているわけでございますから、今の問題というのは医療による売り上げ、つまり収入が非課税であるというところからいわば免税事業者、三千万円以下の方と同じ立場に立たれるわけであります。したがいまして、仕入れにかかっている消費税の負担というのは、消費税として三%転嫁することはできませんが、仕入れ価格の上昇に見合うものとして売り上げに転嫁をしていく、それだけ価格を引き上げていくというのが消費税の適正転嫁の考え方でございます。
 問題は、社会保険診療報酬の場合には、自由な小売店がみずから価格をつけるというのではない、社会保障制度上の要請による価格設定の問題でございますから、その点につきましては、消費税の導入時におきましても、社会保険診療報酬の計算、その総体としての転嫁として適切な対応がなされたと承知をいたしております。
 その場合、どうしても診療報酬を一律でやる以上は、個々の事業者にとっていろいろ違った影響が出てくるというのはそうした制度上避けがたいところであろうかと存じますけれども、私ども厚生省から伺っているのでは、合理的な全体としての転嫁を考えて改定が行われているというふうに承知をいたしております。
#20
○一井淳治君 御指摘ありましたように、診療報酬は平均的にコストが加味されておりますから、熱心に患者サービスに努めておる病院は非常に損をするということになるんだと思うんですけれども、それにしても、現行の診療報酬では、仕入れに対する消費税額が何%加味されておるかということを示すことがやはり厚生省としてこの問題に対応するために不可欠であるというふうに思います。
 私は、これまで相当前からきょうの質問をさせてもらうというふうに予告しているわけでございますけれども、診療報酬に対して仕入れに対する消費税額を何%加味しておるかという数字を厚生省の方からお示しいただきたいと思います。
#21
○説明員(下田智久君) 医療は消費税におきまして非課税であるとされておりますけれども、保健医療機関が購入いたします医薬品あるいは医療材料といったものにつきましては消費税が課税されておりますので、そういった観点でいきますと価格が上昇する、そういったものを何らかの形で転嫁しなければならないということでございます。そうしたことから社会保険診療報酬で手当てをするという御決定をいただいたわけでございますが、消費税の導入に合わせまして平成元年四月に改定を行っております。
 具体的には、薬価について申しますと、薬価ベースで二・四%、これは医療費ベースに直しますと〇・六五%になるわけでありますが、薬価ベースで二・四%、そのほかの診療報酬につきましては〇・一一%、合わせまして〇・七六%の引き上げを行ったということでございます。
 その後でございますが、薬価につきましては、薬価調査におきまして医療機関に納入されます価格を消費税抜きの実勢価格として調査をいたしまして、それに消費税を乗せたものを新薬価ということといたしておりますので、消費税を織り込んだものというふうに考えております。
 また、薬価以外の診療改定の部分でございますけれども、これは医療経済実態調査というものを行っております。この中では消費税分を含めた費用を把握いたしまして、物価及び賃金の動向、医療機関の収入増、そういった医療を取り巻くいろんな情勢を勘案いたしまして、中央社会保険医療協議会の場におきまして御審議をいただき、改定率を設定いたしております。
 したがいまして、平成元年の手当て分は明らかでございますが、ただいま御指摘のその後の部分につきまして、消費税の部分についての手当ての部分につきましては、消費税込みの形で診療報酬改定がなされておりますので、実数としてお出しすることは困難でございます。
#22
○一井淳治君 その困難なことをぜひとも示してもらいたいということを言っているわけです。厚生省の今の御説明はもう何十回も恐らく説明されて同じことを繰り返しておられると思うんですね。それに対して医業の側は、うちの病院はこれだけの負担をしている、例えば病院側は統計数字をとって、調査の結果何%負担しているという具体的数字を突きつけて何回も何回も厚生省に迫っているわけですね。これに対して厚生省は同じ答えを繰り返し繰り返しされているということが実情であるというふうに思います。
 簡易課税制度のみなし仕入れ税率でいきますと、病院等は恐らくその他になる。これ六〇%が仕入れ率ですから、それからいきますと、三%の仕入れを掛けますと、一・八%ぐらい今負担しておるのではないか。それから概算経費の関係でいきますと、五千万円までの医業の収入ですけれども、大体一・八%ぐらいに見合ってくるんじゃなかろうかと。さっき申し上げました国立大学附属病院も一・八%ぐらいかかっているということで、仕入れに対する負担は相当高率になっていると思います。
 ところが、今御説明があったように最初のスタートが〇・七六%で、現在どうなっているかわかりませんけれども、病院側は非常に具体的な数字を、これはある程度幅がありましても示してもらわないと納得ができないというふうに思うわけであります。これはもう前々から質問予告しておったんですが、何か大体の数字でもきょうお示しくださるんじゃないでしょうか。
#23
○説明員(下田智久君) ただいま幾つか例を挙げられまして御指摘をいただいたわけでございますが、損税を生じておるというような各医療団体からの報告もございます。しかしながら、その調査を見てまいりますと、平成四年度の病院の支出を単純に課税対象分と非課税対象分に区分をいたしまして、課税対象分に三%を掛けて出しておりまして、それと当初の平成元年度の〇・七六%と比較して損税を生じておるという報告でございます。
 ただ、厚生省といたしましては、先ほどから申しておりますように、平成元年度以降三回診療報酬改定を行っておりまして、その中では消費税を見込んだ形での改定を行っておるというようなことでございます。
 それからまた、平成元年度におきましては、実際に医療機関が負担するコス十分を補てんするという考え方から、免税業者の存在あるいは簡易課税制度等の導入を踏まえまして、あるいは経企庁の物価上昇率を見込み、在庫分、こういったものを勘案して当初のものを決めております。したがいまして、現行のベースとそれから当初の〇・七六%とを合わせまして損税を生じているという形につきましては、必ずしも同じ物差しに立っていないというふうなことを考えておるところでございます。
#24
○一井淳治君 それでは、厚生省の方で計算をして仕入れに対する消費税の負担がこれくらいになっていますということを示されたらどうですか、そんなに自信があるんだったら。同じことを繰り返されまして、そして結局一番ポイントを避けて通られるというのでは仮定の説明も全く納得がいかないわけなんです。
 これは仮定の問題ですけれども、今後、消費税率が仮に五%にアップするとすればこの矛盾がもっと拡大するわけですから、きょうは責任を持ってこうすると言うことはお立場上できないにしても、お帰りいただいて、こういう質問があった、そろそろこの辺で厚生省もよく考えなくちゃいけないということを局長の方へ御報告いただく。どうですか、それまではお約束いただけますか。
#25
○説明員(下田智久君) 繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、診療報酬改定は医療経済実態調査をもとにいたしております。この経済実態調査は、中医協の中におきまして調査実施小委員会というのをつくりまして……
#26
○一井淳治君 ちょっともうそれはよろしいですから。局長にきょうの大蔵委員会の質問の内容を報告していただけますかということを言っておるんです。
#27
○説明員(下田智久君) 局長に報告申し上げますが、一言言わせていただきたいと思いますが……
#28
○一井淳治君 もう結構です、言わんとされることは私どもも何遍も何遍も同じことを聞かされてよくわかっておりますので。これはもうこのあたりで前向きに進まないと、特に消費税をどうするかという問題があるわけですから、この二年半の間に。ですから、これはやはり真剣にお考えいただきたいということもあわせて局長にお伝え願いたいというふうに思います。
 大蔵省の方にお尋ねいたしますけれども、税率のアップということが課題になっておりまして、そこで考えるべきことはやはり積極的に真剣に考えていかねばならないんじゃないかというふうに思います。これまでは三%という五%に比べれば低い額でありましたから、ある程度我慢されておったというところがあったようなものが、仮に五%になると我慢できない、放置できないということも出てくるというふうに思います。
 そこで、複数税率とかあるいは仕入れ課税の払い戻し等で、税率アップに伴うさまざまな課題もやはり避けて通らないで検討していかなくちゃならないという考えも出てくるんじゃなかろうかというふうに思うわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
#29
○政府委員(小川是君) いわゆる消費税の税率構造における複数税率の問題は税制調査会においても大変深く長く議論をされているところでございます。軽減税率を設けるという問題は、今御議論の対象になっております非課税取引の設定と同じように、そうした政策的配慮の必要性と税制の中立性あるいは公平性、簡素性という観点、その比較考量によるもので考えていかなければならないわけでございますが、累次の答申におきましては、議論の末、基本的にはこうした複数税率を設けることは望ましくないということになっているところでございます。
 また、仕入れ税額控除を戻す、いわゆるゼロ税率という考え方につきましては、この軽減税率の問題よりもさらに強く、消費税の趣旨から見て、課税ベースの侵食、コストが非常に膨大になる、また事業者や消費者の間に新たな不公平感を醸成するということから、これは非常にはっきりととるべきではないということが答申されているところでございます。
 ただいまのような問題は料金設定等からくる大変難しい問題であろうかと思いますが、なかなか消費税の構造でこの問題を対応するというのには限度がある、難しいというふうに考える次第でございます。
#30
○一井淳治君 私の質問は一般論としてお尋ねをしているわけであります。
 衆議院であるかあるいは参議院であるか、私ちょっと確かめていないんですけれども、大臣が飲食料品の軽減税率導入については真剣に検討していくという答弁があったということをある資料で読んだんです。これは非常に要約した資料でございますから大臣の善言葉がどのような表現を使ったか私わかりませんけれども、しかし今申し上げましたように、税率アップに伴ってそれの矛盾が拡大することもあり得るわけですから、複数税率とか仕入れ課税の払い戻しとか、そういったことについてもやはりほっておけない、検討は真剣にしなくちゃいけないということではないかと思いますが、その点大臣いかがでしょうか。
#31
○国務大臣(武村正義君) 税を担当する立場での一般的な考え方は今主税局長がお答えしたとおりでございます。
 食料品については衆議院も含めてたびたび質疑がございました。そういう中で総理ともどもお答えをしてまいりましたのは、この見直し規定で言う課税の適正化、ここでは、当初与党のプロジェクトチームの論議においてもそうでありましたし、立法者の意思といいますか、立法の立場から考えますときにはそこまでは予定しておりませんでしたということであります。しかし一方、食料品をめぐっては、国民の中にも軽減税率等の要求、期待はかなり大きいという認識は持っております。
 しかし現実は、これも小川局長が答えておるのでありますが、本当に一歩突っ込んでこの問題を見詰めてみますと、食料品というのは恐らく何千何万という種類があると思います。高価なものもたくさんある中で、食料品全体を対象にするのかどうか、食料品とは一体何かという、それも大変難しいところがございますが、全部を対象にするかどうか、奢侈品は除くかどうか、養殖のタイは軽減税率だけれども天然のタイは高いから外すとかとなってくるとこれは大変なことになってまいります。
 そういうことが一つ論点になりますし、食料品以外とのバランスといいますか、住宅なんかは大変金額が多いからこれも軽減税率等の議論が一部ございます。そうすると、そういうものは非課税にしておいて今度は子供たちの下着とかあるいは学用品、鉛筆やノートはどうなんだとなってくると、衣食住のようなものは全部外そう、こういう議論になってきますともうとても消費税の意味をなさなくなるといいますか、広く薄くといいますか、すべての消費を原則として課税の対象にするのがこの税の特色であることを考えますと、逆にもとの物品税に戻っていくというか、あるいは残った消費税だけがうんと高くなるということにもなってきかねないわけでございます。
 そういう問題があることは議員も十分御承知のことだと思いますし、その辺の議論を頭に置きながら、しかし先ほど申し上げた国民の期待もありますし、ヨーロッパ諸国を見ておりますと、軽減税率を課している例も見受けられます、かなり消費税率が高い国ではありますけれども。そういう意味でこの課題はやはり私どもとしても真剣に見詰めていくという姿勢はとっていきたいと。しかし、今この時期に軽減税率適用の是非を問われますと、例外を設けるのは好ましくないというお答えをしているところでございまして、政治的には真剣な課題だという認識でおります。
#32
○一井淳治君 今の大臣の答弁を聞いておりまして、今後そういった問題についても真剣にお考えいただけるというふうに受けとめましたけれども、どうかそういう方向での一層の御努力を期待申し上げたいと存じます。
 次に、附則二十五条でございますが、行財政改革の推進状況ということが消費税の税率に絡まるという書き方になっておるわけでございます。行財政改革の今後の進め方についてお尋ねをしたいわけでありますけれども、百三十一国会の冒頭、村山総理は所信表明演説におきましてこの行財政改革を強力に進めるということを申し述べておられるところでありまして、私どももその方向で努力しなきゃならないということは当然だろうというふうに思います。
 平成六年九月十九日の政府・与党首脳連絡会議におきまして五項目が決まりまして、その中に行政組織、公務員制度について触れられておりまして、一つは特殊法人ですけれども、特殊法人につきましては大体進め方が方向づけられておるというふうに思います。
 それからもう一つは、各省庁間の人事交流ということが去る十一日の与党行革プロジェクトで出てまいりまして、今各省庁で検討いただいているということでありますけれども、やはりそれだけでは行財政改革がまだ緒についたばかりという感じではなかろうか。特に特殊法人の方もどこまで進むのかまだ見通しがつかないわけでありますから、今後一層行財政改革については力を入れていっていただきたいと、大蔵大臣にもあるいはさきがけの有力な政治家としてもお願いしたいわけでございます。
 とりわけ、さきがけがこの行財政改革には非常に熱心であるということで新聞あたりでも非常に期待を寄せられておりまして、私もここに新聞記事を幾つか持っておりますけれども、かぎを握るさきがけとか、そういうことで非常に強い期待が寄せられております。また、ちょっと古いことですけれども、八月二十八日のNHKとフジテレビの政治討論番組では、武村大蔵大臣が推進の決意をはっきりと国民の前で表明しておられまして、大臣に対する期待は非常に強いというふうに思うわけであります。
 私どもは今後、特殊法人のような出先ではなくて、やはり本省といいますか各省庁、これが何といいましても公務員制度の中心でありますから、そこを含めて本格的な行政改革に進んでいただきたい。これは社会党の考えではなくて私個人の考えですけれどもそういうふうに思います。そのあたりについて、非常に強い期待を寄せられておりますさきがけの、そして行革については非常に大きな権限を持っておられます武村大蔵大臣にその辺のお考えをお伺いしたいと思います。
#33
○国務大臣(武村正義君) お話のように時代がどんどんかなりのテンポで変化していく中で、国民の皆さんやあるいは企業の経営者は絶えず新しい方向への転換を必死で続けていただいているわけであります。そういう中に行政もあるわけですが、ややもすると行政は時代の変化におくれをとりがちであります。
 これは法律とかあるいは行政の担当する分野の性格、特異性もあるわけですが、そんな中でやはり国民の声としても行政に対する改革の期待というのは非常に高いと認識をいたします。ある意味では、行革というのはもう不断の課題であると。絶えず見直しをし続けなければならないというテーマでもありますが、戦後五十年を迎えたこの時期、さまざまな背景もございます。不況ということもありますし、あらゆる制度の見直しという要請もございますし、また国家財政が非常に厳しい状況に立ち至っているということもありますし、そんな等々の背景から、行革こそ私ども政治家があるいは各政党が今真剣に取り組まなければならない課題だというふうに思う次第であります。この点についてはどの党も違いはないと思っております。
 政府・与党としましては、御承知のように、特殊法人だけでなしに、規制緩和も地方分権も一定の割合明確な進め方に関する方針を発表いたしているところでございます。地方分権は、今年中に大綱を決めて、来通常国会には地方分権推進の基本法を提案するという方向で今進んでおります。規制緩和は、来年三月いっぱいまでに規制緩和推進五カ年計画を策定させていただくという方針で進んでおりますし、御指摘のように特殊法人も前政権よりは一年前倒しをさせていただいて、これも三月までには具体的な特殊法人の整理合理化の方針を固めるということであります。
 さらに、公務員の交流等の話も浮上をしてきているところでございますが、既に「行政改革を進めるに当たっての基本方針」を与党でお決めいただいておりまして、今御指摘のあった五項目もその中にあるわけですが、こうした基本方針をしっかり踏まえながら、各般にわたる行革に真剣に取り組んでいこうということであります。
 あわせて、行財政改革と言われますように財政改革の側面がございます。これは私どもの役所が一番大きな責任を負わなければならない問題でありますが、間もなく予算編成が山場を迎えますが、来年の予算編成も含めて、短期、長期、中期財政の改革にもこれまた真剣な目を向けなければいけないという思いでございます。経費の切り詰め、節減合理化という意味では、むしろ財政改革に対する期待の方が大きいとも言えるわけでございます。
 ただ、私どもは制度の根底にまでさかのぼって見直しをするとか、厳しい優先順位の選択をさせていただくとかいうようなことを政府全体で決めているところでございますが、言葉でそう申し上げましても、実際はあらゆる制度がもう法律によって裏打ちされたり、社会の秩序の中で定着をしていることを考えますと、結局見直しをするということは波風を立てるということになります。もっとわかりやすく言えば、かなりの国民の皆さんがよろしいとおっしゃっていただいても、その見直しにかかわって被害を受けたりマイナスの効果が働く方々や団体は必死で反対をなさいます。もうそのことが見えているだけに、口で言うほど容易なことでないと。そのことを認識しながら、村山政権としては行財政改革に真剣に取り組んでいくべしという考えてあります。
 さきがけとしては、自民党、社会党という二つの大変伝統のある大きな政党は、やはりいろんな深いかかわりもありまして身軽に動けないようなところもあるのかもしれません。そういう意味では私どもの動きは大変目ざわりな印象も一部与えていることを承知しておりますが、小さくて過去が余りないということから、行革には、あえてそのことを知りながら、三党の中でいささか出過ぎな面もありますが、それでも政権全体の方針に沿って私どもの能力の限り三党の協議の場で議論をいただく提案をいろいろさせていただきたいということで、けさも朝から公共入札制度の提案の議論を一時間してまいりました。かなり大胆なものですから業界からは総スカンを食っておりまして、これじゃもうさきがけは次はだれも当選できぬぞという、そういう見方もあるようであります。
 でも、出したものがそのまま通るというわけじゃありませんが、しかし、すべて行革はういう意味で具体的に取り組めばいろんな波紋を招くことが避けがたい中で、ぜひ総理の方針に沿いながら精いっぱい努力をさせていただきたいというふうに思っている次第でございます。
#34
○一井淳治君 次に、この附則二十五条の関係では、「財政状況等」という言葉が入っておるわけでありますけれども、今回の税制改革によりましても所得税関係五〇%、資産税関係が二六%という割合でありまして、やはり現実には景気の影響というものが財政に一番強くかかわってくるんじゃなかろうかというふうに思います。
 最近の経済状況を見ますと、不況の性質が変わってきている。国内市場の成熟化、空洞化あるいは生産年齢人口の減少という新しい事態が起こっているわけですけれども、そういった中で、今後の経済発展について、あるいは税収の伸びについて大臣はどのようにお考えでございましょうか。
#35
○国務大臣(武村正義君) バブル崩壊後、我が国経済のこの不況という事態が国家財政、特に税収の面で大変大きな影響を及ぼしている。過去三年間、当初予算等、見積もりをし期待をしておりました税収を結果的には下回る、大きいときには数兆円も下回るというふうなことになってきているわけでございます。
 昨年も一・五兆円ぐらいでしたか、下回ってしまいました。補正でかなり削っているにもかかわらず、さらにそれを下回るという異常な事態がバブル後続いているわけであります。実は来年の予算編成を展望するときにも、これから真剣な最終の詰めをしていくわけでありますが、昨年の予算、削った後の予算でもさらに下回っている実態を考えますときに、ことしの税収をどういうふうに、予想でございますが、予想として一体最終的には集約をしたらいいのか、大変厳しい要素ばかり重なっておりまして、そういう中で赤字国債を、この税制改革のつなぎ国債でなしに、当初予算の編成の中で赤字国債を出さないで編成することが大変困難と言ってもいいぐらい厳しい状況に立ち至っているわけであります。行財政改革ということ以前に、来年の予算編成の時点で相当思い切った歳出の削減、見直しをしなければならない状況になっているところでございます。
 そういう意味では経済が早くよくなっていかなければいけない。幸い、明るさが少しずつ広がってきていることに期待を持ちたいと思っておりますし、本格的な回復軌道に乗せることが一つは我が国財政の展望におきましても明るさが出てくるというふうに思っています。ただ、それでももう二百兆円を超える国債の残高等々を考えますと、景気が回復したからそういうものが一挙に解決できるような状況ではありません。
 先般、マドリードで蔵相会議もございましたが、景気の悪いときにはある程度、日本の今の減税、公共投資の政策のようにある程度景気対策として目をつむらなきゃならない財政運営もあるにしましても、景気がよくなれば各国とも財政再建に努めよう、健全な財政を回復するために努力していこうというのが七カ国の共通認識でございました。そういう意味で、景気が本格的な回復に乗ってくる中で本格的な財政再建の議論が避けられない、私はそう感じております。
#36
○一井淳治君 経済企画庁の今年度の経済見通しは国民総生産の実質成長率を二・四%と見ておりますし、産業構造審議会の報告などを見ますと、二〇〇〇年までは成長率を三・二%として計算しているわけですけれども、私はこういったことはとても無理じゃないかというふうな感想を持っております。
 そういった中で、やはり我が国はこういうふうな経済状況の中で高度の福祉を維持する方向に持っていかなくちゃならないわけですから、そのためには、付加価値の高い産業を国内で発展させていくこととか、あるいは国民一人当たりの生産性を高めていくこととか、そういったことに努めていくことが必要であるというふうに思います。そのための税制等を何か考えておられるでしょうか。
 これは私、正確なことではありませんけれども、スウェーデンあたりでは、利益が上がった場合にもこれを五年間に分割して法人税を払うというふうなことをして空洞化対策や活性化対策を図っておったということを聞かされたことがあるんです。これは正しいかどうかわかりませんが、我が国でもそういった新しい何かの対策を税制上も考えていかなきゃならぬじゃないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
#37
○政府委員(小川是君) 産業あるいは生産活動と税制との関係から申し上げますと、大きく二つの側面があろうかと思います。一つは法人税、法人に対する課税のあり方という問題であろうかと思います。
 この点につきましては、昨年来税制調査会でもいろいろ議論をしていただきました。一つは国際化という側面、それからもう一つは国内経済産業を活性化するという側面から、方向的には法人税の税率水準を引き下げていく。ただし、その場合にはよく課税ベースを見て、課税対象を拡大するということをあわせながら、税率は方向的には引き下げていくんではないかという議論でございます。今後、この点については、我が国の経済のあり方あるいは今後の状況、発展の見通し等を見据えながら、課税ベースの問題を含めて議論をしていかなければならない問題であると思っております。
 もう一つの問題は、やや政策的な、毎年措置をとっております租税特別措置の一環でございますけれども、現在の経済状況、産業状況をどうとらえて、特定の分野あるいは特定の企業の状況に対して、限られた財源の中で租税負担の軽減を通じて政策の実現が図れないかという点でございます。
 かつて輸出促進であったりあるいは公害防止であったり、そういうものに重点が置かれておりましたところ、近年は輸入促進、あるいは今委員御指摘のような新しい産業の発展、あるいは創造的な産業を助成できないかという観点から、各省からも御要望があり、本年度もそういった観点から何が考えられるか議論をしていかなければならない点だと考えております。
#38
○一井淳治君 そういうことの延長としてお尋ねをしたいわけですけれども、現在日本の中小企業は、製造業を中心にして開業よりも店を畳む方が非常にふえておりまして、日本経済を支えている中小企業対策ということが非常に大事になっているというふうに思います。そういった中で、同族会社の留保金課税について、これは検討した方がいいんじゃないかという感じを私は持っております。
 もう一つは、女性がもっと社会で働いて生産性の高い労働についてもらわなくちゃならない。そのためには、現在の配偶者特別控除、これは女性の社会進出といいますか、女性が真剣に働いていく立場からすればどうもマイナス効果があるんじゃないかというふうな感じを持っておりますけれども、そのあたりについてお伺いしたいと思います。
#39
○政府委員(小川是君) 同族会社の留保金課税制度というのは、同族会社においては極めて少数の株主が実質的な意思決定権を持っておりますので、会社から支払われる配当、通常であれば配当として個人に払われ、そこでまた個人に累進課税が行われるはずでございますけれども、そうした負担を回避するために、その他の公開会社と比較いたしますとどうしても会社に利益を留保する傾向が強い。そこで、こうした税負担の公平を確保するという観点から、同族会社は一定規模以上の留保所得部分についてはいわば追加的な負担を求め、そのバランスを求めるというものでございます。こうした制度の性格からいたしますと、政策的にこれを排除、廃止したり軽減してはどうかという点についてはなかなか難しいというふうにお答えせざるを得ないと思っております。
 いま一点の配偶者特別控除の問題につきましては、この制度が前回の抜本改革のときに、主として勤労者の配偶者の内助の功といったものについて税制が配慮できないかということが一つ、もう一つは、パートに出られたときに一定の所得を超えると税引き後の所得がお二人合わせて減ってしまうという、いわゆる逆転現象を直すために考えられないかという、主として二つの理由で新たに設けられたものでございます。それが設けられたときにも若干の御議論はございましたけれども、その後、女性の労働、就業の実態から、今委員御指摘のような問題点も言われているところでございます。
 これは今後、御指摘のような問題あるいは創設されたときの経緯、サラリーマンの税負担の状況等を総合的に勘案しながら中期的に検討、議論されるべき課題ではないかというふうに思っております。
#40
○一井淳治君 今回の所得税減税のPRの方法なんですけれども、中堅所得者層を中心とした税負担の累増感を緩和するんだということをうたい文句にしておられる傾向があるように思います。この中堅所得者層というものの意味なんですけれども、これはなかなか辞書を引いてもはっきりしないわけであります。
 労政時報という雑誌の平成六年十一月四日の統計数字を見ますと、女性よりも男性の方が給与が高いわけですけれども、男性で最も多い階層は四百万から五百万、これは一八・七%、それから三百万から四百万が次に多くて一七・九%、その次が五百万から六百万の階層が一四・七%ということでありまして、今回の所得税の減税によって恩恵をこうむる層とは相当のギャップがあるというふうに思います。
 また、ことしの夏の人事院勧告は中堅層職員の改善に重点を置くということをうたい文句にしておりました。今回の減税で言う中堅所得者層と人事院勧告で言う中堅層職員とどう違うのか私わかりませんが、よく似ていると思うんですけれども、人事院の方に聞きますと、大体三十代から四十代前半に重きを置いている。行政職俸給表(一)の紋別でいきますと、平均が一・二になっていますけれども、三級が一・四、二級と四級が一・三で大体三級に中心が行っていると思います。三級の方は月給でいきますと十八万五百円から三十二万百円ということで、中堅所得者層という方に比べると相当低いわけです。
 そういうことで、今回の税制改革のPRも必要なんですが、中堅所得者層に税が軽くなるんだということを余りに言われますと、これは国民が受ける感じとぴったりこなくなるというふうな感じもするわけです。その点の簡単な御所見をお聞きしまして、私は質問を終わりたいと思います。
#41
○政府委員(小川是君) まさに中堅所得者層と言ったときにどういう人をイメージするかというのは、それぞれの時、その置かれた場、立場で大変御議論はあろうかと思います。税制調査会で議論をされましたときにはこういうことが言われております。「年収六百−七百万円程度までの所得者層の税負担水準は既に相当低くなっているが、他方、年収七百−八百万円程度以上の中堅所得者層、とりわけ一千万円程度を超える所得者層についてはこ「限界的な税負担が急上昇するために」「負担累増感が生じやすい状況をきたしている。」という文章になっております。
 この背景には、課税上のデータといたしまして、いわゆる夫婦子二人世帯で直近の平成四年度でございますけれども、給与収入の平均が約七百万円でございます。逆に七百万円を超える階層というのが相当程度いる。またその下の方もおられる。ただし、今委員言われましたように、年齢別にやってまいりますと、もちろん低い所得者層の方の中には比較的高齢者もおられましょうが、全体として見ますと、年功の賃金制度のもとで若い方が低く、だんだん上がっていく、恐らく三十代後半とか四十代の初めといったようなところが平均的なイメージであろうかというふうに考える次第でございます。
#42
○一井淳治君 ありがとうございました。
#43
○直嶋正行君 新緑風会の直嶋でございます。
 きょうは、今回の税制改革を中心にしまして大蔵大臣にいろいろと御見解を承りたいというふうに思います。
 まず最初は、税における国と地方の関係について御見解を承りたいと思うわけでございますが、現在、地方分権というのが大変大きな課題になっておりますし、村山内閣の基本方針の一つでもあるわけであります。大蔵大臣は自治省の御出身で、しかも県知事の経験を、また市長も経験されました。そして現在大蔵大臣であるわけでございます。したがいまして、国と地方の両方を御経験されたお立場ということでお聞きをしたいと思うわけでございます。
 例えば、我が国の現在の中央と地方の税収とそれから支出を比較いたしますと、これは一九九一年のデータでございますが、税収では、国が六四・三に対して地方は三五・七、支出面で見ますと、国は三二・四に対して地方は六七・六、相当大きなアンバランスがございます。
 これも諸外国を見ますと、例えばアメリカについて見ますと、地方の税収と支出の関係を見ますと、税収が四五・三に対して支出は五〇、ドイツは同じように四七に対して五三。これは国によって開きがございまして、例えばイギリスですと、地方は税収が五%でありますが支出は三二%、フランスは一六・九と三一、こういうふうにばらつきがございますが、しかし地方分権が言われる中でこういうアンバランスがある。
 それからもう一つは、今申し上げた国、これは私の知識で申し上げますと、比較的バランスのとれておるアメリカ、ドイツは連邦制の国でありますし、フランスは非常に中央集権的と言われている国であります。こういう体質の差があるのかもしれません。
 今回の地方消費税の導入は、年々地方の役割が高まる中で、将来の地方の財源の充実につなげようということであるわけでありますが、しかし今回の改定では、いわゆる消費譲与税が地方税に置きかわっただけであって、今申し上げたような基本的な構造というのは変わっていないわけでありまして、今申し上げた税収と支出の中央と地方におけるアンバランスをどういうふうに御認識されているのか、こういうのをもっと意識的に変えていこうというふうに思っておられるのかどうか、この点についてまず大臣の御見解を承りたいと思うわけであります。
#44
○国務大臣(武村正義君) 今、直嶋委員おっしゃったように、国と地方の税収それから歳出における比率は二対一そして一対二と、大まかそんな状況であることは事実でございます。その間をいわゆる地方財政計画が対応しているとも言えますし、御指摘のように、交付税や地方譲与税やあるいは補助金制度が、国の集めた税を地方に移して、そしてバランスをとっているというのが我が国の国、地方を通ずる財政の状況であります。
 本来からいえば、建前論でありますが、地方のやる仕事の財源は地方がみずから歳入として汗をかきながらも集める、住民に御負担をお願いするというのが建前だと思います。この格差はなるたけ小さい方が望ましいと、一般論ではそう申し上げていいと思います。
 ただ一つ問題は、私もこの議論を今まで見詰めておりまして、都道府県、市町村の経済格差といいますか、それぞれ経済状況が大きく違います。だから、この税目を地方税として設定すれば三千二百の市町村押しなべて財源が強化されるという税目はそう多くはありません。各国も恐らくそういう点で悩んでいると思うんです。そこに交付税制度といういわゆる国、地方の財政調整を果たす大きな仕組みが生まれてきているわけであります。
 しかし、今後地方分権の議論をしてまいりますと、単なる権限の移譲だけでなしに、権限の移譲に伴う財源の移譲が当然必要になってまいります。そういう大きな地方分権の論議の中で、今御指摘のような問題についても幅広く真剣な論議が行われるべきだと私は思っております。
#45
○直嶋正行君 次に、今みたいな話の中でよく出てくるのが、今の大臣のお答えの中にもございましたが、地方分権を進めていく中で地方が独自の権限を持つということであれば、その権限に基づいて税収を確保できる道を開くべきだと、こういう声が結構たくさんございます。
 今の大臣のお答えの中でも、権限に伴って財源の移譲という言い方がございました。しかし、むしろ地方が自主的に課税権を持つといいますか、みずからの意思で税を決定する、こういうことも巷間よく言われるわけでございますが、この点についていかがでございましょう。
#46
○国務大臣(武村正義君) 私も十数年地方自治の経験をさせていただく中でしみじみ感じましたのは、我が国の地方自治というのは、毎年法律が一本できるたびに地方の権限がふえてきているという、そんなとらえ方をする限りは随分権限の上では大きな強い団体になってきている。毎年編成をする予算の規模も相当大きなスケールになってきていますし、国と地方の財政規模はほぼイコール、最近は地方の方がちょっと大きいぐらいでしょうか、そこまで地方自治は成長をしているわけでありますが、事、歳入における自治という視点で見ると、弱いというよりも余り裁量の余地がないなということを痛感しておりました。
 それは大変地方団体にとっては幸いと言えるかもしれません。歳入で全く自由に任されたら、これは一つ一つの税目を議会で議論して決めて住民の御負担をお願いするわけですから。それがほとんど地方税法で大枠が決められておりまして、それに従って地方は条例をつくっている。受け身で対応しておりまして、形は条例を根拠にしておりますが、地方税法という国の法律が大枠を決めているというよりも、制限税率といいますか、一定税率でぴしっと決めているものもありますし、標準税率で多少幅を持たせているものもあります。
 法定外普通税というふうな道も開かれてはおりますが、そういう意味では法定外普通税をその団体が新設するという余地は残されていますし、標準税率の場合は上限がありますから、少し上げさせていただくということは可能なのでありますが、しかし、一定税率でもうぴしゃっと決まっているもの、今度の消費税ももちろんそうでございますが、ものもありまして、大体標準税率は標準でやるというのがほとんどの自治体の選択でありまして、余り迷わずに悩まずに条例をつくって対応している。
 それを見方を変えれば、歳入の面では余り汗をかいてない、国任せだ、こういうのが我が国の地方自治だというふうにも言えるわけであります。そこに一つの大きな問題があるといいますか、地方自治の特徴があるというふうに私は思っております。
 法定外普通税というのも、これは課税の対象を見つけることは容易ではありませんから、そんなに大きな地方税源になっておりません。標準税率におきましても、一部法人税等で上限の税率を設定している団体もあるかと思いますが、恐らくほとんどは標準税率そのままでいっているだろうと思います。
 地方自治もそういう面で問われているということを認識いただいて、これは大蔵大臣の答弁を超えますけれども、本当の意味の、地方にとって必要な仕事をするために県民や町民の皆さんに必要な御負担をお願いする、地方自治体みずからが体を張って汗を流してお願いするという形により近づくことが私は基本的には望ましいというふうに思っております。
#47
○直嶋正行君 大変率直に御答弁いただきまして、ありがとうございます。
 今のお話の中でも出てまいりましたが、私も実は大臣と同じような見方を持っております用地方分権で地方にもっと権限をという声が出ているんですが、実際には今お話があったように、歳入の面も自治体が責任を持って、要するに権限と責任との関係で言えば、責任にはいろいろあろうかと思うんですが、文字どおり自主的にということで考えますと、確かに国の今の制度にややもたれているといいますか、そういう気持ちを持っているんです。
 したがいまして、当然地方分権の話を推し進めていけば、今大臣のお答えの中にもございましたが、ちょっと正式な言葉は私は知らないんですが、いわゆる財政法定主義というんですか、税はすべて税法と地方税法で決められております。これは国の法律で決められている。その中で一定の小さな枠がある。これが実情だと思うんです。
 そうしますと、一気に法律のところまでいかないかもしれませんが、これからは枠をもう少し何か工夫してみるとか、あるいは場合によってはいずれ将来は法律で税を決めることそのものの決め方についても議論になってくるんではないか。あるいはそういう方向に思い切って議論をしていかないと、本当の意味での地方分権というのは成り立っていかないんではないか。これは大蔵大臣の守備範囲ではないかもしれませんが、御見解をぜひ承りたいなと思っておりますので、よろしくお願いします。
#48
○国務大臣(武村正義君) 先ほど申し上げたことでもありますが、西ドイツは、今も続いていると思いますが、州政府は地方自治体とは言えない、州政府が国家だというふうに思いますが、それにしましても、連邦政府との関係で言えば、むしろ州政府が所得税、法人税も賦課徴収をして、いわゆる逆交付税と言われておりますが、一定額を連邦の方に上げると、こういう形をとっておるようでございます。
 これがそのまま我が国の地方自治の仕組みに導入できるとは思いませんけれども、いずれにしましても、今おっしゃるように基本的な認識、地方自治のあるべき姿という認識においては直嶋議員の御意見に同感をさせていただきながら、時は地方分権を真剣に議論するという状況を迎えておりますので、ぜひそういう幅の広い論議の中でこの問題も真剣に議論がなされることを期待いたしたいというふうに思っております。
#49
○直嶋正行君 今の議論をもう少し広げてまいりますと、これから地方分権を進めていくということになりますと、また現在のシステムでも、例えば福祉の問題でも現実にはやはり市町村中心という話がございますし、それから実際に公共事業等を見ましても、地方分権の話をどう進めるかという議論と多少の相関はあるのかもしれませんが、年々やはり地方の役割がどんどん高まってきています。そして、いわゆる地方での財政需要が増大してくるわけであります。
 そうしますと、これは将来の話なんですが、今度は地方分権の裏返しの話でございますが、国の税制をそのままにしておいて、地方の財政需要が膨らむので、地方のニーズによってその必要なお金を税金として徴収するということになってきますと、やはり国民の負担はそれだけ逆にふえてくるということになると思うんです。
 したがいまして、今の税の仕組みのあり方と同時に、将来的には交付金だとか補助金の問題も含めて考えなければいけませんが、やはり国税のウエートを下げていく、あるいは今地方の分として取っている分も含めてということなんですが下げていく、そしてやはり地方にシフトをしていくということを考えていかざるを得ないと思うのでありますが、この点についてはいかがでございましょう。
#50
○国務大臣(武村正義君) 今回の地方消費税は、先ほど委員が御指摘されましたが、実質は変わりないじゃないかという御指摘でありました。
   〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕
 それは地方譲与税が地方消費税に変わっただけだという御認識でございますが、たとえそうでありましても、地方譲与税というのはやっぱりあくまでも国の譲与措置であります。地方消費税ということになりますと、これはまさに地方独立財源でありますから、たとえ金額が大きく変わらなくても、これは地方自治にとっては大きな前進だというふうに思っている次第であります。
 そういうことから、今地方交付税そのものをもう少し見直すといいますか、額を小さくする中で地方税源を強化すべしというお話は大変ごもっともであります。しかし現実は、法人税、所得税、酒税ですが、それに今度は消費税も入っていますが、法人税、所得税というのはかなり地域的な偏りがあります。法人税は非常にそれが大きゅうございますのでありますから、これを縮めて、例えば法人事業税、地方住民税の法人税割というのもありますが、法人課税を地方でもっと広げていくということにしますと、地方団体の格差はもっと広がってしまう。今でも法人の主たる事務所のある東京等大都市が非常に有利になっておりまして、それがもっと極端になっていくことを考えますと、これは容易ではありません。そんな中で議論をしていかなければいけないというふうに思っています。
#51
○直嶋正行君 私は、今の大臣の地方の格差、地域間の格差というんですか、こういう議論をお伺いして、確かに今地方分権というのは抽象的に行われていますが、そういう地域格差も含めて本当に地方がやっていくためには、じゃ、例えば地方自治体の最小単位はどのぐらいがいいかとか、あるいは本当に今の都道府県という割り方がいいのかどうかということも本当は議論しなきゃいけないと思うのでありますが、きょうはその議題はちょっと置いておきたいと思います。
 それで、もう一つお聞きしたいのは、今地方消費税のお話でもございましたが、よく私も地方の権限の話をしていましてわからない部分があるんですが、例えば地方の自主財源という言い方がございます。譲与税よりは地方消費税の方が前進だと、こういうことなんですが、ただ自主財源という言葉がどの範囲までを意味するのかということが実は余り定かにならずに、自分で使えるお金が自主財源なのか、みずからやっぱり責任を持って決定するところまで含めて自主財源ということを言うのか、定かでないままに議論されているような気がいたすわけでございますが、ここらあたりについていかがでございましょう。
#52
○国務大臣(武村正義君) これは小川局長からまた補足していただきますが、自主財源と対比されるのは依存財源でしょうか、私は、みずから地方団体の意思に任されているものを言うんだと思います。
 片方、一般財源、特定財源という言葉がございます。これは交付税なんかがその一般財源、依存財源だけれども一般財源だと、自主財源でないけれども、交付税は何に使ってもよろしいという意味では一般財源だという意味であります。
 厳密な定義は知りませんが、交付税という制度がどっかり我が国には仕組まれているんだから、それはまさに一般財源としてきちっと配分されて、いただいた以上は自主財源と同じように全く自由に拘束なしに使えるんだから、それで地方自治が保障されているんだという見方もあるかもしれませんが、ただ国から交付される財源には違いありません。地方団体の自主的な判断で左右できるものではありませんし、もともとその財源そのものを地方団体が汗を流して集めたものでないという点ではまさに依存財源そのものであります。その辺に一つ論議があるんだというふうに思っております。
#53
○直嶋正行君 今の大臣の御答弁も受けて、私は、これから地方の税のあり方というのは国税以上にきちっといろんな議論を、それから国税との関係も含めてやっぱり議論を幅広くしていかなきゃいけないと思うのであります。
 この間、参議院で公聴会を開催しました。公述人の方の御意見をお聞きしたんですが、私の主観的な見方ですが、今回の税制改正で一番評価されたのは地方消費税の創設じゃないかなと思っています。ただ、一方では、この地方消費税については税理論とかあるいは技術論から見て幾つか問題指摘があったことも事実であります。そういう面で見ると、そういう問題はありながらも地方消費税を肯定するということは、やはり相当地方財源が必要だという幅広い認識があったんじゃないかなと思うわけであります。
 これは私のささやかな経験で申し上げますと、これまでの我が国の税の議論の仕方というのは、はっきり申し上げてやはり国税に偏り過ぎていたんではないか。例えば政府税調での議論を見ましてもやっぱりそういう嫌いがあるんではないかなというふうに思うわけであります。
 そういう点で申し上げますと、本当の意味で税制の抜本的な議論をするということなら、やはり今申し上げたような国と地方の関係も含めてもっと地方の税のあり方について議論をする時間を割き、あるいは幅を広げていくということが必要ではないかと思うわけでございますが、この点についてはいかがでございましょう。
#54
○国務大臣(武村正義君) 政府税調の中でも、地方税源のワーキンググループなんかを設けていただいたりしながらこの問題はそれなりに真剣な議論を進めていただいているようでございます。今度、来年になりますが、地方分権の議論が一層具体的に進むときにはぜひ政府税調も、地方税源といいますか、地方自治における税源のあり方についてかなり意欲的に論議をお願いしていく必要があるというふうに私は思っております。
#55
○直嶋正行君 もう一点、地方との関係も含めてということでお尋ねしたいんですが、徴税の問題でございます。
 現在、国は税務署で、そして地方においては県税事務所等で徴税をするというのが基本的なシステムでありますが、この国会でも、これは衆議院の方でございますが、野中自治大臣がこういう答弁をされています。「例えば第三者機関を設けまして共同で徴収する」、これは国と地方の税の徴収の話でございますが、「国税、地方税を一括徴収して事務の効率化を図っていくというのは、今の行政改革の道に通じたものであると、このように考えて私見を申し述べてきたところでございます。」と、こういう答弁をされているわけであります。
 最近の数字で見ますと、国の税務署の職員は五万七千人、地方は県と市町村合わせて八万七千人いらっしゃいます。私も、税を効率的に集めるとかそういったことを含めて考えますと、また、今も議論をしたような国と地方の税のあり方なんかの議論を進めていくためにも、こういう構想というのは基本的にはやるべきかなというふうに今思っておるわけでございますが、大蔵大臣いかがでございましょうか。
#56
○国務大臣(武村正義君) これは与党の中でも、野中大臣以外からもこういう問題提起は出始めております。私も関心は持っておりますが、これは事務的にどういう問題があるのか、ひとつ局長から少し補足をしていただきます。
#57
○政府委員(小川是君) 国税と地方税の徴税の協力を進めて一本でやってはどうかというお考えでございます。
 この考え方の大前提といたしましては、当然のことながら、地方税というのは地方政府が賦課権者となって強制力をもって納税者から集めるものである、そういう地方税を前提にしておられるわけでございます。したがいまして、地方政府と中央政府といいますか、国というのが対等の徴税権者、憲法上も対等の徴税権者としてあって初めてのそういう御議論であろうかと思うわけでございます。恐らく、ドイツのような共同税執行を一元化しているという考え方は、先ほど大臣からお話ありましたように州が基本である、そして連邦もあるというところであろうかと思います。
 現在の我が国の地方税と国税というのがどういう関係にあるか。そういう意味におきまして、課税権者の独立性といいますか、国家性といいますか政府性、それから納税者がそれに強制力をもって従わなければならないという関係が全く対等のものであるかどうかといったようなところもあろうかと思います。
 現行の我が国の徴税システムというのは、国税、地方税が、現在ある一本ずつの国の税法、地方税法に基づいて、課税権が具体的に設定できるようになっている地方の税、課税権者としての地方税ということを前提にして、お互いに執行面では協力を進めているという状況でございます。
 私どもは、この考え方の背景にある納税者の事務負担といったようなことも考えながらこういうことが考えられないかという御指摘だと存じますので、一層現行制度のもとにおける徴税の協力関係を進めていきたいというふうに考えております。
#58
○直嶋正行君 今、最後に小川局長が御指摘ありましたように、私は、やはり納税者の負担の問題とかそういうところまで含めてぜひ御検討いただきたいというふうに思います。
 ややもすれば、地方分権との絡みで言いますと、もう地方の方に徴税をしてもらって、国税の人もそっちへ行ってもらってやったらいいんじゃないかという議論もあるんですが、私は、今御指摘あったように法律的にもいろんな問題があると思いますし、むしろプロがきちっと効率よくやるという視点で税の徴収ということを考えた場合には、これはもう効率面だけでございますが、今の国の国税庁を中心にした徴税のあり方を、これは第三者機関になるのかどうかはわかりませんが、何らかのものを考えていく方が案外効率という面ではいいのかなという意見も持っておりますが、この問題ぜひ今後とも御検討をお願いしたいと思います。
 次の問題に移りたいと思います。
 続きまして、所得税のあり方について御質問させていただきたいと思うのでありますが、今回の税制改正は、所得、資産、消費に対するバランスのとれた税制を目指すということで、直間比率の是正を図ったということだと思うのであります。
 しかし、日本の直接税の内容を見ますと、例えば我が国の所得税の対GDP比を見ますと、諸外国に比べるとまだ低いんですね。日本においてはむしろそういうバランスということで申し上げますと、先ほどちょっと議論もございましたが、法人税のウエートが非常に高いわけでございます。これは国だけではなくて、特に国、地方合わせて見た場合にこの傾向が一層著しいわけでございます。
 例えば、主要国との比較で申し上げますと、日本のGDPに対する個人所得税の比率は、これは九三年のデータでございますが、七%強でございます。しかし、ドイツあるいはイタリー等のヨーロッパ諸国でも一〇%を超えていますし、アメリカはもちろん一〇%ということでございます。一方、法人税の方を見ますと、日本の法人税のGDP比を見ますと、これは八九年の数字でありますが七・六%、このときにヨーロッパ諸国あるいはアメリカは大体二%半ばから三%ぐらいの数字でございます。つまり日本は倍以上あるということでございます。
 したがいまして、税ということで素直に考えるなら、むしろ直間比率の問題は所得税の問題ではなくて法人税の問題ではないかなと、このようにも思うわけでございます。そういう意味で言うと、今回の所得税の制度減税は一体どういうことになるのかなというふうに言わざるを得ないと思うのでありますが、この点についてまずいかがでございましょう。
#59
○政府委員(小川是君) 今回の税制改革で所得税についての負担軽減が議論になりましたのは、先ほどもございましたような中堅所得者層の負担の累増感のところ、累進課税をもう少し手直しをする必要があるのではないか、それによって労働意欲、事業意欲に対する活性化といいますか、活力を持ち得るようにすべきではないかということで所得課税の改革が提案されているわけでございます。
 一方、法人税につきましては、これは従来から、我が国の租税負担率が低い時代から、諸外国等における法人所得課税の負担水準がどの程度であるかということで、そのあり方、相互のバランスといったようなところから議論がされてまいりました。我が国の法人税の税収に占めるウエートは、かつては三分の一というような非常に高いところにあったわけでございます。租税負担率が次第に我が国で全体として上がってくるに従いまして、法人税の税収に占めるウエートは下がってきているというのが現状でございます。
 問題は、この法人税の負担の水準のあり方をそれではこのままほっておいていいかという点につきましては、昨年来の税制調査会におきましても、この国際化する中で、特に諸外国が税率を下げているんではないかということが一つ。もう一つは、国内産業の活性化という観点から負担水準、負担のあり方を考えていかなければならないんではないかということで、中長期的には課税ベースを拡大しながら、税率としては下げていくという方向で検討を要するのではないかという指摘を受けているところでございます。今後のそういった角度からの検討課題であろうかと思っております。
#60
○直嶋正行君 一点ちょっと今のお話の中で確認なんですが、今、外国の水準それから経済の活性化ということで課税ベースを広げながら下げていくというお話がありましたが、これは国も地方もどちらもそのようにとらえているというふうに受けとめてよろしゅうございますか。
#61
○政府委員(小川是君) 法人税負担について従来から議論をされておりますときには、地方法人住民税はもとより、事業税が主として利益を課税標準にしているケースが多いものですから、これを合計したところでいわゆる法人の実効税負担ということを議論いたしております。
 ちなみに、直近のところで申し上げますと、いわゆる実効税率は我が国は五〇をちょっと切るところでございますが、国税だけですと三三%程度、地方税が一六%台、合わせて五〇%弱という状況でございます。
#62
○直嶋正行君 それでは、次に所得税の話なんですが、さっき小川局長の御答弁の中でも、中堅所得者層の累増感を是正するために今回の所得税の改正を行ったということなんですが、もう一つ、制度改正の中では課税最低限の引き上げがございます。これを行った理由はどういう理由でございましょうか。
#63
○政府委員(小川是君) 課税最低限の水準につきましては、我が国は改正前は約三百二十七万円でございます。これに対して諸外国はかなり低い水準にございます。そこで、我が国の課税最低限についてはもうこの水準をむしろ引き上げるということは所得税負担のあり方としては避けるべきではないかという御議論が強くなっておりまして、税制調査会でもまさにそういったお考えが大勢でございました。ただしかしながら、この消費税率が引き上げられるときには、やはり低所得者層に対する税制上の配慮という観点からは若干この課税最低限を引き上げるということも考慮を要するのではないかという答申をいただきました。そこで今回は三百二十七万円から三百五十三万円という形で課税最低限の引き上げを御提案している次第でございます。
#64
○直嶋正行君 つまり、今のお話をまとめますと、現在の日本の課税最低限というのは国際的な比較を見ても高いのは事実である、高過ぎる。しかし、消費税の税率アップをお願いするので、いわゆる消費税の逆進性があるということで課税最低限を引き上げる、こういう御理解でよろしゅうございますか。
#65
○政府委員(小川是君) そのとおりでございます。
#66
○直嶋正行君 それで、二つちょっと確認をさせていただきたい点があるわけなんですが、まず一つはこの課税最低限の話なんです。日本の税金というのは金額で決めていますから、物価水準が上がっていけば、比率面で見ると、課税最低限をそのままほっておきますと従来かからなかった層にまで当然税金がかかってくる、社会的な構成比で見ますとそういうことが言えると思うんです。
 それで、今逆進性というお話があったんですが、ちょっと私の手元にデータがあるんですが、例えば昭和五十年度、一九七五年度の水準を課税最低限、物価指数も一〇〇と置いた場合に、現在の物価指数、これは私のデータは一九九三年までしかございませんが、五十年に対して二〇〇・八、課税最低限は二一七・五、この差は実は一七ポイントしかない。これはしかというか、もあるというのかここはちょっとあれですが、この途中経過をずっと見ますと、例えば一九八二年、昭和五十七年でありますが、この時期で見ますと、ちょっと端数は省略して申し上げますが、課税最低限一五六、物価指数は一六一。そして一九八七年、これは実は配偶者特別控除が入った年でございます。このときには課税最低限が一七三、物価指数一七七。それから、途中省略しまして、いわゆる平成元年度、一九八九年の消費税導入時に特に配偶者特別控除が大幅にアップをされまして、課税最低限の指数が二一二、物価の指数が一八三、このときの差が二〇ポイント。
 ですから、何を申し上げたいかといいますと、実は課税最低限は、この抜本改正までは、税制の面で見ますと配偶者特別控除が入るまでは物価上昇に対して後追いであった、後追いであって乖離が出てきたものをこの抜本改正時にかなり改善をした、こういうことが申し上げられると思うんです。
 ですから、このときに確かに逆進性に配慮をしましたということは言えるかと思うのでありますが、しかし今回はどうかというのはなかなかこれは、大蔵省の方は逆進性に配慮して課税最低限を引き上げたんだよ、こういうふうにおっしゃいますが、実際にはこの物価水準の推移から見ると、しかも税の改正というのは必ず数年単位に行われるわけです。毎年やられるわけではありません。こういう点から見ると、果たして本当に逆進性に配慮をしてこれを調整したものかどうか、私はちょっと疑わしいんじゃないかなと思っておるわけであります。
 そういう意味で言いますと、本当は物価水準にスライドさせてこの部分に手を入れたという見方もできるんではないかと思うのでありますが、この点についてはいかがでございましょう。
#67
○政府委員(小川是君) ただいまの点につきましては、かつて昭和三十年代、四十年代におきましては、課税最低限を論じますときに生活のレベルの問題、それから物価の上昇の問題ということが大変大きく議論の対象となっておりました。昭和五十年代以降は、この物価の問題については、物価が上がったから所得税の構造を手直しするというよりは、数年に一度といいますか、ある程度の期間の中で所得税負担のあり方を見直す、その中で課税最低限、控除のあり方を手直ししていく方が税負担を適切に求める形をつくる上で適切であるというふうに議論が進んでまいりました。
 また今回は、さらにそれに加わり、むしろ課税最低限を引き上げることは避けるべきではないか、こういう我が国の経済情勢あるいは負担の状況からすれば、今やそういう状況ではないかというのが税制調査会での御議論でございます。また、先般来のいろいろなところの御議論の中には、むしろ課税最低限を引き下げて納税者の方に広く負担を求めるという考え方があってもいいのではないかというような御議論すらあらわれているというのが実態でございます。
 今回の税制調査会は、そういう意味におきましてはやや歯切れが悪いという面があるかもしれません。課税最低限を引き上げるのは適当ではないと言いながら、一つは、下げるというのはしかし現実的ではないだろうということと、やはり消費税率の引き上げに伴って少額納税者層に対する配慮というもののためにある程度引き上げることもやむを得ないという言い方で答申をいただいておりまして、それなりの配慮が必要ではないかということでございます。
 冒頭の物価との関係で申し上げますならば、こういった議論の展開、あるいは所得税に対する、あるいはその他の税を含めての負担の受けとめ方からいたしますと、必ずしも物価の上昇に合わせて自動的に、あるいはそれとの正確な対比で課税最低限を考えていくというのは今やいかがかなと、長い目で見てそこは対比をしながら進んでいくのが適切な道ではないかと考える次第でございます。
#68
○直嶋正行君 率直に答弁をいただいたと思っていますが、今のお話で二つ私は問題があると思うんですよ。
 一つは、今回の税制改革の中でこの逆進性がある消費税をアップするものですから、低所得者層に配慮して課税最低限を引き上げますと。私はこの言い方は、ですから今の税調等の議論を見ると、本来は下げるべきなんだけれども低所得者層に配慮しなければいけないから少し上げようと、言いかえればこういうことじゃないかと思うんですよ。ですから、逆進性に配慮しましたという部分に関して言えば、私はそんなに大きな声で配慮しましたというふうに言えるものではないんじゃないかというふうに思います。
 それからもう一つは、物価とのお話が今ございました。今御説明あったように三十年代、四十年代というのは大いに議論があったんです、確かにこの物価上昇と課税最低限というのは。これは、当時は非常に物価上昇率が高かったんです。ですから毎年のように議論になったんです。
 しかし、課税最低限を置くということの意味合いは、社会的に見て低所得層の人に対して税を取るのは、あるいはいろんな扶養手当がついているということは、その生活に配慮して課税最低限というのは決められていると思うんですね。ですから、今の局長のように、もう物価とは関係ありませんというものでは私はないと思うんです。絶対に物価とリンクをさせてほしいと申し上げるつもりはありませんが、少なくとも今数字で申し上げたように、長期的に見ると整合性がとれていると、こういうことだと思うんですね。
 ですから私は、今回課税最低限が上がっても、これは長期的に見た整合性の一環だと。したがって、むしろ消費税の持つ逆進性に対する対応ではない、このように受けとめざるを得ないと思うんですが、いかがでございましょう。
#69
○政府委員(小川是君) お答えいたしましたのがあるいは言葉が不十分だったかもしれません。
 課税最低限だけではなく、ブラケットを含めて物価の上昇というものをいつも念頭に置きながらその対応関係を見ていかなければならないというのはそのとお力でございますし、昭和五十年代になっての税制調査会の答申は、毎年それをというよりは、何年かをまとめて今後は見ていくのが適切な負担の求め方をつくれるだろうということでございまして、何の関係も考えなくていいんだということを申し上げたつもりではございません。
 それから、今回も実は今の逆進性の配慮ということにはならないんじゃないかという御指摘ではございますが、税制調査会での議論は、やはり消費税率を上げるからには課税最低限も何がしか配慮をすべきであるという考え方を述べた上で、そうした見直しか先般の抜本改革以降の物価上昇に対応する負担調整にも資するものと考えられるということを答申が言っておりますので、そういう意味合いにおきましては同じ事柄を、今委員がおっしゃったように物価のことは考えないのかというのに対しては、そういう効果も十分考えられるということが述べられているところでございます。
#70
○直嶋正行君 ですから私は、政府税調の議論というのは、前段のさっきの答弁の中でおっしゃった、本当は下げたいぐらいなんだけれども、しかし消費税の税率を上げるからしょうがないかと、少し上げるかというぐらいだと思うんですね。
 私は、政治的に配慮をして逆進性を是正するためにこんなに上げましたというようなところまで言えるかどうかというと、どうも足して二で割ったような話じゃないかなというふうに受けとめざるを得ないわけでございますが、この点は余りこれ以上突っ込んでも建設的な議論にならないかもしれません。ただ、政治的には私はちょっと今回の言い方は問題があるんじゃないかなというふうに思っております。
 それからもう一点、今の所得税に関してでございますが、むしろ私が申し上げたいのはこちらの方なんですが、さっきお話があったとおり、日本の所得税における課税最低限度というのは国際水準から見て高いわけでございます。事実、例えば大蔵省のデータ等を拝見しますと、今勤労者のうち大体一割ぐらいの方がいわゆる無税層といいますか、所得税で言いますと税金を払っていらっしゃらない。本当は所得税というのは応能負担の原則に沿って、これはカーブが累進度が高いかどうかという問題はありますが、いずれにしても応能負担の原則に沿って、どうしても払えない人は別にしまして、やはりできるだけ自分の能力に応じて税を負担していただくというのが私は所得税のいい点だと思うわけであります。
   〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕 
 ところが、消費税を導入しましたときに、さっきもお話し申し上げたように課税最低限をかなり上げていった。そして今回の改正においても引き上げた。こういうことをずっと類推して考えてみますと、これから日本は高齢・少子社会になっていろんな面でお金が従来よりもかかる。税においても、やはり長期的に見ると国民に今以上の負担を求めざるを得ないというのが率直なところだと思うんです。
 そうしますと、私は、消費税というのはそういう中での財源としては非常に重要な財源でありますから反対をするつもりはございません。むしろ、公平にしてきちっとした税にしていくということが大事だと思うのであります。ただ、その消費税を上げるときのやり方の問題がこれから私は問われてくるんじゃないかと思うんですね。つまり、消費税の税率を上げるから常に所得税の方は課税最低限を引き上げて対応していく、逆進性を解消するためですと、こう言いながらですね。
 そうすると、一体これから所得税はどうなってしまうのかなと。一時いろんな説がございましたね。例えばもう消費税中心にして、所得税は例えば一千万以下ぐらい非課税にして消費税を二けたにしてやったらどうだと、こういう議論も一時ございました。私は、さっき申し上げたような趣旨からいいますと、所得税はこれからの日本の税制の中で考えてもやはり基幹的な税でありまして、ここはきちっとした税にしていかなければいけない。そして、むしろそういう意味で言うとできるだけ応能負担原則というのを大事にしながらやっていかなきゃいけないと、こう思うわけでございます。
 そういう点で考えて、これからの所得税についてどのようにお考えを持っておられるか、この点をお聞きしたいわけであります。
#71
○国務大臣(武村正義君) 先ほど来御指摘いただいております御意見は、今後の我が国の所得課税のあり方を考えるときに大変大事な点を指摘いただいているというふうに思っております。
 そもそも課税最低限については税調でもそういう論議が強いところでございますし、政府・与党の中でもそんな議論も出ていたようであります。私も就任した直後に、国民福祉税のときの五・五兆円を改めて見詰め直すとしますと、大まかにそのうち二兆円が課税最低限の引き上げで、三・五兆円が税率緩和であるというふうに聞きましたときに、課税最低限をやめれば三・五兆円で済むなと、ふとこんな発想をしたこともありました。
 しかし、これも御指摘のように、前回の抜本改革もそうでございましたが、一つは減税と消費税の新設ないしは増税、この二回の議論は一体で議論をいたしておりますこともありまして、そのことが理由だとは言いませんが、どうしてもやっぱり逆進性の議論が出てまいりますし、それを緩和するためにこうした措置が肯定されていくということであります。
 逆進性の問題は、確かに所得税の課税最低額の引き上げというふうなところにも一つの論点がありますし、ほかの税目にもそういう問題があるのかもしれません。税制全体の中で見詰めることも大事でありますが、同時に歳出のあり方、本当にお困りの方に対して財政措置としてどういう手を差し伸べていくか、そこにも基本的な場があるわけでございます。そういう全体の中でやはり議論すべきで、そのときどきの税制の仕組みだけでバランスをとろうというふうに考えますと、これからもそういう議論が続いていくということが考えられますので、将来の論議としてはいつも減税と増税と一体ということには必ずしもならないというふうにも思います。
 今回は、今局長が申し上げましたように税調の論議はありましたが、全体の総合的な判断として、逆進性緩和もそれなりに配慮をして一兆円前後の課税最低限の引き上げをさせていただくことになりました。しかし、将来は改めてその問題を所得課税の基本的なあり方として御論議をいただく必要があるのではないかというふうに私も感じております。
#72
○直嶋正行君 今の御答弁で、将来は今の所得課税のあり方ということで考えていくと。したがいまして、今後消費税と所得税減税とをセットでやるというやり方は、今大臣のお答えにもありましたようにやはりもう限界ではないかな、私はこのように思っております。ぜひそういう方向で議論の仕方を変えていただきたいと思うわけであります。
 所得税は所得税、消費税はやはり所得税とは全く性格の違う税金でございますから、私はむしろこれからの政策、今お話にあった国の政策費用なりあるいは行政改革なり、そういうものの中できちっと理解を求めていくべきだと。それから、その点でもう一つ申し上げますと、やはり国民だれもが納得できる公平な、公正な税制にしなければいけない、このことも申し上げておきたいと思います。
 そういう関連で申し上げますと、今回の税制改正というのは、やはりどうしても気になるのはこの見直し条項、附則二十五条なんです。結局は、今議論をしてきました税の制度的な問題は別にしまして、福祉政策とか行財政改革とか、それから今回改正された部分の評価とか、こういうものを含めてすべて大事な部分は先送りというふうになっているわけでありまして、見方によっては消費税の五%の税率もこれは仮置きだと、さっき大臣は答弁の中で今の段階では五%だと、こうおっしゃいましたが、仮置きだと。ですから、この法案が仮に成立をしたとしましても、すぐもう一回また税制改革の議論に入らなければいけないんじゃないかと思うのでありますが、この点についてはいかがでございましょう。
#73
○国務大臣(武村正義君) 今回の改革、特に消費税の改革が仮置きという考え方はとっておりません。これはフレームでもるる御説明を申し上げてまいりましたように、所得減税、それからつなぎ国債償還、そして五千億の福祉財源、こういう基本に立ってしっかり確信的に五%の案をお願い申し上げているつもりでございます。
 しかし、さらにその他の大きな要素について十分詰めができておりません。そのために、約二年間の猶予期間を持ちながら、この法律の見直し規定で掲げておりますような項目について真剣に論議をいただこうという姿勢でございます。
#74
○直嶋正行君 私、さっきの議論とも絡めてもう一つ申し上げたいのは、今大臣の答弁の中で、大きな部分についてまだ結論が出ていないのでこの見直し条項を入れた、こういうふうにおっしゃいましたが、そういうことも含めてきちっと国民に御提示をしなければ、先ほど申し上げたとおり、今回の改正で大臣も、こういう今までのように消費税をアップして所得税を減税していくというようなやり方になるとこれからの日本の税体系はやっぱりゆがんでしまうなと、ゆがむとはおっしゃいませんでしたが、問題を残すというふうにおっしゃいました。私は、なぜそういう議論になるのかということを考えますと、どうしても目先の要するに増減税がどうなるかというところについ目が行ってしまうからだと思うんですね。
 本当は、今やらなければいけない税制改革というのはそうではなくて、税自体の公平さはもちろん追求しなければいけませんが、これからの必要な国の政策とか、あるいは財政需要が膨大になるわけでございますから、その中で政府みずから努力をしてこれだけスリムにしますというような、やはり政策とつなげて税が議論をされないとますますこういうゆがんだ方向に行ってしまう危険性が非常に強いと思うわけであります。今大事なことは、私はその点じゃないかと思うわけです。
 ですから、さっき仮置きというちょっと失礼な言い方をしましたが、言いかえれば、大臣が答弁の中でおっしゃったように、非常に大きな部分について、本当は国民が一番知りたいのはそこなんですよ。それと負担がどうなるのかというのを国民は一番知りたいんです。そこは出ずに、残念ながら今回の政府の法案というのは出てしまった。僕はそこに大きな問題があるんじゃないかな、こう思うわけでございますが、いかがでございましょう。
#75
○国務大臣(武村正義君) 大きな問題ということでありますが、御指摘いただいているように、日本の福祉がこれからどうなっていくのか、そのためにはどの程度のお金が必要になるのか、国民にどういう御負担をいただいたらいいのかということが大変大事な問題ですし、国民の皆さんの最大の関心事でもあります。その論議はさらにこの見直し規定の目標期間までに真剣に続けていこうということでありますから、きょう現在、この改革案を提案しております時点におきましてはまだ見えておりません。そういう意味で問題があるとおっしゃるなら、そのとおりであります。
 また、行財政改革につきましても、一体どの程度歳出の面でむだが省けるのか、あるいはたとえ必要であっても優先順位からいって経費を削減できるのか、そこが見えておりません。今日までもさまざまな努力はしてきているわけで、それなりの成果も上げているわけでありますが、何もやっていないという意味ではありませんが、しかしこの時期に改めて行財政改革を真剣に進めていこうといたしますときに、その具体的な数字というものは見えておりません。そういう意味でそこが問題だとおっしゃるなら、そのとおりであります。
 なぜこうなのかというところは、ぜひ御理解いただきたいと思いますのは、これは国民福祉税のときもそうでございました。あのときも今と基本的にはスタンスは一緒でございます。福祉の展望、行財政改革を詰めないで七%を決めました。その後、私ども与党におりましたが、税制協議会をつくり真剣に議論を進めておりましたが、それでもそこの締まった数字は合意できないままに村山政権が受け継いております。
 そういう中で、いささか弁解する感じもありますが、この秋に実現という目標を貫くために、私どもは今回は五%で一体処理をさせていただきます、しかし見直し条項を置いて、その問題については引き続き真剣に詰めていきますという税制改革の考え方を整理させていただいたところでございます。
 見直し条項にあることがなぜ今きちっとできなかったんだと、それはおかしいじゃないかという御批判をたびたび受けるわけでございますが、その御批判は甘んじて受けなければならない。しかし、事がそれだけ大きい問題でありますから、一カ月、二カ月でぽんぽんと数字を決めて出して果たしてよかったかどうか、そのことで国民の皆さんが御納得いただけるだろうかということを考えますと、この問題には国民合意をいただくということも含めて少し時間をかけながらさらに真剣に取り組んでいくという姿勢は、むしろ正しい整理の仕方であるというふうに思ってこの法案を御提案させていただいている次第でございます。
#76
○直嶋正行君 私は、今大臣が御説明になった背景とか事情はわからぬわけではございません。それから、確かに大きな問題だからもう少し時間がかかるということもおっしゃるとおりだと思います。
 しかし、この税を判断するときに、国民の皆さんが今回の税制改正を判断するときに一番大事な知りたいことが実はその部分じゃないかと思うんですよ。細かい税制がどうこうというよりも、世論調査なんかを見ましても、今必要なものはやっぱり負担せざるを得ない、納得できるものは負担するという方は結構ふえているんですよ。それは、皆さんこれからの社会というのはどういう社会かというのはある程度ぼんやりとは理解が深まってきているんじゃないかと思うんです。ですから、私はそういう状況下で考えれば、実は一番大事な必要なものを出していないな、国民の皆さんに御提示をされていないなというふうに思わざるを得ないわけであります。
 したがいまして、この政府案ができてもすぐ議論しなければいけないんじゃないかなと、さっきもこういうふうに申し上げましたが、やっぱりそういう状況から考えますと、もっと早くぜひきちっと議論をしなければいけない。私ども、衆議院ではここ一年以内にやるべきだと、こういうふうに申し上げましたが、今ここで一年がいいか二年がいいかという論争をするつもりはございませんが、今のこういう情勢を踏まえますと、やっぱり早くやるべきだと。ただ、拙速になって中途半端なものになってはという御心配があると思うのでありますが、私は早く議論することが求められているんではないかなと、こう思うわけでございます。
 よろしくお願いをしたいと思いますが、いかがでございましょう。
#77
○国務大臣(武村正義君) 平成八年の九月三十日という日時を規定いたしておりますのは、消費税のこの法案を通していただいたとして、施行がそれから半年後の九年の四月一日でございます。逆に言えば、その九年の四月一日からさかのぼって半年前という目標をこういう日時で表現させていただいているところでございます。それは、ここまで絶対かかる、二年間は絶対必要という意味で設定しているわけではありません。最大限この時期までにという意味で理解していただいても私はいいと思うのであります。
 確かに多くの国民の皆さんは、本当に福祉が一体どうなるのかしっかり示してほしいという期待を持っていただいておりますし、そういう福祉のためならある程度の負担はやむを得ないと明確におっしゃっていただく国民の皆さんも、私なんか地元へ帰りましてもそういう声が少なくないということを肌で感じております。
 しかし片方、今の歳出の面からいって、政治や行政のあり方に対しても大変厳しい批判の目を持っておられる方が大変多いわけでございまして、そこをしっかりせよということであります。もちろん消費税率が上がることに対しては、いいか悪いかといえば、もうほとんどの国民の皆さんが上げてほしくないという気持ちがまずあります。しかし、上げることは反対だが、そういう目的ならやむを得ないかなという、渋々そういう御理解だと私は思っておりまして、大変国民の皆さんの目は厳しいと。
 安易にこの問題を論議してはいけないという思いもある中で、この規定が、各般の抑える要素、ふやす要素、両面ございますが、各般の要素を真剣に、この期間を目標にしながら真剣に詰めていただくということを期待してこの見直し条項が設けられているということだと思っておる次第でございます。
#78
○直嶋正行君 残り時間がもう余りございませんので、あと少し確認をさせていただきたいと思いますが、次は公共事業費について確認をさせていただきたいと思うわけであります。
 昨年、建設省の公共工事積算手法評価委員会報告書というのが出まして、日本の公共事業は海外と比較して極めて高いと、簡単に言いますとこういう報告書が出ております。確かに、国土とか気象事情とか、建設で言えばそういう問題があるかと思いますが、どうも巷間言われていますところによると、日本の公共事業はやはりどう見でもお金がかかり過ぎるんじゃないか。今の大臣のお話の中でも行政改革のお話がありましたが、私はこの行政改革というのはやはり財政にもつながってこないといけない、こう思うわけでございます。
 そういう点で一つお聞きしたいのは、公共事業のこれからのあり方について、大蔵省としては予算の査定等できちっとチェックをしてきましたと、こういうふうにおっしゃるかもしれませんが、私は、むしろこういう状況ですから、事業量はふやしてもいいがトータルの価格は抑制をする、これは今民間企業は皆やっていることでありますから、やっぱりそういう視点が大事だと思うんです。
 ですから、例えば予算編成で言いますと、公共投資何%増、こういう話ではなくて、そこに必ず事業量がくっついてくる。事業量は一〇%伸ばします、金額は四%ですと、やっぱりこれがなければいけないと思うのでありますが、こういう面での努力をぜひやっていくべきだと思いますが、この点についていかがでございましょう。
#79
○政府委員(伏屋和彦君) お答え申し上げます。
 今、委員御指摘のように、昨年建設省の委員会におきまして、公共事業費の建設費につきまして、米国と比較しますと工事費総額は我が国が約三割高いという報告があることは御指摘のとおりでございます。
 ただ、報告書はその前段で、これは公共事業だけではなくて、我が国のほとんどの財やサービスがいずれもアメリカに比べまして三割から二倍程度高い傾向にあるという指摘もしておるわけでございます。
 今、委員がまさに言われましたように、公共事業の建設費が国によって異なりますのは、地形、地質、地震などのような自然条件と、安全とか環境対策等のような社会的条件、それから今ありました諸物価の水準、これらが国によっていろいろ異なることによるところが大きいわけでございます。
 しかしながら、まさに御指摘のように、これから社会資本整備を進めていくに当たっては、やはり財政資金の効率的使用を図る観点から公共事業に係るコストの軽減を図ることは極めて重要でございます。先般策定されました公共投資基本計画におきましても、建設コストの低減ということが課題の一つとして掲げられているわけでございます。
 したがって、一つ申し上げますのは、この公共事業に係る内外価格差でございますが、できる限りコストの低減に努めて内外価格差を極力縮小する努力を払う必要があるということで、既に本年五月、建設省の中に内外価格差検討委員会が設けられておりまして、縮減方策、実態等について鋭意検討が進められております。
 御指摘のように、財政当局としても、建設省を初めといたします関係省庁とともに、公共事業のコスト軽減に引き続き努力していかなければならないと考えております。
#80
○直嶋正行君 最後に大臣に伺いたいんですが、今私が申し上げたような、いわゆる金額目標だけではなくて事業量とのかかわりでどうするか、最近はやりの言葉で数値目標かもしれませんが、こういうことはぜひ掲げていただきたいと思うのであります。これの見解と、大臣も以前野党時代に衆議院の代表質問におきまして、行革なくして税制改革なし、こういうふうに名言を吐かれております。この点も含めてぜひ行政改革に力を入れていただきたいと思うわけであります。
 そういう点からいいますと、やはり大蔵省としては財政面での支出の削減に最大限の努力をされるべきじゃないか、このように思っております。
 そういうことへの取り組みも含めて、最後にお伺いをしたいと思います。
#81
○国務大臣(武村正義君) 公共事業につきましては、政府の行革の方針におきましてもコスト削減をうたっておりますし、公共投資基本計画でもその方針を出しておるところでございます。先ほど申し上げた入札制度のあり方もございますし、さまざまな角度からこの内外価格差を縮小する方向で、日本の建設コストを少しでも効率的に削減をする方向で努力をしていかなければいけないと思います。こういう厳しい財政状況でございますから、事業費は変えないで建設コストが下がることによって事業効果が高まるというぐあいにいけば大蔵大臣としては一番いいなとも思っているところでございます。
 なお、行革全体については先ほど来お答えをしているとおりでございます。特に、財政担当の大臣としましては、間もなく山場を迎えます予算編成も含めて、真剣にあらゆる制度を精査しながら、チェックをしながら、各方面と御相談をしていきたいと思っております。議員各位におかれましても、ぜひ御理解と御協力をお願い申し上げる次第でございます。
#82
○直嶋正行君 終わります。
#83
○委員長(西田吉宏君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。
   午後零時二十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十二分開会
#84
○委員長(西田吉宏君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、佐藤泰三君が委員を辞任され、その補欠として太田豊秋君が選任されました。
#85
○委員長(西田吉宏君) 休憩前に引き続き、所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の施行等による租税収入の減少を補うための平成六年度から平成八年度までの公債の発行の特例等に関する法律案、所得税法及び消費税法の一部を改正する法律案及び平成七年分所得税の特別減税のための臨時措置法案の三案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#86
○牛嶋正君 私は、一昨日二十二日の質疑におきましては、今回の税制改革の三つの理念を取り上げて、それと関連いたしまして具体的な税制改革との関連をお尋ねしてまいりました。
 その三つの理念をもう一度繰り返させていただきますと、一つは、社会の構成員が広く負担を分かち合う税制を確立するという理念であります。いま一つは、中堅所得者の税負担の累増感の緩和でありました。そして三つ目は、所得、資産、消費に対する課税のバランスのとれた税制を確立するという方向だったと思います。
 この前、百分の時間をいただいたんですけれども、途中で時間が参りまして十分な質問ができませんでした。きょうはこの前できなかった部分を中心にさらに御議論をさせていただきたい、こんなふうに思っております。
 したがって、三番目の所得、資産、消費に対する課税のバランスのとれた税制を確立するというこの理念に関連いたしまして、きょうは法人税の問題を中心に少し御議論をさせていただきたい、こんなふうに思っております。
 これまでは直間比率の是正という議論がなされてまいりました。ある意味ではこの直間比率の議論も私は税制のバランス論ではないかというふうに思います。すなわち、直接税に偏らず、また間接税に偏らず、直接税と間接税がバランスのとれた税制を目指していくというふうな議論であったかと思います。
 ただ、この前も議論させていただきましたように、客観的に見て最も望ましい直間比率というのはないわけでございます。したがって、幾つかの税目で税制を構成していきますけれども、結果的に直間比率というものがそれぞれの国においてある一定の水準をとるというふうにみなすことができます。同じように、所得それから資産、消費に対する課税のバランス論におきましても同じようなことが言えるのではないか。
 今回は税源に課税税目の分類基準を求められまして、資産それから所得、消費、こういうふうに三分類されました。それじゃ、その三分類された三つの課税目、これがどういうふうにバランスしたら最も望ましいのか、このバランスの三税目の構成がどういうふうにあるべきかということについては、客観的な基準はないのではないかというふうに私は思います。ただ、言えることは、今の我が国の税制を見た場合に、どうも所得課税に偏っていると。ですから、もう少し資産課税あるいは消費課税の方にウエートを移すべきだというふうな方向を示すことはできると思います。
 このバランス論の問題で、納税者から見るとちょっとわかりにくい点があるわけであります。なぜバランスをとらなければならないのか、そしてそのバランスがとられることによって自分たちにどういうふうなメリットがあるのかというところがもう一つはっきりしない。今回のバランス論で、何を目的にして、何を目指してバランス論を展開されているのか、この点をまずお聞きしたいと思います。大蔵大臣、お願いいたします。
#87
○国務大臣(武村正義君) 直間比率と所得、消費、資産、両面で御指摘がございましたが、バランスという言葉を使っておりますが、先生御指摘のとおり、一定の明確な数字を目標にして申し上げているわけではありません。まさにその国の、そのときのさまざまな状況によって数字は結果として決まってくるというふうに思っております。
 ただ、税の特色として、所得課税と消費課税で議論がありますように、単純に垂直的公平、水平的公平だけで申し上げるつもりはありませんが、所得課税の特色、消費課税の特色あるいは資産課税の特色というものを頭に置きながら、このミックスによって国民全体の合理的な負担の仕組みを目指していきたい。
 一人の国民から見ましても、所得を稼ぎ、消費を行い、かつまた資産を保有しているというさまざまな側面があるわけでございまして、そういう国民一人の立場から見てもさまざまな税がそういった経済行為にかかわってきて、まさにそれが公平で納得のいただくかかわりとして存在することが一番望ましいと。
 ある側面だけぐっと強調されて課税をされると、納得がいかない、公平でないという不満が出る可能性がありますから、経済行為のさまざまな側面にそれなりの課税が行われて、総合判断で御納得がいただきやすい方向を目指していくべきというふうに思います。その中に所得、消費、資産のバランスという言葉を置いて考えてみたいというふうに思っております、
#88
○牛嶋正君 私も今大蔵大臣がおっしゃいましたようなことを考えているわけですけれども、このバランス論の中に私は課税点をできるだけ所得とかあるいは資産、消費に分散させるということがあるんじゃないかと思います。
 それは、今大蔵大臣はそのことが税制全体を見た場合に公平性が確保しやすいというふうなことをおっしゃいました。私は、そういう面もありますけれども、もう一つ個々の納税者から見ますと、課税点がそういうふうに分散することによって、全体として一定の税負担を負うにいたしましても、税負担感と申しますか、これが非常に軽減される、和らげられるというふうな面があるのではないかと思うんですね。むしろ、私はこれからの税制を考えていく場合に、だんだん負担が重くなってくるわけですから、ですから国民に負担を求めるに当たりましてもできるだけ税制をバランスよくして、そして国民が受ける税負担感をできるだけ和らげていく、こういうことが非常に大切ではないかというふうに思うわけですが、この考え方はいかがでしょうか。
#89
○国務大臣(武村正義君) 同感でございます。
#90
○牛嶋正君 そこで、税制全体で納税者に与える税負担感を和らげていく、その一つとして今指摘いたしました課税点をできるだけ分散させるということがあると思うんですが、私はもう一つ重要な要素があるように思うのであります。
 税というのは、企業に課税されても結局は個人に最終的には帰着していくわけであります。そうしますと、個人の納税者の立場から見ると、どこで税がかけられるか、これを課税点と今呼ばせていただきたいと思います。そしてもう一つは、最終的に自分のところに税がおりてくる、これを税負担の帰着点と、これは租税論でそういうふうに呼んでおります。そうしますと、その課税点と税負担の帰着点、これが一定の距離を持ちますと、同じ税負担を負うにいたしましても個人はその税負担感というのは和らげられるわけであります。
 一つの例で申しますと酒税であります。酒税は庫出税でございますから出荷の段階で課税されます。これが課税点であります。しかし、税負担はどこに帰着していくかというと、そのお酒を買って消費する消費者ですね、お酒を飲む人が飲んだときに税負担を負うわけです。これが帰着点であります。そうしますと、酒税の場合には課税点と帰着点との間に転嫁という一定の空間的な時間的な距離が生じます。この距離が負担感を和らげているというふうに考えたいわけであります。そうしますと、課税点と帰着点が一致している税がございます。これがいわゆる直接税といいますか、所得税などはそうであります。言うならば個人に直接課税される税がそうなんであります。
 ところが、企業に対して課税されるのは、今申しましたように課税点と帰着点が一定の距離を持つわけであります。そういたしますと、税全体で国民に、納税者に与える税負担感をできるだけ和らげようとするならば、私は、所得、資産、消費というふうな間のバランス論もあるでしょうけれども、もう一つ個人に対する説とそれから企業に対する税、いわゆる個人課税と企業課税の間のバランス論もあるんじゃないかというふうに思いますけれども、この考えについて大蔵大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
#91
○政府委員(小川是君) ただいまの御指摘は、私ども税を考えておりますのを多分整理するとそういうことを背後に持っているのかなと思って承っておりました。とりわけ、税は最終的に自然人である個人に負担は帰着するということを十分考えて税を仕組まなければいけないと存じますし、その場合の個人というのは、当然のことながら生活人としての個人のところをとらえて言っておられるのであり、法人というのは生産活動を営むレベルというところでおっしゃっておられるんだろうと思って承っておりました。
#92
○牛嶋正君 そういうことで、個人課税と企業課税、この間のバランス論を議論するために、今の我が国の税制はどうなっているのか、諸外国はどうなっているのかというふうな数字をちょっと申し上げたいと思います。
 がしかし、その前に、それじゃ今までの直間比率の議論とそう変わらないじゃないか、私の今の企業課税とそれから個人課税の間のバランス論は直間比率の議論と変わらないじゃないかということですが、一つそこで大きな違いがございます。それは法人税の取り扱いでございます。これまでは法人税は直間比率の場合には直接税の中に含まれておりました。それからまた、今の理念の中にあります所得、資産、消費の間のバランス論では、所得の中に法人税が含まれているというふうに考えていいのかなと思います。しかし、私の今の新しいバランス論では、企業課税対個人課税の間のバランス論でございますので、当然ながら法人税が企業課税の部類に入るわけであります。
 そういうことで、ひとつ数字を申し上げさせていただきますと、平成四年度の数字に基づいて申し上げますと、我が国は個人課税が四七%、そして企業課税が五三%です。アメリカは個人課税が七五%で企業課税が二五%、イギリスが個人課税が四八%で企業課税が五二%、ドイツが個人課税が四五%で企業課税が五五%、フランスは個人課税が三〇%で企業課税が七〇%であります。
 そうしますと、我が国の今の税制というのはドイツとイギリスと非常によく似ているわけであります。言うならば私はある程度バランスのとれた税制ではないかなというふうに思うわけですけれども、こういった数字を申し上げまして、もし大蔵大臣、御感想がありましたらお聞かせ願いたいわけでございます。
#93
○政府委員(小川是君) 今の数字は初めて承りましたんですけれども、おっしゃっておられる個人、企業というのは、例えば間接税のように納税義務者が企業になっているものは企業ということで計算をされておられるのだろうと存じます。そういたしますと、法人税及びそのほかにいわゆる間接税、消費者に負担が転嫁されることを予定して生産段階あるいは流通段階で課されている税というのはおおむね企業の負担だということになると存じますので、その意味ではフランスの場合には企業のウエートが非常に高くなると。イギリス、ドイツは中庸であり、アメリカは、小売売上税がございますけれども、そのウエートは必ずしもそう大きくないという状況を反映しているのかと思って承った次第でございます一
 それ以上のところ、今承っただけでこれをどう受けとめたらいいか、追加的な考えはちょっと浮かびません。
#94
○牛嶋正君 私、最初に申しましたように、要するところ税負担感ということで、できるだけこれからの税制は納税者全体が受ける税負担感を、同じ税負担を負うにいたしましても和らげていかなければならないというふうな観点で議論をさせていただいております。
 ですから、個人課税と申しますのは、もう一度申しますと、その課税点と帰着点、これが一致している税であるというふうにお考えいただきますと、かなり個人課税は同じ税負担でも重く税負担感が出てくるのではないか。それに対して、企業課税と私が申しておりますのは、課税点と帰着点の間に距離が入ってまいります、空間的時間的な距離が。したがって、負担感が同じ税負担でも和らげられるのではないか、こういうふうに考えるわけであります。
   〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕
  ですから私は、今の我が国の少なくとも個人課税と企業課税、先ほど申しました四八%と五二%というふうな数字はこれは維持していかなければならない、できればもう少し企業課税のウエートを高めた方がいいのではないかというふうに思っております。必ずしもフランス型まで行けとは申しませんけれども。そうでないと、租税負担率がどんどん高まっていくに当たって、やっぱり反税運動といいますか、増税は反対というような議論がいつも展開されていくのではないかというふうに思うわけであります。
 今の個人課税と企業課税の比率を維持していく場合に一つ問題が出てきているわけです。それは法人税の税収全体における構成比がだんだん落ちてきているということであります。もう御承知だと思いますけれども、皆さんに知っていただくために申し上げますと、昭和六十三年度、これはバブルのときでしたけれども、法人税は国税全体の中の三五・三%を占めておりました。それが平成元年には三三・二%、平成二年は二九・三%、平成三年は二六・三%、平成四年は二三・九%、平成五年の補正後予算ではこれが二三%、こういうふうにだだっと落ちてきているわけであります。これでいきますとだんだん企業課税のウエートが落ちてまいります。そうしますと、このままでいきますと、私は、ほっておけば全体の税負担額が変わらなくても納税者の受ける負担感はだんだん大きくなるのではないかということを心配するわけでございます。
 そうだといたしますと、従来の税制改革では、今回もそうですけれども、消費税の税率を引き上げる、これは企業課税のウエートを高めることになります。いつでもこれは所得税減税と結びつけて行われるわけです。私は、今申しましたように、考えなければならないことは企業課税のところで法人税の税収構成比がだんだん落ちてきているということです。
 これを考えますと、企業課税の一定の割合を維持していくためには、所得税の税率引き上げと法人税とを一緒に考える、この二つを結びつけて考えていかなければならないのではないか、こんなふうに思っておりますけれども、これについて大蔵大臣のちょっとお考えをお聞きしたいと思います。
#95
○政府委員(小川是君) ただいまの点につきましては、企業を納税者として、いわば税金を集める主体として経済全体の中での位置づけをある程度の水準に持っておいてはどうかという御指摘でございます。その中にはやはり二つの別の問題があるように承りました。
 一つは法人税収の問題でございますが、たびたび申し上げておりますように、我が国の法人の所得にかかる税負担は、戦後相当古くから国際的な水準に大きくかけ離れたものではないレベルで課税が行われておりました。また、高度経済成長の過程におきましては、法人の分配所得も全体の中でかなり順調に伸びるということもございました。
 もう一点、全体としての租税負担率、国民所得に対する租税負担率はかなり低位でございました。その結果としまして、税収の中に占める法人税収のウエートは、法人税の負担水準が国際水準並みであったということ、租税負担率が低いということから結果的にかなり高い水準にございました。それが三〇%を超えるような水準で昭和四十年代から五十年代もきていた理由でございます。六十年代に入りまして成長率が次第に低くなってくる、片方で租税負担率が全体として上がってくる過程で、法人税収の税収に占めるウエートは次第に下がってまいりました。
 今御指摘がありました昭和六十年代から平成に入りましてのいわゆるバブル期におきましては、法人の所得が経済活動以外のバブル収益に乗って、土地の譲渡あるいは有価証券の譲渡にかかる税、これが経済活動以上にございましたので、なお法人税収のウエートが高かったのは事実でございます。しかし、これは実体的な経済活動とはややかけ離れたものでございました。それが現在剥落して二〇%台になってきているということであると存じます。
 したがいまして、この国税の税収に占める法人税収のウエートをある程度に高めておくということは、経済のこれまでの経過、あるいは今後見通されるところからいたしまして、それを高めようとすれば税率を引き上げるということでございますから、極めて難しい問題であろうかと思います。
 いま一点、それはそうだとすれば、いよいよ企業に税を集めてもらうという役割を期待する必要があるのではないかということでございます。
 企業が税を集める役割のところはいろいろのところでございますが、この場合は、やはりその税を例えば今回の消費税のように、その他の間接税のように適切に仕組み、かつその転嫁を社会的にも制度的にもできるだけ受け入れられやすい形にいたしませんと、やはり納税者になっているのは企業でございます。したがいまして、その企業が確実にそれを先の方から転嫁をして、負担をしていただくということがありませんとみずからの負担になる。みずからの負担になるというのはどういう意味なのかということが次の問題であろうかと存じますけれども、しかし、やはり転嫁をきちっとした形で間接税の方は仕組んでおかないと、法人税と同じように考えるわけにはいかないんだろうと、このように思うわけでございます。
#96
○牛嶋正君 今、局長から御説明がありましたが、私自身もシャウプ税制以降の法人税の税制における位置づけをちょっとたどってみたわけですけれども、シャウプ税制の改革が行われました昭和二十五年はまだ法人税の国税におけるシェアというのは一四・七%でした。これが昭和三十年には二〇・五まで上がってまいります。しかし、先ほどおっしゃいました三〇%という、大体税収全体の三分の一ぐらいのウエートを占めるようになるのはやっぱり高度成長期が始まる昭和三十五年からでございます。
 その三十五年から以降、少し五年置きでちょっと見てみますと、三十五年が三一・八%、それから四十年が二八・三%、四十五年が三三%、そして五十年が二八・五%、五十五年が三一・五%、六十年が三〇・七%と、いわば大体三〇%を中心にいたしまして一、二%の幅で、少し変動はありますけれどもほぼ三〇%のウエートは維持されてきた、こういうふうにみなすことができるのではないかと思います。
 しかも、今局長が御指摘になりましたように、これは我が国の経済発展と非常に密接に関連していることは言うまでもございません。ですから、この一定の比率を維持するために実は税率の方がどういうふうに動いてきたのかということを見ますと、やっぱり高度成長のときにはむしろ税率はどんどん下がっていくわけであります。昭和二十七年に税率が四二%に設定されております。これはその当時の国際比較ではそんなに高くもなく低くもない数字であったかと思います。
 しかし、高度成長が始まります三十五年以降、どんどん課税ベースでありますところの企業所得がふえてまいりますから、税の自然増収が大変な伸びを示します。そのかなりの部分が減税に向けられるわけですけれども、したがって法人税の税率の方もだんだん減少をしてまいります。四十一年をとってみますと、このときにはまだ留保分と配当分が分かれておりましたが、基本税率で申しますと、留保分が三五%、それから配当分が二六%でした。今彼に配当率を三〇%として計算いたしますと、実効税率は三二・三%になります。これが一番最低だったと思います。そのときはまだ経済はぐっと伸びておりましたから、こういうふうに税率を下げても税収は伸びてくれたわけでございます。
 ところが、二回のオイルショックを経て経済の停滞が始まってまいりますと、一たん下げた税率を今度は引き上げながら結局増収を図って一定の水準、先ほど言いました三〇%の水準が維持されていくわけです。したがって、四十九年には先ほど申しました三五%の留保分に対する税が四〇%になりますし、それから配当分に対する二六%の税率は二八%にもなります。そして、最高になるのが昭和五十九年です。これが留保分に対しましては四三・三%、それから配当に対しましては三三・三%、先ほどと同じような計算をいたしますと、実効税率が四〇・三%にもなる。こういうふうに引き上げられながら税収の中での構成比が維持されてきたのではないか、こういうふうに思うわけであります。
 こういうふうに見てまいりますと、これまでの我が国の税制、これは国際比較をいたしますと法人税の構成比が突出しているわけですけれども、これを国内だけで、我が国の税制だけで見ますと、私はこれまでの我が国の税制というのは法人税依存体質の税制であったんではないかと、こういうふうな解釈をしているわけですけれども、これについて大蔵大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
#97
○政府委員(小川是君) ただいま委員が計数で御指摘がありましたとおり、かつての我が国の税収構造の中で法人税が大変大きなウエートを占めており、したがいまして財政運営を考えますときにこの法人税の動向というものをしっかりと見詰めておかなければならない、かつそれに相当程度依存をしてきたというのはそのとおり事実でございます。
#98
○牛嶋正君 この依存体質がいつできたかですが、私はやっぱり高度成長期にこういう体質ができたんではないかというふうに思っております。そして、先ほど申しましたように、低成長あるいは安定成長に移行いたしましても一定の構成比を維持するために税率が引き上げられてきて、そして現在、ですから国際的に比較いたしますとかなりトップの高い方の水準に達している、こういうことではないかと思うんですね。
 先ほど申しました企業課税のウエートをこれから維持しようとするならば、一つは消費税率の引き上げはあるでしょうけれども、やはり注目しておかなければならないのはこの法人税の推移であります。私は、経済が発展していくときには法人税というのは非常に頼もしい、大変頼もしい税だというふうに思いますけれども、経済が停滞し、そしてまた安定成長に移行いたしますと、いろいろなやっぱりそれに付随した問題が出てきているように思うわけであります。私はそれを法人税依存体質のツケだというふうに今見ております。
 私なりにそのツケがどういうふうな形で今あらわれようとしているのかということで五つほどにまとめてみました。五つのツケというふうに呼びたいわけですけれども、このツケをどういうふうに解釈するかがいろいろあると思いますけれども、きょうはこのツケ、五つ申し上げますが、これは大蔵大臣あるいは主税局長のコメントだけでいいと思います、コメントをいただきたい、こういうふうに思うわけです。
 最初の第一番目のツケですけれども、高度成長のときに、今も申しましたように法人税の税の自然増収というのは非常に大きかったと思うんです。この自然増収というのはよく財政配当なんていうふうな呼び方をしているんですけれども、その財政配当をどういうふうに使っていくかが一つ問題になりますけれども、どういう使い方をしたかといいますと、一つは先ほど申しましたように法人税の減税を行った、税率を下げていったということが一つあります。
 それからもう一つは、そのかなりの部分を所得税減税に振り向けているわけであります。それが減税に振り向けられているときはよかったのでありますけれども、そのうちに、納税者の意識といたしましては税制改正は必ず減税によって行われるものだという意識をみんなが持ち始めたんじゃないかと思います。これが私は第一番目のツケなんです。今になってこれが非常に響いてきているわけです。ですから、消費税の引き上げを行うにしても一方で所得税の減税をやらなきゃいけない、組み合わせでいかなきゃいけないわけです。私は、このツケを早く解消しなければこれからのきちっとした税制はつくられないというふうに思いますけれども、これについてまず大蔵大臣のお考えをお聞きします。
#99
○政府委員(小川是君) 確かに、この法人税のもたらします税収の増加、それと同時に高度成長期における個人所得の増加による税収の増加は、それぞれ法人税率の引き下げあるいは所得税の減税という形で昭和三十年代から四十年代にかけて国民経済あるいは生活に還元された。したがって、税制改正が四十年代を通じまして減税の方向でほとんど改正が行われていたということも事実でございますし、五十年代以降になりましてからはそれまでの毎年のように行われていた減税がさすがにできなくなりまして、数年に一度所得税の姿、あり方がこれでいいかという形で行われてまいりました。
 いま一点、税制改正で行われましたのは、増収を伴う改正というのは、どちらかといいますと、新税の創設でおわかりいただけますように、消費税以前におきましては目的税的な税の創設でしか受け入れられにくかった、あるいはその必要性が乏しかったということも、これまた事実でございます。
#100
○牛嶋正君 二番目のツケは、法人税というのは企業所得と申しますか利潤が課税ベースになっております。ですから非常に景気に左右されやすいわけです。ですから、非常に伸長性に富むわけですけれども一方で非常に変動的である。このことが今の財政運営を非常に難しくしているかなり大きな原因になっていたのではないかというふうに思います。もちろん、バブルのときにはこれまで発行してまいりました赤字国債を解消することはできました。しかし、これまでの赤字国債を発行しなければならなくなった事態、これを振り返ってみますと、やっぱり法人税の大きな落ち込みがあったわけであります。そして、このことはこれからも何か続いていくような気がいたします。
 私が二番目のツケと申しますのはこのことでございまして、今そのツケが財政運営を非常に難しくしているという形で出てきているのではないかと思いますけれども、これは主税局長にお願いいたします。
#101
○政府委員(小川是君) 法人の収益が景気に極めて大きく振れるというのはそのとおりだと思います。したがって、税収の見通しが見積もりをいたしまして狂う一番の理由は法人税が大きく変動するところでございます。そのことは財政運営の困難性をもたらすことはもちろんでございます。同時にまた、非常に長い目で見ますと、法人税というのは経済との関係で安定した税収をもたらしてくれると、これもまたそのとおりだろうと思います。
 したがいまして、御指摘になっておられるのは、法人税収の見積もり、つまり経済をどう見込むかということと法人税をどう見込むかというところにいつも慎重でなければならない。とりわけ高度成長期から安定成長期へ向けて成長率が次第に緩やかに下降していくところにおいてそのことは難しさをもたらしているというふうに考えられます。恐らくは、極めて低い成長率の経済の中になってまいりますと、同じ景気変動で難しさはあるにいたしましても、法人税収の期待値というものが従来よりは幅が狭いところに入ってきてくれるのではないかと、このように思っている次第でございます。
#102
○牛嶋正君 それに関連いたしましてまたいつか財政計画の問題を御議論したいと思っておりますが、きょうはちょっと時間がございませんので、三番目のツケの方に参らせていただきます。
 法人税につきましては、その税負担が最終的にどこに帰着するのかという議論がございます。古典的な考え方ではこれは株主に全部帰着するというふうな考え方ですけれども、その場合には転嫁がないという。しかし、いろいろな実証分析をやってまいりますと、私もこれにつきましてはいろんな分析をやっておりますけれども、完全転嫁はないにしても部分的な転嫁はあるというふうに見られております。その場合には自分が取り扱っている商品の価格の中にそれを含めて消費者に転嫁するわけですから、いわばその場合には法人税でありながら性格的には売上税と同じ性格を持つことになるわけであります。
 どれぐらい転嫁できるのか、これは経済の情勢によるわけでありまして、市場が売り手市場の場合にはやっぱり転嫁しやすいわけですね。ですから、今まで割合我が国の市場というのは売り手市場であったというふうに私解釈しておりますので、かなりの部分が転嫁されてきたのではないかと。
 もう一つ、法人企業はやっぱり収益を確保するために合理化を進めます。生産効率を高めることによって税負担をそこに吸収するという部分もあったと思います。しかし、転嫁された部分については今申しましたように価格の中に含まれるわけですから、価格をどうしても引き上げます。すべてとは言いませんけれども、今の内外価格差のかなりの部分は、私は法人税がかなり高い水準で今徴収されている、課税されているということと関連しているように思うのであります。
 もちろん、これを断定するためにはもう少し厳密な分析を行いまして転嫁の状況を把握しなければなりませんけれども、先ほど申しましたようにこれまでの市場が売り手市場であったということを考えると、価格の中に含まれる部分もかなりある。そのことが内外価格差の一つの、全部とは言いませんけれども、一つの要因であるんじゃないかというふうに私解釈しているわけです。これを今三番目のツケと呼びたいわけです。これについて主税局長のちょっと御意見を。
#103
○政府委員(小川是君) 法人税の帰着あるいは価格への転嫁の問題については、委員初め非常に専門家の方々がいろんな分析をしていただいていると存じます。どの学者の方の分析でも一様にいきませんので、委員がおっしゃられるとおり考えられますとも申し上げられません。
 ただ、内外価格差の一因とは考えられないかという問題の提起であると承りましたが、今考えますのには、例えば我が国の輸出品が非常に強かったということは、これは法人税が仮に価格に転嫁されて相当部分国内の価格を引き上げていたと仮定いたしますと、輸出品にも同様にその部分は乗っかっていたはずでございますから、そこが消費税のような間接税と違うところでございますから、そこまで考えを進められるのかどうかという点については、直観的にはよほど研究を要するのかなという感じがいたしました。
#104
○牛嶋正君 今御指摘のように、輸出品の価格の問題もございますけれども、やはりこの点は見ておかなければならない、余り議論されておりませんけれども見ておかなければならない要因ではないかというふうに思います。
 次に、四番目のツケでございますけれども、だんだんと法人企業を取り巻く環境が悪くなってまいりました。ですから、これまでのような売り手市場というよりもむしろ買い手市場ということになってまいりますと、転嫁が非常に難しくなってまいりますし、また円高というふうなことを考えますと、合理化を進めてコストダウンを図りましてもそれは円高で吸収されてしまうというふうなことで、結局はかなり今収益を圧迫しているのではないか。
 そうしますと、その収益を確保するためにどういうふうなビヘービアになっているかというと、よく言われますように、産業の空洞化というふうな動きが出てきているわけであります。こういうふうに、法人企業を取り巻く環境の変化によって私は四番目のツケ、すなわち産業の空洞化、これに一つあらわれてきているのではないかと思いますけれども、この点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
#105
○政府委員(小川是君) ただいまの点につきましては、二様の御主張があり得るのかという感じがいたします。
 一つは、法人税が価格に転嫁されているという考え方をとりますと、それだけ価格を構成するコストを高めている、それが我が国の産業の生産するものに対するコスト高、輸出を弱めるのではないか、あるいは輸入を促進することになるのではないかという側面からのアプローチと、いま一つは、従来私ども聞いておりましたのは、法人企業の所得に対する税負担が余りに大きいと税引き後の社内留保がそれだけ小さい、したがって、企業が新しい投資をしたりあるいは弾力性を持っておくために、所得ベース、留保ベースで弱くなるので、そこで外へ行った方が同じ利益であれば留保がとりやすい、そういう角度からの御議論であったというふうに思います。
 いずれにいたしましても、法人税を税引き後所得をもたらす要因であると考えるか価格のコストを高めている要因として考えるかにいたしましても、産業の動き、内外の動きというのはその他もろもろのコスト要因、収益要因があろうかと思いますので、相当幅広い角度から検討し、議論を深めていただくべき事柄であろうかと。決して税もその中の要素として議論の対象にならないと言うつもりはございませんけれども、多くのこと、ほかに考えるべき事柄があるのではないかというふうに受けとめている次第でございます。
#106
○牛嶋正君 五つ目のツケは、これまで一定の法人税収、税収全体の中での構成比を維持するために今税率が国際的に見ても最も高いところに来てしまっているということです。そうしますと、これ以上はこれを引き上げてこれから法人税収を確保していくということはできないというふうに思います。
 そうしますと、先ほど私数字で示しましたように、だんだん全体の税負担が増大するに伴いまして構成比が落ちていく。この法人税の構成比が落ちるということは、個人課税対企業課税で見た場合に企業課税のウエートが小さくなっていく。そうしますと、同じ税負担でありながら国民、納税者の皆さんが受ける税負担感というのはこのままではだんだん高まっていくのではないか、というふうなことでこれを五番目のツケというふうに私呼んでみたいわけです。
 この点についてのちょっと、私はこの議論には前提がありますから、その前提を認めていただかなければなりませんけれども、前提がありますけれども、御意見をいただきたいと思います。
#107
○政府委員(小川是君) これは、委員の本日の御質問の冒頭での大臣との意見交換の中にあった事柄であろうかと存じます。
 負担感の問題は、さまざまな要素を考えなければいけない中の負担感というのは重要な問題だと存じますし、いま一つ、確かに企業のいわば税金を集めて納めていただく役割が下がる部分というところについては、ある程度大きくその役割を担っていただきたいというお願いをしなければならないと思っております。
 同時に、先ほど申し上げましたように、自分の稼ぎの中から払うものではない税金については次の方に、先ほどの委員のお話ですと帰着てございましょうか、最終的な負担者にそれをバスするところ、そこを税制としてはできるだけ円滑に進むように仕組まなければいけないことであるなと思って承りました。
#108
○牛嶋正君 私は、今までとってこられた、とってこられたと言ったら悪いのかもしれませんけれども、我が国の税制の特徴であった法人税依存体質、その五つのツケを今申し上げたわけですけれども、これは私は我が国の税制を考える場合に緊急の課題だと思っております。ここのところをきちっと解決しなければ本格的な抜本的な税制改革というのは進まないんじゃないか、結局、何か取り繕ったような感じの税制改革になってしまうのじゃないかと私は思うんです。
 この前も寺崎委員と大蔵大臣の間で、今回の税制改革は改正か改革かという御議論がありました。私はそのときは改革の場合にとる姿勢だというふうに申しましたけれども、もし今申しました法人税にかかわる五つのツケをできるだけ早く取り除かなければ、私は今回の税制改革も改革とは言えないのじゃないかというふうな感じを持っております。
 ただ、今回の税制改革におきましては時間的な制約がありました。ですから私はそのことについてはこれ以上は申し上げませんけれども、そういう意味では、けさの直嶋委員の御議論にもありましたように、できるだけ法人税の見直しにこれが終わったらすぐにでも取りかかっていただきたい。そして、今私が指摘したような五つのツケを中心に御議論をいただいて、そして二十一世紀の高齢社会にふさわしい税制をつくっていただきたい、そういう願いできょうはこんな議論をさせていただいたわけであります。
 この私のお願いに対しまして、もし大蔵大臣のお考えがございましたら、まずお聞きしたいと思います。
   〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕
 
#109
○国務大臣(武村正義君) 大変専門的なお立場に立ちながら貴重な御意見をありがとうございました。久しぶりに大学の経済学部の教室に帰ったような感じがございました。
 五つのツケも、そのことによって税制改革を減税の方向に走らせたとか、あるいは法人税の変動性、アップダウンといいますか、に影響をされて財政運営を難しくしてきたとか産業空洞化等々の御指摘は、そうだなと思いながら伺いました。内外価格差になりますと、小川局長もお答えしましたように、そういう側面があるかどうかは私もよくわかりませんが、しかし配当金はアメリカに比べてうんと日本は少ない状況でありますから、最終的には株主に帰着するとおっしゃいましたが、そうはなっていないですね。ある意味では配当金をうんと小さくして、そっちを削っているという見方もあるわけでございます。
 いずれにしましても、法人税のあり方につきましては、きょうまでもお答えしてまいりましたように、対外的といいますか、国際的な比較におきましても、企業がこれだけ自由に国を越えて動く時代でございますから真剣に考えなければならない時期を迎えつつある。ぜひ今後政府税調の中で真剣に御議論をいただく中で政府としても検討させていただきたいというふうに思っております。ありがとうございました。
#110
○牛嶋正君 時間が来てしまったんですけれども、私は実はこの後時間があれば見直しのポイントを幾つか挙げてみたかったんですけれども、時間が参りましたので、一つだけお願いをしておきたいと思います。
 この前から私はシャウプ税制改革を非常に高く評価しておりますけれども、もし問題があったとすれば、法人税の課税根拠に法人擬制説を前提に置いた、ここがシャウプ勧告、シャウプ税制改革の一番大きな問題であったと思うんです。これがずっと今日まで問題をいろんな形でつくり出してきたような気がいたします。先ほどの五つのツケもずっといろいろ議論していきますとここに帰着するんですね。
 今、法人企業を法人擬制説の立場に立って議論するようなそういう状態じゃないんじゃないでしょうか。企業の社会的責任も言われております。企業は社会を構成している有力なメンバーであるわけであります。そして生産単位であります。そんなことを考えると、これまでの法人税の課税根拠の前提にあります法人擬制説はやはり法人実在説とかえて、そしてもう少し応益的な考え方を取り入れた形で法人税の見直しをすべきではないか、こういうふうに思っております。
 このことを最後にお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
#111
○吉岡吉典君 二十二日に引き続いて、不公平税制是正の問題について質問します。
 最初に、この間の論議で再確認しておきたい点があります。それは、この見直しで、租税特別措置法で定めているいわゆる政策税制にとどまらないで、引当金も含めて法人税、所得税にまで踏み込んだ検討が行われるかどうか、はっきりした形で答弁をお願いします。
#112
○政府委員(小川是君) 一つは、二十五条の見直し規定の関係では、ここでは主としていわゆる一般的に不公平税制と呼ばれているようなもの、とりわけ租税特別措置、つまり税の基本的原則からすればそういう課税ではないけれども、政策的な配慮から基本原則を外れてもなお行うべきではないかとしてとられている租税特別措置を念頭に置いている規定でございます。
 しかしながら、今お尋ねの問題といたしましては、別にこの見直し規定にとらわれることなく、そうしたいわゆる政策税制だけではなくして基本的な税制についても不断に実態に応じて検討をし、議論をしていくということは当然のことであると思っております。明確にいたしますと、しかし両者には差がある、いわゆる政策税制をここでは念頭に置いておりますということでございます。
#113
○吉岡吉典君 この第二十五条の条文からは必ずしも政策税制に限るという言葉は出てこないと思いますよ。だから私は二十二日にもこれはどういう意味がということを聞いたら、大臣は、「等」という言葉がついていてそこに限定されないという答弁だったと私は思います。今の答弁だと、いわゆる大蔵省の言うところの政策税制という極めて限定された見直ししか行われそうにないということで、消費税の税率決定における税制の不公平を正すという面からのいわゆるマイナス要因というのは極めて限定されたものにならざるを得なくなると思います。
 そうであるかないかということをはっきりするためにも、これは大蔵大臣にお伺いしますが、大蔵省の言う政策税制とは認められていないうちに入る引当金の問題です。
 二十二日にも触れましたけれども、税制調査会の六十一年末の答申では、退職給与引当金は「廃止を含めそのあり方の見直しを進めるのが適当である。」、こういうふうにこの答申ではっきり述べております。昭和六十一年十二月、「昭和六十二年度の税制改正に関する答申」という文書ですね。これに沿って中曽根総理が売上税を導入しようというときに、退職給与引当金などについて廃止することも含めた踏み込んだ検討が当時行われた。また、この間も言いましたけれども、賞与引当金についても同様なことでありました。
 村山内閣は、この引当金、退職給与引当金を含めていわゆる政策税制と認めていないこの分野についても廃止を含めた見直しを行われるのか、既に中曽根内閣のときに検討が行われ一部具体化されたそういうふうなものについて、これもはっきりやるのかやらないのかお答え願います。
#114
○国務大臣(武村正義君) この見直し規定の中では引当金までは予定をいたしておりません。先般も主税局長からお答えをいたしましたが、「等」というのが入っていますが、これは地方税法の特例措置というんですか、これを想定していたようであります。
 いずれにしましても、国、地方の政策減税、政策措置ということを念頭に置いているところでございます。しかし、税制そのものは幅広く不断の論議があってしかるべきでございます。この今回の二十五条の規定ではそこまで想定していないということと分けてひとつ御判断いただければというふうに思います。
#115
○吉岡吉典君 税制調査会の答申でさえも廃止を含めた検討を提起しておる。こういう問題についてさえ検討対象にしていない見直しであるということだとすれば、これは二年後の見直しによる消費税税率ということを考える場合に我々は極めて重要な答弁であったと思います。
 もう一つ確認しておきたいんですが、報道によると、老人マル優廃止を検討中ということがありましたけれども、一般的見直しでなく廃止の検討も行われていますか、どうですか。
#116
○政府委員(小川是君) 現在、個別の項目について具体的な検討をこれこれについてこういうことを行っていますという状況にはございません。租税特別措置は企業関係だけではなくて所得税関係もございます。こういったものを全体としてどのように見直し、あるいは検討をしていったらいいかという、現在のところはそれらを並べて考え込んでいるという状況でございます。
#117
○吉岡吉典君 大臣、まさか老人マル優を廃止してしまうというふうなことは起こらないでしょうね。
#118
○国務大臣(武村正義君) これは政策措置でございますから、二百何項目があるようでございますが、例外なく精査をする、議論をするという姿勢でございますから、議論の対象にはなると思いますが、私の知る限りでも、私としてもこれを全面的にことし廃止するという考えは余り浮上していないと思っています。
#119
○吉岡吉典君 廃止というふうなことになれば私は大変なことだと思います。
 次に、外国税額控除の問題です。
 大企業の海外での事業活動の拡大、多国籍企業化という活動の著しい変化を遂げたのに対応する優遇税制でありますが、その典型的なものが外国税額控除だと私は思っております。我が国の法人が外国に支店を設け、その利益に対して現地の国で納めた法人税などを我が国の法人税等から直接控除するということであります。国際的な二重課税を排除するということが大義名分に掲げられております。
 その際、日本の企業が直接相手国に進出して直接納めた税だけでなく、現地法人になっている海外子会社が受けた減免措置についても、その子会社が支払っているということで親会社の控除をする、払っていない税金まで払ったものとみなして控除するという間接控除、そしてみなし控除というような制度まであります。こういう制度というのは、直接控除、みなし、間接、どの時期に導入されたんですか。
#120
○政府委員(小川是君) 外国税額控除制度の沿革でございますが、これは昭和二十八年度に制度として創設をされまして、昭和三十七年度に今御指摘のありました間接外国税額控除制度が導入されまして、今日までさまざまな仕組みにつきまして何遍か改正が行われております。基本的には四十年前に導入されたものでございます。
#121
○吉岡吉典君 従来は認めていなかったそういう控除をまず直接控除から始め、続いてみなし控除、間接控除というふうに追加して、先ほども言いました納めていない税金まで控除するという制度まで生まれたわけですね。
 みなし課税というのはアメリカにありますか。
#122
○政府委員(小川是君) アメリカにはございません。
 ただ、今次々とというところでございますが、外国税額控除制度の趣旨としては、御理解をいただきたいと思うわけですけれども、企業が国内、国外で活動を行って得た所得に対して二重に課税をされるということを避ける必要がございまして、これは国際間で条約を結びまして租税条約でお互いにこの二重課税を排除するようにいたしております。どこの国でもこうした外国税額控除という制度を持って、企業が国際的に各国自由に活動ができ、そして所得課税で排除されることのないようにという制度を持っているという点だけは御理解を賜りたいと思います。
#123
○吉岡吉典君 私は、アメリカにみなし控除があるかということを聞いた。アメリカにはないということでありました。
 もちろんある国もあります。しかし大事なことは、払ってもいないものを納めたとして控除する制度というのをアメリカでとっていないのは、非常に不当であるという理由でこれを採用していない。私は、国の数よりもなぜやっていないかというその理由が大事だと思います。そして、今二重課税排除だということをおっしゃいましたけれども、アメリカでは不当であるという理由で採用していないところのみなし課税、実際には納めていない税金まで納めたものとみなして控除する、こういうことは二重課税排除という趣旨からも私は納得できるものではないと思います。
 その上でお伺いします。この十年間の外国税額控除額は幾らになりますか。
#124
○政府委員(小川是君) 恐れ入ります。数字をお答えする前に、今前提でと言われましたので、やはりみなし外国控除制度を説明させていただきたいと存じます。
#125
○吉岡吉典君 いいです、それは。
#126
○政府委員(小川是君) みなし外国控除制度というのは、途上国との条約に基づきまして、当該途上国が受け入れた企業に対して政策的に減税をしているもの、これにつきまして我が国から進出したときに、日本の国内の課税上、外国で払ったものとみなして控除をするという制度でございます。もしこれをいたしませんと、せっかくその途上国で減税をして各国の資本を誘致しているにもかかわらず、その分がそれぞれ進出した親元の国へ税金が入ってしまうという制度でございます。
 そこで、先ほど申し上げましたアメリカ以外の主要国は、各国との租税条約上、途上国の場合にはこうしたみなし外国控除制度というものを設けているものでございまして、従来十七カ国ぐらいありましたところ、各国の経済成長に伴いまして条約交渉を行いながら対象国を縮めている、そういう性格のものだということだけは御理解を賜りたいと思います。
#127
○政府委員(松川隆志君) 外国税額控除について、最近十年間の控除額の合計ということでございますが、大体各年四、五千億程度でございまして、十年間の合計で四兆四千五百五十八億円となっております。
#128
○吉岡吉典君 四兆四千五百億円ですか、こういう外国税額控除が行われている。その中には、今長々説明がありましたが、説明によっても納めていないものだが納めたこととみなす控除があるということでありました。
 私は、今の答弁ですけれども、求めもしない答弁を長々行われましたけれども、外国の行為がそれを控除しないと認められない、こういうことですけれども、そういう外国に減免措置をさせるということは、専門家の学問的な指摘によれば、これは植民地時代の延長、帝国主義的な租税条約のあらわれだと、こういうふうに指摘しているということ。同時に、企業というのはうまみがあるから出かけていくということだけで、企業へいろいろな税制をとるということは私は間違いだと思います。そういう発展途上国に出かけていくというのなら、企業の社会的責任を自覚して出かけるということがあってしかるべきだと思います。その問題については、そういう立場がなぜ必要かということを後でもう一度申し上げたいと思います。
 さて、今十年間で四兆四千五百五十八億円という数字がありましたけれども、資本金階級別控除額で多いのはどういうところなのか、上位二、三、業種の種類を挙げてください。
#129
○政府委員(松川隆志君) 税務統計から見た法人企業の実態調査によりますと、平成四年分の外国税額控除は五千百九億円でございますが、このうち資本金百億円以上の法人は四千三百五十五億円ということでございまして、全体の八五%を占めております。また、業種別に多い方から三業種申し上げますと、金融保険業、機械工業、卸売業となっておりまして、この三業種で全体の七五%を占めております。
#130
○吉岡吉典君 金融業を中心とする百億円以上の大企業、これが恩典を受けている税制であると。私どもが大資本のための優遇税制だと言ってきていることがそういう数字にもあらわれていると思います。
 そういうことが実際に納税の上にどういうふうにあらわれているかということが重要だと思います。三菱商事、伊藤忠商事、丸紅、日商岩井、トーメン、ニチメン、兼松、この日本の代表的な七大商社の昭和六十年度と最新の申告所得金額、算出法人税額、控除外国法人税額、申告法人税額を報告してください。
#131
○政府委員(松川隆志君) 今御質問のあった大手商社についての数字でございますが、従来から大手商社九社の合計額で答弁させていただいておりますので、大手商社九社の合計額で申し上げます。
 平成五年三月期における納税状況をまず申し上げますと、申告所得金額は合計で二千三百九十三億円、これに対する算出法人税額は九百十一億円、これから外国税額控除制度により控除した外国税額が四百四十三億円ございますので、差し引き我が国で納付した税額は四百六十八億円ということになります。このうち、申告法人税として納付した税額は百八十五億円でございます。
#132
○吉岡吉典君 今、九大商社の数字で言われたのでも算出法人税の約半分、これは外国税額控除で差し引かれている、そういうことだという結果が明らかですが、私が七大商社でというふうに要望しましたのに、七大商社でお答えにならないで九大商社でお答えになったのは、数字がないからではなく、七大商社で答えるわけにはいかないからだと私は言わざるを得ないんです。
 それは、既にいろいろ繰り返し出版物でも書かれていますが、先ほど言いました七大商社は、外国税額控除によって昭和六十年度に日本国内で納めた法人税がゼロであったということが明らかになるからだと私は言わざるを得ません。ゼロではないと責任を持って言えますか。
#133
○政府委員(松川隆志君) 個別の商社の納税状況につきましては、公示された事実以外は答弁を差し控えさせていただいておりますので、同様に答弁を差し控えさせていただきます。
#134
○吉岡吉典君 答弁を差し控えるということで、否定はなかったものと見ます。
 ついでですから、もう一つお伺いしておきます。
 ある出版物によれば、昭和六十二年三月期の日本の代表的商社三菱商事の申告では、日本で一円も税金を払っていない、こういうふうに述べられています。こういう事実があったことを否定できますか。
#135
○政府委員(松川隆志君) 三菱商事という個別にわたる事柄でございますので、同様に答弁は差し控えさせていただきます。
#136
○吉岡吉典君 これも出版物で書かれていることです。ですから、もう個別の企業の機密というふうな状況ではないものであります。しかし、いずれにせよお答えはできないということですから、次に進ませていただきます。
 こういう我が国の外国税額控除、その中で、少なくとも親企業が納税していないのに控除するみなし控除、間接控除、こういうものは根本的に見直し、廃止すべきだと私どもはこれまでも言い続けてきましたが、大蔵大臣、払っていない税金を控除する、アメリカでは余りにも不当だといってやっていない。これは廃止するのが当たり前だと思いますが、いかがですか。
#137
○政府委員(小川是君) 大蔵大臣がお答えになる前に、誤解を与えるといけませんので外国税額控除について申し上げたいんですが、各企業が外国税額控除によって我が国において納付すべき法人税額が仮に減少する、先ほどのように減少するわけでございますが、それは当該法人がその世界で上げている所得に対して税金を負担していないということでは全くございません。それは残念ながら我が国の税収にならないというだけのことでございまして、例えば日本の国内でどこかの県が独立をしたというふうに考えていただけばおわかりいただけると思います。
 外国税額控除というのは、世界各国が一本で法人税を課税したとすればそこまで重複的に負担をしないで済むという部分を、各国が課税権を持って課税しているために重複するという部分の負担を排除しているものでございまして、そういう意味で全く合理的な制度であるということが一つでございます。
 それから、みなし外国税額控除を御指摘になって、あたかも外国税額控除は全部それであるかのように思われるといけませんので、全くそうではございませんと。みなし外国税額控除というのは、先ほど申し上げたように、発展途上国が自分の国の方から各国に要請をしてくるわけでございます。開発途上国に対する経済協力という政策的配慮から租税条約で認めているものでございます。この分を、繰り返しになりますが、もし我が国で認めませんと、発展途上国がせっかく税金を軽減して資本進出を促したものを全部我が国が取り上げてしまうという結果になりますので、各国からの要請によって経済協力として認めているものであるということでございます。
 最後に御指摘の問題につきましては、結局、支店形態で外国に進出する法人と子会社の形態で進出する法人と、そのどちらの形態で進出するかということに対して我が国のこの外国税額控除制度がどちらにもできるだけ中立的であるというために設けられているものでございます。支店形態で進出したときには支店が納めた現地での税額が外国税額控除の対象になる、直接と私ども呼んでおります。子会社で進出した場合に子会社が現地で納めた税額を配慮いたしませんと、それはできなくなると。つまり支店形態でないと二重に負担をしなければならないというところから、間接的に子会社で進出した場合には、その利益を日本に送金した度合いに応じまして税額控除を認めているわけでございます。
#138
○吉岡吉典君 主税局長の答弁を聞いていると、おとといのようにまた大きい声で叱っせざるを得ない気分になります。
 私は、少なくともみなし控除についてはと言っているんです。二重課税を排除する意味で、直接控除は仮に問題外としても、みなし課税ということに限定して議論しているわけです。それがあたかも世界的な常識であるようにおっしゃいますけれども、世界のすべての国がやっているわけではなくて、みなし課税を採用しているのは数カ国、アメリカは不当な課税だとして採用していない。それがあたかも世界の常識であり当たり前のことだというふうにおっしゃるのは、これは世界的な事実からも反するわけですし、私の質問の趣旨とも違うそういう長い演説をやられては困ります。
 今、みなし控除だけでないと、そういうふうにおっしゃいました。私はすべてがみなし控除だとは一度も言っていません。しかし、そうおっしゃったから言いましょう。直接納めた直接納付税額よりも、みなし法人税額、間接税額の方が多い、そういう事例もありますね。
 私の手元にある資料によれば、一九八六年、製造業の場合には直接納付はわずか二九%、三割にも満たない。七一%は直接に納めていない間接納付、みなし法人税額ですよ。卸売業についても、間接納付、みなし法人税額が六〇%、直接納めたのは四〇%。そういう事実があるわけです。みなし課税が大部分だと、すべてだとは言いませんが、しかしそういう事実もあるわけです。
 ですから、国会の論戦の中で、かつて水野主税局長はこういう制度は甘過ぎる、だから検討し直さなきゃならないと、こういうふうに答弁なさっているんですよ。みなし課税というのは甘い、こういうやり方は検討が必要だと、こういうことをおっしゃっている。しかし、その後の改革、これを改められた中でもこういう基本的な制度というのは残っているわけですよね。残っているだけじゃなくて、残っているから財界からはこういう制度をもっと強くしろと、こういう要求が出てきている。
 最近私が聞いたところでは、財界から間接控除を広げるようにという要求が出ているそうですが、どういう要求が出ていますか。
#139
○政府委員(小川是君) 三種類の外国税額控除でございます。一つは、支店で納めているもの、直接税額控除と呼んでおります。もう一つは、子会社で納めた法人税を日本で引く間接税額控除でございます。委員御指摘の三つ目のカテゴリーは、現地で税金をまけてもらっている、しかし納めたものとして日本で引いているというみなし外国税額控除の三つでございます。
 今お尋ねのは第二の、子会社形態で出たときの現地子会社が納めた法人税を日本で引いている間接税額控除の問題でございますが、この点につきましては、子会社だけではなくて、例えば子会社がある国に統括会社として出ている、その子会社がまた各地域に例えば製造会社を孫会社として持っているというような場合には、その孫会社が納めている現地における法人税額を、子会社を通じて日本の親会社に配当が入ってくる場合には、それに応じて孫会社が納めた法人税も外国税額控除の対象として考えるというものでございます。
 この点につきましては、平成四年度の改正におきまして、海外における企業活動の実情を勘案しまして改正を行い、対象を一定の孫会社まで拡大をしたところでございます。その後における企業活動の状況からこれをさらに拡大ができないか、諸外国におきましてはひ孫会社であるとか、あるいはどこまでもそれを追いかけながら外国税額控除を広く認めている国もございますので、そういった御要望があるのは事実でございますが、今日までのところ、そこまで広げるわけにはいかないいろいろの問題があるとして、四年度改正の状況を私どもは見守っているところでございます。
#140
○吉岡吉典君 今あったように、今でさえも国民がとても納得できない、そういう控除制度をもっと広げるという要求が出ているということが明らかになりました。これには応ずる用意はないということですが、これは当たり前のことだと思います。
 そのほか、日本の外国税額控除については、控除限度額を決める方法についても国別あるいは項目別に計算するのではなく、すべての国外の所得を一括して計算する一括限度額方式というものをとっていることも問題であり、日本のこういう税制の甘さの一つであるということを専門家は指摘しております。これについてもそういう甘さではないとおっしゃるんですか。
#141
○政府委員(小川是君) 外国税額控除制度を仕組みますときには、私ども大変気をつけて細かい点を検討する際の基本的考え方を一つだけ申し上げますと、各国の所得計算あるいは税率の違いから、日本で外国税額控除を適用して重複課税を排除するときに、日本で引き過ぎないようにということを気をつけているのが一番重要な点でございます。それが控除限度額を設けましたり控除する対象となる外国の税額をどの範囲とするかという考慮点でございます。
 しかしながら、同時にまた、お聞きいただけばおわかりいただけると思いますが、大変複雑な制度でございます。世界各国を相手にして活動している法人の外国における税額を控除する制度でございます。そういう点から申しますと、今御指摘の限度額を設けますときに、世界じゅうの各国一括限度額方式がいいのか各国別にするのがいいのかというのは一つの考慮すべきポイントでございます。
 これまでの経験から申しますと、これまた国によってさまざまございますけれども、経済活動を行った国一つずつについて所得であるとか税額を細かく計算をしなければならないその手間、それからこの制度の目的というものを勘案いたしますと、実務的にはやはり一括方式が簡便であり、現状においては合っているのではないかというふうに考える次第でございます。
#142
○吉岡吉典君 今長い説明がありました。複雑な手間を省くということもありましたので、それに一言言うと、今度の消費税の方の改正では、もう業者には物すごい手間がかかって大変な不安が広がっているような強制をしながら、こういう大資本には手間を省くことまで考慮しているということですが、これが手間を省くだけじゃないんですね。
 主税局の国際租税課課長補佐であった中尾さんという人、だから大蔵省の主税局の人が書いた本の中で、「控除限度額の計算については、一括限度方式で、別枠管理もない日本が最も寛大な制度になっている。」、こう書いているんですね。今の主税局は全然変わっちゃったんですかな。
 かつて水野主税局長もこういうふうに言っています。「戦後、我が国が昭和三十年代以降海外に進出いたしました折には、どうしてもおくればせながら外国に出ていくというところでございますので、これを国を挙げてバックアップするという面も恐らくあったのであろうかと思います。」。したがって、「我が国の方が少し甘いかなという面があることは否定できないと思います。」と、こう国会で答弁しているんですよ。かつて主税局長は我が国は甘かったと、だから別のところでは水野主税局長自身が見直しが必要だということも言っていた。ところがそれを、今は不公平税制の見直しをやるということを国民に約束している時期に、こういうことの見直しをやろうとする姿勢もとらない。これは問題だというふうに私は言わざるを得ません。
 こういうことをやっているとどういうことになるのか。私は先ほど、企業はもうけがなきゃ出ないということで野放ししておいていいのか、それに協力するだけでいいのかということを言いましたけれども、この外国税額控除とあわせてもう一つ、税金のかからない、税金の安い国を利用して税金逃れをやるタックスヘーブンと言われている問題に関連して、時間が来ましたので最後に大蔵大臣にお伺いしておきます。
 こういうことを言った企業の幹部がいる。「宇宙船に本社があるような無国籍企業が理想だ」と、こう言っているんですね。節税ができて一番いいというわけです。これは久米是志さんですか、アメリカホンダ自動車取締役相談役という人が語った言葉で、日経新聞の一九九〇年に出た言葉です。つまり、これらの人は税金が安くなることだけを考えて日本のことなんか考えていない。それに対して一生懸命で、企業のうまみがなくちゃいかぬという税制をつくっているだけでいいのかどうなのか。
 私が今の宇宙船ということを挙げたのは、つい最近、これも日経新聞の報道ですけれども、アメリカでは大金持ちの米国籍放棄が急増しているという報道記事がありました。理由は、節税が目的である。税金の安いところへ移っていって大金持ちが米国籍を放棄するのが急増していると。私は、今までの議論を聞いていると、さっき言ったアメリカホンダの取締役の談話などを考えると、日本の大企業の考えも大体これに似たものではないか、そういうふうに思わざるを得ません。
 そういうときに、外国での企業の活動が今大いに活発になっている、そして産業空洞化というふうなことまで問題になっているときに、こういう企業に、一方的にどういうふうに彼らの言うことを尊重するかということであってはならないと思います。
 大蔵大臣、大金持ちが国籍さえ放棄して節税に走っているという報道に関連して、どのような御感想をお持ちか、それを念頭に置いて日本の税制をどのように考えなきゃならないとお考えになるのか、お答え願います。
#143
○国務大臣(武村正義君) 先ほど水野局長の国会答弁と今の小川局長、随分違うじゃないかという御指摘ございましたが、当時水野局長は甘さを感じておりましたので、その後、昭和六十三年、平成四年と累次より厳しい方向に改正を重ねてきているというふうに御理解いただきたいと思います。
 今のタックスヘーブンの問題は、宇宙船でお話をいただきましたが、こういう問題につきましては昭和五十三年の導入以降も数次にわたって改正を行ってきているところでございます。現時点では基本的に経済実態に対応しているとは思っておりますが、しかし今後ともこの問題については関心を持ちながら検討を続けていきたいというふうに考えております。
#144
○吉岡吉典君 もう一問、最後に。
#145
○委員長(西田吉宏君) 時間が来ています。簡単に。
#146
○吉岡吉典君 今おっしゃったんですが、さきの税制改正でも一部手直しされたとはいえ、その上で今言ったような問題が残っているということを私は言いました。ですから、それを踏まえて検討を求めて、質問を終わります。
#147
○島袋宗康君 私は、先日の委員会でこの税制改革に対する国民の批判が根強いことを訴えました。この批判にどのようにおこたえし、どのようにして国民の理解を得ようとしておられるのか、大蔵大臣にお尋ねいたしまして御答弁をいただいたわけでありますけれども、まだ釈然としない部分があります。いま一度お伺いいたします。
 これまでの総理以下一連の御答弁を聞いておりますと、おおむね今般の改革については国民の理解が得られているとの認識をお持ちのようであります。消費税に対する根強い拒否反応はいまだ解消されているとは私は思っておりません。
 私の手元に全国大学生協組合連合会という団体から先日届いた組合員の声という分厚い資料がございますが、その声を昨日一枚一枚読ませていただきました。しかし、その声の圧倒的な意見は版で押したように、税金アップの使い道を明確に国民に示してほしいということと、何に使われているのかわからないという若い方たちの声が圧倒的に多いわけであります。その若い世代の国民にとって今回の所得税減税はほとんど関係がないといえば関係がないわけでありますけれども、消費税アップについてはやはり大いに関係があるわけでございます。それは明白であります。
 税制の問題は、政治のあり方に直接かかわる問題でありますし、すべての人に関係を与えるものであるわけであります。当然に国民の理解と納得が必要であるということは私が申すまでもないわけであります。したがって非常に重要なことであると思っております。この素朴な意見や国民の消費税アップに対する多くの疑問にどのようにお答えしていただけるのか、改めてこの場でお伺いをしておきたいと思います。
#148
○国務大臣(武村正義君) 今回の税制改革案は、政府・与党全体としましても、また与党を構成しております個々の政党におきましても大変真剣な論議を重ねて合意を見たものであります。そういう意味で、政府としてもこれは最善の案であるという考え方に立って御提案を申し上げている次第でございます。
 これまでも御答弁申し上げてまいりましたが、活力ある福祉社会を構築するための大きな第一歩になる税制改革であるというふうに考えておりますし、内容的には所得税の負担軽減と消費税の充実ということを基本にいたしております。二%消費税率が上がることに対しては、これも御説明申し上げてまいりましたように、所得税の減税と、一部福祉財源に充当をさせていただきたい、その考えで今回の改革案を御提案申し上げている次第でございます。
 なお、見直し規定もございますが、今後ともより国民の皆様の御理解がいただけるよう一層の努力を重ねてまいる所存でございます。
#149
○島袋宗康君 ですから、何に使われていくのかよくわからないというふうな部分があって結局見直し規定というふうなことになっていると思いますけれども、国民の批判に加えて、法律案の二十五条のいわゆる税率見直し規定については現時点においても同様に問題が残っているように思います。いわゆる税率見直し規定を設けざるを得なかったのは、短期間では詰めることができなかったという不確定な要素や状況があったからだと思うわけでありますけれども、その詰め切れなかった部分とは何か、最後にここで整理しておきたいというふうに思うわけです。
 そして、それらの課題が一九九六年九月三十日までにどのような段取りで検討、勘案され所要の措置が講じられていくのか、そういった具体的な面についてもう一度お伺いしておきたいと思います。
#150
○国務大臣(武村正義君) 税の御負担をいただく水準というのは、国民の皆さんかどういう公共サービスを受けるというふうに御判断してくださるかにかかっております。これと表裏一体の関係に立ちます。負担と、その負担によってどういうサービスがあるのかということであります。まさにこれは国民の皆様の御選択だというふうにも言えるわけでありまして、この見直し条項はそういう意味では国民的関心の大きいテーマを挙げておりまして、こうしたテーマについて再来年の九月いっぱいを目途に真剣な議論を重ねて最終的な結論を見出していきたいということであります。
 内容的には、社会保障等のいわゆる福祉がどうなるか、どういう財政需要になっていくのかというのが一つでございます。もう一つは、行財政改革をどこまでやるのか、具体的に数字でそれを確認していく必要があります。さらにもう一つは、租税特別措置、不公平税制とも言われておりますこの見直しでありますし、また、消費税に関しましては中小特例等をさらに論議をしていくということであります。福祉、行財政改革、不公平税制等の見直し、そして財政状況というふうに明確にこの規定の中で列挙をいたしまして、こうしたそれぞれの問題について真剣な詰めをし、議論をして結論を見出していきたいという考えでございます。
#151
○島袋宗康君 社会保障だとか行財政改革あるいは租税特別措置等、税制の不公平といったようないろいろなものが取り上げられたわけでありますけれども、そういったふうなことがまだ目に見えない、これはもう先日申し上げたわけですけれども、明確にならないからこそ国民に不安があるというふうなことを私は思っておるわけであります。やはり今度の税制改革についてはそういうことが結局先送りされて消費税だけが走っていったというふうなことになっているわけです。
 今大蔵大臣がおっしゃったように、そういう明確な一つ一つというふうなことは、これは皆さんの方では一から何番までというふうに明確にされているんですか、ちょっともう一遍。今行政改革とか二、三の事項を挙げられましたね。それはこの税制改革の中で、全般的にこういったもので検討するというふうなことを一つ一つ明確に示されているのかどうか。
#152
○国務大臣(武村正義君) 政府・与党の方針でございますが、今既に税制改革のチームと並んで行革のチームと福祉のチームとを設置いただきまして、関係議員を中心に真剣な議論がもう八月ごろから始まっているところでございます。しかも、行革を例に挙げれば、基本方針がもう既に合意されておりますし、福祉も厚生省の新ゴールドプランの素案の提示もございまして、そういうものを基本にしながら議論をもう始めているという状況でございます。
#153
○島袋宗康君 それから、一般に個人所得税が垂直的な公平に資する税制であり、また他方、消費税は水平的な公平の確保に資する税制であると言われておる。しかし、この水平的な公平に資するという考え方の前提には、我が国の所得、資産格差が縮小したという確たる認識がなければならないと思うわけであります。しかし、果たしてその前提は是認されているのかどうか。一概に高齢者といっても、悠々と金利で生活できる人もおれば、わずかな年金にすがる人もおります。また、豪邸に住む人もおれば、マイホームをあきらめた人もおるわけでございます。
 ところで、さきに引用した大学生協の資料からも、また多くの国民の声からも、この消費税の持つ逆進性が強く指摘されております。この低所得者層ほど負担率が高くなるという逆進性は政府もお認めになるわけですか。まずその辺からお答え願いたいと思います。
#154
○国務大臣(武村正義君) 消費税は消費一般に広く負担を求める税でございます。そういう意味では、所得に対する税負担の割合が逆進的になるということは認めております。
#155
○島袋宗康君 消費税の逆進性との関連で新たな問題点が出てきたような気がするわけであります。
 そこで、所得の地域間格差という問題と逆進性という矛盾を重ね合わせてみますと、新たな問題点が発生するのではないか、あるいはしたのではないかというふうに思うわけです。
 例えば、一九九一年度の一人当たりの県民所得を見てみると、東京と沖縄では四百四十九万円対二百七万七千円で約二・一六倍の所得格差があり、高知県と比べても二・〇一倍の格差でございます。それで、今回の課税最低限の引き上げという改善を加味しても、それだけ沖縄や高知の方が消費税の影響を受けるという推論が成り立つように思うわけであります。まず、そのことについて大蔵大臣の所見をお聞かせ願いたいと思います。
#156
○国務大臣(武村正義君) 消費税は、所得の種類のいかんにかかわらず、消費の大きさ、言いかえれば生活規模に応じて比例的な負担をお願いするものであります。そういう意味で水平的公平の確保に資するという特徴を持っているというふうにも御説明を申し上げてまいりました。
 そもそも所得に対して累進的であるか逆進的であるかという問題は、税制全体さらには歳出面も含めた財政全体の中で判断をしていくべきではないかというふうに考えております。沖縄と東京という例でお話しになりましたが、今回の税制改革と六年前の税制改革、特に所得税減税を基本に考えますときには、たびたび説明をしてまいりましたが、標準家庭で年収四百万円程度でございますと約七〇%ぐらいの率で減税になります。しかし、一千万の方は三六%ぐらいの減税であります。二回の所得税大幅減税によって、率から見ましても低所得者層にかなりウエートをかけた減税政策であるということもぜひ御理解を賜りたいと存じます。
#157
○島袋宗康君 そのような議論、つまり消費税と地域間所得格差の問題はすなわち消費税の逆進性をどのように緩和するかという問題に帰結するわけでありますけれども、この逆進性を緩和する上で、所得の地域間格差という要素がまた出てくるのではないかというふうに指摘せざるを得ないわけでありますけれども、その影響について試算などがありましたらお答え願いたいと思います。
#158
○政府委員(小川是君) 今回の改革による世帯当たりの減税と消費税の軽減、負担増の結果につきましては試算をしたものがございます。
 平成六年から減税がスタートしまして、平成九年から消費税がアップいたしますので、全階層において平成六年から八年までは減税だけでございます。平成九年、十年になりますと消費税が入ってまいります。年収四百万円、五百万円の階層の方ですとやはり消費税の負担の方が減税を若干上回るというところでございます。
 それからもう一点、これは全体として年収幾らの方ということでございまして、地域ごとに所得水準の差があるという点については、この中に全部込みになっておりますのと、もう一つは、地域ごとに所得に差があると同時に、例えば住宅地とか家賃なんかで典型でございますけれども、生活の経費の方にも物により若干の差があるという点もあろうかと思います。そうした地域間の違いをこういった分析で私どもそこまで細かくはできないという点は御理解をいただきたいと存じます。
#159
○島袋宗康君 今御説明がありましたけれども、そういったいわゆる逆進性の緩和策について今回の改正案での手当て、あるいはまた今後の課題といったものがあればもう一度御説明をお願いしたいと思います。
#160
○政府委員(小川是君) 消費税は、消費支出に応じて比例的に負担を求めるものでございますから、確かに収入を分母にいたしますと、収入が相当高くなりますと消費支出の割合が下がってくることによりまして、収入の小さい方よりも収入に対する消費税の負担率が下がるというのはそのとおりでございます。
 これにつきましては、大臣が繰り返し答弁申し上げているように、単に税制だけではなくて、むしろ歳出面を含めたところでどのように国民の所得、生活水準の維持、確保をとりわけ低所得者に対して考えていくかという課題であるというふうに存じます。
#161
○島袋宗康君 そういった逆進性の緩和策についてこれからどういうふうにするかということが検討されるわけですか、それともどういうふうな形でこれは是正されるわけですか。
#162
○国務大臣(武村正義君) 今回の税制改革も、課税最低限を引き上げるということで低所得者の方々にも配慮させていただいているということが第一点でございます。先ほどお答え申し上げたように、消費税の中でみずから逆進性を緩和するということは容易ではありません。さまざまな税制がございますが、そういう中でやはり低所得者あるいは少額納税者等々に対する配慮をしていくことが一つの課題でございますし、より大きいのはやはり歳出の面だと思います。まさに福祉の政策、弱者保護の政策にどこまで貴重な税金を使わせていただけるか、そのことが一番問われるところだと思っております。今回の税制改革、二%の中では五千億という数字を予定いたしておりますが、福祉全体の将来の需要からいえばこれでは十分ではありません。そこに見直し規定を置いた根拠もございます。
#163
○島袋宗康君 消費税施行によってそういった逆進性、いわゆる弱者対策というのは、これから二十一世紀に向けての高齢化社会が形成される時代に入りますと余計そういったふうな弱者対策というものが必要であると思いますので、特段のそういったことを配慮して今後の改正案について十分な検討を加えていただきたいというふうに要望しておきたいと思います。
 それから、これは直接関係はないんですけれども、例えば酒類には既に高率の酒税というものが課されておるわけであります。これに消費税がまた加わる。いわゆるタックス・オン・タックスとして業界から非常に大きな不満があるというふうに聞いておりますけれども、この指摘に対して、将来酒税を引き下げ税負担を調整するというお考えはないかどうか、ちょっと承りたいと思います。
#164
○国務大臣(武村正義君) もともと消費税の性格からいきまして、酒税、あるいは石油等もたくさん間接税がございますが、こういった個別間接税につきましては、個別間接税を含む価格に消費税を上乗せさせていただく、このことは制度の基本だと思っております。ただ、消費税が上がることによって一層税がふえるわけでございますから、その問題につきましては、消費税が上がった中で酒税をどうするのかという問題として今後総合的な検討が必要になってくるというふうに認識をいたしております。
#165
○島袋宗康君 私は沖縄出身でありますから、沖縄の泡盛がタイ米でごうし菌をつくってつくられて、およそタイ米が主体になるんですけれども、そのタイ米の問題についてもこの前大蔵委員会で取り上げさせていただいたわけですけれども、特別措置でタイ米を輸入してつくられている。今度輸入の自由化によってこれが価格の問題についてどう変わっていくのかということもこれから見守っていかなくちゃいけない立場にあります。例えば食糧管理で米が輸入をされて、そういった管理体制のもとで悪三言うと高く買わされているというふうな状況もありますから、それにさらに酒税でまた泡盛に税金がかかるというふうなことになりますので、そういった全体の体系でひとつこの酒類の問題についても何とか是正をしていただければというふうな観点から今お聞きしたわけですので、ぜひその辺も将来勘案していただきたいというふうに思っております。
 もう一度御答弁をお願いします。
#166
○国務大臣(武村正義君) お話のような御趣旨を承りまして、昨年の十一月の政府税調答申におきましてもこの点が既に指摘されております。
 最近むしろ大蔵省としては頭が痛いのは、外国からのしょうちゅうとウイスキーの税率をめぐる厳しい要求が出てきていることでございます。これは長年の課題でございますが、先週もEUのブリタン委員が来まして専らこの問題を強く持ちかけられました。私はことしの五月で改正したばかりだから当分は考えていないという返事をしましたが、同じ蒸留酒だから同じ税率でなければおかしいじゃないか、なぜしゅうちゅうだけ優遇しているんだと。いや、日本の国民にとってしょうちゅうは非常に違うんだという説明をするのでありますが、なかなか納得をしてくれません。余談でございますが、こういう問題も抱えております。
 また税の問題としましては、お答え申し上げましたとおり、今後の全体の論議の中でひとつ真剣に検討させていただきたいと存じます。
#167
○島袋宗康君 終わります。ありがとうございました。
#168
○委員長(西田吉宏君) 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#169
○委員長(西田吉宏君) 速記を起こして。
#170
○楢崎泰昌君 自由民主党の楢崎でございます。きょうは、総理に再度お出ましをいただきまして、今までいろいろ当委員会において議論をした幾つかの問題点について総理に御質問をしたい、かように考えているところでございます。
 今回の税制改正四法案は、第一には、景気対策としての減税をどういうぐあいにするか。五兆五千億という数字が出ております。
 次に、減税として所得税の減税を行う。これは本格減税である所得税の減税三兆五千億と特別減税の二兆円、こういう形で減税を行う。
 さらに三番目には、その減税に対応して財政の健全化というものを図らなきゃなりませんから、その手当てとして消費税の引き上げをお願いする。そしてさらに、そうすることによって直間比率を是正して税制の構造を直していくというのが第三。
 そして第四点として、その中で特に地方の消費税について創設を行うというような問題等々を含んでいるように思っております。
 先日二十一日に公聴会を開きました。公述人の公述をちょうだいいたしております。これも少し早目でございましたけれども、公述人の御意見の開陳を踏まえていろいろ政府に対して御質問をする、こういう趣旨でやったものでございます。
 さて、最初に、今回の税制改革の目玉の一つでありますところの所得税の減税についてお伺いをしたい。総理にお出ましを願ったわけでございますし、最終的な締めくくりとして大きなところを押さえた質問を申し上げたいと思っております。
 今回の税制改正は、ずっと見ておりますと、マスコミ等の取り上げ方は、まず消費税の増税を大きく大きくクローズアップして、所得税については二階建てであるとかあるいはダブル増税であるとかいろんないわゆるマイナスのイメージ、負のイメージを相当に取りざたされている印象がぬぐえないのであります。しかしながら、それは実は木を見て森を見ないということであろうかと私は思いますけれども、先ほど申し上げたように、税制改正の基本的な骨格をきちんと踏まえて本四法案を審議しなければならないというぐあいに私は考えております。
 今回の所得税改正は、昭和六十二年、六十三年に実施されました抜本的な税制改革とあわせて考えることが重要であるというぐあいに考えております。特に所得税につきましては、先般の抜本改革で低・中所得者層を中心とした負担軽減が図られた、その結果として、現在の中堅所得者層を中心とした所得階層に税負担の重み、累増感というものが感じられている、その税率構造のひずみをこの際十分に直そうじゃないかというのが今回の税制改革の、特に所得税については基本であるというぐあいに思っています。
 さらに、そういうひずみを直すために三兆五千億の減税を政府としては考えられ、その上に、第一に挙げられた経済対策ですね、それに呼応すべく二兆円の特別減税が行われたと、このように理解をすべきであるというぐあいに思っております。
 まず、前段に申し上げました三兆五千億の制度減税がどういうものであるかということですね。どういうぐあいに御認識をいただいているか。これが所得税として本格的な減税であると考えておられるのか、そういう点についての御見解をまず賜りたいというふうに思います。
#171
○国務大臣(村山富市君) 今楢崎委員から適切に御指摘もございましたように、今回のこの所得税の累進税率を改正するという意味は、六年前に、今お話もございましたように、比較的所得の低い方々の税率に手を入れたと。したがって、その累進税率のカーブが八百万円ぐらいのところから急に上がってきておると。これは仮にベースアップがあっても、税金がふえてまいりますから、ベースアップの部分はもうほとんど税金で取られてしまうと。こういう傾向が非常に強くて、これは政府税調の調査でも、中堅サラリーマン層の累進税率についてはやっぱり軽減を図るべきだと、こういう意見も出されておりましたので、そういう点も踏まえて、平均的なサラリーマンの皆さんが退職をするぐらいまでの間は二〇%ぐらいの税率の枠内でおさまると、こういうことにする必要があるんではないか。
 これは私は本会議でも申し上げましたけれども、その層というのは大体五十歳前後ぐらいに年齢的にはなるんじゃないか。そうしますと、子供さんが高校から大学に入る、あるいは御両親がもしおるとすれば介護を要するような年ごろになっておるということからすれば、家庭の負担も一番大きくなるんではないかというようなことを考えた場合に、しかもそういう方々はやっぱり生産を支える重要な役割を果たしておるということからすれば、生産に活力を与えていくという意味からも十分配慮する必要があるんではないか。こういう意味で、そういう層を対象に今度税制改革のために累進税率を二〇%に下げたということで、平均的に累進税率をなだらかに直していったというところに私は本当の意味の改革のねらいがある。これでもって一応累進税率の構造というものは本格的に直すことができたんではないか、こういうふうに考えております。
 しかし、それだけでもいけませんから、したがって課税最低限も引き上げて、若干所得の低い方々にも配慮して、そして生活の基盤の安定というものをしっかりやっぱり位置づける必要があると、そういうことも含めてこの際手直しをさせていただいたという内容のものであるということに御理解と御了解をいただきたいというふうに思っています。
#172
○楢崎泰昌君 私は、日本国の所得税そのものですね、それはそんなに重い所得税ではないというぐあいに考えているんです。個人所得税の国民所得に対する割合は、私の調査では日本は八・三%、一けた台ですね。そしてアメリカは一二・五%、そしてイギリスは一三・一%、ドイツは一〇・二%、フランスは間接税が相当部分を占めておりますのでこれはちょっと低くて六・〇%。所得税全体の割合はそんなにひどく諸外国に比べて高いというわけじゃないんですけれども、どうも累進課税の今おっしゃったカーブですね、それが非常に強かったということが問題点であったと思うんです。
 したがって、私はちょっとこういうぐあいに表をかいてみたんですけれども、(資料を示す)この表は、このカーブがイギリス、このカーブがアメリカ、そしてこのカーブがドイツ、そしてフランスはちょっと低くてここにあるんですね。そして、日本における現行のカーブというもの、要するに累進度をあらわすカーブですね、それは黄色い実線で表現をされているんです。相当の強い上がりカーブであった。それを今回の改正をプロットして見ますと、この赤いカーブに変わっていくんですね。
 そうしますと、先ほど間接税を中心としているフランスは相当に国民所得に対する所得税というのは低いですよというぐあいに申し上げましたけれども、ほぼそれと並ぶカーブになっていく。すなわち、日本の所得税はほかの国に比べて相当低位にあると同時に、累進度についても十分緩やかなカーブをとっている。そういう意味ではこれは本格的減税ではないかというぐあいに考えられるわけですけれども、そのような税制の構造について大蔵大臣の御所感を承りたいと思います。
    ―――――――――――――
#173
○委員長(西田吉宏君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 ただいま、上杉光弘君及び須藤良太郎君が委員を辞任され、その補欠として野沢太三君及び岡利定君が選任されました。
    ―――――――――――――
#174
○国務大臣(武村正義君) 今、委員御指摘のとおり、グラフで御説明をいただきましたが、かなりなだらかになりましたし、また一番低いフランスのカーブと相前後するところまできたということでございます。したがってこれは本格的な改革であると、所得税法の附則にございます抜本的な所得税減税であるというふうに私どもは認識をいたしております。
#175
○楢崎泰昌君 所得税の改革、従来議論されていなかった面が非常に強かったと思いますけれども、このように所得税の改革が本格的な税制改革であるということをやっぱり国民の方に十分知っていただく必要があるというぐあいに思っております。
 さらに、この税制改革は、税制体系のひずみの是正、俗に直間比率の是正というようなことが言われております。直間比率の是正ということ、今回二三%から二八%に間接税が上がり、直接税は七七%から七二%に下がったということで、是正が相当程度進んでいるというぐあいに思います。
 直間比率の是正というのは、実はそのときそのときの国民に対する税の負担という問題、税制の構造という問題でございますけれども、同時に、私どもは世代間の負担というものをどう考えるかということが必要であると思います。
 先日の公述人の質疑の中で、関西学院大学の林先生の御意見の中でも、世代ごとの生涯を通じた要するに縦の税負担ですね、その状況を指摘されまして、一九三三年に生まれた方の生涯の税負担は八・一七%である。一九六三年、今三十歳ちょっとの方だと思います、その方の税負担が一五・二%になる。このような世代間のアンバランスも是正をすべきであると。
 これからだんだん福祉等の社会保障が充実をしていかねばならぬ、さらに言えば、高齢化の進度が急速に進んでいる等々を考えると、その負担は将来ともに大きくなっていく可能性があるわけでございます。そのことの是正の一つの手段として直間比率ということが議論されていると思いますけれども、こういう高齢化社会を踏まえた日本の国における税制のあり方としての御感想ないしは御識見を総理から賜りたいと思いますが、いかがでしょうか。
#176
○国務大臣(村山富市君) 今適切な御指摘もございましたけれども、これから高齢社会が到来する中で医療や年金や介護等を中心とした福祉に大変金がかかっていくと。その金をどういうふうにしてだれが負担をするかということが私はやっぱりこれからの大きな政治課題になると思います。
 今回の税制改革に当たりまして、与党三党でもそういういろんな角度から慎重な審議がされてまいりましたけれども、今お話がございましたように、世代間の負担の公平を期すという意味からしますと、直接税だけ、所得税だけにその負担を依存していくことについてはやっぱり相当無理がかかってくるのではないかと。そうしますと、そういう部門をもっと水平的に国民全体が負担をし合うという仕組みというものを考えていく必要がある。そうしますと、これはやっぱり直間比率という問題を見直しせざるを得ないというところに私は大きな課題があるというふうに思うんです。
 税金はそれはもう安いがいいに決まっていますけれども、だれかがやっぱり負担せにゃいかぬわけです。医療や年金というのは保険制度になっておりますから、したがって租税負担と保険料負担でもって賄うということになりますけれども、福祉や介護というのはこれはやっぱり国民全体が負担せにゃならぬわけです。したがって、可能な限り国民の皆さんがその能力に応じて公平な負担をしていただくという意味から考えてみましても、私はやっぱり直間のあり方というものを見直しして、そしていかに公平な課税を期していくかということは大事なことだというふうに思っております。
 今御指摘もございましたように、これはどの直間の比率にすれば一番いいのかという定義は私はないと思いますけれども、しかし、それなりに客観的に見て公平が期せられるような、そういう配慮というのはふだんから検討する必要があるという意味で検討させていただきまして、今回のように若干消費税率を引き上げる、これもやむを得ないことだというふうに申し上げて、国民の皆さん方の御理解もいただきたいというふうに考えて、今いろんな角度から考えてみて、今度のこの税制改革法案で御審議をいただいておる案は、私は知恵を出し合い、お互いに慎重な検討を加えた結果の最善の案ではないかというふうに考えてお願いをしているところでございます。
#177
○楢崎泰昌君 税制は固定的なものではなく、そのときそのときの社会的情勢に応じ、国民のニーズに応じて検討を常に重ねていかなきゃならないものだと思いますけれども、世代間のアンバランスということも十分考慮されて御検討をお願いいたしたいというぐあいに思っております。
 次に、地方消費税につきまして若干お尋ねをいたしたいと思います。
 と申しますのは、二十一日の公述人の陳述では、多くの公述人の方がおおむね妥当ではないかというような御意見が多かったというぐあいに思うんですけれども、その中で、地方消費税は大変評判がよかった、これはもう画期的な制度であると、こういう御指摘もございました。
 現在、地方分権の推進が要請され、さらに地方財源の充実をどうして図るかということが議論をされております。この地方消費税は、各都道府県間で消費基準に基づいて清算を行う、すなわち消費をしたところに消費税を差し上げる、こういう制度になっております。似たような制度として、消費税の地方譲与税制度がございますけれども、これは財政上の措置で、どういうぐあいに回ってどこに行ったのかというのはなかなか解明がしにくい、国民にはわかりにくい税金であるというぐあいに思っておりますが、この地方消費税は消費者にとって受益と負担、その関係が相当明白になっているものでございます。
 公述人の高崎市長であられる松浦市長は、商店街で商品を買ってください、あるいは県民としてぜひ県内でいろんな買物をしてくださいということをアピールするためにこれは大変役に立つのではないか、少なくとも行政と消費者との間の関係が明白になって大変いい制度であるというお褒めの陳述をいただいているように思いますけれども、この辺についての総理大臣のお考えをぜひここで承っておきたいというぐあいに思います。
#178
○国務大臣(村山富市君) 今、楢崎委員からお話がございましたように、今回の税制改革に伴うこの地方消費税の創設というのは、これはもう地方分権というのはある意味では時代の流れにもなっておりますし、昨年六月には衆参両院で地方分権の決議もされておりますが、そうしたものに私は沿い得たものではないかというふうに思っております。とりわけ、今お話もございましたように、受益と負担の関係というものが明確になるということは納税者にとっては極めて大事なことだと思います。
 それから、やはり地方自治体が独立した税をみずから持って財源が対応できるということは、自信を持って福祉行政なんかに取り組める背景になるというようなことも考えてまいりますと、今お話もございましたように、これはやっぱりある意味では地方分権を推進していく第一歩として画期的な意味を持つものではないかというふうに私は自分なりに評価をしておるわけでありますけれども、ぜひひとつ地方自治団体もそういう受けとめ方をして、今後地方の行政が安定する基盤がしっかりつくられるような方向で御協力をいただきたいというふうに思っておるところであります。
#179
○楢崎泰昌君 今回減税をした結果として、その減税は財源がないわけですから、合計で約八兆円の特例公債を将来発行しなきゃならぬということに今なっているようでございます。
 現在、既に二百兆円を超える国債残高を私ども持っているわけでございます。この額は非常に膨大な額で、我々の国家予算の二・七年分に相当する巨額の負債でございます。これは国民一人当たりで計算しますと百六十一万円の負債を国民にお願いをしているということであります。
 さらに申し上げれば、これの利払い費は平成六年度で約十一兆六千億、これを一日当たりで計算をいたしますと、一日当たり三百二十億の利払いをしているわけですね。一時間に直すと十三億の利払いをしているわけでございます。このために財政需要が非常に大きく圧迫をされておりまして、さらに財政の健全化に向けて進んでいかなければなりません。
 実は、このように国債費が膨大であるばかりではなくて、旧国鉄の債務等の今後処理、いわゆる隠れ公債と言われるものが約六十兆円近くあるわけですね。平成六年の今執行されている予算は、実は特例法というのをことしの予算でつくりまして、一般会計から国債整理基金への繰り入れを当然しなけりゃいけないと財政法上で定められているにもかかわらずそれを停止しまして、そのほかに特別会計から一般会計にお金を借りるというような措置もいたしまして約五兆円、そういうような金額がある。私は現在の財政需要は非常に逼迫をしていると考えざるを得ないというぐあいに思います。
 今回の税制改革はそれの手当てが十分にできているとは私は考えておりません。さしあたって予算編成が目の前に来ておりまして、行財政改革等々いろいろ議論をされておりますけれども、財源としては非常に苦しいところに今ある。その中で減税を景気対策のためにせざるを得ないというのが我が国の財政事情のように思いますけれども、今後、財政需要を賄うために収入等々大いに確保せにゃいかぬと思いますけれども、それについての総理の御感想はいかがでしょうか。
#180
○国務大臣(村山富市君) 今お話もございましたように二百兆円を超す国債を持っておる。それから保険料等々、俗に言われます隠れ借金というようなものも持っておる。こういう厳しい財政状況にありますから、可能な限り国債の発行はやっぱり抑制すべきだというこの考え方についてはいささかも変わりはございません。
 ただ、現状を考えた場合に、まだまだ景気回復も本格的に軌道に乗ったとは言い得ない面もありますし、厳しい面もあるわけです。したがって、そういうものも打開しながら、日本経済全体を安定的な回復軌道に乗せていくという意味からしますと、若干の赤字国債の発行もこれはもうやむを得ないのではないかというぎりぎりの判断でやられたことだと私は思っています。
 同時に、普通の公債の場合は償還期限が六十年ですけれども、これは特例として二十年間で償還をして、可能な限り縛りをかけるということも配慮してやられていることですから、言われる意味の財政の厳しさをどう乗り越えていくか。そのためには可能な限り経費の削減をして、そして引き締めてやらなきゃならぬということはもう当然のことでありますから、そのことも十分肝に銘じながら、行政改革もあわせて進めながら、国民の皆さん方に安心してもらえるようなそういう財政状況をつくっていくということについて、心してこれからも取り組んでいきたいというふうに思っておりますので、御理解をいただきたいというふうに思います。
#181
○楢崎泰昌君 今厳しい財政事情の中に税制改革四法をおこしらえになってやるわけですから、それの執行等々については、心して財政の健全化に努めて運営を行っていただくように要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
#182
○志苫裕君 どうも総理御苦労さまです。十六日の連合審査で宿題を残しましたので、その続きをやりたいと思います。
 その前に、今度の税制改革の経緯やこれまでの論議を振り返りながら、私なりの問題意識と主張を少し整理をしておきたいと思います。
 今度の税制改革の意義は、豊かな福祉社会を目指す中長期的な財源対策を社会的公正にかなう税制で講じようとするものだと理解をいたしますが、いかんせん、具体的な構想とプログラムが十分に示されておりませんでしたので満足な論議ができたとは言えません。その意味では、大蔵大臣もお答えになりましたけれども、税制改革はまだ入り口の段階だ、このように思いますし、引き続き議論に加わっていきたいというふうに思っておるわけです。
 財政の中期的な増減を考えるには、当然のことながら将来社会の構想、すなわち社会保障を初め公共投資や教育、文化、国際協力、あるいはまた防衛に至るまで、総合的なビジョンや行政改革、財政体質の改善、さらには福祉と負担の関係などについて国民的論議が深まるようにしなければならぬと思うのです。
 しかしながら、当面する不況脱出の目的が出発点に置かれたこともありまして、国民の関心は所得税減税に寄せられていく、あるいはまたその財源対策としての消費税の問題だけがクローズアップされる、こういう構図になってしまったと思います。もともと大がかりな税制改革というのは短日時のうちになし遂げられるものじゃありませんし、また拙速を戒めなければならぬ、私はそう思います。民主主義の国ではいずれも数年の歳月をかけて慎重に民意を酌んでおります。そのようなスタンスで与党税制改革大綱が検討すべき重要な課題を明記しておることは評価できる、このように思います。
 そこで、政府と与党の責任は、中長期の全体像を一日も早く提起して国民的論議に供すること、及びみずからが明記した検討課題の解決の促進を図らなきゃならぬ、こういう責めを背負ったとも思うわけですが、まずは所見をお伺いしましょうか。
#183
○国務大臣(村山富市君) 税というのは、今御指摘もありましたように何よりも公平な課税をするということが大事であるし、課税をしたものを不公平なくやっぱり納めていただくということが大事なことだと私も思っております。
 そういう意味から申し上げますと、今委員から御指摘もございましたように、これはやっぱり納税者自身がどのように理解をして本当の意味で納めていただくかということが何よりも大事ではないかと。したがって、拙速をするんではなくて、やっぱり時間をかけて、そしてしかも透明度を高めて、審議の経過も国民の皆さんにわかっていただくというような扱い方をすることが何よりも大事だという意味で、これは時間的な制約もございましたけれども、今度のこの税制改革におきましては、与党三党が時間をかけて慎重な上にも慎重な審議をする、同時に、それだけでは足りませんから、したがって各団体の皆さんの御参加もいただいて意見も聞きながら結論を見出していく、こういう慎重な取り組みをしていただいたことについては私も評価もさせてもらっているわけでありますけれども、そういうことが何よりも大事ではないかと。
 今後の税制改革の取り組みにつきましても、可能な限り国民の立場に立った、国民の皆さんに理解してもらえるような、そういう努力というものは不断にやっぱりしなきゃならぬものだということでこれからも取り組んでいきたいというふうに思っています。
#184
○志苫裕君 総理、私たちが税制の問題を議論しますのは、増減税が幾らで、損か得かというそういうことだけではないんでして、どういう将来社会をつくるのかということが本題じゃないんでしょうか。総理の言う人に優しい政治あるいは社会、あるいは税制改革要綱でうたいとげております豊かな社会、ネーミングはいろいろありますけれども、私は公平、平等な社会をつくりたい、このように思っております。平等化社会というりは日本の活力の源泉でもありましたし、税制論議に即して言えば、そんな社会を支える公平な税財政を構築したい、このように願っております。
 公平とか平等とかいいますと、機会の平等か結果の平等かというふうに理念が分かれて、今はやりのリベラルか新保守かのメルクマールにもなっておるようですが、私は機会の平等ももちろんですが、同時に、ややもすればおくれがちになる者も一緒に連れていってあげるような、そういう社会をつくりたいと思っています。
 そんな社会を目指して中長期の税財政を設計しようとすれば、当然のことながら相応の負担を国民にお願いすることになります。そうであればあるほど税に対する信頼を高めなきゃならぬと思うんですし、不信感や不公平感が残っていては到底タックスペイヤーの理解を得ることはできない。そして、ゆがんだ税制はやがてゆがんだ社会をつくる。私はそう信じておりますだけに、税の公平にこだわり続けているんです。
 そういう観点で、この間の委員会で所得課税における勤労性所得と資産性所得の間にある不公平の問題を取り上げました。理念が税制を生んだと言われる日本のいわゆる包括所得税の立場というのは、個人の総合的な経済支配力というんですか、いわゆる担税力に課税しようとするもので、それを直接表現できるのは所得だというので、これが基幹税目にされて、総合課税と累進税率によって縦と横の公平を確保しようとしておるんですが、資産性所得の把握がなかなか難しいとか経済撹乱要因になるとか、さまざまな理由で不公平な課税システムが率直に言って続いていますしかし、このまま放置することはできないんです。不公平の種を温存させたままでは新たな福祉と負担という次のステップを踏むことはできないんです。
 そういう状況に来ておるんでして、日本はやれ税率が高いとか何かいろんな議論もあるようですが、税率の高い国で札束が舞い上がっておったりしているのを見れば必ずしもそう税率の高い国でないのかもしれない。あるいは金持ちというのは総理も御存じのように財布の数の多い人ということなんですね。あっちからもこっちからもいろいろ入ってくるという人なんです。それをみんなまとめて課税をするというのが公平にかなうというのでこの税制を取り上げてきたんです。
 そういう認識でこの間、課税物件としての規模が大きい利子所得を取り上げて、難しいことばかり言わぬでやれるところからでもやってみようじゃないかというふうにお話ししましたら、どうも利子だけだとほかの資金の方へ移ってしまいまして効果が期待できないんだ、国内でほかの資金に化けておるのならどこかでつかまえるということもできるけれども、外国まで逃げていったんじゃ元も子もないというようなそういう種類のお話がありました。その説には理由があると思います。
 だからといって何もしないということにもいきませんので、そこで本則に戻って、所得全体のやっぱり総合課税を実現するように万難を排して取り組んでほしいということをきょう改めて強調したいと思うんです。そのために納番制度などが欠かせないようですが、それならそれでそれの導入に全力を挙げなきゃならぬわけだし、そういう意味で、面倒な理屈を探さないで、ここはひとつ将来のためにも、今障害になっているものを取り除こうという観点で総理からもひとつ踏み込んだ御答弁をお願いしたいところです。
#185
○国務大臣(村山富市君) 志苫委員のさきの委員会における発言等々を承っておりまして、きょうもそうですけれども、いかに税に対する信頼を高めるかという意味で、所得の捕捉面からの不公平を是正する必要があるということをこだわり続けて力説されているお気持ちはよく理解できますし、またそうあらなきゃならぬというふうに私も思っています。
 とりわけ、言われましたように利子、株式等の譲渡益に対する課税の仕方については、基本的にやっぱり総合課税を目指すべきものだ、それが税の不公平を是正することになるというふうに私も考えております。
 総合課税の問題につきましては、いかにしてこの所得を把握する体制をつくるかという意味で不可欠なことでありますし、とりわけ納税番号制度等と切り離して論議することはできない問題だというふうに認識をいたしております。
 現在、相当程度広範な国民を対象とする番号制度が整備されつつあるわけでありますけれども、その進展状況等も十分見ながら、納税者番号をどの範囲に利用できるかということも含めて、そのあり方、目的等を明確にしていく必要があるというふうに思いまするし、プライバシーの問題等もございますから国民の皆さんの御理解も得る必要があるというふうにも思いますので、この導入に関する件につきましては、さらに検討を加えて、積極的に取り組んでいかなきゃならぬものだというふうに受けとめております。
#186
○志苫裕君 従来よりは踏み込んだ答弁と理解して、次の宿題に入ります。
 豊かな社会を目指して中長期的な財政を設計しようとすれば、相応の負担を国民にお願いせざるを得ないという認識はさきに述べましたし、また諸般の状況から見ますと、消費課税への加重圧力がかかってくることも十分に想定されます。その場合に直面しますのが、るるお話がありました消費税の逆進性という公平性にかかわる問題です。
 今回のように所得課税の累進緩和という要請と消費税率の引き上げが重なりますとすれば、これは所得税と消費税の双方向から逆進性を強めて所得再分配機能を損ねてしまう。そこで、るる御答弁がありましたが、税体系でバランスをとろうとしますと所得税の累進性を逆に強めなきゃならぬ、こういうことになっちゃう。財政の歳出面で補完をしようとすれば、低所得層のために低所得層から消費税をいただくというパラドックスになってしまう。
 こういうことになるわけで、そこで、私は消費税そのものにも累進構造を持ち込んだらどうかというのが主張なんです。単一税率のメリットを損ねるとか、あるいはいろいろな話がありましょうけれども、せめて食料品については免除するか還付するかあるいは低い税率を採用するか、何らかの方法でそこのところは双方向からくる逆進性というものについて緩和をしなきゃならぬ。付加価値税を導入しておりますヨーロッパ諸国ではこれは極めて一般的なことなんだし、また自民党政府の時代にも軽減税率はどうかなといって提起したこともあったんだし、何よりも憲法が要請をする最低生活費非課税原則にかなう。
 与党税調もそれらのことを含めて議論をして重要な検討課題にしたところでもありますし、また、今回は見送ったんだという武村大蔵大臣の答弁も必ずしも可能性を否定したものでもあるまいと、こう私は受け取っておるわけでありまして、この際、総理のひとつ踏み込んだ答弁を期待したいんですが、いかがですかな。
#187
○国務大臣(村山富市君) 消費税の持つ逆進性、その逆進性を緩和するために、せめて食料品は最低生活を保障するという意味で免税にするかあるいは軽減税率をとるぐらいの配慮をすべきではないかという志苫議員の意見は、それなりに素直に私は受けとめたいと思うんです。この問題がこれから税制改革を行う上で、あるいは消費税の問題を議論する上で重要な課題であるということについては、志苫議員の指摘は真摯に私は受けとめるべき問題であるというふうに認識をいたしております。
 これまでの議論の経緯も踏まえながら、消費者や納税者双方の声にも十分耳を傾けて、これからも真剣に取り組んでまいりたいということを申し上げておきたいと思います。
#188
○志苫裕君 私ならもっといい答弁をするんですが、答弁に少し舌足らずの点が残ったかなという感じもないわけではありませんが、総理、業界用語で言いますと前向きというふうに理解していいですね。その席でうなずいただけでは議事録にも載らぬわけでありますが、全体の流れ、雰囲気から見て、真剣に取り組んでいく、これは前向きなお話だというふうにしっかりと理解をいたしまして、残余の質問もあるんですが、ここで打ち切ります。
 どうもありがとうございました。
#189
○池田治君 総理も御存じのように、私は五年前には消費税反対を公約して選挙を戦いました。当時はバブル経済の最盛期でございまして、税の自然増収だけでも六兆円、七兆円と浮いてきました。しかし、現在は法人・所得税など予定した税が二兆円、三兆円と入ってこない、こういう財政事情になってしまいました。その上、今度は高齢化社会は一段と進みましてその対策も立てなきゃいけない、出生率の低下から少子化対策も立てなきゃいけない、中堅サラリーマンの重税感は強いのでこれもなくさなきゃいけない、ODAで諸外国に対する国際貢献もやらなきゃいけない、いろいろな要請が出てまいりまして、この五年間の間に事情は一変したと理解しております。
 そこで、これらの施策を講じるための財源というのは限られたものでございまして、なかなか実行はできないと思います。そうすると、国民に対して税を上げてくれ、こういう要求をする以外になくなってきます。しかしそれが言えるためには、国家機関がリストラをして、むだな財源を抑制して、これだけ国も切り詰めてやっているんだ、だから国民も消費税の引き上げも我慢してくれと、こう言わなければ説得力は弱いと思うんです。
 そこで、今民間企業は不景気の中でリストラをやりながら苦しんでおるわけでございますから、国だけは何もやらないで税率だけ上げてくれということは、私たちとしては国民に言えないと思っておりますが、総理のお考えはどうでしょうか。
#190
○国務大臣(村山富市君) これは今池田委員御指摘のとおりに私どもも認識をいたしてもおりますし、受けとめております。
 今お話のございましたように、こういう厳しい経済環境の中で、景気を回復したり、あるいは高齢社会を前にして国民の皆さんにも御理解を得た上で負担もしてもらわなきゃならぬ、こういう厳しい状況にあるときに行政だけがリストラもやらずに腕をこまねいて見ているようなことは許されないというふうに思います。これはやっぱり率先をして行政改革は進めていくというぐらいの腹構えで取り組む必要があると思いますから、私は閣議が終わった後、閣僚懇談会でも各大臣に対して、特殊法人の問題も含め各省で真剣に国民の声を聞き、内外の声も反映させて特殊法人の見直しやらあるいは規制緩和等も含めて行政改革は計画的に進められるようにしてほしいということも強く要請をいたしたのであります。
 特にまた、地方分権問題やらあるいは情報公開の問題等々も含めて、政治全体の姿勢を正すという意味からも、私は、今御指摘のように、行政改革につきましてはこの内閣が一体となって取り組むべき課題であるというふうに受けとめて努力をしているところであります。
#191
○池田治君 抽象的な表現としては理解できますが、もっと具体的な問題を聞きたいと思います。
 本気で行政改革に取り組まれるのかどうかという点をお尋ねするのは、旧連立当時は、北海道開発庁とか沖縄開発庁を統合してリストラ化しようとか、これを国土庁に統合しようとか、こういう問題が議論をされかかったと、こう伺っておりますが、現政権でも国の行政機関等について統廃合をするというような具体的な検討はなさっておるんでしょうか。
#192
○国務大臣(村山富市君) ここで具体的にどこをどうするということを名前を挙げて言う段階にはまだございませんけれども、具体的な進め方として申し上げておきたいと思いますのは、先ほど申しましたように、規制緩和につきましては、内外の規制緩和要望の声をあらゆる機関を通じて今把握いたしておりますけれども、こうした声を踏まえて本年度内に規制緩和推進計画というものを五カ年間を期限にしてつくるように今準備をしております。これが一つです。
 それから特殊法人につきましては、平成六年度内にすべての特殊法人の見直しを行って、具体的に進めていくプログラムをつくるということも決定をいたしております。
 それから、今申し上げましたように、地方分権、行政情報公開、行政組織などの各般の改革課題につきましても、これから国民の目に見える形で成果の上がるように積極的に取り組んでいくということも閣議で了解をしておることでありますから、今委員から発言のありましたことも踏まえて、これから精力的に進めていきたいというように思っています。
#193
○池田治君 ある週刊誌によりますと、今、村山総理は大々的なことを考えていると。それは、大蔵省を分割して主計局を官邸へ持ってきて、そして大蔵省と対決する、こういう大それたことを考えているというような記事も出ておりますが、週刊誌を信じるわけではございませんが、真相はいかがなものですか。総理、お願いします。
#194
○国務大臣(村山富市君) そういうことを私は発言したこともございませんし、どこから出た記事か私にはちょっと理解ができないんですけれども、要するに官僚主導でなくて政治家がもっとリーダーシップをとって、そして責任ある対応をきちっとやるべきじゃないかという声はあると思います。
 しかし私は、これまでの浅い経験ですけれども、行政と政治的な判断、もっと言えば、行政府と立法府の関係というものはお互いにそれぞれの分野で持ち合った責任があるわけですから、その責任の分野を自覚し合いながら、国民のためにどうあることが一番いいのかという検討というものは不断に具体的な事実に照らしてやっていかなきゃならぬこれからの課題ではないかというふうには理解をし、受けとめておるつもりです。
#195
○池田治君 具体的なことも検討するという御発言でございますが、その具体性の中に今の予算編成権等についても考えるところがあると、こういうようなお気持ちでおられるんでしょうか。
#196
○国務大臣(村山富市君) これは、制度的に予算編成権というのは大蔵省にあるわけですね。そして、編成されたものは最終的には閣議で決めて、そして国会に予算案として出すということになると思いますから、予算編成権は私の承知している範囲では制度的に大蔵省にあるというふうに認識をいたしております。
#197
○池田治君 それでは、特殊法人の問題について大蔵大臣にお尋ねします。
 新党さきがけは特殊法人の改革案を提示されました。これでは一兆七千億円の歳出削減になると試算されております。しかし、村山内閣では、十月十八日に特殊法人の見直しの閣僚懇談会を開いて、具体的な特殊法人の見直しについては本年十一月下旬、また見直しの結果は平成七年の二月上旬までに総務庁に報告するということになっております。しかし、与党のプロジェクトチームでヒアリングを受けた農水省では、蚕糸砂糖類価格安定事業団等の九つの特殊法人すべてについて、廃止した場合の弊害のみ記述した文書を提出されたと伺っております。そうすると、この懇談会の報告というのは拘束力も強制力もございませんので、特殊法人の見直し、改革というのは全く進まないという場合も考えられるんでしょうか。
#198
○国務大臣(武村正義君) 特殊法人の整理合理化の方針は今総理がお答えを申し上げたとおりでございます。今年度中、来年の三月までに具体的な整理合理化の方針を固有名詞を挙げながらきちっと政府としてはまとめていくということであります。
 その前段としては、今月下旬には各省庁の見直しの状況をまず中間的に報告するということになっておりますし、二月の上旬までに各省庁の最終の考え方を総務庁に報告をするということにもなっておるところでございまして、まさに今各省庁真剣に見直しの議論をしているさなかであります。大蔵省も、事務次官を座長にしながら、各局長挙げて大蔵省関係の特殊法人の問題について真剣な議論を進めているところでございます。
 簡単に数を減らすということは容易なことではありません。一つ一つそれなりの理由があって存在をしているわけでありますが、しかしそのことにこだわれば一つも廃止できないということになりかねません。それだけに、事は容易でないということを十分認識しながらも、村山総理の激励のもとに、各閣僚リーダーシップを発揮しながらこの問題に取り組もうといたしているところでございます。
#199
○池田治君 そういう真剣な検討というのは消費税を上げる前にやってもらった方がもっとよかったんですけれども、遅いような感じですね。がしかし、今からでも国民の前にぜひそれをお示し願いたい、こう思っております。
 次に、予算編成についてでございますが、年末にかけて大体予算編成が進められつつあると思っておりますが、今年度の予算に比べて来年度の予算というのは、硬直化した財政のむだを省いて歳出を削減して、国民の前に、国の予算もこういうむだを省いた、そして経費節減をやっているんだから国民も消費税の引き上げに応じてくれと、こういうことを胸を張って言えるような予算となりますか、なりませんか、はっきり答えていただきたいと思います。
#200
○国務大臣(武村正義君) 予算編成をめぐる環境につきましてはたびたびお答えをしてまいりました。先ほどの総理の公債残高、赤字国債の発行に対する姿勢の答弁もそうした考え方を述べていただいたわけであります。
 しかし、財政がいかに厳しくても、また国民の国のサービスに対する期待は大変大きいものがございますし、新たな分野の期待も少なくないわけであります。そういたしますと、結局これまでの既存予算をかなり思い切って見直しをすることがどうしても欠かせないということになります。
 言葉として、制度の根本にまでさかのぼった見直しをことしはやっていこうということでありますし、そういう中でぎりぎり、不必要なものは削減するのは当然でありましても、たとえ必要なものであってもプライオリティーといいますか、国民にとって何が優先するかという真剣な議論を重ねて、優先順位をつけながら厳しい選択をさせていただくということが大変大事ではないかと思っております。そういう努力を重ねてこそ初めて、委員がおっしゃるめり張りのきいた、厳しい中でもめり張りのきいた七年度予算が編成できるんだというふうに思っております。
 いずれにしましても、あらゆる財政環境は厳しいことばかりといいますか、そんな状況の中でありますが、それだけに真剣にこの国の財政をしっかり見詰めながら予算編成に取り組んでまいりたいと思っております。
#201
○池田治君 固い決意表明を受けましたので、ぜひそのとおりお願いをいたします。
 次に、地方消費税の問題ですが、これは私の県も非常に喜んでおりますから、総理のところの大分県も大抵喜んでおると思っております。各自治体というのは地方分権、地方分権と叫んだって、財政、予算の裏づけがなければ何にもならぬわけですから、地方消費税ができたということについてはそれなりの評価は私たちもしております。
 そこで、ちょっとこれは細かいんですが、一部の自治体が条例の制定を行わなかった場合、これ法律では決まりましたが、条例で消費税率を決定するということになっているようでございますが、その場合に、二五%の税率をかけなかったような場合に全体の消費税の執行には支障を来さないか、こういう問題が出てまいりますが、これは大臣、どうお考えでしょうか。総理でなくて結構でございます。
#202
○政府委員(小川是君) 今回の地方消費税は、課税標準が国の消費税額となっております。国の消費税額は改定後は四%であると、それを基準にいたしまして税率を二五%というふうにいたしております。かつこの地方消費税は単段階の小売売上税ではございません。多段階のすべての事業者の段階にかかりますので、一律の条例において二五%という税率を定めていただきませんと、これは消費税、地方消費税ともに動かない、つまり公正な税として執行ができないというものでございます。
#203
○池田治君 だからお尋ねをしておるのでございますが、二五%を定めずに、大分県は財政が豊かだからもういいやといって一五%に定めたと、こういう場合はいかがでしょうか。
#204
○政府委員(小川是君) ただいま申し上げたような地方消費税の仕組みでございますので、適正な課税の実現のために、すべての都道府県において地方税法の定めるところによって一定税率による課税条例を定めていただくよう、その趣旨の周知などを政府全体として努めてまいるということでございます。
#205
○池田治君 私が質問しているのは極端な場合でありまして、例外中の例外のことですから、めったにないとは思いますが、そういう場合も一応想定されるわけでございますので、大蔵当局もお考えになっていただきたいと、かように思います。
 次に、間接税との調整の問題ですが、消費税が引き上げられて、飲食とか宿泊にかかる特別地方消費税や自動車取得税についてはそのまま残っておるというと、二重課税になっておるんじゃないかと思いますが、このような間接税というのは調整して原則廃止の方向でやるべきではないかと思いますが、大臣、いかがお考えでしょうか。
#206
○国務大臣(武村正義君) 先ほど島袋委員の酒税に関する御質問にもお答えをさせていただきましたが、個別間接税はまだ残っております用地方に関しては、今地方消費税を挙げられました。国税としては酒、たばこがそうでございますし、石油関係の諸税もそうでございます。
 基本的な方針としては、個別間接税がある限りは消費税はその税額を含んだ上に五%上乗せでお願いする、これが統一した基本方針でございます。しかし、個別税制を個々にどう考えるか、税率が適正かどうかというのは、それは個々にある論議であるという認識でございます。
 地方消費税は、これは私の所管ではありませんが、私も六年前の議論を思い起こしますと、地方の当時ありました貴重な自主税源というのは次々と廃止になりまして、娯楽施設利用税とか料理飲食税あるいは電気ガス税等々でありますが、その中で、料飲税は最後まで大きな議論がある中で、かなり高い税率でもございましたから、消費税三%で廃止というところまで進まなくて、特別消費税という形で、当時の税率からすれば一部の税率で残ったということでございます。
 自治大臣の答弁は、これも自治体にとっては大変貴重な財源、自治体によっては一割ぐらいを占める市町村もあるようでございます。そういう意味で、今直ちにこれを廃止という考え方はとらないというのが政府の考え方でございます。
#207
○池田治君 時間があと一分しかございませんので要望だけ申し上げますが、総理は、私が四月二十日の晩、総理のお宅へお邪魔してお話をしたときには、君も消費税反対で出たんじゃないかということで、かなり消費税には厳しい立場をとっておられたように思いますが、消費税を五%に上げられるんなら、どうかもっと行財政改革も徹底してやって、国民の前にはっきり言えるようなプランを立てながらやっていっていただきたい、かように要望して質問を終わります。
#208
○白浜一良君 最初に総理に二点ばかりお伺いをしたいと思います。
 いよいよ十二月は予算編成でございまして、聞くところによりますと、本年度も税収が当初予算を下回る、こう言われているわけでございまして、非常に厳しい。まあ明年度もそんなに好転は考えられない。しかし、米の部分自由化を初め農業対策費の財政支出の方が拡大する、そういう要素ばっかりあるわけですね。
 そういう面で、来年度の予算を編成するに当たり、二十一日ですか、大蔵省の斎藤次官が赤字国債の問題で、この所得税減税のつなぎ国債じゃないんですよ、いわゆる財源としての赤字国債でございますが、財政法に禁じられており、なるべく出さないのが常道だ、ただ、来年度がどうなるかは見通しが立っていないと、大蔵省の一番の責任者である斎藤さんがこういうふうにおっしゃっているわけでございますが、総理は予算編成の最高責任者ですから、そういう発言も踏まえまして、明年度の予算編成に伴って赤字国債の見通し、どういう予算編成ができるか、お考えをまずお伺いしたいと思います。
#209
○国務大臣(村山富市君) 御指摘のございました大蔵事務次官の発言につきましては、私も新聞で拝見をさせてもらいました。
 これは恐らく七年度予算編成をめぐる財政事情が一段と厳しくなっておるということを申し上げたものであるというふうに私は受けとめております。
 政府としては、このような厳しい財政事情のもとであるだけに、先ほども御答弁申し上げましたけれども、公債発行につきましてはできるだけ抑制をするということは大事なことだし、再び特例公債を発行しないことを基本としながら、歳入歳出両面をにらみまして、そのための最大限の努力を払いながら予算編成は進めなきゃならぬという気持ちで今準備をいたしておるところでございますから、そのように御理解をいただきたいというふうに思います。
#210
○白浜一良君 基本とするのはわかっているんですよ。基本とするのはわかっているんですが、総理は最高責任者ですから、もう極力出さないんだ、赤字国債、特例公債の発行はしないんだ、そういう意思で予算編成されますかということを私は聞きたいわけです。
#211
○国務大臣(村山富市君) それはもう言われるとおり、極力出さない方向で予算編成に取り組むという気持ちは変わりはありません。
#212
○白浜一良君 わかりました。
 もう一点お伺いしたいことは、日米の包括経済協議で、金融・サービス分野の大きな争点で公的年金の運用が問題になっている、こういうふうに言われてございまして、国内の清勢だけ見ましても、厚生省は年金の運用を効率化するためには委託先の多様化が必要だと、これは厚生省としての考えがあるわけですね。一方で大蔵省は当然、リスクがあるからそういうのはだめだ、こういうふうにお考えになって非常にお立場は分かれているわけですね。そこにアメリカからこういう公的年金の市場開放要求が非常に強く出てくる。そういう中で総理はさばくお立場にあるわけでございますが、この問題に関しまして何か御所見がございましたらお考えを伺いたいと思います。
#213
○国務大臣(村山富市君) 公的年金の運用につきまして、米国から規制緩和の要望が強く反映されているということについては私も承知をいたしております。しかし、公的年金という性格からしますと、何を一番重点に考えるべきかと言えば、これはやっぱり安全確実な運用を図っていくということが一番大事ではないかというふうに思いますから、そういう視点に立って、関係者と十分慎重な検討を加えながら結論を出すべきものであるというように私は考えております。
#214
○白浜一良君 それでは本題に移りたいと思います。
 先ほども議論になっておりましたが行政改革の問題で、先日総理がお疲れでしたので私深追いはやめたんですが、先ほどお話ございましたように、十一月二十五日に総務庁が中間報告をおまとめになると。最終は二月ですね。この中間報告を、総務庁でまとめられた内容を総理としてごらんになって、非常にこれは内容がよくない、不十分だと、こういう内容であったといたしましたら、総理としての強いリーダーシップを発揮されるかどうか。十六日もこのことを本当はお伺いしたんです。まずお考えを伺いたいと思います。
#215
○国務大臣(村山富市君) 特殊法人の見直しにつきましては、去る十月十八日の閣僚懇談会におきましてこれは総務庁長官から特別な発言があって、これは所管する担当大臣ですから発言がございまして、特殊法人の見直しの具体的な作業、手順等について、各省庁から具体的な見直し事項及び見直し体制を含む見直し状況を本年十一月二十五日までに、また見直し結果を平成七年二月十日までに総務庁に報告をいただくということを提案して、皆それぞれ了解をして受けて帰ったわけです。
 したがいまして、十一月二十五日にどのような中身が出てくるかということについては今は予測はできませんけれども、私からも具体的に実行できるようなものを出してほしいということは申し上げてありますから、したがってその出た結果によって、その気持ちで判断をしながらまだ進めていきたいというふうに思います。
#216
○白浜一良君 くどいようで申しわけございませんが、十月二十四日の衆議院の委員会で、担当の総務庁長官が特殊法人に関しましてこのようにお述べになっているんですよ。
 具体的な名前が絞り切れて、そうしてこれとこれは統合するとか、これは民営化するとか、これは廃止をするとかいう具体的なものが出てくれば結構だと思いますが、出てくるかどうか、これはそのときになってみなければわかりません。ごもっともな答弁ですね。その上で、
 特殊法人等の整理合理化は必ずやるということでございますから、必ず固有名詞を挙げて、これはこのように整理合理化をいたしますということを年度内にきちっといたしたい、このことは私ども責任を持っていたしたいこのようにお述べになっているんです、担当の総務庁長官ですから。
 これは当然総理のお考えと一緒なんでしょうね。具体的に名前を出して、難しくてもやりますよということと理解していいんですね。
#217
○国務大臣(村山富市君) 十一月二十五日までに中間報告をしてもらうつもりですけれども、これは例えばどこの省で具体的にこれとこれとこれを対象にして検討しているというようなことの具体的な名前が二十五日までに出てくるかどうかというのはちょっとわかりませんけれども、しかし……
#218
○白浜一良君 最終的には。
#219
○国務大臣(村山富市君) 最終的には、これは最終的には対象が絞られてこなければできないことですから、したがって最終的には出ると思いますけれども、十一月二十五日の段階で具体的な名前まで挙げて出るかどうかということについてはまだちょっと予測はできません。
#220
○白浜一良君 そうなんです、私は最終的なことを言ったんですよ。中間報告で不十分ならば、きちっと御指示をされて、最終的には具体的に決めますよと、この総務庁長官のお考えと一緒ですねということを私伺いたかったわけで、同じというふうに理解します。
 それで、これは行政改革を考えたら、今特殊法人のことが具体的な例でいろいろ話題になっているわけでございますが、もう一つ、先ほども国土三庁の統合の話がございました。非常に難しい問題もあると思いますが、いわゆる本省関係の省庁とか部局の統合・合理化というのは、これはどうなんですか、今の政府としてはそういう手を染められるんですか、染めていらっしゃるんですか、その辺をちょっとお伺いしたいんです。
#221
○国務大臣(村山富市君) 行政を取り巻く社会、経済すべての状況が変わってきているわけですから、したがって、変化した状況にどう対応して簡素にして効率的な行政ができるようにしていくかということにつきましては、これは普段からやっぱり心がけてやらなきゃならぬことだというふうに私は思っています。したがって、そういう扱い方をするということを前提にして今私どもが行革として挙げておりますのは、そこまで踏み込んでやれるかどうかということはちょっと今のところ想定できませんけれども、しかし今お話があったようなことにつきましては、これはやっぱりふだんから念がけて検討しながら、変えるものは変えていくという努力は続けてやるべきものだというふうに私は理解をし、認識をしているつもりであります。
#222
○白浜一良君 具体的に取り組み、努力されていると、このように理解したいと思います。
 次に、今回の税制改革で不公平税制が先送りにされたと。時間がなかったからできなかったんだと、これは私にもよくわかるんですが、しかしそれにしては非常に拙速な改革であったなというふうに率直な印象を持つわけでございます。総理、どうですか、不公平税制という言葉は非常によく使われ至言葉なんですが、国民から見た場合、これが不公平だなと、どういうことに不公平感を国民は感じていると思っていらっしゃいますか。
#223
○国務大臣(村山富市君) 今言われて具体的にこれがというのはちょっと思い出せませんけれども、先ほど志苫委員からも指摘がありましたように、例えば勤労所得税、これはもう源泉徴収ですから一〇〇%捕捉されて税金を取られる。ところが、利子やらあるいは株の配当やら等々につきましては幾らか違いがあるんじゃないかというようなことからすれば、総合課税で所得についてはすべて把握される、こういう仕組みに変えていくことが税の公平な捕捉ができるんではないかという意味からしますと、やっぱり検討しなければならぬ課題ではないか。そんな意味における不公平の認識というのは、一般国民、とりわけサラリーマンの皆さんには強いんではないかというように私は理解をいたしております。
#224
○白浜一良君 確かに大きな問題でございますが、もう時間がございませんので、私はきょうはその不公平感のある税制の中で二つだけ具体的に御意見を伺いたいと思うんです。
 一つは赤字法人の問題なんです。
 資料によりましたら、現在、日本では大体二百万社の法人があるらしいんです。これは普通法人です。そのうち法人税を納めているのが半分の大体百万社、あと残りの百万は法人税を払っていない。その百万の営業収入が一千五百兆ぐらいあるんですか、その営業収入一千五百兆のうち法人税の対象になっているのが大体五十兆ぐらいだと、こういうふうに統計的に言われているんですが、この百万も赤字法人があるという実態ですね、いろんな理由があるんでしょう。だけれども、このこと自身が非常に私は不自然だと思うんですが、総理、どうですか、どのように認識されますか。
#225
○政府委員(小川是君) 赤字法人につきまして、まずベースになります法人数が二百万を超えるというのはそのとおりでございますし、赤字法人が百万程度あるというのもそのとおりでございます。
 我が国の法人の大多数は中小零細法人でございまして、したがいまして、赤字を出しておりましても、実は社長本人あるいは奥さん、家族が従業員になっていると、そこに給与が支払われて生活ができればその法人の存在そのものには何も影響がないといいますか、心配がないという状況が中小零細法人の場合には多くあるわけでございます。したがいまして、全然税金を払っていないかと申しますと、実は社長とか従業員の立場で所得税は納めておられるというのが、全体の数が大変多いところについては、その点は御理解をいただきたいと存じます。
 ただし、依然として残りますのは、ある程度の社会的企業でありながら恒常的に赤字であると、そこで法人税を納めなくていいのかという問題は重々御指摘を受けているところでございます。所得課税の中で何ができるかといいますと、そこには限界があるということでございます。
#226
○白浜一良君 小川さん、それは道理ですよ。給与を取っているんだから所得税は払っておりますよ。僕はそう言っているんじゃない。法人なのに法人としての税金を納めていないということ、そこの問題を言っているんじゃないですか。確かに、中小零細企業で守るべき内容もありますよ。だけれども、一般の勤労者と比べたら随分すごい諸経費で優遇もできるわけですよ。それから、損金の問題とかいろんな問題があるから、その辺をよう抜本的に改革しなければいかぬのと違いますかということを私は言っているわけですよ。大蔵大臣どうですか、これ。大蔵大臣言ってください。
#227
○国務大臣(武村正義君) 昨年の秋の答申でも、「赤字法人における交際費等の任意的な経費支出の取扱いについて見直しを行う等所得課税の枠内で何らかの措置が講じられないか検討する必要がある」という指摘をいただいております。
 地方税法におきましても、これ余分なことを申し上げているようですが、法人事業税のあり方としては古くから外形課税にしてはどうかという議論があるのも事実でございまして、今小川局長が申し上げたように、所得のないところに課税の議論をしても、どう所得にかけるかという議論は限界がございます。結局、地方税法で昔からございますようなそういう外形基準というものを対象に課税の論議を進めるかどうかと、こういうことにもなってくるわけでございまして、法人課税の問題はこういう形で検討を進めていきたいというふうに思っております。
#228
○白浜一良君 随分前からこれはもう検討項目になっていまして、やっぱり具体的な取り組みが要るということを指摘だけしておきたいと思います。
 最後に、ちょっとこれもう詳しく言う時間がございませんが、いわゆる租特の問題でございます。
 今まで議論になってきたこともございますし、昭和二十四年とか二十六年からのものもございまして、いろいろ本委員会でも御指摘がございました。だからちょっと具体的な提案で御意見を伺いたいんですが、少なくともこういう租税特別措置をする場合は一応の期限を決めて、それは政策減税としての目的、効果というのはあるわけですけれども、やっぱり一定期間に限定すべきじゃないか。これはよく言われていることなんですが、この点はまずどうですか。それをきちっとルール化する、三十年なら三十年、二十年なら二十年、きちっとすべきじゃないかと。
#229
○政府委員(小川是君) 政策的な税制でございますから、基本的には一年とか二年とか五年とかという期限を付しまして見直しを行っているのが大半でございます。長引いているものにつきましては、そうした政策的なレビューの中で、今回はやはり継続が必要ではないかということで継続が三十年になったりしているものもございます。そういう意味では、長くなっているものはより厳密な見直しを必要とするというふうに考えて対応してまいりたいと思っております。
#230
○白浜一良君 そういう一年ごとだからずるずるいくんですよ。そんなものは二十年なら二十年、十年なら十年はちっとやるのが一番けじめがついていいんですよ。一年ずつだからずるずる継続をしなきゃならない。これは言うだけにとどめます。
 もう一点、欧米社会では、租特というのは租税支出だということで予算書に明示されているという。ところが日本の場合は、これは逆に言うと補助金を出しているのと一緒ですからね、だけれども全然出てこないと、こういうこともよく言われているんです。だから、租特の場合はきちっと予算書に明示すべきだ、こういう意見、これは非常にもっともな意見なんですね。こういうことに対して、大蔵大臣、この質問で終わります、答えていただいたら終わりますから。
#231
○政府委員(小川是君) 租税特別措置による減収見込み額につきましては、私ども毎年税務統計等をもとに、予算を提出しましたときにその年度の予算ベースによる試算を行いまして御提出をしているところでございます。
 企業関係が四千億余りであるというのは、平成六年度ベースでまさにそういう数字でございまして、ただ、これを結果として示すということは、これは個々の納税者の方が具体的にどう適用を受けているかというのを足し上げなければいけないわけですけれども、それは実際上、私どもデータをそこまで集めることもできません、集計もできないという点は御理解をいただきたいと存じます。
#232
○吉岡吉典君 この消費税法案ですが、審議が始まってからわずか四日間の審議にしかなりませんが、それできょう採決されようとしている。日本共産党はこれに強く反対していますけれども、そういう状況です。
 しかし、このわずかの間の審議の中でも、財政需要はふえる一方だ、それに対して行財政改革、また不公平税制の是正によってどれだけのものを生み出そうとするのか、この点での政府の姿勢から見て、とてもふえる一方の需要を満たすような行財政改革、不公平税制の是正をやれる姿勢とは受けとめられません。結論的に言うと、五%という今の消費税の税率は、見直しの中で大きく再引き上げされざるを得ないだろうというのが私の結論的に言わざるを得ない点であります。
 この法案は、内容においても非常に重要な内容を持っていますが、同時に、この国会では議会制民主主義の根本にかかわる選挙公約との関係が大きく論議されてきました。それは、選挙公約と全く反対のことがやられるということになれば、議会制民主主義が根底から覆され、選挙をやることも全く無意味になるから、当然のことであります。
 さて、この問題をめぐっては、公約違反だ、そうでないという論戦が盛んにやられてきました。私は、この論戦を整理する上でまず総理にお答え願いたいんですが、前回の総選挙での社会党が責任を持てる公約は何であったかということです。総理の答弁を見ると、政審が発行した「政策エッセンス」だけが社会党が責任を持てる公約であるというふうに受け取れる答弁も見られるわけですけれども、社会党として責任を持つ公約は何か、これをまず明らかにしてください。
#233
○国務大臣(村山富市君) これは正確を期す意味で申し上げたいと思いますけれども、昨年七月の総選挙の際の社会党の公約は、
  国民生活優先の予算を実現するためにも、安定的な税収確保の体系は不可欠です。資産と所得の総合課税化をはじめとする抜本的な税制改革に努めます。また、八八年の制度改正以来ほどんど手つかずのまま放置されてきたことによる所得税の実質増税構造の解消や、飲食料品の非課税化による消費税の逆進性緩和など、国民的な要望に責任をもって応えられる取り組みをすすめます。ということが昨年七月の総選挙のときにされた公約であります。
 したがって、私はここに書かれておる内容から分析してみまして、こうした党が訴えた公約全体の趣旨を踏まえて、昨年七月の総選挙では、消費税の否認ではなくて、導入後の消費税の国民生活あるいは経済の中で定着している状況も踏まえて、所得、資産、消費に対するバランスのとれた課税を追求していくと。それから、所得税構造の中にはやっぱり問題がある、したがってこれを直していくというようなことを申し上げておるのでありまして、私はそういう意味から申し上げまして、一言半句違ってないかといえば、いつかも申し上げましたように、例えば逆進性を緩和するために飲食料品はできるだけ直していきたいというようなことについてやっていくことができなかったことにつきましては、これはもう率直に申しわけないと私は申し上げているわけであります。しかし、全体として公約に反しているかといえば、私はそんなふうには受けとめておりませんということを申し上げているところであります。
#234
○吉岡吉典君 そうすると、私は中身の前にまず文書としてどれかということが聞きたかったわけですけれども、この文書が社会党が責任持てる公約文書だということだとすると、そうすると、社会党が今後選挙をやられる場合にも、こういう文書だけがもし公約だということになると、それ以外のいろいろなアンケートとかテレビでの発言というのはどう見たらいいかという問題が起こるわけです。
 そこで、総理にお伺いしますが、朝日新聞のアンケートに政審が責任を持って答えた、税率の引き上げは反対、これは公約であるのかないのか。それから、総理自身が朝日の大分版、昨年の七月九日付ですが、これに答えている答弁ですね、これは税率引き上げをすべきか否かという問いに答えたものですが、その中ではっきりと、税率引き上げ反対どころか廃止すべきだと、こういうふうに答えておられるわけですね。これは公約なのか公約でないのか。
#235
○国務大臣(村山富市君) 私が今読み上げましたのは、これは党としての公約ですね。それから、いろんな選挙の際にアンケート調査が参ります。これは個人の責任において判断をされてなされたものだというふうに私は思います。ですから、その朝日新聞の世論調査で、例えば消費税率を上げないとか、上げることに反対とか、あるいは消費税そのものは廃止すべきだとかというようなことを申し上げた記憶も私はございます。ですから、そのことは否定するものじゃありません。
 ただ、七月の総選挙後、だれも想定できないような大きな政治的な変化もあって、そして社会党も政権を担う与党になっておるわけです。そういう立場から現状を踏まえた場合に、責任ある政治家としての態度をとるという立場からすれば、いろんな角度から議論があることもまた当然だと思いまするし、その議論を踏まえた経過というもの、あるいは出された結論というものは、これは政治家の判断でやっていることですから、その責任が問われるとすれば、これはもう選挙のときに問われるというふうに思いまするし、それはふだんから国民の皆さんに御理解がいただけるように政治活動を通じて努力していくということも必要ではないかというふうに私は考えております。公約したことが一言半句、これは想定できないような情勢の変化があれば、やっぱりその変化の中でこれは判断をして政治家としての責任ある態度をとるということもまた必要なことではないかと、私はそういうふうに受けとめております。
#236
○吉岡吉典君 党として責任を負えるのはこの文書だと、それ以外は個々の政治家の責任に属すると、こういう答弁だとすれば、もし社会党が存続して、この次選挙があった場合にも、テレビ討論会等で党の幹部が行う発言も、新聞の政審の責任ある回答も、こういうものは党としては責任ある文献だというふうにはとれないと、こういうことをおっしゃったことになる、こういうふうに言わざるを得ません。
 そして今、情勢の大きい激変で新たな対応を迫られたと、こう言って去年の選挙時の公約と今日とっている態度が食い違うことを情勢の変化で説明されようとしましたけれども、これも通らない。先ほど池田議員から、総理はことしの四月、池田議員に消費税反対で大いなるハッパをかけたという新事実が公開されました。それだけじゃなくて、社会党本部にはこの九月二十二日まで消費税反対闘争本部の看板が掲げられていたわけですよ。ですから、日本社会党はついこの間まで国民に消費税反対を呼びかけてきたわけですよ。
 それを、今度この法案が公約違反でないということを言うために、国会論戦を振り返ってみると、総理はこの前の総選挙のときからもう消費税については否認でなく是認に変わっていたとか、いろんなことをおっしゃっている。そして、公約にもなかった所得、資産、消費のバランスと、これはさっきお読みになった公約に書いてもないわけですね。書いてもないことまで言って公約違反でないということを一生懸命におっしゃるということになると、日本社会党という党、村山委員長が本当に政治家として国民にどれだけ責任を負っておられるかということに疑問が出てきます。
 社会党本部にあったあの消費税反対闘争本部の看板は、あれは看板に偽りあったんだということですか。
#237
○国務大臣(村山富市君) 一方的に言われてもこれは困るので、公の席ですから申し上げておきますけれども、党が責任を持って公約しているその公約にたがうようなことを例えばアンケート調査を求められて言ったとかいうような場合には、それは個人の責任の分野で判断をして言われたことだろうというふうに申し上げているのであって、党を代表してテレビ討論に出たりする者が党の方針と全然違うことを言うようなことはあり得ない。これは政党として責任を持って国民に政策を公約するわけですから、そういう性格のものだというふうに私は理解をいたしておりますから、誤解のないようにしていただきたいと思うんです。
 それから、党の本部に掲げてありますのは、これは率直に申し上げますと、旧連立政権の際に国民福祉税という名称に変えて税率を七%に上げようという話がございました。そのときに、消費税率引き上げに反対するというその看板は出しました。しかし、消費税を廃止するとか、消費税全体に反対するとか、そういう看板は出してないわけですから、したがって誤解のないように正しく受けとめていただきたいと思うんですね。
 そして、この連立政権を組む前の合意事項というのは、消費税の改廃を含め間接税の引き上げについて検討するということになっておるわけですから、したがってそれを踏まえた場合に、そういう判断をしてきてやってきたわけです。したがって、私どもは七%に引き上げるということについては反対をしてきたわけですね。そして今度、今の連立政権ができまして、そこでまたそういう合意に基づいて議論した結果、今御審議をいただいているような案にまとめて合意がされたということについて、るるこの経過を報告して、皆さん方にも御理解をいただきたいということを申し上げている経過について正しく受けとめていただきたいと、私はそう思います。
#238
○吉岡吉典君 いや、これは今こっちからもありましたけれども全くの詭弁で、そういう答弁が繰り返されれば繰り返されるほど、やっぱり政党、総理としての責任がいいかげんになると思います。
 私は総理に言いたいんですが、三%の消費税には反対された、五%に引き上げる消費税はこれはよい消費税になったということだとすれば、まことに不思議なことだと思います。かつて総理は国会で、この消費税というのは是正することのできない構造的な欠陥を持った税制だと言われた。三%のときには是正することのできない構造的な欠陥を持った消費税が、五%になるとこれは賛成していい消費税になるということ自身がまことにおかしな話で、私は総理の答弁に納得できません。
 それから、消費税反対闘争本部の看板はあったけれども、引き上げ反対の看板はなかったというふうなそういう言い方では、それはもう絶対だめですよ。
 総理、党の方針に反対することを言った場合には党が責任持てないとおっしゃったわけですけれども、そうすると、政審が朝日新聞に発表したこの消費税の税率の引き上げ反対というのは、これは党として責任を持つアンケートへの回答ですか、そうでないのですか。これははっきりしてください。
#239
○国務大臣(村山富市君) 先ほど来、三%の消費税を創設するときには反対して五%の方は賛成するというのはおかしいじゃないかと、これはそういう言い方をされて理屈を言えば私はそのとおりになると思います。
 しかし、あの消費税創設の際にはやっぱりそれだけの背景があったと私は思うんですよね。ですから、当時の野党は皆さんこぞってこれは反対をされたので、そういう政治的な判断というのは、その背景や情勢というものを抜きにして政策はあり得ないので、そこは御理解をいただける点ではないかというふうに私は思います。これは詭弁でも何でもなくて、まあそれは詭弁と受けとめる方もあるかもしれませんけれども、そうでない、それはそうだというふうにうなずいておられる方もおりますから、これは皆さん国民全体から判断をしてもらわなきゃならぬことですよね。私はそういうふうに受けとめて理解をしております。
 それから、後で言われたのは何でしたかね。
#240
○吉岡吉典君 看板です。
#241
○国務大臣(村山富市君) あれは、今さっき言いましたように、消費税率引き上げ反対という看板を出したんです。それはそのとおりですから、ひとつそのように御理解をいただきたいと思います。
#242
○吉岡吉典君 総理は、答弁の中で、消費税は状況が導入された当時と変わって国民の中に定着したというふうなことも繰り返しおっしゃってきました。私はこれは、世論調査でもいろいろありますけれども、六五%とか八〇%とかいろいろな消費税に反対している国民世論に対する挑戦的な答弁だというふうに思います。消費税は定着したのではなく、法律が存在するためにいや応なくあるというだけであって、それを国民があたかも支持しているような言い方というのは、これは国民感情を逆なでするも甚だしいと私は言わざるを得ません。定着したのは消費税による国民の苦痛だということを申し上げて、私の質問を終わります。
#243
○国務大臣(村山富市君) いや、これは一方的に言われて結ばれても困りますから、この際申し上げておきます。
 税金はできるだけ軽い方がいい、ない方がいいというのは、これはもうそのとおりだと国民め皆さんは思っているかもしれませんよ。しかし、これだけの社会を維持していくためには、共通して公平な負担をお互いにしていこうという気持ちはあると思いますよね。ですから、消費税が今存在していることは、本当にこれはよかったと思って受けとめている方はいないかもしれませんよ。しかし、もう生活の中に定着をして、そして経済行為の中で行われている事実というものは、これはもう否定できないわけですから、決して私は、快く入れているとか、いいとか、これでよかったとかいうふうなことを前提にして申し上げているわけではないんですよ。この事実は否定し得ない事実ではありませんかと、こういうふうに申し上げているわけですから、それはそのとおりに御理解を受けとめていただきたいというふうに思います。
#244
○島袋宗康君 大変遅くまで御苦労さまでございます。
 今回の税制改革で、いわゆるいうところの景気対策として所得税の減税が十分に効果を発揮したと評価されているのかどうか、その辺をひとつお伺いしたいと思います。
 それから、中堅サラリーマンの重税感の緩和に効果があったのかどうか、その認識についてまた総理の御見解を承りたいと思います。
#245
○国務大臣(村山富市君) 本年既に五兆五千億円の所得税減税が特別減税という形で実施をされているわけでありますけれども、これまでのところ、大変夏が暑かったというようなこともございまして、私はそういうことも手伝って相当の消費拡大効果はあったんではないかというふうに理解をいたしております。
 ただ、今回提案しておりまする減税が、働き盛りの負担を軽減していくということを中心に三兆五千億円の恒久的な減税、加えて二兆円の特別減税を行うことにしたわけでありますけれども、これがこれから消費にどのような影響があり景気拡大に資するかということについては、これはこれから想定されることでありますから、今ここで断定的に申し上げることは困難でありますけれども、それなりに効果は出てくるのではないかというふうに私は理解したいと思います。
#246
○島袋宗康君 盛んに景気が上向きになっているというふうなことをよく言われますけれども、こういった所得税減税をやった効果があるのかというふうな点については、景気が上向いているのにかかわらず、そういったふうな効果がまだどうということがつかめないというふうな状況という意味ですか。
#247
○国務大臣(村山富市君) 先ほど言いましたように、本年度行いました五兆五千億円の特別減税というのは、猛暑等もありましたから、例えば電気製品なんかを中心に消費が伸びるとか、あるいは自動車の購入がふえるとかという意味で私はそれなりの景気刺激に対する効果はあったのではないかというふうに受けとめておりますけれども、来年どうなるかというのはまだ予測はできませんから、何とも申し上げることができないということについては御理解をいただけるのではないかと思うのであります。
 しかし、中堅サラリーマン層を中心に減税を行ったこの効果は幾らか私は出てくるのではないかという期待は持っております。しかし、今申しましたように、来年、これからやることですから、どのように展開していくかということについて、ここで明確に申し上げることはできないことについては御理解をいただきたいと思っております。
 ただ、今の景気の動向から見て、やはり内需を拡大していく、消費を伸ばしていくということはこれは必要なことですから、そういう効果が出ることを期待はしたいというふうに思います。
#248
○島袋宗康君 総理はさきに消費税は国民の間に定着しているという御認識を示されたわけですけれども、今回の消費税率アップにおいて低所得者層への配慮、そして逆進性の緩和、税負担の不公平感の解消に十分に配慮されたというふうな御認識に立つのかどうか、その辺についてお伺いします。
#249
○国務大臣(村山富市君) 十分に配慮されたかということに対しまして、いやそれは十分に配慮したつもりですと、これは、今できる範囲で配慮をしたということについては申し上げることはできると思いますけれども、これが完全に一〇〇%実現できたかどうかということになりますと、必ずしも私はそうは言い切れないものがある。したがって、この見直し条項も含めてこれからさらにやらなきゃならぬ課題だということは申し上げておるわけでありますけれども、公平な税制をどう確立していくかという意味における改革の第一歩を踏み出しておるということについては申し上げることができるのではないかというふうに私は受けとめて理解いたしております。
#250
○島袋宗康君 これまでの一連の税制改革の論議の中で、先ほどもあったんですけれども、いわゆる消費税増税は社会党の公約違反ではないかというふうなことがよく批判されておりますけれども、これについては完全に総理としては払拭されたというふうなお考えに立っているのかどうか、その辺をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#251
○国務大臣(村山富市君) 先ほど来私は、公約が完全に実現できなかったことについては大変申しわけなく思っている点もありますと、とりわけ、逆進性を緩和する意味で、飲食税については非課税にするとか軽減税率にするとか、そういうことを選挙の際には申し上げてきているわけですから、それが実現できなかったことについては大変申しわけないというふうに私は率直に思っています。
 したがって、完全に国民の皆さんから御了解と御理解をいただいたかどうかということについてもこれは懸念があります。しかし、これからこういう審議の過程も通じ、あるいはいろんな場においてよくお話を申し上げて、そしてこれは先ほど来申し上げておりますように、何よりもやっぱり税は納めていただく納税者の皆さんが正しく受けとめて理解していただくということが大事ですから、これは不断に心がけてそういう努力はしなきゃならぬものだというふうに思っています。
#252
○島袋宗康君 総理、社会党に対する公約違反ではないかという批判について、払拭されたと思われているのか、率直な御意見をお聞かせ願いたいというふうに思います。
#253
○国務大臣(村山富市君) これは国民の皆様がどう受けとめて、どういうふうに理解していただいているだろうかということでありますから、私から、いやそれはもう大分理解はしていただいていると思いますとか、あるいは払拭できると思いますとかいうことはなかなも言える立場にはございませんけれども、しかし先ほど来申し上げておりますように、この経過と現状というものを御理解いただくならば、ある程度私は納得してもらえるんではないかという気持ちは強く持っております。
#254
○島袋宗康君 今回の税制改革は、高齢化社会の到来を踏まえて福祉を充実させ、経済の活力を維持するための税制を改革するにあると言われているわけですね。つまり高齢化社会の財源、そして所得、消費一資産のバランスのとれた税制ということ、それから納税者が公平公正に負担する制度を構築するのが今回の改革の目標だったというふうに示されているわけであります。しかし今回の改革については、論議の最終段階にある今日においてもなお抜本改革と呼ぶにはほど遠いというのが今のところの批判的な国民の強い考えがあるわけです。
 そこで、行財政改革については先行き非常に不透明だと。中でも行政改革の目玉のいわゆる特殊法人の見直し、これについては新聞報道によりますと、所管庁の大半が非協力的であるというふうな報道がなされているわけです。そういったふうなことになりますと、不公平税制の是正も中途半端であるとの不満も強いわけですね。そして、今特殊法人の見直しについても所管庁が非常に非協力的であるというふうなことになりますと、所得税の累進課税や消費税率のあり方についても抜本的な改革にはほど遠いというふうな批判が多い中で、資産課税の見直しについてはすべて今後の課題であるとの指摘もあります。
 そこで、所得、消費、資産のバランスのとれた税制改革という当初の目的にはほど遠いんじゃないか、公正公平な税負担の高齢化社会への財源確保は不可能ではないかというふうな意見もあります。したがって、今回の税制改革に対する一般的な評価というものは今申し上げたとおりであります。
 そこで、総理にお伺いいたしますけれども、このような国民の批判に対してどういうふうに受けとめておられるか、またどういうふうに理解をしてもらえるかというふうな点についてひとつ総理の御見解をお承りして、私の最後の質問を終わりたいと思います。
#255
○国務大臣(村山富市君) いろんな立場からするいろんな批判というのはあると思います。これはもう率直に受けとめます。
 全部の層の皆さんに一〇〇%これでよかったということは、なかなかやっぱりこれは税金の問題では難しいと思いますね。例えば今度中堅サラリーマン層の所得税減税を若干やったと。そうすると対象になった人は、ああよかったと思うでしょうし、そうでない人は逆にいろんなまた批判をされるかもしれませんね。ですから、税というのは私はやっぱりそういう性格のものだと思いますから、一〇〇%皆さんからよかったという評価はなかなか得にくいんではないか。しかし、曲がりなりにもまあまあこの程度はやむを得ぬなというぐらいの気持ちにはなってもらえるのではないだろうか、こういう期待は私は率直に持っております。
 それから、先ほど来申し上げておりますように、これから高齢社会を迎えて、今働いておる皆さんの所得税だけに負担を転嫁していくことについては相当無理が出てくるということは、これはどなたも私はそれはそうだというふうに御理解をいただけると思うんです。したがって、そういうものに対して多くの国民の皆さんが能力に応じて可能な限りに平等な負担をしていただくということは、また社会全体を支えていく意味で必要ではないかということからすれば、所得税という垂直な面だけではなくて、間接税、資産等を含めた水平的な面でお互いが負担し合うということも大事なことではないか。
 ただ、先ほど来議論がありますように、この消費税というものについては、同じものを買えば金を持っている人も金を持たない人も同じ負担をすることになる。同時に、所得税減税をやれば、所得税を納めていない方には全然減税の恩典はない、消費税が上がればそれだけかぶってくる、こういうふうな批判のあることも私は当然だと思いますから、そういう意味における逆進性というものに対して、あるいはまた恩典を受けられない、負担だけが強要されるような方々に対してどういう配慮をする必要があるのか、税金面でどんなことができるのか、あるいはまた歳出面で社会保障費等をふやしてその恩典が与えられるような配慮をする必要がある。
 ですから、税の体系の中と、それから歳出面における施策の中でカバーしていくということがやっぱり大事ではないかと思いますから、そういう点を総合的に判断をしてみて、まあまあこれならしょうがないんじゃないか、やむを得ないなというぐらいの気持ちになっていただけるものではないか、私はそういうふうに受けとめておりますから、できるだけ皆さん方にも御理解をしていただけるようにこれからも最大の努力はしなきゃならぬものだというふうに考えております。
#256
○島袋宗康君 総理、特殊法人の見直しについて所管官庁の意見が相当非協力的だと報道がなされておるわけですね。この問題については総理はどういうようにお考えですか、最後に。
#257
○国務大臣(村山富市君) 新聞の報道がどういうふうにされておろうと、私は閣議が終わった後の閣僚懇談会の席でも各省に対して、総務庁長官からこういう指摘をされた、報告されたことについてはひとつ忠実に守って必ずやってほしいということは強く要請いたしておりますから、その決意で取り組むつもりであります。
#258
○委員長(西田吉宏君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより三案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#259
○池田治君 私は、新緑風会を代表いたしまして、ただいま議題となっております所得税法・消費税法改正案及び特別減税法案に反対、減税特例公債法案に賛成の討論を行います。
 今回の税制改革の目的は、単に税体系の見直し問題にとどまるものではなく、福祉や行財政改革、あるいは地方分権など、来るべき超高齢社会における我が国の将来構想が問われているのであります。
 これは税制の枠内のみで解決できる問題ではありません。そのため、我々新緑風会は、特別委員会を設置して広範な角度から論議を展開すべきであると主張してきたのでありますが、政府・与党にこれらに対する問題意識が感じられなかったのはまことに残念であります。
 以下、反対の理由を申し述べます。
 反対する第一の理由は、今回の税制改正は理念や目的が不明確で、内容的にも不完全であり、抜本的な税制改革の要請にこたえていないことであります。
 所得税減税は、制度減税と特別減税との二階建て方式となったため、中堅所得層の重税感緩和が十分に果たされたとは言えません。しかも、二兆円の特別減税打ち切り後は、この二兆円の増税に加え、消費税率のアップ、年金保険料の引き上げが重なり、国民は二重、三重の負担増に苦しむことになるのであります。さらに、二階建て減税は、さきの国会で全会一致で成立しました「抜本的な所得税の減税を行う」との特別減税法附則の趣旨に反することも明白であります。
 また、地方消費税を含めた消費税率五%の数字は、あくまでも仮置きでしかなく、二年後の見直し時点ではどうなるかわからないという不透明なものであります。
 さらに、福祉、行財政改革、租税特別措置、消費税の適正化など、課題はすべて消費税率の見直し条項で先送りされているのであります。
 反対する第二の理由は、高齢化対応とは言いながら、福祉ビジョンの提示がないこと、また、政府・与党が政策の最重要課題としてきた行政改革についても何の展望もないことであります。
 高齢化社会に対応するというのであれば、将来の福祉ビジョンを提示していくことが国民に増税を求める政府としての当然の対応であります。しかしながら、政府・与党はこの作業を怠り、わずか四千億の福祉財源を設けたにすぎないのであります。これでは、新ゴールドプランなど福祉政策が事実上破綻の憂き目に遭うことは明らかであります。
 また、国民に負担増を求めようとするとき、政府みずからが身を削る努力をするのは当然であります。政府・与党はこれまで行政改革は税制改革の前提であると明言してきたのであります。これを見直し条項によって片づけたことは、こうした公約をほごにすることになるのであります。政府は、これから行おうとする行政改革の内容、経費削減目標等を早急に国民の前に明らかにすべきと考えます。
 以上、減税特例公債法案以外の政府案に反対する理由を申し述べ、私の討論を終わります。
#260
○竹山裕君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました政府提案の税制改革関連三法律案について賛成の討論を行うものであります。
 我が国は、今後急速に高齢化が進展し、二十一世紀初めには主要国に例を見ない高齢社会が到来すると予測されております。これに対応するには、個人所得課税の負担を軽減することにより勤労世代の勤労意欲を高め、社会全体の経済活力を失わせることのない税の仕組みを高齢社会の入り口にある現時点において構築する必要があります。
 政府提案の税制改革関連三法律案は、こうした社会経済情勢の変化に沿って、勤労世代の負担を大幅に軽減するとともに、所得課税から消費課税へのウエートを移行させることにより、各世代間の税負担の格差を縮小しようとするものであります。また、安定的な税収構造を構築することにより、社会保障を初め政府の施策の充実に寄与することとしております。
 具体的には、今般の税制改革は、中堅所得者層を中心に税負担の累増感を緩和するため、所得税の税率構造の累進緩和等による負担を軽減しております。また、当面、緊急に整備すべき老人介護対策と少子対策に配慮しつつ、消費税の税率引き上げ幅を地方消費税の税率を含めぎりぎりの二%にとどめ、国民の負担を極力最小限にしております。
 また、今回の改革では、当面の景気に配慮し、平成七年分の所得税について二兆円の特別減税を先行実施するとともに、消費税については、限界控除制度を廃止し、簡易課税制度の適用上限を二億円に引き下げ、仕入れ税額控除において請求書等の保存を義務づけるインボイス方式を採用して、制度の信頼性を高めております。
 さらに、政府案では、老人介護対策、少子対策として四千億円を確保し、年金生活者のための物価スライドを行うことに加えて、消費税率を引き上げる年度において臨時福祉給付金等の弱者対策を行う等、福祉の充実を図ることとしております。
 このほか、今回の減税に伴う財源確保は、減税特例公債の発行による責任ある措置が講じられており、かつ、他の公債とは扱いを別にして、歯どめのない特例公債とは異なるものとして性格づけすることができるものとなっております。
 以上のように、政府提案の税制関連三法律案は、来るべき少子・高齢社会に対応するため、現状で考えられる最善の税制を提案したものであり、税制改革の名に値するものであります。税制改革は、今回だけで完結するものではなく、今後もたゆまざる見直しによって改革を進める必要があります。
 政府においては、個人所得課税の公正公平な課税実現のため、納税者番号制度の導入に向けた積極的な取り組み、租税特別措置等に係る政策目的、効果等の十分な洗い直し、また企業課税での課税ベースの拡大と税率の引き下げなどについて検討するとともに、消費税率引き上げの際には、中小事業者の課税の転嫁の適正かつ円滑な実現を図る一方、便乗値上げが起こらないよう適切な措置を講ずることを要望して、税制改革三法律案に対する賛成討論といたします。
#261
○白浜一良君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となっております税制改正三法案のうち、所得税法・消費税法改正案及び特別減税法案に反対、減税特例公債法案に賛成の討論を行うものであります。
 反対の第一の理由は、今回の税制改正案は理念や哲学が不明確であり、増税を国民に求める場合の最低限の手続すら踏まないことから、何のために税制改正を行うのか、国民には全く理解できない点であります。
 そもそも政府が国民に増税をお願いしようとする場合には、最低限の前提条件として、行財政改革の実現に向けての道筋と高齢化社会における負担と受益の青写真を提示した上で、国民の理解と納得を得るのが不可欠であります。
 しかしながら、政府案においては、これら行政改革の具体策や福祉ビジョンの提示がないのに加え、財政改革や租税特別措置の縮減合理化、消費税の益税解消など、国民が期待を寄せる政策諸課題をすべて消費税の見直し条項の中に先送りしたのであります。これでは何を基準にして今回の税制改正を評価したらいいのか、国民は判断のしょうがないのであります。
 反対の第二の理由は、所得税減税を税体系の見直しによる制度減税と景気対策のための特別減税との二階建て方式としたために、今回の税制改正の最大のねらいである中堅所得層の税負担軽減が極めて中途半端に終わったことであります。
 特別減税二兆円は、早ければ平成七年末、遅くとも平成八年末で打ち切られ、国民は消費税増税と相まって二重の負担増に直面するのであります。しかも、本年十月からの年金保険料の引き上げを加味すれば、年収一千万円以下の中堅所得層において大幅な負担増となるのは明らかであります。この結果、再び数年のうちに所得税の抜本改革が叫ばれるようになるのは必定であります。
 このような不合理を解消するためには、消費税率の見直し時期までに抜本的な所得税減税のあり方について検討を加え、二兆円の二階建て減税を制度減税の中に組み入れていくことが必要であります。
 反対の第三の理由は、消費税率五%の根拠があいまいであることに加え、五%の税率自体が現段階では単なる仮置きの数字でしかなく、二年後の見直し時点においてこれが六%以上に引き上げられる可能性が極めて強いことであります。
 政府は、行政改革の断行を口にしながら、肝心の歳出削減目標を具体的な数値で明らかにしておりません。また、不公平税制の是正や租税特別措置の縮減合理化にどこまで本気で取り組むのか、それによってどの程度の財源を生み出そうとしているのか、現時点では不明であります。その一方で、総額六百三十兆円の公共投資基本計画やウルグアイ・ラウンドの批准に伴う総額六兆円の農業対策など、財源手当が不透明な歳出計画を矢継ぎ早に決定しているのであります。
 このような状況の中では、消費税率を五%に据え置くことはほとんど不可能であり、今後歯どめなき増税路線に陥る危険性が極めて高いと指摘せざるを得ないのであります。
 反対の第四の理由は、高齢化、少子化に対応した税制改革を政府・与党の看板に掲げながら、高齢化社会像の展望が明らかでなく、新ゴールドプランやエンゼルプランなど当面の最重要課題もいまだ確定できないことであります。
 厚生省が作成した新ゴールドプランは、旧ゴールドプランをもとに、全国三千三百に及ぶ地方自治体から集計した老人福祉計画を積み上げたものであり、その実施には七千億円の財源が必要であることが明らかにされております。しかしながら、政府案では、平成七年度一千億円、平成八年度二千億円、平成九年度三千億円と申しわけ程度の高齢化対策枠を設けているにすぎないのであります。政府に新ゴールドプラン実現への熱意が感じられないのは極めて残念であります。
 以上、今回の税制改正は抜本改革の名に値しないものであることを指摘してまいりましたが、最後に、行政改革や福祉ビジョンを明示して抜本的な所得税減税に取り組まない限り、税制改正に対する国民の理解は得られないことを指摘して、私の反対討論を終わります。
#262
○峰崎直樹君 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表して、ただいま議題となっています三法案に賛成であることを明らかにしておきます。
 今次税制改革は、当面する景気対策への適切な対応はもちろん、来るべき少子・高齢社会への対応や、前回抜本改革の積み残しとも言うべき中堅所得層への重税負担感の緩和、さらには、地方分権化への対応という目標に向けて大きな第一歩を踏み出したという点で評価を得るものと確信するものであります。とりわけ、地方消費税の創設は租税史に残る改革の第一歩と言えましょう。
 景気の状況は、ようやく不況脱出を遂げつつあるとはいえ、まだまだ予断を許さず、あるべき制度減税に加え特別減税の継続を行う方法はなかなかよく考えられた制度だと評価できるものです。
 消費税は一%で二兆円を超す大幅な税収を確保し得るものであり、その引き上げについてはできるだけ慎重でなければなりません。二年後の見直しに当たっては十分に留意すべきであります。それとともに、今後の税のあり方の中で、消費税は垂直的公平性にすぐれた基幹税である所得税の補完税として位置づけるべきものであり、所得税を大きく減少して消費税をふやす方向については節度を持って対処すべきものと判断します。
 今次改革の中で、現行消費税の欠陥と言われた中小企業に対する特例措置のうち、限界控除を廃止し、簡易課税も売上高四億円から二億円へ引き下げ、さらに新設法人への課税強化を取り入れるなど、抜本的とも言える改革がなされたことは評価するものです。
 一方、免税点三千万円以下には切り込んでいないことや、EU型のインボイスの導入がなされていないことへの是正が切に求められています。また、消費税は間接税としての宿命とも言うべき逆進性の緩和措置が必要との意見には大変根強いものがあります。飲食料品の軽減税率の適用など、今後の検討課題として真剣に追求されるよう強く求めるものであります。
 最後に、所得、消費、資産のバランスという点で、資産課税の強化が今回具体的には十分に触れられていません。資産大国と言われる我が国にとって、また、所得に比べて資産格差が大きい中で、納審制導入を一層促進しながら、資産課税の強化の検討を切に願って、私の賛成討論といたします。
#263
○吉岡吉典君 私は、日本共産党を代表して、消費税増税法案及び増税を前提としたつなぎ公債発行法案の二法に対して反対、減税臨時措置法案賛成の討論を行います。
 本法案は消費税導入以来初めての税率引き上げ法案であり、国民に新たな大負担を求める重要法案であります。しかも、参議院は数年前に消費税廃止法案を可決した院であるだけに、税率引き上げについては特別に徹底した審議により国民の疑問にこたえる責務がありますしかるに、当委員会において、審議日数が連合審査を含めてもわずか四日間しか行われていないもとで、多くの問題を残したまま採決が行われようとしていることに強く反対と遺憾の意を表せざるを得ません。
 第一に、本法案は公約違反の法案であるということであります。
 さきの総選挙で消費税の増税を公約した政党は一つもありません。それどころか、総理自身を含め社会党は消費税の税率引き上げに反対するという公約を掲げて当選してきたのであります。本法案はまさに公約と正反対のことをやろうとするものであり、このようなことが許されれば議会制民主主義が根本から否定されるのであります。
 第二に、政府は、今回の税制改革が中堅所得層減税だと言っています。しかし、消費税の増税を合わせた負担の増減を見ると、国民の九割を占める年収八百万円以下の圧倒的多数の世帯は差し引きで増税というものであります。すなわち本法案は、圧倒的多数の勤労者への増税で一握りの金持ちに対する減税を図ろうという性格のものであります。
 第三に、政府は、消費税増税の理由として、高齢化社会に備える、福祉社会のためなどを挙げていますが、高齢化対策であるゴールドプランの予算として三千億円が充てられているにすぎず、これは今回の消費税増収のわずか六%余にすぎません。「高齢化社会のため」は、消費税導入のときもそうであったように、今度も偽りの宣伝でしかありません。
 第四に、本法案は消費税率を五%に引き上げることとしておりますが、附則に設けられた見直し規定により、実施前に六%、七%へと幾らでも引き上げることができる法案であります。政府は見直しの方向については予断を持っていないと言っていますが、今後の財政需要の増大要因として、政府自身が認めるように、高齢化社会の負担増にとどまらず、対米公約した六百三十兆円の公共事業、ふえ続ける国際的貢献のための財政負担など、とどまるところを知りません。これらの財政需要の増大を消費税の増税で充てようとする政府の姿勢から見て、消費税の税率の歯どめなき引き上げはまさに必至であります。
 第五に、今回の税制改革において真っ先に取り組むべき課題である大企業の優遇税制などの不公平税制の是正が全く行われていないことであります。世界でも例を見ないほど数多く設けられている引当金、準備金などの制度、また、企業活動の国際化に伴うタックスヘーブンを利用しての課税逃れ、外国税額控除制度を利用しての国内納税額の縮減など、大企業を優遇する不公平税制等に抜本的にメスを入れる方向が全く示されていないことです。
 以上の理由から、消費税増税法案など二法案に反対の意を表明し、討論といたします。
#264
○委員長(西田吉宏君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより順次三案の採決に入ります。
 まず、所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の施行等による租税収入の減少を補うための平成六年度から平成八年度までの公債の発行の特例等に関する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#265
○委員長(西田吉宏君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、所得税法及び消費税法の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#266
○委員長(西田吉宏君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、平成七年分所得税の特別減税のための臨時措置法案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#267
○委員長(西田吉宏君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#268
○委員長(西田吉宏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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