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1994/11/01 第131回国会 参議院 参議院会議録情報 第131回国会 外務委員会 第2号
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1994/11/01 第131回国会 参議院

参議院会議録情報 第131回国会 外務委員会 第2号

#1
第131回国会 外務委員会 第2号
平成六年十一月一日(火曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十月三十一日
    辞任         補欠選任
     清水 澄子君     今井  澄君
 十一月一日
    辞任         補欠選任
     今井  澄君     清水 澄子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         田村 秀昭君
    理 事
                大木  浩君
                野間  赳君
                矢田部 理君
                猪木 寛至君
    委 員
                笠原 潤一君
                野沢 太三君
                宮澤  弘君
                矢野 哲朗君
                大渕 絹子君
                大脇 雅子君
                清水 澄子君
                武田邦太郎君
                黒柳  明君
                山下 栄一君
                立木  洋君
                椎名 素夫君
   国務大臣
       外 務 大 臣  河野 洋平君
   政府委員
       外務大臣官房審
       議官       朝海 和夫君
       外務省総合外交
       政策局長     柳井 俊二君
       外務省総合外交
       政策局国際社会
       協力部長     高野幸二郎君
       外務省総合外交
       政策局軍備管
       理・科学審議官  林   暘君
       外務省アジア局
       長        川島  裕君
       外務省欧亜局長  野村 一成君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    須藤 隆也君
       外務省経済局長  原口 幸市君
       外務省経済協力
       局長       平林  博君
       外務省条約局長  折田 正樹君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大島 弘輔君
   説明員
       総理府国際平和
       協力本部事務局
       派遣担当参事官  貞岡 義幸君
       防衛庁防衛局運
       用課長      山崎信之郎君
       法務省入国管理
       局警備課長    加澤 正樹君
       外務省中南米局
       長        荒船 清彦君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国際情勢等に関する調査
 (国連安保理事会改組に関する件)
 (核開発をめぐる米朝合意に関する件)
 (日朝国交正常化に関する件)
 (政府開発援助(ODA)に関する件)
 (世界貿易機関(WTO)に関する件)
 (国際人口・開発会議に関する件)
 (フィリピン・バタンガス港開発援助に関する
 件)
 (日比混血児に関する件)
 (ボスニア和平と経済制裁に関する件)
 (ブラジルの政治情勢に関する件)
 (アマゾンの環境保護と援助に関する件)
 (アジア太平洋経済協力会議(APEC)に関
 する件)
 (第四次対中円借款に関する件)
 (ルワンダ難民救援活動に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(田村秀昭君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 国際情勢等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○野沢太三君 一九九五年ということになりますと来年になりますが、国連ができてから五十年という大変大事な節目の年であると思います。
 ことしの四十九回総会におきまして、外務大臣におかれましては総会での御演説をやっていただきまして、日本として武力を使わない、あるいは地球規模での貢献について、環境、開発、さらには難民問題、エイズ、麻薬対策等々、大変大事な分野が日本としてお役に立てるんだという主張をしていただき、さらには国連改革のあり方についても言及をされまして、その上で常任理事国入りの用意がある、こういったごあいさつをしていただきまして、私どももつぶさに拝見をしたわけでございます。
 そこで、私どもが常任理事国に入る入らぬの議論は国会の中でもあるいは国民の間でも大変な今話題になってきてはおるんですが、これにつきまして、これから予定されております国連改革の今後のスケジュールといいましょうか予定というものは、包括的に見て何をどこを直すんだ、これについてひとつ大臣からお話をいただきたいと思います。
#4
○国務大臣(河野洋平君) 国連改革についてはかねてからさまざまな御議論がございます。これまでにも財政問題についての改革の議論がございましたし、現在では安保理改組問題というのがその大きなテーマになっております。
 しかしながら、今委員御指摘のとおり、私どもといたしましては、安保理改組のみならず社会経済理事会の活性化、あるいは百八十カ国を超える多数の加盟国が一堂に会して行います総会がどういうふうに活性化されていくべきであるか、こういった点についても議論をしなければならないと思いますし、さらには我々は国連の信託統治にかかわります理事会の存否についても議論をするべきだという指摘をいたしております。
 いずれにしても、財政問題を初めとしてさらに改革が必要だということについては、国際社会の多数の意見であろうというふうに思っております。
#5
○野沢太三君 総会の改革さらには行財政問題の改革、それから日本が一番貢献できるであろうと言われております経済社会分野への機能強化の課題、あるいは旧敵国条項の削除等々たくさんありますが、何といってもやはり国連の本旨から申しましても安保理の改組というのが当面の課題として一番重要ではないかと思うわけです。
 これにつきましては、作業部会におきましてこれまでも議論を重ねてきたわけでございますけれども、作業部会そのものが多数の国で構成され、かつ議論も広範にわたっているということからいたしましても、これに対してどのような働きかけをこれまでしてきたのか、あるいはこれからしようとなさっているのか、この辺についてのお話をお願いしたいと思います。
#6
○政府委員(柳井俊二君) ただいま御指摘になりましたとおり、作業部会と申しますのは非常に多くの国が参加しておりまして、また何と申しましてもいわば表向きの議論でございますので、なかなかその取りまとめが難しいという点があろうかと存じます。
 我が国といたしましては、作業部会にことしの前半積極的に参加してまいりましたし、また作業部会自体今後も引き続き行われることになっておりますが、今後はいわゆるスピーチの連続ということではなくて、どういう形で全体を取りまとめるかというような公式、非公式の交渉をする必要があろうかと存じております。
 また、この作業部会の議長は総会の議長が兼ねておりますが、副議長が二人おりまして、その方々を中心にそういう公式、非公式の交渉がこれから行われていくだろうというふうに考えております。
 我が国の立場につきましては、この作業部会あるいは関係国に対していろいろな機会に説明をしているところでございます。
#7
○野沢太三君 作業部会で日本の代表である大使の皆さん方が演説をなさったというのは記録としても我々は承っておりますけれども、その前提として、構成各国との信頼関係といいますか日本に対する理解、日本の真意というか平和志向の日本の行き方というものを真にやはり関係国が理解をしていただける、こういう前提がありませんと取りまとめそのものが進まない、こう思うものですから、これからはそういった意味であらゆる外交努力を通して、何も売り込むということではなくて本当に日本という国のこれからの行き方を理解していただく、これがまず第一前提ではないかと思うんですが、この点いかがでしょうか。
#8
○国務大臣(河野洋平君) 議員御指摘のとおりだと思います。
 今、政府委員から御答弁申し上げましたが、作業部会というのはオープンでございまして、特定の何カ国かが作業部会に参加しているということになっておりません。つまり、すべての国連加盟国が作業部会に希望すれば出席をすることができるという仕組みになっておりますので、限られた作業部会のメンバーに働きかけるとか理解を求めるということは、少しイメージとして違います。
 今、御答弁申し上げましたように、作業部会の取りまとめ役にもなろうかと思います副議長、すなわちフィンランドの大使あるいはシンガポールの大使、これはいずれも国連大使でございますけれども、この二人が副議長として主としてこの作業部会、ワーキンググループの取りまとめと申しますか運営に当たられるということもございますので、こうした方々には特に我が国の行き方について、つまり国際貢献に対する我が国の考え方について理解を求めるということはあるいは必要であろうかと思います。
 これまでもフィンランド、シンガポールはいずれも我が国とは良好な関係を維持しておりまして、こうした国々が我が国の考え方を既に理解してくれているというふうには思っております。
#9
○野沢太三君 そういう意味で、副議長さんのところあたりが非常に重要な意味を持つわけですが、その前にやはり地域別に分科会というような構想もおありのようですし、その前提として日本の立地しておりますアジア諸国の理解というものが大変大事であろう。足元からおかしいというのではこれは話になりませんから、これからもその意味でアジアとのつき合い方というものが大変大事だと思います。
 今度APECも予定されておって、大臣また御苦労さまでございますが、こういうあらゆる機会を通しまして我が国の平和志向並びに国際貢献の意思というものをいい意味で理解していただける努力を積み重ねる、これが大変大事じゃないかと思うわけでございます。
 そして、特に中国とロシアについてはアジアの中でも拒否権を持っている常任理事国ということもあり、大変これは大事なつき合い方が要求されるだろうと思いますが、この点についての考え方、配慮についてはいかがでございましょうか。
#10
○政府委員(柳井俊二君) ただいま先生おっしゃいましたとおり、近隣諸国の理解というのが大変大事だと存じます。特に、ただいまおっしゃいました中国、ロシア、さらにより近い韓国といった国々からは、これまでのところ我が国の常任理事国入りを支持するというような明確な発言はございません。ただ、我が国の考え方に対しましては理解をするというような立場でございます。
 いずれにいたしましても、御指摘ございましたとおり、こういう近隣諸国を含む関係国と今後一層緊密に協議しながら、またそういう協議を通じまして、我が国の考え方あるいは行き方というようなことについての理解を深めていただくということをやりながら取り組んでまいりたいというふうに考えている次第でございます。
 中国につきましては、四月十五日でございますが、外交部の定例記者会見におきまして中国外交部のスポークスマンが、我々は、つまり中国は、日本が国連においてさらに大きな役割を発揮したいという希望は理解できる、これははっきりしている。安保理の改革は複雑であり、国連メンバー国の十分で広い意見交換が必要であるということを述べた経緯がございます。
 また、ロシアにつきましては、九月二十七日のタス通信でございますが、エリツィン大統領が、安保理にドイツ、日本及び可能であれば他の国々、例えばアフリカ諸国を加えるために安保理を拡大する可能性を排除しないといたしまして、現在の安保理常任理事国が現在の地位を維持することを条件に、安保理メンバー国を例えば五つふやすことは悪くないというふうに述べたと報じられております。
#11
○野沢太三君 周辺諸国の理解、支援、それとあわせましてもう一つ大事なことは国内の国民世論の動向、これがやはりしっかりしていませんとこの問題は前進をしないだろうと思います。
 過日行われました世論調査等の結果を見ますると、常任理事国入り賛成が約五三%、反対が一五%、ところが、わからないというのが三二%もあります。常任理事国入りというか、常任理事国の改組そのものについての意見ですと、わからないが四〇%を超す、こういう結果が出ていまして、国民の皆様には問題の所在といいますか、あり方、今後の動向について、もう一段と理解を深めないといかぬのじゃないかと思うわけでございます。国際環境の整い方ということと国内世論の動向というものが相まって、初めて私はこの問題が実現できると思っております。
 そっ啄の機というのがございます。ひながかえるときに殻を中から破るのと親鳥が外からつついて壊す、これがやはり一致しませんことにはこの問題は難しいだろうと。幸い外からつついてくれる人もおる、そういう国もあるという中で、やはり我々が努力しなければいけおいのは、国内世論の動向といいますか育成といいましょうか、正しく日本の国際社会でのあり方についての考え方をもう少し理解を深める、PRをする、こういうことが大事ではないかと思います。国内世論の動向について、外務省としてはどうお考えになっておられましょうか。
#12
○国務大臣(河野洋平君) この安保理問題は、国内では私はこの一、二カ月の間、テレビ、新聞、雑誌等が安保理問題について報道する記事は、以前に比べると格段に多くなっていると思います。そうした記事を通して国民の皆様は関心をお寄せいただいているというふうに私どもは思っておりますが、私どもとしても一段と努力をしなければならないことは言うまでもないことだと思います。
 この問題は、国連の安保理というものが一体どういう役割を果たしでいるのか、我が国が安保理のメンバーになるということは一体どういうことを意味しているのかというようなことを含めて、正しい情報を提供するということが当然必要になってくると思います。
 世論調査の結果を私どもも関心を持って見ておりますが、これは各種世論調査でおおむね傾向は出ておりまして、賛成の方が反対の方をかなり上回ってはおりますが、委員御指摘のとおり、まだわからないとおっしゃる方の数もある程度の数になっておりまして、こうした方々に対してできる限りの正しい理解を求める必要があろうかと思っております。
#13
○野沢太三君 北朝鮮問題に移りたいと思います。
 一年四カ月にわたります米朝交渉の結果、一時は制裁まで心配をされました関係が一転合意をいたしまして、韓半島における核問題というものが大きく前進しそうであると。大変喜んでいるわけではございますが、この間、アメリカあるいは韓国を含め日本がどのような対応をしどのような役割を考えるのか、その辺について連絡を十分とってこの結果が出ているのかどうか、あるいは外交でございますから結果を途中で知らされるということもあろうかと思いますが、日本の立場というものをひとつ御説明いただきたいと思います。
#14
○政府委員(川島裕君) 米朝協議が行われる過程におきまして、各ラウンドと申しますか、事前に必ず極めて緊密な協議を日米間あるいは米韓間あるいは三者、日米韓が集まってやってきております。最後の合意の成立の段階では一日数回にわたって逐次進捗をブリーフされ、かつ我々としてのコメントをいろいろ伝えた次第でございます。
 率直に申して、事前の日米あるいは米韓の協議がなければ、そもそもこの米朝合意というものはできなかったというふうに自負している次第でございます。
#15
○野沢太三君 今回の合意内容を見た場合に、将来にわたって軽水炉転換というような形でプルトニウムの生産を抑えるということでありますとこれは非常に明るい見通しがあるんですが、過去の問題がこれで果たして払拭されたかどうか。一発か二発か、あるいはもっと多くの材料を既に持っているんじゃないかということについて、査察が大分先の方に延ばされている、この点がまだ引っかかるわけですけれども、この点いかがでしょうか。
#16
○政府委員(川島裕君) 御指摘のとおり、将来にわたってのプルトニウムの生産能力を全部凍結し、最終的には関連施設を廃棄するというのが重要なポイントでございます。
 それで、過去のプルトニウムがどうなっておるか、現在のプルトニウム抽出をどうとめるか、そして将来にわたってどう抑えていくか。過去、現在、将来と言っておりますけれども、それが九年間のプロセスが動く中で軽水炉支援との見返りで疑惑が解消されるというのが合意のポイントでございます。確かに五年後ということになってはおりますけれども、軽水炉供与の重要部分がなされる前に過去の疑惑については完璧にきれいにされるという合意でございまして、全体として見ますれば非核化という観点から大変意味のある合意であろう、こういうふうに考えております。
#17
○野沢太三君 この点をこれからの具体的な詰めの中で、心配ないんだということが立証され検証されながら、さらなる両国間の改善に資する、あるいは技術協力をし資金協力をするとなればそういった疑惑が残っていたのではとてもこれは踏み切れない、こう思いますので、御当局におかれましてもぜひともその点は検証を重ねながら進捗させていただきたい、かように思います。
 そして、軽水炉開発でございますが、韓国型を主体ということはこれも常識的な話としていいわけでありますが、日本におきましても、技術があり経験があるという中でどのようにこれに関与していくのか、御相談に乗っていくのか、この点についてはいかがでしょうか。
#18
○政府委員(川島裕君) この辺はまさにこれから軽水炉をつくるための国際的コンソーシアムという多国間の枠組みができるわけでございまして、その中で具体的に日本としてどのような協力をするか、御指摘の資金面のみならず技術面での協力を含めまして、米国、韓国等関係諸国と協議を進めながら検討していきたいということでございまして、今の段階で具体的にどれとこれをやるというところまでは詰まっていないということでございます。
#19
○野沢太三君 そういったマルチでの支援は、当然これは進めるべく応分の関与をしていただくのは結構かと思いますが、何にしても向こう三軒両隣という隣国でもあるわけですから、やはり相互の話し合い、交渉、そしてそこでできるいざさかの貢献というものがあってもおかしくないじゃないか。
 この一年余りの経過を見ますると、北風と太陽ではないんですが、やはり北風より太陽がよかったということになってきたとすれば、これからも日朝交渉を再開いたしまして一層北の立ち直りにお役に立っていく、これが非常に大事ではないかと思うんです。日朝交渉はたしか九二年十月に中断して以来になっておりますけれども、これを再開するにはどういう条件が必要なのか。いかがでしょうか。
#20
○政府委員(川島裕君) 日本側といたしましては、日朝国交正常化交渉の再開に条件をつけているということではございません。日本側としましては、仮に交渉が再開された場合には、日朝双方にとっての関心事項について率直に話し合うことが重要であろうかと思っております。
 ただ、再開に当たって北の方から、例えば核問題は取り上げるなとか、李恩恵問題は取り上げるべきではないという逆に条件をつけられますと、それは応じることはできないんではないか。双方が無条件で話し合いに臨むということが重要だろうと思いますし、その意味で交渉再開に北が応じたいということであれば、それに応じて再開ということになろうかと思います。
#21
○野沢太三君 たしかこの前交渉が決裂いたしましたのは、李恩恵の問題について席をけって立った、こういう経過があろうかと思いますが、今お話しのように双方無条件で、何事も避けないし、また何事も拒まない、こういうことであってこそ初めて正常化と、こういうことになろうかと思うんです。
 昨今、与党からも北に対して政党間レベルでの使節団を出そうという話もあるわけですけれども、これが国交回復へつながっていくと大変結構なんですが、一方、韓国では頭越しに日朝が進むということについて大変心配をしているという外電も来ているわけであります。国交回復の必要性、これはもう言うまでもございませんけれども、それとまた韓国への配慮、南北対話の促進というものもやはりあわせ行うべきだと思うんですが、いかがでございましょうか。
#22
○国務大臣(河野洋平君) 与党三党が訪朝団を計画しておられるということは伺っております。これは、国交のない国同士が何かの話し合いをしようとすれば、政府を窓口として話し合う交渉ももちろんございますけれども、いわゆる民間外交といいますか議員外交というものが一定の役割を果たすということは過去にもあったことでございまして、私どももそうしたことがあってほしいという気持ちもございます。
 しかし、委員御指摘のとおりこうした民間外交、とりわけ議員外交というものが何の配慮もなしに行われるというふうには私は思っておりませんで、明らかに日本と北朝鮮との間の不正常な関係についてどういう方向性を考えるか、どういう方法をもって正常化に持っていくかという議論、そういう方向性を持ってほしいと思いますし、あるいは国際社会の中にある不安定な状況をどうやって解決するか、解消するか、こういう点にも大いに配慮が必要だと思います。
 さらにもう一点重要なことは、韓国との関係であろうと思います。この問題は、政府といたしましても、先週末、官房長官が訪韓されました折に金泳三大統領と会談をされましたが、その時点でも官房長官から、仮に日朝間の話し合いが行われるということがあれば韓国にも十分連絡をするつもりだという旨申し上げておるところでございます。
#23
○野沢太三君 昨日、中国の李鵬首相が韓国を訪れて、この米朝合意を全面的に支援しかつ協力して、これを実現するべく努力しようという合意がなされたと報道されておるわけでございます。日本の立場も、中国あるいは韓国さらには米国との連携を保ちながら何としても雪解けを本物にしていただきたい。これは要望でございます。
 時間がなくなりましたのでもう一点だけお願い申し上げたいんですが、ODAの問題を取り上げたいと思います。
 四原則がある中で、平和志向の経済協力あるいは技術協力をと言っている中で、大量破壊兵器を依然として実験し開発しているところへ多大なる円借を出そうかというような話もあるんですが、この点は原則の矛盾ではないか、かように思いますけれども、いかがでしょうか。
#24
○政府委員(平林博君) 政府開発援助大綱は、先生御承知のように四つの原則がございます。この原則の実施に当たりましては、国連憲章の諸原則、それからこの原則四点を踏まえまして、相手国の要請、経済社会状況、二国間関係等を総合的に判断の上で実施すると、こういうことになってございます。したがいまして、政府といたしましては累次の中国の核実験に対しまして厳重に抗議し、またODA実施に当たっての障害になるということの警告を発しております。
 今後どういうふうにやるかにつきましては、先方と今折衝中でございますが、いずれにいたしましても中国側との対話を深めながら日本の外交全体の取り組みの中で対応していきたい、こういうふうに存じております。
#25
○野沢太三君 いずれにいたしましても、私どもとしては言うべきことを言いながら進めることは進める。歴史もありまた未来もあるという中でこの問題が常識的な解決を見るように、前段として全面核実験禁止条約の交渉が既に進んでいるわけでありますから、できればそういったものを早く締結し、そして全世界がそれに加盟していくというような中で解決できればいいと、かように思っております。
 あともう一点だけ。最近、ODAの協力関係の会社に対して公取が立入検査をしたということが報道されております。主要な商社三十社余りにそういったお話があるようですが、これについての事実の確認並びに改善方策としてどう考えているのか。せっかくのODAがこういったことで御指摘を受けるようでは、国民の皆様からのODAの仕事全体に対する信頼というものが失われては大変である、かように思いますが、お考えはいかがでしょうか。
#26
○政府委員(平林博君) 今、野沢先生のおっしゃいましたとおりでございます。公正取引委員会が今厳正な調査をやっていただいているというふうに理解しておりまして、その調査結果の判明するのを待っているところでございます。
 他方、この調査結果には多少の時間がかかると伺っておりますので、それを待たずに既に、十月の十一日でございますが、JICAにも指示し、また外務省としても自戒を込めまして一連の措置をとって発表したところでございます。
 これによりますと、技術協力にかかわります機材調達については準備が整い次第、できれば十一月をめどにやろうということになっておりますが、原則として一般競争入札を導入する、それから無償資金協力につきましては、調査の対象になっているかどうかはっきりしたところはまだわからないのでございますが、従来から行われておりました一般競争入札の資格要件を緩和するということを決定し、発表いたしました。さらに、これに加えまして国際協力事業団によります。務の点検体制の強化、あるいは入札の業者、金額等を含めました情報公開の促進、こういうものを発表いたしまして、逐次実施に移しております。
 今後とも、ODA全体の信用にかかわる大きな問題でございますので、政府といたしましては厳正に対処してまいりたい、かように存じております。
#27
○野沢太三君 しっかりやってください。
 以上です。
#28
○笠原潤一君 自民党の笠原潤一であります。
 九月末でありましたか、河野外務大臣が、非常に長い間、日米間に懸案のいろんな問題ありましたけれども、多少のいろんな批判、これはどこでもあると思いますが、ああいう形で決着をされまして、ある意味で一種の安堵感を覚えたと思います。
 私もちょうど九月六日から私ども参議院の三人の方々と一緒にアメリカの国務省、たまたまレーバーデーでしたからいろいろと忙しかったんですけれども、それでもそれを割いて、USTRそれからペンタゴンの方も行ってまいりまして、担当補佐官の皆さんといろいろお話をしてまいりました。
 日米間の話を突き詰めていきますと、結果的には、お互いに議論をいたしましても、何か目に見えぬ障壁といいますか、言葉でわかっておってもわからないという、そういうものがありました。しかし、それは事細かにロジックに話をしていきますと向こうもわかるわけですけれども、そういう点でお互いにもやの中に包まれたような何とも言い知れぬ一種の焦燥感といいますかそういうものがあって、その中で解決しなきゃならぬわけです。それは、ある意味では文化の違いといいますか習慣とか長い間の慣習の違いもありましょう、民族間の考え方の違いもありますから、そういう点で非常に大変なことだと思いましたけれども、ああいう形で一応の決着を見ましたので、その点につきましてこの御努力を多といたします。
 したがいまして、それに伴いまして御承知のようにWTO、世界貿易機関を設立するわけでありますが、羽田外務大臣がマラケシュへ行かれまして一応ああいう形で締結をされてきたわけですが、これからそれがいよいよ国内に移ってまいります。したがって、このWTOを条約としていつごろお出しになるのか。
 御承知のように、臨時国会は九月三十日から開会されまして、六十五日間ですから約半分が経過したわけです。しかし、今国会はいろんな重要法案が本当に山積しておりまして、また年金法案もあしたかかってきますし、これから選挙制度の低割り画定、いろんな問題もありますし、この貿易協定もあります。したがって、大変にタイトな期間の中でこれを処理しなきゃならぬ、こういうことであります。
 聞くところによりますと、このWTOにつきましては、もちろん国内関連法がたくさん出てまいりますので、それを一々お互いに各省庁間で消化いたしますとなれば非常に時間的に余裕がありませんから、私は大変だろうと思うんです。さらに、村山総理大臣は新聞紙上で、必ずしも批准はしてもらっても各国間の動きを見てしかその条約といいますかそれを発効しないんだと、こういうことをおっしゃっております。
 そういう点で言えば、これから各党間の中でこの問題をめぐって非常にいろいろな駆け引きもあるでしょうし、いろいろな考え方もありましょうが、要は大臣としてこのWTO条約の批准についていつごろをめどとしてお出しになるつもりか、その点をまず第一点お伺いしたいと思います。
#29
○国務大臣(河野洋平君) WTO協定につきましては、議員が御指摘のように、国内法につきましても政府として準備を既に完了いたしまして、政府としては国会に既に提出済みでございます。私どもとしては、国会におきます審議が一日も早く始まって、これらが御承認いただけるように心から期待をしているところでございます。我々の立場といたしましては、本会議の趣旨説明を求められておりますのでできるだけ早く、きょうにでもあすにでもさせていただきたい、こう考えておるところでございます。
 さらに、議員お尋ねのように、仮に国会でこれらが成立をしたということを前提に、外国の手順はどういうことになっているかということもまた十分視野に入れてやるべきだという御指摘もございました。先般の衆議院の委員会におきまして総理もそうしたことを十分視野に入れて考えるという旨の御答弁、そういったような御答弁をしておられます。
 ちなみに、アメリカにおきまして今どういう状況になっているかということを少し申し上げたいと思いますが、アメリカのウルグアイ・ラウンド合意実施法案につきましては、アメリカ議会下院におきましては十一月二十九日に本会議で採決を行うことについて合意が得られているというふうに聞いております。また、上院につきましては十二月一日に本会議で採決を行うということについて議会指導者の間で合意をされておりまして、こうした合意を踏まえまして十一月三十日、これは上院ですが、十一月三十日に審議を再開するとの決議が採択されていると伺っております。
 アメリカの行政府としては、WTO協定の来年一月一日の発効に向けて年内受諾を行うとの強い決意を引き続き持っているというふうに考えております。さらに、十二月八日にこの発効日の決定を行う国際的な会議を持つことになっておるということになっております。
#30
○笠原潤一君 今、大臣からいろいろと詳細にわたってお話がありましたが、御承知のように、アメリカ憲法によれば十一月の最初の月曜日の後の火曜日、ザ・ファースト・チューズデー・アフター・ザ・ファースト・マンデー・イン・ノベンバー、これが投票日ですから、間もなくアメリカの中間選挙の結果がわかるわけです。
 今、クリントン大統領は、ハイチの問題それからクウエート・イラク間の問題で、一応はああいう形でクリントン大統領の力量といいますかが発揮されまして、それがアメリカの国内世論で大きく評価されてきて、ようやく五〇%台に人気が上昇してまいったということであります。しかし、クリントン政権のここ二年ほどの一連の国内手法といいますか、国内政治のとらえ方その他についても不信感がまだ目立っておりまして、果たしてこれがこの選挙に、与党・民主党に上下両院とも有利に働くかどうかは予断を許さないところであります。
 いずれにいたしましても、政権党というのは非常に弱いわけです。そういう点で、今後この中間選挙の結果が十一月八日に出てまいりますから、その後の動きが、議会は御承知のように非常に駆け引きの強いところですから、さらには日本と違ってアメリカの場合はロビイストがすごい動きをいたしますので、この動きがどうなっていくのか。
 さらに、アメリカは今、私も九月に行ってまいりまして、非常におもしろいのは、製造業を中心としてアメリカの経済が立ち直ってきたわけです。非常に雇用もよくなってきましたし、失業も減ってきたわけです。これは何もクリントン政権の政策がよかったというわけじゃなくて、私ども想像いたしますに、まことに日本と比較いたしてみるとおかしいんですけれども、日本は今国内の産業の空洞化で大変な問題なんです。円高でどんどん中小企業まで海外にシフトしていく。
 かつてはアメリカも一九五〇年代、黄金のアメリカがたまたまベトナムに突っ込んだ。それからいろんな問題があったんです。ケネディが殺される、キング牧師が殺される、もちろん白人と黒人の根幹の問題、いろんな問題がありまして、アメリカの国内経済が非常に悪くなってきたものですから、アメリカは技術移転の名のもとにいろんなものが海外へ行ったわけです。一番注目されたのは日本であろうと思います。日本ヘアメリカの企業がどんどんシフトしてきたものですから、そういう点で日本は空前の、もちろんいろんな努力もあったでしょうが、あの石油ショックをはるかにクリアして今日の繁栄を築いていったと思うんです。よく考えますと、アメリカの一九六〇年代の後半から七〇年代の様相にやや日本も似てきたなと。
 八〇年代に至ってアメリカの州政府は、州知事が先頭になって日本へどんどん来ました。そして日本の企業の誘致をどんどんやったわけです。御承知のように、ノースカロライナのリサーチ・トライアングルもそうですけれども、あるいは中西部の、ミシガンはちょっと問題がありますけれども、オハイオ、ケンタッキー、ケンタッキーはトヨタが出ていったし、インディアナからイリノイから南部はアーカンソー、クリントンさんの足元まで日本企業が行きましたし、テネシーもそうだし、もう全米至るところへ日本の企業がどんどん進出していったわけです。そしてそれが非常に大きな原動力になってどんどん雇用がふえてきました。これでようやくアメリカで今、日本企業ばかりとは言いませんけれども、そういう結果、アメリカ経済の製造業が復活し、そしてよくなってきた。
 さらに、私がアメリカへ行って気がついたことは、かつて日本もそうですけれども、アメリカが不況業種として切り捨ててきたような繊維であるとかセメントであるとか、その他もろもろのそういう企業が今復活の兆しにあるわけです。ですから、実は中間選挙前にアメリカでWTOの批准が行われる、こう私どもは思っておったんですけれども、もちろんメディカルケアのヘルスケア法案とかいろんな問題も抱えておったんですけれども、中間選挙後に先送りされました。ホリングス上院商業委員長なんかは繊維出身ですけれども。
 最近、ニューヨークと言わず南西部でも、私がいろんなデパートなんかへ行きますと、かつてはメイド・イン・台湾とかメイド・イン・インドネシアとかたくさんあった。あるいは最近はメイド・イン・インディアもあるんですが、最近アメリカ製品も随分多いです、メイド・イン・USAが。したがって、繊維はどんどん復活してきたなと思っています。セメントなんかもかつては韓国とか日本から輸出しておったんですけれども、アメリカは自前でやらなきゃいかぬということで、最近小野田あたりがアリゾナへ行ったり、セメント業種も向こうへ行って技術提携をやっておる。こんなことで非常に製造業はよくなってきました。そういう点からいうと、反対に日本は中小企業が出ていって、海外からの誘致を全然しないと。全然これはおかしな形になってきたわけです。
 したがって、円高もいろんな説はありましょうけれども、今のうちにアメリカは国内製造業、国内産業、経済をしっかりしておいて、御承知のように千五百億ドルも貿易のインバランスがあるんですが、その間に立て直そうなんという感じがなきにしもあらずじゃないかというような気もいたします。
 そういう点で果たして上院下院の中で各州選出の今度新しい議員さんが、もともとアメリカというのは貿易立国であると同時にモンロー主義の国ですから、もう私が今さら河野大臣に申し上げるまでもなく、ウィルソン大統領がかつて国際連盟をつくるということで大変奔走して、一時はアメリカのマスコミも議会も賛同しながら結果的には批准をしなかった、こういうこともありまして、アメリカの議会の動きというのは非常に微妙なんです。
 したがって、その辺につきまして、先ほど少しお話がありましたが、果たして十一月二十九日あるいは十二月一日に上下両院でこれが批准されるかどうかというのは、いろんな法案もありますけれども、そこら辺の見きわめをしっかりしないとこれはちょっといろいろになるんじゃなかろうかという懸念もあるわけです。そういう点につきまして、もう一度御答弁をお願いしたいと思います。
#31
○国務大臣(河野洋平君) 私もアメリカの動向に十分注意を払っていかなければならないというふうに思っております。
 御指摘のように、先々月、少し長くアメリカに私もおりまして、専らUSTRの方々と交渉をいたしておりました。その前からUSTRのカンター代表はこの問題にも役割を果たしておられるわけで、カンター代表からアメリカの議会におきますWTOの処理はどうかという我々の質問に対していろいろな説明がございました。最初の説明どおりに必ずしも進んでいない部分がございますが、先ほど申し上げましたように、私どもが得ております直近の情報といいますかアメリカ側からの説明は先ほど申し上げたとおりでございます。
 その中身は、下院におきましてはフォーリー下院議長、それからゲッパート民主党院内総務、さらにマイケル共和党院内総務、つまり民主党の院内総務と共和党の院内総務、それに下院議長及びギングリッチ共和党院内幹事、この四人の、いわば下院の指導者と言われる方々がクリントン大統領に対しまして、上院が採決を延期したことにかんがみ、下院における実施法案の可決を確保するため、下院における実施法案の採決を上院における採決の直前の十一月二十九日まで延期することを求める書簡を連名で出しているというふうに我々は聞いておるところでございます。今申しましたように、下院の四名の最も指導的立場に立っている方々がクリントン氏に対してそういうことを書簡で言っておるということを我々は一つの根拠としているわけでございます。
 ただ、議員も御指摘のとおり、これは選挙前に選挙後のことの確約をするということがどういうことになるかという御疑問もあろうかと思いますが、私どもは、この点は下院の指導者の方々の指導力というものを、いろいろと説明を伺いまして、この問題については非常に高い可能性があるという判断をいたしております。
#32
○笠原潤一君 ありがとうございました。
 それからEU、ヨーロッパの動きもこれは一つ関連しできますが、この点ヨーロッパにつきましても御存じであったら少しお聞かせをいただきたいと思います。
 関連して、マラケシュ協定の附属書四ですが、ちょっとわかりにくいんですが、複数国間の貿易協定で民間航空機貿易に関する協定、それから政府調達に関する協定、国際酪農品協定、国際牛肉協定、これは附属書四に掲示されているわけですけれども、これはいわゆる複数国間だけでやっていい、こういうことなんでしょう。
 したがって、これはどうも例のガット・ウルグアイ・ラウンドのジュネーブの交渉のときに何かアメリカは、私がこの前もついでにあのときずっと回っていたのは、かねがね、十回ぐらいGEという会社に行くんですが、これは世界で一番大きなジェットエンジンをつくっているんです。
 日本の通産省が二百五十億円出しまして、そしてGE、プラット・アンド・ホイットニー、それからロールスロイス、フランスの航空公団、我が石川島播磨、これが共同して新しいエンジンの開発をやっていますね。コンコルドは非常に騒音も甚だしいし、経済的にもよくないということですが、これができると日本−アメリカ間を二時間半で結ぶ。経済的な燃費もいいし、騒音も少ないということで非常に期待されております。しかし、アメリカは宇宙航空産業についてはどうも何というか独占的な考えを持っている。これについてはもう手放さないぞと。
 それから政府調達。これも日米間で、河野大臣はこの間、大変御苦労になりましたが、そういう問題。さらに牛肉、酪農品。牛肉もアメリカは最近国際競争力がちょっと弱くなってきたんです。それはアルゼンチンとかオーストラリアとかそういう国との競争に勝てなくなってきたものですから、そこら辺が手前みそで、何か附属書四で別にしたような気がしてならないのですけれども、この点はいかがですか。
#33
○政府委員(原口幸市君) 二つ御質問がございましたけれども、まずEUの手続につきまして、事実関係でございますので私からお答えさせていただきたいと思います。
 EUの場合には、ローマ条約に基づきまして伝統的な物の貿易の交渉権限は既にEC委員会にあるということが確定しておりますが、御存じのように、今回のWTO協定ではサービス貿易あるいは知的所有権という新しい分野の交渉が行われまして、こうした新しい分野の交渉権限が果たしてEUの委員会にあるのか、あるいは加盟国にあるのかということが必ずしも分明でございません。若干の争いがございまして、決定を欧州裁判所に求めておりまして、この欧州裁判所の判決が今のところ十一月十五日までに出ると言われております。
 EC委員会からは、この判決が出次第、その判決に基づいてEC委員会が必要な措置をとるか、あるいはあわせて加盟国が国内の必要な措置をとるかということになろうということでございますが、いずれにしてもこれまでのナポリ・サミットあるいはロサンゼルスにおける四極の会合等いろいろな機会におきまして、EC委員会の代表あるいはECの主要国の代表は年内に必要な国内手続をとるという決意を表明してきております。
 それから、ただいま二番目に御質問のありましたWTO協定附属書の四でございますが、これは御指摘のように四つございます。WTO協定本体とそれから附属書の一A、B、C、二、三、これはいずれも不可分の一体として国際約束をなすと言われておりますが、この附属書の四に含まれる協定は不可分の一部ではございません。政府調達協定を初めとして国際酪農品協定、国際牛肉協定あるいは民間航空機協定、いずれも関係している国が余り多くないと、実質的な意味で、そういうことで歴史的に実はガットの外で扱われてきたんですが、あるいはごく一部の間で行われてきまして、実際にはWTO、今回のウルグアイ・ラウンドの前の東京ラウンドのときに初めてこういう複数国間の協定ができまして、今回はその続きということで依然として複数国間で取り扱っている、そういう経緯がございます。
#34
○笠原潤一君 そうですか。どうもありがとうございました。
 次の問題ですが、私は十月のたしかこの委員会で質問させていただきました。これは日本の明治以来の外交の問題、今回も問題になりましたけれども、侵略戦争とかいろいろな問題で閣僚が更迭されるというようなことになるんですが、どうも歴史観の問題もあります。
 コロンブスが御承知のように、ハイチかドミニカのあたりだったと思うんですが、一四九二年にアメリカを発見して五百年になるわけです。世界にコロンブスという町が五百あるんですが、その中の一つにオハイオ州にコロンバスというところがあります。これは世界で最大のコロンブスという名前の町ですが、そこでアメリカは一昨年、一九九二年、五百年を記念してブッシュさんのときに威信をかけてアメリフローラという博覧会をやったんです。
 話は前後いたしますけれども、日本が出展するかしないかということでいろいろあったんですよ。私はそのときいろいろ骨を折りまして、最終的には大阪府と岐阜市が出展いたしました。ブッシュ大統領も来ましたし、なかなか盛大であったんですが、新しい試みの博覧会をやりました。
 この五百年間の間に特に白人が、白人というとおかしいですけれども、かつての宗主国と言われるスペイン、ポルトガルはもちろんでありますが、英国それからドイツ、フランスなどのヨーロッパ諸国が、コロンブスからマゼランから世界の植民地をつくって歩いたわけです。南米はほとんどスペイン語圏になってしまった。インドを初め東南アジアは英語圏になってしまったんです。
 そういうことではありますが、その間に白人と各地原住民といろいろ問題があって、これは必ず白人が勝って占拠し、植民地にしていったわけですけれども、白人に対していわゆる有色人種が最初に勝利を得たというのは、ほかならぬこの日露戦争であったわけです。したがって、ルーズベルトのあっせんによってポーツマスで講和条約をやったんです。
 その間のくだりについては私は時間がありませんからいろいろ申し上げませんが、そのポーツマスへ私は何回か行こうと思ったんですけれども行けなかったけれども、実は昨年四月に行きましてこの跡地を見てきたわけです。そして今回またもう一度行ったんです。
 そのとき、いろいろ現地で頼まれました。あのすばらしいポーツマスの軍港の中に、コマンダーの部屋に軍艦「三笠」も飾ってあるし、それから当時のいろんな史跡、史料もたくさんあります。同時に、ポーツマスの市内の図書館にも小村さんの足跡がいっぱい残されていますし、いろんな史料があります。これを何とか保存したいということと、ウェントワースというホテルに泊まって、実質は軍港でやったんだけれども、あそこで実際は御承知のように講和条約を小村さんとウィッテがやり合ったわけです。
 ポーツマスのウェントワースハウスは、かつてはアメリカ最大のホテルで本当にすばらしいホテルだったんですが、今やいろんな関係で、まだ建物はしっかりしているんですけれども、もう荒れ果てた。ウィッテ側は壊されてもうなくなってしまっていますが、幸いに小村さん側は残っているわけです。そのときに何とか日本で保存してもらえないかという話があって、今回もその話が出てきまして、随分いろいろと調べてまいりました。
 ウェントワースはちょうど湘南と軽井沢とを合わせたようないいところなんです。もう本当に眺望絶佳で、大西洋が見えますし、ゴルフ場もマリーナもある。そして、たった三百万ドルであんなすばらしいゴルフ場がつい先日売られたわけです。残りのこれにつきましては大体百万ドルぐらいだというんですね。日本の金にすると一億円です。これを何とか、いろんな意味もありますけれども、保存してもらいたいと思っておるんですが、たまたまつい先日、向こうから資料を送ってきましたから、大臣、少し見ていただくとありがたいんですが。(資料を示す)
 こういうものがあって、これは日本が日仏会館も日英会館も、そして日ロ文化センターもおつくりになったそうです。当時の金で日本で百億円ぐらいおかけになったそうですが、そんなにお金もかかりませんし、いろんなことは向こうでやってくれます。向こうの環境団体も市民もこれは強く保存を要請しているんです。それを何とかやってもらえないか、日米文化センター。これは本当にいいところですから、学生が研修に行ってもいいし、だれが行ってもいい、ボストンからも近いしということでありまして、その点についてちょっとお尋ねをしたいと思うんです。
#35
○国務大臣(河野洋平君) ポーツマスにおきます小村大臣の大変な御努力は、吉村さんがお書きになった「ポーツマスの旗」という本で私も読ませていただきました。あのころですから随分御不自由もあって、延々汽車の旅があったり、あるいはポーツマスヘ行くまでに船に乗っていくか何で行くかというようなことがあったり、そして交渉も極めて難しい交渉をやられ、ルーズベルト大統領のいろいろな御配慮があったりして、まさに日本の外交の歴史の中では忘れることのできないものであるというふうに私も思っております。
 ニューハンプシャーという場所はそう大勢の人が行く場所ではないわけで、委員のようにこのことに着目をしてわざわざ行かれるという方は、行って恐らくきっと感激をなさる場所ではありましょうが、アメリカの観光旅行でずっと回るという場所ではないものですから、日本人にそう多く知れ渡っているところではないというのは非常に残念な思いもいたします。
 この場所をどうやって何とか残すかということだろうと思いますが、これらは、例えばベルリンの森鴎外の記念の部屋をどうやって残すかというようなことが昨今新聞にちょっと伝えられておりますし、外国の各地でかつての日本の努力の跡あるいは研さんの跡があって、それが時代が変わってそのままの形で残すことがなかなか難しいというのを報道で知ると、大変残念な気持ちもいたします。
 この物件、今拝見をしただけで、大変スケールの大きな物件で、これはちょっとどうかするというほど簡単なことではございません。どういうふうにすることができるか、今ちょうだいをいたしましたので拝見をいたしますが、これを政府がどうするということはなかなか難しいのだろうと思いますが、どういうことができるか、少し勉強させていただきたいと思います。
#36
○笠原潤一君 どうもありがとうございました。
 もう時間がありませんから、まだ二、三質問がありましたけれども、最後に。
 この問題につきましては、随分多くの国会議員の先生あるいは財界の皆さんも最近非常に興味を持たれまして、何とかしなきゃならぬという、そういう方が多くなってまいりましたので、大臣、ひとつそこら辺を頭に置いていただいてよろしくお願いをしたいと、こう思います。どうもありがとうございました。
#37
○大渕絹子君 河野外務大臣は、去る九月五日からエジプトのカイロで開かれました国際人口開発会議の日本代表として出席をされました。私もその一員として加えていただきまして、河野外務大臣の演説を直接に聞くことができました。その大臣の演説の中で、この人口会議の重要なテーマの一つはリプロダクティブヘルスであるというふうに発言をなされておりました。そのリプロダクティブヘルスについて大臣のお考えをまずお聞かせください。
#38
○政府委員(高野幸二郎君) リプロダクテイブヘルスもしくはリプロダクティブライツというのは、最近新しい人権概念として浮上してきた言葉でございまして、この人口問題との関係でいえば、人口問題を解決するに当たって、やはり女性の地位、役割というものを女性の人権というものに着目して対処することが必要であるという背景で議論され、かつ今度のカイロの人口会議でも一応概念といいますかコンセプトとしては認知されたものでございます。
 出産との関係でいえば、出産するしないはやはりこれは女性の人権問題として自主的に判断されるべき問題であるということを意味しているものと理解しております。
#39
○大渕絹子君 外務委員会の内容としては大変そぐわない内容を私があえて選んでおりますのは、外務大臣が日本国の代表として国際会議で出席をされて演説をしているということで、大臣の認識といいますか、そこのところを聞いておきたいと思いますので、できるだけ大臣から御答弁をいただきたいと思うわけでございます。
 その大臣の演説を聞いておりましたら、我が国は戦後急激に増加をしてきた人口を非常にうまくコントロールして、自助努力によって人口抑制ができたような演説の流れになっておったわけですけれども、実際に戦後の混乱期、避妊の方法とか手術とかというのも確立されていない中で、人口爆発的なものが日本でもあったわけですね。それを的確に抑えることができた施策というのはこの演説の中では全く触れられていない、そのことに私は随分不満がありました。そのことについてどう思っていらっしゃるのか。
#40
○国務大臣(河野洋平君) 大渕委員の御指摘でございますが、この問題はすぐれて厚生省の問題ではありますが、私、人口会議に政府代表ということで出席をさせていただきましたので、厚生省からも来ておりますけれども、できるだけ私からいろいろ申し上げたいと思います。
 まず最初にリプロダクティブヘルス、カイロではリプロダクティブライツという観点ももっととらえるべきだという御注意もいただきましたが、このリプロダクティブヘルスという点については、私、カイロに行って演説をするときにかなりの抵抗を実は感じておりました。
 このリプロダクティブヘルスというのは、恐らくここにいらっしゃる議員の方でも知っていらっしゃる方は非常に少ないだろうと思うんです。つまり、リプロダクティブヘルスという言葉は日本語には直しにくくて、日本語には余り直っていない。もちろん書いてはありますけれども、なかなかリプロダクティブヘルスというものを日本語でおっしゃる方は少ないのでございます。したがって、理解をされる方は非常に少ないものですから、私も正直言ってリプロダクティブヘルスに対する理解が当初は十分できませんでした。しかし、リプロダクティブライツという議論が出るに及んで、なるほどそういう視点、観点があって、それは非常に大事だということを、むしろそうした御注意から非常によく理解ができるということがあったことをまず最初に申し上げておきます。
 それから人口抑制、人口をどうやって抑制したかということについて我が国の実績についてもう少し言った方がよかったのじゃないか、あるいはそういう御指摘かと思います。実は、私の演説の原稿の最初は相当それが書いてあったのでございます。私がむしろそれをかなり削りまして、もちろん時間の関係もありますけれども、我が国がこういうことをやったああいうことをやったということは、もちろんそれも大事なことかもしれないけれども、これからどうするかということを演説では余計言おうじゃないかということにいたしまして、その演説の原稿はみんなで相談をして議論をしながら原稿をつくっていくわけですけれども、そのときにそんな気持ちを私が言いまして、かなりその部分を削ったということがございます。
 御質問にお答えをするわけですが、我が国において他の先進国と同じように少産少子の状態に今なっております。その結果、人口は安定的に推移をしてきているわけです。これは、工業化、都市化あるいは乳児の死亡率の低下、高学歴化、これは全部関連しているようでまたそれぞれ別な部分もあるわけですが、こういったことが少産化の動機になっているのではないか。さらに、教育の普及とか医療、保健水準の向上、さらには、私はこれを一番強くあそこで言ったつもりですが、最近の女性の地位の向上でありますとか、そういったことが人口増加を抑制する原動力になっている。さらに、これからもっと考えなければならないのは、女性の地位の向上と同時に、男性の責任ある行動というものも非常に重要ではないかというふうに思っているわけでございます。
#41
○大渕絹子君 日本では一八八〇年に堕胎罪というものが制定をされますね。そして、その堕胎罪によってどういうことが図られてきたかといえば、いわゆる国の政策にのっとって産めよふやせよというような形の中で人口増加政策がとられてくる。その後、敗戦後一転して今度は人口が急激にふえていくことを抑えるために優生保護法が一九四八年につくられます。そして、その優生保護法の中で人工妊娠中絶というのを認めていくわけですよね。その認めていく中で、さらに今度は人口が増加をしていくという状況になってきて、それに対応するかのごとく、一九四九年に優生保護法の中に初めて今度は、母体の保護というのが前提ですけれども、経済的な理由で産めない人にも中絶が適用されて、そして日本の人口の急増というのは抑えられていくわけなんです。
 この一九四九年当時というのは、日本ではまだ避妊の技術といい保ますかそういうものも、あるいは唯一の避妊方法であるコンドームさえも全国的には普及をしていないという状況の中で、この優生保護法の経済的理由というところにとらえられて中絶が行われていったということが実際なんですよね、日本の歴史の中で。これは私の母親の時代ですけれども、そういう実態というのはよく聞かされてきておりました。
 そういう中で日本の人口抑制がされてきたということは世界の人は知らないわけで、この演説を見る限りでは、日本は女性の男女平等が非常に進み、女性の教育が進み、情報公開もされて、そして抑制をされてきたというふうに広げられていくということに対して、私はそうではなくて、事実はこうだったけれどもという、そういう事実を踏まえながら、しかし今、少子化社会に入ってしまっているということをやっぱり言っていかなければならないのじゃないかなというふうに強く思うわけでございます。
 大臣は、自分から申し出てそこの部分は削ったと言われておりましたので、大臣が認識をしておられたので安心をしましたけれども、そういうのがわかっておらない男性たちもたくさんおるのではないかと思うのですね。だから、そういう中で厳然として今この堕胎罪というものがまだ日本の法律の中にあるということ自体、この国際人口会議で採択をされた女性の権利とも絡めて私は非常にこれは時代におくれている、そういう時代とギャップの持った法律ではないかと思うのですけれども、大臣はいかがお考えでしょうか。
#42
○国務大臣(河野洋平君) 外務大臣としては非常に難しい質問をされているわけで、私の認識がもし浅く、間違っているようだったら厚生省に訂正をしていただかなきゃならぬと思います。
 先ほど私申し上げたように、リプロダクティブライツという視点というものは実は非常に重要なのではないか。これは女性、それから生まれてくる子供たち、生まれるであろう、生まれるはずであったと言ってもいいかもしれません、あるいは生まれるであろう子供たち、こういった人たちに視点をきちっと当てて議論をするということが実は非常に重要だという感じを私は持っておったわけです。
 それと同時に、経済的理由による中絶が日本の人口を抑制する一つの要素になっていたかもしれないというもし御指摘であるとすれば、私は人口増加を抑制するための、あるいは人口増加が抑制された理由というものはたくさんあって、そのうちのそれは一つであるいはあったかもしれないというふうには思います。ただし、それが人口増加の抑制の主要な原因であったかと言えば、それはそうも実は思わないのでございます。
 戦後の日本社会の中における女性の地位、女性の権利あるいは女性の発言権、そういったものほかなり早く認められたと考えていいのではないでしょうか。これはアメリカがそういう指導をかなり積極的にしたということもきっとあると思います。つまり、女性が衆議院、参議院議員となって相当多数の女性議員が発言をするということもございましたし、それはもっと以前のそうでなかった時代に比べればかなり発言権を持ったというふうに思います。しかし、それはどの社会でも非常に厳しい状況を通過する、経験をしてきたということもまた私は否定できないというふうに思います。
#43
○大渕絹子君 この女性の権利、産む産まないということまで含めて女性の権利として確立をしていこうというのが今回のリプロダクティブヘルスとライツの精神ですよね。その精神とこの日本の法体系が合わなくなっているということなんですね、私が申し上げたいのは。堕胎罪の存在ももちろんそうですけれども、その堕胎罪から逃れるために優生保護法が制定されて、そして人工妊娠中絶が認められているわけですけれども、この法律の中でさえも主体は女性ではないのですね。それを選ぶのは女性ではないんです。中絶できるかどうかを決定するのは、あくまでも法的に決められたお医者さんなんですね。そこが手術をするかどうかの権限を持つというところに私は非常に納得できない部分があるわけです。
 今回、この人口会議でもそこのところ、女性の産む産まないの権利というところで一番議論が沸騰したわけですけれども、先進国だと言われている、あるいは人口抑制に成功したと言われている日本でさえも、厳然としてこの二つの法律によって女性の産む産まないの権利は阻害をされているということに非常にギャップといいますか開きを感ずるわけですね。だからこそ、この人口会議で二十年の行動計画に示されたこの権利、女性の権利として確立をしていこうという提唱がなされたこの時期に、日本においても堕胎罪のあり方や優生保護法のあり方というものを根本的にとらえ直して、今の時代にマッチをした新しい女性の生き方として認められるようなそういう新しい法律、システムをつくっていく時期が来たのではないかと思うんですね。
 そのことを強く今訴えたいし、そのことを副総理、人にやさしい政治をする村山内閣の副総理でいらっしゃいますよね、そして自民党総裁でもあられますので、そういう議論といいますか、そういうものを出していっていただきたいなと心から思うわけでございますけれども、その御決意をひとつ聞かせていただきたいと思います。
#44
○国務大臣(河野洋平君) 医師の判断というものがかなり重要だという視点もあると思うんです。それは医学的知識を持たずに産むか産まないかという判断をするということについて、医師がその判断について医学的に医師としての判断をするということも、それも私は全く否定するわけにはいかないだろうと思うんです。
 私がこういうことを申し上げておりますのは、人工妊娠中絶についての議論はさまざまな角度から、宗教的見地から御議論をなさった方もありますし、医学的見地からなさった方もありますし、人権といいますか権利として議論をなさった方もありますが、それはさまざまな角度からさまざまな議論がこれまでもあったし、あの会議でもあったわけでございまして、これらのことは、今委員御指摘のような視点も、私は全くそういう視点を考えないというわけにはいかない大事な御指摘だと思います。
 しかし、いずれにしても、私が申し上げたように、一つの議論としては医学的な判断というものも重要だということもあるわけで、さまざまな議論を経て判断をされるべきもので、私のような人間の一方的な判断というものはまだまだこの議論からいえば不十分だというふうに自分自身思っております。
#45
○大渕絹子君 しかし外務大臣、大臣は演説の中で、女性の権利としてリプロダクティブライツを認めていくということはこれから先の重要な課題であるというふうにもおっしゃっておりますし、そのことを実現するために行動計画も示されているわけですから、日本が率先してそういう日本の中にある法体系を変えていくということに踏み出すことに私は大きな意義があると思うんです。
 今このままの法体系で残しておきますと、一九九〇年にもあったわけですけれども、中絶ができる妊娠の時期というのがあるんですけれども、それを二週間ほど縮めてしまった通達が出されたということがあったわけですね。そういうことも、これから先も医学が進めば進むほど母体外で生きられる子供の時期というのは短くなっていくと思うんですけれども、そのたびごとに通達が出されて中絶の幅が狭められていくという危険性が非常にあるんですね、このままの法体系でいくと。だから、女性の権利としてそのことが認められるのであるならば、この法体系は変えていかなければならないと思っています。
 女性議員を中心にしましてこういうことの改正についても話し合われていますので、これから先もどうぞ積極的にかかわっていっていただきたいことをお願い申し上げます。
#46
○国務大臣(河野洋平君) 御意見は十分伺いました。
#47
○大渕絹子君 大臣はこの同じ演説の中でもう一つ、環境問題とかかわりまして持続可能な農業のことについても触れられました。私は大変うれしく思いました。この人口会議の中で農業問題に触れられて発言をなさった人は余りいなかったように思うわけですけれども、大臣は「持続可能な開発という目的を達成するために、環境保全・資源保護に配慮した協力を促進すべきであり、さらに、増大する人口に対応するためには、世界の食料の安定供給という面に着目し、持続可能な生産性の高い農業の発展に向けて政策の強化に努める必要があると考えます。」というふうに述べられました。そのことを非常に私は高く評価をいたします。
 そして、今、世界の食糧の事情がどんなぐあいになっているのかということをおわかりになっていらっしゃると思いますけれども、食糧の生産はアジアにおける緑の革命の成功というようなことがありまして、非常に食糧生産自体は伸びておりますので今の人口を抱えるだけの食糧は世界にあるわけですね、実際には。ところが、七億人にも上ると言われる飢餓人口が存在をしているのは一体どうしてだと思われますか。
#48
○政府委員(高野幸二郎君) ただいま委員御指摘のとおり、世界全体では世界の人口を賄うだけの食糧生産があるということでございます。他方、これまた御指摘のとおり、にもかかわらずこれはFAO、世界食糧機関の統計によりますと、約七億八千万人の慢性的栄養不足人口が存在しているというのは御指摘のとおりでございます。
 なぜそういうことになっているかというお尋ねでございますが、これまたFAOの見解でございますが、それによりますと、十分な食糧を得ることができないのは食糧の不足というよりも所得ないしは購買力の不足、端的に言えば貧困の問題であるというふうに指摘されております。
#49
○大渕絹子君 そうなんですよね。経済的に強いところは食糧を確保することはできますけれども、貧困の国はそれを確保することができない、いわゆる食糧そのものが自由競争の中にさらされているからこういう状態が起こっているというふうに私は思うんですね。
 だからこそ、食糧のことは国連のFAOなどを中心にして、日本の食管制度というのは戦後の食糧不足に大変役立った制度だと私は思います。今はその役割を終わって改正をされようとしていますけれども、この現存の日本の食糧管理制度のようなものを世界の食糧管理の体制の中に組み込んでいくことはできないだろうかというふうに思うわけです。余剰のある穀物は国連の機関が的確な価格で買い上げる、そして貧困の国に安くあるいはその国が買い取れる価格で提供していく、その差額については援助国で援助をするというようなシステムをもし国連の中につくることができたら、世界の飢餓状態に置かれている七億人の人たちを救っていくことができると思うんです。
 そういうことに対して、日本は主導権を発揮することができないだろうかと思うわけですけれども、大臣いかがでしょうか。
#50
○国務大臣(河野洋平君) 国際社会の中にある貧困とか飢餓とかいうものをどうやってなくしていくかというのは、我々の考えなければならない重要な課題だと思います。しかし、一方で食糧供給を国の中心に据えている国があって、例えば米をつくって米を売ることで国の経済を支えているという国があるということになると、その国の経済もまた考えなければならないという次の問題が出てくるということがあると思います。まさに国際社会全体の仕組みというものを考えないと、足らないからこっちから持っていけばいいというだけではなかなか解決をしない問題であろうと思います。
#51
○大渕絹子君 でも、その食糧を増産している国は自分の国の中で余ったものを輸出補助金までつけて出さなければ売れないという状況が今起こっているわけでしょう。そういう中で、貿易の争いがあってWTOの中に農業産品も加えていこうということで話し合いが進められているわけですよね。そういう状態であるならば、輸出補助金をつけてまで出さなければならない食糧について国連が適正な価格で管理をするというようなことも、今はコンピューター時代ですから品物を実際に移動するということじゃないわけですけれども、そこに保管をして適当に出荷していくというようなことができるんじゃないかというふうに私は思うわけでございます。それは今すぐここでどう言ってみてもしょうがないことですけれども、そういうことも考えられるんじゃないかという問題提起でございます。
 そして、今の経済的に強い国だけが食糧を集められるようになっていくというシステムなんですけれども、今回、WTOが効力を発しますとさらにそのことが強まってくるというふうに私は思うんです。WTOの条約に日本も積極的に参加をしていかなければならないという世論が大変あるわけですけれども、実際にはそのことと食糧、飢餓の問題とは逆行するというふうに私は思っております。ぜひそういう観点でとらえていただきたい。
 この世界人口会議の中で提起をされた持続可能な農業、そして環境保全型の農業システムというものとWTOの農業分野を自由競争貿易に組み込んでいくということとはまさに逆行するんだという認識を、外務大臣、しっかりと持っていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
#52
○国務大臣(河野洋平君) 私が先ほど申し上げたのはいわゆる一般論として申し上げたので、特定の問題を頭に描いて申し上げたわけではありません。
 それからWTOの問題は、まさにWTOの中に、これは恐らく我が国を初めとする食糧輸入国が主張したことだと思いますが、食糧安全保障ということを指摘して、輸入国が抱える問題というものをきちんと触れて、WTOの中には何カ所かそういう指摘をしております。これはWTO、ウルグアイ・ラウンドの協議をする中でそうした問題があるということを参加国が認めているという証左であろうと私は思っております。
 カイロの演説で、これはあちこちぐちゃぐちゃになってはいけませんけれども、カイロの演説で私は、人口問題を考える視点に環境問題があり食糧問題がある、ただ単に人口抑制ということだけを議論するということでは十分ではないというふうに思いまして、私はあの演説の中に、これは私が自分で指摘をして入れた部分でございますが、そうした観点はやはり大事にいつも問題意識として持っていなければならないだろうと思っております。
#53
○大渕絹子君 演説の問題からちょっと離れて、日本のODAのことで一点だけ指摘をさせていただきたいと思います。
 五月だったでしょうか、フィリピンに行く機会がございました。そして、フィリピンのバタンガスの港を日本のODAによって開発するという問題がございました。そのときに、住民がバタンガス港のそばにかなりの人数住んでいらっしゃったんですけれども、その住民たちを強制撤去するということがこのたびございました。しかも、軍隊までも出動させて、そして流血騒ぎを起こす中で住民の強制撤去を図ったという事実があるんですけれども、それに対して日本の外務省はODAを凍結するという措置をとったわけですけれども、その後の措置はどうなっておりますでしょうか。
#54
○政府委員(平林博君) まず、六月の時点での強制立ち退きの件でございますが、一、二名けが人が出たように我々も調査の結果理解しております。ただ、軍隊が入ったというよりは警察官の立ち会いのもとで当局がやったというふうに理解しております。いずれにしましても、その後、村山総理もラモス大統領と直接お話しなさいましたが、先方の当局はラモスさんを含めて平和的な住民移転問題の解決のために引き続き努力中でございます。
 ただ、我々の見るところ、まだ三百人強の人たちが立ち退きを行っていない、そのうち数十%は不法占拠ということになっているようでございますが、いずれにしましてもこれをもう少し平和的に立ち退きの話を進めていただかないと、我々としてもODAの供与に同意できないということを伝えて鋭意先方の努力を促している。また同時に、大使館と海外協力基金の現地事務所を通じまして、その実行状況あるいは先方との対話を進めているということでございます。
#55
○大渕絹子君 今まで日本のODAの歴史の中に発砲までして強制撤去をさせたところに出していったという事実は全くないわけで、このたびこのことが許されて日本が積極的に資金提供していくようなことになれば、これから先のODAのあり方というようなものも非常に厳しく問われてくるだろうというふうに思います。ぜひ慎重な対応をしていっていただきたいことをお願い申し上げて、終わりにいたします。
 ありがとうございました。
#56
○大脇雅子君 日比混血児問題についてお尋ねをいたします。
 日本人男性とフィリピン女性の間に生まれ、日本人の父親に見捨てられたジャパニーズ・フィリピーノ・チルドレン、日比混血児に対し、フィリピン政府は十月二十九日、全国一斉の登録事業に乗り出しました。登録の結果は、今後、日比両国政府が本格的な対策に乗り出す基礎として期待されておりますが、日本の動きが非常に鈍いという批判がなされております。あす二日より五日にかけまして日比の議員のシンポジウムが行われまして、私も参加することになっておりますが、その点にかかわってお尋ねをいたしたいと思います。
 去る八月二十四日、日比首脳会談でラモス大統領と村山首相間でこの問題をめぐって会話が交わされたと聞いておりますが、具体的にどのような内容の会談であったのでしょうか。
#57
○政府委員(川島裕君) 八月の村山総理の東南アジア諸国訪問の際にフィリピンを訪問いたしまして日比首脳会談を行ったわけでございますが、その際、ラモス大統領から、この日比混血児問題は人権にかかわる問題であり、日比関係をさらに進めていくためにこの問題を解決することは重要であるという発言があったわけでございます。これに対して村山総理からは、この問題は難しい問題であり、人権尊重のため解決できるよう努力していきたい、こういうふうに応答されたと、こういうことでございます。
#58
○大脇雅子君 現在、日比混血児は何人ぐらいと日本では推定されているんでしょうか。実態調査などをフィリピン政府側が行い始めたところですので、こちらとしてどんな協力ができるとお考えでしょうか。
#59
○政府委員(川島裕君) まず実態でございますけれども、これはフィリピン側がまさに実態把握に乗り出されているということで、日本側としては正確な数字等の把握はできていないということでございます。
 それから取り組みというお尋ねでございますけれども、日本政府といたしまして、この日比首脳会談での村山総理の発言にもございますとおり、重要性については認識しておりますけれども、基本的にはやはり両国の国内民事法令の適用によりまして当事者間で解決されるべき問題でありまして、政府として個々の事案に介入するということはなかなか難しいのではないかと考えておる次第でございます。
 ただ、この問題につきましては、フィリピン内外のNGOが大変大きな役割を果たしていると承知しております。日本側としても、貧困対策とか母子保健問題等はフィリピンに対する経済協力の重点分野として位置づけているところでございますので、NGOを通じるものを含めて、こういう枠組みの中で何かできることがないかということは検討をしたいと考えている次第でございます。
#60
○大脇雅子君 その日比混血児のいわゆる父親を探す運動とか、養育料の取り立てを行う活動とか、JFC弁護団というのがありまして、全国で現在百四十件ほど各地で弁護士が担当をしているわけです。しかし、認知における血液鑑定の費用が三十万から五十万かかる、向こうから本人たちを呼び寄せるのにさらに渡航費がかかるということでもう経済的に大きな壁にぶつかって、NGOの活動それ自体も経済的に限界に来ているという事情が報告されております。また、フィリピンでは、先ほど言われましたように、母子の生活の困窮とか、あるいは大きくなりつつある子供たちの教育とか父親との交流など、将来にわたって非常に大きな問題が発生するというふうに考えられているわけです。
 ただいまNGOを通じて貧困、母子保健の枠組みの中で対応していくというふうに言われましたが、これはそういう意味で財政的な援助ということも考えていらっしゃるということでしょうか。
#61
○政府委員(川島裕君) フィリピン側では困窮者に対する財政的、精神的支援とか、あるいは父親探しをやっておられるNGOがございますし、それから日本側では、これはキリスト教を基盤にした団体で、いろんな人権侵害とか人権を阻むものと闘うというのや、枠組みの中でやっておられる団体とかいろいろあることは承知しております。
 そういうNGOに対しまして、どういうふうにフィリピンに対する経済協力という枠組みの中でできるかということは今後考えさせて、いろいろ勉強させていただきたいと思います。
#62
○大脇雅子君 特に、法的な問題として国際的な重婚だとかあるいは婚外子の発生の問題が起きております。と申しますのは、フィリピンで婚姻を行いながら、こちらの日本法による手続で届け出をしていない、あるいは届け出をしないで故意に日本人女性と再び結婚するというような形で、それが大きな問題として発生してきておりますが、こうした法的問題を検討する実務者会議、日比両国政府の実務者会議の開催が非常に急がれると思うわけですが、これに対してどのようにお考えでしょうか。
#63
○政府委員(川島裕君) まさに婚姻自体が届け出がないまましたのかしてないのかよくわからないという状況とか、問題があることは承知しております。したがいまして、統計等々もなかなかとれないということがあるわけでございますけれども、日比間でこの問題に関します、そういう法的側面も含めて問題を洗い出すと申しますか、意見交換をする実務者協議を開いて、連絡を保ちながら問題点を洗っていきたいと、こういうふうに考えております。
#64
○大脇雅子君 子どもの権利条約が批准をされまして、現在、まさに人権の視点から日比混血児の問題は外交課題となってきていると思います。
 例えばアメリカの場合、アメリカは基地がございまして、いわゆるアメラシアンと呼ばれる子供たちがたくさんフィリピンに発生いたしました。それに対するアメリカの取り組みというのは、例えばパールバック財団がもう二十六年前から九十人の現地スタッフをフィリピン支部に常駐させて、各支所でさまざまな医療と教育を中心に援助を行っているということ、それからまた米国の市民権を得るためのさまざまな援助活動を組織的に展開しているということが言われているわけです。それに対して日本の場合は何らまだ取り組みが具体化していないという点もありますので、私は大臣にお尋ねしたいんですが、外交課題としてこの日比混血児問題に取り組む政府の方針というものはどのようにお考えでしょうか。
#65
○国務大臣(河野洋平君) 国際的問題としてはもう極めて恥ずかしい問題でございます。また、そういう日本男性に対して憤りを感じておるわけでございます。モラルの問題からいって全く話にならぬというふうに私は思います。一つ一つのケースにそれぞれいろいろな事情があるんだろうとは思いますけれども、基本的には男性側の責任というものをきちんと問わなけりゃならぬということなのではないかと私は思います。こうしたことが国際的な問題になって政府と政府が話し合わなけりゃならぬというのは、もう本当に情けないという一言に実は尽きるのでございます。
 恐らくアメリカの場合には、軍隊という国の指示によって出ていった大きな組織ということもあったのだろうと思います。我が国の場合には、そういうことではなくて、全く企業の事情であったり個人の事情であったりしてそういうことになっているということを考えれば、アメリカと若干事情を異にするだろうと思います。しかし、さはさりながら、子供の権利といいますか人権といいますか、そういうことを考えれば、本当にこの問題は残念なこと、遺憾なことだと思います。
 これをどういうふうにすることがいいか、少し考えさせていただきたいと思いますが、先ほど来政府委員が御答弁申し上げておりますように、政府がこれをどう扱うかというのは、扱い方としては非常に難しいのだろうと思います。したがって、例えばNGOがこの問題に有効に対処していただけるなら、NGOを何らかの形で支援するということも一つの方法だと思います。しかし、基本的には男性の責任を問わなければならないことで、こうしたいいかげんな状況を、政府が全部国民の税金によってそのしりぬぐいをしなければならぬなんというのは、私は基本的には果たしてそれは適当なことかどうかということもあると思うんです。
 ただ、国際的な問題になっているということを考え、その子供の人権ということを考えれば、何らかのことも考えなければならないのかもしれない。日本とフィリピンの首脳会談にまで取り上げられた問題でもございますから、勉強をさせていただきたいと思っております。
#66
○大脇雅子君 この日比混血児の発生原因として、いわゆるエンターテイナーのビザで入ってくる人たちが今たくさんいまして、それが一九八〇年代の日比混血児問題の発生原因だ、こう言われているわけです。これについて、大体エンターテイナーとして入国した女性の数とその変化、それから多くの場合、その人たちが本当にエンターテイナーとして活動するのではなくてホステスとして勤務しているということはもう周知の事実なんですが、この点について法務省としてはどういう対応をしておられるのでしょうか。
#67
○説明員(加澤正樹君) お答えいたします。
 まず、過去五年間におきますフィリピン人の新規入国者とその在留資格、これは興行により入国した者の数についてお答えいたします。
 平成元年でございますが、新規入国者は六万九千五百六十七人、うち興行が三万二千六百三十六人、四六・九%です。翌二年は、新規入国が八万四千三百二十七人、うち興行が四万二千七百三十一人、これは五〇・七%に当たります。平成三年は新規入国者が九万五千五百四十七人、うち興行が五万六千八百五十一人、五九・五%。平成四年が八万六千八百十二人の新規入国者に対して、うち興行が五万九百七十六人、これは五八・七%に当たります。昨年、平成五年におきましては七万七千百七十人の新規入国者のうち興行が四万二千六百十二人、五五・二%ということでございまして、フィリピンからの入国者のうち、最近は半数以上が興行の資格で入国しております。
 この興行資格で入ったフィリピン人女性がどの程度資格外活動で摘発されているか、これについてはそういう形で統計をとっておりませんが、大部分そのままオーバーステイになるというところもありまして、そういう形での統計はございますので、それについてお答えいたします。
 平成元年は不法就労者として摘発したフィリピン人が三千七百四十名、うち輿行資格で入国した者が三百二人、平成二年が四千四十二人摘発した者のうち興行資格で入ってきた者が三百九十六名、平成三年は二千九百八十三人摘発のうち輿行資格の者が四百二名、平成四年、三千五百三十二人の摘発者のうち興行資格の者が五百四十人、平成五年、四千六百十七人のうち六百五十五人、こういった数字になっております。
#68
○大脇雅子君 そうすると、そうしたエンターテイナーとしての受け入れとその処遇問題に対して入管行政の全般を見直してほしいという声があるわけですけれども、やはりその受け入れの業者とか、その業者が資格外活動をさせるようないわゆる出店者との実態とか、そういうものの調査というのはまだ何も行われていないのでしょうか。
#69
○説明員(加澤正樹君) 入管といたしましては、興行資格で入国する場合、審査がございます。書類が整っていれば入国を認めざるを得ないわけでございますが、そうした中で興行で入ってきながらホステスをやっている、そういった事態の発生に関与した招聘業者についてはブラツクリストに載せまして、その後のそういった招聘業者が介在した場合のビザの発給についてはやらない、こういうふうな形で対処しております。
 また、店等につきましては、エンターテイナーを受け入れる最初の場合、これは実態調査をしております。実態調査というのは、果たしてそうした店にエンターテイナーがやるような舞台がある、あるいはそうしたエンターテイナーの控え室がある、そういったものを基準に実態調査をしておりますが、初回はやりますが、その後の実態調査については人手の関係もございましてできないという状況であります。そういったところをねらわれて発生しているのではないかと、このように思います。
#70
○大脇雅子君 問題としては確かに個人の問題ではありますけれども、現実に親が知れない子供たちが貧困にあえいでいるというような状態は見過ごすことができないことだと思いますので、ぜひこの問題の解決の道を考えていただきたいと心からお願いするものであります。
 次は、ボスニア問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 私は、九月十八日から二十四日にかけまして、経済制裁下の新ユーゴスラビアとボスニアに行ってまいりました。セルビア共和国とモンテネグロ共和国、そしてボスニア・ヘルツェゴビナを訪問いたしまして、いわゆる冷戦後多く用いられております経済制裁の効果というものを見てまいりました。
 経済制裁というのは、武力によらないいわばやわらかい制裁、そして武力の前に用いられる一つの制裁として非常にソフトなものとして受けとめられておりまして、それに参加している国々の加害意識は余りないということは非常に問題だということを感じて帰ってまいりました。
 経済制裁のもたらす状況につきましては、消費物資が高騰いたしまして、新ユーゴでは三億%のインフレが発生をしております。これは今、鎮静はしておりますけれども、正規の経済活動がストップいたしますと、やみ経済と密輸が横行いたしましてマフィアの天下になります。租税徴収が不能になりまして、国民生活に大きなダメージを与えている。
 とりわけ環境と衛生面の悪化は目を覆うばかりでございまして、医療品が個人負担になりまして、そのために家を売らなければならない。あるいはがんの治療の場合、継続的な治療が必要なのにがんの薬が入らないことによって死亡していく。そして精神病では、いわゆるそうした薬が入らないために、暴れる人たちはすべて四肢を緊縛してベッドにくくりつける。それから、聾唖者などの訓練機会がストップいたしますと今までせっかく訓練したものが後戻りする。緊急手術が不可能になって、だれを先に手術するかという選択を医師が迫られる。抗生物質が入らないことによって感染症で子供たちがたくさん死んでいく。現在、小児結核も復活してきた。そして、予防医学はすべて崩壊をして慢性病の治療ができない。戦死者の数は数えられますけれども、いわばその経済制裁下で死んでいく子供たちや障害者あるいは老人の数というものは今までかつて数えられたことがなかった。
 私は、経済制裁というのは形を変えた戦争であり、まさに国ごと強制収容所をつくるようなものではないか。とりわけ何ら指導者層を直撃しないというのが経済制裁でありまして、紛争解決として本当に効果があるのか、平和創出の手段とは決してなり得ない非人道的なものだというふうに感じて帰ってまいりました。
 日本はこの新ユーゴスラビアの経済制裁に参加しておりますが、人道援助物資というものもほとんど国連制裁委員会の非効率、不公正のために動いていない。こういうことに対して政府としては調査などどのようにされているのかということについてお尋ねしたいと思います。
#71
○政府委員(野村一成君) 今、先生非常に詳しくユーゴの置かれている実情につきまして御説明ございました。旧ユーゴと申しましても、特にボスニア・ヘルツェゴビナにつきましては、残念ながら非常に治安その他の状況で厳しい状況にございます。したがいまして、現実に中に入って物事を調査するというのが難しい状況にございます。他方、それ以外のいわゆる新ユーゴ、我が国はまだ認めておりませんけれども、いわゆるセルビア共和国等につきましては、あそこにまだ私どもの大使館を置いておりますので現状把握に努めておりますが、御指摘のボスニア・ヘルツェゴビナにつきましては、残念ながら必ずしも十分な実情把握ができておらないというのが実態でございます。
#72
○大脇雅子君 しかし、NGOの人たちはかなり弾力的な活動をしておりまして、ある難民救済の会はトラック一杯の精神安定剤を精神病院に持っていったということによって、私ども訪れましたときに非常に感謝をされました。やはりNGOの情報を組織的に吸い上げていくシステムを外務省としてはできるだけ早くつくられることを、私はぜひお願いをしたいと思います。
 その中で、特に非常にメディアの偏見がかかって、セルビア人は鬼だという国際的キャンペーンの中で、日本の報道は割合公正だということを非常に感謝されて帰ってまいりましたので、やはりでき得る限りNGOとの定期的な組織的なそういう情報収集をシステム化していただくことをぜひお願いしたいというふうに思います。
 それから、現在またボスニア問題が非常に激化してまいりまして、私、ボスニアのセルビア人勢力のカラジッチ大統領ともお目にかかってまいりましたが、カラジッチ大統領は、今でも平和を我々は求めているんだと。今、コンタクトグループという国連の一部の国が出した和平案というのは、セルビアに四九、そしてそのほかクロアチア等に五一という領土の分割案を提示しておりますけれども、それがのめないのはいわば発電所だとか病院だとか工業施設など何もない土地ばかりをセルビア人側に出していることだ。したがって、価値からいえば四九%の土地だけど二〇%なんだ。しかし、我々としてはともかく和平を求めて、領土を縮小する用意もあるので、何らかの形で和平に力を尽くしてほしいということを切々と訴えられて、帰ってまいりました。
 その中で再び戦争が激化をしそうになっておりまして、アメリカは六カ月以内に現在行われております武器禁輸を解除するかどうか検討するということ室言っておりますが、我が国のように武器の登録制度を国連で提唱いたしておりまして、武器の輸出をしていない日本の国こそ、武器の禁輸を解除することによって再びバルカンを戦争の渦にたたき込むということがないようにしていただきたいと思うんですが、この武器禁輸解除の問題について我が国はどのように国連で御発言をなさるでしょうか。外務大臣にお尋ねいたしたいと思います。
#73
○国務大臣(河野洋平君) 議員が日本からいえば大変遠隔の地であるボスニアの問題、旧ユーゴの問題について大変強い関心をお持ちいただいて現地まで調査に行かれたということを私どもも伺いまして、大変敬意を表する次第でございます。
 国際社会全体にとって極めて注目度の高いといいますか心配をしている地域でございまして、我々としてもこの地域に対してどういう判断を下し、どういう方法をとるべきかということについて真剣に考えております。
 ちょっと話がそれて恐縮ですが、例えばG7の外相会議などをいたしましても、もう半分以上の時間をこの問題に費やすというぐらい各国の関心の強い地域でございます。ヨーロッパ、欧米の方々の関心は非常に身近で人的な交流もあったということもあるだろうと思いますが、残念ながらそれに比べて我が国はやや遠いということもあって、歴史的、民族的、宗教的背景ということについての完全な理解というものがなかなかしにくいという状況もございまして、我々も判断をどうするかについては、正直大いに迷うところもございます。しかしながら、ボスニア・ヘルツェゴビナにおける武器禁輸解除という問題について我々も考えなければならない場面でございます。今、御指摘がございましたように、我々とすればこの問題は慎重に対処しなければならぬ、こう考えております。
 残念なことは、現在安保理のメンバーではないということもあって、なかなか我々の意見を述べるという機会、場面というものがございません。しかし、機会をとらえて、アメリカを初め関係国に対して我々の慎重にやってほしいという気持ちは、いずれにせよ武器があれば戦闘はさらに激化するということを考えて慎重に対応してくれるようにその都度申し上げているところでございます。
 この問題は、八月十一日にクリントン大統領が武器禁輸解除を強く主張するアメリカ議会に対して、セルビア人勢力が十月十五日までに和平案を受諾しない場合には禁輸解除決議案を安保理に出すということを約束したというところから始まっているわけでございまして、この問題に関与する多くの国々が何とか和平の受諾を求めてさまざまな提案をし、あるいは言ってみればいろいろな方法で何とか和平案の受諾を迫っているわけですが、そうしたことが依然としてまだうまくいかないということからこうした問題が出てきているというふうに理解しております。
#74
○大脇雅子君 その和平案の内容をもう少し質的に検討していただきまして、ボスニア・ヘルツェゴビナの問題で中立的な立場にある我が国がその和平のための何か貢献をしていただきたいともう心からお願いをするものです。
 ボスニアに対してさまざまな市民団体の声は、私たちが必要なのはパンを送ることであってタンクではないんだ、ユーゴスラビアへのすべての武器輸出を禁止すべきだというのが平和の声だというふうに思います。どうか日本もそのための貢献を河野大臣に先頭に立ってやっていただきたいとお願いするものです。
 終わります。
#75
○委員長(田村秀昭君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
#76
○委員長(田村秀昭君) ただいまから外務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、国際情勢等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#77
○猪木寛至君 きょうは、八月の末に外務大臣が南米諸国、ブラジル、アルゼンチンを訪れられまして、新聞では記事を拝見しておりましたが、その感想というかお話をお聞きしたいと思うんです。
 特に、ブラジルという国は日本との関係が非常に深い。それには移民の歴史がありまして、そしてまた百三十万人という邦人と商社関係、そういう人たちがいるわけですが、最近景気が大変よくなってきたという情報を聞いております。これは、一九七〇年代の第一次オイルショックで大変打撃を受けて、そして第二次オイルショック、ダブルパンチで経済が大変低迷して犯罪がふえた。それから、いつも言われていることなんですが、二十一世紀はブラジルの世紀ということで、いつ本当にブラジルの世紀になるのかなという思いを持っていたんです。しかし、ここのところへ来て非常に明るい兆しか見えてきて、出稼ぎの方も最近では余り日本にもう来ないというか、そういう大変いい状況になってきているなと。
 そこで、環境を含めて後ほどお話をお伺いしたいと思うんですが、とりあえず訪問された御感想というか、それをちょっと聞かせていただきたいと思います。
#78
○国務大臣(河野洋平君) お話しのとおり、先般、ブラジル、アルゼンチンを訪問いたしました。ブラジルについては九年ぶり、アルゼンチンについては十三年ぶりの日本の外務大臣の訪問ということでございまして、現地の方からは大変久しぶりに来たなというお話を受けました。
 今、猪木議員御指摘のとおり、南米は押しなべて民主化への努力が非常に顕著でありますし、経済も全体的にいい方向に向かっているというふうに伺ってきました。特に、ブラジルにおきましては大変なインフレで、もうびっくりするようなインフレだというふうに我々は聞いておりましたけれども、そのインフレの陰で経済は確実に成長をしているということであったようで、そのインフレが終息をすると、経済の成長の分野がむしろ非常に注目をされるということであるようでございます。ブラジルにしてもアルゼンチンにしても、これから経済が非常に活発になるぞという、そういう気構えが感ぜられました。
 特にブラジルは、日本・ブラジル修好百年という記念すべき年を来年に迎えているということもありまして、ブラジルの日系の方々はその準備をしなければならぬというふうにおっしゃっておられましたし、ブラジル政府当局もそうしたことを非常に重要視しておられるということを伺いまして、大変喜んで帰ってきた次第でございます。
#79
○猪木寛至君 大変そういう経済の混乱というか低迷があった中で、今回、ちょうど外務大臣が行かれた後ですか大統領選が行われまして、そして今の政権の前大蔵大臣になるんですが、フェルナンド・エンリケという人が新しい大統領に当選された。ということで、この人が打ったインフレ抑制策が非常に効果が出て、今、大臣が言われたような非常に明るい見通しが出てきたと。
 一九九二年のリオの環境会議で、このときにいろんなことが採択されたんですが、例えば環境問題。いろんな案件がありましたが、アマゾンの保全、こういう問題について日本に依存するというか特に金銭的な問題、そういうことの状況の中で、私はブラジル自身がもっと自力をつけて立ち直らない限り環境問題というのは対応できないんじゃないかなと思っておりました。
 そこで、この新しい大統領のお人柄というのがまだ余りよくわからないんですが、これは外務省の方でもし情報があれば聞かせていただきたいと思います。
#80
○説明員(荒船清彦君) 十月三日に大統領選挙が行われまして、御指摘のとおり、フェルナンド・エンリケ・カルドーソ候補が来年一月から大統領に就任するということで当選されたわけですが、カルドーソ氏は日系人がたくさん住んでおりますサンパウロ州を地盤としておられます。また、外務大臣時代には訪日経験も持っておられる知日家でございます。その意味でも、私どもとしましては、同候補の当選を心から喜んでいる次第でございます。
#81
○猪木寛至君 最初に、八六年にクルザード計画、その後に新クルザード計画、そしてサマープラン、そしてコロルプランというプランがずっと出てきたんですが、その都度期待されながら効果が出なかった。今回、ヘアルプランということで、余りにも貨幣がかわっていった。この辺の戦略というんでしょうか、今一ドルに対して〇・八四ヘアルということなんですか。この効果を生んだ一つの最大の要因というのは何なんでしょうか。
#82
○説明員(荒船清彦君) レアルあるいはヘアルと申しますか、いずれでも結構でございますけれども、このいわゆる新経済安定化計画、レアル計画、ヘアル計画、これが一応これまでの、例えば去年二千数百%からことしは毎月毎月インフレがさらに高じておったわけですけれども、これが一けた台になったということで大変な改善はあったわけです。これは、当時のカルドーソ大蔵大臣の措置が多くの人々の支援を得たということが大きいと思いますけれども、まだ具体的にアカデミックな調査は十分しておりませんが、大分多くの人たちの支持を得られたということが大きいと思います。
 ただ、これだけで済むわけではございませんし、さらに憲法改正も要するような多くの措置が考えられております。今のところ、このカルドーソ候補が一体具体的にどういう案をこれから提示していくか、まだ明らかでございません。
 それからさらに、今度は大統領に就任した後、どうやって政権基盤を固めていくか、憲法改正まで持っていけるような基盤を固めていくか、まだ未知数でございます。相当広い支持層があるようでございますけれども、まだ今のところは情勢を注視しているという段階でございます。
#83
○猪木寛至君 ちょっと話が違うんですが、きのうたまたま、今来日されているフェルナンド・ナランホ外務大臣、コスタリカの大臣が来られて、ちょっとその席に呼ばれてごあいさつさせてもらったんですが、今回の来日というのはやはり経済援助が目的じゃないかなという気がするんです。その中で今、日本政府がコスタリカに造林の援助をされていると思うんですが。
#84
○政府委員(平林博君) コスタリカに対しましていろいろな経済協力も行っておりますし、中南米全体にもやっておりますが、森林資源の保全、育成という観点から、環境援助の一環として大変重視しておりますので、各地でそういう案件を手がけている次第でございます。アマゾンを対象としたものを含めまして、リオデジャネイロでの国際会議で日本は五年間で九千億円から一兆円を目途に環境問題のための経済協力、技術協力をやると、こういう公約をしておりますので、できるだけ各地でいい案件をお互いに協力しながら発掘してやってまいりたいというふうに考えております。
#85
○猪木寛至君 そこで、ブラジルの方に今まで援助をしてきた部分で特に私が興味があるのはセラード開発という、これは私も何回か自分の目で確かめに行ったことがあるんですが、当初の計画とは違っていろんな問題が出てきている。実際にはそこに入植した人たちが定住できないということで離れていったり、現在二割ぐらいですか、最初に入植した人で残っている方が。その数字はわかりますか。
#86
○政府委員(平林博君) ただいま数字をちょっと持ち合わせておりませんので直ちに調べますが、セラード計画も当初いろいろ困難に遭遇しましたけれども、だんだんと定着してきたというふうに伺っております。
 つい昨年の秋でございますが、第三期のセラード計画に着手いたしまして、これはもう少しアマゾンの方に近い方向でございますが、土地の浸食を妨げるとか、森林の造成等の関係で共生を図るという新しい視野も入れましてこのセラード開発をまた拡張しておりますが、既存のものにつきましても徐々に当初の困難を克服して少しずつ成果が上がっているというふうに伺っております。
#87
○猪木寛至君 という報告を受けるんですが、実態はそうじゃないなという気がするんです。これは非常にずさんだったというか、きょうは余りODAの問題については触れるつもりはありませんが、改めてその点については質問したいと思うんです。
 もう一つ、やはりリオ会議で決まったチエテ川、それからグアナバラ湾の浄化という問題について、これは今どのぐらい調査段階から進行しておりますか。
#88
○政府委員(平林博君) 私の理解では、両方とも日本としては経済協力、円借款を差し上げるということで合意をしております。ただ、先方の都合でいわゆる借款協定、この海外経済協力基金と先方の担当機関との取り決めの締結が少し延びているというふうに理解しております。
 日本政府といたしましては、先ほどのリオでの公約もあり、またブラジルとの関係でのいい経済協力案件、特に環境案件でございますので、できるだけ早くこれが実施に移されるよう現地大使等、あるいは総領事等にもお願いしまして、先方の関係者、州政府と鋭意話し合いを行ってきている次第でございます。
#89
○猪木寛至君 その援助したお金が、現地でのうわさというか新聞にも一部出ていますが、サンパウロの元市長が選挙資金に使ってしまったといううわさも出ております。その真偽はわかりませんが、事実かどうかはともかくとして、せっかく援助したものがそういうようなスキャンダル的なものというか、非常に不明朗になっているという部分、その辺についてはいかがでしょう。
#90
○政府委員(平林博君) 今、先生のおっしゃっている経済協力案件というのは、サンパウロでの川の汚染の処理問題でございますか。
 これは実はまだ、先ほども申し上げましたように、経済協力をやるという政府間の合意はできたんですが、実際の借款協定が結ばれておりませんので、私の理解するところではまだ一銭も支払いは行われてないというふうに理解しておりますので、何か今のお話はどこかに行き違いがあるんではないかなという感じがいたします。ディスバースメントというんですか、まだ全く支払いが行われていない案件でございまして、せっかくのいい案件なので、できるだけ早く実行できるようにということで、先ほど申し上げましたように先方の関係者と話し合いを進めている最中でございます。
#91
○猪木寛至君 ぜひ実行が早くなされるように。
 私も実際に川がヘドロというか悪臭が漂っている状況を行くたびに体験するんですけれども、問題は、上流からサンパウロへ入ってくる、そしてそこから今度は内陸へ流れ込んでいく。普通は海へ流れていくわけですけれども、そのために非常にこの浄化が難しいということもあるんだろうと思うんです。
 そこで、これは「マンシェッテ」という大変有名な雑誌があるんですが、九二年に環境の特集を組んだ記事が出ているんですが、これはいろんなところで地球の宇宙写真というか、森林がどんどん、糸のような筋が入ったのがだんだん広がっていく、それが森林伐採でということだと思うんです。
 そういう中で、アマゾン問題に関連して、たまたま三日ぐらい前に私のところにライオンタマリンという、海部総理のときにも質問をさせてもらったことがあるんですが、ちょうど私がブラジルに行っているときに、リオに立ち寄ったときに視察をしてほしいということから、ヘリコプターで案内されたポスト・デ・アンタスという場所があるんです。これはリオの町から三、四十分というところなんです。これは絶滅寸前というか、ライオンタマリンというこんな小さなお猿なんですけれども、そのお猿が四百匹を切ってしまうと種が絶滅するということで、その原因になっているのはその森林地帯が泥炭地区で、それで九年間も燃え続けたという。
 私も単純に、何で九年間も火事をほうっておいたんですかという質問をしたら、お金がないんですよという話があって、一体じやお金はどのぐらいあれば消火作業ができるんですかと言ったら、四百万円あればできますと言う。四万ドルと言う。私も非常に耳を疑ったんですが、そんなお金で消せるのに何でやらないんですかと言ったら、とにかくそういうお金がありませんと。じゃ私が日本へ帰ったときにみんなに呼びかけてそのお金を用意しできますよということで、帰ってすぐに仲間に声をかけて、そのお金を持ってまたブラジルに戻ったんです。
 ところが、この火事が不思議なことにお金を持っていったらすっかり火が消えてしまったという。それで消防署としてはもう作業をしなくていいという状況で、ああよかったなと思っていたところ、最近になってその泥炭にまた火がついた。結局泥炭の層が非常に厚くて、泥炭の中に種火が入ってしまうと、雨が降っても何してもなかなかそこまで雨が浸透していかない、風が吹いたり暑い日が続くとそこからまた火が噴いてくる、そういうことで繰り返しずっと九年間燃え続けたんだと思うんです。たまたま私もそこに顔を突っ込んでしまって、何とかひとつまた火を消してくれという陳情が来ました。
 それと一つは、ライオンタマリンを日本へぜひ持っていってくれと。これはワシントン条約にひっかかる動物なものですから非常に手続上難しい。しかし、そういう根回しも全部私どもが一回しまして、お猿の環境大使というかそういうことで、ある意味では環境環境とみんなが叫んでいますが、大衆の興味を引くというかそういう動物が来るということも環境に興味を引くという意味では効果があるかなと思って動いたんですが、実際にはいろいろトラブルがあっていまだに来ていないんですが、改めてぜひそのライオンタマリンを送りたいので受けてほしいという話が来ました。
 それで問題は、今、泥炭の火を消すのにどうしたらいいのかなと。私自身四百万円、四万ドルで火が消えるとは思っていませんでしたから、日本から進出する企業の、ブルドーザーというかそういう会社にちょっとお話をしまして、かんがいというか近くに川があるものですからそこから水を引いて、その一帯に水を引き込むと。それには大体どのくらいかかるんだろうと言ったら、ブルドーザーを一日何台で稼働すればこうこうという綿密な数字を出してもらったんですが、そうすると、やっぱり億の金がかかるみたいですね。でも、そういうことであれば我々は協力させてもらいますという話を取りつけていたんです。
 それで、一つはまず火を消すこと。そして次の段階は、やはり種の絶滅を防ぐために、今モンキーセンターがありまして、今そこで繁殖をさせていまして、年間に何十頭か野生に返していくわけです。ところが、繁殖で育ったものは自分でえさをとることができないから、結局仲間に加わっていくことができなかったり、あるいは非常に生息地が小さくなっていますからえさの取り合いになる。そのために泥炭地域に植林しなきゃならない。植林するにしても、例えばユーカリとかそういうような木ではだめで、本来あった原始林というか、ライオンタマリンが欲するような木の実を植林しなければならない。
 そういうことで、たしか竹下先生が行かれたときにもそういう陳情があったんですけれども、私は、日本が環境問題に取り組んでいる姿勢として非常に格好というか、ブラジルでもテレビで頻繁にこれは放送されまして、このライオンタマリンを救ってほしいというようなコマーシャル番組が出ているんです。その中で日本の政府としても植林、そういうことを再生することができましたら大変効果があるんじゃないか。
 これは目に見えるというか、今のグアナバラン湾とかチエテの援助という問題も大変すばらしい、ぜひやってほしいんですが、それ以上に大衆の目にとまるというか非常に宣伝効果ということの部分では、ある意味では日本の援助というものは顔が見えない援助ということでよく批判されておりますけれども、大変効果のあるというか大事な部分ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#92
○政府委員(平林博君) 環境問題重視、環境の中にこの貴重な野生生物の保存と生物多様性の保存というものも含まれるということでやっておりますので、今の猪木先生のお説、まことにもっともだと思います。また、目に見える援助という観点からも有益な案件だと思いますので、本件についてはよく考えさせていただきたいと思います。
 このブラジルのアマゾンの森林資源の保存は大変重要でございますので、これまでもいろいろとやってまいりましたが、今年度から改めまして、アマゾンの森林管理計画ということで、数カ年にわたりまして技術者の派遣とか研修生の受け入れとか必要な機材の供与とか、総合的に組み合わせました技術協力をブラジル側に対してやろうということになっております。
 この森林管理計画は、単に森林の保存だけでなくて、おっしゃいましたような生物多様性の保存とか土壌の浸食を防ぐとか多目的でございますが、そういったことを通じまして、ブラジル側と協力しながらこういう問題に対応してまいりたいというふうに思います。
#93
○猪木寛至君 アマゾンの問題が出たのでちょっと質問をしたいんです。
 水銀問題というのは、もう既に皆さん御存じのとおり今大変な問題になっているんですが、私なりにいろいろ考えたことがあります。水銀というのは三百八十度に達しますと熱が空気中に上がっていく、それで三百八十度以下になりますとまたもとに戻っておりてくると。
 一つは、ガリンペイロという金を採掘する人たちが水銀を使って金を採取するわけですけれども、採取するときに水銀を金の上にばらまくと水銀が付着しますので、それで熱を加えると水銀だけが飛んでいく、それで金を回収する、こういう手法でやっているんです。もう一つは、採取をするときに水銀を垂れ流しにするとどんどん川へ流れていく。こういうことで、例えば熱を加えたときにフードをかけまして、そのフードの中で熱が通って上へ上がっていくと、三百八十度以下になりますともとへ戻ってくる。そうすると、水銀のリサイクルもできる。本当なら水銀を使わないことがいいわけですが。
 ところが、例えば日本の援助ということになると非常に大型な機械になって、彼らがとてもそんなものを買えるわけがない。そういう部分で、アイデアとわずかな経費でそういうものができれば、とりあえずはこれ以上水銀の汚染は広がらないというか歯どめもできるんじゃないかなと考えたことがあるんです。これは非常に広いし、あそこを支配しているガリンペイロの組合みたいなものがあって、現場監督というのか何というんですか、そういう人に話をつけると割とその辺はうまくガリンペイロの末端まで話がいくと。私自身セラペラーダという採掘地へ行ったことがあるんですが、このままほうっておくとますます広がっていく。
 それで、ひとつ私のお願いなんですが、これはたしか外務省でも検討された部分だと思うんですが、モニターセンターというか、今、アマゾンの実態あるいは水銀の汚染がどうであるかということは、汚染があるのはわかっていますけれどもその実態がどうであるかというのが全くつかめていない。その実態をつかむために何か政府の援助でできないものだろうかという話が私のところへ来たことがあります。
 それは、どういう行き違いかわかりませんが、外務省としては、水銀問題というのはやはりいろいろ訴訟にかかわる問題だからさわりたくないというようなことをちょっと聞いたんです。これは通産省の関係の方が一生懸命話を進めていたんですが、私としてもちょっと腑に落ちなかったんですが、とりあえず今のアマゾンにおける汚染の状態を把握しない限り手の打ちようがないじゃないかというのが私の考えなんです。そこで、そういうような話が多分上がっていると思うんですが、何とか検討していただきたいなという気がするんです。
#94
○政府委員(平林博君) 申しわけないんですが、私自身この話はまだ聞いておりませんが、せっかくの先生のお話ですので、持ち帰りまして検討を加えてまた御報告申し上げたいというふうに思います。
#95
○猪木寛至君 ほかにもインディオの問題、ヤノマミ族の問題とか、これはもう本当にアマゾンにおける保護という美名というか表向きの中にいろんな問題が山積しているわけですね。私は、まだまだほんの一部しかアマゾンをのぞいていない。もう余りにも大き過ぎるというか。その中でいろんな情報をもらいながら、この地球の心臓部というか、アマゾンをどうやって守っていったらいいんだろうか。
 例えば、森林破壊という問題一つとりますと、この森林自体がある部分で、全体じゃなくて老化現象を起こしている。人間で言えば老人ですね。そうするとそんなに食べなくてもいい。やはりまだ若い森林というか、そういうものはどんどん炭酸ガスを吸収して酸素を出していく。しかし、もう物すごい古木というか太い木は葉っぱもついていないような木があって、その横に十メートルぐらいの間隔でまた次の木がぼっとあって、その間にはそういう葉のついた植物が全くないと。そうすると、ある部分では人間が手を加えてそしてそこに植林をするということも一つの方法かもしれない。
 もう一つは、カラジャス計画ということで鉄鉱石を採掘した跡が丸裸になっている。これも私、飛行機の上から見たんですが、そこの再生の計画というもの、アマゾンの中にはそういう再生能力の強い植物というのがあるらしいんですね。通常の木を持っていっても、その裸になったところでは木が育たないわけです。
 そういうような研究に我々は協力したいなと思って、INPA、アマゾン国立研究所というのがありまして、これが私が行ったときには八百人ぐらいの研究者がいて、その研究者が結局みんなやることがなくて遊んでいるというのがそのときの現状でした。給料が来ない、あるいはいろんなデータをとりたくてもそういう機材が全部古くなったり壊れたり、そういうことでやることがないんだと言う。あそこにいる非常に優秀な木の専門家、水の専門家あるいは動植物の専門家とか、そういう人たちが手をこまねいて見ているという状況だったので、何とかINPAに協力したいということで検討したところ、一年に五億円ぐらいの援助金がいただければそういう機材を全部買い入れることができるんですという話があったんです。
 しかし、今度は援助すると、国に入ってINPAという研究所の方にお金がおりてこない。ブラジルの構造というか、我々援助しても援助のしかいかないというか非常に不透明になってしまうので、これからできるならば、そういう追跡というかお金の流れを確認することは可能なのか。あるいは我々が援助したときにはその国に対してそこまでが限界なのか。今後の援助というのはもうちょっと踏み込んだ、例えば条件づけとは言わないにしてもそういう確認までとれるかどうか。そういうことにしていかないと本当に生きた援助にはならないだろうという気がするんですが、外務大臣いかがでしょうか。
#96
○国務大臣(河野洋平君) 外務省でさせていただいております政府開発援助の場合には、これはもう皆様からいつも御指摘をいただくように国民の税金を便わせていただくということでありますから、これが効果的に、しかも現地の方々によりよく使われるということを最後まで確認するというのは必要だと思います。
 そのためのフォローアップの作業、評価委員会というのがODAの評価のために見て歩くという作業をいたします。これは世界全体ですからなかなか一遍に全部を見るというわけにいきませんが、年を分けてできる限り審査あるいは評価のために回って歩くという作業をいたします。それは実際に末端といいますか、本来のニーズにきちんと使われているかどうかという確認をすることになっております。
 先ほど来、猪木委員からブラジルの状況について体験を交えていろいろと御示唆に富むお話をいただきました。私どもも十分研究をさせていただきたいと思います。おっしゃるとおり、アマゾンと言われてもあの大きさには我々も驚くばかりで、アマゾンと言われてもそのアマゾンのどこをどうするかということを考えますと本当に途方に暮れることもあるわけで、できるだけ適切に現地からのニーズを受けとめて作業をするという努力をいたしたいと思っております。
 それから、最初に言われたライオンタマリンの話は、これはもう議員が御自身でおっしゃったように、ワシントン条約に指定をされている極めて貴重な種でございます。これは、十分な理由と十分な対応がなければ国境を越えないということに指定をされている種でございます。我々としては、でき得る限りライオンタマリンが本来の生息地に本来の姿でいるということが何より大事だというふうに考えておりまして、これらについても十分注意深く取り扱われることを期待したいと思います。
#97
○猪木寛至君 終わります。
#98
○山下栄一君 大きく二点について質問させていただきたいと思います。
 まず初めに、今月行われますAPEC、アジア・太平洋経済協力会議につきまして質問させていただきたいと思います。
 APECという新しい地域の枠組みの体制が始まりましてことしで六年目になるわけでございますが、ことしはインドネシアで行われると。このアジア・太平洋という枠組みは、アジアだけではなくてアジア・太平洋という新しいいわば文明の可能性といいますか新しい地平を切り開く、そういう枠組みとして大変大きな意義があるというふうに思うわけでございます。特に、昨年から非公式でございますけれども首脳会議というものも始まりまして、これは回を重ねてということではございません、制度化ということではなくて、ともかくその年に次の会議を開くかどうかを決めていくというやり方でございまして、制度化よりも緩やかな会議体という形で発展させていこうという、そういう考え方については非常に私も賛成であるわけでございます。行く行くは、経済発展を目指すということだけではなくて軍縮とか文化面、そういう面にも構想として発展していけば新しい人類の可能性として大変大きな意義があるというふうに考えるわけでございます。
 今回インドネシアで開かれますアジア・太平洋経済協力会議、APECの首脳会議でございますが、村山総理も参加されるわけでございます。今回、議長国のインドネシア・スハルト大統領が提案される形で貿易・投資の自由化宣言、これが賢人会議の報告を踏まえてされるということをお聞きしているわけでございますけれども、この貿易・投資の自由化宣言につきましては参加国の中にもいろんな意見があると。経済的な格差もございますし、特にASEAN諸国からも非常に懸念が、タイとかマレーシアから表明されておるわけでございます。
 このボゴール宣言、貿易自由化の方針につきまして政府はどういう対応をされるのか、態度表明をされるのか、また特に自由化の時期を設定する、そういうことが言われておるわけでございますが、これについてどういう態度で臨まれるかということをお聞きしたいと思います。
#99
○政府委員(原口幸市君) 本年の非公式首脳会議におきましては、アジア・太平洋地域の経済の発展を確保するための協力の一環といたしまして、スハルト大統領から同地域の貿易、投資の促進自由化を積極的に取り進めていくとの考え方が示されるものと予想しております。我が国といたしましては、域内の貿易の自由化を進めるとの大きな方向性は基本的には支持するものでありますが、この問題につきましては、今後、議長国たるインドネシアの考え方及びその他のメンバーの考え方等を踏まえていろいろな観点から検討がなされるべきものでありまして、現時点でこの議論の内容についてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。
 それから、一定の期限を付して自由化を進めるという考え方は、先生御指摘のとおりAPECの賢人会議の報告書でも提唱されておりまして、こうした考え方も視野に入れた提案がなされております。いずれにいたしましても、この点についても今後APEC各メンバーの考え方を踏まえて検討が進められるべき問題でありまして、現時点でコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。
#100
○山下栄一君 大臣にお聞きしたいんですけれども、EAECという東アジア経済会議、これは特にマレーシアのマハティール首相によって非常に強く主唱されておる構想であるわけでございますが、最近の報道によりますと、きのうでしたかきょうでしたですか、マハティール首相が日本の国の参加がなくてもEAECを創設するという非常に強い意思を表明されておるわけでございますが、このEAECの参加につきましての政府の御見解をちょっとお聞きしたいと思います。
#101
○国務大臣(河野洋平君) かねてからEAEC構想というものがございます。ございますが、このEAEC構想の目的が一体何か、どういう意図を持ってこれをつくろうとしているかということ、それからまたどういう構造を持ってこれに当たろうとしているかということについてまだ十分理解ができないところがあるという理由で、アメリカその他もこれに大変懸念を表明しているところでございます。
 私どもは、EAECというものはこういうものですという説明がきちんとできていれば、それはそれでいいではないかというふうに思ってもいるわけですが、ただ余り地域主義というものがあっちにもこっちにもできるということよりも、今はAPECというアジア・太平洋を、非常な経済成長として注目をされているこの地域を、もっと開放的で、それから多様性を認め合うという形で自由な貿易ができる地域として育てようということからAPECというものが非常に注目をされている中で、その中でまたこの地域主義を主張するということが果たして適当かどうかという議論があるわけです。
 それに対して、EAECというのは東アジアの経済、EAECというのはコーカスという、つまりもう非常に緩やかな集まりという意味なんでしょうか、そういう発想でスタートしたものが、事務局を置き、こういう機構をつくりという説明に途中から少し変わってきたということもありまして、事務局を置いて委員会を置いて何をつくってということであると、これは屋上屋といいますか、逆に屋根の下にまた幾つもの家を建てるというような形になることが果たしていいかどうか。そういうことで我々は、もう少し考え方をはっきりさせろというか柔軟にしろというか、そういうことを申し上げているところでございます。
#102
○山下栄一君 来年、APEC閣僚会議、この会議が日本で、日本で行うならば大阪でと、そういうお話を聞いているわけでございますけれども、今度そういう意味では議長国になるわけでございます。
 このAPECというのは、特に首脳会議は議長国の意向が大変大きく反映できる、そういう会議でもあるということでございますので、非常に日本の国の積極的な貢献といいますか立場も表明できる機会にもなると思うわけでございます。来年の日本開催のことしはその前年ということで、今月に開かれますジャカルタ会議、インドネシア会議におきまして、政府として、日本として本年行われる会議に具体的に提案されることが何かおありでしたらお聞かせ願いたいと思います。
#103
○国務大臣(河野洋平君) 確かに御指摘のとおり、来年は日本、そして大阪でAPECの会議を行いたいという私ども心づもりを持っております。そして、その心づもりを持っておりますだけに、今回のインドネシアのAPECは成功してほしいと思っておりますし、さらにこのインドネシアの会議の議論によっては、その議論の肉づけといいますか具体的な作業を大阪のAPECで行うことになるということもありますので、我々としてはここで日本から何らかの考え方を示す、そしてそれを大阪でさらに具体的なものにしていくというようなことを考えたいという気持ちは持っております。しかしながら、何といってもこれはインドネシアがイニシアチブをとってなさるAPECでございますから、その辺はインドネシアとも十分相談をし、APEC参加国の理解がなければできないところでございます。
 今回のAPECは恐らく、これは先ほど政府委員から答弁をいたしましたがまだ予測でございまして、確かに賢人会議はこういうあれを出すということは言っておりますが、その賢人会議の議論を踏まえて非公式の首脳会議で首脳たちがどういう議論をするかということは全く予測の域を出ませんし、閣僚会議におきましても、私も閣僚会議に参加をさせていただきたいとは思っておりますが、閣僚会議での議論が今から予定稿があってその予定稿どおり進むということであっては意味のないことでございまして、これは閣僚会議もさまざまな議論があってほしいと思っておりますが、その中で域内の貿易・投資の促進及び自由化の議論が当然中心になっていくわけでございますが、それと同時に開発についても議論をしてほしいというふうに私どもは思っております。
 域内で貿易や投資を促進する、あるいは自由化を進めるということになりますと、域内の経済の発展の段階が余り違っていない方がいいわけで、したがって、まずは域内を中心として開発途上国同士の協力とか、あるいは先進国の幾つかの国が協力して開発を援助するとか、そういう仕組みなどもAPECの中で議論ができればいいなというふうに思っておりますが、まだ心づもりの段階を出ておりません。
#104
○山下栄一君 今、大臣申されましたように非常に経済的な発展段階に大きな開きがあるということ、特に自由化促進、また今おっしゃった開発という面の経済協力という、特に日本の立場というのが、アメリカとかオーストラリアの先進国の意向とアジアの一員としてアジアと協調しながら経済発展を支援していくという橋渡し役といいますか、そういう意味がございますので非常に難しい立場だと思いますが、来年の日本の成功を目指す意味で重要な今年の取り組みだと思いますので、もう大体方針はお決まりだと思いますけれども、積極的な提案もぜひお願いしたいと思っております。
 次に、朝から話題になっております政府開発援助、ODAに関することでございますけれども、特に日本と中国の経済協力の面で第四次対中国円借款の協議が昨年以来一年がかりで続けられておるわけでございますが、もう仕上げの段階に入っているのではないかと思うわけでございます。第一次から第三次まで、一九七九年から続けられまして今回が第四次という段階になるのでございますけれども、正式に中国からの要請のリストも提示されておるとお聞きしておるわけでございますが、中国側の主な要請案件、また規模を簡単にお聞かせ願いたいと思います。
#105
○政府委員(平林博君) 第四次円借款計画は、当初三年分を案件と金額で合意する、残りの二年は金額は合意しないで案件だけとりあえず合意しておく、こういうシステムで議論しておりますが、先方から出ておりますのは合計で六十九件、ほぼ百四十一億ドル程度ということでございます。しかし、これは先方のまさに言い値の腹いっぱいのものでございますので、それをどこまで日中の交渉で絞り込むかということで今双方が交渉中でございます。
 先週もやりましたけれども、交渉をもうしばらく継続せざるを得ないということでございまして、どのくらいの規模でどのくらいの案件を取り上げるかということにつきましては、日中関係の全体あるいはODA全体の政策、それから日本国民の御理解がどの辺まで得られるかということを総合的に判断いたしまして、最終的には総理を含めた内閣全体で決めていただくということであろうかと思っております。
#106
○山下栄一君 今、お話しございましたように、従来の三次までの方式とこの第四次について、供与方式、年数五年を中心とした、考え方三年だというお話ございましたし、一月の羽田外務大臣、また三月の細川元首相の訪中時におけるさまざまな日本からの提案もございまして、この円借款協議に関することでございますけれども、対象分野につきましても今までと違う新たな臨み方をされておるとお聞きしておるわけでございますが、こういう方式を変えられた、また対象、要請、支援分野につきましても重点項目が変えられておるということにつきましての変更された理由、方針変更の理由ですね、これをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#107
○政府委員(平林博君) 日本の経済協力は、もともとどこの国に対しても毎年毎年協議をしながらお約束して実行していくというのが建前になっております。中国だけはいろんな経緯がございまして過去多年度のお約束をしてまいりましたが、世の中が急速に動いております。また、中国の経済も開放・改革政策も非常な勢いで動いておりますので、例えば五年間を見通して固定してしまうということは日中双方にとって非常に問題があるということが双方の意識としてございまして、そうであれば、今、世界銀行がやっておるんですが、三年ぐらい一応決めておいて、あとは毎年毎年少しずつ見直しをする余地を残しながらやっていく方がよろしいんではないか、こういう双方の見解が一致しましたものですから三年でやるということにした次第でございます。
#108
○山下栄一君 対象分野。
#109
○政府委員(平林博君) 対象分野につきましては、従来どおり運輸あるいは電力等のインフラストラクチャーが非常に多いのでございますが、今回の第四次円借款の案件といたしましては、新規に農業、水利関係が非常に多くなっております。また、画期的なことでございますが、日本側の要請を受けまして環境案件が、純粋の環境案件が九件、これに我々が環境案件の一種と考えております上水道案件六件を入れますと十五件が出てきております。また、通信案件等も新しく出てきておりまして、我々といたしましては従来以上に貧富の格差の是正とか、それから農業あるいは水利案件の重視とか、なかんずく環境案件を重視した新しい組み合わせで第四次計画を合意してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#110
○山下栄一君 環境分野の重視ということでございますけれども、特に中国の環境悪化については非常にさまざまな面で心配されておるわけでございますが、開発と環境との両立という面で経済発展重視、優先というふうな面が非常に強いということから、地球環境への影響が大変心配されておるわけでございます。
 最近、九州の北九州市が大連との協力関係の中で、経済特区と同じような形のモデル地区を設定する環境特区、そういう構想で合意したという報道があったわけでございますが、この構想への日本側としての支援ですね、国としての。この辺についてお聞かせ願いたいと思います。
#111
○政府委員(平林博君) 昨日も河野副総理・外務大臣は中国から今訪日中の国家副主席とお会いになったんですが、その中に遼寧省の副省長さんがおられまして、食事の席で私もこの話をいたしました。
 環境特区という概念につきまして、まだ十分にはっきりしていない点がございますが、環境を重視するために特別の何か手当てをしようということだろうと拝察しております。日本の経済協力政策にも極めて合致するところでございますので、基本的にはよく御相談しながら、御協力できるところは取り組んでまいりたいと思っております。
 また、北九州市が大連市と姉妹都市の関係にございますが、大変熱心にやっておることは私も先週セミナーに行ってよく理解してまいりました。いろいろ自治体が独自の観点で自分の持っておられる経験とか技術とか人的な資源を活用しよう、こういうことでございますので、この北九州市の努力を側面的に政府としてもやってまいりたいというふうに考えております。
#112
○山下栄一君 きょう午前中も話題になったわけでございますけれども、野沢議員だったと思いますけれどもお話ございましたが、ODA大綱四原則とのかかわりでございます。特に、地下核実験が本年二回も行われている。これもその都度、外務省におかれましてもさまざまな形で円借款にも影響を与えるという等の警告をされておるわけでございますが、それを無視して二回目が行われたということがあるわけでございます。これにつきましても日本国民の非常に強い懸念があるわけでございます、心配も広がっておるわけでございます、もしかするとまた三回目も行われるかもわからないというふうなことで。
 それで、大臣にちょっとお聞きしたいわけでございますけれども、今月のAPECの閣僚会議、また首脳会議の際に、例えば江沢民さんに直接その辺の我が国の主張また懸念を訴える場があるのではないかと思いますので、その辺のお考えをお聞きしたいと思うわけでございます。
#113
○国務大臣(河野洋平君) 中国の核実験については、私から銭其シン外務大臣に対して、日本の国民感情に照らしてこういうことは決してやらないでもらいたいということをかねてから直接私は申し上げてまいりました。残念なことに中国は核実験を行ったわけでございまして、この点はもう甚だ遺憾に存じます。外務省としては、中国の大使を外務省に呼びまして、こうしたことについての遺憾の意は表明をしてきたところでございます。
 円借款との関係につきましても、こうしたことが日本のODAに対して好ましい影響を決して与えないということは、私自身、マスコミを通じて述べてきたところでございます。ODA四原則に照らしてどうかということになりますと、これにつきましては、もう議員御承知のとおり、その国の国情その他総合的な判断ということもまた必要でございまして、いろいろな角度から十分検討しなければならないというふうに思っております。
 私は、国際社会が核実験の全面禁止に向けて真剣に議論をして、その条約締結のための努力をしていかなければならない大事な時期でありますだけに、特に残念に思っております。私は、中国が国際社会の多くが望んでいる核実験の禁止に向けて動いてくれることを期待したいと思います。
 お尋ねの江沢民さんとの会談は、残念ながら、このAPECにおきましては非公式首脳会議と閣僚会議は場所が違いまして、私ども閣僚会議はジャカルタで行われますが、非公式首脳会議はボゴールで行われるということで、私がお目にかかることはないと思います。しかし、もし私がお目にかかるようなことがあれば、それは十分議員のお気持ちを頭に入れて対応したいと思います。
#114
○山下栄一君 最後に。
 村山首相に村山・江沢民会談でその辺のことを主張するということについては、大臣の方から御提言をぜひしていただきたいと思うわけでございます。
#115
○国務大臣(河野洋平君) きょうの外務委員会の議論はお伝えしたいと思います。
#116
○山下栄一君 ありがとうございました。
#117
○立木洋君 大臣、ルワンダの難民問題なんですが、これに対する日本の対応というのは、七月に出されました国連難民高等弁務官の方からの緊急要請があって、それに基づいて行われたというふうに承知しております。その緊急援助の内容を見てみますと、援助物資と援助パッケージの二つの援助提供方法があるというふうに述べられておりまして、このパッケージ援助というのは何か今回新しく始められた方法だというふうに述べられていました。
 例えば、このナンバーワンに挙げられているのは空港管理、これは滑走路の整備。それから塀づくり、治安維持、一時保管倉庫の管理維持、こういうもの全体を、つまり資金から資材から人材から全部丸抱えで援助していただきたい、こういう種類の援助パッケージというふうになって、そういう援助パッケージが八項目にわたって掲示されてきているというふうにその文書によって私たちは見ることができたわけですが、自衛隊が今行っているのはどういうパッケージ援助なんでしょうか。その八つのパッケージ援助の中のどういうパッケージ援助を行っているんでしょうか。
#118
○説明員(山崎信之郎君) 自衛隊が現在行っております主要な業務でございますが、まず医療につきましては、国立のゴマ病院におきまして……
#119
○立木洋君 項目だけで結構です。
#120
○説明員(山崎信之郎君) 医療、防疫、給水それから空輸の支援でございます。
#121
○立木洋君 これは向こう側が提起されているパッケージ援助の中のどの項目に該当するのでしょうか。
#122
○説明員(山崎信之郎君) 私ども、国際平和協力業務の内容につきましては、先生御承知のように、累次の政府調査団それから与党議員調査団の調査報告等を踏まえつつ、UNHCR、国連難民高等弁務官事務所からの要請に基づき決定をしたものでございまして、その要請につきましては、先生も御承知かと思いますけれども、医療、防疫、給水、それから空輸等の自己完結的なサービスを提供するよう要請をされております。
#123
○立木洋君 大臣、向こうの援助パッケージの内容を後でごらんになっていただきたいのです。それは今までのような援助の内容とは違うのです、今度の場合には。パッケージ援助になっていて、幾つかの項目があって、そのうちのどれかを一つでもいいからやってほしいという問題提起がなされているんですけれども、今、防衛庁がおっしゃったのは、これは第二次調査団の調査結果に基づく四項目なんですよ。だから、難民高等弁務官が提起されたパッケージ援助のどれ一つにも該当していないのです。そのうちの多少の部分の援助はあっても、まとめてそれを日本が引き受けたと。
 私は、難民高等弁務官が提起した援助の受け方がどういうふうなものかということを真剣に検討して、それが本当にできるのかできないのか、できるとするとどのパッケージができるのかということを、私は真剣に検討されている経過がないのじゃないかというふうな問題点を感じるのです。
 それで、この第二次調査団の結果、今言われた医療、防疫、給水、空輸という四つの項目ということになっているのですけれども、防衛庁としてはこの問題が七月段階で提起されたときに、最初から自衛隊がこの援助に当然行くべきだというふうに受けとめられたのかどうなのでしょうか、当初。
#124
○説明員(山崎信之郎君) 私どもは、累次の経過につきましては所掌外ということでちょっと正確に申し上げる立場にはないわけでございますが、当初のところは、正直なところ、政府調査団が行かれてどういう結果を持って帰られるかまだわかりませんものですから、当然に自衛隊が派遣されるということを認識していたわけではございません。
#125
○立木洋君 防衛庁の幹部あるいは自衛隊の方々の発言等々をお聞きしますと、これだったら民間組織の方が行った方がいいのじゃないかというふうな御意見だとか、何で我々が行かなければならないのか、ちょっとおかしいのじゃないかというふうな疑問が非常に多く出たと。後になって、それは命令ならば行きますけれどもというふうな話もつけ加えられておりました。
 これは、こういうふうな自己完結性の組織を持っているのが自衛隊だからだと山崎さんは今おっしゃいましたけれども、例えば日本の国際緊急援助隊の医療チームというのは一九八七年以降十七回出動していますね。難民救出の問題にかかわる援助でも三回、いわゆるクルド族の問題等々の難民の問題についても全部で合わせて三回ほど行っているのですよ。それで、極めて難民医療についてのノウハウを持っているのですね。
 例えば、今のルワンダなんかの問題でいいますと、子供の病気というのは大変なんです。自衛隊に小児科の専門医がどうなっているのかというのは私はわかりませんけれども、大体自衛隊には子供なんていうのはいませんから。だから、そういうふうな専門的な問題、あるいは自衛隊が実際にルワンダのああいう事情に精通しているのかどうか、そういう難民医療なんかについてノウハウを持っている人が当然行くべきなのに今言われたような形で言うと本当に医療の問題等で十分に役目を果たせるか、そんなことを考えてみると自己完結性というのは余り通用しないんじゃないかと思う。
 私が考えるのは、今言った医療、防疫、給水、空輸というふうな問題で、なぜ銃を持って、機関銃まで持った軍事組織が行かなければならないのかということがやっぱり大きな問題になって、少なくとも自衛隊にしろ防衛庁にしろ十分に納得していない人々がいる、そういう状態の中でこれが行われたということではないかと思うんですが、大臣、いかがなものでしょう。
#126
○国務大臣(河野洋平君) 議員はもう十分御承知の上で聞いておられると思いますが、国際緊急援助隊の派遣は自然災害を中心として、そういう災害のときに行くというのが考え方の中心にあるわけなんです。今回の難民支援のための派遣ということになりますと、国際緊急援助隊法ではなかなか読めない。これはもう当時の審議の経過の中でちゃんと分けて考えて法律をつくったという経緯がございます。ですから、今回のような状況に派遣をしようとすれば、いわゆるPKO法の人道援助のくだりを適用して派遣をするということは、法律的にはそれが正しい考え方だと私は思います。
 さてそこで、それでは自衛隊が行くことがいいかどうかという問題について触れられましたけれども、二回にわたる調査の結果、一つは自己完結型の組織が行くことが適当だという報告がございました。その自己完結型というのは一体何かという問題でございますが、私どもはルワンダの難民支援あるいはルワンダの難民のザイールにおける支援、国境を越えて外に出ている難民の支援にNGOの方々が大変活躍をしておられるということもよく承知をしております。しかし、NGOの方々が活躍をしておられるけれどもNGOの方々ではなかなか難しいのは何かというと、例えば医薬品を送り届ける仕組みであるとか、あるいは給水、本当の根っこの給水ということなどになりますと、やはりNGOではやり切れない部分がある。それは非常に活躍しておられることはわかるけれども、もっと定期的に医薬品などが供給できる、そういう組織が協力をするということが必要だということがあると思うんですね。
 もちろん自己完結型というのは、いきなり行って自分たちの食料をどうやって調達するかとかもっといろいろあるわけですけれども、そういうことが大事で、そういう自己完結型でない。例えばお医者さんだけに行ってもらうということだけで効果が出るかどうかということになると、いきなり外国の仕組みの中に日本から何人かのお医者さんに行っていただいて、そこに入っていただいて、すぐに効果的な作業ができるかどうかということについてはいろいろ議論があって、そういうことよりも自己完結型の自衛隊の組織がすぽっと行った方がいい、こういうことなどがあって決断をしたものでございます。
#127
○立木洋君 当初の経過から見ますと、たしかアメリカなどを中心として一部の国々がルワンダ周辺国に軍隊を派遣したということは私も承知しております。しかし、例えば給水なんかの問題についてもスウェーデンの消防隊が行ってやっているんですね。それから、医療なんかの問題については欧州の八つのNGOが共同して活動している。それから、イギリスなんかでも海外開発庁の要員が食料あるいは薬品なんかの配給もやるとか、アイルランドはトイレの消毒、防疫なんかに携わるとか、いろいろやっているんです。だから、何も自衛隊が機関銃まで持っていかなくてもいいんじゃないかということはどうしてもあるんですよ。そして、例えば国際緊急援助隊なんかの場合の医療チームでしたら四十八時間で出動できるんです。
 さっき言った私の議論の経過というのは私も知っています。だから、それをどうこう言うつもりはありません。しかし、自衛隊が九月の下旬に行ったんでしょう。現地では、ほかの援助隊が、今ごろ何で自衛隊が来たんだ、何しに来たんだというふうな声さえあったというのは新聞でたくさん見ましたよ。私は、これは本当にいわゆるルワンダ難民を救出するために今、何が必要で何を努力しなければならないかという点を真剣に考えたのではなくて、自衛隊を送ることが必要だったということではないかというふうにやっぱり言わざるを得ないんじゃないか。
 第一、NGOが行っていろいろ医療の問題をやって、難民キャンプにおける診療所の医療の体制というのはNGOだけで十分だというんでしょう。それだけの準備しかしていかなかった。それだったらもっと、手術台まで持ってきたらよかった、もっと高等な技術、医療ができるようなものを我々は持っていったらよかったということは、NGOの意見も聞かないで今の診療所の体制が難民キャンプではどうなっているかということまで十分に調べないで行っているというふうな結果だと言われても仕方がないんじゃないか。
 そうなってきますと問題は、名前は言いませんが、防衛庁のある幹部が言いました、クリントン政権から同盟国として強力に働きかけたからやっぱり自衛隊が行ったんだと。ですから、八月の中旬にクリントン大統領から村山首相に書簡が来ましたよね。そして、日本のルワンダ難民支援を評価し、それが資金、物資協力にとどまらず自衛隊派遣を検討しているからだという、それを歓迎するという書簡が来た。書簡が来たのは事実ですよ。事実じゃないんですか。事実でしょう。それが全く影響がないなんというようなことは言えない。その点について、書簡があったのが事実かどうかということと、それが全く影響しないとどうして言えるのか、述べていただきたい。
#128
○国務大臣(河野洋平君) 私は何回も委員から御質問をいただいて、どうも考え方が合わないのを甚だ残念に思うんですが、少なくとも多くの人がルワンダの難民がザイールで大変困難な状況に追いやられているということをテレビで見、新聞の情報で見て、多くの方がこの悲惨な状況を何とかみんなで救おうではないかと、そう思ったことは間違いないと私は思うんです。恐らく議員もそう思われたに違いない。あの状況を見て、あれは関係のないことだから我々は見て見ないふりをしようなどと思った人はいないだろうと思うんです。何かがやれるんじゃないかと。それで、我々のできることは何なんだろうかと。やれないことまでやろうといったってできないんです。しかし、あの状況を見てやれるのにやらないということでいいのかという自問自答を多くの方がなさったと思うんです。
 私は、ASEANの拡大外相会議に参りましたときに、これは七月のたしか後半だったと思いますが、その時点でASEANの拡大外相会議のときにルワンダの難民を救うことが大事ではないかということをあえて私はASEANで発言しているんです。それは、私がそのときは発言しましたが、他のASEANの外相からは大した反応がなかったのを甚だ残念に思いましたけれども、私は自分の気持ちでASEANの外相各位にあのルワンダの難民をみんなで救うための議論をしようではないかという発言をしているんです。その私の発言は、別にクリントン大統領から手紙をもらったから私は発言したわけでも何でもない。私の気持ち、それから外務省のスタッフとの議論の結果、私はしたわけで、そういうことまで一々アメリカの大統領に言われたからやったんではないかなどと言われることは甚だ残念ですね、私は。
#129
○立木洋君 河野さん、最初政府はやったのは民間の医療チームを派遣しようということを第一に検討したんです。それが変わった時期が八月の中旬以降なんです。八月十六日に初めて村山さんがその発言をしたという事実が一つあります。それからもう一つは、今の難民の援助の問題について言うならば、これは大変な事態だから至急それはやっぱり救援せぬといかぬという気持ちは一緒ですよ。ところが、なぜ機関銃を持った自衛隊がそこに行くのかということは、やっぱり問題解決じゃない。
 その問題はその問題として意見が一致しないかもしれませんが、もう一つ、それならば今のルワンダの難民問題を根本的に解決することは、一体何によって解決できるんだろうか。
 私は、この経過をいろいろ調べたんです。調べて、もうここでは時間がないから言いませんけれども、しかしこれまでの経過を見れば、あの大量虐殺をやって、それによって実際にああいうところまで、難民が二百万人も生じるような事態になった。根本的にこの問題は解決しないといかぬ。そうすると、ルワンダの難民問題の根本的な解決は、難民をなるべく早く本国に帰還させて、そして虐殺を恐れる必要のない安定した状態のもとで民族和解を実現させるということが私は基本だと思うんです。
 これは、八月十日の国連安保理の議長声明の中でも、難民及び避難民が速やかに故郷に帰還することがルワンダの事態の正常化に不可欠であると確信する、そして民族和解の実現がもっとも重要なことであるというふうに指摘しているわけです。これが私は根本的な解決の問題だと思うんです。その点について一言だけ、それは間違いだと言われるのか、賛成だと言われるのか。国連の安保理の議長も言われていることですから。
#130
○国務大臣(河野洋平君) 私は、考えはそのとおりだと思います。
 ただ問題は、あれだけ危険を感じて国外に流出してしまった難民が、ルワンダの本国に帰るためには帰れるだけの状況というものがなければ、つまり彼らは報復を恐れたり虐殺を恐れている部分もあるわけですから、その部分が解決しなければ帰れないということをわかってやらなければ、とにかくおまえら帰れといったって、それはなかなか……
#131
○立木洋君 いやいや、とにかくとは言っていない。私はとにかくとは言わない。ですから、私はできるだけ早い時期にと。
 だから問題は、今言ったような流言飛語が飛んで、帰ったら虐殺されるぞというふうな事態が起こったり、本国の新しい政権は報復はしない、しかるべき大変な犯罪を犯した人については当然裁かれるべきであろうけれども、しかしフツ族の民族については我々は処罰するというようなことはしないということも言っているけれども、いろいろ流言飛語があって十分にいっていないという経過も私は知っています。
 だけれども、根本的な問題は、そういう紛争、対立している状態を何としてでも早く解決するということが必要なんです。問題は、そのときにこれまでのフランスがやってきた経過を見てみますと、結局フランスというのは今までの旧政権の独占的な支配をずっと支持してきたわけです。そして、ああいう大量虐殺が行われるというふうな状況の中で、六月二十二日でしたか、安保理に対してフランス軍が単独でこれに対して軍事介入を求めるというふうなことをやって、それがいわゆるアフリカの統一機構、五十カ国近くの国々が反対をし、しかも安保理の中では五カ国が棄権をするという状態があったにもかかわらず、それを押し切って安保理で採決を求めて、そして単独で軍事介入をしたと。
 フランスのあそこに行って行ったことを見てみれば、大量虐殺が行われている事態については見向きもしない、そして現実にはいわゆる旧政府軍が大変な事態になっている、部隊がなっておるのを、結局逃げ道までルワンダの南西部につくってやって、それがザイールの脱出口にまでなっているということなんでしょう。こういうことをやっているのに対して、それがナポリで結構ですといって日本は賛成したというふうなことになるならば、これは一体何なんだろうか、根本的な解決をするということから見るならば何なんだろうか。
 私は、ある陸上幕僚幹部の佐官が述べた言葉をちょっと引用したい。難民キャンプを必要以上に整備すれば、難民の定住化を図っているとの国際批判が出かねない。しかし、難民帰還を妨げているルワンダ旧政府軍と自衛隊が利害が一致していると見られるのはもっと困るというふうに発言しているのを私はやっぱり考えるべきだと思うんです。
 私は、そういうことからいうならば、いわゆる本道に立ち返って、紛争問題における両当事者が本当に話し合いをして、そういう紛争問題における武力行使の停戦を行い、それが維持されるという本来の中立の立場を堅持できるような方向にこそ努力していくべきだと思う。そういう意味で、最初に述べたように機関銃を持った自衛隊が行くべきではなかったし、ましてや今日の事態は本当にルワンダの事態を正しく解決することにはなり得ない。そういうことをもよく反省して、日本の本来あるべき国際貢献の立場に立ち返るべきだということを強く要求して私の質問を終わりたいのですが、最後にコメントをいただきたい。
#132
○国務大臣(河野洋平君) この問題についての考え方は、私はかなり合意できるところがあります。しかしながら、もしルワンダの本質が解消するまでそれでは難民には何の援助もしなくていいのかということになったら……
#133
○立木洋君 そんなことは言ってないですよ、私は。自衛隊はだめだと言っているんです。
#134
○国務大臣(河野洋平君) しかし、議員のおっしゃるところを聞けば、まず何にも救助に行かないで本来のルワンダのその本質の解決に努力しろと。では、この本質の解決ができなければ、それまで難民はそのままあの炎天下に野ざらしのような状況で置かれている。そういうことを我々は見ていながら、何にもしなくていいということには私はならないと思うんです。
 人道的な支援をしているんですよ、我々は。政府側に偏っているわけでもなければ反政府側の立場に立っているわけでもない。我々は人道的な立場で支援をしようとしているのであって、その考え方は正しく判断していただかなければ困る。
#135
○立木洋君 ちょっと十秒だけ。あれほど言われてちょっと黙っておれないから。
 私が言っているのは、なぜ機関銃を持っている自衛隊が行くのかという問題なんですよ。なぜ国際緊急援助隊を十分に配慮して緊急に援助ができるようなことをしなかったのか。今、問題は、医療問題は基本的に解決するというような状態で、一体自衛隊が何しに来たのかと言われるような対応をすることに、やっぱり自衛隊を送らなければならないという誤った観点が先にあるということを私は指摘したい意味で述べたので、援助する意味では国際緊急援助隊だってできるではないかということが私の主張である。だから、河野さんの最後の発言には賛成できないということを明確に述べて、発言を終わります。
#136
○国務大臣(河野洋平君) 繰り返し申し上げますが、議員はおわかりの上で言っておられる。国際緊急援助隊は法律の建前からいって出せないということになっているにもかかわらず、それを出せと言う。
#137
○立木洋君 条文にはないですよ、出せないという条文はないんです。
#138
○国務大臣(河野洋平君) 自衛隊に命令をする、命令があるから行くなどと言うけれども、自衛隊が命令なしに行かれたなんということになったら大問題ですよ、それは。
#139
○立木洋君 緊急援助隊が行けないという条文はないんです。
#140
○国務大臣(河野洋平君) そうではない。これは国の意思として難民の人道的支援に行っているということだけははっきりしてもらわないと困る。
#141
○立木洋君 もう一言。
 これは条文にはないんです、国際緊急援助隊が出てはならないという条文はないんです。それは政府の解釈だけなんです。答弁での主張なんです。
 終わります。
#142
○椎名素夫君 十三分しかないんで削られないんですよ、余りいい数じゃないけれども。
 ルワンダのことを伺うんですが、今、立木先生がおっしゃったような高尚な議論とは関係なしに、もう少し素朴な心配をしておりますので、その点についてお伺いをしたいと思います。
 今までのところ、大変御苦労ですが、医療、給水その他で事故もなしに推移しておられるというのは大変いいことだと思いますし、御苦労だと思うし、そしてまた、どこで一体本当に任務が終わるのかということはよくわかりませんけれども、任務を終えて無事に帰るという運びになればいいなと思っております。
 ただ、こういう組織としてよそに行くというときには、それぞれのというか、組織としての行動の準則というのか、それからその個々のメンバーである隊員があらゆる場合、どういう場合はどういうふうに行動するかというようなことはきちっと決めておかなきゃいかぬと思うんですね、それが常識だと思うんですけれども。そういう一種の行動準則というか、こういうのは一体一般的にどこでだれが、今の例を挙げればルワンダというか正確にはザイールでありますけれども、どういうふうにお決めになっているんですか。最後は出ていった人の気働きに任せている部分があればあるほど、治安がそれほどいいわけでもないし、つまらない事故が起こるということにつながる。恐らくきちっとやっていらっしゃるんだろうと思うんですが、どこでだれがどういうふうに決めているんですか、これは。
#143
○説明員(貞岡義幸君) 御説明申し上げます。
 派遣の際に作成されます実施計画、その計画を受けまして作成されます実施要領、これに個々の隊員が現場において行動する際の規則といいますか要領を定めております。それは総理府の国際平和協力本部が、関係省庁と相談の上、作成いたします。
#144
○椎名素夫君 それで、恐らくきちっとできているんじゃないかと思っていたんですが、この間、何かの御質問で、難民がたくさん近くにいますね、すぐそばで何かのことで難民が危急の事態に陥ったときに一体どうするんだねという質問があったのに対して、長官は、本会議でたしか言われたと思うんですが、「義を見てせざるは勇なきなり」ということでしょうねと、こうおっしゃったんです。これは本当に気働きになっちゃうんです。しかも、その際の判断は個人的な判断だと、組織としての判断じゃないとおっしゃった。これは本当に義を見て勇をなすというようなことがもし仮に起こると、それが問題になって、極端な場合、これはこの国では殺人犯だといって逮捕されたら、こっちがどうにもならなくなるでしょう。そういうこと。
 それから、行って、ザイールの軍隊、国防大臣というのか軍司令官か何か知りませんが、によく頼んできたと、そっちの安全については。余り人の国の心配をするのは失礼だとは思うけれども、ザイールの軍隊というのはそれほどきちっとしているわけでもないという点があるという話を聞かないでもないというようなときに、大臣に頼んで引き受けましたと、こう言われてそれで一体済むものか。こちらの実施計画、実施規則というのがあるとしたら、そういうふうに共同動作があり得る場合があるとしたら、そちらともきちっと調整をしておかなければ何か起きたときに困るでしょう。そういうあたりがどうもきちっとしていないんじゃないかという気がして、この前の委員会では大臣がおっしゃったけれども、戦闘行為をしに行くわけではないということをはっきりしなければいけませんと、こうおっしゃったことからぼろぼろと漏れたようなところがそういう中に見当たるのが大変気になるんですが、どうなんでしょうか。
#145
○説明員(貞岡義幸君) まず、先生の御質問の最初の点でございますが、実施計画、実施要領はあくまでも国際平和協力法に基づいて実施されているわけでございまして、先生御案内のとおり、国際平和協力法第二十四条で個人の判断でやるということになっております。
#146
○椎名素夫君 大臣が「義を見てせざるは勇なきなり」と言うのは一切無視するんですか。それともやっぱりそういうことになるんですか。あるいは付近でというときは一体何メートル以内ぐらいでそういう騒ぎが起きたら勇をなすのかというようなあたりをこれははっきりしておかないと。それで、見て見ぬふりをして逃げちゃったら、おまえひきょうだなんて後で言われたんじゃ、これは目も当てられないでしょう。そういうことを詰めておかないと、物事というのはおかしくなるんですよ。私、防衛庁長官がたしかはっきりおっしゃったと思うんですが、あれは取り消すべきだと思う。いや、大臣のことじゃないからあれですけれども。
#147
○国務大臣(河野洋平君) 防衛庁長官が「義を見てせざるは勇なきなり」とおっしゃったときに私もおりました。防衛庁長官のお気持ちがああいう言葉になって出たんだと思いますが、その意味は、私の理解は、少なくともだれかが一緒におって、それが外国の人であろうと同僚の隊員であろうと同じ場所に同じようにいて急迫不正の状況になったときに、自分だけ助かれば隣の人が殺されてもいいということではない。それはもう明らかに、今説明員が申しましたように、二十四条のあれは武器使用のくだりにございますように、「自己又は自己と共に現場に所在する」者がまさに急迫不正の状況に陥ったときには武器の使用をしていいという、その法律の説明を玉沢流の物の言い方でああいうふうにおっしゃったというふうに思います。あれはまさに二十四条の解説を玉沢風になさるとああいうことになったんじゃないかというふうに思います。
#148
○椎名素夫君 解説というのは余りいろいろあっちゃいけないんですね。そこはきちっとしておいていただかないと、これからまだこのルワンダ問題だけでなしに先の問題もありますから、そこらあたりはやっぱりよっぽど慎重に考えていただかないと、防衛庁長官が言ったことというよりも政府ですから、ぜひ気をつけていただきたいと思います。
 それからもう一つですが、これからも国際貢献というようなことはありますね。それに対してどうするかといういろいろ御判断、それから細かいことを言えば、今のようなことをきちっとどれだけ決めておくかという問題にもかかわってくると思うんですが、道路へ行って最高速度制限というのがありますね、七十キロ以上出したらいけないとか。国によっては最低速度制限があるんですね。それよりのろのろ走っていると迷惑だからやっぱり捕まって処罰をされるというところは現にあるわけです。
 どうもこの国際貢献の話というのは、日本の癖として最高速度の方ばかり一生懸命議論する癖があって、最低速度よりも早く安全に走れない人は道路に入っちゃいけないんですね、その道路に。抽象的な話ですが、そこらあたりはこれからいろいろ物をお考えになるときにぜひお気をつけにならないと、それが国際常識に反するということの種になりますので、世界には最低速度制限というものもあるということを常に政府は頭に置いていろいろなことを考えていただきたいということをお願いして、おしまいにします。
#149
○委員長(田村秀昭君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後二時三十九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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