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1994/11/21 第131回国会 参議院 参議院会議録情報 第131回国会 地方行政委員会,大蔵委員会連合審査会公聴会 第1号
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1994/11/21 第131回国会 参議院

参議院会議録情報 第131回国会 地方行政委員会,大蔵委員会連合審査会公聴会 第1号

#1
第131回国会 地方行政委員会,大蔵委員会連合審査会公聴会 第1号
平成六年十一月二十一日(月曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
   地方行政委員会
    委員長         岩本 久人君
    理 事
                鎌田 要人君
                岩崎 昭弥君
                釘宮  磐君
                有働 正治君
    委 員
                石渡 清元君
                関根 則之君
                服部三男雄君
                真島 一男君
                上野 雄文君
                篠崎 年子君
                山口 哲夫君
                渡辺 四郎君
                小林  正君
                長谷川 清君
                続  訓弘君
                西川  潔君
   大蔵委員会
    委員長         西田 吉宏君
    理 事
                竹山  裕君
                楢崎 泰昌君
                志苫  裕君
                峰崎 直樹君
                白浜 一良君
    委 員
                片山虎之助君
                佐藤 泰三君
                清水 達雄君
                須藤良太郎君
                増岡 康治君
                一井 淳治君
                鈴木 和美君
                谷畑  孝君
                堂本 暁子君
                池田  治君
                直嶋 正行君
                野末 陳平君
                牛嶋  正君
                西山登紀子君
                島袋 宗康君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐藤  勝君
       常任委員会専門
       員        小林 正二君
   公述人
       関西学院大学経
       済学部教授    林  宜嗣君
       一橋大学経済学
       部教授      石  弘光君
       東京大学経済学
       部教授      神野 直彦君
       立教大学経済学
       部教授      和田 八束君
       高 崎 市 長  松浦 幸雄君
       消費税をなくす
       全国の会常任世
       話人
       税  理  士  関本 秀治君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
○所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の
 施行等による租税収入の減少を補うための平成
 六年度から平成八年度までの公債の発行の特例
 等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○所得税法及び消費税法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○平成七年分所得税の特別減税のための臨時措置
 法案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
   〔大蔵委員長西田吉宏君委員長席に着く〕
#2
○委員長(西田吉宏君) ただいまから地方行政委員会、大蔵委員会連合審査会公聴会を開会いたします。
 地方税法等の一部を改正する法律案、所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の施行等による租税収入の減少を補うための平成六年度から平成八年度までの公債の発行の特例等に関する法律案、所得税法及び消費税法の一部を改正する法律案及び平成七年分所得税の特別減税のための臨時措置法案の各案につきまして、お手元の名簿の六名の公述人の方々からそれぞれ御意見を拝聴いたします。
 まず、午前は三名の公述人の方々にお願いをいたします。
 この際、公述人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様には、御多用のところ御出席を賜りましてまことにありがとうございます。委員を代表いたしまして心からお礼を申し上げる次第でございます。
 本日は、忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にしてまいりたいと存じますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。
 次に、会議の進め方について申し上げます。
 まず、お一人十五分程度で御意見を順次お述べいただきまして、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 それでは、これより順次御意見を承ります。
 まず、林公述人にお願いをいたします。林公述人。
#3
○公述人(林宜嗣君) 関西学院大学の林でございます。
 本日は、このような場で意見を述べる機会をいただきましたことを感謝いたしております。
 税制改革の前に行政改革だといったようなことで、私自身、福祉を初めといたします行政につきまして御意見を申し上げたいことがたくさんございますけれども、時間の都合上税制に絞らせていただきたいと思っております。
 そこで、まず今回の税制改正を総論的に評価いたしまして、続いて各論に入りたいと存じております。
 税制改革を行う際の視点でございますけれども、私は三つあるのではないかと思っております。一つ目は高齢化社会への対応、二つ目は地方分権への対応、三つ目は経済活力を維持するあるいは強めることへの対応でございます。もちろん、こういった三つの視点はそれぞれが相互に密接に関連をしておりますので、総合的な視点が必要とされますし、ある意味ではバランス感覚がより必要とされる、このような私は認識をしておる次第でございます。
 まず、高齢化社会は高負担社会である、こういうことをだれもが知っているにもかかわらず、どうもこれまでの税制改革論議では負担の増加を見て見ないふりをしていたというように私は思っております。今回の一連の税制改革論議におきまして、高齢化社会の負担増にどのように対応していくべきかが国民の前に前面に押し出されてまいりましたことにつきましては、私はかなりの前進だと思っております。
 それから、地方分権につきましても、地方消費税の創設ということで第一歩が踏み出されました。これまでの税制改革は、公平だとか効率だとかあるいは簡素、こういった税の一般原則に照らして国税、地方税の区別なく対象となってまいりました。しかしながら、実際には改革の中心は国税に置かれ、その過程で地方税源の侵食が生じたわけであります。こうした過去の税制改革あるいは論議に比べますと、消費譲与税とどこが違うのか、こういう批判はあるかとも思いますけれども、地方税の改革に一歩を踏み出したということで評価をしたいと思っております。
 今回の税制改正では、三つ目の我が国の経済活力をどうするか、これは具体的に申しますと、我が国の国際競争力の強化をどう果たすのか、あるいは国際競争力を維持するのか、あるいは経済や産業の空洞化に税制としてどう対応すべきかという点につきましては触れられておりません。
 しかしながら、これまでの税制改正の歴史を振り返りますと、昭和四十年代の後半以降には、所得税減税でありますとかあるいは財政再建上の要請とかが出てまいりますたびに、法人税の増税によって財源が賄われてまいりました。その結果、我が国の法人所得課税の負担は、欧米先進国と比べますとドイツと並んで高い水準となっております。したがいまして、所得税減税や高齢化に伴う今後の財政負担の増加を法人税ではなくて消費税で賄うという方向は極めて妥当な選択だと私は思っております。
 一九八〇年代に入りまして、我が国の海外直接投資は急増しております。円高とか人件費とかこういった要因で海外直接投資がふえてきているわけでありますけれども、法人所得課税と経済の空洞化の関係につきまして、私たち研究者といたしましても今後研究を進めてまいらなければならない、このように思っておりますけれども、税制改革の次のステップとして、今回直接的には触れられませんでした法人所得課税のあり方につきましてぜひとも取り上げていただきたいと思っております。
 以上、総論でございます、
 それでは、各論に入らせていただきたいと思います。
 まず、所得税でございますが、中堅所得層の負担の累増感を緩和するために、例えば二〇%の税率が適用される課税所得の上限を六百万円から九百万円に引き上げる、こういったいわゆるブラケットの拡大、これにつきましては私はかなり評価をしておるわけでございます。
 ただ、人的控除の引き上げによって課税最低限を引き上げるということにつきましては、広く負担を求めるために消費税を導入する、こういう趣旨からしますと、私自身は本当に課税最低限の引き上げが必要であったのかどうか、これは若干疑わしく思っております。ただ、少額納税者への配慮としてやむを得ざる措置であった、私自身はこのように自分自身を納得させてはおりますけれども、こういう感想を持っております。
 次に、消費税でございます。
 私は、消費税の量的充実というのは次の三つの点で必要だと考えております。
 第一は、効率と公正という常にトレードオフの関係にあります二つの目標のバランスを確保するということでございます。
 OECDの国々のデータを使って検討いたしますと、高齢化が進んで社会保障給付費の国民所得に対する比率が高くなればなるほど税収総額に占める消費課税のウエートが高くなっている、こういう傾向が明確に読み取れるわけであります。つまり、社会保障は先ほどの効率と公正というところからまいりますと公正を達成しようとするものであり、消費課税は所得課税に比べて効率面ですぐれております。
 先進諸国の経験から申しまして、財政支出のウエートが公正にかかってくればくるほど財政収入面は効率に比重がかかってくる、こういう傾向がうかがえるわけであります。この傾向は決して偶然ではなくて、収入と支出の両面を含めた財政全体で効率と公正のバランスを確保しようという努力のあらわれではないかと思っております。今後高齢化が進み、財政支出が公正に比重を移していく我が国におきましては、税体系はできるだけ効率面を重視した消費税に移行すべきではないか、私はこのように思っておる次第でございます。
 消費税を量的に充実する必要性の第二の点は、世代間の負担の公平性の確保でございます。
 税制改革が、それが特に所得税減税と消費税増税とがセットで提案されますと、必ずと言ってよいほど出てまいりますのが所得階層別に見た損得勘定でございます。今回も、例えば年収七百万円が損得の分かれ目である、こういった試算が新聞各紙で取り上げられたわけでありますけれども、私はこの記事を見て少々うんざりしているわけであります。
 しかしながら、このような短期の視点からのみ税制改革を評価することは、ライフステージにおける負担の平準化でありますとか、あるいは生涯税負担の世代間の公平性、こういった重要な問題を見えなくしてしまうおそれがございます。所得税を消費税に振りかえるという税制改革につきまして、やっと所得税の負担から解放されてこれからは楽になると思っていたのにまた増税かと、こういう高齢者世代に対して極めて厳しいのではないかという声を聞くことがございます。しかしながら、この考えは今後急速に進みます人口構成の高齢化とそれによる国民負担の増加を考慮しないものではないかと私は思っております。
 年金の世代間の不公平、こういう問題が指摘されているところでありますけれども、この世代間の不公平の問題は財政支出全般についても発生するわけでございます。
 私のグループで計算をしておりますので結果だけを簡単に御紹介をしたいと思います。前提は、厚生省がお出しになられました福祉ビジョンによる社会保障負担の予測をベースにして、この財源を二つの税制のシナリオで賄う、このときに世代間の負担がどう変わるか、こういう計算をいたしました。
 まず、財源を現行の制度をそのまま延長する、つまり所得税重視型の税制で賄うと想定しました場合には、一九三三年生まれの現在六十一歳の方、この方の生涯税負担率は八・一七%になります。これに対しまして、一九六三年生まれの現在三十一歳の方の負担率は一五・二〇%でありまして、この両世代の間に約七ポイントの差がございます。ここで、現在の所得税の対国民所得比率を一定に保ちながら財源不足分は消費税の増税で賄う、こういう消費課税移行型の税制で賄いますと、三三年生まれの税負担率は八・六二%に上昇いたします。そして、六三年生まれの世代は一四・五五%に低下します。そして、両世代の格差は約六ポイントに縮まるわけであります。
 このように、消費課税の充実は高齢化社会への移行期におきまして世代間の公平性を確保する上でも必要であります。消費税へのバランスの移行が必要な第三の理由は、財政民主主義上の要請でございます。
 ヨーロッパでの付加価値税の税率引き上げの経験から、付加価値税はマネーマシンではないか、こういうように言われることがございます。確かにそのような面があろうかと思いますけれども、しかしながら私は、税収弾性値が大きくて知らないうちに税負担が増加している所得税に多くを依存するよりも、むしろ税収弾性値が低くて必要な都度税率の引き上げの選択を国民に求める、こういう消費税の方が望ましいという面もあることを指摘しておきたいと思います。以上の三点から、私は今回の税制改正で消費税の充実が図られようとしている点を評価したいと思っておりますし、今後さらに所得税から消費税への課税バランスのシフトを進めていただきたい、このように思っております。
 続きまして、地方消費税に話を移したいと思います。
 高齢化社会におきまして、福祉を初めといたしますさまざまな行政サービスの直接の担い手はやはり地方である、こういう点を考えますと、地方税を充実することが私は必要なことではないかと思っております。
 地方消費税は当初の案とは幾分異なったものとなっておりますけれども、私はこれでよかったのではないか、このように思っております。当初の考えでは、企業が地方行政から受ける利益は最終的に消費財への価格の引き下げという形になって最終消費者に帰着するのであるから、消費者が支払った税が企業活動の規模に応じて地方団体に配分されるのは別におかしいことではないのではないか、こういうことであったように記憶しております。私はそのときに、これでは現行事業税の外形標準課税化と一体どこが違うのだろうかという、そういう疑問が私の頭から離れませんでした。
 今回創設されます地方消費税は府県間の配分を消費に関連した指標に応じて行う、このようにされております。これからの福祉社会におきまして地方財政支出が増加し、そのための地方財源が必要である点を考えますと、私はむしろ今回の配分の方がよかったのではないか、このように思っている次第でございます。
 ただ、地方消費税をこのように考えますと、企業が行政から受ける利益に対する対価を求める、こういう事業税の問題が未解決のままに残されることになります。つまり、赤字企業は事業税を色担しないという問題でございます。赤字企業に税を負担してもらうということは極めて困難な政治的な選択を迫られることになりますけれども、ぜひとも事業税の外形標準課税化を今後の税制改革の中で取り上げていただきたく思っております。
 現在の事業税は、企業の利潤を課税ベースにしております関係上、税収の年度間の変動が極めて大きくなります。高度経済成長期のように高い成長率が維持できるような場合には税収がどんどん入ってまいりますけれども、現在のように低い水準でしかも上下するというような時代には事業税の収入が対前年度比でマイナスになる、こういうことが起こるわけでございます。つまり、現行の事業税というのは大きく伸びない上に変動が激しい、これでは安定的な地方行政が行えない、このように考えております。事業税の外形標準化は今後の地方税改革の一つのポイントではないか、このように思っておる次第でございます。
 以上、今回の税制改正につきまして、総論、所得税減税、消費税増税、地方消費税、この点に限りまして私の意見を述べさせていただきました。
 経済社会構造の大きな変化の中で、税制改革をこれまでの制度の延長線上に位置づけるということはもはやできなくなっていると私は認識をしております。今回の税制改正はこうした抜本的な改革に第一歩を踏み出したものとして評価したいと思います。
 今後、できるだけ多くの改革の選択肢を国民に提示していただき、よりよい税財政構造を築いてくださいますようにお願いしたいと思います。
 以上でございます。
#4
○委員長(西田吉宏君) どうもありがとうございました。
 次に、石公述人にお願いいたします。石公述人。
#5
○公述人(石弘光君) 一橋大学の石でございます。
 時間の関係もありますので、特に重要と思われるものにつきまして、以下四点、私の考えを述べさせていただきたいと思います。
 林さんと少しダブる点もあるかもしれませんが、ただ私は、今回の税制改革につきまして当然評価できる点もあるのであります。議論のためというわけではございませんが、どういう点が問題かという批判点ということにより重点を置いた形の説明をさせていただきたい、このように考えています。そういう意味では、林さんと同じ問題を取り扱いましても若干見る角度が違う、こういう議論も可能かなという点でお聞き取りいただければと考えております。
 まず最初に、第一点は総論的なことでございますが、私は、高齢化社会の到来が目前に来ている、もうすぐ目の前に来ている場合に、直間比率の見直しという方向は避けて通れない。そういう意味では、今回の税制改革、一応所得税減税、間接税をアップするというパッケージにしたわけでございまして、私は基本的な方向としては正しいし、この点は一応評価いたしております。と同時にもう一つ、財政の健全化というのは避けて通れない話でございまして、そういう意味では増減税一体化処理をしたという点、言うなれば直間比率の見直しと増減税一体処理という二つの大きな道しるべは大いに評価してもいいのではないかと考えております。
 ただ、細部を見ますと、かなり問題ありと言わざるを得ません。そういう意味で、その点につきましてこれから順次触れていきたいと思います。
 総論的にもう一つ踏み込んで申しますと、やはり消費税率五%というのがまずありきではなかったかという印象をはたから見ているとぬぐえない。現行は三%、例の国民福祉税が七%でありまして、結果的には五%だったんでしょうが、しかし、どうしても五という数字が最初にあって、その結果、所得税減税も二階建てになったのではないかという印象をぬぐえないというのは国民の中にも随分あるんじゃないかと思います。その結果、直間比率の見直しか不完全に終わったという点は恐らく指摘できるのではないか、総論的に申しますとこういう印象を持っております。
 以下各論につきまして、所得税、消費税、それから残された問題、そこで企業課税とか資産課税を述べたいと思いますが、主として三点に力点を置きまして述べさせていただきます。
 所得税は、景気刺激ということもございまして、先行減税になったこともあってか俗に言われる二階建てで三・五兆円の恒久的な減税と二兆円の特別減税に分かれました。私は、できればこれは一体化として五・五兆円の恒久減税にしてもよかったと思っております。その点、当然のこと、消費税五%で済まなかったかもしれません。それは恐らく六%か七%になったかもしれませんが、新ゴールドプランも含めまして、福祉という点についてしっかりした計画を練って、国民にそれを提示し、言うなれば思い切った所得税の減税とそれに見合った消費税のアップ、プラス福祉充実という組み合わせで私は問うべきではなかったか。そういう意味では、今回はそれに至る一つの道しるべであったという意味では評価できるかもしれませんが、中途半端に終わったという点は避けられない、このように考えております。
 そこで、その問題の一番大きい点は、累進税率の緩和が不十分ではなかったかという印象がぬぐい切れないからであります。と同時に、特別減税二兆円が一九九七年に言うなれば廃止になって、消費税アップというのはどうしてもダブルパンチ的な印象での税負担がふえますので、この時期になったときにどういう反応が国民の間から出てくるか。これはやっぱり問題であろうと思います。
 それから、林さんが申されましたように、今回また所得控除を上げて課税最低限を引き上げましたが、私は元来、もう使命の終わった、あるいは雑多にさまざま組み込んでおります所得控除を整理すべきである。これは課税ベースの拡大ということでございますが、累進税率を緩和するということは、ある意味で所得税の累進度を減らし、言うなれば社会的に見て公平感を失わせるという結果もございますが、ただ、課税ベースを拡大しろということにおいてかなり累進性は回復できるんです。
 最後の点で申しますが、キャピタルゲインであるとかあるいは利子配当、それを課税ベースにもっともっと入れるということによって累進性の回復もできますし、あるいは租税特別措置でかなり隠れた減税として行われております所得控除とかその種の処理も廃止することによりまして、実は所得税がいい姿として再生することも可能でございます。
 そういう意味で、今回の所得税の減税のやり方は、累進税率の緩和が不十分であったとともに、本来所得税の中で改革ができる点を少し見逃した。恐らく、租税特別措置の廃止であるとか雑多な所得控除の整理は増税に結びつきます。ただ、この増税というのは、課税ベースを広げるという意味で実りのある税負担の増大だと思いますので、これを累進税率の緩和の方に向けてもよかったのではないか、そう思っております。最終的には、仮に総合課税というのが実現するならば最高税率は本来もっと落としてもいい、こう考えております。
 そういう意味で、今回の組み合わせは所得税の減税がどうも部分的に過ぎ、あるいは本来ねらったよりはかなり後退したという印象を免れない。批判点を表に出しますとこういうことになろうかと考えております。これが第二点でございます。
 それから第三点は、消費税の見直しにつきまして二つ特に強調しておきたいんですが、やはり三%から五%になったということは、俗に言われます益税の対策が不十分でありますとますます益税の悪い影響が国民あるいは消費者の間に及んでくるわけでございます。そういう視点から見ますと、今回限界控除を廃止したというのは、これはある意味で一番の益税の代表的な例でございますから結構だったし、簡易課税の適用区分を四億円から二億円に下げるのは結構でございます。
 ただ、残る一番の益税として、家庭の主婦あたりから非難されております非課税の水準三千万円ですか、これがそのまま残った。これはいろいろ政治的な要請もあると思いますが、三千万円というのはヨーロッパの諸国に比べますと三倍も四倍も高いわけであります。恐らく零細企業あるいは中小企業の特例として政治的に浅さざるを得なかったのだとは思いますが、これはもっともっと私は切り込んでいい。端的に申しますと、三千万円を半分ぐらいに下げてもいいのではないか、そういう印象を私は持っております。
 それから、もう一つ言われておりますインボイス、仕入れのところの税額控除の問題でございますが、今回は、インボイスという名前で日本型という名称をつけておりますが導入しようということで、納品書であるとか領収書であるとか、いわゆる仕入れの額を証明するものを保存せいという形で一応インボイス制度というものを導入いたしましたが、これはやっぱり不十分であります。これまた恐らく課税業者の特定であるとか、あるいは非課税業者に仕入れ控除を認めないと取引において不利になる等々の問題もあったかと思いますが、私は、今後、消費税率アップがもっと進むような事態になりますと、恐らく俗に言われますEC型付加価値税がやっておりますようなインボイスという売り上げ・仕入れ、売り上げ・仕入れという流れを追求するだけのしっかりとした制度的な担保が必要ではないかと思います。
 消費税を導入するときのいろいろな経緯もございますから急には無理かもしれませんが、この点と、それから非課税水準三千万円についてはまだ対策として見直しか完全でなかったという印象を持っております。
 それから、消費税の見直しでもう一つ。
 これは地方消費税、林さんも触れられましたが、今後の高齢化社会、あるいは地方の方に福祉の役割が回るということも踏まえ、地方に独立財源を与えるということは非常に重要である、私はそういう意味では林さんと全く同じであります。目的は結構なんですが、手段において国税である地方消費税をどこまで使いこなせるかというのが恐らく今度の焦点であったと思います。
 私は、多段階の売上税を地方に回すということが理論的に見てかなり難しいと前から見ておりまして、これは税調の小委員会でもかなり議論いたしました。これも議論が専門家の間でも分かれたところでございます。そもそもメーカーから卸、小売、消費者とくる各段階において空間が置かれているものを国税として取る分には問題ないんですが、地方税として取るときにはどこにそれを配分し直すか。つまり、消費地と納付地の違いがございまして、これは非常に問題がございました。
 ただ、今回は府県間で清算をしようということで、消費関連基準でやるというあたりが恐らく最後に出てきました妥協の知恵であると思いますが、消費関連基準でやるということは、ある意味で各府県の言うなれば最終的な消費、別な言葉で申しますと小売売上税的な要素を入れてきたという意味においては一つ妥協の産物としてはまあまあ受け入れられるかなと思います。ただ問題は、府県が受け取った消費税の半分、二分の一を市町村に配るときに、やはり消費関連基準というのは統計上は得られませんので、従来どおり人口とか従業員にしなきゃいけないというところ、このあたりが私は今回の地方消費税の一つの泣きどころだと思っております。
 つまり、市町村に渡るときには別に地方消費税という装いは凝らせなくて、単に一種の交付金みたいになってしまうという点でございますので、そういう意味で地方消費税、結果的にはこれしかなかったのかもしれませんが、理論的な検証、実際的な検証、これからまだまだ多くの改善すべき点が残っていると考えております。
 理論的には、小売売上税しか実は地方が売上税を使うというのはあり得ないと思っております。つまり、アメリカの州政府がやっておりますような単段階の最後の消費者段階での小売売上税ということでございますが、今、国税と同じ課税ベースを使い、それから納税方法も使っておるわけでありますが、恐らく納税者の立場を踏まえ簡素化という点だったらこれしかないのかもしれませんが、地方独自の税源が欲しいということならばそれは地方独自でさまざまな工夫を凝らす必要があろうと考えておりますので、この地方消費税というのは、第一歩としてはこれしかなかったかもしれませんが、今後改善すべき余地は随分あるというふうに私は考えております。これが第三点であります。
 第四点は、今回の税制改革の中で漏れた問題で、今後二十一世紀を目指したときにどうしても避けて通れない問題という点で、企業課税の問題と資産課税、あるいは資産所得課税の問題について最後にちょっと数分触れたいと思います。
 企業課税の問題、特に法人税、国税の法人税あるいは地方の法人事業税等々は、直間比率の見直しという陰に隠れましてここ数年ほとんど実質的な議論は税調においても行われておりません。そういう意味では、産業の空洞化も問題になりますし、企業課税の負担というのは国際的なタックスハーモナイゼーションからも重要な問題でありますので、今後企業課税の問題は避けて通れないだろう。
 例えば、配当の二重課税の調整は今のままでよろしいか。あるいは税率そのものの負担水準はドイツと並んで高いんですが、それでいいのか。それから法人事業税というのはこのままでいいのか、つまり赤字法人の問題。それから、林さんが触れられましたが、そういうような問題を含め外形標準化の問題があるのではないか。あるいは、どうも法人関連の税は地方の方でほかの国に比べて圧倒的に頼っている。逆に言えば、地方政府は法人関連の方にやや偏り過ぎているんじゃないかという税源配分上の問題もあります。そういった問題を含めて、国税、地方税ともに企業課税のことをやらなきゃいけないと考えております。
 それから最後に、やはり直間比率の見直しはどうしても逆進性になってきますので、逆進性の解消の仕方としては、資産あるいは資産所得、この税負担をふやして税制全体で累進度を回復するという手法がどうしても必要でございます。このために、資産課税で申しますと相続税とか地価税とか固定資産税とか、こういうものをどういうふうに位置づけて、どういう負担を課して、言うなればストックの段階での資産再分配を図るかという視点は今後ますます重要になると思います。私はこれは強化すべきだというふうに言っているのでありまして、最終的には経常財産税みたいな方式も議論としてはあっていいし、遠い将来、あるいは近い将来かもしれませんが、それの導入ということが行われても結構だと考えております。
 と同時に、今度はフローの段階で発生いたします利子とか配当とか、あるいは株式のキャピタルゲインとかいうものに対してどう課税するか。これはやはり私は、納税者番号を入れて総合課税に持っていくというのが恐らく今後の一つの重要な課題になると思いますので、時間がございませんのでこれ以上触れませんが、この方向を探りつつ直間比率の是正から発生いたします逆進性、逆進的な税負担というものを解消するという方向の一助にすべきであろうと考えております。
 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。
#6
○委員長(西田吉宏君) どうもありがとうございました。
 次に、神野公述人にお願いをいたします。神野公述人。
#7
○公述人(神野直彦君) 東京大学の神野でございます。
 私は、歴史を専攻しております上に、網膜剥離を思っておりまして目が不自由なものですから、現在の出来事に関して十分な知識を入手する能力がございません。そのため、皆様にお役に立つような多くの言葉を語ることができないということをまずお許しいただきたいと存じます。
 私のように租税の歴史を学んでいる者から見ますと、この税制改革案は、税制史上一つの時代の始まりを告げる、そういう税制改革案ではないかと申し上げてよいと存じます。もちろん、この税制改革案は、短期的には深刻な不況からの景気回復をもたらすということを重要な課題としておりますけれども、同時に、長期的には活力ある福朴社会というふうにシンボル化されている将来の経済社会を支えていく税制の道筋を示すことをも課題にしているというふうに存じます。租税史の観点から見ますと、こうした長期的な課題への方向づけが重要な評価のポイントとなってまいります。
 このような観点からしますと、この税制改革窒は二つの点で高く評価できると存じます。
 一つは、地方消費税を創設して地方税の改革に真正面から取り組んでいるということでございます。第二次世界大戦前には、ほぼ十年に一度の割合で国税と地方税を通じる抜本的な税制改革が行われてまいりました。ところが、第二次大戦後は、国税改革の影響を遮断するという程度の地方税の改革に終始していたというふうに言ってよいだろうと思います。こうしたことを考えますと、この税制改革案が地方税改革を真正面から取り上げた意義は画期的に極めて大きな意義を持っているというふうに言わなければならないと思います。
 もう一つは、消費税の税率の引き上げを可能な限り抑制しようとしたという点にあると思います。
 シャウプ勧告に基づく税制改革が行われて以降これまで、昭和三十年代の後半を除きますと、戦後の税制改革は直間比率の是正を目指して、一貫して間接税の増税を追求してまいりました。この税制改革案は、中期答申、そしてこの六月の税制改革答申が推し進めようとしてまいりました間接税増税路線を、少なくとも明確に抑制しようという方針を打ち出したという点で画期的だと言うことができると存じます。地方消費税の創設も、六月の税制改革の答申では政策的判断にゆだねておりましたので、この二点は現内閣の勇気ある決断の結果だというふうに申し上げてよいだろうと存じます。しかも、この二つの方針は、将来の経済社会を支える税制の歩むべき道筋としても評価できると存じます。
 これからの経済社会に望まれる公共サービスは、これまでのようなナショナルミニマムの充足を目指す画一的な公共サービスではありません。これまで家族とか地域社会とかそうしたところで相互扶助や共同で行われていた作業によって供給されていたサービス、つまりナショナルミニマムを超えるような多様な公共サービスが求められていると思います。そうした多様な公共サービスは、住民に身近な地方政府が住民志向でニーズをつかまえて、自分の責任で自分で決定して供給していくしかないだろうというふうに考えております。だからこそ、現在、地方分権の声が高まり、地域福祉の充実を要求する声が強まっているのだというふうに思います。
 ところが、これまでの日本の財政システムは、地方政府が極めて多くの公共サービスを分散的に供給しておりますけれども、中央政府が財源をコントロールすることによって地方財政の決定権を事実上拘束してしまうような集権的分散システムだっただろうというふうに思います。しかし、住民志向で多様な公共サービスを供給するには、地方政府に財布の自治を与えて、集権的分散システムを分権的分散システムに転換していく必要があるだろうと考えます。
 地方消費税の創設は、そうした改革への道しるべになるかと存じます。それは消費譲与税を地方消費税に振りかえることによって、分権には一般財源の拡充ではなくて、自主財源を拡充して地方政府に財布の自治を回復させることこそ必要だということを教えているからです。地方消費税の創設は、分与税という、つまり中央政府が課税権を持っていて、その一部ないしは全部を地方政府に与える分与税という税収形態から、中央政府と地方政府が共同で課税権を持つという、いわば日本型の共同税に移したものだというふうに評価できるだろうと思います。
 もちろん、自主財源を強化する必要があるというふうに申しましても、ナショナルミニマムは達成されたとしても、そのナショナルミニマムを保障していくためには、中央政府はいつも繰り返しそのナショナルミニマムを確保するための財源を地方政府に保障していく責任は生じます。したがって、これからはそうした中央政府による財源保障責任に補完された自主財源主義を目指していくべきだろうというふうに考えております。
 さて、家族や地域社会が相互扶助や共同作業によって供給していたサービスはこれから公共のサービスによって提供されていくということになるわけですから、相互扶助や共同作業に費やされていたそういう私的な負担というのは減少していきますけれども、公的な負担、つまり租税負担は今後上昇せざるを得ません。
 租税には、まるでオーダーメードの注文服をあつらえるように、その人の経済力に合わせて寸法をはかって課税するあつらえ税という税金ですね、その人の家族はどのぐらいいるのか、その家族に病人はいないのか、それから泥棒や災害に遭ったことがないのか、さまざまな事情を考慮して、あつらえ税という形で課税できる、能力原則に基づくあつらえ説と、それから生産物とか土地とか労働とか資本とかというような、市場で取引されるものに注目をして課税する市場税とか物税とかというような、利益原則で課税される税金とがございます。
 これから家族や地域社会がこれまで相互扶助や共同作業によって供給していた公共サービス、老人の世話とか子供の養育とかというようなそういう公共サービスが増大していくわけですから、必ずしも能力原則に基づく所得税のようなあつらえ税でその負担を調達する必要はないというふうに考えられます。そのため、この税制改革案でも消費税の増税が意図されています。ところが、この税制改革案は、消費税の増税を極力抑制し、裏からいえば所得税の減税をできるだけ小規模に抑えようとしています。
 この税制改革案の姿勢は、これからの経済社会が要請する租税負担の増加の道筋として、経済的な力に応じたあつらえ税も重視していく必要があるのだという方向を示しているのだというふうに考えていいだろうと思います。つまり、世代間の負担の平準化を根拠にした広く薄い負担を求めるという論理に変わって、広く公平な負担を求めるという論理に転換しようとしているというふうに評価できるだろうと思います。
 世代間の負担の平準化を目指す論理は、世代間の内部における負担の公平を無視しています。つまり、貧しい高齢者にも豊かな高齢者にも一律に負担を強いるということになるわけです。これに対してこの税制改革案は世代間内部の負担の公平も重視する必要があるのだということを認めているのだと思います。
 神はそれぞれの世代にそれぞれの試練をお与えになります。戦争とか大災害とか、そういう同じ苦難を同じ世代は同じように体験して、そしてそれをともに克服しようとして生きてきたわけであります。しかし、そうした苦難を経験していない世代に対して、そういう負担を分かち合えということを要求するでしょうか。そうした苦難を分かち合うという公平よりも、同じ苦難を乗り越える同世代の内部での公平性の方が社会の統合にとって重要なのではないでしょうか。
 今この時代を生きている老いも若きもそれぞれが経済的な力に応じて共同の困難に立ち向かっていく、そういう税制改革の方針こそ基本にすべきだということをこの税制改革は論理として掲げているのだろうというふうに思います。豊かな高齢者には当然担税力があるわけですから負担を強いても構いませんけれども、貧しい老齢者にまで負担を強いる必要はないだろうというふうに思います。
 特に現在の改革の問題点は、石先生が繰り返し強調されましたように、資産所得への課税ベースを所得税で拡大しなかったために給与所得の負担感が増大して、それを税率調整によって和らげる、その税率調整によって和らげるための財源を消費税の増税によって賄おうとする循環が繰り返されるわけですね。そうではなくて、資産所得の総合課税化、それから、これもあつらえ税であるような純資産税ですね、資産を合算して行うような純資産税、そういう純資産税などの調整や、それから資産所得への総合課税化などによってあつらえ税を充実して、そして所得税の税率を下げて税率調整を行っていく、そうして消費税の増税は可能な限り抑えていく、これがこの税制改革案の示しているこれからの税制改革の道筋だろうというふうに考えられるわけであります。
 その背景にある理念は、効率のよいものが効率のよいものとして生きていく、つまり強い者が強い者として生きていく市場経済の論理を、強い者が弱い者をいたわっていくという財政の論理で補完しなければ社会の統合は成り立ち得ないのだということを理念としているからだろうと存じます。
 私は、次の瞬間に失明してしまうかもしれません。しかし、それによって生活の糧を失っても強い人々が温かい手を差し伸べてくれるのだと、そう思えばこそ、この今の瞬間にわずかな力でも振り絞って多くの人々のために働いておこうというふうに考えるのではないでしょうか。それが活力ある福祉社会の論理だということを申し上げて、私のつたない言葉を終わらせていただきたいと存じます。
#8
○委員長(西田吉宏君) どうもありがとうございました。
 以上で公述人各位の御意見の陳述は終わりました。
 それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#9
○楢崎泰昌君 三先生、お忙しいところをきょうはお出ましいただきまして、また御高説を拝聴しまして大変ありがとうございました。
 三先生のお話を承ってみますと、いずれの先生も今回の税制改革について、税制の構造を変更し、そして将来に向かってのいろいろな経済ポイントについて高く御評価をいただいているように思います。つまり、方向性としては十分評価をするというお話でございました。若干ずつニュアンスがお違いになっているように見えましたけれども、方向性としてはこの税制改革の方向は是である、こういうお話でございました。
 しかしその中で、この税制改革で問題になっている点が幾つかございます。
 この税制改革は、景気回復に向かっての税制改革が一つでございます。それから、それをどのようにして実現するかということは、所得税を減税して、所得税の構成をより公正なもの、妥当なものにしていくという方向性が一つでございます。それからさらに、そのことに伴いまして財源が不足する。先ほど先生方にお話をいただきましたけれども、財政の健全化というお話をちょうだいいたしておりますが、そのことの結果として消費税の増税ということをやっていく。さらに四点目としましては、それによって税制の構造自体が、直間比率の比率であるとか、今、神野先生のおっしゃったあつらえ説とか、そういうことに御言及をいただいているわけでございます。さらに五番目としましては、地方分権の話を非常に高く御評価をいただいたという意味で感銘をいたしているところでございます。
 その中で若干ずつニュアンスがお違いになっているようにお見受けをしましたのは、消費税の増税をどこまでやるのか、所得税の減税をどこまでやるのか、私どもは政治家の立場でございますので、国民のいろいろな感情等々を考えると直ちに極端なことができるのかどうか。先生方は学者の立場で御発言をいただいておりますのでなかなかそこら辺が難しいところかと思いますけれども、そういうような観点を踏まえまして、今度の所得税の減税、それは必ずしも十分なものと言えないかもしれないけれども、相当国際社会の中で私はこの減税は評価されるべきものであろう。すなわち、所得階層別のグラフを見ても、欧米諸国の中では最も最下位の方に累進性が出ていっているというような観点があるように私は思います。
 そういう点で、林先生に最初にお伺いいたしたいんですけれども、今度の所得税減税の評価、必ずしも全部いいか悪いか問題あるところだと思いますが、所得税の減税、政府側は本格的な減税であるというぐあいに言っておりますが、それについての評価をお話し願えれば大変幸せだと思います。
#10
○公述人(林宜嗣君) お答えをいたします。
 私自身は、いわゆる制度減税三・五兆円、特別減税二兆円、これがもし制度減税五・五兆円ということであればなおよかったというようには思っておりますが、ただ所得税を制度改正をするときに、じゃどういう税率構造にするんだ、あるいは最高税率を現在よりも引き下げるのか、あるいは現状を維持するのかといったような問題、あるいは現在、先ほど石先生も述べられましたけれども、随分課税ベースの侵食がございます。こういう資本所得の課税をどうするんだろう、総合課税への移行の、あるいはそういうスケジュールみたいなものが明らかになっていない段階で、殊さら慌てるような形で減税を大幅にするということが果たしていい結果を生むかどうかということは危惧をしております。
 恐らく早晩また、もちろん累進税でありますから所得税の負担が高くなってまいります。したがいまして、その時点でまた減税をしなきゃならないということが来るわけでありますけれども、それまでに抜本的な所得税のあり方ということを、総合課税への移行を含めたそういう検討をしていただきまして、そして次のステップとしてもう一度制度減税を固まったものとしてお出しいただければ私はいいのではないかというように思っております。
#11
○楢崎泰昌君 御評価をいただいているように私は理解をいたしました。
 問題は、それは所得税のことでございますから累進度をどんどん緩和していくと切りがないわけでございまして、所得税を減税するときにそれでは財政健全化という意味からいって税収をさらに何らかの意味で確保しなければならぬ、そういう問題に帰着をしていくと思います。
 我が国の財政は二百二兆円の国債を今持っておりまして、大変な財政危機に実はあるんじゃないかというぐあいに思います。
 そこで、石先生にお伺いをいたしたいんですけれども、確かに五・五兆円の減税ができればそれにこしたことはございません。しかし、財政上の観点からいうと、何らかの意味の財源を見つけなきゃならぬ。そうすると、先ほど石先生が仰せになりましたけれども、総合課税的な資産課税でございますとか、あるいは消費税をさらに拡大してはどうかというようなお考えがあると思いますけれども、なかなかこれは実際上の現実の政治の世界の中では難しい、国民になかなか理解が得られないというような観点があるように思いますけれども、石先生の御見解はいかがでございましょうか。
#12
○公述人(石弘光君) お答えいたします。
 今後先を見ますと、恐らく所得の減税というのは数年置きに必ず出てくる話だと思います。つまり、インフレになりますとどうしても、専門用語で申しますとブラケットクリープというのが起こりますので、物価調整減税的なものをやらなきゃいけない。そういうときに必ず出てくるのがこの財源問題だと思います。
 私は、財源問題は所得税の中で租税特別措置とかなんかを整理するという形で幾分は出てくるかと思いますが、これは何といっても税負担の増でありますから、かなり批判も多い。ただ、所得税を公平とか中立の視点から申しますとやらなきゃいかぬということで、ある程度国民の納得も得られるかもしれません。やっぱり私は、資産所得課税ですね、これを総合課税に組み込むことによって、実は試算は難しいんですけれども、どの程度税源確保ができるかというあたりはかなり国民の支持は得られると思っています。
 と同時に私は、所得税減税をするときは必ずこの消費税の税率アップというのは絡んでくると思います。逆に言えば、消費税の税率アップというのは、福祉財源の充実プラス所得税減税の確保という二つの面から何%これから上げなきゃいけないかというのが、恐らく数年置きあるいは五年置き、十年置きかわかりませんけれども、必ずこれから避けて通れない選択肢になると考えております。そのときの時代時代に応じまして恐らく所得税の減税幅と消費税率アップというものの組み合わせですね、これでその財源調達ということが出てくるんだろうと思っています。
#13
○楢崎泰昌君 仰せのように、その将来の方向とか将来の可能性を探る意味では、石先生のおっしゃることはよく理解ができるわけですけれども、現在の段階で資産課税というのが非常に難しいというぐあいに先生おっしゃっていただきましたけれども、資産課税というのはどういうぐあいにお考えでしょうか。
 税制調査会の答申でもなかなかそこまで答申が出てこない。要するに課税技術上の準備も十分できていないし、さらに国民の環境からいってもその準備が十分できていない。したがって、今回の税制改革にはとても間に合わぬということのように思いますけれども、いかがでございましょうか。
#14
○公述人(石弘光君) 御指摘のとおり、今回は恐らく直接税と消費税の組み合わせいかんに時間を費やしまして、政府税調も政府もとても資産課税まで手が回らなかったと思います。
 ただ今後、次のステップとして税制改革を考えますときには、恐らく相続税あるいは地価税、固定資産税等々を含めまして、これをどっちの方向に持っていくかということは恐らく大問題になります。そのときの視点は、先ほど申しましたように、税制全体としての累進度を高める方向にいこうということの合意ができますれば、恐らく今地価税の廃止も叫ばれておりますが、その廃止というよりはほかの資産も一緒に入れて、神野さんはさっき純資産税とおっしゃいましたが、私は経常財産税と言っておりますが、そういったぐいの、まあシャウプで言う富裕税みたいな構想は恐らく出てくるだろう。
 それから、相続税というのは今の地価高騰でちょっとゆがみが出ていて、特に都市部に住む人にとって非常に重くなっているという点では問題があるかもしれませんが、やはり日本の平等社会をつくる意味での資産再分配というのは避けて通れない、そういう意味では相続税というのも大きな問題になる。
 ただ、最後に念を押しておきますと、これは量的な問題ではなくて実は質的な問題なんですね。資産課税というのはさほど税収確保という面からは大幅に出てくる税ではない、そういう点は注意しておく必要があると思います。
#15
○楢崎泰昌君 今回の税制改正では、所得、消費、それから資産、それらの三税のバランスを考えてという文言がついてこの税制改正が行われているわけでございます。将来の方向としてはまだこれから十分な議論を経なくちゃいけないと思いますけれども、資産課税ということも十分議題に上ってくることは石先生おっしゃるとおりだと思います。
 またさらに申し上げれば、現在資産課税に直ちに手をつけるというのは無理な社会情勢であるということになりますと、先生がおっしゃいましたように所得税と消費税、これのバランスを考えてということに相なってきますと、先ほど石先生から五%ありきだったんじゃないかというような御発言がございましたけれども、現社会の情勢の中では今回の税制改革はある程度正鵠を得たものではないかというぐあいに思いますけれども、御感想はいかがでしょうか。
#16
○公述人(石弘光君) お答えいたします。
 恐らく五であるとか六であるとか七であるとかということは消費税の税率をめぐりましていろいろ議論もございました。私は、先ほど神野さんが言ったように政治的な判断として五%というのは理屈のあった話だろうと思いますが、我々やや無責任な立場に立つ者として、もうちょっと先に予想されるいろんな改革を先取りするような意味で、七にして五・五の恒久減税という組み合わせも当然あり得たという考えも今持っております。
 というのは、そのもっと最後に、私は将来的に消費税率というのは、欧米諸国を見ましても、特にヨーロッパ諸国を見ましても、福祉国家との絡みで二けたにならざるを得ない時期が来ると思っておりますので、そういうことならば一気がせいでいくのがいいのか、ステップ・バイ・ステップでいくのがいいのか、判断があると思いますけれども、議論としては五でなくてもうちょっと高いということもあり得たと私は思っております。
#17
○楢崎泰昌君 最後に、時間がなくなりましたので神野先生に簡単に御質問を申し上げますが、世代間の公平について先ほどお話が及びましたけれども、具体的にはどのようにお考えでございましょうか。
#18
○公述人(神野直彦君) 私も世代間の公平というのは、現世代に、同時代に生きている人間の公平を考えてやるという意味でも必要だろうとは思います。しかし、先ほど申しましたように、その前にやはり世代内部の公平というものを確保して、それを前提にした上で世代間の公平を考えていく。必ずそのトレードオフが起こりますので、そのバランスを図るということが重要なのではないかというふうに考えます。
#19
○楢崎泰昌君 これで質問を終わります。どうもありがとうございました。
#20
○峰崎直樹君 きょうは三人の先生方大変ありがとうございました。
 私は、国会議員になってまだ二年少してございますけれども、公聴会というものを本当に充実させていくためには、従来ともすればこの公聴会がいわゆる予算であれば採決の前提だというように国会対策の手法に使われていることについて大変憤りを持ってまいりました。今回も、できる限り早く先生方の御意見、陳述をお聞きして、そして今後の税制改正の論議に役立てていきたいということで、私も大変きょうの三人の方の陳述には啓発を受けた点がたくさんございます。
 しかも、私この税制改革に与党のプロジェクトチームの一員として参加をさせていただきまして、先ほど来の陳述を受けて、内心本当にここまで高く評価していただいていいのかなと思うような点もあるわけでありますが、大変参考になったということは冒頭申し上げて、早速内容に入っていきたいと思います。
 最初に、神野先生からお聞きしたいと思います。
 今度の税制改革の内容を大変高く評価をしていただいておるわけでございますが、先生が「説経通信」の中で、今回の要綱に「活力ある福祉社会」という言葉が出て、昨年十一月あるいはこの六月の政府税制調査会の「活力ある高齢化社会」から一歩離れて内容が少し変わってきておると。これについて、実は私どもも十分その合意というものを意識したかどうかというのは、改革案をつくる過程ではそれほど議論しなかったように思うんですが、先生がこの点を高く評価されている点について改めて意見があればお聞きしたいと思います。
#21
○公述人(神野直彦君) 先ほど来、私はあえて高齢化社会という言葉を使っておりません。それは余りに長生きをして申しわけありませんでしたというふうなことを言わせるような表現が最近社会の中で蔓延しておりますので、世代間の問題というのはこれはもともと愛情で、つまり市場で行ってきたことではなくて愛情によって移転されてきたものなんですね。それを公共サービスで振りかえていくわけですから、これは全く損得勘定、いわば経済学の方ではどうしても損得計算をする人間を前提に、つまり、いわばコンピューターのように損得勘定を一瞬にしてやるような人間を前提にしておりますけれども、実際の財政というのは、先ほど来お話しのように政治の問題、つまり生身の生きている人間を相手にしているわけですので、できるだけそういった面も配慮すべきだということを考えているからであります。
 それと同時に、これからの社会というのは単に高齢者がふえていくということだけが問題なのではなくて、女性が社会的に進出をしていくとか家族形態が変わっていくとか、そういう大きな経済社会の変化の中で高齢者がふえていくということが問題なんですね。例えば、少子・高齢化社会というのが問題だというふうに言われますけれども、それでは多子・低齢化社会のときも、これまでの高齢者の皆さん方は多くの子供たちをお育てになって苦労されてきているわけでありまして、その点を考えますと私たちは、これからさまざまな形で家族や地域社会が変わっていく、サービスが変化していくんだ、単に高齢者の人たちのためだけに社会が動いているんじゃないんだということを強調しているのではないかということを読みまして、そのように表現をさせていただいた次第でございます。
#22
○峰崎直樹君 今の神野先生のお話を聞いていて、私もそういう意味で今時代が大きく変わってきているということを痛感するんですが、その際にいわゆる地方自治体の果たす役割がふえてきているということもまた事実だと思うんです。
 実はもう一つ、まあ政府という意味で言えば中央政府も地方政府も一つの政府だろう。そうすると官と民という役割を考えたときに、結果的に福祉の充実だということで国レベルでそれがなかなか画一的なものは難しいから地方自治体に移る、しかし地方自治体にいってもそれはやはり官は官ではないかなと。その際、我々が見落としからなのは、官といわゆる民との間に公共空間といいますか、従来家庭でやっていたこと、あるいはヨーロッパでは教会がやっていたこと、そういったような事ごとを実はボランティアであるとかNPOというふうに申し上げていいと思うんですが、そういう分野における活動が非常に求められているし現に動き始めているように地域社会で私は見ているんです。
 これらについての対応として、もっとやはり税制上の優遇措置といったものが充実されてしかるべきではないかなというふうに私自身思うんですが、その点、神野先生、もし意見があったらお願いします。
#23
○公述人(神野直彦君) お答えいたします。
 ただいまの御質問は、単に公私の区分だけではなくて、これまでそういうさまざまな社会的なサービスというのは中間組織によって支えられていたのであって、そういうノンプロフィットインスティチューションとか教会とか、さまざまな中間組織に対しても考慮すべきじゃないかというお話だろうというふうに考えますが、そのとおりでありまして、そういう中間組織というものが拡大して、それが社会を支えていくというふうにならなければならないし、そうした中間組織の活動を政府ができるだけ支援していくというシステムを考えていく必要があるだろうと私も思います。それを税制でやるということも一つの手かどば存じますし、他の手段もあるかと思いますが、そういうことを支援していかざるを得ないというのはおっしゃるとおりだと存じます。
#24
○峰崎直樹君 林先生にお聞きしたいことがたくさんあるわけでございますが、指摘された中に資産課税について今後どのような方向を打ち出すべきかということについての御指摘がなかったように思うわけでありますが、この資産課税についての御見解があればぜひお聞きしたいと思います。
#25
○公述人(林宜嗣君) お答えいたします。
 時間の都合上割愛をさせていただきましたけれども、私自身は消費課税へのウエートのシフトを一方で提言をしております。したがいまして、それとペアになって要求しなきゃならないことは資産課税の強化でございます。
 先般、土地問題が起こりましたときに、相続税が非常に負担がふえて、そのために相続税の減税をすべきであるという声が出ました。しかしながら、私自身は、これは逆の方向でありまして、土地問題を解決するとかあるいは消費税へのウエートをシフトさせていくということであれば、私は相続税を初めとした資産課税の強化、これはぜひ進めなければならないということではないかと思っております。
#26
○峰崎直樹君 私も、資産課税をもっと強化をしなきゃいけないし、ことしから実は相続税の問題も緩められたことはどうもこれは時代に逆行してやしないかというふうに考えている一人でございます。
 その点はまた別にして、経済活力と税制の関係でちょっとお話を聞いてみたいわけでありますが、いわゆる所得税と消費税、あるいは直接税と間接税というふうに分けていいんでしょうが、特に消費税の方が経済活力ということを考えたときに経済に与える、ある意味では中立性といいますか効率性といいますか、そういった点で望ましいというふうにお考えなんでしょうか。つまり、いわゆる所得税重視よりも消費税重視の方が望ましいかどうかという、その点についての林公述人の御意見をお聞きしたいと思います。
#27
○公述人(林宜嗣君) お答えします。
 所得税の場合に、私は累進所得税を前提として議論をしなきゃならないだろうと思います。そういう場合に、一つはやはり勤労意欲の阻害。実は、これはサラリーマンの場合に本当に勤労意欲が阻害されるのかといったようなことがございますけれども、労働者はサラリーマンだけではないわけでありまして、例えば医師の方も、もし所得税がどんどん高くなったときにひょっとすると診察時間を短縮するとか、こういうようなことがあっては困るのではないかということが一点。
 それから、今後高齢化が進んでまいりますと貯蓄率がやはりこれは低下せざるを得ない。日本の貯蓄率は非常に高いというぐあいに言われておりますけれども、しかしながらこの貯蓄率の高さというのは年齢構成がまだ比較的若いということでございまして、今後高齢化が進めば必然的に貯蓄率というのは低くなる。このことがいわゆる成長阻害要因になる可能性がございます。
 したがいまして、消費税と所得税を比較した場合に、これは理論的な話でありますけれども、所得税は利子に対して二重課税となる。したがって、貯蓄抑制型であるといったような点からいたしまして、消費税の方が成長あるいは経済活力増進型である、このように私は理解をしております。
#28
○峰崎直樹君 先ほどちょっとお聞きしたときに、サラリーマンの方々、非常に重税感といいますか、そういうものを持っているということなんですが、林公述人、今日本の給与所得というのは国際的に見て高いと思われますか低いと思われますか、いわゆる負担の度合いから見てですね。
#29
○公述人(林宜嗣君) お答えいたします。
 国際比較をした場合には、私は低い部類に日本は属しているんじゃないかと思います。
 ただ、負担感というのが絶対的な税負担感と、それから隣を見てどうして同じような生活水準なのにあの人は税が少なくて済んでいるんだろう、そういう相対的ないわゆる税の負担感、公平感といいましょうか、こういうことによって生じる重税感というものもあるのではないかというぐあいに思います。
#30
○峰崎直樹君 その点をちょっとお聞きしたいと思ったんです。
 これは神野公述人にお聞きしたいんですが、いわゆるシャウプへの回帰ということで、非常に所得税についての評価、私自身も公平性ということが観点として重要だと思うんですが、今ありました公平感という観点ですね。クロヨンであるとか、あるいは表現としては同じですが、トーゴーサンピンであるとか、あるいは同じ所得税の中ではいわゆるフリンジベネフィットと言われる形での公平性の阻害要因というものが出てきておるんですが、こういった点についてどのようにお考えになっておるか、現行所得税の欠陥という点について。
#31
○公述人(神野直彦君) お答えいたします。
 現在の所得税の欠陥として、今制度的に、例えば先ほど石先生がおっしゃったような総合課税化されていない、これはフリンジベネフィットを含めて包括的な所得税になっていないという欠陥はどうしても否めないと思います。
 それから、今おっしゃった税務行政上のトーゴーサンピンとかクロヨンとかというふうに言われていることは、私はそれは少し大げざ過ぎるというふうに思います。というのは、日本の国税庁の方々も私のところに勉強しに参りますけれども、日本の国税庁というのは世界的に見ても非常に優秀な方たちが意欲を持ってやられておりますし、それから例えばトーゴーサンピンのピンというのは、御存じのように政治家の方々を意味しているわけですね。政治家の方々が一割しか税金を納めていないなんてことはとても信じられない話だと思います。
 それで、よく言われることはトーゴーサンピンとかクロヨンとかと言われているうちの、仕入れと売り上げがきちんと押さえられていないからだという問題になるかと思うんですが、それがもしも押さえられていないと、それは消費税でもやっぱり押さえられないということになりますね、仕入れと売り上げは。仕入れと売り上げが押さえられて所得が課税されていればできる。
 それから、所得は絶対にきちんとつかまえなくてはだめです、所得税をやるやらないにかかわらず。というのは、私どもの奨学金もかかってきますし、そのほかの社会保障制度をやる場合に、どうしても所得というのはきちんとつかむ必要があるんですね。ですから、これは理由のいかんを問わず、税務行政上難しいから放棄するというわけにはいかない税金だと思います。
#32
○峰崎直樹君 最後に指摘された点は、先日私も大蔵委員会で、私自身の乏しい経験で奨学金を受けるときの所得の不公平というのを大変憤りを持って感じたわけでございます。
 時間がないので、最後に石先生にお聞きしますが、納審制が入るまでの間、この資産課税のあり方ですね、今のままでいいんだろうか。いわゆる利子課税についても今二〇%の源泉分離とか、あるいは配当の問題についてもそうでありますが、そういった資産課税、ストックの面では財産税というような提起がございましたけれども、フローの面で本当に納審制、これでも二十一世紀の初頭と言っているんですが、その間もし何かこういう改正をしたらいいぞということがあれば、石先生の方からお聞きしたいと思います。
#33
○公述人(石弘光君) 簡単にお答えいたします。
 私は納番がありませんと総合課税は無理と考えておりますので、現行の利子、キャピタルゲインの分離課税、これはやむなしと見ております。そういう意味では、納番の導入時期まではちょっと手が打てないのではないかと考えております。
#34
○峰崎直樹君 どうもありがとうございました。
#35
○直嶋正行君 どうも本日は大変いい話をありがとうございました。私、持ち時間十分なんで簡単にお聞きしたいと思います。
 まず最初に、石先生と林先生にお伺いしたいと思います。
 地方財源についてでございます。
 先ほどお話の中にございましたように、私もこれからの日本の社会を展望しましたときに、地方財源がもっと必要だということはそのとおりだというふうに思っておりますし、またこれまで税制の議論の中で、ややもすればこの地方の税論議というのがなおざりにしてこられたという点もそのとおりだというふうに思います。したがいまして、これからこの地方財源のあり方についてはやはりもっと幅広く議論をする必要がある、このように痛感しております。
 それで、今回のこの地方消費税でございますが、確かに地方財源が不足をしている、あるいはその財源を考えるときに現実にこれという財源がなかなか見当たらない、こういうことから地方消費税を導入したということは理解はできるわけでございます。しかし、納税者の立場から二つお聞きしたいんです。
 一つは、このような形で同じ税を国と地方それぞれから取られる、こういうことについてはやはり問題があるんじゃないか。むしろ、さっき林先生も法人税の外形標準化というようなお話、あるいはこもごもございました資産課税の問題等を含めて、本来やはり別のところに財源を求めるべきではなかったか、こういう意見も強いわけでございまして、この点についてまず一点。
 それから二点目でございますが、今度の地方消費税の導入によりまして、先ほど同じような税を国からも地方からもというふうに申し上げましたが、地方にも例えば特別地方消費税とかあるいは自動車取得税というようにいわゆる流通にかける税が存在をしております。したがいまして、仮に地方消費税を導入し、今後これについても、例えば将来の財源として将来税率が上げられるというようなことも可能性として考えるとすれば、そういった地方税内における税の整合性をとるためにも、今申し上げたような二つの税については廃止も含めて見直し、検討すべきではないか、このように思っておりますが、この点についてお伺いをしたいと思います。
#36
○公述人(石弘光君) 簡単にお答えいたします。
 実はこの問題、本当に苦慮したところでありまして、結果的に今回出てきた地方消費税というのはまあとり得るぎりぎりの線、と同時にまた目下の状況としてこれしかないなと、そういう判断を恐らく皆さんお持ちだと思いますが、私も持っております。
 理想的には、理論的に言うなら小売売上税みたいなのを創設すべきでありましょうが、今おっしゃいましたように、国と地方が両方かけるのはけしからぬという議論、これはカナダやなんかは導入していますけれども、非常に難しい。と同時に、特別消費税をすぐ今回に絡めて廃止せよという声も強い。
 したがって、私はこれは国民の方の納得の仕方だと思いますけれども、所得に対しても国と地方がかけていますね、それから法人の利潤に対してもかけているわけです。そういう意味からいうと、私は消費に対しても国と府県あるいは市町村なんかがかけざるを得ないということは納得してもらうほかないと思いますが、やはり独自の課税ベースにするとか、国税に単におんぶして地方消費税みたいにするというんじゃなくて、その辺はいろいろ地方の独自性ということを表に出す、これはやっぱりこれから必要になってくると思いますので、非常に難しい問題だと思いますが、議論は詰めていかなきゃいけない。
 と同時に、法人事業税の外形課税で事が済めばいいんですが、それで必要な税収が地方消費税にかわるようなのが出てくるかどうか、何かこの辺いろいろ入り組んでおりますので、単純にはお答えしにくいというのが私の印象です。
#37
○公述人(林宜嗣君) お答えいたします。
 まず一点の、納税者の立場として国税、地方税として消費税を納めるというのはこれはどう考えるだろうということなんですが、実は国民にも地方税として消費税を納めているんだという意識を持っていただかないと、地方消費税を創設した意味がないということが一点であります。むしろ、そういう意識が余りないんじゃないかというのが私の印象でございます。
 それから、税源分離に関しましては、理想的には私は国税と地方税の税源分離というのはやるべきだ。例えば、イギリスのように地方財政のウエートが非常に小さいような国では国税と地方税の税源分離を完全に行うことが可能であります。しかしながら、日本のように国も地方もそれぞれが非常に大きな規模の財政を抱えるということになりますと、私は現実問題として税源を分離するということは非常に難しいだろうというぐあいに思っております。
 この後ですが、やはり私は、例えば同じ所得課税でありましても税率に差を設けるとかいったような形で国税と地方税の違いを明らかにするということが必要なのではないかということを思っております。
 それから、地方消費税の創設に伴いましてさまざまな税がこれとダブってきたりするということでありますけれども、私は基本的には現在の税体系というのは非常に零細な税目が多過ぎるというように思っております。国税にしても地方税にしましても、上位三税ぐらいでほぼ八割から九割の税収が入ってくるといったようなことを考えますと、少しこういったものを整理するということも必要ではないか。税源分離ということを殊さら取り上げますとどうしても零細説員を地方につくるといったようなことになりかねませんので、私はその際、税源分離というのは余りこだわらない方がいいのではないかというように思っております。
 以上でございます。
#38
○直嶋正行君 もう一点、時間の関係もございますが、お三方にちょっと所感をお伺いしたいと思います。
 冒頭、御意見を述べるときにも、いろんなことがあるけれども税の問題についてというふうに、たしか林先生なんかは意見を限定されてお話しされました。今回のこの税制改革は、ややもすれば税のみの議論で終わっているわけでございますが、本来は先ほど来お話がありますように、これからの高齢社会等に備えて国民の受益と負担をどうするかというところが根本にあると思うわけであります。
 そういった視点で考えました場合に、福祉のあり方とかこれからの公共事業のあり方、あるいは行政改革といったような問題を含めた全体の給付と今の説とかいわゆる国民負担の関係を含めた総合的な構図ができていないんではないか。そういう点で言いますと、今村山政権は、例えば行政改革を実施するとかあるいは福祉にというようなことをおっしゃっていますが、現実問題としてはそういった政権の方針と今の税制改革とは直結していないのではないか、このように思っているわけでございますが、この点についていかがでございましょうか。
 特に私心配しますのは、現実に福祉だとか行政改革を含めて、いわゆる見直し条項によりましてとりあえずの、例えば消費税の税率五%というのは、見方によっては明らかにこれは仮置きの数字ではないかというふうな面もうかがえます。そういう点で言いますと、この政府案が成立したらすぐまた新たな税制改革に取り組まなければならなくなってくるんではないか、こう危惧いたすわけでございますが、こういった総合的に見ての御見解を承れればと思います。
#39
○公述人(林宜嗣君) お答えいたします。
 私は先ほど、試算をいたしました結果を御報告いたしましたけれども、これは福祉ビジョンに基づいた試算でございます。私自身は現在の福祉のあり方でいいとは決して思っておりません。例えば日本の社会保障体系が極めて医療に偏っている、そしていわゆる中間施設がないことによって自宅で介護できなければ入院をさせてしまう、そのためにはかなりの薬剤費を使い治療費を使う。こういった社会保障システムを改めることによって私は福祉関係の経費は随分節減できるだろうと思っております。そういうようなこと、あるいは地方の行政につきましても随分守備範囲が広がってまいっております。
 こういったようなものを先ほどの公と民、あるいはその中間段階の地域だとかボランティアグループだとか、そういったようなものにもう少しお願いをすることはできないのかといったようなことを本気で考える中で行政改革が進んでいくんだろう。そして消費税率というものも最終的には決まるのではないかと私は思っております。
 したがいまして、見直し条項というのは、私はこういう手段をとられたのは結構なことではないか。ただ、この二年の間にそういう行政改革のアクションプログラムといいますか、そういうものがどれだけでき上がるかどうかということに私は注目をしたいというぐあいに思っております。
#40
○公述人(石弘光君) 今、林さんがアクションプログラムといういい言葉を使われましたが、私はアクションプログラムは二つ必要だと思います。
 一つは行革がどのくらい実効あるかということを成果で示していただく。アメリカがよく言いますね、結果主義だと。ああいう格好の行革がどれぐらい進むかということが恐らく増税の前提になると思いますね。
 それから、第二のアクションプログラムは国民の間で、福祉観といいますか、つまり医療と福祉をどう分ける、あるいは家庭と政府がどうすみ分ける、福祉に関して。こういうことに関して国民の方である程度判断してもらわないと負担との関係はわかりません。つまり、俗に言うアメリカ型の社会がいいのかどうかということも踏まえまして、日本型の福祉観をやはり早急に確立する必要がある。ただ、国民の間でアクションプログラムが必要だと思います。
#41
○公述人(神野直彦君) 今、先生がおっしゃっているとおりに、租税とそれからもう一つ使い道と申しますか、支出の方とは関連づけて議論していく必要があるだろうと思います。そして、行政改革も国民が本当に望んでいるのは、一方でやはり福祉サービスが拡大してほしい。
 ここにシャウプ勧告のことを私書いてきましたが、シャウプ勧告はこれからの日本に必要なものは個別の消費物資ではなくて集団的消費物資だということをはっきり言っているわけですね。先ほど申しましたように、そういう集団で相互扶助とか共同作業でやってきたことを国家ないしは地方政府がやってくれないかという要請は強まっているわけですから、単純な行政改革に、つまり単純に公共部門を小さくすればいいというわけではなくて、それを内部で大きなリストラといいますか、編成がえをしていく必要があるだろうと思います。そして、不必要な部分を切り落として、大幅な形で要望されているような部分に回す、その増加もそれほど大きくなくて済むだろう。つまり、技術革新は非常に高まっているわけですから、新たな技術を使えば組織を単純に、今までの体制をそう大きくふやさなくても十分にやっていけるのではないかというふうに考えております。
#42
○直嶋正行君 ありがとうございました。終わります。
#43
○白浜一良君 公明党の白浜でございます。
 きょうは三人の先生方には、大変お忙しいところありがとうございます。時間もございませんので、簡単に伺いたいと思います。
 石先生に最初に伺いたいと思いますが、先ほどの公述の中で、今回の改正は初めに五%ありきという感は否めない、このように申されました。と同時に、消費税が・Lがるときは、一つは高齢化社会への財源、もう一つは要するに所得税減税するための財源、こういうときに必ず出てくるんだともおっしゃい、ました。そういう観点から、初めに五%ありきという感は否めないという、その辺の内容をもう少しお伺いしたいと思います。
#44
○公述人(石弘光君) 私は、やはり二階建ての減税にせざるを得なかったところにこの五%ありきが直接響いてきたと理解しております。これはいろんな受けとめ方がありますから、そうじゃないという方も当然あると思いますね。
 それから、やはり福祉の方のビジョンが間に合わなかったというのもあるかもしれませんが、五であればこのぐらいの福祉水準の開示の仕方でいいということもあるけれども、七にするんだったらもっともっと新ゴールドプランを詰めたりいろんな形にしなきゃいけない、それが間に合わなかったというのもあるのかもしれません。そんなことも含めて五に落ちついたんだろうと思いますが、本格的にやるなら恒久減税をどんとやって、所得税減税をどんとやって、福祉もちゃんと示してという方がいいんじゃないかというのが私の見解です。
#45
○白浜一良君 そこで、今もお話あったわけでございますが、こういう大きな税制改正のときに、そういう改正案そのものの中に二年後のいわゆる見直し条項があるというような、こういう改正案そのものはどのように評価されますか。
#46
○公述人(石弘光君) 戦後の税制改革を見まして、今回みたいな三年越しのパッケージで時差をつけたり時限をつけたりしたやり方というのは初めてなんでしょうね。そういう意味で、私はこの二年条項が今後どういう形で生きてくるのかあるいはこれが生かされるのか、これまた見てみなきゃわかりません。ただ、どこの国の税制改革もある程度単年度でなくて、少しいろんなものを組み合わせたときにどんとできませんから時差がついていくのはやむを得ない。そういう意味で私は今度は実験的な試行をしているので、余りリゾットにもうこうやるべきだというふうに決めて三年間縛ってしまうよりは、このくらいの二年条項をつけて将来に含みを持たせるというふうなのも一つの方法だと思っております。
#47
○白浜一良君 一つの方法であるかもわかりませんが、国民から見た場合非常にわかりづらいです。何のための見直し期間があるのかということですね。もっと疑ってみれば、本当に五%で済むのか、いろいろ煮詰まった段階で。そういう国民の疑いの目というか、これがあるのもやむを得ないと思うんですが、特にこの税制改正なんかでそういう手法がとられているということ自身に私もそういう国民の一つの疑問の声というのは感じるわけでございますが、もう少しお述べいただきたいと思います。
#48
○公述人(石弘光君) 御指摘のとおり、この見直し条項が五が六の方にいくのかというふうに勘くれば、極めて国民の側から見ますと何だということにならざるを得ないと思います。
 ただ、経済というのはすごく動くわけでありまして、経済成長率、円高、株価、地価等々これからどうなるかわからぬわけです。そのときに、仮に二年先といえども不確定事項が満ち満ちているわけですから、すごい自然増収も出てきて、あっという間に減税財源が出てきて五にしなくていいやなんてことになるのかどうかわかりませんけれども、そういうことまで踏まえての話でありましょうから、国民の方もこういう形で減税が先行しておるんだから、しょうがないだろうというふうに私は納得してもらうほかないのではないかなというふうに考えております。
#49
○白浜一良君 わかりました。
 林先生にお伺いしたいと思いますが、税制改正の視点として最初に三点をお挙げになりましてそれぞれ評価されましたが、一つは一番初めに高齢化社会への対応は前進である、このようにおっしゃいました。しかし私どもから見ればそこが不明確だ。こういう高齢化社会のビジョンがあるんだということはお示しになっていないわけで、まあ予算がつけば前進ですからこれは間違いございませんが、私どもから見れば非常に不明確な点があるなど、このように考えているわけでございますが、まずこの点、御見解ございましたら。
#50
○公述人(林宜嗣君) 簡単にお答えいたします。
 私自身も高齢化社会というのをどのように乗り切っていったらいいかというのは非常に難しい課題だろうと思います。ただ、負担がふえるふえると言うことだけではこれは高齢化社会に対する準備とは言えないわけでありまして、むしろ高齢化社会にはこういう厳しさもあるんだ、例えば私は財政をやっておりますので随分お金のことに気が参ります。現在の医療保険の制度につきましても本当にこのままでもいいんだろうか、例えば風邪だとかあるいは軽いけがだとかいったような軽微な傷病に対してこれを保険で見る。私は保険というのはこういう軽微なものにまで本当に使うべきなのかどうかということについては疑問を持っております。
 こういったようなことも含めた高齢化社会のビジョンづくりというものをこの二年の間に固めていかなきゃならないし、このようにお願いをしたいというふうに思っております。
#51
○白浜一良君 もう一点、三点目に経済活力の強化、こういう視点をお挙げになりました。確かに日本の産業の国際競争力とか産業、金融の空洞化という問題が今叫ばれているわけでございますが、そういった面からは今回の税制改革は何ら手が打たれていないわけでござしますが 評価の一つの視点として挙げられた意味、事業税の話は個別的な問題として述べられましたが、この点に関してはどのようにお考えになっているわけでしょうか。
#52
○公述人(林宜嗣君) お答えいたします。
 直接的には触れられておりませんので 私は次の税制改革のステップとして法人所得課税について触れていただきたいというように思っております。
 ただ、間接的には、従来歴史的に見て増税は法人税でやろうといったような形では進まなかったという意味では私は前進ではないかと思っております。
#53
○白浜一良君 それはよくわかるんです。確かに戦後の税制を見ていますと、財源が要ると法人税を上げてきた、こういう歴史がおっしゃったようにございます。それがなかった分よかったとおっしゃいますが、今はそれで済まないわけでございまして、先生おっしゃっているように国際競争力とか産業の空洞化という視点から見れば、なかったからよかったんじゃなしに、こういう考え方をすべきなんだということを示す必要があるんです、税制改正の場合は。そこのお考えを伺いたいんです。
#54
○公述人(林宜嗣君) 先ほど申し上げましたように、法人所得課税の実効税率が、日本がドイツと並んで高水準にあるといったようなこと、これは非常に大きな問題だと私は思っております。したがいまして、今後法人所得課税の税負担率を引き下げるという方向で私は検討をしなければならないのではないかと思っております。
#55
○白浜一良君 どうもありがとうございました。
 最後に、神野先生にお伺いしたいわけでございますが、二つの評価をされました。地方税に真正面から取り組んだ、こういう視点と、消費税の引き上げを可能な限り抑制しようとしたと、このようにおっしゃいました。確かに、税金というのは安い方がいいんですね。高くして喜ぶ人はほとんどいないと思うんです。そういう面で、五%に抑えられたということを評価されているんでしょうが、逆に言いましたら、私どもから見ましたら、何のための引き上げであるかということが非常に不明確だというように思うわけです。
 先ほどからいろいろ御論議がございますように、こういうために増税を国民にお願いする、こう言えばよくわかるんですね。それが、ぎりぎり五%に抑えられたんだということ、それならばよくわかるんですが、単に数が抑えられたということじゃなしに、何のために抑えられたかということ、そこを説明する必要があるんですね、国民には。その辺は、先生はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
#56
○公述人(神野直彦君) 先ほど御説明したことの繰り返しになるかもしれませんが、私の理解では、消費税を五%に抑えたということと、それから所得税減税の規模を抑えた、規模というよりもやり方を抑えたということとがかなりリンクしているのではないかというふうな考え方でございまして、それはかなり長期的な意味で、スタンスとして言うと、消費税を増税していくというのをかなり抑制しながら、できるだけ抑えながら、国民的なコンセンサスをとりつつ税負担を上げていくんだという姿勢だというふうに評価をいたしたわけでございます。
#57
○白浜一良君 どうもありがとうございました。
#58
○有働正治君 きょうは、お三方ありがとうございます。
 私は、まず神野公述人にお尋ねいたします。
 いわゆる公約問題と今回の税制改革とのかかわりについてでありますが、本委員会でも、また国民の中でも選挙公約に違反した問題が大きな問題となっているわけであります。つまり、さきの総選挙、または参議院選挙の場合、前回、前々回、消費税率を引き上げますということを訴えた政党、候補者はいなかったという問題であります。
 一つお尋ねしたいのは、公約というのは政党と候補者、政治家にとっては命だと、また国民主権との関係、また議会制民主主義の大きな柱になると考えるわけでありますが、一国民、有権者としてもおられるわけでありますから、この点どうお考えになられるのか、この点について。
#59
○公述人(神野直彦君) 私は、余り政治のことは専門ではないので、明確なお答えになるかどうかわかりませんが、一国民の立場から申しますと、公約というのはそれぞれの政党がどういう政策を実施するかということを国民に訴えて、それで信任を得ていくわけです。ですから、もちろんそれは重視しなければいけませんけれども、今回のように連立をするというような場合には、それぞれ国民の大多数の意思がどの辺にあるのかということを考えながら政策をすり合わせをしていくということがどうしても必要になるだろうと思うんです。
 そのときに、一つの政党からいえばみずからの原点のようなもの、つまり点というのは長さもなければ面積もありませんね。点があるわけです、位置だけを示すものがあるわけです。その政党にとって位置を示すようなもの、それを失ったらこれは妥協ではないと思いますけれども、それを失わない限りにおいて、現在で申しますと自由民主党とそれから社会党とさきがけがそれぞれ現実的な選択を、みずからの公約をそれぞれどこかで修正していかなくちゃいけないわけですから、すり合わせて現実的な妥協点を模索していくということは、これはいたし方のないことではないかというふうに考えております。これは全く私の素人談義でございますので、そのようにお願いいたします。
#60
○有働正治君 今、国民大多数の声がどこにあるかを勘案しながら云々ということをお述べになられたわけですけれども、引き続き神野公述人にお尋ねします。
 その点から見ますと、国民大多数の意見というのは、各種世論調査等々を見ましても、朝日新聞も三分の二はとは今回の税率引き上げには反対だと、ほかも同様の声が出されているわけであります。そういう国民主権、国民大多数の声から見まして、今回の法案というのはどうお考えになられるのか、この点もお尋ねしたいと思います。
#61
○公述人(神野直彦君) これも素人談義だということをお断りして言わざるを得ませんが、現在の民主主義のルールではそれぞれの政策について国民がその政党に投票する、こういうモデルは経済学の方であるわけですが、そういうシステムではなくてパッケージの政策を政党が提示して、それによって信任を受けているわけですね。ですから、それぞれの政党の方たちが、もちろん議院内閣制ですから、多数を占めるということは、そこでの合意というのはある程度国民の大多数の合意に近いというふうに考えざるを得ないのではないかというふうに考えます。これもまさに素人談義でございますので、お断りしておきます。
#62
○有働正治君 次に、石公述人にお尋ねいたします。
 先ほど今回の五%への税率引き上げの問題で、いわば中途半端で、福祉その他をきっちり示して、それに応じて消費税率どんときちんとやるという趣旨のことをお述べになられました。
 そこでお尋ねいたしますが、二年後に見直しということが今回提起されているわけであります。その際、財政需要、それから福祉その他を勘案しながら見直すということになっています。財政需要等を考えますと、福祉問題あり、あるいは公共事業の問題あり、あるいは国際貢献等々が言われているわけで、財政的に需要が増大する要素というのはかなりあるということが考えられるわけであります。一般の国民の方々も、見直し条項で五%にとどまるどころか、かなりそれ以上になるのではないかと大方の方は思っているわけであります。
 その点で、先ほどの発言との関連で、こういう財政需要等々を見ますと、二年後の見直しというのは五%にとどまらないというあたりが常識的な考えではないかと思うわけでありますが、先生御専門の立場からどのように見ておられるのか、あるいはこういう財政需要等を勘案すると、もし試算でもございましたら、どれぐらいにならざるを得ないというふうに見ておられるのか、そこらあたりの御見解をお尋ねできればと思います。
#63
○公述人(石弘光君) 私は、二年と限って財政需要云々の議論をするというよりも、もっと長い目で見て議論しておるんですが、いずれにいたしましても、二年後に五でなくて六か七になるという可能性は随分あると思いますね。
 というのは、今御指摘のように、福祉のみならず国際貢献あるいは公共事業、さまざまな問題が山積みしております。したがって、これが認められるのは、私やはり政府がどれだけ冗費を削って行革をやるとかなんとかという、ある程度目に見えた努力が映れば、これに対して議論は大分弱まると思っています。
 私は、最終的に、国民負担率が四〇%ですが、これが五〇%になるということを受けますと、一〇%国民所得でふやすということは五十兆とか六十兆とか七十兆の資金が必要だというふうに見ていますから、これは何年先かわかりません。それを目がけていろんなことをやっていかなきゃいけないという過程になれば、二年後五%が六とか七になるというのは小さな話だと思っています。もっともっと話はどんどん拡張していくと思っていますので、これだけに議論は限定されない問題だと考えております。
#64
○有働正治君 次に、林公述人にお尋ねします。
 地方消費税の問題でありますが、これにつきまして先ほどのお話の中で、地方譲与税とどこが違うかというような御意見も聞かれるという趣旨のお話を含めて御発言がございました。私は、本当の意味での地方の自主財源あるいは本当の意味での地方の独立税という点から見ますと、国が徴収する問題、あるいは当分の間と言いながらそれが長期化することは十分予想される問題でありまして、税率の引き上げも地方独自で理論的には可能かもしれませんけれども、実際問題としては国の消費税とパッケージにならざるを得ない等々考えられるわけで、そういう本当の意味での自主財源、本当の意味での地方の独立税という点からいえばそう言えないのではないかと考えるわけでありますが、この点についてのお考えをお聞かせいただければと思います。
#65
○公述人(林宜嗣君) お答えいたします。
 私も全くそのとおりだろうと思っております。ただ、現在の地方税は、これは地方税法という国の法律で定められておりますので、これは消費税に限ったことではなくて、先般以来の税制改革の流れの中で国税の改革をする場合には、やはり所得税減税をやろうと思えば住民税も減税しなきゃならないといったような形で、随分地方に対して影響が出てまいります。
 したがいまして、今後長期的な課題としまして、地方がもう少し自由に地方の税率を決められるとかといったような独立性を持つということは、私はこれは地方分権にとっては非常に重要な今後の課題だろうというふうに思っております。
#66
○有働正治君 最後に、林公述人にもう一点。
 今度は、法案は二年後に見直して、最終的税率はそのときにしかわからないということになっているわけです。この点からいいますと、憲法なり租税法定主義等々から見ましていわば一種の欠陥的な法律と、内閣法制局も近年こういう法律はないとおっしゃっていましたが、この点についてどう考えられるか、簡潔で結構でございます。
#67
○公述人(林宜嗣君) 先ほども申し上げましたように、私は非常に行政改革あるいは経済成長率等々について不明確な点がございますので、この二年の間に、国民に福祉改革あるいは増税なのかといったような選択肢をできるだけ多く示していただきまして、その中で税率を上げるのかあるいはこういった行政サービスは我慢をするのかといったようなことを国民の手で決めていくという、そういう猶予期間ではないかというぐあいに思っております。
#68
○有働正治君 どうもありがとうございました。
#69
○西川潔君 三人の先生方、どうも御苦労さまでございます。私が最後でございまして、終わりますとお昼御飯になります。そちらの方をお楽しみにしていただきたいと思います。
 私は、毎週福祉のコーナーをラジオに設けさせていただきまして、わかりやすく庶民の代弁者としてということで、きょうも潔さん、こういう公述人の先生がお越しになるんだったらこういうことを聞いてほしい。今までも先生方のいろんな御質問をお伺いいたしましたが、私もわかりやすく御質問させていただきますので、また国民がよくわかるように御答弁をいただきたいと思います。
 まず、林先生にお願いいたします。
 先月から入院の給食費の一部負担、これが実施されておりますが、この患者負担に対して一部の自治体が補助制度を設けたということでございまして、国と自治体の間で、最近いろんな読み物に出ておりますが、意見の対立、こういうものを皆さん方が、特に高齢者の方、入院患者の方々が、これ潔さん、またもとへ戻るのと違うかとか、地方の方では打ち切られるのと違うかとかというようなことの大変御心配をされておられる方がたくさんいらっしゃるんですけれども、これにつきまして林先生に御意見をいただけたらと思います。
#70
○公述人(林宜嗣君) 入院の給食費に限らず、私は福祉というのは非常にこういう悩ましい問題を抱えていると思います。
 これはどういうことかと申しますと、福祉というものがかつてのようないわゆる救貧対策的なものから一歩も二歩も踏み出して、かなり生活のニーズといいましょうか、そういうものに合った形の福祉サービスを供給しているというのが現状だろうと思います。そういう場合に、じゃ従来の救貧サービスと違っているとすれば、福祉を受けている方が本当に経済的な弱者かどうかということは、これは私は一律に経済的な弱者であるというようなことがもう言えなくなっているのではないかというように思うわけであります。
 したがいまして、税の問題で今議論をしておるわけでありますけれども、もう一つ重要なのは、私は行政サービスを受けたときにそれに対して一部自己負担をする、あるいは受益者負担といいましょうか、そういったようなものの役割というものが今後非常に重要になってくるだろうと思っております。したがいまして、一律に給食費を無料にするということは、これは経済的な力を無視した形でございますし、これを一律にしゃ有料にするということも経済的な能力を無視した形であります。
 したがいまして、私はやはり応能的な、能力に応じたいわゆる受益者負担、こういったようなものは今後の高齢化社会あるいは福祉社会を建設する上では避けて通れないものではないか、このように理解をしております。
#71
○西川潔君 ありがとうございました。
 現場ではいろいろな御質問をいただきまして、もう三十年近く私もそういう福祉の現場を回らせていただいているんですけれども、本当にお金持ちのお年寄りの方々と、本当に裕福でないというおじいさんやおばあさんもたくさんいらっしゃいます。このあたりのバランスをどういうふうにとればいいのか。ここへ来てああいうマル優の問題も見直さなければいけないというようなことも一つテーマになっているわけです。
 次に、石先生にお願いいたします。
 消費税が導入されまして早いものでもう六年たつわけですけれども、今回の税制改革審議の中でも消費税が定着したというような表現が多いわけです。初期のころを思い出しますと、魚屋さんやら八百屋さんやら、済みませんなあ細かいことでと、いやもう消費税といったら私よそへ買い物に行くわというようなことが随分報道されまして、百三円持って子供がアイスクリームを買いに行くなんというようなニュースもよく報道されておりましたが、今は納得をしたというのでしょうか、それともならされたといった方が適切ではないかということも思うわけです。
 今回、消費税率を引き上げるということになりまして、改めて今までの消費税は何に使われたのかな、今度また税率が上がる、一体これ上げて何に使うんだろう、そして我々にはどういう恩恵がといったいろんな声があります。そういうことを国会できよう聞いてきてもらいたいというまたお便りもたくさんございました。なかなか政府の方々にお伺いしても抽象的な部分もたくさんございますので、もっと本音でといいましょうか、庶民にわかりやすいような御説明を具体的にいただけたらと思うんですけれども、お願いします。
#72
○公述人(石弘光君) いや、教室で出る質問に比べますと圧倒的に難しい御質問をいただいております。
 私もよく生協であるとか主婦の方々の集まりにお招きいただきまして消費税の御説明に伺います。いっときに比べますと随分あきらめというのか、あるいは協力しようというムードかわかりませんが、それなりに受けとめられていると思います。一つは、私はやっぱり外税から内税にだんだん行ってきたところが大きな傾向だと思いますが、それはある意味でよくない、何かわけのわからないうちに納めさせられているので。家庭の主婦といろいろ議論いたしますと、行き先がわかって払うなら私も払う、それはもうやぶさかでないと。そう言ったときには目的税ですね。目的税でやるかどうか、この辺がこれから、今回三から五になるあたりで議論は余りなかったんですが、国民的な議論としてはあろうかと思います。
 ただ、福祉目的税というのは私は非常に難しいと思います。つまり、福祉の範囲がわからないんですよ。だからしたがって、福祉をどこまでこれで賄いますよというリンクが非常に難しいので、やはり私は地道にデイケアを含めまして介護という点が今後高齢化社会でどうしても個人の負担では及ばない、それに対してこういう税源を充てるんだということを間接的な結びつきではありますが示すということ以外に方法はないんじゃないかと思っております。
 そういう意味で、お答えになっていないと思いますが、福祉とのパッケージで消費税を引き上げるというのは今後続くと思います。これは西欧諸国はそういう意味で福祉国家を築いてきたわけでありますから、ここはもうこれ以外の説明はちょっと難しいんだと思います。
#73
○西川潔君 御迷惑をおかけして申しわけないような気持ちになるんですけれども。我々、私も二期目になるんですけれども、国会へ来ればもっと政治のことがよくわかるというふうに思っておったんですが、ここへ来て余計わからなくなったというのが正直なところでございます。
 我々は福祉のことばかりやらせていただいているんですが、先生が今おっしゃいました大変福祉の幅が広くなったということで、特に中間施設なんかを見ますともう本当に、訪問看護制度だとか介護支援センターだとか、いつでもどこでもだれでもと言われてもなかなかそれがわからなくて、病院からおうちまで、また老人ホームからおうちまで、この間にたくさんのものがあるわけですから、もう少し風通しをよくしていただいて、何が福祉かということがはっきりわかるようなことをしていただかないと、本当にお世話になる方々、利用する方々がほとんどわかっていないような状態ですので、これを本当に心配をしております。
 最後に、神野先生にお伺いしたいんですけれども、先生の日本経済新聞の「やさしい経済学」を読ませていただいているんですが、大変難しい経済学でございます。
 そこでお伺いいたします。今後地方分権といたしまして、それに見合う地方税の制度の見直しを進めていくためには、当面の課題といたしまして、お話も出ておりましたが、国の役割と地方の役割をはっきりさせることが必要ではないかと僕は思うわけですけれども、この点先生はどのようにお考えになっているかという御意見をお伺いして終わりにしたいと思います。
#74
○公述人(神野直彦君) おっしゃるとおりでありまして、国と地方の役割をまずはっきりして、そして税を考えていくというのが筋道ですね。
 実は、日本は苦い歴史がありまして、シャウプ勧告というのが最初に税金をつくって後で中央と地方の事務の配分をやりなさいと、こういうふうに言ってやっていったものですから、それがなかなかうまくいかなかったという苦い歴史を持っておりますので、今議員がおっしゃったように、どこを国がやりどの事務を地方がやるのかということをはっきり決めて税制改革も行うという必要があるだろうと思います。
 ただ、現在、私の資料でもお見せいたしましたけれども、地方は実際にはもうかなりの事務をやっているんですね。やっているんですが、どうもさまざまなコントロールといいますか指示が国から行われてしまって、実際の住民のニーズに応じた行政ができないという欠陥があります。その点ほどうしてかというと財布の自由がないからなんですね。家庭でも財布の自由がなければ実際に自由にやらせろといってもできないわけですから、財布の自由を地方政府に与えてあげるということが、今西川先生がおっしゃったような意味で福祉を充実させていく一つの道にもなるだろうというふうに考えています。
#75
○西川潔君 ありがとうございました。
#76
○委員長(西田吉宏君) 以上で公述人に対する質疑は終わりました。
 この際、一言お礼を申し上げます。
 公述人の皆様には、長時間にわたり有益な御意見をお述べをいただきましてまことにありがとうございました。心から厚くお礼を申し上げます。(拍手)
 午後一時から再開することとし、これにて休憩をいたします。
   午後零時四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
   〔地方行政委員長岩本久人君委員長席に着
   く〕
#77
○委員長(岩本久人君) ただいまから地方行政委員会、大蔵委員会連合審査会公聴会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、地方税法等の一部を改正する法律案、所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の施行等による租税収入の減少を補うための平成六年度から平成八年度までの公債の発行の特例等に関する法律案、所得税法及び消費税法の一部を改正する法律案及び平成七年分所得税の特別減税のための臨時措置法案の各案につきまして、公述人の方々からそれぞれ御意見を拝聴いたします。
 この際、公述人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様には、御多用中のところ御出席を賜りましてまことにありがとうございます。委員を代表いたしまして心から厚くお礼を申し上げます。
 本日は、忌揮のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にしてまいりたいと存じますので、どうかよろしくお願いいたします。
 次に、会議の進め方について申し上げます。
 まず、お一人十五分程度で御意見を順次お述べいただきまして、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 それでは、これより順次御意見を承ります。
 まず、和田公述人にお願いいたします。和田公述人。
#78
○公述人(和田八束君) 立教大学の和田でございます。
 税制改革につきまして意見を申し上げたいと思います。
 今回の税制改革は、景気対策としての減税の財源をどこに求めるかという問題と、税制調査会が主張しておりました直間比率の是正という課題が同時に取り上げられてきたものでありますし、さらには行財政改革の推進、あるいは福祉ビジョンの確立といったような課題が同時に論議されてきたように思います。
 このように多くの問題や課題が一度に取り上げられたということから、論議がいささか複雑になってしまった嫌いがございまして、そのために理念が不明確であるという批判であるとか、あるいは税制改革が非常に中途半端に終わったというふうな批判もあるわけであります。
 中身につきましては、改めて別にここで紹介いたしませんけれども、全体として出されました税制改革案につきまして、結論からいいますと、この改正は大枠として妥当なところではないかというふうに私は考えております。それは、景気対策としての減税が先行されたということが一つあります。それから、所得税負担の緩和がある程度なされたということであります。それから、それに伴って直間比率の是正もわずかではありますけれども行われたという結果が出ておりますし、それから福祉政策への配慮もなされているということであります。それから、地方財源に対する配慮がなされているということも指摘できますし、消費税の税率のアップというふうな問題につきましても、五%程度で抑制されたということも一応妥当なところであるというふうな内容になろうかと思います。
 しかしながら、税制のあるべき姿でありますとか将来の税制、財政のあり方といったような点になりますと、十分に示されなかったというところは大いに不満の残るところであります。
 税制は、やはり国民合意ということが非常に大事なところでありますが、国民の税に対する考え方といたしますと、増税に対してはかなり批判が出るわけであります。しかしながら、この意見の中身というものを見てみますと、使い道をはっきりしてくれとか、あるいは福祉の向上なら少しの増税は構わないというふうな意見でありますとか、あるいは政府が正しくむだがないように使ってくれというふうな附帯事項をつけることが非常に多いわけであります。しかし、この辺が非常に大事なところでありまして、やはり使い道を明確にする、福祉のビジョンを明確にする、政府のむだを省くというふうなことは非常に具体的に出されるということが大事でありまして、これが一つの理念というふうに言われているところだろうと思います。
 幸いに、今回の改正法案では附則等で見直し規定があるというふうなことでございますので、今後この一、二年をかけましてこういった点もひとつ見直しの対象にしていただければ大変よろしいというふうに思うわけであります。
 特に、今回の税制改革で出ていた問題といたしましては、高齢化社会における税負担のあり方という問題が大きく出ていたように思います。これから二十一世紀にかけて高齢人口が多くなり、若年層が少なくなるということに伴いまして、費用負担が世代間でアンバランスになるということは明らかであります。つまり、現役世代の税と社会保険料負担が次第に高まってくる一方で、高齢世代は年金制度のもとで現役と同等あるいはそれ以上の所得を確保し得るということになりまして、したがって現役世代の所得税負担を緩和しながら高齢世代にも消費税等での負担を求めていくという考え方はおおむね妥当なところだろうと思います。
 つまり、ライフサイクルの観点からの負担と新しい福祉財源として税制改革が位置づけられるものだろうと思います。しかし、この点が十分になお理解されていないというところは非常に残念なところだろうと思います。
 また、所得税率につきましては、最高税率を国税分について五〇%以下に下げるという考え方もありましたけれども、改正案では税率の幅を少し広げる等の措置をとりまして、五〇%の税率にとどめたということになっております。この点もほぼ妥当だろうというふうに判断いたします。
 我が国の所得税負担率は、先進諸外国に比べましてそれほど高いという実態ではありませんし、各所得階層の所得税負担率を見てみましても数%から十数%というところでありまして、税負担といたしましてはそれほど高い負担率であるというふうには思いませんので、今後とも所得税の持っている所得再分配効果等を考えますと、余り所得税を対象にして税率を引き下げる、減税を行うということは、長期的な税制としては好ましいことではないと思うわけであります。つまり、所得税の再分配機能というものを損ねるというふうなことがなるべく行われないことが望ましいわけであります。
 また、所得控除につきましては、各三万円程度の引き上げになっているわけでありますけれども、現状からいいますと、むしろ所得控除の種類を整理する等の措置は必要であるにしても、現行の課税最低限をそれほど引き上げるという必要性はないのではないかと思うわけであります。したがいまして、今回の所得税が景気対策としての減税と恒久減税とに分けて行われたという措置は、これもまあ妥当なところだろうというふうに思うわけであります。
 次に、消費税についてであります。我が国の消費税はヨーロッパの付加価値税に範をとったわけでありますけれども、かなり不完全な形で出発したという事情があるわけであります。つまり、この欠陥がいまだ十分に是正されていないということによって、益税問題でありますとか、それから逆進性というふうな問題が常に消費税をめぐっては議論がなされるということであります。
 消費税は、その導入以前には売上税という名前で提案されたこともあるわけでありますけれども、いずれにいたしましても、この性格といたしますと、前段階税額控除方式の売上税という性格を持っておりまして、つまり企業あるいは事業者が納税義務者であるところの前段階税額控除という仕組みを持った事業者売上税であるということであります。これが消費税という名前がつき、あたかも全面的に消費者に転嫁されるというふうな前提によって説明がなされたという事情が今日まで引き続いているために、例えば益税というふうな問題が出ますのも、これは仕組みそのものにも問題があるにいたしましても、消費税が全面的に消費者に転嫁するという仮説が前提になっているという、ここに問題があるように思うわけであります。
 したがいまして、早い機会に消費税が消費者税であるという仮説から脱却をいたしまして、本来のヨーロッパ型の付加価値税としての形を整備していく。例えば、インボイスの導入などもその一つの要件でありますけれども、こうした措置を早くとるということが必要になってくると思います。
 次に、消費税に関連をいたしまして注目されましたのは、地方消費税の創設であったというふうに思うわけであります。つまり、消費税の税率のうち一%を新たに地方税としたものであります。
 従来は、消費税収入の二〇%が消費譲与税になっていたわけでありますが、それでは地方の自主財源ではないということで、独立の地方税とすべきという要望が実現されたということで、その点では評価できるわけでありますし、今後の地方分権化の推進という観点から、地方財源の拡充に一つの前向きの措置であったというふうには言えるわけであります。
 しかしながら、幾つかの問題点がやはりあるというふうに言わざるを得ないわけであります。
 一つは、今も言いました前段階税額控除方式の売上税であるという性格をより進めなければならないというふうな立場からいいますと、地方消費税が消費と受益の関係に根拠を求めるとか、あるいは消費基準によって各県に配分するというふうなことになると、消費税がまさに消費者税であるという仮説がますます定着していくのではないか。つまり、消費税そのものの性格と、それから地方税としての消費税との矛盾といいますか、こうしたものがむしろ明らかになってきて、そこから納税者あるいは負担者の間で問題が出てくるのではないかという危惧を持つわけであります。
 それからもう一つは、事業税との関連でございまして、地方消費税はもともと事業税問題として議論がなされていたわけでありますけれども、今回の税制改革では事業税はそのままになっているという点で、これを一体どうするのか。一番すっきりするのは、事業税を廃止して、そして地方消費税を付加価値税として位置づけるということが最も明確になるわけでありますけれども、そうならなかったということは、今後この問題についての議論を残すことになるのではないかという危惧を持つわけであります。
 それからもう一つは、第三番目になりますけれども、地方税体系として現状ではかなり複雑な体系を持っているわけでありますけれども、その中で地方消費税をどう位置づけるのかという問題が必ずしも明確ではないということであります。地方税は、国、府県、市町村税の各税でかなりの重複がございますし、それから性格の必ずしも明らかでない税もその中にはありますし、各種取引税等の税、古いといいますか性格的には必ずしも明確でない税も大分残っておりまして、そうした税の重複でありますとか複雑性を是正するということが今後非常に重要になってくると思うわけであります。こうした課題をどうするのか。今後そうした問題については、事業税も含めて思い切った議論がなされるということが望ましいわけであります。
 それから最後に、自主課税権というふうなものが、これが地方分権、地方自治という点からいいますと重要なわけでありますけれども、今回の地方消費税では、この自主課税権という問題に明確な結論が出たというふうには思えないわけであります。むしろ、自主課税権ということからいいますと、小売売上税とかあるいはサービス税などを中心にして法定外普通税のような形で自主課税を行うという、その幅をもう少し広げる方が望ましいのではないか。そして地方税、それから法人税、所得税というふうな基幹税につきましては、もう少し明確な配分関係で、例えば共同税のような形をとるとかいうふうな方向が望ましいのではないかというふうに個人的には考えておりますが、いずれにせよ、そうした諸問題というものが不明確なまま残されているということは、今後議論の余地が十分にあるということだろうと思います。
 以上で終わらせていただきます。
#79
○委員長(岩本久人君) どうもありがとうございました。
 次に、松浦公述人にお願いいたします。松浦公述人。
#80
○公述人(松浦幸雄君) 高崎市長の松浦幸雄でございます。
 先生方におかれましては、日ごろより地方税財政に深い御理解をいただいていることに対し感謝を申し上げます。また、今回はこのような重要な場で発言の機会を与えられ、感謝いたしているところでございます。
 さて、昨年来継続されてきた税制改革の論議が結実し、成案が得られ、法案が国会で審議されていることは喜ばしいことでございます。
 今回の税制改革は、二十一世紀の高齢化社会の到来を控え、国税、地方税を通じ、所得、消費、資産等の間でバランスのとれた税体系を構築することで、高齢化社会を支える費用を社会全体で負担し合うようにする仕組みを構築していくことを主眼として行われたものと理解をしております。
 その意味で、個人住民税を含めた個人所得課税の軽減を行う一方、消費税の税率を引き上げるという選択肢は、ある意味で時代の要請に即応したものと考えており、国民もおおむね納得しているものと感じております。
 消費税については、これまで各方面から指摘を受けていたいわゆる益税問題について一定の制度の見直しか行われており、国民にとってより公正な税制として受けとめられるのではないかと考えております。いわゆる消費税の逆進性の問題については、これからの高齢化社会を皆で支えるという観点に立つとき、ある程度は覚悟しなければならないものと受けとめております。また、真に援助の必要な人については、歳出面の諸手当てもあることもあわせ考えるべきだと思います。すべての階層で満足がいく税制改革の困難さを考えるとき、税制に対応できない分野は、他の行政分野の手当てにより対応するのが適切な考え方ではないかと感じているところでございます。
 他方、今回の税制改革で特筆すべきは、地方税源の充実にも目を向けられたことでございます。
 従来、ともすれば税と言えば税制全体で議論されがちであり、それはそれで仕方がないといたしましても、その結果としてどうしても国税の論議が先行し、地方税は陰に隠れてしまううらみがありました。しかしながら、高齢化社会の到来は、すなわち地域社会の役割の増大だということであり、その意味するところは地域住民にとって最も身近な地方団体がこれまで以上に重要な役割を担うことになるということであります。
 そうした中で、時代の要請に沿うよう今回の消費課税の見直しの中で地方消費税の創設が提案されたことは、これからの地方団体の役割の増加に見合うようその税源を充実するという政治の強い意思のあらわれであり、大きな意義があると考えています。政府税調などの議論が賛否両論併記で結論の先送りであったのに対し、よく決断していただいたものと高く評価しております。
 私も、もともとは商工業の出身でありますが、地域経済活性化ということが大きな関心事である商工会、商工会議所などの地域経済団体からは、県や市町村と地域経済団体が一体となって地域経済の活性化に取り組むことができるように地方税制も改革していただきたいという話をよく聞いているところであります。
 地方消費税の創設は、これが消費に応じて税収が各県に帰属する提案だと伺っています。そうなると、各県で消費を盛んにするような努力が行政と商工団体一体として行われるようになるのではないかと想定されます。地方消費税創設により、買い物は地元商店街でというキャンペーンがより一層熱心に行われるようになると考えております。地元の商工団体からも、この観点から今回の地方消費税創設については評価できるという意見を聞いているところであります。
 また、地方団体の存立基盤は何といっても住民との結びつきであります。その結びつきのきわみは税を通しての結びつきです。地方団体がいわば使うだけの自治にとどまらず、みずからの収入はみずからの額に汗していただくということで住民と結びつくことが自治の存立基盤であると考えております。そうすることで住民のチェックがよりよく働き、地方団体としても自己規制を行うことになります。現在、行革の議論が盛んでございますけれども、身近なところでチェックが働きやすくなるという意味で地方分権こそが行革の本筋と考えます。その意味での地方税源の充実が今後とも不可欠であると考えております。
 ところで、地方団体にとっては、教育、福祉、生活基盤の整備などその遂行する仕事の性格上、より安定的な税収構造が望まれております。私どもの市にとっても法人住民税が市税の中に大きな地位を占めており、これは平成三年度以降大きく落ち込み、現時点では対三年度比で三分の二の税収規模に落ち込んでいます。他方、事業税を初めとした都道府県の法人関係税の割合は特に高く、かねてよりその不安定性が指摘されていたところであります。市としても県とともに仕事をすることが多く、パートナーの県が景気の動向で余りぶれの大きな行政を行うことでは市の行政運営にも影響が出てくると考えます。地方消費税の導入は、その意味でも都道府県の税収の安定化に寄与するものであり、私どもからしましても意義があるものと考えております。
 いずれにしても、私どもとしては、今回の税制改革は昨年六月に衆参両院でそれぞれ行われた全会一致の分権決議の趣旨を直ちに具体化していただいたものであるということで感謝をしているところであります。また、これは地方税制にとって本格的な間接税の導入を実現するものであり、市町村にもその二分の一が交付されることをあわせ考えると、県、市町村を通じてシャウプ税制以来の大きな地方税制改革ではないかと考えております。そして、当然のことながら、今回の税制改革が最終目的ではなく今後の地方分権の流れに沿った地方税制の見直し、地方税源のさらなる充実に向けての議論の第一歩になるであろうことを期待しております。
 地方分権に関しては、分権基本法が次期通常国会にも提出される動きもあると伺っております。分権論議は総論段階の論議はもはや終わりであり、これからは各論実施の段階であると考えております。ぜひそういった観点に立ってのさらなる地方税源充実の議論をお願いしたいと思っております。
 他方、個人住民税についてでありますが、はっきり申し上げて、これだけ市の財政が苦しい中での減税は厳しいものがあります。しかし、私どもの高崎市の経済状況を見ても景気はやっと下げどまりという状況であり、なお回復基調にあるとは言い切れないところであります。ましてや全体の日本経済の実情を考えた場合、当面の景気に配慮する観点から、個人住民税においても所得税と同様の措置を講ずることはやむを得ないと考えているところであります。ただし、減税先行に伴う地方債発行等については、その負担については後年度適切に措置していただくことが何としても必要であり、今回の地方財政措置はよく御配慮をいただいたものと受けとめております。
 ただ、今後の地方団体が担う福祉の充実の方向を考えるとき、私どもでもゴールドプランをつくってみましたが、現行の税制、財政措置だけで十分なものができるとは到底考えられません。福祉の分野でさらに重複給付などの是正による効率化を目指すべきであることは当然として、それでもなお高齢化と少子化の中で高齢化のコストを賄い得る税制をより抜本的に構築していく必要性を強く感じるところであります。改正案には見直し条項がありますが、今後さらなる幅広い検討をお願いしたいと考えております。
 なお、最後となりましたが、特別地方消費税についてその存廃の議論が出ていますが、この税については、平成元年度の抜本改革において課税対象とされている消費行為と個別の地方団体の行政サービスとの間に密接な対応関係があること等から、地方の自主財源として存続し、税負担の調整を図った上で消費税と併課することとされたものであり、都道府県にとって重要な税収となっているのみならず、市町村への交付金制度などもあり、温泉所在市町村にとっては大きな意味を持つものであります。
 私どもの群馬県でも、伊香保、草津、水上などの一大温泉地を抱えておりますが、大きな関心事項となっております。こうした点も踏まえるとき、何らかの代替税源の検討もなしに単に廃止という議論が行われるようなことについては、我々としても慎重な立場をとらざるを得ないところであり、今後地方税財政の立場も御賢察の上、地方消費税の実施時までに幅広い視点からよろしく御検討いただきたいと考えております。
 今回の税制改正について、法案審議の上速やかに御決議いただき、安定した地方税制の構築にも資することになるよう期待をいたしまして、私の発言とさせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#81
○委員長(岩本久人君) どうもありがとうございました。
 次に、関本公述人にお願いいたします。関本公述人。
#82
○公述人(関本秀治君) 私は、消費税をなくす全国の会の常任世話人をしております税理士の関本であります。
 本日は、税制改革関連法案を審議しておられる当連合審査会の公聴会に公述人として意見を述べる機会を与えていただき、深く感謝しております。
 私ども消費税をなくす会は、消費税が導入された翌年の一九九〇年六月に発足してほぼ四年半を経過しておりますが、消費税を廃止したいという願いを持つ人々で結成された個人加盟の全国的な運動体でございます。消費税廃止のために草の根からの運動を粘り強く続けてまいりましたが、現在、全国の各都道府県にくまなく会が結成され、さらに地域、職場、学園などにも続々と会が結成されつつあります。特に、村山内閣が公約違反の消費税増税を公表して以来、会員数は急速に増加しておりまして、現在、全国で四十六万人を超えまして百万人を目標に頑張っているところであります。
 このことは、消費税に反対する国民の願いがいかに切実であるかということの反映であると思います。現に、最近の新聞社やテレビ局のどの世論調査の結果をとってみましても、消費税廃止、消費税率の引き上げ反対の意見が七割から八割に達しております。これは公約違反に対する国民の怒りの強さと広がりの深さを示しているものと言えるものであります。
 本日の公聴会では、私は少数派のように見えますけれども、このような国民世論の実態を踏まえまして、圧倒的多数の国民の声を代表して今回の税制改革関連法案に反対の意見を申し上げるものであります。
 顧みますと、ちょうど五年前、本院におきまして消費税廃止関連法案が可決された国会におきまして、私は本院の税制特別委員会で意見を述べる機会を与えていただきました。八九年の参院選は消費税導入直後の最初の国政選挙でありました。当時はすべての野党の皆さんが消費税廃止を公約に掲げ、特に社会党はそれによって地すべり的な勝利をおさめまして参議院における与野党逆転が実現したのであります。この選挙の結果を受けまして、本院では消費税廃止法案が可決されたわけであります。私も消費税導入反対運動を続けてまいりました者の一人としまして、この決議に深く敬意を表している次第であります。
 あの八九年の参院選での消費税廃止の公約は、昨年の総選挙における公約と同様、現在もなお生き続けているわけであります。選挙公約を守るということは議会制民主主義の基本問題であり、政党や政治家の生命でもあります。有権者の一人としてこのことを強く訴えておきたいと思います。
 私どもを取り巻く条件はあの当時と基本的には変わっておりません。消費税の持つ反国民的な本質も全く変わっておりません。したがって、税制改革関連法案につきまして十分な御審議をいただいたならば、当然五年前の本院における決議と同一の結論に達するのが筋ではなかろうかと考える次第であります。
 次に、税制改革関連法案の内容について意見を申し述べさせていただきます。
 まず、消費税の税率の引き上げと仕組みの改定による増税でありますが、十月四日に発表されました九三年度決算ベースによる試算によりましても、増収は五兆九百四十億円。恒久的な制度減税は、所得税、住民税合計で三兆四千五百三十億円でありますから、恒久的な増税は九三年の税収規模で一兆六千四百十億円に達します。消費税増税が実施される九七年度以降になりますと、たとえその一部が福祉に回されたとしましても、この差し引き増税額は二兆円にも達する大増税となります。したがって、これは減税に名をかりた大増税法案であると言わざるを得ません。
 また、消費税率の引き上げにつきましては、九六年九月末までに見直しをすることになっております。地方消費税を含めて五%というのは仮の姿でありまして、九七年四月の実施時期に実際に何%に引き上げられるのかについては最終的に決定されているわけではございません。このような見直し条項をあらかじめ設けること自体、法安定性、予測可能性を求める租税法律主義の要請に反する憲法違反の疑いが強いものと言わなければなりません。消費税は、一たん税率引き上げに踏み出したならばとめどのない大増税路線を突き進む危険をはらんだものであるという点に注意を喚起しておきたいと思います。
 例えば、最近改定されました新公共投資十カ年計画で最低四%、アメリカの対日要求であります国際貢献財源で五%、減税財源、国債償還財源等で四%などなど、現行の三%にこれらを加えただけでも消費税率は軽く一五%を超えるわけであります。
 税率を一〇%台に乗せたいという財界や政界首脳の方々の発言も、このように検討してまいりますと決して根拠のないものではありません。単純計算で申しますと、消費税率一〇%で国民一人当たり消費税負担額は年二十万円、一五%ですと三十万円となります。夫婦子二人の標準的な世帯では年百二十万円の消費税負担、毎月十万円の消費税を負担させられるという計算になります。これはもう景気対策どころの話ではなく、国民経済、国民生活を根本から破壊するものであると言わざるを得ないのであります。
 第二に、減税の内容について申し上げます。
 大蔵省でも本委員会において増減税の試算を発表し、四人家族の平均的な給与所得者であれば、年収八百万円未満の世帯については消費税の増税が所得減税を上回ることを認めております。つまり、大蔵省の試算によりましても年収八百万円以上の世帯でないと減税の恩恵に浴することができないという内容であります。年収八百万円未満の給与所得者は、国税庁の最新の統計によりましても全給与所得者の八九・四%に達しております。その限りで申し上げましても、国民の一割程度の人たちに対する金持ち減税であると言えるわけであります。
 しかし、さらに重要なことは、さきに成立しました厚生年金保険法の改正によりまして社会保険料負担が大幅に増大することも考慮しなければならないという点であります。社会保険料の負担増は、所得課税の場合当然所得控除ということになりますので、現在の税負担と消費税増税後の税負担を比較する場合に、皮肉なことに減税額が大きく表示されるという結果になります。
 通常、国民負担率という場合には、税負担だけではなく社会保険料の負担も合わせたところで比較するのが常識であります。私も今回の税制改革案並びに厚生年金保険法の改正を考慮して、消費税を一%アップした場合の増減税の試算を行っております。そうしますと、税金だけの場合ですと確かに大蔵省の言うとおり年収八百万円以上のところで減税効果が出てくるわけでありますが、社会保険料の負担増を加味して比較してみますと、年収千二百万円以上でないと減税効果が出てまいりません。年収千二百万円以上の数は、割合で言いますと三%未満にすぎません。加えて、最高税率の適用所得金額を二千万円から一挙に三千万円に引き上げるということになりますので、今回の税制改革関連法案は、単に中堅所得階層の負担緩和になり得ないというだけではなく、まさに一握りの大金持ちのための減税であると言わざるを得ないものであります。
 第三に、消費税はあらゆる消費に一律に課税されるものでありますから、所得減税の恩恵に全くあずかれない低所得階層の方々、年金生活者などは消費税の負担だけが一方的に強要されることになります。老齢福祉年金受給者や寝たきり老人に対して一万円または三万円の一時金を支給したとしても、消費税の増税分をカバーすることは到底できるものではございません。消費税の増税は一生つきまどうものでございます。
 第四に、課税最低限について一言申し上げます。
 今回の改正で、基礎控除などの基本的諸控除は所得税で三万円、住民税で二万円ずつ引き上げられまして、夫婦子供二人の四人世帯で所得税で二百五万円、住民税で百七十三万円となります。税調答申では、日本の課税最低限は国際的にも最高の水準にある、このように申しておりまして、消費税の増税に見合う程度の調整でよいというふうに言っておりますけれども、今回の改正案はまさにそのとおりの内容となっております。しかし、この議論には大変なごまかしかあることを指摘しておきたいと思います。
 大蔵省は、我が国の課税最低限を基礎控除、配偶者控除、扶養控除などの基本的諸控除の合計額ではなく、給与所得控除や社会保険料控除をする前の給与の収入金額で比較しております。しかし、基本的諸控除だけで比較するのが本来の筋であります。また、国際比較をする場合は、異常円高のもとにおける為替レートによってではなく、購買力平価で比較すべきであります。そうすれば日本が二百五万円となるのに対して、フランス約四百四十万円、ドイツ約三百八十九万円、アメリカ約三百二十六万円などとなりまして、日本の課税最低限が国際的に見ましてもいかに低いかが明らかになるわけであります。したがって、基本的諸控除の引き上げによって課税最低限を大幅に引き上げることは依然として当面の最も重要な課題であると言わなければなりません。
 五番目に指摘しておきたいのは、消費税の中小事業者に対する特例措置の圧縮の問題であります。
 消費税は、たとえ中小事業者が消費税の転嫁ができない場合であっても売り値の中には消費税が含まれているという仕組みになっておりますので、簡易課税や限界控除の制度によって中小事業者の懐には益税が転がり込むという前提で宣伝がなされております。
 しかし、この議論は消費税の転嫁が完全に行われるという前提があって初めて成り立つものでありますけれども、中小企業の実態はそれほど甘いものではございません。そのことは、その経理を預かっている私ども税理士が一番よく知っております。長引く不況や親企業の下請たたきなどによりまして、中小事業者は消費税の転嫁ができないだけではなく次々と廃業や倒産に追い込まれているのが実情であります。保護、育成されるべきであります中小事業者が、制度の公平性の名のもとに加速度的に切り捨てられていくことになるであろうということは確実であります。したがって、中小事業者の特例の圧縮には絶対に同意できません。
 最後に、地方消費税の導入について一言述べさせていただきます。
 地方消費税につきましては、政府税調におきましてもこれまでたびたび議論されてきましたが、ついに結論を得るに至らず今後の検討課題とされていたものであります。新税の創設については、政府税調はもとより、広く国民的な議論を尽くした上で決定されるべきものであるにもかかわらず、全くその手続が踏まれておりません。
 内容的に見ましても、消費税を課税標準とするものでありますから、申告や徴税もすべて国が取り扱うこととなっております。その本質は地方譲与税以外の何物でもございません。本来の地方公共団体の自主財源とは到底言えないものであります。これは地方自治の本旨にも反するものでありますから、地方税法等の一部を改正する法律案についても強く反対するものであります。
 以上で公述を終わります。
#83
○委員長(岩本久人君) どうもありがとうございました。
 以上で公述人各位の御意見の陳述は終わりました。
 それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#84
○鎌田要人君 公述人の先生方に厚く御礼を申し上げます。私どもの審議の大変参考になる貴重な御意見を、貴重な時間をお使いいただいて御開陳をいただきましてありがとうございました。
 さて、私は、本日の公聴会における質問事項を専ら松浦市長さんに限りましてお伺いいたします。なお、関連しまして和田先生にもお教えをいただきたいと思います。
 まず、質問の第一点でございますが、我が国はおくれて資本主義国家として世界史に登場してまいりました。そのために中央集権的な政治、経済等の体制のもとでの運営を余儀なくされた、これはやはり厳然たる歴史的な事実だろうと思うわけでございます。ただ、そういうことで百二十年余りやってまいりましたが、そのかいありまして我が国は押しも押されぬ先進国として、今までアメリカなり西欧の歴史を学んでおったのがこれから歴史を創造していくべき日本国という輝かしい地位に到達したことを認めざるを得ないわけでございます。
 そういう中で、我が国におきましては、今後の大きな課題といたしまして国と地方との役割の分担を見直すという問題が出てまいっております。地方制度調査会におきましても、あるいは内閣に設けられました会議におきましても、国は専らその存立に必要な事務、あるいは国内の民間活動や地方自治に関連しまして全国的に統一されていることが望ましい基本ルールの制定、あるいは全国的な規模、視点に基づいて行われることが必要とされる施策、事業等、こういったものに限定をする。それで、地方におきましては、いわゆる民生安定等の内政の大部分の仕事を地方自治体が処理をすることが望ましいと、こういうことが総論的には国民の間にああそういうものかなということを含めまして合意ができつつあるように思います。
 その観点からいたしまして、またそれと関連いたしまして、国から地方に対する財源の充実ということもこれは当然のことながら必要となっておるわけでございますが、この間の事情につきまして松浦市長さん、どのようにお考えでございましょうか、まずお伺いをいたしたいのでございます。
#85
○公述人(松浦幸雄君) 鎌田先生の地方分権のお考えに心から御賛同を申し上げます。
 御意見のように、これから地域の実情に応じた個性ある町づくりを私どもはしていかなくちゃならないと思っております。そうした点で、肝に銘じてその点を努力してまいる所存でございます。
 そのためには先立つものは財源でございます。国と県そして市町村、それぞれの役割を明確にしていただいて、それに応じた税源配分をきちんとしていただくことが肝要であろうというふうに思うわけでございます。先生にはこの点十分御理解をいただいておりますが、今後ともよろしく御指導のほどをお願い申し上げたいと思います。
#86
○鎌田要人君 今次改正の目玉の一つは、地方消費税の創設であることはこれは明らかでございます。
 これまでも福祉行政は地方自治体が専ら主管してまいりました。そういうことで地方消費税の創設は当然のことという考え方もございます。ましてや、将来の福祉社会建設のための税制改革であるとうたい、地方分権の推進を図っていく上では必要不可欠の制度改革であるということを考えますというと、このことは当然のことだと思うわけでございます。ただ、この法文上、譲渡割の徴収を当分の間という限定つきながら国が消費税の徴収とあわせて行うこと、及び各県同士でせっかく徴収しましたこの徴収税額の清算をしなければならないことなどからその事務処理が複雑だと、こういうことを心配する声も聞こえてまいるわけでございます。この点につきまして和田先生の御意見をお伺いし、あわせまして松浦市長さんのお考えをお伺いいたしたいと思います。
#87
○公述人(和田八束君) 今お尋ねのありましたところが一番難しいところでございまして、私が先ほども公述の中で最後に何点か申し上げたわけですけれども、結局のところ、地方消費税なるものをどう認識するのか、いかなる税として把握するのかということになるのだろうと思うのです。
 地方消費税を税財源として地方財源の拡充という、こういう観点からいいますと、私は二十一世紀は明らかに地方分権の時代でありますし、その分権への流れというものが近年非常に具体化してきたということは心から喜んでいるわけなんです。その受け皿としての地方財源の拡充という点ではこの地方消費税というものを評価するわけなんですけれども、一体どういう税なのか。つまり、地方消費税というものは消費にかかってくるのだ、消費者が負担するんだと。消費というのは各地域に大体普遍的にある、そして、それは地方行財政と受益関係があるんだと。
 こういう一つのとらえ方というものがあるわけなんですけれども、そうではないとらえ方としては、先ほど言いましたように、もう一つ、地方消費税というのは名前が消費税となっているんでちょっとまずいんですけれども、やはり売上税であり事業者税である、こういうとらえ方もできるわけです。つまり、付加価値税であるというとらえ方もできるわけでありまして、また実際の転嫁、帰着関係というのも、事業者とそれから最終消費者とは、どの割合がわかりませんけれども分かち合っているということでありまして、全面的に消費者だけが負担するというふうなものではないということから考えますと、むしろ付加価値標準で、つまり配分するにいたしましても、県民所得でありますとかあるいはそういったような付加価値、そうしたものの方がむしろ将来にとったはいいんじゃないかという考え方が私としてはあるわけであります。
 つまり、二つの考え方が対立していまして、そこのところがまだ十分に決着がついてないのに、ある立場で消費税の徴収、配分ということを決めてしまうということは、ちょっと問題が残るんじゃないかという懸念をどうしても抱くということでございます。
#88
○公述人(松浦幸雄君) 大変御心配をいただいてありがとうございます。
 私どもとしては、それほどの負担とは思われない、余り心配はしておらないわけでございます。よろしくどうぞ。
#89
○鎌田要人君 今の和田先生の疑問としておられるところは、私も実によくわかります。ただ、税として、この税はやはり国税と地方税と分け合う税という形で、どういうふうにして無理なくやっていくかということに重点が置かれていると私は理解しております。
 それからもう一つ、和田先生のお話にありました付加価値税の問題、実は私は、事業税を付加価値税の方に持っていくべきだという考え方でおりますことを御参考までに申し上げておきたいと思います。
 次に、この「消費譲与税に代えて消費に広く負担を求める地方消費税を創設することにより地方税源の充実を図ることとしこというのが今度の税制改革の目的でございますが、これにつきまして、他面、消費譲与税によっても地方税源の充実が図れるじゃないかという意見があるのでございますが、この点について松浦さん、どうお考えでございましょうか、お伺いいたします。
#90
○公述人(松浦幸雄君) 地方消費税につきましては、私ども地方自治体としてはかねてから地方分権を強く叫んでいた関係もございます。この地方消費税の創設ということは、もうもろ手を挙げて賛成でありますし、皆様方の御理解に深く感謝をしているところでございます。ただ、消費譲与税につきましては、国からのこれは交付金であり、地方消費税というのは地方に帰属する独立税だというふうに私どもは認識をしております。
 そうした点で、地方消費税は消費譲与税とは異なるものだというふうに認識をしておりまして、大変うれしいことだというふうに思っております。
#91
○鎌田要人君 全く同感でございます。
 次にお伺いをいたしたいのでございますが、我が国の場合、何遍も申しますように、地方分権はまさに時代の趨勢として強く要請され、その方向で地方制度の改革を行うべきことが大方の世論でございますが、そのような議論の中で地方消費税の導入が行われるわけでございますので、まさしく時代の要請と考えられます。
 ただ、その中で、これも松浦公述人の御高見をお伺いしたいのでありますが、地方消費税の収入額から国に対して支払われるべき徴収取扱費を差し引いたネット収入額の二分の一相当額を市町村の収入とする措置が講ぜられておるのでございますが、この二分の一という額は多過ぎるか、少な過ぎるか、妥当な額が、その辺のところの御感触も松浦公述人にお伺いいたしたいのでございます。
#92
○公述人(松浦幸雄君) 地方消費税交付金の創設というものは、先ほどもお答え申し上げましたけれども、私ども市町村の立場を十分理解をしていただいたと深く感謝をしているわけでございます。
 ただ、今試算をさせていただいておりますけれども、住民税の減税分で地方消費税というものが創設されているわけでございますけれども、今減税額を見ますと、都道府県一に対して市町村四という割合で市町村の減税額が多くなっているわけでございまして、そういう点をぜひ御配慮いただいて今後御検討いただければと、そうしたことを考えております。ですから、二分の一必ずしも私は多いと思っておりません。もう少し私どもとしてはいただきたいというのが本音でございます。
#93
○鎌田要人君 最後に、個人住民税の問題でございますが、これも松浦さんにお伺いしたいのでございます。
 個人住民税の今度の改正の主眼点は、中堅所得者層を中心とします税負担の累増感を緩和するために所得割の税率適用区分についてそれぞれ改正を加えたわけでございますが、この場合、所得割の課税最低限、この問題がございます。
 先ほど関本公述人の、これは関本さんに対するお尋ねじゃございませんのでお答えは要りませんが、関本さんの御意見では、外国に比べて我が国の最低限は必ずしも高くないんだというお考えもございましたが、これは統計のとり方によるのだろうと思いますし、また、そのほかの事情も考えなきゃいけませんが、私どもは課税最低限はもはやかなり高額に達しているんじゃないかと思うのでございますが、この点についてどう考えられますか。私は、実は率直に申しまして課税最低限は今度はいじる必要がなかったんではなかろうかというところまで考えておるのでございますが、その点について率直な御意見をお伺いいたしたいと思います。
#94
○公述人(松浦幸雄君) 住民税の基本的な考え方として、住民の方々に広く薄く応分の御負担をいただく、そして市の行政に参画をしていただくのが一番望ましい姿だというふうに考えております。そのような観点に立ちますと、課税最低限についても生活保護基準等の考え方によることはやむを得ないと考えているのでございますけれども、できる限り住民税の基本の考え方に立って改正をしていただくという考えでございます。どうぞよろしくお願いします。
#95
○鎌田要人君 どうも失礼いたしました。
#96
○岩崎昭弥君 三人の公述の先生方、大変御苦労さまでございます。
 私は、社会党所属でございますので、まず最初に、午前のこの会でも指摘になりましたが、消費税のアップは社会党が参加しておる現内閣では公約違反じゃないかと、こういう御指摘がございました。
 そこで、実は御承知のように、現内閣は自民、社会、さきがけ三党の連立内閣でございます。しかもまだ、内閣は前政権からの政策をずっと継承しているわけでございますのでこれは当然でありますし、また消費税が創設されたころからいいますと、あれからバブルが起こりまして日本経済に大変な変化が起こりました。だから、税制というものは社会変化にも対応し得る税制というものが当然大事じゃないかというふうに思っているわけでございます。
 加えて、少子・高齢化社会の到来は御承知のとおりでございますし、また、今もお話がありましたように地方分権の時代に入ろうとしております。これは今、社会的といいますか政治、行政上の大きなテーマになりつつありまして、私どもぜひ実現をしたいという考えを持っているわけですが、こういう状況の中での今度の税制改革の中で消費税の見直しか行われました。
 これについて、和田先生と松浦市長さんに御感想を承りたいと思うんです。
#97
○公述人(和田八束君) 公約違反ではないかということは巷間非常に言われておりまして、そういう評価も十分に成り立つというふうに私も思っております。
 つい最近まで廃止あるいはアップは認めないということは非常に明確に出されていたわけでありますので、そういうふうに受け取られてもいたし方ありませんし、その前に、現在消費税に対しては非常な国民的アレルギーが強く残っておるわけでありますけれども、こういうアレルギーをつくり出し広げたのは社会党でありますので、社会党の責任というのはこれは非常に大きいと認めなければならないのではないかというふうに私は思っております。
 しかし、参議院の選挙、そして廃止法案の実現、それからその後の衆議院の総選挙、そこでの廃止法案の否決といいますか廃案といいますか、そうした一連の流れの中で政治的には既に決着のついた問題である。決着はついていながら決着がついた後けじめをきちんとしなかったということは、私は社会党はもう少し早くけじめをこの点についてはつけるべきであったというふうに思うわけであります。
 それからもう一つ、消費税につきましては成立するときに七つの懸念、九つの懸念というふうないろいろな懸念が出されましたけれども、一つ一つを見てみますと大体クリアしてそれほど懸念が出ていなくて、社会的、経済的にあるいは税制の上でももう定着をしたというふうに思っておりますので、その点も世間に向かって社会党は明確に出すべきであったというふうに思うわけでありまして、タイミングとしてちょっとおくれたというふうに思うわけであります。
 消費税については、今後の福祉社会を担うものとして、それからまた将来の税制のあり方として未来志向的に一つ新しい政策として打ち出すということが必要なのであって、どうもその辺のめり張りが私はいささか不足しているような感じがいたしますので、その辺をお願いしたいというふうに思います。
#98
○公述人(松浦幸雄君) 消費税につきましては、私も税調委員をやらせていただいております関係でこの四月から参画をさせていただいておりますけれども、その政府税調の中でももう既に私が入ったときには消費税は定着をしているんだという認識の上に立って今回の消費税の論議をさせていただいた経過がございます。
 そうしたことで、私どもとしてはそうした違和感は持っておりませんし、私どもの議会においても社会党の議員の皆様方は十分御理解をいただいて賛成をしていただいているところでございまして、私としては余り違和感を持っておりません。
#99
○岩崎昭弥君 次に、地方消費税についてお尋ねしたいと思うんですが、今度は新たに地方消費税が創設されるということになりそうであります。
 そこで、私もこれは歓迎すべきことだと思っておるんですが、実は府県税というのは大変安定性のない不安定な税制であるというふうに思うんです。これは、ついここへ来る前に自治省の資料をいただいたんですが、府県の法人関係税収の割合をちょっと見ますと、例えば昭和六十三年ですと四八・七%を占めています。それから、平成元年は五〇・七%を占めておるんですが、バブルのときの平成四年を見ますと四二%に落ち込んでおるわけです。
 これほど税収入が変わりますとどういうことが府県で起こっておるかといいますと、例えば私の出身県で言いますと、知事さんの性格にもよりますが、金のある間に十分金をためておいて、そして不況に備えるということがあるんです。ところが、そうすると必要なインフラ整備だとか社会資本の投資がおくれるわけですね。それがまた後々の県行政に影響を及ぼしてくるんです。
 そういうことがありますので、できるだけ普遍的な府県税というのが必要なのでございまして、そういう意味で私は今度の地方消費税というものを評価するんですが、これについて和田先生と松浦市長さんにお尋ねしたいと思うんです。
#100
○公述人(和田八束君) 今の、不安定性というのは事実でございます。特に、都市あるいは大都市財政におきましては大変保そういう変動が大きいわけですし、特にバブルのときとその役とを比較しますとかなりの変動があるわけであります。
 これをどういうふうに見てどういうふうに対策をとるかというのはいろいろありまして、一番大きな原因は事業税である、これは所得標準による事業税であるというところに問題があるわけでありまして、それを外形標準による事業税に改めるというのはそこから来ておりまして、それへのアプローチとして今回の地方消費税という一つの結論が出たわけでありますけれども、その性格の不十分さといいますか、あるいは問題性というのは私が先ほど申し上げたところであります。
 したがいまして、これで決着がついたということではなくて、なお所得課税としての事業税それから法人住民税という所得課税的なところが多いというのは今後も不安定要因を残すということであります。不安定であれば税が悪いのかといいますと必ずしもそうではなくて、これは伸長性といいますか増収性もあるわけでありますので、そのときに基金等を活用して財政運営でもってこれをならすという方策もあるわけでありますので、税制だけでこれを是正するというのも非常に難しいところもある、こういうふうに思います。
#101
○公述人(松浦幸雄君) 先生がよく御承知のとおり、地方分権が大きな政策課題となっております今日、地方税源の充実が必要であり、個人住民税が減税される場合にはその補てんは地方独立税源によるべきであり、また安定的でかつ全体としてバランスのよい税制を実現する観点から地方税源としての消費課税を導入していくことは、そうした意味で地方消費税というのは非常に私どもにとってもありがたい税であり、今後こうあるべきだというふうにかねてから思っておりましたので、賛成でございます。
#102
○岩崎昭弥君 次に、直接今度の税制には関係なかったんですが、将来問題になるかもしれませんのでお尋ねするんですが、市の段階で事業所税というのがあるんです。
 簡単に言いますと、これは昭和五十年にできた税制でございまして、人口が三十万以上の都市に一平米六百円の事業所税がかかるんですね。私の県でもかかるところとかからぬところとが歴然としておるわけですが、かかるところは中小企業が多くて、かからないところは大企業がいるんですね。それで大変な不平が出ておる。また、今は地方でも大変な工業団地、流通団地等ができているわけでございます。これを全国的に見てみますと、事業所税というのは、ある事業者が来る、そうするとそれなりに都市は一定の投資をさせられる、環境の整備もしなければならぬというようなことで創設された税だと思うんです。
 だから、これについては、いっそかけるなら全国的に課税したらいいじゃないか、あるいは都市で嫌だと言うなら選択制にしたらどうだ、こういう考え方を私は持っているんですが、あるいは廃止するかどっちかですね。三通りあると思うんですが、これに対してちょっと参考までに和田先生と松浦市長さんにお尋ねしたいと思うんです。
#103
○公述人(和田八束君) 事業所税なんですけれども、これはちょっと導入の年次は失念いたしましたが四十年代か四十年代の末ごろなんですが、もともと俗に追い出し税、こういう名前で提案をされました。つまり、大都市地域に工場、事業所が集まると過密になる、したがいまして過密になったところで事業所に外形で課税をすることによって出ていってもらおうということでありますので、先ほどおっしゃったように、工場とか何かがよそに行ったというのはこれはもう税としては成功しているということであります。
 したがいまして、その税の目的からいいますと三十万まで落としたというのはちょっと間違っているんで、せいぜい五十万ぐらいで非常な過密のところでかけて、そして過疎のところに出ていってもらうという、こういう政策的課税でありまして、それがちょっと緩和されて今日に至ってそれで目的税というふうなことになってしまっているわけなんです。だんだん税の最初の性格からすると逸脱したところがないわけではないので、私はもう一度その辺で見直して、できれば外形的事業税といいますか、こういうふうなものとして、そして都市課税ということで位置づけるというふうにして性格をその辺ですっきりさせた方がいいんじゃないかという感じを持っております。
#104
○公述人(松浦幸雄君) 私ども高崎市は人口二十四万でございますので、その税はございません。ただ、全国に約七十団体あるそうでございますが、市長会としてはそれに対応していないわけでございます。よろしくお願いいたします。
#105
○岩崎昭弥君 それでは、地方消費税にも反対だとおっしゃった関本公述人にお尋ねします。
 先ほど、府県段階の税収は法人税に依拠するところがほぼ四五%から五〇%の範囲内であると、こう言いましたですが、そういう不安定な税収要件のところがあるわけです。そういうところからいうと地方消費税というのは大変平準化されたものでありがたいわけですが、そういう観点からいうと関本公述人はどういう感想を持っていらっしゃいますか。
#106
○公述人(関本秀治君) お答えいたします。
 私は、地方税につきましても国税と同様、国税は応能原則、地方税は応益原則、これが一般に言われているところでありますけれども、原則として課税は負担の公平というのが大前提でございますから、あくまでも人税化して応能原則でいくのが筋ではないか、このように考えているわけです。
 ところが、地方消費税は、消費税の持つ性格をそのまま地方税に反映させるという点でまさに逆進性の強い税制でありますから、十分な議論なしに地方消費税をいきなり導入するということについては全く消費税に反対するのと同じ理由で反対せざるを得ない、こういうふうに申し上げているわけでございます。
#107
○岩崎昭弥君 時間でございますので終わりますが、三人の先生方、大変ありがとうございました。
#108
○直嶋正行君 どうも本日はお忙しい中、ありがとうございました。
 私の方からも、時間が限られておりますが、幾つか御質問させていただきたいと思います。
 まず最初に、和田公述人にお尋ねをしたいと思いますが、先ほど、今回の税制改正についてお話しになった中で、税の改正そのものは別にしまして、今後、税の使い道であるとかあるいは福祉ビジョンであるとか、行政のむだを除く、こういう点について具体的に検討すべきであると、こういうふうにおっしゃいました。
 その関連で、御承知のとおり、例えばアメリカのクリントン行革を見ますと、五カ年計画をつくりまして、五年間で歳出を二千四百十億ドル削減するとか連邦職員の一二%の二十五万人の削減に取り組むというような計画を出しておりますし、また、現在イギリスでも行革案を発表されまして、その中にも職員の削減等具体的な数値を掲げております。
 日本の場合、それと比較しますと、行政改革についていろいろとさまざまな角度から議論はされるのでありますが、残念ながらこれまでこういう具体的な、最近の言葉で言えば数値目標を出して取り組むことはできませんでした。私は、これは大いにアメリカやイギリスのやり方は参考になるんではないか、あるいは日本もこういう形で総合的計画をつくるべきではないか、このように思っているのでありますが、和田先生の御見解を賜りたいと思います。
#109
○公述人(和田八束君) まさにそういうことだろうと思います。
 最初にも申し上げたわけですけれども、税制についてはやはり国民的な議論というものができる基盤といいますか、こういうものがだんだんできてまいりまして、かつてのように一方的に税に対して犠牲を払うとか政府に取られるといいますか、こういうふうな意識ではなくて、必要なものは負担しましょう、有効な使い道ならば少々負担率が高くなっても構わないという、こういう理解の基盤というのはできてきたと思うんですね。
 それに対してどのように政府なり行政の方で対応してレスポンスしていくのかということが大変大事なわけであります。具体的にこれだけ削ったからそれはここへ使ったんだというふうなことでありますとか、予算につきましても従来のような非常に難しい形で示すというんじゃなくて、もう少し具体的にこういうところに使われているんだということがよくわかるような予算のあり方とか、それから、財政の実態にいたしましても本当に金がない、非常に大変だ、苦しいという実態もあるんですけれども、一方では必ずしもそうではなくて、財源的に余裕のあるところも、特別会計とかあるいは財政投融資とか財政全体から見ますとそういうところがあるわけで、実はよくわからない、専門家でもわからないわけでありますので、もう少しやっぱり国民に対してそういう情報を開示していくという努力が具体的には行われるべきであろうということを非常に強く感じます。
#110
○直嶋正行君 続きまして、松浦公述人にお伺いしたいのでありますが、今申し上げた行革の視点に立って、例えば今、地方分権が盛んに言われています。私は、地方分権は非常に重要なことで、市長おっしゃったとおり、基本的なところだというふうに思うわけでございますが、一つお伺いしたいのは、行政改革という視点に立ったときに、県と市町村の役割分担も含めて御見解が承れればと、このように思うわけでありますが、いかがでございましょうか。
#111
○公述人(松浦幸雄君) 大変難しい問題提起でございまして、私どもとしては市町村段階、いわゆる国民、市民に対して一番密接に結びついているのは我々市町村であるというふうに思っております。その中間に立っていろいろと御指導いただいているのが県でございまして、その関係については私どもは親と子の関係だ、兄弟のような関係だというふうに表現をしております。
 今の行革の問題につきましては、私ども税調の中でも、この消費税のパーセンテージのアップにつきましては初めに行革がなくちゃいけないんだということを、加藤会長を初め、強く国に、御当局に対して申し上げている関係もございます。そういう点で、行革があって初めて増税というものがあるべきだというふうな姿勢に立って今後も行政を進めてまいりたいというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
#112
○直嶋正行君 もう一点市長にお伺いしたいのであります。
 今行革のお話がございましたが、もう一つ、今回の税制改正の特徴は地方消費税が入って地方の財源に配慮した。私は地方の財源強化というのは今後必要なことだと、このように思っております。ただ、今回の税制改正そのものをバランスシート、国のレベルで見ますと、どうも私の見た感じでは、実際には財源的に見ますと、三・五兆円の所得減税、制度減税と、それからいわゆるつなぎ国債の償還と、この消費税の税率五%でほぼとんとんに近づくんじゃないかなと。
 一方で、今、例えば地方で老人保健福祉計画を策定されて、いわゆるゴールドプランに基づいておやりになっているわけでございますが、それ以降、構想としてございますニューゴールドプランとかあるいはエンゼルプラン構想、こういうものを考えますと、とてもこの税制改革の内容では乗り切れない。したがって、言葉は少しどうかと思いますが、構想自体が既に破綻を来したんじゃないか、そういう意味で言いますと。このように思っているわけであります。
 今後、特に福祉というのは地方どりわけ地域社会が中心になるわけでございますが、そういう福祉の面から見て今回の税制改正をどのようにごらんになりますか。
#113
○公述人(松浦幸雄君) 先生がおっしゃるとおりでございます。福祉の問題を一つ取り上げましても、今、新しいゴールドプラン、私どもの市におきましても十年間で二百五十九億円が新しい政策の中で必要だという計算がされておるわけでございまして、私ども地方自治体にとっては大変な負担になるわけでございます。
 そうした意味で、先生おっしゃるとおり三・五兆円、それに見合うものとして二%消費税をアップされて、一%が地方消費税だということでございますけれども、地方消費税そのものだけでは私はそれを埋め切れないものだというふうに思っております。私ども地方自治体にとりましても、平成十一年までのゴールドプランの実施、これは計画は立ったものの財源の面で非常に不安に思っているのが実情でございます。
#114
○直嶋正行君 今の議論も踏まえて和田先生にお尋ねしたいのでありますが、そういうことを行革の問題も含めて見ますと、どうもやはり今回の税制改正案は問題を少し先送りしてとりあえず増減税のバランスをとった、こういうふうに見えてしょうがないわけでございます。そういう視点について御意見をお伺いしたいということが一点。
 先ほどのお話の中で、今後の所得税について、これは税の話でございますが、その中で、いわゆる所得控除等を整理する必要があるというふうにお触れになりました。あわせまして、現在例えば納審制の導入を含めて総合課税化ということがかなり論議されております。ただ、この総合課税化に関しては、一方では、例えば利子とか配当所得というのは既に一度所得段階で税を払っているので今の分離課税でいいのだ、こういう御意見もあるようでございますが、この点について和田先生はどのような見解をお持ちでございましょうか。
#115
○公述人(和田八束君) かなり中長期的な課題といいますか問題というふうなこともお尋ねのようでございまして、中長期的にはちょっともう私も具体的に申し上げる時間も余りないわけでありますけれども、福祉ビジョンとか将来の国民負担率とか、それから例えば直間比率というふうなことも含めた税の基本的なあり方とか、そういうことは今後も十分に議論をすべきものであって、今回税制改革とはいうんですけれども、前回の改革の続きなのか、あるいは今後への改革の第一歩なのか、その辺が必ずしも明確ではないので、むしろ将来に向けての問題というのが大いに残されているんではないかというふうに思います。
 そういう点からいいますと、国民負担率も二十一世紀を踏まえて見ますともう少し高まらざるを得ないということはもう明らかなことでありますし、税、財政ともにこれでもう何か決着がついたとか、これでもう長期にわたっていけるんだというそこまでのあれではなくて、まあワンポイントじゃないか、こういうふうな感じを持っております。
 それからもう一つの、分離課税か総合課税かということでありますけれども、分離課税につきましてはこれはかなり技術的に言われているのでありまして、利子課税不要論というのは、むしろ学問的には支出税のような立場で言われているんじゃないかと思います。徴税技術論的には分離課税の方が水平的公平としてはいいんじゃないかと思うんですけれども、ただ、やはり所得税全体のあり方として国民世論等も考えてみますと総合課税というものを抜きに考えられない。総合課税というものを前提にすればある種の納審制というものも考えざるを得ないということでありまして、やはり方向としては総合課税化が大方国民的支持を得るところではないかというふうに判断いたします。
#116
○直嶋正行君 時間の関係で関本公述人に御質問できませんでしたことをおわび申し上げまして、終わります。
#117
○牛嶋正君 私は公明党・国民会議の牛島正でございます。
 時間が十分と限られておりますので、三人の公述人の方に一問ずつ、私本当に聞きたい点がございますので、最初に質問をさせていただきまして、もし時間が残りましたら、後でまた追加質問させていただきたいと思います。
 和田先生には、先ほど、今回の税制改革はおおむね妥当だという評価をいただいているわけですけれども、その説明の中で、今回の税制改革は非常に複雑なしかも複数の課題を背負っての改革であったと、その点を考えればおおむね妥当だというお話でございました。しかし一方で、その課題が余りに複数で複雑であるためにちょっと理念があいまいになっているという御指摘もございました。私もその点、そんなことを感じておりますが、二十一世紀の福祉社会にふさわしい税制というふうに中長期的に税制のあり方というものを考える場合には、やっぱりきちっとした理念が必要ではないかというふうに思うわけです。
 ですから、今回の税制改革、具体的な改革案を見ましても、それじゃ二十一世紀の福祉社会においてどんな税制が確立されるのかと、もう一つ納税者にはっきりしない点があると思うんです。何となくわかっているのは、これからふえていく負担を消費税税率の引き上げで賄っていくということだろうと思うんです。しかし、先ほどのお話の中で御指摘になっておりましたように、やはり所得税が持っている所得再分配効果、これも非常に有用であります。特に、高齢社会がお互いに助け合わなければならない社会ということになりますと、公平の原則というものも守っていかなければなりません。
 そこで、和田先生のお考えをお聞きするわけですけれども、二十一世紀の福祉社会における所得税の税制における位置づけ、それをどんなふうに考えておられるのか。そしてまた、そこでの累進度をどういうふうにお考えになっているのか。もしお考えがあればお答えいただきたいと思います。
 それから、松浦市長に対しましては、先ほど、高齢化が進むに従って福祉の面で地域社会が果たさなければならない役割は増大する、したがって地方自治体も財源の強化が必要であると。それから考えると今回の地方消費税の導入は第一歩として評価できるんだというお話でした。この考え方は大体納税者全体のコンセンサスを得ているんじゃないかというふうに思うわけです。
 しかし、もう少し具体的にこれからの地方税体系のあり方というふうなことを考えていきますと、福祉の面で地域の役割が増大するといいますけれども、もう少し具体的にどういうような面で増大していくのか。それからまた、地域全体でその役割を担うとしても、よく言われますように自助、互助、公助というのがございます。やはり受益者負担も考えなければなりませんし、また、ボランティア活動というふうなものも取り入れていかなければならないと思うんですけれども、先ほども御説明がありましたように、ことし三月に地方版のゴールドプランをおつくりになりました。その計画の内容をちょっとお示しいただきながら、今私が申しましたこれからの自助それから互助、公助のあり方、もしお考えがありましたらお答えいただきたいと思います。
 それからもう一点、関本さんでございますけれども、先ほどもお話がありました公約違反のお話が出ますと、首相は、もう導入してから丸五年たって、大体もう定着したというふうな感じを持っていると、消費税でございますが。定着という言葉、そのニュアンスの中には大体納税者のコンセンサスを得ているというふうなニュアンスもあるわけです。ところが、御指摘のようにいろいろなアンケート調査を見ますと、まだかなり強い反対の意見もあるわけですね。こういった数字におけるギャップでありますけれども、これをどういうふうに関本さんは説明されようとなさっているのか、その点をお聞きしたいと思います。
#118
○公述人(和田八束君) 所得税に関するお話なんですけれども、所得税は今後ともやはり税制の中心といいますか、基軸、中軸に据えるということはどうしても必要でありますし、その持っている所得再分配といいますか、公平に対する役割というようなものは非常に重視されるべきであるということであります。
 その中での累進性、累進度ということでなお申し上げますと、所得税の税収に占める割合というのは、日本は非常に直接税比率が高いというふうに言われていますけれども、それは主として法人税が影響しておりまして、所得税だけですとヨーロッパに比べてそれほど高いというわけではないわけであります。また、個人所得税のGDPに占める割合というふうなものを見てみますと、先進諸国に比べますと相当低い、なお低いという状態でありますので、そういう数量的な点も含めまして、今後所得税の位置づけというのはもうちょっと高まるといいますか、こういうことであってもいいんじゃないかと思います。
 ただ、累進度ということになりますと、現在の所得税の累進度を見る場合になかなかこれは難しいところがありまして、主として給与所得者の所得階級別の累進度というふうな数字があるわけでありますけれども、はっきり言って給与所得者で一億円とか二億円とかいう給与所得を得ている人は、ないとは言えませんけれどもほとんどいないだろう。そういうところを見て高いとか低いとかというふうなのは余り現実的ではありませんので、せいぜい給与収入で言いますと二千万円ぐらいのところでの累進カーブといいますか、こういうふうなものをどういうふうにとらえるのか、余り高くする必要はないんじゃないかという感じがいたします。ですから、この税率は住民税を含めて考えて、今後もう少しマイルドにしてもいいんじゃないかというふうに感じます。そして、高所得部分につきましては資産課税をもう少し強化することでこれを補完するということで、シャウプ勧告もそういう考えを持っていましたけれども、そういうのは一つのヒントになり得るのではないかというふうに思います。
 それから、累進度を規定するものといたしましては課税最低限といいますか所得控除、これも作用するんですが、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、所得控除が現在いろいろ非常に複雑になっておりまして、それで配偶者特別控除、こういうふうなもののあるなしによっても大分異なってまいりますし、それから今後社会保険料が上がってきますと、これはやはり所得控除を形成するわけでありますので、そうしてみますと各個人によってみんなその累進度が変わってくるということも一つの現実であります。
 私は、課税最低限というのはレベルとして今のところそれほど引き上げる必要はないんじゃないかと思いますけれども、種類が多過ぎるという複雑な点はもうちょっと整理して、そして課税最低限は従来最低生活というふうな面が強かったんですけれども、むしろ累進度との関係で見直していく必要があるんじゃないかというふうに思います。
 済みません、ちょっと長くなりました。
#119
○公述人(松浦幸雄君) 先ほどお答え申し上げましたけれども、この新ゴールドプランにおきましては、私どもの市といたしましては十年間に二百五十八億六千三十九万九千円という予算を立てております。その中でどんな事業をやるかということでございますけれども、デイサービスセンター事業、デイサービス事業、ショートステイ事業、在宅介護支援事業、特別養護老人ホーム、ケアハウス、ホームヘルプ、入浴サービスとございます。そのほか、生きがい対策といたしまして高齢者社会の参加促進事業ですとか長寿会事業ですとか、それからシルバー人材センター運営事業、そういうことを考えているわけでございます。
 ただ、急速に進むこの高齢化社会に対応するためには国民負担の増加は避けられない問題だろうというふうに私は思っております。既に多額の借金を抱えた我が国の財政体質を改善するためにも、増税は避けて通れない問題ではないかなというふうに思っております。ただ、私どもはそれを補うのに、先生おっしゃったように、自助またボランティア事業、特にボランティアの問題については今後一生懸命頑張ってまいりたいというふうに思っております。
#120
○公述人(関本秀治君) 簡単にお答えさせていただきたいと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、ほとんどの世論調査におきまして消費税増税反対、消費税廃止という意見が、これはもう少ないものでも六十数%、多いものですと九〇%台の方が反対という意見を表明しておられます。
 私どもの消費税をなくす会でも、もう最近、この村山内閣になってから公約違反の消費税ということで、これを公表された以後、急速に会が拡大している、これはまさに公約違反に対する怒りのあらわれではないかなというふうに思います。
 公明党さんもこの前の選挙では確かに消費税のアップはしないというふうに約束されておられますので、現在野党でおられますけれども、そういう方向で公約をぜひ守っていただきたい。
 それからもう一つ、蛇足でございますけれども、実は最近のマスコミがこの問題をほとんど取り上げてくれない。例えば、十一月十三日に代々木公園で十万人の大集会がありました。これは消費税廃止一つだけではありませんけれども、この十万人集会が全く報道されない、こういう異常なマスコミの状態がございます。これは何とも私どもの力ではいたしょうがないんですけれども、こういう不公正な報道が行われていると国民世論が正しく形成されないんではないかということを強く訴えたいというふうに思います。
 それから、それと引きかえに、政府は、つい最近ですが、税制改革、まだ法案が審議中なのに、こうなりますよという宣伝を全紙を使ってされている。しかも、高齢化社会になって今は五人に一人だけれども、二人で一人の老人を養わなくちゃならないというような宣伝もされております。これも実際に就労者数と人口の割合を見ますと、高齢化のピークでも一対二で変わらないというような実情がございますので、この辺は高齢化社会、十分に支えていけるということを私どもは宣伝しているわけです。そういう問題がマスコミでは取り上げられないために誤って定着したというようなことが言われておりますけれども、決して定着はしておらないということを強く申し上げたいというふうに思います。
#121
○牛嶋正君 どうもありがとうございました。
#122
○有働正治君 本日はどうもありがとうございます。
 関本公述人は、消費税法案に対しまして唯一反対の立場から公述なされました。国民多数の方々の声の代弁だと私は受けとめました。国民多数の声と政党配置、国会の議席配置に大きなギャップがあるということを痛感せざるを得ないわけであります。
 幾つかお尋ねします。
 先ほどの公述の中で、見直し条項にかんがみまして、一たん消費税が引き上げになればとめどもない増税路線に突き進む危険がはらんでいるということを挙げられ、幾つかの要素を挙げられまして一五%ほどにならざるを得ないということを述べられたわけであります。なぜそうなるのか、その論拠を含めまして具体的にお述べいただければと、関本公述人にお願いいたします。
#123
○公述人(関本秀治君) お答えいたします。
 消費税が最終的に一五%ぐらいまで引き上げられる危険性があるのではないかということは、これまで報道されております幾つかの点から言えるのではないかというふうに思っております。
 一つは、最近見直しがされました公共投資新十カ年計画というのがあります。これは総額六百二十兆円ということになっておりますけれども、かつて対米公約がされました四百三十兆円のころに、東海銀行がこの計画を実施するためには消費税率を、いろんな財源がありますけれども、消費税率を最低四%は引き上げなければならない、こういう試算を発表しておられます。今回の六百三十兆円について何%程度の引き上げが必要かということについては、まだ試算がありませんので、私はとりあえず四%という数字を使わせていただきます。
 それから、これはもう前々からのアメリカの対日要求になっているんですけれども、日本の国際貢献として、これは軍事費とODAを指しているわけでありますけれども、NATO並みの国民総生産、最近は国内総生産が使われているようでありますけれども、三%ないし四%ということを要求しております。現在の軍事費とODA、防衛費でありますが、防衛費とODAの合計が約五兆七千億であります。GNPを四百七十兆円程度と考えましてその三%、一番低い方の三%で計算しましても十四兆一千億円を超える数字になります。ここから五兆七千億円を差し引きますと、まだ不足額は八兆四千五百億円にも達する。
 これを実現するためには、消費税の税収のうち、国庫に入るのは一%当たり二兆五千億ぐらいになりますけれども、今回の改正案で二九・五%が地方交付税交付金会計に繰り入れられますので、国庫収入は七〇・五%になると思います。そうしますと、一兆七千七百億円程度が国庫収入になるわけであります。これで八兆円の財源を調達しようとしますと、これは約五%の引き上げが必要である。対米公約を忠実に実行していこうということになりますと、そういうことが問題になってくるわけであります。現在の国民総生産あるいは国内総生産の数字についてはちょっと速報値に基づいておりますので必ずしも正確でないかもしれませんけれども、そういう数字が出てまいります。
 さらに、今回は二%と出ておりますけれども、これが見直し条項で九七年にどうなるかということは私はにわかにお答えできませんが、公債の償還財源、今国債残高が二百兆を超えようとしておりますけれども、減税財源だけで二%、さらに国債の償還財源を考えますとこれも四%ぐらいは必要であろう、これに現行の三%を加えますと軽く一五%を超えると、こういうことになるだろうと思います。
#124
○有働正治君 同じく関本公述人にお尋ねします。
 先ほど、今回の減税が一握りの大金持ちのための減税である旨述べられました。その論拠として最高税率の適用所得金額の大幅引き上げ等々を挙げられたわけでありますが、そういう金持ち減税の問題についてもう少しお述べいただければと思います。
#125
○公述人(関本秀治君) お答えいたします。
 私、増減税の試算をしますときに、国税庁統計年報書を参考としまして所得階層別の納税者数を実は調べてみたわけでございます。大蔵省の言われるように、増減税の分岐点が八百万円である、八百万円を超えると減税効果が出てくる、こういうお話でございましたので、八百万円未満の人の数がどのくらいあるかということをこの年報書から計算しますと、八九・四%が八百万円未満の所得の人たちである。こういうことですから、それだけでも一割の人のための減税だと、こういうことが言えるわけであります。
 私は、先ほど申し上げましたように、厚生年金保険法の改正に伴う負担増を加味したところで増減税の分岐点を試算してみましたら、これは何と年収千二百万円でないと減税効果は出てこない。この数字はさらに上がっていくだろうと思います。例えば、税率一%上がるとさらに上がるとか、それから厚生年金保険料も当然上がってまいりますのでさらに上がっていくと思いますけれども、そういうことになります。
 そういうことで、特に最高税率、これを二千万円から三千万円に一挙に五〇%も引き上げられております。そうしますと、所得金額三千万を超える人はどのくらいいるだろうということで計算しましたら、納税者総数の推計は五千三百八十万人ほどになりますけれども、このうち三千万を超える所得を有する人の数はわずか十二万九千八百六十六人という数字が国税庁の統計では出ております。これは全納税者に対する〇・二%足らずの数字であります。
#126
○有働正治君 引き続き関本公述人にお尋ねします。
 政府は、減税額等の財源は消費税率引き上げにしかないということで今回の法改正を求めているわけでありますが、国民が納得いかない点がこの点であります。財源として、そのほか政府として手をつけるべき点があるじゃないかということが言われるわけです。この点で、国民本位の手だてをとれば財源対策はないのかどうか、財源対策について一点。
 ついでにもう一点。先ほど鎌田委員が関本公述人の発言に対して課税最低限が国際的に日本は遜色がないという趣旨のことを述べられたわけでありますが、関本公述人、反論権がありませんでした。
 そこで、関本公述人が述べられました国際比較、これはどういうことで比較なされて、なぜそういうのが正確だと考えられるのか、その点もあわせお述べいただければと思います。
#127
○公述人(関本秀治君) お答えいたします。
 ここに、不公平な税制をただす会という会がございまして、これは代表は日大の北野弘久教授でありますけれども、ついせんだって村山首相にじきじきお目にかかりまして文書を提出しました。これは八月三十一日付になっておりますが、「「消費税率引き上げによらない財源確保」についての要望書」という文書でございます。これはもちろん村山総理、十分御存じのはずでございます。これに不公平税制是正による増収試算というのがございまして、現在あります不公平税制と目されるものを、これは一挙に廃止したならばという前提でありますけれども、とりあえず二十三兆六千五百三十一億円が調達できる、こういう試算があります。これを一緒に提出してございます。
 それから、これは一時の収入ということになりますが、毎年新たに発生するものとして計算すれば、国税で毎年四兆二千三百一億円、地方税で一兆九千二十九億円、合計すると六兆円以上の税収が毎年確保できるわけであります。したがいまして、減税財源としてもこれは十分な額であり、なおかつ財源としては歳出の見直し、例えば公共投資の単価の適正化、あるいは世界的な軍縮傾向の中で我が国だけが軍事費が増大しているわけですけれども、これを抑制して、例えば正面装備を廃止しただけでも、新規の購入をやめただけでも二兆円の財源は出てきますし、公共投資の単価の適正化等でも四兆円以上の財源が出てくるであろうというふうなことが言えるわけであります。
 以上、財源問題について私どもは決して不安を持っておりません。
#128
○有働正治君 国際比較について簡単に、時間がございませんので。
#129
○公述人(関本秀治君) 国際比較につきましては、税調に大蔵省から資料が出ておりまして、それによりますと日本が世界一高いことになっております。これは、高崎市長さんがここにいらっしゃいますので十分御存じだと思いますけれども、日本が三百二十七万七千円、アメリカ百七十一万、イギリス八十二万、ドイツ二百五十万、フランス二百五十八万というふうに言われておりますが、これは注意書きを見ますと一ドル百六円、一ポンド百五十九円、一マルク六十三円、一フラン十八円、こういう為替レートで換算されておりますけれども、実際の国内における課税最低限というのは購買力平価で換算すべきであるということでありまして、私は購買力平価を経企庁の発表したレートに基づきまして計算しましたら、先ほど申し上げましたように、先進五カ国でありますけれども、日本はイギリスに次いで世界で二番目に低い国であるということでございますので、課税最低限の引き上げこそ税制改革の最も緊急な課題ではないか、このように考えるわけであります。
#130
○有働正治君 どうもありがとうございました。
#131
○西川潔君 どうも公述人の皆さん、本日は御苦労さまでございます。よろしくお願いいたします。
 まず、和田先生にお伺いしたいんですけれども、私は、消費税につきましてはその使い道をはっきりさせて、高齢化社会における福祉政策のために使うという福祉目的税の姿が望ましいのではないかなと、いろいろ福祉の勉強をさせていただきましてそういうふうに考える一人であります。硬直化の問題、いざそうなれば本当に難しい問題がたくさんあるんですけれども、この福祉目的税につきまして先生のお考えを一言お伺いしたいと思います。
#132
○公述人(和田八束君) いろいろ目的税ということについては議論があると思うんですね。それで、現在でも道路目的税というのがありまして、今までの道路政策という点からいうとそれなりの役割を果たしたと思うんですけれども、実際には硬直化ということが言えると思うんですね。
 ですから、そういう危惧が一つと、それから福祉というのはその範囲がどれぐらいか、どこまでが福祉なのか。道路と違いますから、年金もあるし保険もあるし医療もあるし、それから介護とか教育、文化も含めれば福祉というのはかなり広がっていくわけですので、どこまでを目的にするかというここの決め方が難しいと思うんですね。
 私は、硬直化というのはそれほど心配することでなくて、福祉がふえれば税金も上がるというんですけれども、別に目的税にしなくても財政需要が高まれば税金も上げていかなきゃならぬという因果関係あるわけですから、それは余り心配ないと思うんです。しかし、その範囲をどうするのか、どのような目的に使うのかというところが一つの問題点だろうと思うんですね。
 それで、一番狭く考えれば国民年金だろうと思うんです。国民年金にこれを充当するというのは非常にリーズナブルというか、説得的な考え方だと思うんです。ただ、年金全体にしますと、先ほども言いました所得控除の方に今度ははね返っできますので、余り税金で取ってしまうと今度は税金が上がるというちょっと矛盾した問題になってきますので、せめて国民年金の国庫負担というあたりだったら考えられるのかなというふうに思っております。
 ですから、国民が納得し得るという点からいいましても、ある程度今の年金制度というものを前向きに設計していくということからいいましても、そういう問題に限って消費税のある一部をそちらに特定財源として投入するということは容易に考えられるというふうに思います。
#133
○西川潔君 せんだっても総理大臣と大蔵大臣と、そして自治大臣にも今の御質問をさせていただいたんですけれども、なかなか難しいのではないかと。なるべく目的税にということではなしに目的税化というような傾向にしていただけませんかと、そして地域の町の中に病院が、そしてまた新しく学校、老人ホームが、また中間施設がたくさんできて、そしてまた将来老後の生活が安心して目に見える、視角に入るという意味での目的税化というふうにしていただけたらというお話もさせていただいたんです。
 次は、市長様にお伺いしたいと思うんですけれども、高崎市が策定されました老人保健福祉計画、今後実施されていく上で問題点はやっぱり財政面ではないかな、こういうふうに思うわけでございます。財政面、そしてまた市長様といたしましてのお立場から地方分権について、先ほども少しお話が出ておりましたが、簡単で結構ですのでお伺いしたいと思います。
#134
○公述人(松浦幸雄君) 地方分権につきましては何回も今申し上げているとおりでございまして、ぜひこれは実現をしていただかなくちゃならない問題であるというふうに思っております。
 また、福祉の問題でございますけれども、いろいろとやることがたくさんございます。ただ、今私どもは寝たきりをゼロにする寝たきりゼロ作戦ということで一生懸命取り組んでいるわけでございまして、寝たきりになった場合は今度はそれをどうするかというような問題もあるわけでございますけれども、そうした福祉の面、税というのはそれを補う貴重な財源でございますので、今後もぜひよろしくお願い申し上げたいと思っております。
#135
○西川潔君 ありがとうございました。
 寝たきり老人ゼロ作戦と、私は講演で福祉のお話をということでよく声をかけていただくんですが、市長様とはまた反対に起きたきり老人をふやそうというお話を随分させていただくんです。行き着く先は同じことなんですけれども、本当に死はだれにでも訪れてまいりますし、老後不安な生活が一番不幸せではないかな、こういうふうに考える次第です。
 そこで、関本様にお伺いしたいんですけれども、大反対、反対であった消費税が三%になりまして、そして今度は五パーになろうかという段階に来ておるわけです。僕は素朴な疑問ですが、現時点で消費税を廃止するためにどういった手順を関本様は考えておられるのか。そして今、市長様にもいろいろお話をお伺いしましたし、和田先生にもお話をお伺いいたしまして、そういう我々、僕らも団塊の世代で大変老後が不安でございますが、ひとつ安心のできるような、そしてまた廃止になるという過程であればどういう手順があるのかということをわかりやすく、五分とってありますので御説明をいただきたいと思います。
#136
○公述人(関本秀治君) お答えさせていただきたいと思います。
 五分いただけるそうでございますので、じっくりとお話し申し上げたいと思いますけれども、私ども消費税を廃止するという要望の中には当然不公平な税制をなくして増収を図るということを第一に考えております。
 一つの例を挙げますと、先ほどもちょっとお話に出てまいりましたけれども、利子配当の分離課税というのがございます。これはマル優廃止のときに実は抱き合わせで一律二〇%の分離課税ということになったわけです、利子課税については。あれは従来は分離課税は三五%だったんです。これでも安いんです。最高税率は当時七五%ございましたので大変安くなっているんですけれども、それもつまり、お金持ちの利子の源泉も三五%から二〇%に下げて、私ども勤労者の利子についても分離課税で二〇%は今までマル優がありましたからかからなかったものについて二〇%取る、こういう抱き合わせで、まず中曽根内閣のときに税制改革がされました。
 それから、税制改革論議でよくされておりますのは、前回、前々回の税制改革もあわせたところで中堅所得者層の負担軽減になっているではないか、こういう議論がこれまで衆参両院でされてきたと思いますけれども、実は第一回のときは今申し上げましたマル優廃止という大増税がついてまいりました。これは今までかからなかった人が取られる。しかも分離課税ですから、ほかの税金は全然かからない、年金だけで生活している方の預金からも二〇%は遠慮会釈なく取られるわけであります。そういうことの抱き合わせで、これもやはり金持ち減税だということで私ども批判してまいりました。
 それから次のときは、まさに消費税の増税と抱き合わせの税制改革でありました。これが金持ち減税であることは、逆進的な消費税でお金持ちの最高税率を五〇%まで下げたわけですから、住民税を合わせると六五%になりますが下げたわけでありますから、これも大変な金持ち減税。しかも、税金のかからない人については消費税が一律にかかってくる。そういう問題と、今後はさらにまた消費税の増税で、最高税率は下げませんでしたけれども、先ほど申し上げましたようにわずか人数にして十三万人に足りない人たちだけが減税の恩恵に浴する、こういう大変な不公平の拡大法案ではないかというふうに全体を見たときに思うわけてあります。
 不公平税制の是正につきましては、先ほど申し上げましたので繰り返しませんけれども、一時にこれを廃止することは無理であるとしましても、今後年々累積していく不公平税制の蓄積分、この分を廃止しただけでも六兆円以上、国、地方合わせまして六兆円以上の財源が確保できるわけでありますから、何も地方自治体についても、地方消費税の導入をしなくてもこれで賄えるわけでありますし、それから国税についても、特別措置の廃止によって年々四兆二千億円以上増収になるわけでありますから、歳入面で見てもこれは十分可能であるというふうに思います。
 歳出面では、先ほど申し上げましたように、国会でもたびたび議論されておりますように公共投資の単価の適正化、あるいは軍事費、特に思いやり予算などは我が国の義務ではございませんから、こういうものを廃止すれば十分減税財源を確保して余りあるものであるというふうに考えますし、消費税を廃止しても決して不安はない、このように考えております。
#137
○西川潔君 これからの参考にさせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#138
○委員長(岩本久人君) 以上で公述人に対する質疑は終わりました。
 この際、一言お礼を申し上げます。
 公述人の皆様には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。心から厚くお礼を申し上げます。(拍手)
 これにて地方行政委員会、大蔵委員会連合審査会公聴会を散会いたします。
   午後三時四分散会
ソース: 国立国会図書館
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