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1994/11/08 第131回国会 参議院 参議院会議録情報 第131回国会 内閣委員会 第5号
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1994/11/08 第131回国会 参議院

参議院会議録情報 第131回国会 内閣委員会 第5号

#1
第131回国会 内閣委員会 第5号
平成六年十一月八日(火曜日)
   午前十時四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十一月二日
    辞任         補欠選任
     大渕 絹子君     栗原 君子君
 十一月四日
    辞任         補欠選任
     森  陽子君     萱野  茂君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         岡野  裕君
    理 事
                板垣  正君
                狩野  安君
                瀬谷 英行君
                寺澤 芳男君
    委 員
                井上  孝君
                岩崎 純三君
                岡部 三郎君
                村上 正邦君
                萱野  茂君
                久保田真苗君
                栗原 君子君
                中尾 則幸君
                中村 鋭一君
                永野 茂門君
                吉田 之久君
                猪熊 重二君
                聴濤  弘君
   国務大臣
       外 務 大 臣  河野 洋平君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 五十嵐広三君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  玉沢徳一郎君
   政府委員
       内閣官房内閣外
       政審議室長
       兼内閣総理大臣
       官房外政審議室
       長        谷野作太郎君
       内閣法制局第二
       部長       秋山  收君
       防衛庁参事官   江間 清二君
       防衛庁長官官房
       長        三井 康有君
       防衛庁防衛局長  村田 直昭君
       防衛庁教育訓練
       局長       佐藤  謙君
       防衛庁人事局長  萩  次郎君
       防衛庁経理局長  秋山 昌廣君
       防衛庁装備局長  荒井 寿光君
       外務省総合外交
       政策局長     柳井 俊二君
       外務省総合外交
       政策局軍備管理
       ・科学審議官   林   暘君
       外務省アジア局
       長        川島  裕君
       外務省経済局長  原口 幸市君
       外務省経済協力
       局長       平林  博君
       外務省条約局長  折田 正樹君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菅野  清君
   説明員
       外務大臣官房領
       事移住部長    畠中  篤君
       文化庁文化財保
       護部記念物課長  水野  豊君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○自衛隊法の一部を改正する法律案(第百二十八
 回国会内閣提出、第百三十一回国会衆議院送
 付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(岡野裕君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る二日、大渕絹子君が委員を辞任され、その補欠として栗原君子君が選任されました。
 また、去る四日、森暢子君が委員を辞任され、その補欠として萱野茂君が選任されました。
#3
○委員長(岡野裕君) 自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。玉沢防衛庁長官。
#4
○国務大臣(玉沢徳一郎君) ただいま議題となりました自衛隊法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 外国における災害、騒乱等の緊急事態に際し生命等の保護を要する邦人については、政府は従来、これら邦人を本邦等の安全な地域へ避難させる必要が生じた場合、民間定期便等による自発的な避難を促すとともに、民間定期便等の利用が困難な場合には、民間機をチャーターすることによりその対処を図ってまいりました。
 しかしながら、この民間機チャーターという手段につきましては、例えば、民間航空会社との調整に手間取るなどにより適時適切に対応することが困難な場合があるなどの問題点がありました。
 このような問題点を改善するため、平成四年四月一日をもって、緊急時における在外邦人救出のための輸送を使用目的の一つとする政府専用機が防衛庁へ移管されたことを機に、在外邦人の保護のための輸送を自衛隊が行うことができることとするため、自衛隊法の改正を行うことが必要となったところであります。
 この法律案は、外国における緊急事態に際して生命等の保護を要することとなった邦人について外務大臣から輸送の依頼があった場合に、防衛庁長官は、当該輸送の安全について外務大臣と協議し、これが確保されていると認めるときは、自衛隊法第百条の五第二項の規定により保有する航空機により輸送することができることとし、これによることが困難であると認められるときは、その他の輸送の用に主として供するための航空機により行うことができることとすること等を内容とするものであります。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
#5
○委員長(岡野裕君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○板垣正君 質疑に入ります前に、議題と別でございますけれども、官房長官に台湾の確定債務の問題について特にお伺いいたしたいと思います。
 これは十一月六日の日本経済新聞に報道されました。対台湾債務返済で政府が方針を固めた、未払い給与百倍、軍事郵便貯金、簡易保険等は二十倍、当時の価格をそういう形で払い戻しをする、これが極めて突然新聞に報道されまして、大変私どもも驚いております。
 これは官房長官もよく御存じのとおりに、政府としてもこの台湾の確定債務問題は日本国政府の責任においてこれは処理しなければならない。これを取り上げ、また我々はかねて超党派の議員懇の立場において政府の足らざるところを側面的にいろいろお手伝い申し上げておる。従来折衝の経緯から見ても、今のこの時点にこうしたものが出てくるということはこれは大変驚きであり、かつ台湾側からも早速非常に厳しい反応が出てきておる、こういう状況でございます。
 このことについて、政府が既に方針を決めたとか、あるいは具体的なことまで出ておることについて、この機会に政府の立場を明確に述べていただきたい。
#7
○国務大臣(五十嵐広三君) いわゆる台湾の確定債務問題に関しましては、板垣委員初め超党派の議連等で大変御苦労いただいておりまして、この機会に敬意を表したいと思う次第であります。
 確定債務問題につきましては、我が国としても真剣にこれに取り組んでいかなければならない、こういう具合に考えているところでありまして、今年の八月三十日におけるこれらを総括した村山総理の総理談話におきましても、具体的に、当面我が国として取り組むべきいわゆる戦後処理の課題の一つにこれを明示いたしているところであります。
 政府としてみても、関係省庁の連絡会議等で鋭意この検討を続けているところでありますが、しかしまだ全く結論に至っているものではありません。
 某新聞で出た御指摘の記事につきましては、私も読みましてびっくりしたというようなことでございまして、ああいう記事のような状況で日本政府の方針が決まったというようなことは全くございませんので、この機会に明確に否定しておきたいと思う次第でございます。
#8
○板垣正君 政府としても全くこれは関知してないと明確にお答えいただいたと。
 引き続いてこの問題については、当初目標どおりに来年度予算、来年度終戦五十年、この機会にはぜひこの問題に困難があろうとも決着するようにさらなる御努力をお願いいたしたいと思いますが、その御決意のほどをお聞きします。
#9
○国務大臣(五十嵐広三君) 先ほど申しましたように、いわゆる総理談話でも、台湾の確定債務問題に関しては鋭意努力をするという方向が明確にされておりまして、しかも該当者が極めて高齢化しているということ等からいいましてもやっぱり解決を急ぐ必要がある、このように考えている次第であります。
 なお、今後超党派の議連等の御協力も得つつ、最善の努力をして早期に解決するよう努力したい、こういうぐあいに思う次第であります。
#10
○板垣正君 よくわかりました。私ども超党派議員懇としても、従来の経緯もございますし、台湾側に対する信義の問題もございます。全力を尽くして応援したい。頑張ってください。
 それでは、本論に入りたいわけでありますが、本論に入る前にまた防衛庁に対してもこの機会に申し上げなければならないことがございます。
 かねてから当委員会におきましても何回か論議がされ、集中的な論議もされ、あるいは関係民間側の有志の方々が大変な御努力のもとで熱心に、防衛庁に対し、政府に対し、また国民に対し訴え続けてきたこの市ヶ谷台一号館の保存の問題であります。
 端的に、この問題は進められているものの、保存をしようという立場においても万策尽きてやむなくこれはもう訴訟という形、本意ではないけれども最後の救済措置としては訴訟に訴えざるを得ない、こういうことで去る二月二十四日にこの問題が東京地裁に提訴ということになったわけでございます。そして各界各方面の、つまりは従来からもう防衛の問題なり国の基本問題について極めて理解があり高い見識を持って御協力いただいているそういう立場の方々、そういうこの裁判も結局は門前払いという結果に終わったわけでございます。
 しかも、門前払いに終わった十月十七日の東京地裁において、この問題については訴える方はこれはある意味の文化財であると、この文化財を守るという、この保護ということについて新たな権利として認めると、こういう立場で主張されたわけですけれども、何ら実質的な内容にも入らず、自衛隊の、防衛庁の使っている建物の事務的な処理にすぎない、公的な権力の行使にも当たらない、裁判にも値しない、こういう大変冷たいというか、そういう形で却下をされた。
 しかも、十七日に却下されたその直後、二十一日から早速防衛庁はあの市ヶ谷一号館の取り壊し作業というか解体作業というかその作業、準備作業とは言いながら実質的に解体作業にもう取りかかった。これは従来の経緯を知る者、心配してきた者として、この進め方として、原告の側では納得できずとして二十八日にはあえて控訴をされたというような経緯もあるわけです。
 また、そうしたことも恐らく見込まれたと思いますけれども、この問題は当初からのボタンのかけ違いというか、この歴史的な価値あるものを保存すべきである、こういう立場と、いや防衛庁としてはもう当初から新しい施設をあそこにつくる上においてはこれはもう排除せざるを得ない、こういう立場というものが終始平行線をたどったままここに至ったということ。これは大変残念であり、こういう進め方ということについてはやっぱり防衛庁としても国民の前にもっと明らかにすべきではないか、基本的な考え方、歴史的意義のあるものをあのままで保存してほしいという切なる願いにはあえてどうしてもこたえない裁判についても。つまり、裁判官の言っていることは、どうも内局が主張していることをそのまま裏づけたような結果ですね、裁判も。それについて率直な大臣の見解をお聞きしたい。
#11
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 今御指摘のありました市ヶ谷地区一号館につきましては、保存を求める委員や各位の御意見にもこたえまして、保存についてのぎりぎりの再検討を行ってきたところでございます。その結果、一号館の核心とも言うべき大講堂、旧陸軍大臣室、旧便殿の間等を約二十億円弱の経費を投じて、可能な限り現部材を利用しつつ忠実に移設復元を図ることといたしたところであります。
 また、防衛庁としてはかかる方針のもと、一号館解体等経費を含む六年度予算を適切に執行し、移転計画を着実に進展させるため、先般十月二十一日、移設復元のための部材の取り外し等一号館の解体に着手したところでございます。
 防衛庁の中央組織の市ヶ谷地区への移転等を図る防衛庁本庁庁舎等移転計画につきましては、できるだけ早期に完了したいと考えておりまして、今後とも一号館の移設復元を含め本計画の着実な推進を図ってまいりたい、このように考えております。
#12
○板垣正君 これはさらに重大な問題があります。
 文化財保護という思想も大きく変わりつつある。文部省文化庁においては文化財保護法を来年は改正して、今までのような厳選的なものではなくして文化的に意味のあるもの、歴史的な意味のあるもの、これは何らかの形で保存の措置をとっていこうという方向に進んでいるように聞いておりますが、この文化財保護に対する現在の検討状況、これは原爆ドームの保存、これを文化財にして国際的に登録をするということにひとつ触発されたかもしれませんが、やはり文化財のあり方、こういう歴史的に意義のあるものを守っていこうという新しい方向というものが出てきているんじゃないでしょうか。その点どうですか。
#13
○説明員(水野豊君) お答えいたしたいと思います。
 文化財保護法で文化財として保護の対象にしております。そういうさまざまな制度がございます。その中で、遺跡等のためには史跡に指定するという保護制度があるわけでございます。これらにつきましては、やはり学術的な価値が一定に定まったものについて順次指定をしていくという考えに立ちまして、現在は史跡につきましては明治中期までのものが最も新しいという状況にあるわけでございます。
 一方、文化財保護審議会の方でも、やはり時代の変化に対応した文化財保護行政という観点で、幅広い文化財保護の要請に対応するために近代の遺産の指定について促進を図るべきという御提言をいただいておるわけでございます。そのために、本年九月に広く近代の文化遺産の保護方策について検討するため、近代の文化遺産の保護と活用に関する調査研究協力者会議を設けて検討をしているところでございます。特に近代の遺跡につきましては、その中に記念物分科会というものを設けまして、史跡指定の基本的な考え方、具体的に少し御説明申し上げますと、対象とすべき時期をどのように考えていくのか、またその歴史の事象、さまざまな歴史事象についてどのように分野区分をしてそれをとらえていくのか、またたくさんあるものにつきましてどのような考え方で選択をしていくべきかというようなことにつきまして現在、鋭意御検討賜っているところでございます。
#14
○板垣正君 こういう進め方の中で、原爆ドームも今まで文化財保護法から、いやあれは文化財じゃない。年限が足りない、建築史的な意味もない、文化財とも言えない。今度は記念物という観念を取り入れて、来年の春には恐らくあれが文化財指定になる、そうすれば国際的登録ができる。こういう流れというものが、原爆ドームというものが大きな関心の中で運ばれている。原爆ドームは残されるが、市ヶ谷一号館は今お話があったように一部が原形をといいますか、そうしたものを傍らの方に移すという程度のことであって、これは原形をとどめない、こういう姿に運ばれようとしていることはまさにこうした国民的な関心からいっても逆行するものじゃないのか。
 防衛庁のいろいろな立場も伺いましたけれども、やはり国民とともにある自衛隊でありますから、何でもかんでももう既定計画である、予算をこなしていくんだ、だからもう進めればいいんだ、こういうことであってはならないんじゃないのか。そういう意味で、長官どうでしょうか。せめて来年の八月十五日、この日にはもう跡をとどめないという姿ではなくしばらくこの問題は凍結をして、せめて来年、終戦五十年にはこの保存したままの姿をとどめる、これだけの謙虚な姿勢を求めたいと思いますが、いかがですか。
#15
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 来年に向けての御趣旨もよくわからないわけではございませんが、これは防衛庁の移転がございまして、本庁庁舎の建設計画等も進めていく。これはやはり日本の防衛の中心をなす地区になるわけでございますので史跡を保存するという御趣旨も踏まえた上でいろいろと考えたわけでございまして、そういう点におきましてはやはりこの一号館の核心とも言うべき大講堂、旧陸軍大臣室等を含んだところを忠実に復元して保存する、こういう決定をいたしたわけでございますので御理解を賜りたいと思っております。
#16
○板垣正君 これ以上申し上げてもどうも平行線でございますけれども、これは本当に心ある方々が、世界史的な遺跡と言ってもいいこの扱いについて裁判をかけても門前払い、防衛庁も既定の方針である、こういう形でこれがなし崩しに壊されてしまうということについては、これは決して日本国家の民族の名誉を高めるものではない。むしろ、世界史的な流れでいろんなものを苦労しながら保存されておる。今お話しのように新たな発想のもとで、国民の手で文化財を守っていこう、こういう流れの中であえて国民を基盤にすべき自衛隊の方向というものを今こうして進められるということは、防衛の基本的な問題からいっても私は大変将来に禍根を残すということだけは申し上げておきます。
 それでは、もう時間の関係もありますから本論に入りたいと思います。
 自衛隊法改正案、これは随分長い間時間をかけたわけであります。緊急の事態にある邦人を救出する。この極めて当然至極な、またどこの国でもそれなりに行われているこの法案について、大変時間をかけ、いろいろな論議、修正も織り込まれてきたわけでございます。
 この参議院内閣委員会におきましても、昨年、もうあと一回審議すればそれで成立というところまで運ばれながら、衆議院の内閣不信任案、解散という形で廃案に終わったというあの当時の無念さを改めて思い、かっこういう形でいよいよこの問題について結論を得る段階に来たということについて大変な感慨も持つわけです。自衛隊機の派遣をするということをめぐっていろんな論議が中心点になったわけですけれども、特に今度強調されているのが、安全が確保されている場合に出すんだと、特にそういうことですね。安全が確保されている。これは安全に救出しなきゃならない、そのためには運航が安全でなければならないことは当然でございましょう。ただ、非常事態であって安全が確保されていないような状態であればこそこの邦人の緊急救出が必要になる、こういうこともこれまた当然のことではないのか。
 その辺のところで、私どもは我が党の出した法案が一番すっきりしていたと思いますけれども、法案のいろいろな審議の経過等を踏まえて防衛庁として、そうした事態にこの法案において安全についてはもちろん考慮しつつ、しかしやはり自衛隊機で救出をする場合においてはそれに対応できるという点において、運用においては確信を持っておられますか。その点をまず伺います。
#17
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 外国におきまして緊急事態が発生をいたしまして、邦人の生命が危険にさらされる場合に救出をする。あらゆる事態を考えなければならぬわけでございますが、やはり安全を確保するといいますのは、例えば当該国の了解をとって空港の着陸の許可をとって飛行機を飛ばすわけでございますから、そういう面においてやはり安全を確保するという面については同じような手続を通じて行うという面におきまして、可及的速やかにこれを行って輸送機を派遣するということにおいては私は一緒でいいんじゃないか、それもまた緊急事態に対応できる、こういうふうに考えておるわけでございまして、運用において万全を期せば十分対処できる、このように考えております。
#18
○板垣正君 これはイラン・イラク戦争のときに邦人救出問題で、二百六十人の邦人は、あの当時は日本は出せない、トルコの特別機で運んでいただいた。それに対する反省が今度の政府専用機になり、邦人救出、こういうことで具体化されようとしているわけですが、在留邦人に対する政府の保護措置が必要であった、必要な措置をとったのが九二年までで三十八件あった、さらに緊急的に邦人を輸送した、こういうケースが二十九件、このうちの八件は日本航空をチャーターしておりますが、十五件ですか、これは他国の軍用機によってこの邦人の救出が図られた。
 今回、こういう法律のもとで体制が整えられた場合、外国の軍用機に運んでもらう、こういうことはもうないと考えていいでしょうか。
#19
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 外国における邦人を救出する場合におきましては、いろんな方法があると思います。イラン・イラク戦争の場合におきましても、陸路の場合も考えましたし、それからチャーター機も考えましたし、また定期便も考えましたし、外国の軍用機による場合も考えましたし、いろんな選択肢があると思うんです。
 そういう選択肢を適時適切に、救出する場合においてどれをとって救出するかというこの選択肢がある。それを今までの選択肢の中に加えてさらに自衛隊機も政府専用機も含めて対応する、こういうようにお考えをいただければ御理解がいただけるのではないか、このように思います。
#20
○板垣正君 確かにあらゆる手段があって、いろいろ考えそのときの一番適切な方法をとる。そういうことでございますけれども、やはりそれぞれ日本国家としては日本国民の生命、財産を守る、特に在留何十万と言われる、どこで危機が起こるかわかりませんが、それはやはり日本国家の責任において救出をする。こういうことと、やはりみずからの保有する航空機によってできるだけ手段を尽くす、これはやはり一貫したといいますか、一脈なものがあると思うんです。今まででいろんなものがあったがただ一つふえただけだよということでは私はないと思うんです。
 そういう意味合いにおいて、運用の面で特に配慮をしていただきたい。迅速性ということが特に強調される、当然だと思う。そういう意味合いにおいて、じゃこれを出しましょう、これは外務大臣から要請がある、いろいろ検討して決める。これも第一義的には外相と長官の協議によって派遣は決定する、こう受けとめていいわけですね。
#21
○国務大臣(玉沢徳一郎君) そのとおりです。
#22
○板垣正君 必要に応じて閣議に語る、こういうことで第一義的には外務省、外務大臣、防衛庁長官が協議をしてこの決定をするということで理解をしていいか。よろしゅうございますか。
#23
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 必要に応じて協議をしまた閣議にもかけて行う、こういうことでございます。
#24
○板垣正君 その問題はまた外務大臣のときに深めたいと思います。
 それで、邦人救出というような問題を考えますと、飛行機のみならず、飛行機といってもケースによっていろいろありましょうけれども、場合によってはヘリコプターを利用する、これで輸送できる機能もある。そうした場合、当然ヘリコプター、状況によっては輸送船、ヘリコプターを搭載できる船に、艦艇を利用してヘリコプターを沿岸に近づけてヘリコプターで救援行動をとるとか、さらに言うならば、もっといろいろな状況によってはもう当然邦人救出のためにはあらゆる手段を尽くしてと、こういう目的がそこにあるわけでありますから、自衛隊の艦艇、これは恐らくそういう状況においては民間の船をチャーターするというようないろんなケースはあるでしょうけれども、何も航空機だけに限らない、自衛隊の持っておるヘリコプターでも船でも状況に応じてはこれは利用できるような、これは今回の法案には入っていませんけれども、当然将来はそういう方向であるべきじゃないでしょうか。その点の見解はいかがですか。
#25
○政府委員(村田直昭君) お尋ねの在外邦人等の輸送のためにヘリコプターを使用することができるかということでございますが、ヘリコプターにつきましては航続距離とか搭載能力において、先生御案内のとおり非常に制約が大きいということでございますので一般論としては想定をしておらないわけでございますけれども、非常に近距離というような場合あるいは極めて少人数というようなケースにおいて、ヘリコプターが有効に働くというような場合においては輸送用のヘリコプターを使用することもあり得るというふうに考えているわけでございます。
 それから艦船でございますけれども、艦船についてはこの法律案には含めていないことは御指摘のとおりでございますが、これは従来から邦人の輸送あるいは救出という場合に政府が航空機をチャーターして行っておりまして、今まで民間の船をチャーターして行ったという実績がない。なぜならば、それは非常に緊急の場合に船をチャーターして行うというようなことに間に合わないということがあったんだろうと思いますけれども、そういうようなケースがなかったということもございまして、今回の法案の中には入っておりませんが、これも非常に何といいますか、近距離であるとかそれから大量に今度は運ぶという特徴がございますので、そういうようなケースになれば将来の問題としては考え得ることもあるということでございますが、今回は今までの実績がないということも含めまして、それが緊急時の輸送であるということから、これを法案に入れておらないということでございます。
#26
○板垣正君 将来の問題としてぜひ検討をいただく、御答弁のとおりです。
 さらにもう一点、救出の際の飛行機に自衛隊の飛行機が使用されるというような場合、そうした自衛隊の飛行機、ミサイル警報装置ですか、これは当然そういう騒乱状態にある、そういう緊急状態にあるところに派遣される飛行機でありますから、政府専用機を含めてミサイル警報装置等は当然装備されるべきものだと考えますが、その点はいかがですか。
#27
○政府委員(村田直昭君) まず、先生の御質問の搭載すべきではないかということにつきましては、先ほど来防衛庁長官からもお答え申し上げておりますように、本件輸送は当然のことながらその対象である輸送する方が安全に目的地に到達するということが最大の目的でございますから、いわゆる輸送経路及びその当該国において安全であるということが何よりも重要である、そういうことで本件輸送は安全に行われるということでございまして、安全に行われるということが趣旨でございます。
 なお、ミサイル警報装置について、自衛隊の航空機については現在のところ政府専用機を含めまして装置する計画もございませんし、装置しておりません。輸送機については装置しておりません。将来これについてどうかということについては、これから先の状況等も見、世界各国の状況等も見ながら、何もこの件に限らず、警報装置の問題については装備化について検討をしてまいりたいと考えております。
#28
○板垣正君 以上にこの法案の問題はとどめたいと思いますけれども、安全性を確保するということは当然でありますが、緊急事態における救出の問題ということならば、当然これはリスクが伴い得る問題である。その辺を直視しないで、ただ安全だ安全だと言って結果的に邦人を見殺しに終わってしまうというふうなことがあってはこれはまさに逆でありますから、運用の面においてはその辺を十分配慮していっていただきたいと特に申し上げておきます。
 次に、今後の防衛のあり方、これはポスト冷戦、かつ内外情勢の大きな転換の中で我が国の責任もいろいろな面で大きくなってきている。我が国の防衛のあり方、日米安保体制のもとにおける防衛力のあり方というものが一応今日の自衛隊を築き上げてきたわけであり、それなりの役割は果たしてきたと思いますけれども、同時に、こうした大きく転換した情勢の中で広い立場から我が国の安全保障の問題を考えていかなければならない。
 一つは、これは細川内閣のときですけれども、防衛問題懇談会、これが六年の二月にできて、八月に報告書が出されております。これはいろいろな、例えば従来の受動的な役割を脱して能動的な秩序形成者としての行動をすべきだ、こういう立場から国際的な集団安全保障体制におけるかかわり、危機管理体制という立場からも国際的な集団安全保障体制の中でいかに安全保障を図っていくか。あるいはさらに積極的に協力的な安全保障政策ということも言われておる。これは多角的にいろいろ考えられなければならない。
 大臣も中国と軍事的な話し合いをやる、近くあるいはロシアに行ってロシアの国防大臣と防衛問題について話をするとか、それも一つのあらわれかもしれませんが、それもあれも含めて防衛庁として今の情勢を踏まえて、防衛問題懇談会の検討等も織り込んだこれからの防衛のあり方ということについての基本的な考え方を伺います。
#29
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 我が国の防衛のあり方につきましては、まず国際情勢の変化というものに対処するということが一つ重要であると思うわけであります。
 そういう面におきまして、東西冷戦構造が崩壊をする。これによって大きく国際情勢は変化いたしたわけでありますが、今後我が国の防衛力を考える上におきましては、まず第一に変化した国際情勢をどうとらえるか、また同時に近隣諸国との信頼醸成というものをどのように進めていくか、こういう点も含めて検討していかなきゃいかぬと思うんです。
 今、御指摘のありましたように、近隣諸国といいますとロシアあるいは朝鮮半島あるいは中国、こういうことになるわけでございますけれども、そうした国々との対話を続けながら信頼関係の構築に努力をしていくということは極めて重要である、こう考えております。
 その上で、今、御指摘がございました懇談会の報告、これを見ますと、懇談会の報告は、装備のハイテク化、近代化等により防衛力の機能と質を充実させるべしという点についても触れております。他方、自衛官定数の縮小、陸上自衛隊の部隊の数や規模の削減、海上自衛隊の対潜戦闘のための艦艇、航空機の数の削減、航空自衛隊の戦闘機部隊または戦闘機の数の削減など、防衛庁にとっては極めて厳しい内容の提言を含むものとなっております。また、PKOへの積極的参加、あるいは弾道ミサイル対処能力の保有とか、あるいは危機管理に対してどう対応するかというような防衛庁にとりましても大きな課題が提言されたものと認識いたしております。
 防衛庁としては、このような報告の内容も一つの参考といたしまして、今後の防衛力のあり方についてさらに検討を進めてまいりたいと考えておるところであります。
#30
○板垣正君 具体的には、新しい防衛計画大綱がいつごろできるのか。いわゆる中期防衛計画的な長期計画、そうしたものが検討されており、それはいつから実施される見込みであるか、その点を具体的に伺います。
#31
○国務大臣(玉沢徳一郎君) まずもって、この懇談会の御意見と申しますと、これは現在の大綱にかわる新しい考え方の骨格について御示唆をいただいた、こういうように考えております。
 そうした御意見も一つの参考としながら今後防衛力のあり方について検討していく、こういう考えてありますが、新大綱を作成するか否かという点も含めまして今後政府部内で徹底的に検討していく必要がある、このように考えております。
#32
○板垣正君 もう一点、やはり今後の防衛の進め方については、従来行われてきたいわゆる中期防衛計画的な中長期的な計画に立って進めるのは当然ですけれども、その点ほどうなっておりますか。
#33
○政府委員(村田直昭君) 今、大臣からお答えしましたように、今後新しく現大綱にかわるようなものがどういう形でつくられるかということについてはこれから政府部内で検討していくわけでございますが、その際にやはり懇談会の提言として、先生御指摘のように、防衛力の整備については中長期的な観点から行っていくような御提言もあるわけでございます。
 従来からもそうやってきたわけでございますけれども、これらについてどういう仕組みで新しい考え方のもとにやっていくかということも含めまして、政府部内で大臣言われるように徹底的に検討をしてまいるということでございまして、今後どういうような仕組みでやるかということは、中長期的な観点からやるということは言えると思いますけれども、現行中期防のようなものをつくるのかどうかということも含めて政府部内で検討することになっております。
#34
○板垣正君 私どもが懸念しますのは、ややもするともう冷戦が終わったから軍縮の時代だと、そういう方向で大きな形で、核を持っている国は核を早くなくせというような方向における国際的なあれは必要だと思いますけれども、いわば我が国の場合、日米安保体制のもとにおける防衛というものは、非常にゆがみといいますか、やはりこれを合理化していく、近代化を図っていく、また人員等についても、それは若い方が次第に減っていくというような流れの中でいろいろ検討しなければならない。
 今お話しのようにいろんな角度から検討しなければならないけれども、問題は、我が国の平和と安全をいかに確保していくか、しかもアジアの情勢は、近隣諸国、特にロシアが一体いつまでああいう状態にあるか、これはやはり潜在的な脅威として決して力を抜いているわけではない。あるいは北朝鮮の問題もまだ極めて不明確です。さらには、中国の着実な軍事力の増強なりたび重なる核実験、こういう動きというものはまさに今後五年先、十年先にこれがどういう形になっていくか、こういうことも考え合わせた中で、我が国が安定勢力として、ここに力の空白をつくってはならない。
 そういうことからいいますと、ただ自衛隊の予算を削ればいい、ただ縮小すればいいというような安易なものでは断じてないはずであります。したがって、そうした流れといいますか、本来の防衛のあるべき立場からやはりこれは腰を据えた大綱を固めていく。これはもちろん防衛庁のみならず各省庁、各党がこぞって関心を持って練り上げていかなければならない。そういうことでぜひ腰を据えた取り組みを期待しかつ必要であることを強調するわけでございます。
 さらに、この日米安保体制が依然として基軸にあることは同じ見解であろうと思うんです。しかし、米軍のアジアにおけるプレゼンスも長い流れの中では逐次後退していく、これも一つの必然でございましょう。そういう中でこの日米関係というものが一層効率的な信頼のできる相互体制というものを組み立てていかなければならない。
 そこで二つの問題を御質問いたしますが、これもかねて検討されていると思いますが、日米間の取得及び物品の役務協定、いわゆるACSAですね、ACSAの協定というものも、これは早期に締結、協定が結ばれていいんじゃないのか。この問題がどういうふうになっておるのか。
 さらに大きな問題でありますが、いわゆるTMD、この対ミサイルに対する防衛の見地に立った日米間の研究も進められようとしていると伺っていますが、これに対する現在の取り組みの基本姿勢、積極的な姿勢を期待しますが、これらについて具体的にお答えいただきたい。
#35
○国務大臣(玉沢徳一郎君) ACSA、この物品・役務融通協定につきましては、昭和六十三年の第十八回日米安保事務レベル協議における日米間の話し合いを受け、現在、日米共同訓練の際の部隊間の物品、役務の相互融通を中心としてその仕組みの導入に係る法的側面等について検討しておるところでございます。
 自衛隊と米軍が平素から相互支援の体制を確立しておくことは、日米安保体制を円滑に機能させていくことで重要であると考えております。先ほどの防衛問題懇談会の報告書におきましても早急に締結すべきである旨指摘されておりまして、これらも参考の一つとしつつ、今後検討を進めてまいりたいと考えております。
 またTMDにつきましては、政策判断を今後行うという上におきまして、現在の日米間におきまして、日本といたしましてもTMDの内容等につきましていろいろと資料を提出していただき、調査、研究を進めるという観点に立ちまして今この作業を行っておるところであります。
 以上です。
#36
○板垣正君 この問題はぜひ積極的に検討を進め、取り組んでいただきたい。
 次に、これも次期防衛に関連いたしますけれども、当然、今後PKO活動あるいは国際緊急援助なり、あるいは今度の邦人救出なり、そういう方向の活動というものが期待される。政府専用機も今二機しかない。政府専用機の、これは従来から言われているようにもう一機の追加という問題ですね。これがどういう見通しにあるのか。
 さらには、防衛庁の持っておる輸送能力というものをさらに、長距離輸送能力というものを、これは懇談会の答申にもあったと思いますけれども、今後の防衛計画の中で長距離輸送能力の導入、この問題について積極的に取り組む必要があるのではないのか。
 さらに、予備自衛官のあり方ですね。これも非常に大きなテーマでございますけれども、元来、どこの国におきましてもいわば通常的な戦力といいますか兵力と予備兵力、この割合からいいますと予備兵力の方がはるかに多いわけですね。したがって、平時の場合においてはなるべく必要最小限の形における常備的な体制をとり、かつ緊急有事の場合、必要な場合には予備的な動員力といいますか、動員体制といいますか、そういうものに支えられている姿が正常であります。
 もちろん、緊急事態がいつ起こるかわからない、こういう流れの中で即時に対応するためには相当平生からある程度のものは装備していなければならない、準備していなければならないということは言えると思いますけれども、それにしても我が国の場合の予備自衛官の制度というのは余りにも貧弱ではないか。韓国と比べると一対百と言われております。
 予備自衛官の問題も検討され、最近の報道によると、今の予備自衛官を即応予備自衛官、つまり今の体制は後方支援、後方的な隊舎の警備とか、今の四万、五万足らずの予備自衛官の方々は訓練といっても年に何日間か限られたものだし、そういう形だけのものになりかねない。そこで予備自衛官については即応予備自衛官、制度的にも部隊編成の中に入れて部隊的な行動もとれるようなそういう常日ごろの訓練も行う、またそれだけの対応をいつもとっておく。
 さらにそのほかは、一般の予備自衛官と申しますか、これは現在、自衛隊出身経験者に限定されておりますけれども、これはやはり国の防衛は国民すべてが関心を持ち、また皆で協力をして進めていかなければならない、またそれだけの体制をとることが平和を維持するあるいは抑止力の表現となるという意味合いにおくならば、いわゆる自衛隊OB以外、つまり一般の中からそうした希望者を選考して予備自衛官的な体制というものも考慮していいんではないのか。
 そういう体制を検討し計画される、そういう上に立って現在の部隊編成なり今の定員体制なり、将来の展望に立ってこの機能あるいはあり方というものが総合的に検討されるべきである。こういう点で特に予備自衛官の問題を取り上げたわけですけれども、これについての見解を伺います。
#37
○政府委員(村田直昭君) 必要があれば総括的に大臣の方からお答えいただきますが、まず個々のテーマについてでございますが、最初に政府専用機の問題でございます。
 さらに追加して購入する計画はあるのかということでございますが、これにつきましては、現時点ではそのような計画はございません。しかしながら、政府専用機の運航体制につきましては、任務運行の実績等を踏まえまして今後検討することとしております。
 さらに申し上げれば、当初導入するときに、防衛庁の希望としては三機の体制が運用上効率的ではないかというように申し上げたこともございます。しかし、現在の二機の運用体制を検討した上でこれからさらに検討してまいりたいというふうに考えております。
 それから、将来において長距離の航空輸送能力を持つべきではないかという御質問でございますが、これにつきましては御案内のとおり、先般出されました防衛問題懇談会の報告におきましてもそのような提言がされておる。先ほど先生がおっしゃられましたようにPKOの問題でありますとか邦人の救出の問題とかいうようなこともあり、そういうようなものが必要ではないかというような御指摘でございますけれども、それにつきましては今後のあり方の検討の中で、将来の十数年を見通して行うことになりますので、その中で検討をしてまいるということでございます。
 それから、予備兵力の問題につきましては、予備兵力が非常に我が国においては少ない、ほかの国においては通常兵力にプラス予備兵力で、予備兵力の方が数倍あるいは数十倍、いろんなケースがありますけれども多いということは御指摘のとおりでございまして、我が方の予備兵力が現在の陸上、海上、航空の予備自衛官ということで非常に数が少ないということは御指摘のとおりでございますが、そういうものを踏まえた上で、先生が先ほどおっしゃられましたのは懇談会の提案の中で即応予備自衛官制度というものが提言されておるということでございます。
 内容は先生御指摘のとおりでございますけれども、これらにつきましては予備自衛官制度のあり方全体を含めてやはり将来のあり方検討の中で、どういう種類の持ち方をしたらいいのか、どういう編成が適切であるのかというようなことについて検討をしてまいりたいと考えておりまして、現時点においては何ら決定しているものはございません。
#38
○板垣正君 いずれにしましても、そういう問題についてぜひ積極的に検討を進め、具体化を図っていく方向でひとつ進めていただきたい。
 もう時間も余りありませんから、最後にPKOの問題ですね。これは今後の我が国の活動分野としても非常に重大であり、また相当な実績も積み重ねつつある。現在ルワンダの方で大変御苦労をいただいてお察しいたしておるわけでございます。無事に目的が達成されることを期待し、ただこのルワンダ派遣等も含めまして、やはり我が国のPKOのあり方、これが国際的な常識と随分ずれているんじゃないのか。そして、そのしわ寄せは現地の部隊指揮官なりあるいは隊員の方々の日常活動をいろんな形で制約する、かえって苦労を多くする、こういうことをもたらしている。とするならば、やはり政治の責任は私は非常に大きいと思う。
 そういう意味合いで、例えば自衛隊の方々が行かれてどこまでやれるのだ。この避難民というかNGOの方々、特に邦人のNGOも随分活躍しておられる、そういう方々を含めてそういう人たちが危機に陥った、しかし警護活動は任務にない、警護的なことをやってもこれは輸送の分野でございますとか、カンボジアでも選挙投票の監視に行った人たちを守らなきゃいけない。守るとは言えない、守れと言えないから巡回でございます、情報収集でございますと。こういう格好というのはまさに常識を逸した、もうこんなことはそろそろ卒業して、きちっとした形できちっとした責任、きちっとした体制、そのもとできちっとした任務、こういうもとで現地に行っていただく方にはまさに任務のために安心して活動していただく、これが国の一番の大きな責任であり、来年は幸いPKOの見直しのときに当たります。したがいまして、こうした問題も含めて御見解を承りたい。
 同時に、現在凍結されているPKFの解除等も当然もう時期を迎えているんではないのか。あるいはPKOの任務を自衛隊の本来の任務の中に位置づけて、そしてこのあり方も、自衛隊の訓練というのはPKO活動的な訓練とは別なんですね。PKOに期待される活動は、もちろん武器使用の問題等もございますけれども、いずれにしてもPKOにおける平和維持活動あるいは邦人の救出にしてもあるいは国際緊急援助隊の活動にしても、自衛隊が従来本務として国土防衛のために日夜訓練で汗を流しているその訓練の内容とはおのずから違いますね。
 したがいまして、自衛隊のいつでもそれに対応できる、今までもよくやっていただいていると思いますけれども、そういう意味合いにおける国際協力のための教育とか訓練とか、あるいはアフリカあたりに行くとなると、恐らく自衛隊の病院ではそういう熱帯特有の病気についての知識なり医療についての経験なり、そうしたものも全く白紙状態で臨むというようなことではこれからは間に合わなくなってしまう。そういう面も、これは国立なり公立なりの大学、民間等の協力の中でこうした問題もいつでも正しく対応できる体制、これもPKO活動。さらに言うならば、やはりこれも一つの国際協力でありますから、PKOというのはつまりなるべく多くの国が少数ずつでもとにかく皆参加して、いろんな旗のもとで、しかし国連の旗のもとでみんなで協力する姿が私はやっぱり一つの大きな意味であると思う。
 そうなってまいりますと、アジアならアジアにおいて日本がある程度呼びかけもして、そういう共通の訓練センターと申しますか教育の機関と申しますか、あるいは情報交換の場でありますとか、やがてはそうした協力のもとで国際平和維持活動等も展開できるような姿、そういうものを踏まえてこのPKO活動を見直していただきたいと思いますが、その見解を承って私の質問を終わります。
#39
○国務大臣(玉沢徳一郎君) PKOの活動についての委員のいろいろな御意見を承りました。
 まず、今ザイールに派遣をされております自衛隊は人道支援業務、こういうふうになっておるわけであります。派遣されている国は紛争当事国ではありませんで、あくまでも主権国家であるザイール国でございます。したがいまして、各国の人道支援部隊が派遣をされておりますが、いずれも人道支援の目的に限って活動されているわけでありまして、我が自衛隊だけが警備について何か制限があるような話がありましたが、警備については我々自身も各国の部隊もその任務はないわけでございます。これを御理解いただきたいと思います。
 しかしながら、業務を行っていく場合におきまして、例えば各国のケースがありますけれども、食料を配給しようとしたところ難民が群がってまいりまして、身の危険を感じた部隊員の中で何か誤射をした弾がその一人に当たりまして、激高した難民によってその部隊が襲われまして相当の殉職者が出た、こういうようなケースもあるわけであります。
 したがいまして、現地に派遣されておりますそれぞれの隊員並びにそれぞれの部隊におきましては、その都度その都度やはりいろんなケースに人道支援という観点からの判断をしながら業務を遂行していくということが非常に重要ではないか。
 モザンビークにおきまして私は見てまいりましたが、ことしモザンビークにおきましてはONUMOZという国連支援部隊が四千人以上展開をいたしているわけでありますが、モザンビークの反政府軍と政府軍合わせて九万以上の武装解除をいたしまして、そして今平和裏に選挙戦が行われているわけであります。その部隊を指揮しましたのはバングラデシュ出身のサラームという司令官でありましたが、あくまでも武装解除に当たりましてはその国の国民感情というものを尊重していかなるトラブルも起こしてはならない、こういうことで個々のケースにおきましては国連軍の兵士が殴られたり足げにされたという事件があったようでありますが、一切発砲することなく平和裏に武装解除が達成された、こういうことを言っておりました。そのように現地の国民感情というものを重視しながらも、やはり忍耐力と自制心を持って平和業務というものを達成するということが大事だと思うんですね。
 そういう意味におきまして、私はいささか自衛隊の諸君を誇りに思いますことは、やはり自衛隊は専守防衛という観点から極めて自制、自律の精神、そして規律に富んだ部隊である、そして非常に正しい判断を行って今日まで活動している、こういう点を高く評価したい、またこのように思うわけであります。
 PKOの訓練といいますのは、やはり紛争地帯に行って活動するというわけでありますから、いかなる事態、困難、最初から想定したことがすべて起こるというわけじゃありませんで、いろんな事態があると思うんです。ですから、それぞれの各国の部隊におきましても、単なる軍人としてではなくして、場合によっては国際政治に通じ、そしてまたその判断においては外交官的な判断、こういうことも要請されると私は考えておるわけでありまして、そうした知識と十分なる訓練というものをもって活動していくということが今後大事じゃないか、こういうように考えるわけであります。
 そこで、熱帯病等につきましてのこともございましたが、これは今後世界各国に派遣される場合におきましてはそれらの地域の風土病とかいろんな病気というものがあるわけでありますから、やはり派遣する際におきましてはそれぞれの各国の専門の病院に留学をしたりそこで教えを請う、こういうような研修を行うということも大事であるというふうに考えるわけであります。
 大体以上でございます。
#40
○板垣正君 終わります。
#41
○吉田之久君 日夜大変大事な職員を果たしておられる玉沢防衛庁長官に対しまして、その御苦労に深く敬意を表する次第でございます。
 さて、本日提案されました自衛隊法の一部を改正する法律案、これにつきまして若干の質問をいたしたいと思います。
 国際紛争などの緊急時に備えて在外邦人の救出に万全を期するために今次とられます法の改正は、政府の当然の責務であると考えます。そのために政府専用機や自衛隊機を活用することも極めて合理的で当然のことだと思うわけでございます。
 ここで私どもが常に思い起こしますのは、あのベトナム戦争のとき、サイゴンが陥落いたしましたときに逃げ惑う日本の在留邦人に対しまして日本の国家はなすすべもなかった。他国は矢継ぎ早に救援の措置をとった中で、日本だけがただ茫然自失しておったという状況を呈したわけでありまして、それが国家なのかと、邦人たちはまさに日本の国家のあり方、それが我々の祖国なのかということで非常に怨嗟の対象として国家を見たという事実があるわけでございます。外国からも日本の国家の現状に対してごうごうたる非難が沸いたことを我々は忘れておりません。
 実は、そのときからきょうのこの問題について即座に検討を進められておるべきであったと思うわけでありまして、だから今回の法改正はむしろ遅きに失したのではないかというふうな感じがしてならないわけでございます。
 そこで、まず第一番の質問といたしましては、先ほども板垣先生から御質問がありました中でも申し述べられましたけれども、自衛隊は本来の専守防衛の任務にさらに新しく付加されてPKOという極めて重要な任務が今加わっております。まことに現国際社会において見事な活動をし始めていると思うわけなのでございますが、次に邦人救出のために自衛隊機を使用するというまた新しい任務が加わってまいったわけであります。
 大変結構なことではありますけれども、どんどん新しい任務が付加されていく自衛隊、その自衛隊は本来国を守ることに徹した組織と人員と装備を持っておるはずでありまして、そこへ新たな任務が付加されることによって、当然人員の補強であるとかあるいはいろいろと整備されるべき諸点についてのいろんな補足、補充がなされなければならないのではないか。そういう全般的な自衛隊の今後のあり方について防衛庁はどうお考えでございますか。
#42
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 本来の任務についてですか。
#43
○吉田之久君 本来任務に次々と新しい任務が、大事な任務が付加されてきておりますでしょう。それは大変結構なことなんですが、自衛隊の組織、規模が在来のままでいいのか。在来余っておったのかどうなのか。余っていなかったとするならば新しく付加すべき必要が差し迫っておるのではないだろうかと思うわけなのでございます。
#44
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 国際緊急援助活動や国際平和協力業務及び在外邦人等の輸送の重要性は認められますが、自衛隊の本来任務の遂行をないがしろにするのは適当でないという趣旨から、自衛隊法第百条の六及び七、並びに御審議いただいております自衛隊法一部改正法案による第百条の八には「自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度においてこという文言を入れたところでありまして、このような新たな任務が付加されても自衛隊の本来の任務の遂行に支障が生ずることはないと考えております。
#45
○吉田之久君 ただいまの答弁を聞いておりますと、それじゃ支障を生ずる場合にはPKOは出さない、あるいは邦人救出のための自衛隊機は飛ばさないということになるのでございますか。
#46
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 自衛隊の本来任務は御承知のとおりでございますが、直接的侵略、間接的侵略に対処する、こういうことになっております。我が国が外国から攻撃をされてその独立も維持できないような事態におきまして、場合によりましては残念ながら余裕がない、そういう事態も生ずるかもしれない、こういう趣旨でございます。
#47
○吉田之久君 それは我が国自身が国土防衛のために全力を注がなければならないという異常緊急事態が生じた場合はおっしゃるとおりわかるわけでございますが、その前段階において邦人を救出しなきゃならないとか、いろんな場合がお互いにリンクして起こる場合があると思うのでございます。だから、いかなる緊急事態にあってもこの国は立派に防衛できるという完全な備えを常時とりながら、かつさらに今果たすべき国際貢献、その他の邦人救出、国家の体をなそうとする出発なんでしょう。
 それは、あなたのおっしゃるように付随的に余裕があればやるんだとか、平時ならばやるんだとか、できないときは仕方がないんだと、そんなことでいいんでしょうかね。
#48
○国務大臣(玉沢徳一郎君) ただいま余裕がないから行けないということでありましたが、そうでなく、訂正しますが、本来任務に支障がない限りと、こういう意味でございます。
#49
○吉田之久君 なかなかお答えが苦しいだろうと思いますが、本来任務に差し支えない自衛隊が現に存在するわけでありまして、必要ならばさらにそれを充実、補強しなきゃならないわけであります。
 それとは別に、今時代が要請する、世界が要請する新しい任務に対して自衛隊が本気で取りかかろうという姿勢をお持ちにならないと、何かいつまでも及び腰で、逃げ腰で、ただきゅうきゅうと現状を維持しておるという姿勢では、私はやっぱり国民は納得しないと思うわけでありまして、今直ちにどうしろというわけではありませんけれども、もう少しそういう気概というものをまずは防衛庁長官がしっかり持っていただきませんといけないんではないでしょうか。
#50
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 海外における日本人も本国にいる日本人も同じでございます。
 いずれも、その生命を守るという上におきましては全く同じでございまして、できるだけその目的を同時に達成することができるように全力を尽くす、こういう決意であります。
#51
○吉田之久君 国家の一番重要な責任は国民の生命と財産を守るということでございますから、国内におろうが国外におろうが、その国民の生命、財産は断じて国家が保証する、この毅然たる姿勢を改めてこの機会に政府が堅持してもらわなければならないということを初めに強く申し上げておきたいと思います。
 二番目の質問といたしましては、国際貢献という言葉が最近頻繁に使われるようになってまいりましたけれども、カンボジアのPKOには自衛隊員の方々が非常に苦労して無事に責任を果たして帰ってくれておりますし、モザンビークやルワンダでも今活躍中であります。このPKOへの派遣が自衛隊に対する国民の評価を一層高めた、隊員の士気も高まっているという面で非常に自衛隊に大きなプラスの反映をもたらしていると思うのであります。
 改めてこの機会に、防衛庁長官としてPKO派遣の自衛隊に対する評価と、防衛庁みずからがこのPKO派遣に対してどのように評価しているか、お述べをいただきたいと思います。
#52
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 今日まで三つの国際平和協力業務を行ってきたところでございます。
 今御指摘の点、カンボジアにおきましては初めて自衛隊が実施したわけでございますけれども、派遣された隊員は各国の要員とともに汗を流すことにより、自衛隊の国際平和維持活動への参加に対する近隣諸国の懸念と誤解を払拭したばかりでなく、国内外の高い評価を得た、このように認識をいたしておるところでございます。
 また、モザンビークやザイール等での国際平和協力業務につきましても、既に内外の高い評価を得ていると思います。特に、ザイールに派遣をされる際におきまして近隣諸国を回ったわけでございますが、例えばケニアにおきましては外務大臣が、本来ならばアフリカの我々が、諸国が行うべきことでありますけれども、例えばケニアは近隣の三カ国から六十万人も難民を今抱えておるのでなかなか手が出せない。あるいは南ア共和国の国防大臣にお会いしましたが、新しくこの政権を担って三カ月、黒人の失業率が五七%であって、またこれもなかなか手を出せない。しかし、遠く一万キロも離れた日本が我々にかわってこうした活動をしていただくということに対して心から感謝いたします、できれば将来は我々がかわってこの問題の解決に全力を尽くしたいと、こういうことでございました。
 こうした経過を私も見まして、派遣されている隊員のみならず自衛隊全体としての士気を高めることに今後も努力をし、国民の自衛隊に対する御理解もさらに深めながら、自衛隊の活動基盤を強固にするためにさらに努力してまいりたいと考えております。
#53
○吉田之久君 次の三番目の質問といたしまして、防衛庁は国連代表部に事務官を派遣することを検討されておると聞いておりますが、その後の経過はどうなのか。既に実現しているのかどうか。
 いずれにいたしましても、国連代表部にそうした事務官を送るということは大変意義のあることだと思うのでございます。そして、そのことはPKOの計画段階から参加することによってより有意義な協力が可能になると思うわけなのでございますが、同時に制服組の参加も含めて防衛庁として今後国連代表部にそうした人たちを送っていくということは非常に重要なことだと思うのでございますが、既に検討を始めておられるかどうか、お伺いいたします。
#54
○政府委員(村田直昭君) 先生御指摘のとおり、PKO活動等については非常に幅広く、それから当初の段階から参加しているということがそれを効率的に行うために非常に重要だということは御指摘のとおりでございます。
 そこで、先生のお尋ねの防衛庁として平成六年度から国連代表部へ事務官を一名派遣することとしていたがどうかという御質問については、既に外務省に出向の上、本年八月に着任をしておりまして、これは実現を見ておるところでございます。
 なお、同様に、専門知識を活用するという意味で国連代表部等への自衛官の派遣につきましても現在検討をしておるところでございますが、同時にこの件につきましては防衛問題懇談会の方でもそのような御提言がされております。今後の国連の動向、国連代表部の活動状況等を総合的に勘案しながら、外務省とも協議をして、その検討をしてまいりたいと考えています。
#55
○吉田之久君 一刻も早くそれを実現させまして、そして国連というところで日本の自衛隊の制服の人たちが各国の派遣されておる軍部の代表たちとも十分連絡をとり情報を交換し合いそれを政府に報告をする、あるいは外務省に伝える、そういう重要な任務がいよいよ必要になってくると思うわけでございまして、一層積極的に努力をされたいと思うわけなのでございます。
 次に、四番目の質問といたしましては、PKOを初め今度の政府専用機の派遣等国際貢献は世界平和の維持のために極めて重要な活動であり、国連の役割が高まりつつある中で、我が国としてもこれを積極的に協力していく体制を整備する必要があります。
 そのためには、例えば足の長い輸送機など、これまでは必要のなかったものもだんだん必要になってきておると私は考えるわけでございます。これは、国際貢献を自衛隊の本務またはこれに準ずる任務として位置づけるべきであるという主張とセットとして検討されるべき一つの問題ではないか、また防衛計画の大綱別表に明記されております装備品の改定にかかわる問題でもあると思うわけでございます。
 私は、自衛隊法第三条またはそれに準ずる条項に国際貢献というものをはっきりと規定するとともに、これに必要な装備品を計画的に整備していくべき時期に来ていると思うわけでございますけれども、防衛庁長官の御所見を拝したいと思います。
#56
○国務大臣(玉沢徳一郎君) まず、この国際平和維持活動におきましては、現在はできるだけ現在保有しておる装備品を通じまして運用いたしておるわけでございますが、今後そういう上におきまして支障が生ずるというような点があった場合におきましてはやはり必要な装備品を確保するために検討するということは今後必要であると思っておるわけでございます。
 今後、組織面や装備面も含めてその点について検討してまいりたいと考えております。
#57
○吉田之久君 今あるものの範囲内で適当に運用しておけという姿勢ではやっぱり本格的な体制にならないと思うわけでございまして、この法改正を契機にひとつ政府は、防衛庁はもっと前向きに、もっと積極的に国際貢献に対応でき得る完全な日本の自衛隊組織、内容というものを急がれなければならないと思うのでございます。
 次に、邦人救出は原則として政府専用機になっておりますが、着陸できない飛行場も随分出てくると思うわけなのでございます。特に、邦人を救出しなければならないという混乱期のそういう地点、それは大型のジャンボがゆうゆうと離着陸できるそんな飛行場が備わっていることはむしろレアケースでありまして、そういう場合に政府専用機が利用できないならばC130等輸送機を使われる御意思のようでございますけれども、もっと広範に自衛隊機というものを邦人救出のため、この重要な任務を果たすために大いに活用すべきではないか。
 そうは言いましても、戦闘機や爆撃機を使えと、そんな非常識なことは申しませんけれども、邦人救出、日本人の生命と財産を守ることでございますから、使えるものは積極的に使っていくというやっぱり姿勢がないと、何か腰を引いたような考え方でまずは無難に当面を処理しようではないかというような考え方が見え隠れしているような気がしてならないわけでございまして、その点、先ほどの板垣先生の御質問にもありましたが、特にヘリコプターの活用というのは最もこういうことに適した機種ではないかというふうに思うわけなのでございます。
 何も危機に瀕しておる邦人を直ちに日本へ運び返すことだけが必要ではないわけでありまして、まずその危険なところから少しでもより安全な隣の国へ移動させてやるということでも十分任務を果たせるわけでございます。あるいは艦艇等も使用させるようにして、先ほどもお話ありましたようにまずはその安全な日本の艦艇のところまで邦人をヘリで運んでやるとか、小型の飛行機で、自衛隊機で運んでやるとか、そういうことこそが一番適した対応ではないかというふうに思えてならないのでございまして、大型専用機二機を使うだけで何だか邦人救出できそうなイメージだけを与えて実際は空念仏で終わったのでは大きな国民に対する背信になると思うわけなのでございますが、いかがでございますか。
#58
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 法案の内容におきましては、邦人の救出につきましては政府専用機の使用をまずもって考える。しかしながら、いろんな事情、要素等を考えまして、例えば政府専用機が空港に着陸できない、そういうような場合におきましてはC130を使用するということも当然これはもう考えなければならぬと思うわけでありますし、またヘリコプターにつきましては航続距離や搭載能力において制約が大きいわけでございますけれども、一般的には想定しておりませんが、輸送の用に主として供するためのものであればごく近距離や極めて少人数の場合には全く排除されるわけではない、これも当然考慮の中に入れておくと、こういう趣旨でございます。
#59
○吉田之久君 長官の答弁を聞いておりますと、使用することは例外的にあり得る、あるやもしれずというお考えでありますが、私は逆に、むしろ一般的にそういう小型の飛行機の方がそういう危機に一番間に合う機種であると思うわけであります。だから、政府専用機を使うことは大いに結構でございますけれども、人を乗せて運び得る自衛隊機はいざ邦人救出というときには安全が確保される限り積極的に出動するということでないと何だか見せかけの邦人救出に私は終わるような気がして心配でならぬわけでありまして、きょうの法律改正のこの時点ではこれでよいといたしましてもこれだけで完全ではない、これは単なる入口にすぎないのだという気持ちをまずは長官がはっきり持ってもらわないと私は心配でならないのでございますが、いかがですか。
#60
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 前にも申し上げましたが、邦人救出ということに全力を挙げる、こういう観点からいいますならば、例えば陸路からの脱出も考えられますし、定期便による脱出あるいはチャーター便による脱出とか、それから政府専用機あるいは我が国の輸送機、ヘリコプター。やはり邦人救出の場合は一つの方法だけではなくしていろんな方法がある。その事態その事態に最も適切なものを組み合わせをしながらもやはり邦人救出に万全を期す、こういう方針で臨むということが一番正しいのではないか、このように考えます。
#61
○吉田之久君 去年の十一月二十五日、衆議院におきまして我が党の西村議員が質問いたしておりまして、当時の中西防衛庁長官がお答えになっているところでございますが、「少なくともサミットに参加する国々の政府専用機の保有台数を調べてみますとこ、これは中西長官の答弁でございますが、「ドイツでも三十機、アメリカなんかは四十数機、イタリアでも十一機だったですか、かなり持っているわけですね。しかし、日本はまだ二機しかない。」と。いかにも機数からいって貧弱きわまる感じがするわけなのでございます。
 そこで、防衛庁にお聞きしたいんですが、この諸外国が持っております何十機という救出用の政府専用機、それは日本の今持っておりますジャンボ747のような大型の専用機ばかりなのか、それとも私どもが申しておりますようなもっと小型のものも、輸送機も随分含めてのカウントなのか、その辺は検討されておりますか。
#62
○政府委員(村田直昭君) 先生御指摘のとおり、諸外国の政府専用機、主として要人の輸送を担当する部隊の保有する航空機について見てみますと、米国については固定翼二十機、回転翼二十機、合計約四十機。英国につきましても固定翼二十機、回転翼数機ということで合計二十数機。フランスにつきましても固定翼約十機、回転翼十機、合計約二十機。ドイツについても固定翼三十機、回転翼数機で約三十数機。イタリアにつきましても固定翼約十機、回転翼数機、合計約十数機ということでございます。
 それで、その中身でございますけれども、米国につきましてはボーイング747−200というような、我が国は400でございますから若干違いますが、747あるいは707、DC9、C20というような輸送機を持っておる。英国につきましても、VC10、それからBAe125、BAe146というような航空機を多様に持っております。フランスにつきましても、DC8、ファルコン900、ファルコン50等の機種。ドイツにつきましては、A310、ボーイング707等。イタリアにつきましては、ガルフストリーム、DC9等を持っておるというように、やはりその使用目的に応じて使い分けるような多様な機種を持っておるということでございます。
#63
○吉田之久君 今の御答弁でほぼわかりましたが、やっぱり外国ではそういう使い得るいろんな輸送機を政府専用機として多種多様に取りまぜて構成して有事のときに役立てようとしておるわけでございます。私はそれが常識だと思うのでございますね。それに日本だけがひとり、あくまでも政府専用機でございます、場合によっては輸送機を若干使うこともあります、ヘリコプター、回転翼機はほとんど例外としてしか使えないでしょうなんて、全く姿勢が違うんですね。ちょっとおかしいと思いますよ。
 同じ国際貢献をする、同じ邦人救出をする場合に、日本だけが特殊なんだ、日本はこれしかできないんだと、そんなことにいつまでもこだわっておるべき時期は既に過ぎ去ったと思うんですね。だから、きょうを機会にひとつ防衛庁も政府みんな相談していただいて、本当に日本は世界並みに同じように対応を始めようじゃないかということをあなたが提言しないと事は進まないと思いますね。答弁してください。
#64
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 邦人救出というとうとい任務を達成するためにあらゆる努力をするという決意表明をいたし、今後それを達成するための検討も進めてまいりたい、このように考えています。
#65
○吉田之久君 いつまでも日本だけが何か硬直した姿勢で日本独特であり得ようという時代は過ぎ去ったと思います。子供が沖でおぼれているのに親は助けに行かない、友人や隣人に頼んでおる、そんな親はないと思うのでございますね。ひとつ大いに御決断をいただきたいと思うのでございます。
 それから、きのうの新聞で拝見したんですが、「ゴマもコレしだい」と。ザイール兵へのチップの捻出に日本のPKO自衛隊員が非常に困っておるという記事を拝見いたしまして、悲しいことだけれどもまだ世界ではそういう実態もあるだろうなと思いますと同時に、そのチップの捻出に防衛庁のOBや家族らの親睦会である隊友会口座から持ち出したり、あるいは今回の派遣に当たっての各方面からのせんべつを充てたりしておる、隊員の懐を直撃しておって頭を悩ませておるという非常に気になる記事を拝見したわけでございます。
 しかし、そういう現実が現にあるわけでございますから、それに対して国が理屈や建前だけを論じておって、そんなものは国家としては考慮できないよと言い切れるのかどうかでございますね。だから、現実に対応する何らかの配慮、それが諸雑費であろうが交際費であろうが名目は何でもよろしゅうございますけれども、やっぱりそういうものが必要ならば、苦労しておる自衛隊員の懐やせっかくみんなからもらったせんべつをそれに充でなければならないというのは余りにも現実は悲し過ぎると思うのでございますね。胸を痛めていらっしゃると思うのでございますが、防衛庁長官はいかがお考えでございますか。
#66
○政府委員(村田直昭君) ちょっと突然のあれで私もその記事は見ておりませんので何とも申し上げかねますが、ただ今お聞きしたような趣旨のものでございますとなかなか公費で支払うということが難しいのかなというふうに考えられます。ただ、内容によりましてはきちっとした費用、費目でございますれば公費でもって支払うこともできる。ちょっとよく内容を検討しまして対応したいと思います。
 それから、同時に、今言ったような御趣旨じゃございませんけれども、それ以外に公費で何か仕事をしなけりゃならぬことについては十分会計的に処置をしておるというふうに私どもは考えているところでございます。
#67
○吉田之久君 これで質問を終わりますけれども、有力な大新聞が出しております重要な記事、我々でさえ十分目にとまりますものが防衛庁の高官の方が読んでなかった、知らなかったでは、私は世の中ちょっと合点がいかないわけでございます。
 それ以上は言いませんけれども、やっぱり細大漏らさずそういうものに目を通し、そして本当に心配してやるという気持ちがなかったら私ははるかかなたに派遣されておる自衛隊員がかわいそうだと思うのでございます。もっと愛情ある姿勢が必要でございますし、こんなのは情報収集の初歩でありまして、それも収集できないようで世界の情勢がわかるのか、現地の苦労がわかるのか、これからのPKOのあり方がどうなのか、まことに肌寒い思いがいたしました。
 以上で質問を終わります。
#68
○中尾則幸君 どうも御苦労さまです。中尾でございます。
 先ほどからも自衛隊法の一部改正についての論議が続けられておりますが、私もこの点に絞ってお伺いいたします。
 海外の騒乱や紛争などで緊急事態が発生いたします。邦人の救出をいかにやるべきかというのは、事前に対策を立てておくことが政府の義務として当然だろうと思います。私もそれには全く異論はありません。
 しかし、今回提出されました自衛隊法の一部を改正する法律案について私は若干矛盾点あるいは問題点があるというふうに感じております。賛否を決する前にこうした問題点を、きょうのお話にもいろいろありましたので一部重複いたしますけれども、私も整理、確認させていただきたいと思います。
 まず第一問でございます。一九六五年のインド・パキスタン戦争以来、政府が民間機をチャーターして邦人救出のための輸送を行ったケースは何件ありますか。
 また、こうした民間機による邦人救出で犠牲者を出したケースや事故を起こしたケースがありますか。
 第三問。さらに、民間機による邦人救出が不可能だったために、つまり紛争当事国で救出できなかったために犠牲者等を出した例がございますか。これについてお答えください。
#69
○説明員(畠中篤君) お答えいたします。
 印パ戦争以来、邦人が紛争に巻き込まれまして政府が日本の救援機を派遣して救出いたしました件数は九件ございます。
 その中で、御質問の犠牲者を出したといったような例は、現在までのところございません。
 それから、邦人の救出が政府の専用機と申しますか日本からの飛行機の発出で間に合わなかったと申しますか、実際問題として例えばベトナムのケースなどはマニラまで参りましたけれども間に合わないケースがございましたけれども、その結果犠牲者が出たかということの御質問でございますが、これも今までのところございません。
#70
○中尾則幸君 結果として今まで事故等を起こしたことはない、犠牲者を出したことはないということであります。
 それでは、防衛庁長官に伺います。
 今回の質疑の主な論点なんですけれども、まずこの法改正の理由それから根拠、民間機による救出についての不都合、つまりどこかに不都合があるからこの自衛隊法の一部改正があるんですけれども、端的にまずお答えいただきたいと思います。
#71
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 自衛隊法改正案を提出する理由でございますが、外国における災害、騒乱等の緊急事態に際し生命等の保護を要する邦人については、政府は従来、これら邦人を本邦等の安全な地域へ避難させる必要が生じた場合、民間定期便等による自発的な避難を促すとともに、民間定期便等の利用が困難な場合には、民間機をチャーターすることによってその対処を図ってきたところであります。
 しかしながら、この民間機チャーターという手段については、例えば民間航空会社との調整に手間取るなどにより適時適切に対応することが困難な場合があるなどの問題がありました。例えば、イラン・イラク紛争の際におきまして、在イランの邦人出国のため救援機の派遣等の準備を進めましたが、結局間に合わず、大多数の邦人がトルコ航空で出国することになった、こういうケースがございます。
 このような問題点を改善するため、平成四年四月一日をもって邦人の輸送の用に供することが可能な政府専用機が防衛庁へ所属がえされたことを機に、自衛隊法を改正して在外邦人の保護のための輸送を行うことのできる権限を防衛庁長官に付与していただきたい、こういうような趣旨で提案をいたしておるものであります。
#72
○中尾則幸君 今、イラン・イラク戦争の例が出されましたけれども、そもそも先ほどからもお話しございましたこの政府案提出の背景、理由の一つに、民間航空機のパイロットも危険性の高い地域での飛行に反対しているというか、手間取るというふうな言い方をされております。だから自衛隊機を派遣できるようにしなければというのがそもそもの趣旨だろうと思います。
 昨年六月の当委員会でも同僚の喜岡議員がいろいろ質疑されておりますけれども、一九七五年、ベトナム戦争、サイゴン陥落時の例がよく引き合いに出されますけれども、邦人輸送をアメリカに依頼したわけです。これは米軍ヘリコプターで日本人十人が救出されたというふうに私は伺っております。そして、残留邦人百六十九人については全く危害を受けていないという報告を受けています。そうしたらこのケースの場合、自衛隊機なら派遣救出が可能だったかどうか、お答え願います。
#73
○説明員(畠中篤君) そのときに自衛隊機が派遣できたかどうかということはいろいろな状況がございますので正確には申し上げられませんが、事実関係といたしまして、一九七五年四月三日以来、邦人に対しましては累次退避勧告を出してまいりました。政府は四月十一日以降、民間チャーター機が飛ばせるかどうかの検討を開始いたしました。サイゴンの飛行場は四月二十八日まで実際上使用が可能でございました。
 そういう状況におきまして、もし政府専用機が検討の対象になっておりましたら、一つの可能性として間に合ったのではないかという考えております。
#74
○中尾則幸君 こればかりで時間を費やすわけにいきませんですけれども、一つだけ確認です。
 一九七五年四月二十八日の夜、木村運輸大臣が日本航空と相談して日航機を飛ばすように要請しておりますね。今の答弁では四月十一日以降と言っておりますけれども、この時差はどうなりますか。一言で結構です。
#75
○説明員(畠中篤君) 実際に、最終的に要請が出まして日航機が飛び立ちましたのは二十九日の朝でございますが、検討を始めましたのは十一日以来、先ほど御指摘のようないろんな要素、保険料の話とかあるいはクルーの意見というようなこともあったように伺いますが、検討をしてきたということでございます。
#76
○中尾則幸君 私が聞いているのは、正式に要請したのはいつかというふうに言っているんです。
#77
○説明員(畠中篤君) 正式に要請いたしましたのは、種々の条件を勘案いたしまして、実際に出られるというときに要請をしたわけでございます。
#78
○中尾則幸君 四月二十八日ですよね、正式には。ということは、ここなんですよ。四月二十八日夜要請しているわけですね。次の日の二十九日にはもう飛んでいるのです、日航機は。マニラまで行っているのです、三時に。ところが、既にもうアメリカ大使館は閉鎖しているという状況でございます。これについては私は申し上げませんけれども、少なくとも大きな理由にしてはならないということなんです、はっきり言って。私はそれだけ申し上げます。
 次に進みます。
 昨年十一月五日閣議決定についての質問であります。「在外邦人等の輸送のための自衛隊の航空機の使用について」、ここに私の手元にございますけれども、この中で派遣先国の空港及び航空機の飛行経路の安全確保が条件というふうにうたっております。これもよく安全保障委員会でも質疑が行われておることは承知しておりますが、安全が確認されない場合は飛ばさない、安全なら私は従来のように民間の定期便やチャーター機で十分対応できるのではないかと思うんですが、いかがか。
 そしてまた、自衛隊機でなければ不可能なケース、民間機じゃだめだ、チャーター機じゃだめなんだ、今までの従来の救出の方法じゃだめなんだ、例えば今想定されているC130、ボーイング747もございますけれども、自衛隊機でなければ不可能なケースというのはどういうケースを想定されておりますか。
#79
○説明員(畠中篤君) 私どもが政府専用機あるいは民間チャーター機を考えます場合、邦人救出の必要が生じた場合にはその当該地で民間の定期便で出られるかどうかということをまず最初に考えます。しかし、民間の定期便が飛ばなくなっているとか、あるいは民間定期便は飛んでおるけれどもその日に飛ばないとか、あるいは満員で邦人が乗れないとかいったような困難が生じた場合に、それでは民間のチャーター機を飛ばすか、あるいは政府専用機を飛ばすかということを検討するわけでございます。
 そのどちらを飛ばす方がいいかということにつきましては、そのときの状況によりまして、一番重要なことは、先ほどもございましたけれども、事件が発生しそうだ、あるいはしてから時間がたてはたつほど危険度は増します。したがいまして、できるだけ早く出すということが非常に大きな要素になります、それだけではございませんけれども。
#80
○中尾則幸君 何だかわかったようなわからないようなお答えで、やっぱり私の理解が鈍いのか。それじゃ、民間機で十分じゃないですか。
 ということは、安全確認というのは、さっき言った四月十一日の話を蒸し返してもしょうがないですけれども、事前の情報の収集、これは後でまた聞きますけれども、そういう徹底した危機管理をきちっとやっていく。飛行機だけ飛ばせば安全に帰れるなんて思ったらとんでもない間違いですよ。陸路をどうするのかとか、いろいろございます。いいですか。民間機で私は十分だと思うんです。その補完として例えばこの自衛隊機、特に私はC130のことを言っているんです。もう一回明確に答えてください。
#81
○説明員(畠中篤君) 私の言葉が足りなかったかもしれませんが、民間機でも結構でございます、早ければ。民間のチャーター機が早く出せれば結構でございます。しかし、その時点でどちらが早いか、あるいは先方の状況その他いろいろなことを、飛行場の状況その他を考えまして、どの飛行機、民間チャーター機がよいのか、あるいは政府専用機がよいのかということを判断して決めるということでございまして、民間機ではいけない、民間機ではなくて政府専用機だということを申し上げているわけではございません。
#82
○中尾則幸君 そうすると、私の感想を申し上げますと、わざわざ自衛隊法の一部を改正する必要はないと私は思うんですが、次に進みます。
 仮に、自衛隊機を飛ばすについて相手国政府の了解を得られたとします。しかし、通常と違うわけですよ、平常じゃないんですから。紛争地域に飛ぶ以上、紛争当事者はいろいろあります。反政府軍もあるでしょう、すべての了解を得なきゃいけないですね。現実的に私は大変困難だと思うんです。時間がかかるんじゃないでしょうか。不可能に近いと思います。そしてもう一つは、紛争に巻き込まれるおそれが十分にあります。一体どう対処するおつもりですか。
#83
○説明員(畠中篤君) 先ほど御説明いたしましたが、これまでも民間のチャーター機を飛ばして救出をしております。そのときには、現地の在外公館を通じまして当該政府、権限のある当局から飛行許可あるいは途中飛びます経路におきます安全についても確認をいたしましてそれで飛ばします。
 しかし、今御指摘のように、先方政府、権限当局だけでは安全というものが十分確認できないと申しますか十分でないと判断されますときには、やはり必要に応じまして権限ある当局以外の紛争当事者からも安全の保証を取りつける努力もすることになると思います。
 しかし、それ以外にも、例えばほかの国がどういう対応をしているか、ほかの国がその時点で救援機を飛ばしているか飛ばしてないかといったようないろいろな情報を集めまして総合的に安全を確認して飛ばすということでございます。
#84
○中尾則幸君 答弁を聞いていると全く自衛隊機は必要がないというような気がするんですよ。
 次に、防衛庁所管の政府専用機B747、二機あります。実際上は自衛隊のC130を性能から見てもお使いになるというケースが多くなると思うんですが、外務省では、相手国の安全を保証するエアコリドーというらしいですが、空中回廊を使うから心配ないと言っておりますけれども、C130の輸送機、御存じのように迷彩塗装でございます。迷彩塗装ということは、もういわゆる軍の姿そのものであります。例えば内戦など緊張状態にある外国の上空を飛行した場合、いろいろ許可をとるといいますけれども、これも非常に現実的じゃないんですが、飛行した場合、誤認による対空砲火などの攻撃を受ける危険性が大きいと、これはいろいろ専門家が指摘しているんです。これをどう考えるか。先に救出ありきでしょう。邦人が安全になるためならどの手段でもいいというのは当たり前のことですよ。わざわざ迷彩塗装を施したC130を飛ばすことは私は必要ないと思っているんですが、いかがですか。
#85
○説明員(畠中篤君) 繰り返しになりますが、政府が救援機を飛ばしますときには、先ほど申し上げましたような安全の確認を権限ある当局その他から情報を集めながら十分いたしたいと思いますが、政府専用機を飛ばすのか、あるいは飛行場の状況その他でC130という輸送機を飛ばすのかということにつきましては防衛庁の判断をお願いせざるを得ないと思っております。
#86
○中尾則幸君 私の理解が悪いんでしょうかね。全然お答えいただいてないみたいです。
 私は、迷彩塗装を施したC130、これは非常に危険でないかと言っているんです。お答えください。
#87
○政府委員(村田直昭君) まず、先ほど来お話がありますように、空港当局あるいは当該国の安全であるという確認を得て飛ばすということが前提でございますから、それが迷彩であるか迷彩でないかということによって差が出てくるということではないわけです。
 それから、迷彩が安全か迷彩じゃない方が安全かということについて申せば、その飛行機の運用の仕方によるわけでございまして、これはむしろ今言ったような通常の飛行じゃありませんで本来の目的が戦術輸送機でございますから、戦術輸送機としていわゆる銀白に光っておる方が安全なのか、そうでない迷彩の飛行機の方が安全であるかということについていえば、その件に限っていえば迷彩の航空機の方が安全であるがゆえに自衛隊の戦術輸送機は迷彩色をとっておるわけでございまして、ただその前提は安全が確認されたところへ行くわけですから、今言った色の問題を捨象して考えていただきたい。
#88
○中尾則幸君 いや、そこまで、それこそ白を黒と言われたら私は言う言葉がありません。これは一般論として、戦術輸送機ですよね。私も北海道でいろいろ日米共同訓練を見ました。ヘリボーン作戦なんかを見ました。それは訓練ですから、だっとおりできますよ。その飛行機が飛んでいる、それはその方が安全でないと言われれば、これは改めて、これだけに時間を費やすというわけにいきませんので。今安全であると言いましたね。わかりました。それじゃ、別途機会を改めてその話をいたします。
 次は慣熟飛行の問題であります。
 例えばいろいろな空港があるわけです。これは元自衛隊のパイロットであり民間航空機のパイロットである方のお話を伺いました。やっぱり空港を知らなかったらなかなか飛べないわけです。自衛隊は各世界の空港を訓練で飛ぶわけにいかないですよ。経験が乏しい、キャリアがない、しかも騒乱状態の中に行くわけですよ。もちろん安全を確保していくのはいいけれども、それについてどうお考えですか。
#89
○政府委員(佐藤謙君) 今お尋ねの件につきまして私の方からお答え申し上げさせていただきます。
 現在の政府専用機によります国外運航につきましては、私どもといたしましては、基本的には各路線であるとか各空港に関します航空援助施設の状況等につきまして日ごろから情報収集を行いますとともに、平素からの教育訓練を通じまして要員の練度の維持向上ということに努めることによって対処し得るものと考えておりますけれども、今先生お話のありましたように、国外の路線に慣熟して、地域の特性を把握するために実際に国外運航を経験しておくということも任務を一層確実に実施するという観点からは重要なことと思っております。
 こういう考え方から、現在はもちろん、現在既に任務とされているこの政府専用機による輸送に関してでございますけれども、既に各年度数回程度国外運航訓練等を行っているところでございますし、また、時間、経費等の制約のためにフライトシミュレーターも活用して訓練を実施しているところでございます。
 今回のこの法案が成立して将来在外邦人等の輸送に係る任務運航ということを実施する場合にも、今申し上げましたような訓練であるとか経験であるとか、こういったものが生かされていくのではないか、こういうふうに思っております。
#90
○中尾則幸君 私はプロじゃありませんけれども、非常に心もとない。それはプロの人が聞いたらはっきりわかるでしょう。
 ここで改めて確認しておきたいんですが、C130等の自衛隊機による邦人救出の際、事故が万が一発生した場合の責任の所在はどこにあるんですか。事故が発生した場合の責任の所在でございますけれども。
#91
○政府委員(村田直昭君) 自衛隊機を使って邦人の輸送を行うというケースにおいて万が一、まああってはならないことでありますが、事故が生じだというようなケースについてのお尋ねでございますけれども、それにつきましては邦人または外国人、この場合は邦人でございますけれども、自衛隊機に搭乗させた場合で事故が生じて当該人に死傷等の損害を与え、その事故の発生につき自衛隊側に責任が認められるときには、国家賠償法に基づきまして損害賠償を行うことになるということでございます。
#92
○中尾則幸君 申しわけありません、意地の悪い質問で。これは去年の十一月十八日の衆議院の安全保障委員会でも政府が答弁しております。大体同じです。国家賠償法一条の規定、「防衛庁側に民事上の責任がある場合には適切な損害賠償をする」と。これは当然だろうと思いますけれども、私はここであえて意地の悪い質問をしたわけじゃないんですが、これは担務が防衛庁だとか発注先が外務省だとかいろいろあるでしょう。これは政府全体の責任なんですよ、この問題は。
 そこで、五十嵐長官にお伺いしたいと思います。
 昨年十一月五日の閣議決定で、これは手元にありますが、安全確保等の七項目にわたって決定された事項があります。その中に、第一二項ですが、「在外邦人等の輸送の実施に当たっては、当該輸送を行うことが必要となった具体的な緊急事態の状況(派遣先国の状況等)、輸送の態様(派遣機種、機数、人員数等)等を勘案し、必要に応じ、自衛隊の航空機の派遣について閣議の決定を行うこととする。」と書いてあります。これは重要な決定なんです。本来であれば、こういう決定に際してもやっぱり国民の代表たる国会で、立法府で事前承認等の議論をすべきだと私は思います。しかし、緊急の対応ということもございます。それが無理な場合、この「必要に応じ」という文言はほとんど必要としなくていいということなんです、はっきり言って。これは政府の姿勢として私はいかにもあいまいである。せめて閣議決定を原則、基本にしていただきたいと思っておりますが、当時、官房長官は建設大臣でいらっしゃいまして、ひとつどうぞよろしくお答え願います。
#93
○国務大臣(五十嵐広三君) 今、委員御質問の中でお話がございましたように、政府といたしましては、自衛隊の航空機による在外邦人等の輸送を実施する場合におきましては、具体的な緊急事態の状況、輸送の態様などによって当該輸送に政府全体で取り組む必要があることから、閣議に諮る場合もあり得るという考え方などに基づいて、必要に応じて自衛隊の航空機の派遣について閣議の決定を行う、こういう基本的な方針を閣議決定により明示的に確認することといたしたものであります。
 今後いかなる事態が生ずるか明らかではございませんが、いずれにせよ、我が国国民の生命にかかわる邦人救出という重大な問題であることにかんがみ、自衛隊機を派遣するにつきましては内閣として意思統一を図る必要が多々あろうというふうに思われますので、私としてはそのような方向で基本的には運用してまいりたい、このように思う次第であります。
#94
○中尾則幸君 今、五十嵐長官の御説明では、私は一歩踏み込んだ御発言というふうに解釈いたしたんですが、内閣としてこれは非常に重要な問題であるから、こういった閣議については極力開いて検討をしたいということの発言ですか。もう一度確認させていただきたいんですが。
#95
○国務大臣(五十嵐広三君) 仰せのとおりであります。
#96
○中尾則幸君 ここの「必要に応じ」という文言が、今五十嵐長官の御発言によりまして、少なくとも基本とすると。原則とか基本というのは大変言葉の意味合いは違いますけれども、基本的にはこういった問題は閣議にかけるというふうに理解させていただきました。
 次に、同じく十一月五日の閣議決定の第七項目目でございますけれども、「在外邦人等の輸送を実施する自衛隊の航空機へ同乗させる」、便乗という言葉は悪いんですけれども、外国人の断りが出ております。日本人だけじゃなくて、その近くにいる本当に救出の足を失った例えばアメリカの方だとか家族の方、これを人道的な見地で救出するというのは私も全く異論はございませんが、一つ問題があります。この中で、そうしますと輸送の足を失った外国の軍隊あるいは軍属、場合によっては多国籍軍というケースもありましょう。それについての規定はありませんけれども、これは民間人に限定するというふうにとらえていいんですか。
#97
○国務大臣(五十嵐広三君) 本法案は緊急事態における邦人の退避手段の一層の充実を図るものでありまして、その趣旨から輸送の対象者はあくまでも邦人を優先するものでございます。
 しかしながら、政府といたしましては、人道上の見地から、邦人と同様の状況のもとで退避を必要とする外国人についても、余席がある限り搭乗させたいと考えているものであります。なお、過去におきましても民間航空機のチャーターによって邦人の輸送を行った際にも、外国人を搭乗させたケースは幾つかあるのであります。今後、本法案に基づいて外国人を同乗させる場合にも従来同様、人道的見地から邦人と同じような状況のもとで退避が必要とされ、他に救出手段がない者が対象となることを原則としているため、紛争当事国の軍人、軍隊が軍事行動の一環として同乗するというような事態は想定しがたいものと、こういうぐあいに考えている次第であります。
#98
○中尾則幸君 ということは、軍人・軍属、これは遊びに行っている方はいらっしゃらないと思うんですが、言ってみればそういう紛争地域で戦っている外国人兵士については、この邦人の輸送に便宜供与を与えるということではないというふうに理解してよろしいですか。
#99
○国務大臣(五十嵐広三君) 今申しましたように、いわゆる軍事行動の一環として同乗するというようなことは、これはもう認めてはならないことだということであります。
#100
○中尾則幸君 持ち時間が迫っておりますので。
 自衛隊法百条の八の改正に当たってもいろいろあるんですね。きょうは時間がありませんから聞きませんけれども、例えば陸路をどうするのか。今の規定にしても外国人、民間人。ところが軍人であってもけがをして今どうするかという人を救出できるのかどうかという、そういったことはクリアされてないんです。話し合われてないんです。これは後々のいろんな問題で私もこの委員会で取り上げさせていただきます。
 さて、質問を変えます。
 大韓航空機撃墜事件以降できたと言われているシカゴ条約というのは御存じだと思います。この条約の中身は、理由のいかんを問わず民間機を撃墜してはならないとの精神が盛り込まれているというふうに私は記憶しております。この条約は民間機のみに適用されるのかどうか、もしわかるなら教えていただきたいんですが。
#101
○政府委員(原口幸市君) 民間航空機のみでございます。
#102
○中尾則幸君 日本はこのシカゴ条約に加入してないと伺っております。この条約は加入国が規定数に達せず成立していないというふうに私の記憶では思っておりますが、このシカゴ条約の機運で、当然のことですけれども、道義的に民間機を撃墜することは許されなくなったと私は解釈しておるわけです。
 さて、戦時における文民保護条約というのがございます。ジュネーブ条約第三十五条について伺いたいと思います。
 時間がありませんので早口で読みます。第三十五条、領域からの退去。「紛争の開始に当り又はその期間中に紛争当事国の領域を去ることを希望するすべての被保護老は、その退去がその国の国家的利益に反しない限り、その領域を去る権利を有する。それらの者の退去の申請に対しては、正規に定める手続に従って決定しなければならず、この決定は、できる限りすみやかに行われなければならない。」というふうに規定してあります。
 この三十五条の正規の手続とは一体何を指すか。
 それから第二問。被保護者の退去を相手国が拒絶した場合、政府はどう対処するのか。
 その二点をお伺いします。
#103
○政府委員(折田正樹君) 正規に定める手続に従って決定されなければならないといたしますのは、被保護者の退去の申請に対する領域国の決定が恣意的に行われてはならないとの観点から、領域国に対し申請を検討する上での手続上の保証をあらかじめ被保護者に与えることを義務づける趣旨であるというふうに解されます。
 それから、相手国が拒否した場合でございますが、これはやはり我々は外交手段を使ってありとあらゆる観点からその許可が得られるように最善の努力を尽くすということだろうと思います。
#104
○中尾則幸君 もちろんそういう姿勢は当然のことだろうと思います。
 あと残された時間四分ほどしかありませんけれども、一点ちょっと確認しておきたいんですが、自国民救出に軍用機をという日本政府の今の姿勢に対して、アジアから拒否反応を示す声が上がっていると私は理解しています。
 ことしの九月末、衆議院の安全保障委員会の委員長近藤代議士さんらが韓国の李副総理に、朝鮮半島で非常事態が起きた場合に自衛隊所属の軍用機を韓国に派遣すると伝えたと、正確な言葉はわかりませんが、これは韓国の日刊紙によればそういうふうに事実が報道されております。この事実を承知しておりますか。
#105
○説明員(畠中篤君) 九月二十八日午後、近藤豊議員が李洪九韓国副総理兼統一院長官を表敬した際、現地大使館員が同席しておりましたけれども、大使館からは、右表敬の席上、近藤議員により国会での審議の模様を紹介し、自衛隊法の改正も懸案の一つであるという一言及をされたように伺っております。自衛隊の派遣を打診したということではないという報告を受けております。
 ただいま御指摘のような韓国の報道があったことも承知しておりますが、私どもはそれらの報道は今御審議いただいておりますような政府専用機の性格というものについて誤解があったのではないかと思っております。
#106
○中尾則幸君 そのとき韓国の日刊紙によれば、李副総理は、現在の状況では論議する時期ではないし必要もないと答えだそうですが、これは事実ですか。
#107
○説明員(畠中篤君) そのときの李長官の御発言は、私どもの承知しております限りでは、有事の際の避難の問題はいろいろ研究されているものと承知しており、しかし統一院の所管ではないので自分からは何もお話しすることはないという御発言だったというふうに承知しております。
#108
○中尾則幸君 私は現地でテープを回しているわけじゃないので、これ以上言うと水かけ論になりますので改めて。
 これを私はどうして取り上げたかといいますと、過去の歴史を見ますと、やっぱり軍事介入の懸念を持っているわけです。日本は、そこまで考える必要ないじゃないか、安心しなさいと言っても、そこなんです。そこをしっかりと考えない限り、今まで過去の例、例えば山東出兵を含めて盧溝橋事件のとき日本はどういう声明を出したか、詳しく説明はしませんけれども。それに対する懸念を払わなければ、単なる邦人救出、いいだろうという話じゃないというふうに私は申し上げているんです。
 法案では、外務大臣が防衛庁長官に派遣を要請するとなっています。安全に関する判断、確認方法、いろいろこれは大変だなと思います。先ほど聞きましたからもう申し述べません。ただ、外務省の資料で、平成六年三月現在、我が国の在外公館数が二百五十九。そしてこれはちょっと時期が違うんですが、平成五年度の資料では館員七人以下の公館数四十八館、二七%もあるんです。
 例えば、騒乱のときにどうやって情報をとるんですか。その騒乱の状態を本国に伝えなきゃいけない、走り回るわけです。バスもチャーターしなきゃいけない云々、飛行場がどうなっているか。これは確認できるんですかと私は申し上げたい。極めて手薄ですね。これは安全保障委員会でも言われていますけれども、この点について端的にお答えいただきたいと思います。
#109
○説明員(畠中篤君) ただいま御指摘のありましたように、小規模公館がかなりあることはそのとおりでございますが、その公館におきましてもふだんから邦人の連絡ネットワークをつくるとか、あるいは状況に応じまして徐々に緊急時点のマニュアルづくりをしてそれを邦人に徹底しておくとか、いろいろな努力をしながら対応することとしております。
#110
○中尾則幸君 最後になりました。
 今のお話で、これは防衛庁長官もそうだろうと思いますけれども、表現が私とちょっと違うので、やっぱり邦人の救出は安全第一が、確認が先なんです。救出するためにとの手段が一番いいかということなんです。ですから自衛隊法の一部改正ができたから、さあ、せっかくつくった刀を抜かなきゃいけない、そんなふうに考える必要は全くない。私はそう思います。
 ですから確認したいのは、今まで民間機あるいはチャーター機で実績を上げているんです。その実績をきちっと評価しながらそれを尊重していただきたい。C130があって、法案が通ればこれもあるよと、万々が一です、使うようなケースは私はないと思います。それについて民間航空機、今まで展開してきたこの救出について再度、さらにどうしたらいいのか。初めに自衛隊機ありきじゃなくて、そういうお考えがあるかどうか、お答えいただきたい。
#111
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 騒乱の態様とか経過、いろいろケース・バイ・ケースがあると思いますけれども、とにかく邦人を救出するということが急務でございますから、その状況に応じまして最もよい手段を講じて救出する、こういう考えで対処してまいりたいと思います。
#112
○委員長(岡野裕君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時二十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十二分開会
#113
○委員長(岡野裕君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、自衛隊法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#114
○栗原君子君 社会党の栗原でございますが、よろしくお願いいたします。
 まず私は、政府専用機は軍用機かどうか、このことにつきましてお尋ねをいたします。
 自衛隊法の改正案について質問をする中で、防衛庁の広報誌「セキュリタリアン」の九二年の九月号であったかと思いますけれども、防衛研究所の岩本誠吾教官が「国際法からみた政府専用機」という文章を書いておられます。これによりますと、国際法から見て政府専用機は対外的に軍用機である、このようにおっしゃっておられるわけでございます。これは岩本教官の個人の考えなのか、それとも防衛庁としてもこういった考え方でいらっしゃるのかどうか、見解をお願いします。
#115
○政府委員(村田直昭君) 政府専用機につきましては防衛庁が保有する航空機でございますから、C130等の他の自衛隊が保有している航空機と同様に一般的に申せば国際法上は軍用機として取り扱われるものと承知しています。これは、国際民間航空条約の上で軍の業務に用いる航空機、同条約の第三条(b)にございますが、として取り扱うべきものとして考えるというのが従来からの政府の見解でございます。
#116
○栗原君子君 ありがとうございました。
 続きまして、本改正案の問題点は、紛争などの騒乱時の緊急事態に際しての自衛隊機の派遣にあります。そうした事態に対して、実効支配の確立している政府に反対する政治勢力は、派遣する自衛隊機の行動は敵対行為とみなされ、攻撃されることも予測されるわけでございます。こうした場合に、反対する政治勢力からも自衛隊機の安全の保証を得る必要があるとお考えでしょうか。この点につきましてお伺いいたします。要するに、紛争当事国というのは一つの勢力だけでは紛争にはならないわけであります。複数以上でごたごたが起きて紛争になるわけでありますから、一万だけの了解でいいものかどうか、もう一方にも求める必要があるんじゃないか、こういったことを大変疑問に思うんですが、お願いします。
#117
○説明員(畠中篤君) 累次御説明してまいりましたように、派遣先国等へ政府の救援機を飛ばしますときには、領空通過、着陸の許可を得るほか、在外公館を通じましていろいろな情報も収集いたしまして、総合的な判断に基づいて十分に安全を確保してまいります。
 そういう中で、仮に安全が確保されない、危ないという状況では、民間のチャーター機同様政府の専用機も輸送に使うということはないわけでございますが、先ほど御指摘のありましたような状況というのは、紛争があっても、空港周辺の状況とかその辺の紛争の状況によりましていろいろ、一概には申せませんけれども、必要があれば安全確保の上で権限ある当局以外の紛争当事者からも安全の保証を取りつけるという努力をする場合もあり得ると思っております。
#118
○栗原君子君 政府が緊急事態に際しまして邦人輸送の自衛隊機を派遣するときに、当該国に例えばフランス軍とかアメリカ兵とかそういった軍隊が派遣されておりまして、それによって当該国の空港の安全が維持されているような事態に対しても、防衛庁長官は安全を確保されているとの認識を持ち、自衛隊機の派遣を行うのでしょうか。紛争はしているんですけれども、そこにいる第三国からの軍隊によって見た目ではそこは穏やかに見えるというような場合でございます。
#119
○政府委員(村田直昭君) 今の御質問にお答えする前に、この輸送は、常々申し上げておりますようにいわゆる邦人等を安全な場所に輸送するということでございますから、いろんな状況を見て安全が確保されないというような状況がいささかでももし予想されるならば、それは動かないということ、あるいは陸路、先ほど大臣等から申し上げておりましたように他の選択というものが別途たくさんあるわけでございまして、そういうことによってより安全を確保するということが大前提でございます。
 その上で、今の先生の御質問にお答えしますと、先生の御指摘になっているようなケースがどういうケースかというのはちょっと想像が難しいわけでございますけれども、いずれにしましても、繰り返しになりますけれども、派遣先国の空港及び航空機の飛行の経路について、権限ある当局あるいは当該国等の安全であるという確認、そういうことが認められない限りこの輸送は行わないということでございますので、ひとつその点については御理解を賜りたいと思います。
#120
○栗原君子君 本改正案に示されている安全の確保は、防衛庁の答弁また昨年十一月五日の「在外邦人等の輸送のための自衛隊の航空機の使用について」の閣議決定を見ましても大変不十分であると思うわけでございます。政府、防衛庁は何をもって安全の確保というのか、午前中の質問の中でも出ておりましたけれどもどうも私は理解できませんので、何をもって安全の確保というのか、明確にお答えいただきたいと思うんです。
#121
○政府委員(村田直昭君) まさに今先生御質問になっておることについては、先ほどの質問でもお答えしたと思うんですが、何をもってということは、いわゆる権限ある当局が当該空港に着陸することについての安全性を確認し、あるいはその国に我が国の航空機が乗り入れることについてその国の同意あるいは了解を得るというような手続が行われる、あるいは当該飛行経路におきまする関係各国についてその上空を飛行することについての了解を得る、そういうことによって当該飛行が安全であるということを手続的に確認できるということでございます。
#122
○栗原君子君 民間機では安全の確保が難しいから自衛隊機を派遣するとおっしゃるんですけれども、自衛隊機も安全であるところに派遣されるというのであれば、私は何か民間機でもいいような気がするわけでございます。
 それから、防衛庁の「航空機の使用及びとう乗に関する訓令」を見ますと、部外者が自衛隊機に搭乗する場合に、承認申請手続をとることが定められております。本改正案により在外邦人が自衛隊機に搭乗する場合に、申請者は乗り込む在外邦人本人なのか、それとも現地にいます在外公館の長になるのか、または外国人の場合はだれが申請者となるのか、お願いをいたします。
#123
○政府委員(村田直昭君) 先生御指摘の「航空機の使用及びとう乗に関する訓令」でございますけれども、これにおきまして、幕僚長またはその権限の一部を委任された者が例えば「自衛隊の広報菜務を遂行するに当って、特に有効である場合」に該当するとして搭乗を承認する等の一定の場合に部外者の搭乗に関し申請書を提出させることとしていますが、一方、自衛隊法第百条の五の規定等で、特定の法令の規定に基づく部外者の輸送については搭乗の承認申請手続を要しないということにしておるわけでございます。
 それから、在外邦人等の輸送に当たっては、改正後の自衛隊法第百条の八の規定に基づきまして外務大臣から防衛庁長官に依頼がなされるわけでございますから、自衛隊法百条の五に基づく国賓等の部外者の搭乗と同じように当該訓令をこの法律制定後には改正をしまして、航空機に同乗させることができる部外者として自衛隊法第百条の八の規定により輸送する者を追加するということを現在検討しているわけでございます。したがって、それについては例外措置として搭乗の承認申請手続を要しないというようにすることを考えているわけでございます。
 なお、防衛庁長官に対し外務大臣から輸送依頼が行われる際には、外国人も含の輸送すべき者が当然外務大臣の方から、あるいは在外公館の方からと言えるかと思いますが、示されるというふうに理解しているわけでございます。
#124
○栗原君子君 申請のことにつきまして伺ったんですが、では今度はこの反対側です。
 この場合に搭乗の承認権者は防衛庁長官になるのか幕僚長なのか、それとも航空機を運航する部隊長なのか、だれがこの承認を出す人になるんでしょうか。
#125
○政府委員(村田直昭君) 今お答えしたことでございますけれども、在外邦人等の輸送については、先ほど御答弁したように、訓令を改正して自衛隊法第百条の五の規定の場合と同様に搭乗申請手続を要しないとすることを考えておりますので、外務大臣から防衛庁長官に依頼があった場合に、それを受けて部隊が輸送すべき者を長官から部隊に示すということになろうかと思います。
#126
○栗原君子君 それでは部隊長と解釈してよろしいんですね、一応その場においては。
#127
○政府委員(村田直昭君) 外務大臣から依頼がありました者につきまして大臣が受けるわけでございますから、防衛庁長官から部隊長にそれを示すわけですね。それで、その部隊長がそのリストに従って搭乗させるということでございます。個々の搭乗手続というものは行われないということです。
#128
○栗原君子君 民間航空機の場合でも、何といいますか、乗る前には保険を掛けたり、あるいはどこのどういった人が乗るとか、どこの国の人が乗るとか、そういったことも細かく書くわけでございますけれども、この場合には何かそこらがうやむやのような気がいたしますが、そういうことは心配しなくてよろしいんですか。
#129
○政府委員(村田直昭君) だれを搭乗させるかということにつきましては、まず依頼者である外務大臣あるいは現地の在外公館長等において十分その確認をし、その上で外務大臣から防衛庁長官に依頼があるということでございまして、その依頼される方々の状況あるいはいろんな事項については外務省から送付されてくるというふうに理解しております。
#130
○栗原君子君 午前中、同僚の中尾議員からも質問がありましたので、その部分については省いていきたいと思います。
 それでは次に、地域紛争はどれくらいあり、この適用を予想されるケースについてはどのようにお考えであるのか、伺いたいと思います。これは外務省であろうと思いますけれども、現在、世界に何カ国ぐらい地域紛争があるのでしょうか。そのうち本改正案の適用が予想されるケースがどのぐらいあるものか、お答えください。
#131
○説明員(畠中篤君) そもそも紛争という概念につきましては明確に確立した定義はございません。特定の国や地域が現在紛争状態にあるか否かについて、そういうわけで一律に判断することは困難でございます。したがって、現在世界に存在する地域紛争の数を特定することもできませんが、いわゆる紛争が存在する主たる地域として例示をさせていただきますれば、欧州における旧ユーゴスラビア、旧ソ連のナゴルノ・カラバフ、タジキスタン、グルジア、アフガニスタン、アフリカにおけるソマリア等はこういう地域に相当するのではないかと思っております。
 しかし、つけ加えて御説明いたしますと、外務省は各国の治安状況に応じましてそれぞれ邦人に対していろいろな情報提供を行っております。一番軽いのは、治安が悪いので気をつけてくださいという注意喚起というのをいたしますが、現在これは十七カ国・地域に出ております。その次に厳しい状況になりますと、日本から行かれる観光は自粛された方がいいですという観光自粛勧告をいたしますが、現在これが十一件出ております。さらに厳しくなりますと、日本から行かれない方がいい、観光のみならずいらっしゃるのはやめられた方がいいという渡航自粛勧告というのを出します。現在二十三件出ております。
#132
○栗原君子君 それで、外務省はこれまでも緊急時に邦人保護の立場から民間機をチャーターしたケースがあると思いますけれども、今後も基本的には民間機による輸送が前提になると思われます。その場合を想定いたしまして民間機による輸送の計画をされていると思いますが、現在そういった準備のほどにつきましてはいかがになっておりますでしょうか。
#133
○説明員(畠中篤君) 外務省が邦人救出のためにその輸送手段を確保する必要が生じました場合には、まず民間の定期便で皆さん出ていただくように情報提供もいたしますし、勧告も出します。しかし、定期便で脱出することが困難なような状況、例えば席がないとか、その日に飛んでいないとか、あるいは定期便が全く飛ばなくなってしまうといったような状況が想定されますけれども、そういう状況に至りましたときには、その紛争の形態あるいは状況を判断しながら、民間のチャーター機を政府の救援機として飛ばす方がいいのか、あるいは政府専用機を飛ばすことがいいのかということをいろいろな状況を判断しながら検討することになります。
#134
○栗原君子君 いろいろ判断につきましては伺ったわけでございますが、こういったものを何がペーパーとしても残していらっしゃるものなんでしょうか。随時そういったことも省内で議論をしていらっしゃるわけですよね。
#135
○説明員(畠中篤君) きちんとした紙ということではございませんけれども、今まで政府専用機は使っておりませんけれども、既にこれまで累次の救援活動をしてきましたときに、まず定期便、それから民間チャーター機というような順序で検討してきておりますので、今後ともそういう順序で検討をしていくということになると思います。
 ただ、ちょっと先ほど答弁し忘れましたが、民間チャーター機を派遣する場合に備えまして、日ごろから国内関係機関との協議といいますか、そういう情報収集、連絡体制の整備は行っております。
#136
○栗原君子君 それでは、外務省とすれば防衛庁に頼る事態というのはほとんどないというぐらいに思っておられるのか、それともたびたびあるであろうと想定しておられるのか、お聞かせください。
#137
○説明員(畠中篤君) これはこれから起こることでございますので定かに申し上げられませんけれども、過去の例から申し上げますと、民間のチャーター機を検討することが、検討と申しますか派遣を決めるまでに時間がかかったために結局日本からの民間のチャーター機は飛べなかったというケースが幾つかございます。その結果として、例えばほかの国の飛行機に便乗させてもらって脱出するとか、あるいはベトナムの例では百何名の方がそこに残られてしまったというようなケースもございます。
 したがいまして、そういう必要が生じて、それから飛び立つといいますか派遣の決定に至るまでできるだけ早くその対応をしなきゃいけないということが危険を回避する非常に重要なポイントでございますので、そういう意味で政府専用機という手段を一つ持つということは、今後の救援活動に非常に対応がある意味では早くなる可能性があると思っております。
#138
○栗原君子君 またちょっと防衛庁長官に戻らせていただきたいと思いますけれども、地上整備員の関係についてお伺いをいたします。
   〔委員長退席、理事板垣正君着席〕
 
 民間機、軍用機を問わず航空機の飛行に先立ちまして地上整備員が必要でございますが、現実にPKO法によるカンボジアとかモザンビークとかザイールに派遣された自衛隊機の場合も、地上整備員を先行させて現地に駐在をさせているわけでございます。これは防衛庁の資料にも示されておりますけれども、政府専用機の場合は日本航空の出先の要員が代行するとも聞いているわけです。
 本改正案は自衛隊機の派遣についての規定ですが、地上整備員の派遣については法的にはどのような扱いになるのかと思うんです。先に行っておかないといけませんよね。飛行機だけ飛んでいっても、タラップを持っていく人とかタイヤの空気を点検するとか、そういうさまざまな人たちが必要でありますから、そういうのはどういう形で法的にはやられるんでしょうか。
#139
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 改正後の本法案に基づく在外邦人等の輸送に関し、自衛隊の航空機の派遣に先行して運航支援のための要員を派遣するか否かは、具体的なケースごとの必要性により判断されるべきものと考えております。運航支援のための要員を先行して派遣する場合の当該要員の業務については、在外邦人等の輸送を確実に行うため当該輸送の一環として改正後の自衛隊法第百条の八の権限に基づいて行われることとなります。
 これまで運航支援のための要員として現地に先行派遣されていたのは、主として現地において気象条件等航空機の運航に必要な情報の収集、燃料補給等の調整を行うための要員でありまして、地上整備要員が先行派遣されましたのはカンボジアの当初派遣の際のみである。
 以上です。
#140
○栗原君子君 ですから、今まで日本の在外公館もない地域においてもそれはできるものなんですかね、今の自衛隊法の百条の八によってやられるという。もうひとつそこのところを、どういう形で先に飛んでいくのかよくわかりませんので。
#141
○政府委員(村田直昭君) ただいま大臣からお答えしましたように、要するにこの派遣といいますものは、百条の八がもし仮に成立したとすれば、業務を遂行するために必要な要員を派遣する、その業務が整々と行われるために派遣するわけでございますから、先ほど言いましたように百条の八に基づいて派遣するわけです。
 そして、在外公館なり在外員がいないところというのは考えにくいわけでございますけれども、そのようなケースであれば、まず基本的には在外公館等を通じて相手国政府なり等の了解を得てそういう配置をするわけでございますけれども、ないというようなケースを考えますれば、当然隣国なりその他のところからそういう方がまず派遣されて、そういう手続をした上で自衛隊員が百条の八の任務を行うための支援を行うために当該国に派遣されるということだろうと思います。
 今までも、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、現地に、タイでありますとかセイシェルだとかマレーだとかいうようなところに先行して派遣をして、受け入れ、そしてそれを目的地まで運航するための手助けをした、こういうことでございます。これは国際平和協力業務の一環として、今までの業務はそういう業務として行ったわけでございます。
#142
○栗原君子君 これはいろいろ、市民団体の人たちも大変この法案に対しては注目をしていらっしゃるわけでございます。特にこの法案というのはPKO法よりも危険である、こう言う学者の皆さんもいらっしゃる状況でございます。
 それはなぜかと申しますと、PKO法の場合には国連の事務総長の要請に基づいてやるわけでございます。だけど、自衛隊法の第百条の八におきましてはこういった規定がないわけでございます。それから、実施に当たって閣議の決定を、PKO法では事前の国会の承認と国会報告とか、こういうことがありますけれども、この規定は私はないと思います。外務大臣の防衛庁長官への要請で派遣を決定するということでございます。それから、PKO法では武力の威圧とか武力の行使があってはならないということを規定しておりますけれども、この法案ではこういった規定も私はないように思います。それから、紛争当事者の停戦の合意につきましても、これもないように思います。それから、紛争当事者の受け入れの同意というのは、先ほどそういうことをちょっと伺いましたけれども十分ではないと思います。それから、活動の中止とか武器の使用の制限とか、ここらあたりにつきましてどのような見解でいらっしゃるのか、ちょっともう一度お答えいただければと思います。
#143
○政府委員(村田直昭君) 基本的にお答え申し上げますと、要するに二つの法体系が全く違っておると。一つは先生がおっしゃるとおりそういうような仕組みのものを法体系として認め、PKO法は要するに国連の要請があるとそれに基づいて我が国が派遣する場合に従来から国連が行っていたPKOの原則をPKO法の中に取り入れて規定をしておるということが、今言いましたような五原則でありますとか、これが日本の事情も踏まえ、それから国連PKOの現状も踏まえて、武力行使にわたるものではないあるいは威嚇にわたるものではないというような規定も盛り込んでおるということでございます。
 一方は、これは私どもがお答えするのが適当かどうかと思いますが、在外邦人の保護というような任務を我が国として果たすためにはどういうスキームが必要か、どういう制度が適切であるかという考え方のもとに、この中でやはり外務大臣の判断あるいは防衛庁長官の判断をあわせた上で、必要があればさらに閣議の決定を経るというようないろんな手順を踏んで、やはりこれも安全を確認しながら行うということだと思います。
 この規定があるが、こっちにはないじゃないかということであれば、それは両方の制度の背景が違っておるからではないかと思います。
#144
○栗原君子君 もう一つ、けさほどの提案理由の説明の中で「民間航空会社との調整に手間取るなどにより適時適切に対応することが困難な場合があるなどの問題点がありました。」と、こういうことをおっしゃっておられましたけれども、実はこの前のハイチの紛争におきまして、在外公館の人たちはいち早く民間のチャーター機を手配してそれで脱出をしたということを新聞で私は読んだんです。
 そういたしますと、日本で、外務大臣から防衛庁長官にそういった要請をするとかいろんな手続をして、それから日本からわざわざ遠くまで飛んでいくよりか、むしろ私は現地で民間機を調達して脱出をする方がよっぽど安全でいいと思いますけれども、だからこういったことが基本にはあると解釈してよろしいですね。
#145
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 邦人を救出する場合にいかなる方法、手段が最もその場合に適切であるかという判断をしまして、余りにも遠くに離れておった場合におきまして、こちらの方から飛行機を送っていく場合には大変時間がかかるというような場合は、当然今おっしゃられたように現地の定期便ですぐ脱出するとか、あるいは安全なところに陸路で脱出するとか、あるいはチャーター便を通じて脱出するとか、そういう点は適時適切に判断をして対処するということが最も大事だと思います。
#146
○栗原君子君 皇太子殿下とか天皇あたりが海外に出向くときに政府専用機で出向くわけでありますけれども、それについても後見人として日航のOBの人が機長のそばに乗っていっておられるというような話も聞いたわけでございます。そういたしますと、訓練の面からいたしましても、自衛隊の隊員が飛行機を動かしていく場合には私は訓練が十分にできていないから大変危険であろうと思うんですね。
 それで、天皇陛下などが行かれる場合には紛争しているところへ行くのでないから安全なわけでありますが、それでも後見人として民間の航空会社の人がそばについて乗るという話も聞いたわけでございますけれども、こんなことで私は本当に大丈夫なのかどうか、伺いたいと思うんです。
#147
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 海外に運航する場合はやはり安全が第一でございますから、日本航空その他の経験も照らしてそういう措置をとったものと思うわけでございます。なおかつまた、民間航空の定期便等の場合におきましては、同じ定期便の航路を同じパイロットが何回もやっている、こういうケースが多いようでございます。
 ところが、想定される事態にこの法律で救出に向かう場合におきましては、やはりパイロット自体が十分な経験を積んでおくということが大事でございますから、ふだんからやはり世界各国の空港等におきましての状況とか、あるいは事前にそういうところに行って訓練をする機会を持つということは大事だと私は思います。
#148
○栗原君子君 それでは、日本の軍用機で脱出をしまして、その後に空港に駆けつけた人というのは、後は何とかおまえたちでやっていけという話になるんでしょうか、また迎えに行くんでしょうか。大変これは素人的な考え方なんですけれども、一つ気になるものですから。
#149
○説明員(畠中篤君) それはまさにそのケースによりますが、まだ安全でもう一度政府の救援機が飛べるかどうかというような判断も一つ入ると思いますが、残念ながらもう間に合わないというようなケースは、その際には在外公館ができるだけ安全な場所に、その邦人の保護に努めるということになると思います。
#150
○栗原君子君 それでは、在外公館はいち早く脱出してはいけませんね。一人も日本人がいないということを十分に確認してから最後に脱出する必要があるんですね。いち早く在外公館がしてはいけないんですね。
#151
○説明員(畠中篤君) 外務省の所掌として邦人保護ということがありますので、在外公館では常日ごろできるだけ在外邦人の、何人とこにおられるかというようなことも含めて把握に努め、なおかつ治安情勢その他についての情報を提供したりいろいろしながら、地域によって程度は違いますけれども、そういうことをしております。したがいまして、在外邦人の保護という観点から全部脱出されればよろしいわけですけれども、残っておられれば在外公館の館員は最後まで残ってそのお世話をするということになると思います。
#152
○栗原君子君 それでは、官房長官にお伺いをいたします。
 憲法第九条は、武力で国際紛争を解決することはかたく禁じております。今回の本法の改正の根本的な疑問は、外国の騒乱などの緊急事態に際して、海外に在住する邦人を武力である自衛隊機の派遣により救出、輸送することが、たとえ当該国が受け入れに同意したといたしましても、憲法の武力による国際紛争を禁じた規定に抵触していないのかどうなのか。
 私は、最初の質問で確認いたしましたように、政府専用機であってもこれは軍用機であり、それをまた派遣して邦人の救出、輸送をすることは武力による国際紛争の解決になるという考え方を持ちますけれども、この点については政府としてどのようなお考えでいらっしゃるのか、お聞きをいたしたいと思います。特にまた、憲法上のどの条文に沿ってこういうことをされようとしておるのか、その条文をちょっと教えていただきたいと思います。
#153
○国務大臣(五十嵐広三君) 今回の自衛隊法の改正案は、外務大臣から依頼を受けて防衛庁長官が生命等の保護を要する在外邦人の輸送を行うことができるということの内容なものでございまして、輸送以外の活動を行うためのものではないわけであります。この輸送は武力行使の目的を持つものではありませんから、したがって憲法の規定に抵触するものではございません。
#154
○栗原君子君 武力とは鉄砲を撃つことだけが私は武力ではないと思うんですよね。何か軍用機を出すということが武力に私は関係があるような気がするわけであります。
 それから、平和目的といっても軍用機を出すことは主権が移動することであります。官邸が移動する、そういうように自衛隊の先ほどの教官もとらえていらっしゃるけれども、私もそうだろうと思うわけでございます。このことについて、日本ではこういう考え方が通りましても、やっぱり世界の中では大変疑問に思われるんじゃなかろうか、こういうことを考えます。これらについては問題がないとお考えでございましょうか。
#155
○政府委員(村田直昭君) 自国の国民が非常に緊急事態等に陥った場合に、それを我が国のこの法律は輸送をしてくるということでございますけれども、それについては各国にいろいろな制度がある。自衛権の行使というような問題にも絡んでくるのかと思いますけれども、それは各国の対応、各国の考え方あるいは法制等に従って判断をされると思いますけれども、少なくとも我が国の今回の緊急状態において保護を必要とする邦人を輸送してくることについて言えば、これは憲法上問題のない行為であるというふうに理解しているところでございます。
#156
○栗原君子君 もう時間も参りますけれども、ある学者といいますか研究者の方がこうおっしゃっておりました。この法案は何が何でもとにかく自衛隊機を海外に出したいがための、そのために邦人救出ということをだしにした法律である、こういうように明言しておられる方があるわけでございます。私自身もそれに対して十分にお答えすることはできなかったわけでございますけれども、こういった考えを持った人たちも結構国民の中にいると思うわけでございます。
 それについて何か最後に明快に、こういうように言ったら国民がわかりやすいんだというような文言があれば教えていただければと思います。
#157
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 私は、先般、国際協力業務でアフリカ諸国に行ってまいりましたが、各地の在外邦人の方々とお会いをいたしました。紛争がいつ起こるかわからないというような非常に不安な状況の中に皆さん生活をされておるわけであります。そういうときに、やはり日本の政府専用機なり日本の飛行機が、紛争が起きた場合に自分たちを救出しに来てくれるという保障があれば非常に安心であると、こう言っておりました。
 今までも、イラン・イラク戦争の場合におきましても、ほかに全く手段がなくて最後にすがるようにトルコの飛行機に何とか乗せていただいたというような事態で、非常にその点が不明確であると大変心配だと思うんですね。ですから、やはり最悪の事態になった場合、あらゆる手だてがなくなった場合でも、日本が安全を確認した上で救出しに来てくれるという望みを持って海外に生活しておるということは日本に対しても非常に心強く感ずる、こういうこと宣言っておりましたので、私も全くそのとおりだなと、こう思った次第であります。
#158
○栗原君子君 時間が参りましたけれども、私が最後にお願いしたいのは、村山内閣の最大の政治課題というのは行政改革と軍縮である、私はこのように理解をいたしております。今回、この法案が通過することに対して大変多くの市民の皆さんたちは、これは軍縮ではなくて軍拡に道を開くものである、このように理解していらっしゃる方もあるわけでございます。ぜひこういった心配のないようによろしく御尽力のほどをお願いして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#159
○中村鋭一君 この自衛隊法関連の質問に入る前に、先般の予算委員会で私は防衛庁長官に質問の通告をしておいたんですが、時間が参りましたのでお尋ねをできませんでしたので、きょうはせっかくの機会でございますからちょっと質問をさせていただこうと思います。
 きのうもテレビを見ておりましたら、NGOの人の乗っている車が、ゴマ・キャンプから二十キロぐらいのキブンバというところでしたか、そこでザイール兵でしたかに奪われた、こういうニュースが報道されておりました。現地の人たち、例えば難民の方とか、それからザイール兵とか、そういう人たちに車が乗っ取られるのは、きのうの報道によれば十四台目と言っていました。それで、今ゴマにはフランスはいませんで日本の自衛隊だけですね。それで、いろんな形が考えられますが、要するに一口に言うと物騒てしょうがない。
 この間の参議院本会議で新緑風会の石井さんがそういうことについて、では現地の自衛隊は、PKOの皆さんはどう対応するのか、こういう質問があったのに対して、玉沢長官はたしか「義を見てせざるは勇なきなり」、こういう言葉をお使いになったと思うんです。地元で迷惑している皆さんが、目の前に自衛隊の精強なPKO活動に従事している人たちがいて、助けてくれと言われたときにそれをほうっておくわけにはいかない。だから義を見てせざるは勇なきなりとおっしゃったんだと思うんですが、長官お考えの義を見てせざるは勇なきなりのその「義」とは具体的にはどういうことを意味したんですか。
#160
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 孔孟の教えによりますと、義とは人の道と、こう教えられました。人が困っているのを見て助けるのは義である。小さい子供さんが目の前で井戸に落ちなんとする、そのときに手を差し伸べて救うのは人の道ではないか、それをしないのは勇気がないからではないか、こういう意味でございます。つまり、私が申し上げたいのは二つございますが、一つは、あれほどたくさんの難民がおられて人道支援を要請されておる、これだけ困った人を助けるというのは人の道ではないか、すなわち義を行う、こういうことでございます。
 さらにまた、NGOの方々のことについてお話一がございましたが、まずもって御理解をいただき一たいと思いますのは、我が自衛隊もそうでありますが、各国の部隊も派遣されましたが、あくまでも人道支援業務でございます。したがいまして、人道支援以外の活動についてはその業務はないわけでございます。つまり警備はないということです。つまり、紛争当事国に行くわけじゃないんですから、ザイールというのは主権国家でございますから、主権国家はみずからの手によって治安維持する、警備を行う、こういう形になっているわけですね。ですから、その国の特別の了解を得ない限りはやはり警備活動その他はできないというふうに私は解釈します。
 しかしながら目の前で、さっきも言いましたように小さい子供さんが井戸に落ちなんとする、こういうときに手を差し伸べるということは人間として当然の良心と勇気の問題ではないですかと。自衛隊の諸君がいる目の前で急迫不正の事態がぱっと起きた場合、その場合にただ手をこまねいて見ているのではなくして、やはりその場合は自分にも危難が加えられた、こう考えましていいと思いますけれども、つまりその際に、目の前で大変な苦難に陥っている場合におきましてこれを救出するということは、これは人間として人の道を行うものである、こういう意味で言ったわけでございます。
#161
○中村鋭一君 いや、長官、大いに我が意を得た発言でございまして、私も全く同感であります。亡くなられた春日一幸先生が、正義という言葉がある。しかしながら力なき正義はこれは単なるお題目にしかすぎない。しかし正義というものを伴わない力はこれは単なる暴力である。こういうことをおっしゃったことがありますけれども、義を見てせざるは勇なきなり、今の発言については私は全く同感でございます。
 現実の場合に、急迫不正の事態が起きていて、長官おっしゃるところのまさに井戸に落ちなんとする子供、これを具体的に言いますと、難民の方が暴徒によってまさに生命の危険に瀕している、鉄砲を突きつけられている。自衛隊を見て、PKOの方を見て助けてくれと言ったときには、これは義を見てせざるは勇なきなりでございますから助けなきゃいけませんね。そういうことですね。
#162
○国務大臣(玉沢徳一郎君) いろんなケースがあるかとは思いますけれども、警備全般、治安活動には従事しないという観点から、あくまでも目の前で急迫不正の事態が生じた場合に助けるのは当然ではないか、こういうことを言っているわけです。
#163
○中村鋭一君 繰り返しになるようでございますが、だから力なき正義はこれは単なるお題目なんですね。急迫不正の場合に助けなきゃいかぬ。やっぱりそのときには長官、私は力が要ると思うんですよ。力とは何だ。端的に言えば、場合によれば武器を行使しても善良な市民の生命を助けなきゃいかぬ。そういう場合に、今おっしゃったような約束事とか法律とか我が国の憲法とか、そういうものと義を見てせざるは勇なきなりという行為とが相抵触をする場合はどちらをおとりになるんですか。もう一遍だけ答えてください。
#164
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 人を救出する場合は、何も武器の使用だけを前提とするわけではないわけでございまして、非常に生命が危機になった場合におきましても、体で助けることもできるわけですね。それはそうですよ。私も空手やっているんですから、空手というのは専守防衛なんですから。そういうことでございますが、仮に他人の生命を守るための武器使用が正当防衛または緊急避難に該当する場合に、違法性が阻却されることを国際平和協力法が否定するものではない、こういうふうに考えております。
#165
○中村鋭一君 本論に入りたいからこれで終わりますが、私は長官、やはりせっかく長官が義を見てせざるは勇なきなりとおっしゃったんですね。この間、新聞報道を見ましたら、PKOの自衛隊員の目の前で殺人行為があった、ゴマで、やっぱりそれを黙って見ていたようですね。それはしょうがないですね、ザイール兵だか難民だか、ツチ族だかフツ族だか、そういう行為を、乱暴を働いているわけですが。
 しかし、私はせっかく行っているんだったら、そういうときにきちっと対応できる体制をとるために我が国の政府やあるいは我が国の国会がなすべき道がありとすれば、それこそ勇気を持って、長官におかれても、このような事態があってこのような事態に対処するためには現在の法律ではこのように不十分でありますからこのような御審議をお願いしますぐらいの勇気を持っていただきたいということを私はお願い申し上げているわけでございます。ひとつ私の言わんとするところを御了解をお願いしておきたい、こう思います。おわかりでございますか、わかりませんか。
#166
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 言ったことはわかります。
#167
○中村鋭一君 それじゃ結構です。
 では本題に入りますが、邦人輸送に自衛隊機を使う場合、朝からの各委員の御審議を伺っておりましても、どうも自衛隊のパイロットの技量が気になるわけでございますが、政府専用機を操縦する機長格のパイロットの数と、それから機長としての飛行時間数、それから海外での飛行経験、これは今どのようになっておりますか。
#168
○政府委員(佐藤謙君) ただいまお尋ねの件でございますが、政府専用機の機長資格を有しますパイロットの数は現在七名でございます。それから飛行時間でございますが、平均で七千八百時間となっておりまして、そのうちボーイング747−400型機の飛行時間につきましては平均で約八百時間、こういうふうになっております。
#169
○中村鋭一君 パイロットに関することで新聞記事が二つあるんですが、一つは昨年の九月下旬、当時の細川首相が訪米をされるときに政府専用機を使わなかったその理由でございます。
 当時の新聞によりますと、天皇陛下のヨーロッパ御訪問の直後ということで乗務員の休養や運航計画などの準備日数が不足しているためと、こういう報道がされたんですね。その理由はもっともだと思いますけれども、政府専用機が国内にあってほかに利用されていないときに緊急事態が起きた、そのときに乗務員が休養だとこういう理由を述べても国民はちょっと納得できないんじゃないか、こう思うんですが、その点とても防衛庁に非難が来るかもわかりませんが、これはどうなんでしょうか。
#170
○政府委員(村田直昭君) 私もそのケースについて申し上げますと、今先生が申されたとおりの理由で運航を行わなかった、したがって総理が、たしか日航機だったと思いましたけれども、行かれたということでございますが、もちろんそれは全般的な状況を見ての乗務員の休養を言っておるわけでございまして、今このような例えば在外邦人の輸送というような問題が喫緊の課題として出たときに、今言ったような理由でこれを行わないというようなことは自衛隊としてはないわけでございまして、そういう場合には任務の遂行に万全を期すということでございます。
   〔理事板垣正君退席、委員長着席〕
 七名のパイロットもおりますし、そのほか当然のことながら政府専用機のみならず、そういう場合にはまさしく法案の政府専用機を大原則としますが、その他いろんな事由によってC130等を使う場合もあるわけでございまして、そういう航空機を万般動員して対処するということになろうかと思います。
#171
○中村鋭一君 もう一つの新聞記事は、これはことしの七月、村山総理がナポリ・サミットに出席された際に政府専用機を使わなかったその理由でありますが、着陸地をローマ空港からナポリ空港に変更され事前の訓練ができなかった。ナポリ空港は着陸の進入角度が高いこと、それから滑走路が短い、着陸が難しい、こういう理由から日航にお願いした、こうあるわけですね。要人を乗せた航空機の発着はほかの航空機をシャットアウトして行う、こう聞いているんですが、そういう状態でも初めての空港の発着というのはなかなか難しい、こういうことなんでしょうかね。
 だから、緊急事態というのは西側先進国以外の国で起こる可能性が高い、当然だれでもそう思いますが、そういうところは日本の要人が余り行かないところでありますから政府専用機のパイロットが事前に経験を積むということはなかなか難しい。ただ、現実には、滑走路は短いわ進入角度は高いわ、条件が悪いところへ行かなきゃいかぬのに乗員が休んでいるとか、あるいは訓練ができなかったとか事前のシミュレーションが不足だった、そんなことで行かないなら何のための今回の法改正かわからぬということにもなるわけでございますが、長官、この点どのようにお考えでございますか。
#172
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 海外の空港に着陸する場合は、やはりかなりよく事前に調査をし、さらに訓練を重ねておくということが大事じゃないかと思うんです。
 政府専用機が要人を乗せて海外運航する場合におきましては、同じ経路をあらかじめ一回回りまして、そして万全を期して要人を乗せて海外に行く、こういうことをやっているわけですね。ですから、今お尋ねがあったわけでございますけれども、急に空港なんかが変わった場合におきましては、事前にそういう訓練が整っでないような場合におきましてはやはり慎重を期した方がいい、こういう判断があったと思います。ですから、やはり海外に行く場合におきましては十分なる経験と情報というものを確保しまして、そして万が一でも事故が起きないように努力する、こういう観点だと思います。
#173
○中村鋭一君 だから、事前に十分な訓練ができればそれにこしたことはないんですけれども、やっぱり邦人を保護したりする場合は十分な訓練ができぬようなケースが多いだろうから、だから十分に要員も確保するし平生からしっかり訓練もするし、現地のそういう、例えばアフリカ大陸にたくさんあるでありましょう小さな設備の整わない、そして紛争の起こり得る可能性のある飛行場の事前研究とかそのシミュレーション、そういうものは防衛庁においてしっかりやらなければだめですよ。これは同感をいただける、こう思うんですがね。
 政府専用機が物理的に使えない場合に自衛隊の保有する輸送機を使う、こういうことになるんです。今質問したような乗務員の都合というものが輸送機を使用する理由になるんでしょうか、防衛庁、説明をお願いいたします。
#174
○政府委員(村田直昭君) お答えしたいと思いますが、本件輸送がいずれにしてもいろんな各種の条件、空港の条件、例えば滑走路が短いでありますとかそういうようなこと、あるいは滑走路が不斉地であるというようなこと等のいろいろな条件の中に、要するに慣熟していないということであればより安全な飛行機を使用するというようなことが含まれるというふうに考えております。
#175
○中村鋭一君 ルワンダ難民救援のために自衛隊員がザイールに派遣されておるわけです。この部隊が日本から行ったときにC130は途中数カ所に立ち寄りながら行ったわけですね。そのときに経由地にあらかじめ自衛隊の要員が待機していたようでありますが、この要員は何の目的のために待機をしていたのですか。
#176
○政府委員(村田直昭君) お尋ねの要員につきましては、本件ルワンダヘのC130による輸送を円滑ならしめるため、と申しますのは、C130の足が短いために直接例えば日本から当該国に飛んでいくことができないということであります。そうしますと、途中数カ所において給油なりする必要がございます。そのためには、そのための先遣隊というものを派遣して、その人たちが当該着陸地において各種の調整を行うことによって、その目的地までC130が円滑に運航できるように要員を先行手配しておくということでございまして、この方たちも今回の派遣で言えば国際平和協力業務の一環として派遣されておるということでございます。
#177
○中村鋭一君 だから、今度のザイールの場合はそうやって経由地にあらかじめクルーを待機させることができて、それはそれでいいですよ。しかし、本法の改正案もその目的とするところはまさにエマーシェンシー、緊急な場合における邦人の保護のために行くわけでありますから、そういつもいつもC130が行く経由地にあらかじめ先遣隊を持っていって待機させておきましょう、着きました、はい御苦労さま、交代をいたします、飛行機は大丈夫ですか、ゆっくり整備をいたしましょう、そんなのできるわけありませんね。それができないから緊急輸送、緊急事態、緊急に邦人を保護だと、こういうわけでありますからね。
 だから、そういう場合にどのように対処なさるおつもりなのか、その辺をお伺いさせていただきたい、こう思います。
#178
○政府委員(村田直昭君) これは今、先生の御質問にそのような場合、緊急であるからそういうことは省略してよろしい、省略すべきではないかというようなもし御質問であれば、やはり……
#179
○中村鋭一君 いや、それは違う。
#180
○政府委員(村田直昭君) それではお答えしますが、緊急の場合であっても我が航空機を運航するために安全に必要な措置というものをいかような場合にも講じた上での緊急を確保するということでございまして、緊急なるがゆえに整備に不安があるとか、あるいは足のぎりぎりのところまで飛行するという、それはケース・バイ・ケースだと思いますけれども、少なくとも安全な代替飛行場を確保するところまでの距離の運航というようなことを兼ね備えた上で邦人の救出に向かうということだろうと思いまして、自衛隊機が何かの関係で無理をして自衛隊機自体が不測の事故に巻き込まれるというようなことがあってはならないわけでございまして、そういう意味での両方の均衡をとった上で安全を確保しつつ任務を遂行するということになろうかと思います。
#181
○中村鋭一君 局長と私は意見が一緒だと思うんですよ。何も私は緊急だから省略しろと言っているんじゃないんです。しかし、緊急な場合はそのような省略をせざるを得ない場合もあるだろうから、その場合はやっぱり要員の慣熟度を高める、事前の調査をしっかりやる、情報を収集する等の方法をふだんからしっかりと講じておいた方がいいでしょうねと、あなたもその意見には賛成をしていただける、こう思うんです。
 ただし、そういった場合に現地の情報等を集めるのは、これは現実には在外公館の人が担当することになるんじゃないかと思いますよ。そういう人は、今申し上げました飛行機の整備とか操縦とか、そういうことには全くの素人が例えば現地の飛行場の状況がどういうものであるか、こういう情報を集めなきゃいかぬ。防衛庁としてはそういう情報に頼らざるを得ない、こういうわけでございます。その辺はどのように埋めていくというんですか、補うおつもりなんですか。
#182
○政府委員(村田直昭君) 先生がおっしゃるとおりでございまして、要するに防衛庁の安全の判断ということは、第一に行われる外務大臣の安全の判断というのが、国際情勢なり権限当局なりその行き先地の安全というような問題がございます。一方、防衛庁長官は専門的な見地から、要するに空港の安全というような場合に、空港の施設でありますとか滑走路でありますとか、しかも滑走路の状態であるとか、あるいは飛行していく、飛んでいくところの航空、各国の上空を通るわけでございますから、その場合における航空保安施設であるとか、そういうような観点をも含めて、さらに外務大臣の安全の判断に加えて安全の判断を加える、こういうことでございます。
 そういう意味で、やはり専門的知識を要する分野が非常に多うございますから、そういう意味では先生が言われるようにあらかじめ事前の調査というものをできるだけ幅広くやっておくということもそうでしょうし、それから必要がある場合には、百条の八が認められればそれに基づいて直ちに要員を派遣することもできるわけでございますから、そういう状況をにらんだときに、すぐ現地に専門家をまず派遣するというようなことも必要でございましょうし、あるいは各国の協力ということによって情報の提供をいただくというようなことも考えられると思います。いろんな情報を総合した上でやはりそういうような判断を加える。したがって、そういうようなことについての情報というのが非常に大切であるというふうに思います。
#183
○中村鋭一君 もう一つあなたの説明が私にはちょっと理解しがたいような点がありましたので、それはレトリックの問題でありますから、もう少し言葉を整理して、ちゃんと自分の言おうと思うことを的確に表現する訓練をあなた御自身してください。
 ザイールに自衛隊の部隊が向かったときは主に民間機を利用した、こう聞いておりますが、政府専用機をなぜ使わなかったんですか。何か、要人以外の輸送に政府専用機を使う場合は条件というんですか、制限があるんですか。
#184
○政府委員(村田直昭君) 御指摘をよく踏まえてさらに注意をしたいと思います。
 今回の場合に民間機を使用したということでございますけれども、政府専用機の場合はこれは要員の輸送ということが中心になっております。もちろん内部の仕様を変えることによって貨物輸送もできるわけでございますけれども、今回の輸送に当たりましては、輸送すべき荷物等が、私のちょっと記憶でございますけれども約千二百トンぐらいになろうかと思いますけれども、大変な量に止るということもありまして、そういう大型の荷物を輸送できる輸送機というようなものを半たりまして、そして結果的にはアントノフというロシアの航空機を使用したということでございますが、あくまで荷物の容量というようなものを判断に加えて選んだものでございます。
#185
○中村鋭一君 今回のルワンダの紛争は、最初はルワンダの大統領の乗った航空機が撃墜された、これがきっかけとなったと言われているんですが、今回、閣議決定で自衛隊法九十五条による航空機の護衛の任務、これが外してあるわけですが、我が国の政府専用機やC130、こういったものについてはミサイルの攻撃から守るための防御装置というものはついているんですか、それともついていないんですか。また、主要国の政府専用機はその点とうなっているんでしょうか。
#186
○政府委員(村田直昭君) 今回の政府専用機、B747及びC130Hにつきましては、これは政府専用機でございませんが、自衛隊の輸送機でございますが、C130Hにつきましては、ミサイルの警報装置等を装備しておりません。
 なお、諸外国が保有するいわゆる政府専用機にミサイルの警報装置等が装備されているかにつきましては、秘匿度が高い事項でございまして詳細に承知していないところでございます。
#187
○中村鋭一君 これも勉強というんですか、研究課題になりますね。それはやっぱり攻撃を受けたのに全く無防備でいいのかどうか。消極的に、何も攻撃のためにでない、攻撃を受けたらそれをいち早く察知するぐらいの能力は政府専用機は備えたっていいと私は思うんです。
 最後に、今回のこの法案、航空機による輸送任務を自衛隊に付与する、こういう眼目でありますが、艦船による輸送についてはどのようにお考えでございますか。百二十八国会の衆議院の安全保障委員会では、防衛局長が過去に利用された例がなかったため今後の検討課題であると、こう答えていらっしゃるわけです。
 私は先ほど全日本海員組合の組合大会に出席をさせていただいたんですが、その活動方針案を見ていますと、やはり海上労働者の皆さんも、場合によれば我が日本の利益を守るためにあるいは国民の安全と生命を守るためには、海上自衛隊じゃないです、日本の船舶というものが邦人の安全に寄与する道があるのかないのか、それを要請されることがあるのかないのか、こういうことをやっぱり全日本海員組合の皆さんも御心配でございますから、最後にこれをお尋ねさせていただきます。
#188
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 今回の改正法案におきましては、自衛隊に在外邦人等の輸送の権限を付与するに当たり、その輸送手段については以下の点、二つありますが、以下の点を踏まえ航空機によることとし、艦船を含めなかったものであります。
 第一としましては、緊急事態に際しての在外邦人等の輸送は極めて迅速かつ適切に行う必要があること。それから二としまして、緊急事態に際しての在外邦人等の輸送のため我が国政府が今日まで船舶をチャーターした例がない。これらのことを踏まえまして、緊急事態に際しての在外邦人等の輸送の手段に艦船を加えるべきではないかという議論があることは承知しておりますけれども、かかる輸送の手段に艦船を加えるか否かについては、具体的なニーズ等を踏まえまして今後慎重に検討されるべきものと考えております。
#189
○中村鋭一君 ありがとうございました。
#190
○猪熊重二君 午前中からいろいろ他の委員から御質問がございました。質問の順序を少し変えて質問させてもらいます。
 私は、今回の改正法案に賛成ではあるんです。しかし、国民の中には自衛隊が海外に出るということ、そのこと自体が従前からの我が国の平和主義に反するんだというふうな御意見もありますから、この問題は非常に難しいデリケートな問題を含んでいると思います。
 まず、防衛庁にお伺いします。なぜこういうことをお伺いするかというと、自衛隊といった場合に、要するに武装集団である、武力集団である自衛隊というものとそういう武力とは無関係な意味における自衛隊というものと、この二つを区分けして考える必要があると私は思うからなんです。自衛隊が海外に出るといえば、一口に言って武装集団としては全く無関係である場合でも反対ということをおっしゃる方もおられるし、せっかくある軍隊なんだからどんどん出ていけというお考えの方もおられる。今回のこの自衛隊法改正を考えるについて、まず防衛庁に武器の携行や使用に関する一般的な問題についてお伺いしたいと思います。
 訓練なんかで自衛隊員が移動する場合に、その訓練に必要な各種の武器を携行する、これは国内において、あるいは状況によって公海上において訓練のためにそのような武器を携行しまた練習のために使うというふうなことは別にいたしまして、それ以外にいわゆる自衛隊が本来的な業務あるいは付随的な業務を行う場合に武器ないし装備、これをどのように持っていくことができるのか、またそれをどのような状況で使うことができるのか、それについてお伺いしたいと思います。
 まず、自衛隊の本来的な任務である防衛出動あるいは治安出動の際の携行装備、装備という言葉の中に武器というものを含めて申し上げておりますが、携行装備及びこれの具体的な使用に関して自衛隊法はどのように規定しておりますか。
#191
○政府委員(村田直昭君) 自衛隊法第六章におきまして「自衛隊の行動」という規定がございます。その中で、本来任務として挙げられる防衛出動につきましては第七十六条に防衛出動の規定がございまして、これによりまして防衛出動が行われるわけでございますが、その防衛出動時の武力行使と申しますか権限と申しますか、これにつきましては自衛隊法七章第八十八条におきまして「防衛出動時の武力行使」というように規定をされておるわけでございます。したがって、防衛出動においては第八十八条において「必要な武力を行使することができる。」という規定になっております。
#192
○猪熊重二君 今、防衛局長がお話しになったように、防衛出動に関しては七十六条に要件が、武器使用に関しては八十八条に規定しています。また、治安出動に関しては八十九条にその治安出動の要件が、また武器行使に対しては九十条においてその要件が規定されています。このような本来的任務である防衛出動、治安出動については、出動の要件と携行する武器あるいはその武器の使用に関して自衛隊法に規定があるんです。
 それから、付随的業務とされている国連平和維持活動協力法、PKO法による出動の場合にも携行武器やこれの具体的使用に関する規定はPKO法に規定されているんです。PKO法の六条二項二号ホ(2)に装備が規定され、それの使用についてはPKO法の二十四条の三項に規定されています。
 このように本来的な業務である防衛出動、治安出動、あるいは付随的な業務であるけれどもPKO法に関しては、武器の携行及び使用について自衛隊法なりPKO法なりに規定がある。ところが、今回の百条の八のような場合は、百条の五の「国賓等の輸送」に関する場合も同じなんですが、この法律自体の中には携行するべき武器あるいはその武器の使用に関する要件というふうなものは全く白紙なわけです。
 それで、私が伺いたいのは、このような百条の正あるいは今回の百条の八のような規定のもとにおいて、この業務を行うに際して携行するべき武器及びこの武器の使用に関しては自衛隊法上どのように考えるのかということについて伺いたいんです。
#193
○政府委員(村田直昭君) 自衛隊がその任務を遂行するに当たりまして必要な措置をとることができるということになろうと思いますが、その必要な措置をとることの場合に、例えば百条の五によって要人を輸送するというようなケースの場合においては、その必要性に応じて武器についての判断をそれぞれの規定に基づいて行う。
 また、同じようにこの百条の八によりまして邦人の輸送を行うというような場合につきましても、それはこの百条の八によっては規定されておりませんけれども、その任務を遂行するに必要な範囲において武器を携行し使用するということがその任務を遂行するという中から読めるわけでございますが、その場合に、現在、前々から御説明しているわけでございますけれども、この百条の八によりまして邦人を輸送するという場合につきましては、機内の秩序維持ということから警務官が武器を携行するということを考えておる。それは自衛隊法の第九十六条の「部内の秩序維持に専従する者の権限」ということで警務官が乗り込むわけでございますけれども、その警務官が警務官の権限としてピストル等の武器を携行し、それを使用することがあり得るということでございます。
#194
○猪熊重二君 今のは全然納得できない。
 例えば、九十六条の「部内の秩序維持に専従する者の権限」ということで、例えば百人が行く中で、その部内の秩序を維持するための要員だと、あなたはそうだと言われた人間が、この百人なり千人なりの部隊の秩序を維持するために武器を携行しそれを使用することができる、九十六条というのはその規定にすぎないんです。
 私が言っているのは、百条の五の国賓の輸送あるいは今回の百条の八の在外邦人の輸送業務、これに関してどのような武器を持っていっていいとか悪いとか、あるいはどういう場合にその携行した武器を使用していいとか悪いとかということは自衛隊法のどの条項から出てきますかと、こう伺っているんです。
#195
○政府委員(村田直昭君) まず、一つの武器の保有につきましては、自衛隊法の八十七条におきまして「自衛隊は、その任務の遂行に必要な武器を保有することができる。」。これは、自衛隊総体であると同時に自衛隊がその任務に必要な武器をそれぞれ持っているわけでございますから、その任務を遂行するに当たって必要な武器を持っていくことができる。
 その場合の使用の個々の基準についてのお尋ねでございますけれども、例えば自衛隊の航空機内における秩序の維持ということによります九十五条の警務官が使用する場合には、この警務官は自衛隊法九十六条の規定に基づいて警察官職務執行法七条の規定が準用されておるということでございまして、犯人の逮捕もしくは逃走の防止等のため必要と認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に判断される限度において武器の使用をすることができるとその警察官職務執行法七条の規定が準用されておる、それに基づいてその武器の使用が行われるということでございます。
#196
○猪熊重二君 それはどうもわからぬ。確かに八十七条に武器の保有ということで「自衛隊は、その任務の遂行に必要な武器を保有することができる。」と。これがすべての場合をカバーする規定であるというんだとすれば、防衛出動、治安出動の場合の武器使用だとかあるいはPKO法において何がゆえにその武器を限定しているのか。この法律一条ですべてが賄えるんだったら八十七条一条があればいいわけです。ところがそうじゃなくて、その場その場においてそういうふうに携行する武器の種類等も限定している。ところが、百条の五も百条の八もこの武器については全く白紙であると。
 それからもう一つ、あなたが今おっしゃった九十六条の問題、これは趣旨が違う。九十六条は、要するに隊の秩序維持のための問題であって、今回の在外邦人救出のときにその秩序維持でどうだこうだから、だから武器を持っていって警察官職務執行法の準用に基づく仕事ができるとかできないなんということは今回の問題とは全く関係がない。
 そうすると、今局長がおっしゃったのは、この百条の八で在外邦人を輸送するために出動する自衛隊が、自衛隊機と言ってもいいですが、これが持っていき得る武器は八十七条のこの一般規定としての武器の保有という条項から出てくるんだと、こういうわけでしょうか。
#197
○政府委員(村田直昭君) 今、私が答えました第八十七条の武器の保有というのは、「自衛隊は、その任務の遂行に必要な武器を保有することができる。」ということは先生御指摘のとおり、先ほど私は武器の総体を保有することができるし個々の任務の遂行ということの根拠と申し上げましたが、ちょっと訂正いたしまして、八十七条は自衛隊としての「その任務の遂行に必要な武器を保有することができる。」という全体の、総体の規定でございます。
 そして、個々の職務の遂行については、九十六条なり九十五条なり、要するに規定に基づいてその職務の遂行に必要な武器というものを任務を与えられた者が保有することができるという前提のもとに、例えば九十五条ではこのような使用をする、九十六条ではこのような使用をするというふうに保有権限と使用権限が与えられる。例えば警務官について申せば、警務官は警務官の職務を遂行するために必要な武器を保有することができるという前提のもとにそれの使用の基準がここには定められておるというふうに御理解願います。
#198
○猪熊重二君 だから九十六条は、さっきから何度も一言うように、何百人だかの自衛隊員が行くときの隊内秩序維持のための武器使用なり秩序維持行為なんだということなんです。それから、今あなたがおっしゃった九十五条というのは、自衛官は自衛隊の火薬庫なら火薬庫を職務上警護するに当たり、これがとられそうになったときは防御して武器使用していいよという規定なんです。
 今回の百条の八の自衛隊機による在外邦人の輸送といった場合のこの自衛隊機なりそこに同乗していく自衛隊員の保有するべき武器の程度だとか種類だとか、あるいはそれをどのような場合にどう使うかということについては自衛隊法上何ら規定がないんでしょうと、もっとはっきり言えば何ら規定がないでしょうということを私は言っているんです。どうですか。きのうから質問通告をしてある。
#199
○政府委員(村田直昭君) ちょっと先生の御質問の意味が私は理解をしかねておるわけでございますが、要するに邦人等の輸送に際しまして、その航空機内におけるハイジャック等の不測の事態ということが予想される、そういう必要な場合におきましてそこに警務官が乗り込む、そうすると警務官は自衛隊法九十六条の規定に基づきまして武器を携行することがあり得るということでございます。
 その武器としては、それはいろんなケースが考えられますが、それは実態的な話としてけん銃等は考えられるということでございますけれども、今先生が言われるような意味で言えば、警務官が乗り込む、警務官は九十六条の規定に基づきその任務を遂行するということによって今言ったような武器を携行することがあり得るということがそこから出てくるというふうに考えておるわけでございます。
#200
○猪熊重二君 同じことを二度も三度も言わせるんじゃないですよ。
 この九十六条には何と書いてあるか。読みましょうか。「自衛官のうち、部内の秩序維持の職務に専従する者はこと書いてある。だから、今回の在外邦人輸送のために自衛隊が百人飛行機に乗っていくとした場合に、その中で部内の秩序維持の職務に専従しなと言われた人は何ができると書いてあるだけであって、そんなことと私が今質問していることとは全然違う。しかも、あなたは私の質問がわからぬと言っている。わからぬことはないんです。
 私が言っているのは、今回百条の八で、在外邦人輸送のために出る自衛隊機あるいは自衛隊員の携行する武器については自衛隊法上どこに規定がありますか。そして、それをどのような場合に使用できるということが書いてありますか、自衛隊法のどこに書いてありますかと。こんなことあなた全然わからぬことはないじゃない。質問がわからぬとは失礼だよ。
#201
○政府委員(村田直昭君) 今のお答えは、再三繰り返すようでございますけれども、九十六条に基づきまして、確かに先生がおっしゃるとおり、自衛官のうち部内の秩序維持の職務に専従する者は司法警察職員としての職務を行う。この専従する者の職務は何かといろいろ書いてございまして、例えば一号については自衛官以外の隊員の犯罪、それから二号については自衛隊の使用する船舶、庁舎、営舎その他の施設内における犯罪というようにございますように、施設内における犯罪の防止、それから自衛隊の所有し、または使用する施設又は物に対する犯罪、こういうようなことが規定されておりまして、この規定に基づいてこのような犯罪を防止するという観点から各種の武器を保有するということになろうかと思います。
#202
○猪熊重二君 もういい。同じことを何回聞いてもしょうがない。
 内閣法制局に今の点について、もしわかれば内閣法制局としての所見を承りたい。
#203
○政府委員(秋山收君) ただいまの自衛隊法第九十六条の件でございますが、本件の対象となります犯罪は自衛隊員の犯した罪だけじゃございませんで、今防衛局長の方から答弁ございましたように、一項の二号で「自衛隊の使用する船舶、庁舎、営舎その他の施設内における犯罪」、それから三号で「自衛隊の所有し、又は使用する施設又は物に対する犯罪」、自衛隊員以外の者が犯します犯罪につきましても司法警察職員としての職務を行うことができるという規定になっているものと理解しております。
#204
○猪熊重二君 もう押し問答はやめた。
 問題は、法律に規定がないから閣議決定したんじゃありませんか。もし法律に規定があるのならこの閣議決定は要らないんです。平成五年十一月五日の閣議決定、「在外邦人等の輸送のための自衛隊の航空機の使用について」と題する閣議決定において、輸送には戦闘機を使用しない、戦闘機による護衛は行わない、武器を携行しない、航空機内における不測の事態に備えてけん銃の携行を認める、こういうことを閣議決定したんです。なぜ閣議決定したのか。法律に書いてないから閣議決定したんです。
 内閣法制局に伺う。閣議決定というものの法規範的な効力はどうなっていますか。
#205
○政府委員(秋山收君) 閣議決定はもとより法律ではございませんので法律の効果はございませんけれども、今回この法案を政府が国会に提出するに当たりまして行いました閣議決定は、内閣が憲法第七十三条によりまして、法律を誠実に執行し、国務を総理する職員を有するものであるということを前提といたしまして、この法律案が成立した場合における改正後の自衛隊法第百条の八の実施方針につきましてあらかじめ内閣において意思決定を行ったものでございます。
 それで、この閣議決定は内閣としての意思決定でございますので、防衛庁等の行政機関がこれに従うべきものであることは当然と考えます。
#206
○猪熊重二君 問題は、この閣議決定というのは現内閣においても自由に変更し得るものかどうか、そしてまた次の内閣に対する規範的な効果があるのかどうなのか。
 要するに私が言いたいのは、こんな重要な問題を閣議決定という形でだけやっておいて、それが法律的な効果でずうっと規範的にいくならいいですよ。そうじゃなくて、極端に言えばあしたでも変えられるというような閣議決定ということでこんな重大なことが決定されるということについて非常に不安に思うからなんです。どうですか。この閣議決定、現内閣がこの閣議決定をまた変える、あるいは次の内閣に対してこれがどのような規範的効力を及ぼすか、法制局の見解を伺いたい。
#207
○政府委員(秋山收君) 内閣におきまして閣議決定をいたしました場合には、原則としてその効力はその後の内閣にも及ぶというのが従前からの取り扱いとなっております。
 それから、閣議決定の変更に関してのお尋ねでございますが、一般論として申し上げますと、憲法及び法律の範囲内ということはもう当然でございますが、その範囲内におきまして新たな閣議決定をすることによって前の閣議決定に必要な変更などを行うことが可能と考えられております。
 ただ、今般の法律案につきましては、その提出に当たりましてあらかじめこの実施方針に関します今問題になっております閣議決定を行いまして、このような運用がなされるということを前提として国会の御審議が行われたという事実がございまして、この事実はこの法律の規定の解釈及び運用におきまして一定の重みを持つものと考えます。
#208
○猪熊重二君 要するに、ある内閣の閣議決定した内容は、特別のことがない限り次の内閣にも尊重されるという政治的な慣行があるというだけのことです。そしてもっと重要なことは、同一内閣においてもこの閣議決定を変更し得るということ。ということは、閣議決定というのは内閣の単なる自己規制にすぎないということなんです。ですから、現内閣がいろいろ気持ちが変わって決定を変えようじゃないかと、輸送に使用する航空機は戦闘機としよう、あるいは戦闘機の護衛をつけよう、どういう武器であろうが攻撃的な武器でも構わぬから持っていくことにしよう、そしてその武器を適宜な判断で使用してよろしいという閣議決定があったとしたら、これは憲法の禁止する専守防衛あるいは自衛隊の海外派兵禁止ということと紙一重の問題なんです。
 だから、このような重要な問題を、単なる閣議決定というような形式じゃなくして、法案にそのこと自体を盛らなかったら憲法に違反する事態が現出するかもしれぬ非常に危険な状況に立ち至ると、そう思うんです。
 では防衛庁長官、我が国の自衛権は専守防衛であって、したがって自衛隊は専守防衛のこの領土、領海、領空に対する外敵からの侵害に対する防御行為なんだと、そしてまた海外に派兵してはならないんだと、この原則はお認めになるでしょう。
#209
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 認めます。
#210
○猪熊重二君 そうだとしたら、この百条の八、これは百条の五の場合も同じだけれども、特に今回の百条の八において、武器をどのように持っていけるか、その武器をどのように使えるかということはもう法律事項でなきゃならないと私は思うんです。法律事項でなくして閣議決定でころころ変えられたら、憲法違反の自衛隊の海外派遣そのものになってしまうというおそれがあるんです。その辺について防衛庁長官はどう考えますか。
#211
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 御指摘いただきまして、いろんな御心配があられるようでございますが、この閣議決定は、現在御審議いただいておる自衛隊法一部改正法案に基づき、自衛隊の航空機により在外邦人等の輸送を実施するに当たってのいわば実施方針を定めたものでありまして、かかる方針を輸送の権限を防衛庁に付与するための本改正法案に取り組むことはその性格上なじむものではないと考えております。
 しかしながら、自衛隊機の派遣に当たりましては、この閣議決定をより忠実に実施してまいる、そういう決意であります。
#212
○猪熊重二君 私は、先ほど申し上げたように、今回の法案に反対しているわけじゃないんです。それでまた閣議決定、これを厳格にやってもらって、出ていく自衛隊だって大変ですよ、危ないところへ行くんだから。非常に御苦労だということは全部わかるけれども、しかしそれが一歩間違ったら、あるいは紙一重の差で自衛隊の海外派兵と同じような結果を招くということになることを恐れているんです。ですから、本来これは法律上、今、閣議決定に関するような事項を法的に百条の八の法文の中に書いておけば何の心配もない。
 法制局、これについて、これほど重大な問題は法案の中に直接規定されるべきだと私は思うんだけれども、法制局としてはどんな見解をお持ちですか。
#213
○政府委員(秋山收君) ただいまの百条の八、新しい条文に武器使用についてのことが書いてないのはいかがかという御質問でございますけれども、まず百条の八におきます輸送は、従来防衛庁の方からるる御答弁申し上げておりますとおり、そもそもその任務を遂行するに当たりまして、安全の確保を前提として行うものでございますので武器の使用をすることは想定されていないということでございます。したがいまして、このような場合にまで一定の武器を使用することを前提としてその限度なり限界なりを定める規定を設ける必要はないものと考えたわけでございます。つまり、実態判断の上に立ちます立法政策の問題だろうと考えます。
 それから、九十六条の問題でございますが、これは機内における犯罪防止、犯罪が発生しました場合に関することでございますけれども、これは輸送業務そのものではございませんで警務官などの職務に関する事項でございます。
 これに関しましては、この九十六条において準用しております警察官職務執行法、いわゆる警職法でございますが、警職法第七条によって警務官等は犯人の逮捕等の活動ができるわけでございますが、その場合におきます武器の使用につきましては、この同じ規定で準用しております警職法の第七条でその職務の内容に応じた法的な限定が加えられているわけでございますので、新たに別の規定を設ける必要はないものと考えたわけでございます。
 なお、閣議決定で警務官等が携行する武器はけん銃というふうに明記しておりましたのは、そのような規定の範囲内での運用としてその趣旨を明確にしたものというふうに考えております。
#214
○猪熊重二君 法律というのは、ここに書いてあるものを読んで理解するんです。今あなたがおっしゃったような、安全性が確保されているときに実施するんだとか、あるいは武力行使などすることはもともとないんだとか、そんなことはこの百条の八には書いてないんです。まさに安全なところへ行くんだとか、戦争しに行くんじゃないから武器は持っていかないんだとかということは百条の八には書いてないんです。何にも書いてないんです。書いてないから閣議決定でいろいろそれをやっているんです。要するに、閣議決定が一つの法律の条文の中身を解釈するための一つの基準を書いているだけなんです。
 この問題についてやっているとこれだけで時間が来ちゃうから次の問題に行きますけれども、ただ私が一番心配するのは、この法文をこういうふうな形だけでやっておいて解釈が変わってきたときに、どんどん武器を持っていって、輸送だけれども輸送のためには救出が必要だと、救出するためには追っかけてくるやつを飛行機の上から撃ち殺さないと救出できないとか、この法文では救出という言葉は使ってないけれども。輸送するためには、集まっている者をA点からB点に輸送するだけだからという形になっているんです、この法律は。集まっている在外邦人をA点からB点に輸送する、これだけしか書いてないんです。しかし集める仕事はだれが集めるのか。これは救出せにゃならぬということになってくると、ここの敵対勢力もけ散らしてともかく救出して、それから今度は運ぶんだ、こういうふうなところまでどんどん法律が拡大解釈されていったときには、まさに自衛隊の海外派兵と全く結果的には同じことになる。
 これは憲法を改正すれば別だけれども、そうでない限り現行憲法のもとにおいては違憲の状況を現出することになるような可能性が非常に高いからということで国民の中のある部分の人たちが非常に心配し反対しているんです。ですから、この辺は、私は今の内閣だとか防衛庁長官、あなたを信用してないとか外務大臣を信用してないとかというんじゃないんですよ。法律というのは、この人だからいいけれども悪いやつが出てきたらえらいことになるぞというふうなものが法律であってはならないんです。法律というのはだれが言ったってこういうふうになるんだというふうにつくってもらっておかなかったら、そういうふうにつくられていなかったら、人間によって変わる法律じや困る。
 こういうことで、何か大変騒がしく申し上げましたけれども、気持ちはそこにあるんです。ともかく、平和憲法のもとにおいて自衛隊がどうあるべきかという根本問題にまでまごまごするとかかわる問題になるということを申し上げたかったんです。
 次に、安全性の確保の問題について伺います。
 法案によれば、輸送の安全が確保されなければ輸送は実施しないと。その輸送の安全ということだけれども、先ほどからいろんな委員の人からこの輸送の安全の確保を具体的に確認する手段、方法はどうなんだということがいろいろ出されています。この輸送の安全をどうやって確保しようかということについて外務省は外務省で一生懸命やるんでしょうし、防衛庁は防衛庁で一生懸命やるんだろうけれども、外務省は在外公館なりが近くにあるかもしれぬけれども、防衛庁そのものとしては手も足もないんだろうと私は思うんです。具体的には輸送の安全の確保ということはどういうことなんだろうか。
 先ほど防衛局長ですか、相手国の離着陸の承認だとか通過国の通過に対する許諾だとかなんというようなことをおっしゃっておられたけれども、そんなことはここで言っている輸送の安全なんということの範疇外のことであって、それは前提の問題である、それがなきゃ動きっこないんだから。だから、そんなのは輸送の安全という問題とは違うでしょうと私は思うんです。通過国がうちを通っちゃだめだと言うのに行くわけにいかぬし、向こうの当該国がおりちゃだめだよと言うのにおりるわけにいきはせぬ。そんなことは輸送の安全という概念とは別個だろう。
 具体的に着陸して在外邦人を搭乗させて、そして出発していく。もちろん、その行きと帰りの飛行の安全ということもありますよ。その辺のことを防衛庁あるいは外務省、それぞれどのように考えておられるんですか。
#215
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 法律の中に安全を確保しということを書いてあるわけでありますが、これは非常に貴重なことだと思います。
 つまり、邦人を救出する場合におきましては、先ほど来いろいろ申し上げておりますように、例えば陸路を通って隣国に避難するという場合もありますね。それからまた、その紛争当事国の中においての紛争がなされてない安全な地域もあるわけでありますから、そういうところに陸路を通じて避難する場合もある、そういうものをやはり確認した上で輸送することができる、こういうことです。
 ですから、安全というものにつきましてはそういういろんなケースがあると思うわけでございまして、定期便を通じて隣の国あるいは安全な国に避難しておって、そこにこちらから飛行機を持っていって輸送する、こういう場合もあると思いますので、いろんな組み合わせを考えて、それを確認しまして、とにかく遅滞なく安全に在外邦人の方々を輸送するということが大事じゃないか、こう考えます。
#216
○説明員(畠中篤君) 安全の確認につきましては、これを確認すればいいというものをなかなか一言で申し上げられませんけれども、例えばケースに応じましては、もちろん当該国の権限ある当局の許可はこれはもう最低限必要でございますけれども、そのほかにも自国民をそこに置いております各国がどういう救生活動をするのか、実際に救援機を飛ばしているとか、あるいはそれ以前でも、例えば定期便はまだ飛んでおるけれども、実際に飛行場は機能しておるけれども邦人が乗れないといったような状況のときには恐らく安全だということは確認できると思いますし、そういったいろいろな情報あるいは各国の見通し、そういうものも総合的に判断いたしまして、これで今飛んで行けば救出ができるというような安全を判断するしかほかに方法がないのではないかと思いますが、安全の確認についてはできるだけ広い情報を集めて十分に確認してまいりたいと思っております。
#217
○猪熊重二君 この輸送の安全の確認といった場合の輸送の安全性というのと民間機なりチャーター機なりが飛んで行く場合の輸送の安全の確認というのは、程度において同レベルなんですか、それとも異なるんでしょうか。
 言っていることは、ここに自衛隊機は輸送の安全が確認されなければ出発せぬよ、輸送業務を行わない、こう書いてあるわけでしょう。先ほどからいろいろおっしゃっているように民間機による輸送、あるいはチャーター機による輸送、あるいは外国の航空機による輸送、この自衛隊機による輸送、いろんな選択肢がある中の一番いいのをやると、こうおっしゃったわけです。民間機なりチャーター機なりがその仕事につくかつかないかを判断するための輸送の安全という問題どここで言っている輸送の安全とは質的に同じようなものなんですか、別口ですか。
#218
○説明員(畠中篤君) 基本的に同じことを言っていると思います。
 例えば、ちょっと私誤解していると申しわけありませんので過去の例で申し上げますと、過去日本が輸送手段で民間の専用機を飛ばしたこともございますけれども、その中で輸送手段が民間航空機であったために輸送に危険が生じたといったような事例はございません。
#219
○猪熊重二君 要するに、民間機が飛んで行く場合に、うん、大丈夫だから飛んで行こうというその程度と、それから自衛隊機が飛んで行く場合の、うん、安全だから行こうかというその輸送の安全の確保されている状況というのは同程度であるだろうと、こういうことですね。それは間違いありませんね。防衛庁も同じ見解でよろしいんですか。
#220
○政府委員(村田直昭君) やはり、本来、本件事案は運ぶ人の安全というのが第一でございますので、民間機であるから安全であればいいけれども、自衛隊機の場合はいささか危険であってもやるというようなことではない、同様な安全が必要である、こういう見解です。
#221
○猪熊重二君 私もそれは非常に重要なことだと思うんです。民間機は危ないから、だから自衛隊機なんだというふうに考えている人、あるいはそういうふうに要求している人、こういう人が非常に世の中にもおられる。あるいは先ほどの委員の中にも、しっかり頑張っていかなきゃならぬというような趣旨からそれに類似したようなことをおっしゃった先生もおられたようにも思いますが、自衛隊機をこの輸送に用いる、その場合には民間機が行くには危ないからだから自衛隊機だというふうな発想は、なぜ自衛隊機がといえば武器を持っているからなんですというところへ非常につながりやすいんです。民間機だったら裸で飛んで行くから危ないぞ、自衛隊機ならば武装することもできるし武器を使用することもできる、だから少々危険なところでも行った方がいい、行くべきだというふうな考え方に非常に直結しやすい。
 ですから、この輸送の安全の確保という問題は、民間機であろうが自衛隊機であろうが同じレベルの問題、同質のものなんですということは、逆に言えば自衛隊機もいわゆる戦闘機だとかあるいは攻撃用の武器だとか、そういうものとは無関係な通常の輸送機として行くんですということを明らかにするためには非常に重要なことだろうと思うんです。それが結局武器云々という閣議決定ともつながりがあることにもなると思います。
 別の問題です。
 先ほどどなたかほかの先生からもお話がありましたけれども、今度はこっちの問題じゃなくて先様から見たときに、民間機といわゆる国の航空機、すなわち一口に言って軍用機とこう分けた場合に、政府専用機であろうがあるいは他の輸送のための自衛隊機であろうが、要するにそれを軍用機と呼んだ場合に、運航する当方じゃなくて相手国ないし輸送で通過するその国々にとって、民間機と軍用機では何らかの形で安全性に差異があるとお考えですか、ないと思われますか。
#222
○説明員(畠中篤君) 国際法上、国家の主権はその領土及び領海並びにそれらの上空に及びますので、外国航空機の領空通過及び着陸につきましては、一般的には条約等に基づき事前の同意がある場合を除きまして、その都度領域国の同意を得る必要がございます。
#223
○猪熊重二君 要するに、飛行するについて軍用機の方がちょっと手間がかかる。ただ、安全性という面からいえば別に差異はないと。民間機であろうが軍用機であろうが、相手方の国から見た場合に、当方が攻撃される可能性とか危険性とかそういう問題においては差異はないと考えていいんですか。いかがですか。
#224
○説明員(畠中篤君) 基本的に差異はございません。
#225
○猪熊重二君 別の問題を伺います。
 これは、自衛隊機で行こうが民間機をチャーターしようが、在外邦人の救出には相当多額な金がかかるだろうと思うんですが、この費用の負担について何らかの措置、方策というふうなものは外務省なりで考えてはおられるんでしょうか。
#226
○説明員(畠中篤君) 過去におきましても政府の救援機を出して邦人を退避させたことがございますが、過去の件で申し上げますと、イラクのクウエート侵攻のときに飛ばしました政府専用機以外につきましては原則として乗られた方の負担ということで処理しております。イラクの侵攻のときだけ政府が全額負担いたしました。
 今度の政府専用機のことにつきましては、今、関係省庁で打ち合わせ中でございます。
#227
○政府委員(村田直昭君) 自衛隊の航空機による在外邦人等の輸送による経費の問題でございますけれども、これは外務大臣からの依頼に基づき防衛庁長官が自衛隊の航空機で行う在外邦人の輸送の業務でございまして、防衛庁の業務として行うものでございますから、当該輸送の業務にかかる経費については基本的には防衛庁が負担するということになろうかと考えております。
#228
○猪熊重二君 そうすると、民間機を依頼して飛ばした場合とかチャーター機で行った場合とか、そういう場合には、言葉は妥当かどうか知らぬが、受益者負担的な要素で処理している面もあると。しかし、今回の百条の八の自衛隊機の場合には、自前の飛行機だし自前の職員だから防衛庁の予算で全部処理して、受益者負担的なことは全然考えていない、こういうことでしょうか。
#229
○説明員(畠中篤君) 大変恐縮でございますが、私が先ほど御説明いたしましたのは乗る方から見た場合のことでございます。そして、今防衛庁で御説明になったのは防衛庁の持っている飛行機の経費の話ということで、受益者負担というものを、例えばこれからも民間チャーター機で飛ばすことがございます。そのときに従来どおり受益者負担で行くのか、その場合に政府専用機で行った場合との関係はどうなるのか、その辺は恐縮ですが最終的にまだ詰まっておりません。
 ただ、防衛庁の飛行機の経費としては防衛庁負担ということだろうと思います。
#230
○政府委員(村田直昭君) 今、部長の方からお答えがあったように、防衛庁が航空機を運航するということについての経費は原則的に防衛庁が負担するということでございます。それから、搭乗者についての取り扱いについては今後検討する課題であると考えております。
#231
○猪熊重二君 最後に、艦船による輸送について、もう他の委員からいろいろお話がございましたから簡単にお伺いしますが、航空機だけでなくして艦船による輸送というものを考えたらどうなのか。
 その場合も、艦船による輸送といった場合にやっぱりまた軍備というか、その辺がいろいろ問題にはなるんですが、艦船による輸送ということについて最後に長官にお伺いして、ほかの質問は大分重複しますので、少し時間は早いですけれども、今の問題を最後にお伺いして終わりたいと思います。
#232
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 緊急事態に対しての在外邦人の輸送の手段として艦船を加えるかどうかという点につきましては、今後具体的なニーズ等を踏まえて慎重に検討しながらやってまいりたいと思います。
#233
○猪熊重二君 終わります。
#234
○聴濤弘君 私もまず最初に取り上げたい問題は、なぜ民間機でなく自衛隊機なのかという問題です。この問題はもう既に他の委員も取り上げられ、また、前回ここで審議したときにもこの問題は大きな問題として審議の一つの中心になったものです。また改めて私がここで取り上げるのは、この政府の答弁はどうもなかなかはっきりしない、そのために取り上げる次第であります。
 今審議されている法案は、騒乱、内乱、クーデター、それから国際間の武力紛争などの緊急事態に政府専用機あるいは自衛隊機を邦人救出の輸送のために海外に派遣できるようにするものであります。
 政府は、派遣する国の同意、着陸の許可、こういうものが得られない場合、また飛行経路や空港の安全性が確保されない場合、そういう場合は派遣しないと、こういう態度をずっと表明されています。それならば、さっき言いましたようになぜ民間機ではなく自衛隊機を派遣するのかという当然の疑問が起こってくるわけです。
 私も同じ質問をしたいんですが、一番最初の質問は、どこに民間機ではなく自衛隊機なのかの境目があるのか、その判断の基準をまずお聞かせいただきたいと思います。
#235
○国務大臣(玉沢徳一郎君) イラン・イラク紛争等のケースを見ていただければわかると思いますが、いろんな救出の方法があったようでございますけれども、民間機のチャーターをしたいということでいろいろ手を尽くしたようでございますが、なかなか間に合わなかった。したがいまして、その場合に何とかトルコ航空で出国するということによって救出されたわけでありますが、紛争、騒乱が起きた場合におきましては、やはり一刻も早く邦人を保護する、輸送するということが緊急に必要になってくるというような場合に、民間のチャーター機ではなかなか対応できないというような場合にやはり政府専用機等の対応を考える必要があるんじゃないかと、こういう観点でございます。
#236
○聴濤弘君 大事な問題で、ちょっとくどいようですが、なかなか民間機では対応できないようなと、なかなかできないようなと、そういう点がその境目になってくるんで、なかなか対応できないようなというのは一体どういうことなのか。
#237
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 日本の場合ですと、すぐ民間のチャーター機でもツーカーというふうにいく場合があると思うんですね。しかしながら、外国の場合におきまして、外国におって外国の騒乱の場合に外国の飛行機をチャーターするというような場合に、なかなかこれは時間がかかるというようなことはよくあることだと思うんですね。しかしながら、民間のチャーター機を通じまして、日本から極めて遠方にあるような場合におきまして、やはり民間のチャーター機が借りられて安全な場所に避難できるという判断ができた場合は遅滞なくそれをやるべきだと思うんですよね。やはりいろんなケースで、とにかく海外におられる日本の方々を安全に避難させるという点におきましてはあらゆる手段を考えて対応すべきだと、こう思います。
#238
○聴濤弘君 今、一つには、民間機の場合には時間がかかるということをおっしゃいました、その他いろいろなケースがあると言われたんですが。私は聞いていましてやはり非常に技術的だと思うんです、理由が。時間がかかるからと、では時間が早く処理できるようにすればいいというだけの話になってくるし、時間がかからないようにすればいいというだけの話になってくるんで、どうして民間機か、それから軍用機なのか。民間機と軍用機とは本質的な違いがあるわけでありまして、それが時間がかかるからかからないからというだけのことで、そこに境目があるというふうに判断するわけには私はなかなかいかぬというふうに思うんです。
 この法案をもともと提出されたのは宮澤内閣のときでした。宮澤内閣だった。そのときに、これよく出される例なんですけれども、サイゴン陥落の際のことが出されました。これは本当にこの問題を見ていく場合に非常に重要なので私はもう一度繰り返して質問したいんですけれども、宮澤総理はこのもとの法案を提出されたときに説明をされまして、あのベトナム戦争でサイゴン陥落の際、邦人救出のために日本航空機を出したがサイゴンまでは行けなかったと。このあと、これは本会議で言われた言葉です、まことに邦人に対して相済まぬことであったと、こう述べられた。行けなかった理由は何かと。次もまた本会議で総理が述べられた言葉です。パイロットそれからクルーが、そういう危険なところに行くことについて、サイゴンが陥落する少し前ですね、ああいう危険なところに行くことについて、まあ当然でございますけれども、どうしても同意が得られないという事情が起こったからでありますと、こういうふうに総理は述べられている。これ本会議での答弁です。
 また、衆議院の安保委でこの問題を審議しましたときに荒政府委員は次のように答弁されている。例えば、サイゴン陥落時なんというのは典型例でございまして、そういうときにもし政府専用機ありせば邦人の保護のためにより適切な対応ができたのではないかという経験がございまして、そういうことから私どもとしては本法案をお願いしているところでございます、こう答弁されています。
 今のことを要約して言いますと、要するに危険なところには自衛隊機しか行けないと、だから出すんだと、民間機じゃだめだから。ここに判断の基準があるんじゃないんですか。
#239
○説明員(畠中篤君) 今御指摘の点につきまして、時間的にどういうことが起こったかということをもう一度申し上げたいと思いますが、四月に入りましてから三日以来、四月三日が最初でございますが、政府は退避勧告を累次にわたり発出いたしました。それで、これに基づきまして邦人の方々はタンソンニュット空港が開いておりますので民間の飛行機で随時出られた方がかなりおられます。
 政府といたしましては、四月の十一日から、事務的に将来に備えまして、民間の専用機、政府の救援機を発出する可能性につきましていろいろな方面と協議を開始いたしました。飛行場は結果的に二十九日の正午まで使えたということでございます。我が政府専用機は、先ほど言われましたような民間企業サイドでのいろいろな配慮、クルーの意見とかあるいは保険料といったようなこともあったんだろうと思いますけれども、検討をしおられまして、最終的に日本を政府専用機が立ったのは二十九日の朝でございました。お昼になりますともう既にタンソンニュット空港は使用ができなくなっておりましたので、マニラまで飛びましたけれどもそこから引き返してきたというのが実情でございます。
 したがいまして、安全性ということでは、四月二十八日以前に仮に政府の専用機がタンソンニュット空港に到着てきるようなタイミングで日本を発出できたとすればあるいはこの政府救援機が有効に機能したのではないか。十一日から検討を始めまして、いろいろ企業サイドの検討もあったと思いますけれども、最終的に出発できたのが二十九日の朝になってだったということが実情でございます。
#240
○聴濤弘君 何日に何とかというんじゃなくて、総理が、そういう危険なところに行くについては、まあ当然でございますけれども、どうしても同意が得られなかったんだと。何日にどうして何日がどうでというんじゃなくて、それに同意が得られなかったんだということを宮澤総理が言っているわけですよ。そこの本質的な部分を私質問しているんです。
#241
○説明員(畠中篤君) 先ほど申し上げましたが、四月十一日から日本政府は事務的な検討を始めましたけれども、二十八日以前まではどのくらいかわかりませんが飛行場が使用可能でございまして、実際に飛行機が離着陸しておったわけでございます。
 ただ、民間企業サイドとして実際に飛行機が離着陸しておっても企業のリスクでどこまで判断するかということと、それから政府が政府の立場からいろいろな情報を集めましてその飛行場がまだ安全だ、ほかの飛行機も救援機も来ておる、あるいは定期便が飛んでおるというような状況であった場合にどう判断するかというのは別の問題かと思いますが、今度政府専用機が救援に使えるということになりますと、政府専用機の一つの用途として邦人の在外での退避のための救援として飛ばすことをあらかじめ想定しておりますので、恐らく検討は早く進められる可能性があると思っております。
#242
○聴濤弘君 失礼ですけれども、正直言って私の質問していることに全然答えてないんですね。
 今あなたがおっしゃったことは、今度早目に検討するから政府専用機が出せますと、そういう話をしておられるんでしょう。宮澤総理が言われたのは、あのサイゴン陥落のときにああいう危険な場面になってしまった、だから日航機にお願いするわけにはいかなかった、同意が得られなかったと。だからもう危険なんですよ、状況は。だから日航機のクルーやパイロットは拒否したんだ、だからあのときにこの法案が既にあったら自衛隊機が行けたのにと、こういうことを総理は言っているんですよ。
 だから、判断の基準というのはその危険度のところにあるんだろうと私は質問している。そうしたら、あなたは何と今まで答えたかといったら、早目早目にやりますから政府は飛行機は出せますと。政府が飛行機を出せる話をしているんじゃないんですよ。なぜ民間機と違うかということを質問しているんです。
#243
○説明員(畠中篤君) 事実といたしましては、ベトナムのケースにつきましても、二十九日の朝になりましたけれども民間機は飛んだわけでございます。しかし、行くまでに危険になったんでそこまで入らなかったということでございます。
 危険といいますか実際いつ飛び立てるかという判断は、企業それぞれの判断とそれから政府専用機がこういう目的のために使われるといって用途として一つ準備されている場合とはおのずから、判断はどちらが早くなるかはわかりませんけれども、政府専用機も使われている場合とかいろいろ事情があると思いますので。しかし、今までなかった邦人救出のための一つの輸送手段が確保されるという意味では邦人の救出が非常に機動的に行えるようになるのではないか、そう思っております。
#244
○聴濤弘君 何か堂々めぐりですかね。
 去年の十一月二十五日、衆議院の安保委で中西元防衛庁長官が、これと同じ議論をしたときに非常に簡潔に次のように答えているんです。この中西元防衛庁長官の評価をあなたはどういうふうに考えるか、それを質問します。
 中西防衛庁長官はこう答弁しているんです。完全に安全なときは民間機が飛ぶ、やや陰りがあるときはチャーター機、それでもだめなときは政府専用機が飛んでいくと。極めて明快ですよ。そういうことなんでしょう。
#245
○説明員(畠中篤君) 私はその中西長官の御発言の真意についていろいろ申し上げる立場にございませんが、従来外務省が邦人救出のためにどういう順序で輸送手段を考えてきたかと申しますと、まず民間の定期便が飛んでおりますときにはそれによって脱出していただく。そして定期便が使えない、それは危険度とは関係ございません、危険だから飛ばなくなったといいますかそういう要素もあるかもしれません、しかしむしろそれのみならず定期便が満員で飛べないとかその日に定期便が飛んでないという状況でも民間のチャーター機を飛ばすことを検討することはあったわけでございます。
 したがって、どういうふうにお答えしたらいいかわかりませんが、従来の検討は今申し上げましたような順序でやってまいりました。
#246
○聴濤弘君 中西元防衛庁長官の方が非常に端的で、私は賛成するわけじゃないんですけれども、しかし問題の本質をきちっととらまえていると思うんですね。
 私はこれにどういうコメントをするかそういう立場ではないと。冗談じゃないですよ。あなた方は法案を提出しておいて、中西元防衛庁長官はこういう立場で今後運用する、中西元防衛庁長官だったらそうだと。それはもう重大なことでしょう、あなたが法律を出している方なんだから。こういうふうに運用しますよと、そう長官が言っている。それは私のコメントするところではないというようなことだったら、一体どういうことになるのかということですよ。
 あなたは非常に経過的なことを言われるんで、私もそれならそれで次のような事実は指摘したいと思うんです。
 サイゴンの陥落のときに日航機がマニラに着いたのは確かに四月二十九日です。サイゴン陥落は四月三十日だった。こういうもう非常に切迫した状況なんで、四月二十五日にはフランス系の航空会社を除くすべての外国航空会社が安全のためにサイゴン空港はもう着陸を中止していたんですよ、四月二十五日には。あなたは何か十一日がどうのこうの何とかがどうのこうのと言っているけれども、もう二十五日にはフランス系を除いてサイゴン空港は使わない、民間機は危ないから、こういうことになっていた。
 サイゴン陥落三週間前には既に南ベトナム上空を飛行することはできなかったと、実際に飛んだ元日本航空のパイロット、信太正道さんがそのことをことしの五月号の「世界」の中で書いています。彼は日航機のパイロットだったんです。その辺を飛んでいた人ですよ。その人がそういうことを書いているんです。南ベトナムの上空を飛行することはできなかった、したがって南シナ海を遠く迂回して飛行したと、陥落の一週間前にはサイゴンの管制官の声は既に聞こえなかったと、この「世界」の中でその元パイロットが言っておられるんです。その当時にはもう米軍の飛行機さえ飛んでいなかったと、最後まで残ったのは米軍のヘリコプターだけだったと、そういうことをずっとこの「世界」の中で述べられております。
 私は、二十九日にマニラに行ったのが遅かったとか早かったとか、あなたが経過的に言われることを今問題にしようとは思いません。状況はそういう状況だった。
 次の問題ですが、一体こういう状況でサイゴン空港に着陸することはできるんですか、許可を得てですね。というのは、あなた方はこの法案を審査するに当たって、いつでも相手国の許可が得られて、それで着陸し、救出、輸送をやってくるんだということなんですが、一体こういう状況でサイゴン空港にどうやって許可を求めておりていくんですか。
#247
○説明員(畠中篤君) そのときのパイロットの方の観測は観測として述べておられますけれども、先ほど申し上げましたように四月の初めから退避勧告を出して、そして状況は徐々に悪くなっていったわけでございますけれども、その過程において飛行機が飛んでいる間に民間の飛行機で出られた方もかなりおられます。したがいまして、四月の何日だったらその許可があって無事に行かれたかということを申し上げるのは非常に難しいと思いますが、恐らく日本の政府の救援機が二十九日に飛び立っていったのは最後までチャンスを試みたといいますか、努力したのではないかと思いますが、実際問題として二十九日はもう既に遅くて、そういうことはあきらめて帰ってきたわけでございます。
 それでは何日だったらよかったのかということは、ちょっとそのときの状況をよくわかりませんし、なかなか難しい判断であつだろうと思います。
#248
○聴濤弘君 実際難しいということをおっしゃられた。大体、そういう状況のもとでだれと交渉して許可を得るかということ自体難しいと思うんですね。崩壊寸前にあるあの当時のサイゴン政権と交渉するのか。あの地域というのはよく言われたところのベトコン、正確に言えば南ベトナム解放戦線、これがもう権力を樹立しているというような状況だと思うんです。あるいは北ベトナムかもしれない。そうすると、許可を得てくるといったって一体だれと交渉して得てくるんですか、こういうとき。これはサイゴンのことではあるけれども、紛争地域へ行くというんですから当然一般論としてもきちっとさせておかなきゃならぬ問題ですよ。
#249
○説明員(畠中篤君) 飛行場周辺の治安状況、それから紛争の状況その他いろいろなことで状況が違ってくると思いますけれども、まず最低限得なければいけないのは相手国政府の権限ある当局の許可だと思います。しかし、それだけで十分かということになりますと、必要によりましてやはり紛争当事者といいますか、政府ではない当事者の了解を得ないと危ないというような事態も予想はされます。そのときに実際にコンタクトがとれてそういう許可がとれるのかどうかというようなこともそのときの状況になってみませんとわかりませんが、私が申し上げたいのは、安全確認のためにはできるだけの確認をして、不安が残る場合には救援機を飛ばさないということでございます。
#250
○聴濤弘君 今そういうふうにお答えになったんだが、そうしますと宮澤総理がおっしゃったことも間違いなんですかということを聞きたくなってくるんですよ。
 というのは、四月二十五日、二十六日、二十七日あるいは四月十日、そのころはほとんど許可をとることできないですよね、実際上、相手方から。二十九日はまさに遅かったと、あなたがおっしゃるとおり。では二十五、六日ごろならとれたのかといえば、フランス系以外のところはみんなもう着陸しなかったというので、そういう状況でしょう。だから、とれるとれないということは実際上保証がないんですね、この状況のときには。そうしますと、宮澤総理がおっしゃったのは、ここで自衛隊機ありせば、こういうふうにおっしゃった。荒政府委員もそうおっしゃった。ということはどういうことかというと、逆に言えば許可も何もなくたって行けるということになるでしょう。だからこそ自衛隊機が必要なんだという論理にならざるを得ないじゃないですか。どうですか。
#251
○説明員(畠中篤君) 宮澤総理の御発言も正確には解釈できませんけれども、おっしゃっていた意味は、やはり一民間企業としていろいろ判断をするときに、クルーからのそういう意見もあったでしょうし、それから民間の保険料の話もあったと思います。そういうことで、その企業が危険かもしれないという判断をした場合には、なかなか企業としてそれじゃ行きましょうという決断に至らないということを言われたのではないかと思います。
 しかし、その企業の判断が、例えば私ども申し上げますと、四月十一日の時点からいろんな検討を始めておりますので、その時点で例えば、これは仮定の問題でございますけれども、政府専用機がもし使えるという状況があった場合に、果たして民間企業と同じ判断をしたかどうかというのはこれはもう一つわからないところでありますが、違う判断をした可能性も私はあるのではないかと思います。
#252
○聴濤弘君 結局、企業の方にはそういう負担をさせられないと。だからということだと言うんですけれども、だからこそ自衛隊機がという、こういう論理になったはずなんですね。だから、まことに相済まぬことだったと総理は言われ、そしてこの法案が必要なんだという理由説明を本会議でやられたわけです。
 あなたは経過的にいろいろなことを言って、本質的なところについてお答えにならないけれども、私は今までの議論でどこが一体違いなのかといえば、やはりこういう状況で、今言ったサイゴンのような状況でどうしても民間機が出せない、そういう危険性、相手の政権の状況、そういう状況のもとで民間機に対して行けと、行ってくれということはどうしても言えない。だから自衛隊機なんだ。ここが境目だと私は思うんです。その中には、サイゴンの例のように相手方の同意も得られない場合だってあり得るということだと思うんですよ。
 いつまでもこの問題をやっていられませんから最後に聞きますが、相手方の許可が発動の条件になっているかどうか、この法律自体そういうことが書かれておりますか。法案には相手国の許可が発動の条件であるという規定はないんですね。安全を確保するとは書いてある。しかし相手方からの許可がない場合には行かない、あるいは許可があることが前提であるということは規定がないんです。逆に言えば許可がなくても派遣できるということになるわけです。どうなんですか。
#253
○説明員(畠中篤君) 仮定の問題でございますので、そういうケースがあったかどうか私も存じ上げませんけれども、通常の場合であれば相手国の権限ある当局の許可ということでまず安全を確認するんだろうと思います。しかし、これは仮定でございますのでそういうことになるかどうかはわかりませんが、相手の権限ある当局が既にそういう能力がなくなっておって、例えば外国のそういう治安を維持するところが飛行場について安全が確保されておって本当に安全だということが確認できる場合には、その場合にはやはり邦人の救出ということを一応検討してみるのではないかと思います。
#254
○聴濤弘君 ともかく同じです。通常の場合で安全が確保されている場合というなら、それはもう相手から許可を得て、それなら民間機でいいじゃないかというまたもとの問題に戻るんですよ。そういうことができないからこそ自衛隊機で行かなきゃやむを得ないというところから出てきたものであることは私は明確だと思います。仮定の問題だと言ったって、今のサイゴンの場合は一つの仮定じゃないんですよ、実際にあった問題なんです。そこが一つの動機になって政府は提案するとまで宮澤総理は言われた問題なんです。決して仮定の問題じゃないです。こういうことをきちっと想定したし上でこの法案を審査しなきゃならぬ。仮定だ仮定だと言って逃れるわけには絶対にいかない、そういう問題だということを言っておきたいと私は思います。
 なぜ民間機がという問題だけでもう既に三十分たちましたので、次の問題に移りたいというふうに思うんです。
 次の問題は、改正される部分というのは確かに百条に一項目をつけ加えるということなんですけれども、それがこの法律全体の中へ入ってくるわけですね。自衛隊法という法律の中へ入ってくる。そうすると、この改正された部分を全体の中で見てみなきゃならぬということになります。こうなりますと非常に大きな問題が起こってまいります。それは特に九十五条との関連の問題であります。
 先ほども委員から質問がありましたが、私はちょうどそれを裏返ししたような形で強い問題意識を持っております。といいますのは、紛争地域に専用機が飛んでいくわけですから、一般的に言ったって危険性というものがあるということは、これはもう否定できないことだと思うんです。特に、サイゴンの場合の例なんかによれば、一方的だとあなたは言われるかもしれないけれども、私は無許可以外にあそこに着陸することはできなかったと思うんですね、あの状況のもとでは。
 それは別といたしまして、そういう紛争地域に飛んでいくわけですから非常に危険性が伴う。そうなれば飛んで行く飛行機、今で言う政府専用機あるいは自衛隊機、これを守らなきゃならぬという問題が当然起こってくる。そういうことも仮定の問題ではなくてきちっとそういう場合のことを考えた対処が必要だと私は思います。その点については、戦闘機は使わない、また戦闘機で護衛することはしないということを閣議で決定されております。
 しかし、大切なのは、先ほども指摘がありましたけれども、法律にはそういう規定はないということなんです。閣議で決めているというだけのことで法律にはない。逆に、法律の九十五条には、この九十五条というのは改正されないでそのままここで生きているわけですが、この九十五条は武器等の防護のための武器使用を定めているところであります。長々引用する必要はないと思いますけれども、自衛官は、これこれのものを防護する必要があると認める相当の理由がある場合にはと、その中には航空機が入っております。航空機を防護するため必要であると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができるというのが九十五条であります。
 だから、閣議の決定はあっても、そういうこととは別にこういう危険なところに行くわけですから、それに必要な防護の態勢をとるということがあっておかしくないというのが法律全体の中から出てくる問題です。九十五条です。それで、そのことは禁止はされていないわけですから、禁止されていないところか九十五条にそう書いてあるわけですから、そして先ほども法制局の方からも答弁がありましたが、閣議の決定というのはいわば政治的な決定で法律とは違うということを言っておられるわけですから、法の体系としては防護していく、そういうものがあることもあり得るということになると思うんですが、そういうことですね。
#255
○政府委員(村田直昭君) まず、これも繰り返しになりますが、先生御指摘のように、派遣先国等の政府の措置によって安全が確保されない場合には自衛隊機により在外邦人等の輸送を行うことはあり得ないという判断をまずしているわけでございます。それはなぜかというと、邦人の安全な輸送ということが第一の任務であるからであります。このため、派遣が可能である状況においては、派遣先国内で航空機外における在外邦人等もしくは輸送を実施する自衛隊員または航空機等を防護するために、航空機外において自衛隊員が武器を携行し使用することが必要となる事態は想定されないというのが私どもの大前提でございます。
 したがって、それについて言えば、先生がおっしゃるように自衛隊法第九十五条というのは法律的には排除されておらないということでございますが、この第九十五条の規定に基づく武器使用の権限行使の前提である警護任務の付与は行わないということにしておるわけでございます。そして同時に、御指摘のとおり平成五年十一月五日の閣議決定の第六項におきましても同様の趣旨を決定しているところであります。
#256
○聴濤弘君 大前提の安全が確保されて行くんだからそういう九十五条を発動しなきゃならぬというようなことは起こらないと、そういう趣旨だと思うんです。しかし、今まで三十分間やった議論というのは、まことに危ないところに行くようなケースもあるんですよという、そういうことが一つの動機になってそれでそもそもこの法案というのは出てきているんじゃないんですかと。明確なそれに対する反論もないままにずっときて、それでそれは仮定の問題ではなくて実際に起こったサイゴンの状況ですよというこの議論を三十分間にわたってやってきているんです。それで、この問題になったら、前提が安全でございますからといったのでは三十分間何を議論していたのかよくわからない。
 それではあなたに聞きますけれども、あのサイゴンのような状況ということが実際に想定されますね、ああいう場合にはもう全然問題にならないわけですか、この邦人救出というのは。
#257
○政府委員(村田直昭君) このケースについてちょっと私はただいま資料はございませんが、従来から私がこれについて承知しておるところによれば、四月の早い時点で、たしか十一日か十二日だと思います、それは部長も言われていたと思いますが、早い時点においてそういうような行動に出る決心をし、それを行っておればそのような行為もできたのではないかな。これはちょっと今資料を私は持ち合わせておりませんので、あくまでそのときの状況を判断するわけでございますから、極めて危険な二十九日以降の状況というものを想定して、そういうような状況であるといえばそれは非常に難しいんではないかなというふうに思います。
#258
○聴濤弘君 同じことなんですがね。二十五日でフランス系以外みんな空港を使用しなくなったわけですから、二十五日以前に決心していれば民間機で行けたんです。そういうことでしょう。だからおかしいんですよ。それで二十九日はもうだめだと。それはだめですよ、ほかの国も行かないんだから。だから、とってもおかしな答弁なんだな。
#259
○説明員(畠中篤君) 申しわけありません。十一日から検討いたしましたので、先ほど先生がおっしゃっておりますけれども、二十五日までは飛行機が飛んでおったという状況でございますから……
#260
○聴濤弘君 民間機が行けばよかったんです。
#261
○説明員(畠中篤君) ですから、民間機にお願いしておったけれども、十一日からですね、民間機の専用機が飛べないかということを検討していただいていたけれども、結論がなかなか出ずに結局二十九日出発になってしまったということを申し上げておるわけでございます。
#262
○聴濤弘君 ともかく安全が前提なんだから九十五条というものの発動というのはあり得ないというふうにおっしゃったけれども、それならば紛争地域、それで非常に危険な地域に行く、そこでの邦人の救出に行くわけですから、そういう前提をもう絶対的なものというふうにするわけには私はいかないと思います。
 もう既にお答えになったけれども、もう一度きちっと確認したいのは、法的にはこの九十五条というのは邦人救出の問題にもかぶさってくる問題ですね。そのことだけはきちっと確認しておきたいと思います。
#263
○政府委員(村田直昭君) 先ほどもお答えしましたとおり、九十五条の適用については特に排除をされておらないということでございます。
#264
○聴濤弘君 わかりました。排除されてないということですね。
 ですから、大変重大なのは、ここの部分を改正して自衛隊法の中にそれが入ると、法律としては、自衛隊機が飛ぶ、それを防護するための必要なものも飛んでいくかあるいは武器を装備するか、要するにそれを守る一つの行為、行動、これも行われるということにならざるを得ない、法律的には。そういう問題が起こってくるということは言えるということだと思います。
 次に、もう一つ非常に重要な問題があります。それは邦人救出の際の海外での武器使用の問題についてであります。これは九十五条ともちろんかかわるわけですが、それとの関連で憲法問題とのかかわりなのでありますが、これはこの法案を審査したときに畠山前防衛局長が次のような答弁をされているんです。これはなかなか重大な問題でして、きちっとしておかなければ大変なことになるというふうに思うんです。これはこの参議院の内閣委員会でもありましたし、衆議院の安保委でも議論がされたところでありますが、邦人救出の自衛隊が海外で攻撃を受けたとき、それに対して自衛権を発動することが憲法上あり得ると、そういうふうに畠山前防衛局長は述べたわけです。大事なことですからきちっと読み上げておきます。
 「海外に行きました自衛隊機が」、これは邦人救出の問題で質疑をやっているときのことですから、邦人救出のために海外に出た自衛隊機のことですが、「自衛隊機が、その国または国に準ずるものから組織的、計画的な武力攻撃を受けた。こういう事態を想定されているんだと思います。その場合に、仮に自衛権発動の三要件として、先ほど防衛庁の官房長から答弁申し上げましたが、そういう条件に該当するケースがもし万が一あるとすれば、これは憲法上の論理としては自衛権発動の対象になり得るということでございます。」。自衛権の発動であるということから憲法上問題はないという、そういう答弁をされております。今も局長あるいは防衛庁長官はこういう立場ですか。
#265
○政府委員(村田直昭君) まず、一般論として、自衛権の発動につきましては三要件があるということで、我が国に対する急迫不正な侵害があるということが第一点、これを排除するために他に適当な手段がないことということが第二点、第三に必要最小限度の実力行使にとどまるべきことという三つの要件が備わることが必要であるということは従来から政府がお答えしているわけでございます。
 それで御指摘のケースでございますけれども、畠山局長自身も申し上げておりますように、現実の議論としておよそ想定できないものであるが、あえて純理論的な問題として申し上げればということで、外国の領域にある自衛隊が攻撃された場合、それは一般的に言って直ちに我が国に対する武力攻撃が発生したということには見られない。我が国に対する武力攻撃というのは組織的、計画的な武力攻撃であり、また自衛隊の保護は当該領域に対して施政権を持つ当該他国が、その与国が当たるべきであって、他に適当な手段がないことに当たるとは言えないことから、こういうような状況下で憲法上自衛権の発動は許されないものと考えております。
 そのときの答弁を今先生が読み上げたわけでございますけれども、繰り返しになりますけれども、畠山防衛局長も最後の方で、「そういったような事態もなく、仮に三要件が満たされるケースであるとすれば、憲法上の理論としては対象になり得る。しかし、現実にそうなるとはとても想定できない。こういうことだろうと思います。」というふうに答えているわけでございます。
#266
○聴濤弘君 一言で言いまして、憲法上、理論上はそういうことは言える、ただし現実には起こり得ないということだ、そういうのが局長の今の見解でもあるわけですね。理論上、憲法上は構わないということだと。
 そうしますと、同じときに同じ質問者に対して外務省の丹波局長はこういう答弁をされているんです。「一般国際法上それは認められておる」と。今のようなケースで攻撃を受けたときに自衛権を発動する、国際法上はそういうことは認められておりますと。しかし、「それを日本の憲法の体制あるいは自衛隊法の体制でどう受けとめるかというのは、これは私自身の立場を超える問題でございます」と、こう答えている。別の箇所では、憲法上の問題としてはこれは許されないんだという趣旨のことを言っておられる。
 要するに、丹波さんは、国際法上は認められるかもしれないけれども、憲法上では私は答えられないという態度を表明しておられる。そうすると、防衛庁の方針として理論上は大丈夫だと、そのとき丹波さんは外務省の条約局長だったと思いますが、憲法上はわからぬと言っておられる。これはどういうふうに説明しますか、政府の内部として。
#267
○政府委員(村田直昭君) お答えしますが、丹波局長は、そのときに自分としてはこれはお答えできないということを、そして「自衛隊法と憲法との関係につきましては防衛庁の当局の方から御答弁していただくのが一番適切だと思います。」というようなことをたしか答弁しておると思います。それに基づいて当時の防衛局長が先ほどのような答弁をし、かつその後外務大臣から、「今の防衛局長の答弁のとおりでございます。」というふうな答弁がなされておるかと思います。
 それで、純理論的にこのようなことが考えられるという答弁の前提となりますのは、海外派兵と自衛権の発動の三要件ということの政府答弁書がございまして、これは四十四年の四月八日、衆議院松本善明議員質問主意書に答えての答弁書でございますが、その中で、「かりに、海外における武力行動で、自衛権発動の三要件(わが国に対する急迫不正な侵害があること、この場合に他に適当な手段がないこと及び必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと)に該当するものがあるとすれば、憲法上の理論としては、そのような行動をとることが許されないわけではないと考える。」という政府答弁書がございまして、これに基づいて御答弁を申し上げたわけでございます。
#268
○聴濤弘君 今の松本議員に対する政府の統一見解というのは、これは松本議員が沖縄返還のときに、一般論として当時議論になっていた海外派兵とその際における武器使用の問題について質問をした。それとの関連の議論が起こったときに質問主意書を出して、それで政府の見解が出てきたのであって、邦人救出にかかわって松本議員が質問して、それに対する答弁じゃないんであって、それを一般に広く全部のケースに当てはめて、だから政府の統一見解だというふうに言われるのはいささか問題があると私は思います。
 そういうふうに言われるならば、私は次から次へと違う見解を政府の公式の見解として挙げることができるんです。元吉國内閣法制局長官は、この問題について、国際法上はいろいろな賛否両論があるが、国際法上の問題は別として我が国憲法の上では許されないことでありますという見解を述べられている。角田元法制局長官も、外国にある日本人の生命、財産が侵害されたり危険にさらされた場合に、邦人を救出するために武力行使をもって外国に派遣することは憲法上許されないという見解を表明されておるし、味村元法制局長官も、武力行使が伴わなければ助けられないというようなことになると、憲法上はできませんという見解を表明されている。先ほどの丹波条約局長のは、すべて防衛庁にお任せしましたという答弁じゃございません。ほかのところでは憲法上の問題は別だということも言っておられる。
 そうすると、私自身さっき言いましたのは、憲法の体制とすれば私としては立場を超える問題でありますと。防衛庁にお任せいたしますとは言ってないんですよ、この問題についての回答を。ですから、政府の見解は統一してないと思うんです。明確なこの問題についてのきちっとした統一した見解を私は出すべきだというふうに思うんです。
 防衛庁長官、実際に自衛隊機が出て、絶対に起こらないんだということを局長は言われるんだけれども、そういうことが起こらない前提でやるんだと言われるんだけれども、しかし繰り返し言うがサイゴンの例なんかがあるわけですから、こういう実際上の問題、ただただ仮定の問題だと言うだけで捨象できない重要な問題だと思うんです。今議論していた問題についての防衛庁長官の御見解を承りたいと思います。
#269
○政府委員(村田直昭君) 大臣からお答えいただく前に私から再度答弁したいと思いますが、従来述べておりますように、政府の答弁書等でも、仮に海外における武力行動で自衛権発動の三要件、これに該当するものがあるとすれば憲法上の理論としてそのような行動をとることが許されないわけではないということは、これは自衛隊の海外派兵と自衛権発動の三要件に該当する質問主意書について政府答弁として出されたものでございまして、あくまで理論上の問題として提起しておるわけでございますけれども、実際に当該国において組織的な、計画的な攻撃というものがなされるのであろうか、あるいは治安の維持というものが当該国の責任であるということであれば、その自衛隊の保護というものは当該領域において、主権国において保護されるというのが第一前提でございますから、他に適当な手段がないというふうなこともこれに該当しない。
 したがって、こういう状況のもとで自衛権の発動は許されることはないんじゃないかと思いますが、純理論的には従来政府答弁書がそのように答えて、おるということを申し上げておるわけでございます。
#270
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 邦人救出に当たりましては、あくまでも安全上の確認を行って救出を行う。委員がいろいろ御指摘をされておるわけでございますが、輸送する飛行機に防護措置をとるとかそういうことは考えておらないわけでありますから、あくまでも安全を確認いたしまして適切に輸送するということに万全を期してやってまいりたいと思っております。
#271
○聴濤弘君 念のためにもう一度申し上げておきますけれども、丹波局長はそのときにこういうふうに言っておられます。「日本の憲法上はその他国の領土、領海、領空におきまして、たとえ自衛権であっても実力の行使はできないという考え方に立っておりますから、自衛隊法がその場合働くということは、考えられないということは誤解のないようにつけ加えさせていただきたいと思います。」と、こういうふうに言っているんです。国際法上は認められるかもしれないけれども、日本ではこういう憲法があるからだめですということを丹波局長は言っている。
 それは正確に、先ほど憲法問題については自分の領域を越えるという答弁もされているが、同時にできないということも言われたというのがここにちゃんとありますので、そのことは言っておきたいと思います。
 それで、時間も迫ってまいりましたが、私は今までの議論から法律全体としての問題として一つの絵が出てくると思うんです。それは、こういう場合のことは考えておりません、安全の確保がされなければやりません、武器使用をするなどということは考えておりませんと。それは当然だと思うんです、そういうふうにおっしゃられるのは。今、武器使用をやりますなんてここで答弁されたら、これは大変な問題になるんですよ。そんなことはわかり切っている。だけれども恐ろしいのは、恐ろしいというか問題なのは、法律の体系としてそういうものができてしまうということにやはり非常に重大な問題があると思うんです。
 一つは、邦人救出のために自衛隊機が外に出ることができるというふうにするのが一つです。それは危険なところに行くわけじゃないし何とかだと言われるけれども、しかしはっきりしていることは、邦人救出ということで自衛隊機が海外に出ることができるようになるというのが、これが一つです。
 それから先ほども答弁がありましたけれども、自衛隊法の九十五条というのは法律的にはそれにもかぶさるということは否定されなかった。そんなことはありませんありませんと、それは現実の問題としてどうかという問題であるけれども、法律的にはこの邦人救出のための自衛隊の機能、海外への出動に九十五条は法律的にはかぶさるということもまた明らかになった、きょうの議論で。
 それから憲法問題について。九十五条というのは武器使用ですから、その際の憲法上の考え方についていうと私は統一見解はないと思うから統一見解を出してほしいと言っているんだけれども、局長は理論上は畠山氏が言われたことと変わりないんだと。理論上はということは、武器使用をそういう場合にしたってこれは憲法違反じゃないんだと、こういうふうに言われる。そうすると、非常に端的に言うと、邦人救出のために自衛隊が海外に出られる。それで、それはその自衛隊機を守るために一つの隊を組んでいくこともできる、隊とまでは言いません、それを防護するための武装もして行くことができる。そして、それが海外で武器を使用してもそれは憲法上問題はありません、そういうことですよという説明になってきてしまう。こういう法律ができてしまうんですよ。ここにこの問題の本当に大きな問題があると私は思うんです。
 仮定の問題だからそんなことは起こらないといったって、仮定の問題だからということがこの法律に書いてあるわけじゃないので、これは先ほどの議論もありましたけれども、そういうことは法律に書いてないわけです。九十五条というのははっきり書いてある。こういう形ででき上がる法律、これが非常に重大な意味を持つんだという認識を私はこの議論を通じて非常に強くしたところであります。
 この改正は、百条のところにあれだけの改正をするというだけだけれども、だけというか、そういう重大な改正なんだが、法律全体としてこういう重大な問題を引き起こしている。これは憲法にかかわる自衛隊の海外派兵、政府の見解で言うところの海外派兵、派遣じゃなくて政府が言ってきた海外派兵ですよ、それにつながっていくものだと言わざるを得ないと私は思います。
 そのことを指摘しておきたいと思うんですが、一分間ぐらい時間がありますので、防衛庁長官の見解をお聞かせ願いたいと思います。
#272
○国務大臣(玉沢徳一郎君) これはPKO法においても同じような議論がなされたと私は承知しております。つまり、我が国の自衛隊を海外に派遣する場合におきましては、あくまでも海外における武力行使は行わない、こうはっきりしておるわけでありまして、今日までPKO活動においてそれぞれ三回も行っておるわけでございますが、御承知のとおりその業務をしっかりと果たして何らの武力行使も行っておらない。
 こういうことを見たときに、今委員がいろいろ海外派兵海外派兵と、こう言っておるわけでありますが、先ほどからいろいろ話になっております平成五年十一月五日の閣議決定におきましても、明確に我が国の国是をはっきりさせまして、航空機の安全が確保されないというような場合に戦闘機による護衛を行うことはないとはっきり決定しておるわけですから、また同時に、警備等におきましてもけん銃に限るものとする、こういうことでございますから、これをきちっと守って邦人を保護するための輸送を行う、こういうことで徹底してまいりたい、こう考えております。
#273
○聴濤弘君 一分ありますから申し上げます。
 今の閣議決定で戦闘機は使わない、防護はしない、それから武器はこれこれと、閣議決定でそうしているから大丈夫だというのは、法律上の保証があるということではないということを申し上げたいと思います。それは先ほどの質問と同じですが、法制局長官も言ったようにそれは一つの政治的決定であって、法的決定ではないわけであって、もしそれを貫くということであるならば、それは法律に明記しなければならないことだと思います。
 そして重大なのは、もう繰り返しませんが、この改正によって先ほどのような体制ができる、法的にできるということにこの問題の重大性があるということを指摘して私の質問を終わります。
#274
○委員長(岡野裕君) 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
 
#275
○委員長(岡野裕君) 速記を起こしてください。
#276
○板垣正君 邦人救援の法案、これは随分年月がかかった。いろいろな角度から論議がされ、あるいは修正が加えられ、二年半ぶりに日の目を見ようと、こういうことでございますが、いずれにしましても私は大変これは意義の深いことである。
 つまり、国家として日本国民の生命、財産を守る、これはまさに国家存立の基本でございましょう。これは国内におられる方も海外の邦人もひとしく、特に海外六十何万と言われる在留邦人、さらには一千万を超える毎年海外に出かける邦人、こういう国際的な広がりの中で、しかも在留邦人の場合は、特に言うなれば日本の産業の先兵、そういう立場で国益のために大変な苦労をしておられる。そういう方々に対して、その生命、財産、最後にこれを担保するものとして、今まではある意味で民間にゆだねてきたものを国の責任において救援活動を最大限行う、ここにこの法案の意義があるのではないのか、そういうことを私は痛感する次第でございますが、こうした法案の意義について、まず外務大臣の見解を承りたい。
#277
○国務大臣(河野洋平君) 板垣議員が御指摘のとおり、国際社会で邦人の活動は極めて活発でございます。我々が旅行いたしましても日本人に会わない場所はないというどころか、本当にびっくりするようなところで大いなる活躍をしておられる日本人の話をよく聞くわけでございます。他方、国際社会は冷戦が終わったとはいえ、現実に民族間の大変厳しい対立があったり、あるいは貧困からの内乱とか、そういったものも国際社会には散見されるわけでございます。どこでどういう状況に出くわすかわからぬという部分もございます。
 そうした中で、私どもは邦人の安全を守るという立場から万難を排してさまざまな努力をしなければなりませんし、また現在もいたしております。しかしながら、できるだけ早く情報を収集し、できるだけ早く危険な地域からは退避をしていただくという指導をする、お願いをするといたしましてもなかなかそれが徹底し切れない場合があるということも考えなければなりません。
 そのためには、今回御審議をいただいておりますこの法律案が成立をいたしました暁には、我々としては少なくともこの法律案の成立によって邦人を安全な場所へ輸送することができる手だてをより多く持つことになるというふうに考えている次第でございます。
#278
○板垣正君 それで、特にこの法案審議の過程でいろんな論議も積み重ねてきたわけでございますけれども、これは自衛隊の海外派兵とかそういうものとは全く関係のない、まさに国家の責任において国家の飛行機で、さしあたりはこれは専用機なり自衛隊の輸送機にということになるわけでございます。民間の場合には今までも前例は幾つかございます。ただどうしても民間機のチャーター、そういう場合には民間機の私的企業としての限界があります。またこれに対して国家が強制するわけにはいかない。
 そうした際に、他国の飛行機に頼らざるを得ない。在留邦人にとっては、騒乱状態、危機の状態の中で頼るすべがない、心細い、どこが運んでくれるか、こういう意味合いにおいて、実際にはなるべくこういう運用は頻繁に起こることはもとより望まれない。ないにこしたことはありませんけれども、海外におられる同胞が、特に不安定なところにおられる人々が万一の際には国が国の責任において政府の飛行機を出して救出を図る。こういうことは海外における活動をされる方々の心情的な面でも、当然のこととして諸外国ではこういう体制はもう既にとられていたわけでありますから、ある意味では遅きに失したとはいいながらそういう意味合いにおいて大変意義のあるものと重ねて申し上げる次第であります。
 そして、事柄はやはり緊急事態、しかもそれについては的確、機敏に対処しなければならない。こういう意味合いで、この法律におきましても安全性ということを非常に強調はされておりまするけれども、この内閣でも確認をされている、前内閣、昨年の十一月五日の閣議決定の運用方針を決めたこの七項目、これは今回この内閣も引き続きこれを確認の上に立ってこの運用が図られるというふうに聞いております。そういう中で派遣の決定について周辺に対する手続を進める、大筋まず第一義的には外務大臣の要請により外務大臣と防衛庁長官が協議をされ、いろいろな面を検討されて派遣を決定する。これがまず的確、機敏に対処する意味合いにおいてこの閣議決定の方針でも確認されているところであり、そしてもろもろの情勢で必要に応じて必要な場合には閣議決定と、こついう手順も経る、私はそういう意味合いに受けとめている次第でございます。
 つまり、原則的には外務大臣、防衛庁長官の責任のもとでこの問題を決定の運び、かつ必要な場合には閣議に諮って、しかしいずれにしましても安全性の確認とともに迅速にこれに対応していくという要素が非常に重大でありますが、そういう理解ということについて誤りはないかどうか。外務大臣。
#279
○国務大臣(河野洋平君) 議員御指摘のとおりでございます。私の気持ちをもう少し申し上げれば、私は緊急の事態が発生したという仮定をするわけでございますが、我々としてはできるだけ早く情報をキャッチして、それはもうできるだけ早く危ない地域から別の地域に移ってもらうという指導をするということが、これは外務省としては一番大事なことだろうと思います。緊急事態に巻き込まれてからどうするかということ以前に、そうしたことに最大の努力を払うということがもとより大事であろうと思いますが、今の板垣議員の御指摘はもちろんそういうことはやった上で緊急の場合はどうするかと、こういう御質問だろうと思います。まさに議員御指摘のとおりでございます。
#280
○板垣正君 さらに、決定の手順でございます。これもきょういろんな論議を尽くされてきたわけでございますけれども、民間の定期航空便がまだ走っておる、それでいろいろな情報でもうこの辺で退避した方がいい、こういう判断は当然あり得るわけですね。
 したがいまして、これはほかの国の例でも同様なようですけれども、民間の定期便によって退避をする処理をするというのがある意味ではまずそれをやる。それがいろいろな事情でできない。これも先ほど来論議のあったとおりでございますが、その際にはこれまた民間機のチャーターということも考えられる。そして、それがさらに難しいという場合には政府専用機ということになってくるわけでございます。かつ、その政府専用機にもいろいろ問題がある、その場合に自衛隊の輸送機と、こうなるわけでございますが、これは原則として民間定期航空便あるいは民間チャーターを抜きにいたしまして、政府専用機あるいは自衛隊機という場合に、ある意味ではケース・バイ・ケースでこれが向く場合これが向かない場合、いろいろあり得ると思いますね。
 そういう意味合いにおいては、必ずしも何でもかんでもまず政府専用機がある意味の優先といいますか、というよりは検討の段階においてはやはりその辺も含めたとの方法が適切か、こういう形で手順が決められるのが適切ではないかという感じを持ちますが、その辺はどういうふうに受けとめておられますか。
#281
○国務大臣(河野洋平君) 御指摘のとおり、民間の定期便で移動していただくことが一番いいわけでございますが、それが例えば緊急な状況になって切符がとれないというようなことが当然考えられるわけでございます。
 ということになりますと、民間の飛行機をチャーターするということもあり得るわけでございます。当然その努力もしなければならないと思いますが、しかしこれもまた状況によっては早くそれぞれの国に押さえられてしまって我々がチャーターできないということがあり得るということも考えなければなりません。
 また、政府専用機がいいか自衛隊機がいいか、こういう判断も今議員がおっしゃったように、その都度例えば空港の施設、滑走路の長さでございますとか、残念ながら現在の政府専用機は相当長い滑走路を必要といたしております。そうした政府専用機が離発着するのに十分な滑走路を初めとする空港の施設があるかどうか、こういったことも判断しなければならないわけで、その具体的な状況、そういったものをよく考えて政府専用機の使用が困難であるという場合には自衛隊機を使用するということを考えなければならないのではないかと思っております。
#282
○板垣正君 それで、さっき情報収集等のお話がございましたけれども、これはこの政府専用機の問題に限らず、この問題は特にそうですけれども、やはりこれだけ開かれた世界といいますか、こういう中で国としての情報収集体制、これは非常に重大だと思います。これは防衛庁も新しい防衛計画検討の大きな柱として、総合的な情報収集の能力なり体制、そして外務省も当然でございます。
 それで、この法案の関連で言うならば、やはり各国における邦人の状態を情報等を通じ的確に掌握し、またいろいろな不安定な状況等に、現在既に大変努力をしておられると思いますけれども、そういう意味における外務省として持っておる危機管理対策、その中の特に海外邦人の安全対策、危機管理体制、これは現地大使館、出先における情報収集体制なりあるいは不安定な状態に伴ういろいろな対策というものなりが必要であろうと思う。その辺が果たして十分行われているであろうか。
 在外公館が大きなところはある程度人員もおります。あるいは設備も整えられつつあると思いますけれども、むしろこういう不安定な状況が起こりやすい、紛争が起こりやすい、そういう地域には公館が置かれておるといえども人員は五、六名しかいない、あるいは大使館も置かれておらない、そういうところもあるわけですね。そういうものをいかにして情報収集なり臨機に対応できる、危機に邦人を飛行場にあるいは特定の場所に集まってもらう、またその時期を判断する、その伝達なりこれを組織的に行うということが果たして今の体制で十分できるんであろうかどうか。この問題は外務省あるいはその出先の責任というのは非常に重大だと思いますが、その辺は私ども非常な懸念を持っておりますが、いかがですか。
#283
○国務大臣(河野洋平君) 私どもはこれまでの経験にがんがみまして、もっともっと出先大使館を初めとする出先機関の危機管理体制といいますか、そういうものを充実させなければならないというふうに考えております。
 これは日本の国の外交能力をもう少し高めるという意味でも極めて重要だと我々考えておりますが、それは我々だけではなくて第三次行革審でも御指摘がありましたし、その他幾つかの懇談会から御指摘をいただいて、例えば外務省の定員をもっとふやして出先機関を充実させるべきだというような御指摘もいただいているところでございます。私どもはそうした御指摘に沿いまして鋭意努力はいたしておりますが、ただ単に人間の頭数だけではなくて心構えもございましょう、それからそうした施設、機材の充実ということも重要だと思っております。
 考えてみますれば、今世界にたくさんの国がある。日本が外交関係を持っている国が百九十に近い数だと記憶しておりますが、そうした国全体を通してすべて十分充実しておるかと言われると、必ずしもそれは十分充実しておりますと言い切れない部分が正直あると思います。それらについては各国との横の協力関係、あるいはむしろその地に滞在しておられる方からの情報の提供、そういったようなものまで集めて、先ほどから申し上げておりますように情報の収集というものをまず徹底してやる、そしてそれに対応する適切な措置をとるということを心がけるということでございます。
 まだまだ充実のための努力はしていかなければならぬというふうに考えている部分がございます。
#284
○板垣正君 ぜひ積極的にそうした問題に対処していただきたい。
 せっかくの機会でありますから、この法案を離れまして、若干外務大臣に外交姿勢等について承りたい。
 これはサー・ヒュー・コータッチという元駐日イギリス大使、御存じだと思うんですが、この方がある新聞に日本の外交姿勢に触れた常任理事国に臨む日本の姿勢、こういうふうなことについて、世界平和への多くの脅威に対して常任理事国に必要な勇敢で迅速な決断を行う意思と覚悟を備えているかどうか、これが一番大事じゃないか。毅然とした態度、そして従来の日本の外交姿勢、あるいはいろいろぶつかった湾岸戦争の場合なりイラクの問題にせよ、そのほかの世界的な人権問題に対処した問題、あるいは北鮮のいろいろな経緯、それに対する日本の外交姿勢等々を見ていると、毅然とした態度よりも融和策の方を選ぶ。人権問題等において断固として毅然とした姿勢をとる、勇敢で迅速な決断を行う、これが常任理事国たるものの一番大事なところなんだという、こういうことも書いておられたわけで、私も大変同感するわけですね。
 率直に、河野外務大臣も国連で演説され、常任理事国の必要に応じ参加の意思を表明されるわけでございますが、どうもいささか腰が引けたと言っては失礼ですけれども、今申し上げたような姿勢というものがやはり冷戦後の、これからの我が国の冷戦体制というものは、ある意味で日本は日米安保体制の温室に入っていたと。温室を出て、一国平和主義を抜けて、みずからが責任ある主体性を持ってまさに積極的に平和構成、平和対策に取り組んでいく。そういう意味合いにおいてこうした積極的というか決断をする姿勢、こういう姿勢が大事じゃないか、こうあえて申し上げるわけですが、御見解を。
#285
○国務大臣(河野洋平君) 議員御指摘の後段については私も同意でございます。
 東西の厳しい対立、いわゆる冷戦状況というものが終わりを遂げて今、国際社会が新しい秩序を模索する、そういう状況下では一つ一つの国がみずからの意思というものをしっかりと持って近隣諸国との友好関係というものをしっかりとはぐくんでいく、そういうことが以前に増して求められているというふうに私は思います。
 ただ、議員御指摘の前段でございますが、さまざまな国のさまざまな方々がいろいろ論評はなさいます。その論評について我々は謙虚に聞かなければならないと思います。ただ、戦うことだけが勇敢であるかどうかということについては議員もよく御理解がいただけると思いますが、融和するということにも勇敢さが必要だと私は思います。
 今回のアメリカと北朝鮮のさまざまな話し合い、長期間にわたる話し合いを合意に持ち込んだあの粘り強さというものも私は一つの勇気だろうと思いますしばしばアメリカ国内では議会を中心にむしろ早く制裁に持ち込んで制裁によってけりをつけろという意見があった中で、こういう言い方はどうかと思いますけれども、非常に粘り強く最後まで話し合いによる合意を模索して合意したという、これは担当者あるいはその担当者をして協議させた私は大変な勇気であろうと思います。
 私はあの合意が、これからまだ長い年月がかかってそれが誠実に履行されるかどうかと危ぶむ向きもある中で、信頼をして合意したというこの合意も私は勇気というふうに理解したいと思っております。
#286
○板垣正君 私も対話と協調というものが非常に大事であるということは認識した上で申し上げているつもりでございます。
 次に、端的に対中国関係です。これは日米関係、日中関係、できたら北鮮の問題も触れたいと思いますけれども、この日中関係というものは極めて重大でありまた不安定な面もある。そういう中で特に中国の市場経済体制への発展ということは、いろいろ混乱が言われながらもあの方向というものがなるべく混乱なくいかれるということがアジアの安定につながるであろう。ただ反面、大変この積極的な軍事力の増強といいますか、軍事重視政策がとられていることはこれはもう否定できない。比較的我が国の場合、軍事問題というものの分析が私は非常に限られていると思うんですね。
 その点、さすがにアメリカの場合にはいろんな大学で専門家が政府の委託を受け、いろんな角度からしかも長期展望に立ってアジア情勢の分析、そうしたものを行っていろいろ我々もそういう情報にも接する。そういう立場から見ますと、やはり中国という国は、将来十年後二十年後、アジアの激動で最も大きな要因がこの中国の問題だ。あるいはこれからの行き方も、ポストケ小平はどうなっていくかという問題もありますけれども、いずれにしてもいわゆる軍事重視政策というものには変わりがないだろうと、こういう分析がされておる。
 そういう中で、日本と中国の関係をとらえて、日本はひたすら経済重視といいますか、いろいろ行っておりますけれども、経済、貿易、投資、そういうことだけで相手が親日になるというのはナンセンスだと、それだけでは足りないよという厳しい指摘もその中にはあります。
 こういうことを申し上げるのは、対中借款の問題、そして中国が現在こうした軍備増強の過程にある。あるいは河野外務大臣も九月ですか、中国の外務大臣と会った際に、中国の核実験に対して厳しい申し入れを行われた。しかし申し入れを行われたすぐ後にまた核実験が行われる。そういうことで、この対中借款問題等についてももっと筋を通して、ODAの原則というものもございますね、そういう立場でやはりきちっとした対応をしていく。それがむしろ長期的に見て日中間の本当の意味における安定的な関係といいますか、そういうことにつながるんではないのか。
 近くAPECの会議も開かれ、いろんな接触もございましょうけれども、従来以上にそうした筋を通した、核実験の問題あるいは武器の海外輸出の問題、こういうものについてやはりきっちりした対応を示していただく、その御見解を承ります。
#287
○国務大臣(河野洋平君) 最初に申し上げますが、中国の核実験はまことに遺憾と考え、中国政府に対しましても日本の政府の気持ちを伝えでございます。少し前でございますけれども、中国の外務大臣に対しまして、核実験をやるという情報があるが、こうしたことはぜひやめてもらいたいということを私からも申し上げたことがございます。
 それをまず申し上げた上で少し中国の問題について申し上げたいと思いますが、私はこれから中期長期にかけて日本の国が国際社会の中で国民あるいは国家の平和と繁栄を考えていくとするならば、中国大陸、あの中国をどういうふうに考えていくかということは極めて重要だというふうに考えております。それぞれこれから経済はどこが発展する、どういう状況がある、さまざまな予測がございますけれども、何と申しましても我が国の本当に近いところにあれだけ大きな面積を持ち、十億を超える人口を擁する中国という国があるというこの事実を我々はやっぱりしかと見定めて、この国と日本との関係をしっかり考えていかなければならないというふうに思っているわけです。
 そのために大事なことは、私は中国が国際社会の中に出てきて、国際社会の中で相互依存関係といいますか、国際社会の中でお互いに生きるという仕組みの中に入っていく、入ってきてもらう、あるいはお互いにそういう仕組みの中で生活をする、そういうことが大事なのではないか。あの国を孤立化させるというようなことは考えるべきではない。
 むしろ中国をしてAPECの会議に出てくることも大変結構なことではないかというふうに思いますし、その他の国際社会の中に中国が出席をして、そして経済の面でも文化の面でも外交の面でも、それぞれお互いに意見を交換し合って少しでも透明度を保ちながら依存関係を持ち続ける、その依存関係を発展させていくということを我々はむしろ考えていくことが重要ではないかというふうに私は思っているわけでございます。
 確かに、我々が国民の皆様の税金をお預かりし、政府開発援助、膨大な資金をアジアの国々、中国を初めインドネシアその他世界の国々に援助をするわけでございます。その援助に当たっては、我々としてもいやしくもその資金が軍事力を増強する方向に行くというようなことがないようにできる限りの細心の注意を払って行っているわけでございまして、したがいまして中国に対しても私どもとしては言うべきことはきちっと言うという態度をとっているところでございます。
 一方、中国の改革・開放路線と申しますか、中国の経済発展というものも目覚ましいものがございます。やがて世界経済の中で無視し得ないといいますか、かなり重要な位置に当然なるであろうというふうに考えておりますが、それもまた我々にとっては決して悪いことではないというふうに思っているわけでございます。日中関係、これは日米関係とともに我々が大事にしていかなければならない重要な二国間関係だという認識を持っております。
#288
○板垣正君 どうもありがとうございました。
#289
○久保田真苗君 初めに本法改正についてお伺いしたいと思います。
 私は、きょうはずっと朝からの議論を拝聴していまして大変いい討議があったと思っております。それで昨年の十一月五日、閣議決定に至るまでのことにつきまして、私は社会党は大変苦しんだと思うんです。そして、時間もエネルギーもそこに投入してこのような結論に至っているということでございますけれども、先ほど来からの議論を拝聴しておりますと、与党からも野党からも特に非常に重要なことが閣議決定にとどまってしまったということについて大変大きい懸念が示されていると思うんです。それは閣議決定の中にございます例えば戦闘機は使わないとか、あるいは武器の携行使用はしないとかいったいわば憲法問題にもかかわるようなセンシティブな問題を閣議決定でやっている。
 もちろんこれにつきましては、先ほど猪熊議員の御質問に対しまして法制局からは、それは閣議決定だけれども後の内閣にも及ぶものなのだとか、あるいはこうした一連のものは国会の審議を経るという重みを持っているのだからそれはそういう位置を持っているのだとかという御答弁がございましたけれども、それでも議員の方は、閣議決定というのは内閣の自己規制にすぎないんだ、こんな重要な問題を法案に盛り込まなければ違憲の事態に立ち入る危険があるじゃないかということを言われたわけでございます。私も全くその懸念はないとは言えないと思うんです。そして、私どもが閣議で決定したということについて、やはり不十分だったということをつくづく思うわけでございます。
 私としましては、このことについて外務大臣はどうお考えになるかを伺いたいわけでございます。私はやはりこの国会において、最後の段階であっても重要な点を法案に盛り込むというその姿勢はあってよろしいのではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。
#290
○国務大臣(河野洋平君) どういうふうに御説明を申し上げればいいのか少し言い方を迷っておりますが、基本的に私が御答弁申し上げようと思いますことは、議員が御心配になっておられるように、例えば戦闘機の護衛をつけないということを法律に書けと、こういうお気持ちがおありなんだろうと思いますが、基本的にこの法律案が法律になって運用されるときには、戦闘機の護衛がなければならないようなところに行くという想定がそもそもこの法律をつくるときにないということをぜひ御理解いただきたいと思います。
 政府専用機を使う、あるいは先ほどから御説明申し上げておりますように、空港の施設その他の状況で例えば仮に政府専用機が使えなくて自衛隊の輸送機を使うということを考えたといたしましても、戦闘機の護衛をつけなければならないような状況下で飛ぶということはそもそもこの法律は最初から想定をしていないというふうに申し上げたらいいのかと思います。
#291
○久保田真苗君 想定していないけれどもどういう事態が起こるかということはだれにも予測ができないわけでございますから、その点をあくまで担保するという意味では私は閣議決定よりも法律は数等まさっていると思うわけでございます。しかし、閣議決定でも大臣はそういう心配はないかという点についていかがなんでしょうか。
#292
○国務大臣(河野洋平君) 邦人を安全な場所に輸送するというんですからそこはきっと安全でない場所なんだろう、もともと行く場所は。安全な場所なら何も輸送する必要はないのだから、輸送するために飛行機をやろうというくらいだからそこは余り安全でない、したがって護衛も要るんじゃないか、武器も要るんじゃないか、こういうお尋ねなんだろうと思います。
 どうもこの法律案の議論が、不幸なことにどの時点からかサイゴン陥落のあの場面がしばしば話題に上りまして、サイゴンのあの最後の場面が大変厳しい状況で、最後のヘリコプターなんというものはみんながぶら下がって飛んでいったじゃないか、ああいう状況になるのではないかというそういう想定があって、もちろんそれは最悪の事態を考えていろいろ考えなければならないことはよくわかっております。
 しかし、私どもが考えておりますことは、先ほど来から申し上げておりますように、何か危険な状況があればできるだけ早く普通の定期便の切符を買って定期便で別の場所に動いてくださいということをまずお願いして、しかしなかなか定期便がもう満杯になって動けないというようなことになると、それではこちらからチャーター便を飛ばしましょうというようなことになるということをその次の想定として考えるという状況を申し上げているので、そこで鉄砲の弾が飛び交う中をかいくぐってどうこうするという場面を実は想定しているわけではないのでございます。
 これは、防衛庁長官おられますけれども、外務大臣が安全というものまで確認をして飛行機を飛ばす、お願いをするということを外務大臣がまず判断するわけでございまして、私はこうした事態が起こって飛行機を飛ばすというときに、戦闘機の護衛をつけなければ行かれないような場所に飛行機に行ってもらうとかいうようなことを想定して到底この法律をつくっていないということをぜひ御理解いただきたいと思います。
#293
○久保田真苗君 それで、閣議で決めたこと、これは当然守られると思いますけれども、その個別の状態において閣議にかけるということについても午前中に質問があったわけです。閣議にかけるということ、これは閣議決定の中では、例えば緊急事態の対応だとか機種だとか機数だとか人員等そういうことを個別にメンションしておりますから、それについては少なくとも閣議にかかるという、そういうことは当然期待していいと思うんですが、民間機の場合に一々閣議にかけることをしていないのに何で軍用機についてかけなければいけないのかという御議論もあるようなんです。
 ですけれども、私は軍用機と民間機ははっきりと峻別されるものだと思うんです。なぜならば、軍用機についてあるいは民間機についての国際法の扱いは全然違います。例えば午前中にも中尾議員が申しましたように、民間機については攻撃から保護されるという条約がございます。また、文民が危険な場所から退去するときに、その退去する権利は守られるという文民特有の保護がございます。そしてしかもパイロットは海外の空港に経験があるという人を使うわけでございます。それから、その他いろいろございますけれども、そうした民間機と軍用機の場合の政府の扱いにおける慎重さというものは当然あってしかるべきだと思うんです。ですから、中尾議員が言われましたように原則として閣議にかける、これは国民の生命にかかわることなんだから原則として閣議にかけるという、そのことを私は尊重していただきたい。
 これは、特に副総理であられる河野外務大臣にお願いしたいことでございます。いかがでしょうか。
#294
○国務大臣(河野洋平君) 久保田議員はこの閣議決定のときには閣僚でいらっしゃったわけで、そのときの状況をつぶさに御存じでございますから、そのとき閣僚でもなかった私が説明をするのはまことに妙なことでございます。
 ただ、ぜひ御理解をいただきたいと思いますことは、私どもが提案をいたしております法律案には「必要に応じ」ということにしているわけでございます。まさにこの法律を法律どおり運用しようとすれば、この法律は「必要に応じ」でございます。しかし、けさほど、午前中ですか、官房長官が御答弁を申し上げたそうでございますが、内閣の統一した意思を確認する必要があるときは、これは閣議にかけるということ、たしかそういう御答弁だったと思いますが、それは私はそれでよろしいのだろうと思います。
 問題は、私がこんな回りくどいことを申し上げなくても、まさに「必要に応じ」というこの文言は、考えてみればそういう必要は恐らくだれしもがこれは必要だなと思う場面というのはあるわけでございまして、御心配のお気持ちはよくわかりますが、この法律は「必要に応じ」と書いてあるということはぜひ御理解をいただいて、午前中の官房長官の御答弁、閣僚の意思の統一が必要な場合は閣議にかけるという御答弁をぜひ御理解いただきたいと思います。
#295
○久保田真苗君 官房長官は、私としては基本的にその方向で臨みたいということを言われましたので、はかない望みにならないということを特にイニシアチブをおとりになる外務大臣にお願いしたいと思います。
 せっかくの機会でございますので、国連改革のことについて伺いたいと思います。
 外務大臣は、国連演説の中で国連改革についても言及されたわけでございます。今、来年は国連創設五十年という時期を迎え非常に国連改革の議論が華やかでございます。しかし、私は最近の動きを見ておりますと、この五十年にふさわしい国連改革というよりは、むしろ安保理にだれが入るか、幾つ入るかというようなところへ議論が矮小化されているのではないかという、そういう落胆を感じるときがないでもないのでございます。
 河野外務大臣が国連で言われました改革についての御抱負をひとつ具体的におっしゃっていただければと思います。
#296
○国務大臣(河野洋平君) 今御指摘のとおり、国連は来年創設五十年を迎えます。
 繰り返しになって恐縮でございますけれども、創設時五十一カ国でスタートをした国連が今百八十カ国を超える大変多数の加盟国を擁するようになりました。そしてまた、こういう表現は若干問題があるかもわかりませんが、国連がスタートをいたしましたときは第二次世界大戦の最後という、終わるというそういう時期でございますから、何といっても戦勝国といいますか、戦いをリードした国々がまた国連をリードするというような、いわばそういう形でスタートをしたと考えてもいいのかもしれません。そうして、国連の大きな役割は国際の平和と安全が最も大きな役割でございました。
 しかし、それからおよそ半世紀、国際社会が持つ危険というものは、人口問題があり難民問題があり、そして開発の問題があり環境の問題がありエイズの問題があり麻薬の問題がありと、さまざまな人類にとっての危険、危機あるいは地球上で生きとし生けるものにとってそうなってはほしくない危険な状況が我々の周りに出てきている。そういうものを、じゃどこで解決するのかといえば、国連こそこの国際社会の中で唯一普遍性のあるものだということから、国際社会は今そうした新しい危機に対する対応も国連に期待をしていると私は思っております。
 残念ながら、安保理はある意味で極めて活発に動くわけですが、その一方で経済社会理事会、経社理の動きというものは勧告権を持つという、つまり権限が勧告権だということもございましょう、またその他にもいろいろな理由があって、経済社会理事会の活躍というものはややもするとどうもこうした大きな危機、危険というものを排除する、あるいは解決する、克服するのに十分なんだろうかという若干の心細さを私は実は感じておりまして、国連はもっと経社理を充実をさせ経社理に活力を持たせるということが必要ではないかということを提案したかったわけでございます。そして、その経社理の果たす役割こそ我が国が大きな役割を担うことができる分野ではないかというふうに私は考えております。
 しかし一方、安保理もまた軽視できるものでないことは当然だと思います。現に、国際社会の中で起こっておりますさまざまな問題について、安保理が大きな役割を果たしていることも事実でございます。しかし、この安保理の果たす役割の中で我が国が果たす役割というものは、当然我が国憲法の定めるところ限定をされている。しかし、我が国憲法の定める範囲の中で我々は国際社会に対する貢献はいたしますという気持ちは述べました。
 したがって、安保理の改組、同時に経社理のいわば改組と申しますか強化と申しますか、さらには百八十を超えた加盟国が国連の中でみずからの意思を表明し、全体の議論の中でその考えをさらに述べるという機会が数が多くなっただけになかなかできにくい。つまり総会の活性化と申しますか、本来はもっと総会というものは権威を持つべきではないのかというような点についても先般の国連では申し述べたところでございます。
#297
○久保田真苗君 大臣のおっしゃったことは、私は皆同感でございます。
 ただ私の見方を申し上げますと、今まで国連の中で一番実績が上がったのは大臣が廃止をおっしゃった信託統治理事会だと思います。それは、その使命を今やっと終えるということだと思います。次に実績があったのは経社理の分野で、しかもそれは人権、人道、その中では女性の問題も含む、それがかなりの成果を上げたと思います。それは、結局草の根で国連の提唱をバトンタッチで受けて立つ人がたくさんあったということだと思うんです。国連はそういうことをすればかなりうまくいくところではないかと思います。それに反しまして、もちろんさっきおっしゃいました経済あるいは社会開発でお金の動きというものは国連は全くだめだったと思いますね。それから、残念ですけれども安保理の方は合格点はとても差し上げられないという状態だと思うんです。
 そこで私は、きょうは安保理の関係で非常に手近なことだけ四つに絞って時間のある限り伺いたいと思うんです。
 その一つは、初心に返れということなんです。しかも時代の流れをキャッチしろということなんですけれども、初心に返れの方は、国連憲章はもともと平和的手段で紛争を解決するということを一義的に要求しているわけでございまして、その安保理の任務といたしましては軍備規制をやるということがございます。それは社会のリソースを軍備の方へ向けないでできるだけ開発とかそういうところに向けるために軍備規制をやろうじゃないかと、その計画は安保理の責任になっているんですね。
 ところが、この面でほとんど成果がなかったということなんですね。それどころか非常に武器の輸出というものが盛んになって、そのために紛争を一層惨めなものにしているという事実がございます。私は、この面ではやはり武器貿易を禁止するという、これほど端的で明快でそして役立つものはないと思っているものでございます。
 そこでお願いしたいのは、せっかく政府が出されました通常兵器の移転登録制度、これができたことは世間で評価されております。しかし、これはまだ緩いものにとどまっている。これを緩いものにとどめておくことは実に惜しいと思うんです。それで私は、これを次に第二弾を発揮するために安保理の中で活躍してほしいということなんですが、いかがでしょうか。
#298
○国務大臣(河野洋平君) 議員の御指摘のとおり、国連は役割を十分果たしたものとなかなか役割が果たせなかった分野とあるという御指摘はそのとおりだと思います。
 中でも安保理は、東西の厳しい対決という状況下ではP5がそれぞれ拒否権を使うということもあって、東西対立状況では安保理はほとんどその役割が果たせないという時代があったというふうに思います。しかし、今議員がお尋ねのような軍縮に向かって安保理が役割を果たせないかという点では、大いに我々はそこに関心を払わなければならないと思います。もちろん、軍縮についてはジュネーブにおきまして種々の議論が行われているわけでございます。その中には随分と意味のある合意もあったことは事実でございますが、まだまだ十分ではございません。
 先般、UNHCRの緒方貞子さんのお話を伺いましても、アフリカであれだけの人が死ぬのはやっぱり安易な武器の移転があるからだ、武器の移転をとめない限り人の命は救えないということを言われました。私も全く同感でございます。どうやって武器の移転をとめるかということについてはそれはさまざまな議論がございます。武器の移転をどこかの時点ではしゃっととめれば、武器を持っている者が持っていない者を抑圧してしまうということもまた起こってくるわけでございます。昨今のボスニア・ヘルツェゴビナの問題に関して武器の禁輸を解くか解かないかなんという議論はまさにその一つの例だろうと思います。
 しかし、いずれにしても究極的に、核兵器のみならず通常兵器もできるだけ廃絶の方向に向かうということが我々この地球上で生きる人間の目標であると言っても私は決して間違いではないと思うんです。どうやってそのルールをつくり、どうやってその方向に少しずつ近づいていくかということを考えなければなりません。
 今御指摘をいただきましたように、軍備の登録制度、これはまさに日本がイニシアチブをとってスタートしたわけでございます。大変なまぬるいという御指摘ですが、これはなまぬるいとたくさんの国が参加をするが厳しいと参加国が減ってしまうということもございましょう。しかし、いずれにしてももっと多くの国に参加をまず呼びかけるということを進めていく必要があるのではないか。さらにお知恵があればぜひお知恵をお聞かせいただいて、我々も軍縮の方向に向かって努力をいたしたいと思っております。
#299
○久保田真苗君 やはりこれは議論を起こしていただくということがひとつ大事だと思いますので、いろいろ紛争の都度そういうことは日本の提案としてやっていって数を重ねていただきたいと思うんです。
 それから、時間がないので私は二つ一遍にお願いしてしまいますけれども、国際司法を使うということが非常に怠られていると思うんです、特に安保理につきましては。六章の平和的解決の項で国際司法を使うということが勧められているわけですけれども、戦後百数十もある地域紛争のすべてを安保理がPKOなどを出すことによって裁くということはとても不可能でございまして、できるだけの数をそちらに移していくという努力が必要だと思うんです。
 それから、常設仲裁裁判所というのがあるんですが、これが戦前は使われたけれども戦後は使われてないという実に奇妙な現象でございまして、これの活性化、これを私は日本の役割としてもう一度掘り起こしていただきたいなと思うんです。それが一つです。
 もう一つは経済制裁なんですが、経済制裁はいろいろあります。個別的に問題があると思いますけれども、私はいろいろな経済制裁の実効があったか、それとも逆だったかということが今問われていいと思うんです。一般的に申しますと、経済制裁は指導者に響かない割に一般国民の中のある階層をヒットすると、そういう結果があらわれていると思います。私は、日本はこれを十分に吟味して、そしてこの吟味の結果をもっと目的に沿って為政者なり指導者なり責任者に響いていくような方法、例としては悪いかもしれませんけれども、司法裁判でやったところの罪状を公表するとか、それから武器禁輸はもちろんです。それから、例えば国連の議席を停止するとか、そういう指導者に響く方向を考えていくということも一つではないか、こういうことを思うわけです。そのために私は少し御研究をお願いしたいなと、こう思っているところです。
 あともう一つありますけれども、時間がありませんのでお答えをお願いいたします。
#300
○国務大臣(河野洋平君) 非常に貴重な御意見だと思います。御指示のとおり十分研究をさせていただきます。
#301
○中村鋭一君 先般、予算委員会で河野外務大臣にお尋ねをして時間切れになって私はお尋ねしたいことが中途半端に終わりましたので、自衛隊法関連以外でちょっとお尋ねをさせていただきたいと思います。
 国連で外相がなさった演説は、我が国は「安保理常任理事国として責任を果たす用意があることを表明いたします。」と、こうおっしゃいました。こうおっしゃったことを今撤回するとか、そういう意思は全くございませんね。
#302
○国務大臣(河野洋平君) 国連における演説はそのとおりでございます。
#303
○中村鋭一君 とすれば、後に五十嵐官房長官が、いや国連には立候補して投票で決着する、そういうシステムがないんだからこれは立候補には当たらないというようなことをたしか記者会見でおっしゃったと思いますが、私は言葉の正確な意味において、一国を代表して国連総会で外務大臣が「責任を果たす用意があることを表明いたします。」と言ったのは、これは実にどこからもけちのつけようのない立候補の意思表示である、こう理解をいたしますが、それでよろしゅうございますか。
#304
○国務大臣(河野洋平君) 官房長官は恐らく、あれは立候補表明かと質問をされて、立候補をして選挙を行うという仕組みではないからそうではないというふうにお答えになったんだと思います。
 私は、今の中村議員からの御指摘について申し上げれば、我々は安保理常任理事国として責任を果たす用意がございますと申し上げたというふうにお答えをいたします。
#305
○中村鋭一君 非常に心強い明快な御答弁をいただいてありがとうございました。
 私は、国連の安保理常任理事国に入る用意がある、そういう意思表示をする、立候補をするというようなことはファジーであってはいけないと思いますよ。ファジーなのは洗濯機ぐらいにして、やっぱり一億二千万人の国民のいる、世界の中でも有数の先進国である日本が、その日本国民と国益を代表してこれから国連の表舞台に登場して世界に貢献していこう、そのために河野さんは国連においでになってこういう立派な演説をされたのでございますから、一たんそのように言ったのであれば、国会内のタクナィックスとして、手を挙げたとか挙げないとか、あれは選挙によって決めるものだとか決めないものだとか、そういうこそくなことは言わない方がいい、私はこう思うんです。
 ですから、さらに正確に言えば、確かに外相は「多くの国々の賛同を得てこと、こう言っておられるわけですね。そこがまたはっきり一言えば多少ファジーなわけです。多くの国々の賛同といったって、国連に加盟している国の何%が賛成すればそれが多くの国々になるのか。過半数ならば多くの国々になるのか。それとも、まあ入ってもらってもいいという表現を賛成ととるのか。ぜひどうしても日本に入ってもらって責任を果たしてくれという明確な意思表示をした国が過半数を超えればそれが多数になるのか。だから、そういうようなことはむしろ言わない方がいい。
 これは日本だけじゃなくて、たしかインドでございましたか、ああいった国の方は非常に明白に国の明確な意志に基づいて国連安保理常任理事国に入りたいことを言っておられる。そのときには、ほかの国々の賛成があろうがなかろうが我が国はそう思うんだという明確な意思表示をしていらっしゃるわけでございますから、機はまさに熟した。これは外務大臣が国連で機会があれば何度でも明白な意思表示をしていただいて、日本は一刻も早く国連安保理常任理事国入りを果たしまして、むしろ安保理常任理事国の一員となることによって世界の平和に貢献をしていく。久保田先生も今おっしゃいましたように、その中にあって外務大臣が堂々と軍縮を主張なさる、それがいいんじゃないですかと私は思いますので、もう一度だけ確認をさせていただきます。
 我が日本国は、一刻も早く国連安保理常任理事国の一員となることについて、河野国務大臣は積極的にそのことを推進する用意がございますか。
#306
○国務大臣(河野洋平君) 私は、この問題を少し冷静に考える必要があると思っております。先ほど来から御議論がありますように、国連の今の姿とあるべき姿、そして国連が何を目指していくかというようなことについてもこの機会に十分議論をする必要があるんだろうと思います。
 先ほども申し上げたことでございますが、ちょうど国連も五十年を迎えるに当たってでしょうか、多くの加盟国から国連の改革とか安保理の改組とかをやるべきだという議論がほうはいと盛り上がってきて、国連の改革、安保理の改組はこれはもう国連の大多数の意思である、これはほぼはっきりしたわけです。
 そこで国連は、今ワーキンググループをつくって安保理の改組についての議論がもう始まっているわけです。ことしは結論が出ないが来年も引き続きこのワーキンググループで議論を続けよう、こう言っているわけで、その安保理の改組については一体何を視点にして議論をするかというようなところもお互いそれぞれ議論をし合う状況にあるというふうに思っております。
 これは少し中村議員から言われるとしゃくし定規というか少し細か過ぎるじゃないか、長い間のおつき合いでございますから、おまえも随分細かくなったなとあるいはおっしゃるかもわかりませんが、それは多数の国々の賛同を得てという場合には、これはもう国連憲章の改革が必要でございますから、国連憲章を改正しない限り安保理には入れないわけです。国連憲章を改正するためには三分の二の賛成がなければ改正できない、もっと言えば三分の二とP5の全員が賛成をしなければ国連憲章は改正されないわけでございますから、それはもう過半数程度じゃそういうことにはならないわけで、多くの国々がというのは、つまり国連憲章が改正されるという状況まで当然想定をしなければならぬということを考えて申し上げているわけでございます。
#307
○中村鋭一君 今、河野さんが私と長い間のおつき合いと言ってくださいました。ありがとうございます。
 ずっと以前のことを思い出すと、例えば選挙のときに河野さんはよくこういう言葉をおっしゃったと思うんです。小さな相違点を突きつけ合うのではなくて、大きな合意を求めて政治家がまっしぐらに進むことが大切であります、こうおっしゃっていると思うんですね。今ここに外務省の高官の方もいらっしゃいますけれども、はっきり言って外務省の皆さんだって日本が本当に国際社会で貢献するためには困難を排除しつつ国連の安保理常任理事国に入るということにコミットをしておられる、そのように私は理解をしておりますので、大臣、私は大前提としてやはり国際社会に貢献して、ただ金だけ出して、そして湾岸戦争のときみたいにクウエートの皆さんから余り感謝もされないで新聞広告に日本という字が出ないようなそういうことじゃなくて、本当に日本という国は世界の平和のためにこれだけやってくれるんだな、安保理に入ってよかったなと世界じゅうの皆さんから喜んでいただけるような大前提でひとつぜひ邁進をしていただきたいということを心からお願いしておきたいと思います。
 さて、今回のこの法案でございますが、百二十八国会で旧連立政権が提出をしたものでございまして、当時自民党は百二十三国会に提出された法案と同趣旨の法案を議員提案の形で出しておられました。だから、当然自民党は自民党の案が一番いいと考えておいでになったんだろうと思いますが、今回その自民党の案を取り下げて、いわば旧連立政権案に賛意を表されたわけでございます。河野外務大臣は自民党の総裁でもございますから、その辺はどのようにお考えか、ちょっとお聞かせを願います。
#308
○国務大臣(河野洋平君) 外務大臣として御答弁を申し上げるつもりでここに来ておりますが、私はこういうふうに思っております。
 自由民主党としては自由民主党としていろいろ研究、検討を加えた結果、前回提案をした案を最善のものとして国会に提出させていただきました。最善のものと考えて提案をしたわけでございますが、その最善のものが国会で成立をしなかったわけでございます。しかし邦人輸送の問題は、やはり可及的速やかにこの法律というものができて、何か必要なときにはこの法律に基づいて邦人を安全な場所に輸送するということのための準備は早くしておかなければならない。自分の考えていることがベストだと思っていても、それは思っていたって現実にそれができないのならば、できる方法を考える必要が当然出てくるわけでございますから、次善の策と言ったら少ししかられるかもわかりませんが、少なくとも現在考えられるベストの案というものに我々は合意をしたということでございます。
#309
○中村鋭一君 次善というよりも今考えられるベストということで、私も大変それは喜ばしいことだと、こう考えている次第でございます。
 在外邦人の保護なんですが、これは在外邦人の身体や生命や財産を守るというのは外務省の仕事だと思うんですが、予算面あるいはそういうことをするための外務省の体制というのはどうなっておりますか。
#310
○説明員(畠中篤君) 外務省の体制といたしましては、省内ではもちろん領事移住部が中心になっておりますけれども、在外では在外公館を中心にいたしまして、特に邦人の方々の人数、それからどこにおられるかといったようなことの把握、それからそれの連絡体制、そういうものを各公館すべてネットワークをつくってございます。そして場所によりましては、治安状況にもよりますけれども、そのネットワークを通じて適宜治安情報を流したり、あるいは緊急性が高くなりつつあるところではいわゆる緊急事態についてのマニュアルも作成して随時打ち合わせをしております。
 他方、予算面で申しますと、平成六年度では約三十一億円をいただいておりまして、この予算はソフト面、ハード面、先ほど申し上げました情報提供あるいは広報啓発、シンポジウムといったようなソフト面から、大使館の施設面の整備あるいは通信、無線とか携帯電話とかそういったものの整備、あるいは備蓄といったようなそういうハード面も合わせまして平成六年度は三十一億円いただいております。
 この予算は、この数年外務省といたしましては邦人保護に力を入れるということで大変重視しておりまして、財政当局の理解を得ながら約三〇%ぐらいの伸びを得させていただいております。今後とも努力してまいりたいと思っております。
#311
○中村鋭一君 三〇%伸びだとか外務省も力を入れていると言ったって、トータルが今幾らですか、三十一億円。それは少ないですよ。そうでしょう。だって、朝からの当委員会の質疑でも、今紛争の起きている国というのはもう何十カ所であるわけでしょう。しかし、日本人は今本当に世界じゅうのどんなところにも行っています。そういうときに三十一億の予算で皆さんを、邦人救出するために飛行機が飛びます。それはどこかへ集まってもらわなきゃいけませんね。何月何日何時にどこへ集まれということを連絡徹底するにしても、あるいはそうやってわあっとなっているところなら車の便もない、だから外務省が車を出して引き取りにいくというようなことに幾らでも金が要ると思うんですが、それはいかにも少な過ぎる。
 しかも、これも朝からの質疑の中で、館員七名以下の小規模公館が平成五年度で四十八館もあるということなんです。むしろ、こういう紛争が起こって邦人を保護しなければならぬというような心配が現実のものになるのは、こういった実館のない場所が圧倒的に多いと私は思うんです。そういった緊急事態に外務省が、今聞いたような予算で、実館で七人以下しか館員がいないところで、場合によれば何百人というような人を安全に祖国へ送り返すという作業ができるとは私は思えない。外務大臣、どのようにお考えですか。
#312
○国務大臣(河野洋平君) それはもう我々としても大変心配をしているわけです。
 先ほども申し上げましたが、今世界に百八十幾つですか、百九十カ国にちょっと足らないぐらいの国があって、我が国が大使館を持っている国は百十カ国ですから、あとのおよそ八十カ国近くは大使館がない。これは大使館のあるところが兼務しているという状況でございますから、確かに中村委員おっしゃるように、そういう兼務しているような国に問題が起こった場合には非常に情報を収拾するということは難しいのではないかと言われれば、それはもう全くそのとおりでございます。
 しかし、欲を言えば切りがない、全部に大使館が置ければそれは一番いいわけですけれども、必ずしもそう簡単に全部に置くというほど外務省の定員あるいは外務省の予算というものは十分ないわけでございますから、そこは日ごろから十分に情報を得、連絡をとり、問題がありそうならば急遽そこに飛んでいく。行って、むしろそこにとどまってそうした場合の情報連絡に当たるということにならなければならぬというふうに思っているわけです。
 昨今問題のルワンダであるとかザイールであるとかこういったところは、ルワンダには大使館がないとか、ザイールも大使館がありましたけれどもいろいろ混乱があって一時外に出ていたというような時期もあったりして、やはり我々は一刻も緊張を緩めるわけにいかないという状況もございます。限られた予算限られた定員でございますが、最大の努力をしているところでございます。
#313
○中村鋭一君 先般、私は先生方と一緒にニュージーランドヘ視察に行ったんです。今のニュージーランド大使は湾岸戦争のときのイラク駐割大使であった方です。おっしゃっていましたが、あのときにイラクで、それはもう人は少ない金はない、情報は入らない、これは参ったと言っておられました。今はニュージーランドのような天国みたいなところに来て幸せだと、こうおっしゃっておいででございましたけれども。
 ですから大臣、外務省の中でみんながせっかく努力するというんじゃなくて、例えば次の常会で予算編成しますね、そのときにはひとつ武村大蔵大臣と外務大臣、これはしっかり交渉なさって、こういうことについてやっぱり私はもっともっと予算をしっかりとっていただきたい。それを頑張っていただきますように。そのときに内閣が続いていればでございますが、そのことをお願いしておきたいと思います。
 この法案が成立をいたしますと、民間機のほかに自衛隊機が使える、当然そういうことになると思いますが、どの航空機を使うかは外務大臣がすることになる、こう思うんですが、民間機と自衛隊機を使い分ける基準というのはどの辺にあるんでしょうか。
#314
○国務大臣(河野洋平君) 外国におきまして、災害、騒乱、その他の緊急事態が発生をして在外邦人の退避が必要となった際、どういう基準でどういう飛行機を使うか、こういうお尋ねでございます。
 まず一番最初は、先ほどから申し上げておりますが、定期便の利用が可能な場合にはこの定期便を使って移動していただくということをお勧めすると、これがまず第一でございます。それが定期便などの利用が困難な場合、あるいは不可能になってしまった場合、これは先ほども申し上げましたが、もう切符がとれないというような状況になった場合、次のような要素を総合的に勘案して、民間チャーター機及び政府専用機を含む自衛隊機の中から選んで行くということになるわけでございます。
 民間チャーター機がチャーターできるということであれば民間チャーター機を選ぶということもございましょう。政府専用機が一番迅速に行けるという場合にはこれを使うということもあると思うんです。それは当該緊急事態の態様、つまり派遣先国との距離でございますとか地理的条件でございますとかあるいは現地の飛行場の施設、こういったようなこと、あるいは何人ぐらい輸送しなければならないか輸送対象者の人数、こういったことなどを勘案して判断するということになろうかと思います。
#315
○中村鋭一君 時間がありませんので、まとめて幾つかお伺いいたしますのでまとめて答弁をお願いしたいと思うんです。
 ことしの五月に南北イエメンの武力衝突がございました。このときに百人近くの在留邦人の国外避難があったわけでありますが、このとき外務省はどういう対応をされたか、それが一つ。簡略な答弁で結構でございます。
 それから、このときの新聞記事で、若手外務省幹部の話として、民間機のチャーターは連休の谷間で手配に時間がかかり過ぎると、このように述べておいでなんですが、実際にこのときに航空会社に打診したんですか。そのときの経緯をお聞かせ願いたい。
 それから、この節にフランスは事前に海軍の軍艦を出しまして領海近くに待機させていたと、こういう報道がございます。外務省はこの間どのような対策をとっていたか。フランスの海軍の船で救出された四人を含む旧南イエメン側の八人と一時連絡がとれなくなったと、こう聞いておりますが、この中に大使館員が一人含まれていたと、そのフランスの軍艦に助けてもらった中に大使館員が。危機管理で、さっきから言っているように一生懸命邦人の保護に当たらなきゃいけない大使館員が、気がついてみたらフランスの軍艦に拾い上げられて、あなたはだれですか、私は大使館の人間です、助けていただいてありがとうでは、これはもう一体情報がどうなっているのか、大使館員としての職務はどのように遂行しているのか、心もとない限りと、こういうことでございます。
 したがって、現在外務省は情報収集というものについて、在外公館における危機管理というものについてどのようなネットワークを持っておられるのか、どのような指導をしておられるのか、どのようなマニュアルを持っておられるのか、それをお伺いしたいと思います。まとめて返事をください。私の質問はこれで終わります。
#316
○説明員(畠中篤君) 旧南北イエメンの内戦に際しましての具体的な御質問でございますが、我が国外務省は在イエメン大使館を通じまして種々の情報収集をいたしますとともに、在留邦人に対する情報提供をします。そして緊密な連絡体制をとりまして、それ以外に外務本省とも連絡いたしまして、外務省本省経由でございますけれども、ジョルダンを初めイエメン周辺各国の在外公館に支援体制といいますか、邦人が出てまいりますので準備をするようにと。そういうことをするとともに、関係の西欧各国に救援機を飛ばしたり飛行機を飛ばすときには邦人を乗せてもらいたいという要請をいたしましたし、それから日本の船が近くまで行くのがないか、飛行機が飛ぶのがないかというような調査もいたしました。そういうことでやりましたし、それから公館のないジブチヘ出てまいりますので、そこへはジェッダ総領事館から受け入れのために人を出張させたりして準備いたしました。
 その結果といたしまして、もう御存じでございますけれども、最終的には国連、イタリア、ドイツ、フランス、ジョルダンの特別機、軍用機あるいは今御指摘のフランスの軍用の艦船で皆さん無事に出られました。
 その中に在外公館の者が船に乗って一人出ておりますが、これは先ほどお話がありましたけれども、実は一日半の間、本省とアデンの事務所との連絡が途絶えたことがございます。そしてその間にフランスの船が入ると、そのフランスの船に邦人に乗っていただきたいために、私どもはNHKの国際放送などを使いまして邦人に聞いていてもらえることを期待しながら情報を流しました。しかし、実際にはアデンの方の駐在員の事務所が各国公館と連絡をとりながら、フランスの戦艦が入ってくるということで邦人を連れてその船に乗って出たわけでございます。そして、それは保護のために連れて出たのでありまして、アデンにはまだ在外公館の者も残っておりまして、お世話するためについて出たわけでございます。
#317
○中村鋭一君 それでは、もう結構です。
#318
○猪熊重二君 外務大臣に二、三点お伺いしたいと思います。
 まず最初は、在外邦人の保護と政府の義務についてお伺いします。
 我が国の代表的日刊紙の社説に次のような記述があります。ちょっとお聞きください。「在外邦人が危険にさらされるとき、航空機、艦艇はもとより、その持てるすべての手段を駆使して邦人を救出しようとするのは国家の義務である。」、このような社説が載っております。この記述を見たときに、私も一応はそのとおりだと思うわけです。しかしこの記述は少しよく考えてみなきゃならないと思うんです。
 なぜかと言えば、在外邦人は在留しているその国の主権に服しているはずです。当事者自身がそういう状況にあって、国内における、領域内における日本国民とは違う状況にある、これが一点。第二点目に、我が国の憲法のもとにおいて海外に対する武力行使は禁止されているという点があります。ですから、この社説に書いてあるようにいかなる手段を、その持てるすべての手段を駆使して邦人を救出せよと、これが国家の義務だと、ここまで言われると少し考えなきゃならぬぞと、こう思うんです。
 外務大臣にお伺いしたいのは、今申し上げたように在外邦人の当該国における地位ということ、それから日本国における国際紛争を解決する手段としての武力の行使の禁止という憲法上の制約、この辺を考えたときに、このような意見に対する大臣の所見をお伺いしたいと思います。
#319
○国務大臣(河野洋平君) 私は実はその原稿を読んでおりませんので、多少行き違いの答弁になったらお許しをいただきたいと思いますが、まず海外におられる邦人の保護については外務省としては大きな責任があると思います。これは場合によれば後ほど条約局長からもその法的根拠について御答弁をさせたいと思いますが、外務省は大きな責任を有していると思います。
 他方、御指摘のとおり、それぞれの国におる外国人についてはそれぞれの国が守るという、この責任も有しているということがございます。これはたしか国際法上あると思います。これについても後ほど法的なことは答弁をさせたいと思います。しかし、それにもかかわらずそれぞれの国に保護がし切れないという場合には、やはり邦人の保護のために我々はいろいろな手だてを考えるということは必要であろうと思います。
 ただ、そこで言われるありとあらゆる手段を尽くしてということが何を指しておられるのかわかりませんが、少なくともそれはまず国際法の認める範囲内でなければならないと思いますし、言ってみれば例えば邦人を安全な場所に輸送するにしてもバスで運んだという経験もございます。車で国境線を越えたという経験も我々はございます。飛行機で輸送したという経験ももちろん御承知のとおりございます。今もお話があったように船ということもあり得るかもしれません。
 いずれにしても、そうした安全な場所に移動をするための手段としては考え得るいろいろな手段を使えと、そういう意味で書いておられるのではないかと思います。
 なお、法的根拠がお入り用であれば、条約局長から少し答弁させたいと思います。
#320
○猪熊重二君 私が今この社説を引用したのは、こういうふうな考え方を持っておられる人が国民の中にもある。そうすると、この自衛隊法改正案が通ったからもっとどんどん自衛隊が外へ出ていって、場合によっては武力行使してでも連れ戻してこいというふうな発想を持つ人がいることの危険性を私は言っているんです。
 同じ社説でこういうことを言っています。「輸送の安全が確保されているなら、何も自衛隊機が出動する場面ではない。民間航空に依頼すれば事足りる。」「危険だからこそ自衛隊なのである。自衛隊というのは、民間にはできないリスクの高い仕事でもできる集団なのだ。」という記述なんです。
 これも自衛隊の場合は民間機が行けない危ないところでも出ていけと、こういう発想なんですが、先ほど申し上げた考え方というのと同じようにこの考え方もある意味においては国民の中にある。しかし、このような考え方をもし外務省なり外務大臣がおとりになってやるということになったらとんでもないことになる。
 ですから、今回の改正案はこのような考え方とは異質なんだということについて、大臣の所見を伺いたい。
#321
○国務大臣(河野洋平君) 飛行機の特殊性は、極めて限られた場所にしか行けないということだと思います。飛行場がなければおりられない、いや道路でもハイウエーにでもおりることができるじゃないかとあるいはおっしゃる方があるかもしれませんが、そうしたことは我々は全く想定していないわけで、当該国の了承を得てその飛行場の施設を使うに十分な支持を得てその飛行場におりるということでございますから、そうした危険な状況の中で飛行機が飛んでいっておりるということを想定いたしておりません。
 また、外務省あるいは外務大臣がそうしたことを考えてこの法律を使うというようなことはないというふうに御理解をいただきたいと思います。
#322
○猪熊重二君 それから、外国人の同乗の問題について一言だけお伺いしておきます。
 在外邦人の輸送というこの法制定の目的から見ると外国人の同乗という問題はやや外れた問題になる。しかも、外国人を同乗させることによって運航の危険が発生するとか、あるいは乗せた人と乗せない人で外国人の間の差別的な取り扱いによる紛争とかいろんな問題も考えられないじゃないですが、外国人の同乗という問題に関して外務大臣の基本的な考え方をお伺いしておきたいと思います。
#323
○国務大臣(河野洋平君) この飛行機は邦人を輸送するということを目的に飛ぶわけでございます。したがいまして、少なくとも邦人が乗れないのに外国人を乗せるということは想定をしていないと思います。
 しかし、一方、人道的見地というものもまた重要であろうと思います。先ほども中村議員の御質問にもございましたように我が邦人が外国の船で安全な方へ輸送してもらう、あるいは我が邦人が外国の飛行機に乗せてもらって移動をしたということはこれまでもございます。そうしたことを考えれば、人道的な見地に立って外国人の輸送に協力をするということは法律の第百条の八に書いてございます。
#324
○猪熊重二君 質問通告はしておいたんですけれども、まあいいでしょう。
 閣議決定についてお伺いします。
 先ほど午前中の質疑で、この派遣実施に関する閣議決定に関して、緊急事態の状況、輸送の態様等を勘案し、必要に応じ、派遣については閣議決定を行う、こういう規定がありまして、先ほど官房長官は必要に応じというのをほとんどすべてにというふうな御答弁がありました。
 外務大臣としては、この必要に応じて派遣に関する閣議決定をするということについてどのようにお考えか。そしてまた、忙しくて事前に閣議決定できない場合に、事後的な閣議に対する報告だとか閣議了解とか、そういうふうなことはお考えか。あるいはこれの国会に対する事前、事後の報告というふうなことについてどのようなことをお考えか、お伺いしたいと思います。
#325
○国務大臣(河野洋平君) これは先ほど御質問がございました。民間機をチャーターしたときには何もそういうことはしないのだから、こちらもそんなことは要らないではないかという議論も一方あると思います。他方、少し性格が違うのだから閣議に諮る方がいいという議論もあろうかと思います。
 この法律には「必要に応じ」と書かせていただいておりますが、閣議で意思の統一が必要だという場合には閣議に語るということになるのだろうと思いますが、私はすべての場合かけるということかどうか、これは先ほど官房長官の御答弁で、原則的にというふうに御答弁があったと、私はちょうどそのときおりませんでしたが伺いましたので、官房長官のお気持ちの中にはまさに必要に応じてということだろうと思います。
#326
○猪熊重二君 最後に外務大臣、ちょっと意見を申し上げておきたいと思うので、聞いておいていただきたいんです。
 それは、この法案についていろいろここで、閣議決定もありましたし、それから大臣、防衛庁長官のいろんな御答弁もありました。しかし、法律というのはつくった後どのように行政府が運用するかということでとんでもないことになる。
 その例が二つありますが、一つはペルシャ湾に対する掃海艇の派遣の問題なんです。ペルシャ湾の機雷を掃海するために自衛隊の艦船を派遣する、これは結構なことだ、自衛隊法九十九条によって行けるんだ、こういうことで湾岸戦争のときにペルシャ湾に行ったわけです。しかし、「海上自衛隊は、長官の命を受け、海上における機雷その他の爆発性の危険物の除去及びこれらの処理を行うものとする。」というこの九十九条は、立法されたときに、第二次世界大戦後の浮遊物が瀬戸内海だとか山陰地方の漁船が仕事しているところへ来るから、だからそういう場合の機雷を除去するんだということは政府の答弁であった。そしてまた、そういうものとしてこの九十九条は制定されたんです。質問じゃないから大臣、聞いていてくださいよ、答弁は要らぬからね。
 ところが、必要があればその立法の趣旨、立法のときの政府の答弁なんというものは全く踏みにじられてペルシャ湾まで行ってしまう。この法律をつくったときの政府答弁は、日本の近海、直接的には瀬戸内海、ここへぷかぷか来たのをやるんです、こう言っていたのに、瀬戸内海がインド洋を越えてペルシャ湾まで行ってしまっている。これを行政府が決定した。これは海部内閣における法治主義の大きな侵害である。
 それからもう一つ、今回の百条の八の前の百条の五の国賓の輸送の問題。これも国賓の輸送の場合に、法律には「国賓、内閣総理大臣その他政令で定める者」と書いてある。そうすると、国賓、内閣総理大臣に例示されるような者を政令で定めるんだと、内閣法制局長官もそう答弁している。その場合の政令は何があるかというと、政令では天皇及び皇族、国賓に準ずる賓客、衆議院議長及び参議院議長、最高裁判所長官、こういう人をこの自衛隊法百条の五で「国賓等の輸送」という規定になっていたんです。法律にはこの例示とそれに準ずる者というものはもう明らかなんです。
 ところが、これも海部さんだけれども、海部内閣のときに、湾岸危機に伴い生じたイラク、クウエート及びこれらの国の周辺の国からの避難民というのをここへ入れて出そうとしたわけですよ。ところが、これは避難民輸送暫定政令は、実際には行かなかったけれども、こういうふうないいかげんなことを行政府がやっちゃだめなんです。だってそうでしょう。内閣総理大臣だ国賓だあるいは衆議院議長だ参議院議長だ最高裁判所長官だとここまで並んできて、これは難民、全然違うじゃないか。こんなものを政令でつくった。だから私はペルシャ湾の掃海艇派遣とこの政令は法治主義を全く否定するものだと今でも怒ってるんです。
 それと同じように、今回の改正案がどれだけ法律として締めがきいているかきいていないかという問題について、午前中に玉沢長官にはいろいろ申し上げましたから、大臣はおられませんでしたけれども、ともかくしっかり頑張ってやってもらってよくしてもらわないとえらい危険な法律だという意見だけ申し上げて終わります。
#327
○聴濤弘君 外務大臣にお尋ねいたします。
 先ほど民間機を使うのか自衛隊機を使うのか、その判断の基準を示してほしいという質問がございました。河野外務大臣は外務省がつくられたペーパーをほぼお読みになるような形でお答えになったんですが、私はそれを聞いておりましてちょっと驚いたんですが、率直な感想を言わせていただきますと旅行代理店みたいな話なんですね。定期便があります、だけどこれは大体満杯になりましたのでその次に不定期便がございますのでその方に乗っていただきたい。そっちの方も大体満杯になりましたので今度は政府専用機がございますのでと。外務大臣御自身も切符が買えなかったのでとうとう政府専用機と。大体旅行業者がずっとこういうふうに割り振っていくような話、率直にそういうふうに受けとめました。私はそういうぺーパーではなくて外務大臣の肉声で、ひとつどこに基準があるのかということをお答え願いたいというふうに思うんです。
 といいますのは、邦人の救出あるいは邦人の保護というのは何よりも外務省の本来の任務なんですね。国際法上は邦人がいる相手国はその邦人の安全を確保する義務がある。ですから、そこで問題が起これは外務省、これが中心になって相手国と平和的に交渉し、そしてそれを本国に帰れるようにする、これが邦人救出の本来の本筋なのであって、突然急に軍用機の話が出てくるわけじゃないんで、これが本筋なんです。
 ですから、こちらから非常に危険だというので邦人救出のために何かの措置をこっちがとるという場合には、国際法上で、ある学者なんかは人道的干渉だという説まである。非常にノーマルな形でやられても、それだけのことがきちっと国際法上定められているのにこちら側からだっと出かけていくわけですから、それは人道的干渉というものになるんだという理論があるほどこの問題というのは非常にすっきりした問題なんです。
 そこへ、どうしても外務省としては防衛庁にお願いせざるを得ないという判断をされるということは、よほどのことがない限り判断ができないはずです。繰り返すようになりますが、それを切符がないんでこっちへ行くんでこっちへ行くんでと、こういう便宜的に機種を選んでいるような、旅行業者がやるようなそんなことで説明されたのではこれは違うと私は思います。
 どうか河野外相の肉声でここのところをお聞かせいただきたいと思います。
#328
○国務大臣(河野洋平君) 私の答弁ぶりがお気に召さなかったようですが、私どもはこの法案が極めて重要な法案だと考えてここ数年間国会でずっと御議論が続けられているというふうに思います。これは率直に言って、内閣がかわってもほぼ同じ法案が議論され続けているということを見ると、まあ共産党を除いては、濃淡はいろいろあったとしても邦人の保護といいますか邦人を安全な場所に輸送する手段というものは、やはりいろいろな手段、考えられるさまざまな手段を国が持っているということは重要なのだという点ではおおむね合意ができているのではないかと思います。
 私は、共産党といえども、きっと邦人を安全な場所に輸送することについて異論はないのではないかと思います。ただ、別の意味の疑問を持っていらっしゃるからなのだと思いますが、私は少なくともこの法律がこの法律ののりを越えて他の用途に使われるということは決してないということをこの際改めて申し上げておきたいと思います。
#329
○聴濤弘君 別に、外相が言われた答弁ぶりという、そのぶりというところに何か私が不満を持ったということじゃ決してございませんので、いわばペーパーの中身、これについては私は大変不満を持っているということで、ぶりのことでは決してございませんので誤解のないようにしておきたいと思います。
 先ほど、外相がここへいらっしゃる前に私は質問をして、議論の中で出てきた一つの大きな問題があるんです。それは邦人救出のために自衛隊機が出る、そういう改正だと。ところが自衛隊法というのが一つありまして、全体の体系があってそこへそういう改正がされる。そうすると、大なり小なり安全を確保して行くんだ行くんだといったって、紛争地域に行くんですから、クーデターがあったり内乱があったり国際間で紛争があるところへ行くんですから大なり小なり危険である。そういうところに行くわけですから万が一のことというのがあり得る。
 そうすると、その行った飛行機を防護するということがあり得るはずだと。閣議ではそういうことはない、そういうことはしないと。閣議で決定したってそういうことはあり得る。その場合には自衛隊法九十五条があって、それで自衛官は飛行機なりなんなりを守るために必要な場合には武器の使用をすることができるという九十五条がある。その九十五条というのは法的にはかぶるんでしょう、この改正に当たってもという質問をしました。防衛庁の方から理論的にはかぶる、現実にはないがかぶるという答弁がありました。これが二つ目の疑問。
 三番目には、そのときに海外で九十五条がかぶって、それで事があり、そして武器の使用をするということが起こる。それは憲法違反ではないとかつて畠山防衛局長が答えたことがあるんです、この席で。これは私の質問に対してなんですが。それはそうなんですねということを確認したら、それもそうだと、理論上はそうだという防衛庁の御答弁があった。
 そうしますと、この一点の改正でもって一つの構図ができまして、理論上ですよ、法律上。邦人救出のために出ると、それである飛行機を守るための防護が必要になり、ある場合には武器の使用がある、しかしそれは憲法に違反しない、そういう法体系ができてしまうということになる。そういうことはないんだと、現実にはないんだないんだとおっしゃる、防衛庁の方も。しかし法としてはそういうものができてしまう。
 ここに外務大臣、非常に重大な問題が私はあると思うんですね。これで、閣議ではそういうことはしないと決定をしていたって、そういうことになったときに閣議の決定を変えればその法は生きるということになるわけですから、これは大変な問題が起こる。この点、外務大臣いかがですか。外務大臣がこれはもう防衛庁に任せようという話に、防衛庁の方はそう考えているんですから、理論上は。そうしたらこれは大変なことになるという問題なんですが、いかがですか。
#330
○国務大臣(河野洋平君) 私は、先ほどから申し上げておりますが、この邦人輸送の問題は、今、聴濤議員がおっしゃるような想定で考えていないわけでございます。私どもは、あくまでも戦闘機が護衛につかなければいけないというようなところにこの飛行機を出してほしいというようなことを申し上げることを考えてこの法律をお願いしているわけではございません。
 法律をどういうふうに読むのか、あるいはどう見るのかというのは、これは防衛庁の御判断、防衛庁が御答弁をなさる分野だと思いますけれども、私は少し議員と見解が違いまして、邦人の保護に努めるために外務省が果たす役割というものは、先ほどからいろいろ各議員から御質問がありましたように大使館、在外公館があって、その在外公館が、旅行者もあるでしょう、その国で仕事をしておられる方もあるでしょう、そういった方々に対してできる限りの連絡をとって、問題が起これはできるだけ早く移動してほしいということをお勧めする、そして勧奨をしてできるだけ、それはまた定期便と言うとまたしかられますけれども、できればそれぞれ自力で安全な場所に移動してほしいということをお願いするわけですが、なかなかそういう事態が、もうそういうことができなくなってきた。
 これは何も弾が飛んできてそういうことができないという場合を想定しているのではなくて、それは何も飛行場の周辺でトラブルが起こるという場合ばかりを想定しているわけではございませんから、飛行場周辺は正常な状態であるということだって当然あり得るわけで、そういう状況でなかなか民間機が飛べない、民間機をチャーターすることができないという状況になれば私どもとして防衛庁に飛行機を出していただきたいということをお願いするわけです。これはもう閣議で、久保田議員おられますけれども、閣議で御議論もいただいておるようでございますが、武器の携行もしない、戦闘機の護衛もつけないという閣議の了解のもとにこの法律案というものはつくられているわけですから、議員がおっしゃるような状況というものは全く想定していないというふうに申し上げておきます。
#331
○聴濤弘君 法的にはそういうものができてしまうということはお認めになりますか。
#332
○政府委員(村田直昭君) 再度御答弁させていただきますと、御指摘の防衛局長の答弁は、従来政府はこの答弁書……
#333
○聴濤弘君 短く頼みますよ、もう質問点は明確なんだから。
#334
○政府委員(村田直昭君) これは、四十四年四月八日の松本善明議員の質問主意書に対する政府の答弁書であります。「かりに、海外における武力行動で、自衛権発動の三要件(わが国に対する急迫不正な侵害があること、この場合に他に適当な手段がないこと及び必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと)に該当するものがあるとすれば、憲法上の理論としては、そのような行動をとることが許されないわけではない」という純理論的な話を申し上げたものでございまして、今回提出の法案のように、相手国の同意を得て自衛隊機が海外に派遣されるというような場合には、自衛権の発動といったことはおよそ考えられないということでございます。
 従来の答弁書の答弁をそのまま繰り返したものでございます。
#335
○聴濤弘君 私の質問したことを最後のところではお答えになっていないと思います。
 三つの点を私は述べて、一番最後の点というのは憲法上の問題で、それを畠山氏がどういうことを言ったかということを繰り返されただけであって、それ全体として法的にそういうものができますねという質問には結局お答えになっていないというふうに思います。
 最後に外務大臣にお聞きしたいんですが、これは少し全体的なことなんですけれども、この法案の細かいことは別といたしまして、今日の情勢の中でこの改正が行われるということの意味について、私は外務大臣に基本的な考え方を御質問したいと思うんです。
 今、日本が非常に重大な岐路に立っているということはこれは異論がないと思います、外務大臣と私の間で。ソ連が崩壊したという新しい情勢が、平和の到来ではなくて自衛隊が海外へ出ていくという問題の契機になったということは日本国民が望んでいたことではないだろうと、この点では私はそういうふうに思っております。
 それで、この二、三年の間の動向を見ますと、まず第一にPKOの名前でもって、すなわち国連協力という名前で自衛隊が海外に出ていくことができる仕組みができた。それからまたもう一つ、ルワンダ問題をとってみますと、国際人道的援助、人道的支援という名前で、すなわち国連という名前じゃなくて人道的援助ということで日本の自衛隊が海外に出ていくことができるようになった。現にザイールで行動している自衛隊はUNじゃなくて日の丸で行動をしていると、こういう新しい仕組みができた。
 それから、先ほど問題になっている国連の常任理事国入り問題、これは予算委員会で私は外務大臣と質疑をしましたけれども、きょうここでそれをするつもりはありませんが、国連常任理事国入り、そして軍事参謀委員会入りという、こういう問題がある。そして今この自衛隊法の改正、邦人救出ということで自衛隊が出られるという、こういう仕組みができようとしている。やっぱりここに一つの大きな危険な流れがあると私は思います。
 河野外務大臣自身、昨年の八月、これは野党のときですけれども、こういう質問を細川総理に本会議の席上でやっておられる。こういう趣旨でございます。
 日本にはこれから先進路は二つあると、こうおっしゃっている。一つはこれまで続けてきた軍事面での抑制を継続すること、これが一つの道である。もう一つの道は、これは普通の国になるという言い方もされておられますけれども、これは国家のすべての要素をそろえようとする意味で、いわばミニ超大国路線と言えるものであります。もう一つの路線というのはミニ超大国路線だと。そして河野総裁としては、ミニ超大国路線は覇権主義になりかねず、かえって近隣諸国を初め国際社会に緊張要因を増すことになるであろうと。だから、第一の道を選択すべきだということを河野総裁は質問されている。
 そうしますと、今の流れというのはミニ超大国路線、この方に流れているのではないかと私は思います。したがって、こういう質問をされた見地から見て、外相は今の流れをこの改正を含めてどういうふうに考えておられるのか、このままでいいというのが外相のお考えなのかどうか、ここをお聞きしたいと思います。
#336
○国務大臣(河野洋平君) まず最初に、私は御指摘の質問を行ったときと全く気持ちが変わっておりません。現在でも、外務大臣といたしましても、先般の国連演説におきましては、我が国は平和国家としての行動に徹すべきである、徹しますということを国際社会に申し上げてきたわけでございます。
 平和国家としての行動に徹するとはどういう意味かというと、一つは非核三原則を厳守いたします、さらに武器輸出禁止についてはこの原則も我々は守ってまいります、憲法が禁ずる武力の行使は行いませんということをこれはもう明一言しているわけでございまして、私はまたそれが日本の国の行くべき道だとかたく信じております。
#337
○聴濤弘君 終わります。
#338
○委員長(岡野裕君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後六時三十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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