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1994/10/07 第131回国会 参議院 参議院会議録情報 第131回国会 本会議 第4号
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1994/10/07 第131回国会 参議院

参議院会議録情報 第131回国会 本会議 第4号

#1
第131回国会 本会議 第4号
平成六年十月七日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第四号
  平成六年十月七日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 第二 国務大臣の報告に関する件(外務大臣の
  帰国報告)(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員、同予備員及び裁
  判官訴追委員辞任の件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員等各種委員の選挙
 一、国家公務員等の任命に関する件
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(原文兵衛君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 林田悠紀夫君から裁判官弾劾裁判所裁判員を、千葉景子君から同予備員を、岡野裕君及び井上計君から裁判官訴追委員を、それぞれ辞任いたしたいとの申し出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
 よって、いずれも許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(原文兵衛君) この際、
 裁判官弾劾裁判所裁判員、同予備員各一名、
 裁判官訴追委員二名、
 皇室経済会議予備議員一名、
 検察官適格審査会委員、同予備委員各一名、
 国土審議会委員、国土開発幹線自動車道建設審議会委員各一名の選挙
を行います。
 つきましては、これら各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することとし、また、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員、皇室経済会議予備議員の職務を行う順序は、これを議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、
 裁判官弾劾裁判所裁判員に遠藤要君を、
 同予備員に北澤俊美君を、
 裁判官訴追委員に下稲葉耕吉君及び山田勇君を、
 皇室経済会議予備議員に井上吉夫君を、
 検察官適格審査会委員に鈴木貞敏君及び千葉景子君を、
 同予備委員に鈴木貞敏君の予備委員として井上哲夫君を、千葉景子君の予備委員として聴濤弘君を、
 国土審議会委員に山田勇君を、
 国土開発幹線自動車道建設審議会委員に上杉光弘君を、それぞれ指名いたします。
 なお、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員の職務を行う順序は、第二順位の足立良平君を第一順位に、北澤俊美君を第二順位といたします。
 また、皇室経済会議予備議員の職務を行う順序は、井上吉夫君を第一順位といたします。
     ―――――・―――――
#7
○議長(原文兵衛君) この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。
 内閣から、
 国家公安委員会委員に長岡寛君を、
 電波監理審議会委員に塩野宏君を、
 また、中央労働委員会委員に青木勇之助君、猪瀬慎一郎君、川口貴君、神代和俊君、高梨昌君、萩澤清彦君、花見忠君、福田平君、舟橋尚道君、細野正君、山口浩一郎君、山口俊夫君及び若菜允子君を任命することについて、それぞれ本院の同意を求めてまいりました。
 まず、国家公安委員会委員並びに中央労働委員会委員のうち青木勇之助君、高梨昌君、花見忠君、細野正君及び山口浩一郎君の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれもこれに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#8
○議長(原文兵衛君) 過半数と認めます。
 よって、いずれも同意することに決しました。
 次に、電波監理審議会委員並びに中央労働委員会委員のうち猪瀬慎一郎君、川口貴君、神代和俊君、萩澤清彦君、福田平君、舟橋尚道君、山口俊夫君及び若菜允子君の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#9
○議長(原文兵衛君) 総員起立と認めます。
 よって、全会一致をもっていずれも同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#10
○議長(原文兵衛君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 日程第二 国務大臣の報告に関する件(外務大臣の帰国報告)(第三日)
 以上両件を一括して議題といたします。
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。青木薪次君。
   〔青木薪次君登壇、拍手〕
#11
○青木薪次君 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表して、過般の村山総理の所信表明演説に関連してお伺いいたします。
 私は、質問に先立って、四日深夜、北海道東部を中心に東日本一帯を襲った大規模地震で被災された方々、津波の恐怖にまんじりともできぬ一夜を過ごされた方々に、この場をかりて心からお見舞い申し上げるとともに、政府において寒気の鋭くなる前に復旧の努力をお願いいたしたいと思うのであります。
 さて、本院において初めてアイヌ民族を代表して萱野茂氏が議席を得られましたことを、心からお祝い申し上げたいと存じます。そして、御紹介を申し上げます。(拍手)
 総理、萱野議員は、かねてより、アイヌ民族の権利回復のために差別立法である北海道旧土人保護法を廃止しアイヌ新法を制定すべしとして主張をなされてまいりました。我が党もこれを支持してきましたが、政府はこれにこたえ、まずアイヌ民族問題を担当する正式な部門を設置し新法づくりの環境整備を行うべきだと思いますが、総理の御所見を伺いたいと存じます。
 総理、あなたが社会党・自民党・新党さきがけ三党の推挙を受け、四十七年ぶりの社会党首相として三党連立内閣を率いられて、約百日が経過いたします。この間、率直に申し上げて、国民は不安と戸惑いの色を隠さなかったのでありますけれども、総理の内外における行動が日を追うにつれて、最近の世論調査が物語りますように、支持率の上昇という形になってあらわれ、村山内閣に大いなる期待を寄せ始めております。このことは、総理の清貧そのものの誠実な人柄やその透明な政治手法が国民に評価され始めたものと認識する次第であります。
 そうであるならば、総理が大切にされなげればならないことは、政策形成過程の透明化と社会附公正の貫徹による国民各階層に公平を期すことを大切にしていただきたいと考えます。まず、この点について総理の御決意を伺いたいと存じます。
 まず、日本の国際的役割についてお伺いいたします。
 さきの国連総会において、河野外務大臣は、我が国は憲法が禁ずる武力は行使いたしませんと明言をされた上で、安保常任理事国として責任を果たす用意があるとの立場を表明されました。
 この際、総理及び外務大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
 このような考え方は、国連演説に先立って与党三党がまとめた要望と基本的に合致したものであり、わが党としてもこれを高く評価するものでありますが、この表明は、憲法の精神のもとに武力行使に当たる行動はしないしできないが、社会経済開発や環境保護、人権擁護などの分野においてなし得る限りの貢献をするとの日本の姿勢を国連加盟各国にアピールできてこそ、我が国は胸を張って新しい常任理事国として立候補できると考えておるものであります。
 次に、防衛問題についてお伺いいたします。
 我が党は、さきの臨時党大会において、現在の自衛隊は憲法の範囲内であるとの新しい認識を示し、いわゆる基本政策について政権担当の決意のもとに歴史的な転換をなし遂げたのでありますが、冷戦構造の崩壊という今日の世界情勢は防衛政策の大きな転換を求めているのではないでしょうか。このため、今後の防衛政策の方向は思い切った軍縮を進め非核三原則を遵守するなど、世界平和の潮流に従って対応すべきものだと考えますが、総理の御所見を伺いたいと思います。
 次に、税制改革について御質問いたします。
 ここで私は二つの税制改革を思い起こすのでありますが、八九年の竹下内閣における抜本改革は、消費税導入に当たり国民の十分な理解を得るに至らず、その後の選挙では参議院における与野党逆転の直接要因ともなったのであります。また、ことし春には、当時の細川総理は国民福祉税構想を示しましたが、腰だめで、七%とやゆされて国民の反発を受け、閣内の不統一もさることながら、撤回を余儀なくされたのであります。
 この二つの税制改革は、税制改革の難しさを如実に示すとともに、公正の実現、公平の確保は政治と税制が国民に受け入れられるために不可欠の共通の課題であることを示したのであります。
 そこで、村山総理にお伺いします。
 今回の税制改革は、少子・高齢化に対応する活力ある豊かな福祉社会の創造を目指すものであります。すなわち、働き盛りであるとともに子育てのために家計負担が重くなる世代の所得課税負担を緩和し、これを世代間で分かち合おうとするものであります。また、ここで生じた税収減は、世代間の負担の分かち合いという観点から、資産・消費という課税ベースに移して、より広く薄く負担を求める必要があるのであります。これが今回の税制改革が示した認識であります。
 しかし、特定の所得層においては確かに差し引き増税になるケースがあるわけでありますから、ライフサイクルを通じた負担の軽減という税制改革の考え方が国民によく理解されるよう、政府においても一層の努力を要請いたしたいと思うのであります。
 また、税制改革は国民の信頼なしには成功することはできません。今回の税制改革の前提となる新ゴールドプランやエンゼルプランなどの福祉計画がいまだに国家計画として確定していないことが税制改革に対する国民理解を難しくしております。政府におかれては、早急にこうした将来展望を明らかにしなければなりません。また、行政改革の断行についても同様であります。総理の御決意を伺いたいと思います。
 さらに、税制における不公正・不公平の是正、制度の欠陥の是正も必要であります。もちろん、今回の税制改革におきましても、中小企業特例の是正や、インボイスの導入、新設法人の二年間の免税の廃止などについて是正が行われてきたところであり、当面の可能な取り組みは最大限に取り組まれたものと考えるものであります。
 しかしなお、年末の年度税制改正で取り組むべきものとされました租税特別措置等の整理合理化の問題や、継続して検討すべき課題とされました利子配当所得の総合課税化とそのための納税者番号制度の導入の問題、さらに飲食料品等に係る軽減税率の導入の問題など、政府におきましてなお真剣な検討が要請されております。総理及び大蔵大臣の所見をお願いいたします。総理は、常々、税制改革と政治改革、行政改革は三位一体と強調してこられました。その行政改革については、去る十九日、私ども与党三党が「行政改革を進めるに当たっての基本方針」を策定し総理にも報告いたしましたが、総理も所信の中で行政改革の断行について明確に述べられました。しかし、具体的に取り組むことになれば、規制緩和といい、特殊法人の見直しといい、地方分権といい、総論賛成各論反対と言われる実情への取り組みが不可欠であります。
 総理、もはや行政改革は総論を論じるときは過ぎ、今や各論の実行があるのみであります。総理の決意のほどを伺いたいと存じます。
 次に、政治改革についてお伺いいたします。
 今国会では、さきの国会で行われました政治改革を受けた区割り法案等が議論となりますが、その他にも、政治腐敗の根絶、在日外国人に対する選挙権の付与など、課題は山積しております。総理はこれらの課題についてどのようにお考えでしょうか。
 また、さきの国会でも一部改革が行われましたが、身体障害者の方々の選挙参加、政治参加を促進する環境整備を一層進めることは、政治の、そして政府の大きな責務であると考えます。
 次期参議院議員比例選挙から政見放送に手話通訳がつけられることになりましたが、字幕スーパーや投票場案内のはがきの点字化、音声はがき化など、中途失聴者や視覚障害者の方々のために環境を整備することは、まさに「人にやさしい政治」の視点からのもう一つの政治改革にほかならないと考えます。また社会党は、参議院改革の推進に向け自由で活発な議論の喚起と合意形成に取り組んでいく所存でありますが、あわせて総理の御所見をお願いいたしたいと思います。
 次に、景気対策について伺います。
 我が国経済は、バブルの崩壊によって極めて厳しい不況に見舞われ、依然として設備投資は減少を続けており、雇用情勢についても引き続き厳しい状況にあります。しかし、最近は、この夏の猛暑の影響や所得減税の効果などもあって、個人消費が持ち直し、企業マインドも改善し、また、政府の月例報告に示されているように明るい動きが見られるようでありますが、景気の現状認識について改めて総理にお伺いいたします。
 また、為替相場は、ことしの六月以降一ドル百円を突破し、最近では九十円台後半での動きとなっております。こうした円高は輸入価格の低下を通じて企業や消費者にメリットをもたらす面もありますが、二年続きの不況下における円高であるだけに、企業経営者に与える危機感は大きいものがあります。また、円高の傍ら、内外価格差に対する国民の厳しい批判があり、その是正について適切な具体策を求める国民の声は大きいのであります。さきに行われた日米包括協議における外務、通産の両大臣並びにG7における大蔵大臣におかれては、日本国民を代表しての真剣な御努力、本当に御苦労さまでした。
 日米関係は我が国外交、経済の基軸であり、今後とも大変な任務を負われることと思います。特にアメリカの主張には矛盾があり、私も意見を持っておりますが、今後の展望について外務大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
 公共投資基本計画の見直しに当たって、仄聞すれば総額六百三十兆円になる見通しのようでありますが、当然のことながら生活環境、科学・文化機能重視にすべきであります。とりわけ、少子・高齢社会のニーズに対応することが極めて重要であります。財政状態の厳しい中でこうした課題に対処するには、政策の優先度を考慮し、あわせて対外的な経常収支の縮減に留意すべきであると考えます。総理の御所見を伺います。
 身近な問題についても具体的な改善策が必要であります。
 道路整備につきましては、地域の活性化の促進の基盤であり、地方公共団体からも強い期待が寄せられております。
 道路整備の歴史は欧米諸国と比べて極めて浅く、その整備水準は、自動車一万台当たりの高速道路延長を見ても、アメリカの三・九キロ、ドイツの二・七キロに対し、我が国は一キロにも満たないなど著しくおくれております。
 国幹道路や地域高規格道路の整備はもちろんでありますが、例えば高速道路のサービスエリアを活用して地域の生活拠点として住民に開放された農産物の直売店や文化施設のコーナーを設営し、情報発信基地として機能させるべきだと思いますが、いかがでしょうか。総理の答弁をお願いいたしたいと思います。
 また、住宅投資につきましては、数の充足は認めるものの、一戸当たりの平均床面積が欧米諸国の百平方メートルに対し我が日本は四十四・三平方メートルにすぎません。これでは、欧米諸国よりウサギ小屋に住む働きバチのそしりを受けることを避けることができません。総理は、住宅の改良、改善をどのようにお考えでしょうか。
 下水道整備につきましては、浸水被害の防除、生活の環境改善、水質衛生にとどまらず、地球環境の保全のために重要であります。
 我が国の下水道の処理人口は、九三年度で四九%にすぎません。そして、人口五万人以下の市町村では一三%であります。これでは文化国家とは言えません。欧米並みの七〇%から九〇%までにすべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 我が国の河川は急流です。多くの国民の生命・財産を守るため、大小河川、中小河川を含めた河川整備についてどこに重点を置かれるのか、また水の安定供給のための施策について、総理のお考えを伺いたいと存じます。
 次に、ガット・ウルグアイ・ラウンドと農業問題について質問いたします。
 米を中心とした我が国農業は、大きな危機に立たされております。特に米については、昨年の大凶作による全国的な米不足に緊急輸入米の不評が加わり、大混乱を来したわけであります。日本農業にとって今一番重要なことは、消費者が安心できる米の安定供給と生産者が安心して営農できる再生産可能な価格制度を確立することであります。
 この点について、新たな米管理システムの方向を示した農政審議会の答申として、一層の市場原理の導入を前提にしていますが、国民の基礎食糧である安全な米を安定的に供給できるか不安を感ぜざるを得ません。むしろ、新たな備蓄制度の確立など需給調整機能を強化し、安定価格制度とともにミニマムアクセス対策を図る必要があると考えますが、総理及び農林水産大臣の御所見を伺います。
 次に、中山間地域対策を初め農業基盤整備や農業後継者対策について伺います。
 農業における後継者不足は深刻であり、農業基盤整備をしっかりすることは若い人たちが農業を引き継ぐ動機づけになり、政府の特段の御配慮を要請したいと思います。中山間地域対策にとりましては日本型所得補償制度の導入が必要であると考えますが、いかがでしょうか。
 また、農畜産物の自由化、関税化により、特に酪農家は多大な負債を抱え困窮のどん底にあり、融資制度の改善など緊急の救済策が必要と考えます。農林水産大臣の御所見を伺います。
 次に、環境問題についてお伺いいたします。
 近年、地球環境は深刻の度を増しております。二酸化炭素の激増は地球温暖化を促進し、フロンガス等の影響によりオゾン層の破壊が進み、多くの人々が皮膚がんで苦しめられております。また、熱帯雨林の伐採によって緑豊かな大地の砂漠化が進行し、さらに地球表面積の四分の三を占める青い恵み豊かな海も依然として雑排水によって汚染されつつあります。このように地球規模を超えて宇宙までに拡大せんとする環境破壊の現状に、多くの識者は人類生存の危機と警告いたしております。もはや環境問題の解決には一刻の猶予も残されていないと考えますが、いかがでしょうか。
 私は、やはり環境への負荷の少ない社会に転換することこそが肝要であると思います。そして、二酸化炭素の排出量を抑制するためには、電気自動車やソーラーカーなどの実用化のための研究開発を積極的に支援し、その普及拡大を図る必要があります。また、熱帯雨林を保護すちために、木材の需要を抑制し建築現場などでの木材型枠から代替品の転換を促進するなど環境保全対策に取り組むとともに、中国や東アジア諸国への二酸化炭素排出低減技術の提供を支援するなど、国際協力にも積極的に取り組んでいくべきだと思います。総理の御所見を伺いたいと思います。
 次に、労働問題について質問いたします。
 我が国の経済水準に見合った豊かな生活を実現するためには、労働時間の短縮、職場における安全と健康の確保、女性やパートタイム労働者、障害者等がより一層能力を発揮できる環境の整備を行うことは重要であります。家族看護・介護のための休業制度の法制化を早急に行うべきであります。
 この案件は、公務員については既にさきの通常国会で介護休業を認める法制化が行われ、この九月から実施されております。民間についても遅くとも次期通常国会では法制化が必要と考えますが、いかがでしょうか。
 ことしは国連の国際家族年であります。ILO百五十六号条約は、育児休業法やパートタイム労働法の制定等施策の前進により、批准の機は熟しているものと考えます。既にさきの通常国会において与野党間の合意形成が進んでおりますので、同条約を早急に批准し承認すべきと考えますが、いかがでしょうか。総理大臣及び労働大臣の御所見を伺いたいと思います。
 総理、来年は戦後五十年の節目であります。また、女性が参政権を得てからちょうど半世紀を迎える年でもあります。しかしながら、大学新卒女性の就職差別に見られるように、女性の社会参加の条件整備は十分ではありません。女性の地位向上を進めるためには、行政の努力はもとより、男女共同参画推進本部長である総理のリーダーシップが欠かせません。来年は北京で第四回世界女性会議が開催されます。男女雇用差別の撤廃など、男女共同参画型社会の具体化のために一層の努力が必要であります。
 日本社会党参議院は、二五%の女性議員を有しておりますが、これでも少ないという批判を受けているところであります。国の審議会委員等につきましても女性委員の割合が当面の目標である一五%を必ず達成できるよう、総理の強力なリーダーシップを発揮していただきたいと思いますが、総理の御所見を伺います。
 部落解放基本法制定について伺います。
 まず、全国一千カ所にも及ぶ未指定地の実態は、今なお憂慮すべき状態であります。この際、単なる事業法ではなく、仕事、教育、健康、啓発など総合的施策推進のための部落解放基本法が必要だと思いますが、総理の御所見を伺います。
 戦後五十年問題は、我が国の歴史認識を問われる問題でもあります。連立与党としてもプロジェクトチームを設置して原爆被爆者援護法の問題など懸案事項の解決に向けて取り組んでおりますが、政府においてもこの問題に関する対策チームを設置するなどの取り組みが必要であると考えます。総理の御所見と御決意を聞かせていただきたいと思います。
 総理、あなたは米国において、米国民が最も尊敬する政治家リンカーンに例えられて、日本のリンカーンと評価されていると仄聞いたします。そのリンカーンは、何人に対しても悪意を抱かずすべての人に慈愛を持ってと、博愛と寛容の精神を訴え続けた政治家でありました。これは、まさに総理の「人にやさしい政治」に相通ずるものであります。村山内閣支持率が上昇しつつあるときだけに、国民の期待に十分こたえられるよう、村山総理のなお一層の御健闘を祈念いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣村山冨市君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(村山富市君) 青木議員の質問にお答え申し上げたいと思います。
 最初に、北海道東方沖地震に対するお見舞いの言葉がございましたが、私もたびたび申し上げましたように、心から被災者に対してお見舞いを申し上げたいと思います。
 なお、その対策につきましては関係各省を挙げて万全の対策を講じているところでございますから、御報告を申し上げておきたいと思います。
 まず、アイヌ民族問題についてのお尋ねがございましたが、このたび萱野茂氏が本院に議席を得られましたことを心からお祝い申し上げたいと思います。
 アイヌの方々が歴史的沿革の中で大変な御苦労をされてこられたことについては、私もこれまでさまざまな機会にお伺いをいたしてまいりました。
 こうしたアイヌの方々に対しましては、これまでも政府として、一体的な取り組みが重要であるという認識に立ちまして、北海道開発庁を中心に関係省庁から成る北海道ウタリ対策関係省庁連絡会議を設けまして、伝統文化の維持から生活環境の改善などにわたる広範な施策を実施してきたところでございます。また、御指摘のアイヌ新法に関する問題につきましても、政府部内に検討委員会を設け、鋭意検討を行っているところでございます。
 私といたしましても、今後ともアイヌの方々の要望に十分耳を傾け、検討委員会の審議を深め、さらに緊密な関係省庁との連絡のもとにさらなる支援措置の強化を図ってまいりたいと考えているところでございます。
 次に、政策形成過程の透明化と社会的公正についてのお尋ねがございました。
 このたびの内閣は、イデオロギー対立の時代から党派を超えた政策対話の時代へという大きな変化を背景として誕生したものでございます。私は、価値観の多様化を反映した複数の政治勢力が透明で民主的な論議と政策形成過程を通じて合意点を見出しながら進める政治は、国民各層の意思をより公正公平に反映したこの時代にふさわしい仕組みであると確信をいたしております。
 政権運営に当たりましては、こうしたプロセスの透明化と社会的公正の確保に十分意を用いながら、国民から安心を持って迎えられる政治を実現してまいる所存でございます。
 次に、国連改革、常任理事国入りの問題について、日本の国際的役割についてのお尋ねがございました。
 先般の外務大臣の国連総会演説におきましても、国際貢献に関する我が国の基本的考え方として、軍縮・不拡散、開発、環境、人権等の分野でこれまで以上に積極的に貢献を行っていくことなどについて述べるとともに、こうした基本的な考え方のもとで、多くの国々の賛同を得ながら安保理常任理事国として責任を果たす用意があることを申し述べたところでありまして、青木議員のお考えとまさに同感でございます。
 次に、防衛政策についての御質問がございましたが、我が国は、憲法のもと、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないという基本理念に基づきまして、日米安保体制を堅持するとともに、文民統制を確保し、非核三原則を守りつつ節度ある防衛力を自主的に整備してきたところでございます。このような我が国の基本方針は今後とも引き続き堅持をしてまいりたいと考えています。
 他方、我が国といたしましては、周辺諸国との信頼関係の構築を進めながら、今後の我が国の防衛力のあり方について検討を行っておりますが、これにつきましては、冷戦後の国際情勢の変化、国際社会における軍備管理・軍縮に向けての努力、将来における人的資源の制約の増大、科学技術の進歩、一段と厳しさ、深刻さを増している財政事情等を踏まえながら、今後とも慎重に検討することが必要であると考えているところでございます。
 次に、税制改革の考え方につきまして国民の理解を得るべく努力をせよとの御要請がございました。
 青木議員の御指摘のように、今回の税制改革は、活力ある福祉社会の実現を目指す視点に立ちまして、個人所得課税について働き盛りの中堅所得者層を中心に負担軽減を行い、社会の構成員が広く税負担を分かち合えるよう消費課税の充実を図るというものでございます。
 税制改革の実現のためには、何よりも納税者に納得していただくことが大事であると考えております。青木議員の示された明快な考え方を大いに参考にさせていただき、税制改革の趣旨、内容についての国民の皆様の御理解を得るため今後一層努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、税制改革に関連をいたしまして、福祉計画の将来展望についてのお尋ねがございました。
 今次税制改革のいわゆる見直し条項を踏まえまして、今後、新ゴールドプラン、エンゼルプラン等の内容についてできるだけ早く詰めを行うとともに、年金、医療等の自然増等の推計を行うなど、将来の社会保障の具体的な全体像を明らかにするためにさらに努力をしてまいる所存でございます。
 次に、行政改革の断行の決意についてのお尋ねでありましたが、国民の皆さんの理解と協力を得ながら税制改革を進めていくに当たりまして、所信表明でも明らかに申し上げましたが、同時に行政改革について断固実行していくことがぜひとも必要と考えております。このため、最大限の努力を払う決意でございます。
 次に、いわゆる不公平税制についてのお尋ねでございますが、税負担の公平確保につきましては従来から不断の努力を続けてきているところでございまして、今後とも絶えず追求さるべき大きな課題であると考えています。
 今回の税制改革では、課税の公平性・中立性の確保の観点から、いわゆる消費税の益税問題に関しましても抜本的な見直しを行うなど既に取り組んでいるところでございますが、租税特別措置の抜本的な整理合理化、利子所得の総合課税化等々、御指摘の諸事項につきましてもさらに検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
 さらに、行政改革の各論の実行についてのお尋ねがございましたが、政府といたしましては、与党の「行政改革を進めるに当たっての基本方針」を踏まえながら行政改革の推進に積極的に取り組んでいくことにいたしておりますが、既に私から各大臣に対しましてその具体的方策を検討するよう指示をいたしておるところでございます。各論の実行あるのみとの青木議員の御指摘を肝に銘じ、実りある成果をおさめるべく最大限の努力を払ってまいる決意を申し上げておきたいと存じます。
 次に、政治改革についてのお尋ねでありますが、政治腐敗の根絶に向けて不断の努力を重ねていくことは極めて重要だと認識をいたしております。区割り法案が成立することによりまして、腐敗防止策を織り込んだ選挙制度の改革や政治資金制度の改革が施行されることになりますので、法案の早期成立に向けて最大の努力を尽くす決意でございます。
 また、与党及び野党から連座制の強化等を内容とする法案が提出されていると承知をいたしておりますが、これらも選挙の腐敗防止に大きな効果を上げるものと考えております。
 なお、在日外国人の参政権の問題につきましては、選挙は国民主権の原理のもとに公権力の行使や公の意思の決定に携わることとなる公務員を選任する行為でございまして、国政選挙、地方選挙を問わず、外国人に選挙権を付与することは難しい問題があると考えて検討いたしておるところでございます。
 さらに、身体障害者の方々の選挙参加、政治参加のための環境整備についてのお尋ねがございました。
 従来から、点字による候補者名簿の作成やいわゆる点字公報の配付のほか、身体の不自由な方が投票しやすいよう投票所でのスロープの設置等を行ってきております。また、現在、次の参議院比例代表選挙から政見放送に手話通訳を導入できるよう検討を進めてまいっておりますが、今後とも、身体に障害のある方々の選挙参加、政治参加を促進するための環境整備につきましては、なお一層努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、参議院選挙についてのお尋ねでありますが、参議院議員の選挙制度につきましては、第八次選挙制度審議会の答申や政治改革をめぐる国会での御審議、参議院における与野党会派での御論議を通じまして、さまざまな検討がなされておると聞いておるところでございます。
 第百二十九国会においては、各党各会派の御努力によりましていわゆる四増四減の定数是正が行われたところでありますが、選挙制度の基本的なあり方等につきましては、引き続き各党各会派で論議を深めていただき、合意形成を図っていただけることを御期待申し上げているところでございます。
 次に、景気の動向についてお尋ねがございましたが、我が国経済の動きを見ますと、住宅投資や公共投資が総じて堅調に推移する中で、個人消費には持ち直しの動きが広がりつつあります。設備投資は一部産業で増加の動きを見るものの、総じて減少が続いており、雇用情勢にも厳しさが見られます。
 このように景気全体の動向は、企業設備等の調整過程にあるものの、このところ明るさが広がってきておりまして、緩やかながら回復の方向に向かっております。他方、急激な円高など懸念すべき要因も見られるというのが景気の現状だと考えております。
 次に、内外価格差問題についてのお尋ねがございました。
 これまで、実態調査に始まって、輸入の拡大、規制緩和、商慣行の是正、円高差益の還元等、各般の施策の着実な実施を図ってきたところでございます。さらに、先般、現状の早急な調査、障害除去のための対策の実施を指示してきたところでございまして、政府といたしましては、消費者生活の重視などの視点から、内外価格差の是正、縮小を初めとする物価をめぐる諸課題につきまして、物価安定政策会議で検討いただいているところでございます。今後とも、これらを踏まえ、内外価格差問題の積極的な解消に向けて積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、公共投資基本計画の見直しに関しての御質問がございました。
 公共投資につきましては、質の面での見直しにつきまして、国民生活の豊かさを実感できる経済社会の実現に向けまして、生活環境、福祉、文化機能にかかわるものへの配分を六〇%台前半に増加させたところでございます。また、量の面におきましても積み増しを行っているところでございまして、対外バランスの観点から見ましても、内需主導型の経済社会の実現に資するものと期待をいたしているところでございます。
 御指摘のとおり、現下の厳しい財政状況のもとでは、政策の優先度に配慮し、社会資本整備を効率的かつ効果的に実施することが重要であると考えているところでございます。
 さらに、道路整備についてのお尋ねがございました。
 道路は活力ある地域づくりを支え豊かな生活づくりに欠かせない基盤施設でありますが、御指摘のとおり、高規格幹線道路を初めといたしまして、我が国の道路整備は欧米の水準に比べてまだまだ立ちおくれておると言わなければなりません。このため、全国各地からの整備促進が強く要望されているところでありまして、今後とも積極的に整備推進に努めてまいりたいと考えております。
 さらに、高速道路のサービスエリア等についても、隣接する施設との一体的整備を図るなどにより、御指摘のように地域情報発信、地域活性化の拠点として活用されるよう積極的に検討することが必要であると考えているところでございます。
 次に、住宅の改良、改善についてのお尋ねがございましたが、住宅の質的向上は最も重要な課題の一つでございまして、公共投資基本計画におきまして決められたおおむね二〇〇〇年を目途に一戸当たり平均床面積を百平米程度とすることを目標として、公共賃貸住宅の的確な供給、公庫融資、住宅税制等による住宅取得がしやすいようにするための総合的な住宅対策を推進しているところでございまして、今後とも良質な住宅ストックの形成を図ってまいりたいと考えているところでございます。
 次に、今後の下水道整備への取り組み九ついて御質問がございました。
 現在、第七次下水道整備五カ年計画に基づきまして計画的に下水道整備を推進しているところでございますが、平成五年度末の我が国の下水道の普及率は四九%にとどまっておりまして、国民が生活の豊かさを実感できない大きな理由の一つとなっておると考えております。また、我が国の経済力、国際的地位から見ましても満足すべき水準ではないと言わなければなりません。
 このため、政府といたしましては、生活関連施設に対する重点的な投資を図りながら、西暦二〇〇〇年までに七〇%程度、二十一世紀初頭には九〇%程度まで下水道の整備水準を押し上げることを目標に、今後とも積極的に下水道整備を推進してまいる所存であることを申し上げておきたいと存じます。
 次に、河川整備についてお尋ねがありましたが、国民の生命と財産を守る治水対策は真に豊かさを実感できる社会を実現するための前提条件であり、国づくりの基本であると考えております。このため、浸水被害が頻発している地域における床上浸水対策に重点を置いた治水事業を強力に推進してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、水の安定供給についてのお尋ねでありますが、水は我々の生活に欠くことのできない貴重な資源であり、豊かな国民生活と国土の均衡ある発展のためにその安定的確保は不可欠であると思います。政府といたしましては、森林の保全・育成を通じた水源の涵養、水利用の合理化の促進、ダム等の水資源開発等による総合的な水資源対策を講じ、水の安定供給を図っていきたいと考えているところでございます。
 次に、食管制度の今後の具体的方向についてのお尋ねがございました。
 同制度の改正につきましては、去る四日開催されました緊急農業農村対策本部で了承されております大綱骨子におきまして、現行の食管制度を廃止し新たな法制度のもとに米管理システムを構築するとの考えが取りまとめられたところでございます。この中で、このシステムにおいては自主流通米を主体とする米流通を中心にしながら、生産調整の的確な実施、備蓄の運営等によって米の需給と価格の安定を図ることを旨といたしておるところでございます。
 ミニマムアクセスの受け入れを含むガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意の実施に伴う国内対策につきましては、大綱骨子を基本方向として速やかに総合的かつ的確な施策を講じてまいる決意でございます。
 次に、地球環境問題についてのお尋ねでありますが、地球環境問題は人観の生存基盤に深刻な影響を与える緊急かつ重要な課題であります。我が国にとりましても内政、外交上の最重要課題の一つであると認識をいたしております。
 高度な経済活動を営み地球環境に大きなかかわり合いを持っている我が国は、環境保全に関する多くの経験とすぐれた技術力を生かしながら、世界各国と協力をいたしまして、地球環境問題の解決に今後とも一層積極的な役割を果たしていく所存でございます。
 国内の環境保全対策についてのお尋ねでありますが、私は、御指摘のように、環境負荷の少ない持続的発展が可能な我が国社会を構築することが必要であるという認識をいたしております。
 そうした観点から昨年十一月に環境基本法を国会で可決をいただいたところでありますが、現在これに基づきまして環境基本計画を策定中であります。また、地球温暖化の防止につきましては、平成二年に地球温暖化防止行動計画を策定いたしまして対策を講じるなどさまざまな施策を講じているところでございますが、今後ともこうした努力を積み重ね、御指摘のような問題に強い決意で対処してまいる所存でございます。
 次に、環境面での国際協力を積極的に行うべきであるとの御指摘でありますが、政府開発援助大綱にも明記されておりますように、開発途上国の環境問題は我が国援助の重点分野でございます。
 九二年六月に開催されました地球サミットでは、九二年度より五年間で環境分野の援助を九千億円から一兆円を目途として大幅に拡充強化することに努める旨発表いたしましたが、この目標は、九二年度及び九三年度の二年間でその半分が既に達成されておるところでございます。
 近年、公害問題等が深刻化している東アジア諸国に対しましても、我が国としても環境保全面で積極的な協力を実施してまいる所存でございます。
 政府といたしましては、今後とも我が国の経験、技術を生かしながら途上国の環境保全の支援に努めてまいる所存でございます。
 次に、介護休業制度を早急に法制化すべきとの御意見がございました。
 今後の高齢化の急速な進展にかんがみまして、介護休業制度の法制化につきましては重要な課題であると認識をいたしております。現在、関係審議会で検討を行っていただいておりますが、その結果を踏まえて適切に対応していく考えであることを申し上げておきたいと存じます。
 次に、ILO百五十六号条約の批准についてお尋ねがございました。
 本条約につきましては、その趣旨に沿った育児休業に関する法律等々が制定されるなど、我が国におきましても批准に向けての環境整備が進められてきておるところでございまして、政府といたしましては、国会提出を目指し関係省庁で鋭意努力してきているところでございます。さらに検討を要する問題が残されておりますが、政府としても早急に批准できるよう検討してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、男女共同参画社会の形成についての御意見がございました。
 国の審議会委員の女性の割合は、昭和五十年には二・四%でしたが、本年八月末現在では一二・一%まで高まってきております。来年度末一五%の目標達成に向け、九月二十七日の閣僚懇談会におきましても、内閣官房長官・女性問題担当から各省庁大臣に対して強く御尽力をお願い申し上げたところでございます。
 来年は第四回世界女性会議が北京で開催されるとともに、女性参政権五十周年でもあります。私は男女共同参画推進本部長でもございます。その目標の達成に向けてさらに努力をし、国の政策決定への女性参画をさらに進めてまいることをこの際申し上げておきたいと存じます。
 次に、部落解放基本法についての御質問がございました。
 同和問題は憲法に保障された基本的人権にかかわる重要な問題であるという認識のもとに、政府といたしましては、現行の地対財特法に基づき啓発等の各般の事業を積極的に推進しているところでございますが、同和問題の早期解決にさらに努力をいたしてまいりたいと考えているところでございます。
 なお、地対財特法の有効期限後のあり方につきましては、地域改善対策協議会に設置されております総括部会におきまして現在精力的に審議を進めていただいているところでございます。
 次に、戦後五十年問題への取り組みについてでございますが、さきに発表いたしました私の談話におきまして、いわゆる従軍慰安婦問題への対応を含め、戦後五十周年に向けての政府の対外的問題全般への取り組みにつきまして、村山内閣としての基本的考え方を示してまいったところでございます。また、残された戦後処理の課題につきましても政府部内において対応してきているところでございまして、今後とも誠意を持って対応していく考えでございます。
 いずれにいたしましても、戦後五十周年を契機に広く民意を結集しながらこの問題に取り組んでいくことは村山内閣の重大な使命と考えており、誠心誠意この問題に取り組んでまいる所存でございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣河野洋平君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(河野洋平君) 国際貢献に関する我が国の基本的な考え方につきましては、憲法との関係を含め、ただいま総理が御答弁されたとおりでございます。
 我が国は、かねてから社会経済開発あるいは環境保護、人口、そういった面でODAの供与などを通じまして大きな貢献を既にいたしておりまして、国際的にも高い評価をいただいているところでございます。我が国としては、軍縮・不拡散も含めまして、今後ともこうした分野でさらに積極的に貢献をしてまいりたいと考えております。
 包括協議についてお尋ねがございました。
 日米包括経済協議は両国間の経済関係を運営していく上で主要な手段でございますが、一時中断をしたりいたしました。これまで十分な進展が見られなかったことがございまして、これは甚だ残念なことでございました。今回の妥結が包括経済協議のその他の分野にもよい影響をもたらすとともに、日米関係全体に好影響を及ぼしてほしいと期待をいたしているところでございます。
 なお、自動車分野におきましては、今回の三〇一条による特定を踏まえてどのような対応をするかについて、当面冷却期間を置くことを含め、今後関係者の間で検討してまいることになると思います。その他の分野につきましては、今般の協議の成果を基礎として引き続き早期の妥結を目指していくことといたしたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣武村正義君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(武村正義君) 税制改革の意義につきましては、私は、昨日、高齢化が足元から沸き立つように、かつ急速に始まっているというふうに申し上げました。既に老齢人口は一四%を超えるに至っております。
 こういう状況に政治や行政、財政、税制がどう対応していくのかという問題に我々は直面をしているわけでございますし、今回の税制改革もこのことを基本に踏まえながら議論がなされたと思っております。私の表現では、ぜひ日本国民全体がみんなで支え合う福祉の日本をつくっていく、年をとっても元気が出る日本をどうつくっていくか、そのことに関心を持っていきたいと思うのでございます。
 内容的には、昨日も申し上げましたが、一つは、中堅サラリーマン層に焦点を当てて思い切った累進税率の緩和、引き下げをこの改革で決断をさせていただくことができました。
 一つは、社会の構成員が広く税負担を分かち合えるという考えに立ちまして、まず益税等の問題について一歩も二歩も改革を進めることができました。地方消費税という新しい地方自治財源を創設することもできました。その結果、大変申しわけなく存じますが、国民の皆様に二%の消費税のアップをお願いを申し上げているということであります。
 もう一つは、基本的に、今後三年間、ことしを含めて五・五兆円という大変大規模な減税を、国民の最大の関心事である景気対策を重視しながら実施をさせていただくということであります。
 ぜひ今後、国民の皆様に一層御理解がいただけるように幅広く、青木議員の御指摘の趣旨を踏まえて、PR、啓発、広報に努めてまいりたいと存じます。
 次に、税負担の公平確保につきましては、まず御指摘の租税特別措置でありますが、今後、年度の税制改正作業の中で論議をしていく問題でございます。個々の措置について、その政策目的、効果等を十分吟味し抜本的に整理合理化をすべく検討をしてまいりたいと存じます。
 利子・株式等の譲渡益課税につきましては、納税者番号制度の検討と並行して、経済取引への影響や執行コストなど総合課税に移行した場合に乗り越えなければならないさまざまな課題等について、具体的かつ現実的な論議を積み上げてまいりたいと考えております。
 なお、飲食料品の軽減税率の問題につきましては、公平・中立・簡素といった消費税の特徴の面からの論議がございます。また、これに伴う減収分を補うため税率そのものの引き上げ幅を大きくしなければならないという問題等もございますが、今回は、真剣な論議の米その採用は見合わせることになった次第であります。今後の大事な課題の一つであるというふうに認識をいたしております。
 最後に、為替の問題でございますが、本年に入りまして円高が進行し、このところも百円をやや割り込んだ相場が続いております。こうした状況を踏まえて、先般のスペインのG7の会議におきましても、昨日も申し上げましたが、日本政府としてはこの円高為替相場の安定に最大の関心を持っているということを申し上げ、為替相場の安定、そのための相互の緊密な協力が一層大事であるということを繰り返し強く主張をしてまいりました。こうした論議を踏まえて、累次のG7の為替問題に関する協調へのコミットメントが全体で再確認をされたところでございます。
 我が国としましては、この相場が思惑等により短期間のうちに大きく変動することや不安定な動きを示すことは好ましくないという考えを今後とも貫いていきたいと考えております。相場の動向を注視しながら粘り強く相場の安定に今後とも努力をしてまいる所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣大河原太一郎君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(大河原太一郎君) まず、食糧管理制度の改正についてのお尋ねでございますが、総理からお答えいたしましたとおり、新たな米管理システムにおきましては、民間流通による自主流通米を主体としながら、政府は、生産調整の的確な実施、政府米の操作を通じまして備蓄の運営やミニマムアクセスの運用を行うなど、米の需給と価格の安定について努力をいたす、あるいはその制度を仕組むということでただいま検討中でございまして、成案を得て関係法案を今国会に提出しようと考えておるところでございます。
 なお、いずれにいたしましても、農家の不安のお話もございましたが、今後の農政の展開に当たりましては、さきの大綱骨子に示された方向に沿いまして、幅広い観点に立った食料・農業・農村対策に取り組んでまいりたいと考えておりまして、その裏づけとなる予算措置の確保を含め、力を尽くし農家の不安の解消に努めたいと思うわけでございます。
 次に、農業後継者対策としての農業基盤整備についてでございますが、国際化の急激な進展、農業後継者・担い手の不足という事態に即応いたしまして、その確保のためには、農作業の機械化により生産性が高く効率的な農業を実現する上で必要な農業生産基盤の整備、担い手を支える活力ある地域づくりのための集落排水等、農村生活環境の整備等が重要であると認識をしております。
 先般の大綱骨子におきましても、農業農村整備事業については第四次土地改良長期計画の着実な進展を図ることとし、その際、特に生産性の向上に直結する大区画圃場整備等の高生産性農業基盤整備を重点的かつ加速的に推進することとしているところでございます。
 次に、中山間地域についての所得補償制度の導入についてのお尋ねでございますが、この問題につきましては、先般の農政審議会の議論において、EU型の直接所得補償方式を我が国が直ちに導入することは適当ではないという意見が大勢を占める一方、同審議会報告においては、農林地の有する国土・環境保全機能の維持保全について幅広い取り組みが必要と提言されているところであります。
 今後、我が国の中山間地域それぞれの実情に即しまして農家や地域全体の所得の維持確保のための方策について、御指摘の点を含め検討してまいる所存であります。
 最後に、酪農家の負債整理対策についてでありますが、酪農の経営状況を総じて見ますと、生産性の向上等から総体としては改善の方向に進んでおりますが、一部の経営には多額の負債を抱えているケースがあることは認識しております。
 このような経営につきましては、今日まで、償還困難な負債を長期低利で借りかえる資金制度で措置いたしますとともに、平成六年度において融資枠の拡大、貸付期間の延長等の措置も講じてまいったところでございます。
 ガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意の実施に伴う国内対策におきましても、負債問題を含めた経営対策等について的確な施策を講じてまいる決意であります。(拍手)
   〔国務大臣浜本万三君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(浜本万三君) 青木議員にお答えをいたします。
 私に対する二つの質問につきましては、既に総理から基本的な考え方が答弁されておりますが、それを補足する意味で御答弁をいたしたいと思います。
 まず、介護・看護のための休業制度の法制化の問題でございます。
 介護休業制度は、高齢化、核家族化が進展する中で、介護を必要とする家族を抱える労働者が働き続けるために重要な制度であると思います。労働省といたしましては、その普及啓発に目下努めておるところでございます。
 民間における介護休業制度の法制化につきましても重要な課題と認識しております。現在、関係審議会で、専門家会合の研究結果を参考としながら、介護休業制度の法制化を含む有効な普及対策について検討をいたしておるところでございます。ただ、私といたしましては、次の通常国会を視野に入れて審議会の審議がまとまることを期待しておる次第でございます。
 第二のILO第百五十六号条約の批准の問題でございます。
 本条約につきましては、その趣旨に沿った育児休業制度に関する法律が制定されるなど、我が国におきましても家族的責任を有する労働者のための環境整備が進められておるところでございます。
 ILO条約の批准に当たりましては、国内法制との整合性が図られることが前提となっております。本条約につきましても国内法制との整合性について検討を行っておるところでございます。
 これも私といたしましては、早急に批准ができますように今後とも関係省庁と連携を密にしながら検討してまいりたいと思います。(拍手)
#17
○議長(原文兵衛君) 及川順郎君。
   〔及川順郎君登壇、拍手〕
#18
○及川順郎君 私は、公明党・国民会議を代表し、河野外務大臣の帰国報告と、さきに行われました村山総理の所信表明演説に関し、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 質問に先立ち、北海道東方沖地震による被災者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。
 また、政府は、救援・復旧対策に万全を期し、今後できる限りの善後策をとられるよう要望いたします。
 さて、総理、政権の責任は、国の内外に起こる人間の生命・生存に対する脅威、人心の不安に敏感に反応し、対策を立て、生活の安定的繁栄に果敢な実行を持続することを根本の姿勢としなければなりません。
 しかるに、国外にはルワンダの難民問題、地域紛争の戦火による殺りくが後を絶たず、また国内では、この夏の水不足による影響だけでも延べ一千五百万人に及ぶ生活者に深刻な被害が出ております。そして、今回の地震災害でございます。このような被害のときに聞こえてくる声は、国は何の対応もしてくれないという国民の声であります。
 村山政権が発足して、既に四カ月目を迎えております。総理は、内閣の統括者として、これら喫緊の課題に対しいかなる具体策を持ち内閣の先頭に立って行動を起こされたでしょうか。内閣は「人にやさしい政治」を標榜しておりますが、このような人心の不安を取り除こうとする真摯な姿勢が国民には伝わってまいりません。
 総理、生命の安全、生活の安定といった人間生活の根幹にかかわる内閣の根本的な対応姿勢について、その所見を求めるものであります。
 さて、私はまず初めに、総理御自身、また村山内閣の政治姿勢についてお伺いいたします。
 第一に、総理の政治姿勢についてであります。
 総理は一年前の総選挙において、政治改革の根幹として佐川事件に見られるような金権腐敗政治の根絶を掲げ、政治腐敗をなくするために政・官・財プラス暴力団の癒着の構造を断ち切ると叫ばれました。社会党の先頭に立ち佐川事件で竹下元総理の証人喚問を実現させ暴力団とのかかわりで竹下氏の議員辞職を強く要求したのは村山総理であり、当時の公約であったのであります。
 しかし今回、総理は、竹下氏の自民党会派への復帰に対し自民党のことだからと黙認されております。これは有権者への裏切りではありませんか。公約を変えたのか、辞職要求は誤りだったのか、そうでないなら何が変わったのかを明らかにしていただきたい。
 政・官・業の癒着や金権政治は自民党の長期政権から生まれたものであり、総理だけでなく社会党は、さきの総選挙で「自民党の金権政治にサヨナラ」と国民に訴えたはずであります。自民党の政権復帰に手をかした総理は、自民党の金権政治がどう解消されたのか、政・官・業の癒着体質はどう改善されたのか、自民党の族議員の復権はないのか、これらの点を国民に明確に示すべきであり、見解を求めるものであります。
 総理、国民は、自民党が何のけじめもなく竹下氏を会派に復帰させることに対し、政治家の政治倫理の欠如、政治改革の後退を感じているのであります。このままでは政治改革後退内閣のそしりは免れません。総理は、本気で政治改革や腐敗防止の推進、政治倫理の確立に取り組む決意があるのか、改めて伺いたい。
 第二に、社会党がこれまで国民に公約してきた基本政策の転換についてであります。
 総理の所属する社会党は、党の生命とも言える党是として自衛隊違憲、日米安保反対、日の丸・君が代反対、原発反対を掲げておりました。重要政策でも、五年前の参議院選挙で消費税廃止を訴えて大勝し、PKO協力の法案に向けて異常なまでの牛歩戦術を行ったのはわずか二年前のことであります。しかし、現在の社会党はこれらの基本政策をことごとく転換されたのであります。
 社会党は、みずから総理を出し、政権を維持していくためには従来の基本政策を変更せざるを得ないと説明しております。しかし、民主主義国家において、政党は国民に約束した政策を実現するために存在するのであって、政権を維持するために約束をほごにするというのではまさに本末転倒であり、国民を愚弄する暴挙であります。公約を公然と踏みにじる政党は、まさに最大の政治倫理違反を行っているのであります。政党政治とはどうあるべきか、さらに議会制民主主義と政党の公約について総理の見解を伺いたい。
 政策転換の手続も、委員長である総理が転換を宣言し、その後、党が慌てて追認するという極めて唐突なものであり、総理がよく言われる民主的なルール、透明性からかけ離れた強権的なものでありました。政権を維持するために党の理念も政策も捨てたとしか国民には映りません。立場が変われば再び基本政策が変わるのではないか、そういう疑念すら生まれます。総理、今回の政策を今後とも党として貫かれるのかどうか、明確に御答弁いただきたい。
 また、総理は、従来の社会党の基本政策をどう総括され、反省され、評価されるのか、社会党のこれまでの政策は政権を担うに適切でなかったということなのか、国民に対して明らかにする責任があります。
 総理、この見解を示さず、国民不在のまま基本政策を大転換し、単に政権を維持するだけの内閣であれば、それは有権者に対して無責任であり、公約違反内閣と断ぜざるを得ません。総理の答弁を求めるものであります。
 第三に、村山内閣の特徴は、総理のリーダーシップがなく、何もできない、何もしない内閣であるということであります。
 村山内閣で最優先されるのは、国民の立場を考えてではなく、これまで対立し批判し合ってきた社会党と自民党の連立をいかに維持するかであります。その結果、税制の抜本改革一つを見ても、何のための改革か、その理念も原則も二十一世紀を見据えた中長期的な視点も欠き、連立与党間で妥協に妥協を重ねた継ぎはぎ細工に終わっているのであります。
 総理、行政改革や規制緩和など重要施策も次々に先送りされております。識者からは、改革に本気で取り組んだら安定にひびが入る、仕事をしないほど安定が増すと皮肉られる現状を、深く憂えるものであります。これでは、人にやさしい政治ではなく自分たちにやさしい政治であり、改革の持続ではなく、改革の逆行と言わざるを得ません。総理の見解を伺いたい。
 さらに問題なのは、総理のリーダーシップの欠如であります。
 日本の国連常任理事国入りについて、総理は、東南アジアを歴訪された際、終始慎重な発言を繰り返し、日本の常任理事国入りを支持する各国首脳に失望感だけを残し、わずか一カ月後の国連総会で今度は副総理の河野外務大臣が積極的な発言をするといった対応姿勢の違いを露呈しております。
 総理の発言は、国民が注目しているだけではなく、国際社会にあっては日本の方向性を示すものであり、総理のリーダーシップの欠如は日本に対する信頼を失わせ、国民の政治への不信を募らせるばかりであります。総理の所見を求めます。
 総理、ある識者は、社会党の自衛隊、日米安保条約、君が代問題などの見解をこれだけ変えるのは経歴詐称よりもひどい、公約違反ではないか、支持者が認知しているか、早く総選挙で問うがいいと述べております。
 政党の魂とも言うべき基本政策を国民不在のまま大転換した村山政権は、与野党合意である政治改革法を一日も早く成立させ、新しい選挙制度のもとで国民の信を問うべきであると思うのでありますが、総理の所見を求めるものであります。
 以下、当面する内外の諸課題について具体的にお伺いいたします。
 まず、行政改革について伺います。
 この取り扱いについて、総理は行革は内閣の真価が問われる問題と述べ、また副総理は村山政権の最重要課題と語り、政権樹立に関する三党合意では税制改革の前提として行革を断行すると明記しておりますしかるに、さきの政府・与党首脳会議で了承された行革大綱にも税制改革大綱にも、具体的な行政改革案は全く示されておりません。整理の対象となる特殊法人の具体名も歳出削減の数値目標も、途中で消えてしまっております。何ら具体性のない大綱をもって行政改革の断行とするのでしょうか。
 総理、税制改革を初めとする諸改革は国民に多大の負担を強いることになることが避けられない、このことを直視するがゆえに、行政改革を断行し、まず政府自身の努力を示すという原点を忘れてはならないのであります。この行政改革が実現できなければ内閣として責任をとるべきであると考えますが、総理の御答弁を求めるものであります。
 税制改革について伺います。
 政府が発表した税制改革大綱によりますと、税制改革の目標は「中堅所得者層を中心とした税負担の累増感を緩和するためことなっているだけで、改革の目的が極めて不明瞭であります。理由のない増税ほど国民に迷惑なものはありません。
 総理、そもそも今回の税制改革には目的と課題があったはずであります。すなわち、第一に急速に到来する高齢化社会での福祉の充実、第二には不公平税制の是正、中堅サラリーマンの重税感の軽減、そして第三には短期的な景気浮揚のための減税であります。
 第一の高齢化社会への対応について、大綱では、問題を先送りしただけで何ら解決策にはなっておりません。総理は、高齢化社会への的確な対応をいつどのように確立しようとしているのか、お答え願いたい。
 第二の課題である中堅サラリーマンの重税感軽減については、まず、その基本となるこの中堅サラリーマンとはいかなる所得階層を指しておられるのか、明示していただきたい。第三の短期的な景気対策については、恒久的な制度減税の上に臨時の特別減税を継ぎ足すという珍妙な二階建て方式のため、中途半端になっております。この二階建て方式のねらいは何なのか、明確に答弁を求めます。
 また、消費税の一部が業者の手元に残ると批判の高い益税についても、その温床となる中小企業者特例措置の見直しについては、免税点が据え置きとなり、税の不信感を募らせる要因となっております。総理、なぜ免税点を据え置いたのか、その理由を伺いたい。
 国会は、去る三月の特別減税立法を可決した際、与野党が一致して抜本的な所得税の減税を決議いたしました。しかし、今回の税制改革大綱はどう見ても中途半端なものであり、この決議に到底こたえ得るものではありません。改革は小手先のまやかしであってはならないのであります。この点に関して総理の見解を伺います。
 総理、老人保健福祉計画は本年六月までに自治体の計画が出そろい、それをもとに新ゴールドプラン策定が予定されております。しかし、今回の税制改革大綱では、特別養護老人ホーム建設計画の大半が見送りとなり、ゴールドプランにかかわる財源のめどが全く立っておりません。そのために、在宅介護用のホームヘルパーの確保も先延ばしをしなければならないという状況が地方自治体の実態でございます。
 高齢化社会に対応する福祉対策としてこのプランが重要な柱であることは、申すまでもありません。総理は新ゴールドプランの扱いをどうするのか、お答えいただきたい。また、これを具体的に実行するおつもりがあるのかどうかについても、財源対策を含めてお答えいただきたいのであります。
 政治改革関連についてお伺いいたします。
 衆議院小選挙区の区割り法案がこの臨時国会に提出されました。周知期間を経て年内に施行されますと、政治改革関連法の処理が完結いたします。
 総理、藤波元官房長官に対するリクルート裁判で無罪判決があり、政治改革への反省が薄められるのではないかといった指摘があります。リクルート事件が六年に及ぶ政治改革審議の契機となったことに思いをいたし、腐敗防止の強化のためにも区割り法案の年内施行を実現しなければなりません。今回の無罪判決に対する所感と区割り法案の年内施行に対する総理の御決意を、伺いたいと存じます。
 次に、公共料金の凍結解除問題について伺います。
 民間企業では人員削減も含めてコストダウンに血の出るような努力をしている現状であります。凍結解除で政府機関や政府の監督下にある公共企業体が従来と同じような安易な判断で公共料金を引き上げることは納得できないというのが、国民の声であります。
 羽田前政権は、国民の声にこたえ、公共料金の年内凍結方針を表明いたしました。しかし、村山政権は、既に高速道路料金の値上げを容認し、続いて公団家賃、地下鉄など、公共料金の値上げを容認する方針と聞いております。これこそ景気回復にブレーキをかける要因となり、国民の声を無視するものと言わざるを得ません。また、公共料金の料金決定システムを抜本的に見直すべき時期を迎えております。
 総理、凍結解除の理由とともに、料金決定システムの見直しを行ったのか否か、このことについてもお答えいただきたいと思います。景気の動向について伺います。戦後最長最大と言われる不況が続く中で、政府は九月上旬に事実上の景気回復宣言を行いました。設備投資の回復のおくれが目立ち雇用悪化がますます進んでいる現状を踏まえると、まだまだ安全圏にはほど遠いと言わざるを得ません。総理、景気の現状と見通しについてどのように考えているのか、また今後どのような対策を講じるのか、明確にお答えいただきたい。
 総理、本年八月の有効求人倍率は〇・六三倍と昨年を下回っております。現在の雇用の状況、特に新規学卒者の就職状況、中でも女性の雇用環境は極めて厳しい状況にあります。男女雇用機会均等法の見直しを含め、雇用の安定化対策について総理の見解を求めるものであります。総理、最近の急激な円高ドル安は、中小企業を中心に国内産業に著しい打撃を与えております。このまま推移すれば、景気回復をおくらせるだけではなく、日本経済に深刻な事態をもたらすことが憂慮されるところであります。
 輸出関連の製造業者、特に中小企業者にとっては死活問題となっておりますが、これらの課題に対し総理は具体的にどのように対処されるのか、伺いたいと存じます。
 また、村山総理は規制緩和には極めて消極的であります。既に二百七十九項目の規制緩和が決定されておりますが、いまだに実行の具体策が示されておりません。規制緩和による社会の活性化が最も必要なこのときになぜ消極的なのか、その理由を伺いたい。
 総理、もし消極的でないとすれば、早急に具体策を明示すべきであります。この点についても明確な答弁を求めます。
 さて、明年は戦後五十周年の節目を迎えます。この歴史的な意義をとどめるためにも、被爆者援護法の制定はぜひとも実現しなければなりません。この取り組みなくして何のための村山政権がと申し上げたい。
 本年八月五日、広島で開かれた会合において、被爆者の一人は、政府は私たちが死ぬのを待っているのでしょうか、苦しみをわかろうともしないで何が人にやさしい政治でしょうかと述べておりました。
 特に、原子爆弾被害は遺伝子の損傷として残ることが医学者の中でも指摘されております。したがって、原爆被害に対する補償はその視点に立った制度の確立が必要であります。
 総理を初め社会党の皆さんは、国の戦争責任を根拠とする国家補償の考えを基本とした被爆者援護法の制定を強く訴え、運動されてきたはずであります。また、浜本労働大臣は、一九九〇年四月に「原爆被害はどうしても受忍できない」という本を出版されました。その中でも、現在の原爆二法には重大な欠陥があり、どうしても被爆者援護法の制定が必要である、それは国家補償による支援でなくてはならないと述べられました。
 総理、本年四月に社会党が発表した原子爆弾被爆者等援護法案大綱の中にも「国家補償の精神に基づき」という文言が明記されております。
 政府は、現在、被爆者援護法という名前を冠した、しかし中身は国家補償を入れない法案策定を検討していると一部で報道されましたが、事実でしょうか。法律にいかなる名前をつけようとも、重大なのはその中身であります。
 総理並びに労働大臣は、あくまで御自身の信念を貫き、国家補償の精神に基づいた被爆者援護法の制定を国民に約束されるのか、明確にお答えいただきたいと思います。
 農業問題について伺います。
 総理、ウルグアイ・ラウンドにおける農業合意は、自由貿易体制の堅持が日本の農業にとっても長期的には有益であるとの判断に立って細川内閣のときに決断したものであります。しかし、その際、社会党は合意に消極的でありましたし、自民党は当時表明された合意反対の態度を今もって正式に変更はしておりません。
 総理、ウルグアイ・ラウンドの協定の批准についてどのような態度でお臨みになるのか、批准に賛成なのか反対なのかはっきりとさせていただきたいと思います。
 また、自民党総裁である河野副総理の態度についても答弁を求めます。
 次に、外交・安全保障問題について伺います。
 村山連立内閣の三党合意には、「常任理事国入りについては、わが国は背のびをせず、国連改革の進展、アジア近隣諸国の推薦状況と国民的合意を踏まえて、慎重に対処する」とありますしかるに河野外務大臣は、さきの国連総会演説で安全保障理事会常任理事国への立候補を積極的に表明されました。国民の間には、常任理事国入りをすれば新たな軍事的な義務が生ずるのではないかといった不安もあることは事実です。
 総理並びに河野外務大臣は、三党合意に盛り込まれた国民的合意が既にできていると判断しているのか、答弁を求めます。
 また、総理は、三党合意に言うところの「近隣諸国の推薦状況」をどのように判断して立候補表明を決断したのか。とりわけ、北朝鮮は一昨日反対を表明し、中国、韓国からも明確な支持はないではありませんか。これらについても総理の見解を求めます。
 さらに、外務大臣演説では、憲法が禁ずる武力の行使はしないとされております。この「憲法が禁ずる武力の行使」とは具体的に何を想定しているのか、PKFは含まれるのか、また国連での軍事参謀委員会における活動はどうなのか、この点について政府内で詰めた論議をしたのかという点についても、総理並びに外務大臣に御答弁願います。
 先月来、ルワンダ難民支援のために陸上・航空自衛隊の皆さんがザイールに派遣され、医療活動に遇進しております。その御苦労に心から敬意を表するとともに、全隊員が無事任務を全うされ帰還されることを願ってやみません。
 ところで、今回の派遣に対し米国務省が、自衛隊の活動拠点となるザイール・ゴマの治安状況が悪い、現地入りの中止を含めて派遣計画を再検討すべきだと日本政府に非公式に伝えたとされております。総理は、現地に行かれた防衛庁長官の報告から要員の安全確保は十分であると判断しているのか、またどういう状況になれば撤退すると考えるのか、御見解を伺いたい。
 去る八月、防衛問題懇談会から冷戦後の安全保障政策についての報告が村山総理に提出されました。
 総理、報告書では、一国平和主義から脱皮して能動的な安全保障のあり方を提言しておりますが、これをどのように評価されますか。一方で、社会党が打ち出した限定防衛の構想は、防衛問題懇談会の考え方との間に相違のあることが指摘されております。専守防衛とはどう違うのか、また、防衛予算について来年度概算要求どおり対前年度比の伸び率○・九%以内に抑えるのか、これらの点についても総理の御答弁をいただきたい。
 村山内閣は、日米関係は日本外交の基軸であると標榜しております。
 総理、難航した日米包括経済協議は、政府調達、保険、板ガラスの三分野で合意し、不調に終わった自動車と同部品も、制裁候補が補修部品に限定されたことで今回の危機は乗り切ることができました。しかし、客観基準の解釈をめぐって日米両国に食い違いが早くも表面化しております。総理、日本外交の基軸である日米の経済関係、特に自動車部品についていつまでどうするのか、御説明いただきたい。
 以上、私は、それぞれの課題に対する村山内閣の対応、総理の所見等をただしてまいりました。そのいずれもが政策実行の具体性に欠け、国民的視点に立った明確なる展望が期待できないのであります。激動の時代にあって、内外の政治課題はただいま指摘した以外にも山積しております。
 また、内閣発足後初の国政選挙となった本院の愛知県再選挙は、単に愛知県の選挙ではなく、国民全体が注目し、村山連立内閣に審判を下した選挙であったと承知しております。総理、その選挙の結果は既に御承知のとおりであり、国民は明らかに自社連立政権の村山内閣に不信任の判定を下しております。私は、改めて内閣の早期退陣を要求いたします。
 五五年体制主役の村山政権は、政治改革関連法の完結を一日も早くなし遂げ、憲政の常道に従った新しい選挙制度のもとで国民の信を問うべきであると重ねて強く要求して私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣村山冨市君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(村山富市君) 及川議員の質問にお答え申し上げたいと思います。
 北海道東方沖地震に関する御質問でございますが、初めに、さきにも申し上げましたように、被災者の皆様方に心からお見舞いを申し上げたいと存じます。
 政府といたしましては、担当官を被災地に派遣いたしまして被害状況の的確な把握に努めるとともに、関係省庁が一体となって応急対策を実施してきたところでございます。今後とも道路等の被災施設の早期復旧に全力を挙げて万全の対策を講ずるつもりであります。
 次に、国際社会における平和の創出等についてのお尋ねがございましたが、変革期特有の不安定な状況にある国際社会は平和と繁栄のための新たな協力の枠組みを模索しております。そうした中で、日本は、平和国家として不戦の誓いを新たにし、恒久平和の実現に向け努力を行っておるところでございます。
 私は、こうした考え方に基づきまして、世界経済のインフレなき持続的成長の確保、地域紛争の平和的解決、不拡散体制の強化並びに軍縮の一層の促進、貧困に悩む開発途上国への支援、環境、人口といった地球規模の問題の解決等を初めとする幅広い分野で積極的で創造的な外交を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、水資源の確保など人間生活の根幹にかかわる内閣の対応姿勢についてのお尋ねがございました。
 水は我々の生活に欠くことのできない貴重な資源であり、豊かな国民生活と国土の均衡ある発展のためにその安定的な確保は不可欠でございます。
 政府といたしましては、今夏の厳しい渇水状況に対処するため、関係閣僚による会合や関係省庁渇水連絡会議等を常時開催いたしまして、渇水情報の収集・交換等の体制の整備、地域の水利用調整に基づく発電用水等の緊急利用、渇水の厳しい地域に対する機材等の支援体制の整備、各需要者への節水指導、国民への節水PR等広報活動等々の取り組みを行ってきたところでありますが、引き続きこれらの政策の推進を通じて渇水対策に万全を期しているところでございまして、何もしなかったということについては当たらないと思います。
 次に、最近の自民党への復帰の動き及び腐敗防止についてのお尋ねでありますが、国会議員は、政治倫理綱領により、疑惑が指摘されたときはみずから身の潔白を証明する義務が課せられておることは議員御承知のとおりであります。かつて、この点において解明が不十分と考えた場合には、社会党としても当該議員の辞職を求めております。
 私は、政治の浄化に向けた不断の取り組みなど幅の広い政治改革の推進に全力を尽くすことが、今や急務であると考えております。特に、政党への公費助成が制度化されることによって、政党はもとより、政治全体が腐敗防止に一層厳しい姿勢を要求されていることは当然の事柄だと思います。それだけに、政治腐敗や政・官・業の癒着構造などに起因する国民の政治不信を払拭する努力をしていくことが必要であることは申し上げるまでもございません。このため、現在、自民党も含め与党として、襟を正し、今回の一連の政治改革法案の提出など、徹底的な腐敗防止策の確立に努めているところでございます。
 私は、こうした努力によって、政治家個人個人がそれぞれ倫理を重んずることはもとよりでありますが一個々人の問題を越えて、我が国全体として政治改革が大きく進むことを期待しており、国民の皆様の御理解をいただきたいと考えておるところでございます。
 次に、政党の公約に関する見解及び政権の有無に伴う社会党の政策のあり方についてのお尋ねがございました。
 公約は申すまでもなく主権者である国民に対する政党、政治家の約束でございまして、政党政治、議会制民主主義の健全な運営にとって非常に重要なものでございます。その意味で、政党、政治家が公約の実現に努力すべきであることは当然でございます。ただ、その具体的な方法や進め方につきましてはいろいろなアプローチがございまするし、時代の変化に対応した政策展開を図ることも必要だと私は考えています。
 社会党は、イデオロギーの対立から従来の政治的枠組みを超えた政策対話へという時代の変化に対応いたしまして、不断に民主的で開かれた政策論議を重ね、自己変革に努めてきております。御指摘のような政策の転換とされる点につきましては、これまでの党の政策や運動が全面的に誤っていたからというのではなく、党の理念やその政策、運動の歴史的役割を大切な遺産として継承しながら、時代の変化で発展させていく方向を示したものでございます。
 私は今後、社会党が政権にあるか否かにかかわらず、国民にとりまして何が最適の政策選択かを基本に置きながら誠心誠意改革の道を邁進してまいりたいと考えておりますが、必ずや国民の信頼と支持を得られるものと確信をいたしております。
 村山内閣は改革に逆行するものであるとの御指摘でありますが、私の内閣は、この三カ月間、連立政権を構成する三党派のそれぞれが自己変革を遂げようと努めながら、透明で民主的な政策論議を重ね、内政、外交にわたる懸案の重要課題について、先送りすることなく一つ一つ着実に改革の方向を見出してまいりました。これは、このたびの連立政権が過去の行きがかりを超えてなし遂げ得た成果であると考えています。
 所信表明でも申し上げましたが、私が目指す「人にやさしい政治」は、決して易きにつき改革の産みの苦しみを避けて通る政治ではございません。私は、人にやさしくあるためには、まず自己に厳しくあらねばならないと考えております。痛みを伴うことがあっても、社会の構成員に対して真に責任を持った政策決定を行い、二十一世紀を見据えて政治経済社会の大胆な改革に全力で取り組んでまいる所存でございます。
 次に、私のリーダーシップについてのお尋ねがございましたが、戦後我が国の発展を支えてきた経済社会システムが内外変化に対応できなくなりつつある今日、二十一世紀を見据えて大胆に政治経済社会の改革に取り組んでいかなければなりません。
 私は、改革をさらに推し進め、世界から信頼され、国民が安心して暮らせる社会の実現を目指していくために、民主的で透明度の高い政権運営を行いつつ、御指摘のケースを含めてこれまでも思い切ったリーダーシップを発揮するよう努めてまいったところでございます。また、今後ともその決意にいささかの変わりもないことを改めて申し上げておきたいと存じます。
 次に、区割り法案の早期成立と新制度下での総選挙についてのお尋ねがございました。
 まず、区割り法案の成立につきましては、これによって衆議院の選挙制度の改革、政治資金制度の改革及び政党助成制度が初めて施行されることになりますので、法案の早期成立に向けて最善の努力を尽くす決意でありますが、議会の皆さん方の一層の御協力をお願い申し上げます。
 また、新制度下での総選挙につきましては、政治改革の推進を初め国内外の課題の山積する中、政治の停滞はひとときたりとも許されないものと考えています。まずは、これらの課題を一つ一つ誠実に遂行することが国民の期待にこたえるものであり、今のところそうしたことについては考えておりません。
 次に、行政改革の断行くの決意についてお尋ねがございました。
 行政改革の推進は、不断に進めていくべき国政上の重要な課題であると認識をいたしております。国民の理解と協力を得ながら、税制改革を進めていくに当たりましても、行政改革の着実な実行が何としても必要だと考えております。
 このため、与党の「行政改革を進めるに当たっての基本方針」を踏まえながら具体的方策を検討するように私から各大臣に対しまして指示をしたところでございまして、今後、各般の課題について改革案を具体化すべく不退転の決意で取り組んでまいる所存でございます。
 次に、高齢化社会への対応についてのお尋ねでありますが、今般の税制改革に当たりましても、与党における御論議の結果、少子・高齢社会に向けて当面緊急を要する政策について一定の福祉財源措置が講じられたところでございます。
 今次税制改革のいわゆる見直し条項をも踏まえまして、今後、新ゴールドプラン、エンゼルプラン等の内容についてできるだけ早く詰めを行うとともに、年金、医療等の自然増等の推計を行うなど、将来の社会保障の具体的な全体像を明らかにすべく努力をしてまいる所存でございます。
 次に、中堅サラリーマンの所得階層についてのお尋ねがございましたが、現行の制度では、所得税で言えば、税率二〇%が適用される働き盛りの中堅所得者層においては、収入がふえても税負担の増加が大きく、手取り金額が相応にふえていかない状態にございます。今回の恒久的な制度減税は、こうした状態を改善するため、税負担の累進構造を大幅に緩和しようとするものでございます。ちなみに、現行では、夫婦子供二人の給与所得者が二〇%の所得税率が適用される給与収入金額は七百九万円からでございます。
 次に、二階建て減税についてのお尋ねがございましたが、今申し上げましたように、今回の制度減税により、収入の伸びに応じ追加的な手取り金額が滑らかに増加するようになりました。また、ほとんどのサラリーマンが一生を通じ一〇%ないし二〇%の税率で済むということになります。その意味で、個人所得課税の改革として抜本的な減税を行ったものと考えており、その規模は三。五兆円となっております。また、当面の景気に配慮いたしまして、二兆円規模の特別減税を上乗せすることで、今年度と同規模の五・五兆円の減税を維持することといたしました。
 このように、今回のいわゆる二階建ての減税は、あるべき所得課税制度の構築、当面の景気への対策という二つの要請を満たすべく総合的に検討した結果であることについて、御理解をいただきたいと存じます。
 次に、益税問題についてのお尋ねがございました。
 免税点の水準につきましては、現行の免税事業者の平均従業員数が二人ないし三人と極めて零細でございまして、転嫁も十分に行われていないという現状もございます。そうした現状も検討しながら、今後とも検討すべき課題であると考えておりまして、当面、現行水準を維持することといたした次第でございます。御理解をいただきたいと存じます。
 総理は新ゴールドプランについてどう考えておるのかというお尋ねがございました。
 今回の税制改革におけるいわゆる見直し条項を踏まえまして、新ゴールドプランにつきましては、財源の確保に配慮しながらできるだけ早く具体的内容についての詰めを行い、策定を図って着実に実行してまいりたいと考えているところでございます。次に、藤波元官房長官の無罪判決に対する所感と区割り法案の年内施行くの決意についてのお尋ねがございました。
 まず、具体的事件に対する裁判所の判決についてでございますが、総理大臣として意見を述べることは差し控えたいと思います。
 ただ、政治、行政を預かる者として、一連のリクルート事件にかかわる問題につきましては大変厳しく受けとめており、今回の裁判の結果にかかわらず、国民の信頼を裏切らないように真摯にその任に当たることが肝要であると考えておるところでございます。
 そうした意味において、区割り法案を成立させることによって一連の政治改革関連法案が初めて施行されることとなりますので、法案の早期成立に向けて最善の努力を尽くす決意だけを申し上げておきたいと存じます。
 次に、公共料金についての御質問でございますが、現内閣は、前内閣における五月二十日の公共料金の年内引き上げ実施見送りに関する閣議了解を継承することを確認しております。また七月には、「公共料金年内引き上げ実施見送り措置」の趣旨も踏まえまして、年明け以降の料金改定の検討に入る前提として同措置の対象となっている事業の総点検を実施したところでございます。
 今後とも、事業の総点検の結果などを踏まえながら、個別案件ごとに厳正な検討を加え適切に対処するとともに、情報の一層の公開に努めてまいりたいと考えていることを申し上げておきたいと存じます。
 次に、景気の動向と今後の対策についてお尋ねがございましたが、景気全体の動向は、企業設備等の調整過程にあるものの、このところ明るさが広がってきておりまして、緩やかながら回復の方向に向かっております。他方、急激な円高など懸念すべき要因も見られるところでございます。
 今後につきましては、これまでの経済対策の効果等により住宅投資や政府投資が堅調に推移する中で個人消費の回復が本格化し、その民間部門のマインドの改善と設備投資の回復へとつながっていき、我が国経済は六年度中に本格的な回復軌道に乗るものと期待をいたしておるところでございます。政府といたしましては、今後とも内需を中心とした持続的成長の確保に努めてまいりたいと思います。
 また、税制改革の年内の実現に努力するほか、中長期的な観点に立ちまして、本日、閣議了解により公共投資基本計画の質量両面にわたる見直しを行ったところでございまして、今後さらに、規制緩和を初め産業・雇用構造の転換の円滑化の推進など、諸改革を強力に実施してまいる所存であることを申し上げておきたいと存じます。
 次に、雇用対策についてのお尋ねがございましたが、我が国経済はこのところ、先ほど申し上げましたように、明るさが広がってきているものの、雇用情勢につきましては依然として厳しい状況が続いております。このような厳しい状況に対応するため、雇用支援トータルプログラムの実施等により、離職者の再就職の促進などの雇用対策を引き続き強力に推進するとともに、女子学生を含めた新卒者の円滑な就職を全力で支援しているところでございます。
 また、男女雇用機会均等法については、現在、関係審議会で検討が続けられておりますが、その結果を踏まえながら適切に今後とも対応してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、円高対策に関するお尋ねがございました。
 本年に入りましてからの為替相場は、円高が進み、このところも百円をやや割った相場となっております。こうした状況に対しまして、七月のナポリ・サミット及びこれに先立つ日米首脳会談、そしてまた、さきのG7において、為替相場の安定の必要性について我が国から主張し、為替問題に関するG7各国の協調へのコミットメントが確認されたところでございます。
 我が国といたしましては、為替相場が思惑等により短期間のうちに大きく変動することや不安定な動きを示すことは好ましくないと考えております。今後とも、相場の動向を注視しながら、為替相場の安定にあらゆる角度から努力してまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、中小企業対策についてのお尋ねでありますが、累次にわたる経済対策や平成六年度予算における中小企業対策の中で、円高等の影響をこうむっている中小企業者に対しまして円滑に資金供給を行うことに加え、中小企業新分野進出等円滑化法を制定し、新たな事業分野への進出を支援するなどの対策を実施してきているところでございます。また先般、閣議におきまして産業・雇用構造の転換を円滑に進めるためにも政府全体として総合的な政策を推進するよう指示をいたしたところでございます。
 今後、経済の諸情勢に注意を払いながら、このような方針に沿って中小企業の創造的な活力の向上に一層努めてまいる所存でございます。
 次に、規制緩和への取り組み姿勢についてお尋ねがございました。
 国民生活の向上はもとより、経済の活性化や国際的調和の観点に立って規制緩和を断行することが不可欠であるという認識については変わりはなぐ、鋭意取り組んでまいっておるところでございます。したがって、規制緩和に消極的であるという御指摘は当たらないと思います。
 具体的には、政府はこれまでに決定をされておりまする規制緩和方策の早期具体化を図るとともに、十月中をめどに内外からの規制緩和要望を把握し、十一月には行政改革推進本部におきまして私を含め関係閣僚が内外からの要望を聴取することといたしております。これらを踏まえまして、今後さらに積極的かつ計画的に規制緩和を推進するため、閣僚レベルで本年度内に五年を期間とする規制緩和推進計画を取りまとめることといたしておるところでございます。
 次に、被爆者援護法に関するお尋ねがございました。
 被爆者対策といたしましては、放射能による健康被害という特別の犠牲に着目をいたしまして、原爆二法を中心に保健、医療、福祉の各般の施策を講じているところでございます。
 被爆者援護法の法制化の問題につきましては、さまざまな基本的課題があり、十分議論を尽くさなければなりません。
 私は、去る八月、広島と長崎を訪れまして、原爆の被害の恐ろしさと被爆者の方々の苦しみや悩みを改めて強く認識をいたしました。さらに、非核に対する日本国民の特別な思いということもございます。
 そこで、私は、この問題につきましては私からも強く要請をいたしまして、与党内で協議の場を設け特別に現在検討いたしているところでございます。政府といたしましては、今後与党と十分協議をしながら対処してまいる所存でございます。
 次に、WTO設立協定の批准についてのお尋ねでありますが、政府といたしましては、同協定の締結は貿易立国である我が国経済の繁栄の基盤である多角的自由貿易体制の維持強化にとって極めて重要であると考えています。このような認識に立ちまして、同協定の来年一月一日の発効に向け、早急に協定及び関連法案を国会に提出をし年内の成立を図る所存でございますが、議員各位の御理解と御協力をお願い申し上げておきたいと存じます。
 次に、安保理常任理事国入りの問題についてお尋ねがございました。
 この問題につきましては、国会における審議や与党内での議論、また新聞、テレビ等における報道等を通じまして国民の理解と関心は深まっているものと考えております。いずれにいたしましても、この問題は今後とも国連において議論されていく問題でありますので、引き続き国民の皆様の御理解を踏まえて取り組んでまいる所存でございます。
 次にまた、近隣諸国の立場についてお尋ねがございましたが、この問題につきましては、私は、各国首脳との一連の会談を通じ、我が国が安保理常任理事国となって責任を果たすことに対する各国の期待が大きいことを実感いたしました。既に相当数の国々が、陰に陽に我が国に対する支持を表明しているところでございます。
 中国、韓国などの立場について御指摘がございましたが、いずれにいたしましても、本件につきましては今後国連の場で議論が続けられるものでございますから、アジア諸国を含む国際社会の理解と支援を得つつ取り組んでまいる所存でございます。
 次に、国連総会での外相演説にいう「憲法が禁ずる武力の行使」についてのお尋ねがございました。
 例えば、我が国が集団自衛権を行使することは憲法上許されません。また、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣するいわゆる海外派兵を行うということは、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないと考えています。
 いずれにせよ、我が国といたしましては、あくまでも憲法の範囲内で国際の平和と安全のための役割を果たしていくという考え方については変わりのないことを、改めて申し上げておきたいと存じます。
 次に、PKFについてのお尋ねでございますが、いわゆる平和維持隊本体業務につきましては、国際平和協力法において自衛隊の部隊等が行う国際平和協力業務の一部として規定されておりまして、同法に従って自衛隊がこれに参加することは憲法上問題はありません。ただ、別途法律で定める日までの間これは実施しないということになっているわけでございます。
 次に、安保理常任理事国による戦略的指導の問題についてかねてより議論をしておりますが、軍事参謀委員会の活動は正規の国連軍が編成されることが前提となっており、この国連軍は、安保理が加盟国との間で締結する特別協定に基づいて提供される兵力により構成されることになっております。しかしながら、今日に至るまでかかる特別協定が締結されたことはございませんし、また締結の見通しも全く立っておりません。
 いずれにいたしましても、我が国は憲法の範囲内で安保理における責任を果たす所存でございますから、今の段階でお答えすることは適当でないと考えております。
 次に、ルワンダ難民支援のために派遣された要員の安全確保及び部隊の撤退についてのお尋ねでありますが、政府といたしましては、要員の安全第一の観点から、派遣先国政府に対する安全確保の要請、現地における治安情勢の十分な把握、護身用の武器等の装備品の携行等の措置をとっているほか、現地の治安状況が著しく悪化した場合には柔軟な対応の余地を残すなど、引き続き要員の安全確保に万全を期す考えでございます。
 また、国際平和協力法上いわゆる五原則が満たされなくなったと認められる場合のほか、例えば現地の治安が著しく悪化した場合において、種々の要素を総合的に踏まえても要員の安全を確保するとの観点から国際平和協力業務を継続して実施することが困難であると判断された場合は、撤収することもあると考えておるところでございます。
 次に、いわゆる能動的安全保障についてのお尋ねがございました。
 防衛問題懇談会の報告におきましては、「能動的・建設的な安全保障政策」という表現があります。そこでは、国際社会の協力の必要性を強調した上で、我が国が能動的な秩序形成者として行動すべきであるとの趣旨が述べられておると承知をいたしております。
 この報告につきましては、今後の防衛力のあり方を政府部内において検討する際の一つの参考としていきたいと考えておるところでございます。
 次に、限定防衛と専守防衛との違いについてのお尋ねがございました。
 社会党がさきに発表した安全保障政策「平和への挑戦」におきましては、「「限定防衛」構想は自衛隊の装備・編成・戦略の防衛的性格を国の内外に明白にすることを前提にしており、言葉の真の意味での専守防衛を追求するものである。」と明記されておりますように、その基本的な考え方においては、専守防衛と限定防衛の間に大きな差異があるものとは考えておりません。
 私といたしましては、連立政権の合意に基づいて、自衛のための必要最小限度の実力組織である自衛隊を維持しつつ、国の内外に専守防衛の姿勢が明確になるよう不断の努力を払ってまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、防衛予算と今後の防衛政策についてのお尋ねでありました。
 平成七年度の防衛関係費につきましては、今後の政府部内における予算編成過程を通じ、効率的で節度ある防衛力の整備の必要性、財政・経済事情等を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りながら適切に対処してまいりたいと考えているところでございます。
 また、今後の防衛政策につきましては、周辺諸国との信頼関係の構築を進めつつ、今後の我が国の防衛力のあり方について検討を行ってまいりますが、冷戦後の国際情勢の変化、国際社会における軍備管理・軍縮に向けての努力、将来における人的資源の制約の増大、科学技術の進歩、一段と厳しさ、深刻さを増している財政事情等を踏まえながら、今後とも慎重に検討する必要があると考えているところでございます。
 次に、日米経済関係の取り組みについてのお尋ねでありますが、日米の国民、企業間には既に緊密な経済関係がございまするし、今般の包括経済協議の大きな成果を基礎としながら、こうした経済関係が一層深まることを期待しているところでございます。
 我が国といたしましては、今後とも、日米経済関係は市場経済原則等を増進する基盤となるものでなければならないとの基本方針のもとで、その運営を進めてまいる所存でございます。
 さらに、自動車部品分野に関するお問い合わせがございました。
 今般、米国が同国の一九七四年通商法三〇一条に基づき、我が国の補修用自動車部品の分野について不公正貿易慣行の特定を行ったことは、極めて遺憾であると言わなければなりません。
 自動車部品の分野においては、近時、日米の関係業界の協力によりその取引の拡大が見られ、また我が国としては、補修用部品についても安全性の確保を前提に真剣に規制緩和を検討するなど、包括経済協議におきましても誠実かつ精力的に取り組んできたにもかかわらず、今般、米国がかかる一方的な手続を開始することとしたことは、日米両国政府が追求をしてきておりまする多角的自由貿易体制の維持強化という目的と相入れないものと言わなければなりません。
 現在のところ、調査の開始が決定されただけでありますから具体的な影響を生じてはおりませんが、一方的措置が講じられた場合には、我が国はあらゆる措置をとる権利を留保しているとの姿勢で臨むつもりでございます。
 なお、今回の三〇一条の特定に対する今後の対応については、当面冷却期間を置くことを含め、今後検討してまいりたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣浜本万三君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(浜本万三君) 及川議員に二つ質問をいただきましたので、お答えいたします。
 まず最初は、雇用問題と均等法の見直し問題でございます。
 最近の雇用失業状況は、有効求人倍率が一進一退で推移し、また完全失業率も三%になるなど依然として厳しい状況が続いておるものと認識しております。さらに、最近の急激な円高による我が国経済への悪影響も懸念されておるところでございます。
 こうした厳しい状況に対応するため、労働省といたしましては、総合的な雇用対策といたしまして雇用支援トータルプログラムを実施しておるところでございますが、今後は特に離職者の再就職促進に重点を置いた取り組みを強力に推進してまいりたいと思います。
 こうした中、新規卒業者の就職環境も厳しいものになっております。このため、私自身、事業主団体等を訪問いたしまして求人枠の拡大等について要請いたしますとともに、東京を初めとする全国の主要都市において大規模な就職面接会を継続的に開催しておるところでございます。また、女子学生の就職問題に対応するため、本年四月に男女雇用均等法等に基づく指針を改正いたしまして、募集、採用において女子に対する不利益な取り扱いがなされないように周知徹底に努めておるところでございます。
 最後に、均等法の見直しにつきましては、現在婦人少年問題審議会で検討が続けられており、その結果を踏まえまして対応してまいりたいと考えております。
 第二の質問は、原爆被爆者援護法に対する私の態度についての御質問でございました。
 御承知のように、私はこれまで国家補償に基づく被爆者援護法案の作成にかかわりました。また、及川さんを初め同僚議員とその成立に努力をしてまいりました。また、同法律案の内容について説明をいたしました小冊子を発行したことも御指摘のとおりでございます。来年は、御承知のように被爆五十年を迎えることになりますので、国家補償の精神に基づく被爆者援護法が成立することを強く期待しておるところでございます。
 しかし、目下連立与党の戦後五十年問題プロジエクトにおきまして真剣に協議されておりますので、私といたしましては期待を込めてその結果を見守っておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣河野洋平君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(河野洋平君) ウルグアイ・ラウンド協定についてお尋ねがございました。
 政府といたしましては、ウルグアイ・ラウンド交渉の結果作成をされましたマラケシュ協定の締結は、貿易立国でございます我が国経済にとりましてトータルに考えて極めて重要である、こう考えているわけでございます。
 一方、七月の先進国首脳会議あるいは先月の四極閣僚会議におきまして、同協定の来年の一月一日の発効を目指して国内手続をそれぞれ進めよう、こういう関係諸国の決意がそれぞれ表明をされて、確認をされたところでございます。
 政府といたしましても、同協定の来年一月一日の発効に向けてできる限り努力をする所存でございまして、先ほど総理がお述べになりましたように、国会におきましてもぜひ積極的な御審議をいただき、年内にその成立を見るために御協力をお願い申し上げたいと思います。
 国連演説につきまして御質問がございました。
 安保理改組と我が国の立場については、国会あるいは各政党内におきまして議員各位の議論が濃密に進んでいるというふうに思っております。それと同時に、新聞やテレビの関心も格段に高まってきておりまして、その結果と申しますか、その報道は国民の理解、関心を深めるのに大いに役立っているものと考えております。このことは各種の世論調査などにも反映されているというふうに私は認識をいたしております。これは一つの視点として我々考えていい点だろうと思います。
 国連総会で私が述べました「憲法が禁ずる武力の行使」とは一体何か、あるいはPKFが入っているかどうか、軍事参謀委員会についてはどう考えるかというお尋ねがございました。
 この三点については先ほど詳細な御答弁が総理からございました。そのとおりでございますと、こう申し上げます。(拍手)
#22
○議長(原文兵衛君) 先ほどの及川君の発言につきましては、速記録を調査の上、議長において適切な措置をとります。
 これにて午後一時三十五分まで休憩いたします。
   午後零時二十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十六分開議
#23
○議長(原文兵衛君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説及び国務大臣の報告に対する質疑を続けます。高崎裕子君。
   〔高崎裕子君登壇、拍手〕
#24
○高崎裕子君 私は、日本共産党を代表し、総理の所信表明について質問いたします。
 まず、北海道東方沖地震により被災された北海道初め各地の皆さんに、心からお見舞いを申し上げます。
 大きな被害と生活基盤の破壊は、住民生活に深刻な影響を与えています。政府は、実情をどう把握していますか。これらの復旧対策を急ぎ、そのための特別の財政措置、液状化対策、激甚災害の指定、とりわけ北海道方面が連続して大地震に襲われている最近の状況にかんがみ、地震観測地域の拡充や防災体制の充実などの面でも抜本的な検討が必要です。お答えください。
 次に、民主政治のもとでの国民に対する公約の重みについて総理の基本認識を伺います。
 総理、社会党が自民党と連立し、憲法、自衛隊、米、消費税問題などで大転換を遂げ、次々と重大な公約違反を重ねていることに、国民は戸惑いと怒りを大きくしています。
 政党、政治家の公約は、国民に対してその実現のために誠心誠意努力する最も重い責任を負うものです。国民は、みずからの意思を国政に反映させるために、公約により政治家と政党を選ぶのです。これが国民主権、民主政治の基本ではありませんか。だからこそ、総理自身も公約の重みについて九〇年の国会で、選挙公約というのは議会制民主主義の根幹に触れるもの、お互い政治家は公約を重く受けとめなければならないと述べていたではありませんか。
 総理は、一昨日、衆議院で、政権を担う立場での責任ある決定は公約違反ではないと答弁しましたが、事実は全く反対で、公約をまさに実現できる立場の政権につき、総理になった途端に米、消費税初めその公約を平気で投げ捨ててしまったのです。これでは一体何のための選挙か、国民の政治不信は決定的です。
 総理、あなたは議会制民主主義の根幹に触れると述べましたが、この認識は変わったのですか。
 社会党は、八九年の参議院選挙で、消費税反対の公約を掲げこの参議院で議席を大きく躍進させ、与野党が逆転、土井元委員長は「山が動いた」とまで言いました。それだけに、消費税に反対し税率引き上げを食いとめるこの参議院の責任は、とりわけ重大です。
 総理、今の社会党の議席は、まさに消費税を廃止し、消費税率を引き上げないために国民から負託された議席ではないのですか。ところが、今やその消費税反対の議席を逆に消費税増税の力にし、税率アップを最初に実行する内閣になるのです。これは国民に対する二重三童の裏切りです。国民にどう責任をとるのか、明確にしてください。
 昨年の総選挙の際、朝日新聞で総理は消費税廃止と明言し、社会党も税率は上げるべきではないと述べたこの事実さえ、否定されるのですか。はっきり答えてください。
 次に問いたいのは、消費税が弱い者いじめの悪税であることです。
 月三万円の年金暮らしの八十歳のおばあちゃんは、三%でも消費税は大変です、子供たちに迷惑をかけたくないと貯金をおろし、食べ物を切り詰めてやりくりしてきました、消費税がアップされたら私はもうとても生きていけませんと訴えています。
 戦前戦後、御苦労を重ね社会に尽くしてこられたお年寄り、そして年金生活者、障害者、低所得者の方々を、あなたはまだ苦しめようというのですか。総理自身、九〇年の国会で、逆進性など構造的欠陥を有しこれほど弱い者いじめの税金はないとはっきり述べていたではありませんか。今もそうお考えですか。それとも、その考えばもう捨てたのですか。はっきりと答えてください。
 さらに重大なことは、増減税一体といかにも減税のためであるかのように見せかけていますが、全くのごまかしです。年収八百万円以下、すなわちサラリーマンの約九割が増税となるのです。しかも、税率の見直し条項を盛り込み、六%にも引き上げるレールを今から引こうとするものです。実施する前に見直しするなど、前代来聞の悪法です。
 アメリカの内需拡大要求で六百三十兆円規模に膨らむという新たな公共投資基本計画は、消費税率の七%引き上げを予定しているのではありませんか。社会党の久保書記長は、この見直しは六%になる可能性もあると言いますが、総理も同じですか。
 世界に例のない大企業優遇の不公平税制の是正など、国民の願う根本的税制改革にどうして手をつけないのですか。これに加えて、ゼネコン疑惑に見られる公共事業や軍事費のむだ遣いをなくせば減税と高齢化社会を支える十分な財源を確保することができるのです。なぜそれをしないのか、明確に答えてください。
 次に、年金問題です。
 支給開始年齢の六十五歳繰り延べ、年金水準の引き下げ、保険料の引き上げと、自民党政権時代よりひどい改悪をしようとしています。
 社会党は昨年の選挙で六十五歳支給に反対し、総理も八九年の国会で、雇用と年金とはリンクしなければならない、六十歳で定年でやめた、この五年間は何で暮らすのかと述べたことと、全く矛盾するではありませんか。現に、六十歳以上の求人は十人に一人であり、国・地方公務員労働者も法律で六十歳定年を決めているではありませんか。しかも、六十歳定年といいながら、大企業のリストラのもと、転籍の名による五十代労働者の首切りが横行しています。
 総理は、高齢者雇用安定法があると言いますが、高齢者を労働者派遣の特例による雇用調整弁とし、強制的に低賃金労働者群に追い込むもので、六十五歳支給はゆとりある老後とは正反対の過酷な改悪にほかなりません。総理の言うぬくもりのある政治とはほど遠いものです。見解を求めます。
 六十歳支給を堅持し、雇用継続を望む労働者には雇用を保障する制度を確立すべきです。その財源は、総理もかつて基礎年金の国庫負担を二分の一にふやすなど工夫せよと要求していたように、今、総理がその工夫をする責任を持っています。お答えください。
 次に、米の輸入自由化についてです。
 昨年十二月、アメリカの圧力に屈し、ガット合意を受け入れました。三度にわたる国会決議やすべての政党の米輸入自由化反対の公約を踏みにじるものです。総理自身も、昨年の選挙公報で、米輸入自由化については断固阻止していきますと明確に約束しました。総理は本気で断固阻止すると国民に約束したのですか。結局は、総理の座と引きかえに農民や消費者を欺き、ガット合意の批准をすることにほかなりません。
 牛肉を自由化しても農家には迷惑をかけない、政府のこの言葉を信じて家族で必死に働いてきました。でも、残ったのは借金だけ。北海道では絶望した酪農家の自殺者まで出ているのです。一度自由化を受け入れたらどんな国内対策を講じても壊滅的打撃を受けることは、牛肉。オレンジの自由化が事実をもって示しています。交渉の当事者であった農水省の塩飽前審議官も、私はウルグアイ・ラウンドに参加するのは間違っていると言っても言い過ぎではないと述べています。日本農業を守る立場から、ガット農業合意は撤回すべきです。答弁を求めます。
 二十一世紀は世界的に食糧の危機の時代だと言われています。我が国が率先して食糧自給率を高めることが大切だとは思いませんか。後継者確保の制度の創設や既存の負債に対する長期無利子資金の創設など、抜本的な対策を講ずるべきです。総理の見解を求めます。次に、自衛隊の海外派遣についてです。
 総理、青年よ再び銃をとるなど国民に呼びかけ、戦後五十年、護憲を掲げ、憲法違反の自衛隊派遣は絶対許せないとPKO法に反対した社会党は、今どこに行ったのか。社会党首班の政権下でルワンダ問題で自衛隊に銃を持たせて派遣し軍事大国化への道を推進している事実に、国民は驚きと怒りの声を上げています。自衛隊の派遣は、PKOの派遣であれ人道的派遣であれ、五原則が適用され、さらに政府は、対立と紛争が存在し、紛争当事者間の停戦合意が成立していない地域には自衛隊は派遣できないとしていましたが、ルワンダ紛争がザイールに持ち込まれている以上、自衛隊のルワンダ派遣はPKO法に明らかに違反しているのではありませんか。
 総理、あなたは半月前、国会でルワンダ周辺の治安は極めていいと言いながら、死亡者を出したカンボジア派遣で持たせなかった機関銃をなぜ持たせたのですか。派遣地であるゴマ地域は旧ルワンダ政府軍が重武装して再結集していると言われ、治安の一層の悪化のもとで、既に米軍、イスラエル軍、フランス軍もすべて撤収したではありませんか。
 憲法に違反するばかりか、PKO法や国会論議でのさまざまな歯どめを無視してまで、なぜ今人道援助という名の自衛隊のルワンダ派遣なのか。既成事実を積み重ねて海外での軍事活動の条件を拡大することは、絶対許されません。見解を求めます。
 国連の安保理常任理事国入りについてです。
 あなた方は非軍事的協力と言いますが、国連憲章は、常任理事国に兵力の戦略的指導について責任を負う軍事参謀委員会の構成国になることを義務づけています。他の国連加盟国とは違う特別の軍事的権限と義務を負うことは明らかです。現に存在している軍事参謀委員会に参加するのかどうか、参加するならだれが参加するのか、明確に答弁してください。
 あなた方はあくまでも軍事行動を伴わないと言うのですが、それでは、あなた方の言う軍事行動とは国連軍参加や多国籍軍参加のことだけですか。後方支援は含まれるのですか。具体的に答弁してください。
 自衛隊を合憲としルワンダ派遣を合憲と言うあなた方の憲法解釈で、幾ら憲法の許容する範囲といっても、何の歯どめにもならないことは明らかではありませんか。アメリカ上院は全会一致で、常任理事国について、国連のあらゆる軍事活動に参加することを含むその地位にふさわしい全責務を履行する能九がなければならないと決議している事実を、総理はどのように受けとめていますか。明確な答弁を求めます。
 村山内閣が誕生して三カ月。そのもとで、以上触れたように、平和の問題はもちろん、民主主義を破壊する小選挙区制を仕上げる区割り法案、消費税アップ、米輸入自由化など、暮らしの問題でも日本の政治の歴史の中で今ほど国民が軽んじられ犠牲にされたことはありません。これは、社会党を含め、日本共産党を除くすべての政党が自民党政治を推進する立場に立ってしまったからです。
 村山内閣は自民党単独政権でやりたくてもなし得なかった悪政を一挙に推し進める内閣であり、村山内閣の速やかな退陣を強く要求いたします。
 日本共産党は、政治の主人公は国民、この立場から、国民の皆さんとともに自民党政治の悪政の流れを変えるため全力を尽くすことを述べ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(村山富市君) 高崎議員の御質問にお答えを申し上げたいと思います。
 まず最初に、北海道東方沖地震に関する御質問がございましたが、政府といたしましては、早速担当官を現地に派遣いたしましたり、あるいはまた、地元自治体、関係機関を通じまして的確な情報の収集に努めているところでございます。その結果、現在まで負傷者は二百八十八人、家屋の全半壊四十二棟などの被害を把握いたしておるところでございます。
 政府といたしましては、被災状況を踏まえまして、道路、水道等の早期復旧に全力を挙げるとともに、各種対策が迅速かつ円滑に実施されるよう必要な措置を講じておるところでございます。今後とも、防災対策の充実、地震観測体制の整備など、政府一体となって震災対策の推進に努力をしてまいる所存でございます。
 次に、公約の重みについてのお尋ねがございました。
 公約は、今さら申し上げるまでもございませんが、主権者である国民に対する政党、政治家の約束であって、政党政治、議会制民主主義の健全な運営にとって非常に重要なものであることは申し上げるまでもございません。その意味で、政党、政治家が公約を重く受けとめ、その実現に誠心誠意努力すべきであることは当然でございます。ただ、その具体的な方法や進め方につきましては、いろいろなアプローチがありまするし、時代の変化に対応した政策展開を図ることもまた必要だと思います。
 社会党は、イデオロギー対立から従来の政治的枠組みを超えた政策対話へという時代の変化に対応いたしまして、不断に民主的で開かれた政策論議を重ねながら自己変革に努めてきたところでございます。御指摘のような政策の転換とされる点につきましても、党の理念やその政策、運動の歴史的役割を大切に遺産として継承しながら時代の変化の中で発展させていく方向を示したものであると言わなければなりません。
 私は、今後ともこのような方向に沿って国民にとって何が最適の政策選択かを基本に誠心誠意改革の道を邁進してまいる考えでございますが、国民の皆さんの御理解と御支援をいただきたいと存じます。
 次に、これまでの選挙における社会党の消費税に対する姿勢についての一連の御質問がございました。
 社会党は、一九八九年の参議院選挙で消費税廃止を掲げたことは確かであります。これは、消費税導入の国会審議経過や消費税の制度的問題に基づいたものでございます。
 しかし、その後の消費税の定着状況も踏まえ、社会党は昨年の総選挙では、消費税の否認ではなく、所得・資産・消費に対するバランスのとれた課税を追求しながら、消費税については逆進性緩和など国民的要望に責任を持ってこたえられる取り組みを訴えてまいりました。
 今回の税制改革では、連立政権を樹立する際に結びました自民、さきがけ、社会党の合意事項を踏まえ、与党税調が論議を重ねて、慎重な検討の末、結論を得たものでございます。したがって、政権を担っている立場にある今回の責任ある決定に対し国民の負託に反する裏切りとの御指摘は、当たらないと考えております。
 なお、昨年の総選挙の際の経緯につきましては、御指摘がありましたが、国選挙における社会党の姿勢は、ただいま申し述べたとおりであることを申し添えておきます。
 次に、税率の引き上げについての御質問がこざいました。
 消費税の導入から五年半が経過しますが、国民の間に定着をしており、今後の少子・高齢社会に向けた財源やバランスのとれた税体系の確保の観点を考慮すれば、消費税についても正面から取り組んでいく必要があると考えているところでございます。
 こうした観点から、今回の税制改革におきましては、慎重の上にも慎重な論議を重ね、現行消費税制度に対して指摘されておりまする諸問題を抜本的に改革した上で消費税率を引き上げることとしたものでございます。
 今後とも消費税制度のあり方につきましては、よりよいものを目指して絶えず検討を重ねてまいらなければならないものと考えております。
 なお、低所得者層に対する負担増に配慮する観点から、個人所得課税において課税最低限を引き上げるとともに、真に手を差し伸べるべき人々に対しましては社会保障制度等を通じきめ細かな配慮を行うことが必要であると考えておるところでございます。
 次に、見直し規定と今後の消費税率に関連するお尋ねがございました。
 消費税率につきましては、いわゆる見直し条項を設け、社会保障等に要する費用、行財政改革の推進状況、課税の適正化の状況、財政状況等を総合的に勘案して検討を行い、必要があると認めるときは平成八年九月三十日までに所要の措置を講ずることとしておりますが、何らの予断を持っているものではなく、今後検討を深めてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、公共投資基本計画の見直しに関しての御質問がございましたが、新計画における公共投資の規模につきましては、本格的な高齢化社会の到来を間近に控え、豊かで質の高い生活を支える発展基盤を構築する見地から、社会資本が二十一世紀初頭には全体としておおむね整備されることを目標とし、経済全体とのバランスを考慮しながら、弾力枠三十兆円老含めておおむね六百三十兆円としたものでございます。したがって、消費税七%への引き上げといった構想を前提として総額を決定したものでないことは、明確に申し上げておきたいと思います。
 いわゆる不公平税制の是正についてお尋ねがございましたが、税負担の公平確保につきましては、企業関係の租税特別措置の整理合理化など従来から不断の努力を続けているところでありますが、今後とも絶えず追求さるべき重要な課題であると考えていることを申し上げておきたいと思います。
 次に、歳出削減による減税と高齢化社会を支える財源の確保についてお尋ねがございましたが、今後とも行財政改革を推進し財政の効率化に向けた歳入、歳出両面にわたる努力を続けることは言うまでもないことでございます。御指摘の公共事業や防衛費については、社会資本整備、景気対策、必要最小限度の防衛力の整備といった観点に立ち、従来から予算を適正規模とすべく努めてきたところでございます。しかし、今後とも、あらゆる経費について、制度の根本にまでさかのぼった見直しや、施策の優先順位の厳しい選択を行うなど、徹底した洗い直しに取り組み、財政改革を強力に推し進めてまいる所存でございます。
 次に、今回の年金制度の改正についてのお尋ねでございますが、今回の改正は、人口の高齢化が進行する中で年金制度を長期的に安定させていくためにぜひとも必要なものと考えているところでございます。このような観点から、年金制度についても雇用と連携のとれたものとしていくこととし、具体的には、六十歳代前半の年金については賃金と合わせで生活を支える年金として、六十五歳以降の年金とは別個の給付を支給することとしているものでありまして、御理解をいただきたいと存じます。
 高齢者雇用と六十五歳支給の関係についてお尋ねがございましたが、高齢者雇用の現状を見ますると、六十歳定年はほぼ定着をしてきておると考えまするし、また、勤務延長制度や再雇用制度の普及に現在努力をいたしているところでございます。さらに、今後、二十一世紀初頭までに六十五歳まで働くことができる社会の実現を目指してまいりたいと考えています。今回の年金制度の改正は、こうした高齢者雇用の促進と連携をとりながら六十歳代前半の年金のあり方について見直しを行おうとしたものでございます。
 六十歳支給堅持のため国庫負担の引き上げなどの工夫を行うべきではないかとのお尋ねでありますが、今回の年金制度の改正は、人生八十年時代にふさわしい年金制度とするためぜひとも必要なものであり、高齢者雇用の推進についても、六十五歳現役社会を実現できるよう万全を期してまいりたいと対策を講じているところでございます。
 基礎年金の国庫負担につきましては、現行制度のままでも急増していく国庫負担の財源をどう確保していくか、社会保険方式のもとで税と社会保険のバランスをどうとっていくかなどの問題がございまするし、中長期的課題として今後もさらに検討することが必要であると考えているところでございます。
 次に、米の自由化問題についてお尋ねがございましたが、昨年十二月の調整案の受け入れは、ウルグアイ・ラウンド交渉の成功のために応分の貢献を果たすことが我が国の国際的責務であるとの観点から、ぎりぎりの交渉の結果としてまさに断腸の思いで行われたものであると私どもは思っております。農民や消費者を欺いたものではないということは厳しい議論の過程で明らかにされたと思っております。私といたしましては、この合意の受け入れによって農家の方々が不安や動揺を来さないよう万全の今後の国内対策を講じてまいる所存でございます。
 次に、ウルグアイ・ラウンド農業合意を撤回すべきではないかとのお尋ねでありますが、政府としては、ウルグアイ・ラウンド農業合意を含むWTO協定の締結は、貿易立国である我が国経済の繁栄の基盤である多角的自由貿易体制の維持強化にとって極めて重要であると考えております。このような認識に立ちまして、同協定の来年一月一日の発効に向け、協定及び関連法案を今国会に提出をし年内の成立を図る所存でございますが、皆さんの格段の御協力をお願い申し上げたいと存じます。
 次に、食糧自給率についてのお尋ねがございました。
 食糧は国民生活にとって最も基礎的な物資であり、国民に対して安全な食糧を安定的に供給していくことが国の基本的な役割であると認識をいたしております。このため、今般のウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策大綱骨子を踏まえ、農業を誇りを持って携わることのできる魅力ある産業として確立するとともに、国土資源の有効利用により可能な限り国内生産を維持拡大し、自給率の低下傾向に歯どめをかけることを基本として政策展開に努めてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、抜本的な農業対策についてのお尋ねがございましたが、今後の農政の展開に当たりましては、政策推進の指針として示された農政審議会報告の趣旨を踏まえまして、我が国農業、農村が二十一世紀に向けて自立を遂げ持続的に発展していくことができるよう、幅広い観点に立った食料・農業・農村政策に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 特に、ウルグアイ・ラウンド農業合意の実施に伴う国内対策につきましては、緊急農業農村対策本部において去る四日に了承されました大綱骨子を基本方向として、農家負債問題も含めた経営対策、新規就農の増大等の対策を速やかに検討しながら、総合的かつ的確な施策を講じてまいる決意でございます。
 次に、ザイールも紛争当事国であり自衛隊の派遣は国際平和協力法に違反しているのではないかとの御質問がございましたが、今回のルワンダの紛争は内戦であり、ザイール国内には紛争が及んでいるわけではございません。ザイールは紛争当事者ではありません。したがって、紛争当事者でない国において人道的な国際救援活動を行う場合には停戦の合意はそもそも要件とされておらず、国際平和協力法上問題はないと考えているところでございます。
 次に、自衛隊の部隊が携行する機関銃についてお尋ねがありましたが、装備の決定に当たりましては、現地の治安情勢はもとより、業務の内容や、カンボジア等の場合と異なり他国の歩兵部隊が周辺に組織的に配置されているわけでもございませんが、三度にわたる現地調査の報告等も踏まえまして総合的に勘案をいたしました。その結果、隊員の安全確保に万全を期すためにはけん銃、小銃に加え機関銃を装備することが必要であると判断したものでございます。
 次に、ルワンダ難民救済のための自衛隊派遣についてのお尋ねでありますが、今回の派遣は国際平和協力法に基づいて行っている人道的な国際救援活動でございまして、海外での軍事活動の条件を拡大するようなものでは全くありません。
 また、ゴマの治安の悪化を理由に各国軍が撤退しているとの事実は承知をいたしておりません。
 軍事参謀委員会への参加についてのお尋ねでありますが、安保理改組後の常任理事国の権限及び義務についてはさまざまな態様があり程ますので、現時点において断定的に申し上げることは適当でないと考えています。仮に我が国の軍事参謀委員会への出席が現実の問題となる場合には、その際に具体的な出席者についての検討等は政府部内において行わなければならないと考えているところでございます。
 次に、軍事行動にどのようなものが含まれるかとのお尋ねでありますが、国際社会における諸活動に対しましてなし得る我が国の関与のあり方はさまざまであり、一概に論ずることはできませんが、我が国はいかなる場合でも憲法が禁ずる武力行使はしないことといたしております。
 最後に、常任理事国入りに関するアメリカ上院の決議についてのお尋ねがございましたが、この決議は、正確に申し上げまするならば、上院の意向表明という形式の法的拘束力のないものでありまして、そのようなものとして受けとめております。また、米国政府は、米上院のこのような動きは同政府を拘束するものではありませんし、我が国の安保理常任理事国入りを引き続き支持する旨明確に述べておるところでございます。
 以上で答弁を終わります。(拍手)
#26
○議長(原文兵衛君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時十一分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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