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1994/11/11 第131回国会 参議院 参議院会議録情報 第131回国会 本会議 第7号
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1994/11/11 第131回国会 参議院

参議院会議録情報 第131回国会 本会議 第7号

#1
第131回国会 本会議 第7号
平成六年十一月十一日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第七号
  平成六年十一月十一日
   午前十時開議
 第一 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙
  期日等の臨時特例に関する法律案(内閣提
  出、衆議院送付)
 第二 自衛隊法の一部を改正する法律案(第百
  二十八回国会内閣提出、第百三十一回国会衆
  議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、日程第一及び第二
 一、所得税法及び消費税法の一部を改正する法
  律の施行等による租税収入の減少を補うため
  の平成六年度から平成八年度までの公債の発
  行の特例等に関する法律案、所得税法及び消
  費税法の一部を改正する法律案、平成七年分
  所得税の特別減税のための臨時措置法案及び
  地方税法等の一部を改正する法律案(趣旨説
  明)
     ―――――・―――――
#3
○議長(原文兵衛君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 今井澄君から海外旅行のため来る十三日から八日間、松前達郎君から海外旅行のため九日間、それぞれ請暇の申し出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
 よって、いずれも許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(原文兵衛君) 日程第「地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。政治改革に関する特別委員長上野雄文君。
    ―――――――――――――
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔上野雄文君登壇、拍手〕
#6
○上野雄文君 ただいま議題となりました法律案につきまして、政治改革に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、全国多数の地方公共団体におきまして、議会の議員または長の任期が平成七年三月、四月または五月中に満了することになる実情にかんがみ、これらの選挙の円滑な執行と経費の節減を図るため、選挙の期日を統一し、その期日を、都道府県及び指定都市の議会の議員及び長の選挙については平成七年四月九日、指定都市以外の市、町村及び特別区の議会の議員及び長の選挙については四月二十三日とするほか、統一選挙の実施に伴い、同時選挙、重複立候補の禁止、寄附等の禁止及び共済給付金の特例等につき所要の措置を講じようとするものであります。
 委員会における質疑の詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#7
○議長(原文兵衛君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#8
○議長(原文兵衛君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#9
○議長(原文兵衛君) 日程第二 自衛隊法の一部を改正する法律案(第百二十八回国会内閣提出、第百三十一回国会衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長岡野裕君。
    ―――――――――――――
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔岡野裕君登壇、拍手〕
#10
○岡野裕君 ただいま議題となりました法律案につきまして、御報告申し上げます。
 本法律案は、外国における緊急事態に際して、生命等の保護を要することとなった邦人について、外務大臣から輸送の依頼があった場合に、防衛庁長官は、当該輸送の安全について外務大臣と協議し、これが確保されていると認めるときは、自衛隊法第百条の五第二項の規定により自衛隊の保有する航空機により輸送することができることとする等を内容とするものであります。
 委員会におきましては、村山内閣総理大臣の出席を求めるなど、鋭意審査を行い、輸送の安全確保問題、自衛隊機と民間機との使い分け、搭乗要員の確保と訓練の充実、艦船等輸送手段の多様化等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して立木委員より反対の旨の意見が述べられました。
 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し、二項目から成る附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(原文兵衛君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#12
○議長(原文兵衛君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
 これにて休憩いたします。
   午前十時七分休憩
     ―――――・―――――
   午後四時三十一分開議
#13
○議長(原文兵衛君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の施行等による租税収入の減少を補うための平成六年度から平成八年度までの公債の発行の特例等に関する法律案、所得税法及び消費税法の一部を改正する法律案、平成七年分所得税の特別減税のための臨時措置法案及び地方税法等の一部を改正する法律案、以上四案について提出者から順次趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。武村大蔵大臣。
   〔国務大臣武村正義君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(武村正義君) ただいま議題となりました所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の施行等による租税収入の減少を補うための平成六年度から平成八年度までの公債の発行の特例等に関する法律案、所得税法及び消費税法の一部を改正する法律案及び平成七年分所得税の特別減税のための臨時措置法案、以上三件につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の施行等による租税収入の減少を補うための平成六年度から平成八年度までの公債の発行の特例等に関する法律案につきまして御説明を申し上げます。
 今般の税制改革の実施に際し、当面の経済状況に配慮して所得税減税を先行すること等により平成六年度、七年度及び八年度の一般会計の歳入において見込まれる租税収入の減少につきましては、公債の発行により対処せざるを得ないところであります。このため、財政法第四条第一項ただし書きの規定等により発行する公債のほか、国会の議決を経た金額の範囲内で公債の発行を行うことができることとするとともに、当該公債等の償還に充てるための一般会計から国債整理基金特別会計への繰り入れの特例措置を講ずる必要があり、本法律案を提出した次第であります。
 その大要を申し上げます。
 平成六年度、七年度及び八年度の一般会計の歳入において見込まれる所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の施行等による租税収入の減少を補うため、各年度の予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で公債を発行することができることといたしております。
 さらに、当該公債等の償還に充てるため、国債整理基金特別会計法の規定による繰り入れを行うほか、平成十年度から二十九年度までの各年度において一般会計から国債整理基金特別会計に所要の償還財源の繰り入れを行うことといたしております。
 次に、所得税法及び消費税法の一部を改正する法律案につき説明を申し上げます。
 政府としては、活力ある福祉社会の実現を目指す視点に立ち、社会の構成員が広く負担を分かち合い、かつ、歳出面の諸措置の安定的な維持に資するような所得・消費・資産等の間における均衡がとれた税体系を構築する観点から、個人所得課税の累進緩和等を通ずる負担の軽減並びに消費税の中小事業者に対する特例措置等の改革及び税率の引き上げによる消費課税の充実を図ることといたしたところであります。
 その大要を申し上げます。
 まず、所得税につきましては、中堅所得者層を中心とした税負担の累増感を緩和するため、二〇%の税率が適用される課税所得の範囲の上限を六百万円から九百万円に大幅に拡大する等税率構造を見直すとともに、少額納税者への配慮として、基礎的な人的控除の引き上げ等を行うことといたしております。
 次に、消費税につきましては、まず、中小事業者に対する特例措置について、制度の公平性を重視する観点から、限界控除制度を廃止するとともに、簡易課税制度の適用上限を現行の四億円から二億円に大幅に引き下げるほか、一定の新設法人に対しましては事業者免税点制度を適用しないことといたしております。また、仕入れ税額控除につきましては、制度の信頼性を高める観点から、帳簿及び請求書等の保存を要件とする方式に改めることといたしております。
 これらの改正を中心とする消費税制度の抜本的な改革を行った上で、消費税率を現行の三%から四%に引き上げることといたしております。これにより、今般創設を予定しております地方消費税と合わせた負担率は五%となります。
 なお、所得税の改正につきましては、平成七年分から適用することとし、消費税の改正につきましては、当面の経済状況に配慮し、平成九年四月一日から適用することといたしております。
 次に、平成七年分所得税の特別減税のための臨時措置法案につき説明を申し上げます。
 政府としましては、所得税法及び消費税法の一部を改正する法律案による所得税の制度減税に加え、当面の景気に配慮して、平成七年分の所得税につきまして定率による特別減税を上乗せして実施することといたしたところでございます。
 その大要を申し上げます。
 この特別減税は、平成七年分の所得税に限り、同年分の所得税額からその一五%相当額を控除することにより実施することといたしております。なお、一五%相当額が五万円を超える場合には控除額は五万円としております。
 この特別減税の具体的な実施方法に関しましては、給与所得者については、平成七年一月から六月までの間に支払われた給与等に係る源泉徴収税額の一五%相当額を原則として同年六月に還付し、同年十二月の年末調整の際に給与等の年税額の一五%相当額から同年六月の還付金額を控除した残額を控除することにより実施をすることにいたしております。
 次に、公的年金等受給者につきましては、原則として平成七年六月及び十二月に半年分の源泉徴収税額の一五%相当額をそれぞれ還付することといたしております。
 また、事業所得者等につきましては、平成七年分の確定申告の際に所得税額からその一五%相当額を控除することにより実施することといたしております。なお、同年分の所得税に係る予定納税基準額は特別減税を加味して計算することにいたしております。
 以上、三法案につきまして、その趣旨を申し上げた次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○議長(原文兵衛君) 野中自治大臣。
   〔国務大臣野中広務君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(野中広務君) ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨の御説明を申し上げます。
 今回の地方税制改正に当たりましては、活力ある豊かな福祉社会の実現を目指す視点に立った今次の税制改革等の一環として、個人住民税について税率適用区分の見直し、基礎控除等の引き上げ等を行い、また平成七年度において定率による特別減税を実施するとともに、地方税源の充実を図る観点から、地方消費税を創設することとし、あわせて税制改革に伴い、消費税に係る地方交付税の率を引き上げるほか、個人住民税に係る減税による減収分を埋めるため地方債の特例措置を講ずることといたしております。
 以下、その概要について御説明申し上げます。
 まず、中堅所得者層を中心とした税負担の累増感を緩和するため、個人住民税の税率構造の見直し等による負担の軽減を行うこととしております。また、当面の経済情勢に対応するための措置といたしまして、個人住民税について定率による特別減税を平成六年度に引き続いて平成七年度においても実施することといたしております。
 次に、地方分権の推進、地域福祉の充実等のため、地方税源の充実を図る観点から、消費譲与税にかえて平成九年度から道府県税として地方消費税の創設を図ることとしております用地方消費税の税率は消費税額の二五%とし、消費税と地方消費税とを合わせた税負担率は五%となります。
 また、国内取引に係る地方消費税の賦課徴収につきましては、当分の間、納税者の事務負担等を勘案して、国において、消費税の例により、あわせて行うものとしております。輸入取引に係る地方消費税の賦課徴収についても、国において行うものとしております。
 さらに、道府県間の地方消費税相当額の清算、市町村に対する交付金制度の導入も行うこととしております。
 次に、平成六年度から平成八年度までの個人住民税の減税による地方団体の減収を埋めるための措置として、地方債の特例措置を講ずることとしております。
 また、消費税の収入額に対する地方交付税の率を、五・五%引き上げて二九・五%とすることとしております。
 あわせて、平成七年度以降の各年度における交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金の限度額を変更することとしております。
 以上が地方税法等の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(原文兵衛君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。峰崎直樹君。
   〔峰崎直樹君登壇、拍手〕
#19
○峰崎直樹君 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表して、今回の税制改革案について質問をしたいと存じます。
 今回の税制改革案についてはしばしば理念なき改革という批判が聞かれますが、一体何を根拠にそのようなレッテルを張ろうとするのでありましょうか。今回の税制改革の理念は、本格的な少子化、高齢化に対応するため、どのように安心と活力ある福祉社会を支え得る税制を構築していくのかという点に尽きるだろうと思います。税制改革案を提案した最高責任者である総理御自身から、改めて今回の税制改革の理念について国民に語りかけていただきたいと存じます。
 私は、今回の政府提案を高く評価するものですが、税制改革案の主な内容について、衆議院において改革から提出された修正案とも対比しつつお尋ねしたいと思います。
 まず、所得税減税についてであります。
 今回の減税は、働き盛りの中堅所得者層の負担累増感を緩和するため税率構造の累進性を大幅に緩和することをその趣旨とするものであり、低・中所得者層の負担軽減を重視したさきの抜本改革とあわせ考えるなら、所得課税のあるべき基本的な姿を実現するものであり、その規模は三・五兆円にも上るものであります。
 改革は、五・五兆円規模の減税を行わなければ抜本的な制度減税にならないと主張し、平成七年九月末までに所得税の負担軽減を図るべしとの修正案を提示しました。しかしながら、三・五兆円以上に減税規模を拡大すべしというだけで、課税最低限や税率の適度所得区分をどう設定するか、また、それに必要な財源確保に関しては一切口をつぐんでおり、その意味で無責任のきわみと言わざるを得ません。
 さらに、今回、こうした抜本減税を恒久的に実現するだけでなく、当面の景気への配慮から所得減税を消費税率の引き上げに先行して実施するとともに、五・五兆円の減税額を当面維持することとし、この減税総額とあるべき制度減税との差額を時限的な措置である二兆円の特別減税として実施することとしています。今回の所得減税は、足元の景気に十分な配慮を払いながら、将来を見据えたあるべき制度減税を実現できるものなのです。
 大蔵大臣、今回の所得減税に対する二階建てで抜本的でない減税といった批判についてどのようにお考えか、お伺いいたします。
 第二に、現行消費税についての大胆な改革と消費税の税率についてであります。
 創設当初から批判の多かった消費税も国民生活の中に定着しつつありますが、その一方で、現行制度に対しては、逆進性があることやいわゆる益税問題などを含め、国民の間に依然批判や要望があります。消費税が国民からの信頼を得るためには、これらの批判や要望に誠実にこたえていくことが必要であります。
 今回の税制改革では、こうした視点から消費税制度についての抜本的な改革が行われています。
 すなわち、中小事業者向けの特例措置について、限界控除制度の廃止、簡易課税制度の適用上限の大幅な引き下げなど大幅に改革するとともに、かねてからの懸案であった仕入れ税額控除方式についてはインボイス方式を採用することとされております。これらの措置はいずれも適正公平な課税の実現に資するものであり、消費税制度は新しく生まれ変わりつつあると言ってもいいでありましょう。
 このような消費税制度の改革を行った上で消費税の税率を改めるとしていることは、極めて重要であると考えます。
 消費税率については、初めに五%ありきということではなく、税制改革全体の中で、あるべき制度減税の規模や、当面緊急に整備することが求められる老人介護対策などに要する財源などをも考慮して、国民にお願いする消費税の負担をぎりぎりの水準にとどめているものであります。
 旧連立政権時代の国民福祉税とは正反対に、十分な手順を踏み、慎重な議論を重ね、大変な努力の結果こうした結論が得られたものであります。今後とも、低所得者層に対する有効な逆進性緩和策や、益税解消に向けた制度のより一層の改革に向けて努力を求めるものであります。
 これに関して、一部には消費税率引き上げを含む今回の税制改革が選挙公約に違反するものであるとの指摘もありますが、この点について総理のお考えをお聞かせください。
 さらに、与党における税制改革論議の中では見直し規定を設けることになったのです。平成八年九月までに二十一世紀に向けた福祉の財源や行財政改革の推進状況、課税の適正化の状況、財政状況などを総合的に踏まえ、腰を据えた十分な検討を行った上で税負担水準についての国民的選択を行うべきだとした点は、極めて意義深いものと考えます。
 これに関連して、改革からは、今後半年足らずの間に行政改革や福祉ビジョンの政府案を策定すべきなどの考えが出されております。また、その中で、来年の九月までに所得課税のあり方についての検討を行い、その結果を踏まえて消費税率に検討を加え所要の改正を行うべきともされております。
 しかしながら、既に述べたように、今回の政府案によって基本的な所得課税のあるべき姿は実現していると考えられますし、そもそも、所得税のあり方も消費税の税率も将来時点で決めようというのでは、抜本改革とも責任ある一体処理とも言えません。
 また、見直しのための期間はできる限り確保することが必要であります。消費税率の引き上げの期日を動かさないのであれば、見直し期限だけを前倒しするというのは拙速主義以外の何物でもありません。
 ただ、そうはいっても、行財政改革の具体化、福祉ビジョンの策定及び不公平税制の是正などがどのように進められていくかについて、国民の厳しいまなざしか注がれていることも事実です。総理、これらの諸課題について今後どのような取り組みを行う覚悟なのか、その決意のほどを国民の前に明らかにしていただきたいと存じます。
 あわせて、今回十分に切り込めなかった資産課税の充実についても、今後早急なる取り組みを進めるよう強く要請しておきます。
 第三に、地方消費税の創設についてであります。
 今回の税制改革で特筆すべきは、地方税源の拡充に目を向けたことであります。
 昨年六月に私たちは衆参両院で全会一致で分権決議を行っておりますが、地方分権の推進が時代の要請となっている中で、総論だけでなく、各論で具体的な前進を図ることが求められていたところであります。福祉充実の先頭に立つ地方自治体の自主税財源を確保するべく、地方消費税の導入について政治的決断を行ったものであります。政府として地方消費税創設にどのような意義を見るのか、お考えをお聞かせください。
 最後に一言。
 今回の税制改革は、まさしく来るべき少子・高齢社会に対応し得る税体系の構築を目指したものであり、活力ある福祉社会の実現に向けた第一歩とも言うべきものでありまするる申し上げたように、改革の修正案と比較しても、いかに今回の税制改革案がすぐれているかが認識できると思います。もちろん、見直し規定という今後の検討課題を背負っていることも事実ですが、現状において描き得る最善の答案であると言っても過言ではないと考えますが、いかがでしょうか。改めて総理の見解をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(村山富市君) 峰崎議員の質問にお答え申し上げたいと思いますが、まず今回の税制改革の理念についてのお尋ねがございました。
 人口の高齢化が急速に加速、進展している中で活力のある福祉社会の実現を目指す、そういう視点に立って今度の税制改革は議論をしてまいりました。これ、もう三党で慎重の上にも慎重な議論を重ね、特に各団体等の意見も十分聴取をして、可能な限り透明度の高い、民主的な、しかも皆さんから理解と納得の得られるような手続を経て出してきた結論でございます。
 同時に、今度の税制改革の大きな柱は、先ほども御意見の中にもございましたように、六十二年に所得税法の改革をやりました。その際には比較的所得の低い層の軽減をしたわけです。そのために中堅サラリーマン層と言われる層の税率が高い、重税感が強い。考えてまいりますと、大体五十歳前後の年齢の方が多いわけでありますが、そういう方々が、子供さんがちょうど高校から大学に入っておる、また御両親ももう介護を要するぐらいの年齢になっておる、言うならば一番負担の重い層が重税感が強い、しかも社会的に生産的な基盤では重要な役割を果たしておる、こういう層に着目いたしまして、できるだけ負担の軽減を図って公平化を期す必要があるんではないか、言うならば平均的なサラリーマンがサラリーマンとしての生活を終えられるぐらいまでの間は比較的重税感のない生活が過ごせるような、そういう配慮をする必要があるんではないかというところに着目したことが一つであります。
 もう一つは、それだけではやっぱりいけませんから、課税最低限を引き上げて所得の低い方々に対する配慮も行ったところでございます。
 同時に、これから高齢社会になってまいりまして、いろんな意味における負担がふえていくわけであります。その負担は、所得税だけに重税感を持って負担をしてもらうような行き方になりますと、働くサラリーマンに対する重税感が強まってまいりますから、その分については、できるだけ社会的な公平を期すという意味で、国民全体が公平な負担をしていくという意味では水平的な面における負担というものも検討する必要がある。そういう意味で、所得と資産と消費というものにバランスのとれた課税をする必要があるのではないかということに着目をしたわけでございます。
 ただ、しかし、そうはいっても、仮に消費税率を上げるということになりますと、それだけやっぱり国民の皆さんに負担を強いるわけでありますから、したがって、可能な限りその負担を抑えるという意味で、ぎりぎりの慎重の結果、五%に消費税率を上げるということに合意を見たわけでございますから、その点につきましては皆さん方の御理解を心からお願い申し上げたいと存じます。
 同時に、今は地方分権は時の流れになっておりますから、地方分権を推進する限りにおきましてはできるだけ自主財源を保障していくということ。も大事な視点でありますから、この際、消費譲与税にかえて地方税の独立税として地方消費税というものを創設することにいたしたわけでございますが、これは時代の流れに即応したものであるというふうに私どもは受けとめておるところでございます。
 今般の税制改革は、中長期的に見て、勤労意欲や事業意欲に対して好ましい影響を与え、経済社会の活力を高めることになると考えております。また、少子・高齢社会における福祉等、社会保障などの公共サービスの安定的な供給を支える税体系の構築を国、地方を通じて図ったものでございまして、私は今日段階における最善の案ではないかと考えておりますので、皆さんの御理解と御協力をお願い申し上げます。
 次に、今回の税制改革は公約違反ではないかというお尋ねでありますが、選挙公約の重みにつきましては十分認識しておるところであり、昨年の総選挙では、消費税の否認ではなく、導入後の消費税の国民への定着状況も踏まえながら所得・資産・消費に対するバランスのとれた課税を追求をする、消費税については益税の解消や逆進性の緩和など国民的な要望に責任を持ってこたえる取り組みをしたいと訴えてまいりました。
 今回の連立政権に際しましても、このような公約のもとにおきまして、自民党、新党さきがけ、社会党の間で、所得・資産・消費のバランスのとれた税体系を構築するため間接税の税率引き上げなど現行消費税の改廃を含む総合的改革を提示するとの合意事項を確認してきたところでございまして、今回の税制改革は、この合意事項を踏まえ、連立与党において慎重な議論を重ねた結果、合意を得た結論でございます。したがって、政権を担っているという立場である今回の責任ある決定は公約違反ではないと認識をしているところでございますから、御理解をいただきたいと存じます。
 次に、行政改革についての今後の取り組みについてのお尋ねがございました。
 行政改革は、この内閣が重要な課題として受けとめておりまするし、不断に進めていくべき国政上の重要な問題であると認識をいたしておるところでございます。
 このため、規制緩和につきましては、これまでに決定されております規制緩和方策の早期具体化を図るとともに、内外からの規制緩和要望を把握し、これを踏まえて本年度内に五年を期間とする規制緩和推進計画を取りまとめることとしておるところでございます。特殊法人につきましては、各省庁におきまして平成六年度内にすべての特殊法人の見直しを行うこととしております。その他、地方分権、行政情報公開、行政組織など各般の改革課題についても積極的に取り組み、国民の目に見える形で成果を上げるべく努力を図っているところでございますので、皆さん方の御理解をいただきたいと思います。
 次に、福祉ビジョンについての今後の取り組みについてのお尋ねでありますが、今般の税制改革に当たりましては、与党における御議論の結果、少子・高齢社会に向けて当面緊急を要する施策について一定の福祉財源措置が講じられたところでございます。
 また、今回の税制改革におきましては、社会保障等に要する費用の財源の確保、行財政改革の推進状況、租税特別措置等及び消費税に係る課税の適正化の状況、財政状況などを総合的に勘案いたしまして、消費税率についての見直し規定を置くこととしたのでございます。
 その検討過程において、新ゴールドプラン、エンゼルプラン等の内容についてできるだけ早く詰めを行うとともに、年金、医療等の自然増等の推計を行うなど、将来の社会保障の具体的な施策と必要経費について明らかにしてまいりたいと考えているところでございますので、皆さん方の御理解と御協力をお願い申し上げたいと存じます。
 次に、不公平税制の是正について今後どのような取り組みを行うかということについてのお尋ねでございますが、税負担の公平確保については従来から不断の努力を続けてきているところでございますが、今後とも絶えず追求されなければならない課題であると考えております。
 今回の税制改革におきましても、消費税の中小特例に関して抜本的な見直しを行うなど取り組んできたところでございます。
 納税者番号制度、利子・株式等譲渡益課税、租税特別措置等、懸案となっている諸事項についても、さらにこれからも厳しく検討を進めなければならない課題であると考えているところでございます。
 次に、今回の税制改革は最善の答案と考えるかとのお尋ねでございますが、冒頭にも申し上げましたように、今回の税制改革は、活力ある福祉社会の実現を目指す視点に立って、個人所得課税の負担軽減と消費課税の充実を図ることにより国、地方を通じてバランスのとれた税体系を構築するものでございます。
 この税制改革案は、与党内において慎重の上にも慎重な議論を重ねて合意をした結果でございまして、政府としては当面考え得る範囲では最善のものであると考えていることについて、皆さんの御理解をいただきたいと存じます。
 自余の質問につきましては、各閣僚から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣武村正義君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(武村正義君) 二階建てで抜本的でない減税ではないかという批判に対してどう考えるかという御質問でございますが、抜本的な制度減税と言えるためには、その規模が大きい小さいということではなしに、活力ある福祉社会の実現を目指す観点から、税体系の中であるべき所得課税を構築するために必要な改正を行っているかどうかが最も重要な基準だと思っております。
 今回の個人所得課税の負担軽減では、今も総理がるる御説明を申し上げましたとおり、中堅所得者層の負担累増感を緩和するために所得税率二〇%を中心とした税率ブラケットを十分に拡大し、その結果、収入が追加的に増加するにつれて税引き後手取り金額が滑らかにふえていくような累進構造を実現することになります。その意味で、抜本的な制度減税と言うのに十分値するものと考えます。(拍手)
   〔国務大臣野中広務君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(野中広務君) お答えいたします。
 今回の税制改革において地方消費税を創設することにいたしておりますが、これは、地方分権が時代の流れとなっておる中で、峰崎議員御指摘のとおり、昨年六月の衆参両院の分権決議の趣旨に沿ったものと考えております。
 また、今次の税制改革における消費課税の充実の一環として地方消費税が導入されることによりまして、御承知のように都道府県は、現在、法人所得課税に偏った、景気に左右される不安定な税収構造となっておることを考えますときに、地方団体の税収構造も安定性を増し全体としてバランスのよいものとなっていくものと考えられ、さらには、今後、地方分権に向けての論議や地域福祉の充実にもはずみがついてくると期待をしております。また、消費者の受益と負担の関係が明白であることや、納税者の事務負担の軽減等にも配慮した仕組みの税制であると考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#23
○議長(原文兵衛君) 粟森喬君。
   〔粟森喬君登壇、拍手〕
#24
○粟森喬君 私は、新緑風会を代表して、ただいま議題となりました税制改正関係法案について総理並びに関係国務大臣に対し質問するものであります。
 今回の税制改正は、所得課税の軽減を図る一方で、所得に対し逆進性を持つ消費税の税率を五%に引き上げることを主たる内容とする、国民生活に重要な影響を及ぼすものであります。国民は、この法案の動向と議論に高い関心を持っております。
 しかるに、政府・与党は、衆議院における審議に当たって、衆議院統一会派改革が提出した修正案の趣旨説明も聴取しないという議会制民主主義の原則を否定する行動に出たのであります。その後、一定の収束へ向けての対応が行われたことはそれなりに理解をしますが、これまでの本法案の審議過程における最大の汚点であります。
 加えて、本院でこの本会議を開会するための議院運営委員会で、新緑風会、公明党・国民会議、日本共産党の要求する重要法案を審議する前提である税制特別委員会の設置を、与党は拒否しました。極めて遺憾であり、強く抗議を申し上げます。
 政府・与党は一体ですから、このような議会制民主主義を無視した国会運営について、本法案の重要性からして、村山総理はこれでよいと考えておられるのかどうか、今後の国会審議と合意形成についてどのように考えておられるのか、見解を求めるものであります。
 国民は、東西対立時代が終えんし連立時代の到来という点からも、現実的な政策を求め、建設的な国会論議を行うものと期待しているのであります。増税という重要法案審議で、数に物重言わせ、衆議院ではごり押しの後、結果的に採決のやり直しを議長あっせんとはいえ行わざるを得なかった審議に、総理はどう弁明されますか、お伺いする次第であります。
 政権交代を日本の政治発展に不可欠と考える時代であります。それだけに、個別の政党の主張と基本政策が、与党と野党にあるときでは立場が違うということで全く逆の反対から賛成になるようでは、国民から政党政治が信頼を失うことになるのであります。自・社・さきがけ連立の現政府・与党に、この厳しさが欠けていたと言わざるを得ません。政府・与党の最高責任者である村山総理に、これらの諸点について明確な答弁を求めるものであります。
 さて、十一月九日報ぜられたマスコミの世論調査によると、消費税率を五%に引き上げることへの支持は二八%に対し、支持しないは六五%になっております。こうした国民世論をどのように考えておられるか、お伺いいたします。
 国民世論を無視した国会での議決は、税と政治に対する不信感を増幅させる以外の何物でもありません。国民大衆とともに歩んできた社会党党首でもある村山総理の見解をお伺いする次第であります。
 村山総理は、これまでの消費税反対の立場から、いつの間にか是認に変わりました。今は、所得税減税の前提があるとはいえ、消費税アップという立場であります。連立政権の枠組みがあるとはいえ、それぞれの政党の固有の基本政策を反対から賛成へ百八十度転換することが裁量の範囲、許容の範囲ということにおるのでございましょうか。この転換について、私どもへの答弁だけではなく、社会党の党首である村山総理が国民に対してわかりやすく納得のいく説明が必要だと考えます。明確な答弁を求めるものであります。
 本来、同じ趣旨の見解は自民党総裁でもある河野副総理にお尋ねしたかったのですが、本日は欠席であります。改めてお尋ねする機会があると思いますが、前の自民党総裁であった宮澤喜一さんは、時の内閣総理大臣として、消費税アップはやらないと明言しておりました。自民党はいつ消費税アップに転換したのか、明らかにする必要があると考えております。
 さらに、連立政権を支えるさきがけ党首でもある武村大蔵大臣にもお伺いをしたいと思います。さきがけは、行政改革による歳出抑制を強力に主張しておりました。今回の税制改正では、行政改革への具体的な数値目標がないままに消費税アップに同意したことは納得がいきません。明確な答弁を求めるものであります。
 次に、今回の税制改正とそれに関連をする諸問題についてお伺いをいたします。
 租税国家の大原則は、国民の負担する税でどのような社会を築くのか、国民にどのような生活を保障するのか、政府の方針が示され、その上で国民の理解と協力が必要なのであります。
 しかるに、政府・与党は今回の税制改正で高齢化、少子化への対応を看板に掲げながらも、福祉ビジョンの提示がないのに加え、新ゴールドプランやエンゼルプランの財源対策も不透明なままであります。さらに、行財政改革の具体策など、税制改正の前提であると主張してきた諸課題をすべて棚上げして、消費税増税だけを先取り決定するようなことは認められません。
 「人にやさしい政治」以前に、国民にわかる政治、国民だれもが正しく判断できる税制改正でなくてはならないと思うのでありますが、総理の見解を求めるものであります。
 これら税制改正への理念も原則も、中長期的な視点も欠き、その場しのぎの継ぎはぎ細工に終始したのが今回の税制改正法案であります。その典型が二階建て減税であります。この二階建て減税は、単に当面の消費税率の引き上げを小幅にするための措置であって、抜本改革にはほど遠いものであります。
 今回の税制改正の目的は、重税感の強い中堅所得層の所得税負担を引き下げ、同時に、課税ベースの広い消費税の比重を高めることで高齢化社会を支える税収構造をつくり上げる考え方だと理解をしておりますが、先進国の中で最も厳しい所得税の累進構造を緩和するためにも、今年度と同規模の所得減税を継続することが必要であります。我が国国内のみならず、世界に向けての公約でもあったはずであります。
 ところが、変則的な二階建て減税は、制度改正による減税規模を値切ったため、中堅所得層の重税感緩和や直間比率の是正という今回の税制改正の目的が極めて中途半端に終わってしまったのであります。この単なるつじつま合わせの二階建て減税に対する総理の所見を伺いたいのであります。
 次に、消費税の見直し規定について伺います。
 これが問題であるのは、法案に盛り込まれた消費税率五%の数字があくまでも仮置きの税率であり、これが実際に適用される平成九年度には六%を超えて上方修正される可能性が強く懸念されております。事実、十月十一日の衆議院予算委員会における武村大蔵大臣の発言でも、将来の年金や医療、介護、新社会資本整備などの費用を二%アップでカバーできるものではないとして、今後五%以上に消費税率を引き上げる可能性を結果的に認めております。
 しかも、今後は六百三十兆円の公共投資、六兆円の農業対策、整備新幹線の全面着工など、歳出要求はメジロ押してあります。具体的な財源措置が明らかでないために、消費税の大幅引き上げ以外に道がなくなるおそれがあります。総理は、これらの歳出要求の中で消費税率五%を据え置く自信があるのかどうか、明確な答弁を伺いたいのであります。
 政府は、当初五兆五千億円の減税と言っておりましたが、二年後には消費税率アップと二階建て減税の変更による実質増税になるというのが今回の税制改正の実体ではないでしょうか。
 この際、政府原案の平成八年九月の消費税見直し時期を一年前倒しして、平成七年九月までに抜本的な制度改正による減税を行うべきと考えますが、総理の見解を伺いたいと思うのであります。
 次に、消費税が引き上げられる際の個別間接税の調整措置についてお伺いいたします。
 消費税が引き上げられ地方消費税が創設されるにもかかわらず、飲食、宿泊等の消費にかかる特別地方消費税や自動車取得税については、いまだ存続の方針であります。消費税に加えて、特定の取引、サービスについて二重課税を容認することになっております用地方財源の充実を目的とする地方消費税の創設を機に、これらの税は廃止すべきと考えますが、自治大臣の見解をお伺いする次第であります。
 次に、政府は福祉財源四千億円が確保できたと説明をしておりますが、実体は、四千億円の建設国債の増発など税収以外の財源によって操作をしているにすぎないのであります。本来社会資本に充てられるべき建設国債を政府部門の経費増加分に利用することに対して、総理は何ら疑問をお感じにならないのか、明確な答弁をお聞きしたいのであります。
 次に、新ゴールドプランとエンゼルプランについて伺いたいと思います。
 これまでの総理の発言は、新ゴールドプランはまだ確定したものではないなどと逃げの答弁に終始しているのであります。財源措置が講じられなければ、厚生省が策定した新ゴールドプランとエンゼルプランは破綻の憂き目に遭うわけであります。総理は来年度予算編成までにこれらの財源措置を講ずる用意があるのかどうか、改めてお伺いをしたいと思います。
 あわせて、新ゴールドプランとエンゼルプランの前提となる福祉ビジョンとこれに要する費用について、本税制改正案審議中にも政府案を策定すべきと考えますが、総理の見解をお伺いしておきたいと思います。
 次に、行政改革についてお伺いいたします。
 特殊法人の見直しについて、政府はさきの閣僚懇談会で、十一月二十五日までに所管法人の見直し状況について総務庁に報告し、最終案を来年の三月に閣議決定することにしております。しかしながら、どの法人を見直すかという肝心な点を各省庁の判断にゆだねたものであり、このような官僚任せの行革は人にやさしい政治というよりもお役人にやさしい政治と国民は批判をしているところであります。どの特殊法人を整理・統廃合するかは、本来、総理が明確な青写真を提示すること、官僚任せではなく強力なリーダーシップを持って取り組むべき問題であると考えますが、総理の御所見を伺いたいのであります。
 総理や大蔵大臣は、就任以来、行政改革は税制改正の前提であると繰り返し述べておりますが、中身は雲かかすみのごとくで、国民にはさっぱりわかりません。政府は早急に行革に対する考え方を国民の前に明示する責任があります。そのためには、さきの特殊法人の見直しはもちろん、中央省庁の統廃合、公益法人の総点検など、行革スケジュール、経費節減目標などについて早急に政府案を提出すべきと考えますが、総理の見解をお伺いしておきたいと思います。
 最後に、減税特例公債の発行についてお伺いいたします。
 政府は平成六年度から八年度にかけて今回の減税に対応した特例公債の発行を行おうとしておりますが、このような三カ年度にわたる特例公債の発行の授権を政府に与えることは、予算の単年度主義の原則を破る危険性があります。かつて、赤字国債の発行は、単年度の授権法が毎年国会に提出、審議されることによって国債発行の歯どめと財政節度のあかしになったのであります。今回なぜこれを踏襲しないのか、伺いたいと思います。
 このような方式が行われると、あしき先例となり、財政民主主義の歯どめなき形骸化につながる懸念はないか、大蔵大臣の所見を伺いたいと思うのであります。
 また、政府は減税特例公債の償還を二十年間としたことについてでありますが、国債残高二百兆円、異常な財政悪化のもと、後世代への過大な負損を回避するためかつては十年償還を主張されていたのに、何ゆえに二十年間に負担延長したのか、その理由を伺いたいと思います。
 以上、税制改正関係法案について質問してまいりましたが、今必要なことは、今回の税制改正が真に高齢化社会に対応する税制改革になることであり、決して消費税を引き上げるためのつじつま合わせであってはならないということであります。
 二十一世紀の豊かで活力のある社会を築く素地をつくるのが、現世代である我々に課せられた責務であります。そのために力ずくで法案を通そうとするのではなく、国民の前で国会を通じ真剣かつ熱心に議論し結論を出すことが何よりも必要であることを強く総理に申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(村山富市君) 粟森議員の質問にお答え申し上げます。
 まず最初の質問は、衆議院での審議経過及び参議院での税制特別委員会設置の問題等に関連をして私の所見を聞きたいと、こういう御質問でございました。
 これは、私は行政府の責任者ですから、立法府の運営についてとやかく言うことは差し控えた方がいいと、こう考えておりますから、私から申し上げることは、円滑な審議を通じてぜひ成立のために御協力をいただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。
 次に、現在の連立与党・政府に対し、政党政治と国民の信頼についての厳しさが欠けているのではないかという、こういう御指摘がございました。
 考えてみますと、昨年七月の総選挙以後、連立政権が誕生しているわけでありますが、我々にとっては、この連立政権というのは初めての経験であります。したがいまして、この連立政権というのはどうあるべきかということについていろんな角度から議論があることは当然だと思いますね。
 もともと理念や政策の違う政党が、政策的な合意を求めて、そして国民のよりコンセンサスを得た合意点に達するべく努力をして、そして政権を担当していこうと、こういうものが私は連立政権だと思うんですね。したがいまして、これまで細川連立政権、羽田連立政権という経験をしてまいりましたけれども、その経験の反省に立って、より透明度の高い民主的な国民的な合意の得られるような、そういう運営をする必要があるという心がけで私どもはやっているつもりでございます。
 したがいまして、私は、そうした各党の協力によって運営される連立政権というあり方については、国民の皆さんの御理解と御協力はいただけるのではないかと、そのために我々は一生懸命努力する必要があると、こう考えてやっているところでありまして、御理解をいただきたいというふうに思います。
 それから、税制改革は世論の背景を考慮しているのかと、こういうお尋ねでございます。
 消費税というのは、もう全体として見れば国民の中に定着してきているということを前提に私どもは考えています。
 いずれにせよ、税制は国民の皆さんから負担をしてもらうものでありますから、何よりも国民の皆さんが理解としてある程度納得していただけるという手順を講じることは大事だということも踏まえまして、三党の中では慎重の上にも慎重な議論を重ね、単なる党内の議論だけではなくて、各団体の意見も聞きながら、できるだけ国民の皆さんに御理解がいただけるような手順を踏んで出してきた結論でございまして、こうした国会の審議を通じて国民の皆さんにもその内容をよく御理解いただけるならば御同意をいただけるんではないか、こう考えているところでございます。
 また、社会党の消費税についての対応をどう説明するつもりか、消費税率引き上げは「人にやさしい政治」なのか、こういうお尋ねでございました。
 振り返ってみますと、この消費税が創設された当時、私ども社会党、当時野党でありました社会党、公明党、民社党等々と一緒になって消費税の粘り強い反対運動を続けてまいりました。しかし、その反対にもかかわらず、多数でもって消費税は成立をしたわけです。現に法律として制定をされて、国民の暮らしの中に、経済行為の中に定着してきている」この事実はだれも否定できないわけであります。
 したがって、定着しておる今の消費税の持つ逆進性をできるだけ緩和して国民の皆さんから理解と納得の得られるようなものにしていこう、こういう努力を私どもは続けてきておるのでございます。
 しかし、今回はそうした議論の上に合意を得たものでございまして、私は、国民の皆さん哲」うした国会における議論を通じてよく御理解をいただけるならば、ある程度また国民の世論の調査の結果も変わってくるんではなかろうかと、こう期待をしておるところでございますから、皆さんの御理解をいただきたいと存じます。
 次に、ゴールドプラン、エンゼルプランの実施等について、今後、政府はどのように検討を進めていくつもりなのか、こういう御質問でございました。
 将来の社会保障等につきましては、今後、政府・与党における検討を中心に国民的議論を尽くす必要があり、その関連で消費税率の見直し規定を設けております。この規定のもとにおける検討過程において、新ゴールドプラン等の内容について詰めを行うなど将来の社会保障の具体的な姿を明らかにしながら、財源確保について議論を行ってまいりたいと考えているところでございます。
 行政改革につきましては、税制改革について国民の理解と協力を得るためにもその推進が極めて重要であるという認識を持っておりまして、与党の「行政改革を進めるに当たっての基本方針」を踏まえながら、積極的に取り組んでいくよう、各大臣に対して具体的方策の検討に着手するよう指示を行ったところでございます。
 また、歳出の節減合理化対策等につきましても、予算編成過程を通じて検討、具体化を図ってまいる所存でございます。
 次に、二階建て減税は抜本的でないとの御指摘でございますが、抜本的な制度減税と言えるためには、その規模が大きいか小さいかということではなく、活力ある福祉社会の実現を目指す観点から、税体系の中であるべき所得課税を構築するために必要な改正を行っているかどうかということが重要な基準であると私は考えています。
 今回の個人所得課税の負担軽減では、中堅所得者層の負担累増感を緩和するために所得税率二〇%を中心とした税率の幅を十分に拡大し、その結果、収入が追加的に増加するにつれて税引き後手取り金額が滑らかにふえていくような累進構造が実現しており、抜本的な制度減税に十分値するものであると考えているところでございます。
 次に、今後の消費税率に関するお尋ねでありますが、消費税率について見直し条項を設けていることは御審議をいただいている法案の中に盛られているとおりでありますが、現時点におきまして、何らの予断を持つことなく、今後この条項に挙げられた諸点を勘案した上で慎重に対応してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、消費税率の見直し期限についてのお尋ねがございました。
 当面の経済状況への配慮から消費税に係る改正は平成九年四月一日から実施することとしておりますが、消費税率の見直しにつきましては、社会保障等に要する費用の財源を確保する観点、行財政改革の推進状況等、さまざまな点を勘案して検討することといたしておるために十分な検討期間を確保することが必要であると考えておりますから、平成八年九月三十日を期限としたものでございます。したがって、一年前倒しにして拙速をするよりも、むしろ慎重な結果、本当に納得できるような結論を出すための努力をした方がいいのではないか、こう考えていることについて御理解を賜りたいと思います。
 次に、税制改革のフレームの一部に建設国債発行による財源調達が入っておることに関するお尋ねがございましたが、今回の措置により、政府における消費税負担の増加分のうちいわゆる公債発行対象経費に係る部分につきましては、構造的に厳しい国、地方の財政状況のもとで、そのかなりの部分が実際には建設国債で賄われることにならざるを得ないと考えられるため、これをフレームの中で考慮することとしたものでございます。
 この結果、税制改革フレームの一部に公債発行による財源調達が入ることになりますが、これにつきましては、それが税制改革の一環としての消費税率引き上げの結果いわば反射的に生じ得るものであるため、これに伴う建設国債の増発も税制改革に伴う財政収支に含めて考えることとした次第でございますから、御理解を賜りたいと存じます。
 次に、所得課税についてさらに抜本的に見直すべきであるとの御主張でございますが、今回の恒久的な制度減税は活力ある福祉社会の実現を目指す視点に立ち累進構造を大幅に緩和することとしたものでございまして、こうした負担軽減の措置により個人所得課税のあるべき基本的な姿が実現されるものと考えておりまして、御指摘には賛成しかねますということを申し上げておきたいと思います。
 次に、新ゴールドプラン及びエンゼルプランの財源措置についてのお尋ねがございましたが、これらのプラン自体については今後その内容を詰めていくものでございまして、現時点で財源を云々する段階ではないということについて申し上げておきたいと思います。
 なお、来年度予算におきましては、介護対策、少子対策のうち緊急を要するものについて一千億円の手当てを講じることとしているところでございます。
 次に、福祉ビジョン、エンゼルプランを早急に策定すべきとのお尋ねでありますが、今次税制改革に関して行われる消費税の税率につきましては、この検討過程において、新ゴールドプラン、エンゼルプラン等の内容についてできるだけ早く詰めを行うとともに、年金、医療等の自然増等の推計を行うなど、将来の社会保障の具体的施策とその必要経費について明らかにしてまいりたいと考えているところでございます。
 この社会保障の具体的施策や必要経費の検討につきましては、できる限り十分な検討期間の確保が必要であり、その検討期限を前倒しする必要はないものと考えているところでございます。
 さらに、特殊法人についてのお尋ねでございますが、本年二月の行革大綱及び去る九月二十二日の臨時閣議での私の指示に基づさまして、各省庁において、先般の与党の基本方針を踏まえ見直しに取り組んでいるところでございます。去る十月十八日の閣僚懇談会におきまして、総務庁長官から特殊法人の見直しの具体的な作業、手順等について発言がございましたが、その際に私から重ねて各省庁において鋭意取り組むよう指示したところでございます。
 このように政治家たる閣僚がそれぞれ率先をして取り組んでおるところでございますから、これは信頼をして期待をしていただきたい。私どもはその決意で取り組んでまいる決意でございます。次に、行政改革の内容、スケジュール、経費節減目標等について早急に策定すべきとのお尋ねでございました。
 行政改革につきましては、規制緩和、地方分権、特殊法人など各般の課題につきまして既定の方針に沿って着実に実行してまいる所存でありますが、御指摘の件につきましては、行政改革はそのときどきの行政をめぐる状況や国会の御議論、国民の御意見を踏まえながら議論をしていく必要があること、行政改革はその効果を具体的な金額で表現し得ないものが多くあるので歳出の削減についてあらかじめ定量的に示しがたいことなど、困難であると考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、行政改革の推進に積極的に取り組み、国民の目に見える形で成果を上げみべく努力を払ってまいる決意であることだけは申し上げておきたいと存じます。
 残余の質問につきましては、各閣僚から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣武村正義君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(武村正義君) 行政改革につきましては、税制改革について国民の理解と協力を得るためにも、その推進が極めて重要であるという認識を持っております。
 与党の「行政改革を進めるに当たっての基本方針」、これ在踏まえて、政府としましても各般の改革課題について検討を進め、具体的な成果が得られるように取り組んでまいります。大蔵省としても積極的に努力をしてまいる所存であります。
 また、歳出の節減合理化対策につきましては、予算編成過程を通じて具体的に進めてまいりたいと考えます。
 次に、特例公債発行授権の問題でありますが、特例公債については税制改革と表裏一体のものでありますし、したがって税制改革が完結するまでの間の複数年度について発行の授権をいただく必要がございます。したがって、三年間にわたる特例公債発行の授権をいただくことは、御指摘の財政民主主義を具現している予算の単年度主義に反するものではないと考えます。
 本法律案に規定されておりますとおり、各年度における具体的な発行限度額については各年度の予算において定めることにいたしておりますし、各年度ごとに御審議をいただく予定でございます。
 最後に、特例公債償還二十年という問題でございますが、減税特例公債は当面の経済状況等に配慮した減税先行による税収減を補うもので、後世代に負担を残さないようにすることが何よりも大事であります。できるだけ早期に償還するという方針を貫きたいと思います。
 この考えに立ちまして、通常の公債の償還期間である六十年の三分の一である二十年に償還を短縮して努力をしてまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣野中広務君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(野中広務君) 粟森議員の御質問にお答えをいたします。
 特別地方消費税は、議員御承知のように、粟森議員のお地元の石川県等の観光地を中心といたしまして、地方団体にとりましては貴重な自主財源でありまして、したがいまして、今日、地方分権が言われておりますときに、代替の財源の見通しもなく安易に廃止を口にするべきでないと考えております。
 今後、地方消費税の導入のときまでに、連立与党の税制大綱におきましては、そのあり方について課税の趣旨、必要性等を踏まえ、さまざまな観点から抜本的な検討をするとされておりますので、自治省といたしましてもその論議を見守ってまいりたいと存じております。
 次に、自動車取得税は自動車の所有権の取得に担税力を見出して課する税でありますとともに、受益者負担、原因者負担的な性格を持つ地方道路の目的税でございます。
 現在の地方の道路の整備状況を考えますときに、今日、地方団体の道路財源といたしましては、現在年約六千億の税収であります。その七割は市町村に交付されておるわけでございますので、地方団体にとりましては道路整備の上で貴重な欠くことのできない財源であると認識をしておるのでございます。今後とも自動車の取得者に応分の負担を求めていくことが必要であると考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#28
○議長(原文兵衛君) 牛嶋正君。
   〔牛嶋正君登壇、拍手〕
#29
○牛嶋正君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題になりました税制改革法案について総理及び関係大臣に質問をさせていただきます。
 このまま他に類を見ない速さで高齢化が進展するとすれば、二十一世紀初頭には世界でも最も進んだ超高齢社会を迎えることになり、しかも一億二千三百万人の人口を擁する大国で超高齢社会を維持しなければならないという、先例のない国づくりを進めなければなりません。その場合、税制改革大綱でも言われているように、安心と活力ある豊かな福祉社会の実現を目指すとすれば、経済大国の建設の過程でつくられてきた今の社会の仕組みや諸制度を抜本的に見直し改革を進めていかなければならないことは、言うまでもありません。
 したがって、昨年七月、五五年体制が崩れた後、細川内閣及び羽田内閣はたゆまぬ改革を唱えてまいりました。今、村山内閣がそれを受け継いで改革を進めなければ、政治に対する国民の期待に沿うことはできないのではないかと思います。
 その場合、経済体制の基本に市場経済を置くとしても、社会の構成員が互いに支え合い、広く負担を分かち合うといった共存ないしは共生の側面を強めていかざるを得ないことを考えれば、超高齢社会の運営に当たって、公共部門すなわち財政の果たすべき役割の増大は避けることができないと言えます。したがって、高齢社会が安心、豊かさ、活力を保持しながら運営されるために、税制改革と行政改革を推し進めて我が国の財政基盤の強化を今図っていかなければならないことは、言うまでもありません。
 その意味では、今回の税制改革は、戦後間もない昭和二十五年に行われたシャウプ税制改革と戦後の租税史の中で同じ位置を占めるものと考えられます。戦争によって完全に荒廃した我が国経済を立ち直らせ、国民の生活の安定を図ることを目指して行われたシャウプ税制改革は、その後、半世紀にわたって我が国の税制の骨格となるものをつくってきたのであります。
 今、我が国の経済情勢はその当時と比較するすべもありませんが、だれもが安心の得られる超高齢社会の実現という未知の国づくりを目指していることにおいてはシャウプ税制改革のときと全く変わりなく、それだけに、二十一世紀の高齢社会を維持していくにふさわしい税制の構築を目指して今こそ抜本的税制改革を進めなければならないのであります。このような観点に立つとき、今回の税制改革は余りにも拙速で継ぎはぎ的改革の感をぬぐえないのであります。
 まず、このような視点に対して、総理がどのようなお考えをお持ちかをお尋ねします。
 抜本的税制改革を進めるとき、改革の目的、改革の基本理念及び改革の具体案の三点がきちっと整わねば、改革案に対する納税者の理解を得ることはできません。すなわち、何のために税制改革を進めようとしているのか、それが国民に明確に示され、改革の具体案がその改革の目的とどのように関連しているかが国民に理解されなければ、国民はその税制改革には反対の立場をとることになります。
 その場合、納税者が税制改革の目的に掲げられる高齢社会あるいは福祉社会について本当に知りたいと思っていることは、高齢化が一層進む中で経済、財政がどのように運営されるかであって、「活力ある」とか「豊かな」といった高齢社会につけられる修飾語ではありません。もっと具体的に言えば、二十一世紀の高齢社会においても経済発展はあるのか、もしあるとすればその速度はどれほどか、また、そこで得たパイはどのように分配されるのか、そして、経済、財政の運営の仕方と自分たちが負わなければならない負担とはどのように関連するのか、といったことが納税者の最も知りたいところであります。
 ところが、今回の税制改革は、税制改革の目的及び理念が余りにも不明確であります。したがって、具体の改革案がその説得力に欠けているわけであります。
 今、総理が頭に描いておられる税制改革の目的である二十一世紀の高齢社会のイメージについて、改めてお伺いいたします。できるだけ具体的な説明をお願いをしたいわけであります。
 福祉ビジョンとして中福祉中負担の日本型福祉社会の実現を目指すとした場合、少なくともGNP成長率は二・五ないし三%の水準を維持していかなければならないと考えられますが、その場合、財政の健全性を確保するため、財政運営に当たって、特例公債の発行を行わない、そして財政負担をできるだけ後世代に残さないという二つの枠組みを設定するとき、簡単なモデルに基づいて推計しても明らかなように、中福祉中負担の日本型福祉社会の基本にある国民負担率を五〇%以下に抑えるという目標は実現しないことになります。言うならば、中福祉中負担は中福祉高負担にならざるを得ないのであります。そして、もし中負担を守ろうとすれば、GNP成長率を一ないし一・五%の水準まで落とさざるを得ませんが、その場合、結果的には年金制度の維持は困難となり、結局、低福祉中負担とならざるを得ないのであります。
 したがって、二十一世紀にはこのような困難な問題が待ち構えていることを率直に納税者に説明し、その上で、中福祉中負担の日本型福祉社会の実現に向けて徹底した行財政改革を進め、行政の効率化に努める覚悟であるから、納税者の方々も税制改革に理解を示してほしいとする手順をとらなければならないと考えられます。この問題についての総理の覚悟を納税者の理解が得られるように披瀝していただきたいのであります。
 これまでの税制改革では、公平・中立・簡素の三原則が前提に置かれ、それらの原則に最もよく適合する税目によって税制を組み立てていくことで、望ましい税制が確立されてまいりました。しかし、今回の税制改革では、そこに掲げられている基本理念と今申しました三原則との関連性が明確でなく、そのことが理念そのものをあいまいなものにしているのであります。
 例えば、社会の構成員が広く負担を分かち合う、そのような税制の確立を目指すという理念を考えてみますと、これによっていずれの立場の納税者から見ても公平で公正な税制がつくられるのか、それとも納税者の労働意欲や貯蓄意欲を阻害しない中立の原則により適合した税制が確立されるかが明確ではありません。
 また、所得・資産・消費に対する課税のバランスのとれた税制の確立という理念がありますが、これは公平・中立・簡素の三原則とどのように関連しているかについても納税者の側から見て極めて不明確であります。もしこの理念が税収の安定性を確保することを意図するものとすれば、それは課税側の原則であって、納税者側から見た三原則との関連はますますあいまいなものになります。
 そこで、改めて総理と大蔵大臣に今回の税制改革は公平・中立・簡素の三原則、とりわけ公平と中立のいずれに重点を置いて進められようとしているかをお尋ねいたします。次に、具体的な改革案について三点ほどお伺いいたします。現行の所得税の構造を見るとき、給与所得者の場合、年収一千万円を超える所得階層から実効税率が急激に高まっていくことは明らかであります。しかし、アメリカ、イギリス、ドイツなどの先進諸国の所得税と比較するとき、実効税率の水準は我が国の方がまだかなり低いのであります。それゆえに、今回の所得減税によって実効税率がさらに引き下げられた場合、二つの問題が提起されます。
 その一つの問題は、このような税率構造のもとで我が国の税制の中で所得税を基幹税目として位置づけていくことができるかという問題であります。もう一つの問題は、このような税率構造によって高齢社会における所得税の垂直的公平を確保し続けることができるかであります。この問題について大蔵大臣の見解を求めます。
 消費税が平成元年に導入されて丸五年が経過して、消費税は定着したという意見が聞かれます。もちろん、導入時における価格表示についての議論はだんだん影を潜めてまいりましたが、こうした表面的な現象で消費税が定着したと見るのは私は早計ではないかと思います。
 このことは、税率が三%という諸外国に比べて五分の一ないしは六分の一の低い水準であることが関連しているように思われるわけです。それだけに、消費税率の引き上げの前に消費税としての性格づけをきちっと整えておくべきであります。
 その場合、消費税が企業課税でなく消費課税であるための第一の条件が税負担の転嫁が保証されていることであるとすれば、いずれの取引段階で課税される税負担も最終的には消費者に帰着していかなければなりません。それゆえに、課税方法として現行の帳簿方式にかわってインボイス方式を採用することが消費税の税率引き上げの前提となるものと私は考えますが、この点についての大蔵大臣の見解をお尋ねいたします。
 地方税体系を考える場合、公平・中立・簡素の三原則に加えて税収の安定性とか普遍性が重要な基準となりますが、現行事業税のように、これらの基準に適応しない税目については、所得課税から外形課税への移行が図られるべきであるとされてきました。その場合、外形標準として何を選ぶかが問われるわけでありますが、これまでの議論では、付加価値額が最も有力な課税ベースとみなされてきたのであります。したがって、今回の地方消費税も付加価値を課税ベースとすることを想定いたしますれば、まさに事業税の外形標準課税化への第一歩とみなされるものであります。
 私は、高齢社会における地方自治体の役割を考えますときに、この地方消費税の導入を地方税体系の抜本的見直しの第一歩とすべきではないかというふうに考えているわけでありますけれども、この点についての自治大臣の見解をお尋ねいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(村山富市君) 牛嶋議員にお答えを申し上げたいと思います。
 最初の質問は、高齢化社会に向けた税制改革についてのお尋ねでございますが、人口の高齢化が急速に加速、進展している中で活力ある福祉社会の実現を目指す視点に立ちましで、中長期的に見て、勤労意欲や事業意欲に対して好ましい影響を与え、経済社会の活力を高めるとともに、少子・高齢社会における福祉等社会保障などの公共サービスの安定的な供給を支えるような税体系の構築を国、地方を通じて図ることが必要であると考えております。今回の改革案はその大きな第一歩でありまして、さらに見直し条項を設けて改革を行うこととしていることについて御理解を賜りたいと思います。
 次に、今回の税制改革の目的についてのお尋ねでありますが、先ほども申し上げましたとおり、個人所得課税について、働き盛りの中堅所得者層を中心に税負担の軽減を図る、歳出面の諸措置を安定的に維持していくために社会の構成員が広く税負担を分かち合えるよう消費課税の充実を図るというものであります。
 また、地方分権の推進、地域福祉の充実等の観点から、地方税源の充実を図る必要があり、現行の消費譲与税にかえて地方消費税を創設することといたしたことにつきましても御理解を賜りたいと存じます。
 次に、中福祉中負担の日本型福祉社会の実現に向けて納税者の皆様の御理解を得るために行財政改革を推進すべきであるとの御指摘がございましたが、そもそも国民負担のあり方につきましては、究極的には国民が必要とする公共サービスの水準と表裏一体をなすものでございます。これは、受益と負担のバランスを眺めつつ、そのときどきの情勢のもとで国民的な選択が行われるべき事柄であると考えています。
 今後、高齢化社会の進展等に伴い、国民負担率も長期的には上昇していくことが避けられないと考えられるものの、いずれにいたしましても、政府といたしましては、経済の発展、社会の活力を損なわないよう国民負担率の上昇を極力抑制すべく行財政全般にわたり不断の改革努力を行うことが必要であるという認識を持っていることについて、申し上げておきたいと存じます。
 次に、今回の税制改革といわゆる税制の三原則、とりわけ公平・中立の原則の関係についてお尋ねがございました。
 現在お示しをし御審議をいただいておりまする税制改革案は、活力ある福祉社会の実現を目指すという視点から取りまとめたものでございます。御指摘の公平・中立・簡素という税制に求められている重要な基本理念については、ただいま申し上げました今回の税制改革においても、それぞれのバランスをとりつつ、十分重視をしながら改革案をつくったものであるということについて御理解を賜りたいと存じます。
 残余の質問につきましては、閣僚から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣武村正義君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(武村正義君) まず、公平・中立の御質問は、ただいまの総理の答弁と全く同じでございますから、省略をさせていただきます。
 二番目の所得税基幹税目という御指摘でございますが、個人所得に対する課税は、所得の大きさに応じて累進的な負担を求めるという意味で、今後の高齢化社会においても、御指摘の垂直的公平の確保に資する税制として我が国の税体系の中で基幹的な位置を占めるべきものと考えます。今回の個人所得課税の負担軽減は、活力ある福祉社会の実現を目指す視点から、働き盛りの中堅所得者層にとって収入の伸びに応じて追加的な手取り金額が滑らかに増加するよう税率構造の累進性を緩和するものでございます。
 最後に、インボイスの問題でございますが、現行の帳簿方式に対する御批判を踏まえ、今回の改正におきまして、仕入れの事実を記載した帳簿の保存に加え、請求書等の保存を税額控除の要件とするインボイス方式を採用することにいたしているところでリ」ざいます。(拍手)
   〔国務大臣野中広務君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(野中広務君) 牛嶋議員の御質問にお答えいたします。
 地方税は、牛嶋議員御認識のとおり、現在、国税以上に直接税に偏った構造となっております。特に道府県税は、法人所得課税に偏りましたまことに景気に左右される不安定な税収構造となっておるところでございます。今後の高齢化の進展に伴う地域福祉の充実等、地方団体の財政需要の増大等を考えますと、地方団体の歳入を支える安定的な税体系を確立することが重要な課題となっております。
 このような中で、今次の税制改革におきます消費課税の充実の一環として地方消費税が導入されることになりましたことは、大きな意義を持つものと考えております。ただいま牛嶋議員から高い評価と御理解をいただきましたことに敬意を表するものでございます。
 一方、事業税の外形標準課税の導入につきましては、税の性格、税収の安定的確保の要請等の観点を踏まえつつ、地方税における法人課税のあり方の検討の中で今後さらに検討すべき課題であると考えております。
 いずれにいたしましても、今回の税制改革は、牛嶋議員が御指摘されましたように、安定的お地方税体系の確立の第一歩となるものと考えておるところでありまして、今後、所得・消費・資産等に対する課税がより均衡のとれた安定的な地方税の体系となりますよう、これを目指して、事業税の外形標準課税の導入を含め、さらに多面的な検討を進めることが必要であると考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#33
○議長(原文兵衛君) 市川正一君。
   〔市川正一君登壇、拍手〕
#34
○市川正一君 私は、日本共産党を代表して、消費税、増税に係る法案など四法案について村山総理大臣に質問を行うものであります。
 私は、まず冒頭、昨日の衆議院議長のあっせんなるものに加えて、参議院に税制問題の特別委員会を設置しないという異常な事態について、強い抗議を表明するものであります。
 そもそも、衆議院における与党の強行採決は、総理の外交日程に国会審議を従属させ、大増税の悪法成立をしゃにむに急ごうとするものにほかなりませんでした。その上、これまでの前例も無視し、衆議院でも設けられた本案についての特別委員会を参議院には設置せず審議の形骸化に道を開くことは、参議院の権威をみずから踏みにじるものと言わなければなりません。
 総理、あなたは先ほど円滑な審議を期待すると、こう述べられましたが、国民のための慎重な徹底審議こそ、行政府の長としても責任を持つべきではないんですか。所見を承りたいのであります。
 さて、法案についてでありますが、第一に公約違反問題であります。
 私は、この壇上に立ったとき、ちょうど五年前の一九八九年十一月八日、本院において、現在は社会党の書記長である久保亘君が消費税廃止法案の趣旨説明に当たって「議会制民主主義の基本は、国民の意思を尊重し、選挙における公約を誠実に履行することにあります。」と、こう論じました、そのことを私は想起せざるを得ぬのであります。
 ところが、その社会党が首班である村山内閣は、国民への公約を裏切り、消費税率の引き上げを強行する最初の内閣の役割を演ずるという、まさに劇的な転落をなし遂げました。
 言うまでもなく、公約とは、国民、有権者との関係で最も重い意味を持つ問題であります。総理自身、一九九〇年六月十二日の衆議院税制特別委員会での質問で、「選挙公約というのはやはり議会制民主主義の根幹に触れるものなんです」、「もっとお互い政治家は公約を重く受けとめなければならぬ」と、こう論じていますが、今はどうなんですか。政権の座に着くために投げ出したとでも言うんですか。はっきりお答え願いたいのであります。
 第二に、消費税の悪税たる最大のゆえんとも言うべき逆進性についてであります。
 これは社会党刊行の「続・究極の大増税」でありますが、この中で「六つの不公平」のトップに「所得が低い層ほど税負担が重くなる逆進性」を挙げています。総理、あなた自身もさきに触れた九〇年六月の質問で「消費税の持っている最大の構造的お欠陥というのは、見直してはだめなんですね。」、「やはり逆進性が強い」、「これほど弱い者いじめの税金はない」と追及していたではありませんか。
 そこで聞きたいんです。この法案はあなたの言う最大の構造的な欠陥である逆進性をなくすものとなっているんですか。税率三%より五%の方がもっと逆進性が拡大するんではないですか。
 さらに、あなたは十月十一日、衆議院予算委員会での我が党志位書記局長の質問に対して、これは公平な社会的負担のための税金と答え、消費税の本質そのものを自民党流に言いかえましたが、一体いっどこでどのように消費税の本質が変わったんですか。国民が納得できるように解明していただきたいのであります。
 第三に伺いたいのは、消費税、大増税という重大問題についての総理の認識の問題であります。
 十月十七日、参議院予算委員会での我が党聴濤質問に対して、この程度のことならとか裁量権の範囲とか答えています。しかし、税率二%の引き上げで四兆八千億円の大増税となるんです。増減税の差し引きを見ても、年収八百万円以下、国民の約九割が、結局、増税となります。
 しかも、庶民の負担はそれにとどまりません。自民党の加藤政調会長によれば、消費税五%というのは第一段階であり、福祉財源と消費税の問題は第二段階であること、だからこそ見直し条項を入れたんだというのであります。
 福祉ビジョン、行財政改革こ不公平税制の是正などをすべて見直し条項の中に書き込んで先送りし、増税だけを強行する。したがって、政府・与党関係者の言明からしても消費税率は五%にとどまらないことは自明の理ではありませんか。総理の責任ある答弁を求めます。
 その上、さきに成立した年金改悪によって保険料の大幅引き上げが襲っできます。消費税の税率がアップされる一九九七年には、年金保険料率が一七・三五%になります。そうなると、年金保険料の負担増は年収七百万円で約八万円、ほとんどの国民、サラリーマンはこの保険料の引き上げたけで減税など吹っ飛んでしまいます。総理、これうは庶民からの大収奪そのものではありませんか。それをもあなたは、この程度のことなどと言い張るつもりですか。裁量権の範囲のこと、こう言い張るつもりですか。はっきりとお答え願いたいのであります。
 第四に、こうして略奪した消費税は何に使われるんですか。国民は重大な不信と疑惑を持っています。減税のためではない。福祉のためでもない。とすれば、政府税調の答申が述べているように、社会資本の整備、つまりアメリカと財界の圧力で決定した十年間で六百三十兆円という莫大な公共投資に投入されることは隠しようもない事実ではありませんか。
 それだけではありません。アメリカの上院は七月十四日の決議で、日本の国連安保理常任理事国入りについて、国連のあらゆる軍事活動に参加することを含む、その地位にふさわしい全責務の履行、これを我が国に求めてきています。これに伴う軍事分担を含む負担額が膨大なものになることは明白であります。国民は、小沢一郎氏の国際貢献税構想とも結びついて、大きな不安を持っています。総理は、この国民の不安に対してどう答えられるのか、伺いたいのであります。
 今なすべきことは、大企業、大金持ち優遇の不公平税制の是正、軍事費や公共投資の浪費の削減など、歳入歳出の内容を根本的に改めることでおり、消費税は廃止すべきであります。
 総理は、定着したなどと言いますが、それは消費税を払わないと物が買えないからだけのことではないですか。税率引き上げ反対、消費税廃止はどの世論調査でも多数であり、国民的な願いとしてまさに定着しています。消費税廃止を掲げ、草の根からの運動に取り組んでいる個人加盟の大衆組織「消費税をなくす会」は、四十六万を超えて発展しています。
 あなたは一九九〇年四月十一日の衆議院予算委員会で「公約にも反するし、やり方も間違っているし、内容にも、見直しては本質的な欠陥は是正されない。これは思い切って廃止をして出直すくらいの決意をされたらどうですか。」と時の海部総理に迫りましたが、私は、そっくりそのままあなたに対しても政治家としての良心に問いかけ、その答弁を求めて質問を終わるものであります。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
 
#35
○国務大臣(村山富市君) 市川議員の質問にお答えいたします。
 衆議院や参議院での審議の進め方について今重ねてお尋ねがありましたけれども、これは、国会運営に関することは皆さんがお決めになることでありまして、私がとやかく言う筋合いのものではないというふうに私は考えておりますから、ただ、せっかく審議をお願いしている立場からすれば、可能な限り円滑な審議で一日も早い成立をお願い申し上げたいという気持ちだけは率直に申し上げておきたいと思います。
 さらに、消費税率の引き上げは公約違反ではないかとのお尋ねでありました。
 選挙公約の重みについては私も十分認識をいたしております。
 消費税が、これは法案が創設された当時は、今もお話がございましたが、私どもは反対をしてまいりました。しかし、多数でもって法律は成立したんです。現に実行されているわけです。国民の暮らしの中にもあるいは経済行為の中にも、ちゃんと使われているわけです。それを否定しろといったってそれは無理な話ですから、それを私どもは、肯定した立場で、より国民が納得できるようなものにしていく必要がある、こういう観点から審議を進めているところでございます。
 社会党は、導入後の消費税の定着状況も踏まえながら、昨年の総選挙では、消費税の否認ではなく、所得・資産・消費に対するバランスのとれた課税を追求しながら、消費税については、飲食料品の非課税化による消費税の逆進性緩和など国民的な要望に責任を持ってこたえる取り組みをいたしますと、こう訴えてまいりました。現に、三党協議の中ではそういう立場から鋭意発言もし、努力もしてきました。しかし、現実におきましては、なかなか実現は難しいということについての結論に達して合意を得たのがこの法案でありますから、その点につきましては十分御理解を賜りたいというふうに思います。
 私は、そんな意味で、これは先ほども申し上げましたけれども、単に党内の議論だけではなくて、いろんな団体の皆さんやらあるいはできるだけ広範な皆さん方の意見も拝聴しながら、できるだけ国民の皆さんから、これは税金を払っていただく国民の皆さんかどう受けとめるかということが一番大事ですから、可能な限り理解と納得が得られるような、そういう努力を続けてまいったつもりであります。
 この御審議を通じても、十分また御審議を通じて国民の皆様方にも御理解をいただきたいと、こういう気持ちでいっぱいでございます。
 次に、消費税の逆進性についてどういう認識を持っているか、こういうお尋ねがございました。
 所得に対して累進的か逆進的かという問題は、税制全体、さらには歳出面を含めた財政全体で判断をする必要があると私は思っております。
 今回の税制改革におきましては、低所得者層に対する配慮の観点から個人所得課税において課税最低限を引き上げるとともに、真に手を差し伸べるべき人々に対しましては社会保障制度等を通じきめ細かな配慮を行うこととしているものでございます。また、消費税の逆進性につきましては、今後とも不断に検討を続け、努力をしていかなければならない課題であるというふうに私は認識をいたしております。
 次に、消費税についての認識についてさらにお尋ねがございました。
 消費税は、所得の種類のいかんにかかわらず、消費の大きさ、すなわち生活規模に応じて比例的な負担を求めることができ、水平的公平の隆保に資するという特徴を有する税金であると認識をいたしております。
 今回の税制改革におきましては、個人所得課税の負担を軽減する一方で、このような消費税の特徴をも踏まえながら、歳出面の諸措置を安定的に維持するために社会の構成員が広く負担をし合いながら支え合う、こういう意味における消費課税の充実を図ることが大事であるという認識を持っていることについて申し上げておきたいと思います。
 次に、消費税の増税に関する認識についてお尋ねがございました。
 今回の税制改革におきましては、活力ある福祉社会の実現を目指す視点に立ちまして、中堅所得者層の負担累増感の緩和のため個人所得税の負担軽減を行い、消費税につきましては、現行制度を改革するとともに、制度減税の実施や緊急に整備すべき老人介護対策等を考慮して、国民の皆様にお願いする消費税の負担をできる限りぎりぎりのものに抑えるべく努力をしてまいったところでございまして、慎重の上にも慎重な議論を重ねた結果、消費税率を五%としたところでございますから、御理解を賜りたいと思います。
 見直し条項に関する御質問がございましたが、現時点におきましては、何らの予断を持つことなく、今後その条項に規定されている諸点について十分勘案した上で慎重に対応してまいりたいと考えておるところでございます。
 保険料との関連につきまして御質問がございましたが、今回の税制改革は、将来の給付を受けるために保険料を支払う保険制度とは別に、国民のだれもが享受する公共サービスの費用をいかに社会全体の構成員で負担するかという観点に立ったものでございますから、御理解を賜りたいと存じます。次に、消費税収、公共投資基本計画の財源についてお尋ねがございました。今般の税制改革におきましては、活力ある福祉社会の実現を目指し、個人所得課税の負担軽減を行う一方で消費課税を充実するほか、急激に進展する少子・高齢化社会に対応するため、当面緊急に整備すべき老人介護対策等について財政を悪化させない範囲でこたえていくことといたしたものでございまして、国民にお願いする消費税の負担を、先ほど申し上げましたようにできる限りぎりぎりのものにとどめるという観点から五%としたものでございます。御指摘のような公共投資基本計画に要する財源を賄うためにしたものではないということを申し上げておきたいと存じます。
 なお、公共投資基本計画の実施に当たりましては、本格的な高齢化社会を控え、後世代に負担を残さないよう、今後の計画期間におきましても、その財源についてさまざまな観点から十分検討を進め、各時点での経済・財政事情を踏まえつつ、可能な限り公債依存度を引き下げ、税財源を充当できるよう努めていく必要があると考えているところでございます。
 次に、我が国の安保常任理事国入りは国民に負担と不安をもたらすのではないかというお尋ねでございましたが、現行国連憲章のもとで、我が国が安全保障理事国となったとしても、その他の国連加盟国と異なるような具体的な法的義務を負うことは通常想定されないと思っております。
 いずれにいたしましても、安保常任理事国入りの問題につきましては、引き続き国民の皆さんの御理解を踏まえて今後とも取り組んでいきたいと考えているところでございます。
 以上であります。(拍手)
#36
○議長(原文兵衛君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時二十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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