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1994/11/21 第131回国会 参議院 参議院会議録情報 第131回国会 本会議 第8号
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1994/11/21 第131回国会 参議院

参議院会議録情報 第131回国会 本会議 第8号

#1
第131回国会 本会議 第8号
平成六年十一月二十一日(月曜日)
   午後三時三十六分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第八号
  平成六年十一月二十一日
   午後三時二十分開議
 第一 日本放送協会平成三年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書
 第二 音楽文化の振興のための学習環境の整備等に関する法律案(衆議院提出)
 第三 公職選挙法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第四 公職選挙法の一部を改正する法律案(衆議院提出)
 第五 政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律案(衆議院提出)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第二より第五まで
 一、特別委員会設置の件
 一、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の締結について承認を求めるの件、著作権法及び万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律の一部を改正する法律案、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案、繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案、農産物価格安定法の一部を改正する法律案、特許法等の一部を改正する法律案、関税定率法等の一部を改正する法律案及び主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律案(趣旨説明)
 一、日程第一
     ―――――・―――――
#3
○議長(原文兵衛君) これより会議を開きます。
 この際、日程第一を後に回したいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
     ―――――・―――――
#5
○議長(原文兵衛君) 日程第二 音楽文化の振興のための学習環境の整備等に関する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。文教委員長松浦孝治君。
    ―――――――――――――
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔松浦孝治君登壇、拍手〕
#6
○松浦孝治君 ただいま議題となりました音楽文化の振興のための学習環境の整備等に関する法律案につきまして、文教委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、我が国の音楽文化の振興を図り、もって世界文化の進歩及び国際平和に寄与するため、生涯学習の一環として、音楽学習に係る環境の整備に関する国及び地方公共団体の施策の基本等について定めようとするものであります。
 委員会におきましては、別に質疑もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#7
○議長(原文兵衛君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#8
○議長(原文兵衛君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#9
○議長(原文兵衛君) 日程第三 公職選挙法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 日程第四 公職選挙法の一部を改正する法律案
 日程第五 政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律案
  (いずれも衆議院提出)
 以上三案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。政治改革に関する特別委員長上野雄文君。
    ―――――――――――――
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔上野雄文君登壇、拍手〕
#10
○上野雄文君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、政治改革に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、公職選挙法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案は、衆議院議員選挙区画定審議会が行った衆議院小選挙区選出議員の選挙区の画定案についての勧告を受けて、衆議院小選挙区選出議員の選挙区を定めようとするものであります。
 次に、公職選挙法の一部を改正する法律案は、衆議院に提出された連座制強化等を内容とする二法律案を併合して一案とし、修正議決されたものであります。
 その主な内容は、連座制を強化して選挙浄化を図るため、候補者等の選挙浄化に対する責任を問うという新しい観点に立つものでありまして、候補者等と意思を通じて組織により行われる選挙運動において、選挙運動の計画の立案、調整または選挙運動に従事する者の指揮、監督、その他選挙運動の管理を行う者を「組織的選挙運動管理者等」として位置づけ、その者が買収罪等を犯して禁錮以上の刑に処せられたときは、当該候補者等の当選を無効とし、連座裁判の確定のときから五年間、当該選挙区における当該公職の選挙について立候補を制限することとしております。ただし、当該買収罪等に該当する行為がおとりまたは寝返りにより行われた場合のほか、当該候補者等が買収等の行為を防止するため相当の注意を怠らなかったとき等の場合には免責されることとなっております。
 また、衆議院議員の選挙における重複立候補者であって、当該比例代表選挙の当選人となったときは、その当選は無効とすることとしております。
 次に、政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律案は、政党の財産の所有、維持運用、その他その目的達成のための業務の運営に資するため、一定の要件に該当する政党に法人格を付与しようとするものでありまして、法人の設立、管理、解散等の事項を定めるとともに、法人格の取得を政党交付金の交付の要件とすること等を主な内容とするものであります。
 なお、第二条に「解釈規定」を設け、「この法律のいかなる規定も、政党の政治活動の自由を制限するものと解釈してはならない。」ことを法文で明らかにしております。
 委員会におきましては、以上の三法律案を一括して議題とし、衆議院小選挙区の区割りに関する公職選挙法改正法改正案について野中自治大臣より、連座制の強化に関する公職選挙法改正案について衆議院政治改革に関する調査特別委員長代理大島理森君より、政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格付与法案について衆議院政治改革に関する調査特別委員長松永光君より、それぞれ趣旨説明を聴取した後、提出者、発議者及び村山内閣総理大臣等に対して質疑を行いました。
 質疑の主な内容は、政治改革に対する内閣の姿勢、一票の格差が二倍を超えることの合憲性、組織的選挙運動管理者等に係る要件の明確化、連座制強化の実効性の確保、政党の政治活動の自由が制限される懸念等でありますが、その詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して吉川理事より、公職選挙法改正法改正案及び政党等に対する法人格付与法案の二法律案に対し反対、公職選挙法改正案に対し賛成の意見が述べられました。
 討論を終わり、順次採決の結果、まず、公職選挙法改正法改正案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、公職選挙法改正案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。なお、本法律案に対し、附帯決議が付されております。
 次に、政党等に対する法人格付与法案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(原文兵衛君) これより採決をいたします。
 まず、公職選挙法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案及び政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律案を一括して採決いたします。
 両案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#12
○議長(原文兵衛君) 過半数と認めます。
 よって、両案は可決されました。
 次に、公職選挙法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#13
○議長(原文兵衛君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
     ―――――・―――――
#14
○議長(原文兵衛君) この際、特別委員会の設置についてお諮りいたします。
 世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の締結について承認を求めるの件、著作権法及び万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律の一部を改正する法律案、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案、繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案、農産物価格安定法の一部を改正する法律案、特許法等の一部を改正する法律案、関税定率法等の一部を改正する法律案及び主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律案を審査するため、委員四十名から成る世界貿易機関設立協定等に関する特別委員会を設置いたしたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
 よって、世界貿易機関設立協定等に関する特別委員会を設置することに決しました。
 本院規則第三十条の規定により、議長は、議席に配付いたしました氏名表のとおり特別委員を指名いたします。
     ―――――・―――――
#16
○議長(原文兵衛君) この際、日程に追加して、
 世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の締結について承認を求めるの件、著作権法及び万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律の一部を改正する法律案、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案、繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案、農産物価格安定法の一部を改正する法律案、特許法等の一部を改正する法律案、関税定率法等の一部を改正する法律案、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律案、以上八件について提出者から順次趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。河野外務大臣。
   〔国務大臣河野洋平君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(河野洋平君) 世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の締結について承認を求めるの件につきまして、趣旨の御説明を申し上げます。
 この協定は、昭和六十一年九月に開始された関税及び貿易に関する一般協定のもとにおける第八回目の多角的貿易交渉であるウルグアイ・ラウンドの結果作成されたものであり、世界貿易機関を設立し加盟国間の貿易関係を規律する共通の制度上の枠組みを提供すること、関税その他の貿易障害を実質的に軽減し及び国際貿易関係における差別待遇を廃止することなどを目的とするものであります。
 この協定は、従来の関税及び貿易に関する一般協定に比して次のような画期的な内容を有しております。すなわち、
 第一に、従来より一般協定が規律してきた物品の貿易に加え、サービスの貿易、知的所有権の貿易関連側面といった新しい分野を含む幅広い分野について規律を策定していることであります。
 第二に、貿易ルールについて定める諸協定をすべて附属書に取り入れ単一の国際約束としてまとめることにより、これらの諸協定の統一的な運用を確保するための枠組みを提供していることであります。
 第三に、世界貿易機関の設立により、多角的貿易体制を支える制度的基盤が整備されたことであります。
 さらに、一方的な措置に対する規律の強化など、紛争解決の手続が強化されていることであります。
 世界の主要な貿易国である我が国がこの協定を締結することは、多角的貿易体制の発展に寄与するとともに、我が国の国民生活に多大の利益をもたらすこととなるという見地から極めて有意義であると考えます。
 ウルグアイ・ラウンドの多角的貿易交渉に参加した諸国は、この協定に基づく新たな多角的貿易体制への早期の移行の意思を表明しており、当初よりこの協定の作成に積極的に参加してきた我が国としても、この協定の効力発生の日からこの協定の加盟国となり新たな多角的貿易体制の発展に寄与することが重要であるので、他の主要国とともにこの協定を早期に締結することが望ましいと考えております。
 右を御勘案の上、この協定の締結につきまして御承認を得られますよう、格別の御配慮を得たい次第でございます。
 以上が世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の締結について承認を求めるの件の趣旨でございます。
 ありがとうございました。(拍手)
    ―――――――――――――
#19
○議長(原文兵衛君) 与謝野文部大臣。
   〔国務大臣与謝野馨君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(与謝野馨君) 著作権法及び万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明します。
 この法律案は、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の締結に伴い我が国が負うこととなる義務を果たすため、著作権法等の整備を図ることを目的とするものであります。
 第一に、著作権法の改正事項としては、世界貿易機関の加盟国の実演、レコード及び放送を、著作権法により保護を受ける実演、レコード及び放送に加えるとともに、これに伴う規定の整備を行うことであります。
 第二に、万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律を改正し、世界貿易機関の加盟国の著作物については同法を適用しないこととすることであります。
 以上が法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#21
○議長(原文兵衛君) 大河原農林水産大臣。
   〔国務大臣大河原太一郎君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(大河原太一郎君) ただいま議題となりました加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案、繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案、農産物価格安定法の一部を改正する法律案及び主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 便宜、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律案から御説明申し上げます。
 主要な食糧である米穀及び麦は、主食としての役割を果たすとともに、我が国農業における重要な農産物としての地位を占めております。
 食糧管理法は、制定されて以来今日に至るまで、所要の改善を図りつつ、主食の安定供給という機能を一貫して担ってきたところでありますが、近年、米穀をめぐる諸情勢は大きく変化しており、生産者の創意工夫の発揮、消費者ニーズヘの的確な対応等の要請が高まっているほか、現行の食糧管理制度がその機能を十分に発揮することができなくなっている点も指摘されております。また、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の実施に伴い、新たな国際的規律のもとで食糧の安定的供給を確保していくことが緊要な課題となっております。
 このため、今後とも米穀の需給及び価格の安定を図ることを基本としつつ、生産者の自主性を生かした稲作生産の体質強化、規制緩和を通じた流通の合理化等が図られるよう食糧管理法を廃止し新たな制度を構築するため、この法律案を提出することとした次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、政府は、米穀の需給の的確な見通しを定め、これに基づき生産調整の円滑な推進、備蓄の機動的な運営及び消費者が必要とする米穀の適正かつ円滑な流通の確保を図るとともに、その適切な買い入れ、輸入及び売り渡しを行うこととし、これに必要な基本計画を策定することとしております。
 第二に、自主流通米及び政府米を計画流通米として位置づけ、その安定流通を確保することを基本としつつ、米穀の生産者に関しては、消費者の必要とする米穀が安定的に出荷されるよう、その売り渡し先を特定するとともに、その出荷取り扱い及び販売を行う業者については登録制とするほか、自主流通米を計画的に流通させる主体として自主流通法人を法律上位置づけるとともに、その流通ルートについても多様化、弾力化することとしております。
 第三に、入札を通じて適正な価格の形成が図られるよう自主流通米価格形成センターを法律上位置づけるとともに、政府米の買い入れ価格については、自主流通米価格の動向等を反映させるほか、生産条件等を参酌し再生産の確保を旨として定めることとしております。
 第四に、政府は、備蓄の円滑な運営を図るため生産調整実施者から買い入れを行うとともに、ミニマムアクセスの運用を行うに当たって、輸入した米穀等の売買差額が国際約束に従って農林水産大臣が定めた額の範囲内となるよう売り渡しを行うこととしております。
 第五に、麦等については、国際約束に従って、政府以外の者が関税相当量を支払えば輸入できるものとするほか、政府が輸入した麦等の売買差額について米穀等と同様の規定を整備することとしております。
 続きまして、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 我が国酪農は、農業の発展、国民食生活の改善等に重要な役割を果たしてきておりますが、マラケシュ協定による新たな国際的規律のもとで今後とも我が国酪農の存立基盤を確保し得るようにするため、この法律案を提出することとした次第であります。
 この法律案の主要な内容は、第一に、畜産振興事業団以外の者が指定乳製品等の輸入を行うことができるようにするとともに当該輸入に係る指定乳製品等の買い入れ及び売り戻しの業務を新たに事業団が行うこと、第二に、事業団は指定乳製品等について現行の価格高騰時の輸入のほかに国際約束に従って農林水産大臣が定めて通知する数量の輸入を行うこと、第三に、事業団は指定乳製品等の売り渡しについて価格高騰時及び農林水産大臣の指示する方針による場合に行うことであります。
 続きまして、繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 蚕糸業は中山間地域等において重要な産業でありますが、マラケシュ協定による新たな国際的規律のもとにおいても蚕糸業の経営の安定と絹業への生糸の安定供給を図るため、この法律案を提出することとした次第であります。
 この法律案の主要な内容は、第一に、蚕糸砂糖類価格安定事業団以外の者でも生糸の輸入を行うことができるようにすること、第二に、事業団以外の者が輸入する生糸について、事業団が買い入れ及び売り戻しを行い、その価格を調整するとともに、実需者が需給上必要な量を輸入する場合には買い入れ及び売り戻しの差額を減額することであります。
 最後に、農産物価格安定法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 カンショでん粉及びバレイショでん粉は北海道、南九州の地域経済において重要な地位を占めておりますが、マラケシュ協定による新たな国際的規律のもとにおいても農産物価格安定制度の効果的な運用を確保する必要があります。このため、同法の政府が買い入れた農産物等の売り渡しに係る規定を整備することとし、この法律案を提出することとした次第であります。
 以上、四法案につきましてその趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#23
○議長(原文兵衛君) 橋本通商産業大臣。
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(橋本龍太郎君) 特許法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 この法律案は、工業所有権制度の国際的調和を図り、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の確実な実施を確保するとともに、技術開発成果の迅速かつ十分な保護の要請に的確に対処するため、特許法その他の工業所有権関係法律について所要の改正を行うものであります。
 次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一は、特許権の存続期間を出願日から二十年とすることであります。
 これまで特許権の存続期間は、出願公告の日から十五年または出願日から二十年のいずれか短い期間で終了しておりましたが、これを、マラケシュ協定に対応し、出願日から二十年に一本化するものであります。
 第二は、外国語書面により特許出願をすることができる制度を創設することであります。
 本制度により外国語書面の提出日が出願日として認定され、また、二カ月以内に提出する翻訳文に誤訳があった場合には一定期間その訂正を行うことが可能となります。
 第三は、特許後に異議申し立てを行う制度を採用することであります。
 これは、これまで特許付与前に行っていた異議申し立てを特許付与後に行い、迅遠な権利付与を促進するものであります。
 第四は、ブドウ酒及び蒸留酒の地理的表示の保護強化の要請にこたえ、これらの表示を含む商標については、原産地についての誤認混同が生じるか否かを問わず、商標登録ができない商標とすることであります。
 第五は、その他制度の国際的調和を図るために必要な事項について所要の改正を行うことであります。
 以上が本法律案の趣旨であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#25
○議長(原文兵衛君) 武村大蔵大臣。
   〔国務大臣武村正義君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(武村正義君) ただいま議題となりました関税定率法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 本法律案は、ウルグアイ・ラウンド交渉の結果合意された世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の実施等のため、関税率及び関税制度について所要の改正を行うものであります。
 その大要を申し上げます。
 第一は、農産物の輸入制限品目等の関税化に伴う措置であります。
 農産物のうち現在行っている輸入制限等を関税化する品目について、関税率を引き上げるとともに、関税割り当て制度等及び特別緊急関税を導入するなど、所要の改正を行うことにいたしております。
 第二は、個別品目の関税率等の改正であります。
 牛肉及び豚肉について関税率を引き下げるとともに緊急措置を導入するなどのほか、一部の熱帯産品等について特恵税率を引き下げるなど、所要の改正を行うこととしております。
 第三は、関税率体系の見直しであります。
 現在実行税率となっている関税率水準を原則として基本税率とすることにより関税率体系の見直しを行うこととしております。
 第四は、特殊関税制度の整備であります。
 相殺関税、不当廉売関税及び緊急関税について課税期間の上限の設定等の制度の整備を行うなど、所要の改正を行うこととしております。
 そのほか、知的財産権侵害物品の水際取り締まりの充実、罰金水準の調整、輸入禁制品の追加等を行うため所要の改正を行うことにいたしております。
 以上、関税定率法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を申し上げた次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#27
○議長(原文兵衛君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。上杉光弘君。
   〔上杉光弘君登壇、拍手〕
#28
○上杉光弘君 私は、自由民主党を代表して、WTO協定及び関連国内対策について、総理大臣及び関係大臣に若干の質問をいたします。
 昨年の十二月十四日は、米自由化反対を三回も決議した国会に何の相談もなく日本農業の命運を大きく変えるウルグアイ・ラウンド農業合意を受け入れた日として、全国の農家はもちろんのこと、我々にとっても衝撃を受けた忘れることのできない日であります。
 あれから一年近くたちますが、細川内閣において農業合意の受け入れを初めとして内外の重要問題が権力の二重構造によって取り進められ日本の政治が混迷の一途をたどったことは、記憶に新しいところであります。
 村山連立政権が誕生してから半年になりますが、民主的手続を重視した政策調整のもと、政治主導により税制改革、日米包括協議等の焦眉の重要課題に決断を下し着実な前進が図られたことは、各位御案内のとおりであります。
 WTO協定の取り扱いは、旧連立政権の懸案事項として残された最重要課題であります。細川内閣の単なる後始末ということではなく、我々は責任ある政治を行うため、農業関係を初め、国民各層の幅広い意見を求めつつ真剣に検討してまいりました。
 ウルグアイ・ラウンド交渉の経過、協定の内容については幾つかの指摘された問題がありますが、当時の内閣の責任といえども、世界に向かって一たん受け入れを表明した以上、主要国日本がこれを覆すことは、国際信頼をなくし国益を大きく損なうことになるのであります。事は百二十五カ国も参加した多角的貿易協定であり、しかも、つまみ食いが許されない一括受諾方式に同意していることであります。
 村山内閣の所信表明における「外交は継続、内政は改革」の方針のもと、新しい貿易秩序の中で日本農業の再建にも万全を期していかなければなりません。そのために、協定受け入れによる国内への影響がないように農業、農山村の対策を確実に取り組むためには、従来の施策の発想とその枠にとらわれることなく、抜本的な対策の方向づけについて我が党を初め与党三党は全力を挙げてこれに取り組んできた次第であります。
 WTO協定への対応は、人類の生命線をいかに守っていくかという重大事であり、当面の政策課題に対応することはもちろん、国を挙げて長期展望に立った受け入れ体制の整備が必要であります。農業を初め影響を大きくこうむる分野に政府が責任を持って万全な施策を講ぜられるかどうか、それが今まさに問われているところであり、このことにつき、まず総理の決意を伺いたいと存じます。
 次に、WTO協定全般に関し質問いたします。
 WTO協定について関係国、議会の審議の状況を見ると、議会の承認を得て批准している国はいまだ一部にすぎません。特に米国の動向が大きな影響を及ぼすことは、過去のITO、国際賀易機関がとんざした経緯を見ても明らかであります。
 米国は中間選挙に伴い議会勢力が大きく変化し、上院の有力議員に採択を来年まで延期する動きが見られ、果たして十二月初めまでに上下両院の承認の見通しがあるのかどうか。欧州連合でも、いまだ協定自体は審議中であります。主な関係各国の状況がどのようになっているのか、外務大臣に伺いたいと存じます。
 いずれにしろ、我が国が協定の批准を行う場合は米欧等主要国の議会での承認状況を十分見きわめて対応すべきであると考えますが、あわせて答弁をお願いします。
 去る十五日、ジャカルタで開かれましたAPEC、アジア・太平洋経済協力会議では、共通決意宣言を採択し、先進国は二〇一〇年までに、途上国は遅くとも二〇二〇年までに域内の貿易・投資の自由化を実現する目標年限が宣言に盛り込まれました。しかし、ボゴール宣言の内容は、貿易の自由化目標に向かっていかなる方法、手順で進むのか具体的内容は先送りされており、すべて今後の取り組みいかんにかかっております。
 来年日本で開催されるAPECの議長国である日本政府としては、WTOとの関係も踏まえてどのように指導力を発揮されるつもりか、わかりやすく総理の見解をお聞かせ願いたい。
 次に、ウルグアイ・ラウンド関連国内対策について質問いたします。
 過去の自由化について反省しますと、例えば木材の自由化のときには、国内対策に万全を欠き、我が国の林業と木材業は努力と工夫ではどうにもならない打撃を受け、立ち直ることのできない状況にあります。牛肉の自由化においても、自由化するかしないか、和牛の国内対策をどうするかが論議の中心となって、国内の養豚業、ブロイラー経営にどのような影響が出てくるのかしっかりした見通しと対策が十分でないまま自由化に踏み切った結果、豚肉よりも安い牛肉が国内にあふれ、牛肉、豚肉、ブロイラーの価格を暴落させて壊滅的状況に追い込もうとしております。国政は、その責任において、少なくともこのようなことを繰り返してはならないのであります。
 米のミニマムアクセス導入、乳製品等の関税化による悪影響のみならず、国内の果物・野菜類等に関税率の引き下げが悪影響を及ぼさないよう、その対策に万全を期すべきと思うが、農林水産大臣の答弁を求めます。
 今回、政府は与党三党との政治折衝の結果、先月二十五日、緊急農業農村対策本部において、平成七年度から六年間、総額七兆二千百億円に上る農業合意関連対策を決定いたしました。
 問題は、これらの対策が予算としてどのような形でどの程度確保されるかであります。すなわち、我が国の予算編成は単年度主義であり、ミニマムアクセス中六年間の投資規模と単年度予算との整合性をどう図るのか、総理にお尋ねをいたします。
 さらに、総事業費六兆百億円のうち本年度の補正予算や来年度の予算において従来の農林関係予算にどの程度国費として上積みされるのか、いわゆる真水分が十分確保されないと見せかけの対策という批判を招くことになります。真水分の十分な確保につき総理の方針を確認いたします。
 また、二十一世紀へ向けて、農産物の需給ビジョンや地域の特性を生かした農業、農山村の振興整備計画の策定を早急に推進し、農家が安心して営農にいそしめるようにするとともに、新しい対策をばらまきと言われないように効果的に推進していただくことが重要であると考えますが、農林水産大臣の見解を伺います。
 次に、米問題について質問いたします。
 米過剰が大変心配される中、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律案において、米の価格の暴落に対する予防、歯どめが大丈夫かどうかということであります。新しい生産調整システムを初め備蓄や調整保管等、いろいろな工夫がなされているようでありますが、米の需給全体については国が責任を持ちつつ関係者を誘導していくことが大切であります。
 特に、国があらかじめ定める生産調整の指針に沿って生産調整が行われるかどうか、それによって需給や流通に大きな影響が出てくることから、政府買い入れ価格や生産調整助成金について十分意を用いることがポイントでありますので、あわせて答弁を願います。
 米のミニマムアクセス導入により意欲をなくした農家の耕作の放棄は、特に中山間地域の場合を含め、自然災害発生の要因となりかねません。同時に、自然の機能としての水の浄化と保水力、貯水力の機能を損ないかねないのであります。このことは自己完結できない都市機能に悪い影響が必ず出てくると判断されますが、農林水産大臣はどのようにとらえておられますか。
 国土の保全、管理にも耕作放棄は重大な影響を及ぼすと思うが、いかに認識されておられるか、あわせて答弁を願います。
 協定の受け入れにより最も大きな影響を受ける中山間地域は、このままでは高齢化が加速的に進み、後継者がいないため、数多くの集落が消滅する可能性が出ております。全国十四万集落の実情に応じた定住化や集落整備を図っていくには、従来の農政の手法にとらわれず、各省庁が垣根を越えて、発想の転換を図り、農山村の生活環境、生活基盤の整備等を計画的かつ総合的に推進するための法体制の見直しか緊要であります。
 ヨーロッパのデカップリング的思想を取り入れ、定住化を確実なものとし、集落機能を高め、国家存立の基盤である国土、環境を守るために農山村計画法とも言うべきものがぜひとも必要と思いますが、総理大臣の見解を伺います。
 農山村対策、農林業対策は、すなわち都市対策でもあります。国家百年の大計に立って、国民的なコンセンサスを得つつ、国家社会の中に農林業や農山村を明確に位置づける必要があります。
 今こそ、我が国の農業を守るための発想の転換によるダイナミックな政策的方向づけの絶好の機会であります。我が国は、二千年の歴史の上に日本民族の英知と努力によって瑞穂の国を築き上げてきました。どんなに時代が変わろうとも、国土を取り巻く自然環境が変わらない以上、いささかなりともこの国づくりを損なうようなことがあってはならないと確信をするものであります。
 このことをあすの日本国と日本民族のために肝に銘じて取り組んでいただくことを強く強く求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(村山富市君) 上杉議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、ウルグアイ・ラウンド合意後の農村対策に万全を期す決意についてお尋ねがございました。
 ウルグアイ・ラウンド農業合意の実施に伴う国内対策につきましては、農政審議会の報告の趣旨も踏まえまして、我が国農業、農村が二十一世紀に向けて自立を遂げ持続的に発展していくことができるよう幅広い観点に立ちまして、与党三党で真剣な議論と討議を踏まえた上で、政府・与党合意をいたしました先般の対策大綱に示された具体的施策を総合的かつ的確に講じてまいる決意でございます。
 次に、APECにおける日本の役割に関してのお尋ねがございましたが、我が国は、これまでAPECをアジア・太平洋の経済的な発展を進めていく上で中核となる協議のフォーラムと認識をしておりまして、積極的な取り組みを行ってまいりましたが、明年は議長国としてAPECの一層の発展に力を尽くさなきゃならぬという決意でございます。
 我が国としては、APECは多角的自由貿易体制を補完、強化する開かれた地域協力の場であるとの考え方に立ちまして、今回の首脳会議及び閣僚会議の成果を踏まえながら、貿易・投資の促進、自由化に関する種々の作業の円滑な実施を図るとともに、人材育成等経済開発の側面における各種の協力についても一層の進展を図ってまいる所存でございます。
 次に、農業対策の六年間の投資規模と単年度予算との整合性についてのお尋ねがございました。
 今回のウルグアイ・ラウンド対策につきましては、平成十二年度までの対策期間中の総事業費として取りまとめたところでございまして、対策に係る経費の取り扱いにつきましては、今後、各年度の予算編成過程において検討の上適切に対処してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、ウルグアイ・ラウンド国内農業対策予算の取り扱いについてでありますが、御指摘の真水という言葉は必ずしも定義がはっきりしない概念でありますが、いずれにいたしましても、今回の対策はウルグアイ・ラウンド合意に対応する六カ年の新しい事業であり、従来の農林水産予算に支障を来さないよう配慮することといたしておるところでございます。
 今後、十月二十五日に決定された対策大綱に沿って総合的かつ的確な施策を講じることができるよう、ただいま申し上げた点を踏まえながら適切に対処してまいる決意でございます。
 次に、厳しい環境に置かれております中山間地域の生活環境基盤の整備等のための農山村計画法制定についてのお尋ねがございました。
 この中山間地域対策につきましては、都市計画法、農業振興地域の整備に関する法律等の法制度が既にある中で新しく総合的な法制度を制定することは困難であると考えておりますが、農山村の計画的、総合的整備につきましては農業農村整備事業等により実施しているところでございまして、より効果的に実施するために内容、方法等につきましてはさらに検討を重ねることが重要であると認識をいたしております。
 なお、中山間地域につきましては、山村振興法、過疎地域活性化法等の地域振興立法のほか、昨年、各省庁の提携のもとに制定されました特定農山村法に基づき鋭意その活性化を図っていく決意でございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣河野洋平君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(河野洋平君) アメリカ、欧州連合における審議状況はどうか、こういうお尋ねでございました。
 過般、インドネシア・ジャカルタで行われましたAPECの際に、村山総理とアメリカ首脳との会談でもこの話は出ておりまして、アメリカ首脳の説明によりますれば、米国におけるウルグアイ・ラウンド合意実施法案に関しては、中間選挙前に設定をされたスケジュールどおり、下院の採決を十一月二十九日、上院の採決を十二月一日に行う予定である、こういう説明でございました。
 また、欧州連合におきましても、WTO協定の年内受諾に向けて最大限の努力が行われており、イギリス、ドイツなどは既に必要な国内手続を終了していると承知をいたしております。その他の諸国につきましても、それぞれ既に必要な国内手続を終了しているか、または着実に手続を進めているものと承知をいたしております。
 我が国がWTO協定を締結する場合、アメリカ、ヨーロッパなど主要国の議会での承認状況を十分見きわめて対応すべきではないかという御主張でございました。
 政府といたしましても、これまでも御答弁申し上げておりますとおり、WTOの発足に当たってはアメリカ、欧州連合などの主要国の参加が極めて重要でございますことから、これら諸国の締結がどうなっているのかということを十分見きわめながら、我が国としての締結手続をとるようにいたしたいと考えているところでございます。
   〔国務大臣大河原太一郎君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(大河原太一郎君) 上杉議員の質問にお答えいたします。
 まず、米、乳製品等各品目への影響に対する対策についてお尋ねであります。
 私といたしましては、ウルグアイ・ラウンド農業合意の実施に伴う国内対策について、先般の対策大綱に示された具体的施策を全力を挙げて推進し、農業合意の実施に伴う影響を最小限に食いとめるとともに、我が国農業の将来展望を切り開き、二十一世紀に向けた農業構造の早期実現に邁進してまいる所存であります。
 次に、農業、農山村の整備計画等に沿ってばらまきと言われないような新しい対策の効果的推進についてのお尋ねでありますが、昨年制定された農業経営基盤強化促進法、特定農山村法に基づき、市町村における基本構想の策定等を通じて地域において育成すべき農業経営の目標等を示すとともに、特定農山村地域における基盤整備計画の策定を通じて地域の特性に即した農林業の振興を図ることとしているところであります。
 さらに、八月の農政審議会において新たな農産物の需要と生産の長期見通しの策定に取り組むこととされており、既に検討を開始しているところであります。
 こうした点を踏まえ、今後の農政の展開に当たっては、先般の対策大綱に示された具体的施策を総合的かつ的確に推進することにより、力強い農業構造と活力ある農山村の構築を効果的に進めてまいる考えであります。
 次に、新食糧法案についてのお尋ねでありますが、新たな制度のもとで、米の全体需給のバランスを確保するため政府は計画的にかつ整合性を持って生産調整の推進、備蓄の運営、適正かつ円滑な流通の確保を図ること、また、価格の安定につきましては需給の安定を図りつつ需給動向に応じた自主流通米の価格形成の確保や政府米の適切な価格設定を行うこと等により、御質問の需給と価格の安定に十分対応してまいりたいと考えております。
 この場合、政府買い入れ価格については、自主流通米の価格変動が反映されたものとすることを基本とし、あわせて生産コストを含む生産条件や物価その他の経済事情を参酌して設定していくこととしており、その具体的な算定方式につきましては、関係方面と調整の上、施行時までに十分な検討を進めてまいる考えであります。
 また、生産調整助成金につきましては、米の需給事情に応じた生産調整規模に弾力的に対応し、全体の調整が確保されるよう、その内容について今後検討してまいる考えであります。
 最後に、耕作放棄による国土保全・管理に及ぼす影響についてでありますが、農地は、農産物の安定供給において重要な役割を果たしているだけではなく、洪水防止や水資源の涵養、土壌浸食の防止、緑豊かな景観の保持など、国土・環境保全機能を有していると考えられます。
 このような機能を良好に発揮させるため、中山間地域において農地の適正な管理や農地の地域農業の担い手への集積等を通じて、耕作放棄地の発生を防ぎ、国土環境保全機能の維持増進に努めているところであります。(拍手)
     ―――――・―――――
#32
○議長(原文兵衛君) 御紹介いたします。
 本院の招待により来日されました南アフリカ共和国上院議長ヘンドリック・ヤコブス・コツィエ閣下の御一行がただいま傍聴席にお見えになりました。
 ここに、諸君とともに心からなる歓迎の意を表します。
   〔総員起立、拍手〕
     ―――――・―――――
#33
○議長(原文兵衛君) 稲村稔夫君。
   〔稲村稔夫君登壇、拍手〕
#34
○稲村稔夫君 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表して、ただいま趣旨説明の行われましたWTO協定の批准並びに関連法案を審議するに先立ち、あらかじめ総理並びに外務大臣ほか関係大臣に、その考え方の基本及び幾つかの疑問点についてお尋ねしたいと存じます。
 まず第一は、政府のWTOに対応する基本姿勢と本協定批准をめぐる国際的な動向についてであります。
 村山総理、先ごろのAPECでの首脳外交、大変御苦労さまでございました。村山内閣誕生当時にはやや戸惑いを見せていた各国の首脳たちにも、ようやくあなたの率直なお人柄のにじみ出た首脳外交が好感を持って迎えられるようになってきております。それだけに、APECでの首脳外交の意義は大きかったと思うのであります。
 そこで、総理にお伺いいたします。
 総理は、十一月十四日のジャカルタでの非公式首脳会議で世界経済全体の自由化の進め方に言及され、WTO協定締結の国内プロセスに種々の困難を抱えている現実を考慮し議論を深めていく必要があると述べ、自由化をどのように進めるかについては人口・食糧問題等への配慮と調和のとれた形で進めていくことが必要であると発言されたと伝えられております。これはWTOへの対応の慎重さと経済至上主義へ傾斜することを戒めていると受け取ってよいのでありましょうか。
 あわせて、河野外務大臣にお伺いいたします。
 この総理発言の趣旨をどのように受けとめられてWTOに対応されようとしているのでしょうか。私は、WTOは設立のときから人口・食糧問題や環境問題に重点を置いた国際機関となるよう我が国が国際的イニシアチブを発揮すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 また、例えば東京都独自の食品安全基準のような自治体の条例や指導などが、本協定締結後は貿易障壁とされかねません。我が国の法律、政治制度、経済制度、生活慣行などと本協定の間に矛盾が生ずる可能性にどのように対応することになりますか。
 加えて、主要国の批准に対する動向も、ただいま上杉議員の質問に対するお答えを聞いておりましても、いま一つ不透明なものがあるように思えてなりません。この点もあわせて外務大臣の御所見と見通しをお聞かせいただきたいのであります。
 その第二は、国民の健康や生活に重大なかかわりを持つ問題は、国際条約・協定といえども国民的コンセンサスを得るための努力が必要ではないでしょうか。
 まず、総理にお伺いいたします。
 あなたは、昨年十二月、細川内閣のもとで、私ども社会党の委員長としてウルグアイ・ラウンド合意を認める苦渋に満ちた選択をせざるを得ませんでした。本協定に反対の声は今も根強く残っており、また、自治体への影響の懸念、健康問題とかかわる疑問等もあるとするならば、苦渋の選択の経験は、本協定の内容について国民の理解を得る必要と、そのためのある程度の期間の必要を示唆しているのではないでしょうか。総理のお考えをお聞かせください。
 次に、厚生大臣にお伺いいたします。
 食品の安全基準等につき、現在我が国のそれが国際基準の水準よりも厳しいものがどの程度ありましょうか。本協定では、正当な科学的根拠を持つ例外は認められるものの、国際基準に合わせることが求められております。捕鯨の例に見られるごとく、科学的な正当性が政治性に押しつぶされてしまうことがないという保証はありません。国民の健康を守る主務大臣として、WTO協定による国際基準への見直しにどのような姿勢で対応されるおつもりでありましょうか。
 第三は、農業に対する影響と対策についてであります。
 その一つは、今、地球上に約八億人とも言われる飢餓に苦しんでいる人々がおります。まず、先進各国はその豊かさを飢餓克服への努力に割くべきでありましょう。私は、我が国は、資金と技術の援助と同じように、食糧の国際的備蓄とその配分のための国際機関を実現するために積極的に努力し、世界のすべての国が全力で食糧生産に取り組むことで飢餓を克服できるようにイニシアチブを発揮すべきだと思うのですが、飢餓克服と環境を守るために果たすべき我が国の国際貢献策について外務大臣及び農林水産大臣の御所見が伺いたいのであります。
 次に、総理にお伺いいたします。
 自然の大きな制約を受ける農業は、経済発展のスピードが速まれば速まるほど経済的格差が拡大するという宿命にあり、国際競争力どころではなくなってしまいます。したがって、さきに決定されたウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策大綱は、十分でないとしても、その効用が期待されておるところであります。その確実な実行を要望いたしますが、しかし、大綱による六年間だけでこうした農業の宿命的格差拡大に対応し切れるものではないと思うのであります。さらに長期的な展望を持った継続的対応が必要だと思いますが、総理のお考えをお聞かせ願いたいのであります。
 三つ目は、この対策大綱の実行とWTO協定に関連する国内法整備としての新たな米管理システムについての農林水産大臣の基本的な考え方についてお伺いしたいのであります。
 まず、与党三党の確認事項についてであります。
 これは単なる文章による確認というものではなく、そこに至った論議の経過が大事なのであります。今後、対策大綱の実施、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律案、つまり新たな米管理システムの政省令づくりや具体的な運用、その他関連法律による事業実施等に当たり、この確認事項が必ず守っていただけるものと思いますが、いかがでありましょうか。
 ついでながら、昨年は歴史的大凶作でした。政府の、二年間で百三十万トン備蓄する、生産調整はミニマムアクセスとは関連させず強化しないとの約束のもとで、減反水田の復田が促され、米集荷の努力がされました。ところが、今年度は大豊作に加えて緊急輸入米が余るといいます。見通しを誤った国の責任上からも、輸入米流通を国産米と切り離した特別な消費方途に振り向けるとか国産米は備蓄で調整するなどの工夫をして、約束は守らなければなりません。この点、農林水産大臣はどのような方策をお考えでありましょうか。
 最後に、総理に提案があります。
 せっかくお決めいただいた対策大綱でありますから、最大限有効に実行されなければならないと思います。事業によっては、農林水産省と自治省が所管する事業の中で、共通面のあるものや重なり合う部分のあるものなどがありましょう。同一の地域、同一の受益者に所管別のばらばらな事業が実施をされることのないように、総理の一元的指導で効率的実施ができるような政府内の組織対応をされたらどうかと思うのですが、総理の御所見を伺いたいのであります。
 以上でありますが、我が国として本協定が評価される点も少なくないことや、政府の協定批准に向けての国内手続をできるだけ早期に終えておきたいとする気持ちは理解いたします。が、さりとて、本院が協定内容の検討不十分なまま拙速に対応したときは悔いを千載に残すことにもなりかねないこともあわせて申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(村山富市君) 稲村議員の質問にお答え申し上げたいと思います。
 第一は、非公式首脳会議における発言の趣旨についてお尋ねがございましたが、今後域内の貿易・投資の自由化の実施に当たって幾つか懸念される問題について意見を述べてまいりましたが、特に農業問題等種々の配慮すべき問題があること、及びそのような問題は今後自由化の行動指針づくりに取り組んでいく場合に現実的かつ的確に対応していくことが大事ではないかという意味の意見を申し上げてきたところでございます。
 自由化の具体的な進め方につきましては今後検討されていくことになりますが、WTOへの対応との関係につきましては、我が国は、APECは多角的自由貿易体制を補完、強化する開かれた地域協力の場であるという考え方に立ちましてこれからも対処していきたいと考えているところでございます。
 次に、WTO協定について、このウルグアイ・ラウンド受け入れ等に当たって苦渋の選択をしてきた経過があるという御指摘がございましたが、御質問を聞きながら当時のことを私も思い起こしておりますが、国民の理解を得るためにいかなる努力を行ってきたかというお尋ねであります。
 政府といたしましては、WTO協定の締結は貿易立国である我が国経済の繁栄の基盤である多角的自由貿易体制の維持強化に極めて重要であると考えております。したがいまして、国民の皆様にわかりやすいパンフレットを幅広く配布するなど、あらゆる機会をとらえてこのような重要性について一層の理解を求めていきたいと考えているところでございます。
 次に、他産業との格差を埋めるため長期的施策が必要ではないかとの御指摘でありますが、今後の農政の展開につきましては、他産業従事者に比較をいたしまして遜色のない労働時間、生涯所得を実現し得る力強い農業構造を実現するために、農政審議会報告の趣旨を踏まえながら、意欲ある農業者の創意工夫と自由な経営展開が可能となるよう条件整備を進め、我が国農業、農村が二十一世紀に向けて自立を遂げ持続的に発展していくことができるよう、幅広い視点に立った農業政策を推し進めてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、自治・農水省等が一体となって大綱の施策を推進すべきとの御指摘がございました。
 ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策大綱におきましては、関係各省庁の施策を総合的に進めていくという視点に立ちまして推進することといたしております。
 本大綱が決定された先月の緊急農業農村対策本部の会合におきましても、私から関係閣僚に対しましてそれぞれの立場からの御尽力をお願いしたところでございますが、今後、本大綱に示された具体的施策の推進に当たりましては、政府一体となって取り組んでいく決意でございます。
 特に、ウルグアイ・ラウンド合意後、国際的な厳しい環境に立たされる日本の農業がそれに耐え得るような体質をつくっていくために何をすべきかといった問題や、とりわけ中山間地域における厳しい先ほど御指摘もございましたような問題もあるわけでありますから、これは単に農業、農水省だけの問題ではなくて、国民にいかに安定した安全な食糧をいかなる条件の中ででも提供できるかということは国の責任でもあると考えておりますから、各省が関係し合いながら連携をとって総合的に対策を講じていくということが大事であるということも踏まえまして、今後取り組んでいきたいと考えているところでございます。
 以下の質問につきましては、各大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣河野洋平君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(河野洋平君) 非公式首脳会議で村山総理が主張された自由化に対する考え方の具体的進め方につきましては、今後APECメンバー間で検討されていくということになるわけでありますが、我が国は、明年、議長国でございます。議長国といたしまして、農業問題など種々配慮すべき問題があること、及びそのような問題は今後自由化の行動指針づくりに取り組んでいく過程の中で現実的かつ適切に対応していくべきであるというふうに考えているわけでございます。
 いずれにいたしましても、村山総理の発言を踏まえつつ、自由化の行動指針づくりに積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
 次に、現在、御指摘のごときさまざまな問題、人口・食糧問題、あるいは環境問題、こういった諸問題への対応が喫緊の課題となっておるわけでありますが、我が国としては、今後とも、WTOを初めとする種々の場で人口・食糧・環境問題などに配慮すべき旨の主張を積極的に行っていく所存であります。
 なお、WTOの農業協定には、我が国の強い主張によりまして環境保護、食糧安全保障などの非貿易的関心事項に配慮すべき旨の規定が盛り込まれておるわけでございます。
 さらに、主要国の批准についてお尋ねがございました。
 先ほどもお答えを申し上げたとおりでございますが、アメリカは中間選挙等がございまして、その中間選挙の結果を踏まえてどういうことになるかについて我々も大きな関心を持っているわけでございます。したがいまして、インドネシアにおきまして村山総理初め私どももアメリカの幹部の方々にいろいろ質問をいたしましたが、選挙前に定めた審議の予定は変わらない、現金期中に承認されるということを強調されておられました。
 ヨーロッパ諸国につきましても、それぞれ既に手続を終えた国、あるいは手続を終わらすために真剣な審議が続いていると承知をいたしております。
 WTO協定と我が国の法律・政治制度、経済制度、生活慣行などとの間にいろいろ問題があるのではないか、あるいはそういうことが生じる可能性があるのではないかというお尋ねがございました。
 貿易立国でございます我が国にとりまして、我が国経済の繁栄の基盤でございます多角的自由貿易体制の中核となるWTO協定を誠実に遵守していくことは極めて重要であると考えております。
 いずれにいたしましても、政府といたしましては、WTO協定と我が国の法律あるいは政治制度などとの間に矛盾が生ずることのないよう適切に対処していかなければならないと考えております。
 世界の飢餓を克服するあるいは環境問題等についてWTOはいかなる役割を果たしていくことになるのか、これに対して我が国としてどういう貢献をしていくかというお尋ねがございました。
 現在、御指摘のごとき諸問題への対応が極めて重要な問題となっておることは十分承知をいたしておりまして、WTOにおきましても、多角的自由貿易体制の維持強化を通じて世界経済の安定と繁栄を図り、もって人類の直面する諸問題の解決にも重要な役割を果たすということを考えているわけでございまして、ウルグアイ・ラウンド農業協定には、我が国の強い主張によりまして今お尋ねのような問題が盛り込まれているわけでございます。
 今後、我が国としても、WTOを初めとするさまざまな場におきましてこうした重要な問題点にさらなる配慮がなされるべきことを主張してまいる所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣大河原太一郎君登壇、拍手〕
#37
○国務大臣(大河原太一郎君) 稲村議員の御質問にお答えいたします。
 まず、農業分野における国際貢献についてのお尋ねであります。
 我が国は、世界の食糧問題の根本的な解決のためには、基本的に食糧不足を来す各国ができるだけ自国内で食糧生産に努めることが重要であるという観点に立ちまして、農林水産業に関する技術協力、資金協力などさまざまな協力を進めてきているところであります。また、近年、熱帯林の減少なり砂漠化の進行等、地球的規模での環境問題への取り組みが重要になっておりますことから、森林の保全・造成、農地や農村環境の保全等の分野での協力も今後積極的に進めてまいるつもりであります。
 なお、世界的な食糧不足問題及び地球環境問題の解決に向けてあらゆる機会をとらえ、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 連立与党の確認事項を踏まえて対策大綱の実施について配慮せよというお話でございますが、ウルグアイ・ラウンド農業合意の実施に伴う国内対策につきましては、九月末の連立与党の「緊急農業農村対策について」などの御意見を踏まえ、まさに政府と連立与党とが一体となった検討の結果として対策大綱を取りまとめたところでございます。
 このように、先般の対策大綱は国内対策につきまして真剣な議論の積み重ねの上に成り立ったものでございまして、私どもといたしましては、確認事項等を念頭に置き、対策大綱に示された具体的な施策を総合的かつ的確に講じていく決意であります。
 最後に、備蓄や減反緩和の約束を責任を持って実行するべきとの質問でございます。
 米の生産調整につきましては、昨年産米の未曾有の不作による逼迫した米の需給事情のもとで平成六年度及び七年度の転作目標面積を緩和することとしたところでございますが、本年産米については昨年と事情が一変して相当な豊作となっておりまして、平成七年十月末には、その一年後の平成八年十月末において造成することを予定していた水準を相当程度上回る在庫となることが見込まれているところであります。また、本年産米についても、流通の大宗を占める自主流通米について、売れ残りが出たり価格が下落するといった事態に至るのではないかとの懸念が生産者団体を初め関係者の間から出てきており、我々も同様の認識を持っているところであります。
 このような需給事情にあることから、緊急輸入米の息長い処理を初め、平成七年度の転作等の取り扱いにつきましては、自主流通米の販売環境への影響等を踏まえながら、追加的な需給調整の是非につきましてただいま生産者団体と協議をしておるところであります。(拍手)
   〔国務大臣井出正一君登壇、拍手〕
#38
○国務大臣(井出正一君) 稲村議員の御質問にお答えをいたします。
 WTO協定中の衛生植物検疫措置の適用に関する協定、いわゆるSPS協定についてのお尋ねでありますが、食品の安全に関する国際基準は、国際的な機関において消費者の健康の保護を目的として策定されてきているものでありまして、我が国においてもこのような国際基準により国民の健康は確保できるものと考えております。また、例えば食品に残留する農薬の基準では、国際基準のあるもののうち二割程度が、現在、国際基準よりも厳しいものとなっております。
 また、この協定には、御指摘のように科学的正当性がある場合等においては国際基準よりも厳しい基準を採用し得ること等の規定も盛り込まれておりますところでございまして、この協定の締結によって国民の健康確保に支障を及ぼすような食品の安全基準の緩和を行うことは考えていないところでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#39
○議長(原文兵衛君) 都築譲君。
   〔都築譲君登壇、拍手〕
#40
○都築譲君 私は、新緑風会を代表して、ただいま提案のありました世界貿易機関を設立するマラケシュ協定及び関連する国内法案につきまして、総理並びに関係閣僚に質問をいたします。
 冒頭、総理の農業に対する基本姿勢をお伺いいたします。
 現在、日本の農業は、農業労働力の減少と高齢化、生産構造の脆弱化、農産物の内外価格差等の諸問題が急激に進行しております。また、米のミニマムアクセスの導入を初めとするガット・ウルグアイ・ラウンドの農業合意により、本格的な国際化時代に突入せざるを得なくなるなど、困難な状況は深刻化の一途をたどっております。
 こうした中で、国民の方々の意見も、日本農業すべてを断固として守れとか、必要な農家だけ育成せよとか、あるいは自由競争にゆだねよなど、さまざまに分かれております。
 この多様な意見をまとめ、日本農業の今後の方針を明確にするには、政府の方針が定まってなければなりません。総理もさまざまな場で今後の農政の方針について述べておられます。しかし、その内容を吟味すればするほど、将来の方針が見えてこないのであります。一体、総理は日本の農業の行き先をどこに置いているのですか。ミニマムアクセスによる六年間の特例措置の終了後に向けての対応も不明確にしたまま、目的も定めず、今までのように当面の対応に終始するだけでは、国民の将来を危うくするだけだと言わねばなりません。
 二十一世紀に向けて、国民の食糧の安定的確保を図り活力ある農業を維持発展させるためにどのような展望を持っておられるのか、総理のお考えを明確かつ簡潔にお聞かせください。
 次に、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定、いわゆるWTO協定についてお伺いします。
 WTO協定の発効は、来年一月一日あるいはできるだけ早い時期とされております。しかし、アメリカ、EUなど主要国の批准のめどは立っておりません。現在、WTO協定を批准している国はわずか二十七カ国にすぎないという現状が示すように、各国とも模様眺めの状態となっております。
 WTO協定の成否を握るのはアメリカであります。そのアメリカは、十一月八日の中間選挙により共和党が上院、下院ともに過半数を占めたため、協定批准の動向が不明朗になってきています。先日の新聞報道では、上院の承認に必要な数が五人ほど足りないともされております。
 しかし政府は、単に、アメリカの動向を見守る、批准は行われると確信するとか、受け身の態度に終始しております。相手政府に追従し、応急措置に振り回されるばかりが外交交渉ではないはずであります。
 協定は我が国の国益にかなうのですか、かなわないのですか。世界の国々にとって有益なのですか。八年間かけてこぎつけたこの協定を今からやり直すことが果たして可能なのですか。そのためのコストはどのようなものなのですか。
 これらを踏まえれば、政府としてアメリカの動向を確実に把握し、対策を立て、場合によっては各国に働きかけることが責任ある内閣として必要ではないのですか。そうでなければ、世界の国々とともに歩む意欲もない、果たすべき役割も自覚しない無責任な内閣と断ぜざるを得ないのであります。
 アメリカのWTO批准に関する状況の分析と対応について、総理及び外務大臣にお聞きいたします。
 また、WTO批准問題については、国内において、アメリカなどに先駆けて批准手続を進める必要はない、批准を行うべきではないなどの主張と、日本が率先して批准を行いリーダーシップをとるべきであるという意見があります。
 政府の基本方針は、国会承認を取りつけた上で、批准時期については政府に一任というお考えのようであります。国会承認を行えば批准時期について政府に一任するのはやむを得ませんが、ただ、政府の基本的考え方が見えてこないうちは我々としても無条件に国会承認を行うわけにはまいりません。
 総理、あなたは、アメリカなどに先駆けて批准手続を進める必要はないと考えているのですか、それとも、率先して日本が批准を行いリーダーシップをとるべきであるとお考えなのですか、見解をお伺いいたします。
 次は、国内対策の問題であります。
 WTO協定は、農業協定だけでなく、関税評価協定、サービス貿易協定、貿易関理知的所有権協定など多分野にわたっておりますが、まず農業関連国内対策についてお伺いいたします。
 政府は、ウルグアイ・ラウンド合意を受けて今後六年間に実施する国内対策費用として、農林水産省、自治省等合わせて七兆円強にも及ぶ予算を計上しています。
 ただ、総額七兆円という数字の是非は別として、七兆円で実施する事業の内容は到底納得し得るものではありません。総額七兆円ということは、国民一人当たり実に約七万円もの税金を負担することになります。真に日本農業育成のための負担なら、国民の方々に御負担をお願いするのもやむを得ないでありましょう。
 しかし、例えば農林水産省関連枠六兆円の内容を見ると、公共事業費である農業農村整備事業が三兆五千億円と六割近くを占めております。既に景気刺激策として公共事業を前倒しでやっている状況下において、新たな公共事業を持ち込んで果たして事業推進できるのでしょうか。莫大な税金を投入し農村地域の公共事業を実施することが、真に活力のある日本農業を育成発展させることになるのですか。
 効率的、安定的な経営体の育成支援、農家負債対策、新規就農者の確保対策など二十一世紀を展望した対策が焦眉の課題となっているときに、六年間を無事に過ごせばよいという発想で、公共事業さえ行えば十分であるといったような前時代的な手法はもう終わりにすべきであります。
 国民の方々の中で農業に対して金をばらまき過ぎであると批判が強いことは、総理も御承知であると思います。必要な農業対策を国民の方々に納得していただいた上で実施するためにも、三兆五千億円に上る公共事業費は見直し、日本農業の育成発展のための費用を充実させるべきと考えますが、総理及び農林水産大臣の見解をお伺いいたします。
 四点目は、食糧の安定供給についてであります。
 食糧管理法にかわる新しい食糧需給安定法の制定は、時代の要請として当然行うべきであります。ただ、それは生産者、消費者ともに納得し得るものでなくてはなりません。
 新たな米の管理システムの構築において早急に改善すべき課題は、米の生産調整の手法であります。現行の生産調整システムは一律的、強制的であるために生産者の意欲をそいでまいりましたが、今後は減反については生産者の自主的判断に任せる選択方式の導入が不可欠であります。減反について生産者、消費者双方とも不信は高まっております。昨年来の米をめぐるどたばた劇は繰り返してはなりません。
 生産者、消費者ともに納得し得る生産調整が可能なのか否か、総理及び農林水産大臣の見解をお伺いいたします。
 また、政府米、自主流通米の新たなる位置づけを行うことも必要ではありますが、それによって米の価格が急騰し、消費者に大きな影響を与えることがあってはなりません。政府米には価格の下支えをするという重要な役割があり、もし政府米がその役割を果たせなくなれば、米の価格は上下変動が大きくなり、生産者、消費者両者にとって不幸な事態になることは明白であります。政府米の位置づけについて農林水産大臣の認識をお伺いいたします。
 最後に、WTOの批准に対応した農政の改革の方向について、これが農業従事者の生産意欲をそぐことがあっては絶対になりませんし、また、消費者に多大な負担を求めるべきでもありません。改革の方向はあくまでも消費者及び生産者双方が納得し得る方向に進めるべきと考えますが、総理の決意をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#41
○国務大臣(村山富市君) 都築議員の御質問にお答えいたします。
 まず、日本の農業の展望についてお尋ねがございました。
 今後の農政の展開につきましては、政策推進の指針として取りまとめられました農政審議会報告の趣旨を踏まえながら、意欲ある農業者の創意工夫と自由な経営展開が可能となるよう条件整備を進め、我が国農業、農村が二十一世紀に向けて自立を遂げ持続的に発展していくことができるよう、幅広い観点に立った農業政策に取り組んでまいる決意でございます。
 次に、WTO協定のもたらす利益についてのお尋ねでございますが、この協定の締結は、多角的自由貿易体制の維持強化、国際経済秩序に対する信頼の確保という観点から極めて重要な意義を持っていると考えています。世界の国々のみならず、貿易立国である我が国にとりましては、極めて有益なものであると考えているところでございます。
 次に、WTO協定の交渉をやり直すことの可能性及びコストについてのお尋ねでございますが、本協定は、百二十四の国・地域及びECが約八年間かけて行った歴史的大交渉であり、交渉を今からやり直すことは事実上不可能であると認識をしております。
 特に、私は外交は継続と申し上げてまいりましたが、これは細川内閣のときに同意をし受け入れたものであることも、この際申し上げておきたいと思います。
 また、そのためのコストとしては、多角的自由貿易体制の強化が先送りされ、その間、一方的措置、二国間主義、地域主義への傾向が強まるおそれが高いものと考えています。
 次に、米国のWTO批准に関する状況の分析と対応についてのお尋ねでありますが、米国は、中間選挙後、予定どおりウルグアイ・ラウンド合意実施法案につきまして、下院の採決を十一月二十九日に、上院の採決を十二月一日に行うことを確認しており、WTO協定の来年一月一日の発効に向け、年内受諾を行うとの強い決意を引き続き有しておるものと理解をいたしておるところでございます。
 次に、他国に先駆けて我が国が批准を行うべきかとのお尋ねでありますが、これまでも御答弁を申し上げてまいりましたように、政府としては、WTOの発足に当たっては米国、欧州連合等の主要国の参加は極めて重要であると考えております。これらの諸国の締結がどうなっていくのかということも十分見きわめながら我が国として締結手続をとるようにしたいと考えていることを、申し上げておきたいと思います。
 次に、農業対策に係る公共事業の見直しについてお尋ねがございました。
 国際化の急激な進展に対応して、我が国農業の体質強化を緊急に進め、その育成発展を図るためには、効率的な営農が可能となる生産基盤の整備が重要であると思います。
 今回の緊急対策では、このような観点から、農業農村整備事業について事業費三兆五千五百億円を計上しており、高生産性農業基盤整備の促進を図ることとしているところでございますから、御理解をいただきたいと存じます。
 次に、生産者と消費者の両者が納得する生産調整は可能かとのお尋ねでありますが、新たな米管理システムにおける生産調整の具体的な仕組みにつきましては今後検討していくこととなりますが、米の全体需給の調整を図ることを基本としつつ、生産者の自主的判断を尊重して実施することといたしておるところでございます。これにより、生産者、消費者を含め、関係者にとってより合理的な仕組みとなるものと考えておるところでございます。
 次に、農政の改革に対する決意についてお尋ねがありましたが、今後の農政展開に当たりましては、政策推進の指針として取りまとめてこられました農政審議会の報告及び与党三党で慎重に検討し政府・与党と合意を見ました政策大綱を踏まえまして、具体的施策を総合的かつ的確に講ずることといたしておるところでございます。
 これにより、消費者ニーズに的確に対応するとともに、意欲ある農業者の創意工夫と自由な経営展開が可能となるような条件整備を進め、我が国農業、農村が二十一世紀に向けて自立を遂げ持続的に発展していくことができるようにするなど、幅広い観点に立った農業政策に取り組んでまいる決意を申し上げておきたいと思います。
 以下の質問につきましては、関係閣僚から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣河野洋平君登壇、拍手〕
#42
○国務大臣(河野洋平君) アメリカにおけるWTO協定批准の状況いかんというお尋ねでございます。
 先ほど総理が御答弁したとおりでございます。(拍手)
   〔国務大臣大河原太一郎君登壇、拍手〕
#43
○国務大臣(大河原太一郎君) まず、農業農村整備事業に係る対策費の見直しについてでありますが、先ほど総理がお答えしたとおり、我が国農業にとって効率的な営農が可能となるよう早急に生産基盤の整備を図ることは極めて重要であります。このため、農業農村整備事業につきましては、今回の緊急対策においても事業費三兆五千五百億を計上したところでございまして、生産性の向上に直結する大区画圃場整備等の高生産性農業基盤整備を重点的かつ加速的に推進しようとするところでございまして、今後の我が国の農業の育成発展にとって大きな役割を演じるものと考えております。
 生産者、消費者ともに納得し得る生産調整の可能性についての御質問でございますが、御案内のとおり、潜在的な生産力は需要を上回る状況にございまして、生産の安定と消費者への安定供給がなされるよう生産調整の実施が必要であります。
 新たな米管理システムにおける生産調整の具体的な仕組みにつきましては今後検討していくこととなりますが、全体需給の調整を図ることに配慮しながら生産者の自主的判断を尊重して実施することとし、強制感を伴う実効確保措置については見直すことといたしております。
 政府米の位置づけについてのお尋ねでありますが、新たな米管理システムのもとで、民間流通である自主流通米制度を基本として、政府米の役割は備蓄でありミニマムアクセス輸入のためのものとすることとしております。
 なお、政府米買い入れ価格が下支え機能を果たすことにつきましては、生産調整や備蓄運営を通じて適切な需給調整を図る、価格形成の場で価格水準について適切な値幅の範囲内で価格形成を図ることにより、何よりも米全体の価格の安定が確保されることが重要であると考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#44
○議長(原文兵衛君) 刈田貞子君。
   〔刈田貞子君登壇、拍手〕
#45
○刈田貞子君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりましたWTO設立協定ほか国内関連法案について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 七年に及んだウルグアイ・ラウンド交渉は昨年十二月に終結し、その結果、農産物貿易の原則関税化、サービス貿易のルール確立など、世界は新しい貿易秩序に向けて動き出そうとしております。
 我が国は貿易立国としてこの恩恵を最大に享受していくことになると思いますが、このWTO設立後の世界貿易はどんな姿になるのか、まず総理にお伺いをいたします。
 また、WTO加盟後のガットとのかかわりについてもお伺いをいたします。
 さらに、さきのAPECで採択されたボゴール宣言は域内の貿易・投資の自由化が盛り込まれておりますが、これとWTOとの関連についてもお尋ねをいたします。
 さて、このWTOの批准に関する各国の状況を見ますと、先ほどからもお話が出ておりましたが、アメリカでは、中間選挙後、議会の多数派が民主党から共和党に移ったことから、下院は成立のめどが立ったものの、上院はまだ不透明であり、ラウンド法案は来年一月からの新議会で扱うべきとの声も出始めていると聞いております。一方、EUでは、加盟十二カ国のうち議会承認が終わっているのはドイツ、英国の二カ国であり、他の国はやはり十二月初めと見られるアメリカ議会の態度待ちということから、年内批准も不透明とも言われております。
 そこで、来年一月の協定発効に向けて、我が国もその対応が迫られておりますが、会期末も迫り、法案の処理も含めて批准に関する今後の日程的手順を我が国はどのように進めようとしておられるのかをお伺いいたします。
 次に、お米に関する今後の対応について伺います。
 ガットの農業合意では、我が国は米について六年間のミニマムアクセスを受け入れ、関税化の例外という選択をしたわけでありますが、この特例措置の七年目以降の取り扱いについてはどのように考えておられますか。
 総理は今後の交渉であり今は白紙と衆議院で答弁されておりますが、六年間の対策はそれ以降を見据えたものでなければ、再交渉に当たってより有利な交渉ポジションを確保できないと思います。いかがですか。
 さきに政府が決めた六兆百億円の対策費について伺います。
 農水省によると、この予算は従来の農水省予算に支陣を来すものではない、つまり別枠であるという認識に立たれておりますが、この点について改めて農林大臣、大蔵大臣に確認をいたします。
 また、昨年十一月に出された財政審報告では農業基盤整備について重点的かつ抑制ぎみに扱うべきとするいわゆるCランクとし、財政当局はこの方針を堅持する考えであると伝えられていますが、このこととの関係はどうなりますか。
 さらに、この事業費の内容について従来型のばらまき、後ろ向きとの批判もありますが、これで果たして日本の農業の体質強化につながるのでしょうか、お伺いをします。
 政府はこの六兆円等を活用して大区画圃場整備等の高生産性農業基盤整備を進めて国際競争力の確保を目指すとありますが、昨年の大凶作による米の緊急輸入で、私たちは国産米が輸入米とは価格の上で太刀打ちできないことを経験しました。もし国際競争力を確保するのだとすれば、米の生産コストを現在より大幅に引き下げなければならないとも言われております。そのため、農地政策、担い手対策、資金政策、流通政策、農村整備等を早急に進めなければなりません。もしコスト削減ができない場合、我が国はどんな対策で国際競争力を持つべきと考えられますか。
 次に、食糧需給価格安定法について伺います。
 まず、この法案が政省令にゆだねる部分の余りにも多いことを指摘しなければなりません。したがって、全体像が見えにくいことから、政府は速やかに子細について公表すべきだと思います。
 そこで、生産調整についてでありますが、これは新食糧法の成否を握るかぎになります。この改革案によって、生産調整はこれまでの一律割り当て的な手法から生産者の自主的判断を尊重する手上げ方式へと変わるわけですが、これが一歩間違えば、自主流通米価格は暴落し、政府米価格も低下するでしょう。米価が下がれば、営農の安定を揺るがすことにもなります。大量に出る余剰米への対応もしなければなりません。生産調整を実効あるものに誘導するための施策を政府は早期に示すべきであります。農林水産大臣の御見解を求めます。
 さらに、備蓄に関しても多くの論点がありますが、当面の問題について伺います。
 百五十万トンを基本に一定の幅で運用すると、その数量を明確にした新食糧法ですが、ことしの大豊作で来年の施行の時点で早くもこの目標を上回ることになり、立ち上がりからの計画見直しを余儀なくされますが、今後どうされますか。さらに、この改革によって国による米の検査体制はどうなりますか。米の品質表示方法はどうなりますか。特に、先ほど来お話のございました残留農薬等の安全性は本当に確保されるのでしょうか。お答えください。
 最後に、米の国際需給に関してお尋ねいたします。
 米の世界総生産量の九〇%までがアジアの多くの国々で生産、消費されており、一方、輸入する国は百カ国以上と極めて多いにもかかわらず、国際市場に大量に供給できる輸出国は限られております。しかも、米総生産量に対する貿易量の比率は四%前後と極めて少なく、このため、国際価格は大幅に変動し、需給バランスも不安定です。そこで、来年より米のミニマムアクセスを受け入れることになれば、この世界の米貿易市場の不安定性を国内に持ち込むことになり、国内需給政策にもかかわると思われますが、いかがでしょうか。
 高い人口増加率や異常気象等が原因で、世界の食糧需給は中長期的には逼迫基調にあると言われています。新農政はこうした予測を前提に食糧自給率の向上が強調されておりますが、米のミニマムアクセスを受け入れるに当たって一層の国内自給の確保を確認し合わなければならないと思います。また、我が国はこれまで高い農業技術力を持って途上国等を支援してきましたが、さらに各国の農業の発展のために貢献して世界の食糧事情を好転させるくらいの大きな役割を果たすべきであります。この食糧の国内自給の確保策と日本が世界の農業に貢献する役割について総理の前向きな御決意を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#46
○国務大臣(村山富市君) 刈田議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、WTO設立後の世界貿易及びその中での我が国の対応についてのお尋ねでございますが、WTOの設立により多角的自由貿易体制が一層強化、推進をされる、それを受けて世界の貿易量は拡大をされるものと考えております。貿易立国である我が国にとって極めて意義深いものであると同時に、我が国としては、それだけに、WTOの運営に当たっては積極的に貢献をしていく所存でございます。
 次に、WTO加盟後の現行ガットとのかかわり方についてのお尋ねでありますが、我が国といたしましては、諸外国との法的関係を安定的に維持する観点から、当面は、現行ガットから脱退をせずにガットからWTOへの円滑な移行を図ることが望ましいと考えているところでございます。
 次に、APECのボゴール宣言についてのお尋ねでありますが、今般の宣言は、長期的視野に立った域内の貿易・投資の自由化に向けた大きな方向性について政治的意思を表明したものでありますが、かかる自由化につきましてはWTOに整合的な方法で達成することができるものと考えているところでございます。
 次に、WTO協定締結に向けた今後の手順についてのお尋ねでありますが、政府といたしましては、協定及び関連法案をぜひとも本国会において成立をいただき、締結の手続をとってまいりたいと考えているところでございます。
 次に、関税化の特例措置の七年目以降の取り扱いについてお尋ねがございました。
 関税化の特例措置の七年目以降の取り扱いにつきましては、六年目の交渉で決められることとなっております。七年目以降も米に関する特例措置を継続するか否かにつきましては、その時点における我が国農業の状況や特例措置の継続に伴う代償等種々の状況を検討しながら、総合的に勘案をして判断することとなると考えておるところでございます。
 次に、六年間の対策と将来の交渉ポジションについてのお尋ねでありますが、我が国はウルグアイ・ラウンド農業交渉におきましては、基本的な理念として食糧安全保障や国土・環境保全等農業が果たしております多様な役割が適切に反映されることの必要性を積極的に主張してきたところでございます。将来の交渉に当たりましても、これを基本として臨んでいきたいと考えておることを申し上げておきたいと思います。
 さらに、今後六年間の対策も、意欲ある農業者の創意工夫と自由な経営展開が可能となるよう条件整備を進め、我が国農業、農村が二十一世紀に向けて自立を遂げ持続的に発展していくことができるようにとの見地に立って取りまとめたものであり、まさに将来を見据えたものであると申し上げておきたいと存じます。
 次に、農業基盤に係る今回の緊急対策についてのお尋ねでありますが、今回の緊急対策は、事業効果の早期発現を図りながら効率的な整備を進める観点から、特に生産性向上に直結する整備事業を重点的、加速的に推進しようとするものでございまして、我が国農業の体質強化に十分寄与するものと確信をしておるところでございます。
 財政審報告は、産業基盤型の公共事業については全体として重点的かつ抑制ぎみに扱うこととしていますが、同時に、これからの我が国経済の成長のために必要な分野には適切な配慮が必要といたしておるところでございます。このため、今回の緊急対策で実施するような高生産性農業の育成に資する農業基盤整備等を重点的、加速的に実施することまで否定したものではないと考えているところでございます。
 次に、六兆百億円の対策費はばらまきではないかという御質問でございますが、今回の対策は、ウルグアイ・ラウンド農業合意の実施など新たな国際環境に対応いたしまして、力強い農業構造、農業経営の実現、住みやすく活力に満ちた農村地域の建設を期するための観点に立って今後六年間で必要な対策を重点的に取りまとめたものでございまして、ばらまきであるとは考えておりません。
 次に、国産米のコスト低減についてのお尋ねがございました。
 今後の農業の国際化に対応し、低コスト稲作の推進等による体質強化を図ることが緊急の課題であると認識をいたしております。このため、今後は地域における稲作生産の担い手を明確にしながら、それら担い手への農地利用の集積や土地基盤の整備、資本装備の高度化等の生産面における各般の施策を重点的かつ加速的に推進するとともに、新たな米管理システムのもとで米の流通の合理化を推進してまいりたいと考えていることについて、御理解をいただきたいと存じます。
 次に、米の生産から消費までの全般にわたる対策についてのお尋ねでありますが、新たな制度のもとで、米の需給の的確な見通しを策定し、これに基づき生産調整の円滑な推進、備蓄の機動的な運営、適正かつ円滑な流通の確保、政府米の適切な売買等を行うことによりまして国民の主要食糧である米の需給と価格の安定を図ってまいりたいと考えていることについて、御理解を賜りたいと存じます。
 次に、食糧供給の基本姿勢についてのお尋ねがございましたが、国土条件に制約のある我が国におきましては、国内生産、輸入及び備蓄を適切に組み合わせることによりまして国民に対する食糧の安定供給に努めることが重要であると考えております。国内生産につきましては、国土資源の有効利用により可能な限り国内生産を維持拡大し、自給率の低下傾向に歯どめをかけることを基本としながら政策展開に努めてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、技術協力を通じ農業分野で国際貢献すべきではないかとお尋ねでありますが、我が国農業分野における技術水準は、御指摘のとおり相当高い水準にあると考えています。技術協力は、これまでも可能な限り行ってまいりましたが、今後とも積極的に取り組んで推進してまいりたいと思っております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣大河原太一郎君登壇、拍手〕
#47
○国務大臣(大河原太一郎君) まず、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策は別枠かという御質問でございますが、今回の対策はウルグアイ・ラウンド合意に対応する六カ年の新しい事業であります。なお、従来の農林水産予算に支障を来さないよう配慮することとされておるわけであります。
 国産米のコスト低減についてのお尋ねでございますが、我が国は、諸条件によって農業内部の努力のみでは解決できない制約により、コスト縮減にはおのずから限界がございますが、国民の理解を得られる価格水準での供給を図ることが必要であり、最大限の努力を払って極力生産コストを引き下げることが重要であります。
 国内対策大綱には、経営規模の拡大のための農地の利用集積、大区画圃場整備等の高生産性農業基盤の整備、生産現場に直結した新技術の開発等を推進することにより、効率的、安定的な経営が稲作生産の大宗を占める力強い農業構造を実現してまいる所存であります。
 新食糧法案について政省令の内容を速やかに明らかにすべきであるというお話でございますが、この法案は、農政審の報告を受けた後、関係方面の御意見をお伺いしながら制度面、運用面にれたりその内容を固めてきたところでありまして、この法案にその骨格が示されているところであります。したがいまして、国会の御審議を経て本法案が成立した場合には、できる限り速やかに政省令を整備し、適切な施行、運用に努めてまいりたいと思っております。
 生産調整の実効を確保するために誘導する施策を早期に示すことが必要ではないかという御質問でございますが、生産調整目標については極力生産者なり地域の意向を踏まえて調整した上で決定すること、また、政府買い入れの対象とするとともに生産調整助成金を生産調整実施者には交付すること、生産者がより取り組みやすいような生産調整方法を多様化する等の措置を講じまして、できるだけその適切な実施を図りたいと、さように思っております。
 なお、新しい生産調整については平成八年度から実施する考えであり、その具体的仕組みについては、それまでに関係者の意向を十分踏まえながら検討してまいることといたしております。
 次に、本年の大豊作を踏まえた上、今後の米需給の対応いかんという御質問でございますが、国内産米につきましては、作況指数一〇九という豊作の中で七年十月末に百五十万トンを超える見込みとなっております。新しい制度のもとで、備蓄水準は百五十万トンの確保を基本として一定の幅を持って適切に運用していきたいと考えておりますが、このような需給緩和の状況は、流通の大宗を占める自主流通米の販売環境にマイナスの要因となるのではないかと考えております。
 こうしたことから、自主流通米なり政府米を一体として計画的な供給と在庫保有に努めますとともに、国内米を主体とした供給を行うとともに積極的な消費拡大に努めたいと思っております。それにより流通と価格の安定を確保いたしたいと、さように思っております。
 なお、明年度の転作目標の取り扱いにつきましては、現在、追加的な需給調整の是非につき生産者団体を初め関係者と協議しているところであります。
 次に、米の検査、品質表示についての考え方でございますが、米については、公正円滑な取引を図るため、現在まで農産物検査により産地品種銘柄、品位等の格付を行ってきております。また、表示についても、消費者の信頼性を確保するため、その適正化を図ってきたところでございます。新しい制度のもとにおける検査・表示制度のあり方については、これらに対する国民の関心の高まりに対応して、その信頼にこたえる適切な検査、表示をいたしたいと、さように考えて、ただいま検討しているところでございます。
 なお、米の安全性についてお触れになりましたけれども、国内産米の安全性は、基本的には農薬取締法に基づく農薬安全使用基準等の遵守によって確保されており、また収穫後の米については、御案内のとおり、低温保管を行うことによりポストハーベスト農薬の使用がないことから、十分確保されているものと考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣武村正義君登壇、拍手〕
#48
○国務大臣(武村正義君) まず、六兆円余の今回の対策について予算編成上どう認識するかというお尋ねでありますが、今回の対策は、ウルグアイ・ラウンド合意に対応する六カ年の新しい事業であります。なお、従来の農林水産予算に支障を来さないよう配慮してまいりたいと存じます。いずれにせよ、各年度の予算編成過程において検討の上、適切に対処をしてまいります。
 次に、財政審報告との関係についてのお尋ねでございますが、今回のウルグアイ・ラウンド対策では、農業の体質強化を推進する観点から、高生産性農業の育成に資する農業基盤整備等を重点的かつ加速的に推進することとされております。
 昨年の財政審報告は、産業基盤整備のための公共事業について、「全体としては、重点的かつ抑制気味に扱うべき」とする一方で、これからの我が国経済の成長のために必要な分野には適切な配慮を図ることも必要であるというふうに指摘をしておりまして、この点から、今回のウルグアイ・ラウンド対策における高生産性農業の育成に資する農業基盤整備等につきましては、昨年の財政審報告における「適切な配慮を図る必要のある分野」に該当するというふうに考える次第であります。
 次に、六兆円余の事業費の内容、ばらまき、後ろ向きの批判についてでございますが、この対策につきましては、昨年末に我が国としての国際的責務の観点から農業合意受け入れを決断して以来、関係者間において真剣かつ精力的な検討が行われ、取りまとめをいたしたところでございます。
 一段と深刻な財政事情のもとではありますが、二十一世紀に向けて我が国の農業の将来展望を切り開き力強い農業構造を実現するために必要な対策であると受けとめております。(拍手)
    ―――――――――――――
#49
○議長(原文兵衛君) 林紀子君。
   〔林紀子君登壇、拍手〕
#50
○林紀子君 私は、日本共産党を代表して、WTO協定の批准に断固反対する立場から、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 本協定及び関連法案は、衆議院の特別委員会において今ようやく実質的な審議が始まったばかりです。それにもかかわらず、我が国農業の運命と我が国主権にかかわる重大な案件をしゃにむに今国会で成立させることを前提に、本日、本院においてこのように審議に入ることは異常と言うほかはありません。ジャカルタでの日米首脳会談を受けて、アメリカの意向を第一に極めて異例な審議を強行することに対して、まず強く抗議するものです。
 この協定は、全部で二万八千ページにも及ぶ極めて広範な貿易協定を盛り込んでいます。政府は、その内容についても、またそれが国民生活にどのような影響を及ぼすのかも十分に知らせないまま、重大な本協定の承認を強行しようとしています。我が党が衆議院の審議で明らかにしたように、本協定の来年一月一日までの批准は何ら国際的な義務ではありません。それなのに、なぜ我が国が他国に先駆けて本協定の承認をこのように急ぐ必要があるのですか。総理、答えてください。
 国際貿易の公正な発展のために求められていることは、公平・平等の貿易ルールを確立することです。ところが、この協定は各国の主権を大きく制限するものになっています。一つは十八に上る協定の個々の留保を一切認めない一括受諾方式であり、もう一つは国内法を優先することを定めた祖父条項を撤廃したことです。
 ウルグアイ・ラウンド交渉の推進者となってきたのは常にアメリカでした。インドの元ガット駐在大使シュラク氏も、WTOがアメリカの腹話術人形としての様相を一層強めるだろう、それがWTOが持つ真の危険性だと指摘しているほどです。
 例えばアメリカは、自国の利益を守るため強引に修正要求を出して、反ダンピングを口実とした輸入制限措置を存続させました。その上、包括通商法スーパー三〇一条はWTOによって制約されないと公言し、議会もその恒久化を図っているのです。
 政府は、衆議院での我が党議員の指摘に対して、WTO協定にのっとって紛争処理ができると答えていますが、そのような保証がないことは、今アメリカ議会にかけられているWTO実施法案の一〇二条で、アメリカの法律に反するものは効力を持たないと明記し、国内法を優先させようとしていることから見ても、明らかではありませんか。アメリカのこのような横暴は断じて容認できません。総理、いかがですか。
 そもそも国の経済の自立にかかわる分野、国民生活にとって重要な分野が脅かされるときには、我が国の主権の問題として国境措置など適切な一定の保護措置をとることは当然ではありませんか。総理、答えてください。
 そこで、農業協定について質問します。
 我が国農業は、本協定を受け入れていない今でさえ、後継者は激減し、食糧自給率が四六%にまで落ち込んでいます。もし本協定を受け入れ完全自由化が強行されれば、壊滅的打撃を受けることはだれの目にも明らかです。だからこそ、本院は三度にわたって米の輸入自由化に反対する決議を上げてきたのであり、選挙ではすべての政党が米の輸入自由化に反対と公約したはずです。
 本日も衆議院の特別委員会で武村大臣は率直に国会決議違反を認めましたが、総理、いかがですか、この国会決議と選挙公約に従えば批准に反対する立場を貫くのが国民に対する当然の責務ではありませんか。
 ところが、村山総理は社会党は苦渋の決断だったと言い、自民党の河野外務大臣は外交の継続性と言いわけをして、全く責任を負わないばかりか、強引に推進しています。あなた方は、国民に対する公約違反について何ら痛みを感じないのでしょうか。また、農水大臣、あなたも米の輸入自由化受け入れは取り返しのつかない大失策、大失態と繰り返し主張してきたではありませんか。総理、外務大臣、農水大臣、それぞれの責任ある答弁を求めます。
 政府は、六年間で六兆円余りの国内対策によって我が国農業を再建すると言っています。しかし、その内容を見ると、負債・融資対策によって有利な条件で資金を借りられるのは、新政策に示された規模拡大を進める認定された一握りの農家だけです。これでは、再建どころか、中小零細な家族経営農家を切り捨てることに拍車をかけるものではありませんか。
 また、現行の食管制度を廃止して、市場原理で米価を決める新食種法案を提出しています。これは再生産を確保するという生産者米価の原則を放棄するものです。
 また、農業協定では、補助金などの国内支持を六年間で二〇%削減するよう義務づけられています。価格保証に充てる予算がこの条項の削減対象になっているため、価格保証政策を投げ捨てることになるのではありませんか。
 これでは、農家の願いに全くこたえるものでないことは明白です。輸入農産物を制限する国境措置にまさる国内対策はありません。批准をやめて再交渉するよう強く要求するものです。農水大臣の明確な答弁を求めます。
 また、この協定は、食料品の貿易を促進するため、自国の衛生防疫措置を国際基準に合わせるよう義務づけており、重大な主権制限を盛り込んでいます。多国籍企業が深くかかわっているコーデックス委員会でつくられた国際基準では、食品安全規格や農薬残留基準は我が国の基準よりはるかに緩くなっているのです。この国際基準に合わせると、発がん性のある物質が食品に残留したり、現在禁止されている抗生物質の直接添加も認められることになるなど、国民の命と健康にとっては重大な問題ではありませんか。さらに、地方自治体や生協など民間団体が設けた食品の自主的な安全基準まで規制の対象とされるのではありませんか。このような本協定は、決して認めることはできません。総理の明確な答弁を求めます。
 次に、現在でも我が国の関税率はアメリカのごり押しなどで低く抑えられているにもかかわらず、政府はさらに六千七百にも上る品目の関税率を大幅に引き下げることを約束しています。皮革・靴では、事実上、現行の関税割り当て制度を崩壊させるものです。そうなれば、円高も加わって大量に輸入され、地域経済の火を消し、靴産業労働者十万人とその家族が路頭に迷うことになります。皮革・靴産業を初め我が国中小企業に重大な影響を及ぼし、今でも不況に苦しむ状況を一層深刻にすることがどうして許されるのでしょうか。この分野でも批准を拒否して再交渉すべきです。通産大臣の答弁を求めます。
 これほど国民経済に重大な悪影響を及ぼす本協定について、政府が正当な国民の利益を守る立場に立って再交渉することは、まさに日本の主権に基づく当然の行為であり国民に対する責務ではありませんか。現に、新海洋法条約では、最終合意に達して批准が進められた後、アメリカなどの要求で大幅な修正が行われたことは総理も御存じでしょう。日本にそれができないわけはありません。
 私は、公正公平、平等互恵の原則に立った国際貿易秩序を確立するとともに、我が国主権と国民の真の利益を守るため、本協定の批准に断固反対し、政府が修正のため再交渉するよう強く総理に要求して、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#51
○国務大臣(村山富市君) 林議員の質問にお答えを申し上げます。
 なぜ我が国だけが協定の承認を急ぐのかというお尋ねでありますが、我が国を含め各国とも同協定の来年一月一日の発効に向け鋭意国内手続を進めてまいっているところであり、先般行われましたAPECでも、議論をした結果、合意を見たところでございまして、ひとり我が国のみが急いでいるわけではございません。
 次に、WTO協定は各国の主権に対し重大な制約を加えるのではないかとのお尋ねでありますが、WTO協定は各国の主権に不当な制約を加えるものではないと考えております。
 次に、米国の態度についてのお尋ねでありますが、米国のウルグアイ・ラウンド合意実施法案は、議会がウルグアイ・ラウンド合意を承認するとした上で、米国としてWTO協定上の義務を履行するために必要な現行法の改正等を盛り込んでおります。したがいまして、米国政府はWTO協定を遵守する考えであると承知をいたしております。
 次に、WTO協定との関連で米国との間で紛争が生じた場合の政府の対応についてのお尋ねがございました。
 ただいま申し上げたことに加え、仮に米国の措置等により我が国のWTO協定上の利益が害されるようなことがある場合には、WTOの紛争解決手続の利用を含め、適切に対処してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、保護措置をとることは当然ではないかとのお尋ねでありますが、政府といたしましては、御指摘のような事態が生じた場合には、WTO協定のルールにのっとって適切に対応する考えでございます。
 次に、WTO協定の締結に反対すべきではないか、協定の受諾を推進することに痛みを感じないかとのお尋ねでありますが、WTO協定のうち農業部分については、我が国にとって大変厳しいものであり、国会決議を何とか生かしたいと努力をしてきたところでございます。それだけに今後の国内対策に万全を期す所存でございますが、WTO協定全体を見た場合、同協定は我が国にとって利益をもたらすものであると考えており、本国会において国会の承認をぜひとも得たいと考えていることを申し上げておきたいと存じます。
 次に、WTO協定中の衛生植物検疫措置の適用に関する協定についてのお尋ねがございましたが、食品の安全に関する国際基準により国民の健康は基本的に確保できるものと考えております。また、この協定は、科学的に正当な理由がある場合等においては国際基準よりも厳しい基準を採用し得ること等の規定も盛り込まれているところでございます。こうしたことから、この協定の締結によって国民の健康確保に支障を及ぼすような食品の安全基準の緩和を行う必要はないものと考えているところでございます。
 次に、衛生植物検疫措置の適用に関する協定と地方自治体や民間団体等の基準との関係についてお尋ねがありましたが、食品の安全基準につきましては、国民の健康が確保されるよう国において科学的な検討に基づき全国統一の基準を決めているところでございます。したがって、食品衛生基準としては国の基準で十分ではないかと考えているところでございます。なお、民間団体が自主的にとっております措置は、本協定が規制の対象とする衛生植物検疫措置には当たらないものであると考えています。
 次に、WTO協定の再交渉についてのお尋ねでありますが、WTO協定は貿易立国である我が国にとって極めて意義深いものであると考えておりますから、再交渉を求める考えはございません。
 以下の質問は、閣僚に答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣河野洋平君登壇、拍手〕
#52
○国務大臣(河野洋平君) 繰り返して申し上げることは恐縮でございますが、私自身も、米についての特例措置の適用を含む農業協定の受け入れは我が国にとって大変厳しいものであるという認識を持っております。しかしながら、村山政権としての外交の継続性という原則及びWTO協定が多数国間条約であるということにかんがみまして、自由民主党としてもこの協定の承認を求めるという態度を現在とっております。
 農産物貿易の部分につきましては、その受け入れが及ぼす影響を最小限に食いとめるべく、先般、緊急農業農村対策本部においてウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策大綱が決定されたところであります。
 自由民主党といたしましては、過般声明を出しまして、この対策を前提として、今次国会においてWTO協定の承認と関連法案の成立に向けて努力し、国際信義を守ってまいりたいと考えているところでございます。(拍手)
   〔国務大臣大河原太一郎登壇、拍手〕
#53
○国務大臣(大河原太一郎君) まず、畑元農林水産大臣の問責決議に関連したお尋ねでございますが、私も発議者となっておりまして問責決議案を提出いたしましたが、何よりも十二月のウルグアイ・ラウンド実質合意に至るまでの間の政府の努力が必ずしも十分ではなかったという認識のもとに、当時の農民の気持ちを酌んでのことでございました。
 しかしながら、「外交は継続、内政は改革」とされる村山政権のもとで、WTO設立は国際間の約束を果たすという重要な意義を有しており、また一方、今般、政府としては、国内農家への影響を最小限に食いとめるとともに、我が国農業の将来展望を切り開き二十一世紀に向けた農業構造の早期実現を図るための対策を講ずることとしたところであり、今国会での関連法案の御可決及び協定の御承認をお願いしたいと考えております。
 国内対策の方向は中小零細農家の切り捨てではないかという御質問でありますが、新政策で示された農業構造は、地域の合意に基づき、大規模な個別経営体や組織経営体が小規模な兼業農家や高齢農家と役割分担により農地や労働力を有効に活用し、地域全体としての農業生産力の維持強化を図る姿を展望したものでございまして、中小零細農家の切り捨てではございません。
 新食糧法案は価格保障に逆行するものではないかというお話でございますが、政府米の買い入れ価格は、自主流通米の価格が需給事情等に応じて変動することから、政府米の買い入れ価格について自主流通米の価格変動が反映されるとすることのほか、全体の価格体系の整合性の観点や需給事情、市場評価等に応じた稲作生産を誘導するという観点から、適切と考えております。
 あわせて、生産コストを含む生産条件や物価その他の経済事情を参酌して設定していくわけでございまして、このような政府買い入れ価格の基本的な考え方は、今後の稲作生産の体質強化や先般の農政審議会における「需給事情を反映させた価格水準としていく必要」との方向にも沿ったものであり、適切なものであると考えております。
 なお、ウルグアイ・ラウンド農業合意に基づく国内支持について、基準期間における助成合計量を二〇〇〇年までに二〇%削減する約束をしているが、これは品目ごとではなく全品目の合計量で約束しており、また、基準期間の助成合計量に比べて現在の水準は既に十分低減されております。したがって、今回の国内支持の削減約束により今後の米価政策の運営に支障が生ずることはないと考えております。
 協定の批准をやめて再交渉すべきではないかとのお尋ねでございますが、WTO協定は、多角的自由貿易体制の維持強化、国際経済市場に対する信頼の回復という観点から重要であり、各国のさまざまな意見の調整を踏まえて作成されたものであり、総理が御答弁されたように、再交渉を求めることは考えておりません。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#54
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今回の関税交渉に当たりましては、我が国としては、関税引き下げによる我が国の国内産業に与える影響に十分配慮しつつ交渉に臨んだところであると信じております。
 その結果、特に国際競争力の弱い分野につきましては十分な配慮を行い、これらの分野については、関税引き下げの期間を長期化し、あるいは関税引き下げ幅を小幅にとどめるなどの対応を行っており、これにより我が国産業に対する急激な影響は最小限にとどまるものと考えております。
 関税の引き下げ交渉の結果につきましては、こうした事情を十分に勘案し決定されたものであり、できる限り早急に批准すべきものと考えており、御理解と御協力をよろしくお願いいたします。(拍手)
#55
○議長(原文兵衛君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#56
○議長(原文兵衛君) 日程第一 日本放送協会平成三年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。逓信委員長山田健一君。
    ―――――――――――――
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔山田健一君登壇、拍手〕
#57
○山田健一君 ただいま議題となりました日本放送協会平成三年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書につきまして、逓信委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
 本件は、日本放送協会の平成三年度決算書類でありまして、放送法の定めるところにより、会計検査院の検査を経て内閣から提出されたものであります。
 その概要は、一般勘定について、三年度末における財務状況は、資産総額五千五十九億円、負債総額二千三百七十五億円、資本総額二千六百八十四億円となっております。また、当年度中の損益の状況は、事業収入五千四百四十二億円に対し事業支出は四千八百四十二億円で、差し引き事業収支差金は六百億円となっております。このうち百八十一億円を債務償還のため、二百四十一億円を建設積立金のため資本支出に充当し、残余の百七十八億円は翌年度以降の財産安定のための財源として繰り越すことにいたしております。
 なお、本件には、会計検査院の「記述すべき意見はない。」旨の検査結果が付されております。
 委員会におきましては、収支予算が適正かつ効率的に執行されたかを初め、日本放送協会の経営基盤の強化策、放送分野における国際化への取り組み状況、マルチメディア社会に向けての公共放送の役割等について質疑を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了し、採決の結果、本件は全会一致をもって是認すべきものと議決いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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#58
○議長(原文兵衛君) これより採決をいたします。
 本件は委員長報告のとおり是認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#59
○議長(原文兵衛君) 総員起立と認めます。
 よって、本件は全会一致をもって委員長報告のとおり是認することに決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時八分散会
ソース: 国立国会図書館
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