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1994/10/26 第131回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第131回国会 政治改革に関する調査特別委員会 第3号
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1994/10/26 第131回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第131回国会 政治改革に関する調査特別委員会 第3号

#1
第131回国会 政治改革に関する調査特別委員会 第3号
平成六年十月二十六日(水曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 松永  光君
   理事 大原 一三君 理事 加藤 卓二君
   理事 古賀  誠君 理事 自見庄三郎君
   理事 笹川  堯君 理事 田端 正広君
   理事 前田 武志君 理事 左近 正男君
      逢沢 一郎君    大島 理森君
      片岡 武司君    亀井 善之君
      川崎 二郎君    熊代 昭彦君
      斉藤斗志二君    斎藤 文昭君
      林  義郎君    穂積 良行君
      若林 正俊君    伊藤 達也君
      上田 晃弘君    上田  勇君
      太田 昭宏君    岡田 克也君
      北橋 健治君    佐藤 茂樹君
      笹木 竜三君    鮫島 宗明君
      西川太一郎君    吹田  ナ君
      冬柴 鐵三君    増子 輝彦君
      茂木 敏充君    保岡 興治君
      大畠 章宏君    小森 龍邦君
      土肥 隆一君    堀込 征雄君
      山花 貞夫君    枝野 幸男君
      三原 朝彦君    東中 光雄君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣 野中 広務君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 大出 峻郎君
        内閣法制局第三
        部長      阪田 雅裕君
        警察庁刑事局長 垣見  隆君
        総務庁長官官房
        審議官     菊池 光興君
        経済企画庁調査
        局長      大来 洋一君
        法務省刑事局長 則定  衛君
        自治省行政局選
        挙部長     佐野 徹治君
 委員外の出席者
        議     員 大島 理森君
        議     員 中川 秀直君
        議     員 三塚  博君
        議     員 山崎  拓君
        議     員 笹川  堯君
        議     員 茂木 敏充君
        議     員 保岡 興治君
        議     員 堀込 征雄君
        議     員 山花 貞夫君
        議     員 前原 誠司君
        衆議院法制局第
        一部長     早川 正徳君
        衆議院法制局第
        一部第二課長  郡山 芳一君
        警察庁刑事局捜
        査第二課長   栗本 英雄君
        自治大臣官房審
        議官      谷合 靖夫君
        自治省行政局選
        挙部選挙課長  大竹 邦実君
        自治省行政局選
        挙部管理課長  山本信一郎君
        自治省行政局選
        挙部政治資金課
        長       鈴木 良一君
        特別委員会第二
        調査室長    田中 宗孝君
    ―――――――――――――
委員の異動
十月二十六日
 辞任         補欠選任
  川崎 二郎君     林  義郎君
  赤松 正雄君     上田 晃弘君
  小沢 一郎君     西川太一郎君
  太田 昭宏君     佐藤 茂樹君
  大畠 章宏君     土肥 隆一君
同日
 辞任         補欠選任
  林  義郎君     川崎 二郎君
  上田 晃弘君     増子 輝彦君
  佐藤 茂樹君     太田 昭宏君
  西川太一郎君     小沢 一郎君
  土肥 隆一君     大畠 章宏君
同日
 辞任         補欠選任
  増子 輝彦君     上田  勇君
同日
 辞任         補欠選任
  上田  勇君     赤松 正雄君
    ―――――――――――――
十月二十五日
 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等
 の臨時特例に関する法律案(内閣提出第一八号
 )
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 公職選挙法の一部を改正する法律の一部を改正
 する法律案(内閣提出第一号)
 公職選挙法の一部を改正する法律案(三塚博君
 外二十九名提出、衆法第二号)
 公職選挙法の一部を改正する法律案(保岡興治
 君外十名提出、衆法第一号)
     ――――◇―――――
#2
○松永委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、公職選挙法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案並びに三塚博君外二十九名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案及び保岡興治君外十名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。自見庄三郎君。
#3
○自見委員 委員長のお許しをいただきまして、まず一番バッターとして、いよいよ成立直前でございますこの政治改革法案、私も過去、政治改革に関する調査特別委員会、前回の解散以前の特別委員会も結成されましたが、ずっと一貫して委員としてあるいは理事としてこの委員会室で末席を汚くせていただいた人間でございますが、大変いろいろな山があり、また、政治家として本当に忘れられない強烈な印象もあるわけでございまして、それぞれの国会議員がそれぞれの思いを持って政治改革法案に対処してきた、こういうふうに思うわけでございます。きょうは一番バッターでございますから、極めて総括的な質問をまずさせていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
 まず、政治改革の基本でございまして、画竜点睛を欠いてはなりません。最後の審議になる可能性が大変に強いわけでございますけれども、しっかりそこら辺をまず自治大臣にお伺いするわけでございますが、いわゆる区割り法案でございますけれども、区割り法案成立により政治改革法案は一応完結することになるわけでございます。また、きょう審査の対象となっております公職選挙法の一部を改正する法律案、いわゆる選挙の腐敗防止、与野党から出ておりますけれども、また、先般理事会では、政党の法人格について委員長の提案があるやにも聞くわけでございますけれども、そういったいよいよ大詰めを迎えているわけでございますけれども、これまでの政治改革論議等を振り返ってみて、今この時点においてどういう感慨をお持ちなのか。所管大臣でございます自治大臣にお伺いをしたいと思います。
#4
○野中国務大臣 お答えをいたします。
 自見委員御指摘のとおり、政治改革につきましては、国民の強い期待のもとで、これまで約六年間にわたりまして熱心な議論がさまざま行われてきたというように認識をいたしております。今回の区割り法案が成立することによりまして、自見委員御指摘のように、衆議院の選挙制度の改革、政治資金制度の改革及び政党助成制度が初めて施行されることになりますので、これを所管する大臣として新たなる感慨を覚えますとともに、本法案を早期に成立をさせていただきますよう心から念願をいたしておる次第であります。
#5
○自見委員 政治改革の基本理念は、我が国議会制民主主義及び政党政治の活性化であるというふうに考えるわけでございまして、そのことを、私は本会議での質問でもそういった趣旨に沿って質問をさせていただいたわけでございます。
 この改革の理念あるいは趣旨を完結させる観点から今回提出をされました公職選挙法改正案、いわゆる選挙の腐敗防止法でございますけれども、これを与党及び改革がおのおの出しておられるわけでございますけれども、まず、トップバッターでございますから、この公職選挙法改正案をどういうふうに自己診断あるいは評価されるのかということを、与党及び改革の提案者に質問をさせていただきたいと思います。
#6
○三塚議員 私から申し上げますことは、もう委員既に御案内のとおり、政治改革は、政治家本人の責任感、使命感、倫理観というものが基本であることは御案内のとおりであります。
 連座制の強化、立候補禁止等今回提案をいたしておりますが、そういうことのない形で行われることが本来の姿であることでありますが、中選挙区制のもたらす選挙風土というものがその都度選挙違反事件が起きるということにかんがみまして、従前からたびたびの改正が行われてきたこと、御案内のとおりであります。ただいま自治大臣が答弁されましたとおり、四法、そして最後の仕上げである区割り法、これの御審議をいただいておるわけでございますが、本格的なスタート台に立つことでございます。
 こういうことの中で、政治家みずからが決心をして、まず我が身を切る決心をすることからスタートを切ることによりまして、選挙民の皆様の共感を得なければならないだろう。健全な政党政治は、健全なまた公正な選挙活動によってもたらされる、こういうことで御提案を申し上げておるところであります。
#7
○保岡議員 自見庄三郎委員の今までの政治改革に対して寄せられた情熱、政党政治家としての使命感に心から敬意を表させていただきたいと思います。
 今お尋ねのように、今般、区画画定法が成立、施行されますと、本年の一月に成立いたしました衆議院の選挙制度改革を柱とする抜本制度改正というものが完結するという運びになります。これは、明治以来の政治史を見ても、また戦後の政治の歴史を見ても画期的なことでありまして、二十一世紀に向かう我が国の国民生活あるいは世界の中の日本の姿、こういうものを想定したときに、これからは政治が強いリーダーシップ、本当に創意工夫をして創造力をしっかり手にして、そうして政治こそがこの新しい時代を開いていく原動力であることはだれも否定する者がおりません。
 そういった新しい時代の民主主義、あるいは政党政治の再生というんですか、確立を図るための土台がいよいよできるということになると思いますが、これで政治改革が終わったわけではなく、今申し上げたような新しい時代の政治をつくっていくためには、今後、国会改革とか、その中でも参議院制度の改革、見直し、あるいは行政改革、地方分権、規制緩和、こういった制度改正のほかに、やはり新しい時代の政党政治の確立と言う以上は、単に制度だけではなくて、政治家みずからの倫理観の確立や新しい時代の行動についての意識改革ということも必要であります。
 なかんずく、政党がこれからどうあるべきかという、そういう政党のあり方や、政党が政権を競い、政策を示して国民に判断を求めて新しい時代のリーダーシップを発揮するためには、やはり政党間のきちっとしたルール、公正なルールを国民に示して、そういう国民の理解をいただきながら新しい時代の政党政治をつくっていくという努力も、これから超党派で、議員が力を合わせて確立していく必要があるのではないか。そういうもののこれは出発点である、こういうふうに認識いたしております。
#8
○自見委員 それでは次に、区割り法案についてでございますが、これは大変今論議を呼んでいるところでございますが、自治大臣にお伺いをしたい、こう思うわけでございます。
 選挙区間の格差が二・一三七倍であり、二倍を超える選挙区は二十八選挙区あるということでございまして、御存じのように、衆議院議員選挙区画定審議会設置法にも、「二以上とならないようにすることを基本とし、行政区画、地勢、交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行わなければならない。」こういった規定があるわけでございまして、憲法のもとにおける政治の参政権の平等という、憲法のあるいは民主主義の基本にかかわる問題でございます。
 このことにつきましては後から我が党の林義郎議員が、大変な経験と見識を持たれた議員でございますが、詳しく質問をさせていただくということでございますが、まず、この超えたことに憲法違反の疑いがあるのではないかという指摘があるわけでございまして、これはいずれ司法の場でも大きな問題になる可能性もあるわけでございますから、我々は立法府の議員として、こういう法律をつくるときに、我々も憲法論議についてこういうふうに真摯に、まじめに、慎重に、きちっと論議をしたのだということがやはり私は立法府の権威にかかわる大変重要なことだ、こう認識をするわけでございます。憲法違反の疑いがありという指摘もあるわけでございますが、所管大臣でございます自治大臣にまず御見解を聞かせていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
#9
○野中国務大臣 自見委員御指摘のように、今回の区割り案につきましては、去る九月に行われました衆議院及び参議院の政治改革特別委員会におきまして、審議会の会長であります石川会長から、市区町村をいわゆるようかんのように切れば二倍未満におさめることは不可能ではありませんけれども、他方、地方の区画、地勢、交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行わなければならないと発言をされておりますとおり、このため、あらゆる角度からぎりぎりの審議を重ねていただいた結果、最大格差二・一三七となったものである、そういう答弁がなされておるものと私も承知をしておるところでございます。
 区割り案の作成につきましては、その前提として、委員御承知のように、審議会の設置法三条二項で各都道府県にまず一議席ずつ配分することとしたから、都道府県間の格差が既にそこで一・八二倍となっていることでございまして、結果として、選挙区間の人口の最大格差は今申し上げましたように二・一三七倍となったのでございます。また、二倍を超える選挙区が御指摘のように二十八となっておりますが、これについて、審議会の石川会長が述べられましたように、審議会としてはぎりぎりの審議が尽くされた結果と認識をしております。これが憲法の原則に反するものとは考えておらないところでございます。
#10
○自見委員 そのことにつきましては、後ほど林義郎委員の方から詳しいいろいろな質問があると思いますが、次に、公職選挙法改正案の相違点でございます。
 今回与野党提出の法案を対比してみますと、相違点は四つあると思っております。
 四つとは、まず一点は重複立候補者に係る連座制の強化でございます。二点目が組織的選挙運動管理者等に係る買収等の刑の加重、三点目が選挙運動に関する支出の制限規定の明確化、四点目が適用関係と申しますか、いつから適用するか、こういった四つの相違点があるというふうに私は認識をしておるわけでございますが、この四つの点につきまして簡単に提案者の方に質問をさせていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
 一点目、重複立候補者に係る連座制の強化でございますが、与党案では、重複立候補者に限って新たな比例代表選挙における当選をも無効とする制度を設けることにしていますが、その理由は何でございましょうか。
#11
○大島議員 私ども、この案をまとめる経過の中において、委員も御承知のように、重複立候補ということを認めて、新しい制度をつくりました。そうしますと、現実の問題としまして、例えば、小選挙区制の選挙で落選をされて、比例で当選するということも考えられるわけです。そういうふうな状況のときに、その小選挙区制度においてまさに私どもが今ここで改正した連座制の対象になった候補者が比例で当選をするということもあり得るという現実を考えましたときに、率直に申し上げまして、常識という問題の観点からおかしいのではないかという議論をいたしました。
 加えてもう一つ、制度的には小選挙区制と比例制の、確かに選挙制度の趣旨あるいはまたその内容が違うわけでございます。そういうふうなものとどういう整合性を持ち、どういうふうに考えていくかという、こういうふうなことを議論した結果、やはり今度の連座制の最大の目的は、候補者及び候補者たらんとする者が率先して選挙浄化に努めるというところがねらい、法の目的なわけです。
 したがって、そのことを一層完璧にするためには、小選挙区制で例えば落選して比例で当選をする、そういうふうな場合においても、この連座の対象になった者はやはり対応を同じく、同じくというか無効にしていかなければこれは一層完璧なものにならない、そういう趣旨のもとでこのことを設けました。そうすることによって一層我々の今度の連座制対象の法改正の目的が達せられる、そういう政策判断をいたしたわけでございます。御理解をいただきたいと思います。
#12
○自見委員 時間がありませんので、二点目でございますが、二点目の相違点、組織的な選挙運動管理者等に係る買収等の刑の加重でございますが、これは改革の方にお聞きをしたいんですが、その刑の加重をした、何と申しますか、一般的な用語でございますが刑罰至上主義と申しますか、刑さえ重くすればいいんだ、こういったことでは必ずしも選挙違反というのは私は少なくならないのではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、その刑の加重をした理由を改革の提案者に聞きたいと思います。
#13
○保岡議員 改革の案では、今般拡大しました組織的選挙運動管理者等連座の対象者を、身分犯として刑の加重をいたしております。懲役刑、禁錮刑については、一般の犯罪者よりも一年法定刑を引き上げているのでございますが、この理由は、組織的選挙運動管理者は、ある組織体の中における選挙のあり方を決定して、多数の人に指示を下して選挙のあり方を決めていくという重要な立場に立っております。逆に言うと、選挙浄化についても大きな責任を負っている立場であるということが言えます。それとまた、組織的に選挙運動をする際には、単独で選挙運動をすることに比べて、より、買収等が行われた場合にはそれだけ選挙の公正を害する危険性があるとも言えます。
 そういう点をとらえて加重犯にいたしましたが、結果としては、加重犯にすることによって刑事裁判の手続で連座の対象者の身分がはっきりする。言葉をかえて言えば、起訴した段階でこれは連座の対象者に対する選挙違反事犯であるかということが明確になる。そして証拠を収集するという意味でも、そういう観点から検察当局はきちっとした証拠の収集の責任を果たしていけると思いますし、また当事者からいえば、刑事の手続で攻撃防御の機会を通じてその身分があるかないかをきちっと争っていくことができる。さらにその上に、刑事の裁判が確定した後、当事者、候補者としては免責の理由等を主張する機会があるわけでございますけれども、その際にも身分を争う機会が残されている。
 そういうことを考えますと、連座制というものが今般導入された理由が、一般予防の観点から、できるだけ候補者や候補者を中心とする選挙運動組織の管理者等一緒になって浄化の運動に徹底して尽くすということが制度の目的でございますから、このように連座の適用の過程を明確にするということは極めて重要な柱である、こういうふうに考えて、刑の加重を以上二つの理由から考慮し、提案した次第でございます。
#14
○自見委員 三番目の相違点でございますが、選挙運動に関する支出の制限規定の明確化でございます。これはもう御存じのように、公職選挙法の百八十七条だと思いますが、「立候補準備のために要する支出及び電話による選挙運動に要する支出を除く外、選挙運動に関する支出は、出納責任者でなければすることができない。但し、出納責任者の文書による承諾を得た者は、この限りでない。」こういう百八十七条ですね。保岡先生よく御存じのとおりでございます。
 これを、もうこういった規定があるわけでございますから、なおかつ、団体、企業だとか労働組合あるいは宗教法人等が組織的に候補者を応援し、候補者を支援する大会に動員をかけ、それに参加した者に対して交通費を支払うとともに日当をも支給する場合、こういうときがたまにあるのかな、こう思うわけでございますけれども、交通費の支給あるいは日当の支給については今読み上げました法令百八十七条違反になりますし、また、この日当が選挙運動あるいは投票の対価と認められれば買収罪の適用になるというふうに私は理解をしておるわけでございますが、そういった百八十七条の規定があるわけでございますから、これをただ明確に明文化しただけでございます。私はそういうふうに認識をいたしておりますし、選挙の自由を確保するために大変私は大事な法案だと思うわけでございますが、この明文、法文上明確にした与党の案についてどう考えるのか、一点。
#15
○保岡議員 自見委員が御指摘のとおり、候補者の法定選挙費用というものが定められておりまして、その選挙費用の法定額を守る担保として、出納責任者の承諾が得られてない選挙運動の支出、今御指摘のボランティアでしょうか、そういう方々の選挙運動の費用についても承諾を得なければそれは処罰されるという法の建前になっておる、このことをきちっともう少し明確に法文上整理しようというのが与党の立法の考えであると承っております。
 しかしながら、現在我々が目指している政党の近代化の重要な柱として、これからはボランティア組織を育てていこうということでございます。お金のある人はお金を出して、労力のある人、知恵のある人はそれぞれそれを出して選挙をみんなで支えていこうという、そういう流れをつくっていこうとしております。
 そういった意味で、私は、候補者がお金を用意して、それを法定選挙費用の範囲内に厳格にとどめようとする現行法の体系は、もう既に意味をなさないような状況になって、法定選挙費用が有名無実化しているのはそこらあたりにも大きな理由がある、そういった時代の大きな流れというか、これから私たちが目指さなければならない新しい政党政治の確立のためには、むしろボランティアの自発的な費用負担による選挙運動というものを育てていこう、こういう考え方で、我々はそういう与党の提案には反対の趣旨を明らかにしております。
#16
○自見委員 最後の要望でございますが、適用関係につきましてもいろいろあるわけでございます。きょうの新聞によりますと、公職選挙法改正案については、合意点を見つけるために今与野党で努力中でございますから、私といたしましてもできるだけ合意を得るように努力をしていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。最後にそのことを申し上げまして、ちょうど時間でございますから、これで質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#17
○松永委員長 林義郎君。
#18
○林(義)委員 ただいま自見委員から御質問がありましたが、その中でも触れられましたけれども、一票の格差の問題について、私は少し突っ込んで御質問を申し上げたいと思います。
 この特別委員会が始まるに当たりまして、松永委員長から委員会を代表して質問をしておられます。重複になるかもしれませんが、私はあえて申し上げておきますが、委員長の御質問は、「新しい選挙制度は最大格差二・一三七倍で発足することとなります。これは、例えば大正十四年の中選挙区制の発足時の最大格差一・四九五倍、あるいは昭和二十二年の中選挙区制の再発足時の最大格差一・五〇五倍と比較してみると、大きな違いがあると言わなければなりません。」こういったお話がありまして、また、先般自治省が発表されました数字によりますと、格差二倍以上の選挙区も二十八から四十一に増加するということも言っておられるところでございます。
 国会における立法は裁判所の憲法判断にたえ得るものでなければならないという観点から委員長としては御質問になりたい、こういうことで切り出しをしておられますが、委員長、この辺は御記憶にございますでしょうか。
#19
○松永委員長 はい。はっきり記憶しております。
#20
○林(義)委員 そこで、御答弁がありまして、味村参考人からお話がありました。この審議会設置法につきましては、審議会設置法そのものが国会で慎重に御審議の結果成立したものでございますので、これは当然憲法上問題がないものと考えます、それに基づいて先ほど申し上げましたような基準をつくり案をつくったところでございますので、この審議会の作成しました画定案は、審議会設置法案に適合するものである以上、憲法上も問題ない、こういうふうに考えておる、こういうふうな答弁がまずあったところでございます。
 しかし、「仮に具体的な定数配分規定のもとで投票価値の不平等が存在する場合、それが国会において通常考慮し得る諸般の要素をしんしゃくしてもなお合理的とは考えられない程度に達しているときには、原則として定数配分規定は憲法違反である、こういうのが累次の最高裁判所の基本的な考え方であろうかと思います。」ということがありまして、最後になりまして、委員長から御指摘のありました東京高等裁判所の判決につきまして、これは傍論として、委員長がお示しのような判示につきましては、「選挙権として一人に二人分以上のものが与えられることがないという基本的な平等原則をできる限り遵守すべきもの」と言っておるのでありまして、「できる限り」ということでありますから、いろいろな事情を考慮してもいいんだ、こういうふうな御答弁があったところであります。
 ところで、この問題になっております、委員長も御指摘になりました本年六月三日の東京高裁の考え方は、判決文を読むと、必ずしもお話があったように「できる限り」という形で解釈されるようなものではないというふうに私は読むところでございます。それは、ちょっと長くなりますけれども、この文を改めて私は読ませておいていただきたいと思います。
 議員定数の配分において投票価値の平等が確保されていることは、代議制民主主義の下における国家意思形成の正当性を基礎づける中心的な要素をなすものであり、国家統治の基本にかかわるのに対して、議員定数の配分において考慮される他の要素は、その性質上このような国家意思の正当性とは直接かかわりのないその時々の社会経済情勢や政治情勢によるのである。したがって、憲法上国家意思形成の中心機関とされる衆議院について、これを構成する議員の選挙の定数を配分するに当たっては、投票価値の平等は、他の考慮要素とは異なる本質的な重要性を有するのであって、議員定数について、他の要素に重点をおいた配分を行い、投票価値の平等につき他の要素と同列または第二次的な考慮をしたにとどまるときは、その配分は、
憲法十四条に違反するんだ、こういうことを言っておられるわけであります。
  このような観点からすると、衆議院議員の定数を、人口以外の他の要素をも考慮して配分す
 るとしても、選挙権として一人に二人分以上のものが与えられることがないという基本的な平等原則をできる限り遵守すべきものであって、 このことは、議員定数の配分をめぐる世論の等しく指摘するところであるばかりでなく、これまでの公選法の議員定数の改正をいずれも緊急措置あるいは当分の間の暫定措置であるとして、その抜本改正を必要としてきた国会自身の認識でもあったといえる。
ということであります。
 こうしたようなことから、今後新しい立法を国会がやる場合におきましては、特に、実現すべき選挙制度の抜本改正における定数配分についても、これまでのような基準で違憲判断をするのが相当であるとはいえず、基本的には前記のような世論及び国会自身の認識に即した基準によるべきであるということをはっきりとこの高裁の判決では言っておられるわけでありまして、高裁の判決を縮めて申し上げますならば、やはり一票の原則、二票以上になってはならないというこの原則は、私は、大変重たい原則だというふうにこの高裁は言っているのだと思うのであります。こうした意味で、私は、裁判所が求めておりますのは国会のまさに憲法感覚である、国会の見識であろう、こういうふうに思うものであります。
 ここで私は、憲法第十四条の問題について少し調べてみました。
 戦後の憲法学者である宮沢俊義先生の憲法の論文があります。「基本的人権」の中から調べてみましたけれども、そもそも憲法第十四条の定める法のもとの平等の原則というのは一体何だろうかということでございます。日本国憲法が近代法としてあるゆえんは、基本的人権などと並んで、この法のもとの平等の原則にあると考えるところであります。フランスの一七八九年の人権宣言、革命の前の宣言であります、人権宣言が、権利において平等、フランス語でエゴー・アン・トロワという言葉であります、またドイツのワイマール憲法、これも極めて民主的な憲法と言われたものでありますけれども、これが法の前の平等、フォール・テム・ゲゼッツ・グライヒといったものと同じものと私たちは考えなければならないだろうということを宮沢先生は言っておられるわけでありまして、その解釈として、いろいろと解釈があるようであります。
 古い時代にはこういう説がありました。すなわち、法律が平等に適用されるべきであるという原則でありまして、差別を内容とする法律を制定することもこれを禁止するものではありません、差別をもってやるような法律をつくったところで差し支えないんだ、こういうふうな解釈がありました。すなわち、それは立法権に対して何ら拘束するものではないという説でありました。
 しかしながら、この説によりますと、例えば女子の選挙権を禁止をする、拒否をする、こういったことだって法律をつくってやればできるんだ、こういうことでありますが、私は、これはこの法のもとの平等の精神には明らかに反する、この法のもとの平等の精神は、そういった女子にも差別をしないというところに私はこの法のもとの平等の意義があるのだろうと思うわけであります。法のもとの平等とは、法を不平等に適用することを禁止するだけではありません。不平等な取り扱いを内容とする法の定立を禁ずる趣旨と私たちは考えなければならないと思うのであります。この考えなくしては、近代法におけるところの法のもとにおける平等ということを語ることはできないと思うのであります。
 私はあえて申し上げましたけれども、こういった点につきまして、政府の方は、先ほど自治大臣御答弁ありまして、自治大臣は御提出されました法案は憲法違反ではない、こういうふうなお話でありました。しかし、これは政府の方は当然、先ほどもお話し申し上げましたようなことで国会で審議会設置法ができました、できてそれに基づいてやったのでありますし、いろいろな点を考慮してやったのですから、それは合憲だとおっしゃるのは私は当然のことだと思うのですね。しかしながら、私たちは国会でありますから、国会が憲法をどう判断するかということを本当に私たちは考えていかなければならない、これは国会議員の責務でもあろうか、こう思うわけでございます。
 それで、ここで、私はうかつにして知らなかったのですが、平成五年十一月二日に、国会に参考人として元最高裁判所の長官の岡原昌男さんが出席して、意見を述べておられます。そのときにジュリストの一九九二年六月十五日号の論文を配付しておられるという話を聞いたわけでございますが、委員長があるいは事務当局から、そういったことがあったのかどうか、ちょっと御答弁いただきたいと思いますが。
#21
○松永委員長 岡原昌男さんが国会に今御指摘の日に参考人としておいでになって意見を述べられた際に、今おっしゃったような書類といいましょうか、資料をお配りになったことは事実だそうです。
#22
○林(義)委員 資料としてお配りになって、恐らく議事録には載っていないだろうと思いますから……
#23
○松永委員長 事実上配られただけだそうです。
#24
○林(義)委員 改めて私は、国会の議事録にこれを掲載していただくように、私から読み上げておきたいと思います。その方が議事録に載るためにもいいのだろうと思いますから申し上げておきますが、投票価値の平等は憲法の要請である、こういうのが第一にございます。それから、憲法上の平等と不平等、合憲と違憲との限界ということについてどうおっしゃっているかというところでございます。
 岡原さんは、もう亡くなられましたけれども、最高裁判所の長官をされた方でございますから、私は、その法律的な見識についてはやはり相当に評価をしなければならない方だと思います。もうやめたからその人の意見は聞かないなどということではなく、やはり法律家として立派な御判断を持っておられた方でございますから、当然に私は聞いていい話じゃないかな、こう思うところであります。
 そこで、ここに書いてありますのは、
 憲法上の平等と不平等即ち合憲と違憲との限界は、何処にあるのだろうか。それはすぐれて法律文化の問題であって、国民の多数がどの程度をもって、憲法の求める平等と考えるかに係っている。もとより性質上数学的完全平等はありえないが、大半の国民大衆は、その住むところによって、投票権が半人前以下に取り扱われるとか、自分は一票だけしかないが他人は二票以上を投ずることができる、という差別の屈辱には耐えられないというのが偏らない心情であり、一般の常識であろう。又はぼすべての学者も最大格差二対一を超えれば違憲と説いでいる。
私もその考え方に賛成である。恐らく憲法学者にすれば、この法のもとの平等におけるところの一票対二票以上の格差というのはやはり非常におかしいというのは、私は、これは憲法学者でなくて一般の常識だろうということを説いておられるのだと思います。
 そしてこの平等は一選挙区内の有権者の投票の平等ではなく、全選挙区・全国民の間の平等でなければならない。この国民多数共通の感覚を憲法解釈に取り入れるのが、裁判所の役目であり、それを立法化するのが立法府の責務であると思う。
  裁判所の違憲立法審査権が確立せず、平等の観念が国民の間に十分に行き渡っていなかったと思われる旧憲法時代から、選挙区間の最大格差は、大正一四年の普通選挙に全面改正の時には一・四九対一、昭和二二年の改正の時は一・五一対一であった。新憲法下、法の下の平等が強調される最近になって却って格差が拡大し、その現状を追認するかのように、三対一までは憲法に違反しないとの議論があるのは誠に嘆かわしい。アメリカでは、最初裁判所が一%、二%の差別をも違憲としたが、最近は裁判所も学者も、概ね一五乃至二〇%までを合憲としていて、議会も憲法違反の法律であるとの裁判所判決があれば、直ちに対応措置をとること、などと対比すれば、わが国において三〇〇%の格差を基準にして平等を論じていて、しかも国会が法改正を渋っているのは、憲法感覚がにぶすぎると思う。
こういうふうな御議論があります。あえて私は申し上げましたけれども、こういった議論が、私は憲法学者の間で非常に一般的な議論ではないか、こう思っておるところであります。
 私は、政治改革は大いに進めていかなければならないと思っています。特に、政治改革の中における腐敗防止の関係、保岡先生やその他者さん方、大変御努力をいただいたところでありますから、そういった点については、私は、大いに進めていかなければならないが、その今回の政治改革の一つの基本であるところの小選挙区制の問題につきまして、その創設に当たりまして、最初から法のもとの平等の大原則に反するような制度で拙速につくることはいかがなものであろうか。決して私は褒められたものではない。憲法学者の意見、また一般国民の常識、そうしたもの等をやはり十分に勘案してやるのが国会の見識ではないかと思うものでございます。
 法律をつくった、それから選挙になったときには、選挙をやった、選挙が済んだら直ちに違憲訴訟が起こった、違憲だというような話になってきた、こういうことになってくる可能性が私はないようにしなければならない、これが私たちのとるべき態度ではないかと思うのであります。
 私は、こうした意味で、岡原さんも亡くなられましたからあれですけれども、多くの憲法学者もおられますし、私も若干のいろんな資料を調べてみました。皆同じような議論を言っておられますが、現在の段階におきましては、現行憲法のもとで、現在の中選挙区制のもとで、その中で判断するときにはいろいろな事情を考慮してやって、ある程度まで合理性があるならば、それをもってすぐに絶対な違憲だというわけにはいかないというのが今の大勢でありまして、それは違憲ではないというだけでありまして、本当に立派な、憲法に合ったものだというところはだれも言っておられないわけでありますから、私は、この際やるべきであるのは、やはり憲法に合った堂々たるものをつくってやることが正しいんじゃないかな、こう思っておるところでございます。
 そういった意味で、私は委員長にぜひお願いをしたい。やはり憲法学者を、私はあえてだれそれを呼べとかなんだとか言いませんが、やはりしかるべき憲法学者の方々あるいは民間の方々でも結構でございますから、やはり国民の常識というもので判断をしていただくことが私は必要なことだろう、こう思いますので、特に憲法学の人について、参考人として招致をして広く意見を聞いてもらいたい、こう思うのであります。
 そして、オープンな形で私はぜひ当委員会で議論をしてもらうことが大切なことじゃないかな、こう思っています。政治改革の問題は、当委員会に与えられたところの役割というのは、私は非常に重たいものがあると思います。それは、単に現在においてどうだということじやありません。恐らく、この政治改革をやって、選挙制度を改正すれば、やはり何十年、十年を超えるところの年月を私はかけてやることになるだろうと思うんですね。単純に、あしたやって、一遍やった、二遍やった、それで廃止するなどというような話では私はない。そういった基本のことを議論するわけでありますから、私は一日、二日を争ってやる話ではない、十分な議論を国会において尽くくれることが必要なことじゃないかと思って、あえて委員長に御提言を申し上げるところでございます。
 私も、委員長は法曹に身を置かれた方でありますし、委員長の法律感覚は大変立派なものであるし、磨きがかかったものであると思っているところでありますし、委員長の名誉のために、また、ここにおられるところの委員会の諸君の名誉の問題にもかけて、私は、各党の方々の御同意をいただいて、立派な参考人を招致して意見を聞き、そしてまたオープンな形で御議論をしていただくことを心から望んでやまないところであります。
 委員長から御答弁いただきたいと思います。
#25
○松永委員長 ただいまの林義郎委員からの提言でございますが、委員会の運営に関する極めて重要な事項についての提言でありますので、後刻理事会でお諮りをして、そして対応をしたい、そう思います。
#26
○林(義)委員 若干時間がありますから、私は申し上げておきますが、この一票の格差の、実態的に一対二という問題と同時に、この際やはり議論をしていただいた方がいいと思いますのは、いわゆる違憲訴訟という問題であります。
 違憲訴訟の問題につきましては、先ほど来申し上げておりますように、現行の中選挙区制のもとで違憲だ、合憲だ、こういうふうな問題と新しい法律をつくったときの問題とはおのずから違う問題があるということは当然でありますが、同時に、時間を経過して若干の修正をしたならば、それでもってよろしい。かつて九増十減とか八増七減とか、いろいろな議論をやりまして、やった。そういった形でやったから、国会はそういった形で改正する方向にある。方向にありますから、その方向は持ってやっているから憲法違反と言えないんだ、こういうふうな私は解釈もあったんだろうと思いますが、そうした時期的な流れの問題。
 それからもう一つは、憲法違反といったところで、法律をつくって、すべての選ばれた国会議員が全部憲法違反のもとで選ばれたところの議員ではないと思うわけでございます。一票の格差がありましたところの、格差の部分についてだけ、格差があったところにだけ憲法違反の状態が生ずるし、またそういった方々のところは、残念ながらやはり憲法違反であるからその当選は無効であるということがある。そこは限定的に考えてやればいいんでありますから、何かこの法律で違憲という判決が出たら全部とまってしまって、すべての国会議員が違憲になるとは私は思いません。この辺も憲法上は争いのあるところのようであります。したがって、そういったものも私は同時に聞いていただくということが大変大切なことじゃないかと思うんです。
 アメリカでは、まあ上院は各州で一人ということになっています。下院は、やはり国が下院議員の数を決めて各州に割り当てをする。各州の中でこれを割り振るわけでありますから、各州の中でいろいろな地域差が出たりなんかする。したがって、そのたびごとに猛烈な選挙区の異動があるわけであります。そうしたような形でやるのが私は正しい話でありまして、とかく選挙制度というものができて、そうすると、その選挙区ができますと、選挙区がどうしても固定をするというのは日本の状況からすればやむを得ないところでありましょうけれども、そういうことでなくて、選挙区が常に異動してやってもよろしいよというようなことも、私は憲法の要請するところの法のもとの平等からすれば出てくる議論じゃないかな、こう思うわけでございまして、そういったことも含めまして、私は幅広い御検討をぜひお願いを申し上げたい、こう思っておるところであります。
 理事会にかけるという委員長のお話でございますから、理事の諸君にもぜひこの点につきまして御配慮を賜って、よき運営ができますように、将来にわたって問題を残すところの、また国会運営の基本の問題でありますから、念には念を入れて十分な私は審議をしていただくことをお願いしておきたい。九仞の功を一簣に欠くという言葉があります。私は、そういったことにならないように、ひとつ十分慎重なる御審議を心からお願いを申し上げまして、私の質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
#27
○松永委員長 貴重なる御意見、ありがとうございました。
 前田武志君。
#28
○前田委員 いよいよ政治改革特別委員会も最終段階を迎えました。考えてみれば、海部内閣のとき以来でございますかも、六年、七つの内閣にわたってこの審議を続けてきたわけであります。もちろん、当初はリクルート事件等政治腐敗、政治と金との関係、そういったことで日本の政治が国民の不信を買い、まさしく政治の信頼というものが地に落ち、我々政治家の責任というものが本当に心底から問われるような事態でありました。それ以来の議論でございます。
 そして、その間、いろいろの頻発するそういうスキャンダルもあり、我々自身も深い反省の中から政治改革に取り組んできたわけでございますが、その間の、私は考えてみれば大きな、我々政治を取り巻くあるいは政治が舞台となる状況というものが随分と変わってまいったと思います。
 例えば、大状況から見ても、まず世界の構造そのものが大きく変わったということもあります。そしてまた、日本の経済社会も大きく変化をしてまいりました。もちろん、そういう大きな状況の変化の中で、政治改革の議論というものも、私は、深みを増し、そして幅を広げていった、こういうふうに思うわけでございます。
 そして、ようやくこういう局面に達したわけでございますが、当時私も自民党にあって政治改革大綱あるいは要綱、その都度かかわってまいりましたが、そのそれぞれのステージにおいて、やはり政治改革がなぜ必要かというその認識論においても確かに随分と、当初とは深み、広がりを変えてまいりまして、その目標自体も表現においてもたしか違った、違ったといいますか厚みを増していった経緯がわかるわけでございます。
 そして、まあ言ってみれば、健全な議会制民主主義というものを発展させていくためには、政治改革というものは単に制度を一つ時代に合ったものに変えればそれでいいんだということではなしに、我々政治家に課せられたたゆまざる努力をこの政治改革に続けていく、いわば議会制民主主義の発展のために政治改革は我々に課せられた永遠のテーマではないのかなというふうに私は理解をするに至りました。そしてその間、非常に我々にとっては厳しい、苦しいあるいはつらい、そういった議論の積み重ねであったわけでありまして、そういうことを通じて我々自身も、政治に対する姿勢、考え方、随分とみずから自己改革を強いられるような形でやってきたのではないかな、こう思うのです。
 そういう面で、冒頭、我々政治家に責任があってこういうことになったんですから口幅ったいことは言えないわけなんですけれども、えてしてマスコミ等では、何だか形式議論ばかりじゃないかとか、そのときどきのことに対して対症療法じゃないかとか、いろいろ言われてまいりました。しかし、ここにおられる一人一人の政治家の方々、我々、もうそれぞれがそれぞれの事情を踏まえて本当に苦しみながらここまでやってきた。私は、それは我々自身も自己改革をやってきたし、それは日本の政治にとっては非常に大きな意味のあることであったということを感じておるところであります。
 さて、そういったことも含めまして後ほど御見解をお聞きしたいわけですが、いよいよ区画法案が成立し、またそれに関連して腐敗防止法も成立いたしますと、いよいよこの政治改革の関連法案が具体的に動き出すわけでございます。私の申し上げたような観点からすると、これは政治改革の一つの出発点であるというふうに思います。
 そして、問題をもう少し近くに限って考えましても、これだけでは済まないいろいろな、これから手をつけなければならない緊急の政治課題も多いと思います。例えば、参議院議員の選挙制度に関する問題についてはまだ抜本的な改革議論というものは深まっておりませんし、また地方分権が片一方で進んでおります。非常に熱心な野中自治大臣、ここにおられますが、そういう中で、当然地方議会のあり方あるいは地方議会の選挙の制度のあり方等も相当抜本改革が必要なのではないかな、こういうふうに思うわけであります。
 そういった面で、まず与野党のそれぞれ、この政治改革の問題について答弁側の中心におられる山花元担当大臣と、それから野党側にお聞きすると同時に、自治大臣にも御見解をお聞きしたいと思います。要するに、今後の取り組み、姿勢、そういったものについてお尋ねをいたします。
#29
○野中国務大臣 前田委員御指摘のとおり、政治がその原点に立ち返りまして、国民の不信を払拭するために政治倫理の確立が何よりも重要だということはお説のとおりだと考えております。
 同時に、制度面について改革を実現することが必要であるという認識に立たれまして、今日までたゆまない努力が議会において、それぞれ委員初め皆さん方のお取り組みをいただきまして、今日、選挙制度の改革やあるいは政治資金制度の改革が行われ、そして今度の区割り法案が出されてきて、これが成立をさしていただきますならば、また議員提案の腐敗防止等を含めまして、一つの御指摘のように選挙制度の新たなる出発点になるということと、私も同じ認識をしておるわけでございます。これを所管する大臣として、さらに今後一層の努力を傾けていかなくてはならないと思いますとともに、国会の改革というのは、まだ多くのくまざまな問題を持っております。
 委員御指摘のように、参議院制度のあり方あるいは地方選挙のあり方等さまざまな問題があるわけでございまして、ぜひ参議院のあり方あるいは国会改革等が与野党の合意を得て、そして成案が得られるように、また私どもも地方選挙のあり方につきましても一層研さんを深めてまいりたいと考えておる次第でございます。それぞれ関係の皆さんの今日までの御健闘、御努力に対しまして心から敬意を表しますとともに、今お説のように、新たなる出発点と認識をいたしまして、決意を新たに所管大臣として取り組んでまいりたいと存じております。
#30
○山花議員 御意見については全く同感でございます。私も四法案できたときに、政治改革もこれで五合目までできたのではなかろうかと、こう申したことを覚えておりますけれども、まさに今自治大臣のお話のとおり、出発点に改めて差しかかっているということだと思っております。
 総論は省略いたしまして、具体的なということについての御質問もありましたので、その点に触れたいと思いますけれども、何よりも現在の段階では、四法の的確な執行を図るということだと思っています。関連して、与野党で今回提出しております腐敗防止を中心とした施策についても、合意を得て実現していただきたいという気持ちでいっぱいでございます。
 なお、私は与党の協議会で議論しておりますけれども、そうした施策の一環としてまだまだ残されているものはあると思っています。具体的な提案としては、政治資金の収支の報告書について、今保存、閲覧という制度がございますけれども、今回の政党助成法を含めて同じ制度となっております。この問題について、コピーをすることを可能にするということが収支を透明化するということについて大変大事ではなかろうかと与党の協議の中で提案をしているところでございます。また、今も自治大臣答弁されましたけれども、参議院国会改革の問題につきましては、土井議長、鯨岡副議長の具体的な提案があるわけでございまして、議会制度協議会などにおいて議論が進められるべきである、こう考えております。
 同時に、これからのステージということについても御意見ございましたけれども、私は、振り返りまして、従来の政治改革について、やはり選ばれる側の論理と申しましょうか、その立場からだけ議論してきたという嫌いがあったのじゃなかろうか、そうじゃなくて、選ぶ側からの政治改革の視点ということについてもっともっと議論さるべきではなかろうか、こういう思いを強くしているところでございます。言葉をかえますと、これからの政治改革の主要な視点というのは、国民の政治参加の権利というものをどうやって拡大していくか、ここにあるのではなかろうかと思っています。政治改革の原点は腐敗の根絶であり、そして目標は国民の政治に対する信頼を回復するということにあるとするならば、国民の政治参加ということが強調さるべきだと思っています。
 幾つかの具体的に議論されてきたテーマがございます。例えば、選挙権を十八歳まで下げること、あるいは在外邦人の選挙権、あるいは在日の外国人の選挙権の問題、障害を持つ皆さんの選挙参加の権利を運用を含めてどう実現するか、多くの課題が残されていると思いますけれども、今国会では、与野党のそれぞれ政治の浄化を目指した法案について合意を得るということが今日的な課題であろうかと思っているところでございます。
#31
○保岡議員 前田委員が本当に熱心に、情熱を込めて今これまでの政治改革の道を総括されましたが、私も全く同感の感慨を持つものでございます。
 私は、明治以来の歴史、戦後の政治を考えても、世界史的に見ても大きな時代の転換期、これは人類が初めて経験した、あるいは日本民族としても、二十一世紀を目前とする大きな特別な時代の転換期に生かされているということを強く感じます。そういった意味で、この転換期に果たす政治の役割をどう深く認識するかということがこの政治改革の原点、出発点であったと思います。そういった意味では、私は今、その後、政治改革が始まってから随分時間も経過しました。もうやがて六年になります。そして、いろいろ、政治の環境もさまざま当初予想しなかったような変化に入って、政界再編の大きな流れが始まっております。こういう中で、やはり政治改革の原点を忘れてはならない、いつもそのことを厳しく見詰めなければならないと思っております。
 そういった意味で、今山花提案者からも御答弁がありましたこと、具体的な例を挙げられましたが、我々もまたともに議会人として、与野党問わず、その目標に向かって、実現に向かって、和協力して実現を図っていかなければならないと思いますと同時に、私は、日本の政治がこういう時代に世界の中で重要な役割を持ってきた、だから国会の論議がはっきり見えるように、政策決定の過程が明確になるように、そういう観点から、国会議員同士の討議というものをいろいろな議案について義務づけるなど、そういったこともこれから大事なのじゃないだろうか。あるいはまた制度や法律や規則だけでできない、世の中にも約束事や慣習やマナーやいろいろいい、お互い道義的規範というものを持って社会の秩序を維持しておりますから、政党政治も、まさに新しい時代の憲政の常道というものを見出すような政党間の本当に公正なルールをつくって、そして政策協議にしろ、あるいは選挙運動あるいは日常生活のあり方にしろ、きちっとしたルールを求める委員会を与野党で相つくり、そこで国民を前にそういうものの立派なものをつくっていく努力をしていくなど、あるいは超党派の議員でフォーラムを開いたり勉強会をしたり、そういう中から新しい時代の政党政治を確立していくことなどが大事だと思います。そういうことを痛感をいたしております。
 しかし、今国会で我々が提案している、なかんずく新しい腐敗防止の措置については、本当に政治腐敗の根本から直してほしいという国民にこたえるためには、政治にお金のかかる最も根本原因に迫って、そして改めていくという大事な使命がありますので、まずは今国会でこれを与野党できちっと成立させることが画期的な憲政における金字塔になるのではないかと確信をいたしております。
#32
○前田委員 それでは、自治大臣に具体的な問題でちょっとお尋ねをしたいのですが、いよいよ関連法案が施行されるわけですが、この面に関しては、ただいまの御議論でもありましたように、何といってもまず国民の理解がないといけません。そして、新しい政治というのがこの枠組みの中では政党中心にもなっていくわけでございますから、そういった意味での国民に対する周知徹底ということが片一方であります。それからまた、そういう制度の変更に伴い、もちろん政党助成法も導入されるわけですし、ブロック単位の衆議院の比例制というのも入ってまいります。そしてまた記号式というような選挙のやり方、もちろん欧米諸国等では既に採用されているようでございますが、そういった従来と異なる新たなやり方に伴って、事務的に相当の準備、あるいは新しいやり方というものに伴う、それを円滑に実施するためのいろいろな作業があろうかと思います。
 そういった準備の状況についてお尋ねしたいのと、それともう一点、裏腹の関係の、申し上げた、国民に対する周知徹底の方策、これは特に腐敗防止法なんかも大きな関連が出てくると思いますが、その二点についてお尋ねをいたします。
#33
○野中国務大臣 お答えいたします。
 現在、政治改革の関連法の関係の政省令の策定に向けまして、鋭意準備を行っておるところでございます。
 今回の改正によりまして、選挙の管理、執行面も想像以上に大きく変わることになるわけでございまして、これが円滑な管理、執行が行えるように、私ども十分体制を整えなければならないと思っておるのでございます。例えば、比例選挙における立候補の受け付けのあり方等を考えましても、検討の大きな見直しをしなければならないわけでございます。
 まだ私十分把握をしたわけではありませんけれども、例えば衆議院の選挙の期日が、選挙期間が十二日に短縮をされました。そういう中で告示日の最終締め切りを待って、そして選挙区選挙におきましても候補者が初めてわかるわけでございます。それから氏名の印刷をする、投票用紙の大きさが決まる。あるいは比例につきましても、告示日最終の締め切りをもってどれだけの政党が立候補されたかということになって、それを把握して初めて投票用紙の大きさが決まっていくという状況でございまして、従来のような百枚計測器が開票のときに使えるわけでもないと思います。
 そういうことを考えますと、投票箱を含めて大変な準備あるいはそれを理解するための周知徹底というものを十二分にやっていかなくてはならないと考えておるわけでございます。都道府県の選挙管理委員会、市町村の選挙管理委員会等に新しい制度の内容を十分御理解をいただく必要があるわけでございます。意見交換や説明会をこれからも積極的に数限りなく設けていきたいと思うわけでございます。
 既に成立を見ております政治改革関連法の内容等につきましては、これまで関係団体の協力を得ましてパンフレットの配布、新聞広告等により周知に努めてきたところでございます。区割り法案を成立をさせていただきました後におきましては、新しい選挙区やあるいは腐敗防止策の強化について十分周知をすることに心がけなくてはならないと思い、その手段や方法を現在工夫を凝らしておるところでございます。全力を挙げまして新しい制度の周知に取り組んでまいりたい決意でございます。また、そういう所管の政府広報事業についても積極的に取り組んでいただけるよう連携を図っておるところでございます。
#34
○前田委員 ただいま御答弁ありましたように、政府におかれましても随分と大きな作業等難しい問題があみかと思いますが、ぜひ御努力いただきますようにお願いをすると同時に、やはり新しい政治を展開していく、これは我々政治家一人一人の務めでございますから、国民とともに新しい、望ましい政治文化をつくっていくという意味において我々の努力も非常に大きな責任があろうか、こういうふうに思います。
 また、先ほど林委員からも熱心な御議論があった新しい制度に伴う投票価値の平等の問題でございますが、これに関しては、私もずっとこの政治改革特別委員会における審議の過程で、いかに各議員の一番重要な議論の出発点になっていたかということを思い出すわけでございます。去年の百二十八国会、そしてことしの百二十九国会をとっても非常に真摯な議論がございました。そういう中で実は今に至るようなこういう区割りができてきたわけでございまして、先ほど林委員が危惧されていたようなことは我々みんな同じ問題意識で議論をしてきたというふうに思います。岡原先生のお話もございましたが、私もあの岡原先生のここでの御講義と申しますかお話、随分と示唆に富んだお話を聞いておったことを今思い出すわけでございますが、やはり一票の価値というもの、あるいは投票価値の平等というものは民主主義の大原則だということは我々も深く学ばせていただいたところであります。
 片一方で、日本のそういう政治文化の中で新しい制度をつくる。前よりははるかにそういった面での解消はされるわけですが、原則論を立てて具体的に区割りをやっていく段階で、やはり今までの日本の歴史的な経緯等もあり、そういった面で重要視せねばいけないところがある。その辺どこで、いわばつじつまを合わせるといいますか、ちゃんと整合性を持たせたものにするのか、それがぎりぎりの問題であったと思います。
 また、外国の例も引かれておりましたが、これもまた今までの審議の中で各議員から非常に深い議論もされておりまして、これまたアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、それぞれその国の議会制民主主義の発展の過程、そしてその背景にある歴史的風土、そういったものも含めてそれぞれの個性が出ているということでありました。そして、最終的には、投票の価値の平等の問題と統治をしていく政治というもののいわばその統治行為との最終的には兼ね合いの問題というところに行き着いていたのではないかな、こういうふうに思う次第であります。
 例えば、去年の百二十八国会でありましたが、ここにおられる時の山花国務大臣がこの問題で答えておられまして、そのときに六十年七月十七日の最高裁の大法廷の判決を引用されております。それを孫引きいたしますと、最後の段階で、投票価値の平等は、憲法上、右選挙制度の決定のための唯一、絶対の基準となるものではなく、原則として、国会が正当に考慮することのできる他の政策目的ないしは理由との関連において調和的に実現されるものと解さなければならないというような最高裁の大法廷の判決を引用されて、また、憲法議論を展開をされております。
 実は、ここでその辺に関しての基本的なお考えもお聞きしたかったわけでございますが、大分時間も迫っておるようでございますので、これは自治大臣から簡潔にひとつお考え方、政府としての見解をお聞きいたします。
#35
○野中国務大臣 先ほど自見委員にもお答えをいたしましたように、今回の区割り案につきましては、九月に行われました衆参両院におきますこの政治改革特別委員会におきまして石川会長からそれぞれ発言がされましたように、一票の価値を限りなく二に近いものに努力をしていくためには、ようかんのように、市町村の区域とか交通事情とかそういうものを、前田委員も今おっしゃいましたけれども、すべて無視して、そして切っていったらそれは可能かもわからぬけれども、しかし現状は、やはり市町村の行政区域や過去の経緯あるいは交通、そういうものを配慮に入れたら、審議会としてはこれがぎりぎりの選択であったという苦悩の御発言をなさっておるわけでございます。
 また、林議員から大正十四年の基準につきましても御説明がございました。もちろんこれは中選挙区における基礎でございますとともに、今度の区割りはいわゆる設置法において一都道府県に一議員数を割り当てた上での区割りでございますだけに、なかなか大正十四年の中選挙区のスタートにおける基準と整合性を持つというのは困難でございまして、石川会長が申されましたように、非常に努力をしたけれども結果としてこういう結果になったということでございまして、私は憲法の許容する範囲ではなかろうかと存じておる次第でございます。
#36
○前田委員 腐敗防止法の方に移るわけでございますが、基本的には与野党ともに、連座の範囲を拡大する、そして選挙の腐敗防止に対して我々がもう覚悟を決めて非常に厳しいみずからに責任を課して、考え方によっては政治生命を失うかもわからないというぐらいの覚悟のもとにこの法案を実現させよう、こうしているわけでございます。そういった意味で、従来の連座制度の考え方とは根本的な違いがあるんだろう、私はこのように思うのですが、この点に関して、三塚委員のお考え、そしてまた保岡委員のお考えをお聞きしたい、こういうふうに思います。
#37
○三塚議員 前田委員が政治改革に傾けてまいりました情熱をよく承知いたしておりますし、またその情熱の根源は健全な政党政治、これを目指す、そのためには公正な選挙制度、これに尽きるということで、ただいま議論されております四法案がスタートを切る。同時に、連座制の強化を組織的選挙運動管理者という概念の中でとらえていく、こういうことにいたしましたのは、まさに公正な選挙こそ公正な政党になるし国会構成になるであろう、国民の信頼がそこにおいて高まってまいる、こういうことであります。血を出すことを覚悟でお互いがこれに取り組んでまいりませんと、所期の目的を達成することができません。
 かねがね御案内のとおり、一八八三年、イギリス選挙腐敗防止法、大変なところでこれが可決、決定をされ、その後イギリスの議会政治はいい形の運営が行われておりますし、選挙違反はまさに死語になったという歴史的な事実がございます。そういう点で、この連座制の強化は、みずからにその責任を課する、ここに基本がございまして、候補者たらん上する一人一人の決心どこれを貫く決意、行動がなければ画竜点睛を欠くであろう、こういうことでございまして、あえて強化策を提案をいたした、そこに尽きるわけであります。
#38
○保岡議員 従来の連座制、これは抜本改正でつけ加えました立候補の資格剥奪も含めて当選無効ということで、まあ連座制の効果としてはそれなりの制度の整備をやったのでございますけれども、やはり従前のように、選挙運動全体の中心にある、頂点にあるような立場の者だけを連座制にかけていたのでは、これは候補者あるいはそれを中心とする選挙運動責任者に選挙浄化の努力を促すというところまではなかなか行かない。それが今日、たくさんの選挙違反が選挙ごとに出ながら連座制が働く例が全くと言っていいほど見られない、こういう結果に終わっていました。
 今回、政治改革のそもそも始まったきっかけは、政治とお金の関係で、政治にお金がかかる根本から改めてほしい、そのための原因を取り除いてほしいということが国民の期待であっただろうと思います。それに率直にこたえるには、お金のかかる選挙土壌を本当に一掃する、根底から意識改革を、国民も政治家も政党も、みんなが思い切って行ってこれをなくしていくということを決意する以外ない。
 そこで、今三塚提案者からも御説明があったように、政治生命を本当に剥奪するという、そういう厳しい制裁、こういうもとに抑止力が働いて今申し上げたような大きな選挙土壌の改革が進んでいく、そういうことに連なる改正だということで提案をさせていただいております。
#39
○前田委員 先ほど山花議員からの答弁の中にも、収支報告の透明性といいますか、コピー等も含めてですね、そういった御指摘がありましたが、要するに選挙浄化の中で問題意識としては、選挙運動が政党中心に移っていく、そういう中で、やはり政党の本来の活動というものの自由というもの、政党活動の自由というものは、これは絶対確保しておかなければいかぬということが片一方であります。しかし、そういう中で、政党だからもう全く野方図にいろんなことができるというふうになってしまうと、そこにまた選挙腐敗の問題が起きてくるのではないかという心配もあるわけでございます。その辺もこの選挙浄化法の一つの観点としてあるのではないかなと思うのですね。この選挙浄化法といいますか、これを連座を強化して政治家みずからの責任で選挙を浄化していくということになれば、これはまた活発な、自由な政党活動とも整合性がとれ、政治がいい方向に動いていく、こういうことになると思います。
 そういう中で、収支の報告、個人の収支については選挙法で、ちゃんと収支を明らかにし、上限が決まっておるわけでございますが、政党の方については、政党本来の活動と政党がする選挙運動、これは具体的に分析していきましても混然一体となっていてなかなか分離しにくい。そういう中で、収支というものは、政党は今のところ年に一度政治団体として収支を明らかにするだけでございますから、やはり選挙期間を挟んで一定期間の政党の収支というものを明らかにする、透明性を持たせる、ディスクロージャーする、そういったことが私は非常に重要になると思うのですね。この辺は議論はしてきたわけでございますが、まだ本法案には間に合わなかったというところがあると思いますので、この辺に対しての与野党の御見解を簡潔にお聞きしたいと思います。
#40
○山崎(拓)議員 前田委員の御指摘の問題は、私どもも真剣に議論をいたしました課題でございました。ただ、この点について、政党の選挙運動費用に制限を設ける点につきましては、御指摘のとおり今後さらに検討を加えるということになったのですが、その理由といたしまして幾つか申し上げたいと思います。
 まず第一点は、政策・政党中心の選挙におきましては、政党の行う選挙運動と政治活動との間に観念的な区別はございますけれども、実際はこれらは一体として総合的に行われるものでございますから、選挙運動費用のみを取り出して規制を行うということは困難ではないかという議論が一つでございます。
 二つ目は、政党の選挙運動費用につきましては、当該政党の他の収支と合わせまして政治団体として収支報告をすることとされておりまして、その収支の公開を通じて政党の活動が国民の不断の監視と批判のもとに行われることとなりますから、その公正を確保することができると考えられることでございます。
 第三点は、現行法におきましても、参議院比例代表選挙におきましては政党等の選挙運動費用の制限はなく、また確認団体については一定の範囲内で選挙運動が認められておりますが、費用の制限はございません。
 等々を考えますと、冒頭に申し上げましたとおり、政党の選挙運動費用に制限を設けることは容易ではないという考え方で、今後さらに検討を続けていくことにいたしました次第でございます。
#41
○保岡議員 政党の選挙運動費用に法定額を設けることについて困難があることは、今の山崎提案者の御説明の認識と同じでございます。
 政党の収支報告が義務づけられている現行法がございますが、選挙期間に前後するある一定の期間をとらえてその政党の収支報告を、国政選挙などの場合には制度化して公開して、そこから選挙の公正さを国民の審判、批判の対象にするという形で選挙の公正さを担保していくという方法もあるんじゃないだろうか。そのことについては今後の与野党で協議していく大事な課題だと思っております。
#42
○前田委員 最後に、時間がなくなりましたので、若干述べさせていただきますと、先ほど山花委員も、これからの政治課題の一つの大きな目標として、国民の政治参加というものをともに促していくような運動、政党活動、そういったものが必要だというような御趣旨のことも言っておられました。そういったことも含めまして、やはり私は、これから一般市民、ボランティアが選挙にも、まさしく自分たちの地域を、国を、そして政治を、議会制民主主義を発展させていくんだという前向きの姿勢で参加し取り組んでいただけるような、そういうような政党政治にぜひ持っていくべきだ、こういうふうに思います。
 ちょっと私聞いたところでは、たしか米国あたりではもうハイスクールの生徒なんかも、社会科の勉強でしょうか、そういったことでボランティアが奨励されていて、選挙なんかにボランティアで参加すると学校の一つのそういう学習成果になるといったようなことも聞いたこともあるぐらいでございます。そういった意味で、この腐敗防止法におきましても、ボランティアの市民参加のこういう活動について制限的なそういうような方向というのは、私は議会制民主主義発展には反する方向ではなかろうか、こういうふうに思う次第であります。
 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
#43
○松永委員長 伊藤達也君。
#44
○伊藤(達)委員 改革の伊藤達也でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。
 今までの質問の中で、私たちは、政治と金のおぞましい関係を断ち切って国民の信頼を取り戻す、そして政治が本来果たくなければいけないそういう機能を十分発揮できるような政治風土をつくっていかなければいけない、しかしまだまだいろいろな大きな課題があるのだ、そういう議論が与野党ともにあったと思います。そして、それに向かってみんなで一生懸命頑張っていきたい、そういう情熱も確認できたのではないかなというふうに思います。
 私は、与えられた貴重な時間の中で、より具体的な問題、特に政治腐敗について少しお伺いをさせていただきたいというふうに思っております。
 まず最初に、組織的選挙運動管理者等の定義について、これは今回の腐敗防止の法案の中で非常に重要なところでありますから具体的にお伺いをさせていただきたいと思うのですが、まず、この組織的選挙運動管理者等と総括主宰者あるいは地域主宰者との関係というものをどういうふうにとらえておられるのか、あるいは総括主宰者や地域主宰者の補佐をする人たちがこの運動管理者等に当たるのかどうか、与野党の見解をお伺いしたいと思います。お願いいたします。
#45
○山崎(拓)議員 お答えいたします。
 組織的選挙運動管理者等とは、候補者等と意思を通じた組織的選挙運動体において一定の地位にある者をいいます。
 この法案の中で、組織運動管理者等とは、次のような役割を担う者でございます。
 すなわち、まず第一に、「当該選挙運動の計画の立案若しくは調整」を行う者でございますが、これは選挙運動全体の計画の立案または調整を行う者を初め、ビラ配り計画、ポスター張り計画、個人演説会の計画、街頭演説等の計画を立て、その流れの中で調整を行う者、いわばヘッドクオーターの役割を担う者でございます。
 第二に、「当該選挙運動に従事する者の指揮若しくは監督」を行う者でございますが、これはビラ配り、ポスター張り、個人演説会、街頭演説等への動員、電話作戦等に当たる者の指揮監督を行う者、いわば前線のリーダーと言えましょう。
 第三点は、「その他当該選挙運動の管理を行う者」でございますが、これは選挙運動の分野を問わず、ただいま申し上げました以外の方法により選挙運動の管理を行う者を申します。例えば、選挙運動従事者への弁当の手配、車の手配、個人演説会場の確保等、選挙運動の中で後方支援活動の管理を行う者を指しております。
 以上でございます。
#46
○松永委員長 ちょっと速記をとめて。
    〔速記中止〕
#47
○松永委員長 速記を始めて。
 保岡興治君。
#48
○保岡議員 この組織的運動管理者というのは、形式的に見ると今山崎提案者が説明したようなものが例示として出てくると思います。実質的に言いますと、有権者の説得とか理解とか支持の求め方、またはそのための運動員のあり方、動き方、働きかけ方など、こういうものを選挙運動というのだろうと思いますが、その計画・作戦の立案調整、それから情報の収集分析、判断に基づく計画の修正、また運動員の指揮監督、資金の調達などの管理の行為を行う者をとらえようとしている概念でございます。選挙運動体の選挙運動を一定の地域あるいは分野、その全部または一部において中心となって取りまとめている人、あるいはそれを補佐する立場の人、その選挙運動の重要な部分の役割を分担している者、すなわちその選挙運動を行う組織の構成員の選挙運動のあり方を決定し実行させも行為を行う者がここに言う「組織的選挙運動管理者等」でございます。これは、条文の文言からくる、そしてまた立法の趣旨からくる解釈の基準として提案者として述べるものでございます。
#49
○伊藤(達)委員 今具体的な例示をお示しをいただいたわけでありますが、この用語というのは新しい概念であり、ある意味ではあいまいさがあるわけでございますね。国民の目から見ると極めてわかりにくいところがございます。そういう意味からすれば、今委員長からも少し御指摘がありましたが、政令等で今お話しになられたような具体的な例示というものをこれは明らかにする必要があるような気がするのですが、与野党の皆様方の御意見をお伺いしたいと思います。
#50
○堀込議員 御指摘でございます御趣旨はよく理解はできるわけでありますが、ただし、この法文にある「当該選挙運動の計画の立案若しくは調整」あるいは「当該選挙運動に従事する者の指揮若しくは監督」、こういうものを政令で例示的にやるということについてはやはり問題があろうかなと。
 今御答弁ございましたように、その組織的選挙運動管理者とは、具体的な選挙運動の中でどういう役割を担っているのか、どういう任務を負っているのかということで具体的に判断をされていくべきものだろう。例示的に申し上げれば、立法の与野党協議の中でも、あるいは与党協議の中でも、会社ぐるみの選挙だとかいろいろなことが現在の日本の選挙の問題になっておる、したがって日本の選挙全体の風土を変えようということで、そういうものの規制が必要だろうという立場で立法されたものでございますので、具体的な事例につきまして先ほどもお話ございましたが、ぜひ日本の選挙風土全体を変えるという立場からこういう概念を入れたということについて御理解をいただきたい、このように思います。
#51
○保岡議員 今度の連座制の趣旨は、今堀込提案者からも御説明があったとおりで、思い切って連座の対象者を拡大して、その結果、候補者を中心とする選挙運動のあり方を決める選挙運動組織体の末端の責任者まで一緒になって選挙の浄化を尽くしていこうという立法趣旨でございます。
 これだけ選挙ではいろいろな組織が、政党とか後援会とか、あるいはそれに連なる主要な支持団体とか、組織で選挙をすることが多いわけです。いろいろな多様な組織の末端の責任者の概念を、いろいろな例を挙げて具体的に示すといっても限界がございます。これは法律に明文化することにおいては、確かにできるだけ明確にしなければならないが、またその限界もある。その限界は、一つにはこの立法の趣旨を踏まえた、あるいは提案者として国会で答弁で述べた、そして質疑を通じて明らかになった基準というものが一つの規範になっていくものだ、そういうふうに理解をいたしております。
 それと、今堀込提案者も申し上げましたとおり、これは候補者を懲らしめて、あるいは選挙運動責任者を連座の対象にかけて苦しめるというよりも、したがって、その限界をよく見てそれにひっかからないように選挙運動をやるというよりも、それを遠巻きにするというんですか、もう絶対にそういうものの選挙違反にかからないように選挙運動を尽くし切るというところに立法の目的がございます。
 一方で、確かにこの連座制は政治生命剥奪という重大な結果を生ずる制度でもありますから、後で委員からも御指摘があるかと思うのですけれども、相当の注意を尽くした者については免責するという一方の制度を設けて、一生懸命選挙浄化の努力をするようにしむける仕組みになっておりますので、そこを御理解いただきたいと思います。
#52
○伊藤(達)委員 今与野党から御答弁をいただいて、保岡先生からもお話がありましたように、やはりこの概念というのはある意味では新しい概念でありますから、この立法府の場でできるだけ具体的に議論を深めて、大体こういうものがこの新しい概念に当てはまるんだ、そういうものが国民にわかるように、この後の議論の中でもぜひ深めていただきたい、そのことをお願い申し上げたいと思います。
 時間もございませんので、次の質問に移らせていただきたいのですが、今のちょっと延長線上になりますが、裏選対のことについてお伺いをしたいのです。
 与党の方にお伺いしたいと思うのですが、裏選対と言われるものがございますね。この裏選対というものが今回の提案の中ではどういうふうに処理をされるものになるのか、お伺いをさせていただきたいのです。
#53
○堀込議員 いわゆる裏選対というものも組織的運動管理者等に含まれるということにほとんどのケースがなるだろう、こういうふうに解釈をいたしております。
 今度の概念、先ほど御質問ございましたように初めての概念でございますが、いわば一定の組織をもって行う選挙運動体それぞれにやはり該当するもので、それぞれに適用が行われるというものでございまして、いわゆる裏選対につきましても、それが一定の組織的な仕組みで選挙運動が行われる以上、それも対象になる、こういうことでございます。
#54
○伊藤(達)委員 この裏選対の問題の中で、過去の事例の中で極めて、裏選対自体が悪質なものでありますが、着目をすべき事例があるものですからぜひ御指摘をさせていただきたいのですが、これは愛媛県のケースなんですが、過去、前回の統一地方選挙そして総選挙で、不在者投票の悪用による買収事件というのが行われたわけであります。この事件について警察庁は承知をしておられるかどうか、お伺いをしたいのです。
#55
○栗本説明員 お答えいたします。
 ただいまの先生御質問の愛媛県の現金買収事件につきましては、昨年の総選挙におきまして愛媛県警において不在者投票に絡む公選法違反事件を検挙し、その旨の報道があったことを承知しております。
#56
○伊藤(達)委員 この事件では、実は暴力団が非常に深くかかわっておりまして、過去六、七年の選挙の中で、暴力団がある意味ではその元締めになって、不在者投票をする人たちとのネットワークというのを積み重ねていって確実に票を出していく、こういう仕組みをつくり上げている。これが一種のビジネス化し、暴力団の新しい資金源になっているんだ、こういうようなことが報道されているわけであります。
 私自身、これが全国に広がっていくということを非常に危惧するわけでありますが、この点についてやはり警察の方でもしっかり取り締まりをしていただきたいというふうに思うわけでありますが、こういう実態があるということを十分掌握をされているのか、あるいはこれについて積極的に取り締まっていくという思いを持っておられるのかどうか、お伺いをさせていただきたいと思います。
#57
○栗本説明員 お答えいたします。
 ただいまの御質問、今後の取り締まりを強化せよとの御質問だと思いますが、お尋ねの件を含めまして、警察としては、刑罰法令に触れる事実が認められるならば、今後とも厳正に対処してまいる所存であります。
#58
○伊藤(達)委員 この事件は、暴力団であるがゆえに、候補者等と意思を通じたかどうか立証することが大変難しい問題が残ります。したがって、今回の腐敗防止法の中でも十分こういった問題を取り締まれるかどうか問題がありますので、こういう具体的なケースが起きているんだということをぜひ御指摘をさせていただきたいと思います。
 時間がございませんが、次に、選挙運動に関する支出の制限規定の明確化という問題について、あと一、二質問させていただきたいと思うのですが、先ほど与党の方から、百八十七条の趣旨にのっとってこれを厳格に道用しなきゃいけないんだというお話がございました。一方で、百九十七条では、選挙運動の支出とみなされないものの範囲を規定しております。この関係というものをどういうふうにとらえておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
#59
○中川(秀)議員 我々が今回お尋ねの趣旨の支出規定の明確化を法案の中に盛り込むことにいたしましたのは、総論でございますけれども、英国で選挙違反というものが死語になりました。その腐敗防止の骨格というものは、まず第一に連座制の強化でもあり、あるいはまた法定選挙費用の非常に厳しい規定、さらには選挙裁判所、行政裁判所的なものの設立、そういうことによりまして選挙違反というものがなくなっていった。それにかんがみまして、我が国の法制でも、今御指摘の公職選挙法百八十七条一項という規定があって、つまり、立候補準備に要する支出あるいは電話による選挙運動に要する支出以外の選挙運動に関する支出は出納責任者以外はしてはならぬという規定が我が国の法律にもあるわけでございます。
 他方、御指摘のように百九十七条の方では、幾つかの規定がございまして、こういうものは法定選挙費用ではないよ、立候補の準備に要する支出とか、あるいは候補者や出納責任者と意思を通じてした支出以外のもの、いわゆる第三者の支出というものは法定選挙費用でないよということに相なっておるわけでございます。ここを変えるわけではございません。いずれもそのままでございます。
 ただし、候補者や出納責任者と意を通じていない支出についても、百八十七条の一項にございます出納責任者の事前の文書による承諾を得なければならぬという規定は、これはかぶさっているんだ、これが実は現在の行政解釈でも現実にそう行われておるわけでございます。ただ、法文上はそこが明確になっていない。
 実は、戦前から戦後にかけて、戦前の法律には入っておりました。ただしこの百八十七条の届け出という手続は、これは第三者の支出もやはり必要なんだよといっただし書きが入っておったわけでございます。それが戦後の法文の整理のときに失念という形で落ちてしまった。
 そこは、もう一回国民の皆様にも、ここはこういうことであるんですよ、この百八十七条の一項の規定は守らなければいけないんだよということをもう一回御理解をいただくという意味で、失念で落ちてしまったただし書きをもう一回復活をしておこうということでございまして、あえて法律的に議論をすると、場合によっては対象外にされてしまうかもしれない、百九十七条の方のいわゆる第三者支出が、百八十七条の方の届け出というものの必要はないというふうに法文上はただし書きがないために解せざるを得ない場合もあるかもしれない、しかし行政解釈として今行われていることは、それはやはり届けなければいけない、こうなっておるわけですから、そういう規定をもう一回きちんと置いておこうと。
 ただ、これは、先ほど来前田委員からも御質問があった、ボランティアの選挙運動を規制することである、こういう御意見がございましたが、全くそんなことはございません。つまり、簡単に申しますならば、主眼としてここで申し上げたいのは、今御指摘のあった、裏選対のような悪質な第三者の支出をやはりもう少しきちっとすべきではないかということでございまして、善意のボランティアの運動の抑制を主目的とするものではございません。もう一言言えば、善意のボランティアの選挙運動でも、現行法で与えられた選挙運動、許された選挙運動しかそれは当然できないのでございまして、例えば善意のボランティアでも、買収したらそれは買収罪にかかりますし、戸別訪問したら戸別訪問にかかりますし、違法な文書を出せば文書違反にかかるわけでございます。
 簡単に言いますならば、その善意の方々が、例えば全世帯にみんなで相談し合って電話でお願いをした、これは全く問題はございませんし、あるいはまた、バスで買い物に行った折に出会った知人にお願いをするなどというものは全く問題はございません。そのバス代というものは全くこれは選挙運動の費用ではございませんから、買い物に行ったついででございますから。あるいはまた、個人が自宅の電話で知人にお願いすることも構わないわけでございます。
 ただ、選挙運動で、例えば投票依頼のために交通費を使って知人宅を訪ね歩く。これは、現行法でも訪ね歩くこと自身は戸別訪問でかかるわけですけれども、ただ、バスを使って選挙運動のためだけに外へ出かけていくというそのバス代は、本来の、今の現行法でいったらちゃんと届けなければいけないとなっておるわけであります。あるいはまた、自分たちでパンフレットを勝手連でおつくりになって、そして各戸に配布した。これは選挙期間中なら、違法文書ならば文書違反で当然訴追をされることでございますけれども、そのパンフレットの作成費や交通費にしても、現行法でもやはり届け出なければいけないとなっておるわけでございます。また、団体の皆さんが、例えば集会に動員をかけて交通費や日当を払う。これはやはり、交通費や日当は当然今の現行法でも払ってはいけないということで、買収になってしまうわけです。
 ただ、そういう規定をきちっとしておけば、届け出れば法定選挙費用にかかる。届け出なければ、そういう法的に許されない支出をした者は、そちらの方が今度は訴追を受ける、そういうことになるわけですね。届け出をしておけば、それは法定選挙費用がオーバーすれば今度は出納責任者にかかってまいりまして、これは連座にもかかってくるわけでございます。そのような関係にあるということでございます。
#60
○伊藤(達)委員 今御指摘をいただいたわけでありますが、その説明を聞いても、これからの新しい時代、ボランティアの人たちが中心になって手弁当で選挙を組み立てるような、そういう理想選挙の形をぜひ実現をしていかなければいけない、それが阻害される面がやはり多々あるのではないかということを御指摘を申し上げたいと思います。
 さきがけの方々や社会党の方々あるいは自民党の方々の中でも、ボランティアが参加する選挙の重要性というものを十分認識される方はたくさんおられると思います。ぜひそういう方々も議論の中に入っていただいて、もう少し詰めた議論をしていただきたい。そのことを申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
#61
○松永委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時五十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
#62
○松永委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。笹川堯君。
#63
○笹川委員 まず、質問するに当たりまして、政権がいろいろかわりましたが、その中にあっても、与野党を問わず全員の国会議員がこの政治改革には真剣に取り組んで、また大変御苦労なさったことを心から感謝をしながら、そしてまた、最後の最終段階にありますので、お互いに忌憚のない意見を出して、ぜひまとまることを心から実は念じつつ質問させていただきたいと思います。
 いろいろな方がもう既に一票の格差の問題は質問済みでありますが、私も個人といたしまして、やはりせっかく国会で決めるのに、決める以前からあるいはまた決めた直後に憲法違反と言われることはどうも国会議員として非常に耐えがたいものが実はあるわけであります。できれば胸を張って絶対にそうじゃないんだということを実は申し上げたい気持ちは、皆様も私も同じであります。
 しかし、残念ながら区割りで出てきた問題につきましては、最終的に二・一三七という格差になってしまったわけでありますが、御案内のように、我々国会議員が、小選挙区制の議席の配分につきましてはもう既に各県に一つずつ配当してしまった、そういうことをやりましたので、実は区画画定審議会にしても、私は、それを手伝っていただいた自治省の職員の人にしてもまさに昼夜を問わず一生懸命やっていただいたと思うのだけれども、結果においては非常に満足でないような答えが出てきてしまった。
 実は県を飛び越えて、まさに明治維新のような気持ちでつくっていけば、これはだれがやっても私はきちっと格差はおさまったと思うのですけれども、条件をいろいろくっつけて、なおかつそれで中へ入れるということは、恐らくだれがやってもできなかったのじゃないのかな。あるいはだれかが、いや、おれがやれば絶対できる、条件を全部クリアしてという人が、与党側の委員の方にいらっしゃるかどうか。もしいたらちょっと。おれがやればできた、条件は全部クリアして。どなたでも結構です。
#64
○大島議員 笹川委員も全部承知の上でいろいろ質問されていると思いますが、なかなかに難しいかなという思いでおります。
 実際に私計算したこともございませんが、我々も長い間議論をして、ああいう条件のもとにおいて二対一未満の中で抑えるということになると、非常に厳しいだろう。だから、もっともっと基本から、そういう議論をするときに、その議論をしなければならないのかなという感じがいたします。
#65
○笹川委員 今大島委員にお答えいただきましたが、これはだれが答えても同じような答えになるのじゃないか。とすると、もともと無理な問題を出して無理な回答が出たわけですから、その回答をのむかあるいは問題を全部撤回するか、私はそれしか完全に解決する方法は実はないと思いますので、私自身としては、大変残念であるけれども、長い時間をかけてやっていただいたので仕方がない。特に、今地方分権・主権という話が出ておりますので、この区割りについては地方自治体の意見を相当取り入れていただいたというふうに聞いておりますし、行政区画とか地勢だとか交通だとか、あるいは地域によりましては飛び地をつくらない、市部は分割しない、こういう物すごい条件をつけて、よく審議会の人が誠心誠意やっていただいたなというふうに私は考えております。
 そこで、自治大臣にお尋ねしますが、もちろん自治大臣になる以前にもずっとこの問題はあったわけです。自治大臣の部下の人が協力をして進めたわけでありますが、自治大臣としてやはり部下を信頼して、こういう答えで出たけれども、もうそれ自体は、午前中も憲法違反じゃないというお答えをいただきましたけれども、これはやむを得ないというふうにお考えでしょうか。
#66
○野中国務大臣 笹川委員御指摘のように、もう審議会設置法で、そのときに各都道府県に一を割り当てて、そういう前提でやったものでございますから、そのときにもう既に都道府県の差が一・八二になっているわけでございますので、審議会の先生方、四月の十一日から八月の十一日まで九四カ月間、殊のほかことしは猛暑の中で連日御審議をいただきましたし、またそれを補佐する事務当局も大変な心労を重ねながらこの審議会の答申に至ったものであると私は存じており、また一連の御審議に感謝をしておるわけでございまして、勧告がなされました以上、一刻も早く皆さん方の御審議を賜って可決決定をいただきたい、これを念ずるのみであります。
#67
○笹川委員 それでは法制局長官にもお尋ねをいたしておきますが、今自治大臣にお尋ねしたように、自治大臣以下一生懸命やってもらった。法制局も、こういう法案を出した以上憲法違反にならないというようにお答えになると思うのですが、重複して大変申しわけありませんが、ちょっとお尋ねをさせていただきます。
#68
○大出政府委員 衆議院議員の定数訴訟に係るこれまでの一連の最高裁判決によりますと、法のもとの平等を保障した憲法第十四条第一項の規定は、選挙権の内容の平等、すなわち投票価値の平等をも要求するものであり、これを重視すべきものであるということでありますが、国会が具体的選挙制度を決定する上で、これが、つまり投票価値の平等ということが唯一絶対の基準となるものではなくて、原則として国会が正当に考慮することのできる他の政策的目的ないし理由との関連において調和的に実現されるべきものとされているところであります。
 今回提出いたしております法案は、これは選挙区画定審議会の勧告を受けて作成したものであり、同審議会は、各選挙人の投票価値の平等が憲法上の要求であるということにかんがみまして、選挙区の画定案の策定に当たりまして、各選挙区の人口の均衡を図るということを重視するとともに、各選挙区間の人口の格差が一対二以上とならないようにすることを基本とするという審議会の設置法の第三条第一項に規定する基準に従って画定案を作成し、勧告を行ったものというふうに承知をいたしておるわけであります。
 これをもとにいたしまして、政府として法案を提出いたしたわけでありますが、審議会が、投票価値の平等についての憲法上の要求も踏まえ、人口基準以外の行政区画だとか地勢だとか交通等の事情を総合的に考慮して勧告した画定案に従いまして法案化したものであり、その結果、今回の区割りによる選挙区の一部において選挙区間格差が二倍を超えるものがあるといたしましても、それは憲法上許されないものではないというふうに考えているところであります。
#69
○笹川委員 今法制局長官の話を聞いて理解できるわけでありますが、二倍を超してでも、それはある程度国会の定めることでいい、それはわかるのですが、一般国民がふっと考えたときに、選挙区の数が、超す数が少なければそれはしょうがないよという議論になると思うのだけれども、二十八という選挙区が多いか少ないか、いかがでしょうかな。二十八でも四十でも、それはもうしょうがないんだよと。数は問題になりませんか。
#70
○大出政府委員 先ほど申し上げましたように、この選挙区を画定するに当たりましてはいろいろな要素があるわけでありますけれども、何よりも人口比例ということを一番重視をするという基本に立ちまして、そしてその上で行政区画だとか地勢とか、そういうものを合理的に考慮いたして決められた。その結果、今お話しの二十八というような数字になったわけでありますけれども、しかし、それは合理的な選挙区割りの設定の仕方の結果として生じたものである、そういう意味合いにおきまして問題はないというふうに考えておるところであります。
#71
○笹川委員 それでは次に、腐敗防止法についてお尋ねをいたしたいと思います。
 実は、今度の法案が定まりますと、一カ月の周知期間を置いて実施できるわけでありますが、法案の、与党の中には、施行期日につきましては次の国政選挙から、こういうふうになっております。参議院議員が早ければ参議院選挙から、遅ければ、もし仮に解散があったとすれば、その解散のあった衆議院選挙から行われるわけでありますが、実は、選挙というのはよく国政選挙のことだけが問題になりますけれども、これから地方主権の時代になって、地方の選挙というものが私は非常に大切なものだ。これは連動しておりますし、選ぶ国民というのは同一なわけでありますから、違った選挙の形態であってはならない。
 特にこれからは、年末年始というのは、我々国会議員でありますから非常に物入りだったということは各人みんな理解ができるわけでありますが、そういうことを考えますと、私は隗より始めよ、まず自分の選挙からという気持ちもわからぬではありませんが、それじゃ自分の選挙から始めようと思っても、できなくなったときどうするのだ。例えば、来年は地方統一選挙がもう四月にあるわけですから、そういう目前に控えて、やはり地方の方にも協力をしていただいてやっていくことが勇断を持ってという言葉に当てはまるのではないのかな、こういうふうに私は思っております。
 いずれにしても、まだ法案が通ったわけじゃありませんが、大体十二月の二十日ごろになればそれは技術的には解散ができないわけじゃないと思いますが、その点について、三塚先生、私は、直ちに始めた方がいい。そうしないと、年末年始、市町村議員の方は余計な出費をしながら、新しい選挙法があるわけですから、この点については私は同じ土壌だというふうに考えておりますので、その点、お考えをちょっとお聞かせをいただきたい。
#72
○三塚議員 笹川委員の言わんとする心情また展望、理解できるわけです。理解しながら、これだけの適用時期について御提案を申し上げた理由のものは、今次の連座制強化、立候補禁止、こういうような厳しい内容のものであり、同時にそれを徹底する意味で組織的選挙運動者等と幅広くそれをとらえる、こういうことになりまして、従前の慣行をここで一気に遮断をして前に進めという意見も論議の中でありましたことは、そのとおりであります。
 そういう中で、まず隗より始めよと言われましたが、隗より始めよのもう一つベースになっておりますのは、全国一斉の選挙において行うという意味においては国政選挙がこれに該当する、そういうことの中で今次の改正法、しっかりと理解をいただくことが重要であるな、こんなふうに思ったわけでございます。すなわち、幅広くとらえたこの運動管理者等の買収等の違反の場合、大変厳しい決め方でありますものですから、周知徹底を期するということも国会の側として、また我々政党の側としてもやるべきことであるだろう。こんな論議の中であれやこれや勘案をしつつ周知の期間を考えるということになりますと、前段の、全国一斉に行われる国政選挙、まずこれからスタートを切ることが大事ではないのか、こういう立法上の考え方の中で御提案をさしていただいた、こういうことでございます。
 もちろんこれは、今回のこれだけの大改正が行われる背景に、国会の側、国会議員の側に責任もあったわけでございますから、政治と選挙とお金の問題を遮断をして選挙浄化の実を上げよう、こういうことからのスタートにかんがみまして、まず自分たちから、こんなことでありましたことも理解をいただきたいと思っております。
#73
○笹川委員 三塚先生のお答えでありますが、どうも余り釈然としないわけでありまして、周知期間とおっしゃいますけれども、衆議院の解散が絶対ないとは言えないわけですから、そうすると、衆議院の選挙区、年末だとか一月に解散になったときには周知期間というものはもうないわけですね。国政選挙というのは、来年の七月だからある程度まだ周知期間があるようなお話じゃないかと思うんだけれども。
#74
○三塚議員 お答えしますが、総選挙はある日突然やってくるわけでしょう。国政上の深刻な問題の対立、外政、内政にわたって行われるわけでありますから、そういうことは、私は政治の安定第一で、まず内政、外政を整えると言っております立場では早期解散はやるべきではないという政治論を展開しておりますが、しかし前段申し上げましたことで、ある日突然やってくることもまたこれは事実。そうであれば、直ちにこれが行われると、国政選挙と、こういうとらえ方をいたしておりますので、そこのところは首尾は一貫をしておるわけでございます。
#75
○笹川委員 今首尾は一貫しておらないと私は思いますが、実は地方へ行きますと、今度の腐敗防止法にしても公職選挙法の改正にしても、どうも郡部の人というのは、あれは国会議員の法律改正でおれたちは関係ないんだとおっしゃる人が結構地方議員にいらっしゃるのですよ、現実には。そうしますと、地方議員の方が御理解いただかないと実はこれは困るわけでして、統一地方選挙はそれでいいんだよ、やるだけどんどん今までどおりやってください、しかし実際は今まででも選挙違反、実はできないことを平気でやっている、しかし今度はそれじゃどうにもとまらぬから連座制という厳しいものをつくったのですよということですから、私は、地方議員であろうとも同じ法律にかかっていくことが、まくに法のもとじゃそれが平等じゃないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
#76
○三塚議員 笹川議員の言わんとするところは痛いほどわかります。この論議を通じまして決めていくということになろうかと思っております。政治改革は、これに関連する法律は全党一致が望ましいことは大前提でございますから、そういう意味で論議はしかと承っておきます。提案は提案であります。
#77
○笹川委員 最後の方は非常によく理解ができますし、我々もそういうことでお互いに努力をして、なるべくいいものができるようにしていきたいと思っております。
 これは話は余分でありますが、三塚先生、実は交通達反、交通標識ができますと一週間は大体指導期間なんですね。すぐ捕まえないのですよ。ところが、一週間を過ぎますと、これは一時ストップも駐車違反も、字が読めるわけですからもう全部検挙されるわけであります。
 道路交通法とこの公職選挙法を一緒にするつもりはありませんけれども、周知徹底の期間というのはやりようによっては幾らでもできると思うのですね。例えば自治省にしても、お金をどうやってかけていただくかによっては、相当僕は深く国民にPRすることは短期間でも十分に可能だと思うのですが、自治大臣いかがでしょうか。
#78
○野中国務大臣 今お尋ねの件につきましては、周知徹底につきましては私ども可能な限り国民の理解を得るように努めてまいりたいと存じております。
 地方選挙につきましては、私のお答えする範疇にありませんので御了承をいただきたいと存じます。
#79
○笹川委員 それではちょっと自治大臣にお尋ねしますが、実はきょうの新聞、日本経済を見ましてちょっとびっくりいたしております。中にはもう本会議場で少しお話しになったからびっくりしないという人もいるわけでありますが、自民党の派閥横断の会で大臣が公的助成について、「政治改革の美名に隠れて選挙制度だけを変えることが本当に(国民の)ためになるのか。政党が自分で金を集められないからといって国民の税金から持ってくるのが良いのか」という疑問のお話をされたということでありますが、これは、確かに政治家はみんなそれぞれの考え方がありますので、それを発表すること自体は私は決して悪いごとではないと思いますが、やはり自治大臣というまさに選挙の元締めといいますか、政府の法案も出ているわけでありますので、なるべくそういうさざ波の立つような、また国民の側からすると、所管の自治大臣ですら疑問を呈しているようなものを何で国会でそんな長く審議してやるのかというようなことを実はきょう支持者から電話をいただきましたので、私はよもや大臣がそんなことを、きょうからやるのにゆうべそんなことを言うはずがないなと思って実はこう新聞を見たわけでありますが、この新聞の内容については間違いございませんか。
#80
○野中国務大臣 私は、ゆうべ仲間の会合に出まして、十月の十三日共産党の穀田議員から本会議で質問をいただきました際に、私が六月のたしか二日であったと思いますけれども予算委員会で質問をいたしましたことに触れられて質問がございましたので、これについて私の当時の気持ちを披瀝をいたしました。
 きのう、ちょうどそういう政治のうねりをつくった仲間の会でございましたので、共産党の議員の方からこういう質問をいただいたときに私は自分の考えておる心中を吐露をいたしましたと、しかし今この法案をお願いをする自治大臣という仕事について、自分の運命的なものを感じながら、まあ政党助成については与野党合意の上で、共産党を除いて政党の任意団体を法人化する合意がなされて鋭意その法案化への努力がされておるということを聞いてうれしく思っておるという旨を申し上げたわけでございまして、過去の話について申し上げたわけでございます。いささか仲間の中で大勢おると元気が出た嫌いはありますことを反省をいたしております。
#81
○笹川委員 聞いてよかったと思うのですね。新聞の方は先だけしか書いてないものだから、自治大臣の後の方は、全く運命的なんというものは、まさに今まで仮に議員として中選挙区がいいとかいろいろおっしゃっていた人はたくさんいるけれども、その役職につけばもうこれはしょうがないですわな。だけれども、そう書いてくれればいいけれども、全然ここまでは、新聞を見ると前の方だけは書いてあるが、後ろのことは全然書いてない。どうぞひとつ運命とあきらめて、みんなそうだと思うのですね。こういうときに、こういうのをやるのは嫌ですよね。新しい選挙区というのはこれからみんなが同じ条件で開拓するわけですから、だからその点は、特に国会議員が自分の選挙区を変えるということは並み大抵じゃない。農家の皆さんにしてみれば農地を変えて他人の農地に行くというんだと。そういうことをぜひひとつ御理解をいただいて、私はこの法案が一日も早く国会の成案になることを心から念じつつ質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#82
○松永委員長 増子輝彦君。
#83
○増子委員 改革の増子輝彦でございます。
 今、運命的だという発言が出ました。そのお話は、自治大臣が本会議場で答弁をされたことを私は大変感銘深く実は承ったわけでございます。やはり六年にわたって政治改革を、いろいろ賛否両論はありながらもやらなければならないということでようやくここまでこぎつけた、あとわずかのところでこの政治改革関連法案が成立するということ、ある意味で私はこの法案は今世紀の中で最重要法案の一つではないのかな、そういう認識を実は持っている一人でございます。
 いずれにしても、今後この選挙制度改革を含めた法案が後世どういうような評価をされるかということ、これは私ども政治家それぞれの努力でもありますし、また政党がこの法案に沿ってどういう形で政治改革をしっかりと進めていくかということにもつながっていくと思います。賛成の方も反対の方もそれはあると思います。私自身も、今度の制度の問題につきましてはかねてより単純小選挙区が一番いいと思っている者の一人でありますが、やはりこれはこれとして、今度の制度改革でしっかりと政治改革を進めて国民の信頼をから得るということが我々国会議員に、政治家に与えられた使命であろう、そういうふうに強く認識をいたしているところでございます。
 昨日の大臣の御発言も、後段の部分が報じられないということについては私も十分理解をいたしておりますが、やはりここ大事な胸突き八丁の最後の場に参りましたので、どうぞひとつこれに積極的に最後まで御努力をいただきますようお願いを申し上げておくところでございます。
 つきましては、まず最初にお伺いをしたいことは、今回のこの法律、区割りを含めた関係法案が成立をした後、実は公布の後一カ月の周知期間があるということでございます。そうしますと、理論上は、先ほど三塚先生が解散はない、私は政局の安定を図っていくんだということでお話をされました。三塚先生が総理大臣であれば私はこれを全面的に信頼をいたすわけでありますが、残念ながら総理大臣ではないということで、専権事項ではございませんので、これは何ともいたし方ございません。
 それに関しまして、自治大臣にもぜひこの件につきまして、理論上は、これは周知期間内に解散をすることは可能であり、そしてまた施行日の前日に公示をすれば現行中選挙区のまま選挙が行われるという可能性は実はあるわけであります。しかし、ここまで来て果たしてこういうことが許されるのかどうか、政党としても政治家としてもこういうことが許されるのかどうかということは、当然我々が考えなければならないことでございます。周知期間内における選挙があるというようなことがあってはならないと思いますので、解散権は当然自治大臣にはございませんが、この辺の考えにつきまして大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。
#84
○野中国務大臣 今増子議員お説のとおり、解散について私が言及する立場にございません。
#85
○増子委員 解散権はございませんが、選挙をやらないということではなくて、これは主管の大臣としてやはり十分お考えをいただき、この法律を成立させ、さらに施行日がきちっと決まりました段階で、新しい選挙制度によって選挙を行っていくことが我々の責任だと思いますので、改めて申し上げておきたいと思います。
 次に、実は、この新しい選挙制度が成立をいたしますと、国会議員の選挙、当然小選挙区比例代表並立ということになってくるわけでございます。
 かつてこの委員会で私自身も質問をしたことがございますが、今後の課題といたしまして、この制度が、小選挙区が、当然地方の選挙というものにも波及をしながら、そしてまたその制度改革というものに及んでいくことは避けられないのではないだろうか。やはり、地方自治の振興というものも含めながら、国政選挙に合わせて地方選挙がこういう形でしっかりと連動しながら制度を改革していくということは大事な私は要点ではないかというふうに思っているわけでありますが、この地方への導入について、大臣としてどういうふうにお考えかをお伺いをしたいと思います。
#86
○野中国務大臣 地方公共団体の選挙制度の改革につきましては、国の選挙制度との整合性の観点からとらまえていかなくてはならないことは必要でございますが、国政選挙と異なります事情、例えば地方公共団体の長は、委員御承知のように住民が直接する選挙でありまして、いわば大統領制の選挙でございます。また、地方における政党間の状況などを念頭に置きながら、あるいは地方制度の改革とも調整をしながら、今後鋭意検討されるべき課題だと存じております。
#87
○増子委員 私は、当然首長選挙あるいは議員選挙、これからこの制度が成立した後、時間はかかるかもしれませんが、当然公的助成の問題も含めながら、そのような形に変わっていかざるを得ないし、また変わっていくことが必然性であろうと思っておりますし、そういうことを我々は努力をしていかなければならないのではないのかというふうに考えているところでございます。これは自治省、当然この件については全く無関係ではなく、むしろ積極的にこの件については今後とも検討していただくということになっていくものと思われますので、この辺もひとつ検討していただきたいと思います。
 次に、実はこれも前の政治改革特別委員会のときに御質問を申し上げた件でありますが、特に、政治改革特別委員会、海外の行政視察を含めてこの委員会がオーストラリアに、あるいはマレーシア方面に行ったときに、海外在留邦人の選挙権の問題について報告書を実はまとめているわけでございます。
 かつて、昭和五十九年に海外在留邦人に選挙権を認めるという案が出された経緯があるようでございますが、残念ながらこれが廃案になったという経過がございます。現在、外務省の調査によりますと、四十六万人を超える方々が今海外に住んでおられる。これは今度の小選挙区というものを考えたときに、大体二人近くの議員を有する数に、有権者に匹敵するわけでございます。
 海外在留邦人の選挙権の問題、今後の政治改革という点からおきましても、これは十分検討せざるを得ない、むしろ積極的にこの問題は検討していく必要があるのではないだろうか。今度の選挙制度改革を含めた政治改革というものは、単なる制度だけを変えるとか公的助成をするとかいうことだけでなくて、政治全般について積極的に改革をしていくということに当然あるわけでありますから、この海外在留邦人、四十六万人を超える方々の選挙権については、むしろ積極的に与えるような努力を私どもはしなければならない、そういうふうに思っているわけですが、この件について大臣のお考えを承りたいと思います。
#88
○野中国務大臣 国外に居住し、あるいは滞在する日本人の方々について選挙権を行使する機会を保障するということは重要なことであると考えております。今委員御指摘のように、五十九年、この在外選挙法案が政府提出でされましたけれども、残念ながら、審議、質疑を得ることなく、六十一年に衆議院解散によって廃案となった経過は御承知のとおりでございます。
 こういった経過や、あるいはどのようにして選挙の公正さを確保するか、あるいはまた限られた選挙期間の中で適正かつ円滑な執行がどのようにできるか、こういったさまざまな観点を踏まえまして、今後、関係省庁とも協議の上で、総合的にかつ積極的に検討を加えていきたいと存じております。
#89
○増子委員 今大臣がおっしゃったとおり、総合的にやっていかなければならないことは当然でございます。
 この政治改革特別委員会のさきの調査報告書を見ますと、確かに多くの問題点はあるわけでありますが、これは、英知を集めて努力をすれば必ず解決できるものだと私は考えております。これはやはり、一日も早く海外在留邦人の選挙権はやっていただくことが大事かと思っておりますので、どうぞ大臣積極的に、これも運命的なものかと思いながらお進めいただければ大変ありがたいと思いますし、ぜひ政治改革の一環としてお進めいただきたい、そういうふうに思っております。
 次に、実は日本の人口構造は大変高齢化・少子社会という形になってきていることは御案内のとおりでございます。今後の産業構造等を含めましても、この人口構造が極めて日本の国家そのものを揺るがしていくということになっていくわけでございます。
 そういう中で、やはり成人という問題があるわけでありますが、二十歳以上ということで今選挙権を与えられている。成人の日でも、私どもが、多分それぞれの先生方も共通したことは同じだと思いますが、皆さんが二十歳になれば選挙権を有するんですよというようなあいさつをされるかと思います。この選挙権の問題、当然二十歳からということで我が国では今決まっているわけでございますが、やはりこれからの日本の社会を考えていく中で、どうしてもこの引き下げという問題も私は大事な問題になってくるのではないだろうかというふうに思っているわけであります。
 欧米先進諸国では十八歳という国が随分多くなっているわけであります。我が国でも、これだけ社会的に成熟をしてくれば、当然、教育を受けている者や、あるいはいろいろな総合的な観点からいたしましても、十分私は十八歳という年齢で選挙権を有することによって正しい判断を持つことができて、国政に参画をするんだということの意識を高めるということは、今後のこの高齢化社会、少子社会においても、若い青年たちにそういう意識を持たせることは極めて重要な問題だと私は思っているわけであります。
 ですから、この選挙権の引き下げ、やはりこれも先ほどの海外在留邦人の選挙権と同じように、今後我が国が考えていかなければならない、積極的に検討していかなければならない重要な政治改革の一環ではないのかな、そういうふうに認識をいたしているところでありますが、これについての大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
#90
○野中国務大臣 今委員御指摘のように、日本と韓国を除きましてはほとんど、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ等先進諸国では十八歳をもって選挙権を付与しておるわけでございます。ただ、選挙権の年齢というのは、単にそれだけの問題で扱うことができないわけは委員も今触れられましたとおりでございまして、民法上の成人年齢やあるいは刑事法の取り扱いなど、法律体系全般との関連も十分に考慮しながら検討すべき事柄であると考えておるのでございます。
 御承知のように、我が国は民法では二十歳、少年法においても二十歳を成人としておるわけでございまして、これらのバランスを十分考えながら検討をしていく必要があると存じております。
#91
○増子委員 この件もぜひ積極的に検討していただきたい、そういうふうにお願いを申し上げておくところであります。
 次に、公的助成について御質問をさせていただきたいと思います。
 これは、大臣は大臣になられる前から公的助成については非常に慎重であった。先ほどのお話にもありましたとおり、いろいろな問題を含んでいるということは終始一貫した実はお考えでございます。国民一人当たり二百五十円、総額にすれば三百九億円。これは決してばかにならない実は金額でございます。この公的助成をやることについて、大臣のまず基本的な考えを改めてお伺いをしたいと思います。
#92
○野中国務大臣 私が一人の政治家として考えてまいりましたことは、今増子委員御指摘のとおりでございまして、特に政党は任意団体で法人格を有しない。そこに、一方において国民に増税を求めるような環境の中で安易に税金から助成を受けるというのは私ども心しなくてはならない問題であると考えて、今日まで、政党法、そして政党の活動の自由を保障する中における法人格の付与等について、時々に関係の皆さん方にお願いをしてきた次第であります。おかげで与野党協議をされまして、共産党を除きまして、この法人格の付与を政党活動の自由を保障しながら立法化をお考えをいただいておるということを承りまして、私ども念願といたしました政党助成のあり方として第一歩を踏み出すことができると喜んでおる次第であります。
#93
○増子委員 今の大臣の御答弁、私はぜひ、蒸し返すようでありますが、昨日のようなやはり発言というものはそれにそぐわないというように認識をここで改めていたしたいと思いますので、どうぞ、個人的にはまだ釈然としないものがあるかと思いますが、一応この公的助成、今後我々が今まで以上にしっかりとこの面については公平公正に、あるいは襟を正しながらやっていくということは大事なことでありますし、また場合によってはこれも見直しということも含めて考えていく時期があるかと思います。
 この件について、公的助成、私も実は基本的には余り賛成ではないわけでありますが、しかし、政治にお金がかかる、そのときに国民の皆様方にも多少なりの御負担をいただくということもこれ一つの方法なのかなということを考えれば、この公的助成の意義なりあるいは大事な点を十分我々は勘案しながら政治活動をしていくということが政党、政治家とも必要なことでありますので、我々、心してやっていかなければならないということを私は改めてここで申し上げておくところでございます。
 この公的助成と、さらに企業献金の実は考え方があるわけであります。公的助成三百九億円ですから、先ほど申し上げたとおり、決して総額としてはばかにならない金額であります。今度の企業献金は、政治資金規正法の改正の中で多少といいますか、かなり厳しくなってまいりましたし、五年後にはこの問題についても見直すことでありますけれども、この公的助成と企業献金のかかわり合い、この辺については大臣はどのようにお考えになっているか、お聞かせいただきたいと思います。
#94
○野中国務大臣 今回の政党助成、そして五年間の一応企業・団体等の献金、こういう問題について、個人として私考えを持っておる者でございますけれども、法案として成立をいたし、そして現行の個人中心の選挙やあるいは政治活動を政党中心のものとして抜本的に改めていく、こういう前提において、政党の財政基盤の確立強化のために、いわゆる政党助成が公費をもって考えられるに至った、こういうことでございまして、ある意味において、民主主義のコストというべきものを政党の政治活動の経費を国民で負担していこうという、そういう考え方が今回の法改正の私は基本であると思っておるのであります。
 また、企業等の団体献金につきましては、改正法の施行後五年を経過した場合には資金管理団体に対するものは禁止措置を講ずるとともに、政党、政治資金団体に対する献金のあり方についても見直しを行うものとされており、廃止を含めて検討がされるものと考えております。
#95
○増子委員 企業献金については、大臣、いかがですか。大臣としては企業献金は廃止すべきだというふうにお考えでございますか。
#96
○野中国務大臣 今後、国会の御論議をいただいて、廃止を含めて見直されるべきものだと考えております。
#97
○増子委員 公的助成の問題もそうでありますが、ここは極めて今後私どもにとっても大事なポイントだと思います。今後、論議あるいはこの制度が取り入れられた後のいろいろな運用等を見ながら、私ども検討していかなければならないと思っているわけであります。
 そういう中で、さはさりながら、やはり政党あるいは政治家に当然一定のお金がかかるということは、これ否定できないものであります。そういう中で、お金と政治のかかわり合いをきれいにすること、これは当然政治改革の一番の目的であろうと私は思っているわけであります。そういう中で、やはり政党がしっかりと自助努力をしていくということ、これ極めて私は大事なことだと思うわけてあります。
 まず、政治そのものが国民の皆さんに信頼をされる、そしてその中で、公約やあるいは理念や政策というものを堂々と掲げて選挙に勝ち抜いていくということは当然のことであります。その中で、しかし政党も、やはり今後小選挙区比例代表並立ということになっていけば、二大政党あるいは三極構造という形の中で政党がそれなりに収れんされていくことは、これ当然の成り行きだと思っているわけであります。そこで、政党にも一定の経費がかかるというときに、企業献金あるいは公的助成というものだけで果たしていいのだろうか、もっともっと何かの自助努力を私はする必要があるのではないのかということを常に考えているわけであります。
 そういう中で、実はスウェーデンがある一つのおもしろい試みをやっていた。今もやっているのかもしれませんが、それをお聞きいたしております。それは政党宝くじというものを実は取り入れている。これによって、その政党がやはり国民に信頼されなければ支持もされませんし、また政党が発行する宝くじというものも当然買ってもらえないというような形に実はなっていくわけであります。日本でも岡野加穂留先生がこの問題を、この宝くじについて実は論文を書いているものがございます。
 そういう意味で、企業献金はすべて悪ではないと私も思っております。当然、企業献金も大事なものの一つであろう、公的助成も国民が負担をするということも大事なものであろうと思ってはおります。しかし、それに頼るということだけでなくて、先ほど申し上げたとおり、やはり政党が、我々政治家が、もっともっとやはり国民の背くんに信頼をから得られるような政党活動なり政治家活動をしていくことによって、選挙にも勝つということと同時に、その信頼を何かの形で、当然金銭的な自助努力というものに振りかえていくことが可能であるとするならば、私は、政党振興宝くじのようなものを実は発行いたしまして、これをやっていくというスウェーデンのような例に倣っていくことも、あるいは一つの今後の政治改革の一環ではないのかなと。
 それによって、当然政党が発行する要件やいろいろな問題は幾つかあるかと思いますが、支持されない政党は、これは全くこういったものを買ってもらえないということになってくるわけでありますから、この辺の考え方につきまして、大臣に、それから三塚先生にちょっと所見をお伺いをしたいと思います。
#98
○野中国務大臣 委員御指摘の、政党のあり方として政党が過度に国家に依存するというのは、私はやはり戒めなければならないことであると思うのでございます。したがいまして、政党の財政基盤強化のための自助努力というのはさらに重ねていかなくてはならない、こう思います中に、今御提案の政党の振興宝くしというのも一つの提案であると存ずる次第でございます。
 聞きますと、イギリスにおいては、それぞれ政党が地方において宝くじを発行しておる。あるいはスウェーデンにおきましても、これは政党助成もありますけれども、むしろスウェーデンでは少額で、これによって国民の投票率を上げていくという、そこに力点を置いてやられておると聞いておるのでございます。
 いずれにいたしましても、先ほど仰せがありましたように、政党の財政基盤確立のための自助努力を積み重ねていくということは重要なテーマであると存じておる次第であります。
#99
○三塚議員 自治宝くじの勧進元、野中自治大臣、自治大臣としてというよりも恐らく政治家としての御発言かなと思うのです。
 増子委員のお話もそれなりのアイデアだと思いますが、どんなものでしょうか。宝くしというのは当たった人と当たらない人と、こうあるわけでしょう。多分に、そんなことが政治、政党、こういうものの基本的な問題にどうかかわり合っていくのか。かつて、保岡提案者の著書にもそれが載っておりましたことを、小生覚えております。
 それはそれとして、自助努力は、各政党が広く党員になっていただくための政策活動、政治活動を展開すること、これに全力を尽くすということで政党政治が成長していくのではないのかな、こんなふうに思いまして、せっかくの提案ですが、なかなかいいアイデア、それはいいね、こういうところまでいかぬことは残念であります。
#100
○増子委員 政治資金はやはり第三者や外部から干渉されないで、私は政党財政の自主確立をすることがやっぱり大事なポイントだというふうに思っているわけであります。
 一つの参考でありますが、これは栃木県が発売主体となりまして地域医療等振興自治宝くじというようなものも実は出しているのですね。こういったものも含めまして、これはアイデアということではなくて、各国、今大臣もおっしゃったとおり、イギリスやスウェーデンでも取り上げられている。これは自主的な財政の確立、やっぱり政党がそれなりの努力をしなければ、これは買ってもらえないのですね、政党が発行する要件がいろいろありますけれども。どうも日本で、サッカーくじもなかなかこれは導入できませんが、くじというといかにもギャンブル性の高いというようなことになって、イメージ的にあるのかなど思いますが、大臣からは前向きの御答弁をいただきましたので、これについては、我々それぞれの政党なり、やはり団体が真剣に考えることも必要がなと。これについてどうでしょうか。改革側の方の提案者で、茂木委員、これについて何か見解ございませんか。
#101
○茂木議員 今御指摘ありました栃木県の出身でありまして、政党の振興宝くじについて、委員御指摘のように、今後の政治資金の集め方、今までの特定の企業や団体を中心にしたものから、広く薄くオープンでありクリーンな資金集め、そういう方向に政党みずからが責任を持って変わっていく必要があると思います。また、そこの中で今後の政党の役割でございますが、くまざまな面で国民の政治参加を促し、そして党員を圧倒的にふやし、その中で、本当に魅力ある政党、そして信頼される政党が選ばれていく、このような形に変わってまいると思います。
 こういう二つの視点から、私は、委員御指摘の政党宝くじ、政党振興くじ、これは今後の重要な検討テーマの一つに当てはまると考えております。
 ただ、具体的な実現に当たりましては、発行主体と業務委託の関係、それからくじの具体的な方式、購入者の権利の問題、法制度の整備等々いろんな検討課題がございますので、個人的には、与野党の間でまず早急な検討を始める、こういうことが望ましいのではないかと考えております。
#102
○野中国務大臣 今、増子委員から御提案されました政党振興宝くじに私が前向きの答弁を申し上げたように断定をくれますと、いろいろ問題を喚起しますので、私は、過度に国家に政党が依存してはならないということ、そういう中で、増子委員が言われたように、自助努力によって財政基盤を強固なものにしていかなくてはならないというところに力を入れて申し上げましたので、あしからず御了承をいただいておきたいと思います。
#103
○増子委員 お金と政治のかかわり合い、とにかくこれは最も大事な私どもの課題だと思っております。公的助成、やっぱりなかなか国民から見れば納得がいかない部分も、大臣がおっしゃるとおりまだあるんですね。ですから、ここの部分は、こういったものをきちっと自主財源を確立するということで、自助努力をするということも含めながら、十分検討していかなければなりません。
 と同時に、実は腐敗防止法についてお尋ねをしたいわけでありますが、せっかくこれは国がお金を、公的助成で国民の税金から使うにもかかわらず、選挙違反はいっぱい出るわ、腐敗は生ずるわ、全くイギリス型の選挙浄化というものがなされないという形であれば、私は一体何の改革だったんだということになると思うのです。ですから、これはよく言われる、ますますどぶ板選挙になりお金がかかるのではないかということを、お隣の韓国の例に例えておっしゃられるかなりの方もいらっしゃいますが、韓国も、実は今回、大統領権限でこの選挙浄化法、いわゆる連座制の強化とか法定選挙費用の上限等、三つのものを決めて徹底的にこの選挙浄化をやろうということになりました。
 私ども、この新しい選挙制度の中において、先ほど来申し上げている政治改革の最大の大事なポイントは、お金と政治のかかわり合いだと思っているわけであります。ですから、そのときに、選挙違反を起こし、お金がそこに余りにもかかり過ぎるから、そういうものの因果関係が常に断ち切れないんだというようなことを当然断ち切るために、三塚先生を中心として、あるいは保岡先生を中心として双方ともこの問題に積極的に取り組んでいただいたということを大変私は評価もしながら、敬意を表しているわけであります。
 私は、実は連座制の強化につきまして、もっと本来は強化すべきだというのが私の考えでございます。一般の運動員の方々にまでこの連座制を強化しないと、私は本当の意味でのイギリス型の選挙浄化なり、清潔な政治というものはできないと思っているんです。
 我々当選さしていただきます。しかし、選挙違反で捕まる方々は、みんな犠牲になるわけですね。極端な話、一家離散の方も出ないわけではない。企業がおかしくなってしまう方も出ないわけではない。当然公民権停止で、これは略式も含めながら数多くのものが出てくるわけであります。町会長さんと言われる方が選挙運動をやって選挙違反に問われた。そして略式でやって、有罪で公民権停止ということになって、本人は気がつかない。三十年も町会長やっていて、表彰を受けようと思って申請をしたらば、結局だめになった。それは何のことない、やはり選挙違反であったと。昨年の総選挙でも、私どもの方の地元でも、一家離散に近いようなものになったという事例も現実にあるわけであります。
 ですから、選挙違反をした者だけが罰せられるということでない形でこの選挙浄化というものを、連座制の強化というものを私はやっていかなければならない、これからもですね。これは、とりあえず今回はある程度の限定をしたということでありますが、ここのところはやはり今後とも十分検討していかなければならないものだと思っております。
 そういう意味では、三塚先生と保岡先生に、連座制の対象者の範囲を、この際、すべての運動員まで拡大すべきだったのではないか、それをなぜ組織的運動管理者等の範囲にとどめたのかということをお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
#104
○保岡議員 増子委員の御指摘のように、イギリス型の教訓に基づいて今回の連座制は提案したものでございます。イギリスの場合は、候補者の代理人という、エージェンシーという概念で、運動員は判例や実例でほぼこの代理人に擬して徹底した連座の拡大を行って、選挙違反というものを全く一掃するという成果を上げたことは、もう委員の御指摘のとおりです。
 実は、我々もそこまで徹底すべきかもしれませんが、一方で、長い間我が国には、礼を尽くすには形をもってしなきゃいけないという社会の一般常識というんですか、むしろそれを道徳とする慣習がありますから、それに基づいて選挙はお願いすることが大事だということで、どうしてもそういう習慣と結びついた、本当にお金のかかる選挙風土が今存在している。これを、地方も含めて国民と一緒になって、そして政治家も政党もみんなで意識改革をしようとするものでありますから、本当は徹底することも考えなければなりませんが、一方で政治家の政治生命を奪うという制裁を伴います。これは非常に、選挙人の意思の表示の結果を覆すことにもなりますし、候補者の被選挙権の一部を剥奪するという基本的人権にかかわる重要な効果を伴うものでございますから、そういった意味での配慮もまたしていかなければならない。
 まあ徐々にこの連座制の解釈を厳しくしていくというやり方もあると思います。これは連座制の適用要件というものを、我々は刑事罰の構成要件の一つにしてありますが、例えば与党案のように民事訴訟における要件に限定するとしますと、これは行政法の範囲の問題で、行政制裁の問題でございますから、目的のために、だんだん世の中が変化するに従って、選挙浄化の程度が進むに従って、それに合わせて厳しく解釈、運用することも道としては残されている、そういうふうに考えています。
 そういうことなども念頭に置いて与野党の修正協議には我々も臨むように、前に三塚提案者からもお話があったとおり、提案は提案としてきちっと我々もしておりますけれども、協議は双方のいいところを取り入れて、いい結論を得たいと思っておる、そういうことにも大きな理由がございます。
#105
○三塚議員 かつてともにイギリス型腐敗防止法を目指して勉強し、一つの成案をつくり上げた経験を持っております保岡議員と小生であります。ただいま保岡議員が言われました基本、同感であります。
 ただ、増子議員が言われますとおり、無限大に広げろということになりますと、もともと他人の選挙違反で、かかわり知らざるところで行われたことから候補者がアウトになる、立候補もできない、こういう事態は、憲法上の、候補者に許されておる政治活動の自由あるいは基本的人権、こういう問題にもかかわりを持つわけでございますから、そういう点で、今後その対応は慎重であらなければならないのかなと。まず、今回の選挙腐敗防止法と言われるこの公選法の改正は、候補者たらんとする者みずからの選挙の公正公明を期するため、我が身を削る最大の努力をしていく、どんなにつらくても法律は守るんだ、この気迫が選挙浄化につながっていくな、こう思いますので、まず始めよう、ここであります。
#106
○増子委員 ありがとうございました。
#107
○松永委員長 次に、小森龍邦君。
#108
○小森委員 まず冒頭に、午前中の議論の中にもございましたが、新しい衆議院選挙区における一票の格差といいますか、重みの問題につきましてお尋ねをしたいと思います。
 二十八の選挙区において法律が想定をしておる枠を超えだということは、もちろんこれは私の非常に問題とするところでありますが、そもそもその二倍ということ自体も、仏とすれば大変これ気に入らないことなのであります。どうして法律で、この選挙区とこの選挙区、二倍までは正しいんだというようなことは、そういうふうに決めておるんだからそれでよいじゃないかという議論があるかもしれませんけれども、やはりこの世に生をうけ、しかもこの日本列島に日本の国民として住んでおるということになりますと、これはもう可能な限りこの一票の格差を縮めるということが、私は基本的人権にかかわる重大な、大事な問題だと思うのであります。
 そこで、戦後の最初の公職選挙法では一・五倍と定めておるわけですね。それから、イギリスの今日の状況も、大体一・五倍を超えたら見直しをしようというようなことになっておるようですね。そういうことで、これは二倍ということは、午前中の議論もございましたが、やはり私の憲法的感覚からすれば憲法違反という論理が成り立つ、こういうふうに思っております。これは後々、恐らく憲法違反の訴訟などで尾を引く問題だと思っておりますが、しかし、それは一応もう決まっておる問題でありますから、一応の私、見解を申し上げて、そういうことの問題提起を改めてさしておいていただきたいというふうに思います。
 しかしその二倍さえ、今回の、政治改革と言われておりますけれども、これは私は選挙制度改革だと思っているんですけれども、この選挙制度改革の事の始まりからこの二倍を破っておるのが二十八選挙区。いかに言っても、私はこれは少し不謹慎なことではないかと。
 それで、午前中の自治大臣の答弁を聞いておりますと、実際の区割りをやられた人がいろいろ努力をされておるのであって、憲法違反ではないと。努力をしたことと憲法違反でないということは、直ちに論理的にはつながらないことなんでありまして、二十八の二倍を超えたものが出たということは、こういう区割りを尊重するということはもちろん、要請をして委員の皆さん方に頑張ってもらったわけですから、尊重することはもちろんでありますけれども、政府として、もう少しここのところを手を入れて、もっと二倍未満のところへ持っていけるように近づける方策というものはなかったものか、この点をまずお尋ねしたいと思います。
#109
○野中国務大臣 御指摘の、今回の区割りに伴います一票の価値の問題につきましては、小森委員初めいろいろの議論のあるところでございます。
 しかし、区割り審議会の設置法案のときに、いわゆる都道府県に各一議席を割り当てるという前提で審議会の勧告をお願いしたところでございます。したがいまして、審議会におかれまして熱心に御討議が行われたということは、そういう前提条件がございますと、それだけでもう都道府県間の格差は一・八二になるわけでございます。そういう上に立って、委員の皆さん方は、何とか二倍を超えない範囲で努力をしようと必死に努力をしていただきました。それが、くしくも石川会長が九月の衆参政治改革特別委員会において言われましたように、もうようかんのようにどこでもずばずば、市町村とかあるいは交通その他のすべての条件を考えないで、ようかん切りのようにやったらこれはできるかもわからないけれども、市町村の行政区画の範囲とか交通事情とか、そういうものを無視できなかったと。中には、審議会の委員の皆さん方に、長い歴史やあるいは藩制時代のことを説きながら、何とかして変えてくれという御陳情もあったように伺っております。けれども、何とかして限りなく二倍に近づけるように、委員の皆さん方は断腸の思いで御審議を熱心にいただいた。
 私どもとしては、勧告をお受けする以上、政府でそれを、勧告が出た以上これを尊重するということが前提でございますので、これに何か手を加えてやるべき立場でないことは、何とぞ御了承を賜りたいと存じます。
#110
○小森委員 今回の区割りにつきまして、その基礎となる人口は、既に御承知のとおり、九〇年国調をもとにしておるわけであります。この一九九○年の国勢調査の数字からいいまして、つまり最大格差二・一三七倍、二倍を超えるものが二十八選挙区、こうなっておるわけであります。
 しかし、我が国の今日の経済の状況が基本になっておると思いますが、まだ依然として人口は大きく動いておるわけですね。要するに、都市化現象というか、農村の過疎化というか、そういうものが動いておるわけであります。したがって、一九九四年三月未の住民基本台帳でこれを見るならば、二十八選挙区が二倍以上を超えておるのでなくて、四十一選挙区が超えておると調べた方が報告をされております。
 この四十一選挙区というのは、人口にするとおよそ二千万人余りの人がこの一票の格差において二分の一以下に位置づけられておる。これは私は、かなり大きい問題ではないか。しかもそれが、九四年、ことしの三月未の住民基本台帳でありますが、これは来年とか再来年とかですな、あるいはこの選挙制度というものは常識からいって何十年ぐらいはもつものだと思いますが、そうなると相当程度の開きが出てきて大きな矛盾を醸す。こういうことになります、答申が出てきたのは一切手がつけられないと。尊重するということはもうもちろんでありますけれども、我が国の政府が、その他のいろいろな審議機関から受けておる答申というものを全く一〇〇%そのとおりやっておるかといったら、そうはいってないんでありますからね。
 これはもう選挙制度というのは、法文の上では憲法が基本法でありますけれども、政治の一番基本的な出発点なんでありますから、したがって、その点について私はまことに遺憾である、こう思っておるわけであります。
 午前中も憲法の問題が少しばかり論じられたようでありますが、私は、やはり選挙というものは、憲法の第一番の前文の一行目に書いてある、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動」すると。そもそも、正当に選挙されていなきゃいかぬのであります。どこかで格差をつけることが当然だというような、そういう考え方では私は「正当」の概念には入らない、こう思います。
 では、正当とは一体憲法上の条文でどこをもって言うか。私は、一番尊重をするところは、それはまあ憲法第十四条の法の平等ということでありましょうが、そのもう一つ前の憲法第十三条に、「すべて国民は、個人として尊重される。」個人なんですよ、個人として尊重されるのですよ。しかし、それを豆腐を切るとかようかんを切るような調子にいかないから、多少のアンバランスはやむを得ないと思いますけれどもね。それはやはり二倍未満でなければならぬし、願わくは私は一・五倍、つまり四捨五入をしたら二に近づくような数字のところが、一番筋の通ったところではないかと思います。
 自治大臣は、この憲法の「正当に選挙された国会における代表者」というのをどういうふうにお考えですか。また、「すべて国民は、個人として尊重される。」というこの基本精神をどうお考えでしょうか。
#111
○野中国務大臣 委員のお考えは傾聴する次第でございますけれども、私どもは、区割り審にお願いをいたしました以上、これが勧告をされましたら、それをそのまま国会に提案を申し上げるのが区割り審の審議会設置法の定めるところでございまして、しかも、委員御指摘の住民基本台帳人口も人口動態をあらわす指標として考えられておるわけでございますけれども、今回の審議会設置法では、いわゆる御指摘のように、人口は国勢調査人口によるものと決められておるわけでございます。
 したがいまして、こういう点から考えますときに、今回のこの区割り審の勧告というのは、私ども、そのまま国会に提案を申し上げ、御審議をいただくべき性質のものであると考えておる次第でございます。
    〔委員長退席、大原委員長代理着席〕
#112
○小森委員 私の質問申し上げました中身は、最初の質問で今自治大臣に答弁していただくようなことを御質問申し上げまして、二回目は、「正当に選挙された国会に」というのはどういうものをいうか、しかもその正当ということは憲法上個人の尊厳ということが一番基本でなければならぬと私は思うんだが、自治大臣はどう思われるか、この点をお尋ねしたわけでありますので、その点を少しお答えいただきたいと思います。
#113
○野中国務大臣 私は法律家でございませんので、少なくとも我が国の憲法あるいは公職選挙法あるいは今回の区割り勧告、もろもろの選挙にかかわる問題を経て、そしてその定めるところによって選ばれた者が国会議員、政治家として存在し得ると考えておるわけでございまして、そういう中におきましても、区割り審の勧告を受ける前提として、審議会の法案の中では、先ほども申し上げましたように、我が国の人口における過密過疎等を配慮された上で、まず最初に全都道府県に議席一つを与えた。ここにもう一・八二の格差が生じてきたというところに、今回の二倍を超える結果になったことでございますので、その点は、ひとつ区割り審の皆さん方の勧告への大変な御努力を私は理解をいただきたいと思うわけでございます。
#114
○小森委員 御承知のとおり、私は選挙制度を変えることにつきまして、今日のような状況になることを恐れて当時の自民党案にも政府案にも反対をした者でございます。しかしそれは、少数で負けたわけでありますから、これは多数の決められたことに従うというよりは拘束されざるを得ない、こういうことなのでいたし方のないことだと思っております。
 しかし、政治家たるべき者は、やはり一応の結果というものがどういうことになるか、口の先で二倍未満というようなことを言って、実際は自分たちがこういうことを審議してくれと頼んだことが二倍を超えざるを得ないというようなことになる、それくらいの見通しは立てておくべきではなかったか。これは、私が自民党案に対しましても政府案に対しても反対したことの理論的正当性を改めて自分では確認しておる、こんなことであります。
 そこで、結局いろいろなことが言われてきました。今回の政治改革の名における選挙制度改革。これは、中選挙区は金がかかる、同士打ちになる、だから政策は棚上げになるとか、さまざまなことが言われてきました。そうならば、やはりこれは一貫性を持たせて、本来ならば参議院の選挙制度というものと深く関係をするものであります。つまり、衆議院で可決し、参議院で可決したものが法律となるわけでありますから、少なくとも半分の重みは持っておるわけです。幾らか衆議院の優位性という名における先議権みたいなものもあるし、どうしてももつれた問題は衆議院の議決を国会の議決とするということもございますが、まあしかし、これは私は半分の重みがあると思います。
 その半分の重みのある参議院の問題については、これほど衆議院の方が焦って焦って、少し異論を述べる者があれば守旧派だとか改革つぶしたとかいうような汚名が着せられるというようなこともあったわけでありまして、これは政治家仲間だけの問題じゃなくて、私はマスコミも相当影響しておると思うのでありますが、そういうふうに日本の政治を選挙制度を変えることによってまず正していくのだということならば、なぜ参議院の問題がこれだけもたもたしておるのだろうか。先ほど来、自治大臣の答弁を聞いておりまして、ややそれが、参議院の方も考えなければならぬのだというような意味の空気が政府内にもあるかのごとく、私はそこで聞かせてもらっておりました。
 したがって、改めて、参議院問題についてはどうなるのであろうか。複数区がだめだということを衆議院で言うたわけですからね。それが、一人区もかなりありますけれども、四人区、三人区、二人区とかなりあるわけですから。そうすると、従来でいいますと、二人区の場合自民党が二つ議席を独占する、あるいは三議席の場合も自民党が議席を独占したということもあるわけです。それは党の力が強かったという一面ありますけれども、それならば同士打ちということになるわけですからね。
 だから、参議院改革というようなものについて政府とすればどういうお考えであるか、ある程度この機会に国民にわかるように、ひとつ態度を表明しておいてほしいと思います。
#115
○野中国務大臣 参議院の選挙制度につきましては、第八次の選挙制度審議会の答申や、あるいは政治改革をめぐる国会での御審議、参議院におきます与野党会派の御論議等を通じて、さまざまな検討が今なされておると聞いておるところであります。
 御承知のように、第百二十九国会におきましては、参議院の各党各会派の御努力、合意によりまして、四増四減の定数是正が行われたところでありますが、御指摘のような選挙制度の基本にかかわってまだ踏み込まれておらないのでございます。ただ、その基本的な選挙制度のあり方につきましてもこれまで御論議をいただいておるようでございますので、引き続き参議院の各党各会派におかれまして熱心な御論議を深めていただき、合意の形成が図られることを私どもも期待をしておるところでございます。
#116
○小森委員 そうしますと、政府とすれば各党協議を待つということになるわけでしょうか。しかし、衆議院と参議院と隣同士おりまして、私はそんなに熱意のこもった参議院の各党派協議が行われておるようには思えませんが、それでは参議院の方は、あの定数を若干是正するということがこの間衆議院の方にもかかりまして、これで次の選挙をやろうと思っているんかなというふうに私は思いましたが、片方は大変鳴り物入りで、それに異論を挟む者は少し時代おくれというような感じを抱かせて、片方はこの程度のテンポでは、私は真の改革ということにはならないのではないか。改革の評価は別として、真の政治改革ということにならぬのではないか。
 だから、政府はもう少し前向きでおられなきゃならぬと思いますが、しかしそれも、今ここで言いましても、しょせんはやはり参議院の方がということになると思うので、しからば参議院は各党協議というのは今どの程度に行われておるか、どういう進みぐあいなのか、その点について政府の認識はいかがでしょうか。
#117
○佐野(徹)政府委員 参議院の選挙制度のあり方につきましては、第八次選挙制度審議会におきましてもいろいろな検討が行われ、また各党におかれましてもいろいろな検討が行われたというように承知をいたしております。
 いろいろな経緯、過程を経まして、各党各会派でそれぞれの御検討がなされ、それぞれの党のお考え等も発表されているものもあるというように承知をいたしておりますけれども、本年の七月に、定数是正、これにつきましては参議院の中での各会派の御同意が得られたというように承知をいたしております。また、それ以外にも、比例代表選挙のあり方等につきましてもその過程で熱心な御論議が行われたというように承知いたしておりますけれども、一応の合意が得られたのは定数是正である、こういうような経緯に現在なっておると承知をいたしております。
#118
○小森委員 繰り返してもだめですから、答弁を聞いた範囲ではそんなに本気でやろうとしていないということではないかと私は認識をいたしました。それでは、今まで衆議院側のことをこれだけどんどん進めて、あたかもそれが大変日本の歴史の上に正義の旗振りをしておるというような形になっておりますけれども、それも実は虚構であった、こういうふうに私は思わざるを得ないわけであります。
 そこで、今回のこういう法案成立の一番山場といいますか、大きな頂点となったのは、何といいましても私は政治改革関連法案参議院否決以後の両院協議会という、あそこのところの動きであったと思います。
 これは、私の記憶が間違っておれば、政府の認識、まあほかの党派の方に対して聞きたいと思いますけれどもまた余り長くなりますから、政府の認識を聞いておきたいと思うのでありますが、あのときは、座長の公明党書記長の市川さんが、両院協議会、協議相調わずといってテレビに出て言っておられたのを私は聞いたのですね。調っていないと私は思っておるのですが、あれはどういう状況で調ったという扱いになったのでしょうかね。それはもちろん政府の責任でもないわけですけれども、政府はその点について、あのときの経過をどう認識されておられますか。
#119
○野中国務大臣 今お説のとおり、参議院で否決された後の合意に至る間は、政府がコメントするべき立場でありませんので、御了承を賜りたいと存じます。
#120
○小森委員 どういいますか、つまり、初めに政治改革は選挙制度改革ありき、しかも中身は小選挙区比例代表並立制を何とかして実現する、この目的のために途中の経過は余り重きを置かれていなかったのではないか。これはもう明確に憲法上の規定で、両院協議会が成立をしておれば、それは過半数議決でよいわけでありますけれども、両院協議会が成立をしていないときは、再び衆議院は三分の二の多数で議決しなきゃならぬということで、私はあのころの記録ももう一度落ちついたらじっくり整理したいと思っておりますけれども、ここで重大な憲法違反をやっておるのではないかというふうに思うのです。
 ただ、もとをいえば、私どもの党の仲間でありました衆議院議長が非常に気を使われていろいろやられて、あの辺のところで何だかこうわからなくなってしまったというふうな、その手続のところがね。土井衆議院議長のやられたことの政治的評価はまたいろいろありますけれども、手続上ちょっと私は何かそこにあった、こういうふうに思いますので、これは残念ながらかなりけちのついた選挙制度改革である、こういうふうに考えております。これは私の見解を申し上げるにとどめておきたいと思います。
 そこで、せっかく提案者に三塚先生がおいでになっておられますので、ちょっと私聞きたいと思うのですが、先ほど来、まあこれは先ほどだけじゃなくて、この選挙制度の改革の前提条件みたいなもので、政治に金がかかるといったら、余り異論なしに、うん、それはそうだという空気が強いのですね。そういうことも前提条件として、論理学でいえば演繹法的論理学の大前提みたいなものですな、これは。政治に金がかかるといったら、うん、金がかかる。私は、不思議でいかぬのです。政治に金がかかる、何にかかるんじゃろうかと。それは各党派、党費も徴収しておるし、それから私どもの党でいえば政策研究費は皆党へ出しておるし、何がかかるんだろうかと不思議でならないのでありますが、三塚先生、この間新聞に、毎日新聞に大きく出ておるのですよ。「三塚派 九億円パーティー 借金返済を目的に 所属議員にノルマ課し」こうなっていますね。
 それで、幸い三塚先生ここにおいでですから、私は率直にお尋ねしますけれども、これが事実かどうかということをまず、大事だと思いますし、それからその次の二番目の私の質問は、長い間自民党の幹部でもあり、派閥の領袖として政治活動に携わってこられた三塚先生、一体政治に金がかかるというときに、何にかかるという経験をお持ちでしょうか。ちょっとお尋ねいたしたいと思います。
#121
○三塚議員 政治に金がかかるという一般論、小森議員もわかり切って御質問をいただいておるのかなと思います。
 日常活動費というのが一つあると思います。それに加えまして、政党は政党としての活動費、それから後援会活動費、こういう、たくさんありますけれども三つぐらい代表して申し上げたいのであります。内容は、広報宣伝、それから食糧費、交通費、こういうのもあるでありましょうし、それから借り上げ費などもあるでありましょうし、主として広報宣伝というのが昨今多いのではないでしょうか。こんなふうに思いますが、いかがでしょうか。
#122
○小森委員 お答えとしては私の耳に物理的にその音は届いてまいりましたけれども、三塚先生、こういうことではないかと私は思います。
 それは、社会党と自民党と、党の会計を比べたら問題にならぬほど社会党は小さかったわけですね。しかし、それでも党の運営はできて、ひところ、この前の選挙までは衆参両院二百二、三十名を擁した、日本では大きな政党のうちなんですね。どうして、始末をする政党へ見習ってもらって、大きい政党が金を始末して質素にやるという、そういう気風が出ないんでしょうかね。その気風が出ずに、金がかかるからといって、残念ながら我が社会党まで、公的助成、いいことだなという雰囲気になったわけでしょう。だから、どうして経費を節減しておる党の動きというものに見習う気が生まれてこないんでしょうかね。この点はいかがでしょうか。
#123
○三塚議員 ただいまは党の三役でも執行部でもございませんが、かつて役員でもありましたし、政治家の一人として端的に申し上げますと、ただいまは気風が出ておるわけであります。
 たび重なる汚職事件等がこれありまして、強い批判を受けておる。同時に、昨年の七月の総選挙後の連立党新政府が生まれる。その後の経過は省略をいたします。そういう中で、改革の大きな嵐の中で、これは連立党だけではなく、当時野党でありました自由民主党も、改革のためのいろいろな研究、手だてを講ずる、それで実行を進める、こういうことで来たことも御案内のとおつであります。また、献金をする企業、団体等におきましても、極力最小限にこれを抑えていくという、こういう傾向にありましたことも御案内のとおりでございます。そういう中で、政界全体が最小の経費で最大の効果をあらわすべく、それぞれの政党が全力を尽くすという昨今の状況に来ておると思うのであります。
 そういう中で、数年がかりで選挙制度改革から手をつけ、政治資金規正法の透明性の確保、また、献金額の上限を決めて支出の公表も明確にする、こういう一連の改革に取り組んできました結果、お金が集まる時代でなくなったのですよ。ですから、宝くじの話がありましたが、宝くじは私はネガティブな考えてありますが、党員各位の参加、努力、そして新党員の確保ということが本来の政党の基本的な業務であろう。
 金のかかるということは、もう一つ具体的なことで申し上げますと、法定選挙費用との関連で果たしてどうかという、これ以上申し上げません。法定費用を守って、結果は皆さん守っておられますけれども、なかなかその計算の仕方が、そういうことで出入りが、政治団体があり、何があり、こういうことで経理上の整理が行われますと、その辺のところが結果として法定費用を守る、またそれも法的に違法であるということではなかったことでありますから、これからはそういう意味で、金のかからない政治活動、選挙活動、特に選挙活動が極めて重要な課題であります。限られた十二日、十四日の中のことだけがそうではございませんで、事前事後の運動等も、今度の法律で連座制の強化でそれが適用される、こういうことであります。
#124
○小森委員 もう時間がありませんので、ほかにも準備していることがありますので、これ、答えをいただいていないですが、事実か事実でないかということ。ちょっと簡単に答えていただけますか、事実か事実でないか。
#125
○三塚議員 政策集団清和会というのが、私の会長をしております政治グループであります。昨年の秋以降会費制で運営をいたしており、政治団体でございますから、内政、外政の問題にわたりまして研究会を開いてまいりました。熱心な研究会でございました。その成果を発表しようというのが、十一月下旬に行われるフォーラムであります。フォーラムが基本であり、広く賛同をいただく、こういうことで行っておるわけでありまして、借金がどうの、割り当てがどうのということではございません。全体の話し合いの中でこれが行われていく、このように認識をいたしております。
#126
○小森委員 日本の政治をきれいなものにしょうということがかけ声で、今この政治改革問題というのが議論されておるときですから、できればこういうことにならないように、九億円というのがメーンのようですね、この新聞記事を見ると。だから、それではちょっと政治自体が信用を落としますので、特に政治経験豊かな三塚先生のことでございますから、ひとつそんなことも考えて、出版がメーンならば、私なら全く金のかからない、出版の、本の中身の発表会なんかやれると思いますけれども、その点も、ひとつ今後いろいろ工夫を凝らしていただきたい、かように思います。
 さて、残された時間は余りありませんから、私の予定しておったこと、なかなか全部をきょうここで議論することは困難であると思いますから、私がこれから言おうと思うことがうまくできるかどうか、ちょっと心もとない点がありますけれども、その方の質問に入りたいと思います。
 まず、私の論理を展開する前提として、このことを聞いていただきたいと思います。
 これは法務省に既にお願いを申し上げておりますが、アメリカと日本の犯罪の中の殺人事件、殺人未遂事件、それからレイプ、この比較を、統計数字、出ておるところの一番近いところぐらいを、ちょっと概略、御説明をいただきたいと思います。
    〔大原委員長代理退席、委員長着席〕
#127
○則定政府委員 犯罪白書によりますと、まず殺人事件の人口十万人当たりの比較でございますけれども、一九九二年、平成四年で申し上げますと、アメリカが九・三に対しまして日本は一・〇ということになっております。それから、いわゆるレイプといいましょうか、強姦事件を同様な目で見てみますと、同じ年で、アメリカが四二・八に対しまして日本は一・二となっております。
#128
○小森委員 質問でこうやりとりしておりますと時間がかかりますから、なぜ私がこういう数字を法務省に求めたかということは、結局、世の中が荒れておるか、荒れていないかということを言いたいためにこういう数字を求めたのであります。
 その次に、もう一つお願いをしておきましたが、イギリスの議会がごく最近、我々の国ではこれは憲法的原則なんでありますが、黙秘権を廃止したという事件が起きておりますが、イギリス議会がそれを可決するというか、そういうことを議会で議論をし、そういう方向に持っていく最大の理由は何であったかということを、もし日本政府、法務省がつかんでおられればお答えいただきたいと思います。
#129
○則定政府委員 お答えいたします。
 外国の立法活動の状況とその背景ということでございますので、私どもといたしましては正確な答弁はいたしかねますけれども、入手しております資料、情報に基づきましてできるだけ客観的に答弁させていただきますと、イギリスにおきましては、昨年の十二月に黙秘権を一定限度で制限する内容を含みます、直訳いたしますと刑事司法・公共秩序維持法案というものを議会に提出されまして、現在なお審議中ということになっているようでございます。下院で修正意見がつき、上院でまた異なる修正意見がつき、こういうふうに上下院を行き来しておる段階である。現在までに成立したという情報は、私ども入手しておりません。
 どうしてそういう動きが出てきたのかというお尋ねでございますけれども、私どもが入手しております一部の法律雑誌の引用になりますが、この背景といたしまして、メージャー首相が次のように述べているとのことでございます。それは、犯罪の増加を含むイギリス社会経済の慢性的病弊に対し、法と秩序などの伝統的価値に立ち返るという方向で対処するメージャー政権の基本的姿勢を体現するものであるというふうに述べておられるようでございます。
 また、具体的な法案提出に際しまして、内務大臣のハワード氏のスピーチがございますけれども、これによりますと、
 「いわゆる黙秘権なるもの」は、被告人に対する手続的保障が広範に整備された今日では、もはや無用の存在であるばかりか、本来何も隠すことのない無実の者を益するものではなく、テロリストや職業的な犯罪者達により捜査や処罰を妨害するのに悪用されるだけであるから、これを修正するため、被疑者が警察での取調べにおいて質問に答えることを拒否し、あるいは、被告人が公判で証言台に立とうとしなかったときは、検察側が陪審に対し、その事実から適切な推認を行うよう促し、裁判官もまた、そのように指示することができるようにすべきだ、というふうにスピーチされているようでございます。
#130
○小森委員 私は直観的に、このイギリスの黙秘権の問題が俎上に上っておることは犯罪の増大に対する対処だということ、そう思ったんです。アメリカ社会の問題も、私もおぼろげながらこの数字を知っておりましたから、これは二つ、やっぱりアメリカもイギリスも同じような社会的病理現象の中に入っておるなということを感じたわけですね。
 それでもう一つだけ、私の論理展開というか質問をしたいことの前提として、さらにその前提の質問として総務庁の方にお尋ねしたいと思いますが、大変国会の皆さん方にお世話になりまして、九二年に地対財特法の延長というのをやっていただきました。そして、目下のところ、我々とすれば、部落解放基本法を制定したいと思っていろいろ努力をいたしておるところでありますが、つまりこの地対財特法で問題となる被差別部落、これはやっぱり少数者ですね。我が国社会の、徳川封建幕府以来差別されてきたという社会的な一つの立場というか身分というか、そういう少数者の問題であります。
 そのことと、我が国多数者がみんなして運営しておる我が国経済の構造と非常に深くかかわっておるということで、同和対策審議会の答申は経済の二重構造ということを言っておるんです。これは同和対策審議会の答申の前に、既に経済白書の中でも、一九五〇年代の終わりごろに我が国経済の二重構造ということを言ったんです。この二重構造が今、日米の経済協議に尾を引いておると思いますが、アメリカはそれは日本の部落問題と関係があるというようなことを知っておるか知ってないか知りませんけれどもね、やはり日本経済のひずみの問題としてアメリカがいろんなことを言っておる。こういうことなんでありますが、経済の二重構造ということがいかにして身分差別と関係があるか、同対審答申はどういう関連性でそこを述べておるかということについて、総務庁の認識を簡単に聞かせていただきたいと思います。
#131
○菊池政府委員 お答えさせていただきます。
 昭和四十年八月の同和対策審議会の答申の第一部というところで認識を示す部分があるわけでございますが、そこでは、同対審としては「わが国の産業経済は、「二重構造」といわれる構造的特質をもっている。」「なかでも、同和地区の産業経済はその最底辺を形成し、わが国経済の発展からとり残された非近代的部門を形成している。」そして、このような我が国の経済構造の特質とこれを反映する社会構造や精神文化が「同和問題を存続させ、部落差別を支えている歴史的社会的根拠である。」こういうふうな指摘をしております。
 政府といたしましては、もう御存じのとおり、この同対審答申を受けまして、同和問題、これは憲法に保障された基本的人権にかかわる重要な課題であるとの認識のもとに、昭和四十四年以来三度にわたる特別措置法に基づきまして、二十五年間にわたって関係諸施策の総合的な推進を図り、同和問題の解決に努めてまいったところでございます。現在もまた、現行の地対財特法に基づきまして、産業振興等を含む各般の事業を積極的に推進し、同和問題の早期解決に向けて努力をいたしているところでございます。
#132
○小森委員 これで、社会が荒廃をすると犯罪がふえるということの関連と、それから経済の構造というものの中に少数者を抑圧する根がある、これは私らが、運動側が言っておることではなくて、政府関係の同和対策審議会答申がぴしっと分析しておるところであります。しかも、今言われたことの中に、後の半分が時間の関係もあって省略されておるんですけれどもね、そういう経済構造がそのまま社会の雰囲気にぽっと反映するということを書いておる、そこが重大なんですね。
 それで、御承知のとおり、言うと言わぬとでこのたびの小選挙区制の問題、比例代表はついておるけれども、二大政党化するという必然の動きはもうこれはみんな認めておるわけでしょう。三極構造だといって我が党がちょっと言ったこともあるし、またそういうことを言っておる人もおられますけれども、これはずっと消えていくんです、二極になるんです。二極になると、その二極がまた大体、片や自民党、片や新生党、日本新党いって、元の自民党の分家が行っておるわけですからね、同じようなことになるんです。同じようなことになると、結局大体、極端な言い方をすると、一つの価値観にまとまったような形で議論される。
 そういう一つの価値観というものにまとまるような気配が、去る予算委員会において政策論議よりは各党の攻撃をすることによって違いを出す、こういう弊害が出てきておるんですね。それは政治論として私はちょっと棚に上げておきますが、私が言いたいことは、そうなると結局、何か大きいことについていきよらなんだら芽が出ぬというような政治の状況にしたら、少数者は全く芽が出ぬようになるんです。それがつまりこの小選挙区比例代表並立制の問題なんです。
 私の大先輩の松本治一郎先生は、これは我々の仲間の間でちょっと勝手なこと言うとると思われるかもしれませんけれどもね、君らは絶対に将来一対一の選挙をすなよと。被差別部落、部落を体に背負うとって一対一の選挙はすなよ、こう言って戒められたということがあるんです。それは、いみじくも私は小選挙区の弊害というものをぴたりと言い当てておると思うんですね。そういうことで私は反対をしたんでありまして、何も党の基本方針に反対することによってテレビに出たろうというような、そんな考え方でやったんじゃないんですね。
 それで、だんだん時間がなくなりますが、要するに、まことにこれは遺憾なんです。そういうことで、社会の荒廃につながったら、これはひとり少数者ががたがた言いよるだけの問題じゃないんです。全体がまた悪くなるんですね。そういうことで、まあこれは自治大臣の見解を聞くいったって、なかなかよい返事をもらえないと思いますけれども、そういうことがあるということだけを、こんな議論というのは今回の政治改革で初めてだと思いますよ。日本社会党はさすがに社会民主主義政党として、党内における少数の意見の私をここへバッターに立ててくれたんですからね、まだ社会民主主義精神というものはちゃんと生きておると思いますけれども、自治大臣、今私が申しましたようなことについて、所見があればひとつ聞かせていただきたいと思います。
 これをもって私の質問は終わりたいと思いますが、どうぞ。
#133
○野中国務大臣 先生の、人権問題さらには少数意見を大切にして民主政治を築いていかなくてはならないという政治家としての使命感あふれるお話につきましては、私ども謙虚に受けとめさせていただいた次第でございます。
#134
○小森委員 じゃ、終わります。
#135
○松永委員長 田端正広君。
#136
○田端委員 改革の田端でございます。
 いよいよこの政治改革関連法案の完結といいますか総仕上げといいますか、そういう段階を迎えているんだなということを、私もメンバーの一人として実感を持って今感じている次第であります。選挙区画定審議会の勧告を受けて今回区割り法案が国会提出されましたが、これに対しての、自治大臣として改めてまた御感想といいますか、御決意があろうかと、こう思っている次第であります。
 今国会の最大のテーマといいますか、この政治改革の区割り法案というものが、非常にそういった意味で国民も注目しているわけでありますが、考えてみますれば、七年前に当たりますでしょうか、リクルート事件が起こって、そして国民の政治不信という声が頂点に達した。そういったことからこの政治改革に期待する声が大きく高まったわけでありまして、この間、内閣として七代この問題について御努力をされてきた。そういった意味でも、政治改革に対する国民世論の高まりというのはまさに今大きなものがあろうと思いますし、また、ここにおられる諸先生のこの改革に対する御熱意というもの、その結晶として今日があろう、こういうことで、私もこの最終段階に入っていることを非常に高く評価しているわけでございます。
 この間も聞いてみましたら、衆議院で百三十時間この問題について議論し、参議院でも八十五時間ですか、やってこられたというわけで、もうトータル二百十五時間も政治改革の議論をやってきているわけでありまして、いよいよその最終段階かな、こういう思いをしているわけでございます。そういったことも踏まえて、自治大臣、まず御決意のほどを改めてお伺いしたいと思います。
#137
○野中国務大臣 今回の区割り法案を成立をさせていただきますことによりまして、衆議院の選挙制度の改革、政治資金制度の改革及び政党助成制度が初めて施行されることになるわけでありまして、新たなる政治改革の出発点に立ったというように認識をいたしますとともに、それだけに、法案の成立につきまして関係委員各位の御協力をお願いを申し上げ、かつ、それによって国民の期待する政治改革に結びつけられるように、私ども念願をしておる次第であります。
#138
○田端委員 午前中からの議論の中で、一票の格差の問題についていろいろ御議論もございました。私からもこの点についてもう一度確認も含めてお伺いしたいと思いますが、確かに、一対二以上のところが多いとか、ようかんのようにきちっと切れないところにいろんな苦しみがあったとか、そういう今日に至るまでの事情はよくわかりますが、そういうことも踏まえて、所管の大臣として、この小選挙区区割り法案を御提出になった、そういうことに対する御決意、御所見。
 そしてまた、この問題については、国勢調査という十年ごとの大きな人口異動を踏まえて一年以内に選挙区の改定の勧告を審議会の方から行うということになっておりますが、そういったこと、あるいはまた、その他予見し得ないような人口の異動とかあるいは行政区の合併等々、これもあるかと思いますが、そういう状況変化に対して、国民がわかる形でどういうふうな対応を所管の自治省としてされていくのかということを改めてお伺いしたいと思います。
#139
○野中国務大臣 区割りの審議会の勧告の結果、二倍を超すことになりましたことは、先ほど来るる申し上げてきたとおりでございます。けれども、先ほど来申し上げましたように、当初に審議会設置の前提として各都道府県に一議席を割り当てたところで一・八二の格差を出しておるということを御理解をいただき、そういう中におきましても委員各位は熱心な、限りなく二に近づけるような御努力の成果を勧告をいただいたものとして受けとめておる次第であります。
 また、委員ただいま御指摘ございましたように、審議会は原則的には十年ごとの国勢調査の結果による人口が公示された日から一年以内に勧告を行うこととされておるわけでございますけれども、このほか、人口が、委員御指摘のように、「著しい不均衡その他特別の事情があると認めるとき」という表現で、審議会が勧告を行うことができるとされておるのでございます。すなわち、例えばこの間五年ごとの簡易調査の結果、人口格差が著しく拡大をしておる状況があると審議会が認められたとき、十年ごとの期限を待たずに選挙区の改定案を作成し、勧告を行うことができるとされておりますし、また「その他特別の事情」、例えば市町村の合併やあるいは境界変更が頻発することによって、より多くの都道府県において区割りが著しく実情にそぐわないような状態になるなど、区割りを見直すことが強く要請されていると審議会が認められる場合にも勧告を行うことができると認識をしておる次第であります。
#140
○田端委員 この区割り法案といいますか小選挙区が実施されるとともに大変大事なことは、今回腐敗防止法という形で与野党から提出されている選挙浄化に対しての取り組みの問題、これが相まって、小選挙区の問題と腐敗の防止、こういう車の両輪のごとく進んでいくところに非常に意味があるんではないか、こう感じているわけであります。特に、国民の政治不信の元凶は政治と金の問題であり、また、選挙に金をかけないということが一番望ましいわけであります。そういった意味で、私たち国会議員に課せられた使命といいますか、そういうことも大変大きいものがあるということを感じます。
 その意味で、今回腐敗防止法案が、九月三十日に改革の方から、そして十月四日に連立与党の方から提出なされて、基本的には与野党の中身は非常に一致した点が多いのではないのかな、こう思っておりますが、議員立法でこういう形で出されたことは大変画期的といいますか意味のあることだ、こういうことを率直に感じています。
 私は、この法案の理念といいますか精神といいますか、それは、政治家みずからが政治を浄化する、そういう責任を負っているんだということを示していこう、もう私たちは選挙に金をかけない、買収などはもう絶対やらないという、そういうことを意識の中でしっかりと改革していく、そして国民にもそういうことを理解していただく、こういう意識改革の運動といいますか、そういうことが大切ではないかなということを痛切に感じています。それがこの法案の精神的支柱になるんであろう。政治家が襟を正して選挙の浄化に取り組む、これがこの法案の精神だ、こう思っているわけであります。
 そこで、この両法案の提出者の責任者でございます三塚提案者、そしてまた保岡提案者にその辺の御決意をお伺いしたいと思います。
#141
○三塚議員 田端さんおっしゃいますように、我々与党も、また野党の皆さんの御提案も、政治改革の推進にかける強い決心があらわれておると思います。私どもは、議員、政治家の熱意なくしてただいまの政治浄化、選挙浄化は達成することはでき得ません。よって、全党がその一点をにらみながら進んでまいりますならば、当面はこの審議を通じて、審議の終わりまで取り組むわけでございますが、必ず相互理解の上に立った結論が得られるものと期待をいたしております。
#142
○保岡議員 新しい選挙制度を柱とする抜本的な政治改革、これは新しい時代の政党政治を築く、政党中心、政策本位の新時代の政党政治の確立を目指すものです。
 そういった意味で、本当に今まで、政治にお金のかかる土壌、風土と土台というものがあるとすれば、一体これは何だという、最も元凶を正していく、根本から正していくという意味で、今までの日本の公職選挙法は刑罰は非常に細かく決められており、厳しく決められておりますけれども、警察権力によって、司法当局によって浄化を図っていこうとしてもこれはもう限界があって無理だということであれば、これに一体どういう対処をしていけばいいか。今回は政治家全員がみずからの政治生命を賭して、国民と一緒に政治浄化に尽くしていこうという決心をするための新しい連座制度の導入でございます。そういった意味で、与野党で真剣に協議をして成案を得て、必ずこの国会で成立を目指したいと考えております。
#143
○田端委員 これまでの衆議院選挙、中選挙区制での衆議院選挙を見ましても、一回の選挙のたびごとに数千件という選挙違反、そのうち九割方が買収事犯である。こういう意味で非常に日本の選挙風土というものは好ましくないものが多いわけでありますが、そういう意味で、ぜひともこの腐敗防止法案を成立させなければならない。まして今回選挙区が狭くなるわけでありまして、特に一人区ということになりますと、勝つか負けるかということになれば、激烈になることは明らかであります。
 そういった意味で、この与野党の法案の中に数点意見の違いがありますが、ただいまこれについての実務者間の協議が行われておりますが、そのことについて、与党の方の中川提案者、そしてまた野党の方は保岡委員があるいはまた笹川先生でも結構でございますが、御決意のほどをよろしくお願いいたします。
#144
○中川(秀)議員 先ほど来、与野党双方の提案者からも御答弁がございますとおり、この時点でなし得る、我々としてのみずから痛みを伴う改革も含めて、選挙の風土も改革をしていこう。これは正直に言いまして、与野党できる限り歩み寄って合意を得て実行していくべきものである、こういう観点から精力的に今協議をいたしているところでございますし、必ず合意点を見出して結論を得ることができるものではないか、このように考えております。
 ただ、それぞれに理由のあることでもございまして、そこは結論が二つも三つもあるわけではございません、必ず一つになるわけですが、お互いに理由があることを真剣に協議することのプロセスも非常に大切なことだ、かように考えております。
 以上でございます。
#145
○保岡議員 それぞれ相違点が四点ほどありますが、これについては、提案の立場、理由というのはそれなりにお互いあることでございますけれども、相手方の理由で納得ができるもの、それに乗ってもいいものは我々も積極的に乗って、また、我々が提案している点でいいものについて、与党の方に譲っていただく余地のあるものについては譲っていただく。双方で譲り合って立派な成案を得たいと思っております。
#146
○田端委員 この法案の連座制の対象になっている「組織的選挙運動管理者等」というこの概念について、この委員会でここのところをしっかりと議論しておくことが大変大事だろう。この共通の認識といいますか、与野党双方から議員立法で出ておりますが、共通の認識ということが大事ではないのかな。
 特に、組織的選挙運動管理者については、選挙運動について計画調整し、あるいはまた一定の裁量権を持って運動員を指揮監督するとか、あるいは運動体を後方から支援する、そういう権限を持った人等、いろいろなことが考えられるわけですので、それをもう少し具体的にここで詰められるだけ詰めておく必要があるのではないかな。
 こういう私たち政治家にとっての身分にかかわる問題だけに、ここのところはなお一層具体化させていただきたいと思うし、私もそういうふうにしていきたい、こう思うわけでありますが、そこで、「組織的」というその組織というものは、どういう組織が事例として挙がってくるのだろうか、そしてまた、「公職の候補者等と意思を通じて」ということはどういうことになるのであろうか、こういうことになるわけで、少し具体例をちょっと提示して御見解を伺いたい。
 例えば政党とかあるいは個人の選挙事務所、こういったことはこういう中に当てはまるのだろうと思いますが、例えば企業、会社、業界あるいはそれぞれの後援会、その他各種団体、労働組合とか宗教団体とか、そしてもっと広くいけば町内会とか青年会とかあるいは商店街とか自治会とが、あるいはまた同窓会、そういうものとか何かの同好の集まり、同好会、あるいはPTAとか、こういう世の中にはさまざまな組織と言われる種類のものがありますが、今私が事例として出したような組織、その中の有力な組織的選挙運動管理者等と目されるものがそういう買収事犯を起こした場合、この連座の対象になり得るのかどうかということについて、非常に現実的な、言いにくい点もあるかと思いますが、例えば保岡提案者としてはどういうふうにお考えなのか、お答え願いたいと思います。
#147
○保岡議員 田端委員の問題の認識の御指摘は、私も大切なことだと思います。そこで、我々が提案している組織的選挙運動管理者という連座の対象者に言うところの組織とは何かということについて申し上げます。
 これは抽象的に言えば、特定の公職の候補者または公職の候補者となろうとする者の当選を得せしめ、または得せしめないという特定の目的のもとに、複数の人が役割を相互に分担し、相互の力を利用し合って、協力し合って活動をする実態を持った人の集合体、あるいはまたその連合体をいうということになろうと思います。
 そこで、田端委員が御指摘になりましたいろいろな団体組織でございますけれども、例えば政党などは当然この組織に入りますし、また、議員の個人の後援会、例えば系列の地方議員の後援会、協力支援関係にある首長の後援会、あるいは地元事務所、議員個人の後援会あるいは選挙事務所、こういったものも選挙運動組織、これは本来政治組織でございますから、選挙運動のときは主力になって選挙をする組織ですから、こういう組織における選挙運動管理者というものは非常に組織立てられているだけに、末端の責任を負う者まで含むことになるという解釈になると思います。
 それから、政治支援団体及び選挙支持母体、本来の政治活動の組織ではありませんけれどもいわゆる政治団体、何々研究会、何々協会、何々調査会という政治団体、あるいは中心となって応援をしている宗教団体であれ労働組合であれ、そういった団体も、選挙運動を熱心にされる組織であれば当然ここに言う組織に入ってまいります。
 それから企業、その企業の中でも企業内の社員への運動、社員の家族親族への運動、こういった企業内の選挙運動をやればもちろん企業も組織になります。そして系列の会社、取引の相手も、中心となる会社と一体となって選挙運動をやるというような一つの選挙運動をやる人の結合体と評価できるようなものは、それも含めて組織に該当いたします。
 その他、各種業界団体ですね。例えば建設業界、金融業界、各種団体、農協とか青年会議所、商工会議所、青年団、こういったものは本来選挙運動を目的とする団体でもありませんし、ある種の公共的な性格を持っておりますけれども、これもまた選挙運動を組織的に行う体制をとったときにはここに言う組織に該当いたします。
 それから同好会とか同窓会とか、この種のもの、これも組織的にお互いに役割を分担して相互に協力し合いながら選挙運動を進めるというようなことになりますと、これは個々に同窓会員が動くという場合あるいは同好会員が動くという場合と違って、組織的に動く場合はこの組織に該当する。
 また、商店街、町内会、自治会あるいは消防団とかPTAというのは、まさに選挙運動を本来どちらかというとしてはならないというか、しない方が適切な団体であっても、仮にそののりを越えて選挙運動を一生懸命やるような事態があれば、それが組織的な人の結合体、選挙運動の目的を持って相互に役割を決めて相協力してやるというような人の集合体としての評価ができる状況に達していれば、これまたこの組織に該当すると言えると思います。
 以上です。
#148
○田端委員 今聞いていて本当に、つまり世の中の少し、三人、四人集まった集団というのはほとんど組織という形にもなるのかな、そういうことを実感として感じるわけでありますが、それだけにこの問題についての我々の意識というものが大変大事だ。
 そこで、連座制のこの免責事由のところに「相当の注意」ということがあります。おとり、寝返り等のほかに、候補者等個人が相当の注意を怠らなかったときをも加えているわけでありますが、つまり逆に言いますと、候補者あるいは政治家として相当の注意を積み重ねていく、徹底して選挙の浄化に対して訴え続けていく、こういうことをふだんからやっておく、そして選挙のときもそれを貫く、これが大事なことになるのかなと。
 例えば、支持、推薦を各種団体、いろいろなところから受ける。支持、推薦を受けたということは、意思を通じてということに逆に言えばなるわけですから、その支持、推薦を受けた企業なり団体なりというところに推薦、支持のお願いに行くと同時に、徹底して選挙の浄化を、今回から制度も変わります、もう日本は本当に新しい選挙制度で頑張りましょう、皆さんもそういう意味で応援のほどよろしくお願いしますということも、そういう形であいさつの中で、あるいは場合によったら国会報告会、街頭演説会等々でやっておく。そして、自分のチラシ、ビラ等、そういう中でもそういうことを活字にして、印刷物にして選挙の浄化を訴え続ける。こういうことが、もうありとあらゆる形で候補者、政治家が努力することがつまり相当の注意ということに該当し、そしてまた万々一その中から突発的に買収事犯が起こった場合もその免責の事由に該当するのかな、こういうふうなことを感じるわけでありますが、保岡提案者のお考えをお伺いし、そしてその後、三塚提案者の方にもお願いしたいと思います。
#149
○保岡議員 田端委員からかなり綿密な御質問がありますので、ちょっと先ほどの組織に関。係して、組織の中で組織の選挙運動のあり方を決める立場にあるいわゆる連座対象者の概念について、ちょっと多少具体的に申し上げて参考に供したいと思います。まず、その答えをさせていただければと思います。
 この組織的選挙運動管理者ですね、連座の対象者になる、これは、先ほども若干答弁で述べましたけれども、有権者を説得したり、理解を求めたり、支持を求めたりする、その求め方、あるいはそのために運動員のあり方をどうするか、動き方はどうするか、運動員の働きかけ方などはどう対応したらいいか、選挙運動のいわゆる計画・作戦というのでしょうか、そういうものを立案したり調整したりまた、選挙運動をやっておりますといろいろな情報がたくさん入ってきます。その情報をいかに広く集めるか、そしてそれをいかに分析して判断して選挙運動に反映させていくか。そういった意味で、計画の修正、そしてまたそれを実行するための運動員に具体的にいろいろ指示をする指揮監督、そしてまたそういう運動を可能にするための資金の調達など選挙運動を指示する体制をつくるものですね、こういったものを選挙運動の管理者の行為としてとらえようとしておるわけでございます。
 そして、そういうことをやる者のうち、それはどういう範囲を考えているかといいますと、組織的選挙運動を行う一定地域や分野の全部または一部において中心となって取りまとめをしている者やこれを補佐する者を初め、その選挙運動の重要な部分の役割を分担している者、これは即その選挙運動を行う組織の構成員の運動のあり方を決定し実行させる行為を行う者をいっているのですけれども、例えば政党などになりますと、先ほどもちょっと申し上げましたが、組織がかなり末端まできちっと整備されています。
 そうしますと、ある市の支部から、校区の支部がある場合もある、あるいは田舎の場合などは集落の支部もある場合もある。そういった場合は、そういう単位で、実質的にその単位の選挙運動のあり方を決める中心に立っているような取りまとめをしている者、それを補佐する者というとまたその次席クラスの者という意味でございます。これは法律上、補佐するというのは次席クラスのことをいう、法制局がそう言っておりますのでそう申し上げたのですが、それと、それだけではなくて、それを取り巻くいわゆる参謀格の者、要するに、何というのでしょうか、その重要な部分の役割を分担しているという者を対象に考えています。
 それから、今、田端委員が御指摘の、おとりと寝返りの場合が一つ免責事由にあるわけです。それともう一つ、候補者が相当の注意を怠らなかったときというのが免責事由にある。その後者について、どういう解釈をするかお尋ねだったと思うのです。その点について申し上げます。
 公職の候補者等に課せられている選挙浄化のための注意義務というのは一体どういうものか。これは、社会常識上、それだけの注意があれば組織的選挙運動管理者等が買収等の選挙違反を犯すことはないだろうと期待し得る程度の注意義務をいう。すなわち、相当の注意を怠らなかったか否かの判定は、結果発生の予見可能性あるいは回避可能性の程度によって決せられるものと考えられる。
 そして、選挙運動の実際に照らして考えると、選挙運動組織は候補者を中心としていわば同心円的な広がりを持っているものでありますから、この候補者が相当の注意を怠らなかったとされるか否かということについては、個々の事情、例えば組織的選挙運動管理者等の選挙運動体の中における地位、役割、候補者との具体的なかかわり方、候補者と近い距離にあるか遠い距離にあるか、その他具体的な事情により、不断かつ周到な注意が必要な場合から一般的な注意で済む場合まで、あるいは直接的な注意を要する場合から人を介した間接的な注意でよい場合までの間、相対的に決せられるということになります。
 なぜかというと、今回の連座制は公職の候補者等自身が国民の先頭に立って選挙浄化の責任を果たすことが主眼でありますから、まず公職の候補者等とごく近い位置にある組織的選挙運動管理者等に対しては高度の注意を払わなければならないことは当然だからであります。一方、公職の候補者等から比較的遠い位置にある組織的選挙運動管理者に対しては、ごく近い位置にある者ほどの注意を払うことは実際に困難であろうと思われます。ただ、今回の連座制が公職の候補者等の徹底的な選挙浄化に対する責任を要求するものであることを考えますと、公職の候補者等から比較的遠い位置にある組織的選挙運動管理者といえども、社会通念上、候補者等に要求されるできる限りの注意を払うことが要請されていると言ってもよいと思います。
 この「相当の注意」の内容については、具体的には判例、行政実例の積み重ねにより、さらに具体的な内容を明らかにしていくということになると思います。
 そこで、こういう抽象的な言い方をしてもちょっとわかりにくい点もあろうかと思うのですが、例えば、我々は選挙運動をお願いするときに、ポスターを張ってくれとお願いをしたり、そして会社にポスターを張ってもらったり、それからパンフレットをそこに配って、そして選挙運動を依頼する程度の選挙の依頼をもししたとします。そうすると、その選挙運動の中身というのですかね、程度に応じた、方法手段に応じた同じような注意努力が必要だ。
 例えば、今先生も言われたように、こういうことが、違反がこの組織体から起こると候補者が当選が無効になったり資格が剥奪されたりする重大な結果になる、したがって絶対に選挙違反は起こさないようにしてほしいという、そういうきちっとした内容をポスターの横に張っていただくとか、パンフレットを配ってお願いするときにはそのパンフレットに同趣旨のことを書いて注意を促すとか、演説をやって選挙運動をお願いするときは、その演説の内容に同じような熱心さできちっとした連座制の趣旨を明確にして選挙浄化に協力を求める趣旨の話を入れたり、そういう、選挙にはいろいろな方法手段がありますけれども、その手段方法に応じて、それと同程度の価値ある浄化の努力をしていくことが、少なくとも最小限度必要であろう。
 そのほかに、中心にあるものの管理者等に違反が出たという場合、例えば中心部分でかなり規模の大きい、しかも重要な責任を負っている者がかなりかかわった、広範にかかわった選挙違反が出てくるとか、選挙組織の中であちらこちらで違反がたくさん出てきているとかいうようなことがあれば、これはもう、かなり徹底した注意を表面的にやっているという形をとっても、実際にはそういう努力をしていなかったとされるケースがあるかと思います。
 一方、ささいな、限定された偶発的な選挙違反は罰金等になるということで連座の対象から外してある場合もありますが、その選挙違反の態様なども十分注意義務の程度を判断するときの参考事情になるかと思います。
#150
○大島議員 保岡発議者の答えた認識と同じであります。
 今までの事例といっても新法でありますからありませんが、簡単に事例だけ、参考までのことを申し上げておきますが、昭和十一年に旧選挙法において判例がありますけれども、その中には、議員候補者がその選挙事務長に選挙罰則違反行為がないようにさせるために監督上なすべき周到の注意をいうとか、あるいはまた、それは主観じゃなくて客観的な判断なのだとか、そういうことを書いてありますが、基本的には保岡発議者の答弁と認識は同じであります。
#151
○田端委員 ありがとうございました。
#152
○松永委員長 ちょっと速記をとめて。
    〔速記中止〕
#153
○松永委員長 速記を始めて。
 北橋健治君。
#154
○北橋委員 改革の北橋健治でございます。長時間の御質疑、本当に御苦労さまでございます。
 今回の選挙浄化に関する法律案の質疑に入ります前に、先ほど来同僚議員の質問を聞いておりまして、特に先生方にお伺いしたいことから始めさせていただきたいと思っております。
 それは、まず第一に、解散の時期についてであります。二番目に、公的助成は前年度の上限三分の二に限っていることについての是非。三番目に、今後の政治改革の課題として、参議院比例区におきましていわゆる高級官僚のOBがたくさん出馬をされている問題についてどう考えるか、この三つについて、最初、冒頭お伺いさせていただきます。
 解散につきましては、先ほど自治大臣から、この場でお答えする立場にないということでございます。自治大臣、自民党を代表する有力なリーダーでございますから、いろいろと個人的には思いがあると思いますけれども、行政の長としてのお立場はわかります。ただ、政治改革を前進させてきた当委員会の立場からいたしますと、最近、いろいろなアングラ情報が出回っておりまして、この政治改革、区割り法案につきましては十一月中旬をめどに通るであろう、それから一カ月間の周知期間、いわゆる真空状態ともいうべき空白期間において、場合によっては中選挙区での解散もあり得るという話が駆けめぐっているわけでございます。現に地元に帰りますと、選挙制度が変わると後援会を含めまして大変な変革を余儀なくされるわけでありますが、中央におきましてそういう情報がいろいろと駆けめぐっているということは、これは極めてゆゆしき問題であります。
 といいますのは、当委員会におきましては、選挙制度を変える、そして政党・政策本位で戦いを進めるということは既に議決されているわけでございまして、総理の解散権を決して拘束するものではありませんけれども、その国会での議決というのは相当に重いものと思います。
 それからもう一つ、今、リストラ、不況で民間企業は大変な状況にありますけれども、解散をすると一カ月強の空白が訪れる。仮に中選挙区での解散になりますと、今度はまたすぐに周知期間が解けて新制度に変わる。古い制度が否定されている。となると、またすぐに新しい制度で選び直せという世論になってきます。そのことは国政上重大な空白を生じるものでありまして、私どもは、総理の解散権を理論的に拘束するとは思っておりませんけれども、しかしながら、政治家の立場から、中選挙区での解散などを考えることは言語道断であると思うわけであります。
 そこで、自由民主党を代表して三塚議員、社会党の堀込議員、さきがけの前原議員から、こういった解散の見通しについてまず所見をお伺いしたいと思います。
#155
○三塚議員 先ほども申し上げました。
 それで、ただいまの質問にストレートに答えるとすると、新制度も、今これだけ情熱を燃やして説得をし、また研究をし、取り組んで、大詰めに来ておるわけですね。そういう点から考えますと、新しい制度が周知期間を経てスタートを切る、その後に考えるということが解散権を持っておられる方の基本的な態度ではないでしょうか。一般論は一般論としても、しかし、この際は一般論を乗り越えて新制度で物事を考えていかなければならない、そういうことではないでしょうか。
#156
○堀込議員 山花前委員長がいればいいのですが、御指摘のとおり私ども、昨年の総選挙、各政党みんな政治改革の実現ということの公約の上で選挙を戦ってきたということもございますし、それから、この間これだけ御苦労をいただいて、審議に審議を尽くしながらここまで来たわけでありますから、恐らく、恐らくといいますか、総理もまたできるだけ政治改革の完結と新制度ということをおっしゃっているわけでありますから、国民世論からしてもやっぱりそういうことが基調になるだろう。ただし、解散は総理の専管事項という前提を除けば、やっぱりそういうことが国民から求められているし、そういうことであるだろう、こういうふうに認識しております。
#157
○前原議員 新党さきがけの議員すべての話を聞いたわけじゃございませんが、大部分、ほとんどすべてと言っていいと思いますが、これだけ政治改革の議論をやってきて、まとまる状況に来ているわけでありますから、その段階で空白期間に中選挙区で選挙を行うというふうなことについては国民の理解も得られないし、また政治に対する不信を招くだけであって、やはりなるべく早い時期にこの法案をまとめて、それから以降は新しい選挙制度でやるということが常識的な判断だと思いますが、まあ総理の専管事項でありますので、その点については我が党の考えというごとだけ申し上げておきます。
#158
○北橋委員 それぞれ所見をお伺いいたしました。ありがとうございました。可能な限り早くこの区割り法案を成立させまして、新制度において、制度が変わるわけでありますから、しかるべき機会にできるだけ早く信を問うのが筋であると思っております。
 続きまして、公的助成を受けるに当たりまして前年度実績の三分の二を上限とすることにつきまして、これは社会党とさきがけの皆様にお伺いをしたいと思っております。
 といいますのは、年末にまいりまして、各党、各政治家の間でパーティーというものがラッシュのように行われております。政治にはお金がかかるものですからやむを得ない面もありますが、しかしながら、三分の二の上限を設けたことによりまして明らかにこのパーティーラッシュに拍車をかけているのではないか、これはあるべき姿からするとかなり逸脱をした規定ではなかったかと率直に感じております。
 それからまた最近では、政界のリストラ、再編成というものがいろいろな方面から模索をされておりますけれども、新しく政治集団をつくっていこうとする人たちにとりましては、これほど過酷な規定はないわけであります。そういった意味におきまして、今後政党で戦う選挙制度に変わっていくわけでありますが、既成政党の枠の中に閉じ込めようとする思いすら私どもは感じるわけであります。
 そういった意味におきまして、今回はこの具体的改正事項というのは論点に挙がっておりませんけれども、今後の近々の課題といたしまして、三分の二の上限というのは撤廃すべきではないかと考えますが、御所見をお伺いしたいと思います。
#159
○堀込議員 先生御承知のとおり、与野党の政治改革協議会の最後の段階で、実はこの条項が話し合いの中で入ったわけでございます。当時私どもは、これはお金を集める政党に有利になるのじゃないかという論拠やら、新しい政党にはちょっと酷な制度ではないかという論拠を実は主張いたしました。しかし一方、すべて政党の収入が、大部分が政党助成によるということの問題もあるのではないかという御主張もございまして、今回このような規定が入ったわけであります。
 今、多少、来年からの施行に合わせてパーティーラッシュというお話もございましたが、そういう傾向が出るとすれば問題なので、先生御指摘のように、私どもとしてはやっぱり再検討願いたいなという気持ちは持って、これから与党間協議などで御相談をかけていきたいという気持ちを持っているということを表明をさせていただきたいと思います。
#160
○前原議員 認識につきましては全く北橋先生と同感でありまして、この三分の二条項があるというふうなことで、お金を集めるというふうな作業が各党あるいは各派閥とも非常に一生懸命行われている。顔の前にニンジンがぶら下がって、それで馬車馬のように走り続けているというふうな私は意識を持っておりまして、これは我が党の中でも議論がございまして、この点の問題意識については、我が党では基本的な問題点として意識を持っているところであります。
 ただし、あのときは細川政権でございましたが、共産党を除く与野党で、政治改革協議会ということで合意をした内容でございまして、それをもとに今回政治改革四法案というものを結実をさせるということでございますので、まずそういう形というものを一歩前進をして、そして、すべての内容については不磨の大典ということでもございませんので、内容についてはよりいいものに絶えず努力をしていく。その中で、北橋先生御指摘の三分の二条項についても、我々としては問題意識を持って改革に向けての努力といいますか、意見交換をさせていただきたいというふうに思っております。
#161
○北橋委員 三塚先生にお伺いしたいのですが、実はこれは細川旧連立政権のときに自由民主党の方から提起をされた問題であったと記憶をいたしております。今のお話をお伺いいたしますと、日本社会党、さきがけの中ではこの条項について見直してはどうかという気持ちがおありだとこのように受けとめたのですが、先生としては今後この問題についてどのようにお考えになるでしょうか。
#162
○中川(秀)議員 ただいまお尋ねのとおり、この条項は政治改革関連四法案の最後の出口で、共産党を除く与野党各党で合意をしたものでございます。
 趣旨は、御案内のとおり、公費助成をすべての政党活動に充てるということではなくて、公費助成もあるが党員それぞれが努力をして資金も集める、また負担をする、民間の個人献金を中心にそうした政治資金を捻出していくべきであって、全部国民の血税に依存するのはいかがなものか。あるいはまた、前年度使われた政党の経費よりも助成額の方が多くなるという事例も起こり得る可能性がある、それもいささか問題ではないか、こんなことで前年実績の三分の二という規定が置かれたわけでございます。
 二番目に、最近パーティーラッシュであるというお話の中に、個人もパーティーをやっているとか、あるいは派閥もやっているとかというお話がございましたが、これは政党助成とは全く関係ございません。助成がいぐのは政党だけでございますので、したがって、これは別の理由によるものであろう。政党のそういう集会は、確かにそういう側面が御指摘のとおりあるのかもしれませんが、他のものはない、こう思っております。
 最後に、結論でございますが、与党三党での協議会でもこの項目については議論がございました。ただ、私ども自由民主党としては、私どもの方から問題を提起したという経緯もございます。
 なお、これは政党助成法に明文として規定をしたものでございます。そして、助成法はまだ一回も施行されていない。明文規定に入れておいて、一回も施行されないまま勝手に今度はまだその前に削ってしまったというのでは、いささか不見識ではないか。いずれにしても、これは与党間でも真剣に今後検討していこうということになっておりますが、少なくとも政党助成法を実施に移して、そしてその実態を見て結論を得よう、こういう今状況になっておるということでございます。
#163
○北橋委員 この問題につきましての連立与党内の協議を見守らせていただきたいと思っております。
 自治大臣にお伺いいたしますが、当委員会におきまして政治腐敗を防止するためにさまざまな議論が尽くされてきたわけでございますが、新たな問題点として今後の検討課題にしてはどうかということが一つございます。
 それは、御案内のとおり、今参議院選挙の準備を各党進められておりますが、これまで、高級官僚OBが退職した後、間もなく候補者となりまして、実際にはその順位をめぐりまして、伝えられるところによりますと、党員の拡大等で、官庁の持っている許認可権その他を背景にさまざまな官業ぐるみの選挙が行われているのではないか、そのように広く指摘されてきております。
 私も実は十五年前、この立候補を制限する法律案を当時民社党政策スタッフでつくったことがございますが、憲法上の問題がクリアできないということで、法律としては難しいということは承知しております。しかしながら、政官業と各方面から言われてきたこの問題につきまして、比例区への官僚OBの進出、これについてやはり何らかの形での歯どめといいますか、それによって政官業どこのように言われないような歯どめが必要ではないかと考えるわけですが、対処方針をお伺いしたいと思います。
#164
○野中国務大臣 それぞれ官庁に勤務をされ、退職された方が、それぞれの選挙にお出ましになるのは、当然あってしかるべきことだと考えております。ただ、今委員御指摘のように、参議院比例代表選出の議員として、その選挙運動が、あるいは政治活動が役所の影響力を利用するようなことというのはあってはならないことは当然でありまして、十分疑いを招くことのないように行動をされることを私どもも期待しておる次第であります。
#165
○北橋委員 この問題につきましては、きょうは時間がございませんので、場を改めましてじっくりと議論をさせていただきたいと思っております。いずれにしましても、明らかに公務員の地位を利用したとしか思えないような事例もたくさん耳にするものでありますから、自治省といたしましても十分今後研究をしていただきたいと、この機会にお願い申し上げておきたいと思います。
 さて、本論に入りますけれども、今回、罰金刑ではなくて禁錮刑以上になりますと当選が無効になる、こういうことでございますが、現実にはこの連座制が適用されまして禁錮刑になるケースが一体どの程度あるんだろうか、また、どういう場合に禁錮刑の公判請求がされたり判決が下っているんだろうか、そういった事例や判例について、データがありましたらお教えいただきたいと思います。
#166
○中川(秀)議員 ただいまお尋ねの判例とかそれからデータということは、これは現実の行政の、あるいは司法の場での問題でございますので、事務当局から御答弁、もしくは膨大になりますれば資料としてお届けをするということにさせていただきたいと思いますが、お尋ねの趣旨で一言だけ御答弁をさせていただきますのは、連座制が運用される罪の範囲というものは買収とか利害誘導罪とか、現行法と同じでございます。つまり、今回は罪の範囲は従来どおり、そしてその適用は禁錮刑以上。つまり現行法どおり、今度は対象者の方を少し広げた、こういうことで、あとは全く同じでございます。
#167
○北橋委員 持ち時間がもう余りないものですから、後で結構でございます。この公判請求あるいは判例におきましてどういう場合が禁錮刑になっているのか、それをぜひとも資料としてお出しをいただきたいとお願いをしておきたいと思っております。
 それから、この問題を私ども党内で議論をいたしまして、全国から選挙担当の責任者が集まって議論をしましたときに、こういう話が出てまいりました。それは、捜査のあり方が全国均一ではなさそうだという議論でございます。
 もちろん私どもは、日本の警察が世界一優秀であり、そして捜査に当たっては厳正申立てあることをかたく信ずるものではありますけれども、例えばある地域に行きますと、Xレストラン、Y料亭、そういうふうに言われまして、バスで大量に運動員でなさそうな方々が食事に来られる。その地域は特に義理人情の厚いところでございまして、恐らく一宿一飯ということになるんでしょうけれども、そういう事例がある。ところが、ある地域に行くと、そんなことをしたら警察が絶対黙っていない、こういったことも聞くわけであります。果たしてどうしてそんなことになるんであろうかということが一つ。
 例えばこういう事例があります。選挙のときに運動員でない方に食事をお出しすることは供応に当たる場合があると思いますが、例えばバスでそういった方々を選挙事務所に御案内するとか、場合によっては老人会の代表にタクシーチケットを渡して来ていただくとか、そういった事例もあるわけであります。これなんかも供応に当たるのではないか。あるいは、政治家がパーティーをするときに、どう考えてもそこは三千円以上経費がかかるはずなのに千円会費で人を集める。その差額については政治家がどうやら負担をしていそうだ、こういった場合は供応に当たるのではないか。
 つまり、私がいろいろと全国の仲間から聞いていることを持ち出しましたのは、今回買収、供応で禁錮刑を食らいますと、それによって当選が無効になってしまうわけであります。これは死活問題でございまして、そういった意味におきましては、捜査がこのような問題についてどのようにこたえていかれようとするのか、その基本方針を警察庁当局にお伺いしたいと思います。
#168
○垣見政府委員 お答えいたします。
 警察は、法令に従いまして厳正公平に選挙違反の取り締まりを行ってきたところでございますが、今般法改正がなされましたならば、その法改正の趣旨に沿った適正な取り締まりが行われるよう、都道府県警察を指導してまいる所存でございます。
#169
○北橋委員 持ち時間が参りましたが、最後に重ねてお伺いしておきます。
 今申し上げました事例は、決して頭の中で考えた観念ではございません。現実にはそういうのがあるわけです。今度は全国民を挙げて、私どもと一心同体になって変えていかねばならない。言うならば、血を流さないという意味においては名誉革命であります。この革命を本当に成功あらしめるためには、捜査当局に対してこういった具体的な事例について明確な御答弁をいただきたいのであります。それは今後とも黙認されるのか、それともこれを機会に選挙浄化の趣旨から照らして新たな観点で臨まれるのか、再答弁を求めます。
#170
○垣見政府委員 お答えいたします。
 御指摘のように、選挙違反取り締まりにつきましては、各都道府県警間で取り締まり方針にそごがあるということは大変問題でございまして、そのようなことがないよう、今後とも各都道府県警察につきまして取り締まり方針が異なることのないような指導を徹底してまいる所存でございます。
#171
○北橋委員 では、時間が参りましたので、質問を終わります。
#172
○松永委員長 枝野幸男君。
#173
○枝野委員 さきがけの枝野幸男でございます。
 今回は、いわゆる区割り法とそれから連座制強化に関する法案が二本と、三本の法案が出ているわけでございますが、区割り法に関しましては、私、個人的には一・五倍を超えると憲法違反ではないかと法律家の端くれとして思っているのですが、公平な第三者機関がつくってきた案でございますので、その手続におかしなことがなければそれに従うのはやむを得ないのかなと思っているので、これについては触れません。むしろ連座制強化の案につきまして若干心配、不安な部分がございますので、そこについてお尋ねをさせていただきたいと考えております。
 まず、与党三党が提出をいたしております改正案のうち、百九十七条一項ただし書き、これが新しく設けられる。この規定の趣旨について、まずお尋ねをいたします。
#174
○中川(秀)議員 今回の与党案は、従来の法文上の適用関係のあいまいさを解消するために、第三者の支出が選挙運動に関する支出でないものとみなすとしている百九十七条の一項にただし書きを入れまして、第三者支出についても百八十七条一項の規定を守る、規定が適用される。簡単に言えば、出納責任者に事前に文書の承諾を得なければいけないよという規定、この規定を、現行法の解釈でもこれは適用されると解釈をされているのでございますが、そのただし書きを百九十七条の一項の方に入れまして、その百八十七条一項の規定、文書で事前に出納責任者に届けておかないと罰則がかかるのですよという旨を法文上明記をしようというものでございます。
 このような改正は、現在の行政府の解釈を変えるものではございませんが、第三者の支出について百八十七条の一項の規定を守れという旨を明らかにすることによりまして、捜査当局、検察当局にとっても規定のあいまいさが取り除かれ、百八十七条一項違反の取り締まりに取り組みやすくするということとともに、第三者支出についてきちんと出納責任者に管理させるように事実上しむけることを期待するものでございます。
 そのようにして、百八十七条一項の規定が守られるようになれば、第三者支出が結果として法定選挙費用の計算に入り、そして法定選挙費用が守られなければいけない、ざる法にならないということを期待しているものでございます。
#175
○枝野委員 趣旨はなるほどよくわかるのでございますが、既に何人かの方が触れていらっしゃるかとも思いますが、具体的にこの法文が適用される場面というのはどういったことになっていくのか。そちらの方で具体例を挙げて御説明をいただけますでしょうか。
#176
○中川(秀)議員 具体例を挙げさせていただきたいと思いますが、実はやはり、第三者支出にも正直言ってよい支出と悪い支出があるのだろうと思います。
 簡単に申しますならば、第三者支出の形をとって意思を通じて裏選対的な支出というのも現実にはあり得た。あるいはまた、ボランティア支出の形はとっているが、実際は候補者もしくは出納責任者と意思を通じて大変広範囲に、あるいは組織的に金権選挙のケースもなかったとは言えないし、今後だってあり得ることも想定される。そういうものをきちんとしようということでございます。
 特に、今回は小選挙区制度で熾烈な選挙が予想される。先ほど来御質疑の中にもございましたが、候補者みずから、陣営みずからが選挙の風土を浄化していこう。野党の提案者の保岡委員が、かつて御自身の奄美大島で地獄を見た、こういうお話がございましたが、そういうことをやはり選挙費用の面からも総量規制をする必要がどうしてもあるではないかというような趣旨から――英国の場合、ボランティアを含めて選挙費用はすべて事務長に届けなければいけない。それを一シリングあるいは一ポンドでもオーバーした場合は失格をするということで、選挙費用を厳正に経理して、総費用の範囲内におさまらない場合は失格をする、これがやはり英国版腐敗防止法の三本の柱の一本になっておるわけでございまして、そういう趣旨から明確化をしよう、こういう趣旨でございます。
 もちろん、ボランティアあるいは第三者の支出と申しましても、みずからの食事だとか、あるいはみずからの仕事の交通費だとか、あるいはみずから買い物に行くとかいう交通費だとか、そういうものは当然選挙費用には入らないわけでございます。
 いま一つ、御質疑の御趣旨に沿って若干の具体的なことを申し上げさせていただきますが、例えば、団体等が組織的に候補者を応援して大会に動員をかける、その参加した者に対して交通費を支払うあるいは日当を支給する、こういうケースの場合は、まず日当の支給が選挙運動あるいは投票の対価と認められれば、これはもう当然買収罪が現行法でも適用されます。同時にまた、現行法の規定によりましても、あるいは今回の改正の明確化によりまして、交通費の支給、日当の支給について事前に出納責任者に届け出てない場合は、その支出した者が当然その百八十七条一項違反に問われるわけで、三年以下、五十万円以下の罰に科せられる。ただ、この場合は、届けていませんから、出納責任者は罪にかからないわけです。そして、法定選挙費用にも入らないわけでございます。
 例えば、二番目に、勝手連が勝手に自分たちで応援パンフレットを作成する、そして各戸に配布をする、配布のための交通費は各自が負担した、こんなケースの場合は、パンフレットの作成費、交通費については、これは選挙期間中のものであれば当然違法文書になる可能性でそちらで文書違反で問われますが、しかし、事前の選挙運動用のものであった場合、選挙運動用のものと認められれば、やはりこれも法律百八十七条一項違反で、事前に届けてないということで配った人あるいはその勝手連の人たちがやはり罰せられる可能性がある。ただし、この場合は、出納責任者は法定選挙費用の経費の報告義務はないわけであります。
 同じように、個人が投票依頼のためにみずからバスを使って知人宅を訪ね歩く、こういうケースですね。投票依頼のためにみずからバスあるいはタクシーに乗って知人宅を訪ね歩く。知人宅を訪ね歩く行為は戸別訪問で現行法でもいけないわけでありますけれども、同時にまた、選挙運動用にタクシーやバスに乗っていったということは、これは当然選挙運動の費用でございます。したがって、それはやはり届け出てない場合は法百八十七条違反に現行法でも問われるわけで、今回さらにそれが明確化されるわけでございまして、そういうことになる。
 ただし、それ以外の、例えば買い物のついでに個々依頼をする、出会った人に頼む。その買い物に行く交通費などは、みずからの買い物の交通費でございますから、これは全く関係ございません。そして、出会った人に頼むことは現行法でも認められております個々面接でございますので、これはいいということになります。
 それからまた、電話での選挙作戦、もちろん人を雇って人件費を払ったり交通費を払えばこれは買収になりますが、みずから自分の家の電話で知人に頼む、これは全く自由でございますし、今度の改正でも自由でございます。そしてまた、団体あるいはボランティアの方々が選挙区内の全世帯に仮に電話をされましても、電話による選挙運動自身は自由でございますし、その費用を自分で負担をしておれば自由でございます。
 以上が大体のケースでございます。
    〔委員長退席、古賀(誠)委員長代理着席〕
#177
○枝野委員 確かに、例えば団体動員をかけて交通費を支払いました、具体的にお金が動いているケースですね、こういった場合にはちゃんと届け出をしてくださいよという話は非常にもっともだと思いますし、現実的にも可能であると思うのでございますが、一番ちょっと心配になりますのは、現在の公職選挙法の支出という概念からいたしますと、例えばみずから自腹を切って交通費を払ったというケースの場合、これは交通費の分の寄附を計上して、交通費の支出があったという計上をしなければならないということになっております。
 ですから、例えばボランティア的な立場の方が、選挙事務所に自分のお金で交通費を払ってやってきて、ビラまいてやるわと言ってビラまきを手伝ってもらった。当然その方は届け出をしなければ交通費は違反になってしまう。あるいは、ちょっと極端な例かもしれませんが、例えば勝手違的な方々が違法行為じゃない形でやるとなると、いろいろと考えてみたのですが、例えば選挙区の中のどこかの電話が何本もある家に集まって、そこまで交通費をかけてボランティアの人たちが勝手違的に集まってきた、そこで電話作戦を勝手にやっていただいた、その場合の交通費、これも当然計上しなければならないことになる。
 それで、選挙を行う側の立場からすれば、そういったものを計上してもらわなければ困りますよ、例えば国会議員はこうやって議論をしているわけでございますから届けていただかないと困りますよというのはわかるわけですけれども、逆に、みずからの意思で勝手に応援しようというボランティア意識を持っていらっしゃる方に、果たして今のようなものはきちんと届けなければいけないんですということを具体的に周知徹底させることが現実にできるのかどうか。
 実は、私も前回の衆議院選挙に出ますときに、弁護士の端くれでございますので自分で違反をやっちゃいけないということで、公職選挙法をよく勉強いたしまして、そこで初めて、自腹を切った交通費は寄附計上して出費計上しなければならないということを知りまして、これはとんでもないなと。ボランティアで集まってくれた人全部をチェックして、全部交通費を把握をしてということをやったわけでございますが、果たしてそれが、大規模にボランティアの人たちが動いていただけるときに全部チェックをできるかということになると、なかなか政治家の側も難しいんではないか。
 ところが、そういった方がその後、善意で交通費自腹でやってくださった方がそれは違法だったんですよということになるということについて、果たして妥当であるのかどうか、それを違法と言っていいのかどうかという点について、御見解を伺わせていただきたいと思います。
#178
○中川(秀)議員 どのようなケースであれ、選挙運動のために支払いがあった、こういう場合は、やはり届け出てない場合は違法であるというのが現行の公選法の体系でございます。これを崩したら法定選挙費用は全く意味がございません。しかし、現実に御指摘のようなこともございます。先ほど申し上げましたが、第三者の支出でも、いわゆる善意のボランティアの支出もあれば、企業や団体ぐるみのボランティア支出を装ったある意味では裏選対的なものまで、悪い第三者支出も横行するおそれが現にあったし、これからだってあり得るわけであります。
 したがって、この百八十七条違反の場合も、個人が全く善意で、少額の支出にとどまるようなケースもあり得るわけでありますが、中には大会社あるいは大団体が、規模の大きな団体が組織的に候補者を応援するために多くの社員や構成員に交通費を支給したり、あるいは選挙運動をするために遠距離に移動する、そのために一人数万円もかけてその費用を弁済するというようなケースは、やはりこれは処罰に値するケースなのではないか。そういうケースが現実の我々の選挙風土にないかといえば、大いにあるわけであります。
 そこはやはり加罰的違法性の問題になりますけれども、当然処罰に値するものがあるではないか、こういう考え方でございまして、あと、捜査の問題、あるいはまた立証の問題、これは捜査当局等に御答弁いただかなければならない問題ですが、立法者の趣旨としてはそういう趣旨で今回のことを考えたということをぜひ御理解をいただきたいと思います。
#179
○枝野委員 また後ほどこれに関連してお尋ねをさせていただきますが、次に、改革の皆さんが御提案をされました案につきまして、一点だけお尋ねをさせていただきたいと思います。
 提案をされていただいております案の二百二十一条三項五号等、いわゆる罪の加重を組織的な場合の責任者に負わせる、この趣旨について、簡単で結構でございますので改めて御答弁をお願いいたします。
#180
○保岡議員 組織的選挙運動管理者は、選挙運動をする組織体の中において選挙のあり方を決定する重要な立場に立っている者でございます。したがって、組織内の多くの有権者あるいは組織外に働きかけてさらに有権老に働きかけるなど、重要な選挙運動のあり方を決定する立場から、もし違反が起こるとすれば、これは規模の大きい、より重大な選挙違反になる可能性がある。そういう立場にあるだけに、選挙浄化に対しては特段厳しい重い責任を負っているという観点と、組織の中で選挙運動を行うときは、組織力によって選挙運動を展開していく、そういう中で違反が起こった場合には、それはまた選挙違反が組織力により行われる危険性が大きいということなどに着目をして、一般の運動員よりかは刑の加重をすべきであろう。
 その場合、総括主宰者や地域主宰者など、選挙全体の中心にある者と同じような立場に立つ組織的運動管理者もおれば、末端の組織体の選挙運動管理者もおる。その辺の地位のあるいは上下というか、選挙組織体の中での重要な位置づけの差というものは、具体的な量刑によって勘案していけば足りるという考え方で加重したものでございます。
#181
○枝野委員 御趣旨はなるほどというふうにも思うのでございますが、例えばこの法定刑の加重ということについては、親族あるいは秘書等についてはなされていない。確かに組織的選挙運動管理者の中にこれは加重すべきだという類型の者も多いというのはそのように思うのですが、そういった意味では、例えば秘書あるいは親族の中には、やはり同じぐらいの比率で同じぐらい刑の加重をするに値するような立場で動かれていることが現実には多いのではないかというふうに私は実は考えております。
 そうした中で、親族、秘書についてはそのままで、組織的運動管理者だけを類型的に加重するということが刑の均衡としていいのかどうか。全体を見直すということの中で考えるのであれば出てくるのかなと思うのですが、加重しないほかの類型とのバランスという意味でいかがでございましょうか。
#182
○保岡議員 枝野委員の御指摘はもっともな点があると思います。ただ、我々としては、親族や秘書というのは政策秘書もおれば全く選挙に関与しない親族もおるということで、必ずしも類型的に高い地位に立って選挙運動をやるものではない。そういった意味で、一般の運動員と比較して類型的に法定刑を上げるというのは適当でないだろう。
 しかし一方、おっしゃるように秘書や親族の中には総括主宰者などと同等な高い地位で選挙運動に関与する者もおるということを勘案すれば、確かにおっしゃるように多少その点の整合性に、何というのでしょうか、今後の立法をしていく過程で考慮しなければならぬ問題点が残っておるというふうに率直に思います。
    〔古賀(誠)委員長代理退席、委員長着席〕
#183
○枝野委員 ぜひ今の点、特に与野党協議もあろうと思いますので、慎重な御検討をお願いしたいと思います。
 さてそこで、実は先ほど一番最初にお尋ねしました与党案の百九十七条一項ただし書きなどについても関連するのでございますが、公職選挙法、たくさんの規定をつくっております。制限、あるいは違反行為の禁止等ございます。先ほどのボランティアのようなケースでまさに交通費を自分で出している、自腹を切っているところ、ここまでは処罰の対象はちょっと。だけれども、大がかりにやっているのは、これは処罰しなければならないから制限しなければならない。確かにごもっともだと思うのですが、それによって、本来であればむしろ促進といいますか、もっと盛んになってもらった方がいいであろうボランティア的な政治への参加、選挙への参加というものに時として歯どめがかかりかねない、マイナス方向に働きかねないという不安が若干ないではない。
 それから、実はこれは私が自分で選挙を経験いたしまして非常に強く思ったのでございますが、現在の公職選挙法は、守ると実は選挙ができない規定になっているのではないか。例えばこれ、ほかの先生方はどういうふうにして処理をされたのか、実はこういう公の場じゃなくて聞いてみたい気もするのですが、ウグイス嬢の問題がございます。
 これは日当については公職選挙法で規制がされておりますので、それを超える日当というのは払ってはいけないことになっておりますが、現実問題として私が選挙をやろうといたしましたときに、プロの、あるいはアルバイトとはいってもなれているようなウグイスの方をお願いしようとすると、到底この日当の制限の範囲内ではやってくださる方はいらっしゃらない。私はやむなくボランティアの仲間、素人に全部ウグイスをやってもらうという形で前回の選挙は乗り切りましたが、現実問題として、きちんと選挙を戦おうということになると、ウグイスさんぐらい、選挙カーの運転手さんぐらい、これは専門の方にお金を払ってやっていただかないと、なかなか選挙を乗り切ることができない。実は、このあたりのところ、みんな感じていながら、現実問題としてやむを得ないなということでやっているところがあるのかな。
 こういった、今私が一番典型に思ったところを申し上げたのですが、実は、厳密にきちんと守ろうとすると、守り切れない、あるいは厳密に守らせるとなると、先ほどのボランティアの交通費の話のように、ちょっとおかしいかなという話が今の公職選挙法の中には実は少なくないのではないだろうか。
 本当に公職選挙法をきちんと守ってきれいな選挙をやるということを考えるのであれば、制限の数はふやさない。むしろ、こことこことここだけ、きちんと大事なポイントだけ押さえてください、そのかわり、そこは違反したら絶対にだめですよ、必ず取り締まりますよという形の方が、現在のように、たくさん規制はあるけれども、幾つかの部分なのか大部分なのかわかりませんが、まあ事実上だれも守っていない、あるいはほとんどの人が守っていない的な条文があって、ある意味では、世間的にも一般的にも公職選挙法は守らない、守れないのも当然かな的な空気がないではないという状況よりは、むしろそういった方向に考えていった方がいいのではないか。
 むしろ、公職選挙法をさらに腐敗防止という方向で考えていくならば、規制を多くすることよりも、いかに現在ある規制を守れるようにするのか、守りやすくするのか、あるいは違反をしたときにどうやって対応するのかという点について、法制度そのものに手を入れることを含めてお考えをいただく方が現実的なのではないかなというふうに思っているのですが、そのあたりについて、双方お一人ずつお答えをいただければと思います。
#184
○三塚議員 傾聴に値しました。真剣に論議を、まだ続くわけでありますので、各党の合意ができ得ますことを期待いたしたいと思います。
#185
○保岡議員 枝野先生御指摘の点はもっともで、公職選挙法はもう随分繰り返し繰り返し改正が重ねられてきて、いわば法律の専門家でも一体どうなっているのか条文を見ただけではさっぱりわからないというような内容になっております。選挙のあり方を決める大事な規範がこういう法律家ですらわからない状況になっているということは、大きな問題ではなかろうかと思います。
 ですから一回、もう少し、現実に沿わない点は沿わないなりの見直しをして、そうしてわかりやすい整理されたものに公職選挙法を抜本的に見直して改正する、まとめるということが大事なんじゃないだろうか、そういうことを日ごろ痛感しておりますので、これから与野党で努力する一つの大きな課題にすればいいのじゃないか、こう思います。
#186
○枝野委員 今回の腐敗防止、恐らく何らかの形で成立するのでしょう。せっかく腐敗防止の方向へ前向きに進むのでございますから、決してこれで政治改革は終わりではなくて、むしろ私はようやく最初の一歩にすぎないというふうに思っておりますので、ぜひ与野党を通じて、担当の皆様方にこれからも御努力いただいて、今の点を進めていただきたいと思います。
 最後に一点だけ、事前の通告は口頭で後から申し上げたので届いていないかもしれませんが、その場合は御感想だけで結構でございます。先ほど北橋議員も質問をされておりました政党助成法の三分の二要件の話でございます。
 私は、この政党助成法というものがつくられた根拠といいますか理由というのは、政党、政治家がどうしても最低限お金がかかる、その必要なお金を無理に集める、集めようとするというところにいろいろと問題が生じてきた、したがって、無理なお金集めをしなくても済むように一定程度の部分は国の税金の方から面倒を見ましょう、これが政党助成の趣旨であったというふうに理解をいたしております。そうであるとすれば、この政党助成があるからこそ無理なお金集めはなくなるという方向に働かなければ、わざわざ税金をたくさん使いながら政党助成をつくった意味がない。
 ところが、先ほど北橋委員が質問されましたとおり、現実の問題といたしまして、この施行が近づいてくるという中で、意図していたのと逆の方向に動いているという点は否定し切れないのではないか。これはあの段階では、法案をつくった段階では確かにある意味では予想がここまでできなかったのかもしれませんけれども、三分の二をもらうためには一定額きちんと集めておかないといけない、しかもこれは初年度だけではなくて、来年の分のをもらうためにはことしたくさんお金を集めておかなきゃならない、再来年もらうためには来年また一年間同じようにお金集めをしなければならないという制度でございますので、私は、ちょっと表現は厳しいかもしれませんが、結果的に見れば法の目的と趣旨とがそこを来してしまっているんではないか。
 私どもの党首が、国民福祉税のときに、過ちは改むるになんとかと言っておりましたが、先ほど、一度ぐらいはやっぱりやってみてからじゃないとという御意見もあろうとは思いますが、かなりはっきりと問題点が出てきているという中では、むしろ端的にはっきりとそのあたりのところを認めていただいて、矛盾が広がらないうちに手を打つという方向で与野党努力をしていただきたいと個人的に考えております。先ほど与党側しか御答弁ありませんでしたので、与野党それぞれお一人ずつ、今の点について御意見を承りたいと思います。
#187
○保岡議員 これは政党助成法にみんなでまとめた内容になっておるわけでありますけれども、私も個人的には、こういう政界再編が進んでいく中で、そのことが将来の日本の政治のために必要なこういう段階で、前年実績を、自助努力で政治資金を集めることを促す意味があるとはいえ、やはり矛盾したものを感じます。そういうことですから、改むるにはばかるなかれ、こういうことでございますが、私は、できればこの点は与野党で相談をして、三分の二のこの実績条項については見直すべきだろう、個人的にはそう思っております。
#188
○中川(秀)議員 先ほど北橋委員の御質問にお答えをしたのと基本的には変わらないわけでございますけれども、論理的に言うと、新設政党にきついということはおっしゃるとおりだろうと存じます。だが、そうでない政党、つまりスタートしてから二年目、三年目に入ってくる政党については、国民の血税でその費用を賄うのは上限が三分の二ぐらいまでだなということは、論理的に全部間違っているとは言いがたいものがある。ただ、現実の問題として御指摘のような、スタートの段階でいろいろな問題も生じてきている、そういう御指摘があることも承知をいたしております。
 いずれにしても、まだ助成法自身が施行に移されていない。その助成法に与野党で明文規定を入れた。そして、これからいよいよスタートする。スタートする前にその明文規定を削ってしまうということは、余りに議会として立法府として不見識ではないかな、こういうことで、とりあえず施行に移されてからまた各党間で議論をすべき問題であろう、かように考えております。
#189
○枝野委員 今の点を含めまして、この法案の修正の点などたくさん与野党で議論をしていただくことになるんだろうと思いますが、政治改革というテーマは与野党超えて全国会議員が共同の土俵の上で議論をしていただく話だと思いますので、ぜひ前向きに、双方協調して議論を進めていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#190
○松永委員長 東中光雄君。
#191
○東中委員 いよいよ小選挙区制が実際に実施される最後の段階へ来ているわけですが、私たちは、小選挙区制というのは民意の反映をゆがめて、そして第一党、大政党が虚構の議席を占めて強力政治をやるということで、選挙制度としては甚だよくないと強く反対してきたものであります。
 ところが、この小選挙区制の導入については、平成元年の五月二十三日、自由民主党の政治改革大綱、このときから今回のやつは始まったわけですが、要するに金のかからない選挙をする、そして政策本位、政党中心の選挙をやるんだという建前、複数立候補で同士打ちをやってもだめだからということで出てきたわけであります。
 それで、この段階で、最近行われました愛知の参議院の選挙区再選挙で、典型的な小選挙区制下の対決選挙だといって全国がそれに注目しました。ところが実際にやってみると、新旧両方の連立の候補者があって、ここでは、各紙の報道とも、表舞台でのパフォーマンスと水面下での業者団体と後援会組織を動員しての旧来型の利益誘導選挙の組み合わせだった、政策あるいは政党中心の選挙ということとはおよそ遠い、こういうことが言われて、もう非難の対象になっておりました。
 この小選挙区制の導入によって、政策本位、政党中心の選挙ができるというふうに、金のかからぬ選挙ができるというふうにお考えになっておるのか、まず自治大臣、政府の見解をお聞きしたい。
#192
○野中国務大臣 現行の中選挙区下の選挙におきましては、今委員御指摘のように、同一選挙区で同一政党の候補者同士の同士打ちが避けることができずに、選挙は政策論争というよりもむしろ候補者個人間の競争にならざるを得なかった、そういう要素を内蔵してまいりまして、このことが、候補者個人を中心とした政治資金の調達等に関連をして、さまざまな問題を起こしてまいったわけでございます。すなわち、政治と金をめぐるいろんな問題を生じてくる大きな要因となってきたと認識をしておるわけでございます。
 小選挙区制になりまして、それが解消されるか。これは、政治家それぞれ、倫理の問題でありますし、これのみですべてが解消されるとは思わないわけでございますが、それぞれの政党が選挙区ごとに一人の候補者を届け出て選挙を争う、また、比例代表制も各政党が名簿を届け出てその支持を競うものでありますので、これらを組み合わせた現在提案中の並立制下の選挙は、政党が中心となって政権を争い、政策を争う選挙になってくる、そういう趣旨で先般この法案は可決決定をされたと信じておる次第であります。
#193
○東中委員 それは答弁にならないですよ。そういう趣旨だ、しかし実際にそうならないじゃないか。
 これは過去の歴史でも、一八八九年、明治二十二年に小選挙区制が導入されたわけです。それで、それに基づいて、一八九〇年に小選挙区制に基づく選挙があったわけです。そうしたら、もうその直後の議会でですよ、「選挙区狭隘二過ギテ敗徳不正ノ醜行ヲ導クノ弊アリ」ということで、小選挙区制廃止が、一回目の選挙をやったらもうすぐ廃止案が出ておるんです。
 一八九一年の十二月、翌年ですね、小選挙区制廃止の提案をしています。そこで、新井章吾という議員の提案の説明ですが、
 先ヅ選挙区画ノ事カラ之ヲ演説スレバ、今ノ選挙区画ハ誠ニ一県ヲ数区ニ分ッテ小サク分レテ居ルガ故ニ、此弊害ガ実ニ基シキモノデアリマス、第一化現行ノ法律ニ依ッテ選挙致シマスル時ニ於テハ弊害ノ多イト云フコトハ、彼ノ最モ憎ムベキ所ノ賄賂ト云フ弊害デゴザリマス、賄賂ト云フ弊害ハ随分諸君モ御同感デゴザリマセウガ、賄賂程人心ヲ腐敗セシムルモノハゴザリマセヌ、実ニ風俗壊乱ハ賄賂デアリマス、無論品川大臣ヲシテアラシメタナラバ、選挙法ノ改正ヲ先ヅ第一ニ早クサルルニ違ヒナイト思ヒマス、風俗壊乱ト云フ最モ悪ムベキ弊害ハ現行法律ノ選挙区画ノ小サイ所カラ起ルト私ハ思フノデアル
一回やったらもうすぐ、それでこれはもう結局一九〇〇年には廃止になるわけですが、こういう、そもそもの出発点からそうなんです。
 それで、三塚さんにお聞きしたいんですが、この間のいわゆる腐敗防止法の提案で、「衆議院の小選挙区比例代表並立制のもとでの選挙は、まさに政党間の政権をかけた、中選挙区制では想像のできないほど熾烈な選挙になることが予想されます。」だから、中選挙区よりももっと熾烈になるんだと。この熾烈というのは、今の愛知の選挙区選挙の補選じゃありませんけれども、それはもう大動員して、大臣という大臣、それぞれの党首、みんな行って、そして組織活動をやった、こういうことになるということを言われているように思うのですよ。一八九〇年にその施行と同時に言うたことを、今も、施行する前に提案者が言われておる。これはいかぬじゃないかと思うんですが、どうでしょう。
#194
○三塚議員 まさに選挙制度はその国の文化であるとも言われてきました。しかし、この政治文化がもろもろの問題を出しまして、特に政治腐敗、それが政治不信と、この根幹に突き当たるに至りまして、新しい制度は何か、こういうことで小選挙区制が中心となり、ここ六年余論議が行われてきました。先ほども単純小選挙区論者の話もありましたが、イギリス型選挙制度というものの方が政党政治の助長に正しい道を開くのではないか、こんなこともあったわけでありますが、各党の合意を得るという意味で現行の並立制、こういうことになった経過は東中議員御案内のとおりであります。
 そういう中で、比例制を加え、三百の小選挙区。これは奄美選挙をいつも例に出されますが、それはそれとして、やっぱり一名区でありますと熾烈な選挙になりますことは容易に想像されるところであります。まあそういう点をかんがみまして、今回議員立法で、第二次の連座制強化、立候補の禁止、こういう措置などを提案をいたしまして、それを未然に防ぎ切れないだろうかということが一つねらいであります。
 それと、基本的には、候補者たらんとする者、候補者がみずからの襟を正しながら、みずからの血を流す決心をして、公明選挙、公正な選挙に陣頭指揮を行いながらやり抜く、こういうことでなければならない、こういうことでありますので、どうぞ長いベテランである東中議員におかれましても御同調いただければ、こう思うわけであります。
#195
○東中委員 制度論として、小選挙区制にしたら金がかからなくなる、あるいは利益誘導型にはならないんだというふうに言われておったのは、それは違う、もっと熾烈になるんだ、だからきちっ、と腐敗防止の措置をとらなきゃいかないと。中選挙区制でもっとぴしっとやればよかったんですよ。それをやらぬといて、そして小選挙区制を入れて、一層ひどくなる、想像できぬぐらいひどくなるということをみずから言われているんですから、こういう制度はいかぬということを私は言いたいわけです。
 それと同時に、保岡さんもこの間の腐敗防止の提案で、「新しい選挙制度に足を踏み入れても、現行の中選挙区制度のもとでの政治の弊害を本当に克服できるか、かえって事態は今までより悪くならないか、各方面から強い疑問が寄せられるのも当然なことであります。」当然なんです。そういうシステムになっているんですから、奄美の選挙も。
 だから私たちはそういう点でこれに反対をしてきたんで、選挙制度自体として言うならば、これは変えてしまうと民意をゆがめる、民意の公正な反映という選挙制度の本来の制度からは違っているということを申し上げているわけで、政治改革大綱が出されたときのあの議論、それから数年間の議論は、そういう金のかからぬ選挙、それから派閥までなくするために、政党・政策中心の選挙をやるために選挙制度を変える、全部選挙制度に持っていった、これがそもそもの大間違いなんだということを皆さんの提案理由の中で認められたというふうに私たちは思っているわけです。そういう点で、今まで制度を出されたときの理由はみずからなくなっているということを指摘をしておきたいわけであります。
 この提案理由で言われたこと自体はもうよく承知しておりますので、奄美で地獄を見たというような小選挙区でのことになるということを変えるために小選挙区に変えだというのは、これはもう本当に世紀のごまかしたということを特に今申し上げておきたいわけであります。一八八九年の法律は、もうその実施した最初から変えていくということをやったんで、もうこれ、できたらすぐまたなくするというふうに動かなきゃいかぬなと私たちは思っているわけであります。
 それで、もう一つの重要な問題点についてお聞きしたいんですが、この小選挙区制にするについて、定数是正が、国会決議もありまして非常に問題になりました。一対二未満の抜本的定数是正をやるためには、選挙制度を変えて、小選挙区制に変えなきゃいかぬということを、これは自民党提案のときも、それから社公の提案のときも、両方で審議したときに随分議論しました、私も質問しました。しかし、定数是正は国会決議にもあるし、憲法上の要請でもあるので、一対二未満の抜本是正をやるべきだという私たちの主張に対して、小選挙区制導入というところへ行ってしまったんですね。
 それで、今小選挙区制の区割りが行われると、先ほど来指摘されておりますように、格差二倍以上の選挙区が二十八選挙区あります。最新の住民基本台帳では、四十一選挙区に上る選挙区が二倍を超している。三百のうち四十一ですから、若干超したというようなものじゃありませんね。しかもこれは、国勢調査は十年ごとに変えていくというんでしょう。十年たったらどうなるか、これはもうひどいことになるだろう。
 こういうことになっておりますので、我が国の選挙制度をつくってきた経過を見まして、一番最初に選挙制度をつくったのは先ほども申し上げました明治二十二年、衆議院議員選挙法、これで小選挙区制の区割りがやられました。それからその次に、普選になって、大正十四年、一九二五年に中選挙区制が採用されて、定数辺百六十六名で配分がされました。それから一九四七年、戦後の昭和二十二年に、婦人の参政権もあって、そしてその前の大選挙区制から中選挙区制に変わった、このときの定数配分があります。この三つの定数配分は、いずれも最大、最小の格差はどれぐらいであったか、ひとつ自治省、明らかにしていただきたい。
#196
○佐野(徹)政府委員 明治二十二年の衆議院議員選挙法の制定時におきましては、選挙区間の格差は明らかではございませんので、この点はちょっとお許しを願いたいと思います。それから、大正十四年に中選挙区制が導入された際、このときの最大格差は一対一一四九でございます。それから、昭和二十二年の中選挙区制の改正のときでございますけれども、このときの最大の格差は一対一・五一であったと承知をいたしております。
#197
○東中委員 明治二十二年、衆議院議員選挙法の最初の画定ですが、定数は三百人、小選挙区制ということで、人口十三万五千六百四十三人について議席一つということで、郡単位になるわけですが、郡が十万人以上だったらそれは一つの選挙区にする、十万に足らないときは郡を合わして十三人万に近づける、こういう方針を出して、議員一人当たりの人口、最小は長崎県の十万七千人だった。最大は山梨県の十四万八千人だった。だから、格差は一・三八倍です。これは日本で初めての選挙制度をつくったとき、しかも小選挙区制でそういうふうにやったわけです。
 それから小選挙区の弊害があって廃止になって、大選挙区になってということで、結局また小選挙区がだめになって中選挙区になったときは、先ほど言われたように大正十四年は、最大の秋田一区は十四万二千百四十八人、最小の佐賀一区は九万五千九十六人、格差は一・四九倍。そして二十二年は、先ほども言われましたが一・五一倍、中身はもう言いません。
 だから、日本の選挙制度もちゃんと、小選挙区それから中選挙区ということになれば、格差は一対一・五というぐらいがせいぜいなんですよ。一票の価値の平等、このころは明治憲法下ですからね、しかし選挙制度の性質からいってそうだというのが、これは日本の戦前からの基本的な、人口割でいく一票の価値の平等ということで一対一・五前後ということであります。
 イギリスの場合は今どういうふうになっていますか。
#198
○佐野(徹)政府委員 一九九一年に選挙区の区割りの改正が行われました後の選挙区間の人口格差でございますけれども、これはちょっと私どもの方で集計をした数字ということで御理解を願いたいと思いますが、イギリスは御案内のとおり、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド、それぞれの地域ごとに区割りがなされておりますけれども、イングランド内では最大格差は二・三七倍、スコットランドでは三・五二倍、ウェールズでは二・二六倍、北アイルランドは一・四六倍、イギリス全体では四・三八倍でございます。
#199
○東中委員 冗談を言っちゃいかぬよ。では、どことどことの問がその二・何ぼですか。
 私たちの承知している限りでは、小選挙区の区割りは十年ごとに全面改正を行う、そして、イングランドの場合でいえば、格差が一・五倍未満ということで、一・五倍を超した場合には、十年ごとの全面改正の途中でも変えていくということを非常に厳格にやっています。一・五です。そして、そのかわり、その区割りが物すごいのですよ。細い路地が一つの区割りになって、自分のところの選挙区が、自分がどこに属しているのかわからぬ。だから、選出したと思っていた議員が実は自分の選出したのじゃなかったというようなことで、大混乱が起こっているのです。小選挙区による弊害ですよ。しかし、一票の価値の平等、一対一・五ということはちゃんと守っているのですよ。
 アメリカだってそうですよ。いろいろな経過はありますけれども、アメリカも選挙区の対比は、これは一九九〇年の国勢調査によるアメリカの連邦下院の定数是正をやった結果ですが、定数是正をやる前の最大格差は一・八三四倍だった。これはアリゾナ州ですね。それを定数是正をやって、最大一・七六一に変えた。モンタナが最大になっておる。だから、一対二なんて超すなんてことは全然ないのです。そういうふうになっている。
 ただ、アメリカで問題になるのはいわゆるゲリマンダーですね。拡散やら集合やらやってとんでもないことをやる、党利党略で。ということで、これも小選挙区制の弊害が出てきているのです。
 しかし、定数というものは、一票の価値の平等というのは、これはもう選挙の大原則ですよ。そういう性質のものなのだというふうに私たちは考えます。だから、小選挙区制のアメリカにしてもイギリスにしても、そして日本の過去の歴史からいっても、これから法律をつくるというときにその配分が一対二を超すというようなばかなことをやっていないのですよ。
 今までの中選挙区の中で、人口の増減が激しくて、それで移ってきたから、そういう中で最高裁が一対三を超したらいかぬとかいうふうなことを言うようになったけれども、それは最近の判例を見ても、暫定措置で一対二・七七にしたのだから、抜本改正をやると言っているのだから、だから国会が今暫定的にやったことを違憲とは言わぬ、こういう判決になっているのですね。それをいいことにして、これからつくる法律で、抜本的定数是正をやるのは選挙制度を変えるよりできないのだといって小選挙区制に変えたら、また一対二を超しちゃう。こういうことは憲法の原則上断じて許せない、私たちはそう思うわけです。どうですか。どう思われます。
#200
○野中国務大臣 けさからたびたびお答えをいたしておりますように、区割り審議会の設置法の三条二項で、最初に各都道府県にまず一議席を配分することを前提といたしましたために、結果としてこの都道府県間の格差が既にスタート台で一・八二になっておるのでございます。そういう中で二倍を超える選挙区が出てまいったわけでございます。
 区割り審の石川会長を初めとする皆さん方はいろんな角度から検討をされまして、二・一二七倍というのは大変な苦労の結果出されたものでございまして、私は、石川会長が報告されましたように、審議会としてはぎりぎりの審議を尽くした結果と認識をしており、これが憲法の原則に反するものではないと認識をしておる次第であります。
#201
○東中委員 昨年、平成五年一月二十日の最高裁大法廷の判決があります。その中で、木崎良平裁判官が意見を書いています。それをちょっと読んでみますが、法制局、ひとつどう考えるか、見解を明らかにしてほしい。
 この木崎意見によりますと、
 「投票価値の平等」は、憲法の保障する国民の基本的権利であるのに対し、「考慮すべきその他の要素」は、国会が立法府として具体的な選挙制度の仕組みを決める際に考慮すべき事項にすぎない。したがって、両者は重要度を異にする基準であり、国会が制定した選挙制度の仕組みを定める法律が憲法の保障する投票価値の平等の要請を損なうようなことがあってはならないのである。そして、
 投票価値の平等を数値で示すならば、当然一対一ということになるが、公職選挙法は、まず一定の議員総数を定め、これを各選挙区に配分する方法によっているので、較差を雲とすることは現実には不可能といえよう。しかし、較差が一対二以上となった場合には、選挙区を異にする選挙人に対し、一方では一人に対しては一票しか与えないのに、他方では一人に対しては二票以上を与える結果となり、明らかに平等の原則に反することになる。明快ですよ。
 憲法上国民は主権者とされてはいるが、国民が現実に国政に関与し得る最も重要な機会は、国会議員の選挙に際して一票を投じることであって、この点に思いを致せば、国民にとっては、平等な投票価値の実現は、単に形式的な面においてだけでなく、実質的な面においても極めて重要な意味を持つものである。昭和五二年大法廷判決が判示しているように「憲法一四条一項に定める法の下の平等は、選挙権に関しては、国民はすべて政治的価値において平等であるべきであるとする徹底した平等化を志向するもの」ここまでが大法廷の判決です。
 でなければならず、この国民の平等権は、国会の裁量権と同列に論ずべき問題ではない。
 したがって、国会が議員定数配分規定を定めるに当たっては、投票価値の平等を損ねない限度で裁量権を行使すべきであり、最大較差一対二未満の数値を維持すべく最大の努力を払うへきであって、これを超えるときは、違憲の評価を甘受すべきである。ここまで出ています。
 これは本当に守らなければいかぬ民主主義の原点ですよ、主権者である国民の権利を尊重するかしないかということにかかわるわけですから。しかもこれは、一個人というよりも最高裁の裁判官が言っているんですね。多数説が非常に基準をあいまいにしているということで論理を展開しているわけなんで、法制局はその点とう思うかということを聞きたい。
#202
○大出政府委員 ただいま、最高裁の平成五年一月二十日だと思いますが、の判決に書かれた裁判官の意見に関連をしてお話があったわけでありますが、最高裁の判決で個々の裁判官の御意見につきまして私の方で論評するということは避けなければいけないことかと思います。
 ただ、従来からの一連の最高裁の判決、いわゆる多数意見によりますと、法のもとの平等を保障した憲法第十四条第一項の規定は、選挙権の内容の平等、すなわち投票価値の平等をも要求するものであり、これを重視すべきものであるが、国会が具体的な選挙制度を決定する上でこれが唯一絶対の基準となるものではなく、原則として、国会が正当に考慮することのできる他の政策的目的ないし理由との関連において調和的に実現されるべきものとされているところであります。これが最高裁の多数意見の考え方であろうかと思います。
 これまでの一連の最高裁判決は、先ほど御指摘がありましたように、中選挙区制といいますか現行制度のもとでの定数是正に関したものでありますが、投票価値の平等についてのこのような考え方といいますのは選挙制度一般についても同様に当てはまるものではないかというふうに考えておるところであります。
#203
○東中委員 基本権と、それから立法政策上いろいろなことに配慮するというのは、だからそれは配慮するのはいいと言うのですよ。その配慮する裁量権の範囲は、国民の基本的な人権、憲法十四条上の権利を侵害することになったらいかぬ、それと同列にしたらいかぬじゃないかということがさっきの木崎意見で、これはもう極めて論理的に明快だし、国際的に通用する話ですよ。ところが今の、調和をとらないかぬから、要するに国会がやったんだからいいんだというふうなことでは、私は許されないんじゃないかというふうに思うわけです。
 それは定数是正についての意見なんですよ、今までやったのは。ところが、定数是正の意見で、一対二・七七であってもこれは一応定数是正については合憲だとかいうことを言っている判決でも、しかし改めてつくるということになったら別なんだということを言っている判決が、最近、先ほど林義郎委員が挙げられた平成六年六月三日の東京高裁判決ですね。
 ここで、林さんが先ほど大分引用されました。私、ちょっと結論のところを、言われた引用の中から落ちておったので記録上はっきりさせておきたいと思うのですが、こう言っているのですね。
 憲法上国家意思形成の中心機関とされる衆議院について、これを構成する議員の選挙の定数を配分するに当たっては、投票価値の平等は、他の考慮要素とは異なる本質的な重要性を有するのであって、議員定数について、他の要素に重点をおいた配分を行い、投票価値の平等につき他の要素と同列または第二次的な考慮をしたにとどまるときは、その配分は、ここです、
 憲法一四条の定める法の下の平等の原則に反するばかりでなく、憲法前文及び四三条一項等の定める国家統治の基本にもとるものとして、違憲の評価を免れないものである。この最後の四行ほどは先ほど読まれなかったので、記録に残しておく必要があると思うので私あえて引いたわけです。
 だからそういう性質のものなので、さらに続けています、全部抜本是正が行われるということになっているということを前提にしてやっているのです、ことしの判決ですからね。そこで言っているのは、
 衆議院議員の定数を、人口以外の他の要素をも考慮して配分するとしても、選挙権として一人に二人分以上のものが与えられることがないという基本的な平等原則をできる限り遵守すべきものであって、このことは、議員定数の配分をめぐる世論の等しく指摘するところであるばかりでなく、これまでの公選法の議員定数の改正をいずれも緊急措置あるいは当分の間の暫定措置であるとして、その抜本改正を必要としてきた国会自身の認識でもあったといえる。ここまで言っているのです。
 だから、もうやるぞやるぞといって国会決議までやったんですからね。だから、それをやるんだから、暫定的だから、その準備も要るだろうからといって合憲だと言ってきたので、新たにやるということになったらちゃんとせないかぬのやというのがこの判決の特徴なのです。
 こういう判決は、最高裁判例は定数是正でいろいろ議論しているけれども、これからつくるについてというようなことは何も議論したことはないのです。ここはそういうことを言っているんだということであります。
 それからさらに、最近出た広島高裁の判決です。これは極めて明快に言っています。
 現在の定数是正は、この前の選挙のやつは一対二・七七になっておるけれども、暫定的な数字なので合憲だというふうにしている判決ですが、そこでどう言っているかといいますと、
  代議制民主主義のもとにおいては、投票価値の平等は、国家意思形成の正当性を基礎づける中心的要素であり、議員定数の配分を定めるにあたって重視されるべき事柄であることはいうまでもない。ここから特に、
 殊に二院制をとる場合の第一院において小選挙区制がとられる場合には、人口比例原則は、極めて重要な原則となるであろう。原告ら指摘の我が国の過去の立法事実やアメリカ合衆国の立法事実も、そのことを示している。これは、小選挙区制の場合は特に重要になってくるんだ、しかも下院の場合はということを言っているのです。そして、
 二院制をとる場合の第二院や第一院でも中選挙区単記投票制をとる場合において議員定数配分を定めるにあたっては、地域代表、利益代表といった非人口的要素をも考慮せざるを得ず、人口偏在の点を考慮すると、投票価値の平等は、厳格には適用され得ない。これは、中選挙区制や参議院みたいな場合は厳格にやれぬということが起こるであろうが、しかし、国家意思形成の一番中心である衆議院の、しかも小選挙区制ということになったら、やはりこの基本的原則は守らないかぬということを言っているわけです。
 議員定数配分規定の抜本的改正、殊に小選挙区制を前提とした改正にあたっては、将来の人口異動を考慮に入れても選挙区間の最大較差二倍以内に納めることが期待されるが、中選挙区単記投票制のもとにおける本件改正の経緯からして、本件改正にあたり右のような抜本的改正をとらなかったからといって、抜本的改正やってないからといって、すぐ現状の一対二・七七が違憲だとは言えない、こう言っているわけですよ。
 だから、抜本改正をやると言っているから暫定的な措置まで違憲とは言わぬということを、ここまで条理を尽くして言っているわけでしょう。余り新聞にも報道されないのですね、合憲やということだけ報道されているんです。
 私は、論理と、それから基本的人権、民主主義というものを本当に踏まえてやらないといかぬ。選挙制度というのは本当に議会制民主主義の基礎なんですから。だからそういう点で、何としてもこれは改めなければ、違憲の立法を、憲法を遵守し擁護する義務を負うている国会議員が、国会が、違憲の問題ということをそのままやっていくということは許されぬ、こう思うのでありますが、どうでしょう、担当大臣。
#204
○野中国務大臣 広島高裁の判決を引用されましたけれども、これも結論として、今委員御指摘のように、本件改正に当たり右のような改正がとられなかったからといって、本件議員定数配分の規定ないしこれに基づく本件選挙を違憲視することは当たらないというように言っておられるわけでございまして、私どもとしては憲法の原則に反するものでないと認識をしておる次第でございます。
#205
○東中委員 それは全然論旨が違いますがな。こういう抜本的措置をとると言っているんだから、だから、今度のやつは暫定的措置だから違憲とは言わないんだと。抜本的措置はやらなきゃいかぬのや、やると言っているじゃないかと。そう言っている国会がまるっきり違ったことをやったのでは、これはどうにもなりません。
 それから、林議員がさきに、しかるべき有識者なんかの意見も聞くべきだ、これは民主主義の原
則にかかわるし憲法の基本にかかわる問題だということの提起がありました。私も全く同感であります。日本の民主主義を守る、そして選挙制度が、よそから見て何をやっているんだと言われるようなことはしないようにせないかぬということを強く強調して、質問を終わります。
#206
○松永委員長 次回は、来る二十八日金曜日に委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時十分散会
ソース: 国立国会図書館
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