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1994/11/22 第131回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第131回国会 世界貿易機関設立協定等に関する特別委員会 第5号
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1994/11/22 第131回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第131回国会 世界貿易機関設立協定等に関する特別委員会 第5号

#1
第131回国会 世界貿易機関設立協定等に関する特別委員会 第5号
平成六年十一月二十二日(火曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 佐藤 孝行君
   理事 越智 伊平君 理事 川崎 二郎君
   理事 田中 直紀君 理事 中川 昭一君
   理事 小平 忠正君 理事 畑 英次郎君
   理事 日笠 勝之君 理事 伊藤  茂君
   理事 辻  一彦君
      逢沢 一郎君    赤城 徳彦君
      荒井 広幸君    岸本 光造君
      久間 章生君    栗原 博久君
      小杉  隆君    斉藤斗志二君
      塩崎 恭久君    七条  明君
      福田 康夫君    二田 孝治君
      松岡 利勝君    松下 忠洋君
      御法川英文君    山本 有二君
      青山  丘君    井奥 貞雄君
      石破  茂君    今津  寛君
      遠藤 乙彦君    大石 正光君
      金子徳之介君    鴨下 一郎君
      川島  實君    木幡 弘道君
      古賀 正浩君    坂本 剛二君
      鮫島 宗明君    田名部匡省君
      千葉 国男君    仲村 正治君
      平田 米男君    松田 岩夫君
      山本  拓君    若松 謙維君
      秋葉 忠利君    大畠 章宏君
      永井 哲男君    鉢呂 吉雄君
      横光 克彦君    高見 裕一君
      錦織  淳君    前原 誠司君
      藤田 スミ君    松本 善明君
      牧野 聖修君
 出席国務大臣
       外 務 大 臣  河野 洋平君
       文 部 大 臣  与謝野 馨君
       農林水産大臣  大河原太一郎君
       通商産業大臣   橋本龍太郎君
 出席政府委員
       外務省大臣官房外
       務参事官     谷内正太郎君
       外務省アジア局
       長        川島  裕君
       外務省北米局長  時野谷 敦君
       外務省経済局長  原口 幸市君
       外務省経済協力
       局長       平林  博君
       外務省条約局長  折田 正樹君
       大蔵政務次官   萩山 教嚴君
       大蔵省主計局次
       長        中島 義雄君
       大蔵省関税局長  鏡味 徳房君
       文部省初等中等
       教育局長     野崎  弘君
       文化庁次長    林田 英樹君
       厚生省生活衛生
       局長       小林 秀資君
       農林水産大臣官
       房長       高橋 政行君
       農林水産省経済
       局長       東  久雄君
       農林水産省構造
       改善局長     入澤  肇君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     日出 英輔君
       農林水産省畜産
       局長       高木 勇樹君
       農林水産省食品
       流通局長     鈴木 久司君
       食糧庁長官    上野 博史君
       林野庁長官    塚本 隆久君
       通商産業省通商
       政策局長     坂本 吉弘君
       通商産業省機械 
       情報産業局長   渡辺  修君
       通商産業生活
       産業局長     江崎  格君
 委員外の出席者
       自治大臣官房審
       議官       嶋津  昭君
       外務委員会調査
       室長       野村 忠清君
       大蔵委員会調査
       室長       中川 浩扶君
       文部委員会調査
       室長       長谷川善一君
       農林水産委員会
       調査室長     黒木 敏郎君
       商工委員会調査
       室長       石黒 正大君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月二十二日
 辞任        補欠選任
  赤城 徳彦君    山本 有二君
  塩崎 恭久君    荒井 広幸君
  井奥 貞雄君    石破  茂君
  川島  實君    大石 正光君
  坂本 剛二君    金子徳之介君
  鮫島 宗明君    鴨下 一郎君
  平田 米男君    若松 謙維君
  吉田  治君    青山  丘君
  和田 貞夫君    大畠 章宏君
  前原 誠司君    高見 裕一君
  遠藤 利明君    牧野 聖修君
同日
 辞任        補欠選任
  荒井 広幸君    塩崎 恭久君
  山本 有二君    赤城 徳彦君
  青山  丘君    吉田  治君
  石破  茂君    井奥 貞雄君
  金子徳之介君    坂本 剛二君
  鴨下 一郎君    鮫島 宗明君
  若松 謙維君    平田 米男君
  大畠 章宏君    和田 貞夫君
  高見 裕一君    前原 誠司君
  牧野 聖修君    遠藤 利明君
    ―――――――――――――
十一月二十二日
 ガット・ウルグアイ・ラウンド協定の承認反対に関する請願(岩佐恵美君紹介)(第一〇四〇号)
 同(遠藤登君紹介)(第一〇八一号)
 同(穀田恵二君紹介)(第一〇八二号)
 同(藤田スミ君紹介)(第一〇八三号)
 同(古堅実吉君紹介)(第一〇八四号)
 同(松本善明君紹介)(第一〇八五号)
 同(佐々木陸海君紹介)(第一一七四号)
 同(志位和夫君紹介)(第一一七五号)
 同(寺前巖君紹介)(第一一七六号)
 同(東中光雄君紹介)(第一一七七号)
 同(不破哲三君紹介)(第一一七八号)
 同(古堅実吉君紹介)(第一一七九号)
 同(正森成二君紹介)(第一一八〇号)
 同(松本善明君紹介)(第一一八一号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第一一八二号)
 同(吉井英勝君紹介)(第一一八三号)
 ガット合意の国会承認反対に関する請願(東中光雄君紹介)(第一〇四一号)
 同(松本善明君紹介)(第一〇四二号)
 食糧自給率の向上、日本農業の発展に関する請願(東中光雄君紹介)(第一〇四三号)
 同(松本善明君紹介)(第一〇四四号)
 食糧自給の安定的確保、食糧管理制度の廃止反対等に関する請願(古堅実吉君紹介)(第一〇八六号)
 同(古堅実吉君紹介)(第一一八四号)
 食糧管理制度廃止反対等に関する請願(松本善明君紹介)(第一〇八七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)
 著作権法及び万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)
 加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)
 繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)
 農産物価格安定法の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)
 特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)
 関税定率法等の一部を改正する法律案一内閣提出第一六号)
 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律案(内閣提出第一七号)
     ――――◇―――――
#2
○佐藤委員長 これより会議を開きます。
 世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の締結について承認を求めるの件、著作権法及び万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律の一部を改正する法律案、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案、繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案、農産物価格安定法の一部を改正する法律案、特許法等の一部を改正する法律案、関税定率法等の一部を改正する法律案及び主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律案の各案件を一括して議題といたします。
 本日は、農林水産大臣を中心とする集中審議を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岸本光造君。
#3
○岸本委員 きょうは農林の集中審議ということでありますので、特に私はミカン問題と林業問題の二点に絞りまして質問を申し上げたいと思います。
 私は、農業というのは四つの分野から成っておるのではないかな、こういうふうに考えております。と申しますのは、米を中心にした米農業、それからミカンとかカキとかリンゴとかいう果樹農業を中心にした農業、それから野菜とか花とか、いわば蔬菜、花卉園芸と言われております。そういう農業、それからもう一つは酪農、この四つの分野から日本の農業は成っておると思うのですが、この間から特に主食糧品であります米につきましてかなり熱心な論議が行われてきて、ミカンについては余り論議をされておりませんので、この問題できょうは質疑を行いたいと思います。
 ミカンに関しましては、昭和六十三年からオレンジ並びにオレンジ果汁の自由化ということで、平成四年に至るまでの間に段階的に自由化されてきて、今は完全に自由化されておるわけですが、その結果非常に、対策は、当時一千五十億でしたが、果樹関係に配慮をいただいたわけですが、なかなかそれでは追いつかない現場の状態でございまして、今度ウルグアイ・ラウンドの交渉でこれが発効しますと、一律最低一五%、平均の三六%という関税の引き下げが義務づけられてくるわけでございます。
 そうなりますと、ミカンは御存じのように安値が横ばい状態でずうっと続いておるということでありますので、生果も期待できない。あるいは、ジュースはまた後ほど申し上げますが、ジュース工場も全滅に近い状態でとまっておる。ジュース工場なんかは、果汁の自由化がされるまで中南米から入ってきておるわけですが、それまではかなり、まあまあいけるのではないかというふうに見込んでおったのですが、この自由化によりまして、すごい販売競争を一生懸命、死に物狂いで熾烈な販売競争をやる、それから、低コストになるように工場そのものが物すごくリストラをして頑張る。ところが全滅の状態だ。
 だから、いわばミカン産業を取り巻く状況というのは非常に厳しい状態に、生果、ジュースともにあるわけでございまして、その辺、大臣どのように、特に六十三年の自由化の影響をどのようにとらまえられておるか、その辺ちょっとお伺いをしたいと思います。
#4
○大河原国務大臣 お答え申し上げますが、ただいま委員の御質疑の中にも既にその影響についてのお話を的確にお示しになっておるところでございまして、平成三年の生果の自由化、オレンジの自由化、一年置いての果汁の自由化、これが我が国のミカン産業に対してそれぞれ厳しい影響をもたらしておることはもう事実でございます。
 生果につきましては、平成三年の自由化でございましたが、それに対応して生産、出荷に対するいろいろな措置、摘果あるいは園地転換、そういうもので備えましたので、自由化後はすぐには比較的需給調整がうまくいきまして、価格もよかったわけでございますが、その後やはり、まあ四年、五年が気象の関係で小玉であったという関係もあるようでございますが、市場価格が下落して、本年はようやく、干ばつの影響がございまして小玉でございますが、糖度が高いとか、あるいは生産、出荷計画が相当うまくいったということで、価格が堅調に推移しているというわけでございますが、全体としての、オレンジ生果の輸入についても影響がある。
 特に厳しいのは、今もお話がございましたような、果汁工場、果汁の部分でございまして、これは一年おくれて自由化されておりましたが、内外価格差が大変大きいという点もございまして、輸入はいわば激増しておる。その結果、加工向けの生果の価格の問題、あるいはそのストックの増大による果汁工場の経営の問題、非常に厳しい情勢が続いておりまして、そういう現状認識を踏んまえて、今後の対策を講じなければ相ならぬというふうに思っております。
#5
○岸本委員 ことしは、今大臣も申されましたけれども、百年ぶりの異常気象でございました。こんな暑い夏はなかったそうでございますけれども、百年ぶりの異常気象で、そのおかげで、果実は小玉ですけれども、糖度が高い、酸味もよく切れているということがありまして、やや高値でありますけれども、これは大臣、百年ぶりの、何というか、突然変異みたいな高値でありますから、これを毎年のミカンの値段だというふうに思ってもらったら困るわけです。
 実際、日裏の小玉の生果なんかは、これは全部ジュース工場へ出すことによって――生果に出すと生果の質全体が下がりますから、生果のレベルを上げるためにどうしてもこれはジュースにして生産調整、需給調整、こういうものをやらなければいかぬと思うのです。それについての見通しが今立たぬような状態だと私は思うのですが、このままで自由化されていきますと、泣きっ面にハチという言葉がありますけれども、ジュースについてはまさに私はそのとおりになると思うのです。だから、このジュースについて、どういうふうにこれから対策を立てられるのか、ちょっとその辺、御意見ありましたらお願いします。
#6
○日出政府委員 先生お話しのように、ミカンの果汁の問題は、生果問題以上に大変大きな問題がございます。
 国民の嗜好といたしますと、温州ミカンの果汁よりもオレンジ果汁の方に徐々に嗜好が向いてきているというような構造的な問題もあるわけではございます。ただ、基本的に言いますれば、ミカン農家の方々は、生果の価格がきちんと維持されて、なおかつ果汁向けの原料にそれなりの価格が保証されるということが望ましいわけでございまして、今般ウルグアイ・ラウンドの果樹対策の中で、そういった対策といたしまして、生果の需給調整対策の創設をいたしております。これは、表向きは生果の需給調整対策でございますが、基本的には果汁の問題、果汁向けの生果の経費を一部補てんすることによりまして、生果の果汁の生産調整にも役立ちますし、果汁対策に大いに役立つ対策を特に一項目入れまして私ども整理をした次第でございます。
#7
○岸本委員 ミカンは、西日本中心に二十五府県。静岡、和歌山、愛媛、大分など主要な産業でございまして、特に日本の冬の風物詩、こたつの上にミカンを置いて一家団らんをするという、そういう日本の伝統的な風物詩、文化を形成するそういう果物でもあったわけでございますけれども、今この果物離れという言葉がよく言われまして、ミカン離れが進んでおります。そんな状態でありますので、抜本的な対策をウルグアイ・ラウンドに向けてやってもらわないと、全滅をしてしまうようなおそれがあると私は考えるわけです。
 そこで、ウルグアイ・ラウンド農業対策の大綱の中に、果樹対策の概要というくだりがあるんですが、果樹対策はリンゴも桃もカキもいろいろあるわけですが、特にこの中で、ミカンについて具体的にどうしていくのか、そういうことがありましたらちょっと、大綱の中の果樹対策の方針みたいなのがありましたけれども、項目が一行か何か載っていましたよね。それちょっと具体的にどんなことか、ミカンについてどんなことか、ちょっと教えていただきたい。
#8
○日出政府委員 ラウンド対策の中で、今先生お話しのミカンの関係でございますが、先ほど申し上げました生果の需給調整対策の創設、これはまさしく温州ミカンの対策でございますが、そのほかに、主として温州ミカンをねらいました対策といたしましては、一つは園地転換対策の実施がございます。これは、過去に五十三年度以降やっておりますが、まだもう少し転換をいたしまして足腰の強い産地をつくっていくということでございます。
 そのほかに、果汁工場の再編対策の問題、それから同じミカンでございますけれども、他の優良品種系統への改植の問題、これは高糖度系のミカンヘかえていくといった対策も盛り込まれているところでございます。
#9
○岸本委員 そこで、加工用原料ミカンについて、これはただでジュース工場へ持っていって、運んでジュースにしてもらうというわけにもいきませんし、ガソリン代と、とる手間賃ぐらいは出してもらわなくてはいかぬ、そういうふうに思うわけでして、この加工用原料ミカンの価格安定対策についてはどのように考えているのか、それをちょっと教えていただきたい。
#10
○日出政府委員 今般、先ほど申し上げましたように果実の緊急需給調整対策といたしまして行いますものは、特に価格低落の主因となりますおそれの強い特定規格、小さなものS、あるいは3Lの少し大きいもの、こういうものが加工に仕向けられましたときに、選別でありますとか輸送等の掛かり増し経費等を生産団体に助成したいということで、今そういった中身の検討をいたしているところでございます。
#11
○岸本委員 それは必ず実現をしてもらうように、特に原料用ミカンを粗末にしないで、需給調整のこれは大きな柱になりますので、生果に対する需給調整の柱になりますので、その辺は配慮をいただきたいと思います。
 ミカン離れという言葉が言われ出してから久しいわけですが、今でもしかし、高品質なおいしいミカンは、これは新鮮でありますし、安全でありますし、非常に食べやすいという、皮をむいたらすぐ食べられるわけです、衛生的でもありますし。そういう意味では果物の王様であるというふうに、私はミカンというのは果物の王様だと今でもそう思っておりますけれども、これがことしは大体百五十万トンぐらい、需給調整も農林水産省の方でいろいろ検討いただいて、需給調整、摘果などやっていただいてかなりカットされたわけですが、百四十万トンぐらいことしもやはりそれでも不作の大凶作の年でありながらなっておるだろうというふうに私は思います。正確な数字ではありませんからよくわかりませんけれども。
 しかし、これは考えてみますと、年々の累計を見てみますとミカンの生果の出回る総量は大体百万トンぐらいにするのが全国適正規模でないかな、私は、こういうふうにかねがね申し上げて、機会あるたびに主張しておるわけですが、この百万トン体制をつくるために園地の転換などをこれは一遍やってもらう必要がある。六十三年に一回それはやってもらっておるのですが、さらにこれをやっていただく必要があるのではないか。
 で、園地の転換といいましても、一番初めには、先ほど大臣も申されましたが、優良品種、高品質な産品を生産する系統への転換というのがありますけれども、それは、木を切りかえたり、いい品種のものを入れかえるということになるわけですが、特に和歌山とか愛媛とか、段々畑でミカンを、いわゆる中山間地域ですね、そういうところでミカンをつくっておるというのがありますから、こういうところでは、傾斜地でありまして、条件不利地域とでもいいますか、そういうところでやっておりますので、こういうものの克服ですね、土地改良、これをやっぱりやってもらう必要があるだろう。
 それから、米の場合は圃場整備というような形で大規模な園地の変革がされたわけですけれども、ミカンは、愛媛や和歌山など段々畑が非常に多いわけですから、大々的な生産基盤の調整ということがなかなか進んでいない。こういう現実でありますので、その辺を踏まえて、木と土の両面から、木はミカンの木でございます、土は土づくりや土壌の改良や園地の転換など、そういうことも含めて総合的な対策が園転の場合は必要ではないか。
 特に、広いカリフォルニアみたいな平野でミカンつくっているわけでありませんから、労働集約型ミカン農業でありますので、その辺の全体的な配慮、これもいただいて、私は、やっぱり全体で百万トン体制がつくれるようにしてもらうということが物すごく重要ではないか。やっぱり日本の冬の風物詩、果物の王様ミカンをつくる農家の立場にも立ってそういう政策が必要ではないか。
 特に園地の転換について、今申し上げたようなことを含めて答弁をいただきたいと思います。
#12
○日出政府委員 ただいま先生がお述べになりましたように、ミカンの場合の目標数字、私どもの方も大体百四十万トン前後と実は置いておるわけでございます。平成六年産につきまして、生産出荷安定指針を発動いたしまして摘果等をいたしたわけでございますが、この目標もまあ百四十万トンの目標で、生果を約百万トンというふうにいたしておるわけでございます。
 いずれにしましても、果樹は永年性作物でございまして、長期的な視点に立ちました計画的な生産誘導を行う必要があります。そういう意味で、今先生お話しのように、園地転換を進めていかなきゃいかぬというような考え方に立っているわけでございます。
 適地適産の考え方を基本にいたしまして、他の果実あるいは他作物への転換等を緊急にこれからも実施してまいりたいというふうに思っている次第でございます。
#13
○岸本委員 今の局長の話だと、全体で百四十万トンというふうに言われたのかな。私は、生果で大体百万トンにしなくちゃいかぬ。そうしたら、四十万トンというのは加工用ということに理解していいんですかな。そういうことになりますと、これはもうジュース工場は全滅になりますよ、今の答弁だと。これはだめですよ。どうですか。
#14
○日出政府委員 先生御案内のとおり、大体百四十万トン前後でございますが、その中の約二割程度が果汁向けということになるわけでございます。そういたしますと、その差がございます。この間の数字は、大体おおむね一割程度が通常自家用、自家需要用とか、あるいは減耗といいましょうか、そういったものでございますので、私ども、ことしの出荷安定指針の中でも、今申し上げたように、百四十万トンの生産目標の中で、生食用の出荷量百万トン、それから加工用の出荷量二十四万トンということでございまして、そのアローアンス部分は、今申し上げましたように、自家消費用に充てるとか、減耗に当たるとか、そういう部分でございます。
#15
○岸本委員 局長のお話、よくわかりましたけれども、なかなかそうはうまいこといかぬのですよね、現実は。天候にもまずこれは左右されます。ことしなんか、ミカンがこういうふうな高値になるとはだれも予想しなかった。ところが、夏のああいう異変によって高値で推移している。そういう非常にうれしい悲鳴でございます。
 そういうことで、ともかく私がいろいろ申し上げましたように大変厳しい状態であって、しかもこのミカン産業、ミカン農家というのは西日本を中心にして二十五府県、かなり大きな範囲にわたってこれで生活し、おいしいミカンを食料品として供給してきておるわけで、今後、これはウルグアイ・ラウンド後の温州ミカン、これからも生果も入ってくるでしょうし、ジュースはもっともっと入ってくるでしょうし、そのときに、二十五府県のミカン農家は全部死んでしまえ、ミカン産業は全部死んでしまえ、こういうことになるのかどうか、瀬戸際に私はおると思うので、特段の手厚い政策を展開してもらわないと食料品の一部がなくなってしまうということになりますから、その辺、ウルグアイ・ラウンド以降のミカン対策について、大臣から一遍、その感じているところ、決意などを聞かせていただきたい、こう思いますので、お願いいたします。
#16
○大河原国務大臣 お答えを申し上げます。
 委員の段々の御質問の中にも、問題なり対策の方向が指摘され、提案されておるわけでございますけれども、温州ミカンは我が国の果樹農業の柱の一つであることはもう申し上げるまでもございませんし、殊に西日本を中心とした中山間地域なんかにおける重要な果樹であることは確かでございまして、その動向というのが我が国の果樹産業に大きく響くものであるというふうにも思っておるところでございます。
 それで、お話しのように、生産の面においても、やはり急傾斜地だというような制約ですね、機械化がおくれる、あるいは担い手の労働が高齢化するという問題も抱えておられますし、それから消費の面でも、消費者の果樹に対する消費が多様化しておりまして、一品で大きな量の供給が消化されるということはなかなかに難しくなっているというような需給関係もございます。
 そういうこともございまして、そういう厳しい情勢を、特にジュース問題については、輸入品の増加によって価格が非常に影響を受けておる。そういう厳しい状況を前提として、この我が国の温州ミカンのミカン産業を、加工を含めたミカン産業を、これはやはり振興を図らなければならないということは確かでございまして、今、園地転換の重点的実施についての御提案がございましたが、園地については、園地の整備あるいは規模の拡大というようなことで機械化という問題も進めなければならないし、あるいは適切な、計画的な出荷安定、これをさらに強めて需給と価格の安定を図らなければならないし、また消費の拡大あるいは輸出というような面についても一層の力を入れなければ相ならぬということで、総合的にミカン産業の振興に努めていくというのが我々どもの考えでございます。
#17
○岸本委員 次に林業の話なのですが、日本人は木食い虫というふうに世界の人々から言われているそうです。何で木食い虫と聞いてみたら、木を食うていると言うのですね。つまり、外材を盛んに輸入して、世界じゅうの山を裸にしておる、地球砂漠化、環境破壊の張本人である、木を食うて生きている国民であると。それで、調べてみましたら、木材の自給率はわずか二四%しかない。あとの七六%は諸外国から、特に開発途上国から輸入をしている。そういう意味で、地球環境破壊、環境の問題、しょっちゅう言われているわけですが、その辺を指摘されているのだ、私はこう思います。
 そういう状態で、国内の林が、森林、林業などなど林にかかわる問題が、非常にもう産業としても崩壊しつつあるし、森林としても管理をする人間がいなくなってきているという大変ピンチな状態になっておるように思います。この辺、今のままでいくと一体どうなるのか、現状と林業を取り巻く状況について若干コンパクトに御説明いただけませんか。
#18
○塚本政府委員 我が国の木材自給率でございますが、今お話にございましたように、木材輸入の増大によりまして逐次低下をいたしまして、現在二四%という状況になってございます。
 このような中で、さらに今後、ガット・ウルグアイ・ラウンド合意によって林産物の関税が引き下げられた場合に、外材の輸入圧力が増大いたしまして、国内の林業あるいは木材産業に対する影響が心配されておるわけでございます。我が国には現在一千万ヘクタールを超える人工林がございまして、これが逐次成長しているわけでございますが、こうした資源を有効活用していくということが我々に課せられた大きな課題であるというふうに思っております。
 しかし、やはり安い外材が入ってくるということや、あるいは林業労働力が高齢化、減少しているということ等々いろいろな理由がございまして、なかなか国内の生産力を回復するという状況には至っていないわけでございますが、今後私どもといたしましては、流域を単位といたしまして、上下流が一体となり、あるいは国有林、民有林が一体となりまして、流域林業の振興あるいは森林の整備、こういったものを図ってまいる、こういうことで現在鋭意努力をいたしておるところでございます。
#19
○岸本委員 なかなか大変だろうと思うのですが、これは、森林がこのままでいくと、後継者がいなくなっておりますから、今は、和歌山県の後継者というか働いておる林業関係の平均年齢は五十八・九歳、もう六十歳の人が中心ぐらいで林業に従事している、こういう現実でございまして、これが後十年たったときに、後継者がいなくなって山をお守りする人がおらぬようになる、こういうことになりますと、山は荒れほうだいということになります。山が荒れほうだいになりますと、風水害、国土保全というようなこともままならぬようになるのではないか。
 そういう危険性もあるし、特にそのためには、林業に従事する人たちが、働いてよかった、金もうけができる、こんな状態になればそれは一番いいわけですが、和歌山県の龍神村という村があります。物すごく大きな村、大阪市と同じぐらいの面積の山の村ですが、そこで従業員を募集をした、二億円生涯賃金を差し上げますということで。そうしたら、毎年五人ずつ採るのですが、五十人ほどの応募があって、魅力がある、金もうけができるということになれば若手がここへ入ってくるわけですね。そうやって林業の後継者が育ってくる。だからつまり、あなたたちは将来賃金が保障されていますよ、これで御飯が食べられますよということになれば、これはこれで成り立つわけです。そういう一つの例が和歌山県の龍神村というところにあるのです。
 だから、そんなことも含めて、飯が食えるような林業をどう展開するのか。それがひいては国土の保全にもつながっていくということになりますから。しかしこれ、ウルグアイ・ラウンドになってまた外材がぎょうさん入ってくるということになりますと、それこそこれはまたぺしゃんこになるのではないか、そういう危機感を持つわけですが、ウルグアイ・ラウンド以降の林業をめぐる諸対策、これはどんなものか、答弁願います。
#20
○塚本政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、今後さらに安い外材の輸入が増加されることによりまして、国内林業あるいは木材産業、大変厳しい状況に立たされることが予想されるわけでございますが、私ども、川上から川下まで一体としてとらえまして、外材に対抗し得るような生産、加工、流通対策を確立していかなければならないということで、平成七年度の予算要求でも必要な対策についてお願いをいたしておるところでございます。先生のお話にもございましたように、林業従事者の減少という一番大きな問題がございますし、また木材価格が低迷しているということも林業の経営を非常に困難にしている状況でございますので、こういった我が国の林業の活性化をどうやって図っていくかということが極めて大きな課題であると認識をいたしております。
 現在我が国の森林は、人工林を中心として成熟化の道をたどっているわけでありまして、これを何とか国内の木材産業の素材として利用するということを確立する中で、森林・林業の活性化を目指してまいりたい、このように考えておるところでございます。
#21
○岸本委員 頑張ってください。終わります。
#22
○佐藤委員長 岸本君の質疑は終了いたしました。
 次に、栗原博久君。
#23
○栗原(博)委員 新潟二区の栗原博久ですが、よろしくお願いします。
 私は、このWTO委員会の委員に選んでいただきまして、感謝申し上げます。昨年の暮れに実は、米の自由化というものの、どうしてもやはり国内の米を守らねばならぬというような趣旨で、国会の前で断食、座り込みまでいたしまして抵抗をいたしたわけでありますが、本委員会でこのような問題に絡んで委員の立場で発言をさせていただきますと、何かこう胸に詰まるものがございます。
 私どもの日本の国は、やはり高度経済成長に伴いまして食生活が充実してまいったと思うのです。それによって食事も多様化し、そしてまたやはり肉類を食べますから、当然、畜産農家というものが規模拡大し、国家の経済成長と国民の食糧のニーズに合わせて、実は畜産農家が大きな負債をこうむっておる。これはまた農業の米にも言えることだと思うのであります。でありますから、今日の農業問題というものが我が国の経済の成長のひずみの中にあるということをまず明記させていただきたいと思うのであります。
 その中で、諸先生がいろいろ質問されましたので、私は農業の負債の問題について実はお聞きしたいと思うのですが、何か、農家の全体の借金は七兆円ほどあると伺っております。そのうち農業構造改善、要するに基盤整備等に絡みます問題につきまして、現在その利子を含めて四兆円ほどあると伺っているわけでありますが、今回のウルグアイ・ラウンドの対応の中で、私ども、私も農林水産委員会等でも強く今まで求めてまいったわけでありますが、この負債整理を何とかしていただきたいと。こうして米の一部自由化というに同じミニマムアクセスの問題ですが、国家の外交的な約束事によって農民が犠牲をこうむるわけですから、当然それはやはり国家の責任のもとにおいて処理をしてもらわねばならぬということを絶えず訴え続けてまいったわけであります。
 そういう中で今回のウルグアイ・ラウンドの対策を見ますと、土地改良の負担金の軽減の問題、これにちょっと絞って御質問したいと思うのですが、約二千六百億円の金を用意してあるというように伺っております。あるいはまた低利の融資ということで自作農維持資金とか、あるいはまた農家の負担の軽減支援の特別資金の創設とか、貸付金利が二・五%、大変ありがたい金利でありますが、果たして金利を安くしたから農家がお金を借りるかとなると、これはまた別問題。私は、この国の対策の中で、例えば融資事業として七千七百億円を計上しておりますが、果たしてこの七千七百億円が消化されるかどうかという一つの疑問も持っておるわけであります。
 と申しますのは、土地改良の事業を今日までいろいろなされてきました。しかし私は、やはりこの土地改良事業というものは、見ますると、どうも土地改良事業に対して農民の方は関心が薄れつつあるのじゃなかろうかという実は疑問を持っております。あるいはまた、土地改良をやりましても、その施設の維持管理に対してもう大変な困難を伴っている、困難性がある。それは、やはり水管理の問題ですが。農家が米はとてもつくれぬということで遠い方に売り渡しをしたり、あるいはまた都市近郊の、一反売ったら一億も入るような人が安いところの土地を買って、その土地を実際部落の人たちと仲よく維持できないという状況にも実際あるわけであります。
 また、当然、土地改良事業は農地の集団化を目指しているわけですが、果たしてこの農地の集団化がうまくいっているだろうかということなどを考えまして、大変私は、今後農家の方から、本当に心から喜んで土地改良事業を要求されるかとなるとなかなか難しい。その前にやるべきことは、まず今農家の皆さんが抱えています土地改良の約四兆円に余る、これを何とか軽減してもらわねばならぬということを絶えず御要望をしてまいったわけであります。
 そういう中で、我が国の金利のレートを見ますと、公定歩合は今一・七五%です。平成二年には六%ですから、大変その後安くなったと思うのですが、問題は、平成二年前後に財政投融資によって借りました金利が約八%に及ぶ、その金利に基づく、現在、土地改良の償還を迫られている地域がたくさんあるわけであります。
 この中で、私は絶えずお願いしたことは、こういうやはり高い金利の部分を何とか今のレベルに落としてほしいということを申し上げてまいったわけでありますが、それに対して、やはり財政投融資というものの特殊性からいって、預貯金の方々の金利を守るためになかなか難しいと。今、農協の系統単独でも四・五%で貸すところがあるわけでありますから、そういう中で、私はやはり金利を、農家の皆さんは金利の問題です。孫子に借金はもうつくりたくない。
 今こういうウルグアイ・ラウンドの中における農業の厳しい状況にあって、自分だけは農業するけれども、私と同じ年代、ちょうど私のころは新潟県で百万トン増産運動をやっておりまして、私も農業をしようということで地元の農学部へ入ったわけでありますが、私が卒業するころ生産調整が始まった。しかし、あのころ私どもの同級生はたくさんの方々が農業をしております。しかし、今自分の子供に絶対農業させないというのが大半である。それは、そのためにもう一つは子供に借金を残したくないということでまた苦しみを負っているわけです。
 こういう中で、今回のこのウルグアイ・ラウンド対応の中で、私は、農林省がどのような形でこの土地改良の軽減、特に今まで返済の平準化ということでなかなか御苦労されまして、三万円以上の償還については、その分についての三〇%を後生の方に送ろうということで、当面の返済を猶予していただくような形になっておるわけであります。ところが、先送りしましても、先送りされるとこれは孫にも及ぶということで、農家の方、目をぱちっと開いたら、いやいや、借金の返済はちょこっとおさまっても、これは孫の代までいく、こういうことで、今回のウルグアイ・ラウンドの対応の中でどのようにお考えいただいたかということを、ひとつ御答弁お願いしたいと思います。
#24
○大河原国務大臣 お答え申し上げます。
 土地改良事業は従来も活発に行われておりまして、栗原委員の負担金問題の御指摘でございますが、実情については認識全く一致しております。
 土地改良事業の負担金問題につきましては、従来もこの事業費が地元なり農家の意向というものを十分参酌しないで非常に高い事業費になったことがその後の負担金の重さを加えるという意味で、適正水準にするとか、あるいは国営事業の償還方法をいろいろ考えるとか、今お話にも出ました年償還額が十アール当たり三万円以上というような場合には、その三万円を超える一定部分については繰り延べをして、それについて措置するとか、あるいは負担そのものについても地方財政の方で、地方団体が負担をする場合の十分負担できる財源措置として地方財政措置をお願いしているとか、それから圃場整備事業等非常に構造改善上重要なものについての補助率を若干かさ上げするとか、それぞれ各般の面で負担についての軽減には努めておるところでございますが、このたびの対策等については、農地の集積を非常にやろうとしているようなところについては償還金利が三分五厘までになるような措置を講ずるとか、また、米その他、今度の自由化品目につきましては、従来の自由化品目についての対策と同様に、やはり償還額が三万円以上という通常の原則から、一万円以上の場合についてその償還の平準化をし、金利を措置する等、いろいろな措置を今回も講じようとしておるところでございます。
 なお、具体的な点については的確な説明が必要かと思いますので、構造改善局長から答弁させます。
#25
○入澤政府委員 今大臣からるる御説明がありましたけれども、全体として四兆円の借金を抱えております。元本が二兆五千億円、それから金利分が一兆五千億円、こういうふうな状況でございますので、今回、何としても利子の軽減に踏み切らなくちゃいかぬということで、その一定の条件がある場合には三分五厘まで利子補給をするということでその対策を講じたわけでございます。これによりまして、一兆五千億円の金利は約二千億円軽減されます。個々の農家で見ますと、大体その一割程度償還金が減るということになっております。
#26
○栗原(博)委員 私は、この六年間で事業認定をされたものについて、要するにこの平準化ですか、されたものについて、金利が三・五以上のものを安くするということ、大変これはありがたいことだと思うんです。しかし、もう少し欲張ってお願いするならば、この三割分、償還金の三割分、中山間地では四割分までと言っているらしいんですが、これをもっと拡大できないものか。現在、今入澤局長さんのお話を承りますと、全体融資の返済分の約一割が安くなると。これは、今後十年から十五年間に安くなることだと思うんですが、そしてもう一つは、財政的な、ウルグアイ・ラウンドの間六年間において認定されたものと言われておるようですが、この運用を、やはり土地改良区によってはまだ認識の足りない方もおられると思います。これは周知徹底されて、早くやはりこの対象になるようにお取り計らいをいただきたい。それによってやはり農家の方の負担が軽減されるわけでございますから、ぜひひとつお願いしたいと思います。
 もう一つは、今私どもやはり農村におきまして、こうして国も対応をしていただいておるわけでありますが、やはり土地改良についても維持費というものもかかるわけであります。地方財政措置によって土地改良区のやはり事務員等の補助というものもあるやに伺っておりますが、問題は、やはり水系別に土地改良区等の合併をこれは図っていただきたい、図るように指導いただきたいと思うのです。やはり、一つの農家が幾つもの土地改良区にまたがっておったり、あるいはまた土地改良区によっては、理事者等が肩書が欲しいというわけじゃないと思うんですが、なかなか合併を拒んでいるところもある。これはすべて農家の負担になるわけでありますから、私は、まず、農業者も身を切る、農業団体も身を切っでこのような経費の軽減を図れるように、ぜひひとつ全力を尽くして政府は当たっていただきたいということを要望申し上げたいと思います。
 さて、そういう中で、こういうふうにウルグアイ・ラウンドの対応によって農村は大変これから困難の時代を迎えます。私どもの新潟県、とりわけ私どもの方は繊維産業が多いわけでありまして、新潟県の全産業の約二〇%が繊維でございます。五泉市とかあるいはまた栃尾市、見附市、加茂市周辺等におきまして、特に米を基盤とするところに繊維産業が成り立っておる。全国的に見ましても、例えば福井県は三〇%でございますが、京都は昔から西陣織であるから伝統あることで多いと思うのですが、大体米か、あるいはまた先ほど岸本議員もお話しされましたが、ああいうふうにミカン産地の農業に依存している、そういうところに繊維が多いわけです。
 そうしますと、今繊維の中で問題になっていることは、昨日の夕刊にも載っておりましたが、私もきのう通産省の通商課長からもお越し願ってお話ししたのですが、「繊維製品に緊急輸入制限」ということで、今まで発動したことのなかったMFAを発動する状況も考える。この前の金曜日ですか、通産大臣も、我が国はMFAについてはやはり発動する意思もあるというような確固たる声明もあったわけであります。
 私どものこういう地域の歴史を見ますと、かって日米の繊維交渉の中で、今は亡き田中角栄先生が、私ども地元の繊維業者に、構造改善をしなきゃならぬ、要するに質の充実したのに転換するようにということで、大分日米繊維交渉に基づく中で地元の業者に対する手厚いものの指導があった、融資もあった、補助もあった。しかしながら、業者の皆さんは、田中角栄先生の助言に反しながら現状は規模拡大をしてしまった。それで実は私どもの地域の繊維業者が大変な状況になってしまいました。
 こういって外国からどんどん入ってくる。特に中国からはもう入ってまいっておるわけですから、特に絹織物関係については、既存の業者は恐らく一割しか残っていないだろう。特に大きな機屋さんは、中には入水自殺したり、首をつったりということで、もう大変な状況にかつてはなったわけであります。そして、こうして今回の繊維問題が放置されてまいった。
 ところが、米がこういって農家の不安定さ、要するにこういう絹の織物とかニット関係の下請は、みんな農家のお母さんたちが安い単価で仕事をしてまいったわけです。今度米がこう不安定になりますと、そう簡単に繊維の下請をしていられないということになってくる。そうすると、なおさら繊維問題について厳しい経営の対応が迫られてくると思うのです。そこに中国とかあるいはまた東南アジア等から安いものが入ってくる。我が国の現在の輸入構成を見ますと、大半がもう外国の品物であります。こういう中で日本の織物をどのようにして守るかということだと思うのであります。
 例えば、倒産をすれば人に迷惑をかける。廃業をしたいけれども、廃業をするにしても、じゃ廃業したら何をするかという、そういうものの指針がないわけです。そうしますと、当然、構造政策の中で、じゃ融資をしてと。金を借りても、もう金は要らない、要するに売る先が欲しいということ。売る先が欲しい、つくって売りたいんだという、このものに対して私はやはり強力な国の施策というものが必要だと思うのですが、昨日のこの毎日新聞の夕刊を見ますと、円高の進展に対応して、この問題をひとつ真剣に橋本通産大臣が取り上げるというようなことを言っておるわけであります。これについて、ひとつ御見解をお聞きしたいと思うのです。
#27
○江崎政府委員 委員御指摘のように、今日本の繊維産業、輸入品が大変な勢いで入ってきておりまして、大変厳しい情勢にあるわけでございます。こうした情勢を受けまして、この五月に繊維産業審議会の通商問題小委員会というところで、今御指摘の繊維のセーフガード措置の発動の問題につきまして御議論をいただきまして、提言をいただきました。この提言に沿いまして、このたびこのセーフガード措置の発動についてのルールを決めたわけでございます。
 この措置は国際的な取り決めで認められた措置でございまして、今まで国内的な取り扱いについて十分明確でなかったという点がございましたので、今回の手続の制定によりまして、この措置にかかわる運用手続等の明確化を図ることにしたわけでございます。これによりまして、必要に応じてセーフガード措置をとれるような体制を整えたということでございます。
#28
○栗原(博)委員 もう少し具体的に教えてください。具体的に。
#29
○江崎政府委員 どういう場合に今申し上げたセーフガード措置を発動するかという条件でございますけれども、これも先ほど御紹介した通商問題小委員会の提言に沿っているわけでございますが、私どもとしては、二つの要素を総合的に勘案することにしております。一つが技術的な判断要素、もう一つが政策的な判断要素でございます。
 技術的な判断要素と申しますのは、輸入の増加の実態、例えば輸入の伸び率ですとかあるいは輸入の浸透率、こういったもの、あるいは国内産業の損害の程度、こうしたものが技術的な判断要素でございます。
 それから政策的な判断要素と申しますのは、セーフガード措置の実施によりましてどのようなメリットがあるのか、どのようなデメリットがあるのかということで、メリットといたしましては、例えば構造改善をこのセーフガード措置によって進めることができるかどうかとか、あるいは急激な雇用問題の発生を回避できるかどうかといったような点、あるいは、輸入を制限することでございますから、消費者への不利益がないかどうかとか、それから相手の国との間で極端な通商問題が生じないかどうかといったようなことでございますが、この二つの、技術的な判断要素と政策的な判断要素を総合的に判断してセーフガード措置の発動の可否を決めるということでございます。
#30
○栗原(博)委員 新聞によりますと来春にも発動というふうな記事が載っておるわけですが、この点についてひとつお聞きします。
#31
○江崎政府委員 具体的な商品につきましてこのセーフガード措置を発動するかどうかという点につきましては、これは、業界が今回決めましたルールですとかあるいは業況から、個別案件についてのセーフガード措置の発動を要請するかどうかという判断がまずございます。
 それで、要請があった場合に、国として今回決めたこのルールにのっとって、基準に合っていれば、満たしていれば発動することになりますし、満たしていなければ発動できないということでございまして、まずは業界の判断があるものというふうに考えております。
#32
○栗原(博)委員 では、業界の判断によって業界がその要請をした場合、機敏に対応していただけるものかどうかということを一点お聞きしたい。
 それからもう一つ、このMFAは今まで成立後二十一年間たっておるわけですが、過去において他の国においてこのことを発動した国があるかどうか、お聞きしたいと思います。
#33
○江崎政府委員 業界からの要請が正式に出た場合には、私どもの今回決めましたルールでは、調査をするかどうかというのを二カ月以内に決めまして、それから調査を開始いたしまして、今度は一年以内にセーフガード措置を発動する必要があるかどうかというのを調査の結論を出すということになっております。
 もう一つの御質問で、ほかの国の例という点がございましたが、これは、現在MFAに加盟しております国が四十数カ国ございますが、日本とスイスを除いて大部分の先進国はこの措置を発動した経験がございます。それで、今もこれにのっとった措置が発動されている例が幾つかございます。
#34
○栗原(博)委員 では、なぜ日本は今まで発動しなかったのですか。
#35
○江崎政府委員 一つには、今日本の黒字が大変累積をしておりまして、そうしたことを考えるということが一つと、それともう一つは、日本への輸出国、繊維の輸出品が大体東南アジアの国が多うございまして、こうした国との日本の通商上の位置を考えますと今まで発動には踏み切れないでいたというのが実情でございます。
#36
○栗原(博)委員 では、今我が国の繊維の輸入は何割ぐらいなんですか、総体的に。そしてまた一番の輸入相手国はどこですか。
#37
○江崎政府委員 現在、日本の繊維の部分における輸入浸透率というのは、九三年の数字で五〇%を少し上回ったところでございます。
 それから、今輸入のアイテムと委員おっしゃいましたか。(栗原(博)委員「輸出国ですね」と呼ぶ)主たる輸出国……(栗原(博)委員「こっちの方へ、輸入している場合です」と呼ぶ)中国が日本への輸出のこれは半分近くを占めておる、大変大きなシェアを占めております。そのほかには、比較的大きなものとしては韓国ですとか台湾とか、こういった国がございます。これらは十数%のシェアをとっております。
#38
○栗原(博)委員 MFAも、今度ウルグアイ・ラウンドの対応の中で、十年後にはガットに合併されるということでありますが、繊維の五〇%が他の国に依存している。今我が国の食糧が穀物で自給率がわずか二九%、カロリーで四六%、そして総トン数で二千七百万トンも私ども日本の国にどっと食糧が押し寄せてきているわけですから、MFA、通産省は真剣にやはり繊維業者のことをそろそろお考えになっていただいたものと思っておるわけですが、それに反して農業はこれから門戸を広げるということなんで、私はこの中で実は大変なものを感じるわけなんであります。
 やはり、自国の産業を守る、そして自国の食糧を守るということの観点から、ぜひひとつ今後のウルグアイ・ラウンドの対応の中で、農林水産省も真剣にまたもう一度御討議していただきたいと思うんです。
 その中で、時間もあれですが、ちょっとお尋ねするんですが、今回のウルグアイ・ラウンドの対応の中で、お蚕様の法律が実は出されておりますが、これはどういうことで出されたのかということをひとつお聞きしたいと思うんです。
#39
○日出政府委員 今回の法律改正でございますが、今まで生糸につきましては事業団の一元輸入制度があったわけでございます。これが今度のガットで関税化ということになりまして、そこで、法改正の中身といたしますれば、事業団以外の方でも関税相当量を支払えば生糸を輸入することができるというのが大原則でございますし、それからもう一つ、生糸の特徴だと思いますが、国際ルールで設定されます関税相当量でございますが、これは例の八六年−八八年を中心としまして計算をいたしました結果、相当高いものになるわけでございます。そのため、実需者でございます絹業への生糸の安定供給を図る観点から、実需者輸入制度というものを創設をいたしまして、需給上必要な数量につきましては、先ほど申し上げました関税相当量を減額し、瞬間タッチ売買方式によって事業団が売買差額を徴収しながら売っていく、こういう新しい制度をつくる必要があるというわけでございます。
#40
○栗原(博)委員 瞬間タッチはわかるのですが、瞬間タッチで、例えば現在養蚕農家を救済するためにキロ当たり七百五十円、何か徴収している。
 しかしまた、そのほか手数料を四百円もらっているということですが、今特殊法人の整理合理化というものがありますが、私はちょっと資料をもらって計算してみますと、この生糸の事業団には約三十人かの職員がいると伺っていますけれども、この中に手数料だけで年間六億七千万も入っている。私は、やはり生糸業者もあるいはまた生産農家も手数料を取り過ぎじゃないか。やはり今繊維が大変な状況にある。ところが、そういう特殊法人がもう安易な形でキロ四百円も取っているということが、私は本当に農家を考えているか、それから生糸業者を、そしてまた繊維業者を考えているかということについて大変疑問に思うんですよ。
 今、話を承れば、生糸に対しては国が余り助成していない。やっているのは、蚕業指導員等の助成をしておるようでありますが、二十億円の事業費があると伺っている。私はこの中で、特殊法人の整理もあるんで、やはり繊維業者というものを、あるいはまた農家というものをまず重点に置いて、事業団が懐にまず入れることを先に考えるような、そういうことは私はどうしても納得できない。特に、今業者が自殺までしなければならないような繊維業界にあって、まずもってこの問題を、私は政府から解決していただくことを望みまして、私の質問を終わらせていただきます。
#41
○佐藤委員長 栗原君の質問は終了いたしました。
 次に、鉢呂吉雄君。
#42
○鉢呂委員 私は、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律案、この法律案について、条文に即して質問をいたしたいと思います。
 まず、第二条、第四条で、政府が米穀の需給及び価格の安定のために、数量の把握あるいはまたそれに基づく需給の見通しについて基本計画を策定して全体需給の調整を行うこととしております。基本計画の達成について政府の責任、これについてどのように行っていくのか、これについてまず最初にお伺いいたします。
#43
○大河原国務大臣 お答えを申し上げますが、お話しのとおり、基本計画を策定して的確な需給見通しのもとに需給調整、価格の安定をいたすということでございます。
 政府の責任という意味を広くとれば、的確な需給調整をいたすということが一つでございますし、それに基づいて生産調整を生産者の協力のもとに実施をするということと、さらに中長期の展望を持って備蓄制度を確立して、それによる、政府米によって需給調整をいたすというような点が中心になるというふうに考えております。
#44
○鉢呂委員 今大臣言われましたように、政府の責任は大きいというふうに思います。
 個別具体的に今の三点についてお伺いをいたします。
 まず、生産調整についてでありますけれども、生産者の自主的な判断を尊重して強制感の伴わない手法で行っていくということで、私ども、この生産調整を一〇〇%達成をするということは極めて重要であるというふうに認識をしております。そのためには、いわゆる生産調整を行うための助成交付金、あるいはまた政府は生産調整を達成した人から政府米として買い上げをする、その場合の政府米の価格あるいはその数量というものは極めて重要であるというふうに思っておりますけれども、この点についてどのように生産調整を達成するのか、政府の責任、具体的にお伺いをいたしたいと思います。
#45
○大河原国務大臣 生産調整の的確な実施につきましては、ただいまお話もございましたように、強制感を伴う措置をできるだけ緩和して、生産者の自主的な意向を尊重して行うというのが基本的原則でございますが、そのために、やはり今お話が出ました一定数量を政府の方が買い入れるあるいは特別な助成金を交付するというような点が大事な点だと思うわけでございます。
 価格につきましては、昨日もいろいろ御質問をちょうだいいたしましたけれども、やはり価格体系の整合性という点から、民間流通が主体になりますので自主流通米、これの需給関係によって、あるいは市場評価によって成立いたします価格というものを基本とするが、他方では、やはり生産コストその他の生産条件を考慮して再生産を確保するという法文の文言のとおりの姿勢でございますが、その助成金の水準なりあるいは政府の買い入れ価格等についての、政府米の生産調整実施者から買い入れる価格につきましての価格の算定方式という点については、法文にも示されている考え方を基本として、今後具体的に進めなければ相ならぬというふうに思うわけでございます。
 生産調整実施者から買い入れる数量につきましては、やっぱり全体の需給関係をにらんで、備蓄の運営にも的確に対応できるような数量ということを念頭に置いた運営をしなければ相ならぬ、さように思っておるところでございます。
#46
○鉢呂委員 後段言われました備蓄に関して、若干お伺いいたします。
 政府は、備蓄の目標を百五十万トンとする、しかし需給変動に応じて弾力的に一定の幅を持つという方針を立てております。第三条第三項ではこの備蓄について定義をいたしておりまして、米の生産量の減少によりその供給が不足する事態に備え、必要な数量を在庫として保有することということで、極めて抽象的なわけでありますけれども、これまでの、いわゆる通常在庫、今までとってきた方法とどこが違うのか、この点について明確にしていただきたいと思います。
#47
○大河原国務大臣 備蓄数量は百五十万トンということを想定しておりますが、これは過去の平均的な不作をにらんで、百五十万トンあれば大体の豊凶変動にというか、不作の場合にも対応できるであろうという数字として百五十万トンを想定したわけでございまして、さらに、その幅については、最近における異常変動等も考慮して、標準偏差と申しますか、そういうものを考慮して一定の幅を想定して、まあ数字としては五十万トン程度を幅として想定しておるということでございます。
 したがいまして、通常のランニングストック的な在庫運営に比べると相当な上積みというふうに、今日の需給規模、消費規模からいいますと相当なものを用意したというふうに申し上げることができるのではあるまいかと思っております。
#48
○鉢呂委員 これまでの米の在庫については、今のこの生産調整を踏まえて、六十万ヘクタールの生産調整、したがって、六十五万トンずつ在庫をしていって、百三十万トンの在庫をする。今大臣が言われました、個別に質問していきますけれども、その百三十万トンに比べて百五十万トンがかなり多い数字だというふうに言われるんですけれども、この百三十万トンと比べてどのように違うのか、この辺明確にしていただきたいと思います。
#49
○大河原国務大臣 昨年の異常な不作に伴って需給が逼迫し、ゆとりある需給をつくり出さなければ相ならぬということで、本年の生産調整面積を六十七万六千から六十万ヘクタールに削減をしたわけでございますが、本年産米とまた来年産米で、平成八年の米穀年度末には百三十万トンということで想定したわけですが、今日の需給規模からいえばいろいろございました、御意見として。
 当時これを決定するときには、与野党の皆さんそれぞれの御意見がございまして、百五十万トンあるいは二百万トンというようなお話もございましたが、百三十万トンあればゆとりのある需給ができるということで決めたわけでございますが、まあ百五十万トンというのはそれを上回っておるということで申し上げたわけでございます。
#50
○鉢呂委員 その備蓄の中身ですけれども、需給の動向によっては、当初農政審でもいわゆる棚上げ在庫、棚上げ備蓄というようなことが随分言われたわけですけれども、どうもその辺が不明確だ。需給の動向によっては棚上げ備蓄というものがあるというふうに理解をしていいのかどうか。
#51
○大河原国務大臣 お答え申し上げますが、そのとおりだと思います。
#52
○鉢呂委員 そこで、先ほど、政府米の数量は適切に備蓄を図るという形で買い上げるということでありますけれども、しかし、備蓄の中身は相当変動する、場合によっては豊作が続けば、百五十万トンというものをそのまま在庫として抱えるといった場合に、いわゆるその当該年度で政府米を買わないということがあり得るのか。私は、最低限の政府米というものを買わなければ、先ほど言った生産調整を実効あらしめたり、あるいは適切にこの生産を行っていく、協力している者の政府米を全量買い上げをするというところからいけば、需給の動向に合わせるだけではこの備蓄の米を買わない年が出てくるということにならないかどうか、その辺について御回答を願いたい。
#53
○大河原国務大臣 ただいまの御質問でございますが、やはり備蓄米については一年経過後置きかえていくという思想でございまして、適切な需給計画なり供給計画によって置きかえておきまして、すき間をつくっていくということですね。そういうことでございまして、まさに需給計画なり供給計画の問題だというふうに思っておりまして、一切ある年産の政府米を買い入れぬというようなことは考えておりません。
#54
○鉢呂委員 備蓄後の米の処理について、第六十一条では、主食用、加工用等というふうに記載をしております。この場合、先ほど言いましたように、棚上げ在庫、棚上げ備蓄的なものがあるとすれば、当然飼料用といいますか、非主食用、非加工用の米というものの放出といいますか、売り渡しというものはあり得るというふうに考えていいのかどうか、それが一点です。
 それから、備蓄米の放出についてはどのような価格変動が起きたときにこれを放出をするのか。これは後で生乳の暫定措置法のところでも質問するのと同じようなことなんですけれども、この備蓄米の放出の仕方によっては、市場流通の中で価格の低下を来さないとも限らない。そういう点で、放出する場合の基準なり原則というものをやはり明確にしておく必要があるだろう。この二点について御質問いたします。
#55
○上野政府委員 まず最後の、備蓄米の放出の仕方でございますけれども、これにつきましては、不作であるという事態が起こるということによりまして、翌年の米の需給というのが見込めるわけでございます。そういうことを前提として基本計画の一部に、その年に、四カ月ぐらい時期を区切って、どういう数量の計画米の流通をさせていくかということを立てるという仕組みを考えておるものですから、その過程で自主流通米、政府米の組み合わせを弾力的にやりまして、それによって自主流通米の価格関係などに悪影響を与えないようにやってまいりたい。具体的なことにつきましては、またこれから検討してまいりたいと思っております。
 それから、最初の第一問は何でしたですかな。――政府米の売り渡し価格につきましては、これから具体的な内容を決定することに……(鉢呂委員「えさ用、飼料用等」と呼ぶ)えさ用の話は、やはり保管の状況によりましてそういうことをしてまいらなければならぬということもあるだろうと思いますし、全体の需給事情との関係ということもあろうと思っております。
#56
○鉢呂委員 続きまして、ミニマムアクセス米の処理についてでありますけれども、御案内のとおり昨年の閣議了解は、ミニマムアクセス米による生産調整の拡大はしないというふうに閣議了解で明言されたわけであります。この点について、法の第六十一条の第一項で、政府は政府米を卸売業者に売り渡すものとして、主食用、加工用に売却できるようになっておるというのでありますけれども、これは閣議了解に反することではないだろうか。あくまでもミニマムアクセス米は主食用あるいは加工用に供するということになりますと、転作、生産調整に影響を与えることにならないかどうか、この点について御答弁願いたいと思います。
#57
○上野政府委員 ミニマムアクセスの輸入米につきましては、これは国際約束もございまして、内外無差別に扱いをしていかなければならないという原則があるものですから、そういうことで主食用、加工用等の用途に向けるということを予定をいたしているわけでございますけれども、現実には国内米との競合の薄い加工用などについて新規需要の用途先を拡大するというようなことを考えてまいりたいと思っておりますし、それから備蓄米の放出の運営やなんかにつきましても考慮をしてまいることによりまして全体としての国内米の需給に影響を与えない、それによりまして生産調整に影響を与えないということを考えてまいりたいということでございます。
#58
○鉢呂委員 この点についてはまだ問題が私はあろうと思いますけれども、質問事項が多くありますので、次に移ります。
 本年の緊急輸入米九十八万トン、在庫として残っておる、この点について御質問いたします。
 この処理については国内産米に影響を及ぼさない方法により処理していく方針というふうに述べられておりますけれども、「極力」という文言もあるようでありますけれども、標準価格米や業務米に売却をしていくということではやはり国内産米に影響を与えるのではないかと。これは何としてもやっぱり長期にわたっても、業務用標準米に、主食用に回さないで処理をする必要があるというふうに思いますけれども、この点について、大臣、どのようにお考えなのか。
#59
○大河原国務大臣 緊急輸入米については、これは何と申しますか、別枠的な考え方で息長くその処理をしていくというのが端的な考え方でございます。したがいまして、国内産米の需要先との競合等についての、無理に過剰米処理的な押し込みは考えておらないわけでございます。ただ、その実需者の方から緊急輸入米等についても用途によっての需要がある場合もありますので、それについては加工用なりあるいは主食用なりに供給することがあってもよいのではあるまいかというふうに思っております。
#60
○鉢呂委員 次に、米の検査体制についてでありますけれども、連立与党の合意等にも「米の検査制度の経緯も踏まえて国による検査の意義・機能に十分留意」をしていくということでありまして、大臣の御答弁もいただいておりますけれども、再確認をいたしたいのでありますけれども、現在の国の検査体制、これを維持するというお考えでよろしいかどうか。
#61
○上野政府委員 米の検査につきましては、現在でも私どものやっております検査というものが、公正かつ円滑な取引ということを推進する上で非常に有効に働いているというふうに考えているところでございます。
 ただ、新しい米管理システムにおきましてどういうような検査制度がいいのかというようなことにつきましては、品質の問題あるいは安全性の問題等につきまして国民の関心も大変高いということでもございますので、いろいろな観点を踏まえまして、関係者の意見も十分に聞いて適切に検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#62
○鉢呂委員 この委員会でも御質問ありましたとおり、オーストラリア産の牛肉の残留農薬の問題、あるいはまたことしの春以降に入れた米についてのさまざまな、非主食用に売却をするというようなことで、今も食糧庁長官の御発言にありましたとおり、極めて国民の安全性に対する関心は強いというふうに思います。そういった意味で、規格等の検査以上に安全性に対する検査、これについても米の国内産についても十分留意をして、これがきちんと国民の意向を受け入れるようにお願いいたしたいと思います。
 あわせて、これからミニマムアクセス米の輸入がされるわけでありますけれども、これについての安全性を含む検査、これについては厚生省と競合する面があるんですけれども、食糧庁が一体的にこれを行うということについて、きちんと行政として一本化をして、農水省あるいは食糧庁が検査をできるようなシステムにしていただきたい、この点について農水大臣の御答弁をお願いします。
#63
○大河原国務大臣 お答え申し上げます。
 ミニマムアクセス米等の外国産米の輸入については、特に安全性が問題になるわけでございます。これにつきましては、昨年来の緊急輸入米につきましては安全性に対して大変配慮いたしまして、送り出し先の港においても安全性の検査をして、さらに到着後におきましては、食糧庁が独自に厚生省の指定検査機関において安全性の検査をし、さらにダブルチェックとして、厚生省自身の検査機関において検査をするというトリプル的な検査を行ったわけでございます。
 したがいまして、安全性については問題はなかったというふうに思っておりまして、今後のミニマムアクセス米等についても、このような経験を踏んまえて取り進めたらいいのではないかというふうに思っております。
#64
○鉢呂委員 さらに国内産の、これは農作物一般でありますけれども、いわゆる付加価値の高いあるいは品質の高い農産物、あるいは安全性、有機農業というようなことが志向されておりますけれども、これについての公的な認証制度、これについて取り組むお考えがあるかどうか、お答えをいただきたいと思います。
#65
○大河原国務大臣 JAS制度等におきましては、特別な栽培方法なり原料を用いたものについては特別な規格を認めて、そのことによりまして生産者の要請なり今日の消費者の要請にもこたえたいということでございまして、現在ガイドラインをつくりまして、それぞれ制度としてのせていくかどうかについては、とりあえずの一次品目等について予定しておりますが、今後も進めていきたい、そのように考えております。
#66
○鉢呂委員 続きまして、農業基本法の見直しについてであります。
 これは農政審答申で、農業基本法の見直しについて検討をするという答申をいただいておるところでありますけれども、政府として農業基本法の見直しをするのか、するとすれば、いつをめどとしてこれを行うのか、またどのような方法でこれに取り組むのか、この点についてお伺いいたします。
#67
○大河原国務大臣 お答え申し上げます。
 農業基本法、昭和三十六年にできましたが、当時の経済社会情勢を反映した基本法でございまして、いわば高度成長期の農業問題に取り組むという基本法でございましたが、その後の農業を取り巻く社会経済情勢が大きく変わっておりまして、各方面から基本法についての見直しなり制定という御意見が出ていることはもう承知しております。
 先般の農政審議会の報告においても、条件が変わった、したがって、改正の要否についても速やかに検討しろというお話がございました。我々としては、連立与党の皆さんにもいろいろとお諮りいたしまして御相談を申し上げましたが、さらに一歩進めて、新たな基本法の制定について検討を開始するということで一段踏み込んだ方向をと申しますか、姿勢を示したわけでございまして、今後これについての取り組みの手順なりあるいは期限とか等について急速に決めていかなければ相ならぬというふうに思っております。
 特に申し上げるまでもなく、食糧問題なり、あるいは農業の多面的な役割、あるいは国際化の厳しい情勢、そういう点については現行基本法では必ずしも明らかになっておりませんので、それらが論議の中心となっておりますが、ただ、基本法でございますから、農業内部だけのコンセンサスであってはいけない、国民全体の農業基本法ということから、相当広範囲な各界の御論議もちょうだいしなければいけないという点もあるわけでございます。
 現行の農業基本法が制定された場合にも、あらゆる領域の有識者の皆さんに相当な議論をちょうだいしたという経緯がございますので、この基本法につきましては、そのような進め方をいたさなければなりませんので、まだ具体的にいつを目標にし、どういう構成というところまでは立ち至っておりません。
#68
○鉢呂委員 続きまして、生乳の暫定措置法についてお伺いいたします。
 この法の中で「国際約束」という表現を使っておりますけれども、これについては具体的に何を示すのか。さらに「農林水産大臣が定めて通知する数量」というふうに言っておりますけれども、これも具体的に数量を限定しなければならぬと思いますけれども、それを確認しておきたいと思います。
 あわせて、ちょっと時間がなくなりますので、法の第十六条の二号ですけれども、輸入乳製品の取り扱いについて、国内市場に悪影響を及ぼさないよう処理をされるということが不可欠でありましてこの第二号が設けられたわけでありますけれども、ここに述べておる「指定乳製品の生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮し、指定乳製品の消費の安定に資することを旨として」大臣が指示する方針による、このことの具体的な中身、具体的な方針を示していただきたい。
 それからさらに、これは従来の国内産の買い入れ分にかかわっての放出についても適用されるというふうに思いますけれども、これが乱用されないように一定の歯どめについても御説明をいただきたいと思います。
#69
○高木(勇)政府委員 お答え申し上げます。
 まず第一点の国際約束でございますが、これはただいま御審議をいただいておりますマラケシュ協定、今回の協定のことでございます。
 それから、大臣が通知する数量ということでございますが、これは今回の合意の中で、カレントアクセスとして生乳換算で約十四万トン、これを毎年輸入する、これは事業団が輸入するわけでございますが、そういう約束をしております。その数量でございます。
 それから、十六条の二号のことでございますが、具体的な、大臣が指示する方針というのはどういうことかというお尋ねでございますが、一つは、事業団は、毎年度半期ごとに国内乳製品の需給動向を勘案して売り渡し予定時期、月別の売り渡し数量、種類などにつきまして売り渡し計画を定める。それから、事業団は、売り渡し計画に基づきまして、その保管する指定乳製品などの売り渡しを行う。事業団は、国内需給に悪影響を及ぼすおそれがあると認められる場合には売り渡しを行わないといったようなことを指示する方針として定める。また、さらに、仮に国内の需給が非常に緩んで買い上げが行われるような場合にそれも含まれるわけでございますけれども、やはり同じような考え方で、国内の需給に悪影響を及ぼすおそれがあると認められる場合には売り渡しを行わない。先ほど申し上げた方針と同様の考えで対応をするという考え方でございます。
#70
○鉢呂委員 外務大臣にお越しいただいて、お待ちいただきましてありがとうございます。
 そこで、このマラケシュ協定の農業関係、六年間の拘束をするわけでありますけれども、七年目以降の、とりわけ農産物の貿易のありようであります。今回のマラケシュ協定は、農産物に限りましては高い関税相当量を設定をするということで、実質的には輸入禁止状況を呈するだろうというふうに言われておりますけれども、マラケシュ協定の基本自体はいわゆる全面関税化であり、さらにこの関税率を下げていくというのが基本精神だというふうに思います。
 このままいけば、さらにこれを、七年目以降関税率の低下あるいは自由化の方向だというふうに認識をせざるを得ないのでありますけれども、そのような流れであるということについて、大臣はどのようにお考えなのか、このことについて御答弁願いたいと思います。
#71
○河野国務大臣 御案内のとおり、先ほど来農水大臣からもるる御説明がございましたように、我が国農業の構造といいますか、あるいは国際的な競争力といいますか、そういったものが本来充実をして、そういうものを身につけていっていただくということが本来一番望ましい姿でございます。
 しかしながら、その間さまざまな努力にもかかわらず、我々が宿命的に持っておりますさまざまな状況のもとで、国際的な競争力といいますかそういうものが克服できない。あるいはまた、我が国の政策から考えまして、自給率その値しっかりと考えていかなければならぬという考え方、そういったさまざまなことを考えた上で七年目以降どう我が国は対応するかということも考えていかなければならないと思います。
 議員お尋ねのように、あくまでも、現在我々が受けております特例措置、この特例措置にどう対応していくか、七年目以降もこれを続ける努力、続けるための交渉をするのか、あるいはまた新しい状況下を考えて新しい対応を選ぶのかということについては、議員御承知のとおり、五年目が終了して以後新たな交渉を行うということになるというのがこれまでのやりとりで決められているわけでございます。
#72
○鉢呂委員 今外務大臣から、七年目以降について、とりわけ米についてのいわゆる特例措置を継続するのかどうかというような話でありました。
 全体、農産物に限って見れば、我が党の、一月の時点で既に、このガット・ウルグアイ・ラウンドを受けでどのように対処していくかという基本的な考え方を打ち出しております。それは私も予算委員会でも、羽田内閣の当時でありましたけれども、展開はさせていただきましたけれども、今回のウルグアイ・ラウンドは、やはり輸出国、農産物の輸出国の利益を第一義に考えて、日本のような、食糧自給を念頭に置いて、まあ輸入国、これについては極めて偏りのある農業交渉であったというふうに思わざるを得ません。さまざまな委員の皆さんから、二十一世紀に向けては人口問題、環境問題あるいは食糧の困難な問題、地球的な規模での大きな問題があるということも指摘をされております。
 したがって、日本としてはこれらについて、農業の貿易のあり方について、抜本的な見直しについて、国際的なイニシアチブをとった働きかけをするのかどうか。APECでも二〇二〇年には経済の自由化、その中には農業問題ちょっと待ってくれという村山総理の発言があったのですけれども、これらについてどのような抜本的な日本の取り組みをするのかしないのか。六年後まで待ったのでは日本のイニシアチブはとれないというふうに思いますけれども、その点について外務大臣、お願いします。
#73
○河野国務大臣 ガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉の際にも、我が国は、今御指摘のような問題について強く主張をしたこともございます。
 この協定の中で我々が強く主張をいたしましたのは、御指摘のとおり、農産物の輸入国として、果たして輸入がいつまでも安定的に行えるのかどうなのかといった点についての不安も解消してもらわなければならぬといったようなこともあったわけでございまして、今回のWTO協定の設立につきましても、前文その他農業協定にもこの点が入れられたのは、日本からの強い主張によるものだというふうにも我々は聞いているわけでございます。こうした点を踏まえまして、我が国がこれからまだまだやらなければならないことがあると思います。
 今御指摘のとおり、APECの会議におきまして村山総理が最後まで強く主張されましたのもその点でございまして、これらの点は、来年我が国がAPECの議長国として、APECにつきましては、高いレベルで政治的な方向性を打ち出されました非公式首脳会議のボゴール宣言を具体化するに当たりまして、閣僚レベルあるいは事務レベルで、この点についてもさらにその範囲、分野、対応、そういった点を検討をしていくということが共通の認識となっているわけでございます。
 WTOにおきましても、さまざまな機会に我が国はそうした主張をするという所存でございます。
#74
○鉢呂委員 あと二つ、農水大臣に御質問いたします。
 新農政の際に、国境措置をとらなければ、あのときの国境措置であっても、日本は、国際競争力は、内外価格差を全くなくして対等な競争はでき得ないというのが農水省の見解であり、我々の共通の認識でありました。
 ここで、ガット・ウルグアイ・ラウンド受け入れた段階で、さらに質的な転換といいますか厳しい段階に私は入ったと思います。昨日も、国際競争力をつけるための規模拡大等の構造政策、経営政策、これについて、六兆百億円、さまざまな対策を講じたということでありますし、その点については私どもは大変な心強さを持っておりますけれども、しかし最終的には、この関税化あるいはミニマムアクセス受け入れであっても、なかなか十年後あるいは二十年後であっても対等の競争力を持つということは私は不可能である、そのように認識しておりますけれども、この点について大臣の御見解。
#75
○大河原国務大臣 内外価格差問題を含めてのお話だと思うわけでございますが、しばしば申し上げておりますように、我が国農業は、自然の条件の制約、特に経営規模なりあるいは地価、これが先進国に比べて格段にハンディを持っておりますし、労賃水準自体も高いというような大変なハンディを持っておりましたので、その点については、生産性向上の努力については、この新農政なりそれを具体的に実現する今回の国内対策ということで最善を尽くしても、なかなかに内外価格差は言われるような簡単なわけにはいかないと思っております。しかし、できるところは進めて、それで国民一般に対する、あるいは消費者一般に対してもおこたえをしなければならない、さように思って政策を進めたい、さように思っております。
#76
○鉢呂委員 もう一問ですけれども、私もそのように厳しく認識をしております。農政審答申でも、やはり今の日本の国土条件、高賃金あるいはいわゆる地価の問題、これは不可能に近いと。そこでまたいろいろ為替水準等の動向もあって、しかしまた一方では、消費者段階では価格の低いものをという要望はこれは当然出てくる。そこで、何とかこの今のそれを打開する方法をきちっと明示をしなければ農家も不安さは解消し得ないというふうに思います。
 それは現状の価格政策ではもう対応できていけないのはもちろんでありますから、この価格政策にかわる、EUが行っています今の価格についての直接所得政策、これが極めて大切になってくるだろう。APECでも、全体で、ではどうするんだ、農業問題、特質的な日本のような問題についてどうするんだ。これがEUのいわゆる地域全体で、いわゆる条件不利地、日本は平場であっても全部条件不利地域だというふうに私どもは思うわけでありますけれども、それをこのアジア・太平洋段階で、全体で補完をし合う、あるいは日本も、もちろん国同士がやるということも必要になってくるだろうと思いますけれども、そのような価格直接補てん、あるいは補償政策というものがやっぱり必要になってくるのではないかというふうに思いますけれども、これは最後の質問にいたしますので、御答弁をいただきたいと思います。
#77
○大河原国務大臣 ただいまの御指摘は、EUにおきまして、直接的な所得補償等を踏んまえてのお話かと思いますけれども、これは一口に申し上げれば、消費者負担から財政負担に切りかえるという話でございます。EUにおきましては、御案内のとおり、付加価値税を有力な財源としておりまして、その財源措置によって直接的な政府補てんが可能であるという方式をとっております。
 したがって、考え方としての、政策の方向としての御提言はよくわかるわけでございますが、基本は財源問題、相当規模の固有財源的なものを想定しなければ相ならぬというような問題等もございまして、なお慎重な検討を要するのではあるまいかというふうに思っております。
#78
○鉢呂委員 どうもありがとうございました。終わります。
#79
○佐藤委員長 鉢呂君の質疑は終わりました。
 次に、錦織淳君。
#80
○錦織委員 このマラケシュ協定というのは、世界貿易機関を設立しよう、こういうものでございます。したがいまして、言うまでもなく、新しい貿易のルールを二十一世紀に向かって確立しよう、こういう大変大切な問題を扱っているわけでございます。
 そこでお尋ねいたしますが、先ほどぐあいよく鉢呂議員の方から新しい貿易のルールの中身について御質問がございました。そこで、ことしの九月三十日に、連立与党の農林漁業プロジェクトチームで「緊急農業農村対策について」ということを提言をいたしましたが、その最後の部分に、「新たな貿易ルールの確立」、そういうタイトルで「農業・農村の有する多面的な役割に関する国際的な世論形成を図る中で、工業製品の貿易ルールを農産物に単純に適用するのではなく、農業及び農産物の特性を考慮した新たな貿易ルールの確立を図る。」このような提言をいたしております。
 このような考え方は、決してこのプロジェクトチームに固有の考え方ではなくして、同じく本年の八月、農政審議会が発表いたしました「新たな国際環境に対応した農政の展開方向」という提言の一番最後の部分で、「二十一世紀の農政の確立に向けて」という中身がございます。そこでは、「本審議会における議論の過程で、工業製品の貿易ルールを農産物に単純に当てはめるべきでなく、環境、食料安全保障等の農業及び農産物の特性を考慮すべきであり、そのことを我が国は将来に向けて主張すべきとの意見が大勢を占めた」と、このように書いてございます。
 ところが、本年の十月二十五日、緊急農業農村対策本部で策定されましたウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策大綱の中では、この新しい国際貿易ルールの確立という部分がすっぽり欠落しておる。ただ国際協調あるいは国際協力ということがうたわれているだけでございます。新しい貿易ルールを確立するということと国際協力ということは、これは全く意味内容が違うものであると理解いたしておりますが、なぜこのように、対策本部の対策の大綱の中からこのような貿易ルールの確立に向けての提言があえて欠落させられたのか、その間の御事情を御説明願いたいと思います。
#81
○大河原国務大臣 ただいまの御指摘でございますが、連立与党のプロジェクトチームを中心とした政策調整、緊急農業農村対策、直接のお取りまとめの責任者でありました錦織先生等からの御指摘でございまして、確かにその第六項に、ただいま御指摘の今後の農産物貿易に対する取り組みの姿勢なり基本的な考え方が指摘されていることは十二分に承知しておりますし、農政審議会の論議でもその点が触れられておるところでございます。
 我々としては、申すまでもございませんけれども、単なる物の貿易、工業製品と同じルールであっては相ならぬ、農業の持つ多面的な役割あるいは人口とか食糧問題、そういう大きな視野のもとに農産物貿易については取り扱わなければならない、あらゆる機会にその実現に努めなければならない、FAOなりあるいはOECD等、その他のあらゆる国際機関の場等においてもこの主張を貫かなければ相ならぬ、さように思っておるところでございます。国内対策ということで整理いたしまして、外交の基本方針とか農産物貿易の基本方針とかについては触れなかったわけでございまして、その点についての御懸念が指摘されたと思うわけでございますが、今後の我々の農産物貿易に対する姿勢としてはただいま御主張があったとおりでございまして、毫も変わっておらないところでございます。
#82
○錦織委員 そうしますと、触れてはいないけれども、そこで問題になっておる新しい国際貿易ルールを確立するに当たって農業の特殊性を十分考慮する、こういうことについては全く異論はない、このように理解をいたします。
 そこで、非常に大切な問題でございますが、きょうまでこのWTOの特別委員会でいろいろ議論をしておる中で、我が国は資源のない国である、したがって、資源がないから外国からその原材料を輸入して、そして加工し、そのことによって貿易立国としてその国策を立ててきたし、またこれからもそうするんだ、こういう考え方がございます。そういう点から、このWTO協定というのはぜひとも必要である、そして自由貿易の原理を貫徹するんだというような考え方ではないかと思うわけですが、しかし、そういう協定の中に果たして今のような特殊な論理を持っている農業の問題がなじむのか、なじまないのか。
 なじまないとすれば、このWTO協定をどんどん実施していきますと、ますますその農業問題というものが浮き上がってしまうのではないか。その点について、今後政府として具体的にどういう提言を行っていく考えであるのか、その中身についてお聞かせ願いたいと思います。
#83
○大河原国務大臣 お答え申し上げますが、ポスト・ウルグアイ・ラウンド、これを想定して今日から我々の農産物貿易についての主張を貫くように全力を挙げなければならない、そしてその機会としてはFAOなりあるいはOECDその他国際会議関係においてそれを主張するというわけでございますし、また発足後のWTOにおいても、内部においても、そこにおける各種の、何と申しますか、ブランチにおける論議においても、関係国の賛同を得ながら進めていくということが大事であろうというふうに思っております。
 特に大事なのはFAOで、国連食糧農業機関等で人口と食糧問題とを強く取り上げつつございますので、我々としては、そういう場で国際的なコンセンサスを得て、むしろWTOの貿易一辺倒的な、物貿易一辺倒的なあれに対するチェックの役割等も進めるようなことも一つの考え方だというふうに思っております。
#84
○錦織委員 これまでの議論の中で、この二〇〇〇年という一つの節目に向かってさらに関税化が進んでいくんではないかというような議論がされております。そのことと、例えば米のような問題をどう考えるのかというような議論はたくさんなされておるわけでございますが、しかし大切なことは、そのようないわゆる関税化の大きな流れの中でどうするのかというようなことではなく、むしろもっと別の枠、別の土俵でもう少し大きく食糧あるいは農業あるいは環境といったものの関連において考えていくということが必要ではないかな、このように考えるわけでございます。
 つまり、先ほど来申し上げているWTO協定が次の二〇〇〇年で一つの節目を迎える。そのときに、例えば関税化をどうするかというようなその枠の中で議論するんじゃなくて、もう一つ外で、もっと大きなそういう機構なり仕組みなりを考えていくお考えはないのか、こういうのが私の質問でございますので、念のためにもう一度お尋ねしたいと思います。
#85
○河野国務大臣 一つのストーリーを申し上げたいと思いますが、先般行われましたAPECの議論を少し御紹介を申し上げたいと思いますが、APECは、御案内のとおり、二〇一〇年先進国、二〇二〇年発展途上国がそれぞれ自由化の目標を定めて努力をするということになりました。このAPECは、今御指摘のとおり、WTOを補完、強化するという気持ちも非常に強いわけでございます。
 先般、松田議員のこの委員会での御提言では、むしろAPECが将来のWTOを引っ張っていく、そういうことを考えるべきではないかというような御提言もございましたが、その御提言のもとになっているのは、WTO、ポストWTOといいますか、あるいは次の自由化への一つの考え方をAPECがリードしていく、そういうことを考えるべきだということにあるのではないかとお伺いをいたしましたが、そのAPECの会議におきまして村山総理が主張をいたしましたのは、まさに先ほど議員が御指摘になりました農業問題、環境問題、食糧問題、こういった視点をきちんと織り込んだものでなければならないだろうということを主張したわけです。この主張にはかなりの共鳴、共感してくださる方、国がございました。そうしたことも考えて今後議論をしていこう、こういうことになったわけでございます。
 先ほども申し上げましたように、たまたま来年は我が国がAPECの議長国、そしてそのボゴール宣言が発出されましたときに、この具体化に当たっては、つまり二〇一〇年、二〇年を目指して進むための具体的な作業については、今後閣僚レベルあるいは事務レベルでさらに検討をしろ、こういう御指示でございますから、その検討の中には、恐らく農業問題、環境問題、食糧問題という視点が必ず議論されるに違いないというふうに私どもは思っているわけでございまして、議長国としてそうした点も十分考えて作業に臨みたい、こんなふうに思っているところでございます。
#86
○錦織委員 先ほどまで私は、工業製品の論理と農業製品の論理は別だという言葉を使いました。しかし、もっとよく考えてみますと、実はそうではなくして、我々が今直面しているのは、大量生産、大量消費、大量廃棄というそういうシステム自体が一つの壁に当たっている、こういう視点に立たなければいけない。そう考えますと、どこかでやはり工業貿易の論理と農産物の貿易の論理がその底の部分で結びついているのではないか、こういう気もいたしますので、ぜひとも政府におかれましても、そういった新しい貿易ルールの確立のために御尽力をいただきたいと存じます。
 そこで、次の質問に移らせていただきます。
 先般このガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意の関連対策として総額六兆百億円、そしてその中に公共事業として、農業農村整備事業ということで三兆五千五百億円、そういったものが計上をされております。その中身としては「高生産性農業の育成と生産基盤整備を通じた中山間地域の活性化のための事業の重点的かつ加速的推進等」、このような注がつけられているわけでございます。ところで、全体の六兆百億円、さらにはこの自治省関連の一兆二千億円、こういったもので新しい日本の農業、農村の直面している危機を乗り切っていこう、決してこれはばらまきでもなければ、後ろ向きのものでもない、このように理解をいたしております。
 そうしますと、この三兆五千五百億円が一体何に使われていくのか、これは国民にとっても大変大きな関心事でございます。こういった数字が計上されていく過程では当然一つ一つの施策の積み重ねというようなものが行われているわけでありますが、その三兆五千五百億円の中身、内訳について国民の前にぜひとも明らかにしていただきたい、このように考えます。
#87
○入澤政府委員 今回の三兆五千億円に上る対策は、新たに事業効果の早期発現を図る観点から、継続事業につきまして工期を短縮する、それから新規事業につきましては早期完了のための今後六年間に限って緊急的な措置を講ずるということでございまして、具体的には、高生産性農業育成のためには、まず大規模水田農業地域において大区画化を図る、連担化を図る。それから畑作農業地域においては効率的な営農展開のための農道やかんがい施設の整備を図ります。さらに、複合経営地域における排水不良を解消するというようなことをやります。
 それから、中山間地域の活性化のためには、地形条件に応じた生産基盤の整備、要するに、等高線に沿って圃場整備をやる、そのようなことを考えております。
 現時点では、全体をどういうふうに分けるかといいますと、高生産性農業基盤整備につきましては約六割程度、それから中山間地域活性化対策について四割程度振り向けたいというふうに考えております。
#88
○錦織委員 それでは、その四割程度という中山間地域活性化のための事業の内容ですが、もう少しその中身を御説明願えないでしょうか。
#89
○入澤政府委員 まず、中山間地域の特徴でございますが、平場に比べましてコストは高い。大体二割は高いです。したがいまして、可能な限り低コストで簡易な土地改良を実施したいと思っております。
 具体的には、現在既存予算で中山間地域総合整備事業、この中では、農道の整備だとか圃場整備とか用排水の施設の整備が総合的に単一の補助率、高い補助率でできるようになっておりますが、こういうものを参考にしながら、生産基盤と生活環境施設を一体として整備することを考えております。
#90
○錦織委員 現在、地方分権の観点、あるいは農村、地方の活性化という観点から、できるだけ地方の自主性あるいは地方の創意工夫というものを大切にしていきたいという考え方が次第に強くなってきているわけでございます。そのような観点が今の事業の中では具体的にどのように生かされるのか、どのような仕組みでそのような自主性、地方の創意工夫が生かされるようになっているのか、その点について御質問をしたいと思います。
#91
○入澤政府委員 私どもは、事業を採択する場合に一定のスタンダードは示しますけれども、具体的には、各地域の実情に合わせて設計してもらうことになっております。そうでないと、非常に高い設計費になってしまうというようなことがありますので、地域の実情に合わせてそれを尊重するというふうに実施要綱等ではうたっております。
#92
○錦織委員 それでは、時間が参りましたのでこれで終わりますが、いずれにしろ、先ほどの、地方単独事業として一兆二千億円が計上されている。これもやはり地方の自主性というものをできるだけ尊重していこうというような考え方ではないかと思います。
 そういったことで、これらの農水省の事業と自治省の事業がばらばらに進むことのないよう、その受け皿は最後は地方で一本になるわけですから、そこで十分自主性が生かされるような、そういう工夫を御考慮していただきたい、このことを最後にお願いいたしまして、私の質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
#93
○佐藤委員長 錦織君の質疑は終了いたしました。
 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
#94
○佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。木幡弘道君。
#95
○木幡委員 このWTOの特別委員会で多くの同僚の方がこれまでも論議、質疑を重ねてまいりましたので、一部重複するものがあるかとは存じますが、農水大臣を中心とした質問をさせていただきたい、こう思います。
 一番最初に、両大臣、外務、農林両大臣から決意のほどをお聞かせいただきたいのでありますが、今回のWTO及びウルグアイ・ラウンドの一連の問題につきまして、当初私どもとしては、もちろん税制がありましたし政治改革がございました。中には、ちまたの話では、これはもう十二月が過ぎてもやむを得ないのかなというような腹づもりもある方がおったようにも思われますし、しかしながら、ここに来て急に、政府・与党といたしましてはどんなことがあっても今会期、今国会中にこれを議了したい、こういうふうなことだというふうに受けとめておりますが、外務大臣、出島水大臣、決意のほどをまず冒頭両大臣からお聞かせをいただきたいと思います。
#96
○河野国務大臣 少しさかのぼって申し上げますが、ことしの夏のナポリのサミットにおきましても、G7それぞれ、このWTOの重要性というものをそれぞれこもごも語って、明年一月一日からは新体制がスタートするべきものであるという合意がなされておりますし、さらに九月には四極通商会議、日米加、カナダでございますが、それに欧州、それぞれの通商関係の閣僚の集まりにおきましても、このWTOの明年一月一日スタートが望ましいということの合意がございます。
 さらには、再三申し上げておりますが、APECにおきましても同様の趣旨の議論が積み重ねられてきているところでございまして、私どもといたしましては、ぜひとも明年一月一日にはWTOを発足させるべきだ、そのことが我が国に大いなる利益を及ぼすことになるというふうに考えておりまして、ここへ来て急にというお話がございましたが、そういうことではございませんで、一本臨時国会におきましても、他の重要案件ともどもぜひ本臨時国会中に成立をさせていただきたいということを念願いたしているところでございます。
#97
○大河原国務大臣 ただいま外務大臣が申し上げましたとおりでございまして、WTOの協定の承認なり、あるいは関連法律の成立については、一月一日までにその体制ができるよう強く念願しております。特に、私ども最も懸念いたしました農業協定の受け入れにつきましては、御案内のとおり先般国内農業対策も確定いたしましたので、特にその思いを強くしているところでございます。
#98
○木幡委員 両大臣から並み並みならぬ決意のほどを承ると、幾分それじゃという話が出てくるんであります。
 実は閣僚の中には、一字一句の文言どおりではありませんが、日本の農業を売り渡す結論を下したのは前政権だ、私どもとしては、外交の継続性という見地から、そうではあったが、継続性の見地からこれをやらざるを得ないんだというような発言が、与党の中からも、個人的にもあるいは閣僚の中からもそのような発言が、そう受け取れるような発言があるわけでありますが、今伺ったように、そういうことではなく、腹から国益を考えたときには、政府・与党としてはこれをきちっと早期に批准をし、国際公約にのっとった形で一月一日からこれをスタートさせるようにしたい、こういうふうな発言でありますが、それを再度農林大臣に、その辺のところ、与党としての所管大臣の責任者としてのお考えをもう一度お聞きをいたしたいと思います。
#99
○大河原国務大臣 先ほど外務大臣が申し上げましたように、貿易国家としての日本のしかも国際公約、この大きな立場を踏んまえて、一月一日を目途に成立いたさなければ相ならぬということには変わりございません。
#100
○木幡委員 とすると、やはりここで、大河原大臣に今国会中にもたびたび質問がありましたが、問責決議案のことを触れざるを得ない、こう思うのであります。
 御案内のとおり、外交交渉ですから継続だ、こういう話でありますが、当然、細川政権誕生前は、自民党が長年にわたりまして、七年にも及ぶ二の問題の交渉の責任者として御努力をいただいた、長い経緯があるわけでありますね。それはもって多とするところであります。それを細川政権が受けましてからわずか数カ月でございますね。その中で、例えば当時の農林大臣でありました畑農林大臣も、そういう自民党の政権下における長い交渉の経緯を踏まえ、しかも国会決議の、三度の国会決議を背中に背負って、どうしてもこれは国益を守るためには国会決議を尊重し、これを交渉の場で、例えば東京でササランド事務局長にもこれを受け入れることができないんだという話をなさったと聞き及んでおりますし、あるいは十一月の上旬にジュネーブに出向いたときにもそれを背中に背負って、これに臨めるようなあなた方の仲裁案というものがなければ我が国としては受け入れることはできないんだということで、平たい言葉で言いますならば席をけって帰ってきた。
 こういうことを考えますと、これは大臣の一連の問責決議案に対する、なぜあなたはそうしたのですかという質問に対して、どうも余り努力をしていなかった、当時の農林大臣が努力をしていなかったというような趣旨の、そういう趣旨の発言をなさっているわけですが、それは今でもそのような御認識ですか。
#101
○大河原国務大臣 その点につきましては、今お述べになりました過程についての認識について、多少認識の差があると思います。
 と申しますのは、外交交渉、これは秘密交渉でございます。この点はそのとおりでございます。しかし、やはり交渉が急速に動いたのは、私どもが承知する限りでは、八月以降は急速に年末に向かって収れんしていったという過程だと承知しております。
 その際、御案内のとおり、主要な交渉国である米国なりEUにおいては、それぞれの関連する部分につきまして国益を賭して激烈な交渉をブリタン、カンターその他、行ったということが目に見える形で行われたことも、また否定できないと思うわけでございます。それに対して日本はどうかということが関係者の一つの認識でございまして、一般の農家の皆さんもその点についての割り切れない気持ちを持ったことも私は否定できなかったと実は思います。そういうことについては、交渉についてもう一段の御努力は願いたかったなという気持ちを私は申し上げたつもりでございます。
#102
○木幡委員 この問題ばかりをやっていられませんが、もうちょっと大臣にお聞きしたいのであります。
 実は、この一連の問題については、さはさりながら現政権が六兆百億に及ぶ国内対策といったものを出したので、だからこれはいいんだということにはならないのでありますね。根幹といいますのは、これは当然、WTO並びにウルグアイ・ラウンドの問題に関しては、それが当時一生懸命やらなかったからだめなんだということに関してだけで、あとは基本的な問題については、今農林大臣ということだとすれば、これは国益を守る上で必要なことなんだということは、若干あらまあ、あらまあという感じにならざるを得ないと思うのでありますね。もし努力しなかったということを、その気持ちがあるとしたならば、別に同じ会派だからとかそういう意味じゃなくして、今国際経済社会の中に生きていく貿易立国としての我が国の立場として、苦渋の決断をするということは、これはひとしく一緒だと思うんですね。ひとしく一緒だと思うんです。それはもうだれしも国益を守るために努力をする、国会議員たる者は外交交渉に及んで国益を守るために命をかけてくるわけであります。しかしながら、当然、結果がそのような形であれ、私は一つは評価すべき点もあると思うんですね。
 例えば、我が国の当時の畑大臣やあるいはフランス等々の大変な論戦によって、米国主導型のWTOあるいはウルグアイ・ラウンドといったものを、一つは例外措置として、米の問題はもうオール関税化ではないわけですから、米は例外措置をとり得たという問題や、あるいは六年間の猶予期間といったものの中でそれをから得たからこそ、それに立ち向かっための国内対策もなし得るでありましょうし、六年の年月ということになれば、当然国際情勢もそこに大きく変わる状況になるわけですから、そういった前任者の努力に対してすべてをそのような形で担当大臣が臨むということは、やはりこれはちょっと私どもとしてはいささか寂しい気がする。
 とすれば、そういった点についても、すべて問責決議案の当時の気持ちと同じような形で、今現場の責任者であります、我が国の責任者であります農林大臣は、今もそのような気持ちでいるのかどうか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思う。
#103
○大河原国務大臣 ウルグアイ・ラウンド交渉を七年間、営々として、与党、野党、国会関係、全力を挙げて米その他についての我が国の立場を主張したわけでございまして、その成果の一つとして米についての特別的取り扱いができたわけでございまして、それはそれなりに評価しなければならないというわけでございます。
#104
○木幡委員 その言葉がいただければ、やはり大臣も長いこと役所を通じて我が国の農政を心配なさってきている方、あるいはここにお集まりの皆さん方も、ひとしく我が国の農業の行く末というものに対して心配をしている気持ちは一緒でありますから、与野党の立場を超えて、決して、かつてはこうだったからこうだというような形でなくこれからも臨んでいただかないと、当時は努力が足りなかっただけでは、努力が足りなかったからあなた方だめだったのだという形では今後ないようにお願いをしたい、こう思っておるところでございます。
 それでその中で、実は仄聞あるいは新聞でそれぞれが書かれておりますとおり、韓国は我が国の国会の審議あるいは批准の状況を見ながら対応するであろう、我が国はまたアメリカの上下両院の審議の行く米あるいはウエーバー条項等々の問題を見ながら対応していこうというような見方も一部にはあるのでありますが、この状態の認識については、外務大臣はいかがお考えですか。
#105
○河野国務大臣 百二十を超える国々が、大変長い間、さまざまなレベル、さまざまな角度から議論をして、最終的に合意をして、そして今度は各国それぞれ持ち帰って、国会で批准、承認を得る作業を今やっているところでございます。それぞれの国は、既にマラケシュにおいて最終文書への署名等を行って、そして今度は自国で、自国の国会における批准、承認という状況でございますから、これは横を見るとかだれの顔色を見るとかという性質のものでは本来なくて、それぞれ誠実に国際約束を実行をするための手続をとるということなのだと思います。
 そして、しかも明年一月一日もしくはできるだけ早い時期、つまり、願わくは明年一月一日にスタートをさせることが望ましいという合意もできているわけでございますから、それはそれぞれの国には、政治的なさまざまな状況、例えば選挙になっちゃったとか国会がどうしても開けない状況になっているとか、それはそれぞれの国、さまざまな状況はおありの国もあるでしょうが、しかしそれぞれ国際的な合意というものに向かって誠実に批准、承認のための努力をなさる。これは、WTOがスタートをしてしまえば、そのWTOに参加できずにいる間はある意味で不利益をこうむることもあるわけでございますから、発足当時から参加をしようとすることがそれぞれの角度から見て当然、国益上もそういうことでありますから、みんながそれぞれ努力をしている。
 しかし私どもは、欧米主要国、アメリカやヨーロッパの国々が一体どういう状況にあるかということは、これは視野に入れておかなければならぬということは当然あると思いますが、どこがどうだから我が方はどうでいいというようなことを考えているわけではなくて、ぜひひとつ一月一日発足に向けて我が国もまた誠実に努力を、この批准、承認に向けての国会御承認をいただく努力を我々としてはしなければならぬものだ、こう考えているわけでございます。
#106
○木幡委員 今のですと、こう理解してよろしいかとお聞きしますが、我が国は独立国家としてマラケシュで署名をしたということであれば、欧米諸国の動向は当然これは見定めるが、しかしながら独立国家として、どんな状態であれ我が国は、例えば平たい言葉で言いますならば、アメリカの上院が厳しい状況になったとしても我が国はきちっとして批准に向かっていくんだ、こういう理解でよろしいのですか。再度。
#107
○河野国務大臣 アメリカには繰り返し問いただしておりまして、十一月末下院、十二月初めに上院、それぞれ審議が終わる見通してあるという旨、大統領を初め首脳から返事をいただいておりまして、仮にこれがそういかなかったとしても、恐らくアメリカは来年の一月一日にスタートをできるような何らかの措置をとるということも十分あり得るわけでございます。
 ただ、我々としてはそれらは視野に入れながらお願いをしていることもまた事実でございますが、しかし、今は、我が国は我が国として国際的な約束事そして国際的なルールの発足に当たって国益を踏んまえて皆さんの御了承をいただく、そういう努力をするということであろうと思います。
#108
○木幡委員 とすると、一番気になっておりますのは、農家の方もそうでありますが、関係者が気になっておりますのはウエーバー条項だと思うのですね、ウエーバー条項が残った状態のままになるのか。私は、今外務大臣のおっしゃったとおり、基本的には米国がこれを全くほごにするような形にはならないだろう、これはもう当然、世界のリーダーでありますから、リーダーたる者がもってみずから公約をほごにするということはないであろう、こう思いますが、ただ、その経緯の中で、例えば上院の委員長は繊維の問題についてはかなり厳しい態度をとっておるとか、あるいはウエーバー条項そのものも、下院の中ではそれぞれのいわゆるアメリカの下院の族議員の方々はやはりかなりの抵抗を示しているということになれば、WTOラウンドそのものは受け入れたとしても、自国内における逃げ道の法律を何らかの形で、附帯あるいは修正といったものになったときに、我が国は極めて不利益をこうむるおそれがあるのではなかろうか、こう思うのでありますね。そういう点で、ウエーバー条項について外務大臣の現時点での見通し及びこれらの問題に対する考え方についてお聞かせをいただきたい、こう思います。
#109
○河野国務大臣 アメリカは、譲許表におきまして農業調整法第二十二条にかかわるウエーバー品目を関税化する旨約束をいたしております。現在、米国議会で審議中のウルグアイ・ラウンド合意実施法案によりますと、農業調整法第二十二条は、同条による輸入制限措置がWTO協定の発効日からWTO加盟国の産品についてとられないように修正されることとなっていると承知しております。
#110
○木幡委員 とすれば、総括して申し上げますると、我が国は他の諸国の審議状況いかんにかかわらず、我が国としては一月一日に向けてWTO並びにラウンドについては批准に全力を傾けていくということでございますね。
 それで、その後、例えば他の諸国が、アメリカにおける国内法優先ということで何か生じてこないように願っているというだけでありましょうか。それとも、そうなったときにはそのときにまた対応する、こういうことの理解でよろしいんでしょうか。その辺のところをもう一度、外務大臣。
#111
○河野国務大臣 WTOを設立をしてそのWTOにみんなが加盟するということは、それぞれが同じルールで貿易を行う、これは物品だけではなくてサービスも含めて同じルールによって仕事を進めるということでございますから、私どもとしては、ウルグアイ・ラウンドの交渉に参加をせられた百二十を超える国と地域、願わくばさらに多くの地域もこのWTO協定にできるだけ早く加盟をして、同じルールの上で仕事をしたいというふうに念願をいたしております。
#112
○木幡委員 このガットに加盟をしている国、今度は視点を変えますが、このガットに加盟をしている国は、それぞれの国が批准をすれば同じルールで、また、今国会でもって話が出ましたとおり、もしトラブルが発生したときにはしかるべきWTOの機関の中で紛争解決に努力をするという、そういう仕組みになるわけでありますが、我が国の農業問題、あるいは農業以外の分野もそうでありますが、中国との貿易というのが年々活発になってきておるわけでありますね。台湾もそうであります。台湾も中国も一九五〇年にガットの原締約国を脱退をした形で、再度ガットに加入をしたいということになっておるわけですが、もちろん我が国としては、この台湾、中国のガットの加入に対しては支持をしているということは、歴代内閣、外務大臣がずっと終始一貫話していることでありますから、それは当然そういう認識でいいと思うのでありますが、しかしながら、見通しはどのような見通しになっておるのか、外務大臣、お聞かせをいただきたい。
#113
○河野国務大臣 中国は、御承知のとおり、大変目覚ましい経済成長を遂げているわけでございまして、この中国のガット加入は、国際経済の枠組みの中で責任ある役割を果たしていくということになるわけでございます。したがって、私どもとしても、中国のガット加盟はこれを積極的に支持したいというふうに考えておりまして、これまでも関係者の集まりの折には、中国のガット加盟を我が国として支持する旨、発言もいたしてまいっております。
 ただ、今日、ガット加盟について中国がその資格が十分であるかどうかということになりますと、まだ中国に努力をしてもらわなければならないという点などもあるという指摘がございます。中国もまた現在はガット加盟に意欲的でございますので、私どもといたしましては、中国がさらに一段と努力をされて、十分資格を満たしてガット加盟をしてほしいもの、こう考えております。
#114
○木幡委員 これはWTO協定第十一条、WTO協定の発効までにガット締約国となる必要がある、こうありますね。今の見通しですと、私どもも、今外務大臣が話されたとおり、我が国としても隣国の中国がガットに参加を、加盟をしていただきたい、これを願っていることは同感でありますが、しかしながら、現時点では大変厳しい状況のように思えます。
 そういうことを考えますと、もしこれが見送られた場合、私どもとして、例えば日中貿易における基本的な姿勢をどのようにやっていくのか、あるいはトラブルが発生したときにはそれをどの場で、どのような形で解決をするおつもりなのか、それが大変心配なわけですので、その辺についてはどのように考えられていますか。
#115
○河野国務大臣 今申し上げましたように、中国はガット加盟に意欲を持っておられるようでございます。いろいろ努力もしておられるというふうに伺っておりますので、現在ここで我々が、中国がガットに加入しない場合を想定して議論をするということは適当ではないように思いますが、しかし、いずれにいたしましても、これまで日中間の貿易に関する種々の問題は、日中貿易混合委員会などの場におきまして、両国間の協議によって解決が図られてきたということでございます。中国がガットに加入するか否かにかかわらず、こうした協議の場を活用していくことは、これから先も引き続き有益であるというふうに考えております。
#116
○木幡委員 これは特に、例えば著作権の問題で文部大臣にお聞かせをいただきたいのですが、例えば今台湾では、ついこの前のテレビ報道でも、日本の歌手のCDとか、漫画、アニメ、これは物すごい勢いだそうでありますね。その中には、当然台湾が、しかるべききちっとした形で著作権をお支払いになってい右方もあるでしょうし、あるいはそこから香港に流れ、あるいは香港から上海に流れているということになりますと、残念ながら現時点では、我が国のこういった著作権にかかわる商品が海賊版と称して大変横行しているということも事実なんでありますね。これは、今回のWTOの問題、ガット・ウルグアイ・ラウンドの問題で著作権の問題、我が国もこれから著作権についてはきちっとした対応をとっていかなければならないわけでありますから、相手国に対してもきちっとした形でそれらの対応について話をしなければならない。
 しかしながら、もし中国のガット加盟が見送られた場合、あるいは香港につきましても、もう時間的に、もうじき中国に返還されるという状態、台湾も一緒にまだ未加入だという、こういう状況を考えたときに、これらの著作権の問題について、我が国としては、担当の文部大臣、どのような形でもって対処されるおつもりですか。
#117
○与謝野国務大臣 香港には、現在イギリスの締結しております著作権関係条約、すなわちべルヌ条約、万国著作権条約、実演家等保護条約及びレコード条約が適用されているものと私どもは理解をしております。したがいまして、我が国と香港との間は、相互に著作権及び著作隣接権を保護し合う関係に現在なっております。
 また、中国につきましては、中国は一九九二年にベルヌ条約及び万国著作権条約を締結をしておりまして、一九九三年にはレコード保護条約も締結いたしました。我が国と中国との間も、著作権等を相互に保護し合う関係に現在ございます。
 したがいまして、香港が中国に返還されたとしても、香港を含む中国と我が国との間は、ベルヌ条約等に基づいてお互いに著作物等を保護する関係にあるものとなります。
 いずれにしましても、先生御指摘のように、日本のCDとか漫画とかアニメとかというものが盛んに外国で人気を呼ぶということ自体は、私ども大変うれしいと思いますけれども、これらの著作権、著作隣接権につきましては、特にアジアの地域については必ずしも著作権制度そのもの、あるいはそういう制度の運用が十分整備されていないという指摘も一部からなされておりまして、アジアの一員でもございます我が国としては、著作権の国際的保護の確立という大きな課題を達成すべくやはり国際的な協力もしていく、こういう立場でございます。
#118
○木幡委員 こうやって見ますと、ガットの加盟国とガット非加盟国との間の貿易の問題、まあ先を心配ばかりはしていられませんが、やはりどこでも問題になりますのがダンピングの問題。もしダンピングがあったときに、その認定をしかるべき機関で認定ができる状態にならないと困るわけでありますが、このガット加盟国とガット非加盟国、WTOの加盟国と非加盟国の間でのこれが、ダンピング等々、例えば一番心配しているのは、これはどこの国とは言いませんが、生糸などのように我が国の伝統産業である養蚕業やあるいは絹織物業といったものが大変風前のともしびになっている、こういう認識をしているのであります。そういった状態のときに、生糸の値段がどこをもってしてダンピングになったのか、あるいはこれはダンピングなのかダンピングでないのかという認定が大変難しくなるんではなかろうか、こう思うんでありますが、その辺のところも踏まえて、もしガット加盟国と非加盟国の間でのトラブルは、今お話があったような機関だけで果たして私どもの方が泣き寝入りをしなくて済むようになるのかどうか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
#119
○原口政府委員 ダンピングがガット加盟国からなされようと、ガット非加盟国からなされようと、例えば我が国にダンピング防止のための規定があれば、それに基づいて一様にやる、一様にその問題を処理するということは可能だと思います。それは我が国だけでなくほかの国でも同じような手続をとるものと理解しております。
#120
○木幡委員 とすると、我が国独自の判断でそれを認定できるというふうに理解をしてよろしいのですか。
#121
○原口政府委員 もちろん我が国の場合にはガットの加盟国でございますから、我が国がダンピング防止のための措置をとる場合にはガットの手続に基づいた国内法に基づいてとるわけでございますが、これは我が国の判断でガット加盟国であろうと非加盟国であろうと同じように適用することができる、こういうことを申し上げている次第でございます。
#122
○木幡委員 私がお聞きしたいのは、再度、申しわけありませんが、二回目の答弁ですと、今話のとおり、もちろんおっしゃることはよくわかりますね、ガットに加盟していようが加盟していなかろうが、我が国が輸入産物について、その話をダンピングとして認定をしてもらう機関はWTOなわけでしょう。それを今お話しになったんですか。それとも、我が国が認定をして、WTOに防止策として、ダンピング防止策を講ずるときにはWTO加盟国で相談をして実施をする、こういうことになるんでしょうか、その辺のところを。
#123
○原口政府委員 何をもってダンピングとするかということにつきましてはガットの取り決めがございます。そこで、我が国はその取り決めに基づいて国内法を合わせてつくってございまして、したがって、我が国がある国から、この国がガットの加盟国であろうと非加盟国であろうと、ある国からの輸入がガットの規定に基づくダンピングに該当するという判断をすればそこでダンピングありという判断を下すわけでございます。
 したがいまして、判断は例えば日本の場合には日本政府が行うわけでございますが、しかしその日本政府が採用しております判断の基準はガットで合意されている基準に合致させておる、こういうことでございます。
#124
○木幡委員 そうすると、もし仮に中国を初めとする隣国がガットに加盟が今回見送られた場合でも、何らこれから先心配が我が国としてはないということに理解をしてよろしいんですね。
#125
○原口政府委員 ただいまのお話がダンピングの話でございますれば、そのとおりでございます。
#126
○木幡委員 とすると、これは実際それを認定するというのは、法解釈上あるいは条約の取り決め上の問題ですとそういうようになるのでしょうが、実態はなかなかそうはいかなくなるというときに、発動が、WTOに加盟しているもの同士ならば話がしやすいが、そうでないときはなかなか、やおら外交交渉もしくは経済界のそれぞれの二国間の交渉の中で公式、非公式に話し合いをしなければならないという形になってくるんであろうと思いますね。
 そういった中で、生糸の問題でありますが、養蚕業そのものが大変厳しい状況になっておるわけですね。もちろん、これは担い手不足あるいは機械化が農業の中で一番進まないとか、三Kと称してなかなかお蚕さんのふんの処理の仕事をしたがらないとか、そういったいろいろな問題がありますが、とりわけ一番大きな問題は、農家の手取りが少なくなると農家はこれをやる意欲がなくなってしまうということだと思うのですね。農家、いろいろあると思いますが、おおむね、養蚕農家にしてみれば、キロ当たり千八百円から二千円内外、この辺のところをぎりぎり維持できるとするならば養蚕業も続けようかなということでありますが、大変厳しい状況になってきておるわけですね。
 この養蚕業の振興策といったものと、あわせて、これは先ほどの生糸の問題に絡むのでありますが、生糸の問題も、大変な乱高下をしまして、これは織物業界、特に絹織物業界を初めとする業界に大変な動揺を与えた時期もございますね、今は幾分落ちつきましたが。とすると、これは蚕糖事業団といったものが法律どおりに発動していただきたいということであっても、裏は、大臣御承知のとおり、財政的な面があるということもありまして、なかなか発動もできない、あるいは、そのときに必ず出てくる問題が内外価格差の問題で、やはりある程度の国内における合理化あるいはコストダウンを図る努力をしたということもあわせ兼ね備えていなければなかなか発動できない、こういうことであろう、こういう答えになるのであろうと思うのですね。しかしながら一方で、我が国の伝統産業であります養蚕業も絹織物業も、織物全体もどんどんどんどん衰退の一途をたどっている。
 そこで、養蚕業の振興策について、まず農林大臣にお聞かせをいただきたい。
#127
○大河原国務大臣 ただいま、厳しい蚕糸業をめぐる、養蚕業をめぐる情勢については木幡委員の御指摘のとおりでございます。
 振興策としては、端的に申し上げれば、やはり生産意欲を持てるような繭価が一つだと思うわけでございます。あとは、やはり国内絹業との連携というのを強化して、高品質の繭によって独自のその機能を果たしていく、そこがポイントであるというふうに思っております。もちろん、ただいまもお触れになりましたけれども、養蚕の生産段階における機械化とかその他、まあよく先進国型養蚕なんて言われているような、そういう改善努力も必要でございますが、ポイントは今申し上げたところではあるまいかというふうに思っております。
#128
○木幡委員 通産大臣にお聞かせいただきたいのですが、絹織物業、大変な状況になっておる。先ほどの生糸の価格の問題、あるいは国内においては養蚕業の衰退の問題等々で大変絹織物業も苦慮しておる。あるいは絹織物業によらず、繊維産業全体が大変厳しい状況になっておる。これはもう当然コストの問題あるいはデザインの問題あるいは販路拡大の問題等々、絹と絹以外の織物についても当然いろいろな問題点、若干ニュアンスが違う点はあるわけですが、例えば絹織物業につきましては、例えば西陣といったようなところの特産地では、従来は、品質からいって我が国の繭でなければいいものが織れなかったという時代は、比較的、養蚕があるいは日本の市場がどんな状態になっても、織物業界としては我が国の糸はある程度高くても受け入れなければならない時代がございました。
 しかしながら、各国が年々技術革新あるいは稚蚕飼育の技術の進行によりまして大変品質がよくなってきた。早晩恐れることは、我が国の糸と、繭と同じような状態になってきたとき、そういったときも加味して考えますと、繊維産業の行く末、とりわけ二つに分けてお答えいただければありがたいのですが、絹織物産業の振興策を通産省としてはどのようにお考えなのか。
 あるいは我が国の繊維産業全体も、かつての特産地、私の出身地もかつては、明治のころには全国でも有名な、桐生、川俣と並んで小高というところは有名な絹織物の産地だったのでありますが、見る影もありません。今や、私の町のことで卑近なことで申しわけありませんが、絹織物業界はもう一社もなくなってしまいました。
 こういうことを考えますと、繊維産業そのものあるいは絹織物産業、これらの振興策について、何か通産大臣の方から明るい光が差すような話をお聞かせいただければ大変ありがたいのですが、お聞かせをいただきたいと思います。
#129
○橋本国務大臣 委員の御指摘でありますので、繊維全般と、そして絹織りに特定をした分野と、二つでお答えをさせていただきたいと思います。
 繊維産業全体につきましては、昨年の十二月に繊維工業審議会及び産業構造審議会が新繊維ビジョンを取りまとめて答申を出されております。その援言をされました内容を見てみますと、一つは、市場の求めるものを把握、生産、販売するという市場指向型産業構造を構築すること、二つ目には、消費者を刺激して潜在的なニーズを引き出すための創造性をはぐくむ産業構造の構築という二つの柱が立てられております。
 これを受けまして、通産省としては今日、繊維工業構造改善臨時措置法に基づく構造改善事業などに対しまして、予算あるいは税、財投等での支援を行ってまいりました。そのポイントの一つは、メーカーと流通の連携による情報化の促進事業、もう一つの柱は、メーカーと流通とデザイナーの連携による新商品の開発促進事業であります。そして、これらを促進するための基盤整備といたしまして、電子取引のための標準化などの情報化基盤を整備すること、また、人材育成、産地振興などの開発基盤を整備すること等を行ってまいりました。
 また今回、昨日公表いたしましたが、繊維セーフガード措置に係る手続などを整備したところであります。繊維のセーフガード措置は国際取り決めで認められた措置でありますけれども、今まで自由貿易を主張する日本としてこの手続を定めておらなかったわけでありますが、そのために国内での取り扱いが必ずしも明確ではありませんでした。今回手続を制定いたしましたことは、繊維セーフガード措置に係る運用手続などの明確化を図って、同時に、行政の透明性の確保に貢献をするものと考えております。私どもとしては、こうした手続などの整備によりまして、構造改善の円滑な推進のための環境が整備されることになると考えております。
 特に今、絹織りについて御指摘がございましたが、日本の絹織物業というものが、景気の低迷、生活環境の洋式化といった状況の中で需要が減少し、殊に和装品を中心に厳しい状況にあることは認識をいたしております。通産省の立場といたしましては、今後とも、こうした状況を認識しながら、農林水産省と密接に連携をとりながら、絹織物業が必要とする生糸の国際価格での安定的な確保というものに努力をしていくことに努めたいと考えております。また、特に絹製品の需要開拓として、一つは洋装分野をより開拓していくこと、また、産地活性化事業の推進などの対策を引き続き講じてまいりたいと考えております。
#130
○木幡委員 一連の中国との問題を終わりまして、農林大臣を中心に国内の農業政策でお聞きをしていきたい、こう思います。
 その前に、ぜひ通産大臣、繊維産業振興のために特段の御尽力をお願いしたいと思います。
 その中で、最後に答えがありましたデザイナー、ありましたが、これは我が国の場合には、欧米とりわけヨーロッパに比べてデザイナーの養成、あるいは養成した者が我が国で活躍せずに外国で活躍をするということもございますので、そういうソフトの面をぜひ、ハード面も当然ながら、その点に御尽力いただきたい、こう思います。
 で、国内の農業問題、いろいろ論議がありますが、問題が多くて、すべてしゃべっていれば時間が足りなくなるわけでありますが、畜産関係についてまずお聞きしたいと思うのです。
 実は、畜産の問題のときに一番問題になりますのが負債でありますね。これは農家の借金でありますね。これは大変農林省には気の毒な面があって言いにくいのでありますが、実はパイロット事業といいまして、大変優秀な方々が理論武装して予算化をして事業を行った箇所が全国にいっぱいございます。しかしながら、その中で、残念ながら思うように、当初の計画から比べればすべて苦戦の連続でございます。そういった中で、畜産農家が、そういったパイロット事業のところの畜産農家もそうでありますが、全国的に多額の負債を抱えて困っておるわけでありますが、この負債対策については、農林大臣、どういうふうにお考えになっていますか。
#131
○大河原国務大臣 お話のとおりでございまして、パイロット事業等を中心として、大きな経営規模の畜産農家が大きな負担を背負って、いろいろな各般の問題があることも承知しておるところでございます。特に、ちょっと横にそれますけれども、やはりやや過剰投資的な傾向があったという点が今日反省させられるところでございます。
 しかし、現にあるこの負債の問題については、例えば北海道の根釧地区その他各地域においては、従来においても大家畜の経営安定に対しては負債の借りかえその他の措置、低利の借りかえ措置等を講じておりますが、さらに今回進んで、農家負担の、負債の軽減措置ということで積極的な措置を講じようとしている。そのほか、先生御案内の自作農維持資金、経営基盤強化資金なり、あるいはリリーフ資金等々の各般の資金枠の拡大その他によって本格的な対応を今回の国内対策でいたしたい、さように思っておるところでございます。
#132
○木幡委員 この負債は、今大臣が話された上おり、さらにダイナミックに行っていただかなければ、これはもう正直なところ、ほとんどの畜産農家が廃業に追いやられる危険性を持っているわけですから、ぜひもっとダイナミックにお願いをしたいと思います。
 その畜産農家で、我が国の例えは和牛を見てみますと、昨年の冷害のときにも、一連の米騒動、平成米騒動のときに、消費者の食料品に対するアンケートというのが、価格は三番目だったんですね。一番目は食味なんであります。二番画が安全性なんですね。三番目が価格なんですよ。だれしも思っているのが、安けりゃ売れるんだろうということが、日本の農産物には消費者はそう望んでいないうまいものを食べたい、それで安全であってほしい、できれば安い方がいいんだが、まあ一番は食味と安全性だ。
 こういうことからすると、特に和牛、繁殖、肥育にしてもそうでありますが、この畜産の中で必ず残れるであろうという分野は、うまい、我が国しかできないような和牛を、これはいわゆる品種改良についてきちっとした予算を組んで銘柄牛というものを確立てきたとしたならば、必ず一定数量の需要というのはずっと続く、永続できる、こう思うのですね。
 しかしながら、個々の農家が一番でき得ないのは、恐らくきのう、うちの方の同僚議員からも技術研究の予算の問題が出たと思いますが、こういった研究とか品種改良とかにかかわる問題こそが、農水省でもって併合型の予算をとっていただいてこれをやっていただければ大変農家にとってはありがたいわけですが、そういった予算について、来年度以降、これはもう年明けから来年度の予算の問題になるわけでありましょうが、その辺についての大臣のお考えというのはどういうふうでございますか。
#133
○大河原国務大臣 お答え申し上げます。
 昨日も申し上げたわけでございますが、広くこのウルグアイ・ラウンド農業合意に伴う試験研究の部分、技術革新、これを進めるということで、国なり都道府県あるいは民間の研究関係も動員いたしまして生産現場に即した技術開発を行う、これを急速に普及する、これだと思うわけでございます。
 今御指摘のように、肉用牛生産についても、やはり品種改良なりあるいは受精卵移植とかいろいろな課題がございますので、それについては試験研究のテーマとして進めなければならない、さように思っております。
#134
○木幡委員 畜産のときにいつも出てきますのが規制緩和なんであります。
 実は、大方の方はそう思ったのか、あるいは前から御存じの方もあったかと思いますが、畜舎に防火壁がなければ畜舎を建てられない、あるいは鶏小屋の鶏舎も同じように防火壁がないと建てられないのでありますね。鶏舎も畜舎もすべて、人間が住む家屋と同じ消防法の適用並びに建築確認申請の許可がなければ建てられないのであります。なおかつ、そのできたものについての税は、これは正直なところ家屋と同じ課税なんでありますね。
 もちろん生きとし生ける同じものでありますから、人間も牛も豚も鳥も一緒だよということではあろうかと思いますが、しかしながら、農家サイドにとってみれば、鶏舎あるいは豚舎あるいは牛舎といった畜舎そのものの建設にかかわる費用が増大するということになりますし、こういったものの規制緩和を図っていかなければ、農家の方々にとっては大変な負担になってくるわけですね。
 それからあわせて、実は先ほどの課税でありますが、これは自治省はおいでになっていないから言うのでありますが、自治省どおりにいけば全部家屋並みの課税でなければならないのですね。しかしながら、各都道府県の中では市町村の独自の判断で、自治省にはおしかりを受けるかもしらぬが、これは農地並みの課税ということでお目こぼしをいただいている。これはいかにもおかしいのでありまして、こういう状態を是正をする。この機会に、ラウンド受け入れの、大変我が国農業が難局の時代には当然、牛が入る建物も人間が入る建物も同じような形でいいのかどうか、この辺の規制緩和と租税公課の面について、あわせてお答えをいただきたいと思います。
#135
○大河原国務大臣 牛舎なり、あるいはその他の畜舎につきまして、かねがね消防法なり建築基準法の規制が指摘されているところはもう御案内のとおりでございまして、これについては相当な昔から実はいろいろ問題がございまして、逐次その点についての規制が緩和されつつあることもまた事実でございます。
 なお、この点については、畜舎自体も人間の家屋と同じようなコストバールのものではなくて、古村とかあるいは間伐材を利用した低廉な事業費による畜舎の建設が農家負担の点からは必要ではないかというふうにも思っております。
 固定資産税の問題については、まさに建物に対する課税でございまして、住居だとかあるいは店舗でございますか、あるいは工場その他の建物という中にそれが入るということで、特に登記などしてあればやはり課税になるという問題があるわけでございます。したがって、どの程度までをいわゆる税法上の建物と認定するかどうかというような問題もあるわけでございまして、この点については、なお我々としても具体的な検討を自治省その他とも協議しながら進めていきたいというふうに思っております。
#136
○木幡委員 規制緩和の委員会の視察で北海道に参りましたらば、今の話のほかにトラクターの車検の問題がございました。これが、農業厳しき折、ウルグアイ・ラウンドを受け入れるこの時期に、やはり農業者の中でもって身近な問題として、本当に助かる問題、今の規制緩和の問題や租税公課の問題等々があるわけですから、これを積極的に農林省として取り組んでいただきたい、こういうことを要望しておきたい、こう思います。
 先ほどの研究の中で、牛の銘柄牛の確立の問題もありましたが、実は鶏もそうなんでありますね。鶏の研究といいますのは、各県でもって独自対応して、ある県によっては何十億円もの巨額をつぎ込んで鶏舎をつくり、研究をしているのでありますが、しかしながら、各県対応でやっておりますために、しからば我が国の鶏卵のひよこはどうかといえば、恐らく一〇〇%近い、九九%ぐらいがアメリカからの輸入なんですね。こういうことを考えると、やはり鶏卵業というものを考えたときに、養鶏の試験はやはり、各県ばらばらでもってそれぞれのお金をつぎ込んでいるよりは、農水省がきちっとした形でもって一本化をするというような形の方がより効果的な研究の結果が得られるであろうと思います。
 それと同時に、もう一つはワクチンなんですが、我が国のワクチンは極めて高いんですよ。アメリカの大体五倍ぐらいです。受けるひよこも、アメリカから日本に来る値段、アメリカから韓国に行く値段、アメリカから台湾に行く値段、すべて、我が国はお金持ちと見られているかどうかわかりませんが、アメリカから来る同じひよこが我が国に対しては一番高い。これは極端な言い方をすれば、アメリカから台湾に渡ったひよこを台湾から輸入した方が安いんじゃなかろうかと言われているほど高いんですね。
 これらをあわせて、試験研究の一本化の問題、あるいはこれらの問題、局長答弁なのか大臣答弁なのかわかりませんが、この一連の鶏卵の問題についてお答えいただきたい、こう思います。
#137
○高木(勇)政府委員 お答え申し上げます。
 鶏の改良の問題でございますけれども、これにつきましては、国の試験場、県の試験場、いろいろな努力をいたしております。
 それから、ただいま御指摘のありましたひよこの問題でございますけれども、実は先生御指摘のとおり、外国から輸入されているひな、これは原種鶏ないしは種鶏という形でございまして、平成四年度には約百三十万羽輸入されたわけであります。これをもとにして国内でいわゆる素ひなを生産するわけでございまして、それが今御指摘のとおり、卵用鶏にあっては九割がこういう外国の原種鶏なり種鶏からというものでございます。また、肉用鶏では九九%がそういうものであるということでございます。
 ということは、原種鶏、種鶏のところではなくて、結局、国内生産者がそこから生産された素ひなを購入するときの価格、こういうことになるわけでございますけれども、これが確かに、近隣諸国と比較しますと、えさ代とか労働費とか地代とか、そういったいろんな生産条件の違いを反映いたしまして割高でございます。
 私どもといたしましては、この素ひな価格の低減を図るということで、国内の素ひな供給体制の合理化を図るということで、国産鶏の改良増殖それから安定的な供給というものに努めてきているわけでございます。さらには、ふ化施設と種鶏、種卵の利用率を向上させるとか、特にひなの場合には雌雄鑑別労働というものが非常に重要でありまして、これの平準化、大規模ロットとか週休二日制に対応した労働をうまく配分して、できるだけコストを下げる。それから、サルモネラ清浄素びなといったような高品質の素ひなを供給するというようなことを実施をして、できるだけコストを下げて安い素びなの供給ができるようにしてまいりたいと思っているわけであります。
 それから、ワクチンについては、確かに輸入ワクチンとそれから国産のワクチンにつきまして比較しますと、価格差がございます。これについては、やはり動物用のワクチンについては、製造とか品質管理に高度の技術を要しまして、製造過程とか取り扱いによっては品質が影響を受けやすいということで、薬事法に基づく国家検定を行っているわけでございます。そういったきちんと有効性、安全性の確認されたものを流通販売するという必要がございます。
 そこで、動物用ワクチンにつきましては、これまでも安定性試験の検体数を削減するといったような規制緩和を実施してきましたけれども、さらに、有識者の意見を聞きながら、安定的なその供給を確保する一方、開発の面、製造の面、それから品質管理というのは国家検定の面ですが、そういう各段階で生産コストの低減化のための具体的な措置というものを検討しているわけでございます。
 さらに、輸入ワクチンについては、輸入承認手続の簡素化といったようなことについても、具体的にどういうことができるか検討をしているところでございます。
#138
○木幡委員 この畜産の問題のときにやはり考えなければならない問題は価格補償制度だと思うのですね。これは青果物もそうでありますが、農業全般に言えることでありますが、価格補償制度、とりわけ畜産物価格補償制度、青果物価格補償制度、各県でそれぞれに基金を造成して、価格補償制度、いわゆる基準価格を決めて、それを下回ったときには生産者に補てんをする、これを実施しているわけです。農家の方々が安定的に生産ができるという状態は、これは何かといえば、価格が補償されるということだと思うのですね。そのために、じゃ、基金造成がなかなか思うようにいかない。
 これは提案ですが、ぜひ大臣、お考えをお聞かせいただきたいのです。例えば、四十七都道府県に百億円ずつ基金を、農業振興基金がなんかで基金をお上げする。その法定果実をもって運用して、青果物あるいは畜産物価格補償に充てる基金造成に資するという考え方を持てば、例えば、ことしの予想される税収が約五十兆円とするなら、五十兆円の中で四千七百億円といえば、これは○・九%ですわね。この一大農業が危機に陥ったときに、税収の○・九%でもって生産農家の価格補償に幾ばくかのお役に立てるということは、決して高い予算ではないと思うのですね。
 かつて竹下総理が、市町村自治体にふるさと創生資金という、一億円ずつ差し上げることにいたしましたですね。あれは各市町村の大変な活性化に一部結びついた。あれはわずか三千億円そこそこではないんですかな。それを考えますると、今の農業振興基金制度といったものについて、この機会に大臣にやはり前向きに検討していただきたい項目だと思っているのでありますが、大臣の肝っ玉の大きいところをお見せいただければありがたい、こう思うのですが。
#139
○大河原国務大臣 御提案は、ただいまの現行の、例えば畜産を例に挙げての御質問だったんですが、畜産物の価格安定制度は、国の制度といたしましては安定帯、需給動向をにらみながらの上下限の安定帯で、そして下値価格と申しますか、基準価格と通常呼んでおりますが、それより下回った場合には生産者団体が調整保管をし、さらにその需給関係の変動が続く場合には買い入れるという、そういうシステムをとっておるわけでございまして、直接的な所得補てんでございます、一定の基準価格に対する所得補てんは行う建前にはなっておりません。
 委員の御提案の、基金を各県に設けて一定の基準価格から補てんしろということは、消費者負担を原則としておる今の価格政策に対して財政負担を導入するという、基本的な実は問題があるわけでございます。都道府県等でみずから自主的に基金を設けて、その運用益等で補てんするということを行っているところはあるかもしれませんが、制度としては、国の制度としては、現在のような一定の安定帯からやっておるということでございまして、基本的にその方に移行するかどうかという点については、例えばEC等は直接的な補償制度をやっております、価格補てん。これは付加価値税等の財源がございます、共通農業政策の財源として。スタートのときからそのような制度をとっておりますので、基本的に財源と制度の問題として検討しなければならない問題であるというふうに思っています。
#140
○木幡委員 今度、この問題は、若干誤解をお互いにしているところがありますから、委員会でもまたやりますが、それは国の百億円をどう使うか。
 さっともう早口で言いますと、今都道府県がやっておりますのは、県からの基金をいただく、それから生産団体、主に農協ですが、農協団体から基金を出す、生産者団体、生産者からも基金を出して、同じ基金の中で運用益を、これは生産者の代表がそれぞれ入った中でもってその基準価格を決めて、それを下回ったときに補てんをする、こういうことでありますから、今の大臣と若干、大臣とお互いもうちょっと委員会でもって煮詰めて、そのときにまたお答えいただきますから。
 時間の関係で、農業問題を論ずるときに、いろいろあろうと思いますが、農協の改革というのも大変重要な問題だと思うのですね。まず一つ、専門農協を目指すのか、総合農協を目指すのかということ値、これは古くて長い論議なんですね、系統農協の中で。このラウンドを受けたこの時期に、これから二十一世紀の初頭に向けて専門農協でいくのか、そういうスタンスでもって指導していくのか、あるいは総合農協でいくのかという考え方をまず一つお聞かせいただきたい。
 それからもう一つは、これは農協合併をしなければならないということで、農協改革のときにすぐ出てくるのが農協合併だ。これは、合併は末端農協では進んでいますが、二段階制の都道府県連はなかなか思うように進んでいないですね。じゃ、合併をしたときのメリットと合併をしたときのデメリットというのはどういう認識をしているのかということもあわせで、農協改革の一環として大臣の方からお答えいただきたい、こう思います。
#141
○大河原国務大臣 専門農協か総合農協かというのは、まさに委員が御指摘したように、古くて新しい問題でございます。
 いろいろな議論がされておるところでございまして、まあこのことは一々申し上げるまでもございませんが、アメリカのような企業的農業の際には目的別機能組合としての専門農協、これが、日本のような総合農協的なものはございません。我が国においては、複合経営が多くて規模が小さい、それで地域にもともと産業組合以来密着したものの発展というようなことで総合農協というものが支配的でございますが、今後やはり生産が専門分化した地域等によっては、専門農協の方がその本来の協同組織としての機能を果たし得るということでその道をとるというわけでございまして、画一的に、政府の方の考えその他というものではないんじゃないかというふうに現在は思っております。
#142
○木幡委員 農協の改革をこれは進めていきませんと、農協離れが、本当に一生懸命の農家ほど農協離れしているんですね。それをやはり指導するのは農水省でありますから、農協改革の今の合併だけが先行して二段階制は進まない、もちろん合併にはメリットとデメリットあるわけですから、そういうことをも踏まえて、どうぞ農協改革に力を入れていただかなければならぬ。
 農業団体という形でいえば、土地改良区の問題もこれはお聞きしなければならないと思うのですね。かつての委員会でもってお聞きしてしり切れトンボになりましたが、実は土地改良区の職員と土地連の職員との給料が月でもって六万円も差があるのですね。
 今度なぜこういう話をするかというと、六兆百億円の中でもってメーンは基盤整備事業、これは土地改良区の職員に負うところが多いんですからね。土地改良区の職員の待遇改善を図っていかなければ、同じ仕事をしていながら土地連では六万円も高い給料で、土地改良区はなかなか容易でない給料だということ自体もおかしいですが、それと同時に、じゃ土地連はなぜある程度豊かな財源かといえば、これは各都道府県ほとんど同じでありますが、市町村からの公金、これは一般財源からの負担金をいただいて運営しているのですね。言ってみれば、税金をいただいて運営の、収入の一部に充てているのですね。
 これは私の私見ではありませんよ、大臣としてお答えいただきたいのは、公金を運用している土地連の会長に政治家が就任するのは望ましいことなのかあるいは望ましくないことなのか、この辺についてもお答えをいただきたい、こう思います。
#143
○大河原国務大臣 土地改良区につきましては、まあその役員ですね、役員なりあるいは理事長、これらについての就任については定款で定めるところになっておりまして、役員、メンバーからも出まずし、またあるいは、メンバー以外からも出るということでございます。
 それで、政治家云々というお話もございますが、やはり何といいますか、土地改良事業というのは地域をまとめるということが非常に大きな事業の前進でございますので、そういう意味では、政治家のリーダー性を持った方がそれぞれにつくというケースがあることも自然だと思うわけでございます。
 したがって、その辺について、市町村が土地改良あるいは連合会に対してはメンバーとして、市町村も土地改良区のメンバーになるわけですが、メンバーとしてあれをしているのか、あるいは、土地改良事業は非常に町村行政として重要だとして、それに対する協賛的な意味で負担しているか、いろいろな形があると思いますから、一律に好ましいとかあるいはそうでないとかということは、なかなか私の立場からは申し上げにくいのではあるまいかというふうに思っております。
#144
○木幡委員 今のいただいた答弁というのは、なかなか立場としてしゃべれない、判断がつかない、あるいは公式にしゃべれない、どのように受け取ればいいのですかな。
#145
○大河原国務大臣 一律に割り切るべきものではない、そういう意味です。
#146
○木幡委員 それでは、これは後日また御指導をいただいたり、あるいは意見を述べさせていただくとします。
 農業全体の中で常に出てきますのが担い手不足、後継者不足という話がされます。これはいろいろな原因があると思いますね。少子化社会で出生率が一・五だということになれば、なかなか全体的にどの産業も後継者不足だろう。そういう意味では、別に第一次産業ばかりが後継者不足ということではないのでありましょうが、これは文部大臣にぜひお聞きしたいのですが、これはざっくばらんに物を申しますと、いつからかわかりませんが、私も戦後の教育を受けた人間でありますが、何か職業の貴賎意識というのが知らず知らずのうちに我が国の国民の中に定着しつつあるのかな。いわゆる、ネクタイをかけた仕事をしていればこれはいい仕事で、ネクタイをかけていない仕事をしているのはできることならば避けたい、そういうふうなことなのかなと。高校でいえば普通高校に入るのが圧倒的に多く、万やむを得ず実業高校に行くというようなこと。あるいはこうなると、一億総ホワイトカラー化を目指しているような感じが受け取れないとも限らない。
 やはりこれは、教育の中で産業教育に対する理解を深めていかなきゃならないと思うのですが、とりわけ、農林水産漁業に親しんだり、その職業の厳しさとあるいは重要性というものを初等中等教育で体験させるということが必要だと思うのです。実はあっちこっち聞いてみますと、小学校六年、中学校三年の九年間の間に農業に親しむ時間を持ったのが、多くてわずか五、六時間なんですね。少ないところは三時間ぐらいです、九年間でですよ。これで農業を理解する、あるいは、農家の方々が命を支える食糧を生産しているんだなどということはこれは理解できないですよ、子供は。
 これは笑い話になるかもしれませんが、東京のある小学生が、夏、福島県の会津に来たときに、山の方を見て、米のなる木はどこにあるんですか、こういう話が出るほど、これはやはり日本の教育の中で、産業に対する理解を深めるための教育のカリキュラムあるいは指導方針といったものを反省をしなければならないのかな、こう思うのでありますが、文部大臣の御意見を承りたい、こう思います。
#147
○与謝野国務大臣 教育の中における産業教育の重要性について先生は説かれたわけでございますが、私ども全く同感でございます。日本の国が今後とも発展していくために、あるいは国民生活を向上していくための幾つかの重要な基盤がございますが、やはり産業教育、職業意識というのは大きな基盤の一つであると思っております。
 それで、昭和三十年代と今を比べますと、昭和三十年代には、大体五人生徒がおりますと三人が普通科に参りまして残りの二人が職業学科に進んだ。今は、四人子供がいますと三人は普通科に行って職業学科に行くのは一人ということで、非常に比率も落ちているわけでございます。こういうものは、やはり教育自体を魅力的なものにするということ、あるいは職業学科の教育というものを活性化する必要があるというのは、文部省もしばらく前から、そういう必要性と申しますか、そういうことの重要性に対する強い意識を持っておりまして、理化学研究所の有馬先生にお願いをいたしまして、こういう問題を研究する専門者会議もつくりまして、ここでいろいろな御提言をいただいております。
 一つは、何といってもやはり魅力ある職業学科、こういうことで、いい先生も必要ですし、いい施設等も必要でございますし、また、職業学科を選ぶことによってその後の進路の選択の幅が狭まるということも好ましくない、そういう万般を考えまして、今どう対応していくかということを検討中でございます。いずれにしても職業学科の重要性については深く我々認識をしております。
 それから、第二の御質問の、少しは実体験をする必要があるんじゃないかということも先生のおっしゃるとおりでございます。都会でも、私の中学校というのは東京のど真ん中の中学校ですが、それでも中学時代は農業という時間があって、多摩川のへりに実習農場があって、一年生のときには落ち穂拾い、二年生のときには堆肥づくりとか、ほんのわずかでございますけれどもそういう農業の実体験ということをしまして、ほんのわずかですけれども農業のことを知る機会を得た。こういうことに関しまして、やはり義務教育課程でもそういう体験的な学習というものの重要性というのは私どもも十分認識しておりまして、今後それに対してどう対応していくかということは少し研究しなければなりませんが、先生の御指摘のとおり、そういう体験的な学習というものの重要性は文部省でも十分認識をしております。
    〔委員長退席、田中(直)委員長代理着席〕
#148
○木幡委員 第二次、第一次産業従事者が二五%を割って、第三次産業従事者の方々が七五%からとめどもなく八〇%に近づいてくる。一方で、二次産業は、為替の問題でどんどんどんどん生産基地を海外にシフトする空洞化現象がある。一次産業は、御承知のとおりなかなか後継者不足だ。やはり生産なくして分配なしの大原則どおり、適正な第一次産業、第二次産業といったものが構築されなければならない。とりわけ第一次産業は命を支える産業だということであれば、今回の、昨年の米騒動で見ましたとおり、一番心配をしたのが都市居住者であるということからすれば、第二次、第三次産業従事者の方々に第一次産業のとうとさというものを認識をしていただくためにも、ぜひ文部大臣、初等中等教育の中で産業教育の我が国のカリキュラムあるいは体験学習等々の問題については積極的に、審議会等々でお話しのときにはぜひそういうことでお願いをしたい、こう思います。
 最後の項目になりますが、土地改良区の問題を先ほど話しましたが、基盤整備事業の問題を話してみたいと思います。
 これは、今回の六兆百億円の主たるものは基盤整備事業というふうに考えてもいいと思うのでありますね。その中で、昭和三十五、六年のころから、当時は十アール区画の区画整理事業、昭和三十八年から四十年前後にかけては三十アールという形の区画整理事業、最近、二、三年前から一へタタール以上あるいは一ヘクタールから三ヘクタールということになってきましたが区画整理事業、これは基盤整備事業というよりは、地方では区画整理事業と、こう言っていますね。読んで字のごとく、三角の田んぼや八角形や六角形の田んぼを四角にするということ、面工事に目を奪われて、ややもすると、一番大事な水の問題に対しては残念ながらおろそかになってきたのではなかろうかと、こう思うのですね。
 私のうちも実は農家で、一町三反の農家でありますが、私のうちと私の先祖との間でもって、今の経営あるいは田んぼの中でもって明らかに違っているのは何かといえば、田んぼが四角になりました、おかげさまで。しかし、先祖がやっていたのと同じことを私が今しています。それは、水をかける作業は、江戸時代や明治時代と何も変わらない水のかけ方なのでありますね。水の問題なくして省力化とかあるいは基盤整備事業というのは考えられない。
 一つには、これはもう地方では土地改良区の責任者の方々は、やはりややもすると面工事に目を奪われていたなという反省を持っておりますが、これは反省というのは大事なことでありますから、まず大臣がその辺のところをどう認識なさっているか、一つですね。
 もう一つは、来るべき二十一世紀型の耐え得る稲作、田んぼということになれば、当然、ひねれば水がかかる給水、暗渠によって水が排水される、その水がまた循環型でもって水の管理が容易にできる循環型汎用水田を目指していかなければ、これは裏作の問題もこれから出てくるでありましょうし、あるいは近郊農業における蔬菜その他の露地物の問題も出てくるでありましょうし、やはりそういったものを鋭意つくっていただくために国のお金を使っていただく。
 今まで、ややもすると農業に対する政策は出口の予算にかなり多く使っていた。価格政策として、出口の問題。やはり農業といえども産業なのだ。産業政策的な見地から、資本の整備、生産基盤の整備により多く予算を使う、シフトを移してもらうためには、今申し上げましたような水の問題も加味した基盤整備事業といったものを、しかも農家の負担が限りなく一%に近い状態の基盤整備事業を全国で二百万ヘクタールをつくったとしたならば、これは必ず内外価格差にも耐え得るような、しかも良質で安全な米というものがとれるのではなかろうかという希望を持っているわけですが、これらの点について、基盤整備事業の問題について、二、三点について大臣の基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。
#149
○大河原国務大臣 私からも御答弁申し上げますし、また事務当局の責任局長からも、現段階における実務に即した考え方についてもお答えをさせていただきます。
 ただいまおっしゃったように、面的な面にとらわれて用排水等の問題についてのあれが遅かったのではないかという問題については御指摘のとおりかと思うわけでございますし、特に、さらに先端的な技術としての用排水の問題、これについては昨日も、生産現場に即した技術革新についてのいろいろな御質問がございましたけれども、センサー等によるこれらの自動化というような点については、重要な研究課題として取り上げるという方向になっておりますので、全体の土地改良側面から見た一つの技術革新を基礎としての高生産性農業についての検討を進めるべきだというふうに思っております。
#150
○入澤政府委員 実態につきまして、補足して説明申し上げます。
 今先生がおっしゃった排水路かパイプラインか、この問題は私ども念頭にあります。最近は、地形とか土地、工事単価とかあるいは維持管理等の地域の状況を考慮いたしまして、パイプライン化が進められるところは可能な限りパイプライン化しようというふうになっております。平成六年の実績でいいますと、パイプラインが五四%、それから排水路四六%というように、最近はパイプラインの割合が高まっております。全体として見ますと、パイプライン化の整備率が一一・五%というふうになっております。これからもパイプライン化は重要な問題として私どもは意を用いていきたいと思っています。
 それから、循環使用でございますけれども、農業用水の循環利用につきましては、再利用するときに水質汚濁、汚濁物質が農産物に悪影響を与える、あるいは新しく浄化対策を必要とするなどということでコストがかかります。しかし、水資源の有効利用という観点からはやはり循環使用も必要なので、投資額とのバランスなどを考慮しながら地域によって適切に対応していきたいというふうに考えております。
#151
○木幡委員 もう二、三通告をしておったのでありますが、時間が足りませんので、大変失礼をいたしました。
 最後に一言だけ。大臣、どうぞひとつ農家の心情をさらにおもんぱかって、さらに一層の農政振興のために最大限の努力をいただきますようお願い申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#152
○田中(直)委員長代理 坂本剛二君。
#153
○坂本(剛)委員 どうも委員長、御苦労さまです。それから大臣、連日御苦労さまでございます。今までいろいろ出てきた話もあろうかと思いますが、改めてお尋ねをさせていただくようなこともあろうかと思います。よろしくお願いします。
 随分前の話ですが、これは第二次オイルショックのころでしょうか、サウジアラビアのヤマニ石油相がある日本人とお会いしたときに、その日本人が、ヤマニさん、あなたのところはいいな、海の底からどんどんどんどん金銀財宝が出てきてすばらしいな、こういうお話をした。ところが、ヤマニさんいわく、何を言っているんですか、私どもの油田は、これはもう限りがあるんですよ、それに引きかえまして日本のあなたのところでは、くめどもくめども尽きることのない金銀財宝がざっくざっく毎年毎年とれる立派な農田があるじゃないですか、こういう話を受けた。その話を聞いたときに、その方は、はたと日本農業の偉大さといいましょうか、それに気がついたという話を私聞いたことがございましたけれども、私も、日本農業はぜひ守っていくべきであるという、こういう考え方に立っているものでございます。
 と同時に、八〇年代には過剰でありました世界の農産物でございますけれども、穀物需給、さまざまな要件によって生産の減少に実は今あるということも伺っています。それから、これから考えられる人口の爆発的な増大あるいは地球環境の変化、さらには飼料穀物需要の増加とか、発展途上国の栄養不足、飢餓問題等々、これは世界最大の食糧輸入国である我が国としては、当然これから食糧増産ということを考えて政治をやっていかなければならぬだろうと思うのですね。
 そういうような観点から、私は、どうしても日本農業だけは守らなくちゃならぬという、そんな視点でこれからお尋ねをしていきたいと思うわけでございますが、国際化に十分対応でき得る農業ということ、足腰の強い農業をつくるんだ、これはここ数年来、ウルグアイ農業交渉のたびに出てきた言葉でございます。幸い、ことしの八月、農政審議会の報告が出たわけでございますけれども、私は、これは大変うれしく思ってあの報告書を読ましていただきました。
 これはまさに規制緩和、市場原理の導入、こういったようなことがひ弱であると言われる日本農業を活性化させる大きなきっかけになっていくな、そんなことで、実は大変うれしく思ったわけでございましたが、何か連立与党の協議を経て、政府の方で農業政策大綱を決定する時点になりますと、随分それが後退しているように実は思えてならない、そんなことも新聞でも報道されておるのですね。仄聞するところ、規制緩和を懸念する社会党に自民党が妥協、譲歩したんだ、こんなようなお話でございますが、安保、自衛隊、日の丸・君が代、大変前向きになってきた社会党で、これは日本の政治、これからよくなるなと思っていたやさきに、何かバックギアを踏んだという話を聞いたものですから、がっかりいたしたようなわけでございますけれども。
 それにいたしましても、今までの農政を振り返ってみますと、何か後追い農政というのでしょうか、対症療法的な農政とでもいいましょうか、あるいは場当たり的だとでもいいましょうか、何ともいま一つ、農政をやっておるという姿勢がどうも見えてこないのですね。いろいろな問題が起こるたびに、わいわいわいわい騒いではいるのですが、積極的にやっているんだぞという、そういう責任あるものがどうも見えてこないので、がっかりいたしております。まあ、きめ細かに対応するとでもいいましょうか、そういうような日本農業を、私はやっぱりもっとつくっていくべきじゃないかな、こんな感じも実はいたしております。
 そこで、今般の農政審議会報告の精神を、大臣、どんなふうに受けとめていらっしゃるのか、改めてお伺いします。また、規制緩和や、あるいは市場原理の導入というものがいわは後退したわけでございますが、これも報告にあるような姿、いずれはそうしていくべきだろうと思いますが、その時間的な経過はどんなふうに考えていらっしゃるのか、お尋ねいたします。
#154
○大河原国務大臣 ただいまの農政審議会の報告等については、相当な長時間をいただかないとそれは意は尽きないと思うわけでございますが、委員のお言葉にもございましたように、新しい国際環境に対応する、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業協定の受け入れその他厳しい国際環境に対して、日本農業が本格的な体質を強化する、既に一昨年新政策が打ち出されて、その経営類型を実現する力強い農業構造を実現する、しかも生産者の活力を、創意工夫を生かすために規制緩和なり、あるいは市場原理の導入を大胆にやれというのが中心の考えであるというふうに思っております。
#155
○坂本(剛)委員 次に、国内農業対策等についてお伺いしますが、マラケシュ協定批准に関しまして、国内農業対策を随分と今回も手厚くしたなと自画自賛しておるようでございますけれども、これは私も大変結構なことだと思っております。土地改良負担金対策とか担い手への農地の集積、新農政対応のための基盤整備事業の推進等々、中山間地対策もふんだんに織り込まれておるわけでございます。
 私も自分の地元の中山間地帯の農協とか農民の皆さんの話はずっと以前から聞かされております。それらについてちょっと述べさしてもらいますが、いろいろな諸施策はあるのですけれども、こういったものに農協とか農民は乗りようがない、こう言っているのですね。それは、経営規模を大きくしようとしても、新規事業の導入を図ろうとしても、先が見えない不安がある。見通しが立たないことによる不安感によって前に進んでいくことができないという、こういうことを実は言っております。これは農協でもほとほと困っております。基本的な道筋みたいなものが見えてくれば、どういうものでも農民は一つの方向づけがあるとそれに対応するものだ、こんなふうにも実は農民も言っておりますし、農協自体でもそんなことは言っているんです。
 したがって、農政の長期展望がないと農民はもうアウトだよ、お手上げたよという、そういうような話が実は出ているんですね。集団化、協業化、地域ぐるみで新たな事業に取り組むということについては、さまざまな面で安定性に欠ける、その結果、踏み出せないでいる、こんなような話を実は聞いております。これも、今まで養豚とかあるいは畜産、酪農、養鶏、とにかく複合経営だと言われて随分とこれに乗った時代もありました。ことごとく失敗という事態も重ねておりますね。
 これは、そういう失敗したという話を聞きますと、国の方針にのっとっていろいみと手をつけてはきたけれども、国は、我々が手をつけるまでだ、その事業に乗り出すまで、スタートするまでは面倒見るけれども、その後の経営の中に飛び込んでいって指導するということがなかったなと。始まった二、三年というのが一番不安なんだ、一番不安定なんだ。そのときにどうしようもないものがあって、その指導がいま一つない、逃げてしまう、みんな。市況が下がれば、それに対する自分の責任じゃない話になってしまう。じゃ一体我々はどうするんだ。そういうものが一番苦しい、一番不安なときに国がいなくなってしまうんだ、こんなようなことを皆さん方は異口同音におっしゃっております。
 この不満というものは、私は非常に大変だなと思っておりますが、農民がすべての財産をかけて事に臨むときですから、補助金出したからいいだけの姿勢は、やはりこれは改めていかなきゃならぬのじゃないか。積極的に、そういう自立農家に対しては、もっとあらゆる機関を通して手を差し伸べてあげるという、そういう姿勢が必要だったんじゃないのかな、私はこんなふうに思います。
 また、県は県で、農業政策について、まさに平たん地農業も中山間地農業も一緒くたにして言ってくるという、こういうさっぱりわけのわからぬ指導で、これもまた困ることなんだ。きめ細かな対応というものが、あるいは柔軟性というものがほとんど感じられない、これは本当の話、声なんですね。こういうことが、中山間地農業に携わって本気になって頑張っている方々から聞こえてくるわけでございます。
 高齢化に対応する農業なんといっても、事業の中身はさっぱりわからない、お題目は聞くんだけれども。かといって、じゃ自分らで何とかやろうかといったって、今単協単位ではやれるものはなし、そんな力はほとんどない、こんなようなことを実は言われておるわけでございます。規模を大きくしても、農機具初めその他の設備も大きくしなくちゃならない。その資金はどうする、支払いはどうする、そして第一、大きくしたときの後はどういう見通しがあるんだと、それが見えない。これではやはり不安ばかりが、心配ばかりが先に出てしまってなかなか乗り出すことができない。
 また、適地適作なんといったって、そんな時代はもう終わった、こう言っているのですね。いいものをつくって、それが市場に出回ると、必ず外国から安いものが入ってきてしまうんだ、もうそんなばかなことはやる時代じゃなくなっちゃった、こういうことも実は言っております。したがって、今国が方向づけをしてくださっているもろもろの問題について、もう乗れないね、今の状況では対応はできないよと、非常にがっかりする話が実は来たんです。
 去年の冷害、あのときに農協が一番神様と思ったのは兼業農家だったのですね。これは、あの不作の中で、農協預貯金を取り崩さなかったのは兼業農家、農外収入のある兼業農家だけだった。共済金の支払いも入って、農外収入もたっぷりある、全然金が動かなかった、これは助かったな、もう兼業様々だよということを農協では実はおっしゃっております。
 したがって、農協としては、これから圃場整備を一生懸命やって、そして兼業農家を育成するのだ、そして農協も息長く生きていくすべをこれから考えていかなければならぬ、こんなことを言っているところもあります。まあ兼業農家の温床になってしまうかな、このまま何らの手も下さないで、ただただ圃場整備、圃場整備、大区画、大区画と言っても、どうも私は果たしてそれがうまく転がっていくのかなという、そういう心配も一面ではいたすわけでございます。
 したがって、これから六兆百億を初め、もろもろの農業予算、公共事業予算も入って、足腰の強い農業をつくっていこう、こういうことを一生懸命大臣初め考えていらっしゃるわけでございますけれども、今申し上げましたような、県の指導も本当に柔軟性がないとか、あるいはまた、一番不安なときに手を差し入れてくれなきゃ困るのじゃないか、そういうことについてひとつどんな見解をお持ちになっておりますか、お伺いしたいと思います。
#156
○大河原国務大臣 坂本委員の、現地に即したいろいろな問題点について今お話をちょうだいしたわけでございますが、確かに、次々と日本農業、全体としては成長経済の中の家族農業経営で立ちおくれていく、しかも激しい市場開放という中でもろもろの問題にぶつかってまいりまして、そのたびに施策を講じたわけでございますが、いろいろな問題が残り、御案内のとおり日本農業の脆弱化、二十一世紀に向けての各般の問題が提起されまして、一昨年も新政策という形でこれへの対応が打ち出され、今回はさらにウルグアイ・ラウンド・ショックと申しますか、農業協定の受け入れによりまして、それに対する影響の防止、さらには二十一世紀に向けての展望を切り開くということで、今日この関係についての施策を御審議を願っておるところでございます。
 これについては、やはり積極的に前向きに取り組む農家の方々、これを中心として、これに対して集中的な施策を行う、濃密的な指導を行う、施策を集中するということが何よりもまず大事だと思いまして、これについてはやはり中核的になる農家と申しますか、その辺を核として地域の兼業農家もあるいは高齢農家も取り込んで、活発な生産活動が行われるようにしなければ相ならぬということで、何といってもやはり中核の担い手がその地域におることが大事だというふうに思っております。
 昨年の経営基盤強化法が、各県ではその地域に応じた進むべき農業経営の類型を考えていただき、さらに市町村でもその計画を立てていただいて、その方向に進もうとする農家については認定農家制度というようなものを取り上げて、その数が地域においても、また戸数においても逐次ふえておりますが、そういう前向きに取り組む農家の方々を中心とした濃密的な指導と申しますか、あるいは援助、支援でございますね、支援をしなければ相ならぬというふうに思っておるところでございまして、このたびの国内対策においても、その視点で進めていかなければならないというわけでございます。
 いろいろの問題点の御指摘もございましたが、今後の農政を進める上における参考として我々も考えさせていただきたいと思います。
#157
○坂本(剛)委員 本年の農業の全予算が三兆四千億円でした。これはまあ何度も出ている、今議会でも出ている話でございますが、このたびガット・ウルグアイ対策として六兆百億円が予算化されまして、これは六年間です。国費でこのうち半分とすると、三兆円が国費として出ます。これを六年で割れば年五千億円になるわけです。毎年これに上積みするということになれば、来年は少なくとも三兆九千億円の予算が最低でも確保されなきゃならないわけですが、これ、いかがでしょうか、大臣、お約束していただけますね。
 で、これは、実は十七日の武村大蔵大臣はこう言っていますね。毎年の予算化は予算編成の過程で真剣に検討していく、こう答弁したのですが、これは、おととい日曜日に、私、ある農協の役員と会いましたが、こんなばかな答弁ないじゃないか、何できちっと言ってくれないんだよということだったんですね。そんなこともあったものですから、再度お伺いをいたすようなわけです。
#158
○大河原国務大臣 お話しのように、総事業費六兆円、したがって大体、それぞれの事業によって補助率が違いますが、平均補助率は五割を若干切るところではあるまいかと思っております。というのは、この暮れの予算で補助率で勝負をしなくちゃならない事業も多少ありますので、国費部分の全体をそういうラウンドで申し上げる以外にはないと思うわけでございます。それが一つでございます。
 それで、この点につきましては、与党と政府との最終の国内対策を決定する場合に、総事業費を六兆百億円、地方財政措置はまた別ですが、その際に、それについての議論をいたしまして問題を詰めたわけでございますが、今回の事業は、当然でございますが、対策期間六年間を通ずる新しい事業だ、新規事業だ、この点は確認をし、さらに、そのために既存の農林関係予算に支障を及ぼすようなことがあってはならないということも確認されているというわけでございます。
 予算は毎年編成されます。したがって、六年間のうちのどの部分を来年やるかという点は、機械的な六分の一ではなく、あるいはもっと加速させるかもしらぬ。いずれにしても、六年間でやる対策でございますが、その場合に、その新規事業を行うために、従来の農林予算に対して、それに対して一般原則以上に査定を厳しくして、そこから財源をひねり出すような、めり込み予算によって新規事業はこれだけだよというようなことはあってはならないというわけでございまして、我々としては、別枠というのは、先生のお話のとおり、三兆円の六分の一の五千億分は、これは別枠だ、しかし従来予算の上乗せということには必ずしも予算編成の建前からはなっておらないということでございます。
#159
○坂本(剛)委員 また何か、いいところまで答弁来たな、こう思ったのですが、まあこれはまた後で質疑するといたしまして、次に、今まで農民、生産者についてのいろいろな対応を伺ってきましたけれども、これ、私の前の木幡委員も、例の畜産パイロット事業の負債についての話がありました。で、大臣からは、過剰投資が問題じゃないのか、しかし農家負債の軽減の処置はいろいろやりますよ、こんなような話がありましたが、一生懸命まじめに畜産を経営している農家があったわけでございますが、さまざまな原因で不振に陥ってしまった、これに経営資金を貸し付けております農協が固定化債権を抱えてしまって、今非常に困っているところがあるのですね。民間の金融機関の不良債権に対しては、その償却を認めて政府がやっているわけでございますけれども、農協が抱える負債について何らかの方法をやっていかないと、償却対策を、特別の手を打っていかないと、ますますいろいろな不満もたまってくるのじゃないのかなと。いかがなものでしょうか。
#160
○東政府委員 農協の固定化負債という問題でございますが、一部の農協ではやはり固定化負債というものが、貸し付けの債権が固定化しているというものがあることは事実でございますが、農協全体として見ますと、御承知のとおり、農協と私が申しますのは単位農協でございますが、その預金の七五%は県の信運へ預金する。それはなぜかといいますと、地元の貸し付け、要するに審査能力との関係があって、地元貸し付けが中心になるからでございます。地元貸し付けなものでございますから、農家は割合にきちっと返しますし、地元の産業の性格というものはその単協がよく知っておりますから、全国平均という形で見ました場合、農協のそういう固定化した債権というのは余り多くございません。他の金融機関に比べましても高くはございません。ただ、今お話しのとおり、こういうものは審査能力ということもございますので、いろいろな手を講じて人材の育成、体制整備というようなことを図っていっております。
 それから、一部の農業経営の不振から、今先生がお話しのような農協に固定化債権が発生する場合がございます。それは事実でございますが、これは金融機関としての責任の問題、農協というのは協同組合でございます。したがって、利益があるところ、それはそういう固定化負債を償却するということは毎年の中でやっていけます。これは一部やっておられる農協もございます。これは、同じ金融機関が不良債権を償却するのと同じ措置が農協の場合もとれます。ただ、これをとらない場合がよく見受けられまして、それはずっと累積といいますか、ずっと後ろへ押してこられる、後送りになるという形になるわけですが、今合併を促進させております、その合併の際にはやはりこういうものは整理していかなければなりませんので、そういうものは、その合併のときに推進法人が行います利子補給事業、推進法人というものをつくっております、先生の御出身の福島にも早くからつくられておりまして、そういうものが利子補給をやるという形でこういうものを償却していくという措置をとっていくのが通例でございます。
 ただ、先生お言葉でございますが、農協というのはやはり金融機関でございまして、全体としましてはプラスを生じております。したがいまして、それに対して何らかの形で措置するというのは非常に難しいところでございます。また、この議論もいろいろございまして、負債対策というのは農家に、これからやっていこうという農家の負債対策ということに限らせていただいているということを御報告させていただきたいと思います。
#161
○坂本(剛)委員 全体でプラスということについてはぴんとこないのでございますが、困っている農協は随分あるわけでございます。
 時間もありませんから先に急ぎますけれども、これも輸入米の取り扱いでございますが、大臣から御答弁もありました。輸入されるミニマムアクセス米の一部を備蓄に回し、あるいは主食用あるいは加工用、こういうふうにお話しになっておりました。しかも、アメリカとか豪州米は主食用としてある程度使えるぞ、こんな観測まで実は流れております。
 去年から農民の叫びは、この輸入米を絶対飯米に回さないでほしいということだったのですね。しかも消費者も、輸入米の安全性という問題を考えますと、カビであるとかあるいは変色、異物の混入、こういったことはもう何度かあったようでございまして、非常に消費者自身も輸入米については神経質になっているというか、注目いたしております。加えて我が国生産農家のそういう叫び声でありますので、私は、ぜひとも飯米に回すということだけは避けていただけないものかと重ねて申し上げるわけでございます。
 こういう農民の素朴な不安とかそういったものにこたえる、農民の心にこたえていくというこの政治姿勢なのですね。これが蓄積されてくるともうどうにもならないものなんだ。私は、こういうことを、幾ら六兆百億用意したところで、このささいな農民の不安とか不満にこたえていくことが、やはりこれから足腰強く、本気になってやる気になる農家を育成していくという非常に大きなポイントになるのではないかなと思うのでございますが、再度大臣の御答弁をお願いします。
#162
○大河原国務大臣 ミニマムアクセスによる輸入米は政府米の一部をなすわけでございますが、これについては、先般も申し上げましたとおり、主食用なりあるいは加工用というものに対して販売をいたすということでございます。それはまあ理屈になりますけれども、輸入品についての差別的取り扱い、ガット三条で内外無差別という原則がございまして、それで開き直られるとなかなか厄介な問題になるという面もあるわけでございまして、その点についての対外的な配慮も必要かと思います。
 ただ、加工用米の需要等を開発して、それに輸入米が円滑に入るというようなことをいかにして実態問題として調整ができるかとか、あるいは処理ができるかという努力もまた必要であろう、そういうふうに考えておるわけでございます。
#163
○坂本(剛)委員 今輸入米の安全性が出てきたものですから、重ねてお尋ねいたしますけれども、今月の十七日の朝日新聞に出ておりました「厚生省は、非公開だった農産物の残留農薬についての調査結果を全面公開する方針を固めた。」という記事でございます。
 私もぜひそうしていただきたいなと、こう実は思っておる者の一人でありますが、今から十一年ぐらい前になりますか、私のある知人がヤギを十一頭ほど飼っていて楽しみにしておったわけでございますが、たまたま交通事故で右手と右足を骨折してしまいまして、ヤギにえさを食べさせることができなくなったので、その奥さんがスーパーへ行って、丸ごと卸されている野菜を買って、それをヤギに与えていたということです。そのスーパーは御親戚らしいので、安く譲ってもらったんでしょう、多分。そうしてやっていたところ、半月たたないうちに、あるとき、ころっと全部死んじゃったというんですね。
 その話を、その事件があって十カ月ぐらい過ぎてから私、聞いたのですが、いや危ないものだよと、こう言うんですね。何が危ないんだよと言ったら、合うっかり野菜食えないよという話で、どうしてだと言ったら、かくかくしかじかだったのだ。何でそのときと言ったら、いや親戚でもあるし、そんなことで大騒ぎになったのでは迷惑をかけるから言わなかったけれどもと、そんなような話で、いろいろ考えたんだけれどもそれ以外考えられないと言うんですね。ですから、売り物に出そうという、出荷をしようという農家はいろいろな努力をしながら、工夫しながら、その新鮮さというものを保持するために努力をしているようだよという話を伺ったわけでございました。
 そんなこともあるものですから私は以下いろいろ質問いたすわけでございますが、「厚生省は、市民団体などから調査結果の公開を求められていたが、消費者などへの影響が大きいことなどから、ためらっていた。」とも書いてあります。
 そこで、厚生省にちょっとお伺いするのですけれども、市販の農産物の定期的サンプル調査はいつごろから始めたのか、また、どういうところからどういったサンプルをとっていたのか。さらに、現在まで残留農薬基準を超えたサンプルがあったのかどうか、あったとするならばそれらにどう対処してきたのか。それからもう一つは、輸入農産物の安全確保については、国民が安心できる体制を早く確立すること、それから情報の速やかな公開をすること、これが大きな課題であると思うのでございますが、これらについてひとつ厚生省の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
#164
○小林(秀)政府委員 お答えをいたします。
 まず、厚生省では現在、食品中の残留農薬の調査を三種類やっております。一つは、検疫所におきまして輸入農産物の残留農薬の調査をいたしております。二つ目には、厚生省や地方自治体が行う市場での農産物の残留農薬の調査をやっております。それから三つ目に、厚生省が行う国民のモデル献立に基づく農薬の一日摂取量、こういう三種類の調査をやっておりまして、その三種類の調査について新聞報道ではいろいろなところを取り上げているものですから、その三つを分けて御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、検疫所における残留農薬の調査につきましては、昭和四十年代から始めておりまして、全国十その検疫所の本所とそれから十三カ所の支所等で持ちまして、過去の違反事例等から見て違反のおそれの高いものは全部、それからその他についてはランダムサンプリングで調査を行っております。違反の事実が確認された場合は、当該農作物は廃棄それから積み戻し等を指示をいたしております。
 次に、厚生省の行っている残留農薬調査については、昭和六十年から、基準のまだ設定されてない農薬につきまして調査をいたしております。これは市場の方で、あります農産物をランダムサンプリングをいたしまして調査をいたしております。本調査は新たな基準設定を目的とするものでありますので、違反を取り締まるという性格のものではないのであります。ただ、食品衛生上問題になるような事例は今までのところありませんでした。
 また、地方自治体における市販農産物監視につきましてでございますが、これは昭和四十年代より各地方自治体で始められておりまして、違反のおそれの高いものや、ランダムサンプリングの方法によりまして実施をされていると聞いております用地方自治体においては、違反事例については当該農産物の廃棄、それから農政担当部局との連携による農薬の適正使用に関する指導等、適切な措置を講じていると報告を受けております。
 さらに三つ目の調査で、農薬の一日摂取量調査、我々マーケットバスケット調査と申しておりますが、これにつきましては平成三年より厚生省において実施をいたしております。本調査は、国民の平均的なモデル献立をつくり、当該献立に基づき、市場において市販されている農産物を実際に購入をし、その中に含まれている農薬を分析をいたしております。本調査も違反を取り締まるためのものではございませんが、食品衛生上問題になる事例は見られておりません。
 このように、現在行っている調査結果を見る限り、残留農薬の検出割合やその程度は低く、国民の健康に影響を及ぼすものとはなっていない、このように観察をいたしております。
 また、調査結果の公表につきましては、今般、輸入米の検査結果について公表をしてまいりましたし、またマーケットバスケット調査についても、ここにお持ちしています「食品衛生研究」という雑誌の一九九四年の四月号に公表をいたしておりまして、特に厚生省が農薬に関するデータを秘密にしておるということは従来からも余りやっておりません。ただ、残留農薬調査、まとめて調査結果という形で本に出していないというのが現状でございます。
 次に、輸入食品の検査について、安心できる体制を確立するとともに情報を速やかに公開をすべきではないか、こういうおただしてございます。
 米を含めた輸入食品の安全性確保は、国民の健康を守る上で大変重要と我々も考えておるところでございます。このため、厚生省では、検疫所の食品衛生監視員の増員、それから高度な検査を実施する検査センターを横浜及び神戸検疫所に設けるほか、従来から輸入食品の監視体制の整備充実に努めるとともに、国内で流通する段階においても、保健所の食品衛生監視員による収去検査で対応をしてまいっておるところでございます。
 また、今般の米の緊急輸入に際しましては、農林水産省の協力のもとに、買い付け時の検査、それから先行サンプル検査、それかも到着時検査を行うとともに、検査結果については公表してきたところでございます。その結果をまとめて申し上げますと、残留農薬の検査結果、全部で二百二十五万トンの検査をいたしました。そして、先ほど先生が御指摘ありましたカビの発生があったものが約一万トン、全米量の○・四%にカビの発生がありましたが、農薬等、食品衛生法上の問題は何もございませんでした。なお、カビの発生があったものについては、食用ではなく他用途、私が聞いているところではのりに変わった、こういうふうに聞いておりますが、そのように処理をされております。
 いずれにせよ、国民に安心して食生活を送っていただくためには、情報提供と、それから国民の不安に対して相談に応ずることが重要だと考えております。今後とも、農林水産省や地方自治体との連携をとりながら、食品の安全確保に努めるとともに、検査結果等の情報の公開のあり方についても積極的に検討してまいりたい、このように考えております。
#165
○坂本(剛)委員 今小林局長さんのお話を聞いて安心しました、国民の健康には影響ないということでございますので。私はそれ以来、生野菜を食うのが何となく気分悪くなっちゃって、皿の上で、洗ったな、水にぬれているなと感じられるものは食べるのですけれども、からからに乾いたのはなかなか手をつけられないほど神経質になっていたのですが、今晩からゆっくり食べたいと思います。
 そこで、厚生省の全国的なデータの分析によりまして、どのような農産物にどのような農薬がどれだけ使われているかの判断材料が今度は得られることになるわけであります。農水省としては、今までどういう形で農家を指導してまいったのか、また、消費者が求める安全性という面について、今後どのように生産者を指導していくのか、お尋ねをいたします。
#166
○日出政府委員 先生お話しのように、近年は消費者の健康志向等から安全な農産物の供給の要請が高まっているわけでございます。このため、農薬がすぐに問題になるわけでございますが、これは一方、農業生産に欠くことのできないものでございます。
 そこで、まず登録に当たりましては、農薬取締法に基づきまして、薬の効果、あるいは安全性等の観点から毒性なり残留性等に関します所要の検査をきちっといたします。それからもう一つは、農薬の適正な使用を確保するため、農薬の使用時期、方法等の農薬安全使用基準を設定いたします。それから三つ目に、この使用基準をベースにいたしまして、都道府県や販売業者等を通じまして、農業者に対しましてこの基準の周知徹底なり遵守の指導を行っているところでございます。今現在農薬で登録されておりますのが五千八百、これは商品名でございます。有効成分でございますと、四百五十ございます。これにつきまして、今申し上げたようなことをやっているわけでございます。
 さらに、こういった農薬の登録制度の適正な運用を図ることに加えまして、健康志向ということに沿いまして、いわゆる土づくり等の励行によります農薬や化学肥料を節減した農法の普及、あるいは有機農業といった取り組みに対します支援等を今進めておるわけでございます。
#167
○坂本(剛)委員 次に、新食糧法について幾つかお尋ねしたいと思います。
 生産調整実施を確保でき得る最大の方法として、生産調整助成金を出すことを明確に担保することだと思っております。その方法として何があるんでありましょうか。ひとつお尋ねいたします。
    〔田中(直)委員長代理退席、委員長着席〕
#168
○大河原国務大臣 生産調整につきましては、的確な需給見通しのもとに全体需給を確保するためには、どうしてもこの生産調整が的確に実施されることが必要でございまして、基本的には、農家の協力を得て、地域なりあるいは生産者のその意向を尊重しながら、全体需給との調整を図って目標をお願いするという建前だと思うわけでございますが、御案内のとおり、政府の備蓄のための買い入れと、あるいは生産調整助成金の交付ということ、もう一つは、従来以上に多様な生産調整の手法を導入して、それによって生産者が受け入れやすいような体制をつくる、この三点が中心だと思うわけでございます。
#169
○坂本(剛)委員 民間でも備蓄をするという制度に今度なるわけでございますが、この民間の備蓄米は売り出すときは古米になっている、こうなるわけですね。それで、もし余ったらば、これは古米が大変なことに実はなってきます。
 そこで、政府米の販売抑制ということも当然考えていかなくちゃなりませんし、絶対余らない、民間備蓄米はきれいに売り出せるんだ、はけるんだと、そのための何らかの工夫を考える必要があるんじゃないのかなと、こう思うんでございますが、民間の備蓄、調整保管に対する助成措置、あるいは円滑な販売ができる運営方法の確立、これはどんなふうに考えておりますか、お尋ねいたします。
#170
○大河原国務大臣 全体の需給調整のためには、国が備蓄として、政府米として買い入れるという以外に、本来やはり生産者団体に需給調整の役割をひとつ担っていただかなければならない、調整保管という形でお願いをすると。
 その調整保管について、これに対する助成とか、あるいは、今の非常に大事な、古米としての売れ残り問題というような点の運用についてのお問いただしがあったわけでございますが、調整保管については、民間団体、自主流通法人等の、指定法人等の調整保管については、金利、倉敷等の問題としての助成が当然考えられるわけでございますし、それから、民間の調整分についての古米等の取り扱いですが、従来の制度においても民間の自主流通米がもう主体を占めてきたわけです、今日のただいまの制度においても。その場合に、その自主流通米の流通状況と申しますか売れ行き状況を見ながら、政府米の売り渡しも調整をしてきたというような経緯も過去にございますので、そういう点では、やはりこれは運用の問題でございますから、その点についての配慮をして、両者が一体となっての運用によって遺憾なきを期したい。現段階で申し上げられるのはそういうことでございまして、起きてくる事態によってそれは具体的に決められなくちゃいかぬ、さように思っております。
#171
○坂本(剛)委員 需給と価格の安定を図るための、登録業者を通じた計画流通米の確保対策として、計画流通米に対する助成措置はどういう水準を考えているかということでございますが、お尋ねします。
#172
○大河原国務大臣 現段階で申し上げられることは、従来の自主流通米についても、季節的な調整その他国内全体の流通とかを考えて、自主流通米に対してはある程度の販売促進費等の助成をしてまいったわけでございます。それが今度は計画流通米ということになりますので、今までの経験と実績に徴して、その助成の水準等は決めていかなければ相ならぬというふうに思っております。
#173
○坂本(剛)委員 政府買い入れ価格の算定方式についてでございますけれども、これもいわば規制緩和が後退したと言われる一つの原因になっておりますけれども、市場実勢の反映や再生産の確保の観点から決定される政府買い入れ価格の具体的な算定方法、水準等について、どういう方式を採用しようとしているのか、また、その効果はあるのかどうか、お伺いをしたいと思います。
#174
○大河原国務大臣 お答え申し上げます。
 この点については、昨日も各般の点からの御質問をちょうだいしておるところでございますが、やはり政府米の価格といえども全体の米価体系の一環でございますから、整合性を保つ必要がある。いわゆる流通の中心をなす自主流通米の、需給事情によって決まります、あるいは市場評価によって決まります価格を基本として決めなくてはならない。それが稲作生産者にとっても、何と申しますか、ニーズに対する生産の一つの目標にもなるわけでございますので、そうしたいわけですが、他方では、やはり政府が買い入れる価格でございますから、コストその他の生産条件というものを考慮する必要もあるということで、再生産の確保を旨とするということになっております。
 したがって、二つの要素と申しますか、基本は自主流通米の市場によって形成される価格でございますけれども、一つの配慮事項として、今申し上げました生産条件を加味しているわけでございます。こういう一つの法文でございますから抽象的な表現になっておりますが、具体的な数字をはじくための算定方式については、実は、はっきり申し上げますが、これからの検討でございまして、今言った法文の精神を算定方式にいかに取り込むかということが課題だと思うわけでございます。
 きのうも、石破委員でございますか、御質問がございましたから申し上げたのですが、現在の食糧管理法における生産者米価の決め方は、生産費その他の物価事情を参酌して再生産を確保するように決めるということを書いておりまして、生産費及び所得補償方式と言われるように、方式等については、それは算定方式の問題として従来算定されておるわけでございますが、今度の改正法案のこの条文の趣旨に基づきまして算定方式を決めていきたい、さように考えております。
#175
○坂本(剛)委員 最後に、私から御要望というか御意見を申し上げさせていただいて、質問を終わりたいと思いますが、農業の果たす役割というのは、地球環境保全であるとか、保水、湛水能力であるとか、さまざまなものが実は言われております。環境保全にしても、洪水調整機能にしても、これは著しく市民生活に関連のあることでございます。もし我が国が高温多湿の風土でなくて、ここに水田というものがなかった場合に、その水田にかわるものを我々が確保するというのは、大変な費用がかかってくるんじゃないかな、こう思います。
 そんなところから、日本農業を維持していくために、これからもますます費用がかかるでありましょう。この農業維持のための資金源、それを何らかの方法で考案する必要もあるのじゃないのかな。例えば、道路財源としてガソリン税を創設いたしました。こんなこともありました。今また、世界地球環境を守るために環境税の創設云々ということも早くから言われておりますし、我が国でも、もうそろそろその方面に手をつけていかなきゃならない、そういう状況になっております。
 そんなことを考えましたときに、私はこの農業は、これはもう欠くべからざる存在になっちゃっているわけでありますから、先ほどのヤマニ石油相の話ではありませんけれども、そんなことから考えましたときに、恒久的に農業向けの財源というものを確保するような方策を、積極的に農政をやるんだという意気込みの中から私はつくり上げていくべきじゃないのか。後追いとか場当たりではなかなか出てこない発想なんですね、これは。本当に積極的にやっていただかなければ出てこない。そんなことを最後に提案申し上げまして、後、石破委員が非常に時間を欲しいと言っておりますから、石破委員に時間を回すことにしまして、質問を終わります。
 大臣、ありがとうございました。
#176
○佐藤委員長 坂本君の質疑は終了いたしました。
 次に、石破茂君。
#177
○石破委員 大臣、連日御苦労さまでございます。また、大蔵政務次官、お忙しいところを恐縮でございます。私もきのうに引き続きまして質問をさせていただきたいと思います。
 きのう、主にいわゆる別枠論というのをやりました。それは、別枠ということにどういう意味があるかということにそうこだわるつもりはないし、そしてまた、六兆百億というものも数字にこだわるつもりは私はないのです。その六兆がたとえ四兆であろうが五兆であろうが、きちんとした中身のあるものであれば、それはそれでよろしい。それが六兆であろうが七兆であろうが八兆であろうが、中身が全然ないのだったらば、こんなものは数字の遊びにすぎない、まさしく農家、農民を欺くものであるというふうに考えております。
 よもやそのようなことはあるまいというふうに確信をいたしておりますが、長い間ずっとこういうことを言ってまいりました。我々議員が選挙区に帰りまして言うことは、大体三つぐらいなんです。一つは、米の自由化は絶対に許さないということを声高に発言をしてきたはずだ。そしてまた、食管制度の根幹は守ります、こういうふうに言ってきた。そして、米価大会に行けば、私は米価を上げるために頑張るぞ。大体この三つ言っておる人が多かっただろうというふうに思っています。私も間違いなくその一人であります。
 問題は、この六兆百億なるものが、きのう総理の御答弁でも、大蔵大臣の御答弁でも、別枠じゃないということをはっきりおっしゃいました。しかし、一般の有権者、一般の農家、農民は、六兆百億と出れば、間違いなくそれが新たに積み増しされるものだろうと信じているということがあることは事実として認めなきゃいかぬ。それが違うなら違うということをはっきり言わなきゃいかぬ。それが仮に新しい事業といえ、新たに積まれるものとはいえ、とにかく六兆百億なるものが新たに降ってくるのではないということは、私は事実としてここできちんと確認をしておきませんと、今後まさしくいろいろな意味での混乱を招くに違いないと思っております。
 きのう同僚議員が指摘をしましたように、いろいろな大会で、皆さん六兆百億取ったんですよ、これが新たにつきますよというような喧伝がなされておる。私も実際にそういう場面を見ました。残念ながらそれが新たに降ってくるものではないよということだけは、それが純粋にオンするものではないということだけは確認をしておかねばならぬというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
#178
○大河原国務大臣 お答え申し上げますが、国内対策の総事業費、国費にあれすれば約三兆、このあれは六年間の新しい事業でございます。したがって、この事業についてはやはりきっちりした予算措置がとられる。
 問題は、従来の予算、通常の編成作業において査定を受ける、その予算との関係で、そちらの方が査定を受けたりなんかすれば、純粋に三兆四千億プラス五千億にはなりませんよという結果もあり得るということでございまして、特に私が申し上げているのは、財政が大変窮乏しておる、したがって、その六兆円の一年分の新事業費をひねり出すために従来の予算三兆四千億を、厳しい査定によって財源をひねり出すというようなところがあってはならないということを申し上げているところでございます。
#179
○石破委員 大蔵政務次官、今の大臣の御答弁で、新しい財源をひねり出すために既存のものに支陣を来すようなことはしない、こういう意味で間違いないですね。だとするならば、財源をどこに求めるかという話なんですよ。
 私は、これは本会議でもお尋ねをしたことでありますが、武村大蔵大臣に私どもが、この六兆でも何でもいいのですが、対策費のお願いに行きましたときに、消費税五%ではこれは出ないわなということをおっしゃった。それは別に議事録にとってあるわけでもありませんから、言った言わないの議論をしても仕方がありません。しかしながら、消費税を五%というふうにしたときに、農業対策というもの、こういうものを入れるという発想があったのかなかったのかというお尋ねをしましたが、きのうは御答弁をいただくことができませんでした。
 私は、そういう発想が財政当局の中にあったのかなかったのかということをお尋ねしたいのです。つまり、こういうふうに我々がずっと米の自由化はしないという国会決議を三回もやってきたのです。それはもう新幹線だって別枠というわけにはいかぬ、福祉だって別枠というわけにはいかぬ、確かにそれはそうでしょう。しかしながら、これは新幹線がどうでもいいとか福祉がどうでもいい、私はそんなこと言うつもりはないのですよ。それが別枠じゃないということも確かに一つの考え方としてあると思う。しかし、国会で三回も決議をしたものも別枠じゃないんだ、新幹線や福祉と一緒なんだという考え方は、いかがなものであろうか。国会決議というのはそんなに軽いものなのかというお話なんです。
 そして、このラウンド受け入れということによって生ずるところの不利益は一体だれが負担し、その不利益は利益を享受する者がそれをもって償うという考え方がなければいかぬ。ずっと議論に出ておりますように、農業の不利益というのは国家国民全体で負うべきものなのです。韓国は、このラウンドを受け入れたときに増税までやって、国民全体の負担でこれをやるべきだということでありました。
 私は考え方としては、いろいろな税金もあろうかと思いますが、それは一般財源で賄う、国民全体の負担で賄う、消費税をこれじゃやれないというのであれば、三を五に上げるというのであれば、そしてまさしくラウンド受け入れということがあるのであれば、三を五に上げるときに、そういうような発想があったかなかったか。従来の予算に支障を来さないということであれば、一体どこから財源を出すのか。建設国債発行の見通しはどうなのか。財政状況がかような中にあって、建設国債だからばんばん出してもいいという話にならないでしょう。その辺の財源の見通しはどのようになっているのか、お尋ねいたします。
#180
○萩山政府委員 きょうは大臣が参議院の方に出席いたしておりますので、政務次官でまことに申しわけございませんが、(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)そうですか、ありがとうございます、御答弁をさせていただきたいと思います。
 石破先生もよく御存じでございますが、今回の対策というのは、ウルグアイ・ラウンドの合意に対する六カ年の新しい事業を展開しようとしている予算でありますね。それが農林水産予算として今までの予算に支障を来さないようにこの予算を配慮していこうということで与党調整会議で合意したものであるというふうに、皆さん御承知のとおりであります。
 いずれにせよ、今度から予算が始まるわけでありますから、その予算編成の過程において検討していかなきゃならない問題であるし、また、先ほど将来に向けて消費税の問題も出てまいりました。これはやるとかやらないとかの問題ではなくて、これから予算過程においてもそんな論議が出てくるであろうという答弁しか私は今できないのでございまして、将来に向けて、予算過程の中においてこういう話が出てくるであろうというふうに、私は石破先生に御理解願いたいわけでありますが。
#181
○石破委員 それではわからないんですよ。要するに、財源は何ですかということをお尋ねしているんですね。それは予算編成過程で明らかになるでは、これ財源がわからないで対策に値するんですか、こんなもの。どこから金が出てくるかわからないで対策なんというものが言えるんですか。お願いします。
#182
○萩山政府委員 厳しい御質問でございますが、予算編成の過程で総合的にこれをしていかなきゃならぬというふうに御理解願えればいいと思うんですが、いかがですか。
#183
○石破委員 農林大臣に御答弁をいただきたいと思います。
#184
○大河原国務大臣 なかなか巨額な歳出増の要因でございますが、全体の歳出予算の編成の中でのそれぞれの財源の調整によって行うべきでございまして、目的税というように財源と支出が直接的に結びつく問題とは少し違うのではあるまいか、さように思っております。
#185
○石破委員 まさしくそれはそのとおりなんですよ。ただ、私がわかりませんと先ほど来申し上げておりますのは、従来の農林予算には支障を来さないということが片っ方にある、片一方には建設国債とかそのようなことについては全く答えられない、こういう話が片っ方にある、そしてまた、目的税というわけにはいかない、それはそうでしょうね、今の時点で。
 そうすると、一体どこからお金が出てくるんでしょうかということがあって、どうしても従来の農林水産予算に切り込みがいくんじゃないのか、そういう懸念が消えないんですよ。それは絶対にないんだということが言い切れれば、私はそれなりに得心もするし、安心もするんです。従来の農林水産予算に支障を来さないということの実効性の担保がどこにあるんだろうかということが、私は、財政当局からそういう木で鼻をくくったようなお返事で、さあおまえたち納得しろ、予算編成を見ろというふうに言われて、本当にそうでしょうかねということを、懸念を払拭できないんですね。
 従来の農林水産予算に支障を来さないということは、今までスクラップ・アンド・ビルドということが言われてまいりました。新しい事業をやるときには何か切りなさい、何かやるんであれば不要になったものはやめてというのが従来の予算編成のやり方であったというふうに思っています。何か項目を立てるときには何か一つ削る、そういうような形をやってきた。それをスクラップ・アンド・ビルドというような言葉で私どもずっと使ってきたんですが、従来の意味でのスクラップ・アンド・ビルドによって財源を生み出すことはないということで理解をしてよろしゅうございますか。
#186
○大河原国務大臣 石破委員おっしゃるように、従来の予算編成の際には、サンセット方式とかあるいはスクラップ・アンド・ビルド方式というようなことで、新規事業に対する財源を既定予算の削減によって充当するという例はよくございます。
 しかし、今度の場合、そういう問題があるからこそ、従来の農林予算に影響を及ぼすことがないように配慮するという歯どめがかけられたつもりでございます。
#187
○石破委員 大蔵省にお尋ねをいたしますが、これは、たしか二十日の段階では三兆五千億だったんですよ。そういうふうに理解をしています。ところが、あっという間に六兆になったんですね。これはどういうことですか。
#188
○大河原国務大臣 お答えいたします。
 申し上げますが、私はつぶさに財政当局との折衝を行いました。その場合の三兆五千億というのは、現段階で中身の決まっているのが三兆五千億ということでございまして、当時は負債対策その他まだ事柄を政策立案、柱を立てることについて激しい財政当局と我々との間のやりとりがあったわけでございます。
 したがって、それを最終的な六兆何がしと比較するのはいささか無理ではあるまいかと私は思います。事実、折衝をいたしました私自身から申し上げるところでございます。
#189
○石破委員 実際に折衝なさっておられる農水大臣がそうおっしゃるのでありますから、そのようなことであろうというふうに思います。
 それじゃ、実際に先ほど来、きのうからずっとそうですが、新しい事業であるというようなことが言われている。では、何が新しい事業なんだ、新しい事業と言うからには古い事業というのがなければいけませんね。古い事業があって新しい事業、新しい事業で六兆百億である。そのうちで公共事業は三兆五千五百億である、そこまではわかっています、そこまではわかっている。じゃ、新しい事業だから、これには予算をつけて六兆百億ですよ、ただし別枠かどうかはぼんやりしているんですけれどもね。とにかく新しい事業をやる、今までのものを切ることはしないということで理解をしています。さすれば、何が古い事業で何が新しい事業ですか。
#190
○大河原国務大臣 これは国内対策について、これを支える対策関連のそれぞれの事業について見ていただければそれははっきりするわけです。例えば、農家負債対策等についても、従来は自作農資金のリリーフ資金とか再建整備資金とか、御案内のとおりそういう施策がございましたし、大家畜経営安定資金というのもございました。それに今度は総合的な農家負債軽減対策という柱を立てまして、それについての融資枠を設定して利子補給をいたす、これが新しい仕事でございますし、それから共同利用施設等についても重点かつ加速的に行うということで、流通加工施設その他についての年次計画を立てた事業、これが国内対策開運の新しい流通加工施設事業というように、それぞれについて新しく柱を立てております。その柱に即した経費が新しい事業に伴う予算になる、そういうふうに御理解願いたいと思います。
#191
○石破委員 大臣御指摘のことはよく理解ができます。つまり、農家負担の軽減支援特別対策であるとか流動化対策であるとか、新規就農者の確保対策、土地改良負担金軽減、畑作対策、果樹対策、畜産対策、でん粉対策、中山間地新部門導入資金、中山間地・都市交流拠点整備、中山間農地保全対策それから技術開発、それが新しいということは、確かに項目は新しく立ってますから、これは新しい事業だなということがわかるんですね。それは従来のものの組みかえもあるでしょう。新しくやるものもあるでしょう。いろいろなことがあるだろうと思います。
 問題は、ラウンドの関連農業農村整備緊急特別対策という公共事業のところだと私は思っているんですね。公共事業の三兆五千五百億、これは私どもぺーパーをちょうだいをいたしました。至って簡単なペーパーでありまして、これはどう分かれているかというと、事業費総額は三兆五千五百億円である。その一つの柱が高生産性農業基盤整備緊急促進事業、これは三つに分かれまして、大規模と畑作とそれから複合、そして中山間地、こういうふうに分かれるわけですよ。実はそれしか示されてないんですね。これが三兆五千五百億なんです。私がよく得心ができない、理解ができないのは、確かに農業を類型別に分けますと、大規模水田そして複合経営、畑作、中山間、この四つだろう。確かにそこまではわかる。しかし、逆に言えば、その四つを提示したにすぎないで三兆五千五百億という金がぼんと出ているわけですね。これをそれぞれ細分化して、何がどういう中身になっていくのかということが、私は実は最も重要な課題じゃないのかなというふうに思っておるのであります。
 ばらまきとか何とかいろいろなことを言われますが、私は別にばらまきだとも何だとも思ってないんですね。そういうものはいわれなき非難であって、私はきのうもどなたからかお話がありましたが、今の日本というのは非常に不幸な状況で、都市も農村もみんな不平不満言っているという不思議な話なのですよ。都市の人は農村に来て、いいな農村は、広い家に住んで車が三台もあって結構なことであるというふうに言われますが、それじゃ農村に来て住んでみませんか、土地もあいてますよ、いかがですかと言うと、いやそれだけは御勘弁というような話で、どういうようなことだかよく私は理解できないのですけれども、とにもかくにも都市と農村が両方、不平不満を言っているという不思議な状況であるというふうに思っています。
 確かに、農業というのは、これから先の農政というのは、食糧の確保、後に新食糧法案のところでお尋ねをいたしますが、それも大事なんでしょう。しかしながら、日本全体の均衡ある発展ということに対してどうやってこれから先予算を組み、どうやって政策を打っていくかという、私はそういう視点が一番大事なんじゃないかなというふうに思っているんですね。都市と農村との均衡ある発展ということです。
 これはもう釈迦に説法みたいな話ですが、とにかくこの一極集中というのが打破できなかったら何か政策の間違いがあるというふうに私は思うんです。デカップリング論の中でも、グリーン・ツーリズム論の中でも言われることですが、ヨーロッパに行って一極集中の都市なんて見たことないですね。こんなものはアジアの発展途上国特有の現象で、大体、東京にしても大阪にしても、だれがどうのこうのと言うつもりはありませんが、費用対効果の限界を多分超えたんだろう、ここから先は、国全体の富をどうやって配分するかという考え方からいえば、農業、農村の基盤整備、そういうものが最も必要であるという考え方は認識をしておるつもりであります。したがって、そのために、この三兆五千五百億の中身は何なんでしょうかということになるわけですね。
 平成七年度の農林水産予算の御説明をこうやってずっといただく、この中で公共事業というのはたくさん仕組まれていますね。この中のいろんな項目がございますよ。集落排水もあれば農道もあれば、いろんなものがある。それがこの中にどのようにはまっていって三兆五千五百億になったのか。まさか最初に三兆五千五百億ありきだとは思っていない。いろんなものを積み上げて三兆五千五百億になったはずです。その中身というものはこの時点で明らかにならないものでしょうか。それは予算編成のときまで明らかにならない、とにかく三兆五千五百億なんだ。私はこれで、この公共事業の部分、なかなか納得しにくいものがございます。いかがでしょうか。
#192
○入澤政府委員 三兆五千五百億の内訳を若干申し上げたいと思います。
 これは、先生御指摘のとおり四つに分かれておりまして、一つは大規模水田地域対策、二つ目が畑作農業地域対策、三つ目が複合経営地域対策、それから四つ目が中山間地域対策でございまして、そして全体としては、この大規模水田地域等の高生産性農業を展開する、それに約六割程度を振り向ける、それから中山間地域の活性化対策に四割程度を振り向けるということになっております。
 この高生産性農業基盤整備の中の三つをどのような割合で振り向けるかどうかというのは、これから予算編成の過程で検討しなくちゃいかぬ問題でございまして、ここら辺は、今度は地区ごとの積み上げが必要でございますから、それが明らかにならないで何割ということは明確に申し上げることはできません。
#193
○石破委員 今のお答えで、その高生産性農業基盤整備緊急促進が六割である、中山間地は四割であるというようなお話をいただきました。そこから先は今の時点では明らかにならないというような御答弁であったかと思います。
 ただ、私は、この三兆五千五百億の中で、例えば国費はどれだけなんだろうか、そしてまた、負担部分、事業者負担部分はどれだけあるんだろうかということをまず明らかにしていただきたいと思います。
#194
○入澤政府委員 国費も、三兆五千五百億の中で従来から半分程度ではないかというふうに答えていますが、それはなぜかといいますと、事業種類ごとに補助率が違います。例えば大区画の圃場整備事業、この区画の中でどのくらい、これから地元の要請を受けて積み上げて、どのくらいの全体の規模になるかというふうなことから国費が決まってくるんでございまして、今一応のところは従来の我が方が持っている、例えば四五%の補助率、五〇%の補助率、あるいは五五%の補助率、こういうものを勘案しますと大体半分程度です。それよりも若干高いかなということでございまして、明確に何兆円というふうに今積算ができないわけでございます。
 それからまた、農家負担の割合も、これは例えばいろんなガイドラインがございます。圃場整備事業一般であれば農家負担は一七・五%でございますし、担い手大区画の圃場整備であれば一二・五%でありますし、それから、中山間地域の総合整備事業であれば五%というふうに、事業によって農家負担の割合は違います。したがいまして、一概に何千億というふうなことを今ここではっきりと申し上げるわけにはいかないわけでございます。これは予算の編成の過程で初めて出てくる問題でございます。
#195
○石破委員 新しい事業であるということなんですね。新しい事業なんだけれども、ここの中のどこがどういうふうに新しいのかということ、今までとどういうふうに考え方が違い、何をもって新しいという定義を与えるのかということなんです。
 私、先ほどしつこく聞きましたのは、大規模水田と畑作と中山間と複合というのは、これはもうだれでもわかること。それを並べて新しいと言われてもだれも新しいとは思いません。この中のどこがどういうふうに新しいのか、何をもって新しいと定義づけるか、そのメルクマールは何であり、新しいものであればきちんとこう、まあ別枠的なというふうにきのう総理もおっしゃいましたが、新しいということが財政当局に認められれば、それはきちんと確保されるんだねということが得心できなければいけないと思っております。その辺、農林当局はどのようにお考えか。
#196
○入澤政府委員 その新しさというのは二つあるのですね。
 一つは予算書上ですね。例えば立目をするとかあるいは目細を立てるとか、これは予算の、予算書もこれも一つの法律の形式でございますから、その中できちんと別建てをして、要するに従来の予算の中にめり込ませるんじゃなくて、立目をするとか目細を立てるとか、そういうふうなことで新しさを強調すると。
 二つ目は事業の内容についての新しさでございまして、今回のは特にこの六年間で体質強化しなくちゃいけないということで、事業効果の早期発現を目的として、継続事業の完了促進、工期短縮を図る、六年間を限って新規事業を採択して整備完了させる、その早期に効果を発現させるという点から新しさを求めたいと思っています。
#197
○石破委員 確かにここの「方針」の中にこのように書いてある。
 今後の急速な国際化の進展を踏まえ、事業効果の早期発現を目的とし、継続事業の完了を促進、工期短縮とともに、新規事業の短期間での整備完了を図るため、今後六年間に限り、担い手を育成し、高生産性農業を確立するための生産基盤整備の促進、中山間地活性化のための条件整備の促進のための緊急対策を実施する。これが「方針」です。
 「ねらい」の中には、特性に応じて、核となる事業に関連する事業を有機的に連携させることとし、相当数の担い手が存在するなど高い投資効果が見込まれる地区に限定をして、短期間に事業を進めるのである。これにより、各種事業の進捗を早めるとともに云々と、こういうふうに書いてあるわけですね。
 問題は、「高い投資効果が見込まれる地区に限定して、短期間に集中的に事業を進める。」というのはどういうことなんだろうか。確かに、だらだらだらだらいつまでもやっていて、いつになれば効果が発現するのか全然わからない、せっかくお金をつぎ込んでも工費は上がっていきますしね、効果が発現しないじゃないか、そういうところに短期的、集中的にお金をつぎ込もう、前倒していこう、これはわかるのです。その部分は予算が上がっていきますね。
 そうすると、じゃ、その選に漏れたところはどうなっていくのだろうか。当然選に漏れたところが出ますよ、みんながそういうふうに高い投資効果が見込まれるというふうに限定してもらえるわけじゃないですから。選に漏れたところの工期はやはり今までどおりの期間でやってもらえるものなんでしょうか。それとも、選別をして集中的にやるところとそうじゃないところと分けて、そうじゃないところはもっとずっと延びるよということであるならば、これは予算はふえないですね。限られたパイの中で集中的にやるところと延ばすところと分けちゃうだけだ。やはり集中的にやるところと今までどおりの工期できちんとやるところと、そういう分け方にならなければこれはいけないだろうというふうに思っておりますが、大臣、いかがですか。
#198
○大河原国務大臣 今最後に石破委員がおっしゃったとおりだと思います。それだからこそ従来予算に支障を及ぼさないようにと。その特別に加速して行う事業、これは担い手農家等があれですけれども、構造政策上の重点的な新しい事業だ。従来の事業については、それはそれなりに進めていくということだと思います。したがって、それに対する予算枠が削減されるようなことがあっては支障を及ぼすことになるということだと思います。
#199
○石破委員 まさしくその大臣のおっしゃるとおりのことをやっていただきたいと思うのですよ。それはもう六兆だろうが別枠だろうが、そんなことどうでもよろしい。問題は、本当に集中的、加速的にやるところが出たおかげでほかのところがどんどん遅くなりましたということであれば、これは何のためのラウンド対策なのかということなんです。そこのところが確実にこの場できちんと確認をされるということが私はとても大事なことだと思っていますが、大蔵省、いかがですか。
#200
○萩山政府委員 お答えいたします。
 今の農林大臣御答弁のとおりだと私も思っております。
#201
○石破委員 そういたしますと、今、きょうは大臣がいらっしゃいませんので政務次官がこの場の最高責任者でありますが、加速的にやるよ、ほかのものに影響を与えないよということを財政当局も御確認いただいた、こういう認識で間違いないですね。
#202
○萩山政府委員 そのとおりに御理解願って結構だと存じます。
#203
○石破委員 そうしますと、それでは具体的に中身に入りますが、それでは短期的にやっていくということはどういうことであるか。つまり、公共事業なんて、そんなお金をつぎ込んだからといって急にできるものではありませんね。だけれども、私は基本的に一番大事なのはここなんだろうと思っているんですよ、何度も同じことを申し上げますが。
 例えば、ことしは物すごく水が不足をしておったと。しかしながら、私は余り自分の選挙区のことを言うのは好きじゃないんですが、私の鳥取県のスイカというのはもう例年にない大変な収入を得たんですね。それは水があったおかげなんですよ。かんがい排水のおかげなんですよ。かんがい排水があったので、そこでスイカを専業につくっていた人たちは、ああことしはよかった、これはかんがい排水のおかげだなということになった。
 私は、そういうふうにやる気がある人たち、専業でやっていける人たちが農業で食べていけるということをまず具現化しないと、農業政策というのは非常に難しいと思っている。専業も一種兼も二種兼もみんな同じようにというのは、私はもう無理があるだろうと。それは選別という言葉は好きじゃないんですけれども、とにかくそういうふうに一生懸命やった人を伸ばしていくということが大事だろうというふうに思っているんですね。
 これは大体どこのどこということは今言えませんが、例えばこういうようなもの、某県某ダムでも結構です。某県某事業でも結構です。これをこれぐらいをこれぐらいにしようと思っているというような例、フィクションの例でも結構です、仮定の例でも結構です、御説明いただきたい。
#204
○入澤政府委員 なかなか厳しい御質問なんですけれども、例えば大規模水田農業地域対策、これにつきましては、我々今考えていますのは、大河川流域の平場の地域、まあ鳥取にもあるかもしれませんし、北上川の周辺とかなんかもあるかもしれません。そういうところで大規模で効率的な水田農業の展開が可能な地域におきまして、圃場の大区画化あるいは連担化、それに関連するかんがい排水と農道整備を短期間に実施する。
 それから、畑作農業地域、これは自由化関連畑作物の主要の生産地におきまして、大規模畑作経営や新規作物の導入による高収益化を実現するために畑地かんがい側道の整備とか、あるいはそれに関連する農道の整備、これを短期間に実施する。
 それから、複合経営地域対策、これは稲作と畑作との複合経営を志向する地域におきまして、効率的な稲作と高付加価値作物を組み合わした収益性の高い経営を実現するために、排水条件の改良とそれに関連する排水路とか農道の整備を短期間に実施する。
 それから、中山間地域の活性化緊急促進事業は、中山間地の活性化を図るために、地域条件を生かした農業の展開に必要な生産基盤と生活環境の整備を短期間に総合的に実施する。
 いずれも意欲があって、やはり日本の食糧供給基地として将来ともその大きな役割を担ってもらうというところで、私どもは重点的にそういうところを基盤整備をして将来に備えたいというふうに思っているわけでございます。
#205
○石破委員 そうしますと、これをとにかく六年のうちにやるということですね。六年の間にできるだけ多くのものが完了するようにやるということで理解をしてよろしいですか。
#206
○入澤政府委員 現在まで私どもがやっております土地改良事業は、一時公共事業抑制的な予算の張りつけがあったものですから工期が延びたんですけれども、だんだんだんだん改善されてきまして、今は大体どの事業もその計画期間を若干上回るぐらいでその進捗は図られております。今回特別に要求して認められた予算につきましては、六年間にその事業を完了するということで、これからいろんな工夫を凝らさなくちゃいかぬというふうに思っているわけでございます。
#207
○石破委員 中山間地の対策事業ですが、これの具体的な中身というと、またいろいろ今の時点では明らかにできないというようなお話だろうと思いますが、初日に田名部匡省先生がお尋ねされた中に、社会党の野坂浩賢建設大臣との間にいろんなやりとりがありました。デカップリングという話があって、私も、デカップリング論というのはそのままストレートに日本の中山間地に入れることには無理があるというふうに思っている一人です。
 つまり、ヨーロッパのように、とにかく兼業の機会がないというところと、日本みたいに、どんな山奥とは言いませんが、大体のところは車で三十分か四十分で兼業機会があるよというところのデカップリング、そしてヨーロッパとそれは物が違うだろう。やはり、仮にデカップリングなるものを入れるとするならば、基盤整備がきちんとできてからだ。ここはこのように米をつくり、ここはこのように牛を飼い、ここはこのように果樹をつくるんだというような、きちんと基盤整備がなければ、デカップリングという発想はなかなかなじみにくいというふうな考えを私自身は持っております。
 その中において、この新しくラウンド対策で盛り込まれる中山間地域活性化というものについては、集落排水なんかもこの中に入ってくるのかもしれませんが、どのような発想を持って臨まれるか。
#208
○入澤政府委員 中山間地域、私どもかなりいろんなところを見ているんですけれども、実際問題としまして、平場に比べて土地利用は粗放でございます。そこで、特定農山村法を制定していただきまして、その中で今、中山間地域の具体的な土地利用計画を全国各地つくらしております。
 例えば、この地域には田寄せ、畑寄せをやる、あるいはこの耕作放棄地は林地に回す、あるいはここには公共施設用地を生み出して、そこに公共施設を誘致する、あるいは住宅団地をつくるというふうなことを、各市町村ごとに今計画をつくって進めようとしているわけでございますが、その中に、具体的に中山間地、この予算を使いまして基盤整備をどういうことをやるかといいますと、農道とかそれから圃場整備、圃場整備も中山間地域の地形に対応して、単に真っ平らにするんじゃなくて、等高線に即してやるような、現況をできるだけ生かした施工、せまちなおしと言っていますけれども、非常にコストの安い土地改良事業を実施する。あるいは、中山間地域といってもやはり用排水路の整備は極めて重要でございますから、そういうものを総合的にやる。
 私ども、今ここで考えておりますのは、現在中山間地域の総合整備事業というのをやっていますけれども、それを参考にしながら、この六年間で可能な限りいろんなメニューを総合的に実施して、そして基盤整備をまずやって、その上で営農が安定するように条件を整備していきたいというふうに考えているわけでございます。
#209
○石破委員 言葉の上では、今の入澤局長のおっしゃることはそのとおりであって、そういうふうになければいかぬと思っています。
 もう一回もとへ戻ってしまいますが、私は、やはりこの三兆五千五百億というのが、何がどういうふうに積み上がって三兆五千五百億なのかというのがもう少し細部にわたって明らかになってきませんと、それぞれの議論がなかなか難しいだろうと思っているのですよ。つまり、大規模水田をやっていくためにはいろんな手法があるでしょう。畑作を推進していくためにいろんな手法があるでしょう。そしてまた、複合経営のためにいろんな手法がある。それは、新政策をつくるときにも随分と議論のあったことであります。どうやったらばそういうふうに集約していくのか。どうやったらば水田が広くなっていくのか。連担化はどうやっていけば進んでいくのか。複合経営というのはどのようにやっていくべきものなのか。畑作にすれば、例えば同じ時期に同じものができてもしょうがないんで、どういうふうにして産地のリレー化をやっていくかとか、いろんなことが考えられてそれぞれの対策というのは具現化をしていくだろうというふうに思っています。
 今までみたいにごちゃごちゃごちゃごちゃいろんなことをやるんじゃなくて、とにかく水田をやるところはそれでやってくれ、畑作のところはそれを中心に、そしてまた複合経営はそれ。そして、新政策の目標である所得、労働時間、これを成就していくんだというのが政府の方針のはずですね。変わらない。だとするならば、それぞれがどのようにして積み上がっていったのかということを、こういうふうにして、まあ六割、四割、中山間地が四割、そうじゃないところは六割、これだけお示しをいただいて、さて具体的なイメージを描いてごらんと言われても、私はなかなか描けないんですが、これをもう少し細部まで御提示をいただくことはできませんか。できないとすれば、それはなぜですか。
#210
○入澤政府委員 公共事業は、私ども具体的に、冬の予算編成、大蔵省でやるときも地区別に、どの地域でどういう事業をやるのでどのくらいお金が必要かということを積み上げるわけでございます。それで、事業によって補助率が違います。
 したがいまして、六割、四割というふうに分けましたけれども、その中で何が幾らというのはこれから、今は盛んに県等のヒアリングもやっていますけれども、そういうヒアリングの過程で積み上がってきたものを私ども精査して、大蔵省にこれから要求していくのでございまして、今の段階で中身が、六割の中が何と何に分かれているというふうなことを申し上げることはできない、実務的にできないということを申し上げているのでございまして、決して隠しているわけではございません。
#211
○石破委員 それは、確かに予算のつくり方というのはそういうものだと思いますよ。積み上げていって、それぞれの事業が何であって、それを足して足してこれぐらいになるということだろうと思う。
 それでは、三兆五千五百億というものの根拠は何なんだろうか。これは鶏と卵みたいな話になってしまいまして、どっちがどっちということになる。私は何も、隠しているだろうとか、隠しているものを出さないとはけしからぬとか、そんなつまらないことを申し上げておるつもりは全くございません。ただ、それが、例えば大規模水田がどれぐらい、もう円の単位まできちっと出してくださいというふうには申しません。しかし、これにこのような事業を仕組み、これにこのような事業を仕組み、これくらいの進度を速めていきたい、そういうことがわかりませんと、実際に農家、農民に対しまして、米の自由化はやらない、ミニマムアクセスも受け入れない、そう言ってきた我々が選挙区へ帰って、別に選挙区に限りませんが、これはこのようになるのですよということを具体的にイメージがわくように説明をすることが私どもの責任じゃないか。
 それは予算が組み上がってから、予算が編成されてから選挙区に帰って説明をすればいいということなのかもしれませんが、私は、まさしくこのラウンドを承認するか、そしてまた法律を通すかというときに、きちっと細かく事業数まで、事業所まで教えてくださいなんて、そんなことは申しません。それぞれの対策はこのようにしたいというふうな、もう少し細かいものは御提示いただけませんかと、予算編成の手法は十分存じ上げた上で御質問しておるのであります。
#212
○大河原国務大臣 ただいま構造改善局長が公共事業の積み上げ方式についての予算作成についてお話し申し上げたわけでございますが、質問者のお言葉を受けとめますと、さらに、それぞれの事業、大区画圃場整備についてはどういう考え方で、どういう進度でとかということについてもう少し具体的な考え方を聞きたいということでございますから、その点についてはせっかく検討させてみます。
#213
○石破委員 ぜひよろしくお願いをいたしたいと思います。また機会がいただければ、そのことにつきまして大臣の御所見を承りたい、かように思っております。
 とにかく、これがこうなるんだよということを説明をしませんと、生産者に納得していただくこともなかなか難しいだろう。そしてまた、納税者もばらまきだとか、何で農業だけだとか、そういうような疑念を払拭することも難しいだろうというふうに思っているのです。それは生産者のためとか納税者のためとか、そういうことじゃなくて、国全体のために、さらに深めた議論をするために、そのことの御検討をお願いしたいということでございますので、ぜひよろしくお願いを申し上げます。
 時間がございませんから、新食糧法案につきまして幾つかお尋ねをいたしたいと思います。
 大臣、昨年の凶作というものをどのようにお考えですか。つまり、突拍子もないことをお尋ねするようですが、昨年、大凶作だった。これは食管というものの見方が二通りに分かれるのですよ。食管があったからあれで済んだんだ、食管があったからこそパニックというものが起こらず、そしてまた短期的だった。大正のときの米騒動というのは、もう日本国じゅう暴動が起こるような騒ぎで、そしてまた物すごく長く続いた。しかし、今回はそういうことは起きなかった。それは食管のおかげであるという考え方と、もう片一方に、いや、とんでもない、食管があったからあんな騒ぎになったんだ、民間に任せておけばもっと早く輸入をし、もっと早く供給をし、消費者が望むようなものができたはずだ、今どき投機なんてする人はいるはずない、それは民間に任せるべきだ。
 私は、こんなに見方が反対なのは珍しいと思うのです。ことしの米価のときにもいろいろ議論をしたのですが、米価を上げるという話がもっと出たのですね。学者によっては、去年の凶作の教訓を踏まえて、やはり全量買い入れにしなければいけない、米価はもっと上げなければいけない、国立大学の偉い教授がそういうような論文を書いていますよ。全く見方が道なんですね。
 大臣、去年の凶作で、それでも食管があったので私はあれぐらいで済んだという認識を持っている一人なんですが、さすれば、食糧庁長官と農林大臣には、ありがとうございましたという感謝の手紙が来たってよさそうなものですが、これは、ことしは食管変えちゃえという話になりましたね。去年の凶作、そしてまた食管が変わるということ、このことについてどのような見解をお持ちでしょうか。
#214
○大河原国務大臣 昨年の凶作に伴う作況指数七四、二百五十万トン以上の供給の不足、そういう事態に対しては、緊急輸入で食管が国の需給について責任を持つということで、とにかくその数量は確保したという点では現行食糧管理制度の役割は十二分に果たせた、これが大きく評価されることは当然だと思います。
 ただし、一方では、食管制度が現実に機能しなくなったという一般の国民の意識、消費者の意識、そういうものから来る点で、それは自由にしておけば云々というようなお話が出たわけだと思いますが、やはり需給の安定、価格の安定、供給の安定、これはいかなる方式をとろうとも日本の米についてはつきまとう問題であって、自由にしたから予定調和的にうまくいくなんていう話では私は絶対にないと思っています。
#215
○石破委員 今回食管制度を変えなきゃいけない一番の必然性とは何でしょうか。つまり、私は、去年も食管があったからある程度動いたと思うのですよ。これはもう米が食べられないという人はほとんどいなかった。それは短期的にはいますけれども、それはごく短期的、集中的に起こったものだと思っているのですよ。私は、ラウンドを受け入れたから必然的に食管をいじらなきゃいけないというものでもないと思うのですね。それはごく一部、ミニマムアクセスの受け入れその他で済んだはずです。にもかかからず、今回食管を抜本的に改廃してというのですが、法律自体をやめて新しい新食糧法に変えなきゃいけない一番の理由は何なのだろうか。
 そして、食管の機能というのは純粋に考えてみると何であるかといえば、それは一つは価格安定機能なのでしょうね。米のように価格弾力性の小さいものについてはやはり国の管理が必要である。豊凶もあれば投機もある、だからこそ価格安定という機能を果たすために食糧管理制度というのは必要なんだ、これが一つあるだろうと思う。もう一つは、所得補助機能でしょう、所得補助機能。つまり、生産者がつくれる米の価格では消費者がとてもそれを買えないので、その分を補てんしましょう。もともと制度のスタートのときはそうだったはずです。生産者がつくる価格では消費者は高くてそれ買えませんよ、だからその差額を持ちましょうねという意味の所得補助機能というのと、二つあったと思うんですよ。つまり所得補助機能というものと価格安定機能と。それが今どのように変質をしているか。
 今確かに高くてお米買えないという人は世の中にはいないと思うんですよ。いい悪いは別ですよ。日本の米が高過ぎる、安過ぎるの議論は横に置きまして、高過ぎるから買えないという人はいないと思う。だとすれば、今回食管制度が変わるということは、結局は価格安定機能というものに主眼が移されてくるのかなという気がするんですが、いかがでしょうか。
#216
○大河原国務大臣 需給と価格の安定を通して供給の安定を図るという場合の政策手法として、直接的な全量管理制度をとっておるのが今日の、制度の建前としての現行食管制度でございます。それに対して、何と申しますか部分管理的なもの、備蓄米なりあるいは輸入米だけを政府米として管理して、あとは民間流通としての自主流通によって、それをある程度の計画的な流通を確保しながら消費者の必要とする米が安定的に計画的に確保される、そういう方式としての転換だというふうに思っております。
 で、その場合に、過去においては生産者の生産する値段じゃ消費者が受け入れられない、したがってそこに所得補てん的なものがあったんではないかというわけでございますが、厳しく見ますと、食管制度は戦時中から戦後にかけて、これはむしろ消費者のための、国民に対して限られた量を公平配分する、そういう制度でございました。したがって、再生産の確保ということが食管法に書いてありましたが、なかなかに戦後のインフレの時代においては抑制米価と言われた時代がある程度続いたわけでございます。その後、やはり需給が緩和してきた、それから消費者の所得も上がったということで、しかも一方では、高度成長で農工間の格差が出てきて、したがって、その所得ギャップを埋めるためにはやはり米という普遍的な作物、重要作物にある程度価格を補てんする、そういう機能が充てられたことは確かでございます。
 大体、そんなところではあるまいかと思っております。
#217
○石破委員 そういたしますと、やはり気になるのは、米価ってどうなっていくだろうかということが一つ、もう一つは、生産調整がどうなるだろうかということ、大きな論点はその二つなんじゃないか、まだほかにもたくさんございますがね。
 で、やはり、これによって、自主流通米の変動というものを指標にしながらというのですが、再生産を確保することをもって旨とする、これはきのうもお尋ねしました。ここでさらにお尋ねしようと思いませんが、値段というのはどうなっていくんでしょう。やってみなければわからぬということじゃないと思うのですね。ある程度こうなっていくであろうということは予想がつく。それがなけらねば、七年目以降どうするかということが議論にならない。七年目以降どうなるかというビジョンがあって、今回の新食糧法案というのが出ているはずなのですね。価格はどうなっていくと思われますか。
#218
○大河原国務大臣 白紙に絵をかくわけではございませんし、制度が直接管理を、全量管理を建前としながらも、実質は部分管理になっておる。すなわち、今日の流通量の七割は自主流通米、それは市場原理によって決まっておる需給関係。したがって、今度の制度の大きな転換におきましても、自主流通米主体の流通でございますから、今日形成されているような需給関係によって価格は決まっておる。したがって、大事なのは全体需給、すなわち生産調整なりあるいは備蓄と政府米の運用、そういう全体需給の確保によってその価格の安定を図っていくということが大事になるのではあるまいか、さように思っております。
#219
○石破委員 そうしますと、生産調整を実効あらしむるためのインセンティブというのはどういうものなんだろうか。先ほど坂本議員の質問の中にもございました、繰り返しての質問になって恐縮でございますが、これがきちんと担保をされていなければいかぬだろう。そしてまた、生産調整に参加した人が助成金ももらえるわけでありますが、全部買ってもらえるわけじゃないのですね。そうしますと、買ってもらえないということになれば、自主流通米はがたがたに落ちていた、せっかく生産調整に参加しても、これは一体どうなっちゃうんだいということもあるでしょう。その助成金の水準というのはどうなるんだろうか。
 そしてまた、米価の水準のお話に戻ってしまいますが、政府米価格と助成金を足したものの水準というのは何かのメルクマールがあって、自主流通米の価格とそれとの関係は、高いこともあれば安いこともあるという考え方と、高くなければおかしいじゃないか、高くなければ機能を果たさないじゃないかという考え方もありますね。その点いかがですか。
#220
○大河原国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、生産調整の実効につきましては、やはりこの生産調整自体が、その生産者サイドから見て、全体の需給が安定して価格が安定することがみずからの一つのプラスだというふうな、いわば広い意味の共販体制的な意味で考えていただく、主体的に取り組んでもらう、そういう前提が従来よりも一層必要になると思いますけれども、やはり全体需給ということでございますから、国の目標というものがありまして、それをそれぞれに末端にまでおろす。おろし方については、やはり生産者なり地域、そういうものの意思を尊重して最終的に目標が決まる、その決め方についての一工夫も二工夫も要るかと思います。
 それからもう一つは、今もうお話が出ました政府買い入れ、それから助成金でございますね。それともう一つは、具体的な生産調整の手法、いろいろな形の手法、水張り水田というような水田段階における調整というようなアイデアも出ておるようでございますが、多様な方式、この三つだと思います。
 その場合に、石破委員はさらに政府買い入れ価格と助成金との水準、組み合わせ等についてまで既に御検討をちょうだいしておりますが、私どもの方はまだそこの水準までは考えておらないわけでございまして、とにかく平成八年の米、これまでにできるだけ早く法案を通過さしていただいたら、そういう具体的なケースを、いろいろなケースを想定して、それによってまた考えておりますが、こうしろというような具体的な御提案が早々といただけるなら、そういうものについても参考にさしていただいて決めていきたい、さように思っております。
#221
○石破委員 私は、米価水準というものについて、政府の買い入れ価格プラス助成金というものが自主米の価格よりも高いことがあり得るだろうか、それよりも低いことがあり得る、それは高いことも低いこともあるでしょうよ。だけれども、高くなければ実効性を伴わないんじゃないかという議論と、いやそんなことがあるもんか、低いに決まってるんだ、その考え方というものはある程度明らかにしておく必要があるのじゃないだろうか。生産調整に参加した者がばか見ちゃしょうがないんですね。
 そしてまた、調整保管においてもそうですが、法文上明らかなとおり、調整保管というものを全農がやらなきゃいかぬ、こういう話になっていますね。自主流通法人というものが調整保管を行い、価格を維持する。政府だけの仕事じゃない、農協も団体もちゃんとやりなさい、こういう話なんですが、まともにそれをやりました、ちゃんと調整保管もいたしました。ところが、片っ方に生産調整に全然参加しない人がいて、どんどんどんどんつくっちゃった、価格はまたまた下がっちゃったということになると、じゃあその差損はどうなっちゃうんだろうか、調整保管の助成はどうなるんだろうか。要するに、まともに生産調整に参加した人がつらい思い、悲しい思いをするようじゃ制度の意味がないであろうということなんです。
 食管制度がおかしいなおかしいなということになったのも、やみ米というのが堂々と流通して、そっちの方がおかしいじゃないか。正直に政府米に出した者よりもやみへ出した方がもうかる、それに対してちっとも権力というものが働かない、これはおかしい。私は、制度が崩壊するというのは、正直にまじめにやった者がばかを見るときに、制度というのは間違いなく崩壊するだろうというふうに思っているんですね。
 ですから、政府米の買い入れ価格プラス助成金というものについて、何かのメルクマール、めど、考え方というものが提示をされなければいかぬのじゃないか、この審議の過程を通じてですよ。算定方式まで明らかにしてくださいなんて、そんなとんでもないことを申し上げるつもりは全然ございませんが、やはりその考え方なるもの、明らかにされなきゃいけない。そして調整保管についての助成、そういうものについてもある程度のものは明らかにしていただきたいと思うのですが。
#222
○大河原国務大臣 現在ただいま申し上げられることは、生産調整の実効あらしめるような価格水準とその助成水準とを考えておるということを申し上げるわけでございます。
#223
○石破委員 そうしますと、生産調整に仮に参加しませんといった場合にはどうなるか。当たり前のことですけれども、助成金がもらえませんね、それが一つある。それから計画流通米というのは、自主流通米に回るか、届け出をした上で計画外流通米に回るか、どっちかなんです。
 助成金の交付というものは大体どれぐらい行われるだろうか。今もいろんな水準がございますね、三つか四つか交付金の水準があります。それをどういうような形で算定をしていかれるか、そこの基準というものはどれぐらい明らかになっているのでありましょうか。
#224
○大河原国務大臣 お答え申し上げます。
 生産調整実施者、これに対する助成金と、あるいは計画流通制度へ乗る、今度は販売について、生産者が計画流通米に乗せようという販売をした場合のそれに対する助成と、いろいろ考えられるわけでございまして、そういうものを総合的に勘案した上で決めるという程度のものでございまして、この水準とかこれというのは、なかなかにまだちょっとそこまでの検討は、率直に言って進んでおりません。
#225
○石破委員 そのこともある程度は明らかになっていないと、つまり、どれだけの助成金が出てくるのか、どういうような基準によって、どのような判断によってどれだけの助成金が出てくるかというのがわからないと、そこに参加する意欲というのがわかないのじゃないか。今の時点でこういうような要素を考えていますよというようなものが、どれがどれだけのウエートを示してくださいということを言っているのじゃなくて、どういうような要素があるということはいかがですか。
#226
○大河原国務大臣 先ほどお答え申し上げたことの繰り返しになりますが、生産調整が実効的に確保できるような水準ということがやはり答えになると思うのです。
#227
○石破委員 もちろんおっしゃるとおりであります。
 ですから、今の水田営農活性化対策助成金というのがあって、それは新政策の方向に即したとか団地化とか、いろいろな要素がありますね。それもまた御検討の上で、とにかく実効あらしむるに十分なものは助成金として出す、これであれば参加するというようなものは、現行以上には考えられておられますか。
#228
○大河原国務大臣 この水準につきましては、いろいろの重ねてのお尋ねでございますが、繰り返すようでございますが、生産調整の実効を確保することが最大の眼目でございますから、それを確保できるような水準、それには過去の二十年間にわたる各節目節目の転作奨励金の水準等がございます。それらも一つの参考になると思いますけれども、やはり新しい制度のもとでやりますから、それについても改めて検討いたしまして、とにかく今度の全体需給の確保をするためには生産調整というものが一段と、従来のような、生産者が政府に対して売り渡さなきゃならないというような強い売り渡し義務がかかった上の全量管理的な制度のもとにおける生産調整と違いますので、その点については十分実効性が確保できるような水準を決めなければならない、さように思っています。
#229
○石破委員 今回、手挙げ方式ということになっています。最初、選択制というお話が随分流布をされました。それは、つくるも勝手、つくらぬも勝手、リスクは皆さん負いなさいということでは、これはひどいねということなのでしょう。それで手挙げ方式という形に変わりましたね。じゃ、今と何が違うんだいということがある。今まであめとむちだったけれども、むちはやめたよ、そういうように強制的なものを伴うのじゃなくて、参加した人にはこういうようなメリットがありますよということで、選択制から手挙げ方式というものに変わったはずなのであります。ですから、参加した人間にはこういうようなメリットがありますということも、全量管理から手を引く以上はやはり国の責任として明らかにしなきゃいかぬのじゃないかと思っています。
 ただ、政府米が備蓄の範囲内でありますから、どのように言ってみましても、下支え機能というものほかなり落ちるというふうなことは、私は否めないことだと思っているのですよ。ずっと従来から、政府米の機能とは何なんだ、政府米の役割とは何なんだということは議論をしてきました。最後に落ちつくところは、やはり下支えなんだからねというところで落ちついてきたと思います。そこの機能が落ちていく分、どのような政策を加えていくのかということを今後も明らかにしていかなきゃいかぬ。それは政省令の部分であり、審議会の御審議に任せるところであるというようなこともあるのかもしれませんが、方向性を明らかにする義務は、私どもにもあるであろうというふうに考えております。
 外務大臣がお帰りでございますので、一つだけお尋ねをいたしたいと思いますが、いわゆる援助米というものの考え方についてであります。これは以前も質問通告をしたことがありますが、援助米というもの、また飼料米というようなもの、いろいろな考え方がありますが、結局過剰米というものを援助米に使うということにつきまして、外務大臣どのようにお考えでいらっしゃいましょうか。
#230
○河野国務大臣 余剰米を食糧援助に使うという考え方は、この地球上で余剰米を持つ国もあれば、子供たちが食糧を全く口にすることもできずに飢餓に悩むという地域もあるという状況を見ると、こちらのものを向こうへ持っていったらいいじゃないかと思う人も大変多いと思います。
 しかし、それはそう簡単なものではないようでございまして、ケネディ・ラウンドのときに食糧援助規約というものがそのラウンドに参加した国々によってつくられて、これは食糧の輸出国、例えば米の輸出国の立場から見れば、自分のマーケットがそれによってなくなってしまうということもあるということから、食糧援助規約に基づいてそれぞれの国に割り当てが行われて、その拠出義務を考慮しつつ、食糧不足に直面している開発途上国の援助の要請にこたえて、資金供与方式による食糧援助を実施する、こういうことになっているようでございます。
 したがいまして、余剰米の食糧援助利用については、一連の国内対策の検討全体の中で、これはWTO協定との整合性もございます。あるいは食糧援助規約及びその関連制度、他国による食糧援助の状況、開発途上国の需要状況など、関連する種々の、それこそ外交上の、あるいは法的な問題などとにらみ合わせて慎重に検討をすべきであって、一概に直ちに、足りないところがあるからさあ持っていけばいいというものではないということでございます。
#231
○石破委員 時間が参りましたので終わらせていただきますが、先ほど来質疑をさせていただきましたが、なお得心がいかない点、きちんと生産者の方々にここだけは御説明したい点、幾つかございますので、また機会を与えていただきたいと思っております。
 以上で終わります。
#232
○佐藤委員長 この際、金子徳之介君から関連質疑の申し出があります。石破茂君の持ち時間の範囲内でこれを許します。金子徳之介君。
#233
○金子(徳)委員 石破委員に関連いたしまして、日本有数の農政のスペシャリストであります大臣に御質問申し上げる機会を得まして、大変光栄に存じております。
 実は、このウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策について、適切という表現がいいのか、六兆百億円に及ぶ事業費の計上、そして公共、非公共の割り振りからいいますと、六兆百億円のうち三兆五千五百億円が公共事業として投資をされる。非常にこのガット・ウルグアイ・ラウンド沈滞した中で、農業後継者初め農業経営者は、とりわけ稲作農業でよって立ってきたそうした地域は、期待に夢を膨らませ、また勇気を新たにやっていけるな、そんな気持ちになったことも事実でございます。
 ここの中で、さて、先ほど石破委員の御質問の中で大臣御答弁されましたが、この三兆五千五百億円については、いわばウルグアイ・ラウンド対策の上積み分であるというふうに、私は、ここ聞き違えたかどうかわかりませんが、まずそのように理解していいのかどうかということを伺いたいと思います。
#234
○大河原国務大臣 繰り返して申し上げておりますように、これはウルグアイ・ラウンドのための特別の新しい対策事業費であるというわけでございます。
 その財源措置として、いろいろな考え方がございますが、従来の農林関係予算に対して支障を及ぼすような財源措置、その他予算編成の措置があっては相ならぬということが、政府・与党首脳の最終の認識であるというふうにお答え申し上げておるところでございます。
#235
○金子(徳)委員 農村に行きますと、私ども中山間地域を含む準農村地域におりますので、先ほどこの公共関連三兆五千五百億円の内訳は六、四で、中山間地域対策費は四割であるというふうに、先ほどの局長御答弁があったようであります。
 問題は、今後六年の間にこの事業を進める上で、基盤整備というか、大蔵でCランクと言われたそうした過去の経緯からいって、果たして順調にそれぞれの事業が、基盤整備を初め土地改良事業等で進むのであろうかな。それと同時に、大変疲弊した地域で、この裏負担の分で負担し切れるのかどうか。まあ今までのそれぞれのメニュー化された補助事業では、自己負担分含めて大体地方公共団体合わせて四〇%ぐらいの負担があるわけでありますから、自治体も財政難であるという中で順調に進むとお考えなのかどうか、その辺の確信がおありになるのかということを伺っておきます。
#236
○入澤政府委員 私の方に毎日のように全国から陳情がございますけれども、大変土地改良事業に対する希望は多うございます。私どもは、予算がたっぷりあればあるほど速やかにその事業の促進を図って希望にこたえたいと思っているわけでございますが、今までの考え方からしますと、可能な限りの努力をやっています。
 土地改良負担金の軽減対策につきましても、ことしも新しい支出を認めてもらいましたし、従来からもいろいろなことをやっていますから、農家にとっては大変メリットになっているのじゃないかと思います。そういう意味で、農家負担の問題から考えましても、これから事業は円滑に進んでいくというふうに考えております。
#237
○金子(徳)委員 今まで補助残等についての基盤整備等につきましては、それぞれの地方公共団体の負担分は起債事業で持っていくというようなことで考えられるわけでありますけれども、そこで、自治省にもおいでになっておると思いますが、過般、十月の二十二日に、政府が平成七年度から六年間で実施する国内農業対策、この概要について、いわばふるさと創生の農政版、農村版というようなことで、総額約二千億円の農山漁村ふるさと事業(仮称)を新設するということでありますし、またハード事業など既存事業に約一兆円ほど上積みをして、合わせて一兆二千億円の事業費を、六年間では合わせて七兆二千百億円規模になるという形のもので進められているわけでありますけれども、この地方の単独施策としての内容をちょっと確認しておきたいと思いますが。
#238
○嶋津説明員 お答えいたします。
 今回のガット・ウルグアイ・ラウンド対策の農業合意に伴います地方単独施策の拡充の内容でございますが、三つの柱を考えているところでございます。
 第一は、農山漁村ふるさと事業ということで、今委員御指摘のように、ふるさと創生の農山漁村版のような事業をやっていこうということを考えているわけでございますが、これは農業合意に伴って影響を受けるでございましょう農村地域等の活性化を図るために、それぞれの団体におきまして自主的、主体的な地域づくりを推進するための施策をやることがこういう農業合意対策にとっても非常にプラスになることだろうということで行うわけでございまして、今御指摘ございますように、六年間でおよそ二千億円程度の事業規模でこれを考えているわけでございまして、この具体の事業内容は、交付税措置をするわけでございますので、これは地方団体を練るわけにはいきませんが、農水省とよく御相談しながら、適切な内容の事業になるように地方団体を指導してまいりたいと考えているわけでございます。
 第二が、平成六年度の新規の施策で実施いたしましたのでございますが、中山間地対策等をも念頭に置きまして、農山漁村対策ということで、地方財政計画の中におきまして、いろいろな単独施策を拡充する事業費の枠をつくりまして、その中で農業集落排水事業の推進とかふるさと農道の整備等、こういうような事業を推進していく、こういうような内容を拡充していこう。
 それから三番目は、森林・山村対策、これは平成五年度に新たに始めた事業費の枠でございますが、森林の公有化とかあるいは林道の整備、このようなものを推進していこうということでございまして、これらの対策に基づく措置が、先ほどの六年間で二千億の農山村ふるさと事業も含めまして、六年間で一兆二千億ということを考えております。先ほど委員御指摘の、六年間で七兆ということがございましたが、そうではございませんで、六年間で一兆二千億という内容で考えておりまして、今回その具体的な内容につきましては、年末の地方財政対策において検討してまいりたい、かように考えております。
#239
○金子(徳)委員 私が七光幾らと言ったのは、農水省予算も含めてということで申し上げました。御了承をいただきたいと思います。
 そこで、自治省にあわせて続けてお伺いしたいんですが、三兆五千五百億円の半分はこれは地方負担ということになっておりますけれども、この地方負担の中で、ただいまの一兆二千億円も含めて地方単独でありますから、基準財政需要額の中にこの一兆二千億円の方は入れる、それから農水省の方の公共予算については三兆五千五百億、これはあくまで、それぞれ適債事業かどうかというものを見ながら今後財政の確保に当たるということだろうと思うんですけれども、これらについては、果たして地方単独事業という形でプラスアルファで見ていくという考え方で、ハードの分も、例えば農林道の整備や集落排水緊急整備事業、これらまで含めてこの事業認定をしていこうとしているのか。
 それといま一つは、それぞれ末端の市町村、適債事業があっても、実際、起債制限されるような財政悪化の状況のある市町村もあるわけであります。これらについてはどのように特別な措置をとっていかれようとするのか。
#240
○嶋津説明員 地方単独施策の拡充に関する考え方につきましては、先ほど農水大臣から国の予算に関する事業についてお答えがございましたように、今回のガット・ウルグアイ・ラウンド合意に伴います農業対策として新たに実施する事業の経費として地方財政上も措置をしてまいりたい、こういうことでございます。
 それから、地方負担についての措置でございますが、これは補助事業に関する地方負担につきましては、全体の地方負担額については、毎年度の地方財政計画上これだけの地方負担が出てくるという計算ができます。これは農水省当局との、いわば地方負担がどの程度かというガイドラインというのを決めておりますので、それに基づいて財政措置を必要とする額が出てまいるわけでございまして、それにつきましては単に地方債ということだけではなくて、全体的に全国の農村で行うような事業については交付税措置を事業費についてするものもございますし、中には地方債措置をするものもございます。そういうものを組み合わせて適切に対処してまいりたいと考えております。
 地方財政も非常に厳しいわけでございますので、地方債措置の割合が多くなることも考えられますが、個別の地方団体の公債費対策等については遺憾のないように、そういうものも見ながら適切に対処してまいりたい、かように考えております。
#241
○金子(徳)委員 私が心配しているのは、非常に夢を持たせたけれども、現実的には事業をしたくてもできない地域というものが必ず中山間地の多い地方自治体には出てくるであろう。そうした場合、せっかくの、これだけの大きな予算をこの六年間のうちに投資いたしますよ、あるいはふるさと創生農政版、農村版としての期待を裏切ってしまう結果になることを非常に恐れているわけであります。我々が、必ず、そういったことについての担保は一体どうなっているのかいなということでございますので、この点については十分留意をして進めていただきたい。適債事業であるかどうか、あるいは地方交付税、これは一般地方交付税のメニューの中に地財法の中で入れていただくような関連法の整備なんかも必要かなと思います。要望を申し上げておきたいと思います。
 それから、今度の対策の大綱の中で、農地流動化対策問題について具体的に伺っておきたいと思いますが、農地利用集積の加速的促進の奨励措置、農地保有合理化法人の農地の中間保有・再配分の機能を拡充強化していくということになっているわけでありますけれども、これについて伺っておきたいと思います。
 非常に農政不信が広まったことは事実であります。そうした中で、この流動化を促進するために、この法人が農地を買い入れるための借入金にかかわる利子が無利子になるように助成するといたしておりますけれども、この対策の具体的な成果をどのように見込んでいるかということであります。
 それと同時に、後継者が実際不足している。農業経営者が中山間、農村地域を含んでどんどんと後継者不足、嫁不足、もう悲劇的な現象というものが現に起こっております。ただ、的確な国の指導の中で新規参入者を入れるということで、かつて約二千人まで下がった一年間の農業後継者の供給が五千人まで返ってきていることは、的確な対応をされたということで構造改善局の努力を私は評価をいたしたいと思いますけれども、私はこの農地流動化対策について思いますのは、かつて農業国と言われた、今は工業国化いたしておりますけれども、デンマークの事例でございます。
 たしか、一九八五年から十カ年計画で、デンマークでは平均経営規模面積三十八ヘクタールから百ヘクタールにふやすというような国家的なプロジェクトが組まれたはずであります。しかし、残念ながら、これは株式会社出資を含めて五〇%まではやりますよ、どうか農業でもうけてくださいというあのデンマーク農業、これが現実的には私は失敗しているというふうに伺っているわけでありまして、そうした中でもろもろのこれらの対策、時間がありませんから私は細かいことは申しませんが、まず後継者を育成することから始まって、その上で、これらのタイミングといいますか、それぞれの地域性ありますけれども、農地流動化ということを考えて初めて効果が上がるものというふうに思っております。そうした点について、その見解を伺いたいと存じます。
#242
○入澤政府委員 この六年間で可能な限り私ども農業の体質を強化したいということで、その一番かなめになりますのは、やはり構造政策、なかんずく農地の連担化、集団化でございます。
 これにつきまして、今のところ農地保有合理化事業で農地の売買をやっているのですけれども、なかなか財政事情からして中間保有ができない。農地の下落がある中で、土地は売りたいのだけれども、公社が買えない、あるいは買いたい人はいるんだけれども、そう直ちに土地が見つからない、そういうふうなことがございましたので、今回は中間保有、再配分機能を十分発揮できるようにということで、改めて農地保有合理化事業の中身を強化したわけでございます。
 これによりまして、私どもは、これから平成七年から平成十二年までに利用権設定等により農地を百六万ヘクタール、それから所有権移転等により二十一万ヘクタール、合わせて百二十七万ヘクタールぐらいは全体として流動化をさせていきたいなというふうに考えているわけでございます。
 中でも後継者不足、これが非常に心配されるところでございますが、流動化の前提となる農地の所有状況を見ますと、六十歳以上で農業の後継ぎのいない高齢農家の保有農地が四十二万ヘクタールございます。それから世帯主が恒常的勤務とか、自営兼業の安定兼業農家の保有が百三万ヘクタールあります。これはここ十年以内の間にとにかく担い手に結びつけなくてはいけない農地でございます。
 こういうふうな担い手に結びつけなくてはいけないということを前提に置いてこの流動化対策もやりますし、それから土地改良事業なども利用集積ということを交付条件の一つにいたしまして、後継者不足に対応した新しい担い手をつくっていきたいというふうには考えているわけでございます。
 いずれにしましても、経営基盤強化法の運用どこの農地保有合理化事業、それから農業基盤整備事業、これら三位一体となって、可能な限り認定農業者制度を活用しながら、後継者不足にも対応していきたいというふうに考えているわけでございます。
#243
○金子(徳)委員 局長の確信に満ちた、これからやろうという向こう指す気持ちを感じ、それを信頼しながら御質問を続けたいと思いますが、今度の大綱、対策の中に、その延長線の中に、土地改良事業等に対する三〇%分の先送り償還制度というもの、その間無利子にするという、そういう政策があります。これは、団体営を初め、土地改良事業を進めている各農村地域では、非常に歓迎されることであるなと思います。
 今までこの団体営等の償還残額、これはどのぐらいになっているか、まず事務的に伺っておきたいと思います。
#244
○入澤政府委員 平成五年度末現在の利息を含む団体営等の償還残でございますが、農林漁業金融公庫の農業基盤整備資金の償還残高といたしまして、団体営で約七千億円、それから都道府県営で約一兆七千億円というふうになっております。
#245
○金子(徳)委員 二兆四千億円の償還残高があるわけであります。これを頭の三〇%先送りの内容について、まず財源措置というものは財投の中で有効に非公共ということでぜひ成功してもらわなければならないというふうに思っております。
 ところで、先ほどより各委員からの御質問の中で、農業が持っている環境保全あるいは国土保全の機能、緑の環境を国民生活に与える、そうしたインセンティブということを十分考えて、それぞれ対応していくべきであるということも全く同感でありますし、私は、土地改良事業等の生産の基礎になる分というものは、日本の食糧というものは今や世界の食糧につながっているという観点、タイからタイ米を輸入しますと、タイの国民がなかなか買えないほどこれは暴騰する可能性すらあるということをあるタイ人から私は伺っておりますが、そんな中で、金に飽かして何でも買いまくる日本の国というようなことは、欧米で幾らいろいろな援助をやっても、またJICAで技術援助をやっても、なかなか評価されない。
 そういったことから、私は、国家的な措置という観点から、もう団体営等であっても国営に準じた、もっと明確に言えば、農家負担をゼロにしてもこれを行うべきである、そのような私は考え方を持っております。
 それは、いろいろと財政当局、大蔵当局には言い分があるかと思いますけれども、大臣の御見解のほどを伺っておきたいと思います。
#246
○大河原国務大臣 現在もう、金子委員にはちょうちょう申し上げるまでもなく、国営なりあるいは都道府県営、団体営、これらは公共性の程度に応じましてその負担が決められておる。確かにそれは大変大きな意味を、農業生産の生産性の向上あるいは国内農業の食糧の自給力の強化、そういう大きな視点から眺めますと土地改良事業負担についての金子委員のような御提案も出るわけでございますが、一方ではやはりそれぞれの個別農家に受益して、また公共性の程度にも事業規模によって一定の差がある、そういうことでございますので現在は負担区分があるわけでございます。
 しかし、それにいたしましても、委員御案内のとおり、圃場整備事業等の構造改善に必要な補助率、負担率を格段の財政当局の理解を得て補助率を引き上げていくとか、あるいは負担金等については無利子資金を導入して、それによって実質的な負担を軽減するとか、それぞれの努力を続けておるわけでございまして、このたびの国内対策においてもそのような方向で強化をするということでございまして、まあ一歩一歩その負担の問題についての解決を図っていきたい、さように思っているところでございます。
#247
○金子(徳)委員 時間がなくなりましたので、終わりに、現在の蚕糸絹業界の問題について伺っておきたいと思います。
 現在は、繭生産農家は壊滅状態でございます。平成四年度はこれは生糸換算で二二%の実需に対する自給率、そしてまた昨年度はこれは一四%、一遍に八%も国内繭生産が落ち込みました。また、生糸換算で、外国からの輸入では中国からの輸入が約九割を占めるという状態であります。このままでいきますと、例の四者協議というのを大変事務方苦労なさって、この糸価の安定や、あるいは養蚕農家の手取り繭価の確保を含めて努力をしてまいってきたわけでありますが、今回の法改正による仕組みで本当に養蚕農家の手取り繭価の確保を図れるのかどうか、今後国産繭の自給については、大臣どのようにお考えなのか、伺っておきたいと存じます。
#248
○大河原国務大臣 現在は御案内のとおり糸価の低落あるいは絹製品全体の輸入の激増等から、我が国の繭を使った生糸の生産は国内の全体の絹需要の生糸換算から二割程度に落ち込んでおることはただいまお話しのとおりでございます。しかしながら、やはり国内で生糸を原料とする織物等の七割はやはり国内産の生糸で供給されている。国内産の生糸自体の需要者としての絹業者からのやはり要望も強い。
 また、先ほど中国の問題のお話ございましたけれども、ああいう国家貿易をやっている一元的な輸出国は中国でございますから、日本の絹業者の実需者の視点から見ても、やはり安定的な国内生産が必要である、さように考えておりまして、その場合に、やはり今も四者協議のお話もございましたが、シルク産業全体がやはり国内の繭は必要だということで、製糸もあるいは流通業者もあるいは絹業者もそれぞれまた事業団も、四者で一定の八千四百円という安定基準価格を前提とした繭価を農家に対して保証しておるところでございますが、今度の制度においても実需者輸入分等については、その一定ルールによる差益よりもはるかに低い水準で実需者である絹業に対して生糸が渡るようにしておりますけれども、何がしかの負担を、その四者協議で実質的に決まった延長として御負担を願って、国内産繭の確保のために生産者に対して協力していただく。また、事業団が徴収した差益につきましては、蚕糸業振興資金の方に、特別の基金に繰り入れて、これも繭価保証の財源にいたしたい、さように考えておるところでございます。
#249
○金子(徳)委員 時間が参りましたので終わりますが、大臣の最後の絹業界あるいは養蚕地帯に対する御配意というものを心から期待をいたしまして、終わります。ありがとうございました。
#250
○佐藤委員長 次に、松本善明君。
#251
○松本(善)委員 外務大臣から伺います。
 昨日、武村大蔵大臣がこの委員会で、この協定の批准が外国米を入れるということを認めるわけですから、これは国会決議に反しているということは事実でありますというふうに答弁されました。武村氏は、ガット農業合意受け入れのときの官房長官です。この人が国会決議違反を認めたわけであります。それに続いての総理大臣の答弁は、国会決議に沿えない結果になったとか、国会決議に合致しているとは言えないという細川元総理大臣の答弁を引用して答弁をされました。外務大臣は、私に、国会決議どおりにはいかなかったということを答弁をされました。いずれも事実上、国会決議違反を認めたものだと思います。
 昨年の自民党声明は、国会決議に明らかに反しているというふうに書いてあります。自民党がその後態度を変更する声明を発表したことは、答弁もされましたから、もう十分承知をしております。
 二回目でありますが、端的にお聞きいたしますが、武村大蔵大臣の見解と河野外務大臣の見解は違うのですか。これは大筋一致しているのですか。
#252
○河野国務大臣 今議員が御指摘になりました平成五年十二月の自由民主党の党声明の中に、「ダンケル最終合意案を上回るミニマム・アクセスを受け入れ」云々と、「輸入拡大への道を開いたことは、国会決議に明らかに反する行為といわざるをえません。」こう党声明に書いてございます。
 これは我が党の党声明でございますから、私の見解もこれと、昨年十二月十四日当時の見解は、このとおりでございます。
#253
○松本(善)委員 現在もそのとおりですね。
#254
○河野国務大臣 その後、大変農業、農村に大きな影響を与えたこうした受け入れに対しまして、現在、政府・与党が厳しい議論の結果、対策を決定をいたしておりまして、恐らく国会決議の中には、すべてとは申しませんが、国会決議の中には、そのことが農家の皆さん、農業従事者の皆さんに大きな打撃を与えるということが反対決議の主な理由の一つでございますから、そのことに対する新たな対策を決定をしたという新しい事態が現在生まれているというふうに思っております。
#255
○松本(善)委員 新しい事態が生まれているけれども、見解としては国会決議に反している、いわばやむを得ないというか、そういう見解だと承りました。現在のそれが違っているというふうにはお答えにならなかった。
 通産大臣に伺いたいのですが、きょう主に伺いたいのは、アメリカの国内法優先主義と通商法三〇一条、スーパー三〇一条などの問題であります。
 通産大臣は、この問題でジャカルタでも議論をしてこられたことを答弁をされましたので伺いますが、まず最初に伺いたいのは、アメリカ国会で審議をしております実施法案の一〇二条に、ウルグアイ・ラウンド諸協定のどの規定もアメリカ合衆国の法律に反するものは効力を持たないと明記してありまして、しかもそれに続いて、一九七四年通商法三〇一条を含む合衆国の法のもとに確認されたいかなる権限も制限するようには解釈されないという規定がありまして、簡単に言えば、通商法三〇一条などが有効だということを明記をしている。通産大臣はこれを頭に置いてジャカルタで米国の代表などと議論をされたんだと思いますが、このような規定が実施法の中にあるということについては当然御存じだと思いますが、いかがでしょう。
#256
○橋本国務大臣 そのような細かい一つ一つの条文の言葉までは記憶をいたしておりませんが、そうした内容のあることは存じております。
#257
○松本(善)委員 そこで伺いますが、昨日の御答弁では、カンター代表やブラウン商務長官との会談で、実施法案にあるスーパー三〇一条の問題について疑義があるといって議論をされた、アメリカ側の説明では、スーパー三〇一条などの存在自体がWTO協定に違反するものではない、そしてWTO協定以外の部分についてこれを行使することは妨げないというものだったが、この部分は完全に平行線だった、こういうふうに御答弁がございました。
 そうすると、通産大臣は、このスーパー三〇一条などの存在自体がWTO協定に違反する、そのWTO協定以外の部分についてこれを行使をすることも協定違反だ、こういう立場で議論をしたというふうに承りましたが、それでよろしいでしょうか。
#258
○橋本国務大臣 正確に言い直しますと、我が国としては、一方的措置の発動を想定する米国通商法三〇一条はWTO協定の精神に照らして問題であるとの懸念を表明いたしました。これに対してアメリカ側からは、引き続き通商法三〇一条を活用する旨の発言がございました。
 なお、そのWTO協定におきましては、同協定の対象となります事項についてWTOの紛争解決手段を得ることなく一方的措置をとることは禁止されておること、御承知のとおりであります。したがって、通商法三〇一条の存在自体がWTO協定に違反するというわけではありませんが、米国がWTO協定の対象事項について通商法三〇一条などに基づいて相手国の利益を侵害するような一方的措置をとる場合には、WTO協定違反になります。万一こうした一方的な制裁措置が発動された場合には、WTOの紛争解決手続の利用も含めて、国際的なルールにのっとって解決を求めることになると考えられます。
#259
○松本(善)委員 今の通産大臣の御答弁は外国に対して述べたことでありますから、これが政府見解だと思いますが、外務大臣、それでいいですか。
#260
○河野国務大臣 結構でございます。
#261
○松本(善)委員 通産大臣がアメリカ代表に対して述べられたことは外務大臣も確認されたわけでありますが、総理大臣は、米国がWTO協定を締結する限りすべての規定を誠実に履行する義務を負うことは当然であります、同法案は米国としてのWTO協定上の義務を履行できるよう必要な立法措置をすべて盛り込んだものと承知をしていますと。言うならば、スーパー三〇一条が入っている実施法について、これはWTO協定をすべて誠実に履行する、そして義務を履行できるような必要な立法措置をすべて盛り込んだと。あなたは、通産大臣は平行線であると。
 今言われたのでは、WTO協定の精神に照らして問題であるという見解で、平行線だったということでありますけれども、これは総理の言ったこととニュアンスはかなり違うのではありませんか。総理の言ったニュアンスであれば、アメリカ代表とこれは平行線にならないと私は思います。通産大臣、どうお考えですか。
#262
○河野国務大臣 村山総理の御答弁は、アメリカがWTO協定を締結する限り、そのすべての規定を誠実に履行する義務を負うことは当然であり、アメリカのウルグアイ・ラウンド合意実施法案は、アメリカとしてWTO協定上の義務を履行できるよう必要な立法措置のすべてを盛り込んだものと承知しており、これらの点はアメリカ政府も確認している、これは今おっしゃったとおりでございます。
 この指摘の点、この答弁は、実施法案の規定ぶりにもあらわれていると考えられる。すなわち、実施法案は、アメリカ議会がWTO協定を承認すると規定した上で、例えば農業関連部分で関税化に対応するために農業調整法を修正し、食肉輸入法を廃止することなどを定めるなど、WTO協定の内容を実施するために必要な国内法の改正を盛り込んでいると理解している、こういうことだと思います。
#263
○松本(善)委員 私の聞いたことにお答えいただきたいのですが、通産大臣はWTO協定の精神に照らして問題なんだと。三〇一条ははっきり書かれているわけですよ、実施法に。それは問題だと言っているわけですよ。それで平行線になっている。総理の見解だけだったら平行線にならないですよ。だから、違うのじゃありませんかということを聞いているのですよ。当事者ですからね。通産大臣、どうですか。総理の答弁は、本会議で言われた、私も言いました、それから外務大臣も言いました。
#264
○坂本(吉)政府委員 ただいま委員の御質問に関連をいたしまして、アメリカが三〇一条をどういう場合に援用するかということを言っておりますのは、まず、WTO協定外の分野で米国の貿易上の利益が害された場合、あるいはWTOのパネルが設置されまして、そうしてそのパネルの採択がなされたにもかかわらずその措置の実行を一方の当事者がやらない場合に、それを強制する、履行を強制する手段としてやる場合、あるいはWTO参加国でない場合、あるいは協定を二国間でやっている場合、そういった場合にはこの三〇一条が援用される、こう言っておるわけでございます。
#265
○松本(善)委員 聞いたことに答えるようにしていただきたいと思います。私は今御質問しましたけれども、結局まともにお答えにならなかった。もしお答えになるならば答えていただきたい。羊れで、さらに一緒に、次へ進んでお聞きしておきますが、お答えになるならばあわせてお答えいただきたいと思います。
 必要な場合には結局WTOの手続をとるということを今言われましたですね。私は、アメリカが一体従うのかどうかという問題を問題にしたいのです。アメリカは、現行ガットを国際条約として扱って、東京ラウンド諸協定はすべて受諾する、義務を履行すると言っていたのです。ところが、紛争が生じてパネルに持ち込まれてアメリカのガット違反が明確になっても、その決定に従わないということをしばしば引き起こしております。
 昨日も吉井議員が指摘をしましたが、一九八九年の十一月のパネル、三三七条に関するパネル、この問題は、通産省の出しました一九九四年版不公正貿易報告書に、二百三十二ページ以降に詳細に書かれてあります。アメリカがガットで決まっても従わないということがあるということが書かれてあります。これはそのとおり事実でありますね。
#266
○橋本国務大臣 最初の点、私は、先ほども申し上げましたように、一方的措置の発動を想定する通商法三〇一条がWTO協定の精神に反して問題という懸念を表明した、そのとおりに申し上げております。ですから私は、アメリカが、WTO実施法案の中で条文として残されておりましても、彼らがWTOの精神にもとる行動はしないであろうということを期待をいたしております。
 それから、今、ガット理事会におきまして御指摘のパネル報告書が八九年の十一月に採択をされましたにかかわらず、アメリカがこれまで必要な手当てを行ってこなかったという事実は不公正貿易報告書にも記載しておるとおりであります。この点につきまして、米国は、従来、ウルグアイ・ラウンドの成立の後、所要の国内法の改正を行うという立場をとってきたところでありまして、我が国としてはガット理事会等の場におきましてこうした米国の態度に遺憾の意を表明し、事態の早期是正を求めてきたところと聞いております。
 今年、米国議会に提案されておりますウルグアイ・ラウンド実施法案に盛り込まれております米国関税法三三七条の改正案におきましては、パネル報告書においてガット違反であると指摘された諸点につきまして所要の改正がなされておるものと理解をしております。これが早期の成立を期待するとともに、今後の運用の実態について十分見守っていかなければならないと考えております。
#267
○松本(善)委員 この報告書でも、七十二件あって日本に影響を及ぼしたのは十三件。今まで是正してこなかったことはもう明らかであります。これは今後を見なければなりませんけれども、こういうことになりました理由はやはり国内法優先主義だからだ。はっきりとアメリカの国内法優先主義が実施法に書かれている。これは、東京ラウンドの場合の通商法、それからNAFTAの実施法でも書かれており、今回も同じように書かれております。そういう点ではアメリカの国内法優先主義というのは変わっていない、こういう認識ですか。
#268
○河野国務大臣 松本議員はお読みになっておられると思いますが、アメリカ政府が実施法案とともに議会に提出をいたしました行政府の措置についての声明、ステートメント・オブ・アドミニストレーティブ・アクションにおきまして、実施法案はアメリカの法律をWTO協定のもとでの米国の義務に完全に整合的なものにすることを意図しているということを書いているわけでございます。我々は、こうした声明が同時に実施法案とともに議会に提出をされているということも確認をしておりまして、アメリカの意図は十分理解できると考えているわけです。
#269
○松本(善)委員 今お読みになった声明は、私が前回の質問のときに、私の方から読んで御質問したものであります。にもかかわらず、アメリカの国内法の優先と、国内法に反する協定は効力を有しないということがはっきり書かれているから、アメリカの議会が変えない限りはだめだということになっているわけです。それはもう明白にそうですよ。議会が法律を変えない限りはスーパー三〇一条は残っているわけです。
 そして、さらに私お聞きいたしますが、アメリカの国内法優先主義というのはそんな簡単なものじゃなくて、大統領が締結した行政協定が国内法に反するということで大統領に条約修正交渉をやり直させた、そして修正をしたこともあります。それは、私の方から言いますが、一九六二年の歳入法で、対ギリシャ相続税・租税条約、これを修正する、改定するということがやられております。これを確認しませんか。それは違いますか。これは、もしなんだったら日にちまで言いますが、簡単にそのとおりならそのとおりと言ってくださいまだいっぱい質問がありますから。
#270
○原口政府委員 本件につきましては、米国と第三国との間の交渉マターでございまして、我が国は直接関与しておりませんので、その詳細は承知しておりませんけれども、したがって、その御質問の事例について責任を持って正確なことはなかなかお答えできないのですが、我々が米国側に照会したところ、本件につきましては、いわゆる修正を要求したとか再交渉を行ったということではなくて、租税条約を最新のものにした、アップデートした、こういうようなことを答えております。
#271
○松本(善)委員 これはやはり変えたんですよ。それは、日にちまで言いましょう、一九六四年四月十二日に署名した条約で変えられております。
 問題は、私はこれを申しましたのは、国内法優先主義というのは非常に徹底しておりまして、直接的に申したいのは、三〇一条の適用をアメリカが一方的に発動できるのではないかと。そういう懸念があるのではないか。先ほど通産大臣も、誠実にやることを期待をしている、懸念はあるということを言われましたが、これは、はっきりとアメリカの高官がそのように言っております。
 九三年十二月十四日のウルグアイ・ラウンド交渉が事実上妥結したときの背景説明で、ボーマン・カッター経済問題担当次席補佐官は、ガットの一部でありガットの協定に直接含まれる問題については、我々は多国間手続が求められる。そうでない問題については、そうすることは求められていない。そして三〇一条は、二つ目の領域で最も適切なものである。最近の、九四年六月十日のカンター通商代表は、ガットのもとでも三〇一条の一方的貿易措置はそのままであるとはっきり言っています。
 こういう発言がありますので、私は、アメリカ政府は一方的にスーパー三〇一条を発動できるということではないかと思います。そういう場合は手続をとるということを先ほど言われましたが、どういうふうにされるおつもりですか。
#272
○原口政府委員 三〇一条がWTOに直接抵触する、違反しているということでないという立場は先ほど御説明いたしました。それから、米行政府の意図についても御説明いたしたと思います。
 それで、今の規定ぶりでございますけれども、仮に、WTO協定の規定と米国連邦法の規定が抵触してその連邦法の改正が必要になった場合には、連邦法がそれと抵触する国際条約によって自動的に改正されるわけではないということを確認的に規定したものにすぎないというふうにアメリカの政府の人間が私どもに説明しております。
#273
○松本(善)委員 私がお聞きしましたのはそういうことではなくて、アメリカが一方的にやった場合には手続をとると言われる、その問題についてお聞きをしているわけであります。
 手続をとってから解決に至るまでどのぐらいかかるでしょうか。端的に答えてください。私も承知をしていますし、それから、そちらからも資料をもらっていますから。
#274
○原口政府委員 いろいろ長短はございますけれども、通常二十八カ月でございます。
#275
○松本(善)委員 場合には三十数カ月もかかるということがあるんではありませんか。協議が延びるとかいろいろなことがあれば、外務省から聞いているのでは、長い場合は三十数カ月もかかるということであります。
 そういうことになりますと、これはもう、アメリカが制裁措置を発動した場合に、それはもう、日本がそれは違法じゃないか、おかしいじゃないかということで提訴をするというようなことをやっても、輸出側から見れば大損になるわけで、その前に妥協して話をつけてしまうということにならざるを得ないということが随分あるんではないか。それは通産大臣なんか十分御承知と思いますが、どうですか。そういうことが起こるでしょう。
#276
○橋本国務大臣 そういうことを想定する以前に、我々としては、今日米間に係る経済問題についての論議を民間のレベルの問題は民間同士の話し合い、さらにルールの中で処理ができる体制をつくるために努力をいたしております。
#277
○松本(善)委員 それは通産大臣、そういうふうに言うと、それは答えにくいということでそう言うのかもしれませんけれども、赤尾信敏外務省国際貿易・経済担当兼地球環境担当大使が世界経済評論九四年の三月号ではっきりそういうことを書いています。だれが考えてもそうですよ。そんなものは、二十八カ月もあるいは三十数カ月も貿易で、これはもう制裁を受けたままでそんなものほっておくなんてことはできないですよ。それはもうだれが見たって常識ですよ。
 だから、カンター通商代表は議会の証言で、アメリカの市場から締め出される危険を冒してまでアメリカをWTOに提訴をする国があろうか、こう言って開き直っているわけですよ。これは外務大臣、こういうことを何で言うのかということをやはり調査をしてきちっと国会に報告すべきじゃないですか。そんなこと起こらないなんていうことを言うのは国民をだますものですよ。はっきりお答えいただきたい。そして、カンターがなぜそんなことを言うのか。
#278
○原口政府委員 ことしの一月二十六圧の米国の下院歳入委員会におきまして、カンターは次のような証言をいたしております。
 現行の三〇一条のもとにおいても、問題となる事項がガットが対象とするものである場合にはガットの手続をとらなければならず、WTO協定のもとでは、対象範囲が広い分だけガットを通さなければならないケースがふえる。
 以上でございます。
#279
○松本(善)委員 それはそうですよ。それはそうに決まっているけれども、しかし、違法であってもやって、事実上最終手続まで行かないで、実際上おどしをかけて貿易上解決するということが実際の事例にもあるし、それから、この可能性が消えないから問題になっているわけですよ。何人もの私とは立場の違う議員がここの場でも質問をされたのは、それだからですよ。
 この今の二十八カ月あるいは三十数カ月の中には、アメリカの議会が法律を変えるということも含まれた措置もあり得るわけです。それは、本当に日本の貿易担当者からするならば大変なことですよ。本当に不平等な一方的なものであります。
 私はさらに申し上げたいのは、今度の協定についてアメリカの共和党院内総務であるドール氏が、アメリカのWTO参加について、議会の監視権限を強化をする法案を大統領が認めない限り実施法を支持しないということを言明するとともに、WTOがアメリカの利益にならないと判断された場合にWTOから脱退することを可能にする手続についても個別に採択すべきだということを発言したということが伝えられております。アメリカの自国の利益を守るということは本当に徹底的であります。
 今までずっと実例からもお話をいたしましたし、それから、法律の実施法の規定の仕方からもお話をいたしましたけれども、これほどアメリカ中心主義はないですよ。それを、私はこの間も委員会でも申しました。これはアメリカの経済覇権主義だと言ったわけですが、総理大臣ももうそれは、外務大臣もそうだったかもしれませんけれども、それはアメリカの言うことだ、カンターにしても、クリントンにしても、それはみんなアメリカが言っているだけのことだということですけれども、経済覇権主義というのは、受ける側からすれば、経済侵略を受けるということになるんですよ。私は、それについて日本の政府の首脳が平気でいるということはどうしても理解できないんです。
 今御質問をして、大臣がお答えにならないで外務省の担当者に答弁をさせられましたけれども、私は、政治家として、大臣として、それについて明確にこうだということがやはり言えるようでないといけないと思います。
 そういう点では、アメリカの経済覇権主義というのは非常にはっきりしてきていると思います。日本の主権を守ると、だれもが、ここにお立ちになった方々みんな、農業の問題を中心として重大なことになると、農業は。そういう主権にかかわることが、直接そういうことを言う言わぬにかかわらず議論されているんですよ。私は、このアメリカの一方的なやり方に反対をして、日本の主権を守る、日本の国民の利益を守るというためにやはり再交渉すべきだということを主張をいたします。もし答弁があれば伺います。
#280
○河野国務大臣 私は、甚だ恐縮ですが、委員と見解を異にいたします。
 この協定は、御承知のとおり、七年余にわたって百二十を超える国が十分な討論をした上で、合意をしてでき上がったものでございます。日米二国間で議論をしているわけのものでもなければ、アメリカが一方的に百二十幾つの国を相手に経済覇権主義を押しつけようとしているというものでもないと私は思っております。
 これは、十分な議論の末、合意の上で最終文書が確認をされている。そして、その確認をしたそれぞれの国が現在国内の手続をいたしている。そういう今手順になっているわけでございまして、今アメリカが、こういう場合はどうだ、こういう場合はどうだと幾つかの例を挙げられましたけれども、そうした幾つかの例ということ以上に、このWTO協定が新たなルールをつくる、物以外のサービスに至るまで新しい貿易のルールをつくるということによって生ずる世界的な利益というものを考えれば、この協定をつくり上げるということに十分な意味がある。そしてまた、その百二十幾つの国と議論をしてともどもにこの協定をつくり上げたアメリカが、その百二十幾つの国及び地域というものの主張、理解というものを超えて横暴な振る舞いをその都度するというふうには私は思わないわけでございます。
 したがいまして、この合意に基づいて我々は誠実にこの協定の国内手続を進めて、明年一月一日にすべての参加国とともにこの新しいルールをスタートをさせる、そのことが今国の内外ともどもの利益であるというふうにかたく考えております。
#281
○松本(善)委員 しかし、批准の段階でいまだに二十七カ国しかいない。それから、日本の国内でも大問題になっているんです。
 私は、大臣の見解には反対だということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
#282
○佐藤委員長 松本君の質疑は終了いたしました。
 次回は、来る二十四日木曜日正午理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時三十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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