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1994/11/29 第131回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第131回国会 世界貿易機関設立協定等に関する特別委員会 第8号
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1994/11/29 第131回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第131回国会 世界貿易機関設立協定等に関する特別委員会 第8号

#1
第131回国会 世界貿易機関設立協定等に関する特別委員会 第8号
平成六年十一月二十九日(火曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 佐藤 孝行君
   理事 越智 伊平君 理事 川崎 二郎君
   理事 田中 直紀君 理事 中川 昭一君
   理事 小平 忠正君 理事 畑 英次郎君
   理事 日笠 勝之君 理事 伊藤  茂君
   理事 辻  一彦君
      逢沢 一郎君    赤城 徳彦君
      片岡 武司君    岸本 光造君
      久間 章生君    熊代 昭彦君
      栗原 博久君    小杉  隆君
      塩崎 恭久君    七条  明君
      福田 康夫君    二田 孝治君
      松岡 利勝君    松下 忠洋君
      御法川英文君    井奥 貞雄君
      井上 喜一君    石破  茂君
      今津  寛君    上田  勇君
      遠藤 乙彦君    大石 正光君
      小泉 晨一君    古賀 正浩君
      坂本 剛二君    鮫島 宗明君
      白沢 三郎君    田名部匡省君
      千葉 国男君    仲村 正治君
      平田 米男君    広野ただし君
      松田 岩夫君    山崎広太郎君
      山本  拓君    吉田  治君
      秋葉 忠利君    永井 哲男君
      鉢呂 吉雄君    横光 克彦君
      和田 貞夫君    錦織  淳君
      前原 誠司君    藤田 スミ君
      松本 善明君    吉井 英勝君
      石井 紘基君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 河野 洋平君
        大 蔵 大 臣 武村 正義君
        文 部 大 臣 与謝野 馨君
        厚 生 大 臣 井出 正一君
        農林水産大臣 大河原太一郎君
        通商産業大臣  橋本龍太郎君
        自 治 大 臣 野中 広務君
        国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 五十嵐広三君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 宮下 創平君
 出席政府委員
        内閣法制局第四
        部長      野田 哲也君
        防衛政務次官  渡瀬 憲明君
        環境庁企画調整
        局長      石坂 匡身君
        外務大臣官房外
        務参事官    谷内正太郎君
        外務省総合外交
        政策局長    柳井 俊二君
        外務省総合外交
        政策局国際社会
        協力部長    高野幸二郎君
        外務省経済局長 原口 幸市君
        外務省経済協力
        局長      平林  博君
        外務省条約局長 折田 正樹君
        大蔵省主計局次
        長       中島 義雄君
        大蔵省関税局長 鏡味 徳房君
        大蔵省国際金融
        局長      加藤 隆俊君
        厚生省生活衛生
        局長      小林 秀資君
        農林水産大臣官
        房長      高橋 政行君
        農林水産省経済
        局長      東  久雄君
        農林水産省構造
        改善局長    入澤  肇君
        農林水産省農蚕
        園芸局長    日出 英輔君
        農林水産省畜産
        局長      高木 勇樹君
        食糧庁長官   上野 博史君
        通商産業省通商
        政策局長    坂本 吉弘君
        通商産業省通商
        政策局次長   伊佐山建志君
        通商産業省機械
        情報産業局長  渡辺  修君
        通商産業省生活
        産業局長    江崎  格君
        中小企業庁長官 中田 哲雄君
        自治大臣官房総
        務審議官    二橋 正弘君
        自治省財政局長 遠藤 安彦君
 委員外の出席者
        外務委員会調査
        室長      野村 忠清君
        大蔵委員会調査
        室長      中川 浩扶君
        文教委員会調査
        室長      長谷川善一君
        農林水産委員会
        調査室長    黒木 敏郎君
        商工委員会調査
        室長      石黒 正大君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月二十九日
 辞任         補欠選任
  斉藤斗志二君     熊代 昭彦君
  木幡 弘道君     小泉 晨一君
  坂本 剛二君     石破  茂君
  田名部匡省君     白沢 三郎君
  千葉 国男君     上田  勇君
  仲村 正治君     広野ただし君
  松田 岩夫君     井上 喜一君
  藤田 スミ君     吉井 英勝君
  遠藤 利明君     石井 紘基君
同日
 辞任         補欠選任
  熊代 昭彦君     斉藤斗志二君
  井上 喜一君     松田 岩夫君
  石破  茂君     坂本 剛二君
  上田  勇君     千葉 国男君
  小泉 晨一君     山崎広太郎君
  白沢 三郎君     田名部匡省君
  広野ただし君     仲村 正治君
  吉井 英勝君     藤田 スミ君
  石井 紘基君     遠藤 利明君
同日
 辞任         補欠選任
  山崎広太郎君     木幡 弘道君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)
 著作権法及び万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)
 加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)
 繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)
 農産物価格安定法の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)
 特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)
 関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)
 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律案(内閣提出第一七号)
 派遣委員からの報告聴取
     ――――◇―――――
#2
○佐藤委員長 これより会議を開きます。
 世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の締結について承認を求めるの件、著作権法及び万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律の一部を改正する法律案、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案、繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案、農産物価格安定法の一部を改正する法律案、特許法等の一部を改正する法律案、関税定率法等の一部を改正する法律案及び主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律案の各案件を一括して議題といたします。
 この際、昨二十八日、各案件審査のため福島県に委員を派遣いたしましたので、派遣委員から報告を求めます。中川昭一君。
#3
○中川(昭)委員 福島県に派遣された委員を代表して、概要を御報告申し上げます。
 派遣委員は、日笠勝之君、辻一彦君、赤城徳彦君、栗原博久君、今津寛君、千葉国男君、仲村正治君、永井哲男君、藤田スミ君と私でございます。このほか、現地参加委員として田中直紀君、木幡弘道君及び坂本剛二君、現地参加議員として斎藤文昭君、金子徳之介君及び増子輝彦君が出席されました。
 会議は、十一月二十八日正午より福島市内のウェディング・エルティにおいて開催し、意見陳述者の方々から、現在本委員会で審査中のWTO設立協定外七法律案について意見を聴取し、これに対して各委員より質疑が行われました。
 意見陳述者は、福島県農業協同組合中央会専務理事安田壽男君、農業西一信君、福島県飯舘村村長斉藤長見君及び福島県農民運動連合会副会長佐々木健三君の四名でありました。
 意見陳述者の陳述内容について、簡単にその要旨を御報告申し上げます。
 まず、安田壽男君からは、ウルグアイ・ラウンド農業合意には反対であり、基本的にWTO協定は批准されるべきではないが、批准しないことが国際信義上許されないとするならば、万全な国内対策の樹立とあわせ、平等、公平な農産物貿易ルールの確立が必要であること、農業合意関連対策の予算と従来予算との関係を明確化すべきこと等の意見が述べられました。
 次に、西一信君からは、農業の使命は安全な食糧を安定的に妥当な価格で消費者に提供することであるとし、規模拡大に必要な農地流動化の促進、土地改良負担金軽減対策等の拡充強化が必要であること、新食糧法の実施に当たっては、減反面積の固定化と豊凶変動に対応した備蓄の機動的な運用を図ること、農業合意関連対策については、農業者の将来展望が開ける施策の確立が必要であること等の意見が述べられました。
 次に、斉藤長見君からは、新食糧法の運用に関し、政府米の買い入れ価格については、価格の下支え機能を付与し、再生産が確保される価格とすること、生産調整の実効性を確保するため、助成金を増額する必要があること、中山間地域の実情に配慮し、生産基盤、生活環境の整備に特段の措置を講ずること等の意見が述べられました。
 最後に、佐々木健三君からは、WTO協定の批准に反対の立場から、過去における牛肉の自由化関連対策の経緯等にかんがみ、農業合意関連対策の実効性に疑義があること、規模拡大による生産構造の改善には限界があること、輸入食品の安全性の確保のため検査基準の強化が必要であること、新食糧法案は減反の押しつけや生産者米価の引き下げ等をもたらし、農家の生産意欲を減退させる懸念があること等の意見が述べられました。
 次いで、各委員から、ウルグアイ・ラウンド農業合意等が我が国農業に及ぼす影響についての認識、農家負債の軽減対策、農業合意関連対策に対する評価、農業の将来展望、新規就農者の確保対策、自給率向上と生産コストとの関係、WTO協定を批准しなかった場合の我が国産業・経済に及ぼす影響等についての認識、中山間地域の活性化対策、農産物の品質表示のあり方、農業生産資材価格等の引き下げ対策、自主的な生産調整の実効確保の見通しなど、多岐にわたる質疑が行われました。
 以上が概要でありますが、会議の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はそれにより御承知願いたいと存じます。速記録は本日の会議録に参考として掲載されますようお取り計らいをお願いいたします。
 今回の会議の開催に当たりましては、地元の関係者を初め、多数の方々の御協力をいただきました。ここに深く感謝の意を表し、報告を終わります。
#4
○佐藤委員長 以上で派遣委員からの報告は終わりました。
 お諮りいたします。
 ただいま報告のありました現地における会議の記録が後ほどでき次第、本日の会議録に参考掲載することに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔会議の記録は本号(その二)に掲載〕
    ―――――――――――――
#6
○佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小平忠正君。
#7
○小平委員 おはようございます。改革の小平忠正です。
 各大臣におかれましては、当委員会、今日まで連日まことに御苦労さまでございます。数回質疑を続けまして、この一協定七法案等々について同僚議員含めて多々質問がございまして、幾つかの問題点、疑問点、また政府の答弁によってそのあいまいさというか、不透明点等々が噴出いたしております。
 そこで、私はきょう質問の機会を与えられましたので、許された時間、私が問題とする点も含めまして、重複する点もあるかと思いますが、ぜひ関係大臣からの御答弁をいただきたいと思います。
 まず、この六年有余にわたる今回のウルグアイ・ラウンドの外交面でのいろいろな議論の経緯、また国内においても種々行われました問題点の指摘等々、これを思い起こしまして、私は、なぜ今回我が国がこのウルグアイ・ラウンドを受諾せざるを得なかったか、そこの点を考えますときに、言うならば我が国は、皆さん御指摘のように貿易立国である、したがって、このいわゆる自由貿易を推進する立場上、今回我が国はどうしても避けて通れない、受諾せざるを得ない、そういう御意見が大勢を占めました。
 そのときに当たって、私は二つの点を特に指摘をせざるを得ないと思うのであります。その一つは、言うならば、どうこう言っても今日の我が国はアメリカという存在を無視しては国際政治経済は語れない、これが一点であると思います。もう一点は、この自由貿易を推進するためにWTOを成立するためには、そういう意味において特に農業の分野に犠牲が伴う、したがって、農業界に対して十分なるラウンド後の対策を講じる、この二つが私は言うならば大きなポイントではなかったか、こう思います。
 そこで、まず最初にお話ししたいことは、アメリカという国の政治の面における特徴というか、そんなことを、私が感ずるところを少しく指摘をさせていただきますが、アメリカという国は我が国とは政治システムというか、非常に違っております。
 私の考えでは、アメリカは大きく三つの特徴がある。その一つは、御承知のようにツーパーティー・システム、二大政党制ですね。これはもう論ずるまでもありません。
 もう一点は、ノンディシプリンというか、言うならば規律性がないということ。我が国ですと、議院内閣制で与党、野党という状況がございます。しかし、アメリカの民主党、共和党という中においては、日本流に言うと、党議拘束がないわけでありますね。したがって、民主党であろうと共和党であろうとどうであろうと、その議員の個々の信条、信念によってすべての案件に対して判断が自由であるということ、例えて言うならば、一般的に言うと、アメリカは、民主党が一般的に言ってリベラルである、しかし、共和党はコンサバティブ、こう言われますね。
 しかし、それは地域によってであり、また個人差によってでありまして、一つの例を言いますと、過去にもあったことですけれども、東部の民主党の議員のグループと南部の共和党のグループが往々にして意見が一致することが多々ございました。特にアメリカ南部の民主党の皆さんは非常にコンサバティブである、そんなこともここにあり、したがって、そこのところは政党政治であるけれども、ツーパーティー・システムで政党政治であるけれども、しかし、政党がないということも言えるのではないかと思う。そういう中で、大統領府と議会とがちょうちょうはっし渡り合って、今までのいろいろな案件の処理がなされてまいりました。そういうことが二つ目。
 それからもう一つは、ディセントラリゼーション、言うなれば非中央集権化というか、日本とは違ってアメリカという国は、連邦議会、州議会、まああれだけ広い国ですからこれも必然的にそうなったことでしょうけれども、そういう州議会が非常に健在である。したがって、時としては連邦議会と州議会がまるっきり相反する法律をつくったことも過去にはあった。そして、幾ら連邦政府が外交的に事を進めていっても、州レベルではそれを敢然と拒否をしてその州内の権益を守るということ、これが堂々とまかり通ってきたという、そういうことももう既に御承知のとおりであります。
 そういうような状況がアメリカ政治の私は特徴ではないかと思います。
 さて、そういう中において、先般十一月に中間選挙がございまして、日本で言うならば野党である共和党が大躍進した。そうなると、普通ならば政権がかわるはずでありましょうけれども、アメリカは連邦議会と大統領は別でありますので、そこのところは今のクリントン政権、この状態が続いております。しかし、言うならばこれはレームダック議会でありますね。もう一つおもしろいことに、アメリカという国は選挙があっても年内は選挙前の議員構成で議会が運営される。ですから、新しい議会は来年一月からのスタートになりますね。
 そういう中で、今盛んに外務省を中心にこのWTOのことに関して、アメリカは予定どおり十一月の下旬には下院、そして上旬には上院がこれを通します、そういうことを、手をかえ品をかえてそういう情報を流し、また、我々にもそういう文書が流れてきております。マスコミにもそういう報道があるのも事実であります。しかし同時に、これについて疑義的な、懐疑的な、そういう情報があることも、これも事実であります。
 しかし、不思議なことに、このWTOの通過が難しいという、そういう情報はどういうわけか余り、比べてみるとそちらの情報がちょっと弱いようには感じられますが、したがって、一般的にマスコミやあるいは政府の情報をそのまま受け取りますと、このWTOはアメリカにおいては問題なく通過する、そのように受け取られる節があるようには感じられます。しかし、私は、今申し上げた観点から、果たしてそれがうまくいくのか、そんなことをいまだもって懸念をしておる一人でございます。
 外務大臣、そういう状況はもう私が申し上げるまでもなく先刻既に御承知のことと思いますけれども、大臣は本当に、アメリカ上下両院はこのWTOをクリントン政権の希望どおり粛々と日程にのっとって通していくのだと、いまだもってそう信じておられますか。そこのところはいかがですか。
#8
○河野国務大臣 これは何せアメリカの問題でございますから、私どもとしてはできるだけ注意深く情報を入手するという努力をいたしておりますが、その入手した情報を私どもなりに分析をして、時にこの委員会でお尋ねがあれば申し上げる、こういうことでございます。
 基本的に申しまして、ウルグアイ・ラウンド交渉、長い間のウルグアイ・ラウンド交渉のかなり多くの部分は、アメリカにおいては共和党政権下で交渉は行われていた時期が大変長うございます。今日は民主党政権として、このウルグアイ・ラウンドの最後の取りまとめに当たっては民主党がイニシアチブを発揮したということは事実でございますけれども、長い経験が共和党時代にもあるわけでございます。
 と同時に、今回の、お尋ねのように中間選挙の結果を踏まえて、新しく選ばれた方あるいは選び直された方々がこのWTOの問題にどういう対応をなさるかということは、我々にとっても大きな関心事でございましたから、いろいろと議会の方々から直接お話を聞いたものもございます。あるいは、この委員会でも既に何度かお答えを申し上げておりますが、村山総理から直接クリントン大統領に状況を伺う、あるいは通産大臣から、あるいは私からもそれぞれアメリカの主要な方々に状況は伺うという対応もいたしてまいりました。
 さらに、新聞等が伝えるところを見ましても、アメリカの状況は、もうこれは小平議員は十分アメリカの事情に精通しておられますから、私が申し上げるまでもないことでございますけれども、過日、クリントン大統領とドール氏の間に話し合いがまとまったという情報がございます。これは私どもももちろん確認をいたしておりますが、このクリントン大統領とドール氏との間の話し合いがまとまったことを受けて、この問題についてのアメリカ議会上下両院における処理はほぼ間違いなく、今月末及び来月上旬には下院、上院それぞれ行われるものであろうというふうに現在考えているところでございます。
#9
○小平委員 外務大臣、クリントン大統領と村山総理とのそういう電話なりの行き来があった、そういうことでしょうが、確かにそういう情報を受け取られていることも私は今まで何度もこの委員会でもお聞きしてまいりました。
 しかし、例えばこういう点はいかがですか。最近の情報としては、共和党のドール上院院内総務、彼の発言によると、WTOの今後について、五人の元判事による委員会を設立をして、WTOのパネル、いわゆる紛争委員会ですね、これがWTO発足後五年の間に三回以上米国にとって恣意的な判断を行った場合、言うならば不利な判断があった場合、米国議会は、連邦議会は米国がWTOから脱退すべしとの勧告を行うことができるという、こういうようなことも今模索している。また、それが上院等で合意に達した、そんなようなことが聞こえてきましたね。これはもう既にお耳に入っていると思います。そうですね。
 そこで、そんなようなこともこれもある、また、私が今ほど申し上げたアメリカ政治の特徴からいって、御案内のように、アメリカは特に農業調整法、これは戦前に出したものであります、一九三〇年代ですね、二十二条、これによって輸入制限措置をしておりますが、これもいわゆる連邦政府の説明では、これは撤廃する、こう言われています。これは言うならばウエーバーの関係ではありますけれども。また食肉輸入法、この輸入制限、これはガット上の根拠は何らないんですけれども、こういうものがアメリカでは堂々とまかり通っていますね。こんなような状況に対してどのように考えられておりますか。
#10
○河野国務大臣 お答えする前に、誤解があるといけませんから一言だけ申し上げておきますが、村山、クリントン間の会話は電話ではなくて、ジャカルタでの首脳会談で直接お会いをいただいて、そこで村山総理からクリントン大統領のこの問題に対する決意のほどを問いただしたところ、強い決意と同時に、新しい共和党選出議員の間とも話ができるというお話があったということでございますので、その点まず最初に申し上げておきます。
 今議員がお尋ねの大統領とドール共和党上院院内総務との間の了解事項でございますが、確かにお尋ねのとおり、WTOが発足した後、パネルにおきます検討の結果がアメリカにとって不利益である、かつ不当なものである、恣意的なものといいますか、不当なものであるというものが五年間の間に三回以上あったらば、脱退する勧告を議会がホワイトハウスに勧告をする、そういうことについて大統領が了解を与えた、こういう話でございます。
 この点は、まさにそういう了解があったという事実関係を私どもは聞いております。そういう了解が成り立った結果、ドール氏はわかったと、それでは上院でこの問題の処理をしよう、つまりWTO実施法案の処理をしようという了解をしたという状況でありまして、私どももその事実関係をきちんと把握をして、先ほど申し上げたように、この結果、十二月、恐らく十二月一日、予定どおり上院も通過をするであろうというふうに御報告を申し上げたところでございます。
#11
○小平委員 村山総理とクリントンとのそういう意見交換はジャカルタのAPECのあのときだけですか。そうなると、その後国際政治は刻々と動いておりますけれども、最近のそういういろいろな接触はないわけですね。いかがなものかと思いますけれども、それはそれでいいです。それは大分古いときの接触だったと、時期的にも。
 今、ドール院内総務はそういうことでクリントンとの話をされたということなんですが、じゃ、翻って我が国は、アメリカがそのようなことをあの手この手、今までも出ましたけれども、これからもまたいろいろなことが出てくると思うのですね。果たして我が国としては、我が国の国益、権益を守るために、今政府としてはそういう我が国の対抗的なものというのは何か考えておられるのですか。それとも、これはすっと通っちゃって、あとはアメリカの、何といいますか、いわゆるただひたすら信じるということなんですか。それとも、やはり我が国も敢然として何かそういうものをやっていこうという対抗措置は考えておられますか。
#12
○河野国務大臣 これはもう議員よく御承知のとおり、WTOは日米の二国間の問題ではございません。世界百二十を超える国と地域が集まって世界貿易のルールをつくるという問題でございまして、アメリカが議会の中でどういう議論をしたかということと我が国の態度というものが直接かかわるものではないと思います。
 御承知のことだと思いますが、先ほど申し上げましたように、ドール院内総務との議論を見ましても、パネルにおいてアメリカに対して不当かつ不利益といいますか、アメリカに対して不利益な結果が、しかもそれが恣意的に出たということがある場合に云々、こういうことでございまして、ただ単にルール上不利益をこうむるということではないのでございます。恣意的に、あくまで恣意的に米国にとって不利益な報告が出たらば云々、こういうことでございまして、私どもはWTOのパネルがそういう恣意的に特定の国に対して不利益をもたらす報告をするというふうにはまず基本的に考えておらないわけでございまして、アメリカがやったから日本がそれの対抗手段として何かを考えるかという、もしそういうお尋ねであるとすれば、そうしたことは考えておりません。
#13
○小平委員 いや、私が言うのは、アメリカがやったから対抗するというのでなくて、当然アメリカも、今のこのドール院内総務の姿勢というのは日本だけじゃなくて対世界をターゲットにした、そういう対処だと思うんですね。当然我が国も、別に大臣がおっしゃるようにアメリカだけを意識していませんよ。もちろんWTOは世界機構ですよ。でも、実際問題としては日本とアメリカ、これが一番でしょう。だからそういうことになったのであって、当然、理論的には対世界ですよ。でも、現実問題は対アメリカです。これは後ほど私は日本とアメリカとのいわゆる貿易の輸出入関係について問いますので、そこでまたお話しいたしますけれども、そういう意味で申し上げたのですね。
 それで、例えば一つの例として、自民党が野党時代に、自民党提案の議員立法として外国産牛肉輸入調整法案というものをお出しになりました。これは先般、我が方の仲村議員、改革の農水部会長ですけれども、質問が既にありました。私もこれについて再度お考えをお聞きしたいと思うんですけれども、この議員立法、これはどちらかといったら、この間も外務大臣はお答えできずに、当時は、今もそうですけれども、自民党総裁で最高責任者ですから、これについて知らなかったことはないと思うんですけれども、具体的なことについては大河原大臣が、当時は自民党の立場ではいわゆるそれなりの立場におられましたですよね、どういう役職か。そこで、言うならばこのことを党内で検討されて出されてこられたわけであります。
 そこで、この調整法案というのは、これはある意味では、先ほどのお話とはちょっと違うかもしれぬけれども、目的としては我が国の畜産業界、これを守ろうという、そういうことのあらわれでしょう。当時は野党でしたけれども、今は政権与党ですよ。当然これを推進されて立法化される、その最短の道に、近道におられるんですよね。なぜこれをやられないんですか。なぜこれをつるしたままにしておかれているのですか。で、これはガット上、この問題はどうなんですか。
#14
○大河原国務大臣 お答え申し上げます。
 先般、仲村委員からの御質疑がございましたが、あの調整法案につきましては、ガット十九条のセーフガードの規定から見ると抵触する。したがいまして、今後この法案の進め方については、自由民主党の方でも取り下げを検討中というふうに承知しております。
#15
○小平委員 ちょっとおかしいですね。今はガット十九条ですか、抵触するというふうに大臣、お答えになったけれども、私の手元に当時この法案についての趣旨説明を、当時農水委員会で自民党の中川さんが筆頭理事でしたけれども、されておるので、私、これ手元にあるんですよ。
 これによりますと、こう書いていますよ。「なお、本案は、ガットとの関係を十分に考慮して起草しており、国際ルールに何ら反するものではありません。」ですから、「ガットとの関係を十分に考慮して起草しており、」というので、ガット上、抵触しない、こう言っているのですよ。それでああいう状況になった。中身はもう繰り返す必要ありませんよね、七〇%の関税という。これはもう私が言わなくてもいいですよね。そういうことでこういう法案を出されておるのですよ。今の答弁ですとちょっとおかしいのではないですか。
#16
○大河原国務大臣 ガット十九条におきましては、輸入の増大等によって、あるいは価格の低下等によって国内の産業、これは物も含んだ一般規定です、セーフガードは、について予見されなかった重大な損害またはそのおそれがある、まずそういうことで調査をいたしまして、それを明らかにした上で発動するということでございますが、輸入調整法では、輸入数量が国内生産量を超える場合には……(小平委員「それはわかっているんですよ」と呼ぶ)ですから、そういう発動でございますから、したがって当該法案がガット十九条に対して抵触する、したがって今回の全体のWTO協定の受け入れあるいは関連法案、一定の流れの中においては、法案を現在取り下げを検討しているということでございます。
#17
○小平委員 このことは、今大臣そうおっしゃったけれども、自民党の議員立法で出されて、農水委員会マターですよね。農水委員会の仲間で、私も理事の一人ですが、そういうふうに取り下げの方向であるというような話は聞いておりません。
 しかも、非常に私どもが気になってしようがないことは、衆議院公報というのがございますね、これは毎朝各議員の手元に配られてきます。そうすると、農水委員会が開かれるときは必ずその委員会開催日時の案内があって、いろいろな案件の一番最初に外国産牛肉輸入調整法案というのが書いてあるんですよ。
 それから、例えばこの今の特別委員会の農業関係四法案も、最初、この特別委員会に移管される前は農水委員会にすぐ出ていましたよ。ですから、一番トップに書いてあるんですよ。常にそれを目に入れながら、気になってしようがないんですよ、これは自民党さんどうされるのかなと。今の御答弁を聞いても非常に苦しい答弁をされている。だから、これだったら、私はそれはそれで結構ですよ。ただ、こういうようなことを野党時代にされておいて、そして今与党になったら一応WTOをきちっと通すためにこれは取り下げたい、そういうのでは、それに翻弄された我々としては何かこう釈然としないものがあるんですよね。
 そんな意味で、確かにこの自民党提案の法案は問題があると私も思います。しかし、例えばの話として、政府として何とか知恵を絞って我が国の権益を今後守ろうという、そういうこともしていかないと、アメリカの外交に一歩も二歩も引けをとるのではないか、そんなことがあるので指摘をしたわけであります。
 そうですか、取り下げるんですか。それで私、いやこれは結構です、もう御答弁は結構です。
#18
○大河原国務大臣 政府としては、そのように承知しておる、承っておる、意向であるということでございまして、それは議員提案でございまして自民党が提案しておるわけでございますから、私ども、それについてはそういうふうに承っておるということだけ申し上げておきます。
#19
○小平委員 確かに、議員提案ですから今の答弁が適切だと思いますよ。さっきの答弁は間違っていましたよね。次に進みます、武士の情けで。
 それで、今私がいろいろとアメリカとの関係を申し上げたことは、昨日のこの表がお手元に行っていると思うのですけれども、政府が持っておりますいわゆる日本とアメリカ、言うならば対米輸出入ですね、貿易。または日本の対世界との貿易輸出入、これはもう皆さんよく御承知ですよ。我が国は世界に向かってもアメリカに向かっても大変な輸出超過で黒字ですよね。
 せっかくですからアメリカのだけを申し上げておきますと、この資料は昨年の資料ですね、ことしはまだできていませんから一九九三年、これによると、我が国のアメリカに向かっての輸出はトータルで千五十四億ドル。ところが、アメリカからの輸入は五百五十二億ドル。言うならば半分ですね。だから簡単に言って五百億ドルの輸出超過です。
 そういう中で、では農業関係はどうか。いわゆる農林水、これに絞って言いますと、日本からアメリカに対してはわずか四億五千万ドル、これしか輸出していないんですよね。しかるに、アメリカから日本に入ってきている輸入量というのは、農業の分野で言うと、農林水です、トータルしますと百八十七億ドル。
 いいですか。五百五十二億ドル日本はアメリカから輸入している、その中で三分の一強の約三四%に当たる輸入量というのは農業の分野なんですよ。百八十七億ドル。通産大臣、このことはもう御承知だと思います。
 ということは、我々はアメリカに対して、世界に対してもそうですけれども、農業の分野では多大な貢献をしている世界一のお客さんなんですよ。このことをきちんと肝に銘じてもらいたい。これについてはもう議論するまでもありませんよね、これは言うならば過去の統計調査ですから。ところが、逆にアメリカは今世界に向かっても大変な赤字を持っているわけですよね。これについてはそれでもう否定されませんね。これだけの多大な輸入超過であり、しかも三分の一強の輸入品が農業の分野で占められている。
 ちなみにほかのものもちょっと調べてみました。ではほかに何があるか。私なりに調べてみたのですけれども、昨年の段階で航空機、これが二十八億ドルなんですよ、我が国がアメリカから輸入しているものは。情報処理機器で十九億ドル。事務用機器でも十四億ドル。けたが十億ドル台なんですよ。しかるに、農業分野は百八十七億ドルですよ。そういうものが今輸入されているんです。
 なぜ私がそんなことを言ったかということは、このWTO協定が発効をした結果、我が国は農業品と工業品、大きく分けてこの二つの分野でどちらが輸出量が、特にアメリカに向かって、世界でも、ふえていくのでしょうか。そこのところはどういうふうに、通産大臣せっかく座っておられてもあれでしょうからお聞きしますが、農業品とそれから工業品、どちらの方がWTOが発効した後、我が国の輸出量はふえていきますか。輸出量です。
#20
○橋本国務大臣 我が国の農産品も、私はおいおいに海外に輸出されるものがふえていくとは思いますけれども、それは工業品を上回ることはないと思います。
#21
○小平委員 事実は工業品の方が多いということですね。
 ということは、私が今るる申し上げてきたことの結論的なことは、結局WTOが、この協定が意味するところは、世界の貿易はWTOによって関税の撤廃ということが終局の目的でしょう。そうですね。いろんなそれは経緯はありますよ。でも、自由貿易を完成させるためには関税の撤廃が目的だという、そういうことが方向ですね。そうなると簡単な話であって、特に日本については、これはほかの国でも同じですけれども、その国の競争力のある産業が、輸出競争力のある産業がますます伸びていく、そして競争力のない産業はますます外国の勢いに席巻されていく、そのことが言えると思うのです。
 我が国は今まで、特に消費者を含めて誤解があったことは、我が国は今まで米を自由化してなかった、となると、しっかり鎖国をしちゃって、我が国は農産品でしっかりガードを固めている、そういうふうにどちらかというととられていた。でも事実はそうでなくて、この統計数値がいうようにほとんど丸裸なんですよ。多くの農産品を輸入をしていて、最後のとりでが米だったのですね。牛肉もやられた、かんきつ類もやられた、もういろんなものやられているのですよ。そういう中において、今回、我が国が国際社会でこれから生きていくためにはどうしてもこの選択をせなきゃならぬ、苦汁の選択だ、孤立化を防ぐためにと、そういうことでこういうことになりました。
 しかし、この実態をよく承知をされていただきたい。言うならば、このWTOの意図するところは、繰り返しますが、関税を撤廃をしていくことは、すなわちその国の輸出競争力のある産業がますます伸びていく。それでは今我が国が目指しているアメリカとの貿易黒字の解消、これに逆行するんじゃないですかという、そこのところをこれから真剣にやっていかないとますますアメリカとの貿易摩擦が、これは世界も含めてですが、増加していくんじゃないか、私はそのことを強く懸念いたしております。
 私の意見に対して、簡潔で結構ですから、外務大臣、ひとつ次もありますので御見解、御所見をいただきたいと思います。簡潔にお願いします。
#22
○河野国務大臣 WTO協定が実施をされてWTO体制がスタートをするということと、貿易のインバランスが解消するということとは別の問題ではないかというふうに思っております。輸出入のバランスはむしろそれぞれの国のマクロ経済政策が大きな意味を持つのであって、WTO体制がスタートをするということと、日本の貿易の経常収支のインバランスが解消するということとは直結するというものではないというふうに思います。
#23
○小平委員 いや、そういう答弁をされるとまた蒸し返しになっちゃうのですよね。私は前に進もうと思ったのですよ。
 直結するものじゃないと言われるけれども、実際は、どんな理屈をこねようと、言うならば貿易は貿易でしょう。しかも、その貿易のルールをつくるのが今後のこのWTOでしょう。そのWTOと実際の貿易とが直結しないという、そういうふうに言われると……(河野国務大臣「貿易のインバランスと直結しない」と呼ぶ)インバランスもバランスも、言うならば貿易、輸出入の問題ですよね。違いますか。
#24
○河野国務大臣 ちょっと御理解がいただけなかったかと思いますが、WTOが発足することとインバランスが是正されることとは直接関係しない、こう申し上げているのです。
#25
○小平委員 それでは大臣、インバランスが是正されるにはどういう形で、それは、言うならば今までのアメリカとのいわゆる内需拡大等のいろんな交渉とか、そういうことという意味ですか。
#26
○河野国務大臣 経常収支のインバランスを是正するためには、今も申し上げましたように、それはそれぞれの国のマクロ政策というものがより効果的なものだというふうに思っております。
#27
○小平委員 いや、それは当然です。そういう努力を国内ですることも事実です。
 でも、私が指摘したことは、このWTOの意味するところは、その国にとって輸出競争力のある産業がますます輸出力を強くしていくんじゃないですかと、そのことをお聞きしたのです。何も私は、国内のいわゆる状況をどう正すかということを聞いているのじゃないのですよ。そういうことになるんじゃないですかということを聞いているのです。
#28
○河野国務大臣 WTO協定というもの、WTO体制というものが世界経済の中に与える影響は、貿易の拡大といいますか、貿易・投資が促進をされる、拡大する、そういう点。それはつまり、すなわち物ばかりではなく、サービスに至るまで新たな世界的なルールが確立をされる、あるいは何かトラブルが起こったときの解消についての、いわばパネルでございますが、そういったもののルールが確立をする、そういうことが原因となって世界貿易というものは拡大の方向に向かうということが一番大きな意味だというふうに考えております。
#29
○小平委員 これは私の問うたことに対していわゆる迂回した答弁でありますので、この議論は時間があれば蒸し返していきたいのですが、とにかく私は、今も通産大臣から御答弁があったように、言うならば工業品、私はそれがいい悪いじゃなくて、これからの事実関係としてそういうふうになっていくのではないですかということを率直にお伺いしたのですよ。
 それをお認めになれば、じゃその上で、輸出競争力のある産業はそうなっていく。だけれども、それではアメリカとの貿易バランスがおかしくなるし、そこは今大臣が答弁されたような形で国内努力でもって何とかそこのところの解消に努めていこうと。輸出競争力のある産業はさらに強くなっていくけれども、それをお認めになりながら、しかしそれではいかぬから何とかしようというなら、私も引き下がれるのですよ。それを否定はされませんね。その努力をされるということなら私は理解しますよ。
#30
○河野国務大臣 質問の御趣旨をあるいは正確に私が受けとめていなかったかもしれません。繰り返して申し上げますが、WTO体制というものがスタートをすれば世界の貿易は拡大の方向に進んでいくであろう、そのことは、言ってみれば競争力の強いものがよりよく海外に出ていくという、海外で動くということであるというふうに申し上げます。
#31
○小平委員 早くそうおっしゃってくれればいいのですよ。その上で、それではますます輸出入のバランスがおかしくなるから、そこはこれから国内的にも努力をしてこの黒字解消に努めよう、そういうことが今後の対策だと思うのですね。その事実を認めていただければ。だから私は、WTOというのは、確かに自由貿易を拡大するこれからの国際社会に適応するものでしょうけれども、一方、こういう問題もはらんでいるので、そこのところはしっかりされたいということ。
 次に進みます。
 もう一点、先ほど私が冒頭に、今のアメリカ政治の特徴の中で日本との関係を申し上げましたけれども、もう一点大事な要素は、今回このラウンドは農業の世界に多大な犠牲を強いるんだ。したがって、これは細川政権もそう、総理もそう記者会見された。また、その後の閣議合意でもそういう方向が出されている。ことしの六月下旬に政権がかわって、自社さきがけ政権になった後もその方向で、十月二十五日にはああいう対策が打ち出されたわけですね。
 その間にいろんなことがありました。当時、昨年十二月の河野自民党党声明、また、当時大変苦労された当時の畑農水大臣に対する問責決議がある。それだけのことをやっておきながら、今度は十月ですか、今度は一転、ラウンドを認める党声明を出された。そこのところはもうよしましょう。これはああだこうだ言っても、そこの苦しさは私もわかります。私も与党の立場であのとき非常に苦労した一人ですから、わかります。
 でも、そのとき私は、農業関係者に、農民に向かって訴えたことは、我が国がここでラウンドを受け入れなかったら国際社会で孤立をする、我が国は国際社会なくして生きていけない、モンロー主義では。したがって、受け入れざるを得ないんだ、しかし、それは農業に多大な影響を与えることになったんだ、したがって、ラウンド後にその影響がないように万全の対策を講じるからぜひここは理解してくれと、涙ながらに訴えたものです。そして、何とか農民の皆さんの理解を得てきた。内心、腹の中はおもしろくないでしょう、農家の皆さんは。でも、我が国が置かれた状況を理解をしていただいてここまで来たわけです。
 ですから今回、三月にマラケシュの政府間調印をやって、いよいよ今大詰めに来ておりますよね。このWTO協定を承認するためには国内対策、これが万全になっているんだということがきちんと農家の皆さんに理解してもらわなければ、これでは約束違反です。
 私も自分の、ちょっとまとめて原稿にもしているんですが、やはり読むよりは脈絡が飛ぶかもしれませんけれども、私の意見を今申し上げておりますけれども、当委員会でもこの問題、同僚の皆さんから随分質問が出された。そのときに出ている答弁は、別枠かということを聞いておりますけれども、農水大臣からは新規事業であるとか、また大蔵大臣からは新しい事業とか、いろんなことを言われますけれども、大蔵大臣も聞いてくださいね、それを要約するところは、別枠でないですよということなんですよね。だから私は、それでは理解はされませんよ。
 どうですか。別枠で確保するから、六兆百億円、この中身はまたちょっとこの後もお聞きしたいと思うんですけれども、別枠で確保するから安心して農業にいそしんでもらいたい、明快に、簡潔にそう、財政を持っておられる大蔵大臣そして所管の農水大臣、お二方からそういうようなことはおっしゃっていただけないものですかね。そのことだけをちょっとお答えください。
#32
○大河原国務大臣 お答え申し上げます。
 しばしばお答え申し上げておるとおりでございまして、この国内対策に伴う事業費は、六カ年のための新しい事業であるということでございます。特に、別枠問題等いろいろ議論されますので、我々としては、従来の農林関係予算に影響を及ぼさないものとするということでお答え申し上げているところでございます。
 すなわち、前回も御答弁申し上げましたが、その新しい事業、この事業の財源等を調達するために、従来の予算を削減、抑制、そういうことは避けなければならぬし、避けるということを申し上げたところでございます。
#33
○武村国務大臣 従来の農林水産予算に支障を来さないように配慮をしながら、文字どおり、ガット・ウルグアイ・ラウンドという日本農政の非常時に対応する新しい農政の道を開いていくための事業を六年間で集約したものでありますから、どうぞ農家の皆さん、この政府の姿勢をきちっと御認識をいただいて、この国で新しい農政を興していくために一層御苦労をいただきたいというふうに思っている次第であります。
#34
○小平委員 今までの答弁と何ら変わってないと思うんですね。
 農業予算に支障のないようにやっていくという、支障ないということは、農業予算は農業予算として来年度予算に向かっても予算要求をしていきながら別にこの対策は講じるという、そういうことが農業予算に支障ないということでしょう。ということは、別枠ということでしょう。違うんですか。何でもそうですよ、税金もそうですけれども、やはり物事はわかりやすくなければだめですよ、国民に向かって。そうでしょう。
 今大臣の答弁では、農業予算に支障ないようにやっていくんだ、そうおっしゃったら、じゃ六兆百億円も組んだら、それは別枠だと、そこのところがはっきりしなければ。私も当時与党の一員としてこの苦渋の選択をした一人です。ですから、基本的にはこの協定は、またこの関係法案は通そうということで当初臨んだんですよ、この委員会に。でも、そこの大事なところがほごにされたのでは、話が違うでしょうとなっちゃうのですよね。
 それで、この六兆百億円、さあ公共事業三兆五千五百億円。最初三兆円何がしかのものが一夜にして六兆円に膨らんだ。一夜ではないんですか、数日間呻吟されたわけですね。まあ首を横に振られているけれども、要は六兆にふえた。そのときに、じゃこの公共事業についてもお聞きいたしますが、これは半額国庫負担ということですね。そういうことですね、大蔵大臣。この三兆五千五百億円の公共事業、これは国庫負担は半額ということですね。そのことだけでいいですよ。
#35
○武村国務大臣 約半分です。
#36
○小平委員 約半分ということでお聞きしました。
 となると、この公共事業は、残り半分は道府県やあるいは地方自治体、受益者が負担する、そういうことになりますね。さあ、そうなると、今、これはもう数年来言われていることなんですけれども、農家の皆さんが負債で今もうあっぷあっぷしているんですよ、負債対策で。その理由の大きな一つに、受益者負担ということがあるんですよね。
 農業、営農にいそしむ以上は、土地改良を中心にした営農改善計画、これはもう未来永劫ついて回るんですよ。一回何かをつくったからそれでいいというわけにいかないんですよね。営農する以上は、未来永劫、構造改善やいろんな基盤整備や施設拡大や、これはついて回るんですよ。
 そうすると、ありがたいことに国の事業がある。しかし、そこに受益者負担がある、地方負担がある。しかも、当初の予定どおり、予定した年度内にそれが終わらない。言うならばそれは必然的に受益者負担がふえていって、要するに金利が金利を生む状況になっているんですよね。そういう中で、果たして今、こんな約半分の国庫負担なんということで生産者は新規事業に着手できるでしょうか。そういう問題が一つですよ。
 それと、今既にもう農水省や、また物によってはダムとか建設省共管のものもありますよね。そういう中で、既に継続事業もあるけれども、これから新規にという事業も控えている。そういうものを、新規事業なんかをあちこちから集めてきて、これだけになりましたからこれがラウンド対策用の事業ですと言ったのでは、これはたまったものではないのですよね。
 ですから、大蔵大臣にも農水大臣にも、確認したいのは、今各地域で、自治体を含めて準備をしておられる新規事業、これから頭を出したいという新規事業については、このラウンド対策の六兆円の中に含まれているこの公共事業分とは別なものだ、それは従来どおりの予算要求をしていっていい、そういうことなのですか。それともそれは一緒くたのものなのですか。そこはどうなのですか。
#37
○大河原国務大臣 しばしばお答え申し上げているとおり、この農業基盤整備事業についても、広区画・連担化を図るような生産性向上の生産基盤整備事業等々、あるいは中山間地帯においては地形条件にかなったような基盤整備事業等々、御案内の土地改良第四次長期計画、平成十四年まで、その中で予定されているような事業を重点かつ加速的にこれを行う、取り上げるという点でございます。したがって、ほかのそれ以外の事業も着実にこれは実施するわけでございますけれども、加速的かつ重点的にそれらの事業を取り上げて進めるということでございます。
#38
○小平委員 大臣答弁、おなれになっていましょうから、言葉というのは非常に、聞いていると、ううんというふうに聞こえますけれども、よく中身を反すうしますと、重点的に加速的にというけれども、それは改めてラウンド対策予算を組まなくたってもう既にあるものなのでしょう。
 今までも何度もお答えになったというけれども、そこは私は、この質問の冒頭にお断りしたように、疑問点があるから私は重ねて質問すると申し上げました、重複するかもしれないけれども。疑問点があるから今お聞きしているのですよ。大臣がおっしゃったことは、私から言い返すならば、何も改めて六兆百億円の公共事業の予算を組まなくたって従来からあることじゃないですか。違いますか。
#39
○大河原国務大臣 重ねて申し上げますが、平成十四年までの第四次土地改良長期計画、この中で、今申し上げましたように緊急の生産性向上対策を講ずるあるいは中山間地対策を講ずる、その事業を取り上げて重点的かつ加速的に実施をいたすということでございます。
 なお、委員御案内のとおり、農地の整備率は大体まだ全国五〇%でございまして、全体の事業の推進、特に今申し上げたウルグアイ・ラウンド対策で緊急を要する事業について行う、さようなことになっておるわけでございます。
#40
○小平委員 今大臣がおっしゃったのは、土地改良長期計画、これだと思うのですよ。これは平成五年四月九日閣議決定で、農水省が出されたものです。平成五年四月九日といったら、まだ自民党、宮澤政権下ですね。このときはまだラウンドの合意もしてないのですよ。その前に平成五年から十カ年間で四十一兆円の土地改良長期計画を出されているのですよ。こんなものまだ緒についてないでしょう。これはラウンド対策ではなくて、要するに我が国の農業を主体にした土地改良について十カ年でしっかりやっていこうということで立てたものでしょう。だから、大臣、こういうことを拾い集めてきて三兆五千億円に数を合わせるのでは、それでは皆さん納得しないということなんですよ。
 そこでもう一点、私は率直な意見として、わかりやすい意見として、生産者は、六兆百億円というものが出されたらどういうことが具体的にあるのかなということを、それを公にしてもらえば私は納得も得られたかと思うのだけれども、今日までの答弁、各委員の皆さんからの質問に対する答弁を繰り返す中で、ただもう空回り、同じことを空回りしているのですよ。そのことが私はわかりづらいということを言っているのですよ。
 こういうことがあるということは私は否定しませんよ、こういう計画が出されているということ。四十一兆円、十カ年間で。となると、十年間でこれをやったら一年間四兆円じゃないですか。六兆円六カ年間なら、一カ年間で四兆円でもう三分の二終わっちゃうのですよ、単純に割っていけば。そういうことじゃないと思うのですよ。
 それともう一点、大臣、新規事業というのは、これは非常に時間がかかることです。これはもう釈迦に説法ですけれども、大蔵大臣、これは何か事業一つしようとしたら、公共事業というのはまさしく公共事業ですよね、道路や橋やダム、またいろいろな基盤整備を含めたそういう公共事業、それに着手しようというときは、まず最初はその地域の人が、関係者が集まって、その地域の合意を取りつける。そして関係市町村あるいは農協なんかも、あるいは土地改良区なんかも包含をしてテーブルについて、そこで鉛筆をなめる、図面を引くということですよね。それがもろもろほかの事業やその地域に抵触しないか、いろいろと調査しますよね。それから、その地方自治体の予算的な裏づけも検討しますよね。そして、その後、言うならば北海道でしたら道です、要するに県レベルに上げていく。そこでたたくわけでしょう。それからさらに、今度は建設省でしょう、農水省でしょう。
 しかも、そこまでいくのにも結構年数がかかるし、また上げてやるときは最初からすぐ新規着工でないんですよ。最初は新規調査ですよ。新規調査に入ったら、後は何年間か今度はいわゆる継続全計ですね、全計とよく言われますけれども、継続全計ですよね。そして初めて、それが終わったら新規着工でしょう。それで後は、過去の例を言うならば、予定どおり終わらずに年々年々それが延びていって、完了までもう予定を、ひどい場合には十年のものが二十年になるとか、五年のものが七年になるとかといってふえていっちゃうのですよ。
 そういう状況ですから、この六兆円というものが今打ち出されても、来年すぐにこれが見えるものでないでしょう。そうですね、新規というものは。時間かかりますよね。ですから、なおのことそこのところをもっと明快にわかりやすく政府としては明らかにする必要がある、私はそういうふうに申し上げているのです。いかがですか。
#41
○大河原国務大臣 小平委員、土地改良事業における今の調査から全体設計、事業という点についての通常のお話でございました。そのとおりでございます。
 ただ、我々がこのたび取り上げる基盤整備事業の重点かつ加速的な推進というのは、そういう直ちにこたえ得る地域、これに対して、従来は基盤整備事業においても全体の予算枠等で各地区に対する配分等で制約があり、進度がなかなかに進まない。それに対して、重点的に予算を配分して、この実施期間内を目途に早期の効果を発現するという点を最も重点に置いて事業を取り上げる、それで、事業担当部門においても、消化し得る限度というものについても十分配慮いたしまして今回の事業量を決めたというわけでございます。
#42
○小平委員 抽象的な御答弁で、もう反論もよしましょう。
 ただ、大蔵大臣、先日の朝刊各紙を見ますと、ことしは景気回復がこういう状況で、税収も、歳入も思うようにならぬ、それで来年度の予算編成は四十年ぶりの圧縮予算か、そういうような報道もされていますね。そういうことが政府からの見解としても出ているのでしょうけれども、しかし、公共事業ではそういう景気刺激も配慮して数%のアップというふうなことも言われていますが、反面、我が国の大蔵省の立場からいえばそういう状況ですわね。
 そういう中で、今大河原大臣がおっしゃったようなことで取り組んでいくのに、きちんとその農業予算については別途そういうことで配慮して、これが今、この十二月下旬に予算編成を控えていますね、そこのところはちゃんと予算措置はしていただけるのですか。そこのところは大臣どのようにお答えいただけますか。
#43
○武村国務大臣 いよいよ来年度の予算編成の時期を迎えているわけであります。編成作業はもう始まっているわけでありますが、最近になりまして、最近の経済動向、そして税収の展望、税収を中心とした歳入歳出全体の大枠の議論を始めているところでありますが、容易ならざる事態であるというふうに認識をいたしております。
 税収はもう三年間予算を下回りました。歳入欠損も二年続きまして、恐らく今年度も予算で見積もっている税収を下回ることにほぼなるのではないか。四年続きの減ということになります。そんな状況でありますだけに、概算要求の各省庁要求枠に対しても、かなり厳しい精査を避けることはできないというふうに思っております。
 その中にこのガット・ウルグアイ・ラウンド対策も立っているわけでありますし、先般政府・与党で決めました六兆百億円の、これは六年間ではありますが、お約束も果たしていかなければなりません。今この事業費に限ってどうこうというお答えは避けますが、しかしこれは、これだけ政治的な幅広い論議の結果、お約束として発表をいたしたことでありますから、これだけを例外的にどうこう扱うということではありませんが、少なくともこの事業の初年度の予算に盛り込むための努力は、まさにあらゆる努力をして期待にこたえていきたいというふうに思っている次第であります。
#44
○小平委員 大臣、もっと明快な答弁を、まあできないのでしょうね。でも、これは大事なことですよね。ラウンドのWTO、これは当委員会で通りました、すぐ後に控えている予算編成で、あけてみたら何も配慮がなかった、そこに対する予算措置がなかったというのでは、これでは踏んだりけったりで、まさしくこれはもう政治に対する不信なんというのは通り越して、もっと、何といいますか、言葉ではもう表現できない気持ちを農民は持つでしょうね。そこはしかと取り組んでいってもらいたいと思います。
 実は、私はこの後、新食糧法を中心に質問を用意しておるのですが、まだ入り口の段階でもう時間があとわずかになってしまいまして、とても時間が足りないのですが、生産調整、このことからお尋ねいたします。
 御承知のように、昨年のああいう未曾有の大冷害を受けて、消費者に安定的にお米を供給するという、その意味から緊急輸入をせざるを得なかった。そして、ことしに向かっては、在庫もあのようなまさしく綱渡りの備蓄体制だったものですから、減反緩和をして増田、復田を奨励しましたよね。ところが、ことしは幸いに大豊作、これは政府としても予想に反する大豊作だった。作況一〇九ですから、単純に言うならば九十万トン余分な在庫ができた。
 そこの事情はそういうことですけれども、ただ、今ここで、じゃお米が余ってきたから来年は減反強化せいという、それも強制でなくて、そうしなきゃならぬ検討だというふうに言われていますけれども、ただ、まだ今食管法は現在法のもとですよね、まだ新食糧法はできてないのですから。現食管法です。ということは、建前は全量政府管理ですよね。そうなると、生産調整というのは、政府の姿勢というのはこれはやはり拘束力を持ちますよ。そういう中において、これははっきり言って約束違反ですよね。それについては大臣、どのように御答弁いただけますか。
#45
○大河原国務大臣 お話にもございましたように、昨年の大凶作、したがって平成六年産米と七年産米で二カ年間で百三十万トンの備蓄を積み上げる、そういう方針でございましたが、ただいまもお話がございましたように、作況指数一〇九というようなことで来年の十月末では百五十万トンぐらいの在庫が造成される、一年で造成される。したがいまして、この点については自主流通米の、今日既にいろいろな生産者の声も聞かれますけれども、自主流通米の売れ残りなり価格の大幅な下落という問題が出ておるわけでございます。
 したがいまして、来年の生産調整をどういたすかという点についてはその面からの検討も必要でございますが、一方、昨年の復田の際の生産調整の面積の削減の際には、稲作農家経営の安定ということで二年間は据え置くという方針を政府として打ち出しておるわけでございまして、それは一つの政府としての約束でございます。それと、今申し上げましたような自主流通米の販売環境が著しく悪化する、その点を考慮して、いかに扱うかという点で生産者団体等と現在その協議をしておるところでございます。これがありのままの姿でございます。
#46
○小平委員 そのありのままの姿、その状況は先刻私どもも承知いたしておりますし、これはまた生産団体や生産者を含めて関係者すべてが承知をいたしております、今大臣がおっしゃったことについては。
 問題はそういうことじゃないのです。それはもちろん天候いかんですから、これは予測しがたいものがあります。しかし、そういうことの幅を持って、次年度は不作かもしれぬ、平年作かもしれぬ、豊作かもしれぬ、そういう中で次年度以降の予想を持って予定を立てるのが、これが所管の役所の仕事ですよね。要するに、見通しが誤ったわけですよ。一つは、緊急輸入にしても、当初から見たら大幅にこれまさしく輸入超過ですよ。九十八万トン、タイ米、中国米中心に九十八万トンの在庫ということは、九十八というのは要するに百万トンですよ。百万トンの輸入超過をしている。これは見通しの誤り、まさしくそれに尽きますよ。もうこんなこと言う必要ないですよね、どんな事情があるにしろ。
 もう一つは、確かにことしは豊作だった。今大臣の御答弁では、それでは来年度のそういうようなことで問題があるから生産調整の必要これあり、そういうことですけれども、それに実際に携わる生産者から見たら、農政の失敗のツケが農民に来ているわけですよ。そうでしょう。昨年ああいう予定を組んだけれども、状況が変わったから予定を変更する、次の年また予定を変更するといけば、農水省は何も困らないですよね。ところが、そのたびに被害を受けるのはほかならぬ生産者ですよ。生産者の後ろにまだあるならいいですよ。最後に行ったそこから後ろはないのですから。そういうことでは私はいかぬと思うのです。
 したがって、確かに今九十八万トン、これは別で処理すると言われていますけれども、七万六千ヘクタールの減反緩和によって二年間で百三十万トン、それから豊作による九十万トン、また春以降の消費減少による量が大体三十万トン、そのように話が流れてきていますけれども、合わせると二百五十万トンぐらいですよね。大変な状況に今あるということはわかります。
 でも、それは何かというと、減反緩和したことも輸入を緊急にしたことも、言うならば消費者に安定的にお米を供給するがための施策だったわけですね。そうでしょう。パニックを起こさない、この一億二千万の国民に安定的にお米を供給するためにそういう措置がとられたわけです。その結果こうなったのです。そうしたら、そのツケを農民に回すのではなくて、政府が財政措置をもってそこの責任を負うべきでないですか。そこのところはどうでしょうか。
#47
○大河原国務大臣 緊急輸入米については、委員御指摘のように、これは棚上げ的な処理をして国内米に影響を与えない。問題は、豊作に基づく自主流通米の値崩れなり売れ残り、それが農家所得にも直結するわけでございますので、これについては来年度の生産調整をいかにするかという話でございます。したがって、直接それを補てんをするとかそういう問題とは切り離して考えるべきだというふうに考えております。
#48
○小平委員 このまま放置すれば値崩れする、したがって切り離して考えられる。まるで人ごとみたいですよね。別な言い方をするならば、いやこのまま放置してもいいのですよ、生産調整しなくても。そのかわり値崩れ、価格が暴落して困るのは農民なんだ、実はこの発言、ある農水省高官からも私は聞きました。とんでもない話ですよ。そこのところに影響が出ないように、行く前に政府で考えてあげるべきでしょう。
 しかも、これは来年減反強化するという前提があるならいいですよ。でも、昨年、御承知のようにあの状況を受けて減反緩和対策ワーキングチームをつくりました、我々与党のときに。私もメンバーの一人だったのですよ。それで生産者に向かってこう言いました、安心して復田せい、そう説明いたしました。この活性化対策残余期間のうちは、もう一年間ありますよね、減反強化はいたしません、政府もそう言っています、だから安心して復田されたら、そう説明した一人です。結果的にそれは、政治の信頼という意味においてまさしく信頼を失ってしまっているのですよ。
 じゃ、なぜあのときあんなことを言われたか。いろいろと話をしましたら、天候状況なんというのは予測できなかった、そういうことでは私はやはり理解は得られないと思うのです。やはり私は、これはどんな世界でも同じことですけれども、信頼ということを失ったら終わりだと思うのですね。特に政治の世界は信頼が一番私は大事だと思います。そのもとに有権者は支持を与えてくれるのですよね。それが集まってこの議会、国会があり、政府ができるわけですね。
 私は、そういう意味においては、今回は非常にこのことは大きな問題だと思うのです。私も、生産調整の必要性は要らないと言っているのではないのですよ。このまま放置すれば大変だということはわかっているのです。でも、ただ短絡的に、お米が余ったから農民に減反強化せいと言う、これじゃ農水省が汗をかいて血を流しているところがどこに見えるのか。全然見えないですよ。やはり約束は約束としていかなきゃならぬですよ。
 私は、政治の要諦というのは、かつて自民党の、政治改革に熱心であられた三木先生が座右の言とした信なくんば立たずという、そういう言葉がありますよね、まさしくそれに尽きることであって、やはり今回は、今新しいこのWTOの発効に伴い新食糧法の制定に向かうわけです。中身についてはいろいろと質問しようと準備したのですけれども時間がありませんでやめますけれども、そのまず入り口の問題として、今まだこの現行の食管法のときですよね、このときに政府は責任を持って、短絡的に農民に犠牲を強いるのではなくて、政府がそこでどうやってそこのところを受けとめていくかということ、そのことについて対処してもらいたい、こう思います。どうですか、そこのところは。
#49
○大河原国務大臣 御所論十二分に承りました。我々としては、今検討中の問題でございまして、大方の納得を得るような結論をどう出すかという点については全力を挙げ考えていきたい、さように思っております。
#50
○小平委員 実は私は、最後の締め総ですか、そこで総理にも質問をさせていただく予定がありますので、先ほどの国内対策の関係、またさらには今の問題等で確認をいたしますけれども、一つは、国内対策の点については、統一見解というか、具体的にどの程度まで踏み込んでいけるのかということについてのもう少し前に進んだ御答弁をいただきたいと思っているんです。
 そこでもう一点、きょうは厚生大臣にも御出席いただいたのですけれども、順番等があってちょっときょうは御質問まで行きませんでしたので、そこはあしからず。少し検疫問題等で御質問したかったのですが、ちょっと時間もかかりますので後日に譲ります。本当に御苦労さまでした。
 それでは最後に、この新食糧法の細目についてはきょうは入れませんでしたけれども、私も条文を「総則」からずっと読んでみました。そうすると、基本は市場経済、市場原理に投じるという、形を変えるという方向になっているんですね。でも反面、それでは果たして価格が、大事な国民の基幹食糧であるお米の価格が乱高下するのではないか、あるいは流通の面において安定的な供給、あるいは生産者の側から見れば次年度に対しての生産体制がとれるかという問題、また食糧安全保障上から備蓄の問題、そういうことについてどういうふうに持っていかれるということがなかなかはっきりと見えてないんですよ。
 よくこうやっていきますと、ほとんどすべてが今後の政省令で決める、こうなっているんですよね。そうですね。一応今の国際間の合意では、来年四月一日から農業分野については発効しようという、そういうような合意ができているわけですね。ところが、例えばこの新食糧法は、これが可決されれば、平成七年、来年秋を目途に施行期日を設定する、これは要するに政省令ですね。これは日時的なことでありますけれども、ほとんどがそういうことで、いわゆる新食糧法では、これはたまたま期日のことを申し上げましたが、でも、今申し上げた点々等を含めて、言うならば不明確に私は見えるんですよね。それをそのままにしてこれを認めろと言われてもなかなか、これはやはり責任がありますからね、議員の一人として。
 そういう点も含めて実は何点か御質問したかったのですけれども、時間がありませんので、大臣、最後に、これらについてはどのように今後進めていかれるのか、その大枠のスケジュールというか、そういうものをお聞きをしておきたいと思います。
#51
○大河原国務大臣 お答え申し上げますが、小平委員のお受け取りが、大事なところが政省令とおっしゃっておりますが、基幹的といいますか、枠組みその他、制度の必要かつ重要な部分については法律案として御提案を申し上げているつもりでございます。政省令等については、委員もお酌み取り願えると思いますが、手続的な諸要素が大変多いわけでございまして、制度の根幹に触れるようなことを政省令に譲っていることはないと申し上げたいと思います。
#52
○小平委員 今個々のことについて質問する時間がありませんので、具体的に反論をすることはできませんけれども、例えば備蓄という問題についても、百五十万トンと政府は言われている。アローアンスはありますよね。でも、これについて民間がどのように関与するのかということ、これもはっきりとは見えてこない。今後政府が、言葉を悪く言うならば、都合いいようにやっていくあれもあるでしょう。
 また、今度は市場経済に投入する中において、いろんな、何といいますか、第一種登録出荷取扱業者、そういう団体ですね、自主流通法人、卸、小売にしても登録制にするとか、登録でも、そこに具体的なことがないので、果たして今までの認可、許可制とどう違うんだとか、そういうことについてのあれがまさしく不透明で、ですから私は、この新食糧法、今までとは違って全面的に市場経済にゆだねるんだと言いながらも、背景には従来どおり農水省が管理をしていくんだというよろいが見え隠れするのも感じられるんですよね。
 でも、それはそれで私は、価格というのは大事な要素ですから、適宜政府がそこに関与すること、これは大事ですから、まるっきり、何というんですか、野ざらしにせいとか、そうは言っていませんけれども、しかし、そんなこともありますので、非常にこの問題についてまだまだ解明せなきゃならない、いろいろと政府の答弁も受けなきゃならぬという問題もあるし、そういうことを含めて、機会があれば次回に質問をさせていただきたい、こんなことを思いながら、時間も来ましたので、これにて終わります。どうもありがとうございました。
#53
○佐藤委員長 小平君の質疑は終了いたしました。
 次に、上田勇君。
#54
○上田(勇)委員 改革の上田勇でございます。
 ガット・ウルグアイ・ラウンドも、八六年以来、もう終わることがないんではないかと思われた長い交渉でありましたけれども、ようやく終盤を迎えております。まずは、これまで長年にわたりまして交渉に当たられた関係省庁の皆様に、謹んでその御努力に対して敬意を表したいというふうに思います。
 私は、本合意は、農業分野を中心といたしまして極めて厳しい内容も含まれる一方で、世界貿易機関、WTOの設立を初め、サービスや知的所有権、投資の分野などで大きな前進もあり、全体としては十分に評価するに足る内容であるというふうに考えている次第であります。
 とはいうものの、協定の内容や今後のWTOの展開方向などにつきまして、当委員会におきまして十分な議論を行って内容を明らかにしていくことが、これからも幅広い理解を得ていく上で重要であると思いますので、本日は、私が考えて十分明らかになっていないと思われる点、また疑問を感じている点などについて若干質問をさせていただきます。
 初めに、輸出にかかわる規制の問題について、食糧等、原料の大輸入国であります我が国にとりましては極めて重大な関心事でありますので、質問をさせていただきたいというふうに思います。
 貿易の自由化というのは、これは各国の輸入に関する障壁や規制をできるだけ少なくしていくということと同時に、やはり輸出にかかわる規制もこれは撤廃していかなくちゃいけないというふうに考えるところであります。しかし、どうもウルグアイ・ラウンドの交渉の中で、この輸出規制の問題というのが十分に議論されたのかどうか、甚だ疑問を感じるところであります。
 これまでの輸出規制の事例を挙げさせてもらえれば、かつて米国が国内の需給の逼迫による大豆の輸出禁止、あるいは旧ソ連に対しましてアメリカが、アフガニスタン侵攻に伴う穀物の禁輸であるとか、また現在も続いておりますが、米国を初めとする各国による原木、丸太の輸出規制、そういった例があると思います。
 現行のガットの中では、この輸出規制の問題というのは、条文を挙げますと第十一条二項とか第二十条とかで認められているわけでありますが、こうした状況が今回の協定ではどのように改善されるのか。特に食糧の半分以上を海外に依存する我が国にとりましては、アメリカを初めといたします輸出国のこうした規制がどのようになるかというのは、極めて重大な問題であるというふうに考えます。どのように改善されるのか、外務大臣の方からお伺いしたいと思います。
#55
○河野国務大臣 確かに、議員お尋ねのように、WTO協定は貿易の自由化と規律の強化を図ったものでございますから、こうした交渉の成果は輸出国のみならず輸入国にとっても本来利益をもたらすものでなければならないと思いますし、そうした仕組みになっておるわけでございます。
 この協定では、輸入国にかかわる規律の強化だけではなくて、輸出国にかかわる規律の強化が行われているという点をまず申し上げたいと思います。例えば農業協定におきましては、我が国がその撤廃を強く求めてまいりました農産品に関する輸出補助金の交付についても一定の規律が導入され、輸入国の利益に配慮がなされております。また、我が国の強い主張もあって、食糧の輸出の禁止または制限を新設する国は、輸入加盟国の食糧安全保障に与える影響に十分な考慮を払うとともに、同協定の規定に従って協議、通報を行う旨の規定が盛り込まれ、輸出規制に対する規律が強化されております。
 したがいまして、全体としては輸出国、輸入国間の利益のバランスが新たに図られているというふうに考えているわけでございます。
#56
○上田(勇)委員 確かに農業合意の中には、ただいま大臣から御答弁いただきました輸出禁止に対する文言があるわけですが、この言葉の意味するところは極めてあいまいなものであるということは否定できないと思います。
 こうしたことにつきまして、これは輸入国であります我が国の立場、これを十分主張して、それが反映された結果だというふうに評価されておるのかどうか、大臣、お伺いしたいと思います。
#57
○河野国務大臣 長年にわたる我が国の主張というものがかなり反映されているというふうに思います。
#58
○上田(勇)委員 食糧といったものは人間の生存にとって必要不可欠なものでありますし、またそこまで極端な話をしなくても、農産物の多くというのは価格弾力性が高い商品ですので、輸出規制とかが課せられた場合には国内価格が高騰し、国民生活に重大な影響が及ぶことも予想されます。仮にこうした事態が生じた場合に、緊急な対応が必要だと思いますが、通常のこれまでのガットの協議のプロセスや紛争処理手続では、とてもこうした緊急の事態に対応できるとは思われません。
 そこで、今回の協定の中で、食糧等国民生活にとりまして本当に必要不可欠な物資、生活必需品の輸出規制が行われようとしたときには、やはり緊急に対処して迅速に解決するための協議、紛争処理の特別な手続、そういったものが盛り込まれているのでしょうかどうか、お伺いしたいと思います。
#59
○原口政府委員 輸出規制に関連するWTO農業協定の規定文につきましては、先ほど外務大臣から御答弁がありましたが、万一食糧等の輸出国が前述のその規定を含めましてWTO協定のいずれかの規定に反して輸出規制を行い、その結果我が国のWTO協定上の利益が侵害されるような場合には、我が国はWTOの紛争処理手続を利用して解決を図ることができると理解しております。
 他方、先生御指摘のとおり、食糧等の輸出国が輸出規制を行うような状況は、通常、緊急かつ重大な事態でありまして、このような場合には各国ともまず利用可能な手段、例えば二国間の話し合いとかWTOの農業に関する委員会、一般理事会等のあらゆる可能な機会におきまして協議が行われ、その後WTOの紛争解決手続が必要に応じて利用されることになる、そのような取り決めになっていると考えております。
#60
○上田(勇)委員 ただいまの御答弁、大臣、局長の方からありましたけれども、これを考えてみますと、実際の協定の文言の中にも言葉はあるものの極めて内容は明確ではないし、じゃ実際仮にそういう事態が起きた場合に、それに緊急に対処するための手だてもしっかりしたものが今回の協定の中では示されていない。これではどうも、輸入国の立場が十分に反映されていると先ほど大臣の答弁でございましたけれども、私はどうも到底そうは考えられないような気がいたします。
 今後のWTOの協議の中で、この食糧等の輸出規制をやはりもっと厳しく制限するような内容が必要であると思いますし、万が一そうした事態が生ずるおそれのある場合には、これはもう必ず事前に輸入国と協議を行う、またスピーディーに問題を解決するための特別なそういう協議や紛争処理手続のルールを明らかにしていく、あるいは最低輸出責任量みたいなものを明確化していかなくちゃいけないのじゃないか。これは、輸入にもミニマムアクセスがある以上は、やはり輸出にも最低輸出責任量といったものが必要なのではないかということを、やはり我が国としては強く主張していくべきであるというふうに考えております。
 こうした点についての改善策、六年後の農業合意の見直しの時期までにぜひとも実現できるように、政府として最大限の努力を払って交渉に当たるべきであると思いますけれども、その点、御所見をお伺いしたいと思います。
#61
○大河原国務大臣 御指摘の点でございますが、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉におきましては、やはり我が国は輸入国の立場ということから、食糧の安全保障あるいは農業の持つ多面的役割等々を主張いたしまして、輸入国サイドのそれぞれの立場で厳しい交渉を行ったわけでございます。
 御所論にありましたような、最低輸出義務まで規定すべきだというような議論も農業交渉の際に行ったわけでございますが、そのようなところまでなかなか関係国は認めずと申しますか、多数の議論の結果、今度のWTOの農業協定の規定文になったわけでございますが、輸入国と輸出国のアンバランス問題、輸入国の食糧の安全保障等考えますと、今後もこの点についてはあらゆる機会をとらえて輸入国の食糧安全保障に十分な条件を整えるような方向に持っていかなければならぬ、さように思っております。
#62
○上田(勇)委員 ただいまの御答弁で、そういったことを主張したんだけれども実現できなかった。もうこれは、ある意味では多数の国が合意した協定であって、今さらそれをどうのこうの言うのは難しいのかもしれませんけれども、とにかく農業合意は六年後に必ず見直しの時期があります。そういった意味で、こういった主張を速やかにやはりそういう今度新しくできるWTOの場で主張して、それの実現に向けて、ぜひとも各省庁協力した上での最大限の努力を払っていただくようにお願いしたいというふうに思います。
 それで、もう一つ輸出規制に関することでお尋ねしたいと思いますが、現在アメリカを初め幾つかの国々でとられている原木、丸太の輸出規制についてでございますけれども、途上国の規制の問題もあるのですが、これは別といたしまして、アメリカの問題について考えてみますと、アメリカでは野生生物の保護などを目的といたしまして、一部の森林からの丸太の輸出を禁止している、その一方で、国内の業界には丸太を供給しているというのが実態というふうに聞いております。
 アメリカは、この問題につきまして、ガット第二十条、先ほどちょっと触れましたけれども、それの「有限天然資源の保存に関する措置」といったところを根拠としているというふうに聞いておるのですが、どうもこの内容を見てみますと、こうした条文には合致していないのではないかというふうに考えられます。したがって、この措置はガット上私は重大な疑義があるのじゃないかというふうに考えておりますけれども、この点につきまして、政府の見解をお伺いしたいと思います。
#63
○東政府委員 アメリカの原木の輸出規制というふうに、我々一般に輸出規制と申しておりますけれども、州有林を輸出向けに売り渡さないということでございまして、民有林の方は規制がないということで、アメリカ側の言い分は、ガット上の違反は必ずしもない。もう一つは、ガットの二十条で天然資源の保全という意味もあるのだというような主張をいたしております。
 ただ、私たちは、やはり国内と海外との間で違った形での規制をやっているということについては、これは問題がありというようなことで常に問題を提起しておりますが、違反というところまでは決めつけることがなかなか難しいのじゃないかというふうに思っております。
#64
○上田(勇)委員 今回の協定の大きな成果の一つといったものが、紛争処理手続の改善であるというようなことを外務省の方からも伺っていますけれども、ただいま申し上げた、いわゆる食糧の輸出規制の問題であるとか、今言った原木などの原料の輸出規制などの問題について、その改善されたルールのもとで、こうした貿易を歪曲する措置に対してどのように対処をされていくのか。
 先ほどのこの原木の問題、丸太の問題についても、もちろんただいまガットに必ずしも違反とは限らないということでありましたけれども、やはりこれは環境保全という名前をかりた形での貿易を歪曲する一種の措置ではないか。今の答弁もそういうふうに受け取ったわけでありますけれども、こうした貿易を歪曲するような措置に対して、紛争処理や協議の手続が改善されたというのでありますので、その改善されたルールのもとで、こうした措置に対してどのように政府として対処されていくのか、方針をお伺いしたいと思います。
#65
○河野国務大臣 貿易と環境の問題は、ウルグアイ・ラウンドにおいて正式の交渉対象とはなりませんでしたけれども、各国から強い関心が示されたことは事実であります。
 これまで、ガットやOECD、UNCTADなどにおいて、これらの問題は取り上げられてきております。こうした中で、持続可能な開発の追求のためには、貿易政策と環境政策が相互に補完し、支持し合うものとならなければならないという点については、関係国の考えが収れんしてきているわけであります。
 今後とも、貿易と環境の問題はウルグアイ・ラウンド後の重要課題の一つとして、WTOに設置されることになっております貿易と環境に関する委員会やOECDなどの場で具体的な検討が進められる予定であり、政府としてもこれに積極的に参加する考えであります。
 なお、農業貿易につきましては、ウルグアイ・ラウンド農業交渉中の議論を受けまして、WTO協定中の農業協定に、環境保護その他の非貿易的関心事項に配慮すべき旨の規定が設けられていることを付言いたします。
#66
○上田(勇)委員 今回、関税定率法が一部改正されて、その法律案の中で、貿易ルール等の公正な運用を確保するという観点から特殊関税制度が設けられているわけでありますけれども、今いろいろこの輸出制限については問題がある、あるいは公正なルールといったものが必ずしも確保されていない面もあるというようなことでありますけれども、そういう輸出規制によって貿易を歪曲する措置に対しては、今回のいわゆる特殊関税制度の中ではどのような対抗手段が使えるのか、あるいは使えないのか、その点、御見解をお伺いしたいと思います。
#67
○鏡味政府委員 御質問の特殊関税につきまして、不当廉売関税あるいは相殺関税、緊急関税、それから報復関税等がございますが、最初申し上げました三つの特殊関税につきましては、今回のウルグアイ・ラウンド交渉におきまして、その課税期間の上限とか、そういったルール、規律の強化が図られております。そういったルールの明確化のもとで、こういった特殊関税について、運用がよりやりやすくなると言うことができると思います。
 それからもう一つ、報復関税につきましても、WTOの紛争解決手続のもとでこの報復関税制度が運用できるようになっておりまして、国際的なルールの強化のもとで、こういった特殊関税の運用がより従来よりも行いやすくなる、こういう状況にあると考えております。
#68
○上田(勇)委員 ただいまの答弁では、そういった輸出規制などの措置に対してそれを対抗手段として使えるのかどうか、ちょっと明確ではなかったのですが、私が大蔵省さんからいただいているような資料を見てみると、どうもこれはもうかなり、何というのでしょうか、先方の貿易に関する措置が限定的に規定されているわけでありまして、こうした輸出規制等について、こうした対抗手段をとるといったことは難しいのではないかというふうに思います。
 それで、そうした今までいろいろ伺わせていただいた中で、やはりこれは、その輸出規制に対するルールといったものも非常にあいまいなままであるし、仮にそういう事態が起きた場合における協議や紛争処理といった手続についても、特別の措置もない。また、対抗措置等についても必ずしも十分なものが設けられていないことを見ると、食糧、原料の多くを海外から輸入している我が国のような輸入国の利益が守られているとは到底考えられない。
 政府としましては、もう今回の協定は協議合意に至っているということであると思いますが、こうした我が国のような輸入国の利益が今後さらに公正に守られるように、新しく設立されますWTOの場でしっかりとした主張をしていただいて、交渉に当たっていただきたいというふうに考えているところであります。
 ちょっと話を変えさせていただきますが、今回の農業合意によりまして、これまで数量制限が行われてきた農産物、乳製品とか落花生等でありますけれども、それについては関税化されて、国境措置として関税相当量が設定されている。この関税相当量というのは、八六年から八八年の内外価格差をもとに設定されているわけでありますけれども、この期間のいわゆる為替相場といったものを資料等から見てみますと、年平均で百六十円台から百二十円台の間であります。現在のレートは、もう百円を割って九十八円、実に最大で四〇%を超える円高が進んでいる。
 こうした大幅な為替相場の変動があった中で、この協定で設定されたTEで本当に十分な国境措置として足り得るのか、疑問を感じております。急激な為替レートの変動といったのは実際にあったことでありますし、こうした固定的な関税相当量といったものだけでなくて、こういう為替変動も考慮した対策といったものも考慮していかなくちゃいけないのじゃないかというふうに考えますが、農水大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
#69
○大河原国務大臣 委員御案内のとおり、国境措置については、ガットの原則で、関税を原則とするということでございます。したがいまして、数量割り当て品目十品目については、関税化の際に、内外価格差を前提とした相当高い関税相当量が設定されたわけでございます。
 したがいまして、我々としては、実施期間中に一五%の削減もございますが、ほぼ当面はその影響を回避し得るものと考えますが、御指摘のように、為替相場の変動とか、さらには、何といいますか、じわじわ国際市場の影響が国内農産物市場にも及ぶ、そういう点を考えますと、やはり高い関税相当量が張られたからというわけにはまいらぬというわけでございまして、我々としては、まさにそのそれぞれの品目についての生産性の向上なり、担い手の効率的、安定的な経営をつくることによってこれに対応していかなければ相ならぬ、さように存じておるところでございます。
#70
○上田(勇)委員 この関税と、それから為替レートの変動による影響の問題について、非常に端的な例が出ているのが、既にもう自由化されています牛肉ではないかというふうに思います。
 これは、八八年の日米合意の際には、自由化初年度の九一年に設定された関税率、その時点の為替レート、百三十円台であったわけでありますけれども、それが本年に至っては、関税率もその合意によって引き下げられ、レートも百円を割っているというところであります。
 これは、試算してみますと、実質的な輸入障壁というのがこの六年間でもう二分の一になってしまっているわけですね。これではとても国内の生産者としては対応できないんではないか。六年間で二分の一に国境措置が削られて、その中で合理化しろといっても、それには到底、対応するのにはかなり難しい、もう不可能に近いんではないかというふうに思います。
 しかも、今回の合意では、八八年当時で考えられた関税率を、さらにそれを引き下げるという形での延長をして、さらに六年間でこのまた四分の一近くも関税率を引き下げるという内容になっている。八八年の当初から考えれば、実質的には、この十年ちょっとの間に六割以上の輸入障壁が引き下げられるという結果になっているわけであります。
 為替レートの変動を勘案して、もともと牛肉にかかっている関税のベースとなるような税率の見直しをして、実質的な国境措置の水準が確保できるような交渉を今回行うべきであったというふうに考えますが、そうした努力は払われたのでしょうか。お伺いしたいと思います。
#71
○大河原国務大臣 牛肉については、数量割り当て制で、長い長い日米交渉においても数量割り当て制を堅持いたしましたが、最後には、ガットに提訴されればこれはクロと判定されるという判断もございまして、数量割り当てを廃止したという経緯があるわけでございます。したがって、牛肉輸入量がやや抑制的に、国内の消費量に比べて抑制的に行われたために、自由化に伴って一度に輸入量がふえたという経緯があるわけでございます。
 で、今御指摘の点でございますが、実施期間中、関税が五〇%から三八・五%に落ちる、そういう点もございましたので、米国その他輸出国とウルグアイ・ラウンド農業交渉において折衝をいたしまして、牛肉につきましては、緊急調整措置として、前三カ年の四半期別の輸入を見まして、それが一一七%以上になった場合には五〇%に関税を引き上げるという緊急調整措置を交渉によって獲得したわけでございまして、全部が、今御指摘のような点について国境措置が、万全ではございませんけれども、そのような措置をしたことを申し上げます。
#72
○上田(勇)委員 今回の交渉の中で関税化された品目のTEといったものが従量税という形で設定されていまして、これは確かに為替変動に対して比較的、実質的水準が変化しないというメリットがあるというふうには理解しておるのですが、そうであれば、これまで牛肉のように従価税が設定される品目についても、こうした為替の変動の非常に大きい時期にこれはやはり従量税に変更するように交渉すべきではなかったのか。実際にそのような提案をされたのか、あるいはまた各国どういう反応があったのか、その辺をお伺いしたいと思います。
#73
○東政府委員 実は、農産物の関税の交渉のときの基準になる税率が、従量税であれ従価税であれ、一九八六年でございました。そのときの牛肉の関税は、議員御承知のとおり二五%だったのです。その後、自由化との関連で五〇%に引き上げたという事態がございまして、二五%というものに交渉の途中で大変固執されました。二五%から最低一五%下げろという激しい交渉でございまして、最後の段階でああいう、結局こちら側の主張をのませて五〇から下げるということになりましたけれども、そのときに既に従価税でやっておりましたものについて従量税に直すということは、それはもう八六年の税率ということを基準にしているためにできなかったということでございます。
#74
○上田(勇)委員 持ち時間がもうなくなりまして、まだ幾つか、何点かお伺いしたい点もあったのですけれども。
 いずれにしましても、この農業合意、大変国内農家にとっては厳しい選択であります。また、六年後には見直しがある、そういうのがもう決まっているわけでありますので、ぜひとも、最初に申し上げた輸入国と輸出国のバランスの問題、それとやはり国内農家に対する十分なソフトランディングに必要な国境措置についての設定、また途中でちょっと触れさせていただきましたが、今後特に重要になってくると思います貿易と環境の問題、これはマラケシュの閣僚会議において貿易と環境に関する委員会が設置された、これは非常に重大な進展であるというふうに考えております。
 いずれにしましても、次の六年後の農業合意の見直しに当たっては、この貿易と環境における議論についても、そうした委員会の中で我が国がリーダーシップを発揮しまして議論をリードして、農業と環境、あるいは貿易と環境といった問題について議論を尽くして合意に至るように最大限の努力を払っていくべきだと思います。そして、そうした結果を、今度の六年後の農業合意の見直しに当たりまして、その際においてはこの委員会における議論の成果をこの新しい農業貿易のルールの中に盛り込めるよう、政府として積極的な対応を強く望みます。
 最後に、このことにつきまして外務大臣の御所見を伺いまして、質問を終わらせていただきます。
#75
○河野国務大臣 御指摘の趣旨は十分理解できますので、我々としてできるだけの努力をいたしたいと思います。
#76
○佐藤委員長 上田君の質疑は終了いたしました。
 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時九分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
#77
○佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。井上喜一君。
#78
○井上(喜)委員 もうWTOの審議も後半といいますか、終わりにだんだん近づきつつあると思うのでありますが、機会を与えていただきましたので御質問させていただきたいと思います。
 実は私、こうやって閣僚の席を拝見いたしますと、なじみの方も随分いらっしゃいますし、とりわけ農林大臣の大河原大臣は、私が入りましたときの直接の上司でもございましたし、その後、職場を一緒にしたこともございまして大変質問がしにくいのでありますけれども、野党の立場として、しかし言うべきことは言わないといけないという、そういう立場から質問をさせていただきたいと思うのであります。
 まず最初に、私、お伺いいたしたいのは、政党でありますとか、あるいは国会議員というのですか、政治家と言ってよろしいかと思いますが、この発言につきまして、最近いささか無責任な発言が横行しているのじゃないか、こんな感じがいたすわけでございます。発言がぐるぐる変わるということであります。
 政治家があるいは政党が発言をする、主張していくというのは当然でありますけれども、ある一定の事実に基づきまして、それに対する主張でございます。個々の、そのときそのときに応じた主張もありますれば、党として公約という形で一般の有権者に訴えるということもあるわけでございます。今、日本は議会制民主主義をとっておりまして、民意を国会に反映していく、政治に反映していきますためには、国会を通して行う、これが建前でございます。そういう意味で、国会議員ないしは政党の持ちます発言の重みというのは非常に大きいというふうに思うのでございます。
 今、自民党総裁であり外務大臣であります河野大臣がおられますが、こういう発言が議事録に残っているのですね。これは昨年の八月二十五日でありますから、まだ一年三カ月間ぐらいしかたっていない。これは細川さんに対する質問なんですが、
  日米安保条約や日韓基本条約、自衛隊を認めない、PKOへの参加にあれほどの物理的抵抗をされた社会党の政策や方針は、一体どこへ行ってしまったのでしょうか。東西対立が崩壊したためだと説明なさるのであれば、それは総選挙の前にその説明をなさるべきではありませんか。総選挙前にはそうした説明は一言もなくて、この選挙後のこうした状況を見れば、社会党に一票を投じた有権者から疑義が呈せられるのは当然のことだと思います。
こういう発言なんですね。そういうことを言って非常に厳しく追及しながら、今日の状況になっているわけでありまして、こういったことも国民は大変戸惑いを感じていると思うのですね。戸惑いを感じている。各種の世論調査を見ましても、最近、政治に対する不信感がかなり多くなっているように思いますけれども、こういったことも私は大きな一因ではないかと思います。
 政治倫理の問題といいますのは、政治資金のことにつきまして非常にこれは取り上げられてまいりましたけれども、私は、政治倫理の確立というのは単に金銭のことだけじゃなしに、こういう道義の問題、一たん公党が約束する、あるいは公党の責任者が主張したこと、これを簡単に変えていくような、このことについては、まさに政治の倫理からいいまして大きな問題をはらんでおるというふうに思うのであります。
 一体どういうふうに公党の公約なり個々の発言というようなものをお考えになっているのか、自民党総裁としての外務大臣にお伺いいたしたいと思います。
#79
○河野国務大臣 私は、この夏に、当時の、かつての、あるいは旧と言った方がいいかもわかりませんが、旧連立政権が政権を投げ出された、そういう政局が混乱した状況の中で、社会党の村山委員長と十分なお話し合いを申し上げ、政局混乱のこうした状況を何としても直さなければいかぬ、そのためにはそれぞれの党がそれぞれの主張をかたくなにぶつけ合うだけではなくて、政局を安定させるために、時に話し合って合意点を見つけ政局を収拾する、政局収拾の責任が第一党、第二党にあるのではないか、ぜひひとつ、そうした点にかんがみて、政策の整合性をつけて一緒に政局を収拾しようではないかということを申し上げて、村山委員長も合意をされたわけでございます。
 私は、選挙の際の公約というものは大事だと思います。政党の持つ国民に対する主張というものも大事だと思います。しかし、と同時に、現実に政局が混乱をしている、そういう状況の中では、政治家は政局収拾について真摯に虚心坦懐に話し合うということもまた必要ではないでしょうか。その際も、自己の主張に最後までこだわり抜いて、そして政局は混乱する一方という状況であってはならないというふうに私は思います。国民に対する態度というものも、公党の責任というものもどうやって果たすかということは、それぞれ責任感というものが裏づけられた行動によってなされるものというふうに考えております。
#80
○井上(喜)委員 政党の発言といいますのは、野党の場合にありましては、政権の座に着いた場合に実現をしていく、あるいは実現に努力をしていく、そういう約束だと思うのですね。単に評論家として言う、あるいはこれを言った方が調子がいいじゃないか、一般受けをするじゃないか、こういうようなことだけで発言をしていくというのは私はいかがなものかと思うのであります。
 政局というのはいつも流動的でありまして、まさにかつて大先輩が言ったように、何が起こってもおかしくない、あしたのことはよくわからないというような状況だと思うのでありまして、そういうことを念頭に置きながら、政党なりあるいは各政治家というのは発言をしたり約束をしているのではないかと思うのですね。ですから私は、今の御答弁を聞きましても、必ずしも十分には納得をしないのであります。
 農業関係についても私は申し上げたいのであります。
 昨年の十二月の十四日でありますが、自民党は党声明というのを出しておられます。これは外務大臣、党声明というのを出しておられますね。昨年の十二月、平成五年十二月十四日です。これは河野総裁が責任者であったときだと思うのでありますが、これはこういうことを言っているのですね。
 農業分野では包括的関税化の例外はいっさい認めないという非現実的提案への対応のため、ダンケル最終合意案を上回るミニマム・アクセスを受け入れ、米・乳製品等の輸入拡大への道を開いたことは、国会決議に明らかに反する行為といわざるをえません。
  そもそも今回の決定は米のみならず乳製品など基幹作物の供給の主体を外国にゆだねるものであり、日本の農業を崩壊させ、ひいては国土や自然環境の維持を危うくし、
云々と書いてありまして、後の方は「ドゥニー調整案の受け入れを決定したことは全く不可解」だということを断言している。そして、一番最後のところで、「このような不公平な調整案を閣議了解した細川内閣の姿勢を強く糾弾する」、こういうことを言っているわけですね。要するに、賛成しがたいということだと私は思うのであります。
 ところが、ことしの十月二十五日にはまた同じく党声明を自由民主党が出しておられるのですが、それを見ますと、いろんなことが書いてありますけれども、「国際間の約束を果たすことが極めて重要」だということが書いてあるのですね。これは、さきの政権がやってもそのことは重要なんだ、こういうことなんですね。それから、この対策を決定をしたということで、最後に、国際信義を守っていきたいとか書いてあるのですが、これは、細川政権が発足いたしましたときも、自民党の方から外交の継続性の重要さということをよく皆さん主張されたと私は思うのでありまして、これは当然のことなんですね。
 このような協定は、協定でありますから国際間を縛る協定でありまして、こういったものは軽々しく変更ができない、こういうことはもう百も承知の上での昨年のこの党の声明であったと思うのでありますが、それがことしになりましたらこう変わるわけですね。一体どうしてこんなに簡単に、しかも当然わかっていたことですよ、国際協定で信義を守らぬといかぬというようなことは。どうしてこんなに軽々しゅう変わるのか、ひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
#81
○河野国務大臣 昨年十二月の党声明は、政府がドゥニ調停案を受け入れたという段階で出した党声明でございます。その後マラケシュにおきまして、ラウンドの最終的な合意というものは四月に行われているわけでございまして、その段階で明らかに国際的な合意というものができたわけです。
 ドゥニ調停案の受け入れというその十二月の党声明におきましては、ちょっと私、原文を持っておりませんので正確ではないかもしれませんが、全体の姿がまだ見えないということをその声明の中に書いていると思います。その十二月の声明は、ドゥニ調停案を受け入れたということは日本の農業にとって大きな打撃であるということが、その十二月声明の主たる意味であるというふうに御理解をいただきたいと思います。
#82
○井上(喜)委員 そしたら、全体がわかっておればそれはこういった党声明を出さなかったということですか。
#83
○河野国務大臣 いずれにせよ、ウルグアイ・ラウンド交渉の中で農業問題が日本農業に大変厳しいものであったということは、議員も恐らくお認めになるのではないでしょうか。我々は率直に、当時野党におりまして、野党の立場でこの受け入れについて、日本の農業が受ける大きな打撃というものにかんがみて、農村、農民がいかにこの問題を感じているかということを、何といっても我が党が恐らく農業関係者との接点は一番大きいわけでありますから、そうした気持ちを込めて党声明を出したわけでございます。
#84
○井上(喜)委員 このWTOの条約が大変大きなまた重大な意味を持っている、とりわけ農業につきまして影響が大きいだろう、これはもう言うまでもないことでありますけれども、だからといって発言自身が無責任な発言であっていいということではないわけであります。
 反対だということは、恐らく多くの農民は、これは自民党は反対をずっとしてくれるんだろうということを期待したと思うのですよね、ましてや政権の座に着いたのですから。そういった期待を裏切るようになるのじゃないか、私はそんな感じがいたすわけでございます。
 大勢の意見を聞いておりましても、主張したことなどが簡単に変えられるということは、どうも有権者をなめているのじゃないかというようなことを言う人がいるわけですね。私は、そういう有権者をないがしろにしかねないような意味を持つのじゃないかと思うのでありまして、これからは恐らく、どのようにされるのかよくわかりませんけれども、やはり責任者あるいは公の政党の発言というのはそれほど重いものだということをよく御認識をいただきたい、このように思います。
#85
○河野国務大臣 議員も十分おわかりの上で御発言をいただいていることと思いますけれども、十二月の時点のドゥニ調停案の受け入れの段階よりは、四月のマラケシュにおきます最終文書の確定に閣僚が署名をした段階というのは一歩も二歩も、あるいはここで最終文書に確認の署名をするわけでございますから、それは大変大きな、まあけりをつけたという状況になっていると思います。
 その段階において、つまり百二十を超える国と地域が集まって最終合意文書を確認をするという状況になれば、これはなかなかこの問題は反対できない、これから抜けることはできないというふうに考えるのは、多くの方々によってそういうふうに考えられるのだろうと私は思います。
 そうなれば、我が党の立場は、さらば、農家、農村、農業に従事する方々に対してどういう対応をとるかということに、真剣にそうしたことを考えるということになって、今度は政府・与党、真剣な議論の中で対策が整って、そして今回の十月声明になったということであって、我々は無責任な対応をしたわけでもなければ、言われるような態度をとったわけではないということはぜひ御理解をいただきたいと思います。
#86
○井上(喜)委員 まあこれはいろいろと問題もあろうと思いますが、次に参りたいと思います。
 この世界貿易機構の協定でありますけれども、大変大部なものでありまして、なかなか全体を読むというのが難しいのであります。私も全体を承知しているわけではございませんけれども、私どもが説明をお聞きしたり、あるいは簡単な資料を読ませていただきました限りでも、大変包括的なもの、そして非常に組織的ですね。それから、なおかつ、画期的というのですか、そういう中身を含んでいると思います。
 これは単に貿易というのじゃなしに、世界の社会や経済のこれからの枠組みをつくっていくのじゃないか、こんな感じがするわけでありまして、ある意味では政治の枠組みなんかとも関係してくるのかもわかりません。そんな私は感じがいたすわけであります。
 これからの日本の国際関係を処理していきます場合には、こういう枠組みを前提にしながら関係各国との関係を発展させていかなくちゃいけないのじゃないか、こう思うのでありまして、こういうことの、この条約の意味は大変なものがあると思いますし、またこれによる我が国への影響、これは今、今というのじゃなしにもう少し先のことを、五年、十年ぐらい先、あるいはもうちょっとその先を考えていただいていいと思うのですが、どんなようにお考えなのか。つまり、このWTOの条約自身の意味と、これが日本の社会経済あるいは政治に及ぼす影響につきまして、外務大臣の御見解を伺いたいと思います。
#87
○河野国務大臣 これは議員まさに御指摘のように、このWTO体制といいますか、こうしたものができる過程、つまりもう六年も七年も前からこうした構想を練っておられて、恐らくその当時はまだ東西冷戦の終盤だったということを考えますと、その東西の冷戦構造も終わってまさに世界が一つになっていく、そういう状況の中で貿易経済の問題について一つのルールをつくっていこうということでございますから、これはもう恐らく当初考えていたころよりも大きな問題になった。そして、世界の一つの方向性のようなものを考え得る状況というものはできてきたというふうに思います。
 我が国にとりましては、かねてから言われているように、我が国が貿易立国として生きるというその状況は今日でも基本的には変わらないということであるとすれば、このことによって貿易経済というものがルール化されてきた、つまり物ばかりではなくてサービスの分野にまで統一したルールができてきた。まあ完全とはまだ申しませんけれども、それをルール化するという状況になってきた。このことは、これは国際的な機関が仮に計算するとすれば、貿易量は格段に伸びる、そうした中で日本の貿易量も、これは輸出入両方でございますから、大変な伸びを示すということを言っておられる。
 さらには、中国を初めとする発展途上国といいますか、こういう国々の持つ潜在的な力というものが花開いてくる可能性があるということなども考えて、我々は、この新しいWTOのもとで大いに国際的に目を向けるという、なお一層国際的な視野を持たなければならないということだと思います。国際社会の中に相互依存関係というものをより強く持って進んでいく方向というものが我々の最も重要な、頭に入れなければならない問題だろうと思います。
#88
○井上(喜)委員 このWTOの協定は、私は、単に物が国際的に動く、またそういう量が拡大していくということだけではなしに、ある意味ではそういったWTOの体制の中に日本の社会構造なりあるいは産業構造というのですか、やはりそういったものを合わせていくような努力があるのだろうと思うのですね。
 今までどおり、各国がありまして、それぞれが独自性を保ちながら単に貿易を拡大していくということではなしに、それはもちろんありますが、あわせまして、そういう国内の状況といいますか体制というのですか、そういうものを変えていく、変革をしていくという、そういうことが一段と求められているのじゃないか。そういう意味で、やっぱり日本の社会に対しまして非常に大きな影響があるのじゃないかと思うのですね。その点、いかがですか。
#89
○河野国務大臣 御指摘のとおりだと思います。
 だからこそ、農業問題でありますとか環境問題でありますとか、そういったことについても慎重にといいますか、十分に考えた上で、どういう新たなルールでありますとか考え方を持って取り組むかということが重要になってくる。それは我々が十分考えなければならないところではないか。国によってはやはり得手不得手がありますし、そうしたことを考えて、ただ単に弱肉強食の世界になるということであってはならないということもまた我々は考えておく必要があると思います。
#90
○井上(喜)委員 このWTOの協定によりまして特に深刻な影響を受けますのは日本の農業だと思うのですね。やっぱり弱い分野ですね。自由競争で非常に弱い分野が影響を受けるのだろうと思うのでありますが、その代表としてこの農業分野が取り上げられるのじゃないか、こういうふうに思うのです。
 そこで、農林大臣にお伺いしたいのでありますけれども、今までの私あるいは外務大臣の言われましたことに、農林大臣、基本的に御異論はないと思うのでありますが、大体どういうような状況が十年ぐらい先に出てきているのか。要するに国際環境としてどのような状況が想定されるのか、あるいは想定すべきなのか。これはよくわかりませんよ。それはまさに将来のことですからわからぬといえばわからないのです。
 ただ、国内体制をこれからとっていこうとする場合に、やはりある種の前提を置く必要があると思うのですね。もうこれは大したことはないので一時しのぎでやればいいのだというならば、まあそれはそれでよろしいのです。しかし、そういう前提があるはずなんですね。しかし、私は、どうも状況が非常に変わってきている。まして五年とか十年先に非常に状況が変わると思うのですよ。
 確かに協定自身には過渡的な対応がとられているのですね。とられているけれども、その過渡期間はともかくとして、その先ですね。これはよくわかっていないのでありますが、やはり対策を立てる上の前提として、どういう状況に、特に国際環境ですよ、あるいは日本の農業が当面する問題と言ってもいいと思うのですが、どういう状況になっているのか、ひとつその辺のところをお聞かせいただきたいのです。
#91
○大河原国務大臣 委員の外務大臣との質疑応答の方向でございまして、農業協定の受け入れに伴って、お話しのように当面の手当て、これはとりあえずなされている点もございますが、中長期的に見ますと、国際市場の国内市場への影響ということを考えますと、その影響が強くなるといいますか、十二分なこれに対する配慮が必要であろうということで、本格的な新しい農業構造を確立して生産性の高い農業をつくる、それによって国際競争にも耐えるという方向で日本農業をいわばリストラしなければならないというふうに思っております。
 ただ、もう一点は、このような農業については例外、物の貿易として工業製品なんかと同じように取り扱ったルールがございますが、我々は交渉期間中においても、農業の持っている特別な役割、食糧安全保障とかあるいは環境あるいは国土保全、そういう持っている非貿易的関心事項、こういうものについてはいろいろな主張をいたしましたが、必ずしも十分ではなかった。
 今後の世界の人口問題とか食糧問題、そういうものを考えますと、単なるウルグアイ・ラウンドの延長上だけであっていいかどうかということで、また、必ずしもそれが許されなくなるのじゃないかという面まで広い視野を持って見て、そしてその農業についての新しい貿易ルールづくり、これについても努力をいたさなければならぬという点もあると思います。
#92
○井上(喜)委員 今次のWTOの協定にいたしましても、これは大方七年間ぐらいかかったと思うのでありまして、大変激しい議論ですね。当初の議論からたどりますと、非常に極端ともいえる自由化案というようなものを基礎にして原案がつくられ、それをめぐっての攻防がありまして、苦労の末今回のような協定にたどりついたのでありますが、これは十年後あるいは五年後と言ってもいいと思うのでありますが、恐らく状況としましては、今回のウルグアイ・ラウンドの交渉以上に厳しい国際環境になるのじゃないかというのを想定するのは、私はまあこれは普通じゃないかと思うのですよ。
 それで、どのように交渉してどう決着させるかは別問題でありまして、国際環境そのものとしましては大変な厳しいものが出てくる。このウルグアイ・ラウンドで展開されました議論以上に厳しい議論が出てくるのだろうと思うのですよね。それは、ほかならないそういった環境が厳しくなってきているからだと思うのですよね。
 さらに、農業と一般のものとの、何といいますか、パッケージで考えていくような思想も一段と強くなってくるのじゃないかと思うのですが、その辺の先につきましては、今のお考えですと、やっぱり農業は農業としてこれは別に考えたらいいじゃないかと、確かにそれは厳しくなるかもわからぬけれども、私、それはその状況においてよく判断をして交渉していけばいいじゃないかというような御答弁に理解したのでありますが、それは間違っていますか。
#93
○大河原国務大臣 我々としては、農業貿易については、工業製品一般のルールという現在のルールについては、今後、世界の人口問題、食糧問題、我が国の輸入国としての立場等を見て、できる限りこの訂正を求める努力をいたさなければ相ならぬ、そういう視点がまことに大事であるというふうに私は思っております。
#94
○井上(喜)委員 さて、それでは次に進みまして、これからの対策の前提になるようなことについて二、三お尋ねをしたりあるいは確認をしておきたいと思うのであります。
 その一つは、この農業協定の実施期間というのがありますね。この実施期間が満了いたしましたときに先がどうなるのかということなんですね。これは中身はどうも二つに分かれておりまして、一般のといいますか、特例以外の一般の農産物の交渉、交渉といいますかその取り扱いと、それから米なんかの特例措置を認められましたね、それについての対応の仕方が違っているのですね。多少違っている。それは、実施期間満了の一年前に交渉は開始するのだということですね。つまり、六年に入ったときから交渉は開始するのだけれども、いろんな条件を勘案しながら交渉をする、こういうことであります。
 私がお聞きをいたしたいのは、つまり、六年たちますとまたこれは白紙に戻るようなことがあり得るのかということですね。これは解釈としてはあり得るというふうにお考えになるかもわかりませんけれども、一応交渉して、交渉がまとまらなければそれはもうそういうことになろうと思うのでありますが、一応交渉というのはまとめるべく皆さん努力をすると思うのですね。
 という前提で考えた場合に、一体、この六年経過後のスタートというのは、やっぱり六年目に到達したそこなんだろうと私は思うのですが、いかがですか。これは外務省と農林省、それぞれお聞かせをいただきたいのです。
    〔委員長退席、田中(直)委員長代理着席〕
#95
○原口政府委員 今先生御指摘のとおり、六年目が終わったところで各国がとっている措置、それが出発点になるという理解でございます。
#96
○東政府委員 基本的には、全体として今外務省からお答えのとおりだと思いますけれども、農業協定に関しましては、二十条というところで六年間のその削減の経過、それからそれの世界貿易に対する影響、さらには、これは当時の外務大臣が行かれて、特に入れていただいた非貿易的関心事項等についての議論をしてやっていくということになっております。
 今、原口経済局長からそのときの状況ということですが、基準年だとかそういうものについてはちょっとまた別の話だと思います。その状況を踏まえての交渉ということにはなろうかと思います。
#97
○井上(喜)委員 特例措置につきましてはどうなんでしょうか。これは二十条ですか、ここは。いや、二十じゃないか。これは第何条になるのですかね。特例措置の実施期間の終了後における継続の可否についての交渉については、非貿易的関心事項の要素を考慮に入れ、実施期間の終了一年前に開始される交渉の中で交渉を行うということで、その結果、またこの特例措置、つまり自由化でない、こういうミニマムアクセス等を設定をするこの特例措置の適用の継続につき合意される場合には、加盟国は当該交渉で決定される追加的かつ受け入れ可能な譲許を与えるということですね。
 つまり、特例措置を継続しようと思えば、現行譲許したものにさらに追加的かつ受け入れ可能な譲許を与えるということなんですが、私は、農林省の説明では、これは必ずしも追加的なものが必要ではないんだ、要するにそれは全体の交渉の姿との関連があるので、これだけで、例えば米なら米だけで追加的な譲許を与えるということじゃないんだ、こういう説明を我々は受けてきたと思うのでありますが、外務省の説明はそうじゃなかったように思うのですね。それは追加的なんだ、何か追加的なそういう譲許をしなくちゃいけないんだ、そうしなければこういった特例措置は継続できないんだという説明だったように思うのですが、この点についてそれぞれ農林、外務、お答えをいただきたい。
#98
○原口政府委員 六年の実施期間の終了する一年前、すなわち五年目の終了時点におきまして特例措置についての扱いをどうするかということもまた議論するわけでございますが、その際に、七年目以降特例措置を継続するということであると、今先生御指摘のとおり追加的かつ受け入れ可能な譲許を与えるということになっておりますが、その具体的な内容につきましてはその交渉の中で確定されていくということで、現時点でその具体的中身がどうなるかということは申し上げかねる次第でございます。
#99
○東政府委員 特例措置の再交渉といいますか、交渉の件につきましては、その附属書五というところに特例措置が書いてございまして、その中に具体的なことが書いてございます。しかし、これは先ほど申し上げました二十条のところのレビューという、いわゆる再交渉といいますか、そこのところの一環としてやられるわけでございます。
 それで、その中に書いてあります御承知の追加的受け入れ可能な譲許が必要だということにつきまして、先ほど外務省の原口経済局長がお答えしたとおりでございまして、ここにその品目に関するとかなんとかは一切書いてございませんという状況で、そういう意味で特に定まっているものではない、その段階で交渉事項になり判断されるべきことであるということでございます。
#100
○井上(喜)委員 そうしますと、具体的には交渉の中で決まっていく、それは当たり前のことでありますけれども、協定の解釈自身としては、必ずしも個別品目ごとにこれを考えて追加的な譲許をする必要はないと、そういうぐあいに理解してよろしいのですか。
#101
○東政府委員 外務省の経済局長からもお答えをしているとおり、その時点で判断されることで、この文章そのものにその品目に関するというような規定が一切ございませんので、幅広く考えていいことだと思います。
#102
○原口政府委員 先ほどお答えしましたところにつけ加えることはございませんで、要するに具体的内容は一切決まっておりません。したがって、その品目に関して追加的なことをやるのかやらないのかということも含めまして、五年目以降、五年から六年にかけての一年間の交渉の中で各国と交渉して決めていくということだと理解しております。
#103
○井上(喜)委員 それから、今後の対応の前提条件となる第二は、日本農業が今現実にどういう状況になっているのかというそこの認識だと思うのですね。よく言われますように、日本の農業というのは担い手も大変高齢化をしてきている。新規参入だって十分にないわけでありまして、青年が農業に従事をする員数なんというのは、新しく医者として免許を受ける人よりも少ないというような状況でありますし、つまり、だんだん年寄りになってきているとか、あるいは自給率の点から見ましても生産量がだんだん落ちてきているとか、あるいは輸入がふえてくるとか、そういうようなことがどんどん進行しているわけですね。
 これは具体的な資料を見ましても非常によく出ていると思うのでありますが、例えば専業農家、農業だけで原則として生活をしている農家というふうに理解されておりますけれども、これなんかを見ましても、今四十四万七千戸なんですね。全体で大体三百七十万戸ぐらいある中で四十四万七千戸ですね。それから第一種という、所得の半分以上を農業で稼いでいるという農家、これも四十二万九千、約四十三万戸ですね。それから、いわゆる第二種兼業ということで、農業から得る収入が全体の収入の中で五〇%以下というのが大体二百万戸ということでありまして、どちらかといいますと専業農家が減ってきている。確かにそういった農家は大きくはなっているのでありましょうけれども、それにいたしましても兼業農家がふえてきている。しかも、高齢化をしていって体質が弱まってきている。これは皆さんが指摘することでありますね。
 また、農業をする環境としましても、混住化が進むとか、大変環境も悪くなってきているというようなことも言えると思うのでありまして、こういうことについては、どうですか官房長官、我々は内地の方なんですが、北海道の方でもそんなことが言えるのだろうと思うのですが、どういう認識を、農業の現状ですね、現状というのは本当に問題なのか、いやいや、まあうまくやっているよというようなことなのか、その点についてちょっと認識をお聞かせいただきたいのです。
#104
○五十嵐国務大臣 今北海道の農業について特にお話がございましたけれども、北海道の農業の場合、御案内のようにかなり大規模化が進んでおりまして、酪農、畑作、水田、それぞれの形態で悩みも多いのでありますが、しかし、今日まで本当に血の出るような努力をそれぞれ続けながら、一定の近代化がなされつつあるというふうに思います。
 しかし、そのことはまた同時に膨大な設備投資等の負債というものを背負っておるということになるわけでありまして、そういうたくさんの負債をしょいながら、しかもそれだけの努力をし、近代化を進め、規模も拡大しつつも、やはり国際的な波の中ではとても大きなハンディがあるということで、それはそれは容易ならない苦労を重ねているというふうに思います。
 北海道がそうでありますから、これはまた本州の零細な農業につきましては当然もっと厳しい、今兼業農家のお話もございましたけれども、それら等を含めてさまざまな問題があろうというふうに思います。
 ただしかし、今回こういうようなWTOの御審議をいただきながら、そういう新しい体制における我が国の農業をどういうぐあいにしっかり建設していくかということの御議論をいただいているわけでありますが、まさにこの機会にむしろ我が国の農業を、これを契機にしてより水準の高いものにつくり上げていく。本当に、国民もまた農家も、しっかり自信の持てるような農業、農村をつくっていこうということに向かって、私どもこの際全力を挙げて努力していく。やはり自給力を高めるということに関しては国民すべてがそのことへの期待を持っているものというふうに存じておりますので、そういう方向に向かっての一層の努力をしていかなくちゃならぬ、こういうぐあいに思っている次第でございます。
#105
○井上(喜)委員 適切なお答えをいただいたのでありますが、農業がこのような状況になってきているというのはそれ相応の原因があるわけですね。ただ自然にこうなってきたのじゃなしに、やはりそれだけの理由がありましてなっているわけでありまして、そういった原因に対して的確な対応をしなければ今官房長官が言われましたようなこともできないわけでありまして、その辺、今日なかなか所得が伸びない、あるいは経営者が老齢化しているとか、あるいは負債があるとか、こういった原因をどういうぐあいにお考えですか。どうして今のような状況になってきたのか、どういうぐあいにその理由といいますか原因を考えておられますか。
#106
○五十嵐国務大臣 素人で御質問にお答えできるようなことではないというふうに思いますが、やはり我が国の場合、言うまでもなく、諸外国から比べますと規模が極めて狭いということがございまして、欧米諸国から見ますと、生産性という面では基本的にやはり難しい条件というものがある。そういう条件の中では、単位面積当たりで比較すると、本当に農家の苦労の中でそれなりの生産性は高めているというふうに思うのですが、しかし、規模全体の条件に大きくハンディがあるというようなことから、そういう中にもかかわらず、国際的な諸国の状況と比較して、今日のように自由化の中ではなかなか容易ならない局面を迎えているもの、こういうぐあいに思っている次第であります。
#107
○井上(喜)委員 いろいろと原因はありますけれども、やはり主たる原因といいますのは、そういう状況の変化に政策の対応がおくれるとか、あるいは的確な対応が十分にできなかったとか、そういった面も多分にあるのじゃないかと思うのですね。そのほかの要因もあるのかもわかりません。そういう意味で、これからとります政策というのは非常に重要に私はなってきていると思うのです。
 そのときに、いかなる政策あるいは基本の考え方をとっていくかということでありますが、今日、日本の農業がありますのは戦後三十八年の自民党農政とこれまた切っても切れない関係にあると私は思うのでありまして、いいところもあった、あるいはこの点は足りなかったとかこの点はおくれたとか、いろいろなものがあると思うのですね。あるいは立場によりましては、いいことばかりやってきたのだということであればそれで結構なんですが、この三十八年間の自民党農政の功罪、いいところ、悪いところ、どういうものがあったのか。それを今日の農業、現実の姿とのかかわり合いの中でひとつお話しをいただきたいと思うのであります。
#108
○大河原国務大臣 井上委員の御質問は、戦後の農業政策といいますか、農政そのものについての推移とその評価というような大変難しいお話になるかと思いますけれども、いろいろの御質疑がなおございましょうから申し上げますと、戦後、二十年代から三十年代の初めは、御案内のとおりの食糧問題、食糧増産、これを目指して農政が展開したわけでございます。食糧生産力、米の生産力が上がってきて、高度成長が一方で始まって、そして農業基本法に端的に見えるように、他産業部門との所得均衡の問題、あるいは需要の大きな変化からの選択的拡大、そういうような施策を一方でしてきたわけでございます。
 そういうことからさらに進みまして、価格政策を中心として一方ではそれらをやってきたのですが、それでは相ならぬということで、構造政策、規模拡大と農地の流動化というようなことが政策の重点になったわけでございますが、これについては、都市化とかあるいはそれに伴う地価の高騰とかによって、自作地を中心とした農地移動がなかなかに困難で、したがって、土地利用型の農業などは進まなかった。
 そこに加えて、開放経済ということで、それについてはいろいろ、牛肉・オレンジ等も日米交渉その他で五年刻みの交渉を延ばしに延ばしてやってきたというようなこともございましたが、その開放経済の影響というものが農業にも訪れてきているというわけで、それに対するいろいろな対応をしてきたということでございます。
 言うなれば、やはり所得問題とかありますので価格政策に対するウエートがかかって、構造政策はやらなくてはいかぬということでいろいろ打ち出されるけれども、実際問題として、零細な家族経営というものを前提とするとなかなか困難で、その進展がなかったということでございまして、そういう過程で今日まで至ったというのがありのままの姿ではあるまいか、さように思っておりまして、そこにこのガット・ウルグアイ・ラウンドのような新しい国際環境というものにぶつかったということでございます。
#109
○井上(喜)委員 どうもこの功罪がよくわからなかったのであります。一応の経過をお聞きしたのでありますけれども、功罪を明らかにした上でこれからはどのような展開をしていくのかという、そういう道筋が見えてくるのではないかと思ったのでありますが、なかなか難しいし、また言いにくい問題でもありましょうから、これはこれとしまして、その自民党農政の中の一つの時期を画しているのがやはり農業基本法の制定だと思うのですね。
 これはたしか昭和三十六年ごろだったと思うのでありますが、これについてはどういうような評価をされておりますか。もし問題があるとすれば、どういうような問題が今この基本法関連で出てきているのか、御説明いただきたいと思うのです。
#110
○大河原国務大臣 委員も御案内のとおり、高度成長が始まりまして、産業部門間、農業と非農業部門間の生産性の格差、そういうものが著しくなって、その均衡、これはヨーロッパでも当時同じです。家族農業経営というのは経済成長におくれやすい、それに対して、それをどういうふうにしてカバーしていくかというようなことに対する問題を提起して、自立経営というような基本法の概念を制定しております。
 もう一つは、農産物消費の多様化といいますか、果樹とかその他の畜産物、選択的拡大、それに対する方向を打ち出したというふうなことが農業基本法としては時代に即した農政の基本方向だったと思うわけでございますが、今日は条件が、一々申し上げませんが大きく変わった。そして、農業基本法の視点であれしているところは、食糧問題ですな。食糧問題の視点が欠けておる。
 それから、農業の多面的役割でございますか、これが特に今後の農政としては重要視されなければならないのではないか。そういう点で、やはり基本法に対するレビューといいますか、新しいこの種の大枠の制定という場合に念頭に置くべきものではあるまいか、さように思っております。
#111
○井上(喜)委員 そこで、これからいよいよ具体の対策の中に入るのでありますが、農業とか農村の現実に今果たしております機能とかあるいは役割につきましては、総理を初め農林大臣もいろいろなところで繰り返しお述べになっておりまして、経済的にもあるいは社会的にも文化的にもいろいろな大切な役割を果たしている、こういうことでありますから、これは当然の前提としてよろしいのじゃないかと思うのです。
 そこで私は、今のこの時代、WTOの協定を批准をするこの段階で、この段階といいますのは、比喩は適切でないかもわかりませんけれども、やはり戦後の農地改革に匹敵するような大きな時代の転換期に来ていると思うのですね。そういうように思うのです。ですからそういう意味で、政府はもちろんでありますし、農家にもそういうことをはっきり明示をしていく、理解をしていただく、こういうことが必要だと思うので、ある意味の方向づけの法律ですね、今後の農業の方向、農業政策の方向みたいなものをきっちりと私はしないといけないのじゃないか。
 それともう一つは、やはり予算でもってその対応をきちんとしていくという、この両面だと思うのですね。しかし今回の場合は、一応対策は、金の面での対応は言われているのでありますけれども、制度的な枠組みのようなもの、そういうものが出ないのですよね。これは将来出されるのですか、どうなんですか。
#112
○大河原国務大臣 今御指摘の農政の方向づけにつきましては、今回の国内対策の前提となりました農政審議会の半年以上の論議でも、委員がお話しになりました農業基本法の改正の要否について検討しろというような提案がありました。対策大綱では一歩進みまして、改正について検討を開始するということでございまして、そこで農政の方向づけを当然行うべきものであるというふうに思っています。
#113
○井上(喜)委員 そこで私は、まだこの段階に参りましてもわりかし皆さん、このWTOの中の農業協定がどういうものかという理解がまだ十分に浸透していないように思うのです。もちろん識者の間では理解はされておりますが、一般にはまだそれほどの理解は進んでいないのじゃないかと私は思うのですね。そういうことで、これからやはりきちっとその辺のところをしないといけないと思うのですが、それにいたしましても、ある種の枠組みみたいなものをきちっとせぬといかぬと思うのですよ。
 私が枠組みと言っておりますのは、例えば経営というのは個々の農家がやりますから、これはそれらの農家が責任を持ってやることだと思うのですが、その前の、例えば需給見通しとして大まかにどれぐらいの見通しを持っているのか。国内でおおむねどれぐらいをつくるのか、何割ぐらいか、あるいは輸入にどれぐらい依存していくのかとか、そういうようなことですよ、例えば一つは。農業所得としてはどの程度のことを考えているのか、こういうことですね。
 あるいは価格水準としては、今官房長官のお話がありましたように、日本が裸で外国とは競争できないのですからある種の保護措置は必要なわけですね。これは必要なのでありますが、どの程度ぐらいまで、まあ競争できると言ったらおかしいので、競争できないから、価格としてほどの程度のところまで持っていくのかということですね。どう考えておられるのか。その場合の国際比価なんかが、一ドル百円の前提で見ればどれぐらいのところなのか。そういうような主要なことについて明らかにしていただく。その上で、農家の経営としては大体どれぐらいの経営規模でやるのかとか、あるいは経営の中身をどうするのかというようなことも恐らく決まってくる、農家としては判断をして決めていくと思うのですよね。
 まずその前段の、私が言いましたそこのところについての政府のお考えを聞かせていただきたいのです。
#114
○大河原国務大臣 二点あるかと思いますが、まず、委員御提案の需要と供給の見通し、これについては農政審議会でも提案がありまして、今後、十年後を想定した農産物の需要と供給の長期見通し、これは生産者が意欲があるような、インテンショナルな、政策意欲的な見通しになると思いますが、その検討を既に農政審議会の、あれは企画部会ですか、そこで検討を開始しております。
 それから、経営の目標その他についてのいろいろのお尋ねでございますが、井上委員も御案内と思いますが、一昨年、新しい食料・農業・農村対策の展開方向ということで、二十一世紀に向けての経営の問題を農政審議会でも検討しまして、稲作なりあるいは畑作、野菜作、果樹作、あるいは肉用牛あるいは酪農、それぞれについて、端的に言えば、生涯所得が地域の他産業従事者と均衡する、それから労働時間についても均衡する、そういうような効率的、安定的経営をつくるということでそれぞれの経営類型を示しております。それに向かって、農業経営基盤強化法等の法律の制定もあって、そういう経営について認定をいたしまして政策をそれに集中する、そういう方針をとっております。
 その場合の生産コストの問題も、それぞれの経営によって六割とか五割、一々申し上げませんが削減されるだろう、そういうような目標も立てておるわけでございまして、今度の国内政策についても、経営の目標としては、そのような経営を育成、確保するために政策を集中する、そういうことになっておるわけでございます。
#115
○井上(喜)委員 今、需給見通しも、それは確かに事細かに検討しないときっちりはつくれないでしょうけれども、大まかに、大体どの程度までを自給していくのか、それは大体見当でいいと思うのですよ。だってこれから農家はやるかやらないかを決めないといかぬわけでしょう、やるという農家もあると思うのだけれども。直に前提になる条件がはっきりしていないとこれは取り組めないと思うのですよ。どの程度まで国内生産で賄っていくのか、どの程度を輸入に依存するのかということですよ。そんなきっちりした数字でなくてもいいのですが、大臣としての、おれはこうこうこう思うのだという、そこをお聞かせいただきたいのですよ。
 それから所得は、どうも他産業並みの労働時間と、また同じような水準の所得ということだと思うのですが、これはそういう基本の考え方はいいと思うのですよ。その場合の農産物価格というのはどういうように想定しておられますか。
#116
○大河原国務大臣 農産物価格は、価格水準というのは、価格一定で所得なりなんなりをはじく以外には、どの程度その水準としてはっきりしたことが言えるかどうかといったような問題があるわけでございまして、傾向としては、それぞれの作物は国際化の影響で価格水準は下がっていくだろうという想定で考えるべきだと思うわけでございます。
#117
○井上(喜)委員 そういう前提でありますと、農業所得といいましてもどうもはっきりしてきませんし、ましてや経営規模なんというのは、規模を議論しかけましても所得がここへ出てこないと思うのですね。だから、価格水準を今よりも幾分低下をさせていくみたいな、そのようなお話でありますが、余り変わらない、そういうような価格水準を想定しておられるのですか、幾分下がるかもわからないけれども。その場合の国際比価との関係をどういうぐあいにお考えなのか、お聞かせいただきたいのです。
#118
○大河原国務大臣 この種の作業では、相対価格一定といいまして、それでそれぞれの資材価格もあるいは農産物価格も大体一定だ、バランスがとれているというようなことで作業する以外には、なかなかおっしゃるようにずばり十年後なら十年後の価格はいかになるかというような点について、それを前提にした所得の算定その他はなかなか難しいのではあるまいかと私どもは思っております。
#119
○井上(喜)委員 そうしますと、経営規模とかあるいは農業所得等については、まあ一応のそういった前提で計算してみたその計算結果だという、そういうものなんですね。それがだから現実のものとして保証されるといいますか、目標にするようなものでもない、私はそんな感じを受けて聞かせていただきました。
 そこで、あとこの予算の関係に入るのですが、皆さん方は随分御苦労があったと思うのでありますが、意外と新聞論調というのは厳しいですね。厳しい。例えば「農業自立足踏み」だとか、あるいは「「額」先行、バラまき決着」だとか「政策論を置き去り」とか、それから「意義付けよりカネ論議」というような話ですね。それから「ほど遠い体質強化」「なぜ事業費表示か 目新しさはどこに どうなる年間予算」、こういうような論評で、かなりこれは厳しい中身だと思うのですよね。おれらはそうじゃないんだと、一生懸命やったんだと、こういうお考えかもわかりませんが、こういう論評に対してどういうようにお考えですか。まず官房長官ひとつ、それから農林大臣にお伺いしたいのです。
    〔田中(直)委員長代理退席、委員長着席〕
#120
○大河原国務大臣 今回の国内対策については、我々の努力も不足して十分な御理解を求める点において足らなかったという点もあるかと思いますけれども、考え方といたしましては、先ほどの御質疑のやりとりでも明らかなように、先ほど官房長官の話にもございましたが、当面の影響、これを食いとめるのはもちろん、中長期にわたって見ると、しっかりした、まあ簡潔に言いますと新しい農業構造をつくらなければならないということで、それは一昨年の新農政で示したような経営類型を、それぞれの作物についての経営、効率的、安定的な担い手と言っておりますけれども、そういうものを急速につくり上げて、それが農業生産の大宗を担うようにいたすということでございます。
 そのための施策としては、農地の流動化を過去の二倍、三倍に加速するとか、あるいは基盤の整備、高生産性の農業基盤整備事業を重点かつ加速的に行うというようなこと、さらには、前向き前進のために重荷になる負債整理あるいは土地改良事業の負担金、これに対する対応をするとか、さらには生産性向上なりあるいは高付加価値のための共同利用施設、この事業を行うとか、あるいは後継者、新規就農者の確保をするとか、それぞれの政策を行うことによって農業の抜本的ないわばリストラを実現いたしたい、さような政策でございます。
 いろいろな御批判もありますけれども、その点については、そのような政策の裏づけとしての総事業費六兆百億円というふうに考えておりますので、必ずしもそのような批判については私どもは当たっているとは思えない、そういうふうに考えています。
#121
○五十嵐国務大臣 今るる農水大臣からお話がありましたとおりでございまして、向こう六年間のこの対策大綱に基づく必要な新しい施策について、御案内のように六兆百億円という思い切った予算を予定させていただきました。
 いろいろマスコミ等の批判があるのは承知しておりますが、これはしかし、批判も見てみますとやはり両面からの批判があるわけであります。それはいずれもしっかり我々としては教訓と受けとめたいと思いますが、しかし、さまざまの政策を積み上げてのこの大綱の方向というものこそ、我々としては今日日本農業の再建の道である、今日の非常に厳しい中でのこれが行くべき道だという考えでおりますので、御理解をいただきたいと思います。
#122
○井上(喜)委員 私は、新しい対策というのはどちらかといいますと自民党の農業政策の延長線上だと思うので、今まで厳しく自民党農政を批判してこられたのは社会党だと思うのですよね。そういう社会党というような立場から見ましても、今言ったような御答弁になるのですか。
#123
○五十嵐国務大臣 そういう視点を含めて考えてこそ、そういう今言いましたような積極的なこれからの方途を探っていくということになろうと思います。
#124
○井上(喜)委員 この対策費なんですが、次は大蔵大臣にお伺いしますが、対策費というのは、通常の年度予算、そういう中にもあるとは思うのだけれども、大体対策費の主なものは、例の六兆百億円ですか、そこに入っているという理解でよろしいのですか、どうですか。
#125
○武村国務大臣 大綱というものをまず政府・与党で合意をいたしました。これは、各般にわたるまさに新しい力強い農業構造を生み出していくための施策を取り上げているわけでありますが、その中の事業費に焦点を絞って六兆百億円をまとめさせていただきました。
#126
○井上(喜)委員 そうしますと、対策費の主要なものがこの中に入っているということだと思うのです。
 それで、よく議論になります別枠議論ですね。別枠。新聞なんか見ますと、別枠ととれるような、そういうような感じなんですね。これはだから、通常の予算については影響させない、通常の何かしかるべき伸び率を加えたような予算があって、そのほかに事業費として六カ年間、六兆百億円があるという、こういうことでよろしいのですか。要するに、政治的な判断としてはそういうような考えでよろしいのですか。
#127
○武村国務大臣 別枠という言葉は概算要求とのかかわりである言葉だろうと思うのであります。私どもは別枠であるとかないとかいう言い方はいたしておりませんでして、これは予算編成の中で適切に対処していこう、これが概算要求のときの政府全体の公式な判断でございました。あくまでも、枠がどうだという形式よりも、新しい事業であるという表現は、まさに中身、性格をとらえて申し上げているわけであります。
 いずれにしましても、六年間でございますから、六年間の別枠という議論そのものはシーリングの常識からいっても当たらない話なんですけれども、今年度の予算がまず第一年度になりますので、ぜひ、たびたび繰り返し申し上げておりますように、大変大事な転換期の日本農業、新しい方向に進んでいくための初年度という認識を持ちまして対応をさせていただきたいと思っております。
#128
○井上(喜)委員 そういたしますと、まあ金額としては六兆百億円だけれども、要は、そういう仕分けができればいいので、何も別枠として考える必要はないんだ、こういうぐあいに私は今お聞きをしたのでありますが、確かに先の予算にも絡むので、別に先までセットするという話じゃないのだけれども、政治的に、一般の理解は六兆百億円は外枠だということだけれども、そうじゃないということですね。一般予算と一緒にやって、その中で六兆百億円、六年間が仕分けができればいいじゃないか、こういうことで、これはまさに仕分けの話なんですね。どうですか。
#129
○大河原国務大臣 仕分けということではなくて、今も大蔵大臣が申しましたように、国内対策に必要な総事業費六兆百億円、で、国費部分があるわけですね、それについては、事業を実施するためにその財政的な裏づけは必ずするということが一つ。
 それから、従来の農林予算に対して支障を及ぼさないようにするということは、新しい事業は必ずやるけれども、その財源を従来の農林予算から削減、抑制をすることによって生み出すことを避ける、避けるというか、そういうことについては配慮する、財源を生み出すような抑制、削減は配慮するということでございます。
 別枠という場合だと、従来の農林予算の上にこの新しい事業が上に乗っかる、機械的に乗っかるというような意味で別枠別枠ということが言われることがございますが、従来の農林関係予算は、井上委員も御案内のとおり、毎年の予算編成で要求があり、査定があるということでございます、従来の農林予算は。でございまして、新しい事業についてはまさに新しい事業で、重要な事業で、この対策を実施するのだということで、それについてはその財政的な裏づけをするのだ、そういうふうに理解を願ったらと思います。
#130
○井上(喜)委員 どうもはっきりしないところがあるのでありますが、要は、別枠と言おうと言うまいと、従来の予算は予算としてきちっとつけて、そのほかにこの対策費として予定されたものをきっちりとつけていただきたい、そういうことを要望しておきたいと思います。
 ずっと質問をする予定でありましたのが、時間がありませんので、私、意見を述べるといいますか、ちょっと希望意見だけ申し上げておきたいと思うのですね。
 私は、いろいろな対策が考えられると思うのでありますが、一つは、いい経営の農家をつくり出していくということは、それはすなわち離農対策が裏っ側にあるのですよね。しかし、なかなか離農なんということは言いにくいというようなこともあったのでしょう、今まで言わなかったのでありますけれども。私は、やはりそこはやるべきことはやった方がいいのじゃないかと思うのですね。
 その一つとしましては、こういうものがありますね。今、農業者年金で、農業者年金も経営移譲とかあるいは経営の規模拡大に絡めた制度でありまして、あれ自身一つの立派な制度だと思いますが、その中に離農給付金制度というのがあるのですよ。これは農業者年金をもらう資格のある人には出さない制度になっているのですけれども、それぞれの条件によって百万、それから七十万、三十万、こういうのを出して離農を促進していこうという制度なんですよ。
 それで、離農給付金を受けられる条件は三つありまして、一つは、経営を移譲する、要するに離農者の要件としてはこうだよというものがあるのですよ。それから、経営移譲を受ける相手方の条件というのがあるわけですよね。それはそうでしょう、当然ありますわね。
 それからもう一つは、農地の処分の方法の条件ですよ。これは、売るとか貸すとかということなんでありますが、私はこの条件を少し緩和をして、それから、しかも今は三ヘクタール以上ないと何か百万やらないなんというようなことになっているのだけれども、例えば農機具なんかを処分しないといけないとか、あるいは畜舎を処分しないといけないのですよ。だから、こういうのは今はどこも買ってくれないわけですよね。ですから、農地につきましては、これは流動化の事業である程度今度そういう離農する農家の農地を買えるような制度を拡充しておられますわね。これは非常にいい制度だと思うのですが、そのほかに、私は、余り年金と絡ませないで、農業者年金と絡ませないで、離農する人にこういった離農給付金を、しかるべき金額を出しまして、それで促進していくということをもっと考えた方がいいのじゃないかと思います。
 それからもう一つは、予算の制度でいろいろなことを中央官庁は考えまして、これは一種の押しつけなんですよ。そうじゃなしに、日本列島みたいに非常に長いところで、恐らく何千キロもあるところで、そのような立地条件に応じて農業をやっているわけですから、そういうような地域に応じた農業経営をしていく、お互いが創意や工夫を凝らしながらやっていくということが必要だと思うのですよ。
 そういう意味で、かつてふるさと創生事業というような、これは交付税の中でありましたけれども、各市町村に一億円配付しましたわね。これと同じような発想の事業をやってみたらいいのじゃないかと私は思うのですよ、何億円か積んで。どういうような利用をするかはその地域の者に考えさせて、単にばらまきじゃこれは困りますから、責任を持ってやってもらうというような、そういう発想の予算というのは私は絶対必要になってきているのじゃないか。そういう時期じゃないかと思うのですよ。何でもかんでも中央で決めて、お役所主導でやるという時代ではないと思うので、それをぜひ検討いただきたいと思います。二点。
 それから、もう時間がなくなってきたのですが、ぜひひとつこの際、今のは答弁よろしいですよ。いや、答弁いただくならいただいてよろしいのですが、兼業農家についてのお考えを伺わせていただきたいのですよ。
 特に第二種兼業農家、これはもうどんどんふえているわけですね。今でも二百万戸、三百万近くの人が第二種兼業農家なんですから。しかも、かなりの農業生産もやっているわけですよ。また、こういう人たちのある種の地域社会で果たしている役割といいますか、そういうのも大きなものがあると思うので、これはどういうぐあいに取り扱うというか、どういうような位置づけを政策上されるのか。これは大規模農家だけを相手にするので、そんな農家はもう対象外だよということなのか。そういう農家には、第二種兼業農家についてはしかじかの政策を用意をして、政策上こういうような位置づけをしているのだというようなことがあれば、そこをお聞かせいただきたいのです。
#131
○大河原国務大臣 御提案の農業者年金制度についての離農奨励金の活用問題、これは検討をさせていただきます。
 それから第二点の地域の自主性に即した助成、これは実は今回の対策でも、国費に関連する事業費六兆百億以外に地方財政措置として一兆二千億、あの中の二千億については、ふるさと創生の農林漁業版というようなことで措置をされておるということでございます。新たな議論をさらに進めていきますと、包括的ということで、農林予算一本で地方交付税と区別がつかなくなるという面もありまして、政策目的の浸透とその普遍的な、弾力的な予算措置との関係についてはどのように調整するか、これは一つの検討課題だと思います。
 あと一つは兼業農家の問題、これは農政上の位置づけの問題ですが、おっしゃるとおり、兼業農家は七割近く戸数としてのウエートを占めております。かつては兼業農家については、何というか、臨時雇い的なもので、何か貧農というような概念が相当時期までありましたけれども、今日は農家経済調査を見ても明らかなように、農家所得としてはむしろ専業農家よりも上だ、所得としては上だという意味で安定した層でございますが、地域の農業の構成者としては、やはり専業農家あるいは担い手、これを中核とした農業生産の中に作業の受委託その他いろいろな形で参加をしてきておるという点で、まさに地域の合意といいますか、地域の話し合いで進めていくけれども、そのためのいろいろな農業サイドからの施策、それは特に重点を置く必要はないというふうに思っております。
#132
○井上(喜)委員 あと、関係の法律なんですが、これももう時間がありませんので私の意見だけを申し上げておきたいと思うのです。
 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律案、ありますね。私、この中でどうしても理解できないのは、いわゆる農家の位置づけなんですよね。本来、農家というのは創意や工夫を生かしていい経営をやっていけ、こういうことを皆さんおっしゃるわけですよ。そういう意味で、まさに自主的な意思でもって農業経営をやっていく。つまり、物を生産して物を売っていくという、そういうことを基本的に認めぬといかぬと思うのですが、この農家は、この法律の中では、販売します場合は、もちろん生産調整の数量は決まりますが、販売いたします場合に、単協なんか等と、つまり計画流通量と言っておりますね、それから計画外流通量と言っているのですが、言葉はどうかと思うのですが、単協なんかに売るのが計画流通量で、例えば消費者団体とかなんかに売るのは計画外流通量になっていますよね。
 私、非常にわかりやすく話をしているのですが、その場合に、単協なんかに売るのを義務づけていますね、契約しないといけないというぐあいに契約を義務づけていますね。それで、契約しなければ過料ですよね。過料というのは、裁判所の関与なしに行政庁が自由に過料を科すことができるのですよ。
 それから、消費者団体に売るような量を届け出なさいと言っていますね。農林大臣に届け出なさいと言っているわけですよ。具体的には食糧事務所かなんかでしょう、多分。届け出なかったら、これも過料なんですよ。過料ですよ。これを変更する場合に、また変更届を出さなかったら過料ですよ。こういうのをどういうぐあいに思われます。
 私、答弁はもう時間がありませんからよろしいのですけれども、やはり独立した農家が自主的に判断して、よし作付をしよう、できた米はこう売ろうという、そこを尊重していくのが基本だと思うのですよ。それで、最も有利に売るためにはこうしようじゃないかとか、そういうことだと思うのですよ。生産調整をしないといけないとなれば、それは生産調整をしないといけないけれども、それはあくまで圃場でもって確認できるはずですよ、ここの圃場でつくっている、つくっていないとかね。
 だから、そのある量についてはしかじかの相手先を特定して契約しないといけないんだ、契約しなかったら過料だぞというのですよ。五万円ですよ。それから消費者団体なんかに売る場合も、届け出なければ過料だぞというのですよ。私、これよくわからない、この規制が。こういう点はもう少しやはり時代に合った考え方でいかぬといかぬのと違いますか。これが第一点です。
 それからもう一つは、私、備蓄についてもよくわからないのですよ。これは政府が備蓄をするというのもあるし、それから、どうも民間が備蓄をするという、自主流通何とか法人ですか、備蓄をするようなことにもなっておりますね。その関係もよくわからないのですよね。あるいは輸入米なんかも備蓄が入るのか入らぬのか、これもよくわからない。
 けれども、私は思うのに、備蓄を政府の責任でする量というのはあらかじめやはり決めたらいいと思うのですよ、政令か何かで。そんな感じがいたします。それから備蓄米を買う場合も、買う要件ですね、どういうときに買うのかというようなことをやはり決めるべきじゃないかと思いますよ。それから、調整保管の制度もありますが、調整保管の発動要件なんかもある程度決めておいたらいいと思うのですよ。
 この法律は、政府にとっては物すごいやりやすい法律になっているのですよ。もういいと判断したときにやれるようになっているのですよ。そうじゃなしに、需給とか価格の安定であれば、やはり農家からも一定の目安になるような、そういうのはきちっとした方がいいのじゃないかと私は思います。そういう印象を受けました。
 それからもう一点、最後に、ほかの法律も改正すべき法律があると思いますね、畜産物価格安定法なんかは。今自由化しているのですからね。あの法律は自由化はしない前提の法律ですよ。それからまた、今度は豚肉なんかの関税が変わってきまして、私は今の制度は、今の制度といいますのは、WTOというこの協定を批准するに当たって、そことそごを来す中身になっているように思うのですよ。そういうところをちょっと指摘をいたしまして、もう時間だということになりましたので、終わります。
#133
○大河原国務大臣 一言だけ。井上委員も新法案を読んでいただいたと思いますが、例えば今の農家の販売については、計画流通制度にのるかどうかは農家のオプションという法律制度になっておりまして、結びつけで罰則というようなことにはなっておりません。法律を読んでいただければよくわかると思います。
 それから、そのほか畜産物価格安定法については、御案内のように、差額関税をするときにもう既に自由化したわけでございますから、その点についても御認識が今のお話とは違うのではあるまいかというふうに思うわけでございます。
#134
○井上(喜)委員 私の時間は終了したのですが、ちょっと食い込んでもいいということでありますので、もう長くやりませんが。
 確かに、計画流通制度にのせるかどうかはオプションがあるけれども、いずれにしたって、どっちのオプションにしろ片方を選択しますわね。例えば、一〇〇ありまして五〇を計画流通制度にのせるとしますわね。五〇については契約をしないといけないのですよ、出荷業者と。しなかったら過料なんですよ。それから、そのほかの五〇についても届け出ぬといかぬのですよ。届け出なかったら過料なんですよ。そこを言っているわけですよ。何のためにそういう過料まで科すのですか、私はわからないということを言っているのですよ。
 それから、後の牛肉とか豚肉の話をされましたけれども、今の制度は、牛肉の場合は買い入れて売り渡す制度になっているのですよ。この今の時期に、それじゃ買い入れ制度なんてできるのですか。この制度で、需給だとか価格の安定のこの制度で、買い入れ制度になっていませんよね。生産調整というのが基本ですよ、この価格の安定は。それで、その調整保管とか何かは補完的にやるようになっているのだけれども。自由化をしてきますと、もう買い入れというのはできないのですよ。もうそういう状況になっていますから、私はこれは当然改正せぬといかぬと思いますよ。
 それから、大臣、恐らくこれはレクチャーを受けておられないと思うのですけれども、豚肉につきましては、御承知のとおり、これも価格安定制度ですよ。安定基準価格と安定上位価格とあるのですよ。それから、真ん中の中心の価格が基準輸入価格になっているのですよ。この基準輸入価格について引き下げることをコミットしたのですよ。それと今の安定制度というのは整合しますか。整合しないでしょう。する場合もあるけれども、しない場合もあると思いますよ。だから、今の制度が機能しないということを言っているのですよ、安定制度が。どこがおかしいのですか。おかしくないですよ。だから、そういうところを検討しないといけないと言っているのですよ。今それは間に合わぬからいいですよ。そういうことを検討して、法律の制度をきちっとした方がよろしいのじゃないかということを申し上げているのです。
 以上です。
#135
○佐藤委員長 答弁を求めるのですか。
#136
○井上(喜)委員 いや、もう答弁は、特になければ結構であります。
#137
○佐藤委員長 それでは、井上君の質疑はこれにて終了いたしました。
 次に、今津寛君。
#138
○今津委員 どうも委員長、御苦労さまでございます。委員長並びに与党の方に御了解をいただきたいと思いますけれども、実は直接議題に関係ありませんけれども、緊急のことでありますので、お許しをいただいて、ザイールにおります、ゴマで活躍をしている我が国自衛隊の諸君のことについて質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 今こういう時期にも、あの厳しい状況の中で我が国の名誉と誇りをかけて頑張っていただいている自衛隊の諸君に、私どもは心から感謝をしなければならない、そういうふうに私は実は思っているわけであります。
 先般、私は、改革の視察団の一員として現地へ行ってまいりました。現地には輸送隊あるいは難民救援隊、それぞれ活躍しておりますけれども、特に難民救援隊の方の、給水を除くほとんどの部門が私の地元の第二師団から行っているものでありますから、市民の一人としても激励を兼ねて、そして視察してまいったわけであります。
 その中で感じましたことは、実は、結論から申し上げますと、政治家の責任を本当に私たちは果たしているのかどうかという自責の念であります。私はカンボジアも視察をしてきましたが、カンボジアのときにはUNTACという国連の組織があって、自衛隊は後方支援の一部の役目を受け持つということでありました。今回のルワンダの難民救援隊は、輸送あるいは防疫、病気が起こらないようにする、それから医療、そして給水、こういう人道的支援が目的で、我が国みずからの判断で出動したわけでありますけれども、実際現地に行きますと、装備をした軍隊といいましょうか、それは自衛隊しかいないわけでありまして、そういう人道的支援のほかに、実質的にはその地域全体の治安、それから例えば側溝の工事などもするようなことを現地の隊長は言っていましたけれども、そういうものも実は余儀なくされているという状態であります。
 ですから、自衛隊の存在そのものが、あのゴマ市あるいは難民キャンプ、あの周辺地域の治安を初めとして平常な状態を保つのに大きな力になっている、こういう現実を私は見てきたわけでございまして、本当に御苦労なことだな、こういうことを日本のマスコミの人たちはもっともっと正確に伝えてほしいな、そんなふうに感じました。特に、フランス軍などが撤退した後、日本の自衛隊は非常に努力をいたしておりまして、市長さんや知事さんからも聞きましたけれども、日本の自衛隊には心から感謝をしているというようなことでありました。
 しかし、これからのことを考えますと、大変実は心配をいたしておりまして、十二月という期限を切って行っておりますけれども、しかし、一体何が起こるかわからないという状態であることは、渡瀬防衛政務次官も、先ほどまで現地を視察されたようでありますからおわかりだと思います。私と同じ認識であると思います。
 すなわち、我が国の憲法によって、人道的支援という目的で自衛隊を派遣をした。しかし、その自衛隊は、今国連の常任理事会で議論をしておるのは、その後五千人規模の国連を中心とする軍隊を派遣をするということですから、これを議論しているわけですから、五千人の装備をした軍隊が出動しなければ治安の維持もできないというところを今わずか二百六十人の日本の自衛隊が孤軍奮闘している、こういう状態です。ですから、私はかなり心配をしながら、しかし、頑張ってくれと、隊員の皆さん方の労をねぎらいながら激励をして帰ってきたわけでありますが、そういう状態について、外務大臣、どういう御認識でおられるか、聞かせていただきたいと思います。
#139
○河野国務大臣 現地を御視察いただいたわけで、まことにありがとうございました。
 現地御視察の今津議員の御認識は最もリアルなものであろうと思いますが、私どもも実は常々いろいろな報告は受けております。私はその報告を見まして、今津議員と同じように、ふなれな遠隔の地で大変に努力しておられる隊員の方々の努力には心から敬意を表し、感謝をしております。と同時に、隊員の諸君が現地の人たちに信頼をされている、そういうことを大変うれしく思っているわけでございます。
 もし私の言葉が足らなければ渡瀬政務次官から補足をしていただいたらいいと思いますが、私どもの認識は、日本の自衛隊が、今、今津議員おっしゃったように、給水、医療、輸送、防疫と四つの目的を持って現地に行っておりますが、その現地でキャンプをつくって仕事の拠点としておりますのはゴマ空港のほど近くであって、そこから、例えば二十キロとか三十キロとかいう地点に難民キャンプがあるという地理的状況だと我々聞いておるわけでございます。
 そして、自衛隊のおります地域から二十数キロあるいは三十数キロ離れた難民キャンプの中でいろいろと問題がどうもありそうだという報告がニューヨークの国連にもあって、そこでガリ事務総長は心配をして、いろいろ考えねばならぬ、こういう状況になっている。
 しかし一方、日本の自衛隊がおりますゴマ空港周辺、あるいはゴマ市内においては難民キャンプの中とは少し情勢が違うということであって、もちろんそうであっても、時に道路の封鎖があったり小競り合いがあったりということはあるのかもしれませんけれども、それは難民キャンプの中の様子とはいささか様相を異にしておるというふうに聞いておりまして、もちろん十分注意をし、恐らく緊張の連続でありましょう。気をつけてやってもらわなければなりませんが、難民キャンプの中にいるのではないかと思われるような情報があったりする場合もございますけれども、それとはいささか状況が違う、こういう認識をいたしております。
#140
○今津委員 本日の議題じゃありませんので余り深くは言えませんが、実はきのうかおとといの産経新聞に、下町で火事があったのですが、お年寄り夫婦が火の中に取り残された、それで近所の人がみんなで力を合わせて、そしてその老夫婦を助けたということが美談として実は社会面のトップに載っているわけですけれども、実は自衛隊は、日本の場合法律がございまして、火事の中には飛び込めない。今のところ、周辺、例えば火事があった場合には、バケツで運んだりとか、それから避難をしてきた荷物をトラックに入れてあげたり、こういうことしかできない法律になっているわけですよね。
 しかし、現地では、実際は火事の中に飛び込んだような感じ、実態としてはそうでありますし、しかも私は市長さんや知事さんに、自衛隊というのは人道目的で出動しているわけで、したがって小銃しか持ってきてない。したがって、治安目的ではありませんので、そこのところは自衛隊に過大な期待をしないでくださいということはくれぐれも言っていたのです。
 でもやはり、三日の日にNGOの車がとられたときに自衛隊は武装して出動いたしております。それから、二十五日でしょうか、難民キャンプの中で二十人以上の死傷者が出た。こういうときには、どうしても現地からしてみたら、日本の自衛隊は、それは持っている兵器というのは自分の身を守るだけのものなのですが、しかし現実としては軍隊として見ますから、それ以上の、私どもができないことをやはり向こうは要求をするというようなことでございまして、私は、カンボジアのときの、高田警部補が亡くなったりあるいはボランティアの中田さんが亡くなった、あの教訓を残念ながら我々まだきちっと生かしてないのではないかという心配をしているわけでございます。
 今後のことについてはこれからやはり法的整備、PKFの解除とかそういうものも我々は考えていかなきゃならない、そういうふうに私思うわけでありますが、外務大臣いかがでございましょうか。
#141
○河野国務大臣 御指摘のとおり、我々は一つ一つの経験を踏まえて、その経験を生かしていかなければならないと思います。ただ、法律の整備、あるいはマンデートのつけ方などにつきましては、私はどちらかというとやはり抑制的に考えるべきではないかというふうに思っております。
 もちろんこれはいろいろ事情がございまして、一つ一つのケースについて考えなければならないことでございますから、余り一般論で言うべきものではないと思いますが、私は、例えばカンボジアの経験を生かして自衛隊の諸君には十分注意をしてもらいたいと思いますし、我々もあのことをやはり頭に置かなければなりませんが、他方、自衛隊を派遣いたします相手国、あるいはその必要性、そういったことをよく考えて対応しなければならない。余りに一つの事象にとらわれ過ぎるのもよくないのではないか。まだまだ十分な経験を積んでいるわけではないのですから、抑制的な考え方を持って臨むぐらいの気持ちが大事だというふうに私は思っております。
#142
○今津委員 私はやはり、火事の中に飛び込むときは、それなりのきちっとした安全な形をして、そしてお手伝いをするべきだというふうに思いますから、今回の場合は、現地へ行ってみて、かなり予想していたものとは違う展開になってきていることも事実ですから、行った以上、やはりその中で最大限の努力をしなければならぬということで、大臣の御苦労はわかるわけでありますが、私の意見を述べさせていただいたわけでありまして、最後に、渡瀬防衛政務次官が先般視察をされておるのでありまして、防衛庁としてどういうふうにお考えになっているか。
 それと、現地からは、自衛隊が優秀ですからとどまってくれ、こういう要請はかなり私は現実としてあると思うのです。しかしこれは、自衛隊は期限が来たら撤収するべきだ、そしてその後のことはHCRの仕事だと私は思いますが、自衛隊の撤収時期などを含めて御答弁いただきたいと思います。
#143
○渡瀬政府委員 閣議決定されておりますこのルワンダ難民救援の国際平和協力業務、これは十二月末をもって終了するということになっておりまして、目下のところ、その予定どおり十二月初旬に撤収準備、業務の縮小を始めて、陸上部隊が十二月の二十日前後、航空自衛隊の輸送部隊はそれから撤収するということで、今予定どおり進んでおります。なお、このことはHCRにも通告済みでありまして、私も現地の責任者と会いましたところ、完全に了解はしております。その後のいろいろな業務の調整等に今入っておる、そういう段階でございます。
 なお、せっかく行ってまいりましたのでちょっと感想を申し述べさせていただきますと、あの赤道直下の高地に百万人近くの難民が来て露営をしておるのでございます。そして、もう本当に着のみ着のままの生活をしておりますから、生活問題あるいは治安問題あるいは病気の問題、そういうものが本当に想像以上に緊張した状態であるのは事実でありまして、そこで我が自衛隊は本当によく、整々として軍紀正しくやっておるなという感じであります。これは現地の責任者、どなたに会ってもそういう感想を言っておられました。非常に私は誇りを持って帰ってまいりました。それだけに非常に名残を惜しむ空気も厳然としてあります。
 撤収に若干時間がかかりますが、その間の無事を本当に祈りたい気持ちでありまして、これは外交当局にもそういう観点から万全の御手配を願いたい、そのような気持ちであります。
#144
○今津委員 どうもありがとうございました。
 撤収については無事をただ祈るだけでございまして、防衛庁としてもいろいろ配慮をひとつお願い申し上げたいと思います。
 最後に、プロンクというオランダの開発協力大臣が現地へ行ったときの感想を述べておりますので、このことだけ御紹介申し上げたいと思います。
  日本の自衛隊にお目にかかれたのは今回の出張中自分たちが唯一ほっとできる瞬間であった。まさに必要とされる仕事をしておられると感じた。また、失礼な言い方にもなるかと思うが、特に軍隊を含めた現地の組織と比べて全く質の異なる立派な組織で、会談後、大臣以下、敬意を感じつつ宿営地を後にした次第である。緊張の続く仕事のところをお目にかかれて感謝している。謝意と任務の御成功をお祈りしていることとを改めてお伝えいただくべくお願いするとともに、本国の支援、理解を維持されることが重要と考える旨付言させていただきたい。
これはオランダの大臣の感想でございまして、自衛隊の皆様方に心から感謝を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。
 さて、国会決議との関連でございます。何回も繰り返しでまことに申しわけないのですけれども、少し明快に整理をしたいのでお許しをいただきたいと思います。
 今までも、言うまでもありませんが、国会決議が米の輸入自由化問題について三回ございます。五十五年四月の第九十一国会、五十九年七月の第百一国会、そして六十三年九月の第百十三回国会。この国会決議というものは非常に重いものであると思いますし、いわば私ども、松岡さん、さっきいたのですが、いなくなりましたか、自民党の特別行動議員連盟というのがございまして、その中でも、私がかつて自民党でお世話になったときに、国会決議というのは憲法と同じ重みを持つものである、こういう主張をしながら、例外なき関税化、これについては反対をするということを主張した経験を私も持っているわけであります。
 内閣法制局にお聞きをしたいと思いますが、この国会決議の持つ意義、拘束力などについて、簡単で結構ですから、お聞かせいただきたいと思います。
#145
○野田政府委員 国会決議の拘束力につきましてのお尋ねにお答えいたします。一般論としてお答え申し上げます。
 いわゆる国会決議は、議決の形式で行われる衆議院または参議院の意思表示でありまして、国会を構成する各議院の意思として示された決議の趣旨を尊重して政府が行政を遂行すべきことは当然のことであると考えます。その意味におきまして、政府は国会決議の趣旨を尊重し、その実現に努力すべき政治的な責務を負うものと考えます。
 しかしながら、いわゆる国会決議は法律とは異なるものでありまして、法律と同様な意味での法的拘束力はないものと考えております。
#146
○今津委員 これは平成五年二月三日の予算委員会で二見委員の質問にも全く同様の答弁があるわけであります。この委員会でもいろいろ議論が出ておりましたが、平成六年六月二十三日、当時社会党委員長、今も委員長ですが、村山現総理が枠外ということを明確に言ったあの大会のときに、自民党は、総合農政調査会長の山本富雄先生が出席をしているのですが、そのときに、三度の国会決議に基づいて与党も野党も批准国会に臨めばいい。要するに、これはその当時与党の連立与党が自由化に踏み切ろうとしても、しかし国会の決議というものは重いものだ、我々は、国会議員は国会決議に基づいて行動するからというようなことを、生産者あるいは系統の代表の方々に明確に約束しているのであります。
 また、山本先生だけではなくて、公正なガット合意を求める自民党特別行動議員代表団というのに私も参加をいたしておりましたが、「そのため、たとえ日本政府が、ガット交渉でコメの関税化を受け入れたとしても、それを実施するための国内法改正は、国会において成立せず、」もう明言しているわけです。「事実上、日本政府は、ガット交渉において、コメ関税化の合意ができない現状にあります。」これはできませんよということを言っているわけです。させないということを言っているわけであります。
 それから、日本の農業を守る特別行動議員連盟、先ほど私が申し上げましたが、これは血判状まで示しておる。私と松岡さん、血判状を示して、これは当時官房長官にお届けしたのかもしれませんが、そんなこともありました。
 日本農政刷新同志会、これは桜井先生が会長でありましたけれども、それはもっと強くて、当時、政府におかれては、拒否、代表団引き上げの措置も辞さない強い姿勢で臨め、こういうことを言っていますし、自民党の農林水産物貿易対策委員会、これは保利先生が会長でないかなと思いますが、これも同様な確認事項というものを出しているわけであります。
 こういう状況の中で、当時の連立与党が苦渋の選択をし、そして国際間の、先ほど大臣のお話がありましたが、約束の中で、我々がこれを受けながら新しい道をむしろ前向きに進んでいくんだ、こういうことでありますが、大臣、これについて、自民党の昨年十二月までの主張と、その後の今回の国会に臨む自民党の姿勢と、やはりきちっと国民にわかるようにもう一度御説明いただきたいと思います。
#147
○河野国務大臣 今津議員が今整理されたのは、極めてうまく整理をされたというふうに私は伺いました。
 私ども自由民主党は、過去三回にわたる国会決議というものがございまして、それは尊重されるべきものだというふうにかねがね考えておりました。そういう状況の中で、しかし一方、ウルグアイ・ラウンド交渉というものが進んでくる、ダンケル提案さらにはドゥニ調停案、さまざまな調停案が出てくる中で、私どもは日本の農業というものの存続というものを考えて、できる限り我が国の主張が反映されるべく最後まで努力をしてほしいということを繰り返し申し上げてきたわけでございます。
 自由民主党が野に下った後も、細川政権下におきましても、私どもは最後まで、交渉は我が国の主張というものを反映されるべく最後まできちんと主張してほしいということを申し上げておったわけでございますが、これが今、今津議員お話しのとおり、細川政権下におきまして、苦渋の選択でしたか、総理の御判断でドゥニ調停案を受け入れるという御判断が出たわけでございまして、そのことについては自由民主党としては大変驚き、我々の同志、理解者である農民の方々の気持ち、もちろん気持ちばかりではない、直接的な表現もございましたけれども、こうしたものを聞き、そして党声明も出し、国会でもそうした声を背景にしていろいろと議論をしたということでございます。しかし、さらに時間は推移をいたしまして、四月になってウルグアイ・ラウンド交渉が全面的に合意をする、最終文書の確認のための署名が行われるという事態になったわけでございます。
 しかしながら、それでもなおかつ、国内的にはさまざまな議論がございました。今、議員がおっしゃいますような国内手続においてまだまだ交渉の余地がある。その交渉の余地というのは、もちろん政府との間の交渉の余地ということになろうかと思いますが、しかしそれもその四月の最終文書が確定をし、さらにその数カ月後に政権が交代するという状況、それは村山政権になるという意味ですが、村山政権になるという状態になりまして、村山内閣は外交は継続という原則を打ち出され、私どもも外交の継続、しかもこれは多国間の約束事であるということにかんがみ、さらば、農業、農村対策に厳しい財政状況の中であっても、政府・与党一体となってでき得る限りの農業対策、農村対策というものを打ち出して、それによってこのWTO法案には賛成をするということになったという経過でございます。
#148
○今津委員 大臣、それだけに、今さら言うまでもありませんが、昨年の十二月十七日の閣議了解事項、すなわち「政府としては、この農業合意の受入れが農業に携わる人々にもたらす影響を最小限に食い止め、その不安を払拭し、安んじて営農にいそしむことができるようにするとともに、我が国農業の将来展望を切り拓いていくため、農業の多面的機能にも留意しながら、」云々ということがありますが、こういう内容でなきゃならぬということですよね。これが前提になっているということだと思うのです。
 そして、今国会に提案されました法案並びに条約というものが、国民の皆さん方のこういう不安を払拭するというものでなければならぬ、すなわち国民の皆さん方の理解を得なければならぬ、そういう内容になっていなければ、その前提そのものが崩れていくというふうに私は申し上げたいと思うわけであります。
 そういう面においては、きのう、中央と地方と公聴会が開催されましたけれども、私は福島の地方公聴会に出席をさせていただきましたけれども、四人の陳述人の方はすべて、大変不安な心境を吐露されておりまして、今回の提案に賛成であるという方はただの一人もいなかったわけであります。
 ある人などは、今度の六兆百億というのは今死にかかっている病人に香典をくれているようなものだ、こういう言葉が果たして適当かどうかわかりませんが、そういうような表現で反対だということを明確に言っている方もいたわけでございまして、ずっと委員会で議論している限りにおいては、残念ながら、いまだに私どもも十分な国内対策がとられているとは言いがたい内容でありまして、昨日、福島の公聴会において、記者会見で、改革の日笠理事が、法案についてはすべてが賛成なわけではないという姿勢で我々はいるということを明確に申し上げたのは、実はそこに理由があるわけでございます。
 さて、こういう本がございまして、これは、私、実はアメリカへ松岡君と一緒に行ったときに、アメリカの国会議員が持っていたものでありますけれども、日本のお米がいかに大事かということを日本語と英語で書いてあるわけであります。その中で、私もそうだったのですが、先輩の皆さんも全部そうだったと思うのですけれども、「「昔はご飯を粗末にしたら目がつぶれるよと言われて育ったものだからねえ」といっておじいちゃんとうなずき合うと、最後の一粒までていねいに食べてしまいました。」これは文の中の一部分ですけれども、一節ですけれども、こういうふうに私たちは育てられたのであります。
 昨年の冷害のときに二百万トンに及ぶ外米を緊急輸入いたしましたが、私は、その後の私ども国民の態度、姿勢というものはまことに残念であると思います。
 これは大河原農林水産大臣にお聞きをしたいと思いますが、一つは、ある電気屋さんがお客を呼ぶためにお米を売りましたね。これは日本の法律ではできないことになっているわけであります。しかし、何と数千人の行列ができて、そしてマスコミの方も買ったというふうに聞いているのですが、これは事実かどうかわかりません。これは、例えばアメリカあたりであれば、むしろ批判されて、そういう商いをしようとしている人は糾弾をされて、社会的にやっていけないのではないかというふうに私は思うのです。
 そういう社会正義というものがきちっと、日本の場合はマスコミも出さないということだとか、あるいはタイのお百姓さんが御苦労されてつくられたタイ米を、セット販売の中の日本のお米だけは食べるけれどもタイ米は捨てるという事実があったりして、これはそんなに多くはなかったと思いますけれども、これはタイの方にしてみたら、もう日本という国にどんなことがあったって助けてやらぬぞ、そんなふうに私は思うのですね。
 そういう面で言えば、本来は文部大臣に聞くお話かもしれませんけれども、昨今の日本国内の状況を見ますと、いろんな悲惨な事件も起きておりますし、スキャンダルも起きていますし、自分勝手で他人のことはどうでもいいというような風潮があって、そういうものが食糧あるいはお米などにもあらわれていると思うと非常に残念であると思いますが、これについて率直な御感想をお聞かせいただきたいと思います。
#149
○大河原国務大臣 今、外米の緊急輸入とその後の国内の流通に際しての御指摘がございましたが、そのとおりだと思いまして、食糧問題を言いながら、飽食の時代で、それになれた日本人の一つのおごりだというふうに思っております。
 それから、やはりこういうことに対しては、我々としても十分考えなくちゃいけないというのは、国内産米に対する国民、消費者の強い嗜好という点についても感じたところでございます。
#150
○今津委員 どうか関係閣僚におかれましては、食糧を大切にする、そういう考え方を国民に植えつけていただくように、特に子供たちに教えていただくようにお願いを申し上げたいと思います。
 ところで、農業政策の基本なんですけれども、農業をどうとらえていくのか、農業は産業なのか、あるいは産業ではない、例えばこの本などは、命よりも最も大切な日本の文化そのものである、こう書いているわけです。そして産業であれば、これはやはり規制の緩和というものは当然必要になってくるわけでして、自由な競争というものを導入しなければならない。しかし、そうではなくて日本の国の存在そのものをつくっていく大切なものだとすれば、地球環境だとか災害対策だとか、そういうものを含めて、そういう問題だとすれば、やはり私は、国がその大切さというものを国民に知らしめて、そして理解をしていただいて、国が積極的に、全力挙げてそういう農業の保護に取り組んでいくべきものだと思いますが、それについて農林水産大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
#151
○大河原国務大臣 やっぱり農業も一つの産業であることは間違いないと思いますが、しかし、今お話ございましたように、国民生活の基礎物資である食糧の安定供給なり、あるいは今も今津委員るる申されましたような多面的な機能を果たしている、伝統文化の維持という役割を果たしている、各般の問題で、単なる経済効率だけで律せられない産業であるということと、また我が国は特にしかりでございますけれども、家族農業経営というような経営体で農業が支えられておる。このことは、やはりこういう成長経済といいますか、そういう中ではどうしてもおくれがちになる。それに対する各般のやっぱりサポートと申しますか、そういうものは必要である、さように考えております。
#152
○今津委員 そういう意味で、国民の皆さん方の理解をいただいて、そして将来のために、我々日本という国が存続するためにも、どうかよろしくお願いをしたいと思います。
 さて、山本拓君の議論以来、いわゆる枠内なのか枠外なのか、別なのか、これはもう数回ずっとこの議論ばかりしているわけですが、私も先ほどから聞いていてもやっぱりわからないわけですね。わからないのです。だから、具体的にお聞きをしますので、わかるように今御説明いただきたいと思うのでありますけれども、先ほど小平委員の質問に、三兆五千五百億の公共事業費の国費は約半分だ、こういう御答弁だったのですが、六兆百億円、全体としては国費あるいは市町村負担、受益者負担、割合はどんなふうになっているでしょうか、大蔵大臣。
#153
○武村国務大臣 同じように、約半分でございます。国費は全体の約半分と御理解いただきたいと思います。
#154
○今津委員 そうすると、全体として国費は半分ということになりますから、先ほど小平議員は三兆五千五百億の公共事業の市町村の負担あるいは受益者負担だって大変じゃないかということですから、六兆の半分ということになりますと、また負担がそれだけふえるわけですから、さらにこの心配があるということ。
 それから大臣、農林水産省の予算、平成四年、五年、六年とどういうふうに動いているか、数字を教えていただきたいと思います。
#155
○高橋(政)政府委員 大体三兆四千億程度で推移してきております。
#156
○今津委員 農林水産省の予算は、四年が三兆三千百億、五年が三兆三千六百億、平成六年が三兆四千億、御案内のとおりでありますが、先ほども大蔵大臣、御説明ありましたが、七月二十六日に概算要求の方針を決定しておりますが、投資的経費は五%上乗せしてよろしい、しかし経常経費は削減だ、こういうような方針を出しているようであります。
 今度のこのウルグアイ・ラウンド対策費というものが全くないとすれば、これはもちろんあって出てきているわけですから、全くないとすれば、平成七年度は大体どういう感じの予算になるわけですか、金額。平成七年度ですね。
#157
○武村国務大臣 これはまだ明確に申し上げることはできません。
 御承知のように、これから予算編成は正念場を迎えるわけでございますが、何といいましても全体のフレームといいますか、歳入の展望をまずしっかり見詰めなければなりません。特に税収がどうなるか、これは経済情勢にも影響されますが、はっきりしていることは、四年連続で予算を下回る状況に至っておりますだけに、来年度の税収の見積もりというのは大変厳しいと言わなければなりません。そういう歳入全体の枠の中に、この予算編成の最終の姿を求めていくわけでございます。概算要求はあくまでも要求でございますから、この要求額を各省ごとにあるいは事業項目ごとに一つ一つ精査をしながら最終の判断をさせていただくということになります。
#158
○今津委員 近年、特に後継者対策、担い手対策などを中心として思い切ってやはり農業予算をつけるべきだという自由民主党の考え方、しかし旧連立のときには何かランクが下になっていて、そしてこれはもう間違っているのではないか、その判断は間違っているのではないかというようなことで議論をしたことを覚えているのですが、年々、四年、五年、六年と約五百億円ぐらいずつ実は農林省の予算というのは伸びているのですね。
 そこで、平成七年度はこれからもちろん予算編成をするわけでありますが、このウルグアイ・ラウンド対策についてはその予算編成のときに考えるんだ、こういうようなことも大臣がお話しなさっているようでありますが、いわゆる通常の農林水産省の予算の増減、これと今回の六兆百億円のかかわり合いというのは、すなわち簡単に言いますと、通常のいわゆる農林水産省の予算とこの六兆百億円との関係を、もう少し明快に御説明していただきたいと思うのです。
#159
○武村国務大臣 概算要求全体に対する姿勢は、先ほども申し上げましたように、歳入の見通しをしっかり踏まえながら判断をしていくことになろうかと思います。既に概算要求の方針としましても、閣議では一つ一つ制度の根本にまでさかのぼって見直しをしていただきたいということを言っておりますし、たとえ必要な予算であっても、相互間の優先順位を論議をいただいて、より優先度の高いところに予算をつけていく、逆に言えば優先度の低くなったものは目をつむって縮小する、あるいは削ることもあるということでございまして、そのことが予算査定であり、予算精査ということだと思っております。
 総枠が大変厳しい中でございますから、ここは農林予算だけで申し上げているわけじゃありませんが、全体の予算として、そういう大枠の中で最後の仕上げを図っていかなければならないということであります。
#160
○今津委員 要するに、平成六年度は三兆四千億円の農林水産省予算なんですが、これには入る予算なんですか、入らない予算なんですか、例えば平成七年度としては、この六兆百億円というのは。これとは別の予算なんですか、これの中に組み入れられる予算なんですか。
#161
○大河原国務大臣 繰り返して申し上げておりますように、六兆百億、七年度はそのうちの一部が計上されるわけで、これは全く新しい事業でございまして、従来の予算には入らないというわけです。
#162
○今津委員 それではもう一度確認しますが、ちょっと先ほどの小平さんのときよりも不明確だったのですが、それじゃ、要するにいわゆる枠外と、村山総理があの日比谷公会堂で枠外と言った、その枠外であるという認識でよろしいのですか。
#163
○武村国務大臣 枠外であるとは、もうたびたび御答弁申し上げておりますように、申し上げておりません。枠内、枠外という表現を避けておるところでございます。あくまでも予算編成全体の中で、財政状況も見ながら総合判断をしていくということであります。
 しかし当然、これは新しい事業として、政府・与党が六年間この金額を合意をして、国民の皆さんに発表をいたしていることでございます。その初年度が来年度の予算編成であります以上は、政治的にはこの初年度はしっかり、発表いたしております事業の第一年度として責任を全うしていかなければいけないというふうに思っております。
#164
○今津委員 農林大臣に同じような御質問をさせていただきたいと思います。
#165
○大河原国務大臣 ただいま大蔵大臣も申し上げましたが、国内対策の第一年目、新しい事業、これに対する財政的裏づけは政府・与党として責任を持って措置するという認識でございます。
#166
○今津委員 ということは、農林水産大臣の認識も大蔵大臣と同じで、全く通常の農林水産省予算とは別枠で、全く別枠で、新しい事業ですから、今までの当然やる事業、当然しなければならないという目標で毎年事業というのは積み重ねているわけですから、それとは別にウルグアイ・ラウンド対策費として六兆百億円、全く新しいものとしてやるということでなくて、今までの積み上げている事業と同時に、ウルグアイ・ラウンド対策費として組み入れなければならないものは組み入れて、責任を持ってやっていきますよ、そして、その規模は六兆百億円という六年間の規模ですよという認識でよろしいのでしょうか。もう一度確認させてもらいたいと思います。
#167
○武村国務大臣 どうぞ私どもの繰り返し答弁を申し上げていることに理解をいただきたいと思うわけでありますが、予算編成、もうそれほど日時がありません。今は前でございますから、こうして厳しく、繰り返しお尋ねを受けておりますけれども、間もなく結果がはっきりするわけでございます。
 申し上げてまいりましたような、圃場整備にしましても、あるいは過去の土地改良の債務の問題にしましても、一般の債務軽減にしましても、あるいは共同事業や後継者対策にしましても、あくまでもやはり、このガット・ウルグアイ・ラウンド合意という、日本農政にとっては大変大きな困難を乗り越えて、文字どおり力強い新しい農業構造をこの国につくり出していくのだという決意のもとに取りまとめられたものでありますし、そういう考え方に立った新しい事業でありますから、結果によってはっきりこれは証明されるわけでございまして、逃げようのない話でございます。
 別枠か別枠でないかという議論に対しては、繰り返しお答えをしているとおりでございますが、農林大臣がお答えしましたように、新しい事業としてその初年度、しっかり責任を全うしていきたいと思っております。
#168
○今津委員 やはり私はおかしいと思いますのは、大蔵大臣がおっしゃるように、今予算編成しているのだから、その編成の結果を見て判断をしなさい、ちゃんとやるよということなんでしょうけれども、我々今判断する者としては、あるいは国民としては、どういう内容によって、どういう年度でどういう予算で事業をしますよということが明確にわからなければ、これは判断のしようがないじゃないですか。だから、国内対策もきちっとしてほしいということが前提で議案に賛成するかしないかという議論になるわけですから、その前提が何もないわけですから、判断のしようがないじゃないですか。
 私どもは、それじゃこの法案の、あるいは条約の賛否の判断というのは予算編成まで待たなきゃならぬということになると思いますけれども、いかがですか。
#169
○武村国務大臣 予算編成そのものは、お答え申し上げたように、まだこれから議論をして詰めていかなければならない基本的な、歳入の見通し等、要素がたくさんございます。そういう中で今お答えをしておりますから、明確に数字を含めた答えはここでするわけにはまいりません。そこは御理解いただきたいし、あとは、言葉でいろいろ説明を繰り返し申し上げておりますが、ぜひ信じていただきたいということを私は申し上げたわけで、まあこれは禅問答みたいな感じもあるかもしれませんが、結果がはっきりしますので言葉で逃れるわけにはいかない、そういう気持ちを持って私はお答えをしているつもりでございます。
#170
○今津委員 では、具体的にお聞きしますが、公共事業の三兆五千五百億円、これの中身は、高生産性農業基盤整備緊急促進事業、その中の、一、大規模水田農業地域対策、二、畑作農業地域対策、三、複合経営地域対策、そしてもう一つは、中山間地域活性化緊急促進事業となっておりますが、これの中身の金額についてお知らせください。
    〔委員長退席、中川(昭)委員長代理着席〕
#171
○大河原国務大臣 今、今津委員お尋ねの金額を申し上げますと、高生産性農業基盤整備促進事業、これが二兆二千億でございます。それから、畑作農業地域対策、これが七千億でございます。それから、複合経営地域対策、二千億でございます。中山間地域活性化緊急促進事業、一兆四千億でございます。
 以上です。
#172
○今津委員 それでは、年次計画をお知らせいただきたいと思います、六年間の。
#173
○大河原国務大臣 年次計画はまだございません。平成七年度からスタートいたしまして、その年次計画を実施期間六年間を置いて立てるわけでございますから、今、それこそ予算編成の過程で決めるわけです。
#174
○今津委員 その六兆百億円の財源のことについて、大蔵大臣の見解を聞かせていただきたいと思います。
#175
○武村国務大臣 今の段階でまだ財源を詳細に申し上げられる状況ではありません。全体の中で総合判断をさせていただきます。
#176
○今津委員 委員長自身も私どもと、私も委員長の御指導をいただきながら――委員長代理ですか、中川先生、部会長の御指導をいただきながら一緒にその問題に当たってきた者としては、甚だ、やはり立場は違ったとはいえ心配をしておられて、口に出したいことがたくさんあるのかもしれないし、私以上に、ここに立ってむしろ財政当局の決意というものを確かめなければ中川先生自身があの法案に対する賛成というのはなかなかできない状態だということは、今私の議論を聞いていてもわかったと思うのですね。
 それは今、石破先生が私の関連でこの問題についてはやりますので、一応私はこれでこの問題についてはやめますが、しかし全く納得していない。そして、予算編成のときでなければその概要が明確にならないということですから、それならば、今の時点で私ども改革としては法案、条約の賛否はできない、私は実はそう思うわけでございます。
 時間でありますが、養蚕のことについてちょっとお聞きをさせていただきたいと思います。
 私、自民党のときに繭糸の小委員長をやっていたものですから、養蚕農家が大変苦しんでおられる、あるいは機屋さんが困っておられる、そういう姿を見ているものですから、そういう感じで御質問したいと思います。
 時間がないので、端的に申し上げたいと思いますが、絹糸、絹織物の輸入については、中国、韓国との政府間協議が行われ、通産大臣の輸入承認制がとられているが、このような中で、輸入承認の対象となっている絹織物を輸入管理の行われてない二次製品に見せかけて輸入しているいわゆる偽装二次製品、この輸入問題については、本年四月から通産省が従来の取り扱いを見直したと聞いているわけでありますが、その措置の概要及びその効果について、橋本通産大臣、お知らせいただきたいと思います。
#177
○橋本国務大臣 過去の経緯はよく委員が御承知でありますので、要点のみお答えをいたします。
 絹二次製品と偽って脱法的輸入を行うケースが頻発してまいりました中で、本年四月一日から事前確認制の対象範囲の拡大、制度の運用強化など、絹製品の輸入管理を強化し、悪質な脱法的輸入を防止することといたしました。
 その内容は、一つは事前確認制の対象国の拡大でありまして、和装用の下着あるいは帯等の和装用絹製品につきましては、これまで中国、韓国、台湾からの輸入についてのみ偽装二次製品かどうかの事前確認の対象としておりましたが、今回、その他の国からの輸入についても事前確認の対象に加え、偽装品かどうかのチェックを行っております。
 また、事前確認制の対象品目の拡大といたしまして、洋装の刺しゅうの布、細幅織物、精練後の混交織物というのでしょうか、ちょっと私、術語がよくわかりません、刺しゅうの入った絹製のベッドリネンについて、新たに偽装品かどうかの事前確認の対象に追加をいたしたというところでございます。
 で、四月にこの規制を実施して以来、脱法的輸入が行われているという事実は現在までのところ確認をいたしておりません。今後ともに厳重なチェックをしてまいりたいと考えております。
 なお、事前確認制の運用強化といたしまして、書面審査が中心でありましたが、今回、現物の審査を大幅に拡大し、偽装品のチェックを厳密に行うことといたしました。
#178
○今津委員 この間、汽車の中で本を読んでいましたら、タイかカンボジアで五万円ぐらいで日本の着物に刺しゅうをするんだそうです。そうすると、日本では五百万円ぐらいで着物を売っているんだそうです。びっくりしちゃったんですけれども、要するに流通でかなり高くなっている。そして、養蚕農家とか機屋さんの持っている利益分というのでしょうか、これはもう全く採算線にいっていないという状況の中で、外国からいいものがどんどん入ってくる状況になってさらに厳しい状態になっていくのではないか。もう壊滅状態に追い込まれていくということなんですね。
 例えば、養蚕業で九千七百九十円であったものが、結局最後のところは、最終価格というのは、一つの例としては三十五万円ぐらいになって、三%ぐらいが養蚕の取り分。もちろん経費も入っているわけですから、全くそれはもう取り分にも何にもならないという状態で、途中の流通コストというものをやっぱり整理しなければこの業界というのは相当厳しい状態というのがさらに続いていくだろうという予想がするわけでございます。この流通の整理といいましょうか、削減といいましょうか、そういうことについてこれからどういうふうに通産省としてお取り組みいただくか、お聞かせいただきたいと思います。
#179
○橋本国務大臣 日本の和装業界といいますものが、景気の低迷ばかりではなく、生活様式が洋装化、環境が洋式化をしたところから需要が減少して、非常に厳しい状態にあるということを私どもとして受けとめております。同時に、確かに今委員も御指摘になりましたように、和装業界の流通構造というものが非常に複雑でありまして、広範囲にわたって古い取引慣行が温存されているという事態は十分認識しております。
 で、昨年十二月に答申されました新繊維ビジョンに基づきまして、これは繊維業界全体でありますけれども、繊維産業全体として市場の求めるものを把握、生産販売するという、市場志向型産業の構築を図っているところでありまして、和装業界につきましても、取引慣行の改善を図り、今後、情報化を通じた流通構造の改革を進められるように支援をしていくつもりであります。
 また、このほかに絹の需要振興対策として、絹の新製品開発試作事業などの施策も実施しておりまして、今後とも引き続き和装業界の構造改善を促進していきたいと考えております。
#180
○今津委員 もう一問させていただきたいと思いますが、今回のWTOの協定の繊維分野の取り決めを受けて、我が国の絹糸、絹織物の輸入規制は十年以内に自由化することとなっているのでありますけれども、今言った状況でありますから、これは国内の蚕糸業に重大な影響を与えていくということでありまして、したがって、絹糸、絹織物の自由化時期については、繊維協定上許される十年後ぎりぎりの設定をするべきだというふうに私個人は考えるわけでありますが、今後の検討もこのような点を十分に踏まえていただけるかどうか、大臣、いかがでしょうか。
#181
○橋本国務大臣 通産省といたしましては、今後、関係業界の意見を十分に聞かせていただきながら、また政府部内での調整も図りながら計画を策定していく考え方であります。
#182
○今津委員 ということで、やはり通産当局の理解とそれから指導がなければなかなか養蚕というものは成り立っていかない産業だと思いますので、農林水産省だけではやはり限度がありますから、よろしくお願いをしたいと思います。
 石破さんの時間を私の方へまだ少しいただけるということなので、続けさせていただいてよろしいですか。
#183
○中川(昭)委員長代理 それじゃ、結構です。
#184
○今津委員 持ち時間二時間の中で。
#185
○中川(昭)委員長代理 石破さんが終わる時間までに終わっていただければ。
#186
○今津委員 そうですか。
 我が国と韓国とのこのウルグアイ・ラウンド対策に対する姿勢の違いですね。韓国が後進国ということで――この間雑誌を見ていますと、韓国のマスコミの人なのですが、日本で自分は生活をしているけれども、自分が韓国に住んでいたときよりも日本の方がいわば生活程度が低いですよ、我々韓国の方が実は高度な生活を一人一人していますよなんということが週間誌に出ていましたけれども、その韓国が日本より後進国扱いで特例を受けているわけですよね。
 そこで、それに対して日本は、不公平ではないか。韓国と日本と比較をして、日本はもっと頑張る余地があったのではないかというあのときの議論というのは忘れていないわけでありますが、これを受け入れた後、この国内対策もやはり日本と韓国との姿勢の違いというものがあるように私は思うのです。
 当時、連立与党は羽田孜先生が外務大臣、それから畑先生が農林水産大臣で、もっと積極的にやってほしい、こういうことを私は申し上げた経過があったと思うのだけれども、その後、これを受け入れた後も韓国は、新税を取り入れて、そして国費ということで一年間で二千億円、これは従来の農漁村予算とは全く違う立場で予算を組むということを明快にして、内容も明らかにされているというように伺っているわけでありますが、その韓国のウルグアイ・ラウンド受け入れ後の概略について御説明いただきたいと思います。
#187
○東政府委員 韓国の国内のウルグアイ・ラウンド関係の農業に対する対策ということでございます。
 今先生御指摘のとおり、農漁村特別税ということで、十年間で十五兆ウォン、一年間一・五兆ウォン、邦貨にして二千億円の税収をもって事業をやるということでございますが、これは、この特別税の税収を財源として実施する新たな事業、主なものを見ておりますと、再耕地整理、耕地整理だと思います、それから流通センターの設置でございますとか、農漁村道路拡充とか生活用水の開発でございますとかというようなことをやるようにしております。
 ただ韓国は、先生御承知のとおり、我々途中でいろいろ聞いておりますと、百何品目かのIQ品目を持っていただけに、この農村に対するショックというのは、もちろん韓国の場合関税化の特別の措置がございますけれども、大変なショックであったということでこういう措置をとったと聞き及んでおります。
#188
○今津委員 質疑は省略をしますが、意見を申し上げますが、その受け入れの後についても、日本と韓国と、やはり私は、意気込みだとか、現実に形にあらわれているものとしては迫力それから気迫、それから情熱、危機感、すべて乏しいというふうに残念ながら思うのですね。やはり、これは私ども自身が議論をしていて、予算の総枠については御説明いただいたけれども、しかし、その中身についてこれからどのような展開があるのだろうかということがわからないぐらいですから。私は、もっと明快に国民にきちっと説明する責任を政府は持っているというふうに思います。
 それから、最後になりましたが、農林大臣、日本の農業はこれから一体どうなっていくのですか。例えば自給率については今後一年間で農政審でその目標をこれから議論をするということなどを言っておりますけれども、例えば米価はこれからどういうふうに展開をしていくのですか。あるいは保証乳価はどうなっていくのですか。限度数量はどうなっていくのですか。それから就業人口は、二十代はめっきり少なくなって六十五歳以上が極めて多くなってきていますが、こういう現況はどうなっていくのですか。
 六年後あるいは十年後、簡単で結構ですけれども、こういうものを目指していくのだというものを具体的に、今の時点と対比をしながら、例えば自給率についてはこうやって上げていくのだとか、あるいは米価というのはこんなふうになっていくだろうとかという予測と、それからこういうことに目標を置いていくのだということをちょっと御説明いただきたいと思います。
#189
○大河原国務大臣 なかなか難しい御質問でございますが、例えば米価については、このたびの目標、すなわち稲作経営の担い手、望ましい担い手を今後十年間を目標に育成する、その場合のコストは現在の六割ということとか、乳価その他についてもそれぞれの目標をねらって、十年後にできるという、もう途中でもどんどん担い手はできていくわけですけれども、そういうことを考えておるわけでございます。
 したがって、保証乳価とか政策価格がどうであるかという点についてはなかなか難しいわけでございまして、生産の合理化が酪農経営でも進めば、ある意味で言えば再生産に必要な保証価格は、水準は下がってくる。それから乳業の方も、合理化が進めば取引基準価格はもっと支払い能力を持つとか、いろいろそれぞれの価格政策についてはあるかと思うわけでございます。したがって、一義的に、前提がいろいろございますから、価格の目標、政策価格の水準がどうなるかまではお答えしにくいのじゃないかというふうに思っています。
#190
○今津委員 私の地元ですが、酪農であれ水稲農家であれ畑作農家であれ、後継者がいなくて、そして負債を抱えているお年寄りの生産者の方々の関心は、この六兆百億円の中身ではなくて、農地を売り渡したときの特別控除の税額の限度、これは八百万を一千五百万という、あるいは北海道あたりは三千万と言っているのですが、こういうことに興味がいっているのですね。そして、いつ負債を整理をして利用しようかというタイミングを考えておられるという姿というのが私は実態でないかと思うのです。非常に残念なことだと思うのです。
 ただ、新規の学卒の就農者が、平成五年は四年よりもふえたのですね。これは私は、そういう中にあって明るいことの一つだなというふうに思いますし、それから、サラリーマンなどをやめて新しく農業につきたいという人も急速にふえています。相談の件数もふえていて、現実に農業につかれる人はまだまだ少ないのですけれども、しかし相談をしている人たちはふえてきている。こういう新しい日本の農業を担っていく意欲を持っている青年や若い人たちがふえてきたということは、その中にあって私は特筆すべきだというふうに思いますが、どうか関係閣僚におかれましては、日本の農業を守るためにこれからも御精励いただきますことをお願いをして、終わりたいと思います。
#191
○中川(昭)委員長代理 次に、石破茂君。
#192
○石破委員 いよいよ審議も大詰めでございます。本会議の質問も入れれば、私は四回目の質問をさせていただくことになります。また出たかというような顔をなさらないでお聞きをいただきたいと思います。
 私が初めて当選させていただいたのは昭和六十一年の七月七日なんですね。一番最初に国会議員として会議に出させていただいたのは、これは実は米価だった。そのときには中曽根内閣であって、選挙の前に農業団体がそれぞれの議員に対して、米価どう思いますかというような御質問をなさって、みんなが下げないというふうに言いましたね。それで、その大会が一番最初だったのです。
 自来ずっとこの問題にはいささかなりともかかわってきたつもりでございますし、そして、本当に一生懸命やってきた人間は、これは本当にいいんだろうかなという思いを皆がひとしく持っておるだろうというふうに思います。
 昨年、政務次官をしておったときに、私、ある新聞に公開質問状をいただきました。つまり、あなたは米の自由化はしないんだというふうに言っているけれども、それじゃ消費者の利益にならぬじゃないか、そういうふうに選挙向けのことばかり言わないで、もっと国全体のことを考えなさいな、そういう公開質問状をちょうだいをいたしました。ある地方紙でございます。
 それにお答えして、国会の決議もしているのだし、そしてまた選挙のときに公約をしたことなのだから、これは守らなきゃいけない、民主主義というのはそういうものである、国政選挙のときにそういうような公約をした人は一人もおらぬのだから、少なくとも任期中にはこれを守りましょうということを言ってまいりました。
 そして、これを受け入れなきゃいかぬということになって、私はこの間そういうような大会に出て、選挙のときに御審判を賜ります、一〇〇%守れませんでした、申しわけございませんというふうに申しました。
 私は、本来これはある意味で国民に信を問うてもいいような、そういうような性格のものじゃないかと思っているのです。少なくともそういうつもりで、私は三期こういうことに取り組んできたつもりであります。ですから、今回の六兆百億円にしてみても、そしてまた新食糧法案の中身についても得心がいくような結論をいただきたい、そう思いまして、またきょうも立たせていただきましたので、お許しをいただきたいと思います。
 まず、外務大臣にお尋ねをいたしますが、七年目以降どうするかということであります。それは、そのときになってみなければ外交交渉であるからわからないということではなかろうかと思います。ただ私どもは、例外なき関税化ということだけは阻止をしていかなきゃいけない。ミニマムアクセスというのは、例外なき関税化を受け入れろと言われて、それはだめだ、せめてミニマムアクセスということでとめてきた。そして、七年目になるまでに一生懸命日本の国内の農業生産性を上げていこう、力強い農業をつくっていこうということだけれども、しかしながら、例外なき関税化というものは、関税さえ払えば幾ら入れてもいいんですよということ、それには幾ら何でも日本農業は耐え得ないだろうというふうに思っております。
 なかんずく米は無理であろう。人件費からいきましても、そしてまた規模からいきましても、土地の値段からいきましても、それはまず無理。例外なき関税化だけは阻止をするということ、たとえ、七年目以降のことはそのときになってみなければわからない、そうは言いながら、例外なき関税化は阻止するんだという国のそういうような強い意思というものは必要ではないか。そしてまた、それを展望しながら六年間のいろいろな対策というのは講じていくべきだ。それはそれ、これはこれということじゃなくて、七年目以降に例外なき関税化だけはだめだよ、そういうような政府のお気持ち、それがおありか否か承りたいと存じます。
#193
○河野国務大臣 科学技術の進歩、これは、ただ単に科学の世界だけではなくてさまざまな分野に我々がびっくりするような変化をもたらすということもございます。今我々、石破議員もそうですけれども、五年前の我々はどういうことをしていたか、あるいは五年前の日本社会というものはどういうものであったかということを考えると、随分違っている部分があります。しかし農業というものはそれほど変われるものではないということもまたそうだろうと思います。
 そうではありますけれども、しかし技術の進歩あるいは科学の進歩というものは我々の想像を超えるものもあるかもしれないということを頭に多少置きながら、しかし少なくとも現時点におきましては、我々は、我々がこれまで主張してきた考え方というものは最も我が国の農業にとって大事な主張なのであるという基本的認識を持って、今後見ていかなければならないと思います。しかしそれは、今繰り返し申し上げますが、さまざまな変化というものもまた、一切それを受け付けないとか、見ないとか、目をつぶってしまうとかいうことではないということだと思います。
#194
○石破委員 同じお尋ねを農林水産大臣にさせていただきたいと思います。
 要は、七年目以降どうなるかがわからない、その中でこの六年間どうやっていくかということではいかぬと思うんですね。もちろん努力はしていかなければいけません。しかしながら、私どもはずっと、例外なき関税化はとにかく阻止するんだ。もちろんミニマムアクセスも受け入れないにこしたことはないが、しかし例外なき関税化は阻止するよ、やはりそれは国の方針として、確かに外務大臣がお答えのように、どんなイノベーションがあるかわかりません、どのような技術革新があるかわからない。しかしながら、やはり土地の値段や人件費や、いろいろなものから、生活水準から勘案してそれは無理ではないかというふうに思っておりますが、いかがですか。
#195
○大河原国務大臣 七年目以降の問題については、たびたびお話があるように六年目の交渉で決めるわけですが、それが例外なき関税化という、特別取り扱いを継続するか、関税化にするかという問題は、その時点における諸般の事情を勘案して国としての方針を決めるべきだというふうに今までもお答え申し上げておりますが、やはり日本の稲作のために一番役に立つ、これが役に立つ、守れるのだ、最小限に被害がとめられるのだというような方式は何か、いずれを選ぶかというような点については、やはり今から慎重な検討を続けながらその交渉の時点までに考えるべきことだと私は思っております。
#196
○石破委員 この時点でそれをはっきり、例外なき関税化は阻止するんだということを国の方針として明確にするというのは難しいのかもしれません。しかしながら、本当に七年目以降何を目指してやっていくのかということ、それを明らかにした上の六兆百億円であり、三兆五千五百億円であり、新食糧法案であるということになりませんと、農家に対して展望は開けないんじゃないか、私はそう思っておるのです。
 やはり例外なき関税化というものは阻止しなければいけないんだということは国の方針として、規模拡大をしなきゃいけないというその努力は別にして、貫くべきではないか。それが、今まで我々が言ってきたこととこれから先やるべきことと、それに整合性をとることであるというふうに考えております。外交交渉の方針としてやはりそれは明示をしていただきたい、それは私のお願いでございます。
 さて、別枠論というのももう何度も何度もいたしました。それで、先ほど農林水産大臣から三兆五千五百億、これの中身につきまして御提示をいただきました。私は、先般質問させていただいて、それでは検討してみようということでお答えをいただいたと思っております。もう一度それをお話しいただいて、そしてまた個々具体的に、それぞれちっちゃな事業を言ってくださいとは申しません、それがどのようなものを目指すものであるかということについて御答弁をいただきたいと思います。
#197
○大河原国務大臣 具体的な事業等でございますので、構造改善局長から答弁させます。
#198
○入澤政府委員 前回の御質問に答えまして、高生産性農業基盤整備につきましては全体の六割、二兆二千億円程度、それから中山間地域活性化対策につきましては全体の約四割で、一兆四千億円程度と、こうお答え申し上げました。
 その後、都道府県のヒアリングを今しておりますけれども、大蔵省とも、大体おおよその目安として、細かい事業費ごとにどのくらいの金額を目途にして査定をやっていこうかと打ち合わせをしました。そうしまして、大規模水田農業地域対策につきましては一兆三千億円程度、これは高生産性農業基盤整備の約六割を充てようじゃないか、それから畑作農業地域対策につきましては、全体の高生産性農業基盤整備の約三割に相当する七千億円程度、それから複合経営地域対策につきましては、高生産性農業基盤整備の約一割に相当する二千億円程度を見込んで、これを目安にして査定作業を進めようじゃないかというふうに意見の一致を見ております。
#199
○石破委員 内訳はわかりました。
 そうすると、いま一つよくわかりませんのは、概算要求が八月の時点で出ております。そしてまた、昨年の四月九日ですか、閣議決定において土地改良の長期計画が決まっております。そして今回、この三兆五千五百億というものの中身が出てきた。それはどういう連関を持つものなのだろうかということなのです。
 新しい事業なんだということでありますが、新しい事業の新しい事業たるゆえんは何であるかということなんですね。新政策というものをまとめ、新政策の延長線上に土地改良長期計画というのはあったはずだ。そしてまた、新政策の中に概算要求もあったはずだ。少なくとも概算要求の時点では村山政権だったのであり、ラウンド受け入れということは、外交も継続だという総理の就任時のお言葉の中に含まれておったはずだ。そして今回そういうような額が出てきた。それぞれどういう連関を持つのかなということが、私にはいま一つよく理解ができないのであります。
 土地改良長期計画の目指したもの、そしてまた概算要求で目指したもの、そして今回の対策の中に出ておるもの、今回が新しい事業なんである、別枠かどうかは別にして、新しい事業として従来の農林水産予算に支障を与えない、いやしくもそこから財源を生み出すようなことはしないということであるならば、長期計画、そしてまた概算要求、そして今回の対策、その差異は何であり、新しさのゆえんは何であるかということであります。
#200
○大河原国務大臣 お答えいたします。
 第四次土地改良長期計画四十一兆、これについては、本年の概算要求における農業農村基盤整備事業もその年度別進捗をねらったものでございます。国内対策としてのこの農業農村基盤整備、我々は緊急と言っておりますけれども、農業農村対策事業については、その中で、大区画圃場整備、その他生産性向上の基盤整備事業、あるいは畑作地帯であれば営農の効率的発展のための畑地かんがい事業だとか農道整備、そういうものを重点に置くというわけでございますし、複合経営地帯であれば排水事業等を重点に置くというような、それから中山間地帯では地形条件に即応したような基盤整備事業をやるというようなことになっておりまして、特に事業効果の早期の発現とか、それから例えば圃場整備事業が中核になりますが、それと関連した排水事業はもちろん、かんがい事業もセットにして集中的に行う事業とか、それぞれの物差しを当てまして、そして全体としては、平成十四年までの土地改良長期計画の重点、加速的実施といいますか、前倒しというふうに考えております。その事業については、今申し上げた緊急、三兆五千五百億の事業費をとった事業については前倒しであるというふうに考えて、事業を立てておるわけです。
    〔中川(昭)委員長代理退席、委員長着席〕
#201
○石破委員 大臣、確認をいたしますが、第四次土地改良長期計画は前倒しで行うということでよろしゅうございますか。
#202
○大河原国務大臣 第四次土地改良長期計画四十一兆円の中で、今申し上げました緊急のその事業を前倒しで行うということです。
#203
○石破委員 済みません、くどくて恐縮なんですが、この第四次土地改良長期計画ができたのは五年の四月九日、一年以上前のお話でございますね。これは宮澤内閣において決まったもののはずでございます。これは前倒しでやるんだということ。しかしながら、それじゃこの四十一兆円の中に、この三兆五千億なるものは入るのか入らないのか。
 つまり、これは新しい事業云々かんぬんという話が出るずっと前に決まったものであって、新しい事業と言うからには、前倒しとか早期発現とかいうこととは別のファクターが入っているんじゃないかというふうに考えるのです。これを前倒しで早くやるというのはまことに結構なことでありまして、それは我々も心から望むところであります。しかし、この四次土地改良計画四十一兆の前倒しなるものも新しい事業という中に含まれるというふうに理解してよろしゅうございますか。
#204
○大河原国務大臣 四十一兆円の総事業費は、平成五年に、平成十四年までの十年計画で確立しました。その中から、先ほど申し上げましたように、大河川流域地帯の平たん部であれば大区画圃場整備事業その他をやる、重点に置く。それから畑作地域においては、その営農の効率的な展開のための畑地かんがい事業その他をやったり農道の整備もやるとか、それぞれその中で緊急な基盤整備事業を行うような事業を引き抜いて加速度的に重点的にやる、そういうことです。
#205
○石破委員 大蔵大臣、新しい事業の定義は何だと思われますか。大臣が査定をされる際に、とにかく六兆百億、三兆五千五百億というふうになっているわけですから。それは査定のときになってみなければわからぬ、これから考えてみるというようなことなのかもしれないけれども、しかし、査定のときには、もうこの国会は終わっているわけですね。よほど延長すれば話は別ですが。そのときに査定をする、何が新しいかはそのときに考えてみる、新しいことの何が新しいかは、そのゆえんはよくわからぬと。
 今大河原大臣のお答えになったことは私よくわかるのですよ。ただ、大区画圃場整備にしても、農道にしても、かんがい排水にしても、それは今までいろいろなメニューの中に出ておることであって、それをいかに加速度的に集中的にやっていくかということは、それはある意味で言えば、量的という言葉はおかしいかもしれませんけれども、量的差異、質的差異という言葉を使えば、とにかく早く効果が発現するようにしよう、大規模なのが早くできるようにしよう、それはよくわかるのです。ただ査定のときに、私どもがこれは新しい事業なんだからぜひお願いしますよと言うときに、大臣は何を物差しとして新しいというふうに思われるのですか。
#206
○武村国務大臣 今大河原農水大臣が答弁されたとおりでありますが、しかし、石破委員がおっしゃるように、何が新しいのかわからぬとか、そのときの話だ、そういういいかげんな考え方で対応してはならないと思っております。何よりも、政府・与党で発表いたしております大綱がございます。これは考え方、文書を基本にしたものでございますが、これがまずベースにならなければいけないというふうに思います。
 そしてこの六兆百億円の事業につきましても、先ほど土地改良事業の内訳について少し説明がございましたが、基本的には、ガット・ウルグアイ・ラウンドという、いわば農政の国難に対応して、それを乗り越えて新しい農政の展望を開いていこうというのが新しい事業だと私は認識をいたしておりまして、先ほど、例えば土地改良を例にとれば、たとえ土地改良十カ年計画に入っている事業であっても、もちろんあそこには大規模圃場整備も入っているわけですから、やはり集中的に投資効果が出るように推進するという姿勢も大事でありますし、圃場整備を例にとれば、それと密接な関係のあるかんがい排水事業も圃場整備を加速すれば並行して、一体であるかんがい排水事業も予算もふやして並行して推進をしていくということではないかと思っております。
 さらに少し申し上げますと、負担対策というのがございますが、これも、土地改良の負担軽減措置は、今までも石破議員なんかも御苦労いただいて第一歩を踏み出しておりますが、これを今回の対策の中でさらに進めようといたしております。米、麦等、新たな自由化関連作物を追加していきたい。
 さらにもう一つは、担い手への農地利用集積に積極的に取り組んでいく地区に対し、新たな負担軽減、助成を進めていきたい、これなんかは一つの例でございますし、一般的な負債対策につきましても、新規投資、過去の負債を背負っていながら、なお意欲を持って新しい農業投資を進めていこうという方々に対し、既往の負担の軽減を図るためにこの支援措置を講じていこうという考え方であります。
 自作農維持資金につきましても、新たな利子助成等の措置をとって特別融資を行うのもその考え方でありまして、いずれにしましても、負債対策といっても、さらに前向きに頑張っていこうという方々を激励していきたいし、圃場整備の負担軽減につきましても、先ほど申し上げたような姿勢で全体を整理して、全体としては六兆百億円、文字どおりそういう考え方に立って、新しい事業に意欲的に取り組む助成であるという姿勢を貫いていきたいというふうに思っております。
#207
○石破委員 活力ある明るい展望が開ける力強い農業の実現のためにというのが新しい事業の尺度であるというようなことではよもやあるまいと思うのですよ。それはもう今までみんな歴代の農林水産大臣が言ってこられたことであり、それは当然私どもが追い求めていかねばならないものであるというふうに考えております。
 私は、確かに非公共の部分では、今大蔵大臣がお答えになったような、確かに目に見えてこれは新しい事業だなというのはわかるのです。負債対策にしても何にしても、新規就農対策にしても、確かに今までのメニューにない、もしくは今までのメニューを抜本的に改廃した新しいものだということはわかるのです。
 問題は、公共事業の部分がどうなんだろうかということなんです。私はよくわかりません、新しい事業というメルクマールが。例えば、集落排水というものについてはどうなんだろうか、それとか大規模圃場の整備についてはどうなんだろう、農地整備についてはどうなんだろう、それぞれの項目についてあるわけですね。
 第四次土地改良長期計画においては、例えば標準区画三十アール程度、現況は五〇%のものを七五%にする。大区画圃場というのは現況三%を三〇%に上げる。畑地におきましては、農道整備を五六%を七五に上げる。畑地かんがい施設整備については一五を三〇に上げる。集排については約三万集落、これを第四次土地改良長期計画においては実現をするのだということを閣議決定をしておる。今農水大臣のお答えでは、これを前倒しでやるぞという、こういうお話であったかと思います。
 しからば、この六年間の間に、これは大体目標としてこれぐらいでいくというようなことがまずあって、それに対してどういうような予算を組むか、そういう手法でなければおかしいですね、目標を提示しなければ。どういうふうに農業は変わっていくんだというものがビジュアルに示されていないと、それはいかぬと思っているのです。
 私は大蔵大臣といろいろな政治改革について議論をしながら、要するに政治改革というのは、いろいろな目標は示せる、政策は示せる。しかし、それに伴う予算は何であり、それを実現するための財源は何であり、政策と予算と財源と、三点セットにして国民の前に提示をするのだということが私は政治改革の一つの大きな目標だというふうに思ってやってきたつもりであります。言うだけじゃなくて、それを実現させるための予算は何なのか、そのための財源は何なのか、それが政治の責任を果たすことである、そういうような気持ちでやってきたつもりであります。
 さすれば、もう一回話を戻しますが、第四次土地改良長期計画の中に示されたようないろいろな目標がありますよ、日本の農業を大規模化していくというような、そしてまた中山間地に本当に明るく快適な生活環境を与えるというような。そうすると、それに対してどういうような目標を設定され、それを実現させるためにそれが新しい予算であるというならば、それはそれで納得ができないこともない。それは質的な差異ではなくて時間的な差異だと思いますがね。
 とにかく、これを実現させるんだというものはやはり国民の前に提示すべきではありませんか。
#208
○大河原国務大臣 具体的な目標その他、これは抽象的な話で必ずしも十分ではございませんので、構造改善局長に説明させます。
#209
○入澤政府委員 第四次土地改良長期計画は、平成十四年までに、現在の大区画圃場整備であれば、現状三%程度きり進んでいないのですが、これを三〇%に進めていく。これを今度のウルグアイ・ラウンド対策で特別なお金をいただきまして、可能な限り三〇%近い水準まで近づけていこう。それから、一般の圃場整備であれば五〇%まで進んでいるのですけれども、これを七五%ぐらいまでは区画整備を進めたいというふうなことを考えているのですけれども、それを可能な限りその目途にしてやっていきたいと思っております。
 先ほどから議論を聞いていまして、ひとつ先生にぜひ御理解いただきたいのは、この六年間、その六年後の方がもっと大切なんですが、この六年間の間に、我が国のこの自由化関連品目の主要な生産地域におきまして今いろいろな土地改良事業がなされています。通常のベースであれば十二年を過ぎても完成しないかもしれない。しかし、主要なところでは可能な限り、将来の食糧供給基地として存続するようなところにつきまして、担い手が多数いるようなところにつきましては、十二年までの間に工事を完了させて、そして将来に備えたいというふうな気持ちでいるわけであります。
 それが大臣が再三答弁されておる工期の短縮というのでありまして、いわゆるボトルネックになっている、例えばこの橋がつくられれば左右がつながって受益効果が発生する、あるいはこの農道がつくられれば受益効果が発生する、そういうようなところを手持ちの地区の中から重点的に選んで、そして新しい事業とまとめて実施したいということなんでございます。
 例えば、圃場整備事業とそれからかんがい排水事業、別々にやっておりますが、ここで従来のベースでいけば、今圃場整備事業は平均して五・七年ぐらい、それからかんがい排水事業だと国営だと十四年ぐらいかかっています。これをあわせてやって六年、十二年までに可能な限り圃場整備事業とセットでかんがい排水事業もやれるように予算を組みたい。
 そのために、要するに新しさというのは形式上求めなくてはいけませんから、私どもはいわゆるかんがい対策の新しい事業の実施要綱というのをつくって、そこで採択地を厳選してその事業を執行していきたい、こういうふうに新しさを考えているわけでございます。
#210
○石破委員 今の局長の御答弁のとおりなんだろうと思うのです。つまり、新しい事業というのは、何か全然目新しい、これがラウンド対策だというのが降ってくるわけはないのですよ、そんなものが。そうじゃなくて、従来やっている土地改良計画にしても、概算要求に示されたものにしても、とにかく重点的、加速度的にそれを早めていく、それによって競争力の強い農業をつくっていく、そういうことなのでしょう。その効果の発現が確実に期待されるところは、そこに集中的、加速度的にやる。効果の発現の度合いが高いか否かということが新しいか否かの尺度である、乱暴に言ってしまえば、そういうようなイメージなのかなというふうに思いますが、いかがですか。
#211
○大河原国務大臣 石破委員が整理されたお考えのとおりだと私どもも思っております。
#212
○石破委員 そうしますと、先般お尋ねしましたときに、大河原大臣から、それは加速度的にやるよと、しかしながら、言ってしまえば、その選に漏れたところが、事業の発現というか成就というか、それによっておくれるようなことはしないよということだったと思います。
 ただ、私どもが重点的、加速度的という言葉を聞くときに、ふっと思いますのは、では、選に漏れたところはどうなってしまうんだいということなんだと思うのです。それは、物は全部一緒ではありませんから、発現効果が早急に期待できるところと、なかなかここはねというようなところもあるのでしょう。しかしながら、とにかく六年間の間に急いでやってしまわなければいけないところもあるが、そうでないところだって、決まった工期の間にはちゃんとやりますよというお約束を私はしていただかなければいかぬ。そうだとするならば、農林水産の公共事業のシェアなるものがいやしくも落ちるというようなことはないであろうというふうな論理的帰結になるはずなんですね。
 公共投資十カ年計画の中においても、AだとかBだとかCだとかいろいろな話がありました。それはおきましても、やはり私は、ばらまきだとかなんだとか心ないことを言う方もいらっしゃいますが、やはり効果の発現が高いところ、そこに重点的にやっていくべきだけれども、全体の枠というのは変えちゃいけない、そういうような考え方は貫いていくべきじゃないのかというふうに思っておりますが、確認の質問になって恐縮ですが、間違いございませんか。
#213
○大河原国務大臣 土地改良長期計画の中で、今国内対策で緊急にやる三兆五千五百億、その内容については今いろいろなやりとりの中で明らかになっておりますが、通常の基盤整備事業、これもやはり通常のスピードで、年次計画をもって進めていくという考えは変わっておりません。
#214
○石破委員 先ほど聞き漏らしたかもしれません、もう一度構造改善局長にお尋ねをしたいんですが、集排の整備の目標についてはどのようにお考えですか。
#215
○入澤政府委員 第四次土地改良長期計画では、十四万集落ある日本の全体集落の中で、特に都市近郊等で不自由しているところ、あるいは山村で速やかに都市とのギャップを埋めるために整備しなくてはいけないところを対象にして、三万集落を整備することにしております。今回そのうち十二年までに、具体的に三万のうち何割と言うわけにいきませんけれども、相当数のところを前倒しでカバーできれば幸いだと思っております。
#216
○石破委員 さて、それじゃ大蔵大臣にお尋ねをいたしますが、そういうような内訳が出てまいりました。確かに査定をするのは大蔵大臣であります。しかしながら、三兆五千五百億というものはお約束をなさったことでありますし、六兆百億というのもお約束をなさったことでありますし、そして、その中身がこうやって出てきましたね。そうしますと、やはり最優先でとにかくこの枠だけは、三兆五千五百億だけは満たすということはここでお約束をいただけるかどうか。
 それは査定のときになってみなければわからないということだと思うのですよ。だけれども、我々がこのWTOを承認するか否か、そして新食糧法案を賛成するか否か、それはもう、この場を離れてしまって、予算編成のときになるとわからないわけですね。ある程度ここで、そういうものに対して、総事業費三兆五千五百億なり六兆百億なり、これはきちんと実現をするよ、そういうようなお答えをいただけるかどうかということ。そしてまた、できれば、今お答えになったような新しい事業ということについての大臣の御見解も最後に承りたい。
#217
○武村国務大臣 六年間の事業ではありますが、全力を尽くして、この期待されている六兆百億円の事業については実現をすべく、財政当局としても努力をさせていただきます。
 まず、初年度がもう間もなく結果がわかるわけでございますから、今、歳入全体の展望のない中ではありましても、これだけは目をつぶってもきちっと予算化をして、責任を全うしなければならないという思いでいっぱいであります。
 新しい事業については繰り返しお答えをしてまいりました。また、先ほど来の御質問の中である程度私たちもそれなりの考え方をお聞きをいただいたわけであります。加速度的、重点的という言葉もございましたが、土地改良十カ年計画を基本にとらえればそういう表現も当たるかもしれません。いずれにしましても、この新しい時代の農業を切り開いていくための新しい事業であるということを再確認しながら、そこに一点集中しながら、この事業そのものを真剣に見詰めさせていただきたいと思っております。
#218
○石破委員 それでは、予算関連のことはまた明日、同僚議員からお尋ねをさせていただきます。
 さて、次に新食糧法案でございますが、長い間質疑をしてまいりました。目指さんとするところはわからないではありません。問題は、政省令にゆだねられている部分というのが非常に多いなということでございます。そして、その政省令の方向というものがどういうものなのかということがいま一つ理解ができない部分がある。その政省令の具体的な細かいところまで今できるはずもございませんが、こういうような方向で行くんだよ、例えば米価審議会の問題にしてみましてもそうでございますし、そういうような政省令の中身というものがもう少し明らかになってもいいのかなという気が私はしているのです。
 そのことはまた後ほどお尋ねをいたしますが、一つは、農水大臣にお教えをいただきたいのは、米価というか、米価に限りませんが、米の値段がどうなっていくんだろうかということ。それを前段にお尋ねをしたいと思うのです。
 つまり、やはり我々が育てていくべき、今後期待をすべきは、コストが半分になるような、そういう大規模稲作であろう、そのために新しい事業もやるのである、こういうことだろうと思います。しかしながら、米価算定のときにいろいろな議論をしてまいりましたが、例えば地代であるとか労賃であるとか金利であるとか、そういうもののとらえ方が、主観的なとらえ方ですよ、とらえ方がいわゆる二種兼業農家の皆さん方と専業農家というのは差異があるのじゃなかろうか。
 つまり、規模拡大が進むことのメリットというのはスケールメリットで、大きくやればコストが安くなるよということ。いろいろな実証例がございます。しかしながら、デメリットとしては、例えば地代、金利、そういうものを実際に払っている、労賃の評価も実際に労賃のような感覚で受け取っている、その分のどっちが大きいのかなということ。
 スケールメリットのコストが安くなっていくという方が大きくなければ、規模拡大というのは進まないのではないかというふうに思っております。米の値段の誘導というのは、そこを見ながらやっていかなきゃいけないというふうに考えている。だから、先般来、下支え機能はどうなるのでしょうかとか、米価は何をだれの再生産を確保すべくやるのでしょうかというふうにお尋ねをしてきたのであります。
 それは、そういう細々したことが知りたいということじゃなくて、どういうようなインセンティブを与えていくか、どうやって規模拡大を促進していくかということに関連をするからお尋ねをしてきたわけでございますが、しかしながら、どのような規模の農家の再生産を確保するか、それは米価審議会のようなものをつくって、そこでの議論にまつというようなお話でございました。
 そういうようなことも含めまして、例えばこれは五十九条の三項ですか、米価審議会に相当するものを規定する、これは政令部分だろうと思っております。また、ほかに政令部分を申し上げれば、計画出荷基準数量のうち政府買い入れ数量の配分手続を規定する、これも政令事項であります。また、センターと言われる今の価格形成機構でございますが、これの業務規程に記載すべきもの、これも省令事項だったと思います。じゃ、センターをどのように運営していくのか、何回開くのか、だれが参加するのか、幅はどれくらいに設けるのかということがある程度明らかになってこないと、国会審議の場でなかなかこれから先の展望というものはつくりにくいのじゃないかという気がして私は仕方がないのであります。
 つまり、膨大な量に上ります政省令、そういうようなものの骨子とでもいうのでしょうか、そういうものをお示しをいただくということはお願いができませんものでしょうか。
#219
○大河原国務大臣 いろいろの御意見でございますが、まず前段の米価については、前回もお答え申し上げましたように、政府の生産調整実施者から買い入れる政府米の買い入れ価格につきましては、市場における自主流通米、需給事情あるいは市場評価によって決まる価格を基本として、コストその他の生産条件や物価その他の事情を考慮して再生産確保のために決める、そういうことが基本となっておるわけでございまして、現行食管法もそのとおりでございます。
 したがって、具体的な算定方式につきましては、これはいろいろな考え方があると思います。というのは、生産調整実施者から買い入れるんだからそう大規模的なものに絞って実際いいのかどうかとか、委員の御指摘のような、前向きの稲作経営を前提とした算定方式をとればいいかどうかというようないろいろな議論がありまして、それはこれからの議論だというふうに、最後は米価審議会その他のしかるべき審議会において意見を聞いて、算定方式を決めたいというわけでございます。
 それから、政省令の問題でございますが、午前中も小平委員からいろいろ御質問ございました。今も例としてお読みになったところでも、手続的なものが相当あるわけです。
 それで、後については運用にわたる問題が多いわけでございまして、したがって、例えば自主流通米価格形成センターの上下の値幅をどうするかとか、あるいは、何と申しますか、上場回数をどうするかとか、そういうことについては、これは運用の問題で、実施までに考えさせていただかなければ相ならぬという問題でございまして、その点についての御理解は、肝心な、制度の根幹に触れるような問題について、これは政省令で、まあ悪い言葉ですが、逃げておるというようなことがあっては相ならぬということで、我々は政省令の委任事項を整理したつもりでございます。
 で、委員のお話は運用の具体的なものについてですが、正直に言って、私どももまだ運用の具体化についてはこれからだと思っている点について、なかなかお答えにくいものがあるわけでございます。考えが決まっておって、それをここで申し上げないというような失礼なことはないわけでございます。
#220
○石破委員 まさしく問題はそこの運用の部分だと思います。
 大臣の今のお答えでは、とにかく法律だけ通してというようなお考えではないと思いますよ。いやしくも、そのような考え方を農林水産大臣がお持ちだとは思いません。そのようなことは毫も考えておりませんが、政省令の骨子、大体どういうような方向でいくのか。つまり、公聴会を開きましても、政省令がどうなるんだろうね、運用の部分が随分多いね、そういうようなお声が随分とあったように仄聞をいたしております。
 政省令の骨子というようなものを委員会にお示しをいただくということを、委員長、お願いすることは可能でしょうか。
#221
○佐藤委員長 理事会で協議いたします。
#222
○石破委員 では、早急に理事会をお開きいただきまして、政省令の骨子というものが明らかになるかどうか、お願いしたいと思います。
#223
○佐藤委員長 どうぞ発言してください。
#224
○石破委員 それは早急に理事会を開いていただきますように、ここでお願いをいたしておきます。
 さて、そういたしますと、あとは生産調整に参加するかしないか、いみじくも大臣のお話の中にございました。生産調整に参加するかしないかというもの、まずそれは潜在生産量というものをある程度予測をしなければいけませんね、これぐらいとれるんだということ。それはどういうようにして算定をされますか。今大体、例えば来年やるとすればどれぐらいになる。潜在生産力です。
#225
○大河原国務大臣 御案内のとおり、生産調整は二十数年やっております。それで、毎年、それについては、潜在的生産力を前提として需給ギャップを出しまして、要調整面積ということで、それを国全体での面積、全体需給からそれを決めまして、それを県に割る、あるいは県では市町村に割る、あるいは農家にそれをお願いする、そういうことでございまして、その点については、今度は特に自主流通米を中心とする、いわば部分管理というか間接統制になりますから、よほど的確な需給見通し、それに伴う生産調整面積の決定が大事だというふうに思っています。
#226
○石破委員 ですから、今度間接統制に移るわけです、いみじくも大臣がおっしゃいますようにね。そうしますと、潜在生産力がどれぐらいあるかというのは、かなり厳しく精査をしてやっていかなければいかぬだろうというふうに思っております。
 単収でございますが、大体五百キロというものをめどとして考えておられますか。
#227
○大河原国務大臣 新しい食糧法案のもとにおいて、新たな生産調整につきましては、平成八年産米から適用するわけでございます。したがって、従来の数字等にもまたこだわらず、今お話があった潜在的生産力あるいは単収等についても精査いたしまして的確な需給見通しをやりたい、さように考えております。
#228
○石破委員 この単収でも、随分とこれは振れてくるんですね、どれぐらいに設定をするかということ。そしてまた作況指数というのは、まあこんなに振れるものはないわけであります。
 そうしますと、手上げ方式というふうに言っていますが、生産調整に参加するかしないかということを個々の農家が決めますときに、事前にどういうような情報がどういうような手段で個々の農家に伝達をされるのかということの具体的な像というのが、私、いま一つ見えないのですが、どういうような情報がどのような手段で農民に提示されますか。
#229
○大河原国務大臣 実は生産調整についても、従来の、末端の農家の意思、地域の意思を尊重してやる、それと全体需給の調整をどうするか、なかなかにもう言い得てやすく、行うのは、その本当の目的を達成するのはなかなか難しいと思います。困難を伴うと思います。したがって、その手続その他、石破委員の御指摘の末端への情報の伝達等を含めて、いかなる手続を要するか、手順でこれを進めるかという点についても、これから検討させていただくところでございます。
#230
○石破委員 私は、そこについて、大体こういうものを考えておるんだというようなことがわかるべきだと思っているのですよ。それぞれの個々の農民にしてみますと、物すごく不安なわけですね。
 つまり、百五十万トンしか買ってもらえないということははっきりしているわけですね。確実な生産調整の実施ということと、片一方に自主的な判断を任せる、二律背反とは言いませんが、これをどうやって実効性あるものにするかというのは、私、正直言って神わざに近いことだと思っています。どうやって実施をするのか。
 調整保管は民間に任せる、備蓄の部分ですね、そういうような形にもなっているわけですが、問題は、そこをどういうふうにしてそれぞれの農家に情報が伝達されるのだろうか。そしてまた生産量というものをどういうふうに算定をし、なおFAOに定められているような備蓄水準というものを達成し、なおそれを各都道府県に振り分けていくということ、これは非常に難しいことだと思っています。
 私どもは、これに賛成するもしないも、どういうような形でその情報が伝わるのか、それについてはある程度の御提示というものをいただきたいというふうに考えております。
 もう一つ申し上げておきますと、話が飛びますが、大規模稲作をつくるという場合に、それぞれの地代というのが物すごく違うはずですね。東北と西日本というのは何倍も違うのじゃないか。それぞれの地域においてどういうように生産調整に参加し、どうやって中核農家に規模を集積するかというようなことも、ある程度手順というものが示されていかなきゃいかぬことじゃないのかな。
 日本全体で地代がこんなに違う中にあって、一つのものをぼんと出しても、やっぱり各地域での運動論、各地域での話し合い、それが一番基本だと思うのですよ、生産調整にいたしましても。どういうような話し合いがなされ、どういうように自主性が尊重され、どうやってこれを実効あらしむるかということ、それと規模拡大というのは、私は一種セットだと思っているのですよ。ですから、どういうような情報がどのように伝わるかということについてくどくお尋ねをしておるのであります。
#231
○大河原国務大臣 直接のお答えではございませんけれども、生産調整は既に二十数年やっております。それがやっぱり一つの実績としてのあれがあります。
 ただし、それが画一的、強制的で、生産者の意欲、自主的な創意工夫、そういうものを阻害しておるということもございますので、それで、できるだけ自主性を尊重した方式をとるということでございまして、経験としては一つのルートがといいますか、あれがあるわけですから、それをさらに、今申し上げましたような新しい視点から見直していくということではあるまいかというふうに考えております。
 それから、石破委員の御指摘の地代論云々でございますけれども、それは、生産調整実施案については、備蓄のための政府の買い入れと、それから助成金をやるということになっていますが、その買い入れ価格の算定等については、そういう要素がどの程度入り得るかという問題かと思います。まさに算定方式の問題だと思います。
    〔委員長退席、田中(直)委員長代理着席〕
#232
○石破委員 時間が来ましたので質問を終わりますが、これを成功させるもさせないも、要は、それぞれの集落、地域においてどのような話し合いがなされるか。みんなが同じような経営をやっていてはだめなんで、やはりだれかに集積をしていかなきゃいけないという運動をどうやって起こしていくのかということだと思うのです。
 ですから、生産調整をどのようにやるか、米の値段がどのようになっていくか、正直者がばかを見ないか、それをまだ末端の人は知りません。この新食糧法案がどうなっていくのかということも、自分たちがどうなるかということも知りません。その辺を明らかにするかしないかが、今後六年のかぎであり、七年目以降にどう対応するかということであろうと思います。
 以上をもちまして、終わります。
#233
○田中(直)委員長代理 次に、古賀正浩君。
#234
○古賀(正)委員 出席閣僚の皆様、長時間御苦労さまでございます。日本の農業、食糧問題、大変な岐路にあるわけであります。いましばらくお時間をおかしいただきたいと思っておるところでございます。
 さて、七年間にわたるガット・ウルグアイ・ラウンドが昨年の暮れに一応終結をいたしました。長時間かかったのは、交渉分野が大変広範であったということもございますが、特に農業という難しい分野を持っておったということにあったと思います。いろいろと我が国もございましたけれども、最終的にそれを受け入れるということにしたわけでございます。交渉の当事者を務められた関係者に、心から御慰労をまず申し上げる次第でございますが、まずは、このウルグアイ・ラウンド合意の評価を一体どう考えておられるのかということを、出席閣僚の皆様方にお伺いしたいと思います。
 それも、日本も貿易立国でありますから、そういった意味では貿易自由化というのは結構な方向だという抽象的な方向はあるにいたしましても、やはり事国内初めいろんなところにいろんな問題があるわけでございますから、いろんな政治課題との関係もあります。そういったものとのつなぎ合わせの中で、いろんな条件や留意すべき点もあって、その中での評価をすべきだと思う次第でございます。そういったことを、時間の関係もございますから、端的に一言ずつお願いをいたします。
 まずは外務大臣、お願い申し上げます。
#235
○河野国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、東西の対立という国際的な枠組みが終わりまして、新しい大きな国際社会が秩序を求めるという、政治的にも経済的にも新しい秩序が求められている状況の中で、WTOという、物ばかりではなくサービスの分野にまで新しいルールをつくるというこのガット・ウルグアイ・ラウンドの合意は、まさに新しい世界を、つまり経済の分野で新しい世界をつくり出すという役割を果たすであろうと思います。
 もちろん我が国にとって、農業分野を初めとして大変厳しい状況にさらされる部分もございますけれども、トータルに考え、我が国の将来を見た場合に、この合意は我が国にとっても好ましいものであると総体的に考えている次第でございます。
#236
○古賀(正)委員 農林大臣、お願いします。
#237
○大河原国務大臣 WTO協定は、農業にとっては厳しいものである、我が国農業にとっては厳しいものがあった。ただし、とにかく関税化品目について非常に高い関税相当量を確保できた、あるいは物によりましては国家貿易、乳製品とか生糸とかあるいは麦とか、こういうものについて国家貿易による一つの役割を確保できたというような点で、当面の厳しい影響はある程度回避できましたが、中長期にわたると大変厳しいものであると受けとめて、そのために国内対策を徹底して行うということであります。
#238
○古賀(正)委員 大蔵大臣、それから、農林物資の所管は別かもしれませんが、通産大臣もお願いいたします。
#239
○武村国務大臣 今回の合意は、もう御承知のように、工業生産品だけでなしに、農産物、サービス、知的所有権、さらには貿易のルールに至るまで、広範にわたる物やサービスの国境を越えた移動に対して大変明るい方向を世界百二十五カ国で合意をすることができたというふうに思っております。世界貿易の拡大、なかんずく日本は貿易立国として生きてまいりましただけに、このことによる受ける利益も大変大きいというふうにも認識をいたしますだけに、戦後の世界経済の歴史の中で画期的な出来事であるというふうに評価をいたします。
#240
○橋本国務大臣 全体としてこれが非常に望ましいものであることは、繰り返す必要もないと思います。
 ただ、WTO協定を受け入れることによりまして、国際競争力の弱い産業への影響というものは当然ながら考えられるわけであります。こうした分野につきましては、協定上も、輸入急増に対応するための数量制限などの緊急輸入制限措置などが認められておりますし、通常五年の関税引き下げ期間を、例えば繊維、衣服の分野では十年のように長期化する、あるいは関税引き下げ幅を小幅にとどめるなどの対応も行っておるわけでありまして、こうした措置によりまして、我が国産業に対する急激な影響は最小限度に食いとどめることができると考えております。
#241
○古賀(正)委員 本日は総理大臣、御出席いただけませんが、官房長官、おいでをいただいておりますので、ひとつ内閣を代表してと申しますか、そういう立場からひとつ御見解をお願い申し上げます。
#242
○五十嵐国務大臣 ガット・ウルグアイ・ラウンド合意の評価につきましては、貿易立国である我が国といたしましては、世界の自由貿易拡大に向けての新しい秩序が形成されたものであり、大変評価すべきものであろうというふうに思います。
 今もお話がございましたが、しかし、この面で厳しい状況に立つ産業もございますので、それらにつきましては最大限の国内的配慮が行われるべきものであろう、このように思う次第であります。
#243
○古賀(正)委員 御案内のとおり、この長年にわたるガットのウルグアイ・ラウンド交渉に当たりまして、農業団体などは大変ナイーブになっておる。それを受けて自民党自体も、あるいは以前からの野党も、大変これについては、まあ自由化受け入れについて消極的な感じでございました。三度にわたる国会決議ということもやったわけでございます。残念ながら、最終的にはその国会決議にいわば反するような形でドゥニ調整案を受け入れるということになったわけであります。
 私も、地元の選挙の際には、しっかりと公約で米の市場開放はしないと言ってまいりました。また、いろいろなことを農民団体や農業者等とも約束をしてまいったわけでありますが、残念ながら諸般の状況を考えますと、ウルグアイ・ラウンド交渉の成功、あるいは幅広い国民的利益という観点からはぎりぎりの決断を下さざるを得なかったという当時の細川総理の談話を皆さん方に伝えざるを得なかったわけであります。まさに声涙下るそういう話をいたしました。みんな本当に罵倒するような、古賀正浩の政治的な見識を誹謗するような、そういう態度でございました。
 しかし、それだけに、先ほど来各閣僚からお話がございましたように、日本の方向として、貿易立国の我が国としては、いろいろな条件を整えて、農家の不安や動揺を来さないためにも万全の国内対策を講じてまいるということがあったわけでございますから、私も、公約は守れなかったけれども、後はそういうことに一生懸命力を尽くしてやろうということで、以降それに向けて一生懸命努力をしておるという状況でございます。
 そういう中で、きょう午前中から河野外務大臣の自民党総裁当時からの御発言もございました。ドゥニ調整案受け入れを是認することはできないということをおっしゃっておったわけでございます。これは、もう率直に言いますと、我々は物すごいパンチを食らったような思いですね。何で自民党ができないで済むのにお前たちがやらなければいかぬのか、こういう話でございまして、もう本当につらい思いをしたことでございますが、それは再三あった話でありますからもう言うのはやめましょう。
 後は力を合わせて、我々も政府の、きょうも朝から再三決意を述べられ、いろいろな施策について言及されたことを我々もできるだけ応援するということでやってまいりますから、要は、こういう自由化が行われても日本の農業は大丈夫だ、やはり後継者、将来の日本に安心して営農にいそしめることができるようにする、そのような農政を実現するということに我々も力を尽くしたい、一緒に協力をしたいと考えておることを申し添えさせていただきたいと思います。
 そういう中で、きのう中央公聴会、地方公聴会がございました。私も中央公聴会に出席をさせていただきましたが、その際、三人の公述人から出た御意見の中に異口同音にありましたのが、将来の地球の人類の食糧事情についてどうも不確実なものがあるということが異口同音に出たわけでございます。私はそういうものに、今からやるいろいろな農政関係の手だてにもちろん信頼も置き、いろいろなものが実現するようにやっていかなくちゃならぬと思いますが、それでなおかついろいろなことがあった場合には、本当にこう大丈夫なのか。先ほど来いろいろな、各閣僚のそれぞれのお答えがございましたけれども、そのあたりについては、日本の将来のため、民族の将来のために、いま一度決意もしっかり持っておかなければいかぬのじゃないかという気がするわけであります。
 このウルグアイ・ラウンドの受け入れに関しまして、アメリカとかECとかは大丈夫か、日本だけ損することはないのかとか、いろいろな御議論もありますが、私はそんな議論より、本当にこれで市場開放をして地球の食糧が大丈夫か、日本が一たん緩急あるときに、日本の政府は国民を飢えさせないできちっとしのいでいくことができるのか、そのための決意を聞くということが非常に大事じゃないかという気がするわけであります。
 話がちょっとずれますが、私は筑後川の中流域でございます。筑後川の中流域というのは今でこそ大変な美田がそろったところでございますが、江戸時代は、せっかくの筑後川の豊かな流れがあるにもかかわらずその水をかんがいに使うことができないという時代がございました。
 そこで当時、その村の庄屋が五人、これは五庄屋といいますが、五庄屋が集まりましていろいろ相談をし、計画を立てて、その川に大堰をつくって水を引く、そして開田をする、そして豊かな水田地帯をつくりたい、こういうことで地域の経済力を発展させよう、こういう計画を立てたわけでございます。そして、これを有馬藩に、恐れながらと願い出たわけです。
 ところが、有馬藩も、なかなかいい計画に見えるけれども、当時の技術水準あるいはいろいろな水準からしまして、うまくいくかどうかわからない。そこで、うまくいかなかったらどうするか、責任とるか、とりますと五庄屋は約束をいたしました。そこで、五庄屋の責任のもとにその筑後大堰事業が承認になったわけでございます。そして、世紀の大事業を五村挙げてみんなで取り組んでやったわけでございます。
 そのときに有馬藩はどうしたかといいますと、本当にうまくいかぬかったらこれは五庄屋に責任をとってもらうということで、はりつけ台を五本、これを工事現場に持ち込みました。工事現場に五本のはりつけ台を持ち込んで、もしみんながうまくいかぬかったらこれで庄屋を全部殺すぞということをして、村人もそれでしっかりハッスルをして、結局、結果的にはうまく成功したわけであります。これは本当に今地元で尊敬されている五庄屋の話であります。
 つまり、今のガットのウルグアイ・ラウンドも、今これを受け入れるというときは、今は飽食の時代でありますし、世界の状況からしますとまだいいような気もいたしますけれども、これが時間がたって、本当に今回の選択が、あるいは今回選択した後にやる政策がうまくいかなかったときにどうなるか。地球の食糧事情がどうなるかということによって、地球自体がもう大変なことになるかもしらぬ、日本の民族の食糧事情が大変なことになるかもしらぬ。そうなると、政治家が、いや済みません、何か間違えました、ごめんなさいと言っても、もうそれは間に合わないわけですね。
 私たちは、ちょうど五庄屋のときそうであったように、五本のはりつけ台を持って、そういう責任のもとに命をかけて今回のWTOに政治家としての結論を出すんだ、そういう努力をしなきゃならぬと思っておるところでございます。
 そういった意味で、この数日来、いろいろな対農政についてのお話を伺ってまいりました。その中でくどく出てまいりましたのが例の六兆百億円の話でございます。大蔵大臣も耳にたこができたぐらいのお話じゃなかったかと思います。農林大臣もそうであったかと思います。
 それは、どう言っても今からこれ以上言いようがないという話かもしれませんけれども、しかし、これはやはり我々も完全に腑に落ちて、これは農民に対する信頼もありますけれども、それで本当に日本の農業が市場を開放してもうまくいくんだな、こう言うための一つの大きな手だてとして持っておかなくちゃいかぬということになるわけでございます。
 そういった意味で、この六兆円の予算措置は本当に当てにしていいのか。もう何度も、口が酸っぱくなる話だと思いますが、もう一回大蔵大臣、お答えいただきたいと思います。
 そして、かつもう一つ一緒にお伺いしたいのは、これが既存の農林予算に練り込むというのは困るということがあるわけですね。それについては、いや農政に支障のない限りはちゃんと従来の予算もやりますよという御答弁をいただいております。農政に支障がない限りというのはだれの判断なのか、まずそのことも大蔵大臣、一緒にお答えをいただきたいと思います。
#244
○武村国務大臣 従来の農林水産予算に支障のないよう配慮させていただくというのが私たちの答弁でございますが、たびたび答えてまいりましたように、予算全体枠の中で統一した方針のもとに各省庁の予算、精査をさせていただきます。そういう大きな制約の中に既存の農林予算も立つことは、これは避けられません。
 しかし、今回合意しました六兆百億円の対策費は、まさにガット・ウルグアイ・ラウンドというこういう厳しい状況を乗り越えて、日本農政の新しい時代を開いていく、力強い農業構造をつくり出していく、その目的のもとに各種事業を集約をさせていただいたものでございますから、これは、まず初年度の予算編成におきましても、しっかり責任を持って取り組まさせていただきます。そのことはお約束を申し上げる次第です。
#245
○古賀(正)委員 ありがとうございました。
 もうしっかり当てにしながら、信頼をしながら、私たちも努力をしてまいりたいと思っております。
 そういう際に、実は昨年の、私どもが与党であった際の話でありますからちょっと言いにくいところもあるのですが、昨年、財政審議会の答申というのがございまして、例の公共事業についてその小委員会の報告がございました。従来の公共事業をA、B、C、三ランクに分けまして、その中で、生活優先などはいいのですけれども、産業優先みたいなものはCランクにして、それを抑制的に扱うみたいな話になりまして、これがまた、暮れのガットのウルグアイ・ラウンドと予算編成がちょうど重なるころの話になったものですから、我々も大変心配をし、場合によっては塩を塗られるような思いでやったわけでございます。
 あのときの財政審の答申というのは、どうなんでしょうか、あれは農政の判断ではなくて財政の判断だということでありましょうか。
#246
○武村国務大臣 財政審議会の報告という形で提起をされたものでございます。したがって、農政だけというよりは、日本の財政全体に対して、特に公共投資に対して一つの考え方を提起いただいた。生活関連をA、国土保全をB、産業基盤をCということになっておりまして、このA、B、Cが非常に何か鮮明に予算のウエートといいますか、表明したような感じを皆さんに与えておりますが、大きな考え方としては、これは政府の方針というよりも政府の審議会の報告でありますけれども、私どもも参考にさせていただいてきたということでございます。昨年の細川政権もそうでございましたし、基本的には今もそういう考え方でございます。
 しかし、よくよく読んでいただきますと、このA、B、Cという表現がよくないのでありますが、「重点的かつ抑制気味」という表現がなされておりますし、その文章の中では「我が国経済の成長のために必要な分野には適切な配慮をしながら」という文言もございまして、まさに今回のこのガット・ウルグアイ・ラウンドの対策費というのはこれに該当するのかなと私は解釈をいたしておりまして、何もかも、産業基盤整備は全部予算をとめるとか削減するとか、そういうことを言っているわけではないということでございまして、そういう意味に御理解をいただきたいというふうに思っております。
    〔田中(直)委員長代理退席、委員長着席〕
#247
○古賀(正)委員 ありがとうございました。
 そうしますと、最後に一つ、農政上に支障がないかどうかという判断と、財政上に支障がないかどうかという判断と、両方が相矛盾するときはどんなやり方になるのでしょうか。
#248
○武村国務大臣 大きな意味では、たまたま農政とおっしゃいましたが、財政全体の環境というか、そのときの条件にはすべての予算項目は制約されざるを得ないというふうに思っております。
#249
○古賀(正)委員 ちょっとこれは通告した質問ではございませんので、場合によっては事務局当局からのお答えで結構でありますが、今度の協定でマークアップという予算がございます。例えば六兆百億とかそういうたぐいみたいなもの、ウルグアイ・ラウンド関連の予算みたいなものは、そういうマークアップを財源とする予算みたいなものを一応どこか頭の隅に置いてやるとかということがあるのでしょうか。
#250
○高橋(政)政府委員 食管でマークアップということで、差益といいますか、それを徴収することにしておりますが、食管の経費については今回の六兆百億の中には含まれておりません。
#251
○古賀(正)委員 話が少し変わりますが、御案内のとおり昨年、三度にわたる国会決議がありまして、いよいよかなりこれはガットの受け入れに当たって米の市場開放をやらねばならぬじゃないかという、そういう見通しが非常に深まりました。その際に、四度目の国会決議をやれ、こういう農業団体等からの強い要請がございました。あるいは、当時野党だった有力党からもいろいろあったのは御案内のとおりであります。それをどうするか。そのときに、私は新生党でございますが、新生党の中でいろいろ対策チームで検討しながら考えましたことに次のようなことがございます。
 四度目の国会決議をやるというのは非常に困難でございますが、しかし、日本が市場開放をして自給率をどんどん下げていくことが国際経済上は非常にいい、国際経済に非常に活気を与えるということになるかもしれないけれども、事食糧ということになりますと、そんな簡単なものじゃないのじゃないか。そういうことからいたしますと、日本も、なかなか難しい農業でありますから、開発途上国等にかなうようなものではない、あるいはアメリカとかオーストラリアとか、そういう大規模な開拓国にかなうものではない。しかし、そういったことばかりを当てにしておっていいんだろうか。
 ということは、例えば昭和四十七年に、ソ連が御案内のとおり大不況等がございまして、世界市場に買い付けに入った。したがって、当時シカゴ相場は一ブッシェル・一ドル八十セントぐらいだったのが一挙に倍増ぐらいしたということがございました。その影響は世界じゅうに及んだわけでございます。また、昨年は我が国の大不作ということがございまして、やはり日本も三百万トン近くの国際市場からの買い入れをしなくちゃいかぬということになった。その情報で、例えばバンコクの相場ではたしか倍近くの米の値上がりがあったというようなことでございます。
 結局それは、それが上がるだけではなくて、関係にいろいろ影響がある、あるいは一般的な庶民とか開発途上国の人たちを非常に苦しめるということもあるわけでございますから、そういったものは、なければ札束はたいて買えばいいじゃないかみたいなことが本当にいいのかという考え方があるわけでございます。
 やはり日本のようにかなり大きな有効需要も持っておる、金もある、そういうところはやはり世界と協力して、いわば食糧安保のようなものに力を合わせて、いろいろな不作であるとか米の凶作とか食糧の不作とかあれば、それに余り大きな影響を与えないようなことを考えるべきではないか、こういう考え方もあるわけでございます。別の言葉で言いますと、そういう一定の国は食糧自給力を余り下げないで、ある程度食糧を維持して農業を保護してやる、そういう国際的な責任があるんだみたいなことを国際的なルールに持っていく方法はないだろうか。
 これは、すぐそんなことができるはずはありません。しかし、今のガットというのは、何でも自由化というのは、これは輸出国の論理でありますから、開発途上国とかなんかというのはむしろFAOとかなんかの方が中心でありましょう。そういった意味では、国際の機関も必ずしもみんな整合した、きちっとした形になっていないということがあるわけでございますから、少し時間をかけて、その間しっかり調整をして、そして、そういう食糧自給力を向上させるということも、ある程度は向上させるということもこれは国際的な責務だということをひとつ日本が言い出したらどうか、そのことを国会でも決議をしたらどうか、ちょっと話がくどくなりましたけれども、そのような議論をいたしまして、結局それは途中で不発に終わったわけでございます。
 これはこのまま議事録に収録をしていただけないそうなんで、委員長、済みませんが、早口で読ませていただきたいと思います。
    食糧の自給義務に関する国際条約を提案することを政府に要求する決議(案)
  一部先進農業国においては穀物など食糧の生産過剰があり、世界の食糧供給は現在時点では一見したところ十分な状態に見える。しかし、世界食糧機構などの予測によれば、発展途上国の生活水準の向上などにより中期的には不足の状態が生じ得るとされる。そればかりでなく、世界的な気象異常などによって世界的な食糧不足が生ずるおそれも無視できない。ある程度の大きさの人口規模の国が余りにも輸入依存度が高い状態にあることは、このような世界的な食糧不足が生じたとき、その輸入国において深刻な問題を起こすのはもとより、国際的な食糧貿易市場においても、当該輸入依存度の高い国の行動が国際的に大きな問題を起こす恐れがある。
  そもそも、食糧は石油などと異なって備蓄が困難であり、しかも自ら不足に直面しながら輸出をすることが考えられない特別な商品であることを考えると、各国がある程度の自給を図ることを国際的に義務付けることが適当かつ不可欠であると考える。
  もとより、この条約は自由貿易の拡大による世界経済の一層の発展を阻害することのないように細心の注意を払いつつ締結されなければならないことは当然である。
  条約には、この条約に参加することを勧奨されるべき国の人口規模(おおむね五千万人)、目標とされるべき食糧自給率(おおむね五十%)または穀物自給率(例えば三十パーセント)、緊急時における食糧の相互融通に関する手続き、自給率維持のために認められる生産刺激措置および国境措置の概要が含まれるべきである。また、食糧輸出国は人口規模に係わらず加盟を勧奨されるべきである。また、このような義務を履行させることを確保するための情報の交換、非常事態における相互融通の事務を処理するため世界食糧機構の中に特別の事務機構が設けられるべきである。
  政府は、わが国の食糧自給率が異常に低い現状にかんがみ、早急に右の内容の国際条約案を起草し、適宜な形で国際会議を召集し、交渉を開始するべきである。
このような決議をやってはどうかということを真剣に議論した思い出がございます。
 時間の関係もございますが、外務大臣及び農林大臣、これについての考え方があれば、ひとつ御所見をいただきたいと思います。
#252
○河野国務大臣 将来の問題として、人口と食糧の問題は極めて重要であると考えます。これらは、OBサミットでございますとか、その他、私どもが承知する限り、幾つかの先輩によって議論をされ、また、我々も大いにこの点については議論をしてまいりました。私自身、先般カイロで行われました世界人口会議におきましても、こうした観点が重要であるということを述べたわけでございます。
 今、議員お読み上げになりましたこの決議、一体どこにこの決議を提案することが適当であるかということもございます。先ほどFAOというお話もございましたが、一体これをどこでどうするかということを含めて、さらに検討をしていただく必要があるのではないかと思います。
#253
○古賀(正)委員 農林大臣にお願いします。
#254
○大河原国務大臣 確かに、我が国のような大輸入国、人口が一億二千万、この国における食糧の安全保障、大変重要でございまして、そういう意味では、今後の人口の増、世界的な人口の増、食糧の供給力の、これは後追いあるいは不足というような事態をおもんぱかりまして、あらゆる場所においてその食糧安全保障としての自給力の強化問題を訴えることは必要だと思います。FAOなりOECDその他それぞれの機関等において、ポスト・ウルグアイ・ラウンドの問題として努力すべきだというふうに思うわけでございます。
 ただ、私は、条約として合意を得るのには率直に言いましてなかなか難しい面もあるのではあるまいか。輸出国は貿易拡大、農産物の貿易拡大ということで、やはりその貿易によって食糧輸入国、不足国はそれを充足すればいいとか、それから、一部の開発途上国におきましても、その国の特有の農産物の輸出によって外貨を獲得して食糧の確保なり経済発展をいたしたいというような立場の開発途上国もあるということで、さまざまでございまして、条約としてこれを義務づけるということについては一段、二段の検討が必要ではあるまいかというふうに思っています。
#255
○古賀(正)委員 ありがとうございました。
 特に、農林大臣最後におっしゃいました、要するに、これを変にやり過ぎると国際的な誤解を招く、これもそうだと思います。自然保護問題が一種の貿易制限、偽装的貿易制限になるみたいなこともあるようでありますから、そのあたりは十分注意してやらなければならないけれども、しかし、長期的な日本のやはり食糧安保と申しますか、世界の国際協力、食糧政策のためにはぜひひとつこういうことも前広に努力をしていただきたい、こういう思いでございます。
 それから、全然話が変わりますが、通産大臣にお伺いさせていただきます。
 先ほどガットのウルグアイ・ラウンド合意についての評価をいただきまして、ありがとうございました。これは今回のウルグアイ・ラウンド評価とは別でありますけれども、私の地元の繊維産業、これは繊維製品でありますが、いわゆるちゃんちゃんこみたいな、「ヌッカ」とかいうみたいなものをつくったりしている産業がございます。しかし、いわば大変幼稚産業的なものでございまして、農村の中で家内工業的にやっているのが多いわけでありますが、最近中国の攻勢などで大変苦しんでおります。もういつ消えるかというようなことにもなっておるわけであります。
 そこで、地元の業界からはMFAの発動という、これは国際的に合法的にやれる手だてがあるわけでございますが、そういったものは貿易自由化の潮流には反するけれども、国がなお努力を尽くし得る合法的手だてでもあるわけです。いろいろ、いや、そういう国際的な潮流の中でそんなことを国がやるのは問題だよみたいなお説教とかなんかするより、やはり国も最大限努力している、それでなおかつできぬのだから、これはやはりしようがないね、それで、その後撤退なりそのほかの方策などを考えるというみたいなことであれば、まだ地元の繊維業界も納得をしてくれるのじゃあるまいか、こんな気がいたします。これに関する大臣の御所見を賜りたいと思います。
#256
○橋本国務大臣 今お地元の状況から話を切り出されましたけれども、日本の繊維産業界が消費の低迷と輸入の増大、非常に厳しい環境変化に直面しておる状況は十分承知をいたしております。
 そうした中で、昨年の十二月、繊維工業審議会及び産業構造審議会が新繊維ビジョンを取りまとめて答申をしていただきました。この中を長々と申し上げるつもりはありませんが、通商問題として、輸入増加に伴う国内の悪影響の軽減は、構造改善などを円滑に行うための支援策を基本として、繊維のセーフガード措置は、種々の支援策の実効性が期待できない場合の最後の手段として考えろ、こういう御指摘をいただいております。
 今日までこうした状況の中で我々は一生懸命努力をしてまいりましたが、繊維のセーフガード措置につきましては、もともと国際取り決めでこれは認められた措置であります。しかし、その国内での取り扱いが必ずしも明確でなかったところでありまして、そのため、今般手続などを整備をいたしました。今後、具体的な案件についての発動の可否につきましては、関係業界からの要請がなされた場合、この手続などに従って検討されることになるわけであります。
 なお、先般、ジャカルタにおけるAPEC大臣会合の際、中国側とのバイ会談の席上、中国からの繊維の輸出についての自粛方の要請を私からいたしておりますことも申し添えます。
#257
○古賀(正)委員 地元のそういう繊維業界とか幼稚産業なんかはやはり貿易自由化等に苦しんでいる、それをやってくれるのはやはり政府だ、お役所だという気持ちがございます。ぜひよろしく御配慮をいただきたいと思います。
 話がまた変わりますが、御案内のとおり、米の市場開放あるいは農産物の市場開放ということになりますと、やはり一番大きな課題は国際競争力を持つということ、そのためには構造改善をなすということ、これが非常に大事なことであると思います。
 ところが、現在、その中核である農地の流動化というのは、農業基本法以来三十年たった今日、全体では農地が五百万ヘクタールありながら、現在、相続とか売買とか脱農とかいろいろな何かで移ったのは七十万ヘクタールぐらいしかないそうですね。これでは構造改善事業というのもなかなかうまく進むものではないんじゃないか、こういう気がするわけであります。もっと強力に加速的にやる方法が考えられないのかと、こういう思いがいたします。
 もちろんそのためには――その前に一つ私の例を挙げますと、私の地元も十ヘクタールという稲作農家なんかあるんですよ。うわあ、これよくやっているなと思ってよく話を聞いてみますと、十ヘクタールやっているけれども、それは四町村にまたがってやっているんですね。そして一つは隣の県まで行ってやっておるという話。もう一人、十五ヘクタールぐらいやっている農家がありますが、その人は何と圃場が六十枚です。これじゃ十ヘクタールとかやっているとか言っても、そんなに能率的な経営あるいは国際的に入ってくる米に対抗するような経営というのはなかなかできないと思うんです。
 もちろん農林省でも今、農地保有合理化事業とか、例えば圃場の連担化事業とか、いろいろ事業も努力をしていただいております。また、その前提としては農地基盤整備事業みたいなものが必要になりますが、それもいろいろやっていただいておるわけでありますが、何とかもう今の段階で強力に加速的にこの農地の流動化をやるようなことを考えなくちゃいかぬのじゃなかろうかと、こんな気がするわけであります。
 その点をひとつ農林大臣、お答えいただきたいと思います。
#258
○大河原国務大臣 ただいまの古賀委員の御質問の中で、基本法制定以来云々というお話を兼ねて三十年間で七十万ヘクタールというお話がございましたが、実はこの十年間の数字でございまして、最近は、借地型と申しますか、賃借権の設定による農地の流動化は相当進んでまいりまして、年平均九万ヘクタールぐらいということになっておるわけでございます。
 もちろんお話しのとおりでございまして、今度の国内対策でも農地の流動化については、担い手に対しては、従来の流動化のスピードを二倍、三倍に上げまして農地を集積するというわけでございます。
 そのためには、御案内の経営基盤強化法なんかによるその促進等々を行っておりますが、特に、農地保有合理化法人による今度は――いや、それからその前に、やはり高齢農家とかあるいは第二種兼業農家とか農地の出し手がふえております。したがって、これを流動化のてこといたしまして進めなくちゃ相ならぬということでございまして、農地保有合理化法人によっては、今までは買い手がある場合に売り手から買うというようなことでございましたが、中間保有を認めて農地の再配分をするというようなところとか、集落機能を利用してやはり農用地の利用改善事業を進めるとか、その地域において先進的な地区における認定農家を中心とした農地利用に対して助成をするとか、それぞれこのたびの国内対策においても、基盤整備事業がいろいろ御議論になります。
 事業費としてかさむものですから、本日もいろいろな御意見をちょうだいいたしましたが、それと並んで、その目指すべき経営に対する農用地利用の流動化は大事であるとして全力を挙げて進めたいと、さように考えております。
#259
○古賀(正)委員 先ほどは、三十年七十万ヘクタールという言い方は大変失礼をいたしました。十年でということでありますから、ひとつこれを加速させながらやれば、国際競争力のある構造改善もまだまだできるんじゃないかと、こんな思いがいたします。
 そこで、今回はたまたま社会党内閣でございますが、社会党は、私の感じでは、間違っていたら訂正をしていただきたいのですが、私の感じでは、この農地保有合理化についてはどうも余り熱心じゃないんじゃないかと、こんな気がいたしてなりません。
 農業基本法というのは、まさにきょうも午前中出ておりましたように、選択的拡大と農業構造改善というのが一つの大きな目標でございますが、一つは、当時、農民首切り論みたいな余計な話が出まして大変困惑したこともあるんですが、やはり、せっかく農地解放で持った農地をあんまり農地保有合理化みたいなことでだれかに集中するとかみたいなことは避けようじゃないかという伝統的魂胆が社会党にはあったんじゃないかという気がしてなりません。
 四十年代に入って農地保有合理化事業団みたいなものができたときも、社会党は反対してとうとう実現しませんでした。いろいろなことをやりながら、今どうやら少しやる気になってこられているような気もいたしますから、ぜひひとつこの際、強力に加速的な努力をしていただくようにお願いを申し上げる次第でございます。この辺は別に社会党に聞かなくてもよろしいですね。
 ひとつ、農林大臣のこれについての決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
#260
○大河原国務大臣 このたびの国内対策におきましても、効率的、安定的な担い手、これを急速に育成、確保する、これが政策の大眼目でございまして、そのための手段としての農地利用の合理化と申しますか流動化、それによる集積、これに対して全力を挙げたいと思いまして、それぞれのそれに所要の事業費についても国内対策の総事業費に計上されておりますので、その確保にも努めたいと、さように思っております。
#261
○古賀(正)委員 ありがとうございました。
 農地の流動化に関しては、例えば土地税制みたいなものもかなり要ると思います。これはきょう大蔵大臣にはあえてお聞きいたしませんが、ひとつ課題としてあることをぜひ頭に置いておいていただきたいと思います。
 そこで、時間の関係もございますので先に進ませていただきますが、実は今回の新食糧法というのは、従来の五十年の食管法を変えて新しく法律をつくろう、こういうことでございます。ということは、過去、戦時中からの五十年間の食管法をこれは廃止するということ、大変歴史的なことをやるということになるわけです。
 食管法は、御案内のとおり大変評判もよくなかったこともございますが、それは、本来の目的からするときちっとやっておきながら、一部何かそういうあげつらわれるところでイメージが悪くなったということもあるんじゃないかという気もしてならないわけであります。例えばさっき申しました戦時中の食糧不足の時代の統制とか、あるいは昭和四十七年の例の穀物ショックあるいは石油ショックのころ、大阪の千里ニュータウンではトイレットペーパーがなくなるような騒ぎもあったけれども、あのときも米や麦については、これはもう政府の信頼があって、一切民心の動揺もなかったみたいなこともあったわけであります。
 ただ、こういう規制が強過ぎるということで、民間の自由濶達な作業が進まないとか、あるいは農家も非常に窮屈だということが例えばテレビなんかで過度に放送されるとか、そういうこともありまして、あのままでいいとはもちろん思いません、しかし、評価としてはかなりいいところもあったんだというふうに私は思っております。そのあたりについて農林大臣の御見解をひとつお伺いしたいと思います。
#262
○大河原国務大臣 お話しのように、食糧管理法は、戦時中の昭和十七年に制定され、食糧の不足時代あるいは戦後二十年代の不足時代等々においてそれぞれの役割を果たし、その後も、今お話がございました、特に際立った機能としての四十七年等の石油ショック等における安定供給、それから、結果としてはいろいろな御批判をちょうだいしておりますが、昨年からの異常な凶作に伴う緊急輸入米の問題にしても、食糧管理制度の一つの役割を果たした、さように考えるわけでございますけれども、やはり今日においては、食糧管理法自体は、政府の全量管理という建前でございます。ところが実態は、自主流通米が主体になっておる。
 政府が直接生産者から売り渡し命令を出して買う政府米が本来の制度としての建前を、むしろバイパスとしての自主流通米が七割にもなっておるということ一つをとりましても、やはり実態との、これは何も必ずしも乖離とは言いませんけれども、そのほか不正規流通米の問題を見ますと、やはりその制度と実態の乖離ということで、このような国の直接的な介入から、やはり政策の手法を変えまして、主要食糧、米については需給の調整と価格の安定を図るという意味で、供給の安定を図るという点については変わりませんが、その管理方式についてはこの際大きく、何と申しますか、全量管理から部分管理に変える。しかし、それによっても、今言った目的である安定供給を確保するような施策、制度を取り入れて、それをやりたいというふうに思っておるわけでございます。
#263
○古賀(正)委員 時間が大分なくなってまいりまして、あと三問ほどお願いしたいと思うのですが、一つは、食管制度、いろいろな効用もあるわけでありますが、やはり運用の仕方がうまくなくてはいかぬ。これは例えば、消防自動車が高性能であってもポンプ操法がきちっといかないと火事がよく消えないということがあるわけです。
 としますと、昨年の不作、それからことしの春を通じての米騒動みたいなものがどうして起こったのか。それはやはり、一言で言うと、備蓄が不足していた、あるいは在庫が非常に足りなかった。これは二十七万トンみたいなことであったという残念なことがあったわけでありますけれども、この辺に政府に本当に責任がないのか。これはよくいろんなところで話を聞かされます。まあ、ないということを言ってしまうと、事国民の食糧政策への信頼の期待を裏切ることもあるんじゃないか。やはりこれは反省すべきこともあるんだみたいなことがあっていいんじゃないかという気もするんです。そのあたりの農林大臣の御見解を率直にお聞かせいただきたいと思います。
#264
○大河原国務大臣 その備蓄の問題等を考えますと、ゆとりのある需給、これの一環としての在庫的な保有、そういう点についてやはりやや欠けるところがあったんじゃないかというふに思いまして、在庫量が今お話しのような数字にとどまって、ショックが来るとえらいあれでございますけれども、その点を今度大きく省みまして、新食管法では備蓄を制度として位置づけ、単なる在庫というようなものではなくて、それに需給調整の機能を大きく期待するということにしたわけです。
#265
○古賀(正)委員 ありがとうございました。
 本日は、大変お忙しい中に、自治大臣においでをいただきました。ありがとうございます。
 実は、今回のウルグアイ・ラウンド対策に伴う農村対策、特に中山間地対策等につきましては、実際やろうといったら非常に難しいんですね。難しいことが多いわけでございます。それとまた、国の予算だけではなかなかやりにくい、かゆいところに手の届かないというか、きめ細かく何かやるのが難しいところがございます。
 そういう際に、自治大臣は、地域農業振興のための地方単独政策の拡充ということをお打ち上げになりました。これは、それぞれの地元では大変な反響で、期待もございます。これに期待をつないで地域農業を一生懸命やろう、こんな意欲も燃やしてきておるところでございます。どうかひとつこれをしっかり拡充をしていただいて、今回のウルグアイ・ラウンド対策の大きな、有効な手だてにぜひしていただきたいとお願いを申し上げる次第でございます。
 そのことにつきまして、自治大臣に所信をお伺いしたいと思います。
#266
○野中国務大臣 今回のウルグアイ・ラウンド合意に基づきます中において、我が国農業が受ける影響はまことに深刻なものがあると思うわけでございます。政権として、それぞれ国における施策が行われようとしたわけでございますが、今御指摘のように、村山総理から、自治省としてもこの問題について地域対策として取り組む方法はないか、こういう宿題をいただきまして、私ども検討をいたしまして、委員が今御指摘になりましたような今回の農山村の、ふるさと創生に値する農山漁村ふるさと事業を創設することにいたしました。
 特に、その中におきます地域の自主的、主体的な地域づくりを進めるために、ソフト事業に経費を投入し、これを地方交付税で措置することにいたしたわけでございます。
 この使途は、もう委員御承知のように、地方団体の自主的な判断に任されておりますので、国がその使途について制限をしたり関与することはないのでございます。ただ、ふるさと創生一億円のときのように、金塊を買うたり宝くじを買うような、そういうことにはならないように、ぜひそれぞれの自治体が自制をしてくれることを総理からもお話がございましたので、私どもも留意をしながらこの事業の推進に当たってまいりたいと存じておる次第であります。
#267
○古賀(正)委員 ありがとうございます。地方自治の本旨からも大変期待をいたしておるところでございます。
 お答えの中にございましたけれども、通常、国の補助金との関係というのはどうしてもやはり問題があることが多うございまして、そういう意味では、国の補助率のアップはだめよとか人件費はよくないよとか、いろいろな条件がついて大変使いづらい交付金になる可能性があるのではないかということを我々心配もいたしておる次第でございます。そのあたりについては、もう一回所信をお伺いいたしたいと思います。
#268
○野中国務大臣 今まで申し上げましたように、今回の事業は、ハード事業といたしましては、集落排水緊急整備事業あるいは農道の整備事業あるいは森林のあるいは山林の保全のための公有化、こういうハードの事業にも投入をすることといたしますとともに、ソフトとして農山漁村ふるさと事業を創設をしたわけでございまして、これにつきましては、一切条件をつけないで、地域の人材の養成やら豊かな地域づくりの活性化のために、地域が創造的に自主的に使っていただきたい、このように存じておる次第でございます。
#269
○古賀(正)委員 時間が参りました。最後に、今回のガットと自然保護との関係について環境庁長官にお伺いしたいと思います。
 御案内のとおり、私の田舎で座談会なんかやっておりますと、いや、ともかく我々がいろいろ農業をやるについても、農薬の規制であるとか、あるいは水路をつくっても建設省のいろいろな河川協議の関係とか、いろいろコストフルなことが多い。ところが、タイかなんかへ行くと、みんなばあっと野焼きというのですか、あれ何と言うのでしょうか、山焼きみたいなことでやってできるそうじゃないか。おまけに、この間この席で御質問があっておりましたけれども、何か農薬とかなんかは開発途上国に行った方が日本の農協で買うより安いとかいう話もあったりしたこともございました。我々も、そういった意味ではイコールフッティングと申しますか、そういう貿易自由化とともに、同じような条件で日本もやれるということが大変大事だと思っておるわけであります。
 そういった意味では、貿易と環境との関係に関する議論は、今までのなんかではどうも十分ではないのじゃないかという気もいたします。環境保護の観点からこの問題に積極的に取り組むべきだと考えますが、長官の御見解を伺いたいと思います。特にWTOが来年の一月発足し、組織されるということになりますと、今後それの重要な任務はこの環境問題じゃないかという気もいたします。そのことも含めてお答えをいただきたいと思います。
#270
○宮下国務大臣 農業と自然環境の保全の問題は大変関係があります。特に農業の持つ公益的機能と申しますか多元的な機能は、これは国土保全機能、水質の保全だとかあるいは環境問題その他非常にメリットがあります。そういう面では、さっき委員の御指摘のように、自給率を高めていくことは農業保全に非常につながっていきますから、環境保全にもつながっていきますね。そういう意味で非常に大切なものだと思います。
 ただ一方、農業も、今御指摘のように、大規模になりますと、無理して生産性を上げるために化学肥料を使ったり大量の農薬を使ったりして非常に地力の減耗を来したり、いろいろなマイナス面もあります。農業にはそういう両面がございますから、それらをよく考えていかなくちゃいけない。しかし、今これから自由化しようということだけで、価格的な機能だけに着目して自由化いたしますと、産出国の方では土地の荒廃が起こる、そしてまた輸入国の方は、自給すれば緑も自然も自然生態系の中で調和していけるのに、それが不可能になってしまうという問題がございますから、やはり貿易政策と環境政策、また農産物の関係とこれらの貿易政策、大変重要な関係にありますから、委員の御指摘のように、もっともっと深いいろいろな面の検討も必要ではないか、こう思っております。
#271
○古賀(正)委員 ありがとうございました。
 終わります。
#272
○佐藤委員長 古賀君の質疑は終了いたしました。
 次に、吉井英勝君。
#273
○吉井委員 この委員会で村山総理は、米だけで反対だと言えば日本は貿易立国として成り立たないという、そういう答弁などをしておられましたけれども、逆に言いますと、貿易立国論でもって米とか中小企業などを犠牲にして構わないとするような、そういう合理化をしてしまっていいのかということにもなるわけです。私は、きょうはサービス貿易の問題その他を含めて、少しそこのところを議論をしていきたいというふうに思います。
 まず、これまでのガットは物の貿易中心ですが、サービス貿易も含めてという点では、新しいガットをつけ加えたとでもいいますか、そういうところへ来ていると思うのですね。これまでと違って、ですから、物とサービス全体として世界の貿易がどうなっているかと見れば四兆六千億ドル、その中のサービス貿易は大体一兆百六十億ドルぐらいですから、二二%ぐらいがサービス貿易の割合であり、しかもその伸び率は、非常に物以上に大きくなっている。つまり、サービス貿易の比重が高まってきているというのが一応今日の流れであるということは言えると思うのです。
 最初に、少し物の方についても振り返って見ておきますと、今、日米間で五百億ドルほどの貿易黒字ということが言われておりますが、実は、アメリカから国境を越えて日本へ入ってくるものと日本の国内のアメリカ系企業から国民が買うものを合わせて見たもの、逆に日本からアメリカへ国境を越えていくものとアメリカ国内の日系企業からアメリカ国民が買うもの、これをトータルしたもので比較しますと、一九八七年ごろまでの段階では確かに日本の方が数年間貿易黒字ということはありますが、一九八八年のデータでは逆に八億ドル日本の方が赤字になっている、こういうデータもあるわけであり、日本の国民一人当たりとアメリカの国民一人当たりのそれぞれの購入額で比較すれば、日本の国民の方がアメリカよりも二倍も多く買っている。つまり、そこには、今日の多国籍企業化した時代にあって、物の貿易についての黒字だ赤字だという議論も、国境を越えたものについてだけの計算では当たらないということが言えると思うのです。
 実はことし七月に、この事実を示して、国務省のタルーロ次官補に彼らの日米貿易不均衡論について質問いたしましたところ、彼が反論できないという状態でありましたけれども、私は、こうした物の貿易の上に、さらにサービス貿易についても今考えていかなきゃいけないところへ来ているということで、そこで、きょうはサービス貿易の方を伺っていきたいと思うのです。
 通産省からいただいております資料では、アメリカのサービス貿易額というのは世界的には差し引き五百五十七億ドルの黒字で、日本は差し引き、世界に対してですが、四百六十三億ドルの赤字、日米間のサービス貿易について見れば、差し引きアメリカの方が百七十八億ドル黒字で、日本がその分赤字、こういう関係にあるということであります。こういう点で、サービス貿易の面で、日本は世界的に見てもあるいはアメリカとの関係で見ても輸入超過という状態にあるというのが実態かなと思うのですが、まず、この点のところから伺っていきたいと思います。
#274
○坂本(吉)政府委員 サービス貿易に関する我が国の状況でございますけれども、手元にございますのは九二年の数字でございますが、御指摘のとおり四百六十億ドルの赤字ということになっておるわけでございます。また、御指摘のとおり、日米のサービス貿易に関する収支で見ましても、やはり百七十八億ドルの赤字という状況になっております。
#275
○吉井委員 物の貿易の方では、譲許表を見ても明らかなように、日本は世界で関税の最も低い国に属しますし、つまり、最も自由化している国ということになるわけですね。サービス貿易の面で見ても、対世界で四百六十三億ドルの赤字、その上、対米赤字の方は百七十八億ドル、こうしたことを見ただけでも、別に米で屈服しなくても、貿易の自由化という面で見たときに、日本は非常に自由化の進んでいる国であるということは明白であると思うわけです。
 そこで、さらにこのサービス貿易の内容について伺っていきたいのですが、今度、市場アクセスそれから内国民待遇についての各国は約束表を出しておりますね。物の譲許表に当たる、サービス貿易の方の、サービスの方の譲許表に匹敵するものであるわけですが、最初に初歩的なところを伺っておきたいのですが、約百五十項目に及ぶと言われ、日本はそのうち百項目ぐらい約束表に挙げているというわけでありますが、きちっとした数字で、何項目になるのか。
 それから、我々議員が全体として世界のサービス貿易の状況をつかもうと思ったら、その百五十の項目について、日本はどれに約束表で約束しているか、アメリカはどれか、EU諸国はどれか、発展途上国はどれなのかと、やはり全体としての一覧表を出していただかないと、これはなかなか世界のサービス貿易の状況というのは把握しにくいものなんです。外務省の方でそういうものをまとめていらっしゃるものがあれば、ぜひこれは出していただきたいと思いますし、その一覧表がなければ、ないとしか言えないでしょうが、この点、どうでしょうか。
#276
○原口政府委員 ちょっと申しわけありませんが、正確な数字は今押さえておりませんが、大体、日本が百、アメリカが八十、EUが八十、約束表に掲げております。
 それで、今の全体としての一覧表でございますが、これはもう作成が非常に難しいものでございまして、というのは、そもそもサービス協定そのものが新しい第一歩ということでございまして、約束表を見ていただいても非常に複雑になっておりますので、当面はその各国の約束表を丁寧に見ていただくということしか手がないのではないかと考えております。
#277
○吉井委員 あなたのおっしゃるのを丁寧に見ました。簡単にわかりません。外務省もそれをまとめるのは大変だと言っているのですね。
 サービス貿易が全体として世界はどうなっているのか、こういう概要がつかめないままに、これでもう審議は大分尽くしたから採決してしまおう、これはとんでもない話だと思うのです。私は、まずこれを速やかにまとめ上げて、サービス貿易の概要が我々国会議員にわかるように提出をしていただきたい。これはぜひ委員長にも、資料を提出できるようにひとつ計らっていただくようにお願いしておきたいと思います。
 各国の事情によって、実は第二条の最恵国待遇については免除が認められるということになっておりますが、その各国の登録が免除表です。これを私も見ましたが、サービス貿易で世界最大の大きな赤字を出している日本が、実は免除登録はゼロですね。しかしアメリカは、世界最大のサービス貿易の輸出国なんですが、見ておりますと、商業宇宙衛星打ち上げ市場、航空運送サービスなど九つの分野について免除措置をとっています。EUはAVや航空運送サービスなど十分野で免除登録をしているということでありますが、実は、これもなかなか外務省もまとめるのが大変らしくて、昨日、何項目かと聞きますと、昨日はアメリカは九項目でEUは十七だ、きょうになりますとアメリカは九項目でEUは実は十項目です、こういう話で、なかなかまとめるのも大変かもしれないけれども、こんな状態で、今世界の免除表について、全体としてきちっと我々が理解をするのは難しいわけですから、まずこれも初歩的なところで、この数字を確認しておきたいと思います。
#278
○原口政府委員 今先生御指摘のとおり、我が国につきましては最恵国待遇の義務免除登録は一切行っておりません。米国は九項目、九分野ないし措置について登録を行っておりまして、EUにつきましては十分野ないし措置ということでございます。
#279
○吉井委員 その辺の数字からしてなかなか、出していただいた膨大な資料、横文字ですから横に向けたり縦に向けたりしながら眺めて大変なんですが、その中でさらに伺っておきたいのですが、フランスの免除に挙げているAVですね、適用期間は、この免除は期限なしというふうに今なっているわけですが、これはなぜ免除措置、除外ということになっているのですか。
#280
○原口政府委員 英語でいえばインデフィニットというふうに書いてあるわけですが、ただ、協定上五年を超えるものにつきましては五年目に審査がありまして、しかも十年を超えるということはできないということになっておりますので、そういう条件のついた期限なしということだと理解しております。(吉井委員「なぜ除外したのですか」と呼ぶ)それは、フランスにおきましてはオーディオ・ビジュアルについて、文化協力が望ましい国というのがございまして、その国との間で特別な取り決めを結んでいるので、それ以外の国との間に対して、文化協力が望ましいと思っている国との間ででき上がっている待遇を最恵国待遇で提供することはできないという判断があったものと理解しております。
#281
○吉井委員 なぜしたのかはそういうことなんですが、これはなぜこういうことができたのですか、今度は。なぜ除外できたのですか。
#282
○原口政府委員 これは先生御承知のとおり、最恵国待遇につきましては取り決め上除外登録ができるようになっておりますので、もちろん交渉マターではございますが、各国どうしても除外したいという理由があれば、それに従って除外登録ができるということでございます。
#283
○吉井委員 大体これまでから、いかなる留保も許されないと言ってみたり、例外なしだと言ったりとかつまみ食いはだめだとか、随分、国会に対してもそうですが、PRで国民の皆さんに対しても、何かこのWTOについてはもうがんじがらめでどうしようもないんだ、手も足も出ないんだというふうな、そういう言い方をしてきていらっしゃるわけですよ。例えば外務省のパンフレットを見ておっても、いわゆる「つまみ食い」はもうできないんだ、こういう調子ですよ。
 しかし、フランスがAVでこれはできたように、これはまたおもしろいことに外務省のこのパンフレットに出ているわけですが、「各国の利害が複雑で交渉が難航した分野に関しては合意に至ることができず、協定発効後も、自由化交渉を継続する」ということでまとまったのがこれなんでしょう。つまり、どの国も自国民の死活的利益を守ろうとして、国家主権を行使する立場で頑張った。その結果、合意できないものは免除したりWTO協定発効後も継続して協議を続けることになった。だから除外できたわけですよ。
 私は別な問題についても引き続いて見ておきたいと思うのですが、航空機産業というのはアメリカの最大の輸出産業です。アメリカの輸出額も二百一億ドル。AVも映画を中心に大きな額で、米国では二位ですが、だからEUと争ったわけですね。
 この輸出最大の航空機産業の国家的利益を守るために、航空機開発補助金については、補助金及び相殺措置に関する協定から外させて多数国間協定、すなわち民間航空機協定で定めるとして、ガットの民間航空機委員会で昨年十二月にはまとまらなくて、ことしの十二月を目指して交渉が継続されてきたというのが経過ですね。
 しかし、EUに対しては民間航空機の機体開発に補助金規制をかける立場をとりながら、アメリカは民間航空機に積み込むエンジンについては、国防総省の開発補助金でつくられた軍用機のエンジンを転用するものであるのに、こちらは開発補助金の制限を加えない扱いにするように主張した。だからアメリカとEUで激しくもめているわけです。この結果、現在、十二月の民間航空機委員会の開催そのものが危ぶまれている状態ではありませんか。
#284
○橋本国務大臣 今御指摘がありましたように、本年に入りましてからも鋭意交渉は進められてまいりましたが、これまでのところ米国、ECを初めとする各国の意見の相違から特段の進展は見られておりません。日本としては、やはり各国の民間航空機産業の実情などを踏まえたルールづくりが必要だと考えて、引き続き努力をしていきたいと考えているところです。
#285
○吉井委員 結局、ボーイングとかマクダネル・ダグラスなど航空機会社の企業利益とEUのエアバスの利益が激しくぶつかって、これでWTO協定の補助金協定に穴があいているわけです。その上、民間航空機貿易協定の改正も先送りされたままという状態です。つまり、ここにあるのは国内産業の立場に立ったものとしても、アメリカもEUも妥協しない部分を断固としてやってきているわけです。これが国際政治の現実の姿じゃないかと思うんですが、外務大臣、どうですか。
#286
○河野国務大臣 それぞれの分野ごとに交渉の仕方が違うわけでございまして、その一つの例を挙げて、日本が交渉の仕方がなまぬるいとか交渉の結論が納得できないというふうにおっしゃるのだとすれば、それは分野別に交渉のルール、交渉の仕方が違ったということを指摘しなければならないと思います。
#287
○吉井委員 アメリカ側の最大の輸出産業の一つである映画で市場開放を迫ったのを、フランス映画界ははねつけて大勝利と宣言しました。通信機器分野の政府調達も同様です。逆にアメリカの方は、自国に不利な海運サービスでは、EUの方がとてものめないむちゃな免除表を提出して、協定の趣旨に反するということで継続交渉扱いになっています。
 今政府は、一括受託方式だから個々の協定についてつまみ食いはできないんだと、先ほどの外務省パンフなんかでも盛んに言っておりますが、しかし、ことしのマラケシュでの調印や昨年十二月のジュネーブでのウルグアイ・ラウンド合意までは、国民の利益を守る立場で各国はそれぞれ主張して、サービス協定でさえ免除登録をしてきたし、各国の利害の対立するもので合意できないものは免除表で、他の分野のものも同様の扱いをしたり、WTO協定発効後も継続して協議するというそういう扱いにしてきているわけです。
 まさに、言ってみれば、各国はつまみ食いをして、それを認めないとウルグアイ・ラウンド合意ができないんだ、こういう立場でまさに自国民の直接の利害にかかわるもの、それについては頑張ってきているわけであります。ところが、日本の方は大事な時期にジュネーブへ大臣が詰めるということもしていないし、国民の利益を守る努力もしないで米輸入での屈服をしてしまった。
 昨年十二月十三日の本会議で、当時の細川総理は、ラウンドの成功に対する我が国の国際的責務を念頭に置いてやったんだと答弁しておりますが、国際的責務という言葉で国民に対する責務を放棄するということは、私は断じて許されないことだと思うわけです。その点では、大河原農水大臣の言われた大失敗、大失態というのは、このことを言っておられるんじゃなかろうかと思うわけでありますが、これは、外交の継続性を理由にしてこの大失政をそのまま容認するというのは私は間違いだと思うわけです。今国民の根本利益、安全ということを考えるならば、米を外させるという再交渉をするべきだと思うんですが、どうですか。
#288
○河野国務大臣 当時、我々野党におったわけでございますが、ドゥニ調停案の受諾につきましても、我々は、その最終段階におきましてなぜ我が国閣僚が現地におって交渉しないのかということを我々もまた指摘をしたところでございます。
 確かに、当時はジュネーブにおきまして、アメリカはカンター通商代表あるいはEUもまた責任者を出して相当熾烈な交渉をしたという事実がございます。その時期に我が国は交渉担当者、すなわち行政府のお役人の方々にお任せをしていたというふうにも見えましたので、我々は野党の立場でありましたけれども、与党・政府に対しまして、ぜひとも閣僚を派遣すべきだ、そして閣僚は最後の段階まで徹底した交渉をやるべきだということを言ったわけです。このことは議員も御記憶であろうと思います。
 私どもとしては、交渉が最終的にまとまるまでは、これはもう徹底して交渉をやってほしいということを主張をいたしましたが、百二十を超える国と地域が最終的に合意をしたという段階になれば、これはまたそのときは国際的な信義をいかにして守るかということも必要ではないかと思います。
#289
○吉井委員 私は過去の経過だけじゃなしに、やはり今は今の時点での最大の努力をしなければいけないと思うのです。
 革靴、皮革の業者の方からも私たちもいろいろなことを、訴えを聞いておりますが、日本の革靴、皮革産業について見てみますと、これは零細業者によって支えられてきたわけです。革靴を含む履物の輸入について見ますと、この五年間で十一億ドルから十九億ドルへ一・七三倍へと急増しました。長期不況と相まって苦境に立たされている。この上、WTO協定で関税率引き下げ、関税割り当て枠を引き続き拡大するということになりますと、本当に外国製品の輸入が一層急増して、革靴産業を滅亡のふちに追いやることになってしまいます。私は零細業者に死ねと言わんばかりのこんなやり方は断じて許されないと思うわけです。
 また、繊維製品もそうです。八五年の三十九億ドルから九三年の百六十六億ドルへと四・三倍に急増して、国内需要の五〇・八%に達していますよ。その結果、大島つむぎや西陣織を初めとする絹織物から綿、毛、合繊織物分野、アパレルに至るまで今重大な打撃を受けて存続の危機に瀕している、立たされているというのが実態です。今回の協定によってさらに大きな大変な事態になるわけです。
 ですから私は、米、皮革、繊維など農業も中小企業も地場産業も、今国民の死活にかかわる問題になってきている、こういうときに真の公平、平等な貿易ルールの確立の立場で、やはり米も皮革もそういう立場で修正を求めて再交渉をやっていくべきときだと思うんです。改めてお考えを伺いたいと思います。
#290
○河野国務大臣 もうこの場で御答弁をたしか申し上げたように思いますが、農業分野は、農業協定によって例外をなくすという一つの交渉方式が確立をされて、その方式の中で農業協定というものはつくられているわけです。サービス分野につきましては、全く新たなルールをつくる、まずルールづくりだということからそれぞれの議論が始まっているわけであって、このサービス分野の問題を引き合いに出して、農業分野の方がこれでは不十分だという議論は、議論としてできない議論でございます。その点は、議員はもう十分御承知の上でのお尋ねだろうと思いますけれども、改めてそこは申し上げておきます。
#291
○吉井委員 物貿易であれサービス貿易であれ、私は死活にかかわる問題については、これは修正を求めて再交渉を進めていくというそういう立場をとるべきであると思います。
 時間が大分たってきましたので、この機会に、後ほどまた触れますが、せんだっての橋本通産大臣のスーパー三〇一とWTO関係についての発言について少し確認しておきたいと思うのです。
 二十一日のあなたの答弁で、「実施法案の中におけるスーパー三〇一条の問題でありました。私の立場からすれば、これは疑義ありということであります。」アメリカ側の説明としては、スーパー三〇一条の存在自体がWTO協定に違反するものではない、「この部分は完全に平行線でありました。」と私に答弁されました。翌日、今度は松本議員の質問に対してあなたは、「通商法三〇一条の存在自体がWTO協定に違反するというわけではありません」という、つまり日本政府の認識として、違反しないというふうに言っているわけですね。
 日本が、アメリカの実施法の中でスーパー三〇一条を正当なものとして入れているのを、これをWTO協定に照らして疑義ありという立場をとるか、WTO協定に違反しないという立場をとるかは、正反対の大きな問題です。改めて橋本通産大臣のAPECでの発言はどちらであったのか、伺っておきたいと思います。
#292
○橋本国務大臣 APECにおけるやりとりというのは、委員が御質問になるような種類の角度からのものではございませんでしたから、そのままの状況が適用されるものではございません。
 そして、先日、正確を期すために私は松本委員にきちんと改めてその点の誤解のないように申し上げたわけでありますが、WTO協定におきましては、同協定の対象となる事項についてWTOの紛争解決手続を経ることなく一方的措置をとることは禁止されております。したがって、三〇一条の存在自体がWTO協定に違反するというわけではありませんが、米国がWTO協定の対象事項について通商法三〇一条に基づき相手国の利害を侵害するような一方的措置をとる場合にはWTOの協定の違反となります。万一、一方的な制裁措置が発動された場合には、WTOの紛争解決手続の利用を含め、国際的なルールにのっとって解決を求めることになると考えております。
 なお、WTO協定が一方的措置を禁止していることにかんがみれば、そのような措置を想定している三〇一条というものはWTO協定の精神に照らして問題があると考えておりまして、先般米国に対してこの旨の懸念を表明したところであります。これに対して、米国がWTO協定外の事項について行使することは妨げにならないという彼らの理解でありまして、先般の答弁におきましては、このことを指して我が国と米国の議論が平行線であったと申し上げた次第であります。
#293
○吉井委員 WTOに照らしてスーパー三〇一というのはこれは疑義ありと、その精神に合わないということで主張しておられるというふうに理解してよろしいわけですね。今うなずいていらっしゃるからそういうことで。
 それで、アメリカ政府は議会との間でWTO裁定審査委員会法案への支持を表明したと伝えられておりますが、USTRのレビューによりますと、法案では、WTO裁定が米国に不利かどうかを審査して、不利の判断が出るたびに再交渉を求める決議ができるとしています。批准前からアメリカでは再交渉する立場で法案を検討されているわけでありますが、アメリカは、スーパー三〇一条がWTO協定に違反しないとこれまでから主張してきた上に、スーパー三〇一条による制裁などがWTOのパネルで是正せよと勧告を受けたときに、不利だという判断を出してWTO協定そのものの再交渉を求めていく、こういう立場を明らかにしてきているわけです。これでは日本政府の言っているWTOでの紛争解決はできるという立場が成り立たないことになってしまうのじゃないでしょうか。この点はどうでしょうか。
#294
○原口政府委員 今御指摘のドールとクリントンの間の了解事項でございますが、これは、立法措置によって設立される予定のWTO紛争解決検討委員会というものがございまして、主にWTOにおける紛争解決にかかわる小委員会等、これはパネルでございますね、パネル等がその権限を越えて行動していないかどうかというようなことを検討するために設けられたメカニズムでございまして、脱退を前提としてそのための手続を定めたものではないと承知しております。
 なお、カンター通商代表は、議会がWTOから脱退すべき旨の決議を行っても大統領がこれを拒否することは可能であるというふうに述べております。
#295
○吉井委員 時間が参りましたので締めくくらせていただきますが、アメリカは、再交渉だけでなく、審査委員会で不当とされた判断が五年間で三回に上れば、大統領にWTOからの脱退を求める決議を採択することもWTO裁定審査委員会法案に盛り込んでおりますし、既にWTO協定国内実施法の中で、五年ごとに議会がWTOを脱退するかどうか表決するという条項も入れております。こういう中で、スーパー三〇一条を使ったおどし、二国間協議に追い込んで屈服させようとするこのアメリカの経済覇権主義のやり方を抑えられるということにはならないと思うわけであります。
 私は、このWTO協定というのが、こうしたアメリカの経済覇権主義を抑えられないという点でも、また貿易立国論で大企業や多国籍企業の利益のために、米はもとより革靴、皮革、繊維など中小企業、地場産業の犠牲を強いるようなこういうものについては、これは批准するべきではないという立場を明らかにして、質問を終わりたいと思います。
#296
○佐藤委員長 吉井君の質疑は終了いたしました。
 次回は、明三十日水曜日午前九時三十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時六分散会
     ――――◇―――――
  〔本号(その一)参照〕
   派遣委員の福島県における意見聴取に
   関する記録
一、期日
   平成六年十一月二十八日(月)
二、場所
   ウェディング エルティ
三、意見を聴取した問題
   世界貿易機関を設立するマラケシュ協定締
   結について承認を求めるの件、著作権法及
   び万国著作権条約の実施に伴う著作権法の
   特例に関する法律の一部を改正する法律案
   (内閣提出)、加工原料乳生産者補給金等
   暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣
   提出)、繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価
   格安定事業団法の一部を改正する法律案(
   内閣提出)、農産物価格安定法の一部を改
   正する法律案(内閣提出)、特許法等の一
   部を改正する法律案(内閣提出)、関税定
   率法等の一部を改正する法律案(内閣提出
   )及び主要食糧の需給及び価格の安定に関
   する法律案(内閣提出)について
四、出席者
 (1) 派遣委員
   座長 中川 昭一君
      赤城 徳彦君    栗原 博久君
      今津  寛君    千葉 国男君
      仲村 正治君    日笠 勝之君
      辻  一彦君    永井 哲男君
      藤田 スミ君
 (2) 現地参加委員
      田中 直紀君    木幡 弘道君
      坂本 剛二君
 (3) 現地参加議員
      斎藤 文昭君    金子徳之介君
      増子 輝彦君
 (4) 政府側出席者
        外務大臣官房外
        務参事官    西田 芳弘君
        外務省経済局開
        発途上地域課長 鈴木 敏郎君
        大蔵省関税局企
        画課長     藤倉 基晴君
        文部大臣官房総
        務課長     御手洗 康君
        文化庁文化部著
        作権課長    梶野 愼一君
        農林水産大臣官
        房参事官    川口 將志君
        食糧庁次長   永田 秀治君
        特許庁総務部総
        務課長     石丸 雍二君
 (5) 意見陳述者
        福島県農業協同
        組合中央会専務
        理事      安田 壽男君
        農     業 西  一信君
        福島県飯舘村村
        長       斉藤 長見君
        福島県農民運動
        連合会副会長  佐々木健三君
     ――――◇―――――
    正午開議
#297
○中川座長 これより会議を開きます。
 私は、衆議院世界貿易機関設立協定等に関する特別委員会派遣委員団団長の中川昭一でございます。
 私がこの会議の座長を務めますので、よろしくお願いいたします。
 この際、派遣委員を代表いたしまして一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様御承知のとおり、本委員会におきましては、世界貿易機関設立協定及び関連諸法案の審査を行っているところであります。
 当委員会といたしましては、各案件の審査に当たり、国民各界各層の皆様から御意見を聴取するため、御当地におきましてこのような会議を催しているところであります。
 御意見をお述べいただく方々には、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。忌憚のない御意見をお述べいただくようお願い申し上げます。
 それではまず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。
 会議の議事は、すべて衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長である私が行うことといたします。発言される方は、その都度座長の許可を得て発言していただきたいと存じます。
 なお、この会議におきましては、御意見をお述べいただく方々は、委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。
 次に、議事の順序につきまして申し上げます。
 最初に、意見陳述者の皆様から御意見をそれぞれ十五分程度お述べいただきました後、委員より質疑を行うことになっておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。
 出席委員は、自由民主党の赤城徳彦君、栗原博久君、改革の日笠勝之君、今津寛君、千葉国男君、仲村正治君、日本社会党・護憲民主連合の辻一彦君、永井哲男君、日本共産党の藤田スミ君、以上でございます。
 なお、現地参加委員として、田中直紀君、木幡弘道君、坂本剛二君、また、現地参加議員として、斎藤文昭君、金子徳之介君、増子輝彦君が出席されております。
 次に、各界を代表して御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。
 福島県農業協同組合中央会専務理事安田壽男君、農業西一信君、福島県飯舘村村長斉藤長見君、福島県農民運動連合会副会長佐々木健三君、以上の方々でございます。
 それでは、安田壽男君から御意見をお願いいたします。
#298
○安田壽男君 JA福島中央会の安田でございます。
 実は、本日の出席につきまして御連絡をいただきましたときに、私並びに私どもの団体は、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意の受諾は、日本農業を守る立場からももちろんでありますが、全地球的立場からも誤りである、こういう判断をしているものでありまして、与党の御推薦によりまして意見を申し上げることはいかがなものか、こういうことで御連絡申し上げましたところ、ただいま座長のごあいさつにもございましたように、率直な意見を述べてよろしい、こういう御返事をいただいたということで、本日は農業者並びに生産者団体の立場から考えを申し述べさせていただきたいと存じます。
 初めに、基本的な考え方でありますが、ただいま申し上げましたように、農業合意の受け入れは誤りである、したがって、これを包括するWTO設立協定は批准されるべきでないと考えているところであります。しかしながら、国際信義上これが許されないとするものでありますならば、万全な国内対策を行うとともに、速やかに輸出、輸入両者の立場が対等となるような農産物貿易ルールの設定に向けてお取り組みをいただきたい、このようにお願いを冒頭申し上げるものでございます。
 御承知いただいておりますように、日本の農業は、単に食糧としての農産物だけを生産しているのではない、国土の保全あるいは自然環境、景観の形成、さらには洪水調整機能、地下水の涵養など多面的かつ不可欠な役割を担っておりますことは御承知のとおりであります。
 また、私たち日本人の心も体も、日本の気候、風土、農業によって培われてきたものでありまして、言いかえますと、日本でとれた食べ物によって育ちはぐくまれてきたからこそ日本人だと言うことができるのではないかと思っているところであります。
 ところが、我が国の農業は、輸出産業重視と申しますか、国内農業政策軽視と申しますか、食糧の輸入は年々増加し続け、国内自給率は先進諸国の中ではまさに異例ともいうべき水準にまで低下し、私ども日本人の胃袋の半分以上が輸入によって満たされている、御承知のとおりの現状であります。
 こうした中で、昨年十二月、政府はガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉の受け入れを決定いたしましたが、世界各国の異なった生産条件を無視し、農産物貿易ルールの原則関税化をすることにつきましては、日本の農業者の立場から決して許すことができない、このように受けとめているところでございます。
 関税化は、各国の生産条件にかかわりなく競争を基本原則として、農産物市場の自由化を招来するものでありまして、生産条件の劣った国の農業を崩壊する危険性を大きくはらんでいると申さなければなりません。
 経済効率性が優先される工業製品の貿易ルールを農産物の貿易ルールとすることには強く疑問を抱かざるを得ません。さらに、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意の内容は、農産物の輸出国と輸入国の公平さが保たれていない、こういう疑念もございます。
 特に、米につきましては、関税化の例外を確保したとはいいながら、その代償として国内の米需給動向に関係なくミニマムアクセスというものによって莫大な量の輸入の義務が課せられており、ことしの豊作がその矛盾を一層顕在化させて、合意の誤りを証明したものではないか、このように受けとめているところであります。
 あえて付言いたしますと、合意を受け入れざるを得なかったにせよ、韓国がとりました最終段階での交渉、受け入れ後の国民に対する明らかな政治責任のとり方、さらには事後対策の実現性を可能ならしめる財政措置の明確化など、我が国のとった措置と比較して余りにも大きな差があったことについて指摘せざるを得ないのであります。
 さらに、各国の農業が多様な条件のもとで存立している事情を踏まえますと、各国が自国農業の維持発展を可能とする平等かつ公平な新たな農産物貿易ルールの確立に向け、早急な我が国政府の取り組みを願ってやまない次第であります。
 世界の食糧、人口、環境問題について一言申し上げたいと存じます。
 地球規模で食糧、人口、そして地球環境問題を考えました場合、人口の増加率が食糧生産の増加率を上回り、二〇二〇年ごろには食糧の絶対量が不足するとの予測も出されております。市場競争にさらすことによりまして特定国の特定地域に農業生産が偏り、農地、国土の荒廃をもたらすことになりかねず、現状でさえ偏在しております食糧消費を、質、量両面からこれを拡大させ、結果として地球環境の破壊を進め、飢餓人口を増大させ、地球の平和を脅かすことになりかねはしないかと深く憂慮するものであります。
 したがいまして、世界各国、とりわけ先進諸国におきましては、それぞれの国の責任においてみずからの国の食糧生産資源を最大に活用し、持続可能な農業の発展を図り、国内自給を基礎とした食糧供給の安全保障を確保していくことは各国共通の責務であると考えているところでございます。
 今回のWTO設立協定は、農業分野という一部条項の受諾の諾否を選択できない、いわゆる一括受諾方式であると聞き及んでおります。このような点から、我が国においてはもちろんでございますが、アメリカ、ECなど関係諸国におきましても、慎重な検討とあわせて国内対策についても考慮されていると聞き及んでいるところでございますが、このことは、本協定が、我が国のみならず関係各国におきましても必ずしも万全の合意がされていないというようにも受けとめているところでございます。このような各国情勢を十分に把握されまして、慎重な対処をお願いしてやまないところでございます。
 特に、農業合意につきまして、若干の疑問点をさらに申し上げたいと存じます。
 御承知のとおり、昨年十二月のガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意を決断いたしましたときに、政府は、影響を最小限に食いとめ、農業者の不安を払拭し、安んじて営農にいそしむことができるよう万全の対策を講ずると農業者、国民に約束をいただいたと受けとめております。
 しかし、その後、農政審議会等における審議、報告を受けて、緊急農業農村対策本部でウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策大綱が決定され、総事業費六兆百億円の関連対策に係る事業実施の枠が明らかにされました。ただいま開かれております国会審議の中で、これまでの農林予算に別枠で上乗せするのではなく従来予算に支障を来さないよう活用していくことだとか、従来の農林予算に対するめり込み予算になるようなことがあってはならないと、閣僚の中でも答弁に食い違いがあるとの報道がございます。
 私どもは、この対策は、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意受け入れという新たな事態に対処する施策であり、別枠のものである、このように理解、認識をしているところでありまして、この点についての明確化をお願いしたいと存じます。
 審議経過と関連対策大綱について率直にあえてつけ加えさせていただきます。
 農業者が、そこまで国がやってくれるんならおれたちも頑張るぞというふうに受けとめられている現状ではないというふうに申し上げなければならないのであります。もちろん、具体的施策が明らかになっていない、総枠のみの段階でこのような批判めいた発言は軽率とは存じますが、まず、総枠の取り扱いにつきまして、従来の農林予算との関係がどうなっているのか、明示をお願いしたいと思っております。
 農地流動化対策、新規就農者対策などの強化はもちろん不可欠でありますが、特に農家負債対策につきましては、低利融資という取り扱いだけではなくて、構造的不況産業対策として、施設、土地等を含めた負債総額による買い取り的救済対策を望んでやみません。特に、影響の大きく出ます中山間地対策につきましては万全のものといたしませんと、ここから我が国の農業が崩壊することになるのみならず、地域社会の崩壊、そして日本人の心の荒廃をももたらしかねない、銃を持ってみずからの家庭を守らなければならないようなことになりかねないのではないかと深く懸念するものでございます。
 新食糧法の関係についてでございますが、計画制度の運用に当たりましては、国内産米の需給に影響を与えないとするミニマムアクセスの具体的取り扱いを明らかにしていただきたいと存じます。
 また、生産調整につきましては、生産者の選択制によって有効な成果が上げられるよう助成金の体系、水準の確保を図るとともに、生産者団体以外の登録出荷業者の担うべき役割を明確化し、行政、生産者団体が一体となって取り組むよう配慮いただきたいと存じております。
 また、備蓄につきましては、百五十万トンから二百万トン水準の確保について国が責任を持ち、民間が必要上分担しなければならない場合には、これに対する適正かつ有効な援助・支援対策をお願いしたいと考えております。
 計画流通米の確保対策につきましては、新しい制度の基本でありますから、米の生産、流通の大宗となるよう助成措置を図ることにつきましては、生産調整の実効を上げることとあわせて欠くことのできないものだと受けとめているところでありまして、十分な措置を願ってやまないところであります。
 また、価格形成につきましては、政府買い入れ価格が米価全体の下支えとして再生産が確保される観点から定められるべきものでありますし、自主流通米の価格形成につきましても、単純な市場原理にゆだねれば大幅な価格変動は避けられない、生産、供給の安定を崩すことになりますので、この点、十分な御配慮をいただきたい。同時に、外国産米の取り扱いにつきましては、消費者に対する安全性の確保など的確な情報を提供するための表示制度などの強化が必要であると考えているところであります。
 最後に、個別品目対策についてでございますが、輸入農産物と対抗するためには、生産者は競争力の強化に不断の取り組みを行っておりますが、努力にも限界があると言わざるを得ません。今回、米以外の各品目につきまして、既に自由化されている品目についてはさらなる関税の引き下げ、そして、乳製品、でん粉等に対する関税化の導入など、その存立条件は一層厳しいものとなっております。
 個別品目の対策につきましては、各作目別の経営が確立できるよう価格の安定と需給調整対策の拡充強化、環境負荷の軽減、加工・流通施設の集約合理化、技術の確立と普及など作目の特性に応じた多様な対策が各般にわたり講じられるべきものと考えております。
 特に、畜産、酪農につきましては、自給率の維持向上に向けた生産目標の明確化、経営安定を図る政策価格の中長期的安定と、担い手の育成を図る経営継承対策、生乳の計画生産を円滑に進める支援措置、生産性を向上させる基盤強化対策が重要であります。関連対策大綱に織り込まれた項目につきましては十分に私どもも活用してまいりたい、このように受けとめているところでございます。
 また、今回の法改正に関しまして、事業団が輸入するカレントアクセスの乳製品につきましては国内生産に影響を及ぼさないよう適切な管理運営を行うと承っておりますが、生産者並びに生産者団体の意向を十分踏まえた政策展開を願ってやまないところであります。
 以上、本県農業の実情を踏まえまして私見を申し述べさせていただきましたが、牛肉の自由化は外国産とは質的に違う日本の和牛には影響がないと言われておりましたけれども、それはわずか二年程度で乳雄肥育農家に決定的な打撃を与えたにとどまらず、豚、ブロイラー等ほかの肉畜経営にも大変な影響を与えております。また、乳雄子牛の価格下落によりまして酪農にも決定的な影響を与えている現況を指摘しないわけにはまいりません。
 本県は全国有数の養蚕県でございますけれども、養蚕経営については滅亡寸前にある、このように申し上げなければならないところであります。
 最後になりましたが、日本農業再建に向けて、私どもも懸命の努力をいたしますが、国政の観点からなお一層の御配慮をいただきますようお願い申し上げまして、私の意見陳述を終わらさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
#299
○中川座長 ありがとうございました。
 次に、西一信君にお願いいたします。
#300
○西一信君 ただいま御紹介をいただきました西でございます。国の大先生方の前で緊張していますが、農業についてはプロでございますので、話は下手でございますが、農家の本当の姿を話してみたいと思います。
 私は、本県の浜通りの北部にあります鹿島町で水稲を中心にした農業経営をしています。経営概況は、水稲十一ヘクタール、うち借地七ヘクタール、それに農機具の有効利用を図るために春の作業受託など十五ヘクタール、秋の収穫作業二十ヘクタール、調整作業が三十五ヘクタール程度、また、そのほかに畑が一ヘクタール、冬期間はハウス利用のシイタケ八千本と、一年を通して働ける複合経営をやっています。
 私は常に、農業の使命は、安全な食糧を消費者に安定して供給し、またそれに見合う妥当な価格で提供することと考えています。基本的には、我が国の食糧はできる限り国内で生産し、履歴のわかる農産物を生産すべきと思います。
 先日、ある新聞の投書欄に七十三歳の方から次のようなことがありました。
  ようやく食管改革論議に火がついた。国家管理制度を解くのはコメを壊滅に導くとの声もあるが、食管法ができたころはどうだったのか。戦争のために働き手がなく、若者は戦地に駆りだされ農地を守る者は老人と子供。そのために食糧が極度に不足し、国が低米価と強権集荷でコメを巻きあげるためにつくった法である。また戦後は民主化のあらしが吹く中で米価は米審によって決められ、農家においては本当の作る自由、売る自由を制約してきた。昔からよく、「農家は生かさず殺さず、また百姓と油は搾れば搾るほど出る」と言われた収奪の対象を農業に置いた時代はもう終わった。新農政も面積を拡大すれば成り立つなどとは夢物語だ。もはや日本の農業は要らないのか。
という投書があり、つくづく感じさせられました。
 私も二十数年農業をやってきましたが、いつも農業は過保護だのと言われてきたように思います。しかし、本当にそうだったのかと思うと、違うように思われます。
 ある補助事業では、使いもしない農機具をセットだからといって買わされたり、またその地域の条件や気象を考慮しないで建物ばかりに金をつぎ込んだり、全く不思議でなりません。私の部落でも集会所を建て直そうと考えた結果、集団転作を実施すれば補助金が出る制度があることを知りました。おかげで集会所は新しくなり、部落の方々も本当に喜んでいます。
 しかし、その転作を任された人たちは、年々ふえる減反の指示で、最高は二五%にも達しました。そのころ、以前は共同作業でも小面積は消化できたのですが、先ほど話しましたように、二十ヘクタールの転作になりますとだれもが参加が不可能になってきましたので、補助事業で汎用コンバインを導入し、大豆と麦のブロックローテーションを計画し実施いたしました。ところが、大豆、麦ともに食糧事務所での検査は通らず、大部分が規格外で売り物にならず、安値で売りました。労働賃金も機械代も出なくなり、数年で解散しました。このような事例は全国では数多く見られるはずです。農水省でも、監査をするだけでなく、その原因などもよく調査すればわかるはずです。
 また、私の町は全国でも有数の養蚕の町でした。最盛期には上繭が一キログラムで肥料が六十キロ購入でき、繭増産の意欲が向上したが、通産省と農水省の繭と生糸の輸入規格の違いによりプレス繭の輸入が増大し、また中古織物機械の大量輸出により絹製品の輸入も増大した。このようなことから繭の価格が低迷し、また生産資材の高騰により養蚕に対する意欲が低下した。これに加えて、養蚕農家の後継者不足による労働力の高齢化で養蚕離れが加速された。現在の繭の生産費が一キロ当たり三千円ぐらいかかるが、繭一キログラム価格が保証価格で千五百三十円であるそうです。意欲を高めるには一キログラム最低二千五百円が必要とのことです。
 また、私の隣接の市町村では畜産が盛んに行われているようです。しかも大部分が補助事業だそうです。しかし、現在の牛や豚の価格を見ますと全く大変なようです。これも豚肉や牛肉の輸入が原因だと思います。このようなことも全国に共通すると思います。
 先の見えない農業に嫌気が差しても、やめることもできないような状態です。十年後、二十年後の農業を考えての補助事業と思いますが、机上論では成り立ちません。役人は責任をとりますか、とるのは皆農家です。野菜づくり、花づくりも同様だそうです。価格には上限があり下限はないと言われています。新聞やマスコミで報道されている方々は全国の農業者の中の数%にしかすぎないと思います。大部分の農業者は現在岐路に立たされているのが本当の姿と思われます。
 私の町では、この十年間で兼業化が一段と進み、専業が三部落で二戸、一種兼業が五年前の半分の一部落五戸で、専業、第一種兼業が減少し二種兼業が増加しました。これに伴い新規就農者は三年に一名となり、厳しい状況になっています。この上、輸入増大により価格の低下、生産の縮小を余儀なくされたとすれば、農業は大きな打撃を受けることは明らかです。
 米の生産調整についてですが、このことについては、私が農業に就労したときは開田が盛んに行われまして、私の部落でも二割ぐらいはふえたように記憶しています。しかし、昭和四十六年から減反政策が始まりました。それから二十数年、現在まで私たちは政府の指示どおり実施してきました。この間、私は借地を中心に規模拡大し、あわせて機械、施設をグレードアップし現在に至っています。しかし、昨年のような大冷害に見舞われますと、共済制度はありますが、収穫は皆無であったとしても七〇%であり、小作料を支払えば残ったものは生産費に不足するありさまです。農業にとって規模拡大が即経営改善につながる条件整備がまだ整っていないと考えています。転作もあり、四年を三年間の収穫で生活するような状態です。
 そしてまた、政府の転作の指示のおくれは全く残念です。農家は種もみの準備を、刈り取る前に計画を立てます。収穫が終わってからの指示とは、農水省のプロの仕事とは思われません。
 また、米価につきましても、現在の政府米の価格は昭和五十年前半の水準にあります。つまり、十七、八年間は据え置きと同じです。その間、肥料、農薬、農機具などは三から四倍に値上がりしています。規模拡大による生産性の向上、経営改善の効果はないに等しいと思われます。私も十数年青色申告をやっていますが、現在の総収入は十年前と同じです。
 また、水田というものは、皆さん方も御承知と思いますが、環境の浄化、ダムの効果、国土の保全など多目的な役割を果たしていると思います。このような仕事を国がやるとすれば数十兆円かかるのではないでしょうか。農業者はこの仕事を続けてきたのです。
 また、私たちの生産性の向上に大きなウエートを占めているのが土地改良事業だと思います。私たちの町でも九〇%ほど完成しております。現在やっている県営圃場整備は十数年を経過してきましたが、ようやく完成にこぎつけました。この間、土地の価格の変化もあり、全く大きな事業でした。また工事費も、ここ数年は消費税も加わり高騰の連続でした。この事業の償還金が十アールで約四十五万円で、現在はピークで、十アール当たり二万円以上の支払いをしています。この支払う期間も親子二代から三代も続くようです。このことがありまして農地の流動化も進まなくなりました。ちなみに、我が町の小作料は十アール最高三万円です。このようなことからして、今後の対策だけでなく、以前の事業にも土地改良負担金対策をお願いしたいと思います。
 したがいまして、今後の米政策を考える場合、農業者による生産性の向上が経営の向上につながり、さらに規模拡大できるような生産基盤の充実支援をお願いしたいと思います。また、中身は建物、機械などへの補助または全額利子補給などであります。
 また、今回米の需給調整に備蓄を位置づけされておりますが、昨年の米騒動の反省からも当然の措置と思います。しかしながら、現在新聞などでの百五十万トンから二百万トンという考え方は、消費者対策上ほぼ有効な水準に近いとは思いますが、生産者対策からは疑問が残ります。
 と申しますのは、本年は豊作により、既に新聞紙上によりますと、来年度は減反面積が十三万ヘクタール上乗せは必至だ、これを実施しないと米価は大幅にダウンするだろうとの記事がありました。ことし、私の町でも、国、県よりの強い要請があり、町単独で数百万円の予算化を図り復田を実施しました。来年も活性化対策で据え置きの計画ではなかったのか。減反が強化されるとは経費のむだ遣いであり、猫の目農政も甚だしい限りであります。
 次に、日本の農業の将来を担う後継者対策ですが、私は常に、楽しくなければ農業でない、今一番やりがいがある職業は農業であると信じ、それを実践し後継者育成に努力してきました。幸い県や市町村の援助により毎年海外に研修生を派遣して、現在では県全体では八百名を超しました。私たちの町でも三十名近くになっており、我が町の農業の原動力になっております。
 先日、きょうのこのことのために私のうちに十数人集まっていただき、日本の農業をどうするかを話し合ってきましたので聞いていただき、これを実現するよう努力を期待したいと思います。
 鹿島町の若い農業者の話、世界の農業者が共存するために、国への提言ということで、一、規模拡大の条件として、土地基盤整備の計画を早くする、土地改良は国庫負担でやる、五年後、十年後の農業を考えて計画する、土地の貸借関係を大事にする、長期的な展望に立って計画する、消費者米価が生産者米価の二・五倍になる不思議の解決。二番目として、農産物は工業製品とは全く違うものである、自然には逆らうことは無理である。三番目に、世界の人口の増加をどのように考えているのか。四番目として、米のミニマムアクセス導入による転作の強化はしない約束はどう理解すればよいのか。五番、食管制廃止による米管理システムはだれがやるのか、備蓄の場所はどこにすればいいのか。六番、コスト低減のために肥料、農薬、農業機械導入の補助金を考えてはどうか。七番、サラリーマンと同じような生活をするためには国家的な農産物の価格補償を考えてはどうか、例えばカナダの農家所得安定制度などを見習ってはどうか。八番、厚生年金並みのような制度の確立など、まだまだたくさんありましたが、このくらいにしたいと思います。
 今まで述べた事柄が実現し、また国が企画したものが絵にかいたぼたもちにならなければよいと願い、また、農業者に不安を与えない施策の実現がなければ容認は考慮したいと思います。
 以上が本日述べたい点でありますが、最後に、将来の日本の農業振興を考えるとき、今ならまだ遅くはありません、農業者が将来の経営に希望の持てるよう、国の需給計画が明確で、再生産とある程度の所得補償を可能とする価格政策、さらに若い農業者の就農対策がとられるならば、私は必ず農業は活性化すると信じています。
 私のような者にこのような場所を与えていただき、心から感謝申し上げます。(拍手)
#301
○中川座長 ありがとうございました。
 次に、斉藤長見君にお願いいたします。
#302
○斉藤長見君 相馬郡飯舘村長の斉藤でございます。
 きょうは、衆議院世界貿易機関設立協定等に関する特別委員会の福島地方公聴会におきまして意見を発表する機会を与えていただきまして、心から感謝を申し上げます。
 さて、私の住んでいる飯舘村は、浜通り地方に属するのでございますが、阿武隈山系の北部に位置しておりまして、高原地帯であります。広大な丘陵地帯が広がっておりまして、標高二百二十メートルから六百メートル、平均して四百五十メートルの地帯に生活基盤を持つ山間農業地帯であります。また気候は、夏は涼しいのでございますが、冬は大変厳しくて零下二十度くらいまでに下がるときがたまたまございます。
 平成二年の市町村民所得推計によりますと、農業は村総額の一九%を占める村の基幹産業でございまして、米、畜産、葉たばこ、野菜を主要作物としておりまして、近年、冷害との闘いの中で、パイプハウスの設置によるホウレンソウ等の野菜、トルコギキョウ等の花卉栽培や肉用牛の生産振興に努めているところであります。
 しかしながら、当地方特有の夏の期間の「やませ」でございますが、たびたび冷害をもたらしまして、最近では昭和五十五年と平成五年に大冷害が、そしてまた六十三年、平成三年にも冷害が発生しているところであります。昭和五十五年と平成五年の水稲の十アール当たりの収穫量は、それぞれ三十七キロ、十八キロとほとんど皆無でございまして、農家の自家用飯米確保にも事欠く状況であります。昨年の冷害に際しましては、被災米作農家の自家用飯米確保対策を講じてまいりましたし、昨年十一月からことしの十月までの一年間に二百三十トンの飯米を供給したところであります。
 一方、ことしは、年当初におきましては二年連続の冷害が懸念されたことから、関係機関、団体が一体となりまして稲作の基本技術の徹底に努めてまいりましたが、幸い後半の気象に恵まれまして、県全体では十月十五日現在の作況指数一一一の良となっております。史上最高の十アール当たり収穫量が見込まれておりまして、農業を基本とする村経済も順調に推移しているところでございまして、喜んでいるところであります。
 「天災は忘れたころにやってくる」と言われておりますが、ただいま申しましたように災害が頻繁に発生いたしますと、「天災は忘れないうちにやってくる」と言わざるを得ない状況であります。近年の稲作生産の変動は極めて大きいものがございます。
 政府は、米穀の生産、流通、消費をめぐる諸情勢の変化に伴いまして、現行の食糧管理制度がその機能を十分に発揮することができないとの国民世論、さらには、新たな国際的規律への対応から、さきに農政審議会が取りまとめました「新たな国際環境に対応した農政の展開方向」に即しまして、今後とも米穀の需給及び価格の安定を基本に、生産者の自主性を生かした稲作生産の体質の強化、市場原理の導入や規制緩和を通じた流通の合理化などが図られるよう、食糧管理法の廃止と新たな制度の構築のため法律案を出されたところであります。
 その中で、昨年の未曾有の冷害を踏まえまして、米の安定供給体制を確立するため、新たに備蓄を法制度化しまして需給調整機能を果たすこととしております。新聞等によりますと、その運用幅は百五十万トンを基本に幅を持って運用するとのことでございますが、本年の豊作、さらには消費量の減退から、既に平成八年米穀年度において国内生産のみで二百一万トンから二百二十一万トンの持ち越し在庫が生じるとの試算があるなど、米をめぐる需給環境は予断を許さない状況にあると思います。
 さらに、米の政府買い入れ価格につきましては、自主流通米価格の動向等を反映させて、生産条件等を参酌し、再生産の確保を旨として定めるとしておりますが、このような持ち越し在庫量を踏まえますと、政府買い入れ価格は決して農業者の意向に即したものとなるとは言いがたい状況にあると考えております。
 このような状況から、新たな食糧管理制度におきましては、主食である米はいかなる事態があっても国民に安定して供給できる体制を確立することはもとよりでございますが、当地域で最も懸念しております政府買い入れ価格の決定に当たりましては、米価の下支え機能として位置づけ、米の再生産が確保される価格として、今後とも農業者が稲作に安んじて生産できるように特段の配慮が必要であると考えております。
 新聞報道によりますと、米の需給動向から明年度の生産調整が強化されるとのことでありますが、短期的な米の需給調整を主眼に生産調整の緩和、強化が行われるとすれば、農家の営農展望が描けないばかりか、強い農政不信を招くだけではないかと考えております。したがいまして、新たな法制度のもとで実施される生産調整につきましては、転作等目標面積の強化を行わないこと、また実施に当たりましては、生産調整の実効性を確保するために助成補助金を増額する必要があると考えております。また、収益性の高い転作作物の定着が難しい中山間地域の特殊性にも配慮をした生産調整の実施についても御検討いただくようにお願いを申し上げます。
 次に、中山間地域対策についてでありますが、我が村は、冒頭にも申し上げましたとおり山間地域に属しておりまして、いわゆる特定農山村法に基づく特定農山村地域に指定をされております。昭和五十一年の過疎地域の指定以来、過疎地域振興計画に基づき、おくれていた社会資本の整備や生活環境の充実のため、幹線道路網、公共施設の設備に努めてまいりました。
 公共施設の整備につきましては、村の第三次総合振興計画の大事業であるセンター地区構想の実現を図るため、役場新庁舎の建設、運動施設及び運動公園、宅地分譲地の整備等、一定程度の整備を図ってまいりました。
 また、基幹産業である農林業の振興に当たりましては、水田の圃場整備、畜産の振興のための生産基盤の整備に努める一方、冷涼な気候を活用したホウレンソウの栽培、さらには本村農業の柱である飯舘牛のブランド化を図るために飯舘ミートバンクを設立するなど、つくる農業から売る農業への転換を積極的に推進し、高次元農業の展開を積極的に推進してきたところであります。
 さらに、ミートバンク事業の実施、そして「山がっこう教室」あるいは体験実習館「きこり」の設置等によりまして都市と農村との新しい交流が始まっておりますが、今後ともこうした交流をさらに発展させ、単に村民のみの農業ではなくて、広く村外に開かれた農業の創造に努めてまいる考えであります。
 また、地域の活性化を図るためには人材の育成が極めて重要であることは今さら申し上げるまでもございませんが、本村においては婦人の果たす役割の重要さに着目いたしまして、平成元年以来、「若妻の翼」と称しまして海外研修等実施してまいりました。
 これらの施策が功を奏しまして、徐々にではありますが地域の活性化が図られつつあるものの、平成六年十月末現在、六十五歳以上の高齢者人口が一八%を超えてまいりました。今後とも高齢化が一層進行するとともに、近年の幼齢人口の減少は、農業生産の停滞はもとより、地域の維持発展に極めて重要な支障を及ぼすものと懸念をしております。
 したがいまして、このたびのウルグアイ・ラウンド農業合意の影響を最も強く受けることが懸念されます中山間地域対策の実施に当たりましては、平たん地域に比べ事業費がかさみ、専業主体並びに村の財政状況に配慮した生産基盤の整備、さらには都市に比べておくれている生活環境の重点的整備による定住条件の整備を積極的に行うとともに、関係省庁が一体となって、当該地域に対するアクセス条件の改善、医療・福祉水準の向上のための社会資本の重点的配分、さらには本村が実施しているような地域の活性化のための自主的な活動に対しまして国の強力な支援が不可欠でありますので、今後の施策の実施に当たりましては格別の御配慮をお願いいたしたいと考えております。
 以上、村の抱える課題を含め意見を述べさせていただきました。今後とも村の発展に向け全力を尽くしてまいりますが、国の御支援が不可欠でございますので、委員の皆様には抜本的な施策の実施に御尽力くださいますようお願い申し上げまして、終わりにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
#303
○中川座長 ありがとうございました。
 次に、佐々木健三君にお願いいたします。
#304
○佐々木健三君 このたびの地方公聴会に当たり、私は全国のガット批准阻止、日本の農業と米を守れという大きな声を背に受けまして、意見を述べさせていただきます。
 村山内閣が、三度にわたる国会決議、「米の完全自給」、「安全保障体制としての食糧自給力の強化」に反し、米を初めすべての農産物を自由化することは、我が国国民の生命を他国に牛耳られることになりかねず、農業のみならず、農村、国土の荒廃をもたらすものであります。決して認めることはできません。実はこれは、現在の農水大臣大河原太一郎氏が発議者として読み上げた前農水大臣への問責決議案の骨子です。私たち多くの農民は、今日、現在でもこの問責決議案の気持ちでいっぱいでございます。
 では、何ゆえにこの意思を投げ捨て、受け入れを提案する当事者に身を翻したのでしょうか。政治家としては大変恥ずかしいことではないかと思います。その弁明たるや、さきの国会の答弁を聞いておりますと、外交の継続によるものとして合理化をされようとしています。しかし、国の政治はその国の主権者たる国民を守ってこそその使命であって、断腸の思いや苦渋の選択などという言葉で葬り去られては迷惑千万でございます。公約も政治家としての信念もそのときどきの状況によって簡単に投げ捨てられる今日の政治は必ず国民の厳しい審判を受けるであろうし、直ちに国民に信を問うてこそ政治の本道だと考えております。
 前置きが長くなりましたが、私はこの福島市の西在で、両親、妻、息子と酪農を経営しております。酪農は、御存じのように、牛肉・オレンジの自由化によって大変大きな影響を受けております。今日、残されていた乳製品の自由化によって壊滅的な状況になろうとしています。
 牛肉の自由化を前にして、私たち畜産農家は自由化の反対運動を繰り広げてまいったわけですが、これらの抗議の中、共産党以外のすべての政党の賛成で自由化が行われました。その審議の過程で、自由化をしても生産者の皆さんには万全の事後対策をして、決して泣かすようなことはしないと繰り返し言われておりました。しかし、現在は、結果はどうだったでしょうか。これらの事後対策は物の見事に裏切られました。一番最初に打撃を受けたのが酪農でございます。副産物のぬれ子がもうただ同然になったり、あるいは廃用牛がこれまたお金を出して持っていってもらうようになったり、主産地の北海道なんかでは捨て子でなくて捨て牛という言葉も生まれるぐらいの状況であります。大きな経営になればなるほどその目減りは大きくて、数百万円単位の減収が当たり前になっている現状であります。
 また、肉牛生産者の方々も、良質の高級肉をつくっていれば生き残れるというふうに自信を持っていましたが、それも今日では和牛子牛の下落、和牛肉の下落がはっきりとあらわれています。そのために、事業団が子牛の価格制度を実施しておりますが、これらも、ふえ続ける給付金のために財政的にはパンク状態、生産者の負担も増加しております。生産者の中には、これらがいつまで継続されるのか、大変不安になっております。つまり、これから申し上げますガット・ウルグアイ・ラウンドの受け入れ、自由化というものがどんなものであるかということをこの牛肉の自由化が先駆けて証明いたしております。
 先ごろ、私の息子が結婚いたしまして、新婚旅行にニュージーランドに行ってまいりました。国土は日本よりも小さいのですが、人口は三百万、福島県と隣の仙台市を合わせたぐらいの人口でございます。また、同じ時期に、安田専務のいらっしゃる二本松農協の役員の方々がオーストラリアに視察に行かれまして、一千町歩の単位の米づくりを目の当たりにしまして、とてもこれでは勝負にならないなという話が語られております。
 そもそも農業はその国の風土と環境、歴史や人間の営みによって発展したもので、全く国境措置をなくした場合には一気に破壊されてしまうことは歴史が証明していると思います。日本には日本の農業があってしかるべきであり、大企業はより多くの利潤を求めるために海外に進出し、国内では産業の空洞化を生み、自国の労働者を路頭に迷わせながらも生き延びることができます。しかし、農業は生産を海外にゆだねるとなれば、多くの論をまつまでもなくて、農地は荒れ、国土は荒廃し、美しい日本の自然は大きく破壊されることになります。とりわけ中山間地は極めて深刻な状況になると思います。今日までこれらの環境を守り、大きな役割を果たしてきたのが日本の米づくりであります。
 新農政では、十ヘクタールの規模の農家を、経営体と言っておりますが、五万戸つくると言っています。しかし、既に酪農の問題でもわかるとおり、規模拡大万能ではないのです。兼業農家、結構ではないでしょうか。それこそ高齢化社会の中で、高齢者と若者が協力し合って地域の農業を守ることこそ人に優しい農政ではないでしょうか。地域は多様な人々が共同で助け合ってこそ成り立ちます。大規模農家があちらに一戸、こちらに一戸では、それだけで若者に見捨てられてしまいます。
 今北海道では、大規模酪農の反省として、マイペース酪農というのが静かなブームになっております。ここにその記事があるのですが、朝五時から起きて、もうお握りを持って食事をし、お昼はパンを食べて、夜は九時になるというのですね。子供たちはもう眠ってしまって、もう人間的な生活ができないということで、これらの反省から三友組合長さんなんかがいろいろ模索して、地域に合った、環境に優しい酪農をやろうということで、規模を縮小する、そういうことが今進められています。これらのことでもわかるように、家族が助け合って持続できる、それこそが本当の農業ではないかと思います。
 次に、ガット合意で国民に物すごい影響を与えるのが、食品の安全性、特に残留農薬、添加物の基準が非常に甘くなるということが指摘されております。
 先日、ラジオを聞いておりましたら、日弁連が特別の部会をつくって、やはり安心して食べられる食品、有機農産物をつくるべきだという法体系の作成に着手したというふうに言われております。それは、前にも話したとおり、急増する輸入食品の安全性が国民に大きな不安を広げ、厚生省が持っている統計でも、アレルギー症候が若齢の子供に極めて多いという数字も出ております。今政府がやるべきことは、国民の健康と安全を守るために食品の安全チェックを厳しくするのが当然であり、安全性よりも貿易を優先するというのは本末転倒であります。
 食管制度を廃止して、新食糧法が出されておりますが、国民的に全く議論がないままに一気に成立させるという状況であります。特に、今回の新食糧法を見ますと、農民には罰則つきでの減反が押しつけられ、生産者の米価も市場価格にゆだねられる、当然引き下げられるということであります。まさに売り買いは自由にして、生産を縛ると言わざるを得ません。これは大規模経営ほど困難にさらされるというのが実情ではないかと思います。
 これらの指摘した問題点を、事後対策によって農民の支持を得ようというふうな内容でありますが、農業者の中にもこの時期やむを得ないという声が出ております。これは大変残念なことでありますが、今回の事後対策は、農家がもう病気になって困っているのに、病気を治すのではなくて香典を渡すようなものだというふうに我々は断じております。その大きさを見せるために事業費で示し、その財源はまた明らかにされておりません。そして最終的に、ここで頑張ったのは政治家のおかげだというふうに言われてはたまったものではないと思います。
 この公聴会を含めまして、あとわずかの会期の中で何が何でも、審議不十分の中で通そうというのが今の状況だと思いますが、国民の中には十分その中身が知らされていないというのが実情だと思います。
 実は、ここに一枚のチラシがあります。これは、短い期間ではございますが、県内九十市町村、それから八十九の農協を全部回って、ガットの中身や、それから事後対策だと言われているそれらの政策について訴えて回りました。結果的に四十五の市町村長さん、それから六十九の農協の組合長さんから賛同をいただきました。ある組合長さんは、今までは自民党の先生を通じて運動してきたが、裏切られる思いだ、全中のやり方ではだめだ、条件闘争では何も変わらない、こういう声が出されました。本来こういう意見を述べるのには不都合の方々もおられましたが、堂々と私たちにその心のうちを話されまして、国会ではガット受け入れ容認の数が多数でございますが、私たち、地域を回って個々の農協の組合長さんや市長さんたちにお会いしますと、ガット合意阻止、日本の米を守れというのが圧倒的な数だというふうに実感をいたしております。このチラシは、千八百名近い方々がみずからの募金を出しましてチラシをつくって、今全体に配っております。
 世界の人口が二十一世紀には八十億になる、それに伴う食糧生産はふえないというふうに多くの研究機関が発表しています。今でも五億とか八億と言われる餓死寸前の人たちがおります。環境破壊は今や地球規模で進んで、経済万能では解決がつかないというのが現状であります。世界の国々が自国の自然を守り食糧の自給を保つことこそ最大の国際貢献だと思います。早晩、ガット合意、WTO体制は必ず破綻せざるを得ないと思います。
 私たちは、農業を地域経済の軸に位置づけ、工業と商業のバランスのとれた発展を目指して、この豊かな日本、福島の自然を次の世代を担う子供たちにしっかりと渡すために全力を尽くしたいと思います。このことを述べまして、意見の陳述を終わります。ありがとうございました。(拍手)
#305
○中川座長 ありがとうございました。
 以上で意見陳述者からの意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
#306
○中川座長 これより委員からの質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。栗原博久君。
#307
○栗原(博)委員 きょうは、私どものこの公聴会に、御多忙のところ、各界の代表の皆様から大変貴重な御意見を御陳述賜りまして、まことにありがとうございます。
 私は、自由民主党を代表して御意見をお聞きいたします。
 我が党は、今回のこのガット・ウルグアイ・ラウンドにつきまして、いろいろ議論をまだ重ねておりますが、ただ、ここまでに至る経緯につきまして、党の内部におきましては、中川農林部会長を初めとして、本当にもう毎晩のようにけんけんがくがくの、罵倒し合うような中に議論を重ねて、そして最後には、やはり本当の農家の皆様の立場でということで、対策等について六兆百億というものを実はかち得たわけであります。
 しかし、四人の方から今そのような話をお聞きしますと、まだまだ私どもの努力も足りなかったのかということで、大変反省はいたしておりますが、そういうことで、現場の声ということで若干ひとつ御意見を賜りたいと思います。
 安田陳述者に対してちょっと御質問でございますが、福島県においては、米もそうでありますし、またリンゴ等の果樹もあるわけでありますが、この一月にはアメリカから実はリンゴが入ってくる。ニュージーランドがもう昨年から入っております。この福島県はやはり果樹の主産地であります。そこに米が輪をかけて部分開放のような形になってくるわけですが、こういう中で、米プラス果樹という立場で、このウルグアイ・ラウンドの合意によってどのような経済的なマイナスの効果を来していくかということをお聞きしたいと思うのです。
 リンゴは、国内では百万トンということですが、アメリカでは五百万トンつくられておる。今二百三十五万トンほどニュージーランドから入ってくるらしゅうございます。リンゴは昭和四十六年から自由化されている。しかしその間、植物検疫で厳しい検疫がありましたから、それで何とか、コドリンガとか火傷病等という理由で拒否してまいったと思うのですが、今回のWTOの中で、米と同様にこの検疫の法的な措置が緩和されております。そういう観点から、そういう結果これから果樹農家の問題も出てくると思うのですが、果樹生産地帯としてどのようにお考えかということをぜひひとつお聞きしたいと思います。
#308
○安田壽男君 ただいま栗原先生より、リンゴの輸入解禁がどういう影響というか、経済的マイナスをもたらすかという御質問をいただきましたけれども、本県は、青森とか長野には及びませんが、全国有数のリンゴ県でございます。特に、本日会場となりました福島を中心とした県北が中心で生産されております。
 お話しのように、制度としての自由化は早い時点でされたわけですが、コドリンガあるいは火傷病等の防除体制が確立されたとして、既にニュージーランドからは入ってきて、アメリカ等からはこれからということであります。したがって、主産地の組合長さんみずからが、競合するアメリカのあるいはニュージーランドのリンゴ栽培がどういう形態のものか、まず相手を確かめないことには戦略、戦術も立てられない、こういうことで、本年夏、緊急にアメリカとカナダ、両国中心に実際視察をしてきました。その報告を承りますと、とても戦にならない、これが率直な感想でありました。
 それは、まず自然的条件。向こうでは年に二、三回消毒すれば十分果実が、虫もつかずに病気もそれほど出なくて済む。実際この地方では十六回以上やっている。これはもう、そんなふうにしてつくっているんだということだけではなくて、この地域でつくるためには必要やむを得ない、こういう状況だと思います。
 率直に言って、一番直ちに影響が出てくるのは加工原料、ジュース面ではないか。国内におきます生産過剰事態での調整、あるいは当然生産品にはばらつきが出ますから、高品位のものについては、影響が出るには直接的よりもむしろそういったものの処理によってリンゴ農家の経済状態が安定しない、したがいまして、当然意欲が、もう先行き見通しが立たないということで、リンゴ園地におけるものは、一斉に放棄されればこれまた取り扱いしやすいのですけれども、栽培農家の規模、実態からして弱い人が先に音を上げてバンザイする。そうしますと、放置された園地が今度は病虫害の発生の原因になってくる。したがって、地域全体に大変な問題が生ずる。
 国はいろいろ、ガット関連も含めて対策をお示しいただきました。これらの対策はそれなりに有効とは存じますけれども、アメリカなりニュージーランドの生産条件、自然条件、そういったものの根本的な違いを踏まえて御指導いただかないと極めて憂慮すべき事態になるのではないか、こういうふうに見ております。
#309
○栗原(博)委員 安田陳述人のお話を承りまして、農業は他の業種と違いまして自然相手でございますから、やはりどの皆さんも全員が環境の問題、国土の保全、そういうことを申されたわけですが、私どもも今後一生懸命にこの問題を、おのおのの担当の中で、委員会の中で議論をして皆さんから納得されるものに近づくように努力したいと思うのでございます。
 安田陳述人にお聞きしたいのでございますが、負債対策で、買い取りをせよというようなお話を先ほどされました。今回の対策の中で、負債対策ということで低利な金利とか、あるいはまた土地改良事業等については、平準化の中での問題については三・五%まで償還金の利息を下げるとかというものが示されているわけですが、これについてはまだ一般の、各部会の方からも御理解いただいていない点もございます。私どもも、一生懸命自由民主党頑張ってこの問題を強くひとつ推し進めたいと思うのですが、買い取り等について、きょう時間ございませんから、具体的なものについて後日私どもの方にお示し賜れれば、このように考えております。
 次に、西陳述人にお聞きしたいのでございますが、大変規模の大きな農家をされているようでありますし、大変私もその農業の姿勢について感銘いたしております。私自身も、実は今回衆議院に十六年かかってやっと出てまいったのですが、農家をやっておりますので、あなたのそのお気持ちというのは痛いほど実は痛感いたします。
 お聞きしたいのですが、補助事業の問題とか、そういういろいろなことを若い方とお話しされたということですが、あなたのお子さんは、あなたの農業姿勢に対して共感し、あるいはまた我が国の食糧を生産するという意気に燃えて後継者としてお働きと思うのですが、あなたの村は、農業をやっている方が自信を持って自分のせがれに農業をさせようという雰囲気でございますか。
#310
○西一信君 お答えしたいと思います。
 私のことなんですけれども、実は農業の勉強をさせて、勤め人をさせております。それは、後継者の組織には入っているのですけれども、現在のところ展望が立たない、そういうことで勤めております。でも、私どもの場合には夫婦二人でそれなりにやれる状態ですので、今のところは嫁さんでももらえばそれなりに任せるかなと思っておりますけれども、そのような状態です。
#311
○栗原(博)委員 私は、懸念することは、こうして、中核というよりも福島県では有数の農家であられる西さんでも、自分の子息に対してはまだ自信がないというお考え、これはやはり私ども政治家として肝に銘じて取り組まねばならぬと思っております。
 あなたの先ほどの話の中で、補助事業の不必要なセットですね。私も実はかつて県の職員をしておりまして、現場の地方事務所等にも行ったことがあるのですが、私自身でも、国からの不必要な仕事、例えば建物でも、私かつて新潟県魚沼の豪雪地帯におったわけですが、それは電信柱でもいいようなものであっても、それを大変規格の、人間が住むような建物までつくらせる、それが全部農家の負債として今残っておるわけであります。
 その中で、今でもそういう指摘があると思うのですが、具体的に、あなたがされていて、そういう補助のセットとかあるいはまた規格以上のものについて、どんな点で特に問題点があるというふうにお考えですか。
#312
○西一信君 私の地区では、第一次構造改善、第二次構造改善事業とやりまして、その中で、水田単作地帯なんですけれども、牧草の機械を入れたんですよ。そういうことからして、全然使わない農作業に対しての償却、それがもとになって、十年ぐらい続けたんですけれども赤字で、機械を売り払う、そしてまた、それでも赤字なものだから、それなりに縮小しながら現在まで細々と、ライスセンターなんですけれども続けておりました。
#313
○栗原(博)委員 私は規模拡大がすべての農業の終結ではないと思うのですよ。やはり経営の安定というものが本当の農業の求める姿だと思うのです。先ほどのあなたのお話の中でそのようなお話をされましたが、具体的にどのようにこの点をお考えでいらっしゃるか。
#314
○西一信君 規模拡大のことなんですけれども、我々の町は二千町歩あります。その中で受委託作業を委託している方々が五十数名おりますけれども、そういう中で、いつでも、我々はもう限界だと。大体十町歩以上が我々の町では三十軒ほどありますけれども、我々はもう限界なんだ、田んぼの草刈りはどうするんだ、そういうことで、やはりこのままでは後継者も継がないだろう。だから何とかして、先ほど言ったように再生産が可能なあれで。
 そしてまた、我々の友達の中には、田んぼを五町歩ぐらいつくっていたのですけれども、四十過ぎてからサラリーマンになりました。現在は夫婦二人で勤めて、週に二回ぐらい夜はテニスだなんということでやっておられるようです。我々も、職業が間違ったななんということも冗談で話すのですけれども、しかし、やる人がいなければ、おれたちは町のためにというか、二千町歩を守るために、五十人、今まだ頑張ってやらなきゃならないな、そういうことで話し合っております。
#315
○栗原(博)委員 あなたの意見の陳述の中で、米は昭和五十年代前半から全然値段が上がっていないと。たしか、私もうちで百姓をしておりますと、肥料、農機具等の高騰には悩まされておるわけです。
 具体的に、私もこれはこれから国会の中でも議論せねばならぬと思うのですが、米の値段が上がらない限りはやはりこういうものについて、資材等について強力な施策を導入してもらわなければならぬと思うのですが、あなたはどのように考えていますか。
#316
○西一信君 我々今、皆さんが御承知かどうかわからないのですけれども、コンバインは、五条刈りで一千万近くしますよ。そのコンバインの償却のために、大体五年で償却するとすれば一年で二百万。二百万をとるために十三町歩ぐらい稲刈りをせざるを得ない。そうすると、自分たちのものというか、償却のためにだけ十何町歩が終わる。そういうことで、私も、先ほど言ったように三十町歩ぐらいは刈り取りをしているのですけれども、それが五年間しかもたないのですよ。
 そうすると、今話し合っているのは、やはり農機具が今の半額ぐらいだったら何とかやっていけるかな。そうでなかったら、おれはこの機械で終わりだ、あとはだれかに任せる、農協職員がやるのかとか役場職員がやるんだろうか、そういう心配まで今出ています。
#317
○栗原(博)委員 では、斉藤村長さんにちょっとお尋ねいたしますが、大変高冷地という中で、特にまた昨年度の大凶作についてお話を承りまして、痛恨のきわみでお聞きしておりました。
 おたくの村を見ますと、過疎化ということで、資料を見ますると、人口が大変急テンポに減っておるようでございます。特に私、これを見まして、昭和四十五年に農業従業者が三千七百人おったのが今は一千六百人だ、もう半減以上しているわけですが、特にこの中において米の部分開放、ミニマムアクセス受け入れによっておたくの村はどのような大きな影響を受けるかということをちょっとお聞きしたいと思うのですが。
#318
○斉藤長見君 うちの方は、「やませ」の影響が年じゅうというか、毎年あるわけなんです。昔はため池がいっぱいありまして十分管理されていたものですから、稲作につきましては、種類さえきちっと、寒くてもとれるところの米をつくればある程度間に合ったのです。ところが、今はそういう米をつくっていてももう商売にならないわけですし、基盤整備が終わりましてから、水が十分な、十分なと言っていながらもやはり大変不足しているような格好なんです。やはり水と米、気候と米ということになりますとうちの方でもなかなか大変なんですが、やはり村の中の全体、農業の経営としては半分くらいは米でということが基本で、今もそうやってきているわけなんです。
#319
○栗原(博)委員 冷害は水管理が、もう少し水を張れば冷害も逃げ切れたと思うのですが、やはり兼業といいましょうか、農業だけでは、このまま米だけつくっていては収入にならぬ、他の仕事につきながらということで、やはり米づくりに専念できないところにまた冷害も起きるのじゃなかろうかと私は思うのです。
 その中で、あなたの村では、村づくりということで飯舘牛という大変すばらしい肉を生産されているようでありまして、私ども自民党の国会議員、特に福島県と新潟県は大変経済的な、あるいはまた歴史的な条件が同じということで、両県の十七名の国会議員が、福島、新潟県の自民党の議員連盟をつくりまして、田中直紀先生が会長に御就任になって同じ立場で実はやっているわけですが、私ども新潟も大変高冷地もありますし、同じような状況のところがありますので、一生懸命我々も取り組んでまいりますので、今後ともどうかひとつ御指導賜りたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。
#320
○中川座長 次に、永井哲男君。
#321
○永井(哲)委員 きょうはお忙しいところお越しいただきまして、大変貴重な意見を陳述していただきましたことを御礼申し上げたいと思います。
 私のところは網走管内というところで、農地が十七万五千ヘクタール、ほぼ福島と同じだけの農地があるところでございまして、きょう皆さんがおっしゃったことは、本当に痛いほど私もよくその気持ちがわかるところであります。
 私、社会党の立場ですけれども、そういう点で、社会党は本当に厳しい選択をしました。それは特に、今ガットを受け入れないという状況の中で、これは自由化も関税化もしていないという農業の実態の中で、それではその農業に本当に未来というかそういうものがこの時点で開けているのか、非常に厳しい状況にある。国際的ないろいろな約束という問題もありますけれども、そういう中で、より農業をこれからの政治の中できちっと位置づけ、そして二十一世紀に向かっての力強い基礎をつくるには、苦渋の選択でありますけれども、ガットというような国際的な状況、これをのんで、そしてそれに対抗できる、そういうものを私たちがその中心となってやっていこうというような気持ちでその選択をしたということを御報告申し上げたいと思います。
 皆さんの気持ちはいろいろわかりますので、なかなかそれは理解というところにはいかないとも思いますが、そういう中で、私たちは万全な対策を打って、これから皆さんが農業の経営に不安を抱かない、そういうようなものをつくり上げていきたい、そういうふうに考えているところでございます。
 今、六兆百億円という問題で、これが別枠なのかどうかというような形で大きな問題となっております。この点、このWTOの委員会の最終的な中で、首相の方からも一歩進んだというような統一見解というものもきっと出してくれるだろうということも、これも私たちは、与党の立場としてもそういうような方向に持っていきたいというふうにも思っているところでございます。
 さて、そういう中で、今、新規就農者の問題、これは大変大きな問題だというふうに思います。この福島県の状況というものを見てみますと、昭和六十年に新規就農者が百人を割って、以来ずっと百人台は回復していない。平成三年には三十九人と最少に落ち込んだというふうに伺っております。
 そういう中で、例えば私の北海道では、将来六万八千戸のそういう農家の体制をつくっていきたい、それには毎年二千三百人程度の新規就農者が必要だ、これは自治体の方で出しております。しかし、それに対して、新規就農者は年間五百人しかいないというのがただいまの北海道の状況でありますけれども、この福島にとって、そういった将来展望を持っていける農業の新規就農者の数としてはどの程度のものか。それに対して、今の現状というのはどうなのか。そして、それがなかなかそういうような人数に満たされていないとするならば、その原因は一体どういうところにあるんだろうかということについて、安田さんにお伺いしたいと思います。
#322
○安田壽男君 福島県で今、農作業を基幹的に担っているのは約八万六千人ほどだと言われています。平成六年、ことしの一月の調査でありますが、概数的なものですけれども、二十代、二十九歳以下の人が〇・九%、六十五歳以上が三〇%を超える、こういう状況であります。
 永井先生のお話ございましたように、自由化もガットの影響もまだ出てない、心理的なものは別ですけれども、直接的には影響が出てない状況でこういう状態。そこに今度はもっと厳しいものが加わってくるということですから、私どもといたしましては、今とりあえず基幹的に農業に参加している人たちに対して、しかも若い人たちに対して重点的に応援をしていこうということで、国の施策を受けた県、市町村での取り組みと並行して、私どもJA組織も認定農家制度、これは国、県等の枠をもう少し広げて取り組みをしてきている、こういうところが第一点でございます。
 したがって、今までの農政について、そういう結果をもたらした点につきましては、これは十分私ども自体の取り組みをもあわせて反省をしながら、ちゃんとした体制をとっていかなければいけない。そのためにはやはり、安心しておれも頑張るよと、さっき西さん、自分の息子にはというお話ございましたけれども、私のところは、私がこんな立場で常勤しているものですから、三十八歳の息子が専業的に農業をやっております。しかし、手前のところで確保されているからそれでいいということにはなりません。そういう人たちがこれ以上脱落しない、少なくならないように応援をしながら、新しい参加者をどう組織的に確保していくかということで、今回国からお示しいただきました対策の中での後継者対策等を前向きに受けとめて、また我々も組織的に対処しなければいけない。
 ただ、それじゃそれだけでカバーできるのかということになりますと、とてもそんなわけにはいかぬだろうということで、私自身は、我々農業協同組合は流通の過程にだけ機能してきたということではなくて、生産の現場に直接組織的にその事業を広げて、みずからまさに組合員と一体になって、喜びも悲しみも経営の責任もメリットも一緒に負担していく、担っていくんだ、こういう姿勢で取り組みをしなければいけない。そういう思いで、まだ県全域にこれを呼びかけるところまでは至っておりませんが、私自身の二本松市農業協同組合では、そういうために地元の市と一緒になって今農業振興公社を設立し、そこを母体としてやっていこうということで、明年の五月にスタートさせるべく取り組んでいるということでお答えにさせていただきたいと思います。
#323
○永井(哲)委員 安田さんに、できればということでちょっとお伺いしたいのですけれども、平成六年にはこの福島県では六十二人の新規参入だというふうに聞いておりますが、これは、できればこの程度いてほしいという人数として、毎年どのくらいの人たちが参加してほしいというふうに農業側では考えているのでしょうか。
#324
○安田壽男君 具体的に、福島県の農業の将来展望を担って何人あればいいというところまではまだ組織的に検討しておりません。しかし、この程度の数ではどうにもならないということは率直に申し上げられると思います。
#325
○永井(哲)委員 それで、生産者の立場としてお伺いしたいのですけれども、先ほど西さんの方も息子さんはつかせていないというふうにもお伺いしました。その中で、なぜなかなか就農ができないのか、いろいろな理由があると思いますが、その点、再度というような形になるかもわかりませんけれどもお聞きしたいと思います。
 例えばフランスの場合ですと、ことしの九月、農業者ともちょっと会ってお話を伺ったのですけれども、フランス人にとっては必ずしも農業というのは魅力のない産業だとは思っていない、そういうふうにもおっしゃっておりました。ただ、なかなか新規に入っていく資金がないから農業に参入していけないんだ、そんなふうにも農業者は言っていたわけですけれども、そういう点をちょっと加味してお答えいただきたいと思います。
 それは生産という立場で、西さんと佐々木さんにそれぞれお伺いしたいと思います。
#326
○西一信君 先生からの質問なんですけれども、私は、農業を始めて、青年会長とかしながら、鹿島町にはその当時、二十数年前ですけれども、三百人ほど後継者がいました。それでも実質的に活動している者がなくて、それで十人ぐらいで後継者会をつくろうということで、自分がつくったわけなんですけれども、現在は三十数名、先ほど言ったように、大体大部分が海外派遣研修ということで勉強してきました。その中で、いつでもやはり酒飲みながら話すことは、本当にこのままで大丈夫なんだろうか、子供に農業を継げと言われるか。
 先ほど私が言ったんですが、私の子供も農業に関係あるところに勤めております。それで、二、三日前に集まったときに、隣の人がおれの子供に何で農業やらないんだと言ったら、おやじと同じ品目ではうまくない、自分がそれなりに展望が開けたらやる、そういう答えをもらったんですけれども、現在、養蚕やっている仲間もいますし、みんな本当に大変だ。
 先ほど言ったように、このままの状態では本当に、新規就農者は鹿島町で三年に一人ぐらいです。福島県九十市町村あるんですけれども、先ほど一年に六十人と言ったのは、ただ本当に農業を楽しみながらやる人もまぜてかなと思っているんですが、本当に農業を目指してやる人というのは恐らく三十人ぐらいだと思います。
 やはり、三十人では三年に一人しか市町村では回ってこない。これは一年一人ぐらいずつは必ず確保していきたいなと思って、どうだ、農業を一緒にやらないかなんということも話しているんですけれども、今の状態で、例えばサラリーマンになれば週休二日とかそういうことがありますし、先ほど佐々木さんが言ったように、本当に朝早くから夜遅くまで働く、そういう後ろ姿を見ていては、やはり後継者とかそういうのはなかなかついていかないと思います。
#327
○佐々木健三君 私ごとなんですが、私の息子はことしの秋口に結婚いたしまして、私と一緒に農業をやっております。
 よく見てみますと、結局、農業をやろうというのは、現状は苦しくても将来何とか見通しができるというふうになれば、これは頑張れると思うのです。今、若者たちは、うちの息子にかかわらず、どんな職業の青年もみんな厳しい中でやっているんですね。弱電に勤めている人は、先ほども陳述しましたように、海外に行っちゃって職場がなくなったとか、もうそういう問題がいっぱいあるんです。農業も苦しいけれども、よその産業に働いている青年も大変苦しい状況だと思うんですね。
 我々、少し先輩としては、やはりこういう青年の人たちに希望を与えることがあれこれの施策をやる根本だというふうに思っているんです。私はそれほどうまく子供に伝えたつもりはないんですが、私のこういう活動も含めて、おやじのああいう形をやれば農業は何とか生きられるんじゃないかと思ったんだというふうに私は理解しております。こういうことだと思います。
#328
○永井(哲)委員 ありがとうございました。
 酪農は本当に労働時間が非常に長い大変なお仕事であります。農業、すべてこの時間というものも、今の千八百時間労働とかいう中で、大変に大きな問題であるという中で、大変な御苦労だと思います。
 そこで、これも西さんにお伺いしたいのですが、ドイツというかECあたりでは、生産の拡大というのがもうできない、十年来もう枠を拡大できない、それどころか下げているといったような状況の中で、いろいろな、例えばデカップリングだとかいうようなものもあるわけです。直接所得補償というものもいろいろな問題となりますが、その規模の拡大をできないということと、直接所得補償というものが二つあれば、生産者の立場としてはどちらを選んでいきたいというふうに思っているでしょうか。
#329
○西一信君 先ほども規模拡大の話をしましたけれども、我々の土地で土地改良事業、その償還金が年に二万数千円あるんですよ。それで、小作料が三万円なんです。そうすると、貸し手の方が、償還金を除いて一反歩一万円も入らない状態なんです。その人が例えば一町歩持っていたとすると、一町歩でコシヒカリを今のあれで五俵ぐらいしかもらえないんです。そうすると貸したくない、そういうことで流動化が進まないというのも規模拡大につながらない理由だと思います。
 また、所得補償のことも話したんですけれども、生活は所得がやはり一番だと思います。楽しく働けて所得があって暮らせるのが一番だと思います。若い人たちも、そういう今の農業の実情からして、やはり農業に携わることが無理なのかなと思っています。
#330
○永井(哲)委員 斉藤さんにお聞きいたしますが、今の新規就農が少ないという問題のほかに、やはり生産者自体が高齢化している、そして高齢化していく中でなかなか農作業自体が対応できていない、いきづらいといったような問題もあると思います。
 また、大規模化していけばどんどんそこに住む人が少なくなるといったような問題を抱えておりますが、そういうような高齢者であっても生産というものを地域が支えるようなシステムをつくっていこうというふうに私どもも考えているわけです。その点、斉藤さんの村における高齢者、そして、その作業の実態といいますか、そういうような中でどんなように斉藤さんとしてはお考えでしょうか、今後の高齢化の問題点について。
#331
○斉藤長見君 中山間地域ということになりますと、大体二割、三割くらいの高齢者が主役だ、こう思います。どこから高齢者でどこから若い者だというあれもつけられないので、今七十歳前後でもちゃんとした現役で農業をやっている人もいっぱいいるわけなんです。
 特に、これからの高齢者をどういう農業としての受け入れ、育て方をしていくかということになりますと、まだきちっとした策もございません。ただ将来は、高齢者が村の人口の中の二五%になるというのもあと四、五年のことでございますので、農業をやろうがあるいは別のことをやろうが、元気な老人であればもう半分くらい老人になってもしようがないのじゃないかというつもりで、今地域づくり、物づくり、人づくりという三本のことを一緒にしてこれからいろいろな施策をとっていきたいな、こんなふうに考えております。
#332
○永井(哲)委員 先ほど佐々木さんの方からも言われておりましたけれども、日弁連の方で新たな安全の対策をする。実は私、弁護士もしておりまして、八八年だったと思いますけれども、旭川で人権大会というのがありまして、人権大会は毎年二つぐらいの大きなテーマでやるのですけれども、農薬の問題というのがそのときの一つのテーマとして掲げられました。
 安全というものをもっと重視していかないといけない。コーデックス委員会とかそういう中で統一規格というものも成っていくわけですけれども、それらに対して十分に注意をしながら、そういう中で表示というものも、これは消費者の人たちがみずからきちっとわかるということも含めて、その表示の問題もあわせて強化していかなければいけないというふうにも思っているところでございますが、そういった表示、安全という問題について佐々木さんの御意見をお伺いしたいと思います。
#333
○佐々木健三君 実は私、自分のところの牛乳を製品化して地域に宅配しているのですが、従来ですと日付は製造月日、これから賞味期間月日に変わるわけなんです。これもWTOとの関係だと思うのですが、消費者はやはり困ると言うのですね。製造月日がやはりいいんだというふうに言うのですね。それは先生、おわかりですね。
#334
○永井(哲)委員 はい、わかります。
#335
○佐々木健三君 だから、そういうのがすべての食品に今度は義務づけられまして、恐らく一番困ったのは保健所の方々ではないでしょうか。今までそれできちっと取り締まりしてきたのに、突然、次からその取り締まりができないというふうな状況になっていますし。
 それから、コーデックス委員会の問題なんですが、私たちいろいろ聞くところによりますと、ひどいのになると十五倍ぐらい日本で規制されているものが緩和されるというのですね。実はきのう新婦人の大会がありまして、そのことを話したら、そんなのうそだというぐらいみんなびっくりするのです。三倍、五倍はもう当たり前になっています。ですから、もうこの問題だけでも議論ができるぐらい大変な内容だというふうに思うのです。これは我々、生産者だけの問題ではなくて、もうむしろ消費者の方々の問題だというふうに思いまして、今一生懸命声を大にして言っているのですが、その点は大変心配をしております。
#336
○永井(哲)委員 時間が参りましたので、もう終わりにしますが、コーデックス委員会のあれで一言言えば、緩和されている面もあれば逆に強化されている面もあるということも御報告しておきたいと思います。
 今度のものは自由化というふうに一般的に言われていますが、そういう高くTEを張るような形で、私は関税化だというふうに思っていますが、それにしても将来的に皆さんの不安を抱かせない、そういったような農業の政策の確立に向けて私ども社会党も一生懸命頑張っていくことを皆さんにお約束して、私の質問を終わらせていただきます。
#337
○中川座長 次に、仲村正治君。
#338
○仲村委員 私は、改革を代表して出席をいたしました仲村正治と申します。
 御承知のように、衆議院で審議を続けておりますWTO協定を我が国が締結することのよしあしについて広く国民各界の御意見をお聞きするために、きょうは私たち、衆議院のWTO協定等特別委員会から派遣をされたのであります。
 本日の公聴会に御意見をお述べになられるために御出席をいただきまして、本当にありがとうございます。先ほどは御四名の方から大変貴重な御意見を拝聴することができまして、大変参考にさせていただきました。
 そこで、私はこのWTO協定締結の意義について、私なりの意見を交えながら御質問をさせていただきたいと思います。
 今回の世界貿易機関設立に至るまでの経緯、経過は、七年余のガット・ウルグアイ・ラウンド交渉の結果として生まれてきたものであります。この協定に加入することとなりますと、生産条件の不利な我が国農業の分野に及ぼす打撃、不利益ははかり知れないものがある、しかし貿易立国として発展を続けている我が国の総合的国益の立場からWTO協定の一括受諾方式の国際取り決めの受け入れを決断したことについて、今、国会審議を続けているところでございます。私たちも、これは決して丸裸で無条件での受け入れであってはならない、国内対策の万全を期すことが大前提であるというふうに考えているところでございます。
 ところで、先ほど安田壽男さんから、農業合意は誤りである、WTO協定は批准すべきものでない、こういう御意見がございました。今我が国は、高度に発達した工業国家、そしてその製品を中心にした輸出によっての貿易立国として世界でも高水準の高所得国家・国民となっています。そういう全体の状態に合わせて、農業分野での他産業との水準を維持するためにこれまでも政府は相当試行錯誤の努力を続けてきて、ある分野においては成功したのもありますけれども、ある分野においてはうまくいってない点も多々あります。その点について、我が国の農政はイエス・ノーのノー政であるという批判もありますが、私はそのようには考えておりません。
 ただ、他産業並みに農業分野の所得を維持するために自然に生産コストが高くなるようなことで、これはある意味で日本全国民が負担をしているということになっておるわけでありますが、しかし反面、やはり高物価国家ということに強い批判もありまして、内外の価格差の是正をやるべきであるという意見もないわけではございません。しかし、昨年からことしにかけての米不足に見られるように、少々高くてもやはり国内産がいいという意見等を考えますと、やはりこれからも食糧、農産物というものは国内産を中心にして考えていかなければならないという考え方を持っておるわけであります。
 先ほど、このWTO協定を批准すべきでないというような考え方について、もし我が国がそれを批准しなかった場合に、世界の貿易ルールの枠外にあって我が国のこの高所得の状態を維持できるのか、そしてそれによって農業分野の援助ができていくのか、いわゆる農産物の現在の価格の維持ができるのかという点について私は非常に疑問を持っている点から、何としてもやはりWTO協定の批准をして、その中で我が国の農業が生き残っていくような状態をつくるべきであるというふうに思っておりますけれども、安田さんはその点についてどのようなお考えをお持ちであるか、お尋ねをしたいと思います。
#339
○安田壽男君 先ほど永井先生の御質問の中にもございましたが、ガットの農業合意受け入れ、その影響が具体的に出てくる前に、農業後継者が極めて少ない、継続はできない、こういう状況下になっている、これは御承知のとおりでございます。
 そういうときに、さらに重い負担、競争が強いられる農業合意は、農業者の立場からはこれはとても耐えられるものではないということと、申し上げましたように、それぞれの国が異なった自然条件のもとで農業生産を営んでいる、こういうこともあわせて御考慮いただければ、私どもの主張、考え方は決して誤りではないのかな。しかし、先生おただしのように、我が国の経済社会、工業を中心にしまして高度な発展が今日の農業の改良なり価格支持にも大きな貢献、役割を果たしていることも御指摘のとおりでありますし、私どももその面について何らの配慮をしないということではありません。
 したがって、農業者の分野からは誤りであり、批准はすべきでない、こう申し上げますが、全体的に国益の立場から国民の幸せを考える立場からどうするかについては、まさに国民の代表としての諸先生方の御判断にまつ以外はない。しかし、私どもこれで死んでしまうわけにまいりませんから、生き残れるために明確な対策をお願いしたい。六兆百億円だけ例にとらせていただきますが、枠が外枠だよ、内枠だよと、我々一人一人の農民が判断に迷うような、そういうお示しの仕方では、せっかくの御配慮がその効果を上げる、農民に意欲を持たせるような状況になっていないということをつけ加えさせていただきたいと存じます。
 以上でございます。
#340
○仲村委員 先ほど御陳述の中で、世界の食糧、人口、環境などを考えた場合に、各国が自国の農業の維持発展を可能にする平等、公正な貿易ルールの確立を図るべきである。もちろん私も、これは生産条件のいい、生産性の高い農業国だけの立場のみ考えてはいかない、やはりやせ地にしがみついて、生産性の低い国においても自国の食糧生産のためには努力をしてもらわなくてはならぬ、そして食糧増産のために地球環境が破壊されるような状態を生み出すようなことがあってはならないということは、それは安田さんと同一見解を持っている立場であります。
 今回の締結は、それは各国が利害を痛み分けしたぎりぎりの各国農業の生き残り策を考えての取り決めであったと思います。したがって、我が国にとっても、今後世界全体の経済を発展していくための貿易ルールを確立する中で、その中に農業の分野の位置づけをどうしていくのか、そして農業の生き残る道は何なのかというような考え方で、それはぎりぎりの苦渋の決断であったというふうに考えておりますけれども、先ほど御指摘になられた農業の維持発展を可能とする平等、公正の貿易ルールという考え方に皆さんの立場からどうあるべきであったというふうにお考えだろうかということをお尋ねしたいと思います。
#341
○安田壽男君 例えば米についてでございますが、去年の大不作、ことしの大豊作、これは人知を超えたまさに自然の影響によるものと思っております。したがいまして、こういうときに何らかの機能的な調整ができるような方策、そういうことがきちんとつけ加えられるということであってほしい。たくさんございますけれども、具体的に一つだけ例表示をすれば、それが農産物についての貿易ルール、私どもの立場からお願いしたい点であります。
#342
○仲村委員 非常に生産条件の悪い我が国農業、これは非常に狭隘な国土の中に一億二千四百万人の人たちがある一定の所得を維持しながら食っていかなくてはならぬという非常に厳しい条件下にあるわけでございますけれども、その中でよく自給率向上対策という意見が出てまいります。私たちも、やはり食糧安保という立場から一定の国内での自給率というものを維持していかなければならないという考え方には違いありません。しかし、無理して自給率向上を図るとなると、自然に生産コストが高くなる、これは消費者に必ずしわ寄せが来るというような考え方がありますので、自給率の問題についてもやはり我が国の国土に見合うような形のものでなければならぬというふうに思いますけれども、その点について安田さんの御意見をお聞かせいただきたいと思います。
#343
○安田壽男君 先生御指摘のとおり、何が何でも一〇〇%でなければいけないとか、六〇%が悪くて七〇%ならいい、こういう単純なことには相ならぬというふうに思っております。
 しかしながら、先ほど申し上げましたように、特に我が国農業の約半分近い面積を占めます中山間地では平地よりも農業生産、食糧生産以外の側面で果たしている役割が非常に大きい、このことをきちんと評価していただいて、農産物価格以外の面で手当てをしていただく、そこでの農業経営が持続できる、こういうことであればおのずと日本の立地条件を生かした、気候風土を生かした中での自給率というものが出てくるのではなかろうかというふうに思っております。
#344
○仲村委員 先ほども、我々がガット・ウルグアイ・ラウンド、いわゆるWTO協定を受け入れることは無条件じゃない、それには前提条件があるということを申し上げましたが、いわゆる国内の農業が今後も生き残っていけるような条件整備をきちっとやることがWTO協定を受け入れる前提条件であるということでございます。
 御承知のように、今六兆百億円という農業対策をするんだというようなことになっているわけですが、今審議を通じて我々が感じていることは、まだまだあやふやな点が多い、既定の農業予算と切り離してこれはウルグアイ・ラウンド対策だというふうにするのかしないのか、そういう点も非常に不明確な点がありますし、またこの六兆百億円に対する財源もまだ見通しがついてないというような感じがして非常に不安な気持ちでありますけれども、こういう点は我々国会議員がきちっとしていかなければならない責任があるというふうに思っておるわけであります。
 ところで、これに関連して新食糧法が提案されているわけでありますが、その中身は、今後の生産調整は生産者の自主性に任せる、強制感を持たせるような生産調整はしないというふうに言っているわけです。これは生産者の立場からすれば非常に歓迎すべきことであると思います。しかし、平成六年、平成七年の六十万ヘクタールの生産調整によって恐らく平成八年八月には二百万トン近い余剰米が出るだろうという懸念もあるわけでございますが、この自主的な生産調整という考え方と、過剰な状態になったときの米価に及ぼす影響についてどのようにお考えになっておられるか、安田さんにいま一つ伺いたいと思います。
#345
○安田壽男君 特に自主性を尊重した生産調整の取り組み、アメリカとかオーストラリアとか、商品としての米生産的な規模が大半を占めている地域におきましては、個々の経営体の選択で十分その機能が発揮できるのではないか。しかし、我が国の米生産体系は残念ながら自家飯米も相当程度占めている。そういたしますときに、選択制というか希望制というか、そういうものが有効に成果を発揮することができるかということについては大きな疑念を持っております。
 それから、個々の農家に面積当たりについて幾ら奨励補助金を出しますよということについては、隣同士がやる、やらない、同居しても適用できるわけですけれども、地域全体に影響を及ぼします事業、施設等については、残念ながらこれは非常に難しいことになる。そうしますと、新聞やテレビで報道されておりますように、今度は希望制だよ、選択制だよといっても、農家個々が受け取るのは、地域として、例えば市町村長さんがこの地域のために何かやりたい、組合もそれを受けて立ちましょう、こういう意思決定がされたとしても、そこに取り組む人、取り組まない人が同居すると、地域の中で農民同士がいがみ合うことになりかねはしないのかな、こういう疑念を持っております。
 かといって、先生御指摘ございましたように、二年がかりで百三十万トンの備蓄をやりましょうということで取り組んだところが、ことしの大豊作で一挙にこれができてしまった。そのほか、緊急輸入の米がある云々は別枠として考えるにしましても、やはり国全体としての過剰は、これは生産者の立場でもそれによって米価が引き下げられるということになれば困ることでありますから、要は行政の立場でも、その御指導をいただきながら取り組んでおります私どもの立場でも、どうしたら生産者個々の信頼をかち得て有効な対処方策を見出すことができるかにかかっている。単純に、一年で二年分の備蓄ができてしまったから機械計算で十三万ヘクタールの転作強化だよということだけでは、今後のすべての農政展開について組合員農家の支持、理解を得ることができないのではないか、こういう疑念を持っております。
#346
○仲村委員 ありがとうございました。時間が参りましたので終わります。
#347
○中川座長 次に、千葉国男君。
#348
○千葉委員 私は、お隣の宮城県からやってまいりました改革の千葉国男でございます。
 公述人の皆様には、大変お忙しいところ御出席をいただきまして、貴重な御意見をお寄せいただき大変ありがとうございます。
 今仲村委員の方から具体的なWTOの関係のお話がありましたので、私は、現場における具体的な問題について幾つか御質問させていただきたいと思います。
 初めに、西一信さんにお伺いいたします。
 先ほどのお話の中で、楽しくなければ農業ではない、私は、大変すばらしい言葉である、またその思いが込められたお言葉に大変感動いたしました。若い方々とも積極的に、これからの日本の農業についてどうあるべきか、こういう本当に真剣な姿勢にも感銘をいたしたところでございます。
 その中で、鹿島町における規模拡大についてのお話もございましたが、実際御苦労されてきて、今後規模拡大のあり方といいますか、見通しといいますか、今日までの営農から考えてどういうふうに見通しを持っておられるか、そういうものをまずお聞かせいただきたいと思います。
#349
○西一信君 お答えしたいと思います。
 規模拡大についてなんですけれども、我々の町では、現在五町歩以上の生産農家というのが五十五戸ほどあります。その中で、先ほど言ったように、それを基本としながら、農作業の受委託、そういうものをしながら生産に励んでいると思います。
 それで、今後はと申しますと、やはりその方たちが、先ほど言ったように本当にコスト低減とかそういう形でスムーズにいくならばそれなりに規模拡大も可能、そしてまた、先ほど農地の流動化が進まない理由を言ったのですけれども、それなどについても、いろいろ補てんとかそういうものを願えれば流動化が進んで規模拡大が進む、そういうふうに思います。
#350
○千葉委員 先ほどの中にも、収入という面から考えると、ずっと、十八年ぐらい一緒だというお話がございましたね。その中で、農機具とかあるいは肥料とか農薬代が高い。私は、足腰の強い魅力ある農業を築いていくためには、何といっても収入を上げてそしてコストを下げていく、やはりそういう努力が必要だと思いますけれども、米はこれからますます先行きに対して高くなるという考え方は難しいだろうと思います。そういう中で、やはりそういう物財費をいかにコストを下げていくか、そういうことが必要だろうと思いますが、先ほどもちょっと出ましたけれども、その辺に対する考え方、現場で御苦労された体験をひとつお願いします。
#351
○西一信君 先日、皆さんで話し合ったのですけれども、コスト低減のためにということで、肥料、農薬、農業機械などの値下げ、そういうものがあればそれなりに低減できる。また、先ほど言ったように、米価が二十年ぐらい一緒なんですよ、そして消費者米価は恐らく倍以上になっているのかな、そういうことを感じます。その不思議さを解明していただきたいということをさっき言ったのですけれども、そういうことも我々はいつも思っています。それからまた流通の改善、これなどもコスト低減につながるのではないかと思っております。
#352
○千葉委員 農薬とか肥料、いろいろありますけれども、アメリカなんかとの比較では、もちろん流通のあり方とか規模拡大に伴う消費量の大きさ、あるいはまた機械化が進んでいく、こういうことで、日本の農薬あるいは肥料というものが約二割から三割ぐらい現実に高いんじゃないか、こういうふうに指摘されているわけです。その辺について西さんの方の現場で、例えば経営者会議なんかのお話の中で出てくるのは、要するに、農協からそういう農薬とか肥料を買う、それは組合の精神からいくと全体に対してそれを反映しなければいけないということで、大きい農家の方が特別量を多く農協から買っても余りおまけもされない、そして結果的に商社の方から買うようなことが起きてくる、こういうことが言われておりまして、その中で農協との感情的な問題があったとかなかったとかということがよく報道されているわけですが、現場でそういうことで御苦労されたようなことは、どうでしょうか。
#353
○西一信君 我々も、グループで共同購入するしかコスト低減にはつながらないということで、それなりに勉強しながら、会社と直接交渉したりはしてきましたが、会社に迷惑がかかるということで、またそれも二、三回でやめた時期もあります。
#354
○千葉委員 農協さんに何か文句を言うつもりはありませんけれども、今度いろいろな対策として、そういうものに対しても奨励金とかそういうことで還元をしていきたい、そういう努力もされているようなんですが、お互いに力を合わせて、すばらしい農業を築いていくためにぜひその辺の努力と歩み寄りをお願いを申し上げたいと思います。
 もう一つ、西さんにお伺いしたいのですが、若手の方々を育てるために海外研修等大変積極的に努力をされて今日まで来ているわけなんですが、私も、やはりこれからの日本の農業を支えていくためには、新しい方々、農家の子弟の方ももちろん当然ですけれども、そういう意味で、新規参入の道をいかに広げていくか、また将来に対して希望を持って取り組んでいただくか、こういうことが非常に大事だと思っております。
 そういう意味で、今までずっとそういう若手の人材育成に力を入れてきた経験からいって今何が一番、三年に一人だなんというお話もさっき出てきましたけれども、こういうふうにやればもっと若手の方々が入ってくるんだ、これをやってもらいたいんだ、こういう現場からの提言をぜひお聞かせいただきたいと思います。
#355
○西一信君 やはり今までいろいろ各補助事業がありますけれども、ばらまきというか、そういうのをなくしながら、本当にやる気のある者に対してはそれなりに助成をする、そういうことでなければ恐らく続かない。そしてまた、先ほども話したのですけれども、花の問題にしても、今種が海外から来るのですよ。そうすると、種の値段がとても高くて買えない。しからば、その種を買って育てたにしても、先ほど言ったように上限があって、安くて計算が合わない。そういうふうなこともありますので、やはりやる気のある者にはそれなりに援助してもらえれば、また若い人たちも、ああ、あれが頑張っているんだなと思ってついてくるんではないかと思っております。
#356
○千葉委員 斉藤村長さんにお伺いしたいと思います。
 先ほど、地域の活性化には人材の育成が大変大事だ、そのために婦人の果たす役割も大きいということで、「若妻の翼」、研修をやったり、意欲的に取り組まれておりますし、あるいはまた飯舘牛のミートバンク構想をやっていろいろ努力されているのですが、従来から続けられてきたふるさと創生資金に続いて、今回、地方単独施策として、農山村対策として、今後六年間で一兆二千億円の措置ということが今言われているわけです。山村指定とか過疎指定を大体二千の町、村と、こうなりますと、概算ですけれども、大体一つの村なら村に今度は六年間で一億円行くような計算になるだろうと思います。これまで行われてきた一億円の助成が、こういう形で人材育成とか、そういう新しい村の活性化に活用されてきたと思いますが、その辺は、どういうふうにふるさと創生資金等が飯舘村で有効に使われてきたんでしょうか。
#357
○斉藤長見君 村というものなんですが、そこに人がいて物をつくって収益があるというのが村だろう、こう思うのです。
 そこで、いろいろ、そこにいつまでも住んでもらいたい、多くの人に残ってもらいたい、来てもらいたいということで私どもは頑張っているわけなんですが、それぞれ、農山村ということになりますと、財政的に限度があるわけであります。この前のふるさと創生の一億円は本当に助かりました。今までもこうした事業が幾つか国の方にはあるわけです。前にもあったわけですが、ただ、国の方のメニューにはいろいろの条件がありまして、村というのは百あれば百全部違うと思うのです。それにもってきて、同じものをこれでどうですかと言われましても、大変中身が違ったり人の考えが違ったりということで、実際補助金をもらって仕事はするんですが、効果の上がらないでしまった村、あるいは金、団体というものもあったのではなかったのか、このように思うわけであります。
 これからのこうした創生交付金なりあるいは六兆円の営農事業の支援ということになりますれば、やはり地方で、その村で、その町で、これが絶対うちの町で生きていくには必要なんだよというものをつくった場合に、やはり国の方においてこういうものを支援してもらう、要するに、押しつけでなくて受け入れるような立場で御指導いただきたい、御支援をいただきたい、そんなふうに思います。
 私どもの方でも、いろいろ人口の定住策あるいは交流策、あるいは人づくり、地域づくりということで特別に金をかけているわけなんですが、やはりどちらかといいますと、大体うちの方でも限界かなというようなことも考えることもあるわけなんです。これからひとつ、五年、十年というのでなくて、農村対策というものはこういうものなんだよというようなことを張りつけしていただいたらば大変ありがたい、こんなふうに考えております。
#358
○千葉委員 この間、十一月十七日の私のこの一兆二千億円の質問に対して野中自治大臣は、考え方として、まずソフト面でしっかりと応援をしていきたい、二番目としては従来からやってきた農業の集落排水とかあるいは農道の整備とか、あるいは三番目としては森林の保全というのがやはり中山間地では大事だ、そういう意味で森林を保全するとか林道の整備等を推進する、こういうふうな答弁がありまして、今村長さんからお話がありましたように、その村、村に応じた対応についてしっかりと御支援をしていきたい、こういうふうなお話もございまして、先ほど来の飯舘村として積極的にやっている問題について全国の模範となるような活性化対策をぜひお願いを申し上げたいと思います。
 きょう、それぞれお話をいただきましたものについては、早速あすからまたWTOの特別委員会がありますので、その中でしっかりと反映させていただきたい、このように申し上げまして、私の質問を終わります。
 以上です。
#359
○中川座長 次に、藤田スミ君。
#360
○藤田委員 日本共産党の藤田スミでございます。
 きょうは陳述者の皆さん、本当にありがとうございます。
 私どもはマラケシュ協定の批准に反対をして、公平、公正、平等の原則に立った再交渉を日本政府は行うべきだ、日本の国の経済の位置が世界で非常に重要なところにあるだけに、私どもはそういう立場を堅持するべきだというふうに考えております。
 今回のこの協定というのは、先ほど安田さんのお話にございましたように一括受理方式でありますから、これまでのガットのように留保をする権限というものを認めておりません。そのことが主権侵害を一層拡大するものであるということを私どもも指摘しております。
 いずれにしても、世界貿易機関、WTOを設立する協定を柱にしまして、大変広範囲にわたる貿易協定を盛り込んだものでありますので、これらの協定文書だけで実は二万数千ページに及ぶものであります。関連する国内整備法案と合わせますと、とても今国会中に審議を尽くせるものではありませんで、皆さんがおっしゃったように私どもも慎重審議を求めているところでございます。
 WTO協定の発効期日は定められておりません。このことは外務大臣も我が党の松本善明議員の質問に答えております。現在、批准は百二十四カ国中二十七カ国でございますから、私はそういう点でも我が国の立場にもっと毅然と立つべきだと考えるわけです。
 アメリカの方は、ウルグアイ・ラウンド諸協定のどの協定もアメリカ合衆国の法律に反するものは効力を持たないと明記をしております国内実施法案を提案し、さらに先日クリントン大統領と共和党との間で、WTOの紛争処理内容いかんでは、つまりWTOの紛争処理委員会の裁定がアメリカの側から見て勝手な内容だとする判断が五年間に三回重なればWTOを脱退する決議案を議会に出すという、このような合意を交わしているわけでありまして、その点でも大変アメリカの身勝手さといいますか、横暴が非常に露骨であります。
 昨年の全中の抗議声明を私は忘れることができませんが、農産物の輸出国の市場分割をめぐる談合を看過し、その不当な圧力に屈して、食糧の自給、すなわち、国家存立の基盤を将来にわたって放棄する協定の受け入れは許されない、こういうお立場は、今まさに世界の食糧の事情を見ましてもそのとおり、その放棄というのは国際貢献という立場からも反するものであると言わざるを得ないと思うのです。
 そこで、まず佐々木さんにお伺いをいたしますが、今度のこの農業合意に伴う対策は影響を最小限に食いとめるものだとおっしゃっておられるわけですが、これは牛肉の輸入自由化のときも実は同じ言葉を繰り返されておりました。その結果がどうであったかということは、先ほど若干お聞かせをいただきましたけれども、もう少し詳しくお聞かせください。
 それから、今、さらにこの農業協定の中で牛肉の関税率が引き下げられてまいります。また、乳製品の輸入もふやされていくことになるわけでありまして、そういう中で、政府はさらに畜産業の規模を拡大することで展望が開けるということを言っているわけでありますが、この点については展望を開けるのかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。
 恐縮ですが、あわせまして安田さんの方にお伺いいたしますが、中山間地域対策という点では、農政審は直接所得補償制度の導入を否定いたしました。そして、対策の中では融資を柱とした中山間地域新規部門の導入資金の創設ということが一つの大きな柱になっているわけでありますが、新規作物には野菜などを想定していると政府の方は説明をしております。しかし、大量の輸入野菜とどう立ち行けばいいのか、実は私は中山間地域を回って途方に暮れる思いをしておりますが、安田さんの御意見をお聞かせください。
#361
○佐々木健三君 当初もお話ししましたように、今回の自由化に先立って牛肉・オレンジが自由化されまして、我々そのときも大変運動をしまして、異口同音、事後対策で何とかなるんだというふうに言われまして、しかし、結果は御承知のとおりでございます。
 県内でも、統計的に見ますと、平成元年からことし、平成六年までの間に実に七百七十戸の酪農家が離農、やめております。これは三〇%、三五%ぐらい減っているわけですね。これが、さらに関税率が下がって乳製品がフリーパスで入ってきますと、この数はもっとふえるだろうというふうに考えております。肉用牛も同じように四百戸、養豚に至っては千六百戸、三分の一になってしまいました。こういうふうにしまして、万全な事後対策が結果的にはこういうふうな状況になっております。
 現在はどういうふうになっているかといいますと、今までバターの在庫が随分、六、七カ月あるということで減産をやってまいりましたが、この夏の猛暑で原乳が足りなくなりまして、十月からは一転、牛の導入を図る。その前までは、四歳未満の牛を淘汰した場合には補助金を出したわけなんですが、今度は牛を導入したら補助金を出すというふうな状況になっています。これは何も農政の貧困というよりも、農業そのものがこういうふうに季節や条件に非常に左右される、工業製品のようにいかないという一つのあらわれだというふうに思っております。
 和牛の肥育も、現在子牛の価格が県内ですと三十万で補てんされるわけなんですが、事業団の補てん金も相当膨大になっております。数字は定かでありませんから、担当者がいらっしゃいますのでそちらで調べていただきたいのですが、とにかくそういうことで、牛肉をつくる側も、あるいは牛肉の子牛を供給する側ももうどうしようもないというのが現状だと思っております。
 乳価も、これほど足りない時期でございますから、当然需給のバランスからいって団体が要求しているように五円の値上げは当然かと思うのですが、しかし、これもメーカー側は、貿易の自由化をにらんで工場を海外に持っていくとか、あるいは国内産の原乳でなくても製品はつくれるとか、そういう状況を反映して、いまだに乳価交渉は三円下げられたままで来ております。
 こういうふうに考えますと、さらに関税が下がって自由に入ってくるという状況になりますと、もう推して知るべしというふうに考えております。
 以上です。
#362
○安田壽男君 中山間地対策の中で、新規作目導入資金の融資についてどうかということでありますが、私はこれが効果ゼロだとか、あるいは全く期待できませんというふうにはお答えしてはいけないというふうに思っております。しかし、それほど大きな役割、ウエートを占めるのかなということに思いをいたしますと、これは残念ながらそうはならないのではないか。それは中山間地の作目だけではなくて、佐々木さんからもお話がありました畜産の問題、あるいは平場における施設園芸、米づくりまで含めて、農家自身がお金を投資してどこまで回収できるのかというその長期的な展望、保証、そういうものがないと、これは過去の実態から見てそういう意欲が持てない、展望が持てない。
 したがって、それをはっきりと、国が勧めるんだからここまでは大丈夫だよというような指導指針といいますか、そういうものが同時並行あるいは先行してお示しいただけないと、せっかくの施策が画餅に帰することになる懸念が大きいのではないか、このように思っております。
#363
○藤田委員 中山間地域で大変御苦労をされ、そして非常に創意のある新しい部門への開発に取り組んでおられることは私もよく承知をしておりまして、そういう皆さんの意欲を打ち消さないためにも、私は最大の国内対策はこの協定をきっぱり拒否することだというふうに言わざるを得ません。
 今回の国内対策で、政府の方は新政策が示した規模拡大を一気に進めようというふうに言っているところであります。新政策では、十ヘクタール以上の規模拡大でコストの水準は現状の五割程度に引き下げられる、これで内外価格差の縮小、つまり生産者米価を引き下げられるというわけでありますけれども、それで果たして何よりも規模の大きい農家の経営が立ち行くのかという心配をいたします。西さんにお答えをいただきたい。
 あわせて、中小零細農家は行方はどうなるのか、安田さんからお答えをいただきたいと思います。
 最後に、佐々木さんに一問だけお聞きをいたしますが、私も大阪で米の輸入自由化反対の運動に取り組んでおります。実は大阪府下で百万の署名をはるかに超えていきました。今、国会には四百万を超える署名が集まっているところであります。まさに国民の願いがどこにあるかということを私はひしひしと感じながら、国会の中では圧倒的多数の皆さんは受け入れという立場ですが、国会の外に出ると圧倒的多数の国民はだめだと言っているように確信をいたしますが、運動に取り組んでこられた佐々木さんに一言最後にお述べいただきたいと思います。
#364
○西一信君 質問にお答えしたいと思いますけれども、日本とアメリカの相違ということで自分なりにまとめたものがあります。米についてなんですけれども、アメリカの営農面積というものは一戸当たり百五十ヘクタール、日本では〇・八ヘクタールで約百八十分の一。それから生産量は、これは一九九一年のもみの換算ですけれども、アメリカが七百万トン、タイが二千万トン、日本が千二百万トン。それから輸出なんですけれども、タイが四百万トン、アメリカが二百二十万トン、この時点でアメリカは残四百八十万トンあるようでございます。また日本の生産者米価というのは、アメリカの七・七倍、タイの十一倍。それで、土地改良事業は、アメリカはしない、日本は必要ということです。また消費者価格につきましても、アメリカの二・九倍、タイの六・六倍です。
 日本の高い原因として私なりに考えたのですけれども、やはり一番として国土条件、二番目としては高度の機械化が進んでいる、三番目として他産業の賃金の高騰、四番目として燃料の高値、これはアメリカの四倍だそうです。それから農業機械の高値、先ほど言ったように五、六条のコンバインで約一千万円以上します。それから流通の問題、先ほども話しましたけれども、私らがつくっている米の値段が消費者に行くまでに二・五倍になっております。それで生産費はアメリカの十倍ということで、十ヘクタールで大丈夫かなという話なんですけれども、恐らく無理だと思います。
#365
○安田壽男君 中小零細農家がどうなっていくかというお尋ねと受けとめさせていただきましたが、私なりに申し上げますと、米については、自分のうちで食べる、いわゆる自家飯米をつくり続ける、こういうタイプと、いやそんなことも面倒くさいからやめたという形のものと分かれていくのではないか。それから、野菜、果物についても同様の傾向になるのではないかと思いますが、こちらはいささかもっと趣味的なものという形に踏み込んだ形で残り得ても、他は全部放棄されて荒廃化するのではないか。それから、畜産については、お答え申し上げるまでもなく、ほとんどこれは姿を消すというふうに思っております。
#366
○佐々木健三君 今安田専務さんがおっしゃったような状況が、このガット合意が通りますと本当に現実のものになっていくのではないかというふうに我々は心配するわけです。このことを我々、運動として取り組んでおりまして、全く知らされてないというのが現状です。くしくもきょう四名出席していますが、みんな共通の話題になってくるわけなんですが、今地域では話せば話すほどこういうふうな状況が生まれてくると思うのです。
 一番心配するのは、こういう状況があるにもかかわらず、国会がもうゴール間近だというふうな話になっています。先ごろの農業新聞ですと、委員会も出席がやっと半分ぐらいで、しかも閑散とされているという話を聞きますと、現場のこういう厳しい状況を踏まえて、国会では何やっているんだろうというふうな憤りさえ感じます。
 ぜひ我々のこの声を反映しまして、ただ形式的な公聴会でなくて、本当に反映できるような公聴会にしていただきたいと思います。よろしくお願いします。
#367
○藤田委員 どうもありがとうございました。
#368
○中川座長 これにて質疑は終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 意見陳述者の方々におかれましては、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。
 拝聴いたしました御意見は、各案件の審査に資するところ極めて大なるものがあり、厚く御礼を申し上げます。
 また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして、深甚なる謝意を表する次第であります。
 それでは、これにて散会いたします。
    午後二時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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