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1994/10/19 第131回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第131回国会 厚生委員会 第4号
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1994/10/19 第131回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第131回国会 厚生委員会 第4号

#1
第131回国会 厚生委員会 第4号
平成六年十月十九日(水曜日)
    午前九時三十一分開議
出席委員
  委員長 岩垂寿喜男君
   理事 衛藤 晟一君 理事 木村 義雄君
   理事 鈴木 俊一君 理事 戸井田三郎君
   理事 井上 喜一君 理事 石田 祝稔君
   理事 山本 孝史君 理事 網岡  雄君
      荒井 広幸君    熊代 昭彦君
      近藤 鉄雄君    塩崎 恭久君
      住  博司君    高橋 辰夫君
      竹内 黎一君    長勢 甚遠君
      根本  匠君    藤本 孝雄君
      堀之内久男君    山口 俊一君
      青山 二三君    井奥 貞雄君
      岩浅 嘉仁君    岡田 克也君
      塚田 延充君    野呂 昭彦君
      福島  豊君    桝屋 敬悟君
      矢上 雅義君    柳田  稔君
      山本  拓君    米田 建三君
      金田 誠一君    五島 正規君
      土肥 隆一君    森井 忠良君
      三原 朝彦君    岩佐 恵美君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 井出 正一君
 出席政府委員
        厚生大臣官房長 山口 剛彦君
        厚生大臣官房総
        務審議官    太田 義武君
        厚生省健康政策
        局長      寺松  尚君
        厚生省保健医療
        局長      谷  修一君
        厚生省生活衛生
        局長      小林 秀資君
        厚生省薬務局長 田中 健次君
        厚生省社会・援
        護局長     佐野 利昭君
        厚生省老人保健
        福祉局長    阿部 正俊君
        厚生省児童家庭
        局長      佐々木典夫君
        厚生省保険局長 岡光 序治君
        厚生省年金局長 近藤純五郎君
        社会保険庁運営
        部長      横田 吉男君
 委員外の出席者
        文部省初等中等
        教育局小学校課
        長       上杉 道世君
        労働省婦人局婦
        人福祉課長   北井久美子君
        労働省職業安定
        局民間需給調整
        事業室長    森山  寛君
        労働省職業安定
        局高齢・障害者
        対策部企画課長 太田 俊明君
        建設省住宅局住
        宅政策課長   山本繁太郎君
        厚生委員会調査
        室長      市川  喬君
    ―――――――――――――
委員の異動
十月十九日
 辞任         補欠選任
  米田 建三君     山本  拓君
同日
 辞任         補欠選任
  山本  拓君     米田 建三君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百二十九回国会閣法第二六号)
 厚生関係の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○岩垂委員長 これより会議を開きます。
 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井奥貞雄君。
#3
○井奥委員 過日まで、現在は旧連立与党と言われておりますが、五十九日間という短い期間でありますが、厚生省の皆さんには大変お世話になり、温かく御指導をちょうだいをいたしました。今ここで改めて御質問をさせていただく機会をいただいたのは、学習効果というよりも、試してやろう、こういう温かいお計らいだろう、そういうふうに私も考えておりまして、大きく分けまして三つでありますが、二つのことを重点的にお聞かせをいただきたいというふうに思っております。
 それでは第一点でありますが、税制改革と福祉ビジョンにつきまして、先月の二十二日に与党の税制改革大綱がまとめられたのは御高承のとおりであります。まず初めに、福祉と税制の問題について質問をしたいと思います。
 今後、我が国では少子化、高齢化が急速に進行をし、二十一世紀の初頭には史上初めて人口が減少していくという未曾有の時代が予想されておるわけであります。二十歳から六十四歳の生産年齢人口に対する六十五歳以上の高齢者の割合を見てみますと、平成五年、一九九三年には四・六人で一人、平成十二年の二〇〇〇年には三・六人で一人であります。そして、二〇二五年ということが言われておりますが、平成三十七年には二・一人で一人を支えるという計算になるわけであります。
 また、単に高齢者が多くなるというだけではなくて、特に七十五歳以上の後期高齢人口が急速に増加することが最大の問題点であります。後期高齢者については、寝たきりあるいは痴呆となる割合が非常に高いわけでありまして、介護を要するお年寄りの数が平成五年には二百万人、平成十二年には二百八十万人となり、そして平成三十七年には、何と二・六倍、すなわち五百二十万人に達する見込みとなっております。
 総理府の調査によりますと、自分の高齢期の生活について不安を感じることがあるか、あるとするものが約九割にも達しておりまして、そのうち約半数の人が、自分や配偶者が寝たきりや痴呆性老人になり介護が必要になったときを不安要因として挙げていることから見ても、高齢者介護の問題はまさに国民的な課題と言えると思うわけであります。
 また、近年就労女性の増加により保育需要が増大をし多様化するとともに、家族構成の変化に伴う家庭の育児機能が低下をし、家族の形態の多様化も顕著になってきております。ことしは特に国際家族年であり、家族の問題は国際的にも関心を集めており、家庭を築き、子供を産み育てることに喜びや楽しみを感じていることのできる、こういった社会づくりに向けて努力をしていくことが今日的最大の課題だろうと私は思っております。そしてこのように、高齢者介護対策あるいは育児支援対策を初めとして、福祉施設が国民生活の中で果たす役割も増大をし、社会保障の充実に対する国民の期待もますます大きくなっているわけであります。
 このような状況を踏まえて、本年六月二十一日でありますが、当時の与党でありました我々といたしましては、税制改革協議会の報告書におきまして新ゴールドプラン、エンゼルプランの策定を打ち出したところでありまして、現在の政府・与党においても認識は一にしていただいているというふうに思っております。
 しかしながら、今回取りまとめられました税制改革のフレームを拝見いたしますと、少子化、高齢化に対応した福祉社会への対応というフレーズを大きな旗印にしている割には、将来の社会保障という姿が全く我々の目に見えてこないわけであります。平成七年度に一千億円、八年度に二千億円、九年度以降には四千億円の福祉財源を確保している、こういうことになっておりますが、これでは平成六年三月に厚生省から示された二十一世紀福祉ビジョンで提示したようなトータルな社会保障の今後の姿を実現することは到底不可能であります。
 そこで、厚生大臣として、今回の税制改革についてはどのように評価をしておられるのか。特に、この七年度に一千億円、八年度に二千億円、九年度は四千億円となっていますが、これは国・地方合わせてのトータルの額でございますので、この点につきましてお聞かせをいただきたいというふうに思います。
#4
○井出国務大臣 井奥議員におかれましては前内閣において政務次官として御活躍いただきましたことに、心から敬意を表します。どうか厚生行政の先輩として、よろしく御指導とまたお力添えをお願いする次第であります。
 今回の税制改革でございますが、連立与党各党の関係者の皆様方の精力的な御論議の結果取りまとめられたものでございまして、その御努力に対しては深甚なる評価をしたいと考えております。その際、少子・高齢社会に向けての当面緊急を要する施策分及び年金等の物価スライド分として一定の財源が確保されたところであります。
 少子・高齢社会の進展は今委員お述べになられましたように急ピッチでございまして、これに向けた福祉サービスの基盤整備はいっときも足踏みしている余裕はございません。したがいまして、今回の措置も一つの足がかりとして、これから財源の確保に配慮しつつ、本格的な少子・高齢化対策を積極的に推進してまいりたいと考えております。
#5
○井奥委員 大変大きな政策、必要な政策も、予算が伴わないとなかなかこれは実行できないものでありますから、ぜひひとつ大臣にいま一層頑張っていただきますようにお願いをいたしておきたいと思います。
 そしてまた、国民に新たな負担をお願いするということであれば、そして少子化、高齢化に対応した福祉社会への対応、これを税制改革のキャッチフレーズにされるということであれば、明確な福祉社会像を改めて国民の前に提示をしていただきたい、これは根っこの部分でありますけれども、医療とか介護、子育て、この分野について大方針をしっかりとして、ゴールドプランあるいはエンゼルプランというものを進めていただく、こういうことをお願いするわけでありますが、大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
#6
○井出国務大臣 お答えいたします。
 先ほど申し上げましたように、今般の税制改革に当たりましては、与党のさまざまな御議論の結果、少子・高齢社会に向けて当面緊急を要する施策について一定の福祉財源措置が講じられたところでございますが、この税制改革におきましては、社会保障等に要する費用の財源の確保等との関連で、消費税率についての見直し規定を置くことになっております。
 したがいまして、その検討過程において、新ゴールドプラン、エンゼルプラン等の内容についてできるだけ早く詰めを行うとともに、年金、医療等の自然増もございますから、それらの推計を行うなど、将来の社会保障の具体的な姿を明らかにしてまいりたい、こう考えております。
#7
○井奥委員 それでは、高齢者の介護対策と、新ゴールドプランについてお伺いをしたいと思います。
 二十一世紀の本格的な高齢社会を迎えるに当たりましては、国民だれもが、程度の差こそあれ寝たきりなどの介護を必要とする状態になり得るということを前提として、安心をして年をとることができる社会、これを築いていくことが必要であると考えているわけであります。そのためには高齢者に対する介護サービスを供給する基盤の整備が急務であります。既にゴールドプランに基づいて着実に推進をされていると思いますが、昨年度地方老人保健福祉計画が作成されたことを受けて、ゴールドプランの見直しが検討されているわけでございます。
 そこで、このゴールドプランの見直し、いわゆる新ゴールドプランの作成についての経緯と、ただいまも伺いましたが、その必要性を厚生大臣からお伺いをしたいと思います。
#8
○阿部政府委員 お答えいたします。
 いわゆるニューゴールドプランと言われているものでございますが、委員御存じのとおり、現在既にゴールドプランということで十年計画が進行中でございまして、一方で、各市町村が老人保健福祉計画というものをすべての市町村でつくりましょうということで、これが今年の三月末で大体出そろっておるわけでございます。
 当初、ゴールドプランというものを構想し発表した時期と市町村の老人保健福祉計画が完成した時点と、若干のずれがございますので、市町村の老人保健福祉計画というものを基礎にしながら、もう一度ゴールドプランというものを見直してみるべきなのではないかということで始まったのがゴールドプランの見直しであり、いわば新ゴールドプランというふうに言われているものでございます。
 具体的には、昨年度三月末で市町村の老人保健福祉計画が出そろいましたので、それ以降、新年度になりましてからかなりの時間をかけまして、あるいはそのときどきの与党の皆さん方とも十分お話をさせていただきながら、現在一つの素案として完成したものがいわゆるニューゴールドプランと言われるものでございます。
 ここでは、先生御指摘のように、将来、特に介護ということが市民生活を構成する場合の重要な一つの基礎になってまいりますので、その基盤づくりというものを急がなければならぬということでございますので、将来をにらみましたときにぜひ完成させていかなければならぬプランニングではないか、こんなふうに思っております。
 そういったふうな背景の中で、今般の税制改革におきましては、御指摘のとおり、九年度以降は三千億円という見込みでの財源措置がなされ、七年度、八年度におきましても、特に緊急性のある特別養護老人ホームの拡充、ホームヘルプサービスの充実などということでそれぞれ一千億円及び二千億円というのが充当されるというふうなことが決められたというところでございます。
 そういったふうなことから私どもとしては、先ほど大臣も申し上げましたとおり、市町村の計画というのが動いておるわけでございますので、財源措置の点も十分にらみながら、できるだけ早く新しいゴールドプランというものを策定し、実施に移していくように努力したい、こんなふうに考えているところでございます。
#9
○井奥委員 阿部局長のお話はそれなりに理解をいたしております。
 それでは、この新しいゴールドプランの特徴とか内容、現行のゴールドプランとの比較、現にホームヘルパーを十万人から二十万人にするとかいろいろな施策を講じておられるわけでありますが、大まかで結構でありますから、特にちょっと具体的な例をお話しいただければありがたいと思います。
#10
○阿部政府委員 現在の素案でございますが、ニューゴールドプランの内容を、現在の進行中のゴールドプランとの比較において幾つかのポイントを申し上げてみたいと思います。
 まず一つは、高齢者介護サービスのあり方につきましての基本理念といいましょうか、そういうものをはっきりさせていきたいと思って、四つほどの理念を掲げてございます。
 一つは、利用者本位、自立支援ということでございまして、どちらかといいますと、ともすると与えるというふうなことになりがちでございますけれども、そうではなくて利用者中心に物を考え、その自立を支援していくのだというふうな考え方が大事ではないかということが第一点でございます。
 それから第二点は、普遍主義という表現にしてございますが、特定の方ではなくてどなたでも対象になり得るんだよということをよりはっきりしていくべきではないか。どなたでもというふうな原則でございます。
 それから三つ目が、総合的サービスの提供ということで、いわばお年寄りが要介護状態になったときに必要なサービスといいますのは、医療も福祉もあるいは生活支援もあわせて必要なわけでございますので、そういったふうな、とかく縦割りになりがちなサービスというものを総合的にやっていくんだよという考え方でございます。
 それから四つ目が、地域主義といいましょうか、そういうことでございまして、それぞれの圏域、市町村が中心でございますが、あるいは大きなところになりますとより小さなエリアということが必要だと思います。それぞれの地域の中で必要なサービスを、体制をつくっていくようにしましょうというふうなことでございます。そういったふうなこと。
 あともう一つ大事なポイントは、先生御指摘がございましたように、現在のゴールドプランで掲げております数値的な目標について、市町村がつくっております老人保健福祉計画に沿って上方修正をするということで、例えばホームヘルパーにつきましては十万人から二十万人、デイサービスにつきましては一万カ所から二万カ所、あるいは施設整備につきましても、まだやはり特別養護老人ホーム等の需要が非常に強うございますので、これを二十四万床を三十万床程度ということでございます。
 それから、あともう一つ、簡単にいたしますが、現行のゴールドプランの策定後、新しく導入されたさまざまな施策もございます。例えば訪問看護ステーションとか、新しい施策のものもこのゴールドプランの中に取り入れていきましょうというふうなこと。と同時に、一定の、例えば特別養護老人ホーム等々につきまして居室面積の拡大といったふうな、いわば質的な改善といいましょうか、これも結構所要額が大きいのでございますけれども、そういうふうなものにも取り組んでいこうということで、そういった点も加味をするというふうなことでございまして、全体として二十一世紀を展望するときにかなり、非常に豊かなというまではなかなかいかないかもしれませんけれども、確固たる基盤ができる中身なのではないかと思っております。
#11
○井奥委員 お伺いいたしますと、高齢社会に向けてのなかなかしっかりとした骨組みをおつくりをいただいておられると思っております。
 この新ゴールドプランを実現するための所要経費は一体どの程度になるのか。今までは例えば、これは平成五年度でありますが四千五百六億円、平成六年度でありますが五千二十九億円、それから七年度から、これが新ゴールドプランでありますけれども、これはかつてのゴールドプランであります五千六百三億円、それに新ゴールドプランとして約三千三百億円ということでありますが、冒頭に私も御質問申し上げましたように、平成七年では一千億円、国と地方と合わせて一千億円でありますから、実際は五百億円しかない。これは三千三百億の予算を計上されての事業計画でありますけれども、こういった形でございまして、この七年から十一年までの五年間で、国単位では一兆七千五百億円かかる。
 こういうことであれば、こういった財源というものの手当てを一体どういうふうに充当されるのか。老人介護対策に充当をされていくのか。公費の面で新ゴールドプランというのは、実際に目標倒れになってしまうのではないのか。あるいは、目標を下げていくのか。大変厳しい質問でありますが、この点について、ぜひともひとつお伺いをしたいと思います。
#12
○阿部政府委員 先ほど申し上げました、いわゆる新ゴールドプランということでの所要経費は、先生御指摘いただきましたように、国費ベースで、五年間で現在の額にプラスして一兆七千五百億円が必要だというふうな見積もりを私どもさせていただいております。
 こういったふうなことの財源ということでございますが、今回の税制改正の過程の中でさまざまな御議論をなされたわけでございますけれども、一つの判断といたしまして、平成九年度以降につきましては三千億円、これは先生御指摘のとおり、国費ベースというよりも、いわば地方負担も入れた公費分ということでございますけれども、三千億円ということも講じられたところでありますし、さらに平成七年度及び八年度におきまして、介護対策というふうなことを中心に一千億円及び二千億円の公費ということが用意された、こういうことになるわけでございます。
 率直に申しまして、先ほど先生も御指摘されました一兆七千五百億円ということ、これは五年分でございますから、単年度で、五年分で割り戻しますと、三千四、五百億ぐらいということになるわけでございますけれども、それで足りるかと言われますと、確かに必ずしもその一定額には達していないということはそのとおりなのでございます。
 ただ、私どもとしては、やはり何としてでもこういったふうな基盤整備というものを急がなければならぬというふうに思っておりますので、一つは、今般の税制改革におきまして、社会保障の費用等の財源確保との関連で消費税の見直し規定が置かれたということ。それから、あともう一つは、先のこともそうでございますが、当面七年度、八年度というのをどういうふうに考えるかということでございまして、先ほどの一千億なり二千億なりというのを足がかりにいたしまして、まだ年末の予算編成もありますので、そういったふうな時期を含めまして、財政当局とさらに折衝を重ねまして、将来の方向というものをはっきりさせていくように努力したい、こんなふうに思っております。
#13
○井奥委員 局長の御説明は私なりに理解はしているつもりでございますけれども、新ゴールドプランの実現というのは二十一世紀までの数年の間でございますから、介護サービスの量的、質的な拡充を行っていくために真に必要な施策、これはもう全く欠かすことができないものだと考えております。
 また、これとともに重要なことは、だれもが身近なところで必要な介護サービスを受けられるという、この四つの中の一つで申された利用者本位の支援ということでありますが、こういったところで、皆さんは福祉という言葉で大体ごまかされるというわけじゃないのですが、福祉の世話になるというような感じの言葉があるように、何でも福祉ということで済ましておけばというふうな風潮があるように思うわけであります。
 そういったことではなくて、今この四つの点を申されましたけれども、だれもが身近なところで必要な介護サービスをスムーズに受けられる、利用される、利用しやすい、そういうものが手に入れることができるようなシステムをぜひひとつつくっていただかなければならない。措置とかサービスというのはわかりやすいし受けやすいわけでありますが、先ほど申しましたように、福祉というものは概念が大きくて、中身が非常に一つ一つというのは難しいものでありますけれども、こういったものを含めて、ぜひともひとつ、より一層細やかな厚生行政のサービスというものに私は期待をするものであります。
 そこで、最後に、高齢社会の到来に向けて、新ゴールドプランの作成や新しい介護システムの構築など、高齢者の介護基盤を整備していくために、厚生大臣におかれましてはどのような形でお取り組みになられるのか、その御決意をお伺いしたいと思います。
#14
○井出国務大臣 本格的高齢社会に向けて、高齢者介護サービス基盤の整備は喫緊の課題であると認識しております。今般の税制改革に際しましても、その大綱で、少子・高齢社会に対応した安心と活力ある福祉社会の建設への取り組みが喫緊の問題として提起され、高齢社会に向けて、当面緊急を要する施策について一定の財源措置がとられたところであります。
 厚生省といたしましては、今回の税制改革に伴う一連の措置も一つの足がかりとして、消費税率の見直しについての検討の過程において、引き続き財源の確保にも配慮しつつ、できるだけ早く新ゴールドプランの策定を図りたいと考えており、関係省庁と鋭意協議を進めていく所存ております。
 また、新たな介護システムの構築につきましては、本年四月厚生省において高齢者介護対策本部を設置いたしました。また、七月からは学識経験者による研究会を開催し、高齢者介護をめぐる基本的な論点や考え方について整理、検討を行っていただいているところであります。できれば、この研究会で、年内に一定の方向づけを出していただこうと今お願いをしておるところでございます。
 また、今委員御指摘の公的介護保険でございますが、それにつきましてもいろいろな御議論があります。その選択肢の一つであるとは考えております。したがいまして、今後とも、ドイツを初め諸外国の動向などを調査しつつ、幅広い観点から議論を進めていきたい、こんな考えております。
#15
○井奥委員 それでは、時間がもう約半分過ぎたわけでありますから、次に移りたいと思います。
 次は、子育て支援でございます。
 一九九三年の出生率というのは、これは合計特殊出生率と言いますが、過去最低を記録いたしましたのは御高承のとおりであります。女性の社会進出により晩婚化が広がっているために、国家の発展の源は人材にある、これはもうだれもが御認識をいただいていることでありますが、また企業に出生有給休暇制度等の出産を促進する対策、例えば企業においては健全な赤字部門が必要なために、日本は、今まで、健全な赤字部門の育成を急がなければならない。
 例えば企業におきましては研究開発とか企画室などを設けて、これから将来に対する新商品の開発やいろいろなことを、今はその負担は大きくても、しかし将来それが企業全体につながっていく、朴益につながっていくのだ、そういう産業の発展につながっていくのだという、今この部門が存続することによって、赤字だけれども必要なのだという、こういった健全な赤字部門と私どもは言っておりますが、これは必要だというふうに思っております。
 今までゴールドプランについてお伺いをしてきましたけれども、ゴールドプランというのは、やはり八〇年代から高齢化社会に向かってお年寄りの問題はどうあるのかというのは、これは十年以上の議論をしてきたがゆえにいろいろなゴールドプランあるいは新ゴールドプラン、こういった形でお年寄りに対するものは、まだ完備はしておりませんけれども、こういったものについてはそれなりに、年金とか医療とかというのは世界のトップクラスになっているわけでありまして、あとは介護、子育ての問題ということであります。
 介護の問題、子育ての問題を除いてはかなりの勢いで進展をしていて、私は大変ありがたいことだというふうに思っておりますけれども、厚生省の九三年の人口動態統計というのによりますと、女性一人が生涯に出産をする合計特殊出生率というのは一・四六人と過去最低になったというのは冒頭に申し上げました。人口がふえも減りもしない合計特殊出生率は二・一人、いわゆる人がふえもしない減りもしないという、亡くなっても二・一人という出生率を確保すれば、これは人口は減らないということであります。
 ちなみに申し上げますと、ことし私も一月の十五日には成人式に出たわけでありますが、二百五万人の方々が、若人が二十として巣立っていかれました。しかし、昨年一年の出生数というのは百十八万八千人でありまして、その中で亡くなられるというのは一・五%ぐらい。育児のときに、乳児期にやはりよく――日本は医療が発達をしておりますから、諸外国に比べてもうこれは世界一だそうであります、死亡率が少ないということは。しかし、そういった中でも亡くなっていかれるのが約一・五%ぐらいではないのかなということでありますから、これは失礼な話でありますが、約百十八万人としましても、十九年後に、いわゆる成人式を迎えられるという方が八十六万人くらいに減ってしまう、こういう計算に、雑駁でありますがなるわけであります。
 この出生率は下降線をずっとたどっているわけでありまして、戦後過去最高であったのが一九四九年の二百七十万人、これの約二分の一以下になってきているということであります。この最大の原因というのは、結婚をしない女性、未婚の増加、結婚はしたくないという女性はそれほど多くないわけでございますけれども、より正確には晩婚化というのが原因ではないか、このように私は考えるわけであります。
 女性の平均の結婚年齢というのは、昭和四十年というのは二十四・五歳、昨年が二十六・一歳ということで、これはまあ四十年に比べてはまだそれはそんなに高齢になっていないじゃないか、晩婚化になっていないじゃないかと言われるかもわかりませんけれども、やはりこの背景というものは女性の社会進出とか、就職の機会がふえたということが一点と、高学歴化で所得も上昇して、経済的要因で結婚する理由が大変薄れてきたということもあろうと思います。また、都市部においては、コンビニエンスとかレストラン、そういった経済のサービス化で独身者でも暮らしやすい、このこともあろうと思います。
 しかし、一方では、日本ではこれまで結婚すると、家事、育児は女性がすべきだといった通念が強くありまして、結婚は自由だけれども、とりわけ出産後の育児の負担が大きくて、仕事と両立というのは、女性の結婚、出産というものは、これは何となくためらっておられるような傾向にあるのではないかなというふうに私は考える一人であります。
 独身生活のために環境が整っている大都市での合計特殊出生率というのは、東京では一・一〇人、大阪では一・三一人、京都では一・三二人、神奈川では一・三五人である、こういうふうに伺っております。それに、まして核家族化で、家督の継承とか老後の世話をする習慣が薄れてきていることも、子供を持つ意欲というものが減衰をしてきているというのではないだろうかというふうに思っております。
 私は、ある経済学者の先生とちょっとおつき合いをさせていただいているわけでありますが、子供を経済学的に見るというのは、これはちょっといかがなものかと私は思いましたけれども、おもしろいいわゆる比較で話をされたのでちょっと申し上げますと、経済学的にその先生がおっしゃると、今の親にとっては、子供というのは将来自分の生活を期待できる投資財、自分の生活の面倒を将来見てもらえるとかなんとかという期待できる投資財ではなくて、かわいがる対象とか、趣味とか嗜好品のような消費財と言ってはこれは大変な語弊があるわけでありますが、それに変わってきているのではないかな。もう親が猫かわいがりをする、一人だからもっとかわいがる。だから、自分たちは福祉という形で、年をとっていってもそれは国が見てくれるのだ、地方が見てくれるのだ、こういうことのためにもう子供は一人でいいのだよ、こういったふうな形になってきているのではないかな、経済学的に見たらこういうふうに思うよということを言われたので、私は当たらずとも遠からずだというふうに思っております。
 今度のケースで、厚生省は、九二年の試算では、九〇年代後半から増加に転じて、二〇二一年には一・八〇人、そして横ばいになるのではないかな、そういう統計も私はお聞きをしたわけであります。しかし、また違った統計では、二〇一一年には一・三〇に落ちる、こういった統計も逆にはあるそうでありまして、私は、厚生省あるいはそれぞれの推計を見ますと、一つ目は、結婚した夫婦がかつてつくる子供の数というのは、過去二十年で二・二人前後でありますから、結婚をした夫婦は大体二・二人の子供を産んでもらっているわけであります。しかし、最近の出生率低下の原因が、私は、晩婚化にあるのではないかなというふうに考える一人であります。
 そして、二点目でありますけれども、晩婚化が頭打ちになると出生率は増加する、これは当然であります。早く結婚すれば、それだけ早く子供が生まれてくるわけであります。いずれにしても、将来人口が減少するという事情は変わっていかない。それは、国力の衰退、それから日本経済の収縮に私はつながっていくものだというふうに思います。
 京都大学の高坂先生なんかよく言っておられて、あの先生の書かれた本の中でも、「文明が衰亡するとき」という本の中でありますが、イタリアの都市国家ベネチアの国力が衰えていったときに独身者が急増したということが記されているのです。適齢期の中の男性で結婚しない者は、十七世紀には六〇%と上昇して、経済が発展をとめ、生活水準を維持したいという気持ちから、子供とか子孫をふやしたくないという気持ちが、それぞれが合致をしたというふうにあります。
 私は、日本民族は、今出産とか育児という、先行投資と言えば大変言葉が悪うございますが、やはりこのことを怠る、サボる、これをサボって大人という、償却済みと言えば申しわけないのですが、今日まで豊かな国をつくってくださった、あるいは自分たちも豊かな国を、豊かさを享受しているという、大人という償却済みの資産だけで最後の繁栄を楽しんでいる、こういうことであってはならないというふうに危惧をいたしておるわけであります。
 もとより、子供を産むかどうかは個人の自由であって、若い女性が子供を産まない、これはけしからぬと言うことは筋違いであって自分勝手でありますから、そんなことは申し上げることはありませんが、出生率を上げていくというのは、子供は家の宝あるいは社会の宝、あるいは私有財産ではなくて公共の財産、本当に国の宝ということを見て社会的な資金負担で出生を後押しをする必要が私はある、このように思うわけであります。
 夫婦のうち、男女どちらかに二年間の出産休暇を与えて、その間は企業と政府で給料の負担、これは一〇〇%というのは、スウェーデンでも八五%が国、そして企業が一五%、こういうことになっておりますから、これは一〇〇%保障するということにつきましては大変なことでありますし、また企業は、復帰後、子育てが終わって、そして企業に復帰をされたときにはもとのポストを用意していく、これは急激な、いろいろな社会というものの経済の進歩が早いわけでありますから、それについていけるかどうかは別の問題でありますけれども、実際こうした考えに基づいて育児休暇法を一九七二年にスウェーデンは制定をいたしたわけでありましてへ七〇年代に一・七人になった出生率が八〇年代後半には二・一四人になったということのこれは事例があるわけであります。
 しかし、民営化による保育所の拡充も重要であり、それから育児休業法のヨーロッパ並みの実現は容易なことではないということはよく私も承知をいたしておりまして、資金負担が重くなることで企業の反発というのはこれは大変なことであろうと私は思います。北欧型の重税国家に近づく公算も大きくなるわけであります。
 しかし、確実に私は今言えることは、今効果的なあらゆる諸策を講じなければ人口は必ず減っていくのであります。ですから、二〇六〇年までには日本人が二分の一、六千万人になっていても不思議ではない、私はこのような危機感を持っているわけでありまして、十七世紀のベネチアのこの衰亡、二十一世紀の日本の可能性は非常に大きい、私はこのように思いますので、そこで現在の子育てについて、そのマクロ的なこと、そして身近な問題についての施策をどういうふうに講じておられるのか、厚生省にエンゼルプランプレリュードを含めてお伺いを申し上げたいと思います。
#16
○佐々木政府委員 今少子化の問題につきましていろいろな角度からお話をちょうだいいたしました。私どもも少子化への対応ということは最重要課題の一つと受けとめておるところでございます。
 今御指摘もございましたが、今後の文字どおりの本格的な少子・高齢社会に対応していくためには、子供を持ちたい人が安心して産み、育てられるようにする、そして子育てを個人や家庭だけでなく社会全体で支援していく、この基本的視点というのは極めて重要というふうに認識しておるところでございます。現状の子育ての支援策といたしましては、関係各省庁ともに、それぞれ親子のライフスタイルなり、ライフサイクルに対応しまして、必要な事業なり、施策を実施しているところでございます。
 厚生省におきましては、これまで、一つには、妊産婦と乳幼児の健康を守るための健康診査あるいは保健指導等の母子保健対策、二つには、多様なニーズが今生じておりますけれども、保育所におきます保育サービスの提供、三つには、乳幼児に対する児童手当の支給等、四つ目には、児童館の整備だとかあるいは小学校低学年児童を対象としました放課後児童対策等によりますいわゆる健全育成対策、こういったような施策を進めておるところでございます。
 御案内のとおり、平成六年度におきましては、いわゆるエンゼルプランプレリュードと銘打ちまして、子育て支援のための対策の大幅な拡充を図ったところでございます。子育て支援のためのこども未来基金の創設であるとか、あるいは時間延長型保育サービスの充実、駅型保育モデル事業の創設といったようなものが中心でございますけれども、そういった意味での子育ての支援対策の拡充をしたところでございます。
 それからまた、関係各省庁におきましては、例えば育児休業制度の推進であるとか、育英奨学事業の推進等がそれぞれの省庁において進められておるところでございます。
#17
○井奥委員 佐々木局長にさらに努力をしていただくことをお願いを重ねていたしておきたいと思います。
 それでは、労働省の方、来ておられますか。労働省の方にお伺いをしたいのでありますが、簡単に御質問申し上げますので、簡単にお答えをいただければありがたいと思います。
 今までずっと一連の御質問をさせていただきました中でありますが、一九九一年に育児休業法というものが制定をされまして、これは三年目を迎えているわけであります。これがどのように定着をしているのか、進捗状況をお伺いしたいのが一点であります。
 それから、冒頭に申し上げましたように、ドイツの国では育児休業というのは――育児休業法が施行されて、そしてまた来年平成七年の四月から二五%の給付、これは二分の一、労使折半でありますが、こういった形での給付をされるわけであります。しかし、これは一年でありますから、ドイツのように三年の育児休業が認められるというのは、まだこれから。実はこの給付をするというのは来年の四月からでありますけれども、それを踏まえて、やはり一年をやれば次は二年、三年というものについての想定はされているはずでありますから、こういった問題についてのお考えをちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
#18
○北井説明員 お答えを申し上げます。
 平成四年度から育児休業法が施行されておりまして、その施行後一年たちました時点での平成五年度の労働省の調査によりますと、常用労働者三十人以上の事業所の五一%ほどが既に育児休業制度について就業規則に整備をしていただいておりまして、その後も私どもでは中小企業を中心にその普及を進めておりまして、就業規則への整備を進めていただくよう指導援助を申し上げているところでございます。
 また、実際に利用された方の状況を見てみますと、平成四年度一年間に出産した女子労働者の四八%が育児休業を開始しております。男性の場合は、配偶者が出産した男子の○・〇二%が育児休業をとっておられる、こういうことでございます。
 私どもでは、さらに、育児休業給付についてでございますけれども、先ほど御指摘がございましたように、さきの国会において雇用保険法の改正法案を通させていただきまして、来年の四月の施行に向けて準備を進めているところでございます。
 この育児休業給付の延長についてでございますが、現在の育児休業法におきましては、子が一歳に達するまでの間は育児休業を認めるということが事業主の義務となっておりまして、一歳から小学校に入るまでの間は事業主の努力義務となっているところでございまして、現在のところ、育児休業給付については、その事業主の義務となっているところを対象にしているところでございます。
 現段階におきましては、社会的コンセンサスが確立されている範囲において措置することが妥当であるということから、一歳、つまり一年間ということにいたしておりますが、今後の我が国における育児休業の状況等を注意深く見守ってまいりたいと考えております。
#19
○井奥委員 三年は。三年のことは考えておられませんか。
#20
○北井説明員 現段階においては、まだこれが施行前でございますので、まず施行状況を見守りまして、その後の検討課題だと考えております。
#21
○井奥委員 考えておられないということは大変残念なことであって、私は、やはりスウェーデンにおいても、あるいはまた北欧型の大きな政府で、そういう国がすべてを持つということでありませんけれども、そうなったときはどうするんだ。このことについてはやはり生産人口が減っていくわけでありますから、労働省にとってもこれは大変なことなんですよ。このことだけはしっかりと、やっておりませんなどというようなことで、木で鼻をくくったように言われるというのは大変不愉快でありますが、これはしっかりまた私は別の機会でお尋ねをしたいというふうに思っております。
 それでは、保育ニーズは、時間がちょっと来たものでありますから、後ほど時間があればお伺いをしたいと思っております。
 それでは、建設省、来ておられますか。建設省にお伺いをしたいというふうに思っております。
 ゆとりある住生活の実現。子供がふえないというのは、一つにはやはり収入の問題。特に七百万から千万ぐらいの所得を得ておられる方々というのは、一番子育てが大変な時期なんですね。そのときに、子育てが大変にもかかわらずうちを増築していくとかなんとかというのは、大変なこれまた負担であります。しかし、ウサギ小屋の中に詰め込んで、またそれ以上にというのも、やはりこれもまた大変なことであります。
 しかし、総合的に、例えばお年寄り、高齢者との同居をするということになりますと、老親の同居加算というものがあったり、いろいろな特例というものが、高齢者住宅というものについてはこれはやはり努力をしていただいた結果、こういった二世帯とか三世代が住む住宅については、かなりこれは私は進展をしてきているというふうに思うわけでありますけれども、こういったものを踏まえて、今ここで手をつけていかなければ大変なことになるというのは申し上げたとおりでありまして、税においても、住宅取得の推進税制といったってこんなものは大したことじゃないんですよ。今度の連立与党が言っていて、それで大蔵省がといっても三十五万円プラス三万円、これは一年に三万円でありますから、こんなものは全く、まあないよりはいいわけでありますが、大したことじゃない。
 こういったごまかしといっては大変失礼でありますが、まやかしみたいなことではなくて、私が過日お聞きをしましたら、二〇〇〇年には二月当たりの面積が百平米、百平米といったらあなた三十坪ちょっとじゃないですか。こういうことが理想だなんということは余りにも私はさもし過ぎると。
 これは首都圏では大変難しいと思いますよ。しかし、これは全国平均押しなべて百平米だ、こういうことであって、今は何かというと九十二から九十三、借家とかアパートに住んでおられる人というのは五十平米だ。この中で、とにかく産めよふやせよと言っては語弊がありますけれども、こういう形での住宅基盤というものについては整備をしていかなければいけないというふうに私は思っておりますけれども、建設省において、子育て支援のために、これまでにも増して広い住宅の供給を計画的に進められて、ゆとりのある住生活を実現する必要が私はあるんだと。今やっておかなければだめですよ、こういうことでありますから、いわゆる住宅を建て増しをしたり、取得税についても、もう少し税でも補完をしていく、これは大蔵省との管轄、またこれは折衝になろうと思いますが、こういうことについてはいかがですか。
#22
○山本説明員 建設省の住宅政策課長でございます。
 こういうことをお答えしたいなということまで含めて御指摘がありましたので、大変な御激励だということでしっかり受けとめてやりたいと思いますけれども、戦後の我が国の住宅政策、とにかく住宅の数が足りない、一つの住宅に幾つもの御家族が住んでおられる、住宅でない建物に住まざるを得ない、そういう問題をどうやって解決するかということを非常に一生懸命やってまいりました。
 昭和四十年代の終わりになりまして、大都市地域まで含めまして、そういう絶対的な住宅不足ということは解消した、住宅難世帯を解消したということがありまして、昭和五十年代以降、御指摘がありました広さの問題を中心に、住宅の質を改善していくということでいろいろ努力を重ねてきております。
 今御質問の中にもありましたように、住宅政策上の基本的な目標といたしましては、アメリカ合衆国を初めとする北米の水準は非常に高いところにございますので、我が国としては何とかして西ヨーロッパの主要な国の水準に持っていきたいということで、九五年には我が国の住宅の一戸当たりの平均の床面積の値で九十五平方メートル、二〇〇〇年にはこれを百平方メートルにしたいという目標を掲げていろいろ努力をしているわけでございます。
 実際の数字でいいますと、五十三年にこの数字が八十平米でございまして、一番新しい数字が昨年の十月に調査をいたしました平成五年の住宅統計調査、九十三平米弱でございます。私ども、引き続き努力するわけでございますけれども、この内訳について問題意識を持っております。九十三平米は持ち家、借家の平均でございまして、持ち家の場合は全国の平均で百二十三平米弱まで伸びております。五十三年が百六平米でございましたのでかなり伸びております。
 これに対しまして、借家の床面積については非常に問題意識を持っております。昨年の値で四十五平米強、これは五十三年の調査ですと四十平米ぐらいですので、余り大きく伸びていないということで、特に広さの問題につきましては、特に子育てを実際におやりになるファミリー世帯、賃貸住宅にたくさん住んでおられますので、何とかしてファミリー向けの賃貸住宅をたくさん供給したいという問題意識でいろいろ政策努力を重ねております。
 昨年から法律を認めていただきました特定優良賃貸住宅制度、土地所有者の方々の力を生かすという方法でファミリー向けの賃貸住宅の供給を進めておりますけれども、今年度はこれは三万一千戸、来年度は三万五千戸ということで予算要求しております。まずこれを中心に努力をしておりまして、そのほか、公共賃貸住宅、公営住宅や公団住宅につきましても、大都市地域を中心にぜひ規模を拡大していきたいということで努力をしているわけでございます。
 持ち家につきましても、いろいろ御指摘のありました税制も含めまして努力しているわけですが、特に大都市圏で子育てをやっておられるファミリー向けのマンション、より広いマンションということで七十五平米以上のマンションを取得される方につきましては、ゆったりマイホーム加算、金融公庫の融資を平成五年度からやっておりますし、その他、税制につきましても、規模の上限等いろいろありますので、これを少しずつではございますけれども引き上げるという方向で努力させていただいているところでございます。
#23
○井奥委員 御説明はよくわかりました。
 住宅需要があって、百六十万戸ぐらいのものの建設が促進されているということは、これはよくお聞きをすることです。しかし、問題は中身なんですよ。だから、中身をもう少し広げていく、このことについては私はまた何かの機会に御質問させていただきたいというふうに思っておりますが、例えばアメリカのツーバイフォーのものをそのまま日本に持ってくれば約倍になるんだね。それをそのまま入れれば半分の値段でできる。ここに規制緩和やそういったいろいろな問題があるわけでありますから、こういった問題を含めて、これはまた私は後に御質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 それから、文部省、来ておられますか。もう時間がなくて恐縮でありますが、教育についての不安感、負担感、やはり子育ての問題は、もちろん私は所得あるいはまた住みか、いわゆる住宅、このこともあろうと思いますけれども、一番大きいのは子供に対する教育なんですね。教育費がかかり過ぎるということですよ。それと、私がある人に聞いたら、教育というのは、学校は遊びに行って、塾に行って勉強するんだ、こういうふうな形で、特に首都圏はそういうことが激しいんですよ。
 ですから、ちょうど私が自民党にいたころでありますが、北川小委員会で週五日制の問題、最初はものすごい反対でした。しかし、それは定着してきたじゃないですか。本来は子供は親に返すものだ、こういった形でもって週五日制、これから月二回制にされるということでありますが、これを含めて、やはりこれは学校教育にも問題があり、社会教育、家庭教育、生涯教育等々で、文部省は今までのような子育てに対する、子供の教育に対するやり方をもう少し改めてもらわないと、ゆとりのある、創造性がある、そういう子供たちが育っていくような環境をやはり文部省も率先してつくっていってもらう、こういうことも私は大事だと思いますが、その点はどうですか。時間がありませんので……。
#24
○上杉説明員 御指摘のように、今学校の週五日制、まずは月一回ということで進めておりまして、一応円滑に定着してきていると考えております。現在、月二回をどうするかという検討をしているところでございます。そういった政策も含めまして、学校は学校で子供たちの学習をきちんとやっていく、そして家庭及び地域社会も、それぞれの機能を発揮して、子供たちの人間形成に役立っていく、そういう学校、地域、家庭合わせての教育の充実ということで私ども努力してまいりたいと思っております。
#25
○井奥委員 最後に、厚生大臣にまとめてお伺いをしたいと思っております。
 それぞれ御質問をさせていただき、御答弁をいただきました。感謝をいたしておりますが、最後でありますから、それぞれの省庁を含めて御答弁をいただきましたけれども、こういった問題がばらばらで、それぞれの省庁が独自でそれを遂行される、それぞれの省の省益がありますから、それは仕方がないというふうに思いますが、しかし、事この子育ての問題あるいは新ゴールドプランの問題、こういった問題は、きょうは質問をしておりませんが、例えば横断歩道橋の問題も、障害を持つ方々、お年寄りの方々、そういう方々が利用できるように、それも福祉の分野に入るわけでありますが、そういった問題を含めてより統合的に井出大臣がリーダーシップをとっていただいて、ぜひとも来るべき二十一世紀のために、少子化、高齢化の問題について強い御決意で臨んでいただける、その強い決意表明を聞かせていただければありがたい、そのように思います。
#26
○井出国務大臣 近年の急速な少子化の進行につきましては、今委員いろいろな面から御指摘いただいたとおりでございまして、子供の健やかな成長に対する影響や将来の経済社会全般への大きな影響が懸念され、今のうちからこの厳しい現実に対して計画的な政策展開を図ることが急務であろうと思います。特に、女性の就労の増大など今後の社会の大きな流れに対応しつつ、子供の成長を確保していくことが重要な課題となっておると考えております。
 このため、次代を担う子供たちが健やかに生まれ育つように、子育てを家庭だけではなく地域や社会全体で支えていくような社会システムをつくり上げていくという視点に立って、エンゼルプランの内容、これはもちろん厚生省がその中心的な役割を果たさなければなりませんが、今それぞれ答弁をしていただきました労働省あるいは建設省、文部省等関係省庁と十分連絡をとりながら、その内容の検討を詰めてまいるつもりであります。頑張ります。
#27
○井奥委員 どうもありがとうございました。
#28
○岩垂委員長 青山二三君。
#29
○青山(二)委員 改革の青山二三でございます。
 このたび厚生委員会におきまして初めて質問の機会をいただきました。過日の大臣の所信表明に対しまして、特に今後の厚生行政において積極的に取り組んでいただきたい施策について質問をさせていただきます。時間の制約もございますので、早速質問に入らせていただきます。
 まず初めに、地方老人保健福祉計画についてお伺いをいたします。
 都道府県と市町村で策定が進められてきました地方老人保健福祉計画は、老人福祉法でその策定が義務づけられ、国から平成五年度中に提出するようにと言われまして、ことしの春にすべての自治体が厚生省へ提出いたしました。その全国の集計値を見ますと、要介護老人は二〇〇〇年には二百七十万人に上ります。
 また、各種サービスを現行ゴールドプランと比較いたしますと、例えばホームヘルパーは十万人のところ十六万八千人、デイサービスは一万カ所が一万三千カ所、ショートステイは五万床が六万床、特養ホームは二十四万床が二十九万床というように、全般的に現行のゴールドプランを大幅に上回るものとなっております。一部には県が示したガイドラインのとおりに事業量の積み上げを行ったところやコンサルタント会社に策定をゆだねた自治体もあるようでございますが、全般的にはよく調査した上でつくられたものではないかと思っております。
 そこで、まず厚生省として、この出そろった地方老人保健福祉計画の全般についてどう評価しているのか、また、この計画の実施に当たっては国の支援が欠かせないのでありますが、どのような方針で臨むのか、お伺いをいたします。
#30
○阿部政府委員 市町村がまず老人保健福祉計画、それぞれの市町村でつくりますということから始まったわけでございますが、私どもとしては、先生先ほど挙げられましたさまざまなゴールドプラン、国のゴールドプランに沿ったいわば事業実施項目ごとの数量というものの積み上げというものも非常に大事だとは思いますが、それとともに大変大事なポイントだと思っていますのは、それぞれの市町村が御自分のところの仕事として、まともに老人保健福祉計画というものを積み上げていこうという取りかかりをやったということが大変重要なことではないかなと思います。
 率直に申しまして、従来の福祉というものに対する考え方といいますのは、とかく、お金が外から来ればやりましょうかというふうな感覚が一部の方々にあったのではないかなと思いますけれども、今回はそうではなくて、まさにそれぞれの市町村が御自分のところのお仕事としてどうしていくのかということを真剣に、さまざまな検討会等積み上げてつくり上げてきたということが大変重要な点ではないか、こんなふうに思っております。
 具体的に申しますと、ことしの三月までの間にほぼ全市町村での計画がまとまり、それが現段階で集約されて厚生省に報告されたということになりますと、最終的にはことしの八月でしょうか、にすべての県から提出されたというふうなことになってございます。その計画というものも、先生御指摘いただいたように、一部多少人任せ的な形でやったのではないかというふうな御批判も一部にございますけれども、大方の市町村ではきちっと、それぞれの市町村の将来の人口規模をどう推計するのか、あるいはそのときの高齢化率というのをどう考えるのか、また具体的に、それぞれのときにいわば要介護のお年寄りの状態というのをどういうふうに描くのか、医療はどうなのか、福祉はどうなのかということで、在宅と施設とのバランス等々を積み上げまして計画しましたので、大変な作業をしていただいたと思っておりまして、そこに出された結論といいますのは、私どもとしては極めて大事にしていかなければいけませんし、そういったふうな目標に向かって、それぞれの市町村がこれから計画的に仕事をやっていくものを基本的には全面的にバックアップしていく。
 もちろん一部については計画の、何というんでしょうか、ばらつき等々もありますので、あるいは、とかく収容型へ中心になりがちだとかいうことがありますので、多少是正していただかなければならぬ点はあろうかと思いますけれども、基本的には、そういったふうな市町村の計画というものを尊重して、それを支援していくゴールドプランにしていかなきゃいかぬのじゃないか、こんなふうに考えておりまして、これからの高齢化社会というものを支える大きな柱になる計画ではないか、こんなふうに思っておるところでございます。
#31
○青山(二)委員 その大切に慎重にしていただける地方老人福祉計画の実施年度は、平成七年度からおおむね平成十一年度までとなっております。この計画の実施に必要な予算の所要額はどれくらいになると見込んでおられますでしょうか。
 また、その財源の確保への見通しをもう一度お示しいただきたいと思います。
#32
○阿部政府委員 ゴールドプランということで、現行のゴールドプランは平成十一年度まで十年間ということでやっておりますが、私どもの物の見方といいますのは、二十世紀という非常に切りのいい時期なので平成十一年、こう言っておるわけでございますけれども、それですべてが終わるものでもないだろうというふうには思っております。さらに将来、それから先にどういう計画か、どうするかわかりませんけれども、やはりもっと続くんだというふうなことで一つの区切りと思って十一年と考えるべきではないかな、こんなふうに思っております。
 それはそれとして、十一年までの間の経費としては、今ゴールドプランを、さらに市町村の計画を背景にいたしましてニューゴールドプランということを素案としてお示ししてございますが、それによりますと、五年間でさらに積み増さなければならない所要経費といたしまして、国費ベースで一兆七千五百億円ということでございまして、これを地方負担等とも入れますと、約倍額の三兆七千億ぐらいの所要額になるのではないか、こんなふうに思っております。
 そういったふうなニューゴールドプランと言われるものを背景にいたしまして、今回の税制改革に当たりましては、平成九年度以降三千億円の財源措置が講じられたところでありまして、また、それに至る期間、七年度、八年度でございますけれども、これにつきましても、一千億円及び二千億円という公費を充当しようということにされたところでございます。
 厚生省としては、こうした財源措置というのも一つ大きな足がかりだと思っておりますけれども、これで当初考えておりましたニューゴールドプランがすべてカバーされるかとなりますと、なかなかそうも言えないというのが実情でございますので、さらに財源確保に向けてさまざまな努力をいたしまして、ニューゴールドプランといいましょうか、ゴールドプランのフォローのための新しい計画というものをできるだけ早く策定していくようにしたい、こんなふうに思っておるところでございます。
#33
○青山(二)委員 平成七年度の厚生省予算の要求では、この計画の部分が、先ほどもお話がありましたように、白紙要求になっております。厚生省のシーリング枠は九千六百六十二億円、年金、医療費等の義務的経費増だけでも一兆二千億円、もうこれだけで足りないわけでございます。地方老人保健福祉計画とエンゼルプランの実施に必要な新たな財源は、七年度だけで約四千億円、地方分も含めた事業総額は八千億円となるわけでございます。
 今回の税制改革大綱をまとめたときの政府・与党の最終調整で、福祉関係予算の上積みは、七年度が一千億円、八年度が二千億円、そして九年度が四千億円でございます。七年度はたった一千億円、新たな必要になる予算の何と八分の一しか確保できないのであります。つまり、五年間にわたる計画なのに、そのうちの三年間で全体の二割分しか予算措置がされていないということであります。
 しかも、各自治体が六年度に予定していた特別養護老人ホームの建設事業のうち、八割を七年度に先送りをいたしております。先送りされた分でさえ七年度に手当てされる見通しは全くありません。もう地方は混乱のきわみにあるのでございます。ちなみに、地方では経済の低迷で大変な税収減に陥っております。ゴールドプランの補助対象はあっても、地方財源の負担はますますふえており、この計画はっくったものの、年次計画どおりに進めることは不可能でございます。ほかのものをやめてもと思いましても、大切な教育や町づくり、特に公共下水道等の予算は切り詰められるかといいますと、大変難しいと頭を抱えている状態でございます。
 こんな状態で、地方老人保健福祉計画がどの程度実現できるというのでしょうか。これでは国の新ゴールドプランもしょせん絵にかいたもちになってしまうのではないかと私は危惧をいたしておりますが、今後どのように進めていくおつもりなのか、お伺いをしておきます。
#34
○阿部政府委員 ゴールドプランというものは、現在既に動いているものでございまして、それに絡まる問題というのと、それから先の展望をどう描くかということを中心とした新ゴールドプランというのと、少し分けて今考えていかなければいかぬのじゃないかなというふうに思っております。
 率直に申しまして、いわば新ゴールドプランというものでございますが、これは先生御存じのとおり、厚生省が与党の福祉プロジェクト等と御相談した上でつくっておるということでございまして、まだ政府全体の計画にはなっていないという事情がございます。それをこれから先どういうふうに描いて、財源措置等の見通しをどう立てていくのかということにつきましては、いわば財源措置等との絡みもございますので、政府部内でさらに検討していかなければいかぬのじゃないか、こんなふうに思っております。
 一方、現行のゴールドプランの遂行の上で、先生御指摘のございましたように、例えば平成六年度予算上、いわば見込みと、それから実際に協議で要望された額との間に多少乖離がございまして、御指摘のように、六年度単年度計画でやりたいというふうな市町村につきまして、全体の予算枠の絡みの中で、申しわけありませんが二年計画でやってくださいよということで少し完成を一年間先送りさせていただいたケースもございますので、率直に申しまして、六年度予算につきましても、御要望どおりすべてカバーできるという状況になっておりません。
 これが七年度にいきますと、さらにそれがまた押せ押せになってしまうようなことでは、私はこれはどうにもならぬのじゃないかという感覚がございますので、将来のゴールドプランというものの絵をどうかくかという真剣な検討と同時に、当面、七年度、八年度、市町村がせっかく御自分でやろうという気になっているのを支援していくというか、後ろ向きにさせてはならぬというふうに思いますので、そういったふうな財源の確保については、これからの年末の予算の段階でさらに努力を重ね、何とか市町村の基本的な大きな流れというものをフォローできるように最大限の努力を傾けていきたい、こんなふうに思っているわけでございます。
#35
○青山(二)委員 先ほども申し上げましたように、この計画は国から平成五年度中に提出するようにと言われて、すべて自治体が策定して提出したものでございます。策定に当たっては、厚生省がガイドラインを示し、自治体は一生懸命に調査をして計画をつくり上げてまいりました。でき上がった計画はもう既に住民に公表されております。今さらできませんなどということは言えないのでございます。
 このような観点から見ると、私は、村山政権はこの地方の老人福祉計画を見捨てたと言わざるを得ないのではないかと思うのでございますが、大臣としてはどう責任ある対応をされるのか、お伺いをいたします。
#36
○井出国務大臣 お答えをいたします。
 地方老人保健福祉計画は、平成五年度末までにすべての市町村で策定していただいて、まとまったところであります。自治体は既に今年度から計画に基づく事業を開始しておられもわけでありまして、私の地元の市町村長さんたちからも強い要請が来ております。したがいまして、私といたしましては、計画の実施を厚生省、国は支援をしていかなければなりません。そのためにも財源が大変必要なわけでございますが、その確保に配慮しながら、できるだけ早く新ゴールドプランの策定を図らなければならぬと考えておりまして、関係省庁と鋭意協議を進めていく所存でございます。
#37
○青山(二)委員 いろいろと御答弁を聞いておりますと、本当にこの計画の実現は、大変に財政面あるいは人材面からも簡単には実現できないというふうに私は受けとめたわけでございますが、しかし、二十一世紀初頭には高齢化社会のピークがやってまいるわけでございます。施設の福祉、在宅福祉の整備がその時期に間に合わないとするならば、我が国の介護問題は解消されるどころかますます深刻になってくるわけでございます。さらに、二十一世紀は介護の時代と言われております。費用の調達ができなければ、介護地獄のさなかにいる高齢者や家族を見殺しにすることになるのではないでしょうか。これが村山政権の言う、人に優しい政治なのかと嘆く介護者の声が聞こえてくるような気がするわけでございます。
 例えば、施設や病院に入所できた場合とできない場合の経済的、心理的、肉体的の格差が大きいことは常に指摘されてきたことでありますが、これを放置されたままとなるわけでございます。入院、入居を待っている家族の方々には、何らの対応もありません。経済的や肉体的にも筆舌に尽くせない苦労を強いられている介護家族にも、何らかの優しい思いやりがあってしかるべきだと私は思っております。
 この問題について、私たちは介護手当制度の創設を主張してまいりました。施設福祉も進まない、在宅も進まないというのなら、家族にはこの御苦労に対してせめて介護手当を差し上げるくらいのことは考えてもよいのではないでしょうか。あれもだめ、これもだめ、だから我慢してくれでは介護問題は解消しないのでございます。こうした現状を考えたとき、今この時期に改めて介護手当の実現に向けて検討を始めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
#38
○阿部政府委員 先生の御指摘の中で、現在御自宅での介護に当たられている方の御苦労といいましょうか、そういった点につきましては大変乱もよくわかっているつもりでございますが、ただ先生ぜひ御理解いただきたいのは、ゴールドプラン、平成二年からやってまいりまして、先生のお言葉ではあれもだめ、これもだめということでございますけれども、私どもとしては、相当な勢いで在宅サービスというのはそれなりに進んでいるのではないかと思っておりますし、かつまた特別養護老人ホームなり老健施設なり、相当な勢いで整備をしてきておりますので、そちらの方は全然進まないのでどうだということを言われますと、多少やはり私少し残念だなというふうに思いますので、少しは進んでおるということをぜひ御理解いただきたいものだと思います。
 したがいまして、そういったふうなことを基本にいたしますと、私の方として、やはり必要な介護サービスそのものを御自宅の方にも受けられるような体制づくりというのを基本に据えるべきものではないだろうかな、こんなふうなことでやってきておりますので、金銭的な形で、介護手当という形で物を、そちらを中心に物を考えるかとなりますと、私どもは少しそういったふうな点については慎重にならざるを得ないということでございます。
 介護手当、地方自治体におきましては、理由はさまざまでございますが、介護手当というふうな性格のものが一部出されておるのは承知しておりますけれども、国全体の施策として考えますと、現在の時点では、やはり実際に介護サービスそのものが手に入るような仕組みをできるだけ早くつくっていくということに最大限の努力をするのが現在の選択し得る政策なのではないかな、こんなふうに思っているわけでございます。
#39
○青山(二)委員 現行のゴールドプランが少しは進んでいるということでは困るわけでございます。こんな消極的な御答弁でございますので、もう一度大臣にお伺いをいたします。
 私は、一昨年、県議会議員のときに、県内の寝たきり老人を介護している家庭を、議員や党員と手分けをしながら一軒一軒訪問をいたしまして、介護の家族がどんな苦労や悩みを持っているか、実態調査を行い、報告書にまとめたのでございます。
 その一端を申し上げますと、どの年代も、介護する人は女性が圧倒的に多くて、八〇%を占めております。また、七十代の高齢の介護者も多く、介護者の方が先に倒れることが心配されるという実情もありました。三十代、四十代の未婚の介護者が寝たきりの親を抱えているため結婚ができない状況もあり、会社をやめて介護に当たっている娘さんや息子さんもおりました。
 また、介護者が最もつらいことは、身体的疲労や精神的ストレスであり、経済的負担も家計に重くのしかかっており、家族や周囲の無理解で大変苦労している様子がうかがえたのでございます。
 このように在宅介護は大変な苦労をしながら介護をしているわけでございますが、一方、施設に入居できた人は、養護老人ホームではおよそ月額十六万、特別養護老人ホームではおよそ月額二十六万円もの措置費が公費負担されております。こうした施設介護と在宅介護の格差を大臣はどのように認識されておられますでしょうか、またこの格差をどのように是正していくおつもりなのか、お伺いをいたします。
#40
○井出国務大臣 在宅サービスにつきましては、平成元年、現行のゴールドプランが策定され、ホームヘルパー等の拡充が図られてきているところであります。また、平成二年には老人福祉法の改正によりまして、法律上明確に位置づけられたところでもございます。これらの理由から予算面においても比重が高まってきてはおりますが、今先生御指摘のような施設介護との格差是正につきましては、今後もその拡充に努力していかなくちゃならぬ、こう考えております。
 さらにまた、在宅で高齢者の介護を行っておられる御家族の御苦労は大変なものであるということは、私も十分認識をしておるつもりでございます。このような方々の支援のためには、先ほども局長が御答弁申し上げましたが、何よりもまず必要な介護サービスを受けられるようにすることが喫緊の課題だと考えております。
 介護手当を支給するという場合、その趣旨をどう定めるか。例えば家族による介護に伴う機会費用の補てんとしてとらえるのか、あるいは介護に伴うかかり増し費用の補てんとしてとらえるのか、あるいは慰謝といいますか、慰謝激励といった面でとらえるのかといった点、そしてまたその支給が介護サービスの利用に結びつくことになるのかどうかといった点につきまして、慎重に検討していかなくちゃならぬ問題であるんじゃないかな、こう考えております。
#41
○青山(二)委員 私どもの行いましたその実態調査では、今後方を入れてほしい在宅介護の政策として介護手当の制度と答えたものが一番多かったのでございます。こうした実態を見るにつけ、介護手当制度の創設は介護者への温かいサービスであり、経済的に支援することはサービスの向上にもつながると言えるのではないでしょうか。施設介護と在宅介護の格差を少しでも縮めて、介護をしている家族への励ましの意味でも、ここで新たな介護サービスとして介護手当の御検討をいただきたい、このように申し上げたわけでございますので、どうか今後ともよろしく御検討をお願いいたします。
 また、この調査の中で、自分が要介護になったとき主にどこでだれに介護してもらいたいかとの設問では、自宅で配偶者に見てもらいたいというお答えが圧倒的でありました。
 参考までにお伺いしたいのでございますが、大臣は、もし要介護になったとき、どこでだれに介護していただきたいとお考えでしょうか。
#42
○井出国務大臣 私も、多分自宅で家内にというのが、可能だったら一番望むところになると思います。
#43
○青山(二)委員 はい、よくわかりました。
 それでは次に、介護の主役となるべきホームヘルパーについてお伺いをいたします。
 在宅福祉の充実を考えるときにホームヘルパーの充実は欠かせないものでございます。先ほども述べましたけれども、地方ではホームヘルパーの目標値を、現行の十万人から十六万八千人、新ゴールドプランでは、自治体の計画をもとに、現行計画の十万人から二十万人にふやすなど、大幅に拡充しております。しかしながら、福祉の現場は三K職場と敬遠をされ、人手不足に悩まされているのが実情でございます。こうしたマンパワーの確保にどのように取り組んでいくおつもりなのか、時間がございませんので簡単明瞭で結構でございますが、お伺いいたします。
#44
○阿部政府委員 ホームヘルパーというのは、確かに在宅施策の基幹的なマンパワーでございますので、その確保をしていくことは大変重要なポイントだと思っております。
 簡単にいたしますが、専門の養成施設というよりも、現在の時点では御家庭での主婦といいましょうか、その方々に対しまして、かなり専門的な研修をやっていただきまして、大体三百時間前後になるわけでございますけれども、これは現在毎年約二万人から三万人ぐらい受講をしていただいておりますので、そういったふうなところを主力にして、まずその全体の数の確保を図っていくというのが当面中心になる施策になると思っております。
#45
○青山(二)委員 ホームヘルパーの処遇のことにつきましては、従来からその劣悪性が大変指摘されておりました。その後、平成四年度の改善もルールが不適切であったために、市町村の現場において適切な給料表が作成できない状況でございました。我が公明党の積極的な取り組みもあってこの部分が改善されたことにより、初めて市町村においてヘルパーの給料表が作成されることになり、ヘルパーの待遇改善に大きく寄与されたのでございます。
 在宅福祉の中核ともいうべきホームヘルパーについては、介護の専門職として評価し、ふさわしい処遇ができるよう、さらなる待遇の改善に努めるべきと考えますが、この点について大臣の御所見をお伺いいたします。
#46
○井出国務大臣 ホームヘルパーは、介護技術等に関する養成研修を受けて、在宅の寝たきり老人等に介護等必要なサービスを提供しているものでありまして、高齢者の在宅介護を担う柱として、先生今おっしゃったとおり、大きな役割を果たしていると私も認識をしております。ホームヘルパーの業務は介護等の専門技術が必要でありますから、市町村のホームヘルプサービス事業には、都道府県等が行うホームヘルプ養成研修課程を終了した者が従事することとしております。
 ホームヘルパーの処遇の改善につきましては、人事院勧告を踏まえた手当額の引き上げやヘルパー活動の充実を図るための活動費の引き上げ、あるいは主任ヘルパーに対する業務加算の改善等に努めておるところでございます。今後ともホームヘルパーの人材確保を図る観点から所要の改善に努力してまいりたい、こう考えております。
#47
○青山(二)委員 大変積極的な御答弁ありがとうございます。
 参考までに、私のもとに届きましたはがきがございますので、ちょっと紹介させていただきたいと思います。これはホームヘルパーさんからの匿名のおはがきなんですが、
 私はこの四月よりヘルパーになった者ですが、ヘルパーになって感じた事では有りますが、本当に大変な仕事です。例を言えば、ねたきりで骨と皮のかたまり、まるで石の様な体をふいたり、オムツをかえたり、本当に悲しい気持ちになります。でもそんな事を言っていたのではホームヘルパーの仕事は出来ません。その立場に立っていない人は何を言っても人ごとで終らせるでしょうが……。
 まだまだ色々なケースが有りますが、言い表わす事の出来ないケースも数多くあります。青山さんならその事がわかって下さると思いおハガキを書きました。
 これは現場で働くヘルパーさんの切々たる声でございますが、こうした生の声をお聞きになって、大臣、いかがでしょうか。
#48
○井出国務大臣 先ほど御答弁申し上げたのでありますが、そういう皆さんの処遇の改善、さらに一層努力していかなくちゃならぬな、こんな考えを持ったところであります。
#49
○青山(二)委員 時間も参りました。もう一問用意いたしましたが、また後に回させていただきます。
 大変皆様ありがとうございました。大臣ありがとうございました。
#50
○岩垂委員長 福島豊君。
#51
○福島委員 改革の福島豊でございます。本日は、質問の機会を与えていただきましたことに感謝申し上げます。
 私は、医療を中心に何点か御質問したいと思っております。まず第一点目は、健康保険の財政状況についてでございます。
 日本の医療は、国民皆保険のもとでだれもがいつでも安心して医療を受けることができる、そのような意味では世界でも最高の水準にあると私は思っております。しかし、急速に社会の高齢化が進み、医療費が高騰する中で、さまざまな問題点が指摘されていることも事実であります。医療を支える保険制度におきましては、慢性的に困難な財政状況を抱える国民健康保険制度については現在検討が行われておりますが、本日は、先日報告されました政管健保、組合健保の財政状況の悪化について政府の御見解を伺いたいと思います。
 平成五年度の政管健保の収支は、収入が六兆一千八百十八億円、支出が六兆二千七百五十三億円となり、九百三十五億円の赤字を十三年ぶりに計上いたしております。また、組合健保の収支見込みでは、経常収入が五兆三千三百四十八億六千八百万円、経常支出が五兆二千二百十五億三千二百万円、差し引きは一千百三十三億三千六百万円、これは平成四年度に比較いたしますと、一千億円の収支の悪化でございます。
 また、個々の組合の財政状況を見ますと、赤字の組合が三六%へと増加いたしておる次第でございます。この政管健保、また組合健保の財政状況の悪化、これは一体何によるものであると政府はお考えなのか、その御見解をお聞きしたいと思います。
#52
○岡光政府委員 御指摘のありました財政状況の悪化の原因でございますが、収入面につきましては、報酬が伸び悩んでおりまして、その結果保険料収入が非常に伸びが低かった。それから支出面におきましては、医療給付費につきましては、その伸びは比較的低かったのでございますが、老人保健拠出金の伸びが非常に高かった。
 ちなみに健康保険組合のところで申し上げますと、保険料収入が三・七%の伸び率でございますが、それに対しまして法定給付費が三・六%、老人保健拠出金の伸びが九・六%という状況でございまして、そういう老人保健拠出金の伸びが支出面では高く推移したこと、これがその直接の赤字原因ではないだろうかと思っております。
#53
○福島委員 今二点おっしゃられました。一つは、報酬の伸び悩み、これはバブルの崩壊後の長引く不況の中で収入がなかなか伸びなかったということであろうかと思います。また二点目は、老人保健拠出金の伸びの大きさということを挙げられました。
 この第一点目の報酬の伸び悩みということでございますけれども、景気の回復はやや薄明かりが見えてきたという状況であろうかと思いますけれども、しかし、今後大幅に景気が回復するということも大変困難なのではないか、そのように考えますと、報酬の伸び悩みというのはしばらくこれは続く現象ではないか。また、老人保健拠出金の伸びでございますけれども、これは高齢化がどんどん進んでいくわけでございますから、今後ともに増大していく傾向にあろうというふうに思います。そうしますと、この財政状況の悪化をもたらした原因は、二つともに解消がしばらくされないと考えますと、厳しい財政状況は今後とも政管健保、組合健保ともに続くであろうかと思うわけです。
 そうしますと、政府としましては、この財政状況を解決するために今後どのような手を打つ可能性があるのか、また打てるのか、その点について御見解を聞かせていただきたいと思います。
 また、政管健保に関しましては、国庫補助繰り入れ繰り延べ措置というものが行われてきたわけでございますけれども、それをさらに引き続き行うのか、この厳しい財政状況の中で行うのかということについて御見解をお聞きしたいと思います。
#54
○岡光政府委員 まず前段の、こういう財政状況の悪化に対してどのような対策を講ずるかという御質問でございますが、基本的にはレセプトの点検を充実をするとか、医療費通知とか、従来やっております医療保険サイドでの対策の推進をしなきゃならないと思っております。あわせまして、病気にならないような健康づくり対策の充実、それから効率的な医療供給体制を整える、こういう供給面での対応も必要かと思っております。
 いずれにしましても、御指摘がありましたように、高齢化に伴いましてお年寄りの数がふえる、それによってトータルの老人医療費が伸びていくという状況でございまして、これはもうそういう意味では高齢化に伴うやむを得ない状況だと思っておりますが、その中でいかに老人医療を効率的に供給するような体制にしていくか、これがやはり基本的な対応策ではないだろうかと思っております。
 したがいまして、老人医療費の中でも特に介護に要する経費が大きなウエートを占めているわけでございますので、そういう意味では介護に要する経費をどう賄っていくのか。それから、そもそもどのように介護に対するサービスを整えていくのか。先ほどの御議論でもありましたが、そういうやはりお年寄りの介護をめぐる問題につきまして基本的な対応を考えていかなければならないのではないだろうか、そんなふうに考えている次第でございます。
#55
○横田政府委員 平成七年度の政府管掌健康保険の国庫補助についてでございますが、現在の国の財政状況が極めて厳しいということもございまして、概算要求段階におきましては平成六年度の国庫補助繰り入れ特例措置相当額一千二百億円をとりあえず減額して要求いたしておりまして、年末の予算編成までに検討することといたしております。
 先生御指摘ございましたように、今後の景気回復の見込み、あるいは医療費の動向等、極めて不透明な要素もございますけれども、五年度の決算を踏まえまして今後の財政状況を考慮いたしますと、来年度以降一層厳しくなるというふうにも考えられますので、私どもといたしましては、さらなる国庫補助の繰り入れの特例措置は避けたいと考えておりまして、今後財政当局と協議させていただきたいと考えております。
#56
○福島委員 今おっしゃられましたように、制度的な面での大きな改革が必要であるということは私も全く同感でございまして、早急に検討を進めていただきたいと思います。また、この財政状況に対して、厚生省の一層の努力をお願いしたいと思います。
 引き続きまして、二点目でございますが、先日、人工透析に関連いたしましてB型劇症肝炎が集団発生するというショッキングな事故がございました。この点に関しては、現在さまざまな調査中であり、細かくお聞きしようとは思っておりません。しかし、この事件と関連しまして注目されることとしまして、次のような報告がございます。
 それは、患者団体、全国腎臓病患者連絡協議会が調査を報告いたしました。この調査は、本年四月の診療報酬改定により、透析医療にかかわる諸費用が包括化されたことによって透析医療が変化したのかどうかということを調べた調査でございます。
 その調査の結果、二二%の場合に透析医療に変化が認められた。その中でも、例えば医師や看護婦が手袋を使わなくなったり消毒薬が変更されたというような場合もあることが判明したわけでございます。先ほど述べた事件と関係するとは言えないかもしれませんけれども、この診療報酬の改定に伴って医療の現場でこのような変化がもし実際に起きているとすれば、今後同様な事故が発生するという可能性もこれは否定できないだろうと私は思います。
 診療報酬の包括化ということ自体に私は反対いたしません。しかし、その診療報酬の包括化というのが医療行為に影響を与える可能性というのは否定ができない。そういう意味では、このような改定を行った後にどのように医療の現場が変わっているのかというフォローアップをやはりすべきである、私はそのように認識いたしておりますけれども、この点につきましての厚生省のお考えをお聞きしたいと思います。
#57
○岡光政府委員 御指摘のありましたように、医療の現場がどんなふうに変わっているのか、とりあえずは、透析医会、専門の学会がありますので、そちらの方に御協力を要請しまして、どういう状況変化が起こっているのか調査を依頼したところでございます。
 なお、状況の御説明を申し上げますと、御指摘がありましたように、ことしの四月に診療報酬改定を行いました。
 例えば、透析時間が四時間未満のケースで申し上げますと、従来は千二百五十点にプラスをいたしまして、透析液、血液凝固阻止剤、生理食塩水、こういった費用はそれぞれ必要な経費をいわば医薬品と同じように請求をする、こういう仕組みでございました。これを、今回の改定では、四時間未満の場合千六百点というふうにしたわけでございます。従来どの程度の透析液等の使用があったかということでございますが、私ども平均的な姿でとらまえておりますのは、二百二十点余りではないかと思っております。したがいまして、千二百五十点に二百二十点を足しますと千五百点、ちょっと切れますが、その程度でございます。
 したがいまして、包括化をして千六百点にしたということは、いわば従来の診療報酬点数よりも少し上げたという格好でございます。点数そのものを上げながら包括化をして、その中でどのようなものを使うかというのは医師の判断に任せる、そういう仕組みにしたわけでございます。
 一方では、透析の世界ではマニュアルがございまして、これは透析医会でおつくりになったものでございますが、それに従って行われる。したがって、手袋の使用であるとか消毒薬をちゃんと使うというのはマニュアルの中に書いてあるわけでございまして、そのマニュアルどおりに透析が行われれば今回のようなケースは起こり得ないのではないだろうかというのが我々の見方でございます。
 したがって、今おっしゃいましたが、どういう状況でこのようなケースが起きたのか、その原因解明を今東京都と一緒に行っているところでございまして、この点につきましてはもう少しお時間をいただきたいと思っております。
#58
○福島委員 今後の対応を期待いたしております。
 続きまして、今度はお薬のことをちょっとお聞きしたいと思います。
 抗ウイルス剤のソリブジンによる薬禍は大きな障害を与えました。ソリブジンのことをお聞きしようと思っておるわけじゃございませんで、薬というのは、本来さまざまな副作用をはらむものである、ある程度の確率でどうしてもその副作用による大きな被害が出るということはあり得ると、私は医者をしておりましたのでそういうことは実感いたしております。その点につきまして、薬害が起きた場合の被害者救済制度について私はきょうお聞きしたいと思います。
 一九九四年一月に発表されました総務庁行政監察局の勧告におきまして、医薬品副作用被害救済基金の業務改善勧告が出されております。その中で、何点かありますけれども、一つ、給付にかかわる時間の問題が取り上げられております。給付請求日から結果通知日までの期間は平均十カ月、最長は何と二年五カ月かかる場合がある、かなりの時間がかかるというのが現状であります。薬害に遭われた方、また家族の方、一年近くその救済を待たなければいけないというのが現状でございます。これは大変なことだろうと私は思います。
 私も、最近知り合いの方が抗生物質を服用いたしまして、スティーブンス・ジョンソン・シンドロームになりまして、その後生きるか死ぬかという瀬戸際をさまよったわけでございますが、今も障害が残ってまともに歩くことすらできない。しかし、それに対しての救済というのはまだまだないわけでございます。医療費もかかる。そういった患者さん、また家族の方に一年近くもやはり待っていただかなければいけないという現状は、私は改められるべきであろうというふうに思います。
 勧告では、請求者が必要な書類を提出できるような方策を検討すること、また二点目としまして、診断書の記載が容易になるような様式に改訂すること、三点目としまして、事案の標準処理期間を定めることなどが挙げられております。本人に何ら責任がなく、治療を求めて医療機関を受診したにもかかわらず、かえって副作用という被害に遭われた。まさに同情すべき事態をかんがみて、この三点目の処理期間の短縮ということを私は政府に強く要望したいというふうに思います。この点に関しての政府のお考えをお聞きしたいと思います。
#59
○田中(健)政府委員 医薬品副作用の被害救済制度の支給決定までの期間でございますけれども、今お話ございましたように、本年の一月に総務庁からの行政監察についての勧告が出まして、それを私ども踏まえまして、さらにことしの十月から御案内のとおり行政手続法が施行されまして、その施行に際しまして、この標準処理期間というのを決めるということになっておりまして、私どもといたしましては、この期間を八カ月程度というふうに定めたところでございます。これはやはり中央薬事審議会におきまして、医学あるいは薬学上の専門的な判定等に必要な期間がありますので、それを勘案いたしまして、私どもとしては八カ月程度ということで標準処理期間を定めたところでございます。しかしながら、今後ともできる限り迅速にこれが処理をできますように努めてまいりたいと思っております。
 それから、お話ございました給付の請求に必要な様式ですね、これの改善などでございますけれども、請求者が請求に必要な書類を提出しやすくなるような方策、これについても現在検討を進めておる、こんな状況でございます。
#60
○福島委員 質問が、スムーズに時間が進んでおりまして、若干追加して質問させていただきたいと思っております。
 また、給付の金額のことでございますが、障害年金の場合に、一級という重い障害であったとしても月額二十一万円でございます。遺族一時金にしても六百七十二万八千四百円にしかすぎません。自己に全く責任がないという観点から考えるときに、この給付の金額というのは私は低いのではないかというふうに思います。
 一方、またこの制度に対しての企業の拠出金は八〇年度には千分の一でございましたけれども、八二年度にはその十分の一の一万分の一、八八年度にはさらに五万分の一に引き下げられております。給付水準の見直しを私は行うべきであるというふうに思いますが、御見解をお聞きしたいと思います。
#61
○田中(健)政府委員 この救済制度でございますけれども、これは医薬品の副作用が生じた場合に、民事責任とは切り離しまして、企業の社会的な責任に基づきまして迅速な救済を行うという制度の趣旨でございまして、したがって給付額につきましてはこのような性格の給付にふさわしい水準に私どもは設定をしております。それとまた、国民年金の年金額の改定等に準じまして逐次改善を行ってきておるところでございまして、こうした意味から、お話にございました給付水準の大幅な引き上げはなかなか難しいというふうに考えております。
 それから、拠出金率の話が出ましたけれども、この拠出金率、確かにいろいろ変動はいたしておりますけれども、平成三年度以降はそれまでの千分の〇・〇二、五十万分の一から、千分の○・〇五、二十万分の一に引き上げておりまして、支給額についても年々増加をしておるところでございまして、この点につきましても御理解を賜りたいと思います。
#62
○福島委員 今後とも善処をよろしくお願いしたいと思います。
 最後に、老人性痴呆対策についてお聞きいたしたいと思います。
 六十五歳以上の痴呆性老人の数は、平成二年度で百万人、平成十二年度には二百二十六万人と激増することが予想されております。しかし、老人性痴呆に対してはいまだ有効な治療法も、またアルツハイマー型痴呆に対してはその発症のメカニズムも明らかではありません。私も地元の方から、親族が痴呆になったがどうしたらよいのかという相談をしばしば受けます。家族に痴呆が発生した場合の苦労は大変なものがあります。一刻も早く老人性痴呆患者に対する医療、福祉サービスの充実した体制を築き上げることが肝要であろうかと思います。厚生省におかれましても、痴呆性老人対策に関する検討会報告が六月の二十八日に発表され、また、新ゴールドプランの具体的施策(案)の中でも、一項目を立てられまして「痴呆性老人対策の総合的実施」か述べられております。これらのことを踏まえまして御質問いたします。
 現下の厳しい財政状況の中、先ほども御答弁がございましたが、この新ゴールドプランというのは厚生省の案であってという御答弁がございました。旧来のゴールドプランですと、痴呆性老人対策というのは甚だ不十分でございます。そのようなことを考えますと、痴呆性老人はどんどんふえていくにもかかわらず、なかなかその対策が十分に進まないのではないかと私は大変色倶いたしております。この点に関しての厚生省のお考えをお聞きしたいと思います。
#63
○井出国務大臣 お答えをいたします。
 高齢化が進行する中で、後期高齢者に出現率が多い痴呆性老人は、精神症状や身体疾患の状態がさまざまでありまして、また、問題行動の発現の状況等も人によって大きく異なっておりますことから、その状態に応じた適切な処遇を行うことが重要であると認識しております。このため従来から、痴呆性老人向け毎日通所型デイサービスセンターの整備などの在宅サービスの充実、さらに、精神病院、特別養護老人ホーム等の施設サービスの充実などを通じ、痴呆性老人の状態に応じたきめ細かな処遇を行えるよう努めてきたところであります。
 また、さきに厚生省において素案をお示しした新ゴールドプランにおいても、「痴呆性老人対策の総合的実施」というのを重要項目の一つとして新たに掲げ、各般の施策の総合的な推進を盛り込んでいるところでございます。
 したがいまして、厚生省といたしましては、これまで取り組んでまいりました痴呆性老人対策のさらなる推進を図るとともに、財源の確保に配慮しつつ、できるだけ早く新ゴールドプランを策定するなどにより、痴呆性老人対策のより一層の充実に努めてまいりたいと考えております。
#64
○福島委員 痴呆性老人対策につきまして、一点追加して御質問しておきます。
 グループホーム、小規模な生活の場でございますが、提言されております。スウェーデンなどでは良好な結果を得ている、痴呆性老人の患者さんのクオリティー・オブ・ライフというものが非常に良好になるという施策であり、積極的にこれを推進すべきであろうというふうに思います。先ほどの報告の中でもこの点につきましては御報告されております。その具体的な整備の目標といいますか、今後どの程度の水準にまで取り組んでいくのかということにつきまして、まだまだ検討中であろうかと思いますが、最後にその点に関して御意見をお聞きしたいと思います。
#65
○阿部政府委員 グループホームということにつきまして、我が国ではまだ実績があるわけではございませんので、我が国でどういう形がいいのかということを少し探っていくのがどうしても必要でございます。あと、率直に言いまして、痴呆性老人に対する共同での生活ということについての経験的な積み重ねがどうしても必要でございますので、平成六年度からいわば全国的に十カ所程度モデル事業をやるようにしてみたい。
 そこで、あわせまして、少し調査研究をさらに積み重ねて、可能であるならばいずれ全国的な展開ということに持っていきたいなと思っていますが、いずれそういうモデル事業の積み重ねをすることがまず先決ではないかと思って、着手しているところでございます。
#66
○福島委員 大変に厳しい財政状況のもとでございますけれども、二十一世紀というのはいや応なしに近づいてくるわけでございまして、その高齢化社会に向かってさまざまな施策を先送りすることは、これは決してできないと私は思います。井出大臣におかれましても、新ゴールドプランの実現に向けまして全力で闘っていただきたい、そのようにお願い申し上げまして、私の御質問を終わらしていただきます。
 ありがとうございました。
#67
○岩垂委員長 矢上雅義君。
#68
○矢上委員 改革の矢上雅義でございます。本日は、健康保険法等の一部改正について、付添婦及び家政婦紹介所の当面の処遇についてお聞きしたいと思います。
 この冊子は、厚生省の方は御存じでしょうが、今、各病院に配布されておりまして、六月二十九日法律の公布、十月一日より付添婦の解消を実施するために着々と実施されておりますが、これに関しまして、現場に行きますと、非常に速いスピードで付添婦の解消も進んでおる、新制度の定着も早いという感触を受けております。やはり改革の目的が的を得ていたということでございましょうが、そういうこともありまして、非常に現場での改革が早く進む。しかし、それに対して、付添婦さんや家政婦紹介所の対応がなかなかついていけない。高齢化のこともございます。付添婦さんも高齢化をされております。紹介所の経営者の方も高齢化された方が多いものですから、余りのスピードにみんなついていけない、そういうことを肌で感じるものですから、できれば六月二十九日以降、準備期間等三カ月間ございましたので、この辺の新制度以降の準備期間として、医療現場等の理解、また取り組みへの姿勢など、手ごたえについて厚生省にお聞きしたいと思います。
#69
○岡光政府委員 御指摘をいただきましたように、新しい看護体系でありますとかあるいは付添看護の解消の方向につきまして、都道府県なり関係団体を通じて、いろいろ説明会を初め周知徹底をしているところでございますが、そういう意味では、御指摘ありましたように、医療の現場で家政婦紹介所とお話し合いをして、現在付添婦として働いておいでの方を病院の職員にする、いわゆる院内化をするというふうなことで、具体的に紹介所とお話が進んでいるケースも散見されるところでございます。
 そういう意味では、御指摘がありましたように、解消の方向で医療の現場がだんだん動いてきているのじゃないかなというふうに私どもも把握をしておるところでございますが、正確にやはりそれは全体的に把握する必要がございますので、私ども、今年度、急遽研究費をとりまして、この十月中旬には調査内容を確定をした上で、十二月一日を調査実施日にいたしまして、実際の状況を把握をしたいというふうに考えております。それからまた、七年度におきましても、実態調査経費を予算要求をしているところでございまして、そういう意味では、正確に実態を把握をする、そして何かうまくいかないところがあるならばそこを手直しをする、そういう基本的な姿勢で臨みたいと考えておるところでございます。
#70
○矢上委員 着手したばかりですから、これからいろいろ努力を期待しておりますが、先日、現場に行きましたところ、「介護クーポン制度のごあんない」、それと「特定介護労働者雇用助成金制度のご案内」ということで、この二つの資料をいただきました。これは、先日来、新制度移行に伴い人材確保、養成、そしてまた付添婦さんたちの救済措置の両面から、厚生省、労働省、また関係諸団体の三者で話し合いを持たれてきました。その結果、こういう新たな精力的な制度ができ上がったと思いますが、その経過とこの救済制度の概要につきまして、ぜひこの委員会で御説明いただければと思っております。
#71
○岡光政府委員 まず、厚生省と労働省、それから関係団体も含めまして、本年の三月に、付添看護・介護解消に伴う家政婦対策等連絡調整会議というものを設置をいたしました。その後、四月に二回、五月に二回、六月に三回会合を重ねまして検討いたしました。その間に、家政婦紹介所の方々なども含めまして、関係の皆さん方から御意見をお伺いしながら検討を進めまして、六月に一応検討結果をまとめました。その結果が一つ、私どもの観点から申し上げますと、ことし十月の診療報酬改定につながったわけでございます。
 診療報酬改定の中ではどういうことをやっておるかということでございますが、一つは、付添看護・介護解消計画をつくってください、その計画を策定をし、それを実施する病院につきましては、一日一人の患者について二十点の加算をいたしましょう。付添看護・介護解消計画加算というものをつけることにいたしました。
 それから、現実にこういう計画をつくっておいての病院、診療所で、しかし、入院中の患者で実際もう付き添いさんがついておいでの場合があります。そういう場合には、その付添婦を雇用をして、看護補助者として特別の介護を行う、こういう場合には特別介護料というものを算定をしましよう。
 それからまた、同じように解消計画実施の病院、診療所におきまして、重篤、術後の特に看護を要するようなそういうケースにつきまして、看護婦さんなり准看護婦さんが特別の看護を行う、これも従来からそういうふうに、家政婦紹介所からそういう人が派遣されて見ているケースでございますが、それを病院の方に雇用することによって特別の看護をやった場合には特別看護料というものを算定をするということで、要するに、今までの状況を一応認めた上で、雇用関係をそういうふうに切りかえるということを前提にしまして、一応その人たちの働けるような状況を診療報酬点数の上で盛り込んだわけでございます。そして、あわせまして短期雇用の場合でも、このような看護料、介護料が算定できるようにということにもしたわけでございます。
 いわば経過的に、現実の場で仕事が失われないように、そして患者さんにつきましても、必要なそういう特別の介護なり看護が行われるような、そういういわば経過的なつなぎの措置を講じたわけでございまして、本質的には新しい看護体系、新看護体系に移っていただきたいということで、それはまた病院のその解消の状況に応じながら新しい点数を設定していただく、こんなふうなことを私ども考えておるわけでございます。もちろん、労働省の方も、労働省の方の施策としてつなぎの制度をっくっていただいたわけでございます。
 私どもとしましては、先ほど申し上げました実態を把握しながら、全体がうまく解消の方向に動いていくように、必要に応じてまたこの連絡会議を開くなりして対応を考えていきたいというふうに考えております。
#72
○森山説明員 この制度移行に伴います話し合いの経緯等につきましては、ただいま厚生省の方から御説明されたとおりでございます。
 この会議に基づきまして幾つかの施策を展開しているところでございますが、労働省としましては、従来付添看護に従事していた家政婦の方々が医療機関における雇用につながりますよう、その経費等につきまして助成金を支給する特定介護労働者雇用助成金制度の新設、そしてまた在宅介護におきましてこの家政婦の方々が今後有効に活用されますよう、介護クーポン制度の普及促進などの各種の施策を展開するようにしております。現在、その周知徹底に努めているところでございます。
#73
○矢上委員 私がいろいろお聞きしましたところでも、院内介護化に向けての診療報酬上の評価は評価されるべく着々と進んでおるとお聞きしておりますが、ただ、残念ながら、院内雇用の必要な人員、病院が抱えられるだけの能力と現在失業されておられる付添婦さんたちの教とのアンバランス、それを補うためにこの二つの制度ができたんだと思いますが、例えばこの特定介護労働者雇用助成金制度、形は病院側が紹介所にだれかいい人がいないかと声をかけて紹介してもらう、しかし、雇用の形態は病院が家政婦さんと直接雇用契約を結ぶという形で、やはり新制度に基づいた直接雇用という形をとっております。
 しかし、対象の病院が完全な民間の病院、結局、雇用保険の適用事業主に対してということで対象が限定されておるものですから、国とか地方公共団体の病院は除かれております。そうした場合に現場でよくお聞きするのが、民間の病院の事務局長さんがこの制度を聞きつけて紹介所によく来られるそうです、いい人材がいないか。それで、数回打ち合わせしているところで、ある日突然来なくなるそうです。よく見ると、自分のところの紹介所にいた家政婦さんと直接面接をされて雇用契約を結ぶ。ですからそれっきりということが多くて、非常によく法律的にできた体系で、しかも予算化されて精力的につくってあるんですけれども、病院側から見れば、助成金をいただくための手続の煩雑さとか、紹介所にだれかいい人いないかと言ってだれかが派遣されてきて、そのときにこの人じゃどうだろうかと悩むよりは直接面接して、直接雇用契約を結んだ方がいいんじゃないか。これは経済の原則からいって当たり前でございます。
 ですから、せっかくつくったこの特定介護労働者雇用助成金制度の旗振り役がいないんじゃないでしょうか。完全に機能すれば効果があるんですけれども、ここ二、三年という激変緩和措置の機能を果たすための旗振り役がいないものですから、まず即効性がない。即効性のない救済措置というのは、やはり絵にかいたもちだということも言えます。
 あともう一つ、労働省さんですか、介護クーポン制度、これも非常によくできた制度だと思います。時代をリードする。
 例えば、東京の大企業に勤めるサラリーマンの方が、田舎に住んでおられる御両親が病気されたときに、仕事をとるか親をとるか、まずこれを悩みます、普通の人は。そうした場合に、この制度というものは、企業と家政婦紹介所の団体とが協定を結んで、企業が福利厚生として社員に介護クーポン券を渡す、そしてその社員が、企業から助成を受けた介護クーポン券によって自分の田舎の両親の面倒を見てもらう。そこに今までの付添婦さんたちが間に入ってくるということで、この制度もシルバー人材を活用とか民間活力を活用するという点では非常にこれからのリーダーシップを果たすべき制度だと思うのですけれども、人材育成の問題、資質向上の問題、また、その財政負担をどうするか、そういうことがございますから、なかなか民間企業も二の足を踏むのではないか、仮に助成金があったとしても。
 これから精力的にこの話を進めるにしても、十月一日からスタートを切る。その中で一社、二社、三社とこの介護クーポンを利用していただける会社を探している間に時間がたってまいります。その間に、どんどん付添婦さんたちは、今失業状態なわけですから、あしたの御飯が食べられない、そういうことだものですから、まあ法制度上、運用上は無理かもしれませんが、旗振り役となるべく、国の機関とか地方公共団体等が何とか関与できなかったものかなと残念に思っております。今となっては遅いのかもしれませんが、何らかの形でこの問題に関与できる部分がないか、その辺についてお聞きしたいと思います。
#74
○森山説明員 私どもは、この問題に対しましては、家政婦の方々の雇用の安定、それからまた、家政婦紹介所の活用ということに重点を置きましていろいろな施策を展開しているところでございますが、先生御案内のように、この特定介護労働者雇用助成金、これが有効に活用されますように、その周知徹底というものを図っていかなければならないというふうに考えております。
 それからまた、何よりも家政婦の方々の資質の向上、これはいろいろな制度を活用する前に当たりましてその前提となるものでございますので、この資質の向上につきましても、例えば職業講習の充実等を図りながらいろいろな制度を活用していただくように、私ども肝に銘じまして、この制度の周知、活用というものを進めてまいりたいというふうに考えております。
#75
○矢上委員 労働省の方にお聞きしたいのですけれども、参考までにこの介護クーポン制度、これは民間のサラリーマンだけでなく霞が関の皆さん方とか県庁の職員さん、広域行政に携わっている方に非常に切実な問題だと思いますが、その辺の可能性といいますか、検討の余地があるか。
 また、どうしても大企業中心になってくると思うものですから、これからどんどん加盟の会社をふやす場合にも地域的に戦略を組んで、そこに集中的に予算なり人員をかける、そういう努力が必要じゃないかと思うのですが、その辺どうでしょうか。
#76
○森山説明員 この介護クーポン制度自体につきましては、この利用といいますものは国の機関等も利用できるわけでございますが、それに対します助成金等につきましては、これは先生、先ほど御質問の中にもございましたように、事業主負担による雇用保険事業というものを活用したものでございますので、助成金につきましては国の機関というものは対象になっていないわけでございます。
 私ども、先生御指摘いただきましたように、こういうものを利用する企業というものを大企業、中小企業を問わずこれを拡大をしていくというのが今最も重要な課題というふうに考えておりますので、これにつきましては、その拡大に向けまして努力をしていきたいというふうに考えております。
#77
○矢上委員 皆さん方が、厚生省、労働省を含め、大変御努力された経過は存じ上げておりますので、きょうは問題点の提起だけにとどめておきますが、ぜひ、こういう大きな改革の後で生活に困っている方がおられるものですから、あらゆる施策を利用して、どうか失業対策等を含め、何とかしていただければと希望をして、お願いして、次の質問に移らせていただきます。
 次の第二問についてでございますが、去年の九月三日でしたか発売されましたソリブジンの問題について。
 発売から一、二カ月の間にいろいろな副作用、また十五名ですか、死者が出てまいりました。その中で今回、薬単独の副作用というよりは多種多様の薬が出てくる中で併用による副作用、これはなかなか、動物実験の段階ではわかる場合もありましょうが、これからどんどんふえてくる事件だと思っております。新薬をつくるまでの間に動物実験なり臨床試験なり、一つ二つと防波堤がございます。その防波堤を今回の場合は乗り越えて現場に出てきた。
 ただ、乗り越えたと申しましても、動物実験の段階での併用による副作用は確認されておったという話でございますから、それをわかっておりながら、薬の有効性が高いものですから、注意文書にちゃんと併用をしないようにということで記載をして現場に出した。そして、この現場に出したというところから、民間の製薬会社、そしてまた営業マン、英語でMRとか、医薬情報担当者ですか、そういう方たちの手に渡って、またお医者さんの手に渡るわけでございますが、第一、第二の防波堤が突破されやすい現状を迎えた今日において、第三の防波堤としての営業マン、MR等の役割についてきょうお聞きしたいのでございます。
 今回のソリブジン事件では、一カ月の間にはっと対応策が考えられたという経過がございますが、今回のソリブジン事件においてMRは十分な役割を果たしたと言えるのかどうか、その辺について、調査結果をお聞かせ願えればと思います。
#78
○田中(健)政府委員 今お話ございましたMR、医薬情報担当者でございますけれども、これは医療用の医薬品の製造あるいは輸入販売を業とする企業に属しておりまして、医薬品情報の収集、伝達あるいは提供の業務を行いますとともに、自社製品の販売促進活動を行っているわけでございます。
 ところで、ソリブジンと抗がん剤の相互作用についてでございますが、これは承認の段階でも明らかになっておりましたことから、両剤の併用を避けるように、今もお話ございましたが、添付文書の使用上の注意欄に記載をさせて発売をしたということでございます。
 しかしながら、市販後一カ月の間に二十三例の副作用が発生、そのうちに十五例が死亡したという副作用が発生したところでございまして、その要因としましてはいろいろ考えられるわけでございますが、その一つとして、やはりこの販売促進活動におきましてMRによります情報伝達の徹底が不十分であったということも考えられるわけでございまして、残念ながらMRが十分な役割を果たしたとは言いがたいというふうに私どもは考えております。
#79
○矢上委員 今率直な御答弁をいただきまして本当に感謝しておりますが、MRというものは本来医療現場を回って、薬剤師さん、お医者さんから副作用の情報を聞きつけてくる。それを会社に上げて、重大な場合には厚生省に連絡をする。そしてそれからフィードバックされて、イエローカードというものですか、それを確実に医療現場に届ける。大手のきちんとした会社になりますと、いつ何時に、どこにそのイエローカードを届けたかということまですべてチェックするそうでございます。ですから、今回のこの事件でこれだけの犠牲者が出たということは、今率直な答弁のように、やはり何らかの手落ちが製薬会社の方においてあったのではないかと思っております。
 また、製薬会社の方にお聞きしますと、新薬の製造に百億とか三百億円、また期間として十年二十年の期間がかかる。そして、そういう期間をかけて、お金をかけて新薬をつくるためには、やはり売らなければいけない。売らなければなかなか医学の進歩、利益を上げなければ医薬品の進歩がない。そういう中で非常な責任を、プレッシャーをMRの皆さん方は感じておられるわけでございます。
 それで、かつて問題になりましたお医者さんとか医療機関に対する接待攻勢、またゴルフのときの運転手をするとか労務提供、そういうものが社会問題となりまして、それから改善が相当なされてきておると思います。ただし、一介のセールスマンである営業マン、MRが、会社の中で二つの人格と申しますか、売り上げは伸ばす、そしてきちんとした情報活動はして、つらいことでも会社に言う、またお医者さんに言う。こういう二つの分野で活躍されるということは非常な精神力が要ると思いますし、またその精神力を支えるための知識、研修制度、また上司、会社側の態度。余り細かい情報を会社へ上げますと、普通の上司でしたらうるさがって、そういう気持ちはわかるけれども売り上げの方はどうなのか、売り上げの方はどうかと聞かれれば、面倒くさいから情報も適当にごまかしておこう、そういう姿勢になりやすくなると思います。
 そういうことを考えた場合、正しい副作用の情報を持って、そしてそれを分析して医療の現場に伝えるMRを育てる、そういうことのためにも、製薬会社の教育責任と、また情熱あるMRを人事的に評価する姿勢というものをこれから育成していかなければならないと思いますが、その辺について、MR、医薬情報担当者の資質向上のために厚生省としてどのような対応を考えておられるか、ぜひ御意見を聞かせてください。
#80
○田中(健)政府委員 今先生からお話ございましたように、医薬品というものはその情報と一体となって初めて有効、なおかつ安全に使用することが可能となるわけでございまして、そうした意味で、医薬品が適正に使用されるためには、必要な有効性と安全性に関する情報が的確に収集をされ、それが評価をされ、その結果が医師あるいは薬剤師等の医療関係者に迅速、なおかつ的確に提供されることが不可欠でございまして、そういうことで、これらの医薬品情報の収集と的確な提供を行うMRの役割というのは極めて重要であると私どもは認識をいたしておるわけでございます。
 そこで、MRの教育でございますけれども、MRの教育につきましては、製薬団体がございまして、そこで医薬情報担当者の教育研修要綱という研修要綱をつくりまして、それによりまして各企業が倫理あるいは知識、技能に関します研修制度を設けまして、MRに対する研修をそれぞれ実施しておる、こんな状況でございます。この研修は幾つかの業界の団体で行われておりまして、年間およそ五万人のMRが研修を受講しているというふうに承知をしておるわけでございます。
 そういうことで、MRは非常に重要でございますけれども、厚生省といたしましては、現在のMRがさらに医療における積極的な役割を果たせるようにということで、MRに必要な資質あるいはあり方につきまして、実は昨年の九月に専門家によります検討会を設置いたしまして検討をお願いいたしました。その結果、本年の三月にその結果報告が出たわけでございますけれども、その中で、MRの資質の向上のために生涯教育研修の充実、あるいは公正な民間機関による資格制度の導入等を盛り込んだ報告をいただいたわけでございます。
 そこで、現在、この検討会の報告をもとに、製薬団体が中心となりましてMRの資格制度の導入を図るべくただいま検討しておりまして、報告書が出てから二年後を目途に導入をするということで検討が進められております。
 いずれにいたしましても、私ども厚生省といたしましても、今後ともMRの資質向上に努めていきたい、こういうふうに思っております。
#81
○矢上委員 現在医療費が二十一兆円ですか、その中で薬代が四、五兆円かかると言われている中で、薬にかかわる関連の人たちは、民間といえどもやはり厚生省の方々と一体となって安全性を確保していただく。ただ、薬という独創的な仕事、科学的な仕事は、いろいろな種類の薬もあれば納入先に対してのノウハウもございますし、一律に硬直的に押しつけることはできないでしょうが、今慎重にやっておられるような、協会を前提とした、またその報告書に基づいて民間活力をそがないような新しい形での行政と医薬品業界との監督指導ですか、そういうものを確立していただければと期待しております。
 それでは次の質問に移らせていただきますが、次は標榜科目についてということでございます。
 標榜科目といいますのは、病院の外に広告というか看板、神経科とか内科、小児科、自分が医院を開くときにどういう科目を選択するか、その科目についてでございます。医療法の七十条ですか、それで政令におろされるとかいろいろ詳しい規定が決まっておりますが、時代の変化につれて患者さんの医療に対する要望、いわゆる情報公開に対するニーズが高まっておりますし、またお医者さんの側にも、医院を開く、しかしその経営上は診療報酬の点でなかなか硬直化されていて、自分の思い切った経営対策ができない。
 それでは医療の方でどういう分野で攻めていくかといった場合に、診療科目が制限されておって、自分はアレルギー科目が得意だけれども表に出せないとか、自分は例えばストレスとかそういう分野に強いから心療内科の看板を立てたくとも立てられない。そういう自助努力というか積極的に努力するという部分が、経営の部分でも、また医学の部分でも非常に欠けております。
 他人から、いいお医者さんはどういうお医者さんかということで評価するという動きも出ております。しかしやはり、プロであるお医者さんにとって、見たこともない人からあの病院はいいとか、この病院は悪いとか言われるような評価を受けるのは困惑することでございましょうから、やはり本人の自発性に任せて、おのずから率先して得意分野を攻める、そういう体制に持っていく、これが医学の水準を高め、同時に患者さんがその恩恵を受けることになると思うものですから、ぜひ時代の要請に応じた標榜科目の新設を促進していただきたいということでございます。
 例えば例を挙げますと、私は子供が三人おりますが、ちょっとしたアレルギー症状でも、皮膚科に行く、耳鼻科に行く、眼科に行く、子供三人連れてうちの妻がどんどん歩く。そして、午前中病院で終わる。そして、午後からは、一回家に帰って、処方せんを持って今度は薬局に行って薬をもらう。子供を育てる場合でも、小さい子を連れて病院をはしごする、子育てはつらいな、そういう側面も生んでおりますし、私の義理の母でございますが、軽い躁うつ病にかかりまして今入院しておりますが、頭が痛いということで神経科に通っておりました。
 それで、躁うつ病の方になりますと、時々自殺をしたいとか、自殺願望、また浪費癖、一月に五十万も百万も使う、そういう問題が発生しできますが、それをお医者さんに相談しても、うちは物理的な神経内科とか外科だから、そういうのは分野外だから精神科に行ってくれ。それで、精神科にお願いしましたところ、個人の人権にかかわる問題だから、御本人の意思の確認はと。そうなりますと、軽い躁うつ病の方は本当に怒ってしまいます。家族との信頼関係もなくなる。そういうぐあいで、新しい現代的な病気は科目と科目の間に、ちょうど塀の上に立たされた状況で、家族も苦労しております。
 そういう中で、ぜひこの要請について、今どういう状況かということを現状報告していただければと思っております。
#82
○寺松政府委員 先生の御質問にお答えしたいと思います。
 広告できます診療科名につきましては、従来は医療法において規定されておりまして、議員立法というふうな形で追加してまいりました。今先生からちょっとお話がございましたように、平成四年の医療法の改正におきまして、医学医術の進歩や国民の要望というふうなものに柔軟に対応できますようにということで、政令で定めることになったわけでございます。
 今御指摘の広告できる診療科名の新設に当たりましては、医学医術に関します学術団体及び医道審議会の意見を聞くこととされております。したがいまして、今私どもの方は医道審議会の下に診療科名標榜専門委員会というものを設置いたしておりまして、とりあえず、従来からやっておりました三十三診療科名につきましてはお認めいただくと同時に、新しい診療科名についての御審議をお願いしておる、こういうような状況でございます。
#83
○矢上委員 今の改正の流れを見ますと、確かに柔軟に対応するという姿勢はにじみ出ております。これはちょっと新しい資料ではないかもしれませんが、アレルギー科というのは六十一年に国会質問で初要望、最新の要望が平成三年二月十九日。あと、口、歯の関係ですが、口腔外科におきましては要望年月日が昭和二十七年の七月、これで受け入れられずに、最新の要望が昭和六十一年一月二十五日。いろいろ見ますと、心療内科、五十七年度に要望してございます。また、リハビリテーション、五十三年。
 それで、最新の要望というのが平成三年から平成一年の間に集中しておりますものですから、その医道審議会の審議の経過と、このかつて出た要請の結論といいますか、どういう状況でこれは置かれておるのでしょうか、今のところ。
#84
○寺松政府委員 今先生るる御説明がございました。この広告できます診療科名につきましての審議の状況とかでございますけれども、御承知のように、私ども、標榜の専門委員会で御議論いただいておるわけであります。一般的には、学問としての専門性を基礎として学会の中でもコンセンサスが得られておるという名称である、かつまた国民が医療機関を受診する際に的確な情報が得られるものでなければならない、こういうふうに考えられるわけでありますが、具体的には、何度か申し上げたように、医道審議会のもとに設けられました専門委員会で御検討いただいております。
 現在、診療科名を新しくつくってくれという御要望につきましては、私ども二十四科名をいただいております。それにつきましてもその審議会にお示しをしておりまして、御議論いただいておるわけでありますが、まずそれにつきましては、先ほど一般論は申し上げましたが、実際どういうふうな基準で選ぶかというふうな基準を審議会として検討いたしたい、こういうふうな御要望がございました。そのためには、いろいろと先進諸国の状況あるいは我が国の議員立法で決められてきました経緯とかその趣旨、目的というようなものも十分考えまして議論したい、こういうふうなことでございまして、今各国からの診療科名の状況につきまして資料等を取り寄せておるところでございます。
#85
○矢上委員 せっかく積極的な対応をとられておるわけでございますから、検討がおくれるということは、今おっしゃったような物差しづくり、客観的な判定基準がなかなか合意を見ない、そういう側面もあるとは思いますが、例えば申請されておる関連学会の歴史的な実績、学会に加盟しておられるお医者さんの構成員数、論文等の学術的功績、またそこのお医者さんたちにお世話になっておられる対象患者数など、いろいろな基準を設定できると思います。その中で既存の科目、認定されている科目の基礎データ等も一回きちんと再整理されて、その中で使える基準がないかどうか。
 やはりこれはいろいろな関係団体がございますから、きょうあしたにできることではございませんが、ただ、医療の情報公開という流れはいずれにしても押しとどめることはできませんので、これはタイムスケジュールをつくってやっていただくことがお医者さんの向上心を高めますし、また同時に患者さんの利益にもなることでありますので、ぜひお忘れなく、形代の要請に合った検討を進めていただければと思っております。
 簡単ではございますが、これにて質問は終わらせていただきます。
#86
○岩垂委員長 午後三時より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時九分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時二分開議
#87
○岩垂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。山本孝史君。
#88
○山本(孝)委員 二十分という短い時間ですので、早速質問に入らせていただきます。
 きょうはまず、たばこの問題について大臣の所見をお伺いします。
 新聞で随分報道されておりますが、たばこの害が世界的に認識をされておりまして、規制が随分強くなってきております。例えば、今アメリカでは、国際線の飛行機は全部禁煙にしようという法案が下院で可決をされました。カリフォルニアは、来年の一月からは職場が全面禁煙になります。そして、公共の場での喫煙はほとんどできなくなる、そういう状況になってきております。この厚生委員会の中でも随分たばこを吸う人が多いのですけれども、そのことを承知した上で質問させていただいております。
 たばこ広告の規制というのは、実は大蔵省の所管になっています。さきの予算委員会の分科会でも大蔵省の皆さんに質問をさせていただいたのですけれども、大蔵省の答弁は、日本には三千三百万人の喫煙者がいる、かつ、たばこには五百年の歴史があるので、そういう状況を踏まえていかないと対応ができないんだということで、極めて消極的な姿勢でございます。たばこ税の収入が二兆円あるということも多分大蔵省の頭の中にはあるのだろうというふうに思うわけですけれども、そういう意味で大蔵省としては、喫煙のマナーについては随分おっしゃるのですが、たばこの健康被害という面についてはほとんど認識がございませんと言っていいのだと思います。行政改革が言われているいわゆる所管がえということも含めて、健康問題ですから、この問題はやはり厚生省が担当すべきではないかというふうに思うわけです。
 そこで、大臣のたばこに対する認識についてお伺いするのですが、まず、一日に何本くらい大臣はたばこをお吸いになるのでしょうか。そして、テレビ等を見ていましても、随分たばこの広告、特にアメリカのたばこの広告が流れます。アメリカでは、たばこの広告は極めて厳しく規制をされている。そのアメリカ産のたばこが日本国内のテレビにはコマーシャルがどんどん流れてくる、そういうことについてどんなふうにお考えでいらっしゃいましょうか。
 それから、今申し上げたように、たばこの広告規制は大蔵省の方の事業法の中に入っている。そのことについて、私申し上げているように、もっと厚生省の方でやるべきではないか、そんなことについての大臣のお考え。
 そして、禁煙、分煙ということが主流になってきていますけれども、例えば厚生省の中はどの程度禁煙、分煙が進んでいるのでしょうか。その辺のこともあわせて、今後のお取り組みの中でどのようにお考えか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
#89
○井出国務大臣 お答えをいたします。
 実は、私もかなりヘビースモーカーの一人でありましたと申し上げるべきか、でありますと申し上げるべきか迷っておるところでございますが、二箱くらい吸っておりましたが、こんな立場になって少し吸いづらくなりました。できるだけこの機会に、できたら禁煙、せめて節煙をしようかなとは思っておるのですが、まだきちっと半分に減ったというところまではいっておりません。
 厚生省の中ですか、かなりたばこの好きな方もいますけれども、やはり厚生省というあれを意識してか、かなり我慢していてくれるようであります。
 きのうまで三日間、参議院の予算委員会に終日出ておったのですが、あちらは予算委員会はたばこを吸えないのですね。結果的には吸わないで済みましたから、そういう環境づくりというのは私みたいな者にとってもためになるな、こんなふうにも実は考えたのであります。それはともあれ、近年、先進諸外国を中心にたばこ対策に関するさまざまな取り組みが進展していることは十分認識しております。
 実は、厚生省としては、より効果的な喫煙対策を推進するために、今月の五日、これはWHOの決議に基づいてなのでございますが、たばこ行動計画検討会というのを発足させたところでありまして、この中で幅広い検討をいただくこととしております。今後、この検討会における検討結果を踏まえて、関係省庁とも連携をとりながら、実効あるたばこ行動計画の策定に向け努力してまいるつもりであります。来年の春にはこの検討会から御報告をいただく予定になっております。
#90
○山本(孝)委員 今大臣もお触れになりましたように、たばこ行動計画、検討会が今進んでいるように聞いております。来年の春にはその検討結果を踏まえて関係の各省庁との調整をして、それから次の段階に進んでいくということだというふうに伺っておりますけれども、厚生省の予算を見ますと、ことしはたばこ行動計画を検討するための予算だけがついている。来年は、それをどういうふうにするかということでもう一遍いわば検討が続く年ですから、来年の予算はほとんど入っていない。平成八年度からどういう形でやるかやらないかというくらいになってくる。ちょっと世界の流れに日本は遅過ぎるなというふうに思うわけです。
 このごろ、新幹線も禁煙車の方が先に埋まっていく状況があります。この間の新聞の発表でも、四人に三人は分煙にしてほしいというふうに東京都の調査でも出ています。そういうふうに世の中がどんどん変わってきていますので、ぜひ先取りする姿勢で、さきがけでいらっしゃいますから先取りする姿勢でぜひ対策を立てていただきたい、そういうふうに思います。日本だけがこの禁煙の問題の後進国であってはいけないのではないかというふうに思うわけです。
 次の質問に移らせていただきます。児童扶養手当の問題でございます。
 先般、奈良地裁で違憲判決がございました。新聞で大きく報道されておりますので御承知かと思いますけれども、概略申し上げれば、いわゆる未婚の母の子供が父の認知を受けたために児童扶養手当が受けられなくなったということで、奈良県を相手取って裁判を起こされて、この九月二十八日に奈良地方裁判所が、現在の児童扶養手当法の施行令云々を見たときにこれは違憲であるということの違憲判決を行いました。
 それを受けて、私どもも厚生大臣に、ぜひこれは裁判をもう続けないようにということで申し入れをさせていただきましたけれども、担当部局としては、違憲判決を受けてもこれは最高裁まで争わざるを得ない立場にあるのですということで、これからまだ裁判が続きますというふうにおっしゃったわけです。
 この判決の内容は、児童扶養手当法は、父の扶養の有無にかかわらず、父不在の家庭の経済状態に着目して広く支給する趣旨であると解す、そして、認知が直ちに父による実際の扶養に結びつくとは限らず、離婚の場合には、父から扶養料が支払われていたとしても手当が支給されているのだから、未婚の母の子が認知された場合について手当の支給を打ち切るという規定を定めた児童扶養手当法の施行令は法のもとの平等を定めた憲法十四条に違反をするという形の趣旨でございます。
 すなわち、同じ母子家庭でありながら、親の婚姻の状態によって嫡出子と非嫡出子が差別される、こういう状況にあって、これはまだ批准をしておりませんけれども、子どもの権利条約の中にもこういった嫡出子と非嫡出子の差別はするべきでないという内容が盛り込まれているわけです。
 そこで、お尋ねなんですけれども、繰り返しになりますが、戸籍上離婚していれば、養育費の有無、父親から養育費をもらっていようがもらっていまいが実はこの児童扶養手当を受けることができるという現状があるにもかかわらず、認知をするということだけでこの手当の支給が打ち切りになるのはおかしいのではないか、明らかにここに差別があるではないかという話になるわけです。
 間違いは改めるにしかずという言葉がございましたけれども、最高裁まで争う必要があるのだろうか。ここの違憲判決を踏まえてひとつもう一度制度の内容を検討してみる。単に裁判で最高裁まで行ってまたそこで判例が出て、違憲であれば高裁へ戻って、またもとへ戻るわけですけれども、この間に随分時間もかかりましょう。その裁判をやるということを続けるだけでなくて、厚生省として、この児童扶養手当の支給の内容についてもう一度検討してみる必要があるのではないかというふうに思うわけです。
 これは私の個人的考え方ですけれども、これからの福祉というのは、家庭の状況、家庭というものを単位に考えるのではなくて、その個人個人の状態、サービスを必要としていればそこに福祉のサービスあるいは手当を出してあげるという考え方に変わっていくべきではないのかなというふうに思うわけです。
 日本の福祉制度が始まって以来、ずっと家族というものを単位に日本のこのシステムがつくり上げられていますから、なかなかそこは変えるわけにはいかないと思いますけれども、新しい発想のもとでこれから二十一世紀の日本の福祉を考えていくときに、こういう子供の生活状況というものに着目をして、そして必要な人には手当を支給していくという形に、こういうふうに全体が変わっていかないものかなというふうに思うのですけれども、大臣はどんなふうにお考えか、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。
#91
○佐々木政府委員 児童扶養手当の制度に関連する法律論でございますので、まず私の方から、なぜ控訴を私どもしたかという点について御答弁をさせていただきたいと存じます。
 今先生の方から事案の概要についてはお話をちょうだいしたわけでございます。事実関係は今お話にあったとおりでございます。
 若干、児童扶養手当の制度の趣旨から申しまして、私どもは、児童扶養手当の制度と申しますのは離婚世帯等お父さんがいない世帯あるいは実質的にいない世帯に着目して給付を行う制度であるというふうなことから、あわせてその際には、父がいる場合は、扶養能力がある場合はこれをまず見守る、こんなような制度の趣旨で組み立てておりますので、結論から申しますれば、父が不明だったケースについて、認知をするということは父親があらわれてきた、民法の規定で、出生にさかのぼって父親が存在したことになり、扶養の義務が発生するということでございますので、まずこれを見守るという、そういう考え方で今の制度ができている。こんな趣旨から、いわゆる未婚の母子の場合の認知があった場合の打ち切り規定も出てきている、こんなようなのが結論的な判断でございます。
 若干御説明をさせていただきますると、今申しましたように、児童扶養手当法の仕組みは、基本的に父親がいない、あるいは実質的にいない世帯でございますが、法律の四条で支給の要件といたしまして、「父母が婚姻を解消した児童」、それから二つ目には「父が死亡した児童」、三つ目には「父が政令で定める程度の障害の状態にある児童」、四つ目に「父の生死が明らかでない児童」と四号挙げまして、五号で、「その他前名号に準ずる状態にある児童で政令で定めるもの」。
 実は、問題になりました政令につきましては、児童扶養手当法施行令で四つほど挙げでございます。
 一つが、父が、婚姻状態に法律上はございますが、あるいは事実婚も含みますが、「一年以上遺棄している児童」。それから二つ目に「父が法令により引き続き一年以上拘禁されている児童」、監獄等に入っているケースでございます。それから三つ目に、今回の該当ケースでございますが、「母が婚姻によらないで懐胎した児童」、事実婚も含む。ただしこの場合が、「(父から認知された児童を除く。)」こんな構成でございまして、もう一つ四号で「前号に該当するかどうかが明らかでない児童」ということで、捨て子等のケースということが構成でございます。
 このような仕組みをとっておることからわかりますように、先ほど申しました児童扶養手当法は、父がいないか、あるいは実質的にいないという点に着目して構成されておりまして、父が例えば法律上いる場合等につきましては、遺棄の場合、一年まず様子を見るということからもわかりますとおり、父の扶養義務の遂行をまず見る、こんなような構成でございます。
 それで、私どもとしましては、今回の判決、先ほど冒頭先生からも御紹介いただきましたが、児童扶養手当法の趣旨というものを、父の扶養の有無にかかわらず父不在の家庭の経済状態に着目して支給する趣旨だ、こういったような立論に立っておるわけでございまして、これは私どもの児童扶養手当法の趣旨には合っていないというふうなことでございます。そのようなことでございますので、先般の判決はいわば誤った法解釈を前提としての結論ということでございますので、私どもとしましては、法務省等とも相談の上、上級審の御判断を求めることとした、こんなような事情でございます。
 なお、あわせて今後の児童行政につきましては、子供に着目して、家庭単位というよりも子供単位で推進していくべきではないかというような御意見がございました。私もいろんなケースがあるというふうに思っております。
 児童福祉行政につきましては、基本的には児童の福祉の増進を図るというのが究極の目的でございます。その観点からいろいろな施策を講じておるわけでございますが、ケースによりましては、例えば今度の児童扶養手当法なんかがそうなんでございますが、あるいは児童手当なんかもそうでございます。家庭の生活の安定を図ることによって児童の福祉の増進を図るというふうな法律構成にいたしたものもございます。児童を家庭と一体的にとらえていく方が方法論として児童福祉によりつながるというふうなケースもあり得るというふうに考えられます。究極の目的は児童福祉の増進ではございますが、それぞれの政策意図を実現するに当たりまして家庭に着目するケースもあり得るものというふうに思っております。
 なお、ちょうどことしはいわゆる国際家族年、家族年と訳しておりますが、家庭と家族とがファミリーで同じ言葉になってございますが、私どもの局も児童家庭局と申しますように、家庭の問題というのは、児童を考えるときどうしてもまさに基礎的な単位でございますから非常に重視をいたしていく必要がかねてございますし、今後もあろうと思っております。いろいろなケースによりまして、当然ストレートに児童着目あるいは間接的に家庭をとらえていく。それぞれのケースによって最もよい方法を選択してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#92
○井出国務大臣 ただいま局長が御答弁申し上げたのに尽きるわけでございますが、この児童扶養手当制度、父親としての扶養責任を果たすことを前提とした制度であると考えておりますし、認知により父親があらわれたという場合にはその父親が扶養責任を果たすのをまず見守るのが制度の趣旨である、この点は筋を通させていただきたい、こう考えております。そんな形から控訴したわけでございます。控訴審での判断を今お願いしているところでありますから、この結果を見きわめる必要があると思いますので、この判決を機会に制度を見直せという御提言でございますが、ちょっとその考えは今のところ持ち合わせておりません。
 ただ、結婚とか家庭というものに対する考え方がかなり変わりつつある時代に今あるなということだけは私も、いいかどうかは全く別問題でありますが、感じております。
#93
○山本(孝)委員 国際家族年ということもありますけれども、老親の介護の問題を見ていても、今、嫁ですとかあるいは娘とかに随分偏って介護の負担がいきます。家族、家族と言っていると家族がみんな倒れてしまうという状況もあるわけで、その辺少し発想を変えていっていただきたいというふうに思います。
 さきのたばこの話では厚生省の中の状況ですとか、あるいは広告の規制の問題について御答弁いただいてないので、後でまた教えてください。
 それから、時間がありません、最後に一つだけ。きょうの新聞あるいはきのうの新聞、いわゆる廃棄物の問題、瓶、缶の回収についてシステムを厚生省、新しくつくっていくのだと。きょうの新聞も、プラスチックごみを軽油とか灯油に転換をしていくシステムを後押ししていこうということで、随分積極的な姿勢が見えます。もう焼却場をつくればいいという時代ではなくなってきていると思うのですが、その意味でも大変に前向きな取り組みだと思うのですけれども、業界の反対あるいは一般市民の理解もなかなか難しい部分があろうかと思います。どの程度の力強いお取り組みをいただけるものなのか、その辺をお伺いして、質問を終わりにしたいと思います。
#94
○井出国務大臣 委員御指摘のとおり、廃棄物の排出量が大変増大をして、一方、最終処分場の残余容量が不足している現状ではございます。したがいまして、廃棄物の排出を抑制し、リサイクルを推進していくことは極めて重要な課題であるわけでございます。
 一昨日ですが、厚生省のもとにございます生活環境審議会の中の廃棄物減量化・再利用専門委員会において、包装廃棄物の減量化、再生利用の推進のため、包装廃棄物について市町村と事業者、製造業者と販売業者ですが、の負担といいますか、協力による回収・再生利用システムを導入すべきとの画期的な御提言をいただいたところであります。このシステムは、廃棄物を減らしたり、再生利用を進めれば消費者も事業者も地方公共団体もそれぞれが経済的メリットを得られるような仕組みを講ずるべきだという内容となっております。
 したがいまして、厚生省といたしましては、今後、この新システ仏、第三者機関という形になっておりますが、の具体的な検討作業に入りまして、関係業界、関係省庁とも相談しながら、できるだけ早く成案を取りまとめて、できますれば次期通常国会に所要の法案を提出したい、こう考えております。
 この検討委員会のメンバーの中にも経済界の皆さん、あるいは例えば容器とかプラスチックとかそういった生産をなさっていらっしゃる会社の代表的な方も加わっていらっしゃいまして、この皆さんもこの提言に賛成をしていただいておりますから、そういう関係業界の皆様にも御理解をいただけるもの、こう考えております。
#95
○山本(孝)委員 ありがとうございました。
#96
○岩垂委員長 柳田稔君。
#97
○柳田委員 まず、大臣に御質問をさせていただきます。
 大臣の所信の中にもあったわけでありますが、今臨時国会、厚生委員会にとって年金法の成立というのは最大のテーマだろうと思うのです。大臣も御承知のように、老齢福祉年金の支給は十一月十一日、一般の年金の方は十二月十五日ということが既にはっきりしておるのです。
 ところが、年金法案は重要法案だと言いながら、この臨時国会の開会は九月三十日でございました。臨時国会が開かれますと、代表質問がある、そして予算委質問がある、そして初めて厚生委員会が開かれて年金法案の審議に入るというのは、もう事前にわかっていたわけであります。きょうは十月十九日。支給が十一月十一日ですね。八十三歳以上七十万でしたか、大変な影響が出るわけでありますが、どう考えてみても一月ないのですね。ということは、これは余り議論を国会でさせないつもりでいたのか、または、もう支給はどうでもいいや、おくれても構わないやというふうに思っていたのか、どちらかだとしか考えざるを得ないのであります。
 この九月三十日臨時国会開会というのは、正直申し上げまして年金法案を無視しているし、支給のこともほとんど念頭になかったと言わざるを得ないのでありますけれども、内閣の主要大臣である厚生大臣でありますから、内閣としての責任ある御答弁をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#98
○井出国務大臣 新しい内閣になってから、私、こんな立場になりまして、柳田委員にお目にかかることに、早くやれよ、協力するんだから、こんなお声をかけていただきましたことを改めて感謝を申し上げるものであります。
 厚生省としては、今御発言がありましたように、この年金法案の早期審議、早期成立を各方面にお願いをしてきたところでございます。しかし、臨時国会の召集は、外交とか内政諸般の状況を全体として勘案して決められたものでありますものですから、九月末召集ということに相なってしまいました。したがいまして、厚生委員会の委員の皆様方には非常に厳しい日程の中で集中的に御審議をお願いすることになり大変恐縮しておりますが、この法案の中には年金額の引き上げ、今委員御指摘のように今月分から予定しているのでございますし、決して審議をしないでぱっと上げちゃうというようなつもりはございません。大事な法案ですから、十分審議をしていただきたいと思います。
 どうか、委員の皆様方の御理解を得て、改善された年金額が年内に受給者の手元に届けられますよう、早期成立のための集中的な御審議を改めてお願いをするものであります。
#99
○柳田委員 国民生活にとっては大変重要な法案であるという認識を我々は持っております。それから、支給をおくらせてはならないという認識も我々は持っております。その具体的な例が、この年金の法案の審議に入る前に公聴会がセットされました。過去の例を考えますと、そういうことはほとんどなかったはずでありまして、審議を通じながら、じゃいついつ公聴会をやろう、そういうふうなセットが通常であっただろう。もう我々としては、精いっぱい努力をして支給に間に合わそうというふうに考えておることは、冒頭まず申し上げなければならないわけであります。
 ただ、今大臣の答弁を聞いておりますと、諸般の事情というふうにおっしゃいましたが、この臨時国会の冒頭の所信表明演説のときには、また異例なことに外務大臣不在のままでも我々は所信表明演説を聞いたわけでありますね。となりますと、諸般の事情ということが若干影が薄くなるのではないか、もっと早くなぜできなかったのか、やろうと思えばできたはずだと思うのでありますが、厚生大臣というのは内閣の中の主要大臣でありますので、もう一回よろしくお願いいたします。
#100
○井出国務大臣 先ほども申し上げましたが、確かに重要法案でございますだけに、十分審議時間が必要という意味で、厚生省は年金法案の早期審議、早期成立を各方面にお願いをしてまいりました。諸般の事情、今お述べなさったような、外務大臣がいないにもかかわらず本会議を開いていただいたということも異例だと思いますし、御協力いただいたことは感謝いたしますが、その前にもいろいろな国際会議や、あるいは内閣のいろいろな行事その他もございまして、九月の末という事態に相なったのは、まことに厚生省としましても残念ではありますが、しかし、こうなった以上は、残された時間の中でできるだけの時間を審議に割いていただきたいと改めてお願いをする次第であります。
#101
○柳田委員 繰り返しになりますけれども、我々も精いっぱいやっているのは多分大臣もお認めになるかと思うのです。
 大臣の答弁の中に、厚生省としては精いっぱいやってきておるのだけれども九月の下旬になってしまったという御答弁でありましたけれども、一体内閣の中ではどういうふうな議論をされてここまで遅くなったのか、その中で、厚生大臣としてどういうふうに内閣総理大臣初めほかの閣僚に申し上げてきたのか、お聞かせ願えればと思います。
#102
○井出国務大臣 閣僚の皆さん方もこの年金法案の重要性は御理解していただけておりますから、私も、こういう法案を継続審議で厚生委員会にお願いしてありますから、ぜひ早いところ開けるようにお願いをしたい、政府と与党の首脳会議で、ぜひできるだけ早い開催をというお願いを何回となくいたしました。
#103
○柳田委員 大臣の御努力はわかるわけでありますけれども、今の内閣が一体何を考えているのか。
 この年金、大改正が五年に一遍ありますけれども、通常ですとこれは相当時間をかけてやっているのです。それも多分御承知ですよね、内閣としては。でも、それにまさるものが何か内閣にあったのかと思ったら、いや、国際会議があったとか諸行事があったとか。それは内閣の問題であって、大臣の問題であって、国民にとっては年金の方が大事なんですね。
 通常の審議をやりますと、従来自民党さんが与党で社会党さんが野党という立場でやっていますと、一年ぐらい審議がかかったのです、初めから終わりまで。今回は、きょうの午後からやって二十五日までにどうにかしろ、そうしなきゃ間に合わない、わかっております。ただ、そのことは十分内閣の中でも認識をすべきではなかったのか。
 きょう、ちょっと強く大臣にかみつきましたけれども、総理大臣にも大臣の方から申し上げておいてください。どうでしょうか。
#104
○井出国務大臣 今柳田委員の協力ぶり、大変私はありがたい。野党の皆さん方に心から感謝を申し上げるものでありますし、総理、官房長官にもその御意向を感謝を込めながら報告をいたします。
#105
○柳田委員 感謝はいいですから、しっかりと申し上げておいていただきたいと思います。
 つまり、この支給がおくれれば、これはもう与党の責任だ。なぜ今の与党さんは早く召集して、十分時間をとって間に合うようにしなかったのか。もう最初から与党としてはその責任を回避するとは言いませんが、放棄しておるということしか考えようがありませんので、そのことは十分認識をしていただきたいと思います。今横から出ましたけれども、出席も大変多いようでありますから、野党の方がですよ。どう考えてもそうとしか思えないということだけ強く申し上げておきたいと思います。
 では、本題に入らせていただきます。
 今本格的な少子・高齢社会の到来を控えまして、福祉と税制との関係というものの議論が続けてされてきております。
 当時、我々与党というときのことでありますが、ことしの二月に福祉社会に対応する税制改革協議会というものをつくりまして、福祉、税制、行革の三つの小委員会に分かれて精力的な議論を行ってまいりました。残念ながら、大臣の党は最初の一部だけ入られまして、途中からは参加がなくなったわけでありますが、その議論の内容というのは多分大臣も御記憶がと思います。
 ことしの六月に、この三つの小委員会の中の福祉小委員会が報告書を取りまとめました。たまたま私がそのときの座長を務めておりましたので思い返すわけでありますが、四カ月間毎日のように、時には深夜遅くまで熱心に議論をした、そういうことが今思い返されるわけであります。
 そこで、先月二十二日ですか、与党の税制改革大綱が取りまとめられました。しかし、今回取りまとめられた税制改革のフレームを拝見しますと、少子化、高齢化に対応した福祉社会への対応、たったこれだけ掲げてあります。内容が全然ない。我々としては、一体これからどうなるのだろうか一切目に見えてこないというのが現状であります。
 そこで、我々が一生懸命やった議論、さらには我々がまとめた報告書、これらを念頭に置きながら、将来、まあ、ある年を限らないといけないのでしょうけれども、我々西暦二〇〇〇年というのを一つの大きな目標に置きましたので、現在と西暦二〇〇〇年、この関係について福祉、年金、医療などの社会保障の姿、このことについて幾つか質問したいと思います。
 まず、介護についてでございます。
 平成五年度の総務庁の推計人口によりますと、我が国の高齢化率は二二・五%、本格的高齢社会にいま一歩のところまで高齢化が進展してきております。さらに深刻なことは、要介護状態となる確率の高い後期高齢者の人口が、高齢化の進展のスピードをさらに上回るスピードで増大していくということでございます。
 翻ってみると、我が国の社会保障制度は、戦後着実に発展し、年金や医療といった分野では、先進諸国と比較しても十分比肩し得る水準に達しているということが言えるのではないかと思いますが、福祉の分野、特に介護や育児といった公、民間すべてが直面するニーズについては、医療や福祉と比較して必ずしも十分な制度、政策の発展が実現したとは言いがたい状況にあると言わざるを得ません。今、国民の多くの老後生活の最大の不安というのは、寝たきりとか痴呆になったとき十分な介護サービスが受けられるかどうか、このことに集約されていると言っても過言ではないのではないかと思います。
 そこでお伺いをしたいのでありますが、平成五年度において、全国の自治体で地方老人保健福祉計画が策定されました。これにより、高齢者の介護ニーズについて具体的な実情が明らかにされてきたのではないかと思います。
 そこで、現在我が国の要介護老人、虚弱老人の数はどの程度なのか、また、これらの要介護老人、虚弱老人の方々に対して十分な施策が行われていると厚生省は考えておるのか、お聞かせを願いたいと思います。
 また、冒頭申し上げましたように、要介護老人の数は今後急速に増大していきます。二〇〇〇年には要介護老人、虚弱老人の数はどの程度になると見込んでいらっしゃるのか、そして、これらの方々に対してどのような施策を用意しておくお考えなのか、あわせてお尋ねをしたいと思います。
#106
○阿部政府委員 お尋ねの、現在の時点とそれから二〇〇〇年を比較してということでございますが、まず現在の時点で申し上げますと、要介護老人及び虚弱老人の大まかな数でございますけれども、私どもとしては、要介護老人は約百万人、それから虚弱老人というのが約九十万人というふうに見込んでおるところでございます。
 こうした方に対するいろいろなサービスの提供をやっているわけでございますけれども、ホームヘルプサービスなりデイサービス、特別養護老人ホームあるいは老人保健施設といったふうな施設的なサービス、在宅、施設両面からやっているわけでございます。それをいわゆるゴールドプランということに集約してできるだけ努力する、こういうことになっているわけでございますが、現在まだその途上にありますので、現在の時点で必ずしも十分なサービスが行われているというふうには、率直に申し上げてそういうふうな受けとめ方はしておりません。これからまだまだ努力が必要な部分が多いというふうに認識しております。
 さらに二〇〇〇年時点、一九九九年、二十一世紀直前の時点でのその数ということになりますと、相当な勢いでふえます。特に、先生御指摘のように後期高齢人口が相当ふえますので相当な数に上りますが、私どもとしては、要介護老人は大体百四十万人、虚弱老人が百三十万人というふうなことではないかというふうに見込んでおるところでございます。そうなりますと、なお一層現行のゴールドプランというものに量的あるいは質的な拡充を図って対応していく必要があるだろうというふうに考えておりますので、そういったふうなことに向けて現在ニューゴールドプランというものを一つの提案として考えておるというふうな状況でございます。
 以上でございます。
#107
○柳田委員 今ニューゴールドプランなるものを検討しておりますというお答えでございましたけれども、国民の方はそんな悠長な状況にはないだろう。今おっしゃいましたように、要介護老人はもう二〇〇〇年には百四十万、そして虚弱老人が百三十万になる。としますと、それに対応し得るだけの施策をしようと思いますと、一年や二年ぐらいで一遍にできるわけではないので、年を追うごとにどんどんふやしていかなければならない。
 としますと、二〇〇〇年まであと何年あるのか、それを考えますと、今検討しておりますというふうな状況ではなくて、既に新ゴールドプランをつくりました、そして二〇〇〇年にはこういう体制になります、百四十万、百三十万と言われる要介護老人等に対しては十分なる対応ができますというふうに言わなければならないときだと思うのでありますが、いかがでございますか。
#108
○阿部政府委員 私どもの考え方も柳田先生とそう遠くないと思いますけれども、かつまた各市町村段階から積み上げてまいっております老人保健福祉計画というものからはじき出されてまいります数値というものを考えましても、先ほど私が申し上げました、現在検討しております新しいゴールドプランというもののできるだけ早い策定が必要ではないかと思っております。
 今回の税制改革の中でもこういったふうなことが論議をされまして、その結果、将来的には三千億円、平成七年度、八年度は一千億円及び二千億円というふうな一定の財源措置が行われておりますので、そういったふうなことも足がかりにいたしまして、私どもとしては、できるだけ早く新しいゴールドプランというものを確定し、実施に移していくべく最大限努力を重ねていきたいというふうに考えております。
#109
○柳田委員 一千億、二千億とかいう話が今少し出ましたけれども、それで足りるとは到底厚生省の皆様も考えていないだろう、さらに多くの財源が必要になるだろうなという認識はお持ちだろうと思っておりますし、我々としても、新ゴールドプランをできるだけ早く策定をして、国民の皆様にお示しするということが我々の責任でもあろうかと思いますので、できるだけ早く厚生省としても新ゴールドプランを確立していただきたいと思います。
 私の時間がもうあと九分か十分しかなくなって、用意した課題がだんだん質問できなくなってきておるのでありますが、その中でもあと幾つか聞こうとは思うのです。
 次は子供に対するエンゼルプランでありますけれども、何か検討をされておるというふうに聞いております。どういう内容なのか、そしてこれからどれぐらいの費用がかかるものなのか、そして二〇〇〇年ごろはどういうふうな状況にしておかなければ対応し切れないのか、御答弁をお願いします。
#110
○佐々木政府委員 エンゼルプランの検討の状況やいかにというふうなお尋ねでございます。
 この子育て支援の対策の緊要性につきましては、既にいろいろな機会にもお話をちょうだいいたしております。私どもも、少子化への対応ということは今最重点項目の一つという認識で取り組んでまいりたいと思っているところでございます。
 少子化の進行につきましては、文字どおり、子供の健やかな成長に対する懸念やあるいは将来の経済社会全般への大きな懸念がされているわけでございます。今のうちからこの厳しい現実に対しまして計画的な政策展開を図ることが急務であるというふうに存ずるわけでございます。
 このため、私どもとしましては、次代を担う子供たちが健やかに生まれ育つように子育てを家庭だけではなく地域や社会全体で支えていく、そういったようなシステムにつくり上げていきたい、そんな視点からエンゼルプランの内容の検討を行っているところでございます。現段階では、私どもとしましては、先ほどのお話もございましたが、目下、財源の確保にも配慮しつつ、関係の省庁とも連携をとりながら、できるだけ早い段階でその内容を詰めてまいりたいということで進めているところでございます。
 具体的に、それでは費用等はどうか、あるいは二〇〇〇年の姿はどう考えているかというようなお尋ねがございましたが、今申しました段階でございまして、目下エンゼルプランの全体の内容について検討を急いでいるところでございまして、現段階では費用見込み等はまだお示しできる段階に至っておりません。
 エンゼルプランにつきましての端的な、子育て支援策としての将来像も含めて内容の検討を急ぎまして、それに向けての作業を鋭意急いでまいりたいと思っておりますので、よろしく御理解を賜り、引き続き御指導を賜りたいと存じます。
#111
○柳田委員 これも検討中と。今子供の出生率は一・四六と最低ですから、これももうことしぐらいにはこういうことですということをお示しできるような状況にしておかなければならないのではないかな、それが多分我々の責任だろう、さように思う次第であります。
 次に、年金でありますけれども、これも現在と二〇〇〇年について教えてほしいのですが、年金の総給付費、基礎年金の給付費及び国庫負担額、現在と二〇〇〇年、どうなっておるか、御報告をお願いします。
#112
○近藤(純)政府委員 年金の給付額でございますが、今後人口の高齢化に伴いまして急速に増大いたすわけでございます。
 年金の給付総額でございますが、一九九三年、成五年度が三十一兆円と見込まれておりますが、二〇〇〇年度には、平成十二年でございますが、五十二兆円、これは名目額でございます。二十一兆円ふえるということでございます。
 それから、基礎年金の給付費でございますが、本年度は十兆六千億円でございまして、二〇〇〇年には、名目でございますが十七兆九千億円でございます。
 それから、それに伴います国庫負担の額でございますが、本年度三兆九千億円でございますが、二〇〇〇年には名目の額で六兆四千億円、こういうふうに増加すると見込まれております。
#113
○柳田委員 大変巨額な原資が必要となる、改めてびっくりする次第であります。
 財源については総括して大臣に後で御見解を聞きますが、その前に、今度は医療、これも莫大な金がかかっていると思います。現在約二十四兆円、毎年一兆円規模で伸びている。大変なことだなということなのです。
 それで、御質問させていただきたいのですが、今言いましたけれども、現在の国民医療費は二〇〇〇年にはどれくらいになっているんだろうか、そして、こうしてふえ続ける医療費に対してどう対応していくお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。
#114
○岡光政府委員 国民医療費、今御指摘ありましたが、平成四年度の実績額で約二十三兆五千億でございます。これが、推計の方法はいろいろございますが、平成二年度から四年度までの過去三年間の実績の傾向をベースにいたしまして将来の人口構造の変化を織り込んだ上で推計をいたしますと、二〇〇〇年には約三十八兆円というふうに見込んでおります。
 これに対してどう考えるかということでございますが、こういった医療費の増大というのは、人口の高齢化、それから医療の内容の高度化が主な理由でございます。これは避けがたい面もあるわけでございますが、一方で国民の負担が過大にならないように、こういうことを配慮する必要があるというふうに考えております。
 そういう意味で、医療の内容につきましては、できるだけ適正化をしていきたいということとあわせまして、長期入院の是正などを図る、こういうことを通じまして、高齢社会にふさわしい良質かつ適切な医療を確保して、かつそれを効率的、安定的に供給できるように持っていきたいという考えでございます。
#115
○柳田委員 大臣、今お聞きになりましたように、医療費は二十三兆円ぐらいから三十八兆円、さらに、年金の方は国庫負担だけ言っても三・九兆円が六・四兆円と膨れ上がる。さらに、エンゼルプランは、今検討中ですが、やらなければならない。そして、高齢者の介護問題、もう早急に手をつけないといけない」これも大変な金がかかる。あと何年かたちますと、本当に現状よりも三割増し、必要とする人がふえる。今言ったのは西暦二〇〇〇年ですね。あと二十年も三十年もあるわけではないのですね。あと六年、順番に、徐々にやっていかなければならない。しかし、余りにも膨れ上がる高齢化社会であります。どう対応していくのか。
 今回の連立与党の税制改革の内容を見ますと、先ほども御答弁の中に触れられましたが、平成七年度で一千億円、平成八年度に二千億円、平成九年度以降四千億円、福祉財源を確保しておりますと言っていらっしゃいますね。これで足りますか。どれ一つとってもこれは足りませんよ。しかし、必要なんですね。どうしましょうか。二〇〇〇年のこれだけ全部合わせたら一体国費がどれくらいかかるようになるのか、多分ある程度のお考えをお持ちでしょうけれども、どれぐらいかかるだろう、その財源をどうしようか、お考えがあれは、ちょっと大臣、お聞かせ願いたいと思うのです。
#116
○井出国務大臣 今柳田委員、それぞれの分野で二〇〇〇年にどのくらいという御質問のとおり、大変な巨額に上るわけでございます。
 マクロ的には、ことし三月の二十一世紀福祉ビジョンの試算、ケースUで、国民所得の伸び率を五%とした場合でございますが、これによれば、年金、医療、福祉を合わせた国庫負担額は、二〇〇〇年においては、名目費でございますが、約二十四兆円と見込まれております。
 しかし、まだ個別積み上げをしてあるわけではございません。たまたま、今般の税制改革におきましては、社会保障等に要する費用の財源の確保等との関連で、消費税率についての見直し規定が置かれております。したがいまして、その検討過程において、新ゴールドプラン、エンゼルプラン等の内容についてできるだけ早く詰めを行うとともに、年金、医療等の自然増等の推計を行うなど、将来の社会保障の具体的な姿を明らかにしてまいりたいと考えておりまして、その中で、必要な国費の規模の財源のあり方についてもお示しをしてまいりたい、こう思っております。
#117
○柳田委員 時間でありますが、人に優しい政治とおっしゃっているわけでありますから、この内容、今質問した内容はすべて必要なものであります。財源はいろいろと考えなければならないわけでありますが、責任を持って与党としても対応をし、内閣としても実践をしていただきたい。先ほどの国会の開会のおくれとともに、総理大臣に大臣の方から、これだけかかるんだぞ、そして一日も早くすべてのプランを立てないといけないんだということを強く申し上げておいていただければと思います。
 どうもありがとうございました。
#118
○岩垂委員長 山本拓君。
#119
○山本(拓)委員 改革の山本拓であります。きょうは三十分ばかり時間をいただきましたので、所信に対して質問ということでございますから、この所信を十分勉強してここへやってまいりました。
 ところで、この文章を読む限り、これはいつもの大臣の文言と一緒でございます。大臣はかねてから政治改革の旗手として、活気ある、また個性ある議論をやるべきだという話をもともと聞いておったものですから、実際に大臣になられますと、恐らく官僚の厚い壁、そしてまた、特に連立政権ですから、いろいろと自分の思惑どおりにいかぬと思います。しかしながら、やはりそんな中にあっても、初めてさきがけとしての大臣になられたわけでありますから、そのさきがけらしさというものは当然出すことをやると私はちょっと聞いたことがあるのですが、と思いますけれども、この文章を見ている限り、だれが大臣になったって同じことを言うと思うのです。だから、ちょっと教えていただきたいのですけれども、さきがけらしさ、また政治家井出正一らしさというものは、この文章のどこに繰り込まれているのか、ちょっと教えていただけませんでしょうか。
#120
○井出国務大臣 厚生省の所管する分野というのは大変広うございまして、それを網羅的に、漏れなく所信の中へ入れなくちゃなりませんし、そういった意味では、今山本さんがおっしゃるような、どこに重点があるのかというのが希薄になる点は否めない点とは思いますが、これから進めていく中でさきがけらしさ、井出正一らしさを出していきたい、こう考えております。
#121
○山本(拓)委員 いや、結局、我々は今回、選挙制度を変えるだけが政治改革じゃなしに、要するにもう形骸化した委員会質疑じゃなしに、とことんディベートしようということが趣旨なんですよ。それを強く主張してこられたのが井出先生。私はどっちかというと反対派でありましたが。そういう中で、今回改革の旗手が大臣となられて、私は、ぜひともディベートしたい、議論したいと来たのです。しかしながら、相変わらずのカラオケ大臣じゃ困るのです。結局、これを見ていると、役所が書いたメロディーの上にただマイクを持って同じ曲を言っているだけというふうになりがちでございます。
 だから、そういう中で、きょうは前へさっさと進みますけれども、これを見ていますと、最初に年金改革、高齢者介護対策、子育て支援対策というのを特に三本柱としてうたっておられますが、一つ一つは役所サイドの意向が強い。それは別として、さきがけオリジナルの考え方を、年金改革、高齢者介護対策、子育て支援対策、これのさきがけらしい、オリジナルの考え方をちょっと教えてください。
#122
○井出国務大臣 私は、さきがけ出身の厚生大臣ではありますが、実は今連立与党三党で、厚生関係の調整会議も設置していただいたり、いろいろな話し合いをしていてくださいますから、それをさきがけらしさだけ強調するわけにもいかぬ点もありますし、三党の合意の中で進めていきたい、こう思っております。
#123
○山本(拓)委員 そうすると、大臣は三党合意を優先するということは、大臣の所信なんて聞かなくたって、三党合意というものを優先するとおっしゃるならば、要するに三党合意の三党責任者にここに来ていただいて議論した方がいいのじゃないですか。要するに、大臣の所信というのは、三党合意、大臣の考え方よりも三党合意を優先するということを大臣はおっしゃったのですか。
#124
○井出国務大臣 どっちを優先するという次元じゃなしに、やはり議院内閣制でございますから、与党と内閣は一体となって進めていかなくちゃなりませんから、その点は、山本委員、おわかりいただけると思います。
#125
○山本(拓)委員 申しわけないけれども、わからないから聞いています。
 では、お聞きしますけれども、その三党合意というのは、大臣の全く知らないところ、恐らく三党合意の中にはさきがけも入っておりますから、そのさきがけの意見というものが大臣の意見として集約されていると解釈すればいいのかもしれませんが、その三党合意のあり方というものは、結局その中に大臣の意向というのは全く入らない。勝手にやっている。そして、そこでできたものを、要するに大臣がそれを受けて、優先的に、政策的に推進していくという理解でよろしいのですか。というのは、これから連立時代ですから、政策のやりとりと申しますか、それをちょっとお聞きしたいものですから。
 では、例えば今、年金改革法案が出ていますけれども、連立与党でもいろいろありますよね。その動きというのを大臣は全く把握しておられないのですか。
#126
○井出国務大臣 いわゆる議院内閣制における与党と内閣、これは連立であろうとなかろうと、なかなか今までも、自民党単独政権時代もいろいろな問題はあったわけでございますが、連立になれば与党が多数になるだけに、よりまたいろいろなプロセスを踏まなくちゃならぬ必要が出てくると思います。
 年金につきまして、今三党の中で、いろいろな今までの経緯もありますから、一つの合意を見出すべく、大変な努力と御論議がなされていることは、十分承知しております。
#127
○山本(拓)委員 先ほど大臣が、要するに大臣の所信は非常に自分のオリジナルを出すのは難しい、その理由の一つとして三党合意ということを申されましたから、だから三党合意、その連立の中身がやはりある程度、実際問題として大臣の意思決定に大きく影響をするということは、今おっしゃったとおり、これは事実ですね。だから今年金問題でということは、逆に言うと直接は全く大臣の知らない、そこは政府と党ですから分けて考えなくてはなりませんが、どういう形で話が進み、どういう形になっているかという報告は当然受けていますよね。それをちょっと教えてください。
#128
○井出国務大臣 情報といいましょうか、報告はちょうだいしております。
#129
○山本(拓)委員 そうすると、もともと年金改革について、さきがけはどんな考え方でした。
#130
○井出国務大臣 私の立場でさきがけの考え方というのを、ここで申し上げて果たしていいのかどうか、ちょっと私はちゅうちょしております。
#131
○山本(拓)委員 いや、結局、あなたのオリジナルで私はこうしますと言うのじゃなしに、要するに一番最初にさきがけらしさを出していきたいとおっしゃったわけでしょう。そうおっしゃったから私は聞いているのです。さらに、それにプラスして三党合意というものを重要視するというのでしょう。それだったら、あなたはそれを我々に正式な場所で、あなたが決定権者なのだから、説明する義務があると思いませんか。
#132
○井出国務大臣 いや、さきがけらしさを感じられないじゃないかと最初に質問なさったものですから、厚生省というのは大変広い分野で万般にわたらなくちゃならぬということと、それから三党連立内閣であるという二点を申し上げたのであって、あの所信にさきがけの方針なり姿勢を訴える筋のものじゃないと思っています。
#133
○山本(拓)委員 それはちょっと……。こんな話は余りやりとりしていてもあれですが、ただはっきり申し上げまして、きちんと今の現状、政策決定権者なのですから、そして私は抽象的なこと存命聞いているのではなしに、年金法の改革について今連立与党の中で議論している、だから、要するにそれはどういう状態になっていますかと。例えば極端な話、そこで決まった合意というのは大臣としてそれは推進していく立場であるわけですから。それはお認めになったわけですから。
 だったら、要するに大臣がそんなもの無視して、私の考え方でどんどんやるのだ、政治的な判断は、そんなものは関係ないのだというのなら聞きませんけれども、大臣は前段でそれをお認めになっているわけですから。だから、今の年金の、連立与党の内部の進捗状況はここで大臣の口から説明してもおかしくないじゃないか。また、すべき。じゃないかということを申し上げているのです。(井出国務大臣「どうお答えしたらいいのかね」と呼ぶ)答えないならとめてくれなきゃ。時間がむだじゃないか。
#134
○井出国務大臣 年金法案に関しましては、政府の立場で、前国会以来法案を提出して、その成立を今お願いをしているわけでございます。審議をお願いするわけでございますから、審議の中で、与野党を通じて、またいろいろなあれが出てくることは、もちろんそれに従わなくちゃならぬと思います。今のところは内閣の提案した法案を、できたらぜひそのまま一日も早く成立させていただきたいというのが私の立場です。
#135
○山本(拓)委員 だから、せっかく議論しようと思っても、結局は自分の考え方を押し隠しちゃって、要するに官僚の、役人さんのカラオケ大臣に徹してしまうから、そうすると、結局政治改革の目的を達し得ない。だから、基本的にこういう国民の、これはこれからの連立時代の前例をつくるわけですから、やはり大臣として、もう一回聞きますけれども、年金改革法についてはまずさきがけとしてどういうものを一つ、もともと党の方針というものがあるわけですから、それをベースとしていろいろなことをかんがみて結論を出していくということだと私は理解しておりますが、もう一回聞きますけれども、結局さきがけのオリジナルな年金改革のスタンスはどうなのですか。要するにさきがけも、基礎年金を上げることなく現行のままでいいということでよろしいですね。
#136
○井出国務大臣 基礎年金に関係しましては、中長期的には上げる方向で検討すべきだが、この段階でこの法案にそれを盛り込むというのは到底無理だろうというのがさきがけの考え方だと私は理解しております。
#137
○山本(拓)委員 昔、十年一昔と言ったのですけれども、最近はサイクルが速くなって五年一昔という言い方を、うちらの地元でやるときがあるのですが、その中長期というのは何年を中長期、中は何年ですか。
#138
○井出国務大臣 何年とはっきり言えないから中長期的と、こういう言葉があるのじゃないでしょうかな。
#139
○山本(拓)委員 だったら、これはこんないいかげんな話はありませんよ。
 では、それは五十年でも中長期的ですか。
#140
○井出国務大臣 五十年と言われれば、これはそうだとはちょっと言えませんね。
#141
○山本(拓)委員 だから、いわゆる中長期とか抽象的を言葉を言えば、それは結局あいまいな、逆にごまかし言葉という範疇に載っているわけですから、それはなくそうということで明確にしていただきたい。
 ところで、例えば具体的に新ゴールドプランというのを策定する準備をなされておりますが、この新ゴールドプランにしても、これを実現するためには財源が要る。だから、この財源というのはトータルでどの程度の規模を考えておられるのか、具体的にひとつ教えてください。
#142
○阿部政府委員 私どもが今厚生省として提案しております新しいゴールドプランの実施のための所要経費といいますのは、まあ簡単にいたしますが、これから先五年間分で国費ベースで約一兆七千億余というふうな積算をしております。
#143
○山本(拓)委員 そういう中で新ゴールドプランの策定はこれからさらに拡充していかなくてはならないわけでありますが、いずれにしても、もともとのゴールドプランというものがありましたね、それは今五千億ですか。あと十年間でまたその二倍、三倍以上ということなんですが、それに限らずすべてにおいて福祉行政には金がかかる。
 まあ先ほどから金の話が出ております。基礎年金にしたって大変なお金です。だからここで、いろんな人と重複するかもしれませんが、今後の福祉財源ですね。福祉財源についてはどのように確保を考えておられるのか。これはもう政治問題ですから大臣にお尋ねします。
#144
○井出国務大臣 先ほど柳田委員の御質問にもありましたように、今後大変な額が必要とされることは確かであります。したがいまして、今回の税制改革でも、税制改革の一環として平成九年からは四千億を高齢者あるいは少子化対策に充当しよう、さらに税制改革の前の七年度、八年度は、一千億、二千億を特に高齢化対策の緊急を要するところへ充当せい、こういう措置をとっていただいたわけでございます。
 これで決して足りるわけじゃございませんから、これを足がかりといたしまして、たまたま今度の税制改革には、こういう福祉計画あるいはいろんなあれを考慮してという意味で見直し規定、検討期間が設けられておりますから、この期間に新ゴールドプランあるいはエンゼルプランを早急に詰めて、さらにまた年金や医療費の自然増の部分もございますから、これを算出して、それに必要な費用を捻出すべく財政当局とこれから協議してまいりたい、こう考えております。
#145
○山本(拓)委員 そうすると、今の話ですと、今後の福祉財源というのは税制改革、いわゆる消費税の上げに頼るということをおっしゃったわけですか。これからの福祉財源というものは、今後税制改革の中で確保していく。これからまだまだほかにお金がかかりますね、無限大に。無限大ということはありませんけれども、まあ福祉なんというのはそんなものですけれども。しかしながら、今大臣のおっしゃる話は、今後の厚生行政の福祉財源というものは、要するに税ですね、いわゆる税負担。今議論しているのは消費税の値上げですから、だからそれをメーンとして考えていくということでよろしいですね。
#146
○井出国務大臣 税、まあ今のあれで申し上げれば消費税でしょうが、その方で負担していただくことも一つのあれでしょうが、それだけとは限らないと思います。この見直し規定の中にもいろんなことが書かれております。例えば、まあ額はどのくらい出てくるかわかりませんが、行財政改革の方から出てきたのも福祉の方へ回していただくことだってかなうわけでございますし、ほかの税制改革の方からそれに必要な費用は捻出していただけるかもしれません。
 いずれにせよ、どこからであろうと、その税源あるいは財源は、必要なものを政府として捻出していかなくちゃならぬということだと思います。
#147
○山本(拓)委員 もう高齢化社会は待ったなしでやってくるわけでございますし、それを確実に実現していくためには、いわゆる単なる絵をかいていたって財源が伴わなくてはなりませんね。
 それで、今の話でいきますと、もちろん税負担もお願いする、それプラス行政改革とおっしゃいましたが、その行政改革というのは、厚生省なら厚生省として、一般的に言われているように、例えば一省庁一機関をなくすとか、やれ北海道開発庁をなくせとか、いろいろな話がありましたが、それは要するに、今言う行政改革というのは、それを減らすことによってお金を浮かせるということだと思うのですね。
 だから、厚生省として所管大臣の管轄の中でどのようなお金の浮かし術というものを、要するに、みずから行政改革という財源をおっしゃったわけですから、財源の捻出方法としての行政改革ということをおっしゃったわけですから、その具体的なものが当然あると思いますが、もしそういう計画もなくてそういうことをおっしゃったのなら無責任きわまりない話でありますから、そんな人ではないと私は信じていますので、ぜひともそれを教えてください。
#148
○井出国務大臣 昨日でしたが閣議で、総務庁から行政改革の、特に特殊法人等の問題についてでございますが、これからの進め方のルールが示されました。十一月の末をめどに各省庁ごとにこんな方向でやりたいというのを報告して、来年の二月の半ばぐらいにはそれに基づいてしっかりした計画を立てようという内容でありますから、実は今厚生省の中でも、それに従って十一月下旬をめどに検討を始めたところであります。
#149
○山本(拓)委員 検討といっても、いろいろな方向性を示されて検討させているのでしょうけれども、どういう方向性を今、例えば消費税一%上げると二兆円増収ということでしょう。そうすると、国民にわかりやすくするには、二兆円分削減するとか、これをなくせば何兆円削減とか、アメリカが言う数値目標じゃありませんが、やはり行政改革は、昔は一機関とか一局長なくせとか言うたことがありますが、そういうとらえ方じゃなしに、要するに幾ら削減できるか、十年後までに二兆円削減計画とか、そういうお考えでやらないと財源というものはひねり出せませんよね。
 だから大臣は、厚生行政の財源は行政改革によっても出したいという話も一つおっしゃいましたから、そういう観点で聞きますと、今後厚生行政の検討課題の中に、要するに大体幾らじゃ、その前にもう一つ、あれをなくせ、これをなくせばこれだけ浮くというものが頭の中に一つぐらいあると思うのですが、厚生省ちょっと教えてください。
#150
○井出国務大臣 それはちょっとお答えを差し控えさせていただきたい。
#151
○山本(拓)委員 それだったら結局、具体的に方向性、金額を明示して、来年、再来年これだけ減らせというようなそんな無理は言いませんけれども、検討していく場合に、数値目標ですね、大体一兆円、一兆円というか、やはり幾らかの金を厚生省としてみずから、一番金のかかるところですから、これはまあ大臣が使うわけじゃなしに国民のために使うわけでありますが、やはりそういう数値目標というのは、行政改革の中で厚生省として、財源を捻出するためにやるわけですから当然出すべきだと思いますが、その点とういうお考えですか。
#152
○井出国務大臣 村山総理が本会議やあるいはこの間の予算委員会でも、行政改革はこの内閣の最も大きな仕事なんだ、こう強調しておりますから、各省庁、その総理の方針にのっとってやらなくてはならぬことは当然でございます。行政改革あるいは規制緩和、行政改革の中にもいろいろあるわけですが、厚生省の関係、国民の生命、安全というような問題に絡んだ分野がたくさんございますから、これを全く無視して全部やめてしまったり廃止してしまったりするわけにはもちろんいきませんが、そういうことに留意しつつできる限り総理の方針にのっとってやらなくてはならぬ、こう考えております。
#153
○山本(拓)委員 井出正一らしさを出してください。そういう意味で、要するに方向性ですよ。総理大臣は総理大臣として全般的な方向を出しますが、厚生省を預かる大臣が、一番これから将来財源が必要だということで頭をひねらなくてはならない、そういう具体的な計画がないということは、口では言っているけれども、実態は大臣の頭の中には、将来とも消費税を上げ続ける、消費税を上げることによってそこに確保するということにならざるを得ないのですよ、今のずっと一連のを聞いていると。
 だから、本来消費税だけに頼るのではなしに、要するに行財政改革とかいろいろ削減することによって生み出すという方向を一つお示しになっているわけでありますから、それならば厚生省みずから、ほかの省のことを当てにしたらとんでもない話で、まずみずからそういう方向を出すならば、財源を求めるためにやるわけですから、当然五千億なり一兆円なり、これは五年計画、十年計画でもそういう方向で検討するということがあってしかるべきだと思うのですが、そうじゃないのですか。
#154
○井出国務大臣 それは厚生省だけで五千億、六千億ということは申し上げられませんが、内閣全体としての行政改革は、結果としてそういうことにならなくては財源も見つかってこないわけでございますから。
#155
○山本(拓)委員 だから、全体でこれだけ浮かせるためには、まず一つ一つの省庁の所管大臣が責任を持って、うちはこれだけの目標を立てますということがなければ、幾ら能力があるかもしらぬ村山さんがやったって、そんなにいい結果は出てこないし、そのツケは全部国民に回ってくるのですよ。
 だから、それは大臣、もう一遍確認しますけれども、そういうことは必要ないとおっしゃるのですか。独自で金額、別にお金の金額のあれは別として、数値目標というものを出して財源捻出のために行政改革の計画を立てていく、そういう必要性はないとおっしゃるのですか。そういうつもりはないということですか。
#156
○井出国務大臣 いや、内閣全体としてそういう方向を考えていくべきじゃないかな、こう思っています。
#157
○山本(拓)委員 それは総理大臣の言い方でありまして、あなたは厚生省のことを考えているので、厚生省のことを教えてください。
#158
○井出国務大臣 ですから、そうなれば各省庁ごとにそれこそこれは身を削るようなことにも省庁としてはなるわけですが、そういう方向で努力して何とかそういう行政改革を進めていかなくてはならぬ、こう思います。
#159
○山本(拓)委員 何遍もしつこく聞きますけれども、結局行政改革はだれでもやらなければいかぬのです。前から言っているのです。しかしながら、全然前に進まない。もうそろそろ具体的に進めていかなくてはならない。待ったなしの財源が必要だ、これはもう何遍も言っている。だんだん時間がなくなってあれだけれども。
 だから、そこは大臣として、所管大臣として、要するに具体的に省内に今方向性を山さしているのでしょう。その方向性を出す中身、結局何もそういうことは触れない、触れる必要はないとお考えなのですか。総理大臣から、要するに具体的に数値目標でやりなさいと言われない限り、みずから進んでそういう目標も立ててやるつもりはないということで理解してよろしいですね。
#160
○井出国務大臣 いや、各省庁がそれぞれそういう方向で取り組むべきだ、こう思います。
#161
○山本(拓)委員 もうこれは時間がないですから、きょうはこれでいいです。
 最後に、もう二、三分しかありませんので、ちょっと頼まれている質問があるのですが、ソリブジンの薬害についてちょっとお尋ねしておきます。
 薬害の問題で、これはちょっとマスコミでも報道されたようですが、日本商事から副作用の被害の報告を受けながら、いわゆる記者会見をおくらせたという報道がありましたね。その事実関係が一つ。それだけちょっと。
#162
○田中(健)政府委員 先生お尋ねの件は、昨年の十月八日と十月十二日の関係じゃないかと思いますけれども、私ども、十月八日の段階で副作用情報を三件いただいておりまして、十月八日に中央薬事審議会の副作用部会で御検討をいただいた。その日の夜にさらに二件報告がございまして、その時点では、メーカーから緊急の情報を出してもらうということで対応できるかな、こういうふうに思っておったわけでございます。その後、十月九日、十日、十一日、九日が土曜日、十日が日曜日、十一日が代休でございまして、役所としては三連休があったわけでございますが、十月十二日になりましてさらに二例報告がございまして、私どもといたしましては、被害が拡大をしておるということで、その時点で、やはり報道機関の協力を得て情報をいち早く医療現場にお伝えをするということで、マスコミの協力で公表に踏み切ったということでございまして、私どもといたしましては、その時点その時点で適切に対応してきた、こういうふうに思っております。
#163
○山本(拓)委員 最後に、ひとつこの事件を反省して、情報伝達、こういうときには、前の事件ではいわゆる会社にそういうものを使わせないように伝達しろという指導を厚生省はしておったのですが、そういう事件を起こした会社なんというのはもうてんてこ舞いでそんなことはやれなかったという実態がございましたので、この反省点に乗っかって、今後こういう事件が起きたときに、情報伝達を企業に任せるのではなしに、厚生省がみずから医師とか医師会とかそういうものに伝達するシステムを確立する必要があるのじゃないかという意見も強いのですが、その点の大臣の御見解だけ承って質問を終わります。
#164
○井出国務大臣 医薬品の併用による副作用を含めて、医薬品副作用情報の医療関係者への伝達については、緊急な対策が必要な副作用情報は、まず第一に関係企業に対して、ドクターレターと言っておりますが、緊急安全情報の配布をまず指示するなどの対応をしております。そして、これらのうち緊急安全情報等については日本医師会雑誌とか日本薬剤師会雑誌等にも掲載して、医療関係者に対する広い範囲での周知徹底を図っているところであります。
 今後、今回の問題もありますゆえ、医薬品の併用による相互作用に関する情報も含めた医薬品服薬指導情報集の充実、医薬品副作用に関するデータベースの整備、緊急を要する安全情報の医療機関への迅速な伝達体制、これはファクスなんかも利用したいと思いますが、その整備等を図ることにより、医薬品情報の医療関係者への一層の周知徹底に努めてまいりたいと思いますし、そのための予算も来年度要求をしておるところであります。
#165
○山本(拓)委員 ありがとうございました。
#166
○岩垂委員長 岩佐恵美君。
#167
○岩佐委員 きょうの午前中の質疑で論議をされましたけれども、人工透析患者の劇症肝炎死亡事件についてまず伺いたいと思います。
 ことし四月の診療報酬の改定によって、これまで個別に請求してきた手数料と透析液、血液凝固阻止剤、生理食塩水が包括をされたため、一部の透析施設では、経営上の理由でこれまでの治療内容を変更するということが起きています。このような中で起きた今回の事件だけに、透析患者、十三万人を超えるこういう患者の皆さんに今度の事件は大変大きな衝撃を与えています。
 全国腎臓病患者連絡会が、四月の診療報酬の改定後の外来血液透析の変更調査を行っています。
 その報告によると、血液凝固阻止剤は、一割以上の人がより安いヘパリンに変えられた。その結果、フラミング使用者は、医師が患者にはこの程度必要だろうとする三割からかけ離れた七・二%に落ち込んでいる。また、生理食塩水も大きく減らされ、透析液も減少しているという調査結果になっています。また、血液検査の回数が減少したり、消毒液がイソジンからアルコールに変わったり、職員がゴム手袋を使わなくなったということが一部あった、そういう報告もされています。本来患者の状態に合わせて決定されるべき薬剤等の使用でありますけれども、経済的理由によって変更されることが本来あってはならないことだと思います。
 今回の肝炎の感染経路の解明はもちろんのことでありますけれども、こうした人工透析の実態を調査をして、改善すべき点は改善をする、そういう方向で取り組むべきだというふうに思いますけれども、その点、お考えを伺いたいと思います。
#168
○寺松政府委員 私どもへの御質問と思いますのは、今回の西新宿診療所におきます劇症肝炎の集団発生の状況、それからそれの一日も早い解明を急げ、こういうような御趣旨のところにつきまして、まず私からお答えをいたしたいと思います。
 医療法人の社団の松和会・西新宿診療所におきまして、人工透析を受けております患者の中から、本年九月上旬以降でございますけれども、肝炎患者が五名発生し、そのうち三名が死亡したとの事実関係につきましては、東京都及び所管の保健所を通じまして今月の四日にその事実関係を把握いたしました。その後一名の死亡者を加えまして、現在まで当該診療所に関係いたします肝炎による死亡者は合計四名でございます。
 厚生省としましては、今の先生の御指摘のような事実も踏まえまして、直ちに東京都に対しまして専門家等によります原因究明のための調査班を設置するように指導いたしました。これを受けまして東京都は、東京都劇症肝炎調査班を十月の六日に設置して、現在調査を行っておるところでございます。
 現時点におきましては、まだ感染経路とか原因の解明はできていないのでございますけれども、この調査班が施設に立ち入りましたり、あるいはいろいろ資料を提出させまして、感染者との接触のあった医療従事者等の割り出し、あるいは感染者から採取しました肝炎ウイルスの遺伝子解明等の作業を現在行っておりまして、その原因究明に鋭意努力をいたしておるところでございます。一日も早い解明をしなければならぬということで努めておるところでございます。
#169
○谷(修)政府委員 今のお話にございましたように、B型肝炎の院内感染の防止ということにつきましては、人工透析、血液透析を含めまして、既に昭和六十二年にB型肝炎医療機関内感染対策ガイドラインというものを策定をしております。これに基づきまして、各都道府県を通じまして医療機関への周知徹底を図っているわけでございまして、現在、新宿の診療所の事件については、先ほど健康政策局長の方からお話がございましたように、原因について調査中ということでございますが、私どもといたしましては、この感染対策ガイドラインというものをさらに活用いたしまして、ウイルス性肝炎の予防ということに努めてまいりたいと思っております。
#170
○岩佐委員 大臣に確認をさせていただきたいと思うのですが、全国の腎臓病患者の皆さんが診療報酬の改定によって、先ほどからマルメといいますか、そういう一つ一つのものが全体になって、それで治療の現場で変更が起きているということなども非常に心配していたわけですね。そういう中で起こったこういう事件ですので、感染経路のいろいろ原因究明だとかそういうことは、もちろんこれはやることが最優先でございますけれども、同時に患者の皆さんに、その診療報酬が改定になった後、一体実態が患者の皆さんが心配されるような方向であるのかどうか、そこのところをよく調べていただいて、実態に合わせできちんと対処していただきたいということを、大臣にお答えをいただきたいというふうに思います。
 ちょっと時間がありませんので、大臣のお答えで結構でございます。
#171
○井出国務大臣 診療報酬の改定が今回のこの事件に果たしてどの程度影響があったのかどうか、必ずしも私はあったとは聞いておりませんものですから、その点、保険局長から御説明させます。
#172
○岡光政府委員 包括化をして下げたのならばそういう問題が起こると思いますが、包括化をしてむしろ従来の点数よりも上げたわけでございますので、そのようなことは起こらないというふうに私ども考えております。しかし、包括化によって影響があるんじゃないかという患者さんの側からの御疑念があるわけですので、その点は専門医の協力を得て調査をいたしたいと思っております。
#173
○岩佐委員 じゃ大臣、そういうきちっと厚生省として対応していただくということでお願いをしておきたいと思います。
 次に、食品の安全問題について伺いたいと思います。
 まず大臣の基本姿勢について伺いたいと思いますけれども、日本の伝統的食文化を踏まえた食生活の安全性確保、そして一九七二年の食品衛生法の改正の際に、食品添加物の使用は極力制限をする、こうした国会の決議などありますけれども、こういう決議を尊重されるなど、国及び厚生省が国民の健康と命を守る、そういう権利を認めて尊重すべきだというふうに私どもは思いますけれども、その点、大臣のお考えを伺いたいと思います。
#174
○井出国務大臣 近年、輸入食品の割合は大変な増加傾向を示しておりますし、ライフスタイルの変化等により国民の食生活は多様化してきております。また、食品流通の国際化あるいは規制緩和の動き、製造物責任法の成立など、食をめぐる環境は大きく変化しております。
 このような状況の変化の中で、食品の安全性を確保することは国民の健康を守る上で重要な課題であると考えておりまして、今後とも、日本人の食習慣等も考慮しつつ、国民の健康確保を第一に考えて対応してまいりたいと思います。
#175
○岩佐委員 世界貿易機構、WTO協定絡みで、今国際的基準に合わせて、国会の決議やあるいは食品衛生法等に定めている従来の基準を根本から変えるんじゃないか、そういう作業が進められているのではないかという心配があります。
 食品添加物の場合、禁止された添加物以外の使用が認められる、いわゆるネガティブリスト方式があります。日本の場合には、食品衛生法では、大臣が指定した、これは安全であるということで指定したそういう添加物以外は使用を認めない、いわゆるポジティブリスト方式を採用しています。こうした国内法の原則、これに変更がないかどうか、伺いたいと思います。
#176
○小林(秀)政府委員 化学合成晶たる添加物の使用法については、今先生が御指摘されたように、日本国ではポジティブリスト下でやっております。
 それで、今回WTO協定絡みでネガティブリストに変わるんではないかという御懸念でございますけれども、欧米各国もポジティブリストでやっておるということもありまして、この方式について変更する必要はない、このように考えております。
#177
○岩佐委員 今国際規格で認められている化学的合成食品添加物は三百十三品目あります。このうち、国内で使用を認めていない添加物は百二十一品目になります。この百二十一品目の食品添加物を国際規格に合わせてもし次々認めていく、そういうことになりますと、結局、指定方式を変えなくても、結果的には添加物の無条件拡大につながってしまうんじゃないか、そういうやり方がされれば、これは国会の決議に反するんじゃないか、そういうふうに思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
#178
○小林(秀)政府委員 新たな食品添加物の指定に当たっては、個別品目ごとに十分な資料を添えて要請があったものにつき、食品衛生調査会の意見を聞いて、科学的に安全性、有効性が確認されたものに限りその指定を行うという方針で従来から対処してまいりました。今後とも個別の要請に基づき対処していく方針でございますが、その審査に当たっては、国民の健康確保を最優先として、さらに国際調和の観点からも、国際的な評価も踏まえ、新たな添加物の指定に対処してまいりたいと思います。
 このことが今先生のおっしゃいました昭和四十七年の国会決議に反するのではないか、こういうふうにおただしでございますけれども、当省といたしましては、このこと自体、国会決議に反するものではない、このように解釈をいたしております。
#179
○岩佐委員 国会決議では食品添加物の使用は極力制限するというふうになっているわけですから、ここのところはしっかりと守っていっていただきたいというふうに思います。
 次に、天然添加物についてですけれども、従来届け出制だったわけですが、これを許可制にすべきだという主張が消費者の間から強くありましたし、私どももそういうふうに言ってきたわけですけれども、今度厚生省が安全基準をつくって規制する方向を決めるんだというふうに報道されております。
 その点について伺いたいわけですけれども、その場合、指定にかかわる安全についてのチェックの問題なんです。何か聞くところによると、附則でもって一括指定してそれで認めてしまうというようなことが言われているようですけれども、それで本当に安全性が確保できるんだろうかという疑問があります。それと同時に、こういう安全性の確保のための資料の公開、これがどれだけされるんだろうか、こういう疑問もあるわけですけれども、その点についてお考えを伺いたいと思います。
#180
○小林(秀)政府委員 天然添加物の指定に関しましては、それが従来使われてきて、それによってのいろいろな副作用といいますか影響が出たという報告がほとんどないわけでございまして、これを今後どうするかということはまだ今後の課題でございますけれども、厚生省としては、天然添加物であっても調査会に諮って御意見をお伺いした上で判断をしていきたい、このように思っております。
#181
○岩佐委員 その際、今いろいろな疑問が出されておりますので、きちんと対応をしていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 次に、国際的に添加物を統一的にナンバー登録をして、食品に添加物の使用目的と登録ナンバーを表示をする、そういう国際統一基準づくりが進められているというふうに聞いています。もしそうなると、表示を見てもどういう添加物が使用されているのか消費者には全くわからない、こういう状態になると思います。
 一九八一年六月四日、当時の物価問題特別委員会で私自身が添加物の個別名の全面表示、このことを取り上げて、そして全面表示をするという厚生政務次官の回答があって、それからちょっと作業がかかって、十年かかりましたけれども、ようやく食品添加物の全面表示が今実現をされているわけです。
 その点について、消費者の長年の運動によってとにかく定着させてきたということで、よかったという評価があるわけですけれども、もし国際化ということでこういう全面表示が一挙に覆されるということになったら、これはもう本当に大変なことになるわけですね。そういうことが一体あるのかどうかということについて、これも伺っておきたいと思います。
#182
○小林(秀)政府委員 添加物にかかわります国際番号システムを我が国でも導入するかというお話でございますが、添加物の表示につきましては、食品衛生法に基づき、平成三年より、使用した添加物の食品の容器包装への表示を義務づけをいたしております。
 御指摘の国際番号システムにつきましては、一九八七年七月、FAO・WHO合同食品規格委員会、いわゆるコーデックス委員会でございますが、そこにより、添加物の名称表示に代替するものとして個々の添加物ごとに国際的に統一した番号を付す旨の文書が、参考文献として取りまとめられております。厚生省といたしましては、本システムは国際的にもいまだ普及していないという状況から考えまして、現段階においては本システムを導入する考えは持っておりません。
#183
○岩佐委員 現段階において導入することはないということは、将来的に、国際的なハーモナイゼーションということからいって、あるかもしれないということですか。
#184
○小林(秀)政府委員 添加物を化学名で書きますと片仮名で小さく書かれることが多くなるわけでして、片仮名自体を、大変読みにくい、もう少し大きくわかりやすいふうにしてほしいという方の御意見もございます。例えば添加物の、防腐剤なり、何のことか、そういうふうに言っていただいた方がわかりやすいという方も、国際的にそれらの商品が使われるようになると出てくることは当然考えられるわけでございます。
 ですから我々としては、日本国が、よその国も使わないのに使うというふうになる考えはありませんけれども、国際的にその番号を使えばみんなわかるというような状況になれば、当然、私は変えることもあり得る、このように考えております。
#185
○岩佐委員 その際、国際的にというのはメーカーの都合で決めるんじゃなくて、消費者が本当にわかりやすいということが基本になるべきだと思いますし、そういうことで私は今の答弁を聞いたつもりですが、その点もう一回、ちょっと確かめておきたいと思います。
#186
○小林(秀)政府委員 当然、変更するに当たっては消費者方の御意見も十分聞かせていただこうと思っております。
#187
○岩佐委員 食品添加物の規制の緩和と同時に、九月には厚生大臣の私的懇談会、食と健康を考える懇談会をも設置し、農薬の残留基準も大幅に見直すことを予定しています。
 既に我が国の食品衛生法によって残留農薬基準が設定されている農薬は百三種類、一方、コーデックス委員会が基準を決めている農薬は約百二十種類、うち十七種類は日本での使用基準がないものに残留基準を設定しています。そして四十九種類は国内登録のあるものに残留基準をつくっています。つまり、コーデックス委員会の基準がある農薬百二十種類のうち、六十六種類をかなり短期間に日本の基準として認めたことになるわけです。
 そこで、国内基準のないいわゆる2・4・5Tなど十七種類、これは全く外国の基準によったと思いますけれども、その点、伺いたいと思います。端的に答えていただきたい。
#188
○小林(秀)政府委員 農薬取締法に基づく登録がない農薬の残留農薬基準は、農薬の摂取量が安全レベルであるという一日摂取許容量、ADIを超えないという前提のもとに、食品が国際流通していることを考慮し、国際基準の採用を基本に考えながら設定してきたところでございます。
 今後ともこうした方針で残留農薬基準の整備拡充に努め、食品の安全性の確保を図ってまいりたい、このように思っております。
#189
○岩佐委員 私の質問に答えておられないのですがね。要するに、十七種類については今まで日本で使ってない、全く基準のなかったものなんですね。だから、当然外国の基準によったものではありませんかということを伺ったわけですけれども。
 それから、あと四十九種類については、例えばIPC、クロロプロファム、これはジャガイモの除草剤ですね。アメリカの残留基準の一千倍を日本は基準としたのですね。日本の基準の一千倍を、新たに基準を決めたわけです。それから、マラチオンについては、小麦ではアメリカの残留基準の十六倍なんですね。つまり、日本の基準よりはるかに高い基準を決めているわけです。
 それから、日本では過去安全性に問題があるということで製造、使用が禁止をされていた、BHCだとかアルドリン、ディルドリンあるいはエンドリン、こういうドリン剤ですね、それからDDT、パラチオン、こういう危険な農薬について、いわゆるNDにするのではなくて、外国の使用実態に合わせた基準づくりをしたわけですね。こういうことが非常に大きな問題だということを私たちは指摘をしているわけです。
 今言われた、ADIに基づいてやったのだからいいんだということですけれども、ADIというのは大体体重五十キログラムを前提にして計算されているわけですね。ですから、一日当たりの摂取許容量が子供とか妊婦にとっては許容されない摂取量になることは明らかなんですね。そういう意味でいうと、PCBだとか重金属、添加物などの複合汚染なともあわせて考えると、一つの品目でADIをクリアしたからいいんだということで、こういうものがどんどん決められていくというのは大変問題だ。そして、そういう意味でいうと、ADIについても子供とか妊婦とか高齢者、病人など、抵抗力の弱い人を前提に、別途厳しい基準が必要なんじゃないか。外国では一部そういう動きも出ているというふうに伺っていますけれども、その点についてあわせて伺いたいと思います。
    〔委員長退席、網岡委員長代理着席〕
#190
○小林(秀)政府委員 今先生がおただしになりましたADIについてでございますが、ADIは通常、長期の動物実験から、投与した農薬が何ら作用を及ぼさない量を求めまして、さらにその量に安全係数、通常は百分の一、ですからずっと落として、百分の一を乗じて設定をしているものであります。そして、この考え方が、現在は科学的に世界でもって確立をいたしております。
 先ほどの答弁の続きになりますが、日本に基準がなくてコーデックスの方に基準があるものを使って十七農薬を決めたという話がありましたが、その際も、それから日本の農薬の中でも、コーデックス委員会にあるものについても絶えず国際基準を参考にしながら、しかし、日本人が例えばお米をたくさん食べるとか、ミカンをたくさん食べるとか、そういう特殊事情も配慮して、食品衛生調査会の専門家に、今先生がおただしのような点も含めていろいろ御議論をいただいて、私たちは正しいデータを出している、このように確信をいたしております。
#191
○岩佐委員 ちょっといろいろと質問と答弁がきちっとなってないような気がするのですけれども。
 この問題一つとっても非常に大きな問題ですので、また機会があったら質問したいというふうに思いますけれども、私が言っているのは、要するにADIをクリアしたから外国のものに全部合わせていくということになると、例えばDDTだとかBHCだとかドリン剤だとかパラチオンだとか、そういうものは、特殊日本で問題が起こったから使用禁止になったわけですね。そういう経緯を無視してやるとか、あるいはポストハーベストみたいなそういう農薬について外国の基準をそのまま受け入れるというのが、一体どういうことなのか。食品添加物だとか農薬だとかPCBだとか重金属だとか、そういう複合汚染だってあるではないですか。現にアトピーの症状が出ていて大変な人もおられるわけですから、そういう点、ADIをクリアしたからいいんだというふうにはならないということを言っているわけです。
 それからもう一つは、ADIといったって、普通の健康人の体重五十キロの人を対象にしているでしょう。幾ら百倍だ何だっていったって、妊婦とか子供とかというのは別に考えるべきだというのが、今世界的にそういう風潮になっているときに、日本がきちんと考える必要があるということを言っているわけです。
 時間がありませんので、もう一問質問したいと思います。
 九月十二日に食品衛生調査会から、加工食品の日付表示に関する答申が出されました。新鮮で安全な食品を食べたいというのは、消費者の当然の願いです。抵抗力の弱い病人や赤ちゃんにとっては、製造年月日の表示は不可欠であります。輸出入に都合がいいとか返品を受け付けたくないなどという輸入業者や外圧あるいは製造メーカーなどの都合で、消費者が強く望んでいる製造年月日表示の記載が禁じられるということはあってはならないと思います。自治体などの条例で賞味期限や製造年月日表示を義務づけている、こういうところもあります。
 答申の本文では製造年月日表示については明記されていませんけれども、製造年月日表示についてどのような対応をとられているのか、お答えをいただきたいと思います。簡潔にお答えください。
#192
○井出国務大臣 厚生省といたしましては、期限表示の導入により、食品の品質保持に関してより適切な情報が提供されるものと考えております、この期限表示導入に関しまして。
 ただし、改正後においても、製造者等が期限表示に加えて製造年月日表示を行うことまでは禁止しておりません。
    〔網岡委員長代理退席、委員長着席〕
#193
○岩佐委員 最後に大臣にお伺いしておきたいのですけれども、前大内大臣に当委員会で質問したのですが、塩分とかそれから脂肪分、いわゆるカロリーだとかそういう表示、栄養成分表示と言いますけれども、かって厚生省は法制化しますという約束をしたのですね。それがなかなか進んでいないということで、現に塩分控え目とか低カロリーとかハーフだとか二分の一だとか、そういうことを表示したマーガリンとか乳製品、飲料水、そういうものから、かなり表示とは違うものが、違う実態が明らかにされて、国民生活センターは、こういう出来事というのは栄養改善法とか公正競争規約の不当表示に抵触するというようなことで、行政に対してもちゃんとやるべきだ、メーカーに対してもこうやるべきだというような要望を出しているのですね。
 そういうことを踏まえて、ぜひ栄養成分表示を厚生省として法制化する、そういうことについて作業を迅速に進めていただきたい。大内大臣は、法的規制の必要性も含めて検討を進めているというような回答があったものですから、その点を伺っておきたいと思います。
#194
○井出国務大臣 実は、現在厚生大臣のもとに食と健康を考える懇談会というのが設置されて、その中でも栄養成分表示のあり方について御議論をいただくことに相なっております。
#195
○岩佐委員 終わります。
#196
○岩垂委員長 第百二十九回国会、内閣提出、国民年金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木俊一君。
#197
○鈴木(俊)委員 自由民主党の鈴木俊一でございます。国民年金法等の一部を改正する法律案について質疑を行わせていただきます。
 申し上げるまでもなしに、年金制度と申しますのは、社会保障の中の所得保障制度として、国民の老後生活の支えになっているものでありますし、仮に障害を得た場合にも、所得保障制度としてまさに国民生活に密接な、かつ、重要な制度であります。
 本厚生委員会で審議いたします事項は、どれも国民生活に広く密着したものでありまして、これから審議に入ります国民年金法の一部を改正する法律案は、まさに国民生活になくてはならない制度にかかわる審議でございますから、国民の関心も大変高いものがございますし、また、五年に一度行われます個別の改善項目というものも盛り込まれているわけでありますから、これの早期成立を期待する声というものも、大変大きいものがあると思います。それだけに、これから始まります審議を通じまして、この大切な年金制度というものを将来にわたって安定したものにしていかなくてはならない、そういうことを強く思うわけであります。
 私は、この改正案の冒頭の質問者でございますから、これからさまざま、個々の課題についても、これからの質疑者の中で御指摘等あろうと思いますけれども、私からは、今回のこの改正案というものが一体どういう哲学と申しますか、基本的な考え方の中で考えられているのか、そういうものをお聞きいたしまして、今回の改正案の全体像というものを最初に明らかにさせていただきたいと思います。
 そこで、厚生大臣にお伺いをいたしますけれども、年金制度は、年間五十兆円を超える社会保障給付費の半分を占めるという大変大きなものになっております。年金制度そのものは、世代と世代の助け合いの仕組みでありまして、年金制度を支える若い世代というものが減少して、支えられる世代が増加をしている。高齢・少子社会の到来というものは年金制度の運営に極めて深刻な事態を与えております。実際、我が国の人口というものは、世界に例を見ないスピードで高齢化というものが進んでおりまして、六十五歳以上の人口比率というものを見てみますと、現在は一四・○%ということでありますけれども、三十年後の平成三十七年、二〇二五年には、二五・八%に達すると、こういうことであります。
 加えて、少子化とこう言われるわけでありますけれども、平成五年の合計特殊出生率は、ついに一・四六になってしまった、こういうようなまさに高齢化・少子社会でございますから、今後の年金制度に大きな影響というものを与えざるを得ないわけであります。国民は、こういうような状況のもとで、年金制度に対しても大変不安を持っておりまして、私も、実際同世代の仲間と話しますと、これから自分たちの負担というものはますます大きくなってしまうのではないかとか、今この保険料率も払っているわけでありますけれども、いざ自分が年金を受給する立場になったときには本当に掛けた分だけの給付というものを受けられるのだろうかとか、そういう不安の声を聞くわけであります。
 そこで、大臣に、このような高齢・少子社会における年金制度の課題について、どのように認識をなされているのか、冒頭にお伺いをいたします。
#198
○井出国務大臣 お答えする前に、前国会から継続となっておりました本法案の御審議をしていただけるようになりましたこと、委員長初め理事、委員の先生方に大変ありがたく、厚く御礼を申し上げたいと思います。大変厳しい日程の中で御審議いただかなければならなくなったわけですが、どうかひとつよろしくお願いをいたします。
 さて、鈴木委員の御質問でございますが、お答えをいたします。
 我が国の年金制度は、国民皆年全体制のもと、老後生活に欠くことのできない重要な柱として多くの国民の理解と支援のもとに充実発展してまいりました。このような年金制度については、今後とも、長い老後生活を確実に支えていくことが強く期待されております。
 このため、年金制度を二十一世紀の超高齢社会にふさわしいものとするとともに、人口高齢化や少子化が進行する中で、将来にわたり、長期的に安定した制度としていくことが重要な課題となっております。
 今回の年金改正法案は、一つに、活力ある長寿社会に向けて、高齢者の雇用を促進するとともに、年金制度もこれと連携のとれた仕組みとすること、もう一つは、将来の現役世代の負担を過重なものとしないよう、給付と負担のバランスを図るという観点から、制度全般にわたり必要な見直しを行うものであります。
 御審議のほどをひとつよろしくお願いいたします。
#199
○鈴木(俊)委員 年金制度は国民生活に根差したものでありますから、この改正というものも、国民の理解というものを得なければ進まないわけであります。
 厚生省も、いろいろこのPRのためにパンフレット等をつくっておられますけれども、これを拝見いたしますと、今回のこの改正のポイントというものは、「二十一世紀の超高齢化社会を活力ある長寿社会にし、そのため、人生八十年時代にふさわしい年金制度にしていく。」と、こういうふうになっているわけであります。
 つまり、六十歳代前半について非常にウエートを置かれているわけでありますけれども、思い出してみますと、前回の平成元年の改正時におきましても、厚生年金の支給開始年齢の問題が議論をされまして、具体的には支給開始年齢を六十五歳に引き上げよう、そういうような議論も真剣になされたわけでありますけれども、当時は、高齢者雇用の状況が必ずしも十分でない、いまだ時期尚早である、こういうことで見送られまして、今回の財政再計算期のいわば宿題に持ち越されている、そういう経緯がございます。
 先ほども申し上げましたとおり、今回の改正では、六十歳代前半の厚生年金の見直しというものが改正法案の中心内容の一つになっているわけでありますけれども、その基本的な考え方についてお伺いをいたします。
#200
○近藤(純)政府委員 先生御指摘のように、人口の高齢化、少子化が進むわけでございまして、二十一世紀の超高齢社会、これを活力ある長寿社会にする、こういうためには、今の制度ですと六十歳で引退をする、六十歳引退社会ということになっているわけでございますけれども、これを高齢者の高い就業意欲でございますとか知識とか経験を生かしまして、少なくとも六十五歳までは現役で働けますような六十五歳現役社会へ切りかえていく必要があるのではないか、こういうふうな認識であったわけでございまして、年金制度というのは非常に大事な制度でございますので、こういうものに対応いたしまして、人生八十年時代にふさわしい制度に変えていく必要が課題になっていったわけでございます。
 このために、先ほどお話がありましたように、雇用政策におきまして高齢者雇用の促進を図りますとともに、年金制度におきましても、雇用と年金の連携を図るという意味で、年金制度自身も雇用促進的な仕組みに改めていく必要がある、こういうふうに考えているわけでございます。
 具体的に申し上げますと、高齢者の生活設計のイメージといたしまして、六十歳の定年制がほぼ定着して、六十歳定年の法定化もできてきた、こういうことで、六十歳前は賃金を中心といたしまして、六十歳代前半におきましては雇用の促進を図りつつ賃金と年金を中心として生活を支える期間ということで、六十五歳以降は年金を中心といたしまして生活設計が図れる、こういう期間と位置づけていくことにいたしたわけでございます。
 こうした観点から、六十歳前半の年金につきましては、六十五歳以降の老後生活の保障の中心でございます年金とは別の給付、別個の給付という形で構成いたしまして、この額につきましては報酬比例部分相当の年金にいたしたわけでございまして、また、在職老齢年金につきましては、雇用促進的なものにするために、賃金の増加に応じまして賃金と年金の合計額が増加いたしますように調整方式を全面的に見直すことにいたしたものでございます。
 以上でございます。
#201
○鈴木(俊)委員 今、人生八十年時代、それから六十五歳現役社会への切りかえ、こういうことで、年金もそれに合わせて徐々に六十歳から六十五歳へ支給年齢を上げていく、その間、六十歳代前半は雇用と年金を組み合わせて支えることが基本である、こういうようなお話をいただいたわけであります。
 そこで、労働省にお伺いするわけでありますけれども、先ほど述べましたように、前回、平成元年の改正時におきましては六十五歳への引き上げが見送られた、その理由の主なものは、高齢者雇用が当時必ずしも十分でなかった、こういうことであったわけでありますけれども、今回改正時、この点ほどういうような状況にあるのか。
 まず、六十歳定年制が定着するなど、五年前の前回改正時に比べても高齢者雇用は一段と進展してきているとは思うわけでありますけれども、最近の高齢者雇用の動向はどのようなものなのか。二番目に、さきの国会におきまして高年齢者雇用安定法それから雇用保険法の改正が行われたわけでありますけれども、この法律の趣旨及び内容について。そして三つ目でありますけれども、二十一世紀ということを念頭に置きまして、これから労働省といたしまして高齢者雇用をどのように進展をさせていくおつもりなのか。その施策の基本的考え方についてお伺いいたします。
#202
○太田説明員 まず初めに、高齢者雇用の現状でございますけれども、企業における定年制等の状況を見てみますと、平成六年の一月現在で六十歳定年制をとる企業が八四・一%でございまして、予定している企業まで含めますと約九五%に達しております。平成元年一月の時点で比べますと、六十歳定年制をとる企業は当時は六一・九%でございまして、これと比べまして二二・二ポイントの増加となっておりまして、六十歳定年制は平成元年以降着実に定着しつつある状況にございます。
 ただ、現在でも、高齢者の雇用失業情勢を見ますと、全体の景気状況を反映しまして失業率、有効求人倍率等はまだまだ厳しい状況にございますし、また、希望すれば六十五歳まで働ける制度を有する企業もいまだ二割という状況でございますので、今後、六十五歳までの雇用確保が大変重要な課題となっているわけでございます。
 こういった状況を踏まえまして、さきの通常国会で高年齢者雇用安定法の改正をお願いいたしまして、企業における六十五歳までの継続雇用を推進するとともに、高齢者がその希望に応じた多様な形態により働くことができるように改正をしていただいたところでございます。
 その内容でございますけれども、第一は、定年を定める場合には六十歳を下回ることができないものとすること、第二は、労働大臣は事業主に対し、六十五歳までの継続雇用制度の導入を計画的、段階的に進めるための計画作成指示を行うこと、第三には、高齢者がみずからの選択や裁量のきく働き方ができますように、六十歳以上の高齢者につきましては、一部の業務を除いて、労働者派遣事業を、原則としてすべての業務について行うことができるものとすることとしたものでございます。
 また、雇用保険法の改正につきましては、特に高齢者雇用の関係では、六十五歳までの継続雇用や再就職を援助するため、六十歳時点に比しまして賃金が相当程度低下した状態で働き続ける高齢者に対しまして、六十歳以降の賃金の原則二五%を支給する高年齢者雇用継続給付制度を創設したものでございます。
 こういった法改正も踏まえまして、私どもとしましては、急速な高齢化の進展に対応しまして、我が国経済社会の活力を維持していくためには、二十一世紀初頭までに、希望すれば六十五歳まで現役として働ける社会を実現していくこと、これが極めて重要な課題となっておりまして、改正の高年齢者雇用安定法あるいは雇用保険法に基づきまして高齢者の雇用継続を援助、促進することとしているところでございまして、こういった措置によりまして、今後高齢者の雇用の推進に万全を期してまいりたいと考えております。
#203
○鈴木(俊)委員 六十歳定年制につきましては、平成元年時に比べますと二二・二%も導入する企業がふえているということで、この面は着実に進んでいるわけでありますけれども、求人などはいまだ厳しいものがあるということでございますので、この高齢者の雇用政策の取り組みにつきましては今後とも着実に推進をしていただきたいと思います。
 そういう中で、重要な高齢者の雇用対策でありますけれども、一部にはこの年金制度自体が雇用促進にマイナスに作用している、そういう指摘がございます。特に、今回の改正案では六十歳代前半の生活の支えを賃金と年金の組み合わせを中心に考えているわけでありますけれども、六十歳代前半の賃金と年金とを調整しております在職老齢年金制度につきましては、現行では在職者の賃金の増加に応じまして二割から八割まで段階的にカットをすることになっておりまして、その結果、平均的な年金受給者の方にとりましては、せっかく賃金が増加をいたしましてもカットをされてしまいまして、結局は総手取り額が増加しない、そのために高齢者の就業意欲を失わせているのではないか、こういうような声が各方面にあるわけであります。
 ただいま労働行政の側から高齢者雇用促進について伺ったわけでありますけれども、年金制度も、高齢者の就業意欲について、インセンティブにならなくとも、少なくともマイナスに作用しないようにすることが大切である、そういうふうに思うわけであります。そこで、今回の改正にもこの点盛られているわけでありますけれども、在職老齢年金の改善、今回取り組んでおられます。その概要と、その効果というものをお伺いをいたします。
 それから二つ目に、六十歳代の厚生年金にかかわる措置として雇用保険との調整を行うこととしておりますけれども、その基本的な考え方、また内容についてお伺いいたします。
    〔委員長退席、網岡委員長代理着席〕
#204
○近藤(純)政府委員 厚生年金の老齢年金は、いわば退職した場合に出すというふうな仕組みで基本的な考え方が仕組まれておりましたので、在職すれば基本的には年金は出さないということでございますが、六十五歳未満で在職の方について、低賃金で働いていらっしゃる方、この方については一部年金を支給しようということで、賃金に応じまして二割から八割のカットで出していたわけでございますけれども、この結果、賃金がふえましても年金と賃金を合わせたものがふえない、こういう結果になったわけでございまして、これが雇用阻害的であるという御指摘であったわけでございます。このために、今回の改正案では、賃金が増加いたしますと賃金と年金を合計いたしたものがふえていく、こういう仕組みにしたわけでございまして、この結果、かなり雇用促進の効果があるのではないかというふうに考えているわけでございます。
 次に、雇用保険との調整の問題でございます。現在厚生年金と失業給付は併給されているわけでございますけれども、この二つの給付が両方出されますとかなりの額になるわけでございまして、六十歳以降の賃金に比べましてもかなり高い水準になるわけでございまして、二つの給付を併給いたしますと、高齢者の就業意欲は阻害されるという一面があったわけでございますし、二つを重複して支給するというのは社会保障として過剰ではないのか、こういう御指摘がつとにあったわけでございます。
 それから、厚生年金は退職をして職業生活から引退するんだ、そのために所得保障をする必要があるという給付でございますが、一方、失業給付は就業の意欲と能力があってこれからも働きたい、こういう人に出す給付でございますので、やはり相入れない給付ではないのかな、こういうふうな趣旨から、失業給付を受給いたします場合には、失業給付を優先いたしまして老齢年金は支給停止をする、こういう方法をとったわけでございます。
 それから、先ほどお話がございました、ことし新たに創設されました高年齢雇用継続給付につきましても、失業給付と同様公的な現金給付でございますので、賃金との調整方法に準じまして調整をお願いをいたしている次第でございます。
#205
○鈴木(俊)委員 次に、今回改正の大きな柱であります、給付と負担の均衡を図るための措置についてお伺いをいたしたいと思います。
 政府の財政再計算結果によりますと、後代の保険料率は、人口の高齢化等によりまして現行制度のままでは最終保険料率が三四から三五%程度になる、こういうような見込みが出ているわけでありますけれども、これから年金制度を安定的に続けていくためには、いかにしてこの負担を適正なものにしていくか、こういうことであろうかと思うわけであります。
 この点から考えますと、年金給付と保険料負担のバランス、給付と負担の均衡、世代間の公平、こういったものをこれまで以上に重視をしていかなくてはならないと思うわけでありますけれども、今回の改正におきまして、この給付と負担のバランスを確保するためにどういった措置を講じておられるのか、お伺いいたします。
#206
○近藤(純)政府委員 御指摘のとおり、高齢化が進みますと給付と負担の均衡、特に年金の受給世代の給付と現役世代の負担のバランスをとるというのが非常に大事になってくるわけでございます。このために、厚生年金の標準報酬の再評価をいたしているわけでございますけれども、この方式を見直すことにいたしたわけでございます。
 これから現役世代の税金とか社会保険料の負担というのはますます増大するわけでございまして、名目賃金の伸びに対しまして手取り賃金というのは低くなってくるわけでございまして、このために、従来は名目賃金の伸びに応じまして年金額をスライドする、こういう方式であったわけでございますけれども、これを改めまして現役世代のネットの所得、説とか保険料を除いた賃金の動向に応じまして年金額の改定を行う、こういうのが第一点でございます。
 それから、保険料の引き上げ幅につきましても見直しを行うことにいたしたわけでございまして、これまで五年ごとに二・二%の引き上げ幅ということで計算させていただいたわけでございますけれども、これを二・五%の引き上げ幅にお願いをいたしたところでございます。
 さらに、特別保険料を徴収するということで、これまで厚生年金の保険料につきましては月収のみを保険料の算定の対象にいたしたわけでございますけれども、ボーナス等も算定の対象にするということで現役世代内の負担の公平を図ることにいたしたわけでございまして、以上のような措置を講ずることによりまして、厚生年金の最終保険料率を少なくとも現在の二倍程度の三〇%を超えないようにできる、こういうふうなことで提案をさせていただいたわけでございます。
#207
○鈴木(俊)委員 年金財政と申しますのは人口の高齢化の影響を最も直接受けるものでありまして、これからもう高齢化が進むことは確実でありますから、それに対して、したがって負担が増していくということは、これはやむを得ない側面があるわけでありますけれども、やはり我々の責任といたしましては、後代の世代がこの負担に耐えられないほど過重なものにしないように最大限の努力をすることでありまして、今回の改正もその方向で進んでおると思うわけであります。
 ただいま年金局長からお話を伺いましたけれども、今回の改正法において六十歳代前半の年金の見直し、それから手取り所得のスライドの導入、保険料の引き上げ、こういうような措置が講ぜられるわけでありますけれども、こういった改正の中身によりまして後年、後代の負担というものがどの程度まで軽減をされるのか、それをお伺いをいたしたいと思います。
 それから、よく年金の積立金、約百兆円に上るものがあるのだからそれを一部取り崩すなど、そういうことをすれば保険料の引き上げなどはそれほど上げなくてもいいんではないか、こういう議論もあるように聞いておりますが、この点についての見解をお伺いいたします。
#208
○近藤(純)政府委員 厚生年金の現行制度を前提といたしまして試算をいたしますと、最終保険料率は三四・八%になるわけでございまして、これに改善が加わりますとさらにふえる、こういうことになっているわけでございまして、後代の負担というのはかなり重いものになるということであるわけでございますが、今回の改正法案におきましては、最終保険料率を先ほど申し上げましたように三〇%以内におさめたいということで、六十歳代前半の年金として別個の給付を導入いたしましたこととか、先ほど申し上げましたネット所得の動向に応じました再評価、それから五年ごとの保険料の引き上げ幅を二・五%にする、こういった措置を講ずることによりまして、最終保険料率を二九・六%ということで現在の二倍程度にとどめることができることになったわけでございます。
 それから、厚生年金、国民年金の積立金というのは百兆円もあるということでございますけれども、確かに平成四年度末でも九十六兆円に達しているわけでございます。金額としては大変な金額になっているわけでございますが、しかし、今後の人口の高齢化に伴いますと給付費というのは急激に負担がふえるわけでございまして、それとともに現役世代の負担というのも大変な勢いでふえてくるということでございまして、現在の現役世代と将来の現役世代との負担の公平を図るという見地からも、将来においても一定の水準の積立金を保有いたしまして、その運用収入の活用を通じまして保険料負担を軽減するというのも一つの大きな重要な要素ではないかと考えているわけでございまして、このような考え方に立ちまして、年金制度が長期的に安定して運営できるよう、保険料を段階的に引き上げることにいたしているわけでございます。
#209
○鈴木(俊)委員 今回のこの改正は、何と申しますか仕組みの改正とともに、五年に一度財政の計算時に行われますいわば個別の改善事項というものがありまして、これを待ち望んでいる方々がたくさんおられるわけであります。基礎年金や福祉年金についてはこの間の、五年間の生活水準の向上に合わせて改善が行われ、厚生年金については賃金の上昇に合わせて引き上げが行われるわけでございますけれども、この引き上げは十月分から実施することになっておりまして、年内支給に間に合わせようということで今審議を一生懸命各党の協力のもとで促進をしているわけであります。
 このような年金額の改善のほかにさまざまな改善の要望が年金制度に寄せられておるわけでございますけれども、今回の改正における主な改善点、こういうものについてお伺いをいたします。
#210
○近藤(純)政府委員 お話がございましたように、今月分から年金額の引き上げを予定いたしているわけでございまして、障害年金の改善等も実施いたしておるわけでございまして、一日も早い法案の成立をお願いいたしているわけでございまして、今回の年金改正は五年に一回の改正でございますので、国民の皆様方からの要望もできるだけきめ細かい配慮を行うことにいたしたわけでざいます。
 障害年金についてでございますが、現在二十歳前障害に係ります障害基礎年金には所得制限が設けられているわけでございまして、一定額に達しますと全面支給停止になるわけでございますが、これよりもっと高い所得でございましても一部友緒停止の仕組みを設けまして、いわゆる二段階制に所得制限をいたすことが第一点でございまして、それから第二点といたしましては、三年以上障害等級に該当しなければ年金が失権する、こういうふうになっているわけでございますが、再び障害が悪化いたしました場合には年金が支給されるように改めたいというふうに考えているわけでございます。
 三点といたしましては、昭和六十一年の四月前に障害となりまして当時の支給要件には該当しなかった、しかし制度には加入いたしまして保険料拠出は行っていた、しかし年金は出ない、いわゆる制度の谷間に置かれまして無年金になった方がいらっしゃるわけでございますけれども、この方々につきましては現在の支給要件に該当すれば障害基礎年金を支給する、こういうふうに改めたいというふうに考えているわけでございます。
 また、遺族年金の関係でございますが、遺族の基礎年金の支給要件等となる子の年齢につきまして、現在の十八歳から十八歳の属する年度の年度末まで延長をするということが一点。それから、現在夫の拠出に基づく遺族厚生年金と妻自身の拠出に基づきます老齢厚生年金は選択制、これは逆になってもあるわけでございますけれども、選択制になっているわけでございますが、三番目の選択肢といたしまして、夫婦それぞれの老齢厚生年金の二分の一ずつを併給できるという第三の道を開いた、こういった改善をいたしているわけでございます。
#211
○鈴木(俊)委員 それでは、時間が参りましたので、最後に大臣にお伺いをいたしますけれども、先ほどから御指摘を申し上げていますように、今回の年金法の改正といいますものは国民の関心も大変に高いわけでございますし、また多くの年金受給者がその早期成立を望んでいる極めて重要な改正でございます。
 そこで、大臣に、これからの我が国の年金制度をいかに堅持し、安定させていくかの決意を最後にお聞きいたしまして、私の質問を終了いたします。
#212
○井出国務大臣 年金制度は、国民の老後生活の所得を支えるものとして極めて重要な役割を果たしてきております。特に、国民の長寿化が進み老後期間が長くなっていることから、年金の果たすべき役割はますます大切なものとなってきております。また、年金制度は、現役世代が高齢世代を支える世代間扶養により成り立っているものであり、国民連帯の制度でもあります。このような大事な年金制度を、急速に人口の高齢化が進む中で、将来にわたり長期的に安定した制度として確立していくことが何よりも重要だと考えるものでございます。
 今回の改正は、二十一世紀の超高齢社会にふさわしい制度とするために不可欠なものでございまして、また今月分から五年ぶりの年金額の実質的な引き上げも予定しているところであり、一日も早い法案の成立をお願いするものでございます。よろしくお願いします。
#213
○鈴木(俊)委員 終わります。
#214
○網岡委員長代理 岡田克也君。
#215
○岡田委員 改革の岡田克也です。この場で大臣初め厚生省の皆さんに質問するのは若干奇異な感じでありまして、と申し上げるのは、この国民年金法等の一部を改正する法律案が閣議決定をされました折には私ども与党でありまして、つまり与党としてこの法案の提出に賛成をしたものでありますので、それが現在野党ということで質問するというのは若干釈然としないところもありますが、時間も限られておりますので、少し基本的な議論に限って私の方は質問させていただきたいと思っております。
 基本的な質問といいますのは、一つは基礎年金における国庫負担の問題、それからもう一つは厚生年金における給付と負担のバランスの問題、この二点を中心にして、基礎年金、厚生年金それぞれについて質問をし、議論をしていきたいと思っております。
 そこで、まず基礎年金についてでありますが、そもそも論で恐縮でありますけれども、基礎年金というものは一体どういうものなんだ、どういうものというのはその性格ですね、それについてまずお答えいただきたいと思います。
#216
○近藤(純)政府委員 基礎年金でございますけれども、基礎年金は、年金制度におきまして全国民に共通する給付として位置づけられているわけでございまして、その水準は老後生活の基礎的な部分、衣食住を保障するという考え方に基づいて設定されているものでございます。
#217
○岡田委員 今の御説明、全国民に共通するものである、それから基礎的な衣食住を保障する、こういうお話でありますが、そういうお話を聞きますと、生活保護制度というのがありますね。これもある意味では似た意味合いを持っているんではないか、こういう気がいたしますが、生活保護制度と基礎年金というものはどういうふうな考え方で区別されておられるのか、お聞きをさせていただきたいと思います。
#218
○近藤(純)政府委員 先ほど申し上げましたように、基礎年金というのは全国民に共通いたします老後の基礎的なニーズ、これを保障しようとするものでございまして、具体的には国民の衣食住といった基礎的な消費支出の額をもとにその水準を設定しているわけでございます。
 一方、御承知のとおり生活保護は国民の最低限度の生活を保障するという制度でございまして、保護を受けようとされる方につきましては収入とか資産とか扶養義務者の状況等を個別に厳密に調査、いわゆるミーンズテストをした上で、なお足らざる部分を保障するというものでございまして、この二つは目的、機能を異にするものでございまして、基礎年金の水準と生活保護の水準とを単純に比較するというのは、よく聞かれるわけでございぎすけれども、適切ではないのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
#219
○岡田委員 今の御説明ですと、基礎年金の方は基礎的な生活保障といいますか、それに対して生活保護の方は最低限というところで実質的には違いが出てくるのかな、もちろん対象とかそういうものが違うわけですけれども、そういう気がするわけですが、それでは、具体的に現在の基礎年金の水準と生活保護の水準でどの程度の差があるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
#220
○近藤(純)政府委員 生活扶助の水準につきましては、これは級地によって違いますので、一番標準的な二級地の一ということで、県庁所在地を大体想定しているものでございますが、六十五歳で申し上げますと、これは六年度の生活扶助費でございますが、単身の場合、六十五歳の単身の方が、七万二百一円でございます。それから、六十八歳と六十五歳の夫婦で見てみますと、これを足し算して二で割るという形でございますけれども、これが五万三千百七十二円ということでございまして、今回基礎年金は六万五千円を予定いたしておりますので、夫婦で生活する場合には生活保護基準を上回っているし、単身ですと若干下回る、こういう水準でございまして、もちろん生活扶助の場合にはあと住宅とかいろいろ別のものがございますので、単純な比較はできないというふうに考えております。
#221
○岡田委員 今の御説明でも明らかなように、場合によっては、基礎年金の金額、平成七年度、順調に法律が通りますと月六万五千円ということになるわけですね。それよりも生活保護の方が上回るということも起きてくる、起きている。もちろん御説明のように、同じ制度ではありませんから、単純な比較は無理だと思いますけれども、そういうことになってくるわけであります。
 このことが何を意味するのか。一つは、最近の若い世代はなかなか基礎年金に入らないという傾向がありますけれども、その一つの理由に、将来生活保護を受けることを覚悟すれば、そういう気持ちになれば、わざわざ毎月毎月一万円以上の掛金を払う必要はないんじゃないか、そういう割り切りがあるんじゃないかという気もするわけであります。
 そのことも一つの問題なんですが、そもそも論を言えば、私はやはり基礎年金の水準がやや低過ぎるのではないか、もう少しきちんと生活できるような水準に上げるべきではないか、こんな気がしてならないわけでありますけれども、大臣のお考えを聞かしてください。
#222
○近藤(純)政府委員 基礎年金の水準につきましては、先ほどお話がございましたように、老後生活の基礎的な部分を保障するという考えに立って設定しているわけでございまして、今回の改正におきましても、前回の改正以来の国民の生活水準の向上に応じまして実質的な改善を図っているわけでございまして、老後生活の基礎的な部分を保障するという基礎年金の性格を考えれば、現在の水準というのはかなり妥当なものではないかな、こういうふうに考えているわけでございます。
#223
○岡田委員 厚生省のお立場もなかなか難しいとは思うのですが、月々六万五千円、年額七十八万円ですね、この改正がうまくいったとしても。これで本当に生活保障をしているということになるのかどうか、大臣の率直な御感想を聞かしていただきたいと思います。
#224
○井出国務大臣 それは多いにこしたことはないと思いますが、衣食住を賄うという性質でありますから、生活全部を賄うとすればこれでは十分だと到底言えないと思いますが、衣食住を賄うという意味では、ぎりぎりのところかなと思っております。
#225
○岡田委員 お言葉ですけれども、衣食くらいならあるいはと思いますが、住まで入っていますからね。例えば、御自宅があればいいですけれども、ない方などは、年間七十八万円で本当に大臣もおっしゃるようにぎりぎりやっていけるのか。私は、率直に言ってかなり難しいのじゃないか、こういう気がいたします。
 その議論はちょっと横に置きまして、さて、その基礎年金の国庫負担率の問題でありますが、御案内のように、現在三分の一、これをもう少し上げていくべきではないか、こういう議論が議員の間にもありますし、それから労働組合、連合、そのほか指摘があるわけですが、この点についてどういうふうにお考えか、まず聞かしていただきたいと思います。
#226
○近藤(純)政府委員 基礎年金の国庫負担の関係でございますけれども、はっきり申し上げまして、基礎年金というのは老後の全国民を対象にする制度でございますので、少し国庫負担率を上げても莫大な金額になるということで、具体的に申し上げますと、現在で三兆九千億円負担しているわけでございますけれども、現在の価格でも二〇二五年には八兆一千億。それから、例えば二分の一にするということにいたしますと、これは同じく二〇二五年に十二兆一千億円になる、こういうことで現在の三倍程度。これは現在の価格でございますから、名目値はもっと大きな数字になるわけでございますけれども、かなり巨額な金額になるわけでございまして、この財源をどう確保するかというのが大きな一つの課題だと思います。
 それから、社会保険方式でこれまで行われておりまして、国民の間にはかなり定着しているというふうに思っておりますけれども、この社会保険方式のもとで税と社会保険料のバランスをどうとっていくのか、こういう問題が一つあろうかと思うわけでございます。
 そのほかにも、ある程度財源が確保できたといたしましても、社会保障の中でどこに重点的に振り向けるべきであるのか、こういうふうな位置づけの問題がもう一点あろうかと思うわけでございまして、私どもといたしましては、この問題は非常に中長期的に長い時間をかけて国民的な論議を必要とするというふうに考えておりますので、今回の法改正につきましては、この問題とは別個に処理していただきたいというふうにお願いをいたしているわけでございます。
#227
○岡田委員 国庫負担をふやすべきだという議論の根拠として、いろいろなことが言われるわけでありますが、一つは、先ほどの保険料を払わない人ですね。これは、国庫負担を高めることによってより制度の魅力が増す。今ですと三分の一ですから、いわば二払って三返ってくる。もちろん払うときともらうときは時期がずれていますから、単純には言えませんが、二払って三もらう。それを、例えば国庫負担を二分の一にすれば、一払って二もらう。それだけ有利になるから、これは得だということで、もっと未払いの人が減るのじゃないか、こういう議論があります。
 それからもう一つは、行革の議論がありまして、これは、あるいは全額国庫負担にしないとなかなも言えない話かもしれませんが、現在保険料の徴収に、例えば市町村でかなりの人手あるいは予算を使っている、そういうものが大幅に節約できるのじゃないか、こういう議論もあるかと思いますが、そのあたりについてどういうふうにお考えか、聞かしていただきたいと思います。
#228
○近藤(純)政府委員 国民年金の保険料の未納者がたくさんいらっしゃるということを私どもも憂慮しているわけでございますが、それもございまして、調査を行ったわけでございます。
 国民年金の保険料の未納者がいる世帯を調べましても、納めている方とそれほど遜色がない所得があっても払わない方がいらっしゃるわけでございまして、これも所得が低いから未納になっているというのではないのではないかというふうに考えているわけでございます。
 特に、市町村別で見てみますと、町村部では六・八%くらいしか未納がないのですが、市部では非常に高くて倍くらい、倍以上でございまして、一六・九%。こういうことで、人口の規模が多いほど未納率、しかも若い人が多い、こういうふうな調査結果があるわけでございまして、都市部におきます収納の困難というのが未納者の発生の原因になっているわけでございます。
 国庫負担を引き上げれば保険料が下がって納めやすくなるという議論はあるわけでございますけれども、所得のいかんにかかわらず、納めたくない人は保険料が下がっても納めないであろうということでございますし、私どもは、やはりこの制度は世代間の扶養の制度だということで、広報活動とかいろいろな機会を通じた啓蒙活動というのがどうしても必要なのではなかろうか、こういうふうなことを考えているわけでございまして、口座振替の推進等を初めといたしまして、保険料を納めやすい環境づくり、こういったものを地道に総合的にやっていかざるを得ないのではないか。確かに一〇〇%国庫負担になりますとその問題はなくなるわけでございますけれども、そうした場合には莫大な額にさらになるわけでございまして、それをどう考えるのかということもあるわけでございます。
 徴収等につきましては、運営部長の方から答弁を申し上げます。
    〔網岡委員長代理退席、委員長着席〕
#229
○横田政府委員 国民年金事業におきましては、保険料徴収事務だけではなくて、運用、給付、裁定、年金相談と非常に多岐にわたった事務をあわせて行っておりまして、それぞれが明確に区分されているわけではございませんので徴収事務のコストだけを取り出してお示しするのは困難でございますが、平成四年度におきます国民年金事業全体に携わる職員数でございますけれども、都道府県、市町村を合わせまして一万六千六百名でございます。また、国民年金事業全体の事務費でございますが、平成四年度決算で一千四百四十億円となっております。
 国庫負担を引き上げた場合との程度保険料徴収率が向上するのか、あるいはそれによって徴収コストがどの程度節減されるかという点につきましては、十分なデータがございませんので算定するのはなかなか困難でございますが、保険料徴収事務は広範な国民年金事業の一部であることを考えますと、節減額があったとしましてもそれほど大きな額にはならないのではないかというふうに考えております。
#230
○岡田委員 それからもう一つ、国庫負担率引き上げの論拠として言われるのは、労働組合からこういう声が多いように承知しておるのですけれども、所得の再分配機能があるのではないか、こういう話がありますが、これについてはどういうふうに評価されますか。
#231
○近藤(純)政府委員 年金制度におきまして所得再分配効果を考える場合には、保険料の負担だけではございませんで、給付との見合いで考える必要があるのではないか、こういう基本的な考え方を持っているわけでございまして、厚生年金につきましては、保険料に応じまして給付費もふえる、こういう仕組みになってございますので、所得にかかわりのない定額部分というのもございますので、一定の再分配効果というのは既にあるわけでございます。
 国民年金につきましては、定額保険料で定額の給付というふうになっているわけでございますけれども、これは国民年金の被保険者というのが非常に多様でございまして、厚生年金の被保険者に比べますと所得の把握というのが非常に困難、もちろん所得がない方も非常に多いわけでございまして、制度発足の当初から定額の保険料にいたしているわけでございます。その場合、低所得者に対しましては保険料の免除制度というものを設けておりまして、この定額の保険料に対しまして、定額に伴う負担の軽減を図っているわけでございまして、これについてもある程度の再分配効果というのがあるのではないかというように考えております。
 それで、基礎年金の国庫負担率を引き上げた場合には、どのような税によって賄うのかによって再分配効果というのも当然変わってくると思いますし、恐らく、私どもまだ検証したわけではございませんけれども、厚生年金の場合には所得に比例しまして保険料を取っておりますので、例えば消費税みたいなものよりは再分配効果というのはあるのかな、こういう感じがいたしますが、国民年金の場合にはやはり定額でございますので、おっしゃるような、消費税みたいなものと比べますと、再分配効果というのは消費税の方がひょっとしたらあるのかな。これはまだ我々の雑談の域を出ないものでございまして、当然のことながら、十分これから検証していくべきものであろうというふうに考えているわけでございます。
#232
○岡田委員 今の御答弁を私なりに解釈をしますと、消費税ということで国庫負担率をふやした場合には、定額の保険料よりは消費税の方が、所得の多寡に応じて納める税額というのはふえてまいりますから、所得再分配効果はある、しかし一方で免除制度というのがありますから、そこの免除されている所得層については、消費税はそこにもかかわっできますから、そこはむしろ逆だ、こういうふうに今の局長の御答弁を総括させていただきたいと思います。
 さて、国庫負担率を上げる、私は当然消費税が念頭にあってこういう議論が出ているのだと思うのですが、先ほど御答弁ありましたけれども、消費税で賄った場合のその税率ですね。何%分に相当するかということを、二〇〇〇年と二〇二五年の時点での、国庫負担率三分の一を二分の一にしたという場合のそのふやした分を消費税に引き直せば何%になるかということを、お聞かせをいただきたいと思います。
 ついでに参考として、そのときの消費税というのは恐らく国で使われる分を念頭に置いて計算をされることになると思うのですが、特枠としてこの国庫負担のためにふやした消費税は全額国で使うんだ、地方には回さないんだという仮定を置いて計算をしたときの消費税の税率についても、お聞かせをいただきたいと思います。
#233
○近藤(純)政府委員 基礎年金の国庫負担率を仮に二分の一に引き上げるといった場合には、国庫負担の額は、二〇〇〇年度には現在より三・八兆円増加いたしまして七・七兆円になるわけでございます。また、二〇二五年度には現在より八・二兆円増加いたしまして十二兆一千億円に達するということでございまして、この国庫負担の増加を消費税、国の分ということで、純増ベースの国の分というのは一%一兆三千億円というふうにお聞きしておりますので、これで機械的に計算いたしますと、二〇〇〇年度には二・九%、それから二〇二五年には六・三%ということになっているわけでございます。
 先ほど先生から御質問ございました、消費税収というのを国と地方も全部含めて計算しろというお話がございましたが、消費税が地方にないというのはなかなか適当でないとは思いますけれども、仮に全部含めてこれが国費として使われるということで機械的にただいまの数字を計算いたしますと、給付費の増加に見合う税率というのは二〇〇〇年におきましては一・六%、それから二〇二五年においては三・四%になるということでございます。
#234
○岡田委員 私が後段で仮定の話を申し上げましたのは、国庫負担を引き上げるということで、特にその分消費税を上げるということであれば、必ず現在ある国と地方の分割ということを考えずに、別枠、国庫負担用の別枠として消費税を考えるということもできるのではないか、そういうことでお聞かせをいただいたわけであります。いずれにしても、今のお答えは、これは現在価格での数字だというふうに理解をいたしますが、二〇〇〇年で全部使えば一・六、今の国と地方の分割の方式に従えば二・九、こういうことでございますね。
 さて、私はこういう数字を見ながら思うわけでありますが、この国庫負担の問題、先ほどちょっとお話をしましたように、私は、将来的に基礎年金を水準をもっと引き上げていくべきだ、こういう考え方を持っておりまして、今のこの基礎年金の水準を基準にして考えたときに、その一部を国庫負担に振りかえていくということは私は余り意味がないかな、個人的にはそういう気持ちであります。結局、それは数字の上では個人の負担率が下がったといっても、マクロベースで見れば保険料が税に置きかわっただけでありますから、一人一人をとれば若干の損得はあるかもしれませんけれども、基本的にはほとんど意味がないことではないかな、こういう気がします。
 しかし一方で、基礎年金をもっと今より上げていこうという考え方に立ったときに、果たして今の保険料というのがこれ以上さらに引き上げることが可能だろうか。今の厚生省の計算では、来年度から一万一千七百円に月額なるわけですけれども、ずっと五百円ずつ上げていって二〇一五年には二万一千七百円になる、これは現在価格ですね。ですから、物価の上昇というのは考慮していない、考慮すれば恐らくこの数倍になるかもしれませんが。
 いずれにしても、一人当たり二万一千七百円毎月払わなければいけない。例えば、御夫婦に二十を超えた大学生の子供さんでもおられれば六万以上払わなければいけない。さらにそこへきて、私の主張のように基礎年金の水準を上げるとすると、それが六万が八万、十万、こうなっていくわけです。そうすると、それはちょっとあり得ないな、こういう感じもいたします。
 そういう意味で、私は、将来基礎年金の水準を上げるということとのセットで国庫負担率の問題というものを論じるべきではないか、そんな感じがするわけであります。この点についてどういうふうにお考えでしょうか、なかなか前提が難しいかもしれませんが。
#235
○近藤(純)政府委員 大変難しい問題でございまして、今の水準を、基礎年金の水準も引き上げて、保険料も恐らく今の水準を維持して、なおかつ増額の分は国庫負担でやる、こういうふうな想定だろうと思います。
 基本的には先ほど来お答えしたのと変わらないというふうに思っておりまして、やはり基礎年金の国庫負担というのは大変な巨額のお金になるわけでございますので、その中でそれをどうやって確保していくのか。それから、基礎年金の水準、これからどんどん高齢者がふえてまいりまして、負担がふえてくる上にさらに高齢者の負担をする、こういうことになりますと大変な国民負担がふえる、こういうことでございますので、やはりこの問題は、繰り返しになりますけれども、広い観点から国民的な論議の上で決すべき問題であろうというふうに考えているわけでございます。
#236
○岡田委員 今の局長の最後のお答えはそのとおりだと思います。これをもしやるのであれば、きちんと議論しなければいけない。しかもその議論の場は恐らくこの委員会の場だろうと私は思います。政治家が議論する問題だろう、こういうふうに思います。そういう意味で、国庫負担の問題については、基礎年金の水準を将来どうするかということとセットで、できたらこの委員会に小委員会でもつくって大いにこれから議論をしていただいたらどうか、そんな気が私はするわけであります。
 いずれにしても、ここで我々戒めなければいけないのは、国庫負担を将来ふやしますよと一方で言いながら、その財源については何ら明示しない、それは、私どもは政治家としてはとるべき道ではないだろう、そんな気がするわけであります。逆に言いますと、国庫負担を将来上げていくということをはっきり言うのであれば、財源についても、いついかなるタイミングで消費税についてこういう上げ方をしますよということを同時に言うべきであろう、こういうふうに思うわけでありますけれども、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
#237
○井出国務大臣 基礎年金の国庫負担の問題については、実は今回の改正に当たってもさまざまな議論があったことは承知しております。しかし、実施を急ぐべき今回の改正事項とは別個の問題として検討すべきものとされてこの改正案が取りまとめられたものでございまして、政府といたしましては、今回、国庫負担率を引き上げることは考えておらないものですから、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
#238
○岡田委員 それでは、基礎年金につきましては一応区切りといたしまして、次に厚生年金について議論をしてみたいと思います。
 厚生年金、特にその報酬比例部分、これをどういうふうに考えていけばいいのか。例えば従来ですと標準報酬月額の六八%という水準、可処分所得で見れば八〇%以上という水準になっていますね。この水準そのものをどういうふうに厚生省は考えておられるのか、あるいは諸外国と比較してこの水準は高いのか低いのか、その辺についてお答えをいただきたいと思います。
#239
○近藤(純)政府委員 厚生年金の水準の問題でございますけれども、昭和四十年代に逐次改善が図られているわけでございまして、特に四十八年の改正のときに、直近の男子の標準報酬の六〇%、こういうことを目途とする考え方が導入されたわけでございます。
 しかし、その後、加入期間が長くなった関係もございまして、この六〇%が六十年の改正時点の場合にはもう六八%にも達していったわけでございます。その六十年の改正におきましては、厚生年金の定額の部分と加給年金を夫婦のそれぞれの基礎年金として再編成を行ったわけでございます。
 もともと厚生年金は世帯単位を想定いたしまして水準が設定されていったわけでございまして、そのときに厚生年金の定額部分と加給年金分を夫婦のそれぞれの基礎年金として再編成をいたしたわけでございまして、この結果、夫婦の基礎年金、二つの基礎年金に合わせまして一つの報酬比例が乗っかる、こういう制度の成熟時、四十年加入というのを想定いたしますと、構造的な水準といたしましては現在でも六八%ということになっているわけでございます。しかし、六十年改正によりましてそういうふうな厚生年金の給付の適正化措置がとられているわけでございまして、これはまだ現在も続いているという段階でございます。
 可処分所得では八〇%ということでございまして、これをどうするかというのはこれからいろいろ議論しなければいかぬわけでございますけれども、人によっては高い、人によっては低過ぎる、いろいろ議論があろうかと思いまして、両方意見があるときには大体妥当ではないのかな、こんなような感じもいたしておるわけでございますけれども、諸外国との関係で申し上げますと、外国との関係は非常に比較が難しゅうございまして、制度の仕組みもかなり違う。
 低い年金の、五年入っても年金が出る、こういうふうなところもございまして、そのために非常に低くなっているようなところもある、こういうふうな事情もございまして一概には比較できないわけでございますが、一九九三年現在、日本の厚生年金の水準はボーナスを含みました平均賃金に対しまして四一・九%ということで、四〇%をちょっとというのがずっと続いております。
 それで各国、平成二年、一九九〇年の数字を見てみますと、ドイツでは、これは低い年金も入っているということもございまして三四・四%、それからスウェーデンが非常に高くて五六・三%、イギリスが四六・五、アメリカが四七・六、こういうふうな水準になっているわけでございまして、日本の場合も高齢になってからの加入で十五年という方もいらっしゃいますので、こういう方がいらっしゃるために非常に平均年金額としては低くなっている、こういうふうな事情もあるわけでございまして、我が国の水準というのは国際的に見ても中どころにあるのではないのかな、こんなような感じを持っております。
#240
○岡田委員 まあ年金の成熟度というか、そういうものともかなり関係してくるんだろうと思うんですね。したがって、単純に比較は難しいところもあるのかもしれません。しかし、可処分所得の八〇%以上、まあ月給ですけれども、という水準はその数字を見る限りはかなりの水準だと、こういう気も一方でするわけですね。
 そこで質問なんですが、二〇二五年に最終保険料率が三〇%になるということになったときのその社会保険料、トータルですね、医療も含めて、それから所得税、そういうものも含めて一体、例えば月給三十万円なら三十万円もらった人がいるとしてどれだけ手元に残るのか。これはいろいろな前提の置き方によっていかようにでも計算できるのかもしれませんけれども、わかりやすく、もし何か計算ができたら教えていただきたいと思います。
 それから、あわせてそのときのマクロベースでの国民負担率ですね。年金の保険料が三〇%になったときの国民負担率というのは一体どのぐらいになっているのか、その点についてもあわせてお聞かせいただきたいと思います。
#241
○近藤(純)政府委員 前の方の質問につきましてお答えをいたしたいと思います。
 現在、サラリーマンが自分の手元に残ります給与の割合、これは家計調査によりますと平成五年で八四%でございます。この可処分所得の割合につきましては、税説とかそれから社会保険でもいろいろ種類があるわけでございまして、何十年後までの一応の試算をしたというものは年金しかないわけでございまして、この年金の試算を前提にいたしまして、ほかの社会保険料とか税負担というのは一定だ、こういう計算でいたしますと、今回の財政再計算で設定しております年金保険料の上昇率、これを考慮いたしまして可処分所得の割合を推計をいたしますと、三十年後の平成三十七年度におきましては七八%程度になるのかな、こういう感じでございます。八四%というのが七八%に下がる、こういうことでございます。
#242
○太田(義)政府委員 お話のありましたマクロベースの負担率の問題でございますが、平成四年度の実績では社会保障負担率が一二・五%、これを含めました国民負担率が三八・一%となっておりまして、今後の高齢化、少子化ということの進行に伴いましてこの負担も相当程度増加すると見込まれます。
 それで、先生のお話のありました二〇二五年、平成三十七年における国民の負担率ということでございますけれども、これを正確に推計することはなかなか難しい点がございますけれども、本年三月二十八日に出されました二十一世紀の福祉ビジョン、ここにおきまして一定の前提のもとに一つの計算を行っております。
 例えば、その中でケースUというケース、これは社会保障の再編型と我々は呼んでおりますが、そのケースにおきます二〇二五年におきましては、前提となる経済成長率、国民所得の伸び等によって数字の幅がございますけれども、社会保障負担率は一九から二一%程度、これに社会保障にかかるもの以外の租税負担を一定として単純に加えた国民負担率は四八カ二分の一%から五二%程度というふうになるものと見込まれております。
 以上でございます。
#243
○岡田委員 数字の話ばかりで恐縮ですが、もう一つ教えてください。
 よく言われる話なんですけれども、厚生年金の保険料、払った保険料ともらう年金の額、これを損得というふうに考えた場合に、一定の世代からはむしろ損になるんじゃないか、こういう話があります。厚生省の方は、いやそんなことはありません、こういうお答えなんだろうと思うんですが、厚生省のお答えの前提として、企業負担分について、例えば今一四・五%のうちの半分、企業負担ですね。これをどう見るかというそこのところが一つ結論に影響してくると思うわけであります。
 仮に、企業が負担している部分も、これは賃金の一種みたいなもんだ、もし保険料負担がなければその分賃金が上がるんだ、こういうふうに仮定したときに、果たして一体何年ぐらいに生まれた人から、払う保険料のトータルともらう年金の額で逆転現象が起きるのか、いろいろな前提が大きくあるとは思いますけれども、計算の結果をお聞かせいただきたいと思います。
#244
○近藤(純)政府委員 先生がおっしゃられました前提で計算いたしますと、今二十の方、昭和四十九年生まれの方、この方は、事業主負担を含んだ倍率でやりますと、一・一倍程度でございます。十五歳とか十歳の方で大体一・○という感じでございまして、これは前提をいろいろの置き方によってはかなり差異が出るわけでございますけれども、私どもの計算は現在の財政再計算の基本的な数値を使っておりまして、標準報酬の上昇率は四%、それから消費者物価の上昇率は二%、それから運用利回りは五・五%、こういう前提で計算いたしているわけでございまして、賃金とか物価とかそれから利回り、これの相関関係によって何十年というタームでは非常に大きな狂いが出てくる、こういうふうになっておりますが、基本的には一に収れんしてくる、成熟化してきますと、人口の高齢化が進行してまいりますと、大体一に収れんをしてくる、数理的にはそういうものだそうでございます。
#245
○岡田委員 なかなか局長の顔が苦しそうですので、これ以上詰めませんけれども、ただ、私はこういうふうにいろいろ申し上げたのは、やはり厚生年金の将来についていろいろ不安を持っている方もたくさんいる。そういうところについてもう少し情報開示をして、その上で、この厚生委員会の場もそうですけれども、国民的な議論も行われないとみんな疑心暗鬼になってしまうんじゃないか、そういう気がするわけであります。
 同時に、今回いろいろやりくりをして三〇%、最終的な保険料率三〇%ということで決めたわけでありますが、これも計算の仕方によってはどうなるかわからぬというところがあると思うんですね。例えば出生率は今の前提では一九九五年が一・五、二〇一五年が一・八ということで置いてありますが、これだってどうなるかわからない、少し甘過ぎるかもしれない。そういうふうに考えますと、この三〇%というのは僕はこれを超えることは絶対あっちゃいかぬという最低線だと思うんですけれども、あんまりきめ細かくやった結果、これを超えてしまうようなことがあるんじゃないか、今与野党でいろいろ年金の議論していますけれども、そういう心配をしております。
 例えば引き上げのスケジュールについて、三年ごとじゃなくて四年ごとだという御議論があります。それは四年ごとの方がいいでしょう。しかし、その結果本当にこれは三〇%でおさまるのかどうか、いろいろな前提が多少変わっていったときに。その辺も考えると、やはりどこかでぴしっと線を引いて、後でまた直すことは僕は可能だと思います。雇用の情勢が、確かに六十五歳定年というのが二〇〇〇年を超えてもうまくいってないのであれば、そのときにいじることはいいと思いますけれども、今甘くしてしまってそれからまたきつくするというのは私は大変厳しいと思いますので、その辺、お互い、責任ある政治じゃありませんけれども、人に優しくかつ責任ある政治として我々も心してやっていかなければならないんじゃないかと思います。大臣の感想を一言聞かしていただきたいと思います。
#246
○井出国務大臣 今回の改正は、二十一世紀の超高齢化社会においても年金の老後所得保障としての役割を堅持しつつ、後代の負担を過重なものとしないよう保険料の水準を現在の二倍程度の三〇%以内におさめようとするものでございます。この法案についてはいろんな御意見があることは承知しておりますが、後代の負担を過重なものとしないよう、今回改革の基本をゆがめることがあってはならない、こう考えておるところであります。
#247
○岡田委員 ありがとうございました。
#248
○岩垂委員長 金田誠一君。
#249
○金田(誠)委員 今回の年金改正の大義名分でございますけれども、人生八十年時代の年金制度、こういうことになっておりまして、六十歳引退社会から六十五歳現役社会へ、こういう大義名分がついているわけでございますが、私が心配をいたしますのは、このことが国民的な合意に至っているかどうかということが非常に心配なわけでございます。
 今までのように六十歳で給付が開始されて掛金も今まで程度で済むというのが一番いいわけでございますけれども、年金の成熟度、高齢化の進行によってそうはいかない、そうはいかないから掛金も倍になるけれども、さらに給付年齢も最終六十五歳になる、その間は、別個の年金とそして再雇用というのですか、そういう形で六十から六十五の間をつないでいくということが果たして労働者の例あるいは使用者の側それぞれから国民的合意となっているんだろうか、やむを得ない、これでやっていこうというところまで来ているのかどうかということを非常に心配をしているわけでございますが、厚生省の認識はいかがでしょうか。
#250
○近藤(純)政府委員 大切な御指摘をいただいているわけでございます。私ども、今回の改正作業というのは、三年ほど前から検討を開始しているわけでございますけれども、今回の改正に当たりましては、平成五年の三月でございますけれども、初めての試みといたしまして、新しい人口推計がそのときできましたので、その新しい人口推計等に基づきまして年金財政の暫定試算、これを初めて行いまして公表をいたしたわけでございます。
 それから、同じころでございますが、国民各層の有識者二千名を対象にいたしまして、必ずしも本当の年金の有識者だけではないわけでございますけれども、こういう方々に年金についての意識といいますかお考えをお聞きする、こういうふうな調査も行ったわけでございますし、私ども、年金週間というのも何年か前から設置いたしまして、十一月でございますけれども、これを中心に各界代表者にも参加をいただきまして、年金改正に関するシンポジウムも実施してきたわけでございますし、今先生がお取り上げになりました各種のパンフレットも作成をいたしまして、国民の方々に今回どんなことを考えているのか、こういうことの広報等にもいろいろ努めてきたわけでございます。
 この今の外の努力のほかに、年金審議会では、労使の代表者も参加をいただきまして、いろいろ一年半ぐらいの長い期間御議論をいただいたわけでございますけれども、かなりの点で一致点を見たというふうなことでございまして、一致点を見なかったのは六十五歳問題だけであった、こういうことでございますけれども、そこでは、その部分については確かに意見は分かれたわけでございますけれども、全体の意見といたしまして、六十歳までは雇用中心に、六十歳前半の期間については雇用の促進を図りつつ同時に多様な選択に応じた生活設計が行われるよう環境整備を図り、六十五歳以降は年金を中心に生活設計が行われる期間としていく必要がある、こういうふうなことで全体の意見もまとめられたということでございます。
 いろいろ我々は世論調査等を行っているわけでございますけれども、六十五歳現役社会としていきたいという考えを目標にすべきであるということにつきましては、かなりの方の理解を得てきたのではないのかなというふうに私ども認識しているわけでございます。
#251
○金田(誠)委員 六十五歳からの給付になる、掛金も倍になりそうだということは薄々知っているというのが今の国民の実態だろうとは思うのです。知らないという人はもう少なくなってきているだろう。しかし、変わるということがわかったということと、理解をしたあるいは国民合意が形成された、新たな制度でなければやっていけない年金事情にあるんだということが理解されたということとはいささか意味合いが違うんではなかろうか。そういう意味では、局長の御答弁は、知らしめたというところではそのとおりかもしれません。しかし、それが理解されてすとんと落ちて、労使それぞれそれでいこうというふうに納得したかとなると、多少認識が違うのではないかな、こういう気がしているわけでございます。
 私も、選挙区でもいろいろな方にお目にかかるわけですが、皆さん心配をなさっている。あるいは議員会館の方には連日のようにいろんな要望書、手紙等が届くわけでございます。これは、主として給付を受ける方の側、労働者の側からでございます。非常に不安を持っておられる方が相当数いらっしゃる。
 それに対して、使用者の側、六十五歳現役社会にしていくんだという本当の使用者の側の合意がそれじゃあるんだろうか。別個の年金と合わせて旧来の年金水準程度の生活を保障していくんだ、これは人を雇う側、この不景気、リストラ、リストラ、若い人の採用内定取り消しまで頻発している、特に女性、こういう時代にあって、雇用する側が果たして六十五歳現役社会に踏み込むということの合意ができているんだろうかなということを実は心配しているわけでございます。
 いろんなアンケート、試算の公表、年金審議会、手続は踏んだ、みんな知っているということはわかりますが、そう変わるに当たって、使用する側は使用する側のように、みずからの会社のシステム、使っている従業員をどうやって六十五までそれじゃ路頭に迷わせないか、ここまで至っているのかな。働く方も、まあ二〇〇一年、六十一まで一年間何とか別個の給付プラスでやっていける、そういう自信なり見通しなり持てる状態なのかなということが心配なんですね。
 まず端的に、その辺どうですか。知っているだろうということと、納得してそれに合わせた生活設計ができる状態になっているだろうということは違う、こうも思うものですから、ひとつ端的に御認識をお聞かせいただきたいと思うのです。
#252
○近藤(純)政府委員 今回の法案についていろいろ御意見があるというのは、私どもも承知いたしております。受給者の方からよく我々に言われるのは、ネットスライドは付しからぬと。その方はもう六十五歳問題は関係ないということでございますから、それは関係ないと。それから一方では、これから受給しようという方につきましては、六十五歳問題、これは苦しいな、何とかしてほしい、こういう要望が多いわけでございます。ただ若い人に聞きますと、どうせ我々のころはもう六十五歳になってしまうし、もうやるんなら早くやってほしい、こういう声も聞くわけでございまして、これはまさに、私どもがいろいろな方にお聞きすれば、十人十色みたいな意見になるわけでございます。
 ただ、これからの高齢化社会、こういうふうな姿になっていくということを数字で理解をしていただいた方、特に有識者の方については、私どももそういうふうな数値もお渡しいたしまして、いろいろお考えの上に御記入を願ったというふうに考えておりますけれども、こういう方々におきましては、かなりのパーセントでやはり年金改革をやらなければいけないのかな、こういうふうに私どもは受けとめているわけでございます。
 国民全体がこれについて理解を示されて、完全に国民的な合意ができたかどうかと聞かれると、そこは私としても絶対大丈夫ですというわけにはいかないわけでございますけれども、少なくとも前回改正のような完全な拒絶反応、こういったものほかなり薄れてきておりますし、理解のほどはかなり進んだのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
#253
○金田(誠)委員 相当不安を持っている方が多くいらっしゃると私は思っております。そして、そのオピニオンリーダーに当たる役割の方々さえも、かなりの懸念を持っておられる方が多いという現実が私はあると思うのですが、多少かみ合わないのかもしれません。しかし、そうなっている原因の一つとして、我が国の場合、この情報公開というものが非常に立ちおくれているということが原因の一つではないだろうか。さまざまな原因があるでしょうけれども、そのうちの一つはそこにあるのではないかという気がいたしております。
 年金審議会の答申でも、広く情報公開をするということもございますし、「調査その他の権限を有する第三者機関」というものにも触れてございます。やむを得ず六十五まで段階的に下げざるを得ない、あるいは掛金も上げざるを得ない。よし、そうであればそれに合わせて生活設計を、あるいは自分の使っている、雇用している者をそれに合わせてという、経営者の意識が変わっていく、そのためには的確な情報が提供される必要がある、こう私は思うわけでございますが、我が国の場合、この情報公開法というものがない。したがって、例えば年金積立金の運用なども、いろいろなところからいろいろな指摘などもされている。そういうことがいろいろな疑念を生んでいくということにつながっていくのではないだろうか。
 これは厚生省が所管する法律ではないでしょうけれども、この年金についての国民合意を得るという切り口からしても、情報公開法というのは早期に成立をさせるべきだ、こう思うのですが、御見解はいかがでしょう。
#254
○井出国務大臣 私も同感であります。
#255
○金田(誠)委員 ぜひひとつ、成立に向けて閣内で御努力をお願い申し上げたいと思うわけでございます。
 それと、この年金審議会の答申に触れられております第三者機関というものは、これはいかがになっているものなんでしょうか。
#256
○近藤(純)政府委員 年金審で第三者機関に触れられておりますけれども、年金につきまして第三者機関が必要だ、こういうふうに言われておりますのは、一つは、財政が行き詰まった制度が出てきたわけでございます。具体的にはJRとかJTの共済組合、こういった各年金制度の財政計画につきまして懸念が出てきたということでございます。それから、先ほど先生から御指摘がございますように、年金財政について的確な情報、これを公開すべきである、こういうふうな意図で第三者機関の必要性が言われているわけでございます。
 公的年金制度各制度の長期的な安定を図るためには、制度間の調整事業が現在行われているわけでございまして、現在、年金制度の一元化ということについても検討を進めているわけでございまして、各制度の財政計画のあり方についてもこの中で議論をすることになっているわけでございます。
 情報の公開につきましては、国民年金、厚生年金につきましては財政再計算の報告書を公表もいたしているわけでございます。各制度の共通の財政再計算の方式とか情報公開につきましては、現在、社会保障制度審議会の年金数理部会というのがございまして、ここにおきまして数次にわたって報告書が出されてきているわけでございまして、できるだけ各制度の財政再計算を統一的な方向で出すというふうな方向に今向かいつつあるわけでございます。
 今後とも、年金制度というのは世代間の信頼、もちろん現世代間の信頼関係もないといかぬわけでございますので、各年金制度におきまして、国民に対しまして年金制度の現状、それから将来見通し、こういったものにつきまして的確な情報提供をするというのは、今の段階ではかなり達成されつつあるのではなかろうかな、こういうふうに考えているわけでございます。
#257
○金田(誠)委員 労働省にお尋ねをいたします。
 今回、六十五歳に順次繰り下げる、その間は別個の年金プラス継続雇用ということで生活保障をするということになっているのですが、それがそうはならないだろう、なかなか難しいのではないか。現状でも、六十歳でリタイアした後、なかなか再就職の口がないという中での不安があると思うわけです。一定の法改正等もなされているのは承知をしておりますけれども、それだけでは非常に弱いのではなかろうか、もっと強制力を持つ、別個の年金プラス再雇用ということが確実に保障されるような形の法改正が必要ではないか、こう思うのですが、端的にお答えいただきたいと思うのです。
#258
○太田説明員 本格的な高齢化社会の中で高齢者が安心して生活が送れるようにするためには、雇用政策と年金政策との連携を図りながら高齢者の雇用の促進を図ることが大変重要であると考えているところでございます。
 このため、今お話もございましたけれども、さきの通常国会で高年齢者雇用安定法を改正いたしまして、六十歳定年制の義務化をするとともに、労働大臣が事業主に対して、六十五歳までの継続雇用制度の導入のための計画作成指示や勧告を新たに行うこととしたところでございます。また、これとあわせて雇用保険法を改正しまして、高年齢者雇用継続給付制度を設けますとともに、六十歳を超える継続雇用制度を導入した事業主に対する助成措置を講ずるなど、六十五歳までの雇用確保のためのさまざまな援助策を講ずることとしているところでございます。
 こういった施策を講ずることによりまして、二十一世紀初頭までに、希望すれば六十五歳まで現役として働けるような社会、こういう実現に取り組んでまいりたいと考えております。
#259
○金田(誠)委員 その措置で希望すれば六十五歳まで現役でいられるかどうか、これに対して非常に不安を覚えているのが現実でございまして、スムーズに移行させるためにも、一歩踏み込んだ法改正が必要だということだけ申し上げておきたいと思います。
 最後でございますが、無年金障害者の関係について、厚生省にお尋ねしたいと思います。
 二十四歳大学院生、昭和五十一年に多発性硬化症発病、今車いすの生活で、任意加入とか国民年金という制度があること自体知らなかったという方が先般陳情においでになったわけでございますけれども、本当にお気の毒としか言いようのない方でございました。こういう無年金障害者の方々に対して、今あるのは生活保護だけということなんですが、何らかの措置が考えられないものか。
 例えば、国庫負担分の三分の一というのがございます。あるいは遡及して納付するということだってあるのかもしれません。生活保護に至る前に何らかの措置を検討できないものかどうか、これだけ最後にお聞かせいただきたいと思います。
#260
○近藤(純)政府委員 先生御承知のとおり、我が国の公的年金制度は社会保険方式を基本としているわけでございまして、制度に加入いたしまして、一定の保険料を納付されたときだけ、障害等の保険事故が生じた、こういう場合には所得保障をする、こういうことに相なっているわけでございまして、大変お気の毒な事例かと思いますけれども、制度に加入していないときに事故が起きて年金を受給できないという方につきましては、年金制度として対応するというのは非常に難しいわけでございます。
 国庫負担につきましても、制度に加入して初めて出る制度でございますので、これもなかなか難しいわけでございまして、障害者の方につきましては、厚生行政として大変重要な課題であると認識しているわけでございまして、各般の分野におきます障害者施策の推進に今後とも努力をしてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
 後から追納できないかという問題があるわけでございます。老齢年金とそれから障害年金というのはかなり仕組みが違っておりまして、老齢年金は、加入した期間に比例いたしまして、二十五年という資格期間を満たせば支給されるということで、滞納していても若干の期間であれば後から追納できる、こういう期間があるわけでございます。
 ところが、障害年金の場合には、一日でも二日でも、保険料を滞納していないときに障害が起きれば二十五年分の障害年金ができるということでございまして、老齢年金につきましては、過去に何度か挽回のチャンスもあるということで、特例納付みたいなものも認めたこともあったわけでございますが、障害年金には今のような仕組みがございますので、なかなか一月入っただけで二十五年もらえる――こういう追納となりますと、もう社会保険制度としては成り立たないということもございますので、今までも一度もこういったことをやったことはございません。
 そういうことでございますので、大変お気の毒な事例でございますけれども、残念ながら、年金制度としては対応しがたいというふうに考えているわけでございます。
#261
○金田(誠)委員 時間になりましたので、終わります。どうもありがとうございました。
#262
○岩垂委員長 三原朝彦君。
#263
○三原委員 私、しばらくはバターより大砲のことばかりやっていたものですから、久しぶりにこっちに戻ってきまして、ましてや、私の党の兄貴分の井出議員が大臣になりまして、おりますものですから、皆さんに、それこそ、この席をかりて、よろしく、こう言わなければいけないんだと思います。
 特に今回の、継続になっています年金法ですけれども、これ、私が二年生議員のときにも、六十歳を六十五歳にしなければ、もう二十一世紀に入って年金がパンクしてしまうというようなことを言われておったんですが、あのときは話し合いがうまくいかなかった。二度目のチャンスだと思います。
 実は、年金を払うのは、今日、戦後生まれの私たちがかくも安定した生活を享受できるのも、今、年金をもらっておられる方々が粒々辛苦の後に、日本の敗戦、復興、そして繁栄へと働いてきていただいたおかげでありますから、私は何のためらいも持たずに年金をお支払いすることを心から喜んでおりますが、問題は、団塊の世代の昭和二十二年生まれの人間といたしまして、今度我々が年金をもらう側、受給者の側になったときのことを考えると、背筋が寒くなるような気持ちもするわけでありまして、そのためにこそ、今度二〇〇一年から一三年にかけて、しばらく、徐々に徐々に六十歳から六十五歳にやってくださいというようなこともあるんでしょうし、また、このままの状況でいきますと、被保険者、年金を支払う人たちが、それこそ可処分所得の三割ぐらいまでの感じのお金を払うような感じにもなるというようなこととか言われていますし、といって、私たちが年とったときに、やはり安定した年金というものをもらえて、そしてまた医療の面でも、ためらいもなく、今日と同じような医療の給付も受けたいというようなことも、これ、偽らざる心からの叫びでもあるわけであります。
 そういうことを考えると、今回の改正の法案というのは、実は、我々自身、二十年近く先になると年金の世話になる我々自身が解かなければならない焦眉の急だという感じもするわけであります。
 きょう、ちょっと、わずか短い時間質問するのに、もう一度基本的なことから問いただしてみようと思って質問をさせていただくわけですけれども、それに関して、あらかじめ出しておきましたら、一つ、二つ、数字的なものはいただきました。
 つまり、まず第一は、これから先、年金をもらう側のピークは、もし、今の平均寿命といいますか、男は大体七十六とか言われています、女は八十一か二とか言われていますが、これから先もその年齢が男女の平均余命としたら、どのくらいの年に年金をもらう人の数がピークになるんでしょうということをお聞きしましたら、これでは、平成三十二年に被保険者数が大体三千万となっていますけれども、それはそのとおりですね。――そうですね。
 また、そのときの支出はどのぐらいになるんでしょう、こう聞きまして、現在の六年度の価格ですと、支出で大体四十三兆円ということになっています。それが平成四年度、二年前だと支出が十五兆円ぐらい、こういうことなんだそうですが、それだけから考えても、十五兆円から四十三兆円というこの数字を聞いただけでも、それはただただ、日本の経済の成長が今から先どのぐらいになるのかよくわかりませんが、自然増収だけで賄っていくなんということは到底望むべくもないことは我々はわかるわけでありまして、それをこの一枚の小さな統計を見ただけでも、私は今回の年金の改正というものを真剣に討議をした中で、少なくとも今出されておる程度のことはこれは変えなければならぬかなということは、もう私自身は承服せざるを得ないと思っております。
 ところで、もう一つの今度の年金の問題というのは、もちろん個々の人が年金を払って世代間扶助でやることなんですけれども、それプラスに、それの反対の極端な例が税金で賄おう、こういうものですね。その間にちょうど我が国の年金のシステムがあるわけですけれども、今三分の一の、基礎年金の部分の三分の一をより安定したものにするためには拡大の方向にいかざるを得ないんじゃないか、私もそれはそうだと思うのです。
 しかしながら、そうなると、それから先、ではそれをどうやって負担するか、補てんするのかということになると、これは我々責任持ってやらなければならない問題ですから、そう簡単に明確な答えが出るわけでもない。一面では個々の負担もふやしてもらう、そしてまた国も考えてもらうということなんだと思います。
 そういう状況の中で、まずは井出大臣に、今度のこの改正案に関して、もうより詳しいようなことを岡田君が聞いておられましたけれども、これは一〇〇%の政府としての希望じゃないかもしれませんけれども、井出大臣にこの年金改正に関する決意あたりをお聞きしたいと思うのですが。
#264
○井出国務大臣 前の委員の皆さんにも申し上げたのでございますが、高齢化社会二十一世紀、もう待ったなしで来るわけでございますが、その時期に安心して機能が発揮できる制度を今のうちに確立しなければならぬという意味を踏まえた今回の改正でございますから、いろいろ問題はあるでしょうが、ぜひ一日も早い成立をお願いをしたい、こんなふうに思いますし、今、三原議員、年金の国庫負担、それは将来はふやすのがいいと思うが、これには財源が大変必要なんだという御見解でございましたが、全く私もそのとおりでございまして、今回の改正に当たってさまざまな議論があったことは承知しておりますが、実施を急ぐべき今回の改正事項とは別個の問題として検討すべきとしてこの改正案が提出されたわけでございます。
 したがいまして、これとは別個の中長期的課題としてひとつ幅広い観点から検討が必要じゃないかな、こんなふうに思います。
#265
○三原委員 私もそのように思うのでありまして、今焦眉の急で出されておるこの年金の改正の法案というもの、これはまずできる限りより濃密な議論をし、なおかつ早急にこの案をまずは通過させる。その後に次の新たなまた準備期間を持って、私は、これから先我々がもらうときのことを今から本当に心配しなければいけない。
 人間が多いものですから、我々が早くみまかればいいのでしょうけれども、団塊の世代も長生きをしたいものですから、それから考えると、やはり次の段階では必ず、私たちは今申し上げている、右手では個々の年金に対する負担、左手では公的な負担というものを、どこが我が国の年金のシステムの中で適正なのかということを再度みんなで議論し合う中で考えていかなければならないなと思うわけであります。
 私の時間はわずか十分で、もう終わりましたけれども、次の質問のときに三十分ぐらいもらえるそうですから、そのときにまた私も再度質問させていただきたいと思う次第であります。
 ありがとうございました。
#266
○岩垂委員長 岩佐恵美君。
#267
○岩佐委員 政府は、二十一世紀の高齢化社会に向けて、六十歳代前半においては賃金と合わせて生活を支える年金を支給し、六十五歳以降は年金を中心に生活設計が行われる体制を確立するとして、雇用促進を図る、こう言っているわけですけれども、六十歳代前半は一律に働けということであります。超過密労働の中で働いてきた労働者や危険を伴う労働で早く引退したい、そういう労働者が六十歳で退職しても満額の年金支給とならない、つまり引退と年金支給のリンクが不十分なため引退できないということになります。これでは労働者の引退や休息の権利を否定することになると思いますが、その点、大臣のお考えを伺いたいと思います。
#268
○井出国務大臣 お答えをいたします。
 今回の年金改正は、先ほど来申し上げておりますように、二十一世紀を活力ある長寿社会とするため、年金制度もこれに対応し人生八十年時代にふさわしいものとしていくためのものであると考えております。
 このため、雇用と年金の連携に配慮し、高齢者雇用の一層の推進を図ること、また、将来の現役世代の負担を過重なものにしないことという二つの観点から、六十歳代前半は賃金と年金を合わせて生活設計を行う期間と位置づけ、六十歳代前半の年金は六十五歳以降とは別個の給付とすることといたしております。
 六十歳代前半の皆さんについては、働く意欲と能力のある方については高齢者雇用を進めることにより、賃金と別個の給付により生活を支えていただき、御自分の希望により早期に引退したいという方については、預貯金や個人年金などの自助努力に加え、別個の給付を支給し、さらに基礎年金の繰り上げ支給の道を開くことにより生活が支えられるようにしてございまして、個々人の多様なニーズに弾力的に対応できる仕組みとしたところであります。
 なお、働くことが困難な障害を持った方や長期加入者には、六十五歳前でも現行相当の年金を支給することとするなどの配慮を行ってもおるところであります。
#269
○岩佐委員 六十歳で強制的に退職させられるということになりますと、年金完全支給というのは六十五歳になります。この五年間の空白をどのように生活するのか。
 今のお話ですと、引退と年金支給のリンク、これが社会保障の原則なんですけれども、別個の給付を行い、それで足りなければ何か私的年金でやってもらうというような話がありましたけれども、ここに例があるのですが、厚生年金額の受給額を見ると、十五万円にすぎません。この半額では到底生活できない。
 そこで、これは、小田急百貨店損害保険課がつなぎ年金の御案内というのを出しているんです。
 これを読んでみますと、「六十歳からのセカンドライフの収支は、公的年金だけで充分ですか?」こういうクエスチョンマークで、「公的年金制度について「給付開始年齢の引き上げ」など、制度の見直しが検討されています。このことから、一般サラリーマン家庭においては、今まで以上に、退職後のための自助努力が必要になってくるといえるでしょう。
 そこで「主として国民年金などの公的年金」との「つなぎ年金」のコンビネーションによる「ゆとりのセカンドライフ」のための年金受取プランをご提案します。」ということで、月額二万円のコースだとか三万円のコースだとか、そういう三十歳以上のサラリーマンがずっと月々お金を掛ければこうなりますよという商品が売り出されているわけです。まさに公的年金制度の欠陥、つまり、ここでもう打ち切られるというようなことからこういう私的年金制度がつくり出される、こういう商品がつくり出されるというふうに思います。
 そういう点で、私的年金に入れない人あるいは仕事につけない人、こういう人を一体どうしていくのかという問題があるのではありませんか。
#270
○近藤(純)政府委員 今回の年金の改正に当たりまして、この問題が一番大きな問題であったのは御承知のとおりだと思うわけでございます。
 年金審議会におきましても大変な御論議があったわけでございまして、この年金の弾力化というのをどうするかということで二つの案に分かれたわけでございます。平成元年の政府案である繰り上げの減額年金ということで、六十五歳からしか支給しないけれども、六十五歳以降の年金については減額して六十歳から支給しますよという方式と、それから、六十五歳以降の年金とは別の給付を出したらどうか、いろいろ議論があったわけでございます。これから高齢化社会ということで大変な負担になる、これをどうするのかという視点からの御議論であったわけでございます。
 財政的な見地だけで考えますと、当然のことながら、六十五歳からの支給でそれまでは減額年金だというのが一番財政効果があるわけでございますけれども、しかし、それだけでは、やはりこの六十歳代前半の生活というのは六十歳までの就労生活から六十五歳以降の引退へと、これの移行を円滑にいくようにという趣旨で、別個の給付ということで報酬比例部分の年金を出すということにしたわけでございます。
 この期間につきましては、かなり将来のことになるわけでございますけれども、平成十三年からのことでございますが、それから三年に一歳すっ上げていくということで、これから十九年をかけてそういうことにしていくわけでございますので、まだ準備の期間というのはあるわけでございます。やはりこの六十歳代前半の期間というのは、個人の自助努力も加味いたしまして、それと別個の給付を出すことによって、さらに働ける人は働いていただく、こういうふうな趣旨でできたわけでございまして、先ほどの個人年金、こういったものも十分活用すべきものというふうに考えている次第でございます。
#271
○岩佐委員 要するに、今度の六十歳で切るということは、今言ったように自助努力しなければやっていけないじゃないかということなんです。
 一方、働きたい労働者は本当に働けるのでしょうか。例えば強制的に退職を迫る、そういう定年制があるのは世界的に見て日本だけなんですね。定年制を定めている企業の九〇%が定年を六十歳以上としていますけれども、そのほとんどが六十歳定年である。六十歳以上の定年制を採用している企業は六%にしかすぎないのです。
 また、定年前にやめた人が三七・一%、大企業では退職者の四四%が定年前の労働者となっています。新日鉄の八幡製鉄の労働者、会社は六十歳定年制ですが、現場で六十歳まで勤め上げる人はほとんどいないうちの職場でことし一人いたかどうかと言っています。早期退職や出向の強要、首切り、リストラ、これを名目にした人員削減などで、定年前に職場を追われる中高年のサラリーマンがふえています。
 また、六十歳から六十四歳の有効求人倍率でも○・○八倍で、十二、三人に一人しか仕事がない、働きたくても働けない、そういう状況にあります。日経連の永野会長も八月の経営トップセミナーの講演で、日本の製造業は急速に空洞化し、雇用を大幅に削減することになる、日本は大失業の発生という事態に直面しており、雇用の減少は数百万あるいは千数百万といった規模になると言っています。
 六十歳定年の義務化や継続雇用制度の導入だけでは将来も状況がよくなるとは思えません。つまり、仕事につけない労働者の年金給付引き延ばし、これは一方では、やはり同じように生存権にかかわる問題なんだということです。その点についてどうですか。
#272
○近藤(純)政府委員 確かに現在の雇用状況というのは、特に高齢者にとりましては非常に厳しい状況になっているというのは御指摘のとおりかと存じます。ただ、これから若年の労働力が減りまして、二十一世紀になりますと、高齢者の活用なくしては活力ある長寿社会というのは築けないだろう、とともに、年金を今のままでいきますと、若人の負担というのは大変になる、こういう事態になるわけでございまして、やはりこれからの社会におきましては、できるだけ働いてもらうというふうな社会をつくっていくべきではなかろうか、こういうふうに思っているわけでございます。
 その職場というのもこれから政府として、これは労働省が中心になろうかと思うわけでございますけれども、私どもも十分協力いたしまして、その高齢者の活用というものが十分にできるように政府として全力を挙げていく必要があるというふうにも考えているわけでございます。
 確かに個々の方を見ればそういうことはあろうかと思いますけれども、これからの全体の社会を考えます場合にはそういう方向に行かざるを得ないのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
#273
○岩佐委員 大分長い御答弁をいただいたのですけれども、それで時間がなくなりました。
 今回の年金改正というのは、私は、六十年改正に匹敵する非常に大きな改正だと思うのです。ですから、これからこの委員会で私も、例えば国庫負担の問題、若い世代の負担の問題、あるいは国民年金の空洞化の問題、積立金の問題等あれこれ聞きたいのですけれども、十分審議を積み重ねていかなければいけないと思います。そのことを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
#274
○岩垂委員長 次回は、明二十日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時公聴会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後七時八分散会
ソース: 国立国会図書館
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