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1994/10/25 第131回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第131回国会 厚生委員会 第6号
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1994/10/25 第131回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第131回国会 厚生委員会 第6号

#1
第131回国会 厚生委員会 第6号
平成六年十月二十五日(火曜日)
    午前十時十分開議
出席委員
  委員長 岩垂寿喜男君
   理事 衛藤 晟一君 理事 木村 義雄君
   理事 鈴木 俊一君 理事 戸井田三郎君
   理事 井上 喜一君 理事 石田 祝稔君
   理事 山本 孝史君 理事 網岡  雄君
      荒井 広幸君    小野 晋也君
      熊代 昭彦君    近藤 鉄雄君
      塩崎 恭久君    七条  明君
      竹内 黎一君    長勢 甚遠君
      根本  匠君    堀之内久男君
      山口 俊一君    青山 二三君
      岩浅 嘉仁君    塚田 延充君
      福島  豊君    桝屋 敬悟君
      矢上 雅義君    柳田  稔君
      米田 建三君    金田 誠一君
      五島 正規君    土肥 隆一君
      森井 忠良君    三原 朝彦君
      岩佐 恵美君
 出席政府委員
        厚生大臣官房長 山口 剛彦君
        厚生省年金局長 近藤純五郎君
 委員外の出席者
        厚生委員会調査
        室長      市川  喬君
    ―――――――――――――
委員の異動
十月二十五日
 辞任       補欠選任
  藤本 孝雄君     七条  明君
同日
 辞任        補欠選任
  七条  明君     藤本 孝雄君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、第百二十九回国会閣法第二六号)
 派遣委員からの報告聴取
     ――――◇―――――
#2
○岩垂委員長 これより会議を開きます。
 第百二十九回国会、内閣提出、国民年金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、本案審査のため、宮城県及び京都府に委員を派遣いたしましたので、派遣委員から、それぞれ報告を求めます。第一班網岡雄君。
#3
○網岡委員 第一班の宮城県の派遣委員を代表いたしまして、団長にかわりまして私からその概要を御報告申し上げます。
 派遣委員は、岩垂寿喜男委員長を団長として、理事鈴木俊一君、理事山本孝史君、委員井奥貞雄君、委員桝屋敬悟君、委員三原朝彦君、それに私、網岡雄を加えた七名であります。なお、現地において、大石正光議員、千葉国男議員が参加されました。
 現地における会議は、十月二十四日午前十時より午後零時十九分まで、ホテル仙台プラザ会議室において開催し、まず岩垂団長から、派遣委員及び意見陳述者の紹介並びに議事運営の順序等を含めてあいさつを行った後、宮城県厚生年金受給者協会会長廣谷円三君、財団法人北海道難病連理事・多発性硬化症部会会長田中士郎君、連合宮城事務局長佐々木良夫君の三名の方から参考意見を聴取いたしました。
 その意見内容につきまして、ごく簡単に申し上げます。
 廣谷君からは、このたびの年金制度改正法案の内容について、厚生年金の六十歳から六十四歳の別個の給付の実施、年金と雇用の調整、ネット所得スライド制の導入等は適切で高く評価するものであり、全面的に賛成であり、国庫負担問題と切り離して早期に成立することを要望する旨の意見が述べられました。
 田中君からは、無年金障害者対策の必要性についての意見が述べられました。
 佐々木君からは、今回の改正は前向きで積極的に評価できる点はあるが、厚生年金の六十歳から六十四歳の別個の給付を、定年後働くことが困難な場合現行どおり満額の年金を支給するよう改めること、在職老齢年金の一律二割カットを撤回すること、雇用保険の失業給付受給者に対する厚生年金の別個の給付の支給停止は、六十歳前半層の雇用機会確保と公的年金制度一元化の展望が明らかになるまで実施しないこと、雇用保険の高年齢雇用継続給付と厚生年金の別個の給付の調整は撤回すること、新たな制度は次期財政再計算の際に高年齢者の雇用状況と基礎年金の国庫負担の状況を踏まえて見直すこと等の意見が述べられました。
 意見の陳述が行われた後、各委員から、年金制度の仕組みとしての社会保険方式と税方式の評価、ネット所得スライド制の導入、基礎年金国庫負担問題と介護システム問題を踏まえた今後の福祉ビジョンヘの取り組み方、障害者の福祉と生活保障及び障害者の税負担、今回の年金制度改正内容の全体的に眺めての許容範囲、年金一元化問題等について熱心に質疑が行われました。
 なお、会議の内容を速記により記録いたしましたので詳細は会議録によって御承知願いたいと思いますので、会議の記録ができましたならば、本委員会議録に参考として掲載されますようお取り計らいをお願いいたします。
 以上をもって第一班の報告を終わりたいと思いますが、今回の会議の開催につきましては、関係者多数の御協力により、極めて円滑に行うことができた次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#4
○岩垂委員長 第二班戸井田三郎君。
#5
○戸井田委員 第二班の京都府につきまして、派遣委員を代表いたしまして、私からその概要を御報告申し上げます。
 派遣委員は、団長を務めました私のほか、理事井上喜一君、委員熊代昭彦君、委員山口俊一君、委員青山二三君、委員柳田稔君、委員土肥隆一君、委員岩佐恵美君の八名であります。なお、現地において、伊吹文明議員が参加されました。
 現地における会議は、十月二十四日午前十時より午後零時三十六分まで、京都センチュリーホテル会議室において開催し、まず、私から、派遣委員及び意見陳述者の紹介並びに議事運営の順序などを含めてあいさつを行った後、株式会社木下製作所代表取締役会長・島津工業会理事長木下隆徳君、無年金障害者の会代表鈴木静子君、連合京都会長代理・ゼンセン同盟京都府支部長梅本鎮雄君、年金問題研究家上西和郎君、日本福祉大学教授真田是君の五名の方から参考意見を聴取いたしました。
 その意見内容について、ごく簡単に申し上げます。
 木下君からは、改正案に全面的に賛成であり、急速な人口構成の高齢化が進む中で、年金制度の長期的安定を図るためには、年金受給世代への給付と現役世代の負担とのバランスを図ることが不可欠であり、改正が急がれる旨の意見がありました。
 なお、上西君からは、改正案に基本的には賛成だが、年金積立金の被保険者還元融資の範囲の拡大及び貸付額の引き上げ、厚生年金及び国民年金の遺族年金の支給条件及び業務上の災害補償に関
する共済年金との格差是正、在職老齢年金の調整基準額の引き上げ、雇用保険の失業給付と年金支給との併給調整の緩和等について検討されるべきである旨の意見がありました。
 鈴木君からは、まず、無年金障害者救済の要望があり、老齢厚生年金の六十五歳からの支給並びに保険料率の引き上げに反対、真田君からは老齢厚生年金の六十五歳からの支給並びに保険料率の引き上げには賛成できず、もっと時間をかけて論議すべきなどの意見がありました。
 梅本君からは、六十歳から六十四歳までの別個の給仕については、働くことが困難な場合には現行どおり満額の年金を支給すること、在職老齢年金については、在職者に対する一律二割の年金カットの撤回、雇用保険の失業給付受給者に対する年金支給停止の実施を延期、高年齢者雇用継続給付と年金の調整については撤回、今回の改正による新制度については次期財政再計算時に見直すことを明記、基礎年金の国庫負担率の引き上げを明らかにすること等の意見がありました。
 以上のような意見が述べられた後、各委員から、六十歳以上の高齢者雇用の現状と今後の施策、基礎年金の国庫負担率の引き上げの場合の財源、無年金障害者の実態調査と対策、パートタイマーの女性の厚生年金の適用、第三号被保険者の基礎年金の保険料負担のあり方、最終的な保険料率を現行の二倍程度の三〇%内にとどめる方針の評価等について熱心に質疑が行われた次第であります。
 なお、会議の内容を速記により記録いたしましたので詳細は会議録によって御承知願いたいと思いますので、会議の記録ができましたならば、本委員会議録に参考として掲載されますようお取り計らいをお願いいたします。
 以上をもって第二班の報告を終わりたいと思いますが、今回の会議の開催につきましては、関係者多数の御協力により、極めて円滑に行うことができた次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#6
○岩垂委員長 以上で派遣委員からの報告は終わりました。
 お諮りいたします。
 ただいま報告のありました第一班及び第二班の現地における会議の記録が後ほどでき次第、本日の会議録に参照掲載することに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○岩垂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔会議の記録は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#8
○岩垂委員長 この際、暫時休憩いたします。
   午前十時二十一分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕
  〔参照〕
    ―――――――――――――
   派遣委員の宮城県における意見聴取に
   関する記録一、期日
   平成六年十月二十四日(月)二、場所
   ホテル仙台プラザ三、意見を聴取した問題
   国民年金法等の一部を改正する法律案(第
   百二十九回国会、内閣提出)について四、出席者
 (1) 派遣委員
   座長 岩垂寿喜男君
      鈴木 俊一君    井奥 貞雄君
      桝屋 敬悟君    山本 孝史君
      網岡  雄君    三原 朝彦君
 (2) 現地参加議員
      大石 正光君    千葉 国男君
 (3) 政府側出席者
        社会保険庁次長 佐藤 隆三君
        厚生省年金局企
        業年金国民年金 小林 和弘君
        基金課長
 (4) 意見陳述者
        宮城県厚生年金 廣谷 円三君
        受給者協会会長
        財団法人北海道
        難病連理事   田中 士郎君
        多発性硬化症部
        会会長
        連合宮城事務局 佐々木良夫君
        長
     ――――◇―――――
    午前十時開議
#9
○岩垂座長 これより会議を開きます。
 私は、衆議院厚生委員長の岩垂寿喜男でございます。
 私がこの会議の座長を務めますので、よろしくお願いいたします。
 この際、派遣委員団を代表いたしまして一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様御承知のとおり、当委員会におきましては、国民年金法等の一部を改正する法律案の審査を行っているところでございます。
 当委員会といたしましては、法案の審査に当たり、国民各界各層の皆様から御意見を聴取するため、御当地におきましてこのような会議を催しているところでございます。
 御意見をお述べいただく方々には、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。忌憚のない御意見をお述べいただくようお願い申し上げます。
 まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。
 会議の議事は、すべて衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、座長の許可を得て発言していただきたいと存じます。
 なお、この会議におきましては、御意見をお述べいただく方々は、委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。
 次に、議事の順序につきまして申し上げます。
 最初に、意見陳述者の皆さんから御意見をそれぞれ十五分程度お述べいただきました後、委員より質疑を行うことになっておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。
 出席委員は、自由民主党の鈴木俊一君、改革の山本孝史君、井奥貞雄君、桝屋敬悟君、日本社会党・護憲民主連合の網岡雄君、新党さきがけの三原朝彦君、以上でございます。
 次に、各界を代表して御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。
 宮城県厚生年金受給者協会会長廣谷円三君、財団法人北海道難病連理事・多発性硬化症部会会長田中士郎君、連合宮城事務局長佐々木良夫君、以上の方々でございます。
 それでは、廣谷円三君から御意見をお願い申し上げます。
#10
○廣谷円三君 ただいま御指名をいただきました宮城県厚生年金受給者協会の廣谷円三と申します。
 お隣の山形県から宮城県に移り住んで三十八年、満七十歳を契機に現役を退き、ようやく年金収入を糧とした生活に入り、目下受給者協会会員二万五千人とともにその力を合わせ、豊かな年金生活を実現するため、年金制度を守り立て、会員相互の福祉の向上はもちろんのこと、会員相互の融和交流を図り、さらには社会貢献型生きがい対策事業の実施などに努力をいたしておるものであります。
 このたび、衆議院厚生委員会地方公聴会に意見陳述者として指名をいただき、国民年金法等の一部を改正する法律案についての意見を申し述べる機会を賜りましたこと、まことに光栄に存ずるとともに、その責任の重大さを痛感しておるところであります。
 また、突然の指名なので、受給者協会会長の立場の御指名推薦かと心得ますが、協会としての事前協議開催のいとまがなくしたがいまして会長廣谷個人の主観による意見開陳として御理解を賜りますようお願いを申し上げるものであります。
 さて、厚生年金が誕生して五十二年、国民年金が発足して国民皆年金になって三十三年が経過し、今や年金は国民の老後生活設計になくてはならない重要な柱になっておりますことは御承知のとおりでありましょう。
 以下、改正法案に対する意見を申し上げたいと思います。
 まず第一に、本格的な高齢社会を活力ある長寿社会とするため、高齢者の雇用の場の確保を初め社会経済全体のあり方が問われる中で、年金制度もこれに対応し、人生八十年時代にふさわしいものに見直すこと。このため、年金制度を高齢者雇用の促進と連携のとれた仕組みとすることとされております。
 本格的な高齢社会にふさわしい年金制度としていくということは、人生八十年時代では六十歳引退あるいは定年社会から六十五歳現役社会への切りかえが必要とし、改正案では、六十歳代前半は賃金と年金で生活設計する期間と位置づけ、年金中心の生活となる六十五歳からの本格的な年金とは別個に、現行の半額程度の年金を支給する形へと二〇〇一年から二〇一三年にかけて段階的に切りかえていく方法とされ、まさに適切な対応と思料いたすものであります。
 雇用と連携のとれた年金制度としていく問題については、高齢者の高い就業意欲にこたえた高齢者雇用の促進を図るとともに、年金制度も雇用促進的なものにしていく考えで、これが改正案においては、六十歳代前半の雇用を促進するため、働くことによって総収入が増加するよう在職中の年金支給について改善されております。また、雇用保険の給付と所要の調整を行うとし、失業給付を受けている場合は年金の支給を停止する、また高年齢雇用継続給付を受けている場合は一定の調整を行うとして、これは政府関係各省間の適切な連携措置として高く評価をいたしたいと存じます。
 二番目に、高齢化が急速に進展していく中で、年金制度を長期的に安定させるため、将来にわたり給付と負担のバランスを図ること。
 年金受給世代と現役世代のバランスの確保の問題でありますが、将来の現役世代に過重な負担が生じないよう、必要な給付は確保しながら、最終保険料率を少なくとも現在の二倍程度の三〇%を超えないように改められるものであり、その中身は、年金額の引き上げ、あるいはネット所得スライドの導入、あるいは賞与からの特別保険料の導入、厚生年金の保険料率の改定、あるいは国民年金の保険料の改定等々であります。
 今回の改正法案は、二十一世紀の超高齢社会においても年金が老後生活の主柱として安定運営され、後世代の負担を過重なものとしないための必
要な改革であり、予想以上の速さで進む高齢対応の年金分だけは保険料は徴収されておらず、いわゆる持ち出しで大きな赤字を生み出してくることになるのではないでしょうか。
 民間の個人年金だと、その分を予測して高い保険料として徴収するから赤字の心配はないが、そのかわり保険料が高額になると聞いております。公的年金と企業あるいは個人年金はおのずとその趣旨や性格は異なるものであっても、年金として老後生活の主柱の一部を目的とすることには変わりはないと思います。
 そこで、公的年金における財政対策として、いろいろと社会保険方式のもとにおける国庫負担のあり方、財源確保の方策など中長期的観点に立って十分検討する必要がありますが、今回の改正案は、国庫負担問題と切り離して早急に本案の成立を特に切望するものであります。
 終わりに、平成六年は財政再計算の年で、五年に一度の年金制度の定期点検に当たり、点検の結果、国民年金法等の一部を改正する法律案として三月十八日さきの国会へ提出、六月二十九日前臨時国会で継続審議と決定した経緯を経て、今国会においていよいよ御審議をいただく運びになりました回五年に一度の年金額の実質的な引き上げや障害年金の改善等を十月から実施することとしているので、年内に支払うには一日も早い法案の成立が必要であります。公的年金受給者二千八百万人の私たち年金生活者の五年に一度の給与改定でもあり、生活弱者の最大の期待事項でもあります。また、福祉年金受給者七十万人については十一月十一日の支払い日、二千八百万人については十二月十五日の支払い日に間に合わせるよう、成立をぜひともお願い申し上げる次第であります。
 以上をもって私の意見開陳といたします。終わります。
#11
○岩垂座長 ありがとうございました。
 議事の途中でございますが、現地参加の議員として、改革の大石正光君が出席されましたので、御紹介を申し上げます。
 それでは、議事を続行いたします。
 次に、田中士郎君にお願いをいたします。
#12
○田中士郎君 まず初めに、本日この場所で意見を開陳する機会に恵まれましたことを大変にうれしく思っております。並びに、関係者の皆様に深く感謝いたします。
 それでは、時間もございませんので早速本題に入りますが、お聞きのとおり、私は若干言語障害がございますので、お聞き取りにくい点は、お手元に配布しましたプリントをご覧いただければ大変にうれしく思います。
 では最初に、私が発病して無年金となった経過について申し述べたいと思います。
 私が発病したのは、昭和五十一年、二十四歳時、当時北海道大学大学院二年在学中でした。病名は多発性硬化症、略称でMSと呼ばれる病気です。
 当時、学生の国民年金加入は任意でありまして、その制度がどのようなものであり、また任意加入ということがどんな結果を引き起こす可能性があるかということは、当人はもとより、保護者に対してさえほとんど知らされていませんでした。さらに、当時大学卒の初任給が大体十万ちょっと切るぐらいだと思っておりますけれども、その当時の国民年金の保険料は、私の感覚ではかなり割高だったように記憶しています。実は、この九千円という数字はあいまいでありまして、当時千四百円というふうに聞きましたが、果たしてこのようなものかなと、今でも何かキツネにつままれたような思いがしております。そういうわけで、保護者にとっても国民年金の保険料はかなり割高だったような感覚があったと思っております。ですから、当時の学生はほとんど国民年金には加入していませんでした。
 御存じのとおり、今の年金制度では、未加入の状態で障害者になった場合は障害年金の支給対象にはなりません。私の場合も、発病から十九年間無年金の状態が続いています。
 次に、現在までの職業と経済状態について申し述べたいと思います。
 発病後、入院生活が五年、重度身体障害者更生援護施設が三年という経過を経て、私は昭和六十年三月に砂川市にある北海道身体障害者職業訓練校を修了しました。当時の身体障害者に開かれた職域というのは、クリーニングや印刷等の極めて狭い範囲でしかありませんでした。それは、私のように体幹に障害を持つ者にとって大変につらい状況でした。結局、職業訓練の一年間は公費によりある程度生活の保障は得られたのですが、訓練期間を終えてしまえば、後は経済的な保障は全くありませんでした。もっとも、福祉手当が一万円弱はあったのですが……。
 そのようなわけで、家族に頼る生活を送っていましたが、その時期にパーソナルコンピューターの勉強を始め、昭和六十二年の秋に第二種情報処理技術者の資格を取得、六十三年から身障者仲間と小規模授産所を始めました。ただし、この時期の収入は、働いているとはいっても、一月置きに二万円とかそれぐらいでしたから、依然として経済的には家族に頼る状況は変わりませんでした。それでも平成二年ごろになると月に五万円ぐらいの収入にはなるようになりましたから、幾らかはよくなってきたと言えます。
 そうこうしているうちに、平成三年春に、TSD株式会社、これはソフトハウスですが、そこで身体障害者の募集があり、私もそれに応募して、五月に採用されました。初任給は十七万円でした。それからの二年間は、私にとって唯一経済的に安定した時期でした。それも結局、不況によるリストラで解雇され、TSDはその二カ月後に倒産しているわけですが、現在は北海道難病連で会計伝票のコンピューター入力のアルバイトをして若干の収入を得ています。ただし、定期的に仕事があるわけではなく、収入とはいっても月に七万円程度ですから、食べていくのがやっとといったところです。さらに、父が脳梗塞で入院していますし、母ももうすぐ七十歳になります。現在は弟と同居していますが、弟が独立してしまえば、定期的に得られる収入は、父の障害年金と母の老齢年金だけになります。はっきり言って、今後に明るい状況はありません。
 次に、社会保障ということについて私の個人的な意見を若干述べたいと思います。
 現在の年金額は果たして憲法の言う「文化的な最低限度の生活」を保障しているものなのだろうかというと、もちろんそうじゃない、低過ぎると思っていますが、だからといって無年金障害者の問題を放置しておくことは、私を含めて、そういう人たちには社会的な保障は必要ないんだということなんでしょうか。いや、現在の状況を見れば、老齢年金の六十五歳支給開始問題を見ても、それによって困窮する人が発生するのはわかっているのに、財源難を理由にいわゆる弱者は切り捨てられる方向に確実に向かっているように思われます。
 それでは、社会保障というのは何のためにあるのでしょうか。本来社会的な保障が必要ない人たちには、こんな話をしてもわからないかと思います。例えば、障害者が働くといっても、働く機会がまれであるのはもちろんのこと、賃金一つとっても健常者とは大変な格差があるのです。さっき私の初任給の話をしましたが、十七万円という金額が一般的に高いか安いかは別です。私のいた会社では、三十歳で三十万取る人というのは珍しくなかったのです。それに対して、障害者の中には手取りで十万円を切ってしまう人だって多かったのです。そんな中で、最低限度の生活を保障していくのが社会保障ではないでしょうか。言いかえれば、いろいろな意味で社会的な弱者をつくり出さないようにするのが社会保障の精神なのではないでしょうか。
 最後に、無年金障害者の問題について若干述べたいと思います。
 今までいろいろなことを申し述べましたが、無年金障害者の問題に関する限り、その対象というのは大体同じ世代に集中しています。ということは、年を重ねるごとに老齢化していくのです。ま
さかこの問題が老齢年金の問題と一体化してしまうことをねらっているわけではないのでしょうが、私たちにとってこの問題は一刻も早く解決していただきたい問題なのです。この問題はあくまで法体系の不備から生まれたものであると私は思っています。また、それを是正することもそれほど困難ではないと思っております。どうかこの問題に一日も早い解決が訪れますように、関係各位の御理解と実行をお願いします。
 以上です。
#13
○岩垂座長 ありがとうございました。
 次に、佐々木良夫君にお願いいたします。
#14
○佐々木良夫君 私は、本日の公聴会で日本社会党の推挙によりまして意見を申し上げることになりました連合宮城の事務局長の佐々木であります。きょうは、そういう意味で、宮城県内の勤労者、労働者を代表しての御意見を申し上げたいというふうに思います。
 実は、本題の年金問題に入ります前に、私たち労働者が全国組織でつくっております全労済といういわゆる労働者福祉事業団体があるわけですが、ここに加入をしている約四千八百人ほどの会員を対象に、現在の暮らしと老後の生活ということで、昨年の十月アンケート調査を実施をしました。
 その結果、現在一番不安なことは、また一番不満なことはという質問に対しまして、不安なことの第一位は、将来に備えた預金や保険、そして年金が不十分なことだというのが第一位でありました。第二位には、家族や自分の健康ということが答えられています。それでは不満なことはということにつきましては、税金や社会保険料が高いことだ、これが不満であるという回答が実はありました。
 それでは、これから改善あるいは充実させたいことは、こういう質問に対しまして、当然ながら、老後の備えということが約六六%でありましたし、第二に健康管理という答えであったわけであります。
 それでは、老後の生活についてどの程度不安を抱いているのかという数字的な結果を見ますと、多少不安とかあるいは身近な問題として不安がある、こういうことを合わせて七三・六%の人が老後の生活に不安がある、こういう数字が出ました。
 それでは、ゆとりある老後生活を営むためにどのくらいの生活費が必要ですか、こういう質問に対しまして、第一位は、三十万円から三十五万円というのが二三・四%です。第二位に、二十万円から二十五万円、一八%の方が答えています。平成五年の総務庁の家計調査によりますと、高齢無職世帯の実支出は一カ月二十六万四千円でありますから、ほぼ実態に近い控え目な必要金額を答えているかと思います。
 参考までに、連合本部が昨年の六月高年齢者の生活実態調査を行いましたが、その際、ゆとりある老後生活の必要経費はという質問に対しまして、三十六万六千円ということが答えとして返っています。
 一方、平成四年の厚生省の国民生活基礎調査によりますと、高齢者世帯で、所得のすべてを公的年金や恩給のみで賄っているという世帯は約四七%にすぎません。その他の方は、当然預金あるいはその他の個人年金と併用と考えられます。参考までに、公的年金だけで十分と答えられた方は、全体で一%にすぎませんでした。
 以上、これらの考え方に対しまして、現役労働者の不安材料はやはり何といっても老後の生活であり、そして、望んでいることは充実した公的年金の制度であるというふうに考えられます。そういう観点から、年金改正問題につきましては、十分御審議の上、我々労働者の意見を十分反映するようお願いを申し上げたいというふうに思います。
 まず、今回の年金改正案に対します総体的な考えてありますが、年金は世代間の助け合いによる老後の所得保障制度でありますし、その柱であると思います。私たち勤労者にとっては、年金は、できるだけ少ない負担でできるだけ多い年金を受け取れば一番いいのでありますが、今日の高齢化社会に伴って受給者も年金費用も大きく膨らみ、一方では支え手が少なくなってきていますので、将来を見据えた対応が必要だと考えます。
 今回の年金改正法案では、前回の一九八九年、平成元年の改正時に提案されました改正案とは異なりまして、私たち勤労者の意見を反映した部分もあります。その面では評価できる内容も含んでいるというふうに考えます。しかし、六十歳代前半の年金、いわゆる別個の給付について定年・雇用と年金の結合が不十分である点や、基礎年金の国庫負担の引き上げを見送っている点など、基本的課題については、残念ながら私たち勤労者の期待に十分こたえているとは言い切れない内容になっております。
 したがいまして、今回の改正案に対しましてこれから申し上げます五つの修正と三つの補強について、ぜひ御検討の上、実現していただければ幸いというふうに考えます。
 まず、その修正の第一には、六十歳から六十四歳の別個の給付につきましては、定年後に働くことを希望しても働く場所がないなど、働くことが困難な場合には現行どおり満額の年金を支給する措置をとっていただきたいという内容であります。
 昨年八月、労働省調査の六十歳から六十四歳までの有効求人倍率は〇・〇八であります。つまり、定年後働き続けたいと思っていてもなかなか仕事が見つかりません。したがって、新制度の導入は、希望すれば少なくとも六十五歳まで働けるような社会の仕組みが整うまで実施すべきでないというふうに考えます。今回の改正案では、六十五歳になるまでの年金は現在の半分程度、四十年加入で月十万前後になっているわけですが、これでは老後のゆとりある生活は送れないということにつきましては、先ほどアンケート調査の結果で申し上げた数字からも明らかだろうというふうに思います。
 第二に、在職老齢年金については、在職者に対する一律二〇%の年金カットを撤回していただきたいということであります。
 改正案は、賃金の増加に応じて賃金と年金の合計額が増加するよう改善されることは評価できるものの、就労時の所得保障のあり方や就労促進への諸対策などを踏まえて十分検討を加えるべきというふうに考えます。在職者の二〇%の年金を停止することは、短時間労働や小日数労働への誘導効果が働き、フルタイム労働など多様な選択を阻害することにつながり、現行制度の持つ問題点を引き継ぐおそれがあるものであります。したがいまして、一律二〇%カットは撤回していただきたいというふうに考えます。
 第三に、雇用保険の失業給付受給者に対する年金の支給停止については、少なくとも六十歳代前半層の雇用機会の確保と公的年金制度の一元化の展望が明らかになるまで実施しないでほしいという修正であります。
 改正案では、平成八年、一九九六年四月から、雇用保険の失業給付を受けていると年金がストップされます。失業給付と年金とでは受ける理由が相反することになりますし、また、社会保障財政の適正化という観点からも、併給調整をするという考えそのものは合理的と言えます。しかし、定年後働く場が少ない現状の中では、多くの勤労者にとっては定年後の唯一の生活費となっているのが現実であります。こうした現状を御理解をいただき、少なくとも今日の雇用環境の改善が見きわめられるまで、また公的年金の一元化の展望が明らかになるまでは実施を見送っていただきたいということであります。
 第四に、雇用保険制度に新設される高年齢雇用継続給付と年金の調整については撤回をしていただきたいという点であります。
 雇用保険改正により、来年四月から、定年後の賃金が定年時より一五%以上低い場合には、六十五歳になるまでの間、賃金の一定割合が雇用保険から支給されることになりました。しかし、この
高年齢雇用継続給付を受けていると、年金は賃金の一〇%分カットされてしまいます。これでは定年後の賃金に雇用保険で足し算をして年金で引き算をすることになり、高年齢雇用継続給付を新設した意味が半減してしまいます。したがいまして、雇用保険の高年齢雇用継続給付との調整は撤回していただきたいというふうに考えます。
 第五に、新制度については、次期財政再計算(一九九九年までに実施)時に、高年齢者雇用と基礎年金の国庫負担の状況を踏まえて見直すことを明記をしていただきたいということであります。
 新年金制度は六十五歳まで働くということが前提になっていますが、まだ、だれでも六十五歳まで働けるという環境にはなっていません。特に、労働省調べの有効求人倍率も先ほど申し上げましたし、あわせて、宮城県の平成五年の調査によりますと、六十歳定年がまだ七六・一%にしかなっていません。それから、五十六歳から五十九歳の定年が八・一%、五十五歳以下がまだ一〇・六、一割以上もあります。六十一歳以上の定年は五・二です。こういうことから考えましても、まだ六十歳定年すらも固定されていないという現状を踏まえて、ぜひ御検討いただきたいというふうに思います。
 また、年金財政の安定度合いは国庫負担の割合に大きく左右されます。したがって、新制度は、一九九九年に予定されている次期財政再計算時に高年齢者雇用と国庫負担の状況を踏まえて見直すことが不可欠であり、このことを法の中にはっきりと明記することが必要というふうに考えます。
 以上が五つの修正をお願いする部分です。
 続きまして、三つの補強する部分でありますが、まず第一に、基礎年金の国庫負担率の引き上げを明らかにしていただきたいという点であります。
 現在の基礎年金の国庫負担率は三分の一になっているわけですが、少なくともこれを二分の一程度に引き上げていただきたい。そのことによって将来の保険料率は二六%台になろうというふうに思いますし、国庫負担率をさらに三分の二まで引き上げますと、三二%台に抑えられることにもなるわけであります。そのための財源などについては、確実に減少していく恩給財源の組み入れや間接税の重点投入などによって確保することが可能だろうというふうに考えますので、今回の改正では国庫負担率引き上げの目標と道筋を法律の中にしっかりと明記するように求めていきたいというふうに思います。
 第二に、福祉ビジョンの明示であります。
 去る三月に厚生省は二十一世紀福祉ビジョンを発表しまして、福祉社会への理念と方向性を明らかにしましたが、基礎年金の国庫負担の引き上げや具体的な介護システム、総合的な子育て支援の内容などは盛り込まれていません。これからの年金のあり方を決めるに当たっては、社会保障の給付と負担の具体的な将来推計や社会保障全体の中での年金制度の位置づけなどについては、一省庁としてではなく、政府全体として国民が納得できるようビジョンを示すことが不可欠であろうというふうに思います。
 第三に、高年齢者雇用ビジョンの明示であります。
 去る六月に労働省は中期雇用ビジョンを発表しましたが、高年齢者雇用ビジョンという観点からは不十分であります。年金改正に当たって、政府は、二十一世紀初めには希望すればだれでも六十五歳まで働けるようになる高年齢者雇用ビジョンを国民に示す必要があるのじゃないかというふうに考えます。
 以上が三点の補強の内容であります。
 最後に、年金問題の国会審議が国民の目に見える、重要な法案にふさわしい十分な審議を尽くされるようお願い申し上げまして、私の発言を終わりたいと思います。
 以上であります。
#15
○岩垂座長 ありがとうございました。
 以上で意見陳述者からの意見の開陳は終わりました。
#16
○岩垂座長 この際、議事の途中でございますが、現地参加議員として、改革の千葉国男君が出席されましたので、御紹介を申し上げます。
 それでは、議事を続行いたします。
 これより委員からの質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木俊一君。
#17
○鈴木(俊)委員 自由民主党の鈴木俊一でございます。
 きょうは、公述人の皆様方には大変お忙しいところ御出席をいただきまして、貴重な御意見を開陳を賜り、本当にありがとうございます。特に田中公述人には遠く札幌からおいでをいただきまして、本当にありがとうございます。心から感謝を申し上げます。
 年金制度というものは社会保障の中で特に所得保障ということでありまして、国民の老後生活の支えという意味で大変重要なものでございまして、そういう観点から今回の年金法改正というものも国民各層から大変な注目を集めている、そんなふうに思っております。特に今回は、これから超高齢化社会、少子化社会、そういうものが間違いなくやってくるわけでありますから、そういう中においてもこの大切な年金制度というものを将来にわたって安定的なものにしていかなくてはいけない。そのために、いわば今までの五年ごとの改正とは違いまして、ある意味では枠組みを大きく変えるような、そういう重要な年金法の改正であると思っております。
 そういう意味では、私は、個別の改善というものもございますけれども、それよりも、例えば六十歳から六十五歳への支給年齢の引き上げとか、あるいはその間の六十歳代前半の雇用と年金の関係でありますとか、そういうものが重要であろうかと思います。しかし、さはさりとて、やはり一方において、現実に年金の受給をして実際に年金生活でお暮らしの方々につきましては、この個別の改善というものも大変重要な注目点であろうと思うわけであります。
 日本の年金制度というのは、昭和三十六年に国民皆年全体制というものが確立をいたしまして、逐次個別の改善事項についてもいろいろ手を加えられてきたわけでありますけれども、昭和四十八年には物価スライド制、標準報酬の再評価、それから前回の改正時には完全自動物価スライド制の導入、国民年金基金の創設、こういうように逐次充実を図っているわけであります。
 今回の改正に当たりましても、それら枠組みの中で基礎年金額の改善でありますとか、それから、これは新たになるのだと思いますけれども、遺族年金の改善、障害者年金の改善等々改善がなされるわけでありまして、現に年金受給者の方々は年内にこの改善による支給を望むというような、そういう早期成立についての御要望というものも、一万現実の問題として大変強いものがあるということを伺っております。
 そこで、まさに年金受給者の団体であります宮城県の厚生年金受給者協会の会長であります廣谷公述人にもおいでをいただいているわけでありますが、私の地元岩手県の年金受給者協会の方からも早期成立というものを大変陳情を受けました。恐らく本日御出席の厚生委員の各委員に対しましても、それぞれの地元からそうした御要望があったかと思います。そういうような早期成立の御要望というものはいわば一対一で伺っているわけでありますが、年金の審議をするこの地方公聴会におきましても、一応公式な形で、その辺の生の声、生のお気持ちというものをお伺いしたいと思いますので、廣谷公述人には、今回のこの個別の改善、それの評価と、それと同時に、早期成立の希望についての生のお気持ち、会員のお気持ち、そういうものをお聞かせいただきたいと思います。
#18
○廣谷円三君 先ほどの開陳でも申し上げましたように、せっかくの本日の開陳について、うちの会員の代表である理事あるいは役員の総意のまとまった意見として聴取はしてまいりませんでしたが、ふだんから役員会、その他行事等で会員と接
する機会が多うございます。その場合の話というものは、やはり年金をもらうこと。
 いろいろと問題はあって、我々が一番感じているのは、いろいろな条件が備わってみんなが長生きをするようになった。俗に高齢化と言われるわけですが、かつての人生五十年から八十年になって、もちろん国においてもこういった年金制度、恩給から始まりまして今の制度になって、先ほども何十年になりましたというようなことを申し上げましたが、これは人間として非常に幸せな先取りをしていると私は思います。五十年から八十年になった場合に、三十年の長生きという幸せをつかみ得た。これに対して金の手当てというものは、我々在職中にこういった手当てというもの、掛金というものはそう掛けないで、しかも年金を終身いただくという、それぞれ感じられないいいことが、みんなが享受できる長生きの世代になったわけです。そういう意味合いでは、年金は若い世代と年寄りの支え合い、あるいはそういう意味合いのことを言われているわけですが、そういった手当てもしない状態で終身金をもらえるということは、本当に幸せを先取りしていることだと私は思っております。
 そういうことを今度は、先ほど私は、国庫負担のあり方については別に切り離して、まず五年に一回の我々のベースアップを先に考えてください、あるいは早期に成立をお願いしますということを申し上げましたが、これらはいつも会員の話し合いに出てくる問題でございます。
 しかしながら、今、年寄りが一番金を持っているということをよく言われます。もちろん、現役時代に備蓄した金もあれば財産から生まれる貯蓄もあるだろうし、あるいは最たるものは年金の収入でございますけれども、やはり年寄り特有の計画的な金の使い方によって今までためてきた。それを今出す時期になって、孫どもに出すというふうなことで、気前よく出せば金持ちだと言われるかもしれませんが、生涯にわたって生きていくためにはやはり計画性のある金の使い方をしていかなければいけない。それと、万が一亡くなった場合にはこれを一緒に持ち帰るわけにはいきませんので、我々の後を担ってくれる若い人に残す分も考えながらやっていかなければいけないのじゃないか。
 こういうふうなことで、ふだんから我々会員同士では、五年に一回のベースアップを含めた年金の改定、いろいろ国の事情もございまして国会においては現在は継続審議ということになってきたわけですが、この辺はメリットいっぱいでよろしくお願いを申し上げたい、こう思っております。
#19
○鈴木(俊)委員 早期の成立ということで、我々もそのことを重く受けとめまして、金曜日の日には一日十時間という審議をいたしましたし、何とか、十一月十一日福祉年金の支払いも迫っておりますので、そういう気持ちでまた頑張りたいと思っております。
 次に国庫負担の問題でございますが、これは安定的な年金制度を考えますときに、将来きちっと考えていかなくてはならない、避けて通れない問題であると思っております。佐々木公述人におかれましてもこの問題に触れられたわけでございますが、一方において、今の年金制度というものは社会保険方式が基本でありまして、国庫負担の増大というものは、それが税方式にもやや踏み込んでいくということでございます。
 国庫負担の話をするときに、よくデメリットといたしましては、税方式に近づきますと、将来の景気の動向等によってそういう財源が不安定であるとか、あるいはほかの社会福祉施策との兼ね合いで年金財源にきちっと取れるかどうか、そういうデメリットも強調されるわけでありますが、この辺の御意見を佐々木公述人にお伺いいたします。
 それと同時に、廣谷公述人にお伺いいたしますけれども、将来、税方式、国民負担というものが上がりますと、今は世代の助け合いということで、現役世代が払い、そして年金受給者の方が給付を受けるということでありますけれども、年金を受ける方もいろいろ購買活動とかするわけでありますから、税方式に近づくと、これからだんだん税体系も、消費税、間接税が上がってまいりますと、受給者も消費税を払うというようなことで、ある意味では負担を分け合う。現役世代だけに任せるのでなしに、受給世代もそういう活動を通じて納税をするわけでありますから、負担を分け合う、こういうことにもなろうかと思うのでありますけれども、その辺のお考えをお伺いしたいと思います。
#20
○佐々木良夫君 確かに財源問題については国民的な合意が大前提だろうと考えています。そういう面で、私たちは今回のこの国庫負担率について、ことしからすぐに二分の一にしろということについても、それは極めて困難な部分があろうかというふうに思いますので、次期財政再計算時期の一九九九年でありますか、その時期までにひとつ財源問題も十分検討の上考えていただけないだろうかというふうに考えています。
 その場合、総合課税化の問題や不公平税制の是正の問題、当然益税の解消などもありますし、あるいは行政改革などぎりぎりまでひとつ詰めていただきながら、消費税の財源なども当然その中に考えるべきだろうというふうに思いますので、そういう観点からぜひひとつ御検討いただけたらという考えで申し上げています。
#21
○廣谷円三君 今鈴木先生からの質問はネット所得スライドの導入の件だろうと思いますが、私どもの協会ではクラブ活動がございまして、年金問題研究会というクラブがありまして、月一回の勉強会をしております。その際に社会保険事務所の専門官にお越しを願いましていろいろと勉強した範囲内でしか私中身がよくわかりませんが、厚生年金の再評価の方式の変更ということで、現役世代の賃金の上昇率というような問題のこのネット所得スライドの導入ですが、現行改定方式による再評価率が一・一七%で、手取り収入に基づく改定方式による再評価率が一・一六とした場合に、現役の方に若干多く、年寄りのもらう方は少し減るというようなことだろうと思いますが、これは年寄りの我慢限度額が、一七%と一六%でいきますと一%の差でございますが、仮に現役が十万で一%にしますと、我慢する方が一千円、この程度になる。
 それから、ことしの春に税調のヒアリングがございました。そのとき私も参加をさせていただいたわけですが、消費税の値上げの問題等について、これは年寄りだから負担しないとか、あるいは若い人だけだというわけでなくて、これは国民全体が負担をする税金であるという建前から、当然老齢者であっても納めなければいけない税金は納めるべきだということを私もはっきりと申し上げた記憶がございますけれども、そういう意味合いの一%の世代間の支え合いであれば、当然そのくらいなものは、我々同志の二千八百万人の受給者という方々はこの辺の理解はされるであろうというふうに思います。その辺よろしくお願いしたいと思います。
#22
○鈴木(俊)委員 質問時間が参りましたので、田中公述人にお伺いをしようと思いながら質問できなかったことは大変残念でございますが、田中公述人からは大変切実なお話をお伺いいたしました。福祉国家日本を目指していく中で、田中さんのようなお立場にある方のしっかりした年金あるいは福祉という全体の中で考えていかなくてはいけない、そういう思いを大変強くいたしました。これから田中公述人にも他の委員から質問があると思いますので、その質疑をお聞きしながら、私も大いにこれから考えさせていただきたいと思っております。
 それでは、時間が参りましたので、以上で私からの質問を終わります。
#23
○岩垂座長 続いて、井奥貞雄君。
#24
○井奥委員 私は、改革の井奥貞雄でございます。
 お三方の先生方には、早朝からお越しをいただきまして、多面的な御意見をちょうだいいたしまして大変ありがたく感謝を申し上げる次第でござ
       の御質問もございましたし、一部
        あろうと思いますが、今回の改
       は、二十一世紀の高齢社会に向け
   金制度を長期的に安定したものにしていくということが大前提でございまして、お話がありましたように五年に一度の改正案でございます。それぞれの先生方からお話がございましたが、この年金制度というのは、世代と世代間の助け合いの仕組みというのは当然でございますけれども、現世代の負担と年金受給世代への給付のバランス、これが確保されている必要があります。
 それで、廣谷公述人にお伺いをいたすわけでございますが、このような観点から、今回改正において厚生年金の年金額の改定のルールというものが変更されたわけでございますけれども、名目賃金に応じたものから、税、社会保険、この料率の負担を除いた実質賃金に応じたものとする、こういうことになっているわけでございます。このことは、年金受給世代にとっては厳しい内容でございますけれども、受給者を代表される廣谷公述人の御意見をまずお伺いをいたしたいというふうに思っております。
#25
○廣谷円三君 それは、先ほど回答したネット所得スライド制の導入の問題と絡む問題なんですよ。ちょっとその辺が私も理解しないで、そのまま聞き足りなかったのですが……。であるとすれば、先ほど鈴木先生の問いにちょっとあるいはピントが外れた回答をしたのかもわかりませんが、そういう意味合いで、十万対千円というような立場からすると、この辺の負担は支え合いの趣旨からすれば当然な問題でないかなというふうに考えております。
#26
○井奥委員 ありがとうございました。
 佐々木公述人にお伺いをいたします。
 けさの日本経済新聞にも「年金国庫負担率上げで賛否両論」と、こういうふうに推進派と慎重派に分けて一つの記事が出ておったわけでありますが、先ほどもお答えになられましたし、また御意見でも述べておられましたけれども、連合さんは基礎年金の国庫負担率を三分の二に引き上げるべきだという御主張を今もちょうだいをいたしましたが、仮に国庫負担率を三分の二に引き上げた場合には、現在約三兆九千億円の国庫負担が二〇二五年には現在価格でも十六兆円、現在と比較いたしましても約四倍にはね上がるわけでございまして、額にいたしましても十二兆円以上の増加が見込まれるわけでございます。連合はその財源をどういった形で賄おうとしておられるのか。御意見陳述の中には、それは一部間接税によって賄っていく、税方式、これを財源として、間接税を引き上げることによってそれを賄っていくのだ、こういったお話も伺ったわけでございますが、もう一度、これが二〇二五年にかなりの額になるわけでございまして、将来消費税の問題というものはこれは避けて通れない問題でございますが、この問題につきまして一点お伺いをしたいと思います。
 そして、二点目でございますが、保険料の拠出に応じて給付が行われる社会保険方式という今の年金の仕組みというのは一公平で我が国に定着をしているというふうに私は考えるものでございますが、こういう社会保険方式のメリットと国庫負担率の引き上げとの関係というものはどういうふうに考えておられるのか。特に、二分の一ということであれば、これは二〇二五年には二六%、三分の二では二二%、こういうことでございますけれども、そういう面を考えましても今一番大切な時期だろうというふうに思っておりますので、この二点につきましてお答えをいただきたいと思っております。
#27
○佐々木良夫君 先ほども若干お答えしましたが、特に財源問題につきましては当然重要な課題だろうというふうに理解をしております。そういう面では、総合課税化の問題あるいは資産課税など、行政改革も含めたぎりぎりの努力は当然していただかなくちゃならないというふうに考えています。特に、そういう面では、消費税だけでやるということについてもかなり厳しい状況が当然あろうというふうに思いますので、いわゆる可処分所得のスライドの導入だとか、あるいは将来の保険料率の問題も当然考えなくちゃならないということはもちろん一つに入ろうと思います。
 それから、私たち連合では、部分就労、部分年金の導入などもやはり考えていく必要があるのじゃないか。現在の状況でいくと、働きながら年金を併給をされるということで、今までも多分そうだろうと思うのですが、ややもすると働く意欲が低下されるような特に今回のこの改正案、それを、意欲を持って働けるようなそれなりの制度というものが当然あっていいのじゃないかというふうに思います。
 ただ、あと後者の質問の中に関係すると思うのですが、一般的に私たち労働者の場合、特に私たち民間の場合のことを考えた場合、高卒であれば十八歳ないし十九歳で会社に入る、大卒であれば二十二歳なり二十三歳で会社に入って、厚生年金をいや応なくといいますか、言ってみれば本人の意に関係なく支払わなくちゃならない。大方の労働者は、少なくとも十八歳ないし二十二歳から定年の六十歳まで厚生年金を掛けたのだから、払ったのだから、自分が掛けた、払った分から当然貯金を引き出すかのごとくに支給されるものなりというふうに私は理解していると思うのですね。つまり、その時点時点でのいわゆる年金受給者に現在働いている現役の労働者が年金を支給するというふうには逆に余り理解をされてないのじゃないかという気がしてならないわけですね。
 実は、私自身も、ここ二、三年前ぐらいまでは、少なくとも自分が掛けた年金、いわゆる厚生年金が自分の掛けた金額に応じて支給されるものなりというふうに理解していた一人でもありましたので、その面がこれから特に少子化の問題とあわせながら、いわゆるピークになる二〇二〇年代でありますか、現在労働者十人で一人の年金生活者を賄っているのがピーク時にいずれ四人に一人ぐらいになるだろうという、このことを想定してのやはり安定した年金制度ということでしょうから、それとあわせて、今前段で申し上げましたような勤労者の考え方、と同時に年金を受けられる方々何人を賄えるかとなると、十人が四人になる、その先どうなのかということが全然わかりませんけれども、いずれ、これまた少子化の問題と無関係な問題でないだろうというふうに思いますので、そういう意味では、関連して申し上げてみましたいわゆる福祉ビジョンの問題だとか二十一世紀の問題を含めて、やはり真剣に考えないと取り返しのつかないことなども出てくるのじゃないかというふうに考えます。
 そういう意味では、私たち労働者の立場からいえば、ある程度納得のいく給付と納得のいくいわゆる支給、年金制度ということであれば、当然負担することについては何ら異論はないというふうに考えています。
#28
○井奥委員 ありがとうございました。
 納得のいくというところが大変大切でありまして、納得のいくという方法というものをこれからもまた御議論をさせていただきながら、やはり負担と給付の問題というのは大切な問題でございますから、お互いが逃げて通れない、避けて通れない問題でございますので、さらにまた何かの機会で佐々木さんとも御議論をさせていただければありがたいというふうに思っております。
 時間が限られておりまして、あと四分しかないわけでございますので、田中公述人にお伺いをしたいと思っております。
 障害をお持ちになられて大変な御苦労をされておられる、そしてまた、こうしてここで意見の陳述をなさるそのお姿を拝見していても、まだ田中さんのような方は恵まれておられる方ではないかな。もっともっとそういった形で、こういったところで意見陳述もできない、あるいはもっと陰の分野でしっかりと、しかし支え合って生きておられる方々がたくさんいらっしゃるというふうに思うわけでございます。しかしまた、こういった障害のあるなしにかかわりませず、すべての人が平等に社会生活を送れるようにするということが私
たちに課せられた大きな使命であるわけであります。そのためには、福祉とか医療とか、あるいは厚生行政にとどまらなくて、町づくりとかあるいは交通、教育、すべての分野における取り組みが今必要であります。
 所得保障は障害を持った方の生活を支えるものとして大きな役割を担っているということを承知をいたしておりますが、年金受給権のない方々にとって所得保障問題への要望が切実なことはもっともであると私も考えているわけであります。しかし、社会保険の仕組みというのでしょうか、その仕組みをとっている年金制度としては、加入していなかったり保険料を滞納していた場合に年金を支給することはできないというこの原則も、なかなか崩しがたいものがあるわけでございます。大変矛盾をしているということもあるわけでありますが、この点について今田中公述人の御意見をお伺いをしたいと思います。
#29
○田中士郎君 社会保険方式というものを考えれば、確かにおっしゃるとおりになると思いますけれども、無年金障害者の解消という視点だけに絞りますと、社会保険方式というものが果たしてそのまま当てはまるのかなという気はしています。というのは、いわゆる所得保障だとかそういうことは、あくまでも社会の行動としてそれを保障していかなければならないものだという考え方に立って私たちは行動をしているわけです。その中で、社会保険方式はもともと基本的に社会が持つものだろうかなという疑問があるのですね。その中で、やはり我々無年金者の所得保障というのはどうも社会保険方式で賄われるものではないような気がしています。そういう意味で、ぜひ公的な負担というのをお願いしたいなと思う次第であります。
#30
○井奥委員 委員長、ありがとうございました。
#31
○岩垂座長 桝屋敬悟君。
#32
○桝屋委員 三人の公述人の方、朝早くから本当に御苦労さまでございます。時間も限られておりますので、すぐ質問に入りたいと思います。
 今田中会長の方からお話がございましたけれども、実は無年金の問題は、私どものところにもいろいろと今回の改正の機会をとらえて相当強いお声をいただいております。私ども大変心を痛めているわけでございますが、残念ながら無年金の問題あるいは障害年金の問題を真正面から取り組むことはちょっと今回難しかったわけでございます。
 最初に田中会長にお聞きしたいのは、実は国レベルにおいても、障害者、重度の身体障害をお持ちで無年金になっている方の実態というのは、五年に一回身障者の全国的な調査もやられていますが、実態が判然としないというところがございます。相当数いらっしゃるというお声もあるのですが、会長、どうでしょうか、最近、会長さんを取り巻く会員の方々で、障害が発生をして結果的に障害が固定をしても無年金にならざるを得ない、こういうケースというのは結構多うございますか。そんな最近の動向をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#33
○田中士郎君 こういう人たち、無年金の人たちがこれくらいいますよという統計は厚生省の方でとるわけがないのですが、そうは申しましても大体の数はつくらなければなりませんね。
 これは障害者に限らないのですが、老齢年金とかそういうものも全部ひっくるめた数字として把握していただきたいのですが、大体全国で二十万人の方が無年金状態にあると推定しています。そのうち障害者がどれくらいであるかとかそういう細かい数字については、大変申しわけないのですが、私たちの方の勉強不足もありまして、はっきりした実態というのはつかんでおりません。
#34
○桝屋委員 ありがとうございます。
 障害者の実態調査というのは五年に一回きちっとやっているわけでございまして、私どももぜひ次なる調査ではこうした所得保障の実態というものもきちっと把握できるようにひとつ努力をしてまいりたいというふうに考えております。
 先ほど田中会長から、社会保険方式において今の無年金というものは全部は救いがたいという、今の制度の限界というものはある程度お認めいただいたような気もするのですが、ただ、障害者を取り巻く年金の今のありようといいますか、所得保障の年金額、基礎年金の額の問題、さらには、最近障害の方が随分、会長も難病関係をやっておられますけれども、難病に基づくいろいろな障害、内部障害者もひっくるめて障害のカテゴリーが広がっている、こうした認定上の問題、そしてさらには今の無年金の問題、こういう大きなマクロの観点でひとつとらえて政府においてもきちっと対策を講ずる、そういう取り組みにかかるべきではないかというふうに私どもは考えておりますが、会長さんのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#35
○田中士郎君 まさに先生のおっしゃるとおりだと私も思っております。ただ、現実問題として、なるべく早期にというのが私たちの願いであります。というのは、先ほども申し上げたとおり、本当に高齢化が進んでしまえばそういうことは意味をなさなくなるおそれがあるからです。ですから、一刻も早くそういう問題を解決していっていただきたいと思っております。
#36
○桝屋委員 早く取りかかれ、こういうお声でございますので、今のお声は非常に大事に、私ども重く受けとめて取り組んでいきたいというふうに思います。
 最後に、もう一点田中会長にお聞きしたいのですが、取りかかるにしても、どうしてももう少し時間もかかるわけでございまして、ましてや今のように障害年金全体の問題としてとらえて検討にかかると、時間もある程度かかるだろう。今言われた現実の問題として現に無年金で置かれている方々、こうした方々に対しては、老齢年金まで待つのかという厳しい御指摘もありましたけれども、当面の福祉的措置として、ぜひ会長さんの方から要望したいという具体的な御提言等がありましたらお聞かせいただきたいと思います。
#37
○田中士郎君 例えば、現在、二十歳前に初診のある障害者については基礎年金分が支給されておりますよね。そういう措置を私たちについても、ぜひ適用していただきたい、そういうふうに思っている次第です。
#38
○桝屋委員 できるだけ早くこの問題は一つの政策にのっけて検討が開始できるように私ども頑張ってまいりたいというように思います。
 それから、佐々木局長にお伺いしたいのですが、先ほどから話も出ておりますので、五つの修正、三つの補強、もう何度もお聞かせいただいておりまして、いよいよ山に差しかかっておりますので、私ども何とか一定の方向を出したいというふうに思っているわけでございますが、実は今回のこの検討で、大変に私どもも不幸なのは、まさに連合さんも三つの補強の中で言われていますが、現在、年金の問題が財源もひっくるめて年金だけで語れない。先ほど不安という話をアンケート調査から御指摘をいただきまして、まさにそのとおりだろう。老後の不安というのが大変に大きいわけでございまして、二十一世紀へ向かってこういう国民の声を政治としては解決していかなければいけない、そんなふうに思っているわけです。
 ただその場合に、これは所得保障の年金だけではなくして、介護のシステムといいますか、極めて現在貧弱なシステムでございまして、抜本的にこれは取り組まないといけない問題があるわけでございまして、そうしますと、当然ながら税制改革も展望しながら、限られた財源の中で――年金、私は将来的には国庫負担を上げるべきだというふうに思っております。もちろん給付水準も総合的に勘案をしなければいけないわけですが、ただその場合に、正直申し上げて、限られた財源の中で年金財源が先なのかあるいは介護のシステムが先なのかというと、先ごろございました中央の公聴会でも、それはやはり介護のシステムを先に手をつけるべきだ、こういうお声もございました。
 そうしたことで、財源問題もひっくるめて、今
後の社会保障全体、福祉ビジョンをどう仕組んでいくのか、こういうことでお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#39
○佐々木良夫君 連合の主張としましては、今桝屋先生がおっしゃられたとおり、五つの修正、三つの補強については、一切どこに行っても版で押したように変わらないわけでありますし、そういう意味では同じ内容だと思います。
 そういう状況の中で、特に介護が先なのか年金改革が先なのかということでありますが、あくまでもこれは個人的な意見にならざるを得ないわけですけれども、今日のこういう高齢社会になりつつある状況の中では、やはり介護問題というものも当然避けて通れないし、逆にそのことが、今の女性労働者といいますか婦人労働者といいますか、そういう方々の重い、いわゆる働きながらそういう介護とかなんかをするということが風難だという実態になってきていますね。そういう面で、育児休職から今度は介護休職、介護が必要な家族がいる場合はせめて一年間はそういう休職なども必要じゃないか。当然企業の協力などもありながらということで、私たちも要求をしているわけですが。そういう介護問題は、今日いわゆる社会福祉の問題を考える場合避けて通れない課題だろうというふうに思いますので、そういう面で、社会福祉問題、特にこれから向かう高齢社会の諸問題、もちろん介護もしかり、それから医療もしかりだと思うのですが、そういうことも含めて先んじてやるべき課題じゃないのかなという気がしています。
 当然それに関連して財源問題あるいは年金問題ということが出てくるわけでありますから、実は仙台で、六月ごろでしたか、政府税調の公聴会がありまして、私はその場でも公述人として意見を申し上げさせていただきましたが、これからそういうものに向かう中での財源問題というのは、今国民はややもすると税金は取られているという感覚があるんじゃないか、それを当然国民として納めるべき国民会費的なことというふうになる必要があるんじゃないか。そのためには、ある面では使い道もガラス張りに、国民が納得する、先ほども納得という言葉でしたが、納得、了解する、そして理解される税制というものであれば、間接税の問題も含めて、いわゆる消費税、今言われているわけですが、そのことも含めて当然あってしかるべきだという意見を私は申し上げさせていただきました。
 そういう面で、年金問題を考える場合は、当然将来の福祉、医療、もちろん年金、あわせて財源問題の税制、それと当然税制の中に含まれるでありましょういろいろな行財政改革の問題や不公平税制の問題、そういうものとあわせて総合的に考えていくべき課題だろうというふうに思いますので、どっちが先、どっちが後ということもありますけれども、一応そういうふうに私は個人的には考えています。
 以上です。
#40
○桝屋委員 ありがとうございます。
 お話を聞けば聞くほど、全部きちっと解決をしなさい、こう言われているようで大変私ども悩むわけでございますが、実は、今回のこの年金問題、政府が発表しました税制改革大綱、あの中で、財源の問題、社会保障の姿というものがまだ明確に見えていない、若干先送りされた感がございます。先般の委員会でも私は申し上げたのですが、そういう意味では、総合的に全体の将来の姿を描いた上でこの年金問題は実は議論をしなければいけないんだなということをつくづくと感じております。
 厚生省においても、新ゴールドプランなりエンゼルプランもひっくるめて、非常に今国民に対してわかりにくい状況になっておりまして、私ども野党でございますけれども、しっかりその辺の姿を一日も早く目指していただきたい、こういうことをしっかりやっていきたいというように思います。
 それから、廣谷会長にもお聞きしたいのですが、時間ももうございません。先ほど、ネット所得スライドが一番私どもきょうは気になっていたわけでございますが、ぎりぎり我慢の限界であるというような、そして将来のために容認をしていただくような御発言をいただきました。今申し上げた全体の中で安心をしていただける福祉ビジョン、こうしたものを私どもは全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに思っておりますので、今後とも御指導いただきますようによろしくお願いいたします。
 以上で終わります。
#41
○岩垂座長 山本孝史君。
#42
○山本(孝)委員 国会内の会派の改革に所属をしております日本新党の山本孝史でございます。
 きょうは、皆様方には本当にお忙しい中を御出席をいただきましてありがとうございました。特に田中陳述人には、きょうは札幌からお越しをいただきまして、御無理を言いまして御出席をお願いさせていただきました。飛行機で来ていただいたわけですけれども、配慮が足りずに、仙台の飛行場からこの市内に来ていただくのに大変御不便をおかけいたしまして、申しわけございません。
 そんなお話も聞きながら、きょうの陳述をお聞きいたしまして、正直申し上げて、私も大学時代から二十五年間交通遺児の救済運動をやってまいりましたけれども、社会保障とか社会福祉というのは一体何なのだろうということをやはり考えさせられるわけでございます。きょうは、実は京都でも同じように地方公聴会を行っておりまして、そちらには田中さんと同じようなお立場の鈴木静子さんに公明党の方からの御推薦で御出席をいただいて、意見の陳述をお願いいたしておるところであります。
 今回、この法案、御指摘のとおり三月十八日に国会に提出がされました。当時私たちが与党でございましたので、私たちがつくって提出をさせていただいた法案でございますが、当時としてはこれが一番の案だろうということで提出をさせていただいて、その後いろいろなことがあって審議が随分おくれて、もう福祉年金の支給がぎりぎりで間に合わないから早くという形できょうに至っているような状況でございますけれども、おかげでというと変ですが、この間にいろいろと議論が出てまいりました。
 一つは、きょうの田中さんのお立場もそうですけれども、年金に入っておられない未加入の方あるいは滞納の方あるいは免除の方も含めて、この数が予想以上に多い。三百万を超える、あるいは四百万だとかいろいろな数字が出ておりますけれども、そういった意味で年金の空洞化というものが極めて深刻に進行している、この問題にどう対応するのかという点が一点。そして、あわせて、今一番問題になっております国庫負担率、社会保険方式と税方式というところをどうするかという点が出てきているわけでございます。
 年金未加入という問題について、これは加入ができた人とできなかった人士いうふうに分かれるわけですけれども、できなかった方、沖縄の人たちもそうでしたけれども、今回中国から帰ってこられる残留邦人の方たちへの制度の問題等も出ております。加入できたけれどもしなかったというところで実は田中さんのお立場が出てくるわけです。
 そこで、田中さんにお伺いをしたいのですけれども、今はもう学生さんも強制加入という形で制度が変わりました。しかし、田中さんが学生さんだったころはまだ任意加入ということで、任意という状態でございました。そこでお伺いですけれども、田中さん、学生時代のことも振り返りながら、任意加入、保険という問題についてどんなふうに当時は受けとめておられたのか、その辺のことをお伺いいたしたいと思います。
#43
○田中士郎君 そのころ私は学生だったわけですが、学生というのは勉強をしなければという、勉強もするのでして、実は私、大学の教養時代に政治学のレポートで年金問題というか、こういうことをちょっとやったことがありまして、それで若干は知っておったのですけれども、ただ、今おっしゃられたような社会保険方式とか税方式とか、
そういう議論というのは余りその当時はなかったように思います。
 国民皆年金といっても、任意加入という制度がある以上、実質的には皆年金とは言えなかったわけで、そういう意味では、もっと制度そのもののPRというものが必要じゃなかったかなというふうにずっと考えていました。
 実際のところ、これは私の例じゃないのですけれども、役場の年金課へ行くと、任意加入ということは入らなくていいのですよと言われたとか言われないとか、そこら辺の真偽というのは自分で確かめたわけじゃないですから。
 だけれども、一般的な学生の意識として、もうすぐ卒業して働くのだから、働いたら厚生年金掛ければいいやというぐあいに思っていたのが一般的なところじゃないでしょうか。
#44
○山本(孝)委員 本当に今おっしゃったように、もうすぐ就職するのだから、そこで厚生年金に入ればいいよという感じ、おっしゃるとおりだと思うのですね。任意ということですから、入らなくても入ってもどっちでもいいよというところでPRが不足をしていたと。御指摘のとおりにこれは法体系の不備があったのではないかというふうに私も思うのですけれども、田中さん、重ねての御質問で恐縮ですが、その保険ということについて、入りなさいよというようなお話を学生のころに余り聞かれた記憶はないということですか。
#45
○田中士郎君 全くございません。
#46
○山本(孝)委員 今回、申し上げたようにこの年金の空洞化という問題、なかなか入られない、入っておられないという方にも年金の網をかけていくという意味で、社会保険方式から税方式に変わっていけばという一つの考え方があると思うのですね。
 今二十の方たちがこれから年金にお入りになってどれぐらい六十五歳から年金を受けられるかという計算を厚生省にお願いしましたら、実は払う保険料と自分が受け取る金額とがほとんど同じぐらいになってくる、そういう予測がされております。もちろん、厚生年金ですから労使折半ではありますけれども、これを国民年金で考えますと、そんな話がやはり出てくるわけですね。
 そうすると、社会保険方式、税方式という難しい話がありますけれども、どうしても国庫負担の問題にいかなければいけない。しかし、佐々木先生御指摘のとおり、これは間接税だ、いろいろな問題が出てくるわけですけれども、田中さん、いわゆる生活の最低保障ということもございますけれども、障害者福祉というものの今田中さんがとらえておられるその内容、それとその生活の保障、そして田中さんの税金を負担するというようなことのお考え、そういったあたりについてのお考えをお聞かせいただけませんか。
#47
○田中士郎君 税負担というのは、私も一応消費者ですから消費税は払っておるのですが、ついでに申せば、つい一年半ぐらい前まで所得税も結構払っていたのです。
 ただ、ちょっと話がそれてしまうかもしれませんが、今の年金制度は御存じのとおり二階建てでして、一階に当たる基礎年金の額というのは、多いか少ないかは別として、すべて国民に保障されて、それで始めて社会保障というのは成り立ってくるような気はしています。その上で、二階建ての部分で社会保険を適用してやっていけばいいような気はしているのです。
 そういう意味で、税負担というのは、それは確かに税金というのは安いにこしたことはないのですけれども、でも、そういう意味じゃなくて、見返りが期待されるのは、そういう意味で、納める税の使い道がはっきりしているものなら、それを十分に吟味した上で、増税増税というような言葉がどうかわかりませんが、おのおの分に応じた負担をするにはやぶさかじゃないなというような気はしております。
#48
○山本(孝)委員 ありがとうございました。
 時間が限られておりますので、一点、佐々木さんにお伺いをいたしたいのですけれども、皆さんもう御指摘のとおり、この年金問題は老後の六十歳代前半の雇用の問題と大いに絡んでおります。中央公聴会でもいろいろと御意見をお伺いいたしました。
 きょうは数字を教えていただいて、宮城の県内では五十五歳以下定年がまだ一割もあるということで、なかなかこれ、六十五歳ということになりますと、この間に十年も差ができてくるわけですけれども、現実問題、今宮城県内で働いておられる皆さん方の、この五十五歳以降、五十五歳と言わずとも、定年を迎えられた以降の再就職の問題、あるいはこの制度が改正されますと六十五歳までの間の雇用の確保ということの現実問題、これからの見通し等も含めてどんなふうに受けとめておられますでしょうか、お伺いをいたします。
#49
○佐々木良夫君 実は去年の宮城県の調査によりますと、六十歳以降六十四歳までの有効求人倍率は○・一九です。それから逆に、その前の五十五歳から五十九歳で○・四三。それから、高いのは当然、一以上になっているのが、四十五歳から四十九歳で一・三八、それから三十五歳から三十九歳で二・〇七、こういう有効求人倍率になっているわけです。こういう数字から見ても明らかなように、やはり高年齢に伴って働く場所といいますか、働く場がないという、現実問題そういうことになってきています。
 そういう面で、いわゆる景気がいいとき、バブル時代といいますか、こういう時代は、働く意思さえあればだれでもという状況でこの三年ぐらい前まではあったと思うのですが、ここいわゆる不景気になってからというものは、今報告したような数字の実態だと思うのです。そういう面では、まさに働きたくとも働けない。もちろん働けるチャンスがあり、体が許すという方は働いているというのが実態です。
 ただ、企業によっては、定年以降再雇用制度という制度をとって、定年前の賃金二〇%ぐらいカットして、いわゆる八〇%ぐらいの賃金で、働ける意思があるのであれば、例えば五十五歳定年のところは六十歳まで、あるいは五十八歳のところももちろん六十歳まで、ただ、六十歳以上の再雇用というのは正直なところ余りないというのが実態だと思うのです。
 そういう面では、これからこの年金問題が六十五歳支給という、こういう現実問題になった場合のいわゆる六十五歳と定年との接点の問題、これはやはり当然これからの課題として、もちろん私たち労働者の立場でもそういう要求をしていかなければいけないと思いますし、ひとつ行政の立場からも、そういうことを十分御理解の上御指導あるいは実現できるように特段の御援助をお願いしたいというふうに思います。
#50
○山本(孝)委員 ありがとうございました。
 時間が参りましたので質問を終わらせていただきますけれども、きょう提起をされておりますこの雇用の問題、それから障害者の無年金の問題等も含めて、今回、申し上げましたように国庫負担率の問題も含めて議論がいろいろと沸き上がってきているところでございます。いずれにしても、税の国民の公平な負担、そしてその透明な使われ方というものについてこれからも真剣に審議をしていかなければいけないというふうに思いますので、きょうの貴重な御意見を参考にさせていただいて、私どもも全力で取り組んでまいりたいと思います。
 きょうはありがとうございました。
#51
○岩垂座長 網岡雄君。
#52
○網岡委員 長時間にわたりまして、意見陳述者の皆様には本当に御苦労さまでございます。
 もう大分問題点がえぐり出されておりますので、重複をいたす関係もございますので、私からもできるだけ簡潔にお尋ねを申し上げて、率直な御意見をお聞きしたいというふうに思うわけでございます。
 今ずっと御意見を拝聴いたしますと、一つは、いろいろな問題はあるけれども、今度の年金改正法案というのは、例えば行政改革とか税の不公平の是正とか、あるいはマイナスの面では保険料が多少上がるような仕組みに当然なっていくわけで
ございます。しかし、急激に進みつつある高齢化社会に対応していく年金のあり方としては、今回政府が出している年金改正法案というのは、廣谷先生それから佐々木先生、御両人それぞれの団体を代表なさっておみえになるわけでございますが、端的にお尋ねをいたしますが、この出された年金法案というのは、これからいろいろ手だてをしていかなければいかぬ問題はございますが、全体的に眺めて許容の範囲にあるものかということについて御意見をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#53
○廣谷円三君 私は、先ほどから申し上げておりますように、まさにこれしかないという改正案だろうというふうに考えております。したがいまして、一日も早い成立をお願いしたいと思います。
#54
○佐々木良夫君 先ほどちょっとお話ししましたように、前回の平成五年の改正時期に提案されました改正案よりもかなり私たちの意見が反映されている部分がありますので、そういう面では評価できる内容だろうというふうに総体的には考えます。
 しかし、先ほど前段で申し上げましたような意見等もありますので、そういうことを踏まえてひとつお願いをしたいということであります。
#55
○網岡委員 それでは、次にお尋ねをいたしますけれども、先ほど佐々木良夫さんから御説明がございましたが、宮城県の求人倍率の問題がございます。状況を御説明になったのを聞いておりまして、私どもこの法案の審議をする場合に、六十五歳までの雇用というものが、不況のときでも好況のときでも、ならして、大体最低限雇用というものを許容の範囲内に確保することができるのかということが一つ本法案の審議に当たる重要な私どもの判断のいわゆるばねになっているわけでございます。宮城の例を出されて御説明になりましたが、今の不況に向かっている状況の中では、特に高年齢者の雇用というのが非常に厳しい状況にございます。
 したがって、佐々木陳述者の御意見をぜひお聞きしたいわけでございますが、このままでいけば問題が起きることは間違いないわけでございますので、国それから県、市町村といったようなところに、この雇用の確保をしていくためにどのような具体的な施策というものを連合としてこれからお求めになっていくのか、こういう具体的なお考えがあったらぜひひとつお示しをいただきたい、こう思うのです。
#56
○佐々木良夫君 確かに、六十歳の定年制度ということを今回の改正案ではまさに前提にしているわけでありますから、そういう面では、私は評価できる今回の改正案だろうというふうに思っています。
 ただ、それが六十五歳までといういわゆる五歳延長の案でありますから、そういう面では、前段で申し上げました、今日でさえもまだ六十歳になっていない定年制度という状況の中では、むしろ六十歳定年がある程度固定化された時点なら理解できるわけでありますが、まだ宮城の場合、六十歳定年が七六%、四分の三は六十歳定年ですが、残る四分の一はまだ六十歳定年すらなっていないという現状でありますから、そういう面では、少なくとも六十歳定年がある程度固定化され、同時に、私たち労働者としてもうそろそろ六十五歳定年でもいいのじゃないか、実はこういう主張をし、要求もしてきていますし、これからはそういう時代に入るだろうというふうに考えています。
 その面では、景気のよかったバブル時代はまさに人手不足ということが現実問題としてありました関係上、六十五歳定年でもいいのかなというような雰囲気があったわけですが、ここ景気が悪くなってから、そのことすらもなかなかままならないという実態であるわけです。
 それで私、労働組合的に、いわゆる連合としましても、春のいわゆる春闘と言われる時期にはこれまでずっと、連合が結成されてことしの秋で丸五年経過をするわけですが、春の要求の柱は、賃金それから時間短縮、政策・制度という三本柱でずっと来ていました。しかし、去年、おととしあたりからそれにもう一つプラスする必要があるだろうということで、実はことしの春闘も、来年の春闘もそうなると思うのですが、やはり雇用確保の問題を、柱の一つじゃないのかということで掲げております。そういう面では、ことしもそうでありましたが、来年の春の段階でも、やはり賃金や時短と同じように、むしろそれより深刻な問題としてこの雇用の確保の問題を当然掲げなければならないというふうに考えています。
 確かにおっしゃられますように、現実問題では雇用問題はかなり厳しいです。景気も明るさが見えるとはいいつつも、完全に景気回復しましたという断定的な部分もありませんので。と同時に、それに関連して、各企業ともいわゆる雇用確保の問題ではっきり従来のように前向きの発言も必ずしもあるわけではありませんので。そういう面では、おととしより去年、去年よりことしというふうに徐々に回復はされると思いますが、さらにもうちょっと時間はかかるのかなというふうに思います。
 そういう面で、労働組合という立場で、当然年末から来年にかけてこの雇用の問題を大きな柱として各企業の方にも要求します。同時に、国の段階でもお願いをしています。あわせて、県の段階でも知事さんあてに、ぜひ県としても雇用対策について十分御協力をいただきたい、むしろ雇用対策本部なども設置をしながらという、こういうことなどもお願いをしてきていますので、そういう面で、今後ともその姿勢は変わりません。当然市町村にも同じようなお願いをしてきていますので、これからもせひそういう面での御指導などもお願いをしていきたいというふうに思っています。
#57
○網岡委員 今までの御意見の中で出ていることですが、年金はやはり十年、二十年、五十年という長い期間のスパンで考えていくことでございますので、私どもも、この点については、六十五歳支給ということになるとするならば、雇用の体制というものが万全なものになっていくということでないとこの年金の機能というのは発揮しない感じがいたします。したがって、私どももそういう決意ではございますが、今後の課題として、私ども法案審議の中でやっていきたいと思っておるところでございます。
 それで、もう一つお尋ねをさせていただきたいわけですが、最前から問題になっている基礎年金の部分の国庫負担三分の一を二分の一にする、こういう問題でございますが、年金の財政というのは、高齢化と少子化が進んでいく中で、将来保険料を納めてくれる人が減っていくわけでございますから、非常に厳しい状況にあることは間違いございません。したがって、国の責任として二分の一というものを確保していく体制に近い将来なっていく可能性があるわけでございますが、再三にわたって御発言になっているわけでございますが、この基礎年金の部分の国庫負担の引き上げということについて、廣谷先生それから佐々木先生、簡単で結構でございますから、それぞれもう一度御意見をお示しいただきたいと思います。
#58
○廣谷円三君 国庫負担の増の問題については、御承知のように、この法案というのは相当先に提出をされたわけですが、いまだにこれが成立を見ないで延び延びになって、その間にいろいろな事情があったわけですが、五年に一回の見直しというものは、今始まってことしからやろうということで決まったわけではないわけですね。
 そういうふうに、計画的なものも、余りにも公的年金における財政の赤字の対策というものをどんなふうにやるべきかというような問題から波及しますと、保険料の引き上げあるいは給付水準を逆に引き下げるというような問題も一つの対策になろうかと私は思います。あるいは、年金積立金の有利な運用で金利を稼ぐというようなものも対策の一つであろうし、年金財政へ大幅に積極的な国庫負担の導入を図る、これが大半の人は望んでいるのになかなからちが明かない。あるいは、この問題でPRも徹底しない向きもあって、六十五
歳あるいは保険料が上がるというようなことが先に走って、何となく嫌な感じてこの問題については取っつきにくい、あるいは惑わされておられるという向きもあるだろう。結局は、健全な財政のもとに赤字を出さないで年金を維持管理していこうという結論として見出したのが六十五歳定年説であろうと私は思います。
 そういう意味合いからいけば、この問題は、国庫負担の増というものは、先ほどから私申し上げましたように、別枠で、さらに将来の国民負担率というもの、社会保険負担とか税負担とかいうふうなものをあわせ考えて対応すべきであって、とりあえずの今年の五年に一回の問題点は解決していかなければいけないのではないかというふうに思ったりしているのが現実の姿でございます。
#59
○田中士郎君 基礎年金部分の国庫負担率の引き上げというのは、確かにそれだけ見れば望ましいなとは思っておりますが、ただ、過去においてこの負担率というのは五〇%だったんですよね。それはもう御存じのとおりだと思います。ですから、先ほどから再三申し上げていますが、基礎年金の部分というのは社会保障として、財源とかいろいろ難しい問題もあるのですが、社会保障として確立されるべき部分だと私は考えています。
#60
○佐々木良夫君 確かに、基礎年金の三分の一から二分の一にという問題については、財源問題と関連しますので、当然国民的な合意が必要だ、先ほど申し上げましたことが当然必要だろうと思います。
 そういう面で、今回の改正時から即実施ということではなくて、今回の改正案にいわゆる五年後の再計算時期にこうするのだということを明記していただけないでしょうかということを実は申し上げています。その間五年間あるわけでありますから、その五年間の中で、国民合意が得られるような、財源問題や、当然税制問題にも関連する内容だろうというふうに思いますので、そういう面でのいわゆる法に対する道筋といいますか、引き上げのための道筋を明確に明記すべきじゃないのかというふうに考えます。
#61
○網岡委員 最後に田中さんにお尋ねをいたしますが、文章をお読みしまして、田中さんが任意加入の時代に障害になられたということを拝見をいたしまして、先ほど田中さん自身もおっしゃっておるわけでございますが、任意加入の場合にはやはり国は配慮をすべきだ、私はこういうように思うのです、責任がないわけですから。強制年金加入の場合は国民として義務があるわけですが、任意加入のときにはそういうものはないはずでございまして、そういう面では一つの区切りというものがあるはずでございまして、ぜひこれはそういう観点で是正されなければならぬと私も考えているわけでございます。
 そういうことも含めて、最後ですが、田中さんの障害者年金についての、今までお述べにならなかったところでまだ申されたいということがあったら、ぜひ一言でいいですからおっしゃっていただけませんか。
#62
○田中士郎君 これは再三申し上げていますが、実際にもう二階建ての制度になってから随分たっておりますよね。そういう意味で、本当に基礎年金の部分というのは国民の権利があってあるものだということをやはり再確認してほしいなと思います。そういう意味で、我々のような立場の人間は、そこだけでもいいから実際に保障していただきたいというのが今の時点での主張です。これからそれがどうのこうのとか難しい問題はいろいろありますけれども、今はそう思っております。
#63
○岩垂座長 三原朝彦君。
#64
○三原委員 廣谷さんにお尋ねしたいのですが、年金を受給されておられる方、たくさんおられますけれども、実はその中でも、御承知のように旧国鉄なんかは今大変困っているのですね。それで国家公務員とか地方公務員の共済から援助を受けている。そういう前提がある中で今、年金の一元化の話というのがなされておることは御承知だと思いますが、この年金の一元化のことに関して、御意見をお持ちならばお聞きいたしたいなと思っておるのです。
#65
○廣谷円三君 特にこれという意見は持っておりませんが、なるほどJR、国鉄の共済に対しては厚生年金の積立金から何百億かの援助をしたりしておるという話を聞いておりますけれども、そういった上の方の問題については私らは何もわかりませんが、これも将来に向けての、あるいは平成七年度に向けての一元化という懇談会が数回にわたって開かれているという話は聞いております。
 また、私も退職公務員連盟にも所属をしたりしておりますが、こちらの連盟の方は政治団体であって、いわゆる国や国会に対していろいろと陳情が主の団体である。我々厚生年金受給者関係については、老後の福祉向上施策を目標にした団体でありまして、そういった質問に満足に答えられないわけですが、いずれそういった一元化という方針を打ち出して平成七年を目標に何とかされるというふうなことは聞いたりしておりますけれども、こうしてもらいたい、ああしてもらいたいというような確たることは、今のところ私の考えの中にはありません。
#66
○三原委員 わかりました。
 田中さんにお尋ねしたいのですけれども、今僕らが委員会で議論する中で、年金番号の話があるんですね。これは事務的なことで、事務的手続は変わりますけれども、実はこれをやることが先ほどから田中さんがおっしゃっておられるような、せめて基礎年金部分は国民がみんな付与されるようにということの基礎にもなるんじゃないかと私は思うんですね、もちろんそのためには財源はということにまた次になるのですが。
 この年金番号の施行に関して、私は、できるだけ早くにやるべきだ、そしてなおかつ、憲法の二十五条が保障しておるように、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」これに当たるためにも、年金というものがあなたがおっしゃるように少なくとも基礎年金の部分はあまねく渡るようにというふうに考えておるのですが、年金番号のことに関しては何ら異論はないですよね。
#67
○田中士郎君 申しわけありません。異論というか、年金番号の制度は知っていますけれども、内容がどのようなものであるか、まだ詳しい検討というのは私たちも加えていないので、何ともこの場ではお答えできないように思いますが。
#68
○三原委員 わかりました。
 我々は、まずは年金番号というものを国民の皆さんに持っていただくことによって、そこで、先ほど同僚の山本委員からもお話ありましたように、三百万とかそれ以上とか言われている年金の未加入者とか、いろいろなところでみんなを一応一つの事務的なレベルにまで置くことができるとも考えているところなんです。
 佐々木さんにお尋ねしたいのですが、お尋ねするというよりも、先ほどからずっとほとんどの人が同じことを聞かれたので、私はまた繰り返すような感じになりますけれども、年金が世代間扶助というのであるなら、それが世代間紛争みたいなことになってはいけないと思うのです。
 これから先の、今我々が改正をしようとしておる場面でも、実は、我々団塊の世代、昭和二十年以降の団塊の世代に生まれた、ちょうど私たちはその真ん中におりまして、我々がもらう時期になったときに、このままやっていくと、必ず我々の子供、孫あたりから、それこそ楢山節考の話を僕らは聞くのじゃないかというような感じもするのです。であればこそ、私は、一面では今保険料を払う側の我々ももうちょっと骨身を削るような場面もあるでしょう。しかしながら、反面、今、年金受給老の人にも、皆さん方のお孫さん、ひ孫さんのためにもこの年金制度というものを維持していくためには何とか御理解もいただく場面があるんじゃないか、そんな気もするんですよね。
 統計的に言いますと、私が八十歳ぐらいになったとき、八十ちょっと超すぐらい、二〇三〇年ぐらいになると、私の記憶が正しければ、大体二・四人かなんかに一人、働く人が二・四人いれば一人年金受給者に僕らはなってしまう。今は四・数
人に一人ですが、本当に驚くような数字になってしまうんですよね。
 それから考えると、私は、すべての人があまねく幸せになるような解決策はないのですが、しかし、どちらかというと、先ほども議論になっておりましたように、みずからが保険料で払う場面も、もちろんよく言われているように所得の三〇%までというような感じになりますけれども、それプラス、やはり間接税の方にいずれのときにかいかざるを得ない、時期はいろいろなタイミングがあるでしょうがね。網岡先生と同じような質問をするのですが、そのことはやはりそうだとお思いになりませんか。
#69
○佐々木良夫君 年金問題、特に、ややもすると年金ですから比較的退職に近い高齢の方が関心があって若い世代の方は余り関心がないんじゃないか、一般的な見方としてそういうふうに見られるわけですが、残念ながらそうじゃないのですね。意外と若い方々も年金問題についてはかなりの関心を持っているというふうに思います。その面では我々間近い人間からしてみれば心強いなと思うのですが、その反面、今お話ありましたように、確かにその後の将来のことを考えた場合、かなり寒々とした感じを持つわけです。
 その面では、先ほどから申し上げているように、保険料率もさることながら、国庫負担の引き上げというものは当然欠かせない問題だと思うのですね。そういう面で、今回の改正案の骨格になっている部分ですが、特に厚生年金の保険料率、高齢化のピーク時、二〇二〇年ごろというふうに言われているわけですが、それは今の二倍程度の二九・六%に保険料率をとどめるということが今回の改正案の大前提になっているというふうに思うのです。
 ところで、厚生省やあるいは大蔵省の試算によりますと、この基礎年金の国庫負担を今の三分の一から二分の一に引き上げますと将来の保険料率は二六%台でいいのじゃないかとか、あるいはさらに三分の二まで引き上げるとさらに低くなって二二%台でもいいのじゃないか、こういう実は試算をしているところです。
 問題は、その場合の財源の問題が言われているわけですから、そういう面では、指摘されますように、あるいは私も最初から一貫して言っていますように、具体的なそれらの内容あるいは手続、国民的合意、納得が得られるのであれば、税金の問題、当然直間比率の見直しの問題もありますし、あわせて今の間接税、消費税の問題もあるでしょう。そういうものも含めて総体的に当然考えていく課題だ。それは避けて通れませんし、逆に、国民にそういうことがはっきりと理解できる内容であれば、私は、年金も含めて、あるいは税金問題も含めて納得と理解が得られるだろうし、実現については可能だろうというふうに思います。
#70
○三原委員 私は一番最後の質問で、ほとんどの方があらゆる場面から質問していただきましたので、これで終わります。
 三人の皆様方、本当にありがとうございました。
#71
○岩垂座長 これにて質疑は終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 意見陳述の方々におかれましては、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。
 拝聴いたしました御意見は、本法案の審査に資するところ極めて大なるものがあり、厚く御礼を申し上げます。
 また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして、深甚なる謝意を表する次第でございます。
 これにて散会いたします。
    午後零時十九分散会
   派遣委員の京都府における意見聴取に
   関する記録
一、期日
   平成六年十月二十四日(月)
二、場所
   京都センチュリーホテル
三、意見を聴取した問題
   国民年金法等の一部を改正する法律案(第
   百二十九回国会、内閣提出)について
四、出席者
 (1) 派遣委員
   座長 戸井田三郎君
      熊代 昭彦君    山口 俊一君
      青山 二三君    井上 喜一君
      柳田 稔君     土肥 隆一君
      岩佐 恵美君
 (2) 現地参加議員
      伊吹 文明君
 (3) 政府側出席者
        厚生大臣官房審 高木 俊明君
        議官
        厚生年金局企  宮島  彰君
 (4) 意見陳述者
        株式会社木下製
        作所代表取締役
        会長      木下 隆徳君
        島津工業会理事
        長
        無年金障害者の 鈴木 静子君
        会代表
        連合京都会長代
        理
        ゼンセン同盟京 梅本 鎮雄君
        都府支部長
        年金問題研究家 上西 和郎君
        日本福祉大学教 真田  是君
        授
     ――――◇―――――
    午前十時開議
#72
○戸井田座長 これより会議を開きます。
 私は、衆議院厚生委員会派遣委員団団長の戸井田三郎でございます。
 私がこの会議の座長を務めますので、よろしくお願いいたします。
 この際、派遣委員団を代表いたしまして一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様御承知のとおり、当委員会におきましては、国民年金法等の一部を改正する法律案の審査を行っているところでございます。
 当委員会といたしましては、法案の審査に当たり、国民各界各層の皆様方から御意見を聴取するため、御当地におきましてこのような会議を開催いたしたところでございます。
 御意見をお述べいただく方々には、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。忌憚のない御意見をお述べいただくようお願い申し上げます。
 まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。
 会議の議事は、すべて衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、座長の許可を得て発言していただきたいと存じます。
 なお、この会議におきましては、御意見をお述べいただく方々は、委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。
 次に、議事の順序につきまして申し上げます。
 最初に、意見陳述者の皆さんから御意見をそれぞれ十五分程度お述べいただきました後、委員より質疑を行うことになっておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。
 出席委員は、自由民主党の熊代昭彦君、山口俊一君は所用のためおくれておりますが、到着され次第御紹介いたします。改革の井上喜一君、青山二三君、柳田稔君、日本社会党・護憲民主連合の土肥隆一君、日本共産党の岩佐恵美君、以上でございます。
 なお、現地参加議員として自由民主党の伊吹文明君が出席されております。
 次に、各界を代表して御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。
 株式会社木下製作所代表取締役会長・島津工業会理事長木下隆徳君、無年金障害者の会代表鈴木静子君、連合京都会長代理・ゼンセン同盟京都府支部長梅本鎮雄君、年金問題研究家上西和郎君、日本福祉大学教授真田是君、以上の方々でございます。
 それでは、木下隆徳君から御意見をお願いいたします。
#73
○木下隆徳君 御紹介をいただきました木下と申します。
 私は、今回の年金制度の改正案は必要なものと考えており、賛成の立場から意見を申し述べます。また、私は現在民間企業におりまして、その立場から年金のあり方について意見を述べさせていただきます。
 年金制度は、我が国の経済成長とともに発展し、今や世界的に見ても誇れるものとなっており、老後生活になくてはならないものとなっておりますが、二十一世紀の長寿社会においてこそ、その役割を確実かつ安定的に果たしていくことが何よりも重要であると考えております。我が国は、諸外国も経験したことのないようなスピードで高齢社会を迎えようとしておりますが、社会経済の仕組みもこれにふさわしいものとなるよう改革を行っていかなければなりません。年金制度も、高齢社会を支える大きな柱の一つとして、二十一世紀を目前に控えた今、必要な改革を行っていくべきであると考えます。
 具体的には、今後、出生率の低下等により急速に高齢化が進むものと見込まれており、厚生省の将来推計人口によりましても、社会を支える現役世代と言うことができる二十歳から五十歳までの人口の総人口に対する割合は急激に減少し、平成二十二年以降五割を切るものと予測されております。これにあわせ労働供給面でも、二十一世紀に入り、十五歳から五十九歳までの青壮年労働力人口が絶対数でも減少するという、我が国がかつて経験したことのない事態に直面するとも言われております。
 一方、高齢者を取り巻く雇用状況は、労働省の調査によれば、定年が六十歳以上の企業の割合は、昭和六十三年の七六・七%から平成六年には九四・六%に増加し、六十歳代前半の継続雇用等、高齢者雇用は普及してきております。また、総務庁の調査によれば、六十歳以降も仕事をしたいと考えている者の割合は七一・八%であり、我が国の高齢者の就業意欲は高いところであります。
 このような中で、我が国においては、二十一世紀の高齢社会を活力ある長寿社会としていくため、高齢者の高い就業意欲や知識経験を生かして高齢者雇用を促進していくことが必要となっており、年金制度もこれと連携のとれたものとすることが必要です。
 また、公的年金は世代間扶養の考え方を基本に置いていることから、年金制度の問題を考える場合には、年金受給者ばかりでなく、これを支えている現役世代のことも十分考慮する必要があります。このため、将来の現役世代に過重な負担が生じないよう、給付と負担のバランスを図ることも重要な課題であります。
 以上のような年金制度をめぐる社会経済状況を踏まえ、今回の年金改正法案について意見を申し述べます。
 まず、厚生年金の本格的な支給開始年齢を六十五歳とすることについて意見を申し述べます。
 年金制度を将来にわたり長期的に安定させていくためには、給付と負担のバランスを図るとともに、将来の現役世代に過重な負担にならないようにしなければなりません。さきに述べましたように、我が国は急速な高齢化の途上にあり、平成元年財政再計算結果によれば、現行制度のままいき
ますと厚生年金の最終保険料率は三四・八%になるということであり、これでは将来の現役世代に過重な負担が生じ、社会の活力を維持することが困難となると考えられます。このようなことからいたしますと、私は、本格的な支給開始年齢を六十五歳とすることは避けて通れないものではないかと考えております。
 第二に、六十歳代前半の年金の見直しについて意見を申し上げます。
 先ほども申し上げましたように、我が国においては、六十歳定年制がほぼ定着するなど高齢者雇用は普及してきております。また、政府は、二十一世紀初頭までに六十五歳まで働くことのできる社会の実現を目指してさまざまな施策を講じており、さらに、高齢者の就業意欲は高いところであります。しかし一方で、高齢者は六十歳代前半においてはどうしても肉体的、精神的に個人差があるものであり、これまでと同様にフルタイムで働くという形態ばかりでなく、短時間勤務等多様な就業形態により働いていく方々もふえてくると思われます。
 私は、今回の年金改正法案は、このあたりの事情も踏まえ、六十歳代前半は賃金とあわせ生活を支える、六十五歳以降とは別個の年金を支給し、六十五歳以降は年金を中心にして生活設計を行える体制を確立することと聞いており、我が国の高齢者雇用の状況を十分踏まえたものとなっているのではないかと評価しております。
 次に、働きながら受給する在職老齢年金についてでありますが、二十一世紀の高齢社会を活力ある長寿社会としていくためには、高齢者の就業意欲や知識経験を生かして高齢者の雇用を促進していくことが必要であります。しかし、現行の在職老齢年金の仕組みでは、賃金がふえてもその分年金の支給停止割合が大きくなり、総収入が余りふえないため、高齢者の就業意欲を阻害していると言われております。
 このような現行在職老齢年金制度の問題点を踏まえ、今回の年金改正法案は、在職老齢年金について、働けばそれに応じて総収入がふえるよう改善されており、私は、二十一世紀の高齢社会を活力ある長寿社会としていく上で欠くことのできない改正内容の一つであると考えております。
 第三に、保険料負担について意見を申し上げます。
 今回の年金改正法案により、厚生年金の将来の最終保険料率は現在の約二倍の二九・六%程度になるものと見通されておりますが、このほかにも医療保険の保険料等もあることを考えれば、企業及び個人には大きな負担となるものと考えられます。このため、これ以上厚生年金の最終保険料率を高くすることは、社会の活力を維持し、着実な経済成長を確保するという点からも適当でなく、今回の年金改正法案の最終保険料率三〇%以内という方向は、社会の活力を維持していく上でぎりぎりのものではないかと考えております。
 第四に、今回の改正は、社会経済状況の変化に伴い、社会的要請に基づいたきめ細かい配慮も行われており、これについて意見を申し上げます。
 そのうちの一つは、育児休業期間中の厚生年金保険料の免除であります。
 具体的には、現在、育児期間中であっても休業前の標準報酬に基づいて保険料の徴収が行われていますが、女性が働きやすく、次代を担う子供たちを産み育てやすい環境づくりに配慮するため、育児休業期間中については厚生年金保険料の本人負担分を免除することとされているものでございます。私ども民間企業といたしましても、女性の優秀な労働力を十分生かしていくことが必要であり、このため、今回の育児休業期間中の厚生年金保険料の免除は、女性の方々の育児支援になることはもちろんのこと、企業サイドから見ても評価できるものと考えております。
 また、公的年金を老後生活の柱としつつ、より豊かな国民生活を築いていくため、厚生年金基金等の一層の普及育成が必要であります。このため、今回の改正案では、厚生年金基金の免除保険料率は各基金における代行給付の支給に必要な保険料率を基準として厚生大臣が基金ごとに決定した傘とするというきめ細かな配慮を行うこととしていますが、企業としても、厚生年金基金の普及育成は社員の福祉向上に寄与するものとして重要であり、私どもも、今回の改正案により厚生年金基金等が一層普及するよう大きく期待しております。
 以上、四点につきまして、意見、説明をさせていただきました。
 最後に重ねて申し上げたいのは、年金制度の長期的安定を図るためには、年金受給世代と現役世代とのバランスを図ることが不可欠であるということであります。私は、現役世代に過重な負担を課す年金制度は、社会の活力を弱め、年金財政についても結果として悪影響を及ぼすのではないかと考えており、このため、年金受給世代と現役世代とが十分お互いを理解し合うことが必要ではないかと思う次第であります。
 したがいまして、今後とも国民の間で年金制度に対する十分な議論が行われますことを期待いたしまして、私の公述を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
#74
○戸井田座長 ありがとうございました。
 次に、鈴木静子君にお願いいたします。
#75
○鈴木静子君 無年金障害者の会の代表をしております鈴木です よろしくお願いいたします。
 国民皆年金と言われながら、長い間制度の谷間で苦しい生活をしてきた無年金障害者の一人として、こうした場で発言することができて、本当にうれしくて涙の出る思いがしております。この公聴会を機に、すべての障害者が人間として平等に生きていくことができるよう、無年金障害者の解消や生活できる年金額への引き上げを初めとした必要な制度が確立されることを強く望んでいます。
 こういう思いで、無年金障害者の実態をまず私の場合から話させていただきます。
 私は、今から二十五年前、交通事故で車いすとつえの離せない障害者となりました。そのとき、神戸大学教育学部四年在学中で、制度のことを知らなかった私は国民年金に任意加入していませんでした。そのために、一級の障害を受けているのに年金を受けることができなかったのです。私が学生のころは、働くようになったら厚生年金に加入するという程度の知識はありました。しかし、年金には老齢や遺族年金のほかに障害年金の制度があって、二十歳を過ぎたときには何らかの公的年金に加入していないと年金が受けられないこと、しかし学生の場合は収入がないので入っても入らなくてもよい任意加入であったこと、こういうことを全く知りませんでした。また、加入の勧誘があったとか、納付書が送られてきたということもありませんでした。
 ですから、私のように任意加入しなかった者に対して、入れたのに入らなかったと言われても、制度そのもののあることを知らなかったのですから、入りようもありませんでした。これは何も私だけに限ったことでなくて、友人や知人の間で国民年金のことが話題になったこともありませんし、任意加入しているという話も聞いたことがありませんでした。
 さて、障害者にとって年金がないというのは本当につらいです。私の場合、事故に遭う前に大阪市の教員採用試験に合格していたのですが、入院中に期限が切れてしまいました。働く当てもありませんし、頼りとする年金もありません。小遣いも含めて、すべて親の負担でした。それでも、私の場合は幸いなことに手が動きましたので、父親の仕事を手伝ったり、事務員として勤めたりしながら、自立を目指して頑張ってこれました。でも、私だけの力では親元から独立するだけの収入を得ることは難しく、結局は、親が老後にと蓄えていたお金を出してもらって小さな学習塾を開きました。
 現在もその学習塾を続けていますが、その間に結婚もしたのですが、軽い障害を持つ夫の勤めている工場が滋賀へ移転したため、夫は単身赴任となり、私は再びひとり暮らしをしなければなりま
せんでした。
 塾といっても、この不自由な体では一度にたくさんの生徒を教えられませんから、月曜日から土曜日まで毎日働いても年収百万円前後にしかなりません。その上、自営業ですから、病気になっても何の保障もありません。でも、塾の仕事をしていると、自分の障害のつらさを忘れますし、友人たちとも対等に話ができます。できることなら、このまま仕事を続けていきたいと思っています。しかし、塾では中学生に英語と数学を教えていますが、最近は体力と気力に限界を感じることもしばしばあります。時々、塾の生徒たちが私に尋ねます。先生、いつまで塾してんの、六十歳になってもやってんの。私は今四十九歳ですが、このままでは六十歳どころか何歳になっても、生きている限り働き続けなければなりません。年金があれば世間並みに週二日の休みもとれるのにとも思います。
 こんなふうに、私の場合は何とか親からの自立を果たしましたが、しかし、今お話ししましたように、ゆとりもなく、病気にでもなったらおしまい、そんな程度の自立てす。それに、もし年金があったらもう少し違った人生を送れたのではないかという思いもあります。こんな気持ちが無年金障害者の会をつくるきっかけになりました。
 それは一九八九年のことでしたが、その翌年に発行した手記集「年金制度の谷間で」が新聞やテレビなどに取り上げられたこともあって、無年金障害者の方や家族の方からの手紙がたくさん寄せられるようになりました。
 寄せられた手紙を見て驚きました。二十歳をたったの八日過ぎていたために無年金になった大学生の方がおられたのです。二十歳前に障害になった場合は年金が支給されて障害による不利益は幾分カバーされるのに、この方のように二十歳をわずかでも過ぎると無年金になる場合もあるのです。
 そして、京都の女性からの手紙を読んだときには、同じ女性として胸の締めつけられる思いでした。この方は、妻として母として幸せな家庭を築いておられたのが、水害によるがけ崩れで車いす生活になりました。サラリーマンの妻の場合、一九八六年に強制加入に制度が改められるまでは学生と同じく任意加入でした。この方も任意加入制度のことを知らず、加入していなかったため年金は出なかったのです。その結果、子供や母の面倒は見るが、おまえの面倒はよう見ないという夫の言葉で離婚になりました。無年金は、この女性の人生ばかりでなく、夫や子供の人生までも変えてしまいました。
 無年金は保険料を一定期間滞納していても起こります。しかし、一口に滞納と言っても、会社をやめた後、国民年金の手続をしなければならないことを知らなかったりとか、知っていても免除の制度があることを知らなくて、生活が苦しいのでそのままになってしまっていたとか、まさか自分が障害者になるとはだれも思っていませんから、次の就職が決まるまでと思っているうちに保険料を納めるのを忘れてしまっていたとかいうものがほとんどです。私の友人の場合も、会社をやめたときに国民年金の手続をしなければならないことを知らなくて、アルバイトをしている間に荷物が崩れて車いす障害者となったのですが、手続をしていなかったので無年金です。そのときに五年ほどかけていた厚生年金があったのですが、それは何の役にも立ちませんでした。
 ほかには、在日外国人の場合があります。一九八二年からは在日外国人の方も国民年金に加入できるようになりましたが、それ以前は加入できませんでした。広島在住の男性の場合も、リューマチで障害者になったときには国民年金に加入していましたが、初診日が一九八二年より以前で、やはり無年金になってしまいました。
 私のところへ寄せられた手紙や電話の中から無年金の主なものを挙げましたが、年金がない障害者の暮らしは一体どんなものだと思われるでしょうか。
 お手元に資料をお配りしていると思うのですが、「無年金障害者の実態調査結果」の二十四ページをあけてください。ここで無年金障害者の「本人の収入額」という欄があるのですが、回答者百四名のうち、半数が収入ゼロで、二十万円以上あると答えた人は六%足らずです。兄弟姉妹の分も合わせて父母の収入に頼っている人は四〇%近くになります。したがって、家族構成も同じくらいの割合で親との同居が多いのです。長野の、学生のときの無年金の方も、「精神障害者です。年金暮らしの母との同居です」と手紙で書いてこられました。
 また、報告集の二十五ページを見てください。無年金の障害者でも年金を掛けなければならないのですが、お金を納めることができているのは約四三%で、残りは免除か滞納です。免除の場合、老齢になっても受け取れる年金額は三分の一です。そこへ、国民年金は六十五歳にならないと年金を受けることはできませんから、無年金障害者の場合、老後も大変厳しいものです。
 以上、お話ししました実態はほんの氷山の一角で、全国にはもっとたくさんの無年金障害者の方がおられます。でも、調査が行われていないので、実数は全くわかりません。
 これまで制度の改正が行われるたびに、ひょっとしてと期待してきました。特に前回の改正のときには、サラリーマンの妻や学生の強制加入の話が出ていましたので、余計期待を持ちました。しかし、任意加入から強制加入へと制度を改めただけで、それまでに生じた無年金障害者は解消されなかったのです。これは在日外国人のときも同じてした。
 また、今度こそという思いとともに、二十歳以前に障害になった人たちには、保険料を払わなくても基礎年金が支払われているのに、どうして二十歳を過ぎているというだけで一生無年金という重荷を背負っていかなければならないのか、納得できない思いも持っています。年金というのは国庫負担分もある国の制度ですから、企業年金ならともかく、必要としている者にこそ支給されるものなのではないでしょうか。
 私たちはもう待てません。会をつくって五年余りの間には、亡くなる方も出てきました。つい先日も、十月三日のことですが、滞納による無年金の男性の方が事故で亡くなったという知らせを受け取ったばかりです。
 どうか、今度の年金改正で無年金障害者を解消してください。今回の改正案に無年金障害者の解消は含まれていません。各党とも無年金障害者の解消に賛成と理解しています。それなのに、どうして法律を改正してくださらないのでしょうか。法改正をすれば無年金障害者は解消されますし、財政的にはできないことはないと考えています。そしてさらに、今後私のような無年金障害者が出ないような制度にしていくことを強く望んでいます。
 最後に、年金がなくて泣く者をこれ以上ふやしてほしくないし、障害者となったときも、またお年寄りになったときも年金を頼りに生きていけるようにしてほしいという立場から、年金支給の六十五歳繰り延べと年金保険料の引き上げに反対であることを述べさせていただいて、私の話を終わります。ありがとうございました。(拍手)
#76
○戸井田座長 鈴木さんには、不自由なお体で御出席くださり、御意見を発表してくださいました。ありがとうございました。
 この際、議事の途中でございますが、自由民主党の山口俊一君が到着されましたので、御紹介いたします。
 それでは、引き続き御意見を梅本鎮雄君に御願いいたします。
#77
○梅本鎮雄君 連合京都会長代理の梅本でございます。
 国民年金、厚生年金改正法案が本臨時国会で審議されるということを踏まえまして、連合中央は、ことし三月の中央委員会におきまして、法案に対し五点の修正要求と三点の補強提案をすることを決定いたしました。私ども連合京都におきましても、この決定内容を執行委員会を初め各級の
機関で確認をし、署名運動の展開など要請行動も積極的に進めてまいりました。したがいまして、私個人の意見陳述というよりも、あるいはまた連合京都の独自の立場ということではなくて、連合中央の方針に沿った形の陳述になることをあらかじめ御承知おきいただきたいと思います。
 今回の改正案内容は、五年前に当時の自民党政府が提案した内容に比較をいたしますと、幾つかの部門で前進していることを認めております。しかし、現在の定年の実態あるいは高齢者が就職を希望いたしますところの社会環境等を見ていきますと、雇用と年金の結全部分が不十分であることや、年金制度の安定に欠かせない国庫負担の引き上げ等は見送っている点など、私ども勤労者の期待と要求には十分にこたえていないと思っております。そこで、五つの修正項目並びに三つの補強事項について述べさせていただきたいと思います。
 まず五つの修正の第一点でありますが、働こうという意識があっても働けない場合は年金額の満額支給を求めたいと思います。
 定年後、働きたいと思っている方は非常に多くございます。しかし、実際問題、ハローワークや関係諸機関を訪ねましても、そう簡単に自分の意思が通せることにはなっていません。しかし、改正案では、年金は六十五歳になるまで今の半分程度になってしまいます。これでは、企業年金や個人年金があったとしても、ゆとりある老後生活を送ることにはなりません。定年後、働くことを希望しても働く場がなかったり、あるいは病気やけがで働くことが困難な場合は満額の支給を要求したいと思います。
 ちなみに、六十歳から六十四歳の有効求人倍率を本年八月の労働省調査で調べましても○・○八であります。
 第二点は、在職老齢年金の一律二割カットの撤回を求めたいと思います。
 現行制度では、定年後も働いている場合、六十五歳前は、賃金が二十五万円を超えれば年金はストップされます。改正案では、この上限が三十四万円になったこと、賃金がふえれば年金と合わせて額がふえる仕組みに改善されたことは一歩前進だと認めております。しかし、賃金が三十四万円であっても、年金を一律二〇%カットしてから賃金と調整するというやり方は、調整前の年金額より賃金の方が少ない人は年金と賃金の合計額が現行制度よりも減ってしまうケースが出てまいります。老齢年金の一律二割カットは撤回をして、もう一度全体の見直しをしてもらいたいと思います。
 具体的な例で若干補足をいたしますと、年金が二十万円で賃金が十万円の場合は、年金と賃金の合計額は現行は二十四万円となっています。これは、現行の厚生年金のカット率が三〇%であるから六万円引かれて十四万円、それに賃金の十万円足して二十四万円になるわけです。しかし、改正案の計算でいきますと二十三万一千円になりまして、このポイントでは九千円の減額となります。
 第三点、失業給付と年金の調整の実施時期の延期を求めたいと思います。
 改正案では、一年半後から、雇用保険の失業給付を受けていると年金がストップをされることになっています。失業給付と年金とでは、その受ける理由が背反しています。また、社会保障財政の適正化という観点から見ますと、基本的には、併給調整を実施するという考えも合理的であるという一面も出てきます。
 しかし、定年後、先ほど言いましたように働く場が少ない中で、その間の失業給付というのは多くの労働者にとっても定年後の生活の支えであり、また、低い退職金制度の民間を見た場合には、その一部肩がわり的な要素もあります。また、既にもう五十歳代にかかった勤労者の多くは、正式な就職ができるまで、あるいは自分が目指す方向ができるまでは、この失業給付というものを当て込んだ形で生活設計を立てていることも事実でございます。こうした現況を踏まえますと、失業給付と年金の調整というものは、口では六十五歳定年ということを言っていながらも、現実の仕事状況を見たときにはそうなっていない、このことを考えれば、この九六年からの実施ということについては猶予期間を持っていただきたいと思うわけであります。
 第四点でありますが、高齢者雇用継続給付と年金の調整の撤回をやってもらいたいと思います。
 雇用保険改正によって、定年後の賃金が定年時よりも一五%以上低い場合は、六十五歳になるまで賃金の二五%が雇用保険から支給されることになりました。しかし、高年齢者雇用継続給付を受けていますと、年金は賃金の一〇%分がカットをされることになっています。これは、定年後の賃金に対して雇用保険という制度で足し算をして、年金制度という形で引き算をするということであって、高年齢者の雇用継続あるいはその促進をしていこうということに対しては逆行をし、あるいはその持った意味を半減してしまうのではないか。このようなことから、ぜひこの高齢者雇用継続給付と年金との調整はしないでもらいたいと思います。
 第五点、新制度につきましては、次期財政再計算時に見直しをすべきであると思います。
 六十五歳まで働くという前提をとっていますが、まだまだ六十五歳までだれでもが希望どおりに仕事につくということは困難な情勢にあることは、既に言をまたないと思います。一九九九年に予定されます次期の財政再計算時におきましては、高齢者の雇用、国庫負担の状況等を踏まえてぜひ見直しをしていただきたい、このことを明記してもらいたいと思います。
 続きまして、三点の補強を述べさせていただきます。
 まず第一点でありますが、国庫負担の引き上げを求めたいと思います。
 改正案では、厚生年金保険料率は、高齢化のピークに当たる二〇二〇年に今の二倍程度、先ほど木下さんもおっしゃいましたが、二九・六%にとどめるということが大前提になっています。しかし一方で、厚生省や大蔵省が試算をした数字によりますと、基礎年金の国庫の負担率を現在の三分の一から二分の一に引き上げるならば、将来の保険料は二六%台になるとはじき出しております。さらに三分の二ということになれば、二二%台も望めると展望をしているわけであります。
 将来にわたって保険料の負担の伸びを抑えると同時に、学生など国民年金適用の促進、低所得者の年金額の引き上げなどによって年金制度の安定度合いを高めるには、基礎年金の国庫負担を高めることが不可欠であると考えます。そのための財源は、確実に減少していく恩給財源の組み入れや間接税の重点投入などによって確保することが可能と考えます。国庫負担率引き上げの目標と今後のプロセスをしっかりと明記することを求めたいと思います。
 第二は、福祉ビジョンの明示であります。
 ことしの三月、厚生省が二十一世紀福祉ビジョンを発表しました。福祉社会の理念と方向性を明らかにしましたが、基礎年金の国庫負担の引き上げや具体的な介護システム、総合的な子育て支援の内容などは盛り込まれておりません。社会保障の給付と負担の具体的な将来計画や社会保障全体の中での年金制度の位置づけなどによって、単に一省庁の問題ではなく政府全体として年金制度全体に取り組んでいただきたいと思うものであります。
 その三は、高年齢者雇用のビジョンの明示であります。
 これも労働省が六月に中期雇用ビジョンを発表しておりますが、高齢者雇用ビジョンという観点からはまだまだ不十分であると思います。年金改正に当たって、政府が、二十一世紀初めに、希望したらだれでもが六十五歳、いやそれ以上にみずからの持っているものを生かしながら就職ができ、そしてゆとりある暮らしかできるような、そんなビジョンをもっと明確に示していただきたいものだと思うわけでございます。
 以上、五つの修正と三つの補強を述べまして、
陳述を終わりたいと思います。(拍手)
#78
○戸井田座長 ありがとうございました。
 次に、上西和郎君にお願いいたします。
#79
○上西和郎君 長年の間、年金問題に取り組んできた者として、きょうのような発言できる場をお与えいただいたことに、まず御礼を申し上げたいと思います。
 私は、今次国会に出されている国民年金法の改正については、二十一世紀を見据えた大変な労作であり、厚生省当局はもちろんのこと、本日お見えの諸委員先生方の御努力を多とし、必ずしも全面的に満足してはおりませんけれども、この法案に賛成という立場で、以下、現在積み残されている問題について、今まで御発言なさった方々との重複を避けながら若干の問題点の指摘をしたい、このように考える次第です。
 まず第一は、累積剰余積立金が本年三月末で百兆円を超えている事実が余り表に出ていないのであります。
 厚生年金は創立以来毎年単年度黒字、国民年金の方も基礎年金を入れましてからはずっと黒字であります。したがって、累計で百兆円を超えている。ところが、被保険者への貸し付けといったような、言うならば自主的な運用はほとんどなされておりません。
 今回、政府案の中に百万円の教育資金の貸し付けがありますが、漏れ承るところでは、三年前、一番最初この案をつくったときは三百万円で計画なさったと我々は聞いております。なぜ三百万円にいかないのか。百万円といえば、自宅から通学する短大生の入学時にかかる金です。四年制なら三百万円くらいかかるのじゃないでしょうか。そうした意味合いで、教育資金だけに限定しても資金が足りない。いわんや、このほか医療の介護とかあるいは子女の結婚とか、いわゆる中小企業のサラリーマンにとって緊急に金が要る場合のことをお考えになるならば、もうちょっと貸し付けの理由目的を広げ、枠も拡大をする。百兆円あるのですから、この際、せめて三兆円や五兆円はこの被保険者への貸し付けに回す、こういうことについてぜひ御検討いただけないか、このことをまず第一点に申し上げます。
 第二点は、現行給付上の問題点を三つほど挙げてみたいと思うのです。
 その第一は、戦時中、陸海軍の軍人として働いた、言うならば兵役期間の取り扱いであります。
 赤紙一枚で日本のため、お国のため、当時で言うならば天皇陛下のためと引っ張り出された方々が、戦後、国家公務員、これは旧三公社を含みます、及び地方公務員として働いた方々は年金が通算されるのです。ただし、最高四十年という限度はございますが、なります。もちろん、軍人恩給の単独権を持っている方は別ですよ。三年とか五年とか、兵役期間を中途半端に持っている方々は、公務員共済に入った方々はつなぐのです。
 ところが民間、だから農林年金も私学共済もそうですが、厚生年金、国民年金は、極端に言えば一日も一月もつながらないのです。難儀をしただけ損。日本国家のために身命をささげて頑張った方々が、生き長らえて帰ってきた就職先のために年金で不当な取り扱いを受けている。大体、今の満七十歳以上の方々で健全な男子はほとんど皆持っているのです。このことに目をつぶったままの年金制度の改正はいただけない。このことについて御一考をぜひとお願いいたします。
 二つ目は、小さなことでありますが、遺族厚生年金の給付基準について少しく申し上げます。
 遺族年金の受給者が夫、両親、祖父母、すなわち奥さんが亡くなった、あるいは子供や孫が独身で亡くなった場合のことですが、被保険者が死亡した時点で現に五十五歳以上になっている方に限って六十歳から給付開始なんであります。これを、共済年金、まあ国家公務員、地方公務員、私学、農林、四つともでありますが、この共済年金の方はどうなっているかと申しますと、被保険者、加入者が死亡した時点で、年齢の制限を設けず、現に夫であり、両親、祖父母である受給権者は六十歳になれば全員受給されるのであります。こうした大きな矛盾、不公平をなぜ放置されたのでしょうか。
 しかも、もっと突っ込んで言いますと、共済年金の場合、例えば御両親が御健在でお父さんがもらっている、たまたまお父さんが先に亡くなったら、お母さんがそのままこの遺族年金をもらえるのです。これを転給といいます。同位権者があった場合、転がす、給付を転じていくのです。厚生年金は、仮にお父さんがもらっていて、お父さんがお亡くなりになった後は、お母さんが御健在でもこれは打ち切りなんです。こうしたところを是正も修正もなさらないということは、本当に私は不満であります。こうした点について、諸先生方の突っ込んだ御検討をぜひお願いしたいと思うのであります。
 それから三つ目に、繰り上げ減額制度がございます。
 繰り上げ減額制度は、共済年金の場合は給付開始年齢から最高十年、例えば六十としますと五十歳から、退職をしておればいわゆる退職共済年金をもらえるのであります。ところが厚生年金は、満六十歳になり今の特例支給を受けるまでは、船員とか鉱山労働者の五十五歳は別として、原則として男女を問わず六十歳からしかもらえない。例えば、五十九歳で企業が倒産した、ほうり出された、再就職先もない、ここで幾らかでも厚生年金をもらえればと思っても、それは全然だめなんであります。共済年金の減額率は一歳につき四%です。例えば五十八で八%引く。それで年金をもらえたらこんなうれしいことはないというのは、民間労働者の切なる希望であります。
 繰り上げ減額制度は国民年金にもございます。四二%も五歳で引くのですから、カット率は大変なものです。今回も、三五%くらいでどうかということが一部に出ておりますけれども、とてもじゃないが、共済年金に比べて雲泥の差がある。ぜひ諸先生方が、共済年金並みの一歳につき四%、ざっくばらんに言って五十五歳から給付開始、将来六十五歳になったらやっぱり共済と同じように十年早くからもらえるといったようなことを創設していただきたい。
 以上三点、現給付上の問題として申し上げておきます。
 次は、今次の法改定について、三つほど問題点といいますか、これを指摘したいと思うのです。
 第一は、六十五歳給付を余りにも安易にお考えじゃないでしょうか。
 確かに、先ほど来お話があるように、六十過ぎても働きたいという意欲を持っている方はたくさんいらっしゃいます。逆にしかし、六十から先はこの職場は危険だ、危ないといって働けない職場も結構あるのです。私はもともと電力の出身ですから電力の例で申し上げますと、山の中に立っている送電鉄塔、あのてっぺんは、どんなに天気晴朗な日でも何メートルか揺れているのです。あの上で作業をすることは五十五歳を超えると全く危険です。探せば、こうした危険な、高所とか高圧とか高熱とか、いろいろな職場はまだまだあるのじゃないでしょうか。昭和六十一年度に年金統合法を施行されたとき、少なくとも船員と金、銀、銅、炭鉱、こうした鉱山労働者には五十五歳給付の道を政府はお残しになりました。今回はそれが全然ないのです。
 ぜひ業態や職種によって、これはもう六十でやめていただこう、年金生活に入っていただこう、こうしたことをおやりになりませんと、ざっくばらんに言って、泥棒に追いつけないお巡りさんが出てくるのじゃなかろうか。こういうことを懸念をいたしますので、六十五歳に一気に上げていくということについてやはりもっと緩和策を設けるべきではないか、このように考える次第です。
 二つ目は、在職老齢年金です。
 今回、二十四万が三十四万になるわけですから、確かに現状よりかはよくなります。ただ、私の前の方が御指摘のように、実際三十四万になるけれども、逆に今よりかは悪くなる例などが出てきます。六十歳を超えてなぜ三十四万円で抑えるのか、私は素朴な疑問を抱かざるを得ません。
 私自身、六十二です。同期生会を開きますと、まだまだ大学生を抱えている仲間がいっぱいおります。六十過ぎたからといって、急激に生活ダウンは不可能なんです。なぜ、ここを五十万くらいで調整することをお考えにならないのか。逆に言えば、厚生年金基金と、企業が退職金などを運用して退職年金を別に出したりしますと、三十四万円を上回る年金が、現に一部上場、二部上場の中では出てきているのです。だから、三十四万円ぽっちで抑えられるなら、働くよりか年金もらった方がましということにもなりかねません。六十過ぎてからの勤労意欲を高める意味でも、ぜひこの調整の枠を、三十四万よりか五十万、現行の二十四万の倍くらいに設けて高年齢の方々の勤労意欲を高める、生活安定を図る、こういうことについて御一考を煩わしいと思うのであります。
 三つ目は、雇用保険との給付調整です。
 雇用保険は、御承知のとおり事業主と労働者本人が掛けてきた長年の蓄積による、言うならば失業給付というのは権利であります。これは私の前の方がいみじくもおっしゃいましたが、正直申し上げて、田舎に行ったり中小零細企業に行くと、うちは退職金少ないけれども、国の方の退職金、こう失業給付のことを言うわけですが、あれがあるから辛抱してくれ。これが偽らない中小企業の実情じゃないでしょうか。それを、ことしの三月時点でいえば、最高で給付期間三百日、日額九千四十円、二百七十一万二千円をもらう間は一円も厚生年金を出さないなどというのは、冷酷非情と言って過言ではないと思います。
 私は、本当を言えば完全併給、現在のように併給を続けてほしいと思いますが、事ここに至っている以上、せめて五年間の移行措置を設けて、一年目は九〇%、二年目は八〇%と一〇%ずつ厚生年金をダウンをし、五年後に五〇%給付をする、そしてこれで将来にわたっていく。雇用保険の失業給付と厚生年金の併給調整について、もっともっと情のある、温かみのある弾力的運用をやっていただけないか、このことをあわせてお願いを申し上げたいと思います。
 最後に、こうした矛盾点が積み残されたまま、なぜ年金法改定の審議が始まったのか、素朴な疑問をつけ加えながら、労働者災害補償保険の給付との調整問題について申し上げます。
 厚生年金並びに国民年金加入の民間労働者が業務上災害に遭ったとき、当然のことながら、労働者災害補償保険法の適用を受けます。その場合、どういうことになるか。大きな障害が残ったり、不幸にして命を落とした場合、労働者災害補償保険の障害補償年金あるいは遺族補償年金が出る場合、厚生年金と国民年金の加入者は、国民年金の障害年金あるいは遺族年金、さらには厚生年金の障害年金、遺族年金が全額出されて、労災保険の方が七八%から八八%くらいまでカットをされるのです。
 一方、三公社、今で言うJR,NTT,JT、さらに農林年金、私学年金の方々は同じ民間労働者です。この方々が同じような事故に遭えば、彼らはどうなるか。労働者災害補償保険の方が満額出るのです。そうして、共済年金の方が最高三割くらいカットをされるのです。どちらが労働者に有利か。私のお隣に連合の代表の方もおいでですが、事故発生の直近の三カ月間の賃金、給与、さらにはボーナスまで含めて給付されるのは労災保険です。断じて有利です。
 それなのに、厚生年金、国民年金加入者は、労災の方をカットして、加入期間全期間の平均で計算をされる厚年や国年の方をもらうというこの矛盾、このことは労働者の個々の幸せにとっても許すことができないと思うのです。かつ、公的年金制度の財政事情からいっても、そういったことにお詳しい戸井田団長がおいででありますが、年金財政全体としてもそれは道なんですね。厚生年金、国民年金をカットされた方が年金制度は助かるわけでしょう。こうしたことが全く議論もされていなければ、厚生省が触れようともしない。私はここに大きな不満を表明せざるを得ないのであります。
 もう一遍申し上げます。事故、業務上災害に遭ったときに、なぜ厚年、国民年金加入の民間労働者はこうした不利益、不公平な取り扱いを受けなければならないのか。そうして、三公社、私学、農林年金の共済年金の方々は有利な取り扱いを受けている。このことを私はやっぱり厳しく指摘をすると同時に、厚生年金、国民年金加入の民間労働者全体に、今申し上げた旧三公社の方々、さらに私学、農林年金の方々と同じように労働者災害補償保険の適用を優先させる、このことをぜひ実現をしていただきたい。もっと突っ込んで言うならば、労働者災害補償保険の目的からいって、労働者が業務上災害、公務災害に遭ったときは労働者災害補償保険の適用を最優先するのが当たり前じゃないでしょうか。
 このことについて私は声を大にして訴え、以上、いろいろと話を申し上げましたけれども、以上の点を申し上げ、本法案に不満ながら賛成する立場での意見を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
#80
○戸井田座長 ありがとうございました。
 次に、真田是君にお願いいたします。
#81
○真田是君 私は、今回の年金法案につきまして、主として次の二点にかかわって賛成をいたしかねる御意見を申し上げてみたいと思います。
 二点と申しましたのは、第一点は、陳述人の多くの方がお触れになりましたけれども、今回の案での年金の完全支給開始年齢を六十歳から六十五歳へ延ばしていく、この部分であります。これはいろいろ御指摘がありましたが、私、またちょっと違った角度から申し上げてみたいと思います。
 年金の問題、特にこれは公的年金でありますから、年金の問題を考えてまいります場合の基本は、これまで長く社会を支えてこられた高齢者、この方たちの老後でありまして、それをできるだけ豊かな老後として支え、保障していく、これが公的年金を考えてまいります場合の基本的な視点ではなかろうかと思います。もちろんこれには、今回の案の中でのいろいろな検討がございますように、年金財政というものがございますので、具体化のところではいろいろな追求を、努力をしなくてはならぬとは思いますけれども、今の基本的視点を抜いたところでの具体的な案の審議というもの、あるいはこれが薄れたところでの審議というのは、これはくあいが悪いのではなかろうかというぐあいに私としては考えております。
 さて、豊かな老後と申しました場合には、これは、今日の状況から申しますと、社会生活のいろいろな面からの条件とかいろいろな要因、ファクターとかというのが整わなくてはならぬということになりましょうけれども、特にこれを経済の面から申してまいりますと、やはり経済的に老後の生活の基盤が固められているということが豊かな老後と申す場合の第一条件であろうというぐあいに考えております。
 これにつきましては、今回の案はどういうように考えていらっしゃるのかわかりませんが、一方では、社会の定年制のところですと、大体六十歳のところを延ばしてきたのがどちらかというと一番進んでいる部分ということになっているような現状でありますので、それでは六十歳の定年から完全開始の六十五歳までの暮らしというのはどうなるか。ここはやはり、今申し上げた豊かな老後の経済的な基盤ということになると大変困難な問題が出てくるのではなかろうか。
 一例を申し上げますと、私どもが京都市の委託を受けまして平成三年にまとめた高齢者の実態調査がございますけれども、その中から今の点にかかわるところを一点だけ報告をさせていただきますが、この調査では本人の収入の部分もお聞きをいたしました。この高齢者の収入の部分のところで、大まかに申し上げて、年収二百万以下というのが全体の五割であります。
 全体の五割が年収二百万以下、こういう調査結果が出てきておりますが、これはもちろん、この六十歳以上のところを含めていろいろな個人的な努力をし、それからもう一つには年金というものの支給があって、これらをならした結果がそうい
う数字になってまいろうかと思いますけれども、こういうような実態を見てまいりますと、恐らくこれから、雇用者である方たちにも六十歳を過ぎても年金の完全支給が行われないということになりますと、定年の後、今申し上げたような二百万以下層がさらに大きく広がっていくであろうということが予測されます。
 それでは、ここで就業の問題が十分に進まなかった場合にはどうなるか。これは、今日の国の制度から申し上げたら、生活保護法というところへの適用を申請する以外になくなっていくのではなかろうか。これは恐らく、国がこれまで考えてまいりましたこれからの日本の社会保障の全体のシステムという点から考えてまいりましても矛盾をしてくるのではなかろうか。
 この間、社会保障制度審議会、その中の将来像委員会を中心にいたしまして、いろいろな戦後の社会保障理念についての検討をしてきておりますのは伺っておりますが、あの中での指摘を見ましても、社会保障というのは生活保護制度重点から社会保険重点に動いてきているのだという指摘がありますし、それから、今後の方向もそちらの方へ持っていかなくてはならぬという指摘があるのは御承知のとおりであります。私は、もちろんこの見解について全面的に賛成をして引用しておるわけではございませんが、ただ、社会保障の全体のシステムのありようとしてはこういう点が大事だということは感じております。
 ところが、今のような六十歳定年のまま六十五歳への完全開始の年齢を延ばしていくという形になりますと、社会保障システムの中での生活保護のところへの負担、重圧が大変大きなものになってくるということを予測せざるを得ないのではなかろうか。これは全体としての私どもの進んでいく方向からどう考えていいのか。社会保障の理念に逆行をする現実が、この方向を進めていくとつくり上げられてきはしないかということを考えまして、私は、この部分については賛成をいたしかねるというぐあいに考えてまいりました。
 それからもう一つ、第二点でありますけれども、今回の案では、厚生年金の保険料率を千分の百六十五から当面は百七十三・五に引き上げまして、聞くところによりますと、財政再計算なんかの結果とか見通しがらば、多分行く行くは、二十一世紀に入っていくと千分の三百まで上げていかなくてはならぬかもしれぬ、こういうことが論議をされているのも伺っております。
 そういたしますと、これは年金財政のところからいってやむを得ない手だてだというぐあいに言われておると思うのですが、私は、社会保障、社会保険の年金財政は私的年金の財政と違うわけでありますから、財政がかなり厳しくなったらすぐに保険料へというぐあいに考えていくのは、これは論議不足ではなかろうかというぐあいに考えております。
 むしろ、公的年金の制度であれば、この年金財政に問題が出てきた場合は、国家財政の政策との連関を立てまして、そして、そこも含めた論議というものを進めていくのが大事なのではなかろうかというぐあいに考えておりまして、ありていに申し上げると、これは具体的には、国家財政の政策の検討も含めて国庫による年金財政への支出を大きくしていくというのも、これはもちろん一つの案として考えられるのではなかろうか。先ほども陳述人の何人かがおっしゃいました、国庫負担のところをもっと大きくしていくというのも検討に値するのではなかろうかと考えます。
 それからさらに、年金財政につきましては、日本では、国際的にちょっと珍しいと言われておりますように、まだ修正積立方式をとっているわけでありますから、そうすると、この積立金の運用というものをどういう形で進めていくかというのが年金財政にもかなりかかわってこようかと思います。
 一つは、これを株に運用したりということもあると伺っておりますけれども、これで大きな財政の余裕をということであるかもしれませんが、私は、これは大変不安定な方式であろうと考えておりますので、この運用の仕方には賛成をいたしかねますし、それからもう一方で、では長期の低利の融資というのに使っていくのがいいのかというと、これはこれで年金財政のもともとの、今申し上げたような必ずしも裕福でないという形から申し上げたら、そこへそう多くを使っていくわけにもいかぬ。私はこの辺はよく存じ上げませんけれども、年金財政の運用の仕方にはいろいろまた論議の余地があるのではなかろうかというぐあいに感じております。
 私が申し上げたのは、以上のように二点にわたりまして、もう少し国会での時間を十分にかけた検討の余地があると思いますので、この案、賛否いろいろあるかと思いますが、したがいまして、ぜひお願いを申し上げておきたいことは、時間をかけた論議というのがこの手のものでは大事ではなかろうか。国民のだれもが迎える老後に直結をする問題であります。したがいまして、これは八五年の年金改正のときにも一定の時間をかけて論議をいたしたわけでございますので、私ども国民としては、国会での深い、時間をかけた論議というものを期待をしているということでございます。
 最後に、一言申し添えさせていただきますが、私は、年金の問題を扱う場合、年金法の改正というような場合には、これはいろいろな点の改正が、あってしかるべきだと思いますが、今、日本の公的年金が持っている現状から申し上げると、先ほど鈴木陳述人もおっしゃいました点が一つ、私は大事なものだとずっと申し上げ続けてまいりました。つまりは、無年金者の数というのが決して小さなものでないし、それから、これは保険料を上げれば上げるほどふえてくる可能性を持ってまいります。したがいまして、この無年金者をどうなくしていくかというのが国民皆年金の政策をとった国の大事な基本のところではなかろうか。したがいまして、年金法の改正を問題にする場合には、無年金者をなくしていく案、方針というものが必ず入っていないといけないのではなかろうかというぐあいに考えております。
 それからもう一点は、今日でもあめ玉年金というような言い方がなお続いておりますように、今日の日本の公的年金の中にはまだ大変低額の年金がございます。この低額の年金のところもどういうように直していくかというのが大事な方針でありましょうし、八五年改正のときにこれは基礎年金という形になってまいりましたが、今申し上げた二点、無年金者をなくすという問題と低額年金をなくしていくという問題、この両方に絡んで基礎年金のところのありようというのを財源も含めて考えていくというのが、最後に私が希望として申し上げた二点にかかわる一つの幹に依っているのではないかというぐあいに思います。
 以上で私の陳述は終わらせていただきます。(拍手)
#82
○戸井田座長 ありがとうございました。
 以上で意見陳述者からの意見の開陳は終わりました。
#83
○戸井田座長 これより委員からの質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。熊代昭彦君。
#84
○熊代委員 座ったままで失礼させていただきます。
 本日は、お忙しい中を五人の意見陳述をちょうだいしまして、本当にありがとうございました。すばらしい御意見でございました。示唆にあふれる御意見をいただきましたことを深く感謝するものでございます。
 幾つかの点につきまして私は質問させていただきたいと思いますが、一つは、木下先生にお伺いいたしたいと思います。
 現在、雇用情勢がやや厳しくなっております。だんだん厳しくなるかもしれないというふうに予測されている状況でございますけれども、お話もございましたように、高齢者の雇用を促進して六十五歳まで働きたい希望を有する人、そして体力
を持っておられる方々は働ける、そういう社会のシステムをつくり上げることが大切なことであると思います、若年労働力が非常に減少してきているという状況でございますけれども。そういう客観情勢には大きな目で見ればあるわけでございますけれども、今日の状況及び中長期的な状況の中で高齢者雇用につきましてどのように取り組みをされるかということをお伺いいたしたいと思います。
 定年制の延長、これは再雇用も含めましてでございますけれども、あらゆる形態での定年制の延長を含めての問題でございますが、今日、これを実現することが大変な課題であるとともに、幾つかの逆転的な発想が必要ではないかということも考えているところでございます。
 連合を代表されました梅本先生にお伺いいたしたいところでございますけれども、同様の趣旨ではございますが、確かに、二〇〇一年を皮切りにしまして二〇一三年、六十五歳まで延ばしていく場合には、六十歳から六十五歳までの雇用につきましては不安に思うということはまた当然なことでございますけれども、それと同時に、先進諸国の中で六十五歳雇用が定着していないのは比較的少ない、我が国よりもはるかに雇用情勢が悪い中で六十五歳定年あるいはさらにその上をというのが多いわけでございまして、一つの逆転の発想といたしましては、やはり年金というのは、退職を前提として厚生年金は組み立てられておりますので、フル年金が出れば、それは、全体の社会情勢はいかにあろうとも、個別的な利害といたしましては、経営者の方々も退職していただく、そして労働組合の方々も、先輩のことをおもんぱかりはしますけれども、後から続く人もいるから先輩はフル年金が出ればどうぞお引き取りくださいということになるのじゃないだろうか。
 それよりも、一つの期間を限りまして、きっちりとした目標年次を定めまして、このときまでに経営者としても努力する、労働組合としても、先輩の生涯でもありますし、そして自分自身の生涯でもございますので、その目標年次までにきっちりとしたあらゆる形態の雇用、再雇用を含めた定年制延長を考えて、年金よりもはるかによい体制をつくる、はるかによい給与で働ける体制をつくるということが重要な課題ではないだろうか。そして、人口構成からいったらそれはできるのじゃないだろうか。大変に冒険に思われますけれども、あるとき思い切って飛ばなければいけないのじゃないかというようなことを思うわけでございます。上西先生のお話にございました、細かい配慮が必要であるというのはおっしゃるとおりでございますけれども、それを加えつつも思い切って飛ばなければいけないという時期ではないか。その点について御見解をお願いしたい。
 とりあえず、お二人にその点についてお伺いいたしたいと思います。
#85
○木下隆徳君 私どもの会社も、昭和三十九年から六十歳定年制を実施しております。高齢者雇用に積極的に取り組んでおりますけれども、中小企業によっては人材確保は難しい問題であり、若年人口の絶対数が減少することを考えても、労働力のパイプを維持していくために高齢者も重要な構成要素となっております。したがいまして、高齢者雇用について、私ども、消極的じゃなしに積極的に、いろいろな機関を通じてお願いをしているところでございます。
#86
○梅本鎮雄君 先生御指摘のように、我々労働組合サイドからもそのような問題については大所高所から対応していかねばならないと考えております。したがいまして、企業におきましては、労使間で新しい雇用の創出ということをいろいろ提言いたしまして、従来の、言うなら固定した概念だけで企業とか職場を見るのではなくて、新しい雇用の創出に向かっての対応を求めておるところでございます。
 さらに、本人にいたしましては、六十歳定年というのは、数字からいえば確かに定着度は高くなっていますが、その内容からいいますと、むしろ五十五歳定年が形として六十になったということも含めてでありますから、実際、働かせてやっているというような面がまだまだあるように思います。本人が本当に自分の能力を生かしてやっているのかどうかということになると、その数字は必ずしも我々は正確ではないと見ているわけであります。
 したがいまして、本人の能力をさらに開発していくということになりますと、それぞれの都道府県、京都におきましてもそういう職業技能訓練の施設はございますけれども、これも従来的な感覚において設置されたものであって、人生八十年代の設計ということにおいては必ずしもその対応は十分ではないと思っています。私たち連合としましても、今、自治体要求の中でその要求を組みまして、京都府、京都市を初め各市町村に要請をし、そして、公に求めるもの、みずからも意識改革するものの両面、さらには企業内における雇用創出、三面に向かっての要求を組み立てて取り組んでいるところでございます。
#87
○熊代委員 ありがとうございました。
 次に、もう一、二点お伺いさせていただきたいと思いますが、梅本先生の方から、基礎年金の国庫負担率を引き上げるべきであるという連合としての御意見をちょうだいいたしました。
 御承知のとおりでございますけれども、国庫負担率を引き上げれば、現在三・九兆円の国庫負担が五・六兆円、約一・七兆円ふえる。二〇二五年時点で現在価格で割り戻してみますと、八・一兆円のところが十二・一兆円になる、四・○兆円ふえる。三分の一が二分の一になるわけでございますので、六分の一ふえるから五割増しになるわけでございますが、現時点で一・七兆円、二〇二五年時点で四兆円ということでございまして、常識からいって年金制度の保険料の負担率はそんなに高くない方がいいというのは御指摘のとおりでございますが、その財源の確保という問題が大変に大きな問題になるわけでございますけれども、その財源の確保についていかがお考えになるか、その辺の御見解をお伺いしたいと思います。
#88
○梅本鎮雄君 基本的には、公平な負担があって公平な給付がある、あるいは公平な給付があって公平な負担があるということだと思います。今御指摘の、先生がおっしゃいました数字につきましては、私どもも経過として伺っております。
 この財政につきましては、やはり現在の財政状況そのものを見て根本的に税制問題から入っていくべきではないだろうかと考えるわけであります。総合課税の問題あるいは資産課税、さらには一般的に言われるトーゴーサンピンだとか、あるいはクロヨンと言われておりますこの税制問題の不公平さ、これを徹底的に解明すべきであると考えております。さらには、消費税によって今発生しましたような益税の問題、これなんかは当然解消すべきでありますし、行政改革についてもまだまだ取り組まなければならない問題はあると思います。こういうことを総合的に進めることによりまして、しかるべき方向は出てこようと思います。
 その上に立って消費税財源というものも考えるべきであって、足らないから消費税という形については私どもは反対でありますし、また、今言うたようなことを総合的に各部局によって、あるいは全体の論議の中で徹底的なチェックをしていただければ、このような財源は可能であるし、さらには、当然減っていくでありましょう恩給財源等は組み入れも考えていただければいいのではないかと思います。
 以上です。
#89
○熊代委員 あと一点だけお伺いいたしたいと思いますが、鈴木先生にお伺いいたしたいと思います。
 お話のございました案件、非常に身につまされる、大変に実情を踏まえたお話でございますけれども、年金制度は御承知のように保険制度でございまして、保険に加入して、そして保険事故に該当した場合に給付があるということでございます。例外的な措置といたしまして、二十歳前は全国民がかわって保険料を払っているということ
で、六十一年改正で保険原理の中に大きな、未成年者の障害年金の保障を考えたわけでございますが、本人の責に属さないことは格別といたしましても、本人が知らなかったというのはやはり本人の責に帰せざるを得ない。
 残酷な話ではございますが、確かに広報の問題等いろいろございまして、御指摘の問題はあると思いますが、そういう保険原理になじまないものはこれもまた生活保護とか一般の給付になる、そういう保険金のない給付になじむことになってしまうという、大変残念なことでございますが、そういう原則のもとに成り立っているというふうに思うわけでございますが、こういう原則のあり方とお話しの問題点の御指摘についての御意見をお伺いできればと思います。
#90
○鈴木静子君 老後の無年金もありますけれども、特に障害者の場合は、なりたくてなったものではありませんし、突然の障害になります。そのときに年金がないということは、働けないわけですから自立もできませんし、それから、先ほど保険料の問題を言われましたけれども、二十前の障害の方については福祉の面で考えられて、保険料を支払わなくてもいい制度があるわけですから、それをどうして二十を過ぎた者には、例えば、先ほどもお話しいたしましたけども、八日を過ぎただけでも学生の場合だったら無年金になったわけですし、その重荷を一生ずっと背負っていかなければならないわけです。それで果たして私どもが六十五歳まで、私自身もそうですけれども、六十五歳まで生きておられるかどうかもわからないわけです。今現在の生活をよくしてほしいのです。そういう気持ちでいっぱいです。
#91
○熊代委員 各先生方、すばらしい御報告をいただきましたので、いろいろお伺いしたいこともございますが、時間の関係もございますので、私の質問はこれで打ち切らせていただいて、ほかの先生にお願いいたしたいと思います。ありがとうございました。
#92
○戸井田座長 次に、青山二三君。
#93
○青山(二)委員 青山二三でございます。
 本日は、意見陳述者の皆様、大変お忙しい中をお越しいただきまして、いろいろと参考になるお話を聞かせていただきまして、本当にありがとうございます。
 ただいまもお話ございましたように、今回のこの年金の改正というのは、いろいろな観点から、法律で定められて五年に一度見直すということでございまして、その内容は、来るべき二十一世紀、高齢化社会を展望しての大きな改正になるわけでございます。そして、掛金を払いながらも今まで受給されなかった方への、いわゆる年金の谷間にあるような方へも救済の措置をとったということで、比較的細かいところまで配慮した改正だと思っております。
 そういうことで、ただいまお話をいただきました中で、まず、無年金障害者の会の鈴木さんに何点かお伺いをさせていただきたいと思います。
 きょうは、お体の不自由な中を本当に御苦労さまでございます。いろいろと実態をお伺いいたしまして、本当に大変胸の痛い思いをいたしております。
 一九八一年、これは昭和五十六年でございますが、国際障害者年というのがございましたけれども、これを契機にして、国際的にもまた国内的にも障害者への関心が高まりまして、それに続く国連障害者の十年ということで、いろいろな障害者への対策も行われてきたわけでございますが、障害者を取り巻く環境がそういう期間を通じでどのように変わっておりますでしょうか、ちょっと参考にその辺のことをお聞きしたいと思います。
#94
○鈴木静子君 確かに、私が障害者になりましたときはもう今から二十五年前ですので、本当に自分自身が障害者になるとも思っていませんでしたし、そのころから比べますと、国連障害者の十年があってから随分変わりました。
 どういうふうに変わりましたかといいますと、障害者も人として、たとえ障害があっても普通の人と同じように、平等に対等に生きていけるようになった、それが国際障害者年があった十年だったと思うのです。それに比べて、やっぱり無年金障害者というのは、それにもあずかれなかった。本当に、国連の障害者年があって、年金があることで障害者も人として認められるようになった、そういうふうに思います。
#95
○青山(二)委員 先ほどるるお話をいただきました中で、無年金障害者の方が大変御苦労をされて生活しているという実態をお伺いいたしましたが、その就業状況とか、それからどのような行政のサービス、公的サービスの受給状況でございますけれども、ちょっとお教えいただきたいと思います。
#96
○鈴木静子君 例えば列車の割引であるとか、私は尼崎に住んでおりますけれども、尼崎市については、例えば無年金だからこういう差別があるとか、そういうことはありません。障害者の医療についても、私は一級ですので無料です。だけど、基本的に生活していく部分については、特に無年金障害者の場合は、本当に根幹のところで生活ができないので、いろいろ制度がよくなったとしても全く利用ができないわけです。
 例えば、確かにタクシーチケットも月に四枚出ておりますけれども、それを使って行こうにも、ずっと在宅の状態を余儀なくされている方が半分以上おるわけですから、幾らいい施設や設備をつくってもらったところで、無年金障害者というのは利用できないわけです。それに、ここの調査表でも書きましたけれども、半数の方が無収入ということは、働けなくてずっと親が介護をしておられるわけです。
 働いている場合でも、働いているとはいっても本当にアルバイト程度で、例えば、神戸市に住んでおられる、学生のときに無年金になった方なんですけれども、症状が落ちついていいときには家庭教師のアルバイト程度はできるのですけれども、それがずっと重くなってしまうと全く寝たきりになってしまってアルバイトどころじゃなくなってしまうとか、だから、幾らいい制度を、建物をつくっていただいても、本当に最低のところでしか利用できないような、そういう仕組みになっているのです。
#97
○青山(二)委員 無年金障害者の方々が年金を受けられない理由ということで、ただいまページをお示しいただきたましてお知らせいただいたわけでございますけれども、その中に、知らなかった、それから納めるのを忘れていたとか、あるいはチラシを見なかったとか、そういう理由が挙げられておりますけれども、幾つかのこういうパターンがありますね。その理由で納められなかったということに対して、鈴木さんはどのようなお考えを持っておられますか。
#98
○鈴木静子君 私は、もともと障害があるのに年金を掛けなければ障害年金が出ないという、そういう制度そのものがおかしいと思っています。まして、特に学生とか、実際にあったのですけれども、二十を三カ月過ぎていたのですけれども、年金のことを知らなかったために無年金になった方がおられるのです、年金の知識が十分与えられていなくて、二十の若い間にそういう年金に加入する、そしてまた年金に加入しなかったことがどれほど自分の不利益になるかということも知らされてなくて。
 そういう決断を若い間にしなければならないということが、そしてしかも、国民年金というのは本人の申請になっておりますでしょう。例えば厚生年金とか共済の場合でしたら、自動的に引かれますので、別に自覚がなくても無年金になるようなことはないのですけれども、国民年金の場合は本人の申請になっておりますので、そういう制度から出た無年金でもあると思いますので、やっぱり保険料の納付条件だけに障害の場合は絞ってしまうのは非常に酷じゃないかと思います。
#99
○青山(二)委員 先ほども質問ございましたとおり、この年金というのは保険の仕組みをとっているわけでございますから、未加入であったり滞納した場合には受けられない、こういう原則から成り立っているわけでございますね。そういう点に
ついて少し御答弁いただきましたので、この無年金、今、未加入者がこの間の調査では百九十三万人、百九十万を超えている、そして、またこのほかにも滞納をしている人も百万人を超えているということが報じられておりましたけれども、こうした方々に年金を支給するということになりますと、今後、まじめに、大変な中一生懸命掛けている人たちが意欲を失ってしまうのではないかというようなことも言われておりますけれども、そういう点についてはどのようにお考えでしょうか。
#100
○鈴木静子君 確かにそういう方のお話も聞きましたけれども、私たちも故意でとか悪意で年金を掛けなかったわけではありません。例えば私の場合にしましても、ほとんどが年金制度のことを知らされてなかった、二十を過ぎたら年金を掛けなければならないと。特に任意加入の制度というのは、入っても入らなくてもいいですよと、例えば役所に行って任意加入をしたいのですがと言ったときでも、役所の方自身が、ああもうすぐ働かれますね、そしたら年金加入はいいですよとか、それから、ああサラリーマンの奥さんですね、そしたら別に、年がいったらだんなさんの年金があるからいいじゃないですか、入らなくてもいいですよというふうに言われたこともありました。特に、今のように昭和六十一年に制度が変わりましたけれども、それ以前というのは、本当に年金に対する知識が全くと言っていいぐらい与えられていませんでした。
 だから、私たちも、確かにまじめに掛けてこられた方もありますけれども、まじめに掛けてこられた方に対しては上乗せの金額を十分出されて、そして、いろいろな事情で全然掛けられなかったとか、私どものような無年金に対しては、最低の保障年金というのですか、一銭のお金を出さなくても二十前の障害の方には現にそういう年金制度があるわけですから、それを二十以上の者にも及ぼしていただいて、それで、ずっと掛けてこられた方にはそれを上乗せするような、そういう年金制度をつくっていただけましたらどんなにか――無年金で自立ができないというのは本当につらいものです。幾らお金があっても障害者本人のお金がなければ一銭も使えないわけですから、無年金になったときに何らかの形でお金が出て、それで自分の自立の助けになる、そういう制度をつくっていただけたらと本当に思っています。
#101
○青山(二)委員 次に、年金問題研究家の上西先生にちょっとお伺いをしてみたいと思います。
 先ほど、積み残された問題についていろいろ指摘がございましたけれども、私がお聞きしたいのは女性の年金についてでございます。
 年金審議会ではいろいろと検討されておりましたけれども、今回の改正に盛り込まれなかったものとして、一つは、パートの女性にも厚生年金を適用すべきではないか、もう一つは、専業主婦も学生同様に保険料を支払って年金財政に寄与すべきではないか、この二点についてなんですけれども、将来的にどのように考えていけばよろしいのかをお伺いしたいと思います。
 今、専業主婦は約一千二百万人と言われておりますが、自営業の妻とか農業の妻、そして親に扶養されている学生まで保険料を納めているのが現状でございます。ところが、サラリーマンの妻だけは納めなくてもいい。納めなくてもいいというのは、これは不公平ではないのか、そういうお話が働く女性の間あるいは女性の有識者からも今出ているわけなんでございます。
 サラリーマンの妻の年金は、夫の扶養がある間はよろしいのですけれども、なくなるとき、例えば離婚したときなどは本当に基礎年金の部分だけしか支給されないで、生活はたちまち困窮することになるわけでございます。女性は男性よりも平均寿命が大きく上回っておりますので、老後の長い女性にとっては、この年金問題こそ男性以上に切実な問題ではないかと私は考えているところでございます。
 女性としては、専業主婦も働く主婦も、私としては両方の声に耳を傾けたいということもありましで、この女性の年金につきましては、今後いろいろと研究課題ということで論議していかなければならないのではないかと思っているところでございます。専門家のお立場から、この女性の年金についてどのようなお考え、御所見をお持ちになっておられるのか、お伺いしたいと思います。
#102
○上西和郎君 私は、六十一年の改正で、サラリーマン夫人を第三号被保険者として一括強制加入、しかも、その保険料は各人から徴求せずに、いわゆる夫が属する公的年金制度から一括納入、これは大英断だったと思うのです。それで随分救われています、障害年金なんかでも。先ほど来お話がありますけれども、本当にお気の毒な例はいっぱいあるのです。大学生に限りません。わずかのことでもらっていない。そういうところで、第三号被保険者になった方々はいいわけですね。
 そして確かに、自営業の方々から見れば、形の上では納めていない。しかし現実には、先生御承知のとおり、公的年金制度が負担をしています。だから、その辺のことの理解を深めると同時に、自営業の方々について、もっと納付がしやすいようにする。
 例えば、話はちょっと飛びますけれども、私は、大学生の強制加入のとき、全部ただで入れたらどうだという意見をちょっと申し上げたことがあるのです。そのかわり勤めたら、大学生の二十から、まあ医学部なんかは長くなる、浪人者は長くなる、最低で二年間、その分を、厚生省、優秀な方がきょうもたくさんお見えですが、勤めてから五年か十年のローンで国民年金の保険料を徴求する、そうすると全部入るだろう、国公立、私立の大学にぴしっと二十になったら入りなさいということを文部省あたりとタイアップしてPRして、そしてその分をやればどうだろうかということを申し上げたのですが、いかんせん諸先生方の中に、やっぱりリッチな方の御子弟と母子家庭とで同等扱いはいかぬといったようなことで保険料を取るようになって、それで結局強制加入で免除になったのです。そうしたいきさつがあるのです。
 だから、きょうは限られた時間でもう余りはございませんので、その専業主婦の方々それからいわゆるパートでの働きに出ている方々の保険料の負担問題は、やはりもっともっと検討して、より納めやすく、そして極端に言えば国としても徴求しやすく、その権利が、受給権が平等に行き渡るというところについてはもっと英知を結集していいのじゃないか、このように考えます。
#103
○青山(二)委員 大変ありがとうございました。
 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
#104
○戸井田座長 次に、柳田稔君。
#105
○柳田委員 きょうは、本当にお忙しい時間帯においでをいただきまして、心から感謝を申し上げます。
 そこで、まず最初に梅本さんと上西さんにお尋ねをしたいのでありますが、今回の年金の改正の中で、掛金の最高は二九・六、三〇%を超えないということで、我々、それを一つの哲学としてやってまいりました。木下さんの方からは、この哲学についてはよろしかろうというお話があったわけでありますが、梅本さん、そして上西さん、この哲学についてまずお伺いをしたいと思います。
#106
○梅本鎮雄君 トータル的に見れば、そのことは私どもも決して反対ではありませんし、そういう方向づけが出ることは、現在の社会構成あるいは年齢構成、将来の高齢化社会への方向を考えればやむを得ないことだと思っていますし、まあまあの数字であろう、これ以上高くすることはできないと思います。
#107
○上西和郎君 私も梅本さんと同意見で、経済のいろいろな指数その他から見て、いわゆる最高限度額というのはそこに置かざるを得ないだろう。
 ただ、二言私が申し上げますのは、その累積剰余積立金が被保険者へ、現に加入している人たちへのいわゆる還元活用が共済年金に比べてほとんどされてない。その点をやはりもっとお考えいただきたいという意味で冒頭申し上げましたので、
そこら辺を御理解いただきたいと思います。
#108
○柳田委員 ありがとうございました。
 上西さん今おっしゃったように、共済と厚生、大変な差がある。正直に申し上げて、差別だと私は思っているのですけれども、来年には一元化の議論が多分盛んにされるだろう。そういうときに、こういう今先生から教えていただいたものがいろいろと出てきまして、これをどういうふうに決着つけるか。いい方向に全部を引き上げるのか、またはこっちの方に下げるのか、いろいろな議論がされるものだ、そう思っていまして、私も厚生年金を以前掛けていましたので、そっちの立場からでもいろいろ言っていこうかなと思っております。
 梅本さんにお伺いしたいのですけれども、先ほど五つの修正、三つの補強というお話がありました。その中で五つの修正部門でありますけれども、今、三〇%についてはおおむね賛成というお話でございました。今回の改正は、別個の給付ということで大変大胆な決断もさせていただきました。これを導入したからとは言えないかもわかりませんけれども、相当高い掛金を将来お支払いいただく。しかし、三〇%という上限を決めますと余り余裕がない。梅本さんが今おっしゃった五つの修正をどんどんやっていきますと、もうとんでもない掛金になってしまう。今そういうジレンマに我々はあります。
 そういう中で、三〇引く二九・六で〇・四の中で一体何ができるだろうか。例えば一〇%カットの高年齢雇用継続の分をやめたらどうなるのか、または、二〇%のカットもありましたね、あれをやめたらどうなるのかといっていろいろ試算をしておるのでありますがいいかんせん、○・四の中でおさめようといったときに大変難しいというのが実感であります。
 そういうことを考えますと、ある程度のところで、我々としてもその大前提を崩さない限りはできませんので、その五つある中でぜひともここはというところがあれば、もう一回教えていただければと思います。
#109
○梅本鎮雄君 どれがと言われますと、人間の手五本ですから、どれを落としてもそれぞれの機能はあると思います。
 ただ、私たちのこの五つの修正につきましては、例えば国庫負担によって労使の負担率を軽減していくということを指摘しておりますが、一気に三分の一を二分の一にというものを早急に求めているのではなくて、当然一九九九年に再計算がなされることも予定されているわけですから、総合的に見ていただくことも大事だと思います。
 さらには、先ほど言いましたように、やっぱり公平な給付というものには公平な負担が伴うということは存じております。しかし、国の予算の大骨幹をなすこの税制問題、このことがいつ議論をされても、総論においてはかなりの方向が出されても、各論になってくると結果的には大山鳴動ネズミ一匹に終わっているのではないか。我々勤労者からいうと、トーゴーサンピン、クロヨンと言われるこの税体系、この現状は断じてやはり許すわけにはいかないし、一日も早い是正方向が望まれるわけであります。そういう面を総合的に判断していけば、今先生の御指摘の向きのかなりの部分で解消できるのではないかと思っております。
#110
○柳田委員 木下さんにもちょっとお伺いしたいのでありますけれども、国庫負担について、ここ数日来、ウルグアイ・ラウンドの問題で与党の皆様が、何か国で六兆円、地方で一兆二千億円、七兆二千億円というお話がありました。私は、ウルグアイ・ラウンドのこともあるので、ある程度のことはしなきゃならないなとは思っておりますが、この問題と今回の年金改正、特に国庫負担の問題を考えますと、国民に影響する度合い、そして国民が受け取るいろいろな感情問題も含めて、一体どちらが優先課題なんだろうかと今非常に考えております。
 と申しますのは、大変景気が厳しい状況が続きました。そして、円高も進んだ。ということで国内の産業も海外に移転を始めておる。空洞化も進む。今、今回の年金の改正案、多分初めてと言っていいぐらいではないかと思うのですが、二十数年先まで計算をして御提示をした。従業員の人も掛金が上がるから大変。しかし企業にとっても、労務費ですかね、労務費の負担もまた倍増される。
 空洞化の問題、円高、そしてこういう労務費の負担を考えますと、私は、国庫負担というのは相当力を入れてやっていくべき問題ではないかと思うのです。今すぐに三分の一を二分の一に引き上げるというのではなくて、大変厳しいとき、要するに掛金が一番高くなる時期、この辺がピークになるのであろうかと思うのですが、そういうふうな方向性をにらんで国庫負担の率を引き上げるべきではないかと思うのですが、経営者の方としてどういうふうなお考えをお持ちでしょうか。
#111
○木下隆徳君 大変立派な御意見でございますので、企業といたしましても、これは、国庫負担が大きくなれば保険料率にも変化が来るというふうな御発言がどなたかからありました。したがって、負担率が減るわけですからそれはそれで大変結構なんですけれども、いろいろ政府の方も考えて今回のこの法案を御提出になっていると思いますので、やはり財源の問題がかなり問題になるのじゃないかなというふうに考えます。
 私は、意見としては、国庫負担の増率ということは考えてなかったものですから、そのことは考えてないのですが、もし財源が許されて国庫負担が大きくなれば保険料率も下がるというようなことになれば、願ったりかなったりの結果になると思いますので、そういう財源の方が許されれば、やはり国庫負担率の若干の増大はやむを得ないのではないか。先ほど来先生の御意見をお聞きしておって、そういうふうに思ったような次第です。
#112
○柳田委員 この国庫負担の問題ですけれども、上西さんにお伺いしたいのでありますが、年金制度というのはやはり掛金で維持するべきであるという意見と、ある程度は国庫の方から税金で入れるべきだという意見が、二つあるのですね。上西先生、どういうふうにお考えでしょうか。
#113
○上西和郎君 ちょっと例えが適切かどうかは別として、私はこの問題が出るたびに申し上げるのです。それは、軍人恩給に対する終戦以来の日本政府がとってきた方針です。
 私もここにメモを持っていませんが、約百六十万人、戦没者の遺族と生存者と大体半々ぐらいだと思うのですが、それぐらいの方が軍人恩給をずっと受給されているのです。これは原則として受給者は絶対ふえないわけですね。そうでございましょう、もう今は戦死者、戦没者は出てきませんし。したがって、これらの方々に大体一兆六千億から七千億、平成五年度で出ています。これには全然メスを入れてないのです。戦前の軍人恩給制度にプラス抑留期間、捕虜でいた期間まで追加、新設して、一応陸海軍の兵隊さんだった方々は補償されているのですね。収入はゼロです、今の自衛隊は国家公務員共済でございますから。したがって、そうしたことにきちっとやっていかれる。しかも、中曽根総理のころでしたが、私たちがお聞きするところでは、これは日本国の補償だから軍人恩給は続けるのだ、こうおっしゃっているのですね。戦後五十年近く、そのことがずっとやられてきているのです。
 だとするならば、公的年金は日本国の約束です、共済年金も厚生年金も国民年金も。そうしたスタンスに立って、国庫負担が一気にどれだけできるかは別として、諸先生方もやっぱりきちっとその辺のことをけじめをつけ、保険料負担はここまで、国庫負担は日本国の約束なんだから軍人恩給並みの基本姿勢で貫き通してほしい、こう私は思っております。
#114
○柳田委員 ありがとうございました。判断に大変悩むところでありますが。
 最後に、梅本さんにお伺いしたいのでありますけれども、老齢福祉年金の支給が十一月十一日というふうにもう決まっておりまして、この支給に間に合わすためには、我々としては、審議の質を上げながら相当精力的にやっていかなきゃならな
い。それで、いろいろな修正課題を今検討しておりまして、きょうの地方公聴会の御意見も賜りながら最終判断をしなければならないというふうに思っておるのでありますが、場合によっては、修正論議まとまらずでもう少し時間をかけなきゃならない。となると、八十三歳以上七十万人のお年寄りの方々、本当に困っていらっしゃるのですね。若干おくれてでも頑張らないといけないのかなと思っておるのですが、連合のスタンスとしては、OBの組織を持っておる組織でありますから、その辺のバランスも考えながらどうお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
#115
○梅本鎮雄君 連合の組合も、十五歳の中学卒業から六十五歳の定年延長された方までもいるわけでございます。同じように会費の分担をしているわけでありますし、年金問題は単に高齢者だけの問題ではなくて、若い世代、次代を担う人との合意も得なければなりません。
 したがいまして、私どもは、基本的なこの五つの修正、三つの補強を申し上げましたが、諸先生方が意のあるところをお酌みいただいて、従来のように、法案が出されても審議もなされなくて、ただむだな時間を費やしているということではなくて、本格的に議論をいただき、そして、我々がどの辺で理解ができるのかということを真剣に関係者にも審議の経過等をお示しいただくならば、解決への道とか我々が理解できる道というのはおのずと出てこようと思います。一層の皆さん方の審議に対する真摯な態度を望んでおきたいと思います。
#116
○柳田委員 どうもありがとうございました。
#117
○戸井田座長 次に、土肥隆一君。
#118
○土肥委員 きょうは、公述人の皆さん、この会場に遠方からおいでいただきまして、本当にありがとうございます。
 似たような質問でございますけれども、まず木下、梅本、そして上西公述人にお聞きしたいのでございますけれども、最終年金保険料率が三〇%を超えないという、何というか、余り計算根拠ないのじゃないかなと私は思っていながら、実は知識が不十分で、何かそれがアプリオリがありまして、これ以上絶対だめなんだというようなことなんですが、経営者の方の側からの実感とか感想で結構でございますけれども、例えば年金保険料あるいは医療保険、それから雇用保険、それから児童手当の拠出金などをお願いしているわけです。
 児童手当法の改正のときにも少し議論になりましたけれども、この先、介護保険もお願いしなければならないという状況だというふうに思います。これは最高額、労使折半で二%、だから一%ずつぐらいになろうかと思いますが、そういうことが制度審でも積極的に議論されておりますが、もうこれ以上お願いできないような状況でしょうか、例えば企業の空洞化、そういうことも起こっている中で。一方、サラリーマンの皆さんは、安いにこしたことはないわけですが、今の年金保険料などの実感はどうなのか。
 私は、やっぱりもう少し負担をふやさないと日本の福祉の豊かな状況というのは生まれてこないというふうに思っておりまして、その点、上西さん、客観的にこの両者の御意見を聞いて御感想を述べていただきたいと思います。
#119
○木下隆徳君 雇用者保険がございますけれども、あの保険は、御案内かもわかりませんが、業種ごとに指定されておりまして、私は京都では島津さんの協力工場なんですが、協力工場の中小企業には該当がないのですね。その業種であってもそれへ該当されないものですから、若干そういう面について、業種じゃなしに協力工場という業種を決められて協力工場にも雇用者保険を適用するというふうにしていただいたらどうですかというようなこともある先生にお願いしたことがありますが、何かやっぱり業種の指定がやかましゅうらしゅうて、今私どもはあれを適用させてもらったことは実はないのですけれども。
 最近の不況で、どの企業も生き残りのためにリストラを盛んに考えておりますし、さっきも先生がおっしゃったように、海外に生産拠点が行ったり、それから、部品や原材料の調達を海外からするというようなことによる空洞化現象も、これはもう避けて通れないようなことで当然起きてくると思うのですけれども、今私ども経営者が従業員の雇用あるいはリストラをするというようなことは、現実問題としては、保険があるとかないとかいうことにかかわらず、人情的になかなか難しい問題でございまして、幸い定年制をつくっておりますので、定年になったときに何とか、この際はんなら引いてくれるかというようなことでお願いしているようなことでございますが、保険があるからリストラがしやすいかどうかというようなことは今のところ考えておりません。
#120
○梅本鎮雄君 先ほどから申し上げておりますように、公平な給付に対して公平な負担ということからいきますと、当然、現状の一四・五%、労使折半ということが絶対的なものであるという考えではありません。したがいまして、改正案の中にも九四年十月からは一六・五、九六年十月からは一七・三五という数字が出ているわけでありますが、特にこの点について、我々としては、先ほどの基本からいえば、これはやはりある程度の容認はせにゃならぬだろうという見方はしています。
 ただ、今日まで、戦後既にもう五十年近くなるわけですけれども、労働組合が賃上げを初めとする労働基本権問題について論議をし、諸条件の向上に取り組んでまいりましたが、労働生産性の伸びに比較しまして分配率がまだまだ低いわけであります。これは労使間の問題でもありますけれども、そのことは個々人の勤労者になってみますと可処分所得の伸びが小さいということでございますから、やはり公的なものについての負担というものについても、この九四年十月から一六・五になり、九六年十月以降が一七・三五という数字につきましても、決してすべてが合意されているというものではございません。しかし、基本的には、先ほど申し上げましたように、公平な給付の裏には公平な負担ということは考えなければならない。
 あおせまして、繰り返し言っておきますが、やっぱり国庫負担を当然増額をし、方向性を出していただくということを望みたいものでございます。
 以上です。
#121
○上西和郎君 まず最初に、木下さんのおっしゃった失業給付云々というのはちょっと解せないのです。労働保険は、諸先生方御承知のとおり、労働者災害補償保険と雇用保険がセットになっておりますし、社会保険が逆に健康保険と厚生年金がセットになっている。これは片一方だけ入るわけにいかないわけですね、どの企業、職種にとってもセットで入ることになっていますから。また後ほどお尋ねしてみたいと思うのでございます。
 負担の問題ですけれども、梅本さんも今おっしゃいましたが、これはもうやむを得ない。ただ、将来的に、過去もあったのでございますが、まだ連合前の総評が、いわゆる社会保険料の負担割合を労使折半じゃなくて七、三にしなさいとか、そういう要求を春闘で出したことがございます。だから将来的に、今激動の時期でございますが、将来的に日本の経済の安定度合いとか成長率あるいは労働者の組織ぐあい、そういうところからこの折半の負担割合をやや経営者に重くといったようなことも可能になっていくのではないか。もちろん、国庫負担はきちっと要求はしていく。そういうことの、それこそ弾力的な運用の中で幾分かは解決できる面も出てくるのじゃないか、このように考えます。
#122
○土肥委員 ありがとうございました。
 鈴木公述人にお尋ねしたいのでありますが、既に年金に国庫負担が入っている。つまり、一般の税金が使われているわけですね。しかし、無年金者がこのまま継続するという状況でございます。私たち社会党は、将来この基礎年金を全部税金でいただきまして、どなたにも年金が当たる、基礎年金が当たるという理想を持っておりますが、これはまた負担の問題もありますので十分議論をし
ておりません。
 上西公述人さん、その無年金者の解消で、国庫負担が入っているのだからやっぱり国庫負担分のパーセントぐらいは無年金者に出したらどうかという私の意見、ここは議論しちゃいけない委員会、こういうことですけれども、どんなお考えでしょうか。
#123
○上西和郎君 先生お尋ねになった点ですが、六十一年の大改定のときによくなったことはたったわずかと言っていいでしょうが、その中の一つが、従来の障害福祉年金を廃止をして障害基礎年金に統合する、これだったのですね。それまでは、御承知と思いますが、昭和三十七年からできた特別児童扶養手当と障害福祉年金は同額、二級と老齢福祉年金も同額、こういうことで全国の障害者団体から、子供のときと大人になってからの年金が一緒じゃいかぬということで、六十一年、基礎年金に統合され、障害福祉二級は廃止になった。こういういきさつはもう先生方は十分御承知と思うのです。だから、なおのこと、鈴木さんたちのような方々がさらに一段と差がついてきたわけです。なまじっか満二十歳以前の病気やけがで障害になった方は障害基礎年金、今月、法が変われば月額六万五千円、年額七十八万円になるわけですから。
 ところが、完全無年金と。本当に痛ましい例は私もたくさん知っています。鈴木さんの訴えをもう胸が痛くなる思いで聞いておるのですが、だからといって、今の法体系のもとで無年金は無保障ということをやってきたのが一挙に無年金者を救済というのは、なかなか法的にも財政的にも進まないと思います。ですから、その間、先生方の英知を結集され、本当にお気の毒な方々をどうするかということについて、障害基礎年金までいかなくても、例えば何か一時金を出すとか、何か当面の救済措置をお考えいただくようなことがやはり必要になってくるのじゃなかろうか。その程度のことで御勘弁いただきたいと思うのです。
#124
○土肥委員 ありがとうございます。
 共済年金と厚生年金のいろいろな違いについて上西公述人がるるおっしゃいまして、初めてなるほどというふうに思ったのです。特に災害補償保険と年金との関係でございますけれども、共済が災害補償を重点的に置いているのに対し、それと逆行する意味で今度は厚生年金の関係の方は、厚生年金が中心で災害補償が後になるというようなこと、こういう食い違いが今まで指摘されなかったのもおかしいと思うのでありますが、こういう行き違いといいましょうか、取り扱いの不公平さというのは歴史的にどういう経過から生まれたのでしょうか。上西さんにお願いします。
#125
○上西和郎君 その辺は私の後ろの席の方々がお詳しいと思うのですけれども、正直言って、農林年金を具体的に挙げますと、全国の農林漁業団体職員共済組合は昭和三十四年に厚生年金から分離、独立していったのです。そこが労働者災害補償保険を満額もらって、農林年金をカットしているのですよ。これが三公社だけなら恩給法との関連、公務員災害補償との関係とか言えるでしょうが、その辺、私もつまびらかにしません。
 ただ、現にある不公平でございますから、私は今さらここで、私も厚生年金ですから、厚生年金が日本鉄道共済組合に何千億出しているじゃないかなんというみみっちいことを申し上げようとは思いません。しかし、公的年金間の財政負担の均衡という立場で、厚生年金からお返しなしで全額拠出でしょう、五千億近い金が出ているわけですから。そういったことをやるならば、少なくとも労働者災害補償保険を厚年や国年の加入者にも最優先に適用する、そして補完するのが厚生年金、国民年金だ、こういう原則に立ち返って、これは一元化まで待たずに、極端に言えば今度の改正と同時にやっていただきたい。これは、連合の代表の方もおいでですけれども、全国の幾千万という労働者にとって大変なことになりますので、ぜひ朗報も与えていただきたい。そういうことで申し上げておきます。
#126
○土肥委員 あと一、二分ありますので、質問させていただきます。真田先生と梅本公述人にお願いしたいと思います。
 結局、今の公的年金で標準計算で生活費の七割程度が補われるというふうに厚生省も説明しておりますけれども、私などいろいろ意見を聞いてみますと、それじゃ到底足りないわけでありまして、最高額の三十四万円もそうでございますけれども、やっぱりこれから生活が少しずつよくなっていく中にあって公的年金だけで補っていくのはなかなか難しいなという感じがいたしております。
 そこで、逆に今度は、国民の皆さんは非常に将来の寝たきりとか痴呆が心配でお金をためる、貯金をする。国民の貯蓄高が平均八百万を超えるというような状況でございますけれども、私は、福祉の範囲を広げましてこれを福祉的なサポートをしない限りは、結局、国民はずっと不安におびえながらお金を何とかためておこうというふうなことになるのじゃないかというふうに思っておりまして、その辺の労働者側の御意見と学者の御意見をお述べいただきたいと思います。
#127
○梅本鎮雄君 先生御指摘のように、今度の改正案を見ましても、確かに二十五万が三十四万になったといいましても、先ほど一例を挙げましたように、あるポイントでとらえますと現行制度よりも下がるというような矛盾もありますし、ただ、トータル的には現行よりも少しずつ伸びているということは評価をしますが、やはり金額的に言えばまだまだ不足もあると思います。
 これについては、本人の働く意欲があったら当然働けるような、やはりそういう職場環境をつくっていく。先ほど言いましたように、雇用の創出であるとか、あるいは訓練施設で新たな角度から六十歳以上の方にさらに新しいノウハウを自分らがつけられるような制度をつくって働ける環境をつくると同時に、日本の社会保障全体で、これからの寝たきり老人だとか介護問題であるとか、あるいは、ようやくにして通りました、働く女性が多くなったということからの子育てに対する育児休業法が制定になって、これも、後引き続き勤めるということも含めた形での二五%でございますから、まだまだ保障率は低いと思います。これも、総合的に見た中での高齢化対策ということを組んでいただくことがやはり大事だというふうに思っています。財源については繰り返し申し上げません。
 以上です。
#128
○真田是君 今御質問の点ですけれども、例えば勤労者の家計の動向を見ましても、大体、よく言われておりますように、家計支出、これが非常に多様化しているとかいうことで、豊かさの表現だというような指摘をされる向きもございますけれども、私は、今日の暮らしの仕方が大変消費水準を上げざるを得ないような生活のタイプになってきていると思うのですね。これは、第二次大戦後、イギリスなどでも同じような調査結果とかまとめ方とかが出てきておりました。
 そういたしますと、確かに三十四万に改善をしていくというのは、これは評価をしていいと思いますが、これからさらに二十一世紀へ向けての日本の勤労者の暮らしのありようの中でかなり強制力を持つ支出項目というのが引き続きふえていくのではないか、こういう見通しが置けると思うのですね。
 したがいまして、円相場での外国との年金のそのままの比較というのではなくて、今申したような日本の物価の現状とか、こういうものも含めての比較というのが今後大事になりましょうから、三十四万で十分だというぐあいには私としては見通しを含めて考えておりませんで、御指摘のように、今のような形でやっていったら、多分個人貯蓄というところもかなり無理をしながらやっていかなくてはならぬ、これがまた家計支出の方の強制的な費目としてはね返ってくるというような、こういう状況、イタチごっこみたいなものが続きやせぬかという心配を一方では持っております。
 それで、私は、社会保険でありますから、保険原則というものが一つ貫かれなくてはならぬとい
うことは排除するわけではございませんけれども、しかし、社会保障原則が一番基本にあるものだと思いますので、これは、国民の生存権の保障というのが社会保障の原則でございましょうから、ですから、保険原則と言われているものも社会保障の中の保険原則であるというところで、この両者のもう少しシビアなせめぎ合いといいますか、議論といいますか、こういうものを詰めていっていただく必要があるかと思います。
 私は、一方で社会保障原則であるから保険原則というのを全部無視していっていいよということを申し上げているわけではございませんで、それぞれの段階での詰め切れるだけの詰め切り方というものを国民の生存権の問題と保険原則との間で詰めていただく、それで国民が、それについては、各段階での、国会論議でここまでやられたということになれば納得をする、こういうことも出てまいろうと思いますが、考え方としては、社会保障原則が基底だというぐあいで見てきております。
 以上でございます。
#129
○土肥委員 ありがとうございました。
#130
○戸井田座長 次に、岩佐恵美君。
#131
○岩佐委員 本日は、陳述者の皆様には、大変お忙しい中、ありがとうございます。私、日本共産党の岩佐恵美でございます。
 まず、先ほど共通して出された六十歳から六十五歳への受給年齢の引き上げの問題についてお伺いをしたいと思います。
 諸外国、特に欧米諸国ではいわゆる定年制がない、アメリカでは年齢による雇用差別が禁止をされている、こういう実態にあると聞いていますけれども、そういう中で、日本は定年制があり、そして今の状況で言うと、女子学生とかあるいは高校卒の皆さんは大変な就職難で悩んでおられるわけで、景気がいいときはいいのですけれども、悪くなれば、雇用確保という面では大変不安があるわけです。
 こういう中で六十歳から六十五歳に受給年齢が引き上げられるということでありますから、先ほど木下さんは大丈夫だというふうに言われたのですけれども、諸外国のようにいわゆる定年制がなければ、それは本人の、働く皆さんの自主的な判断でもって、私は何年に何歳でやめるとか、そういうことを決められるのですけれども、そうでない日本ですから、とても大変だというふうに思います。この点に関しまして、木下さん初め梅本さん、それから上西さん、真田先生、それぞれ御意見を改めてお伺いをしたいと思います。
#132
○木下隆徳君 派遣委員の先生から御発言があるたびに、最初に、御多用の中の御出席ありがとうございますという大変御丁寧なお礼のごあいさつをお聞きしまして、これは私どもが申し上げなければならぬことを先生の方から言われておるような感じで、大変恐れ入ります。ありがとうございます。
 確かに、景気の問題もありまして、経営者としては、正直申し上げますと、リストラで一番効果があるのは労務費の削減でございまして、労務費の削減となると、現実にはやはり従業員を何人か減らしていきたいというようなことになっていくわけですが、そういうことをしたら効果があるということがわかっておっても、なかなか実際の経営者としては、そこまで決断を下すということはいろいろな面で勇気が要りまして、いまだにそういうようなことをようやっていないのです。
 私は、どなたか先生がおっしゃいました、基金が何か一兆円ほどあるというようなことをお聞きしましたので、この一兆円の基金を何とか上手な流用はできないかなと思ったりもしていますけれども、何とか保険料率も余り上がらずに、そして国庫から国庫援助が出せるものなら出してもらって、健全な保険制度が発展するように願っているようなところでございます。
#133
○梅本鎮雄君 今、岩佐先生御指摘ありましたように、新卒の学生すら新しい就職が望めない、特に女子学生にきついという現状、私どもも、直接このことについては関係者からも指摘がありますし、現状を厳しく受けとめています。
 現状、連合傘下の企業を見ますと、企業リストラという名で高齢者のみならず中堅社員にも厳しい雇用の不安が押し寄せてきていることは事実であります。連合としましては、まず、組織内にあっては合理化三原則というのを明確に打ち出しまして、事前協議制あるいは完全雇用、労働条件の維持、こんなのを中心に経営側と厳しく交渉をし、雇用を守っているわけであります。
 しかし、こういう情勢ですから、定年六十歳を迎えましても、先ほど言いましたように、その六十歳というのは、五十五歳からの延長というよりも、労働条件をダウンした形で雇用を守っているということにすぎないところがまだまだ多いわけでありますから、その人たちが六十歳を迎えて社会へ出ましても、自分たちの企業で持っていた能力だけしか手についていない人が非常に多うございます。
 したがいまして、それだけではみずからの努力がないわけですから、やはり新しい自分をつくり出す、意識改革を求めてその定年者に対しては教育もしていますし、あるいは自治体に対しましても、関係機関、施設の充実あるいはカリキュラムの変更等、いろいろ申し入れているわけであります。しかしこれも、例えばワープロあるいはパソコン、こういうようなところへは、若い人も含めて集中的に申し込みをするとなかなかその番が回ってこないというような現状でもありますし、口で言うのは簡単ですけれども、六十歳定年を迎えた人が新しい自分をつくり出していくというのは非常に困難です。
 したがいまして、職を求めましてもなかなかない。トータル的には、底辺労働とかパート労働がないことはありませんけれども、しかし、六十五歳まで延長してそこから支給をするということになるならば、パートだとか一時的な場当たり的なもので生活をしのぐということは、私は間違いだと思います。だから、それができるまでは、逆に言うたら延ばすことには問題があるということになろうと思います。
 以上です。
#134
○上西和郎君 岩佐先生、私は、先生お尋ねになったことについてお答えするのは、先ほど繰り上げ減額制度のことを申し上げました。結局、幾ら法律が六十五歳になっても、現実に今、五十五歳でダウンして第二の基本給とかあるいは再雇用とか、これが大分あるわけですね。結構、上場企業でもそれをやっているわけです。六十過ぎたらもっとひどくなる。
 ですから、片一方、政府がどうしてもということで、諸先生方の御審議で六十五歳にすると定年制が引きずられていくと思うのですね。ところが、なかなかそれが不可能だ、企業じゃ消化できない、新卒さえ採用できない、こうなれば、そこで英知の結集の一例として、一歳につき四%の減額率による繰り上げ減額制度を厚生年金に創設する、そういったことも一つの手段として御検討いただくことも必要ではないか、こう考えるのです。ですから、企業や職種にそういったことを求めると同時に、片一方、国としてできる補完措置の繰り上げ減額制度を共済年金並みに設ける、こういったことを私はお答えにかえさせていただきたいと思うのです。
#135
○真田是君 御質問の中の、就業と年金とのかかわりの方から見た五年延長の問題は、これは先ほど梅本公述人がおっしゃったこと、私、大体基本的に賛成でございます。
 もう一つ、一言つけ加えさせていただくとすると、今国民の圧倒的な皆さんが願っている共通の要求といったら、先ほど申し上げたような豊かな老後ということなんだと思います。働きまくってまいられた皆さんでございますから、この豊かな老後といった場合に、今の御質問のところに絡めてみますと、これはヨーロッパなんかにもそういう国は若干あると伺っておりますが、六十歳くらいをめどに、就業を継続するか、年金で暮らすか、これをみずから選択できる、これが豊かな老後といった場合の大変大事な条件ではないかと私
は就業と年金については考えております。ただ、ここへ日本の現状から一挙にいけるかということになると、いろいろ問題はございましょうが、やはり共通の方向性をそこへ置いておくかどうかというのが、国民の共通の願いからいって大変大事な問題ではなかろうかというぐあいに考えております。
 以上でございます。
#136
○岩佐委員 鈴木陳述人にお伺いしたいと思います。
 先ほどアンケート調査の御紹介がありました。私は、本来だったらこういう調査は国が行った方がいいというぐらいの、とても貴重な調査だというふうに思います。本当に実態をつかまなければ、どう対応するのかということがわからないわけですから、そういう点では皆さんの活動に本当に心から敬意を表したいと思います。
 そこで、改めて、この調査をどういう視点で行われたのか、そして、この調査の結果どういうことがわかり、本当に今の時点でどうしてほしいのかという問題について、端的にお伺いしたいと思います。
#137
○鈴木静子君 岩佐先生が今言われたように、本当にこの調査に取り組むのにはすごく苦労いたしました。特に、無年金障害者の会といいましても、最初始めたのは三人でしたので、どこのだれともわからないところが、プライバシーにかかわるような、特に収入とか、生活はどうしておられますかとか、そういうプライバシーにかかわるようなところを調査いたしますので苦労いたしまして、新聞とかいろいろなところに取り上げられたのですが、その辺のところで、私のところにお所とかお名前とかを連絡された方を対象にずっと調査したものです。
 この調査の一番大きな目的は何かといいますと、特に、先ほど先生からも言われたのですけれども、保険料を掛けてなかった者が悪いのじゃないか、そういうことがありまして、じゃ私たちは本当に自分が悪くて保険料を納められなかったのだろうか、そこのところをきちっと調査しようじゃないか、そして、もしたとえ保険料を納められないような事情がいろいろ本人の側にあったとしても、じゃ実際の生活はどうなのか、そういうところに注意してすごく細かい調査になりました。
 そうしたら、調査した結果では、本人の過失と言われるのは本当に少なくて、例えば私自身もそうでしたけれども、制度そのもののことを知らなくて、知りようがなかったのに結局本人の過失にされて、それから、保険料もどんどん値上がりしておりますし、それから免除の制度、特に任意加入というのは免除の制度もありませんでしたので、知っていたとしても保険料を納めることができませんでしたし、こういう何か非常に片手落ちな、そういう制度でもあったと思うのです。
 それで、この調査の結果明らかになったのは、特に、若いときに障害を受けて無年金でずっときたのですけれども、若いときに障害を受けるとずっと自立がかなわないままで、先ほども申し上げましたけれども、調査対象の半数の方が両親とか家族との同居をしなければならない。そしてまた、本当に国際障害者年で障害者も人間として自由に行動ができるような、そういう体制がとられたというのに、無年金障害者というのは親と同居をしなければやっていけない、また、施設に入って小さくなって生きていかなければやっていけないような、そういうようなのがこの実態調査の中で明らかになりました。
 だから、これが民間の手でやって百四名です。だから、もっともっとたくさんおられますので、ぜひ国の方で調査していただいて、今の年金制度がうまくいっているのか、ぜひ本当に調査してください。これが無年金障害者の切実なる願いです。
 同時に、制度改正のたびに無年金障害者の問題が、残念だ、お気の毒だと言われながらずっと放置されてきたのです。だから、今度の制度改正の際に、法律の中で無年金障害者を救済するということをぜひ書いてください。
 以上です。
#138
○岩佐委員 本当に切実な訴え、私も何とかしなきゃいけないのじゃないか、今度こそという思いというのはありますし、また、多くの委員の中にも何とかしなきゃという思いがあるわけですけれども、将来的には無年金者をなくすために、今国としては年金者を把握をしていく、手帳だとか番号だとか、そういうことを考えていかなければいけないという検討もあるようですけれども、しかし、現状を本当に、どういうふうに今の皆さんの実態をつかみ、救済をしていくかというのは、これは現に大変な皆さんですから、何とかしていかなきゃいけないのじゃないかというふうに私自身は思うのですけれども、ぜひ皆さんの活動、本当に頑張っていただきますよう心から期待を申し上げたいと思います。
 以上で私の時間がちょうど来てしまいましたので、これで質問を終わります。どうもありがとうございました。
#139
○戸井田座長 これにて質疑は終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 意見陳述の方々におかれましては、長時間にわたり貴重な、しかも充実した御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。
 拝聴いたしました御意見は、本法案の審査に資するところ極めて大きいものがあります。厚く御礼を申し上げます。
 また、この会議開催のために格段の御協力をいただきました関係各位の皆様方に対し、深甚なる謝意を表する次第であります。
 これにて散会いたします。
    午後零時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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