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1994/10/21 第131回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第131回国会 文教委員会 第1号
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1994/10/21 第131回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第131回国会 文教委員会 第1号

#1
第131回国会 文教委員会 第1号
本国会召集日(平成六年九月三十日)(金曜日)
(午前零時現在)における本委員は、次のとおり
である。
  委員長 嶋崎  譲君
   理事 小川  元君 理事 片岡 武司君
   理事 河村 建夫君 理事 穂積 良行君
   理事 西  博義君 理事 藤村  修君
   理事 松田 岩夫君 理事 輿石  東君
      稲葉 大和君    小野 晋也君
      岸田 文雄君    熊代 昭彦君
      栗原 博久君    斉藤斗志二君
      塩崎 恭久君   田野瀬良太郎君
      二田 孝治君    井上 喜一君
      石田 勝之君    石田 美栄君
      倉田 栄喜君    福留 泰蔵君
      松沢 成文君    佐藤 泰介君
      沢藤礼次郎君    濱田 健一君
      中島 章夫君    山原健二郎君
      大谷 忠雄君
    ―――――――――――――
九月三十日
 嶋崎譲君委員長辞任につき、その補欠として伊
 吹文明君が議院において、委員長に選任された
 。
    ―――――――――――――
平成六年十月二十一日(金曜日)
    午前十時四分開議
出席委員
  委員長 伊吹 文明君
   理事 小川  元君 理事 片岡 武司君
   理事 河村 建夫君 理事 穂積 良行君
   理事 倉田 栄喜君 理事 西  博義君
   理事 藤村  修君 理事 松田 岩夫君
   理事 輿石  東君
      岸田 文雄君    栗原 博久君
      斉藤斗志二君   田野瀬良太郎君
      井上 喜一君    石田 勝之君
      石田 美栄君    栗本慎一郎君
      福留 泰蔵君    松沢 成文君
      沢藤礼次郎君    嶋崎  譲君
      横光 克彦君    中島 章夫君
      山原健二郎君    大谷 忠雄君
出席国務大臣
        文 部 大 臣 与謝野 馨君
出席政府委員
        文部政務次官  岡崎トミ子君
        文部大臣官房長 佐藤 禎一君
        文部大臣官房総
        務審議官    雨宮  忠君
        文部省生涯学習
        局長      泊  龍雄君
        文部省初等中等
        教育局長    野崎  弘君
        文部省教育助成
        局長      井上 孝美君
        文部省高等教育
        局長      吉田  茂君
        文部省体育局長 小林 敬治君
委員外の出席者
        人事院事務総局
        任用局企画課長 石橋 純二君
        労働省職業安定
        局業務調整課長 井原 勝介君
        文教委員会調査
        室長      長谷川善一君
    ―――――――――――――
委員の異動
九月三十日
 辞任          補欠選任
  田野瀬良太郎君     伊吹 文明君
  佐藤 泰介君      横光 克彦君
十月三日
 辞任          補欠選任
  塩崎 恭久君      加藤 紘一君
  二田 孝治君      古賀  誠君
同月四日
 辞任          補欠選任
  熊代 昭彦君      田野瀬良太郎君
同月二十一日
 辞任          補欠選任
  井上 喜一君      栗本慎一郎君
同日
 辞任          補欠選任
  栗本慎一郎君      井上 喜一君
同日
 理事西博義君同日理事辞任につき、その補欠と
 して倉田栄喜君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
九月三十日
 音楽文化の振興のための学習環境の整備等に関
 する法律案(櫻内義雄君外七名提出、第百二十
 九回国会衆法第一三号)
 私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する
 法律案(内閣提出、第百二十九回国会閣法第四
 八号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 国政調査承認要求に関する件
 私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する
 法律案(内閣提出、第百二十九回国会閣法第四
 八号)
 文教行政の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○伊吹委員長 これより会議を開きます。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 このたび、文教委員長の職を務めることになりました伊吹文明でございます。
 今日、我が国は、高齢化、国際化、そして価値観の多様化という変化の大波に洗われておりますが、この歴史の転換期にあって、日本が今後も国際的に尊敬を受け繁栄を続けるには、日本人の知・徳・体の水準を維持向上させるべく、教育、学術、文化、スポーツの振興と充実を図ることが、国政上、ますます重要な課題となっております。
 このときに当たり、本委員会の果たす役割もさらに重いものがあると存じます。
 委員各位の御指導と御協力を賜りまして、公正かつ円満な委員会運営に努めてまいりたいと思いますので、何とぞよろしくお願いをいたします。(拍手)
     ――――◇―――――
#3
○伊吹委員長 まず、理事の辞任の件についてお諮りを申し上げます。
 理事西博義君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議はございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○伊吹委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、理事の補欠選任の件についてお諮りを申し上げます。
 ただいまの理事の辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名することに御異議はございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○伊吹委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。
 それでは、理事に倉田栄喜君を指名いたします。
     ――――◇―――――
#6
○伊吹委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りをいたします。
 文教行政の基本施策に関する事項
 学校教育に関する事項
 社会教育に関する事項
 体育に関する事項
 学術研究及び宗教に関する事項
 国際文化交流に関する事項
 文化財保護に関する事項以上の各事項につきまして、本会期中、国政に関する調査を行うため、議長に対し、国政調査承認要求を行うこととし、その手続については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○伊吹委員長 異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
     ――――◇―――――
#8
○伊吹委員長 文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
 この際、文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。文部大臣与謝野馨君。
#9
○与謝野国務大臣 第百三十一回国会におきまして、文教各般の問題を御審議いただくに当たり、一言ごあいさつを申し上げ、この機会に私の考えの一端を申し述べさせていただきます。
 来るべき二十一世紀に向けて、国民一人一人がゆとりと潤いのある生活を実感し、多様な個性を発揮しながら、自己実現を図ることができるような社会をつくっていくために、文教行政の果たすべき役割はますます重要になると考えます。
 私は、文教行政を担当する者として、このような使命に思いをいたし、文教行政各般の推進に全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。また、このために、教育や学術を未来への先行投資と位置づけつつ、文教予算の充実確保に一層努めてまいります。
 以下、主要な課題について、私の基本的な考えを申し述べます。
 第一の課題は、個性の尊重を目指す教育改革と生涯学習社会の構築であります。
 生涯学習の振興のため、多様な学習活動の展開を図るとともに、社会人を対象としたリカレント教育や、ボランティア活動の支援などの施策を積極的に推進します。また、放送大学については、放送衛星を利用した全国化の実施に向けて、準備を進めてまいります。
 初等中等教育においては、みずから学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力などの育成を重視する教育の実現に取り組みます。また、総合学科、単位制高校の設置や職業教育の充実など魅力ある高校づくり、高等学校入学者選抜の改善と中学校における進路指導の改善充実などに積極的に取り組むとともに、環境教育や理科教育の一層の充実を図ってまいります。さらに、道徳教育や生徒指導の充実、国旗・国歌の指導等についても引き続き推進するとともに、学校週五日制については、実施の過程で出された課題の解決を図りつつ、その着実な推進に努力をいたします。
 さらに、初任者研修等の充実により、教職員の資質の向上に努めるとともに、公立学校の教職員配置の改善を着実に進めてまいります。また、義務教育教科書無償給与制度は、今後とも堅持してまいります。
 高等教育においては、戦後最大とも言われる大学改革が進行中であります。カリキュラム改革、大学院を中心とした教育研究の水準の向上、大学入試の改善、教育研究環境の改善充実などに積極的に取り組んでまいります。また、理工系教育の魅力向上に取り組むほか、育英奨学の充実を図るとともに、昨今の学生の厳しい就職状況等にかんがみ、就職指導の充実などに一層努めてまいります。
 私立学校については、その役割の重要性にかんがみ、私立学校振興助成法の趣旨に沿って、その教育研究条件の維持向上と修学上の経済的負担の軽減等を図るため、私学助成の確保などに努めてまいります。
 第二の課題は、人類の知的創造活動としての学術研究の推進であります。
 大学については、研究施設・設備の老朽化・狭隘化・陳腐化、研究費の不足など研究環境の劣化が指摘されており、その改善充実を図ることが緊急かつ重要な課題となっております。
 我が国が、今後、科学立国として発展していくために、科学研究費補助金の大幅な拡充、大学の教育研究施設・設備の改善、若手研究者の養成・確保など、学術の振興のための総合的な施策の推進に努めてまいります。
 第三の課題は、スポーツの振興であります。
 広島における第十二回アジア競技大会は成功裏のうちに終了したところでございますが、長野オリンピックを初め、今後も我が国で行われる国際競技大会の開催支援と日本選手の競技力向上を図るとともに、国民のスポーツニーズの多様化を受けて、いつでもどこでもスポーツを楽しめる生涯スポーツの振興が重要な課題となっています。さらに、プロスポーツに対する国民の関心も一層高まっております。
 このため、スポーツ振興基金による助成を含め、スポーツ施設の整備充実、すぐれた指導者の養成・確保、各種スポーツ事業の推進など諸施策の一層の充実に努めてまいりたいと考えています。
 第四の課題は、「文化発信社会」の構築を目指す文化行政の新たな展開であります。
 我が国の伝統文化を継承しつつ、文化の発信と交流を通じて国際社会に貢献するとともに、「文化発信社会」の構築に向けて、積極的に文化政策の展開を図ることが極めて重要な課題となっております。
 このため、国立文化施設の整備充実や第二国立劇場(仮称)の開場に向けての諸準備などを着実に進めるとともに、すぐれた芸術創作活動の推進や若手芸術家の養成の充実に努めてまいります。また、地域における文化の振興にかかわる各種の施策や、文化財の保存と活用のための諸施策を推進してまいります。
 最後に、国際化の一層の進展と情報化社会に対応するための文教施策の積極的な推進であります。
 教育・学術・文化・スポーツを通じて国際交流を推進し、国際社会に貢献していくことは極めて重要な課題であります。このため、ユネスコ、OECD等の国際機関を通じた教育協力や途上国への援助、協力を推進するとともに、留学生交流、研究者交流や国際共同研究の充実等に努めてまいります。また、アジア諸国を初めとする海外の文化遺産保護に関する協力等を積極的に推進してまいります。
 また、情報化の目覚ましい進展に適切に対応するため、情報教育を一層推進し、ソフトウエアや教育方法の研究開発、情報ネットワークの整備等を図ってまいります。
 以上、文教行政の当面する諸課題についての考えの一端を申し述べました。
 文教委員各位の一層の御理解と御協力をお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○伊吹委員長 質疑の申し出がありますので、理事会の決定に基づき、順次これを許します。沢藤礼次郎君。
#11
○沢藤委員 まず、大臣、御就任おめでとうございます。人に優しい政治を標榜する村山内閣でありますから、特に未来に富む子供たちに対する思いやりのある教育行政が展開されるということを確信し、期待をいたしております。御健闘のほどをお祈りします。
 先ほどの大臣のあいさつを拝聴いたしまして、重要な課題を挙げておられました。冒頭に、国民一人一人がゆとりと潤いのある生活を、あるいは多様な個性を発揮する、あるいは自己実現を図ることができるような社会ということを触れられまして、主要な課題の第一として、個性の尊重を目指す教育改革と生涯学習社会の構築を挙げておられました。私は極めて共感を覚え、期待をするものであります。
 特に、この第一の課題に注目をするゆえんのものと申しますか背景は一現在の社会、特に教育の場において、最も緊急で、切実、重要な問題と直結していると思うからであります。その切実で重要な課題というのは、いじめ、自殺、不登校に示される現象であります。
 私は、平成五年二月二十四日の文教委員会で、当時森山文部大臣でございましたが、この問題を取り上げてやりとりをした経緯がございます。きょうまた同様のテーマで新しい文部大臣に問いかけるということは、実はある意味では残念であります。繰り返さなくても問題が解決しておればよかったなと思います。しかし、事態は変わっていない。一部に悪化の傾向もある。それで、そのことを痛感するものですから、私はきょうの三十分の質問をこの一点に絞って大臣のお考えをただしたいと思っております。
 まず、通告しておりました順序を若干変えまして、いじめ、自殺、不登校、この三つについて、その実態、傾向、特徴等について要点をひとつお示し願いたいと思います。
#12
○野崎政府委員 お答え申し上げます。
 今先生の御指摘の点につきましては、各都道府県の教育委員会を通じまして、実態把握を毎年行っておるわけでございます。
 まず、いじめにつきましては、近年減少傾向にあったわけでございます。昭和六十年あたりは大変高かったのでございますが、それがずっと減少してきた。ところが、平成四年になりまして、いじめの発生件数が中学校において増加傾向に転じてきたということで、大変憂慮をしておるわけでございます。
 それから、自殺につきまして、これも平成三年と四年とを比較しますと増加になっておるということで、この点につきましても深刻に受けとめておるわけでございます。
 それから、不登校、これはずっと増加傾向を続けておるわけでございまして、平成五年度間におきます三十日以上学校を欠席した児童生徒数というのは、小中学校合わせて約七万五千人に上る、こういうような実態にございます。
 原因、背景ということのお尋ねがあったわけでございますけれども、友人関係あるいは学業不振というような学校生活にかかわること、あるいは親子関係をめぐる問題など家庭生活にかかわること、あるいは学歴偏重の社会的風潮というような社会にかかわることなど、学校、家庭、社会のそれぞれの要因が複雑に絡み合って起こっている事柄ではないか、こんなふうに考えておる次第でございます。
#13
○沢藤委員 いじめがまた増加傾向に転じてきたという点、登校拒否も同様でありますが、登校拒否、不登校の場合の数字は、いつかも御指摘申し上げたのですが、年間五十日間とか三十日間以上というふうな枠の中の調査でございまして、それよりも短い期間、あるいは学校には来ているけれども保健室にだけ行っているというふうな場合もこれは出席になっていると思うので、実態は数倍あるいは十倍以上超えるのではないかという指摘があるということを触れておきたいと思います。
 私は特に自殺について、実態の分析と文部大臣の御所見を賜りたいと思うわけですが、平成四年百五十九名の児童生徒が自殺をしております。大変な数字だと私は思います。統計のあります昭和四十九年から平成四年までの十数年間の数字を累計してみますと、小学生が百二十五名、中学生が一千三百五十二名、高校生が二千九百一名、合計四千三百七十八人がみずから命を絶っている。一年間平均二百三十人、三日に二人という自殺であります。これは大変な出来事だと言わなければなりません。
 このことについて若干時間をとりたいのですが、人間にとって生きること、すごく大切でありますが、同時に、その反対側にある死というものの重みというもの、これを私たちがじっくりと考えていないと、これらの問題に対応する姿勢が欠けるのではないかと思うのです。そういった意味で、生と死ということについて、若干哲学的になって恐縮なんですが、大臣のお考えをお聞きしたいわけです。
 一個の生命は地球よりも重いという言葉があります。まして、これからという生育途上にある子供、未来が限りなく豊かな、その未来を期待されている子供たち、だからこそ今教育を受けているわけです。まだ完成されていないわけですね。その途上にある子供たちがみずからの命を絶つということは、一体どういうことなんだろう、どんな気持ちでその道を選んだのだろうかということを考えてみる必要があると思うのです。
 私は教師をやっていまして、よく生徒たちからいろいろな質問を受けるのですが、例えば真理とは何ですかとか、恋愛と友情の違いはどこにありますかとか、その中には死とは何ですかという質問が出てくる。これは大変困難しますね、まだそういう経験ございませんから。ただ、私はこういうふうに言っているのです。生きるということを考えてみよう。うまいものを食べる、うちに帰れば夕食が待っている、お父さん、お母さんがいる、友達と一緒にスポーツを楽しむ、山に登る、学校の先生方と語らいをする、生きていることすべてがなくなることが死なんだ。こういうふうに説明すると、わかったようなわからないような顔をしているわけですが、子供たちがみずから死を選ぶに至った経過を考えてみますと、友達の友情も拒絶されるというのです。学校の先生に相談に行ってもはね返される。うちに帰っても冷たい空気がある。大人であればやけ酒を飲んでいっぱい上司の悪口を言うという手もあるだろうし、休みをとってどこか温泉に行ってくつろぐということもあるだろうけれども、子供たちはその手段をすべて持っていない。もう何もできないという、生きることすべてが拒絶された、あげくの果てに、例えばあの中学生は東京から盛岡まで一人で旅をして首をつって死んだというふうな実例、本当に痛ましい思いがする。
 この子供たちがみずから死を選ぶということについての大臣の御感想と申しますか、お感じというふうなものを一言お聞かせ願いたい。
#14
○与謝野国務大臣 この地球上で生きているいろいろな大事な生命の中で自殺を選ぶ生命体というのは、人間以外余りないと伺っております。幼い子供が心の問題で行き詰まって自殺に至るというのは、大変痛ましいことだと思っております。
 私は、大人の場合のそういうこととは別に、子供の場合は、多くの場合は家庭や学校あるいは地域社会との心の触れ合いの中で、そういうものの相当の数が救い出せるのではないかと思っております。自殺の原因はさまざまであると思います。家庭の悩み、あるいは学校での悩み、いじめ等々、自殺の原因は多種多様であると思いますけれども、そういうものの多くは、両親との対話あるいは教師との触れ合い、友人との触れ合い等で解決できるものも相当数あるのではないかと思います。
 したがいまして、先生御指摘のように、児童生徒の自殺というような問題については、やはり家庭教育においても、学校教育においても、あるいは地域社会との連帯においても深刻な受けとめ方をし、そして解決できるものを心を込めて、きめ細かい指導助言によって、児童生徒をそのような道に追い詰めていく要因を取り除いていく、そういう一つ一つのケースに対して個別に真剣に対応していく必要があると思っております。
#15
○沢藤委員 きのう久しぶりで詩集を取り出しまして見たのですが、与謝野晶子さんの「君死にたまふことなかれ」、これは戦地に赴いてあすをも知れない肉親、弟への思い、死んではいけないという血を吐くような心情がこもっていると、読むたびに胸を刻まれる思いがいたします。
 幸い、日本は戦後五十年間そうした意味での戦争による死というものはなくて経過しました。しかし、別な意味の、別な名前の戦争があります。それは交通戦争と受験戦争であります。この中で多くの命が失われてきている。私は、特に受験戦争というのは子供たちが対象であるだけに、そしてまた、これは大人がつくり出した社会、条件の中で追い込まれたということを考えた場合に、これは我々の責任で、もう一人も自殺者を出さない、いじめ、不登校のない社会あるいは学校をつくるんだという決意が絶対必要だと思う。それが村山内閣の重要なテーマでもあり得ると思うのですが、一言、大臣。
#16
○与謝野国務大臣 先生御指摘になった、過度の受験競争が子供の健全な精神的な発展を阻害しているという面は、私は否定できないと思うわけでございます。これはやはり画一的な教育に重点を置き過ぎますとそういうことになりがちでございまして、先ほど申し上げましたように、文教行政は、個性を重視し、一人一人の児童生徒が持っている潜在的な能力というものを開花させる、一人一人の子供が持っている個性を花開かせていく、そういう視点からの教育が今後ますます重要になっていく、そのように考えております。
#17
○沢藤委員 限られた時間で、非常に時間不足なので若干はしょらせていただきますが、それならば、いじめ、自殺、不登校をなくす手だてはどうなのかということを我々考えなければならないわけです。
 幾つかあると思うのですが、大幅に割愛させていただきまして、いつかも触れたんですが、これはだれにでも起こり得る事象、現象だという前提に立って、親、教師、社会一体となったコンセンサスの形成、対策の推進が必要だということを強調したいわけであります。
 文部省が出されました平成四年三月十三日の学校不適応対策調査研究協力者会議の報告、表題は「登校拒否一不登校)問題について」という冊子があるわけですが、私は、これは親、教師、社会、ともにじっくりと読み、理解をし、対策の糧にするに値する文書だというふうに理解をいたしております。この資料を、業務命令を出す必要まではないと思うのだけれども、かつては教育課程の伝達講習で非常に熱を入れた文部省ですから、こういう重大な問題についての父母、教師の話し合いというものをもっともっと強く指導なさってはいかがか、こういうことを考えているのですが、これは後でまとめてお答えいただければ結構です。
 それから、やはり同じく文部省に関係する文書で、平成五年十二月、初中局の中学校課が出しました「生徒指導上の諸問題の現状と文部省の施策について」という冊子があります。その七十ページに「児童生徒の問題行動等についての基本的対応」という章がございまして、「児童生徒の問題行動等の原因・背景としては、例えば」「学校、家庭、社会のそれぞれの要因が複雑に絡み合っていると考えられる。」けれども、「@ 過度の受験競争の中で、学校での評価も単一の尺度で行われる傾向があること。一人一人の個性、特性を伸長し、豊かな心や情操を育てる心の教育、知、徳、体の調和のとれた教育が必ずしも十分に行われていないこと。」という指摘があります。その他、家庭その他もあるわけですが、私は今指摘されたここに注目をしたいわけであります。したがって、学校の教育が、今読み上げました個性尊重、豊かな情操、知・徳・体の調和というふうな教育が行われているかどうかという検証が、私は、この問題に対処する基本の作業ではなかろうかと思うわけです。
 時間がどんどん迫っていますので、私の考えをちょっとだけ申し上げて、一言担当の局長からお答え願いたいのですが、学習内容が非常に多過ぎる。それから、私、理科の教師ですけれども、教科書にある実験は全部やれないのですね。最近は受験のための演習問題を解くことに時間を回して、理科の実験は一年に一回か二回しかしないというような実態が出てきている。
 それから、先進諸国に比べて、年間の授業日数、授業時数、これは日本は多いという指摘がある。労働時間と同じように授業時数は三〇%多いのじゃないかという指摘がある。こうした教育の内容とかあるいは詰め込みとか、そういったこともやはり学校に対する疎外感を育てているというふうに思うわけです。
 こうした問題をぜひ一つ一つ解決していかなければならないと思うわけですが、一口に言うならば、人生八十年、八十年の生涯を保証するような人間性を育て上げる、受験という一つのハードル、二つのハードルを越えるための授業ということは、越えてしまえば余り役に立たなくなるというふうなことに対する反省を込めて、今触れた二つ、三つの点についてコメントがあればひとつお示しを願いたいと思います。
#18
○野崎政府委員 お答え申し上げます。
 今先生、具体的に理科の授業についての御指摘がございました。私どもも全くそのように考えているわけでございまして、従来ややもすると知識を教え込むというようなことがあったわけでございますけれども、子供たちに内容についての関心なり興味というものを呼び起こして、将来それを探求していく。今生涯学習社会という御指摘もございましたけれども、学校を卒業してもなおそういうものを探求していこうというような、そういう意欲というものを育てることが大切だ。こういうことで、これは理科に限らず、ほかの教科につきましてもそういう考え方で臨んでおるわけでございまして、特に新しい学習指導要領、小学校では平成四年、中学校が平成五年、高等学校がことしから始まったわけでございますが、この新しい学習指導要領がねらいとしているところもそういうことでございます。
 そしてまた、進路指導につきましても、単なる偏差値というようなことじゃなしに、子供たちの生き方ということを大事にした進路指導ということを今進めているわけでございます。
 授業時間についての御指摘がございました。これは各国におきましてどこまでが学校教育で受け持つのかということで差がございますから、一概に比較はできないわけでございますけれども、例えば日本の場合、小学校五年ですと過当なり二十九単位時間、ところが、これは一単位時間四十五分でございますから、分に直しますと大体千三百分ぐらいでございます。それに学校行事を入れても千四百ぐらい。ところが、フランスの場合は、週当たり二十六単位時間なんでございますが、実は一単位時間は六十分というようなことで計算しています。それで計算しますと千五百六十分というふうなことで、なかなか数字を一概に比較することはできませんけれども、必ずしも日本の場合が授業時間として過重になっているかどうかということは言えないかと思います。
 ただ、実際の授業の進め方とか、そういう中で今御指摘のようなことがあり得るわけでございまして、今後の指導の中で個に応じた指導の徹底とか指導方法の工夫改善というようなことを図っていくことは大変大事なことだ、このように考えているわけでございます。
#19
○沢藤委員 結論を急がせていただきます。私は、途中若干省略しますけれども、こういう事象、現象の基本と申しますか、背景にある大きな問題は、学歴社会だと思うのです。子供のときから有名な企業に入るためには一流の大学、その大学に入るためにはこれこれというふうな形の受験競争に駆り立てられる。その背景にあるのはやはり学歴が物を言う。人間の価値は肩書とか学歴でもって左右されるという、この学歴社会があると思うのです。これをなくすということが根本的に目指す社会になるのじゃなかろうか。これは大変な作業だと思うのですが、取っかかりはあると思うのです。
 人事院、おいでになっていますでしょうか。国家公務員の採用試験で、いわゆる広く人材を求める、学歴不問という体制に近づいているという実態をお聞きしているのですけれども、ここ数年間の取り組み、特徴等についてごく簡単に御説明をお願いします。
#20
○石橋説明員 学歴との関係で申し上げますと、国家公務員採用試験は、既に受験資格には学歴を含んでおりませんで、年齢だけとしております。例えば大学卒程度の1種試験で申し上げますと、二十一歳以上三十三歳未満ということでやっております。さらに、平成四年度からでございますけれども、面接試験におきます人物重視を徹底させるために、また学歴についての無用な誤解を避けるために、人物試験の際に用いております面接カードから出身学校名を削除するという措置をとっております。このようにやっておりまして、私どもの国家公務員採用試験では、学歴とは関係なく合格者を決定しているという状況にございます。
#21
○沢藤委員 御努力についてはよく理解できますが、ただ、全般は今学歴不問という状況の中で進められますけれども、採用候補者名簿というものができ上がって、各省庁に渡る段階ではかなり詳しく点数とかその学歴が載っかっている。そして、何々省は何々大学法学部でなければならぬみたいな空気が出てきている。これについては今後ともいろいろと御検討願いたいと思います。
 時間が来たのですが、私はきのうある民間会社に行ってきました。有名な学歴不問の採用試験をやっておる会社であります、ソニー系統の。人事本部長の方にお会いしてきました。いろいろお聞きした非常に参考になる話はあるんですが、端的に申し上げますと、採用申込用紙、これには学歴欄がないということです。現住所、連絡先、「あなたが専攻し、勉強したことを記入して下さい。」そして、この後ろの方にいきますと、「これまでの人生の中で『あなたが一番誇れるもの』について書いて下さい。その内容を証明するものがあれば貼付して下さい。例えば、バンド活動やボランティア活動の記録こそれから「使いこんだ道具の写真、コレクションの一覧等なんでも構いません。」というふうな自分の誇れるものを一つ書いてくれというふうなことですね。ここには学校の名前はないわけです。数字はたくさんいただいてきましたけれども、それに切りかえた一九九〇年以前というのに比べますと、ブラインドで採用を決定して、ふたをあけてみて出身の大学を見たところ、今まで何校でしたか、大体二十校台、二十の学校から来ていたのが、この制度を採用してからは三十から五十の学校にふえていたという、そういう実例があって、大変人物本位というんでしょうか、意欲的な、あるいは個性的な創造力豊かなそういう採用ができるということを言っています。
 私は、事業所なり企業なりが、こうした姿勢がふえる、国家公務員の採用試験もいわゆる学校歴、学歴不問というふうな状況に近づく、そのことによって進学競争に集中する度合いというのがかなり変わってくるんじゃないか、意識の問題にも影響します、非常に大きいと思う。
 こういった問題を私は大臣に、時間がそろそろ来ていますのでお願いしたいんですが、例えば閣議の中で話題にしていただく、学歴社会というのは一つの大きな問題になっているわけですから。投書欄を見ても子供たちのことがかなり多いのですね。これは村山内閣の一つの大きなテーマだというくらいの気概を持って、日本の現在の村山内閣の文部行政は、自殺者を出さない、不登校、いじめをなくす、これは大きなテーマであり、同時に学歴社会に対する一つの挑戦をやるんだというふうな姿勢を示してもらえないかという希望を持っているわけです。そのことをお聞きして、質問をそろそろ締めくくらなければならないわけですが、今申し上げた、これはソニーなんですけれども、ソニーの会社、系列すべてが大体こういう方式をとっているようです。面接も筆記試験も、それから最後の幹部による最終的な面接試験も、一切学歴、学校歴は伏せられている。ブラインドだと言っていました。ブランドじゃなくてブラインドだということを言っていました。結果は極めていいということがありました。
 こういったことを御参考に申し上げまして、一つの参考にしながら、今申し上げた村山内閣としてのテーマ、そしてでき得れば、もういつ、あした死ぬかもしれない、死を選ぶかもしれない子供たちの予備軍がたくさんいるわけです。そういった子供たちに、もう希望を失うな、我々大人は君たちのそうした苦しみを解決するために一生懸命やっているということの気概を伝えることによって、私は子供たちに響くと思う。そういった談話で発表するか、どこかの講演の筆記にするか、いろいろあるだろうと思うけれども、大臣が、総理大臣が国民に訴えるというのはありますけれども、有権者ではないけれども主権者なわけですよ、子供たちは。しかも長い未来を持った主権者なんです。その子供たちに語りかけるという姿勢があってもいいのじゃないかと私は思う。このことを含めて、最後に大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
#22
○与謝野国務大臣 大変痛ましい子供の、児童生徒の自殺のお話をされたわけでございますが、やはり教育というのはマスとしてとらえる、集団としてとらえて教育水準の維持向上等を図っていくことも必要でございますし、やはり現場におきましては、一人一人の児童生徒を大切にし、一人一人の生徒の具体的な悩み等を教える側がきちんと把握をして、それに対して適切な対処をしていく、やはりそういう心配りのあるきめの細かい教育が必要であると思っておりますし、文部省としては、引き続きそのような方向で努力をしてまいりたいと思います。
 いじめ、不登校の問題も御指摘がありました。これも統計上はより深刻になっているわけでございまして、これらの問題も先生がお示しになったような方法がいいのか、あるいはほかの方法があるのか、少し検討してみたいと思っております。
 また、先生が触れられました学歴偏重の社会、これはやはり是正をしていかなければなりません。なぜならば、学歴を偏重してまいりますと、どうしても知識偏重の教育になりがちでございまして、二十一世紀を生きていく子供たち、あるいは児童生徒たちに必要なのは、やはりある基礎的な知識の上に創造的な、創造力を身につける、あるいは具体的な問題に直面したときに問題解決能力を持つ、そのような判断力や創造力を中心としたものも身につけて学校を出て社会に出ていただくということが必要でございまして、学歴偏重社会がもたらす弊害を、今例にお引きになったように会社の側でも是正する努力、企業側でもそのような弊害に気づかれ始めたというところがあるということは大変喜ばしいことでございますし、また学校教育においても、知識偏重ではなく、創造力やあるいは問題解決能力を持った子供たちを育てる、そういう姿勢で文教行政を進めていかなければならないと思っております。
#23
○沢藤委員 終わります。
#24
○伊吹委員長 これにて沢藤礼次郎君の質疑は終わります。
 次に、松沢成文君。
#25
○松沢委員 改革の松沢でございます。
 私どもの改革のトップバッターでありますので、まず大臣にちょっと大局的な質問から始めさせていただきたいと思います。
 ただいま大臣からごあいさつを冒頭いただいたわけでありますが、このごあいさつというのはやはり文部省の官僚の方が考えて、文部行政には継続性がありますから、仕方がないことかと思いますが、昨年の赤松文部大臣のごあいさつとほぼ似たような形でなっておって、文部行政の課題ど展望のようなことだと思うのですね。私ども野党として、今回新しい大臣が就任されて、その大臣の政治家としての大局的な教育哲学、日本の教育はいかにあるべきか、教育とはこうあるべきだという大局的な教育哲学をまず、少し長くなっても結構ですから、お聞かせをいただければなと思います。
#26
○与謝野国務大臣 私は、各家庭で子供が生まれたときに、それぞれの子供は同じように神様がつくったわけではなくて、それぞれの子供は特徴とか個性とか特色とかを持ってこの世に生まれてくるのだろうと思っております。学校教育においては、やはり義務教育等は画一性を重んじるという側面は否定できませんけれども、その中にあっても、やはりそういう一人一人の子供が持っている個性をできるだけ伸ばす、そういう側面が私は非常に大事であると思っております。あわせまして、やはり人間として生きていくための知恵や初歩的な規範ということもやはり教育の中で教えていく必要があるのではないかと思っております。これは社会に出てからの、社会生活をしていく上の基本的なルールを教えるとか、友達との約束を守るとかというごくごく基本的なことはやはり児童生徒のうちにある程度きちんと教えるということが必要ではないかと思います。
 ただ、義務教育九年、あるいは高等学校、大学等を進んでいく過程におきまして、知識だけを吸収するということのみに力を注ぎますと、やはり論理を追求するという面がやや欠けることもありますし、新しい物事をつくり出していくという創造力も失われますし、また具体的な問題に直面したときにどう解決していくかというその解決を選択する能力も培われませんし、そういう意味では知識とかあるいは問題解決能力とか判断力とか創造力とか、そういう全体像の中で私は教育の問題というのを考えていきたい、そのように思っております。
#27
○松沢委員 大臣の哲学に従ってしっかりと文部省並びに日本の教育をつかさどっていただきたい、そう思います。
 次に、国旗・国歌、日の丸・君が代の問題で少しお伺いをさせていただきます。
 今回、日本社会党が大きな一連の政策転換の中で、この日の丸と君が代についても認める、是認をするという大きな政策転換を行って、私どもそれは大歓迎であります。ただ、その理由の中に、村山総理は日の丸が、あるいは君が代が定着をしてきたという理由を挙げられているのですね。ということは、以前は定着していなかったというふうにも理解をできるのですが、そこでまず伺いたいのは、大臣はこの国旗・国歌、日の丸・君が代についてどういう御認識を持たれているかということと、この国旗・国歌、日の丸・君が代は、では以前は定着していなかったのか、最近になって定着してきたのか、あるいは以前から日本には定着していたと思われるのか、この辺についてお伺いしたいと思います。
#28
○与謝野国務大臣 私が小学校を入学をいたしましたのは昭和二十年四月でございまして、私は国旗・国歌とともに教育を受けてまいりました。戦後の混乱期におきましても、私どもは君が代を歌い、日の丸を掲げてまいりました。そういう意味では、私にとっては初めから自然なものとして定着をしていると申しますか、ごく自然なものとして私自身は受けとめてまいりました。
 そこで、国民の皆様方がどう考えるかという問題ですが、私どもは、君が代が国歌、日の丸が国旗というものは従前より定着していたもの、そのような認識を持っております。
#29
○松沢委員 去る予算委員会でこの問題がテーマになりました。新学習指導要領では、学校の卒業式や入学式のイベントで国歌を歌い、国旗を掲げるというものを「指導するものとする。」という文言になっていますが、これが義務なのかという質問に対して大臣は義務であるというふうにお答えになったのに対して、総理は義務という言葉は使わずに、児童生徒の内面の問題であるので、義務、強制という言葉をあえて使わなかったわけですね。その後いろいろ検討がなされたようで、政府の統一見解というのが出ました。ここにも両方が併記しであるような形で、「「指導するものとする」とされており、したがって、校長教員は、これに基づいて児童生徒を指導するものである。」という文章と、また三つ目には、「このことは、児童生徒の内心にまで立ち入って強制しようとする趣旨のものではなく、あくまでも教育指導上の課題として指導を進めていくことが必要である。」こういうふうになっております。
 私よくわからないのですが、「あくまでも教育指導上の課題として指導を進めていくことが必要である。」非常に難しい言葉だと思うのですが、具体的に学校現場で日の丸・君が代ができないところが幾つかあるわけですね。そういうところでこの政府統一見解に従って具体的にどんなふうに指導を進めていくのか、私はこの文章からはちょっと想像がつかないのですが、もし大臣、その具体的な、こういうふうにやっていくんだというものがありましたら、お伺いいたしたいと思います。
#30
○与謝野国務大臣 予算委員会での総理の答弁と私の答弁を議事録、速記録を取り寄せまして詳しく点検をいたしました。基本的な部分で一致していないところということを発見することはできなかった、そういうことでございます。
 そこで、日の丸が国旗、君が代が国歌ということが定着している、そういうことを前提にして物を考えていただきますと、学習指導要領というものがございまして、その中では「指導するものとする。」ということになっておりますから、文字どおり指導していただかなければならないわけでございます。これは具体的には、学校においてはその学習指導要領に基づきまして校長先生を中心に教育課程をつくりまして、学習指導要領の内容を実践をしてまいります。学習指導要領は大綱的な基準という性格も持っておりますから、創意工夫が全く入らない世界かといえばそうではなくて、やはり校長先生等の創意工夫も若干入る余地があるというふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。
 学習指導要領では国旗・国歌について「指導するものとする。」ということは、まさに文字どおり指導しなければならない、そのように御理解をいただきたいと思っております。
#31
○松沢委員 統一見解の2と3のこと、あるいは大臣が言われたことと総理が言われたことに対して、政務次官が、大臣が言われたことは、校長や教員に対する方向性を言ったんだ、そして村山総理が言われたことは、それを受けとめる児童生徒の内心の問題を言ったんだ、だからこれは矛盾しないし、いいんじゃないかというコメントを新聞に寄せているんですね。私は、この日の丸・君が代の問題、なぜこうトラブルが起きるかというのは、学校の校長、教員と生徒の問題ではないのですね。これはもう学校現場の中で一部の先生がその政治的な考えのもとに強硬に反対するから、学校が混乱して国旗が上がらない、君が代が歌えないということになるわけなのですね。ですから私は、この議論というのは、何か子供たちの内心というものをうまく盾に使って、本当は問題が、一番トラブルの本質というのは先生の中にあるものを、子供たちが思想、信条の自由まで強制されるのはいかがなものかということを利用して阻止しているとしか思えないんですね、今までの経験の中で。
 そこで、大臣にちょっと伺いたいんですけれども、教育現場の教師にとって、校長や教頭などの上司から日の丸掲揚や君が代斉唱を実施するよう求められた場合に、それは職務命令であって、命じられた場合、服従義務があるというふうに私は判断をしているんですけれども、そこはいかがでしょうか。
#32
○与謝野国務大臣 実際の教育現場というのは、そう法律を盾にとった、ぎすぎすしたものではないと私は思っておりますし、穏やかに教育的指導というのは進められるべきものだと思っております。
 しかしながら、先生言われるように、ぎりぎりのところで法律的な判断とか、法律的な体系はどうなっているかという御質問であるとすれば、それは地方公務員法等に規定されるとおり、そういう校長と教師との関係は、最終的には職務命令あるいは校長の監督、こういう関係でつながっているというふうに判断しております。
#33
○松沢委員 今の大臣の言葉をかりますと、これに従わない先生は、本当はいけないわけですよね。
 それで、ちょっとこれは、事務方の方で数字があるでしょうか。例えば、昨年度なりのデータで戒告処分だとか訓戒処分というのですか、この国旗・国歌問題におけるこういう処分を受けた先生というのは、大体どれぐらいいらっしゃるんでしょうか。
#34
○野崎政府委員 お答えいたします。
 平成五年度の卒業式、それから平成六年度入学式におきます国旗・国歌の取り扱いにかかわります教員の処分等の状況ということでございまして、全国計で申しますと、停職が二名、減給が二名、戒告九名、訓告等が二十一名、こういう状況になっております。
#35
○松沢委員 全国でそれだけの数字というのは極めて少ないですね、私の感覚からしてみると。
 私の地元の話で恐縮ですが、神奈川県だけでも、私が知っている学校現場でもっともっと数字は多いぐらいに、結構強硬的な態度に出ている先生方が多いんですけれどもね。大臣も現場の話はよく聞いていると思いますけれども、例えば、神奈川県の県立高校で非常にこの国旗・国歌の問題が大きな問題になっておりまして、それでどういう状況かというと、県教委は、校長先生に学習指導要領に従って、校長の責任と権限において日の丸を上げ、君が代を歌いなさいとやるわけですね。それで校長は、県教委の通達であるし、ぜひともやってほしいと言うと、現場の先生の、一部の先生ですけれども、強硬に、その日の丸・君が代というのは戦争や天皇制につながるから絶対に許さない、こういうことで、物すごいけんかが始まるわけです。入学式や卒業式の前日や前々日まで徹夜のような交渉を繰り返すわけですね。それでどういう結論が出てくるかというと、例えば、日の丸は校門の近くのポールには上げていいけれども式場では掲げてはいけないという妥協策が出てきたり、あるいは朝のうちの入学式の始まる三十分前までは三十分間上げていいけれども、それ以降はおろせだとか、それから、日の丸は式場もポールもだめだけれども玄関ならいいとか、あるいはもっと極端な例は、校長先生の机の上ならいいとか、こんなことまで起きてくるわけです。また、君が代は、歌は歌わずにメロディーだけ流すのならいいとか、要するに、学校の現場の中で校長、教頭対現場の一部の強硬に反対する先生の血みどろな闘いが続いて、そして出てくる結果は、まさしくパロディーのような結論が出てくるわけなんですね。
 ですから、こういう実態の中で私は、こういう処分者がかなり少ない、それは私の考えるところ、例えば神奈川県教委としても、処分者が何十名も出てしまって、こうなった場合に、もうそれぞれ九〇%以上いっているわけですから、非常に県教委としても恥になるわけですね。できれば処分者は出したくない、こういう方向に働いていくんだと思いますが、実態はかなり違った方向にあると思うんです。
 そこで、私が一番危惧しておりますのは、今回の政府統一見解が出ました。文部大臣は義務だと言っていただいたんですが、やはり総理を初めとする社会党の皆さんは、そういう先生方の団体も抱えております。その中で、やはり義務という言葉は絶対に使いたくない、子供の内心の問題だから、そこまで義務や強制じゃないんだという形の見解が出ましたね。私は、この見解がまた一つの盾になって、一生懸命学校現場で苦労されている校長先生、教頭先生たちが、この交渉の中でますます不利になっていく、これの学校現場に与える影響は私はかなりあると思うんですけれども、この点について文部大臣はいかがお考えでしょうか。
#36
○与謝野国務大臣 この統一見解を読んでいただきますと、第一項目には、「学習指導要領は、学校教育法の規定に基づいて、各学校における教育課程の基準として文部省告示で定められたものであり、各学校においては、この基準に基づいて教育課程を編成しなければならないものである。」これは非常に重要なことを言っているわけでございまして、学習指導要領というものは文部省の告示ではございますけれども、また、法律論を振りかざしてやかましく言うことも避けたいと思いますけれども、これは最高裁の判例によっても、ある種の法的拘束力を持っている、こういうことでございますから、校長先生はこの学習指導要領に基づいて教育課程を編成しなければならない。ならないというのは、一つの職業上の責任が発生しているというふうにお考えいただくことが正しいと私は思っております。
 それで、そういうことが前提となっておりまして、第二項、第三項を読んでいただきますと、従来の文部省の方針、見解といささかも異なったところはないというのが私どもの考え方でございます。
#37
○松沢委員 国旗・国歌については、もう社会党の皆さんも認めていただいた。その中で、学校現場で強制をする意味ではなくて、やはり入学式、卒業式には日の丸が掲げられる、君が代が歌えるという、こういう実態の中で子供たちは国旗・国歌に対して認識を持っていくと思うんですね。それが上げられないという状況であっては、私は絶対理解は進まないと思います。
 そういう意味で、この学習指導要領に従って、私は、文部大臣が正々堂々と言っていただいた、これはやはり義務なんだ、絶対にやるべきなんだという姿勢を貫いていただきたいということをこの場では要望させていただきます。
 続きまして、次のテーマに移りたいと思うんですけれども、学校週五日制について、文部省の方からも先日データをいただきました。週五日制、今まで月に一回だったんですが、これを二回にしていくという方向で、二回を実施していた実験校のデータをいただきました。徐々に定着してきたと思って、私もそういう意味では安心をしております。
 そこで、学校週五日制が完全実施されますと、これはもう週休二日制になっていくわけです。こうなってくると、これまで学校だけに期待し過ぎていた教育機能を、もう少し地域社会や家庭に分担というか戻すわけですよね。そうなったときに、地域社会でのボランティア活動、やはり青少年の健全育成だけではなくて地域社会の相互扶助機能を高めていくためにも、こういうものを非常に地域で活発にしていくという方向は大変重要だと思いますけれども、文部省としてこうした土曜日、日曜日の地域でのボランティア活動等を活発にするための具体的な施策をこれまで考えてきたと思いますし、また今後も考えていくと思いますが、教えていただければと思います。
#38
○泊政府委員 私ども文部省として、子供たちが学校週五日制のもとにおけるお休みとなった日の土曜日の過ごし方というものについて、先生御指摘のように、もう少し豊かな体験を伴えるような活発な、かつまた有意義な過ごし方をしてほしいという点で、これまでもいろいろな形での助長策、奨励策をとってまいっております。
 特に、月一回の学校週五日制の発足時に当たりましては、地域の少年少女のサークル活動というものを促進をして、そしてそういった中で子供たちが参加しょうと思えば、そのサークル活動を通じてさまざまな体験をしてもらえるような機会をつくっていこうといったようなことの実施をスタートさせた経緯がございます。そのほかに、御案内のとおり、子供たちがいろいろな意味での体験を持つということで重要な点でございますが、そういう体験を通じて、あるいは学んだことを生かして、さらに積極的にボランティア活動等をやってもらうといった面に発展しているケースも多くございます。
 こういったいわばボランティア活動ということを支援、推進するための指導者の研修講座でありますとか、あるいは実際のボランティア活動を地域において展開する上において、行政としてお手伝いできるような面についての支援策を、私ども直接の国の機関であります青少年教育施設あるいは御案内のとおり各都道府県の教育委員会管下の各種の社会教育施設がございます。こういったものを通じて積極的に推進するような方策というものにつきまして推進をしてまいっております。この点につきましては、今後とも引き続き努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#39
○松沢委員 学校週五日制、週休二日制時代の社会のあり方について、私以前一度文教委員会でも言ったことがあるのですが、県議の時代からここ五年ぐらい推進をしてきた、要望してきた運動があるのですね。
 それをぜひともちょっと大臣にも聞いていただいて、大臣の御所見をいただきたいのですが、それは名づけてパブリックサタデー・プライベートサンデー運動といいまして、週休二日制になったら、土曜日、日曜日休みになるわけですね。この土曜日と日曜日の使い分けを社会全体としてやっていかないと、地域の教育機能も高まらないし、また社会全体が疲れてしまう、こういうことなんです。
 なぜかといいますと、子供たちも土曜日、日曜日休みになる。いろいろスポーツのサークルに参加する、ボランティア活動に参加する、あるいは学習塾に行くのもいるかもしれません。こうやって土曜日を地域の日のような形にして、何かみんなで地域活動に参加していく。また大人の方も、会社人間と言われたお父さんも、何か地域に入って活動していく。それは子供のスポーツ団体のコーチでもいいですし、町内会の活動もあるでしょう。いろいろなことをやっていく。つまり、土曜日を地域活動の日、ボランティアの日、そんな形に位置づけて、子供も大人もおじいちゃんもおばあちゃんも、みんな何か地域活動に参加をする、こういう目標を立てるのですね。それとは対照的に、日曜日は週一回ですから、安息日、家庭の日、プライベートの日、フリーな日にする。
 この使い分けをやらないと、例えば地域にボランティアリーダーという方がたくさんいます。青少年のスポーツの指導員、こういう方は土曜も日曜もやるんですよ、野球の試合もボランティア活動も。疲れ切っちゃうんですね。月曜から金曜まで働いて、土曜も日曜もボランティアで地域奉仕だ。逆に、会社人間と言われる、私もそうなんですが、粗大ごみと言われる今のお父さんは、急に土曜日、日曜日休みになってもやることがなくてごろ寝していて、あんた邪魔よと言われて粗大ごみ扱いだ。
 そういう意味では、土曜日は子供もみんなで活動する日と位置づけて、日曜日は逆にみんなで休もう、家庭の日だ、プライベートの日だ。こういうパブリックサタデー・プライベートサンデーというのですか、ボランティアサタデー・フリーサンデーと言ってもいいですけれども、こういう使い分けをしていけば、より地域の教育効果というのも高まっていくし、また疲れをいやす安息日で、リフレッシュメントもできると思うのですね。
 欧米諸国では、日曜日は安息日という宗教的な理由で商店まで閉めろというようなこともあるようです。そこまでやる必要はないと思いますが、私は、例えば文部省が音頭をとってできる限り地域のイベントや活動は土曜日に集中させて、日曜日はみんなで休んでリフレッシュしましょうよ、こういう啓蒙運動をぜひとも、自分自身やっていますし、また教育委員会や文部省でもそんな形の方向性を出していただければ、日本の週休二日制もある意味でいい方にどんどん生きてくるのじゃないか、そんなふうに思っているのですが、この私の提案について大臣、御所見を伺いたいと思います。
#40
○与謝野国務大臣 大変いい御提案をいただきまして、ありがとうございました。
 学校五日制を推進してこられたとおっしゃいましたが、私どもも現在学校五日制になった場合の子供に対する影響、あるいは保護者に対する影響、あるいは地域社会に対する影響、また地域社会と子供、児童生徒とのかかわり、そういうことも今研究をしておりまして、間もなくいろいろな有識者の方々の意見が、データを解析しながらそういう意見がまとまるものと思っております。
 そこで、ただいま言われたようなボランティア活動の重要性というのは、かねがね私どもその重要性を認識しております。例えば、子供たちが浜辺に出て汚れた浜辺を清掃するとか、あるいは川の土手に捨てられているビニールや空き缶を集めるとか、そういう環境浄化という観点から地域社会とともにボランティア活動に参加する。そういうものはボランティア活動でありながら非常に重要な教育効果も持っているわけでございまして、そういうものは今後の学校五日制が進展するとともにさらに私どもは真剣に取り組まなければならないと思います。
 パブリックサタデー・プライベートサンデーというのは大変いい言葉でございますけれども、恐らくそういうものが自然な形で成り立っていくということが私は望ましいのではないかと思っております。
#41
○松沢委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
#42
○伊吹委員長 松沢成文君の質疑は終わります。
 続いて、栗本慎一郎君。
#43
○栗本委員 改革の栗本慎一郎でございます。
 大臣のごあいさつという名前の所信をいただきまして、御質問を申し上げたいと思います。
 まず第一に、御所信の中でいろいろ述べられておりますけれども、私学助成の確保ということをおっしゃられております。
 しかし、大臣もよく御承知のとおり、私学、特に私立高等学校等の経常費助成費補助という項目が予算にございますが、これが平成五年度におきましては八百四十七億円でございました。文部省からの平成五年度の概算要求はこれを超すものであったわけですけれども、大蔵省による査定はこの半額、すなわち五〇%カットということでございました。これは昨年度の予算の中で、文部省関係のみならずすべての省庁の予算を通じまして、特段に時限的なものでない限りのものにおいて最大のカットであったわけでございます。
 種々いきさつがございまして、私どもも頑張りまして、これは最終的に六百三十五億円ということになり、すなわち五〇%カットのうちの二五%が、削減の削減がされるということで、結局、また残った二五%が削減になったといういきさつがございます。私は、このことについて大変憤りを感じておるわけでございます。
 さらに、本年度、私学助成の確保とおっしゃられながらも、この六百三十五億円をベースにした概算要求が、他の項目よりいささか多いとはいえ、なされているという事実がございます。
 このような大きな、大まかな事実、流れをお踏まえになって、一体私学助成というものについて、この金額のいきさつはとりあえずは結構でございます、私の方が大臣より知っているかもしれない。結構でございますから、理念として、国としてはどのような私学に対する助成をするべきなのか、どこまでするべきなのか、そうしたことについてお答えをいただきたいと思います。
#44
○与謝野国務大臣 日本におきます私立学校は、先生御高承のとおり、大学生の約八割、高校生の約三割、幼稚園児の約八割と非常に大きな比重を占めておりまして、それぞれの私学が、建学の精神に基づいて特色ある教育、研究を展開しようということで、我が国の学校教育の普及、進展に極めて大きな役割を果たしてきたわけでございます。文部省といたしましても、このような私立学校の果たす役割の重要性にかんがみまして、従来から、私立学校振興助成法の趣旨に沿って、経常費補助を中心にその推進を図ってきたところでございます。
 しかしながら、今日においても、学納金負担の面や、教員一人当たりの学生、生徒数などの教育研究条件の面において公私間格差が存在しております。また、大学改革を初めとする教育改革への私学の自主的な取り組みを財政面から積極的に支援していくことが重要な政策課題となっております。
 このような状況を踏まえまして、私立学校の教育研究条件の維持向上や、修学上の経済的負担の軽減等に資することができるよう、厳しい財政事情のもとではございますけれども、今後とも、私立学校振興助成法の趣旨に沿って、私学助成の充実に努めてまいりたいと思っております。
 あと、残りはお答えする必要ありますか。私立学校の方も答えますか。
#45
○栗本委員 ええ、理念ということでございます。
        ―――――いや、まず大臣の御見解を……
#46
○伊吹委員長 ちょっと待ってください。栗本君、発言してください。
#47
○栗本委員 わかりました。
 私学を大変重視して、また大学生の八割等々、これは無視できないというよりも、非常に重要な比率を占めておりますので、これは今後とも助成をしていこうというお考えである、これはよくわかりましたけれども、もう一段お聞きいたしますれば、今回も、あるいは去年もことしも、私学の助成は高校に関しても行われているわけです。しかし、五割削減あるいは二・五割削減というのは、これは他の項目に比しても著しくそのバランスを欠いているではないか。これは金額の問題ではございますが、助成を続けているから理念の転換がないと言えるものではない、極端な、大きな変化であります。
 このような変化について大臣はどのようにお考えになるか、それを改めてお伺いしたいと思います。
#48
○与謝野国務大臣 先生も私も東京出身の議員でございまして、私立学校等の助成に関しまして、ただいまの平成六年度の予算の中におきまして、文部省の持っております予算は減らされたわけでございます。しかしながら実態は、東京都を除きますと、地方交付税で措置をしておりますので、実額は前年度よりふえているということが実情でございます。
 ただし、この際、私立学校の経営者あるいは父母の方から大変な懸念が示されましたことは、こういうものが一般財源化されていって、いずれは私立高等学校等の助成がだんだんしぼんでいくのではないかという御懸念が示されたわけでございますが、私どもとしては、そういうものが一般財源化していくということがないように最大限努力をしてまいりますし、また来年度の概算要求におきましてもそのような考え方を貫いているつもりでございます。
 詳細は、政府委員からさらに追加して御説明いたさせます。
#49
○吉田(茂)政府委員 事務的な御説明を申し上げたいと思います。
 平成六年度予算の折衝におきまして、先生御指摘のように、対前年度比五〇%減という内示でございましたが、私立高等学校等への助成の重要性にかんがみ、引き続き大臣折衝まで最大限の努力をし、御尽力もいただきまして、最終的には対前年度比二五%減というところになったわけでございます。
 七年度の要求につきましては、六年度が六百三十五億円という数字でございますが、七百五億円ということでございまして、他の、従来の各年度の概算要求額より非常に大幅の増を要求しておるところでございます。そういう中で、今後予算編成の中で最大限に努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#50
○栗本委員 ただいまの事務的なお話はよくわかりました。
 改めて大臣にお伺い申し上げます。
 要するに、この私立高等学校等経常費助成に関しましては、一般財源化については御反対といいますか、そういう方向はとらないということでよろしゅうございますね。
#51
○与謝野国務大臣 本年度の予算を編成するに当たっては、本年度限りのいろいろな財政事情等もあって、政府としてそのような選択を最終的にせざるを得なかったという事情はあるにせよ、ただいま先生が御指摘になったように、一般財源化する方向には進まないように最大限の努力をいたしますし、来年度の概算要求においてはその考え方を貫いたつもりでございます。
#52
○栗本委員 最大限の努力をするというのと、反対である、それは認めないということは別だと思いますけれども、改めて、最大限の努力なのでございますか、私は、反対というふうに最初おっしゃられたというふうに思います。今、現時点のお話では、最大限の努力。この違いは非常に重要でございますから、改めてそこについてお伺いしたいと思います。
#53
○伊吹委員長 どちら――――吉田高等教育局長。
#54
○栗本委員 大臣の所信をお伺いしたいのです。
#55
○伊吹委員長 ちょっと待ってください。まずあなた説明して、次に大臣。
#56
○吉田(茂)政府委員 経過を御説明申し上げたいと思います。
 一方、地方交付税を充実して、国全体としての財源措置の拡充ということに努力をしたわけでございますが、都道府県の助成水準の維持向上に資するよう配慮していかなければならないということで、六年度の予算編成あるいは六年度予算の国会審議の過程におきまして、この削減は六年度限りの措置であり、また国庫補助金を一般財源化するものではないということは、経過的にいろいろな段階で申し上げて、明らかにしてきたところでございいます。
#57
○与謝野国務大臣 一般財源化することに賛成でないから、最大限の努力をするわけでございます。
#58
○栗本委員 大変その御表現には納得いたしましたが、ならば、どうしてその二五%カットになったのをベースにしての概算要求になったのか。
 それは、さまざまな諸般の情勢が、財政情勢が厳しいというお話、よくわかりますが、ここは大蔵委員会でもなく、大蔵大臣でもいらっしゃらないわけですから、落っこった中ではやや多いじゃないかということでは、とても最大限とは私は思えない、これについてお伺いしたいのです。
 さらにその中身を見れば、七十億円の増額を要求されておりますけれども、これは全体の増減比、前年度比で、つまり二五%落ちたところをベースにすれば一一%増なんですね。ところが、実は特別補助、だから目的的な、こういうものであれば補助してやるよというものの方は、二倍とは言いませんが四〇%を超す増であります、実質。そこなんですね。だから、これはどう考えても私は最大限とは思えない。これについて改めてお伺いしたいとともに、もう一つつけ加えてお伺いいたします。
 理念のことを今お聞きしているわけですからお伺いいたしますが、私立学校が重要だから補助する、なるほどこれは国旗・国歌と同じく、現状を肯定してということになるかもしれませんが、憲法の八十九条には御承知のとおり、「公の支配に属しない慈善、教育」ここに教育が入っているわけですね。「若しくは博愛の事業に対し、これを」つまり公の財産、資金ですけれども、「支出し、又はその利用に供してはならない。」という一条があるわけでございます。他方で、言うまでもなく、教育の機会均等。私学も教育であれば、国民にとっては機会は均等でなければならないというふうに思うのですけれども、しかしこの条項がある以上、結局のところ私学に関してはできる限りは国は払わず、地方財政に盛っていくことになるのじゃないか、こうした懸念が非常に強くあるのも間違いない事実でございますので、大臣に改めてこれについての御所見を伺いたいと思います。
#59
○与謝野国務大臣 先生が御指摘になりました公の支配に属さない学校という意味は、全く公の支配に属さないという意味でございまして、現在の私立学校助成法のもとにおいては、振興財団を設け、そして助成を受けた学校等からはきちんと予算、決算等の報告を受け、きちんと指導助言もできるようになっておりますので、私立学校全体は公の支配に属しておりませんけれども、学校経営の枢要な部分が公の支配に属しているということで、当然憲法の範囲内であると私どもは解釈をしております。
 そこで、私立学校と国公立学校との例えは授業料の格差ということを考えますと、非常に大ざっぱな数字でございますが、私立大学と国公立大学の学費の格差というのは一対二ぐらいまでのところに来ております。しかしながら、高等学校を比べますと一対五ということで、私立高等学校に行かれている方の御父兄あるいは保護者の負担というものは、まだまだ常識的には公立に比べて格差が大きいのではないかという直観的な判断を私はしております。したがいまして、先生が御懸念になっているような、私立学校等に対する助成が減額される、あるいは今後一般財源化される、地方交付税により大きな比重が占められるという方向には行かないように、また行ってはいけないと私ども思っておりますので、その点では最大限の努力をしてまいる、そういうことを先ほどから申し上げてきているわけでございます。
 私立学校助成法によって全体が属しているというのが正しい解釈でございます。
#60
○栗本委員 今の御答弁は私が申し上げました質問の後段でございまして、前段の本年度限りあるいは今年度限りとおっしゃられましたが、同じことですけれども、ということで五割削減から二・五割削減に戻った。財政の云々という話は大蔵省の話でございまして、文部省は大蔵省を支配していないはずでございますから、ならば、その二割五分削減をベースにした概算要求をする、結果としてそうなったにしても、何らかの努力があったのか、それがなければ最大限とはとても思えないというような趣旨の質問をいたしましたが、これについてお答えをいただきたいと思います。
#61
○吉田(茂)政府委員 前段の御指摘の点でございますが、大臣申し上げましたとおり、最大限の努力ということでございます。と申しますのは、御案内のような大変財政上の厳しいシーリングがあるわけでございまして、その中で概算要求をしなければならないというような状況下で、先ほど申し上げましたように対前年度比七十億円増、七百五億円の要求をしておりますが、これは数字的に申しまして一一%の増という内容でございます。そのような意味で、文部省としても最大限の努力を払いつつ概算要求を行ったというふうに考えております。
 それから、公の支配の点につきましては、私立学校法、学校教育法あるいは私立学校振興助成法等の諸規定によりまして私学が受けております規制、それによって憲法上の公の支配というものは受けておるというふうに考えておる次第でございます。
#62
○栗本委員 それでは、憲法の問題に関しましては、情勢の変化あるいは現状が進行したので認めるということでなくて、当初からこの八十九条と私学振興助成法の理念は合致しているという御判断でよろしゅうございますね。それは私も一致しているものでございます。
 であるならば、公の支配、あればいいとお話しになったわけなんですね。あるのだ、あればいいんじゃないかと。今度は逆に私学の方から見ますと、あり過ぎるということは、憲法の問題にかかわらず、私学助成のお金という問題にかかわらず、あり過ぎるということがかなり前から問題になっていて、これはもう二十数年前の大学管理法のときから大きな問題になっていることであります。あればいいと言うが、逆に行き過ぎて、あり過ぎる。
 一般論はちょっと時間がありませんので避けまして、具体的に予算の中から申し上げれば、今私もお聞きしたのですがお答えいただかなかったのは、要するに補助はするけれども、補助は継続するよ、けれども特別補助なんだよ。つまり、目的や中身についてある程度支配が可能な部分がふえているという特徴がはっきりあるわけです。私立高等学校等経常費の場合では、今一一%ふえた、だからいいじゃないかというお話ですが、私はいいとは思いませんが、そのうち実は特別補助が三十五億三千万から六十一億三千万への要求になっている。今ここに電卓がないのでぱっと出ませんが、こちらは四〇%を超しているのですね。だから、ふえている部分の大半、かなりの部分がそれである。つまり、目的補助ですね。それから、私立大学の方でいえば、九十二億円のプラスアップ要求をしておりますけれども、それは全額特別補助です。こういうものであれば出してやるよ。だから、一般的に明治大学がお金が全般に足りない、あるいは慶応大学が足りないというようなことではなくて、何々だ、そうかと、査定、認定が入ってくるということがあるわけですね。
 この理念の正当か否かと同時に、きょうは高等学校の問題にとりあえずは絞りたいと思いますが、特別補助二十五億円ふえているのは、これは何ならばお金を補助してやるというふうに言っているのだ。この二点について、これは大臣じゃなくて結構です、お答えいただきたい。
#63
○吉田(茂)政府委員 特別補助についての御指摘でございますが、憲法の論議の中にもございましたが、やはり私学の特性を生かしていかなければならない。建学の精神、学風、そうしたものを生かしていかなければならない。そういった私学の特性を生かしつつ国公私立を通じた教育改革への取り組みを積極的に誘導していくというのが、やはり国庫補助金の一つの役割であろうかと思います。そういう意味で、特別補助というものの要求に相なっているわけでございます。
 具体的に私立高等学校等の補助金の内容として教育改革推進特別経費ということで要求をいたしておりますが、例えば国際化の推進であるとか、転入学生等の受け入れの促進であるとか、あるいは生徒指導の充実、特色ある教育活動の推進、あるいは職業教育の活性化、こういった項目に着目いたしまして、そのような努力をされておるという事柄につきまして特別補助を行うという考え方、あくまでも教育改革の誘導、そういう観点での補助でございます。
#64
○栗本委員 そういたしますと、大学にせよ高校にせよ一般的な補助というのはできるだけ抑えていこうという方針であるというふうに理解してよろしゅうございますか。
#65
○吉田(茂)政府委員 大学につきましては御指摘のとおり特別補助というような形で、今高等学校以下で申しましたような事柄につきまして特別補助を増額要求しているという形でございます。高等学校等につきましては、一般補助は前年度に比べまして四十四億円の増要求をいたしております。これはいわゆる一般的な四十人学級編制というような課題がございまして、それに対して補助を行いたいという内容でございます。それから、特別補助は今申し上げたような内容に相なっております。
#66
○栗本委員 中身についてのお話なので、それはしょせん長くする時間はきょうございませんので、それでは極めて不満であるということを申し上げておきます。
 すなわち、目的があってそれならば補助をするよということは、これは文部省の私学に対する支配が非常に強化されるという基盤を広げている、この事実は多分御否定できないと思うのですが、これについて十分注意してやっていただきたいし、また具体的にいろいろな問題がございますので、改めてやりたいと思います。
 それから私、別件ですが、質問の中で、六十一億円に三十五億円からだと四〇%以上ふえているというのは間違いでございます。八〇%近くふえておりますので、そっちの方がもっと私の論旨に合っていたのですが、こっちの方はもう八〇%ふえて、ほかの方は一けた台の伸びなんだから、ふやしたなんて言ってもらっちゃ困るよという趣旨だと改めて確認しておきます。
 今の点に関してさらに御要望しておけば、大学に関して言えば、これは私立も国立もなのですけれども、新しく学部をつくろうという場合に、そういう学部名じゃこれは認めてやらない、国立の場合ですね、そういう学部名じゃ私立も認めてやらないということがあるわけですが、補助等が行かないよということで、昨年度宇都宮大学に国際学部などというのができまして、私は国際的に恥ずかしくてしょうがないですが、国際学なんという学問はありませんから。学部名というのは必ず経済学部とか法学部とかあるのですね。国際学部なんてないのですよ。ところが、それはだれが、文部省が国際学部なら云々ということなんだ。こんなことのないようにぜひともお考えいただきたいと思うのですが、時間がございませんので、せっかく大臣との初めての機会でございますから、東京について最後に一つお話をお伺いして終わりたいと思うのです。
 先ほど大臣の御答弁の中にも、東京都の私立高等学校等経常費助成費補助は下がってしまった、先ほどの論理をそのまま応用するとそうなってしまうのですね。確かに国費は二五%切った、本当は五〇%切りたかったようなんですけれども、切った。戻しても二五%カットで、あとは地方交付税の中からいけ。だからこれも本来ならば地方交付税をひもつき、目的つきで出すということに大きな問題があるはずですが、とりあえずそれでいった。ところが、東京は富裕団体でありますから、ということになっておりますから、地方交付税が来ない。一般的に言うと、地方交付税も財源を給付しているのが東京都民であるという言い方もされるぐらいである。さらに私学振興助成法の中でも減額調整というのがされておりまして、そういったところで、じゃ、東京はどうするのだ。もしも東京都知事が大臣と全然気の合わない人であったりすると、これは全く、それはそうならないことを祈りますが、そういったものは全然出さないんだということになりはしないと思いますが、論理的にはなる可能性があり、そしてもちろん、私ども国会議員でありますが、大臣も御尽力いただいたと思いますが、東京の選出の政治家でもありますから、そうならないように別途努力をいたしましたが、結局のところこれは少なくなってしまった、このことは非常に大きな問題だと思うのですね。地域の問題だけじゃない、これは私学の問題なんです。
 なぜなら、大臣もおわかりだと思いますが、私学は、先ほど全体の比率は大臣がおっしゃられたとおりもちろん無視できないものであるのですが、特に東京都は、国の政策の失敗であるとは特に言えませんが、東京都の政策の失敗でもあるだろうと思いますが、私学の比率が圧倒的に全国平均に比して高いわけであります。例えば高校では、全国で二四%が総高校数のうちの私立てあります。ところが東京では五二・二%であります。中学は五・六%に対して二一・五%、小学校は〇・七%に対して三・五%であります。幼稚園は比較的全国で私立が頑張っているといいますか、これは逆に言えば公立の幼稚園が少し不十分であるという面もあるのでしょうが、全国比五八・二%に対して七七・四%、これは東京である。よく御存じだと思いますが、こういう状況に対して特段の配慮がされるのがむしろ筋であるのに、逆特段の配慮ということになってしまった。このことについて御所見を伺いたいと思います。
#67
○与謝野国務大臣 昨年、今年度の予算編成がされますときに私は野党でございまして、東京出身の議員といたしましてこの問題に深い憂慮を持ったわけでございます。それは、先生が今お持ちの御心配とほぼ同じでございまして、東京都の場合には、富裕団体であって地方交付税が不交付であるということで、実質的な減額というものが生じる地方公共団体であるわけでございます。そういう意味では、何とか私立学校等に対する助成の水準が落ちないという努力をしなければならないということで、一国会議員として東京都の方にも随分陳情等をやりました。
 現在の立場から申し上げますと、来年度の概算要求というのは本年度の予算の延長線上に考えていかなければならないという限界が既に生じておりますので、そういう限界はございますけれども、東京都のような富裕団体が実質的に余り御損にならないような方法はないかということを目下研究中でございまして、東京都の私立学校助成に対する意欲を損じないような方法も東京都と話し合いながら工夫をしていかなければならないと思っております。
#68
○栗本委員 ありがとうございました。
 それでは、東京の問題に関しましては、大臣も私も東京選出でございますが、そういう地域の問題ではなくて、まさに教育の問題を東京について特段に御配慮あるいは御指導があってもおかしくないというふうに、むしろそれを特段に御要求申し上げて、本日の私の質問を終わります。ありがとうございました。
#69
○伊吹委員長 栗本慎一郎君の質疑を終わります。
 続いて、福留泰蔵君。
#70
○福留委員 改革の福留泰蔵でございます。文部大臣のあいさつに関連いたしまして質問の時間をいただきましたので、何点かにわたって御質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、私どもの同僚であります松沢委員の方からも質問がありました、このあいさつの中身そして基本的な大臣の教育理念なり哲学なりに関しての質問を最初にさせていただきたいと思います。
 私もこのあいさつを読ませていただきまして、村山政権というものが人に優しい政治というものを標榜して新しく発足なされた、新しい内閣のその村山政権のもとの新しい文部大臣のもとでのあいさつ、大変期待していたわけでございますけれども、中身はそれほど特色のあるものとはならない、そんな感じを受けたわけでございます。
 先ほど大臣の方から、大臣の教育に対する思い、認識、教育観なりが示されたわけでございまして、私は大変すばらしい教育観だなと思いながら伺ったところでございます。
 そこで、それはそれとして、私がここで大臣にお伺いしたいのは、村山内閣が人に優しい政治というものをうたわれているわけでありますけども、人に優しいということを文部行政の中では具体的にどう位置づけてお考えになっていらっしゃるのか、その村山総理のお考えを文部行政の中でどうなさっていかれようとしているのかという点についてお伺いしたいと思います。
#71
○与謝野国務大臣 人に優しいというのは非常に抽象的な表現でございますので、実際文部行政でそれがどう展開されていくのかということをうまく表現することは非常に難しいわけでございます。
 先ほど申し上げましたように、教育制度あるいは教育政策というのは、児童生徒をマスとしてとらえていく側面は当然あるわけでございます。マスとして、全体としてとらえていくというのも一つの非常に重要な思考形態でございますけれども、個別、具体的なケース、現場においては、一人一人の子供の成長、そういうものを図っていくためにきめ細かい指導をしていく、優しい気持ちで一人一人の子供の個性の伸長を図っていく、そういうきめ細かいところに配慮をしていくというのがやはり人に優しい政治ということであると思いますし、また、いろいろなハンディを負われている方々にも、その方々の持てる力、能力を伸ばしていくという観点から教育行政を行っていく、人に優しい政治をあえて文部行政との関連で表現すればそういうことになるのではないかと私は思っております。
#72
○福留委員 人に優しい政治を村山政権が掲げられたそのゆえんというのは、実は今回の政局の流れの中でも、政策だとか理念ではなくして、その体質だとか手法ということを云々されているわけですね、強権的であるんだとか。その辺のところが、人に優しい政治を村山総理が標榜された一つの理由ではないかと私は思っているのです。
 そういう観点からすると、人に優しい政治というのは、今は、いわゆる一人一人の教育を受ける子供たちの立場に立って優しい政治、優しい教育というもの、その立場に立っての優しさというものを大臣はおっしゃったんだろうと思いますけれども、行政のあり方としての優しさというものをこれからはやはり私は期待しているわけであります。
 どちらかというと、どうも国民の皆さんは、文部省というとやはりお上である、権威の象徴である、権威的に感ずるし、強権的に感ずる部分もあるのではないかと思うのですね。そういう意味で、文部行政のあり方、文部省のあり方として、やはりできるだけ多くの方々の御意見を謙虚に聞くとか、先ほどの私どもの同僚議員の国歌・国旗問題について、現場ではいろいろぎすぎすしないんだというお話がありましたが、例えばそういうことでもあろうかと思いますけれども、人に優しいというのは、今、これは、文部省の方々は一生懸命努力されていると思いますけれども、どうも国民の皆さんはそういうふうに受けとめてしまう、そこに対して努力をすることが必要なのではないか。もっと国民の多くの方々のいろいろな御意見を謙虚に聞いて、受けとめていくということが、私は村山総理のおっしゃる人に優しい文部行政ではないかと思うのですけれども、大臣の御所見を伺いたいと思います。
#73
○与謝野国務大臣 人に優しいというのは、別の言葉で言えば、謙虚で、かつ責任のある政治であると思っております。
#74
○福留委員 さて、次の御質問に移らせていただきたいと思います。
 まず、二〇〇二年のワールドカップの誘致の件について御質問させていただきたいと思います。
 ワールドカップサッカーについては、大臣も御存じだと思いますけれども、四年に一度開催されるわけでございまして、プロ、アマを問わず、各国を代表する最強のチームによって世界一が争われる世界最大のスポーツイベントとなっているわけであります。本年も、第十五回の大会がアメリカの地で開催されまして、全世界を興奮の渦に巻き込んで、大成功のうちにブラジルが優勝するという形でその幕を閉じだということは、記憶に新しいところでございます。私ごとでございますけれども、私も現地でワールドカップ大会を見る機会を得まして見させていただきましたけれども、世界最高のスポーツイベントとも言われることを改めて認識をしたところでございます。
 次の大会でございますけれども、一九九八年、これはフランスで開催されることが決定しているわけでございますけれども、その次の二〇〇二年の大会については、国際サッカー連盟、FIFAのアベランジェ会長が、二〇〇二年はアジアでということの表明をしたとの報道もありまして、二〇〇二年ワールドカップの開催地に、私ども日本は韓国とともに立候補を表明しているところでございます。日本サッカー協会を中心といたします二〇〇二年ワールドカップ招致委員会ができまして、現在熱心な招致活動を展開されているところでございます。
 昨日も、関東の知事会がございまして、関東の知事会の皆さんからも、二〇〇二年に開催予定のワールドカップ大会日本招致に関する支援措置を含めたさまざまな御要望が決定なされたとの本日付の報道もあります。同大会について、一、開催条件である政府保証を早急に閣議決定してほしい、二点目として、招致活動に対する政府の支援体制を早急に講ずるべきだ、三点目として、スタジアムなどインフラ整備の財政支援措置を講ずる、この三点の関東知事会における要望が決定されたということでもございます。
 今申し上げたとおり、道のりはまだまだ厳しいものがあるわけでございます。与謝野文部大臣におかれましては、国際サッカー連盟のアベランジェ会長にあてまして、文部省として最大限の支援をするとの親書を渡されたと聞いているところでございますけれども、まず、文部大臣として、ワールドカップ招致へ向けて今後どのような御努力をなさっていかれるのか、そのお考えをお伺いしたいと思います。
#75
○与謝野国務大臣 スポーツの振興は、文部省のお預かりしております最も重要な仕事の一つでございまして、ただいま先生からお話がございました二〇〇二年のワールドカップ招致という問題は、日本におきますサッカーの普及並びにサッカーというスポーツが持っております世界的な普遍性と申しますか、世界中の人に愛されているスポーツであるという観点から、これは国際親善に非常に大きな役割を果たすということでございますので、私ども文部省としては、行政官庁として招致委員会の御活動をできるだけ支援を申し上げたいと思っております。
 先生が御指摘になったように、ことしの七月には、招致委員会の方々がアベランジェ会長に二〇〇二年の可能性についてお話しに行くということで、文部大臣としての書簡をお渡ししたわけでございます。二〇〇二年の日本招致を実現するためには、日本のサッカーファン並びに政府関係者あるいは国会議員におかれましても、やはりそういうものを招致しようという熱意の高まりと世論の高まりが必要であると思いました。そういう意味では、先生方のぜひ一層の御支援もお願いしたいところでございます。
#76
○福留委員 今文部大臣の非常に前向きの御答弁がありましたし、我々としても積極的にこの世論を高めてまいりたい、応援してまいりたいと思っているところでございます。
 そこで、せっかくの機会でございますので、このワールドカップ招致実現までさまざまなハードル、障害があろうかと思いますけれども、具体的にはどのようなものがあるのかお尋ねしたいと思います。
#77
○与謝野国務大臣 こういう大きなイベントですから、招致したいという国は多分ほかにもあるはずでございまして、そういうところとの競争ということにも一つはなると思っております。それと同時に、来年一月に出されます招致に関するいろいろな条件、これはまだ具体的にはわかっておりませんけれども、十五とか十六のサッカー場も必要になりますし、それに対するアクセスをどうするかという公共事業関係の投資も必要でございますし、また、そういうサッカー場自体、あるいはそれに関連するインフラをつくるための財源の確保という非常に重要な問題もあるわけでございます。
#78
○福留委員 来年の一月に条件が示された上で、恐らく政府としての保証が必要となる。そうすると、閣議決定なり閣議了解が当然必要になろうかと思います。私どもは、過日、村山総理のところに伺いまして、その要請を行いました。総理はその際、このワールドカップサッカー大会というものは、オリンピック等の総合スポーツのイベントではない、単一のスポーツである、そんな大会に閣議了解はなじまないのではないかというふうな非常に消極的なお話であったかと私は受けとめているところでございます。
 しかし、このワールドカップ大会は、大臣も御存じのとおり、百八十カ国がテレビ中継するような、また、決勝戦だけでも二十億人の世界じゅうの人々が観戦すると言われる、まさしく世界最高の関心を集めるスポーツイベントであるということ、また、国内で開催するに当たっては、今大臣のお話もありましたけれども、十五カ所とか十六カ所、つまり十五とか十六の都道府県が開催地になる、いわゆる全国規模でこの大会が行われる、そういう地域的な広がりがあるということを考えてみますと、私は当然のことながら、これは閣議了解にすべきことではなかろうかと考えているわけでございます。
 来年の一月に条件が提示されましたら、私としては、速やかに閣議了解をしていただけるよう強く要請したいと思います。この件について、最後にもう一度大臣の御決意を伺いたいと思います。
#79
○与謝野国務大臣 招致の条件が出まして、それじゃ招致委員会ひとりで招致活動をやってください、こう申し上げましても、相手のところに参りまして、それじゃ日本政府や、日本の関係する地方自治体は一体どうなっているのだというような質問があった場合、政府も熱心でありますということはやはり相手方に伝えなければならないわけでございます。それが、先生が今おっしゃったような閣議了解というようなことなのか、あるいは別の形式がいいのかということは別にいたしまして、やはり招致委員会が対外的な活動をするについて、ある種の裏書きをする必要があるということは確かであろうと思っております。
#80
○福留委員 引き続き別のテーマについて、御質問させていただきたいと思います。
 学習塾の問題でございます。去る七月二十九日に文部省の方で、「学習塾等に関する実態調査」、これは速報であるようでございますけれども、発表なさいました。小学生で二三・六%、中学生で五九・五%が塾通いをしているとの結果でございます。中学三年生だけで見ますと六七・一%、三人に二人が塾に通っているということでございました。昭和六十年度に行われました前回調査と比較しましても、小学生で七・一。ポイント、中学生で一五・〇ポイント、中学校三年生では一九・八ポイントもアップしているわけであります。親の六割強、また塾経営者の三人に一人が、塾通いは過熱していると思うと答えております。
 この調査結果及び実態について、文部省としてはまずどのような認識を持たれておられるのか、文部省の率直な感想、見解をお伺いしたいと思います。
#81
○泊政府委員 お答えいたします。
 先般、学習塾の実態調査の結果について、とりあえず速報として取りまとめて、先生ただいま申し述べられましたような実態の結果が出てまいりました。お話にもございましたように、前回この調査をやりましたのは昭和六十年度でございますので、そのときと比べますと、通塾率が、今申し上げましたように、小学生で約七ポイント、中学生で一五ポイントも上昇してきているということでございます。
 とりあえず、これらの調査の概要を眺めてみますと、学習塾に通っている子供たちの約半数が、学校の勉強がよくわかるようになったといった回答を寄せている一方、当然のことでございますけれども、家で遊んだり、テレビを見たりする時間が少なくなったという答えも相当数ございます。さらに、子供を学習塾に通わせている親御さんについて見ますと、一番多い答えは、やはり学校の授業がわかるようになったという答えが多うございますが、その反面、学習塾への行き帰りの途中での事故が心配になったといったような答えもございます。
 私ども、今後詳細な調査結果について取りまとめることといたしておりますけれども、やはり当面文部省としては、学校教育の充実あるいは入学者選抜の改善といったようなものを通じまして、学習塾に通わせる必要性というものができるだけ少なくなるように、引き続き継続かつ着実な努力をしていく必要があるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
#82
○福留委員 私は、この学習塾の今回の調査結果というものは、現実の今の日本の社会の教育の実態というものがそこにある問題点として浮かび上がってきているのではないかと受けとめております。ある意味でいえば、学習塾というのは、今の学校教育で足らざる部分がそこにニーズとしてあって、そこに学習塾の存在というものがあろうかと受けとめているところでございます。
 そこで、学習塾に対する認識について、文部省の見解をまずお伺いしていきたいと思うのでありますけれども、この学習塾というものを文部省としてどのように認識されていらっしゃるのか、今そのニーズが少なくなるというか、その要請が少なくなるように学校教育の充実に努めていくというお話でありましたけれども、教育の理想から考えてみたときに、学習塾は全くない方がいいのか、あるいはある適正な規模では学校教育を補完するという意味でその存在があるべきだと考えているのか、今の現状がもし過熱であるとすれば、どの辺の規模が適正であると考えるのか、そこについての文部省の見解をまず伺いたいと思います。
#83
○泊政府委員 お答えいたします。
 お尋ねの趣旨、学習塾というものについても、非常に実態的にはバラエティーがあるのではないかというふうに思っております。ある意味では、よく弊害が指摘されるような形での、いわば受験のためのということの過熱した弊害を伴うような実態、あるいは学校で理解できないので、個別にいわゆる補習的なものをやるといったようなもの、あるいは自分の好きな分野を特に勉強したり、習ったりするといったような、実態は区々あろうかと思いますが、私どもが一番心配しますのは、やはり受験ということのために過度な学習塾通いというようなことが子供の成長に悪影響を及ぼすことがないようにという観点ではなかろうかというふうに思っているわけでございます。
 そういった意味合いでいえば、学習塾というのはさまざまでございますけれども、基本的には、こういう学習塾に子供を通塾させるかどうかということは、やはり各御家庭で親御さんが御判断されるべき事柄であろうというふうに思っております。
 そういった意味で、私どもとしては、当面、この過度の学習塾通いによる弊害というものをできるだけ除去していくような努力をしていく必要があるのではないかというふうに考えております。
#84
○福留委員 今、お話を伺っていても、過度の学習塾通いというお話でありますけれども、過度というその判断がどうもちょっとわかりにくいと思うのであります。これからの学校教育のあり方として、そういう社会的な、また親御さんたちの教育に対する要請、それを今後ともすべて学校教育でやっていこうとなされるのかどうか、あるいは補完的にそういうものを認めていくのかどうか、そのレベルはどうか、じゃどこまでいったら過度でないのかということが、私はちょっと不明確ではなかろうかと思っております。その件もあわせてもう一回お伺いしたいのです。
 もう一つは、実はこの学習塾の問題というものは、いわゆる親御さんたちの要請があって存在しているわけでありますけれども、そういうニーズがあって存在しているわけでありますけれども、なぜこのように学習塾が存在しているかといいますと、私の認識では、そこには教育における自由競争の原則というものがあるのではないか。つまり、教育を受ける立場から、気に入らなければ行かなくていいわけです。自分で選べる。そうすると、そこに携わる、学習塾で教育、教育というか、子供さんたちを教えていらっしゃる先生たちは、それは学校教育の先生たちも一生懸命やっていらっしゃると思いますけれども、それ以上に一生懸命、いわゆる自由競争の原理に基づいて教育というところで携わっているのではないかと私は感じているわけであります。
 しかし、学習塾で教えていらっしゃる先生方のやはりひとつのやりきれなさというのは、社会的に教育者として認知されていないという思いがひとしくあるようであります。それは学習塾に対する文部省の対応の仕方にも私は問題があるのではないかと思っているところでございまして、それは冒頭、文部大臣に私が御質問した際に、人に優しい政治という、その文部行政という観点から見れば、私は学習塾に、また学習塾を経営されていらっしゃる方々、学習塾で教えていらっしゃる方々、その先生たちと、それを正式に文部省として認知していただいて、そしていろいろな話し合いの場というものを設けていくべきではないか、そういうふうに考えているわけでございますけれども、先ほどの過度という意味と今のことについて文部省の御見解をお伺いしたいと思います。
#85
○泊政府委員 過度というのが、客観的にこうなれば過度だというふうに明確に申し上げるのは、大変困難だろうと思います。これはやはり子供の成長発達段階に応じて悪影響を及ぼすようなことのないということを主眼に考えるという、抽象的でございますが、そういうお答えしかできないのではないかと思っております。
 あと学習塾関係者との関係についてでございます。
 この先ほど申し上げました学習塾の実態調査を公表した後も、事務レベルではこの結果を公表して情報交換等を行うといったようなこともいたしておりまして、また、私どもとしても子供の健康その他ございますので、できるだけの協力を要請をするといったような場も設けております。
 ただ、非常に、これはオーバーに申し上げますと、学習塾自体の問題ということが抱えております背景というのが、学校教育なり、入学者選抜のあり方等につながる大きな問題でございますので、私どもとしては、可能な限りこういった学校教育レベルでの改善充実を図りながら、こういった弊害の指摘が少なくなるようなということでの方向を持った努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#86
○福留委員 初等中等局長もお見えでありますね。
 今、実は学習塾との懇談もやっているんだというお話でございました。七月三十日の朝日新聞によりますと、実は一九八七年の臨教審の第三次答申を受けて、それが塾の弊害を指摘しながら、学校などとの新しい関係の形成を促した、その経過を受けて、生涯学習局が中心になって八九年から塾団体との懇談会が開かれた、しかし、小中高の学校教育を直接担当する初等中等局が公認に強く抵抗し、九二年五月を最後に中断したという新聞記事があるわけなんです。
 今の答弁と若干違うようでありますし、私の聞いている範囲では、事務レベルのお話とおっしゃいますけれども、それは何か正式な懇談というのではなくて、ただあいさつに来て、これっきりみたいなお話であったかのような話も聞いているわけでございまして、ひとつこの件について、初中教育局長ですかと、もう一回、今後さらに懇談を進めるかどうかについて、正式に進めてほしいと思うわけでございますけれども、見解を伺いたいと思います。
#87
○伊吹委員長 それでは、順番に、泊生涯学習局長から。
#88
○泊政府委員 先ほど申し上げましたように、事務当局としては必要に応じてこれまでも情報交換等の場を設けてまいっております。今後も必要に応じて、また相手のこともございますので、申し出等がある場合に、適宜そういった場の設定ということについては私どもも従前どおりの対応をしてまいりたいというふうに思っております。
#89
○野崎政府委員 お答え申し上げます。
 私ども初等中等教育を担当している立場としては、やはり学校教育において十分な教育をしていくということがまず基本にあるわけでございまして、この塾の調査の中でも、学習塾に通わせた理由ということで、学校の授業がわかるようになったというような回答が相当数見られるわけで、こういう点につきましては、やはり学校教育として十分反省し、教育内容あるいは指導方法の改善充実に努めるということが大事だと思っております。
 ただ、一方、学校の授業だけでは受験勉強が十分できないからとかいう、そういう理由もあるわけでございます。この辺につきましては、やはり入試の方法とか、あるいは生徒が偏差値という一つの物差しだけではかられていく、したがって、ある意味ではそういうところに向けて塾での勉強を繰り返すというようなことは、子供の多様な発達ということから見ましても大変問題なわけでございますので、今学校教育におきましても、特に高等学校教育は個性化、多様化というようなことを進めておりますが、学校教育のそういう個性化、多様化と同時に、入試制度の改善なり、そういうものもあわせて考えていかなければいかぬのじゃないか、このように思っているわけでございます。
#90
○福留委員 時間が参りましたので、最後の質問、また意見表明をさせていただきたいと思います。
 いずれにしましても、今生涯学習局長の方から従前どおりというお話がありましたけれども、どうも従前どおりではなかなか正式の、また実効の上がる懇談の場になってないという認識もあるようでございますので、どうか実効性のある、本当に有効なる懇談の場を正式に今後設けていただきたいということを要請したいと思います。
 また、初等中等局長におかれましても、今その学習塾の問題というものが、初等中等教育段階における問題点というものをそこに認識しながら、それを学校教育の現場でどう改善していくかという意味で、私は、学習塾の今の実態というものをやはり正確に認識していくということが重要ではなかろうかと思います。ですから、初等中等教育の充実ということを大前提に考えますれば、私は、文部省の方から逆に学習塾の方へ伺って、その実態というものをきちんと調べるべきではないかと思っているわけでございます。
 先ほど申し上げましたとおり、人に優しい文部行政というものを今後期待するわけでございます。そういう意味において、そういう学習塾という、社会的に余り正式に認知されていないような、文部省からは正式に認知されていないような感じがあるわけでございますけれども、そういう方々ともやはり懇談をしていただいて、その実態というものを謙虚に受けとめてほしい、私はそのことを強く要望するわけでございます。
 この件について、最後に大臣の御見解またお考えをお伺いして、私の質問を終了させていただきたいと思います。
#91
○与謝野国務大臣 文部省の考えております教育制度あるいは学校制度というものは、自己完結的になっているということが前提になっております。しかしながら、現に塾が存在し、多数の児童生徒がそこに通っているという現実もあるわけでございますから、私ども文部省といたしましては、先生が今御質問の中で言われましたように、そういう事実が存在するということを謙虚に受けとめて、そして、文部行政の中でそれがどういうかかわり合いを持つかということを常に考えながら進んでいかなければならない、そのように考えております。
#92
○福留委員 ありがとうございました。
#93
○伊吹委員長 福留泰蔵君の質疑は終わります。
 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時二十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二分開議
#94
○伊吹委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。藤村修君。
#95
○藤村委員 改革の藤村修でございます。
 きょうは、文部大臣にごあいさつもいただきましたことを受けて三つの項目で、三十分間ですか、御説明等をお願いをしたいと思っております。
 まず、よく言われるとおり、日本は非常に国が狭い、国土が狭い、あるいはこれといった資源を持たない国でございます。何より人的資源というものが重要で、つまり、きょうまで科学技術というものが日本のやはり成長を支え、そしてこれからの将来に向けてもこの科学技術力を大いに高め発揮していかなければならない、このことは言うまでもございません。国民一人一人がゆとりと潤いある生活を営み、これは先ほどの大臣のお話の中にもありましたが、さらに、豊かな文化国家として世界に貢献していくにも、この科学技術力というものを一層充実させるほかないわけであります。
 また、日本自身の将来についても、今高齢化であるとか少子化であるとかということで、それに対応する税制の問題が非常に真剣に論議がされております。消費税率のアップあるいは国民負担率をふやしていくんだという方向が模索される中で、一方で、国民に負担してもらうにはその原資となる収入がなければ、これは絵にかいたもちになりかねません。企業の税金も、会社がもうかってこそこれは支払われるものでございます。砕いた表現で言いますと、一体日本は何で稼ぎ、何で食っていくのか、こういうことが非常に一方の税制に対応して重要な課題であると私は考えております。
 そして、その答えというのは言うまでもなく、きょうまでのとおりの延長で、やはり日本というのは頭脳の、そして科学技術分野、頭脳資源が最大の資源であるということを見直さなければならないと思っております。そして、この頭脳資源の開発を担当するのが教育の分野であり、さきに午前中の与謝野大臣のごあいさつの中でもございました「教育や学術を未来への先行投資」、この思いもこれらのことを認識されてのことであろうと考えております。
 そこで、先行投資とおっしゃいましたので、それではその投資目的を明確にしておく必要があると考えます。もちろん、教育への投資というものが単に国の利益、すなわち経済成長や発展だけを目的とするというのではなくて、当然自己実現あるいは多様な個性の発揮、充実した人生を送ることなど幾つか考えられますが、間近に迫る高齢化社会への対策としても、きっちり日本が稼いで、そして食べていける社会とならなければ話は始まらないわけでございます。
 そこでまず最初に、この先行投資の目的というものについて与謝野大臣のお考えをお聞きしたいと思いますが、今までの私の話を踏まえてぜひ御感想をお願いいたします。
#96
○与謝野国務大臣 日本を支えてきたものが、やはり戦後五十年をとりましても、日本のすぐれた科学技術の水準あるいは製造技術の水準であることは、私は先生と全く同じ認識を持っております。
 そこで、教育に対するいろいろな予算というものが未来に対する先行投資という表現が最近使われるようになりましたが、それは、普通のものですと種をまきますとすぐ生えてまいりますけれども、教育の場合ですと、教育に対して投資を行う、これは個人が行う場合も、あるいは公の財政で投資をする場合も、投資をしてすぐその効果があらわれてくるという性質のものではありません。十五年、二十年という期間が経過しまして初めてその教育に関する投資が生きたかどうかということがわかる、そういう性質の投資であるわけでございます。
 したがいまして、現時点での教育政策あるいは教育に対する予算の確保というのは、実は十五年、二十年の先を考えながら物事を考えていかなければならないという性質があるのであろう。それが教育の予算というのは先行投資であるという表現につながっておりまして、その表現自体は比較的真実の姿に近い言葉遣いであると私は思っております。
#97
○藤村委員 今の大臣の誉言葉、十五年、二十年先を見越してということで、まさにちょうど高齢化社会が到来する二十一世紀、そのときにやはり日本が、今の教育投資がきいて、きっちり収入の方もなければ税金は払えないわけでありますから、この点はやはり見越して今後の文部行政にぜひとも取り組んでいただきたい、こう考えるわけでございます。
 その中で、今、一つずっと話題になっております理科離れ、理科教育の危機というものが、非常にこれは今多く報道もされておりますし、あるいはこの夏、日本物理学会が、「理科離れの子供が増えており、その一因は、文部省の学習指導要領の改訂で理科の授業時間を大幅に削ったから」などとの指摘を含む要望書を与謝野大臣に提出されたと伺っております。また同じ時期、日本化学会、ここからも、「次世紀に向けての化学教育の課題」と題する提言の中で、初中教育における理科の授業時間の確保あるいは教員採用試験の科目に必ず理科の実験を入れる、これはやはり先生がどうも実験嫌いというところもあるのかと存じますが、このことなどを要望書にまとめて発表しております。
 私も、理科の時間をどれぐらい削ったのか、減ったのかということをちょっとお聞きしてみたところが、ちょっと例を挙げて申しますと、小学校の高学年、五年生、六年生で、これは学習指導要領改訂の時期に従って言いますと、例えば昭和四十三年までの小学校五年、六年、それぞれ年間で百四十時間理科の時間があった。それ以後、五十二年の改訂以降はこれが百五時間、小学校五年も六年もそうであります。比率でいうと相当大幅な減でございます。あるいは中学一年、二年で申しましても、これもちょうど同じ。ちょうど中学一年も二年も昭和四十四年までの理科時間が百四十時間ございました。五十二年以降の改訂からは百五時間になっております。つまり理科がこんなに大きく減っている。
 ただ、これはちょっと注釈が必要でございまして、単に理科の時間が減っただけでなくて、各教科全体の時間削減というものが行われているわけでございます。そして、その理由で文部省の資料を見ますと、「ゆとりある充実した学校生活の中で人間性豊かな児童生徒を育成することや多様な児童生徒の実態に適切に対応することを目指した」とのことでございます。さらに、昭和三十年代、これは私が小学校に行っておりました、あるいは四十年代の教育のあり方の反省に立ってのことだということではございます。
 それでは、現時点において果たして目指したものがどのように実現をしておるのか、あるいは昭和五十年代、六十年代、最近に至るまでの教育のあり方への、特に学習指導要領でございますが、反省があるのかないのか、この文部省の見解をお伺いしたいと存じます。
#98
○野崎政府委員 お答え申し上げます。
 今、理科の時間数についての御指摘がございました。数字はまさにそういうことでございますが、これはお話の中にもございましたように、理科だけが減ったということではなしに、ゆとりある充実した学校生活という中で、すべての教科にわたって授業時数の削減が行われた、こういう経緯があるわけでございます。
 今後の動向を考えてみますと、理科の授業時数をふやすということにつきましては、これは現実問題として難しい課題、このように思っております。全体として授業時間が減っていくという中で、理科をふやすというようなことはとても無理なことだと思うわけでございます。
 ただ、授業の進め方につきまして、今お話ございましたように、理科というものが、知識を教え込むというようなことで、実際に体験するとかそういうことじゃない授業ということが行われますと、どうしても興味、関心もなくなるわけでございます。それで、私ども、今度の新しい学習指導要領でも、理科の教育につきましては観察、実験あるいは体験的な学習、みずから経験をしていくことが大事なんだということを重視をしてきておるわけでございますので、授業のやり方、そういうものにつきましては、これは先生の資質も影響するわけでございますので、先生方の研修、そういうものを含めまして、子供たちにいろいろな実験あるいは観察をさせていく、そういう中で興味、関心というものを高めていくような施策を講じていくことが必要じゃないか、このように思っています。
#99
○藤村委員 私自身、工学部の卒業でございます。いわゆる理系でございますが、自分の経験から考えるときに、小学校時代に、黒いマンガンの粉にまみれまして乾電池というのをつくって、そして線をつないでランプがぱっと光り輝いたときのあの感動や、あるいは中学のときは、一球式のラジオというのですかね、真空管の、あれを製作して、雑音の中から放送がやっと聞こえた体験、これらからやはり将来技術者になりたい、そういう決意がわいてきたように思います。
 今、時代は真空管からトランジスタを飛び越して、もうICとかLSIの時代にあります。ただ、だからといって、人間の頭の方は、今も昔も小学生は小学生でありますし、いかに情報化時代だからコンピューター教育が必要だ、これは私もそう考えますが、先端技術に達するまでには非常に初歩的な原理原則からスタートしなければならない。というわけで、コンピューター教育の新しい分野が今取り入れられておりますし、またさらにふやされようとしております。それはその時間数、つまり理科だと思いますが、それをふやして対処すべきではなかろうか。つまり、原理原則の部分はやはりきっちりと教えていかねばならないのではないか。
 学習指導要領で今理科に割り当てられる時間が、結局学習指導要領の改訂ごとに減っておりますし、全体が減っている以上に実は比率でも減っております。現在、小中高のどの分野を見ても、総時間に占める理科の時間数が一割以下ということでございます。これはやはり私は、今叫ばれている理科離れを食いとめるためにも、小中高において少なくとも全授業時間数の一割以上、一割がめどかどうかは別としても、とにかく今一割を切っている、それならば、やはり一割を確保するような時間数を割いていかねば、これは冒頭申しましたような、やはり国の、本当に将来の技術立国としての日本の収入をいかにするかというか、そういう大きな目的のためにも必要ではないか、まさに国の将来が危ういのではないかとまで思うわけでございますが、文部省の所見をお伺いしたいと思います。
#100
○野崎政府委員 授業時間数についてのお尋ねでございます。
 私どもといたしましては、全体として減る中でどう効果的な授業を展開するかというようなことで、今回の改訂でも、小学校の低学年に社会と理科を統合した生活科というようなものも導入したりしておるわけでございまして、やはりこの問題につきましては、そういう授業の方法あるいは効果的な指導方法の開発、あるいは施設設備の充実、そして理科という授業のほかに、学校行事等でいろいろな、博物館とかそういうものを見学をしてみずからいろいろな機械にさわってみるとか、そういう場をふやしていくとか、そういういろいろな多元的な形でこの問題については対応していかなければいかぬのではないか、このように思っているわけでございます。
#101
○藤村委員 対応はわかるのですが、今理科離れあるいは理科教育の危機ということに対する認識があるのかないのか、これは先ほど来御説明したことを受けて、文部大臣にも一言だけでもお答えいただきたいと存じます。
#102
○与謝野国務大臣 先生御自身の御体験のお話がございましたが、やはり児童生徒がある時期にそういう科学や技術、私どもそれを総称して理科と言っていますが、そういうものに対する関心を触発されると、触発された人ほどやはり理系に進んですぐれた人になるということは実はわかっておりまして、まず子供たちが理科系の科目に興味を抱くきっかけとなる場面をたくさんつくっていかなければならないということが一つございます。
 そしてもう一つは物の教え方でございますけれども、もちろん化学記号やその他をしっかり学習しておく、覚えておくということも必要ですけれども、やはり理系では特に論理的な思考も必要ですし、あるいは新しい物をつくっていくという、創造力を働かせるという態度も必要ですし、また具体的な問題をどう解決するかという、暗記型でない、具体的な問題に応用のきく学習態度というものも必要だと思っております。
 それに加えまして、やはり教える先生も、教え方に一工夫も二工夫も今後工夫を重ねていかなければならないわけでして、そういう教育方法の内容を改善していく努力をしなければならないという課題もあります。
 それと同時に、こういう厳しい財政状況でございますけれども、子供たちが理科に親しむ、理科の例えは実験室の整備等にも予算を投じ、そういうところも重点的に整備をしていく、そういう態度で臨まなければならないと思っております。
#103
○藤村委員 それではちょっと具体の別な問題に移らせていただきます。
 これはきのうの夕刊の東京新聞でございますので、ごらんになった方も多いかと存じます。大きな見出しで「ボランティア激減」という見出しかすぐ目に飛び込むわけでございますが、あしなが学生募金という運動がございます。これは昭和四十三年十二月二十日の衆議院交特委で異例の決議とその後の閣議での賛同を得まして、財団法人交通遺児育英会、これは文部省監督でございます、これが設立されて、以来二十五年間に四万人余の交通遺児が高校、大学に進学の夢を果たしました。奨学金の総額というのは二百六十億円になっております。
 そしてこの資金は学生ボランティア、このあしなが学生が街頭に立ってのあしなが学生募金が、毎年、過去二十五年間に延べ百三十万人の学生が参加し、そして一億人以上の国民の皆さんが浄財を寄せていただいた。三十億円の寄附を集めております。
 実は私自身も学生時代から、このあしなが募金、第一回目からずっと街頭に立ちまして、そしてその後もこの運動を支援する者の一人でございますが、この街頭募金で絵はがきを配りまして募集したのが教育里親、あしながおじさんであります。毎月遺児の育英のために送金してくださるあしながさん、まあおじさんだけではなしにおばさんもお姉さんもいますが、あしながさんと言いますが、今約二万人になっておりまして、きょうまでのこのあしながさんがそっと寄せてくださる寄附が百十四億円と、同育英会への寄附者としては圧倒的第一位になっております。
 このあしながさんの運動が、また違う形で美しい花を吹かせました。それは、そのあしながさんの愛に感動した交通遺児の高校生、大学生が同じ境遇の災害遺児にも進学できるようにと街頭募金や世論に訴えるために作文集を発行したりして、昭和六十三年に災害遺児の奨学金制度をスタートさせました。さらにその夏、これは進学できた災害遺児、交通遺児が一緒になって、今度は病気で親を亡くした病気遺児にも進学を、こういう運動を続けまして、ついに去年、平成五年春に奨学金制度ができ、スタートしております。そして、これら遺児の運動が、あしながさんへの恩返し運動ということで大変世論も熱心に支持をいただいているという歴史がございます。
 この学生たちによる街頭募金、あしながさんの資金援助、そして遺児たち自身による恩返し運動、これ全体が、我が国の民間が力を合わせてつくり上げたボランティア活動の一つの典型だと言われておりますし、我が国最大のNGOであるとの高い評価を受けるに至っております。最近、しきりにフィランソロピーという言葉が使われますが、社会の問題を市民が中心になって汗を流し、あるいは寄附をすることで協力して解決していこうという、この社会貢献のあり方を実際に実践し、日本社会に提示した具体的な実例だと考えております。
 そこで、ぜひ与謝野大臣にはこのことを承知いただいた上で、先ほどごあいさつにも触れられました、生涯学習の振興のためのボランティア活動の支援ということが非常に心強く響いておるわけでございますが、これらの学生による四半世紀にわたるあしなが運動全体についての大臣の御感想や所見を承りたいと存じます。
#104
○与謝野国務大臣 交通遺児の育英会というのも大変いい仕事を今までやってまいりましたし、あしながの運動も大変私はいい運動、ボランティア活動をやってきていただいたと思います。
 一方、文部省としては、この問題は与野党で専門家会議をやっておられまして、そういうものの推移も見ていかなければなりませんし、また人々が学習成果を生かし、みずから主体的にボランティア活動に取り組むということは、生きがいや充実感を持って生きる上で大変有意義でございまして、私どもの文部省の政策の中心でございますし、生涯学習社会を形成する、そういう観点からも極めて重要であると考えており、また全国の学生有志の皆さんがボランティア活動として運動を行っていることは高く評価されるべきものと考えておりす。
#105
○藤村委員 御評価いただきましてありがとうございます。
 そこで、きのうの夕刊のこの記事は、要するにボランティアが減っているんだという記事でございます。実は、財団法人交通遺児育英会が、今春理事長の交代の後にごたごたが続いておりました。報道なんかでもいわゆる内紛だということで、学生時代から関係し、そして今から新しく病気遺児の救済に力を発揮しようと考えている私も心を痛めておりますが一番心配なのは、この混乱が、やっと緒についた病気遺児の進学援助にも黄信号がともるのではないかということです。がんや過労死を含む、病気で親を失った子供たちが全国で推定三十八万人と言われますが、大人たちの争いのために病気遺児の進学にブレーキをかけることがあってはならない、かように思います。私も、このあしなが運動を裏方で支えてきた者の一人として、また文教に携わる政治家としても、この病気遺児つぶしの動きを看過するわけにはまいりません。
 そこで、財団法人交通遺児育英会は文部省高等教育局の方で監督をいただいております。私は、この内紛あるいは混乱というものを一日も早く収拾すべきだと考えますが、監督をされる立場で、文部省はいかにお考えでございましょうか。
#106
○吉田(茂)政府委員 御指摘の交通遺児育英会をめぐるいろいろな問題につきまして、新聞報道等は承知をいたしております。
 この問題につきましては、基本的に法人自身の問題であるということであろうかと思います。その有するさまざまな問題につきまして、法人の運営に責任を持つ理事会あるいは評議員会において、今後まず十分に御審議をいただくべきであるというふうに考えておるところでございます。
#107
○藤村委員 吉田局長のおっしゃるとおりの部分と、それから余り冷たく言わないで、やはり監督をする立場で今後も御指導を願いたいと要望をさせていただきたいと存じます。
 次に、三つ目でございますが、このところ景気は少し明るい兆しか見え始めている、ところが雇用情勢というのは非常に厳しいわけでございます。ことしは新卒者、大学の就職問題ですが、特に女子大生にとっての就職が非常に厳しいと周りから聞こえております。
 それで、新聞スクラップを集めてみますときに、例えば「就職浪人に体験入社制度 労働省、来年度から」あるいは「女子学生の雇用確保へ努力要請 日経連会長に労働大臣」などなど、雇用問題としての労働省の取り組みというものが非常に目立つのですが、学生を企業に送り出すという立場の大学側の努力とか、あるいは文部省としてはどのように取り組んでいらっしゃるのか、短くお答え願いたいと存じます。
#108
○与謝野国務大臣 先生御指摘のように、昨今の経済情勢というのはいまだ非常に厳しいものがございます。これは雇用情勢全般に大きな影響を与えておりますし、特に新卒の学生、中でも女子学生に対する環境の厳しさは御指摘のとおりでございます。
 就職は、学生が社会に旅立ちます第一歩として重要な入り口でございます。文部省としては、従来から各大学等に対しまして、就職指導を充実してほしいという要請をしてきました。企業側に対しても、私ども文部省、私自身も七、八月に経済団体四つ、中小企業の団体を一つお訪ねをしまして、新規採用の拡大、特に女子学生の就職の機会均等、就業機会の拡大ということをお訴えしてまいりました。また、今月十七日には、文部省の幹部とともに日経連の幹部と朝食会を開きまして、その場でも就業機会の拡大、特に女子学生に対する就職機会の拡大を強く訴えてきたところでございます。
 今後とも、大学と密接な連絡もとりまして、就職の指導の充実に努めていかなければならないと思いますし、一方では、学生の採用については企業側にさらに働きかけるということもしなければなりません。女子学生を初めとする新規学卒者に対しては、私どもは全面的な御支援を申し上げたいと思っております。
#109
○藤村委員 今与謝野大臣のお話で、大学と密接な連絡をとりながらということでございますが、私学、私立大学は、就職部が充実していたり、過去ずっとやはり就職で大学の名を上げるようなところもあったかと存じます。
 ところが、案外国立大学は、ある意味では就職天国で、対応が遅れているのではないかな。あるいは、今文部省では何か国立大学の就職問題については、これはちょっと定かでないのですが、専門官をどうとかするという話も伺ったのですが、新しい取り組みがございましたら、ぜひ御説明をいただきたいと存じます。
#110
○吉田(茂)政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、就職指導専門官につきましては、これは概算要求を行っているわけでございますが、これは全般的な就職の問題について対応していくというふうな考えでございます。さらに、概算要求の中で、内外学生センターの就職ガイダンス事業、これに要する経費を計上して、学生の就職に対する一層の支援に努めるという姿勢で臨んでおるわけでございます。今後、さらに努力を強めてまいりたいというふうに思っております。
#111
○藤村委員 来年以降も、結局円高による産業の空洞化などと言われております。あるいは産業構造全体が転換する中で、さらに今、一方で進められる規制緩和という問題は、これはひょっとして雇用に対しては割に難しい方向に働くという可能性もございます。
 ですから、今後、失業要因の増大というものが十分に考えられる中で、学生を社会に送り出す側の、これは文部省、大学ということでございますが、今後の就職問題に対して、やはりちょっときようまでとは違った視点、発想で取り組む必要があるかと考えますが、与謝野文部大臣の御所見を伺いたいと存じます。
#112
○吉田(茂)政府委員 先に事務的に御説明を申し上げたいと思いますが、確かに経済状況の、いわゆる景気の状況、あるいはさらにそのほかに経済の構造的な変化、そういうものに対応するためのいろいろな取り組みが必要であろうと思いますし、例えば、過年度の卒業者に対する指導、就職に対するあっせん、こういうことも含めて事務的にも今までとは違った取り組み、御指摘のとおり努力をしてまいりたいと思っております。
#113
○藤村委員 先ほどの与謝野大臣の、本当にこの夏一生懸命やっていただいたこと、ありがたく存じますが、今後本当に新しいやはり労働状況が出てくる、雇用情勢が変わってくるという中で、文部省の就職対策みたいなものも少し発想を転換して取り組んでいただければ幸いと存じます。最後に要望申し上げまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
#114
○伊吹委員長 以上で藤村修君の質疑は終了いたしました。
 続いて、石田美栄君。
#115
○石田(美)委員 改革の石田美栄でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 第一番目に、平成七年度の概算要求主要項目の中で、「初等中等教育の充実」という2のところの七番目でございますが、「道徳教育の振興」の伝統文化教育推進事業の具体的な内容についてお伺いしたいと思います。
#116
○野崎政府委員 お答えを申し上げます。
 学校教育の中で、我が国の伝統と文化を尊重する態度を育てるということは極めて重要なことであるということで、かねてからそういう指導を行ってまいっておるわけでございます。
 しかし、この昨年六月に、全国すべての小中学校を対象に道徳教育推進状況調査というのを実施したわけでございます。その結果によりますと、伝統工芸とか芸能を愛護する体験活動というのが余り学校で取り入れられていない、こういうような状況がわかったわけでございます。
 やはりそれぞれの地域におきましては、伝統的な工芸とかあるいは芸能というものがあるわけでございます。こういうものが時代の進展の中でなくなってしまうということは、大変残念なわけでございますので、伝統芸能あるいは工芸のそういう技術を持っている人から直接に指導を受けて、そのわざを学ぶとか、あるいはその心を感じ取るというような事業を実施していただきたい、そういう支援の意味で、平成四年度からこの伝統文化教育推進事業、こういうものを実施したい、こういうことで経費の要求をしている次第でございます。
#117
○石田(美)委員 私、道徳教育の中でというので、いや、私もこれは一億五千万も予算がとってありましたので、一体どういうことなのかというふうに思ってお尋ねいたしました。
 その内容については、お伺いしたことで一応わかったということにさせていただきますが、また後ほど、もっと本当は細かい、ちょっとそれだけではわかりにくいなという点もございましたが、道徳教育の中でということですのでちょっとわかりにくいのですが、もう少しお伺いできますでしょうか。
#118
○野崎政府委員 これは、私どもとしては、学校教育でございますから、考え方としては、新しい学習指導要領の教育をどう学校の中で実現をしていっていただくか、それで子供たちが単なる知識ではなしに、いろいろなことを経験をする、そういう活動の一環として、この伝統文化教育推進事業ということも考えておるわけでございますけれども、この我が国の伝統と文化を尊重する態度を育てるというのは道徳教育の大きな目標でもございますので、項目としては、道徳教育の推進の中にそういうものを整理をさせていただいたということでございます。
 具体的には、全国で二十カ所程度、これは学校指定というよりも、むしろ地域で取り組んでいただこうというようなことでございまして、推進地域を指定したいと思っております。そして、その推進地域の中の小中高等学校のうちから幾つかの学校を選びまして、その学校において陶芸とか染色といった伝統技術、あるいは歌舞伎とか邦楽、民俗芸能などの伝統芸能、こういうものを児童生徒に指導をしていただきたい、そういう中で地域の伝統文化のよさというものを実体験をしていただきたい、そんな意味でこの事業を考えておるわけでございます。
 先生御指摘のように、すべてが道徳教育という意味ではありませんけれども、道徳教育と大変強い関連があるということで、そういう整理をさせていただいておる、こういうことでございます。
#119
○石田(美)委員 ありがとうございました。
 では、次に移らせていただきます。
 これは厚生省が出したものですけれども、平成五年度の人口動態統計調査に見ますと、ことしは国際家族年でありますけれども、昨年のその統計の中で、「変容する家族の動き」ということで、大きな現象として少子化と女性の晩婚化、非婚化、そして熟年離婚ということが大きく挙げられております。特に、昨年は離婚件数は過去最高になっておりまして、特に結婚して五年以内、さらには最もふえているのが結婚して二十年以上たつカップルの離婚の増加ということが挙げられております。
 そして子供の数が減る、少子化ということでは平成元年にいわゆる一・五七ショックというものが日本列島を駆けめぐったことは皆様も御記憶に新しいと思いますけれども、この少子化の傾向というのは、ついに昨年、特殊出生卒は過去最低の一・四六にまでなっております。御存じのように、人口維持に必要な出生率は二・〇八ということですが、これを大きく割り込んでおります。
 教育が国家百年の大計、教育は人づくり、国づくりの基本であって、教育の成果が国の将来の発展のもとであるというふうに考えますと、この少子化というのは、きょうの質問の中でも高齢化ということは盛んに使われましたけれども、私の記憶では少子化という、子供が減るということは一度もまだ触れられておりませんが、国の将来を考えますと、これはもうまさに産業よりも何よりも一番大きい課題というふうに私は考えております。
 私は、こういう女性学といったような、女性を中心にした学問をやってきておりまして、そういうところから、少子化現象というのは女性の問題をいろいろ分析する中でさらに進んでいくであろうと四、五年前から予測しておって、それはどんどん進むだろうと思っておりましたけれども、予想を上回る少子化現象、出生率の低下は私のような研究者もびっくりするほどでございまして、学問的に考えますと、このままいくと日本の国というのは国力が衰退していくという一つの結論を持っておりました。しかし、こんなことで政治家になりましたので、学問的に国が衰退していくなんて言っていたのではいけない、責任を持たなくてはいけないという立場になりました。
 そうしますと、さて、国をかけてのこういう少子化の問題に教育は一体何ができるのかということでございますけれども、まずは文部大臣に、この問題に対して教育は何ができるであろうか、あるいは何をしなければならないとお考えになっていらっしゃいますか、お聞きできればと思います。
#120
○与謝野国務大臣 なぜ少子化が起きているかということは、一般的には、スウェーデンを初め先進国型の人口動態構造になりますと、子供の数が少なくなるというのはわかっていたわけでございます。私の家族を見ましても、私の親の時代は十人近い兄弟、父が十一人兄弟、母が八人兄弟で、私の代になりましたら五人兄弟になって、私の子供の時代になりましたら二人しかいないということで、そういう少子化の傾向というのは身の回りで実感をしております。このままでまいりますと、西暦二〇一〇年前後に日本の人口はピークを打ちまして、それ以降は総人口がどんどん減ってまいりまして、今から百年以内に六千万とか七千万に日本の人口がなってしまうという推計もあるぐらいでございます。
 そこで、適切な人口数を維持するために教育が一体何をなし得るかというのは、現時点ではそう結論めいたことは申し上げられない状況でございます。と申しますのは、少子化に至った形態、状況というのは、一つは経済環境もありましょうし、また、世の中が豊かになることによって、昔ですと子供を育てるのに家事の手伝いに来ていただくようなこともできましたし、昔は三世帯同居というようなことも実際は可能であったために、おばあちゃんに子守をしてもらうとか、いろいろな生活形態からくる子育てというものができたわけでございますが、今のような経済環境にありまして、核家族化が進み、それからそれぞれの親が少なく産んで質の高い育児、教育を与えよう、こういうふうに望んでいる状況では、先生が御懸念のように、少子化というものがやがては日本の国力を失うようなところまで来るかもしれないという懸念は、私は十分そういうことはあるのだろう、そういうことは心配していかなければならないと思っております。
 私どもとしては、少子化に対して教育が一体どう対応できるかということは、今後の課題として勉強をしてみたいと思っております。
#121
○石田(美)委員 それで、きょう私は、文部大臣を責めるということではありませんで、最後におっしゃいましたように、ここで一つの論を進めていってともに考えていただければというふうに思います。多分この問題では、私、女性ですし、母親でもありますし、もう既におばあちゃんでもありますから、また、よりそういう教育の問題については理解している研究者でもありますので、ともに考えていただければと思います。
 文部大臣のごあいさつの最初のところに「国民一人一人がゆとりと潤いのある生活を実感し、多様な個性を発揮しながら、自己実現を図ることができるような社会」という、ここにかぎがあるように思います。これを私の立場で考えてまいりますと、その「国民一人一人が」というのは、これは男女ともにということでありまして、「ゆとりと潤いのある生活」というところはどういう意味がといいますと、本当のいい人生というのは、生活、家庭というか個人的な分野と、そして社会的な顔といいますか、仕事でありいろいろな社会活動、そうしたところで充実するということであります。
 男性の場合は、ともすると、もともと仕事、働き出したのは生活をよくするために働き出したはずでありますが、いろいろな産業社会の構造の中で、今では男性は仕事をするために家庭が要るのだみたいな形にひずんでいるかと思います。また、女性の方は私的な生活と仕事、社会とのかかわりがうまくいかないというところに問題がある。これが「多様な個性を発揮しながら、自己実現を図る」という、ここのところが女性の場合社会に出てから非常に難しい、こういうところに問題があるというふうに、それが少子化の大きな原因であろうと思います。
 もちろん、そのためには社会的なあらゆる支援が要るとは思いますけれども、根本的にはこうした意識というか自覚を育てる教育がとても重要だというふうに思います。これは国際婦人年の中での均等法に抵触するというふうなことで、家庭科の男女の共修なんかも改正が行われて実際に始められておりますけれども、こうしたかなり実技的なことよりも歴史教育、歴史教育というのはただ過去のことを知るということではなくて、現代的な課題を視野に置きながら歴史的な視点で現代社会を見ていく力を養い、さらに新しい問題を見きわめる力を養うことであろうと思います。
 そうすると、女性が、もともとは長い歴史の中で女性史、歴史そのものは、男性がつくり上げてきた社会がどう変化するかというのが大きな歴史でございますが、女性史というふうなことになると、女性というのは千年、千五百年とほとんど変化がなくて歴史がないのですね。それは、子産みと台所だけやっていればよかった歴史で大して変わりがないということなんですが、現代に至ってはこれはまた変わってくるわけですけれども、女性が子産みと台所を出て社会の顔を持つに至った、そういう大きな地球的な流れ、日本は日本の流れがございますが、そうした女性解放の歴史の教育ということが非常に重要であると思うわけです。
 欧米の先進国では、先ほども文部大臣がおっしゃいましたスウェーデンなんかはこの少子化の現象というのは日本よりももっと早く激しい形で出てきて、既にかなりの国はこの問題をクリアしております。社会的な支援はあらゆることを整えておりますが、それだけではありませんで、実はこの女性解放の流れの中で、女性史とか女性解放ということと、ここ最近のことなんですけれども、学問の分野で女性学というふうな言葉を使うようになってきております。
 この女性解放の流れの中で女性学の位置づけというのはちょっときょうの時間ではお話しできませんので、またの時間にさせていただこうと思いますが、一応この女性学という言葉で、これが広い意味ですので、一口に言えば異質のもの、男と女というのは同じではないというところに立ちます。男女同権とはいっても同じではない。異質なものが自由で対等にともに生きていくというふうな視点がもっと成熟した視点での女性解放というふうにお考えいただくくらいでちょっととどめたいんですけれども、こういう先進国では女性学という教育によって社会的な支援と同時に、こういうことで少子化を、人口減少をクリアしております。スウェーデンなどではもう二人台に乗せておりますし、アメリカでもかなり、こういうことを考えますと、日本でも教育の中で本当に真剣に取り組まなければならないと思うのですが、ここで皆さんとともに日本の教育の中で、じゃこういうことがどれだけ行われているかということを検証していきたいと思いますので、これから質問いたしますことに担当の方にお答えいただくことで皆さんで確認してまいりたいと思います。
 まずはそうした女性学といいますか、婦人問題、社会教育の中ではこれが婦人問題となっているんですね。女性問題よりも婦人という言葉が多く使われてまいっておりましたけれども、社会教育の中ではこうした女性問題、婦人問題といった女性学というふうなものが現実にどのように取り組まれてきているかをお答えいただきたいと思います。
#122
○泊政府委員 社会教育における婦人教育の実態いかんというお尋ねであったかと思います。御案内のとおり、近年女性の意識あるいは教育水準といったものの向上、それからまた社会の成熱化あるいは国際化、情報化等の進展によりまして成人女性のいわゆる生涯学習活動そのものが高度化、多様化してきているのではないかというふうに思っております。
 特に私どもが所管しております社会教育の面で見てまいりますと、女性の生涯の各時期にわたる学習が活発に行われるように私どもとしては条件整備ということを大事にしてまいっております。そういった意味で、例えば各種の学習機会を提供するということ、あるいは女性の社会参加の促進のための事業あるいは婦人教育指導者の育成といったようなこと、また、これらの活動の拠点となります婦人教育施設の整備といったような問題あるいはいわゆる婦人関係の関連団体の育成といったようなことを推進してまいっております。
 また、国直轄といたしましても、先生御案内のとおり、国立婦人教育会館というものを設けまして、ここでいわば婦人教育関係のナショナルセンター的な役割を果たさしていただいておるところでございます。
 個別の事業内容等について概略を申し上げますと、例えば今年度から新たに都道府県に対しまして女性の生涯学習促進事業といったようなものを予算化をいたしました。この中ではいわゆる女性の生涯学習プログラム等の研究開発をやるとか、あるいは大学等の高等教育機関との連携による高度かつ専門的な学習機会をということで、ウィメンズ・ライフロング・カレッジの開設といったようなこと、あるいはいわゆる男女共同参画アドバイザーの養成といったようなものも取り組むといったようなこともやっております。そして同じく、特に地方公共団体の行政の窓口担当者等を対象に男女共同参画社会づくりのためのモデル市町村事業といったようなものも実施をいたしているところでございます。それから、これは御案内のとおり、市町村におきましては従来から各種の婦人学級なり講座等を開設をし、その充実を図ってきているところでございます。それから、特に今日的な視点で申し上げますと、特に女性が社会のあらゆる分野でその能力を十分発揮されるよう学習あるいは実践活動のモデル事業として、女性の社会参加支援特別推進事業といったようなものも実施をしてきているところでございます。
 今日の我が国、いわゆる男女共同参画社会づくりを目指すための関連施策等の充実につきましては、今後とも引き続き教育面での振興を図ってまいりたいというふうに考えております。
#123
○石田(美)委員 今お答えいただきましたように、社会教育の中ではいろいろと進んでいることは私も存じておりますし、私もそういうことに参加してまいりましたが、これは実際には学校にいる間というのはかなり男女平等というのは実現されている。
 しかし、社会に出て初めて女性は、自分が社会人として非常に不利な立場にあるということを実感するわけでして、こうしたいろいろな施策というのは、いわば病気に例えれば病が出てきてそこでいろいろな処方せんだとか治療を行っているというところだと思うのです。実際にはそういうことにならない以前の病気の予防だとか、あるいは健全な体を保てるようにするにはどうしたらいいかというのは、それ以前にこうした問題意識を持った、あるいは女性の場合ですと子供を見ながら働く、そういうことが本当は私は正常な、正常はいけませんね、いろいろな選択があっていいんですけれども、より豊かな人生が送れるとすれば、女性としてはそのライフサイクルがどんなふうになるのか、あるいは歴史的にはどういう時期に自分たちは生きているのかといったような基本的な教育というのがそれ以前に行われなければいけないと思うのですけれども、さて下って、高等教育の中ではこういう女性学といったものがどのように扱われているかお尋ねしたいんですけれども、ちょっと時間がありませんので先に進みたいと思います。
 大学、短大の中では、これは国立婦人教育会館の方でそういった講座もありますし、資料もありまして、私もこちらに持っていまして、かなりの大学でそうした女性学関連の科目が一つ、二つ、私も地元の岡山大学で学校の中で一つだけ講座がございまして、男性論、女性論というそれの講義に行っておりましたが、統計の上で開議されている大学の数といえば、パーセンテージは幾らか出ていますけれども、全体の中で実際にそうした男女ともに女性学、これは男性学も含まれ女性だけのものというわけではないのですけれども、女性学的な視点での科目を実際に受けるチャンスとなりますと、本当にまだまだ一部。これが例えばアメリカなんかですと、女性学そのものが学際的な学問になっておりまして、学部として存続しているというふうな比較ができるかと思います。
 さて、もっと高等学校、中学、小学校、特に中学校、高等学校の中でこうした女性学的なものがどのように扱われているかということ、もうちょっと時間がありませんので飛ばして、ここに資料がございますが、お答えいただければもちろんですけれども、学習指導要領にのっとって、中学のものとここに高等学校のものを持っておりますけれども、高等学校なんかですともう本当に一ページあるかないかでございます。女性解放運動も、単に明治の末ごろから活発となり、平塚雷鳥とか青鞜、青鞜というのはプルーストッキング、それが挙げられておりまして、市川房枝、新婦人協会を組織しというふうな本当に半ページあるかないか、名前が挙がっているだけというふうな状況でございます。
 さて、じゃそういうことがほかの国でどうかと申しますと、ここに私も一冊の本を持ってまいっているのですけれども、これはアメリカの高等学校の社会科の教科書でございます。「われらアメリカの女たち ドキュメント・アメリカ女性史」、私自身が訳した本なんですけれども、これが高等学校の社会科の教科書でございます。これはアメリカの高校生が女性学の時間に使っている教科書の一つでして、社会科の中の一つのコースとしてあります。これは男生徒もそして女生徒も選択しているというふうな一端がございます。この本は、御記憶にあるかと思いますけれども、アメリカで宇宙飛行士、女性の宇宙飛行士、普通の人が乗った、高校の先生が乗りましたね。それでスペースシャトルが破裂しまして死亡してしまった。あのときのマッコーリフさんというのは、実はニューハンプシャーのコンコードという高等学校で女性学を教えていた先生なんですね。その方が亡くなったときに、たしか今の副総理・外務大臣の河野代議士が経済企画庁長官だったのですかね、国会議員の方から弔慰金を集められてお送りになったのですね。その金額が何千万もの大きな額だった。ニューハンプシャーの教育長が、そういうお金だったらといって、マッコーリフさんの後に日本の女性史を教える人を募集したのです。それに応募して通ったのがこの宮城さんで、私の友達でして、彼女がアメリカから高校の女性学の教科書を持って帰って、私と一緒に訳したものです。私はこれを教えていました、大学で使っておりました。
 こういうふうに、日本では一ページしか扱われていない、しかし、そういう国ではこういう女性学に教育の中で取り組んでいるという、こういう比較の中で、どうか少子化に対処できる教育、特に学校教育の中で今後こうした女性史といいますか女性学といったものにどう取り組んでいったらいいかということを、ぜひ御要望したいと思いますし、今のような私の訴えに対して、ちょっと文部大臣から御感想、これからのお気持ちをお伺いできればと思います。
#124
○与謝野国務大臣 私の考えが間違っておりましたら訂正をしていただきたいのですが、多分、日本の社会において女性の地位はかねてから高かったのではないかと私は思っておりますが、それは恐らく家庭の中での話でございまして、やはり女性が社会的な活動、あるいは政治的な活動、あるいは経済的な活動を顕著にするようになりましたのはそう遠い昔からではなく、それに至るまでは先人たちの本当に涙ぐましい努力があったものであると思っております。
 そういう過去の女性の方々が先生の言われる女性解放のために闘ってきた歴史というものをきちんと伝え、今後の女性の地位をさらに確固たるものにする、あるいは先ほど先生から女性と男性は違ったところもあるのだというお話がございましたが、やはり女性が主体的に社会に参画し、男性も女性も同じ立場、同じ平面に立って今後の社会の中で活動していく、これはもうとても大事なことでございまして、先ほど先生からお話がございましたように、文部省でも高校の教科の中でそういう試みもしているわけでございます。
 私どもとしては、女性と男性、共同参画社会と私ども呼んでおりますけれども、そういうものを形成するために積極的に努力をしてまいりたいと思いますし、学校教育においても、男女は平等であり、男女がともにそれぞれの力を発揮してよりよき社会を目指していくという基本的な視点に立って教育行政を行ってまいりたいと考えております。
#125
○石田(美)委員 どうもありがとうございました。これからもこの課題については続けてまいりたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
#126
○伊吹委員長 以上で石田美栄君の質疑は終わります。
 続いて、石田勝之君。
#127
○石田(勝)委員 改革の石田勝之でございます。政務次官の出席要求をいたしておきましたが、政務次官がまだ来ていないのですが
        ―――――来ていますか。どうも政務次官、大変お忙しいところ、御苦労さまでございます。
    〔委員長退席、小川委員長代理着席〕
 教育はまさに人づくりである、人づくりこそ国づくりである、これは私がかつて仕えておりました鳩山元文部大臣の言葉であります。けだし名言であろうと思っております。そういう観点から、人づくりこそ国づくりという観点から極めて重要な問題でもありますので、午前中松沢委員から国旗・国歌に対する御質問がございましたけれども、私の方からも視点を変えて質問をさせていただきたいと存じます。
 私はこちらに文部省助成局地方課が出しました教育委員会の九月の月報というのを持っております。その中で、平成五年度卒業式における国旗の掲揚の実施状況、小学校が九八・四、中学校が九八・一、高等学校が九六・四でございます。同じく五年度卒業時における国歌の斉唱実施状況は、小学校が八七・三、中学校が八三・六、高等学校が七四・九であります。さらに、六年度入学式の国旗の掲揚状況は、小学校が九八・四、中学校が九八・〇、高等学校が九七・五であり、同じく六年度の入学式における国歌の斉唱状況については、小学校が八五・六、中学校が八三・六、高等学校が七七・三とあります。
 そこでお尋ねをいたしたいと思いますが、午前中の松沢委員の質疑にもありましたように、初等中等局長から平成五年度、六年度の国旗・国歌の取り扱いに関連して職員の処分状況について、質疑がなされて答弁がされたところでありますので、それは割愛をいたします。
 そこで、大臣と初等局長にお尋ねをしたいと思います。この処分の内容、もう一度言いますが、全国で停職が二名、減給が二名、戒告が九名、訓告が二十一名ということであります。この処分内容は、文部大臣、妥当かどうか、率直な見解をお聞かせいただきたいと思います。
#128
○与謝野国務大臣 この処分は関連法規に照らしまして、それぞれ当該学校が所属しております教育委員会が行っているものでございまして、私ども文部省としてその適否を判断するには適当でない問題だと思っております。
#129
○石田(勝)委員 つまり、教育委員会が判断したことなので文部省として判断するのは適当でないということでございますか。
#130
○与謝野国務大臣 一般的に、そういうものに対する処分に対する考え方の指導ということは、もちろん文部省が関与することでございますが、個別のケースについて文部省が関与するということは適当でないということを申し上げたわけでございます。
#131
○石田(勝)委員 そうすると、全く教育委員会任せということでございますか。
#132
○与謝野国務大臣 先ほど申し上げましたように、ある一定の物の考え方ということは指導をしていくということは当然のことでございますが、その処分をする権限はそれぞれの教育委員会の権限となっております。
#133
○石田(勝)委員 そうすると、初等中等局長、平成元年の新学習指導要領というのはどういうことなんですか。どういう意味なんですか。
#134
○野崎政府委員 今大臣がお答えいたしましたとおり、これはいろいろな事実関係があろうかと思います。例えば、教員が入学式あるいは卒業式の式典の実施を妨害するとか、あるいは国旗掲揚、国歌斉唱の指導についての校長の職務命令に従わない、このような違法行為があったときに都道府県教育委員会等がそれを懲戒処分の対象として考えるということは当然あるわけでありますが、大臣がお答えいたしましたとおり、では具体にどういう形でそれを行うかということは、任命権者である都道府県の教育委員会に任されていることなわけでございます。
 今学習指導要領の趣旨をお尋ねでございますが、私どもとしては、学習指導要領というのはあくまでも学校の教育課程の基準でございます。学校が教育課程をつくるときに、学習指導要領の基準に基づいて教育課程を組んでほしい。したがいまして、通常ですと校長が学習指導要領に従って教育課程を組み、そしてまた卒業式あるいは入学式の式の進行などもそういう形でやるわけでございますので、そういうものに教員が反するというようなことがあれば、ここで言う校長の職務命令に従わないというようなことも出てくるわけでございますが、しかし、個別の事実関係ということになってまいりますと、これは文部省がどうのこうのと言うわけにはいかない、こういう趣旨でございます。
#135
○石田(勝)委員 教育委員会に任せてある、ゆだねてあるということでありますが、やはりそれの最高責任を持つ文部省でありますから、私は、今の初等中等局長の答弁というのは実際のところ納得できないと思っております。
 それはそれとしまして、せっかく政務次官にお越しいただいたので、政務次官に御質問させていただきたいと思います。
 七月四日付の朝日新聞でございますが、仙台市青葉区というところで政務次官が演説をされて、そこで日の丸と君が代の扱いについて、どんなことであっても強制があってはならない、「教育現場の判断を尊重し、掲揚や斉唱を児童・生徒に指導しなかった場合の処分には、否定的な考えを示した。」今文部大臣は否定も肯定もしなかったのですが、政務次官は否定的な考えを示した、こういうことであります。その中で、「日本にもアジア各国の人々が生活しており、日の丸を見ただけで身震いする人がいる」「学習指導要領については、必要性を認めるとしながらも「現場の先生にまかせるべきで、それを励ます行政でありたい」」、このように述べたということでありますが、その点間違いないでしょうか。
#136
○岡崎(ト)政府委員 七月四日に街頭で演説をいたしました。それは朝日新聞の内容ですから、記者が、私が三十分話をいたしましたその中を実にこう、まとめて報道されているというふうに思っております。
 一つは、例えば日の丸を見て身震いする人がいるということに関しましては、「赤瓦の家」という本に川田文子さんがお書きになっているのですが、私は、実はその方を講演者としてお呼びをして直接お話も伺いました。本だけではございません。ポンギさんという元従軍慰安婦とされた方が、たった一人で生きてきて、たった一人で死んでいくわけなのです。その死に至るまでの状況がそこに書かれておりまして、私は大変に悲しい人生を歩まれたというふうに思いました。その人が、身震いをする、そういうふうに生前話していた、そういう人たちもいるし、そしてまた、この国にはいろいろな人たちがともに生きている。そういう意味では、単一民族というふうに日本の中ではよく言われますけれども、私たちはアジアの人たちとこの日本の社会においても共生じて生きていくということが現実としてあるという表現をいたしました。
 ですから、その演説はそのとおりでございますし、また、強制あるいは処分ということについては否定的な考えを示したというふうに申しますのは、私は、児童生徒に指導を行うということに当たっては、内心に立ち入って強制することがないように、あくまでも教育指導上の課題として指導を進めていくものであるというふうに考えております。
 国歌・国旗の指導に当たっても、このことが基本になっていくだろうというふうに思いますし、また、教育指導の場にあって処分が行われるということは本来は望ましいことではないというふうに考えておりますが、同時に、学校において国旗・国歌の指導が無理なく受け入れられるという、そういう素地を整えていくということは大事だろうなというふうに思っております。
    〔小川委員長代理退席、委員長着席〕
#137
○石田(勝)委員 二点目の、「現場の先生にまかせるべきで、それを励ます行政でありたい」と言ったことも間違いありませんね。言ったか言わないかで結構ですから。
#138
○岡崎(ト)政府委員 はい、申し上げました。
 それは、三十分の中で、学校の先生たちがつらい子供たちとともに一生懸命になっている。例えばいじめの問題、そして不登校の子供たちの問題、そこで先生たちがとっても健闘されているので、このことについて、教育の現場が本当に一生懸命やっていることを文部省が励ます、そういう行政でなければいけない、この日の丸・君が代のところはちょっと離れて、現場の先生にエールを送ったということでございます。
#139
○石田(勝)委員 まず確認をして、政務次官も間違いないということでありまして、今度は大臣にお尋ねをしたいのですが、自分の国の旗というのはその国の国民で決めるのじゃないのですか。ほかの国の人がどうのこうの、とやかく言ったからといって、じゃこういうふうにしようか、ああいうふうにしようかとなるのですか。文部大臣にお尋ねします。(発言する者あり)あなた方に聞いているんじゃないから、黙っていろよ。
#140
○伊吹委員長 静粛に願います。質疑だけ。
 与謝野文部大臣。
#141
○与謝野国務大臣 現在地球上には百六十以上の独立の国家がございまして、多分すべての国が国旗を持ち国歌を持っているのではないかと思っております。日本の国旗・国歌は、慣習法として日本人が決めたものだと私は認識しております。
#142
○石田(勝)委員 私も大臣の答弁、そのとおりだと思います。
 政務次官にお尋ねしますが、例えば我々がアメリカの国旗を見てああだこうだ、あるいはフランスの国旗を見ていいとか悪いとか、そういうことを言ったら大変失礼な話になるわけですよね。政務次官、そう思わないですか。
#143
○岡崎(ト)政府委員 石田さんとちょっとずれてしまうかなというふうに私も思うことがありますけれども、私は、教育の現場におきましては、国際的な人間として育つために国旗・国歌は大切なものであるという基本的な、そういう基礎的な人間をつくっていくという意味では大変大事なことだというふうに考えております。そして、本当に国際的な人間として広い視野に立って物事が考えられるように、そういうふうに教育するということも大事だというふうに考えております。
 先ほど例として申し上げましたのは、やはり国旗・国歌というのは、これは好むと好まざるとにかかわらず、どうしても歴史を引きずってしまうものであるというふうに考えておりますので、そのことで引きずっている人がいるということで私は街頭で演説をいたしました。それは現実だというふうに考えております。そのことと教育の現場において指導しなければいけないということとは分けて考えなければいけないというふうに思います。
#144
○石田(勝)委員 私は、自分の国の旗というのはその国の人たちが決めるべきであって、先ほど政務次官が、日本は単一民族だとはいってもいろんな人が住んでいる、それはアメリカ行ってもヨーロッパ行ってもどこ行っても、日本人だってたくさん住んでいますよ。それは今国際交流が激しい時期ですから、当然そこへ行けばその国の国旗を認めて、あるいは国旗に敬意を払うというのは、私は当然のことであろうと思うのです。
 まあ、その件はその件として、現場の教師、現場の先生に任せるべきであって、励ます行政でありたい、こうおっしゃったということでありますが、先ほど、午前中にも松沢委員の質問にもありましたけれども、要するに、この国旗・国歌の問題というのは、学校の先生と生徒の問題ではないんですよ。学校の先生と、学校の先生といっても一部の学校の先生と校長とのトラブルばかりなんですよ。子供の内心の問題だとか、子供の心の問題だとか、児童が受ける考えだとか、いろいろ総理やあなたはおっしゃっているけれども、そうじゃないのです、このトラブルというのは。学校の一部の先生と校長、教頭との闘いなんですよ、これは。あなたが励ましたいというのは、現場の先生の一部の先生のことでいらっしゃるのでしょう。
#145
○岡崎(ト)政府委員 先ほど申し上げたことをよく聞いていただきたかったと思いますが、私は、現場の教師を励ますというふうに申し上げたのは、いじめや不登校で、そしてそこで奮闘している先生方ということで、日の丸・君が代、国旗・国歌のことについて言ったのではないのです。三十分間の間にいろいろな話をいたしましたことを、朝日新聞はこういうふうにコンパクトにまとめていった。私は、現場で奮闘しているというのは、この問題だけではなくてすべての問題について頑張っている人を励ましたい、素直な感情で申し上げました。
#146
○石田(勝)委員 これはしばらく前の調査ですが、国民の間でも日の丸が国旗としてふさわしいかどうか、あるいは君が代が国歌としてふさわしいかどうかということは、日の丸が国旗としてふさわしいというのは八四%、君が代が国歌としてふさわしいというのは七七%だ。少なくとも村山内閣よりもはるかに支持率が高いわけですよ。
 そういう中にあって、与謝野大臣と今の政務次官の答弁を聞いておりますと、同じ省庁の大臣と政務次官という感じは私はいたしません、率直に言って。全く違っている考えの人なんだな、私はそう受けとめました。恐らくそう思っている同僚議員も多いと思いますが、大臣、その点いかがですか。
#147
○与謝野国務大臣 私は自民党であり、岡崎さんは社会党であり、それぞれ政党としての政治的な背景は違っておりますから、頭のてっぺんから足の先まで全部考え方が同じというわけはありません。
 しかしながら、事文部行政に関しましては、私どもは政治家というよりも行政府に所属する人間であるという認識は二人とも共通に持っておりまして、私どもは内閣の一員として、文教行政の執行に当たりましては共通の考え方、共通の基盤の上で物事を進めていく、これが私どもの共通したあらゆる問題に対する認識でございます。
#148
○石田(勝)委員 それでは政務次官にお尋ねをしますが、これは実際にあった話なんです。私はその先生から直接話を聞きました。
 その先生というのは、あるところの教育長をされておりまして、ことしのお正月に小学校二年生の孫娘を連れて初もうでに行ったそうです。神社には高々と日の丸がかかっていて、それを見た孫娘が、おじいちゃん、あれ日の丸なんだよね、こういうふうに言った。だけど、おじいちゃん、日の丸は国旗ではないんだよね、こういうふうに孫娘は言った。それを聞いた教育長は唖然として、おまえどこでそんな話を聞いたんだと言ったら、学校の先生から聞いた、学校の先生からそう教わったと。そしてまた、その教育長は唖然としたという話があるのですよ。
 政務次官、あなたの話を先ほどから聞いておりますと、国旗に対する考えというのは大臣初め我々とは少なくとも違いますよね。あなたの持っている日の丸、つまり国旗についての見解を率直に述べていただきたいと思うのですが。
#149
○岡崎(ト)政府委員 きよう、私は政府の一員として、政務次官としてここに立たせていただきましたので、個人的なことをここで披瀝する必要はないのではないかというふうに考えております。
#150
○石田(勝)委員 個人と政務次官では違うのですか。どういう意味ですか。
#151
○岡崎(ト)政府委員 いえ、ここで披瀝する必要はないというふうに申し上げましたのは、私は今の話からいたしまして、何か本当に違いというものだけを際立たせたいという質問のようでしたけれども、私は、九月三日の社会党の大会で、日の丸は国旗、君が代は国歌というふうに社会党ではこれを決めました。その認識に基づいて、党員としてもそのことを踏まえて行動していきたいというふうに思っておりますし、去る衆議院の予算委員会で質問された後、理事会でも政府統一見解が出されましたけれども、そのことを踏まえながら職務を遂行していきたいというふうに考えております。
#152
○石田(勝)委員 何か、ここで披瀝すべき話ではないというふうなことでしたけれども、ここは文教委員会でしょう。文教委員会で何で日の丸・君が代について個人的な見解を聞いたらいけないのですか。あるいは政務次官としての考えを聞いたらいけないのですか。それで答えられないということ自体、それはあなたおかしいですよ。それなら衆議院議員岡崎トミ子として答えてくださいよ。
#153
○岡崎(ト)政府委員 私どもは、日の丸は国旗、君が代は国歌、このように党大会で認識を一致させております。党員としてもそのことを踏まえ、さらに、先日の予算委員会の理事会で決められました政府統一見解、このことに基づいて大臣を補佐して仕事を遂行してまいりたい、このように思っております。
#154
○石田(勝)委員 時間がないから、それならそうと、はいと答えてください。次に移ります。
 大臣の予算委員会のときの質問の中で、国旗・国歌の問題については、これは義務だ、義務規定だという御答弁をされていましたね。それで内閣総理大臣の答弁とそれが食い違って政府の統一見解、こういうことに至ったわけでありますが、私は、義務規定という与謝野文部大臣のお考えは正しいと思っているのです。
 教育というのはそもそも、私は辞書を引きました。そうしたら、「人間に他から意図を持って働きかけ、望ましい姿に変化させ、価値を実現する活動」とか、「才能を伸ばしたり人格を形成したりする目的のための訓練」とありました。つまり、教育というのはやはりどうしても強制が伴うのではないか、強制がなければ指導に至らないのではないかなと、私は正直思います。
 私も小学校の二年生を頭に三人の子供がおりますけれども、やはりその子たちに常識的な人間として育ってほしい、日本人の子供として育ってほしい、そういう気持ちから親としての教育をそれなりにやっているつもりです。例えば、はしの持ち方を教えるにしてもやはり訓練ですよね。それは当然強制が入るわけです、そういう教育の中では。あるいは、例えばトイレの使い方だって、そんなふうに使っちゃだめだとか、あるときは怒って指導するわけです。つまり教育というのは、指導するということは、私は強制を伴うのではないかと思いますが、文部大臣、御見解いかがですか。
#155
○与謝野国務大臣 石田先生のおっしゃっている強制という言葉がどういう範囲までの強制ということをおっしゃっているのかはっきりいたしませんので、大変お答えしにくいし、また正確にお答えできるかどうか自信がございませんが、私なりにお答えしますと、やはり自分の子供を育てた経験からいえば、こうしなさいということは実は言うわけでございまして、そういうふうに親が子供にこうしなければだめだ、こうしなさいと言うことが、先生のおっしゃっている強制という意味では、私自身は子供の教育、幼いときにおける教育というのは、やはりこうしなければだめだということを力強く申しつけたということはたびたびございました。同じような認識だと思っております。
#156
○石田(勝)委員 政務次官いかがでしょうか。
#157
○岡崎(ト)政府委員 各御家庭の中で自分の子供をどういうふうに育てていくのかというのは、それぞれの家庭に任されているというふうに考えておりますが、教育の指導の現場では、やはり私は、憲法の十九条、思想、信条の自由というものがございますし、憲法を基本に踏まえ、あるいは民主主義も基本に踏まえるということは大変大事だなというふうに考えておりまして、これは教育の現場で、あくまでもわかるような、教師と生徒のいい関係で指導を重ねていく、それがやはり民主主義の基本なのではないかな、やはり話し合いで指導していくということがとても大事だというふうに考えております。
#158
○石田(勝)委員 私の質問の仕方がわからなかったのかもしれませんが、私は、自分の子供が小学校二年生、つまり小学校の低学年であります、そういう子供を教育する場合にはどうしても強制というものも伴うのではないかということを言ったのであって、うちの娘に憲法がどうのこうのと言ったって、憲法なんてわからないですよ。私は、教育というのは、これは教え込まなければいけない、訓練して常識ある国民を育てるのが義務教育というのじゃないですか。大臣、いかがですか。
#159
○与謝野国務大臣 もちろんそういう側面もございますし、児童生徒の精神の発育の度合いに応じまして、いろいろな形の教育方法もありますし、教育の仕方もあると思っております。
#160
○石田(勝)委員 要するに、小学校の低学年とか幼稚園の園児とか、言葉はしゃべれてもまだ自己判断のできない子供というのはいるわけですね。まさしく真っ白な状態なんですよ。どんな色にでも染まってしまうのですね。そういうことだから、教育というのは非常に難しいし、非常に大事だということだろうと私自身は思っています。
 時間がないですから、初等中等局長にお伺いをしたいのですが、日の丸・君が代の実施状況については先ほど私が述べたとおりでありますが、現実問題として、小学校の一年生から中学校まで音楽の教科書には載っているのですね。中学校にいくと七十時間ぐらい音楽の時間があるのですよ。小学校はもうちょっと少ないのですが、その小学校の教科書に国歌というか、君が代が載っているわけですが、その指導をされているかされていないか、それらを把握されていますか。
 というのは、私は年に何回か柔道連盟や剣道連盟の鏡開きだ、大会だと呼ばれるのです。そこへ行ってあいさつするのですが、そのときには当然国旗がかかっている。しかし、そこにいる豆剣士たちは国歌斉唱といっても国歌が歌えないのですよ。私は何であなた方は国歌を歌えないのと聞いたら、学校で教わってないから知らないと言うのですよ。局長、ちゃんと学校で指導しているのかどうか、ちょっと答えてください。
#161
○野崎政府委員 御指摘の点につきましては、学習指導要領で、社会科の第四学年あるいは第六学年、それから音楽では、国歌、君が代は各学年を通じて児童の発達段階に即して指導をするというようなことが書かれておるわけでございますが、具体的に各学校がどうかというあたりの調査というのはなかなか難しいものでございますから、そういうようなデータはないわけでございます。
 なお、先ほど処分の話でございましたけれども、私もちょっと言い足りない点があったかと思いますけれども、処分権者はあくまでも都道府県の教育委員会ということでございます。私どもといたしましては、教員の服務規律の確保ということは大事なことでございますので、今までもそういう徹底について努めてきたわけでございますが、今後もそういう姿勢は変わらないわけでございます。
#162
○石田(勝)委員 ちゃんと答えになっていないですよ。文部省の学習指導要領の指導書といって、解説書みたいなものがあるのですね。その中にきちっと書いてあるのですよ。それで指導しているか指導していないか、なぜ確認できないのですか。学習指導要領の指導書というのがあって、それを各教育委員会を通じて各学校に配付してあるはずですよ。それで、音楽の時間では君が代を教えなさいということになっているのですよ。何でそれを把握できていないのですか。
#163
○伊吹委員長 野崎局長、簡単に答えてください。
#164
○野崎政府委員 ただいまの点につきましては、いろいろの場で私どもも指導をしております。今後も続けなければいけないわけでございますが、個々の学校でどうかというあたりまではなかなか調査するというわけにはいかないのじゃないかというように思っております。
#165
○石田(勝)委員 時間がもっと欲しいところでございまして、時間がありませんので私の質問はこれにて終了いたしますが、また後日時間をいただいて、これらの点は極めて大事なことでありますし、まさしく人づくりこそ国づくりである、鳩山先生いらっしゃいますけれども、この名言どおり大事なことでありますから、今後ともこれらの問題等々について一緒に知恵を絞ってやっていきたいと考えております。
 これにて終了いたします。
#166
○伊吹委員長 石田勝之君の質疑は終了しました。
 次に、山原健二郎君。
#167
○山原委員 私も、今、君が代・日の丸問題が出ましたので、一言見解を述べておきます。
 けさ質問が出ましたね。文部大臣、学校がぎくしゃくしてはならぬということを言っておりますが、同時に、指導しなければならない、これまでの見解といささかも変わりはありません、こういうふうに答弁されましたね。しかし私は、教師によって児童生徒への指導を強制する、あるいは指導を徹底しない教師に対してはこれを処分する、事実、処分が幾つかあるわけですが、そのことを考えてみますと、この問題を処理しなくて本当に子供たちの信条とか表現の自由を保障することができるのかという深刻な見解を私は持っておるわけでございます。
 その点で、問題はちょっと違いますけれども、文部大臣が、今回ノーベル賞を受賞した大江健三郎氏の文化勲章辞退に関連しまして、「それぞれの作家が自分の心との大事な約束を自分の美的領域にとどめおきながら、作家としてのバネを大切にするというのは当然の判断だと思う」というふうにコメントを新聞に出しておられるのです。私はこのことを理解することができるのですが、そういうふうに考えますと、自分の心との大事な約束というものを作家や芸術家に限らず子供たちも持っておるというふうに私は思っておるわけでございまして、内心の自由あるいは尊厳さというものを侵されないという権利は子供たちも持っていると私は思っているわけです。そして実際、子どもの権利条約が今度批准されましたけれども、大事な原則の一つにこれがあるわけです。そういう意味で、これは非常に大事な問題として今後当委員会でも討議をしていくべきことだと思っております。
 これはきょうは質問いたしません。時間が少ないものですから、ぜひこの問題については落ちついた論議をしていただきたいということを申し上げまして、質問に入ります。
 最初に、労働省に伺いますが、学生の就職問題でありますけれども、おいでですか。
 ある新聞ではどしゃ降りというふうに書かれておりますように、高校生の就職の問題も、女子学生の問題もさることながら、非常に大きな問題になっております。労働省は来年度卒業予定の高校生向け求人数の調査結果を発表しておりますが、これはどのような結果になっておるか、簡単に御説明いただきたい。
#168
○井原説明員 お答えいたします。
 平成七年、来年三月の高校新卒者に対する求人、求職状況につきましては、七月末現在で取りまとめているところでございますが、求人数は五十万四千人、求職者数は三十七万二千人で、ともに前年に比べ減少しております。しかし、求人数の減少幅が大きく、この結果、求人倍率は一・三五倍と前年に比べ低下しておりまして、厳しい状況となっております。
#169
○山原委員 九月の十六日から採用選考が始まっておりますが、就職内定状況は現在どのような状態にあるか、把握されておりますか。
#170
○井原説明員 就職内定状況につきましては、九月末時点の状況を現在集計中でございます。十一月上旬までには公表できるよう努力をしているところでございます。
 なお、求人数が減少しておりますので、昨年度に比べ厳しい結果となることが懸念されております。
#171
○山原委員 日本高等学校教職員組合の就職実態調査というのが新聞にも一部出ておりますが、それを見ますと、これは七府県六十一校の調査でありますが、昨年の合格率が八三・一%、これを大きく下回り、ことしの合格率は六七・九%という状況になっております。そして、大阪では三三・三%、それから京都でも三六一六%という学校もありまして、非常に深刻な状況を呈しております。また男女別では、男子の合格率六八・九%に対して女子の合格率は六三・九%で、男子よりも五%下回っております。
 同組合の調査によりますと、大手企業の求人の減少が目立ち、特に電気・電子、自動車、鉄鋼関係、石油化学などの製造業の落ち込みが顕著であり、銀行や製造業の事務部門の求人が大幅に減少し、女子の落ち込みがひどく、商業高校は特に深刻という事態になっておる。そして、労働省の調査でも、北海道〇・四七、東北〇・八三、北九州〇・七六、南九州〇・六〇というゆゆしい事態が起こっておるわけでありますが、労働省として高校生の就職確保のために何らかの対応、対策がとられておるのかどうか伺いたいです。
#172
○井原説明員 新卒者の円滑な就職を図ることは、中長期的に若年者の減少が見込まれる中で重要な課題であるというふうに認識しておりまして、全国の会議等を通じまして、積極的な求人枠の拡大等について事業主団体等に要請をしているところでございます。
 さらに、今後は就職の内定状況等を逐次把握しながら、地域の実情に応じまして、就職未決定の生徒と求人事業主等を一堂に会した面接会の実施、あるいは就職未決定の生徒のあっせん対策を強化するための学校との連携の一層の強化などに努め、一人の就職未決定者も出さない決意で高校新卒者の早期かつ円滑な就職を支援してまいりたいと思っております。
#173
○山原委員 今回の場合、いろいろなトラブルが起こりつつあるわけです。例えば、求人票を出しておきながら試験当日行ってみると採用はしないと取りやめになったり、また、求人票に旅費を支給すると書きながら当日行ってみると旅費の支給がなされないなど、トラブルが起きているわけですが、こういうことに対して、こんな問題が起こったときどうするか。これは就職する生徒にとっては、初めて社会へ出るわけですから、大変なショックを受けるわけで、この点について、そういう問題が起こりましたときに労働省として適切な指導ができるかどうか伺っておきたいのです。
#174
○井原説明員 個々の事案については詳細を把握しておりませんので、ここでお答えすることは難しい面もございますが、一般論としては、企業が求人を出した後に募集を中止する、あるいは求人票の記載内容が実際の内容と異なるといったような場合には、その企業への就職を希望していた生徒に大きな打撃を与えるとともに、新卒者の適正な募集・採用活動といった観点からは問題があるというふうに考えております。そのような事例を把握した場合には、各公共職業安定所におきまして実態を十分に把握するとともに、事業主に対し必要な指導を行っているところでございます。
 いずれにしましても、新卒業の就職は学校生活から職業生活に入る大きな転機となるものでありまして、それが適切に行われるかどうかによりましてその将来を左右する極めて重大な問題であるというふうに思っておりまして、新卒者の募集・採用活動について引き続き事業主指導を徹底してまいりたいと考えております。
#175
○山原委員 時間が余りありませんので細かいことを申し上げることはできませんが、高等学校側としては、これは本当に就職浪人をつくらないということで、言うならば涙ぐましい努力がなされておるわけでございまして、まさに寝食を忘れて奮闘しておるという実情、これはもう十分労働省としては御承知と思います。
 例えば、埼玉のある高等学校では、教員が企業訪問して求人開拓を行うとともに、毎年生徒が就職先と日常的に連絡を密にしているとか、また三百社に対して企業が望む高校生像のアンケートを実施するなど、そのような対応をしたり、これは横浜の場合でもそうですけれども、企業の説明会に先生が走り回っているという状態もありますし、また、これは京都の場合ですが、中間テスト中に、関西、関東の二百社の会社を先生が訪問して求人の依頼をしておるというようなことは、あちらこちらであるわけです。私も、古い話ですけれども、高等学校の教師をやったことがあるのですが、その係の先生というのは大変なんだ。
 ところが、今はもっと大変な事態が起こっているわけでして、経団連あるいは経済同友会など企業団体に対しても高校生の就職確保のため労働省としてぜひきちっとした指導を行っていただきたいと思いますが、この点についてお答えをいただきます。
#176
○井原説明員 先ほども少し申し上げましたけれども、今後長期的には若年労働力が減少していくと言われている中で、若年労働力の有効活用といった観点からも、また、新卒者は学校生活から職業生活に入る大きな転機となる人生の門出でございます、そういった時期に円滑な就職ができないということになりますと、本人に与える影響も非常に大きなものがございます。
 さらに、労働力という観点から見ましても、産業、経済に与える影響も非常に大きいというふうに考えておりまして、労働省としましては、高校生を初めとした新卒者が円滑に就職ができるように県、安定所を通じまして最大限の努力をしていきたいと考えているところでございます。
#177
○山原委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 次いで文部省、高校生の就職内定状況を調査しているでしょうか。
#178
○野崎政府委員 先ほど労働省の方からお話があったわけでございますが、私どもといたしましては、今年度の就職内定状況の把握につきましては、十月末現在で公私立高等学校から都道府県教育委員会等を通じて行うこととしたいと思っておりますので、それが出てまいりましてから、集計をして公表というような段取りにしたいと思っております。
#179
○山原委員 企業団体に対しても積極的な対応をしていただきたいという声がありますし、同時に、教育委員会を通じて、地域の企業にも就職確保を特に今の時点で要請すべきだと思いますが、この点についてお答えいただきたい。
 そして同時に、文部大臣に対しまして、大学生の就職あるいは高校生の就職、中学生の就職確保ために、恐らく決意を持っておられると思いますが、大臣としてどういうお考えを持っておるか、この際伺っておきたいと思います。
#180
○伊吹委員長 それでは、まず、事実関係を野崎初等中等教育局長。
#181
○野崎政府委員 御指摘の点につきましては、今年度の雇用状況の深刻さが憂慮されるということで、この平成六年三月の高等学校卒業者の就職状況に関する調査結果、これを各県教育委員会、そして各都道府県知事にこの七月に送付をしたわけでございますが、その際に、職業安定主管課長と連携を密にして、学校と職業安定所、協力してできるだけ多くの求人を開拓し、生徒に適した職業のあっせんが図られるよう特別な配慮をお願いしますという御依頼をしております。
 また、この調査結果につきましては、関係経済団体にも要望をいたしまして協力をお願いしておるわけでございまして、今後とも努力を続けてまいりたいと思っております。
#182
○与謝野国務大臣 日本の雇用情勢というのは、ここ数年の経済の低迷とともに大変厳しいものになっているというのは先生御承知のとおりでございますけれども、ことしになりまして、高校、短大、大学を含めまして、いわゆる新卒者の雇用機会というものは極めて厳しい状況でございます。まさに就職浪人が出ようかというようなことでございました。これは、新しく社会に出ていく方々にとりましても大変つらいことでございますし、子供に対して一生懸命教育を行った保護者もつらい気持ちでございますし、何とか円滑に就職機会が得られるようにというふうに思っております。
 思っておりますだけではだめでございまして、労働省の方も労働大臣が先頭になってそういう御努力をしてくださいましたし、私も、経済四団体並びに中小企業団体連合会に出向きまして就職機会の拡大等々をお願い申し上げましたし、また特に女子学生に対する格別の御配慮もお願いしてまいりました。
 それと同時に、私ども文部省が心がけなければならないことは、やはり学校における適切な就職指導というものを充実していかなければならないということでございまして、これは、国公立におきまして特に気をつけて適切な指導がなされ、適切な情報が学生に渡るということを心がけていかなければならないと思っております。
 あわせまして、就職機会が少なくなってきているというのは、これは教育の問題あるいは学校の問題だけでは解決できない、あるいは文教行政、労働行政だけでは解決できない問題でございまして、やはり日本の経済がさらに立ち直っていく、そういうことの中で解決すべき問題も多くあるのではないかと認識をしております。
#183
○山原委員 これはまたぜひ頑張っていただきたいと思うのです。なお、指数もそれぞれ出てくると思いますので、それに基づいて御努力をお願いしたいと思います。
 次に、先ほども出ました私学助成の問題ですが、今年度は二百十二億カットされたわけでして、交付税措置で全体として予算もふやしたといっていますけれども、非常に自治体によってアンバランスが出てきておるわけでございまして、高等学校、中学校、小学校、幼稚園ではそれぞれ昨年度の助成より下回っている県が出てきているわけですね。時間の関係でこれを申し上げる余地はありませんけれども、これはぜひ文部省としてきちっと調査をして、そして概算要求をすべきではないのかという点です。
 全国私立学校教職員組合連合の調査によりますと、私学関係予算で前年度以下になっているものが、例えば岩手の場合が二・六%減、宮城が一・三八%減、栃木が四・三二%減、福井が一・五%減、こういうふうになっております。また、高等学校一人当たりの単価を見ましても、国の基準では九千五百円増となっていますが、それ以下は埼玉、神奈川、京都、大分、宮崎というふうになっています。それから、中学校の場合にもそういうふうな状態が各地に出ているわけですね。幼稚園の場合もそうです。
 結局、交付税措置の増ではこのように自治体ごとにアンバランスが出ることは再三この委員会でも指摘をされてきたわけですけれども、やはり文部省所管の私学助成をふやさなければ問題の解決にはならぬと思います。来年度大学九十二億円、高等学校以下七十億円の増にとどまらず、抜本的な増額に踏み切るべきではなかろうかと思いますが、この点について見解を伺っておきます。
#184
○吉田(茂)政府委員 ただいま御指摘の各都道府県予算における措置状況でございますが、これにつきまして平成六年度の状況を三月二十四日現在で調査をいたしたわけでございますが、高等学校については五県、それから幼稚園については十七県で国の平成六年度の財源措置額、いわば一人当たり単価でありますが、財源措置額を下回っております。
 これらの県におきましても、今後補正予算において額の追加の計画があるというふうに承知しております。最終的には、高等学校についてはすべての都道府県、幼稚園については二県を除いて他の都道府県におきまして、国の財源措置額を超える一人当たり単価が設定されるものというふうに承知をしております。
 ちなみに幼稚園につきましては、平成五年度国の財源措置額を下回っている都道府県が、五年度では五県でございましたので、最終的な補正予算を経れば、さらに六年度は五年度よりも充実をいたすというふうに考えておるわけでございます。
 概算要求につきましても、厳しいシーリングの中で私立高等学校等経常費助成費補助金は七十億円、一二%増を要求しておるということで、最大限のこれからも努力を払ってまいりたい、かように考えております。
#185
○山原委員 これは予算の時期が来るわけですから、もう応援演説するみたいな格好になりますが、私が応援しても大した役に立たぬかもしれませんけれども、これは本当に大事なところに来ておると思います。
 私学の高等学校の四十人学級推進予算、これが二十五億円ですが、父母の皆さんの三万人のアンケートをとった数字が出ておりますけれども、もう実に九〇%を超える人が四十人以下学級を望んでいるという指数が出ているわけでございます。
 また、来年度概算要求で、建築後二十年以上を経過した建物を対象としての外部工事を含む教育の近代化施設整備予算、これが一億六千万円、こういうふうになっています。これも現在二十年以上経過した建物がどれくらいあるか、あるいは補助要綱はどのようになっておるかということも問題になります。それはきょうお聞きする時間がないと思いますが、これもぜひ今年度予算をもとにして大きな芽を育てていただきたいというふうに思います。これは要請ですが。
 それからもう一つは、とにかく私学の入学時における経費が物すごく負担になっているわけですね。全国平均で五十万円を突破している。各県格差も大きくて、東京では七十六万五千円、こういう状態です。
 それで、このアンケートを見てみますと、私立の学費が「非常に高い」あるいは「高い」という数字も九割を超しているわけですね。そして結局、父母負担がかかり過ぎるというのが父母の八割を超える人たちの要請でありますし、私学を敬遠するというふうな動きも出ております。生活を切り詰めるようになったとか、貯金を使い果たしたとか、あるいは母親が内職やパートに出始めたとか、あるアンケートの中には、「女手ひとつで私学の学費は大変です。助けてください」という叫びも寄せられているわけですが、この問題は、どこの国を回ってもこれほど学費の要るところはないわけですよね。
 そういう意味では日本は大変おくれた国になっているわけですが、この点、文部大臣いかがでしょうか。これは何としても解決しなければならぬ基本的な問題だと思いますので、伺っておきます。
#186
○与謝野国務大臣 国は、従来から修学上の経済的負担の軽減等に資するために、経常費補助を中心とした私学助成の推進や育英奨学の充実に努めてまいりした。文部省としては、平成七年度概算要求におきまして、私立学校の果たしている役割の重要性や保護者の経済的負担等を勘案いたしまして、厳しい財政事情のもとではございますが、私学助成や育英奨学の充実確保に最大限の配慮をしたところでございます。
 今後とも、私学の果たす役割の重要性や国の財政事情等を勘案しつつ、修学上の経済的負担の軽減に資するよう、私学助成や育英奨学の推進に努力をしてまいりたいと考えております。
#187
○山原委員 最後の質問ですが、いよいよ年末に向かいまして予算編成作業が本格化するわけですが、財政状況の厳しさを理由に文教行政の基本にかかわる項目についても切り込みが行われようとしております。その一つが義務教育費国庫負担制度で、ことし二月九日の財政制度審議会報告の中に「引き続き、負担対象等について見直しを進めていく必要がある。」と書き込んでおります。
 そういう状況のもとで、毎年問題になりますのが学校事務職員、栄養職員の方々からの心配でございます。これはことしも随分たくさん各県からも来ておりまして、私のところなどにも村山総理の足元であります大分県などからもたくさんはがき、陳情も来ておりますが、これを見ますと、毎年心配をしておる。
 これは前にこの委員会で鳩山文部大臣のとき、先ほどここにおりましたが、今おいでになりませんが、答弁の中で、未来永劫これを死守するとまで答えたわけですね。これは学校を構成する基幹職員であって、未来永劫にわたってこんなことは外すことは許さない、死守しますという答弁がなされて、これはもうここの委員会の全員が聞いたわけでありますが、義務教育費国庫負担制度の対象から事務職員、栄養職員を除外するようなことは絶対に認めてはならぬと思います。
 新たに文部大臣になりました与謝野文相の決意のほどをぜひ伺いたいと思います。これはぜひ守っていただきたいと思います。
#188
○与謝野国務大臣 義務教育費国庫負担制度は、義務教育の妥当な規模と内容とを保証するための重要な制度であり、その対象となっている事務職員、学校栄養職員は、学校の基幹的職員であると認識しており、今後とも適切に対処してまいる所存でございます。
#189
○山原委員 ぜひこれは守り抜いていただきたいということを再度要請して、私の質問を終わります。ありがとうございました。
#190
○伊吹委員長 以上で山原健二郎君の質疑は終わりました。
 質疑のお申し出のあった方の質疑はすべて終了いたしました。
     ――――◇―――――
#191
○伊吹委員長 次に、第百二十九回国会、内閣提出、私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
 趣旨の説明を聴取いたします。与謝野文部大臣。
 私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する
  法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#192
○与謝野国務大臣 このたび、政府から提出いたしました私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。
 私立学校教職員共済組合の給付については、共済組合設立以来、国公立学校の教職員に対する給付の水準との均衡を保つことを本旨とし、逐次改善が進められ、現在に至っております。
 今回は、最近における社会経済情勢にかんがみ、公的年金制度共通の措置として、厚生年金保険法及び国家公務員等共済組合法における改正に倣い、私立学校教職員共済組合法に基づく長期給付について、平均標準給与月額を改定する等の給付の改善を図るとともに、賞与等を標準として算定する長期給付に係る特別掛金を徴収する等の措置を講じるほか、国家公務員等共済組合法の準用により六十歳以上六十五歳未満の者に支給する退職共済年金について段階的に報酬比例部分に相当する給付に移行させる措置を講ずる等所要の改正を行うため、この法律案を提出することとしたものであります。
 次に、この法律案の概要について申し上げます。
 第一に、掛金及び給付の算定の基礎となる標準給与の上下限を、下限については八万円から九万二千円に、上限については五十三万円から五十九万円に引き上げることといたしております。
 第二に、育児休業をしている組合員が組合に申し出をしたときは、当該組合員が負担すべき掛金を免除することといたしております。
 第三に、長期給付に要する費用に充てるため、新たに賞与等を標準として特別掛金を徴収することといたしております。
 第四に、年金額の改善を図るため、年金額の算定の基礎となる標準給与の月額について、いわゆる再評価を行うことといたしております。
 また、私立学校教職員共済組合法は、給付関係規定について国家公務員等共済組合法の関係規定を準用することとしております。したがいまして、別途今国会に提出されております国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案における六十歳以上六十五歳未満の者に支給する退職共済年金の見直し、在職中の年金の一部支給の仕組みの改善、雇用保険法による基本手当と退職共済年金との調整、雇用保険法による高年齢雇用継続給付と退職共済年金との調整、退職共済年金の配偶者に係る加給年金の額の引き上げ等の年金額の改善、障害共済年金の失権時期の改善、退職共済年金の加給年金の対象となる子等の年齢要件の改善、遺族共済年金と退職共済年金に係る調整の改善及び短期在留外国人への脱退一時金の支給の措置については、これらの措置に関する国家公務員等共済組合法の規定を準用することにより、私立学校教職員共済組合法においても同様の措置を講じることとしております。
 以上のほか、所要の規定の整備を行うことといたしております。
 最後に、この法律の施行日につきましては平成六年十月一日といたしておりますが、育児休業者に係る掛金の免除及び賞与等に係る特別掛金の徴収については平成七年四月一日とする等としております。
 以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださるようお願い申し上げます。
#193
○伊吹委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 次回は、来る二十五日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時十分散会
ソース: 国立国会図書館
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