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1994/10/05 第131回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第131回国会 本会議 第3号
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1994/10/05 第131回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第131回国会 本会議 第3号

#1
第131回国会 本会議 第3号
平成六年十月五日(水曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二号
  平成六年十月五日
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑
     ――――◇―――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑
    午後一時三分閣議
#2
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。
    ―――――――――――――
 国務大臣の演説に対する質疑
#3
○議長(土井たか子君) 国務大臣の演説に対する質疑に入ります。羽田孜さん。
    〔羽田孜君登壇〕
#4
○羽田孜君 私は、新しい会派改革の同志諸君のお許しを得まして、村山総理の所信表明演説に対し質問をいたします。
 昨晩、北海道東方沖を震源とする強い地震と津波がありました。被災を受けられた皆様方には、心からお見舞いを申し上げます。政府は直ちに被害を調査され、敏速な対応をしていただきますことをお願い申し上げます。
 さて、私たちは、今国会開催に当たりまして、健全な責任野党として国会審議に臨むことを表明し、所信表明の日にワシントンにおいて国際会議の予定を持つ河野外務大臣の本会議欠席を認めるという、従来の慣例にない新しい対応を行いました。(拍手)
 ところが、院の運営の基本にかかわる議長、副議長の問題につきましてさらなる話し合いを議長に申し入れた直後、強行開会に及んだことは、話し合いを本旨とする議会制民主主義の否定であり、これは決して許されるべきことではなく、ここに強く遺憾の意を表するものであります。(拍手)
 副議長を野党に譲る慣行は、国会の慣行の中でも特に評価されるもので、議会運営に与野党がともに責任を分担して、審議の民主的な運営を進めるためにも重要なことであります。現在は、今の正副議長が就任されたときとその土台が大きく変わりました。この変化に的確に対応してくださることを、代表質問の機会をおかりして与党の皆様にお願いを申し上げます。(拍手)
 さて、現在、世界は第二次大戦終了後五十年を迎えるこのときに大きな転換のときを迎え、あらゆるシステムの抜本的な改革が必要とされております。日本も例外ではなく、私たちは、昨年の細川内閣が誕生して以来、直面する改革の課題に積極的に取り組んでまいりました。ところが、村山内閣は、誕生して三カ月が経過いたしましたが、連立の破綻を恐れる余り、時の課題である改革に真正面から取り組む姿勢と迫力が感じられません。総理は、口では「二十一世紀を見据えて、改革すべきは大胆に改革し」とおっしゃいますが、実際は、痛みを伴う改革を先送りするという改革先送り内閣としか国民の目には映らないのであります。(拍手)
 一年前の選挙で、社会党と新党さきがけは非自民という公約を掲げたにもかかわらず、それをほごにし、自民党と連立して政権を誕生させました。そして、村山委員長が総理に就任するや、社会党の基本政策の数々を瞬時にして百八十度転換されたのであります。総理自身が、苦渋の選択だったとおっしゃるのは私にも理解できます。ようやく社会党も我々と同じ土俵の中で議論ができる政党になったとの感慨も一方であります。
 しかし、一連の転換の手続が余りにも唐突であり、総理がよく言われる透明性、民主的手法が貫かれていたでありましょうか。むしろ、背信的行為との声が聞こえます。そのため、さきの社会党大会では、四割を超える党員が基本政策の転換に反対を表明したのであります。
 さらに、今回の消費税率アップに関しても、社会党は消費税の廃止や食料品の非課税を国民に明言したにもかかわらず、転換の説明もなく、国民の審判も仰がず、国民を欺く形で大転換してしまったというのが大方の感想であります。このように、マスコミでは「手のひら返しの村山さん」という言葉を生むほど、国民に対する公約違反が次々に行われております。
 十八世紀フランスの啓蒙思想家ジャン・ジャック・ルソーは、当時のイギリスの議会主義に対し、「イギリスの人民は自由だと思っているが、それは大間違いである。彼らが自由なのは、議員を選挙する間のことだけで、議員が選ばれるや否や、イギリス人民は奴隷となり、無に帰してしまう」と批判いたしました。選挙の公約を踏みにじり、選挙を通じておのおのの政党と議員が受けた国民の意思と期待に背き、ただ単に政権を求めるという行為がまかり通るならば、長い歴史と多くの世界の人々、そして国民の努力によって培われてきた民主主義は真っ向から否定されることになります。(拍手)
 もう一つ、政治を戒めた言葉を紹介申し上げます。「国会は国民から白紙委任状をもらっているわけではない」云々とありまして、「いかに多数を占めようとも選挙公約に反するようなことは断じて行ってはならない」。これは、今壇上におられる山口鶴男総務庁長官が社会党書記長だったころ、社会労働評論の八九年五月号に、消費税導入の折に寄せられた論文の一節であります。社会党委員長でもある総理は、一連の公約違反についてどう考えておられるか、民主主義の原点を踏まえて明確な見解をお願いを申し上げます。(拍手)
 自社さきがけ連立政権と総理の突然の変身は、国民にも外国の人々にも到底納得のいくものではありません。このことは、去る九月十一日の参議院愛知選挙区の再選挙で端的に示されました。(拍手)与党の統一候補が、我々旧連立各党が推した候補者に三十八万票以上の大差で敗北したばかりか、無所属の末広さんと牧野さんの合計票にも及びませんでした。
 愛知県での遊説の折、タクシーの運転手さんが「選挙では学歴よりも人物を見て投票する。学歴詐称が辞任に値すると言うのなら、議員の命である公約違反はどうなるのであるか」と語っておりました。四二%という投票率の低さは、国民がいかに今の政治に不信を抱いているかの証左であり、政治の場にあるすべての者が反省すべきでありますが、とりわけ自社さきがけ連立に対して多くの国民が強くノーを表明した結果であると考えます。総理はこの愛知選挙の結果をどのように受けとめておられるか、お伺いをいたします。
 区割り法が通過すれば、新しい制度で選挙することが当然であります。ましてや、国民や各国の識者も驚くような変化をもたらしたのですから、国民の信を問うことこそ民主主義であると考えます。にもかかわらず、選挙は二年後にという声が与党幹部から発言されています。必要な選挙まで先送りすることになれば、それは明らかに日本の民主主義を破壊する行為であると言わざるを得ません。したがって、区割り法が成立した暁には、速やかに総選挙を行い民意を問うべきであることを強く要求したいと思います。(拍手)
 次に、政治改革についてお伺いいたします。
 今回も所信表明演説で、「政治腐敗や政官業の癒着構造などに起因する国民の政治不信を払拭し、」と語られましたが、政権に復帰した自民党は、既に参議院選挙に向けて族議員による政官業癒着を強めております。政治倫理を厳しく追求してこられた総理の姿勢について、改めてお尋ねをいたします。また、総理は区割り法の早期成立を確約されますか、総理の考えをお伺いいたします。
 政治改革は衆議院の改革だけではありません。二院制をとる我が国は、衆議院と参議院とが相互に補完し合って議会制民主主義をより成熟させる必要があります。総理は参議院の改革や地方議員選挙の改革に対する意欲をお持ちかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
 与党三党の合意文書によれば、税制改革の前提として行政改革の断行を訴えていますが、今回の税制改革案ではほとんど触れられておりません。国民受けのパフォーマンスでしかなかったのでありましょうか。所信表明で、「経済社会改革を進めるためには、まず、政府みずからが身を削って努力するとの姿勢が必要であります。」と行政改革に対する総理の決意のほどが語られ、さらに、各省庁における特殊法人の見直しについては本年度内に行うことを強調されました。もしこのことが実現できない場合にはどのような責任をとられる覚悟でありましょうか、この点についてもお伺いをいたします。
 また、政治改革とあわせて地方分権を推進しなければ、改革の実は上がりません。地方の時代、本格的な高齢化社会の到来にあって、これまでの中央の権限を極力地方に移譲し、地方の個性と創意工夫が生かされることが大切で、特に、きめ細かい福祉の実現を可能にすべきであると考えます。総理はどのようにお考えでありましょうか。
 次に、税制改革についてお伺いいたします。
 まず、増減税を一体処理されたことは一応評価したいと思います。この件でお聞きしたいことは、一体処理を拒んでおられた社会党がどのような理由で変更されたのか、その理由をわかりやすく説明願いたいと存じます。
 また、今回、消費税率アップに踏み切られましたが、つい最近まで消費税に反対されていた総理は、この消費税というものをどのように位置づけ、評価されておられるのでありましょうか、明確にお答えをいただきたいと存じます。
 次に、二階建て減税について質問を申し上げます。
 今回の税制改革の目的の一つは、中堅所得層の税負担の過度な累増感を解消するため税率構造の累進を緩和することであります。ところが、二階建ての政府・与党案は、累進の緩和が中途半端な結果となっており、何のための減税か哲学がはっきりしません。さきに与野党が一致して合意した特別減税法の附則に照らして見れば、この減税案は法律違反であるとさえ考えられます。二階建て減税を撤回し、文字どおりの抜本改正にすべきだと考えますが、総理はどのようにお考えでありましょう。
 また、二年ないし三年先に二兆円の定率減税を廃止すれば、そのときは結果として増税になりますが、それに消費税率二%アップが重なると、国民は二重の増税となります。このことをどうお考えか、お答えを願います。
 日本は諸外国に例を見ない速度で高齢化と少子化が同時進行しており、迫りくる少子・高齢化社会に対応するため新ゴールドプランなどの福祉の充実や公共投資基本計画の積み増しなどを必要としております。この案では新たな財政需要に対する対応策が検討されておらず、近い将来、再度、税率アップが必至とならざるを得ませんが、総理の見解をお聞かせ願います。
 税制も国際的な視野で検討しなければならないと考えます。高い法人税や日本にしかない税制に負担を感じる企業、重税感を持つ個人は海外に移り、そのことがさらなる空洞化を誘い、国全体の活力を弱めることになります。税制の抜本的改革はこのような空洞化の問題にもこたえていかなければなりませんが、総理はどのように考えておられますか、お伺いを申し上げます。
 そもそも税制改革は、その国の十年先、二十年先の国づくりを示すことであり、安心と引きかえに国民はその政策にみずからを託すというものであります。ところが、今回の税制改革は理念とビジョンを欠いた数字合わせと言わざるを得ず、一時の優しさを取り繕ってひたすら国民に迎合し、行うべき改革を先送りしようとする無責任な政策でしかありません。このような態度で継ぎはぎだらけの税制改革を行うと、活力ある福祉社会の実現は不可能であるばかりか、国の財政は破綻し、そのツケはめぐりめぐって結局国民にはね返ってくるものと考えます。(拍手)
 次に、経済改革についてお伺いいたします。
 昨今の我が国経済は、景気回復の弱さ、百円を切る円高、雇用の悪化、大幅黒字等々、依然深刻な課題を抱えております。にもかかわらず、政府はこの間何の策も手当てしておりません。
 問題解決の決め手の一つは、規制緩和による内外価格差の是正と新規産業の創出でありましょう。最近は、民間企業の血のにじみ出るリストラ努力により価格破壊と呼ばれる現象が生じ、一部の物価は下がる傾向にあります。しかし、消費者物価全体を国際比較すれば、日本の物価は主要先進国間で平均四割高となっており、さらにその内外価格差は拡大傾向にあります。そのため、我が国は、国民の所得の高さに比べて豊かさを実感できないというのが現状であろうと思います。
 したがって、消費者・生活者の立場を考え、国に新たな活力を生み出すためにも、物価を下げる努力こそ最優先すべき課題であり、そのためには、物価高の原因となっている数々の規制を徹底的に見直さなければなりません。このような認識に立って、私は行政改革推進本部を設置し精力的に運営してきましたが、その後の進行状況及び規制緩和に向けての総理の覚悟のほどをお伺いいたしたいと存じます。
 また、最近の円高の進行によって、我が国の中小企業などが海外に移転するという、いわゆる産業の空洞化が進もうとしております。景気回復の不安定なことと空洞化現象のため、雇用機会が深刻な状況となっております。とりわけ、女子学生の新たな就職の困難さは異常な状態であります。円高対策、中小企業対策、雇用対策について、総理の見解をお伺いいたします。
 数々の規制は、新産業の創出にも障害となっております。産業、生活、文化、科学など、あらゆる分野で大きな影響力を持ってあろうとされており、世界が懸命に取り組んでおりますマルチメディア関連産業は、我が国では規制が厳しいため、そのインフラ整備やソフト面での対応に支障を来しております。また、世界一高い空港使用料とアジア近隣での大規模空港建設のため、我が国は世界におけるハブ空港の地位を失いつつあります。金融も、規制の厳しさとコスト高のために日本を離れ、アジアの各地に拠点を移す海外の金融機関が多く、この面でも日本経済の先行きが憂慮されます。このような問題に対して総理はどう対処されるおつもりか、お聞かせを願いたいと思います。
 私は、公共料金の年内凍結を指示しました。赤字国債を発行してまで減税をし景気浮揚を図ろうとしているとき、また、民間では血の出るようなリストラの最中、国と地方の公共機関が一斉に値上げすることは避けるべきであり、むしろ下げる努力や民営化の方向を検討すべきであると考えたからであります。ところが、村山内閣は、高速道路料金値上げ凍結を解除しました。公団内部の合理化や生産性の向上など、納得できる改善があったのでしょうか。他の公共料金は今後どうされるのか、お伺いをいたします。
 所信表明では、「安易な公共料金改定が行われることがないよう」云々とおっしゃっておりましたが、国民にわかるように公共料金決定のメカニズムをより透明にし、また、公共料金から外すことができる分野がないか検討すべきであると考えますが、具体的な考えをお聞かせ願います。
 次に、国連安保理常任理事国入りの問題についてお尋ねいたします。
 これまでの消極的姿勢から積極的な演説になったことは一応評価いたしますが、日本の対応がおくれたため、常任理事国拡大等の改革の機運が弱まりつつあるとの情報があることは、新しい国連の役割が望まれるとき、極めて残念なことであります。
 もちろん、我が国が憲法の枠内で貢献することは言うまでもありません。しかし、条件つきでの常任理事国入りという河野演説は、国内的には通用する発言であっても、国際的には、日本は勝手なことを言っている、あるいは無責任な国であると受けとめられ、国際社会の常識では考えられないことであります。また、常任理事国になることよりも、常任理事国になって何をなすかがより重要な問題であると考えますが、河野演説ではこの点においても具体性に欠けておると指摘せざるを得ません。消極的態度から積極的にと簡単に変更するのは、政府・与党が国連に対する明確な意思を持っていないからであります。改めて、国連安保理常任理事国入りに関する総理の見解をお伺いしたいと存じます。
 関連して、PKOに積極的参加を表明されましたが、国連ではPKOとPKFの区別はなく、我が国のPKOは、当然、軍事力の行使を意味するものではありません。今後PKFは凍結解除されるのか、あわせてお伺いをいたします。
 次に、日米安全保障条約とルワンダ難民救援派遣に関してお伺いいたします。
 総理は、昨年の十月ごろ、自衛隊は違憲であると文章に残しておられます。ところが、総理に就任するや、合憲であるとの認識に変えられました。違憲であることと合憲であることは、正反対の解釈であります。どのような理由で黒が白になったのか、全く理解できません。国民にわかりやすく説明をお願い申し上げます。
 そのとき、日米安保に関しても「堅持する」に変更し、そして日米関係は「最も重要な二国間関係であり、我が国外交の基軸である」と表明されました。ところが、平成七年度の八月の概算要求では、日米安保条約のかなめである駐留軍経費の負担増は、既に日米間で約束されているにもかかわらず、増加分が半額要求となっております。アメリカは、日本の一連の動向を見て、村山政権は日米関係を重視していないとの疑念を抱きつつあり、このことは日本にとっても大変ゆゆしき問題であると言わざるを得ません。総理は本当に日米関係を重視されておるのか、駐留経費はどうされるのか、お伺いをいたします。
 また、これまで野党第一党であった社会党が自衛隊を違憲としてきたため、国会において安全保障に関する具体的な議論がほとんどでき得ませんでした。国民の安全を保障することは政治の最大の目的の一つであると考えますが、安全保障に関する問題は有事に直面してからでは手おくれであり、平時にこそ十分に議論すべきであると考えますが、いかがでありましょうか。(拍手)
 今回、ルワンダ難民救済のため、PKO協力法に基づいて、自衛隊をザイールのゴマに派遣されました。その近辺は治安が悪化しており、つい最近も死者が出る暴動が発生しております。難民救済は非常に崇高な活動でありますが、それに従事する自衛隊員の安全は十二分に確保されなければなりません。国民は隊員の安全を非常に心配しております。携帯する武器の選定はどのような基準でなされたのでしょうか。機関銃が二丁ではだめで、一丁ではよしと判断された根拠は何でしょうか。どうせ使わないのだからという、ゆゆしき発言もされました。これらの判断や心ない言動は、自衛隊員の安全も含め、自衛隊の最高指揮監督権を有する方の発言としては理解できません。武器の見直しはしないのか、そのことも含めて総理の見解をお聞きいたします。(拍手)
 村山総理がアジア諸国を歴訪されたとき、過去をわびるだけの言に対し、韓国やマレーシアの各首脳から、いつまでも過去にこだわるのではなく、未来志向の関係を築くことが肝要であるとの指摘がありました。過去を反省することは大切でありますが、そのことにとどまるのではなく、平和へのかたい決意を持って、アジア近隣諸国とともに積極的に未来を建設していくことはもっと重要であると考えます。来年、戦後五十周年を迎えるに当たり、総理は、私の内閣の時代に指示し着手した計画とさきに提唱した三点を引き継がれたことを評価いたします。しかし、今回の計画は第一歩でしかありません。ODA予算も含め、壮大な世界平和貢献プランを策定すべきだと考えますが、いかがでありましょう。
 アジア地域の安全保障と経済の安定した発展、特に後発国への協力に努め、アジア・太平洋地域を初め国際社会とのかかわりや役割、共同しての分担等々に責任を持ち、新しい未来の建設に向かうべきであると考えますが、総理の見解をお伺いいたします。
 今般、日米包括経済協議において、全面的な対決を回避することができました。外相、通産相ほか関係された方々の御苦労に敬意を表します。しかし、合意に達した分野は玉虫色の決着であり、日米両国間で理解に差異があるように思われますが、将来に禍根を残さないかどうか。また、合意できなかった自動車・同部品の分野では通商法三〇一条が適用されることになりましたが、政府はいかに対応されるおつもりでしょうか。政府の率直な見解をお伺いいたします。
 日米関係は両国にとっても世界にとっても極めて重要な関係であり、小手先の関係修復であってはなりません。私たちは、日本の一方的な黒字が日米包括協議が始まるきっかけになったことを考え、交渉のいかんにかかわらず、規制緩和や国内市場の開放等、とり得る措置を主体性を持って積極的に進めよう、しかもその結果は黒字解消のみならず国民生活の向上につながるとして、日本の経済社会構造を変える意気込みで取り組んでまいりました。これに対する総理の見解を承ります。(拍手)
 ウルグアイ・ラウンドに対応した法整備の現状はどうなっておりましょうか。自民党や社会党の中には条約の批准に強い反対を表明されてきた方が多くおられましたが、ラウンド全体の対応について政府の見解を承ります。
 各国がウルグアイ・ラウンドの条約を批准し、また来年からWTOが出発すれば、世界の自由貿易の規模は一段と拡大することが予想されます。それは、貿易に依存する我が国にとって、総体的には大きなプラスになりますが、生産性の低い分野においては一部痛手をこうむるところが生じてまいります。
 とりわけ農業・農村は、ますます深刻な事態に陥ります。にもかかわらず、新しい農業・農村政策について具体的な姿がいまだ見えないため、米作農家や専業農家、特に酪農、畜産、園芸など負債を抱える農家は、後継者を持ちながらも不安が募るばかりであります。また、全国の広範囲にわたる中山間地帯は、定住のための長期的な条件整備が望まれています。農業の担い手である女性の地位向上も含めて、ラウンドのスタートの機会に、中長期的な視点に立ち、めり張りのきいた抜本的な対策が望まれますが、総理の御見解を伺います。(拍手)
 最後に、先日、私はミュージカルの舞台げいこを見学する機会がありました。観客にいかに作品の内容と考え方を伝えるか、顔の表情や全身での表現、発声など、演出家と演技者はまさに火花を散らす勢いでやりとりをしていました。その光景は壮烈と思えるもので、私は心が震えるのを覚えたものであります。
 ところで、日本の政治は国民に感動を与えているでありましょうか。もちろん行き過ぎは危険でありますが、最近の政治は他国と比べて余りにも感動がなさ過ぎると思います。政治家一人一人が怨念とかポストにとらわれ過ぎ、国家国民、世界への思いが希薄ではないのか、死に物狂いで政治をやろうという気概と意欲に欠けているのではないかと思われます。
 戦後五十年を迎える今日、世界は大きく生まれ変わろうとしております。日本も、新しい選挙制度のもとで新しい政治を興し、社会全体が根本的に変わっていかなければなりません。そして、この豊かで平和な社会をより活力のある質の高いものにして、子供たちの世代に引き継がなければなりません。そのためには、三十年、五十年先のビジョンを掲げて一歩一歩着実に改革を推し進め、新しい未来を開いていく必要があります。(拍手)
 改革には多くの痛みが伴うものです。したがって、単に優しい言葉ではなく、覚悟を促すことこそ大切であると考えます。そういう思いを持つとき、総理の好んで使われる「人にやさしい政治」という言葉にひっかかりを覚えます。どこの国に、内閣をスタートさせるときにこのような言葉が使われるでしょうか。ましてや、今は痛みを伴う改革を推し進めなければなりません。「人にやさしい政治」とは、その結果としてもたらされるものであると考えます。国の行く末を案じるとき、あえて苦言を申し上げましたが、総理を責めるというより、ともに政治に携わる者として総理の御所見を伺わせていただきます。
 総理は、また、国民は安定を望んでいるとおっしゃいますが、国民が望む安定とは、選挙の洗礼によって国民から正統性を付与された政権に対する安定であって、政権維持にだけ腐心し、停滞をもたらす現連立政権に対するものではありません。(拍手)新制度のもとで速やかに国民の信を問い、国民から信任を得た政権を成立させることこそが、国民とともにある政治の回復であり、総理が行うべき現下最大の決断であることを重ねて申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
#5
○内閣総理大臣(村山富市君) まず、昨夜発生しました北海道東方沖を震源とする地震に伴い被災されました皆様方に、心からお見舞いを申し上げたいと思います。政府としては、万全の対策を講じて対応していくつもりでございます。
 次に、消費税とその公約違反についてのお尋ねがございました。
 社会党が一九八九年の参議院選挙で消費税廃止を掲げたことは確かであります。これは、消費税導入の国会審議経過や消費税の制度的問題に基づいたものでございます。しかし、その後の消費税の国民への定着状況も踏まえ、昨年の総選挙では、消費税の否認ではなく、所得、資産、消費に対するバランスのとれた課税を追求し、消費税については食料品の非課税化による消費税の逆進性緩和など、国民的な要望に責任を持ってこたえられる取り組みを訴えております。
 今回の税制改革では、連立政権を樹立する際に結びました自民、さきがけ、社会党の合意事項にもあります所得、資産、消費のバランスのとれた税体系を構築するため、間接税の税率引き上げなど、現行消費税の改廃を含む総合的改革を踏まえ、与党税調が論議を重ねて大綱となったものでございます。したがって、政権を担っている立場にある今回の責任ある決定は公約違反ではないと認識をいたしております。(拍手、発言する者あり)
 なお、食料品の軽減課税の問題も含め、消費税の仕組みやあり方については、今後とも不断の議論、検討を重ねていくべきものと考えております。
#6
○議長(土井たか子君) 静粛に願います。
#7
○内閣総理大臣(村山富市君)(続) 次に、先般の参議院愛知選挙区再選挙についてのお尋ねがございました。
 私としては、四二%という低い投票率とその結果を冷厳に受けとめてまいる所存であります。羽田議員も述べられましたように、政治の場にあるすべての者が反省すべきことは当然のことであり、国民の政治に対する信頼を取り戻すためにも、政治腐敗の防止を初めとする政治改革を含め、各般の改革に全力で取り組んでまいりたいと思います。(拍手)
 次に、政治倫理についてのお尋ねがございました。
 内閣といたしましては、政治腐敗や政官業の癒着構造などに起因する国民の政治不信を払拭する姿勢で臨んでおります。内閣の運営におきまして十分な留意を払うとともに、腐敗の防止のために襟を正してまいりたいと考えております。政党への公費助成が制度化されることによって、政党はもとより、政治全体が腐敗防止に一層厳しい姿勢を要求されるということは当然のことわりであります。政府としては、各党間で進められておりますさらなる政治腐敗防止措置に関する協議の帰趨を見守りながら、政治の浄化に向けた不断の取り組みを含め、幅の広い政治改革の推進に努力を払ってまいりたいと考えています。
 次に、区割りについてのお尋ねがございました。
 去る八月十一日に衆議院議員選挙区画定審議会からいただきました選挙区の画定案についての勧告を尊重し、勧告どおりに選挙区の画定を行うことを内容とする区割り法案、すなわち公職選挙法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を昨日国会に提案をいたしました。この法案が成立することによって、衆議院の選挙制度の改革、政治資金制度の改革及び政党助成制度が初めて施行されることになりますので、法案を早期に成立させていただけるよう最善の努力を尽くす決意でございます。
 次に、参議院改革などについての御質問がございましたが、まず、第八次選挙制度審議会の答申や昨年来の政治改革をめぐる国会での御審議、参議院における与野党会派の御論議を通じて参議院改革が御検討されているところであると承知いたしております。国会におきまして、参議院選挙における定数是正も各党の合意に基づき行われたところであり、引き続き国会で御論議が進められることを期待しております。
 また、さきに成立いたしました政治改革四法案においては地方議員に適用されるものもありますが、地方議員の選挙改革につきましては、国とは異なる選挙制度の仕組みや政党間の状況がありますものの、今後、国政レベルの改革に合わせて議論、検討を重ねてまいるべきものだと考えております。
 次に、行政改革の遂行及び特殊法人の見直しについてのお尋ねがございました。
 行政改革の推進は、改革に邁進するこの内閣として、全力を傾けて取り組まなければならない課題であると認識をいたしております。また、国民の理解と協力を得ながら税制改革を進めていくに当たっても、同時に、行政改革について英断を持って実行していくことがぜひとも必要と考えております。このため、今般、与党が取りまとめられました「行政改革を進めるに当たっての基本方針」を踏まえ具体的方策を検討するように、私から各大臣に対して指示したところであり、今後、各省庁におきましては、平成六年度内にすべての特殊法人の見直しを行うなど、改革案の具体化に努める決意でございます。
 さらに、地方分権の推進についてのお尋ねがございましたが、御指摘のように、地方の個性と創意工夫を生かしてきめ細かい福祉の実現を可能とするような行政を積極的に展開していくためには、地方の自主性、自律性を強化していくことが必要と認識をいたしております。そのためには、住民に身近な行政はできる限り身近な地方公共団体が担っていくことを基本として、国と地方の役割分担を本格的に見直し、権限移譲や国の関与等の廃止、緩和、地方税財源の充実強化を進めることが必要であります。
 現在、行政改革推進本部に設置されております地方分権部会において大綱方針の骨格の検討を行っているところでありますが、住民に身近な問題は身近な地方公共団体が担っていくことを基本として、二十一世紀に向けた時代にふさわしい地方自治を確立するため、私としても、具体的な成果を上げるべく、強い決意でこれに取り組んでまいる決意でございます。
 次に、増減税の一体処理を拒んでいた社会党がという質問がございました。
 社会党を含む与党各党には、税制についてこれまでにさまざまな議論の経緯、蓄積がありますが、今回我々が取り組んだ税制改革は、活力ある福祉社会の実現を目指す視点に立った、一体としての総合的、包括的な改革であります。また、現下の極めて厳しい財政事情等のことも考えなければなりません。したがって、税制改革の内容となるそれぞれの措置については、その実施時期及び内容を明確にすべきと考え、各与党内、そして与党間で慎重な上にも慎重な手順のもと議論を積み上げて、できる限りのあらゆる配慮を行いつつ、政権与党として責任ある決断を行った次第でございます。(拍手)
 次に、消費税に対する評価についての御質問がございました。
 前国会においても、税制改革につきましては、活力ある福祉社会の実現を目指し、国・地方を通じ厳しい状況にある財政の体質の改善に配慮しつつ、所得、資産、消費のバランスのとれた税体系を構築することは重要な課題である旨を申し上げてきたところでありますが、消費税の問題を含む税制改革の問題につきましては、これまで社会党を含む与党において真剣な協議を進めてきたところでざいます。活力ある福祉社会の実現を目指すとき、歳出面の諸措置を安定的に維持するために、社会の構成員が広く負担を分かち合えるものとして消費課税の充実が図られるべきものであり、今回、現行消費税制度を抜本的に改革した上で消費税率の引き上げを行うこととしたものでございます。今後の我が国の経済社会のために必要と考えたものでございます。(拍手)
 次に、二階建て減税についてお尋ねがございました。
 今回の所得課税の負担軽減は、働き盛りの中堅所得者層にとって、収入の伸びに応じ追加的な手取り金額が滑らかに増加するよう税率構造の累進性を大幅に緩和することを柱としたものであり、個人所得課税の改革として抜本的減税を行ったものと考えています。こうした累進構造の緩和による恒久的な制度減税の規模は三・五兆円になります。また、当面の景気に配慮して特別減税を上乗せすることで、今年度と同規模の五・五兆円の減税を実施することといたしたものでございます。このように、今回のいわゆる二階建ての減税は、あるべき所得課税制度の構築、当面の景気への対策という二つの要素を満たすべく総合的に検討した結果でございます。
 なお、特別減税の廃止と消費税率のアップが重なると二重の増税になるとの御指摘でありますが、この特別減税は景気対策のために実施する時限的な特例措置であり、景気との関係がポイントであることについて御理解をいただきたいと存じます。また、消費税率の引き上げに際しては、低所得者層の負担増に対して課税最低限を引き上げる等の相応の配慮を払っているところでございますから、御理解を願いたいと存じます。
 今後の消費税率の問題についての御質問でございますが、今回の税制改革に際して見直し条項を設け、社会保障等に要する費用、行財政改革の推進状況、課税の適正化の状況、財政状況等を総合的に勘案して検討を行い、必要があると認めるときは平成八年九月三十日までに所要の措置を講ずることとしているところであり、今後検討を深めてまいる考えでございます。
 次に、税制と経済の空洞化との関連についてお尋ねがございました。
 税制のあり方を考える場合に、経済の国際化、経済の空洞化といった状況に対応し、税制の国際的整合性を確保する視点も重要であり、今回の個人所得課税の累進緩和は御指摘のような議論をも踏まえたものであると考えております。また、法人所得課税のあり方につきましても、御指摘のような視点を踏まえ、課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げるという基本的方向に沿って、今後検討を進めてまいるべき課題であると考えているところでございます。
 次に、政府の経済政策についてお尋ねがございました。
 政府としては、大規模な所得減税等を含む先般の総合経済対策を着実に実施するとともに、平成六年度予算の円滑かつ着実な執行を進め、内需を中心とした持続的成長の確保に努めてまいりました。今後ともこうした適切かつ機動的な経済運営に努めるとともに、税制改革の年内実現に努力するほか、中長期的な視点に立って、規制緩和を初め公共投資基本計画の質量両面にわたる見直しや産業・雇用構造の転換の円滑化の推進など、経済構造改革を強力に実施してまいる所存でございます。
 次に、規制緩和への取り組み姿勢についてのお尋ねでございます。
 国民生活の向上はもとより、経済の活性化や国際的調和の観点に立って規制緩和を断行することが不可欠であると私は認識をいたしております。このため、政府は、これまでに決定されている規制緩和方策の早期具体化を図るとともに、十月中をめどに内外からの規制緩和要望を把握し、十一月には行政改革推進本部において、私を含め関係閣僚が内外からの要望を聴取することといたしております。これらを踏まえ、今後さらに積極的かつ計画的に規制緩和を推進するため、閣僚レベルで本年度内に五年を期間とする規制緩和推進計画を取りまとめ、内外価格差の縮小などの視点も考慮しつつ、一層の規制緩和を推進してまいる所存でございます。
 次に、円高対策に対するお尋ねがございました。
 最近の為替市場における不安定な動きに対しては、七月のナポリ・サミット及びこれに先立つ日米首脳会談、そしてまた、さきのG7等において為替相場の安定の必要性について我が国から主張し、為替問題に関するG7各国の協調へのコミットメントが確認されたところでございます。我が国としても、為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移すべきと考えております。今後とも、相場の動向に注意しつつ、適宜適切に対処し、為替相場の安定に努めてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、中小企業対策についてのお尋ねがございました。
 中小企業の景況は、一部に改善を示す動きが見られるものの、設備投資が低迷するとともに、円高や大企業による海外生産の増強等、依然として厳しい状況が続いております。これに対し、累次にわたる経済対策や平成六年度予算における中小企業対策の中で、円高等の影響をこうむっている中小企業者に対する資金供給の円滑化に加え、中小企業新分野進出等円滑化法を制定するなど、中小企業の努力を支援をしてまいったところでございます。また、先般、閣議において、産業・雇用構造の転換の円滑化について総合的な政策を推進するよう指示したところでもあります。今後、経済の諸情勢に注意を払いつつ、このような方針に沿って中小企業の創造的な活力の向上に努めてまいる所存でございます。
 次に、雇用対策についてお尋ねがございましたが、我が国経済はこのところ明るさが広がってきており、緩やかながら回復の方向に向かっているものの、雇用情勢については依然として厳しい状況が続いております。このような厳しい状況に対応するため、雇用支援トータルプログラムの実施等により、離職者の再就職の促進などの雇用対策を引き続き強力に推進してまいる所存でございます。さらに、我が国の経済社会が大きな変化に直面する中で、今後、中長期的な観点に立って雇用の安定のための方策を講じていくことが一層重要な課題となっており、総合的な政策を推進してまいる所存でございます。
 次に、数々の規制が、御指摘のようなマルチメディア、金融、ハブ空港などの新産業の創出にも障害となっているとのお尋ねがございました。
 国民生活の向上はもとより、経済の活性化や国際的調和の観点に立って規制緩和を断行することが不可欠であると認識をいたしております。また、このため、政府は、これまでに決定されている規制緩和方策の早期具体化を図るとともに、内外からの規制緩和要望を把握し、これらを踏まえ、本年度内に閣僚レベルで規制緩和推進五カ年計画を取りまとめ、将来の新規産業分野への参入促進などの視点も考慮しつつ、一層の規制緩和を推進してまいる所存でございます。
 次に、高速道路の料金改定についての御質問がございました。
 おくれている高速道路整備の推進を図るため、昨年新たな区間の施行命令が発せられ、この事業を円滑に推進すべく採算性確保のため日本道路公団から料金改定の申請がなされ、九月二十日に認可したところでございます。認可に際しましては、公聴会等の御意見や公団事業の総点検を踏まえ、経費節減等経営の合理化や利用者サービスの向上に最大限の努力を払うとともに、事業計画の見直しを行い、実施時期を明年四月とし、改定率も圧縮するなど極力調整したところでございますから、御理解をいただきたいと存じます。
 今後の公共料金の取り扱いについての御質問がございましたが、公共料金の改定につきましては、四月に物価問題に関する関係閣僚会議において取りまとめた「公共料金の取扱いに関する基本方針」に基づき、公共料金年内引き上げ実施見送り措置の趣旨にのっとり、先般行った公共料金に係る事業の総点検の結果などを踏まえ、個別案件ごとに厳正な検討を加え、適切に対処をしてまいる所存でございます。
 さらに、公共料金決定のあり方についての御質問がございました。
 公共料金の改定に当たりましては、「公共料金の取扱いに関する基本方針」に基づき、改定の理由、根拠、具体的な経営合理化策等を十分明らかにすることにより利用者の理解を得られるよう、情報の一層の公開に努めてまいりたいと考えています。また、公共料金に係る事業においても、多様化する利用者ニーズに対応した料全体系の確立を図るとともに、市場原理が導入できる分野については規制緩和を一層推進することが重要であると考えているところでございます。
 次に、我が国の国連安全保障理事会常任理事国入りについてのお尋ねがございました。
 先般の外務大臣の国連総会演説では、国際貢献に関する我が国の基本的考え方として、我が国は、憲法が禁ずる武力の行使は行いませんが、憲法の範囲内で国連の平和維持活動に積極的に協力するとともに、軍縮・不拡散、開発、環境等の地球規模の問題についてこれまで以上の貢献を行っていくことを述べ、そして国連の改革と機能強化に積極的に取り組み、多くの国々の賛同を得て、安保理常任理事国としての責任を果たしていく用意があることを表明したところでございます。この問題につきましては、就任以来、外交政策の継続という基本方針を踏まえて検討を行い、今回の国連総会演説で改めて従来からの我が国の考えを明らかにしたところでございます。したがって、御指摘のような態度の変更があったということではございません。
 常任理事国として安保理に常時参加するということは、日本の立場を安保理の決定に、より効果的に反映させることができるということであります。我が国といたしましては、安保理へのこうした参加を通じて、国際社会の期待にこたえ、世界の平和と安定のため、より責任ある役割を担ってまいりたいと考えているところでございます。(拍手)いずれにいたしましても、安保理改組の問題は今後も国連において議論されていく問題でありますので、引き続き、国民の御理解を踏まえて積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、PKFの凍結解除についてのお尋ねがございました。
 国際平和協力法に従って自衛隊の部隊等が国際平和協力業務の一部として規定されているいわゆる平和維持隊本体業務を実施することは、憲法上問題はありませんが、別に法律で定める日までの間はこれを実施しないものとするとされております。この凍結解除を含めた国際平和協力法の見直しの問題につきましては、現段階では、同法による協力の実績を積み重ねていくことが重要であると認識しております。見直しを行うに当たりましては、これまでのカンボジア、モザンビーク等への派遣の貴重な経験を踏まえた上で、慎重に検討してまいる所存でございます。
 次に、自衛隊は合憲であるとの認識に変えた理由は何かというお尋ねがございました。
 さきの臨時国会におきまして答弁させていただきましたように、戦後、特に冷戦期において、平和憲法の精神の具体化を目指した社会党を中心とする不断の努力を通じて、必要最小限度の自衛力を容認する穏健でバランスのとれた国民意識が形成されてまいりました。こうした歴史的な成果を踏まえるとともに、冷戦の崩壊という歴史的な転換期に当たり、我が国が自国の安全を確保しつつ、国際平和の維持に貢献するための具体的対策について競い合うという未来志向の発想が特に求められております。こうした観点に立って、新たな認識を示したところでございます。私といたしましては、こうした新たな認識に基づいて、また、三党の連立政権合意を基本として、冷戦後の新時代にふさわしい安全保障政策の展開に努めてまいる所存でございます。(拍手)
 次に、現政権が日米関係を重視していないのではないかとの御指摘がございましたが、私が所信表明演説で申し上げましたとおり、日米関係は、双方にとって最も重要な二国間関係であり、我が国外交の基軸であります。私は、日米間の協力関係のさらなる発展に全力を傾注してまいる所存でございます。中でも、日米安保体制は我が国の安全の確保のために引き続き必要であり、政府としては、これを堅持し、その円滑かつ効果的な運用を確保してまいる考えでございます。(拍手)
 次に、駐留経費をどうするのかというお尋ねがございました。
 本件につきましては、現在・防衛庁から概算要求が提出されている段階であり、今後、関係省庁間で、特別協定に基づく我が方経費負担に関して政府が公にした方針、厳しい財政事情、自衛隊の必要最小限の水準維持、日米安全保障体制の円滑な運用確保の必要性等を勘案し、本件の円満な解決に向け所要の調整を行い、適切に対応してまいる所存でございます。
 次に、安全保障についてのお尋ねがございましたが、御指摘のとおり、国民の安全の確保は政府の最も重要な任務の一つであり、平時より国会等の場で十分議論していくべきものと考えております。
 次に、ルワンダ難民救援のため派遣された自衛隊の部隊が装備する武器についてのお尋ねがございました。
 政府といたしましては、累次にわたる現地調査の結果も踏まえ、業務の内容、現地の治安情勢、カンボジア等における国連平和維持活動の場合と異なり、他国の歩兵部隊が周辺に組織的に配置されているというわけでもございませんので、そうした事情を総合的に勘案をし、隊員の安全確保に万全を期すためには、けん銃、小銃に加え機関銃一丁を装備することが必要であると判断したものでございます。したがって、部隊が装備する武器についての見直しを行うことは考えておりませんが、いずれにいたしましても、派遣される隊員の安全の確保に関しましては万全を期してまいりたいと考えているところでございます。(拍手)
 次に、戦後五十周年を迎えるに当たり、ODA予算も含め壮大な世界平和貢献プランを策定すべきときとの御意見でありますが、去る八月三十一日、戦後五十周年に際しての政府としての対外問題全般への取り組みについての基本的考え方を示す内閣総理大臣の談話を発表し、この中で、戦後五十周年に当たる明年より、歴史研究支援事業と交流事業を二本柱とする平和友好交流計画を発足させる旨発表したところでございます。今後は、内閣総理大臣の談話の内容を政府全体として着実に実施していくことが何よりも重要であると考えているところでございます。
 次に、アジア・太平洋地域を初め国際社会とのかかわりや役割等に責任を持ち、未来の建設に向かうべきとの御指摘がございました。
 従来、我が国は、アジア・太平洋地域の多様性を尊重しつつ各種の交流を深め、相互依存関係に基づく協力関係を構築してきたところでございます。今後ともかかる努力を続けるとともに、政治・安全保障対話の推進や経済面での域内協力等に積極的に努め、この地域、ひいては世界の繁栄と安定に貢献していきたいと考えているところでございます。
 また、今般の日米包括経済協議の決着が玉虫色ではないかとの御指摘がございましたが、双方のとる措置を政府による対応が可能で責任の及ぶ範囲の事項に限定すること、将来の結果をあらかじめ約束することはできないこと等の包括経済協議の原則については、既に日米間で意見の一致を見ております。今般の協議妥結に至る日米間の話し合いにおいては、かかる原則を堅持しつつ最大限の努力を払ったところでございまして、このような我が方の立場については、米国に対して明確にしてきておるところでございます。したがって、妥結の内容に関しましては、米側との間で理解の差異はないものと考えています。(拍手)
 次に、自動車・同部品分野に関するお尋ねがございましたが、今般、米国が同国の一九七四年通商法三〇一条に基づき我が国の補修用自動車部品の分野について不公正貿易慣行の特定を行ったことは、極めて遺憾であります。
 自動車部品の分野においては、近時、日米の関係業界の協力によりその取引の拡大が見られ、また、我が国としては、補修用部品についても安全性の確保を前提に真剣に規制緩和を検討するなど、包括経済協議においても誠実かつ精力的に取り組んできたにもかかわらず、今般、米国がかかる一方的な手続を開始することとしたことは、日米両国政府が追求してきている多角的自由貿易体制の維持強化という目的と相入れないものであると考えています。現在のところ、調査の開始が決定されただけであることから具体的な影響は生じておりませんが、一方的措置が講じられた場合には、我が国はあらゆる措置をとる権利を留保しているとの姿勢で臨むこととなります。なお、今回の三〇一条の特定に対する今後の対応につきましては、当面冷却期間を置くことも含め、今後検討していくことといたしております。
 次に、規制緩和や市場開放についてのお尋ねでありますが、我が国としては、国際社会との調和がますます重要性を増している中で、国際社会に開かれた経済社会を実現するとともに、国民生活の向上や活力と創造力に満ちた我が国経済の構築を図ることが不可欠の課題であります。このため、規制緩和を初めとする国内経済改革を通じ、より自由で創造性が発揮される社会環境を整備することが重要でございます。また、この中で、民間部門の新規事業の拡大等による内需の振興や市場アクセスの改善を図り、経常収支黒字の十分意味のある縮小の中期的達成と、競争力のある外国製品・サービス輸入の相当程度の増加に向け努力していくことが必要であると考えています。
 次に、関連法整備の現状を含め、ラウンド全体への対応についてお尋ねがございました。
 政府としては、いわゆるマラケシュ協定の締結は、貿易立国である我が国経済の繁栄の基盤である多角的自由貿易体制の維持強化にとって極めて重要であると考えております。政府としても、このような認識に立って、同協定の来年一月一日の発効に向け、協定及び関連法案を本国会に提出し、年内の成立を図る所存でございますから、皆さん方の御理解と御協力をお願い申し上げておきたいと思います。
 次に、新しい農業・農村政策についてのお尋ねでございますが、ウルグアイ・ラウンド農業合意の受け入れなど新たな国際環境に対応した農政の展開方向につきましては、農政審議会報告の趣旨を踏まえ、我が国農業・農村が二十一世紀に向けて自立を遂げ持続的に発展していくことができるよう、幅広い観点に立った食料・農業・農村政策に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 また、特にウルグアイ・ラウンド農業合意の実施に伴う国内対策につきましては、緊急農業農村対策本部において昨日了承されました大綱骨子を基本的方向として、農家負債問題も含めた経営対策、女性の地位向上、中山間地域など農山村地域の活性化等、速やかに総合的かつ的確な施策を講じてまいる決意でございます。
 最後に、痛みを伴う改革と「人にやさしい政治」との関係についてお尋ねがございました。
 所信表明でも申し上げたのでございますが、国民一人一人がその人権を尊重され、家庭や地域に安心とぬくもりを感じることのできる社会をつくり上げていくことが「人にやさしい政治」の真骨頂ではないかと考えております。いわば、人々の暮らしが安らぎ、安心して暮らせる生活環境をつくっていくことを国づくりの基本とする政治のことでございます。このような、私が目指す「人にやさしい政治」は、決して易きにつき改革の産みの苦しみを避けて通る政治ではありません。私は、人に優しくあるためには、まず自己に厳しくあらねばならないと考えております。痛みを伴うことがあっても、社会の構成員に対して真に責任を持った政策決定を行い、二十一世紀を見据えて政治、経済、社会の大胆な改革に全力を尽くして取り組んでまいる所存であります。
 以上であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(土井たか子君) 上原康助さん。
    〔上原康助君登壇〕
#9
○上原康助君 私は、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合及び新党さきがけを代表して、さきの村山総理の所信表明演説に関連して質問いたします。
 冒頭、昨夜の北海道東方沖地震の被災地、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに、政府において災害対策に万全を期されるよう強く要望いたしておきます。
 総理、あなたが四十七年ぶりの社会党首相として三党による連立内閣をスタートさせてから三カ月余が経過いたしました。この間、率直に申し上げまして、国民は不安と戸惑いを禁じ得なかったのでありますが、最近の世論調査が物語っておりますように、村山内閣への支持率は次第に上昇し、国民は村山内閣へ大いなる期待を寄せ始めております。(拍手)
 これは、総理の誠実な人柄、そして「常に国民とともに、国民に学ぶ」ことを政治哲学とし、民主的で透明度の高い政権運営により、安定した政治を目指そうとする総理の謙虚な政治姿勢に国民が共感を持ち始めたものと考えます。加えて、村山政権が安定性、持続性を増してきている背景と要因に、三党首の信頼関係を軸に、不十分ながらも連立与党三党の協調し得る環境が次第に醸成されつつあることが国民に安心感を与える結果を招いているものと思われます。(拍手)
 しかしながら、今国会の幕あけを見てもおわかりのとおり、村山政権の真価が問われるのはまさにこれからであります。特に今国会は、内政、外交とも重要かつ困難な課題が山積しており、村山政権として初めて迎える本格論議の場だけに、与党の結束はもとより、国民のための政治を推進していく大局的立場から、野党の皆さんにも対話と協力を求めて、直面している内外の諸課題に対処していかねばなりません。(拍手)
 総理、政権発足後三カ月余の実績を振り返りながら、率直な御感想とこの国会に臨む決意、そして今後の政権運営に当たりどのようにリーダーシップを発揮していかれるのか、冒頭、総理の御所見をお伺いし、以下、順次質問をいたします。
 総理、申し上げるまでもなく、来年は戦後五十年の節目を迎えます。我が国は戦後幾多の試練と苦難を乗り越えて今日の平和と繁栄を確保するに至りましたが、過去の戦争行為によって三百万人余の同胞のとうとい犠牲とアジアの近隣諸国等にはかり知れない苦痛と犠牲を強いたことを決して忘れてはならないと思います。
 河野副総理兼外務大臣は、ついこの間の国連総会演説で、「我が国は、さきの大戦の反省の上に立ち、世界の平和と繁栄に貢献するとの決意を保持しております。」と強調されました。冷戦構造が崩壊し、新しい国際秩序が模索され、二十一世紀に向けてさらなる平和と繁栄を展望しようとする重大な歴史的転換期にあって、今なお内外から戦争責任とそれにまつわる諸問題を我が国が問われ続けているからでありましょう。いわゆる戦後処理問題は、さきの大戦の反省の上に立って、内外における戦争による人的、物的な被害等について国として的確な調査を行い、これに誠意を持って対処してきたか否かが問われておるのであります。
 政府は、さきの総理大臣談話によって、平和友好交流計画を柱に、従軍慰安婦問題を初めとする諸問題への取り組みをより具体化していこうとの見解を初めて明らかにいたしました。これは一歩前進と評価しますが、なお関係者等から不十分であるとの批判の声が出ていることは御承知のとおりであります。
 連立与党としても、戦後五十年問題プロジェクトチームを設置してこの問題に取り組んでおり、第一に原爆被爆者援護法の制定、第二にさきの総理談話で述べられました従軍慰安婦問題などの諸問題、第三に現内閣の基盤であるいわゆる三党合意に盛り込まれた国会決議などの諸課題、この三つを最優先するとともに、その他未解決の問題をも明確にし、順次解決を図っていくことを確認しています。
 そこでお尋ねいたしますが、この際、政府においてもこれらの問題に関する対策チームを置いてはどうでしょうか。また、一九八四年に官房長官の諮問機関として設置した戦後処理問題懇談会を参考として新たに戦後五十年問題懇談会を設け、民意を広く結集し、集中的に検討してはどうでしょうか。総理の御見解をお伺いいたします。戦後五十年の歴史的転換期に当たって、戦後処理問題の解決は村山内閣の重大な使命であり、責務だと考えます。与党三党は、政権の発足に当たり、この問題への取り組みについて合意しているはずであります。そこで、各党の党首でもある村山総理、河野外務、武村大蔵両大臣に、それぞれ戦後問題の解決に関する所見と決意をあわせてお聞かせ願いたいと存じます。
 次に、政治改革についてお尋ねいたします。
 政治改革の目指すところは、腐敗の根絶であり、国民から信頼される政治の再生であります。さきに成立した政治改革四法は全体として腐敗防止の前進に大きく寄与するものであり、政治改革四法の仕上げは与野党共通の責任であります。区割り法案の今国会における速やかな成立、そして法律全体が来年一月一日を期して滞りなく施行されることに全力を挙げなければなりませんが、総理の決意をお聞かせ願います。
 さて、政治改革関連法の的確な運用を図るだけでなく、政党、政治家がみずから襟を正し、腐敗の防止と国民の政治不信の解消にたゆまぬ努力を傾けることが肝要であることは言うまでもありません。こうした観点から、与党は、連座制の強化を柱とした公職選挙法改正案、国民の税金から助成を受けることとなる政党の健全な発達促進と社会的責務を明らかにするための政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律案を今国会に提出いたします。これらはまさに国民の声にこたえた、さらなる制度的前進を実現するものでありますが、総理の御所見を伺っておきたいと存じます。
 次に、今国会の焦点の一つであります税制改革について御質問いたします。
 このほど政府・与党において決定された税制改革大綱は、「今年中に関連法案を成立させるよう努力する。」という公約を果たすもので、検討期間が短いという制約があったにもかかわらず、実に意欲的かつ画期的な改革案を示し得たもので、国民的合意を得られるものと考えております。それは、ことし二月、当時の細川総理が唐突に打ち出された国民福祉税が、当然にも国民の強い批判を浴びてとんざした経緯を教訓としており、与党三党の政権合意を踏まえ、福祉プログラムの推進や行財政改革と地方分権の推進などと一体のものとして、安心と活力ある豊かな福祉社会を支え得る新たな税体系の構築を目指すものであります。
 しかしながら、現時点では、政府・与党としての福祉プログラムの全体像や具体的な行財政改革案が示されていないこと、また、いわゆる不公平税制の是正に明確な回答が示されていないことも事実であります。公正公平の確保は税制と政治が国民に受け入れられる要件であり、安定した税制は国民の理解と納得の上に成り立ちます。
 そこでお伺いするのですが、総理としては、これらの点について国民にどのように説明し、理解を求めようとなさるのか。また、いわゆる不公平税制の是正や新ゴールドプラン及びエンゼルプランの策定や年金改革など、福祉プログラムの策定推進について今後どのように取り組まれるのか、総理のお考えと決意のほどをお示しいただきたいのであります。(拍手)
 さて、次に、行政改革に関連して若干お尋ねいたします。
 行政の透明性の向上を図るため今月一日から行政手続法が施行されましたが、それに引き続く重要な施策は、情報公開法の早期制定であります。まず、与党三党が政権樹立に当たって合意事項としたこの課題について、政府はどのような目標期限を持ち、どのような体制で取り組むのか、明確にしていただきたい。
 第二に、これからの日本の政治・行政のあり方を考えれば、集権的システムから分権型行財政システムヘの移行という地方分権の推進が必須であることは明らかです。今や地方分権はどのように具体的に推進していくのかという段階に差しかかっており、国会としても、地方分権の推進に関する決議の趣旨に基づいて積極的な努力をしていかなければなりません。
 去る九月二十六日には、地方六団体が、地方分権の推進に関し、改正地方自治法に基づき内閣と国会に対し初の意見具申を行いました。地方からの具体的な提言をどう生かしていくのか、内閣と国会に課されている課題であります。政府も行革推進本部の地方分権特別部会で、地方分権大綱の年内策定に向け熱心な作業が積み重ねられているようですが、仄聞するところでは、各省庁は総論賛成・各論反対の立場のようであり、内容の後退が懸念されてなりません。地方から寄せられた意見をどう受けとめ、どうこたえようとされるのか、地方分権大綱の策定に対する総理の御決意をお伺いしておきたいと存じます。
 第三に、行政改革の推進体制についてお尋ねいたします。
 これまで行政改革は、政官業のいわゆる鉄のトライアングルの強硬な抵抗に遭って十分な成果を上げることができませんでした。政府が今年度中に策定する予定の規制緩和推進計画も、その中身を各省庁の自己申告にゆだねては大きな成果は望めません。総理は、計画の策定に当たり内外からの要望を聴取するよう指示されたとのことですが、行革推進本部に民間代表を加えた作業部会を設けて、規制緩和の具体策を徹底的に検討する体制を整えるべきではないかと考えます。規制緩和に限らず、行財政改革を実現するためには、利益誘導型政治に決別し、民間の知恵をかりつつ、総理が強力なリーダーシップを発揮することが求められています。行革推進本部長としての総理のお考えと決意のほどをお伺いいたします。
 政治・行政改革の一環として、役人の思い上がり意識の払拭も重要な課題であります。役人と政治家の両方を経験され、自民党の良識派を代表するある実力者は、最近の著書で、官僚について、「彼らは、自分たちは国益中心で物事を考えていると信じている。その国益とは、非常に主観的なものである。彼らは、大衆の批判にさらされたことがなく、役所の窓からしか物事を見ていない。」と、官僚の自己過信を厳しく戒めておられるのであります。
 ところが、役人の中には思い上がりの越権発言がしばしば見受けられる。その最たるものが、去る九月九日の宝珠山防衛施設庁長官の沖縄発言であります。すなわち、社会党も基本政策を転換したのだから、沖縄はアジアの戦略上の基地として極めて重要な位置にあり、基地を受け入れて基地と共生・共存する方向に変化してほしいとの見解を基調に沖縄県の基地行政を批判し、全県民が強く望んでいる軍用地転用特別措置法の必要性を否定するなど、極めて不穏当な発言を繰り返しているのであります。
 これは、一役人の発言としては余りにも不見識で重大な内容が含まれております。当然のことながら、党派を超えて基地の大幅な整理縮小を要求してきた県民の総反発を受け、激しい抗議行動が展開されております。沖縄県議会も九月二十二日、全会一致で政府に厳重に抗議するとともに、発言の撤回と謝罪を求め、その責任を厳しく追及する決議を行いました。
 社会党としても、発言の全面撤回と県民への謝罪、政府としてしかるべきけじめをつけるよう強く申し入れたにもかかわらず、いまだにその処置がなされていないことは極めて遺憾であります。沖縄の基地問題はただでさえ困難で複雑なだけに、その衝にある責任者の発言をうやむやにするわけにはまいりません。政府の宝珠山発言に対する見解と今後の沖縄施策について、とりわけ米軍基地の整理縮小を具体的にどう推進していかれるのか、総理並びに防衛庁長官の見解を求めます。(拍手)
 次に、景気・経済対策について伺います。
 我が国経済は、九一年に始まる戦後有数の景気後退を経験しましたが、最近は明るい兆しも見られるようであります。しかし、雇用面においては有効求人倍率、完全失業率が相変わらず低迷するなど、依然として厳しい状況が続いております。加えて、ことしの六月以降、為替相場は一ドル百円を突破し、最近では一ドル九十円台後半での動きとなっています。
 こうした円高は、輸入価格の低下を通じて企業や消費者にメリットを与える面もありますが、一方で輸出企業の収支を悪化させ、雇用面等に不安を与えることも懸念されているところです。このところ景気回復の兆しが見え始めております日本の景気の見通しに、この円高がいかなる影響を及ぼすと考えておられるのか、総理の御所見を伺います。また、これ以上の円高の進展は産業の空洞化を招き、一層深刻な雇用問題を発生させる可能性もありますが、総理はどのように御認識され対処されるのか、お尋ねいたします。
 次に、日米包括経済協議についてお尋ねいたします。
 ぎりぎりの交渉が続けられていた日米包括経済協議は、このほど、政府調達、保険、板ガラスなどの三分野で合意に達することができました。河野、橋本両大臣を初め、関係者の粘り強い対米交渉の労を多とするものであります。(拍手)この協議は、昨年夏以来の懸案であり、細川、羽田両内閣によって解決することができなかった難題だっただけに、自動車など部分的には未解決の分野を残したとはいえ、大筋合意に達したことは、経済関係に限らず、今後の日米関係全体によい影響をもたらすもので、大いに歓迎したいと思います。(拍手)そこで、村山総理並びに河野外務大臣に、今回の日米交渉をどう評価されるのか、また今後未解決分野についてどのように取り組んでいかれるのか、それぞれ御所見をお聞かせいただきたいと存じます。
 次に、ガット・ウルグアイ・ラウンドと農業問題について質問いたします。
 冷戦後の新しい経済秩序を形成する上で、WTOを設立する協定の締結は極めて重要であります。自由貿易体制の恩恵を最も受けている日本の国際的責務として、同協定の来年一月一日発効に向けて、今国会に提出される協定及び関連法案を年内に成立させなければならないことは言うまでもありません。この際、WTO設立の意義について総理はどのようにお考えか、伺っておきたいと存じます。
 ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業合意を受けて、今、我が国の農業・農村は歴史的な岐路に立たされています。農業・農村は、食糧安全保障のみならず、国土・環境保全機能、文化的意義などの面からも重要であり、二十一世紀に向けて持続的に発展し次世代に受け継がれていくよう、国を挙げてその万全を期さなければなりません。そのような観点から、新しい条件のもとで我が国の食糧の安定確保を図ること、またそのためにも力強い農業構造・農業経営の実現、新しい時代の変化に対応し得る生産基盤等の整備、中山間地域の活性化を図ることが国民的緊急課題となっていますが、総理はどのように対処していかれるのか、必要な予算の確保などをも含め御所見をお伺いしたいと存じます。
 また、昨年の異常気象による米不足と緊急輸入米騒ぎは、改めて現行食糧管理制度のあり方について国民的議論を巻き起こしました。国民に米を安定的に供給する上で、現行制度がこれまで大きな役割を果たしてきたことは明らかです。しかし、反面、社会経済情勢の変化の中で市場原理の導入を求める時代の要請が高まっていること、また、最近の米の不正規流通に見られるように、実態からかけ離れ、十分にその機能を発揮し得なくなってきていることも否めません。需給と価格の安定を通じて国民に主食としての米を安定的に供給することは重要であります。同時に、生産者の自主性を生かした稲作生産の体質強化、規制緩和による流通の合理化を図ることも必要であり、こうした観点から新たな米管理システムを構築することが必要だと考えますが、総理のお考えをお伺いしたい。
 また、環境保全、水資源の確保などの見地から森林を国民共有の財産として整備するため、公的資金を大幅に投入するなど、我が国の森林・林業全体の施策の洗い直し、見直しをすべきであると考えますが、この点についても総理の御見解を伺っておきたいと思います。
 総理、来年は、女性が参政権を得て五十年を迎えます。この間、雇用を初め多くの分野で女性の地位向上が徐々に図られてまいりました。しかしながら、女性の政策決定への参画については遅々として進まず、長年懸案となってきたことは総理も御指摘のとおりであります。国連では、九五年までに意思決定の場における女性の割合を三〇%とする目標を掲げております。
 総理は所信表明演説の中で、「男女があらゆる分野にともに参画し、ともに社会の発展を支えていくという男女共同参画型社会の実現に向けて努力してまいりたい」と述べられましたが、それを具体化するために、まず政府が率先して国の審議会等の女性委員の割合を積極的に高めるべきであります。少なくとも政府がこれまで目標に掲げてこられた一五%については早期に必ず達成できるよう、男女共同参画推進本部長である総理の強力なリーダーシップを発揮していただきたいと思うのですが、いかがでしょう。御見解を求めます。(拍手)
 次に、冷戦後の安全保障・防衛政策についてお伺いいたします。
 村山総理、あなたは、総理に御就任に当たって、外交・防衛は継続、内政は改革との政治姿勢を明確にし、それに基づいて、さきの臨時国会で、現在の自衛隊は憲法の範囲内にあると、社会党委員長としても歴史的な決断をなさいました。一九四六年以来の社会党員として、非武装中立、自衛隊違憲論の立場で指導する政治活動を続けてこられた総理にとって、苦渋に満ちた決断であったと推察いたします。
 それは私にとっても同様であり、ある面で総理以上の複雑な心境にあります。なぜなら、過ぐる大戦での悲惨きわまる沖縄の地上戦の原体験、敗戦後二十七年余に及ぶ米軍の占領支配、一九七二年五月にようやく復帰が実現したものの、今なお日本全国の米軍専用基地の七五%が沖縄に集中している中で、戦争の残虐さと日米安保体制の矛盾としわ寄せを身をもって体験させられてきているからであります。このような経歴を持つ一人の人間として、安保・自衛隊問題については苦悩の連続でございます。この重くて難しい問題は、悩みながらも今後とも真剣に取り組んでいかねばならない課題だと心得ております。しかし、そうした複雑な心境ながらも、さきの国会において村山総理が新たな見解を示し、また社会党の臨時党大会において安全保障政策の歴史的転換が図られたことは、政権党として必要な選択であったと考えております。
 今、我が国の戦後史の一端を顧みて、日本が専守防衛や非核三原則、武器輸出禁止など抑制された防衛政策の基本を確立し、これを基盤に我が国の平和と安定が維持されてきたことは否定できません。その側面で、日米安保の運用を厳しくチェックし、憲法の理念と精神を尊重する立場から、軍事大国化を阻止してきた社会党の果たしてきた役割も大きかったものと自負するものであります。(拍手)
 同時に、崇高な理想を掲げながらも、それを着実かつ現実的に実現していくための安保・自衛隊政策等、すなわち政権をとるための諸準備が極めて不十分であったことを、社会党はこれまでの道のりを振り返りながら自己批判すべきではないかと思うのであります。
 米ソを軸とした冷戦構造が崩れ、我が国においても五五年体制が終わった今日、過去の思考範囲に固執していては激変する内外の要請に的確に対応していくことができなくなっています。そのような見地からも、村山内閣が推進していかれる外交・防衛政策は、冷戦構造下で自民党政権が進めてきた諸政策を無条件で追認することであってはならないと考えます。換言すれば、村山内閣の安保・防衛政策は、継続の中での改革、ポスト冷戦時代にふさわしいものでなければならないと考えます。(拍手)
 社会党も、これからは共通の土俵で外交・防衛政策の優劣を競い合う方向に努力し、国際軍縮の推進、自衛隊をよりスリム化、リストラをするため、新しい安全保障政策の策定に着手しているところであります。そして、我が国の進路を、経済大国は同時に軍事大国にならなければならないという思考ではなく、我が国の経済力と技術力を国際社会の平和と繁栄のため最大限に役立てていくことだと考えます。
 そこでお伺いいたします。
 この村山連立内閣は、これまでの外交・防衛政策を継承しつつも、軍縮を基調とし、防衛力整備に当たっては常に定性・定量的に抑制していく考えを共有しておられるのかどうか。また、日本の今後の安全保障、国際貢献のあり方、国連安保理常任理事国入り問題など、すなわち二十一世紀を展望した国家ビジョンについてどのようにお考えか。与党三党の党首でもある村山総理並びに河野、武村両大臣から、それぞれ明確な御見解を賜りたいと存じます。(拍手)
 最後に、村山総理、以上私はみずからの所見と提言を交えて幾つかの重要課題について質問してまいりました。与党質問としては多少型破りで、耳ざわりの点もあったかと存じますが、昨年来の社会党の苦悩もちりばめて、国民の皆さんに御理解と御協力を求めたかったのであります。そもそも、私のような経歴の持ち主が自民党をも代表してここに立っていること自体が歴史の大きな変わり目であることを物語っており、村山連立内閣の性格をあらわしていると言えましょう。(拍手)
 総理、村山内閣の抱える課題は余りにも多く、かつ重たいものばかりであります。よく一内閣一課題と言われますが、どれをとってもそれに匹敵するような大きな課題を幾つも抱え、それらを集中的に処理していかねばならないだけに、あなたの御苦労と多忙さはこれまでの総理以上のものがあると思われます。しかし、逡巡するわけにはまいりません。そろそろ社会党らしい骨っぽさを見せてほしいと期待する声も多いことを御留意願いたい。(拍手)
 与党三党も、いま一度、村山政権誕生に至った原点を再確認し、村山内閣を支えながら、直面している内外の諸課題を適宜的確に処理して国民の負託にこたえていく決意を表明して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
#10
○内閣総理大臣(村山富市君) 上原議員の質問にお答えを申し上げます。
 まず、昨夜発生しました北海道東方沖を震源とする地震に伴い被災されました皆様方には、心からお見舞い申し上げます。政府といたしましては、今回の地震による災害に対し、被害状況の的確な把握に努めるとともに、電気、水道等ライフライン、道路等被災施設の早期復旧等に全力を挙げることといたしております。今後とも、事態の推移に応じ、対策に万全を期してまいりたいと考えております。なお、これらの対策が円滑に実施されるよう、本日午前十一時より災害対策関係省庁連絡会議を開催いたしておりますので、御報告をいたしておきます。
 次に、政権発足後三カ月間の感想と今後の決意についてのお尋ねがございました。
 このたびの内閣は、これまで別の道を歩んできた三党派が、長く続いたいわゆる五五年体制に終止符を打ち、さらに一年近くの連立政権の経験を検証する中から、イデオロギー論争を超えた具体的な政策合意を求めて結集したものでございます。
 このような政権の歴史的意義を踏まえ、この三カ月間、連立三党派はそれぞれに自己改革を遂げようと努めながら、開かれた論議を重ね、内政、外交にわたる懸案の重要課題について一つ一つ着実に改革の方向を見出してまいりました。これにより、「人にやさしい政治」、国民から安心感を持って迎えられる政治の実現に向けて大きな歩みが始まったものと確信をいたしております。このことは、連立政権が過去の行きがかりを超えてなし遂げた成果だったと考えておるところでございます。(拍手)
 しかしながら、所信表明演説でも申し上げましたとおり、この内閣がその真価が問われるのはこれからであります。私は、二十一世紀を見据えて大胆な政治、経済、社会の改革を実現していくために、民主的で透明度の高い政権運営を行いつつ、思い切った政治のリーダーシップを発揮していく決意でございます。今国会はそのような改革に向けての大きなステップとなるべきものと考えております。皆様の御理解と御協力をお願い申し上げる次第でございます。(拍手)
 次に、戦後五十周年に向け、政府に対策チームを設けるとともに、戦後五十周年問題懇談会を設置すべきとの御意見がございました。また、戦後五十周年問題解決に関する所見と決意についてのお尋ねがございました。
 さきに発表いたしました私の談話において、戦後五十周年に向けての政府の対外的問題全般への取り組みについて、村山内閣として基本的考え方を示したところでございます。所信表明演説においても述べたとおり、戦後五十周年に当たる来年度より、歴史研究支援事業と各種交流事業の拡充を二本柱とする平和友好交流計画を発足させます。また、残された戦後処理の課題についても、今後とも誠意を持って対応していきたいと考えております。
 我が国がアジア近隣諸国等との間で、過去を克服をし二十一世紀に向けて相互理解と相互信頼に基づく関係を構築していくことは、ひとり政府のみにおいてなし得ることではなく、国民各界各層の幅広い参加が必要であると考えております。私の談話の具体化に当たっては、国民各界各層の御意見も伺いながらこれを実施してまいりたいと考えているところでございます。
 なお、さきの談話の中で、特に従軍慰安婦問題に関しては、政府は幅広い国民参加の道を国民の皆様とともに探求してまいりたい旨表明したところでございますが、国民の皆様の御意見を広く徴しつつ、その具体的取り組みの方法につき鋭意検討してまいりたいと考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、戦後五十周年を契機に、広く民意を結集しながらこの問題を解決していくことは村山内閣の重大な使命であり、責務であると心得ておりますから、上原議員の御意見も参考にさせていただきながら、誠心誠意この問題に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。(拍手)
 次に、区割り法案についてのお尋ねがございました。
 去る八月十一日に衆議院議員選挙区画定審議会からいただいた選挙区の画定案についての勧告を尊重し、勧告どおりに選挙区の画定を行うことを内容とする区割り法案、すなわち公職選挙法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を昨日国会に提案をいたしました。この法案が成立することによって、衆議院の選挙制度の改革、政治資金制度の改革及び政党助成制度が初めて施行されることとなりますので、法案の早期成立に向けて最大の努力を尽くす決意でございますが、皆様方の御協力をお願い申し上げます。
 次に、与党で御検討の公職選挙法改正案などについてのお尋ねでございますが、公職選挙法の改正案につきましては昨日国会に提出したとおりであります。この法案は、政治腐敗防止策をさらに強化するために、組織的選挙運動管理者等を連座の対象とすることや、小選挙区選挙における連座の効果を比例代表選挙に及ぼすこと等を内容とするものであります。また、政党への法人格付与法案は、政党交付金を受けることに伴って生ずる社会的責務の重要性等にかんがみ、政党の政治活動の自由を制限しないよう配慮しながら、その交付対象となる政党を法的主体として明確に位置づけること等を内容としていると聞いております。これらの法案はいずれも、既に成立を見ている選挙制度、政治資金制度の改革を強化補充するものであると受けとめております。
 なお、政治資金収支報告書のコピー問題については、与党各党間で、政治資金等の収支をできる限り透明とするため、収支報告書のコピーをできるよう関係法の改正を各党で十分議論し、検討の上、今臨時国会中に結論を得ることとされていると承っておりますが、各党間で十分御議論をいただきたいと考えているところでございます。
 次に、税制を国民にどのように説明し、理解を求めるのかとのお尋ねでございました。
 今回の税制改革は、活力ある福祉社会の実現を目指す視点に立ち、中堅所得者層を中心とした累進構造の緩和を柱とする個人所得課税の負担軽減を行う一方で、歳出面の諸施策を安定的に維持していくために、社会の構成員が広く税負担を分かち合えるよう消費課税の充実を行うものであり、その実現のためには、税制改革の趣旨、内容についての国民の皆様の御理解が何よりも重要と考えているところでございます。特に社会保障を初め、増加する財政需要に対応し負担をお願いしていかなければならない状況にあることも考えますと、御指摘のように、今後とも引き続き行財政改革の積極的な推進や税負担の公平確保に努めていくことは極めて重要であると考えているところでございます。
 特に行財政改革につきましては、今般、与党が取りまとめられました「行政改革を進めるに当たっての基本方針」を踏まえ、具体的方策を検討するように私から各大臣に対して指示をしたところでございまして、今後、各省におきまして平成六年度内にすべての特殊法人の見直しを行うなど改革策の具体化に努力しているほか、歳出の節減合理化等についても、予算編成過程等を通じて検討、具体化を図ることなどを通じて国民の理解が得られるよう努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、いわゆる不公平税制についてのお尋ねがございました。
 税負担の公平確保につきましては、従来から不断の努力を続けてきているところでございますが、今後とも絶えず追求をされるべき事柄であると考えています。今回の税制改革では、課税の公平性、中立性の確保の観点から、消費税のいわゆる益税問題などに関して抜本的な見直しを行うなど既に取り組んでいるところでございますが、納税者番号制度、利子・株式等譲渡益課税、租税特別措置等、懸案となっている諸事項についてもさらに検討を進め、納税者の期待にこたえてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、福祉プログラムの策定推進についてのお尋ねがございましたが、今般の税制改革に当たっては、与党における御議論の結果、少子・高齢社会に向けて当面緊急を要する施策について一定の福祉財源措置が講じられたところでございます。
 そこで、福祉問題についての今後の具体的な取り組みでございますが、年金改正法案については一日も早い成立をお願いするとともに、また、当面、政府及び与党において、新ゴールドプラン、エンゼルプラン等の内容について早急に詰めを行うとともに、年金・医療等の自然増等の推計を行うなど、将来の社会保障の具体的な姿と必要な経費の規模も明らかにしながら、鋭意検討してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、情報公開についてのお尋ねがございましたが、行政情報の公開は、公正で民主的な行政運営を実現し行政に対する国民の信頼を確保する観点から、積極的に取り組むべき重要な課題であると考えています。行政情報の公開に係る制度の問題につきましては、その調査審議を任務の一つとする行政改革委員会設置法案をこの国会に提出しているところでございます。同委員会設置法案については、国会で速やかに御審議をいただき、その早期成立をぜひともお願い申し上げます。同委員会の設置を認めていただきましたなら、行政情報公開制度につきまして速やかに検討を始めていただくよう準備を進めてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、地方分権の推進についてのお尋ねがございましたが、先般、全国知事会を初めとする地方六団体から、地方自治法に基づく初めての意見具申として地方分権の推進に関する意見の申し出がなされたところでございます。地方分権の推進につきましては、先ほども申し上げましたように、政府としても、現在、行政改革推進本部に設置されております地方分権部会において大綱方針の骨格の検討を行っているところでございますが、今回の意見の申し出の内容をも踏まえながら、その推進に努めてまいりたいと考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、地方分権の推進は何としてもなし遂げなければならない課題であります。住民に身近な問題は身近な地方公共団体が担っていくことを基本として、二十一世紀に向けた時代にふさわしい地方自治を確立するため、私といたしましても、具体的な成果を上げるべく強い決意でこれに取り組んでいく覚悟でございます。
 次に、行財政改革の推進についてのお尋ねがございました。
 行財政改革の推進は、この内閣が全力を傾けて取り組まねばならない課題であると認識をいたしております。このため、政府といたしましても、与党の「行政改革を進めるに当たっての基本方針」を踏まえながら、行政改革の推進に積極的に取り組んでいくこととしておりまして、既に私から各大臣に対して、具体的方策を検討するよう指示いたしておるところでございます。行政改革の推進につきましては、これまで衆知を集めて論議を積み重ねてまいりましたが、今後は、何よりもその具体化、実行が求められております。内閣といたしましても責任を持って取り組んでまいりたいと思いますが、御指摘のように、これからも各方面の御意見にも十分耳を傾けてまいりたいと考えております。
 次に、先般の防衛施設庁長官の発言についての御質問がございました。
 まず初めに、沖縄県民の皆様には、戦中戦後を通じて多大の犠牲と御苦労をおかけしていることに、改めて申しわけなく思っていることを申し上げます。特に戦後は、長期にわたって米軍の占領支配下にあったこと、復帰後も広大な米軍基地が存在していて、県民の皆様には、多くの御迷惑をかけながら御協力をいただいていること等について心から感謝を申し上げたいと思います。(拍手)
 防衛施設庁長官の、基地と共存・共生云々などという発言は、沖縄の県民感情に配慮したものではなく、沖縄県民の皆様に大変御迷惑をおかけしたことは、まことに遺憾に存じます。本件につきましては、後ほど防衛庁長官から答弁があると存じますが、防衛庁において適切に措置させることといたしております。
 次に、米軍基地についてのお尋ねがございました。
 政府といたしましては、安保条約の目的や我が国の条約上の義務と地域住民の強い御要望との調和を図りながら、基地の整理縮小について早期に進展が得られるよう米国政府と十分協議をし、引き続き鋭意努力していきたいと考えていることを申し上げておきたいと思います。
 次に、今後の沖縄に関する諸施策の推進についてのお尋ねでありますが、沖縄については、本土に復帰してから二十年余りが経過し、この間、沖縄の振興開発のための諸施策が講じられた結果、本土との格差が次第に縮小されるなど、沖縄の経済社会は総体として着実に発展してまいりました。しかしながら、生活・産業基盤の面ではなお整備を要するものが多く見られるとともに、産業振興や雇用の問題など解決をしなければならない多くの課題を抱えておると思われます。このため、沖縄の経済社会の現状を踏まえ、第三次沖縄振興開発計画に基づき、所要予算の確保、諸施策の推進等を図ってきたところでありますが、今後とも、活力と潤いのある沖縄県の実現に向けて、沖縄の振興開発を鋭意進めてまいりたいと考えているところでございます。(拍手)
 次に、円高の景気の見通しに及ぼす影響等についてのお尋ねがございました。
 景気全体の動向は、このところ明るさが広がってきており、緩やかながら回復の方向に向かっております。他方、こうした中にあって、御指摘のように、急激な円高は懸念要因であります。円高は輸出入の両面から経済に影響を与えますが、急激な円高は、輸出産業の円建ての手取りを減少させ企業収益を圧迫することから、企業活動に悪影響を与える面があり、為替の動向には今後も細心の注意を払っていく必要があると考えています。
 産業の空洞化についての御懸念の点でありますが、急激な円高などを背景に、コスト面の優位性などを求めて、今後さらに製造業を中心に海外進出が進展する可能性もあると見られます。それが行き過ぎた場合、国内製造業の空洞化が生じるのではないかという懸念があることは十分認識をしているところでございます。こうした状況のもと、我が国産業が、雇用の確保をしつつ、新規事業分野を開拓し、創造性豊かな産業へと脱皮することが重要であると考えております。政府といたしましては、科学技術や学術の振興など未来への発展基盤の整備とあわせて、産業・雇用構造の転換の円滑化の観点から、経済、産業政策と雇用対策の整合性を確保しながら、一体的、総合的な政策を推進してまいる所存でございます。
 次に、日米包括経済協議のお尋ねがございました。
 今回の妥結が、包括経済協議の大きな成果として、同協議のその他の分野における協議にもよい影響をもたらすとともに、日米関係全体にも好影響を及ぼすものと期待いたしております。また、今回の妥結は、包括協議開始以降十五カ月目にして得られたものであり、現内閣による努力の大きな成果であるとともに、現内閣が米国との間で信頼関係を築いていることの証左であると考えています。(拍手)
 他方、今般、米国が同国の一九七四年通商法三〇一条に基づき我が国の補修用自動車部品の分野について不公正貿易慣行の特定を行ったことは、極めて遺憾であると言わなければなりません。自動車部品の分野におきましては、近時、日米の関係業界の協力によりその取引の大幅な拡大が見られ、また、我が国としては、補修用部品についても安全性の確保を前提に真剣に規制緩和を検討するなど、包括経済協議においても誠実かつ精力的に取り組んできたにもかかわらず、今般、米国がかかる一方的な手続を開始することとしたことは、日米両国政府が追求してきている多角的自由貿易体制の維持強化という目的と相入れないものであります。米側の良識ある対応に期待するところでございます。
 なお、自動車分野につきましては、今回の三〇一条による特定を踏まえてどのような対応をするかは、当面冷却期間を置くことも含め、今後検討していくこととしておりますが、その他の分野については、今般の協議の大きな成果を基礎としつつ、引き続き早期の妥結を目指していくこととしておるところでございます。
 いずれにいたしましても、日米両国政府間においては、両国間の幅広い協力関係の重要性について明確な認識の一致があり、包括経済協議等を通じて、我が国としては、引き続きこうした協力関係の強化に努力を傾注していく所存であることを申し上げておきたいと存じます。
 次に、WTO設立の意義についてのお尋ねがございました。WTOは、一方的措置、二国間主義、地域主義への傾斜が見られる中で、多角的自由貿易体制を維持強化することを目的として行われてきたウルグアイ・ラウンド交渉の成果として設立される国際機関であり、今後の多角的自由貿易体制の中核的役割を果たすことが期待されているところでございます。我が国といたしましては、貿易立国である我が国にとって、世界経済の拡大と繁栄なくして我が国経済の繁栄もないという信念のもとに、一層の貿易の自由化を初めとして、多角的自由貿易体制の維持強化のために積極的に貢献していく必要があると考えているところでございます。
 次に、中山間地域などの農山村地域の活性化についてのお尋ねがございました。
 政府は、これまでも、地域の自主性と創意工夫を生かした農林業の振興を基本として、農業・農村の活性化のための総合的な施策を講じてきたところでございます。農山村地域についても、特色ある地域条件を生かしながら、高収益農業の展開を初め、多様な就業機会の確保、アクセス条件の改善、生活環境基盤の整備等の各種施策を着実に推進していく必要があると考えているところでございます。昨日、四日の緊急農業農村対策本部において了承されましたウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策大綱骨子においてもそのような施策が提示されているところでございまして、今後、具体的な内容を取りまとめていきたいと考えているところでございます。
 次に、食管制度の改正についてのお尋ねがございましたが、同制度につきましては、制度と実態とが乖離している等の指摘もなされているところであり、先般の農政審議会においても、こうした点を踏まえ、その抜本的な見直しが必要との報告がされているところでございます。また、十月四日に開催されました緊急農業農村対策本部におきましても、御指摘の趣旨を内容として、現行の食管制度を廃止し新たな法制度のもとに米管理システムを構築するとの考えがまとめられつつあることを申し上げておきたいと存じます。政府としては、このような考えに即して、米の需給及び価格の安定が図られる新たな米管理システムを構築するとの観点に立って検討を行い、成案を得て今国会に提案をしてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、森林・林業全体の施策の見直しをすべきではないかという御質問がございました。
 森林は緑と水の源泉であり、地球環境の保全、豊かな国民生活の実現のためにも、これを次の世代へ引き継いていくことが大切であると考えています。このため、森林の流域管理システムの推進を基本とし、森林・林業に関する計画的な投資を図るための森林整備事業計画等を策定し、着実に実施してまいりたいと考えています。これらの施策については、必要があれば見直しを行いつつ、今後とも、森林の整備、林業担い手の育成確保等の各般の施策を総合的に展開してまいる所存でございます。
 次に、男女共同参画社会の形成についてのお尋ねがございましたが、男性と女性が優しく支え合い、喜びも責任も分かち合う男女共同参画社会の形成は、非常に重要な課題であります。そのため女性の社会参加を進める必要があり、国の審議会委員についても、女性の割合を平成七年度までに一五%にするという目標を立てて取り組んでおります。昭和五十年には二・四%でしたが、本年八月末現在には一二・一%まで高まっています。目標達成に向けて、九月二十七日の閣僚懇談会においても、男女共同参画推進副本部長である内閣官房長官・女性問題担当から、各省庁大臣に対して目標達成についての御尽力と御協力をお願いしたところでございます。来年は第四回世界女性会議が北京で開催されることもあり、男女共同参画推進本部長としてその目標の達成に向けてさらに努力をし、国の施策方針決定への女性の参画を進めてまいる所存でございます。
 次に、安全保障、防衛問題等々に関連をして御質問がございました。上原議員の質問を拝聴しながら、これまで取り組んできた社会党の運動等々を顧みながら、実に感慨深いものがございました。
 我が国の防衛政策につきましては、国の安全を一層確固としたものとするには、国際社会をより平和で安定したものとしていくことが肝要であります。国際社会における軍備管理・軍縮の動きは、このような観点から見て歓迎すべきものであり、我が国としてもこのような軍備管理・軍縮の促進を訴えていくことが必要であると考えています。他方、我が国の防衛力は、独立国として必要最小限の基盤的防衛力として整備してきたものであります。我が国としては、周辺諸国との信頼関係の構築を進めつつ、今後の我が国の防衛力のあり方についても検討を行っておりますが、冷戦後の国際情勢の変化、国際社会における軍縮の流れ、将来における人的資源の制約の増大、科学技術の進歩、一段と厳しさ、深刻さを増している財政事情等を踏まえて、今後とも慎重に検討することが必要であると考えています。
 次に、我が国の国際貢献のあり方、国家ビジョンなどについてのお尋ねでありますが、冷戦後の国際社会において、世界の平和と繁栄に向け、従来以上に我が国の役割が求められていると考えます。このような中で、我が国としては、地域紛争の平和的解決、途上国や旧社会主義国への支援、環境、人口等の地球規模の問題等を初めとする幅広い分野において、従来以上に積極的な役割を果たしていきたいと考えているところでございます。
 また、御指摘の国連に対する我が国の貢献につきましては、我が国は、憲法が禁ずる武力の行使は行いませんが、国際平和維持活動や軍縮・不拡散、経済、社会分野等の問題について引き続き積極的な貢献を行うとともに、国連の改革と機能強化に積極的に取り組み、多くの国の賛同と国民の一層の理解を得ながら、安保理常任理事国としての責任を果たす用意があることを申し上げておきたいと存じます。
 上原議員の自余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
    〔国務大臣河野洋平君登壇〕
#11
○国務大臣(河野洋平君) 戦後処理の問題について申し上げます。
 さきの大戦にかかわる賠償、財産、請求権の問題につきましては、サンフランシスコ平和条約、二国間の平和条約及びその他の関連する条約などに従って、我が国は誠実に対応してきているところでございます。このような我が国の立場は堅持しつつ、さきに総理より御答弁がありましたとおり、戦後五十周年に向けての政府の対外的問題全体への取り組みについては、私としても、今後とも総理談話の具体化に向けて努力してまいりたいと考えております。
 包括協議についてお尋ねがございました。
 日米関係は、政治面を初め安全保障あるいは文化、経済、さまざまな分野で極めて良好な関係を維持しております。極めて重要な二国間関係であることは御承知のとおりでございます。この関係が、ことしの二月、交渉が行き詰まって、大人の関係とかいって決裂の状態になったということは、極めて残念なことでございました。こうした異常な事態というものは、経済にもいろいろな影響をもたらすわけでございまして、こうした事態をきちっと思い起こしながら、橋本通産大臣とともに、原則を貫きながら、合意を求めるために不眠不休の努力を続けたところでございます。今後とも主張すべき点ははっきりと主張しながら、両国が幅広い協力関係にあるということをきちっと認識をして、引き続き早期妥結のために努力をすべきものと考えます。
 二十一世紀の国際社会についても重要なことは、平和と持続可能な繁栄であろうと思います。そのため国連は、国際の平和と安全とともに、軍縮・不拡散、さらには環境とか開発とか人口、難民、エイズ、こういった地球規模の、そして人類の死活にかかわる問題の解決が期待をされることと思います。我々は、我々の立場あるいは我々の知見というものを踏まえて、国際社会のためにさらに貢献していかなければならない、こう考えているところでございます。(拍手)
    〔国務大臣武村正義君登壇〕
#12
○国務大臣(武村正義君) 来年は戦後ちょうど五十年を迎えますが、今でもなお、さきの戦争の評価やそれに関連する諸問題をめぐってさまざまな論議がございます。私は、この機会に改めて、あの時期の日本民族の思想と足跡について、冷静で客観的な歴史研究や幅広い視野からの総括が行われてもよいのではないかというふうに考えております。与党においては、既に戦後五十年問題プロジェクトチームが設置をされて、この問題について精力的に検討を始めていただいております。
 いずれにしましても、五十年を機に、さきの戦争の反省に立ちながら、新たな五十年へ向かって自信を持って再出発ができるように取り組んでいく必要があると考えます。政府の平和友好交流計画はその一環の考え方であるというふうに認識をいたしております。
 世界と日本の将来についてのお尋ねでございますが、私どもの党は、結党以来、政治的、軍事的大国主義を目指さないということを標榜してまいりました。この基本的な考え方に立って今後も政治活動を貫いてまいります。
 国際社会とのかかわりにつきましては、改めて現憲法の掲げる平和への崇高な理想を再確認いたしたいと思います。したがいまして、軍事力に頼ることなく、環境問題、人口、貧困など地球的な規模の深刻な問題の解決に目を向けてまいります。いわゆるグローバル・シビリアンパワーとしての共存への貢献を重視をしてまいりたいと考えます。この姿勢は、村山総理の最初の所信表明演説でも述べられておりますし、村山内閣の基本姿勢とも合致するものと考えます。
 安保理常任理事国入り問題も、日本国憲法のもと、こうした考え方に沿って国連改革とその機能強化を実現をし、その中で国民の一層の理解を得て最終的な判断をすべきだと考えております。また、我が国のこうした考え方が将来世界の幅広い認識となれば、軍縮という人類共通の高い目標もおのずと現実の問題となってくるものと考えております。(拍手)
    〔国務大臣玉沢徳一郎君登壇〕
#13
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 上原議員の御質問にお答えいたします。
 まずもって、先般の防衛施設庁長官の発言はさまざまな配慮に欠けるものでありました。しかし、その発言の真意は、今日まで沖縄県民の皆様が強く要望されてまいりました基地の整理統合を否定したものではなく、むしろ整理統合を大前提に、どうすればこれを円滑かつ迅速に進めることができるかという観点から、基地行政の責任者としてその心情を述べようとしたものであったと承知いたしております。
 しかし、基地と共存、共生云々といった発言は、整理統合の背景にある沖縄の密度の高い基地事情からくる県民感情に配慮した表現ではなかったため、県民の皆様に大変御迷惑をおかけいたしましたことはまことに遺憾であり、これを撤回させることといたします。
 また、社会党の基本政策に言及したこと、県当局のこれまでの基地行政に対する取り組み方、さらにはいわゆる軍転特措法案に関する考え方等に触れた不適切な発言についても、同様にこれを撤回させることといたします。
 私は、基地行政に地元住民及び県当局等の理解と協力が肝要であり、地元の感情等にも十分配慮して発言するよう厳重に注意したところであり、本人も深く反省、自覚し、県民の皆様に御迷惑をおかけしたことについて深くおわびをいたしております。私からも重ねておわびをいたしますとともに、今後とも整理統合問題に進展が得られますよう、積極的に指導、支援し、見守る所存であります。
 次に、沖縄の基地問題についてのお尋ねでありましたが、沖縄県における米軍施設、区域の安定的使用の確保は、日米安保条約の目的達成のため重要であります。しかし、一方において沖縄県の米軍基地は、県土面積に占める割合が高く、整理統合のより一層の促進が必要であります。このため、平成二年六月に日米間で返還に向けて作業を進めることが合意されましたいわゆる二十三事案のうち、残された事案の促進を初め、地元から特に要望の強い読谷補助飛行場の返還等三つの事案等につきましても、一つでも多く解決できるよう努力していく所存であります。一方、米軍の実施する訓練に際しましては、住民の安全確保等に十分配慮するよう機会あるごとに米国側に注意を喚起するとともに、環境整備事業等の施策を講じております。
 私は、九月の訪米の際、ペリー国防長官に整理統合と住民の安全確保を要請したところでありまして、今後とも、安保条約の目的達成と地域住民の要望とめ調和を図りつつ、整理統合等に進展が得られますよう引き続き努力していく所存であります。
 以上です。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(土井たか子君) 近江巳記夫さん。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔近江巳記夫君登壇〕
#15
○近江巳記夫君 私は、このたび新しく結成されました統一会派改革の同志の皆さんの御同意を得、改革を代表いたしまして、当面の山積する内外の諸課題につきまして、村山総理に質問をいたします。
 質問に先立ちまして、昨夜釧路沖で発生いたしましたマグニチュード七・九の北海道東方沖地震は、北海道、東北地方だけではなく、広域にわたり影響を及ぼしました。特に釧路地方では、多数の負傷者を初め、道路やガス管、水道施設などにも被害をもたらしております。被災地の皆様方には心よりお見舞いを申し上げます。まだ被害の全貌はわかっておりませんが、十分に調査し、政府は早急に救援・復旧対策に取り組むべきであります。
 また、さきの奥尻島の地震も大きな被害を生みましたが、従来より心配されております東海沖を初め、地震に対する予知や災害対策時に万全を期することを改めて要請いたします。これについて、総理の御意見をお伺いいたします。
 さて、戦後半世紀を経過しようとする我が国は、政治はもとより、経済、社会、教育、国際関係など各分野にわたって、これまでのシステムを抜本的に再検討し、新しい時代に向かって勇気を持って改革を進めていくことが求められているのであります。
 私は、この歴史的な変革の時代において、政治がリーダーシップを持つことが何よりも重要だと思うのであります。過去の歴史を振り返り、現状を十分に認識し、さらに先見性を持って時代をリードしていくことこそが政治に課せられた責務であります。我々が掲げている「責任ある政治」と「たゆまざる改革」こそが、明るい、希望ある日本の二十一世紀を切り開く道であると信ずるものであります。私たちが新しく百八十七名に達する統一会派改革を結成いたしましたのも、この目的を達成するためであります。
 さて、村山内閣が発足してから既に三カ月が経過いたしましたが、私どもが指摘し、心配していたとおり、この内閣には理念も展望も時代認識もなく、ましてや改革への意欲は何もうかがうことはできないのであります。(拍手)特に、過去に相対立し、批判し合ってきた社会党と自民党が政策、理念もなく連立した野合政権と言われる村山内閣の矛盾が、ますます浮き彫りになってきたことを痛感するものであります。(拍手)私は、まず初めに、村山総理に政治の基本的な問題についてお伺いをいたします。第一に、議会制民主主義と政党政治についてであります。
 一年前の総選挙において、総理の所属する社会党は、「カネとウソの自民党政権は今度で終わりに」という公約を掲げたのであります。さらに、国民に約束したことは、非自民党政権、自衛隊達意、非武装中立、日米安保反対でありました。五年前の参議院選挙では消費税廃止を掲げて大勝利したのも、いまだ記憶に新しいところであります。
 しかし、現在の社会党は、自民党と連立政権をつくった上、これらの基本政策をすべて転換したのであります。国民への公約を守ることは議会制民主主義の前提であります。主権者である国民に対し政党が公約を守らなかったら、民主主義や政党政治はどうなるのでありましょうか。選挙で選ばれた国民の代表者が当選後に公約を覆すならば、これは議会制民主主義の死に値する暴挙であると私は思うのであります。村山総理は、議会制民主主義と政党の公約についていかなる見解をお持ちなのか、お伺いしたいのであります。
 社会党本部に掲げられていた「消費税率引上げ反対運動推進本部」の看板がいつの間にかこっそりと取り外されていたことは、余りにも政党として悲しいことではありませんか。いや、もっと悲しみ憤るのは、公約を信じて一票を投じた国民であります。この点について、総理に感想があればお聞かせ願いたいのであります。
 第二には、総理の憲法に対する認識についてであります。
 護憲、すなわち憲法を守ることは、いずれの政党にとっても極めて当たり前のことでありますが、これをあたかも専売特許のように喧伝してきたのが社会党であります。去る九月三日に行われました社会党の第六十一回臨時党大会で採択された「当面する政局に臨むわが党の基本姿勢」の中の「村山連立政権とわが党の役割」によりますると、今日の防衛費世界第二位の現状を招いた責任は、解釈故意を重ねて自衛隊の肥大化を進めてきた自民党と、それを阻止できなかった社会党にあるとしております。
 それでは、総理に伺いたい。社会党は、今回突然自衛隊を合意としたのは、解釈改憲ということなのでしょうか。また、冷戦中は自衛隊が違憲で、冷戦が終結すれば自衛隊が合憲になるというのでありましょうか。従来の違憲という憲法判断が誤りであったのかどうか、また、今回社会党が自衛隊を合意とした理由を明らかにすることを要求するものであります。(拍手)
 憲法といえば国の基本であります。幾ら護憲、護憲といっても、憲法の中身の解釈が百八十度異なるなら護憲の旗はおろすべきであります。これを軽々に扱う内閣は政権を担当する資格はありません。(拍手)その点もあわせて総理に伺いたいのであります。
 第三に、社会党の基本政策の転換と連立政権の政策決定の実態についてであります。
 社会党は、みずから総理を出し、政権を維持していくためには、従来の基本政策を変更せざるを得ないと説明しております。しかし、私は、これこそ社会党の従来の理念、基本政策の行き詰まりと破綻の証明であることをみずからが認めたことであると思うのであります。(拍手)社会党の政策は、建前だけで、政権を担当できる基本政策はなかった。すなわち、政権をとったら一夜にして百八十度変えなければならない政策をこれまで掲げていたことを総理はお認めになるのかどうか、政策の破綻をお認めになるのかどうか、総理の見解を伺いたいのであります。(拍手)
 ドイツ社会民主党、SPDは、一九五九年にバートゴーデスベルク綱領でマルクス主義の伝統から離脱し、国民政党に脱皮し、その後十年を経て、国民の理解を得て、自由民主党と連立を組み、十三年間にわたって政権を担当したのであります。SPDと社会党を比べたとき、社会党が一たび政権につき、それを維持するためには党の理念も政策もいとも簡単に捨てたということがいかに歴史的にも異例なことなのか、国際的にも日本の政治に対する信頼を失うものではないのか、村山総理は深刻に考えるべきであります。(拍手)
 村山内閣は、社会党の基本政策の破綻により、数はそろえてみたものの、政治がリーダーシップを発揮していないことは紛れもない事実であります。国民の立場を考えてではなく、社会党の立場を考えてとか、社会党に配慮をしてとか、社会党の顔を立ててとかいう言葉がよく耳に聞こえてくるのはどうしたことでありましょうか。
 税制改革、ザイールヘの自衛隊派遣での機関銃問題など、重要な課題がすったもんだで、結局ポリシーのない、足して二で割るような結論しか出すことができないことを深く憂うるものであります。これを「透明で民主的な論議を通じて」などと言っているのは、国民不在の政治そのものであると思うのでありますが、総理の見解を伺いたい。(拍手)
 第四に、村山内閣は自民党の復権に手をかした守旧派政権であるということであります。
 総理、あなたは自民党の利権と汚職の利益誘導型政治は是正されたと考えているのでありましょうか。自民党の族議員の復権はなくなったのか、政官業の癒着体質は解体されたのでありましょうか。また、官僚主導の政治、予算編成が打破されたのでしょうか。政権に復帰した自民党は、これらの点に対し、国民の琴線に触れる改革は何も認めることはできないのであります。これらは、社会党臨時党大会で採択されました「村山連立内閣とわが党の役割」の中で、社会党の政権に参加する際の役割として列記された点でありますが、総理は、これらの問題に対し具体的に改革されたのか、また、どのように改革させようとしているのか示されたい。
 竹下元総理がまたこのたび自民党会派へ復帰いたしましたが、自民党としてのけじめは全くなく、そこには政治倫理の欠如という体質があらわされております。村山総理は、竹下元総理の証人喚問並びに議員辞職勧告決議案提出当時の国対委員長でありました。総理は、竹下氏の証人喚問後の会見で、竹下政権成立の際に暴力団がかかわっていたことは明白であり、竹下氏は政治責任をとって議員を辞職すべきだと述べております。当時の見解や辞職勧告などの対応は誤っていたのかどうか、明らかにされたいのであります。(拍手)
 今回、竹下氏の自民党会派への復帰に対して、総理は、自民党のことだからと黙認されております。当時に比べ余りにも違う対応に唖然とするほかはありません。政権維持のためには政治倫理などはいとも簡単に放棄されるのでしょうか。見解を求めます。
 政治改革や腐敗防止は、自民党の構造的な金権汚職を根本から断ち切ることにあります。選挙制度や政治資金の改革は我々の手でようやく実現されることになりましたが、政治改革は終わってはいません。自民党の腐敗構造が改善されたとのあかしも示されてはおりません。不断に政治を刷新し、腐敗を防止していかなければならないと思うのであまりすが、総理の所信を伺いたいのであります。私は、自民党の金権腐敗政治を復活させようとしている村山内閣は、自民党の亜流政権であり、直ちに退陣すべきであると申し上げたいのであります。(拍手)
 さらに、私は、村山総理や与党の諸君が、この政権は二、三年は続けるなどと発言していることは、余りにも僭越であり、国民を愚弄するものであると申し上げたいのであります。新しい選挙制度のもとで速やかに国民の審判を求めるべきであります。民主主義の基本を考えれば、解散して国民の信を問うべきだと思うのでありますが、総理の所信をお伺いしたいのであります。
 以下、当面する内外の諸課題について具体的にお伺いいたします。
 まず、税制改革について伺います。
 税制改革は、昨年細川政権が誕生して以来最も重要な政治課題の一つとして、自民党と共産党を除く各党問で協議が行われ、改革の必要性や目標、目的について共通の認識が生まれていたのであります。だからこそ、さきの百二十九国会で、平成六年分所得税の特別減税のための臨時措置法の附則第五条におきまして、今年中に「税制全般の在り方について検討を加えて税制改革を行い、抜本的な所得税の減税を行う」ことを全会一致で決めたのであります。これは国民への公約であります。しかしながら、政府・与党が決めた今回の税制改革大綱は、税制全体のあり方も検討されず、抜本的な改革と言えるようなものとは全くなっていないのであります。総理は、今回示された大綱が、附則第五条の抜本改革であると胸を張って言える内容と認識しているのかどうか、明らかにしていただきたいのであります。(拍手)
 税制改革は、迫りくる高齢社会への対応をどうするのか、所得、資産、消費の税体系のバランス、中堅所得層の税負担の緩和、減税による当面の景気対策、さらには、自民党政権下で膨らんだ二百兆円を超える国債残高という財政危機をどうするのかといった最も国民生活に直結した課題にこたえるためのものであります。しかし、政府・与党の税制改革大綱は、これらすべての課題に対して明確な処方せんを示していないばかりか、いずれの問題に対しても中途半端に終わり、何のための改革なのかわかりません。哲学、理念なき税制改革案であるというゆえんでありますが、総理は、税制改革の基本理念をどのように考えているのか、お示し願いたいのであります。
 最も重要な目標である高齢社会への福祉は申しわけ程度で、しかも結果的には、建設国債という名の新たな借金によって財源の不足分を充当するというこそくな手段を講じているのであります。
 私は、総理に次の点を明らかにするよう要求するものであります。
 第一に、減税を二階建てとした理由は何か。定率減税をなくすときは大幅な増税になるのではないか。
 第二に、消費税の引き上げを五%とした根拠は何か。また、見直し条項で二段階とすることにしたのは、さらに六%、七%と引き上げることを念頭に置いているのかどうか、明らかにしていただきたい。
 第三には、今回の改革案ては、高齢社会へ向けての福祉には幾ら回ることになっているのか。厚生省が示した新ゴールドプランは来年から実施できるのかどうか。この税制改革案では将来の福祉ビジョンをどう描いているのか、明確にすべきであります。
 第四には、税制改革の前提は行財政改革であるとしてきた村山内閣が、その具体的内容を明示していないのは公約違反ではないのか。いつまでに示すのか。もし前提である行財政改革が実現できなければ税制改革は行わないということなのか、明確にしていただきたいのであります。(拍手)
 第五に、益税など消費税の見直しはこれで十分とお考えなのかということであります。
 以上の五点につきまして、総理の明確な説明をお伺いしたいのであります。
 国民のだれ一人、増税を願ったり喜ぶ者はおりません。高齢社会の福祉は、高齢者対策にとどまるものではなく、未来を担う働き手の負担の問題でもあります。活力ある社会が維持できるかにもかかわる避けて通れない問題でもあります。たとえ痛みを伴うものであっても、問題を先送りせず、国民に提起し、理解を求めていくという姿勢を忘れてはならないことを、私はあえてこの際申し上げておきたいと思います。(拍手)
 国民生活に直結した問題について、幾つか総理にお伺いいたします。
 日本経済は長期不況から脱出し、回復基調にあると言われてはおりますが、生活実感としてはまだまだ厳しいものがあります。残業がなくなった、パートも減った、ボーナスも減額されるなど、実質賃金が減少し、さらには雇用不安も生じているなど、働き盛りのお父さんにとっても家計を預かる主婦にも過酷な現実が突きつけられております。円高による企業の悲鳴も後を絶ちません。今、生活者に視点を置いたきめの細かい経済政策が何よりも必要であります。村山内閣は、この三カ月間、経済対策として一体何をしたのでありましょうか。私は、村山内閣が行った経済政策といえば、寡聞にして、公共料金値上げ凍結の唐突な解除と中途半端な税制改革案ぐらいしか思い浮かばないのであります。(拍手)
 そこでまず、公共料金について伺いたい。
 羽田内閣が国民生活や経済状況を考慮して行った公共料金の値上げ凍結を、村山内閣がいとも簡単にわずか二カ月でほごにしてしまったことに対しまして、今国会の強い怒りが渦を巻いておるのであります。民間企業が不況の中で血のにじむようなリストラを必死に行っているのをしり目に、公共事業体の合理化努力も極めて不十分なままに、安易に料金値上げを認める村山内閣の手法は、国民無視の政治そのものであります。来年四月からの高速道路の値上げも認可されましたが、流通コストの増大は避けられず、物価への波及は必至であります。これが果たして総理の言われる「人にやさしい政治」なのでしょうか。国民の前に公共料金の値上げ凍結解除の理由を明らかにしていただきたいのであります。(拍手)また、今後の公共料金の値上げ予定と、公共料金問題に対する総理の基本方針を示していただきたい。
 雇用問題は依然として深刻なものがあります。完全失業率が七月、八月と連続して三%と悪化しておりますが、今回は通常の景気回復局面とは違い、産業構造の転換などとも絡んでおり、景気の回復がすぐに雇用問題の解消につながるかどうかは極めて疑問であります。総理は、こうした認識に立って、これまでの雇用支援トータルプログラムの継続はもとより、さらに将来の高齢社会の労働力のあり方をあわせて検討した上での総合的でかつ強力な雇用支援策を検討すべきであると考えますが、いかがでしょうか。また、現在の雇用情勢をどう見ておられるのか。依然深刻な、女子学生を中心とした大学の新卒者の就職難への対応とあわせて見解を伺いたいのであります。
 規制緩和については、細川内閣で七百八十一項目、羽田内閣のときの行政改革推進本部において二百七十九項目にわたる緩和策をまとめてまいりました。しかしながら、村山内閣は、具体策どころか、そのやる気さえ見受けられないのであります。規制緩和とともに、内外価格差の是正も極めて重要でありますが、総理、何か検討されておられますか。あればあわせて明らかにしていただきたい。
 総理、我が国経済を取り巻く環境は、急激な円高とそれに伴う産業の海外移転の加速化、我が国の貿易黒字を背景にした諸外国の市場開放圧力、不良債権の処理など、バブル経済の清算、我が国金融市場の空洞化の懸念等々、その対応を誤れば日本経済の将来を危うくしかねない課題が山積しております。中でも、円高による製造業者を中心とした企業の生産拠点の海外移転は、我が国産業の空洞化、景気、雇用等、将来の日本経済に深刻な影響を及ぼしかねません。総理、円高対策はもちろんでありますが、我が国経済が大きな分岐点にあることを強く認識して、一刻も早く従来の産業構造の転換を図るための経済政策を打ち出すべきであります。
 私は、内需主導型の産業構造への転換とともに、技術立国日本を目指した新たなリーディング産業の創出と育成に全力を挙げ、将来への投資を惜しむべきではないと思うのであります。そのために、早期の政府研究開発投資の倍増、情報通信基盤の確立、税制面も含めた新産業への支援の拡充や基礎技術教育の充実を図るべきであると考えますが、総理の見解を伺いたいのであります。
 さて、日米包括経済協議についででありますが、難航の末、優先分野のうち自動車・同部品を除く分野での合意が成立しました。ただ、客観基準については、日米双方が合意を急ぐ余り玉虫色であると言わざるを得ず、既に日米間で解釈のずれが見えてきております。我が国は、自由貿易の堅持の立場からいわゆる数値目標は断固拒否していくべきであり、この点をいささかもあいまいにしてはなりません。総理は、今回の合意が将来において数値目標につながることはないのかどうか、また、自動車部品について米国政府は通商法による制裁を検討し始めましたが、この点について我が国への影響と今後の対応を伺いたいのであります。
 昨年十二月、細川内閣は、自民党の反対、社会党の難色という厳しい政治状況の中で、ガットの農業交渉における議長調停案を受け入れ、長年の懸案であったガット・ウルグアイ・ラウンドの合意にこぎつけました。世界の自由貿易体制の維持によって最も恩恵を受けている我が国にとって、極めて意義のあるものでありました。我が国として、今国会中に早急にラウンド関連条約の批准と法案の成立を図る必要があります。
 ウルグアイ・ラウンドの農業合意は、日本農業に一段と厳しい改革、立て直しを余儀なくさせるものでもあります。去る八月に農政審議会の報告がまとめられました。総理は、これをどのように受けとめられるのか、また具体的にどのように農業を改革されるのか、御説明願いたい。特に食糧管理制度について、廃止を含む抜本的改正を提言しておりますが、村山内閣の基本方針を伺いたい。特に、私は、農業の再生へ向けた抜本策を明示するよう要求するものであります。
 次に、外交・安全保障の問題についてお伺いいたします。
 村山総理は、就任以来、国会での本格的な論議もそこそこに、サミット出席を初め幾つかの外交日程を消化してまいりました。私は、村山内閣の外交・安全保障政策に極めて大きな危惧を持つものであります。国際社会の歴史的な変動の中で、我が国がいかなる役割を果たそうとしているのかの志というかバックボーンが全く見られないのであります。
 日本の国連安保理の常任理事国入り問題について、我々の主張によってようやく、河野外務大臣は先月二十七日、国連総会で常任理事国入りを目指す意思を表明いたしました。日本が常任理事国になり、国連を中心とした新しい平和秩序づくりに積極的に貢献していくことは、世界の平和への役割を一段と担うことを意味するものでもあり、憲法の精神にも合致するものと言えます。
 しかし、この問題では、自社さきがけの合意事項で、「わが国は背伸びをせず、」「国民的合意を踏まえて、慎重に対処する。」としており、その後も村山内閣の方針は逡巡を繰り返したのであります。しかも、村山内閣のあいまいな態度を逆に各国の首相から指摘されるなど、村山外交の指針なきふらつきは国際的にも大きなマイナスでありました。総理は、なぜ当初からの方針を転換したのか、また常任理事国入りによって何を行おうとしているのか、明確にしていただきたいのであります。また、「憲法が禁ずる武力の行使」の中にはPKO協力法に基づくいわゆるPKFは当然入らないと思いますが、「憲法が禁ずる武力の行使」の範囲について総理の明確な見解を伺います。
 関連して、PKOについて伺います。
 PKO協力法の人道的な国際救援活動としては初めてとなるルワンダの隣国ザイールヘの協力隊派遣の経緯は、極めて多くの問題があります。対応は余りにも遅く、隊員の安全確保が極めて不透明であります。政治の明確な判断と決定、指示がなければ、派遣されるPKO協力隊員に対して無責任であります。携帯する機関銃二丁ではまずくて一丁ならいいなどという議論を行っているのは余りにも貧困であります。総理は、PKOの本質、PKO協力法の内容を十分に理解しておられないのではないのかと思わざるを得ません。
 昨日まで自衛隊が憲法違反だと言い、PKO協力法に際しては議員辞職願まで提出した方々が与党の調査団として現地を訪問して果たして十分な対応ができるのでありましょうか。不安を抱くのは私だけではないのではないでしょうか。
 総理にお伺いいたしますが、第一に、ルワンダ及び周辺国の今日の情勢をどう認識しておられるのか。第二には、フランスを初めルワンダ周辺国に駐留していた。軍隊が撤退する中で、我が国がこの時期に派遣し、何をするのか。ツーレートではないかと思いますが、いかがお考えか。第三には、カンボジアのときとは違い、UNTACのような組織立った指揮系統が不明確で、我が国部隊の安全対策も自己完結で行わなければならない状況から見れば、政府の安全対策は極めて不備ではないか。隊員の安全は十分確保されるのかどうか。第四には、絵理は撤退もあり得るとしておりますが、具体的にどういう状況になれば撤退となるのか。以上め点について、総理の明快な答弁を賜りたいのであります。
 次に、安全保障政策について伺います。
 さて、村山総理はしきりに軍縮を口にされています。軍縮は手段であって目的ではありません。軍縮を言うからには、その目指すところの明確な安全保障像がなくてはなりませんが、肝心の中身についての具体的な主張は全く見当たりません。来年度の防衛予算の概算要求をめぐる与党内の議論を見ても、数字の抑制の議論だけではありませんか。軍縮のスローガンだけで実体がないのであります。結局は、在日駐留軍経費へのしわ寄せという結果に終わっております。軍縮を言うならば、総理は安全保障政策を国民に明確に示すべきであります。軍縮がなぜ必要なのか、現在の自衛隊をいつまでにどうするのかという具体的な中身、計画を明示すべきでありますが、総理の見解を伺います。防衛計画の大綱見直しを具体的にいつから、どういった基本方針で進めていかれるのかも明らかにしていただきたい。
 社会党の「平和への挑戦」という防衛政策案では「限定防衛」などと言っておりますが、言葉だけでその内容は全くわかりません。現在の政府が進めている専守防衛とはどう違うのか、御説明願いたい。また、政府は、平成七年度予算の概算要求で、戦域ミサイル防衛、TMDについての調査費を計上しておられますが、この点、社会党の考え方と違いがあると考えますが、総理の見解を伺います。
 私がこれまで指摘してまいりました政治、経済、行政などの重要な問題に加えて、被爆者援護法、情報公開法、戦後五十周年を迎えての懸案である戦後処理問題等々、国民生活に関する課題は山積しております。村山内閣はこうした課題をどう解決するのか、明確な姿が見えておりません。自社連立政権は政策不在の政権維持だけを目的とする大きな矛盾を抱えた改革先送り内閣であることは明白であります。(拍手)既に、村山内閣は、さきの参議院愛知再選挙において、明確に国民の不信任を受けているのであります。(拍手)
 議会制民主主義の本旨に立ち返って、村山総理は、衆議院小選挙区の区割り法案の成立を待って速やかに国民の信を問うべきであることを改めて主張し、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
#16
○内閣総理大臣(村山富市君) まず冒頭に、昨晩発生しました北海道東方沖を震源とする地震に伴い被災されました皆様方に、心からお見舞いを申し上げます。今後とも、事態の推移に応じて対策に万全を期してまいる決意でございます。
 なお、東海沖地震に関連をして御質問がございました。
 震災対策につきましては、政府として従来から災害対策の中でも特に緊急な課題であると認識しているところでございまして、このために、中央防災会議の決定に基づき、都市防災化の推進、防災体制の強化及び防災意識の高揚、地震予知の推進を基本として諸施策を講じているところでございます。特に、東海地震対策及び南関東地域直下の地震対策については従来から重点課題としてきたところでございまして、今後とも関係省庁と密接な連携をとりつつ、震災対策の一層の推進を図ってまいりたいと考えているところでございます。
 議会制民主主義と政党の公約についてのお尋ねがございましたが、公約は、申し上げるまでもなく、主権者である国民に対して政党が約束するものでございまして、政党、国民双方にとって非常に重要なものであるということは申し上げるまでもございません。
 政党が公約の実現に努力すべきことは当然でありますが、状況等によってその具体的な実現の方法や進め方等についていろいろなアプローチがあり得ますし、また、状況の変化に対応した政策展開を図ることもございます。政党が状況変化に対応した政策を展開するような場合には、主権者たる国民の理解が得られるよう、その政策論議のプロセスを透明にし、民主的なものにしていくことが極めて大切なことだと思います。このような観点から、社会党は、時代の変化に対応して、不断に開かれた政策論議を続けてきたところであり、その上に立った現政権の政策の方向についても国民の十分な御理解をいただけるよう努めているものだと思います。(拍手)
 社会党が「消費税率引上げ反対運動推進本部」の看板をおろしたことについての御質問がございました。
 これは、今般、政府・与党として、少子・高齢化社会に対応するための税制改革の中で、消費税についての一定の改革を行うことが三党で合意、決定されたことによるものだと私は承っております。
 さらに、社会党が自衛隊を合憲としたことについてのお尋ねでございますが、さきの臨時党大会において確認されましたように、東西冷戦の終結によって、歯どめなき軍拡志向の危険性が消え、イデオロギー抜きの新しい安全保障政策を論議する土台ができたこと、戦後半世紀を経て必要最小限度の自衛力の存在を容認する国民意識が形成されてきたことなどを主な理由として、現在の自衛隊は憲法の枠内にあるとの認識に立つことにしたものでございます。
 従来の違憲という憲法判断が誤りであったかどうかというお尋ねでございますが、さきの臨時国会でも答弁させていただきましたが、戦後、日本の国民の間に、文民統制、専守防衛、徴兵制の不採用、自衛隊の海外派兵の禁止、集団自衛権の不行使、非核三原財の遵守、核・化学・生物兵器など大量破壊兵器の不保持、武器輸出の禁止などの原則を確立しながら、必要最小限の自衛力の存在を容認するという穏健でバランスのとれた国民意識が定着した背景には、社会党の憲法認識に基づいた粘り強い努力があったからと認識するものであります。(拍手)したがいまして、従来の社会党の憲法認識が基本的に誤っていたと考えるものではありません。
 社会党が今回突然自衛隊を合意としたのは解釈故意ではないかとの御指摘でございますが、社会党が今後とも平和憲法の非武装の理念を追求しつつ、国際平和の維持への貢献と自国の安全確保のための具体的な政策提起の面で大きな役割を果たすことになるものと確信をするものであります。(拍手)その意味におきまして、解釈改憲の御批判は当たらないと思います。
 憲法解釈が百八十度異なる、護憲の旗をおろすべきであるとの御批判でありますが、社会党は、さきの臨時党大会におきましても、「「非武装」は人類の究極の理想として、今後なお、高々と掲げる必要があります。」と認識したことは御承知のとおりであります。したがいまして、私は、社会党が今後とも平和憲法の非武装の理念を探求しつつ、国際平和の維持への貢献と自国の安全確保のための具体的な政策提起の面で大きな役割を果たすことになるであろうと考えています。その意味におきまして、護憲の姿勢は一貫したものであると理解するものでございます。(拍手)
 また、今次の連立政権におきましては、現行憲法を尊重することを確認した連立政権の合意を基本にして、今後とも我が国の安全と繁栄を確保しつつ、国際平和と軍縮努力を重ねていく所存でございます。
 社会党の基本政策の変更についてお尋ねがありましたが、御指摘のように、単に政権を維持するために変更したものでもなければ、まして政策の破綻というものでもないと理解しております。私は、終戦後の新しい世界情勢に対応するとともに、我が国の戦後政治における冷戦構造を特徴づけた保革対立を超えた大胆な政策を提示することによって、対立から合意へと政治の軸を転換することこそ私の内閣に寄せられた国民の期待であると認識をいたしております。(拍手)同時に、過去一年間の連立政権の経験を踏まえ、現政権を構成する三党が自己変革を進めつつ、国民にとって最適な政策選択を行うことを使命といたしております。社会党の一連の政策の展開は、これまで不断に積み重ねられてきた政策論議の上に立ちつつ、時代の変化に対応する一つの回答を示したものであると理解をいたしております。(拍手)
 税制改革、自衛隊の派遣問題を例に挙げながら、政治のリーダーシップ、連立政権における政策調整に関する御質問がございました。
 昨年八月以来、連立政権が続いております。連立政権は、それぞれ立党の経緯や理念が異なる各党が政策合意に基づき共同して政権運営に当たるものと理解、認識しております。したがって、政権内における率直かつ開かれた議論と協調に基づき政策決定を行っていくことは当然のことと考えています。税制改革、自衛隊派遣問題も含めて、政治のリーダーシップ、ポリシーにつきましては、まさに国民の立場に立った、そうした民主的で透明度の高い相互討論に基づき明確にお示ししているつもりでございます。このように、開かれた民主的な議論は、私の連立政権の基本であり、国民の一番求めるところであると考えております。(拍手)
 次に、社会党の政権に臨む姿勢、党大会における確認を含めまして、利益誘導型の政治、政官業の癒着体質、官僚主導の政治をどのように改革していくのかという御質問がございました。
 内閣といたしましては、これらの課題を強く認識しつつ、腐敗の防止を徹底していくために襟を正してまいりたいと考えています。同時に、与党三党においても、腐敗防止について徹底的な検討が行われていることは御承知のとおりであります。そうした観点からも、政府・与党一体となって一層の政治改革の徹底を図る所存でございます。
 官僚主導政治についての御指摘に関しましては、私は所信表明におきまして、あるべき政と官の役割分担は必要であると述べてまいりました。すなわち政治家に求められるべきは、改革の方向づけと、その実現のために強いリーダーシップを発揮することであると考えており、そうした姿勢で今後とも政権運営に臨んでまいりたいと考えているところでございます。
 国会議員はすべて政治倫理綱領により、疑惑が指摘されたときはみずから潔白を証明する義務が課せられていることは、委員御承知のとおりであります。先ほどの竹下氏に関連する御質問に対しましては、今申し上げましたような倫理綱領に基づくそうした観点からの解明が不十分であったと考え、社会党としても辞職を求めたと私は理解いたしております。政治改革の原点は、腐敗の根絶であり、現在自民党も含め与党として徹底的な腐敗防止策の確立に努めているところでございます。私は、こうした努力によって、個々人の問題を超えて政府全体として政治改革が大きく進むことを期待しております。国民の皆様の御理解を得たいと存じます。
 政治改革については、ただいまも申し上げましたとおり、今後も積極的に進め、国民の政治不信を払拭してまいるつもりでございます。特に、政党への公費助成が制度化されることによって、政党はもとより、政治全体が腐敗防止に一層厳しい姿勢を要求されることは当然のことわりであります。政府といたしましては、各党間で進められておりますさらなる政治腐敗防止措置に関する協議の帰趨を見守りながら、政治の浄化へ向けた不断の取り組みを含め、幅の広い政治改革の推進に努力を払ってまいる所存でございます。
 直ちに退陣せよという御指摘がございました。
 現内閣は社会党から首班を出していますが、自民党、新党さきがけの三党連立内閣でございます。三党は、開かれた厳しい論議と協調のもとに運営されているものであり、特定の政党の亜流では断じてございません。
 また、解散・総選挙に関する御質問もいただきました。
 しかし、景気対策や政治改革の推進など国内外の課題が山積する中、政治の空白は許されるものではなく、これらの課題を一つ一つ誠実に遂行することが私の内閣の任務であり、国民の期待するものと考えております。(拍手)したがいまして、現下における解散については考えておりません。
 税制改革の理念についてのお尋ねがございました。
 今回の税制改革は、人口の高齢化が急速に加速、進展する中で、活力ある福祉社会の実現を目指す視点に立ちまして、個人所得課税について、働き盛りの中堅所得者層に税負担が強く当たっている現状を改めて、累進構造の緩和等の負担軽減を行い、歳出面の諸措置を安定的に維持していくというために、社会の構成員が広く負担を分かち合えるよう、消費税について中小事業者に対する特例措置等を改革し、税率を引き上げること、により消費課税の充実を図るという措置を講ずるものでございます。また、地方分権の推進、地域福祉の充実等の観点から地方税源の充実を図る必要があり、現行の消費譲与税にかえて地方消費税を創設することも盛り込まれております。
 税体系のバランスの課題につきましては、個人所得課税は所得の大きさに応じて累進的な負担を求めることができ、垂直的公平に資するというすぐれた特色を有しており、今後とも我が国の税体系の中で基幹的役割を果たすべきものであると考えています。しかし、一方で所得捕捉の困難性という問題が伴い、多種多様な所得あるいは納税者間で実質的な公平を確保するにはおのずから限界があると思われますし、消費という事実をとらえてこれに応じて比例的な負担を求め、水平的公平の確保に資すると考えられる消費課税のウエートを高めることも必要であると思います。これにより、国民が公平感を持って納税し得るような税体系の構築につながるものと考えているところでございます。
 今般の税制改革は、中長期的に見て、勤労意欲や事業意欲に対して好ましい影響を与え、経済社会の活力を高めることに資するものと考えています。また、少子・高齢化社会における福祉等社会保障などの公共サービスの安定的な供給を支える税体系の構築を図一つたものであり、活力ある福祉社会の実現への第一歩であると考えているところでございます。
 次に、二階建て減税についてのお尋ねでございますが、今回の個人所得課税の負担軽減は、活力ある福祉社会の実現を目指す視点に立ち、働き盛りの中堅所得者層にとって、収入の伸びに応じ追加的な手取り金額が滑らかに増加するよう税率構造の累進性を大幅に緩和することを柱としたものでございます。こうした累進構造の緩和による恒久的な制度減税の規模は三・五兆円になります。また、当面の景気に配慮して、特別減税を上乗せすることで、今年度と同規模の五・五兆円の減税を実施することといたしたものでございます。このように、今回のいわゆる二階建ての減税は、あるべき所得課税制度の構築、当面の景気への対策という二つの要請を満たすべく、総合的に検討された結果でございます。
 なお、今回の特別減税がなくなるときは大幅な増税になるといった御指摘がございましたが、この特別減税は景気対策のために実施する時限的な特例措置でございまして、景気との関係がポイントであるということについての御理解をいただきたいと存じます。
 次に、消費税についてのお尋ねであります。
 消費税率につきましては、税制改革全体の姿の中で減税等と相互に関連して決定されたものであります。すなわち、個人所得課税について、累進構造のゆがみをなくすとともに、課税最低限を引き上げることにより、抜本的な減税と言える三・五兆円規模の制度減税を実施するほか、当面緊急に整備すべき老人介護対策等に要する財源等をも考慮しながら、国民にお願いする消費税の負担をできる限りぎりぎりのものにとどめるという観点から五%にしたものでございます。
 なお、消費税及び地方消費税の税率につきましては、社会保障等に要する費用、行財政改革の推進状況、課税の適正化の状況、財政状況等を総合的に勘案して検討を行い、必要があると認めるときは平成八年九月三十日までに所要の措置を講ずることといたしているところでございますが、何らの予断を持っているものではなく、今後検討を深めてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、今回の改革案についてのお尋ねでありますが、所要の減税額を確保した上、税制改革により財政をさらに悪化させないとの趣旨で精査した結果、○・五兆円の福祉に充当し得る財源を確保したところでございます。まず、急激に進展する少子・高齢社会に対応するために、現行ゴールドプランに上乗せして、当面緊急に整備すべき老人介護対策及び必要最小限行うべき少子対策に取り組む必要があり、○・四兆円の財源を充当することといたしたところでございます。さらに、年金生活者等の方々には、法律に基づく年金等の物価スライドにより、○・一兆円の調整を行うこととしたところでございます。
 次に、新ゴールドプラン及び将来の福祉ビジョンについてのお尋ねがございました。
 今般の税制改革に当たりましては、少子・高齢化社会に向けて当面緊急を要する施策について、一定の福祉財源措置が講じられたところでございます。
 そこで、将来の福祉ビジョンについての具体的な取り組みでございますが、当面、政府及び与党において、新ゴールドプラン、エンゼルプラン等の内容について早急に詰めを行うとともに、年金・医療等の自然増等の推計を行うなど、将来の社会保障の具体的な姿と必要な経費の規模も明らかにしながら、鋭意検討してまいりたいと考えているところでございます。
 行財政改革の推進についてお尋ねがございました。
 行財政改革の推進は、この内閣が全力を傾けて取り組まねばならない課題であると認識をいたしております。また、国民の理解と協力を得ながら税制改革を進めていくに当たりましても、同時に、行財政改革について英断を持って実行していくことがぜひとも必要と考えているところでございます。このため政府としては、与党の「行政改革を進めるに当たっての基本方針」を踏まえながら、行財政改革の推進に積極的に取り組んでいくこととしております。既に、私から各大臣に対し、具体的な方策を検討するよう指示をしたところでございます。
 具体的な内容と進め方につきましては、規制緩和につきましては、これまでに決定されている規制緩和方策の早期具体化を図るとともに、内外からの規制緩和要望を把握し、これを踏まえ、今後さらに積極的かつ計画的に規制緩和を推進するため、本年度内に五年を期間とする規制緩和推進計画を取りまとめることとしております。
 第二には、特殊法人については、与党の基本方針を踏まえ、各省庁において平成六年度内にすべての特殊法人の見直しを行うことといたしております。
 三つ目には、その他、地方分権、行政情報公開、行政組織の改革合理化など、各般の改革課題についても積極的に取り組み、実りある成果をおさめるべく努力を払ってまいるとともに、歳出の節減合理化等につきましても、予算編成過程等を通じて検討、具体化を図ってまいる所存でございます。
 次に、行財政改革が実現できなければ税制改革は行わないのかとのお尋ねでございます。
 今回の税制改革は、活力ある福祉社会の実現を目指す視点に立ち、個人所得課税の負担軽減を行う一方で、消費課税の充実を行うものであります。特に、社会保障を初め、増加する財政需要に対応して国民に負担を求めていかなければならない状況にあることも考えますと、今後とも引き続き行財政改革の積極的な推進に努めていくことは極めて重要であり、かたい決意を持って実現を目指すことは当然であると言わなければなりません。
 次に、消費税制度の見直しについてのお尋ねでございますが、今回の税制改革におきましては、消費税制度の改革として、いわゆる益税と批判があった中小特例措置について、課税の公平性を重視する観点から、限界控除制度の廃止、簡易課税制の適用上限の大幅引き下げなど、抜本的に改革することといたしており、これによりいわゆる益税も相当程度解消するものと考えております。また、消費税導入時からの懸案事項である仕入れ税額控除方式について、制度の信頼性を高める観点から、請求書等の取引の事実を証する書類の保存を要件とするインボイス方式を採用することといたしております。
 このように、今回の税制改革におきましては、国民の理解を得るに足る消費税制度の抜本的な改革案をお示してきたものと考えているところでございます。いずれにせよ、今後とも消費税制度に対する習熟の度合い等に応じて検討を加えてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、経済対策についてのお尋ねがございました。
 政府としては、大規模な所得税減税等を含む先般の総合経済対策を着実に実施するとともに、平成六年度予算の円滑かつ着実な執行を進め、内需を中心とした持続的成長の確保に努めてまいりたいと考えています。今後とも、こうした適切かつ機動的な経済運営に努めるとともに、税制改革の年内の実現に努力するほか、中長期的な観点に立って、規制緩和を初め、公共投資基本計画の質量両面にわたる見直しや、産業・雇用構造の転換の円滑化等の推進など、経済構造改革を強力に実施してまいる所存でございます。
 公共料金についてお尋ねがございました。
 現内閣は、前内閣における五月二十日の公共料金年内引き上げ実施見送りに関する閣議了解を継承することを確認しております。また、七月には、公共料金年内引き上げ実施見送り措置の趣旨も踏まえ、年明け以降の料金改定の検討に入る前提として、同措置の対象となっている事業の総点検を実施しているところでございます。今後の公共料金の取り扱いにつきましては、四月の物価問題に関する関係閣僚会議において取り決められました「公共料金の取扱いに関する基本方針」に基づき、公共料金年内引き上げ実施見送り措置の趣旨にのっとり、先般行った公共料金に係る事業の再点検の結果などを踏まえ、個別案件ごとに厳正な検討を加え適切に対処するとともに、情報の一層の公開に努めてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、雇用対策についてのお尋ねがありました。
 我が国経済はこのところ明るさが広がってきており、緩やかながら回復の方向に向かっているものの、雇用情勢については依然として厳しい状況が続いております。これは、長期にわたる景気低迷に加え、高齢化社会の進展、経済の国際化の進展などによる構造的な要因も絡んでいるのではないかと考えられます。このような厳しい状況に対応するため、雇用支援トータルプログラムの実施等により、離職者の再就職の促進などの雇用対策を引き続き強力に推進してまいりたいと考えています。さらに、このような構造的な変化の中で、今後、中長期的な観点に立って雇用の安定のために総合的な方策を講じてまいりたと考えています。
 次に、女子学生を中心とした新卒者の就職難への対応について御質問がございました。
 厳しい雇用失業情勢の中で、来年三月の新卒者の就職問題は大きな社会問題になっていると認識いたしております。こうした問題に対応するため、女子学生の就職問題に関する閣僚の会議を開き、また、労働大臣を先頭に、事業主団体に対し求人枠の拡大や男女の均等な機会の確保について要請を行ってまいりました。さらに、目下、新卒者等が事業主と直接面接できる場を提供するなど、新卒者の円滑な就職を全力で支援しているところでございます。
 規制緩和への取り組み姿勢についてのお尋ねがございました。
 国民生活の向上はもとより、経済の活性化や国際的調和の観点に立って規制緩和を断行することが不可欠であると認識をいたしております。このため政府は、これまでに決定されている規制緩和方策の早期具体化を図るとともに、十一月には行政改革推進本部において、私を含め関係閣僚が内外からの要望を聴取することといたしております。これらを踏まえ、今後さらに積極的かつ計画的に規制緩和を推進するため、閣僚レベルで、本年度内に五年を期間とする規制緩和推進計画を取りまとめることといたしておりますので、御理解と御協力をいただきたいと存じます。
 次に、内外価格差の是正・縮小に向かっての取り組みについてお尋ねがございました。
 これまで、実態調査に始まって、輸入の拡大、規制緩和、商慣行の是正、円高差益の還元等、各般の施策の着実な実施を図ってきたところでございます。さらに、先般、現状の早急な調査、障害除去のための対策の実施を指示したところであり、政府といたしましては、消費者・生活者の重視及び高コスト構造是正の観点から、物価構造を改めるため、内外価格差の是正・縮小を初めとする物価をめぐる諸課題について、物価安定政策会議で検討していただいているところでございます。今後とも、これらを踏まえ、内外価格差対策の推進に積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、新規産業創出と育成についてのお尋ねがございました。
 急激な円高とそれに伴う企業の急速な海外進出により、それが行き過ぎた場合、産業の空洞化が生ずるのではないかという懸念があることは十分認識をいたしておるところでございます。このため、創造力と活力にあふれた経済社会を構築するための構造的な政策に取り組むことが必要であります。
 具体的には、第一に、新規市場の創造、内外価格差の是正などの観点から、既存の各種規制や民間慣行についての抜本的な見直し、第二には、我が国産業が、雇用を確保しつつ新規事業分野を開拓し創造性豊かな産業へと脱皮するため、経済・産業政策と雇用対策の整合性を確保しつつ、政府として一体的、総合的な政策を推進すること、第三に、新規産業の創出と育成に向けた未来への発展基盤整備としての研究開発や技術教育の推進を図ること、第四に、特にこれまでの人や物の流れを変え、企業活動等を根底から変革する可能性のある情報化の推進などに取り組んでまいる所存でございます。
 今回の日米包括経済協議の合意が、将来において数値目標につながるのではないかとの御指摘がございました。
 包括経済協議の結果、作成される文書における客観的基準が数値目標を構成しないことについては、既に日米間で意見の一致があります。また、日本側は、今般の協議妥結に至る日米間の話し合いにおいて、双方のとる措置を政府による対応が可能で責任の及ぶ範囲の事項に限定すること、将来の結果をあらかじめ約束することはできないことといった原則を主張してきたところでございます。この結果、今般妥結しましたいずれの分野における客観的基準も、中立的で方向性を有さないことが確保されることとなっており、今回の決着が将来における数値目標につながるようなことはないと考えているところでございます。
 次に、自動車部品に関するお尋ねがございました。
 今般、米国が同国の一九七四年通商法三〇一条に基づき我が国の補修用自動車部品の分野について不公正貿易慣行の特定を行ったことは、極めて遺憾であると言わなければなりません。
 自動車部品の分野においては、近時、日米の関係業界の協力によりその取引の拡大が見られ、また、我が国としては、補修用部品についても安全性の確保を前提に真剣に規制緩和を検討するなど、包括経済協議におきましても誠実かつ精力的に取り組んできたにもかかわらず、今般、米国がかかる一方的な手続を開始することとしたことは、日米両国政府が追求してきている多角的自由貿易体制の維持強化という目的と相入れないものであると言わなければなりません。現在のところは調査の開始が決定されただけでありますから、具体的な影響は生じておりませんが、一方的措置が講じられた場合には、我が国はあらゆる措置をとる権利を留保しているとの姿勢で臨むことになります。なお、今回の三〇一条の特定に対する今後の対応については、当面冷却期間を置くことも含め、今後検討してまいる所存でございます。
 次に、我が国農業の改革方向についてのお尋ねでございます。
 今後の農政の展開に当たりましては、農政審議会の趣旨を踏まえ、我が国農業・農村が二十一世紀に向けて自立を遂げ、持続的に発展していくことができるよう、幅広い観点に立った食料・農業・農村政策に取り組んでまいりたいと考えております。
 とりわけガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意の実施に伴う国内対策につきましては、緊急農業農村対策本部において昨日了承されました大綱骨子を基本的方向として、速やかに総合的かつ的確な方策を講じてまいる決意でございます。特に米につきましては、国内自給を基本とするとともに、農政審報告、大綱骨子を踏まえて需給及び価格の安定が図られる新たな米の管理システムを構築するとの観点に立って適切に検討し、成案を得て今国会に提出したいと考えているところでございます。
 次に、外交・安全保障政策についてのお尋ねがございました。
 御指摘のとおり、国際社会は歴史的な変動期にあり、その中で平和と繁栄のための新たな協力の枠組みを模索しています。そうした中で、日本は平和国家として不戦の誓いを新たにし、恒久平和の実現に向け努力していくべきであると考えています。私は、こうした考え方にのっとり、外交・安全保障政策の継続性を確保しながら、国際社会が抱える諸問題の平和的解決や世界経済の発展と繁栄に向け、従来以上に幅広い分野でより積極的な役割を果たしていく考えでありますので、御懸念には及びませんことを申し上げておきたいと存じます。
 次に、国連安保理常任理事国入りの問題についてお尋ねがありましたが、外交政策の継続ということにつきましては、就任以来、私の方から繰り返し申し上げてきております。常任理事国入りの問題につきましても、従来より国連等の場で我が国が述べてきた基本的な考え方を踏まえ、今回、外務大臣の国連演説において改めて我が国の立場を述べてきたところであります。したがいまして、この問題については、御指摘のような方針の転換があったとは思っておりません。
 常任理事国になることは、国連の重要な意思決定機関である安全保障理事会に常時参加し、日本の立場を安保理の決定に、より効果的に反映することができるということであります。我が国といたしましては、安保理へのこのような参加を通じて国際社会の期待にこたえ、世界の平和と安定のため、より責任ある役割を担ってまいりたいと考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、安保理改組の問題は、今後も国連において議論されていく問題でありますので、引き続き国民の御理解を踏まえて積極的に取り組んでまいる所存であることを申し上げておきたいと存じます。
 「憲法が禁ずる武力の行使」の範囲についてお尋ねがございました。
 例えば、我が国が集団自衛権を行使することは憲法上許されません。また、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣する、いわゆる海外派兵を行うことは、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されません。こうした憲法の範囲内で、我が国は国際平和協力法を制定し、これまでも同法に基づきカンボジアやモザンビークにおける国連平和維持活動に積極的に参加してきており、最近では、人道的な国際救援活動を実施すべくルワンダ難民救援を目的として自衛隊の部隊等を派遣した次第でございます。
 いわゆる平和維持隊本体業務につきましては、国際平和協力法において自衛隊の部隊が行う国際平和協力業務の一部として規定されており、同法に従って自衛隊がこれに参加することは憲法上問題はありませんが、別途法律で定める日までの間はこれを実施しないこととされております。この一部業務の凍結の解除を含め国際平和協力法の見直しを行うに当たりましては、これまでのカンボジア、モザンビーク等への派遣の貴重な経験を踏まえながら検討する必要があると考えています。
 次に、ルワンダ及び関連周辺国の情勢についてのお尋ねがございました。
 ルワンダにおきましては、四月以来の内戦再発・激化を経て七月に新政府が成立したものの、現在も国外に二百万人を超える難民、国内には約百五十万人の避難民がおり、これが現下の最大の問題であると認識をいたしております。また、ルワンダの隣国ザイールにおきましては、九一年秋の首都キンシャサ周辺における大暴動以来、政治的混乱が続いてきましたが、本年に入り右混乱は終息の兆しを見せ始め、七月には新統一暫定政府が成立をし、また、治安状況も改善の方向に向かいつつあると承知をいたしております。
 我が国の国際平和協力隊が活動するザイールのゴマ地区の治安につきましては、ゴマ空港及びゴマ市内は比較的平穏でありますが、ゴマ市から離れた地域にある難民キャンプにおきましては、援助関係者に対する脅迫や一時的な道路封鎖等が発生するなど不安定な状況も見られます。しかしながら、現状においては、国際平和協力隊の活動に具体的な支障が及ぶような状況ではないと考えております。ただし、情勢は流動的であり、今後とも現地の治安情勢については十分に留意するとともに、要員の安全確保については万全を期してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、協力隊の派遣が遅過ぎるのではないかとの御指摘がございました。また、その業務内容についてのお尋ねでありますが、今回の要員派遣は、国連難民高等弁務官事務所からの人的支援の要請に基づき、政府として、医療、給水、防疫、空輸等の分野でできる限りの支援を行っているものでございまして、累次の調査団及び先遣隊の報告等によれば、現地においては、今後ともこれらの分野において難民救援のニーズが当分の間継続するとのことであります。ちなみに、昨日も緒方難民高等弁務官から我が国の支援に対し謝意の表明があったことも、つけ加えて御報告しておきたいと思います。
 なお、今回のような我が国が現地の情報を必ずしも十分に得られない地域への要員の派遣の場合には、現地状況の把握、要員の安全の確保、我が国の対応能力などについて慎重の上にも慎重な検討をする必要があり、そのために一定の時間を要することは御理解いただきたいと思います。
 次に、隊員の安全確保についてお尋ねがありました。
 人道的国際救援活動についても要員の安全確保が第一であることは言うまでもございません。このため、政府といたしましても、派遣先国政府に対する隊員の安全確保要請、現地関係機関との情報交換を通じた治安情勢の把握、護身用の武器を含む安全確保のための装備品の携行等の措置を既にとっているほか、派遣後に著しく治安状況が悪化するような場合には柔軟な対応の余地を残すなど、引き続き派遣要員の安全確保には万全を期す考えてあります。
 具体的にどういう状況になれば撤退するのかという質問がございました。
 国際平和協力法におきましては、いわゆる五原則が満たされない状況が生じ、派遣を終了させることが必要または適当であると認めるときは、実施計画を変更し派遣を終了することとなることは、御承知のとおりであります。他方、これ以外にも、例えば現地の状況が著しく悪化した場合において、種々の要素を総合的に踏まえて、要員の安全を確保するとの観点から、国際平和協力業務を継続して実施する基盤が失われたと判断される場合には派遣を終了することもあると考えているところでございます。
 次に、我が国の防衛政策についての御質問がございました。
 我が国の防衛政策につきましては、我が国の安全を一層確固としたものにするためには、国際社会をより平和で安定したものとしていくことが肝要であります。国際社会における軍備管理・軍縮の動きは、このような観点から見て歓迎すべきものであり、我が国としても、このような軍備管理・軍縮の促進を訴えていくことが必要であると考えています。他方、我が国の防衛力は、独立国として必要最小限の基盤的防衛力として整備したものであります。我が国としては、周辺諸国との信頼関係の構築を進めつつ、今後の我が国の防衛力のあり方について検討を行っておりますが、冷戦後の国際情勢の変化、国際社会における軍縮の流れ、将来における人的資源の制約の増大、科学技術の進歩、一段と厳しさ、深刻さを増している財政事情等も踏まえながら、慎重に検討することが必要であると考えています。
 社会党がさきに発表いたしました安全保障政策「平和への挑戦」におきましては、限定防衛構想は、自衛隊の装備、編成、戦略の防衛的性格を国の内外に明白にすることを前提にしております。「言葉の真の意味での専守防衛を追求するものである。」と明記されておりますように、その基本的な考え方につきましては、専守防衛と限定防衛との間に大きな差異があるものとは考えておりません。私といたしましても、連立政権の合意に基づいて、自衛のための必要最小限度の実力組織である自衛隊を維持しつつ、国の内外に専守防衛の姿勢が明確になるよう不断の努力を払ってまいりたいと考えているところでございます。
 以上で答弁を終わります。(拍手)
     ――――◇―――――
#17
○山本有二君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明六日午後二時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。
#18
○副議長(鯨岡兵輔君) 山本有二君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○副議長(鯨岡兵輔君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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