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1994/10/06 第131回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第131回国会 本会議 第4号
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1994/10/06 第131回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第131回国会 本会議 第4号

#1
第131回国会 本会議 第4号
平成六年十月六日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第三号
  平成六年十月六日
    午後二時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続
 )
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑   (前会の続
 )
 議員請暇の件
 国家公安委員会委員任命につき同意を求めるの
  件
 電波監理審議会委員任命につき同意を求めるの
  件
 中央労働委員会委員任命につき同意を求めるの
  件
    午後二時三分開議
#2
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)
#3
○議長(土井たか子君) 国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。松岡満壽男さん。
    〔松岡満壽男君登壇〕
#4
○松岡満壽男君 私は、新しい統一会派改革の同志の皆さん方のお許しをいただきまして、村山総理大臣の所信表明に対し質問をさせていただきます。
 まず初めに、一昨日発生いたしました北海道東方沖地震によって被害を受けられました皆様に、心からお見舞いを申し上げたいと思います。政府としても直ちに最善の復旧作業対策を講ずるとともに、今後とも万全の防災対策を確立するよう強く要望する次第であります。
 今日、冷戦の終結によって東西対決による緊張は大きく解消されましたが、人口問題、地球規模の環境問題、民族・宗教間の対立、核拡散問題など、二十一世紀を前にして私たち人類は新たな課題への挑戦を求められております。また、国内にあっては、経済・産業構造の変化と急速な高齢化の潮流の中にあって、あらゆる分野における改革を勇気を持って実行しなければならないときを迎えております。国民の政治に対する期待には極めて大きなものがあります。政治は、国民の期待にこたえなければなりません。しかし、村山内閣は、この国民の期待には何一つこたえない、官尊民卑の体質をあらわにした無責任内閣であると指摘せざるを得ないのであります。(拍手)
 私は、ここで総理に対して率直な疑問を投げかけなければなりません。あなたは、政党政治において、政党が国民に約束した公約、そして党員が共有する党の基本政策を一体どのようにお考えなのでありましょうか。
 社会党は、非武装中立を唱え、自衛隊は違憲であるとして、PKO法案には牛歩戦術はおろか議員総辞職願まで出して反対し、消費税導入には絶対反対を主張され、日の丸・君が代も認めないという態度をとってきたはずであります。
 消費税反対を旗印にした五年前の参議院議員選挙で、社会党は二千万票を獲得しました。一方、国の将来を考え、率直に消費税の導入を訴えた候補者は、まくらを並べて落選したのであります。実は、私もその一人でありました。
 社会党は、昨年の総選挙においても、これらの政策を変わらず訴えておりました。有権者は、金権腐敗の自民党打倒を叫ぶ社会党を信じて一票を投じたはずであります。国民に約束した政策を一夜にして放棄しただけでなく、全く逆の政策を実施する政党の存在を、私は寡聞にして知らないのであります。
 政党、政治家には、厳しいモラルが求められております。選挙における公約を公然と踏みにじる政党、政治家は、最大の政治倫理違反であり、主権者に対する背信行為と言わなければなりません。(拍手)村山総理、あなたは日本国政府を代表する総理であります。みずから政治的モラルを投げ捨て、支持者を裏切った総理では、国民の政治への信頼を回復することはできないと私は断言したいのであります。
 総理、私は、あなたに政治家としての責任感があるならば、新しい選挙制度が実施されたときに直ちに国会を解散され、国民に信を問うべきであると思うのであります。総理の率直にして誠意のある御見解を伺いたいと思います。
 そこで総理、総理が今国会でまず取り組むべきことは、一日も早く衆議院小選挙区区割り法案を成立させ、政治改革関連四法案を実質的にも成立させることであります。
 細川内閣は、政治改革の実現を最優先課題として掲げ、これが成立しなければ責任をとるという強い決意で取り組むことで、本年一月末にようやく政治改革関連四法案の成立を見たのであります。自民党が七年余りの歳月をかけ、三つの内閣をつぶしてもなし得なかった政治改革が、あと一息というところまでたどり着けたのは、細川内閣、羽田内閣、いずれも総理大臣の強いリーダーシップと国民の強い支持があったからであります。改めて、総理の今国会での早期成立に向けての決意をお伺いします。そして、ここまで来た以上、中選挙区制度のもとでの解散・総選挙を行わないことを再度言明していただきたいと存じます。
 また、竹下元総理が国会内会派の自民党に復帰し、藤波元官房長官も自民党に復党する動きが出ている状況を総理はどうお考えですか。法的責任がなければ政治的責任はないとの御認識でしょうか。リクルート事件などを引き起こして今日の政治不信を招いた道義的責任はもうなくなったのでしょうか。総理のお考えを伺います。
 次に、我が国と国連とのかかわりについて質問いたします。
 河野外務大臣は、九月二十七日の国連総会において、我が国が、多くの国々の賛同を得て、安保理常任理事国としての責任を果たす用意があることを表明されました。その決断は、我が国が今まで以上に、世界の平和と安全の維持、地球レベルでの経済社会問題の解決や国連の改革にできる限りの貢献を行っていくという確固とした決意を全世界に明確に表明したということであります。
 これまでの安保理決議では、紛争解決のため、国連平和維持軍を紛争地域に派遣したり、多国籍軍が武力行使を行う決議もたびたび行ってきました。最近では、湾岸危機、ソマリア、ハイチなどの例があります。安保理常任理事国になりますと、軍事関係では多国籍軍派遣の是非等につき我が国の立場をその都度明確にしていかなければなりませんが、常任理事国になっていたと仮定すると、例えばハイチのケースでは、我が国の参加しない多国籍軍の派遣決議案に対し賛成の立場を表明していたのか、それとも、あくまでも平和的解決を求め反対あるいは棄権の立場をとっていたのか、どちらでありましょうか。これは大変重要なことでありますので、総理のお考えを明確に伺いたいと思います。
 世界平和を希求する我が国としては、世界で唯一の被爆国という立場もあり、我が国の大きな使命の一つは、核兵器廃絶に向けての日々の努力であると考えます。しかしながら、現在の常任理事国五カ国は、すべて核保有国であると同時に最大の武器輸出国でもあります。そうした中で我が国が常任理事国になるなら、当然のことながら、特にこれらの国々に対して核廃絶、軍縮の働きかけを強めていくことが必要となってまいります。その具体的な方策とプログラムを総理及び外務大臣より明確にお答えいただきたいと存じます。
 PKO活動の範囲と役割について、ガリ事務総長は、紛争当事国あるいは紛争当事者の和平の合意が成立する前に国連が平和の確立のための活動を行う、いわゆる平和執行部隊を考えているようであります。我が国が常任理事国になる場合、このような考え方は軍事的な意味で微妙な点を含んでいると思われますが、基本的な考え方につき総理及び外務大臣の明確な御答弁をお願いをいたします。
 次に、地方自治の課題につきまして総理にお伺いいたします。
 地方自治の確立あるいは地方分権の推進は、古くて新しい政策課題であります。我が国の地方自治はかねてから、三割自治、時には一割自治と言われ、全く改善されないまま今日に至っております。自主的な政策を樹立てきず、町づくりを初めとする大部分の計画や事業が中央の画一的な指導によって行われるために、住民の自治意識は希薄になり、住民主体の町づくりや村おこしかできないという状態になっております。
 かねてから過疎過密の問題が論じられ、首都圏への一極集中の弊害が指摘されながら、何も解決していないのが現状であります。地方制度調査会の二十三次にわたる答申や地方団体から毎年繰り返される要望にもかかわらず、地方自治の確立、地方分権の推進は、かけ声だけに終わってきたのであります。日本新党は、この問題を明確なものとするために、地方主権の確立を基本政策の柱として掲げ、中央集権から地方主権への抜本的な転換を主張してまいりました。実効のある地方分権を実施するためには、税財源、事務の大幅な再配分など、現行制度の抜本的な改革が必要であります。同時に、基礎的な自治体である市町村が、自主的に地方行政を担える力を持つことが要請されます。
 今回の選挙法改正によりまして、小選挙区が三百となりましたが、現在の広域市町村圏もほぼ三百であります、また、十一ブロックの比例区は、道州制を考えるときのブロックに近いものがあります。私は、現行の都道府県、市町村のシステムは、ともすれば、国が県を指導管理し、県がまた市町村を指導管理することになり、住民サイドの地方自治が育たない制度になっていると思うのであります。したがいまして、この際、地方分権を絵にかいたもちにしないためにも、例えば道州制と三百市といった思い切ったシステムを構想すべき時期ではないかと考えるのであります。現行の都道府県、市町村という二層制のもとでは、中央集権体制を打破することはできないと断言せざるを得ないのであります。
 総理は、所信表明において、政治改革の一つの柱として地方分権の推進を掲げておられますが、言葉だけの分権、作文だけの分権の時代は終わらせなければなりません。政府の構想力とやる気、総理の指導性が問われているのであります。ここで私は、総理の地方自治への現状認識をお伺いしたいのであります。あわせて、総理がお考えになっておられる地方分権への基本姿勢、いつまでに何をどのようにして実現するのか、明確な御答弁をお願いしたいのであります。
 次に、農業・農村問題についての総理の御所見を伺います。
 自由貿易の恩恵を最も受けている我が国としては、ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業合意の着実な実施、それに伴う関連法案の整備を急ぐべき状況にありますが、農業を取り巻く環境の変化が国民各層に種々の不安を抱かせてい各事実もあります。政府としては、国際化に対応し得る新たな農業・農村ビジョンを示すべき義務があるのではないかと考えます。
 生産者側は、今後の生産者価格の変動や補助政策の変更に不安を抱いています。一方、消費者側は、輸入農産物を含む食料・食品の安全性が十分確保されているかどうか、大きな不安を抱いています。政府は、ウルグアイ・ラウンド農業合意の受け入れに伴う混乱を極力回避しながら、産業として自立し得る農業の確立のために努力すべきであると考えます。
 総理は、九月三十日の所信表明演説では、食管制度の改革と言われましたが、そのわずか四日後の十月四日、村山総理が本部長を務める緊急農業農村対策本部が発表したウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策大綱骨子では、現行食管制度の廃止ということをうたっておられます。改革と廃止では意味が大いに異なり、受け取る者に混乱が生じております。食管制度の改革か廃止かを明確にしていただきたいと思います。廃止の御意見ならば、食管法廃止の後に具体的にいかなる方針をとられるのか、タイムリミットとその方法も含めて明確にしていただきたいと存じます。
 現行制度と同様、統制色の強い政府主導の新たな制度をつくったのでは、混乱に拍車をかけることになりかねません。旧社会主義国の例では、マーケットメカニズムへの移行によって混乱に陥っております。食管制度廃止後の基礎的食糧の供給システムに市場原理を導入する場合には、この点に留意しておくことが必要であります。総理の御所見を伺います。
 次に、国土の七割を占める中山間地域め活性化策についてお伺いいたします。
 中山間地域は、かねてより、農業の不振、過疎化の進行に苦しめられていますが、ウルグアイ・ラウンド農業合意の実施を受けて、振興のための新たな施策を展開する必要に迫られています。我々は、中山間地域振興の力点を生産重視から生活重視へ切りかえるべきと考え、総合的な社会開発事業としての振興策を提言しております。中山間地域については農林水産省の所管の枠を超えていることから、関係省庁が互いに協力連携して取り組むべきものと考えますが、総理の御所見を伺いたいと存じます。
 次に、社会福祉政策について御質問いたします。
 我が国では、現在、人類がいまだかつて経験したことのない速さで高齢化を迎えようとしております。六十五歳以上人口の割合を示す高齢化率が、現在の一四%から六年後の二〇〇〇年には一七%を超え、世界一の超高齢社会を迎えると試算されております。しかしながら、現在では、十分な介護が受けられないために病気でもないのに病院に入院する、いわゆる社会的入院が大きな社会問題となっており、国民の多くは安心して老後を迎えることができない状況にあります。
 このような現状に対応するため、我々旧連立与党では、福祉社会に対応する税制改革協議会の中で、活力のある、豊かな、介護に不安のない福祉社会を構築するため、精力的に討議を重ねてまいりました。その結果、現行ゴールドプランの見直しを早急に行い、新ゴールドプランについては、その実効ある展開を図っていくため、政府全体として積極的な取り組みを行っていくとの結論に達しました。そして、ホームヘルパーの倍増など具体的な施策を実現していくためには、平成七年から十一年までの新ゴールドプラン計画期間に現行の約一・六倍に当たる約三兆七千億円が増額分として必要と試算されております。しかしながら、与党三党は、新ゴールドプランを実施するために必要な初年度予算目標増額の約八分の一しか手当てしないことを決定されました。これは、事実上の新ゴールドプランの延期ではないでしょうか。
 総理、あなたは今国会の所信表明でも「人にやさしい政治」を明言されました。総理は、国民、お年寄りが切に望んでいる新ゴールドプランの実施を事実上延期するような予算措置が、国民にとって本当に優しいものと思われるのでしょうか。将来的なビジョンの全く感じられない一時しのぎ的、場当たり的、無責任な施策を行っていれば、最終的には必ず国民にそのツケが回り、将来に大きな禍根を残す結果になると我々は危惧しております。総理の御所見を伺います。
 高齢化社会は、少子社会すなわち子供の少ない社会と背中合わせであります。出生率の低下は、安心して子供を育てにくい今の社会への異議申し立てととらえる必要があります。狭い上に高い住宅費、教育費などの負担が非常に大きいことや、子育てと仕事が両立をしにくいことなど、女性が子供を産み育てることをためらうような社会は、決して「人にやさしい政治」とは言えないのではないでしょうか。活力ある社会を維持するために、この出生率の低下は危機的状況と考えますが、この問題に関しての総理の明確な答弁を求めます。
 本年は、全国的な雨不足により、各地で深刻な水不足の状況が出現しました。しかし、本年が特別なのではありません。毎年のように日本のどこかで渇水騒ぎが起きているという現状は、この問題に対する政府の対策に欠けるものがあったのではないでしょうか。私は、全国にダムをどんどんつくればいいと言っているのではありません。水を消費する中心である都市部での雨水の徹底利用対策、さらには水源地としての山の力の復活のための涵養策など、やるべきことはたくさんあると思うのであります。総理の御所見をお伺いいたします。
 ところで、日本においては市民意識が乏しく、市民による公益活動が活発とは言いがたい状況があります。市民みずからで社会が直面するさまざまな問題に立ち向かい、解決していこうという活力が乏しいのであります。
 この観点から、現在、世界的に非常に興味深い現象が起きております。民間でありながら利益を求めず公益活動を行おうとする組織が多く出現し、政府が遅まきながらそれをさまざまな形で支援するということが起こっているのです。こうした組織は、一般にNPO、ノンプロフィット・オーガニゼーションと呼ばれ、その役割の重要性がさまざまに論じられ始めております。最近のフォーリン・アフェアーズにも、このNPOから成るセクター、すなわちノンプロフィット・セクターの充実は世界の流れだという論文が載せられているのであります。
 市民公益活動を活発化させる手段として、日本においてもこのNPOを育成していくことが突破口になると確信を持っております。そのために、寄附金税制や法人格の取得のあり方、情報公開など、さまざまな制度を早急に整えるべきであろうと思います。この点、総理のお考えを伺います。
 また、この点に関連して、日本の公益法人制度は、主務官庁制度と許可制度による縦割り行政のために社会の多様なニーズに対応できなくなっており、これが民間公益活動の発展を阻害しているばかりでなく、いわゆる天下りの温床になっているわけであります。行政改革の一環としても、公益法人制度の抜本的な見直しを図る必要があると思いますが、総理の御見解をいただきたいと存じます。
 さらに、国の借金体質を改善するとともに国民に顔を向けた行政を確立するためには、思い切った行政改革を勇断を持って推進しなければなりません。政府・与党は、消費税率を上げる前に行政改革によって国民の負担を軽減するかのような方針を述べておられましたが、この方針は変わったのでありましょうか。
 総理は、七月の所信表明において「公務員制度の見直し、特殊法人の整理合理化、国家・地方公務員の適正な定員管理」と明確にしておりましたが、今回の所信表明では、公務員制度は「改革」、特殊法人は「見直し」にするなど、全くやる気のない表現になっております。総理の行政改革に対する方針は、七月の所信表明と今回の所信表明のどちらなのか、はっきりとしたお考えを伺いたいと思うのであります。(拍手)
 現在、日本が抱える国債発行残高は二百兆円に上ります。これは自民党政権のマイナスの遺産の一つでありますが、国民一人当たり約百七十万円の借金になります。これを金利五%、六十年で償還するとして、国民一人当たり四百五十万円を支払わなければならない計算になります。こうした負担は、特に次世代、つまり私たちの子供たち、孫たちに大きくのしかかっていきます。地方も約百兆円の借金を抱えていることを考えますとき、これ以上巨額の国債を発行して借金をふやすことがないよう、抜本的な税制改革や徹底した経費の節減、行政改革など、特別の配慮が必要と考えますが、総理の御見解をいただきたく存じます。
 次に、規制緩和についてお伺いいたします。
 規制緩和は、市場メカニズムを通じ新規事業や新規雇用を創出して、産業競争力の強化や空洞化の防止に大きな役割を果たすはずであります。また、内外価格差の解消を通じて、内需の拡大、輸入の促進、ひいては国際経済社会との調和に資するものであります。したがって、細川内閣でも最大限の努力を払い、規制緩和の流れを軌道に乗せるという大きな成果を得てきたところであります。
 一方、規制緩和の過程では失業問題が発生することも想定されます。最近は、平成不況や産業空洞化と相まって失業問題が深刻な様相を呈してきて括ります。特に、円高による日本企業の海外移転に伴う産業の空洞化は、失業者の増大や下請企業の経営悪化を引き起こしており、政府の抜本的な対応策が求められております。規制緩和、規制廃止の慎重かつ大胆な実施こそが、我が国の産業の発展と同時に空洞化防止につながると考えます。
 例えば、米国にNASDAQという規制が緩やかな株式店頭市場があり、マイクロソフト社を初めとして、次世代を担う有望な企業群を数多く輩出しております。我が国も、規制緩和を通じ、このような魅力ある資本市場を整備して多くの将来性ある中小企業を育てなければ、規制に守られ国際競争力を失った産業のみが国内に残り、二十一世紀を担う産業が育たない状況に陥るのであります。
 また、日本の金融市場に多くの規制があるため、内外の金融関連企業が東京を避け、シンガポールや香港へ逃避しています。国際金融センターとしての東京の地位が危うくなっているとの認識が総理そして大蔵大臣におありなのか、伺いたい。東京の地位を確保するには、今や一刻も早い金融市場のさらなる規制緩和が必要であると考えます。これらの具体的な指摘に対する総理と大蔵大臣の率直なお考えを伺います。
 また、こうした経済・産業構造の変革に伴い、失業問題の解決のためには労働力の移動がスムーズに行われることが必要不可欠となりますが、この労働市場の柔軟性に向けた政策に対し総理の御所見を伺います。
 一昨日、日本漁船が北方四島周辺水域でロシア国境警備隊に銃撃され、拿捕される事件が起こっています。言うまでもなく、北方四島は我が国固有の領土であり、この事件は、我が国領海内で我が国の漁船が銃撃されたというゆゆしき事件であります。まず総理、総理はこの事件をいつ知り、即座にどういう対応をされたのか、お伺いをしたい。
 外務省には昨日午前中に連絡が入ったと聞き及んでおりますが、あなたは、この銃撃事件と同じころに発生した地震については緊急に昨日の答弁に盛り込んでおられたにもかかわらず、我が国領海内での銃撃事件という同様に重大なこの事件の報告をされなかったのは、いかなる理由があったのでしょうか。この事件に関する対応として、外務省欧亜局長が駐日ロシア大使に抗議をした以外には、私たちの耳には届いておりません。拿捕された漁民の方々及びその御家族の不安を思うとき、胸が痛みます。一体どういう対応をされたのか、総理に明確に御説明を願います。
 また、今回の事件以外にも、最近、沿海州及び北方四島付近で襲撃事件が頻繁に起きているようであります。具体的に何が起こっているのか、そしてどういう対応をされているのかについて、総理から国民の目の前で明らかにしていただきたいと思います。
 また、四島の地震の被害、これも大変なようであります。それに対する救援も、やはり積極的に対応が必要ではないかと考えております。お考えを伺いたいと思います。
 昨年の総選挙で示された国民の意思は、自民党、社会党に対する厳しい批判でありました。国民は自民党政権に鉄槌を加え、一方では、永遠の反対党であった社会党も半減させました。国民は、政治改革を訴えた政治勢力に惜しみない支持を与えたのであります。政官業の癒着と言われた政治体質を抜本的に改革したい、国民に開かれた透明度の高い政治を実現したいという期待が、改革勢力の前進となってあらわれたのであります。
 しかしながら、改革勢力と守旧勢力が新たな政治地図をつくる過程の中で、国民から批判された自民党と社会党が連立政権を担うという、民意に逆らう政治状況になっております。しかも、総選挙で惨敗した社会党が、行政と立法の長、つまり内閣総理大臣と衆議院議長を占めるという政治がまかり通っているのであります。
 しかも、この三カ月間の政府の政策判断は、行政改革に対する方針が二歩も三歩も後退しているように、官僚主導の姿が明らかになっております。(拍手)昨日の代表質問に対する総理の御答弁にも、総理の肉声すらうかがうことができません。
 我が国には、改革のための待ち時間はないのであります。問題先送り、消費税は三%プラス七%割る二で五%、機関銃二丁プラスゼロ割る二で一丁といった、足して二で割るという、決断できない、指導性のない政権であっては、国内外の重要な課題に対処することはできないと言わざるを得ません。(拍手)
 代表質問を終えるに当たって、総理に申し上げたい。
 あなたが、政権維持装置の一部品としてではなく、政治家として心を通わせ、血を通わせて国家国民の将来を真剣に思うのであれば、真に民意を反映した政権を一日も早くつくり上げるべきではないでしょうか。
 重ねて総理にお伺いします。区割りの周知期間の後、国会を解散して国民の意思を問う決意があるのでしょうか。総理の真意をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
#5
○内閣総理大臣(村山富市君) 松岡議員の質問にお答え申し上げたいと思います。
 一昨日の北海道東方沖地震についてのお尋ねがございましたが、昨日も申し上げましたように、被災されました皆さん方に心からお見舞いを申し上げたいと思います。なお、政府といたしましては、現地に担当官を派遣いたしまして被害の実態を正確に把握することに努めておりますが、これからも万全の対策を講じて対処することを申し上げておきたいと思います。
 次に、政党、政治家の公約と国会の解散についてのお尋ねがございました。
 公約は、政治家がその公約の実現に努力すべきであることは言うまでもございません。政党、政治家の公約というのは、主権者に対して政党、政治家が約束をしたことでありますから、非常に重要なものであると受けとめております。しかし、その具体的な方法や進め方につきましてはいろいろなアプローチがありまするし、時代の変化に対応した政策展開を図っていくこともまた必要かと存じます。(拍手)
 社会党は、国民にとって何が最適な選択かを基本に置きながら、不断に開かれた政策論議を重ね、自己変革に努めてきたところでございます。このような努力を通じて、党の理念やその政策、連動の歴史的役割を大切な遺産として継承しながら、時代の変化とともに発展させていく方向を示してきたものでございまして、国民の皆様には十分な御理解と御支持を得られるものと確信をいたしております。(拍手)
 国会の解散につきましては、政治改革の推進を初め国内外の課題が山積する中、政治の停滞はひとときたりとも許されないものと考えています。まずはこれらの課題を一つ一つ誠実に解決し遂行することこそが、国民の期待にこたえるものであると存じます。新選挙制度の実施後に直ちに国会を解散することは、今は考えておりません。
 次に、区割り法案についてのお尋ねがございましたが、この法案が成立することによりまして、衆議院の選挙制度の改革、政治資金制度の改革及び政党助成制度が初めて施行されることになりますので、法案の早期成立に向けて最善の努力を尽くす決意でありますが、議員の皆様方にも御協力をお願い申し上げます。
 次に、中選挙区制度のもとでの解散・総選挙に関するお尋ねがございました。
 区割り法案が成立することによって、ただいま申し上げましたように改革や制度が初めて施行されることになりますので、国会においてこの法案を早期に成立させていただくことが重要であることは申し上げるまでもございません。景気対策や行財政改革の推進など国内外の課題が山積することを考えますと、現下における解散については念頭にございません。
 次に、自民党に復党する動きのある方々についてのお尋ねでございますが、私は、政治の浄化に向けた不断の取り組みを含め、幅の広い政治改革の推進に全力を尽くして国民の政治不信を払拭することが今や急務であると考えております。このため、現在、自民党も含め与党として襟を正し、徹底的な腐敗防止策の確立に努めているところでございます。私は、こうした努力によって、政治家として倫理を重んずることはもとより、個々人の問題を超えて我が国全体として政治改革が大きく進むことを期待しており、国民の皆様の御理解を得たいと考えているところでございます。(拍手)
 次に、我が国が安保理常任理事国となった場合の対応についての御質問がございました。
 我が国は、過去七回、十四年にわたり安保理非常任理事国として任務を果たしてきたところでございます。安保理のメンバーは、常任理事国であるか非常任理事国であるかにかかわらず、国連憲章に掲げる目的と原則、なかんずく国際紛争を平和的手段によって解決するという基本的な方針のもとで対処しております。我が国も、これまで安保理にあってはその方針に従って世界の平和と安定のために取り組んでまいりました。この方針は、我が国が仮に常任理事国となった場合にも同様でございます。
 ハイチの事例につきましては、我が国が安保理のメンバーとして決議案作成に携わったわけではなく、あくまでも仮定の御質問でございますから、具体的なお答えは差し控えさせていただくことが適当かと思います。
 我が国が常任理事国となった場合の核廃絶、軍縮の働きかけの具体的方策についてお尋ねがございました。
 核兵器の廃絶は我が国の究極的目標であります。今後とも、すべての核兵器国に対して一層の核軍縮努力を行うことを促していく所存でございます。また、全面核実験禁止条約交渉の早期妥結に向けても積極的な貢献の努力を行うとともに、特に、すべての核保有国が一層積極的に参画することを求めているところでございます。また、通常兵器の軍縮についても真剣に取り組む必要があります。特に通常兵器の移転と蓄積につきましては、我が国としては、国際社会がこの問題に具体的に取り組むよう強調してまいる所存でございます。
 次に、いわゆる平和執行部隊についての基本的な考え方に関するお尋ねがございました。
 平和執行部隊はブトロス・ガリ国連事務総長が提言されたものでありますが、今後、国連加盟国間でさらに議論されていくものと考えております。しかし、現在まで提言されたような形で平和執行部隊が組織されたことはございませんし、現時点では、具体的にどのような活動が同部隊の活動であるかについては固まった考えがあるわけではございません。したがいまして、平和執行部隊の具体的態様が明らかでない現在、これについての基本的考え方を申し述べることは差し控えたいと思います。いずれにいたしましても、我が国は憲法の禁ずる武力行使は行わないという立場から国連における協力を行っていく所存であることについては、変更はございません。
 次に、地方自治の現状認識についてお尋ねがありましたが、地方自治は民主政治の基盤であり、民主主義の学校とも言われております。したがって、内政のかなめであると認識をいたしております。また、地方分権の推進は今や時代の大きな流れであり、地方がその実情に沿った個性あふれる行政を積極的に展開できるよう、地方の自主性、自律性を強化し、地方自治の充実を図っていくことが必要であるという認識は強く持っているところでございます。
 次に、地方分権の推進についてお尋ねがありましたが、地方公共団体の自主性、自律性を強化していくためには、国と地方の役割分担を本格的に見直し、権限移譲や国の関与等の廃止、緩和、地方税財源の充実強化を進めていくことが必要でございます。現在、行政改革推進本部に設置されました地方分権部会におきまして大綱方針の骨格の検討を行っているところでございますが、今年中に大綱を定め、次の国会に地方分権を推進する基本法を提出できるよう努力いたしているところでございます。住民に身近な問題は身近な地方公共団体が担っていくことを基本としながら、二十一世紀に向けた時代にふさわしい地方自治を確立するため、私としても具体的な成果を上げるべく強い決意でこれに取り組んでまいるつもりでございます。
 次に、食管制度の今後の具体的方向についででありますが、同制度の改正につきましては、去る四日開催されました緊急農業農村対策本部において、現行の食管制度を廃止し、新たな法制度のもとに米管理システムを構築する方向で取りまとめているところでございます。この新たなシステムは、今後とも、需給と価格の安定を通じて国民の主食である米を安定的に供給するとともに、生産者の自主性を生かして稲作生産の体質強化を図り、規制緩和により流通の合理化を図ることといたしておるところでございます。政府といたしましては、このような考えに立ちまして、新たな米管理システムを構築することといたしておりますが、新たな制度への円滑な移行については十分留意してまいらなければならないと考えているところでございます。
 次に、中山間地域の振興策についてお尋ねがございました。
 中山間地域は、人口の減少、高齢化の進行等、種々の課題を抱えております。このため、これまでも、生産基盤の整備や担い手の確保のほか、総合的な生活環境の整備、都市等との地域間交流の促進等に努めてきたところでございます。今後とも、緊急農業農村対策本部を中心に関係省庁等が協力連携して積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、新ゴールドプランについてのお尋ねでございますが、今般の税制改革に当たりましては、与党における御議論の結果、少子・高齢社会に向けて当面緊急を要する施策について一定の福祉財源措置が講じられたところでございまして、むしろ前倒しで一部措置をとったところでございます。新ゴールドプランにつきましては、今後の検討過程において、財源の確保に配慮しつつ、できるだけ早く策定したいと考えているところでございます。
 次に、出生率の低下についてのお尋ねでありますが、その要因は、議員御指摘の要因も含め、さまざまなものがあると承知をいたしております。今後、財源の確保に配慮しつつ、出生率の問題も踏まえ、エンゼルプランの内容についてもできるだけ早くその具体化を図ってまいりたいと考えているところでございます。
 次に、渇水対策についてお尋ねがありました。
 本年の渇水に対処するため、政府においては、関係閣僚の会合等を開催し、当面の渇水対策に万全を期してきたところでございます。また、中長期的には、本年の渇水を教訓とし、御指摘の、雨水を含む雑用水利用や森林の保全・育成を通じた水源の酒差等を推進するとともに、ダム等の水資源開発等を進め、今回の経験にも照らして総合的な水資源対策に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、NPOについてお尋ねがございましたが、今後、NPOなどが行う市民公益活動の活性化が重要であり、情報公開などの環境整備が必要であるとの御指摘がございますが、そのとおりだと考えております。いずれにいたしましても、我が国におけるNPOの活動の実態を十分に見きわめつつ、必要に応じ、その環境整備について検討していくべき問題ではないかと考えているところでございます。
 次に、公益法人制度のあり方についてお尋ねがございました。
 主務官庁の許可を公益法人の設立の要件としているのは、公益法人がその目的とする公益事業を適正に遂行することを確保するためであり、合理的なものであると考えています。なお、各省庁における公益法人行政につきましては、民間公益活動の発展を阻害したり、いわゆる天下りとの批判を招くことのないよう、各省庁の統一性を図りつつ、今後とも適切に対処してまいりたいと考えているところでございます。
 行政改革についてのお尋ねがございました。
 まず、国民の負担の軽減との関連でありますが、税制改革をまつまでもなく、行政改革の推進はこの内閣が全力を傾けて取り組まねばならない課題であると強く認識をいたしております。ましてや、国民の理解と協力を得ながら税制改革を進めていくに当たりましては、同時に行政改革について不退転の決意で実行していくことがぜひとも必要であると考えているところでございます。なお、御指摘のような方針変更に該当するようなことはないと認識をいたしております。
 次に、行政改革の推進の取り組み姿勢について御質問がございました。
 行政改革に全力を傾けて取り組んでいくことは、九月三十日に行いました所信表明でも明らかにしたところでございますが、その姿勢が後退しているとは全く考えておりません。政府としては、与党の「行政改革を進めるに当たっての基本方針」を踏まえて、規制緩和、地方分権、特殊法人、行政組織、公務員、行政情報公開など、各般の改革課題について積極的に取り組み、必ず実行できるよう最大限努力をしてまいるつもりでございます。
 次に、健全な財政運営の確保についてのお尋ねがございました。
 我が国財政は、平成六年度末の公債残高が二百兆円を超える見込みであるなど、構造的にますます厳しさを増しております。このような財政状況のもとにあって、今後の社会経済情勢の変化に財政が弾力的に対応していくためには、引き続き健全な財政運営の基本を堅持していくことが重要であります。このため、今後とも歳出歳入両面においてあらゆる努力を傾注してまいる所存でございます。次に、将来性ある中小企業を育てるため資本市場の規制緩和を図るべきとの御指摘について申し上げます。
 資本市場の規制緩和につきましては着実に実施しているところでございますが、店頭登録基準の緩和については、投資家保護上の問題から十分慎重に対処する必要があると考えております。また、我が国金融市場が、多くの規制等の存在により国際金融センターとしての地位を低下させているとの御指摘でありますが、現状について見ますると、むしろ我が国金融市場の国際化ととらえるべき事象も含まれており、一概に空洞化とは言えないと考えているところでございます。いずれにいたしましても、今後とも投資家保護にも配慮しつつ、我が国金融市場の発展に努めてまいらなければならないと考えているところでございます。
 次に、経済・産業構造の変化に伴う雇用対策についてのお尋ねでありますが、我が国の経済社会が大きな変化に直面する中で、今後、中長期的な観点に立って雇用の安定を図ることが重要な課題であることは申し上げるまでもございません。このため、今後の産業構造の変化に伴う労働力の移動が円滑に行うことができるようにするための雇用対策については、政府が一体となって推進しなければならないと考えているところでございます。
 次に、昨日のロシア国境警備隊の発砲による日本漁船沈没事件についてのお尋ねがございましたが、五日午前に関係当局が、日本漁船が拿捕された可能性があるとの情報に接し、すぐに事実関係の確認に着手をいたしました。その過程で、五日午後に私も随時報告を受け、事実関係を早急に確認するよう指示をいたしました。
 また、昨日午後には外務省野村欧亜局長をして、駐日ロシア大使を招致をいたし事実関係の確認を求めるとともに、厳重に抗議し、かかる事件の再発防止をされるよう措置を求めるべく要請をいたしたところでございます。本会議の段階ではいまだ事実関係は必ずしも明確ではなかったので、まず事実関係の確認に鋭意努めたものでございます。本件につきましては、東京において野村欧亜局長より申し入れを行ったのに加え、モスクワにおいて日本大使館よりロシア外務省に対しましても申し入れを行ったところでございます。
 この事件は、今回を除き、平成五年の十二隻、平成六年になってから六隻発生しておりますが、このうち三隻が発砲を受けております。政府としても、北方四島周辺における漁業をめぐるこのような昨今の状況を憂慮しており、北方領土問題に関する我が方の基本的立場を万が一にも損なうことがあってはならないという基本的立場の枠内で何ができるかを鋭意検討してきているところでございます。
 いずれにいたしましても、政府としては、引き続きロシア側に対し、かかる事件が再発することのないよう求めていく考えであり、先般のニューヨークでの日ロ外相会談においても、河野大臣よりコズイレフ外相に対し、民間人に対する発砲事件が再発することのないよう強く申し入れた次第でございます。
 区割り法の周知期間の後、国会を解散して国民に意思を問う決意があるかというお尋ねでございますが、先ほども御答弁申し上げましたように、今のところ全く考えておりません。
 残余の質問につきましては、関係大臣からお答えをいたします。(拍手)
    〔国務大臣武村正義君登壇〕
#6
○国務大臣(武村正義君) 我が国金融・資本市場は、取引高、参加者の多様性という点で世界の三大市場の一つと言われるまでにその規模は拡大をしてきております。また、八〇年代を通じて増加した国際的な資金交流ニーズにも対応をして、内外の投資家による国際的な資金調達及び運用の場としての機能を充実させてきているところでございます。
 資本市場の規制緩和につきましては、昨年来約百項目に及ぶ手続の簡素化、規制緩和を実施するなど、着実に実施に取り組んでいるところでございますが、今後とも公正、透明な市場の確立に努めてまいりたいと考えますし、御指摘の店頭登録基準の緩和につきましては、総理からも申し上げたように、投資家保護上の問題を惹起するおそれがありますことや、我が国の基準は米国店頭市場のそれに比べても厳しいものとはなっていないことなどから、今後、十分慎重に対処をする必要があると考えております。
 次に、最近、我が国金融・資本市場が空洞化しているのではないかという論議がございますが、東証外国部における外国企業上場数の減少など一般に指摘されている現象の背景には、円高や景気循環などさまざまな要因が複合的に働いており、またその中には、海外の投資家が日本の金融市場に関心を持つようになるなど、むしろ我が国金融・資本市場の国際化ととらえるべき事象も含まれているわけであります。したがって、これも総理から申し上げましたが、こうした事象を単純に一くくりで空洞化という言葉でとらえるのは適切でないと考えております。
 ただ、中長期的に見て我が国金融・資本市場の機能が低下してしまうおそれがないかどうかという点については、十分関心を持って注視をしていく必要があると考えております。現在指摘をされております諸現象の実態把握、要因分析にも最大限努めてまいりたいと考えます。(拍手)
    〔国務大臣河野洋平君登壇〕
#7
○国務大臣(河野洋平君) 核廃絶、軍縮への働きかけについて具体的なプログラムがあるか、こういうお尋ねでございました。
 先ほど総理からも御答弁を申し上げましたけれども、私は、先般の国連演説におきまして、この点については力を入れて述べたつもりでございます。全面核実験禁止条約、これは何としても早期成立をさせてもらわなければなりません。非核保有国がNPTに参加をし、あるいはこれの延長に賛成をするという状況の中で、核保有国が全面的核実験禁止条約に合意するということは、当然やってもらわなければならないことであろうと考えるからでございます。この早期合意、交渉の妥結を強く訴え、さらに、もしその交渉が妥結したら、我が国において調印式を行ってはどうかということまで申し添えたところでございます。
 さらに、我が国は、旧ソ連の核兵器廃棄支援についても具体的な提案をいたしておりますし、一方、通常兵器につきましても、この通常兵器が多数、安易にあちこちに散らばるということがあってはならぬということを言っているわけでございます。これにつきましては、我が国として、通常兵器移転の透明性を高めるために発足をいたしました国連軍備登録制度の拡充、これが今のところ最も効果があるものではないか、こう考えて、この点を強調しているところでございます。
 PKO活動の中の平和執行活動についてもお尋ねがございました。
 平和執行活動あるいは平和執行部隊、これはいずれもブトロス・ガリ事務総長の提案によるものでございます。国連全体を通しての議論もまだ具体化している段階ではございませんし、我が国がこれに関連してどう考えるかということであれば、先ほど総理御答弁のとおり、我が国としては憲法の範囲内で考えるというのが我が国の原則でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(土井たか子君) 不破哲三さん。
    〔不破哲三君登壇〕
#9
○不破哲三君 私は、日本共産党を代表して、村山総理及び河野外相に質問いたします。第一の問題は消費税増税の問題ですが、まず伺いたいのは、総理が総選挙での国民に対する公約についてどうお考えかという点であります。
 公約というのは、国民、有権者と政党との関係で最も重い意味を持つ問題です。国民は、選挙で政党や政治家を選ぶとき、その主権を政党や政治家に白紙で委任するわけではありません。公約に基づいて政党や政治家を選ぶ、そのことを通じて国民の意思を国の政治に反映させる、これが民主政治の基本であります。もちろん、複数の党派が共同して政府をつくる連立内閣のもとでは、どの党派の公約であっても、全面的に実行できない場合があり得ることは国民も承知しております。しかし、今の問題は、実行の不十分さやアプローチの方法などではなく、あなた方が公約とは正反対の政策を強行しようとしていること、それが民主政治のもとで許されるかという問題であります。(拍手)
 あなたは、きのう、公約違反はないと答弁しました。それは全く事実を偽るものです。社会党は、一年前の総選挙で、消費税増税に反対することを明確に公約しました。あなた自身、地元朝日の候補者アンケートで「消費税は廃止すべきだ」とはっきり答えているではありませんか。あなたは、今、その公約を正面から裏切って、消費税増税を実行しようとしているのです。この公約違反の事実をまず正直に認めるべきであります。(拍手)
 国民生活にかかわる重大な問題でこんな公約違反が許されるとしたら、政党があれこれの公約を掲げたり、国民がそれに基づいて政党や政治家を選ぶことは、全く無意味になってしまうではありませんか。これは、国民主権と民主政治を大もとから壊すことにほかなりません。この根本姿勢について総理の見解を問うものであります。(拍手)
 増税計画の内容については、総理が強調する中堅サラリーマン層の税負担軽減ということが、全く偽りの看板だということを指摘しなければなりません。
 総理、今回の税制改革案で五%への消費税増税を実施したとき、増減税の差し引きで増税になるのは勤労者世帯の何%に当たりますか。また、与党の決定案には見直し条項があり、六%が取りざたされていますが、六%に見直されたときには増税になる範囲は何%に広がりますか。
 大蔵省が発表した試算は、減税額を大きく見せかけようとして無理に無理を重ねた試算でした。それでも、今回の税制改革で勤労者の大多数が増税になるという事実を覆い隠すことはできませんでした。私たちがそういう無理なしに素直に試算した結果では、税率五%では給与所得八百万円以下の人々、サラリーマンの実に八八%が増税となります。税率が六%に見直されたら、増税になる層は九五%を超え、減税は、給与収入千百万円を超える、サラリーマン全体の五%にも満たない人々だけてあります。
 総理、これがあなた方の税制改革の実態です。総理が重税感の解消を問題にしている中堅サラリーマン層を含めて、勤労者の大多数に重税の新たな重荷を押しつけ、少数の高額所得者だけを優遇する大衆課税であることは、既に明瞭ではありませんか。中堅サラリーマン層優遇など偽りの看板で国民を欺くことは直ちにやめ、こういう大衆課税が許されるかどうかを真剣に再検討すべきではありませんか。(拍手)
 さらに問いたいのは、総理が消費税の税率引き上げへの道を最初に開く責任をどう考えているかであります。
 消費税の魅力は税率さえ変えればすぐ増税できるという弾力性にある、これは推進派の人々の間で以前からよく語られていたことでした。現に、財界団体などは一〇%ないし一五%の消費税を具体的な目標として持ち出しています。どう言いわけしようと、今回の増税が税制改革の終着駅ではなく、第二、第三の増税に道を開く役割を担うことは疑いの余地がありません。消費税を導入した竹下自民党内閣に続いて、税率引き上げを最初に実行に移した政府として、村山内閣の負うべき歴史的な責任は極めて重大であることを厳しく告発しなければなりません。総理の見解を問うものであります。(拍手)
 次に、ガット協定の批准の問題です。
 社会党は、ついこの間まで、米の輸入自由化は農業に致命的な打撃を与え、食品の安全を覆す危険があると主張してきました。総理は一転して、ガット協定の批准促進、輸入自由化促進の立場に転換しました。それでは、社会党のかつての認識と主張は間違っていたというのでしょうか。その危険は今でもあるが輸入自由化は推進するというのが首相の立場だとしたら、その危険から農業と農民、消費者を守る保証はどこにあるのですか。その保証もなしにガット条約の早期批准を求めるというのは、日本の農業と農民、消費者の利益に対する裏切りではありませんか。(拍手)
 ガット協定の問題は、アメリカを初め各国の審議状況を見ても明らかなように、政府が調印したことをもって動かしがたい既成事実とし、これを国会が無条件に批准しなければならない、こういう性質の問題ではありません。日本共産党は、日本の経済主権を不当に侵犯し、農業の前途を脅かすガット協定の批准に反対し、国会が米の輸入自由化の是非について改めて全面的な検討を行うべきことを主張するものであります。(拍手)
 次に、国連の問題について質問します。
 総理が常任理事国入りの問題でこの演壇から羽田内閣に質問したのは、五カ月前の五月十二日でした。そのとき、あなたは、大国が拒否権を持つ国連安保理の現状を批判し、「旧来の国連に大国としてその地位を占めることが日本の国連外交であってはならない」と述べました。総理は今その立場を逆転させて、常任理事国入りを主張しています。そうである以上、この五カ月の間に自分の考えの何が変わったのか、国民の前で明確な説明をする義務があるのではありませんか。
 この問題は、拒否権という特権を持つ政治大国になるかどうかにとどまらず、日本が軍事大国への道を進むかどうかのかなめをなすものであります。安保理事会の常任理事国が国連の軍事活動を指揮、指導する軍事的権限を与えられることは、国連憲章の条項、特に常任理事国の参謀総長をもって軍事参謀委員会を構成し、この軍事参謀委員会が国連軍に対する戦略的指導について責任を負うとした第四十七条に照らしても明らかであります。総理は、憲法によって武力行使を禁じられている日本が、国連の名による武力行使について戦略的指導の責任を負えるとお考えですか。このこと一つ考えても、憲法の平和条項を守る立場と常任理事国の責任を負うこととは絶対に両立し得ないのであります。(拍手)
 軍事参謀委員会は、国連創設後間もなく設置され、その最初の仕事として、国連軍の編成に当たっての一般原則について安保理事会に中間報告を答申しています。この報告は全部で四十一カ条から成り、うち十六カ条は五カ国の意見が一致せずに両論併記となりましたが、二十五カ条は安保理事会で一致して承認されました。各国の合意を得たこれらの条項の中には、第十条ですが、国連軍の編成に当たっては、常任理事国はその兵力の主要部分をまずもって提供しなければならない」と、常任理事国の兵力提供の義務が明記されています。
 つまり、国連軍の編成が問題になるときに、ほかの国なら兵力の提供を避けることが許されるが、常任理事国は最優先で兵力を提供し、国連軍の主力部隊とならなければならないということであります。それ以来、この合意を否定する結論は、国連のいかなる機関でも下されていません。アメリカ議会が、日本の常任理事国入りについて軍事的義務を全面的に果たすべきだと決議しているのも、ここに一つの根拠があります。
 政府は、常任理事国入りは新たな軍事的義務を伴うものではないと弁明していますが、国連での従来の合意を覆す何らかの根拠をお持ちなのですか。世界の舞台では早くから明らかになっている義務と責任を国民にははっきり示さないまま常任理事国入りを推し進め、国連の名によって憲法の平和条項を立ち枯れにしようとするのは、政治家として最も恥ずべきやり方ではありませんか。(拍手)
 国連演説で、河野外相が国連憲章の旧敵国条項の削除を主張したことも大きな問題であります。旧敵国条項とは、第二次世界大戦を起こした日独伊三国などについて、その侵略政策の再現に備えた条項であります。この条項の削除を国際社会に訴えることは、少なくとも過去の侵略戦争に対する明確な認識と反省なしにはできないはずであります。
 ところが、村山内閣は、歴代の自民党政府と同じように、太平洋戦争が侵略戦争であったことさえ認めようとはしていません。所信表明でも侵略的行為と植民地支配にだけは言及しましたが、戦争の過程であれこれの侵略行為が起きたことを認めることと、戦争がそもそもの目的から領土、勢力圏の拡大を意図した侵略戦争であったことを認めることとの間には、天地の開きがあります。あなたは、五月の代表質問では侵略戦争という認識を三度も繰り返しましたが、今はこの言葉をタブーとし始めました。五カ月前には侵略戦争であったことを当然のこととして語ったあなたが、首相になったらなぜその認識と反省を放棄するのですか。この問題でも自民党政治を引き継ぐのがあなたの基本姿勢なのですか。
 二千万人以上の近隣諸国の人々の命を奪った侵略戦争に対して正面からの反省をしないまま、国連での大国的地位への仲間入りだけを追求する態度は、軍事大国化への懸念をいよいよ深刻なものとし、世界の平和・民主の世論の間でも、日本への不信を大きくするだけだということを指摘しなければなりません。総理と外相の見解を求めるものであります。
 軍事大国化への動きはPKO政策にも鮮やかにあらわれています。二年前のPKO国会では、自衛隊の海外派遣が国論を分ける大問題となり、当時の政府も批判の声を無視できずに、海外での武力行使を制限するいろいろな歯どめ条項を提案しました。ところが、今回の自衛隊のルワンダ派遣では、人道援助が目的だということを口実に、国会論議の経過や歯どめ条項さえ無視した派兵条件の拡大が行われています。
 例えば、PKO国会では、紛争が継続している地域、当事者の間に停戦合意が成立していない地域には自衛隊は派遣しないよう説明されていましたが、ルワンダとその周辺地域に現在そのような安定した条件がないことは明らかであります。また、PKO国会では、武器の使用は隊員の護身などに限られ、携行する小型武器はけん銃と小銃にとどめるとされていましたが、今回は機関銃の装備が認められ、また、当局者がより広い範囲で武器使用の可能性について語るといった状況も生まれています。国会であれだけ議論され、法律にまで明記された歯どめの枠がなし崩しに取り払われてしまったのであります。
 人道援助の緊急性ということがその日実とされていますが、奇妙なことに、政府の側で援助活動そのものについて真剣に検討した形跡が見られません。実際、予算措置がおくれて医薬品の現地到着がおくれるとか、派遣される医師の多くが熱帯医学の知識を持たないとか、考えられないような無準備の実情がマスコミでも指摘されています。今回のルワンダへの自衛隊派遣について、海外での軍事活動の条件を拡大することが自己目的ではなかったのかとの批判が上がっていますが、今日までの状況から見るならば、この批判には正当な根拠ありと言わざるを得ません。(拍手)
 総理、あなたは従来の社会党の立場を百八十度転換させてルワンダへの自衛隊積極派遣に踏み切りましたが、その行動は、結局、海外派兵の条件を緩め、日本の軍事大国化への道をさらに一歩進めたことになるのではありませんか。見解を求めます。
 以上、当面の幾つかの問題について総理の姿勢をただしました。そのすべてに共通するのは、あなたと社会党が、昨年総選挙での公約を捨てて、自民党と同じ政策的立場に転向したことであります。その柱となっているのは、安保・自衛隊問題での転向、すなわち自衛隊合憲・安保体制堅持という自民党的立場への転向であります。
 最後に、この問題について幾つかの疑問をただしたいと思います。
 まず、自衛隊合意論の問題です。
 あなたが委員長として再任された九月の社会党大会の決定は、日本の軍備の現状について、防衛費が世界第二位となったことを問題にし、「この現状を招いた責任は「解釈故意」を重ねて、自衛隊の肥大化を進めてきた自民党とそれを阻止できなかった我が党にある」と書いています。ところが、あなたは自衛隊の現状を、すべて憲法の枠内にあると断言しました。自衛隊の現状がすべて憲法の枠内にあると言いながら、そこに至る過程だけを解釈故意に基づく不法な軍拡と批判することはできないはずであります。あなたは、社会党が従来自民党政府に加えてきた解釈故意云々という批判を撤回するつもりなのかどうか、伺いたいのであります。
 次に、安保体制堅持論の問題であります。
 社会党大会の決定は、日米安保条約について、「「共通の敵」に対して防衛するという任務はその役割を終えつつある」と書いています。日米安保条約の主任務を共同防衛とすること自体、自民党の安保合理化論を受け入れたものですが、ともかく安保条約が条文上掲げた任務の中で日米共同防衛の任務が終わるとすれば、残るのは、極東の平和のために米軍が日本の基地を利用する権利を持つ、その極東条項だけということにかります。その認識のもとで日米安保体制を堅持するというのなら、それはアメリカの世界の憲兵戦略に日本を前進基地としていつまでも提供し続けるという、アメリカ覇権主義への従属体制そのものではありませんか。(拍手)
 共同防衛の任務が終結しつつあるというのが本当にあなた方の認識であるなら、対等・平等の日米関係の確立のためにも、世界の平和の事業への日本の自主的貢献に道を開くためにも、日米安保条約の解消への道を探求することこそが日本の前途に責任を負う政治家の務めではありませんか。総理の見解を求めるものであります。(拍手)
 この一年の間に、私たちは三つの連立内閣を経験しました。政党の組み合わせと首相の名前は変わりましたが、政治の実態は何ら変わらず、どの内閣も歴代の自民党政府が敷いた悪政のレールの上を無批判、無反省に走り続けてきました。そして、社会党を含め、日本共産党以外の従来の野党がすべて自民党政治の同じレールに乗り込んだ条件のもとで、自民党単独政権時代よりももっと乱暴な、国民無視の度合いがもっと極端になったやり方で悪政を横行させているのが村山内閣の偽らざる実態であります。公約違反がこれら諸党によってかくも軽く扱われみようになったことは、その集中的な表現の一つであります。(拍手)
 こういう政治、こういう内閣の存続は、国民の不幸を大きくするだけであります。私は、村山内閣の退陣を強く要求するものです。そして、どんな組み合わせであろうと、自民党政治のレールの上を走る政権によっては国民の希望にこたえる新しい政治は生まれ得ないこと、日本共産党は自民党政治という悪政のこの枠組みそのものを打開するために奮闘するものであることを最後に強調して、質問を終わるものであります。(拍手)
    〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
#10
○内閣総理大臣(村山富市君) 不破議員の質問にお答えをいたしたいと思います。
 消費税と公約違反についてのお尋ねがございました。
 先ほども御答弁申し上げましたが、消費税の定着状況も踏まえ、社会党は、昨年の総選挙では、消費税の否認ではなく、所得、資産、消費に対するバランスのとれた課税を追求する、消費税については逆進性緩和など、国民的な要望に責任を持ってこたえられる取り組みを訴えてきたところであります。今回の税制改革では、連立政権を樹立する際に結びました自民、さきがけ、社会党の合意事項も踏まえ、与党税調が論議を重ねて結論を得たものでございます。したがって、政権を担っている立場にある今回の責任ある決定は公約違反ではないと認識をいたしております。
 次に、税制改革の家計への影響についてお尋ねがございました。
 この問題につきましては、個々の世帯の構成や経済活動は千差万別でありまして、家計の税負担はそれぞれ異なるものでありますから、御質問のような具体的な数字を一概に申し上げることは困難ではないかと思いますが、御理解をいただきたいと思います。いずれにいたしましても、今回の税制改革におきましては、働き盛りの中堅所得層にとって、収入の伸びに応じて追加的な手取り金額が滑らかに増加するよう累進構造を大幅に緩和することとしたものでございます。また、小額納税者への配慮として課税最低限の引き上げを行うとともに、真に手を差し伸べなければならない方々にしわ寄せがなされないようにきめ細かな配慮を行ってきたところでございます。
 次に、消費税率引き上げの責任についての御指摘がございました。
 活力ある福祉社会実現のために、所得課税に依存した税制を見直し、所得、資産、消費のバランスのとれた税制を目指さなければなりません。今回の税制改革では、このような見地から、恒久的な所得減税と一体として現行消費税制度を改革をした上で税率の引き上げを行うこととしたものでございます。さらに、決定のプロセスにつきましても、慎重の上にも慎重な議論を積み重ねて結論に至ったものでございます。したがって、御指摘のような批判は全く当たらないと考えています。
 次に、米の輸入自由化問題についてお尋ねがございました。
 昨年十二月の調整案の受け入れは、ウルグアイ・ラウンド交渉の成功のために応分の貢献を果たすことが我が国の国際的責務であるとの観点から、ぎりぎりの交渉の結果として、まさに断腸の思いであったと思われます。私といたしましては、この合意の受け入れによって農家の方々が不安や動揺を来さないよう、あすの農業を切り開く見地に立ちまして、万全の国内対策を講じていくことこそが我々に与えられた責任であると考えているところでございます。
 次に、我が国の安全保障理事会常任理事国入りの問題についてお尋ねがございましたが、この問題につきましては、就任以来、外交政策の継続という基本方針を踏まえて検討を今日まで行ってまいりました。また、各国首脳との一連の会談等を通じ、我が国が安保理常任理事国となって責任を果たすことに対する各国の期待が大きいことも実感をいたしてまいりました。このような経緯を踏まえ、さきに外務大臣の国連演説において、我が国の国際貢献についての基本的な考え方は明らかにしてまいったところでございます、いずれにいたしましても、安保理改組の問題は、今後も国連において議論されていく問題でありますので、国民の御理解を得ながら取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 次に、安保理常任理事国による戦略的指導についての御質問でございますが、国連憲章によれば、軍事参謀委員会は兵力の戦略的指導につき責任を負うことになっております。このような軍事参謀委員会の活動は、正規の国連軍、いわゆる憲章第七章国連軍という条項によるものでありますが、こういう国連軍が編成されることが前提となっていると考えますが、この国連軍は安保理が加盟国との間で締結する特別協定に基づいて提供される兵力により構成されることになっておりますが、しかしながら、今日に至るまでかかる特別協定が締結されたことはございませんし、また、締結の見通しも全く立っていないのであります。しかしながら、いずれにいたしましても、我が国は、どのような事態になろうとも憲法の枠内で安保理における責任を果たすことについては変わりはございませんので、その点については明確に申し上げておきたいと存じます。
 次に、軍事参謀委員会の一九四七年の報告書についてのお尋ねでありますが、同委員会は御指摘の報告書を一九四七年四月安保理に提出しましたが、同報告書につきましては安保理においても合意が得られず、安保理として同報告書を採択するに至りませんでした。安保理が全体として採択していない同報告書に法的拘束力はなく、あくまで当時の五大国の考え方を探る一つの参考程度にとどまるものであります。また、そもそも第二次大戦終結直後の国際情勢と、当時五大国が占めた地位、役割を背景として作成された報告書の内容が、その後四十五年以上が経過する中で、冷戦構造が崩壊し、国際社会における各国の地位、役割も大きく異なったものとなっている今日の国際情勢の文脈の中で、相変わらず同じ意義を有すると断定するのは適当でないと私は思います。
 次に、憲法と常任理事国との関係についてのお尋ねでありますが、先般の外務大臣の国連総会演説で我が国の国際貢献について述べたことは、まさに我が国が憲法の理念にのっとり、世界の平和と安全のためにどのように貢献していくかについて基本的な考え方を示したものでございます。したがいまして、御指摘のように、国連の名によって我が国の憲法の平和条項を立ち枯れにしているといったようなことは、全く当たらないものと考えております。
 次に、さきの大戦に対する認識についてお尋ねでございますが、私は、さきの大戦につきましては、繰り返し述べておりますように、我が国が過去の一時期に行った侵略行為や植民地支配が、国民に多くの犠牲をもたらしたのみならず、アジアの近隣諸国等の人々にも今なお大きな傷跡を残していることを認識しており、我が国は不戦の誓いを新たにし、恒久平和に向けて努力していかなければならないと考えているものでございます。さきの大戦に対する私のこのような認識は一貫したものであることを申し上げておきたいと存じます。
 さきの大戦に対する反省のないまま国連での大国的地位を追求することは日本への不信を大きくするとの御指摘でございますが、我が国が、過去の過ちから目を背けることなく、平和国家として恒久平和に向かって努力していかなければならないことは、私自身繰り返し申し述べてきたところであり、御指摘は当たらないと思います。
 ルワンダへの自衛隊の派遣が我が国の軍事大国化への道を進めるのではないかとの御質問でありますが、今回の派遣は、国連難民高等弁務官事務所からの強い要請に基づき、ルワンダ難民救援のための人道面での国際社会の努力に対し、我が国の国際的地位にふさわしい貢献として行っているものでございます。これは、国際平和協力法ひいては憲法の範囲内において進めているものでございまして、軍事大国化との御指摘は的を射たものではないと考えるところでございます。
 次に、社会党の自民党政府に対する過去の解釈改憲批判についてのお尋ねでありますが、東西冷戦の終結によって歯どめなき軍拡志向の危険性が消え、イデオロギー抜きの新しい安全保障政策を論議する土台ができたこと、戦後半世紀を経て必要最小限度の自衛力の存在を容認する国民意識が形成されてきたことなどを主な理由として、現在の自衛隊は憲法の枠内にあるとの認識に立つに至ったものでございます。しかし、過去において社会党が従来の自民党政府に加えてきた解釈故意という批判は、冷戦時代における軍拡路線が平和憲法の枠を超えて進むのではないかという国民の不安を代弁したもので、憲法理念の非武装を高く掲げて運動を展開したものであると私は認識をいたしております。
 次に、日米安保条約の役割についてのお尋ねでありますが、冷戦の終結後も国際社会が依然不安定要因を内包している中で我が国が引き続き安全を確保していくためには、日米安保条約が必要であることに変化はないと考えております。御指摘のアメリカ覇権主義として具体的にいかなることを想定されているか定かではございませんが、日米安保条約は、我が国の安全が近隣の極東の平和と安全と密接に結びついているとの基本認識のもとに、我が国自身の防衛に加えて極東地域全体の安全と平和の維持に寄与することを同時に目的としたものでございまして、アメリカ覇権主義への従属云々という御指摘は当たらないと考えています。
 日米安保条約を解消すべきではないかとの御指摘でありますが、新政権のもとにおいても、日米安保体制を堅持し、その円滑かつ効果的な運用を確保していくという考えに変わりはございません。
 以下の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
    〔国務大臣河野洋平君登壇〕
#11
○国務大臣(河野洋平君) 反省のないまま大国的地位を追求しているのではないか、こういう御質問でございました。
 しかし、私は、我が国は戦後一貫して、さきの大戦の反省の上に立って新しい国づくりをみんなでやってきたんじゃないか、こういうふうに見ているわけでございます。したがいまして、先般の国連総会におきます一般討論演説におきましても、「我が国は、さきの大戦の反省の上に立ち、世界の平和と繁栄に貢献するとの決意を保持しております。」ということを述べた次第でございます。(拍手)
#12
○議長(土井たか子君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#13
○議長(土井たか子君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 渡辺美智雄さんから、十月七日から十六日まで十日間、小此木八郎さんから、十月九日から十六日まで八日間、古いずれも海外旅行のため、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも許可することに決まりました。
     ――――◇―――――
 国家公安委員会委員任命につき同意を求める
  の件
 電波監理審議会委員任命につき同意を求める
  の件
 中央労働委員会委員任命につき同意を求める
  の件
#15
○議長(土井たか子君) お諮りいたします。
 内閣から、
 国家公安委員会委員に長岡實さんを、
 電波監理審議会委員に塩野宏さんを、
 中央労働委員会委員に青木勇之助さん、猪瀬慎一郎さん、川口實さん、神代和俊さん、高梨昌さん、萩澤清彦さん、花見忠さん、福田平さん、舟橋尚道さん、細野正さん、山口浩一郎さん、山口俊夫さん及び若菜允子さんを任命したいので、それぞれ本院の同意を得たいとの申し出があります。
 まず、国家公安委員会委員及び中央労働委員会委員の任命について、申し出のとおり同意を与えるに賛成の皆さんの起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#16
○議長(土井たか子君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。
 次に、電波監理審議会委員の任命について、申し出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えることに決まりました。
     ――――◇―――――
#18
○議長(土井たか子君) 御報告することがあります。
 永年在職議員として表彰された元議員伊東正義さんは、去る五月二十日逝去されました。
 永年在職議員として表彰された元議員永末英一さんは、去る七月十日逝去されました。
 まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 伊東正義さんに対する弔詞は、去る九月二十二日、永末英一さんに対する弔詞は、去る七月三十日、議長においてそれぞれ既に贈呈いたしております。これを朗読いたします。
    〔総員起立〕
 衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議
 をもってその功労を表彰され 再度国務大臣の
 重任にあたられた伊東正義君の長逝を哀悼し
 つつしんで弔詞をささげます
    …………………………………
 元民社党中央執行委員長前衆議院議員正三位勲
 一等永末英一君は 多年憲政のために尽力し
 特に院議をもってその功労を表彰されました
 君は終始政党政治の推進に力をいたし議会制民
 主政治の発展に貢献されました その功績はま
 ことに偉大であります
 衆議院は 君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞
 をささげます
     ――――◇―――――
#19
○議長(土井たか子君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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