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1994/07/21 第130回国会 参議院 参議院会議録情報 第130回国会 本会議 第2号
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1994/07/21 第130回国会 参議院

参議院会議録情報 第130回国会 本会議 第2号

#1
第130回国会 本会議 第2号
平成六年七月二十一日(木曜日)
   午前十時一分開議
    ─────────────
#2
○議事日程 第二号
  平成六年七月二十一日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
○本日の会議に付した案件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員、裁判官訴追委員
  及び同予備員辞任の件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員等各種委員の選挙
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(原文兵衛君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 浜本万三君から裁判官弾劾裁判所裁判員を、角田義一君から裁判官訴追委員を、大脇雅子君から同予備員を、それぞれ辞任いたしたいとの申し出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
 よって、いずれも許可することに決しました。
     ─────・─────
#5
○議長(原文兵衛君) この際、
 裁判官弾劾裁判所裁判員、
 裁判官訴追委員、同予備員、
 国土審議会委員各一名の選挙を行います。
 つきましては、これら各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することとし、また、裁判官訴追委員予備員の職務を行う順序は、これを議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、
 裁判官弾劾裁判所裁判員に久保田真苗君を、裁判官訴追委員に大脇雅子君を、
 同予備員に吉村剛太郎君を、
 国土審議会委員に北修二君を、それぞれ指名いたします。
 なお、裁判官訴追委員予備員の職務を行う順序は、吉村剛太郎君を第一順位といたします。
     ─────・─────
#7
○議長(原文兵衛君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る十八日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。吉田之久君。
   〔吉田之久君登壇、拍手〕
#8
○吉田之久君 私は、新緑風会を代表して、総理の所信表明演説に対し、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 私たち新緑風会は、去る二月四日、参議院において新生党、民主改革連合、日本新党、そして民社党・スポーツ・国民連合の四会派三十八名が我が国の政治改革の中心的な推進力となることを決意して、発足いたしました。そして、社会党や公明党の皆さんとかたく手を組んで細川内閣と羽田内閣を支えてまいりました。もっとも、羽田内閣発足の際、社会党と新党さきがけは政権から離脱されましたが、平成六年度予算成立までの間、羽田政権に協力いただいたことを感謝しております。
 それだけに、思いもかけぬこのたびの政変、自、社、さきがけの連立政権の出現をすこぶる残念至極に存じます。水と油のようにイデオロギーも憲法観もそして支持層も異にしてきた二つの政党が、いかに冷戦構造が崩壊したとはいえ、かくも簡単に連立を組み得るほど政治の世界は便利で無原則なものでありましょうか。明治二十三年以来、百三年の我が国の議会政治の中でこのような不思議な政権が誕生したことは初めてのことだと嘆くものであります。
 自社両党の中にもこの不可解な連立に反発した議員が多かったのは当然のことであり、我々はそうした人たちの勇気と見識に深く敬意を表するものであります。
 かつて細川内閣時代、自民党は我々の政権を称してある種の野合政権だといわれなき中傷を浴びせたことを私たちは忘れません。しかし、我々は過ぐる参議院選挙と昨年の総選挙で、日本の政治改革のためには自民党にとってかわる政権をつくるしかないと強く訴えて選挙に勝利し、その公約に基づいて政策の一致を見出しながら政権を樹立いたしました。その点では極めて正当な政権であったと確信しています。
 このたびの自社連立政権は、国民に一かけらの公約もせず、全く異質な第一党と第二党が無原則に手を組んで、多数であることだけを名目に政権を奪回し、後から政策の合意に腐心している実態でありまして、政権の正当性を著しく欠いていると申さねばなりません。まず国民に公約し、政策の一致を図り、連立政権を打ち立てた我々と比べて、まさしく本末転倒の政権と言うべきであります。百歩譲って、この政権の存在理由を探すとすれぼ、改革された新たな選挙制度で速やかに信を国民に問うべき選挙管理内閣の機能だけを残している政権だと断定いたします。改めてここに、不当にも我々に浴びせられた野合という暴言をのしをつけてお返しいたします。
 多くの国民に戸惑いを与え、国外からも疑いの目で眺められている政権をあえて担われた総理、あなたはその重大な責任をどう果たされるのか、決意のほどをまず承りたいと存じます。
 外交・防衛問題について質問をいたします。それは、総理の外交・防衛政策の基本的認識についてであります。
 およそ国家にとって国の主権と独立を守るため最小限の自衛力を保持することは、国家が生き抜いていくための必須の要件であり、すべての国家においてとられている当然の措置であります。みずからの国を守ることは、ひとり自国の努力だけではなく、友好国との同盟連帯が極めて効果的であることも既に証明済みであります。その意味で、戦後我が国がとってきた専守防衛に立つ自衛努力とかたい日米安保体制のきずなは、すぐれて現実的で有効な選択であったと確信するものであります。我々新緑風会は、今日までこの路線を支持し、国民合意の形成に懸命に努力してまいりました。
 ところが、こうした外交・防衛政策を全面的に否定し、全国各地での反対運動を組織し指導してきたのは、日本社会党でありました。自衛隊は違憲だとしてその存在を否定し、日米安保は日本をアメリカに従属させ戦争に巻き込むものだとして、いわゆる非武装中立を主張してきたその社会党の委員長が首班となる内閣が誕生したのでありますから、日本の将来に対する疑問と不安が一挙に広がったのはむしろ当然と言わなければなりません。
 総理は所信表明演説や昨日の衆議院での答弁で、日米安保体制を堅持し、自衛隊については専守防衛に徹し、必要最小限の防衛力の整備を心がけると述べられましたが、国民は、これが果たして社会党の本心なのか、それとも権力を維持するための方便なのか、村山総理の突然変異的発言を理解しかねています。
 そこで、国民の疑念を晴らすために簡略に以下三点伺います。
 一つ。社会党が今日まで言ってきた非武装中立論は間違いであったと率直にお認めになりますか。
 二つ。社会党は、自衛隊は憲法違反との立場をとってきたことを全面的に改め、今後、自衛隊を明確に合憲と認められますか。
 三つ。自衛隊合憲、日米安保堅持の方針に転換するため、社会党の綱領的文書である新宣言の改正を必ず九月党大会に提起されますか。もし万一認められない場合は、党首として、また総理として、責任をおとりになりますか。
 以上三点を明確にすることなくして総理がいかに外交・防衛政策を論じようとも、それは実体のない架空の議論とならざるを得ません。総理が誠心誠意職務に取り組むと言った公約を果たす第一歩がこれであります。決意のほどを伺います。
 次に質問したいのは、国連とPKOへの協力姿勢についてであります。
 ポスト冷戦下で、国連の役割への期待が高まり、国連の機能強化が世界の平和と安全にとって緊急の課題となっております。ガリ事務総長も九月に来日するなど、日本への大きな期待を寄せてきたことは周知のとおりであります。また、日本の国連分担金もこれまでの一二・四五%から一五%台に引き上げられ、米国に次ぐ資金拠出国としての期待が高まっております。
 羽田前内閣もこうした諸外国の期待にこたえようと努力してきたところでありますが、村山内閣は、こうした動きにブレーキをかけ、日本の国連の常任理事国入りに依然消極的な姿勢をとっておられます。湾岸戦争での苦い教訓を忘れ一国平和主義に立てこもって再び世界の傍観者に逃げ込もうとするのか、ドイツが憲法裁判所でPKOなどへのドイツ連邦軍の海外派遣は合憲であると判断し常任理事国入りへの条件を整えたのに比べ、まさに雲泥の差であります。
 我々は、現在の日本が真に世界の安定に寄与し、また積極的に国連の機能を充実させるため、この際進んで国連の常任理事国入りを果たすべきだと考えますが、村山総理の率直な御見解をお伺いいたします。
 次に、PKOについて伺います。
 我が国は、PKO協力法制定以来、カンボジアやモザンビークに自衛隊を派遣し、平和の構築に目に見える貢献をし、世界各国からも高い評価を受けてまいりました。このPKOに参加した自衛隊の献身的な活動に対し総理はどのような評価を下されるか、お聞きしたいと思います。
 なお、この機会に率直に伺います。
 総理、あなたは自衛隊員を愛しますか、それとも何となく疎ましい存在だとお感じになりますか、明確にお答えいただきたい。
 陸海空、三自衛隊を統括する最高指揮官であるあなたが自衛隊員をかたく信頼するとき、彼らもまた心から国家に忠誠を誓うでありましょうが、もしそうでない場合を考えたら、自衛隊員のやり場のない思いは察するに余りあります。このようなことでは、いざというときに自衛隊が果たして有効に機能するかどうかも憂えざるを得ません。
 次に、北朝鮮の問題についてであります。
 北朝鮮では、金日成主席の急逝の後、金正日後継体制が着々と固められているようでありますが、国際社会に挑戦した核兵器開発疑惑はもとより、我が国をも射程におさめるというミサイル開発問題など、その動向は極めて警戒を要するものがあります。北朝鮮の軍事力は、理論上の脅威から現実の脅威に変質し始めていると見なければなりません。
 こうした中で、政府は、中断されている米朝高官会議や延期された南北首脳会談の開催の見通しについてどのように分析しているのか、さらには日本と北朝鮮の国交正常化交渉のための非公式折衝も検討しているのかどうか、お答え願いたいのであります。
 いずれにしても、今後、北朝鮮の出方は予断を許しませんが、我が国は韓国、米国と連携を密にして北朝鮮のいかなる冒険主義的な行動にも毅然として対応すべきであることは言うまでもありません。同時に、不測の事態に備えて、危機管理体制、有事法制の整備についても急ぐとともに、国内における治安体制についても万全を期すべきものと考え幸す。さらに、核開発疑惑に対処する上での国連による経済制裁を実効あるものとするため、国連加盟国としての義務を誠実に履行できるよう万般の準備が大切であります。村山総理の明快な御答弁を願います。
 次に、政治改革についてお尋ねいたします。
 我々は、昨年、社会党や新党さきがけの皆さんとともに細川連立政権を樹立し、政治腐敗の防止と政権交代体制の確立を目指し、政治改革法案を提出し、これを成立させることができました。しかしながら、政治改革法案の総仕上げとも言うべき区割り法の制定や、さらなる腐敗防止の実現、国会改革などについては、その後の羽田政権においてそれを完結させ得ないまま野に下ることになりました。
 今回誕生した村山政権はこの改革路線を継承すると述べておられますだけに、その完結に向けて強力なリーダーシップを発揮されるよう強く求めるものであります。
 今急ぐべきは、小選挙区の区割り法案の成立であります。区割り法が成立、施行しなければ、新制度での選挙に移行することはできず、また、政治資金規正法の改正や公民権停止などの強化も働かない仕組みになっております。
 現在、衆議院議員選挙区画定審議会では十一日から具体的な三百の小選挙区の区割り案づくりを始めており、八月初めには勧告がなされると聞いております。ならば、八月の下旬には臨時国会を召集して法案の早期成立を図るべきであると考えますが、総理の方針をお伺いいたします。
 なお、来年以降、総額三百九億円の公的資金が各政党に配分されることになりますから、この際、政党にも法人格を付与すべきだとの論議が強まっており、今後真剣に検討していく課題であると思います。しかし、これを区割り法案と絡ませることは、巧妙な政治改革つぶしと受け取られるおそれがあります。この機会に総理は、あくまで新選挙法の完全成立を急ぎ、絶対に現行中選挙区選挙はあり得ないと言明していただけますか、承りたいと存じます。
 次に、税制改革について伺います。
 総理、過日、社会党と我々旧連立与党との間の政権協議において最後まで調整がつかなかったのが所得税減税に対応する財源の問題でありました。しかし、増減税の一体処理を含む税制の抜本改革については、さきの通常国会において、所得税減税法案が成立する際に、その代替財源案を含めて今年中に関連法案を成立させるという修正案を全会一致で議決しており、政府が国会で決めた法律を無視するようなことはできるはずはありません。村山総理は、改めてこの国会で、今年中に税制の抜本改革を行うことを明確にしていただきたいと思います。
 また、今回の自、社、さきがけ連立政権に関する合意事項には「税制改革の前提として、行財政改革を断行する」と記されておりますが、村山政権の目指す行財政改革の中身とスケジュールを具体的にお示しいただきたい。
 そして合意事項には、消費税の改廃を含む総合的改革案を提示し今年中に関連法案を成立させるよう努力すると表明されておりますが、このように消費税の廃止が公然と検討されていることは極めて重大であります。
 総理、あなたの考えておられる税制改革とは消費税を廃止することでありますか、もしそうなら消費税にかわるどのような税制をお考えですか、また、今年中に関連法案を必ず成立させる決意があるのかどうか、明確な答弁を求めます。
 次に、経済問題について伺います。
 バブル経済崩壊による未曾有の長期不況も、今年度に入ったころから、企業マインドを初め消費などにようやく明るい動きが見られるようになってまいりました。しかし、こうしたやさきに再び始まった急激な円高ドル安の進行は、我が国経済のみならず、世界経済にも悪影響を及ぼし、せっかく回復の兆しが出始めた我が国経済に冷水を浴びせることになっています。
 とりわけ、今回の円高ドル安は、村山政権の発足と同時に一ドル百円を割り込み、七月になってからも円高圧力は一向に衰えず、一ドル九十円台定着の観さえ見せておりますが、これこそ内外の市場があいまいな形で発足した新政権では有力な黒字削減策を打ち出すことは到底無理であると判断した結果であり、村山連立政権に不信任状を突きつけたに等しいと言っても過言ではありません。
 総理は、黒字対策について、所信表明では「経常収支黒字の十分意味のある縮小の中期的達成に向けて努力していく」と述べられておりますが、全く意味不明であります。これは具体的にどういうことでありますか、わかるように御説明願いたいと存じます。
 また、この円高によって我が国企業による海外生産比率は、平成四年で既に一五%に迫っており、平成八年には欧米並みの二〇%を超えるものと見られておりますが、今後その影響は経済のあらゆる側面にあらわれてくることは必定であります。歯どめなき円高がこうした我が国の産業を海外に無理やり追い出しているとすれはまことにゆゆしい問題であり、雇用問題へのはね返りは極めて深刻なものになります。現に、来年度卒業の学生たちへの就職の門は一斉に閉ざされた感があり、特に社会参加を求める女性たちに絶望感を与えつつあることはまさに大きな社会問題と言わなければなりません。
 高齢化社会の進む中で、今後果たすべき女性の役割はいよいよ重要であります。若い女性に働く希望を与え、中高年齢者に生きがいを与える社会こそ、あなたの言う人に優しい社会づくりの目標でありましょう。青年とすべての老人に希望ある社会を用意するため、総理の決意のほどを伺います。
 次に、平成七年度予算編成についてお尋ねいたします。
 昨年八月九日に細川内閣が誕生してわずか四日後の八月十三日に、平成六年度予算の概算要求の閣議了解が行われました。物理的に旧政権下で行われてきた予算編成方式を踏襲せざるを得なかったと言えます。しかし、このような制約の中で、我々は公共投資の配分を大幅に見直し、大胆な政策を実現することができました。
 平成七年度予算については、ぜひ新しい方式で編成に臨むべきであると考えます。シーリングを決め、各省庁が要求を積み上げる旧来の仕組みでは、いわゆる族議員の圧力をはねのけることもできず、どこまで行っても硬直的、固定的な予算編成を打破することはできません。村山総理は、ナポリの日米首脳会談で公共投資を質量ともに見直すと約束いたしましたが、予算編成方式を思い切って改革しなければこれも不可能であります。
 まず、内閣がどんな哲学で予算を組むのか、政策的に何を優先するのかを明らかにし、六年度予算からの積み上げではなく、すべてを白紙に戻す思いで、省庁の枠を超え横断的に施策をまとめていく新方式で平成七年度予算を編成するよう提言します。
 予算の分捕り合戦のための上限の数字を決めるのではなく、まず、生活者・消費者優先、国際協調推進、福祉や雇用を柱とした経済政策重視などの予算編成の大原則を決めるべきことを求めます。
 さらに、予算の単年度主義の弊害を是正する視点から、中長期的な予算計画を策定し、好況時には資金をプールし不況時には景気対策の財源などに充てる景気調整基金を創設すべきだと考えます。
 以上の提言にどうこたえるか、村山総理の御見解を伺いたい。
 次に、内政の基本問題についてお伺いいたします。
 一つは、国歌・国旗の問題であります。
 日の丸・君が代問題について、自民党は、祝祭日に国旗の掲揚と国歌斉唱を啓蒙する運動と法制化を推進しております。新党さきがけについては、政治理念やアンケートに対する答えなどを見ますと、国旗‘国歌を尊重する考え方と受け取れます。しかし、社会党は、本年一月の社会党大会において、日の丸については今後も教育現場への強制、押しつけに反対すると言っており、君が代については歌詞が主権在民の憲法の精神にふさわしいものとは言えないという見解が紹介されています。
 現行の学習指導要領では「入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導する」となっており、これを受けて、文部省においては各都道府県、指定都市教育委員会に対し格段の指導を要請しているところであります。
 今回、社会党は、単に連立政権を構成するだけではなく、総理はその指導の頂点に立っておられるわけでありますから、この文部省の指導を全面的に肯定されますかどうか、総理のお考えを伺うと同時に、大臣である河野、武村両党首の御見解をそれぞれお伺いいたしたいと思います。
 最後に、北方領土について伺います。
 ナポリ・サミットとあわせ開かれる予定であった日ロ首脳会談は総理の入院によって開催されず、サミットの議論の中にも北方領土問題が取り上げられなかったことはまことに遺憾であります。北方領土の返還は国民の悲願であり、この問題の解決はロシアとの真の友好信頼関係を築いていくために必要不可欠な問題であると考えます。総理は、北方領土返還問題にどのように取り組んでいくおつもりなのか、また、エリツィン大統領に改めて首脳会談を呼びかけるお考えなのかどうか、御所見をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(村山富市君) 吉田議員の質問にお答えしたいと思いまするが、第一の質問は、内外に戸惑いを与えておる政権を担う私の責任についてのお尋ねであります。
 私は、この問題は現在の政局をどのように認識するかということにかかっておると思うんですが、申し上げるまでもなく、これはもう世界も大きく今転換をしつつあります。ベルリンの壁が崩壊して東西ドイツが統一をする、あるいはまた、ソ連が崩壊して、ロシアがG7のテーブルに着いて一緒に話し合いができる、そういうふうに世界は大きく変わろうとしているわけです。
 私は、日本の政治の中で長く続いてまいりました五五年体制、自民党という与党と野党第一党の社会党が対峙をしてきたそういう体制をいつまでも持ち続ける、そういう認識の中に閉じこもる、それがやっぱり誤りではないかと私は思うのです。そうではなくて、もう世界も大きく変わり日本の政治も変わらなきゃならぬ。そういう状況の中で、イデオロギーで対立をする時代ではなくて政策を競い合う、その中から一つの政党が単独で政権を担う時代から複数の政党が連立を組んで政権を担当する、そういう時代に変わりつつある。この認識を正すことが大事ではないかと思うのであります。
 したがって、そうした時代認識を背景にして、この内閣は、そのような時代の要請にこたえていくべく、いわゆる五五年体制に終止符を打ち、これまで別の道を歩んできた三党派がより国民の意思を反映し、より安定した政権を目指して互いに自己改革を遂げる決意のもとに結集したのがこの内閣であります。今後、国民にとって何が最適の政策選択かを基本に置いて、責任を持って改革の道を邁進してまいる考えであり、内外いずれからも必ずや信頼と支持を得られるものと確信をいたしております。
 次に、非武装中立論についてのお尋ねがございました。
 私は、悲惨な戦争を繰り返してはならないとの国民の決意に基づく平和憲法の理念を社会党が非武装中立の政策として定式化したものと認識をしております。
 この政策は、冷戦構造のもとにおいて、文民統制、専守防衛、自衛隊の海外派兵の禁止、集団的自衛権の不行使、非核三原則の遵守などの原則を確立し、日本の平和を守り、軽軍備で国民生活を大切にする政治の推進に大きな役割を果たしたと確信いたしております。しかし、国際的に冷戦構造が崩壊した今日、その政策的役割を終えたと認識をいたしております。
 今後は、世界第二位の経済力を持った平和憲法国家日本が国際平和の維持にどのように貢献し、あわせて自国の安全をどのように図るかという点で、具体的な政策を提示し合う未来志向が求められているときだと思います。
 次に、自衛隊に関する憲法上の位置づけについてのお尋ねがございました。
 私としては、専守防衛に徹し自衛のための必要最小限度の実力組織である自衛隊は、憲法の認めるものであると認識するものであります。同時に、日本国憲法の精神と理念の実現できる世界を目指し、国際情勢の変化を踏まえながら、国際協調体制の確立と軍縮の推進を図りつつ、国際社会において名誉ある地位を占めることができるように全力を傾けてまいる所存でございます。
 本来、国家にとって最も基本的な問題である防衛問題について主要政党間で大きな意見の相違があったことは、好ましいことではありません。戦後、社会党は平和憲法の精神を具体化するために粘り強い努力を続け、国民の間に文民統制、専守防衛、徴兵制の不採用、自衛隊の海外派兵の禁止、集団的自衛権の不行使、非核三原則の遵守、核・化学・生物兵器など大量破壊兵器の不保持、武器輸出の禁止などの原則を確立しながら、必要最小限の自衛力の存在を容認するという穏健でバランスのとれた国民意識を形成し得たものであると思っております。
 国際的に冷戦構造が崩壊し、国内的にも大きな政治変革が起きている今日においてこそ、こうした歴史と現実認識のもと、世界第二位の経済力を持った平和憲法国家日本が将来どのようにして国際平和の維持に貢献し、あわせてどのようにして自国の安全を図るかという点で、よりよい具体的な政策を提示し合う未来志向の発想が最も求められると考えているのでございます。
 社会党においても、こうした認識を踏まえて、新しい時代の変化に対応する合意が図られるものと期待をいたしておるところでございます。
 社会党の綱領的文書である新宣言の改正についてお尋ねがござ、ました
 昨日の衆議院本会議で答弁をさせていただきましたように、社会党の今後の安全保障政策につきましては、平和憲法の理念を具体化するために活動してきた社会党の歴史と冷戦構造が崩壊した新しい時代の変化に対応して、綱領的文書として新宣言の改正が党の機関で議論されるものと期待をいたしております。
 次に、国連常任理事国入りについてのお尋ねがございました。
 国連における貢献につきましては、我が国は国連加盟以来、一貫して国連中心外交を展開してまいりました。冷戦後の世界にあって国連の果たすべき役割はますます増大してきており、我が国としても国際社会の期待にこたえ、より責任ある分担をすることを必要と考えております。
 いずれにせよ、常任理事国入りによって生ずる権利と責任について十分議論を尽くし、国際社会の支持と国民的理解を踏まえて取り組んでいく所存でございますが、新政権としては、外交の継続性を確保していくという方針であり、常任理事国になることについて消極的になっているというわけではございません。
 次に、これまで国連平和維持活動に参加してきた自衛隊の活動に対する評価についてのお尋ねがございました。
 国際平和協力業務に従事した自衛隊員を初め、文民警察官、民間ボランティアの皆様方が、これまでカンボジア、モザンビーク、エルサルバドルなどの異境の地において、厳しい生活環境、勤務環境のもと、国際平和のため職務に精励してこられたことに対し心からねぎらいの言葉を申し上げたいと思います。
 また、モザンビーク、エルサルバドルから帰国した国際平和協力隊員に対しては、先般、私からも表彰状を交付して、その労をねぎらったところでございます。
 また、国連を中心とした国際社会の平和と安全を求める努力に対し、資金面だけではなく人的な面でも貢献を行うことは当然であります。今後とも、国連平和維持活動に対する協力については、憲法の枠内で国際平和協力法に基づき積極的に行っていく所存でございます。
 次に、自衛隊員を愛するかどうかというお尋ねでございますが、自衛隊の諸君は、我が国の防衛という重要な任務を達成するため日夜黙々と努力を重ねてくれております。私はこうした隊員を心から信頼しております。
 次に、米朝協議再開の見通しについてお尋ねがございました。
 米朝協議は現在とりあえず中断状態にありますが、北朝鮮における金日成主席の追悼大会後、再開の動きが出てくる見通しでございます。
 南北首脳会談開催についても御質問がございましたが、右の会談については、十一日、北朝鮮側より延期の通告があったところで、今後の見通しについてはまだ確たることは申し上げることができない状況にございます。
 日朝国交正常化交渉のための非公式接触についても御質問がございましたが、右交渉への今後の対応を考えるに当たりましては、まずは後継体制のもとでの北朝鮮の出方を注視する必要があるかと考えています。
 さらに、北朝鮮問題についてのお尋ねでございますが、この問題は、我が国の安全保障上の重大な懸念であるのみならず、核不拡散体制や国際社会の安全保障にかかわる重大な問題であることは申し上げるまでもございません。御指摘の危機管理体制については、一般論として、我が国にとって重大緊急事態が発生した場合には政府が一体となってこれに対処する方針をとっております。
 次に、新たな立法措置の問題についてのお尋ねがございましたが、これもまた一般論として、国連の安全保障理事会で何らかの措置が決定される場合には日本としても憲法の範囲内で責任ある対応をとる所存でございます。
 また、御指摘の国内の治安体制については、警察としては、朝鮮半島をめぐる情勢の推移に伴って仮に日本国内において何らかの不法行為が発生すれば、これに厳正かつ的確に対処をするものと承知をいたしております。
 次に、国連による経済制裁を実効あるものとするための準備についての御質問がございました。
 北朝鮮の核兵器開発問題につきましては、関係諸国が協力して対話による解決を目指した努力が行われている現在、御質問のような点について政府として公の場で議論することは適当でないと考えています。なお、先ほども申し上げましたように、一般論として申し上げまするならば、安保理で何らかの措置が決定された場合には、我が国としても憲法の範囲内で責任ある対応を考えてまいりたいと存じます。
 次に、区割り法案の早期成立のため八月下旬に臨時国会を召集すべきとの御指摘でございますが、小選挙区の区割りにつきましては、過日、衆議院議員選挙区画定審議会が発足をし、現在、公正中立に鋭意審議が行われていると承知をいたしております。政府としては、勧告が行われたときは、勧告を尊重して関連法案を早急に提出し、次回総選挙が新しい制度のもとで実施できるよう可能な限り早い時期の成立を目指してまいる所存でございます。したがって、現段階で臨時国会の召集時期について政府として云々すべきではないと考えています。
 次に、総選挙についてのお尋ねがございました。
 区割りについての関連法案の早期成立を目指し、次回総選挙が新制度のもとで実施できるよう最善の努力を尽くしてまいる所存でございますが、私は、内外に課題の山積する中、一刻たりとも政治的空白を許されない、懸命の努力を傾けることこそ、この内閣の使命であると考えております。したがって、現時点で解散・総選挙については全く念頭にございません。
 次に、税制改革及びその中での消費税の問題についてのお尋ねがございました。
 所信表明演説で申し上げましたように、活力ある豊かな福祉社会の実現を目指し、国、地方を通じ厳しい状況にある財政の体質の改善に配慮しつつ、所得・資産・消費のバランスのとれた税体系を構築することが重大な課題であると考えています。
 このため、行財政改革の推進や税負担の公平確保に努めるとともに、平成七年度以降の減税を含む税制改革については、消費税を含む総合的な改革の論議を進め、国民の理解を求めながら、年内の税制改革の実現、すなわち年内の関連法案の成立に向けて一層の努力をしてまいる所存でございます。
 次に、行財政改革の中身とスケジュールについてのお尋ねがございました。
 行政改革は、税制改革のいかんにかかわらず、社会経済情勢の変化等に対応して、簡素にして効率的な行政の実現を目指して不断に進めていくべき国政上の重要課題の一つであると認識をいたしております。したがって、引き続き各般の改革を積極的に推進する所存でございます。
 すなわち、規制緩和の推進について、先般閣議決定いたしました規制緩和推進要綱等の着実な実施に努めるとともに、平成六年度内に五年を期間とする規制緩和推進計画を策定し、積極的かつ計画的に取り組んでまいる所存でございます。
 その他、地方分権、行政情報公開、行政組織、特殊法人等の改革、合理化など各般の改革課題についても積極的に取り組み、実りある成果をおさめるべく努力を払ってまいりたいと考えています。
 また、現下の一段と深刻さを増した財政事情のもと、今後ともあらゆる経費について制度の根本にまでさかのぼった見直しや施策の優先順位の厳しい選択を行うなど徹底した洗い直しに取り組み、財政改革を強力に推進していく所存でございます。
 次に、経常収支黒字の十分意味のある縮小の中期的達成に努力していくとはどのような意味かとの御質問がございました。
 我が国としては、良好な対外経済関係の維持を図る上でも経常収支黒字の問題に取り組む必要があります。このため、我が国としては、内需主導型の経済運営に努めるとともに、規制緩和を初めとする国内経済改革を推進することにより、市場機能を最大限発揮させる中で、経常収支黒字の十分意味のある縮小の中期的達成と競争力のある外国製品、サービス輸入の相当程度の増加に向けて効果的な手段を講じてまいる所存でございます。
 次に、産業の海外移転と雇用機会の問題についてのお尋ねでございますが、昨年来の急激な円高などを背景に、コスト面の優位性などを求めて今後さらに製造業を中心に海外進出が進展する可能性があるものと見られます。それが行き過ぎた場合、国内製造業の空洞化を生ずるのではないかという懸念があることも認識をいたしております。
 このような懸念に対し、我が国としては、産業の活性化を促すことにより、内需主導の国際調和型産業構造の形成を進めるとともに雇用の確保を図っていくことが基本的に重要であると考えております。具体的には、規制の緩和、新規産業の発展や創造的な事業展開を促すための各般の施策、総合的な雇用対策を推進してまいる考えでございます。
 今後とも、これらの総合的な政策対応を進め、将来の我が国経済の活力を維持しながら、国民一人一人がゆとりと豊かさを実感し安心して過ごせる社会の建設を目指して頑張る決意でございます。
 次に、七年度予算編成についてのお尋ねがございましたが、我が国財政につきましては、公債残高が六年度末にはついに二百兆円を超える見込みであるなど、構造的にますます厳しさを増しております。
 したがって、七年度の予算編成に当たりましては、このような一段と深刻さを増している我が国財政をめぐる状況を踏まえ、引き続き健全な財政運営を確保し、公債残高が累増しないような財政体質をつくり上げていくという基本的方向に沿って一層の努力を払っていく一方、限られた資金の枠内で、生活者重視等の視点に立って重点的かつ効率的な配分に努める所存でございます。
 次に、中長期的な予算計画を策定すべきではないかとの御指摘でありますが、中長期的な予算計画の策定に当たりましては、まず今後の社会経済情勢の変化を極めて正確に見通した上で将来の新規施策を織り込んでいく必要がございます。しかし、今日のように社会情勢、経済情勢が大きく変化する時代にありましては、そのような見通しを立てることは極めて困難であります。また、計上経費が既得権化し、かえって財政の膨張、硬直化を助長するといった問題もあります。このように中長期的予算計画の策定には問題が多いものと考えております。
 また、景気調整基金を創設すべきではないかとの御提案でございますが、これにより財政の景気調整機能を充実させることが可能であり、また、資金に一定の残高が積み上げられれば歳入欠陥が生じても再び特例公債の発行という事態に陥るととなく対応できるという観点からの御指摘ではないかと思います。
 しかし、現実の予算編成の過程においては、歳出規模はどうしても拡張的になりやすい傾向にあり、また、一方で巨額の利払い費を支払いつつ他方で資金を保有しておく余裕は現在全くないことから、これを実現させることは現実的ではないと考えております。
 次に、学校教育における国旗・国歌の指導についてのお尋ねがございました。
 この指導は、我が国の国旗・国歌はもとより、諸外国の国旗・国歌に対する正しい認識とそれを尊重する態度を育てるために行うこととしたものであります。
 この問題につきましては種々議論があることを承知いたしておりますが、行政府としては、このような指導はこれからの国際社会に生きていく国民として必要な基礎的、基本的な資質を身につけるために必要なことであると考えています。同時に、こうした指導が無理なく受け入れられる素地がさらに整うことが望ましいものではないかということを申し上げておきたいと存じます。
 次に、北方領土返還への取り組み、エリツィン大統領への首脳会談呼びかけについてのお尋ねがございました。
 昨年十月のエリツィン大統領の訪日により、領土問題を含め今後の関係発展のための新たな基礎が築かれ、その成果は東京宣言に結実をいたしております。先般のナポリ・サミットの際のG7首脳とエリツィン大統領との会合において、私から、法と正義に基づく外交を実践する必要性とともに、東京宣言に基づき日ロ関係を完全に正常化することの重要性につき、改めて強調したところでございます。
 政府としては、今後とも日ロ間の政治対話を一層加速し、東京宣言を基礎として領土問題解決のための努力を積み重ねていく考えであります。そのような努力の中で、適当な条件が整えば首脳間においても対話を持ちたいと考えているところでございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣河野洋平君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(河野洋平君) 申し上げるまでもなく、日の丸を国旗、君が代を国歌とする認識は国民の間で既に定着をしていることではありますけれども、教育の場で国民として国旗・国歌を尊重するという基本的、基礎的な資質を身につけるための指導が適切に行われることは必要なことであると考えております。(拍手)
   〔国務大臣武村正義君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(武村正義君) 私も、総理、副総理と基本的には同じ考えでございます。
 長年の慣行により、日の丸が国旗、君が代が国歌であるとの認識が国民の間に定着をしてきております。私自身もそのことを尊重してまいりたいと思いますし、教育現場においても国旗の掲揚、国歌の斉唱を適切に指導することは必要と考えます。(拍手)
    ─────────────
#12
○議長(原文兵衛君) 宮澤弘君。
   〔宮澤弘君登壇、拍手〕
#13
○宮澤弘君 私は、自由民主党を代表して、村山政権の基本姿勢及び当面する内外の重要課題について、総理その他関係大臣に質問をいたします。
 先国会の会期末、歴史的な大連立により村山内閣が生まれました。村山総理、あなたは日を置かずナポリ・サミットに赴かれ、国際的な大舞台で堂々日本の立場を主張し、理解を求めてこられました。大変御苦労さまでありました。
 さて、我が自由民主党は、日本社会党、新党さきがけと協力して村山内閣を誕生させました。
 我が国は今急激な円高に直面し、長期不況からの脱出と政治改革の実現、国民が真に豊かさを実感できる国づくりを進めなければならないのであります。そのためには安定した政治基盤が不可欠であることは申すまでもありません。
 しかるに、新生党、公明党、日本新党等から成る細川、羽田二代にわたる連立政権は、その政策実行能力においても、また政治運営の手法においても、適格性を欠く不安定な弱体政権でありました。とりわけ、権力の二重構造がもたらす危険性と非民主的な政治運営を改め、真の議会制民主主義に基づく民意を反映した政権を求めて、我が党は内閣不信任案を提出いたしました。ところが、羽田内閣は総辞職によって政局を一層混迷に導いたのでありました。
   〔議長退席、副議長着席〕
 衆参両院を通じて最大の議席を持つ第一党である自民党が政局を収拾するため第二党である社会党と政権について協議を行い、政策についても十分合意できることを確認して新政権が成立したことは自然の成り行きであったのであります。
 戦後最長最大の経済不況、政治改革、日米経済関係の悪化、北朝鮮の核疑惑問題等、難問が山積する中、少数与党による不安定政権では立ち往生せざるを得ず、民意を代表した安定政権によって世界平和に貢献しつつ我が国を発展させていくことが今ほど強く求められているときはないのであります。しかるに、世の一部には、五五年体制の復活であるとか、なれ合い政治であるとかの声もあります。
 そこで、総理、このような誤解を解くためにも、今回の三党連立、村山政権誕生の意義を改めて御自身の言葉で国民の前に明らかにしていただきたいのであります。
 総理は所信表明演説の中で、「人にやさしい政治」、「安心できる政治」を説かれ、また、世界に向かっては強い国よりも優しい国でありたいと語られました。この際、「人にやさしい政治」とは具体的に何を指すのか、「優しい国」とはいかなる国家像を考えておられるのか、お示しを願いたいのであります。
 村山総理の人物像には、苦労人、自然流、誠実な人柄等の評価があるようでありますが、いずれも権謀術数とはほど遠いソフトなイメージという点では共通しているのではないかと思われます。そのような人柄が今回の大連立を可能にした一因であり、行政経験が少ないにもかかわらず指導者として信頼できるというムードを醸し出したものと考えられます。
 政治においては信義は何よりも大切なことであり、これは先般の改新騒動で改めて痛感したばかりであります。政界再編の座標軸が、自民、非自民の対立から強権的な政治手法か透明性を重視する信頼性ある手法かに転換した昨今であると言えるのではないでしょうか。総理の政治手法について伺っておきたいと思います。
 なお、この際、一、二、総理の政治姿勢について伺います。
 連立政権は、複数の政党がそれを構成するものでありますから、政府の政策と各党の政策とが調整されていなければなりません。その点、さきの連立政権ではしばしば混乱が生じておりました。総理は、いかなる方法手段によって各党の政策の間の調整を行って、内閣としての施政方針の整合性を保っていかれるのかを伺います。
 もう一つは、官僚政治からの脱却の問題であります。
 さきの連立政権のもとにおいては、多分に行政経験の未熟によるところであったと思われますが、官僚主導との強い批判がありました。我が国の官僚は優秀であり仕事熱心でありますが、反面、縦割り行政により国益より省益や局益に走る嫌いがあります。大局観を忘れた官僚のばっこを許すことは国益に反します。総理は、官僚主導と言われている政治の現状をどう考えられますか。政治家と官僚との分についていかなる見解をお持ちですか。官僚の独善を厳しくチェックするよう努力すべきであると思いますが、いかがでしょうか。あわせて、官邸機能の強化についてどう考えておられるか、お伺いいたします。
 次に、政治改革について伺います。
 新政権がまずやらなければならない最大の課題は、区割り法案を速やかに成立させ、新しい選挙制度を出発させることであります。総理もさきの所信表明演説でその旨明らかにされましたが、次回の総選挙は改正された小選挙区比例代表並立制のもとで行われるものであるのか、決意のほどを承りたいのであります。あわせて、次の総選挙を大体いつごろに想定しておられるのかもお漏らし願いたいのであります。
 今回の政治改革が、選挙制度や政治資金面の改革が中心にならざるを得なかった事情はあるにしても、政治改革はこれにとどまるものではありません。政治腐敗が再発しないよう徹底した腐敗防止対策が必要であります。この際、さらなる検討を行い、政治腐敗と決別し、真に国民の信頼に足る政治改革を断行すべきであると考えますが、総理はどのような構想をお持ちなのか、具体的に御答弁を願いたいのであります。.
 政治改革に関連して、政党法の制定について質問をいたします。
 小選挙区制度の導入に伴い、政策本位の選挙が行われることになり政党の使命は高まってまいりますし、政党への公的助成がなされることにより経理の明確化が義務づけられます。このためには、現在、人格なき社団、任意団体として扱われ権利義務を伴う法律行為が何らできない政党に、この際、法的根拠を与え政党の社会的責任を明らかにする必要があると思います。
 自治大臣は記者会見において、区割り法案と並行して政党法の協議を進めるべきであると語っておられるようでありますが、政党法の制定についての総理の見解を承りたいのであります。
 次に、日米首脳会談及びナポリ・サミットに関して伺います。
 総理、初の日米首脳会談、さらに引き続いてのナポリ・サミットへの御出席、まことに御苦労さまでした。サミットでは組閣以来の激務の連続によるお疲れも幸いすぐ回復されて無事大任を果たされましたことは、御同慶の至りであります。
 日米首脳会談は、和やかな打ち解けたムードで予定時間を大幅に超過して行われた由でありますが、特に今回の会談は、新政権発足後間もなくであり、新政権の基本方針を米国に明確に伝える機会であったと考えます。今次首脳会談の意義と成果について御見解を伺います。
 経済面では、残念ながら日米包括協議における合意はいまだ見られませんが、我が国としては、一層の内需拡大及び規制緩和等の市場開放を進め、包括協議を妥結に導くべきものと考えます。村山政権として今後日米経済関係をどのように打開していくか、お考えをお聞かせください。
 日米間の経済問題の悪化が、日米関係全体、特にその基軸である日米安保体制に悪影響を与えることがあってはなりません。首脳会談において総理は日米安保体制に関して発言された由でありますが、その発言の要旨と日米安保体制について村山政権の立場を改めて明確にしていただきたいのであります。
 なお、この際、あわせて我が国防衛の中核である自衛隊について、その憲法上の位置づけについての総理の考え方を聞かせていただきたいのであります。
 次に、ナポリ・サミットについて伺います。
 今次サミットは、「雇用と成長」を主要テーマとして討議の結果、景気回復について緊密な協力をすることがうたわれました。我が国として目下の最大の関心事の一つは最近における行き過ぎた円高ドル安の問題でありますが、経済宣言においてこれの是正について踏み込んだ具体策が示されなかったことは遺憾に存じます。政府として今次サミットをどう評価し、総括しておられるのか伺います。
 特に、円高ドル安防止について具体策を欠いたことに経済団体や業界に大きな不満が出ておりますが、この辺の事情についても十分な御説明を求めたいのであります。
 なお、政治討議にロシアが加わったことにより、北方領土問題が後退するのではないかとの感を深くするものであります。総理はこの問題について発言された由でありますが、北方領土問題について今後どう対処されるのか、伺いたいと思います。
 次は、朝鮮民主主義人民共和国すなわち北朝鮮の問題であります。
 去る八日、北朝鮮の最高指導者金日成主席が死去されました。対外的にも国際的孤立から米国との関係改善へ向かう最中の指導者の死去は、せっかく米朝会談や南北首脳会談による新たな開放への転機が期待されていただけに、極めて残念であります。
 我が国としては、絶えず米、韓、中等の各国と緊密な協議、連絡のもとに、日本として独自の外交路線の展開を図るべきものと思いますが、新政権の将来展望を含め朝鮮半島の情勢をどう分析しておられるのか、まず伺います。
 次に、北朝鮮をめぐる目下の最大の課題は核疑惑の問題であります。この問題に対する我が国の対応方針をお示し願いたい。
 さらに、新政権が核疑惑に関して対外的に強硬路線に走った場合、再び国連の安保理において制裁問題が再燃しないとも限りません。国連を中心として具体的な制裁が行われる場合の対処方針について承りたいのであります。
 あわせて、いわゆる危機管理の問題に関して、これからの取り組み方について総理の御見解を承知いたしたいのであります。
 以下、若干の重要な政策課題について順次質問いたします。
 まず、我が国の国連安全保障理事会の常任理事国入りの問題について伺います。
 国連中心主義を標榜してきた我が国として国連機能の強化へ向けて積極的な役割を果たすことが必要であり、それはまた国際社会の期待でもあります。
 我が国は、昨年七月、国連に提出した意見書において、安保理においてなし得る限りの責任を果たす用意がある旨述べてまいりました。また、我が国の常任理事国入りについては、米国を初め多くの国が支持をしております。ところが、総理の先般の記者会見をお聞きしますと、常任理事国入りについて慎重な姿勢をとっておられるとお見受けいたしました。以前に決定されていた政府の姿勢からいささか後退した感を抱くのでありますが、果たして後退したのでありましょうか。後退したのであれば、その理由を明らかにしていただきたいと思うのであります。総理の御認識を伺います。
 次に、PKO、国連の平和維持活動について伺います。
 国連を中心とした国際秩序の構築が望まれるとき、国連の機能強化が重要な課題となりつつあります。この中で日本は国連のPKO活動に積極的に参加すべきであると考えますが、総理はどのようにお考えでしょうか。
 これに関連して、来年は、平成四年我が党の政権下で成立した国際平和協力法に規定される三年後の見直しの時期に当たります。具体的な見直しの方針についてどうお考えでしょうか。
 さらに、PKF本体業務については目下凍結されており、これを早急に解除すべきであるという意見があります。総理及び外務大臣のお考えを承りたいと思います。
 次に、景気、円高、財政対策、雇用等の諸問題について伺います。
 本年四月に戦後不況の最長記録三十六カ月を更新した景気動向は、最近、消費、機械受注面等で明るさが出て景気回復の兆しがあるものの、内需拡大の機関車役となる民間設備投資の回復が依然としてはかばかしくなく、雇用問題も深刻化しております。加えて、急激な円高ドル安は、ようやく明るさを加えた景気回復ムードに水をかけ、景気の先行きに大きな悲観材料となりつつあります。
 かつて経験したことのない不況の深刻化は、昨秋以来の我が党の大型景気対策の早期実施、予算の年内編成等のたび重なる強い要請を無視した細川内閣の経済政策の失敗のツケが回り、景気回復のタイミングを失したことが大きく影響していると考えられますが、総理は景気の現状をどう考え、どういう見通しを持っておられるか、また、政府の想定している経済成長率の達成は可能ですか、伺います。
 せっかくの回復ムードに水を差しているのは昨今の急激な円高ドル安であります。応急的な対策として為替市場への協調介入等について当然ナポリ・サミットで取り上げられると思っておりましたが、各国ともドル安責任の押しつけ合いに終始して、為替安定のための施策が経済宣言に盛り込まれなかったことは遺憾でありました。
 確かに、現在の円高ドル安は経済の基礎的条件いわゆるファンダメンタルズから大きく離れた投機的なものでありますが、これが長期に継続すると、せっかく明るさが見えた景気の回復の足を引っ張ることはもとより、我が国経済に回復不能な打撃を与えるおそれがあります。昨年も春ごろから景気回復の期待が盛り上がったのですが、結局は円高と冷夏凶作の影響に足を引っ張られたことを忘れてはならないのであります。そこで、総理に伺います。
 政府は今回の円高の要因をどう分析把握しておられるのか、そしてどのような円高対策を講ずるのか。投機筋のすることだと、ただ手をこまぬいているだけでは済みません。政治主導により、当面思い切った円高対策の出動を求めるものであります。いかがですか。
 さらに、この際、通商産業大臣に伺います。
 円高ドル安は我が国経済全体に大きな影響を与えております。二けた台の円高が進めば、輸出産業は大打撃を受け、産業の空洞化が進むおそれがあります。特に円高ドル安は中小企業を直撃しております。中小企業に対して当面どのような応急対策をするのか、また中長期対策としてどのような施策を準備しておられるのか、伺いたいのであります。
 円高の根治療法として、内需拡大対策は今や国際的に注目されているところであります。減税先行路線、一層の規制緩和政策と並んで、総理は、公共事業の質量両面における見直しを進める旨発言されたと聞いております。特に、公共投資の積み増し額の早期決定は内外から強く要請されているところであります。総理はこの点どう考えておられるか、答弁を求めます。
 今後の景気動向は、先ほども申し述べましたとおり、なお予断を許さず、このままでは上昇一本調子の景気回復は容易ではなく、ましてや予算の前提となった年二・四%の経済成長の達成は困難であると思われます。今後の景気動向を注視しつつ、状況いかんによっては秋にも公共投資や中小企業対策等を含む補正予算が必要になると思われますが、総理はそのような追加の景気対策の検討についてどう考えておられるか、伺いたいと思います。
 政府は、この臨時国会が終了いたしますと直ちに平成七年度予算の編成作業に取りかかることと存じます。村山内閣にとっては初めての予算編成であります。七年度予算編成に当たって、どこに重点を置き、どのような特色を盛り込みたいのか、総理のお考えの一端をお漏らし願いたいのであります。
 また、公共事業の各事業別の予算編成、いわゆるシェアが固定的に推移してきたことを反省して、各事業のシェアをこの際根本から見直すべきだという議論がありますが、総理の見解を承りたいと存じます。
 さらに、概算要求基準いわゆるシーリングについて、昨今の景気動向等を考慮して投資的経費については格別の配慮をすべきだと思いますが、あわせて御見解を伺います。
 「成長と雇用」はナポリ・サミットの最大のテーマであり、労働省においても、先般、雇用ビジョンをまとめられました。今、雇用は完全失業率二・八%、有効求人倍率〇・六四倍と依然厳しい状況にあり、特に中高年齢層、来春の新規採用に大きくしわ寄せが出ております。さらに、今回の円高で雇用情勢が悪化するおそれが出てまいりました。労働大臣の現下の雇用情勢に対する対処方針を伺います。
 次に、税制改革について伺います。
 二十一世紀の我が国経済社会が世界に例を見ない超高齢化社会であることを展望すれば、その面からも税制改革が今後の大きな課題となることは申すまでもありません。所得税減税は、景気対策としての側面を持つとともに、中堅所得者層の重税感を緩和するという税制のゆがみを是正する面からもその継続実施が期待されているところであります。
 総理は、就任直後からさきのナポリ・サミットまで、一貫して所得税減税実施の継続を主張してこられました。極めて厳しい財政状況ではありますが、今日における不況克服を最優先課題とし、減税の継続を内外に明らかにされてきたことは正しい判断であったと、これを評価するものであります。
 もちろん、減税の継続実施のためには莫大な財源を要し財源問題についての十分な詰めが必要であることは言うまでもありませんが、「初めに消費税の引き上げありき」では国民の理解は得られません。行政機構の簡素合理化や行政経費の節減等行財政側のリストラの断行が不可欠でありますが、総理はその決心をしておられますか。
 また、不公平税制の是正や消費税における益税等の問題点の改善を行うことも前提条件でありましょう。その上で、将来の高齢化社会における給付と負担の水準をどのように選択するかについても国民各層の意見を集約して、消費税の税率の扱いをも含めて税制改革を最終的に決めるべきだと思います。総理は、今後どのような方針のもとでいつごろまでに税制改革の取りまとめを行われようとしているのか、増減税一体論を含め御所見を伺いたいと存じます。
 次に、規制緩和、行政改革、地方分権について伺います。
 国内産業は、長引く不況の中、厳しいリストラによる体質改善に向かって努力しておりますが、国内の改革を旗印とする村山政権にあっては、規制緩和、行財政改革及び地方分権に積極的に取り組み、その実現に向けて責任を果たす必要があります。
 まず、規制緩和の問題でありますが、所信表明でも述べられているように、前内閣から引き継いだ二百七十九項目による規制緩和策を推進するとともに、さらに五年間の規制緩和推進計画を策定することになっております。この五年間の規制緩和推進計画とはどのような内容のものであるのか、また、それをいつまでに策定されるのか、御説明を願いたいのであります。
 さらに、申すまでもなく、規制の緩和を推進するに当たって官僚や業界等の抵抗を排除しなければならず、強力な政治力を必要とします。場合によっては、総理初め各大臣がみずから直接掌握しなければ進展は期待できません。この点についての総理の決意のほどを伺っておきたいと思います。
 総理は所信表明演説で、税制改革を行うためにも行政改革を断行することが必要である旨を強調されております。全く同感であります。行政改革を行うべき対象として特殊法人の整理等幾つかを例示されておりますが、これ以外にも、例えば省庁の統廃合や国の地方出先機関の整理等は例示された対象にも劣らず重要であると考えます。総理のお考えを伺いたいと思います。
 地方に関する行政をなるべく地方に任せて身近な地方自治体を強化する地方分権は、今や行政改革とあわせてその実現が強く求められております。このためには、地方自治体に権限を委譲し、必要な財源を付与し、地方の責任において地域づくりができるようにすることが必要であります。所信表明で提案を約束された地方分権推進基本法案の概要を明らかにされたいのであります。
 地方の時代が叫ばれてから久しいにもかかわらず、これまでその実施を担保するものがありませんでした。どうか新政権においては、具体的な法的手順をきちんと定め、地域住民の期待にこたえていただきたいと思います。地方分権推進についての総理の決意を承りたいと思います。
 次に、ウルグアイ・ラウンドに関して質問をいたします。
 サミットの経済宣言において、来年一月一日までにウルグアイ・ラウンド合意を批准し世界貿易機構を設立する決意が示されております。我が国も、外交の継続性を重視する立場から、その期限に間に合うように批准するにつき国民の合意を得て国会審議を進めていくため早急な対応が必要であります。
 今後、協定の国会承認に向けてどんな方針で準備を進められていくのか、また、農民を初め国民の理解が得られるように農業、農村の振興のための予算措置や食管法を初めとする制度の改正にどのように対処していかれるのか、総理及び農林水産大臣の答弁を求めます。
 最後に一言申し述べます。
 私は、これまで内外ともに激動の時局にあって、山積する課題を解決するために安定した責任ある政治体制の確立が不可欠であることを申し述べました。
 五五年体制のもと三十八年間相対峙した自社二党がここに連立を組み、しかも第二党の党首を首班に推すということは、いかに政治に妥協が不可欠であるとは申せ、私たちにとっては苦渋の選択であったのであります。しかし、過半数に達しない我が党が、国家と国民のことに思いをいたし、政局を収拾するためあえて決断したわけであります。
 これまでの連立政権の非民主的、強権的な政治手法を厳しく反省し、新しい連立政権は、前車の轍を踏むことなく、心機一転、国民の負託と信頼にこたえ得る責任政治を目指すものであります。我々政権三党は、連帯結束し、謙虚にかつ勇断をもって明日の活力ある日本の創造に向かって邁進いたします。
 今回のナポリ・サミットにおいて、一時、村山総理が体調を崩されましたが、河野副総理兼外務大臣が代役を務め村山総理を支えたほか、武村大蔵大臣、橋本通商産業大臣はともども関係者と市場開放、内需拡大やドル安問題等で会談し新政権の存在を確かなものにするため努力されたことは、三本の矢の結束を象徴したものでありました。村山政権の将来の安定性を占うものとして、そのチームワークの見事さはまことに印象的でありました。
 村山総理、今回の政権の交代によって日本の政治史に新たな一ページを開くべく、あなたは連立与党の先頭に立って、政策決定の仕組みを透明化、明確化し、国民に責任の所在を明らかにする責務があります。その決意を承り、御健闘を祈って、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(村山富市君) 温かい激励を込めた質問をいただきました。ますます責任の重大さを感じながら拝聴させていただきました。
 逐次質問にお答えしたいと思います。
 まず、今回の三党連立村山政権誕生の意義についてのお尋ねでございます。
 歴史の大きな転換期にあって今求められているのは、先ほども申し上げましたように、イデオロギーの論争ではなく、改革を目指して国民の多様な意見を反映しつつ政策の実行が確保される「安心できる政治」であります。
 このたびの内閣は、これまで別の道を歩んできた三党が、互いに自己変革を遂げる強い決意のもとに、いわゆる五五年体制に終止符を打ち、現実に即した改革を推進しようとするものであります。私は、この内閣の誕生の歴史的意義にこたえていくために、懸命の努力を払っていく決意でございます。
 私が掲げました「人にやさしい政治」、「優しい国」についてのお尋ねがございました。
 これは、所信表明演説でも申し上げましたが、額に汗して働く人々や地道に生活している人々がいかに平和に安心して豊かな暮らしを送ることができるかを発想の中心に置く政治や国のあり方を申し上げたものでございます。私は、常に庶民の目の高さ、生活者の気持ちを基本としつつ、そこから求められる政策の実現に邁進してまいる所存でございます。
 政治の手法についてのお尋ねがございました。
 私は、国民とともに我が国の政治の進路を考えるとの姿勢で、党派を超えてさまざまな意見に耳を傾け、国民の目の前に開かれた形で論議を尽くし合意を求めるという、民主政治の基本を大事にしていきたいと考えています。このため、この一年間の連立政権の経験と反省に立って、闊達な政策論議が行われるよう民主的かつ透明度の高い政治運営を心がけていきたいと考えています。
 次に、連立各党の政策調整と内閣としての施政方針の整合性についてお尋ねがございました。
 ただいまも申し上げましたとおり、私は民主的かつ透明な政治運営を徹底してまいる考えであります。これによって、連立各党の間で虚心に話し合い、十分な意見交換や政策調整が行われることを期待いたしております。その上に立って、内閣として責任を持って政策を実行に移していけるような体制を築いていきたいと考えています。また、現実にそのような体制ができつつあることを心強く思っている次第であります。
 次に、いわゆる官僚主導及び政治家と官僚との関係についてのお尋ねがございました。
 政治家は、国民の負託を受け、国全体の進むべき方向と政策について最終的な責任を負っております。また、官僚ないし行政機構は、専門的な知識と経験を生かして行政を遂行する機能を担っております。このような役割分担をそれぞれが的確に認識し、よい意味での緊張関係と協力関係を保ちながら、ともに国家、国民のために奉仕していくことが望ましいあり方であると考えています。
 なお、官邸機能の強化につきましては、縦割り行政の弊害是正の観点を踏まえ、現実に即した検討を進め、その実を上げてまいりたいと存じます。
 次に、次回の総選挙についてお尋ねがございました。
 衆議院議員選挙制度改革については既に関係法律を成立させていただいているところでございますが、このため、次回総選挙が新制度のもとで実施できるよう最善の努力を尽くしてまいりたいと考えています。
 私は、内外に課題の山積する中、一刻たりとも政治的空白は許されず、懸命の努力を傾けることこそがこの内閣の使命であると考えております。したがって、現時点で解散・総選挙については全く念頭にございません。
 次に、政治腐敗防止対策についてのお尋ねがございました。
 先般成立をいたしました公職選挙法及び政治資金規正法の改正法では、連座制の強化や公民権停止などの制裁強化措置等が盛り込まれており、腐敗防止に相当な効果が上げられるものと期待しております。また、政治改革四法案の国会審議においても、腐敗防止等のさらなる強化等について御指摘があったところでございます。政府としては、これらの課題について、各党間の論議の動向を踏まえながら積極的に腐敗防止について取り組みたいと考えております。
 次に、政党法の制定についてのお尋ねでございますが、議会制民主主義の主要な担い手である政党がその期待される役割を十二分に果たしていくためには、何よりもまず政治活動の自由が最大限尊重されなければならず、政党に対して制約を及ぼす可能性のある事柄については慎重な対応が必要であると思います。
 なお、政党に法人格を与える問題につきましては、当時の連立与党と自由民主党との間で設けられた政治改革協議会の協議結果では、「政党交付金の交付を受けることができる政党は、法人格を有すべきであるとの自由民主党の意見に留意し、今後連立与党と自由民主党との間において協議を行い、衆議院議員の選挙区を定める法律案の国会提出までに結論を得るものとする。」とされていると承知いたしております。今後、各党間で十分御協議をいただきたいと考えています。
 次に、日米首脳会談の意義と成果についての御質問であります。
 私は、第一に、首脳及び主要閣僚間の信頼関係を深め、こうした基盤の上に日米両国の協力関係をさらに強化する決意を確認したこと。第二に、新内閣の基本方針及び外交・安全保障政策の継続性について米側の理解を得、北朝鮮の核開発問題等の主要な外交課題に関する緊密な政策協調の堅持を確認してまいりました。第三に、世界経済の発展と日米経済関係の円滑な運営に向けた協調を再確認するとともに、内需主導型の経済運営、規制緩和の推進といった我が国の経済政策の基本方針について十分時間をかけて説明し、米側の理解を深めたことなど、新政権の発足後初の日米首脳会談として所期の成果を上げることができたと考え
 ております。
 今後の日米経済関係についてどのように打開していくかとの御質問でございますが、日米包括経済協議が日米経済関係を処理する主要な手段である点について、日米間で意見の一致がございます。五月の協議再開以来、優先分野の交渉において着実な進展が見られており、できるだけ早期の合意に向け日米双方が努力をしてまいる考えでございます。
 なお、包括協議を打開に導く一層の内需拡大、規制緩和を進めるべきとの御指摘でございますが、我が国としては、引き続き内需を中心とした持続的成長の確保に努めるとともに、規制緩和を初めとする国内経済改革を強力に実施してまいる所存でございます。
 次に、日米安保体制についてのお尋ねがございました。
 冷戦の終結後も国際社会は依然不安定要因を内包している中で、我が国が引き続き安全を確保していくためには日米安保条約が必要であると考えております。新政権のもとにおいても日米安保体制の意義と重要性を認識しており、先般のナポリ・サミットにおける日米首脳会談では、私から、かかる認識を踏まえて日米安保体制を引き続き堅持していく旨をクリントン大統領に表明した次第でございます。
 自衛隊について、その憲法上の位置づけについての考え方についてお尋ねがございました。
 先ほどもお答え申し上げましたが、私としては、専守防衛に徹し自衛のための必要最小限度の実力組織である自衛隊は、憲法の認めるものであると認識するものであります。同時に、日本国憲法の精神と理念の実現ができる世界を目指し、国際情勢の変化を踏まえながら、国際協調体制の確立と軍縮の推進を図りつつ、国際社会において名誉ある地位を占めることができるようにこれからも全力を傾けてまいる所存であります。
 本来、国家にとって最も基本的な問題である防衛問題について主要政党間で大きな意見の相違があったことは、好ましいことではございません。戦後、社会党は平和憲法の精神を具体化するための粘り強い努力を続け、国民の間に文民統制、専守防衛、徴兵制の不採用、自衛隊の海外派兵の禁止、集団的自衛権の不行使、非核三原則の遵守、核・化学・生物兵器など大量破壊兵器の不保持、武器輸出の禁止などの原則を確立しながら、必要最小限の自衛力の存在を容認するという穏健でバランスのとれた国民意識を形成し得たものと考えています。
 国際的には冷戦構造が崩壊し、国内的にも大きな政治変革が起きておる今日においてこそ、こうした歴史と現実認識のもと、世界第二位の経済力を持った平和憲法国家日本が将来どのようにして国際平和の維持に貢献し、あわせてどのようにして自国の安全を図るかという点で、よりよい具体的な政策を提示し合う未来志向の発想が最も求められているときではないかと考えています。
 社会党においても、こうした認識を踏まえて、新しい時代の変化に対応する合意が図られるものと期待いたしておるところでございます。
 次に、ナポリ・サミットの評価についてお尋ねがございました。
 今次サミットは、将来に向けて新たな展望と国際的な政策課題を示した重要かつ建設的な会合であったと思います。特に、経済問題に関しましては、主要議題である「雇用と成長」に関し現在の世界経済の回復基調を持続していくことの重要性を認識したことなど、有意義な成果と評価できると思います。
 次に、円高防止策についてサミットで具体策を欠いたとの御指摘でございますが、さきのナポリ・サミットに先立つ日米首脳会談では、私から、新政権は減税の継続を含む税制改革、公共投資計画の大幅な見直し及び市場開放措置を含む新たな規制緩和を行っていくことを表明いたしましたが、サミットにおいてもこれらの点について各国から評価をいただいたところであると考えています。
 こうした中で、最近の為替相場の動向について首脳同士及び蔵相レベルで議論が行われ、その結果、最近の為替レートの動きは我々の経済の基本的条件と整合的でなく、米ドルの一層の低下は望ましくないし、かつ正当化されないとの共通の認識が各国の間で一致を見たところでございます。
 為替相場はファンダメンタルズを反映すべきであって、過度の変動が望ましくないとの点についてはG7の共通の認識となっているところでございます。今回のサミットにおいて、最近の米ドルの一層の低下は望ましくなく、かつ正当化されないという点でG7の認識が一致したことは、重要であると考えています。我が国としてもこうした点を踏まえ、関係各国と緊密に連絡をとりながら為替相場の安定を図っていきたいと考えているところでございます。
 次に、北方領土に関する今後の対応ぶりについてのお尋ねがございました。
 先般、ナポリ・サミットの際、エリツィン大統領の参加を得てG7首脳との間で国際政治問題について建設的な意見交換を行ったことは評価できると思っています。領土問題との関係につきましては、同会合におきまして、私から、法と正義に基づく外交を実践する必要性とともに、東京宣言に基づき日ロ関係を完全に正常化することの重要性につき改めて強調してまいったところでございます。政府としては、今後とも日ロ間の政治対話を一層加速し、東京宣言を基礎として領土問題解決のための努力を積み重ねてまいる所存でございます。
 次に、今後の北朝鮮情勢についてのお尋ねがございました。
 北朝鮮の情勢は、金正日後継体制に向けて動いていると考えております。今後とも事態の推移を慎重に見守っていきたいと考えているところでございます。我が国としては、今後とも米国、韓国、中国等の関係国と緊密に連絡を保ちながら、北朝鮮の核兵器開発問題の解決を含め、朝鮮半島の平和と安定のための努力を一層進めてまいりたいと考えているところでございます。
 北朝鮮の核開発疑惑に対する我が国の対応方針についてのお尋ねでございますが、我が国としては、米朝協議、南北首脳会談への動きなど、本件問題を対話と協議により解決する動きが見られたことを歓迎するものでございます。
 今後の米朝協議及び南北対話を通じ、核兵器開発に対する国際社会の懸念を払拭することを期待しており、そのために、我が国としても、今後とも関係国と連携しつつ、北朝鮮の前向きな対応を促すべく最善の努力を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。
 国連を中心とする制裁が行われる場合の対処方針についてのお尋ねでございました。
 現に関係諸国が協力して対話による解決を目指した努力が行われているところでございまして、このような時点で、この質問のような点について政府として公の場で議論することは適当でないと考えています。
 なお、先ほども申し上げましたが、一般論として申し上げれば、安保理で何らかの措置が決定される場合には我が国としても憲法の範囲内で責任ある対応をとるべきだと考えておるところでございます。
 次に、北朝鮮の核開発問題に関する危機管理の問題についてのお尋ねでございました。
 北朝鮮の核兵器開発問題は、我が国の安全保障上の重大な懸念であるのみならず、核不拡散体制や国際社会の安全保障にかかわる重大な問題であると認識をいたしております。一般論として、我が国にとっての重大緊急事態が発生した場合には政府が一体となってこれに対処する方針としております。
 なお、北朝鮮問題については、従来から政府において関係省庁間で情報交換等を行っているほか、各省庁においてもそれぞれの立場からそれぞれの所掌事務の範囲内において必要な検討を行っておるところでございます。仮に重大緊急事態が発生するような事態になれば、政府としてもこれに対処するために万全の対策をとるべく考えておるところでございます。
 次に、安保理の常任理事国入りについてのお尋ねでございます。
 常任理事国になることに別に消極的になっているわけではございません。この問題は、国際社会の支持と国民的理解を踏まえて取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 我が国のPKO活動についてのお尋ねがございました。
 国連を中心とした国際社会の平和と安全を求める努力に対し、資金面だけではなく人的な面でも貢献を行うことは当然のことと考えております。今後とも国連平和維持活動に対する協力につきましては、あくまでも憲法の枠内で国際平和協力法に基づき積極的に行っていく所存でございます。
 また、国際平和協力法の見直し及び凍結解除についてのお尋ねがございましたが、いわゆる平和維持隊本体業務の凍結解除を含めた国際平和協力法の見直しの問題につきましては、現段階では同法による協力の実績を積み重ねていくことが重要であると認識をいたしております。見直しを行うに当たっては、これまでのカンボジア、モザンビーク等への派遣の貴重な経験も踏まえた上で検討する必要があると考えております。
 次に、景気の現状についてのお尋ねがございました。
 我が国の経済は調整過程にあり、総じて低迷が続いておりますが、個人消費の持ち直しゃ企業収益の下げどまりの兆しなど、このところ明るい動きが次第に広がっております。他方、最近の為替相場の動きなど、懸念すべき要因も見られます。
 このため政府としては、引き続き内需を中心とした持続的成長の確保に努めるとともに、規制緩和策を初めとする国内経済改革を強力に実施してまいる所存でございます。こうしたことにより、政府投資は高い伸びとなり、住宅投資も堅調に推移するものと見込まれ、これが国内需要全体に波及していくものと考えているところでございます。
 また、既に実施段階に入った大規模な所得減税が個人消費を刺激し、民間部門のマインドを好転させるものと期待されております。
 以上のような動きの中で、設備投資も回復に向かうものと考えられ、我が国経済は六年度中に本格的な回復軌道に乗り、六年度の実質経済成長率は政府経済見通しを達成する可能性があると考えているところでございます。
 また、円高の要因及びその対策についてのお尋ねがございましたが、ナポリ・サミットにおいて各国の間で共通の認識が確立されましたように、我が国としても、最近の為替レートの動きは経済の基本的条件と整合的ではなく、米ドルの一層の低下は望ましくないし、かつ正当化されないという認識を持っているところでございます。
 為替相場が思惑等により短期間のうちに大きく変動することや不安定な動きを示すことは好ましいことではございません。このような場合には、関係各国と緊密に連絡をとりつつ適宜適切に対処し、為替相場の安定を図ってまいりたいと考えているところでございます。
 次に、内需拡大対策、特に公共投資の積み増しについてのお尋ねがございましたが、公共投資基本計画につきましては、今後二十一世紀に向け、生活者重視の視点に立って、税制改革の具体的な検討作業を踏まえつつ、その配分の再検討と積み増しを含めた見直しを今鋭意進めている段階にございます。
 次に、景気対策についてのお尋ねでございますが、政府としては、我が国経済を本格的な景気回復軌道に乗せ、今後の新たな発展の基礎を築くべく経済運営を進めてまいる所存でございます。
 このため、経済及び為替の動向に細心の注意を払いながら、大規模な所得減税等を含む本年二月の総合経済対策を引き続き着実に実施するとともに、平成六年度予算の円滑かつ着実な執行を進め、引き続き内需を中心とした持続的成長の確保に努めてまいる所存でございます。さらに、規制緩和を初めとする国内経済改革の方針を強力に実施してまいる所存でございます。
 七年度予算編成についてのお尋ねがございました。
 我が国財政につきましては、公債残高が六年度末にはついに二百兆円を超える見込みであるなど、構造的にますます厳しさを増しています。
 七年度の予算編成に当たりましては、このような一段と深刻さを増している我が国財政をめぐる状況を踏まえ、引き続き健全な財政運営を確保し、公債残高が累増しないような財政体質をつくり上げていくという基本的方向に沿って一層の努力を払っていく一方、限られた資金の枠内で、生活者重視の視点に立って重点的かつ効率的な配分に努めてまいる所存でございます。
 次に、公共事業のシェアの見直しについてのお尋ねでございます。
 社会資本の整備についてはこれまでもその着実な推進に努めてきたところでございますが、高齢化社会が本格化する二十一世紀を間近に控えまして、重点的かつ効率的な投資を行う必要があると考えているところでございます。このような観点から、今後とも、社会経済情勢の変化や国民のニーズを踏まえつつ、国民生活の質の向上に資する分野に引き続き重点投資をしていくことが重要であると考えているところでございます。
 次に、概算要求についての御質問でございますが、平成七年度の概算要求基準につきましては、今後検討を行っていくものであり、現段階で具体的なことを申し上げることは差し控えたいと考えます。いずれにせよ、現下の一段と深刻さを増した財政状況等を踏まえ、今後慎重に検討してまいる所存でございます。
 次に、行財政のリストラの決意についてのお尋ねでございます。
 行財政改革は、税制改革のいかんにかかわらず、社会経済情勢の変化等に対応して、簡素にして効率的な行政の実現を目指して不断に進めていくべき国政上の重要課題の一つであると認識をいたしております。
 このため、御指摘の行政組織の改革、合理化を初め、規制緩和、地方分権、行政情報公開、特殊法人等の改革、合理化など各般の改革課題について積極的に取り組み、実りある成果をおさめるべく努力を払ってまいる決意でございます。
 また、現下一段と深刻さを増した財政事情のもと、今後とも、あらゆる経費について制度の根本的な問題にまでさかのぼった見直しゃ施策の優先順位を厳しく選択を行うなど徹底した洗い直しに取り組み、財政改革を強力に推進してまいりたいと考えているところでございます。
 今後、どのような方針でいつごろまで税制改革を取りまとめるのかというお尋ねでございます。
 税制改革を進めていくに当たりましては、景気の観点から増減税の実施時期に一定期間を置くものの、税制改革は増減税全体について論議を進め、成案を取りまとめるべく努力をいたしているところでございます。
 いずれにいたしましても、税制改革につきましては、所信表明演説にございましたように、活力ある豊かな福祉社会の実現を目指し、国、地方を通じ厳しい状況にある財政の体質の改善に配慮しながら、所得・資産・消費のバランスのとれた税体系を構築することが重要な課題であると考えております。
 このため、行財政改革の推進や税負担の公平確保に努めるとともに、平成七年度以降の減税を含む税制改革について総合的な改革の論議を進め、国民の理解を求めながら年内の税制改革の実現に一層努力をしてまいる所存でございます。
 規制緩和推進計画についてのお尋ねがございましたが、本年二月の行政改革大綱に基づき本年度内に策定することとしておりますが、先般閣議決定いたしました規制緩和推進要綱において見直しを推進するための基本指針を定めるなど、所要の検討作業に取りかかっているところでございます。
 計画の内容につきましては、今後五年間にわたって各省庁所管の規制の見直しの基礎となることから、政府部内において今後十分検討しながら策定に努力をしてまいる所存でございます。
 次に、規制緩和の実施には強力な政治力が必要との御指摘でございますが、規制緩和の推進に当たりましては、政治のリーダーシップは欠かせないものであり、内閣を挙げて積極的に取り組んでいく必要があると考えております。今後、五年間を期間とする規制緩和推進計画を策定し、一層の規制緩和を実施していくに当たって、この決意で進めてまいりたいと考えているところでございます。
 省庁の統廃合、地方出先機関の整理等についてお尋ねがございました。
 行政組織は、変化への対応力に富み、総合性及び整合性が確保され、簡素にして効率的であることが必要であります。この観点から、省庁再編や地方支分部局の整理合理化も聖域ではないのでございます。
 中央省庁の再編については、第三次行政改革審議会において中長期的視点に立って審議が行われ、最終答申の中で将来の大くくり省庁体制のイメージが例示されたところであり、全般的な再編策について具体的な結論を得るには至らなかったと承知をいたしております。今後、社会経済情勢の変化を踏まえ、規制緩和、地方分権を推進しながら、基本的に中長期的な観点から検討していく課題であると認識をいたし.ております。  .
 また、地方支分部局の整理合理化につきましては、臨調答申の指摘に沿って、ブロック機関の廃止、府県単位機関の縮小改組等を実施してきたところでございます。今後とも社会経済情勢の変化等を踏まえ、その改革、合理化を検討してまいる所存でございます。
 次に、地方分権推進基本法についてのお尋ねがございましたが、二月に閣議決定いたしました「今後における行政改革の推進方策について」に基づきまして、地方分権推進の基本理念や取り組むべき課題と手順を明らかにした大綱方針を年内に策定し、これに基づいて速やかに地方分権推進に関する基本的な法律の制定を目指したいと考えています。現在、行政改革推進本部に設置されました地方分権部会において大綱方針の骨格を検討してもらっているところでございます。
 いずれにいたしましても、地方分権の推進は何としてもなし遂げなければならない課題であると考えています。住民に身近な問題は身近な地方公共団体が担っていくということを基本として、二十一世紀に向けた時代にふさわしい地方自治を確立するため、私としても具体的な成果を上げるべく強い決意でこれに取り組んでいく所存でございます。
 次に、世界貿易機関の国会承認に向けた方針についてのお尋ねがございました。
 同協定は、現時点では来年一月一日に発効することとなる見込みでございます。我が国としても、来年一月一日の発効に向け、早急に協定及び関連法案を国会に提出をし、年内に成立を図る所存でございます。
 次に、ウルグアイ・ラウンド合意を踏まえた農業、農村の振興のための予算措置、制度改正への対処についてのお尋ねがございました。
 ラウンドの農業協定の実施に伴う農業施策につきましては、その影響を最小限度に食いとめ、二十一世紀に向けた農業構造の早期実現を図ることが肝要だと考えています。このため、昨年暮れに閣議了解された基本方針に沿いまして、農政審議会において御議論をいただいているところでございます。これらの議論を踏まえながら、今後、緊急農業農村対策本部において検討の上、対策に必要な予算や制度の問題も含め、所要の措置を総合的かつ的確に措置を講じて万全を期する決意でございますことを申し上げておきたいと思います。
 次に、国民に対する責任の所在を明らかにする責務についての私の決意についてのお尋ねがございました。
 このたびの政権がより国民の意見を反映しより安定した政権を目指していくためには、御指摘のとおり、政策決定の仕組みを透明化、明確化し、国民に責任の所在を明らかにしていくことがぜひとも必要であります。私といたしましては、一年間の連立政権の経験と反省に立って、国民の信頼と期待を裏切ることのないよう、断固たる決意で国民にわかりやすい政治を心がけてまいる所存でございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣河野洋平君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(河野洋平君) 国際平和協力法及びその見直しについてお尋ねがございました。
 具体的な方針は、総理先ほど御答弁のとおりでございます。私といたしましては、見直しに当たりましては、カンボジアでの一年余、さらにモザンビークで継続中の活動などの貴重な経験などをも踏まえて検討する必要があると考えております。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(橋本龍太郎君) お尋ねをいただきました中小企業の景況は、御指摘のとおり、一部に明るさを見出すしるしは見えておりますものの、引き続き極めて厳しい状況にありまして、この急激な円高はこのような状況に好ましくない影響を与える懸念は大変強いものであります。中小企業の採算点、恐らく大体対ドル百十円前後でありましょう。
 このため、累次にわたる経済対策の中で、中小企業の円高等の進展の影響をこうむっている業者に対し、緊急経営支援貸付制度の特別枠を創設する、あるいは運転資金支援特別貸付制度の拡充等の経営安定化策を講じてまいりました。
 また、中長期という御指摘でありましたが、俗にリストラ法と呼ばれます中小企業新分野進出等円滑化法が制定され、経営の努力への支援に努めておることも御承知のとおりであります。さらに、平成六年度予算の中を見ましても、中小企業対策として総額二千百四十六億円に上る関係予算を計上しております。
 これらの中小企業対策に盛り込まれました諸施策を十分に活用し、その着実な実施に万全を期してまいりますとともに、私としては、為替相場の動向、中小企業の景況を十分に注視しながら、随時対応してまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣浜本万三君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(浜本万三君) 宮澤議員の御質問にお答えをいたします。
 最近の雇用情勢は、有効求人倍率がここ数カ月〇・六倍台半ば、完全失業率も二%台後半で推移するなど、依然として厳しい状況が続いております。さらに、最近の急激な円高による我が国経済への悪影響も懸念されておるところでございます。
 今後、円高の動向は十分注意しながら見守ってまいりますが、労働省といたしましては、雇用維持対策や再就職援助対策などを主眼といたしました雇用支援トータルプログラムを現在実施しておるところでございます。これらの措置をフルに活用いたしまして、雇用情勢が悪化しないように努めてまいりたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣大河原太一郎君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(大河原太一郎君) 宮澤議員にお答え申し上げます。
 御質問の点につきましては、その大要は総理の御答弁のとおりでございますが、ウルグアイ・ラウンドの農業協定の実施に伴います影響を最小限に食いとめ、我が国農業の将来展望を切り開き、二十一世紀に向けた農業構造の早期実現を図ることは、我が国農業の発展の上で何よりも肝要と考えております。
 このため、同協定の実施に伴う国内対策につきましては、昨年暮れ閣議了解された基本方針に沿って、農政審議会において過去に例を見ない頻度で精力的に御議論をただいまいただいているところであります。
 今後、これらの議論を踏んまえながら、緊急農業農村対策本部において検討の上、米の生産・供給安定対策、農業の体質強化対策、地域活性化対策等、所要の措置及び食糧管理法等の関連制度改正について万全を期する決意であります。(拍手)
#19
○副議長(赤桐操君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○副議長(赤桐操君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十分散会
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ソース: 国立国会図書館
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