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1994/07/22 第130回国会 参議院 参議院会議録情報 第130回国会 本会議 第3号
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1994/07/22 第130回国会 参議院

参議院会議録情報 第130回国会 本会議 第3号

#1
第130回国会 本会議 第3号
平成六年七月二十二日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ─────────────
#2
○議事日程 第三号
  平成六年七月二十二日
   午前十時開議
    ─────────────
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
○本日の会議に付した案件
 一、国立国会図書館の館長の任命に関する件
 一、日程第一
 一、委員会及び調査会の審査及び調査を閉会中
  も継続するの件
     ─────・─────
#3
○議長(原文兵衛君) これより会議を開きます。
 この際、国立国会図書館の館長の任命に関する件についてお諮りいたします。
 国立国会図書館の館長に緒方信一郎君を任命いたしたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
 よって、本件は承認されました。
     ─────・─────
#5
○議長(原文兵衛君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。久保亘君。
   〔久保亘君登壇、拍手〕
#6
○久保亘君 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表し、先般の村山総理の所信表明演説に関連してお伺いいたします。
 私は、今この壇上で我が党の委員長に対して村山総理と呼びかけることに深い感慨を覚えるものであります。
 私たち日本社会党が民主党、国民協同党の三党で片山哲委員長を首班とする連立内閣を成立させたのは一九四七年四月、まさに戦後の混乱と希望が同居する時代でありました。当時、国民は十五年戦争の惨禍とファシズムの暗い谷間から平和と民主主義の日の当たる場所に解放され、戦争の放棄を高らかにうたいとげた新しい憲法のもとに、平和国家建設へ新しく歩き始めていたのであります。
 片山内閣は、自由と民主主義に飢えていた国民にとってようやく到来した新しい時代の象徴でありました。しかし、国民に歓呼の声で迎えられた片山内閣も、党内の対立と抗争から総辞職に追い込まれ、短命内閣に終わりました。私たちにとって、このことは前車のわだちは後車の戒めであります。
 それからほぼ半世紀の歳月を経て、村山さん、あなたは社会党、自由民主党、新党さきがけの三党に推されて我が党からは二人目の総理になられたのであります。
 私は、総理の母屋の屋台骨が揺らげば希望の船出もたちまち絶望の航海となることを承知いたしております。過去の厳しい反省と教訓の上に立ち、総理が表明された基本政策を含め、論議を尽くして党の自己改革を断行するとともに、国民的支援を基礎に安定した政権をつくり上げる決意であることを表明いたします。
 私は、まず村山政権の基本的な性格と役割についてお尋ねいたします。
 戦後の政治史は、社会党対自民党の対立と抗争の軌跡を描き、今日に至っております。自民党がアメリカと安保条約を締結し軍事同盟の方向を選択したとき、社会党は安保破棄を唱え非同盟・中立を主張しました。自民党が再軍備に手を染めたとき、社会党は非武装の憲法理念に立ち再軍備に反対したのであります。こうした両党の対立は、常に国論を二分した激しい論争を呼び起こしました。
 その自民党が、今回、比較第一党であるにもかかわらず、長年の政敵であった社会党の村山委員長を首相に推し、新しい連立政権の樹立に関する合意事項にも賛意を表していただいたのであります。これを我が党は和解宣言と受けとめ、戦後政治史の画期的な新時代を切り開くことになると考えております。
 社会党が追求してきた日本国憲法の掲げる平和主義と人権尊重、主権在民と国際協調の理念は、私たちから見れば、歴代の自民党内閣によって絶えず抑制される傾向をたどってきましたが、そのせめぎ合いも解消に向かうものと考えております。これまでの防衛費増大への道を改め、世界の軍縮促進にリーダーシップを発揮しつつ、国民の福祉と教育を優先した生活者の政治を共同の責任で実行し得る好機が到来したということであります。両党は互譲の精神で、世界と日本の新しい現実から出発する未来志向型の政策へと転換するときを迎えたと言わなければなりません。
 新政権は、国内冷戦の終結をもたらし、ポスト冷戦時代の共生と公正、連帯の理念に基づく内外政策をダイナミックに構想する最良の機会を手に一したのであります。
 しかし、これを社会党と自民党の無原則な妥協やなれ合いの始まりとすることを私たちは否定しなければなりません。むしろ逆に、五五年体制下で形成されてきた利権と汚職の利益誘導型政治々解体し、透明度の高い政治の創造に向けて、同じ土俵の上で政策論争を闘わせ、緊張した関係のもとで政治、文化の変革を推進しなければならないのであります。今ここに政策を軸とした新しい対抗と協調の政治が始まるのであります。私はそれが新政権の基本的な性格であると考えております。
 そこで、総理は、村山連立政権の占める歴史的位置と役割をどのように考え、何を目指すのか、村山さんの政治哲学をみずからの言葉で国民の皆さんに披瀝していただきたいのであります。
 総理は、所信表明で、世界に誇る日本国憲法の理念の尊重と軍備なき世界を人類の究極の目標とすることを強調されております。私は、これが新政権の政策の基本であると受けとめておりますが、連立与党三党の間に寸分のすき間もないと理解してよいのかどうか、お伺いいたします。このことについて、河野副総理、武村大蔵大臣もお答えください。
 副総理である河野自民党総裁にも若干の質問をいたしたいと思います。
 私は、まず、首相指名に当たって、政策と政権運営などの合意に先立って村山委員長を首相として御推挙いただいたことに心から感謝申し上げます。
 私の質問の第一は、衆議院で二百六議席を擁していた自民党が三分の一にすぎない七十四議席の我が党の党首を推挙した真意はどこにあったのかということであります。これは、これまでの自民党からの大胆な自己革新なしにはできなかったことであります。そこには昨年八月の政変劇の要因となった単独政権下で形成されたいわゆる自民党的政治の改革を目指す決意があったと私は思うのであります。副総理のお考えはいかがでしょうか。
 第二は、村山政権は日本国憲法を尊重する政権であり、これは自主憲法制定を党是とする自民党綱領と矛盾しないのかどうかということであります。まず、そのことをお聞きしたいと思います。
 私たちは、連立政権与党のとき、自民党政権時代の軍備拡大方針を転換し、防衛費の縮小を含む世界と日本の軍縮を徹底するなど、防衛政策の改革に努めてまいりました。政策の継承は、また改革の持続を意味するのであります。自民党は、政権に参画され、何をどう改革なさろうとしているのか、その基本的課題は何か、あなたの決意をあわせてお聞きしたいのであります。
 第三は、自民党は連立政権と単独政権のそれぞれの性格をどのように位置づけておられるのかであります。連立政権は、自民党単独政権の復活に向けた過渡期の政権なのか、それとも今日では普通の政治形態と考えておられるのか、副総理の御見解をお聞かせください。
 次に、私は政治改革に対する総理の見解を伺います。
 昨年八月の細川連立政権の誕生は、政治腐敗の根絶を求める国民の政治意識を反映したものでありました。しかし、政治改革はいまだ道半ばであります。政治改革関連法案の成立は、政治改革への水路を切り開いたにすぎません。これを端緒に、今後は予算編成や許認可行政など、族議員を通じて形成された政・官・財の癒着による利益誘導型政治の構造改革に取り組むことが重要であります。
 総理、「人にやさしい政治」とは、政党と政治家に厳しさを求め、社会正義を確立することであり、「安心の政治」とは、迎合の政治ではなく、対抗と緊張の議会制民主主義を確立することであると思いますが、いかがでありますか。
 まず隗より始めよ、と言われます。企業・団体献金の禁止はもちろんのこと、族議員の復活やぼっこを封じるためには、政策決定過程の公開性と透明度を高めることはもとより、連立与党議員は政治資金の交付団体や企業の役職、顧問から身を引くなど、おのれに厳しい態度をとるべきであります。また、再発防止のために政治腐敗防止策の確立を急がなければなりません。政治改革を目指した連立政権以来の改革の任務を敢然と果たそうではありませんか。総理の政治腐敗防止策の確立に対するお考えを伺いたいと思います。
 また、総理は、懸案の衆議院小選挙区の区割り法案の早期成立とその周知期間及び施行日についてどのようにお考えでありますか。
 さらに、衆議院正副議長から提案された国会改革について積極的に取り組む決意を求めたいのであります。
 ここで私は、日本の国際的な役割について総理のお考えを伺っておきたいと存じます。
 冷戦の終結で、イデオロギーと軍事力を背景とした体制間対立は歴史のかなたに退いたのであります。世界は、現在、米ソ超大国による二極時代が終わり、幾つかの極を軸に動き始めております。
 総理は、我が国の外交方針として軍事的大国化の道を歩まないと述べられました。私も賛成であります。
 この外交方針を基本に、国際軍縮と世界平和の実現の担い手である国連改革に向けた指導力を発揮し、平和国家として諸国民とともに生きる日本の姿を示し、世界の信頼をかち取ることが重要であります。冷戦下の外交方針を超えて、日本が国連中心のもとに新たな世界秩序の確立に積極的な役割を果たす時代が到来したのであります。
 国連は、戦勝国中心の時代から質量ともに根本的に変化しており、加盟国の新しい力の均衡と役割分担を見出さなければなりません。日本は、二十一世紀国連のビジョンとして、平和や軍縮、環境や人権、南北問題や難民など、地球的課題に対応できる役割と機能の根本的な強化などを掲げ、その実現を目指して国際社会の協調行動を求めるときであります。安保理の常任理事国入り問題は、これらの国連改革の過程で内外の世論に配慮して判断すべきであります。総理の見解を承りたいと存じます。
 次に、経済問題について質問いたします。
 経済をめぐる国際環境の変革期にあって、世界経済の四割以上を占める日米両国には重大な責任と役割が期待されております。この期待にこたえられるかどうかは五月末から再開中の日米包括協議の早期解決にかかっており、その結果は世界経済全体に大きな影響を与えるのであります。総理はどのような決意でこの日米包括協議に臨まれているのか、見解を伺っておきたいと思います。
 日米間の経済関係を好転させるためには、減税や規制緩和を軸に内需拡大に大胆な手を打ち、高齢化社会に対応した生活関連公共投資の充実が重要であります。したがって、公共事業に対する硬直した予算配分の見直しを引き続き積極的に推進しなければなりません。
 内需拡大はその内容が重要であります。自民党政権時代の内需は巨大開発やピッグプロジェクトによる建設事業が中心でありました。それを連立政権下では生活者のニーズに基づく社会資本の整備を優先する方向で軌道修正を図ったのであります。しかし、これは未完に終わっています。村山政権は内需拡大の内容を改革する政策を継承していただきたいのであります。総理のお考えはいかがでありますか。
 この際、規制緩和の問題についても総理の御意見を伺っておきます。
 内外から求められている規制緩和の推進は、省庁や事業者の利害を超越した広い視野からの強力なリーダーシップを必要としております。政治的リーダーシップとは、官僚主導型の政策立案を改め、政党政治の優位性を回復し、省益を超えた行政を実施することにほかなりません。
 新政権は、明治以来の閉鎖的かつ中央集権型の行政制度を二十一世紀にふさわしい開放的かつ分散的なシステムへと全面的に組みかえ、開かれた国内の諸制度をつくり上げる任務があります。
 戦後半世紀を経た今、あらゆる分野で規制の網の目を張りめぐらせた行政主導型経済システムは既に制度疲労を起こし、それが市場の閉鎖性を生み、公正な競争を妨げております。政府の「今後における規制緩和の推進等について」や、策定予定の規制緩和推進五カ年計画も政治の強い指導力なしにその実効性は期待できないのであります。総理はどのようなリーダーシップを発揮されるのか、その決意のほどを伺います。
 次に、減税と税制改革についてお尋ねいたします。
 税制は、高度な福祉社会を安定的に支える基盤であり、その改革に当たっては国民の理解と納得が不可欠であると考えております。税制改革の基本は、行財政改革の断行、不公平税制の是正、総合課税化の確立、現行消費税の欠陥是正などにあります。これらの改革を前提に、所得・資産・消費のバランスのとれた抜本的な税制改革に取り組むことが重要であります。私は、福祉社会の実現に必要な財源の確保について国民に率直に訴えるときに来ていると思います。
 国家は国民に何をなし得るのか。それはまた、国民は国家に何をなし得るのかということでもあります。このためには、税制に関する総合的改革案を示して、国民の理解を求めなければなりません。政府は年内の税制改革の実現に努力するとしていますが、減税継続の決意と税制改革の手順、進め方について総理の見解を求めます。
 武村大蔵大臣には、減税継続に伴う財源の確保と、現行消費税と税率アップ問題について、どのような見解をお持ちなのか、国民の疑問に答える御答弁をお願いいたします。
 次に、私は、教育と男女平等、人権の問題について総理の見解を伺います。
 五五年体制下では、防衛や憲法だけが対立の要因ではなく、教育政策でもイデオロギー上の対立が存在しました。しかし、政権を共有した以上、私たちは教育の面でも国民的視野から教育冷戦を終結させなければなりません。それは、教育は未来への先行投資であるという理念の具体化を図ることであり、子供が必要とする新しい教育の創造に向けて共同の知恵を出し合うことであります。総理が所信表明で述べられた教育と科学技術の振興について未来への先行投資であるとする考え方を、政策と平成七年度予算にどのように反映されるのか、明確な答弁を求めるものであります。
 私たちは、余りにも長く子供たちが本当に必要とすることに取り組むことを忘れていたのではないでしょうか。子供たちは、今、漂流する船の上で救命ボートを待っているのであります。
 分かれ争わばその家建っことあたわず、これは子供にとって何よりも不幸なことであります。
 教育問題で対立していた社会党と自民党は、まず深刻な子供社会のいじめの実態を把握し、原因究明とその解決に向けた努力を傾注すべきであります。そのため私は、政府、政党、教職員、父母による協議・連絡機関を設置し、いじめの問題に取り組むことを提唱したいのであります。子供は世界の未来であり、教育は未来を開くのであります。私の提唱に対する総理並びに河野副総理の見解を求めます。
 総理、国連は一九九五年までに指導的立場に立つ女性の比率を少なくとも三〇%にふやすことを目標としております。政府も国の審議会等への女性の登用一五%を目標にしております。この政府目標を来年の世界婦人会議までに達成するために、積極的平等推進措置を講ずるなど、目に見える男女共同参画型社会を推進していただきたいのであります。総理の御答弁をお願いいたします。
 子どもの権利条約はさきの国会で批准され、そのフォローアップがこれからの課題となっております。しかし、各省庁が縦割り行政で取り組む限り、権利条約の全体的な実行過程は掌握できないのであります。したがって、総括的に対応できる機関を政府内に設置していただくことを提唱し、総理の見解を求めます。
 人権に関しては、被差別部落問題を初めアイヌ民族及び障害者など、あらゆる差別の撤廃に向けて人権政策全体の根本的な向上に最大限の努力を払われることを強く要請いたします。改めて総理の決意を伺います。
 次に、私は、戦後五十年とアジア問題について村山総理と河野副総理にそれぞれの見解を求めます。
 一九九五年は、戦後五十年の大きな節目に当たります。長い歳月を経ても風化させてはならないもの、忘却のかなたに押しやってはならない平和への基礎をなすものがあります。それが戦争責任であり、これは時間と空間を超え、なお生々しい今日的な課題であります。
 朝鮮半島の植民地支配、台湾の旧日本兵への補償、シンガポールやフィリピンにおける華僑虐殺、朝鮮人・中国人の強制連行、従軍慰安婦問題など、アジア・太平洋地域に残した戦争の傷跡はいやされることなく今日に至っております。
 同じ敗戦国である旧西ドイツでは、ナチスによるユダヤ人虐殺を人類に対する犯罪という歴史認識に立ち、歴史教育を徹底し、さらにはドイツ国民の戦争責任についての明確な姿勢を示しております。
 平和主義国家を目標とする村山政権は、これまでの政府とは異なる歴史認識と日本の責任を明確に示すべきであります。
 アジア諸国が示す対日不信感の底流には、日本の戦後処理の不十分さと侵略戦争に対する歴史認識の欠如があります。この不信感を払拭する第一歩は、過去の戦争を反省して関係諸国民に謝罪し、あすの平和への決意を表明する国会決議を採択するなど、新たな日本の出発を内外に示すことであります。
 私は、戦争責任にかかわる国会決議の採択とあわせ、これらの諸課題解決に向けて総理はどの国会でどのように処理される決意なのか、その見解を伺いたいのであります。
 総理の提唱された「優しい国」とは、被爆者援護法制定や水俣病和解問題を初め、シベリア抑留者に対する補償など、懸案の課題を一つ一つ解決することであると信じています。関係者はいずれも長い時間の経過の中で高齢者となっております。総理はこれらの課題をどのように解決されるおつもりなのか、お伺いいたします。
 広島の原爆ドームは、核廃絶を願う人類の平和への意思を長く後世に伝えるとうとい歴史遺産となるものであり、村山新政権のもとで世界遺産条約に基づいて保存する確固たる決意を国民の前に示すべきであります。総理の見解を明らかにしていただきます。
 河野副総理にお尋ねしたいことは、日本がアジアとともに生きる条件についてであります。
 アジア全体の平和と繁栄を促すには、域内の冷戦構造を解体させ、新しい包括的な安全保障秩序を形成することが必要であります。それに向かう信頼醸成措置として、また、戦後五十周年記念事業として、日本がグローバル・サミットに対応したサブシステム・アジア・サミットの開催を呼びかけることを提唱いたしたいのであります。
 アジア・サミットは、域内の経済と安保の両面から、この地域の新しい秩序のあり方を協議し、新世紀アジアのあるべき姿を探究するところにあります。河野副総理兼外務大臣がその実現に向けたリーダーシップを発揮していただくよう強く要請するとともに、私の提唱に対する見解とアジア外交に対する基本的な考え方を伺っておきたいと思います。
 「もし我々が、現在どこに立っているのかをまず知り、また将来いずれの方向に向かおうとしているのかを知ることができたならば、何をなすべきか、また、いかになすべきかについてよりよい判断を下すことができるだろう。」、これはリンカーン・アメリカ大統領の言葉であります。
 型破りの新連立政権に対する国民の目線は、まさに日本がいずれの方向に向かおうとしているのかという点に注がれています。村山政権がその回答を国民に示すことを心から期待し、総理を初め閣僚の皆さんの御健闘を祈って、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(村山富市君) 長年、同じ党の中にあって、同志として苦楽をともにしてまいりました久保議員の代表質問を、私もまことに感慨深く拝聴させていただきました。
 逐次答弁をさせていただきたいと思いますが、まず村山連立政権の歴史的位置と役割、さらに私の政治哲学についてのお尋ねがございました。
 時代の変化の中で今求められておりますのは、イデオロギー論争ではなく、闊達な政策論議が展開され、国民の多様な意見が反映され実行される政治ではないかと思います。
 このたびの内閣は、これまで別の道を歩んできた三党派が、長く続いたいわゆる五五年体制に終止符を打ち、さらに一年間の連立政権の経験を検証する中から、民主的で透明度の高いより安定した政権を目指して、互いに自己変革を遂げる決意のもとに結集した内閣でございます。
 私は、このような内閣の歴史的意義と役割を踏まえて、「常に国民とともに、国民に学ぶ」という自分の生活信条を大切にしながら、庶民の目の高さ、生活者の気持ちを基本とする「人にやさしい政治」、「安心できる政治」を目指して頑張っていく所存でございます。
 次に、世界に誇るべき日本国憲法の理念を尊重し、軍備なき世界を人類の究極的な目標に置くことについて、連立与党三党の間で意見の相違がないかとのお尋ねでございます。
 これらは我が国の目指すべき揺るぎない理念であり、私の所信表明演説でも「世界に誇るべき日本国憲法の理念を尊重し、これを積極的に国民の間に定着させていくことが必要であります。」と述べ、さらに「我が国は、軍備なき世界を人類の究極的な目標に置いて、二度と軍事大国化の道は歩まぬとの誓いを後世に伝えていかねばなりません。」と強く主張したところでございます。
 同様の考え方は、社会党と新党さきがけがともに提案し自民党も御了承いただいた合意に含まれておると考えています。したがって、連立与党間においてともに取り組んでいくべき政策の基本方向をなすものであると考えているところでございます。
 次に、「やさしい国」と「安心の政治」についてのお尋ねがございました。
 これは、額に汗して働く人々や地道に生活している人々がいかに平和に安心して豊かな暮らしを送ることができるかを発想の中心に置き、その実現に向けての政治や国のあり方を申し上げたものであります。私は、常に庶民の目の高さ、生活者の気持ちを基本としつつ、そこから求められる政策の実現に邁進してまいる考えでございます。これは決して通り一遍の安易な道ではなく、御指摘のとおり、政党も政治家もみずからを厳しく律し切磋琢磨する中で、改革への気慨と情熱を持って断固たる決意のもとに取り組んでいくことが求められていると思います。
 次に、政治腐敗防止関連法案の制定についてのお尋ねでございます。
 先般成立をいたしました公職選挙法及び政治資金規正法の改正法では、連座制の強化や公民権停止などの制裁強化措置等が盛り込まれておりまして、腐敗防止に相当な効果が上げられるものと期待をいたしております。また、政治改革四法案の国会の審議におきましても、腐敗防止等のさらなる強化等について御指摘のあったところでございますが、政府としては、これらの課題について、各党間の論議の動向を十分に踏まえながら、さらに腐敗防止の徹底と政治の信頼回復に向けて誠実に対応してまいりたいと考えています。
 次に、区割り法案についてのお尋ねがございました。
 小選挙区の区割りにつきましては、衆議院議員選挙区画定審議会におきまして審議を行っていただいているところでございますが、政府としては、勧告が行われましたときは、勧告を尊重して関連法案を早急に提出し、可能な限り早い時期の成立を目指してまいりたいと考えています。
 また、選挙区を定める法律が成立し公布された場合、その施行をいつからとするかにつきましては、選挙区を定める法律の附則において規定するところとなっておりますが、この点につきましては、各党の御意見も十分踏まえながら、法案提出時点で判断をさせていただきたいと考えています。
 次に、衆議院正副議長提案の国会改革についてのお尋ねがございました。
 議会制民主主義にとりましては、国民を代表する国会が国民の皆さんから信頼を得ることが政治改革の基軸であることは申し上げるまでもございません。私は、さきに衆議院の土井議長と鯨岡副議長が国会改革への一つの提言をまとめられていることを承知いたしております。この提言が国会において十分協議をされ成案を得ますれば、政府としてもこれを尊重してまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、国連安保常任理事国入りの問題についてのお尋ねがございました。
 所信表明でも申し上げましたが、常任理事国入りの問題は、それによって生ずる権利と責任について十分議論を尽くし、国際社会の支持と国民的理解を踏まえて取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、日米包括経済協議の早期解決に臨む姿勢についてのお尋ねがございました。日米包括経済協議は、五月の協議再開以来、優先分野の交渉において着実な進展が見られており、今後とも精力的に協議を進め、できる限り早期の合意に向け日米双方が現在鋭意努力をいたしておるところでございます。
 なお、包括協議を打開に導くための一層の内需拡大、規制緩和等を進めるべきとの御指摘がございましたが、我が国としては、引き続き内需を中心とした持続的成長の確保に努めるとともに、規制緩和を初めとする国内経済改革を強力に実施してまいる所存でございます。
 次に、公共事業のシェアの見直しについてのお尋ねがございました。
 社会資本の整備についてはこれまでもその着実な推進に努めてきたところでございますが、高齢化社会が本格化する二十一世紀を間近に控え、重点的、効率的な投資を行う必要があることは申し上げるまでもございません。このような観点から、今後とも、社会経済情勢の変化や国民のニーズを踏まえつつ、生活者重視の視点に立って、国民生活の質の向上に資する分野に引き続き重点投資をしていくことが重要であると認識をいたしているところでございます。
 次に、規制緩和の推進にどのようなリーダーシップを発揮する決意かとのお尋ねがございましたが、規制緩和の推進に当たりましては、政治のリーダーシップは欠かせないものであり、内閣を挙げて積極的に取り組んでいく必要があると考えているところでございます。今後、五年を期間とする規制緩和推進計画を策定し、一層の規制緩和を実施していくに当たりましても、この決意で進んでまいりたいと考えているところでございます。
 次に、減税の継続の決意と税制改革の手順、進め方についてのお尋ねがございました。
 所信表明演説でも申し上げましたように、活力ある豊かな福祉社会の実現を目指し、国、地方を通じ厳しい状況にある財政の体質の改善に配慮しつつ、所得・資産・消費のバランスのとれた税体系を構築することが重要な課題であると考えているところでございます。
 このため、行財政改革の推進や税負担の公平確保に努めるとともに、平成七年度以降の減税を含む税制改革につきましては、総合的な改革の論議を進め、国民の理解を求めながら、年内の税制改革の実現に一層努力をしてまいる所存でございます。
 さらに、教育の先行投資についての政策と予算への反映についてお尋ねがございました。
 教育は、申し上げるまでもなく、国づくりの基本として極めて重要なものであると認識をいたしております。教育の成果は、我が国発展の源泉となる国民的資産、人類共通の知的資産として永久に残るものであり、またそれを基礎として新たな価値を生み出すものと考えています。その意味で、私といたしましては、教育を未来への先行投資と位置づけており、平成七年度予算におきましても、このようなことを踏まえつつ、文教施策の充実のため具体的にどのように対処をするかについて、引き続き議論をしてまいりたいと考えているところでございます。
 さらに、科学技術は未来への先行投資であるとの考え方についてお尋ねがございました。
 平成四年四月に閣議決定をいたしました科学技術政策大綱におきましては、地球と調和した人類の共存、知的ストックの拡大、安心して暮らせる潤いのある社会の構築の三つの目標を掲げるとともに、「時々の財政事情等を踏まえつつ、政府の研究開発投資額をできるだけ早期に倍増するように努める。」としており、積極的かつ総合的な科学技術政策を展開していくべきとの方針が示されております。今後とも、このような方針に基づき、平成七年度予算におきましても引き続き努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
 さらに、いじめの問題についてのお尋ねがございました。
 最近、子供のいじめによる痛ましい事件が相次ぐなど、私といたしましてもこの問題については極めて深刻に受けとめておるところでございます。御提案の趣旨は、この問題について国民的な広がりの中で対処していかなければならないとのお考えと受けとめ、そのような気持ちで考えてまいりたいと思っています。
 いじめの原因、背景にはさまざまな要因が複雑に絡み合っております。現在、文部省においても専門の方々の御協力を得てこの問題についての実態や対応策について調査研究を行う予定と聞いておりますが、その結果を見守り、御趣旨を踏まえて、さらにこの問題に真剣に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 次に、男女共同参画社会の推進についてのお尋ねがございました。
 男性と女性が優しく支え合い喜びも責任も分かち合う男女共同参画社会の形成は、非常に重要な課題だと考えております。そのため、御指摘のとおり、国の審議会等委員の女性割合を平成七年度までに一五%にするという目標を立てて取り組んでおるところでございます。来年の第四回世界婦人会議に向けて、政府といたしましてもその目標達成にさらに努力をし、国の政策方針決定の女性の参画をさらに一層進めてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、子どもの権利条約のフォローアップのため行政機関を設置すべきではないかとの御意見がございました。
 政府としては、これまでも児童の健全な育成を目的とした各種施策の展開を通じて児童の権利の保障を行ってきたところであります。今後とも関係行政機関の緊密な連絡を保ちつつ、本条約の趣旨を踏まえた施策を総合的に推進してまいるとしており、特に新たな行政機関を設置する必要はないと考えています。
 次に、人権問題に関する基本的認識と決意についてのお尋ねがございました。
 基本的人権の尊重は民主主義の基本であって、我が国の憲法の重要な柱の一つでございます。政府としては、御指摘の同和問題を初めとするあらゆる不合理な差別の撤廃のため、今後とも一層努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、過去の戦争の反省として、関係諸国民に謝罪し、あすの平和への決意を表明する国会決議を採択するなど、新たな日本の出発を内外に示すべきではないかとの御指摘がございました。
 戦後五十年を目前に控え、私は深い反省の上に立って世界平和の創造に力を尽くすとの見地から、アジア近隣諸国等との歴史を直視するとともに、次代を担う人々の交流や歴史的研究の分野も含む各種交流を拡充するなど、相互理解を一層深める施策を推進すべく、今後その具体化を急いでまいりたいと考えているところでございます。
 他方、御指摘の国会決議につきましては、国会で十分御協議を願いたいと考えています。
 次に、被爆者援護法の制定についてのお尋ねがございました。
 被爆者対策といたしましては、放射能による健康被害という一般戦災者とは異なる特別の犠牲に着目をして、原爆二法を中心に保健、医療、福祉の各般の施策を講じているところでございます。
 被爆者の方々の状況についての久保議員の御指摘はまことに胸に響くものがございますが、国家補償を行うことにつきましては、一般戦災者との均衡など基本的な問題もございまして、今後、与党内で慎重に検討してまいる必要があるかと考えているところでございます。
 次に、水俣病問題についてのお尋ねでございますが、水俣病問題につきましては環境行政の重要問題の一つであると認識をいたしております。
 水俣病訴訟における和解の問題につきましては、行政としてゆるがせにできない重要な問題を含んでおり、裁判所の判断も分かれておりますから、現時点において和解によって解決するのは難しい状況にあると思います。私といたしましては、関係者の方々の置かれた状況に深く思いをいたし、これまでの行政施策をさらに推進し、何とか早期に水俣病問題を解決するようこれからも懸命に努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
 さらに、シベリア強制抑留者に対する補償問題についてのお尋ねがございました。
 この問題につきましては、昭和五十九年に戦後処理問題懇談会において提言をいただいたところでございます。政府としては、戦後長い年月を経過してなお国に対して強い要望を寄せている関係者の心情に深く心をいたし、昭和六十三年に平和祈念事業特別基金等に関する法律を制定し、この法律に基づきまして慰労金の支給、慰労品の贈呈を行ってきたところでございます。
 戦後強制抑留者の問題につきましては、今後とも同法に基づく慰藉事業を適切に推進することをもって関係者の心情にこたえてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、原爆ドームを世界遺産条約に基づいて保存する確固たる決意を示すべきであるとの御意見がございましたが、我が国は世界唯一の被爆国であり、原爆ドームを長く後世まで保存し、我が国として平和を世界にアピールすることは大切なことだと考えています。
 原爆ドームの世界遺産一覧表への記載に関しましては、種々の課題がございますので、今後、鋭意研究、検討させていただきたいと思います。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣河野洋平君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(河野洋平君) 久保議員にお答えを申し上げます。
 村山総理が所信表明演説で述べられた憲法の理念の尊重と軍備なき世界を人類の究極の目標とするという考え方につきましては、私ども三党の合意した政策の基本をなす考え方というふうに私は考えておりまして、賛成でございます。
 現実の人間社会、国際社会では利害が錯綜して理想の達成は容易なことではございませんが、私ども三党はその目標に向かって不断の努力をしていく、そういう決意でございます。
 自民党的政治の改革を目指す決意があるか、こういう御質問でございました。
 何を指して自民党的政治と言われるかということでございますが、三十八年間の政権政党の立場を離れました後、自民党は、過去の反省すべき点は反省して謙虚に生まれ変わった気持ちで再び国民の信頼を回復する、そういう決意で政治に取り組んでおるわけでございます。
 社会党党首を首班に推したのは、責任ある第一党として一日も早く政治の混乱を収拾することが必要だと、そう考えまして、政策と政治手法の一致を確認して決断をしたものでございます。
 二百六人もあった自民党がなぜ第二党を推したのかと、こういう御質問もございましたけれども、二百六議席は衆議院でございましたが、細川政権辞任の後、我々は努力をいたしましたけれども、うまくいきませんでした。そういう経験を踏まえれば、今回の判断は適切な判断であったというふうに考えておるわけでございます。
 憲法の問題について御質問がございました。
 確かに我が党は、昭和三十年十一月、立党のときに党是として「党の使命」と題する文章の中で、自主憲法の制定すなわち現行憲法の実質的改正を初めとする独立体制の整備を強力に実行し云々という文章がございます。しかし、その後、国際情勢も大きく変化をいたしました。国民の意識の変化もございます。
 こういうことを踏まえまして、憲法問題につきまして、例えば昨年五月に我が党の正式党内機関でございます自民党憲法調査会がまとめた報告には「国民的憲法論議は必要だが、それは改憲を前提とすべきではない」云々と、こういう文言がございます。国民の間に現行憲法が定着している点を指摘していると私は思います。また、最近の歴代自民党内閣も、その内閣がスタートをする時点で現行憲法を改正する意思がないということをそれぞれ明らかにしているということもございます。
 防衛問題、防衛政策についてのお尋ねがございました。
 冷戦終結に伴います国際情勢の大きな変化等に対応して中長期的視点から今後の我が国防衛のあるべき方向を見定めることは、重要なことであると思います。私も、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とは決してならない、日米安保体制を堅持し非核三原則を守るという村山総理のお考えに同感でございます。
 村山連立政権は、自民党単独政権の復活に向けた過渡的政権と見るのか、今日ではそれは常態化された政治形態と見るのかと、こういうお尋ねでございます。
 私は、政治というものは、いつも与えられた前提条件の中で最善の選択を探すということが求められているんだと思います。この政権は、少なくとも現時点における我々のとり得る最善の選択をした結果というふうに私は思っているわけでございまして、私たちは誠実に村山政権を支持し、ともどもに国家、国民のために努力をしたい、こう考えておることを申し上げます。
 しかしながら、一方におきまして、本来政党の目的、使命というものは、単独で政権を担当するために努力をするということでもございます。常に民意をよりよく反映した政権をつくっていくということは、政党人として当然の努力であろうということも申し上げたいと思います。
 子供のいじめについてお尋ねがございました。
 私は、いじめの問題について、これは本当に親としても深刻に考えておりますが、この問題は、当然のことながらただ単に学校教育だけの問題にとどまらず、家庭教育、社会教育それぞれが一体となって考えなければならない問題と思います。
 御指摘のように、文部省を中心に広く意見を聞いてこの問題に対応すべきだという御趣旨には賛成をいたしたいと思います。
 アジアの問題について御質問がございました。
 アジア・サミットを開催しておまえがリーダーシップをとったらどうかと、こういう大変ありがたい御指摘でございました。
 アジア・太平洋地域の平和と繁栄のために、首脳レベルを含めた意見交換などを通じて関係諸国間の協調を進めていくことの重要性は、まことに御指摘のとおりだと思います。
 しかしながら、経済分野では、既にAPEC加盟メンバーによります非公式首脳会議が、昨年十一月、シアトルで開催をされ、また本年十一月には、インドネシアで同じ首脳会議が開催される予定になっております。一方、政治・安全保障問題を討議します分野におきましては、今月二十五日、来週の月曜日でございますが、アジア・太平洋地域諸国の外務大臣が集まりましてASEAN地域フォーラムというものが開催されるということになっております。
 我が国としても、こうした一連の会合などの場で積極的な貢献に努める所存でございまして、また明年は、APEC議長国としてアジア・太平洋地域の協力促進の中心的な役割を果たさなければならないものというふうに考えておるわけでございます。
 村山総理が先般の所信表明演説において述べられましたとおり、アジア・太平洋地域は世界で最も躍動的な成長が続く活力のある地域でございまして、我が国としては、この地域の各国の多様性を尊重しつつAPECの一層の発展に努めるほか、政治・安全保障面では、アメリカの関与と存在を前提といたしまして、本年から開始される中国、ロシアなどを含めたASEAN地域フォーラムへの積極的な参画を通じて平和と繁栄のための努力を行っていく、そういうつもりでございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣武村正義君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(武村正義君) 二つの御質問にお答えを申し上げます。
 ここ二、三日の、社会党委員長である村山総理の御発言には、私も一言一句真剣に耳を傾けながら、御発言の重さをかみしめ、心から敬意を表したいと存じております。
 改めて日本国憲法の平和主義は世界に誇るに足りる崇高なものと認識をいたしますし、その尊重は私ども新党さきがけの政治理念の重要な一環をなすものでもあるというふうに申し上げたいと存じます。総理の御所信を支持し、内閣の一員としましては、一心同体になってその高い目標に向かって努力をしてまいりたいと存じます。
 次に、税の問題でございますが、平成七年度以降の減税を含む税制改革は、村山政権が取り組むべき喫緊の課題であります。それがすべての国民の皆様に負担を求める問題でありますだけに、国民の皆様の理解を得ることがまず何よりも肝要であると認識をいたします。
 我が国財政につきましては、国際的に比較をしてみましても、公債依存率あるいは利払い費率等、先進国の中でも一、二を争う高い水準になっております。公債残高が六年度末にはついに二百兆円を超える見込みでもございまして、構造的にますます厳しさを増してきております。
 これに加えて、平成五年度決算におきましては、初めて二年連続して決算上の不足が生ずるという極めて異例の状況になってきております。
 一方、本格的な高齢化社会の到来に備え、福祉の充実、着実な社会資本の整備、国際社会への貢献等、さまざまな財政需要に適切にこたえていく必要がございます。これらの新たな時代の要求に的確に対応し、豊かで活力のある経済社会の建設を進めていくためには、何よりもまず財政の対応力の回復に努めなければなりません。
 税制改革につきましては、総理が答弁されたとおり、行財政改革の推進や税負担の公平確保に努めてまいりますとともに、現行消費税の諸課題を含む総合的な改革の論議を進め、税制改革の必要性について国民の皆様の理解を求めながら、年内実現に努力をしてまいる所存でございます。(拍手)
    ─────────────
#10
○議長(原文兵衛君) 大久保直彦君。
   〔大久保直彦君登壇、拍手〕
#11
○大久保直彦君 私は、公明党・国民会議を代表して、村山総理の所信表明演説に関して、新政権の政治姿勢と基本的な政策について質問をいたします。
 総理、政治家は国民にうそをついてはなりません。政治家は国民を裏切ってはなりません。
 村山総理は、社会党からこのたび入閣されました大出郵政大臣や山口総務庁長官が昨年の総選挙で何を訴えて当選してこられたか、御存じでしょうか。大出郵政大臣は数々の公約を掲げられましたが、その中心は、自民党の金権政治にさようならというものでございました。山口総務庁長官は、同じように、非自民勢力を結集し利権政治の一掃に全力と、高らかに叫んで激戦を勝ち抜いてこられました。
 総理御自身も、金権腐敗政治に対する国民の怒りの声によって自民党政権は音を立てて崩れようとしていますと公約の中で述べられております。
 昨年の総選挙で、自民党の金権政治をたたき、自民党打倒を公約に掲げ国民の支持を得られました社会党、その社会党が、今回、その打倒すべき自民党と連立を組み、自民党の復権、カムバックに手をかしたことは、国民との公約、約束は一体どうなったのでしょうか。総理、自民党の金権利権の政治はこの一年でなくなったという認識を持ったということでしょうか。しかと御答弁を願いたいと思います。
 さらに、もしこれから先、自民党の中から金権スキャンダルが飛び出したら、どう責任をとるおつもりでしょうか。総理の明確な答弁を求めます。
 さて、自民党は結党以来、憲法改正、自主憲法制定を党の綱領にうたっている政党であり、社会党は護憲を旗印にしてきた政党であります。この自社両党が今日連立を組んだということは、どちらかが変わったということでしょうか。自民党が護憲になったのでしょうか。副総理、先ほどの御答弁を聞いておりますと、自民党が護憲政党になったのでしょうか。社会党が改憲に変わったのでありましょうか。もしも全く相反する基本理念を持った政党がそのままで連立を組んだとすれば、これは戦前戦後を通じ百年を通ずる日本の政党政治の基本を根本的に否定するものであります。世界の議会政治の歴史の中で最大の暴挙でございます。
 さらに、この内閣は無定見、無原則、無節操きわまりない内閣であり、国民に対する背信内閣と断ぜざるを得ません。自民、社会両党の党首である総理並びに副総理に御見解を伺いたいと思います。
 総理は、自衛隊は合憲であると発言されました。社会党は四十年近く、自衛隊は憲法違反であると一貫して今日まで主張してこられました。それを今なぜ合憲に変えられたのでしょうか。今までの自衛隊違憲論は間違っていたということでありましょうか。総理になったからいとも簡単に合憲と百八十度転換をされたのでしょうか。私にはそうとしか思えません。今後、総理をやめたときはまた違憲論に戻られるのでしょうか。明確な御答弁を求めたいと思います。
 また、総理はPKOについて理解ある発言をされておりますが、PKO法案について社会党は村山総理が先頭に立って徹底した深夜にわたる牛歩戦術をとったことは国民のまぶたに焼きついております。あげくは議員辞職まで申し出て反対されてこられました。ただいま、総理はこの法律の成立を阻止しようとしたことは誤りであったとお認めになるのでしょうか、明らかにしていただきたいと思います。
 靖国神社への閣僚の公式参拝について、総理は、我が党の石田委員長への答弁で、その都度諸般の事情を総合的に考慮して自主的に判断すると述べられました。この答弁は、総理、何事でございますか。この問題はまさに信教の自由と政教分離にかかわる憲法上の重大問題であり、その都度事情によって判断が変わってよいなどという問題ではございません。現に総理自身もこれまでそう主張してこられたのではありませんか。
 総理、どのような状態なら合憲で、どのような状態なら違憲なのでしょうか、その基準を明確にお示しいただきたいと存じます。
 また、日の丸・君が代を国旗・国歌とすることについて、総理は強制すべきものではないと答弁されましたが、これは、総理、自由裁量の問題だと思われているのでしょうか。もしそうなら、内閣の従来からの見解を変更するということでございましょうか。総理並びに河野副総理の答弁をあわせ求めたいと思います。
 次に、この二十三日に予定されております総理の韓国訪問について、どのような基本姿勢で臨まれるのかをお尋ねしたいと思います。
 中でも従軍慰安婦問題については、私は人道上の見地から思い切った額の基金を設置し、日韓両国の一層の友好親善を促進すべきだと考えますが、総理の御見解を求めます。
 総理、今、内外に問題は山積しており、国民は一日も早い政治の対応を望んでおります。
 まず、ナポリ・サミット、円高についてお伺いいたします。
 円高の状況は極めて深刻であります。村山政権が誕生してから円は百円を突破いたしました。このことは御承知のとおりだと思いますが、国民は、今回のナポリ・サミットで日本代表は為替市場の安定のために各国からの政策協調を引き出し、円高傾向に何らかの歯どめがかかるものと期待を持っておりましたが、しかし、経済宣言には為替協調については全く触れられず、サミットが終わった以降も九十六円台という新高値を更新しております。国民の期待は全く裏切られました。
 河野副総理にお尋ねいたします。
 副総理は村山総理が入院したために代理で首脳会議に出席をしておられますが、その席上で円高や為替相場の安定についてどのような発言をされたのでしょうか。この問題については何も発言をされなかったのでしょうか。外国の反応も全くありませんし、経済宣言にも一言も触れられておりません。サミットの結果を見ますときには、日本の村山新政権は各国から相手にされず、全く無視されたのではないかとさえ思えるのであります。
 河野副総理、サミットでどのような主張をされたのか、しかと御答弁を願いたいと思います。
 また、総理は為替レートについてどの水準が当面妥当とお考えになっておりますか。その妥当とする水準維持のためどのような対策を講じられておりますか。顔合わせに終始したとすら言われております日米首脳会談の結果、包括経済協議の見通しも含め明確な御答弁を願います。
 次いで、雇用対策についてただします。
 社会党の総理が誕生し、雇用対策については最も重点的な所信が述べられると期待をいたしておりましたが、所信表明ではたったの一行少々しか触れられておりません。
 本年五月の有効求人倍率は〇・六四倍と昨年を下回っており、現在の雇用の状況、特に新規学卒者の就職状況、中でも女性の状況を総理はどのように承知されておられますか、お伺いをしておきたいと思います。
 極端な円高がおさまらない現状を強く懸念している製造業は、例えば対米輸出を半分に減らしてもその分はアメリカの現地生産で賄うなど海外にシフトすることを一段と強めております。とのため、国内の空洞化は進み、雇用の機会はますます減少してまいりました。景気の立ち直りのやさき、再度の円高を目の当たりにして、産業界では来春闘では労働組合に賃下げを要求せざるを得ないという声が頻繁に聞こえてまいります。
 この雇用不安の増大が予想される現状を、労働組合運動の経験も長い総理御自身、いかにとらえておられるのかをお伺いいたします。どのような対策をお持ちになるかもお伺いをしたいと思います。総理並びに労働大臣の御答弁を求めたいと存じます。
 また、総理は、この夏以降来年にかけての経一済、景気の動向をどのように判断しておられますか、責任ある見通しをお伺いいたします。あわせて、経済見通しと表裏一体のものとして、来年度予算編成に当たっての政府の基本方針はいかなるものかをお伺いいたしたいと思います。
 次いで、公共料金の凍結についてお尋ねいたします。
 今日、物価の抑制が非常に重大な政策となってまいりました。公共料金につきましては、経済団体からも、民間企業は人員削減も含めてコストダウンに努力をしている、それに対して政府機関や政府の監督下にある公共企業体が従来と同じような安易な判断で公共料金を引き上げることは承服できないと強い要請もありました。
 これを受けて羽田内閣が公共料金の年内凍結の方針を表明いたしましたことは、国民から大歓迎をされました。この凍結こそ、不安定な経済情勢の中で不況からの脱出の第一歩であったという評価もあります。公共料金の凍結を継続することは、二十一世紀に向けての本格的な行政改革、公共事業体の合理化、さらには中央省庁のリストラにもつながるという論議もあります。
 そこで、村山総理は、前内閣の公共料金凍結を引き継がれるおつもりなのか否か、また、来年一月以降も継続されるつもりか否かをお尋ねしておきたいと存じます。
 既に橋本通産大臣の発言として、電力・ガス料金の値下げを一年継続すると報じられておりますが、敬意を表しております。その他すべての公共料金についてもあわせて御答弁を願いたいと思います。
 また、JR、私鉄各社あるいは航空各社の運賃値上げが話題になっております。しかし、総理、ここで例外を設けて一つでも公共料金引き上げを認可いたしますと、歯どめはきかなくなると私は考えます。総理はこれらの運賃引き上げをどのように考えておられますか、お尋ねをいたします。
 物価の安定は極めて重要でございます。公明党は闘ってまいりたいと思います。
 なお、総理は、公共料金の内外価格差、すなわち日本の公共料金は諸外国に比べて随分と高いとされる実情をどう認識しておられますか、御答弁を願いたいと思います。農業政策について質問いたします。
 この秋にもラウンド合意の批准と国内手続が予定されております。しかし、自民党、社会党の中にもラウンド合意に対して反対の旗を振っておられる議員が多数おられます。しかも、このたび就任されました大河原農水大臣は、その反対の急先鋒に立って当時の畑農水大臣の問責決議案まで出した御本人であります。反対の先頭に立ってきた議員が大臣になったとは、総理、ラウンド合意をつぶすおつもりでございますか。御答弁を願いたいと思います。
 村山内閣は、さきの生産者米価の決定に当たって、米価そのものは現状どおりとされたものの、いわゆる助成金と称される二百八十五億円を支給するというこそくな米価決定を行いました。では、ウルグアイ・ラウンドの合意が年内にも批准され実施に移されようとしている現在、大河原農水大臣は、ウルグアイ・ラウンド合意のための対策予算として、夏の概算要求だけでなく秋口にも追加要求すると述べられておりますが、総理はこれに対してどう対応されるのか、御答弁をいただきたいと思います。
 また、これまで続けてきた減反政策の見直しゃ米の備蓄問題に加えて、食管制度そのものを見直し検討することが不可欠であると思いますが、どのような点をどのように改正するのか、政府の対応をお伺いしておきたいと存じます。
 さらに、ウルグアイ・ラウンドの国内批准の手続についての今後のスケジュールについてもぜひお示しをいただきたいと存じます。総理の御答弁を求めます。
 さて、政治改革です。
 総理も御承知のように、政治改革は区割り法案の成立によって一応完結いたします。総理はこの政治改革には極めて積極的であったと承知しておりますが、年内完結への御決意を伺っておきたいと存じます。
 最近、何やら自民党の中に、政党法の制定や法人化の問題を持ち出し政治改革法案の完結を先送りにしようという動きがありますが、これについての御所見を伺っておきたいと思います。
 また、総理は、所信表明の中でも、今後の衆議院議員の総選挙が新制度で実施する旨明言されましたが、ここで再度確認をさせていただきたいと存じます。
 税制改革について、我が国は現在二百兆円の赤字を抱えており、その上、高齢化社会を迎えつつあります。まず、我が国の財政の現状と将来展望についてどのように認識しておられますか、お尋ねをいたします。
 また、去る七月八日のクリントン大統領との日米首脳会談において、総理は、今後も所得税減税を継続するが財源問題は切り離す、その姿勢を表明したため、アメリカ側に誤解を与え、無意味な混乱を生じさせております。このあいまいな態度を改めて、明確な姿勢を国内外に示すべきであります。村山内閣は減税の財源をどのような形で確保するつもりなのか、明確にすべきであります。さらに、財源確保の観点からも税制改革の内容と実施時期を具体的にお示しをいただきたいと存じます。
 行政改革について伺います。
 総理は行政改革について極めて熱意を持っておられると承知しておりますが、総理、社会党は大丈夫でございましょうか。羽田内閣でも方針として掲げた特殊法人の合理化と国土三庁の統合について断行されますか、総理の明確な御答弁を求めます。
 また、地方分権についても前内閣の方針を踏襲するポーズをとっておられますが、総理は地方分権基本法を制定し地方分権を推進する意思があるのか否か、お答えをいただきたいと思います。
 先ほども久保さんの質問でお尋ねがありましたが、被爆者援護法、我が党は社会党とともに被爆者援護法を参議院に提出し、二回可決いたしております。しかし、その制定に自民党が一貫して反対してきたために、いまだ成立を見ておりません。被爆者援護法の制定に向けて、総理、明年は被爆五十周年を迎え、いかがなさいますか。社会党の総理が誕生したのですから、必ずやると明確な御答弁をいただきたいと思います。
 また、あわせて河野副総理、自民党としていかがなさいますか、お答えをいただきたいと存じます。
 介護休業制度について、公務員に続いて民間の勤労者についても早急に法制化を図るべきだと考えます。また、育児休業制度と同程度の所得保障が必要と考えますが、総理並びに労働大臣の見解はいかがでありますか、お尋ねをしておきたいと存じます。
 以上、広範にわたり質問をしてまいりましたが、簡潔で要を得た答弁をお願いをいたしたいと存じます。
 最後に、総理は所信表明の結びの中で「国民の皆様がこの内閣に寄せる熱い思いを肌で感じ、」と述べておられますが、先日、私のところに御年配の女性から一通の手紙が届きました。その内容の一部を御紹介いたしますと──総理、聞いておられますか、聞いておられますか。その手紙の内容の一部を御紹介いたしますと、「この内閣の誕生には、大変吃驚しました。自民党と社会党がくっつくなどとは、国民の誰一人予想もしませんでしたし、希望もしませんでした。村山さんは「自民党とは一緒にならん、ならん」と言っていたはずです。政治家はウソをついてはイカンと思います。男らしくないと思います。」という内容です。総理の所感を求めたいと存じます。
 総理、どうか御自身の言葉で政治を語り、うそのない政治の実行を要請いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(村山富市君) 大久保議員の質問にお答えしたいと思います。
 最初の質問は、社会党が自民党の復権に手をかしたことは選挙公約違反ではないかとのお尋ねでございます。
 このたびの新政権誕生に当たりましては、時代の大きな変化を背景に、社会党と新党さきがけが行った政策合意について自民党においても十分吟味をいただき、基本的に御了承いただいたところでございます。これにより三党が連立を形成し、イデオロギー論争を超えて改革を推進する政権を目指すことになったものと考えております。このような三党の自己改革と切磋琢磨こそが、いわゆる五五年体制を脱却し、国民の意思をより一層反映した新しい政治を切り開いていく重要な基礎になるものと考えているところでございます。
 次に、自民党の金権利権政治、金権スキャンダルについてのお尋ねがございました。
 このたびの連立政権におきましては、我々が目指す政治は、まず国家あり産業ありという発想ではなく、額に汗して働く人々など生活者の気持ちに軸足を置いた政策を心がけ、それをこの国の政治風土として根づかせていくことを第一に考えているものでございます。このことにつきましては、所信表明演説の中で述べたとおりでございます。
 自民党も、公職選挙法の改正や政治資金規正法の改正にともに賛成をして成立を図ってまいりました。このことは、自民党が従来のあり方を反省して、政治腐敗防止に一層の熱意を示されたというように評価しているところでございます。金権腐敗政治、癒着体質を一掃し、清潔な政治の実現に向けてこれからもともに頑張っていきたいと考えているところでございます。
 連立を組んだ自民党と社会党のいずれの基本理念が変わったのかというお尋ねでございます。
 時代の変化の中で今求められておりますのは、イデオロギー論争ではなく、現実に即した闊達な政策論議が展開され、国民の多様な意見が反映される政治ではないかと思います。
 このたびの内閣は、これまで別の道を歩んだ三党派が、長く続いたいわゆる五五年体制に終止符を打ち、一年間の連立政権の経験を検証する中から、お互いに自己改革を遂げる決意のもとに結集した内閣でございます。今後、国民にとっては何が最適の政策選択かを基本に置いて改革の道を邁進してまいる考えであり、必ずや国民の信頼と支持を得られるものと確信いたしているところでございます。
 次に、自衛隊合憲論への転換理由についてのお尋ねがございました。
 私は、戦後、社会党が平和憲法の精神を具体化するために粘り強い努力を続けてまいりましたが、国民の間に文民統制、専守防衛、自衛隊の海外派兵の禁止、非核三原則の遵守、武器輸出の禁止などの原則を確立することによって必要最小限度の自衛力の存在を容認するいわば歯どめとして、穏健でバランスのとれた国民意識を形成し得たものと考えています。
 しかし、国際的には冷戦構造が崩壊し、国内的にも大きな政治変革が起きている今日におきましては、私は、こうした歴史と現実認識のもと、平和憲法国家たる日本が将来どのように国際平和の維持に貢献をし、どのように自国の安全を図るかという点で、よりよい具体的な政策を提示し合う未来志向の発想が求められていると考えているところでございます。
 社会党の党議決定についてのお尋ねもございましたが、平和憲法の理念を具体化するために活動してきた社会党の歴史を踏まえながら、冷戦構造が崩壊した新しい時代の変化に対応した新しい政策を党の機関で決定されるよう期待をいたしておるところでございます。
 次に、PKOについてのお尋ねがございました。
 私及び社会党が、自衛隊の海外出動につながるとの認識のもとに、PKO法案審議に当たり慎重な審議を訴え反対の立場をとったことは事実であり、私は別に誤ったとは思っておりません。同法案成立以降は、いわゆる五原則を含む同法の厳格な履行を求めてきており、今、政権についた立場から同法を厳格に履行していく決意でございます。
 次に、靖国神社公式参拝についてのお尋ねがございました。
 内閣総理大臣その他の国務大臣の靖国神社公式参拝とは、内閣総理大臣その他の国務大臣が公的資格で行う参拝のことでございます。
 内閣総理大臣の靖国神社公式参拝は、御存じのように、昭和六十年八月十五日に実施された後、昭和六十一年以降は諸般の事情を総合的に考慮し差し控えられているところでございますが、昭和六十年に実施した方式による靖国神社公式参拝は憲法に違反しないとの従来の政府方針は変わっておりません。
 公式参拝は制度化されたものではございませんが、今後、公式参拝を実施するかどうかは、内閣総理大臣その他の国務大臣が、近隣諸国の国民感情など諸般の事情を総合的に考慮しながら、慎重かつ自主的に検討した上で決定すべきものと考えております。
 次に、学校教育における国旗・国歌の指導についてお尋ねがございました。
 この指導は、我が国の国旗・国歌はもとより、諸外国の国旗・国歌に対する正しい認識とそれを尊重する態度を育てるために行うこととしたものでございます。
 この問題につきましては種々議論があることは承知いたしておりますが、行政府としては、このような指導はこれからの国際社会に生きていく国民として必要な基礎的、基本的な資質を身につけるために必要なことだと考えております。同時に、こうした指導が無理なく受け入れられる素地がさらに整うことが望ましいものであるということを申し上げておきたいと存じます。
 次に、韓国訪問の基本姿勢についてお尋ねがございました。
 今回の訪韓では、金日成主席の死去後の朝鮮半島情勢を中心とする最近の国際情勢や日韓関係等について、金泳三大統領との間で率直な意見の交換を行いたいと考えているところでございます。
 その中で、私としては、とりわけ自由、民主主義、市場経済という基本的な価値を共有する日韓両国の友好協力関係をさらに発展させることの重要性につき改めて確認してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、従軍慰安婦問題について、人道的見地から思い切った額の基金を設置すべきではないかとの御意見がございました。
 さきの大戦にかかわる賠償、財産・請求権の問題につきましては、我が国としては、サンフランシスコ平和条約、二国間の平和条約及びその他の関連する条約等に従って誠実に対応してきたところでございます。
 他方、従軍慰安婦問題についても、このような我が国としての立場は堅持しつつ、我が国としておわびと反省の気持ちをどのようにあらわすかにつきましては、さきの所信表明演説で述べた考え方を踏まえつつ、できるだけ早期に結論を出すべく現在鋭意検討しているところでございます。
 次に、為替レートの水準はどの程度が妥当か、また、その水準維持のための方策はとのお尋ねがございました。
 ナポリ・サミットにおきましても各国の間で共通の認識が確立されたように、我が国としても、最近の為替レートの動きは経済の基本的条件と整合的でなく、米ドルの一層の低下は望ましくございませんし、かつ正当化されないと認識しているところでございます。
 なお、特定の水準について申し上げることは、市場に不測の影響を及ぼすおそれもあり、差し控えたいと考えております。
 いずれにいたしましても、為替相場が思惑等により短期間のうちに大きく変動することや不安定な動きを示すことは好ましいことではございません。このような場合には、関係各国と緊密に連絡をとりつつ、適宜適切に対処し、為替相場の安定を図ってまいりたいと考えているところでございます。
 次に、日米首脳会談の成果と包括経済協議の見通しについてのお尋ねがございました。
 まず、日米首脳会談の成果についてでございますが、第一に、首脳及び主要閣僚間の信頼関係を深め、第二に、新内閣の基本方針及び外交・安全保障の継続性について米側の理解を得ながら、北朝鮮の核開発問題等に関する緊密な政策協調を確認し合いました。第三に、世界経済の発展と日米経済関係の円滑な運営に向けた協調を再確認いたしたところでございます。
 次に、日米包括経済協議の早期解決に臨む姿勢についてお尋ねがございましたが、この協議は、五月の再開以来、優先分野の交渉において着実な展開が見られており、今後できる限り早期の合意に向けて日米双方が現在鋭意検討し努力をいたしておるところでございます。
 次に、新卒者、特に女子学生を含めた就職状況についてのお尋ねがございました。
 厳しい雇用失業情勢の中で、来年三月の新卒者の就職問題は大きな社会問題となりておるという認識を持っております。こうした問題に対応するため、これまでも事業主団体等へ求人枠の拡大や男女の均等取り扱いの要請を行ってきたところでございます。さらに、近く女子学生の就職問題に関する閣僚会議を開くことといたしております。
 今後も、新卒者等に事業主と直接面接できる場を提供するなど、新卒者の円滑な就職についてさらに協力、援助してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、国内の空洞化と雇用問題についてのお尋ねがございました。
 昨年来の急激な円高を背景に、今後さらに製造業を中心に海外進出が進展する可能性があると見られています。それが行き過ぎた場合には国内製造業の空洞化が生じ雇用に悪影響が及ぶ懸念もあることは、厳しく認識しているところでございます。このような懸念に対し、我が国といたしましては、内需主導の国際調和型産業構造の形成を進めつつ、雇用の確保を図っていくことが基本的に重要であると考えているところでございます。
 このため、規制緩和、新規産業の発展や創造的な事業転換を促すための各般の施策、総合的な雇用対策を推進してまいっているところでございます。
 次に、経済、景気の動向についてのお尋ねがございました。
 我が国の経済は調整過程にございまして、総じて低迷が続いておりまするが、個人消費の持ち直しゃ企業収益の下げどまりの兆しなど、このところ明るい動きが次第に広がってきております。他方、最近の為替相場の動きなど、懸念すべき要因も見られます。
 このため、政府といたしましては、引き続き内需を中心とした持続的成長の確保に努めるとともに、規制緩和策を初めとする国内経済改革を強力に実施してまいる所存でございます。こうしたことにより、我が国経済は六年度中に本格的な回復軌道に乗るものと考えているところでございます。
 次に、来年度予算編成に当たっての政府の基本方針について御質問がございました。
 我が国財政につきましては、公債残高が六年度末にはついに二百兆円を超える見込みでございますが、構造的にますます厳しさを増しておるところでございます。これに加え、平成五年度決算において初めて二年連続して決算上の不足が生じるという極めて異例な事態となっておるところでございます。
 今後の予算編成に当たりましては、このような一段と深刻さを増している我が国財政をめぐる状況を深刻に受けとめながら、引き続き健全な財政運営を確保し、公債残高が累増しないような財政体質をつくり上げていくという基本的方向に沿って一層の努力を払っていくことが重要であると考えています。
 このため、今後ともあらゆる経費について制度の根本にまでさかのぼりた見直しや施策の優先順位の厳しい選択を行うなど、まずは歳出面において徹底した洗い直しに取り組むとともに、歳入面においても可能な限り努力を払うなど、歳出歳入両面においてあらゆる努力を傾注してまいる所存であることを申し上げておきたいと存じます。
 次に、公共料金棟結についてのお尋ねがございました。
 前内閣の方針は現内閣においても継承されているものでございます。
 なお、本措置により経営の維持が著しく困難になったと認められる中小企業にかかわる公共料金につきましては、物価問題に関する関係閣僚会議の議に付することとなっております。
 今後、公共料金の改定につきましては、物価問題に関する関係閣僚会議におきまして四月に取りまとめました公共料金の取り扱いに関する基本方針に基づきまして、案件ごとに厳正な検討を加え適切に対処してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、JR、私鉄各社、航空各社の運賃値上げをどう考えているかとの御質問がございましたが、JR、私鉄各社、航空各社の運賃値上げの申請につきましては、基本的にはそれぞれの事業主が自主的に判断すべき問題であると思いますが、今後具体的な申請がなされた場合には、その取り扱いについて慎重な検討を加えてまいりたいと考えているところでございます。
 さらに、公共料金の内外価格差についてお尋ねがございました。
 単純な料金の比較におきましては、幾つかの公共料金で内外価格差が存在することは事実でございます。ただ、公共料金の内外価格差につきましては、そのサービスの質を初め、生活慣習や制度等が国によって異なっていることや、為替レートの変動により大きく影響されるため、単純な料金の比較だけでは内外価格差の実態を把握することは困難であり、多方面から分析を行う必要があると考えているところでございます。
 次に、大河原氏を農林水産大臣に任命した意図は何かとのお尋ねがございました。
 大河原氏は、農林事務次官を務めた後、参議院議員を三期務め、またこの間、地方行政委員長に就任されたところでございます。同氏は行政経験及び国政の場における豊かな政治経験を有するとともに、すぐれた人格識見を有すると考えたため国務大臣及び農林大臣として適任と判断したからでございます。
 次に、ウルグアイ・ラウンド合意への取り組みと批准の手続についてのお尋ねがございました。
 政府としては、ウルグアイ・ラウンド交渉の結果作成されました世界貿易機関の設立協定の締結は、貿易立国である我が国経済の繁栄の基盤である多角的自由貿易体制の維持強化にとって極めて重要であると考えております。同協定は現時点では来年一月一日に発動する見込みとなっておりますが、我が国といたしましても、その責務として早急に協定及び関連法案を国会に提出し年内成立を図る所存でございますので、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。
 次に、ウルグアイ・ラウンド合意を踏まえた農業対策予算についてお尋ねがございました。
 ウルグアイ・ラウンドの農業協定の実施に伴う農業施策につきましては、その影響を最小限度に食いとめ二十一世紀に向けた農業構造の早期実現を図るため、昨年暮れに閣議了解されました基本方針に沿って農政審議会において御議論をいただいておるところでございます。
 政府としては、今後これらの議論を踏まえながら、緊急農業農村対策本部において検討の上、対策に必要な予算の問題も含め、適切に対処し、万全を期す決意であることを申し上げておきたいと存じます。
 次に、減反政策や米の備蓄問題を含めた食糧管理制度の見直しについてお尋ねがございました。
 ウルグアイ・ラウンド農業合意において米のミニマムアクセスを受け入れることから、食管法については、基本計画等に基づいて行う数量管理のあり方や輸入米の政府売り渡し価格等について所要の改正を行う必要があると考えております。
 また、食糧管理制度のあり方につきましても、新政策の方向や八月中旬を目途としてまとめられる農政審議会の報告も踏まえて、米の生産調整、備蓄問題を含め、幅広く検討してまいりたいと考えているところでございます。この場合、ミニマムアクセス導入のもとにおいても国民の食糧である米の需給及び価格の安定を確保していく必要があることから、生産者に対する再生産の確保と消費者への安定的な供給を図るという制度の基本的な考え方は堅持していく必要があると考えているところでございます。
 次に、区割り法案についてのお尋ねがございました。
 小選挙区の区割りにつきましては、衆議院議員選挙区画定審議会において現在公正中立に審議を行っていただいているところでございます。政府といたしましては、勧告が行われたときは、勧告を尊重して関連法案を早急に提出し、可能な限り早い時期に成立を目指したいと考えているところでございます。
 次に、政治改革法の先送りの動きがあるとの御指摘がございましたが、政党に法人格を与える問題は、当時の連立与党と自由民主党との間で設けられた政治改革協議会におきまして「衆議院議員の選挙区を定める法律案の国会提出までに結論を得るものとする。」とされていることは御承知のとおりであります。今後、各党間で十分御協議をいただきたいと考えておりますが、この協議が改革の先送りにつながるものとは考えてはおりません。
 次に、次回の総選挙についてのお尋ねがございました。
 区割りについての関連法案の早期成立を目指し、次期総選挙が新制度のもとで実施できるよう最善の努力を尽くしてまいりたいと考えています。ただ、私は、内外に課題の山積する今、一刻たりとも政治的空白は許されない、懸命の努力を傾けることこそがこの内閣の使命であると考えておりますから、現時点で解散・総選挙については考えておりません。
 次に、我が国財政の現状と将来展望についての御質問でございますが、我が国財政は、平成六年度末の公債残高がついに二百兆円を超えるものと見込まれ、これに係る国債費が歳出予算の約二割を占めるなど、構造的にますます厳しさを増していることは御案内のとおりであります。
 一方、本格的な高齢化社会の到来に備え、福祉の充実、着実な社会資本の整備、国際社会への貢献など、さまざまな財政需要に適切にこたえていく必要があります。我が国経済社会の活力を保ちつつこれら新たな時代のニーズに的確に対応していくためには、何よりもまず財政の対応力の確保に努めていかなければなりません。
 このため、引き続き健全な財政運営を確保し、公債残高が累増しないような体質をつくり上げていくという財政運営の基本的方向を堅持していくことが何よりも重要であると考えているところでございます。
 さらに、税制改革についてのお尋ねがございました。
 税制改革を進めていくに当たりましては、景気の観点から増減税の実施時期に一定期間を置くものの、税制改革は増減税全体について議論を進め成案を取りまとめるべく、努力をいたしているところでございます。
 いずれにいたしましても、税制改革につきましては、所信表明演説にございましたように、活力ある豊かな福祉社会の実現を目指し、国、地方を通じ厳しい状況にある財政の体質の改善に配慮しながら、所得・資産・消費のバランスのとれた税体系を構築することが重要な課題であると考えているところでございます。
 このため、行財政改革の推進や税負担の公平確保に努めるとともに、平成七年度以降の減税を含む税制改革については、総合的な改革の論議を進め、国民の理解を求めながら年内の税制改革の実現に向けて一層努力を傾注してまいる所存でございます。
 次に、特殊法人の合理化についてお尋ねがございました。
 各省庁におきましても、おおむね二年間を目途に、所管特殊法人等について、順次、事業の社会経済的必要性等の観点からその事業内容を見直し必要な措置を講ずることといたしております。引き続き、特殊法人の見直しが具体的に進捗するよう積極的に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 また、国土三庁の統合についてお尋ねがございましたが、これらの各機関の担当する行政や地域の特殊性への配慮を十分踏まえつつ、政府としては引き続き検討を行っていく課題であると考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、行政改革全般に積極的に取り組んでまいる決意については変わりはございません。
 次に、地方分権の推進についてのお尋ねがございました。
 二月に閣議決定をいたしました「今後における行政改革の推進方策について」に基づき、地方分権推進の基本理念や取り組むべき課題と手順を明らかにした大綱方針を年内に策定いたしまして、これに基づいて速やかに地方分権推進に関する基本的な法律の制定を目指す考えでございます。現在、行政改革推進本部に設置されました地方分権部会におきまして大綱方針の骨格が検討されておるところでございます。
 いずれにいたしましても、地方分権の推進は何としてもなし遂げなければならない課題であると考えています。住民に身近な問題は身近な地方公共団体が担っていくということを基本としながら、二十一世紀に向けた時代にふさわしい地方自治を確立するため、私といたしましても具体的な成果を上げるべく強い決意で取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 次に、被爆者援護法の制定に関するお尋ねでございますが、被爆者対策といたしましては、先ほども答弁をいたしましたが、放射能による健康被害という一般戦災者とは異なる特別の犠牲に着目をいたしまして、原爆二法を中心に保健、医療、福祉の各般の施策を講じているところでございます。
 被爆者の方々に対し国家補償を行うことにつきましては、一般戦災者との均衡など基本的な問題もございますが、今後、与党内においてさらに慎重な検討を続けてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、介護休業制度についての御質問がございました。
 介護休業制度の法制化につきましては重要な課題と認識をいたしております。現在、関係審議会で検討を始めておるところでございますが、その結果を踏まえて対応したいと考えています。また、経済的援助につきましては、介護休業の法制化問題の検討状況を見きわめつつ検討してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、自社連立内閣に関し、うそのない政治の実行についてお尋ねがございました。
 私は、我が国において戦後政治を特色づけました保革対立の時代から、今や党派を超えて現実に即した率直な政策論争を行い、改革推進の合意を求めて連立を形成していくという時代へ大きく変化しつつあると考えています。
 先ほども申し上げましたように、この連立内閣は、そのような時代の要請にこたえていくため、より国民の意思を反映し、より安定した政権を目指すものでございます。私は、あくまでも国民にとって何が最適の政策選択かを基本に置いて、民主的かつ透明度の高いやり方で改革を誠心誠意実行してまいりたいと考えているところでございます。
 ある御婦人の便りについてのお尋ねがございましたが、現政権の政策や考え方を正しく御理解をいただくならば、必ず私はこの内閣を御理解、御支持をいただけるものと考えているところでございます。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣河野洋平君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(河野洋平君) 大久保議員にお答えをいたします。
 自社さきがけの連立は基本理念までその結果変えたのか、こういうお尋ねでございます。
 私は、理念の違いは違いとして、政策の一致あるいは政治手法の合意、そういったものを確認して連立政権に踏み切ったわけでございます。
 私は、昨年夏の旧連立内閣はそれでは基本理念は全部変えて細川政権というものはつくられたのかということであれば、そうではないんじゃないか、政策の合意、政治手法の一致、こういったものが連立政権をつくるための重要なポイントであったというふうに私は思っているわけでございます。
 旧連立内閣と違いまして、村山連立内閣には権力の二重構造はございません。はるかに民主的で、国民のためになる仕事ができる内閣だというふうに確信をいたしておるところでございます。
 国旗・国歌の問題がお尋ねでございました。この国旗・国歌に対します指導につきましてのお尋ねでございますが、先ほど総理からも御答弁がございましたように、国際社会に生きていく国民としての必要な基礎的、基本的な資質、あるいは習慣と言ってもいいのかもしれませんが、それを身につけるために必要なことである、こう考えまして、学習指導要領に基づく各学校における指導については、これまでの政府の方針を変更するものではございません。
 ナポリ・サミットについての御質問がございました。ナポリ・サミットにおきましては、総理が日米首脳会談の後、体調を一時崩されましたために、私と武村大蔵大臣、橋本通産大臣、手分けしてその会談に臨みました。もちろん総理は一日で元気に回復をされて、後半、総理が御出席にな。たことは御承知のとおりでございます。
 このサミットにおきまして円高あるいは為替相場の安定について議論があったか、それについてどういう判断をしたか、こういった御質問であったかと思いますが、首脳会談におきましてもこの問題については各国からそれぞれ言及がございました。しかし、この問題はすぐれて蔵相会合で議論をするということになりまして、蔵相会合では大変長い時間この問題に議論がなされたというふうに聞いております。
 その結果、最近の為替レートの動きは、我々の経済の基本的条件と整合的でない、米ドルの一層の低下は望ましくないし、かつ正当化もされない、こういうことで意見が一致をしたということでございます。これについて、我が国からも武村大蔵大臣がこの会談に出席をし、それぞれ議論をされたというふうに聞いております。
 被爆者援護法についてお尋ねがございました。
 この援護法につきましては、自民党といたしまして、国の戦争責任がどうか、あるいは他の一般戦災者との均衡上の問題はどうか、こういったことから大変議論がございまして、この法案にはこれまで反対の立場をとってきたわけでございます。しかし、こういう事態になりまして、今後は与党内で慎重に検討をしていくことも必要ではないか、こんなふうに考えているところでございます。(拍手)
   〔国務大臣浜本万三君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(浜本万三君) 大久保議員の御質問にお答えをいたしたいと思います。
 おおむね総理大臣から基本的な考え方が述べられましたので、私はそれを補足する意味でお答えをいたしたいと思います。
 まず第一の御質問でございますが、新規学卒者の就業状況、中でも女子の状況についての私の認識と対応について御質問がございましたので、お答えをいたします。
 厳しい雇用失業状況の中で、新規学卒者の就業問題は大きな社会問題となっております。特に女子学生につきましては、昨年度、新卒者の募集、採用において男女雇用均等法に照らして問題のある事例が見られ、また就職内定の出足がおくれたという実情がございました。
 このような状況を踏まえまして、私自身、就任直後の七月四日に東京都で行われました大学等求人情報展示会に足を運びまして学生の方々を直接激励いたしました。また、七月十一日以降、私と政務次官が事業主団体を訪問いたしまして新卒者の採用枠の拡大と男女の雇用機会の均等について要請いたしましたほか、他の主要な事業主団体にも文書により協力を要請したところでございます。さらに、九月以降、学生に企業と直接面接できる場を提供いたしまして、その円滑な就職を支援するため、大規模な就職面接会を全国の主要な都市において開催するように準備を進めておるところでございます。
 いずれにいたしましても、新卒者の就職は人生を左右する重要な問題でございますので、私といたしましても強い決意を持って全力で取り組んでまいりたいと思います。
 第二の問題は、円高による雇用不安の増大が予想されておる現状について、労働省はどのような対応を考えておるかということでございます。
 議員が御指摘のとおり、最近の雇用状況は、有効求人倍率がここ数カ月〇・六倍台半ばで、また完全失業率も二%台の後半で推移するなど、依然として厳しい状況が続いております。なお注意すべき状況にあるわけでございます。さらに、最近の急激な円高による我が国経済への悪影響も懸念されておるところでございます。
 今後、円高の影響は十分注意して見守ってまいりますが、労働省といたしましては、現在、雇用維持対策や再就職援助の対策などを主眼といたしました雇用支援トータルプログラムを実施しておるところであり、これらの措置をフルに活用いたしまして雇用の安定に努めてまいりたいと思います。
 第三の介護休業制度の問題でございますが、介議休業制度は、高齢化、核家族化が進展する中で介護を必要とする家族を抱える労働者が働き続けるために重要な制度であると考えております。労働省ではその普及啓発に努めておるところでございます。
 民間における介護休業制度の法制化についても重要な課題と認識をしております。このほどまとめられました専門家会合の研究結果を参考としながら、介護休業制度の法制化を含む有効な普及対策について関係審議会で検討を始めておるところでございます。
 もうちょっと踏み込んでお答えしますと、私といたしましては次の通常国会を視野に入れて審議会の議論がまとまることを期待しておるところでございます。
 介護休業制度の利用者に対し経済的援助を行うかどうかにつきましては、介護休業の法制化問題の検討状況を見きわめながら今後検討してまいりたいと思います。(拍手)
#15
○議長(原文兵衛君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   正午休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開議
#16
○議長(原文兵衛君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。橋本敦君。
   〔橋本敦君登壇、拍手〕
#17
○橋本敦君 私は、日本共産党を代表いたしまして、総理の所信表明について質問いたします。
 国民不在の果てしない政権抗争の中から新たに発足した社会党首班の村山内閣のもとで、ハト派、護憲、優しい国などの宣伝とともに、それとは正反対の政治が行われようとしています。
 総理は所信表明で、自社それぞれ互いに自己変革を遂げる決意で連立を組んだと言いましたが、自民党は何ら変わらないのに、社会党が憲法問題まで含めて自民党政治を受け入れ、その本流に合流するところまで自己変革を遂げようとしているのではありませんか。
 以下、主要な点について総理の基本姿勢をただします。
 第一は日米安保条約についてであります。
 日米首脳会談でも所信でも、総理は、社会党もかつては廃止すると言っていた日米安保条約を堅持すると宣言しました。これはまことに重大な問題であります。総理、この安保条約は、ソ連崩壊後は、単独で世界支配を目指すアメリカの戦略の一翼を担う軍事同盟として我が国の政治経済に極めて異常な事態をもたらしていますが、その実態を承知の上でそう言っておられるのですか。
 まずその一は、米軍基地の実態であります。
 沖縄に基地があるのではなく基地の中に沖縄があると言われていることを、総理もよく御存じでしょう。それに、首都圏に存在する横田、横須賀を初め、膨大な基地群、全国に百五十カ所もの米軍基地が網の目のように張りめぐらされ、およそ五万もの米軍が駐留を続けています。戦後既に五十年近くになるのに今も日本にはこのような基地が存在し続けているのでありますが、一体このような国が日本のほかにありますか。しかも、アメリカが空母や強襲揚陸艦、海兵隊などの強力な攻撃部隊を海外に前進配備しているのは、世界で日本だけではありませんか。こうして日本は最も突出した米軍出撃拠点になっているのであります。
 これらの基地と軍隊は米軍がアジア諸国をにらむ戦略から配備しているものであり、日本の防衛とは直接関係がないだけでなく、アメリカの戦争に日本が巻き込まれるおそれがあるものであります。その上、これらの米軍基地は、沖縄の県道を封鎖しての相次ぐ危険な実弾射撃訓練の強行、基地周辺での夜間離発着訓練などによる耐えがたい住民の騒音被害、池子の森に見られる貴重な自然の破壊など、日本国民に大きな苦しみと被害を与えています。総理は、きのう米軍の基地使用を重要として容認しましたが、このような実態を永久にお認めになるつもりですか。
 その二つは、二千五百億円もの思いやり予算についてであります。在日米軍駐留費全体ではその経費は五千九百億円にも上っております。アメリカの同盟国の中でずぱ抜けて世界一なのであります。日本の際立った対米追随ぶりは、駐留費の負担増に対して拒否を表明しているドイツと比べると極めて対照的であります。とりわけ、思いやり予算なるものは条約上の義務もない特別の負担で、F16戦闘機用シェルターから兵士の隊舎、宿舎、米軍人の家族住宅まで、在日米軍の新規施設建設費は全部日本持ちになっているのであります。総理、こんなことが他の国にありますか。その結果、アメリカの高官は日本に駐留する方が米国にいるより安上がりだと言っているありさまなのであります。
 その三に、米軍と自衛隊などとの環太平洋合同演習、リムパック94では、事実上北朝鮮有事を想定した日米韓合同軍まで結成されていたではありませんか。総理、集団的自衛権にもかかわるこういう危険なものも容認なさるのですか。明確な答弁を求めます。
 第二は、自衛隊の合憲論に関してであります。
 総理は、自衛のための必要最小限度の実力組織である自衛隊は憲法の認めるものであると認識していると重大な答弁を行いました。しかし、自衛隊が「陸海空その他の戦力は、これを保持しない。」と宣言した我が憲法第九条に違反することは明白であり、これを認めるかどうかは護憲の党か否かの試金石であります。今日、日本は世界第二位の軍事予算を持つ国となっております。こうして今や自衛隊は世界でも有数の実力部隊であり、戦前、日本の侵略戦争の犠牲となったアジア諸国民の脅威と不安も高まっています。これでも総理はこの自衛隊が必要最小限度の実力組織だと考えているのですか。
 先ほど述べたリムパックにはこの自衛隊も参加し、海上封鎖や上陸作戦の演習などを含む大規模な共同軍事演習を行いましたが、これも合憲の範囲だと言われるのですか。
 また、自衛隊はシーレーン防衛を任務としているのでありますが、これは日本の領海、領域、領空をはるかに超えた一千海里の海域、つまり太平洋、東シナ海、日本海、オホーツク海をその防衛対象海域に挙げ、米第七艦隊を護衛するというものであります。専守防衛の範囲をはるかに超えるこのシーレーン防衛がどうして合憲と言えるのですか。
 さらに、空飛ぶ指揮所と言われるAWACS、早期警戒管制機の導入について伺います。
 これは、他国の戦闘機の侵入を監視するばかりでなく、有事には、数百の敵味方の戦闘機を一瞬にして識別し戦闘指令を出すことができます。だからこそ、社会党もこのようなAWACSは専守防衛をはるかに逸脱する兵器だとしてその導入に反対の態度を表明していたのでありますが、総理はこのAWACSも合憲と考えているのですか。これらの点について責任ある答弁を求めるものであります。
 さて、総理は、日米安保条約の堅持や自衛隊合憲論への変節、非武装中立政策の放棄、それに自民党との連立そのものもすべて合理化する最大の理由に冷戦が終結したという主張を持ち出し、保革のイデオロギー対立はもはやなくなったと言うのであります。しかし、米ソの対立がなくなっただけで、アメリカが核抑止力と軍事ブロックの再編強化により依然として冷戦戦略を世界的規模で追求しているもとで、これに一層加担する危険な戦争への道か、それとも平和と国民生活を守る道かは、保守か革新かのますます重大な政治的対決点となっているではありませんか。
 冷戦終結論なるものは、この現実を無視した誤った議論であるというにとどまらず、まさに危険な反動政治へのたくらみを隠す口実ではありませんか。しかも総理、米ソの対立がなくなると、どうして日米軍事同盟が堅持すべきものとなり違憲の自衛隊が合憲となるのですか。どう考えても、合理的根拠にならないではありませんか。この点、はっきりとお答えいただきたいのであります。
 第三は、かつて日本軍国主義が犯した戦争の歴史認識についてであります。
 日中戦争から太平洋戦争へと続いた過去の十五年戦争が侵略戦争であったことを認めないのは、第二次大戦の深い教訓に立って二度と再び世界に軍国主義と侵略戦争を起こさないと決意した戦後の国際社会の原点と我が憲法の根本理念に背を向けるものであります。
 総理は、さきの国会でみずから質問に立ったときには、明確に侵略戦争と述べていました。ところが、総理になると侵略行為としか言えないのは、なぜですか。侵略行為があったということと戦争全体の基本性格が侵略戦争であることとは、根本的に違います。政権につくと歴史の基本認識まで後退するとは、余りにも無責任ではありませんか。
 総理、及び自民党、さきがけ各党の党首である河野外務大臣と武村大蔵大臣にも、戦争全体の性格をどう認識しておられるのか、それぞれ明確な答弁を求めます。
 次に、国民生活の問題に進みます。
 まず、消費税の問題であります。
 言うまでもなく、消費税はお年寄りいじめ、庶民いじめの天下の悪税であって、この廃止こそ国民は願っております。総理は、国民に優しい政治と、こう言いますが、それなら真っ先にこの消費税を廃止したらどうですか。実際は、それどころか、消費税の税率の引き上げそのものは与党間で既に事実上合意し、あとはいつから何%税率を引き上げるかが残されているだけではないのですか。そうでないと言うなら、消費税率の引き上げはしないとここできっぱり断言できますか。
 政府税制調査会は、高齢化社会対策を口実に消費税率七%ないし一〇%もの引き上げを想定する答申を出しました。総理、今でも三%の税率で四人世帯で平均年約十一万円も国民は消費税を負担させられているのでありますが、これが七%では二十五万八千円、一〇%ともなれば三十六万九千円にもなるのであります。とりわけ、消費税の増税は年金で暮らすお年寄り世帯にとって耐えがたい負担であります。総理がこのような国民犠牲の税調答申を尊重すると言ったことは到底容認することはできません。
 消費税率を引き上げなくとも、我が党がかねてから主張しているように、先ほど述べた莫大な軍事費を大幅に削減し、大企業優遇税制を改め、ゼネコン疑惑で明るみに出たような公共事業のむだを省くなどで、高齢化社会を支える十分の財源が確保できるではありませんか。国民はこれを望んでいるのです。
 総理、あなたは口で「人にやさしい政治」と言えても、このような国民本位の政治を進める決意はないのですか。総理並びに大蔵大臣の答弁を求めます。
 次は、深刻なドル安と円高問題であります。
 クリントン政権の無策とともに、サミットで具体的円高対策を打ち出せなかった村山内閣の責任は重大であります。この円高が国民生活に何をもたらすか。それは大企業の極限的な人員削減、下請中小企業の倒産、国内産業の空洞化、不況の一層の深刻化であります。そして、このような労働者と中小企業の犠牲の上に進められる大企業の円高対策で、貿易黒字は減少せず、それがまたさらなる円高を促進するという悪循環を繰り返しているのであります。
 したがって、その根本的対策としては、円高を促す日本側の主な要因である特定大企業の海外移転、人減らし、下請いじめなどによる低コストでの大量輸出体制にメスを入れ、これに必要な規制を行うとともに、一方、アメリカに対してもドル安の要因である財政、貿易の双子の赤字を解消するよう厳しく要求すべきであります。総理にその意思があるかどうか伺います。
 同時に、最近の急激な相場変動の背後にある巨額の投機資金による市場撹乱に対しては、各国協調で毅然と介入することはもちろん、巨額の不当な投機行為を国際的に規制することが緊急に必要ではありませんか。大蔵大臣の答弁を求めます。
 総理は、この不況、円高のもとでの深刻な学生の就職難をどう認識されておりますか。それは、若者から働く機会と権利を奪う大きな今社会問題であります。総理にその認識があるなら、直ちに抜本的対策をとるべきではありませんか。とりわけ女子学生に対する差別は目に余るものがあります。来年の世界女性会議を前に、速やかに差別解消を進める具体的な措置を明確にしていただきたいのであります。
 一方、多くの中高年労働者が出向や降格、賃金ダウンにさらされ、事実上五十代半ばで職場を追われています。にもかかわらず、年金開始年齢をあくまで六十五歳におくらせるおつもりですか。
 総理、あなたが所信で述べた安らかに老いられる社会を真摯に目指すのなら、それと正反対に、国民に老後の大きな不安をかき立てている年金改悪法案はこの際、潔く撤回すべきではありませんか。それとも、あなたの内閣は不正直な言葉だけの内閣なのか。国民の目は厳しいのです。総理の責任ある答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(村山富市君) 橋本議員の質問にお答えを申し上げます。
 まず、日米安保条約についてのお尋ねがございました。
 冷戦の終結後も国際社会が依然不安定要因を内包している中で、我が国が引き続き安全を確保していくためには日米安保条約が必要であり、また日米安保体制はアジア・太平洋地域における安定要因としての米国の存在を確保し、この地域の平和と繁栄を促進するために不可欠であると考えております。
 御指摘のように、日米安保体制が我が国の経済、政治に極めて異常な事態をもたらしているという御指摘に対しては、私はそうは考えておりません。
 次に、在日米軍基地についてのお尋ねがございました。
 現内閣として、今後とも米軍による施設、区域の使用を含め、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用に努めていきたいと考えております。
 日米安保体制の目的に必要な施設、区域を米軍に提供することは、他国との比較の問題ではなく、我が国にとっての条約上の義務であります。同時に、政府としては安保条約の目的達成との調和を図りながら、可能な限り縮小、整理、統合が図られていくよう今後も引き続き努力をしてまいりたいと考えています。
 次に、在日米軍駐留経費負担についてのお尋ねでございますが、米国と同盟関係にある諸国との協力関係はそれぞれの状況に応じて多様でありまして、このような協力関係を単純に比較することはできないと思います。
 いずれにいたしましても、在日米軍駐留経費負担につきましては、我が国として日米安保体制の中で従来より自主的判断に基づき適切に対応してきたところでございまして、今後ともこの方針に従い対応していく考えでございます。
 次に、リムパック94についてのお尋ねがございました。
 リムパックは参加艦艇等の能力評価を行い、戦術技量の向上を図ることを目的としたものでありまして、自衛隊がその練度を向上させるために外国との間において共同訓練を行うことは憲法で認められたものであると考えています。
 しかし、集団的自衛権の行使にかかわるような共同訓練については憲法の定めるものでないことは当然であります。なお、リムパックは現在の国際情勢下における何らかの不測の事態を想定して行われるものではございません。
 自衛隊の現状を必要最小限度の実力組織と考えているのかとのお尋ねでございます。
 現在の自衛隊は専守防衛等の基本的防衛政策のもとで整備されてきたものであり、自衛のための必要最小限度の実力組織であると認識をいたしております。
 なお、この内閣は日本国憲法の精神と理念が実現できる世界を目指し、国際情勢を踏まえながら国際協調体制の確立と軍縮の推進を図りつつ、国際社会において名誉ある地位を占めることができるように全力を傾けてまいる所存でございます。
 シーレーン防衛は合憲かというお尋ねでございます。
 海上自衛隊が個別的自衛権の範囲内において海上交通の安全を図ることは憲法の認めるところであると認識をいたしております。
 AWACSについてのお尋ねがございました。
 これについては今年度予算案をまとめる際に与党内でさまざまな議論があったことは承知いたしておりますが、早期警戒管制機は、専守防衛を旨とする我が国にとって情報収集機能の一環である早期警戒監視機能の充実が有事、平時を問わず重要であることなどから導入されたものでございまして、自衛のための必要最小限度の範囲内にあり、憲法上問題はないと考えています。
 いずれにいたしましても、今後、国際情勢の変化を踏まえながら国際協調体制の確立と軍縮の推進を図りつつ、我が国の防衛力の再編整備に努めていくべきであると認識をいたしております。
 冷戦終結についての御意見がございましたが、私は、冷戦終結によってイデオロギー論争の時代が終わり、党派を超えて現実に即した政策論争を行う時代に大きく変わりつつあると考えています。これを殊さら対立を強調するような考え方は誤りではないかと思います。
 戦後、社会党が平和憲法の精神を具体化するために粘り強い努力を続けてきたことが、国民の間に文民統制、専守防衛、自衛隊の海外派兵の禁止、非核三原則の遵守、武器輸出の禁止などの原則を確立することによって必要最小限度の自衛力の存在を容認するいわば歯どめとして、穏健でバランスのとれた国民意識を形成する上で大いに役立ったと私は考えています。
 しかし、国際的には冷戦構造が崩壊し、国内的にも大きな政治変革が起きている今日においては、私はこうした歴史と現実認識のもと、平和憲法国家たる日本が将来どのように国際平和の維持に貢献し、どのように自国の安全を図るかという点で、よりよい具体的な政策を提示し合う未来志向の発想が現在最も求められていると考えているのであります。
 こうした観点から、私は専守防衛に徹し、自己のための必要最小限度の実力組織である自衛隊は憲法の認めるところであると申し上げたところでございます。
 さらに、議会制民主主義についてのお尋ねがございました。
 私は、ただいま申し上げましたように、戦後政治を特徴づけた保革対立の時代から、今や党派を超えて現実に即した政策論争を行い合意形成していく時代へと大きく変化しつつあると認識をいたしております。
 今求められておりますのは、イデオロギー論争やイデオロギーの対立ではなくして、そうした観点から、私は安全保障、防衛など国家にとって基本的な問題について主要政党間で大きな意見の相違があったことは好ましいことではないと申し上げたのであります。国民の多様な意見を反映しつつも現実に即した合意形成がなされた政策の実行が確保されるべきであり、このたびの連立政権もこうした改革を目指すものでありまして、このことが御指摘のような議会政治の否定につながるとは考えておりません。
 さきの戦争についての認識に対するお尋ねがございました。
 私は、さきの戦争については、繰り返し申し述べておりますように、我が国の行った侵略行為などが多くの人々に耐えがたい苦しみと悲しみをもたらしたことへの認識を新たにし、深い反省の上に立って、不戦の決意のもと、世界平和の創造に力を尽くしていくべきであると考えております。このことこそが大切なことであると確信をいたしております。私の戦争に対するこのような基本的な認識は一貫したものであり、政権についてから後退したという指摘は当たっていないと思います。
 税制改革及びその中での消費税の問題、さらに税調答申等についてのお尋ねがございました。
 消費税の問題は税制改革全体の中で議論すべき問題であります。税制改革につきましては、所信表明演説でも申し上げましたように、活力ある豊かな福祉社会の実現を目指し、財政の体質改善に配慮しながら、所得・資産・消費のバランスのとれた税体系を構築することは重要な課題であると考えています。
 このために、行財政改革の推進や税負担の公平確保に努めるとともに、平成七年度以降の減税を含む税制改革につきましては、総合的な改革の論議を進め、国民の理解を求めながら年内の税制改革の実現に一層努力を注いでまいる所存でございます。
 次に、歳出削減による高齢化社会を支える財源確保についてのお尋ねでございます。
 今後とも行財政改革を強力に推進し、財政の効率化に向けた歳入歳出両面にわたる努力を続けることは言うまでもございません。しかしながら、政府はこれまで臨調・行革審答申等を受け連年にわたって改革努力を行ってきたところでございますが、行財政改革による歳出削減に余り多大なものを期待することは現状からして困難ではないかと考えています。
 次に、円高に対する企業行動についてのお尋ねでありますが、これまでの円高の進展に対応し、我が国企業はコスト削減努力、海外調達の増加、海外進出等の対応を行ってきたところでございます。このように、我が国企業の海外進出はあくまでも民間企業の自主的な判断と責任に基づいて行われているものでございまして、同時に我が国産業の空洞化の防止、雇用の維持、下請企業対策を図ることはこれからも極めて重要な課題であると認識をいたしているところでございます。
 このため、政府といたしましては、御指摘のような規制等によることなく、引き続き内需を中心とした持続的成長の確保に努めることが重要と考えております。また、規制緩和等による内外価格差の是正、将来の新規産業分野への参入促進等による活力ある産業構造への転換を図ってまいる所存でございます。
 次に、アメリカの双子の赤字の解消を厳しく求めるべきではないかというお尋ねでございますが、この問題につきましては、米国も日米包括経済協議におきまして、財政赤字を相当程度削減をし、国内貯蓄を奨励し、国際競争力を強化するという中期的な目的を積極的に追求することを公約しておりまして、クリントン政権のもと努力が払われております。我が国どいたしましても、米国がかかる目標に向けてさらに努力をしていくよう求めてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、学生の就職問題についてのお尋ねでございますが、高齢化の進展の中で新卒者の円滑な就職を促進することは、社会全体にとって極めて重要な課題であると考えておるところであります。しかるに、厳しい雇用失業情勢の中で来年三月の新卒者の就職問題は大きな社会問題となりていることを厳しく認識しているところでございます。
 このため、対策としては、事業主団体等への求人枠の拡大や男女の均等取り扱いの要請を行っているところでございます。さらに、近く女子学生の就職問題に関する閣僚会議を開くことといたしているところであります。今後も、新卒者等に事業主と直接面接できる場を提供するなど、新卒者の円滑な就職については積極的に援助してまいりたいと考えているところでございます。
 なお、女子学生の就職差別についてでありますが、昨年、新卒者の募集、採用において男女雇用機会均等法に照らし問題のある事例が見られたことから、本年四月から均等法に基づく指針を改正し、その周知徹底に努めているところでございます。また、事業主団体に対し男女の均等取り扱いの要請を行ったほか、昨年一部で実施した女子学生の就職相談窓口を全国の婦人少年室に設置いたしまして、個々の相談に応じているところでございます。今後も就職活動において女子学生が男子学生と比べ不利に扱われないよう、施策の推進に努めてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、中高年齢者の雇用実態についてのお尋ねがございました。
 六十歳定年制は着実に定着してきております。今後は、これを基盤として、先般改正されました高年齢者雇用安定法に基づき、二十一世紀初頭までに、希望すれば六十五歳まで現役として働ける社会の実現に努力してまいる所存でございます。また、大企業を中心として、労働者の同意を前提とした出向等により、実質的な雇用確保への取り組みが行われているものと承知をいたしているところでございます。
 次に、年金法改正案についてのお尋ねでございます。
 年金制度につきましては、長期的に安定したものとしていくとともに、二十一世紀の活力ある長寿社会にふさわしいものとしていくことが重要だと考えています。
 今回の改正案は、高齢者雇用との連携を図りながら、二十一世紀初頭に向けて十分な準備期間を置き、六十歳代前半の年金のあり方を見直すこと、将来の現役世代の負担を過重なものとしないよう給付と負担のバランスを図ることなどを目的とするものでございまして、本格的な高齢化社会に向けて最も必要なものであると考えております。また、改正案では、本年十月から前回改正以降の国民の生活水準の向上に応じた年金額の改善等を行うこととしており、一日も早い成立をお願いしておるところでございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣河野洋平君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(河野洋平君) かつて我が国の植民地支配や侵略行為が多くの人々に苦しみや悲しみをもたらしたということを認識し、世界平和の創造のために一生懸命力を尽くしていく考えでございます。(拍手)
   〔国務大臣武村正義君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(武村正義君) さきの大戦の性格についてのお尋ねでございますが、この点について私は総理の答弁と認識を同じくしております。大切なことは、歴史を踏まえて二度と過ちを繰り返さないという決意を我々が持ち続けることであると考えております。
 次に、消費税の問題がございますが、総理が答弁をされましたように、消費税の問題は平成七年度以降の減税を含む税制改革全体の中で議論すべき問題であると考えます。
 税制改革につきましては、税制調査会の答申をできるだけ尊重しつつ、与党における協議も踏まえながら、総合的な改革の論議を進めていただきたいと考えております。また、税制改革の必要性について国民の皆様の理解を求めながら年内の改革実現に一層努力をしてまいる所存でございます。
 また、午前中も申し上げましたように、我が国財政につきましては、国際的に比べましても公債の依存率や利払い費率など先進諸国の中でも一、二を争う高い水準にあります。二百兆円を既に超えているということは大変大きな問題であると認識をいたします。これに加えて、平成五年度決算において初めて三年連続で税収は前年を下回りました。そして、二年連続して決算上の不足が生じました。こういう極めて異例の事態となり、一段と深刻さを増してきております。
 今後とも、行財政改革を強力に推進し、財政の効率化に向けた努力を続け、また税制上の特別措置につきましても不断の見直しを行うことは言うまでもありません。しかし、行財政改革による歳出削減等によって高齢化社会を支える財源を十分確保するという御指摘はなかなか困難であると認識をいたしております。
 最後に、為替の問題でございますが、ナポリ・サミットにおきましては、各国、特に蔵相会議におきましてはこの問題で数時間の論議をいたしました。そして、既に繰り返し総理からも申し上げておりますような最近の為替のレートの動きは、我々の経済の基本的条件と整合的でない、米ドルの一層の低下は望ましくない、かつ正当化されないという共通の認識が確立をされたところであります。
 政府としましても、為替相場が思惑等により短期間のうちに大きく変動することや不安定な動きを示すことは好ましくないと考えておりますし、このような場合には関係各国と緊密に連絡をとりながら適宜適切に対処をし、相場の安定に努めてまいらなければなりません。
 なお、不当な投機行為を規制すべきとの点については、国際間の資本取引について自由な資本移動を認めることが既に国際的に確立した原則となっている今日、二十四時間中世界の各市場で為替取引が行われている現状を踏まえた現実的な対応が必要と考えております。(拍手)
#21
○議長(原文兵衛君) これにて質疑は終了いたしました。
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#22
○議長(原文兵衛君) この際、委員会及び調査会の審査及び調査を閉会中も継続するの件についてお諮りいたします。

#23
○議長(原文兵衛君) 本件は各委員長及び各調査会長要求のとおり決することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#24
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
 よって、本件は各委員長及び各調査会長要求のとおり決しました。
#25
○議長(原文兵衛君) 今期国会の議事を終了するに当たり、一言ごあいさつを申し上げます。
 今臨時会は、先般の新内閣の成立とナポリでの先進国首脳会議の開催を受けて開会され、村山内閣総理大臣の所信表明があり、これに対して各会派の熱心な質疑が行われました。
 ここに、議員各位の御尽力に対し、心から感謝の意を表する次第であります。
 暑さの厳しい折、議員各位におかれましては、御健康に十分留意され、ますます御活躍くださいますようお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。(拍手)
 これにて散会いたします。
   午後一時四十分散会
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ソース: 国立国会図書館
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