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1994/07/20 第130回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第130回国会 本会議 第2号
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1994/07/20 第130回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第130回国会 本会議 第2号

#1
第130回国会 本会議 第2号
平成六年七月二十日(水曜日)
    ─────────────
 記事日程 第二号
  平成六年七月二十日
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑
    ─────────────
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑
    午後一時三分開議
#2
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。
     ────◇─────
 国務大臣の演説に対する質疑
#3
○議長(土井たか子君) 国務大臣の演説に対する質疑に入ります。羽田孜さん。
    〔羽田孜君登壇〕
#4
○羽田孜君 私は、改革推進グループのお許しをいただきまして、新しい政権の誕生の経緯や基本的な政治姿勢に関し、多くの国民と国際社会が知りたいと思う点につきまして質問をさせていただきます。
 まず、総理、就任早々サミットへの御出席、御苦労さまでございました。途中、体調を崩されたとの報告に接しましたときに、個人的に親近感を持つ者の一人といたしまして、また、国際会議の厳しさや総理のスケジュールの過密ぶりを知る者といたしまして、ショックを受けたものであります。
 幸い、早く回復され、今こうして国会の場で相まみえることができますことは喜びであり、これからの暑い夏にも御自愛あることを心から願うものであります。(拍手)
 さて、私の今の心境は、率直に申し上げて非常に複雑なものがあります。昨年の夏、三十八年間にわたった自民党の長期単独政権は終止符が打たれました。これはまさに、自己改革の能力と意思を失った自民党政権が、世界の改革の流れに取り残され、もはや歴史的使命を終えたことを、良識ある国民が選挙を通じて内外に宣明したものでありました。(拍手)それは、あなたが委員長を務められる日本社会党とともに私たちが命がけで行った改革そのものであったと今も確信しております。わずか一年後の今日、社会党の委員長たるあなたが、かつて批判してやまなかった自民党の皆さんと席を同じくされていることに深い失望とむなしさを感じざるを得ません。
 総理は、一昨日の所信表明で、村山内閣は「より国民の意思を反映し、より安定した政権を目指して、互いに自己変革を遂げる決意のもとに結集したものだ」と述べられました。果たして自民党は変わったのでしょうか。長きにわたった自民党政治の弊害の除去に努め、変革を求める国民の声に耳を傾け、その改革がなされたのでありましょうか。
 過去二代にわたった我々の政権は、自民党から野合との批判を浴びてまいりましたが、改革への意思と行動によって連帯し、絶えず政策論議を行ってきたものと私は自負をいたしております。それゆえにこそ、私はまずここで伺いたいと思います。
 自社なれ合いとも言われたかつての五五年体制の主役の政党が、何ら政策の協議らしいものもしないまま、今度は表舞台で結びつき、形ばかりの改革を標榜することこそが、まさに呉越同舟政権、無責任連合ではないでありましょうか。(拍手)私たちと歩んだ改革の路線を捨てられ、理念の上でも基本政策の上でも半世紀近くもの間対立をしてきた自社両党が呉越同舟に踏み切ったこの内閣を、国民の期待にこたえる安定した政権であると総理は国民の前で胸を張っておっしゃることができますか。三党の本質的な違いを浮き彫りにすることになる重要課題の解決を先送りにし、党利党略を重ねるだけに終わらせない自信と確信がおありになるのかどうか。総理の御所見を伺いたいと思います。(拍手)
 ことし四月、私は、時代的課題である改革の使命を受け継ぎ、第二次連立内閣を組閣いたしました。私は、「改革と協調」の精神のもとに、一日一生の思いで国政に取り組んでまいったところであります。おくれていた平成六年度予算の成立、六年間にわたった政治改革、高齢化社会に向けての税制改革、行政改革、規制緩和、経済改革、地方分権、男女共同参画型社会の形成、公共料金の凍結、ウルグアイ・ラウンドの成立を受けた農業農村改革、新しい高度情報・通信時代に向けたインフラ整備とソフトへの対応、日米包括経済協議の再開、北朝鮮の核開発疑惑への対応など、短い期間ではありましたが、誠心誠意努めてまいりました。(拍手)
 しかしながら、予算成立直後、少数だから信任ができないという主な理由で、自民党から内閣不信任案が提出されました。自民党は最後まで、かわるべき政権構想を示さないまま、しかも、比較第一党にもかかわらず総理候補を立てることなく、ただ数を背景にして不信任案を突きつけるだけでありました。この国民不在の政争に対して、私は、解散ではなく内閣総辞職の道を選んだのであります。(発言する者あり)
#5
○議長(土井たか子君) 静粛に願います。
#6
○羽田孜君(続) 新しい選挙制度をつくるために命をかけてきた私にとって、古い制度で国民の信を問うことは政治改革そのものを否定するものであり、円高、サミットと難問が山積する折に四十日にも及ぶ政治空白をつくってよいのか、熟慮を重ねた上での決断であったのであります。(拍手)
 与党の首脳がおっしゃいましたが、今アメリカとロシアが手を結ぶ時代、自民党と社会党が手を組んでも不思議ではない。むしろそれこそが五五年体制の終わった証左であると。そして、第一党の自民党が第二党の社会党党首を首班に推したこと自体、自民党が変わったあかしであるとされたのでありましょう。
 しかし、ロシアの場合は、社会主義体制に行き詰まり、経済的にも制度的にも限界に達した社会主義路線を放棄したのであります。それに対して、自民党は、なぜ一年前政権の座から離れることになったのか、みずからの過ちを振り返って何かを正したことがあったでありましょうか。(拍手)そして社会党も、結党の理念を放棄したのでありましょうか。そして、一年前自民党の腐敗を批判し離党したさきがけの諸兄が再び自民党と行動をともにすることに足る自己改革を自民党はなし得たのでありましょうか。(拍手)
 政治は、五十年、百年先を見通したビジョンが必要であります。しかし、今回の政権は半年先のビジョンさえありません。ビジョンを策定しようとすれば、お互いの違いがあらわになり、分裂が必至となり、政権維持ができないからでありましょう。そのような内閣に今日の重要な変革期にある日本を託することはできません。(拍手)
 総理、現下の日本の政治において本物の政治を行うためには、国民の選択による理念、理想を基軸とする真の政界再編成こそ最大の課題であります。その意味で、私たちは、今回野党にはなりましたが、さわやかに政治の正道を行く決意であることをここではっきりと申し上げたいと思います。(拍手)怨念と政争を捨て、常にこの国をどうするのかとの思いで、国家と国民のみを念頭に置いて行動する健全な野党として事に臨んでいくつもりであります。(拍手)
 そのため、私たちは、一日も早く国民にわかりやすい形で一つの大きなグループをつくり、あす政権に復帰しても、野党時代と変わらない主張と行動をしていく責任ある党でありグループでありたいと思います。総理も、党利党略に惑わされることなく堂々と真の政策遂行に臨まれますよう、同じ政党人として強く要望したいと存じます。(拍手)
 次に、安全保障政策に関連してお伺いいたします。
 総理は、ナポリでの日米首脳会談の後、日米安全保障体制を維持するというこれまでの社会党の態度を変え、これを堅持すると言明されました。まことに歓迎すべき決断であると評価したいのでありますが、では、維持と堅持とが具体的にどう違うのか伺います。
 このことは、日本社会党が、日米安全保障関係のすべて、すなわち条約上のさまざまな義務を含め完全に履行する決意を明示されたものと受けとめてよろしいのでしょうか。日米安保条約に基づく日米関係が我が国の外交の基軸であり、日米安保体制が日本と極東・アジア地域すべての平和と安全に不可欠なものであると新たに認識された結果であるととらえてよいのでしょうか。例えば、来年度中に期限を迎える在日米軍駐留経費特別協定を、日米安保体制を実効あらしめるものと認められ、その継続を決断されるお考えと理解してよろしいのでしょうか。明確にお答えをいただきたいと思います。(拍手)
 総理は、法律に明記された陸海空三自衛隊の最高指揮官であります。そのことがつまりシビリアンコントロールを体現することであります。自衛隊は違憲であるが合法的な存在であるとか、実態は違憲であるとの認識に立って計画的に軍縮を実行するとか、国民の立場から見れば自衛隊に対する社会党の見解はこれまで極めてわかりにくいものでありました。
 総理、自衛隊は違憲であるのか合憲であるのか。合憲であるとお認めになるのなら、いつ、どのような理由で社会党の憲法解釈を変えられたのか、お答えをいただきたいと思います。(拍手)そして、総理が合憲を言明されるならば、社会党そのものも明確な形で憲法解釈の変更を国民の前に明らかにすべきだと思いますが、いかがでございましょうか。お伺いいたしたいと思います。(拍手)
 私は、外務大臣の時代、カンボジアで国連平和維持活動に参加していた自衛隊員の皆様を訪問し、彼らの御苦労の成果に感動したものであります。国際平和の維持、構築への協力は、日本にとって欠くことのできない国際貢献であります。酷暑の中、クメールルージュの砲撃や地雷、熱病の危険にさらされながら、家族とも離れ、黙々と日本の国際貢献の第一線に立ち続けたのは、民間のボランティアの方々と文民警察官、そしてほかならぬ自衛隊の皆さんであります。(拍手)
 社会党はこの自衛隊のPKO派遣にも反対をされましたが、今、総理が自衛隊合憲をおっしゃるのであれば、カンボジアやモザンビークで苦労された、そして今現在も苦労されている自衛隊の皆さんに心からねぎらいの言葉をかけていただきたい。この際、総理のPKO活動に対するお考えを明確にしていただきたいと思います。(拍手)
 国旗・国歌についても、この際、見解を伺います。
 この点については、さきの国会でも自由民主党から強く指摘されたところでありました。いずれの国でも、国民は国旗と国歌を誇りとして大切にしております。「定着しているからよいだろう」で扱われるものではないと考えます。どうか総理御自身も、国旗を掲揚され、国歌をさわやかに歌ってほしいと思います。明確な姿勢の表明を期待したいと思います。(拍手)
 次に、サミットと日米首脳会談に関してお尋ねいたします。
 今回のサミットにおけるテーマは「雇用と成長」、そして緊急の課題としては世界の為替相場の安定でした。とりわけ日本にとって、最近の異常なまでの円高にどう歯どめをかけるかは深刻な問題であります。ところが、残念ながらサミットでは為替相場の安定に関する意見の合意が見られず、欧米市場で一時九十六円台、日本市場でも九十七円台を記録する結果となりました。このままでは日本経済は深刻な打撃を受けて、立ち直ることが困難な状況に追い込まれかねません。特に、我が国経済の牽引車であり、活力の源であった製造業が日本国内で生き残ることができるのかどうか、強い懸念を覚えます。
 にもかかわらず、総理は、先日、「為替問題は大蔵省や日銀の問題であり、所管外である」とおっしゃるなど、何らリーダーシップを発揮する気力がないように見受けられます。国民生活の基盤を揺るがしかねないこの事態にあって、「為替問題は担当者に任せてある」では責任を果たせません。ファンダメンタルズを反映しない異常な事態には、政治の適切な対処が必要であり、サミットの場こそ世界にメッセージを送るにふさわしい場所であり、そこでこそ各国の協調が確保されたと考えます。しかし、サミットの場で残念ながら有効な対応もされませんでした。サミットでの機会を失った今、あなたは為替について一体どう対応されるおつもりか、お伺いをさせていただきます。(拍手)
 さて、日米首脳会談でありますが、日本側は、クリントン大統領からの評価を求める余り、米国に対して、村山新政権への信頼を明らかにすることが重要である旨の発言をしたと伺います。総理に就任された以上は、我が国の総理としての自負を持っていただきたいと思います。他国にみずからの政権の評価を求め、言葉より実行だと切り返されるのは、総理の権威ぽかりではなく、日本の国益を損なうものであることを深刻に認識していただきたいと願わざるを得ないのであります。(拍手)
 ナポリ・サミットが開催されているさなか、我が国の隣国、朝鮮民主主義人民共和国において、金日成主席が逝去されました。朝鮮半島の重大事は、すなわち日本の重大事であります。過度に感情的に反応することは、国民の不安を高め、あるいは相手国に無用の警戒心を与える結果になることは承知しております。しかし、何もしないで手をこまねいているだけでは困ります。総理の留守を預かる五十嵐官房長官が、事務方の会議を招集されただけでよかったのでありましょうか。政府がこれまで公にした朝鮮半島分析は、「事態は平静に推移している」、「金正日書記への権力移譲は順調に進んでいる」の二点のみであります。特に、核疑惑問題はすぐれて我が国安全保障にかかわるだけに、日米安保条約との関係も憲法との関係もあります。そしてそれは、自社連立政権であるがゆえに、ひときわ複雑なものであることも予想はできます。危機管理問題に臨んでも、総理が、外務省の問題とか防衛庁の問題、ましてや所管外だとか考えられることは、決してないものと信じます。北朝鮮問題に関連して、総理の危機管理認識について明快なお答えをいただきたいと存じます。(拍手)
 なお、ナポリでの日米首脳会談において、総理は「北朝鮮問題は日米韓三国で協議し、対処する」と発言されました。これは私にとって耳を疑うほどの発言でした。旧連立政権との政策協議の際、日米韓に加え中国との協議を強く主張されたのは、ほかならぬ社会党であります。ところが、今回の所信表明では再び中国を加えておりました。総理は、クリントン大統領向けの発言と国内向けの発言とを使い分けておられるが、その理由を伺わせていただきたいと思います。(拍手)
 次に、国連問題、特に今ニューヨークの国連本部で論議されている安保理改革並びに日本の常任理事国入りに関し、総理の見解をお尋ねいたします。
 我が国は、これまで半世紀にわたって一貫して平和主義、国連中心主義の理念を堅持してまいりました。特に冷戦終結後において国際社会が国連に期待するところは大きく、我が国に対してもより積極的な国連活動への参加が求められているところであります。発足当時五十一カ国にすぎなかった加盟国は、今や百八十四カ国に達しました。現在五カ国にすぎない常任理事国は国連の現状を反映していないという議論は、新たな加盟国に総意として沸き起こってきたものであります。
 現在のP5がいずれも核保有国であることにも目を向けなければなりません。今日、世界で起こっている紛争は、冷戦終結によって顕在化した宗教、国境、民族をめぐる紛争であることが多く、相次ぐPKOの要請の背景にあるものは冷戦当時のものとは大きく異なっています。核を保有する意思のないことを世界に宣言し、平和の中で今日の繁栄を築いた我が国が、真の世界平和の創造のために積極的に発言し、平和の中で築いてきた持てる力を存分に発揮することは国際的な要請でもあろうと思いますが、いかがでございますか、伺います。(拍手)
 総理は所信表明で、常任理事国入り問題を、「それによって生ずる権利と責任について十分に論議を尽くし、アジア近隣諸国を初め国際社会の支持と国民的理解を踏まえて取り組んでいく」と申されました。「それによって生ずる権利と責任」とは、どういうことでありましょうか。政府・与党の中には、なりたがってなると責任を押しつけられるが望まれてなるのならこちらから注文をつけることができるとの意見があると聞きます。この意見は、自分のことだけを中心に考えて義務や責任を嫌う国ととらえられ、これでは、国際社会から信頼され国際社会とともに歩むことなどできるはずがない、このことを指摘しておきたいと思います。(拍手)
 国連は今や大きな機能を有するようになりましたが、国連活動の多くの問題提起や方向づけが安保常任理事国で行われております。我が国の考えを提言するためにも、情報を確保するためにも、常任理事国であるかないかで大きく異なる現実を知り、今このときに適切な対応をすることが我が国として大切なことだと信じます。
 ところで、この問題における総理の方針は、明らかに、外交は継続するとした基本方針とは異なり、従来の政府方針を大きく転換させたものであることを指摘しておかなければなりません。前内閣のもとで小和田国連大使は既に、日本が安保理においてなし得る限りの責任を果たす用意があることを各国に伝えております。総理が、精神論ではなく、実態論として常任理事国入りに慎重姿勢に転じられたとするならば、これから国際社会に対しどう説明していくお考えなのか。私は、真の平和を創造するためには、及び腰ではなく、我が国の信ずることを率直かつ堂々と表明し、持てる機能で積極的に臨むことこそ大切と考えます。総理が所信に述べられた「我が国こそが世界平和の先導役を担うとの気概と情熱を持って、」との心意気なら、なおさら積極的に臨むべきでありましょう。御所見を伺いたいと存じます。(拍手)
 来年は戦後五十周年に当たります。この十カ月間の二つの政権にあって、私たちは、多くの国民と他国の人々に、さきの大戦が結果として耐えがたい苦しみと悲しみを及ぼしたことへの反省とおわびをし、この事実を子孫に伝えるとともに、再び不幸な戦争をしないことを誓い、この五十年の間平和の中で築いた経験とノウハウを活用し、真の平和を世界にもたらすため全力を尽くすことを宣明してまいったところであります。
 なお、終戦から五十年の明年は一つの区切りのときであります以上、この考え方をより明らかにし、また、私たちが改めて心に刻むためにも、国と民間でいかにこういった問題に対応すべきか検討を進めてまいりましたが、新政権としてはどのように対応されるのか、お聞かせください。
 私からは、次の三点を提案いたします。
 まず第一は、八月十五日を「平和を考える日」として制定する。第二は、原爆ドームを世界遺産に登録する。第三に、さきに述べた趣旨を国会で決議する。
 以上につき総理の見解を伺いたい。自民党の中には異なった見解もありますが、調整がつくのか、あわせて伺いたいと存じます。(拍手)
 次は、政治改革についてお伺いをいたします。
 政治改革は、区割り法案の成立を見て初めてその第一歩が踏み出されるというべきであります。審議会の勧告が出次第、早急に区割り法案の審議に入り、成立させることは当然の責務であると考えます。総理も所信表明の中で区割り法案の早期提出を約束されましたが、これとともに、「政治の浄化のため、さらなる政治腐敗防止への不断の取り組みを進め、より幅の広い政治改革を推進する」とは、何を意味しておられるのでありましようか。
 もちろん、さらなる政治改革の努力、腐敗防止への不断の取り組みが必要であることは、私も同感であります。ただ、「腐敗防止」「より幅の広い政治改革」という表現は、これまで政治改革に反対し抵抗してきた勢力が政治改革つぶしの口実として好んで使ったレトリックであることに、私は不安を感じざるを得ません。(拍手)総理が就任時に約束したように、強力なリーダーシップのもと、区割り法を早期に成立させる決意をここで明らかにしていただきたいと存じます。(拍手)
 また、自民党の一部には、選挙制度改革には政党法の制定が不可欠であり、政党法なくして政党助成もあり得ないとの考えがあると聞きます。しかし、政党法には社会党に強い反対意見があったことを承知していますが、政党法に関する総理の御所見を承りたいと存じます。
 昨年の総選挙に当たり、社会、新生、公明、民社、社民連の各党は、党首会談を開いて選挙協力を行うことで合意し、国民に訴えました。日本新党とさきがけは、自民党との連立を否定した上で、政策ごとに協力することを約束したのであります。我々の候補に投じた国民の意思は、自民党にかわる連立をつくってもらいたいということであり、日本新党、さきがけに投票した国民の意思の中心には、両党が政権に入るか否かにかかわらず、非自民政権をつくるというものであったはずでした。どう考えても、自民・社会・さきがけの連立政権を望み、投票した人は皆無であったろうと思います。(拍手)
 このことは、新内閣に対する支持率が異常に低く、不支持率が圧倒的に高いこと、また、全国の自民党、社会党、さきがけの支持者の多くが頭を抱えている現実によくあらわれていると思います。(拍手)この事実は、現連立政権が、選挙公約を踏みにじり、我が国憲法の基本原理である国民主権を否定したものであって、区割り法案が成立した暁には早急に国民の信を問うべきものであると考えます。日本の内閣の信頼性は、アメリカに担保を求めるのではなく、日本国民の意思によるものであるのは自明の理だと考えますが、総理の見解はいかがか、御答弁を求めます。(拍手)
 国会改革について言及をさせていただきます。
 国際的な連携の中で今日を築いた我が国にとって、各国との協力は不可欠であります。大臣の海外出張は、国会の開会中いかんを問わず、必要性と頻度が近年特に高まっております。しかし現状は、予算委員会総括質疑や所信表明演説の場合は全閣僚の出席が慣行となっており、事実上、海外出張は禁止に近い状況になっております。これを改め、基本的には必要に応じ海外出張ができるような改革を提唱いたします。
 予算委員会における総理を初めとする全閣僚出席の慣行についても大幅に見直し、他の委員会との並行審議や必要な国務に専念できるように改めていくべきと考え、この機会に特に提案をいたしたいと存じます。(拍手)
 次に、超高齢化社会の到来と税制改革についてお伺いいたします。
 急速に進行しつつある少子化・超高齢化社会において、勤労世代に過度の負担をかけることなく、活力ある社会、年をとっても元気な日本を実現していくためには、税制の抜本的な改革が必要であり、本年度程度の規模の恒久減税をしていくことが不可欠であります。しかしながら、日本の財政がこれ以上悪化することは絶対に防がなければなりません。
 ことしの二月十六日、当時の橋本自民党政調会長は「今回の減税の財源については、何ら具体的な措置を決定せず、平成六年度は赤字国債の発行によって当面補いながら、与党各党間で検討するというが、政府が決定した減税の財源を政党間の協議にゆだねることは、細川内閣としてまことに無責任」と批判しておられました。
 平成六年所得税特別減税法附則には、平成七年度以降は税制改革の中で抜本的な減税を行う旨の規定が全会一致で追加され、これを受けて当時の連立与党は、政府と緊密に連絡をとって、福祉社会に対応する税制のあり方を検討し、行財政改革を進め、不公平税制の是正を図りながら、財源対策を真剣に検討して一つの結論を出しているのであります。
 まず、社会党は消費税そのものを認めるのか否かを伺わせていただきます。(拍手)
 さらに、今内閣は、減税は行っても財源対策は先送りして、国民に耳ざわりのいいことだけをやっておきたいという姿勢がうかがえるのは甚だ遺憾であります。そのツケは必ず国民に回ってくるからであります。私たちは、将来の国民の負担がどうなるかということを明確に示し、国民の賢明な判断に期待すべきであろうと考えます。
 なお、税制改正と並行して行政改革の断行は必須であると考えます。しかし、その際、行政改革を進めることで減税の財源に充てるという考え方が一部にあるようでありますが、行政改革は直ちに財源になるものではないことは、土光臨調の時代から苦労された見識のある方々はよく御承知のことであります。行革、不公平税制の是正は、ある意味では永遠の課題であり、私たちが常に努めなければならないことでありますが、それが達成されて初めて税制改革ができるということは、事実上すべての決断を先延ばしすることにほかなりません。それがあなたの言われる「人にやさしい政治」ということなのでしょうか。財源を明確にした抜本的税制改正を本年中に実現するという総理の責任ある決意をお示しいただきたい。(拍手)
 高齢化や少子化が進む中で、我が国の質の高い発展を確保し、真の国際貢献を果たすためには、あらゆる分野で創造的、個性的な人材や、情操豊かで他への思いやり、痛みのわかる人を養成することが不可欠であり、我が国の将来にとって教育こそすべての基本であり、その重要性ははかり知れないものがあります。このような教育の役割にかんがみ、総理の所信表明でも、前内閣同様、教育を「未来への先行投資」と位置づけられ、教育予算の拡充を図ることとされていることは時宜を得た施策であると考えますが、教育の先行投資性を平成七年度予算編成に向けて具体的にどのように反映させるのか、総理の御所見を伺います。
 総理の所信表明における景気対策のくだりには、とりわけ失望させられました。総理は演説の中で、景気の現状と当面の経済運営について、わずか三十秒余り、原稿にして二百十三文字しか言及されておりません。これが総理の基本的な認識でありましょうか。「額に汗して働く人々や地道に生活している人々に思いをいたし、常に一庶民の目の高さで物事を見詰め直す」とおっしゃった総理が、本当に景気の低迷と円高に苦しむ人々の不安に思いをいたすなら、演説のような表現にはならなかったのではないかと思います。
 今回の景気のさらなる改善及び今後の我が国経済の適切な運営のためには、私は、六年度予算の適切な執行と恒久減税、新社会資本の整備を含む六百兆円を超す公共投資基本計画の新たな策定及びその財源問題について、平成六年度末までに責任ある準備をするべきだと考えます。この努力は、必ずや市場によいメッセージとなると信じます。規制緩和や内外価格差の縮小に関しては、諸外国から言われたから何かをするというのではなく、発想を転換し、みずから主体的に規制緩和を中心とする市場開放や内需主導型の経済運営に切りかえ、大胆に改革を進めるべきであると考え、私は行政をリードしてまいりました。そのことが国民の利益となり、景気も刺激し、また国際協調を促進することになると確信していたからであります。このような私の考え方に対し、総理の御所見を伺いたいと存じます。(拍手)
 我が国は、ガットが目指す自由貿易体制の枠組みの中で、その恩恵を最大限に享受して経済の発展をなし遂げてきた国であり、その成功に尽くす責任が求められております。他方、世界最大の食糧輸入国として、国内農業を守るという観点から、ぎりぎりの調整が続いておりました。さきの合意は、百十六の加盟国と地域とが痛みを分かち合っての決着でありました。しかし、この決断によって国内農業の疲弊と荒廃を招くことのないよう、農林水産物の生産基盤の整備と経営の体質強化を図ることが求められております。
 そこで、総理にお伺いいたします。
 まず一つは、食糧・農業情勢の新段階に対応する食管制度のあり方と農業農村再建計画をどうするのか。もう一つは、去る六月、全中主催の米価大会では、自民党の代表の発言がガット・ウルグアイ・ラウンドの国会承認に反対するがごとくに受けとめられておりますが、総理はどのように対処されるのでありましょうか。(拍手)
 さて、アジアで初の女性宇宙飛行士、向井千秋さんが「宇宙から地球を見ることで日常生活に埋没している自分を見詰め直したい」という言葉を残し、宇宙に立たれました。私は今、政権の交代のこのときに、日本の政治を新たな角度から見詰め直し、形骸化した審議、悪習を断ち切り、あすの日本をどうするのか、世界に向かって日本が何を発信できるのかを国会の場から発信していくべきであろう。その改革を進める必要があります。
 総理、村山政権の置かれた今日の歴史状況をよく御認識いただきたい。内外ともにいろいろな意味で制度疲労を起こし、国内的には、政治改革の完結と行財政の改革、規制緩和など経済改革が求められております。国際的には、国連改革はその最たるものでありましょうし、六年にわたったウルグアイ・ラウンド交渉は戦後の世界貿易の発展を支えてきた枠組みの大きな改編でありました。
 このような大きな枠組みの切りかえ、改革は避けて通ることのできないものであります。日本は世界における大きな存在として、このような枠組みの改革に積極的な役割を果たしていかなければなりません。外圧とか、外国がそう望むなら追随するしかないとかいうような消極的な態度は、もはや許されません。そのような存在に日本は既になってしまっているという基本的な認識が大切であります。
 日本が毅然とした態度で内外のこのような改革に積極的に取り組んでいくことこそ、日本の現在の歴史的な使命であると考えます。たとえ、自民・社会・さきがけという呉越同舟政権が、日本の政治の流れに逆行し、そして世界の日本に対する期待に背いて時計の歯車を逆に回そうとしても、大きな歴史の流れと健全な国民の意識、そして世界の潮流に逆らうことはできません。(拍手)
 急激な円高に代表される経済の緊急課題も、歴史に逆行した政権だからといって待ってはくれません。本来なら、予算委員会を開催して、このような当面の山積する国民的な、また国際的な課題を論議し、国民と世界の期待にこたえることこそ責務ではないでありましょうか。
 今、この時点で、総理、私があなたに望むことは、まず、あなたは政治改革の道を閉ざすことなく、積極的に、私たちが心血を注いできた改革路線を継承され、一日も早く区割り法案を仕上げていただきたい。政治改革の完結のみならず、緊急に解決すべき課題が山積している今日、一日も早く国会を再開されることが必要と考えます。臨時国会をいつ召集するのか、最後にお伺いをいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
#7
○内閣総理大臣(村山富市君) 御質問にお答えする前に、先般のナポリ・サミットで私が体調を壊し、大変申しわけないことをいたしましたが、心からおわびを申し上げ、御心配をいただきました皆さん方に謹んでお礼を申し上げたいと思います。(拍手)
 まず、この内閣は、自社両党の呉越同舟内閣ではないか、うまくいくかどうか、こういう御質問でありますが、我が国の戦後政治を特色づけてまいりました保革対立の時代から、今は党派を超えて現実に即した政策論争を行い、改革の合意を求めて連立を形成していく時代になってまいりました。政治は大きく変わろうといたしているわけであります。この内閣は、そのような時代の要請にこたえていくべく、いわゆる五五年体制に終止符を打ち、これまで別の道を歩んできた三党派が、より国民の意思を反映し、より安定した政権を目指して、互いに自己改革を遂げる決意のもとに結集したものであります。(拍手)したがって、この内閣においては、国民にとって何が一番最適の政策選択かを基本に置いて、虚心に政策論議を行い、改革の道を邁進していく決意でございます。(拍手)
 第二のお尋ねは、第一党の自民党が第二党の社会党党首を首班に推したことをもって自民党が変わったあかしであるというふうに考えているかどうか、こういう御質問でございますし、社会党も結党の理念を放棄したのか、こういうお尋ねでございますが、先ほども申し上げましたように、時代の大きな変化の中で、自民党も社会党もいわゆる五五年体制を脱却し、互いに自己改革を遂げながら、イデオロギー論争ではなく、現実に即して政治改革、社会改革、経済改革に取り組んでいく決意であることを承知いたしております。(拍手)
 日米安保体制について、維持と堅持とは具体的にどう違うのかというお尋ねでございます。
 冷戦の終結後も国際社会が依然不安定要因を内包している中で、我が国が引き続き安全を確保していくためには日米安保条約が必要であります。また、日米安保体制は、国際社会における広範な日米協力関係の政治的基盤となっておりますし、さらに、アジア・太平洋地域における安定要因としての米国の存在を確保し、この地域の平和と繁栄を促進するために不可欠となっています。(拍手)維持と言おうが堅持と言おうが、このような日米安保体制の意義と重要性についての認識は、私の政権においても基本的に変わることはなく、先般のナポリ・サミットにおける日米首脳会談では、私より、かかる認識を踏まえて、日米安保体制についての我が国としての立場を改めて明確に表明した次第であります。(拍手、発言する者あり)
#8
○議長(土井たか子君) 静粛に願います。
#9
○内閣総理大臣(村山富市君)(続) 社会党が、日米安全保障関係のすべて一すなわち条約上のさまざまな義務を含め完全に履行する決意を明示したものと受けとめてよいかどうか、こういうお尋ねでございますが、私の政権のもとでは、今後とも日米安保条約及び関連取り決め上の義務を履行していくとともに、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を確保していく所存であります。(拍手)
 総理の日米安保体制に対する認識についてお尋ねでございますが、日米安保体制の意義と重要性についての認識は、先ほども申し述べたとおりでありますが、外交を継続するという私の政権としては、先ほど申し上げた認識に基づいて対処してまいる所存でございます。
 在日米軍駐留経費特別協定の継続をするかどうかという質問でございますが、御指摘の平成七年度末の特別協定の有効期間の終了後における駐留経費のあり方についても、今後とも日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を図っていくことが必要との観点から、自主的判断に基づき、適切に対応していきたいと考えておりますが、その具体的な内容については米側との協議を待って判断していきたいと思います。(拍手)
 次に、自衛隊に関する憲法上の位置づけについての御質問でございます。よくお聞きをいただきたいと思います。(拍手)
 私としては、専守防衛に徹し、自衛のための必要最小限度の実力組織である自衛隊は、憲法の認めるものであると認識するものであります。(拍手、発言する者あり)後が大事ですから、どうぞお聞きください。
 同時に、日本国憲法の精神と理念の実現できる世界を目指し、国際情勢の変化を踏まえながら、国際協調体制の確立と軍縮の推進を図りつつ、国際社会において名誉ある地位を占めることができるように全力を傾けてまいる所存であります。(拍手)
 本来、国家にとって最も基本的な問題である防衛問題について、主要政党間で大きな意見の相違があったことは好ましいことではありません。戦後、社会党は、平和憲法の精神を具体化するための粘り強い努力を続け、国民の間に、文民統制、専守防衛、徴兵制の不採用、自衛隊の海外派兵の禁止、集団自衛権の不行使、非核三原則の遵守、核・化学・生物兵器など大量破壊兵器の不保持、武器輸出の禁止などの原則を確立しながら、必要最小限の自衛力の存在を容認するという穏健でバランスのとれた国民意識を形成したものであろうと思います。(拍手)
 国際的に冷戦構造が崩壊し、国内的にも大きな政治変革が起きている今日においてとそ、こうした歴史と現実認識のもと、世界第二位の経済力を持った平和憲法国家日本が、将来どのようにして国際平和の維持に貢献し、あわせて、どのようにして自国の安全を図るのかという点で、よりよい具体的な政策を提示し合う未来志向の発想が最も求められていると考えるものであります。社会党においても、こうした認識を踏まえて、新しい時代の変化に対応する合意が図られることを期待しておる次第でございます。
 次に、PKOの派遣の自衛隊員に心から慰労の言葉をかける気持ちはないか、また、PKO活動に対する所見を問う、こういう御質問でございますが、国際平和協力業務に従事した自衛隊員を初め文民警察官、民間ボランティアの皆様方が、これまでカンボジア、モザンビーク、エルサルバドルなどの異郷の地において、厳しい生活環境、勤務環境のもと、国際平和のための職務に精励してこられたことに対し、心からねぎらいの言葉を申し上げたいと思います。(拍手)モザンビーク、エルサルバドルから帰国した国際平和協力隊に対しては、先般、私からも感謝状を渡して、その労をねぎらったところであります。
 また、国連を中心とした国際社会の平和と安全を求める努力に対し、資金面だけではなく、人的な面でも貢献を行うことは当然のことと考えており、今後とも、国連平和維持活動に対する協力については、憲法の枠内で、国際平和協力法に基づき積極的に行っていく所存であります。(拍手)
 次に、国歌・国旗に対する姿勢についてのお尋ねでございます。
 国歌・国旗については、長年の慣行により、日の丸が国旗、君が代が国歌であるとの認識が国民の間にも定着しており、私自身もそのことを尊重してまいりたいと思っています。(拍手)しかし、国旗の掲揚、国歌の斉唱については、本来強制すべきものではないと思いますが、羽田議員の御意見についてはよく承りました。
 次に、為替問題についての方針についてお尋ねがございました。
 さきのナポリ・サミットに先立つ日米首脳会談において、私から、新政権は、減税の継続を含む税制改革、公共投資計画の大幅な見直し及び市場開放措置を含む新たな規制緩和を行っていく旨、表明をいたしました。また、サミットの首脳会議においても、これらの点につき各国から高い評価をいただいております。こうした中で、最近の為替の動向について首脳同士及び蔵相レベルで論議が行われ、その結果、最近の為替レートの動きは我々の経済の基本的条件と整合的でなく、米ドルの一層の低下は望ましくない、かつ正当化されないとの共通の認識が各国の間で一致したところでございます。我が国としても、こうした点を踏まえ、関係各国と緊密に連絡をとりつつ、為替相場の安定を図ってまいりたいと思っております。
 次に、日米首脳会談で日本側が米国に対し村山政権への信頼を求めたことについてお尋ねがございました。
 日米両国は、冷戦後の世界の平和と繁栄に対して極めて重い責任を共有しており、両国が確固とした信頼関係に基づいて協力関係を発展させていくことは、お互いにとってのみならず、国際社会全体にとって極めて重要であると考えています。その意味で、新政権発足直後の日米首脳会談は国際社会も広く注目したものと考えるところであり、会談において双方が互いの信頼関係を改めて確かめ合い、こうした基盤の上に日米両国の協力関係をさらに強化する決意を確認し合ったことは、会談の重要な成果の一つであったと受けとめているところであります。
 また、金日成主席の逝去に際しての政府の対応についてお尋ねがございました。
 九日正午、平壌放送が金日成主席の逝去を報じた後、直ちに官房長官のもとに内閣及び外務省関係者が集まり、情報収集に当たるとともに、同日、日韓外相間で電話会談を行い、さらに、ナポリ・サミットにおいて関係各国と情勢分析を行ったところでございます。その結果、軍事面を含め、北朝鮮情勢については特段の変化が認められないと判明したことから、政府としては事態の推移を注視することといたしたのでございます。
 さらに、北朝鮮問題に関する総理の危機管理認識についてのお尋ねがございました。
 朝鮮民主主義人民共和国の核兵器開発問題は、我が国の安全保障上の重大な懸念であるのみならず、核不拡散体制や国際社会の安全保障にかかわる重大な問題であると認識をいたしております。北朝鮮の核兵器開発問題については、金日成主席の死去に伴い一時中断をしているとはいえ、米朝協議、南北首脳会談への動き等、関係諸国が協力して対話による解決を目指した努力が行われているところであり、このような時点において、御質問のような点について政府として公の場で議論することは、こうした外交的努力に好ましくない影響を及ぼすと考えられます。
 一般論として、我が国にとっての重大緊急事態が発生した場合には、政府が一体となってこれに対処する方針としているところであります。
 なお、北朝鮮問題については、従来から、政府において関係各省庁間で情報交換等を行っているほか、各省庁においても、それぞれの立場から、それぞれの所掌事務の範囲内において必要な検討を行っているところでございます。
 次に、北朝鮮問題について、中国の扱いにつき内外で発言を使い分けているのではないかというお尋ねでございます。
 北朝鮮の核兵器開発問題に対する対応に当たっては、米国、韓国に加えて中国と緊密に連携していくことは極めて重要であると考えています。このような認識は政府として一貫したものであり、この点について内外で発言を使い分けているわけではございません。
 次に、国連における我が国の貢献についての御質問がございました。
 我が国は、国連加盟以来、一貫して国連中心外交を展開してまいりました。冷戦後の世界にあって国連の果たすべき役割はますます増大してきており、我が国としても、国際社会の期待にこたえ、より責任ある役割を分担することが必要であると考えています。
 常任理事国入りによって生じる権利と責任については、安保理において常時発言権を行使し得る立場に立ち、世界の平和と安全の維持の問題に関し安保理の意思決定に参画していくその過程で権利と責任を伴うことになると思いますが、こうした点については十分論議を尽くしていかなければならぬと考えています。いずれにしろ、国際社会の支持と国民的理解を踏まえて取り組んでいく所存でございますが、常任理事国になることに消極的になっているわけではございません。そういう見解であることについて御理解を賜りたいと思います。
 来年は戦後五十周年に当たりますが、我が国の反省とおわび、不戦の誓い、平和貢献等の姿勢を明らかにするための新政権としての対応方針についてのお尋ねがございました。
 戦後五十周年を目前に控え、私は、我が国の侵略行為や植民地支配などが多くの人々に耐えがたい苦しみと悲しみをもたらしたことへの認識を新たにし、深い反省の上に立って、不戦の決意のもと、世界平和の創造に力を尽くしてまいりたいと思っております。このような見地から、アジア近隣諸国との歴史を直視するとともに、次代を担う人々の交流や歴史研究の分野も含む各種交流を拡充するなど相互理解を一層深める施策を推進すべく、今後その具体化を急いでまいりたいと考えています。
 次に、「平和を考える日」を制定することについての御質問がございました。
 「平和を考える日」を制定することにつきましては、八月十五日が、昭和五十七年の閣議決定により「戦没者を追悼し平和を祈念する日」とされていること、また、国民の間でさまざまな立場からの意見も予想されておるところでありますが、今後十分に論議を重ねる必要があると考えています。
 さらに、戦後五十周年に際し、原爆ドームを世界遺産に登録することについてのお尋ねがございました。
 我が国は世界唯一の被爆国であり、原爆ドームを長く後世まで保存し、我が国として平和を世界にアピールすることは大切なことと考えております。原爆ドームの世界遺産一覧表への記載に関しては、種々の課題がありますが、鋭意検討中でございます。
 さらに、反省とおわび、不戦の誓い、平和貢献等の趣旨を国会決議することについての御質問がございましたが、御指摘の国会決議につきましては、国会で十分御協議をいただきたいと思います。
 こうした問題について自民党との調整がつくのかどうか、こういうお尋ねでございますが、来年の戦後五十周年という節目の年に向けて、我が国の姿勢を内外に示すため、新政権として誠実に対応していかねばならないと考えておりますが、御指摘の提案については、連立与党各党間で十分に議論を尽くして調整していただけるものと考えています。
 「政治の浄化のため、さらなる政治腐敗防止への不断の取り組みを進め、より幅の広い政治改革を推進する」とは一体どういう意味であるか、こういうお尋ねでございます。
 先般成立いたしました公職選挙法及び政治資金規正法の改正法では、連座制の強化や公民権停止などの制裁強化措置が盛り込まれております。腐敗防止に相当な効果を上げるものであると期待いたしておりますが、政治改革四法案の国会審議においても、腐敗防止等のさらなる強化等について御指摘のあったことは皆さん御案内のとおりであります。政府としては、これらの課題について、各党間の論議の動向を踏まえながら的確に対処してまいる所存でございます。
 さらに、強力なリーダーシップのもと、区割り法を早期に成立させる決意についてお尋ねがございました。
 小選挙区の区割りについては、衆議院議員選挙区画定審議会において審議を行っていただいているところでありますが、政府としては、勧告が行われたときは、勧告を尊重して法案を速やかに作成し、国会に提案したいと考えています。
 さらに、総理の政党法に関する考えについてのお尋ねがございました。
 議会制民主主義の主要な担い手である政党がその期待される役割を十二分に果たしていくためには、何よりもまず政治活動の自由が最大限尊重されなければなりません。政党に対して制約を及ぼす可能性のある事柄については、慎重な対応を要するものと考えます。
 なお、政党に法人格を与える問題については、当時の連立与党と自由民主党との間で設けられた政治改革協議会の協議結果では、「政党交付金の交付を受けることができる政党は、法人格を有すべきであるとの自由民主党の意見に留意し、今後連立与党と自由民主党との間において協議を行い、衆議院議員の選挙区を定める法律案の国会提出までに結論を得るものとする。」とされていると承知をいたしておりますが、今後、各党間で十分御協議をいただきたいと思います。
 次に、区割り法案の成立の暁に、早急に国民の信を問うべきであると考えるがどうかという御質問がございました。
 この内閣は、これまで別の道を歩んできた三党派が、長く続いたいわゆる五五年体制に終止符を打ち、さらに一年間の連立政権の経験を検証する中から、より国民の意思を反映し、より安定した政権を目指して、互いに自己変革を遂げる決意のもとに結集したものであり、これによって、国民にとって何が最適の政策選択であるかを課題ごとに虚心に話し合い、合意を得た政策は責任を持って実行に移す体制が歩み始めたものと考えております。私は、この内閣の歴史的な意義をしっかりと心に刻むとともに、内外に課題の山積する中、一刻たりとも政治的な空白は許されず、懸命の努力を傾けることこそ、この内閣の使命であると考えています。(拍手)
 次に、閣僚の海外出張や、予算委員会における全閣僚出席慣行の見直しについてのお尋ねがございました。
 貴重な御意見と承りますが、いずれにいたしましても国会運営あるいは予算委員会の運営の問題でございまして、与野党間でよく話し合って、御提言の趣旨を踏まえ結論を出していただければありがたいと思っております。
 次に、抜本的税制改正についてのお尋ねがございました。
 私は、所信表明演説にあったように、税制改革については、「活力ある豊かな福祉社会の実現を目指し、国・地方を通じ厳しい状況にある財政の体質改善に配慮しつつ、所得、資産、消費のバランスのとれた税体系を構築すること」が重要な課題であると考えています。このため、行財政改革の推進や税負担の公平確保に努めるとともに、平成七年度以降の減税を含む税制改革について、総合的な改革の論議を進め、国民の理解を求めながら、年内の税制改革の実現に努力してまいりたいと考えています。
 なお、社会党の消費税に対する考え方について御質問がございました。
 今後、社会党を含む与党において、消費税を含む総合的な税制改革の協議を進める中で、具体的な方向を出していくものであると考えております。
 次に、教育の先行投資を平成七年度予算の編成に向けて具体的にどのように反映させるのかという御質問がございました。
 教育は、国づくりの基本として極めて重要なものであると認識をいたしております。教育の成果は、我が国発展の源泉となる国民的資産、人類共通の知的資産として永久に残るものであり、また、それを基礎として新たな価値を生み出すものであると考えております。その意味で、教育は未来への先行投資であると考えているが、このことを踏まえ、文教施策の充実のため具体的にどのように対処するかについては、引き続き議論をしてまいりたいと考えています。
 次に、六年度予算の適切な執行と恒久減税及び公共投資基本計画の新たな策定についてのお尋ねがございました。
 我が国経済を本格的な回復軌道に乗せるため、経済及び為替の動向に細心の注意を払いながら、平成六年度予算の円滑かつ着実な執行を進め・引き続き内需を中心とした持続的成長の確保に努めてまいりたいと考えています。
 また、税制改革については、活力ある豊かな福祉社会の実現を目指し、財政の体質改善に配慮しながら、所得、資産、消費のバランスのとれた税体系を構築するため、平成七年度以降の減税を含む税制改革の年内の実現に努力してまいる所存でございます。
 さらに、公共投資基本計画につきましては、人口構成が若く、経済に活力のある間に社会資本整備を一層推進することが必要であり、税制改革の具体的な検討作業を踏まえつつ、その配分の再検討と積み増しを含めた見直しを鋭意進めているところでございます。
 なお、以上の点についての財源につきましては、税制改革の検討状況に応じ、責任のある財源の確保に努めてまいる所存でございます。
 次に、規制緩和や内外価格差の縮小に対して御質問がございました。
 政府としては、我が国経済を本格的な回復軌道に乗せ、今後の新たな発展の基礎を築くために、引き続き内需を中心とした持続的成長の確保に努めることはもちろんでありますが、規制緩和を初めとする国内経済改革の方針を強力に推進してまいる所存でございます。特に、先般取りまとめました二百七十九項目の規制緩和策を速やかに推進するとともに、五年間の規制緩和推進計画を本年度中に策定することにより、一層の規制緩和を実施してまいる所存でございます。また、こうした規制緩和の実施に加え、低生産性部門の生産性の向上、商慣行の是正等、各般の施策を実施することにより、内外価格差の是正・縮小を図ってまいりたいと考えています。次に、食管制度のあり方と農業農村再建計画についてのお尋ねがございました。
 ウルグアイ・ラウンドの農業協定の実施に伴う農業施策については、その影響を最小限に食いとめ、二十一世紀に向けた農業構造の早期実現を図るため、農政審議会において御議論をいただいているところであります。今後、これらの論議を踏まえながら、緊急農業農村対策本部において検討の上、米の生産・供給安定対策、農業の体質強化対策等を含め所要の措置を総合的かつ的確に講じて、万全を期す決意でございます。
 次に、ウルグアイ・ラウンド国会承認に向けてのお尋ねがございました。
 政府としては、世界貿易機関を設立する協定の締結は、我が国経済の繁栄の基盤である多角的自由貿易体制の維持強化にとって極めて重要であると考えています。このような認識に立って、同協定の来年一月一日の発効に向け、その責務として、早急に協定及び関連法案を国会へ提出し、年内成立を図る所存でございます。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#10
○議長(土井たか子君) 小渕恵三さん。
    〔小渕恵三君登壇〕
#11
○小渕恵三君 私は、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合及び新党さきがけの与党三党を代表し、まさに総理御自身がおっしゃるとおり型破りのスタートを切った新たな連立政権のリーダーたる村山総理に、山積する内外の諸課題について質問をいたしたいと存じます。
 成熟の度を深めつつある我が国の社会において、すべての面でいよいよ変化、変革のスピードは高まってまいりました。とりわけ我々政治の世界では、イデオロギーによる東西対立の構図が崩壊したこと、人間一人一人の価値観が多様化しつつあることなどを背景として、激しい変化の波が次々と押し寄せております。
 例えば私自身、与党三党を代表する形で、しかも実に四十六年五カ月ぶりに誕生した日本社会党委員長の首班に対して質問を行うということは、つい三週間前まで夢想だにしていなかったことでありました。私の前に質問をされた羽田新生党党首も、まさか二カ月で攻守所を変える立場に立たされようとは思いも寄らなかったことでありましょう。だれが悪かったのか、どこが間違ったのか、これから申し上げますが、羽田党首には衷心より御同情申し上げる次第であります。(拍手)
 ともあれ、我々政治家は、この変化の激しい時代の荒波の中で、国民の皆さんがもっと安心して暮らせる社会をつくり出していく努力を続けていかなければなりません。お聞きしたところ、村山総理、あなたは最後の最後まで首班の座を固辞されたと伺っております。権力をめぐって激しい闘争が繰り広げられるこの世界では、常に「乃公出でずんば」とか「夢よもう一度」とか、最高権力を目指すのが常識であり、私どもは、村山総理の謙虚でみずからに誠実な姿勢にはほとほと感服をいたしました。(拍手)
 しかし、総理、もはやあなたは世界をリードする経済大国となった日本の最高責任者であります。二十一世紀まであとわずか、あなたには、いわばプレ二十一世紀体制とでも申し上げるべき安定した新しい政治システムの構築を開始しなければならないという責任があります。私は質問を始めるに当たり、まずこうした認識に対し総理がどうお考えになっておられるかをお尋ねするとともに、以下、当面する諸課題についての質問に、時には大分弁でも結構でございますから、自分の言葉で率直な御答弁をちょうだいいたしたいと存じます。
 まず第一に、村山連立政権そのものについて伺います。
 三党の連立、とりわけ自社連立の成立は、国民の皆さんには、オーバーに申せば驚天動地ともいうべき衝撃を与え、この政権は一体うまくやっていけるのだろうかという不安の声も沸き起こりました。今回の政変過程においては、旧連立再構築やいわゆる保保連携の動きもありましたが、今にして私たちは、この連立の成立が、ベルリンの壁の崩壊がもたらした歴史的必然とも申すべきものであり、これよりは国民生活に実をもたらし、国民の皆さんからも本格政権としての評価を得るよう、全精力を傾注していくべきものと考えるのであります。(拍手)
 細川、羽田両政権は、いわゆる政治改革を唯一の命題として編成された暫定政権とでもいうべき存在でありました。旧連立各党の間の相違、強権的な政治運営の手法をめぐる各党間の反目が主な原因となって、その枠組みは一年ももたずに崩壊したのであります。その不安定さ、不統一性、弱体ぶりは、いわゆる政治改革は別としても、その他の政策面では、予算成立がかつてないほどおくれたため、国民に対するきめ細かな施策を実現し得なかったことからも明らかであります。不況の深刻化、円高の急激な進行、雇用情勢の悪化、日米経済関係の行き詰まりなど、数々の負の遺産を後継内閣に引き渡す結果となってしまいました。
 我々三党の連携は、平成六年度予算が成立したのを受け、もうこれ以上政治の混乱は許されないという認識からスタートしたものでありました。そして、思い切って古びた殻を打ち破り、ダイナミックに国民のための政策を決定、推進する政治システムを創造するという基本合意が三党間に成立し、私たちは安定した本格政権への第一歩を踏み出したのであります。(拍手)
 これを野合と批判する向きもありますが、むしろ、一年前の、私たちよりももっと多くの政党政派の寄り集まった旧連立政権の経験を経て、昨年七月以来の政界再編成の着地点と見ることの方が正しいのではないかと評価するものであります。(拍手)
 以上申し述べたことにつきまして、私は、村山総理を初め、河野副総理・外務大臣には自由民主党総裁として、また武村大蔵大臣には新党さきがけの代表として、その認識、考え方をそれぞれお示しおきいただきたいと存じます。
 「大きなニュースは束になって来る」とよく言いますが、七月九日、十日の土曜、日曜にかけてビッグニュースが世界を駆けめぐりました。金日成主席の死去、ナポリ・サミットの開催、そしてスペースシャトル・コロンビアの打ち上げ成功がそれでありました。
 「私は、やっぱりこんなすばらしい地球に生まれて、その地球の一員であるということに誇りを持っています。それは多分、ふるさとを離れたときに、そのふるさとを自分が振り返ってすばらしいところだったなと思うのと同じ気持ちだろうと思います」、これは、コロンビアの向井千秋さんとナポリでの河野外務大臣、東京の田中科学技術庁長官の三人の対話の中で向井さんが言われたすてきなせりふでありました。向井さんはまた、生まれ故郷の群馬県館林市の中学生とも十四日に交信し、「天女になったような気分です。皆さんがどんどん私の後に続いてくれればいいと思っています」と若者を励ましてくれました。
 こうした向井さんの姿は、見方を変えれば、今日の日本及び日本人がいかに地球規模で物を考えなければならないか、また、国際社会でいかに積極的な役割を果たすかを期待されているかの象徴とも受け取れるものでありました。そこで、私は、田中長官に、向井さんとの対話の印象と、どんな感慨をお持ちになられたかを、この際、向井さんの無事帰還をお祈りするメッセージとともに、ぜひ伺っておきたいと思います。(拍手)
 総理、総理は就任されて十日もたたないうちに、ナポリでのクリントン米大統領との間での日米首脳会談、それに続く主要先進国会議という外交のひのき舞台を踏まれ、「外交は継承、内政は改革」というわかりやすい言葉でアメリカを初め各国の不安や誤解を氷解させることに成功されました。
 言うまでもなく、我が国外交の基軸は日米の友好関係にあります。戦後五十年になろうとする今日、日米安保条約の堅持により我が国の平和と繁栄が維持され、その結果、両国で世界のGNPの四割を占めるという事実が何よりもこのことを明らかに示しております。
 総理は、日米首脳会談後の記者会見で、外交政策の継承、日米安保体制の堅持、内政面での積極的改革路線の推進を表明し、そのためにも安定政権が必要であると説明されたと承っておりますし、「今後は、言葉だけではなく、約束したことは必ず守るという誠実な態度で日米の友好を推進していく」とも発言されております。そこで、私は、総理に対し、日米関係に関する基本認識を改めてお示しをいただくようお願いをするとともに、包括経済協議の進め方や急激なドル安・円高対策など、当面する日米間の問題解決のための手だてについて明らかにしておいていただきたいと思います。
 次に、ナポリ・サミットについてであります。
 総理は、お疲れの余りサミットの場で体調を崩され、我々も大いに心配したところでありますが、幸いにもすぐ回復され、ロシアが加わりた政治問題の議論には出席されたとのことであります。初めて出席された総理のサミットに対する評価と、我が国はどのような点を主張し、どのような成果があったとお考えになるか、また、明年のカナダ・ハリファックスで三巡目を終わるサミットそのものの継続についてどのようにお考えになるか、河野外務大臣にもお伺いいたしたいと思います。
 次に、今最も国際社会の関心が集まっている北朝鮮の核開発疑惑についてお尋ねいたします。
 九日、金日成主席死去のニュースは我々を驚かせました。カーター元大統領の訪朝にこたえ、第三回米朝高官協議が再開され、二十五日からはピョンヤンで南北首脳会談が開かれるというやさきの突然の訃報であり、日朝交渉の早期再開を望む我々としても悔やまれる死去であります。
 ただ、金主席死去以降、今日までの動向のミステリーさは、核疑惑についても国際世論をますます増長させぬかと心配であります。後継者と言われる金正日書記については、残念ながらその素顔を知る資料が乏しく、肉声もほんの数秒しか聞くことができません。願わくば金主席亡き後も北朝鮮の国内が安定し、新体制が国際社会に融合する方向を明確にいたし、南北の非核化の実現や核開発問題が平和的話し合いの中で解決されることを望むところであります。
 しかしながら、北朝鮮の対応が前向きに行われない場合、国連安保理における制裁等の措置が検討されると思われますが、我が国としても憲法の範囲内で国連に従うべきものと考えます。この点については、当然サミットにおいても論議がなされたと思いますが、どのような内容であったか、今後の政府の対応とあわせて伺いたいと思います。
 ここ数日、朝鮮半島において、双方の非難の応酬を憂慮いたしております。総理は、二十三日から韓国を訪問されると承知しておりますが、南北朝鮮による北東アジアの平和と安定についてどのように対応されるのか、日朝交渉の再開に対する方針とともにお聞かせ願いたいと思います。
 世界経済の持続的成長は、平和と安定の新たな枠組み構築のために必要不可欠であることは言うまでもありません。我が国としても、目に見える経常収支の黒字削減策を実施することが極めて重要なことであります。このためには、規制緩和による内需振興型の持続的経済成長の実現、市場アクセスの開放を進めること等が重要だと考えますが、総理はいかがお考えでありましょうか。
 また、ウルグアイ・ラウンド交渉の結果、合意された世界貿易機構を設立する協定については、明年一月一日に発効させることが目標となっておりますが、我が国としても秋の臨時国会において一日も早い協定の一括批准が重要ではないかと考えますが、総理はいかがお考えか、あわせて御所見を伺いたいと思います。
 我が国は、国連加盟以来、一貫して国連中心外交を展開してまいりましたが、冷戦後の世界にあって、国連の果たすべき役割は増大しております。各地の地域紛争を初め、軍縮、開発、環境といったさまざまな分野に取り組んでいる国連は、機能強化のための改革がなされようとしております。
 我が国も、昨年七月、国連に提出した意見書において、安保理においてなし得る限りの責任を果たす用意がある旨述べておりますが、この問題に関して、政権がかわるたびに消極的であったり積極的であったりと、我が国の姿勢が揺れているかのごとく対外的に受け取られているようであります。この際、政府の方針を明確にしておいた方がよいのではないかと考えます。総理は、就任の記者会見で「消極的になっていると思われては困ります。決してそういうわけではないのです」と話されましたが、外交政策の継続という点からも、この方針に変更がないことを明確にすべきだと私は考えます。この点について総理はどのように御認識をされているか、伺いたいと思います。
 次に、当面する経済及び国民生活に直接結びつく景気の問題について伺います。
 我が国の経済は、バブル経済の崩壊後、低迷を続け、今なお不況の中にあります。こうした状況を一日も早く打開し、景気の回復を図ることこそが今日最大の政治課題であります。また、最近では、一ドル百円を大きく割り込んだ急激な円高の進行によって、日本経済への影響、特に製造業や中小企業への影響が懸念されております。幸いにも個人消費には最近明るい指標も出てきておりますし、設備投資の落ち込みも来るところまで来たのではないかと思いますが、急激な円高でまだまだ予断を許さない状況にあります。
 したがいまして、大規模な所得減税など総合経済対策の着実な実施や、さきに成立を見た平成六年度予算を円滑かつ着実に執行し、消費や設備投資を盛り上げ、回復に向けて動き出した我が国経済を本格的な回復へ移行させることが今最も望まれることであります。総理は、ナポリ・サミットにおいて、世界経済に協調するため、減税の継続や公共投資の積み増しなど内需拡大策を約束されたと伝えられておりますが、景気の現状をどのように認識し、今後どのような政策運営を行っていくつもりか、総理の所見をお伺いいたします。
 また、雇用問題は世界経済においても重要な問題となっております。ナポリ・サミットでも経済面での主要課題でありました。我が国としても、構造政策の中で、技術革新、情報・通信インフラ等の整備により雇用の拡大を図ることが目標とされていますが、サミットでの議論も踏まえ、雇用問題について政府はどのように取り組むおつもりか、お尋ねいたします。
 また、さしあたりの問題として新規学卒者の雇用問題が大きな問題となっております。早くも来年の新規学卒者の雇用情勢が報道されていますが、一流企業も軒並み三割から四割ダウンが報ぜられ、特に女性の新卒者に非常な不安をもたらしているところであります。就職難の時代になると、改めて我が国の学歴偏重社会の弊害が指摘されたり、企業の側からは、不況のときの方がよい人材が集まるとの声も聞こえますが、それはあくまで企業の論理であり、雇用不安は社会不安を招く最も大きな要因となることも事実であります。したがって、これを防ぐためには景気を回復することが最大の施策となるわけでありますが、政府はこれにいかに取り組んでいかれるか、労働問題にも詳しい村山総理の御見解をお尋ねいたします。
 次に、税制改革についてお尋ねいたします。
 本年度は景気に配慮して約五・五兆円の規模の所得税、住民税の特別減税を実施いたしましたが、その法案審議の際、「平成七年分以後の所得税については、「速やかに、税制全般の在り方について検討を加えて税制改革を行い、抜本的な所得税の減税を行うものとする。」という附則第五条を全会派一致で追加いたしましたことは御承知のとおりであります。また、村山新政権の樹立に際しては、新しい連立政権の樹立に関する合意事項」の中で、税制改革について「総合的改革案を提示し、国民の理解を求めて、今年中に関連法案を成立させるよう努力する。」と書かれています。
 我々与党としても、税制改革の実現を目指し、基本的な税制のあり方、福祉に関する国民負担、行政改革による経費の節減等を視野に入れ、与党の政策調整会議のもとに与党税制改革プロジェクトチームを設置し、九月中旬を目途に結論を得るべく既に検討を開始しております。また、今回政権の座からおりられた野党各党も税制改革を進めることには異論はないでありましょう。
 このように、一見すると税制改革に向けての機運は盛り上がっているように思えますが、年内に果たして税制改革が実現するのだろうかと疑問に考えている向きもあります。このような状況のもと、政策決定、政策遂行に対する連立政権の意思、能力を国の内外に示すためにも、まずもって政府サイド、すなわち総理、蔵相の強いリーダーシップが示されることが重要であると考えます。サミットにおいてどのように我が国の方針を説明したかも含め、税制改革に向けての総理、蔵相の基本的考え方を伺いたいと存じます。
 次に、政治改革について伺います。
 与野党最大の懸案であった政治改革関連法案は去る三月四日に成立し、先月には衆議院議員選挙区画定審議会から区割り案の基本方針が国会に報告され、目下、小選挙区の区割り案作成のため審議が重ねられているところであります。こうした具体的な政治改革の進行は、当時の細川首相と我が党の河野総裁のいわゆるトップ合意に基づくものであり、私たちはできるだけ早く政治改革の完結をなし遂げなければならないことは当然であります。
 我々は、小選挙区区割り法案の成立に全力を注ぎ、国民の皆さんの理解が得られるに足る十分な周知期間を置いた後、正々堂々と新選挙制度のもとで有権者の信任を受けたいと考えております。総理も、小選挙区制度が確立するまでは解散・総選挙を行わないとまで明快に表明されました。政治改革に取り組む総理の決意のかたさを示すものと評価するものでありますが、今日の新制度は七十年ぶりの大改革ですから、その周知のためどの程度の期間が最小限度必要とされるか、人権をお持ちの総理のお声に耳をそばだてたいと思います。端的に申せば、いつ国民に信を問うかということであります。
 さて、総理、私はこれまで、当面する内外の諸問題のうち最も重要なものについて質問いたしてまいりましたが、最後に申し上げたいことがございます。
 ベテラン議員の総理でありますから釈迦に説法ではありますが、いかなる政治運営も、またいかなる政策展開も、すべては国民の皆さんが政治や政治家に信頼を寄せているところから始まることは申すまでもありません。この一年間の旧連立政権下で、残念ながら国民の政治不信は解消されませんでした。もちろん、総理もこのことを民主主義の危機と認識され、所信表明演説では柔和な人柄と風貌にふさわしい「人にやさしい政治」を説かれたものだと存じます。国民の皆さんには、総理の真剣な演説や本日の質疑をテレビや新聞その他で見て、少しでも政治への信頼をよみがえらせてくださるように願いますが、事は、残念ながらそう簡単ではありません。我々は、政権発足当初の世論調査の厳しい結果を謙虚に受けとめなければなりません。
 私は冒頭で、この私たち三党の連携は歴史的必然だと申し上げましたが、このことを国民に正しく理解してもらい、政治に目を向け直していただく作業は容易なことではないと考えます。私たちはまず、時代の歯車を逆戻りさせないという決意から出発し、三党それぞれが自己改革をなし遂げ、理想的な政党政治のシステムを創造するという気概を持って政権を支持してまいります。(拍手)
 最後に、総理も御存じのことと思いますが、次の言葉を贈らせていただき、終わりたいと思います。
 「政治が目指すものは、人間の可能性を未来に向かって開花させることである」。村山総理、あなたが師事され、政権取りを夢見ながら、ついに果たし得なかった江田三郎氏の残された言葉と聞いております。今あなたは、それを実現できる立場にあるのであります。
 総理におかれましては、これまで同様、無私の心境に立ち、野党の声にも耳を傾け、重々御健康にも御留意をされ、我が国の未来のために御奮聞いただくことを心からお願いして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
#12
○内閣総理大臣(村山富市君) ただいま、温かい激励を受けながらの御質問をいただきまして、身の引き締まる思いで拝聴いたしました。(拍手)
 小渕議員の質問にお答えする前に、羽田議員の質問に対する答弁漏れがございましたので、この際、お答えを申し上げたいと思います。
 それは、臨時国会召集の時期についての御質問でございます。
 臨時国会の召集につきましては、御質問にもございましたように、今、選挙区の区画の審議が進められております。その区画の法案ができた時点で、内外の諸課題等も慎重に判断をしながら、臨時国会の召集についての時期を決めたいと考えておる次第でございます。
 先ほど、大分弁も含めて自分の言葉で答弁をしたらどうか、こういう御意見でございましたけれども、何せ一挙にこれだけの質問を受けますと、やはり整理をして答弁しなければならぬものですから、つい読まざるを得ない、こういう状況になることについても御理解を賜りたいというふうに思います。(拍手)
 最初に、今日の政治状況の中で安定した政治体制の構築が必要ではないかという意味も含めた御質問がございました。
 冷戦の終結とともに、歴史の大きな転換期を今迎えています。国の内外ともに平和と安定が強く求められておる、こういう時期にもかかわらず、まだ新たな国際的な世界的秩序は模索中であると私は思います。そういう時期であるだけに、国政を担当する重責を改めて痛感をいたしておるところでありますが、今こそ二十一世紀を視野に入れて思い切った改革に全力を尽くしながら、国民の信頼と支持を得ながら、安定した政権の構築が必要であるということを強く感じておる次第でございます。(拍手)
 先ほども御質問ございましたけれども、三党連立で安定した本格政権への第一歩を踏み出したというふうに思うけれども、どう考えるか、どういう御質問でございました。
 今もお答え申し上げましたように、大きく時代が変わっていく中で、今何よりも求められているものは、イデオロギーの対立ではなくて、闊達な政策論争を行う、その中から国民の多様な意見が反映をされて、それが反映されて合意を持たれたら、その合意を政策化して実行する政権を期待しておると私は思います。(拍手)
 このたびの内閣は、これまで違う道を歩んできた三党が、長く続いた五五年体制からどう脱却をして新しい時代に対応できる政局の展開を図っていくかということについて、みずから自己改革を進めながら政治を変えるという方向で懸命な努力がなされておる。(拍手)そういう意味で、連立政権というもののよさは、理念や政策は違うけれども、その違いを国民の前に明らかにしながら、お互いに議論を深めて合意を求めていく、そういう過程を通りながら国民的なコンセンサスを求めていくところに連立政権のよさがあるし、そういう努力を積み重ねていくところに各党派の緊密な信頼関係も生まれてきて、その政権基盤も強化安定してくるものだ、こう考えております。(拍手)
 私は、そういう意味で、お互いが思い切った政治改革を断行していく、その政治改革を進めていく中から各党の自己改革も行われていく、各党の自己改革が行われることによって日本の政治全体の改革も進められていく、こういう相関関係にあるものだと思いますから、そういう熱意を持ってこの政権を担当してまいりたいと考えておるところでございます。(拍手)
 次に、日米関係についての御質問がございました。
 日米関係はお互いにとって最も重要な二国間関係であります。冷戦後の世界の平和と繁栄にとっても不可欠な、重要な関係であります。私としては、日米関係を引き続き外交の基軸に据え、日米安保体制を堅持しながら、日米関係の政治・安全保障、経済、地球的規模の協力など、幅広い分野にわたる日米間のパートナーシップをさらに強化していく所存であり、こうした基本方針については、さきの日米首脳会談においてクリントン大統領に対し直接お話を申し上げたところでございます。
 日米包括経済協議が日米経済関係を処理する主要な手段である点について日米間で意見の一致を見ており、五月の協議再開以来、優先分野の交渉において着実な進展が見られているところでございます。包括経済協議の合意に期限は付さないことになっておりますが、今後とも精力的な協議を進め、できる限り早期の合意に向け日米双方が努力していくものであると考えておるところでございます。
 なお、御指摘のドル安・円高対策につきましては、さきのG7サミットでも、為替レートの急激な変動は世界経済にとって好ましくないとの共通の認識のもと、先進主要国間で引き続き協調して対応していくことで意見の一致を見たところでございます。今後もさらに努力を続けてまいりたいと思います。
 さらに、サミットに対する評価いかんということについてのお尋ねがございました。
 今次ナポリ・サミットは、将来に向けての新たな展望と国際的な政策課題を示した、重要かつ建設的な会合でございました。
 経済問題に関しましては、主要課題である「雇用と成長」に関し、現在の世界経済の回復基調を持続していくことの重要性を確認するとともに、種々の構造改革措置についての具体的な政策目標を出したこと、貿易、途上国問題等についても参加国首脳の間で一致した認識が示されたことは、有意義な成果であったと評価をいたしております。
 政治問題に関しましても、北朝鮮の核兵器開発問題、旧ユーゴ問題が重大な局面を迎える中、参加国首脳の一致した姿勢を示したほか、大量破壊兵器の不拡散及び核軍縮の取り組みの重要性についても認識するところでございまして、政策協調の実を上げることができたと考えています。
 次に、北朝鮮の核開発疑惑に関する御質問でございますが、先ほども御答弁申し上げたとおり、北朝鮮の核兵器開発問題につきましては、金日成主席の死去に伴い一時中断しているとはいえ、米朝協議、南北首脳会談への動きなど、関係諸国が協力して対話による解決を目指した努力が行われているところでございまして、このような時点において、御質問のような点について政府として公の場で議論するととは、こうした外交的努力に好ましくない影響を及ぼすのではないかと考えております。
 なお、一般論として申し上げれば、先ほども御答弁申し上げましたように、国連安保理で何らかの措置が決定される場合には、我が国として、憲法の範囲内で責任ある対応をとらなければならないと考えております。
 ナポリ・サミットにおいては、北朝鮮の核兵器問題について、北朝鮮が本件の対話による解決に積極的に応じ、核兵器開発に対する国際社会の懸念を払拭するよう求めていくことなどにつきまして話し合いが行われましたが、御質問のような点については特段の論議はなされなかったと考えています。
 次に、南北朝鮮による北東アジアの平和と安定への対応、日朝交渉再開の方針について御質問がございました。
 朝鮮半島につきましては、東西冷戦終えん後も、軍事境界線を挟んで、南北合わせて百五十万人の兵力が対峙している状況には基本的に変わりはなく、また、北朝鮮の核兵器開発問題は、我が国を含めこの地域の安全保障にとり重大な懸念材料となっていることは申し上げるまでもございません。さらに、金日成主席死去後、北朝鮮情勢についてはその動向をさらに注視していく必要があるかと考えています。
 私の内閣におきましても、自由、民主主義、市場経済という基本的価値を共有する韓国との友好協力関係を発展させ、朝鮮半島の平和と安定のためにできる限りの貢献を行うという我が国の基本方針には変わりはございません。訪韓した際には、金泳三大統領との間で忌憚のない意見の交換を行いたいと考えています。(拍手).日朝正常化交渉につきましては、第二次世界大戦後の日朝間の不正常な関係を正すとともに、朝鮮半島の平和と安定に資するものとするという観点を踏まえながら、韓国等の関係国とも緊密に連絡をとりながらこれからも対応していく考えでございます。
 次に、経常収支黒字削減策についてのお尋ねがございました。
 国際社会に開かれた経済社会を実現するとともに、活力と創造力に満ちた我が国経済の構築を図ることが不可欠の課題であります。このため、規制緩和を初めとする国内経済改革を通じ、内需の振興や市場アクセスの拡大を図り、経常収支黒字の十分意味のある縮小の中期的達成と競争力のある外国製品・サービス輸入の相当程度の増加に向けて今後も一層努力をしてまいる所存でございます。こうした観点から、先般取りまとめました二百七十九項目の規制緩和策を速やかに推進をするとともに、五年間の規制緩和推進計画を本年度中に策定することにより、一層の規制緩和を実施してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、ウルグアイ・ラウンド合意批准についての御質問がございました。
 世界貿易機関を設立する協定は、現時点では、来年一月一日に発効することとなる見込みであります。我が国としても、御指摘のとおり、ウルグアイ・ラウンド合意の来年一月一日の発効に向け、その責務として、早急に協定及び関連法案を国会に提出をし、年内に成立を図る所存でございます。
 次に、国連安保常任理事国入りについてのお尋ねがございました。
 先ほども御答弁申し上げましたが、新政権としては外交の継続性を確保していくという方針でございますから、常任理事国になることを消極的に考えているわけではございません。この問題は、国際社会の支持と国民的理解を踏まえて取り組んでまいりたいと考えていることについては、先般も申し上げたとおりでございます。
 次に、景気の現状をどのように認識をし、今後どのような経済政策運営を行っていくかという御質問がございました。
 我が国の経済は、総じて低迷が続いている中、このところ明るい動きが次第に広がってきていることも事実であります。他方、最近の為替相場の動きなど懸念する要因もございます。政府としては、我が国経済を本格的な景気回復軌道に乗せ、今後の新たな発展の基礎を築くため、経済及び為替の動向に細心の注意を払いながら、大規模な所得減税等を含む本年二月の総合経済対策を引き続き着実に実施するとともに、平成六年度予算の円滑かつ着実な執行を進め、引き続き内需を中心とした持続的成長の確保に努めるとともに、規制緩和を初めとする国内経済改革の方針を強力に実施してまいる所存でございます。
 サミットの議論を踏まえながら、雇用問題への取り組みについての御質問がございました。
 先日開催されましたナポリ・サミットにおいても、「雇用と成長」を中心テーマとして、先進国に共通する深刻な失業の克服に向けて、現在の景気回復を増進しながら、教育訓練の充実、積極的労働市場政策の遂行、新技術の普及、規制緩和等の構造的措置を講ずることで合意を見たところでございます。政府としては、雇用の安定を図ることは極めて重要な課題であると認識をしており、今次サミットでの議論も受けつつ、所要の雇用対策に努めてまいりたいと考えています。
 特に新規学卒者などの雇用問題への対応はどうか、こういうお尋ねでございました。
 我が国経済は総じて低迷が続いておりますけれども、明るい兆しも見えている状況の中で、雇用情勢は依然として厳しい状況が続いております。また、こうした中で、女子学生も含め来年三月の新卒者の就職環境も引き続き厳しい状況になると懸念されております。このような厳しい状況に対応するため、雇用の維持、離職者の再就職促進などを主眼とした雇用支援トータルプログラムの実施等、積極的な雇用対策を実施しているところであります。また、新卒者に関しては、現在、事業主団体等へ求人枠の拡大や男女の均等取り扱いの要請等を行っており、今後、新卒者等に事業主と直接面接できる場を提供するなど、新卒者の円滑な就職を援助してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、サミットにおいてどのように我が国の方針を説明したのかを含め、税制改革に向けての基本的な考え方についてお尋ねがございました。
 今回のサミットでは、我が国の経済政策について、新政権は、減税の継続を含む税制改革、公共投資計画の大幅な見直し及び市場開放措置を含む新たな規制緩和策にコミットしている、こういう趣旨の説明を行い、税制改革については、来年継続される減税の規模は今年度と同規模のものとなること、景気の観点から増減税の実施時期にインターバルを置くにせよ、税制改革は増減税全体についての議論を進め、成案を取りまとめるべく努力をしていきたいと考えておる旨を表明してきたところでございます。
 いずれにせよ、一昨日申し上げましたように、平成七年度以降の減税を含む税制改革につきましては、その具体的な姿についての検討など総合的な改革の論議を進め、国民の理解を求めつつ、年内の税制改革の実現に向けて努力をしてまいりたいと考えています。
 次に、新選挙制度の周知期間についてのお尋ねがございました。
 選挙区を定める法律が成立をし、公布された場合、その施行をいつからにするかについては、選挙区を決める法律の附則において規定することとなりますが、この点につきましては、各党の御意見等も踏まえながら、法案提出時点で判断をしてまいりたいと考えています。
 また、解散等についてのお尋ねもございました。
 私は、何よりも主権者の意思を一番尊重しなきゃならぬと考えておりまするけれども、しかし、これだけ内外に多くの諸課題を抱えておる時期でもございますから、そうした全体の動向を慎重に判断をしながら決定すべきものだと考えておりますから、今のところ解散の考えはございません。そのことを申し上げておきます。(拍手)
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。
 以上です。(拍手)
    〔国務大臣河野洋平君登壇〕
#13
○国務大臣(河野洋平君) 三党によります連立は、東西の冷戦構造の崩壊を背景として、これまでのいわゆる保守革新の壁を乗り越えた、安定した本格政権のスタートであると認識をいたしております。
 これまでほぼ一年間にわたって政権を担当した旧連立内閣は、その不安定さ、脆弱性から政策遂行に成果を上げられず、当初予算の取りまとめも年を越すということになって、多くの国民から不安と不満の声が上がっておりました。そこで、我々自由民主党は、あえて第二党の党首を首班に推し、不安定な政局を収拾し、安定した政権で国民の期待する政策を遂行するべきだと決断をいたしたわけでございます。(拍手)私どもは、今後とも、政策の整合性を保ちつつ、党を挙げて誠実に村山首相を支え、国民のための政治の遂行に全力を挙げる決意でございます。(拍手)
 サミットについてお尋ねがございましたが、ほとんど総理からお答えがございました。
 私といたしましても、国際社会が直面する主要な、国際的な政治経済問題に対する主要国間の政策協調の場としてサミットは有効に機能している、こう考えておりますので、今後ともこのサミットに重要性を持ってまいりたい、こう考えております。(拍手)
    〔国務大臣武村正義君登壇〕
#14
○国務大臣(武村正義君) 私からも、野合政権の御批判に対する考え方を一言申し述べます。
 昨年から、日本の政治もいよいよ連立政権の時代に入っております。今さら申し上げるまでもありませんが、連立政権、主張が異なる複数の政党が相寄って樹立する政権でございます。その基本になるものは、あくまでも政策における合意であります。このような政党間の合意に基づいて樹立された連立政権である以上、これはまさに正当な連立政権というべきでありまして、村山政権をもって野合などという批判は全く当たりません。(拍手)仮にも、このような政権をも野合というなら、細川政権も羽田政権も、連立政権はすべて野合政権ということになるわけであります。(拍手)
 次に、税制改革のサミットでの議論でございますが、私は主としてG7の蔵相会議に出席をいたしておりました。ここでは、各国の経済政策をめぐって数時間にわたって活発な論議がございました。
 為替の問題につきましても、既に発表いたしておりますように、経済の基本的な条件と現在の為替レートの動きは整合的ではない、米ドルの一層の低下は好ましくない、正当性も持たないということをG7、七人の蔵相の共通の認識として取りまとめたものであります。
 我が国は、この中で、新政権として、減税の継続を含む税制改革、公共投資計画の大幅な見直し及び市場開放措置を含む新たな規制緩和策にコミットをしている旨の説明を行い、そのことがG7蔵相会議の全体の意思統一に大きな意味を持つことができたと思っております。
 平成七年度以降の減税を含む税制改革は、新政権が取り組むべき喫緊の課題であります。これはすべての国民に負担を求める問題でありますだけに、国民の皆様の理解を得ることが極めて重要であります。そのため、行財政改革の推進や税負担の公平確保に努めてまいりますとともに、極めて厳しい財政の現状や将来の財政の対応力の問題について、国民の皆さんに対し十分に説明をすることにより、税制改革の必要性について国民の皆さんの理解と納得を得る努力を行ってまいりたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣田中眞紀子君登壇〕
#15
○国務大臣(田中眞紀子君) まず、自己紹介をさせていただきます。このたび科学技術庁長官を拝命いたしました田中眞紀子でございます。一年生でございます。大変、私は、生来引っ込み思案でございまして、どちらかといいますと余り上手にお話ができませんので、諸先輩からぜひ温かい御指導をいただきますように、冒頭にお願いを申し上げます。(拍手)
 向井飛行士が参加する第二次国際微小重力実験室計画は、スペースシャトル・コロンビア号において無重力を利用した宇宙実験を行うものであり、現在、コロンビア号は二十二日の着陸に向けて順調に飛行をいたしております。
 向井飛行士が、今後の宇宙ステーション計画や、将来人々が宇宙で生活をする時代に向けての先駆的な役割を担う意欲を話されたのがまことに印象的でございました。「仕事場は宇宙」というキャッチフレーズどおり、向井飛行士は本計画においてすばらしい仕事をしておられます。これは、人類全体の宇宙開発の進展に大いに貢献するとともに、国民、特に若い人々に夢を与え、科学技術への関心を呼び起こす大きなきっかけになるものと期待をいたしております。
 宇宙での生活はかなりハードスケジュールのようでございますが、体調を崩すことなく、無事帰還することを祈念いたしますとともに、関係者一同、その成功に向けて引き続き全力を尽くしてまいる所存でございます。
 私も、個人的には、本当に向井飛行士の無事御帰国、また、ほかの六人全員の航空宇宙飛行士の皆さんの無事着陸を念じて、夜寝るときには神様にお祈りをするような気持ちでおります。
 私などが言うまでもなく、政治は、弱い立場に立っている人々、困っている人々のために、つまらない、政治的な利害を超えて、この議場、衆参両院議場にいる私ども議員が手を相携えまして、よいエネルギーを出して諸問題の解決をしていくべきだというふうに思っておりますので、親しく御指導をいただきますように、この機会をかりましてお願いを申し上げる次第でもございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 これをもちまして私の初答弁といたします。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#16
○議長(土井たか子君) 石田幸四郎さん。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔石田幸四郎君登壇〕
#17
○石田幸四郎君 私は、公明党を代表して、村山総理の所信表明演説に関して、その政治姿勢及び当面する内外の重要課題について質問をいたします。
 新内閣に対する政治課題を伺う前に、水不足、円高という国民生活に直結した緊急かつ深刻な問題の対応について、村山内閣の明確な回答を求めるものであります。
 第一に、水不足問題についてであります。
 特に、香川、愛媛を初め西日本地域は極めて深刻な状態にあります。高松市では、二十一年ぶりで一日五時間給水に追い込まれ、市民の生活は言うに及ばず、稲作、ミカン農家、食品業者、食堂など、多くの事業者が逼迫した状況にあります。
 我が党は現地に議員を派遣しておりますが、五時間給水といっても、マンションなどの四階以上は水圧が低く、二十四時間断水と同じ状態になっている、ふろなども極めて不十分で、衛生上も心配、また、市民は隣県の高知や徳島まで水を買いに出かけていますが、売り切れて水が手に入らない、また、一家そろって他県に一時避難する人も出ている等々、極めて切迫した状況が連日報道をされてきております。五時間給水でもつのは今月いっぱいとも言われ、事態は日に日に深刻です。総理、あなたはこのような実態をどれだけ御存じですか。政府としてこれまでどのような行動をとってこられたのですか、明確にしていただきたい。
 総理は「人にやさしい政治」を掲げていますが、ただ口先だけであっては何の解決にもなりません。政府として、今すぐこの実態を正確に把握し、財政措置を含め、国の直接的支援も早急に検討すべきであります。
 また、他に現在給水制限を行っている地域は十一県三十市五十二町村に上り、二百五十万人が直接影響を受け、今後さらに大都市圏などへも広がることが心配されています。全国的にも水不足が深刻な様相を示しておりますが、どのような具体的な対策を講じていかれるのか、明確にお答えをいただきたい。(拍手)
 第二に、円高対策についてであります。
 「昨年、不況で苦しんで、リストラを経験し、体質を強化した。ことしは何とか一ドル百五円で通常の利益を出せる見込みがついてきた。ところがこの円高、まるで逃げ水を追いかけるようだ」、これは中堅自動車メーカー幹部の悲痛な声であります。最近の急激な円高・ドル安は、中小企業を中心に国内産業の経営を直撃しており、このまま推移すれば、景気回復をおくらせるだけではなく、日本経済に深刻な事態をもたらすことは必至であります。輸出関連の製造業者、特に中小企業者にとっては死活の問題となっており、救済措置が直ちに必要です。安閑としていてはなりません。政府は早急に円高対策並びに中小企業者の救済に取り組むべきでありますが、総理の見解をお伺いいたしたいと思います。(拍手)
 さて、このたびの自民・社会・さきがけ連立内閣の発足は、大きな驚きと戸惑いを国の内外に与えました。私は、この連立政権がいかに矛盾に満ちあふれた政権であるかを、基本姿勢を問いながら、国民の前にその本質を明らかにしてまいりたいと考えます。(拍手)
 まず第一に、自民・社会・さきがけ連立内閣は、去年の総選挙で国民に約束したことを全くほごにして誕生した背信内閣であるということであります。(拍手)
 自民党が、政権復帰のためには、国民への公約も主張主義もかなぐり捨てて、何もかも受け入れたというのが村山氏を首班とする連立内閣の実態であります。だからこそ、二百六人の第一党から総理を出さず、七十四人の第二党の委員長を首班に推すという選択を行ったのであります。総理にふさわしい人材か否かということは別次元の選択であったことは言うまでもありません。すなわち、この連立内閣は、社会党に総理の座を与えることによって成立した自民党の政権復帰のためとしか言いようがなく、これほど国民、有権者を無視した話はないのであります。(拍手)
 社会党は、昨年の総選挙で三十八年間の自民党の長期単独政権の終わりを訴え、その結果、自民党を過半数割れに追い込み、社会党自身は大敗したとはいえ、我々とともに連立政権を樹立し、国民の公約を果たしつつありました。しかし、今なぜ自民党と連立政権をつくらなければならなかったのか。昨年の総選挙は言うに及ばず、自民党政権下の三十八年間、常に反自民を掲げ、大企業優先、軍事力増強、金権腐敗の自民党政治を追及し、その転換を言い続けてきた社会党がどうして自民党と連立政権を組めるのか。総理、あなたは組閣後の記者会見で「自民党も変わった」と言われておりますが、自民党のどこが、何が、どう変わったのか、整合性のある答弁を要求するものであります。(拍手)
 しかも、社会党は、ことしの五月の中央委員会で、「現在の自民党との連立政権は構想せず、自民党亜流政権も認めないという基本に立って、自民党の政権戦略、リーダーシップの確保につながる協調行動は選択しないことにします。」このように決めているのであります。この時点では、自民党は変わっていないと認識していたわけであります。政党公式機関の決定が二カ月もたたないうちにどうして変わったのか、全くだれにもわかりません。もし自民党が変わったというのであれば、この短い期間の間に社会党の認識を変えるだけの重大な変化が自民党にあったということになります。そのことを具体的にお示しをいただきたいと存じます。何の説明もなく大転換して平然としているのは、総理の言う民主的な手法とは余りにも食い違っているではありませんか。しかと総理の見解を承りたいのであります。(拍手)
 この政権は、帽子は社会党でも、実態は自民党政権であります。自民党の政権復帰に社会党がなぜ手をかしたのかも、あわせて明らかにしていただきたいのであります。
 国民への背信内閣である村山内閣が、政権運営に当たって、民主的であるとか、透明度を高めるとか、国民の理解を得てと言うこと自体が国民に対し傲慢、不遜ではないかと申し上げたいのであります。(拍手)
 自民党の総裁である河野副総理にお伺いをいたします。
 一年前の総選挙において自民党は、社会党の理念や政策を厳しく批判し、社会党と手を結ぶことは野合であり、無責任、無節操で、国民生活や我が国の将来に大きな不安をもたらし、野合に日本は任せられないと繰り返し訴えてきたのであります。また、細川連立政権に対しても、基本政策の違いを指摘し、国会でも野合であると言い続けてまいりました。
 すなわち、河野副総理は、自民党総裁として、昨年八月二十五日、この壇上において次のように言われました。「社会党のこれまでの基本政策との食い違いの余りの大きさに唖然とするほかはない」、「日米安保条約や日韓基本条約、自衛隊を認めない、PKOへの参加にあれほどの物理的抵抗をされた社会党の政策や方針は、一体どこへ行ってしまったのでしょうか。」と声を大にして批判をされたのであります。その意味で村山政権は、まさにあなたの批判された野合そのものではありませんか。あなたの政治的な見識は一体どこへ行ってしまったのでしょうか。反論があれば伺いたいと存じます。
 また、第一党の党首でありながら、なぜみずから首班指名に立候補しないで、ここまで不信を表明した社会党の党首を総理に推さなければならなかったのか、その理由もあわせて承りたいのであります。(拍手)
 さきがけの武村大蔵大臣に対してもお伺いいたします。
 自民党の中で政治改革を行うことはさいの河原の石積みとして一年前に飛び出したさきがけが、自民党政治の決別という総選挙での公約を破って、現在手を組んだのであります。これについて明確な答弁を求めたいと存じます。(拍手)
 第二の問題は、この内閣は、総理大臣が所属する社会党が自衛隊を憲法違反と認識するという立場をとっていることであります。国の重大な基本政策について大きな矛盾を抱えた欠陥内閣と言わざるを得ません。
 総理自身が自衛隊の最高指揮監督権を有しておることは重々御存じだと思います。「自衛隊は違憲」、「合法的に存在していると思われる自衛隊」などの認識で隊員を指揮できるものではないと思います。国の最高責任者として適格性に問題があると言わざるを得ません。自衛隊違憲論者もしくは違憲とする政党の党首が、何の矛盾も感じないでそのまま総理になること自体全く理解できません。(拍手)
 まして、総理のお言葉をかりますれば、この内閣は自民党主導の内閣ではなく、社会党の主張、主体性が確保されているということをおっしゃっております。もし総理が、自衛隊が憲法に違反しないと言うのであれば、総理は直ちに社会党の党籍を離れる必要があるのではないでしょうか。(拍手)これだけの重要問題について、後で社会党の党大会でつじつま合わせをするなどというような、そういうような問題ではないと私は思います。
 また、総理は、就任早々に、日米安保を堅持、このことを表明されました。今日まで日米同盟関係や日米安保反対を言い続けてきた社会党の党首が、総理になることによって安保賛成に変わったのか、反対だが政権を担当するに当たってやむを得ず堅持するということになったのか、明らかにしていただきたいと思います。日米安保条約の必要性、位置づけも含めて、この際、その理由を明確に示していただきたいのであります。
 第三に、この内閣は政策の合意なき数合わせ内閣であるということであります。
 外交・防衛、原発などの国の基本政策において全く相反する両党が、ただ社会党とさきがけの政策文書を自民党が丸のみするという形で一夜にして手を組む姿は、だれから見ても政策不在ではありませんか。したがって、何を目指している内閣かさっぱりわからないということであります。政権の安定を言い、数だけをそろえてはみたものの、総理の所信表明を伺っても、総理御自身の言葉で語ってはおられません。理念も政策も何も見えてとないというのが実態であります。なぜ与党間で政策協議を十分に行おうとしなかったのか。これからするではなくて、内閣を編成する場合に十分な政策合意をする必要があるはずでありますけれども、それを行わなかった理由について言明をしていただきたいと存じます。
 総理はイデオロギー論争を否定されておりますが、その象徴的問題であった三点について伺います。
 まず、第二次世界大戦を初め、我が国が関与した昭和の戦争は侵略戦争であったのかどうか、その認識と戦争史観を総理並びに副総理にそれぞれ示していただきたいのであります。(拍手)
 それに関連して、日の丸・君が代を国旗・国歌とすることに対していかなる見解をお持ちなのか、明確にお答えいただきたい。
 次に、靖国神社への閣僚の公式参拝について総理の見解をただしたいと思います。
 従来、社会党は、公式参拝は憲法二十条に規定する政教分離原則に違反するとしてまいりました。しかるに、総理は、この公式参拝を容認するかのごとき発言をしております。閣僚の公式参拝は憲法から見て許されると考えているのか否か、総理の見解をお聞かせください。(拍手)
 総理は「外交は継続、内政は改革」などと言っておられますが、言葉だけで、実際は「外交は停滞、内政は先送り」ということにならざるを得ないのではないかと強い危惧を私は抱きます。その観点から、総理並びに関係大臣に具体的な問題についてお尋ねをしてまいりたいと存じます。
 政治改革の完結について伺います。
 我々は、昨年の自民党政権崩壊後、一貫して政治改革を推進し、ほぼこれを実現し、あとは小選挙区の区割りについて審議会の勧告を待ち、法制化することだけが残されておりますことは御承知のとおりであります。総理は就任後の初会見で、次の総選挙は小選挙区制度のもとで行われると言明されましたが、当然であります。しかしながら、閣僚や連立与党の中には依然として根強い中選挙区論者がおり、区割り法案とセットで政党法を協議すべきであるなどと言い、区割り法の成立を意図的におくらせようとする動きがあることは極めて遺憾であります。総理は、改めてここに現行中選挙区制度での総選挙はあり得ないということを明言すべきであります。(拍手)
 また、区割り案について、衆議院選挙区画定審議会の勧告を受けたら直ちに法案化して国会に提出し、いささかも引き延ばすことなく成立に全力を挙げるべきだと考えます。特に、区割り法は政治資金規正法の抜本改革など一連の腐敗防止措置と連動しており、施行日を年内としなければ、来年から腐敗防止関連法も施行されず、先延ばしになってしまうのであります。この点も含めて総理の所信を伺いたいのであります。
 私は、八月中にも臨時国会を召集して、区割り法を成立させ、政治改革を完結すべきであるというふうに考えておりますが、総理の見解を明らかにしていただきたいのであります。(拍手)
 外交問題について伺いますが、その前に、去る七月八日に朝鮮民主主義人民共和国の金日成主席が逝去されましたが、私は、ここに謹んで哀悼の意を表明いたします。
 北朝鮮が、今後、国内の指導体制をどう確立し、どのような対外政策を展開するのか、特に最近の米朝対話再開や南北首脳会談開催など金日成主席の方針が継続されるのかなどについて、重大な関心を持って見きわめていく必要がございます。現在の北朝鮮情勢についてどう認識しているのか、総理並びに外務大臣にお伺いをいたします。
 北朝鮮の方針いかんによっては、国連の経済制裁的な措置や各国との協調行動が求められていくわけでありますが、我が国としてどのような方針で対応していくのか、お示し願いたいのであります。
 北朝鮮の核開発疑惑については、我が国並びにアジアの平和と安全に直結する問題でもあり、国連を軸として、関係各国の協調のもと、対話を中心として平和的手段による解決を目指すべきでありますが、この点についての総理の御決意を伺います。
 また、総理は、二十三、四の両日、韓国を訪問される予定でありますが、どのような目的と基本方針を持って訪韓をされるのか、明らかにしていただきたいのであります。
 サミット及び日米首脳会談について、お伺いしたいと思います。
 総理、私は、今回のサミットを中心とした初めての村山外交を総括的に申し上げるならば、総理の健康問題を割り引いても、残念ながら見るべきものは何もなく、世界における日本の存在感の薄さを印象づけるものでしかなかったと思うのであります。
 最重要の課題である為替の安定については、サミットの場で総理あるいは外務大臣が何を主張されたのか全くわかりません。具体的な対策も示されなかったではありませんか。そのため、円高・ドル安だけが定着してしまい、村山内閣の経済政策の先行き不安を裏づけているのであります。総理は、現在の円高をどう分析し、また、その原因、影響についての認識を明快にお答えいただきたいと存じます。(拍手)
 また、懸案の内需拡大についても具体的な処方せんを示しておりませんが、これをどう進めていくのか。規制緩和、内外価格差の是正等に向けたスケジュールも含めて具体策を示していただきたいのであります。
 日米首脳会談では、日米包括経済協議は優先分野での合意も先送りされ、クリントン大統領の一「言葉ではなく実行が大切だ」という言葉のとおり、今後相当の圧力をもって日本側の実行が強く求められてくることは必至であります。総理は、日米関係の現状を極めて安易に考えているのではないかと思わざるを得ません。今後の包括協議の位置づけ、方向性、客観的基準の取り扱いについてどのように考えているのか、お伺いをしておきたいと存じます。
 次に、税制改革について伺います。
 総理は、所得減税について、来年以降も今年度の特別減税とおおむね同規模の恒久減税を行うことを明らかにされました。この点は、我んも全く同感であります。
 しかし、今年度と同じ五兆円の規模となれば、それにかわる恒久的な財源が必要であり、これを明示しないのは、政権の座につく者として余りにも無責任とのそしりを免れません。(拍手)減税財源、自民党政権三十八年のツケである国債の処理、高齢社会の移行に伴う福祉や医療などの財源をどうするのか。税制改革の全体像について、総理並びに大蔵大臣の明確なお考えを伺いたいのであります。
 また、ベンツェン米財務長官は、武村大蔵大臣が景気回復が明確になるまで増税は見合わせると述べ、増税先送りの意思を表明したことを記者会見で明らかにしております。村山内閣として、増減税は法律として一体的に処理するつもりなのか、また切り離すのか、いつ責任を持って対処するのか、明確にしていただきたいと思います。(拍手)
 さらに、社会党の消費税に対する態度はどうなっているのか。廃止なのか、改正なのか、新聞接税なのか、社会党党首である総理にお伺いをしておきたいと思います。
 さて、総理は行政改革の断行を明言されておられます。私もその問題意識は当然と考えますが、しかし一方において、これまで、国鉄、電電公社、専売公社、日本航空、日本自動車ターミナルの民営化を初め、許認可整理法案など、ほとんどの行政改革にことごとく反対をしてこられたのは社会党であることはもう周知の事実であります。(拍手)これで行政改革ができるのでしょうか。この方針を社会党は転換をするということを明言されるのでしょうか。行政改革について、税制改革の前提だとのお考えのようでございますが、一体どの程度の規模をお考えになっているのか、いつ、どのようなスケジュールで断行しようとしておられるのか、明確にしていただきたいと存じます。(拍手)
 細川連立政権のもとで、私は総務庁長官として、情報公開法制定に向けて一つの道筋をつけることができました。行政改革委員会設置法も早く成立をさせ、情報公開制度の検討を開始させることが急務であると考えます。この点についても総理の御答弁をお願いを申し上げます。
 最後に、ロンドン大学のロナルド・ドーア教授は「今回の政権交代によって、日本の政治家が権力維持のためなら手段を選ばないことがはっきりした。重要課題も政策もほったらかしだ」と厳しい批判をしております。今回の村山政権誕生が新しい日本の政治への一こまにすぎないものとしても、同じ日本の政治にかかわる者として、この厳しい指摘にじくじたるものがあります。
 国民の信頼する政治、世界に誇れる政治、政策中心で二十一世紀の日本を構築する政治実現のために、政治家として、また議会人として厳しく襟を正さなければならないことを申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
#18
○内閣総理大臣(村山富市君) 石田議員の質問に順次答えてまいりたいと思います。
 まず最初に、水不足問題についてのお尋ねがございました。
 本年春先から雨も降らずに、全国的に水不足は深刻な状況を呈しております。特に東海や四国地方では厳しい渇水に見舞われております。このため、政府としては、七月十八日に関係省庁渇水連絡会議を開催いたしまして、各省庁において、当面、関係省庁渇水連絡会議を初めとする体制の整備、各需要者に対する節水指導、国民への節水PR等広報活動等を行いながら、渇水対策に万全を期すことにいたしております。今後の渇水状況の推移を見ながら、特に厳しい状況の地域では、利水者間の調整を含め、渇水対策に万全を期してまいりたいと考えております。
 次に、早急に円高対策並びに中小企業者の救済に取り組むべきであるとのお尋ねでございます。
 円高は、輸出入の両面から経済に与える影響は深刻であり、特に急激な円高は、輸出企業の円建ての手取りを減少させ、企業収益を圧迫することから、企業活動に悪影響を与え、このところ明るい動きが見えているにもかかわらず、景気の状況に陰りが見えてまいりました。
 政府としては、我が国経済を本格的な回復軌道に乗せ、今後の新たな発展の基礎を築くため、経済及び為替の動向に細心の注意を払いながら、引き続き内需を中心とした持続的成長の確保に努めるとともに、規制緩和を初めとする国内経済改革の方針を強力に実施してまいりたいと考えています。特に、円高の影響を受ける中小企業者に対しましては、累次にわたる経済対策や平成六年度予算において盛り込まれた諸施策を着実に実施することにより、円高に対応するための経営努力を支援してまいる所存でございます。
 次に、社会党はどうして自民党と連立政権が組めたのか、こういうお尋ねでございます。
 自民党、社会党、さきがけ三党は、現に連立政権を組んで政権を担当しておるわけでありますから、したがって、その姿を見て、ああなるほど自民党も変わった、社会党も変わりつつある、こういうふうに私は御理解を願いたいと思います。(拍手)
 五五年体制の中では、自民党が政権を担当して、社会党は野党第一党で対峙してきておったわけです。この五五年体制というのは、冷戦構造も崩壊をして、ベルリンの壁が取り払われ、東西ドイツは統一をする、ソ連は崩壊してG7にロシアが参加をしようとするような画期的な世界の変化の中で、自民党政権のもとでいつまでも第一党と第二党が対峙しているという政治状況というのは国民から不信を買ったわけでありますから、自民党も社会党も変わらなければならない、そういう状況の中で連立政権が組まれてきている事実というものは、私は皆さん方に率直にお認めをいただきたいと思うのでございます。(拍手)
 この連立政権がうまくいくかどうかということについては、これからの実績を見て評価をしていただきたい。私どもは、この連立政権は新しい政治をつくっていくために十分国民の期待にこたえ得るものだと確信をいたしておるところでございます。(拍手)
 さらに、自衛隊に関する憲法上の位置づけについてのお尋ねがございました。
 これは先ほども答弁を申し上げたとおりでございますが、私としては、専守防衛に徹し、自衛のための必要最小限度の実力組織である自衛隊は、憲法の認めるものであると認識するものであります。同時に、日本国憲法の精神と理念の実現できる世界を目指して、国際情勢の変化を踏まえながら、国際協調体制の確立と軍縮の推進を図りつつ、国際社会において名誉ある地位を占めることができるように全力を傾けてまいりたいと考えています。(拍手)
 本来、国家にとって最も基本的な問題である防衛問題について、主要政党間で大きな意見の相違があったことは好ましいことではございません。戦後、社会党は、平和憲法の精神を具体化するための粘り強い努力を続け、国民の間に、文民統制、専守防衛、徴兵制の不採用、自衛隊の海外派兵の禁止、集団的自衛権の不行使、非核三原則の遵守、核・化学兵器など大量破壊兵器の不保持、武器輸出の禁止などの原則を確立しながら、必要最小限の自衛力の存在を容認するという穏健でバランスのとれた国民意識を形成し得たものであると考えています。(拍手)
 国際的に冷戦構造が崩壊して、国内的にも大きな政治変革が起きている今日においてこそ、こうした歴史と現実認識のもとで、世界第二位の経済力を持った平和憲法国家日本が、将来どのようにして自国の安全を図るかという点で、よりよい具体的な政策を提示し合う未来志向の発想が最も求められている時期ではないかと考えるものであります。社会党においても、こうした認識を踏まえて、新しい時代の変化に対応する合意が図られることを期待いたしておるところでございます。
 次に、日米安保条約の必要性、位置づけはどうか、どういう質問でございました。
 冷戦の終結後も国際社会が依然不安定要因を内包している中で、我が国が引き続き安全を確保していくためには日米安保条約は必要であります。また、日米安保体制は、国際社会における広範な日米協力関係の政治的基盤となっており、さらに、アジア・太平洋地域における安定要因としての米国の存在を確保し、この地域の平和と繁栄を促進する上で不可欠であります。このような日米安保体制の意義と重要性についての認識は、政府が従来より一貫してとり続けてきた立場であり、外交の継続を標榜する私の政権としては、このような立場を引き続きとっていくことは当然だと考えています。(拍手)
 次に、与党の政策合意のあり方についての御質問でありました。
 今回の合意は、イデオロギー論争を超えた具体的な政策に即した合意であり、まさに各政党の自己変革のあかしであって、新しい連立と呼ぶにふさわしいものではないかと考えています。したがって、御批判は当たらないと思います。
 このことは、昨年八月に細川連立政権を樹立した際に、七党一会派、入党・会派が集まって政策の合意をし、連立政権を樹立してまいりました。しかし、その政治の手法等について、運営の仕方について意見が調わずに社会党は政権を離脱しました。そして、新しい連立政権をどうっくつていくかという問題についても、各党お互いに真剣な議論をやってきたところです。
 しかし、最終的に連立政権と社会党との合意が調わない状況の中で、私どもは、さきがけと同時に新しい連立政権を樹立する構想を打ち出して、各党・会派に提示をしてまいりました。自民党が、その社会党、さきがけの提示した新しい政権構想を吟味した上で、おおむね了解をするという態度をとっていただきましたので、その政策に基づいて新しい政権が樹立されたのでありまして、一夜にして合意をした、こういう野合的なものでないことは、はっきり私は申し上げておきたいと思います。(拍手)
 次に、さきの大戦は侵略戦争であったのか、戦争史観というものについてのお尋ねがございました。
 侵略戦争という用語の意味についてはいろいろな御議論もあると思われますが、先般の所信表明演説において述べたとおり、私は、我が国の侵略行為や植民地支配などが多くの人々に耐えがたい苦しみと悲しみをもたらしたことへの認識を新たにしながら、深い反省の上に立って、不戦の決意のもと、世界平和の創造に今後とも力を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。(拍手)
 次に、国旗・国歌に対する姿勢についてのお尋ねがございました。
 国旗・国歌については、長年の慣行により、日の丸が国旗、君が代が国歌であるとの認識が国民の間にも定着しており、私自身もそのことを尊重してまいりたいと思っています。(拍手)しかし、国旗の掲揚、国歌の斉唱については、本来強制すべきものではないと考えておりますが、石田議員の御意見についてはよく承りました。
 次に、靖国神社への閣僚の公式参拝についてお尋ねがございました。
 靖国神社への閣僚の公式参拝とは、内閣総理大臣その他の国務大臣が公的資格で行う参拝のことでございます。内閣総理大臣の靖国神社公式参拝は、昭和六十年八月十五日に実施されましたが、昭和六十一年以降は、諸般の事情を総合的に考慮し、差し控えられているところでございます。公式参拝は制度化されたものではございません。今後、公式参拝を実施するかどうかは、その都度諸般の事情を総合的に考慮し、慎重かつ自主的に検討した上で判断すべきものであると考えているところでございます。(拍手)
 次に、区割り法の年内施行についてのお尋ねがございました。
 政治がその原点に立ち返り、国民の不信を払拭することが今ほど求められているときはございません。このためには、まず政治倫理の確立が何よりも重要と考えています。同時に、制度面の改革について、今までの成果を推し進め、なお努力を重ねることが必要であり、このため、今後の総選挙が新制度で実施できるよう、審議会の勧告を得て速やかに区割り法案を国会に提出し、その成立を図り、選挙制度及び政治資金制度の改革を早期に実現させなければならないと考えています。
 また、選挙区を決める法律が成立し、公布された場合、その施行をいつからとするかについては、選挙区を決める法律の附則において規定することになりますが、この点については、各党の御意見等も踏まえながら、法案提出時点で判断をさせていただきたいと考えています。
 臨時国会の召集についてお尋ねがございました。
 これは、先ほども御答弁申し上げましたが、小選挙区の区割りについては、過日、衆議院議員選挙区画定審議会が発足をし、現在、公正中立に鋭意審議が行われていると承知をいたしておりますが、政府としては、勧告が行われたときは、勧告を尊重して関連法案を早急に提出し、次回総選挙が新しい制度のもとで実施できるよう、可能な限り早い時期の成立を目指してまいりたいと考えています。したがって、現段階で臨時国会の召集時期について政府として云々すべきではないと考えます。
 次に、北朝鮮についての御質問でございます。
 金日成主席が亡くなられて後、追悼行事が粛々ととり行われたほか、現在のところ、軍事面を含め北朝鮮において特段の動きは見られないと思います。北朝鮮の情勢は、金正日後継体制に向けて動いていると考えています。
 現在、米朝協議はとりあえず中断し、南北首脳会談は延期されているところでございますが、北朝鮮が米朝協議の早期再開及び南北首脳会談開催に積極的に対応し、北朝鮮の核兵器開発問題の対話による解決に向けて進展が図られることを強く期待しているところでございます。いずれにせよ、今後の事態の推移について慎重に見きわめてまいりたいと考えています。
 北朝鮮に対する国連の経済制裁的な措置などについてのお尋ねがございました。
 北朝鮮の核兵器開発問題については、金日成主席の死去に伴い一時中断しているとはいえ、米朝協議、南北首脳会談への動き等、関係諸国が協力して対話による解決を目指した努力が行われているところでございまして、このような時点において、御質問のような点について政府として公の場で議論することは、こうした外交的努力に好ましくない影響を及ぼすものと考えております。
 なお、一般論として申し上げれば、国連安保理で何らかの措置が決定された場合には、我が国としても憲法の範囲内で責任ある対応を示してまいりたいと考えています。
 次に、北朝鮮の核開発問題については、対話を中心として平和的手段による解決を目指すべきであるという御指摘でございますが、今もお答え申し上げましたとおり、北朝鮮の核兵器開発問題につきましては、今後の米朝協議及び南北対話を通じて、北朝鮮がNPTに完全に復帰し、特別査察を含めIAEA保障措置協定を完全に履行するとともに、南北非核化共同宣言を実施するととにより、核兵器開発に対する国際社会の懸念を払拭することを期待いたしておるところでございます。そのために、我が国としても、今後とも韓国及び米国や中国を初めとする国連安保理事国等の関係国と緊密に連絡を保ちながら、あくまでも対話による本件問題の解決のため最善の努力を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、私の訪韓についてのお尋ねがございました。
 今回の訪韓では、金日成主席の死去後の朝鮮半島情勢を中心とする最近の国際情勢や日韓関係の維持強化等について金泳三大統領との間で率直な意見交換を行い、とりわけ、自由、民主主義、市場経済という基本的な価値を共有する日韓両国の友好協力関係は不変であることを改めて確認してまいりたいと考えています。
 現在の円高をどう分析し、その原因をどう認識しているのかというお尋ねでございます。
 為替市場の動向につきましては、最近不安定な動きが見られるところでありますが、ナポリ・サミットにおいて各国の間で共通の認識が確立されたように、我が国としても、最近の為替レートの動きは経済の基本的条件と整合的でなく、米ドルの一層の低下は望ましくないし、かつ正当化されないという認識を持っているところでございます。
 また、円高の影響についてのお尋ねがございました。
 円高は、輸出入の両面から経済に影響を与えるが、急激な円高は、輸出産業の円建ての手取りを減少させ、企業収益を圧迫することから、企業活動に悪影響を与え、このところせっかく明るい動きが見えてきたにもかかわらず、景気の動向に深刻な影響を与える懸念がございます。現時点において、こうした円高が我が国経済に与える影響については、我が国経済は、総じて低迷が続いているものの、このところ明るい動きが広がってきており、大規模な所得減税の実施に加え、平成六年度予算の本格的な執行に伴う効果が期待されていること、また本年は昨年のような冷夏、長雨という特殊要因は今のところ見られていないことなどの点も考慮に入れつつ、当面、経済の諸情勢や為替の動向に細心の注意を払っていく必要があると考えているところでございます。
 次に、内需拡大についてのお尋ねでございます。
 我が国経済を本格的な景気回復軌道に乗せ、今後の新たな発展の基礎を築くために、経済及び為替の動向に細心の注意を払いながら、引き続き内需を中心とした持続的成長の確保に努めるとともに、規制緩和を初めとする国内経済改革の方針を強力に実施してまいる所存でございます。特に、先般取りまとめました二百七十九項目の規制緩和策を速やかに推進するとともに、将来の新規産業分野への参入の促進や内外価格差の縮小による購買力の向上などの視点も考慮しながら、五年間の規制緩和推進計画を本年度中に策定することにより、一層の規制緩和を実施してまいる所存でございます。また、こうした規制緩和の実施に加え、低生産性部門の生産性の向上、商慣行の是正等、各般の施策を実施することによって、内外価格差の是正・縮小を図ってまいりたいと考えているところでございます。
 次に、今回の日米包括経済協議についてのお尋ねがございました。
 日米包括経済協議が日米経済関係を処理する主要な手段である点について日米間で意見の一致を見ており、五月の協議再開以来、優先分野の交渉において着実な進展が見られておるところでございます。包括経済協議の合意に期限は付さないことになっておりますが、今後とも精力的に協議を進め、できる限り早期の合意に向け日米双方が努力していかなければならないと考えています。
 客観的基準については、進展状況を評価するために用いられるものであり、数値目標でないことにつき日米間で本年五月に共通の理解に達しているところでございます。このような共通の理解に立ち、両国が誠意を持って議論を深めつつ、双方が受け入れ可能な決着を目指して、今後一層努力してまいりたいと考えているところでございます。
 さらに、税制改正の全体像についてのお尋ねがございました。
 私は、所信表明演説でも申し上げましたように、税制改革については、「活力ある豊かな福祉社会の実現を目指し、国・地方を通じ厳しい状況にある財政の体質改善に配慮しつつ、所得、資産、消費のバランスのとれた税体系を構築すること」を重要な課題と考えています。このため、行財政改革の推進や税負担の公平確保に努めるとともに、平成七年度以降の減税を含む税制改革につきましても、総合的な改革の論議を進め、国民の御理解を求めながら、年内の税制改革の実現に向けて努力をしてまいる所存でございます。
 増減税の処理についてのお尋ねもございました。
 税制改革を進めていくに当たりまして、景気の観点から増減税の実施時期にインターバルを置くことは当然でありますが、税制改革は増減税全体について議論を進め、成案を取りまとめるべく努力をいたしておるところでございます。いずれにせよ、平成七年度以降の減税を含む税制改革につきましては、総合的な改革の論議を進め、国民の理解を求めながら、年内の税制改革の実現にこれからも一層努力してまいる所存でございます。
 次に、社会党の消費税に対する態度についての御質問がございました。
 今後、社会党を含む与党において、消費税を含む総合的な税制改革の協議が進められておりますが、その協議の中で具体的な方向が出されるものと確信をいたしております。
 次に、行政改革の規模、スケジュール等についてお尋ねがございました。
 行政改革の推進は、国政上の重要課題の一つであると認識しておりますが、引き続き各般の改革を積極的に推進してまいる所存でございます。すなわち、規制緩和の推進につきましては、今御質問をいただきました石田前総務庁長官の御意思も尊重しながら、先般閣議決定した規制緩和推進要綱等の着実な実施に努めるとともに、平成六年度内に五年間を期間とする規制緩和推進計画を策定いたしまして、積極的かつ計画的に取り組んでまいる所存でございます。その他、地方分権、行政情報公開、行政組織・特殊法人等の改革合理化など各般の改革課題についても積極的に取り組み、実りのある成果をおさめるべく努力を払ってまいる決意でございます。
 行政改革委員会設置法及び情報公開制度についてのお尋ねでございましたが、行政情報公開制度につきましては、去る二月に閣議決定された行革大綱において、新たに設置する行政改革委員会において調査審議を行うこととされており、行政改革委員会設置法案が国会に提出をされ、継続審議とされているところでございます。行政改革委員会設置法案についての今後の国会での御審議の状況を踏まえながら、本問題について適切に対応してまいる所存でございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
    〔国務大臣河野洋平君登壇〕
#19
○国務大臣(河野洋平君) 尊敬する石田委員長のお尋ねではございますけれども、政策の隔たりについては、先ほどの総理の御答弁をお聞きいただけば御心配には及ばないと存じます。
 私に対しての、以下若干の御質問がございました。
 おまえは旧連立政権を野合と言って国会で批判したじゃないか、こういう御指摘がございましたが、私は過去三回、この壇上から旧連立政権に対して代表質問をさせていただきました。しかし、私は三回とも野合などという言葉で非難をしたことはございません。むしろ、先ほど委員長が引用なさいました八月二十五日の質問では、連立政権に対しまして、「政党政治の妙味は、二つ以上の政党の切磋琢磨によって国民の利益を増進させることにあると思っておりますから、政権交代は、下野する我々にとって極めて残念なことではありますが、大局に立って、積極的な意味合いを評価したい」ということを申し上げていることを、ぜひ思い出していただきたいと思います。
 第二に、我々は、旧連立与党が経験された試行錯誤を糧として、国民のためになる政治を今後とも懸命に努力をして実現をしたい、そのために十分チームワークにも気をつけてまいりたいと考えておりますことを申し上げたいと存じます。(拍手)
 次に、第一党の党首でありながら、なぜ社会党の党首を支持したのか、こういう御質問がございました。
 しかし、私は、石田委員長の公明党も新生党も、それならなぜあの当時与党第一党の社会党の党首を担がなかったのかということをお聞きしなければならないと思うのございます。私たち自由民主党は、我が党の基本政策を各党にお示しをいたしまして、合意に達した日本社会党及び新党さきがけとの間で、話し合いによりまして村山さんを首班と仰ぐこととした次第でございます。これ以上申し上げる必要はないかと思います。
 昭和における戦争についての評価いかんというお尋ねがございました。
 我が国の侵略行為や植民地支配などが多くの人々に耐えがたい苦しみと悲しみをもたらしたことを認識して、深い反省の上に立って、不戦の決意のもと、世界平和の創造に力を尽くしていく、これが私どもの考え方でございます。
 北朝鮮に対しましてお尋ねがございましたが、総理からすべてお答え申し上げたとおりでございます。私ども外務省といたしましては、さらに情報の収集に全力を尽くしたいと考えておりますことを申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣武村正義君登壇〕
#20
○国務大臣(武村正義君) 自由民主党に対する認識の違いがあると思います。要するに私は、自民党は変わりつつあるし、真剣に変わろうとされている、こういうふうに認識をいたしております。
 確かに、さいの河原の石積みということを政治改革に関してかつて申し上げたことがあります。しかし、その自民党が、この一月は、河野総裁と当時の細川総理との歩み寄りの中で、この国会で大変難しい政治改革を実現する運びになった片方の主役であったわけであります。そういう意味ではこの政治改革の実現に大きな役割を果たされている。どういう変化を率直にやはり認識をすべきであると思うのであります。
 ぜひ、みずからに厳しく他に優しく、他の政党にやはりそれなりの客観的な目を持って好意的な見方をすることも必要でありますし、お互い唯我独尊にならないように気をつけていきたいと思うのであります。(拍手)
 税制改革につきましては、もう総理が答弁されました。活力ある豊かな福祉社会の実現を目指すということが第一点。同時に、財政の体質が悪いということも認識しながら、所得、資産、消費のバランスのとれた新しい税体系を構築していくという考えであります。行財政改革の推進、税負担の公平確保に努めながら、平成七年度以降の減税を含む税制改革について、総合的な改革の論議を進め、国民の理解を求めながら、年内の税制改革の実現に努力をしてまいります。
 一体で処理するかどうかということでございますが、これも総理からも答弁がございました。景気の観点から増減税の実施時期に一定期間を置くにせよ、税制改革は全体について議論を進め、成案を取りまとめるべく努力をしてまいります。ベンツェン財務長官の発言は、そういう意味で、増減税の実施に景気を挟んで一定期間を置くという私の説明をいたしました考え方を踏まえたものでありまして、政府の方針に反する発言であったとは思っておりません。(拍手)
     ────◇─────
#21
○村上誠一郎君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明二十一日午後一時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。
#22
○副議長(鯨岡兵輔君) 村上誠一郎君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○副議長(鯨岡兵輔君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十二分散会
     ────◇─────
ソース: 国立国会図書館
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