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1994/07/21 第130回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第130回国会 本会議 第3号
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1994/07/21 第130回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第130回国会 本会議 第3号

#1
第130回国会 本会議 第3号
平成六年七月二十一日(木曜日)
    ─────────────
 議事日程 第三号
  平成六年七月二十一日
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
    ─────────────
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)
 裁判官訴追委員の予備員の選挙
 検察官適格審査会委員の選挙
 国土開発幹線自動車道建設審議会委員の選挙
 国会等移転調査会委員の選挙
 国土審議会委員の選挙
 日本ユネスコ国内委員会委員の選挙
 国立国会図書館の館長の任命承認の件
    午後一時三分開議
#2
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。
     ────◇─────
 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)
#3
○議長(土井たか子君) 国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。米沢隆さん。
    〔米沢隆君登壇〕
#4
○米沢隆君 私は、改新を代表して、村山新総理大臣の所信表明演説に対し、総理並びに関係大臣に質問を行います。
 さて、今回の村山新政権の誕生ほど、国民が驚き、やがて戸惑い、そして永田町のわかりにくさを露呈した政治的出来事はありません。
 自民党と社会党は、保守革新の両極としてイデオロギーも憲法観も基本政策も異なります。社会党は、つい一年前まで、日米安保条約反対、米軍基地反対、そしてPKO法案反対というように、自民党に対し徹底して抵抗し続けてきた政党でありました。両党のこの不毛の対立と対決の歴史が、五五年体制を支え、金権腐敗の自民党一党支配政治につながったのであります。このような両党が、総理が言われるように、いかに冷戦が終結し保革対立の時代が終わったとはいえ、連立を組むなどということは、だれが想像し得たでありましょうか。
 さらに、国民を驚かしたのは、総理の昨日の答弁であります。総理は昨日「自衛隊は憲法の認めるものであると認識する。日米安保体制を評価し、これを堅持する」と明確に答弁されました。私は、我が国の政治のため、総理の判断を高く評価するものであります。(拍手)
 しかしながら、昨日の答弁につき、総理は、内閣を統括する者の立場に立って、個人として判断したものだと弁解されておられます。しかし、そう聞けば聞くほど、今回もまた党首と総理との立場の使い分け、政権を維持するためだけのものではないかという危惧の念を持たざるを得ないのであります。(拍手)国民は、便法としての判断ではなく、社会党を含めて、あなたの判断に立つということこそ求めているのではないでしょうか。
 そこで、社会党の党首としての総理に伺います。
 一つ、政策は政党の命であり、政党の存在意義そのものであると言われます。したがって、今回の基本政策の変更を、総理個人の判断にとどめるのではなく、社会党の政策変更にまで高め、国民の前に明らかにすべきではないか。
 二つ、自衛隊について、これまでの違憲論からどうして今合憲論に変わったのか。その理由は、内閣を統括する者としての立場に変わったからだけなのか、それともほかに理由があるのか。
 三つ、日米安保体制の堅持を明言したことにより、社会党は旧来の在日米軍基地反対闘争はしなくなるのか、あるいは総理自身米軍基地の存在についてどう考えるのか。
 以上、明らかにしていただきたい。
 総理は、所信表明演説において、思想やイデオロギーの対立に基づく対立の時代が終わったと説き、新政権を正当化しようとしておられます。しかし、社会党が今日まであれほど批判されてきた政官業の癒着に根差す自民党の腐敗体質に触れることを意識的に避けておられるのであります。政治腐敗の自民党政権の打倒こそ、社会党のこれまでの目標であり、国民への公約でありました。
 自民党が野に下った昨年以降においても、この見地から自民党一党支配政治の再現の阻止を公約され、この五月末の中央委員会においては、「現在の自民党との連立政権は構想せず、自民党亜流政権も認めないという基本に立って、自民党の政権戦略、リーダーシップの確保につながる協調行動は選択しないことにします。」と明言しておられます。その舌の根も乾かないうちに自民党と連立を組むということは、公約に反し、国民の信頼を裏切るものだと断ぜざるを得ませんが、ことし五月以降、自民党の体質はどう変わったから連立もよしという結論に至ったのでしょうか。村山総理の見解を求めます。(拍手)
 次は、自民党総裁である河野外務大臣にお伺いします。
 内閣総辞職という形で与党が政権を離れた場合、当然、野党第一党としての自民党がみずから政権構想を示し、みずから首班候補を立てて政権獲得の努力をするのが憲政の常道でありましょう。それこそ、戦後三十八年間政権を担ってきた自民党の総裁としての当然の責務であります。しかしながら、河野総裁はその努力を最初から放棄し、社会党と新党さきがけの政策協定を丸のみし、社会党の総理候補を担ぎ、何が何でも数の論理のみでやみくもに政権への復帰を図ったのであります。自民党の吟持はどこにいったのでありましょうか。まじめな自民党員を侮辱するも甚だしいと言えましょう。
 そこで、河野総裁にお伺いします。
 今回の政変において、なぜ第一党としてみずから首相候補とならなかったのか、それともなれなかったのか。社会党の候補を担いだ目的と理由は何かについて明らかにしていただきたい。
 また、自民党は、党大会等において、細川連立政権に対し、政策の一致なき政権は野合政権であると批判されました。私は、憲政の常道を無視し、無原則かつ無節操に政権取りに走った今回の政権こそ、あなたが言われた野合政権以外の何物でもないと考えるのでありますが、河野外務大臣
の明快なる答弁を求めます。(拍手)
 今回の村山新政権の誕生に際しては、新党さきがけが自社両党の間を取り持ち、政権の樹立に多大な貢献をされました。しかしながら、新党さきがけは、自民党政権のもとでは政治の改革は不可能だとして、自民党を離党して結成された政党であります。細川政権時代には政権運営の密室性、不透明性を指摘され、羽田政権のもとでは閣外に去られました。その新党さきがけが、基本政策のすり合わせのないまま、自民党の政権復帰を率先して働きかけた行動こそ不透明、不明朗であり、あなたが批判してやまなかった永田町の論理そのものではありませんか。(拍手)今回の新党さきがけの言行不一致の行動に対し、国民は不信を強めております。党首としての武村大蔵大臣の見解を伺います。
 次に、政治改革についてであります。
 我々は、細川政権時代に、皆さんとともに政治改革法案を成立させ、国民への公約を果たすことができました。我々の使命は、小選挙区の区割り法案の一日も早い成立を図り、次の総選挙を新しい選挙制度で実施することにより、政治改革を完結させることにあります。
 しかし、国民は、多くの政治改革反対議員を抱え、政治改革法案に多くの造反議員を出した自社中心の村山内閣は、現行の中選挙区制での総選挙を実施し、結果として政治改革つぶしに走るのではないかという強い疑念を持っております。私もまた、区割り法案と政党法を絡ませるのかどうか不透明なこと、総理が所信表明において区割り法案の提出は約束したが成立への努力には一言も触れられなかった姿勢から、その疑念を強く持つものであります。総理、この疑念を払拭するため、区割り法案を一日も早く成立させ、適切な周知期間の設定の上、新しい制度で次の総選挙は実施し、国民の信を問うべきことを強く求めるものであります。(拍手)
 政治改革の問題に関連し、私は、自民党の政権復活により政官業の癒着が再び強められようとしていることを指摘したいと思います。
 それは、自民党が来年の参議院選挙に向けて、過去の政権党時代に行った政府が持つ許認可権をてこにした官庁ぐるみ、業界ぐるみの党員集め、金集め、組織的な選挙運動を再び展開しようとしている動きが伝えられているからであります。政官業の癒着こそ金権腐敗の自民党政治の典型であり、その改革こそ我々が政治改革に求めたものであります。(拍手)総理、政治改革に逆行する自民党の行為は、いかにパートナーであるとはいえ、断じて認めてはなりません。総理の明快なる答弁を求めます。
 次に、ナポリ・サミット及び日米首脳会談について質問いたします。
 村山内閣が誕生してわずか八日後、日本外交にとって重要な先進国首脳会議がナポリで開催されました。総理は、体調不安による入院というハプニングがあったとはいえ、会議を無事乗り切り、まずまずの成果を得たと判断されているようでありますが、私は、今回は外務官僚の用意したシナリオを事務的にこなしただけであり、政治的には国内外に不安と不信を残しただけではなかったかと危惧いたしております。
 村山総理は、新政権に対する不安を打ち消すことだけに力を注ぎ、何一つ自分の言葉を語り得ませんでした。今回のサミットは「雇用と成長」が主テーマだったと伺っておりますが、具体的に何が決まり、そのため日本は何をすることになったのでしょうか。また、官僚が用意した既定路線ではなく、村山総理自身の提言と決断によって何か決まったことがあったのでしょうか。総理の明快な答弁を求めます。
 我々は、サミットに先立つ党首会談において、急激な円高・ドル安防止のため各国に政策協調を求めることを強く要請いたしました。しかし、結果は、円高・ドル安防止に向けた協調体制を確立できなかったどころか、そもそも為替政策における先進国間の政策協調を主要議題にのせることさえできませんでした。夏のボーナス商戦で百貨店やスーパーにもようやく客足が戻り、一部に景気回復の兆しが見え始めたやさき、一ドル百円の大台を突破する急激な円高が日本列島を襲ったのであります。国民は、サミットや日米首脳会談において有効な手だてが講じられるのではないかと会談の行方を見守っておりました。しかし、国民の期待は裏切られました。その後の一層の円高・ドル安の進行は、サミットの結果を受けたものであることは一目瞭然であります。
 さらに驚くべきことは、新政権はサミット後も円高の進行に唖然としたまま、何ら積極的、具体的な手を打とうとしていないことであります。このままでは、景気回復の兆しの中で希望を取り戻しつつあった企業家マインドを暗転させ、ただでさえ不振の設備投資の足を引っ張り、景気回復をおくらせることは火を見るより明らかであります。また、企業の海外移転を一層促進し、産業の空洞化と深刻な雇用不安を招くことが予想されます。総理は、「成長と雇用」のためのサミットに参加しながら、全く逆の結果をもたらそうとしているのであります。かかる事態を招いた責任を総理はどのように受けとめ、今後、円高防止のためどのような具体的な措置を講じられる方針か。
 また、基本的には、国際通貨面でも変動相場制の欠陥を是正するために、今やブレトンウッズ体制の基本に立ち返り、国際通貨制度の改革、再構築を図るときではないかと考えますが、御見解を承りたい。
 急激な円高がようやく回復の兆しを見せつつある景気の芽をつぶさないためにも、円高・不況対策を緊急に実施すべきであります。円高・ドル安防止に向けた日銀のドル買い支え策、既に円高の被害を受け、あるいは一層の被害が拡大している産業や地域を重点とした公共投資の追加や政府系金融機関の融資制度の拡充、円建て輸出促進策、新産業の創出、中小企業の技術開発・新分野進出などを中心とした経済対策を早急に決定し、実現のための補正予算の編成も検討すべきであります。村山総理の決意をお伺いしたい。
 日米首脳会談において、村山総理は、前政権の基本政策の継承、減税の継続、公共投資拡大による内需拡大、貿易黒字縮小への努力などの意思を表明し、日米安保体制堅持の方針を示して、両国の友好関係を確認し合ったことを評価されております。
 しかしながら、クリントン大統領が「言葉だけではなく実行が大切だ」と厳しい注文をつけた事実が示しますように、新政権に対する評価は今後の具体的な行動をもって判断するというまことに厳しいものでありました。総理には、米国に約束した減税の継続実施、公共投資の質量の見直し、規制緩和による市場開放等について、官僚任せにするのではなく、総理自身の決断と指導力によって実現していく責任があります。同時に、日米包括協議は依然として迷走が続いておりますが、一体いつごろ合意に至る見通しか、総理の決意と今後の方針についてお伺いをいたします。
 次に、高齢化社会に対応する税制改革について質問します。
 高齢化が急速に進展することに対応し、老後に不安のない、生き生きとした福祉社会づくりが強く求められています。特に、寝たきり老人の介護対策に不安のない社会をつくり上げるため、早期に新ゴールドプランを策定し、現行の数量目標の大幅な引き上げを行い、介護を必要とするだれもが、いつでも、どこでも必要なサービスを身近に手に入れることのできる体制を目指すこと、さらに、保健・福祉、雇用、教育、住宅等広範な分野を網羅した子育て支援のためのエンゼルプランを策定し、保育サービス等を身近でいつでも利用できる体制を目指すべきであります。この福祉ビジョンを実現することが税制改革の大前提であります。
 村山総理は、ナポリの日米首脳会談で、来年度
以降も同程度規模の減税を継続すると約束いたしました。我々も、減税の継続は当然であり、住宅や教育などの負担に苦しむ年収一千万円以下の中堅サラリーマンに重点を置いた制度減税の実施を強く主張いたします。しかし、日本の厳しい財政事情について真剣に考えることなく、外国からの圧力を口実として財源対策をおくらせることは許されません。
 まず、武村大蔵大臣にお伺いします。
 報道されているように、大臣はアメリカに財源対策の棚上げを本当に約束したのかどうか、その真相を明らかにしていただきたい。
 村山政権樹立に向けた六月三十日の自民、社会、さきがけの合意は、「所得税・住民税減税を継続実施する」と明言しつつ、「間接税の税率引き上げなど、現行消費税の改廃を含む総合的改革案を提示し、国民の理解を求めて、今年中に関連法案を成立させるよう努力する。」とうたつています。つまり、所得減税は続けるが、間接税率引き上げや全体の改革はできたら先送りしたいという趣旨が色濃く出た内容となっております。きのうの答弁においても、総理は努力を強調するばかりで、年内実現を約束されませんでした。
 国民は、各党間の政策が大きく異なる新政権では、政権維持のため、重要な政策課題の解決は衝突を避けるため先送りされるのではないかという素朴な疑問を抱いております。総理は、国民のこの疑問を晴らすためにも、抜本的税制改革を年内に実現することをこの場において国民にはっきりと約束すべきであると考えますが、総理の明快な見解を求めます。(拍手)
 抜本的な税制改革は、勤労者の税負担軽減や高齢化、子供の少なくなった社会に対応した福祉政策の充実に加え、生活関連の社会資本の計画的な整備、二百兆円を超える国債の償還なども視野に入れて取り組むべき課題であります。当然、行財政改革の断行や歳出の抜本的見直し、消費税の欠陥是正、不公平税制の是正、総合課税体制の確立のため、政府は最大限汗をかかなくてはなりませんが、正直言いまして、何兆円もの財源を生み出すのは大変困難だと思います。九三年度は一兆六千億円税収が不足をし、戦後初めて二年連続歳入欠陥が発生するほど我が国の財政事情は困難をきわめております。
 今までは、野党が人気取りのため無理な要求を突きつけ、政府がこれを突っぱねるという論議が一般的でありました。しかし、これからは与野党を問わず、政治は社会のために正しいと信じたことをはっきり言うべき時代ではないでしょうか。この観点から、国の財政や未来の世代に責任を感じるならば、政府は財源対策も含めて一体的に法案を処理するのが筋だと思います。村山内閣の抜本税制改革に関する考え方について、総理及び大蔵大臣から責任ある答弁をいただきたい。
 次は、行政改革についてであります。
 行政改革は、政権の行方がどうであろうと、今日の国政の最も重要な課題であります。いまだ厳しい経済情勢のもと、民間企業が血のにじむリストラを断行する中、政府だけがひとり改革を怠ることは許されません。また、行政改革は、税制改革、経済改革等の改革の大前提となるものであります。この点、国民は、政官業の癒着に手を染めてきた自民党が中心の内閣で本当に行政改革ができるのか、率直に疑問を抱いております。政府は、規制の大幅緩和に加え、特殊法人の整理、地方分権の推進、地方出先機関の整理等の行政改革を国民の目に見える形で計画的に進めるべきであります。今後の行政改革の具体的進め方について、総理の方針を伺います。
 さらに、武村大蔵大臣は、行革の財政支出削減に関する数値目標策定を事務当局に指示したと伝えられておりますが、具体的な歳出カットに結びつく行革に本気で取り組むおつもりか、行革を増税をおくらせるための逃げ口上に使っているだけではないかという批判もあります。この点について、総理及び大蔵大臣の答弁をいただきたい。
 次は、外交・防衛についてお伺いします。
  まず、北朝鮮の核疑惑についてであります。
 先日の米国カーター元大統領と北朝鮮の金日成主席との会談の結果、北朝鮮の核開発疑惑については話し合いによる解決を目指すことになり、この問題は今のところ小康状態を保っております。しかしながら、問題は何ら解決していないのであります。金日成の突然の死去により、金正日体制がしかれようとしておりますが、その出方も全く不透明であります。
 政治の最高の責務は、最悪の事態に備えて危機管理体制を整え、その上で、最悪の事態を避けるために全力を尽くすことであると確信します。話し合い解決に期待するばかりで制裁や有事に備えた体制の確立を怠るのでは、国民は安心して政権を任せるわけにはまいりません。そこで、総理、金正日体制になって、北朝鮮は今後どういう態度で出てくると予測されておるのか。また、国連の決めた制裁措置に対し憲法の範囲内で協力するというならば、シビリアンコントロールの見地から、その具体策については事前に国会で十分論議すべきではないかと考えますが、見解を伺います。
 また、北朝鮮の核開発疑惑に加え、金日成主席が逝去し、今、世界各国の関心が朝鮮半島に集中しております。我々は、平和で共存できる朝鮮半島をつくるため、隣国として深い関心を持ち、かつ協力していかねばならないと考えます。しかし、村山総理を党首とする社会党は、これまで朝鮮労働党と極めて親密な関係を持ち、韓国とは日韓条約調印に党を挙げて反対運動を展開するなど、北に一方的に偏した態度をとってきたことは周知のとおりであります。
 そこで伺います。
 一つ、亡くなられた金日成主席については、内外からさまざまな歴史的評価があり、サミット諸国では弔意を表さない国が相次いでおりますが、総理としてはどのような立場でおられるのか。金日成体制の歴史的評価をあなたはどう考えておられるのか。
 また、総理は近々韓国を訪問する予定と伺いますが、韓国は金日成主席を過去の不幸な事件の責任者として弔意を表さず、弔問団も派遣しておりません。総理は、韓国国民のこの感情をどのように受けとめ訪問されるおつもりか、伺いたいと存じます。
 日米関係は我が国外交の基軸であり、村山総理は、先般の日米首脳会談において日米安保条約を引き続き堅持する旨の発言を行ったことは当然でありますが、今後も、政府として日米安保体制の信頼性向上のための努力を続けていくべきであります。しかし、日本社会党は綱領に当たる新宣言でも非同盟・中立を掲げておられます。非同盟・中立と日米安保条約とは二律背反であり、どちらか一方をとれば他方は否定しなければなりません。村山総理はどちらを選択し、どちらを捨てようとされているのか、明快な答弁を求めます。
 これまでの外交・防衛政策を継承するという基本姿勢は当然であるといたしましても、北朝鮮情勢に典型的に見られますように、変化の激しい世界の動きに、機敏に、また果断に新たな政策判断を行い、実行する体制なくして、日本が国際社会で信頼される国際国家に脱皮することはできない時代となっているのであります。ハト派内閣という耳ざわりのいいキャッチフレーズは、結果的に、世界各国が取り組んでいる国連を中心とした新世界秩序の構築という平和活動への取り組みにややもすると消極的になり、日本を孤立の道に追いやることになるのではないかとの危惧の念を強く持つものであります。
 特に最近、政府・与党の中には、我が国の国連安保理事国入りに否定的な意見が強いように見受けられますが、これは国際社会での責任ある立場を放棄するものではないかと考えます。最近、ドイツでは憲法裁判所がPKOなどへのドイツ連邦軍の海外派遣は合憲であるとの判断を下し、常任理事国への道が大きく開かれました。常任理事国入
りとは、我が国が軍事大国になることを意味するものではなく、国連の中心的な国家として、国連憲章や憲法前文の言う平和主義を現実のものとするために可能な限りの責任と役割を担う決意を示すものであると考えるのでありますが、総理の明快な答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
#5
○内閣総理大臣(村山富市君) 米沢議員の御質問に逐次お答えを申し上げていきたいと思いますが、まず最初の質問は、自衛隊合憲、日米安保政策に対する私の決断について、党としての政策変更にまで高めるべきではないか、こういう意味の質問がございました。
 社会党の今後の安全保障政策につきましては、平和憲法の理念を具体化するために活動してこられた社会党の歴史を踏まえつつ、冷戦構造が崩壊した新しい時代の変化に対応した新しい政策を党の機関でこれから十分議論をされ、決定されるものと期待をいたしておるところでございます。
 次に、私自身が自衛隊違憲論から合憲論に変えた理由についてお尋ねがございました。
 戦後、社会党が平和憲法の精神を具体化するために粘り強い努力を続けてきたことが、国民の間に、文民統制、専守防衛、自衛隊の海外派兵の禁止、非核三原則の遵守、武器輸出の禁止などの原則を確立することによって必要最小限度の自衛力の存在を容認するという、いわば歯どめとして穏健でバランスのとれた国民意識を形成してきたものであると考えています。
 しかし、国際的には冷戦構造が崩壊し、国内的にも大きな政治変革が起きている今日においては、私は、こうした歴史と現実認識のもとで、平和憲法国家たる日本が、将来どのように国際平和の維持に貢献をし、どのように自国の安全を図るのかという点で、よりよい具体的な政策を提示し合う未来志向の発想が最も求められていると考えたからでございます。(拍手)
 次に、在日米軍基地の存在と反対運動についてのお尋ねがございました。
 日米安保条約を堅持することにつきましては既に申し上げたとおりでありますが、施設、区域使用も含め、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を図ることはもちろん重要であります。同時に、基地周辺地域及び住民の安全と環境を維持することにつきましても十分留意しなければならないと考えておるところでございます。
 次に、自民党の体質がどう変わったから連立もよしとの結論に至ったのかというお尋ねでございます。
 このたびの新政権の誕生に当たりまして、社会党と新党さきがけの政策合意について自民党においても十分御審議をいただき、基本的に御了承をいただいたところでございます。したがって、政策を中心にして、合意に基づいて連立政権がつくられたというふうに御理解をいただきたいと思うのです。(拍手)これにより、イデオロギー論争を超えて改革を推進する政権を目指すということになったと考えております。このような三党の自己改革こそが新しい政治を切り開いていく重要な基礎をなすものだと考えているところでございます。(拍手)
 次に、総選挙についてのお尋ねがございました。
 小選挙区の区割りにつきましては、衆議院議員選挙区画定審議会において審議をいただいておるところでございます。政府としては、勧告が行われたときは、勧告を尊重して関連法案を早急に提出し、次回総選挙が新しい制度のもとで実施できるよう、可能な限り早い時期の成立を目指してまいりたいと考えているところでございます。私は、内外に課題の山積する今、一刻たりとも政治的空白は許されず、懸命の努力を傾けることこそが、この内閣の使命であると考えております。したがって、現時点で解散・総選挙は考えてはおりません。(拍手)
 次に、自民党の政権復活により政官業の癒着が強められようとしているとの御指摘がございました。
 このたびの政権は、社会、自民、新党さきがけ三党による連立政権でございます。我々が目指す政治は、まず国家あり、産業ありという発想ではなく、額に汗して働く人々など、生活者の気持ちに軸足を置いた政策を第一に考えるというものでございます。(拍手)私は所信表明でも述べましたが、金権腐敗の政治、癒着体質一掃に向けて、清潔な政治実現に向けて今後も一層頑張る決意でございます。(拍手)
 ナポリ・サミットについてのお尋ねがございました。
 今次サミットは、将来に向けての新たな展望と国際的な政策課題を示した重要かつ建設的な会合であったと考えています。今次サミットの主要課題は「雇用と成長」でしたが、我が国としても本問題を重視しておりまして、私からも積極的に我が国の雇用政策等について説明を申し上げました。首脳間の論議の結果、現在の世界経済の回復基調を持続していくことの重要性を確認するとともに、種々の構造改革措置についての具体的な政策目標を打ち出したことは、我が国の立場からも重要な成果であったと考えているところでございます。また、貿易、環境等幅広い分野での論議がありましたが、特に途上国問題について、我が国の積極的な主張をも踏まえ、開発援助拡大努力に向けた決意がうたわれたことも重要であったと考えているところでございます。
 次に、円高防止策についてのお尋ねでありますが、為替市場の動向につきましては、ナポリ・サミットにおいて各国の間で、最近の為替レートの動きは経済の基本的条件と整合的でなく正当なものではない、米ドルの一層の低下は望ましくなく、かつ正当化されないものであるとの認識で一致したところでございます。政府としては、各国がこのような共通の認識に立って協調して行動することが為替市場の安定にとっても最も重要なことであると考えております。
 また、今や国際通貨制度の改革、再構築を図るときではないかとの御意見でありますが、一九七三年に主要国通貨が変動相場制に移行してから、国際通貨制度のあり方についてさまざまな議論が行われてまいりました。一九八五年の十カ国蔵相・中央銀行総裁会議の報告にもありますように、現状におきましては変動相場制にかわる制度は見出しがたいというのが各国共通の認識となっております。
 いずれにいたしましても、我が国としては、為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移すべきと考えており、今後とも、政策協調と各国通貨当局間の緊密な連絡を図りながら適時適切に対処し、為替相場の安定に努めてまいりたいと考えているところでございます。(拍手)
 次に、経済対策についてのお尋ねがございました。
 政府としては、我が国経済を本格的な回復軌道に乗せ、今後の新たな発展の基礎を築くべく経済運営を進めてまいる所存でございます。このため、経済及び為替の動向に細心の注意を払いながら、大規模な所得減税等を含む本年二月の総合経済対策を引き続き着実に実施するとともに、平成六年度予算の円滑かつ着実な執行を進め、引き続き内需を中心とした持続的成長の確保に努めてまいる所存でございます。さらに、規制緩和を初めとする国内経済改革の方針を強力に実施してまいる所存でございます。
 次に、日米関係打開のための決意と方針についてのお尋ねがございました。
 御指摘のとおり、我が国としては、日本経済を本格的な景気回復軌道に乗せ、今後の新たな発展の基礎を築くべく経済運営を進めてまいる所存でございます。このため、引き続き内需を中心とした持続的成長の確保に努めてまいります。さらに、規制緩和を初めとする国内経済改革を強力に実施していく所存でございます。
 御質問の日米包括経済協議の合意の見通しについてでありますが、五月の協議再開以来、優先分野の交渉において着実な進展が見られており、今後とも精力的に協議を進め、できる限り早期の合意に向け日米双方が努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、税制改革についてのお尋ねがございました。
 税制改革を進めていくに当たりましては、景気の観点から増減税の実施時期に一定期間を置くものの、税制改革は増減税全体について議論を進め、成案を取りまとめるべく努力をいたしておるところでございます。
 いずれにいたしましても、税制改革につきましては、所信表明演説にございましたように、「活力ある豊かな福祉社会の実現を目指し、国・地方を通じ厳しい状況にある財政の体質改善に配慮しつつ、所得、資産、消費のバランスのとれた税体系を構築すること」が重要な課題であると考えているところでございます。このために、行財政改革の推進や税負担の公平確保に努めるとともに、平成七年度以降の減税を含む税制改革について、総合的な改革の論議を進め、国民の理解を求めながら、年内の税制改革実現に向けて一層努力してまいる所存でございます。(拍手)
 次に、今後の行政改革の具体的進め方の方針についてお尋ねがございました。
 行政改革の推進は、国政上の重要課題の一つであると認識をいたしておりますが、引き続き各般の改革を積極的に推進をする決意でございます。このため、規制緩和の推進につきましては、先般閣議決定をいたしました二百七十九項目の規制緩和措置等の着実な実施に努めるとともに、平成六年度内に規制緩和推進計画を策定し、積極的かつ計画的に取り組んでまいる所存でございます。また、許可、認可等の整理及び合理化に関する法律案及び行政改革委員会設置法案につきましては、国会において一日も早い成立に向け御審議をお願いしたいと考えております。その他、地方分権、行政情報公開、行政組織・特殊法人等の改革合理化など各般の改革課題につきましても積極的に取り組み、実りある成果をおさめるべく努力を払ってまいる決意でございます。
 次に、行革に取り組む姿勢についてお尋ねがございました。
 行政改革は、税制改革のいかんにかかわらず、社会経済情勢の変化等に対応して、簡素にして効率的な行政の実現を目指して不断に進めていくべき国政上の重要課題の一つであると認識をいたしております。このため、規制緩和、地方分権、行政情報公開、行政組織・特殊法人等の改革合理化など各般の改革課題について積極的に取り組みを行い、実りある成果をおさめるべく今後も一層の努力を払ってまいる決意でございます。
 また、現下の一段と深刻さを増した財政事情のもと、今後とも、あらゆる経費について制度の根本にまでさかのぼった見直しを行い、施策の優先順位の厳しい選択を行うなど徹底した洗い直しに取り組み、財政改革を強力に推進していく所存でございます。
 次に、新体制下の北朝鮮の核兵器開発問題への対応についてのお尋ねでございます。
 新体制下における北朝鮮が、核問題への対応を含め外交面でいかなる政策をとるかについては、いまだ明らかではございません。今後の動きを十分注視していく必要があると考えているところでございます。
 国連の決めた制裁措置について、事前に国会で十分議論すべきではないかとの御指摘でございますが、現在、対話による平和的な解決を目指した努力がそれぞれ行われているところでございまして、このような時点で、御質問のような点について公の場で議論をすることは適当でないと考えています。いずれにいたしましても、この問題については、幅広い国民の皆さんの支持と協力を得ながら対応すべき問題であると考えているところでございます。
 次に、金日成主席の死去についての弔意及び金日成体制に対する歴史的評価に関する御質問がございました。
 政府としては、儀礼上の観点から、九日、官房長官談話として哀悼の意をあらわしたところでございます。しかし、金日成体制に対する歴史的評価につきましては、今後、朝鮮半島の人々の判断にゆだねられるものであり、私としての評価を述べることは差し控えたいと存じます。
 次に、金日成主席に対する韓国国民の感情及び私の訪韓についての御質問がございました。
 私といたしましては、韓国国民が金日成主席に対し御指摘のような感情を抱いていることも十分承知をしており、この点も念頭に置きながら訪韓するつもりでございます。
 次に、非同盟・中立と日米安保のいずれを選択するかとの質問についてでございます。
 冷戦構造崩壊によって、これまで果たしてきた非同盟・中立という歴史的役割はおくとして、私は、この政権として日米安保体制を堅持すると申しております。これは、従来の日本政府の外交政策の継続を標榜する政権として当然のことだと考えているところでございます。(拍手)
 次に、国連常任理事国入りについてのお尋ねがございました。
 御指摘のとおり、我が国が常任理事国になることは、決して軍事大国になることを意味するものではございません。国連の中心的な国家として、国連憲章や憲法前文に言う平和主義を現実のものとするために、我が国として責任と役割を果たしていくことができるのではないかと考えているところでございます。この点を含め、常任理事国入りに伴う権利と責任についても十分議論を尽くしてまいらなければならないと考えているところでございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
    〔国務大臣武村正義君登壇〕
#6
○国務大臣(武村正義君) 三点お尋ねをいただきました。
 まず、政権に対する、私どもの新党さきがけに対する御批判でありますが、この政権は政策合意を基本として成立をしている、これはもう十分御承知をいただいているはずでございます。政策のすり合わせのないままという発言は、取り消していただきたいと思います。(拍手)
 さきがけと社会党がまとめた合意事項は、民社党を含む他の政党にもひとしく提唱されたところでございます。政策のすり合わせのないまま自民党の政権復帰を率先して働きかけたという批判は、全く事実に反しております。
 私たちさきがけは、この一年の政治の激動の中にあって、少数ながらも、立党の精神や政治理念に従って、かたくなと言われるぐらいに一貫した姿勢を貫いてきたつもりでございます。その経緯は、新聞、テレビ等の報道によってつぶさに国民の皆様に知っていただいているところだと思っております。言行不一致の政党が一体どこなのか、それは国民の皆様の御判断にお任せいたしたいと存じます。(拍手)
 日米、サミットにおきましての発言でございますが、もう既にお答えを申し上げましたとおり、我が国の経済政策につきましては、新政権は、減税の継続を含む税制改革、公共投資計画の大幅な見直し及び市場開放措置を含む新たな規制緩和策にコミットしている旨の説明を行いました。
 御質問の点につきましては、その際、景気の観点から増減税の実施時期に一定期間を置くものの、税制改革は増減税全体について議論を進め、取りまとめを進めていくということでございます。そのことを明確にサミットあるいは日米蔵相会議でも説明をいたしたところであります。総合的な改革の議論を進めながら、国民の理解を求めて、年内の税制改革の実現に努力をしてまいりたい、総理の答弁されているとおり、私どももそ
の姿勢で努力をしてまいります。したがって、増税を含む税制改革の検討の棚上げを約束したわけでは全くありません。
 次に、行財政改革でありますが、これも総理が既にお答えを申し上げました。税制改革のいかんにかかわらず、社会経済情勢の変化等に対応して、簡素にして効率的な行政の実現を目指して不断に進めていくべき課題であると認識をいたしております。臨調、行革審の答申等を受けた連年にわたる改革努力の後だけに、大きな歳出削減につながる容易な道があるとは思っておりませんが、一段と深刻さを増している財政状況に対応するとともに、より緊要な施策の財源を確保するためにも、従来以上に濃密で真剣に検討をしてまいる所存でございます。要するに、国民に御評価がいただける具体的な行財政改革の案を取りまとめることができるよう真剣な努力を進めてまいりたいと存じます。(拍手)
    〔国務大臣河野洋平君登壇〕
#7
○国務大臣(河野洋平君) 政党のとるべき姿勢についていろいろと御意見をいただきました。しかし、米沢委員長がおっしゃるとおり憲政の常道というものを大事にしろというならば、私としては、細川内閣退陣の場面で、旧連立の皆さんは野党第一党の自民党に政権をお渡しになるべきではなかったのだろうかというふうに思っていたわけでございます。(拍手)
 さらに、声高に非自民、非自民とおっしゃる民社党を初めとする皆さんが、あの場面、わずか一時間前まで自民党におられた方を担いで首班候補としたことの方がはるかに国民は驚かれたのではないかと思うわけでございます。(拍手)
 本来、どの党であっても、単独政権が望ましいと考え、それを目指していくものだと思います。しかし、現実に私ども自由民主党はその議席が過半数に達しておりませんでした。その議席が過半数に達していなければ、政策と政治手法で一致できる勢力を見つけて、その合意があればともに政権を担当するということは当然あり得ることだと思います。(拍手)早急に政局の混乱を収拾するために、政策の合意を踏まえ、党首会談などを行い、それぞれの所属議員の理解と協力を得て村山首班を決断したものでございます。
 また、私の細川連立政権に対する発言について言及をされました。
 これは、昨日も私申し上げましたが、昨年八月二十五日の本会議におきます代表質問で、私はこう申しました。「細川内閣が国民にとって正しい政策を展開しようとなさるなら、我々自由民主党も積極的にこれをバックアップしてまいります」、こう私は申し上げているのでございます。しかし、残念ながら細川政権は国民の期待した政策が実行できなかった。この点について批判したことは事実でございます。(拍手)
    ─────────────
#8
○議長(土井たか子君) 山原健二郎さん。
    〔山原健二郎君登壇〕
#9
○山原健二郎君 私は、日本共産党を代表して、村山総理に政治の基本姿勢について質問をいたします。
 昨年の総選挙以来この一年、国民不在の、道理も大義名分もない政権争い、政党の離合集散が繰り返され、社会党党首を首班とする連立内閣が発足しました。総理は、所信表明の冒頭で、自民党との連立に至ったことの言いわけとして、冷戦が終わった、保革の対立がなくなったなどと強調しています。冷戦が終わったという議論は現実を無視した誤った議論であると私どもは考えていますが、冷戦が終わったから保革対立がなくなったというのは全く奇妙な議論と言わなければなりません。去年、新生党と連合するときにもやはりこの論が用いられました。今度もまた同じ口実で自民党との連立が合理化されようとしています。
 現実の日本の政治を見ても、小選挙区制導入の問題、米輸入自由化の問題、消費税の税率アップの問題など、鋭く対立する問題は現に無数に存在しているではありませんか。この現実を総理は否定するのですか、お伺いをいたします。
 さきのサミットでも、そして今度の所信表明でも、何のちゅうちょもなく日米安保条約堅持をうたいとげました。これは、歴代自民党政府が繰り返し強調してきたことの丸のみであります。安保条約について、細川内閣は「不可欠」と言い、羽田内閣は「維持する」と言ってきましたが、あなたはとれを最も強烈な言葉で表現したのであります。
 これは、安保条約のもとで、戦後五十年、半世紀近くを経た今日なお、首都東京の横田そして沖縄を初め、この日本に百五十に及ぶ米軍基地が依然として蟠踞し、五万に上る米兵が駐留し、二千五百億円に達する思いやり予算が支出をされ、また、爆音と超低空爆撃訓練などで空でも海でも国民の安全が脅かされておりますが、こうした世界に類例のない屈辱的事態をこれからも永久に続けるというのでございますか。私は、これこそ変節の最たるものと言わなければなりませんが、総理の見解を伺う次第であります。(拍手)
 保革対立がなくなったなどというあなたの言い分は、結局、社会党が保守政治の軍門に下って、自民党政治を丸のみしたことのごまかしの言いわけにすぎないのではありませんか。明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 次に、あなたが護憲とかハト派とか抽象的な発言をしていることについて質問をいたします。
 第一は、侵略戦争の問題です。
 総理は、二カ月前のこの演壇で、かつての日本の戦争を侵略戦争と規定し、その責任と謝罪の問題で羽田内閣を追及されました。ところが、あなたは総理に就任した途端、同じこの演壇に立ちながら、侵略戦争という言葉を避け、羽田前首相の言をそのままに繰り返すのみであります。戦争の反省の問題まで自民党政治を受け継いで、日本軍国主義が行った戦争が侵略戦争であったことを否定するのですか。はっきりと伺います。
 第二に、自衛隊の問題であります。
 総理は、昨日の答弁で、自衛隊を合憲とする立場を鮮明にされました。これは、自民党政治を憲法問題まで含めて無条件に受け入れるところまで転落したことを浮き彫りにしたものであります。
 さらに重大なことは、国家にとって基本的な問題である防衛問題について主要政党間で大きな意見の相違があったことは好ましいことではないという議論を持ち出していることであります。議会制度は、外交であれ、内政であれ、異なった立場の存在を当然前提とするものであり、総理の見解は議会制度そのものの否定につながる危険なものと指摘しなければなりません。自衛隊の本格的な海外派兵がたくらまれている今日、憲法第九条を
擁護することが切実に求められている今まさにそのとき、自衛隊合憲論を打ち出したことはまことに重大と言わなければなりません。社会党の大変節を確定的に言い放ったものであり、政権につくための代償として従来の見解を放棄したのではありませんか。いかなる理由で合憲と変えたか、はっきりとここでさせるべきであります。
 第三に、国連の安保常任理事国入りの問題であります。
 昨日の答弁で、それは消極的ではないと述べられました。しかしながら、国連の軍事力行使の指揮に責任を負う常任理事国入りは、我が国の憲法の平和原則と決して相入れるものではありません。この点でも、理由を明確にすべきであります。
 以上は、憲法の根本と政治の基本姿勢に関する問題であります。来年は太平洋戦争終結五十年、侵略戦争への反省と戦争の放棄は戦後日本政治の原点と言わなければなりませんが、この原点をも変えるのかどうか、この点をはっきりと伺っておきます。
 次に、核兵器の問題についてであります。
 本年も間もなく原爆の日が近づいております。昨年の平和祈念式典で、広島、長崎の両市長は、来年に期限が切れる核兵器拡散防止条約の無期限延長は核兵器廃絶の願いに反するとして、これを厳しく批判をいたしました。これこそ、広島、長崎と被爆民族の真の叫びであります。
 日本共産党は、ナポリ・サミットを前にしての党首会談で、この条約の無期限延長について、過去にとった態度にとらわれることなく不賛成の立場をとるよう申し入れをしましたが、このサミットであなたは、アメリカ、ロシアなど核兵器保有大国の膨大な核兵器独占は不問にして、その永久化に通ずる無期限延長に全面的な賛意を表したのであります。世界でただ一つ原爆投下の惨禍を受けた国の首相でありながら、なぜ特定国の核兵器独占の永久化に賛成するという国民感情にも合わぬ理不尽な態度をとったのですか。日本民族の真の叫びを代表して、なぜ核兵器廃絶を主張しなかったのですか。それこそは、日本政府が世界に先駆けて宣言できる特権とも言えるものであります。答弁を求めるものであります。
 羽田前内閣が、ハーグの国際司法裁判所に対して、「核兵器の使用は国際法上必ずしも違法とは言えない」という意見陳述書を提出しようとしました。これに対して、さきの国会では、我が党は、もとより、自民党、社会党議員も含めまして反対の声が起こり、「違法とは言えない」という文言は削除されたのであります。しかし、外務省は、意見陳述からは削除したが、「違法とは言えない」という見解は変えないという立場をとっているのであります。総理は、社会党党首として、六月の記者会見で、核の使用は違法だと言明されたのでありますが、我が国の首相として、この見解はどうなのか、明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 細川、羽田の両内閣は、アメリカなど大国の核兵器の廃絶などは一切求めず、彼らが保有する核兵器の使用さえ違法でないと言い繕い、その一方で北朝鮮の核疑惑に対しては、戦争にさえつながりかねない制裁への協力をアメリカに約束するという、全く道理のない、対米追随一辺倒の態度をとってまいりました。あなたが、外交の基本は変えないと言っているのは、こういう態度をも継承するということでありましょうか。
 総理は、七月一日の記者会見で、話し合いの路線を強調することが大事だなどと述べていました。所信表明でもそれを繰り返しました。しかし、ナポリでの日米首脳会談では、クリントン大統領の、制裁もあり得ると考え備えているという発言に呼応しまして、あなたは、その場合には最大限努力すると答えたのであります。国民に対する演説ではこうしたことには触れないで、アメリカの政府首脳と話すときにはちゅうちょなく制裁を口にするというのでは、日本国民はだれも納得しないでありましょう。
 日本共産党は、全世界から核兵器を完全に廃絶すべきであるという立場から、北朝鮮の核兵器開発には断固として反対をしています。しかし、北朝鮮首脳が一貫して、核兵器は持っていないし持つつもりもないと述べているもとで、北朝鮮への制裁を問題にすることなどは国際法上何の根拠もありません。アメリカの言いなりにならず、本当に平和的な話し合いによる解決を一貫して追求すべきであります。制裁の方針をきっぱりと放棄すべきでありますが、総理の見解を求めるものであります。(拍手)
 第四に、国内政治と公約の関係について伺います。
 総理、あなたは日米首脳会談でクリントン米大統領に対し、約束したことは必ず守ると言明されました。しかし、日本国民への公約こそ何よりも守られるべきであります。
 まず、消費税の問題であります。
 あなたは、昨年の総選挙のときに、消費税の税率の引き上げは行わないと明確に公約をしておりました。ところが連立政権の合意事項には、「間接税の税率引き上げなど、今年中に関連法案を成立させるよう努力する」としています。しかも、あなたは、消費税率七%以上への引き上げを想定している政府税制調査会の答申を尊重すると明言しているのでありますが、これで、昨年の総選挙におけるあなたの国民への公約を守り、どんな形であれ消費税の税率アップは行わないとはっきり言えるのでございますか。見解を求めるものであります。
 公約の第二の問題は、米の輸入自由化の問題であります。
 昨年の総選挙のとき、米問題について、あくまでも完全自給をすべきだ、米の輸入自由化については断固阻止していきますと述べていました。ところが、昨年の細川連立内閣で、あなたは社会党の党首として米の自由化受け入れを認め、このたびのサミットで、総理として、来年一月一日までにウルグアイ・ラウンド合意の批准を行うことを約束し、関連法を年内に成立させようとしています。国民への公約と全く逆ではありませんか。
 言うまでもなく、米は、日本民族にとって数千年来の主食であり、文化と心をはぐくみ、みずみずしい国土を保全してきた民族の宝であります。胃袋を他国にゆだねて栄えた国はありません。それは亡国の道であります。だから本院は、米輸入自由化反対の決議を三たびにわたって行ったのであります。まさに自由化反対は国是ともいうべきものであります。この決議を弊履のごとく放棄した恥ずべき所業は、断じて許されない民族への反逆であります。必ず国の将来に禍根を残すことになるでしょう。今からでも遅くはありません。選挙での公約どおり、米輸入自由化は行わないとの立場に立ち返るべきでありますが、総理の見解を伺います。(拍手)
 第三に、年金・福祉の問題であります。
 お年寄りが病院から締め出されたり、病院給食が保険の対象から外されて多額の負担が強いられるなど、とりわけ高齢者や弱者泣かせの政治が続いています。明治、大正、昭和と生き、幾多の戦火をくぐり、家を焼かれ、家族を犠牲にしてこの国を支えてきた高齢者も、憲法第二十五条の規定どおり健康で文化的な生活を営む権利があるのであります。高齢者が大事にされずして、「人にやさしい政治」など望むべくもありません。それは、若者の前途も粗末に扱われる結果になります。旧連立政権が提出した、年金の支給開始年齢を六十歳から六十五歳に繰り延べし支給額を大幅にカットする年金の大改悪法案は、断固撤回すべきでありますが、総理の見解を伺う次第であります。
 第四に、いわゆる政治改革の問題であります。
 総理は、所信表明の中で「国民の多様な意見が反映される政治」ということを盛んに強調されました。このことと、死に票の山を築き多数の民意を圧殺する小選挙区制の完結とどうして両立するのですか。腐敗政治をなくせという国民の願いを選挙制度改変にすりかえての政治改革の大合唱の中で、当然廃案となるべき小選挙区制法案をやみ談合で復活させた勢力の責任は重大であり、この実現こそは、将来にわたり日本政治にはかり知れぬ災いをもたらすでありましょう。
 大手ゼネコンの疑惑にメスを入れるとともに、腐敗の温床になっている公共事業の見直しと談合にこそメスを入れるべきであり、企業・団体献金の禁止を断行すべきであり、国民の税金の政党への山分けは中止すべきであります。偽りの政治改革論を国民は既に見抜いておることを私は申し上げなければならぬと思っております。
 最後に、緊急の課題として円高問題について聞きます。
 為替相場は、一時一ドル九十六円台にまで急騰しました。サミットでも有効な対策が何も出せず、所信表明でもまともな対策は示されておりません。一日の為替取引が八千億ドルとも一兆ドルとも言われる金融大資本による巨額の投機活動に対して、毅然として立ち向かう姿勢が必要であります。投機の実態を調査公表し、為替取引を行っている大銀行に適切な指導を行うつもりがあるかどうか、伺いたいのであります。
 今、大企業は生産拠点の海外移転や極端な人減らしを進め、下請の切り捨てなど、さらなるリストラを進めています。これを野放しにすれば、国民犠牲の上に大企業の国際競争力がさらに強化され、貿易黒字の拡大と一層の円高を強めるという悪循環が繰り返され、産業空洞化をさらに深刻にするだけであります。この点での抜本的な規制もますます重要になってまいりました。また、アメリカに対し、財政、貿易の双子の赤字を放任するドル垂れ流し政策を転換するようきっぱりと求めるべきでありますが、総理の見解を伺う次第であります。
 変節と豹変と権謀術策、道理なき離合集散の連続劇に対し、国民の政治不信と怒りが大きく広がっています。村山内閣は、まずアメリカと財界に対して安心感を約束するなど、相も変わらず従来型の自民党政治を明らかにしたばかりか、昨日来の総理の答弁を聞きながら、その余りの変貌に、社会党への挽歌を聞く思いがしたのは私一人ではありますまい。
 保革の対立がなくなったなどという俗論のもとでオール与党化が進行し、国会審議も形骸化の一途をたどりつつあります。健康保険法改悪などの重要法案が深夜の短時間審議で成立するなどということは、かつて考えられなかったことであります。大政翼賛式の国会は、過去に体験したように、みずから議会制民主主義の墓穴を掘る結果になりかねません。今国民が望む変革とは、危険な軍事同盟からの脱却であり、大資本優先の政治の転換であり、そして議会制民主主義を確立することであります。そして、今日本の政党と政治家に求められているのは、節操と道理とけじめであります。
 主権者は国民であります。「国民こそ主人公」の大道に立ち返るべきことを私は強く主張いたしまして、日本共産党を代表しての質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
#10
○内閣総理大臣(村山富市君) 山原議員の質問にお答え申し上げたいと思います。
 冷戦が終わるとどうして新生党や自民党との連立が合理化されるのか、さらに、政治における対立の存在を否定するのかというお尋ねでございました。
 私は、冷戦の終結によって、思想やイデオロギーの対立の時代から、平和と安定のための新たな現実に即した政策論争が展開される時代に大きく変わりつつあると認識をいたしております。(拍手)これは政局に対する認識の違いでありまして、今、世界的にも日本においても、大きく政治が変わろうとしておる大きな歴史的転換期にある、こういう認識を私は前提に踏まえることが大事ではないかと思うのです。今求められておりますのは、イデオロギー論争ではなくて、情勢の変化に対応して、現実の諸問題に対する濶達な政策論議を展開して合意を求めていくことにあると私は考えています。この内閣は、こうした考え方のもとで、既存の枠組みを超えて改革を推進していくための連立を形成した内閣でございますから、正しく御理解を願いたいと思います。(拍手)
 日米安保条約堅持についてのお尋ねがございました。
 日米安保条約についてのお尋ねでありますが、堅持と言おうが維持と言おうが、日米安保体制の意義と重要性についての認識には変わりはございません。米軍による施設、区域の使用が、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を含め確保されていくことが大事であると思いますが、これが屈辱的なことであるとは考えておりません。
 保革対立がなくなったというのは、社会党が保守政治の軍門に下ったことの言いわけではないか、こういうお尋ねでございます。
 先ほども申し上げましたように、私は、冷戦の終結によって、イデオロギー論争の時代が終わり、党派を超えて現実に即した政策論争を活発に行う時代に大きく変わったと考えております。この連立政権は、このような時代の変化を背景に、国民の意思をより一層反映した連立政権を構成する各党の立場を踏まえながら、徹底した政策の論議を通じて改革の推進を目指すものであり、保守政治の軍門に下ったとは考えておりません。
 さきの戦争、侵略戦争という用語についてお尋ねがございました。
 侵略戦争という用語については、いろいろ御議論があると思われますが、先般の所信表明演説で述べたとおり、私は、我が国の侵略行為や植民地支配などが多くの人々に耐えがたい苦しみをもたらしたことへの認識を新たにし、深く反省の上に立った立場で、不戦の決意のもと、世界平和の創造に力を尽くしていく考えであり、また、このことが大事であると私は考えておるところでございます。
 次に、自衛隊を違憲状態から合憲と変えた理由についてお尋ねがございました。
 戦後、社会党は、平和憲法の精神を具体化するための粘り強い努力を続けてきたところでございますが、そうした努力を通じて、国民の間に、文民統制、専守防衛、自衛隊の海外派兵の禁止、非核三原則の遵守、武器輸出の禁止などの原則を確立することによって、必要最小限度の自衛力の存在を容認するという、いわば歯どめとして穏健でバランスのとれた国民意識を形成し得たものであると考えています。
 しかし、国際的には冷戦構造が崩壊し、国内的にも大きな政治変革が起きている今日においては、私は、こうした歴史と現実認識のもと、平和憲法国家たる日本が、将来どのように国際平和の維持に貢献し、どのように自国の安全を図るかという点で、よりよい具体的な政策を提示し合う未来志向の発想が求められていると考え、代表質問で答えたとおりでございます。
 次に、常任理事国への参加についてのお尋ねがございました。
 国連常任理事国入りによって生ずる権利と責任については十分議論を尽くしていかなければならぬと考えておりますが、いずれにいたしましても、我が国としては、安保理における責任を果たすに当たっては、憲法の枠内でこれを行うことは当然だと考えているところでございます。
 次に、核兵器不拡散条約の延長問題についてのお尋ねがございました。
 政府としては、国際的な安全保障を確保するために、核不拡散体制を安定的なものとするとの観点から、核兵器不拡散条約の無期限延長を支持するものでございます。他方、核兵器不拡散条約の無期限延長は、核兵器国による核保有の恒久化を是認するものではなく、我が国としては、核兵器の廃絶は究極的目標であることについての考え方には変わりはございません。ナポリ・サミットの議長声明におきまして、核兵器不拡散条約無期限延長への支持が表明されるとともに、核軍備削減の継続の重要性、全面核実験禁止条約の実現に対するコミットメント等が強調されていることは御承知のとおりでございます。
 次に、核兵器使用の国際法上の違法性についてのお尋ねでございますが、唯一の被爆国である我が国としては、核の惨禍が繰り返されてはならないという考え方に立って、核軍縮、核兵器不拡散、さらには核兵器の究極的廃絶に向けての一層の努力をしていくことについては変わりはございませんし、最も重要なことだと考えております。違法性の問題につきましては、核兵器の使用は、その絶大な破壊力、殺傷力のゆえに、国際法の思想的基盤にある人道主義の精神に合致しないもの
 であると考えているところでございます。国務大臣の演説に対する山原健二郎君の質疑
 次に、北朝鮮の核兵器開発問題に関し、対米追従の態度を継承するのではないかとの質問でございますが、本件問題は、我が国を含む北東アジア地域の安全保障上の重大な懸念であるのみならず、核不拡散体制や国際社会の安全保障にかかわる重大な問題であり、対米追従といった御指摘は当たらないと思います。
 次に、国民に対しては対話による解決を強調し、米国首脳との間では制裁への協力を約束するという態度は不正直ではないかという御指摘でございますが、我が国としては、北朝鮮の核兵器開発問題はあくまでも対話により解決されることを基本としておりますが、一般論として、国連安保理で何らかの措置が決定された場合には、我が国としても、憲法の範囲内で責任ある対応をとることは当然であると考えております。政府としては、国会等での国民の皆さんに対する説明においても、米国首脳との話し合いにおきましても、このような基本的立場を踏まえて対応してきておりまして、国民の皆さんへの対応と米国首脳への説明が異なっているという御指摘は当たらないと考えています。
 次に、北朝鮮の核兵器開発問題については、話し合いによる解決を目指し、制裁の方針を放棄すべきであるとのお尋ねでございますが、さきにも申し上げましたとおり、従来より、我が国としては対話を通じた平和的解決の追求を基本としてきたところでありまして、そのためのあらゆる努力を尽くすべきであると考えているところでございます。その考えには変わりはございません。
 消費税の問題についてのお尋ねがございました。
 これは、税制改革全体の中で議論すべき問題であります。税制改革につきましては、所信表明演説でも申し上げましたように、「活力ある豊かな福祉社会の実現を目指し、国・地方を通じ厳しい状況にある財政の体質改善に配慮しつつ、所得、資産、消費のバランスのとれた税体系を構築すること」は重要な課題であると考えております。このために、行財政改革の推進や税負担の公平確保に努めるとともに、平成七年度以降の減税を含む税制改革につきましては、総合的な改革の論議を進め、国民の理解を求めながら、年内の税制改革の実現に一層努力をしてまいる所存でございます。
 次に、米輸入自由化問題についてのお尋ねがございました。
 昨年十二月の調停案の受け入れば、ウルグアイ・ラウンド交渉の成功のために応分の貢献を果たすことが我が国の国際的責務であるとの観点から、ぎりぎりの交渉の結果として、まさに断腸の思いで行われたものであると考えています。私といたしましては、先般のナポリ・サミットにおけるコミュニケも踏まえ対処していく考えでありますが、この合意の受け入れによって農家の方々が不安や動揺を来さないよう、万全の国内対策を講ずる考えでございます。
 次に、年金改正法案についてのお尋ねでございますが、年金制度につきましては、国民の老後生活を支える柱であり、長期的に安定したものとしていくことが重要でございます。今回の改正案は、高齢者雇用との連携を図りながら、六十歳代前半の年金のあり方を見直すこと、将来の現役世代の負担を過重なものとしないよう給付と負担のバランスを図ることなど、二十一世紀の本格的な
高齢化社会にふさわしい年金制度にしていくためにぜひとも必要なものと考えております。また、改正案では、本年十月から前回改正以降の国民の生活水準の向上に応じた年金額の改善を行うことといたしておりまして、一日も早い成立をお願い申し上げているところでございます。
 次に、選挙制度改革についてのお尋ねがございました。
 小選挙区比例代表並立制は、政権の選択についての国民の意思が明確な形で示されるという特性を有する小選挙区制と、多様な民意を国政に反映するという特性を有する比例代表制とを並立させ、それぞれの制度の持つ特性を相互補完的に生かしていこうという考え方に立つものでございます。私は、所信の中でも申し上げましたように、現在の我が国におきましては、政治が進むべき道を明確に示し、強力な指導力を発揮することが求められておると同時に、国民の声が反映された政治でなければならない旨申し述べましたが、新しい選挙制度はこのような政治を実現するために適当な制度であると考えているところでございます。
 次に、公共事業の見直しと談合にこそメスを入れるべきであるとの御指摘であります。
 公共工事の発注をめぐる相次ぐ不祥事の発生により、公共事業に対する国民の信頼が大きく損なわれていることについては、まことに遺憾であると思います。
 いわゆる大手ゼネコンをめぐる汚職事件につきましては、検察当局において厳正に対応してきたところでございます。また、本年一月には、公共事業の入札・契約手続の改善に関する行動計画を政府として策定をし、現在、それに基づいて一般競争方式の本格的採用を初めとする入札・契約制度の抜本的な改革に取り組んでいるところでございます。さらに、公共事業をめぐる談合については、従来から公正取引委員会において厳正に対応してきているところでございますが、七月には公共入札ガイドラインを策定し、独占禁止法の遵守についてさらに指導を徹底しているところでございます。今後とも、これらの措置により、入札談合等の不正行為の防止を図るために全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 次に、企業・団体献金の廃止に踏み出すのか、また政党助成を廃止するのかというお尋ねでございます。
 政治改革の一環として、このたびの改正においては、企業等の団体献金は、政党、政治資金団体並びに資金管理団体以外の者に対しては一切禁止をされることになっております。そういう意味で、制限が強化されたところでございます。また、改正法の施行後五年を経過した場合には、資金管理団体に対するものは禁止措置を講ずるとともに、政党、政治資金団体に対する献金のあり方についても見直しを行うものとされており、廃止を含め検討されるものと考えているところでございます。
 さらに、政党助成についてのお尋ねでありますが、現行の個人中心の選挙や政治活動を政党中心のものに抜本的に改めることに伴い、政党の財政基盤の確立強化が不可欠となったことから、政党に対する公費助成を行い、民主主義のコストともいうべき政党の政治活動の経費を国民全体で負担していただくことについては、憲法上の問題も生じることがなく、国民の御理解も得られるものと考えているところでございます。
 また、円高問題について、投機的取引の実態を調査し、銀行に対して指導する考えがあるかどうかとのお尋ねでありますが、国際間の資本取引につきましては、自由な資本移動を認めることが既に国際的に確立した原則となっておる今日、二十四時間じゅう世界の各市場で為替取引が行われている実情を踏まえた現実的な対応が必要であると考えているところでございます。いずれにいたしましても、為替相場が思惑等により短期間のうちに大きく変動することや不安定な動きを示すことは、好ましいことではないと考えております。このような場合には、関係各国と緊密に連絡をとりつつ、適宜適切に対処し、為替相場の安定を図っていくことが何よりも肝要であると考えているところでございます。
 次に、産業空洞化についてのお尋ねがございました。
 企業の海外進出は、対外不均衡の是正、国際的に調和のとれた産業構造への転換に資する一方で、行き過ぎると我が国産業の空洞化を招くことが懸念されていることも事実でございます。我が国企業の海外進出は、あくまでも民間企業の自主的な判断と責任に基づいて行われているものでありますが、同時に、我が国産業の空洞化を防止することは極めて重要であると認識をいたしております。このため、政府といたしましても、引き続き内需を中心とした持続的成長の確保に努めることが重要と考えております。また、規制緩和等による内外価格差の是正、将来の新規産業分野への参入促進等による活力のある産業構造への転換を図っていく所存でございます。
 次に、米国のドル垂れ流し政策の転換を求めるべきではないかというお尋ねでございます。
 米国の経常赤字及び財政赤字といういわゆる双子の赤字の問題につきましては、米国も日米包括経済協議において、財政赤字を相当程度削減し、国内貯蓄を奨励し、国際競争力を強化するという中期的な目的を積極的に追求することを公約しております。クリントン政権のもと、努力が払われているところでございますが、我が国としては、米国がかかる目標に向けてさらに努力していくよう求めてまいる所存でございます。
 以上でございます。(拍手)
#11
○議長(土井たか子君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
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 裁判官訴追委員の予備員の選挙
 検察官適格審査会委員の選挙
 国土開発幹線自動車道建設審議会委員の選挙
 国会等移転調査会委員の選挙
 国土審議会委員の選挙
 日本ユネスコ国内委員会委員の選挙
#12
○議長(土井たか子君) 裁判官訴追委員の予備員、検察官適格審査会委員、国土開発幹線自動車道建設審議会委員、国会等移転調査会委員、国土審議会委員及び日本ユネスコ国内委員会委員の選挙を行います。
#13
○村上誠一郎君 各種委員等の選挙は、いずれもその手続を省略して、議長において指名され、裁判官訴追委員の予備員の職務を行う順序については、議長において定められることを望みます。
#14
○議長(土井たか子君) 村上誠一郎さんの動議に一御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。
 議長は、裁判官訴追委員の予備員に坂上富男さんを指名いたします。
 なお、その職務を行う順序は第三順位といたします。
 次に、検察官適格審査会委員に谷垣禎一さんを指名いたします。
 なお、予備委員中川昭一さんは、谷垣禎一さんの予備委員といたします。
 次に、国土開発幹線自動車道建設審議会委員に
    加藤 紘一さん 及び 森井 忠良さんを指名いたします。
 次に、国会等移転調査会委員に沢藤礼次郎さんを指名いたします。
 次に、国土審議会委員に
    山下八洲夫さん 及び 鳩山由紀夫さんを指名いたします。
 次に、日本ユネスコ国内委員会委員に小川元さんを指名いたします。
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 国立国会図書館の館長の任命承認の件
#16
○議長(土井たか子君) お諮りいたします。
 国立国会図書館の館長に緒方信一郎さんを両議院の議長において任命いたしたいと存じます。緒方信一郎さんの任命を承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、承認することに決まりました。
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#18
○議長(土井たか子君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時四十分散会
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ソース: 国立国会図書館
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