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1994/06/07 第129回国会 参議院 参議院会議録情報 第129回国会 科学技術特別委員会 第3号
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1994/06/07 第129回国会 参議院

参議院会議録情報 第129回国会 科学技術特別委員会 第3号

#1
第129回国会 科学技術特別委員会 第3号
平成六年六月七日(火曜日)
   午後五時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十九日
    辞任         補欠選任
     翫  正敏君     松前 達郎君
 四月二十六日
    辞任         補欠選任
     林  寛子君     井上  孝君
 五月十日
    辞任         補欠選任
     星川 保松君     古川太三郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         中川 嘉美君
    理 事
                鹿熊 安正君
                志村 哲良君
                川橋 幸子君
                大久保直彦君
    委 員
                井上  孝君
                河本 三郎君
                二木 秀夫君
                前島英三郎君
                吉川  博君
                穐山  篤君
                稲村 稔夫君
                西岡瑠璃子君
                松前 達郎君
                三上 隆雄君
                泉  信也君
                長谷川 清君
                古川太三郎君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       近江巳記夫君
   政府委員
       科学技術政務次
       官        萩野 浩基君
       科学技術庁長官
       官房長      井田 勝久君
       科学技術庁科学
       技術政策局長   島  弘志君
       科学技術庁科学
       技術振興局長   新  欣樹君
       科学技術庁研究
       開発局長     石井 敏弘君
       科学技術庁原子
       力局長      石田 寛人君
       科学技術庁原子
       力安全局長    笹谷  勇君
       科学技術庁原子
       力安全局次長   工藤 尚武君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        堀籠 秀昌君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○科学技術振興対策樹立に関する調査
 (科学技術振興のための基本施策に関する件)
 (平成六年度科学技術庁関係予算に関する件)
○特定放射光施設の共用の促進に関する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○派遣委員の報告
    ―――――――――――――
#2
○委員長(中川嘉美君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。
 この際、近江科学技術庁長官及び萩野科学技術政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。近江科学技術庁長官。
#3
○国務大臣(近江巳記夫君) このたび科学技術庁長官に就任いたしました近江巳記夫でございます。
 申し上げるまでもなく、科学技術の振興は、我が国社会の発展はもとより、地球環境問題、エネルギー問題等人類共通の諸課題を解決するためにも不可欠な政策課題でございます。この認識は、政権のいかんにかかわらず重要なものであり、私も昨年来連立政権が継承し発展させた科学技術政策をよりよいものとしていく所存でございます。
 具体的には、基礎研究の推進と研究開発基盤の整備を図り、原子力、宇宙、海洋等の先端科学技術はもとより、がん研究、地震予知等の生活者としての人に役立つ分野にも力を注ぎます。
 原子力政策につきましても、これまでの政策を引き継ぎ、今後とも国内外の理解と協力を得つつ、安全確保を大前提として、その着実な推進を図ります。
 科学技術に課せられた重大な使命に思いをいたしつつ、科学技術行政の責任者として全力を尽くしてまいります。委員長初め各委員の皆様におかれましては、よろしく御指導、御鞭撻のほどをお願いいたしまして、ごあいさつとさせていただきます。(拍手)
#4
○委員長(中川嘉美君) 次に、萩野科学技術政務次官。
#5
○政府委員(萩野浩基君) このたび政務次官に就任いたしました萩野浩基でございます。
 ただいまの大臣のお言葉にもありましたとおり、科学技術の振興というものは大変重要でございます。我が国は無論のこと、二十一世紀の世界をも左右する極めて大事なことと、その責任の重さを考えております。
 委員長を初め委員の皆様方には、大変私微力ではありますが一生懸命力いっぱい頑張りたいと思いますので、どうぞよろしく御指導のほどをお願いいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#6
○委員長(中川嘉美君) 科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。
 まず、近江科学技術庁長官から科学技術振興のための基本施策についてその所信を聴取いたします。近江科学技術庁長官。
#7
○国務大臣(近江巳記夫君) 第百二十九回国会に当たり、私の所信を申し上げます。
 二十一世紀を間近に控えた今日、我が国が当面している厳しい経済情勢を克服し、本格的な高齢化社会への対応などの重要な課題に取り組み、豊かな社会を実現するため、私たちは、明治以来の追いつき追い越せという姿勢から脱却し、社会や経済の構造改革を推進しなければなりません。
 また、目を世界に転じれば、人類は地球環境問題やエネルギー問題等、一国だけでは対応できない問題の解決に迫られております。国際社会はあらゆる面で相互依存関係を深めており、いかなる国も協力や協調なくして国際社会で生きていくことは困難であります。ここでも新しい理念のもとに、国際的協力体制をつくっていかなければなりません。私は、これら内外の課題に果敢に取り組むための基盤として科学技術が果たす役割は限りなく重要になってきていると思います。昨年発足いたしました連立政権がそれまでの科学技術政策を継承したのも、このような認識によるものと思います。
 私は、我が国の現在の社会や生活をより豊かなものとして、平和国家日本にふさわしい国際貢献を果たしていくためにも、連立政権が継承し発展させた我が国の科学技術政策をより一層充実させて、次の世代に誇りを持って引き継いでいきたいと考えております。
 こうした認識のもと、平成六年度に積極的展開を図ることとしている施策について具体的に申し述べます。
 第一に、創造的・基礎的研究の充実強化と科学技術振興基盤の整備であります。
 新たな科学技術の知見を開拓し、次の世代の技術を培うためには、研究者の持つ創造性を重視した基礎研究の充実強化を図ることが重要であります。さらに、創造的、基礎的な研究をより一層推進していくための新たな研究機会の創出が不可欠であって、私は、先端的で高度な研究開発基盤施設の整備と開かれた利用の促進や研究情報基盤の整備を強力に推進してまいります。
 このため、科学技術振興調整費を拡充し、関係省庁の連携により研究情報の流通を図る研究情報整備・省際ネットワーク推進制度を創設して研究情報基盤を整備するほか、基礎的研究の推進について優秀な研究者があこがれるような世界に誇れる卓越した中核的研究拠点、いわゆるセンター・オブ・エクセレンスの育成制度の拡充などを図ってまいります。また、創造性を重視した基礎研究の推進に向けて創造科学技術推進制度、フロンティア研究システム等の充実を図ってまいります。
 さらに、研究開発基盤施設については、すぐれた特徴を持つ夢の光、放射光を用いて、今までの光では見えなかった物質の構造を原子レベルまでとらえることが可能な大型放射光施設、いわゆるスプリング8の整備を推進してまいります。また、広範な分野の研究者からの期待に沿えるよう、本施設を共用施設として国内外の研究者に広く開かれた利用の促進を図るため、今国会に特定放射光施設の共用の促進に関する法律案を提出しましたので、よろしく御審議お願いいたします。
 このほか、国の研究所などの施設整備を進めるとともに、科学技術系人材の確保のための方策の強化、研究交流の促進や科学技術の地域展開など研究開発の基盤整備を図ることとしております。
 第二に、国民生活の質の向上に資する科学技術の推進であります。
 人間が個人として、また社会の一員として快適で充実した生活を送るためには、健康を維持増進するとともに、生活環境の向上、防災・安全対策の充実などを図ることが重要であり、いわば生活者としての人間に役立つ科学技術の推進が必要であります。
 このため、がんに関する研究、ヒト遺伝子解析、食品成分データの整備、長寿社会に対応するための研究、地震予知や火山噴火予知に関する研究、人間特性に調和した科学技術に関する研究開発など、国民生活の質の向上に向けた科学技術を推進してまいります。特に、がん関連研究については、放射線医学総合研究所の重粒子線がん治療装置による臨床試行の本格化を図るとともに、治療施設の整備を進めてまいります。
 第三に、科学技術による国際社会への貢献であります。
 豊かな経済力と世界有数の科学技術力を持つに至った我が国は、先進国の一員として国際社会の中でその立場にふさわしい責任と義務を果たしていくことが求められていることから、冒頭にも述べましたとおり、科学技術を通じて国際社会に積極的に貢献していくことが重要であります。
 このため、地球環境問題の解決に向けて地球環境変動に関する観測、監視を総合的に推進することとし、地球観測衛星の開発や大型海洋観測研究船の整備を図るほか、宇宙ステーション計画、国際熱核融合実験炉(ITER)計画やヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムなどの国際協力プロジェクトの推進に積極的に取り組んでまいります。
 第四に、先端科学技術分野の研究開発の推進であります。
 科学技術発展の原動力が夢の実現であることに立ち返れば、人類の新たなフロンティア領域を対象とした宇宙、海洋、物質・材料、ライフサイエンスなどの研究開発、さらには原子力分野においてもビーム利用、基盤技術開発などの先端的研究開発に積極的に取り組むことが重要です。また、先端的な科学技術を推進することは、人類共通の知見を拡大するとともに、質的に豊かな国民生活の実現への展望を私たちに開くものであります。
 宇宙開発利用については、本年二月にHUロケットの打ち上げが成功したところであり、また今年の夏には初の日本人女性宇宙飛行士が飛び立つことが予定されており、未来への夢が着実に開花しつつあります。今後、無人有翼住環機の主要な技術の確立に向けた宇宙住環技術試験機や地球観測、通信・放送分野の人工衛星などの研究開発の推進を図ってまいります。
 また、海洋開発については、有人潜水調査船「しんかい六五〇〇」による深海調査研究や海洋観測研究を推進し、無人探査機「かいこう」の開発を進めるなど、総合的に開発を進めてまいります。
 第五に、エネルギーの安定確保であります。
 現在及び将来にわたりエネルギーを安定的に確保することは、豊かな生活を築くための基本的条件です。私は、今後ともエネルギーの安定的確保を図る上で不可欠な原子力の開発利用を、安全確保を大前提として着実に推進してまいります。さらに、究極のエネルギー源として期待されている核融合についても、JT60等による研究開発を進めるとともに、高温工学試験研究炉の建設についても着実に進めてまいります。
 特に、放射性廃棄物処理処分対策を含めた核燃料サイクルの確立は、エネルギー資源小国である我が国にとって原子力発電を長期に安定したエネルギー源とするために不可欠なものであり、今後とも国民の一層の理解と協力を得つつ推進してまいります。プルトニウム利用については、そのかなめであります高速増殖炉の原型炉「もんじゅ」が四月五日初臨界を達成しましたが、今後とも着実に進めてまいります。
 また、二十一世紀を展望し今後の原子力利用の指針を示す原子力開発利用長期計画については現在原子力委員会において改定作業を進めておりますが、各界各層の意見を踏まえつつ計画を策定してまいります。
 さらに、原子力の開発利用を進めるに当たっては、国際的な協力にも配慮しつつ、安全の確保とともに、平和利用の堅持が重要であります。このため、原子力安全対策の充実強化を図るとともに、核不拡散体制の充実に関する施策の積極的推進を図ってまいります。特に、近年、核兵器解体により生ずるプルトニウムなどについての世界的関心が高まっています。これらのプルトニウムなどが適切に管理され、また平和利用の透明性が確保されるような国際的な枠組みについて成案が得られるよう関係各国及び国際原子力機関(IAEA)とも連携を図りつつ、積極的に取り組んでまいります。
 また、ロシアによる放射性廃棄物の海洋投棄に関しては、これまで二度にわたり我が国独自に海洋環境放射能調査を行うとともに、先般日韓ロが共同して調査を実施し、現在採取した試料の分析を行っているところであります。さらに、平成六年度には日本周辺海域の海洋環境放射能調査の充実を図ってまいります。このような投棄が再び行われない。よう、今後とも技術協力などさまざまな努力を重ねてまいります。
 以上、科学技術に対する私の基本認識を示すとともに、平成六年度における科学技術庁の施策の概要を申し上げました。時代を形成する文化でもある科学技術は、今後の社会経済の活力の源泉でもあるとともに、未来に向けた大切な贈り物です。二十一世紀の豊かな潤いのある生活を実現していくためにも、時代の流れを敏感にとらえた科学技術振興体制の抜本的強化を図っていかなければなりません。
 科学技術に課せられた重大な使命に思いをいたしつつ、科学技術行政の責任者として全力を尽くしてまいります。委員長初め委員各位の御協力を心よりお願い申し上げます。
#8
○委員長(中川嘉美君) 次に、平成六年度科学技術庁関係予算について説明を聴取いたします。井田官房長。
#9
○政府委員(井田勝久君) 平成六年度科学技術庁関係予算の概要を御説明申し上げます。
 平成六年度一般会計予算において、科学技術庁の歳出予算額四千六百三十六億一千百万円を計上いたしており、これを前年度当初歳出予算額と比較いたしますと、二百六十億三千六百万円、六・〇%の増加となっております。また、電源開発促進対策特別会計において科学技術庁分として歳出予算額千三百七十八億二千七百万円を計上するほか、産業投資特別会計から日本科学技術情報センターに対し三十八億円の出資を予定いたしております。以上の各会計を合わせた科学技術庁の歳出予算額は六千五十二億三千八百万円となり、これを前年度の当初歳出予算額と比較いたしますと、二百三十六億六千百万円、四・一%の増加となっております。
 また、国庫債務負担行為限度額として、一般会計千百五十七億二千二百万円、電源開発促進対策特別会計四百九十八億九千二百万円を計上いたしております。
 さらに、一般会計予算の予算総則において、原子力損害賠償補償契約に関する法律第八条の規定による国の契約の限度額を一兆二千三百四十八億円とするとともに、動力炉・核燃料開発事業団法第三十四条の規定により、政府が保証する借り入れ等の債務の限度額として八十一億円を計上いたしております。
 次に、予算額のうち主要な項目につきましてその大略を御説明申し上げます。
 第一に、創造的・基礎的研究の充実強化と科学技術振興基盤の整備のため六百五十億三千百万円を計上いたしました。
 まず、創造性を重視した基礎研究の推進といたしまして、省庁の枠を超えて研究機関等を結ぶ省際研究情報ネットワークの整備・運用及び基礎的・基盤的データのデータベース化に資する調査研究を推進する等科学技術振興調整費を拡充するとともに、創造科学技術推進制度等の重要な基礎研究推進制度の充実に必要な経費二百九十七億九千百万円を計上いたしました。
 また、科学技術振興基盤の整備といたしまして三百二億五千五百万円を計上いたしました。このうち、大型放射光施設スプリング8については、国内外の研究者に広く開かれた施設として建設を進めるとともに、その利用を促進する体制の整備を図るため百十億七百万円を計上いたしました。
 また、日本科学技術情報センターにおける科学技術情報の流通促進等のため、産業投資特別会計から同センターに対し三十八億円の出資を予定いたしております。
 このほか、研究組織、研究分野等を超えた研究交流の総合的推進、国の研究施設の整備、人当研究費の拡充、科学技術系人材対策の充実、科学技術の地域展開等を進めることとしております。
 第二に、国民生活の質の向上に資する科学技術の推進を図るため百八十八億三千二百万円を計上いたしました。これにより、重粒子線がん治療等のがん関連研究、ヒト遺伝子解析等の健康の維持増進、食品成分データの整備等の生活環境の向上、地震予知研究等の防災・安全対策の充実及び人間特性に調和した科学技術の推進を図ることとしております。
 第三に、科学技術による国際社会への貢献を図るため千五百九十七億九千五百万円を計上いたしました。
 まず、宇宙からの地球観測を行うための環境観測技術衛星等の研究開発の推進や大型海洋観測研究船の整備を図ること等により地球環境問題への取り組みを強化するとともに、宇宙ステーション計画、国際熱核融合実験炉(ITER)計画、ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム等の国際協力プロジェクトに積極的に参加することとしております。
 このほか、アジア・太平洋諸国、旧ソ連を初め各国との研究交流・支援、さらには外国の研究者の受け入れ等を総合的に推進することとしております。
 第四に、先端科学技術分野の研究開発の推進を図るため二千七百三十二億七千二百万円を計上いたしました。
 まず、宇宙開発利用の推進といたしまして、将来の多様な宇宙開発活動の安定的展開を図るため宇宙往還技術試験機の研究を進めるとともに、通信放送技術衛星、技術試験衛星Z型、地球観測プラットホーム技術衛星等の各種人工衛星の開発、光衛星間通信実験衛星及び環境観測技術衛星の開発研究並びにJTロケットの開発、さらに宇宙ステーション計画への参加等の推進のため千五百六十一億九千二百万円を計上いたしました。
 次に、海洋開発の推進といたしまして、深海環境研究開発、海洋観測研究開発等を行うため百二十一億七千百万円を計上いたしました。
 次に、核融合、ビーム利用等原子力研究開発の推進といたしまして、国際熱核融合実験炉(ITER)計画、臨界プラズマ実験装置等による核融合の研究開発、重粒子線がん治療等のビーム利用の高度化、高温工学試験研究等を進めるため七百五十二億九千万円を計上いたしました。
 次に、超電導材料、インテリジェント材料、スーパーダイヤモンド等の物質・材料系科学技術の研究開発の推進のため百十六億百万円を計上し、また脳・神経研究等のライフサイエンスの研究開発の推進のため二百十五億四千七百万円を計上し、さらに航空技術等の研究を推進するため九十八億二千万円を計上いたしております。
 第五に、エネルギーの安定確保のため千九百三十八億九千六百万円を計上いたしました。
 まず、自主的な核燃料サイクルの確立のためウラン資源の確保、ウラン濃縮、使用済み核燃料の再処理、高レベル放射性廃棄物等の処理処分対策等についての技術開発等を行うとともに、民間における核燃料サイクル施設建設計画の円滑な事業化等を促進するため五百三十六億九千六百万円を計上いたしました。
 また、プルトニウム利用体系の確立を目指し、高速増殖原型炉「もんじゅ」の性能試験等の研究開発を行うとともに、新型転換炉の開発等の推進を図るため八百五十二億七千万円を計上いたしました。
 また、究極のエネルギー源として期待される核融合の研究開発、海洋エネルギー利用研究開発等の未来エネルギーの研究開発を推進するため三百四十二億千七百万円を計上いたしました。
 さらに、原子力の開発利用に対する国民の理解と協力の促進を図るため、原子力施設の周辺住民の福祉の向上、地域振興等に必要な施策を講じるとともに、一般国民を対象としたきめ細かくわかりやすい広報活動を展開するため二百七億千二百万円を計上いたしました。
 第六に、原子力安全対策及び核不拡散体制充実に関する施策の推進のため四百億五千五百万円を計上いたしました。
 まず、原子力安全規制行政の充実、安全研究の推進、放射能調査研究の充実等原子力安全対策の充実強化のため三百五十九億八百万円を計上いたしました。
 さらに、保障措置、核物質防護を充実強化するとともに、国際的な原子力平和利用の積極的な推進を図るため四十一億四千七百万円を計上いたしました。
 以上、簡単でございますが、平成六年度科学技術庁関係予算につきましてその大略を御説明申し上げました。
#10
○委員長(中川嘉美君) 以上で所信の表明及び予算の説明は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#11
○委員長(中川嘉美君) 次に、特定放射光施設の共用の促進に関する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。近江科学技術庁長官。
#12
○国務大臣(近江巳記夫君) 特定放射光施設の共用の促進に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。
 近年、科学技術の一層の高度化、複合領域化等が進み、基礎的、創造的な研究を初めとする科学技術の振興が強く求められているとともに、科学技術分野における我が国の国際貢献の必要性が高まっております。このような状況に適切に対処していくためには、先端的かつ高度な研究を行うための施設設備を整備し、国内外の研究者に幅広く開放し、その共用を促進する等の研究開発基盤の強化を図るとともに、当該施設設備を通じた産・学・官及び外国との研究交流を一層促進していくことが必要であります。
 本法律案が対象とする特定放射光施設は、現在、日本原子力研究所及び理化学研究所が兵庫県の播磨科学公園都市内において建設を進めている世界最高性能の放射光施設であります。同施設は極めて汎用性の高い先端的施設であり、あらゆる科学技術の分野で試験研究を飛躍的に進展させ、新しい発見をもたらすことのできるものとして、国内の大学、国立研究所、民間の研究者、さらには海外の研究者も含めあらゆる分野の研究者に開放し、その共用を促進することが強く求められているところであります。
 本法律案は、このような特定放射光施設の特質にかんがみ、特定放射光施設の共用を促進するために必要な法制上の新たな措置について定めることにより、科学技術に関する試験研究の基盤強化と国際交流の進展を図るものであり、以下の事項をその内容としております。
 第一は、内閣総理大臣は特定放射光施設の共用に関する基本方針を定めなければならないものとすることであります。
 第二は、日本原子力研究所及び理化学研究所の業務の範囲に、共用施設を整備し、これを試験研究を行う者の共用に供すること等の業務を追加することであります。
 第三は、内閣総理大臣は、特定放射光施設の共用の促進を図ることを目的として設立された民法第三十四条の規定による法人を、その申請により、全国を通じて一に限り放射光利用研究促進機構として指定することができるものとすることであります。
 第四は、内閣総理大臣の指定がされたときは、日本原子力研究所及び理化学研究所は、この法律により追加される業務の全部または一部を供用業務として放射光利用研究促進機構に行わせるものとすることであります。
 第五は、国は予算の範囲内において放射光利用研究促進機構に対し、供用業務等に要する費用の全部または一部に相当する金額を交付することができるものとすることであります。
 以上、この法律案の提案理由及び要旨を御説明申し上げました。何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
#13
○委員長(中川嘉美君) 以上で本案の趣旨説明は終了いたしました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
    ―――――――――――――
#14
○委員長(中川嘉美君) 次に、先般本委員会が行いました委員派遣について、派遣委員の報告を聴取いたします。志村哲良君。
#15
○志村哲良君 委員派遣の概要について御報告申し上げます。
 中川委員長、鹿熊理事、川橋理事、大久保理事、河本委員、林委員、西岡委員、星川委員、市川委員及び私、志村の十名は、去る三月十四日及び十五日の二日間、兵庫県に派遣され、西播磨テクノポリス、播磨科学公園都市にあります大型放射光施設スプリング8、先端科学技術支援センター及び住友電気工業株式会社播磨研究所を視察してまいりました。
 以下、視察先の概要について申し上げます。
 まず、大型放射光施設スプリング8は、日本原子力研究所及び理化学研究所が平成十年度の完成を目指し、二年度より総工費千百億円をもって兵庫県播磨科学公園都市内に建設しているものであり、現在の工事進捗状況は予算ベースで約四割強という最盛期にありました。
 さて、放射光とは高速で直進する電子を磁力を利用して曲げる際に発生する極めて明るい光であり、この光を活用して従来より多くの物性研究が行われてきました。しかし、近年、新分野における放射光の利用の蓋然性の高まりに伴い、原子や分子レベルの解明を可能ならしめる高輝度光の開発が要請されてまいりました。そのため、我が国は、世界最高の八ギガ電子ボルトの性能を有する放射光施設を建設するとともに、同施設を一般利用に供すべく研究者の共同利用、国際的な研究交流等を図ることの必要性について説明がありました。
 次いで翌日、大型放射光施設の一角をなす蓄積リング株の建設現場を案内されました。同棟は、局長千四百二十六メートルの円形加速器を有するドーナツ状の建物であります。同棟内の円形加速器のメカニズムは、電子銃からシンクロトロン装置を経て蓄積リングに突入した電子の運動方向を偏向電磁石の磁場により円軌道に変えながら十時間以上も回り続ける間に発生する放射光について、ビームラインより取り出して利用しようとするものであります。本棟内には、既に電子の軌道を曲げる偏向電磁石、電子ビームを収束させる四極電磁石及び電子ビームのエネルギーの違いによる収束力の差を調整する六極電磁石が搬入され、据えつけを待つ状況となっていました。
 また、放射光を取り出すビームラインは当面十二本の設置を予定し、同時に多数の研究実験が並行して行い得ることになっております。そのため、平成九年度に予定される同施設の一部供用開始までに研究テーマを公募、選択する等、逐次本格的研究へ移行したいとの説明がありました。
 なお、同施設によってさまざまな研究が可能となることにかんがみ、開発成果の公開を基本として、外国への利用開放、研究協定の必要性等が指摘されました。
 次に、兵庫県立先端科学技術支援センターを訪問しました。同センターは、播磨科学公園都市で展開される学術研究活動に携わる研究者、技術者等の交流の場の提供、同都市への企業立地の促進等企業の研究開発活動への支援とともに、産・官・学の連携を図り、県内産業の技術高度化への取り組みを図ろうとするものであります。一期目の主要施設として、大ホール、ゼミナール交流サロン、レストラン、展示室、技術情報室が平成五年四月に整備されました。
 今後の計画については、同都市に建設中の大型放射光施設スプリング8を利用し、先端的医療研究の一環としてがん治療のための重粒子線治療施設建設が検討されているとの説明がありました。また、新宮、上部及び三日月の三町に及ぶ緑豊かな丘陵地に、平成十七年度の完成を目指し、産・学・住から成る研究開発型の科学技術国際都市の建設が進められていましたが、事業資金の確保とともに、完成後のごみ処理等環境保全についての諸課題が指摘されました。
 最後に、住友電気工業株式会社播磨研究所を訪問しました。
 同研究所は小型放射光施設を有する数少ない民間企業の一つであり、平成五年七月に完成を見ました。同社では、放射光技術の将来性に着目し、NIJIシリーズとして三台の小型放射光装置を開発、製作している等の説明を受けた後、稼働中の小型放射光装置を視察しました。当該装置のNIJI3は新技術事業団からの開発委託を受けたもので、平成三年に成功認定を得た超電導小型放射光装置であります。
 当面の研究は、小型放射光装置技術、放射光利用技術、新素材の分析・解析技術等の開発を中心に展開中との説明がありました。
 なお、同研究所の開設の背景として、現在建設中の大型放射光施設スプリング8と、同分野における研究交流の効果を期待し研究活動を開始したものの、地域内の産業、居住及び余暇関連施設が不足する現在の立地環境等について問題点が示唆されました。
 以上でありますが、最後に今回の調査に当たり御協力を賜りました関係者各位に心から感謝を申し上げ、報告を終わります。
#16
○委員長(中川嘉美君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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