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1994/06/21 第129回国会 参議院 参議院会議録情報 第129回国会 科学技術特別委員会 第5号
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1994/06/21 第129回国会 参議院

参議院会議録情報 第129回国会 科学技術特別委員会 第5号

#1
第129回国会 科学技術特別委員会 第5号
平成六年六月二十一日(火曜日)
   午後三時四十二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月二十一日
    辞任         補欠選任
     立木  洋君     吉岡 吉典君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         中川 嘉美君
    理 事
                鹿熊 安正君
                志村 哲良君
                川橋 幸子君
                大久保直彦君
    委 員
                井上  孝君
                倉田 寛之君
                河本 三郎君
                二木 秀夫君
                前島英三郎君
                穐山  篤君
                稲村 稔夫君
                西岡瑠璃子君
                松前 達郎君
                泉  信也君
                長谷川 清君
                古川太三郎君
                吉岡 吉典君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       近江巳記夫君
   政府委員
       科学技術庁長官
       官房長      井田 勝久君
       科学技術庁科学
       技術制作局長   島  弘志君
       科学技術庁研究
       技術振興局長   新  欣樹君
       科学技術庁研究
       開発局長     石井 敏弘君
       科学技術庁原子
       力局長      石田 寛人君
       科学技術庁原子
       力安全局長    笹谷  勇君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        堀籠 秀昌君
   説明員
       外務省総合外交
       政策局軍備管理
       軍縮課長     中根  猛君
       厚生省社会・援
       護局更正課長   冨岡  悟君
       工業技術院総務
       部総務課医療福
       祉機器技術研究
       開発調整室長   大嶋 清治君
       資源エネルギー
       庁公益事業部原
       子力発電安全管
       理課原子力発電
       運転管理室長   村山 正純君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○平成六年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)、平成六年度特別会計予算(内閣提出、衆
 議院送付)、平成六年度政府関係機関予算(内
 閣提出、衆議院送付)について
 (総理府所管(科学技術庁))
    ―――――――――――――
#2
○委員長(中川嘉美君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、立木洋君が委員を辞任され、その補欠として吉岡吉典君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(中川嘉美君) 去る六月十七日、予算委員会より、本日の午後三時から、平成六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち科学技術庁について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
 本件の説明につきましては既に聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○稲村稔夫君 大臣、世の中、核拡散防止条約であるとか原子炉の安全問題であるとか、いろいろなことが話題になるとき大変大事な立場に立たれ、本当に御苦労さまでございますし、また心から御活躍をお祈りいたします。きょうは科学技術庁の予算を中心にいたしまして御質問を申し上げることになりました。
 最初に、私は今度の科学技術庁予算を一覧表で拝見させていただきまして、どうも目玉はどこにあるのかなという感じがしております。科学技術庁予算の総体の中で各項目の占める割合などをちょっと計算させていただきますと、私は、ボタンのかけ違いじゃないけどボタンの押し間違いであるいは計算が間違っていることがあるかもしれませんが、細かい数字の違いは別といたしましても、およそのところで見てまいりますと、その配分は前年とほぼ変わらないという形になっているように思います。
 ということになりますと、私は従来からそういう主張を意見として申し上げてまいりましたが、科学技術庁予算というのは、科学の進歩と技術の発展のためにかなり幅広く貢献をしてもらわなきゃならない、そういう仕事でどれもみんな重要だというふうに思うわけであります。それだけに、大きな仕事といいましょうか巨大科学、そこのところに金を食うのは仕方ないという側面はありますけれども、やっぱり偏りが大き過ぎるのではないかというふうに思っているわけであります。それを変えるべきである、もっといろいろな点で科学技術全体の底上げをしていく、そういう予算にすべきであるということを私は申し上げてまいりましたが、どうもその辺のところに変化がないように思われるわけですね。
 そこで最初に伺いたいのは、この六年度予算の目玉は何かということをまずお聞かせいただきたいと思います。
#5
○政府委員(井田勝久君) ただいま先生の御質問でございますが、特に私ども重点を置いている項目といたしましては創造的・基礎的研究の強化、科学技術振興基盤の整備、こういった分野でございまして、科学技術振興調整費、そういったものの重要な基礎研究推進制度を拡充いたしましてこういったものの整備を図るということでございます。これは前年度と比べますと一二・四%と大変大きな伸びの額を計上しておりまして、総額として六百五十億円計上しているわけでございます。
 また、がん関連研究、地震予知研究等の国民生活の向上に資する科学技術の推進、こういった点においても大変力を入れておりまして、重粒子線がん治療装置は施設の建設が終わりましたので表向きは余り伸びておりませんが、内容的には大変大きく伸ばしているところでございます。また、地球環境問題への取り組みの強化、国際共同プロジェクトの推進等を内容とします科学技術による国際社会への貢献も一七・九%と、大きな伸びを示すよう努力したわけでございます。
 このほか、先ほど先生から巨大技術の話が出ましたが、これは既に大きなプロジェクトがいろいろ進んでいるということでございまして、宇宙、海洋あるいはエネルギーの安定確保のための原子力の研究開発事業についても着実な推進を図るため、所要の経費を計上しているところでございます。
 全体といたしましては、こういった基礎研究、科学技術振興基盤の方は、先ほど申したように昨年度は一五・二%伸ばしたのが一六・二%にさらに増加させる、あるいは海洋関係の経費も二・一%から二・四%に増加させる、一方、原子力の方は五五・六%から五三・五%へと比重を下げる。こういった割でございまして、全体といたしまして私どもそういった重点分野を伸ばし、それからそのほかの大きなプロジェクトにつきましては必要に応じて経費を計上している、このような予算編成をしたわけでございます。
#6
○稲村稔夫君 昨年に比べての伸びということでのお話がございましたが、確かに伸びはあるわけであります。科学技術庁の予算全体でも大変伸びているわけでありますから、したがいまして全体的にはそれぞれの項目も伸びていくと同じに考えていけば伸びていく、これは当たり前の話であります。それで多少のあれがあるということは、それはそれでわかります。
 ただ、私が申し上げているのは、予算全体の中の構成比のことを言っております。どのくらい占めているかということであります。しかも、今の御答弁は債務負担行為が含まれていないわけですね。
#7
○政府委員(井田勝久君) はい。
#8
○稲村稔夫君 ですから、その債務負担行為を合わせて、要するに債務負担行為というものは仕事をしないためについているんじゃないですから、仕事をするために債務負担行為がっくわけですから、債務負担行為を合わせでどういう構成になっているかという、これがやっぱり関心事なんです。
 そういたしますと、一般会計と電源開発促進対策特別会計の比重で見ていくと、この比重は特別会計の方が若干高くなって、一般会計の方が少し落ちている。比重の問題です、債務負担行為を含めての。ということになりますし、それから創造的・基礎的研究の充実強化についても、これはうんと債務負担が減っていますから、だから債務負担行為ともあわせて見ていくと、これも前年度に比べれば構成比は落ちている。
 それから、がんの話がありましたが、確かにここの部分はあるといたしましても、国民生活の質の向上に資する科学技術の推進全体ではほとんど変わりないですね、この今の構成の比率でいきますと。そして、先端科学分野の比率がちょっと減っているというような形になっております。
 私は、局長の言われたところもよくわかります。ここのところの予算を伸ばすのに随分苦労したぞ、大蔵省のかたい頭を切りかえさせるには科学的な手法が必要だった、こうおっしゃりたいことはもうよくわかるんです。御苦労はわかります。しかし、予算の性格ということからいきますと、やっぱり全体の中のどれだけをどういうもので構成しているかということが問題になるわけです。そこのところをもう少し詳しく御説明いただきたい。
#9
○政府委員(井田勝久君) ただいま先生御指摘の債務負担行為を加えた額で予算の全体の比重を考える、一つの御見識だと思います。しかし、内容的に考えますと、原子力でございますとか宇宙とか、その仕事の性格上どうしても大きな施設を必要といたしますので国庫債務負担行為を計上するという形になりますが、一方、基礎的・創造的研究というのは、研究者の研究をいろいろ助成するということでもともと国庫債務負担行為になじまない性格の予算でございますので、加えた額をもって基礎的・創造的研究が少ないというふうにはなかなか当たらない部分もあるのではないかと思うわけでございます。
 そういう意味で、それは詳細に分析いたしましてまた考えなきゃいけないのでございますが、例えば原子力をとりましても、電源開発促進対策特別会計というのによります電源の多様化のための研究開発、これは例えば「もんじゅ」を建設いたしますとか、それからやはりいろいろな施設をつくって研究をいたしますので施設が中心でございますので、マル債を加えますとどうしても多くなります。
 しかもこれは特別税でございますので、そういったものに充当せざるを得ないということでございまして、まさにその原子力のみのそういったリサイクル路線を中心としたものの研究開発に使われるということでございまして、私どもといたしますれば、これ以外の一般会計をどのようにシフトさせていくかということに非常に苦労しているわけでございます。
 そういうわけで、一般会計の中では創造的科学技術の推進、創造的な研究開発とか研究基盤の整備ということを重点といたしておりますし、また原子力におきましても、一般会計におきましては大型放射光施設の建設あるいは重粒子線がん治療装置の建設とか、こういったものを原子力で充当しておりまして、かなりハイテクの部門といいますか、むしろそういった先端的な部門に投資をしております。
 また、原子力安全研究というのは一般会計でやっております。そういう意味では、特別会計でできるものは特別会計で施設を整備してまいる、それから一般会計はそういったその重点項目にできるだけ配分していきたい、このように考えていろいろ予算の編成をしたわけでございます。
#10
○稲村稔夫君 そういう観点は常に堅持をしていただきながらこれからも進んでもらいたいというふうに思いますが、がと言ってまたつけ加えて申しわけありません。例えば、創造的・基礎的研究の充実というのに一般会計の経費は昨年よりも一二・四%の増。ここはかなり大幅に伸ばしましたということはわかります。
 ただ、科学技術庁予算のさっきの構成比ということで見ていったときは、今度は一般会計の債務負担行為は別にしてここの部分だけを見ていくと、去年は構成比でいくと私の計算では八・三%、この一の創造的・基礎的研究の充実強化八・三%。ことしは八・六%。だから一一二にしたという努力の跡は出ていると思いますが、構成比による伸びというのはそう大したものがない、結果としてそうなってきております。
 私は、ここから意見を申し上げて、ここについての最後のところで大臣のこれからの御見解を伺いたいというふうに思うんですが、科学技術予算というのは、確かに片一方では巨大技術、集積技術というものを対象にいたしますから、そこに大きな金を食うというのは一定の程度やむを得ないと思います。
 しかし、今の世の中は、そういう飛び抜けてというか先端的にいろいろと努力をしてきたもの、そこを促進してやるということも大事なんですけれども、決して用がなくなったとは言いませんが、そういうことも大事です。しかし、そのことに対して今度は逆におくれている部分、これから注目をしていかなきゃならない部分というものが結構あるんだと思います。そういうことをやっぱり配慮した科学技術行政というものを展開されなきゃならない、それが予算に反映されなきゃいけないというふうに思うんです。その辺のところはどういうふうにお考えですか。
#11
○国務大臣(近江巳記夫君) 所信表明でも申し上げましたが、それぞれの項目一つ一つ考えていきますと、皆それぞれの深い意味がございますし、重要な問題ばかりでございます。非常にその辺は戸惑いが出るわけでございますが、先ほど先生御指摘されましたように、例えば国民生活の質の向上に資する科学技術の推進、対前年度比九九・五%、これは少ないじゃないかという御指摘もあったわけですが、まさにそのとおりでございます。
 これからの科学技術ということを考えますと、今人材離れも言われております。科学技術が目に見えないとかいろんなことが言われているんですけれども、科学技術を身近に感じていく、そういう施策というのがやはり非常に大事だと思うんです。そういう点におきましては、ただいま御指摘ございましたところにも今後はうんと力を入れていく必要がある、このように思います。
 そういうことで、来年度予算に向けましては、この夏に向かいまして概算の作業ももう始まりつっあるわけでございますので、先生御指摘の点も十分考えまして、再度この配分等につきまして、今後、秋に補正が組まれるのかどうかそれはわかりませんけれども、そういうことも含め、来年度に向けましてしっかりまた検討させていただきたい、このように思うわけでございます。
#12
○稲村稔夫君 ありがとうございました。
 そこで私は、先端科学と技術の発達に追いつけなかった、おくれていた部門の例を幾つか知っているわけでありますけれども、特にこういうことに着目していただくことが必要だというふうに思っていることを幾つかこれから申し上げてみたいと思っています。
 科学技術庁ですから、それぞれの省庁が持っている分野の大事なところを科学技術庁として考えて、大事なところを伸ばしていくという役割を調整官庁として果たしていただかなければならないというふうに思いますので、申し上げます。
 ちょっととっぴなことを聞いて恐縮です。「科学朝日」の七月号に大変おもしろい記事が載っておりました。大臣でも官房長でもどなたでも結構ですけれども、モグラが泳ぐということを御存じでしょうか。御存じかどうか。
#13
○国務大臣(近江巳記夫君) ちょっと思いつきませんが。
#14
○稲村稔夫君 私もモグラは泳ぐという話を聞いたことはあったんですけれども、なかなか信用できませんでしたが、今言った「科学朝日」の七月号に白神山系でアズマモグラというのが現実に湖を泳いでいる写真が載っています。これはカラーでなくて残念なんですが、カラーだと鼻も赤くてきれいでいいんですけれども。
 しかし、私がこのことを申し上げたのは、今ブナ林を残さなきゃならないとかなんとかということが非常に大きな課題になっています。それは林野庁の管轄の仕事ということになりますけれども、自然を残していく。しかし、例えばアズマモグラのこういう生態一つよくわかっていないものがまだいっぱいあるわけですよ。これは研究者が研究しなきゃなかなかはっきりしないわけですね、科学的に裏づけがないから。そのことは、例えば同じ「科学朝日」にイリオモテヤマネコとかつシマヤマネコの問題もある。私の故郷の新潟県では、佐渡でもうトキがいよいよ絶滅間違いないという状況になっているんですね。
 そういうふうに考えていきますと、それらの研究者に対して研究を進んでやってもらうための政策的誘導、各省庁にやってもらうとしても、科学技術庁がそういうふうなことをやってもらえるような体制をつくらなきゃいけないと思うんですね。
 ちょっと私の演説になってしまって申しわけありませんが、科学技術の先端の部分というのは光の部分です。ほっておいても民間でも一生懸命にやります。しかし、陰になる部分はなかなか研究者もいないですね。今のツシマヤマネコの研究にしてみてもイリオモテヤマネコの研究にしてみても、少ない研究予算の中でみんなやっているようであります。
 そうすると、そういう誘導をする裏に政策というのが必要なんじゃないでしょうか、特に今のように。先端技術も大事です。だから、科学技術庁は先端技術にばかり関心を持ってもらうんじゃなくて、そこから取り残されていくそういう陰の部分、そういう研究というものに力を入れるような予算配分はできないものですか。この辺は事務当局はどういうふうにお考えですか。
#15
○政府委員(井田勝久君) 今先生御指摘のように、科学技術庁は大きなプロジェクトも推進しておりますが、やはり関係省庁全体の科学技術もきちっと研究ができるような、そういうものに絶えず配慮する任務も負っているわけでございます。
 そういう意味では、私どもといたしましては、まずそのためには各研究所の個々の研究費、人当研究費と申しますか、その経費をきちっと拡充しなければいけないということで、関係省庁と集まりまして、こういうことで今年度はふやしていこうということで、平成六年度に当たりましては、理工学系の実験系Tを三万円ずつ上げる、具体的に言いますと百五十一・五万円を百五十四・五万円、それから実験系Uの医学系・農学系につきましては二万円上げる、非実験系につきましては一・五万円上げる、こういった全体の底上げを図るとともに、各研究でまだ必要な研究費がいろいろ足らない部分もございますので、振興調整費を活用いたしまして必要なものにはそこで配分していく。このような、重点基礎研究と言っておりますが、そんなこともしてございまして、一方ではやはりそういった全体の研究機能がきちっとできるということにも十分配慮していくように努力しているところでございます。
#16
○稲村稔夫君 先日の大臣の所信に対する質疑のときに諸外国の研究費と我が国の研究費の問題が質問に出ておりましたね。大臣も民間の方はかなり一生懸命になっているけれども国の方は少ないことはお認めになった。私は大変大事なことだと思うんですね。陰の部分というのはむしろ国の方が積極的に、国の試験研究機関であるとか国の研究所が牽引力になるような体制ができてこないとなかなか難しいんじゃないかというふうに私は思います。その辺はいかがですか。
#17
○国務大臣(近江巳記夫君) きのう朝の九時から総理を議長といたします科学技術会議が行われたわけでございます。そこで三つの大きなテーマで討議が行われたわけでございますが、一つは、科学技術系人材の確保のための方策に係る検討でございます。二番目には、研究情報ネットワークに関する当面の進め方についてでございました。それから三番目に、地域におきます科学技術活動の活性化に関する基本問題でございました。
 この三点につきまして、一時間足らずの会合でございましたが、総理を初め各閣僚も非常に活発な、議員の方もいろいろな意見を出されたわけでございます。その中で、いわゆる人材の確保のため、これには今言われております理工系離れ、これは文部省等も力を合わせて小さい段階からそういう科学技術に関心を持たせていく学校教育のあり方、また博物館の整備、高等教育におきますいわゆる研究施設の充実整備、さらには研究費の増額、また実際に研究所等で働く人たちの処遇の改善等々、この点が非常に集中して論議になったわけでございます。
 その中でいろいろまた財源の問題がありまして、我が国は二兆三千億ということでございまして一八%、十二兆八千億の中で先生御承知のように民間が八一・九%、約八二%、そういうことで八割以上が民間である。基礎研究を本当に一番地道にやっていく、それは政府主導でやる以外ないじゃないかと、おられました先生方の意見はほぼ一致したわけでございます。そういうことで、今後二十一世紀を展望いたしまして、本当に基礎研究に今こそ先行的な投資といいますか新社会資本の整備といいますか、そういう考え方に立って今後方を注ぐべきではないかという皆さんの御意見がそろったように思うわけでございます。
 そういうことで、先生御指摘の点、本当にそのとおりでございます。今後、総理を中心といたしまして、しっかりと関係各省その方向で頑張ってまいりたい、このように思う次第でございます。
#18
○稲村稔夫君 ありがとうございました。
 私はきょうは持ち時間がうんと少ないものですから、もっともっと伺いたいことがこの問題でもあるわけでありますが、ただせっかく大臣からお答えをいただいて、通告していませんでしたけれども、ちょっと気になったことがありましたので。
 これは官房長にお聞きすればいいのですか、研究交流促進法のときに、研究室の研究者そのものの問題と、それからそれを補助する人たちの問題が大分あったと思います。たしか私はあのとき諸外国の、アメリカから来た学者の調査の結果なども引用して申し上げたりしたことがあったというふうに記憶しておりますが、そういう補助員の数はその後ふえていますか。だれに聞いたらいいですか。
#19
○政府委員(新欣樹君) いわゆる国立研究機関におきまして、研究支援者と申しますかそういった方々が不足をしておるという声につきましては、例えば国立試験研究機関の連合であります直研連という団体などがございますが、そういうところの要望などにも出てきておるところでございます。
 実は先週でございますか、私直接そういった陳情、要望も受けたわけでございます。その生の声を聞きますと、研究機関によってまちまちであるけれども、そういった補助員といいますか支援者の不足というのがだんだん深刻になってきつつある。
 ですから、この対策といたしましては、やはり一つには研究費を増額して、例えば外部にそういったものを委託するというようなこともあるわけでございます。例えば、人当研究費を上げたというようなことの中にも、そういうものの対策の一部として、微々たるものではございますけれども入っておるということと理解をしていただきたいと思っております。
#20
○稲村稔夫君 だんだん深刻になっているということは、私は非常に重大な問題だというふうに思います。予算編成の中でも人当研究費ということで多少はその辺は配慮するつもりだというふうにおっしゃいましたけれども、これは改善をされるように何とかしていかなきゃ、幾らいろんないいことを言ってみても実際はその研究が進まぬということにもなってくるわけでありますから、その辺は特にまた新しい体制の中ではお考えをいただきたいというふうに思います。
 もう時間がなくなりましたから次に移らせていただきます。
 通産省はお見えになっていますか。――東京電力の福島第二原発で先日事故があったようであります。三号機ですね。三号機と聞いた途端に私は何か因縁めいた感じがしてまいりました。その前に循環ポンプの事故で大騒ぎしたのも三号機です。しかも、そのポンプとは違うポンプだといってもポンプ系だというんですね。何か因縁めいた感じがするのですが、大丈夫ですか。お調べになりましたか。
#21
○説明員(村山正純君) ただいま御指摘のございました東京電力の福島第二原子力発電所三号機のトラブルにつきましては現在鋭意調査中でございまして、原因の徹底究明を行った上で再発防止対策に万全を期してまいりたいと考えておるところでございます。
#22
○稲村稔夫君 この問題は、きょう私は詳しいことを聞いている時間がありません。時間のあるときにまた来ていただいていろいろと確かめたいというふうに思いますが、要は、こういうふうにして続いて起こっているわけですから、だから二度とこういうことが起こらないようにというのはだれでも言うことなんです。もう徹底的に関係する調査も全部十分していただいて、この三号機だけの問題じゃないと思うんです。そういうことで、徹底的な調査をした上での結論を一度またお聞かせいただきたいというふうに思います。
 そこで、原子力に関して伺うことになるわけでありますが、このところ北朝鮮の核疑惑なるものがずっといろいろと言われてまいりました。私は、技術的にIAEAが果たしてどこまで調査をすることを要求しておられるのかということはよくわかりませんが、あの程度の黒鉛原子力発電所でプルトニウムがどの程度抽出されるか、これは専門家なら大体試算ぐらいはできると思うんですが、どういうふうにお考えですか。
#23
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり北朝鮮の寧辺にございます原子炉でございますが黒鉛減速の炭酸ガス冷却、恐らく燃料は天然ウラン、そういう型でございまして、電気出力は五メガワット、五千キロワットということでございます。
 したがいまして、何らかの格好で計算すればプルトニウム生産量が出るんじゃないかということであるわけでございますけれども、これは御承知のとおりに、その炉が一体いかなる運転履歴を持っているかということで大きく変わるわけでございます。その肝心の運転履歴につきましては私ども全く認識していないところでございますので、これにつきましては一体いかほどのプルトニウムがどうなっているか、私どもどうしても知り得ないというところであることを御了解賜りたいと存ずる次第でございます。
#24
○稲村稔夫君 私は今の局長の御答弁は、データが報道程度のものであれば局長の御答弁でやむを得ないのかなという感じがします。ただ、技術的に言えば、いつごろから運転を始めてそれでというようなことが大体わかっているわけですから、そうすると私はそのプルトニウムの抽出量、仮にフルに抽出したとしたって量的には大したものは抽出できていないだろうというふうには思います。なおかつ北朝鮮当局は、もうこれを核兵器にするつもりもないし持つつもりもないというふうなことを言明しておられるということであります。
 その辺のところをどう確認するかという問題が出てくるわけでありますけれども、いずれにしても、私は日本政府の対応というのは制裁問題に余り集中し過ぎていたんじゃないだろうかなというふうに思います。これは私の見解です。
 そこで、もう一つそれに関連をしてまいりますが、核兵器といえばやっぱり不拡散条約の問題、NPTの問題。NPTはもう無条件で延長に賛成だというふうに日本政府では確認をしたことなんでしょうか。国会答弁でそういうことが随分ありました。科学技術庁長官という立場に立たれて、それで核兵器保有国が自分の国のことは除外をしてよその国だけ規制をするというやり方についても、やっぱり純粋に科学技術の観点に立ったらいろいろと考えさせられる問題があると思うんです。その辺の見解をお伺いして、私はもう時間が来ると思います。
#25
○国務大臣(近江巳記夫君) この問題は細川前総理も表明されましたし、政府といたしましても、来年のたしか五月にNPT延長会議があるわけでございます。そのときにも正式にそれが表明されることと思いますが、政府の態度といたしましては無期限延長に賛成であるということを表明しておるわけでございます。これはなぜかといいますと、確かに一面ではこれは不平等条約であるということを言われているわけです。確かに核兵器を持っておる国があるわけですから、それと全然持たない国と、当初からそれは言われてきたことでございます。
 しかしながら、我が国の立場といたしましては、先生御承知のように、あくまでも平和利用ということで我が国は今日まで取り組んでまいりました。御承知のように、我が国は非核三原則また原子力基本法がございます。また、NPTに加入し世界で最も厳しいと言われるブルスコープの査察も受けておるわけでございます。その我が国が、今申し上げた両面のNPTに対する考え方があると言いながらもしもそれを留保などした場合、日本はこれだけの経済大国である、また現にこれだけの平和利用もやっておる、その日本が留保するということはほかのことを考えておるんじゃないかというような、そういう考え方にもとられかねないわけでございます。
 そういうことで、むしろ我が国が最初にそういう姿勢を示すことによりまして平和利用に徹するという姿勢を全世界に示す、同時に、不平等と言われるいわゆる核兵器保有国に対しましては、核のさらに大幅な削減あるいはまた将来の廃絶に向けて我が国としてもそれをどんどん訴えていく、そういう姿勢が大事ではないかと思うわけでございます。そういうことで、私自身といたしましてもこの無期限延長を支持する、政府はそういう方針に立っておりますが、私も全く同感でございます。
 今後とも核保有国に対しましては今申し上げた姿勢で核の大幅な削減、またさらには廃絶を将来目指していく、そういう姿勢でいきたいと思っております。
 以上でございます。
#26
○前島英三郎君 自由民主党の前島でございます。よろしくお願いいたします。
 今月七日の本委員会におきまして大臣の就任のごあいさつと科学技術振興の基本施策についての所信を承りました。大臣は、「社会や経済の構造改革を推進」しなければならないとか、「新しい理念のもとに、国際的協力体制を」とか述べておられますが、どう改革したいと考えているか、新しい理念とは一体何なのか、内容をもう少し具体的に、どちらを向いているのかわかるように示していただきたいと思うのでございますが、大臣の科学技術に対する基本認識を改めてお伺いしたいと思います。
#27
○国務大臣(近江巳記夫君) 国民の知的創造力というものが最大の資源であると思います。資源小国の我が国にとりまして、この知的創造力というものをもちまして将来を科学技術の発展に託するところというのは非常に大きいと思うのでございます。
 そこで、平成四年一月に出されました十八号答申を受けまして、四月に科学技術政策大綱が閣議決定されております。この大綱におきましては、先生御承知のように、一つは「地球と調和した人類の共存」、二番目には「知的ストックの拡大」、三番目には「安心して暮らせる潤いのある社会の構築」、この三つの目標を掲げておるわけでございます。そして、この三つの目標を達成するために早期に政府の研究開発費の投資額を倍増してやりましょう、こういう姿勢を出しているわけでございます。
 科学技術大綱に示されました項目というものは、私自身も全くそのとおりであると思っておりますし、そういう方針に基づきまして今後研究開発投資を拡充する、あるいはまた人材の養成確保、研究施設の整備の充実を図る、基礎研究を盛んにする、先端科学技術に取り組む、さらに人に役立つ科学技術分野等にもさらに力を入れていく、国際貢献も力を入れていく、こうした方向で今後一層努力をいたしてまいりたい、このように思う次第でございます。
#28
○前島英三郎君 大臣は、この委員会のごあいさつでは「昨年来連立政権が継承し発展させた科学技術政策をよりよいものとして」と、こう述べられまして、所信演説では、「昨年発足いたしました連立政権がそれまでの科学技術政策を継承したのも、このような認識によるものと思います。」と述べまして、さらに次のフレーズでは「連立政権が継承し発展させた我が国の科学技術政策をより一層充実させてこと繰り返しておるわけであります。短いあいさつと所信表明の中で合計三回も連立政権が継承したことを強調されるという理由は何なのでしょうか。私たちは所信表明の中で割合珍しい表現の使い方だな、こう思ったものですからお尋ねいたします。
#29
○国務大臣(近江巳記夫君) 科学技術政策というものは、先ほどお話し申し上げましたように、平成四年の科学技術政策大綱に示されたように、これはもう先生御承知の前政権の時代に確立された大綱でございます。これが発表されましたとき、当時私たちは野党であったわけでございますが、文言で言えば短い大綱でございましたが本当によく集約した大綱である、私自身も当時科学技術委員会におりましたのでそのように感じた次第でございます。
 そういう意味で、前政権がつくられた大綱でございますけれどもその線に沿いまして、連立政権というのは多くの党が寄って政権を構成しておるわけでございます。そういう点ではいろいろな考えの党、また先生もおられるわけでございまして、どういう方向に行くかなという、はたから見ておりますとやはり不安感も出てくるんじゃないかと思うわけでございます。
 そういう意味で、この科学技術政策につきましては、前政権と同じ路線で進んでいくというその一貫した、また継承した姿勢というものを十分御理解いただきたい、こういう気持ちで私自身おったものでございますので何回もそこに出てきたんじゃないかと思うわけでございます。ひとつ御了解いただきたいと思います。
#30
○前島英三郎君 そうすると、念のために伺いますが、連立政権が継承したそのもととなった科学技術政策というのは自民党政権の政策である、こういう理解でよろしいんですか。
#31
○国務大臣(近江巳記夫君) 当然、科学技術大綱に沿ってこの政策というものは出ておるわけでございます。その大綱ができましたときには科学技術会議というものが中心になるわけでございますが、そこには当然我々、今までずっと野党であった者の声も十分そこに反映されておりますし、民間から出ておられる超一流の学者の方々の声も全部集約されておるわけでございます。そういう点で、私はこの科学技術政策におきましては一致したものである、そのように考えておる次第でございます。
#32
○前島英三郎君 政府の政策継承という表現ならわかるんですが、政権ということになりますと、自民党政権には反対だったが科学技術政策に関してはよかった、こういう受け取り方でいいのかなという思いがするわけですが、それだけで議論するわけにはまいりませんから本題に入ります。
 近年、科学技術というのは非常に高度化、複雑化いたしておりまして、国民にとっても科学技術はわかりにくいものになってきております。私なんかもかなりわかりにくいところが多くて困っているんですが、近年問題となっている若者の科学技術離れもそういったことに原因があるのではないかというような気がいたします。そこで、科学技術を国民にとって身近なものとするために、科学技術をわかりやすく、生活や地域に密着したものとしていくことが大変重要ではないかというふうに考えるんです。
 私もかつて科学技術政務次官をやらせていただいたことがあるんですが、そのとき平仮名の科学技術、こういうことを申し上げた記憶があるんです。やはり家庭や地域にもっともっと科学技術を溶け込ませて、国民にわかりやすい科学技術を推進していくことが大変重要だという思いがするんですが、大臣はその辺はいかがお考えでございましょうか。
#33
○国務大臣(近江巳記夫君) 先生おっしゃるとおりでございまして、わかりやすく、生活や地域に密着したものにしていくということ、これは非常に大事なことでございます。そのためには、科学技術を身近にとらえ、考えるためのそういう多様な機会を提供するということが非常に大事なことだと思います。それが一つでございます。そのことによって、国民の科学技術に対する理解、関心を高めることができると思うのでございます。
 二番目には、福祉や防災など生活のニーズに密着した研究開発に取り組みまして、積極的に推進していく必要があるのではないかと思うわけでございます。
 これらの施策の展開に当たりまして、人々が生活する場としての地域における科学技術活動を活性化していくということは非常に大事じゃないかと考えるわけでございます。こういう観点から、科学技術庁といたしましては、地域における科学技術セミナーの開催、科学技術振興調整費などを活用いたしました生活・地域流動研究などの施策を今日まで推進してきたわけでございます。
 また、昨日は御報告申し上げましたように科学技術会議が行われたわけですが、三つの柱がございました。三つの問題があったわけですが、地域におきます科学技術活動を活性化していくということがうたわれてございます。そこで総理大臣から科学技術会議に、「地域における科学技術活動の活性化に関する基本指針について」ということの諮問がなされたわけでございます。そういうことで、今後地域活動も本当に身近なそういうところをさらに活発化していきたい、このように私自身考える次第でございます。
#34
○前島英三郎君 今大臣がお述べになりましたように、国民生活に密接に関連した分野の研究開発についてはぜひとも積極的に取り組んでいただきたいと考えます。本来、人間社会におきまして不便さを便利にするのが科学技術の基本的哲学ではなかったかというような気がいたしますので、こうした分野に関する科学技術庁の取り組みということを私たちも期待しておるわけであります。
 実は私も障害を持っておるわけでありますが、車いす一つとりましても、例えば日本の車いすは大体十五キロとか十三キロが平均なんですが、八キロ台の車いすがアメリカなんかでは使われている。それは一体どこからということになると、NASAの研究で、非常に素材が軽量で堅牢で、そしてまた宇宙遊泳するということはつまり、私は下半身麻痺ですが、四肢麻痺の状況になるんだと。これは無重力ですから自由がきかないわけです。そういう視点から科学技術と障害者の補装具の機器開発というものをドッキングさせている。一方では夢がある。その夢の中から現実のものを取り入れていくというような、そういう科学というものを私たちも期待をしたいと思っているわけであります。
 そういう観点から、昨年、私たちは各党の御協力をいただいて障害者基本法というものをつくって、これは議員立法で成立させていただきました。科学技術に関して個々に言及しているわけではありませんけれども、福祉用具や情報通信にかかわる条文が追加されたり、あるいは科学技術の進歩発展に期待するものが相当含まれておるわけであります。特に留意していただきたいのは、第三条に追加した第二項というのがありまして、これは機会均等化の基本理念を示した条文なんですが、この機会均等化の原則というのは科学技術の進歩発展のあらゆる分野にも及ぶということでございます。
 関係省庁としてもこの辺はしっかり受けとめておると思うんですけれども、この基本法でうたわれております。そういうもろもろの障害者の福祉用具とか、あるいは失われたものをカバーする科学技術という視点でとらえて、科学技術庁とともに、厚生省それから通産省もきょうおいでいただいておりますが、科学技術と障害者福祉用具の一つの連携についてお伺いしておきたいと思います。
#35
○政府委員(石井敏弘君) ただいま先生御指摘の障害者の自立と社会活動への参加、参加機会の機会均等といったようなことの障害者基本法の基本理念ということは、私ども政府としてこの方針のもとにいろんな分野でやっていくということでございまして、特に科学技術の世界においても当然のことながらこれを大きな基本理念の一つと考えております。
 具体的に、先ほど大臣の述べられました科学技術政策大綱におきましても、「安心して暮らせる潤いのある社会の構築」等を目指しました科学技術政策というものを掲げておりまして、その中でも障害者に対する生活の豊かさが実感できるような研究開発といったようなものが非常に重要であろうというように考えておるところでございます。
 科学技術庁におきましても、これまで新技術事業団の委託開発制度によりまして、電気刺激による生体機能の再建装置の開発でございますとか、あるいは電気義手の製造技術、あるいは結晶化ガラスによります人工骨の製造技術等の医療福祉機器の開発といったようなことをやってきたところでございます。今後とも私どもこのような観点からの研究ということを積極的に推進していきたいと、かように考えておるところでございます。
   〔委員長退席、理事大久保直彦君着席〕
 また、先ほど宇宙その他の先端分野等の科学技術の波及効果といいますか、それをほかにいろんな形で使っていくというような御指摘がございました。私ども、そういったいろんな成果が随所に見られるのではないかと思っております。
 例えば、加速器の技術というものを利用いたしましてがんの治療装置にこれを活用していく、あるいはセラミックの研究の成果を踏まえまして、炭素質の人工歯根材の製造方法でございますとか、あるいは超電導に関します研究成果を踏まえまして疾病診断等に用います核磁気共鳴診断装置の高性能化を図っていくといったようなこと、さらに、まだ現実にはなっておりませんが、将来的には宇宙環境を利用いたしました各種の医薬品といったようなものも期待されるといったようなことで、直接的でなくてもいろんな先端分野の研究開発の成果がいろんな形で社会的弱者に対する技術というようなもので出てくるんではないか、このように考えておるところでございます。
#36
○説明員(冨岡悟君) 御説明申し上げます。
 ただいま先生御指摘のとおり、さまざまな障害を持たれる方につきまして科学技術の成果を取り入れましてそのハンディキャップの軽減を図っていくことは、障害を持たれる方々が自立し、社会参加を促進していく上で大変大事なことでございまして、その研究開発、普及を図ることは大変重要な政策課題と考えております。
 このようなことから福祉用具の研究開発に取り組んできたところでございますが、具体的に一、二例を申し上げますと、厚生省に国立身体障害者リハビリテーションセンターがございますが、そこに専門の研究所がございます。そこにおきまして、例えば手を使えない方が操作できる電動車いすの開発、それから聴覚や視覚に障害のある方のための携帯用のコミュニケーション機器の開発といったことも従来から行っているところでございます。それから、テクノエイド協会という民間の法人がございますが、ここにおきましては民間事業者が行います各種福祉機器の開発につきまして助成を行っておりまして、さまざまなタイプの車いすの改善のための助成、盲人用の音ではかれます体温計の開発とか、それから防水型の補聴器の開発といったかなり実用的なものにつきましても助成を行っているところでございます。
 今後につきましては、昨年、福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律、福祉用具法と申し上げておりますが、これが成立しておりますし、先ほどお話しございましたように障害者基本法が成立しております。これを踏まえまして障害者のニーズに合いました福祉機器の研究開発を進めることといたしまして、開発体制の強化、予算の充実を平成六年度も図ったところでございます。
 さらに、先ほど申し上げました福祉用具法は通商産業省との共管の法律でございますが、ここに見られますように、関係省庁と連絡を保ちながら、御指摘のように他の成果を積極的に取り入れる努力をしながら、障害者の生活の利便のために努力してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
#37
○説明員(大嶋清治君) お答え申し上げます。
 通産省工業技術院におきましては、高福祉社会の実現に貢献するため、昭和五十一年度より医療福祉機器の研究開発に取り組んできております。また昨年、先ほど厚生省からもお話がありましたように、福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律が施行されまして、これを機に一層の強化に努めているところでございます。
 これまでに、例えば盲人用三次元ピンディスプレー装置あるいはディジタル補聴器、あるいは耳の悪い方のための言語障害者の発声発語訓練装置といったような機器の研究開発を実施してきております。
 先生御指摘のとおり、医療福祉機器の研究開発、バイオ、新材料、電子情報など非常に多くの関連の技術分野との密接な連携を必要としているというふうに認識しております。したがいまして、通産省といたしましては科技庁、厚生省等の関係省庁ともできる限り連携を図りつつ、引き続き医療福祉機器の研究開発を強力に推進してまいる所存でございます。
 以上でございます。
#38
○前島英三郎君 これからもそういう意味で研究開発にはそれぞれ各省庁に頑張っていただくのですが、厚生省は厚生省独自で考える、あるいは通産省が独自に考える、科学技術庁がまた独自に考えるというものでは、やっぱり三分割されて実りは少ないというふうに思うわけですね。科学技術庁の基礎的な研究、そしてそれを形にしていく通産省、それをまた当事者により豊かに使っていただく厚生省の役割というような、やはり縦割り行政の弊害がそういうところにも若干見られますので。
 随分前ですが、つくば万博、これは科技庁が中心にやっていたんですが、あそこのフランス館でしたか、寝たきりの人がただ言葉で暑いと言えばカーテンが開く、テレビと言えばテレビがっく、コップと言えばロボットが口元に水を運ぶみたいなものを見まして、なるほど夢の科学と現実の科学との調和というものがここにあるんだなという思いをしたものですから、やはりこの厚生省、通産省、科学技術庁というものが連携をとりながらこうした身近な現実の科学技術というものをこれからは構築していただくべく努力をしていただきたいというふうに思うんです。
 そこで、我が国の科学研究に対する国際的な評価として、基礎研究に対する貢献、予算配分などが十分ではないという説がよく指摘されております。研究費の統計から見ましても、民間の研究費が日本の場合は大きくて政府の支出の比率が非常に小さい、開発応用研究に比べ基礎研究の費用というのは比率が非常に小さいということがよく挙げられておるわけであります。一年二年で大きく変えられるものとは思いませんけれども、構造的に改革していく必要があるんじゃないかというふうな気がするんですね。アメリカなどの状況と比較して相当深刻に考える必要があると思うんですが、基礎研究の振興に関する大臣の御認識はいかがでございましょうか。
#39
○国務大臣(近江巳記夫君) そのお答えをする前に、今各省庁連携をとりなさいというお話がございました。非常に大事なことでございまして、研究情報ネットワークというものを今年度から発足させます。これによりまして、国立大学の研究所、国立研究所の二百四がネットワークで結ばれます。したがいまして、福祉関係の機器の開発にいたしましてもそれぞれ研究所が瞬時においてデータもお互いに交換できる、研究情報もお互いに交流しながらよりよいものが進んでいる、これは非常に大きな効果になると思います。先生のお話をしっかりと私たちも受けとめまして、各省きょうはお見えになっているわけでございますし、しっかりと結束しながらまた御期待に沿えるように頑張っていきたいと思います。
 それから、今の基礎研究の問題でございますが、確かに今まで日本は応用はいいけれども、ただ乗り論といいますか、そういう点が弱体であったと言われてきたわけでございます。
   〔理事大久保直彦君退席、委員長着席〕
 いろいろ見てまいりますと、例えばライフサイエンスにおきまして日米を比較しますと、圧倒的に米国は進んでおる。物質材料も米国は進んでおる。電子情報におきましても、これはもういろんな項目がございますがやはり米国が一歩先へ進んでおる。海洋地球科学におきましても各項目ほとんど米国である。今、日本と欧州を比べますとほぼイコールであるというぐらいのレベルだと思うんです。
 そういう点におきまして、本当に新しいシーズを生み出すには基礎研究、これを振興する必要があろうかと思います。そういう意味におきまして、昨日の科学技術会議におきましてもその点がさらに深く認識されたと私は思うわけでございます。そういう点で今が一番大事なときだと思いますので、今後とも科学技術庁が調整の官庁といたしまして、さらに基礎研究の充実に向かいまして、研究投資費の増額を初めといたしましてそれぞれの項目に一層努力をしていきたい、このように思う次第でございます。
#40
○前島英三郎君 そういう視点に立って、我が党には科学技術部会というのがありまして、科学技術基本法というものの策定を目指して勉強会を続けておるわけであります。科技庁にもつき合ってもらっておりますので、その経過や内容についてはよく承知していることと思うんですが、さらに論議を深めた上で近い将来国会に提出する日が来るものと私は思っておるんです。
 これまでの論議の中で必ず出てくるのが、予算が足らないと。産高官低と科学技術を言う人がおりますけれども、どうしても予算が足らない。これはもうあらゆる関係者が指摘した問題点でもございます。
 科学技術政策大綱では、「政府の研究開発投資額をできるだけ早期に倍増するように努める。」というような方針が示されておるんです。これも言葉では言えますけれどもなかなか難しいところもあろうかと思うんですが、大臣いかがでございますか、見通しのほどは。
#41
○国務大臣(近江巳記夫君) きのうは、総理、大蔵大臣それから関係省庁の閣僚が出たわけでございます。大蔵大臣は財布のひもをいつも握っておられる人ですから、御意見は聞かせていただいているということで、いろいろな会議に出られるときにはほとんど発言されないようでございますが、きのうの非常に熱気ある雰囲気に感じられたのかどうかは知りませんが、大蔵大臣もこれからは科学技術の振興が非常に大事であるというような発言をされました。
 私は、総理、大蔵大臣、一番大事なそういう人が出ておられるわけでございますので、後をしっかりとまた努力いたしまして、そしてやはり確信を持って今後科学技術振興のためのそういう研究投資費がさらに上積みできますように努力をいたしていきたいと思っております。
#42
○前島英三郎君 ぜひひとつ頑張ってください。
 次に、エネルギー政策について伺いますが、私たちは二十年前にオイルショックを経験しまして、また湾岸戦争におきまして我が国のエネルギーの供給構造の脆弱性というものを実感させられたわけであります。原子力は大量のエネルギーの安定供給が可能でありまして、基軸エネルギーとしてこれからますます重要であると思っております。しかし一方、日本のプルトニウムに関して世界から注視されていることも無視し得ないものがございます。これらに明確に答え、あるいは世界に安心感を示しつつ進められる原子力政策でなければならないと思うんです。
 そこで、我が国の原子力政策の推進策につきまして伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
#43
○国務大臣(近江巳記夫君) 先生御承知のように、現在我が国の総発電量の三割を原子力が担っております。原子力は、供給の安定性、経済性の面でもすぐれておるわけでございまして、資源に乏しい我が国におきましてはエネルギーの安定的な確保を図る上で重要なエネルギー源となっております。
 先般、フランスヘ四日間でございましたが協定のために行かせていただきましたが、フランスでは原子力発電が七三%に達しておるわけでございます。そういうことで、隣接のスイスとかそういうところに電力を供給しておるというような状況でもございました。
 今回カーネギー・グループの会合が箱根でございました。私は国会の関係で出席させていただいておりませんが、表敬で各大臣お見えになりました。どの国も先進国です。原子力にはやはり力を入れておられる、こういう現状でございました。
 そこで、この原子力発電を長期にわたり安定したエネルギー供給源とするためには、ウラン資源というものは、今言われておりますように、今の状況でありますと七十年なり百年で枯渇するわけでございます。そういう点からいきますと核燃料サイクルの確立ということが大事である、そのように考えております。そういうことで、ウラン資源の確保、ウラン濃縮の国産化、国内再処理事業の確立、高速増殖炉の開発、放射性廃棄物対策等を計画的に推進することが我が国の基本政策である、このように確信を持っておる次第でございます。
 今後とも、この原子力の開発利用につきましては、あくまでも平和の目的に限り、より一層の透明性を確保いたしまして、国内外の理解と協力を得ながら安全確保を大前提として着実な推進を図っていくことが必要である、このように考えておる次第でございます。
#44
○前島英三郎君 まさに資源小国でありますから、科学技術庁の一つのエネルギー政策というものが、その資源の小国をいかにカバーしていくかという点では大変重要だと思います。
 今大臣もおっしゃったように、開発利用においてはまず安全確保が大前提であることは言うまでもないと思います。しかしながら、海外ではチェルノブイリの事故なども起きておりますし、チェルノブイリでは事故直後の緊急作業を行った人々のうち四百七人が急性放射線症と診断されて、二十八人がもう既に死亡しておられるんです。また、今後はだんだんと健康影響があらわれてくると予測されていまして、事故後の四年目からベラルーシやウクライナの一部の地域においても甲状腺疾患が増加しているというような報告もございます。
 我々は、今なおロシアの原子力発電の状況はチェルノブイリ型というのが結構たくさんあるということでありますから、非常に不安を感じざるを得ないわけであります。今度のナポリ・サミットも八項目の主要なテーマのうち一つがロシアの原子力発電所、チェルノブイリのあれをどう始末するかというようなことだというふうなことも伺っているんですが、ロシアの原子力発電の現状について、これはどなたからお答えいただけますか。
#45
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘のとおりに、ロシアにおきます原子力発電、エネルギー源としては非常に重要でございますが、その安全性につきましても非常に大きな関心を呼んでいるところでございます。
 ロシアということに局限いたしました場合、一九九三年末現在におきまして電気出力三万キロワット以上の原子力発電所は二十五基ということでございまして、総発電電力量の約一二%、約一千百五十億キロワットアワーの電力が原子力発電によって賄われていると承知しておるところでございます。
 その中でも、今先生御指摘のいわゆるチェルノブイリ型、RBMKでございますが、これはロシアの国内で十二基あるわけでございまして、そのほかにもVVER−440、−230四基とか、安全性につきましてはさらなる努力が要請されるものがあるわけでございます。特にこの十二基のいわゆるチェルノブイリ型でございますが、これらにつきましてはチェルノブイリ事故以来国際的に安全評価が行われておるところでございまして、種々の安全性の改善策が施されてきているところでございます。
 さらに、旧ソ連、中・東欧諸国でございますが、これらの原子力発電所の安全性の向上を図るために、一昨年のミュンヘン・サミット以来国際的な支援活動が実施されているところでございまして、我が国といたしましても、一つは原子炉の異常を検知する仕組み、あるいは運転訓練のシミュレーター等に関する協力や、運転員の研修あるいは訓練等の支援を行ってきているところでございます。
 このように、原子力の安全確保は国際的に非常に重要な課題でございますけれども、我が国といたしましても、サミットを初めといたしましていろんな機会に関係国と協調するような、そういう路線でこの分野におきます協力に力を入れてまいりたい、かように考えておるところでございます。
#46
○前島英三郎君 一方、ロシアにおいては核物質の盗難とか密売などが問題になっているというんです。これはまた怖いことですよね。日本においてはそんな心配はさらさらないと私は思っておるんですが、じゃ心配はあるのかないのか。核物質の盗難、密売などに対応できる科学技術庁としての管理体制、こういうようなものは十分なのかどうか、この際伺っておきたいと思います。
#47
○政府委員(笹谷勇君) お答えいたします。
 我が国は、核物質の盗取あるいは原子力施設の破壊行為等に対する防護のために、核物質防護条約に昭和六十三年に加入してございます。また、アメリカを初めフランス等と原子力協力に関する二国間協定を締結しておりますが、この中でも国内にあります核物質に対し盗取等を防ぐための措置として核物質防護措置を講じることを約束しております。
 一方、国内的には、こういう国際的な条約加入あるいは協定の締結に際しまして原子炉等規制法を改正いたしております。その改正をいたしまして、国際原子力機関が核物質防護にかかわるガイドラインというのをつくっておりまして、そういうものを改正に当たって取り入れております。そういう形で、事業者に対しまして核物質防護措置を講じるような国内措置を行っているわけでございます。
 具体的には、いろいろなやり方があるわけですが、例えば見張り人を巡視させるとか、あるいは侵入監視装置を置くとか、フェンス等障壁を置くとか、そういうような具体的な措置を義務づけてございます。また、輸送の際におきましても、施錠、封印等をさせるというようなことで、厳重な管理を行っております。
#48
○前島英三郎君 日本の場合は心配がない、こういうことだと思いますね。
 「良薬は口に苦し」といいますけれども、まさに夢のエネルギーがそういう方向に間違って使われるという危険性もはらんだ一連の出来事があるだけに大変心配するんです。
 日本は核兵器開発は可能という羽田総理の発言には驚きまして、これはとても許すことはできない発言だと思いますが、核に関する政策をあずかる科技庁としての見解を聞いておきたいと思うんです。日本は本当に核兵器を開発し、製造する能力というのはあるんですか、どうですか。
#49
○国務大臣(近江巳記夫君) 先生御承知のように、我が国は、もう何回も申し上げておりますが、原子力基本法、非核三原則、当然根本である日本国憲法がございます。NPTに加盟いたしております。ブルスコープの査察を受けております。そういう中で、あくまでも平和利用にかかわる技術というものは、これはもう有しております。
 しかし、平和利用以外のことに関する技術の開発をしようと思ったこともなければ、そういう技術自体は当然持っておりませんし、意図も何にもないわけでございますから、いまだかってそういうことを研究したこともございません。それが現状でございます。それからひとつ察していただきたいと思うのでございますが、あとちょっと原子力局長から答弁させてもらいます。
#50
○前島英三郎君 要するに、そのようなことが言葉にすることさえもとんでもないことなんだと、こういう認識だと思うんです。だから、総理のああいう発言、これもまた海外に対する反響というのは、今出てくるか、そろそろ出てくるかは別としていろいろあるというふうに思うんですが、その辺外務省はどうですか。どんなふうに情報を集めていますか。
#51
○説明員(中根猛君) お答え申し上げます。
 先生今御指摘の総理の御発言でございますが、これは御案内のとおり予算委員会で大木浩先生との間で、大木先生が言われたことを総理はそのとおりですということを言われた経緯があってあのような報道になっておるわけでございますけれども、総理の御発言の趣旨は、国際社会における核兵器の拡散を防止するために日本としては積極的に取り組んでいくという姿勢を確認したものであって、核開発能力の有無について云々しようとしたものではないというふうに伺っております。
 海外における反響につきましては、中国、ロシア、イギリス等の新聞に一部、主として事実関係を中心に若干報道がございますけれども、他方、諸外国政府から公式のコメントがあったというふうには今の時点まで聞いておりません。
#52
○前島英三郎君 こういう情報化社会ですから、本当にこの問題というのは大変心配をするわけですが、日本の非核政策というのはやっぱり国際世論に向けてもっともっと徹底を図るべきだというように思います。これはもう外務省は当然だと思いますが、科学技術庁もそういう姿勢が当然必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
#53
○国務大臣(近江巳記夫君) 先生おっしゃるとおりでございまして、IAEAの通常総会におきます政府代表演説の中で、唯一の被爆国として徹底して平和利用に徹しておるということを明確に表明しているわけです。私自身も、今後いろいろな機会に日本の平和利用に徹していくということにつきましては、これはもう口を酸っぱくして繰り返し表明していくことが大事であろうかと思います。また、特に先生方におかれましても、どうかいろんな機会にこの日本の平和利用に徹する姿勢ということにつきましてはPRといいますか、まだ理解の浅い方もおられるかもわかりませんので、よろしくまた御協力のほどお願い申し上げる次第でございます。
#54
○前島英三郎君 プルトニウムがなきゃいいですけれども、あるだけに指導者の発言というものには大変怖さがあります。
 そこで、原子力発電所の故障や事故についてちょっと伺いたいんですが、大臣は車をお使いになりますね、どういう車に乗っておられるんですか。
#55
○国務大臣(近江巳記夫君) 私はクラウンに乗っております。
#56
○前島英三郎君 その車の例えはワイパーが雨が降っているときに一方が動かなかった。これはどういう表現を使いますか。
#57
○国務大臣(近江巳記夫君) 実は私、昔運転免許を持っていたんですけれども、更新の時期におくれまして、それ以来合持っていないんです。ですから、そういうことで運転技術のことに関しましてはちょっと今詳しくは私存じません。
#58
○前島英三郎君 いや、運転技術じゃなくて、自分の車のワイパーの片方が動かなくなったと。こうした場合どういうふうに言いますか。これは壊れていると言うんですか、何と言うんですか、事故だと言いますか。まあ故障ですよね。要するに故障ですよ。妙なやりとりで煩わして申しわけありません。
 そこで原発の場合、さっきも稲村先生、福島三号機の事故と、すっとこうダイレクトに入っていきますね。ワイパーの例で例えると不謹慎だと言われるかもしれませんが、原発の場合、故障とかふぐあいとか、危険な側面があらわれない場合でも事故と言うんですよね。これはなぜ事故という表現になってしまうんでしょうか。その辺はいかがですか。
#59
○政府委員(笹谷勇君) 事故とか故障、こういう使い方についての厳密な定義は現在あるわけではございません。機械あるいはシステムによっていろんな形で生じます事態といいますのはいろんなものがございまして、一概にどういうものを事故と言うかは非常に難しい問題でございます。
 科技庁といたしましては、原子力施設に生じた事象、これは事故からトラブルまで全体を指すわけですが、事象につきましては、それぞれについてまず従業員の影響あるいは放射性物質が環境へどの程度出たとか、あるいは法令に基づいて報告が求められております。そういうようなものを総合的に判断しまして事故あるいはそれ以外の表現を使っております。
 具体的には、事故という使い方は、例えば安全審査に当たって安全評価をする際、評価指針で事故として評価するような項目がございますが、例えば原子炉冷却材の喪失に至るような一次冷却系主配管の破断、こういうようなものは事故として表現するのが適当であろうというふうに私ども考えでございます。
#60
○前島英三郎君 私が言いたいのは、それはいろんな表現もあろうかと思いますが、必要以上に不安をかき立てて、正しい理解からかけ離れるような結果につながっていってしまうことを恐れるものですからその辺の、ちょっと何かあってもそれは事故だということになって、ではチェルノブイリのようなああいうのはどう言うんだろうか。大事故と、こういうことで、同じ事故でもあれば大事故ですよね。そういう一つの、確かに安全性第一であるという前提に立って考えていくのは当然にいたしましても、妙な不安をかき立てるようなことになっていくのはこれからの原子力政策にも大変心配もつきまとうということを申し上げたかった次第でございます。
 時間になりましたので以上で終わります。ありがとうございました。
#61
○大久保直彦君 長官、毎日朝から御苦労さまでございます。一日も長く科学技術の振興のためにお仕事をされますことを心から念願いたしておるところでございます。
 朝鮮民主主義人民共和国の核疑惑に関連をいたしまして、我が国の非核三原則について二、三ただしておきたいと存じます。
 思い返しますと、一九七〇年代前後、佐藤内閣の時代でございましたが、沖縄返還に伴いまして非核三原則が国是として国会決議ともなり、その場に長官も私もおりましてお互いに胸ときめかしたことを今でも覚えておりますが、まずこの非核三原則についての長官の御所見をお伺いしておきたいと思います。
#62
○国務大臣(近江巳記夫君) この非核三原則につきましては、昭和四十二年に当時の佐藤内閣が表明して以来、歴代の内閣が繰り返し表明されるとともに、国会におきましてもたびたび決議をいただいております。今日、非核三原則は我が国の国是として確立されておりまして、現内閣もこれを継承いたしております。
 この非核三原則は、世界における唯一の被爆国として悲惨な経験を持つ我が国国民の究極的な核兵器廃絶への強い願いに沿うものと認識をいたしております。また、我が国の原子力平和利用につきましても、内外の理解を得るためにも今後ともこれを堅持し、我が国の方針について十分内外において認識していただくことが重要であると考えております。
#63
○大久保直彦君 これは申し上げるまでもなく、核をつくらず、持たず、持ち込ませず、この三つの原則でございますが、以来約四半世紀経過いたしまして、その間にこの持ち込ませずという議論は私も外務省や防衛庁を相手に何度かいたしたことを覚えておりますが、しかし、つくらず、持たずという議論は余りいたした覚えがありません。
 端的に伺いますが、この非核三原則のうちのさきの二原則、つくらず、持たずという、この原則の所管は科学技術庁ですか。
#64
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 持たず、つくらずの所管とおっしゃいますとなかなか難しいわけでございますが、これは御承知のとおりに我が国は……
#65
○大久保直彦君 イエスかノーかだけ。
#66
○政府委員(石田寛人君) 原子力基本法がございますので、その基本法に基づきまして我が国の原子力活動を平和の目的に限って進めておる。そういう仕組みを担当しておるということにおきましては、私ども重大な関係を持っておって、これはむしろ私どもは責任を持って進めていくべきことというふうに認識しておる次第でございます。
#67
○大久保直彦君 科学技術庁ですか。
#68
○政府委員(石田寛人君) さように存じております。
#69
○大久保直彦君 石田局長が答弁しているところを見ますと、その担当局は原子力局ですか、安全局ですか。
#70
○政府委員(石田寛人君) これは若干御説明申し上げたいと思います。
#71
○大久保直彦君 余り長くしないで、イエスかノーかだけ。
#72
○政府委員(石田寛人君) といいますのは、基本的に原子力委員会というのがございます。これがまさに我が国におきます原子力平和利用の番人ということでございますとするならば、原子力委員会の事務方を承っているのは私どもでございます。ただし、個々のいろんな原子力活動につきましての規制をやりますのは安全局でございまして、その際に平和利用の担保というのは非常に重要な事項でございます。その限りにおきましては安全局も関係いたしております。
#73
○大久保直彦君 私もこの非核三原則についてはたびたび議論をしてまいりましたけれども、そのつくらず、持たずというのが科学技術庁の所管であるというようなことは今初めて口にいたしまして、科学技術庁としても初めてお聞きになったんじゃないかと思うんです。
 このことは後で時間をかけてゆっくり議論をしていきたいと思うんですが、今問題なのは、この寧辺の実験用原子炉ですか、五メガワット。規模的にこういう比較はいいかどうかわかりませんが、先日臨界に達しました「もんじゅ」と比べますと約五十分の一か六十分の一、商業炉と比べれば約二百分の一ぐらいの規模の問題である。しかし、我が国についてはそれはどうなっているんだという議論は、この非核三原則を国是として我が国は持っておるということを、今の若い世代の方々や外国にはよく知られていないのではないかということを私は今懸念をするので、こういうお尋ねをしておるわけでございます。
 このつくらず、持たずという所管をしておる科学技術庁としては、じゃそれがあるから大丈夫なのかと言えば、石田局長は、基本法がある、またNPTに加盟しておる、IAEAの査察を受けておるからということをきっとお答えになるんだと思うんですが、所管をしているという自覚があるならば、この非核三原則の精神を、この原則を堅持、発展させるためにもっと能動的にやっぱり科技庁としての仕事の遂行があってよろしいのではないか、このように思うわけです。
 今、たまたま近隣諸国でこういうことが問題になっておる。このときをとらまえて、やはり我が国の平和政策、今長官がおっしゃったように戦後長い間、特にこの非核三原則ができましてから二十数年間はこの三原則が日本の平和国家としての大きな柱であったことはもう大変大きく私は評価すべきことだと思うんです。
 であるだけに、どうか科学技術庁として、こういうときにこの非核三原則の精神をどう維持発展をさせていくか。所管が原子力局か安全局が、両方またがっているようですけれども、それぞれの局でこの非核三原則の問題をどうこれから推し進めていくか。この点についての考え方をこれからしていかなければならないときを今迎えているんじゃないか、そう思いますが。
#74
○政府委員(石田寛人君) 若干簡単に、なおかつ具体的なことを少し申し上げます。
 まさに先生おっしゃるとおりでございまして、私ども非核三原則の徹底のためにでき得る範囲で努力していくということでございます。
 その一つが原子力開発利用長期計画、これは近々、ごく近くまとまる予定でございますが、これにつきましても、今回改定いたしますものにつきましては従来以上に我が国の原子力利用を平和目的に限ることをるる述べておりまして、しかもその根拠、ラショナルというようなものをなるべくきちんと書くという努力をいたしておるところでございます。これは多くの方にわかりやすく我が国の基本的なスタンスをきちんとお伝えしていきたいという、そういう気持ちから出たことでございます。
 それから、いわゆる核疑惑との関連で議論されますプルトニウムでございますが、これにつきましても利用計画の透明性の向上を図るということが非常に重要でございます。したがいまして、このための国際的枠組みの構築ということに関連いたしまして、我が国がイニシアチブをとりまして先進国間の議論が現在進められておるところでございます。今後とも早急にこの成案が得られますように努力してまいりたいということもございます。
 それから、いろんな方面におきまして、なるべく核拡散しないような技術、これを一生懸命やっておるところでございますので、どうかその辺のことにつきまして御了解を得たいというふうに考えておるところでございます。
#75
○大久保直彦君 そのるる述べておるというのをもう少し具体的に言っていただけますか。
#76
○政府委員(石田寛人君) その中の一つでございますけれども、プルトニウム利用あるいは核物質利用の透明性確保のための国際的枠組みをつくるということが一番大事でございます。これにつきましては関係の諸国、特にアメリカ、イギリス、フランス、ドイツあるいはスイス、ベルギー、ロシア、中国等々でございますが、これらの国々と一緒になりまして、我が国あるいはもちろん我が国のカウンターパートあるいはそれ以外の国がプルトニウムをいかにきちんと使っておるかということを外からも明らかになるような、そういう仕組みをどうつくっていったらいいかということにつきましての議論を鋭意やっておる最中でございます。
 これにつきましては、なるべくわかりやすい我が国のプルトニウム利用活動ということでぜひ成案を得まして、関係各国からも、あるいは関係各国に対しましても、全体透明な姿でプルトニウムを使っていける、そういう仕組みをつくり上げていきたい、かように考えておるところでございます。これが一例でございます。
#77
○大久保直彦君 これだけ今国際的な関心を集めている核疑惑のさなかで、我が国としてもこういうときにこそ原子力の平和利用、そういったものの基本的な考え方を国の内外にやはり宣揚しなければならない、そういうことではないかと思います。
 核をつくらず、持たずというこの三原則、国是でもあるこの非核三原則のうち二原則が科技庁の所管であるということがはっきりしたわけでございますから、この機会に科技庁長官といたしましてもう少し具体的にこの問題を、いろんなやり方があると思うんですけれども、推し進めるために何か今思われていることがあればお伺いいたしておきたいと思います。
#78
○国務大臣(近江巳記夫君) 大久保先生おっしゃるとおりでございまして、今これだけ北朝鮮の問題等をめぐりましてさまざまな問題が提起されておるわけです。こういう中であればあるほど、我が国の平和利用に徹する姿というものを、また平和利用以外のことはみじんも考えておらないということを、本当に内外に向かってあらゆる機会にそれを訴えていくことが大事だと思います。その中で、特に非核三原則のそうした国是ともいうべきこの精神といいますか、それは大いに今後また訴えていかなきゃいけないと思っております。
 今後、先生御指摘のように、具体的にさらにこの非核三原則をどのように全世界に向かって御理解いただけるか、十分よくまた勉強させていただきたい、このように思っております。努力をいたします。
#79
○大久保直彦君 終わります。
#80
○吉岡吉典君 時間の関係で簡潔にお答え願います。
 二点お伺いしますが、まず第一問は、原子力開発長期利用計画の見直しはどういう現状なのか、また見通しはどうなのか、現行計画どおりの結論になる可能性があるのか、計画の変更という可能性があるか、あるいは期間が長引くという答えになるのか、そこら辺を教えてください。とりわけ、民間第二再処理工場の計画がどうなるかということを具体的にお聞きします。
 私は三月に予算委員会の調査で青森に行きましたときに、青森県当局から、科学技術庁から見直しについての中間情報を得ている、それによれば現状のまま落ちつくというふうに聞いており、用地まで買収した第二工場がむだにならないのでほっとしている、こういうことで第二民間処理工場の用地まで買収しているということを含めてのそういう話を県の当局から直接聞きました。これは、こういう情報を提供してあるかどうかということをあわせてお伺いします。
#81
○国務大臣(近江巳記夫君) まず第一点の原子力開発長期計画の改定の問題でございますが、現行長期計画の策定以降、情勢というものが御承知のようにいろいろな変化をいたしております。国際情勢、核燃料サイクル事業を初めとする我が国の原子力開発利用の進展、プルトニウム利用をめぐる内外の関心の高まりなどでございます。
 そういう原子力をめぐる情勢も大きく変化をしておるために、原子力委員会といたしましてはこれらを踏まえて長期計画を改定することといたしたわけでございます。既に主要分野ごとに設置されました分科会での検討がほぼ終了いたしまして、先月その概要を公表いたしました。現在、これらをもとに長期計画の取りまとめを進めており、近日中にも新しい長期計画を明らかにできるものと期待いたしております。
 新しい長期計画は、我が国の原子力政策の基本でございます核燃料リサイクルの進め方を初めとする各般の課題につきまして、二〇三〇年ごろまでを展望しながら二〇一〇年ごろまでの推進方策を明らかにしたものになると考えております。
 なお、核燃料リサイクルの中核であるプルトニウム利用の推進に当たっては、余剰プルトニウムを持たないとの原則の堅持や計画の透明性の向上が重要であると考えております。最終段階を迎えた長期計画の取りまとめに当たりまして、私も責任者といたしまして皆様の御理解をいただける、そういう長期計画となるよう努力していきたいと思っております。
 それから、第二再処理工場の問題でございますが、これはひとつ原子力局長から答弁させたいと思います。
#82
○吉岡吉典君 簡潔にお願いします。
#83
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 第二再処理工場でございますが、現行長期計画では二〇一〇年ごろに運転開始ということになっております。これを今まとまりつつあります長期計画では二〇一〇年ごろにそのときの高速増殖炉の実用化の見通しとか、あるいはプルトニウムの需給動向、高速増殖炉使用済み燃料の再処理技術を含む技術開発の進展等々を考慮して、二〇一〇年ごろにその再処理能力利用技術等について方針を決定するという、そういうことになっておるわけでございます。
 なお、今先生おっしゃいました青森の用地のことでございますが、これは全く私ども心当たりはございません。
#84
○吉岡吉典君 これは、私は反対だということを名のってお伺いして、県の最高責任者の一人が語ったことで、私はでたらめを言っているわけじゃありません。
 第二問は、これは政策意図の問題と離れた純技術上の問題としての原子炉級プルトニウムによる核兵器製造は可能かどうかという問題であります。
 この点については、科学技術庁が主催したプルトニウムの国際専門家会議で、アメリカのガーウィンという学者が全米科学アカデミーの文書も提出し、この説明も行ったというふうに私は聞いておりますが、この中には技術的にできるということが結論的には書いてあります。
 それから二月、アメリカのエルズバーグ氏が長官とお会いして、この問題での論議があったということも私は聞いております。アメリカは核をたくさんつくってきた国だと、たくさんつくってきた国の実験を含めて原子炉級のプルトニウムで核兵器ができるという意見だったというふうに聞いております。
 科学技術庁は、従来原子炉級のプルトニウムからの核兵器製造はできないとおっしゃってきたというふうに私は思っていますけれども、核兵器をたくさんつくってきたアメリカの人々がそういうふうに言っている問題はどういうふうにお考えになるか。日本国内の技術者でも豊田利幸先生などは、フランスから去年持ち帰ったあのプルトニウムによっても核兵器はできるんだということを論文で発表しておられるわけです。
 我々はこういう意図、政策じゃありません、客観的にそういう議論があるもとで、日本では現にプルトニウムが多量に存在しているわけで、そういう議論があることを踏まえた我々の物の言い方というのがなければ疑惑は深まるだけになると思いますので、きょうは時間がありませんから、純技術上の問題に限定してお答え願います。
#85
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 本年二月、東京で開催いたしましたプルトニウム国際専門家円卓会議に出席いたしました先生御指摘のリチャード・ガーウィン氏の英文の資料には、原子炉級のプルトニウムに関しまして御指摘のような趣旨の記述があったと存じております。
 また、今お触れになりましたアメリカの反核平和運動家でございますエルズバーグさん、これは二月二十四日に江田前科学技術庁長官のところに来られまして、プルトニウム利用政策等について意見交換を行ったわけでございます。その際、エルズバーグさんは反核の立場から核実験の全面禁止、プルトニウムの生産禁止などさまざまな意見をお述べになったわけでございます。その中で、これは私も同席しておりましたけれども、原子炉級プルトニウムに関しまして御指摘のような趣旨の発言があったと記憶しているわけでございます。
 しかしながら、さきのプルトニウム国際専門家円卓会議で配付されましたアメリカのエジソン研究所のミルズさんの資料には、原子炉級プルトニウムの核兵器への転用は理論的に可能であるが実用にはならないという趣旨の記述もございまして、本件につきましてはアメリカにおきましてもさまざまな評価があるというふうに承知しておるところでございます。
 いずれにいたしましても、原子炉級プルトニウムで核兵器の製造ができるか否かにつきましては、そのような研究開発、あるいは検討は、先ほど大臣がおっしゃいましたように全く行ったことはございませんので、科学技術庁としてはお答えすることはできないわけでございます。
 また、私どもといたしましては、プルトニウムの組成に関係なく保障措置のもとで核兵器への転用のないことが確認されることが重要であって、実際我が国のプルトニウムについてはすべてIAEAの厳格な保障措置のもとにあるということを申し添えさせていただきたいと存ずる次第でございます。
#86
○委員長(中川嘉美君) 他に御発言もないようですので、質疑は終局したものと認めます。
 以上をもちまして、平成六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち科学技術庁についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#87
○委員長(中川嘉美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十七分散会

ソース: 国立国会図書館
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