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1994/05/18 第129回国会 参議院 参議院会議録情報 第129回国会 国民生活に関する調査会公聴会 第1号
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1994/05/18 第129回国会 参議院

参議院会議録情報 第129回国会 国民生活に関する調査会公聴会 第1号

#1
第129回国会 国民生活に関する調査会公聴会 第1号
平成六年五月十八日(水曜日)
   午後一時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    会 長         鈴木 省吾君
    理 事
                清水嘉与子君
                竹山  裕君
                小島 慶三君
                武田 節子君
                吉岡 吉典君
    委 員
                岩崎 純三君
                遠藤  要君
                太田 豊秋君
                服部三男雄君
                溝手 顕正君
                青木 薪次君
                菅野  壽君
               日下部禧代子君
                栗原 君子君
                佐藤 三吾君
                谷本  巍君
                笹野 貞子君
                和田 教美君
                下村  泰君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        小林 正二君
   公述人
       日本在宅看護シ
       ステム株式会社
       社長
       在宅看護研究セ
       ンター代表    村松 静子君
       前原市社会福祉
       協議会主任ヘル
       パー       樗木 孝子君
       社団法人呆け老
       人をかかえる家
       族の会代表理事  高見 国生君
       筑後市民生部福
       祉事務所高齢者
       対策係長     一ノ瀬 諭君
       社会福祉法人秋
       川あすなろ保育
       園園長      今 キヨ子君
       帝京平成短期大
       学福祉学科助教
       授        太田 貞司君
       財団法人関西盲
       導犬協会事務長  下重 貞一君
       主     婦
       有償ボランティ
       ア        稲川 寿子君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国民生活に関する調査
 (本格的高齢社会への対応に関する件−高齢者
 福祉の現状と課題について−)
    ―――――――――――――
#2
○会長(鈴木省吾君) ただいまから国民生活に関する調査会公聴会を開会いたします。
 本調査会は、現在、国民生活に関する調査のうち本格的高齢社会への対応に関する件について調査を進めておりますが、本日は、高齢者福祉の現状と課題についてお手元の名簿の八名の公述人の方から御意見を伺います。
 この際、公述人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様には、御多忙中のところ本調査会のために御出席をいただき、まことにありがとうございます。
 本日は、皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の本調査の参考にいたしたいと存じておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
 次に、会議の進め方について申し上げます。
 まず、お一人二十分程度で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの確認等があればお答えをいただきたいと存じます。
 なお、意見陳述の際は御着席のままで結構でございます。
 それでは、まず村松公述人にお願いいたします。村松公述人どうぞよろしく。
#3
○公述人(村松静子君) 村松です。よろしくお願いします。
 私は、看護婦という立場で、きょうは在宅療養の実情とそこに求められる看護ということで話させていただきます。
 実は私は、昭和五十八年二月六日から、必要に迫られて、医療行為を要する方たちの退院後のフォローをボランティアでしてまいりました。本日は、特に現状の在宅療養の実情、さらにはそこでどんな看護が求められてきているのかというのをスライドを通して説明させていただきます。スライドの方をよろしくお願いします。(スライド映写)
 この方は九十八歳の方です。九十八歳のお母さんを介護していらっしゃる娘さん、七十三歳です。こうやって見ますと、どちらが療養者でどちらが介護者かというのがわからないぐらい、高齢者が高齢者を介護するということが非常にふえてまいりました。そして、この方たちは、この娘さんの御主人八十二歳と三人暮らしてございます。
 あるとき、この娘さんがおっしゃいました。私はこれまで三年間母の介護を続けてきました。老衰が進む母を前にもう一度看護の専門家のアドバイスを受けながら最高の介護をしてみたいと思いますというふうにおっしゃいました。お母様のお父様、つまりおじいさんがドクターであったということから、うちでできる無理のない範囲での最高の医療を受けさせてあげたいというのがこの娘さんの希望でした。ドクターは近くの開業医の先生、そして往診をいただき、私ども看護婦が訪問看護に当たりました。
 徐々にお母様の眠る時間がふえてまいりました。つまり、この方は特にどこが悪いということではなく、老衰でした。ですから、徐々に徐々に眠っている時間がふえていきました。そのお母さんを前に娘さんは手づくりのお食事を食べさせてあげたいという希望がございまして、ドクターは点滴注射を出したんですが、娘さんは何か自分たちの方法でつくったものを食べさせたいということで鼻からチューブを入れまして、点滴注射を中止して、そしてお食事をミキサーにかけてその食事を注入するような状態が毎日続きました。一日三回、手づくりの食事がずっと注入されていきました。
 高齢で介護者もだんだん目が悪くなっていきます。感覚も鈍ってまいります。その娘さんも徐々に、さらに体力もなくなっていきます。ですけれども、娘さんは自分でできることは自分でしたいという思いが非常に強かったのを覚えております。しかし、私どもから見ますと、できることは非常に限られておりました。例えば、お食事をつくること、あるいは吸入をすること、あるいは体をさすってあげること。ただ、そのことをしていただくことによって、娘さんの喜びは非常に大きくなってまいりました。娘さんにできないことは近くに住むお孫さん、右側の方ですが、娘さんにできないことはお孫さんのお仕事になってまいりまして、例えば胸の音を聞くとか、あるいはたんが絡むと器械を使って吸引をするとか、そういうことはほとんどが孫娘の方がなさっておりました。
 さらに、どうしても家族ではできない部分というのがあります。それに関しましては、私ども看護婦が、たとえ夜間であっても訪問をして、そして看護を提供するということを続けました。ほとんどの場合ドクターとの連携は看護婦にゆだねられます。しかも行政の訪問看護の場合は夜間はございません。そういう意味では私ども民間で行っている訪問看護というのは非常に家族の方たちの心の支えになっていたと思われます。
 この方の最期は、御自宅で娘さん、そしてお孫さん、ひ孫さん、さらには娘さんの御主人、お孫さんの御主人、それに加えて家族のお食事をつくってくださったボランティアの方たち、そして開業医、看護婦と、みんなに囲まれた本当に安らかな健康な死でした。この娘さんが、亡くなられた後おっしゃいました。
 家庭というのは私たち家族の一人一人の思いを込めてつくってきたものだ。例えば、この方のうちにはこの方の家庭というのがあり、村松には村松の家庭がある。その家庭を大事にしてほしいんだ。でも、実際には福祉職あるいは医療職の方たちは人の家に土足で踏み込んでくる方が多い。あなたにはこれが必要だ、これが必要だという形で入っていらっしゃる。そんなことは絶対やめてほしいんだ。私たち一人一人の思いを大事にしてほしい。そして黙って私たちの話を聞いてほしい。さらには同じ目線で話してほしい。単なる技術者であっては困る。必要なときに必要なことを必要最小限していただきたいんだ。最大限教えられたりされたりすると私たちはパニックになってしまう。それを私は自然にすることができました。そうしたら、家の中は大通りになって、とても気持ちのいいやりやすい状態になりました。本当に私は最後まで母を家で見られてよかったということをおっしゃってくださいました。
 しかし、このような状態になるのはまだまだごく一部の方たちだということが言えると思います。
 この方は、八年間痴呆の奥さんを介護してきた教育歴四十年の御主人、六十九歳の方です。あるとき、自分でずっと妻を見てきたんですが、行政の方から家で見るのは大変だから入院させたらどうかという話をいただいたと。でも妻は私がいいと言うから、うちで見ますよとお断りしたんですが、どうしても入院させた方がいいという行政の勧めで入院をさせたそうです。ところが、その日の夜病院から電話が参りまして、とてもじゃないけど見られない、徘回して歩いて困るんだ、うちへ連れて帰ってくださいと言われた。自分は、ほら見ろ、私が見るって言ったじゃないかということを心では思った。そのまま連れて帰りました。それから自分は、そこにホームヘルパーさんの力をかりて家事の手伝いをしていただきながら、妻の介護をしましたというふうにおっしゃっておりました。
 ところが、保健婦さんが毎週かかわってくださったんですが、徐々に床ずれができてしまったと。そして 保健婦さんの訪問は ほとんどの場合月に二回、多くて四回というのが普通なんですが、この方の場合にはほとんど毎日のように保健婦さんが来てくださった。ところが床ずれができてきた。あるとき、徐々に徐々にこの床ずれが悪化するということから、どうしても保健婦だけでは対応し切れない、また開業医の先生だけでも対応し切れないということで、私ども民間の看護婦に同時に訪問してくれないかという依頼がございました。そこで初めて私は訪問いたしました。
 何と、床ずれは全身見ましたら約十カ所以上ございました。特に、おしりの回りは三十センチ四方骨まで見える状況でした。さらには腰骨、この腰骨とおしりのところの床ずれは貫通しておりました。しかも、皮下にはずっと穴がたくさんあいていまして、ハチの巣状になっておりました。そこからはうみが約三十ccほど出ました。もう私は一見してこれはターミナルの状況だというふうに思いました。
 床ずれの処置が看護ではない、つまりは家族が死というものに向かい合う必要がある。ところが家族は床ずれの処置をするともとどおりになるという思い込みをしておりました。それを直接私どもは伝えるわけにはいきませんでした。そこで、開業医の先生と連絡をとりながら床ずれの処置をし、さらに徐々に徐々に死というものについて御主人と話すようにいたしました。
 このような状態になりますと、ほとんど口からは食べられません。かといって、今の高度医療の鼻からチューブを入れてやる意味というのもございません。床ずれからほとんどたんぱく質その他の栄養物は流れていってしまいます。それでもこの奥さんは本当に目でいろんなことを合図してきました。
 結局は、御主人は死ということを考えていく形になってしまいました。そして、最後まで在宅でこの奥様を介護いたしました。娘さんがいらしたんですが、大阪に住んでいらっしゃるということで、いろいろ食べ物を送ってくださったり、本当に電話をくださったりということはしておりましたが、その娘さんが自宅へ戻ってきて介護するということは今の状況では不可能です。私どももそれを強引にするということはできないという思いがございます。ですから、側面から援助する体制づくりが必要じゃないかというのが私の考えでございます。
 最終的に私ども看護婦が夜駆けつけ、さらに開業医の先生と連絡をとって、みとったのは私どもとそして御主人、娘さん御夫婦でした。次の日の朝になってドクターに御報告をさせていただいております。
 この御主人がおっしゃるには、介護者の心の寂しさを夜中でも聞いてほしい。私たちは二十四時間電話をいつでも受け取る形をとっております。亡くなられてから約一カ月、毎日のように夜十二時過ぎに御主人から寂しいよという電話が来ました。今では私どものところヘボランティアで来てくださっております。
 私たち看護婦に求められるものは、病状をきちんと見てほしいというだけではなくて、家族の不安にきちっとした説明をもってこたえてほしいということがございます。
 これはICUの場です。今、ICU、集中治療室などと呼ばれておりますが、医療がどんどん高度化しておりまして、ICU室で各科の専門医が全員集まって救命を行っております。
 私も一時このような場で勤めたことがございました。ところが、私はここで働いていましたときに、本当に年老いていく人たち、その方たちすべてをこの場で救命する意味があるのだろうか、その後どうなっているんだろうかという思いが募ってまいりました。
 結局は、ICUに入った八割以上の方が何らかの障害を抱えて退院しております。その後のフォローというのは全くございません。ほとんどの場合、家族の泣き寝入りという状況にございます。私は、今の高度医療を今後どんな形で進めていくのか、また在宅とどういう関係で行っていくのかというのも一つ大きな課題ではないかというふうに思っております。
 この方は六十六歳の方です。実はそれまでは全く何でもなかった人がある日突然手足が動かなくなってきた、そして数カ月のうちに呼吸ができなくなってしまった。結局、診断名はALS、筋萎縮性側索硬化症という難病でした。奥さんは気管切開はしたくない、このまま自然にという思いもございましたが、結局は入院してすぐ気管切開をし人工呼吸器がつけられました。
 そして、自宅へ戻ってまいりました。この病気は本当に残酷な病気で、痛みだけは残っている。ですから、夜間五分おき十分おきに体を交換しなければいけない。ところが、本人はもう指一本動くのがやっとという状況です。手足も体も全く自分では動かせません。そんな状況の中での在宅療養です。
 週三回、定期的に私たち看護婦が訪問してまいりました。さらには夜間あるいは日中、必要なときに緊急訪問を繰り返してまいりました。病院のドクターは退院しろ、開業医の先生は何で入院させておかないんだと、開業医と病院のやりとりが始まりました。いずれにしても一番困っているのが療養者、家族です。
 奥様が毎日毎日介護しています。そして、法律上の問題から、吸引をする、人工呼吸器を使う、またそれを管理するというのは医療職に限られております。ですから、ヘルパーさんたちが吸引することも法律上はできないということになってしまいます。また、いろいろな病状から考えますと、非常に無理な点も多いように思います。さらには人工呼吸器のトラブルもすごく多い。その中で安心しながら毎日を生き生きと過ごすということは非常に難しいことだということを私は今痛感しております。
 本当に奥様の介護は二十四時間とぎれなく続いてまいります。それでも、奥様はできることなら最後まで自分で自宅で介護を続けていきたい、そしてできることならもと勤めていた大使館へも行きたいというふうなことを現在もおっしゃっております。
 スライドありがとうございました。
 高齢者のQOLというのが非常に最近うたわれておりますけれども、そのことを考えますと、決して避けて通れないのが死だと私は思います。
 高齢化、核家族化、女性の社会進出、一方においては医療がますます専門分化して高度化しております。そして、それらの荒波は在宅療養の場にまで押し寄せているのです。そのような中でより専門的な看護が求められてきております。できることなら、自分では歩けなくても、チューブを装着していても、妻と二人で旅行したい、あるいはせめて最後は我が家で、でも自分たちだけでは不安で心配でできないんです。それらの言葉の裏には病状に関連する知識を持っているだれかの支えが欲しいという願望が潜んでいると思われます。
 しかし、現実には死に近づけば近づくほど必要な二十四時間体制のサービスは無に等しいと言っても過言ではありません。物から心への転換期を迎えた現代において、死が避けられない状態になったときでも、あるいは死の直前までもその人らしさ、私らしさ、それらに目を向けられる、そんな在宅看護の実践の重要性をひしひしと感じさせられる日々を送っている私でございます。
 どうもありがとうございました。(拍手)
#4
○会長(鈴木省吾君) ありがとうございました。
 次に樗木公述人にお願いいたします。樗木公述人どうぞ。
#5
○公述人(樗木孝子君) 樗木でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、私はホームヘルパーとして現場で働く立場として、利用者のいろんな思いあるいはサービスを提供する私たちホームヘルパーのいろんな思いを六つの点からお話しさせていただきたいと思います。
 私は、福岡県前原市という人口五万五千の小さな市ではございますけれども、そこでホームヘルパーとして約九年間今まで活動してきました。利用者のニーズと、しますと 九年前と今とでは本当に違ってきております。中身はやはり家事援助サービスから介護サービスヘと大きく変わってきています。その要因としましては、調査会でも、この本の中に出ていましたように、家族の介護力の低下とそれから後期高齢者の続出ですね。
 特に私がここで挙げたいのは、後期高齢者の老夫婦世帯の増加とひとり暮らしのお年寄りの増加です。後期高齢者で介護を要する場合は非常にたくさんの問題点があります。特に奥さんが倒れてそれを御主人が介護する場合は、非常に仕事の量も多いし大変だ、本当に酒でも飲まなきゃやっていけないよ樗木さん、とよく言われるんですけれども、そうだろうと思います。私たちそういうところでサービスを行っているんですけれども、家事援助だけではなくて介護サービス、その方々の、お二人の生活すべてを援助してあげなければいけないということですね。そういう寝たきりゃ例えば重度の痴呆の方の介護は皆さん想像できますでしょうか。二十四時間本当におむつをかえたりいろんなことをやっていかなければいけないわけですよね それを御夫婦でなさる場合、特に男性の方が奥さんの介護をするというのは耐えられないとおっしゃるのは本当によくわかります。皆さん方御経験あられるでしょうか。想像つかないと思いますけれども、それはそれは大変なものがあります。
 また、ひとり暮らしのお年寄りが一日じゆうだれとも話さない、そういう日が何日も続く、皆さん方それを経験なさったことがございますでしょうか。テレビに出てくる人とお話をする、亡くなられた仏様の御主人を相手にお話をする、そういう生活が毎日続くわけなんです。その中で、ヘルパーさんが来てくれるときにお話をする、そのことがどんなに大事か、どんなにうれしいかしれないということをよく言われるんです。そういうお年寄りの介護だけが重要ではなくて、それを取り巻く生活すべてが本当に重要だということを私はここで申し上げたいんです。それとお年寄りの精神的な援助といいましょうか、話し相手をすることが非常に大事な職業だということもぜひここで皆さん方にわかっていただきたいと思います。
 また、家族の介護力の低下の中には、いろんな家族関係の崩壊とよく言われますけれども、やはり経済的な問題が一番ネックになっております、家族の関係の中では。そのほかに介護力の問題それから親子の関係それから女性の就労問題、いろんなことで介護力が非常に少なくなっているということは言うまでもありません。
 二番目に、住宅問題ですけれども、皆様もよく御存じのように日本の住宅というのは段差が多く、畳とかそういうので非常に介護が困難なんです。例えば車いすで畳の上を通るのは嫌だとか傷がつくとかいろんなことをおっしゃるんですけれども、非常にそこら辺のところで私たちも苦慮するんです。しかしながら高齢者は、自分で建てた家だから、お父さんが建てた家だから、やはりこの家は絶対に離れたくないよと皆さんおっしゃるんです。
 特にそういう中で介護者が一番困るのは何かというのはおふろなんです。入浴をさせることと、それから外に連れ出すことができない。介護者一人ではどうしてもできないことなんです。皆さん方、じゃ入浴サービスを利用すればいいじゃないかとか、デイサービスを利用すればいいじゃないかと言われるかもしれませんけれども、入浴サービスが利用できるのは本当に二週間に一回、二週間に一回しがおふろに入れないとか、そういうのに耐えられるでしょうか。通常自分たちは何げなく毎日おふろに入っているから何でもないんですけれども、寝たきりになると、それを我慢しなければいけないというのが現状なんです。
 それをやはり何とか私たちはクリアしてあげたい、できれば週二回おふろに入れてあげたいということで、私ども前原市ではヘルパーが二人一組で自宅で入浴の介助を行っております。それが非常にやはり利用者にとってリフレッシュにもなりますし、気持ちがいいということで喜ばれておりますけれども、本当に、移動すること、車いすに乗せてどこかに移動すること、それもやはりできない。これも行政サービスの中ではいろんな制限があります。事故が起こったときにはどうするのかということを一番に言われるんですけれども、それを言いますと何にもできないわけです。ぜひともそこら辺のところは行政サービスの中でやれるような体制づくりを私は進めてほしいと思います。
 介護を受ける老人は、じゃそういうときにどうかといいますと、やはり家族に迷惑をかけたくない、みんなに迷惑をかけたくない、だから必然的に内向的になって外には出たがらないで、ベッドの上で一日じゅうテレビにお守りをしてもらうというのが通常になるわけです。
 じゃ介護をする家族はどうかといいますと、やはり外に連れ出すことが無理だし、例えば私どもの前原市では農家の方が非常に多いんですけれども、時間をあいなかで見ながら介護を続けているわけですから、おむつをしていた方が楽なんです。移動するためとかポータブルトイレに座らせるとか食事を家族と一緒にするとか、何かをすると常時介護者がそこにくっついていないといけないような状態になるんですけれども、やはり仕事を持っていたりいろんなことがありますと、どうしてもそれができづらくなるわけです。おむつになったから楽になったと言われるんです。ですから、その辺のところをやはり何とかホームヘルプサービスの中で二十四時間その人についていられるような体制をとれないものだろうかと思います。
 しかしながら、どんなにすてきな部屋を持っていても、訪問先の中では例えば二世帯住宅とか離れを一部屋つくってもらってそこをフローリングにして本当に動きやすくしてつくってもらっていても、やはり介護者が時々そこの部屋に訪れる程度で、用事があるときしか介護者はそのお年寄りのところには来ない。ですから、そういう立派な部屋を持っていながらも家庭の中では孤立しているような状態です。それで非常に寂しい。ただしかし、そういう方々が今回の連休のときなんかショートステイに預けられるんですけれども、ショートステイに行ってどうだった、よかったねと言ったんですけれども、いややっぱり家が一番いい、どんなに汚い家でもどんなに介護が大変でも、やっぱり皆さん家が一番いいんです。住みなれた家、自分の家、そこが一番いいということをしきりに言われます。
 三番目に、医療関係との連携ですけれども、本当に最近はそういう重度の患者さん、点滴を一日置きにしているとかひどい褥瘡ができている方とか、そういう方々がたくさんいらっしゃるんですけれども、訪問看護とかそういうところとの連携が必然的に非常に重要になってきております。
 しかしながら、今の医療サイドからのサービスと福祉サイドからのサービスというのは重複しているところが多分にあるんです。訪問看護の方が行って介護サービスも行う。ホームヘルパーが、公的なサービスが訪問してやはり介護を行う。その辺のところで非常にヘルパーさんとは信頼関係ができているからヘルパーさんのサービスを受けたいんだけれども、やはりお医者さんの言うことは非常に、何といいましょうか、大事なんですね。医療のアドバイスというのはどうしても欲しいからお医者さんとは切れたくない。だから、やはり医療サービスも欲しい。どちらを受けていいのか、現場では利用者が戸惑うことが非常に多いんです。これは医療サービスだけじゃなくて、例えば老人保健施設のデイサービスとかそういうところからのサービスとかも、いろんなところからのサービスが今重複しておりますけれども、どれをどう選んでいいのかということで非常に戸惑いが利用者のサイドではあるということですね。
 四番目に、ヘルパーの処遇の問題ですけれども、供給主体がさまざまに多様化してくるのは確かによろしいんですけれども、利用者側からしてみたら選べるということで非常にいいことかもしれませんけれども、今行政サイドのホームヘルパーの雇用関係を見てもわかりますように、パートでしか増員をなされていないんですね。パートで登録とか、パートの人というのは非常に責任感が、皆さんがそうじゃないんですけれども、責任感が非常に薄くて、急に朝になってきょう休みますとか、それから処遇の困難なケースには、そういうところには私たちは行きませんとか、そう言われる方々が非常に多くて、それを調整する側はそれで困難な思いをするわけです。突然前の日の夜自宅に電話をかけてきて、あした出られませんからとか、ひどい方は朝ぎりぎりになってきょうは出られませんとか、そういう方々が結構いらっしゃるわけです。それを調整するのは非常に困難です。
 特に、直行直帰のヘルパーさんというのが非常にふえていますけれども、これもまた連絡調整が全くつかなくて、いろんな問題ケースを抱えている方々は特にやはりいろんなことで連絡を調整してやっていかないと次の処遇につながらないわけですね。いい処遇につながらないわけです。ですけれども、直行直帰で全然顔を会わせることがありませんので そういう連絡というのが全くとれないということになります。
 それともう一つ、パートさんの問題でもう一つあるのは、年間収入の問題があります。私は百万円以下で抑えなければいけないからとか、扶養の控除から外れたくないからとか、そう言われますと、その範囲内でこちらがやはり仕事量を調整していかなければいけないということで非常に勤務日数が限られてきて、年末になって慌てて出勤日数を減らさなければいけないとか、その辺のところで調整が非常に困難です。
 介護のニーズがどんどんふえれば、やはり専門的な知識でもってサービスを提供していかなければならないんじゃないかと私は思います。ぜひ専門職として私は認めてほしいと思います。
 五番目に、ホームヘルプサービスの最低保障ということですけれども、これは利用するサイドからの最低保障ですけれども、サービスの供給主体がいわゆる一般のシルバーサービスまで拡大されますと、上限はお金を出せば幾らでもサービスは買えるわけです。しかしながら、最低ラインの保障というのが全くないわけです。といいますのは、例えば有料制というのが今ありますけれども、一時間最高八百八十円ですけれども、私たちはこの人には毎日行って何らかのサービスをすれば起きれるようになるのにと思うんですけれども、利用者側がいやうちはもう一週間に一回の入浴介助だけでいいんですとおっしゃれば、やはりそこでもう私たちは訪問できないわけです。そういうところで私は寝たきりがつくられていくと思います。
 それと、やはり非常に低所得者の方とか年金生活の方々とか、まだまだ地方自治体によりましてはサービスの限度を決めてあるところがあるわけです、週何回とか。それをやはり早く改正しなければいけないんじゃないかと思います。
 それから、ヘルパーの資質の向上ですけれども、これは登録のヘルパーさんなりいろんな形態のヘルパーさんがこれから先どんどん出てくるんですけれども、やはり研修の充実をしていかなければいけないと思います。もちろんヘルパー自身の研さんも必要なんですけれども。
 それともう一つ。やはりヘルパー自身の仕事に対する意欲といいましょうか、一生懸命に仕事に何事も取り組むという姿勢が非常に大事だと思います。これらのことが非常に重要な課題ではないかと思います。
 資料の中に幾つかの新聞の切り抜きを入れておりますけれども、今地方自治体の中で非常にサービスの格差が生まれてきております。ですから、やはりいいサービスを提供する市町村に、そういう自治体に住みたいという人がかなりこれから出てくるんじゃないかと思います。けれども、お年寄り自身はやはり住みなれたところで、自分の生まれた町で、自分の生まれた村で暮らしたい、近所の人と一緒に暮らしたいと思うのが、これがもう本当に切実なる望みです。しかし、それができなくなるのではないかなという不安にいつもおびえていらっしゃいます。
 それから、デイサービスにしましてもショートステイにしましても制限がございます。例えば今私どもでやっていますデイサービスの、私の市では一カ所しか今のところやっておりませんけれども、サービスを利用する、例えば毎日利用したいと思っても一週間に一回しが利用できないというのが現状です。しかも、入浴介助、デイサービスの職員体制が非常に少ないから重度の方、機械を使わなければいけない方は二週間に一回しがやはりおふろに入れないというのが現状です。そこらのところをやはりもっともっとそういうサービスが利用できる制度をつくっていただきたいなと思います。
 最後になりますが、私の友人が福岡で今、託老所というのをつくっておりますけれども、これは個人で小規模でやっておりますが、大きな器じゃなくとも本当に地域の中に小さな一軒の家を借りて、そこで託老所をやっているんですけれども、そういうのが私は地域の中にたくさんできるといいなと思うんです。こういうところにもつともっと助成金を出していただいて、皆さんが働きやすいようにといいましょうか、その託老所も全然働く人たちの収入はないわけです。本当にボランティアみたいな形でやっているんです。いろんなバザーをしたりとか、そういうので収入を得てやっているんですけれども、小規模の、本当に小規模な託老所ですけれども、自分の家と同じような感覚でそこで日中を過ごせるというようなところがぜひこれからあちこちにたくさん必要じゃないかと思います。そこに住みついたお年寄りの方もいらっしゃるんですけれども、そういうところを三人の元寮母さんの経験がある方々がケアしているんですけれども、ぜひそういうところを見に行っていただきたいなと思います。
 以上で私の報告を終わります。(拍手)
#6
○会長(鈴木省吾君) ありがとうございました。
 続いて高見公述人にお願いいたします。
#7
○公述人(高見国生君) 社団法人呆け老人をかかえる家族の会代表理事の高見と申します。
 本日は、こんな貴重な場で意見を述べる機会を与えていただきまして、心から感謝しております。ありがとうございます。
 なお、後ろの方には家族の会の本部理事で東京支部代表の笹森貞子と千葉支部代表の永島光枝が同席をさせていただいておりますので、よろしくお願いいたします。
 お配りさせていただいています資料の中に水色で家族の会の「入会のご案内」があると思いますが、家族の会についてはそのパンフレットをごらんいただきたいと思います。
 一九八〇年に発足いたしまして、これまで十四年間活動を続けてまいりました。家族の会の活動の柱は二つございまして、一つは家族同士が励まし合い助け合うこと、それからもう一つはぼけ老人問題について社会的な関心を高めていただいて社会的援助を充実してもらいたい、こういう二つのことを柱として活動をやってまいりました。私自身も母親がぼけまして、八年間にわたり在宅で介護をした経験を持っています。そのような私の経験と、それから家族の会十四年間の活動の中から思っていますことをきょうは述べさせていただきたいと思っています。
 なお、先生方がこの調査会で報告書を既に昨年の八月に出しておられますが、これを拝見させていただきますと、私たちの抱えている問題がほとんど網羅されていまして、問題提起もされていますので、私が申し上げさせていただきますことは釈迦に説法のようなことになるかもわかりませんが、失礼があればお許しいただきたいと思います。
 時間が余りありませんので、意見を申し述べる要点を書きとめてお配りさせていただいておりますので、ぜひそれをごらんいただきながらお聞きいただきたいと思います。
 家族の会はことしの四月一日に厚生大臣から社団法人としての許可をいただきました。これは十四年間の活動が認められたとしうことでありますが、社会的にぼけ老人問題の関心が高まって私たち家族の苦労が社会的に評価された、社会的に認められた、こういうことによる法人の許可であるというふうに思っています。したがって、私たち家族は今、法人の許可をいただいたことによって、私たちの苦労は単に家族一人の苦労ではない、私たちの苦労は社会的に意味のあるそういう苦労なんだということで大変元気をつけられています。これについてもお礼を申し上げたいと思います。
 次の話に移りますが、ぼけ老人は、皆さんの報告書にもございますが、平成二年現在で九十九万四千人というふうに厚生省が発表しています。そのうちで七十三万九千人、ほぼ七五%ぐらいは在宅で介護の素人の家族によって介護されているという状況であります。したがって、私はぼけ老人対策、痴呆性老人対策というのはやはり在宅で介護している家族に対する施策こそがその中心であるべきだというふうに考えます。
 さて、在宅で介護している家族の苦しみは四つあるというふうに思うんですが、一つは二十四時間気も体も休めません。そういうことによる心身ともの疲労であります。二つ目は、普通の生活、通常の生活が行えないという家庭生活の混乱。それから三つ目は、この先どうなるかというそういう先行きの不安。それから四つ目が、なかなかぼけ問題は理解されにくい面がありますので孤立無援の思いがあります。したがって、私はこの痴呆性老人対策というのはこの家族の四つの苦しみをどうして取り除くか、あるいはどうして軽くするかということが痴呆性老人対策あるいは在宅福祉の目的になるべきであろうというふうに思います。
 さらに、寝たきり老人の場合もそうなんですが、主に介護している人の八割から九割は女性であります。その女性のうちのほぼ半数は嫁の立場にある人です。したがって、この嫁の立場ということで、しゅうと、しゅうとめの関係であるとか、あるいは小じゅうとの関係であるとか夫の兄弟の関係、こういう関係が大変複雑になってきまして、介護を一層困難にしているということがあります。
 さて、在宅で介護を続ける場合にどこまで介護が続けられるかという問題ですが、私はこれは家族の側の条件によるというふうに思います。ぼけの症状がひどいから在宅で介護ができない、あるいはぼけの症状が軽いから在宅で介護ができるはずだというふうなことにはなりません。それは家族の条件でありまして、在宅介護が続けられるには五つの条件が必要だというふうに思います。
 一つはやはり家の広さの問題です。特にぼけ老人の場合は、ぼけた老人が日常寝起きするそういう部屋と、家族が日常の家族の生活を営む場所、こういうものがやはりしっかりと隔離されていないと家庭生活が続けられないということがあります。
 それから二つ目は、家族構成です。これは何人家族であるか、年齢は何歳か、健康であるかどうかというふうな問題が影響します。
 それから三つ目の問題は、経済問題です。お年寄りの介護というのは本当に目に見えないところにお金がかかります。そういう点で経済状況がよくなかったら介護も続けられません。
 四つ目の問題は、家庭内あるいは親戚間の理解と協力がどこまであるかということです。家庭内では、先ほど申しましたように嫁の立場の人が介護の多くを担っているということになりますと、どうしてもまず夫がどれだけ理解をするかという問題があります。さらに小じゅうとや親戚の問題が出てきます。
 それから五つ目の問題は、住んでいる地域、身の回りの地域の人たちの理解の問題、そして行政の施策の問題。
 この五つの条件が在宅介護が続けられる条件だと思いますし、この条件が整っていれば、ぼけの症状が多少重くても在宅介護が続けられます。したがって私は、この五つの問題が介護が続けられる家族の力の限界を示す、そういう条件だというふうに思っています。
 そのようにぼけ老人問題というのは、後で述べますが私どもは厚生省に対しても何度か要望しているんですけれども、私たちが願っている行政サービス、行政制度が一〇〇%実現したとしてもぼけ老人介護の家族の苦労は完全にはなくならないというふうに思います。しかし、家族の苦労だけではなおさらぼけ老人の介護は続けられません。したがって私は、人間の思いやりあるいは優しさというものと社会的な制度、この両方が本当にうまく組み合わされたときにこそぼけ老人の介護というのは続けられるというふうに思っています。
 私たち家族の会は、先ほど申しましたように、家族同士の励まし合いと社会への要望というのを続けてきているわけですが、これまで厚生省に対しては七回にわたり要望書を提出させていただいています。その資料に書かせていただいていますのは、一九八二年に初めて厚生省に出しました第一回の要望の内容であります。
 七つの事項について要望させていただいておりまして、一つは相談の窓口をつくってほしい、二つ目は訪問指導をしてほしい、それから短期入所、今で言うショートステイですが、ショートステイやデイサービスを実施してほしい、それから長期間の入所をさせてほしい、そして介護手当などの経済的な支援をお願いしたい、それからぼけ問題についての総合的な研究をお願いしたい、そして家族の会を応援していただきたいというふうなことを申し上げてきました。この七つの項目は七回、それ以後要望していますが、家族の基本的な要望の内容になっています。
 おかげさまで一九八六年には厚生省の方で痴呆性老人対策推進本部というのをつくっていただきまして、厚生省も本格的に痴呆性老人対策に取り組んでいただきました。その後、専門家会議とか提言なんかがされまして、御承知のように平成二年からは高齢者保健福祉推進十カ年戦略、いわゆるゴールドプランが策定されました。
 このゴールドプランの中では、在宅介護三本柱というふうに言われていまして、それはデイサービス、ショートステイ、ホームヘルパーというふうに言われていますが、この三つは私たちが一九八二年に初めて要望しました基本的な要望の内容であります。そういう点でいいますと、私たち家族の会が十余年にわたって社会に訴えてきたそういう内容が今、日の目を見始めているということで、私たちは大変うれしく思っています。
 そういうゴールドプランとも相まって、平成五年度中に老人保健福祉計画が市町村で作成されました。これに当たりまして、私たちは昨年の三月に全国三千二百六十五の市町村長さん全部に要望書を提出いたしました。
 その内容は、そこに書かせていただいていますように、一つはすべてのぼけ老人を要介護老人にしてほしいということを要望しました。これはどういうことかといいますと、厚生省の作成の指針では、ぼけ老人のうち一五%が要介護老人でよいというふうなことになっています。しかし、これは私たちの実生活からいいますと全くそうではありませんで、ぼけ症状が軽くても介護は大変なんです。ぼけ症状が初期のうちは家族もその対応になれておりませんので、余計介護が混乱するということがあります。したがって、私たちは、ぼけ老人は寝たきり老人と同じように一〇〇%全部を要介護老人にしてほしいということを要望しております。
 それから二つ目の問題は、寝たきりとぼけとが重複する場合があるんですが、そういう場合は寝たきり老人にカウントしなさいということになっています。これも私たちの実感からすると違いまして、例えばぼけ老人が寝たきりになりますと、寝たきりの方のおむつをかえるとか介護する場合に、ぼけていない方ですとそれに対応して、例えばおむつをかえるのでもみずから体を動かして協力するということが可能です。しかし、ぼけ老人の場合はそのこと自体が理解できませんから、かえって拒否したり暴れたりして 介護は寝たきりになりますと一層困難になるわけです。したがって、寝たきり老人にカウントされますとぼけ老人の大変さがかすんでしまうということで、これはどちらかというとぼけ老人の方にカウントしてくださいということを要望いたしました。
 それから三つ目には、寝たきりとぼけ老人とのサービスの量に差があるんです。例えば、訪問指導ですと寝たきりの場合は年六回から十二回、ぼけの場合は年三回、あるいはホームヘルプサービスですと寝たきりの場合は一週間に三ないし六回。ぼけの場合は一ないし二回というふうに、厚生省の指針でサービスの量の基準に差がつけられています。これも実態的に私たちは納得がいかないということで、こういうふうな要望を提出させていただきました。やはり老人保健福祉計画は今後のそれぞれの市町村での福祉の水準を決めるものでありますから、私たちは大切に考えさせていただいているわけです。
 さて次に、「当面の課題」というところに移らせていただきますが、老人保健福祉計画が全部の市町村でどのような内容でつくられているのかということを、ぜひ私たちは知りたいと思っています。
 それから二つ目の問題は、初老期、特に六十五歳未満でぼける方が最近ふえてきています。これはアルツハイマー病であるわけですけれども、私たちの家族の会が発足したころは、家族の集いでも若い方のぼけの問題というのは余り話題になりませんでした。しかし、ここ四、五年ぐらいの家族の集いの中でそういう問題が出てきています。
 それはどういう問題かといいますと、年齢制限がありますので、老人福祉あるいは老人医療、こういう制度にかからないということで、福祉事務所なんかに相談に行きましても、まず年齢を聞かれて、六十五歳未満ということだけで話に乗ってもらえないということであります。したがって、厚生省には一九九二年、一昨年にはこの初老期問題だけで要望書を提出させていただいて、その翌年には厚生省に初老期問題の検討委員会をつくっていただきました。
 その中に私たちの会の役員も委員として参加をさせてもらったわけですが、この六十五歳未満のぼけの方の問題は、基本的には老人のぼけと同じなんですけれども、ただやはり若いがゆえの困難さがあります。
 それは、そこにも書かせてもらっておりますように、一つは、四十代五十代でぼけますと、その主な介護者がどうしても配偶者になるんです。したがって、ぼけた方も仕事ができない、奥さんあるいは夫の方も仕事ができないということで、まず経済問題が起こります。
 それから二つ目は、これも老人の場合には起こらなかったことなんですが、お父さんがアルツハイマーで五十代でぼけたために、その息子さんの一たん決まっていた縁談が破談になったという事例があります。おじいちゃんおばあちゃんがぼけている場合にはこういう子供への影響は今まではなかったんですが、やはり父親母親がぼけていると、こういう影響が出てきています。
 それから三つ目は、やはり年齢が若くしてぼけますから、家族にとってはその先の不安が非常に大きいということであります。
 したがって、私たちは当面は年齢にかかわらず、そのぼけ症状があらわれた人に対しては現行の痴呆性老人対策を年齢制限を外して適用してくださいということを厚生省にお願いをしております。
 今後の展開への提言ということで申し上げたいと思うんですが、やはりぼけ老人と家族の問題をこれまでのようにマイナーな問題であるというふうな感覚からメジャーな問題へと変えていきたいというふうに思います。今まではぼけたら不幸、介護は地獄というのが実態でした。しかし、これからはぼけても安心、介護は生き生き、こういうふうな社会にぜひ移っていっていただきたいというふうに思っています。
 そのためには、一つは現行制度の充実や申請の簡便化をぜひお願いしたいというふうに思っています。現在は、私が介護していました十年前と比べますと痴呆性老人対策は進んでいます。私などから言いますと、まさに隔世の感がするほど対策は充実されているのが事実です。
 しかし、例えば病院などへ入れられた奥さんが三日で連れて帰られました。それは何かといいますと、食事が耐えられない。おうちにいますと、例えばフライなんかでも時間をかければ一人で食べられるんです。ところが、病院へ行きましたら全部どろどろにして流動食を食べさせられている、最後の食べる楽しみもなくなるということで、奥さんはやっぱり連れて帰られました。連れて帰れば帰ったで大変なんですが、そういうことがあります。
 それから、デイサービスも普及していますけれども、デイサービスを申請しましたが、体重が重過ぎるとか、住んでいるところがアパートの二階だからというふうなことで施設に拒否されたというふうな例もあります。
 それから、特別養護老人ホームなんかもふえてきていますけれども、一年半から二年待ちというのが現状です。そうすると、家族は一体いつの時点で申請をすればよいのか迷うんです。本当に大変になってから申請をしますと、一年半も二年もとても待てません。しかし、まだ余裕があるうちに申請するというのも家族が非常に気が引けるんです。ですから、せめて二カ月か三カ月ぐらいで入所ができれば本当に家族は助かるというふうに思います。
 そういうふうにメニューはふえてきているんですが、やはり内容がまだ不十分な点があるというふうに思いますので、その点をぜひよろしくお願いしたいと思っています。
 それから、そこに書いていますE型デイサービスというのは、痴呆性老人を毎日預かる、そういう新しくできた厚生省の制度であります。「その際、法人でない施設も認可を」というふうに書かせてもらっていますが、これはお隣の樗木さんが福岡の託老所とおっしゃられましたが、私もそれは恐らく寄り合いという託老所だろうと思うんですけれども、その託老所のことを想定して書いています。
 それはつまり、法人とか市町村、そういうところがやっている施設はE型デイサービスというふうにされるんですけれども、民間でやっている寄り合いのようなところはなかなかそういう制度に乗らないということがあります。したがって、本当に良心的にまじめにやっているところについては、そういう資格がなくてもE型デイサービスとしての補助金、運営費ですね、こういうふうな制度を適用していただくと大変ありがたいということを言いたかったわけであります。
 それから、介護手当については経済問題の関係であります。
 それからもう一つは、やはり企業の中における取り組みが非常に重要だと思うんです。特に日本の場合は終身雇用制ですから、会社の考え方というのがやはり国民の生活の考え方にも大きく影響するというふうに思います。したがって、介護休暇を充実していただくということは当然でありますが、新しい問題として、私は介護を体験した人を企業の中で登用してほしい、尊重してほしいというふうに思うんです。
 介護を体験した人たちというのは、思いやりであるとか優しさであるとか忍耐であるとか、そういうことを非常に経験しています。そういう方は企業の中でもきっと管理職としても有能な人になるだろうと思われるんですが、今のところはとにかく首が切られないだけで精いっぱいというふうな状況になっていますので、もっと尊重するということをしていただけないかというふうに思います。
 それから三つ目は、社会に対する啓蒙、教育をお願いしたいということです。
 それから最後になりますが、痴呆性老人対策の視点についてということでありますが、私たちは、家族に対してもっと支援をしてくださいということをもともと要望してしました 例えばデイサービスでも、毎日おばあちゃんの世話は大変だから、一日でも半日でもおばあちゃんから離れたいというのがデイサービス要望の出発点であったんです。ところが、デイサービスヘおばあちゃんを預けてみますと、そのデイサービスの中でおばあちゃんが変わるんです。それは、物を言わなかったおばあちゃんが物を言うようになりますし、笑いますし、風船ゲームに興じます。そうすると、家族も今まで家の中では見たことのないおじいちゃんやおばあちゃんの人間らしさを発見します。そして、おばあちゃんを見直して在宅介護もよくなるんです。
 これはどういうことかといいますと、介護は誠心誠意やっていましても、さっき言ったような四つの苦しみがありますから、なかなかおじいちゃんやおばあちゃん本位の世話はできないんです。ところが施設の方は、おじいちゃん、おばあちゃん、お年寄りを主人公にした介護ができているわけです。そういう中で、おじいちゃん、おばあちゃんは、明るくなったり物をしゃべったりすることになると、うふうに思うんです
 そう思いますと、家族に対する支援というふうな観点だけではなしに、ぼけても最後まで人間らしく扱う、そういうふうな施策の考え方、これがこれから必要なんではないかというふうに思うんです。それが今出ましたデイサービスのよさであるとか、あるいは外国なんかではグループホームというふうな形で少人数でケアをされて随分人間らしく送られているということもあります。こういう発想というのは、やっぱり家族のためではなくてお年寄り自身のための施策、そういう中でお年寄りがよくなるということだと思うんです。そういうふうにお年寄りが明るくなったり変わってくれますと家族の介護も随分楽になりますから、これからは家族の支援とともにお年寄りへの支援という視点が必要な時代になってきているんではないかというふうなことを思っています。
 少し時間が超過しまして申しわけありませんでした。以上で終わらせていただきます。(拍手)
#8
○会長(鈴木省吾君) ありがとうございました。
 引き続き、一ノ瀬公述人にお願いいたします。一ノ瀬さんどうぞ。
#9
○公述人(一ノ瀬諭君) 福岡県筑後市から参りました一ノ瀬です。よろしくお願いします。
 老人保健福祉計画の策定及び実施についてということで発言をしたいと思います。
 私は、今度の老人保健福祉計画策定について、担当者ということで策定に当たっております。その後は、平成六年の四月一日から福祉事務所の高齢者対策係ということで、具体的に申しますと、この保健福祉計画を実施する、策定に関係したから今度は実施をしなさいということで今進めているところであります。そういう関係で四点にわたって発言を申し上げたいと思います。
 レジュメを差し上げておりましたので、簡単に説明したいと思います。
 二枚目の関係資料は、筑後市におきまして策定した経過を書いております。それから三枚目につきましては、筑後市で一般の住民の方の福祉意識調査をやっております。その調査結果の抜粋ですけれども、御参考ということで添付しております。それから四枚目につきましては、筑後市の高齢者保健福祉計画の中身であります。三つの大きな目標を掲げまして、いろんな施策をやっていくということで策定をしております。
 それでは早速ですけれども、まず最初に、筑後市における老人保健福祉計画策定経過ということで、過程については二枚目に添付しております。
 平成二年に老人福祉法、それから老人保健法が改正されまして、各市町村で老人保健福祉計画をつくりなさいということで法制化されたところであります。全国の各市町村では、老人保健福祉計画を平成五年度中に策定するということで進んできたところでありますけれども、その目標については、二十一世紀へ向け急速に高齢化する社会に対応した経済社会システムを構築するということであると思います。
 筑後市でもそういう立場に立ちまして、特に地方で計画をつくるという意味合いからすれば、当然地域の人たちの意見とか高齢者のニーズ、住民のニーズ、それらを踏まえた計画をつくらなくてはならないということで、手づくりで計画をつくっていこうということで進めたところであります。
 具体的には先ほど申しましたレジュメの方に書いておりますけれども、簡単に全体をまとめてみますと、まず住民の実態、それからニーズ、これをどう把握していくのかということで、一つは高齢者実態調査をやっております。これは六十五歳の高齢者の方を中心とした実態調査であります。それからホームヘルパー、保健婦によります寝たきり老人の実態調査を行っております。それから、先ほど申しましたけれども、一般市民の福祉意識調査をやっております。これらにつきましては、老人保健福祉計画が単に高齢者だけの計画ではないんだ、一般市民の全体の計画になっていかなければならないということで、一般の市民の方々からの調査を実施したところであります。
 それから二番目には、住民啓発、それから福祉意識の確立ということで「地域福祉のつどい」、これは地域の公民館等に行きまして、そこに住民の方々に夜集まってもらいまして、この福祉計画についての趣旨を説明したり、住民の方々からそれに対する意見とか地域の状況等を聴取する場になったところであります。
 それから、高齢社会に向けてということで、シンポジウムを開催しております。それから住民団体説明会ということで、婦人会とか女性連絡会議とか老人クラブとかいろんな団体があるわけですけれども、そういうところに今回の福祉計画の趣旨を説明しまして、その中でいろんな意見を出してもらうという取り組みを進めたところであります。
 三点目につきまして、住民の参画ということで考えていたところであります。これは、地方で計画をつくるということであれば、当然地域の人たちが参加して計画をつくっていくんだという前提がありますので、住民をどう計画の中に参画させていくのかということで、住民組織であります筑後市高齢者保健福祉計画審議会というのを設置しまして、その中で審議を進めてきたところであります。委員の方々からは意見、提案が百十四項目にわたって出ました。事務局をしておったんですけれども、それを整理するだけでも大変な時間を要したところであります。
 特に審議会の中の討議の中では、国や地方自治体に対して要求的な意見、当然行政がすべきではないかというような要求的な意見もかなり出ましたが、地方自治体とか国の今の財政状況等踏まえまして、そういうもろもろを討議する中では、じゃ自分たちも一生懸命この計画の中に参画していこうと。例えば、地域にあります既設の建物を利用したいろんなサービスを自分たちでつくっていこうではないかとか、さらには自分たち自身がボランティアということで地域の中に入って高齢者を見守っていこう、そういう意見も数多く出されております。そういう面では、高齢者保健福祉計画の推進へ住民が積極的に参加されるということが今後期待されるところであります。
 市では、そういう審議会の積極的な御意見に基づきまして、筑後市高齢者保健福祉計画の推進と点検、それから計画見直しということを目的とした住民組織の筑後市高齢者問題懇談会を八月に設置するようにしております。これは住民の方々から計画の推進状況なりその点検、計画の見直し等について提言なり助言をしてもらうという組織であります。
 さらに、計画策定後につきましては、市議会への説明を初めとしまして広報での住民周知、それから住民団体説明、市民に対しては計画閲覧という形で進めてきたところであります。そういういろいろな周知活動をする中で、市民全体の意向としてこの高齢者保健福祉計画が進められるということを期待して進めてきたところであります。
 次に、高齢者の現状と課題について申し上げます。
 急速に高齢化する地域でありますけれども、特に地域では核家族化や扶養意識の低下それから住宅事情等によりまして高齢者のひとり暮らしゃ高齢者だけの夫婦世帯がふえております。平成二年の国勢調査では総世帯の三・八%が高齢者のひとり暮らしです。五・六%が高齢者だけの夫婦世帯となっております。この傾向につきましては、筑後市でもさらにふえていくという傾向にあります。
 さらに、生活面で見てみますと、高齢者の収入源と申しますと公的年金が主です。年金とか恩給という答えが七二%で一番多くなっております。その額についても年間百万円未満、一人で暮らすには最低ぎりぎりの線だと思われますけれども、非常に少ない。さらに、地方のために再就職の場がない。収入の中で年金より賃金とかそういうものが出てくるはずなんですけれども、地方においては就労の場がないということで、年金以外の収入がなかなか出てこないという状況もあります。
 さらには高齢者の住宅事情を見てみますと、筑後市の場合 九二%が一戸建て持ち家者となっております。しかし、一戸建てばいいんですけれども、その内容を見てみますと老朽化しておる、それから台所とか風呂場の設備が悪いとか、困っているという意見がかなり出てきております。
 在宅福祉ということでこの保健福祉計画を進めてきているわけでありますけれども、そういう面から見ますと、在宅で高齢者が生活をしていくと病気になったり障害が出るということになったら、その基本である住まいを一定今後改善していかなくてはならない、それがなければ在宅福祉ということはできないんではないかと考えております。
 それから、高齢者に対する各種サービスの関係であります。
 行政を担当しておりますので、そういう面から見ますと、今行政のいろいろな施策とか事業等については縦割りで行われております。国も縦割りなんですけれども、地方に行けばそのまま縦割りが行政サービスとなってあらわれてきております。
 先ほどの公述人の方も言われましたけれども、申請の問題。申請箇所がいろいろなところにあるわけです。そういう保健福祉サービスの一括的な窓口がない、申請の煩わしさ。それからよく似たサービスが同じ市の行政機関から行われている。サービスのむだも起こっておりますし、総合的にコーディネートしながら高齢者を支えていくというシステムがなければなりません。そういう面では今地方自治体ではまだ縦割りの部分が非常にありまして、それらをなくしていく、なくしながら保健、福祉、医療が総合的に連携をしていくというシステムが必要になってきております。
 それから、今回の老人保健福祉計画では特に施設福祉から在宅福祉ということが掲げられております。私たち地域の状況を見ますと、そういう高齢者の要望はあるんですけれども、例えばひとり暮らしになって寝たきりになった場合は、現実的に在宅ではできないという状況も数多く出てきております。施設については、全体的な費用の面もありましてなかなか全国的には推進する状況が難しくなっておりますけれども、全体的なバランスを見ながら施設福祉もやっていってもらいたいというふうに考えております。
 それから、地域住民の福祉ニーズという面で考えてみますと、先ほど一般市民に対して住民の福祉意識調査をやったということで申し上げましたけれども、その中で例えばショートステイというサービスがあります。これは、施設に一週間程度高齢者の方をお預かりして、介護しておられる方はその間いろいろな用務に使うというショートステイですけれども、実は調査をした中では自宅でショートステイを受けたいと。これは高齢者自身ではなく一般住民の考え方です。自宅で受けたいということになりますと、これはもう施設ではありませんから、例えば家族の方がどこかに行かれるときにホームヘルパーさんが逆に来るという形になります。
 いろいろ調査する中では、既成のサービスを住民の方々に、こういうサービスはいかがですか、こういうサービスは使いたいですかと勝手に行政の側はやっているのではないか。実は住民の方々は既成のサービスではないサービスを本当は望んでいられる部分もかなりあるのではないかということが課題としてあります。
 それから三番目に、国のゴールドプランと保健福祉計画の関係であります。
 先ほどもちょっと施設福祉と在宅福祉の関係で申し上げましたけれども、実は計画をつくって県なりと協議があったんですけれども、その中では施設についてはかなりの抑制の指導があります。そういう面では、先ほど申しましたように、地域によっては施設がかなり足らないところもあります。そういう部分を踏まえまして、高齢者個々のニーズと申しますと、一般住民の意識調査でも、これから高齢者になる方々については施設に入りたいと逆に言う人がかなりいらっしゃいます。そういう関係からすれば、施設福祉、在宅福祉、これらをバランスよく整備していってもらいたいということで考えております。
 それから、地域でつくられた保健福祉計画の中で、特に地域で独自のサービスをつくっている市町村がかなりあると思われます。筑後市では、地域の公民館や集会場を昼間利用して保健婦やホームヘルパーと地域のボランティアの方、婦人会とか老人クラブの方なんですけれども、ひとり暮らしや虚弱老人に対して簡易のデイサービスを実施するようにしています。これにつきましては、本年の十月ごろから始める予定にしておりますけれども、地域デイサービス事業ということで取り組みをさせてもらうということで進めております。
 そのほかに高齢者の日常生活用具なんですけれども、実はもう必要なくなったという用具があります。それを市の方に寄附してもらってリサイクルをする、その後は無料で貸し出しをするという事業であります。そのほかに高齢者を地域で見守るという体制で、地域ボランティア組織の育成ということで取り組みをしております。
 そのほかに高齢者が在宅で暮らせるようにということで、例えば既存住宅の改造助成、この助成につきましては国、県の補助等はありませんけれども、ぜひこれをやっていきたい。おふろとか廊下とか手すりとかスロープ、これらについて一定助成する中で逆に呼び水となって、高齢者の方々がそれなりに改善してもらって快適に地域で暮らせるようにしていきたい。
 それから、目標にも挙げておりましたけれども、優しい町づくりをやっていこう。高齢者保健福祉計画につきましては高齢者だけの計画ではなくて全市民の計画である。そういう観点からしたら、子供から高齢者まですべての人が快適に暮らせるような町づくりをこの計画の中に盛り込んでいるところであります。
 最後になりますけれども、地方自治体では老人保健福祉計画を策定し、今実施をしておりますけれども、財源がないということでその実施状況が各市町村にアンバラが出てくるということが想定されます。筑後市におきましても、具体的に事業を計画した中で、いろんな生活基盤の事業がありますので、そういう事業をおいて福祉だけを進めるというわけにも実際いきません。そういう観点では、地方分権ということでこういう計画がつくられたわけでありますので、ぜひ計画が絵にかいたもちにならないようにということで願っているところであります。特に住民が計画に参加した市町村では、つくったけれども金がないということであれば、住民にはもう失望感しか残りません。
 それから、マンパワーの関係で一点だけ申し上げます。福祉は人とよく言われますけれども、筑後市でも四十名のホームヘルパーがいます。しかし、その年齢につきましては平均年齢四十七歳前後です。かなり高齢です。賃金にしても労働条件にしても、その地位にしても非常にまだ低い。募集をしましても若い人がほとんど応募しない。先ほどヘルパーさんから公述がありましたけれども、仕事は大変きついんですけれども、賃金は安くて仕事は汚い三K職場だということで若者からは嫌われております。そういう部分もありますので、このマンパワー、それからマンパワーの福祉専門職員の労働条件の向上、地位の向上について積極的に国として取り組んでいただけますようお願いいたします。
 それから、最後にもう一点だけつけ加えさせていただきます。
 実は、今度の保健福祉計画策定でいろんな方とお話をいたしました。いろんなサービスをつくっていく中ではこれだけお金が要りますよということで話を進めたんですけれども、それはいいですよ、金は出してもいいですよ、ただ地方の場合そういう直接税金以外の分で勝手に金を取るということはできませんのでなかなかそれはできませんけれども、住民と話す中では今後の高齢社会に向けてある一定のきちんとした福祉ビジョンがあればそれなりに金は出していい、税金も出していいという意識もあります。そういう面でいえば、これからの高齢社会に向けての税金問題等も今盛んに論議されておりますけれども、確実な福祉ビジョンを私たちがつくり上げることがその合意を得るということになるんではないかと思います。
 それからもう一点、その中で住民の方がつけ加えられましたのは、信頼関係だと。地方自治体、国もなんだけれども信頼関係がない、信頼関係があれば私の財布は国なり市町村に上げましょう、ないからやったら危ないということであります。私は地方自治体の職員でありますので、計画策定にかかわりましてこの保健福祉計画を実践するという中で、住民との信頼関係をどうつくっていくかということを大きな目標として実践させていきたいと思っております。
 皆様方には日ごろ福祉関係で御努力をいただいておりますけれども、今回の福祉計画にもありますように、地域住民を主人公とした積極的な福祉施策の充実を図られますようお願いいたしまして、簡単ではございますけれども、地方からの報告とさせていただきます。(拍手)
#10
○会長(鈴木省吾君) ありがとうございました。
 以上で公述人四名の意見陳述は終わりました。
 この際、委員において公述人各位の御意見に対し確認したい点等がございましたら順次御発言を願います。
#11
○清水嘉与子君 大変貴重な御意見をありがとうございました。
 時間が限られておりますので、村松さんと樗木さんにちょっとお伺いしたいと思います。
 今やっと訪問看護の必要性が認められていろいろな施策が進められてまいりましたけれども、村松さんのお話を伺ってみて、まだまだ行政の施策では十分でないということがよくわかります。村松さんのやっていらっしゃるようなサービスまで本当にしなければお年寄りが安心して家庭で最期を迎えられるというふうにならないわけでございまして、そこまでしたいわけですが、問題はやはり経済問題です。
 今の村松さんがやっていらっしゃるサービスというのは現行の法制下の中では診療報酬のサービスでカバーされないわけですし、患者さんが相当な御負担をされていらっしゃると思います。また、村松さんも初めはボランティアでこの仕事を始められて今会社をやっていらっしゃるわけですが、ここに来るまでに大変な御苦労があったことをよく私も存じ上げております。看護婦の中には村松さんに触発されて後を継ぎたいということでいろいろ勉強している人もたくさんいると聞いておりますけれども、やはり経済的な安定を得るためには今のままではとてもできないというようなことがあるというふうに思います。
 そこで、これを広げるために私は何とか努力をしなきゃいけないと思いますけれども、現行法の仕組みの中で広げるためにどんなことをしたら皆さんのお仕事が続けられるであろうか。つまり、患者さんの負担も、お年寄りの負担も少なく、そして皆様方も安心して仕事ができるような展開をするにはどうしたらいいんだろうか。その辺お知恵があったら教えていただきたいと思います。
 それからあと、皆様方のお話を伺っていますと、お年寄りの介護にどうしても家族が出てまいります。しかし、これからだんだん家族がいなくなっておひとりの人たちがふえてまいります。最後にひとりで在宅看護を受けてこの世をさよならするのは難しいのであると思いますが、それをするにはどうしたらいいのか。その辺もあわせて村松さんに御意見があったら教えていただきたいと思います。
 それから樗木さんには、現場のお立場でいろいろサービスの重複があるというふうにお話を伺いました。一ノ瀬さんからも縦割り行政なんだからというふうなことがございましたけれども、現場の中で本当にこの重複をどういうふうにしてなくしたらいいのかというようなことを、もしお知恵があったら教えていただきたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
#12
○公述人(村松静子君) 御質問について、私の考えを述べさせていただきたいと思いますけれども、現在全国でナースが二、三人でボランティアないしは自己負担という形で会社を持っている者が約三十ケースほどございます。それらに関しては非常に住民からは期待を受けているわけですけれども、実際のところ採算は合っていないというのが実情だと思います。
 それを考えましたときに、私がボランティアから有限会社、さらには任意団体、そして株式に変えてきた経緯を考えてみますと、やはりナースに自立権を持たせていただきたい。つまり、ドクターと同じような形で開業権を持たせていただきたい。例えば看護婦が行う看護会社というものに対して何らかの認めをしていただきたい。それに関しましては医療法人に匹敵する看護法人等について御検討いただけましたら非常にありがたいと思います。現在、看護職に関しましては三Kとか六Kとか八Kとか言われますが、看護職自身は全くそのようなことは考えておりません。むしろ二十四時間いつでも飛んでいけるような体制づくりを目指しているわけです。そういう意味ではナースにそろそろ自立権というものを与えていただいてよいのではないか、そういう点からぜひ看護法人については御検討いただけたらというふうに思います。
 それから、家族に対する資金的な援助の問題でしたか、二番目。済みません。
#13
○清水嘉与子君 ひとり暮らしの人がこれからふえてくるわけですが、家族の支えがなくてひとりで家庭で最期を迎えるということが可能であるのかどうか。
#14
○公述人(村松静子君) 実際には私どもやっております。それは、地方に家族が行かれていてもその方たちに戻ってこいと言うことは私はできないと思います。そういう意味では資金的な援助ないしは物質的な援助をいただきながら、看護職さらにはヘルパーさんたち、そして医師、そしてボランティアの方と、すべてチームを組んで最後まで自宅でみとったケースがございます。ですから、今後のやり方によっては可能であると。
 ただし、先ほどの件とどうしても絡んでまいりますが、ナースに、ぜひ自立権をいただきたいということをお願いした上で今後進むことになろうかというふうに思います。
#15
○公述人(樗木孝子君) サービスが重複するということなんですけれども、例えば今の訪問看護でやるサービスの中に私どもがやる介護サービスが入っているわけですね。そうしますと、やはりいわゆる医療点数、在宅診療の点数問題がありまして、訪問看護の方々もどんどんやろうとなさるわけですね。そうしますと、私どもの領域がどんどん脅かされていると言ったらちょっと語弊があるかもしれませんけれども、その中で私が思うのは、やはり介護はホームヘルパーでなければできない仕事と、やっぱり看護は看護婦さんでなければできない仕事があると思うんですね。そこら辺のところをお互いに尊重し合いながらサービスを進めていけば私は絶対いいと思うんです。
 開業医の在宅診療で私どもが訪問しているケースの中でも 週一回訪問診療してくださる先生がいらっしゃるんです。本当に終末に近い方々を在宅で私ども見ているんですけれども、医者からの指導のもとで介護を続けているんですが、それは本当にうまくいっております。もうあと何日しかないよというふうに先生がおっしゃられる。それを家族とヘルパーと先生とで見守っていたケースがたくさんございますけれども、お互いがお互いを認めてサービスがそこできちっとでき上がっていけば、私はいいサービスができていくと思います。
#16
○日下部禧代子君 きょうは現場から、そして地域からの生の切実なお声をいただきまして、本当にありがとうございました。
 それでは、樗木さんとそれから一ノ瀬さんにお伺いさせていただきたいと思います。
 まず最初に、樗木さんの方にお伺いしたいと思うんですけれども、八十世帯を十三人のホームヘルパーさんでお世話をなさっていらっしゃるわけでございますね。これは実際に十分ということはもちろん言えないと思いますけれども、あと何人ぐらいいらしたら御自分かまあ満足といいましょうか、このくらいはしてさしあげられたなというふうにお思いになるでしょうかということでございます。
 それと関連いたしまして、一日の時間数をふやした方がいいのか。例えば週に二回ぐらいで一カ所の時間数を二時間から四時間ぐらいにふやすとかの方がよろしいのか。あるいはまた、毎日少しずつのお時間で訪問してさしあげた方がいいのか。これはもちろん御訪問なさるお宅の御家族のニーズ、要望によると思いますけれども、どちらの方がより実際の御家庭での要望に合わせることができるかとお思いになっていらっしゃるかということが一点でございます。
 それから二番目には、先ほど清水委員もお尋ねになりましたけれども、ホームヘルプサービス、つまり福祉と、それから看護という、これ医療サービスでございますね、その連携ということが余りうまくいっていないというふうなお話でございました。業務のオーバーラッピングということはこれは両方の側のむだにもなりますし、そしてそれはまたサービスを利用する、お受けになる方からすると本当に自分が欲しいというサービスがなかなか利用できないということにもつながるし、そしてまた経費の上でも問題があると思うんです。現場におかれてだれが、そしてまたどこがそのようなコーディネート、連携をするためには最も有効な場所であるか、人であるかというふうにお思いになっていらっしゃるかというところが二点目でございます。
 いずれにいたしましても、地域におきまして本当に総合的で有機的なサービスのネットワークというものができなければならないというふうに常々思っておりますが、その現場においてのお声をいただければというふうに思います。
 それから三点目でございますが、ホームヘルパーさん御自身の件についてお尋ねを申し上げたいと思います。承りますと、雇用関係というのが例えば一年ずつで契約を更新されているというふうなところがかなり日本全国あちらこちら多いというふうに承っております。ですから、十年お勤めになったといたしましても、これは十年継続したという形ではなくて一年ずつの契約でございますから、退職金とかそういうものに全部響いてくると思うんですね。
 それからまた、一昨年でございましたでしょうか、ホームヘルパーさんの賃金、これは一括して介護それから家事援助、両方とも賃金アップされたというふうに思いますが、それが国が定めたと同じ額を皆さんお手元でお受け取りになっていらっしゃるのかどうかという問題。非常にこれは大きな問題ではないかなというふうに思っておりますので、現実にそちらの方ではどうなっているのかということをお伺いしたいと思います。
 それからもう一つは、これは御感想で結構でございますが、やはりホームヘルパーさん、これは自分の親の世話も大変なのに他人のお年寄りのお世話をなさるということで、大変貴重なお仕事だというふうに思うんですね。そのように大変なお仕事にもかかわらず、必ずしも社会的評価というものがそれに伴っていない。そのことがホームヘルパーさんのさまざまな労働条件、それから社会的地位の低さというものにつながってしまっているんではないかなというふうに思うわけでございます。その点につきまして御感想を承れればと思います。
#17
○公述人(樗木孝子君) 回数と時間の問題ですけれども、これはもう人それぞれ違います。一人一人違いますので、この家庭には二時間とかこの家庭には三十分とかこの家庭には一時間とか、本当にそれぞれ違います。特に障害者の方なんかは本当に二十四時間必要な方もいらっしゃいます。
 ただ、私ども今八十世帯を十三人でケアしているんですけれども、介護ケースがこのうち半数以上あります。介護ケースだけでなくても家事援助ケースの中にも介護ケースと重複して利用している方が結構いらっしゃいますので、そういう方々を十三人でどうかという問題を先ほど言われましたけれども、十一名がこの五月から十三名になったばかりですのでちょっと今ばたばたしているような状態なんですけれども、十分とは言えません。いわゆるサービスだけ、今本当に介護サービスの場合は特にそうなんですけれども、仕事だけして、本当にじっくりと介護者とお話し相手をするとか、利用者の方とお話し相手をしてあげるとか、そういう時間がどんどんどんどん削られてくるわけですですね。実際に本当に何かすることだけに追われてばたばたする毎日で終わっているというような状況です。ですから、やはり今ある数字の倍は欲しいなと私は思っております。
 それから重複サービスの件ですけれども、先ほども申し上げましたように、その訪問世帯でだれがキーマンなのかということが非常に重要な問題だと思います。一番その方のことを知っている人がやはりその世帯のキーマンになるべきではないかと思います。医療だから、医者だから、看護婦だからヘルパーよりも上だから、その方が一カ月に一回しが来なくてもその人がキーマンになるのではなくて、毎日訪問するヘルパーさんがいればその家のことを一番よく知っているのはやはりヘルパーさんじゃないかと思いますので、そういう人がその家その家のキーマンになっていくべきではないかと思います。
 その辺のところの上下の解消をしないと、重複サービスが行われてもわからないままで終わってしまうわけですね。そして利用者からは、あら、きのう看護婦さんが来て同じこういうことをしたけれどもというふうなことを言われるわけですね。そうしますと、連携がとれないといいましょうか、一人の人をケアするときにはいろんな人がかかわっていればかかわっているだけ、ぜひそこでお互いがきちんとした調整をしながらサービスを進めていかなければいけないと思います。
 それから処遇関係の問題ですけれども、今年度は三百二十五万ですか、補助単価が出ておりますけれども、これはあくまでも常勤換算の単価でありまして、今どの地方自治体もふやしているのはパートさんが多いわけです。ですから、その内訳はどうであれ、一人分で三人も四人も雇うことができるわけですよね。そういうふうにして進められております。
 私のところもそうなんですけれども、今常勤が五人しかいません。あと八人はパートです。ですから、その調整がやはりかなり厳しい状態になっております。パートさんも九時半から三時半という勤務ですからそこら辺のところが非常に、私たち介護ケースになりますと特に二人一組で行かなければいけないケースが多いわけですよね。入浴の介助とか清拭とか通院の介助とか、そういう場合は抱えなければいけませんので二人一組で行くわけなんですけれども、そういう場合時間的な制限がありますとなかなかパートさんが動けないということで、全部それが常勤ヘルパーの負担になってくるわけです。
 介護専門学校の卒業生なんかには、本当に在宅をやりたいという子がたくさんいるわけですよね。ただ、きちんとした雇用条件で雇用してくれるところがないものですから、やはりもう施設に行かざるを得ないというのが現実です。
 私もこの仕事を始めまして九年になりますけれども、補助単価が上がった時点で少しはよくなってはいるんですけれども、それでもいわゆる社協職員よりももっと悪い条件といいましょうか、また別表でと、社協職員は行政職員より何%か落ちるわけですよね。それよりももっと低い状態での雇用条件になっておりますので、社会的にこの介護という仕事、介護福祉士という国家資格もできましたから、ぜひこれは介護という専門職として、どうしても男性の方々は特に、介護は女性の仕事、女性の仕事はだれにでもできる仕事という思い、考えが根強いと思うんです。でも、やはり専門の職業として、大変な仕事だからではなくて、仕事をしている人たちは本当にこの仕事に誇りを持って、この仕事を始めたら何だかやめられないといいましょうか、本当に現場を捨てられないというような気持ちでみんな一生懸命働いておりますので ぜひそこら辺の条件整備をしていただきたいと思います。
#18
○日下部禧代子君 どうもありがとうございました。頑張ってください。
 それでは一ノ瀬さんにお伺いしたいんですけれども、計画の前の段階から非常な御準備、住民参加それから視察、いろいろと大変に充実した御計画をおつくりになったというふうに拝見いたしております。
 まず最初にお伺いしたいんですが、これだけ準備をなさいまして福祉計画の策定に当たられたわけでございますが、職員の数は二十三人でございますか。二十三人で庁内に組織なさいましたというのは、他の市町村に比べますとかなり充実した人数ではないかなというふうに思います。それでも御苦労があったのではないかと思いますが、この点が一つ。
 それからもう一つは、計画はできたがその後の財政的なフォローということがないと、おっしゃいましたようにこれは絵にかいたもちになってしまいます。特に、いろいろと福祉サービスの事業をなさいますときに、これは市町村、自治体の大きな問題だと思いますけれども、いわゆる国からの補助でございますね。それが基準額と対象経費というものの差でございますが、その少ない方の何分の一かを国が負担するということになっております。一般的には対象経費の合計が基準単価の合計を上回るということはほとんどないと思うんです。そうなってまいりますと、いろいろと充実したサービスを提供しようと思っても、提供しようとすればするほど自治体の負担分が高くなるということがあると思うんですね。
 そして同時に、今度は地域独自の計画をということで地域独自のサービスなどをこの福祉計画の中に盛られていると思うんですが、その場合の財政的なバックアップというのはどうなっているのでございましょうか。その点についてお伺いさせていただきます。
#19
○公述人(一ノ瀬諭君) 計画策定に当たった職員は全部で二十三名でございます。あと一番下に書いておりますけれども、その中で事務局会議というのをつくっておりまして、それは十名なんですが、四十八回開催しております。
 一番苦労したのは、先ほどちょっと言いましたけれども、実は縦割り行政の関係がありまして、例えば計画の中で町をよくしたい、道路を段差をなくしてつくりたいという形での計画も入れています。ところが担当課から言いますと、何で企画課なり福祉事務所が道路のことまで口を出すのかという意識が地方自治体の中にも職員の中にもまだまだあるという関係では非常に問題であります。筑後市では、今後住民の福祉意識の啓発ということを含めまして、まず職員自身がそういう意識を持って行政を遂行しなくてはならないということで、ことしの研修から福祉に関する研修を職員研修の中で盛り込んでいるところであります。
 それから、財政のフォローです。これが多分一番どこの市町村も苦しんでおることだろうと思っています。特にいろんな独自事業をつくっている関係から申しますと、将来はわかりませんけれども、今の段階ではそれは地方独自でつくった独自のサービスですから地方でやってくださいということで非常にその財政負担が大きくなってきます。
 筑後市の場合、財政負担の計画を試算的に出してみたんですけれども、実は私、出しまして市長に見せたら市長がびっくりした。そんなに要るのかという内容になっています。ぜひ国なり県なりの、そういう独自の事業については支援をしていってもらいたいし、例えば先ほど申されましたように、今あるサービスの補助にしても、できるだけ安いところで補助するんではなくて、実際要った高いところで具体的な補助をしていただくようにお願いしたいと思いますし、そのことが実はサービスの質を上げていく。
 先ほどホームヘルパーさんの話が出ましたが、やはり三K職場だけれども、賃金が高くて地位も高くなれば当然若い人で応募してきてこれからやろうという方も出てきますので、ぜひそういう点でお願いしたいと思います。
#20
○日下部禧代子君 どうもありがとうございました。
#21
○小島慶三君 本日は、各公述人の方々、大変貴重な御意見をお示しいただきまして、本当にありがとうございました。深くお礼申し上げます。
 時間の関係もございますので、私、高見さんに一つだけお伺いをしたいと思います。
 私ごとになりますが、私は両親を早く亡くしまして、また家内の父親も早く亡くなりましたので、私のところは家内のおふくろさんだけが親ということになりました。できるだけ一緒に暮らしてもらいたいというので、実家と私どもの間とを行ったり来たりという暮らしてございました。そのうちにだんだんいわゆるぼけ症状というものが深刻になってまいりました。
 それで、いろいろぼけの特徴というのもあると思うんですけれども、私どもの母親の場合には体はすこぶる健康なんですね。ですから、何でも自分でやれる、しかし思うようにはできない、そういういら立たしさがだんだん募ってくる。それから、もうだんだん家政とかいろんなことは嫁さんの方がやるものですから、自分が今まで何十年かだんなさんが亡くなってから苦労してきた、そういったことが全然やることがなくなってしまったという情けなさといいますか、そういったものがあって、あるいは済まなさというものがあって、それが大変メンタルな負担になって、それからそういうふうに何もできないのにもかかわらず、やはり自分としては一家を支えてきたというプライドがあるんですね。こういうものがないまぜになりまして、だんだん言うことが重なってくる。五分置きぐらいに同じことを聞く。それから、自分と他人の区別がわからなくなる。それから、どこへ行っても自分のいる場所がないというふうなことになる。荷物をまとめて時々出ていってしまうというふうなことになりまして、そうなりますと、先ほどお話ありましたように、近所に対するメンツというようなものがありますから、これは本当に困るわけでありますが、病院に相談に行きましても病院では引き受けてくれないというふうなことで、本当に晩年は苦労をしたわけでございます。
 先ほどお話のありました、厚生省へのいろんな提言をなすって、そしてすべてのぼけ老人を要介護老人にするという御提言があったと思います。これは、まことに私どもからしますと、経験者から申しますと適切な御要求だと思うんですけれども、これが一五%しか認められないというのは一体どういうことなのか、現状ではそれがどうなりましたでしょうか、これをお教えいただきたいと思います。
 それから、この間、これも余計なことでございますが、僕の非常に愛読している中勘助さんという小説家ですが、その人の実話だと思いますが、兄さんが若くして脳温血で倒れて、そして家庭内で暴力を振るうとしうふうなことで 兄嫁とその中さんとが大変二人で苦労されたということを思い出すわけでありますが、そういうふうな、老人でなくて中年でそういうことになった場合には一体どういうことになるのか。確かに寝たきり老人も大問題でありますけれども、起きて動く方もこれは結構いろいろな問題を起こすというふうに思うんです。
 ちょっとそれで、先ほどの一五%というのは大変気になるわけでありますが、その辺ひとつお答えをいただきたいと思います。
#22
○公述人(高見国生君) 今の先生のお話、奥さんのお母さんのお話を聞いておりまして、私は参議院の調査会というよりも家族の会の集いでお話を聞いているような感じになりましたんですが、家族の会の集いはいつもそういう話がたくさん出まして、みんな同じような経験をしているようなことで励まし合っております。
 一五%の件ですが、厚生省はこの一五%と言っていますのは、市町村が計画を作成する場合の指針として出しております。その根拠は、ぼけ老人の全部が要介護ではなし つまり どうやら俳回より以上が介護が大変だというふうに考えているようでして、そうしますとぼけ老人のうちでも三〇%くらいが介護が必要だと、そのうちで寝たきりと重複している人などを外していくと一五%になるというふうな計算のようです。
 私どもが市町村に対して、実際問題一五%よりももっとふやしてくださいという要望をした場合に、大体市町村が言いますのは、これはふやすと厚生省に認められない、あるいは厚生省からそれは一五%に抑えなさいというふうな話があります、厚生省ではなくて都道府県からですけれども。そういうことがあって、独自ではちょっとこのパーセンテージが上げられないというふうなことを言われるところがあります。ただ、そうはいいましても、一八%とかその程度までは上げていただいているところもございますけれども、そういうことでやっぱり基本のところでぼけ老人に対する介護の大変さの理解のところがしっかりされていないので、ずっとそれが市町村におりていくようなことで、現在は一五%の指針は変わっておりませんで、市町村の独自の段階で多少二、三%は変わっているというふうなことがございます。
 それから、若い方の問題なんですが、これは私たちが要望なんかしたせいもありまして、昨年の一月から特別養護老人ホームとそれから老人保健施設については若年性痴呆の方も入所対象に加えられました。これは老健法の改正と厚生省の通知で変わったんですが、ただそれはさっきも言いましたように、一年半なり二年この特別養護老人ホームを待つ行列の一番後ろに並んでもよろしいよというふうに言われましただけで、すぐ入所できるということになりません。それもしかも、若年性痴呆症というふうに言っていまして、病名を定めているんです。それはアルツハイマー病とピック病の二つに限って今の措置が認められることになりました。しかし、おっしゃいましたように、けがでぼけの症状が出たりすることもありますので、私たちは病名に限定せずにぼけの症状で考えてくださいということを言っておりますが、現状はそのような状況です。
#23
○小島慶三君 ありがとうございました。
 今後とも御活躍をお願いいたします。
#24
○公述人(高見国生君) どうもありがとうございます。
#25
○武田節子君 本日はすばらしい、現場に直接携わられた方々の貴重な御意見を伺いまして、本当にありがとうございました。いろいろお伺いしたいことがございますけれども、時間の関係で私は感想だけ一言申し述べさせていただきたいと思います。
 四人の皆様のお話を伺って一貫して感ずることは、非常に思いやりがある、人間的に優しい方々がこういった仕事に先鞭をつけられているんだなということを感じまして、これからの高齢化社会の対応は人間教育に限るんではないかというふうに痛切に感じたものですから、これからそういう教育問題にもしっかり取り組みながら、この高齢化社会の対応を、皆様のきょうの御意見を参考にさせていただきながら、よりよい高齢化社会の政策、制度を考えてまいりたいと思います。
 本当にきょうはありがとうございました。
 以上でございます。
#26
○吉岡吉典君 どうもきょうはありがとうございました。
 不正確になるとまずいので、一点だけお伺いします。一ノ瀬公述人です。
 福祉計画作成に関連して、バランスを持った計画になるようかなり抑制的な指導がなされているというお話があったように聞いたんですけれども、これはどこから抑制されるのか、市の内部なのか県なのか、さらにもっと上なのか、その点だけちょっとお伺いしたいと思います。
#27
○公述人(一ノ瀬諭君) お答えします。
 強制力のある指導じゃないんですけれども、一応指導がなされております。特に福岡県の場合は施設の充足率が全国でも高い方にあります。そういう関係で、福岡県の場合については在宅を優先してくださいと。施設についてはある一定の県なりの基準がありますので、その中で指導がされたということであります。
 本当は地域の住民のニーズ、それからその実態によって、例えば施設に入所するとか在宅で自分は暮らしたいとか、そういう選択が本当はいいんですけれども、ある一定のそういう全国的な施設の状況を踏まえた指導があったということであります。
#28
○吉岡吉典君 ありがとうございました。
#29
○下村泰君 四人の方、それぞれどうも大変貴重な御意見ありがとうございました。
 村松さんのお話を伺っておりまして、夫婦のきずなとかあるいは親子の情とか、私ら夫婦が果たしてこういう状態になったらあなたのお話の内容のようなことができるのかいななんてことを考えながらお話を承っておりました。
 ここで一つお尋ねしたいんですが、私らが子供のころにはお医者さんというのはすぐ飛んできてくれた。夜中でも飛んできてくれた、かばんを持って。ところが、最近はおうちで亡くなる方よりも病院で亡くなる方の方が多いという先ほどからのお話でございます。今お話を伺っていると、大変お医者さんとの連携がうまくいっているように承りましたけれども、さあ、おたくさんの方はうまくいっていてもほかでそういううまくいっている例というのがあるんでしょうか。それともう一つ、それだけ動いてくださる開業医の方がいらっしゃるのか、これを一つ聞かせてください。
 それから、ヘルパーさんの問題ですけれども、私は、再三再四委員会で待遇を改善しろ、改善しろとは言っていますけれども、先ほどのお話を伺っていると、これは資質の問題かなというような感覚も受けるんですが、それを一つ聞かせてください。
 それから、高見さんの御意見は、むしろこれはあなた様の御意見を我々が行政の方に生かすべきだなというふうに感じて受けとめました。
 それから、一ノ瀬さんに一つだけ伺っておきます。
 ここにおたくさんからいただいた資料があるんです。「高齢者の世話や介護について」という項目なんです。その一が、「高齢者の世話や介護は家族がすべきである。」ということに対して賛成が三三%で、どちらとも言えないが六三%なんです。これが、四番目の「高齢者の世話や介護は、家族が中心に行うべきで、福祉サービスはそのような家族の負担を軽くするものである。」ということになると賛成が七一%。こういう意識はどういうところから来ているんでしょうか。これだけお聞かせください。
#30
○公述人(村松静子君) 医師との連携に関しましては、私のところではこの十一年間に一例だけ連携がとれなかったのがあるんですが、それではほかではということになりますけれども、それに関しましては正直なところ保健婦さんたちのお話を伺いますと、非常に難しいということをおっしゃいます。
 ただ、私がいつも感じますのは、そこの信頼関係をいかに築くかというところで双方の努力が足りな過ぎるということがあるのではないか。やはり医師と看護婦、それからヘルパーさんも、先ほどから幾つも出ていますが、縦割りではいけないと思うんです。あくまでも患者さんを中心に、患者さん家族を主役として、ほんの一部ずつ助け合うということで感情交流がなされていくことによって私は今後ドクターも変わってくると。そして、現にこの十何年間で私も実際にやりにくいケースはありましたが、変わってきております。保健婦さんたちも非常にやりにくいとは言いつつも変わってきているということを言っております。
 それから、もう一点の開業医さんの件なんですが、確かに東京都内を見ましても高齢化しておりますので、夜間飛んできてくださる開業医というのは非常に少なくなっております。ただ一方では、四十代の医師でも、何とか経済的になれば在宅をやりたいということでぼつぼつと出始めております。そして 夜間の往診に関してはむしろ地方の方が非常にお年を召した先生でも一生懸命やってくださっているというのが実情かと思います。そういう意味では、やはりそれぞれの専門職がお互いに役割分担をし、手をとり合ってやっていくということが今後望まれているんじゃないかなというふうに思っております。
 以上です。
#31
○公述人(一ノ瀬諭君) アンケート調査のことですけれども、「高齢者の世話や介護は家族がすべきである。」、これは賛成が三三%あって、相矛盾するような形で「高齢者の世話や介護は、家族が中心に行うべきで、福祉サービスはそのような家族の負担を軽くするものである。」、これが七一%あります。これは矛盾するようなんですけれども、実は一番目の質問については、これは家族がするんですよ、義務ですよというような質問でありまして、四番については、家族が中心になってするんだけれども、いろんなサービスを使いながらするんですよという質問でとらえております。相矛盾するようなんですけれども、これは二十歳から六十四歳までの方々です。若い人たちは、福祉サービスも今後はうまく使って在宅介護をやっていくという意識はかなり強いということでうちの方では考察しております。
#32
○公述人(樗木孝子君) ヘルパーの質の問題をおっしゃったんですけれども、やはりいろんな形で雇用されるということは、それだけ全然経験がない人が現場にどんどん出てくることになるわけですね。ですから、やはりいい人材をいい雇用関係で雇うことがいいサービスが提供できるのではないかと私は思います。
#33
○会長(鈴木省吾君) 他に御発言もなければ、公述人四名の意見に対する確認のための発言はこの程度にとどめたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○会長(鈴木省吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 公述人の方々には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。
 本日お述べいただきました貴重な御意見は今後の調査の参考にさせていただきたいと存じます。本調査会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
 ありがとうございました。(拍手)
 ただいま御出席いただきました公述人の方々は御退席いただいて結構でございます。
 次の公述人の御入室のため、しばらくお待ちください。
    ―――――――――――――
#35
○会長(鈴木省吾君) 引き続き公述人の方々から御意見を伺います。
 この際、公述人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様には、御多忙中のところ本調査会のために御出席をいただき、まことにありがとうございます。
 本日は、皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の本調査の参考にしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 次に、会議の進め方について申し上げます。
 まず、お一人二十分程度で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの確認等があればお答えをいただきたいと存じます。
 なお、意見陳述の際は御着席のままで結構でございます。
 それでは、まず今公述人にお願いをいたします。今公述人どうぞお願いします。
#36
○公述人(今キヨ子君) ごあいさつだけ立っていたします。
 皆様こんにちは。東京の西にあります秋川市というところから参りました。国を預かる先生方の前で、日ごろ見ていること、肌で感じていることを少しでもその思いを込めてお話できるチャンスに恵まれましたことをとても感謝しております。忌憚のない意見とおっしゃいましたので、本当に走り回って感じたことをお話しさせていただきます。
 なお、私たちは本当にごく一般人の言葉遣いでありますので、先生方に失礼がありましたら御容赦いただきたいと存じます。では、座らせていただきます。
 まず、私はあすなろみんなの家の誕生、そこからお話しさせていただきます。
 実は、私、現在は秋川あすなろ保育園の園長として毎日走り回っております。あわせてデイサービスセンターあすなろみんなの家を運営している一人でもございます。私以前はある保育園、幼稚園に籍を置きまして働いておりました。それは昭和四十六、七年のころでございます。その当時は今と違いまして、少しでもハンディがありますと子供たちが幼稚園、保育園に入れない時代でもありました。どうしても子供が成長するに当たってはいろんな人たちが一緒になって生活をしなければいけない、そういう考え方で自分も生きてまいりました。
 それとあわせて、そのころからか、子供たちの生活と大人の生活が変わってまいりました。例えば、地域のお年寄りが亡くなってお葬式があるとします。そうしますと、きょうはお葬式があるから子供のお迎えが遅くなります、そういう現実が発生し出しました。私はそれを踏まえて、これはどうしても、例えば保育園の施設と老人施設とは近くになければいけないんじゃないか、そんなことを感じておりました。
 それよりも、まず障害を持ったお子さんが保育園、幼稚園に入れないというその現実を踏まえて、私は勤めていました幼稚園をやめまして、自宅を開放して無認可保育園あすなろ子どもの家を開設しました。朝は障子とふすまを取り払いそして保育室になり、夕方はふすま、障子をはめ込んで自分たちの住居になっていく、そういうありさまでした。
 しかし、自分で運営をしてみて喜びをたくさん感じました。そこには全く目の見えないお子さん、全く聞こえないお子さん、それからダウン症のお子さん、そういう子も自分の気持ちを込めて入所できたわけです。
 それとあわせて、地域の人たちがすごく温かく見守ってくださったということです。
   〔会長退席、理事竹山裕君着席〕
 地域の公園や公共施設を使いまして、地域のお.年寄りや、働き盛りの方たちがお休みですとそういう方たちと一緒になっていろんな行事に取り組むことができました。まさに自分が理想とするそういう保育ができていたように思います。
 ところが、その評判を聞きつけてどんどん希望者がふえてきました。それで、保護者のこういう保育をしてもらいたいという願いと、こういう保育園がほしいという願いを込めて、私は自分の家の権利証と土地の権利証を持って銀行へ行って借金をしました。そして、現在の秋川あすなろ保育園の敷地二百坪を買い取って社会福祉法人としてのあすなろ保育園を設立したわけです
 そのときに、私に財産、お金とか土地とかあれば本当は今現在運営しているデイサービスセンターも欲しかったんです。それから障害者のための作業場も欲しかったんです。なぜなら、やはり保育園には子育てがあります。そして、そこには家庭があります。家庭があるということは地域があります。その地域と家庭、そしてそういう施設と切り離して考えていく日本の政策、それに対してとても疑問を感じていたからです。
 そこで、私は保護者会や子育て講座なんかを開くたびに、今に絶対にみんなの家をつくるからねと。それは子供を育てていく中で、お年寄りとのかかわりを抜きに考えたら大変な間違いだと思っていましたから。
 そこで、もう一つの理由は、専門職を持ってきちっと働いているお母さんがある日突然やめざるを得なかったんです。それは夫の両親が寝ついてしまったから、または自分の親が寝ついてしまったから看病のためにやめざるを得ない。また、私の保育園の職員がお年寄りを抱えて働き続けるということかとても大変なことに気がつきました。
 そこで、その当時は少し借金も少なくなっていましたので、意を決して土地を買い求め、そして自分が五十歳になるのを記念に、平成二年の暮れから木造モルタルづくりの家を建築し始めました。それは一般住宅の中にです。そして、少し工夫はされていますけれども、例えば段差をなくするとかそういうことはしてありますけれども、ごく普通の住宅であります。
 そこで、平成三年正月早々、私は秋川の市役所に行きました。厚生課に行きまして、秋川市内の働く婦人の親、結局勤めをやめざるを得なくなる人のためにその御両親またはお年寄りを預かる家をつくっているんだと。だから、その利用料を秋川市で少し補助してくれないかとお願いに行きました。それをじっと聞いていてくださった厚生課の課長さんが、わかった、すぐ市長に話してみようということで、市長さんがそれを聞いてくださって、秋川独自での補助金は少しは出すけれども満額とはいかないと。今、東京と国が進めているデイサービスセンターの制度にのっとって都の補助金も少し出してもらえないだろうか。行ってみたらどうだというお知恵をいただきまして、早速次の日、厚生課の課長さんと係長さん、理事を含めて私は東京都へ行きました。
 都庁へ行きまして、いつの間にか一生懸命熱弁を振るっていたんです。それをじっと聞いていてくださった東京都の法人係の方が、本当は理想としたらそういうことなのかもしれないな、木造住宅でも施設と認めて、地域の中にあって。わかった、それの第一号を東京の秋川市から出そうじゃないかと。そういうことで、私の家は平成三年四月から秋川市の委託事業としてデイサービスセンターが誕生したわけです。その経過をお話ししたいと思います。
 それから次に、実践の中からなんですけれども、私は、このあすなろみんなの家のモットーは、いつでもだれでも気楽に気軽に利用できる家として話をしています。玄関の引き戸をがらがらとあけた、その瞬間からお年寄り、利用者が親戚の家にでも来たような、また自分の家にいるような気持ちで一日が過ごせる。そういう介護に努めること、職員の人たちにはそのように話をしています。
 それから、利用者の方には、今あなたが持っていらっしゃる自分の身辺処理、自立能力を低下させない努力をみんなと一緒にしましょうと。寝たきりにならないという自覚をお持ちください、私たちは寝たきりにしないという気持ちで皆さんと一緒にやっていきたいと思っていますと。そのことは、今問題になっている医療費のこと、福祉負担の問題と大きなかかわりがあると思うんです。どんなに長生きをしても、寝たきりになったら、それは幸せだとは言えない。
 私も、夫の両親を青森の方から、寝たきりになってしまって、そしてこういう仕事をしていますから、どうしても自分で見たいと思いまして引き取りました。六年間見ました。残念でしたけれども、このみんなの家は自分の両親には間に合わなかったのですけれども、そういう介護をしました。死ぬ思いの体験もしています。そういうことから考えたときに、寝たきりにしてしまったらこれはおしまいだ。運悪くそうなった後のケアは、先ほどたくさんいい事例が出されたと思います。その辺はおいでおいで、私のデイサービスセンターではそのことを一つの主眼としております。
 それから、デイサービスのリハビリなんですが、大きな器具を用意しなくてもいい。人が今まで生きてきたその道筋の中で何ができるのか、何をしてきたのか。そして、その方にどれだけの能力が残っているのか、それを低下させない。そして、その方が今生きている幸せを感じる、自分が生きているというその存在感を感じる、そういう介護を一生懸命したいと心がけております。
 さて、その実践の中からお話しいたしますと、去年の正月、嶋田さんという九十三歳のお年寄りの方が風邪をこじらせて二週間入院なさいました。その方は、入院している間思い続けられたそうです。このまま寝たきりになってたまるものか、もう一度元気になってみんなの家に行くんだ、みんなの家に行って、保育園の子供たちと一緒にやるんだと。そして、開所以来続けているボランティアのおむつ畳み、これは私は、お年寄りも何かお役に立てるはずだと思いまして、そしておむつを畳んだことはあるはずです、自分の子育てを通して。ですから、近くの老人病院のおむつ畳みを週三日ずっと続けてまいりました。その嶋田さんは今はお元気になってほとんど毎日いらっしゃいますが、入院している間そう思われたそうです。
 そして、自分は使いたくないんだけれども、高齢、九十三歳ということで病院ではおむつを使われたと。おむつを使ってみて、その情けなさ、それを感じましたと。だから、退院してみんなの家にお見えになって、おむつを畳むのにとても熱が入っていらっしゃいます。そして、昔のおむつは横になる分と縦になる分の幅が違ったのに、最近のおむつは横になる分も縦になる分も同じ幅だね、本当はおむつを使う人には縦になる部分は狭い方がいいんだよ、せめてこの縫い目が重なっておしりに当たって痛くないように畳んであげようと。そして、このおむつを使う人が早く元気になるようにと祈っておむつを畳むんだとおっしゃっています。こういう話をしたら何時間あっても足りません。
 私どもは開所以来、アルツハイマーの方も、それから徘回のある方も受け入れてまいりました。すべての希望者とは限りませんが、やはり私の根底に、障害者は障害者、健常者は健常者と分けてという考え方がとても嫌なものですから、普通の身辺処理ができるお年寄りの中に少々徘回のある方がいてもいいじゃないか。今自分が御飯を食べている、そのことすら忘れる人がいてもいいじゃないか。何とか支え合っていけるはずだと。そういう考えでいますので、開所以来受け入れてまいりました。現在でも七人の方が週一日の人、週三日の人、週二日の人ということで利用なさっていらっしゃいます。
 そういうわけで、やはりその支え合う姿を見たときに、長生きをして自分が生きている、その存在感を感じるということがどれほど大事かということを私たちは感じさせていただいています。そういうことは本当にたくさん事例がありますけれども、実践の中からの事例はそれぐらいにしたいと思います。
 それで、三年間このみんなの家を運営してきて感じていることがございます。おおむね十五人となっていますが、一月たりとも十五人を切ったことがございません。皆さんが自分の家にでもいるような、近くの親戚の家にでも行くような気持ちで利用してくださっていますので、本当に利用率はいいです。そして、現在はお弁当配達も一日十五食しておりますけれども、残念ながら受け入れ態勢というものが、態勢というよりは規模も小そうございますので、今セーブしている状況にあります。
 そこで、私の課題なんですが、私は一番目に、小中学校単位にこのような家庭的なデイサービスセンターを認めていただきたい、設置していただきたい。それは、既存の建物でいいじゃないか。今ある建物、公共的な建物でもいい、地方に行けばいろんな集会所とかございます。それを少し改修、改造するだけでも使えるんじゃないか。または木造でもいいじゃないか。これは消防法とか建築法とかいろいろあるかもしれないんですが、私は、そういうデイサービスセンターをやりたいという方がいれば各都道府県単位でも認めていただきたい。
 実は、私が関係している保育園関係の本にみんなの家のことを書きました。そうしたら、南は沖縄から北は北海道から園長さんたちが見学に見えたんです。そして、私どもの家を見まして、これなら私もできるかもしれない。地方の方が建築費も安い、土地も安い。今さん、やってみるよとおっしゃるんですが、いまだに一人として、施設として認められておりません。その御返事が、県庁に行ったら東京は特別だよとおっしゃるそうです。木造だからだめだとか、いろいろ問題があるそうです。とても私は残念なことだなと思っています。
 事実、保育園を運営するような立場にある方は、子供とお年寄りの関係は大事だ、必要だと実感なさっていらっしゃるんです。ところが、やりたくても土地が買えない、建築費用がない、そういう大きな壁があるわけなんです。その辺を地方自治体でやる気持ちがあれば、そのための補助金を出していただけるならば、私は寝たきり問題というのはかなり解消されるんじゃないかなと思っています。
 二番目に、市町村単位にお医者様と看護婦さんを雇っていただきたい。巡回指導していただきたいのです。そして、お医者様が看護婦さんといらっしゃつてお年寄りの脈をとる。何か問題があれば私たち介護者にちょっと御指導いただければ、そのことをその家族に、または関係者に伝達できるわけです。早期発見、早期治療、そういう手段が打てるかと思います。その辺のことをとても強く感じております。
 三番目に、ゴールドプラン、十カ年計画も読ませていただきました。また、市町村単位の福祉計画等もかなり私も目を通しておりますが、ネットワークづくりの大事さは、これはどこでもうたわれております。ところが、実際に現場にいる人間が見たときに、その専門機関の、先ほどもお話が出ていましたけれども、壁は厚うございます。医師会の問題それから保健所との問題、行政との関係、いろんな絡みがありまして、計画ではつくられたとしてもそれが実践可能なネットワークであるかどうかということを、私は先生方にもう一度足元の現場を見ていただいてどこに問題があるのかということを検討していただきたい。そういうことを踏まえたネットワークづくりを私はお願いしたい、そのように思います。
 最後に、時間がなくなりましたけれども、お年寄りの方々と接してみて、こうおっしゃいます。先生、本当は年をとっていてもああしたい、こうしたい、こうしてもらいたい、こうしてほしい、願いはたくさんあるんだよ。だけれども、自分ではそう動けるものではない。そして、年をとるごとにこれをあきらめあれをあきらめしていくんだよ。それが本当は年をとり始めたときにはとてもつらいもんなんだ。ただ、この年になってこういう家とめぐり会えて本当に生きていてよかった、そのようなお話を聞くことができます。
 私は、この仕事を通して、本当に子供の世界にデイサービスセンターが近くに欲しい。今教育の中で、小学校の高学年、中学生になったらボランティア体験をと言われています。そしてそれが進学のための一つの成績に加算されるような、とても私は危険なことだと思います。小さいときからいたわりとか思いやりとか、口で言うほど簡単ではありません。ともに見て聞いて触れて、自然と育つものだと思います。二十年、三十年先を考えた施策を考えていただきたい、計画を立てていただきたい。
 なぜなら、日本の国民性として、二十年や三十年前に私が今運営しているこういうおうちはたくさんあったと思うんです。それを、二十年、三十年先を見越した施策を考えていただきたい。そのためにも小規模のデイサービスセンター、それをたくさんつくることを考えていただけたら本当に幸せだと思っています。
 きょうは、このような立派な会場で少しでもお話ができる、しかも国を動かしていらっしゃる皆様にお話ができることを幸せに感じております。
 本当に最後になりました。ネットワークづくりのその壁というものは、先生方の党派を超えた、派閥を超えた壁よりももっと私は高いんじゃないかと感じております。
 終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
#37
○理事(竹山裕君) 今公述人、ありがとうございました。
 次に、太田公述人にお願いいたします。太田公述人。
#38
○公述人(太田貞司君) 帝京平成短期大学の太田と申します。
 きょうは、私が今まで長い間現場で体験してきたことを少し踏まえながら、現在は教鞭をとる立場にあるわけですが、十八年ほど保健、医療、福祉の分野でケースワーカーをしておりました。その中から、きょうは地域ケアと老人保健福祉計画の課題と問題点ということについて私のふだん考えていることをお話しさせていただきたいと思います。
 ただいま今先生の方からも在宅での支えが大変重要だという貴重なお話をそばで聞かせていただきましたけれども、私もそう思います。私は、ホームヘルパーさんの強化の問題について特にきょうはお話をさせていただきたいと思います。
 なぜホームヘルパーの問題が大事かと申し上げますと、第一には、今地域の中で高齢者の願いとして二つあるように思います。一つは、在宅であってもあるいは施設であっても、どこでも自分の意思で選択をして暮らしていきたいということであります。もう一つは、在宅であってもあるいは施設であっても、あるいは老人保健施設であってもどこでも人間的なケアを受けたい、あるいはそういう自分らしい人生を送りたい、障害を持ったとしても自分らしい人生を送りたいという願いを持っている。このことを支えるためにホームヘルパーの役割がとても大事だというふうに思うからであります。
 もう一つは、私も自治体の老人福祉計画の策定に幾つかかかわってまいりましたけれども、今度の老人福祉計画全体の策定の中身を見てみますと、施設あるいは在宅をどういうふうにシステム化するかということが大きな課題でありますけれども、在宅を支えなければ施設計画そのものも狂っていくんだということであります。そういう意味で、在宅を支えるかなめとなっているホームヘルパーさんの力がとても大事です。
 しかも、そのために今、計画がつくられて実行されようとしておりますけれども、それぞれの三千三百の自治体のホームヘルパーさんの数を積算しますと十二万人ということになりました、先日も朝日新聞で報道されましたが。これはゴールドプランを上回る数字でありますけれども、しかし、これでもまだ実は十分ではないんではないかというふうに思っているからであります。
 具体的に申し上げますと、在宅の課題を少し私の体験からお話をさせていただきたいと思います。
 まず現在、特に最近では寝たきり老人という言葉を余り使わなくなりましたけれども、寝たきり老人の方で在宅を選択できる方が非常に少なくなってきたということであります。厚生省の推計でも既にもう四割という時代になっています。これは後ろの方に資料を載せておきました。五枚目の資料の3というところに載っておりますが、もう既に四割という時代であります。しかも、今回老人福祉計画の策定をめぐってそれぞれの自治体で地域の実態を詳しく市町村の方々が熱心に調査されました。その結果を見ますと、過疎地域では寝たきり老人の方の二割しか在宅で生活していないというところもあらわれてまいりました。これは六枚目に少し資料を載せておきました。
 そのような、在宅を選ぶことができない人たちがたくさんふえてまいりましたけれども、その在宅の状況をもう少し詳しく申し上げますと、飛んで申しわけございませんが、お手元にあります資料の二枚目に参考資料の(2)というところがございます。
 現在、地域で見てみますと、脳卒中で倒れて病院に入院しまして、その後さまざまな場面で介護をされたりあるいは療養されたりするわけでありますが、大きく分けて三つのコースに分かれるように私は思います。
 一つは、病院から老人保健施設あるいはリハビリの病院を通じて自宅に戻るコースであります。自宅に戻るんですが、その自宅で療養されていても介護が困難であれば途中で老人病院に移ったりあるいは特別養護老人ホームに移っていくというふうなことに最近なってきている。二番目のコースは、病院から病院へというふうに転々と移るコースであります。三番目のコースは、病院から特別養護老人ホームヘと移っていくコースであります。
 この八〇年代を見てみますと、その病院から自宅へというふうにスムーズにいくケースが実は少なくなってきたわけであります。そのかわり、そこにロと書いてありますが、病院を転々とするというコース、つまりその中には医療も必要なケースもありますけれども、いわゆる社会的入院というケースもたくさんあるわけであります。こういうケースが非常にふえてきた。なぜこのイの自宅に戻る人たちが少なくなってきたのかということが実は大きな問題で、このことを支えるためには、やはり在宅のケア、在宅のサービスを充実すること、その中でも特に在宅のかなめになりますホームヘルパーさんの充実がとても大事だというふうに考えます。
 二番目に、この在宅の生活ができるような条件をどうつくるかということが実は大きな課題だろうと思います。
 この中で四つのことが少なくとも必要だろと私は思います。
 一つは住まいであります。もう一つは医療の問題。三番目は先ほど申し上げました介護の問題。その介護の問題も特に働きながら介護できる条件、あるいは高齢であっても介護できる条件をどうつくるかということがこれから在宅生活を支えるかなめになるんじゃないかというふうに思います。四番目には、やはり専門職のネットワーク、このことが十分整備されていけば在宅の生活を選ぶことができる高齢者がふえていくのではないか。ただ、私思いますのは、介護の問題がやはり人権の問題、生活権の問題としてまだまだ十分考えられていないというところにあるように思います。
 具体的に申し上げますと、三枚目の「介護をめぐって」というところでございますけれども、施設ケアと在宅ケアを比べまして在宅ケアのサービスの基準というのが具体的にまだ決められておりません。例えて申し上げますと、特別養護老人ホームでは週二回の入浴が義務づけられております。しかし、在宅のサービスでは月数回ということが全国の自治体の現状でございます。
 そういう点で見てみますと、現在在宅のサービスをどう充実するかという点を考えてみますと、在宅の限界点であります食事の問題特に排せつの問題が家族の介護の最大の問題になっておりますけれども、このことを解決するようなホームヘルプのサービスをどう充実するかということがかぎになっているように思います。そういう意味では、どんな家族であっても介護できる体制をどうつくり上げるかということが課題であり、家族介護ができない場合には、家族にかわって介護できる体制を全国の自治体隅々にわたってつくっていくことが今一番大きな課題ではないか。そういう点では、今回老人福祉計画の策定に当たって、厚生省の基準といたしましてホームヘルパーの派遣を週に三回から六回というふうに考えておりますが、これではとても不十分。もう一遍、高齢者が在宅で人間的な暮らしをするためにどのようなサービスが必要なのかということをもう一度やはり検討が必要なのではないかというふうに考えます。
 最後に、高齢者のこれからの在宅の生活を支えるにはやはり地域社会のあり方が大変重要だというふうに考えますが、私は老いの文化ということを申し上げています。老いの文化を支えられるようなサービスを地域の中でつくっていくということが我々のこれからの課題ではないか。そのようにする中で、寝たきりであっても地域で生きていこうという意欲が生まれるというふうに考えます。
 そういう点で、在宅のホームヘルパーさんの役割はとても大事ではないかというふうに考えておりますけれども、今回の計画に当たっては市町村の中で大変御苦労なさってつくっておられます。しかし、残念ながら財源の問題あるいは人材確保の問題あるいは町内での合意の形成の問題、さまざまな問題がありまして、なかなか十分にホームヘルパーさんの配置の問題をきちんと位置づけられていないというのが現状ではないかというふうに思いますが、これから老人福祉計画を実施に当たってまた見直しをしながら行っていくわけでありますが、その点を自治体の中で十分な見直しができるようなぜひ御検討をしていただくようにお願い申し上げたいというふうに思います。
 私の意見を終わりたいと思います。(拍手)
#39
○理事(竹山裕君) 太田公述人、ありがとうございました。
 次に、下重公述人にお願いいたします。下重公述人。
#40
○公述人(下重貞一君) 私は、京都にあります関西盲導犬協会より参りました下重と申します。
 本日はこのような機会を与えていただきましてありがとうございました。
 また、一人同伴してまいりましたので、ちょっと御紹介させていただきます。
 後ろにいらっしゃいますのが、私がこれから事例として御報告させていただきたいと思っております盲導犬を使っていらっしゃる中馬田鶴子さんとおっしゃいます。ちょっと皆様の方からは見えないかもわかりませんが、足元に盲導犬のキャリーという犬がたたずんでおります。この中馬さんを通じて皆様に私どもの意見をお聞きいただければ大変ありがたいと思います。
 私は、盲導犬を育成している団体で事務職をしておりますけれども、特に高齢の視覚障害者、それから盲導犬、それから生活の質といったものについて若干お時間をいただいてお話しさせていただきたいと思います。
 皆様のお手元には関西盲導犬協会のパンフレット、それから盲導犬がどのように育てられるかというようなパンフレット、それから中馬さんがホノルル・マラソンで完走されたことを若干記載してありますリーフレットをお渡ししてありますので、ごらんいただければ幸いです。
 中馬さんは二年半ほど前、関西盲導犬協会で盲導犬を貸与されたわけなんですが、それまでは大阪市の市立盲学校で教員をされていました。その間、盲導犬を扱うことはなかったようですけれども、盲導犬のことはよく関心を持って見ていたということのようです。退職されてから健康管理ということも考えたのでしょうか、マラソンに挑戦するようになったということを聞いております。
 その中馬さんが詠まれた短歌がございますので、ちょっと御披露させていただきますと、「マラソンに 五キロ走ると決めしょり 走るてふこと 学び始めつ」「百メートル五百メートルーキロと 延びて二キロも 易く越えたり」、こういうすばらしい句を私どもに与えていただいたわけなんですが、またこうも言っているわけなんです。「ランニングのコーチを受けている自分が、青春の真只中を突っ走っているようで、とても幸せな気分でした」。
 失礼ながら、中馬さんは今六十八歳です。その方が青春の真つただ中を走っているような気分という、そういったお気持ちになられたのは本当にすばらしいことであると私どもは思ったわけです。それがホノルル・マラソンの完走につながっているわけです。記録は五時間四十二分四十一秒。この記録が並み外れているものではないかもわかりませんけれども、二万三千人余りが走った中で一万三千九百十八番。それから、六十五歳以上六十九歳以下の女性二十六人が走ったらしいですけれども、そのうちの八番。それから、七千七百五十一人の女性が走ったらしいですけれども、二千九百八十八番という、六十八歳ではちょっと考えられないような記録ではないのかなと私どもも思って、私はまだ四十数歳ですけれども、同じようなことが果たしてできるかしらと思ったときには、ちょっと自信がありません。
 そういうすばらしい記録、もちろん中馬さん御自身が今まで四十年余り盲学校の教員として一生懸命頑張ってこられたわけですから、非常に積極的に生きてこられたと私は思います。しかし、お仕事をやめられてから時間もできたことだとは思いますが、マラソンに挑戦するということをされたわけですけれども、それには家族の温かい励まし、お母さんもお年寄りになったんだからもうやめなさいよとか、年寄りの冷や水みたいでそんなことは格好悪いから走らないでくれというような家族の反対はなかったとおっしゃられております。
 やはり家族の支えというものは、お年寄りの方が、内在するエネルギーというんでしょうか、御自分自身の人生をどう考えどう実現していくかということは、これはお年寄りであろうが若かろうが非常に大きなものがあると思うんですけれども、特に高齢者でそういった自分の人生というものを完結しようと、あるいはよりよきすばらしいものにしようとする内在のエネルギーというのは、若かろうがお年寄りであろうが余り関係のないことではないのかなと思いますが、そのエネルギーを燃やすサポートをしようという家族の皆様あるいは地域の皆さんの関心が、中馬さんがこういったマラソンに挑戦しようということを考えたときに非常に大きな励ましになったんではないのかな、こう私どもは思っております。
 それから、これはちょっと自己宣伝めいてしまいますけれども、中馬さんになぜマラソンを走るようになったのですかとお聞きしましたところ、やはり盲導犬と暮らすようになってから非常に生き生きとした生活ができるようになったということをおっしゃられました。私どもとしてもそれは大変ありがたいと思います。
 盲導犬というのは、御存じのとおり、目が見えない方が目が見えないことによって生じる不利益、歩くことが不便になる、物を書くことが不便になる、いろいろありますけれども、そのうち特に歩くことが不便になることを盲導犬を使って一般の目が見える方と同じように歩くことができる、そういう補助道具と言っても差し支えないと思います。しかしながら、盲導犬、この場合は歩くことを助ける道具と言ってもいいわけですけれども、それ以外に、あるいはそれ以上にと言ったらよろしいんでしょうか、その視覚障害者、目が見えない方を勇気づける、そういった働きを示しているのではないのかな、こう思っております。
 現在、我が国には、一九九一年の厚生省の調査によりますと、視覚障害者は三十五万三千人いらっしゃると聞いております。このうち六十五歳以上の高齢者は十九万一千人、パーセントでいえば五三%余り、もう半分以上は六十五歳以上の高齢者ということになります。この数値は前回、八七年の調査に比べますと一万五千人余りもふえておりまして、高齢化が進んでおることがわかります。これは障害者御自身が高齢化しているということ、それから高齢になってから視覚に障害を持つ方がふえている、この二つの様相があると思います。
 この人たちがどのような状態にあるかということを、一つの指標として外出の頻度ということをとらえてみるときに、厚生省の調査では、年に一回も外出したことがないという方が九%もいるということです。これは私どもとしても大変悲しいことだなと。もちろん、寝たきりという状態ではなくて、視覚に障害があって外出しにくいという状況があって、九%余りの方が年に一回も外出したことがないという状態があるわけです。
 私ども独自の調査でも、年代によってその外出の頻度というのは違いまして、一番多いのはやっぱり二十から二十九歳の方々。こういった年代にある方々は働くということも必要でしょうし、訓練施設で訓練を受けるということも必要ですからかなり多いわけですが、七〇%余りの方はほぼ毎日外出している。ところが、それがだんだん年代が上がっていきますと、五〇%になり、四五%になり、七十歳以上では三六%というように外出頻度は目に見えて下がってくるわけです。それはまさに目が見えないということによる不利益でもあるわけですけれども、社会の構造がそういう目が見えない方々の外出に適した構造にはなっていない。段差はある、それから点字ブロックとかあるいは点字の券売機など徐々に整備されつつはありますけれども、一人で歩くだけの構造にはまだまだなっていないというふうな状況にあると思います。
 次に、私が直接かかわっております盲導犬育成事業という問題についてちょっとお話しさせていただきたいと思います。
 現在、国内で盲導犬の育成訓練を行っている施設は全部で八カ所ございます。黄色い。パンフレットに日本地図とその所在を示したものがございますけれども、年間百頭余りの盲導犬が育成されているわけです。一九九三年三月の国内における盲導犬の実働数は七百五十五頭ということです。
 こういった盲導犬育成事業というのは、障害者福祉施策の一つとして国や地方自治体から補助金が出たり、あるいは民間の寄附などがその資金として充てられているわけなんですけれども、厚生省はさきに、障害者に関する新長期計画の中で、平成十一年には年間四百八十頭という具体的な数値を挙げて盲導犬育成事業の拡充計画を明らかにしました。この規模は、現在が百頭余りですから、四倍ないし五倍近い数値ですけれども、この具体的な裏づけとなる例えば資金的なものあるいはマンパワーの計画、こういったものについては残念ながらまだ明らかにはされておりません。
 ちなみに、例えば年間四百八十頭という盲導犬を育成するためにどのぐらいの訓練士といいますか指導員が必要かといえば、八十人ぐらい必要です。ところが、現在の指導あるいは訓練に携わっている人たちは二十名余りですから、あと六十名も不足の状態なんです。これをどうやって養成していくのか、あるいはその養成の資金はどう調達するのかということについては、残念ながら厚生省当局も明らかにはされておりません。
 こういった問題、あるいは私どもも含めて、ほかの盲導犬協会もそうなんですが、多くの場合、その活動の資金というものは民間あるいは市民の皆様からの寄附金がほとんどです。私どもの活動の例からいきますと、そこにもちょっと円グラフで示してございますけれども、公的な補助金というのは私どもの場合は京都府と京都市から年間二百万ずつ、合計四百万。それは収入全体の一割未満という状況にあります。こういった資金的な欠乏といいますか、少ないことが、盲導犬育成事業が盛んになり得ない大きな原因の一つだと私ども考えております。国あるいは地方自治体の積極的な御支援があればもっと多くの盲導犬を育成できるのではないか、こう考えております。
 最後になりますけれども、イギリスにありますイギリス盲導犬協会、これは非常に大きな施設ですが、年間六百頭余りの盲導犬を育成していると言われております。実際に英国内で活躍している盲導犬の数は四千頭という数値を挙げて示しております。日本が七百頭余りですから、その五倍余り、六倍近くでしょうか、そういった数値が可能なのは、これは国から大きな援助があってやっているということではないようです。英国民の寄附あるいは遺産の遺贈、こういったものが盲導犬協会にもたらされて活動資金になっているということです。私たちもそういう社会の認知を得つつある事業というふうに認識しておりますけれども、多くの皆さんの御支援によりまして事業の振興を図ってまいりたいと思います。
 特に高齢者と盲導犬ということから考えますと、先ほど中馬さんの実例を挙げましたけれども、英国では九十四歳という方が盲導犬を実際に使って社会的な活動をしていらっしゃるということです。高齢だから盲導犬が使えないということではありません。もちろん、高齢者福祉ということを考えますときに、特別養護老人ホームですとか、あるいは利用しやすい設備というんでしょうか、そういったものの整備は非常に急がれることだろうと思いますけれども、一方、例えば中馬さんのように自分の人生をより豊かにしたい、こう考えているお年寄りの皆さんの内在するエネルギーというんでしょうか、そういったものを活用する、あるいは発露させる施策 そういったものが必要ではないのか。
 それには、やはり高齢者を温かく迎えるといいますか遇するような地域社会あるいは家庭、具体的にどういったものというのはなかなかわかりにくいとは思いますけれども、私は、いわば一言で言えば、包容力のある地域社会あるいは家庭が望ましいのではないのかなと思います。
 ある方がこうおつしゃつています。それは盲導犬を使っていらっしゃる方なんですが、盲導犬と生活するようになって家の中の雰囲気が変わってきたと。子供さんは、来たかて知らんよ、そういう冷たい言い方をされていたんですが、盲導犬が来たら一番かわいがっている。それまでそういった雰囲気がなかった家庭だったのに、盲導犬という一つの要素が加わることによって温かい、そして本当に包容力のある家庭になってきたということを述べられています。
 盲導犬が家庭を変えるということは私はないと思いますけれども、盲導犬を使うことによって使う方が変わられる、あるいはその方を見る周囲の目が変わってくるというようなことは言えるのではないかな、こう思っております。そのために皆様の御支援あるいはお力添えをお願いできれば大変ありがたいと思っております。
 ありがとうございました。(拍手)
#41
○理事(竹山裕君) 下重公述人、ありがとうございました。
 では、引き続いて稲川公述人にお願いいたします。稲川公述人。
#42
○公述人(稲川寿子君) 私は肩書もございませんけれども、一応有償ボランティアということになっていますが、現在、世田谷区のふれあい公社、それから目黒区の社協の在宅のお年寄りのケアをするそちらの協力会員としての活動を五年間続けております。稲川でございます。よろしくお願いいたします。
 実は、先ほどから今さんのように本当に御立派ないろんな御発言を聞いておりますともう帰りたくなるぐらい、どうしようかしらというところがあるんですが、常日ごろいろんなことを考えたり、それからいろんなところで意見を言ったりしてきましても何か焼け石に水ということが多くありましたので、やはりこの際できるだけ時間の許す限りふだんあれしていることをお話しさせていただければと思っております。
 私の一応まとめて要点だけ書いたものをお渡ししてあると思いますけれども、きょうはやはりその中でも、これを全部申し上げるともうお経のようになってしまって意味がなくなるおそれもありますので、二、三に絞っていきたいと思います。
 まず、要点だけなんですけれども、最初に書いています介護手当をできるだけ国で補助していただきたいというこの件につきましては、添付しています日経新聞の記事をごらんいただければもう本当にびっくりするような現実があるということをおわかりいただけるんじゃないかと思います。その中でも介護手当ですね、左の上の方に8番という数字で出ていますが、一年当たりの介護手当、大阪では一年間一万円、東京では五十八万八千円。私は富山県の砺波というところの出身ですが、そちらの方ではちなみに、所得によって違うそうですが、年間八千円から六万円出ているそうです。
 あとの細かいいろんなケアに関しましては地域性を持っていろいろ差があることはわかるんですが、何といいますか、やっぱり今在宅でお年寄りを抱えている人たちが、普通もう本当にあれが必要なんですよね、機器、ベッドとか。レンタルするにしても買うにしても。そうしましたら、まずお金が要ります。それから、そのおうちの人たちがだれかが犠牲になって仕事をやめるとか、ということになりますと現金収入が減ってまいります。現実問題田舎で住宅事情からいろいろお年寄りの面倒を見られるという中にあっても老人ホームへ、先ほどの今さんのデータにもありましたように、今さんでしたかしら太田先生でしたか、過疎地域では相当数の方が老人ホームに入っていらっしゃるというその現実というのは、やっぱり現金収入がなくなるということが大きな理由の一つであるわけですね。
 ですから、もうこういうことに関しては国で一律の手当というものを決めていただかないと、今後そういう住みよいところへ行くということでお年寄りが移行していきましたら、人口の流動というのは何かゆがんだ形になっていくおそれもありますし、できるだけ早急に、やはり地方自治に任せるという部分も必要ですけれども、もとのこういう介護手当のようなものはちゃんと国でやっていただきたいと切実に思って、お願いしたいんです。
 それから、二番目に書いています「施設入居者の意志を尊重した流動化を」という点に関してです。
 これは、私は特養ホームなんかを二、三実習に伺ったり訪問したりしているんですが、そのときに、まず悲しいことは、入居している方たちがほとんどもう生き生きとしていらっしゃいませんね。それともう一つは、結構御自分で食堂へ行ったり、御自分の身の始末ができる方がいらっしゃるんです。
 特養というところは、やはり寝たきりで介護が相当重度だから必要だという方たちがお入りになるところで、しかも施設もそのようにできていますね。現実問題として特養ホームというのは本当にもう足りない足りないと言われていて、私が住んでいます目黒区なんかも、今、区立が一カ所、私立が二カ所ありますが、そこへ入れていただくためには東大の受験よりも大変な倍率と言われています。そんな中で、大分よくなって御自分で何かできる方たちまでがそこにずっといらっしゃる。そういうことでは幾ら特養ホームだけを一生懸命ふやしていってももう手がつけられないというか、そういう現実だと思うんです。
 それと、入っている方御自身が意識がしっかりしていらっしゃれば、もうお入りになった時点で、ここに今お入りになってももうしばらくしたら、頑張ればあなたもケアハウスなり医療施設なりそういうところへ移って、それでできるだけおうちへまた戻れるようになりますよという、そういうお互いのコミュニケーションとやる気を持ってケアをする。そして、行政としては中間施設ですね、ケアハウスとか医療施設とかそういう、ショートステイの場所とか、今さんがおっしゃったような本当に身近でいろんなところをたくさんつくって、それで本人の意思に従って、自分はもう少しやっぱり自由にできるところへ行きたい、自分の足で外へちょっと出てみたいという意思に沿ったような、そういう一つのケースをやっぱり国として、何というんですか、指導ということではないと思いますけれども、呼びかけて、もっともっと喚起するようにPRしていただきたいと思うんですね。
 それともう一つは、特養ホームの中というのを拝見しますと、寝たきりの方はそのままというケースが多い。これでは、残念なからそこがついの住みかになる方たちは余りにも寂しいんですよね。ですから、ホームの中でベッドを動かしてお花も見られるとか、きょうはお日様が照っているからひなたぼっこができるとか、そういうふうにベッドを移動しながらあれできるとか。それから、ちょっとでも座れる方は車いすで移動して、居室のむんむんとするような雰囲気からできるだけ遠いところで食事を気持ちよくできるように、そしてまた盆暮れにはできるだけおうちに帰れるようにその送迎のお手伝いを特養でする。それから、泊まりに来た方にはベッドを移動してそばで一緒に家族が泊まれるような部屋をつくるとか、いろいろ施設の改善、それからお手伝いをする人たちの人件費、そういうものをもっともっと、できている特養の中で改善していただきたいと思います。
 それから、次なんですけれども、「ヘルパーの意義」といいますのは、これはちょっと漠然としていると思いますが、このゴールドプランとかいろいろあります中に、ヘルパーの数が何万人とか何年後にはどうとがという数字がしっぱい出ていますね。このヘルパーというのはどういう人たちのことを指しているのか、私、正直言ってよくわからないんです。区の職員のヘルパーということであればやっぱり財政的に大変なことですし、かといって、その中には家政婦さんとか私たちのように有償ボランティアとかこういう形の人たちが含まれているとすれば甚だ不確かな数字です。
 実際問題こういうことをあれしちやなんですけれども、東京都が三級ヘルパーの講習会というのをところどころでよく開催します。私も実は去年受けましたが、そのときに、三十名受けたんですけれども、最初に募集の段階で、この講義を終了したからといって就職をお世話することではありませんと、ちゃんとそれを明記するわけですね。受ける方もそれは承知して受けるんですけれども、やっぱり授業を受けている間に、本当に大事なことだから私たちも何かお手伝いできることがないかしら、どこへ相談すればいいのかしらということになるんですけれども、せっかくいらしてらした講師の方に質問しましても、いやあそれはもう、もし何だったら家政婦さんにでもなればとか、それから、東京人材センターへ相談すればまたそれなりに声がかかることもありますよという、そういう御返事なんですね。これはもうヘルパーを必要とする社会であるということをわかりながら、ただ講習会を開いて、その後どうしてそういう人たち、せっかくやる気ができた人たちに対して、こういうふうなことでお手伝いしていただけませんかという呼びかけができないのか、それが不思議なんです。
   〔理事竹山裕君退席、会長着席〕
 現実問題としては、介護券を区なんかいろんなところで出していますよね。介護券というのは、身体の状態とか、それから、所得に応じて週に三枚とか二枚とか出して、それでその後当人が家政婦と交渉をして、それで家政婦さんが行ったときにそれを渡すという、そういう制度なんですけれども、実態は家政婦さんたちを頼んでいる人たちがどれだけ満足してそれで喜んでいるかということ、それは本当にもう疑問な点がいっぱいありまして、私たちが接しているふだんからのお年寄りなんかは、やっぱりその間のトラブルなんかいろんな問題を訴えるんですよね。そうしましたら、そんな介護券をばっと渡してそれで区がそういう在宅の方たちのお手伝いをしているという問題ではないんですね。それよりも、ヘルパーの講習を受けてきちっとあれしている人たちに、こういう人が身近にいるので何とか手伝ってもらえませんかとか、そういう当たり前のことができていない。
 それと関連して、寝たきりになりましたら紙おむつが月に何枚とかとどかっと届けられるんです。その紙おむつがもう十年何とかのごとく、もう五、六年前も今も同じパターンの大きい紙おむつが何枚か届けられています。今この業界というのはもう本当に研究が盛んで、もっとコンパクトで小さくて、おしっこのときはおしっこだけをそっと取ればみんながびしょびしょにならなくて、病人も介護する大もとてもありがたいというものがいっぱい出ています。ごみの問題もありますしね。そういうことを考えましたら、おむつを一つあれするにしても、何かおむつ券という形でそれを自由に、使う人が薬局なんかでおむつにかえて自分に合ったものを購入するとか、そういう何か、センスの問題ですかしら、本当にもう何か行政のしていることが余りにも現実とかけ離れているというか、それがもう如実に感じられましてね。
 ですから、いろいろもっとほかにもあるんですけれども、もう時間がありませんので、これ以上はこの問題についてはやめたいんですけれども、一つの提案として、本当にこれは突拍子もないことなんですけれども、やっぱり行政職で上級職の方たちは、今後もう三年間ぐらいは実地で体験をした人がなるとか、それを義務づけるという、そういう方向に持っていっていただきたい。それで、それが早急にできない場合は、現在介護した経験のある人とか、施設で働いたことのある人、そういう方たち、それから自分自身が大分弱ってきて、やっぱり駅はしんどいなとか、そういうことがわかっている人に嘱託でもいいですから参加してもらって、それでこういう行政のそういう場で取り組んでいただきたい。それが一つのやっぱり大きな問題だと思います。
 それから次に、飛びまして高齢者SOSセンター、これに関しては、この記事にも一つ例が出ていますけれども、何か困ったことがあって相談をしたいと思って区役所の窓口へ行く。そうすると、もう平均五、六カ所は当たり前のことなんですね。高齢者センターへ行きなさい、いや福祉事務所へ行きなさい、いや社協へ行きなさい、それであげくの果ては、何か時間がかかったら、いや車いすはあいておりませんとか、それからそのあげくにもうお願いしていた病人はもっとひどくなって入院せざるを得なかったとか、そういう実態というのはたくさんあるんです。それでは本当に何のためにいろんな課があっていろんな窓口があるのかおかしな話ですので、もうコンピューターの時代ですし、区に一つとかそんなことではなくて、東京都に一つとか、もうそれぐらいでも大きなものだったらいいと思うんですが、情報を収集してきちっとSOSで二十四時間体制で、問い合わせがあったときに、それだったら居住区のどこの窓口へ行って御相談なさいとか、それから、あした訪問看護の人をそちらへ行くように言っておきますがそれまで待てますかとか、そういう電話での何か応答で、それで迅速に、利用する人たち、お年寄りたちがいつ何どきでも安心して相談できたり、何かそのときにはどこかでここを助けてもらえるという、そういう社会にならないといけないと思うんですね。
 そういうものをつくるときには、やっぱりテレビのスポットなんかで、もう困ったときはどこそこへという、それぐらいのあれで皆さんに浸透するように働きかける。そのためにまた予算がないとかいろいろ問題が出てくると思うんですが、私は一つの提言としてここで、民生委員制度、これはできたときはすばらしい制度でしたしあれなんですけれども、こんなにプライバシー云々と言われる今の時代に、どうして民生委員さんを通して、それで直接じゃないから余計時間がかかったり、それから意思が伝わらなかったりするその制度を今も継続してなきゃいけないのかしら。そういうものはもうやっぱり時代のニーズに沿って廃止して、その費用をできればそういうSOSセンター、まあ高齢者介護センターでも何でもいいんですけれども、そういうものの設置に充てていただきたいと思います。
 もう時間もオーバーしますのでこれ以上はなんですけれども、ただここに協力員の、何というんですか、ボランティアの切符制度、時間預託制度というのが一つこれからいろんな人にボランティアというか協力を呼びかけるときには一番大きな課題だと思うんですね。そして、それを支援していらっしゃるかつての鬼検事と言われた堀田さんのさわやか福祉推進センター、そちらの方へ、国がすべきことをしてくださっているわけですから、支援をお願いしたいということ。
 それからもう一つ、この「寝たつきり防止策」云々というのは、ここに何点か書いていますが、これはお読みになっていただいて御判断いただければいいんですが、先ほど今さんがおっしゃいましたように、私は小学校の空き部屋、これを利用して給食、お年寄りたちがそこでお食事だけに来るという、それだけでもいいと思うんです。それで給食に来た元気なお年寄りが、近所のお年寄りで来れない人に自分たちで宅配をする、自分たちの近くのお年寄りに宅配をする、そういうことをして、それで児童と一カ月に二、二回でも食事をともにする。それこそ本当にもう地域ぐるみで、それでそのお年寄りたちの食事云々ということに対して、もし何か必要であれば、さっきの特養ホームの件もそうですけれども、地域のボランティアがサポートをできるようにグループをつくって、そういう方向づけというのはやっぱりいろんなところでもう実施にあれしているところもありますけれども、現実問題としてまだまだそういうことに目が向いていないと思うんですね。ですから、小学校の空き部屋の利用、これはぜひぜひ、教育委員会の問題だ、厚生省の問題だなんと言わないで、よろしくこういうところでお願いしたいと思います。
 以上です。(拍手)
#43
○会長(鈴木省吾君) 稲川公述人、ありがとうございました。
 以上で公述人四名の意見陳述は終わりました。
 この際、委員において公述人各位の御意見に対し確認したい点等ございましたら順次御発言願います。
#44
○溝手顕正君 私の方から若干御質問させていただきたいと思います。
 私は、自由民主党の所属でございますが、つい先年十一月までは地方自治体の首長をやっておりまして、実際にゴールドプラン作成にかかわった者でございます。また、二十数年来福祉法人の設立に携わりまして、特養、養護老人ホームも私自身の手でやってまいった経験を持っております。そういった観点で、今回の、質問といいますか、我々の自戒を含めまして感想のようなものも申し上げてみたいと思うんです。
 基本的に、ゴールドプランもそうですが、厚生省の行政というのは、福祉事業というのは補助制度による法制になっております。これは私も地方の首長時代いつも思っておりましたが、やはり国が何とかしなくてはいけないんですが、これは最低水準を示す一つのシステムであると思わざるを得ないという感想を持っておりました。そういった意味で、ゴールドプランの実施によりまして、かなり全国各自治体隅々まで福祉の問題を考えようという動きが出たことは大変ゴールドプランのすばらしいところだろうと思います。
 しかしながら、先ほどの稲川さんの日経の記事の中に出ておりましたが、まさに自治体間の福祉競争になることが実は今後の福祉を進める上の最も重要な要件である、こういうことをおっしゃった人がいるようですが、私も全く同感でございます。地方の単独事業で福祉をやる場合には、例えば交付税による裏打ちがある場合もございますし、また自主財源、単独事業でやる場合もございます。そういったことによって、各自治体が競い合うということが問題解決の最短の方法ではないかと私自身考えております。
 例えば、私のおりました町でございましたが、痴呆性の老人の問題がございました。痴呆性老人のデイサービスというのは、どこも取り上げていない問題でございまして、私の時代にこれを実施をいたしました、精神病院とタイアップしまして。結局どこからも金が出ない、私自身が企業にお願いする、市の単独費をつけるということで、単独市費でスタートをいたしました。そして、先ほどの質問の中にもございましたが、痴呆性老人の人格の問題ということで、ネーミングも随分考えまして、夢老人という名前で運動を展開したわけですが、寄附も集まるようになりまして、最近では県も補助金を出していただけるような一つの事業として成功いたしました。
 福祉の問題は地域差もあり、個人差もあり、家族の問題もあり、また習慣の問題もございますので、まことに国政の立場で申しわけございませんが、やはり地方が支えるんだ、地域が支えるんだという観点で動かざるを得ないんじゃないかという気を私自身も強く持っております。ゴールドプランというのは、これは実は最低水準を示す基準であるんだと。地方で頑張るべきだと。それにつけましても、財源の問題が出てまいります。
 この財源の問題、現在、福祉を地方に肩がわりさせるような動きになっておりますが、これ自体は結構でございますが、最近、間接税を上げるとかなんとか言っておりますし、また一%ほど地方に回すとかなんとか言っていますが、実際のコスト、これから考えられるコストを想定しますと、地方の負担が飛躍的にふえるということは私は間違いないことではないかと思っております。この辺はある程度地方の自主性に任せた、地方に豊かな財源――豊かとは言えなくても地方に財源を与えて、ある程度自主性に任すという政策をとるべきではないかというように思っているところでございます。
 そういった意味で、地方とそれからボランティアの皆さんにぜひとも頑張っていただきたいと、私自身もこの立場からではございますが御協力をさせていただきたい、このように思っております。
 先ほど、学校の校舎の問題が出ておりましたが、これは実は本当は簡単なことなんですが、労働組合との問題なんですね。後の管理はどうするか、給食の食数がふえたらどうするんだというようなことが日教組あるいは自治労との間で問題が起きまして、地方はやりたくてもできないという問題を抱えております。福祉の問題につきましては、もう党派を言わずに、特に参議院国民生活調査会にいる限りは共同してやるべきだということを提案申し上げたいと思います。
 それからもう一点、盲導犬の問題でございますが、たまたまですが、私がおりました町が盲養護老人ホームを持っております。最近、その一部を特別養護老人ホームに改組いたしました。盲養護老人ホームは、私はもう現在の制度が合わないと思っております。目が不自由だということで、先ほど痴呆性の問題が出ておりましたが、目の不自由な人も一緒なんですね。痴呆性でも問題がありますが、やっぱり目が不自由だということで早く病気になりやすい、運動不足になるというようなことで、これもやっぱり特殊な分野として考える、手を差し伸べる分野だと思っております。
 そして、その町の保健福祉プランの中に、目の不自由な人に関する特別の地域をつくって、我々の町の特性を生かしたいという計画も実は打ち出したところでございます。視覚障害者の更生施設もございます。その中で、視覚障害者が鍍灸師等の資格を取って更生施設から出る場合に必ず盲導犬を一頭ずつ持って帰っていただけるようにならないかというような願いを持っておって、土地ぐらいはいつでも段取りをするんだがというところまで進んでおります。そういった意味で、下重さんの動きはぜひとも応援をしてまいりたいことだと思っております。
 自分が実際に体験をいたしまして、目の不自由な方に対する福祉をほかの一般の人と同じに論ずるのは極めて問題があるなということを感じておりました。どうぞこれからも頑張っていただきたいと思います。なかなか国の政策がうまくいかなくて申しわけございませんが、できるだけ頑張らせていただきたいと思います。
 きょうは大変ありがとうございました。
#45
○小島慶三君 きょうは公述人の方々、大変いずれも深い経験からの貴重な御意見を賜りまして、本当にありがとうございました。
 それで、一つ二つ感じておることを申し上げさせていただきたいと思うんですけれども、初めに、今さんのお話は私は大変に共鳴を覚えたわけであります。
 やはり例えば、福祉の問題にしましても、システムとか制度とか、そういうものをつくればいいというものではないというふうに私は思っております。要するに、だれが中心になって、火の塊になってそれを推進するかということでないと、これは心と心の触れ合いという問題はクリアできないというふうに思います。そういう意味で、今さんのお始めになったことは本当に大変すばらしいことであるというふうに私思います。
 それで、最後におっしゃったネットワークづくりというのが恐らくこれからの課題なんだと思いますけれども、再度私ごとを申し上げて恐縮ですけれども、私も全国に二十カ所、小島塾というのを持っております。これは行政とかそういうものにかかわってできたものではなくて全く草の根からできてきた。そして細胞分裂をしていって二十カ所になった。北海道から沖縄までできておりますが、このねらっておることは自己研さんと経験の交流、それから村づくり、地域づくり、村おこし、あるしは農工融合とかそうしつたことなんですけれども、めいめい自分たちのねらっているところが皆違うものですから、それでやっておるんですけれども、それが一番効果があると思うのは、お互いの塾の同士で話し合う。まあちょうど異業種交流とかそういうことがありますけれども、あそこじゃこういうことをやっている、あそこじゃこういうことをやっているというので、それが大変非常に大きなダイナミズムになっておるわけであります。
 恐らく今さんの場合にも、やはりひとりで立っていくということよりも、そういうお互いの経験交流といいますか、今さんのところはこれだけすばらしい、おれのところでも、私のところでもできるはずだとか、そういう思いが重なっていってやはりネットワークが充実するんではないかと思うんですけれども、その辺のことに、これからのネットワークづくりにつきまして、何でしたら一言お教えをいただきたいと思います。
#46
○公述人(今キヨ子君) はい、ありがとうございました。ネットワークづくりですね。それは本当に先ほど申し上げましたように、行政側もそうおっしゃっていますし、私たちも実感しております。
 計画では、例えば市町村単位、行政ですね。それから保健所、社協、医療関係、医師会等とやっていく必要がある、いかなければならないとうたつてあるんですが、今先生おっしゃいましたように個々の事情がありまして本当に連携が持てない。わかってはいるけれども、お互いに利害関係があったりとかしてそれが遅々として進まない。
 私は秋川市の福祉部に行きましてこのようなことを提言しております。行政側が先に改革をしていただきたい。例えば福祉部福祉課福祉係というその窓口がやはり意識改革をしていただきたい。例えば、公務員であるから週休二日制、土曜日、日曜祭日お休みだ、まずそういうことから取り払って、そして市民の側に出てきてほしい、向いてきてほしい。
 例えば、秋川市にもこの四月から二カ所公営のデイサービスセンターができました。そのデイサービスセンターをつくるに当たっても、私二年間かかわらせていただいて、このような間取りがいい、お年寄りには畳の部屋も必要なんだ、それからお休みする部屋も必要なんだと、まあつばを飛ばして発言したところ、行政側はそれをとっても酌んでくださって、それなりの建物ができました。そしてこの四月から開園したんですが、残念ながらそれが壁が厚いということは、土曜日お休み、日曜祭日お休みなんです。だから、私どもは本当にそういう底辺の身近なところでそこを崩していきたい。崩していけるようなネットワークづくり、そういうことを願っております。それにはまず行政側の意識の改革が必要ではなかろうか。
 答えに該当しないかもしれませんが、まず身近な例からすればその辺を申し上げておきたいと思います。
#47
○小島慶三君 ありがとうございました。
 私いろいろまた申し上げたいこともお聞きしたいこともあるんですが、私どもの小島塾の合い言葉が感動の共有ということでございまして、ぜひ今さんのそういったシステムも感動の共有でお進みになるように祈って、私の質問を終わります。
#48
○武田節子君 公明党の武田でございます。
 一つは今さんに、一つは太田先生にお伺いしたいと思うんです。
 本当に理想的な「あすなろみんなの家」の誕生を伺って、これならだれでもできるんじゃないかなんてこう短絡的にすぐ考えまして、思ったんですけれども、私は世田谷に住んでおりまして、今さんは秋川で百坪も土地を提供されてすばらしい土地を持っていらっしゃるんですけれども、都内では土地も高いし、マンション生活が多いのでございますけれども、そういう人たちにでも心がけができればこんなふうな形でどうだろうかというようなアドバイスがいただければ大変ありがたいと思います。
 それから一つは太田先生に、働きながらも介護のできる生活権というお話がございましたけれども、一昨年デンマークの元福祉大臣が見えたときに日本のゴールドプランをいろいろ分析なさいまして、アナセン氏ですね、その方が見えたときに、日本が進めている高齢者保健福祉推進十か年戦略では、最終目標の十万人でもふえつづける高齢者に対応はできないんじゃないかという御意見がありました。それでデンマークの例を引かれまして、ホームヘルパーの数が一九九〇年では一千人に対して日本は二・五人しかいない、デンマークは三十五人だと。この率でいくならば二〇〇〇年にヘルパー十万人になっても一千人に対して四・七人にしかならない。ですから、寝たきり老人は減らせないんではないかというような御意見があったわけです。
 こういう福祉が非常に進んだというのは、デンマークでは女性の社会進出が多くなって、その力が行政を変えていった大きな力になっているんだというお話がありましたけれども、日本でも大体今四〇%がやがて八〇%ぐらいになる、女性が働く状況がたくさん多くなるだろうと思いますときに、やはり働きながら介護できるという状況は、大変きょうの先生のお話は示唆に富んだお話でございまして、これから私たちの考えなきゃならない問題ではあります。
 現実に私も一昨年までは働く女性の問題に取り組んできまして、中高年女性が老人を抱えているという、しかもシングルとか、あるいは一人っ子、一人息子ですから大抵親を見ている。本当に働きに出かけるときに寝たきりのお母さんを置いていくときには、きょうも無事でいてほしいというような思いで出かけていく。ただいまって帰ってくると、本当に息をしているかしらと思って、一番先にまくら元に行って、それがぺつたんこになっていますから、もう呼吸も困難になっていますので、息遣いも静かだ、一番先に口元や鼻に手を当てて、あ、呼吸して生きているなということを感じながら、そういうふうにずっと働き続けている人たちが圧倒的に多いのでございますね。そういう意味で、働きながら介護し続けるというお話に対して、もう少し詳しくお話をいただければ大変ありがたいと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
#49
○公述人(太田貞司君) ただいまの先生の御質問でございますけれども、私は今まで特に東京の下町で高齢者のお宅を、数は正式にはわからないんですが千五百ケースぐらい回ったと思うんですが、その中で在宅で見ている方が随分おられるわけです。その方々を回ってみて一番感じるのは、やはり家族と一緒にいたいという希望が非常に強いんですね。しかも、そういうふうに見ている方は御家族の方も、御苦労だけれどもなるべく自宅で生活できるようにしたいと。ところが、今お話しなさいましたように、毎日の働きながら介護されている方の生活を見ていますと、日中は一人でおられる、しかもその間食事もとらないでおられたり、あるいは水分制限するというのも当たり前なんですね ですから 在宅で生活するというふうにいったとしても、大変今の生活は悲惨なものだというふうに考えていいと思うんです。
 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、在宅で生活されている方は現在約四割でございますが、東京の場合で見てみますと、一九九〇年の調査でございますけれども、高齢の方が見ている例がそのうちの三割でございます。働きながら見ている方が二割という数字なんですね。いわゆる主婦型の方というのが二・五割くらいでございます。将来、主婦型の介護者がふえるかどうかということが大きなポイントだろうと思うんですが、ただ今のところ、やはり働きながら見るという、あるいは高齢者が見るというケースはふえていくだろうというふうに予想せざるを得ないと思います。
 しかも、日本人の場合は特にデンマークとかスウェーデンと違いまして家族にケアされたいということでございますので、一番大変なところを、例えば先ほどもちょっと申し上げましたが、中野区の調査では在宅で限界のあるというのは、医療の問題とか自宅の問題、いろいろあるんですが、結局食事の問題あるいは排せつの問題なんですね。決して外出できないとか入浴できないということで在宅の限界にはならないんです。なぜそうなっているか。それは日本的な特徴なんですが、排せつとか入浴、食事の問題というのは命にかかわるからなんですね ですから やむを得ず涙をのんで在宅をあきらめているわけです。そこのところに手を差し伸べなければ在宅の生活は拡大しないと思うんです。そのため、家族の力、地域の力、それから行政の力がやっぱり一緒になることが大事なんだろうと思うんです。
 行政だけがやるというのではないというふうに思いますけれども、しかし一番大変なところを例えばボランティアさんだけにお願いをする、毎日毎日の食事、昼間の食事、三百六十五日間お願いする、あるいは排せつを二時間置きに援助するというのをボランティアだけにお願いするというのは大変困難です。そのことはある程度行政が責任を持ちながら、家族の方も引き入れる、それから地域の方にも援助してもらうという体制をつくることが大切だろうと思うんです。
 一番最後の六ページ目に資料がございますが、過疎地域のお話を先ほどいたしましたけれども、これは北海道の留辺蘂町で厚生省がモデル計画としてつくったものでございますけれども、一九九二年で在宅で寝たきり老人が二十人生活されておる、全体数が百五人ですので一九・○、二割なんです。これを二〇〇〇年には、過疎地域で大変ですから少しアップして二二%の三十人ぐらいは在宅でカバーしようという計画を今立てているわけですね。それに対してヘルパーさんは何人でカバーするかというと、この留辺蘂町の計画では四・五人で三十人を見る計画なんです。確かに家族の介護も引き入れる一ということは大事ですが、それだけで間に合うかどうかということなんですね。間に合わなければ施設に移らざるを得ない。そのことでぜひ自治体が自由に計画を遂行できるような体制をぜひ御検討いただきたいというふうに考えております。
#50
○公述人(今キヨ子君) 部か秋川でなく大都会でも何かそういうことが、ということの御質問でしたけれども、私は大都会に住んでいないので住宅事情等は余り身近には知らないんですが、ただ私が考えることでは、例えば先ほど稲川さんがおっしゃいましたように、学校の空き部屋とかそれから図書館のすぐ隣に、空き地にちょっとしたそういうものをつくるとか、それから公共の建物、そういうものが大都会ほどあるんじゃないかと思うんです。そういう空き部屋を利用してのデイサービス、まさしく四、五人グループで預かってやれる、そういう工夫ができるのじゃないかと。
 それからもう一つは、これは私、前々から思っているんですけれども、大都会に住む方で相続の問題がございますね。よくテレビ等でも問題になりますけれども、相続税が高くってその建物を売って相続税を払って地方に行かなければならないという悲惨な話を聞いたことがございます。そういう方たちがもし福祉のために、例えばデイサービスセンターとか、例えばそれに類したものを建てて、そしてそれを行政が借り受けてというような場合には、何らかの補助をするなりそして免税にするなりして、その方たちもそこに住みながらなおかつ公共的にお役に立てる、そういう何かできるんじゃなかろうか、私はそのように考えております。
 それから、三十秒、時間をいただきたいと思います。
 このメモ用紙に言い残したこととして書いた中の一つなんですが、現在、少子化の問題が騒がれております。そして今、働き盛りの中高年層の人たちは、その少子化問題を含めて自分の老後をとっても心配していらっしゃいます。私自身もそうです。ですから、目で見てそして肌で感じる、自分たちが年をとったときにあの福祉が受けられるんだと、そういうことが目に見えるならば、福祉負担の税金、そういうものに対しての理解というのは、国民一人一人は私は納得できると思うんですね。私たちが直接見ることができる、こういう福祉が受けられるんだなと。先ほどどなたかおっしゃいましたけれども、政府のおやりになる行政、運営されていくそのことを肌で感じて本当に信頼ができる施策であるならば、国民一人一人は、自分もその恩恵にあずかれるんだと、そういう安心感で税金のそれなりの負担は納得されるんじゃないかと思います。
 質問外の問題ですけれども、これだけはお話ししたいと思いまして私はメモしておきましたけれども、その辺も先生方、ぜひ考えていただきたいと思います。
#51
○武田節子君 どうもありがとうございました。
 質問を終わります。
#52
○吉岡吉典君 各公述人の皆さん、きょうはありがとうございました。皆さんから要望があった点を実現するために私も努力したいと思います。
 時間の関係で絞って一、二お伺いしたいと思います。
 私の出身の島根県は大変な過疎地で日本一の高齢県なんです。そこで最大の問題になっているのは過疎地の介護体制をどうするかという問題で、この間もそういう仕事をしている人が出てきて話をしていたところです。太田先生、過疎地の問題に若干お触れになりましたので、何か参考になる御意見をお持ちでしたら聞かせていただきたいと思います。
 それからもう一点は、これはきょうの前半後半ともヘルパー問題が一番大きいテーマになったと思いますけれども、そのヘルパーの基準がないということを太田先生おっしゃいまして、なるほどそう言われれば私もそういう基準、きちっとしたものをよく知りませんし、そうなると稲川公述人がおっしゃったようにヘルパーの数字というのもいいかげんなものだという議論にもなると思います。いろいろの面から、つい今もお話がありましたけれども、基準として最低こういうことは必要だという点で先生お考えになっておれば、まとめた形でお聞かせ願いたいと思います。
#53
○公述人(太田貞司君) 二点、御質問があったかと思います。
 第一点目の過疎地帯での対策の問題ですが、介護力はもうゼロに近い地域がかなり出てきております。しかも、都市部と違いましてかなり広域でございます。現在、私も千葉県の最も過疎地域の丸山町というところを調べておりますが、大変でございます。広域であり、なおかつ高齢で、なおかつ介護力はゼロに近いというところでどう行うのかというところでは、やはりもうそれぞれの自治体で、例えば在宅で無理であれば施設で行うとか、いろんな工夫があっていいんじゃないかと思うんです。高齢者全体の生活を自治体で責任を持つ、その上で地域とか家族とかいろんな力を合わせながら、在宅でやるか施設でやるかはそれぞれの自治体で決めるというぐらいを考えていく必要があるんではないかというふうに思います。これが第一点目でございます。
 第二点目のところでござ、ますが 在宅の基準ということでございますが、現在、介護の問題だけで見てみますと、結局在宅の寝たきりの高齢者が減って社会的にふえるという最大の理由は、食事の問題とか排せつの問題とか入浴の問題先ほど申し上げましたが、そこらあたりの基準が明確ではない。つまり、特別養護老人ホームでは三食きちんと保障されているわけでありますし、それから病院でもそうでございます。しかし、在宅ではそれが必ずしも十分きちんとした形にはなっていないところが大きな問題。つまり人間が生きるための基本的なところが社会的な体制になっていない、ある面では家族任せ、本人任せになっているというところを、もちろん家族でケアをするということが一つの日本の特徴でありますが、そこのところを工夫しながらどう保障していくのかということを検討する必要があると思うんです。
 例えば、イギリスの場合では一九九〇年に在宅ケアの基準のようなものがつくられました。コミュニティーケアという、この中に出てきますが、生活をするというのは施設であっても在宅でも同じ基準でやらなきやしけな、 しかも市民生活を保障しなきゃいけないということで、大変私はびっくりしたんです。教会に自分の力で行けなければそれを援助するとか、あるいは、大変不思議だなと最初思ったのは、庭の周りを犬を連れて散歩するということを保障することがイギリス市民としての生活なんだと。そのことができなければ社会的に援助するというコンセンサスを持っているんですね。
 日本の場合には、先ほど視力障害の高齢者の方の問題が出てきましたけれども、障害を持った方がどういう市民生活をするかということについてのコンセンサスが得られていないということが私は一番大きな問題だろうと思うんです。そこをどんなふうなサービスで行うかとかあるいはその財源をどうするかというのは大変大きな問題ですが、とにかく日本の中でそういう障害を持っている人も暮らせる条件をお互いに合意していこうじゃないかということをやっぱりはっきりと打ち出す必要があるんではないだろうかというふうに考えております。
 以上でございます。
#54
○下村泰君 二院クラブの下村です。
 皆様方の御意見、本当にありがとうございます。
 私、盲導犬だけに絞ってお話を伺いたいと思います。
 厚生省の長期計画で、平成十三年までに四百八十頭の盲導犬を育成して、そのときには二千二百頭、全体で二千六百頭の盲導犬が確保できると。そうしますると、御不自由していらっしゃる方で、視覚障害者で盲導犬を必要とする方八千人の約三分の一をカバーできる。これが計画にはなっているんですが、しかし実際にそんなに簡単に盲導犬が育っていくわけがない。それともう一つは予算が非常にかかるということですね、費用が大変かかるということ。それからもう一つは訓練士が少ないということ。それで実際に現場に携わっている下重さんの御意見をここで伺いたいんですが、果たしてそれが可能かどうかということですね。
 それからもう一つは、今そこに盲導犬、お犬様が入っていらっしゃるが、そんな丁寧な言葉を使うこともないと思いますけれども、今まで国会の中に入ってきたのは、昭和五十二年四月二十六日に社会労働委員会へ参議院で初めて犬が三頭入ってきているんです、盲導犬が。予算委員会のこの部屋に入ってきたのは二頭目なんです、これが。一頭目は私が入れたんですけれどもね。国会というこれだけやかましいところで、しかも盲導犬が入ってくることを今や認めているんです、国会は。ところが実際に、宿泊施設、一流大ホテル、あるいは飛行機、あるいは交通機関、こういうところでは、厚生省から通達が出ているはずなんですが、いまだにこれが認められていないところが多々あると承っておりますが、おたくの方にどれだけのそういった願い事が来ていますか。
 その二つを聞かせてください。
#55
○公述人(下重貞一君) 第一点目は厚生省の計画が実現可能かどうかというお尋ねだと思うんですが、非常に困難なといいますか、あるいは今の時点では絵にかいたもちに終わりかねないといいますか。例えばこの計画を実現する裏打ちとしての財源措置とかそれからマンパワーの配置とか、そういったものに関して厚生省は残念ながらまだ具体的な計画を私どもにも示していませんし、私どももまだ検討の段階ではないわけです。したがって、ある意味では計画が先走りといいますか出てしまったようなところもあろうと思います。
 ただ、今までの厚生省あるいはそういった盲導犬事業に対する考え方からすれば非常に大きな進歩といいますか、今まで残念ながら厚生省の盲導犬事業に対する考え方というのは非常に否定的でした。社会福祉事業法の中にも入っておりませんし、身体障害者福祉法の中にもまだ規定されておらない状態なわけです。ただ、昨年の税制改正で盲導犬協会に対する寄附金が税の優遇を受けられるようになったとか、それなりの一定の理解は示されていますし、その延長としてこういう長期計画が出されたものと思っておりますけれども、そういう具体的な施策がまだ明らかになっていない以上は平成十三年に今の状態と変わらない状態ということも言えるのではないかなと思っています。
 したがって、私どもとしては、二十三日に全国の盲導犬協会の関係者が集まりまして、こういった計画に対して今後厚生省あるいはほかの省庁に対してどういった働きかけをするかというようなことも話し合われると思うんですけれども、全国八施設ございますけれども、協力しながら具体的な施策も協議してまいりたいといいますか、要求してまいりたいと思っております。
 それから盲導犬の受け入れの状況ですが、先ほど私も調査室の方にお伺いしましたところ、昭和五十二年に入ったきりで後は入っていなかったということを聞いて、ああそうでしたかと初めてびっくりしたところでもあるんですけれども、私どもは一九九〇年に、社会は盲導犬をどのように受け入れているかというアンケート調査をいたしました。それから「盲導犬と社会」ということも論文としてまとめました。それを見ますと、厚生省の通達は出ているんですけれども、これは通達であって法律ではありませんし、罰則もございません。したがって、旅館とかホテル側でそういった通達を承知しているということはございますけれども、まだお客さんの理解が得られていないというふうなことを理由にお断りになることはしばしばあるということを実際に盲導犬を使っている方々から聞いております。
 ただ、最近、日本スーパーマーケット協会さんが盲導犬を受け入れますというステッカーを店頭に張り出し始めたということを聞きまして、非常に心強く思っております。私どもが持ってまいりましたのはちょっと違うデザインのものですけれども、私どもも「動物は持ち込めません ただし盲導犬は除きます」というようなステッカーをつくりまして京都府内、私どもの活動は京都府内が中心ですので、そちらの方で運動したことがございますけれども、余り興味はありませんでした。こちらの働きかけもそんなに強くなかったものでしょうからそういった結果に終わったのかもわかりませんが、東京に本部がある日本盲導犬協会というところがスーパーマーケット協会さんを通じて全国的に張り出していただくことになりましたので、そういう盲導犬に対する周知というのは非常に上がっているんではないかなと思っています。
 ただ、この前スーパーマーケットさんから電話で御相談があったんですが、そういうステッカーを張ったはいいけれども実際今度盲導犬を連れた方が来られたときにどう対応していいかわからない、そういう研修を盲導犬協会さんの方で講師を派遣してやってくれないかというふうなことをおっしゃられました。それは私どもも、そういう企業、特に食品業界ですとかあるいは旅館業界の方がそうしうことの必要性を感じられて要請されたときには、もうこちらの方からむしろ、盲導犬というものはこういうものなんですよ、あるいは視覚障害を持った方に接するときにはこういったことが必要なんですよということを研修を通じてでも広く知っていただきたいなと思っております。
 概して盲導犬に対する理解というのは、一昔前、私ども十年前に始めたんですけれども、そのときに比べれば非常に改善されているといいますけれども、まだまだ足りない部分というのは多かろうと思います。ただ、こういった盲導犬というものが多くの人たちの支援といいますか理解によって育てられているということを私どもは非常に幸福に思っております。
 ありがとうございました。
#56
○下村泰君 終わります。
#57
○会長(鈴木省吾君) 他に御発言もなければ、公述人四名の意見に対する確認のための発言はこの程度にとどめたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#58
○会長(鈴木省吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 公述人の方々には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。
 本日お述べいただきました貴重な御意見は今後の調査の参考にさせていただきたいと存じます。本調査会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 ありがとうございました。(拍手)
 これをもちまして公聴会を散会いたします。
   午後五時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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