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1994/06/07 第129回国会 参議院 参議院会議録情報 第129回国会 労働委員会 第3号
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1994/06/07 第129回国会 参議院

参議院会議録情報 第129回国会 労働委員会 第3号

#1
第129回国会 労働委員会 第3号
平成六年六月七日(火曜日)
   午後三時四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月二日
    辞任         補欠選任
     笠原 潤一君     田辺 哲夫君
 六月七日
    辞任         補欠選任
     西岡瑠璃子君     堀  利和君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         野村 五男君
    理 事
                柳川 覺治君
                庄司  中君
                笹野 貞子君
    委 員
                小野 清子君
                田辺 哲夫君
                平井 卓志君
                千葉 景子君
                西岡瑠璃子君
                浜本 万三君
                堀  利和君
                足立 良平君
                石井 一二君
                松尾 官平君
                武田 節子君
                中西 珠子君
                吉川 春子君
                三石 久江君
   国務大臣
       労 働 大 臣  鳩山 邦夫君
   政府委員
       労働大臣官房長  征矢 紀臣君
       労働省労働基準
       局長       石岡慎太郎君
       労働省婦人局長  松原 亘子君
       労働省職業安定
       局長       七瀬 時雄君
       労働省職業安定
       局高齢・障害者
       対策部長     渡邊  信君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐野  厚君
   説明員
       文部省初等中等
       教育局特殊教育
       課長       嶋崎 和男君
       労働省職業安定
       局外国人雇用対
       策課長      井口  泰君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○労働問題に関する調査
 (労働行政の基本施策に関する件)
○障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改
 正する法律案(内閣提出)
○高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部
 を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(野村五男君) ただいまから労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る六月二日、笠原潤一君が委員を辞任され、その補欠として田辺哲夫君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(野村五男君) 労働問題に関する調査を議題とし、労働行政の基本施策に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○田辺哲夫君 自民党の田辺でございます。大臣に若干質問を申し上げたいと存じます。
 実は、きのうの朝日新聞と毎日新聞でございますが、一面トップに厳しい就職戦線の記事が載っておりました。またけさは、毎日新聞の一面トップでございますが、労働省の試算によりますと二〇〇〇年のころに今のままの状況でまいりますと労働力の過剰を来す、このようなショッキングな記事が載っていたわけでございます。
 また、きょうとあすはパリにおきましてOECDの会合が催されておるわけでございます。しかも、この会合の内容は経済の成長と労働力の確保、これを主要な議題といたしまして会合が催されるわけでございます。日本政府からは二十七年ぶりに大臣がだれも行かない。そこで政務次官の方が三人現地に行っておるようでございます。
 このように内外ともに労働力の雇用問題は大きな問題を抱えておるのではなかろうか、こんな視点からお伺いしたいと思います。
 労働委員会が分離いたしましたのは三年前、平成三年の八月でございました。これは時の需要によりまして、やはり分離して労働行政は労働行政でしっかりと議会でやるべきである、このようなことから分離されたわけでございます。ことしで三年目でございますが、私はこの分離というものが議会にとりまして大変重要ではなかったか、そして、労働問題の進展がなされたのではなかろうか、このような確信を持っておるわけでございます。
 所管の労働省といたしまして、この分離につきましていかがお考えでございますか、その辺の見解をお聞きしたいと存じます。
#5
○国務大臣(鳩山邦夫君) 田辺先生御指摘のとおり、三年前に労働委員会が分離独立をいたしたわけでございます。
 私は、就任のときの最初の労働省内での記者会見で、厚生省と労働省は非常に似通った目標、いわゆる国民生活ということで似通った目標に向かっているのだから厚生省と労働省が合併をするという考えはないかと、こういう質問を新聞記者の方から受けたわけでございます。
 私は、行政改革というのは常にやっていなければいけないことと思いまして、行政改革を否定するものではありませんが、中央省庁を合併したからそれだけで大きな経費が浮いてくるという単純なものでないことを以前から考えておりましたが、その質問を受けたときに考えましたのは、社会労働委員会、いわゆる衆議院でも参議院でも社労、社労と言っている中から、余りに国会でも議論をすべき内容が多いということで厚生省所管のものと労働省所管のものを分けて、厚生委員会そして労働委員会に分けて、その分けた成果によって定例日もふえましたから、例えば介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律とか、あるいはパートタイム労働者法とか、そうした多くの重要法案を御審議いただいて成立させていただくようになったわけでございます。
 そういう意味では、今も衆議院の本会議でいわゆる年金法の質疑があって、私もほとんどすべての質問者から答弁を、所管ではないんですが、要求されたわけですが、これからの時代、いよいよ本格的な超高齢化社会に入っていくという段階で、労働省の役割もまた増してまいりますし、参議院の労働委員会の皆様方の御活躍に期待をする国民の気持ちもより高まってきていることと存じます。
#6
○田辺哲夫君 労働省の沿革を考えますと、戦前に内務省の一部門でございました。たしか昭和十七、八年だと思いますが、厚生省がつくられまして、その一部門になった。そして、終戦直後から労働省というものがつくられたわけでございますが、その基本は憲法にあるわけでございます。憲法二十五条、二十七条、二十八条、この辺に生存権的人権ということで大きく憲法がうたっておるわけでございます。この中身は省略させていただきます。
 いずれにいたしましても、それ以来、その三条というものを基本といたしまして労働行政が進展されておる。また、三年間におきましてもほとんどその三条に基づきましていろいろの法案というものが設立されておる。今回の三本におきましてもしかりでございます。私は、憲法のこの三条というものを十分胸に畳みまして、いつもこれを基本に置きまして労働行政の進展を図るべきではなかろうか。このような考えでございますが、労働大臣の所感をお願いしたいと思います。
#7
○国務大臣(鳩山邦夫君) 私も昭和二十三年の生まれでございますから、戦後すぐに生まれた団塊の世代で、いわば新憲法とともに育ってまいった者でございます。
 憲法についてはいろいろな議論がおありとは思いますが、間違いなく言えることは、日本国憲法は、たとえ制定過程に何らかの納得いきにくい部分があったとしても、とにかく基本的な人権、人類の持つべき基本権の保障が非常に充実しているという点では世界に冠たるものがございます。憲法とともに育ってきた私でございます。そういう憲法に保障されるさまざまな権利が勤労者の生活を守っていることに大きな喜びを感じるわけでもあります。
 やや個人的なことになりますけれども、昨年亡くなりました私の父が参議院選挙を目指したころより田辺先生とのおつき合いが始まりまして、父を支える最有力の都議会議員として、そしてまた参議院議員として御活躍をいただいたわけですが、その先生が弁護士として常に人間の基本権について熱い思いを持っておられたお姿というものを私もこの二十年にわたって拝見してまいりまして、先生がそういう基本権を守らなければならないという気持ちでまた労働行政を温かく見詰めていただいているということに関して、私は非常にうれしいものを感じさせていただいております。
#8
○田辺哲夫君 労働大臣の所信表明の中に国際家族年という言葉がございます。これは読んで字のごとくだと存じますが、国連におきましても、家族というものを大切にしなければいけない、それが社会の最小基盤である、このような観点から家族愛を中心といたしました家族の団結、こういうものを追っておると思います。
 そこで、家族のきずなでございますが、これにつきまして、国際家族年からお考えをお聞きしたいと思います。
#9
○国務大臣(鳩山邦夫君) 家族というのは社会を構成している最小の単位でございましょうが、同時に、家族の幸せなくして世の中の幸せはあり得ないわけでございます。そういう点を考えますと、家族みんながお互いかたいきずなで結ばれて愛のある生活をすることができるかどうかは、政治や行政が果たさなくてはならない、向かっていかなくてはならない最も大きな目的の一つであることは間違いないと思っております。
 そういう意味では、いわゆる勤労者がその職業生活における責任と家庭生活における責任と両立させることが望ましいわけでございまして、そういう観点から例えば、現在衆議院を通過したばかりでございますが、雇用保険法の中で育児休業給付、育児休業という制度は既に国会でおつくりいただいておりますが、それにさらに上積みして育児休業給付というような制度を設けますのも、女性が子供を産んでそれを育てる、そういう責任を果たしてまた職場へ戻っていくことができるという意味で、職場生活における責任と家庭生活における責任、その両立をねらった仕組みでもあるわけでございます。
 ですから、今後は男女がともに働いて、しかも仕事と家庭を両方ともにうまくやっていけるようにさまざまな条件を整えていくことが大切だと思っております。
#10
○田辺哲夫君 今答弁にございました職業生活と家族生活の両立支援対策、これに帰着するわけでございますが、この点から若干御質問申し上げたいと存じます。
 私が北欧に参りましたのは今まで二回ございますが、いろいろ老人の施設に参りました。そしていろいろお聞きいたしますと、外見からは非常に健やかに見えますが、よく聞きますと子供とか孫と一緒に生活したい、こういう声が多かったんです。まあ休みのときとかいろいろ出れるわけでございますが。そういたしますと、国際家族年と実は遊離しておるような気もするわけでございまして、この辺を一つお聞きしたい。
 もう一つ、民法上に扶養義務というのがございます。これは一定の親族間でお互いに生活を守るという規定でございますが、今の社会におきましてこの扶養義務というのがだんだん下火になっております。これは国際家族年からいきまして余りよい結果ではない、私はこんな観念がございますが、その二点につきまして、簡単で結構でございますから、所感をお聞きしたいと思います。
#11
○政府委員(松原亘子君) 国際家族年は国連が設定した年でございますけれども、その背景には、先生御指摘なさいましたように家族は社会の基礎的な単位であるということでありますけれども、近年いろんな問題によって家族構造が大きく変化して機能も低下してきているという認識が背景にあるわけでございます。
 このため、その構成員である特に幼児、乳幼児ですとか高齢者、障害者、こういう方々に対して必要な援助を行うことができなくなってきているんではないかという問題意識がございますし、また、母子家庭がふえるといったように、家族形態も非常に多様化しているということから、こういう年を設けまして家族の問題について改めて世界的な規模で考え、家族機能のあり方というものを考えようということでできたものでございます。
 家族のあり方というのは、国が一律にこうあるべきだというふうに決めるということではないと思います。家族を構成する個々人が主体的に決めていくということであろうかと思いますし、この国際家族年のスローガンも「家族からはじまる小さなデモクラシー」というふうに日本語で訳されておりますけれども、家族構成員の一人一人の人権を守るという観点から、その構成員の人生、トータルで見た意味での幸せとは何かということを、みんなで考えようという趣旨だと思います。
 ですから、先生がおっしゃった趣旨も、この国際家族年を契機として国民的規模で考えることが必要ではないかというふうに思う次第でございます。
#12
○田辺哲夫君 後の北欧の問題と扶養義務はいかがですか。
#13
○政府委員(松原亘子君) 北欧につきましては、おっしゃいましたように例えば高齢者の介護などについても子供が見るというよりは社会全体で見るという観点が非常に強いということはございます。
 ただ、そういう社会にありましても、例えば高齢者の方が、まあ変な話ですが、お亡くなりになります最期のいわばターミナルステージにおいては子供に対してみとり休暇が認められているといったような制度もございますし、どういった制度がいいか、どういうやり方がいいかというのは、それぞれの国の国民の方々が選ぶべきものではないかというふうに思うわけでございまして、北欧がこうだから日本がこうだというふうに一律に言えない面もあろうかというふうに思います。
 また扶養義務の問題につきましては、先ほど国際家族年の背景をさまざま申し上げましたけれども、そういったことも含めまして、これを契機にみんなで考えるべきではないかというふうに思うところでございます。
#14
○田辺哲夫君 冒頭で申し上げましたが、経済協力開発機構、OECDでございますが、きょうから二日間パリで会合が催されるわけでございます。二十七年ぶりに日本では閣僚が一人も行かない、これは国政全体のいろいろの問題もございますが、我々の目から見ますと一抹の寂しさがある。
 特に、経済の成長と雇用の促進ということが主題、テーマでございますのでまことに残念である、こんな感もあるわけでございます。松永さんが政府代表で行っておりますが。この点につきまして大臣の所感を伺いたいと思います。
#15
○国務大臣(鳩山邦夫君) ことしは世界で初めて雇用サミット、これはもともと近藤鉄雄元労働大臣の提案にかかるところでございますが、デトロイトで雇用サミットが開かれまして、大変なディスカッションがされた。それを受けてOECDの閣僚理事会が、もうじき始まる時刻なのかなと思いますが、開始されるわけでございます。ILOの会議も同時に始まります。
 そして、ナポリ・サミットでのテーマが成長と雇用というのでありますから、そういう意味では田辺先生からるる御指摘をいただいているように、今世界的に雇用の問題が注目を浴びて、雇用とマクロ経済、ミクロ政策、これらの関係をどう考えていくのかということでございまして、それはまさに日本の今直面している大きなテーマでもあるわけでございます。
 そういう雇用が最も注目を浴びている、OECDだけで三千五百万というような失業者が出ているというような状況の中での会議でございますから緊迫感のあるものでありましょうし、まさか日本に失業を輸出しておるというような批判が集まるとは思いませんけれども、そうは思いませんけれども、ただ、そういう重要な会議に私も出席をしたかったと思うわけでございます。もちろん、衆議院、参議院の労働委員会、本会議、予算委員会、すべて重要とは思いますが、何か政治改革というものはそういうところまで改革できて本当ではないか。
 ちょっとあと三十秒だけお願いしたいんですが、私、湾岸戦争の最中にエジプトのムバラク大統領、それからヨルダンのフセイン国王、ハッサン皇太子、シリアのアサド大統領とお会いをしてまいりました。エジプトでは今のガリ事務総長がまだ第二外務大臣という肩書でおられて、あれほど偉くなる方とは思わないで恥をかいたわけでございますが、そのときに中東諸国は湾岸戦争の最中ですから、我々、飛行機で飛んでおってもスカッドミサイルがスライスかフックすると当たっちゃうんじゃないかなんというような冗談みたいな、そんな戦禍の中を飛行機で飛びました。中東諸国は、日本は何で政治的にこの地域で活躍をしないんだと、こういうことをさんざん言っておりました。
 そういった意味では、日本のポリティカルなプレゼンスに対する期待というのは中東だってあるんですけれども、とにかく行かない、あるいは行けないという状況があるんだろうと思いました。それで、湾岸戦争が終結をしてから二、三カ月の間にアメリカの国務長官はもう五回も六回も回るのに日本はだれも行かない、これでは差がついてしまうと思いまして、OECDも出たかったなという気持ちがあります。
#16
○田辺哲夫君 大臣から極めて遺憾だと、こういうお話を聞きました。これからはできる限り出席できますような雰囲気をつくっていただきたい、こんなことをお願い申し上げたいと存じます。
 実は、冒頭に申し上げましたが、きのうの朝日新聞と毎日新聞の一面トップに、厳しい雇用情勢につきまして詳細な記事が掲載されておりました。朝日新聞によりますと、ことしよりか来年は若干よかろうと。毎日新聞によりますと、ことしより来年は悪いと。それぞれ中身が違うわけでございますが、これはまあ調査の対象によりまして異なったのではなかろうか、このような感じでございます。しかしながら、極めて厳しい、特に女性は厳しい、こういうことが掲載されておりました。
 この労働委員会に女性議員が多いのは、女性の職というものを確保したい、女性の地位を向上させたい、こういう気持ちで大勢おいでになると思います。このような点も含めまして、この雇用状態につきまして、労働省の見解並びに将来の施策等をお伺いしたいと思います。
#17
○国務大臣(鳩山邦夫君) 雇用情勢は非常に厳しいものがございまして、失業率二・八%というような数字、二・九が二・八に下がったというふうには言われているんですが、実際には四捨五入の問題がありまして、ほんのわずかしか改善はしておりません。有効求人倍率は〇・六六という低水準で推移をいたしております。
 景気というものは、例えば投資とか消費とかあるいは住宅とか、そういう景気の要素が好転をしましても、雇用のさまざまな条件が好転するまでに三カ月とか半年ぐらいのずれがあるだろうと言われているんです。ですから、今すぐ景気がよくなったとしても、雇用情勢がよくなるまでには半年ぐらいかかるかもしれない。そう思いますと、田辺先生御指摘の来年の三月に卒業される新卒の方々の就職戦線が厳しくないわけがない。当然ことしよりも来年の方がもっと厳しくなると考えて精いっぱいの対応をしてまいりたい。これは個々具体的な方策を持っておりますので、必要あれば政府委員の方から御答弁申し上げます。
 特に女子についてはこれが厳しい様子がございまして、女子だから資料を送ってこないとか、男子はさせないけれども女子だから筆記試験をさせるとか、あるいは実際には男子何名、女子何名という細かい規定で、男子が八十名、女子二十名というような採り方を大っぴらにするとか、いわゆる男女雇用機会均等法上問題のある事例が昨年も随分ございました。したがって、来年に向かって女子が一層厳しくなるわけでございますので、四月一日に大臣告示でありますところの男女雇用機会均等法の指針を改正をいたしまして、それらについてより一層厳しく対応できるようにいたしたところでございます。
 そして、全国各都道府県に設けております婦人少年室にすべての苦情相談窓口を設けましたし、あるいはポスターの貼付もいたしましたし、そういうようなことで不都合な事例があればいつでも私どもに情報が入るようにして、女子の雇用の向上、少しでも喜んで就職していただけるように手配をしていきたい。
 それは結果として九二%とか九三%の女子学生がことしも就職はしたわけでございますが、本当は実態をもっと調べてみなければいけないと思うので、数字だけでは割り切れない、いわゆるミスマッチというのか、本当は行きたくないところだけどしょうがないからやむなく行ったとか、希望をうんと下げてやっとどこか入ったとかというような方が多いと、これは働きがい、生きがい、仕事のしかいに直結をしないわけでございます。
 これは、労働行政上非常に悲しいことでございますので、まあ来年はもっと厳しいからもっと一生懸命やろう、応援をしようというのが我々の気持ちであって、総理を中心とした閣僚会議も設置して、二回会合を開きました。
#18
○田辺哲夫君 時間がございませんので、簡単に質問したいと思います。
 実は、けさの新聞でございます。毎日新聞の一面トップでございますが、「労働省試算 成長率三%未満なら」西暦二〇〇〇年までには労働力過剰と、このような見出しで記事が載っておりました。
 今まで労働省のお考えをお聞きしますと、いろいろの観点から二十一世紀になりましても労働力は足らない。このようなお考えで御説明を聞いておりました。労働基準法改正のときにも、昨年、そのようなお考えを聞いたわけでございます。ですから、私の頭にはそれがこびりついておりまして、この新聞が本当かうそかよくわかりませんが、しかしながら一流紙が一面トップに書くのでございますから、ある程度的は射ておるだろう。しかもこれは労働省の諮問機関でございます雇用政策研究会、これの中期雇用ビジョンからこのような新聞が出されておるわけでございます。きょうのOECDにおきますと、日本の成長〇・八%、本年度。来年は二・七%、このようなことが言われております。なかなかこの三%というのは二〇〇〇年まで毎年難しいというような考えでございます。
 そこで、二〇〇〇年までに経済の成長とあわせまして労働力過剰という問題を避けていただきたい。ここにこれからの労働行政の真の働き場所があるのではなかろうか。しかもこれはただ単なる景気の循環でなくて、雇用政策の中身の改善である、構造の改善である、こういうことが強く訴えられておるわけでございます。そこら辺も含めまして、ひとつ御見解をいただきたい。
 時間がございませんから、最後に、実は昨年の議会の附帯決議でございます。これは、労働基準法改正のときに衆参両院で附帯決議がつくられました。私が労働委員長のときでございました。このときに、猶予措置の対象事業、これは労働基準法改正の猶予措置で扱われる事業でございますが、これにつきましては平成九年でございますか、これまでにそれを是正して、九年度から週四十時間制に移行せよ、このような附帯決議がなされたわけでございます。
 そこで、労働省といたしますと、これは平成九年まで待つ必要がない、できるだけ毎年毎年これを上昇させまして実現させたい、こういう答弁を何回となく実は聞いたわけでございます。
 そこで、附帯決議に基づきまして、その後の進捗状況、できましたら数字を挙げて御説明いただくとありがたい、このような感じでございますので、最後にお願いしたいと思います。
#19
○国務大臣(鳩山邦夫君) 進捗状況については政府委員から御答弁申し上げます。
 週四十時間労働に向けての問題でございます。労働基準法の改正の問題でございますが、これは早目に週四十時間労働へ持っていく企業に対してこれを奨励する制度をつくっておるということで、それがどの程度生きているかについては政府委員から御答弁申し上げます。
 また、ただ私も中小企業に支えられて議員をやっておるという部分もございますので、中小企業の苦しい実態等については今後ともによく調査をしていかなければならないと思っております。
 それから、先生御指摘の新聞記事に基づくことでございますが、それはいわゆる雇用政策研究会という学者の皆様方に労働界や産業界の方とも接触をしていただいて、二〇〇〇年までの中期的な雇用ビジョンをつくってみてくださいということでお願いをしてきた結果が、昨日事務次官のところに届きましたものが新聞で報道されているわけでございますから、労働省としてはある程度権威あるものとしてこれを受けとめざるを得ないわけでございます。
 三%の経済成長によって労働力の需給が均衡するということが書いてありましたから、それを逆に読めば、三%を切れば労働力が余ってしまって失業がふえる、こういうことになるわけでありましょう。景気がよくなれば雇用がどんどん創出されて、景気が悪くなったらどんどん失業者が出るということを放置したのであれば人は幸せになれない。したがって、もしそうであるならば労働省というものは要らないし、労働行政というものの存在価値がないわけでございますから、そのような状況を予定しながら、例えば経済成長が三%まで行かなかった場合にはどういう雇用政策や失業なき労働力の移動ということを図っていけるかということを真剣に考えるべきだと思っております。
 それは世の中に、例えば財政政策とか金融政策、いわゆる景気に関しましては教科書を見れば財政政策、金融政策と書いてありますが、例えば雇用調整助成金のような制度にいたしましても、考えてみれば景気のいいときには雇用調整助成金というのはちっとも使われなくて済むわけでございますが、景気が悪くなれば、社内失業などという言葉もありますが、失業しないで済むように、教育訓練に出ても出向に出ても、雇用調整助成金によってまた景気がよくなるのを待つ、こういう制度もあるわけでございます。
 労働行政というのは、要は景気変動によって労働力の需給関係が、もちろん変動はするわけですが、それをもっともっとなだらかにして、人々の生活の安定を図るというところに目的があると考えておりますので、仮に低成長しか果たせないとしても何ができるかということを考えるのが労働省の仕事だと私は思います。
#20
○政府委員(石岡慎太郎君) 附帯決議に基づきまして中小企業ができるだけ早期に週四十時間制に移行できますように、昨年の七月に省力化投資を行って所定労働時間の短縮を行った中小企業に対する奨励金制度を創設いたしました。平成五年度におきましては、千二百の事業場がこれを利用いたしまして時短を実施いたしております。
 また、週四十時間制の実施状況でございますが、平成五年の時点では事業場で二九・二%が四十時間制になっております。労働者で言いますと五一%が四十時間制になっておりまして、平成六年の状況はまだわかっておりませんけれども、毎勤によりましても平成五年は所定内労働時間が千七百八十時間ということで、着実に法改正の効果等が出てきている状況と判断いたしております。
#21
○田辺哲夫君 終わります。
#22
○庄司中君 私は、外国人労働者問題を中心に質問をしたいというふうに思います。
 先日の大臣の所信表明の中にも、外国人労働者の「雇用管理の改善など適切な対応」という一節がございますので、そこに少し踏み込みまして質問をしてみたいというふうに思います。
 現在、我が国の外国人労働者、就労する労働者と言ってもいいわけでありますけれども、法務省の発表によりますと、登録者が八万から九万ぐらい。それから日系人でございますけれども、配偶者等と定住者を合わせますと約三十三万でございます。ですから、就労の登録者というのはもっと少ないとは思いますけれども、とにかく日系人が三十三万いるということであります。
 それから、一番大きな問題は、例の不法残留という問題がございまして、いわば未登録者の問題でございますけれども、これが大体三十万ということになります。これを合計しますと、大体七十万を超えるということになります。
 それ以外に就労に関係がありますのは、例えば留学生であるとかそれから就学生、これアルバイトができます。それから、労働ではありませんけれども研修生というのがございます。それから、去年から実習生制度ができました。これはもう就労ということになっていくだろうというふうに思います。実習生を含めないでもこの部分が大体十二万人ぐらいいるわけです。七十万に十万を加えますと大体八十万ぐらい新しい就労可能な外国人がいるということになると思います。
 ところで、労働省は昨年の六月一日現在、外国人の雇用状況調査というのをやりました。この結果が十一月に発表されましたけれども、合計が九万六千であります。当然不法残留者のところには手が届かないというふうに思いますけれども、合法的な就労者である例えば登録者であるとかあるいは日系人ですね、これはもう合計をしますと恐らく三十万、少なくとも三十万を超えているはずだと思いますので、九万六千では余りにも捕捉率が低いんじゃないだろうか。実態をこの調査自身が反映をしていないんじゃないかな、そんな感じがいたしますけれども、その辺はどういうふうに受けとめていらっしゃるか、お聞きしたいと思います。
#23
○政府委員(七瀬時雄君) ただいま先生から数字をおっしゃいまして、特に日系人の場合については配偶者など登録している方を含めて三十三万という数字をおっしやいましたが、私どもでは就労者を十五万と把握しておりますので、最後におっしゃいましたように合法的に入っている方で大体三十万、それに対して約十万ということでございますので、三分の一ぐらいしか把握し切れていないということは御指摘のとおりでございます。
 その理由といたしましては、やはり初めてこういうことに手をつけてきたということもございますし、それから事業主の皆さんの協力をもとにやっている、法律上きちっとした根拠は持っているわけですが、事業主に対して義務づけをしているという形ではないというようなこととか、それから非常に中小零細企業の皆様にもお願いしていることがあったりして、なかなか把握が難しいというような状況がございます。
 この点はおっしゃるとおり、今年も引き続きやりますので、いろんな工夫をして改善をしていく必要があるという認識に立っております。
#24
○庄司中君 いずれにしましても、非常に小さく見積もっても六十万を超えているわけです。我が国の就業者総数といいますのは、直近のことしの四月現在の時点をとってみますと六千四百九十六万人でございますから、もう実際には一%をかなり超えているというふうに見ていいだろうというふうに思います。
 それから、今局長から話がありましたけれども、ことしも六月一日現在で第二回目の調査をするんだろうというふうに思いますけれども、去年と比べてことしはこんなところを改善をしているというのがあればちょっとお知らせいただきたいと思います。
#25
○政府委員(七瀬時雄君) 特に具体的に申し上げますと、一つは六月の外国人労働者啓発月間を活用いたしまして制度の周知を徹底的に図っていきたいということがございます。もう一つは、商工会議所とか商工会とかいろんな中小企業団体とか、そういった団体に強くお願いしてその団体を通じて御報告をいただくようなことなど、もう一工夫してみたいというふうに考えております。
#26
○庄司中君 その辺は改善をして、外国人労働者の就労の実態が浮かび出るような形でやっていただきたいというふうに思います。
 それから、これは法務省を含めた議論が恐らく必要だろうというふうに思いますけれども、もう時間の関係できょうは労働省だけにしておきたいというふうに思います。
 御承知のように、入管法の改正を平成二年六月施行ということで行いました。つまり、ねらいは外国人の労働者対策の強化ということでございまして、例えば専門技術関係の労働者の受け入れを拡大する、それから単純労働者の規制を強化する、例えば不法労働者を雇用した事業者、あっせんした者の処罰を行うと。いわば三年以下の懲役または二百万円以下の罰金ということでございましたけれども、この制度が新設をされました。ことしは平成六年でありますから、ちょうど六月でございますけれども、この入管法の改正が施行をされてから四年たつわけです。四年の経過を見た場合に、事態がどういうふうになっているのかというのはほぼ趨勢としては明らかになってくるだろうというふうに思います。
 法務省の発表した数字で私がちょっと推計をいたしますと、九〇年、平成二年のときと、それから去年の平成五年、一九九三年ということになりますけれども、この三年間の数字をとっていきますと、不法残留者は十万から約三十万に多くなりました。つまり、率からいきますと約二・八倍になっております。それから不法就労の摘発件数をとってみますと、大体三万人から六万四千人になっている。率からいきますと二・二倍になっているということです。この数字を見てみますと、不法就労を摘発しても摘発しても、いわば不法残留者がふえていくという傾向がかなりはっきり出ているというふうに思います。不況の影響で確かに少しは減りました。全体としては半年間に〇・六%減りましたけれども、これが好況になりますとまたふえていくという可能性が恐らくあるだろうというふうに思います。
 そういう点で、この四年間の経過、つまり今の数字から見まして労働行政としてはどんなふうにお考えになっているのか、あるいはどんなふうに受けとめていらっしゃるのか、その辺をちょっとお聞きしたいと思います。
#27
○政府委員(七瀬時雄君) この不法残留者が平成二年から平成五年に至るまでどんどんふえてきているということは先生御指摘のとおりでございます。ただ、ふえてきているのはいろいろ当時バブルといいますか、そういった日本の経済状況というのもあったと思いますが、それと同時に私どもも含めて関係各省で連携をとりながら摘発をする、それを何とか抑えていこうというようなことももちろん我々努力をしたところもございますけれども、確かに結果としてふえているということはそのとおりでございます。
 ただ、最近におきましてはこれも経済情勢も関係あるのかもしれませんが、やはり摘発をきちんとするという方針をとることになった結果、いわば新しく入ってこられる方について歯どめがかかった、しかしなかなかお帰りにならないというようなことでトータルの数というものが減らないと、こんな状況にあります。
 したがって、さらに私どもとしては関係各省で本当に連携をとってこの問題に対処しなければならないと思っておりますが、率直に言って人が動く、人に帰っていただくという話でございますので、非常に息の長いというか非常に難しい問題があるということは、私ども本当に難しいなという感じは持っておりますが、それでも努力しなきゃならぬと、こういう気持ちで対応しているところでございます。
#28
○庄司中君 非常によくわかります。非常に難しい問題だと思いますけれども、ある一面では例えば今持っている政府の施策だけで十分だろうかと。そういう疑問を生じさせる傾向だろうというふうに思います。
 その点と関係しまして、こういう問題も生じてきているんじゃないかというふうに思いますのは、例えば長いですね、もう入管法が改正されて実は四年がたつわけであります。そうしますと、定住化の傾向が出てぎはしないかという問題がございます。
 定住化の問題といいますのは、こういうことが一応考えられるというふうに思います。例えば、日系人ですと日系人の縁故がいますから、縁故の中で定住化が図られていくということがあるだろうというふうに思います。それから、中国人をとってみますと、中国の残留邦人が帰ってきましたので、それと一緒に家族がわっと日本へ来ているということも考えられます。それから、イランとかミャンマーあたりを考えてみますとやっぱり政治的な事情があります。ですから、移民型の人たちが中へ入ってきて定住をしているということも考えられるというふうに思います。
 そういう点、恐らく定住化をはかる調査というものはないだろうというふうに思いますけれども、いわば一つの傾向として定住化の可能性あるいは起きつつある事態の推移みたいなものがあれば一度見解としてお聞きしておきたいというふうに思います。
#29
○政府委員(七瀬時雄君) 定住化がどれぐらい進んでいるかということについては、いろんな統計調査を見る限り必ずしもはっきりしていないということでございますが、ただ、不法残留をしておられる方も非常にその残留が長期化しているという傾向は出てきているのだろうと思います。
 そういった意味で、定住化という言葉の問題はいろいろあると思いますが、滞留している期間が長くなっているという傾向があるのではないか。したがって、そういった問題認識に立っていろいろ考えていかなければならないと思います。これは正規に入ってきておられる方と不法に入ってきておられる方と問題を分けて考えなければならないだろうと思いますし、現に定住化が起こってきているのでそれに対して何かしなければならないという問題意識があると同時に、そちらの方の施策が今度は逆に不法残留者には帰っていただくんだという考え方とぶつかっていくような面もございますので、これは本当に国民的なコンセンサスを得ながら、こういった定住化傾向を含めた外国人労働者の実態をいろいろ見ながら、必要な施策を検討していくことしかない、こんな気持ちでございます。
#30
○庄司中君 九一年一月に労働省は、外国人労働者が労働面等に及ぼす影響等に関する研究会報告というのを発表になりまして、いわば外国人労働者の社会的なコストの試算をしたのがございます。
 そのときの一つの仮説でございますけれども、五十万人の労働者が入ってくるという仮定で、出稼ぎ時代とそれから定住期と統合期というふうに三つに分けまして、この定住期というのは来日して三年から五年だというふうにある程度定義をしております。
 そして、局長が答弁をされましたように、残留期間が長引いているということを考えますと、その定住期が三年から五年ですからいわばそこに入ってきているというふうに思います。その後統合期ということになりまして、今度は家族が広がっていくということになりますと、これが五年から十年というふうになっておりまして、このときの国、地方自治体の負担が一兆四千億円というふうに計算をされておりますけれども、いわば事態はその真ん中の定住期に入ってきているのではないかという感じがいたします。
 ですから、施策を明確なものにしていく必要がある、そうしないと取り返しのつかないことになるのではないだろうか、そんな感じがいたしますけれども、その辺はどういう御認識でしょうか。
#31
○説明員(井口泰君) 御説明申し上げます。
 平成四年六月に公表いたしました、先生御指摘の労働省の研究会の専門部会の試算の中で、御指摘のように、単身で出稼ぎに来ている時代については社会的な費用は少ないけれども、夫婦で暮らすようになります、さらに子供が二人生まれるという場合については社会的な費用、これは政府あるいは地方自治体が支出する必要のある金額が急速に高まってくる、こういう試算をしていただいたところでございます。
 このような傾向というのは若干既に日系人の方々については見られるところでございますけれども、外国人労働者全般についてこのような傾向が見られるかどうかにつきましては、先ほど局長から御答弁申し上げておりますように、さらに十分に調査検討してまいりたいというふうに考えております。
 また、この社会的コストの問題につきましては、その後も私どもとしては国や地方自治体の施策の状況等につきまして続きまして調査をしているところでございます。
#32
○庄司中君 とにかく急速に量的な面で拡大をしているということです。量的に拡大をしますと質的な面に影響が出てくるだろうというふうに思います。つまり、社会的な影響ということです。新聞紙上をにぎわしました上野公園とか、それから代々木公園にイラン人が大量に集まってきて、恐らく情報交換をしているんじゃないかという話が出ていましたし、それから最近ではまた中国の密入国者がふえてきているという傾向もあるわけであります。
 細かいところでは、外国人に部屋を貸さないとか、あるいは銭湯、パチンコは外国人お断りとか、それからごく最近では東京駅の自動販売機にイランのコインが入りまして、それを払い戻して日本のコインにかえていくというようなこともございましたけれども、細かいところまで社会的な影響が出てきている。つまり、外国人の犯罪のこともございますけれども量の拡大が質の面に影響を及ぼしてきている。
 これをヨーロッパと比較をしまして、例えばヨーロッパなんかは大変です。ドイツなんかもそうですし、フランスもそうですし、イタリアも最近はそうでありますが、政治的、社会的に大きな問題になってきています。
 ヨーロッパと比較をする場合に、量の面からとらえて見ますと、例えば八七年ごろの実態を見てみますと、これは人口比でありますけれども、一番多い西ドイツで五・二%です。これはEU以外の国から来ている外国人ということです。域内はみんな自由に交流できますから問題にはならない。域外から来ている外国人ということになります。フランスで三・九%、それからイギリスで二・九%、そしてEU全体でも実は以外に少ないんですね、人口比で二・五%ということになります。
 恐らく、我が国におきましても一%を超えましたけれども、これは就労者ですから家族あるいは子供、子供の場合に例えばコスト計算では四倍というふうに見ておりますけれども、急速に膨らんでいく可能性がある。二・五%あたりを一種の量の臨界点と見ていますと、そこに急速に近づいていくという事態が想像をされます。
 そういう点では、我が国も国内の中でもはっきりと外国人と共生をしていく社会、そういうことを積極的に構想をしていかなければいけない、そんなふうに思います。これは大臣からひとつお答えいただいて、お話を聞かせていただきたいと思います。
#33
○国務大臣(鳩山邦夫君) 話がちょっとずれるかと思いますけれども、日本の経済がここまで発展をして豊かな国になったわけでありまして、そうなりますと近隣から皆さん方がいろいろな意味で、それこそ昔は蓮葉の島というのは台湾であったかもしれませんが、まさに日本が宝の山に見える、あるいは黄金の島ジパングに見えるということなんだろうと思うわけであります。
 ホテルニューオータニにトレーダービックスというポリネシア料理が有名なところがあります。あそこで家族五人で食事をしますと相当な金額になります。ところが、トレーダービックスというのは世界チェーンで全く同じ料理を出しまして、アメリカの田舎町で家族五人でトレーダービックスで食事をしますと一万円札でおつりがいっぱい来る。今の日本の円というのはそういう価値を持ってしまった。
 多分小野先生は一番お詳しいと思います、柳川先生もおられますが、私どもが皆自民党文教族であった時代に上海の就学生事件というのがあったと思うんです。それは、日本に来て日本語を勉強しなよとこういうことで相当悪い人たちが暗躍をした。でも、日本語を勉強して、これは研修生というんでしょうか、日本語の研修を受ける。しかし、結局はその間アルバイトする。若干働くと大変な価値のあるお金がもらえるということで、これは日本と中国の間の国際的な事件にもなったと言われておりますが、そのころ不満に思って上海の日本総領事館を取り囲んだ中国人の数が何千名であったかというそういうスケールでございます。
 ですから、ここまで豊かになれば、まさに日本は四海が海でございますから、石川啄木の詠んだ「東海の小島の磯の白砂にわれ泣きぬれて蟹とたはむる」と、日本は東海の小島であることは間違いない。もしこれが陸続きだったらどういうことが起きているだろうかとそら恐ろしくなるような思いがあるわけでございまして、そういう意味では日本がこれだけ経済的に豊かになって貨幣価値が出てしまったがゆえに、それは相当なことがこれからも想定し得るわけで、そのことが我が国の雇用政策の上で大きな意味を持ってくるとすればこれは相当研究をしていかなければなりませんし、いわゆる出入国管理行政というものに任せておくだけではいけないので、労働行政という観点からも事態を厳しく認識しなければいけないのではないか。今そんな思いでいっぱいでございます。
 文部大臣をやらせていただいているころに栃木県の真岡市というところへ参りました。そこには外国人の方、これは合法的な方だと思いますが、相当大勢働いておられまして、そのお子さん方のために小学校ではいろんな言葉の、英語とかドイツ語とかフランス語でない、もっと余り我々がふだん聞いたことのない言葉の教材まで先生たちが絵でかいてつくっておられる姿を見て、これは教育の需要にもそのままつながるわけでございまして、よほど真剣に考えていきませんと、この外国人労働者問題というのは我が国にとって非常な混乱要因になるおそれがあるというふうに私は考えております。
#34
○庄司中君 そのとおりだというふうに思います。
 それから、もう一つ大きな問題といいますのは、さっきも、労働省が実施をしました外国人の雇用状況調査の中にもう不法残留者は全然届かないわけです、全然報告がされていないということになります。不法残留者はいわば陰の存在。労働力でいきますと、地下市場になっておるわけです。そういう状態になってくるとどういうことが起こるかというのは、労働法規は完全に無視をされる。あるいは仲介ブローカーであるとか、それから悪質な事業主であるとか、あるいは暴力団がそこにかんでいくということになりまして、いわば」種の無権利な状態に追い込まれていく。つまり食い物にされていく。こういう状態が出てきているというふうに思います。この労働力の地下市場化というのは、やっぱり大変な問題だろうというふうに思います。
 例えば昨年の秋、東京都の社会福祉協議会が在住外国人の福祉・生活課題に関する調査報告書というのを発表いたしました。アンケート方式でやったようでありますけれども、九百人ぐらい、一千人弱ぐらいのアンケートが集まりました。その状況を、労働関係だけを拾ってみますと、失業率、これが一四・七%というふうになっております。先ほどもお話がありましたように、全国の完全失業率は二・八もしくは二・九でございます。三%としましても外国人の失業率、不法残留者の失業率は約五倍。これはヨーロッパでも同じことが言えると思います。
 それから、非常に残念といいますか、顔を背けますのは労災補償です。仕事によって病気やけがになった人に適用される労災が実際には二〇%しか適用されていない。そして、あとどうするかというふうに調べた結果は、その三分の二が自分でお金を払っている。三分の一が事業主が払うというふうな状態で、いわば惨たんたる状態ではないだろうかというふうに思いますけれども、これについて労働省としてはどんな認識でございますでしょうか。
#35
○政府委員(石岡慎太郎君) 基本的には不法就労者はあってはならないと考えておりますが、しかし不法就労者でありましても国内で働いている以上はそれは労働者でございまして、労働基準法、労働安全衛生法等の適用がなされる。したがいまして、労働基準監督署におきましてもいろいろ相談、申告が不法就労者などからございますが、その場合には保護に努めているところでございます。
 御指摘の東京都の社協のレポートを私も拝見いたしました。御指摘のような状況でございますが、労災補償につきましては、今申しましたように、たとえ不法就労者でありましても、これが労働者であれば労災保険法の適用がございまして、正当な補償を受ける権利がございます。そういうことで、実際問題いろいろ相談を受けまして、不法就労者に対しまして平成四年度でも五百件を上回る労災補償を実はやっているところでございます。
 また、先生御指摘のように、不法就労者については、地下市場化して仲介ブローカーなどに搾取をされているという御指摘もございましたが、我々の方におきましては不法就労者などから相談、申告がありまして、その結果労働基準法の第六条で中間搾取を禁じる規定がございますが、それに反する事態が見られましたので、例えば平成四年の八月でございましたが、熊本において基準法第六条に違反ということで業者を送検したりしております。
 今後とも外国人労働者、不法就労者も含めまして労働条件の確保のために努力をしてまいりたいと思います。
#36
○庄司中君 最後になりますけれども、大臣おっしゃいましたけれども、今ずっと一通り総論的に見渡してきましても、どうも今の外国人対策といいますか政府の施策というのは、ある限界が見えてきているという感じがいたします。
 大臣がさっきも言いましたけれども、外国人のいわば管理のシステムといいますのは、移民を中心にしたアメリカ型です。あのアメリカであるとか、それからオーストラリアであるとかカナダであるとか、移民の受け入れ国の制度は大体入り口のところの管理で終わっているわけです。中へ入っちゃうと割合自由ということです。これと対立というんですか、対抗しますのはヨーロッパの在留管理じゃないか、入ってきた人たちをその都度保安管理していくというシステムだろうというふうに思います。
 そういう点では、我が国はアメリカ型の、いわば移民国型の入口の管理だけで終わっておりますので、大臣もさっきおっしやいましたけれども、やはり労働省と法務省を中核にして出入国と在留の二つの柱を持った管理、そのシステムに向かっていく必要がどうもあるように思います。
 最後に、その点について大臣のお考え方を改めてお聞きしておきたいと思います。
#37
○国務大臣(鳩山邦夫君) 私の女房はハーフでございまして、女房の父親が日本で仕事空二十年以上しておりましたオーストラリア人でした。外国人登録証をいつも持ち歩いていろいろやっておりまして、私も入管など一緒に行ったりしたことも随分ありますから、そういうようなものを見ておったわけで、外国の方が日本で仕事をするというのは実際なかなか大変なことなんだなと思って見ておりました。
 今新しい時代で、正式に働けるような条件を持っていなくてもどんどん押し寄せてきて勝手に住みついてしまって地下に潜って行方不明と、こういうような労働市場も出てくるということになりますと、これはゆゆしきことでございますから、外国人が日本で働く場合にはどういうふうな条件で、どういう制度のもとで働けばいいかということをより一層明確化する必要があるんだろうと。要するに、それは出入国管理段階のビザがどうだったと、働けるビザかどうかというだけのことでやっておったのでは間に合わない時代になってきているなと思いますので、研究させてください。
#38
○吉川春子君 女子学生の就職差別の問題について伺います。
 昨年に続いて女子学生の就職難が社会問題になっておりまして、不況ということで新規採用全体が大変な状況に置かれていますけれども、女子はこれに差別が加わっています。氷河期とかKO寸前とか言われています。
 全学連の女子学生就職黒書によりますと次のような行為が載っています。資料の請求のところで断られる、あるいは試験があると言われて行ったけれども受けさせてもらえなかった。あるいは四年生の女子ということで電話でセミナーにも参加を断られた。あるいは二次面接まで来でひとり暮らしの女子は採用しないと言われ、腹が立って泣きたくなった。そして、ある女子学生は何回も断られているうちにこの世に自分は必要とされていないのかなと思ってしまった。こういう声が載っているんです。
 先ほどもお話がありまして、労働省は均等法の指針の改定などを行って対応しているとおっしゃっいましたけれども、この指針の改定について関係者からどう受けとめられていますか、喜ばれているんでしょうか、伺います。
#39
○政府委員(松原亘子君) まず、この指針の改定に至りました経緯をちょっと御説明させていただきます。
#40
○吉川春子君 経緯はわかっていますので。
#41
○政府委員(松原亘子君) はい。審議会の場というのは、やはりひとつこういった国の政策を決めていく場合の非常に重要なプロセスであろうというふうに思っておりますけれども、その審議会の場で今先生が御指摘なさいましたような声が、実は昨年婦人少年室に既に特別相談窓口を、七カ所でございましたけれども、設けましたときに上がってきたといったようなこともございました。そういうことから、ことしの就職活動の時期にまた同じことが繰り返されてはならないというのは、審議会の委員の方々の一致した考え方でございます。
 そういうことから、これにとにかく早急に対応しなければいけない、じゃどうするかということであったわけでございますけれども、もちろん本格的な法律の改正も含めた見直しというのをやっていた途上ではございますが、そういった議論を詰めていくのにはやはり時間がかかる、この問題は緊急に対応しなければいけないということで、当面指針を必要な部分について改正し強化するということで対応することが必要であるという中間的な緊急的な意味での意見の取りまとめが行われたわけでございます。
 そういう意味で、労使関係者におかれては、この指針の改正ということは極めて時宜を得たものだというふうに評価をしていただいているというふうに考えておりますし、また具体的に指針でこういったような企業の募集方法をやめてもらいたいということを示しませんと、なかなか男女で均等な機会をとだけ言っていたのでは具体的に進んでいかないということがあろうかと思います。
 そういう意味で、私ども大学の関係者の方々から個別に意見を聞く場合もございました。そういう中でも例えば資料の請求について女子に対しては不利益に扱わないようにということを書いたわけでございましたけれども、そういったことについては評価をされているというふうに認識しております。
#42
○吉川春子君 四月十八日に日本私立大学協会、二百三十八大学が加盟していますが、その就職委員会が労働省に対して男女雇用機会均等法に基づく指針の改定についての要望書を提出いたしました。現場で大変苦労している担当者から特にこの指針を一部改正する告示についてはどんな要望があったんですか。
#43
○政府委員(松原亘子君) 四月十八日付で日本私立大学協会就職委員会から労働省に要望が出されましたが、非常に要望の内容は多岐にわたっております。例えば均等法や指針については現在の努力規定を罰則を含む禁止規定とすること、また募集する大学を差別しないこと、また特定の地域で女子学生を募集するときはその地域などを明らかにすること、大学など卒業の女子を募集するときは女子学生の採用予定人数を明らかにすることなどの要望が出されたところでございます。
#44
○吉川春子君 今おっしゃられたとおりなんですが、要望によりますと、本年度の求人数で五五%の企業が女子の採用を実施していないという意見もついていました。
 日生など生命保険関係、三菱商事など貿易業界は一般職採用見送りで女性採用枠を削減しています。企業は総合職で門戸は平等に開いているといいますけれども、転勤を伴う異動のない職種はほとんど女子が占めていて、そして、こういう一般職に対して、男子中心の総合職への割り込みというのは大変厳しいわけです。雇用機会均等法は一応女子差別を禁じていますけれども、建前としては機会を与えても実質的に女子のみ採用をゼロにするということが横行しているわけです。
 例えば、国際的には身長百七十五センチ以上という実質的に女性排除の条件をつけることは間接差別として禁じられています。これは女子はいけないとはいってないんだけれども、百七十五センチ以上の女性というのはほとんどいないわけですから。こういうことを考えると、一般職採用ゼロということも間接差別に当たると思いますけれども、これは均等法には違反するんですかしないんですか。要するに、一般職採用ゼロというのが均等法に違反するのかどうか。
#45
○政府委員(松原亘子君) 企業がどのような労働者を募集するかということは、基本的には企業の自由だというふうに思います。
 ただ、労働者を募集する場合には、それは男女に均等に門戸を開いてもらいたいというのが均等法の趣旨でございますので、一般職を採らないことにしたという企業の決定は特段均等法に反するというものではございません。
#46
○吉川春子君 特にことしのように一般職ゼロということで、女子が事実上締め出されているという状況については、今労働省は打つ手を持っていない、政府は手を打つことができない、これが現状であるわけです。
 そして、もう一つ伺いたいんですけれども、さっき松原さんが言われました要望書の中に、指針の改定によって募集または採用に当たって男女を対象とする採用区分において、女子についての募集は採用する人数の限定を設けないこととしたと、男女別の差別予定人数の撤廃というのを行ったわけです。私は私大協のこの要望を出された大学の先生にも伺ったんですけれども、これは実は現場に非常に混乱を及ぼして大変な事態になっていると評判が悪いんです。
 理由は、男女枠の明示がなくなれば、女子学生を採用してくれるかどうかわからないから疑心暗鬼に陥って不安なんです。希望を持たせておいて最後まで振り回して、あげく結果的に女子の採用なしとして片づけられるケースが現在でもたくさんあると書いています。大学の就職担当者にとっても指導上大変やりにくい。また、形式的に男女採用であっても実質的には男子のみの採用という企業が出てくることが危惧されるので、大学側は逆に男女別の数を明記してほしいと、こういう要望になっていると思います。
 これは、労働省も改定するには理由があったので、よかれと思ってやったということは私も承知していますが、これは何を示しているかというと、小手先の指針改定ぐらいではもう問題の解決にならない、こういうことの証明ではないかと思うんですけれども、いかがですか。
#47
○政府委員(松原亘子君) 今御指摘の男女別の採用枠を示さないようにということにしたことについて、労働省もお考えがあったというふうにおっしゃっていただきましたけれども、昨年ありました例えば資料の請求が、全くないわけではないんでしょうけれども女性は相当おくれて送られてくるとか、それから採用試験についても男性にない筆記試験があるとかいろんな声があった。
 その背景をいろいろ考えてみますと、男女が同じベースで企業に対してアプライし、そしてそこで選考を受けているかどうかということは非常に問題になるわけでございます。つまり、例えば男子八十人、女子二十人という採用枠を決めるとしたら、男子は男子の中で八十人を決める、女子は女子の中で二十人を決めるという、こういう行動になるんではないか。そういうことを放置しておけば、いつまでたっても男子と女子というのは別の扱いということがなくならないというふうに私どもは考えたわけでございます。
 したがって、いろいろなところで、例えば女性だけセミナーに参加させてもらえないというような話があるとしても、女性は女性の中で選考していくということになるということが残っていれば、それはどういう意味を持つかということも考えなければいけないわけでございます。男性と女性というのは同じベースでスタートをし、そして同じようにセレクトをされるということでなければ本当の意味での機会均等というのは確保できないというふうに思うわけでございまして、そういう意味からこの枠というものをなくすということが必要だというふうに考えたわけでございます。
 もちろん、過渡的に先生方がそういうことによって非常に混乱があるのではないかということを御心配されていることは私どもも承知いたしておりますけれども、建前だけ男女を募集し、そして結果として女性を排除するという、これは採用試験があるということでございますので当然能力なり適性なり等を企業が判断するということではあるわけでございますけれども、最初から女性を排除するつもりであるといったようなことであるとすれば、私どもとしてこれは放置しておけないというふうに思っておりますし、機会均等の趣旨をさらに徹底させるための私どもはさらなる行政的努力をしていかなければいけないというふうに思っているわけでございます。
#48
○吉川春子君 本当の意味の機会均等をと、大変いいことをおっしゃいましたのでそれをぜひやっていただきたいんですけれども、私はそういう今の状態の中で小手先の指針改定ではだめだと思います。
 例えば、そこの要望にも載っていますけれども、女子の採用比率の確保に努めること、女性を採用することを真に進めるのであれば採用の何%は女性にしなければならないといった法律が必要だろうと、こういう意見もついています。そして日弁連の意見書でも、使用者に対して一定の職種、役員において男女比率を二足に保つように義務づけるべきであるとしています。
 これは、松原さんよく御存じのアファーマティブアクションの問題なんですが、これはきょう時間がないので深入りはできないのでまた別の機会にやりたいんですが、このアファーマティブアクションの導入の時期に日本も来ているんじゃないか、それに対して一言でちょっと言ってほしいんですけれども、労働省は今どういうお考えなんでしょうか。
#49
○政府委員(松原亘子君) アファーマティブアクションというのはいろんな意味に使われるわけですけれども、先生がおっしやいました採用比率を決めるといったようなことは、アファーマティブアクションの中の一つではありましょうけれども、いわば割り当て制という制度であろうかと思います。アメリカなどで一時期導入されたというふうには承知いたしておりますけれども、まだ残っている部分があるのかもしれませんけれども、必ずしもそれがいいとは限らないというような評価であるようでございます。
 つまり、アファーマティブアクションといいますか、クオータシステムで採用された人と、こういうことになってくるわけでございますから、女性にとっても本当にいいのかどうかということは問題であろうかと思います。私ども、やはりあくまでも機会の均等を確保し、意欲、能力において平等に扱われるという、そういうことを確保することが当面非常に重要だというふうに思っておるところでございます。
#50
○吉川春子君 それで、女子の差別が一向になくならない大きな問題は、今の均等法は強行法規じゃないわけです、しかも罰則もないと。だから裁判もできないし、救済措置もないわけなんです。
 この私大協の要求にもありますけれども、均等法の中の募集、採用のステージについて努力義務規定だけにとどまらずに、やはり違反した場合の処置を明確にする、罰則や負担金を付せと、こういうこともありますが、ともかく基本的にこれを努力義務規定じゃなくて、ねばならぬと、罰則をつけることが一番いいと思いますが、そういうふうに改定する時期に来ているんじゃないんですか。これはぜひやるべきだと思いますが、その点はいかがですか。
#51
○政府委員(松原亘子君) 男女雇用機会均等法の見直しの問題につきましては、労働基準法の女子保護規定の見直しとあわせまして、昨年四月から婦人少年問題審議会で御議論をいただいてきているわけでございます。
 それで、先ほど申し上げました女子学生への対応ということで当面中間的な取りまとめがことしの初めになされたわけでございますけれども、これからまた引き続きまして基本的な問題、均等法そのものの見直し、労働基準法の女子保護規定そのものの見直しということを引き続きお願いすることにいたしております。
 労働省としては、審議会での結論を得て、国民的なコンセンサスがどこら辺にあるかということを見きわめつつ対応をいたしたいというふうに思っているところでございます。
#52
○吉川春子君 大臣にお伺いいたします。
 実は、採用試験の場でいろいろなことを試験官から女子学生は聞かれるわけなんです。その中に、あなたは恋人はいないのか、結婚しても働くのか、それからいろいろ身体のことを聞かれたり、体のスリーサイズまで書かされたという報告もあるんです。男子学生にスリーサイズなんて聞きませんでしょう。こういう非常に失礼なというか、そういう個人的なものまで立ち入った質問を結構されているんですね、いろんな報道がありますけれども。
 ドイツでは個人的領域への無遠慮な侵入になるような質問は基本的に禁止されているというふうに聞いていますし、結婚していることによる差別というのは均等法でも禁止されているわけですけれども、それに結びつくような、しかも女子学生を傷つけるようなこういう質問はさせないように、これは労働省も厳重に指導していただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
#53
○国務大臣(鳩山邦夫君) それはきちんとしなければいけないことだと思います。
 ただ、私もその罪を犯したことはあります。というのは、これ率直に申し上げて、私どもも皆様方もそうでしょうが、いわゆる女子学生、あるいは学生とは限らない場合もありますが、秘書の世界というのはわりかし流動性が激しいのは先生方御承知と思いますが、そこで募集をする、あるいは人からの紹介がある。結局、三年、五年すごく一生懸命勤めてくれて、もう何でもわかってくれるなと思うと結婚してやめてしまうという経験が二回ぐらい続きますと、それはもちろんその人の人生観の問題なんでしょうけれども、そうしますとやっぱり三年、五年ぐらい勤めてくると大体結婚してやめちゃうのかなと。こういうふうに思いますと、次に募集したときに、あなたは結婚は幾つぐらいでするつもりですかと、こういうことを聞いてしまったという、それは率直にそういうことは告白をしなければならないかと思うわけでございます。
 しかし、これは先ほど衆議院の本会議でもいろいろ御答弁申し上げたんですが、時代が変わって、今若い女性の方に何のために仕事をするかと言えば、それは経済的なものではない、自己実現だ、生きがいだ、働きがいだ、人生のために自分は働くんだという意識が相当女性の方に定着をしてきております。そういう意味でいえば、結婚してやめちゃったという私は悔しい思いを二回ぐらいしましたけれども、もうそういう思いもしなくて済むようになればいいななどと思うわけです。しかし実際、企業でも何年ぐらいいるんだろうか、場合によっては五、六年でやめてもらった方がいいかななんて思ってそういうことを言っている場合もあるかもしれませんから、その点は厳しくチェックをしなければならないなと思います。
 そして今、総理大臣を中心として閣僚会議をつくってみんなでそれぞれの持ち分の業種業界、そういうところにきちんと話をしていこうということで頑張ることをみんなで誓い合って行動に移したわけです。
 例えば、これもうわさ話ですから証言のようなたぐいではありません。私は、あるマスコミのかなり有名な社長さんから、いや鳩山君、最近の入社試験はとにかくイーブンで戦わせたら全部女子が受かっちゃうんだよと。うちの新聞記者がみんな女性だらけになっちゃったらやっぱり夜の遅かったりするのも困るから、そういうので男性に相当なげたを履かせて何とか比率を保っているんだがね、なんて話を聞いたことがあるんです。まあそれはどの程度の話か、それくらい女子が成績がいいというわけです。
 だから、そうであれば成績順にきちんと採るというようなことになれば女子の比率はうんと高まるのになというふうなことも思ったことがあります。そういうことで、一般職ゼロとか事務系ゼロというようなことで女子を締め出すようなことが盛んに新聞で報道されますが、それぞれの閣僚がみずからの所掌範囲の中でできるだけいわゆる一般職に採るように指導をしていく予定でございます。
 これは、労働行政の基本ですが、景気がいいときはいっぱい人を雇う、景気が悪くなったらどんどん人を吐き出すというのであれば、これは労働行政をやっていることにならないわけで、またある意味でいうと景気の変動に比べて採用人数の変動の幅の方がはるかに振幅が小さいというのは、これは私は企業の社会的責任だと思う。
 それは、企業がいろんな寄附をしてメセナもいいけれども、企業というものの社会的な責任というのはやはりみずからの社員をよくすることも大事だけれども、それは全体として景気がよくなればばあっと採って景気が悪くなったら全部首だということは企業が責任を果たしているゆえんのものではないということを、私は永野日経連会長とかそういうような方々にも今一生懸命説いて回っているところでございまして、閣僚会議の成果も請う御期待というふうには申し上げたいと思います。
#54
○吉川春子君 最後に伺いますけれども、結局こういう今申し上げたような差別を受けたときに救済機関がないんです。どこで救済していただくかということですけれども、婦少室も機関としては非常に不十分なんです。
 それで、私は男女平等委員会のようなそういう機関を設けて、もっと婦少室にも権限を持たせて、こういう問題について、募集採用はまだ入口だからとか労働契約がまだ形成されていないからということじゃなくて、救済する措置も積極的にとっていただきたいと最後に質問して終わります。
#55
○政府委員(松原亘子君) 婦人少年室が非常に頼りない組織だというふうに思われておられるかもしれませんけれども、現実に個別企業名をつけてこういった企業でこういう対応があったといったような声が上がってくれば、私どもはもう即座にそういう企業に対して事情聴取し、必要な場合には、もちろんそれが誤解であるとかいろんなことがありましょうけれども、必要であれば強力に指導をすることにいたしております。
 そういう意味で、もし女子学生の方がいろんな場面で均等法や指針に反するような経験をしたということがあれば、それはぜひ婦人少年室に来ていただきたいというふうに思うわけでございます。実は、残念ながら去年特別相談窓口を開きましたけれども、なかなか女子学生の方が個別企業の名前をおっしゃらないということがありまして、なかなかそうしますと指導に結びつかない、そういうことで均等法の指針の改正ということで広くやることにいたし、それに基づいてさらに今後やりたいというふうに思っておるわけでございまして、その特別相談窓口が七つだったのをことしは全都道府県に広げるということをいたしましたし、利用方につきましてもPRをいたしているわけでございます。
#56
○吉川春子君 終わります。
#57
○三石久江君 護憲リベラルの会の三石です。
 私は、従来から一貫して女性の立場から意見、質問を申し上げてきましたので、今回もその角度から質問をさせていただきます。
 我が国の景気は依然として低迷が続いておりますが、そのため雇用情勢が厳しい状況にありますことは労働大臣の所信表明でも申されております。このような状況の中で、所信にもあります働きがいとゆとりと安心のある社会の実現の柱として五本の柱を立てられましたが、その第四の柱に、「働く女性を初めとする、勤労者の多様な個性、能力が発揮できる環境の整備」を挙げられ、女子学生の就職問題を含めて男女の均等な機会の確保を重視すると述べられております。
 昨年から景気の不良を反映して企業の新卒者採用が減少しておりますが、そのしわ寄せが現実に女子学生の採用減となってあらわれております。昨今の新聞などマスコミ報道によりますと、企業によっては明らかに雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女子労働者の福祉の増進に関する法律、いわゆる雇用の機会均等法に反する採用が行われているようですが、労働省ではその実態をどのように把握しておられるのか。
 例えば、募集要項には男女差別は全くないように書かれていても実際には女子は採用しないとか、一般職の採用はしない、したがって女子は採用しないとか、面接で女子に対して就職意欲を阻害するような意地の悪い質問をするとか、今吉川議員もおっしやいましたけれども、いろいろなことが報道されております。労働省としては、このような事実の把握とその対策をどのように検討されておられるのか、お聞きしたいと思います。
 なお、六月三日には女子学生の就職問題に関する閣僚の会合が持たれたようですが、その中でどのようなことが話し合われたのか、あわせてお聞きしたいと思います。
#58
○国務大臣(鳩山邦夫君) 最後の部分からお話し申し上げますと、閣僚の懇談会は二回行っております。
 一回目は、特に羽田総理大臣からのお話は、自分は女性の能力というものを非常に高く評価しているもので、その女性の能力が十二分に引き出される、そして活用されるかどうかということは社会的に見て大きな意義が出てくることだ。例えばPKO関係で、選挙監視とかいわば激しい肉体労働ではない行動の場合だろうと思いますが、そうしたPKOのような海外へ出て活躍をする場合でも、女性の積極的な活動ぶりというもの、意思の強さ等、目をみはるものがある。これは男でもとても勝てないのではないかというようなものがある。したがって、そういう女性の能力を活用するというのが重要な観点であるならば、とにかく来年の女子学生の採用にはみんなで全力で当たろう、こういうようなことでありました。私どもはもちろん労働省的なことを申し上げたり、赤松文部大臣は文部大臣的なことをおっしゃったということであります。
 そこで、みんなで相談しまして、次回はもっと大臣の数をふやそうというので六月三日にはもっと大勢でやりました。その場所で、もちろん総理からもいろいろお話もありますけれども、私からは一般的な女子の雇用情勢が非常に厳しいということを申し上げたし、昨年というかことしの三月卒業の方々、既に終わった部分ですが、九三%近くとはいうけれども、大分御希望どおりにいってないという、ミスマッチとまでは言わないけれども不満の残る就職戦線ではなかったか、こういうようなことも報告をしましたし、次回、来年はより一層厳しいものになりそうだというようなお話をしました。
 そこで、一般的な結論からいえば、そこには大蔵大臣から建設大臣から運輸大臣から皆さんおそろいでございましたから、それぞれの関係する、所管するところの業界やそうした業界の連合会のようなところにきちんと話をして、女子学生を少しでも、一人でも多く採用するようにみんなで声をかけようではないかと、こういうことになった、これが結論でございます。
#59
○政府委員(松原亘子君) 女子学生の就職問題の実態でございますけれども、昨年婦人少年室に女子学生のための特別相談窓口を私ども既に設けました。そこで女子学生の方々から、主として電話で、かつもちろん企業名も伏し御本人の名前も伏しという、匿名がほとんどございましたけれども、出てきた意見、相談の中には、女性だからということで資料が送られてこないといったようなことですとか、女性だからということでセミナーに参加させてもらえなかったとか、それから応募書類を持っていったら女性だからということで受け取ってもらえなかったといったような声が寄せられたわけでございます。
 そういうことから、今年の就職活動は去年より、去年の今ごろの就職活動に比べてもっと厳しくなるのではないかといったような見通しもございましたことから、去年と同じようなことが行われてはいけない、もっとひどいようなことになってはいけないということを私どもも考えました。それから、ちょうど昨年の四月から男女雇用機会均等法の全般的な見直しを審議会で御審議いただいておりましたが、審議会の委員の中からもそういう声が上がり、全般的な結論が出るという状況ではなかったのですけれども、女子学生問題についてとりあえず急いで意見をまとめて何らかの対応をしてもらうことが必要ではないかということになりまして、そういうことから指針になかった例えば資料の請求に対する送付といったような企業情報の提供とか、それから面接試験などの採用のための選考、そういったところで女子が不利に取り扱われることのないようにというのはこれまでの指針には書いてございませんでした。そういうことから、そういう点を明記し、この四月一日から施行いたしたわけでございます。
 現在、もちろん施行に先立ちましてこういった求人広告を扱っている企業に対する説明会もやりましたし、日経連等業種別団体に対する周知の会合についても出席をし周知方依頼をするということもやりました。さらに五月の初めには、日経連、全国中小企業団体中央会、日本商工会議所に対しまして、また日経連の傘下である五十五の産業別団体に対しましても女子学生に対する均等な機会の確保ということについて指針の周知とあわせて要請をするなど、とにかくこの問題については私どもも最大限の努力を払うべく今一生懸命やっているところでございます。
#60
○三石久江君 次に、大臣は御存じかと思いますけれども、財団法人二十一世紀職業財団という財団があります。御存じでしょうか。
 以前は女性職業財団といって女性の職業能力の向上や雇用管理の支援を行うため昭和六十一年男女雇用機会均等法の制定を機に設立されたもので、昨年四月に新たにパートタイム労働対策の推進事業の拡充を機会に財団法人二十一世紀職業財団と改名したと聞いております。各県に地方事務所がありまして、私は先日富山県の事務所で所長の黒崎和子さんから業務の内容を聞いてまいりましたが、女性労働についてかなり熱心に調査研究しておられるようでした。
 その二十一世紀職業財団が調査されました昨年度の新規学卒採用内定等調査結果報告というのが、本年二月に労働省婦人局から出された「女性の地位情報」二十八号に掲載されております。これは証券取引所上場企業を対象に通信調査した結果ですが、それによりますと昨年度の女子学生の就職状況はかなり悪かったことが示されております。平成五年度に比べて平成六年度の採用内定者数が減少している企業の中で、男子の減少割合に比べて女子の減少割合が大きい企業は、四年制大学卒以上の事務、営業系で五一%、技術系で六五%となって、男子優先の状況が明らかに見られます。
 ところが、さらにその理由として大変気になる言葉ですが、優秀な男子が例年より多く応募してきたので結果として女子の採用内定者数が減少した二五%、女子の定着率が高まったので退職補充すべき人数が減った二一%、企業全体の採用内定者数を減少させる中で男子の採用内定者数をある程度維持するために女子の採用内定者数を減らした一四%。この調査結果の取りまとめは設問項目に今挙げた項目があったのか、それともいろいろな理由が述べられて、それをこのように労働省でまとめたのかは知りませんが、優秀な男子が例年より多かったとは見え透いた言い逃れにすぎませんし、女子の定着率が高まったので女子の採用を控えるとか、男子の数をある程度維持するためというのでは明らかに募集及び採用の機会均等に反していると思います。
 いずれにしても、このようなまとめ方は明らかに企業の都合によって男子と女子を区別して採用することを労働省自身が認めていることになろうかと思いますけれども、いかがですか。
#61
○政府委員(松原亘子君) この調査は主要企業の募集、採用の状況を明らかにすると、数的にふえた減ったということだけではなくて、さらにその背景にあります企業の募集、採用行動の変化、こういったことも把握したいということで労働省から二十一世紀職業財団に委託をしてやった調査でございます。
 先生が御指摘された今の選択肢といいますか、それはあらかじめこの調査票の中に入っていたものでございます。じゃなぜこういった設問を入れたのかという御疑問があろうかと思いますけれども、私どもはあくまでも実態を正しく把握したいということがあるわけでございます。例えば女子の定着率が高まったといったことは、この調査を設計する以前から、かなり去年の場合も女性の内定率が低いといったような状況があったわけでございますけれども、そういったことを個別の企業の方々にいろいろ聞きますと、特に一般職では女性が定着してきた、OA化が進んだ、いろいろな理由から減ったといったようなことを企業の方はおっしゃるわけでございます。
 そういうことは、やはり統計調査としてもきちんと把握をしなければいけないというふうに私どもは思うわけでございまして、必ずしもこの設問自体が問題があるということではなくて、問題自体をはっきり把握した上で立てるべき対策を検討しなければいけないということから、日々聞いておりました企業の方々がおっしゃったような事由、そういったものを選択肢として設定をいたしたということでございます。
#62
○三石久江君 お答えを聞いて、私はこの言葉が優秀な女子が例年より多かったと出たらどうなるかななんて考えたりしたんですけれども、次の質問に入ります。
 昨年からいわゆる就職活動に関する協定というのが緩められて、会社訪問が野放しのようになったと聞いております。甚たしいのは二月、三月から次年度の就職活動が始められておるとか、四月に新学期が始まると早くもリクルートスタイルの学生が会社訪問なり資料請求をすると聞いております。これでは四年制大学ではなく実質三年制であり、大学生にとって締めくくりの最も重要であるべき最後の一年を放棄するようなことになると思います。自由競争の中にも節度があってこそのリベラルであると思いますが、いかがでしょうか。
 なお、最後になりますが、労働大臣に男女機会均等法がせっかく施行されておりますけれども、現在のように景気が悪くなるとしわ寄せが女性に来るのは、均等法が何のためにあるのかということになりませんでしょうか。そこで、均等法が効果的に運用されるように、先ほども答弁の中からお聞きしましたが、改正を望みます。労働大臣はいかがお考えでしょうか。
#63
○政府委員(七瀬時雄君) 就職協定の関係の御質問でございますけれども、就職協定は、産業界と大学などとの間で自主的な申し合わせということでいろいろの変遷がございましたけれども、七月一日に求人内容を開示すると、そして八月一日から内定をすると、こういうようなお約束かと思います。
 この就職協定は、大学新卒者の就職や採用活動の秩序を確立して、正常な大学教育を確保することを目的として設けられたものでございまして、労働省は当事者ではございませんけれども、こういうお約束を採用する側と大学とできちんと結ばれた以上、その趣旨や内容について事業主の方々に周知するとか、それから就職情報誌出版企業に対しても要請を行っているところでございます。また、来年三月新卒者の動向につきましては、御指摘のように、早くから学生職業センターを訪れる方が昨年より急激にふえていると、こういう状況にございます。
 それで、学生の方々はいろいろと心配事があってそういうことをやっておられると思うんですが、要は、私ども昨年はちょっと率直に言ってそういう集団面接会などを開くのがおくれたことがございますけれども、ことしはこの就職協定の約束をきちんと見守りながら、同時に求人情報をきちんとした形で提示をする、そしてそれをもとに、そんなに遅くならない時期にきちんと集団面接会を主要都市でやると、こういったことをはっきりさせながら、少しでも学生さんの心配事を除いていこうと、そういう気持ちで対応しているところでございます。
#64
○国務大臣(鳩山邦夫君) 男女雇用機会均等法をどうすればいいかということで、これは審議会の皆様方にも研究、勉強をしていただいているわけでございまして、より有効な働きをして、よりいい結果が出るようにこの均等法も考えていかなければならないと思っておりますから、労働省の内部でもこれから大いに研究をしてまいりたいと思っております。
 ただ、時代も大きく変わってまいりましたし、それはどこかでまだいろいろひっかかるものがあるから、この女子学生の就職の問題もいろいろあるんだろうと私は思いますが、少なくとも日本の女性もそれは決して弱い存在ではない。それは何も参議院の労働委員会に来てそう思ったということではなくて、うちへ帰ってもそう思いますし、これはもう一般的に日本の女性はそれは非常に立派に活躍をしているし、強くなってきておられる。
 その昔、女性は太陽であった。しかし、今は月だとか、何かありますね、あれは青鞜社のときのでしょうか、平塚らいてうさんが何かに書かれた最初の文章だったかと思いますが、本来太陽であるはずの女性がみずから光を放つことができなくなっているというのは情けないので、我々はこういう婦人解放の運動を起こすという宣言文であったと記憶をいたしますが、私もそういう文章を感動をもって読んだ記憶がございます。
 しかし、今はそういう時代ではない。ですから、できる限り自然に女性の方々が男性とまじって、本当にどこの職場は男が多いとか女が多いとかということでない、当たり前の形で自然にそういうふうな形になっていくことがベストなので、かえって意識過剰になることはどんなものかなという思いがあるわけです。
 ですから、私は松原亘子局長にも申し上げているのは、婦人局というのがなくなるといいですねと言っている。労働省から婦人局が消えたときに日本の男女は完全に平等になるわけで、平等でないのでこういう立派な方に婦人局長をやっていただいていると、こういうことでございますので、法律のことはもちろん研究いたしますが、できる限り自然にいろんな空気とかムードとか、そういうことで意識改革のような形で物事が進むといいなという気持ちは捨て切れません。
#65
○三石久江君 大変ありがとうございました。
 二十一世紀には女性がもっと生き生きしますので、どうぞ大臣もよろしくお願いいたします。
 終わります。
#66
○委員長(野村五男君) 本件に対する質疑は以上で終了いたしました。
    ―――――――――――――
#67
○委員長(野村五男君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、西岡瑠璃子君が委員を辞任され、その補欠として堀利和君が選任されました。
    ―――――――――――――
#68
○委員長(野村五男君) 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 法案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#69
○小野清子君 自由民主党の小野清子でございます。
 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案について御質問申し上げたいと思います。
 この法律案は、障害者に対するきめ細かな人的援助による職業リハビリテーションサービスの実施体制の整備あるいは就職が特に困難な障害者の雇用を促進するための法的整備についての法律であると認識をいたしております。
 鳩山労働大臣は、各方面で御活躍であり、かつまた文部大臣の御経験者であり、文教施策を中心に非常に御活躍をいただきました。教育の場で学んだことが社会に出て、社会人としてその能力を発揮していくということがいわば職業人としても生きがいある人生につながっていくと思います。そういった意味で、いわゆるすべての人々がいい職につき、いい汗を流し、そして働ける場というものが保障されていかなければならないと思いますけれども、まず大臣の所見についてお伺いしたいと思います。
#70
○国務大臣(鳩山邦夫君) 全く小野先生おっしゃるとおりでございまして、例えば私ども、小野先生も文教関係に非常に御熱心でございまして、いわゆる障害児の教育の問題ということは盲聾養といろいろな議論をいたしてまいったわけでございます。そういう教育の世界で障害児の方々のことを議論してインテグレーションだ、ノーマライゼーションだ、通級学級だ、いろいろなことを議論しました。LDいわゆるラーニング・ディスアビリティーズというようなタイプの方々の問題も議論をしました。
 しかし、教育の世界でそういう議論をするといっても、それは結局そういう教育を受けた方々がそれこそノーマライゼーションというのでしょうか、できる限り精いっぱい頑張れるようなそんな仕事につくことが最終目標としてあるわけですから、当然この雇用の世界における障害者の方々の問題を抜きにして障害児教育を語っても意味が半減をしてしまうというふうにも考えるわけでございます。
 したがいまして、すべての障害者の方々が、その障害を持っておられるということはいたし方のないこととは思いますが、そこでも精いっぱい頑張れるような、仕事とマッチできるようなそういう温かい行政をやっていくことが大切だと思っております。
 政治とか行政というものは何も強い者をけたぐりでひっくり返してやるという必要はないと思います。強きをくじく必要はないにしても、しかしやはり一定の配慮を要する方々、若干のハンディキャップを負われたような方々にどこまで優しい気持ちで接することができるかどうかが私はいい政治、悪い政治の境目だと考えております。
#71
○小野清子君 障害者の社会参加の状況を示す指標といたしまして、障害者の実際の雇用率の動向というものが数字で出ております。法定雇用率を下回った状況にあるという現状でございますけれども、企業別あるいは産業別に見た場合、どのような傾向になっているのか、数字をお示しいただければと思います。
#72
○政府委員(渡邊信君) 障害者の雇用状況につきましては、毎年六月一日現在で把握をしておりますが、一・六%の雇用率が適用されます一般の民間企業について見ますと、昨年で一・四一%でございまして、前年に比べて〇・〇五ポイント上昇して、初めて一・四%台に達しております。
 この傾向でございますけれども、企業規模別に見ますと、規模の小さい企業で雇用率が高く、規模の大きいところで低いという傾向が従来から見られておりますが、最近では大手企業における改善の程度が高まっております。
 また、産業別にこれを見ますと、製造業は一・六七%となっておりまして、法定雇用率を上回っておりますが、運輸・通信、あるいは電気・ガス・熱供給、こういったところが比較的高い水準にございます。一方、卸売・小売、飲食店、金融・保険・不動産業等の業種が低い水準にあります。
 以上のような状況です。
#73
○小野清子君 重度の障害者の雇用に立ちおくれが見られるというわけですけれども、重度の障害者の方々というのは、いわゆる単なる労働者として扱うというよりは、福祉的雇用という形で私どもが認識をしながらこういう方々の雇用の確保というものを考えていかなければならないのではないかと思いますけれども、その辺の所見をお伺いしたいと思います。
#74
○政府委員(渡邊信君) 御指摘のように、重度の方につきましては雇用がなかなか進みにくいわけでございまして、そういった観点から今般、法律の改正もお願いしておるわけでございますが、これからの私どもの課題は、やはり福祉と雇用との連携を図るということが重要ではないかというふうに思っております。
#75
○小野清子君 それと、やはり雇用率達成の強化ということを数字の上だけで追うのではなくて、やはり障害者の雇用については、事業主の理解を求めながら、障害者に対するノウハウの提供とか、あるいは各種の助成措置の周知、こういうものがとても必要だと思いますけれども、事業主に対する援助を積極的に行っていく必要があると私などは考えますけれども、労働省の取り組みとしては、このあたりはいかがなものでしょうか。
#76
○政府委員(七瀬時雄君) ただいま先生がおっしゃったことは非常に大事なことだと思っておりまして、特に大都市圏の公共職業安定所に障害者雇用指導コーナーを設置するとか、あるいはそういうものを設置していないところにおきましても重点的にそういうことをやっていっているということでございます。
 特に、障害者の雇用あるいは雇用管理というと非常に冷たい言葉になるわけでございますが、障害者にどうやって働いてもらうか、そういうノウハウを実際に職場に定着を指導するような形で回っている安定所の職員が、これから雇おうとする方に実例をお示ししながら教えるとか、あるいは実態に即した助成金のメニューをお示しし、こういうのがいいんじゃないか、そういったことをきめ細かにやっていくということが非常に大事なことだと思っておりまして、私自身が全国いろいろな安定所を回りましても、かなりウエートを置いてそういう指導に努めているという実情にあろうかと思っております。
#77
○小野清子君 そういう努力が数字の上でも上向きの状況を示しておられることであろうかと存じます。
 しかし、就職を希望する障害者についても、やはり基礎的な労働をするに当たっての職業能力というものを高めていかなければならないことではないかと思いますけれども、その辺の、例えば就職を希望する障害者についての職業リハビリテーションの充実、こういうものは実際、どのように行われていらっしゃるのでしょうか。
#78
○政府委員(渡邊信君) 障害者の方が円滑に雇用の場につけるというためには、御指摘のように、障害者の方自身の能力のアップということが大変必要であろうと思います。
 現在、障害者職業能力開発校というところで技能の開発に努めておりますし、今般、法改正をお願いしておりますが、障害者雇用支援センターというふうなものをこれから設置いたしまして、こういったところも活用して障害者の方のリハビリに努めていきたいというふうに考えております。
#79
○小野清子君 少々細かくなりますけれども、その支援センターの中では具体的にはどういうことを指導なさるんでしょうか。
#80
○政府委員(渡邊信君) 障害者雇用支援センターは、特に重度の方を対象にしていきたいと思っておりますので、基本的なリハビリが中心になろうかと思います。
 具体的に申し上げますと、センターの施設内に作業室を設けまして、専任の指導員を置きます。そこで簡単な部品の組み立て等の実際の作業を通しまして、働く意欲あるいは持続力を初めとします基本的な労働習慣を身につけていただきたいというふうに思っております。あるいは、就職につなかったという場合には職場定着のための指導を行う、こういったことを考えております。
#81
○小野清子君 例えばいろいろな仕事についた場合に、その仕事がやってみて本人に合う合わない、あるいは体力の問題、障害の問題等々ありますけれども、そういう場合の例えは職業の転換というのか、そういう御紹介とか、そういうこともその支援センターでなさるんでしょうか。
#82
○政府委員(渡邊信君) 障害者センターで基礎的なリハビリを行っていただきまして、これが雇用に結びついたと、しかし実際に働いてみるとなかなか適合しなかったという場合には、もう一度センターの方で今度は違った職種のリハビリをしていただくというふうなことを考えております。
#83
○小野清子君 その場合に、センターでの研修期間というのはどれくらいをお考えになっていらっしゃるんでしょうか。
#84
○政府委員(渡邊信君) 一般的には半年から一年程度を考えておりますが、最長で二年間程度を考えております。
#85
○小野清子君 二年間という期間を経てということは、障害者の皆さんがいわゆる体でそういうものを知るのにはやはりそれくらいの期間が必要であるという認識でよろしゅうございますか。
#86
○政府委員(渡邊信君) やはり障害の程度によって必要な期間というのも異なってくるかと思いますが、二年間程度で必要な労働習慣、こういったものを習得していただきたいというふうに考えておるわけです。
#87
○小野清子君 この障害者雇用支援センターが対象とする「支援対象障害者」というのは、いわゆる「職業生活における自立を図るために継続的な支援を必要とする障害者」と規定されているわけです。しかし、これは具体的にはどういう障害者をいうのか、具体的にお知らせをいただきたいと思います。
#88
○政府委員(渡邊信君) 「支援対象障害者」でございますが、重度の身体障害者、具体的に申しますと、重度の視覚障害者、聴覚障害者あるいは脳性麻痺の方、さらに精神薄弱者、精神障害回復者、こういった方が主な対象になろうかと思っております。
#89
○小野清子君 本当に重度の方々で、その方々が労働につくということは、御希望なさるその方々の意思というものが最も大切にされなければならないと思いますけれども、そういう方の掌握はどういう形でなさるんでしょうか。
#90
○政府委員(渡邊信君) 初めに申し上げましたが、これからは福祉部門と雇用部門との連携を図っていかなければならないというふうに思っておりまして、今般、特に重度の方の雇用促進を進めようといいます場合に、この支援対象障害者の方につきましては、指導員が福祉関係施設、授産所のような施設等、これを定期的に訪問したり、あるいは市町村の福祉担当部門と連携を図る、こういったことをしまして、雇用を希望している支援対象障害者を把握する、こういったことを考えております。
#91
○小野清子君 そういう方々の中で、働きたい、しかし働けない方もいらっしゃるわけですし、大体パーセントにして働きたい方々というのはどれくらいいらっしゃるものなのでしょうか。
#92
○政府委員(渡邊信君) 重度の方は一般的にいいますと、なかなか雇用が難しいということで、授産所とかあるいは更生施設、こういったところにいらっしゃる方が多いわけでありまして、これらの方の中のどのくらいの方が雇用を希望しておられるか、さらに雇用に実際に結びつくことができるか、これは正直言いましてこれからやってみたい、こういうふうに思っているところであります。
#93
○小野清子君 その中で、障害者雇用支援センターでは「障害者雇用支援者」という言葉が出てまいります。この支援者というのはどういう方を指すわけでしょうか。
#94
○政府委員(渡邊信君) 「障害者雇用支援者」と申しますのは、この法律上の定義でございますけれども、障害者の通勤に付き添う、あるいは職業につくことに伴って必要となります介助、手話通訳のようなものですが、介助などの支援を行うということを予定しております。この「障害者雇用支援者」でございますが、重度の障害者の方が職業人として自立する際の立ち上がりを支援するものでありまして、いわゆるボランティアをその対象として考えております。
#95
○小野清子君 今ボランティアという言葉が出てまいりました。体が不自由であり言葉ができない、あるいは耳が聞こえない等々となりますと、これは複数の皆さんにお世話になることも十分考えられますし、またボランティアであるということであれば具体的にそういう方々にどのような支援を、今私申し上げましたけれどもお考えになっていらっしゃるんでしょうか。
#96
○政府委員(渡邊信君) 近年ボランティアにつきましての意欲というのは相当高まっているというふうに私ども見ておりますけれども、具体的にはボランティア休暇というものを取得するような勤労者の方、あるいは地域の学生、主婦等さまざまな形でボランティア活動に参加する方がふえているわけであります。
 このような方の中で障害者に対するボランティア活動を行おうといった方にいろいろと助力をお願いしたいと思っているわけでありますが、そのボランティア活動の内容といたしましては、例えば通勤への同行、あるいは職業生活に関します相談にあずかるようなこと、あるいは手話通訳、あるいは視覚障害者に対します職場での介助、こういったことが考えられるのではないかというふうに思っております。
#97
○小野清子君 そうしますと、障害者雇用支援センターというのは、どのようにして支援者となる人々を、いわゆるボランティアという方々を掌握されるのか、それからどんな形で事業主とか障害者にあっせんしていくことになるのか。その辺はどうなるのでしょうか。
#98
○政府委員(渡邊信君) この支援者の掌握につきましては、市町村の福祉担当部門等と連携を図りながら支援者を集めていきたいと思いますし、またセンター自身でも募集を行っていきたいというふうに思っております。
 また、この支援者の方の紹介でございますけれども、まず支援者の方、どのような支援を行える人がいるか、こういったものを整理した上で統一的に登録をいたしまして、事業主や障害者の方の求めに応じまして具体的な支援者を選定しまして、御本人の了解を得て必要な情報を事業主や障害者に提供したい、こういったシステムを考えております。
#99
○小野清子君 これはボランティアと一口で言いましても、今はボランティアの定義もいろいろでございますし、サポートなさる方々もふえていることもこれは現実ではございます。
 しかし、この支援をしていただくボランティアの方がいなければ、通勤にしろ仕事を遂行する上でも自分の力でできない場合があった場合に、ボランティアというのは、先ほど主婦とかそういうお話をいただきましたけれども、例えば主婦の場合でも急に用事ができてしまったとか、あるいは学生である場合には試験が近づいたから今ちょっとできないとか、具体的にそういうことが起きてくる可能性がボランティアの場合にはなきにしもあらずですね。
 そうなった場合に、一時的な援助では私は不十分でないかという危倶をいたすわけでございます。しかし、今行革の時代でございますからきちんとした専任の援助者というものが配置されにくいときではあろうかと思いますけれども、ある程度こういう方々の配置を進めなければ制度の整備というものは図られないのではないかと逆に心配をするんですが、このボランティアの方々にこういった面をすべてお任せすることで専任者を置かなくていいものだろうかということ、この辺はどういうふうにお考えでしょうか。
#100
○政府委員(渡邊信君) 御指摘のように、センターにおきまして重度の方の雇用を進めようというときに、ボランティアの方々のお力に頼るというだけでは不十分な場合もあろうかと思います。
 このような場合に対処いたしますために、現在視覚障害者の方に対する介助者、あるいは重度の精神薄弱者に対します。務遂行援助者というものを配置する場合につきまして、事業主に助成金を支給する、こういったことによりまして、いわば専門家の配置に対する事業主への助成ということを行っておりますが、こういったものをやはり加味していかなければいけないというふうに思っております。
#101
○小野清子君 その場合には、費用の面は一人、二人、三人、こういうふうに非常に状況が障害者のお一人お一人によって違ってくるわけですけれども、そういう条件というものはないものなんでしょうか。
#102
○政府委員(渡邊信君) ここのところはこの専門家の方の職務内容といろいろ差はあるかと思いますが、助成率は目下のところ一定と考えております。例えば、視覚障害者の方の業務遂行のために必要な職場介助者を配置する場合には、助成率を四分の三、限度額は配置一人につきまして月十五万というふうにいたしております。さらに、業務遂行の援助をされる方につきまして、これは助成率やはり四分の三で、配置一人につきましてやはり月十五万、こういった基準に従って現在やっております。
#103
○小野清子君 上限が決まっているということは、状況によっては不足が生じることもあり得るというふうな感じもなきにしもあらずですけれども、その辺は実際に施策を施行されてみて、状況が出てきた場合にはぜひまたその状況に応じて御一考を願いたいと思います。
 ところで、障害者の職場というものへの定着ということを考えていきますと、仕事をするばかりではやっぱり楽しくないわけですから、ここに福利厚生の充実をきちんとしていくということは非常に重要なことであります。また、今回の改正案の中でも福利厚生施設の整備に対する助成措置の新設が盛り込まれているようでございます。これは具体的にどういう内容になっておりますでしょうか。
#104
○政府委員(渡邊信君) 私ども、障害者雇用促進という場合に、雇用率制度を柱にしまして一人でもたくさんの方が職業につけるように、こういうことを基本中の基本にしてやってきておるわけでありますが、やはり就職するというだけでは不十分でございまして、就職をされた方がその職場で十分に能力を発揮できる、ずっとその職場に定着てきる、こういったことが大変重要なことであろうというふうに思っております。
 今御指摘のありましたように、ノーマライゼーションの理念から考えましても、福利厚生施設のようなものは障害者も健常者と一緒になって使えるような施設をつくることが望ましいというふうに思っております。
 このため、今回福祉施設の整備に対する助成を強化しようというふうに思っておりますが、その対象は障害者専用の福利厚生施設に限定しないということでございまして、例えば既存の福利厚生施設にスロープあるいは障害者用のトイレを整備する場合など、障害者の利用に配慮した福利厚生施設の設置とか改定とか、そういったものに対しましても広く助成金をしたいというふうに思っておりまして、こういった福利厚生施設の整備によりまして障害者の方の職場定着が一層進むこういったことを期待しております。
#105
○小野清子君 障害者専用に限定しないというお話を聞きまして大変うれしく思います。
 と申しますのは、日本の場合には枠が決められた中で物事がなされるということが今まで大変多うございます。やはりノーマライゼーション的立場に立ちますと、障害者の方々はこっちだけでやってください、健常者はこっちだけということになると、何のための施設なのかわかりません。
 これは、ちょっと余談になりますけれども、私どもスポーツ施設の事情調査というのでメキシコに参りましたら、これは私もびっくりしたんですけれども、ジュニアの強化選手と、それから身体障害者の方が同じ時間に同じ場所で活動をしていた。これは、ジュニアの強化なんというのは、通常一般の方は別にということが常識的に日本の場合には考えられるんですけれども、同じ飛び込み台の上からジュニアの強化選手が練習をして、見ておりましたら本当に両手がなくて片足しかない方が飛び込み台から飛び込んでいる。そういう状況を目の当たりにしましてもう驚きと感激を持ったわけです。ノーマライゼーションという言葉はあっても、実際にそういう方々と一緒に行動してみなければ本当の意味の理解は私はできないんではないかと思うんです。
 そういった意味で、仕事を通してやると言いましてもそれぞれ仕事の内容も条件も違うわけですから、なかなか知り得るようで知り得ない。そうした場合にこの福利厚生面での接触というのは、相手を理解する上で、あるいは心を通わせる上で、あるいは思いやりを持つ上で、生産性向上と同時に心の生産性向上に私は大変大きな役割になっていくのではないかと思います。こういった福利厚生に関しての施策というものが身障者の皆さんに、障害者の皆さんに特別に限定されたものではない、一般の方々の中でいかにお互いが助け合いながらやっていくかという、そういう面をぜひ強力に推し進めていただきたいと思います。
 時間がないので、とにかく超特急で質問させていただいておりますけれども、障害者の職業を通じての社会参加の現実をつかさどるという観点からは、今議論されております職業リハビリテーションを中心といたしまして障害者雇用に関する国際協力を積極的に進めていくことも大切ではないかと思います。大臣、この辺はどんなふうにお考えでいらっしゃいますか。
#106
○国務大臣(鳩山邦夫君) 答えにはならないかと思いますけれども、これは教育の世界で障害児のことを考える場合も、あるいは雇用という場面で雇用という側面から障害者のことを考える場合も、今小野先生御指摘のジュニアの強化合宿と障害者の方が一緒にやっておったという話もすごくいい話ですし、やはり国や地域によって非常に違っている。
 それは、歴史や風土の違いもあろうかと思うのですが、ノーマライゼーションとかインテグレーションという言葉はあるけれども、その言葉であらわされている実態が国々によって非常に違っているケースが多いので、やはり障害者の雇用という観点で各国の事情を調べるというのは非常に意味のあることでありますし、国際交流をしていく中でお互いがお互いのやり方を十二分に勉強していく中で改善をするということに私も大きな意義があるだろうと思います。
#107
○小野清子君 二年前の法改正で日本障害者雇用促進協会の業務に障害者雇用に関する国際協力の業務を追加しているわけでございますけれども、現在どのような協力が実施されているのか。また、今後どのような国際協力を推進していくつもりなのか。
 私は、日本の中にこのような障害者雇用に関する障害者雇用支援センターなるものができ、今回このような形で活動していくということになれば、国外いわゆる海外においても日本企業がそれぞれの国の障害者を雇用されるような努力をしていくということも必要ではないかと思いますけれども、その辺はどうでしょうか。
#108
○政府委員(七瀬時雄君) 平成四年度の法改正におきまして日本障害者雇用促進協会の業務に国際交流業務を追加いたしまして、平成四年度から事業を実施しているわけでございますが、特にアジア諸国における障害者関係団体との共催で障害者の皆様方の雇用に関するセミナーを開催するなどの協力事業をやっております。また、今年度からはアジア諸国から職業リハビリテーションの専門家を日本にお招きいたしまして、我が国における障害者雇用の制度とかリハビリテーションのシステムについての研修を行うとか、あるいは事業主同士で意見交換を行う、こういったことをやってきているわけでございます。
 アジア・太平洋諸国を中心といたしまして開発途上国におきまして、我が国のこういった制度とか実情に非常に関心が高こうございます。ただ、同時にこれは我が国の側からもそういった国々の状況を知るということは非常に大事なことだろうと思いますので、積極的に進めてまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。
#109
○政府委員(渡邊信君) 海外に進出した日本企業のことでございますけれども、海外に進出しました日本企業につきましては障害者の雇用についても積極的な役割を果たすということが期待されているのではないかというふうに思っています。
 このため、今年度からアジア諸国の方をお招きをしまして我が国においてリハビリテーションの研修等をしてもらうということを考えております。この際、海外に進出しております日本企業の訪問もしていただきまして、そういったところでの意見交換等も行う、こういったことにおきまして海外進出企業での雇用が進むというふうなことを期待しているところであります。
#110
○小野清子君 最後に、障害者問題につきましては今お話がございましたように国際的にも大変関心が高まっておりますし、平成四年からは国連障害者の十年の終了を受けましてアジア・太平洋障害者の十年として、ESCAP諸国におきましてさまざまな取り組みが行われている、実施されていると聞いております。
 我が国におきましても、昨年末に障害者基本法が制定をされまして、障害者の自立と社会参加の一層の促進という基本的理念が明らかになったところでございます。
 労働行政におきましても、このような海外あるいは国内の動向を踏まえまして、積極的な施策の展開が必要であると考えられますけれども、最後に労働大臣の所見を伺いまして質問を終わらせていただきます。
#111
○国務大臣(鳩山邦夫君) 小野先生のお話のとおり、アジア・太平洋障害者の十年とか障害者基本法の制定など、我が国の内外を問わずいわゆる障害者施策の総合的な推進、こういうことが大事だという機運が国全体でも高まってきていると思う。わけでございます。
 しつこく申し上げておりますけれども、障害児として教育を受けられた方がいろいろな温かい教育を受けていく中で働く意欲を持つようになる、働く能力も持つようになる、そういう方々がみずからに向いた雇用の機会というものを得ることができるときに初めてそれが本物のノーマライゼーションということになるのではないか。それは相当程度うまくいきながら意欲も能力もありながら働く場所を見つけることができないと、これはノーマライゼーションは未完成というふうに見ざるを得ないのではないかと思います。
 労働行政の大きな使命として、すべての働く意欲と能力を持つ障害者の方々に一番見合った就職の場をお与えをする、このように考えて労働省全体で一層励んでまいりたいと思っております。
#112
○小野清子君 ありがとうございました。
#113
○堀利和君 今回の法改正について審議する前に、資料を配付していただけますか。
   〔資料配付〕
#114
○堀利和君 今お手元に配付させていただきますが、グラフの表が二枚ありまして、三枚目には障害者の雇用促進法の改正の内容を簡潔にまとめたもの、三枚であります。ごらんいただきたいと思います。
 実は、昭和三十五年、一九六〇年に今回のこの法律の産声が上がったわけでございまして、障害者雇用促進法が制定されました。その後、何といっても最も大きな抜本改正は昭和五十一年、七六年であるわけです。それまでは努力規定であったわけですが、そのとき以来義務化となり納付金制度というのが導入されて、同時に身体障害者の重度の方についてはダブルカウントという、かなり改正されたわけです。それ以降のグラフをちょっと私なりの問題意識でまとめてみたわけです。
 一枚目は、障害者の実雇用率の曲線です。それと完全失業率、さらには経済成長率。果たして障害者雇用の実雇用率がどんなふうに推移しているんだろうか、どういう外部要因によって動くんだろうかなということで、そのグラフを見ながら考えたわけなんですけれども、基本的には右に徐々に上向きになっています。着実に上がっています。
 ただ、先ほど小野委員の質疑の中でもありましたけれども、上向きではありますけれども、この中にはいろいろな問題が隠されておりまして、大きく言えば、一つは企業の規模によってかなり曲線の描き方が違ってくるだろうと思うんです。大規模の企業と中小企業とではかなり違うんじゃないかなと思います。当然のことのように、法定雇用率との比較でいえばまだまだ実雇用率は低いという私なりの不満もあります。しかし、着実に右上がりになっているということは確かです。
 そこで、景気と失業率を見ますと、大変おもしろいことに、今回の不況は戦後最大量長の不況になってしまったわけですけれども、八〇年代初頭の不況で見ますと、景気が悪くなり失業率が上がっても実雇用率というのは上向きになっているんです。八七年、昭和六十二年、六年、七年の円高不況と言われたころ、さすがにここではちょっと実雇用率は下がっております。その後、今のこの不況に突入して今日に至るわけですけれども、実雇用率の方がかなり上がってい名ということから、どうも景気なり完全失業率という影響は余り大きくないのかなと、着実に伸びているということが言えるんですね。
 次に、二枚目になりますけれども、法改正のところでどうなるかと見ますと、明らかに法改正の後に実雇用率も上向きになるんです。もちろん、そこで言えることは、それまで重度の身体障害者が一人ということで雇用率にしていたのをダブルカウントしたりとか、あるいは精神薄弱者を新たに雇用率に算入したり、さらにはまた同時に、重度の精神薄弱者をダブルカウントするという、いわば数字上の上昇というのもそこのところには含まれているわけです。しかし、それにしてもやはり大改正のもとでは、その直後若干上向きになっているという傾向が見られます。
 もう一つは、さらに八〇年代初頭のこの不況の中でも、八一年の国際障害者年、八三年からは国連障害者の十年が始まり、このときにかなり上昇しているんです。それから、国連障害者の十年の最終年を迎える九二年あるいはその前後あたりもかなり伸びているんです。
 こういう傾向を見ますと、もちろん完全失業率にしましても、労働市場が全く自律した自由主義的に動いているわけではなくて、かなり政策的に動くことは当然ですけれども、障害者の実雇用率を見ますと、かなり政策的に動向というのが決まるんではないんだろうかというのが以上を見た私の感想なんです。
 こういう点からいいますと、やはりこれまで労働省が意欲的に努力されたということもあろうかと思うんです。余り持ち上げてもなんなので余り持ち上げるつもりはないんですけれども、確かに政策的な努力というのがこの数値の中で読み取れるわけなんです。
 そういう観点から私はいろいろ考えたいんですけれども、まず労働省としてこのグラフについてどういう見解を持たれたか、お伺いしたいと思います。
#115
○政府委員(七瀬時雄君) 先生がわざわざおつくりいただきまして資料をお配りいただきまして、お話をお聞きしておりまして、全く同感でございます。
 特に国際障害者年、これをまず出発点として、その後国連障害者の十年に歩調を合わせた普及啓発活動でありますとか、事業主の方々の努力、また障害者の方々の自立意識の高まり、それからいろんな諸施策もあったかと思いますが、そういったことで着実に雇用率が上がってきている、こういう気がいたします。特に、国連障害者の十年というのは非常に大きな意義があったのではないかと思っております。
 また、法改正をする、そうすると、当然法改正をしていただくことによって施策が充実されるわけでございますが、それと同時に、そのこと自体がお互いの気持ちとしての障害者雇用の促進に役に立っている。そういうことでここにお示しいただいたような結果になってきている。そういたしますと、今回この法律をお通しいただくということになるならば、そういう今までの経緯を十分踏まえた上でこれの運用に当たっていくべきものだ、こういう感じを持っているところでございます。
#116
○堀利和君 そこで、大臣にも同様な御質問なんですけれども、やはり障害者雇用制度の政策の充実という重要性が非常に理解されると思いますし、国民への理解、啓発、普及というのが大変重要だなと感じます。
 そういう点を含めて、大臣の障害者の雇用に関する基本的なお考えをお聞きしたいと思います。
#117
○国務大臣(鳩山邦夫君) いつも申し上げることでございますが、私は政治とか行政というものの本質というものは、それは外交とかいろいろありますが、政治というものは、何も強きをくじく必要はありませんが、世の中でハンディキャップを負っておられたり立場的に弱い状態に置かれているような方々、そうした方々にどこまで配慮することができるかというのが、政治や行政がいい政治、行政であるか、大したことのない政治、行政であるかの分かれ目ではないかと、私はそのように考えております。
 強き者はみずから勝手に強くなっていけばいい、やはり弱い立場の方をどこまで面倒を見て喜んでいただけるかという、それが政治だと考えたときに、障害者の方々に対してどこまでできるか、これは本当に政治も行政もできるところまで頑張るという気持ちで本当に努力をしなければいけない。
 例えば、宮城まり子さんのねむの木学園、宮城まり子さんと私の母が極めて親しいものでございますからいろいろなお話を承ることもありますけれども、これは本当に心から感動のわいてくるお話でもあるわけです。国としてあるいは地方自治体としてどこまでできるかという気持ちで、限界まで努力するということが我々の責務であると思っております。実雇用の割合が、今先生の御説明のとおり、少しずつでも上がってきていることは大いにうれしいこととは思いますけれども、しかしこの目標の基準までは来ていないわけでございますから、さらにこれを高めるために今回の法律改正もお願いをしているということでございます。
#118
○堀利和君 今回の法改正によって、一人でも多くの障害者が一般雇用につけるようにということを期待してやまないわけであります。
 そこで、先ほどの質疑の中でも説明がありましたので、その辺は割愛させていただきながら、今回の法改正についてお伺いしたいと思います。
 地域障害者雇用推進総合モデル事業というのが実施されているわけですけれども、これは最近の実施なのでどこまでその実施状況が明らかになっているかということがございますけれども、このこととこの障害者雇用支援センターとの関係といいますか、今回の法改正においてどんなふうに位置づけられるんでしょうか。
#119
○政府委員(渡邊信君) 平成五年度から地域障害者雇用推進総合モデル事業というものを実施しております。このモデル事業は、現在、埼玉、岡山、熊本の三県において実施をしております。
 この事業の具体的な内容は、都道府県と市町村に分けまして、障害者雇用進展のための計画を策定する。それとともに、障害者関係施設を端末で結びまして情報を共有するためのシステムづくり、情報ネットワークをつくる。ここの施設にはこういった方がおられる、ここではこういう職業リハビリが受けられる、そういったもののネットワークづくりをしようと、こういった事業でございます。
 モデル事業につきましては、平成六年度、今年度新たに三県を追加しまして六県でこのような事業を進めていこうというふうに考えております。さらに、このモデル事業の実施されていないその他の県につきましては、当該県におきます事業の成果をあるいはノウハウといったようなものを提供する、こういったことを考えているところであります。
 今回、設立をしたいと思っております障害者雇用支援センターとの関係でございますが、この支援センターは、現在進めておりますモデル事業におけるネットワークづくり、その中の一環として位置づけまして、このセンターもモデル事業におきますネットワークを利用させていただきまして重度の障害者の方の雇用を進めたい、こういった協力関係のもとにやっていきたいというふうに思っております。
#120
○堀利和君 そこで、雇用支援センターの指導員が巡回して、福祉関係の施設なりを訪問して、いわゆる一般雇用になじむ障害者を見つけ出すといいますか結びつける形でお話しするんでしょうけれども、広域的であっても、幾つかの市でありますから、福祉関係の施設なり障害者の施設というのもそう多くあるとは思えないんです。
 初年度とか二年度ぐらいは、指導員が回って、ああこの障害者はそれなりに職業訓練すれば一般雇用に結びつくなとかあるんですが、これ二年、三年、四年、五年と、余り先のことを考えても仕方がありませんけれども、その辺はどういうようにお考えでしょうか。指導員がもう一年、二年でぐるりと二、三回回れば大体もう顔はわかってしまいます。そこの行き詰まりというのも私は若干心配なくはないんですけれども、その辺はどんなふうにお考えでしょうか。
#121
○政府委員(渡邊信君) 重度の方の雇用ができるだけ速やかに進むということはもちろん理想的なことでありますけれども、実際問題として授産施設あるいは更生施設におられるという重度の方は相当の数がいらっしゃるわけでございまして、しかも障害の程度もさまざまであるということであります。
 この支援センターにおきましては、一人一人の能力に合ったような職業リハビリテーション、こういったものをきめ細かにやろうというふうに思っておりまして、一回の入所者数も二十人からせいぜい四十人ぐらいというふうに思っているわけであります。そういったことで、できるだけ早く雇用が進めばいいわけでありますけれども、相当たくさんの方が授産所等のような福祉施設にいらっしゃいますので、そういったところと連携をしながらやっていくこの事業についてはやはり相当の期間が要るのではないかなというふうに見ております。
#122
○堀利和君 そこで、きょうは、厚生省に来ていただいてないんですけれども、やはり今思い起こし感じるところは、例えば、授産所でいわゆる措置されている障害者が今回の法改正で一般雇用に結びついていくというのは大変いいことなんです。ただ、仮に一般雇用が失敗した場合に授産所にまた戻れるのかどうかという心配も出てくるんです。
 つまりどういうことかといいますと、授産所にしても更生施設にしてもなかなかあきがない。ウエートリストがあるくらいでありまして、一回出てしまうと、今の日本の福祉制度というのは措置制度ですから、措置が外れるともう戻れないという不安があって、私もよく地域で障害者が自立するようにという考えのもとで施設を訪問し施設長とかあるいは障害者の方々と話しても、あるいは保護者である親の方と話しても、一たん出てしまうともう戻れないんだ、だから施設にむしろとどまらざるを得ないということがあるわけです。精神薄弱者の施設の方では一年間措置が外れてどうしても地域で生活、自立てきない場合には施設にもう一度戻ることができるというそういう制度が昨年十二月にスタートしたわけですけれども、身体障害者の場合にはまだそこまでいっておりません。
 ですから、これは労働省ではなく厚生省の方にも働きかけたいと思うんですけれども、やはりそういう厚生省の協力もないと、施設から出て一般雇用に飛び込んでみる、やはりそこら辺の安心感というものは必要がなということを今つくづく感じているところです。
 そこで、今度は精神障害者、法的に言うと精神障害回復者ということになりますけれども、前回の法改正の中で助成制度の、補助金の対象になったわけで、一歩前進にはなったんですけれども、なかなか精神障害の場合には身体と違って、固定しにくいといいますか、精神的な不安定というのがあるわけです。まあ身体の場合にはある程度固定してしまえばそのまま、ある意味で継続するわけですけれども、精神的側面というのは再発する場合もあって不安定なことがあるものですから、なかなか一般雇用に結びつかないという側面があるわけです。
 先日、精神障害者の研究会の報告が出ましたけれども、これを踏まえて今後どんなふうに精神障害者の雇用促進を進めていくのか、お伺いしたいと思います。
#123
○政府委員(渡邊信君) 精神障害者の方につきましては、先生御指摘のように雇用に結びつくということがなかなか難しい方たちでございまして、率直に申しまして労働省の従来の取り組みも大変おくれた面があったかというふうに思っております。
 こういったことを踏まえまして、平成四年の十月から研究会に研究調査をお願いいたしまして、本年の四月に報告をいただいたところであります。この報告の中では、精神障害者雇用のための条件整備につきまして、精神障害者の職業能力の開発向上のための職業リハビリテーションの実施、あるいは事業主に対します雇用管理ノウハウの提供、あるいは都道府県や地域レベルにおきます労働機関、医療・保健・福祉機関、こういったものとの連携の必要性、こういったものを指摘しておるところでございます。
 労働省といたしましては、この研究結果を踏まえまして今後具体的に施策を検討していきたいというふうに思っております。
#124
○堀利和君 その際、その事業主の側、いわゆる精神障害者、精神障害回復者を雇用する、受け入れる側の精神障害者に対する認識というのは大変重要だと思うんです。何か事件が起きると、ニュースでは、精神病院に通っていたとかそういういわば経歴を、要らぬニュースを流すわけです。それによって国民に対して精神障害者に対する偏見といいますか、ある意味で言えば、違和感を抱かせるようなそういうこともあるわけです。
 ですから、精神障害者の場合には外から見えにくい障害でもあります。身体の場合にはかなり、目分量という言い方もしてちょっとあれなんですけれども、わかるんです、どこら辺が悪いぞとか、どの程度のハンディかということ。ところが、精神障害という目に見えない障害の場合には非常にわかりにくいということですので、ぜひ事業主、雇用主の側に対しての啓蒙啓発、正しい理解というものをきちんと労働省として進めていただきたいと思います。
 次に、視覚障害者についてお伺いしますけれども、この視覚障害者の職業リハビリテーションの現状、そして、そこにおけるやはり課題ということについても今後どんなふうに進めるのか、お伺いしたいと思います。
#125
○政府委員(渡邊信君) 視覚障害を有する方につきましては、身体障害者の中でも雇用の立ちおくれが見られるところでございます。視覚障害者向けの職業リハビリテーションの充実というのは極めて大きい課題だというふうに思っております。
 具体的に申し上げますと、視覚障害者を対象とします職業リハビリテーションとしましては、地域の障害者職業センターにおきまして、就職に当たって必要となりますOA機器の操作方法などを習得するための職業講習を現在行っておりますが、そのほか障害者職業能力開発校におきまして、OA事務ですとか電話交換等、視覚障害者向けの職業訓練を現在実施しているところであります。
 今年度からは国立職業リハビリテーションセンターにおきまして、点字から普通の文字への変換などの文書処理に必要なアクセス機能やソフトの操作方法を習得するための職業適応指導を新たに実施したいと思っております。今後ともこういった努力をしながら視覚障害者の方の雇用促進、リハビリテーションということを充実しなきゃいけないというふうに考えております。
#126
○堀利和君 そこで、視覚障害者の立場から、私の希望も入れてお伺いしたいんですけれども、今のヘルスキーパーの雇用促進ということで、労働省には大変御努力をいただいているわけでして、私事で言いますと、今からもう二十五年余前になりますが、盲学校の高等部にいたころ、先輩がそこの理療科、専攻科にいて、バス会社やタクシー会社の営業所に日曜日マッサージに行くんです。これは当時から産業マッサージ師というふうに言っておりましたけれども、いわゆる治療院とか病院に働くだけではなくて企業の中でマッサージ師として働けないものかということで、そういう先輩の努力が今でも脳裏に浮かんでくるわけです。
 労働省として「ヘルスキーパー雇用のすすめ」というパンフレットもつくって、以来企業の方では企業内従業員に対しての理療、マッサージという施術によって健康管理、健康増進という新たな分野が広がってきているわけです。一昨年、既に働いている方々が日本視覚障害者ヘルスキーパー協会というものもつくりまして、私もその当時から応援させていただいたんですけれども、先ごろ講習会を開くに当たって、何の法人の資格もないわけです。にもかかわらず、雇用対策課の努力によって労働省がヘルスキーパー協会のイベントあるいは講習会に対して後援していただいて、大変喜んでおりますし大きな激励になったわけです。
 ですから私も、視覚障害者の今大変苦しい厳しいはり、きゅう、マッサージ業ということになっていますけれども、言うなれば唯一希望の星という分野であるわけです。そういう点で私自身も力を入れてきているわけですけれども、まずこのヘルスキーパーの近年の推移、企業に雇われている推移についてお伺いしたいと思います。
#127
○政府委員(渡邊信君) ヘルスキーパーは、重度の視覚障害者の方の新しい職場として、あるいはまた職場におきます健康増進といいますか、健康管理としてこれからも大いに普及に努めなければいけないというふうに思っております。
 このヘルスキーパーの方の人数ですけれども、日本障害者雇用促進協会の調査結果ですが、平成二年には三月時点で四十三名、平成三年の九月には七十人という人数でございました。その後ヘルスキーパーの雇用促進のためのマニュアルを作成するなどいたしまして、事業主に対しまして普及啓発を進めてまいりました。その数は着実に増加してきていると見ております。これは大変恐縮ですが、実数がございません。現在の時点での推計でございますが、ヘルスキーパーの方は現在時点で約四百名近くの方がいらっしゃるのではないかというふうに見ております。
#128
○堀利和君 時間もありませんので早く終わりたいとは思いますが、文部省に来ていただいております。
 実は青森県の盲学校の工藤さんという方が、上越教育大学大学院の修士論文に、「ヘルスキーパーの雇用拡大のための指導のあり方に関する研究」、副題としては「文書処理の実態を通して」ということで、送り手の盲学校の方でもこのヘルスキーパーに対応できる生徒の育成ということで、文書処理の指導とか、いわば社会性を身につけるとか、うまくまとめてある研究なんですけれども、そういう観点から、文部省としての盲学校の教育についての御見解あるいは指導ということについてお伺いしたいと思います。
#129
○説明員(嶋崎和男君) 盲学校におきましては、視覚障害児の社会参加、自立を図るために従来から高等部には保健理療科及び理療科を設置いたしまして、あんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師などの養成を行っていることは先生も御指摘のところでございます。
 これらの学科の主要教科である保健理療及び理療につきましては、基礎的、基本的な知識と技術の修得だけではなく、国民の健康の保持増進に寄与する能力と態度を育てることを教科の目標といたしまして、時代の要請にこたえ得る資質の高いあんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師の育成を目指しているところでございます。
 また、文部省におきましては、盲学校の保健理療科及び理療科を初めとした職業教育の充実を図るため、学習指導要領の改訂等による教育内容、方法の改善、担当教員の専門性と指導力の向上を図るための各種講習会の開催、施設設備の充実等にも努めているところでございます。
 さらに、先生も御指摘のような、近年の社会情勢や雇用環境の変化、それから生徒の実態の多様化等に対応いたしまして適切な職業教育をさらに促進するため、平成六年度から新たに盲学校等の高等部における職業教育等のあり方に関する調査研究を充実することといたしたところでございます。
 今後とも、このような障害者の方々の社会参加、自立を図るための施策の一層の充実に努めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
#130
○堀利和君 時間がありませんが、最後に大臣に一言決意をお伺いしたいんですけれども、先ほど来言いましたように、ヘルスキーパーというのは、言うなれば、我々盲学校で育った者から見ると、いわゆる一流大学、一流企業というのは全くの夢でして、そういう一流の会社に就職するということはほとんどできなかったわけですけれども、ヘルスキーパーという新たな分野によって、いわゆる一流企業といいますか、というところに就職できることにもつながっております。
 そういう点で、大臣としてこのヘルスキーパーの雇用促進にぜひ御尽力をお願いしたいということでの御決意を伺いたいと思います。
#131
○国務大臣(鳩山邦夫君) 私は、従来から東洋医学の効能ということを非常に高く評価しておりますから、ヘルスキーパーの皆様方が生きがいを持って仕事をされれば、それだけ企業の従業員の方の健康増進に大いに役に立つ。これは視覚障害者の方々が生きがいを持って世の中に貢献をしているというお気持ちになるのにも最高の舞台回したと思うわけでございます。
 私も、連日委員会、委員会で首筋がこちんこちんに凝っているので、労働省にヘルスキーパーはいるのかと言ったらいないというので、それじゃだめだと、こう今言っておったぐらいで、実際、私も肩や首が凝らなければ人生楽だなあと思うくらい重度の肩凝りでございます。
 そういった意味で、ヘルスキーパーの方々が本当に全国で活躍をされるようになるといいと思いますし、堀先生もずっとこうやって努力してこられて、私も精いっぱいのお手伝いをしたい、そういう決意でございます。
#132
○堀利和君 以上です。
#133
○吉川春子君 国連の国際障害者年行動計画は、「ある社会がその構成員のいくらかの人びとを閉め出すような場合、それは弱くもろい社会なのである。障害者は、その社会の他の者と異なったニーズをもつ特別な集団と考えるべきではなく、その通常の人間的なニーズを充たすのに特別の困難を持つ普通の市民と考えられるべきなのである。」と述べています。
 雇用の場からも障害者を締め出さないことが非常に重要だと思います。しかし、いまだに最低限の雇用率さえ達成できないでいます。特に、労働者五百人以上、千人以上の大きな企業は雇用率がかなり低いわけです。
 大企業の方が中小企業よりも障害者を雇用する条件はあるはずだと私は思うのですが、なぜこんなに低い雇用率なのか、大企業の雇用率を高めるためにはどうすればいいのか、まず労働省の認識を伺いたいと思います。
#134
○政府委員(渡邊信君) 先ほどの御質問にもお答えいたしましたが、雇用率を企業規模別に見ますと、今御指摘のありましたように、小企業、中企業よりも大企業において、従来から雇用率のおくれが見られたところであります。
 私ども、したがいまして大企業を中心に雇用率を達成するように指導を強化しておりますが、その強化の中で出てくる話は、なかなか雇いたい人が見当たらない、決して雇わないということではないけれどもなかなか適格者が見つからないというようなお話がよく出ます。
 しかし、これはやはりトップの方の雇うという意思によるものではないかというふうに私ども思っておりまして、大企業を指導いたしますときにはトップの方に直接雇用をお願いしております。そういったことも全県でやってきておりまして、最近では千人以上の雇用率の伸びがかなり顕著であると、こういった改善傾向が見られているところであります。
#135
○吉川春子君 これを顕著であると見るか十年一日のごとしであると見るか、私は後者だと思うわけです。
 納付金制度というものがございまして、雇用率を達成しない企業は五万円を納めるというわけですけれども、労働省が出した事業主と障害者のための雇用ガイドによりますと、納付金について次のような記述があります。「企業が身体障害者を雇用する場合には作業設備や職業環境を改善したり、特別の教育訓練を行うなど経済的な負担がかかることを考え、雇用率に達するまで身体障害者を雇用していない企業から納付金を徴収し、これによって身体障害者を多く雇用している企業の経済的な負担を軽減するなど、主として身体障害者の雇用に伴う経済的な負担のアンバランスを調整しつつこ雇用水準を高めていくと、この文章を見て私びっくりしました。
 これをわかりやすく言いますと、障害者を雇うと損をする、だから障害者を雇っていない、すなわち損をしていない企業からお金を取って損をしている企業に補てんしてやるんだ、こういう発想になるんじゃないですか。障害者を雇用すると金がかかるという考えでもって、そして雇用率を引き上げるような行政指導をすること自体間違っているんで、この発想を私は転換していただきたいと思いますが、どうですか、大臣、こういう考え方を認められますか。
#136
○国務大臣(鳩山邦夫君) それ何の文書ですか。
#137
○吉川春子君 労働省などが出している、もう一つにも載っていますけれども。
#138
○政府委員(渡邊信君) 初めに納付金の趣旨等につきまして若干御説明させていただきますが、今労働省で出しておるパンフレットの引用がありましたけれども、そもそも納付金というものがどういう趣旨に基づいて設けられているかということだと思います。今障害者を雇うと金がかかるというお話でございましたが……
#139
○吉川春子君 労働省が言っているのよ。
#140
○政府委員(渡邊信君) 実際問題といたしまして、障害者の方の雇用を進めるというときには職場環境あるいは職場設備、こういったものを障害者に合ったように、障害者の方が職場に合うということではなしに障害者に合わせて職場環境を整備していく、こういったことをしませんと実際にはなかなか障害者の方の雇用が進まないわけであります。そういった意味から、いろんな機器等の開発も積極的に今行っている、こういったことでございまして、やはり障害者雇用には使用者の側に経済的負担があるということは事実であろうと思います。
 この障害者雇用促進法は、事業主が連帯をして障害者を雇用する、そういった社会連帯の理念に基づいてこの法律はそもそも納付金制度をつくっておるわけでございまして、そういった経済的負担というものを事業主の間で調整しよう、こういったことでもともとこの制度がつくられている。そういったものがそのパンフレット等の表現に出ているのではないかというふうに思います。
#141
○吉川春子君 ですから、そういう発想で障害者の雇用率を引き上げるとか、障害者をちゃんと雇用させるような条件整備をするとかいうことはなかなかできないということが、雇用率がなかなか上がらないという数字にも出てきていると思うのです。
 それで具体的に伺いますけれども、現在雇用率を達成せずに納付金を納めている企業は何社あるんですか。
#142
○政府委員(渡邊信君) 平成三年度が六千九百五社、平成四年度が七千二百二十九社となっております。
#143
○吉川春子君 その雇用率を達成していない企業にいわゆる雇い入れ計画書を提出させるようにしていますけれども、この計画書を提出している企業は何社ですか。
#144
○政府委員(渡邊信君) これは計画を作成するように命令を発した件数で申し上げますと、例えば平成四年度が二百二十一社、平成五年度が百五十九社というふうになっております。
#145
○吉川春子君 七千二百二十九社も納付金を納めている。つまり、雇用率が達成できてないので納めている企業があるうちの百五十九社しか雇い入れ計画書が提出されていない。この数字自体驚くべきことですが、これはいろいろ労働省が基準をつくっているとかとおっしゃるんでしょうけれども、その説明はきょうはいいです。
 それでは、その後、この計画書を提出した企業が雇用率を達成するところまで改善されているんでしょうか。その実情について報告してください。
#146
○政府委員(渡邊信君) 計画をつくっていただいて、どうしてもつくってもらえないところには計画作成命令というのを出すわけでありますが、それでも実施の姿勢が見られないというところには最終的には公表という制度がございまして、平成三年度でしたか、四社について公表した実績があるわけでございます。
 それ以後、さらに強力な指導を進めておりまして、おっしゃるように一定の基準をつくって計画を作成するように要請をしているわけでありますが、指導した結果、基準をクリアしてきておるというのが実態でございます。
#147
○吉川春子君 基準をクリアしていると抽象的におっしゃらないで、例えば九三年は七千二百二十九社のうち百五十九社しか計画書の提出を命じなかったわけですが、この百五十九社はことごとく法定雇用率をクリアした、こういうふうに今の答弁を伺っでいいですか。
#148
○政府委員(渡邊信君) 全体の水準がまだ一・四一ということでございますから、この計画作成を要請するところにつきましても一・六をクリアしたということではございませんで、若干下回る水準ですが、それをクリアしたということでございます。
#149
○吉川春子君 若干下回るというのは、結局その百五十九社のうち何社が法定雇用率を達成し、何社が達成しなかったのか。達成しないとすれば、若干差が低いというその若干とはどれぐらいの数値なんですか。
#150
○政府委員(渡邊信君) 先ほど申しましたように、一・六の雇用率を一挙に達成するということはなかなか難しいわけでありまして、私どもも段階的に達成していただくようにお願いしているわけであります。
 百五十九社のうち実際に何人採用したかということは、恐縮ですが現在手持ちの資料はございませんので明らかでございません。
#151
○吉川春子君 それは、今ここに手持ちの資料がないだけですか。それとも、そういう統計をきちっととって最後まで追跡していないということなんですか。
#152
○政府委員(渡邊信君) 指導しておる企業につきましては最後まで追跡をしております。
#153
○吉川春子君 昨日来、質問通告もしているのに、ここへもってきてそういう労働省の実績を答弁されないというのは非常に不可解です。
 それで大臣、ちょっとさっきの質問の続きですけれども、障害者を雇用するというのは金がかかるんだ、雇っているところと雇っていないところとアンバランスがあるんだ、だからこれを埋めるために納付金を納めさせているんだ、こういう発想を根本的に改めていただいて、ともかく障害者をちゃんと雇用するために、大体法定雇用率だって低いですよ。それはきょうは触れませんけれども、そのためにやっぱりペナルティーの意味も持たせてやるんだ、そういう姿勢に立たない限り雇用率はなかなか引き上げられないと思うんですけれども、その根本的な考え方はいかがですか。
#154
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先ほどの文章を今手に入れましたけれども、これは障害者を雇うと損をすると言っているわけではないんです。つまり、障害者の方に一生懸命頑張っていただくために安全の設備とか手すりとか、そういうことではお金がかかるでしょうということが書いてあるんです。
 でも、やっぱりこの文章はうまくはないですね。障害者を雇うと損をするとは書いてないんだけれども、ちょっと読み方によってはそういうふうに見えてしまう人もいるかもしれないと思うものだから、私はこれを見て、少なくとも私だったらこんな下手な文章は書かないなと思いましたよ、正直言って。
 だから、障害者を雇うということは、もちろんそれは今申し上げたような形でいろんな設備をつくるということでは確かに経済的な負担もかかることではあるでしょう。しかし、障害者を雇うということは損だとか得だというのでなくて、まさにそれは社会の責任であり、一定規模の会社であるならば企業の社会的責任あるいは愛情、友愛、そういう問題だということを私たちはもっと強く訴えていかなければならないなと思います。
 だから、そういう観点に基づいてこれからやっていきたいと思うわけで、ですから、今の計画作成命令というのも、調べてみたら、調べてみたらというのはなんですが、これは労働大臣が命令をするわけです。もちろん私がしたわけじゃないが、これはそういうふうに労働大臣が命令をしたことでありますから、その命令の結果がどうなっているかということはきちんと把握させるように努力させます。
#155
○吉川春子君 現在、希望しても就職できない障害者がたくさんいるわけです。その数字を具体的に伺いたいのですが、職安に登録された人、そして就職した人、登録されたけれども就職できなかった人、それぞれ何人いますか。二、三年か四、五年ちょっと報告してください。
#156
○政府委員(渡邊信君) 公共職業安定所に求職登録を行っております障害者の有効求職者数ですが、平成元年度末から三年度末までは五万五千人程度で推移をしてまいりましたが、四年度末で六万一千人、五年度末では七万一千人と増加をしております。
 このうち具体的に実際に何人の方が就職できたかというのははっきりしておりませんけれども、このように求職者数が近年増加をしているという理由につきましては、求職を申し込む新規の求職者の方がふえる一方で求人の件数がやはり減少しているということが理由になっているようであります。
#157
○吉川春子君 職安に登録しても就職できないでいる方々が六万人も七万人もいるということは非常に問題だと思うんです。だからこそ雇用率を達成しなきゃいけないわけなんです。
 私は、職安の役割が非常に重要だと思います。例えば、日本一大きな飯田橋の職安、これは大臣の選挙区ですか、文京じゃありませんか。そこへ実はちょっと調査に伺ったんです。ここは、障害者関係で言うと正規の職員は四人、そして嘱託の相談員が五人で就職のあっせん、定着、求人先の開拓その他を中心的に行っておられるわけですけれども、飯田橋では四千社の企業がある。ここは日本一大企業が集中している職安なんです。そのうち三千社は未達成企業なんです。それで、これらの企業に雇用指導を行うだけでも大変なんです。しかも、この飯田橋は定数削減で二名数が減っているんです。
 私が行ったときも、私が幾つか行った職安の中では一番広いんですけれども、そのフロアも人でごった返していました。そういう中で、職安の職員の皆さんの御苦労も並み大抵ではないと思うんですが、こういう体制ではなかなか雇用率の引き上げというのはできないと思うんです。だから、ぜひ職安の体制を強化して雇用率の達成に努めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#158
○国務大臣(鳩山邦夫君) これは率直に申し上げて、前に文部大臣という仕事をやらせていただいたときに、それは例えば私立の大学、高校でも学校法人です。特別に法人として認められています。それ以外はいわゆる公教育でございます。だから、都道府県の教育委員会とか、あるいは私学であればその連合会とか、ある意味ではそういうところにしか文部省というのは接触ができないんです。
 ところが、労働省というお役所は、労働基準監督署も全国にいっぱいあるわけだし、公共職業安定所も六百以上あるわけです。それらはすべて直接民間と接触をして、民間を指導したり民間から頼まれたり、いろいろやっているわけです。私はその違いというのに非常に驚いているわけで、これをどこまできちんとできるかということになると、どうしても人員増強というのは必要になってくるわけです。
 行政改革だ、定員削減だということが世の中のはやりになってしまっているけれども、実際要るべきところには要るんだ、必要なところは必要なんだと。行政改革というのは要するにむだを排してよりマンパワーを有効なところにつけていこうということだろうと思うわけですが、日本人はややブームに弱くて、とにかく減ればいいんだ、一人でも減ればいいんだというふうに思ってしまいがちだけれども、実際そうではないので今後の労働行政を本当に強化してやっていく場合、それは労働基準監督署も公共職業安定所もこれから二十一世紀に向かって日本の雇用のために本当に力を出していくためには、私も視察をしてみますが、体制の強化というのがこれから必要になってくるであろうと私は想像をしております。
#159
○吉川春子君 最後に、不況などのしわ寄せがやはりどこでも弱いところに集中しているんですけれども、真っ先に障害者が首を切られるという報告も私のところにあるわけなんです。
 障害者の解雇数がどれぐらいあるのかということを直近のものも含めて報告していただきたいのと、例えば助成金をいろいろもらっていて、わざと三年ごとにその障害者の首を切ったり、それで新規採用をしてまた新たに助成金をもらうという企業がいるというような訴えも来ているんですけれども、そういう切実な声に耳をかしていただいて、助成金目当ての首切りとか新規採用の穴埋めで障害者雇用の促進が図られるとは思えませんので、具体的な企業の名前も私はつかんでいるんですがそれは言いませんけれども、こういう企業に対しては厳しく指導していただきたい、その点を最後に伺います。
#160
○政府委員(渡邊信君) 障害者を解雇します場合には公共職業安定所に届け出をさせるということにしておりますけれども、届け出のありました障害者の解雇数は、平成三年度で四百八十二人、四年度で一千百二十五人、五年度で一千九百七十六人というふうになっております。
 こういうぐあいに最近障害者の解雇者数がふえているわけでありますが、これは必ずしも障害者の方を先に解雇するということではございませんで、私どもが把握している限りでは、近年非常に不況が長引いている、こういったことを背景といたしまして事業所の倒産あるいは閉鎖が増加しておりますが、それに伴って障害者の解雇数もふえてきておると、こういう理解をしております。
 仮に、先生おっしゃったようなケースがあるとしますれば、それは厳しく指導したいと思います。
#161
○吉川春子君 終わります。
#162
○三石久江君 最後の質問者になりました三石です。
 今回の障害者の雇用促進に関する質問ですが、私は重度心身障害者、障害児並びに肢体不自由児などに対するボランティア活動に個人的にかかわってまいりましたが、障害者の職業能力の習得にはいろいろな難しい問題があることを承知いたしております。その経験を踏まえて質問をさせていただきます。
 また本日は、傍聴席に筑波大学大学院ドクターコースに在学しており、心身障害学研究科心身障害学専攻をしている松山光生君という優秀な青年が来ております。障害者のお一人です。
 まず、今回の障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案は、平成四年の第百二十三回国会における改正から余り間もないうちの改正です。その後、平成五年、障害者対策に関する新長期計画が作成されましたが、今回の改正はどのような趣旨、内容のものなのか、お尋ねいたします。
#163
○政府委員(七瀬時雄君) 障害者の雇用の状況を見ますと、重度の障害の方々、そして精神薄弱者それから精神障害者、障害回復者の方々などを中心といたしまして、働くことを希望しながら仕事につくことができない方々が多数おられると。そういった方々の雇用に対してさらに積極的に取り組んでいく必要があるということから御提案を申し上げている次第でございます。
 特に、今回の改正といたしましては、職業生活における自立を図るために継続的に支援が必要であると、そのためには市町村レベルでそういったきめ細かな職業リハビリテーションを行うことができるような体制を整備すること。それから、障害者の皆さんを取り巻く職業生活環境の整備を図る、あるいは障害者の方々が福祉ということにアクセスできるような、そういった形で助成金をそういうことに支給できるような根拠を設ける、こういったことを中心に考えているところでございます。
#164
○三石久江君 次に、障害者雇用支援センター、支援センターの内容は、先ほどの小野議員の質問でお聞きしましたが、今までにも障害者職業センター、障害者職業能力開発校がありまして、各県には一カ所ずつ地域障害者職業センターがあります。それらとの関係はどのようになりますか。また市町村レベルで障害者雇用支援センターを一カ所指定するといたしますと、全国的にかなりの数のセンターができることになりますが、それらの設置計画はどのように進めていかれるのか、かなりの予算を必要とするように思いますが、いかがですか。
#165
○政府委員(渡邊信君) 障害者職業センターは、今おっしゃいましたように日本障害者雇用促進協会の内部組織としまして現在各県に一所ずつ設置されているものでありまして、ここでは職業評価ですとか職業指導を専門的に行っているところであります。
 今回設置をお願いしております障害者雇用支援センターは、重度の方の雇用を促進するということで、授産所等の福祉施設と連携をとりながら雇用の促進を図りたいというものでございますが、その際にはこの障害者職業センターに職業評価等お願いしながら、依頼しながら、そういった形で連携をとりながら雇用支援センターの業務を進めていきたいというふうに思っておりまして、各県一つの職業センター、それと将来的にはそのセンターの周りに幾つかの雇用支援センターができると、そういった姿を想定しているわけであります。
 また、障害者職業能力開発校ですが、この能力開発校は障害者の方に対してかなり専門的な能力開発を行うと、こういった機関でございます。また、設置計画ですが、今年度は予算上四カ所セットしておりますが、これは市町村が主体になってつくっていただくということですから、市町村の主体的努力がまず前提としてあって、それを国として支援したいということでございまして、市町村の取り組む姿勢というものが大変大事なわけでございまして、今後どれだけ設置されるかということは、今年度の四所の設置状況等見ながらさらに検討していきたいというふうに考えております。
#166
○三石久江君 予算の必要ということをお伺いしたんですけれども。
#167
○政府委員(渡邊信君) この予算につきましては、先ほどからお話に出ております納付金の制度の中で賄っていきたいというふうに思っておりまして、おのずと限界のある財源でございます。全国津々浦々に国費をもって、この納付金をもってこのセンターを設置するということは到底不可能であろうと思っておりまして、やはりモデル的な事業として設立をしていくということになるのではないかと思います。
 これからさらに、国の助成でもちまして雇用支援センターを設置する必要があると思いますが、基本的には市町村に設立をしていただくということで考えたいと思っております。
#168
○三石久江君 次に、障害者雇用支援センターでは個々の障害者に対してきめ細かな支援をすることになりますので障害者の職場定着に効果的であると思いますが、職場定着を円滑にするには職場の上司や同僚の意識、理解が欠かせません。このような上司、同僚の理解を進めるための施策としてはどのような措置を講じていますか。
#169
○政府委員(渡邊信君) 障害者の方の雇用、採用ということにつきましては、やはり企業のトップの決断というものが大変大事だと思いますが、職場についたその後のことにつきましては、同じ職場で働いております同僚、上司、こういった方の理解、協力というものが不可欠であろうかというふうに思っておりまして、職場での雰囲気というふうなものが障害者の方の雇用を進めるあるいは定着を進める上で大変大事なことだというふうに思っております。
 このため、原則としまして、障害者を五人以上雇用しております事業所ごとに職場管理者、同僚あるいは障害者本人等をメンバーといたします障害者職場定着推進チームというものの設置を行政として要請をしております。さらに、五人以上の障害者を雇用する事業所につきましては、障害者職業生活相談員の選任というものを義務づけまして、職業生活全般について障害者の方の相談に乗るという、こういうシステムをつくるように要請をしておるところでございまして、こういったことによりまして適切な雇用管理が行われるよう期待をしているところであります。
#170
○三石久江君 次に、障害者の就労支援機器についてお尋ねいたします。
 最近の情報処理機器の発達は、障害者雇用の可能性を大きく広げております。さまざまな障害に対応した入力装置を備えたコンピューターやソフトが開発され、このような機器があって初めて就労可能となったケースも実際に出ていると聞いております。障害者の雇用を促進するためには、このような就労支援機器を事業主が積極的に導入できるよう必要な援助をしていくべきであると考えますが、現在どのような措置を講じておりますか。
#171
○政府委員(渡邊信君) 障害者の就労支援機器の開発につきましては、近年相当これが進んできている状況にあります。行政としましても、このような機器が導入されまして障害者の雇用が進むという観点から助成措置をとっているわけでありますが、具体的に申しますと、盲人用のワードプロセッサーあるいは作業用の車いすなど、障害者の業務を容易にするために必要な機器を設置、整備する場合には事業主に対しまして対象者一人について四百五十万円、一事業所につき一年度当たり四千五百万円を限度として費用の三分の二を助成する、こういった制度を設けております。
#172
○三石久江君 ところで、このような就労支援機器があることを知らない事業主が多いのが実情ではないかと思います。助成措置だけでなく、これらの機器の普及に関する事業主への啓発を行っていくべきだと思いますが、労働省の対応はいかがですか。
 また、労働省自体として就労支援機器の開発はどのように考えておられますか。
#173
○政府委員(渡邊信君) 障害者の就労支援機器につきましては、全国の公共職業安定所あるいは地域障害者職業センターにおきましてパンフレット等を通じまして事業主に対します啓発あるいは宣伝、こういったものを行っております。
 さらに全国に四カ所、障害者雇用情報センターというものを設けておりますが、ここでは実際にこういった機器の展示、説明等を行っておりまして、こういったものを通して普及、啓発を行っているところであります。
 さらに、事業主の一層の理解を深めるということで、今年度からは障害者を雇用しようとする事業主に対しましてこういった機器を貸し出すといった事業を新たに始めたいというふうに思っております。
 労働省としましても、国が直接というよりは、日本障害者雇用促進協会におきましてこういった機器の開発を実際に手がけております。
#174
○三石久江君 そこで、今回の改正には障害者を取り巻く職業環境整備を図るための助成措置の拡充が盛り込まれておりますが、通勤や住宅対策、さらに各種福祉対策のための施設設備の設置、整備に関しては総合的な福祉事業の一環として関係省庁が連携して政府全体として取り組んでいくことが必要と考えますが、労働省としてはどのように考えておられますか。
#175
○政府委員(渡邊信君) 障害者の方の職業生活を取り巻きます環境整備につきましては、例えば交通ターミナルの施設の整備ですとか、幅の広い歩道の整備等の移動や交通に関する対策、あるいは障害者の利用に適しました、配慮いたしました住宅の設置等の住宅対策、さらには精神薄弱者通勤寮の運営など、日常生活面での福祉対策、こういったものが重要なことだというふうに考えております。
 こういった施策は、御指摘のように総合的計画的に進められることが必要でありまして、これはやはり政府全体が一体となって取り組む課題であろうというふうに思っております。労働省も単独で雇用の推進ということじゃなくて、これら関係省との政策の連携をとりながら雇用の促進についての事業を進めていきたいというふうに思っております。
#176
○三石久江君 最後に、大変難しいことだと思いますが、障害者をめぐるさまざまな問題の解決には政府全体の積極的な施策の展開も必要ですが、何よりも国民全体の理解が必要不可欠であると考えます。障害者の雇用の促進に関しましても、最終的には事業主の意識の問題、さらには国民全体の意識の問題にかかってくると思います。
 そのような意味で、さまざまな機会を通じて事業主や国民の意識啓発を図っていくべきだと思いますが、労働大臣の見解をお伺いして質問を終わります。
#177
○国務大臣(鳩山邦夫君) それは大変難しい課題でございますが、ぜひともやり遂げなければいけない課題でございまして、事業主だけでなくて一般の勤労者の方々も、あるいは政界や行政の世界におる我々も、みんなの意識の問題であって、先ほど吉川先生の御質問に対してもお答えを申し上げましたように、そういう障害者を受け入れていくのは社会の責任である、国家としての責任である、我々みんなの責任である。そして彼らに温かくすることは当然のことであって、損だとか得だとかいうようなことで物を考えてはいけないと、こういうことが世の中一般に広く行き渡るようにあらゆる啓発活動等をしていかなければならないと私は考えるわけでございます。
 私は、地元出身の山下清画伯、日本のゴッホ、天才の放浪画家と言われた山下清画伯のことをいろいろ興味を持って調べることもあるわけですが、彼が八幡学園というところで勉強しておった。その八幡学園の関係者の方々が山下清さんの余りに純粋な、そして純真な心を見ていると、自分たちの方が異常で山下清さんの方が人間として正常なのではないかと思ったと、こういうような話を聞いたことがありまして、とてもいい話だなと私は思うわけで、少なくともリクルートとか佐川から金をもらうやつよりははるかに人間としてまともだということが言えるわけでございます。
 そういう意味で言えば、学校の試験はできる、手足も丈夫だ、しかし人間として我々がみんなまともであるかどうかといえばそれは厳しくいつも反省をしなければいけないわけで、何が正常で何が正常でないなどということは神様でも判定できないことではないか。みんな自然にこういうふうに生まれついてきたわけで、いわゆる障害者と言われる方々も障害者と呼ばれたくて生まれてきたわけではない。そういうことを考えればみんな一緒に暮らしていくんだという気持ちを我々も持たなくちゃいけない、みんなにも持っていただく、これが私の考え方でございます。
#178
○委員長(野村五男君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#179
○委員長(野村五男君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#180
○委員長(野村五男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#181
○委員長(野村五男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
#182
○委員長(野村五男君) 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。鳩山労働大臣。
#183
○国務大臣(鳩山邦夫君) ただいま議題となりました高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 現在、我が国においては人口の急速な高齢化が進展しており、これに伴い、労働力人口の高齢化も急速に進み、二十一世紀初頭には労働力人口の四人に一人が五十五歳以上となることが見込まれております。他方、高年齢者の雇用失業情勢は極めて厳しい状況にあり、今後、ますます深刻化することが懸念されております。
 しかしながら、我が国の高年齢者は少なくとも六十五歳くらいまでは働くことを希望しているなど就業意欲が極めて高く、また、今後、若年・中年層を中心に労働力人口が減少に転ずること等から、我が国経済社会の活力を維持し、高年齢者が生きがいを持って暮らすことのできる社会を築くためには、六十五歳に達するまでの雇用機会を確保することが喫緊の課題となっております。
 このため、今後は、企業における六十五歳に達するまでの継続雇用制度の導入を促進するとともに、高年齢者がその希望に応じ多様な形態により就業し得るための施策を推進していくことが求められているところであります。
 この問題につきましては、雇用審議会及び中央職業安定審議会における昨年十月以来の検討の結果、同年十二月に雇用審議会から答申を、また本年一月に中央職業安定審議会から建議をいただき、法的整備の方向が示されたところであります。
 政府といたしましては、これらの答申及び建議に沿って、六十五歳に達するまでの雇用機会を確保する対策を推進するための法律案を作成し、中央職業安定審議会にお諮りした上、ここに提出した次第であります。
 次に、その内容の概要を御説明申し上げます。
 第一に、六十歳定年の完全定着を図るため、事業主が定年の定めをする場合には、高年齢者が従事することが困難な業務として労働省令で定めるものに従事している以外の者については、当該定年は六十歳を下回ることができないことといたしております。
 第二に、企業における六十五歳に達するまでの継続雇用の推進を図るため、労働大臣は、必要があると認めるときは、事業主に対し、継続雇用制度の導入または改善に関する計画の作成を指示し、また当該計画の変更または適正な実施に関する勧告をすることができることといたしております。
 第三に、六十歳以上の高年齢者に対し、多様な形態による就業を促進するため、労働者派遣法の特例を設けることとし、その事業の派遣労働者が六十歳以上の高年齢者のみである場合には、港湾運送業務、建設業務その他一定の業務を除き、労働者派遣事業を行うことができることといたしております。また、この場合において、派遣期間を原則として一年以内とすることといたしております。
 第四に、労働大臣は、六十歳以上の高年齢者に対し、その職業経験から得られた知識及び技能を活用できる短期的な雇用機会を提供することを目的とする公益法人を高年齢者職業経験活用センターとして指定するとともに、この高年齢者職業経験活用センターの健全な発展を図ることを目的とする公益法人を全国高年齢者職業経験活用センターとして指定することとし、高年齢者の希望に応じた雇用機会を提供するための体制を整備することといたしております。
 第五に、労働者はみずから進んで高齢期における職業生活の設計に努めることを法の基本的理念に追加するとともに、労働者が職業生活の設計を行う機会を確保することについての事業主の配慮に関する規定を設けることといたしております。また、公共職業安定所は労働者の職業生活の設計について必要な助言または指導を行うことができることといたしております。
 この法律の施行は、第一の部分を平成十年四月一日から、第三の部分を公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から、第四の部分を本年七月一日から、第五の部分を本年十月一日からとし、これ以外の部分を平成七年四月一日からといたしております。
 以上、この法律案の提案理由及びその内容の概要につきまして御説明申し上げました。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#184
○委員長(野村五男君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時四十分散会
     ―――――・―――――

ソース: 国立国会図書館
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