くにさくロゴ
1994/06/20 第129回国会 参議院 参議院会議録情報 第129回国会 労働委員会 第5号
姉妹サイト
 
1994/06/20 第129回国会 参議院

参議院会議録情報 第129回国会 労働委員会 第5号

#1
第129回国会 労働委員会 第5号
平成六年六月二十日(月曜日)
   午後一時二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月九日
    辞任         補欠選任
     武田 節子君     横尾 和伸君
 六月十三日
    辞任         補欠選任
     横尾 和伸君     武田 節子君
 六月二十日
    辞任         補欠選任
     松尾 官平君     星野 朋市君
     中西 珠子君     木庭健太郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         野村 五男君
    理 事
                柳川 覺治君
                庄司  中君
                細谷 昭雄君
                笹野 貞子君
    委 員
                小野 清子君
                田辺 哲夫君
                千葉 景子君
                西岡瑠璃子君
                浜本 万三君
                足立 良平君
                石井 一二君
                星野 朋市君
                木庭健太郎君
                武田 節子君
                吉川 春子君
                三石 久江君
   国務大臣
       労 働 大 臣  鳩山 邦夫君
   政府委員
       厚生大臣官房審
       議官    
       兼内閣審議官   近藤純五郎君
       労働大臣官房長  征矢 紀臣君
       労働省労働基準
       局長       石岡慎太郎君
       労働省婦人局長  松原 亘子君
       労働省職業安定
       局長       七瀬 時雄君
       労働省職業安定
       局高齢・障害者
       対策部長     渡邊  信君
       労働省職業能力
       開発局長     松原 東樹君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐野  厚君
   説明員
       文部大臣官房総
       務審議官     中林 勝男君
       厚生省児童家庭
       局児童手当課長  角田 博道君
       労働省職業安定
       局雇用保険課長  戸苅 利和君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(野村五男君) ただいまから労働委員会を開会いたします。
 雇用保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○柳川覺治君 私はまず第一に、雇用に関するビジョンにつきまして大臣の御見解等を賜りたいと思います。
 厚生省の人口問題研究所による世界と日本の人口の推移を見させていただきますと、まず世界の人口は毎年一億ずつふえ、一九九〇年の五十三億人が二〇〇〇年には六十二億人を超え、また二〇二五年には八十五億人に近づくという結果が出ております。二〇五〇年には百億あるいは百二十億の人口になるとも言われております。
 うち、先進国につきましては一九九〇年の十二億一千万人が二〇〇〇年には十二億七千万人に、そして二〇二五年には十四億人とわずかですが増加している状況でございます。また開発途上国を見ますと、一九九〇年の四十億人が二〇〇〇年には四十九億五千万人、二〇二五年には七十億人に急増いたします。
 一方、我が国の人口の推移を見ますと、日本では一九九四年現在、人口総数は一億二千五百十一万五千人、男性六千百四十二万四千人、女性六千三百六十九万一千人でございます。二〇〇〇年には一億二千七百三十八万五千人、二〇一一年に一億三千四十四万人になります。これをピークといたしまして、二〇一二年には一億三千四十二万五千人と減少いたします。
 江戸時代まで三千万の人口が一億二千万台、三千万台に大きな人口の伸びをしたわけでございます。二〇一二年には、大臣は二〇一三年に六十五歳におなりになるそうでございますが、その前の年に人口の減少という初めての経験をいたすわけでございます。二〇二〇年には一億二千八百三十一四万五千人、二〇五〇年には一億一千百五十一万人と減少いたします。
 現在、五十分の一の民族が営々として知恵と努力を重ねて今日の世界経済の一三%の経済大国を樹立いたしました。やがてこの五十分の一が百分の一の民族ということで、この国を支えていくことは二十一世紀を担う人たちは大変だなと、先代以上に知恵と努力を要するという感じがいたす次第でございます。
 世界の経済は、一九九〇年代は旧ソ連、東欧諸国の市場経済への移行の影響等もあり経済成長率は三%弱でありますが、二〇〇〇年代は中国、旧ソ連、東欧が高い成長率を示すが、先進国では高齢化による労働供給力の低下、エネルギーの制約により二%半ばの成長率になると言われております。日本におきましても、二〇〇〇年代には高齢化による労働供給力の低下、エネルギーの制約、労働時間の短縮などにより経済成長率はますます鈍化すると憂えられております。
 このような状況の中で、現に雇用問題は世界的に深刻の度を増しております。特に主要先進国では、一九九三年の失業率を見ますとイギリスが一一・二%、ドイツが七・三%、フランスが一一・五%、アメリカが六・八%と、総じて悪化を続けており、主要先進国は失業の急増、長期化に苦しんでおります。
 振り返って我が国も、失業率の水準は世界に比して低いものでございますが、戦後最長と言われる不況の長期化により、本年四月の有効求人倍率は〇・六六倍、完全失業率は二・八%と、憂うべき状態にあります。
 本年七月のナポリ・サミット、先進国首脳会議においては成長と雇用が主要テーマとされることが予定されており、先日開催されましたOECD閣僚理事会においても同様のテーマが議論され、共同声明において失業との闘いを声明されるなど、雇用問題の解決は今や世界に共通する最重要の政治課題となっております。
 このような中にあって、我が国経済社会は転換期を迎えており、内外にわたる経済構造の変化、企業の海外進出、産業の空洞化などに呼応して新しい社会システムをつくり上げていく必要があります。雇用についても例外ではなく、構造変化のもとで産業構造の高度化や企業のリストラの進行に呼応し、将来の日本経済の発展の基となる新たな産業が成長し、雇用の場が確保されるようにしていくことも極めて重要なこととなってまいりました。
 先日発表された中期雇用ビジョンにおいても、雇用政策について、終身雇用を初めとする日本型雇用慣行を前提とした失業の予防を中心とする対策については、これを生かしつつも、雇用情報提供機能の充実、職業訓練の強化等、雇用の流動化を前提とした政策の必要性が強調されているのもこのゆえんであろうと思います。
 今後の雇用対策を推進するに当たって、単に衰退産業から成長産業への産業構造の変化を促進するための数合わせといった発想ではなく、これまでの日本型雇用慣行が、我が国労働者の雇用の安定や、経済社会の発展に果たしてきた役割や、中小企業労働者に及ぼす影響など、十分分析し評価された上で行われるべき課題であろうと存ずる次第でございます。
 そこで、労働大臣に御質問いたします。今後日本型雇用慣行がどのように変容していくとお考えか、またどのような基本的考え方に立って雇用対策を進めていかれようとしておられるのか、労働大臣の御見解をまずお伺いいたします。
#4
○国務大臣(鳩山邦夫君) ただいま柳川先生のお話は、人口減少のことに始まってナポリ・サミットにもお触れになり、今後の経済構造の変化、そうした中で日本型の雇用システムがどうなっていくかというような点等を、これから新しい時代がやってくるという観点からお触れになったわけであります。
 ずっとお伺いをいたしておりまして、柳川先生のとらえておられる諸課題というものは、まさに今私どもがきょう、あすだけでなくて、来年、再来年そして二十一世紀、あるいは二十二世紀を目指して日本の経済は、あるいは労働行政はいかにあるべきかという観点でとらえるべき点、それらを先生はすべて網羅してお話しになったというふうに思っております。
 そこで、先生が最後に質問された日本型の雇用慣行ということでございますが、例えば先般のOECDの閣僚理事会、恐らく課題はナポリ・サミットヘとつながっていくことと思いますけれども、そのOECDの閣僚理事会では、いわゆる成長と雇用という問題、あるいは今の雇用失業情勢という状況、これらの解決のためには、単に景気循環的な事柄に対応する政策、いわゆるマクロ経済というんでしょうか、財政政策とか金融政策だけでは足りません。構造的な雇用に関するもの、あるいは雇用に関するもの以外もありましょうが、その経済の構造を改革していくことが大事だということが触れられているわけでございます。
 また、先生がお触れになった雇用政策研究会にお願いして報告をいただいた二〇〇〇年をめどにした中期雇用ビジョンも、同じようにマクロ経済だけではなくて、いわゆる構造的な問題を処理しなければならないということが触れられているわけでございます。
 そういう中で、我が国の経済の構造でもあり、労働あるいは企業というものの構造の一つである日本型の雇用慣行とはいかなるものであるかということを考えた場合に、私どももあるいは雇用政策研究会の皆さんも、基本的に日本型の雇用形態というもの、終身雇用とか年功序列型とかいろいろ言われますが、そういう古い言葉を使うかどうか別にして、日本型の長期に同一の会社に勤務するという、この形態、システムというものは日本経済を支えてきた大きなパワーではなかったか。
 そして、これから新しい時代になっていくけれども、基本には日本型の雇用慣行というものが据えて置かれるべきではないか。これを排除しようというような労働力の流動性とか、あるいはオープンな労働市場とかいうことを意識し過ぎる余りに、日本型の雇用慣行というのは間違っているんだというような観点で論を進めていくと、私は労働行政を誤るだろうと、そのように考えております。
 大体、経営者でも八割あるいは八割以上、あるいは勤労者、労働者の側から見ても七割とか八割の方が日本型の雇用形態という方にメリットをより強く感じている。そうなりますと、私はこの長期雇用システムというのは基本的に維持すべきである。ただ産業構造が変わって、先生御指摘のように新たに雇用が生まれるわけですから、それからまた要らなくなってしまう、需要の減っていく部門もありますから、そういうところに労働力がうまく移動していくことが望ましいわけです。
 例えば、ある産業がだめになった、産業構造の変化、あるいは規制緩和ということでだめになった。片や、例えば情報通信分野で新しい雇用が生まれた。本当はだめになった、だめになりつつある分野の企業が社内で方針転換して情報通信の方にみずから少しずつ移っていって、社内でも訓練をしながら移っていってくれれば一番いい、こういうことなんでありましょうが、なかなかそればかりというわけにはいかないでしょう。そういう場合の労働力の移動というのが、できるだけ失業というものを経なくて済むようにしていくということが肝要ではないか、こういうふうに考えております。
 ちょっと長くなり過ぎましたが、基本的には日本型の雇用慣行というものを維持しつつ、新しい時代や経済構造の変化に対応して労働力が移動していく場合に、失業なき移動ができるようにすべての策を尽くしていくのが労働行政のあるべき姿だ、こう思っております。
#5
○柳川覺治君 私も基本的にはその辺がポイントだと思います。そして、産業構造の変化が見込まれる中でこれに対応していく、そのためには働く人たちが、大臣おっしゃられたとおり、うまくこのような変化に対応できることがポイントであると思われます。
 しかしながら、このようなときには、そのしわ寄せが往々にして中高年齢の人たちに集中し、高齢者雇用を進めようとしている政府の意図とは反対に、こうした人々の雇用がますます脅かされるのではないかとの危惧が持たれております。中期雇用ビジョンの中でこの問題についてどのように評価されているか、お伺いします。
#6
○政府委員(七瀬時雄君) 中期雇用ビジョンにおきましては、ただいま先生がおっしゃいました産業構造の変化に伴う雇用問題が、下手をすると中高年齢者にしわ寄せがいくという問題意識を非常に大きく持っているわけでございます。特に、先ほどお話がございましたように、年齢構成自体が非常に高まってきているということが重要な要素ではないかというふうに思っております。
 そういった中で、各年代層、バランスのとれた形で雇用政策を進めていくべきであるという基本的な考え方。ただ、それと同時に産業構造の変化によって技術革新が起こってくる、そういったものに対する対応を考えますと、なかなか中高年の皆様方には難しい問題が出てくる。そして、非自発的と申しますか、やむを得ざる事情で転職をしていかなきゃならぬということもいろいろ出てくる。そういうことに対して、失業のない形で中高年の方々が移っていけるようなシステムを能力開発の面でも、あるいは出向システムの構築といった面でも、そういったものをつくっていかなければならないということでございます。
 特に、高齢者の方々はいろいろ技術革新その他でバックアップしなければならないような問題も出てまいりますので、そういった助成金の活用であるとか、それよりも何よりも高齢者の方々の能力に対する社会的な評価といいますか、大臣も申しますように昔の五十五歳が今の六十五歳だといったような、高齢者の能力に対する社会的な意識を変えていく、そういったことも必要ではないかというようなイメージで中期雇用ビジョンをつくっていただいた、こういうふうに認識いたしております。
#7
○柳川覺治君 物の本寺で、二〇〇〇年の日本経済につきましては、構造的には農林水産業はシェアを落とし、二〇〇〇年には就業人口は全体の五%を切る。素材産業は輸入によりシェアを落とす。加工組み立て産業は海外現地生産が進み、シェアを落とす。二〇一〇年には海外現地生産比率は欧米並みに二〇%程度になると考えられているようでございます。
 一方、サービス産業はシェアを増大し、二〇〇〇年には全産業の五五%を占め、就業人口は七〇%を占めることになると言われます。成長産業としては、労働時間の短縮によるレジャー産業、高齢化による医療・福祉産業、女性の進出による家庭・育児支援産業などが挙げられております。ソフトになってきておるということでございます。
 そういう中で、これまで我が国の産業は幾多の構造的変化を日本型雇用慣行を生かしながら乗り切って、大臣おっしゃられたとおりでございますが、直面している産業構造の変化に対して、これまでの経験の上に立って対応していくことが基本であり、具体的には企業が発展の見込まれる新分野の事業活動を行い、これに必要な人材を企業もみずから育成していく必要があると考えられます。
 ところで、このための能力開発について今後どのような支援を行っていかれるか、先ほども触れられましたけれども、もう一度お願いいたします。
#8
○政府委員(松原東樹君) 御指摘ございましたように、産業構造の変化の中で雇用の安定を図りながら労働力の再配置を円滑に進めていくためには、企業みずからが新分野の事業活動に必要な人材を育成していくことが重要であるというふうに私どもも考えております。
 労働省では、このために企業が行います教育訓練につきまして、必要な経費あるいは訓練の受講者にかかわります賃金の助成、あるいは教育訓練に関します各種の情報の提供、相談、援助などを実施し、あるいは企業が行う訓練の利用に供するための施設の整備を行って企業内訓練の振興に努めておるところでございます。また、公的な職業能力開発施設におきましても、企業に在職しております在職者向けの訓練コースを充実してきているところでございます。
 今後とも、これらの施策の一層の充実発展を図りまして、産業間あるいは職業構造の変化に対応した能力開発のための施策を積極的に推進してまいる考えでございます。
#9
○柳川覺治君 大臣が触れられましたマルチメディアの問題につきましても、最近アメリカでは、二〇〇〇年までにハイウエーの光ファイバー等の大きな進展が計画されております。現実に進んでおります。
 今アメリカでは、三百万人の人がコンピューターを駆使して、在宅で極めてフリーな形の状態にあるということが言われております。我が国も二〇〇一年を期して、この面の大きな推進が通産省の審議会からも出されております。我々が想像する以上の何か変化があるような感じがしました。年寄りにはとってもついていけない感じもあるわけでございますけれども、そういう変化の中に、労働行政の大きな対応について心からお願い申し上げる次第でございます。
 そこで、かねてから日本は経済はもとより教育、科学技術あるいは文化、スポーツ、あらゆる面で世界とともに交流し、人類の平和と繁栄に貢献する役割を意識し、それなりに取り組んでおるところでございます。
 先ほども申しましたとおり、海外への工場進出が二〇%を超えていくという、そういう中でございまして、先日も産業界の方にお聞きしました。工場が海外に行った場合、日本人はどのくらい行くんですかと申しますと、役員と指導者の一部が行く、あと実際に生産を担当するのは現地の方々を雇用していくということが基本的な考えということでございます。日本において長い経験を持たれて高度な知識、技術を身につけられ、またそれなりの年輪を刻まれまして円熟した人格をお持ちの方々がもっともっと海外に出かけていきまして、海外の特に開発途上国の経済発展に大きな寄与をしていくという役割がこれまた大事になってきておると思う次第でございます。
 そういう中で、例えば企業が海外に行った、その工場で日本の技術者また技能者がそれなりに働きの場を持つということはいかがなものか。それは現地における雇用関係の縮小につながるということであれば、逆に現地の人たちを日本で教育訓練と申しますか、そういう関係で雇用を増大していく、そういう受け皿もつくっていいのではないか。
 今外国の資本は、欧米の資本は大きな規模で日本の企業に参画しているわけでございますし、また部品等の新しい製作も始まってきております。やがて発展するアジアの資本が、またアジアの工場が日本にも来るという時代が恐らく来るのではないか。そういうときには常に互恵の関係で内と外が交わり合っていくという時代が来るような感じがいたします。
 そういう中で、労働省の今までの雇用調整のあのすばらしい頭脳があるわけでございますから、海外に行かれる人の給与も現地の人たちの給与とそれほど差のない状態で、日本の人々が現地の人たちとともに生産に励む、そういう世界をつくっていただき、その差額につきましては雇用調整の方で差額を見ていくというようなことは、本当に思いつきでございますけれども、その面につきまして方策があるかということについてお尋ねいたしたいと思います。
#10
○国務大臣(鳩山邦夫君) ただいまの柳川先生のお話は、いわゆる産業の空洞化という嫌な言葉をよく使いますが、日本の企業が海外で工場進出等現地生産を始めた場合のさまざまなケースについて、これを非常に前向きにとらえて、これを一つの好機ととらえて国際貢献へ結びつけていこうという御発想ではないかと私なりにお聞きをいたしたわけでございます。
 いわゆる現地生産率というか空洞化率というのが、先生がおっしゃったように二〇%というような事態が将来生ずる可能性は私も十二分にあると思っておりまして、そのような場合にこれが我が国での雇用問題にも当然結びつきやすいわけであります。ただ、いろいろな資料を見てみますと、日本の企業が海外へ行って工場をつくる、当然海外で雇用を生む。国内で雇用がやや減少するんですが、そのかわり向こうの経済が活性化して部品等の調達とかいう問題がありますと、かえって我が国の雇用でも決してマイナスではないというような研究成果も出ておりますが、いつまでもすべてがプラスだというわけには今後いかなくなるわけでありましょう。
 そうして、海外へ進出する企業がふえた場合に、先生御心配のように、せっかく熟練の域に達した技術者がおりながら、そういう方々の活躍の場が奪われてしまう、あるいは他の分野への転向が簡単にいかないというような場合に、これが我が国で、それこそ失業者として埋もれてしまうようなことがあれば我が国にとっても損失でございますし、それを海外で生かすような道があれば、それは先生おっしゃるとおりすばらしい国際貢献になるであろうと思っておりますので、将来的にそのようなことが制度化できるかどうか勉強してみなければならないと思います。
 先生は、海外へ一緒に派遣をした技術者の賃金は海外並みにしておいて、その差額を埋めるような方法を考えたらどうかという御指摘かと思いますが、そういう仕組みも考え得るのかどうか。いわゆる雇用保険というか、雇用保険制度三事業もありますけれども、そういうような制度のお金が使える体質のものであるかどうかというのはまだ私には判断できかねますけれども、いずれにいたしましても、そのような先生の御提案にかかわることは大変な国際貢献ということ、一挙両得という面がありますので、研究をさせてみたいと思っております。
#11
○柳川覺治君 今工場が海外に進出する、これらの背景に関税問題があるわけでございます。そして、今世界の経済は国境を越えて極めて国際的な動きになってきている。その背景の中にブロック化という問題が進んでおります。
 そういう中での関税の問題が絡みまして、部品も現地で生産するという形への進展になっていく、そういう可能性が出てきておる。そういうようなときでございまして、工場が外に行けば、実際次への新しい技術開発というのはチャンスを失う。平櫛田中さんがこういう言葉を言われました、百歳を超えてなお彫刻をされた文化勲章受章者でございます。職人に徹しろ、徹した上で人が芸術だという、そういうことを評価されるんだと。技術、技能に携わる、その中から次への新しい技術も生まれてくるということ、そういう意味も含めてのお言葉であろうと思う次第でございまして、そういうような時期でございますので、これらの面につきましてまた御研究を賜りたいと思う次第でございます。
 それと、日本は長い歴史で人を育てるということが日本でございましたし、戦前の徒弟制度と言われた中でも、それは数えの二十までにはいっぱしの職人になれる、そういうことを教育してきたわけでございます。家内工業で自分の子供とともに食事をさせ、そしてその道を励ましてきた。二十というのは大臣、昔の二十は十八歳ですね、数えでしたから。今満二十が成人、私はこの問題はかなり大きな問題だと、これはこの機会ではありますが。そういう中でいっぱしの職人となり、そして職人となって給与をもらったら、それをさらに励んで元金をつくっていく、そうするとのれん分けということで一家を構えるという、そういう道をたどってまいりました。
 今単純労務その他の関係で外からの労働者を迎えております。日本は教育をしてきた国でございますから、世界の人々に対しても本当に教育訓練をしていっぱしの技能者、技術者に育て上げていくということの国であろうと思う次第でございます。
 そういうような面から見まして、必ずしもこれらの養成と申しますか訓練と申しますか、そういう意識とこれを十分に行っていく体制というのが必ずしもまだ整っていないのではないかという感じがいたします。この面につきまして、労働省のお考えをお願いいたしたい。
#12
○政府委員(松原東樹君) 人づくりという観点からの国際協力につきましては、現在それぞれの各国におきます職業訓練施設にこちらから指導員を派遣し、あるいは施設の建設について資金援助をするといった現地での訓練に関します協力のほかに、研修生を受け入れて、先生御指摘のような技能付与といった観点からの事業を行っておるところでございます。
 例えば、労働省におきましては国際技能開発計画などに基づきます研修生の受け入れにつきまして一般会計からの国庫補助を行い、あるいは民間企業が研修生を受け入れるに当たりまして、その研修が適正かつまた効果的に行われますよう、国際研修協力機構を通じまして研修カリキュラムの開発あるいは研修指導マニュアルの作成あるいは公共職業能力開発施設の利用の便を図るといったような指導あるいは援助を行っているところでございます。また、昨年四月からさらに実戦的な技術、技能の開発途上国への移転を図るという観点から、技能実習制度を創設したところでございます。
 ただ、先生御指摘の熟練工といいますか職人といいますか、そういった熟練工を育てるというところまで持っていくといたしますと、例えば熟練工技能検定二級以上というふうに考えますと、かなりの期間を要すると。そういたしますと、一つは我が国の労働市場への影響といった観点から慎重な検討を要する、あるいは長くいればいるほど研修生が我が国に定着、定住を希望いたしまして本来の技能移転といった趣旨に沿わなくなるというような問題もありまして、各面から慎重な検討が必要ではないかというふうに考えておるところでございます。
 そういったことから、当面、現在やっております各種研修制度あるいは技能実習制度を活用をいたしまして、研修生が十分な技能を身につけられますよう努めてまいる考えでございます。
#13
○柳川覺治君 先日、建設関係の方とお会いしましたところ、木材関係の世界では外の国の人がおいでになっておりますけれども、墨が引けないということを言っておりました。墨が引けないならば、墨を引けるように皆さんでそういう指導をする、育てるという気持ちが大事じゃないかということを私は申したわけでございます。
 今おっしゃられたのはいろんな意味がありますけれども、一人前の技術者、技能者に育ってお国にお帰りになる、そのことを基本にすべきではないか。そして、その人が単純労務だけでは国へ帰れません。一応一人前になる、そして、勇んで国へ帰りその国の経済の発展、国おこしに活躍していくということが一番大事なのではないか。そういうようなことを日本が意識して行うことによって、世界の失業をつくり出している日本とかいろんなことが言われておりますけれども、それらの誹謗はなくなるのではないか。
 また、そのことが日本が世界とともに人口暴発の時代において南北問題の格差、その他がいろいろますます大きくなっているときに、それなりの役割を果たすということに大きく道をつなぐのではないかと空想いたしておる次第でございます。これらの点につきましても、なおよろしく御研究また実効あるようお願い申し上げたいと思う次第でございます。
 時間の関係で用意いたしておりました緊急の雇用対策につきましてはまた次の機会があるようでございますから、そのときに譲らせていただきたいと思いまして、本論の雇用保険法の全般にわたりましての御質問をさせていただきたいと思います。
 我が国の高齢化は世界に例を見ない進度で進んできております。これについて、労働省でちょっとその状況を御説明いただけますか。
#14
○政府委員(渡邊信君) 今先生御指摘のように、我が国では高齢化が急速に進んでいるというのが先進国と比べましても大変特徴になっている点であると思っております。
#15
○柳川覺治君 数字をちょっと言ってください。
#16
○政府委員(渡邊信君) 六十五歳以上の老年人口と十五歳以上六十四歳以下の生産年齢人口との比率を見ますと、一九九〇年の一七・三%から二〇一〇年には三四・一%、二〇二五年には四三・二%となりまして、現役二人で一人の老人を支える、こういう時代が間近に迫ってきているというふうに認識をしております。
#17
○柳川覺治君 今まさに人生八十年の時代でございます。二十一世紀に向けまして我が国の社会経済全体の活力を維持、向上させ、高齢者の方々が生きがいを持って暮らせる社会を築いていくためには、働くことを希望される高齢者の方がその貴重な技能や経験を生き生きと発揮し、少なくとも六十五歳程度までは働けるような社会を実現していくことが緊急の国民的課題と労働省も認識されておられるとおりでございます。
 六十五歳が果たして高齢か、この高齢という言葉が余り合わないなという感じを、私も六十はとっくに過ぎて国民年金の通帳はいただきましたけれども、六十五歳を高齢と言っているのはどうかなというふうな感じがしなくはありません。それはそれとして、さらに六十五歳以上でも元気な人が、必ずしも雇用という形じゃなくてみずからの事業を行っていくとか、また高齢者グループでシルバー対策がありますけれども、事を起こしていく、そういうようなことによって我が国の活力がまた新たに出てくるのではないかということも感じておる次第でございます。そしてこのことが年金あるいは医療を初め、社会保障の受け手である高齢者が増大する一方で、その費用を負担する若年あるいは中年層が減少するという国民生活上の問題の解決の大きなかぎとなるものと思われます。
 次に、最近の出生率を見ますとかつてないテンポで低下をいたしており、第二次ベビーブームの昭和四十六年の二・一六をピークに平成三年には一・五三、平成四年火は一・五〇と、少子化が急速に進展している状態であり、次代を担う世代の健全な育成がますます重要な課題となってきております。女性の職場進出が進展し、働く女性の存在を抜きにしては社会経済の発展はあり得ないとも考えられる今日、男性も女性も働くことが普通になった時代にふさわしい政策を講じていくことが大切であり、仕事と育児との両立をいかに実現していくかが我が国の将来を左右することになると考えるものであります。
 今回の雇用保険法改正につきましては、このような少子高齢社会における高齢者雇用あるいは育児環境の整備といった課題の解決に大きな役割を果たすものと期待するものであり、しかも我が党政権下の村上労働大臣時代に構想され方向づけられた政策を具体化したものとして評価するものであることをまず最初に申し上げておきます。
 そこで、労働大臣に雇用保険法改正の目的と申しますか、何を一番ポイントとしておられるのか、端的に御説明賜りたいと思います。
#18
○国務大臣(鳩山邦夫君) これはもう先生が御自身の御質問というか演説の中で既におっしゃっておられるような気がいたします。
 新しい時代に向かって、これは柳川先生御指摘のとおり、今年金法が恐らく大議論、大激論になっている、そしてなっていく。国会の審議がどれぐらいかかるかまだわからないというふうな状況にあります。年金法でも六十歳から六十五歳というような年齢の切り方をする、もちろん私どもが雇用の世界で考えていることも、二十一世紀になってしばらくたっていけば六十五歳まで現役という世の中でいいんじゃないかと。今は、当面六十歳までは皆さん現役でやってもらいましょうということで、六十歳以下の定年制というのは認めない方針でいくし、六十一歳、六十二歳、六十三歳、あるいは六十五歳定年というものをしいてくれるように指導していくというのがこの間の高齢者雇用安定法の中身でございます。
 その年齢をどこで切るかというのは非常に難しいのですが、ただ人間六十歳を過ぎると別の人生をいろいろお考えになる方がおられましょう。例えば、私の地元にも随分おられますが、会社勤めをやめて地域社会で御奉公しようと。町会の役員等やあるいは町会長さんになる、あるいは区だとか都のいろんな役職にもついていくというような、そういう人生を過ごしたくなったら例えば一日置きに働くとか、あるいは短時間働いてというようなところを探す。あるいは体力的にいろいろ考えるところがある方も出てくるだろう。だから、今のところは六十歳過ぎたらいろんな多様な就業形態を考えてもいいんでしょうねと、こう思っています。
 これは、柳川先生からお話があったとおり、あと十年たったら今の六十歳が六十五歳へ移っていく、あと五十年ぐらいたつと六十五歳から年金がというのが七十歳からだということですね、二〇五〇年ぐらいになれば。あるいは二十二世紀が近づいていけば、そういうふうに人間の長寿化傾向に伴って年齢の区切りというのは当然変わっていくものだと思うわけで、とりあえず今回の雇用保険法では、高齢者の皆様方に基本的に六十五歳まで意欲と能力のある方は現役で働いていただこう、そのために高齢者雇用安定法の改正と並んで高年齢雇用継続給付というものをお出しして、企業にもそういうインセンティブを与えよう、こういうことでございます。
 また同時に、少子化社会ということに関連していえば、育児休業という制度はあるわけですが、育児休業をとることはできてもその間何の収入もないというのでは育児休業をとりにくい。とりにくいということは子供を産めないのかしらというふうに思う方が出てくるわけで、育児休業をとる、そして育児休業給付が四分の一出てくる、それならば子供つくろうかしら、こういうことに家族生活が変わっていくことを期待をいたしておりまして、育児休業給付を出すようにしたから直ちに一・五〇が一・七〇になるなどという過大な期待を抱いているものでは全くないです。
 でも、子供をつくれない理由にこの育児休業の問題があるということはまた確かでございますので、そういうことでこの法律改正を行ったところでございます。
#19
○柳川覺治君 話が育児休業の方に入りましたので、専門の小野清子さんにお願いします。小野さんの時間まで食い込んで申しわけございません。
 最後に一つだけ。今回の雇用保険法等の一部改正が実効ある成果を上げるためには、労働省におけるこの執行体制の確立が必要であろうと思います。これに対しまして大臣の御決心をお聞きいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#20
○国務大臣(鳩山邦夫君) 今行政改革ということが大変話題になっておりまして、行政改革というのは常にむだを排除していかなければならない、行政のむだを排除して必要な人員はふやす、必要な金は使う、むだな金は使わない、これは行政改革の本旨でございまして、基本的にスクラップ・アンド・ビルドというのが行政改革の中心になければならないわけです。
 こんなことを言うと怒られますが、日本という国はどちらかというと一つのブームやムードに走りやすくて、とにかく行政改革というと足りない部分については目がいかないで余っているものは減らす。何でも減ればいい、減ればいいと、人間は一人でも減ればいいというふうに、日本人はわりかしブームに流されやすいものがあるので、実は私はその点を危惧いたしております。
 というのは、雇用継続給付は最大で百三十万人の方が対象になるというふうに考えられるわけですから、百三十万人の方に雇用継続給付を払うという事務がどの程度すごいものであるかというのは御理解をいただきたいと思いますし、現在のような景気情勢でございますと、雇用調整助成金だって好景気のときと今のようなときとでは全くスケールが違うわけです。
 だから、労働行政で的確にそういう支払いができるようにしておきませんと、雇用継続給付、高齢者の場合も育児休業の場合も何か手続も面倒くさくて、人員が不足してうまく払えなかったということになればこれまた社会問題になりますので、できるだけ簡素な手続でそういうものがお支払いできるようにすることと、それに見合うだけの人員の確保は努力をしなければならないということだけ申し上げておきます。
#21
○小野清子君 今回の雇用保険法の改正につきましては、ただいま柳川先生の方からの質疑の中でも明らかにされましたように、雇用保険制度が雇用に関する総合的な機能を一層発揮するために制度の整備とかあるいは充実を図る、そしてそのことが少子化やあるいは高齢化社会における高齢者雇用あるいは育児環境の整備といった課題の解決に大きく役割を果たすものと、大変私も期待をしておるところでございます。
 早速、柳川先生の方から向けられました育児休業の方のお話に入らせていただきますけれども、平成三年に育児休業法が成立をいたしまして、四年の四月から育児休業制度がスタートしたところでございます。
 この育児休業法につきましては、御案内のとおり、国会の審議の中で育児休業中の経済的援助の問題につきまして大変議論がなされました。この援助の程度につきましては、失業給付あるいは労働基準法上の給与手当などに同様する六割の給付を行うべきであるという意見や、あるいは三割の給付を行うべきであるというふうな意見が出る一方で、経営者の方々を中心といたしましては大変慎重な意見もございまして、なかなか一定の方向を定めることが、私委員長を務めさせていただいたわけですけれども、できませんでした。
 当時は、とにかく育児休業法そのものを成立させるということに絞りまして、法律を仕上げさせていただいたわけでございます。ですから、そういった意味で今回雇用保険制度において育児休業給付が設けられるということは、わずか二年の間に大いなる進歩と心から期待あるいは敬意を表し、あるいは一緒になってこの問題に取り組んでまいりたい、そう思うわけでございます。
 大臣が既にお答えをされましたけれども、この育児休業制度の中での休業給付、これが制度化をすることによって次の時代に子供たちが産まれやすくなる、あるいは次代を担う世代の健全な育成が進展するのかどうか、この辺が非常に大きな問題であろうかと思います。
 育児休業制度に関しましては、ノーワーク・ノーペイという、働かない者に給付はしないという、これがいわば論議の中でも非常に大きく私たちの前に看板としてある意味では立ちはだかった点でございます。育児休業制度の国会における審議の際にも、経済的援助と先ほど申しましたように、関連で大変問題にされた点でございます。
 さらに、育児休業は企業にとって最大一年間にわたり休業するわけですから、その間その方のいないところの仕事をだれかがやらなきゃならない、あるいは同僚に頼めない場合には人をまた雇わなきゃならない。これは事業をしている者にとっては非常に経済的にもその他いろいろと負担のあることであるわけです。その休業期間について、賃金などの支払いを企業に義務づけるようなことがあった場合にはこれはどうなんだろうかということを危惧するわけでございまして、このノーワーク・ノーペイの原則に照らして問題がないのかどうか、まずそこら辺をお伺いしたいと思います。
#22
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先ほどお話しはいたしましたけれども、それは育児休業制度があって、育児休業給付を四分の一ではあるがお支払いすることによって直ちに子供がふえるというほど簡単なことではないと思います。昔は育児休業制度はなくても、御夫妻でオリンピックにお出になりながら五人のお子さんをつくっておられる方もおられるわけでございますから、今の時代の少子化というのはいろんな要素の複合的なものなんだろうと思いますと、そう簡単にいくこととは思いません。
 ただ逆に言えば、この育児休業制度があるから利用して子供をつくろうと。でもそうすると、それは男女のどちらでもいいんですが、女房の収入がなくなった場合ちょっと困るなと考えて、じゃ子供をつくるのをもう少しおくらせようかという方がいることは間違いないということで、プラスに働くことは間違いないと思っております。
 また、ノーワーク・ノーペイのことは局長の方からお答えした方がいいと思いますが、いわゆる育児休業給付は、たまたまというのも変なんですけれども、女性が子供を産むために就業が困難になるということを一つの保険事故とみなすという観点でまいりますと、ノーワーク・ノーペイの原則に矛盾はしないというふうに解釈をさせていただこうと考えております。
#23
○小野清子君 ところで、今回の育児休業制度というのは雇用労働者に限られているわけでございます。そうすると、自営業者の方が例えば育児のために仕事を休む場合の援助はないということになるわけです。この辺の雇用労働者と自営業者とのバランスはどういうふうにお考えなのか、お伺いしてみたいと思います。
#24
○政府委員(七瀬時雄君) ただいまの御指摘の点は、育児休業制度自体を法制化するときにも全くそういう議論がございました。
 率直に申しまして、私どもとしては雇用を預かる立場から、雇用関係にありながらその状況で育児休業をとる方々に対して、その方々そして事業主の方々、国ももちろん十分の一負担いたしますけれども、そういった主として労使の方々で拠出していただいたお金で雇用関係にある方を対象として考えるということでございまして、自営業者の方々とのバランスの問題があることは重々承知いたしておりますけれども、そういう労働政策の枠の中で対処させていただいたということでございます。
#25
○小野清子君 育児休業期間中につきましては、従来、年金やあるいは健康保険の保険料本人負担分やあるいは住民税が持ち出しになって苦しいと、うちの娘も同じようなことを言ってました。どんどんお金が消えていくというふうなことで二人でどうしようかと、同じようなことを言っておりました。今回国会に提出をされております年金制度あるいは健康保険制度の改正案におきましては、これを免除するという内容が織り込まれております。
 この点から考えますと、今回創設される育児休業給付制度と社会保険料免除制度とは対策が重複しているようにも見えますけれども、その点に関してはいかがでしょうか。
#26
○政府委員(七瀬時雄君) 今回の育児休業給付制度の趣旨でございますけれども、これは労働者が育児休業を取得しやすくして、その後の円滑な職場復帰を援助促進するための雇用政策の観点から一定の経済的援助を行うということにしたものでございます。
 これに対しまして、厚生省の今回の年金制度の改正で措置いたしております年金保険料負担の免除の考え方でございますが、これは、年金がそもそも世代と世代の助け合いの制度であって、次代を担う子供の皆様方が健やかに育っていくということに対して支援を行うことは、それ自体として年金制度の健全な運営にも役に立つという、そういう年金制度の視点から免除制度を設けたわけでございますので、それぞれ意義のある制度のすみ分けができているのではないかと考えております。
#27
○小野清子君 育児休業制度を取得した後に職場に復帰しないでそのまま離職をしてしまうという場合もあるわけでございます。これは産後の肥立ちが悪いとか、働こうと思ってもその後の体の状況とか、あるいは家族の状況とか、いろいろな問題が出てくるだろうと思います。
 今回のこの保険法というのは、働く方々の雇用の安定を図るという育児休業給付の目的というものに対して、職場復帰をしないでそのまま離職をしてしまうというものが仮に制度の乱用という形で起きてくる場合もなきにしもあらずと考えられます。そのようなことに関してはどのように対応されていかれるおつもりですか。
#28
○国務大臣(鳩山邦夫君) 詳しいことは私はわかりませんが、この間ちょうど予算委員会が紛糾している合間に、御婦人の議員の方々が六、七人おられて、ちょっとそのところへ参りましたときに、育児休業給付の二五%ですら少ないというのにそれを二〇%と五%に分けて、二〇%分は払ってやるけれども、五%分はその後職場復帰して半年働くという保証がないと払わないとは一体何だと、たった二五を二〇対五に分けるというのはけちじゃないかと、こういうことを言われました。
 先ほどお話がありましたが、この水準につきましては、会社をやめてしまって失業給付をもらった方とのバランスを考慮して二五%ということだと思うんです。ただ、一つの制度をつくった場合に、小野先生おっしゃるようなそういう乱用ということは絶対ないという保証はできないわけです。だから、そういう意味では確かに会社に戻りましたということが必要だという点で、二〇%と五%を分離するというような形になっておることを御理解いただければありがたいと存じます。
#29
○小野清子君 法律というのは大変いろいろな解釈をもって使われるわけでございますので、その点も十分お含みおきをいただきたいと思います。
 育児休業はやはり仕事と家庭を両立していく上で大変必要な制度であるとこれはもうだれしもが認識をするわけですけれども、大臣おっしゃいましたように、この休業を取得しやすくするために、またあるいは職場復帰を円滑にするために、育児休業給付のみでは十分とは言えないのではないかという気持ちもするわけでございます。
 労働省としては、育児休業の普及促進あるいは定着を図るために、今後育児休業給付の支給以外に何か取り組みをなされる御計画があるのかどうか、その辺もお伺いしたいと思います。
#30
○政府委員(松原亘子君) 育児休業法に基づきます育児休業制度は、今は三十人以上の事業所にはすべて義務づけられているわけでございまして、来年度からは三十人以下の事業所も含めまして全企業に適用になるということでございますので、とにかく育児休業制度をすべての企業が導入しなければいけないということをまず周知してもらうことは最も重要なことだと思いまして、私どもはその辺の周知、啓発、指導等に最大の力を入れてまいりたいと思っております。
 加えまして、この育児休業制度というのは、休んでもらうということに目的があるということよりは、今先生から御指摘がありましたように、育児のためにやむを得ず仕事をやめるということのないように、仕事と育児とを両立させる、つまり育児が一段落したらまた職場に復帰するというところに主眼点があるわけでございます。そういうスムーズに職場復帰をしてもらうことが必要であるということから、現在でも企業が職場復帰のためのプログラムを準備し育児休業で休んだ人にそれを実施するという場合に奨励金を支給しまして、そういったことをやってもらうようにというお勧めをしているわけでございます。
 そういった職場復帰の環境整備といいますか、そういったことにも力を入れていきたいと思いますし、さらに加えまして、育児休業とそれから一歳を超えた後育児の責任がそれで終わりというわけではありませんので、例えば事業所内の託児施設を整備するとか、その他仕事と育児との両立ができるような施策というのを今後とも充実していきたいというふうに思っているところでございます。
#31
○小野清子君 女性の肩にかかってきますのは、女性ばかりではなくて男性の肩にもかかってくるわけですが、往々にして女性の手にかかってくる問題として、育児問題とそれから介護問題と両面がございます。
 老親介護の問題というのは、今後高齢化が進み一層寝たきり老人の急増も見込まれる中で、ますますこの任というものが重くなっていこうかと思います。そういった意味で、働く女性が介護を理由に離職をせざるを得ないような状況に追い込まれている方も決して少なくございません。
 こういった意味におきまして、介護休業の制度、これは現在介護休業制度に関する専門家会合で議論されていると承っておりますけれども、今後どのような形で介護休業の制度化をなし遂げるおつもりでいらっしゃるか。あるいは休業利用につきまして、経済的援助を育児休業給付と同様に実現するというお考えはあるのかどうか、その辺をお伺いをしたいと思います。
#32
○国務大臣(鳩山邦夫君) 御案内のように、いわゆる官、公務員の世界では、今国会におきまして介護休業制度ができ上がったわけです。公務員の世界では、要介護の状況判断というものを上司がするということになっているというふうに聞き及んでおるわけですが、民間企業でございますと、それは上司の判断で要介護を判断するというわけには、それは民間を信用しないで公務員の世界だけ信用するのかと、こう言われると反論はできませんが、その辺が一番難しいことではないだろうかと思っております。
 いずれにしましても、関係審議会にも議論をいただいておりまして、労働省としては、きょうも省内の皆さんに確かめましたけれども、これは介護休業制度というものは必要であるという観点で極めて前を向きながら物事を見ていこうと思っております。ただ、小野先生からお話があった、この今の育児休業給付ではないですが、何らかの経済的な給付を伴うということを考えますと、これはいずれそういう方向に行くべきことではないかとは思いますが、期間のとらえ方とか、その辺に非常に難しい問題が出てまいるわけでございましょう。
 育児の場合は一年間となっておりますし、子供が大体一年間でよちよち歩きまでいくということが保証つきでございますけれども、介護の場合は、それはもう十年、十五年、何年かかるかわからないという中で経済的な給付まで及ぶかどうかというのは、どういう条件をつければそういうことが整理されていくかというのは、大いに研究しなければならない相当難しいテーマだと思います。
#33
○小野清子君 時間がどんどん過ぎてきましたので、超特急で失礼でございますが高年齢雇用継続給付について、最後にお伺いをしたいと思います。
 今回の改正におきましては、労使の新たな負担を求めることなく雇用継続給付を創設すると伺っております。私は、他の社会労働保険制度と同様に、雇用保険制度におきましても安易に保険料を引き上げることはやはり反対でございます。今回の考え方には賛意を表するものでございますけれども、今後高齢化が急速に進みます中で、保険料を引き上げなくて本当に大丈夫なのか、まずこの点についてお伺いしたいと思います。
 次に、継続雇用の受け皿がない等の理由によって雇用継続されない高齢者の方々の現状につきまして、非常に今労働問題苦しゅうございますので、そういった中で働きたい方々が働かせていただける受け皿がない場合に、どのようにその再就職促進のために対策を講じていかれるおつもりなのか、その辺をお伺いしたいと思います。
 まとめて御質問申し上げますけれども、雇用継続給付あるいは高齢者雇用の促進、あるいは少子化への対応といった国の基本的課題に対処することを通じまして、働く人々の生活面の充実はもとより、それがひいては消費の拡大あるいは国民経済にとっても大変大きな効果があると私自身も考えさせていただいております。
 このような効果を最大限に発揮するためにも、制度が実際に、先ほど大臣がわかりやすく使いやすくという大変いい御発言をいただいたわけですけれども、とにかく手続というのは面倒なもので難しいという、そういう面をわかりやすく、特に年齢が高くなりますと、余計にそういった意味での、事務手続等々においての御努力をいただかなければ、制度ができてもそれをうまく皆さんに使ってもらえない。知らないものは使えないというようなあり方では、つくった意味もありません。実施体制の不備等により労働者あるいは事業主に迷惑がかかることがあってはならない、そのようなことも考えさせていただいております、
 最後に、大臣の決意を伺わせていただき、前半には各省からの御答弁をいただきたいと思います。
#34
○政府委員(七瀬時雄君) まず、保険料率を上げないでやっていけるのかということでございます。
 そもそも雇用保険制度の運営が保険料率との関係ではいろいろ経済情勢その他の関係もあることも事実でございますが、今回の高年齢雇用継続給付に関しましては、それによりまして従来失業給付をもらってそのまま労働市場からリタイアする方が、雇用継続給付をもらいながら積極的に仕事に社会に参加していくということでございます。いろいろと推計もいたしておりますけれども、従来失業していた方が積極的に働いていくという要素を加味して推計すれば、この点については保険料率を上げる必要はない、上げないでやっていけるという考え方で御提案申し上げております。
 それから、受け皿の問題でございますけれども、これは高年齢雇用継続給付とあわせて六十五歳までの継続雇用のシステムをつくっていただく。これがこの前つくっていただきました高年齢者雇用安定法の考え方でございますが、さらに高年齢者が働きやすい環境をつくっていくことに対する助成金の問題でありますとか、あるいは高年齢者も長年の経験、知識を生かせば十分働けるんだという社会的な評価の問題とか、そういったことをきめ細かくPRしていくというようなことが重要なことではなかろうかと思っております。
 それから、第三点の手続面につきましては、先ほど大臣がお答えしたとおりでございますが、このほかいろんな手続を経て、かわりに事業主の方が申請するというようなことも考えているところでございます。
#35
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先ほどもお答え申し上げましたように、これは雇用継続給付制度ができ上がるわけですから、百何十万人という方が対象になる可能性もありますので、まずこういう制度ができましたということを幅広く知っていただくように、それなりの周知徹底、宣伝をさせていただくということ。そして、小野先生御指摘のように、手続をできるだけ簡単にいたしまして、この制度の恩恵を極めて受けやすくするように全力で配慮をするということ。そして、支払い等が遅延をしたりうまくいかないということがないように、それなりの実施体制を確立すること。
 以上、三つを心がけてまいります。
#36
○小野清子君 終わります。
    ―――――――――――――
#37
○委員長(野村五男君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、松尾官平君が委員を辞任され、その補欠として星野朋市君が選任されました。
    ―――――――――――――
#38
○細谷昭雄君 今回の法改正は、私ども社会党としましては、従来の主張に沿って高齢化の進展、または女性の職場進出、こういった社会経済の変化に対応するものであり、基本的な方向といたしましてはおおむね賛成、評価できるものであるというふうに思っておる次第でございます。
 したがいまして、今後は改正の趣旨が生かされるように円滑な執行が望まれますし、さらにこの制度の整備充実を図っていく、こういう必要があろうかと思うわけであります。こうした観点から、今回の改正について若干の質問と私の意見を申し上げまして補強をいたしたい、こんなふうに思っておる次第でございます。
 まず最初に、改正の最大の眼目であります雇用継続給付制度、これについてお伺いしたいと思います。
 雇用保険制度といいますのは、基本的にはこれまでは失業者及び失業手当、失業給付を中心にした制度でありました。それが今回の雇用継続給付の創設によりまして、在職労働者に対しても今までの失業者と同じように給付が支給されるということになるわけでありまして、今回の改正によって雇用保険制度といいますものは失業者も在職労働者も制度の上では対等に取り扱われる、こういうふうに名実ともに雇用に関する総合的な制度に変わったというふうに思うわけでございます。
 私は、そういうふうに考えておるんですが、労働大臣のこれに対する御所見、これを最初に承っておきたいというふうに思います。
#39
○国務大臣(鳩山邦夫君) 確かに雇用保険制度、早い話が雇用保険制度とは言いますけれども、失業保険制度として発足をしたというそういういきさつから考えますと、失業したというそういう保険事故がないのにいろいろな給付が出るというのはいかがなものかというふうに考えられるわけです。要するに、失業保険という制度ができたときのことに立ち返って考えれば、やや不思議なことであろうかと思いますが、ただ翻って、これが失業の予防という意味で絶大な効果を持っておると。
 つまり、高年齢雇用継続給付がなければ失業をしている、会社をやめさせられている。あるいは育児休業給付がもらえないならやむなく会社をやめなければならない。そして、子供を産んでしばらくしたらいわゆる失業者になっていくという意味で言えば、高年齢とか育児、あるいはたまたま子供を産み育てるということ、あるいは高年齢になったということをこの法律上では失業に準じた保険事故とみなして、そういう場合にも給付を出すこと、労使折半の給付を出すことは、失業の予防という意味で矛盾をしないだろうと。法の精神にも矛盾しないし、ノーワーク・ノーペイという原則の問題もこうしてクリアできるというふうに考えていきたいと思います。
 いわば失業保険制度というものが雇用保険制度として深化発展をした形態になった。私は、昆虫ばかり研究いたしておりますが、サナギからチョウになるというのか、脱皮して一つの新しいもっと上の形態に入ったと、こうお考え願えませんでしょうか。
#40
○細谷昭雄君 今のお考えは私もそう思うわけであります。
 一つの制度が、社会的な進展、変化に応じましてそれが充実発展するというのは当然なことであります。要するに今回の改正は、基本的には総合的な、いわゆる雇用保険制度に準じていくということに眼目があったのではないかと、こんなふうに思いますし、今の大臣の答弁もそういうふうに解釈をされるわけであります。そういう意味で私たちの認識は同じでありますが、だとすれば今回新設されます雇用継続給付、これは失業給付と完全に対等なものだというふうに私は考えていいのではないかというふうに思うわけです。
 そういう観点からしますと、法制上実は問題が出てくるのは、今回は法制上の改正点は現行「失業給付」とある第三章、「等」を入れて「失業等」というふうに入れただけなんです。これの意図は、私のどうも勘ぐりですが、これは「失業等」というふうにした方が財政当局をクリアするに都合がよかったのではないか、こんなことで考えられたもので行ないのか。非常に苦しい選択、法制上は苦しい皆さん方の作業があったのではないかというふうにこれは憶測をするわけであります。
 今言ったようなことでありますと、第六節にあります「雇用継続給付」というのは本来は第四章にきちっとこれは新設をしてしかるべきじゃなかったかというふうに思うんです。そういう点で、局長にそういう点のいきさつを若干お伺いしたいと思うわけです。
#41
○政府委員(七瀬時雄君) 高齢者の雇用を促進するために雇用継続給付を設けたのが今回の改正の趣旨でございますが、これは保険事故が失業給付の保険事故である失業に準じたものである。要するに六十歳を過ぎて賃金がかなりの水準でダウンをするというようなことを保険事故としていること。それから、給付の目的が失業の回避にあること。それから財政面で言いますと、雇用継続給付のいわば財源、支給増に見合うものがその時点で失業をしない形で積極的に働くということでこの雇用継続給付の財源を出している。そういうようなことを考えますと、非常に失業給付と密接な関連性があるということで失業給付の範疇をちょっと拡大して「等」、という形で整理をしたわけでございます。
 問題はこの雇用保険制度、失業給付と新しくできる給付との関係、それがやはりいろんな面で関係をするだろう。そうすると、現段階では「等」という形でその外側をちょっと広げた形で処理するというのが現実的ではないか、こういう考え方でございます。
#42
○細谷昭雄君 それは我々の、この法案作成のときに二〇%とかいう話もありましたし二五%という話もありました。本来はもう六割支給ぐらいやるべきじゃないのかというふうに意見を申し上げたことが過程としてあるわけです。そういう点では、ある程度非常に苦衷いわゆるそういう法制上のあれをしたという苦衷はやっぱり財政的な問題がひっかかるんではないかなと、これは私の憶測です。以上、承っておくだけにしたいと思います。
 次に、雇用継続給付の新設は現行の保険料率を据え置いてやるという、先ほど小野委員からも質問がございましたが、しかし不況下の失業給付の増大、今大臣からもお話がありました、大変にこれは支出がふえるわけであります。そういう中で今後も保険料率を上げる、ないしは積立金をこれは取り崩すというふうなことの必要は出ないのかどうか、当分の間出ないのかどうか、その点でもう一度確かめておきたいと思います。
#43
○政府委員(七瀬時雄君) 先生の御質問を二つに分けて考えますと、一つは不況で雇用保険の財政がもつのかということがございますが、この点についてはやはり積み立てておいたお金が、不況によって失業率がふえるいかんによっては積立金の取り崩しということは、これはあり得ることだろうと思います。
 二番目の、今度新しい給付をつくることによってどうなのかということにつきましては、雇用継続給付を設けることによりまして、失業していた者が働き続けるようになることによる失業給付の減少、それから保険料の追加収入が見込まれるというようなこと、それから今回の失業給付の改正によりまして失業給付の給付額が削減されると、それから国庫負担もついておると、そういうことでいわば六十歳代の方々が失業しなくなる、働ける、そのことによる失業給付額の減少をこの給付に充てるという形で、いわば収支が相均衡するような形で設計してございますので、その面で保険料率を上げるとか取り崩しか出てくるということはないものかと考えております。
#44
○細谷昭雄君 わかりました。十分今後の財政運営については今局長の御答弁をそのまま実施できるようにしていただきたい、こんなふうに思っております。
 それからまた、創設される雇用継続給付の支給窓口の問題であります。これは先ほど小野委員も触れられましたが、従来失業保険給付の場合は何回も窓口の公共職業安定所に足を運んでそうして手続をしなくちゃいけなかった。ところが今回高年齢者の継続でもありますし、特に育児休業の場合は、女性に限りませんけれども、育児をしておる方でありますのでそう何回も、一カ月に一回とか二週間に一回とかというふうに窓口に足を運ぶということはなかなか難しいんじゃないかというふうに思うわけです。
 したがって、確認さえきちっとできればもっと簡素な窓口事務、これはぜひやっていただきたい、こういうふうに思うわけであります。この点、事務の簡素化について確認をしたいと思います。
#45
○政府委員(七瀬時雄君) ただいま先生御指摘のとおりでございまして、一般の失業給付の場合には就職の意思とかいろいろそういうこと、確認しなければならないことがいろいろございますけれども、この給付の場合にはかなり客観的に把握できると。そういう前提に立ちまして、その支給を受けようとする労働者の方々が賃金の支払い状況などに関する事業主の方の証明書を受けて公共職業安定所に支給申請を行った場合には、御本人の銀行口座に振り込むというようなことを考えております。
 その他、いろいろとこの法案を通していただきましたらともかく簡素化、簡略化できることはないかという目でよく実情を分析した上で対応したいということ、それから最後に労働組合あるいは労働者の過半数を代表する方々との同意を前提といたしまして、事業主が労働者のかわりに手続をするということも認めていこうという流れで考えております。
#46
○細谷昭雄君 ぜひよろしくお願いしたいと思うわけであります。
 今回の法改正を執行するに当たりまして、幾つかの解決を迫られておる問題点がございます。この問題点に関しまして、質問通告をした予定を変更しましてお尋ねしたいと思います。最初に私立学校の教職員の適用問題、これとそれから事務処理の問題でございます。これを最初に変更しましてお伺いしたいと思います。
 まず、私立学校の問題でございますが、私立学校教員の雇用保険適用問題について、労働省並びに文部省の対応についてお伺いしたいと思います。
 最初に文部省に対してですが、今回民間については雇用保険制度で育児休業給付が実現し、そして公務員につきましても何らかの形で同様の制度が実現する方向で動き出しておることは御案内のとおりでございます。そういう中で私立学校の教職員につきましては、雇用保険の適用状況が非常に心配だと伺っておるわけであります。
 そこで教員、特に幼稚園、小学校、こういったところは私立学校の場合女性も大変多いと思いますし、育児休業のニーズも高い方々であろうかと思います。当然これは雇用保険に加入をしておらないと給付はできないわけでありまして、こういう方々がこの制度に置き去りにされていくというふうな心配が出てくるわけでありまして、まずこの問題について文部省の方からお伺いしたいと思うのであります。
 文部省は、私立学校の雇用保険の適用状況、これをどのように把握されておるのか、私の方でもう既にお願いしておりますので、その資料を皆さん方に配付をしていただきたいというふうに思います。その上で、ひとつお答え願いたいと思います。
#47
○説明員(中林勝男君) 今細谷先生の御指摘のありました資料につきましては、先生方のお手元にお配りされるかと存じますが、これは労働省の資料でございまして、平成六年四月の適用率の状況でございます。一々説明は省略をさせていただきますけれども、全体で申しますと学校ベースでは約七〇%、教員ベースでは約三五%の適用率の状況となっております。
 なお、昭和六十一年度に私どものサイドの私学団体でも同様の調査を行っておりますけれども、傾向といたしましては、大学、短大につきましては横ばい、それから小中高につきましてはやや増加、幼稚園につきましてはかなり増加いたしまして大半が加入しているという状況になっておりまして、傾向としては漸増しているのではないか、このように考えているところでございます。
#48
○細谷昭雄君 この表を見ましても明らかなように、本来これは雇用保険に強制加入をするべき皆さん方でございますけれども、加入率といいますか適用率が非常に低いということはこの表によっても明らかだと思うわけであります。
 雇用保険制度といいますのは、農林水産業の一部を除いてこれはすべて強制適用になっておる法律でございます。したがって、加入するしないというものを事業主や労働者の任意に任せるということはできないようになっておるわけであります。文部省からこういうふうに提示されました私立学校の適用状況といいますものは、極めてこれは異常、違法と言わなければならないと思うわけであります。
 この問題につきましては、私持っておりますこういうパンフレット、このパンフは労働省で出したものでもないし文部省で出したものでもなくて、すべての私学教職員が育児休業給付金、高年齢雇用継続給付金を受給できるようにということで、私立学校教職員組合が独自でこういうパンフをつくって、それぞれ学校法人や教職員に何とか加入してくださいという、そういう運動をしておるパンフなんです。この中身のよしあしは別としまして、このように現場では非常に不安を持っているということは事実であります。こういう制度ができてもその制度を我々が受けることができないんじゃないか、こういうことのあらわれだと思うんです。
 文部省といたしましても、私立学校の指導監督をする所管庁の立場から、学校法人に対しまして雇用保険の適用手続が速やかに行われるよう積極的な働きかけがあるべきだというふうに思うわけでありますが、文部省は事態をどのように認識をされ、どう対応されておるのか。文部省としての御見解と対応方針を明らかにしていただきたいというふうに思うわけであります。
 きょうは、特に文教委員会があるにもかかわらず総務審議官がおいでになっておりますので、文部省との立場からぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。
#49
○説明員(中林勝男君) 若干定義的なことを申し上げなければならないと思っておりますが、先生御承知のように、雇用保険法の制定の当時、私学関係者は失業保険の法律施行以来三十年近く教員につきましては任意適用であったというようなこと、あるいは私学の教員の場合につきましては失業給付を受けながら転職を図っていく、こういう状態が予想しにくい分野でもあったということでございまして、したがいまして、雇用保険の加入の実績が乏しかった、実益が乏しかったという当時の事情があったかと思っておるところでございます。このため、雇用保険法の施行後におきましても加入の実績ははかばかしくなかったわけでありますけれども、経緯的には、ある意味においては一面やむを得なかったのかなというふうに思っているのでございます。
 しかし、私どもは、雇用保険法の問題につきましては経緯のある問題でもありますけれども、私学の側の雇用保険への理解をさらに深めてもらうということが現時点では非常に大切になっているのではないかと考えておるわけでございます。今般の雇用保険法の改正という新しい事態を迎えていることも当然意識しているところでございます。
 御指摘のありました、日本私立学校教職員組合においてパンフレット等の作成を行いましていろいろな理解を求める運動を行っているということにつきましては、文部省といたしましても十分承知をいたしております。
 私どもといたしましては、今後労働省や私学団体と連携を密にしながら、会議等を通じまして今般の改正の動向等を初めとする雇用保険法の趣旨あるいは仕組み等について私学側にさらなる十分な周知を図って、私どもとしてできるだけ私学関係者の理解を得るべく努力をしてまいりたい、このように現在考えているところでございます。
#50
○細谷昭雄君 いろいろないきさつがあることは私も承知しております。現実には、今お話がありましたとおり多くの現場の教職員が不安を持っておるということも事実でございますので、いろんな今までのいきさつは別としまして、今後、ぜひとも労働省と相提携しながら、文部省としても雇用保険法とは直接関係ないという立場じゃなくて、自分たちの問題としてぜひひとつ取り組んでいただきたいということを強く要望したいと思うわけであります。
 労働省にお聞きしたいと思いますが、私立学校の雇用保険適用状況といいますのは今言ったようにいろんな過去のいきさつがございました。しかし、強制適用であるということには変わりはございません。雇用保険法に対する集団的で重大な違反であると同時に、約四十万人の私立学校労働者が失業給付のみならず創設される雇用継続給付の受給ができるかどうか、大変に切実な問題でございます。
 労働省は事態を重く受けとめられて、違反の状況を厳しく受けとめ、何らかの強い指導を関係団体に対して行うべきであるというふうに考えますが、労働当局の考え方そして対処方針、これをお伺いしておきたいと思います。
#51
○政府委員(七瀬時雄君) ただいまお話がございました。経緯はいろいろございますが、ただ、私立学校の教職員の皆様方につきましては、雇用保険法上当然に被保険者になるものである、それにもかかわらずお示しいただきました数字に見られるように適用が進んでいないということはまことに残念なことでございますし、私どもも十分反省しなければならないことがあろうかと思います。
 これから、この法律改正を契機に積極的に取り組んでまいりますが、やはり一つには保険料を負担いただく労使の方々の御理解ということも大事でございますので、その点は文部省と密接な連携をとりながら積極的に対応していくということでございますし、PR等々につきましても御指摘の点を十分踏まえて対応していきたいというふうに考えております。
#52
○細谷昭雄君 ところで、現実の問題として来年の四月一日、これはもう施行されるということになりますと、未加入の教員が育児休業を取得するという場合も十二分に考えられるわけであります。そういう場合、労働者の権利を保障するという観点から、育児休業給付が受けられるように温かい行政の配慮が望まれるわけでございます。
 労働省はこれに対してどういうふうに対応をされるつもりなのか、これは恐らくいろんな研究をされておると思うんですが、ぜひ対応できるように措置をお願いできないかなということでございます。
#53
○政府委員(七瀬時雄君) 当然被保険者であるにもかかわらず届け出がなされていない、そういう状態が現実に起こってきた場合につきましてでございますが、事業主がこの届け出を行っていない場合につきましても被保険者御本人からの確認請求制度が設けられておりまして、支給要件を満たしていれば育児休業給付を受給できるものである、こういう考え方に立って対応していきたいと思っております。
#54
○細谷昭雄君 いろんな点、これはこれから出てくると思いますので、今言ったように基本的には労働者の権利ですので、その方々も受けられるような、そういういろんな細かい配慮をぜひともお願いしたいと重ねて要望申し上げたいと思います。
 私立学校の雇用保険適用の問題につきましては、労働省と文部省が水も漏らさぬ連係プレー、これがどうしても必要だと思うわけでございます。これは早急に解決を図らなければならない問題だと思います。
 労働大臣は幸いに文部大臣も経験されている、そのときにさっぱりこういう加入を進めなかったということですね。学校ベースで七〇%しかまだ加入していない。教員ベースで言いますと三五%しか加入していない。これは労働省の資料です。労働省にお聞きしましたら、とても恥ずかしくてこの統計は本当は世の中に出せないというほど恥ずかしい話だそうです。これの当の責任者であったのが鳩山さん、あなたなんですね。そういうこともありまして、これは重大な問題だと思いますので、鳩山労働大臣の御見解と決意、これをお伺いしたいと思います。
#55
○国務大臣(鳩山邦夫君) 私も文部行政を四百四日間やりまして、一生懸命やったんですけれども、雇用保険のことについてだれ一人私にレクをした人がいないという、ばかにされておったのかな、あるいは隠しておったのかなとかいろいろ思いますが、全くレクがなかったわけではない、ちらっと、ほんのちょっとだけ話し合ったことがあったような気も実はするんですけれども、今この数字を見て愕然としまして、要するに、強制適用なものに加入していないというのは一種の違法状態が生じているということなのでしょうか。
 非常に残念なことであって、先ほどの御質問でもお答えをしましたが、これが単なる失業保険であるならば、失業というののほとんどあり得ない私立学校でございますから、先ほど中林総務審議官からもお話があったようないきさつでこれは強制加入でもなかったでしょうし、これは失業保険の世界と私立学校が隔絶された状況にあってもおかしくはないんでしょうが、これがいわゆる雇用保険になって今回脱皮したと申し上げましたが、またさらに一段階進んでいくわけでございますから、およそ保険制度というものの基本、すなわち互助の精神というんでしょうか、みんなでお互いを助け合うという精神に戻っていかなければならない。
 そういう色彩が今回の法改正でより強くなっていくわけですから、私立学校の女の先生方もお子さんを産むわけでございますから、私立学校の先生方も一年たてば確実に一歳ずつ年をとっていくわけでございますから、今回のような仕組みができ上がれば余計この雇用保険法というものと私学は関係が深くなる。しかも法律上強制適用ということであれば、私ども労働省とかっての私の古巣である文部省がもっとよく連絡をとっていかなければならないと思いますし、文部省に私の影響力が、もうほとんど残っておらぬと思いますが、もし多少でも残っておれば影響力も行使して、これは両省力を合わせて細谷先生の御指摘にきちんと答えられるような進捗状況をつくり出していきたいと思います。
#56
○細谷昭雄君 今のお話のとおり、両方にまたがっておる方でございますので、ぜひ実を上げるようにひとつ期待を申し上げたいと思います。
 次に、本法改正実施に伴うところの事務処理の問題について、これは要望を申し上げたいと思うわけです。
 雇用保険法改正を契機にしまして、大変な事務処理の量がふえると思うわけであります。労働省に対してお伺いしますが、御存じのとおり、当労働委員会では労働行政の拡充強化の点に不可欠となっております定員増を実現してほしい旨の請願、長い請願がございました。この請願を前国会で全会一致で採択をしているわけであります。先ほど労働大臣からもお話がございました。行政改革といっても必要な部門についてはちゃんと残すんだということ、これは大事にしなくちゃいけないということ、大変心強いことがございましたが、労働省の定員は、平成元年度に二万四千八百九十七人、五年後の平成五年度で二万四千八百七十五人、五年間で二十二人の減になっているわけであります。
 厳しい定員削減の計画のもとでよくここまで持ちこたえたという見方もあるでしょうが、しかし労働行政というのが非常に社会のニーズに従ってふえてきているということからしますと、我々としては非常に納得できないという面があるわけでありまして、大変残念でございます。
 大臣は、労働行政が真に勤労国民のニーズにこたえるために、現実の事務量の増加に対応する定員の現状についてどういうふうにお考えになっておるのか、これをお伺いしたいと思います。
#57
○国務大臣(鳩山邦夫君) いわゆる職業安定行政にいたしましてもあるいは労働基準行政という分野をとらえましても、これは地方分権という形が余り進み過ぎてはいけない分野だと私は思います。
 例えば男女雇用機会均等法もありますが、その指針が北海道と沖縄で全然違うというのは許されないわけです。それから、よく職業紹介とか労働者派遣とか、いろんな議論が出てきますけれども、職業紹介というのは基本的に国が一元的に取り行わなければ、職業というのは人間の人生を支配する重要なものでありますから、安易に有料で職業紹介をするようなものがぼんぼんできることも防がなくちゃならぬと。
 私は労働省に参りましてまだ二月とたちませんけれども、つくづく思うのは労働行政というのは、先ほどから先生お話ありましたが、文部行政以上ぐらいに国として責任をとらなくちゃいけない、国としてあくまでも統一された一つの基準とか規律とか秩序というものを保ち続けなければならない、そういう分野が非常に大きいということにびっくりいたしております。
 そういうことから申し上げれば、先ほどから先生がさんざん御指摘いただいたように、この労働行政には人が要るわけで、雇用継続給付を百十六万人とかという数字もありますが、今後百三十万人とか百四十万人の方が受けるというときに本当に対応できるのかということを考えれば、今の人間では足りな過ぎる。
 先ほど、柳川先生の御質問にお答えしたときだったかと思いますけれども、要は行政改革というのはブームで減らせ、減らせと、不必要なものは減らせと、必要なものも少し減らせなどというようなブームで行政改革を議論してはいけない。私は決して総論賛成、各論反対ということで申し上げているんではないので、行政というのは必要のあるところには人員を配置するのが行政の基本中の基本だと思いますので、先生方の御指摘あるいは御激励を受けて、定員問題というのは頑張っていきたいと思います。
#58
○細谷昭雄君 次に、事務体制の整備についてお伺いしたいと思います。
 本改正に伴う高年齢雇用継続給付の対象者は百十六万人と言われておりますし、この経費は五千億円。それから、育児休業給付は対象は十四万人と推定され、その経費も六百億円というふうになっておるわけであります。これは申請を受け審査をし給付額を決定する、こういう一連の事務量は相当なものであるというふうに予想されるわけであります。
 これを円滑に、しかも誤りなく執行するためには事務体制の整備というのがもう前提でなければならないというように思いますが、どのように対処するおつもりなのか。今大臣は、必要なところには人員を配置しなくちゃいけないというふうに強調されたわけですが、これについて事務当局にお伺いします。
#59
○政府委員(七瀬時雄君) 先生おっしゃいましたように、平年度化いたしますと百三十万人の方々にこういう給付を出すわけでございます。それは当然その分仕事がふえるということでございますので、そこに必要な人員を確保しなければならない。
 もちろん、先ほどから申し上げておりますように、高齢者の方々で失業給付を受ける方が減っていくとか、あるいはいろいろな工夫をしながら手続を簡素化し、あるいは合理化していくという面もございましょうけれども、必要な人員を確保するということと、それから私どもは私どもなりに自主努力で受給資格のある方に対して御迷惑をかけないような、かつ合理的なやり方を工夫していくと。そのためには、例えば総合的雇用情報システム、雇用保険トータルシステムなどのコンピューターシステムなんかも活用していくということも大事なことであろうと思っております。
#60
○細谷昭雄君 最後に、定員増についての大臣の決意をお伺いしたいと思ったのですが、先ほど大変明確、明快なお話がありましたので省略をします。今後の予算要求、定員の問題、こういったことに対する大臣の手腕を大いに期待申し上げたい、こういうように思います。ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次に、本題に戻りまして、育児休業給付についてお伺いしたいと思います。
 平成四年度に発足いたしました育児休業法は、これは無給ということで発足しましたので、何らかの休業給付、これが求められておったわけであります。今回の給付制度の創設というのは、もう多くの皆さん方の期待に沿うたもので、非常にこれは評価できるんじゃないかというふうに思っておるんです。ところで民間企業の中には育児休業期間中に何らかの、今までこれは金銭支給を受けるところが二八・一%もあるというふうにお伺いしております。
 そこで、これらの企業が今回の給付制度の創設によりましてこれまでの支給を打ち切る、ないしは金額を減らすということになるのではないかと私自身も心配しておるわけです。まして、今までもらっている人は大変心配しているのではないかというように思います。
 労働省は、せっかくの制度がそのことによって、今までもらったのはもうだめということであれば、大変これは問題もあると思いますので、こういう事態に対してどのような対応をしたらいいのか、現在どういう指導をされておるのか、ないしはこれから指導されるおつもりか、これをお伺いしたいと思います。
#61
○政府委員(七瀬時雄君) 育児休業期間中に賃金を払うかどうかという問題は、これは労使でお決めになることだろうと思います。
 ただ、これまで労使で育児休業中に何らかの賃金を払っていたということは、やはりそれは労使にとってメリットがあるからそういう制度を労働協約なり何なりで設けていたんだろうと思います。そういった意味で、今回新しい給付ができるということと、それから労使が今までメリットを感じて出していたものとは基本的には別の仕組みであろうかと思います。
 そういった意味で、今回雇用保険でこういう措置がとられたから、じゃもういいんだというような安易なことが起こらないように、これは十分指導していかなければならないことだろうと思っておりますし、またもしそういうことをいろんなことでやろうとしても就業規則の変更の問題とかいろいろあるものですから、その場合も労使で話し合わなきゃいかぬ。
 要するに、今度の制度ができたからやめるんだということが安易に行われないように目配りをしていくことは大切なことだろうと、このように考えております。
#62
○細谷昭雄君 その点の押さえ方は、ぜひしっかり今後指導をお願いをしたいというふうに重ねて要望したいと思います。
 また給与の、給与といいますか賃金の二五%、これの支給額というのは、育児休業の場合、大変これは低いと。もちろん給料はいいということになりますけれども、やっぱり低いんじゃないかというふうに思うんです。
 一年間、賃金の二五%。ゼロからでしたら二五%でもいいというふうになるわけですけれども、本来は失業手当の問題ないしは休業手当の問題ということからしますと六〇%、休業補償ということからすれば六〇%の支給というのが、もうこれは将来順次引き上げていくべきじゃないのかというふうに思うんです。
 それで今は、出発は二五%なんだけれども、労働省としては将来は少しずつ上げていくおつもりがあるかどうか、その点いかがでしょうか。
#63
○政府委員(七瀬時雄君) 育児休業に対して給付を設けるとしたときにどれぐらいが適当なのかという、これはいろんなところでいろんな議論があり、結論的には、公労使三者構成の中央職業安定審議会で、妥協があったかもしれませんが、ここらあたりが適当だということでお決めになったんだろうと思っております。
 もちろん、この場合には、育児休業をとらずに、いろんな方にお願いしたり、あるいはお金を払って育児を頼んでいる方もあれば、それからお子さんがいらっしゃらないだとかいろんなことがあって、国民的なコンセンサスが得られるところがここらあたりかなというようなところで審議会として御結論をいただいたんだろうと思っております。この水準は、例えばドイツだとかフランスなんかでも金額的に計算してみますと、大体そういう数字になっているということでございます。
 今後、これをどうするかということにつきましては、率直に申しまして幅広い議論を尽くしていく必要があろうかと思いまして、今私からどうこうするということはちょっと申し上げられる状況にはないことで御理解いただきたいと思います。
#64
○細谷昭雄君 きょうは、厚生省から近藤審議官が御出席になっておりますので厚生省にお伺いしたいと思います。
 現在、少子化の進行等子供を産み、育てるということは現代社会においては決していい環境だとは言えないわけでございます。そういう意味で、厚生省が育児休業中の社会保険料の免除、これは現在、年金法の改正がどうも継続審議になるというふうなあれもありまして心配しておるところでございますけれども、労働者負担の一一・三五%をこれは免除するというふうに法案で予定されておるようでありまして、これは非常に温かい配慮であり、これをさらにもう一歩進めて考えていった場合に、今のような少子化社会を何とか盛り上げていくためには一つの制度ではなかなか不可能だと思うのです。
 先ほど大臣からもお話がございました。育児休業制度だけでもだめ、いろんなことが総合しておりますので、厚生省としてやれる一環としまして、現在児童手当がございます。児童手当は現行第一子、第二子が月額五千円です。第三子が一万円です。三人でも二万円です。これはおやつ代にもならないのではないか、現在は。
 そういう点で、特に最近は子供の教育費というのが非常に家計を圧迫しておるというふうに言われておりますし、何らかの点で、年齢的にもそれから金額的にもこの児童手当制度というのをもっと拡充強化するということもどうしても必要になってくるのではないかなというふうに思うんですが、厚生省の児童手当に対する考え方、これをお尋ねしたいと思うわけであります。
#65
○説明員(角田博道君) 今お話がございました子育てについての経済的な支援ということでございますが、その中で児童手当が非常に大切な制度であるというふうにおっしゃっていただき、ありがとうございます。
 私どもの制度につきましては、小さく産んで大きく育てるということで第三子から始まったわけでございますが、今は二度の改正によりまして第一子から支給するということで支給対象を拡大してまいりました。お話にございますように、私どもの制度は必ずしも十分な金額を出しているというわけではございませんので、これから支給金額あるいは支給対象につきましてそれを大切なこととして十分検討していきたいと思います。
 ただ、私どものいわゆる金銭給付をどうするかということのほかに、子育てに伴う負担をどう軽減するかという話がございますので、今国会におきまして児童手当法を改正いたしました。子育てと仕事の両立を支援するために実際にサービスをしようということで、企業の拠出をいただきまして保育問題等に対するサービスを充実したところでございます。
 当面、こういうことについて一生懸命やらさせていただきますけれども、お話にございましたような点については十分に検討してまいりたいと存じます。
#66
○細谷昭雄君 今国会に国家公務員の介護休業制度というのが法案として提出されておりますが、民間労働者に対する導入というのは現在どういうふうに検討が進んでおるのか、そして法案を政府としては大体いつごろ提案する予定なのか。期間を含めましてそういう点の一つの見通しを、休業中保障、これも今回の雇用継続給付の見直しに立ってもし制度としてやるとすればどういうふうに考えておられるのか、あらましについてお伺いしたいと思います。
#67
○国務大臣(鳩山邦夫君) 具体的には政府委員からお答えいたしますが、介護あるいは看護ということがこれからの福祉社会構築の上で最大の課題となり、本日夕刻の参議院の本会議でも健康保険法に絡んで私も答弁を求められているぐらいでございますから、介護問題ということが当然介護休業制度として結実をすべきであるという議論になってくるわけでありましょう。
 公務員に関しての介護休業制度は既に今国会ででき上がったわけで、要介護という状況をどう判断するかという一番難しい点については、先ほどもお答え申し上げましたように上司の判断ということで決着をいたしたわけであります。この介護休業というような制度、育児休業も本当は同様ではございますが、こういうような制度は基本的に官民の間に格差があってはいけないし、オール・ジャパンでなければいけないわけでございまして、先ほどの細谷先生の私学に関するお話もそういう観点からもきちんと解決をしなければいけないでありましょう。
 ですから、公務員の世界で介護休業制度ができたということは、当然民の世界でも介護休業制度をつくり上げなければならないという前向きの姿勢を持って今研究をしていただいているということ、要介護の状態というものをどう判定するかというところについて、難しいでしょうが議論を詰めなければいけないということ、今そのような段階であろうかと思います。
 なお、先生からお話しのあった経済的な給付、給付というようなことになりますとこれもなかなか難しいわけでございまして、育児と違って一年たてば子供が大きくなって手がかからなくなるというのと質が違いますから、それはお年寄りの方、あるいは場合によっては家族がけがとか病気で長期間介護を必要とするような状況の中で給付を考える場合には、期間とか条件とか非常に難しい議論をしなければならないことになるであろうと私は思います。
#68
○細谷昭雄君 次に、高年齢雇用継続給付について、きょうは厚生省から近藤審議官もおいでになっておりますので、年金に関係した問題について若干御質問したいと思います。
 厚生省にお尋ねしたいことは、今国会に提出されております厚生年金制度の改正案では、これは継続にするかどうか非常に難しいところなんですけれども、在職老齢年金が高年齢雇用継続給付と併給される場合は、年金が一部支給停止されるというふうに改正になるわけでございます。これでは、せっかくこの制度がやろうとする促進効果や労働意欲を阻害することになりかねないという問題がございまして、在職老齢年金併給を認めるように、この高年齢雇用継続給付というのが創設されるという時点から認めるように見直しを、今回はできないと思いますが今後の課題とされる考えはないのかどうか。
 そこら辺について、ひとつ厚生省のお考えをお聞きしたいというふうに思います。
#69
○政府委員(近藤純五郎君) お答えを申し上げます。
 今回の雇用保険法の改正によりまして高年齢雇用継続給付ができるわけでございますが、同じ時期に同じ人に対しまして公的な現金給付が出るということで、私どもしては調整せざるを得ないのではないかということを考えたわけでございます。
 それで、先生御承知のように、厚生年金の関係では、五十歳代前半の老齢年金を受給されている方につきましては、従来から賃金収入がある場合には年金額を減額するという在職老齢年金制度があるわけでございまして、今回の改正でこれの大幅な改善を図ろうという在職老齢年金という制度があるわけでございます。さらに、今回の改正によりまして、雇用保険の失業給付を受給されている間は年金を支給停止しよう、こういう案を提案させていただいているわけでございます。
 したがいまして、在職老齢年金と高年齢雇用継続給付との調整の方法をどうするかということであったわけでございます。失業給付と同じような調整をするか、あるいは賃金との調整をするか、こういう二つの方法を検討いたしたわけでございますが、高年齢雇用継続給付は賃金にその一定割合を上乗せする給付であるということでございますので、賃金との調整に準じまして年金額について一定の支給調整を行うと。
 具体的には、受給されている方の標準報酬の一〇%をカットさせていただく、こういうふうなことであるわけでございます。しかし、この調整の結果、調整をいたしましても賃金と年金とそれから高年齢雇用継続給付の合計は賃金の一五%相当額は増加するわけでございまして、賃金の増加に応じまして総収入額がかなりふえてくる、こういうふうなことになるわけでございまして、雇用促進的な効果というのはそれほど損なわれないのではないかというふうに考えているわけでございまして、御理解をいただきたいというふうに考えているわけでございます。
#70
○細谷昭雄君 厚生省の考え方はあろうかと思います。
 労働省の皆さん方に申し上げたいと思うんですけれども、この高年齢雇用継続給付の場合は実際問題として同一労働、同一賃金という原則という点から考えますと、ほとんどこれは六十歳になりますと定年、それでかたんと賃金が下げられる、その下げられた分を今言った給付だとかそれから老齢年金だとかという形で、同じ仕事をしておるならば大体みんな合わせまして何とかもうちょっと、低いけれどもやるという格好になっておるわけです。労働基準行政から言いますと、これはちょっと問題があるんじゃないかというふうに思います。
 そういう形で、安易に賃金は低くなってもよろしいという形では、これは大変乱用されてしまう。つまり、安い労働力を使うためのいわゆる抜け道になっていくという危険性もありますので、その点で労働基準法上どういうふうにお考えでしょうか。
#71
○政府委員(石岡慎太郎君) 賃金水準などにつきましては基本的に労使が自主的に話し合いまして決定していくべきものであると考えております。したがいまして、継続雇用、再雇用の際の賃金などの労働条件につきましても、六十歳前半層の雇用確保を図る中で労使間において適切に決定されるべきものではないかと考えております。
 なお現実を見ますと、確かに先生御指摘のように、従前の企業を離れまして新たに再就職をされる六十歳前半層の賃金は非常に低いものがございますけれども、同一企業で勤務延長、再雇用をされる場合におきましては賃金がその前の水準で維持されるという企業がかなりございます。また、その際賃金を減額する企業もかなり見られるわけでございますけれども、その場合の賃金の減額率も三〇%未満であるという企業が非常に多うございますので、このような場合におきましては労使がよく雇用の問題も念頭に置きながら労働条件について話し合って妥当な形で水準を決定しているのではないかというふうに考えております。
 また、いろんな意味でその辺に余り問題が出ないように労働基準行政としてもケース・バイ・ケースで指導してまいりたいと思っております。
#72
○細谷昭雄君 時間がございませんので、失業給付制度については私の方から要望を申し上げて終わりたいと思います。
 まず最初に、失業給付につきましてはいろいろな点で改善をされたという点を評価しますし、特に日雇い労働者の問題につきましては、予算の関係で法案審議がずっと延びてきたということもございまして、きょう上げますと七月一日施行ということになります。非常に危ないところだったというふうに思いますし、我々もぜひ協力をしましてなるたけ早くこの法案を上げて日雇い労働者の皆さん方に少しでも朗報を、今まで十年間据え置かれておりました問題について、少しでも明るい施策を皆さん方に施していきたいというふうに思っておるところでございます。
 ただ失業給付制度について、実は大改正でありました五十九年改正時にこれは財源が非常に悪化した、財政悪化のために大改正をしたわけです。その大改正をしたときに、六項目についていろいろ財政上の総支出を抑えるために私たちからすると改悪、我々野党は絶対反対とやったわけですが、ところが財政が好転した際には見直すと、その議論の過程ではそういうふうにあったわけです。
 今回の改正では、大変に財政的には豊かになったということでいろんな給付を創設するわけでありますが、この見直しはなぜできなかったのか。これは時間がありませんので、答弁は要りません。要りませんが、今後十分、この昭和五十九年の大改正のときに政府で我々に何とかと頼んでこういうふうに削減したという経緯がございますので、財政的にゆとりが出てきたら復活を検討していくべきではないのかと、こんなふうに思っているわけであります。
 その点を要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#73
○吉川春子君 雇用保険法改正案について質問いたします。
 まず最初に、一般論として確認的に申し上げるわけですが、当然のことながら高齢者に対しても健康で文化的な最低限度の生活保障憲法第二十五条、それから勤労の権利及び義務二十七条、そして法のもとの平等が適用されます。単に年をとっているということ、すなわち年齢のみを理由としたいかなる差別も許されないというのは憲法上自明のことであると思います。
 そこで、労働省にお伺いいたしますが、国際的にはより具体的に年齢による差別を禁じている条約、立法があります。そのうちILOの百十一号条約、雇用及び職業についての差別待遇に関する条約の第一条一項の(b)は、年齢による差別が含まれるものとして取り扱うべきだと思いますが、どのようにお考えですか。
#74
○政府委員(渡邊信君) ILO百十一号条約はまだ我が国は比准をしていない条約でありますけれども、今御指摘の条項は加盟国が代表的労使団体と協議をして職業的差別の内容を決定できるという条項でございます。この条項の内容に年齢を含めるかどうかにつきましては、いろんな条件を勘案しながら慎重に考えていくべき問題であろうかと思っております。
#75
○吉川春子君 こういうILO条約を受けまして具体的にアメリカでは、アメリカだけではないんですけれども、アメリカでは一九六七年に年齢差別雇用禁止法が制定されて、中高年労働者の雇用の安定を図っています。使用者の不法行為としてこの法律ではどのようなことが禁じられているか、労働省御存じですか。
#76
○政府委員(渡邊信君) アメリカの年齢差別禁止法ですが、その概要を申し上げますと、四十歳以上の労働者につきまして、企業規模は二十人以上である使用者あるいは労働組合、職業紹介機関が年齢を理由としまして雇い入れ、解雇、賃金、労働条件等に関して差別をすること、あるいは年齢を理由として職業紹介の拒否その他の差別を行うこと、こういった差別待遇をしてはいけないということを規定しているものでございます。
#77
○吉川春子君 そこで、大臣にお伺いいたします。以上明らかにしましたように国際的にはそういうふうになっている。日本では高年齢といいますか、年齢を理由として雇用の場で差別を禁ずる直接的な立法例はありません。が、憲法の趣旨からしても雇用の場においても高齢者に対して賃金やら労働条件で年齢のみを理由にした差別的な扱いは一般的にはできないものと解するのがよろしいんじゃないでしょうか。
#78
○国務大臣(鳩山邦夫君) いわゆる職業生活、あるいは雇用、就業、そうしたようなことに関して一切年齢というものを表に出してはいけないというような考え方が一部の国で法律化されておるということは私も聞いておりました。具体的にどういうものであるかまでは知りませんが、アメリカにそういうものがあるということは聞いておりました。
 我が国の憲法は、先生御承知のとおり、それは統治の機構についていろいろ書いてありますが、さらにいわゆる基本権の保障という点では非常に充実した憲法を我々は持っておって、私も憲法は守り抜くべきであるという昔からの考え方を持っておりますから、我が国の憲法の基本権の保障は実に世界に冠たるものがあると大いに誇りに思っているぐらいでございます。
 ただ他面、日本的社会というのもありましょう。日本人的な人生観の問題というのがありましょう。ですから、いわばその人生設計とか人生をどう過ごすかという問題ではないかと思う中で、日本型の雇用慣行というのがあって、それに年金とかいろんな仕組みも後から加わってきて、大体自分の人生というのはこういうものかなというので、かつては五十五歳ぐらいまで現役で働いてというのが、今は六十歳ぐらいまでは現役で定年は大体六十歳ぐらいだろうかと。これが将来は定年が六十五歳まで延びていくと。そういうようなことで年金も今改正案が出ているわけですから、一種の年齢による区切りがそういう形で出てくる。
 これはこの間の高齢者雇用安定法も年齢について書いてある、六十歳以下の定年制はつくっちゃいかぬと。あるいは六十何歳という定年制をつくったら奨励金まで出しますよという年齢が区切ってある。今回のこの雇用継続給付についても明らかにこれは六十歳から六十五歳までの世界の話ですよと区切ってある。
 六十五歳までは現役で働きたい人は働くというのでどうでしょうか、六十六になったときはまた別の考え方でいいんじゃないでしょうかという物事の決め方は私はそれぞれの人間の人生設計にむしろ安定感を与えるものだ、こういうふうに考えております。決してじゃ六十六歳から働いちゃいかぬということになっているわけでも何でもありませんから、よろしいんじゃないでしょうか。
#79
○吉川春子君 年齢で区切るかどうかということではなくて、私が伺いましたのは年齢のみを理由とした差別的な扱いというのはやっぱり日本の法令から見ても許されないだろう、こういうことを最初に確認したかったわけなんです。
 そこで、先に進みたいと思いますが、この制度の導入のねらいとして趣旨説明において、「本格的な高齢社会に対応して、高年齢者の働く意欲と能力にこたえ、六十歳から六十五歳までの継続雇用、再就職の促進を図るため、六十歳時点に比して賃金が相当程度低下した状態で雇用を継続する被保険者に対し高年齢雇用継続給付を支給する」と、こういうふうにしているわけですが、しかし賃金が大幅に下がるということは重大であって、その状況を放置していいということにはならないと思うわけです。
 私は、六十歳になったらその年齢だけで賃金が相当程度低下する、このことを防ぐ手だてをまず政府は講ずるべきではないかと思うんです。それとも政府は、企業が高齢者を働かせる場合にはもう当然賃金を引き下げてもよろしいんですよと、そういうことを肯定しているんでしょうか、そうじゃないですよね。
#80
○政府委員(七瀬時雄君) 雇用継続給付の趣旨でございますけれども、六十歳定年を基盤として継続雇用、あるいは場合によっては別の企業に再就職される方もあるかもしれませんが、そのときに六十歳を過ぎた場合に、例えば働き方がその前に比べて非常に責任の程度の問題が出てくるとか、あるいは端的に一日置きに働くとかいろんな多様な働き方が出てくるわけでございます。
 そういった仕事の中身が変わる、それによって賃金が変わる、しかしそれに対してバックアップをしなくていいのかと、こういう考え方が今回の高年齢継続給付の根底にあるんだろう、こういうふうに理解いたしております。
#81
○吉川春子君 それでは、高齢者の処遇がどうなっているか、労働省の資料でお答えいただきたいと思います。
 高年齢者は賃金だけ当然のように下がっているという実態があるわけです。雇用管理調査によりますと、高年齢者の処遇はどうなっていますか。例えば仕事の内容、過所定労働時間、所定外労働時間、賃金についてそれ以前と以後と変わらないのか変わったのか、そういう統計をとっていますね。ちょっと数字でお答えいただきたいと思います。
#82
○政府委員(渡邊信君) 労働省で雇用管理調査というのを行っておりまして、本年の一月時点の速報が出ておりますが、それによりますと、賃金なり役職なりそういったものがかなり変化するという結果になっております。その内容は勤務延長で雇用を継続する者と、一たん解雇をして再雇用で継続雇用する者とでかなり内容に差があるというのが実情のようであります。
 例えば、賃金が下がるという者につきましては、勤務延長制度を有する企業のうち下がるというのは四〇%で、変わらないというのは四三・六%というふうになっております。これが再雇用になりますと、賃金が下がるというのが六三%、変わらないというのが二〇%というふうに、再雇用の方ではかなり処遇といいますか賃金面において差が出ているというふうなことがあります。
 先ほど基準局長の方から答弁いたしましたが、賃金の下がる割合につきましても三割以下というものが多いわけでありますが、やはり再雇用制度における方が賃金のダウン率が大きいというふうな状況になっております。
 また、処遇について言いますと、役員ポストについている人がそこを外すといいますか、役員ポストを外れるという割合について言いますと、勤務延長制度のある企業につきましては役職というものが変わるという者が三〇%、変わらないという者は約四三%というふうに、勤務延長のもとにおきましてはそのままのポストにいるという方の割合がかなり高いのに対しまして、再雇用になりますと変わるという方が五三%というふうに、過半数の方は再雇用のもとにおいては役職ポストからは離れていくというのが実態のようであります。
#83
○吉川春子君 勤務延長の点で、仕事の内容、過所定労働時間、所定外労働時間、その数字を言ってください。
#84
○政府委員(渡邊信君) ちょっと労働時間の方の資料は、恐縮ですが今手元にありません。
 失礼いたしました。勤務時間について言いますと、勤務延長制度がある場合の所定労働時間につきましては、例えば出勤日数の減少という者は三%、それから変わらないという者が勤務延長におきましては八四・七%というふうになっておりますが、再雇用制度のもとにおきましては……
#85
○吉川春子君 再雇用はいいです。時間がないんです。
#86
○政府委員(渡邊信君) 失礼しました。勤務延長については、変わらないというのが八四・七%ということで大多数でございます。
#87
○吉川春子君 仕事の内容と所定外時間。
#88
○政府委員(渡邊信君) 例えば所定外労働時間について言いますと、勤務延長の場合には変わらないというのが六一%、減少するという者が一二%程度となっております。
#89
○吉川春子君 とぎれとぎれなんですけれども、数字は正しいんですね。つまり、勤務延長の場合に仕事の内容で変わらないのが七六%、所定内労働時間で変わらないのが八四・七%、所定外は六一%。賃金が変わらないのが四三・六で、変わったというのが四〇・三%なんです。つまり、そのほかのものは変わらないのに賃金だけがくんと下がっている、変わっていると、これが今言っていただいた数字の内容なんです。やっぱりこれを、まず是正しなきゃいけないんじゃないかというふうに思うわけです。
 だから、ほかのものが変わって、さっきこちらの局長が答えられたように、毎日じゃなくて週三日になった、時間が変わったから賃金が変わったとかというんじゃなくて、勤務時間も仕事の内容も変わらないけれども、賃金だけが変わっている、六十歳過ぎると。そこが私非常に問題だと思うわけです。
 普通は、仕事の内容も勤務時間も変わらなければ給料も変わらない、年齢だけによっては。そういう指導をどの程度労働省としてはおやりになるんですか。それとも、今やっているんですか。
#90
○政府委員(渡邊信君) その点につきましては、例えばパート労働の問題について、先国会で大変議論にやはりなったところだと思うわけでありますけれども、パートの方の時給はフルタイムの方の時給と全く同じかどうか、仕事の内容が同じなら全く同じかどうかというようなことで、かなり議論になったと記憶しております。
 勤務延長なり、再雇用された高齢者の方の処遇なり、勤務時間なり、そういったものが統計にあらわれている限りで同じだと申しましても、仕事の内容というものはさらに突き詰めてみれば、それぞれの企業でいろいろ差があるというふうなことがあって、実態として見ると、恐らく例えば六十までフルタイムでおられる方と、六十後、勤務延長等で勤務される方と、それは企業によっていろんな差があるのじゃないかというふうに思われますが、統計だけではなかなか出てこない問題、そういったものを含めまして、賃金や処遇のあり方というのは労使でよく話し合う問題ではないかというふうに思っております。
#91
○吉川春子君 この数字を素直にそのまま受け取って、労働省としては手を打つべきところは打つべきであって、いや仕事の内容は変わらないと言っているけれども、実際には責任は軽くなったんじゃないかとか、そういうことはここでおっしゃる必要はないんだと思います。
 私は、ここで問題にしたいのは、今も数字にはっきりあらわれていましたけれども、勤務延長の場合と、それから一度雇用を打ち切ってまた再雇用される場合とでは、給料もこんなに違うという答弁ありましたけれども、今問題なのは雇用継続制度をどうやってふやしていくかという問題だと思うんです。
 これは、大企業の方が雇用継続制度というのは少なくて、中小零細企業の方が再雇用制度はあるんですけれども、この数字、労働省はっかんでおられますか。そして、ぜひ大企業に対しても雇用継続制度を創設していくように強い行政指導をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
#92
○政府委員(渡邊信君) ちょっと正確な数字は手元にないのですが、おっしゃいますように大企業の方が雇用継続といいますか、勤務延長等の数字が低いという実情にあります。
 これは、大企業におきましては、現在では四十代後半ぐらいから、関連企業等も活用して雇用を、確保するというような制度が相当普及してきておりまして、そういったことも影響しているのではないかと思います。いずれにしましても、これからは六十歳前半層の方が現役として勤務を続けることができるということは、私ども大変重要だと思っておりますので、できるだけそういう方向にこれから社会を持っていきたいというふうに思っているところであります。
#93
○吉川春子君 時間がないので、先へ進みたいと思うんですけれども、雇用継続と失業予防について伺います。
 高梨中央職業安定審議会会長は、雇用継続給付制度は、六十歳で雇用延長や再就職によって所得が低下した場合に所得保障するものであって、就業している者に失業給付を行うという意味では、雇用保険法制定以来の大改正であるというふうに語っているわけです。今回の法改正を、労働省も、安い賃金の補てんをする、こういう意味に解しているんですか。ここ簡単に答えてください。
#94
○政府委員(七瀬時雄君) そういうふうには考えておりません。したがいまして、賃金が下がった場合におきまして、比例的につまり現実にもらっている賃金の二五%を支給するという形でございますので、いわば頭打ちの制度を設けていないことからもその点は明らかだろうと思います。
#95
○吉川春子君 これは安い賃金を補うために雇用保険制度を活用する、そういうことではないという意味ですか。
#96
○政府委員(七瀬時雄君) いわば賃金が減った状態を保険事故としてとらえて必要な給付をするということでございまして、安い賃金を補うということではございません。
#97
○吉川春子君 それは安い賃金を補うとは言えないんでしょうが、言えませんよ法律的には賃金じゃないんだから、企業が払うんじゃないから。言えないけれども、実際には安い賃金を補うという意味を持っているんじゃないですか。
 それで、ちょっと数字を伺いますけれども、その雇用継続給付は年間との程度になると思われますか。育児、高齢者、それぞれ数字を答えてください。
#98
○政府委員(七瀬時雄君) 来年の四月から施行いたしますと、その過渡期においてはいろんな数字の計算のしようがありますが、平年度化された状態では、高齢者につきまして最大限百十六万、育児につきましては十四万というふうに見ております。
#99
○吉川春子君 百十六万というのは何ですか。予想される予算額としては百十六万で済むという意味、そうじゃないでしょう。
#100
○政府委員(七瀬時雄君) 失礼いたしました。百十六万人の方々が……
#101
○吉川春子君 予算、お金で言って。
#102
○政府委員(七瀬時雄君) 予算的には高年齢雇用継続給付で五千四百億円、育児休業で約六百億円でございます。
#103
○吉川春子君 その中で、政府負担、企業負担、労働者負担はそれぞれ幾らになりますか。
#104
○政府委員(七瀬時雄君) 労使はそれぞれ折半するということでございまして、国からの一般会計からは十分の一負担するということになっております。
#105
○吉川春子君 今の数字に当てはめて金額で言ってください。
#106
○説明員(戸苅利和君) 全部で六千億かかるものですから、その十分の一を国庫負担ということでございますので、国庫負担、一般会計予算が六百億円でございます。それから残りの半分でございますから、労使の保険料収入がそれぞれ二千七百億ずつということになっております。
#107
○吉川春子君 つまり、給料ががくんと下がる、そしてそれを一定の条件のもとに保険から支出する、そしてそのうちの二千七百億円というものは労働者の負担でもって補う、こういう制度なわけなんですね、今回。大きくうなずいておられますので、そういう制度なわけなんです。
 そして、給料が下がって、賃金の補てんという性格を有するわけですが、法的に賃金がどうかという論争はきょう時間がありませんのでできませんが、それについて労働者が二千七百億負担するというのは問題なんです。これは企業に、賃金を支払う補助金として労働者が支払ってやる、そういうことに結果としてなるんじゃありませんか。これは本来企業が払うべきものであって、企業が安い賃金しか払わないからといって、労働者も拠出する保険料で払うということはおかしいわけです。
 本法のねらいは、企業拠出金で賄うのではなくて、労働者に負担させるというところにあるわけなんです。私たちがこの法案に賛成できない理由の最大のものは実はここにあります。
 政府は、労働者の負担に頼ることは、これは私は法的にも認められないと思います。こういうことをやめて、やっぱりきちんと企業に支払わせる。制度はともかくとして、賃金をがくんと落とさないで賃金としてきちっと企業に払わせる、そういう指導を労働省はすべきじゃないですか。
#108
○政府委員(七瀬時雄君) 私どもの制度は、六十歳を過ぎた場合に賃金はいかにあるべきか、これは労使でお決めになる話であるというまず前提がございまして、その場合に、例えば働く時間とかいろんな事情、企業の賃金制度もあろうかと思いますが、それで、例えば賃金が三割、四割と前に比べれば低い状態になった、そこの低い状態になったことを保険事故として補っていこう、こういう制度でございます。
 賃金を補てんするということではなくて、決められた賃金が下がっている、その下がっている状態を保険事故として失業に準ずる性格である、こういうとらえ方でございますので、低賃金の補てんという考え方はございません。
#109
○国務大臣(鳩山邦夫君) 今回の雇用保険法の改正は、たびたび申し上げておりますように、意欲と能力のある方は六十五歳まで働いていただく、そういう道筋をつけていこうということで言えばこの制度だって私は恒久的なものとは思わないんです。ある程度過渡的なものであってほしいと。
 というのは、今は六十歳定年に何とか持っていく、五十八歳定年とか五十九歳定年はいけないといって六十歳定年ですよということを今回また法律を改正しました。だけれども、これがいずれは六十五歳定年まで私は持っていけたらいいなと思うわけです、少なくとも二千十何年というときには。だけれども、今は六十歳で定年で一たん切れちゃう。再雇用とかあるいは勤務延長という場合には、これはどうしても給料が下がるという一つの慣行でしょう。給料については労働省が口を出すべきではなくて、それは労使が決めることですけれども、実際は一たん定年になれば、それは再雇用の場合でも勤務延長でも給料は下がると。
 そこのところを調整しようということで考えていることですから、だから六十三歳定年大いに結構、六十五歳定年大いに結構、ますます長寿になっていったら六十五歳までみんな定年が延長されれば、給料が下がることがないからこの制度も適用されないという、そういう時代が十年後、十五年後には来たらいいなと私は思います。
#110
○吉川春子君 高梨会長は、「高齢者や女性の雇用を継続させ、失業を予防しようとするものである」と、今度の制度をそういうふうにおっしゃっているわけです。それはいいんでしょう、労働省。
 それを前提として考えますと、雇用継続、失業予防という点で言えば、今雇用調整助成金という制度があるわけです。これは解雇されて失業状態にならないように、解雇される前に一定の条件のもとで給料の三分の二とか、率もちょっと上がりましたね、それを補てんしています。これはそういう制度があるわけなんです。ところが、これは今度使わないで新たにこういう雇用保険制度の改正と出してきたんですが、私時間がないから言っちゃいますけれども、要するにこの雇用調整助成金というのは、これは全部企業負担なんです。今一千億以上ことしの予算で出していますけれども、労働者負担というのはないんです。まさに雇用の継続とか失業の予防ということでそういう制度があるにもかかわらずこういうものを使わなかった。これは企業に負担させたくない、二千七百億、労働者に負担させればいいんだ、こういう意図が見え見えなんです。
 私は、労働省がこういう制度を考えたとしても、例えば雇用三事業のような制度、今ある制度をなぜ活用してやらなかったのか。わざわざ労働者にこんな多額なお金を負担させるような方法で今度の制度を設けたのか、そこの理由を説明してください。
#111
○説明員(戸苅利和君) 雇用保険の三事業につきましては、これはもともと企業行動に起因する雇用上の問題を事業主の共同負担で処理しようということでありまして、経済的な企業運営の問題、あるいは産業構造の変化の問題、そういったことで操業短縮等を余儀なくされて、その場合に操業短縮中に給料を払うなりあるいは休業手当を払うなり、これは基準法上、当然休業手当については平均賃金の六割を払うようにということで、これは事業主の責務として明らかになっているわけであります。そういう意味で、雇用調整助成金というのは同じ失業の予防という観点はあるんですが、三事業で十分行えるというふうに考えておりまして、これまでもそう運営してきたわけであります。
 一方、高年齢雇用継続給付につきましては、高齢化に伴う能力の低下といいますか、あるいはこれまでの全体の労働市場の状況といいますか、そういった中で賃金の低下を余儀なくされてしまう。そういう場合に、事業主が落ちた分の一定水準等を経済的なあるいは金銭的な補てんをするというふうなことをどう考えるかという問題だろうと思います。
 これを三事業でやるということになりますと、これは事業主責任であるということになるわけでありまして、今申し上げたようなことで賃金が下がるようなものについては、やはり事業主責任だということについて社会的なコンセンサスは得られないのではないか。むしろ、賃金が一定水準下がって雇用の継続が困難となるというのを雇用保険の保険事故とみなして、失業防止という失業給付に準じたような給付を行っていこうというのが今回の趣旨でございます。
#112
○吉川春子君 全然納得できるような説明になっていないんです。同じ雇用継続、失業予防でしょう。社会的コンセンサスが得られないとおっしゃったけれども、企業のコンセンサスが得られないという意味に私は置きかえて聞いていたんですけれども、しかし、あなたも何遍も賃金、賃金とおっしゃったし、ほかの方も賃金、賃金とおっしゃった。その賃金の安さを補てんするためになぜ労働者の掛金、拠出金を原資として、それを保険料として払うというような形でやらなきゃいけないのか。これはとても納得できないことです。
 今度の改正の中には、今までの労働者の要求を入れた積極的な面もあります。しかし、この一番お金のかかる一番根本的な改正は今私が質問した点にあるわけなんです。今後そういうものがうんとふえていけば、保険料の値上げとかいろんなところにつながっていくし、大体雇用保険制度の根本的な改変じゃないですか。こういうものを今回やってしまうということは非常に重要だと思います。そして、こういうことをやるということになると、事務量が物すごくふえます。労働省の職員の労働強化、過労死も出るかもしれない、今でも大変ですから。
 そういうようなことで、最後に大臣に要望したいのは、一つは大企業が雇用継続制度をもっとつくっていくように、今熱意も全然ないんです、やろうと思っているところが二、三割しかないんです。もっと雇用継続制度を大企業にやらせて賃金もちゃんと払わせるという指導。それと、労働省の職員に今以上の過重な負担がかからないように、事務量がこれだけものすごくふえるわけですから、定則のもとではありますけれども、人員を十分に確保するということ、私はそこも指摘しておきたいと思うんです。時間がないのでもうこれ以上言えませんけれども。
#113
○国務大臣(鳩山邦夫君) 当然企業の持つべきさまざまな社会的な責任というものがある。私はいつも申し上げておりますが、そういう中で今後六十過ぎの方でもできる限り継続して雇用をしていただくというのは、私は当然の責任の一つだと思っておりますから、それは経済界の皆様方にもお話はしていこうと思っております。
 また、増員というか労働行政に携わる人々の数の問題でございましょう。それは先ほどからお答えをしておりますように、行政改革というのはスクラップ・アンド・ビルド、しかも必要なところにきちんと人材を配置するのが正しい行政改革でなんです。私たちがこの法案に賛成できない理由の最大のものは実はここにあります。
 政府は、労働者の負担に頼ることは、これは私は法的にも認められないと思います。こういうことをやめて、やっぱりきちんと企業に支払わせる。制度はともかくとして、賃金をがくんと落とさないで賃金としてきちっと企業に払わせる、そういう指導を労働省はすべきじゃないですか。
#114
○政府委員(七瀬時雄君) 私どもの制度は、六十歳を過ぎた場合に賃金はいかにあるべきか、これは労使でお決めになる話であるというまず前提がございまして、その場合に、例えば働く時間とかいろんな事情、企業の賃金制度もあろうかと思いますが、それで、例えば賃金が三割、四割と前に比べれば低い状態になった、そこの低い状態になったことを保険事故として補っていこう、こういう制度でございます。
 賃金を補てんするということではなくて、決められた賃金が下がっている、その下がっている状態を保険事故として失業に準ずる性格である、こういうとらえ方でございますので、低賃金の補てんという考え方はございません。
#115
○国務大臣(鳩山邦夫君) 今回の雇用保険法の改正は、たびたび申し上げておりますように、意欲と能力のある方は六十五歳まで働いていただく、そういう道筋をつけていこうということで言えばこの制度だって私は恒久的なものとは思わないんです。ある程度過渡的なものであってほしいと。
 というのは、今は六十歳定年に何とか持っていく、五十八歳定年とか五十九歳定年はいけないといって六十歳定年ですよということを今回また法律を改正しました。だけれども、これがいずれは六十五歳定年まで私は持っていけたらいいなと思うわけです、少なくとも二千十何年というときには。だけれども、今は六十歳で定年で一たん切れちゃう。再雇用とかあるいは勤務延長という場合には、これはどうしても給料が下がるという一つの慣行でしょう。給料については労働省が口を出すべきではなくて、それは労使が決めることですけれども、実際は一たん定年になれば、それは再雇用の場合でも勤務延長でも給料は下がると。
 そこのところを調整しようということで考えていることですから、だから六十三歳定年大いに結構、六十五歳定年大いに結構、ますます長寿になっていったら六十五歳までみんな定年が延長されれば、給料が下がることがないからこの制度も適用されないという、そういう時代が十年後、十五年後には来たらいいなと私は思います。
#116
○吉川春子君 高梨会長は、「高齢者や女性の雇用を継続させ、失業を予防しようとするものである」と、今度の制度をそういうふうにおっしゃっているわけです。それはいいんでしょう、労働省。
 それを前提として考えますと、雇用継続、失業予防という点で言えば、今雇用調整助成金という制度があるわけです。これは解雇されて失業状態にならないように、解雇される前に一定の条件のもとで給料の三分の二とか、率もちょっと上がりましたね、それを補てんしています。これはそういう制度があるわけなんです。ところが、これは今度使わないで新たにこういう雇用保険制度の改正と出してきたんですが、私時間がないから言っちゃいますけれども、要するにこの雇用調整助成金というのは、これは全部企業負担なんです。今一千億以上ことしの予算で出していますけれども、労働者負担というのはないんです。まさに雇用の継続とか失業の予防ということでそういう制度があるにもかかわらずこういうものを使わなかった。これは企業に負担させたくない、二千七百億、労働者に負担させればいいんだ、こういう意図が見え見えなんです。
 私は、労働省がこういう制度を考えたとしても、例えば雇用三事業のような制度、今ある制度をなぜ活用してやらなかったのか。わざわざ労働者にこんな多額なお金を負担させるような方法で今度の制度を設けたのか、そこの理由を説明してください。
#117
○説明員(戸苅利和君) 雇用保険の三事業につきましては、これはもともと企業行動に起因する雇用上の問題を事業主の共同負担で処理しようということでありまして、経済的な企業運営の問題、あるいは産業構造の変化の問題、そういったことで操業短縮等を余儀なくされて、その場合に操業短縮中に給料を払うなりあるいは休業手当を払うなり、これは基準法上、当然休業手当については平均賃金の六割を払うようにということで、これは事業主の責務として明らかになっているわけであります。そういう意味で、雇用調整助成金というのは同じ失業の予防という観点はあるんですが、三事業で十分行えるというふうに考えておりまして、これまでもそう運営してきたわけであります。
 一方、高年齢雇用継続給付につきましては、高齢化に伴う能力の低下といいますか、あるいはこれまでの全体の労働市場の状況といいますか、そういった中で賃金の低下を余儀なくされてしまう。そういう場合に、事業主が落ちた分の一定水準等を経済的なあるいは金銭的な補てんをするというふうなことをどう考えるかという問題だろうと思います。
 これを三事業でやるということになりますと、これは事業主責任であるということになるわけでありまして、今申し上げたようなことで賃金が下がるようなものについては、やはり事業主責任だということについて社会的なコンセンサスは得られないのではないか。むしろ、賃金が一定水準下がって雇用の継続が困難となるというのを雇用保険の保険事故とみなして、失業防止という失業給付に準じたような給付を行っていこうというのが今回の趣旨でございます。
#118
○吉川春子君 全然納得できるような説明になっていないんです。同じ雇用継続、失業予防でしょう。社会的コンセンサスが得られないとおっしゃったけれども、企業のコンセンサスが得られないという意味に私は置きかえて聞いていたんですけれども、しかし、あなたも何遍も賃金、賃金とおっしゃったし、ほかの方も賃金、賃金とおっしゃった。その賃金の安さを補てんするためになぜ労働者の掛金、拠出金を原資として、それを保険料として払うというような形でやらなきゃいけないのか。これはとても納得できないことです。
 今度の改正の中には、今までの労働者の要求を入れた積極的な面もあります。しかし、この一番お金のかかる一番根本的な改正は今私が質問した点にあるわけなんです。今後そういうものがうんとふえていけば、保険料の値上げとかいろんなところにつながっていくし、大体雇用保険制度の根本的な改変じゃないですか。こういうものを今回やってしまうということは非常に重要だと思います。そして、こういうことをやるということになると、事務量が物すごくふえます。労働省の職員の労働強化、過労死も出るかもしれない、今でも大変ですから。
 そういうようなことで、最後に大臣に要望したいのは、一つは大企業が雇用継続制度をもっとつくっていくように、今熱意も全然ないんです、やろうと思っているところが二、三割しかないんです。もっと雇用継続制度を大企業にやらせて賃金もちゃんと払わせるという指導。それと、労働省の職員に今以上の過重な負担がかからないように、事務量がこれだけものすごくふえるわけですから、定則のもとではありますけれども、人員を十分に確保するということ、私はそこも指摘しておきたいと思うんです。時間がないのでもうこれ以上言えませんけれども。
#119
○国務大臣(鳩山邦夫君) 当然企業の持つべきさまざまな社会的な責任というものがある。私はいつも申し上げておりますが、そういう中で今後六十過ぎの方でもできる限り継続して雇用をしていただくというのは、私は当然の責任の一つだと思っておりますから、それは経済界の皆様方にもお話はしていこうと思っております。
 また、増員というか労働行政に携わる人々の数の問題でございましょう。それは先ほどからお答えをしておりますように、行政改革というのはスクラップ・アンド・ビルド、しかも必要なところにきちんと人材を配置するのが正しい行政改革でなんです。私たちがこの法案に賛成できない理由の最大のものは実はここにあります。
 政府は、労働者の負担に頼ることは、これは私は法的にも認められないと思います。こういうことをやめて、やっぱりきちんと企業に支払わせる。制度はともかくとして、賃金をがくんと落とさないで賃金としてきちっと企業に払わせる、そういう指導を労働省はすべきじゃないですか。
#120
○政府委員(七瀬時雄君) 私どもの制度は、六十歳を過ぎた場合に賃金はいかにあるべきか、これは労使でお決めになる話であるというまず前提がございまして、その場合に、例えば働く時間とかいろんな事情、企業の賃金制度もあろうかと思いますが、それで、例えば賃金が三割、四割と前に比べれば低い状態になった、そこの低い状態になったことを保険事故として補っていこう、こういう制度でございます。
 賃金を補てんするということではなくて、決められた賃金が下がっている、その下がっている状態を保険事故として失業に準ずる性格である、こういうとらえ方でございますので、低賃金の補てんという考え方はございません。
#121
○国務大臣(鳩山邦夫君) 今回の雇用保険法の改正は、たびたび申し上げておりますように、意欲と能力のある方は六十五歳まで働いていただく、そういう道筋をつけていこうということで言えばこの制度だって私は恒久的なものとは思わないんです。ある程度過渡的なものであってほしいと。
 というのは、今は六十歳定年に何とか持っていく、五十八歳定年とか五十九歳定年はいけないといって六十歳定年ですよということを今回また法律を改正しました。だけれども、これがいずれは六十五歳定年まで私は持っていけたらいいなと思うわけです、少なくとも二千十何年というときには。だけれども、今は六十歳で定年で一たん切れちゃう。再雇用とかあるいは勤務延長という場合には、これはどうしても給料が下がるという一つの慣行でしょう。給料については労働省が口を出すべきではなくて、それは労使が決めることですけれども、実際は一たん定年になれば、それは再雇用の場合でも勤務延長でも給料は下がると。
 そこのところを調整しようということで考えていることですから、だから六十三歳定年大いに結構、六十五歳定年大いに結構、ますます長寿になっていったら六十五歳までみんな定年が延長されれば、給料が下がることがないからこの制度も適用されないという、そういう時代が十年後、十五年後には来たらいいなと私は思います。
#122
○吉川春子君 高梨会長は、「高齢者や女性の雇用を継続させ、失業を予防しようとするものである」と、今度の制度をそういうふうにおっしゃっているわけです。それはいいんでしょう、労働省。
 それを前提として考えますと、雇用継続、失業予防という点で言えば、今雇用調整助成金という制度があるわけです。これは解雇されて失業状態にならないように、解雇される前に一定の条件のもとで給料の三分の二とか、率もちょっと上がりましたね、それを補てんしています。これはそういう制度があるわけなんです。ところが、これは今度使わないで新たにこういう雇用保険制度の改正と出してきたんですが、私時間がないから言っちゃいますけれども、要するにこの雇用調整助成金というのは、これは全部企業負担なんです。今一千億以上ことしの予算で出していますけれども、労働者負担というのはないんです。まさに雇用の継続とか失業の予防ということでそういう制度があるにもかかわらずこういうものを使わなかった。これは企業に負担させたくない、二千七百億、労働者に負担させればいいんだ、こういう意図が見え見えなんです。
 私は、労働省がこういう制度を考えたとしても、例えば雇用三事業のような制度、今ある制度をなぜ活用してやらなかったのか。わざわざ労働者にこんな多額なお金を負担させるような方法で今度の制度を設けたのか、そこの理由を説明してください。
#123
○説明員(戸苅利和君) 雇用保険の三事業につきましては、これはもともと企業行動に起因する雇用上の問題を事業主の共同負担で処理しようということでありまして、経済的な企業運営の問題、あるいは産業構造の変化の問題、そういったことで操業短縮等を余儀なくされて、その場合に操業短縮中に給料を払うなりあるいは休業手当を払うなり、これは基準法上、当然休業手当については平均賃金の六割を払うようにということで、これは事業主の責務として明らかになっているわけであります。そういう意味で、雇用調整助成金というのは同じ失業の予防という観点はあるんですが、三事業で十分行えるというふうに考えておりまして、これまでもそう運営してきたわけであります。
 一方、高年齢雇用継続給付につきましては、高齢化に伴う能力の低下といいますか、あるいはこれまでの全体の労働市場の状況といいますか、そういった中で賃金の低下を余儀なくされてしまう。そういう場合に、事業主が落ちた分の一定水準等を経済的なあるいは金銭的な補てんをするというふうなことをどう考えるかという問題だろうと思います。
 これを三事業でやるということになりますと、これは事業主責任であるということになるわけでありまして、今申し上げたようなことで賃金が下がるようなものについては、やはり事業主責任だということについて社会的なコンセンサスは得られないのではないか。むしろ、賃金が一定水準下がって雇用の継続が困難となるというのを雇用保険の保険事故とみなして、失業防止という失業給付に準じたような給付を行っていこうというのが今回の趣旨でございます。
#124
○吉川春子君 全然納得できるような説明になっていないんです。同じ雇用継続、失業予防でしょう。社会的コンセンサスが得られないとおっしゃったけれども、企業のコンセンサスが得られないという意味に私は置きかえて聞いていたんですけれども、しかし、あなたも何遍も賃金、賃金とおっしゃったし、ほかの方も賃金、賃金とおっしゃった。その賃金の安さを補てんするためになぜ労働者の掛金、拠出金を原資として、それを保険料として払うというような形でやらなきゃいけないのか。これはとても納得できないことです。
 今度の改正の中には、今までの労働者の要求を入れた積極的な面もあります。しかし、この一番お金のかかる一番根本的な改正は今私が質問した点にあるわけなんです。今後そういうものがうんとふえていけば、保険料の値上げとかいろんなところにつながっていくし、大体雇用保険制度の根本的な改変じゃないですか。こういうものを今回やってしまうということは非常に重要だと思います。そして、こういうことをやるということになると、事務量が物すごくふえます。労働省の職員の労働強化、過労死も出るかもしれない、今でも大変ですから。
 そういうようなことで、最後に大臣に要望したいのは、一つは大企業が雇用継続制度をもっとつくっていくように、今熱意も全然ないんです、やろうと思っているところが二、三割しかないんです。もっと雇用継続制度を大企業にやらせて賃金もちゃんと払わせるという指導。それと、労働省の職員に今以上の過重な負担がかからないように、事務量がこれだけものすごくふえるわけですから、定則のもとではありますけれども、人員を十分に確保するということ、私はそこも指摘しておきたいと思うんです。時間がないのでもうこれ以上言えませんけれども。
#125
○国務大臣(鳩山邦夫君) 当然企業の持つべきさまざまな社会的な責任というものがある。私はいつも申し上げておりますが、そういう中で今後六十過ぎの方でもできる限り継続して雇用をしていただくというのは、私は当然の責任の一つだと思っておりますから、それは経済界の皆様方にもお話はしていこうと思っております。
 また、増員というか労働行政に携わる人々の数の問題でございましょう。それは先ほどからお答えをしておりますように、行政改革というのはスクラップ・アンド・ビルド、しかも必要なところにきちんと人材を配置するのが正しい行政改革でわけてあります。
 いずれにしましても、初めに申しましたように、やはり国のいろいろな援助というものが必要であろうと思っておりますので、財政との関連もあるわけでありますが、助成の充実に今後とも努めたいと思います。
#126
○三石久江君 次に、雇用継続給付制度のもう一方の柱、育児休業給付についてお尋ねをいたします。
 育児休業法が平成四年四月から施行されましたが、必ずしも十分な効果を発揮していないと言われております。制定当初から何らかの所得保障措置が要望されておりましたが、時期尚早ということで見送られましたので、経済的に余裕のない労働者の方はとりたくてもとれないというのが実情であったと思います。今後、育児休業給付制度が設けられることで育児休業をとりやすくなるものと期待されますが、その給付内容を見ますと休業前賃金の二五%で、生活を維持するためには決して十分なものとはいえません。
 そこで伺いますが、育児休業給付の給付率を二五%にしたのはなぜでしょうか。また、今後引き上げていくことが必要と考えますが、この点の御見解を伺いたいと思います。
#127
○政府委員(七瀬時雄君) 育児休業給付につきましては、雇用保険による給付事業として行うということといたしたわけでございますが、この給付率につきましては、その時点で離職して求職者給付を受給する方々、これはこの世代の方ですと九十日で賃金の六割ということが平均的かと思いますが、それとのバランスを考えまして二五%に設定したものでございます。
 もちろん、これがどれぐらいがいいのかということは、公労使三者構成の安定審議会でもいろんな議論がございましたけれども、育児休業をとらずにほかの方に育児をお願いする方でありますとか、あるいはそもそも育児ということが起こらない方々とか、いろんな方々のバランスを考えてコンセンサスを得るとすれば、現時点では二五%と用いうのが現実的であるということで、このようになったと承知いたしております。
 また、この水準というのはドイツとかフランスとか、そういったヨーロッパの水準と大体同じ程度でございまして、もちろんスウェーデンのような国もございますけれども、国際的な動向もにらみながらこういうことにさせていただいたということでございます。
#128
○三石久江君 今後引き上げていくかどうか。
#129
○政府委員(七瀬時雄君) 今後の問題でございますけれども、これはかなり国民的なコンセンサスを得ながらやっていかなければならない問題でございますので、引き続きいろんな場面で御議論をいただくということ以上にちょっと私から今の段階では申し上げかねますので、御了承いただきたいと思います。
#130
○三石久江君 次に、先ほども大臣から伺いましたけれども、育児休業給付は基本給付金二〇%と育児休業者職場復帰給付金五%に分けられ、職場復帰給付金は休業前の職場に復帰して六カ月以上勤務してから支給されます。休業中に支給されてこそ効果があると思いますが、復帰後六カ月とは給付の目的にとってもマイナスではないかと思います。雇用継続給付制度でありますから給付終了と同時に離職することがあってはならないと思いますが、分割支給をやめるか、もう少し早く支給できるようになりませんでしょうか。
 また、育児休業を終えて一たん職場復帰をしたけれども、仕事と育児の両立が難しいので、例えば家に近い事業所あるいは労働時間の短い事業所に転職して働き続ける場合も多いのではないかと思います。このような場合、職場復帰給付金は休業前の職場であることが絶対条件でしょうか、お伺いしたいと思います。
#131
○政府委員(七瀬時雄君) ただいま御指摘ございましたように、育児休業給付は雇用の継続を促進するということでございます。ただ、雇用の継続をしようと思って休業に入ったけれども、結果的にどうしてもできなかったという場合ももちろん起こり得ることは承知いたしております。
 いずれにいたしましても、制度の趣旨が継続雇用である以上、きちんと継続雇用で戻ってきた人に対して追加的な給付をする必要があるだろうということで、五%の分を後から払うということにいたしたわけでございます。
 したがいまして、継続給付でもとの職場に復帰をしたということをきちんと、はっきりさせるという意味で六カ月という期間が必要だということで、こういう制度を設けたわけでございます。
 それから、育児休業法をつくりましたときに、事業主自身が自分の職場に戻ってくるということを前提にしていわば休業を義務的に認めるというか、事業主としてはそれを受忍すべき立場にあるということになったわけでございますから、やはりそれを前提に組み立てられたこの給付につきましてももとの職場に戻るということを柱にしてつくっているわけでございます。
 この点につきましては、これから先、運用の状況、実情、そういったものを見ながらまだ考えていくべき時期があるいは来るのかなと思ったりいたしております。
#132
○三石久江君 そこで、平成五年の労働省の女子雇用管理基本調査によりますと、育児休業期間中に何らかの金銭が支給されている事業所は二八%で、その七六・三%は労働者負担分の社会保険料相当額に限られますが、全給与あるいは定率、定額を支給している企業もあります。このような企業が育児休業給付の創設によってその支給をやめたり、減額したりする心配があります。
 そこで伺いますが、企業はそのような動きをする恐れはありませんでしょうか。仮にそうしたことが起こった場合には労働省としてはどのような対応をお考えでしょうか、御見解を伺いたいと思います。
#133
○政府委員(七瀬時雄君) 育児休業の期間中に労使の約束事で一定額の賃金、社会保険料負担当分もありましょうけれども、払っているケースは御指摘のとおりございます。これは、やはりそういう制度を設けることが労使双方にとってメリット、意義があるからそういう制度をつくっているんだろうと思いますが、今回の雇用継続給付はこれを保険事故としてとらえて国の給付としてつくり上げていくということでございますから、趣旨、目的がちょっと違ったところにある。
 そういたしますと、こういう国の制度ができたから今までメリットを感じていたものをやめてしまうというのはちょっと制度の趣旨に合わないのかなと思っておりますので、そういうことがないように、よく目を光らせていくというと大げさでございますが、目配りをしていかなければならないと思っております。
 また、そういう労使の約束で払っているものを変えようとすれば労働協約を変えるとか就業規則を変えるとか、それなりの手続も必要になってくるのだろうというふうに思っております。
#134
○三石久江君 企業がそのような動きをするおそれはありませんかということについては、どうですか。
#135
○政府委員(七瀬時雄君) その点は、そういうことができるだけないようにと思っておりますけれども、制度につきましては新しくできたのでもういいじゃないかというような、乱用というとあれかもしれませんが、そんなことが全く起こらないとは言えないと思います。
#136
○三石久江君 次に、高年齢雇用継続給付及び育児休業給付の受給対象者の実数はどれくらいでしょうか。
#137
○説明員(戸苅利和君) 高年齢雇用継続給付につきましては、平年度ベースでしかも最大限この給付が効果を発揮したということで算定いたしますと年間約百十六万人程度、それから育児休業給付につきましても最大で年間十四万人程度を、それぞれ見込んでおります。
#138
○三石久江君 次に、介護休業についてですが、労働者の仕事と家庭の両立を図る観点から育児とともに今後重要になってくるのが介護の問題だと考えます。
 現在、労働省においては介護休業制度の法制化について検討を行っていると聞いておりますが、まず、その検討状況は現在どうなっているのか伺いたいと思います。
#139
○政府委員(松原亘子君) 介護休業制度につきましては私どもも非常にこれは重要な制度だというふうに思っているところでございまして、平成二年以来さまざまな形で普及指導をやってきており、平成四年にはガイドラインという形で定め、それに沿った制度が導入されるようにという指導などをやってきているわけでございます。
 この介護休業制度をいかに有効に普及させるかというのは、婦人少年問題審議会で昨年来審議をいただいていたわけでございますが、その審議会におきましても介護休業制度を普及させるための法的措置のあり方について検討する時期に来ているという中間まとめが昨年行われました。ただ、法的措置の検討に先立って民間労使を対象とするものでございますので、介護が必要な状態、介護休業制度をとる労働者が行う介護の状態というのを一体どういうふうに考えるかといったようなことについての専門的な研究を深める必要があるだろうということになりまして、昨年十一月、専門家の方々に集まっていただいて研究会を発足させ、もうそろそろ結論をおまとめいただける時期に来ているわけでございます。
 この結論がまとまりましたら、それを今度は参考資料といたしまして、審議会において労使の方にもお入りいただいて議論が行われるということになっているところでございます。
#140
○三石久江君 次に、再就職手当についてですが、失業給付の中で再就職手当の制度は再就職の意欲を呼び起こすために有効な制度であると承知しておりますが、今回この再就職手当について改正を行うこととされていますが、改正の内容及び考え方についてお伺いいたします。
#141
○説明員(戸苅利和君) 再就職手当は、雇用保険の受給者の方の再就職意欲を喚起してなるべく早く再就職をしていただこうという制度でありまして、現行の制度では所定給付日数を二分の一以上、あるいは百日以上残して再就職した場合に支給いたしております。
 これにつきまして、近年における産業雇用の動向に対応した改善を図ろうというふうに考えております。具体的に申し上げますと、産業構造の転換ですとか、高齢化ですとか、そういったものが進んでいる中で、再就職に要する期間というのがかなり長くなっているのではないかというふうに思われまして、そういった中でもできるだけ早期の再就職を促していこうということで、従来二分の一あるいは百日以上というふうになっておりましたのを、支給残日数が三分の一以上で再就職する場合まで支給範囲を拡大しようというのが一つでございます。
 それから、現下の厳しい雇用失業情勢に対処いたしますため、来年三月末までの緊急暫定措置ということで今考えておりますが、中高年齢層を中心にその早期再就職を一層促していこうということで、所定給付日数が百八十日以上の方につきまして支給残日数が二分の一以上、要するに半分以上残して早く就職した方についてはさらに二十日分加算して支給しようというふうなことを考えております。
#142
○三石久江君 所定給付日数の変更について伺いますが、今回の改正内容は必ずしも日数の引き上げのみでなく一部引き下げになる年齢層も出てくるようですが、改正の内容及びその考え方についてお伺いいたします。
#143
○政府委員(七瀬時雄君) 今回、所定給付日数の見直しをいたしております。
 まず、六十歳以上六十五歳未満の年齢層につきましては、失業率、有効求人倍率などの状況から見ても再就職が特に困難であること、また一般に高年齢者については、体力、能力等の低下、就労希望の多様化などにより再就職に必要な期間が長期化しているということなどを考えまして、被保険者期間が五年以上十年未満の者について二百四十日を三百日とする。それから、期間が一年以上五年未満の方々については二百十日を二百四十日とすることといたしております。
 また、五十五歳以上六十歳未満の方々については、四十五歳以上五十五歳未満の年齢区分と合わせて一定の年齢区分といたしまして、労働市場の動向等も勘案いたしまして、現在の四十五歳以上五十五歳未満の方の所定給付日数と同一の日数とした上で、かつ四十五歳以上六十五歳未満の方々であっても期間が二十年以上の方々につきましては、一般に長期にわたり雇用された中高年齢者層が失業した場合において再就職が困難である、そういう事情を考えまして、そういう二十年以上の方については三百日という日数を維持することとしております。
#144
○三石久江君 最後に、今回の雇用保険法改正案は、高年齢者と育児休業取得者に対する雇用継続給付の新設を初めとして求職者給付の改善、就職促進給付としての再就職手当の改善など、きめ細かな配慮がなされていると思います。
 しかしながら、大幅な改正の上、制度が複雑化すると思いますので、今後具体的な事務手続を定めるに当たりまして国民にわかりやすく、またできるだけ簡単な手続にしていただくことが重要であると考えます。特に雇用継続給付は初めての制度ですから、その制度の内容が国民の理解と協力が十分得られて初めて効果を発揮するものです。制度内容の周知徹底には万全を期することはもちろんのことでありますが、先ほどもお聞きしましたように、業務が円滑かつ効果的に行われ、給付の目的が達成せられますよう実施体制を整備すべきものと考えます。
 これについて、労働大臣の御決意をお伺いして質問を終わります。
#145
○国務大臣(鳩山邦夫君) 法の改正全体が非常にきめ細かな配慮に満ちでいるという御指摘をいただきまして、大変心強くまたありがたく思います。
 冒頭の御質問にもお答えをしましたように、今回の雇用保険法の改正は、雇用継続給付金というものを出すという意味で、これは小野先生も最初にいろいろな議論がありましたよねとおっしゃったノーワーク・ノーペイの原則のクリアをどうするかというような議論もいろいろあったと聞いております。そのことを私は、今回この雇用保険法というものが一皮むけて新しい段階に突入したと申し上げたわけでございます。それだけに、従来失業保険のみであったものが、そんな新しい制度ができたんですかということを国民に知らせることが必要なわけで、これは周知徹底のための努力をしなければいけないと思っております。
 なお、百十六万とか十四万とか、合わせて百三十万人の方が継続給付をお受けになるというようなことになれば、当然その実施体制の強化が求められていくわけですから、その点については、行政改革の時代ではありますが、必要なところにより人員を強化するのも行政改革の一つの道であると考えて努力をしてまいりたいと思います。
#146
○三石久江君 ありがとうございました。
#147
○委員長(野村五男君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#148
○委員長(野村五男君) 御異議ないと認めます。
    ―――――――――――――
#149
○委員長(野村五男君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、中西珠子君が委員を辞任され、その補欠として木庭健太郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#150
○委員長(野村五男君) それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#151
○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、雇用保険法等の一部を改正する法律案に対し反対の討論を行います。
 日雇い被保険者にとっては長い間の要求が入れられており、改善措置がとられている点については評価できますが、しかし、本法案が高齢労働者の低賃金を前提として、定年時の失業給付が継続して雇用されて受け取る賃金額より多いから、高齢者が就業しないとして失業給付を切り下げていること、これが反対の第一の理由です。
 第二に、本来、失業に伴う労働者の公的生活保障制度である雇用保険制度を今回改正により低賃金を補う制度へと変質させるものだからであります。すなわち、高年齢雇用継続給付の創設は、高齢者を低賃金で雇用した企業責任は不問にしたままで、労働者も拠出する保険金で賃金補てんを行おうとするもので、これは適正なる賃金支払いを免れようとする企業への形を変えた賃金補助金とも言えるものです。
 その結果、本法案によってもたらされるものは、高年齢労働者の低賃金の固定化にほかなりません。高齢労働者の雇用を阻んでいるのは、特に大企業による年齢差別政策です。六十歳以上の雇用継続制度が大企業において最も普及していないこと、仕事の内容も労働時間も変わらないのに賃金だけが切り下げられている実態の不当さを私は質疑の中で明らかにしましたが、こうした高齢労働者に対する不当な差別を是正することこそ高齢労働者の安定した就業の道を確保するものであります。
 なお、本改正案では、育児休業に対する給付が新設されております。育児休業中の所得保障がほとんどないという現状のもとでは労働者の切実な要求にこたえる側面を持っていると思いますが、このことが育児休業制度に対する企業の責任をいささかでもあいまいにするものであってはなりません。
 本法案が、全体として今述べたような重大な改悪がされていること、そしてこの改悪が本質的には厚生年金六十五歳支給の改悪とセットにされて、国民にとっては六十五歳までやむを得ず働かねばならない、そういう体制をつくろうとするものであることは明白であるということを指摘して、私の反対討論を終わります。
#152
○笹野貞子君 私は、日本社会党・護憲民主連合、新緑風会、公明党・国民会議、護憲リベラルの会を代表して、ただいま議題となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案につきまして賛成の意を表するものであります。
 我が国においては、今後、高齢化の急速な進展や女性の職場進出、少子化が一層進むものと予想されます。さらに、国際化の進展に伴う円高と産業の空洞化等が懸念されます。このような状況に適切に対処し、活力ある社会を築くことが最大の国民的課題であります。
 現在の雇用保険制度は、失業保険制度を発展させ、質量両面にわたる完全雇用の達成等を目的として創設されて以来約二十年、労働者の失業中の生活の安定、さらに失業の予防など、雇用に関する総合的な機能を効果的に果たしてきたところであります。
 今回の政府案は、雇用をめぐる構造的な変化に積極的に対処し、高齢者や女性について、その意欲と能力に応じ職業生活の全期間を通じた雇用の安定を確保していくため雇用継続給付を創設するほか、失業中の生活の安定や再就職の促進に、よりきめ細かに対応するため失業給付の改善を図ろうとするものであり、高く評価するものであります。
 特に、雇用継続給付については税制上非課税とされていますが、これは当時の連立与党が強く主張し、政府に求めてきたものであり、政策目的の効果的な達成や労働者福祉の観点から大きな意義があるものと評価しているところであります。
 以上の理由により、私は本法案に対して賛成するものであります。
 最後に、今後とも女性や高齢者の方々が生きがいを持ち、安心して働き続けることができる環境づくりはもちろん、雇用継続給付の創設に伴う職業安定所等の事務量の増大に適切に対処し得る体制の整備などのために、政府が全力で取り組んでいかれることを強く期待するとともに、我々としても引き続き努力していくことを申し添えまして、私の賛成の討論を終わります。
#153
○委員長(野村五男君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#154
○委員長(野村五男君) 御異議ないと認めます。
 これより採決に入ります。
 雇用保険法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#155
○委員長(野村五男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#156
○委員長(野村五男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十三分散会

ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト