くにさくロゴ
1994/06/22 第129回国会 参議院 参議院会議録情報 第129回国会 労働委員会 第6号
姉妹サイト
 
1994/06/22 第129回国会 参議院

参議院会議録情報 第129回国会 労働委員会 第6号

#1
第129回国会 労働委員会 第6号
平成六年六月二十二日(水曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月二十一日
    辞任         補欠選任
     千葉 景子君     角田 義一君
     星野 朋市君     松尾 官平君
     木庭健太郎君     中西 珠子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         野村 五男君
    理 事
                柳川 覺治君
                庄司  中君
                細谷 昭雄君
                笹野 貞子君
    委 員
                小野 清子君
                田辺 哲夫君
                平井 卓志君
                西岡瑠璃子君
                浜本 万三君
                足立 良平君
                松尾 官平君
                武田 節子君
                吉川 春子君
                三石 久江君
   国務大臣
       労 働 大 臣  鳩山 邦夫君
   政府委員
       労働大臣官房長  征矢 紀臣君
       労働省労働基準
       局長       石岡慎太郎君
       労働省婦人局長  松原 亘子君
       労働省職業安定
       局長       七瀬 時雄君
       労働省職業安定
       局高齢・障害者
       対策部長     渡邊  信君
       労働省職業能力
       開発局長     松原 東樹君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐野  厚君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○平成六年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)、平成六年度特別会計予算(内閣提出、衆
 議院送付)、平成六年度政府関係機関予算(内
 閣提出、衆議院送付)について
 (労働省所管)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(野村五男君) ただいまから労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、千葉景子君、星野朋市君及び木庭健太郎君が委員を辞任され、その補欠として角田義一君、松尾官平君及び中西珠子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(野村五男君) 去る六月十七日、予算委員会から、六月二十二日の一日間、平成六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、労働省所管について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
 予算の説明につきましては既に聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○柳川覺治君 きょうは雇用保険法の大改正が本会議で可決され成立する運びになっておる次第でございますが、今平井元労働大臣がお着きになられてすぐ、為替が大変な大荒れになってきているということを一言申されました。天は人をして試練を与えるということが言われておりますけれども、まさにそのとおりだなという感じがいたします。
 そして、このことによって既に報道等でも改めてリストラの問題、そして海外への工場進出の問題等が加速されるのではないか。これはドル安による現象でございますが、やがてアメリカでもドルの安定についての努力がなされていくと思います。またサミットでも、為替の安定の問題はまた大きな課題になっていくと思う次第でございます。
 あの石油ショックの中で円高あるいはインフレ、そういう傾向の中で産業界も国を挙げて大きな苦難に立ち向かいました。公務員のベースアップが二八・八%という極めて異常な状態でのベースアップがなされた。産業界もその給与のベースアップに大変な苦労をされ、またリストラその他の問題に大変な努力をした時代に、労働省はお知恵を出されまして労使協調のもとに雇用保険法が成立した。その大改正が、不況の中でようやく再建あるいは景気高揚への足がかりが見えつつあるときのまたこれは試練でございます。
 私は、雇用保険法の一部改正のより一層の実効が大臣によって図られることを心から強く期待する次第でございます。大臣、一言お願いします。
#5
○国務大臣(鳩山邦夫君) きょう夕刻、雇用保険法の改正が参議院の本会議で成立をさせていただく見込みになっておりますことは、参議院労働委員会の野村委員長ほか皆様方に心から厚く御礼を申し上げなければならないと思っております。
 その際の質疑でも申し上げましたように、もともとがいわゆる失業保険として、もちろん今でもその本質は変わらないわけでございますが、失業保険としてスタートしたものが雇用保険法と名を変えていき、そして今回はいわゆる雇用継続給付というような形で高齢の方あるいは育児休業をとられる方に給付金を出すという画期的な仕組みになったわけでございまして、その間には先般の委員会で御質問をいただいたように、雇用保険法の本旨に関する相当なやりとりや御議論もあったということを承っておるわけです。
 先般も申し上げましたように、雇用保険法がいよいよ新たな役割を担って新たな段階に入っていったというふうにお考えをいただいて、まるでサナギがチョウになるように一つの段階を上位に移して脱皮したものだと、そういうふうに考えますと、きょうの夕刻の参議院の本会議は、雇用保険法の長い歴史の中でもまさにエポックメーキングな、そんな一日となるのではないかと期待をいたしております。
#6
○柳川覺治君 今回の改正の、より一層の実効ある成果について心から御期待申し上げます。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 まず、中期的な雇用問題についてでございますが、労働省では研究会を持たれまして中期雇用ビジョンをお決めになっております。特に、今後発展が見込まれる分野、労働需要の増大が見込まれる分野としてどのようなものをお考えになられておられるのか、この辺についてお伺いしたい。また、こうした中期的な雇用の動向に対してどのような対策を講じようとしておられるのか、労働大臣にお伺い申し上げます。
#7
○国務大臣(鳩山邦夫君) 雇用政策研究会に報告をしてもらった、取りまとめてもらいました中期雇用ビジョンは、まさに中期でございまして、大体二〇〇〇年あたりをめどに考えておりますから、まあ向こう六、七年というような中期的なものでございます。
 これは、先生方もとうに御承知と思いますが、これは産業構造審議会もいろいろ今取りまとめを行っているところでございましょうが、いわゆる通産省的な産構審とは質が違っておりまして、適切な社会資本の投下すなわち公共投資が行われていく、また適切な規制緩和等の構造改革が行われていくと大体三%ぐらいの経済成長が確保できるのではないか。三%ぐらいの成長をすると大体雇用の需給関係は合うのではないか、とんとんでいくのではないかというようなことが書かれてありまして、初めにその三%成長ありきではないんです。
 そういう議論をしていたわけではないんですが、何かそのことがややマスコミではひとり歩きするような傾向がありまして、三%成長すると雇用はとんとんだと、しかしこれがもし二%成長だったら人が余ってしまう、四%成長だったら人が足りなくなるというふうな形で報道されておりますことは、やや残念なことでミスリーディンクではないかと思っております。
 そのような前提でお話を申し上げるとすれば、今柳川先生から御指摘があったように、中期雇用ビジョンにおいては、その間に雇用が新しく生まれていく分野と雇用を失っていくというか、発展する産業と衰退する産業というのは当然出てくるわけでございます。例えば医療・福祉分野、住宅分野、情報通信分野、教育分野、環境分野などというものはこれから新しい雇用創出効果が生じるだろうという分野でございます。例えば介護ということが盛んに問題になりますが、介護労働力というのもこれから大いに必要になると思えば、いわゆる医療・福祉分野の中で介護などというのも新しい雇用の需要が生まれる分野というふうに解釈をすべきなのかもしれません。
 問題は、そのように新しい雇用の需要が生まれる、また一部では雇用の需要が減って人余り状況になる。その間の労働力の移動というものが、失業なき労働移動ができるということが一番大切なことであって、労働行政というものに求められているのはその役割だ。つまり、これからの時代の変化、国際化の進展、あるいは人々の意識の変化等で労働力が移動をしていくときに失業を経ないでいけるように今のうちから準備するのが労働行政の、私この間予算委員会でも申し上げたんですが、いわば腕の見せどころではないだろうか。
 そのように考えまして、例えば人材育成とか、あるいは一つの企業の中にあってその企業がそれぞれの教育訓練を施しながら自分で業種業態を変えていくというようなこと、こういうものに対して援助もしなければいけません。あるいは自分の会社の意識が変わらないならば、希望する社員には有給休暇を与えて自己訓練、教育訓練を受ける機会を保障するとか、そういうようなことを今のうちからやっていかなければならないと思っておりますし、産業雇用安定センターというところにやっていただきまして、いわゆる出向システムというものに対する援助をしてそういう出向が盛んになるように手だてを講じるとか、さまざまなことを今計画いたしておるわけでございます。
 これは考えてみますと、柳川先生も文部省に長くおられて体育局長をなさったわけで、教育の大専門家であられます。私も文部省に一年と少しお世話になったわけですが、文部省というところでいわゆる生涯学習というのを一生懸命みんなで考えてきた。生涯学習局を何と筆頭局にするというような組織がえまで行った。
 ところが、生涯学習というのは四文字なので言うは易しいんですが行うは実に抽象的であって難しい面がある。人間生まれてから死ぬまで一生涯勉強をし続けるものだ、勉強というのか学習というのか、教えられるというよりもみずから進んで学んでいくものだ、これが生涯学習社会の建設という柳川先生の持たれた理想だと思うわけです。
 その生涯学習の理想が、例えばリカレント教育というような形で発揮されていった場合に、園芸教室だとか生け花教室、もちろんスポーツもそうでありましょうが、これも生涯学習という意味では生涯スポーツというのか生涯学習というのか、そういった意味では大変大きな意味を持つわけです。同時に、その生涯学習が生涯職業訓練というのか生涯学習、リカレント教育を受けたことによってその成果がまた新規に起こってくる高度な産業へみずからを適応させていく大きな力になれば、こういうふうな意味合いが重要なのではないかというふうに考えます。
 私は、この中期雇用ビジョンを見るたびに、いわゆる生涯学習社会というものがこういうような形ででもさらに一層進展をしなければならないなとつくづく感じておる次第です。
#8
○柳川覺治君 文部大臣また文教政策にずっと取り組んでいただいてまいりました大臣のお言葉がございました。
 製鉄会社が焼き鳥の事業までして余剰の人たちの働きの場をみずからつくっていくということの例もございましたが、必ずしもこれは成功しなかったようでございます。大臣がおっしゃられましたとおり、リストラが進みまた海外への進出が二〇%以上になるであろう。そういう中で、従来は子会社、系列会社等への雇用関係が全然離れた他業種へと、これにも大きな変化が出てきております。
 そういう経済構造の変革は、他の業種の事業に人が移っていくという関係もあるわけでございます。そういうような面から人材養成の方の、これは各学校等もそうでございましょうし事業体もそうでございましょう、そういうときに経済界はそれぞれ現実で大きな動きをされます。
 そのときに、行政機関の中でそれをスライドしていくというんですか網をかぶせていって、その方向づけ、また大臣のおっしゃられた人の移動についての一つの方向づけ、その辺をお示しいただく。また大臣には、雇用関係での産業界への労働問題についての主導権があられるわけでございますので、その面についての施策の強化というのを心から期待するものでございます。
 この面の雇用の動向及び雇用の今後の動き、そういう面に対しての研究体制というのは労働省としては確立されておるのか。これは政府委員で結構でございます。七瀬さん、どうですか。
#9
○政府委員(七瀬時雄君) 先生御指摘のように、特に中長期的な視点ということになりますと関係労使の方々の御意見を伺うことも必要でございますし、また学者のお力をおかりするというようなことでございまして、正規の審議会の場でございますとか、あるいは労使団体の幹部の方にお願いしております雇用労働政策懇談会、ことし、つい先だってつくった関係労使と労働省との意見交換の場でございますとか、そういったものもございます。
 それから、日本型の雇用慣行がどうなっていくかということを研究する労働省のいわば私的懇談会と申しますか、そういったものもございますので、かなりそういう体制は充実していくのではないかと私どもは思っております。要は私どももお手伝いしながら中身のあるお答えをいただく、あるいはそれを実施していく心構えがより重要ではないか、こういうふうに思っております。
#10
○柳川覺治君 行政を推進する上ではみずからが研究していくという体制を持たないと、外の方の御意見を聞くのはもとよりでございますけれども、それを実施する体力、気力はおのれにあるわけでございます。そういう意味では、労働省の中にこの面の研究体制というんですか、その面が確立されてしかるべき、今研究所をつくるというのは大変なことでございましょうけれども、ぜひこの面の研究強化について労働御当局の御努力を心から御期待申し上げる次第でございます。
 それと、次に現実の厳しい雇用に対応するために十二月に雇用支援トータルプログラムをお出しになられました。これについて大きな取り組みがなされておる次第でございますが、一万雇用情勢の改善につきましては政府の施策が遅々として進んでいないのではないかという懸念も伺っております。
 その中で、新率者の就職問題については新聞等で毎日取り上げられておる状態でございます。そこで、現在の雇用情勢に対する認識、現在とられておる緊急の雇用対策の内容及びその効果、また見通しにつきまして労働大臣にお伺い申し上げます。また、この中で特に新卒の就職状態についてのお取り組みにつきましても、よろしくお願いします。
#11
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先生御指摘のとおり、雇用支援トータルプログラムがいわば総合経済対策と一体となって、また今後間もなく成立するであろう平成六年度予算とセットになった緊急の対策でございます。
 その中身は、御承知かと思いますが、雇用調整助成金の拡充というような形でなるべく解雇が起きないようにできる限り雇用が継続されるような施策をとっておりますし、特定求職者雇用開発助成金というもの、これは従来五十五歳からの適用であったものを四十五歳まで年齢を引き下げたということでございますから、四十五歳になって離職をした人の再就職の促進のためにそのような手だてを講じております。
 いわば地域的に非常に景気や経済が落ち込んでしまっているところに、その地域に新たに雇用を生み出すような産業が進出した場合に、これは正式名称は地域雇用開発関連助成制度という名前になっておりますが、それこそさまざまな雇用機会ができますようにさまざまな御援助を申し上げる、いわば引っ越しの代金まで面倒を見るというような、そういうような仕組みもつくっているわけでございます。
 実際こういうような制度がどれくらいの効果を持っているのか。例えば雇用支援トータルプログラムで、大体百万人ぐらいの方々に影響が出ている、何らかの面倒を見させていただいている。面倒を見させていただいているといっても、もともとこれはほとんどが雇用保険法の積立金からくることでございますが、そういうふうに思うわけです。
 じゃ、どの程度効果が上がっているのかというふうに言われますと、これは前にも申し上げたのですが、捕まったとか捕まらないとか言われていますが、例えば野菜スープを半年間飲み続けて効果があったかどうか。それは非常に重病だった人が野菜スープを飲み続けてぴんぴんしたならこれは間違いなく効果があったということなんでしょうけれども、普通の人が野菜スープを飲み続けてさらに普通の状態であった。これを、もし飲んでいなかったらばてていたところが、飲んでいたから普通に暮らせていたということもあり得るわけで、こういうものの効果の判定は非常に難しいのでございます。
 ですから、あえて申し上げれば、例えば有効求人倍率が〇・六六、失業率二・八という数字が現在維持されておりまして、これは〇・六六も二・八も決していい数字ではない。これは今の雇用状況の厳しさを反映する数字なんですけれども、もし雇用支援トータルプログラムというものがなかったとして、総合経済対策というものがなかったとして、雇用調整助成金の拡充もなかった、特定求職者雇用開発助成金の拡充もしなかったという場合には、ひょっとしたら例えば有効求人倍率がもっと下がって〇・五ぐらいになっていたんじゃないか、失業率が三%台に乗っておったんではないかというふうに私は考えているわけでございます。
 それから、新規学卒者の点につきましては、これも柳川先生御専門でございますが、ちょっと古い話ばかりして申しわけありませんが、私文部大臣になりました初日に受けたレクは、今何歳の人間は何人いるという、これが文部省が私にいたした最初のレクです。今のゼロ歳は何人、一歳は何人。ことし二十になっているぐらいの方たちが一番多いですね、二百万とか二百五万という世代が、年齢階層があるわけですが、これは一気に少子化傾向をたどってまいります。
 そういうことになると、いわゆる若年労働力、現在は多いです。今は卒業してくる子供たちの数が多いからより就職が大変ですが、これが一気に減り始めて、一歳に二百万いたところが百二十万とか百万というふうなオーダーに半減をしていくわけですから、将来のことを考えると若年労働力の確保というのは、それぞれの企業にとって大変大きな課題になるだろう。
 雇用支援トータルプログラムが、人が余るか余らないかと言っているのは六、七年先のことでございますが、十五年先を考えたら確実に人は、景気とかなんとかじゃなくて、働く人の数が減るという、こういう問題になってくることは柳川先生よく御承知だろうと。そう思いますと、やはり今の若い方々、高校を卒業していく、あるいは大学を卒業していく若いエネルギーというものを今のうちから各企業が大切にしてもらえればなという気持ちでいっぱいでございます。
 つまらない数字がと思いますけれども、人の採用をふやすとか減らすというのは、いろんな新聞等に数字が出ておりますからあえて申し上げませんが、学生職業センターというのを私どもやっておりますが、ことしのやってくる学生の数が前年に比べて六割増加をしておる、心配だからといって相談に来る。数字を見ましたが、当然女子学生が非常に多いということで、女子がより厳しいということを反映しております。
 私どもといたしましては、ありとあらゆる機会をとらえて財界の方々にお願いをしております。私のお願いの仕方は、企業の社会的責任というのはいろいろある、それはメセナとかいろいろあるけれども、企業の社会的責任の一つとして、景気の変動と人事採用数の波というのが同じであってはいけないので、バブルだったらばんばん雇いましょう、景気が悪くなったらもう知らないよと、こういうように吐き出すというようなやり方は、基本的に企業の本当の社会的責任を果たしているとは言えないのではないか。
 むしろ、景気が悪くなっても懸命に雇用を継続する。そのために雇用調整助成金という制度もつくっているわけですし、あるいは今回の雇用保険法の改正の雇用継続給付金だって、要するにずっと企業とその社員が関係を持ち続けるためのこれを援助する仕組みでございます。ですから私は、企業というものには今後ともに、何も日本型の雇用慣行が一〇〇%正しいと私は申し上げているわけじゃないけれども、これを軸にして、勤労者、労働者の安定した生活を図ってもらいたい。そのために企業は責任がありますと、こういうことを申し上げているわけでございます。
 来月から主要都道府県において、特別の場所を設定しまして、ありとあらゆる求人情報等を集めてそれを一気に公開して説明するというそういう会を計画しております。また、いずれ主要都道府県においては、大規模なお見合い会、集団結婚式ではないんですけれども、いわゆる企業側と学生側とでお見合いというか、引き合わせをして就職が決まっていくというような面接会もやっていこう、こう思っております。
#12
○柳川覺治君 労働省のこれまでの御努力、また就職する新卒者の努力、また周辺の人々の協力等で、これまで学卒の就職についてはそれなりに厳しい中を乗り切ってきたわけでございますが、また来年卒業者につきまして、若い者に本当に世の中に出る励みの夢の世界の実現に一層の御努力をお願い申し上げる次第でございます。
 そこで大臣、私は自民党政権であったら雇用促進担当大臣を置いて労働大臣がこれに当たっていただくということをちょっと放言いたしましたが、今でもそう思っております。
 労働大臣の御指導また監督等によって雇用関係の促進が図られるわけでございますけれども、やはりもう一つ大きな立場に立って、世に雇用の促進と申しますか事業の新規創出と申しますか、そういう問題が大きくあろうと思う次第でございます。それにつきましては、雇用担当大臣を内閣に置いてそれを労働大臣が兼ねられる、そのことによって各省がそれぞれ担当している分野、また民間あるいは個人個人がみずから事業を興そうとする意欲、その辺に大きな励ましと申しますか、目を配っていただくというようなことが一番大事じゃないかと思います。
 このことは私の意見でございまして、ぜひ雇用担当大臣が実現することを私は希望しておる次第でございます。
#13
○国務大臣(鳩山邦夫君) それほどに今雇用ということが、景気の動向ということではなくて、今後の百年、二百年を見ても、人間の幸せのためには安定した勤労生活ということ、これが基幹になければなりません。雇用ということがいわば人間が幸せに生きていくための基本にあるという観点でそのような大切さをお説きいただく柳川先生のお話には深く感銘を覚えるわけでございます。
 労働省のお役人さんたちに怒られてしまうかもしれませんが、戦前の内務省からこの労働省へ移ってきたプロセスで、恐らく労働省という役所は現に与えられている経済状況、雇用の状況というのを目の前にして、それをどうやって少しでもうまく持っていくかといういわば対症療法を求められる役所ではなかっただろうか。そういう中で、例えば失業保険法あるいは雇用保険法というようなものも次々と生み出していったわけでありましょう。
 ただ、これからはそういう対症療法、後追い政策ではだめなんで、先読みをして、これから経済構造がどういうふうに変わっていくんだろう、あるいは教育訓練等でもどういうふうな形で行われてどんな人間が次々出でくるんだろう、そうすると日本の経済はこういうふうに変化するんだな、そのときの雇用はこういうふうになるから今のうちからこういうふうに手を打っていこうという、そういう先読み官庁に私は脱皮する必要があるのではないかと。
 先を読むというのは、当然労働省だけの力でやれる仕事ではないわけで、特に通産省とか建設省とか、運輸省とか郵政省とか、いわゆるさまざまな現業と直接結びついている官庁と密接な連絡をとり合いながら、産業構造審議会よりもよりまさるようなシンクタンクが、頭脳集団があるんだ、それで先を読んでいくんだというぐらいの官庁に我々はまた脱皮をしなければならないのかなと、今先生の雇用が重要であるというお話を承って感じました。
#14
○柳川覺治君 高齢者問題につきまして、私は前にも申し上げましたが、元気な人は働くということ、それをもって生きがいとしている人ほど長生きするというのが現実でございます。社会において役立つ自分の出番のある人ほど命が長いということが現実でございます。そういう意味で、これからの職業生活は四十年、五十年、のみならず六十年あるいは七十年を重ねる人もあると思うわけでございます。
 そういうような観点に立って、当面高齢者への配慮を労働省はどのように考えておられるのか。高齢者の働く場の確保について、シルバーセンターもありますし今度の高齢者の新しいセンターもできるわけでございます。これらを含めてお願いいたしました四、五、六、七等を絡めて、時間がありませんので、お話をお伺いいたしたいと思います。
#15
○国務大臣(鳩山邦夫君) 私から、まず最初少しだけ。
 先生の御質問の中で、私は人間の年齢、生物学的な年齢というものは絶対的なものではないというふうに考える点では先生と同じでございまして、それは七十でも八十でも九十でもかくしやくとして仕事をされる方には大いに仕事をしていただく。やはりそれだけの人生経験に基づいたすばらしい仕事が期待をされる。
 他方、年齢とともに体力的な衰えとか、先般も御答弁申し上げましたように、人生が五回でも十回でもやり直せるものだったら何も一回目の人生はゆっくりやればいいんでしょうけれども、人生一回きりでございます。私だって政治に二十八歳のときから入っておりますが、ほかにもやりたいことがいっぱいあるわけでございます。自分自身としては六十ぐらいに人生転向して、別のやりたい課題を持っておりますので、そちらの方に移っていくかななんて自分で計算しますが、当然世の中で働く方々はみんなそういうことを考えておられると思うんです。五十五ぐらいから別の仕事にかわろうかな、あるいは四十過ぎでかわろうかなと考えている方もおられるでしょうし、六十ぐらいになって少し体力に衰えを感じたら短期間の労働にして、実は地域社会へもっと仕えていろいろ貢献してみょうとか、当然いろいろ考えられると思うんです。
 だから、意欲があって能力があって体力があれば、それはもう七十、八十、九十、百まで現役として働いていただくということは原則にあるわけです。ただ労働政策の、これは当然厚生省の方の政策も加わってくるわけでしょうが、一応の目安というのをどこへ置くのかなと。支える側と支えられる側の一応の目安、義務といってもなんですが、とにかく働いて働いて世の中を支えるという年齢と、もう支えられる側になって豊かに人生送って、余裕を持って余り働かなくてもいいんですよというこの目安をどこに置くかということはやっぱり必要になってくるわけです。
 平均余命を見ますと、これは御承知だと思いますが、平均余命とか平均寿命を見ると男女のパワーの違いに驚いてまるで元気がなくなっちゃうんですが、我々男はだめなんですね、本当にこれ短くて。一九七〇年で五十五歳の男子の平均余命が十九・七六です。今男子で一九九〇年時点、それから二十年たったときに六十五歳の平均余命は十六・二二なんです。
 もちろん若干の違いがありますけれども、二十年前の五十五歳と今の六十五歳が大体同じだというふうに考えまして、一応その辺の目安は六十五歳かということで、だから雇用継続給付も六十五歳と、こうなっているわけだし、いずれ年金の満額支給も六十五歳と、こういうふうに一応設定をさせていただいている。
 あとは政府委員の方から。
#16
○政府委員(渡邊信君) 現在企業経営の環境が大変厳しい、こういった中で高齢者の継続雇用というものをどういうふうに進めていくのか、具体的にどう進展させるんだという議論があると思います。この点につきましては、確かに大変難しい課題であろうかというふうに思っております。
 例えば六十歳定年を見てみますと、六十歳定年がようやく五割を超えてそれから現在の八〇%という状況に普及してくるまでに約十年かかっているわけであります。こういったことから見ましても、これをさらに六十から六十五へと継続雇用をお願いするということは私どもも並み大抵の努力ではできないのではないかというふうに思っております。そういったことで、先ほど大臣から御答弁がいろいろありますが、労働政策の全力を傾注してこの問題に当たる必要があろうかというふうに思っているわけであります。
 具体的には、先般成立をさせていただきました高齢者の雇用安定法に基づきまして労働大臣が、個別の企業に継続雇用の計画をつくっていただく、そういった指導を具体的にさせていただくということが大きな柱になろうかと思います。また、先般御議論いただきました雇用保険法におきます高年齢者の雇用継続給付の制度の新設、こういったものを、これはむしろ労働者側の労働へのインセンティブという面が大きいかと思いますが、労働側の意欲の喚起、それから受け入れる企業の体制の整備、こういったものをうまくかみ合わせながら着実に進展をさせていかなければいけないというふうに思っております。その到達目標は、やはり二十一世紀の初頭、こういったものを目標にしております。
 これを具体的にどう進めていくかということにつきましては、先般高齢者の雇用安定法を成立させていただきましたので、この法律に基づきまして高齢者の雇用に関する基本方針、早速これの策定にかかりたいと思います。いわゆる高齢者雇用ビジョンというものを策定しまして、その中で今後具体的にどう進めていくかということについて考えていきたいというふうに思っております。
 なお、この高齢者の継続雇用を進めるにつきましては、企業における対応というのが大変重要だと思います。今まではいわば人生六十歳を前提として、しかも若い労働者が毎年毎年大量に職場に入ってくる、こういったことを前提にしていろんな企業の慣行というものがつくられておりましたから、これをやはり高齢社会に見合うように、採用なりいわゆる年功的な賃金なり、処遇の見直しとか退職金制度の見直しとか、こういったことをやりながら高齢雇用を進めていくということが大事であろうと思います。
 そのために労働省としても、いろいろな助言、相談に応ずるとともに、例えば環境整備のための助成金、多数雇用をしていただいたところへの助成金、こういったものをさらに今後とも充実をしながら財政的な援助もしながら進めていきたい、こんなふうに思っております。
#17
○柳川覺治君 最後に、雇用雇用という言葉を私ももう何回も使いました、実際には雇用対策でございますが。しかし、一番先に私が、生きるわざ一人一職たりともこれオーナーという言葉を使いました。ある面の人生で勤めを終わった人が今度は自分たちが寄り集まって金も出し合って何か事業を興こすと。地域でのことにつきましては、先ほど大臣からお話がございました。
 私が今住んでいる都市郊外を見ますと、そこのところにコミュニティーというものが本当に出てこない。その辺をやはり住んでいる人が起こしていく。それには知、徳、体でございますから、三人寄れば文殊の知恵、また力ある者、そしてまた人柄でそれを仕切れる人がそろうわけでございます。これらが社会に貢献していく、そういう面のことに取り組んでいくというのが高齢者の役割でないかということを感じて、内々そういうことに今取り組んでおるわけでございます。そういうような面に対する施策につきましてもお考えのことと存じますけれども、これから年寄りに励みを持たせるという面で御検討賜ればありがたい。
 それから、これは要望でございますけれども、アメリカ等では自分の技能を磨いていく、そういう場合の学会への参加とかあるいは研修会への参加、あるいはスポーツの権威あるアソシエーションが計画するスポーツヘの参加、これらにつきましては、税金は申告税でございますから、申告の中でこれにかかった経費は落としていけるというような道があるわけでございます。
 今そういうような観点から、働く者が休暇を利用していろいろな事業に参画しボランティアもする、そういう場合のかかった経費等もあるわけでございます。これらに対して減税措置を考えていくということは大変大事なことだということを、なかなかに今までも言ってまいりましたけれども実現いたしませんが、大臣この辺もまたよろしく頑張っていただきたいということを心からお願いいたします。
 それから、実際に周辺の事業体を見ますと、御夫婦でお店を開いておるという方が大部分でございます。そこにパートの人たちも働く、学生アルバイトも働くということで、中堅層の減税問題と同時に、パートの方々に対する減税措置ということについてさらに強化する必要もあろうというようなこともございます。
 この点を労働大臣に心からお願いを申しまして、私の質問を終わりたいと思います。
#18
○国務大臣(鳩山邦夫君) パート減税等のことで、この間資料を見ましたら結局百方寸前のところでとめている方が非常に女性の場合多いです。男性の場合は余り関係ないですが、女性の場合はその辺男性よりもしっかりしている関係か、本当に九十何万でぴたっとやめられているわけでございまして、そういうことを考えると何か世知辛いなと、世知辛いというかちゃんともっとパート減税をやっておけばいいのにという気持ちがあります。
 私は、柳川先生の今の最後のお話をるる承っておりまして、つくづく思いましたことは結局我々が目指している世の中というものは、かさかさした砂漠のようなそんな社会じゃなくて、しっとりとした潤いのある心の通い合うコミュニティーというのか、何もわざわざ英語を使う必要はないんで、そういう地域社会をと。
 まさに今、農業問題というのがある。私は農業問題全くわかりませんから、米なんか全部輸入しちまえばいいなんて昔演説をしておったぐらいでございますから、それは都会を選挙区にしておりますとその辺の理解度はないかもしれません。ただ、私は日本という国は、東京大学でかつて民法を教えておられた川島武宣先生が何かにつけて特殊日本的というふうに表現された日本独特の歴史というものがあって、それはやはり稲作をみんなで助け合ってやっていこうというそこから始まった、いわゆるゲマインシャフトというのかわかりませんが、これも何もそんな言葉を持ち出す必要もないんでしょうが、そういう潤いのある世の中というものが一番大事であると。
 これが国際化とかあるいは情報化ということになれば逆に潤いが失われていくという可能性があるわけです。家にこもったままでボタンを押したら買い物の品が届いだというのでは、それは便利な話かもしれませんが、でもやはりそれは買い物へ行ってマーケット周辺で八百屋さんがある、魚屋さんがある、そこでみんながお互いいろんな話をして心が通い合うというのが私は正しい姿だと思う。
 そういうもともと稲作の共同体社会から発した日本という国、私はその辺の関係が実はこの失業率の低さあるいは日本型雇用慣行、そして日本の経済の強さに反映をしていると思っているわけです。ですから、そういう意味で私は常に潤いのある社会を目指していくことが与野党ともに国会議員の役割ではないかと。
 お年寄りというか、高齢者の方々がコミュニティーづくりに一役買うなんということを先生おっしゃいましたけれども、まことにすばらしいことであって、私は下町を選挙区にいたしておりますけれども、山の手方面に参りますとコミュニティーの破壊というのが進んでいる。ところが、たまたまうまくコミュニティーが、町会とか町会連合会がうまくいっているところは、ほとんどいわゆる退職された高齢者の方々が積極的に動いている地域です。
 そういう意味でも、今後高齢者の方々に好きな仕事をしていただいたりコミュニティーに参加していただいたりということで、潤いのある社会をつくっていくためにお手伝いができればと願っております。
#19
○西岡瑠璃子君 ことしは国際家族年ということで国連が設定しておりまして、「家族からはじまる小さなデモクラシー」というのがスローガンに掲げられているわけです。そこで、私は家族と女性をめぐる課題につきまして質問をさせていただきたいと思います。
 一番目にILO百五十六号条約の批准について、各省庁におきましてもことしの国際家族年のさまざまな取り組みが進められていると思うんですけれども、労働省としてこの家族年の理念と目的を念頭に置いた施策の基本原則にどのように取り組んでおられるのか、重点施策についてまずお聞きをしたいと思います。
#20
○国務大臣(鳩山邦夫君) 国際家族年でございます。家族というのは世の中を構成する最小単位でございますが、何もそんな理屈を振り回すべくもなく、家族の幸せなくして人間の幸せがないことはもう言うをまたないことでございます。
 労働省といたしましては、記念行事として仕事と家庭を考えるシンポジウムを開催いたしまして、男女がともに働いて、そして仕事場での責任、家庭での責任、その両方を果たすことができるようにするためにはどうすればいいか、これは国民の意識の向上も図っていかなければならないと考えております。
 育児休業制度、定着してきておるわけですが、これも国際家族年ということから考えれば大いにいいことであって、一層の普及啓発活動をしなければならないと思いますし、今回の育児休業給付も意味のあるところでございます。
 それから介護休業制度、もちろん民間では法制化されていないわけですが、介護休業という制度はどうぞおやりくださいと民間の方々にはお勧めをしておるわけで、これらも普及をすることが大切だと思っております。
 特に、いわゆる既存の保育施設では応じ切れない変動的、変則的な保育ニーズというんでしょうか、要するに子供の面倒というのは大変なわけで、それはおじいちゃん、おばあちゃんが近くにいれば何とかしてくれるわけですが、なかなかそうはいかないという中で、だんなさんも働く、奥さんも働くという中で、あの小さい子供、弱ったな、迎えにいけない、困ったというようなときに、そうしたことをいわば家族にかわって、昔で言えばおばあちゃんにかわって面倒を見てくれるような、そういう相互援助活動というものがないだろうかというので、ファミリー・サポート・センター事業というものを始めることにいたしました。
 各県に一つずつセンターを置いて、そういう家族のお子さんの面倒見に関する非常にきめの細かいサポートをさせていただければと、こういうふうに考えております。
#21
○西岡瑠璃子君 大臣の御答弁の中に、私がこれから後、介護休業制度の問題ですとかファミリー・サポート・センターのことでありますとか、お尋ねしようと思っておりますことが既に出てきております。
 私は、ILO百五十六号条約を批准することが、働く女性、とりわけその家族的責任を有する男女労働者を差別することなく、仕事と家族的な責任を両立させるために、その均等待遇に関するILO百五十六号条約を何としても批准をしなくてはならない、そういう気運が今高まっていると思うわけです。そのことについて私は、一九七五年の国際婦人年、国連婦人の十年運動の中からも既にほうはいとして起こっていたこの条約批准の声でございますので、もう何としても今このことを積極的に政府に取り組んでいただかなくてはならないというふうに思っております。
 現在、ILO百五十六号条約の批准に関して政府が検討事項あるいはこの部分がネックになっているとお考えになっている点、それは何でしょうか。関係国内法の整備など必要なものがあるだろうと思いますけれども、そのことについてまず具体的にお聞きをしたいと思います。
#22
○政府委員(松原亘子君) 私から、ちょっと御説明させていただきます。
 この条約は、御指摘のように男女労働者特に家族的責任を有する労働者の機会均等及び均等待遇に関する条約という条約でございます。じゃ家族的責任を有する労働者というのはどういう範囲かということはこの条約にも規定をされておりまして、ちょっと短縮して申し上げますと、一つは子がいるということ、それからもう一つは介護等が必要な「保護又は援助」というふうに書いてありますが、それが必要な近親の家族がいる。そして、その子供ですとか保護、援助が必要な近親の家族がいるということによって経済活動における参画の可能性が制約される者、そういった者が家族的労働者というふうになっているわけでございます。
 そしてこの条約は、そういった家族的責任を持つ労働者が差別的待遇を受けることなく、またできる限り就業責任と家族責任が両立できるようにするということを国の政策とするということにした上で、それぞれの国の国内事情や可能性と合致した施策をとるようにということを求めているわけでございます。
 そしてその場合、施策というのは、先ほど申し上げました子供と近親の家族と両方、その家族的責任の対象としてあるわけでございますが、子供についてとられる措置は男女労働者についてとられなければいけない、一方、近親の家族に関する措置というのは段階的に適用することが可能というような適用に関する条項もございます。
 これに照らしまして一つ、大分前から問題になっておりましたのが、実は育児休業について女子だけということが、例えば労働省の関係では雇用機会均等法の中でも、育児休業法ができる前の話ですが、女子についての育児休業制度を事業主が導入するようにということにしていたわけでございますが、これが子供については男女労働者について措置をとらなければいけないというこの条約上問題があるというふうに考えられていた。詰まった議論ではありませんが、どうもその辺は難しいんではないかという議論がございました。その点は、育児休業法が男女労働者を対象として制定されたということでクリアをいたしたわけでございます。
 現在、それに関連いたしまして、公務員の一部の女子、保母さんですとか看護婦さん、学校の先生ですが、この方々につきましては育児休業給というのが女子についてだけ支給をされているという実態がございます。これが、今申し上げた子供についてとられる措置、子供に関してとられる措置というのは男女労働者に適用されなければいけないということが書いてあるこの条約の趣旨からいって、女子だけに対する措置というのがこの条約上許容されるかどうかという点がなおまだございます。
 それからもう一つの問題点は、この条約の第八条で「家族的責任のみをもって雇用の終了の妥当な理由としてはならない。」という規定がございます。条約にはこういうふうに書いてあるわけでございますが、国内法で現在担保されている状況にあるかどうかということ。つまり、この条約は一体何を要請しているのか、その要請を明確にした上で国内法制で担保されているかどうかということについての検討をしなければいけない、この辺が現在考えられておる検討課題でございます。
#23
○西岡瑠璃子君 今局長から御説明がありましたけれども、例えば三種の公務員の女性労働者に支給されている育児休業給というのは、人材確保が目的であるから同条約には抵触をしないという考え方などもありますし、さまざまな抵触をするであろうという労働省のお考えもあろうと思いますけれども、一つ一つもう少し議論を詰めていただいて、この条約を何としても批准をしていただかなくてはならないというふうに思うわけです。
 衆議院におきます雇用保険法の改正に関します本会議の質疑におきましても、総理そして外務大臣も早期批准に向けての強い決意を答弁の中で表明されているわけです。私は、労働大臣が批准の問題では外務大臣以上に重要な役割を果たすべきポストにいらっしゃるのではないかというふうに思うわけです。
 今後、批准に至るまでのスケジュール、検討体制といいますか、政府をリードしていくぐらいのお力を持ってぜひリーダーシップを発揮していただきたい。大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
#24
○国務大臣(鳩山邦夫君) 基本的にはILO百五十六号条約のうたっている事柄は、私どもが常々主張していることと合致をするわけです。それは働く人たちが働く場での責任と同時に家族としての責任というものを両方果たすことができなければならないし、その間に調和がとれていなければならないという点では、もうこの条約の趣旨全般については我々が何の異議を挟むものではありません。
 ただ問題は、我が国は、我が国だけではないと思いますけれども、これはきちんと条約を遵守する義務を持っておりますし、できれば、できればというか国内法との矛盾をなくしておきませんと、これを受け入れて批准、国会がそれを承認というわけにはまいらないんだろう。
 そう思いますと、実際一九八一年に採択された条約ですからもう十三年ばかり経過しておるわけで、そういった意味では西岡先生から御指摘をいただくのももっともでありますが、環境整備を進めていきませんと、それは国内法制との整合性に問題が生じるかどうかということを徹底して考えていきませんと、先ほどの三種の育児休業給付の件、問題ないという見方もあろうかと思いますが、しかし我々男性から見ると男が休んでもちゃんともらえなくちゃおかしいという気持ちもなきにしもあらずとか、いろいろな意見を総合して検討させていただいて、なるべく早く結論が出るようにこれはしなければならないということはよくわかっておりますから、婦人局を中心に懸命に作業を進めてもらおうとは思っております。
#25
○西岡瑠璃子君 御決意にしては少し抽象的に過ぎるように思います。私は、ことしは非常にいいチャンスだと思うんです。国際家族年というこの年に当たって、全国の働く男女労働者のためにも何としても本年じゅうの批准を、家族年は十二月いっぱいまででございますから、何としても私は批准をするという御決意をいただきたい。ぜひ約束してほしいと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
#26
○国務大臣(鳩山邦夫君) おっしゃる意味合いはよくわかりますし、ことしか国際家族年であるということ、既に十数年経過しているということ、検討すべき事項もそう無制限に広がっているわけではないこと等を考えれば、これはできる限り早く批准できるような環境をつくらなければなりません。ただ、かといって法整備ができないうちに批准をしてしまって、あるいは矛盾が出ちゃったということは絶対に避けなければなりませんので、これはもうできる限り作業を急ピッチで進めるということしか私はお答えできないわけです。
 ことしだったらいいなと私も思うけれども、そこまで速やかにいくかどうかは私がここで保証できるものでは残念ながらございません。
#27
○西岡瑠璃子君 できるだけ整合性を持たせるための検討体制あるいはスケジュールなどを具体的に、今年じゅうにでもそういう体制を整えていただくということをぜひ切望しておきたいと思います。
 私は、きょうお尋ねする各項目はすべて国際家族年ということをバックボーンにしてお尋ねしているわけでございますけれども、次は男女の賃金格差についてお尋ねをしてまいります。
 ILOの条約勧告適用専門家委員会が、日本の女性労働者の賃金は男性の六〇・五%であると指摘をいたしました。そして、労働省の賃金構造基本統計調査によりますと、これは平成四年六月の調べでございますけれども、パートタイム労働者を除く女性の雇用者の所定内給与について単純に男女間の比率、男子を一〇〇と見まして全体で女性は六一・五%。そして、条約勧告道用専門家委員会が指摘しているパーセントは六〇・五%でございます。いずれにいたしましても、こういう格差があるわけでございまして、昨年のILO総会で日本の政府にこれを調査してその報告をするようにというふうに委員会が要求をしたということでございます。
 これに対して政府は、年功賃金制度であるとかあるいは熟練度などの要因があるために単純比較をするのは非常に困難であるという御報告をなさったということでございますけれども、もう少し具体的に御報告の内容についてお聞かせをいただきたいと思います。
#28
○政府委員(松原亘子君) 我が国は、ILO条約で批准したものの道用状況については定期的にILOに報告をいたしているわけでございますけれども、この百号条約、同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬に関する条約、この条約につきましても昨年報告を行いました。
 この報告につきましてILOからは、産業、職種別ごとに年功、技能の程度によって区分された男女別の平均実収入、それから雇用機会均等法に基づきとられている措置や検討中の措置、そういったことについて情報を提供するようにという要請があったわけでございます。
 それに対しまして、まず第一点の平均実収入の統計でございますが、これを産業とか職種別ごとに年功、技能の程度によって区分して作成するということは日本としては困難であるということから、定期報告におきましてはそのような資料は作成されておらないという報告をいたしております。
 一方、雇用機会均等法に基づきます措置、それから検討中である措置につきましては、第一点は募集、採用、配置、昇進について法律に基づく指針が策定されていること、その指針については婦人少年室長が助言、指導、勧告を行うということになっているということ、それから今後の問題といたしましては、法律の趣旨をさらに徹底させるための方策については審議会で検討が行われているということを報告したところでございます。
#29
○西岡瑠璃子君 このILOの同委員会は、日本の男女賃金格差についての今おっしゃいましたような報告に満足をしていないわけです。客観的な基準による分析を検討するように求めたというふうに伺っておりますけれども、この要請を受けて今後政府はどのような対応をされるおつもりか、伺いたいと思います。
#30
○政府委員(松原亘子君) ことし二月にILOの条約勧告適用専門家委員会の報告というのが出たわけでございますが、この委員会の報告は我が国の百号条約の実施状況に関しまして男女間の平均賃金格差を取り上げておりますが、それについて、女子が多く従事している職業についてはそれが女子がついているということからいわば固定的な観念によってそれが低く評価されているのではないかという懸念を持ち、客観的な基準に基づいて男女の異なる労働を評価し比較するための方法を考えるよう期待する、こういう報告の内容であったわけでございます。
 ILOが指摘いたします客観的な基準による職種間の労働の価値の比較ということでございますが、我が国の賃金の決まり方の実態を見ますと、まず職務の編成自体が非常に弾力的に行われているということ、それから職種別賃金といったようなことが確立されている分野というのは非常に少ないといったようなことなどがございまして、ILOの委員会から期待が表明されましたような方法による評価というのは非常に難しいというふうに考えております。
 労働省としては、男女の平均賃金格差が生ずる理由は何かということをいろいろ分析いたしておりますけれども、主な理由は、一つは男女の就業分野が異なる、それにはなぜ異なっているかという背景はさまざまあるわけでございますが、端的に申し上げれば就業分野が異なっているということ。それからもう一つは、男女に勤続年数の違いがあるということ、こういったことから生じているということでございます。
 私どもは、男女の賃金格差を縮小するための方策というのはやはり実施していかなければいけないというふうに考えておりますけれども、それは男女で均等な機会が与えられていないということからくる就業分野の違いであればそれは直していかなければいけないということで、機会均等対策を充実させていきたいというふうに思っております。また、これについては現在、中途の段階ではございますけれども、男女の就業分野が違っているということの背景には、女子労働者については女子保護規定があるということから一定の仕事に女子は配置することができないという実態があるということも否定できないわけでございます。
 こういったことにつきましても、今後の見直しの中で検討していくわけでございますが、いずれにしても機会均等対策を充実させていかなければいけないということ。それから、勤続年数につきましては、長くなってきているとはいえかなりの男女の格差がございます。
 仕事を続けたいという気持ちがありながらも、やむを得ず家庭責任のためにやめなければいけないといったことにならないように、職業生活と家庭責任とを両立できるような施策というのも充実したいというふうに考えておりまして、わずかずつではありますが、女子労働者の平均勤続年数というものも延びてきているということでございます。こういった政策全般を進めることによりまして、ILOが言っております男女の平均賃金の格差といったものも縮まっていくということを期待いたしております。
 最近、ILOの条約勧告適用専門家委員会の報告がILO総会の条約勧告適用委員会、これは三者構成の委員会でございますが、そこで議論の対象になりました。そして、先週末でございますが、その結果その委員会としての集約が行われたわけでございますが、その集約の結論部分だけ申し上げれば、条約目標達成のための政府の努力を評価するということと、引き続き努力を継続し、その状況を次回の報告で情報提供することを希望するという取りまとめが行われまして、私どもはこれに対しては誠実に対応していきたいというふうに考えております。
#31
○西岡瑠璃子君 ILOの指摘を受けるまでもなく、男女平等という観点から賃金格差が正当な根拠があるものであるかどうかという分析は当然しておくという必要があると思われますので、今局長の御答弁は、その御努力は私も多としたいと思っております。今後とも調査と分析が必要であると思いますので、これから先、もう少しいろんな面で具体的な調査をしていっていただきたいということを要望しておきたいと思います、
 それから次に、三つ目の女子学生の就職問題について。これは、先ほど柳川先生も御質問の冒頭でずっとお尋ねになっていらっしゃいましたけれども、私もこのことについて若干触れさせていただきたいと思います。
 本当に毎日、カラスの鳴かない日があっても、女子学生の就職戦線はどしゃ降りの就職戦線というような状況がマスコミ、新聞に載らない日はないぐらい、今企業業績の低迷で女子学生の厳しい就職戦線について報じられているわけでございます。本年三月の卒業者の就職状況とか来春もまた非常に暗い見通してはないかというふうに感じられてならないわけですけれども、大学卒そして短大卒、高卒、中卒、こういうふうな区分でことしの就職状況、来年はどのような見通しを持っていらっしゃるか、それについてお伺いしたいと思います。
#32
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先ほど、学生職業センターに相談に来られた数がふえているという話をさせていただいたんですけれども、平成六年一月から四月末の来所学生数が男子が七千四百三十一人で女子が一万三千九百八十八人ということになっておりまして、これがマスコミでも報道されておりますように女子の厳しさのあらわれであると思っております。
 そもそもいわゆる進学率ということに関して男女差がほとんどなくなってきた、そして就職する方々の率も女子の急速な高まりというのがあって、そうした中で男女雇用機会均等法というものができ上がって、さあこれで男女共同参画型社会ができ上がるというふうに勢い込んでやっておりますところに、こういう経済不況の波がやってきたのも事実ですが、女子学生受難の時代というような形になって非常に我々は残念でございます。何とかこれをクリアしなければいけないという気持ちで今あらゆる面で努力を開始しているところでございます。
 具体的なことをお尋ねがあれば、また私からもお答えは申し上げますけれども、とにかくどう見てもことし以上に来年が厳しいことは間違いがない。これは雇用というものが景気に関していうと遅効指数でございますから、今景気に関して明るみが大分出てきておりますけれども、景気が好転してもそれに対して雇用が好転するまでには一定のタイムラグができる。場合によっては、これは半年ぐらいのタイムラグだと、こう言われていることもあります。
 でも、ここは産業界へ我々が要請をして、あるいは労働省の努力によってこのタイムラグを縮める作業というのでしょうか、景気がよくなったらすぐ採用、雇用に向くように、そういうような努力もしていきたいと思っております。
#33
○西岡瑠璃子君 今大臣が全体として雇用情勢が厳しい背景といいますか、要因のようなものにお触れになったと思うんです。私は、松原局長もずっと前から存じ上げているんですけれども、何十年も総評労働運動の中で均等法じゃなくて男女雇用平等法をつくりたい、そういう女性労働者の願いを込めてその運動の先頭に地方でも立ってまいりました。
 この均等法が施行されてもう九年目を迎えるわけです。ところが、どうも今均等法も限界に来ている。なぜか男女の就職の状況を見ましても女子にはどしゃ降りと言われるほどの厳しい就職戦線になっている。本当に雇用の入り口ではじき飛ばされちゃっているというふうな状況でございます。特にこの不況の中で企業の雇用調整にねらい撃ちされている。中高年の女性の退職勧告も目立っているし、そしてパートタイムの方たちも雇いどめになっている。女の人がすべてねらい撃ちにされている。こういう状況でございますので、本当に厳しいわけです。
 そうした中で、男女雇用機会均等法の一部の指針の改正、女子労働基準規則の改正などもなされてきてはおりますけれども、募集、採用に当たって女子の人数制限をしない、そういうふうに指針でもって示されましても、もっと強行な規定をつくっていかないと、禁止規定をつくっていかないと、どうも難しいのではないか、そういうふうに思っております。
 今回、女子学生の就職問題に対しましても労働省がもっと具体的にその方策を立てていらっしゃるとしたら、その御努力を具体的にお伺いしたいし、またその対策が今回少しずつではあっても効果を及ぼしているのかどうか、非常にむなしいものであるのかどうか、そういうことについてどのようにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
#34
○国務大臣(鳩山邦夫君) 現在、私どもがいたしておりますことは、先生御承知かと思いますけれども、指針を改正いたしまして、それは今までの指針に反するような事例が昨年の採用に当たって非常に目立ったものでございますから、均等法に基づく指針をこの四月から改正して、今その周知徹底を図っておるわけでございます。
 特に、五月上旬には松原婦人局長の名前をもって事業主団体に、特に女子に均等に平等に機会を与えるように要請を行ったわけです。そして、六月一日には女子学生のための就職特別相談窓口を全国の婦人少年室に設置をいたしまして、不利益な取り扱いを受けていませんか、そういうことがあったらいつでもいらっしゃいということで、ポスターまでつくりまして、女子学生の皆さん方の応援をいたしますということで窓口を開設いたしました。
 それだけではなくて、この問題は大変重要であるということを羽田総理がおっしゃいました。特に総理の感覚は、女性の能力というのは男に全く負けるものではないんだ、むしろ肝っ玉が太くて、総理はPKOの例を出したんですが、PKOの選挙監視とかそういうような極めて平和的な業務に関して参加をした女性というのは、男以上に腹が据わってしっかりしているというふうな報告を受けておるんだと。そういう女性の能力というものをもっともっと生かせるようにするためには、これは今後の女子の就職問題というのはおろそかにできないということで、総理を中心にして官房長官、私、文部大臣、通産大臣で最初の女子学生就職促進のための閣僚懇談会をやりました。
 その後、第二回目を行いましたときには、いわゆる現業をそれぞれ所管している官庁、例えば大蔵省でも証券とか金融界とか日本たばことかあるでしょうから、もちろん建設大臣、郵政大臣、運輸大臣等お越しをいただいて、そうした方々からそれぞれの所管をされておられる業界に対して、女子の就職採用については男子と機会が均等になるように特に配慮をせられたしということでお願いをしたということでございます。
 私も、もちろんありとあらゆる機会をとらえてそのようなお願いをいたしているところでございます。
#35
○西岡瑠璃子君 今大臣がおっしゃいましたけれども、均等法の指針、差別をしないように努力をせよと各企業主に要請をするとか、そういった手直しは大変結構なことだと私は思います。しかし、果たしてそういう応急措置だけで性差別の是正効果を上げることができるかどうか、来春の女子学生の就職に本当にこういった措置だけで問に合うかどうか、大変疑問というか女子学生の不安を払拭できるような具体的な対策として十分であるかどうかという、そういう危倶を抱くわけでございます。
 大臣の所信に対する質疑におきましても、この問題は取り上げられておりましたけれども、非常に御答弁も抽象的な努力姿勢にとどまっておりましたので、私はあえてきょういろいろと具体的にお尋ねをしているわけです。五月二十日に女子学生就職問題閣僚懇談会も発足をされておりますけれども、これまでの取り組み、そして今後この会議についてどういうふうに対応されていくかということについて伺いたいと思います。
#36
○国務大臣(鳩山邦夫君) 閣僚の会合については、閣僚懇談会という形だと思いますが、ただいま御説明申し上げたように第一回目が五月二十日、第二回目が六月三日ということで、これからも精力的に各閣僚が打ち合わせをしながら女子学生の新卒者の採用枠の拡大に努めていくということでございます。繰り返してございますが。
#37
○西岡瑠璃子君 私は、きょうはしつこいぐらい均等法の施行後も依然として男女差別が解消されていないということを申し上げているわけですけれども、都の外郭団体の東京女性財団も、つい直近のことで六月十七日までにまとめた調査結果でもやっぱりこういう状況が明らかにされております。今後、指針の応急措置だけでなくて均等法に罰則規定を入れるとか、あるいはそういう違反をしたというか非常によろしくない企業名を公表するとかいうふうな御検討をされてはどうかというふうに思うわけです。
 それから、この東京女性財団の調査におきましても、差別の二番目に採用というのが挙げられているわけです。このことに関して、私はクオータ制の是非などもぜひ論議をしていただきたいと思いますし、これから均等法の改正指針についてもう一回再検討をしていっていただきたいというふうに思うわけです。
 そしてもう一つお聞きしたいのは、これも本当に毎日のようにこういった女子労働問題が載っておりますが、十七日の毎日新聞によりますと、トヨタ自動車株式会社は、この不況期であっても一般職の女子を一定水準ミニマム設定をして、一定水準以上の採用をするという新しい人事政策づくりを発表しております。このミニマム設定をするということについては、指針との関係においてどういうふうに評価、あるいはどういうふうにお考えになっていらっしゃるかお聞きしたいと思います。
#38
○政府委員(松原亘子君) 男女雇用機会均等法の制定をどういう観点からやるかいろんな議論があったわけでございますけれども、スタート時点はまず問題意識として、女子労働者が男子に比べて機会が少ない、また不利益に取り扱われることが多いといったことに着目いたしまして、そういった状況をぜひ直したいということからスタートしたわけでございます。
 そういうことから、現行の男女雇用機会均等法の私ども施行に当たりましては、女子により多くの機会があるとか女子が有利に取り扱われているといったことは、この法律上の問題とはしないということにしたわけでございます。それは当時、男子から見てそういったものは男子に対する差別であるといったような声がなかったということでありまして、社会的な問題としては女子に対する不利益な取り扱い、女子に機会がないといったことであったことからそうしたわけでございます。
 そういう観点から見ますと、今御指摘ございました一定水準以上女子を採用するというようなやり方、それがミニマムであってマキシマムでないということであれば、今も御説明いたしましたような現行均等法の趣旨からいいまして、指針、法律上も問題はないというふうに考えております。
#39
○西岡瑠璃子君 つい最近連合が、今男女雇用機会均等法と言っているわけですけれども、私も先ほどちょっと質問の中で申しましたが、男女平等法にすべきではないかというふうなことを打ち出しております。その内容は、男女差別の禁止、制裁を明記した強行規定にすること、そして女性の少ない職種に女性進出を後押しする積極的平等促進政策、つまりアファーマティブアクションですね、これの導入を盛り込むべきだというふうにしていることが発表されているわけです。
 この連合の提言について、労働省はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
#40
○政府委員(松原亘子君) 今御指摘ありました連合の提言、私どもも婦人少年問題審議会には連合の代表の方も出ておられますので、今のような御意見があるということは承知をしております。それは非常に、一つの御意見として私どもとしては重要なものと受けとめているところでございます。
#41
○西岡瑠璃子君 重要なものとしてお受けとめになっていらっしゃるというそのお気持ちは抽象的にはわかりますけれども、先ほど述べました男女の賃金格差など、いよいよ均等法の限界に来ているさまざまな問題について、労働省のもう一度積極的な見直しをぜひ遂行していただきたいというふうに私は思います。
 次に、介護休業制度についてお尋ねをしていきたいと思います。
 公務員の介護休業制度が法制化をされて、年内には実施をされる運びになったということで大変結構なことだと思っております。労働者全体の立場から考えますと、できれば民間も同時スタートを期待するものでございますけれども、それについてどのようにお考えになっていらっしゃるか、伺いたいと思います。
#42
○国務大臣(鳩山邦夫君) ちょうど今回の雇用保険法で育児休業給付が制度化されたわけですけれども、育児休業という制度自体は、既に民間、いわゆる官民を問わず確定をいたしておるわけでありましょうが、ちょうど今から十年ぐらい前あるいはもうちょっと前がと思いますが、三職種の育児休業制度だけがございました。もともとそれは学校の女の先生とか看護婦さんに特に着目をして、こうした方々にやめられては困るというところから発したものだったろうと思います。
 当時、我々はいろんな議論をしまして、この育児休業というので、事務職の方の不利はどうなるんだと。同じ学校に教職員でおられる方と事務職で来られた方といて、教職員の方は子供を産んでも育児休業がある。ところが事務職の場合は、もちろん永久に学校に勤めるとは限らないけれども、博物館に行くのかもしれないし市役所に戻るかもしれないけれども、しかし同じ事務の女の職員が子供を産んでも育児休業がないというのはどういうことなんだろうかというようなことは与野党で相当な議論をした記憶があるんです。
 そうこうしているうちに、今度は学校という場ばっかりで物事を考えてるのもおかしいんじゃないか、もちろん看護婦さんは別にしまして、文教関係で議論していきますと教職員か事務職員かというのはおかしいじゃないか、じゃほかの公務員はどうなるんだ、じゃ民間はどうなるんだということで、事務職をどうするかという話とオールジャパンどうするかという話が同時に沸き起こって、両方法律が出たらどう整理するんだというような議論までいたした、そんな記憶があるわけです。
 基本的に考えればやはり介護休業、こういうものを制度化していくということであるならば、私は本来オールジャパンであるべきだと思います。官も民もオールジャパンだ。ただ、要介護の状況の判断が、別に民間を疑うわけではないけれども、官の世界だとこれは安心して上司の判断にまつことができるんでしょうが、民間の場合どうするかということのみは残ってくるかな、こんなふうに今思っております。
#43
○西岡瑠璃子君 今大臣もおっしゃいましたように、休業の対象となる要介護状態を法律上どう特定していくかということとか、あるいは経営側からもちょっと今はまだ反対の声もたくさんあるというような問題点もあると思いますけれども、大臣はせんだって五月十六日ですか、共同記者会見でこの介護休業法の制定については、当然目指すべき課題であるというふうな意気込みをお示しになったというふうに受けとめております。
 今後、民間の場合については経営側の理解を求めていくとか、あるいは公務員とは異なるステップを経ないと制度化が図れないとは思いますけれども、大臣の御決意を含めて積極果敢な行動力を大変御期待を申し上げているわけでございます。
 今後スケジュール上、その法制化に向けてどのようなお取り組みをお考えになっていらっしゃるか、そのことについてお聞きをしたいと思います。
#44
○国務大臣(鳩山邦夫君) 現在は専門家の方々に、先ほど私が申し上げたような問題点等をどうとらえるか検討を行っていただいておるわけですが、七月になりますとそうした専門家の方々の最終的な取りまとめを行っていただけるというふうに私は聞いております。
 したがって、その専門家の方々の御意見の取りまとめがなされますと、関係審議会で検討が行われることになっているわけですから、できる限りこれは急がせて、早く対応して、その結果を出してもらいたいと思っております。
#45
○西岡瑠璃子君 それでは七月ごろに専門家会議の取りまとめを受けて、そして秋ごろから婦人少年問題審議会で法案作成に向けた審議がスタートしていくというふうなスケジュール。そして、でき得れば来年の通常国会には提出をしていただけるというふうに期待をしてよろしゅうございますか。
#46
○政府委員(松原亘子君) 昨年の九月に婦人少年問題審議会、その年の四月から介護の問題、均等法の問題、基準法の問題、さまざま検討してきたわけでございますが、昨年の九月にこの介護の問題については、今大臣から御答弁がありましたように、専門家の検討の結果を踏まえる必要があるということですが、そのときに介護休業の有効な普及対策のあり方については法的措置についても検討すべき時期に来ている、こういう取りまとめが審議会で行われております。
 しかしながら、その検討に先立って云々ということで、専門家会合を持つということになったわけでございます。審議会といたしましては、法的措置の検討をすべき時期に来ているというところまでは来ましたけれども、これを法制化するかどうか、それから法制化する場合にあってもその内容としてどういったものにするかどうかといったようなことについてまで、まだ検討が煮詰まっていない段階でございます。
 したがいまして、専門家の方々の御意見が出ましたら、それをもとに審議会を再開し、議論を詰めていただくということになるわけでございますが、先ほど申し上げましたような状況でございますから、具体的にいつまでに結論を出すとか、どういう内容の結論を出すというのがちょっと今の段階では申し上げられないということを御理解いただきたいと思います。
#47
○西岡瑠璃子君 大変しつこいようですけれども、その際できれば私は来年の通常国会に向けて法案の御提出がなされるような積極果敢なお取り組みをお願いしたいと思うわけです。その際、再度の確認になりますけれども、やはり民間も公務員と同時スタートができるというように御努力をされるということを何としても私は念頭に置いていただきたい、そういうことを御要請しておきたいと思います。
 そして、当然のことながら介護休業についても育児休業同様、雇用保険から給付がなされる仕組みとなるのでしょうか、そのことについてお伺いします。
#48
○国務大臣(鳩山邦夫君) それは、私は今何とも申し上げられない、わからないんですけれども、当然将来的にはそれは介護休業給付というものが育児休業と同じように考えられてしかるべしです。それは間違いないんです。けれども、ただ介護の場合は条件が、育児の場合はそれは一年間というのは妥当性があるわけで、子供が生まれて一年たてば大体普通は歩くようになるし、親の言うことも少しわかってくるということで一歳になれば手のかかり方が変わるということで、これは育児休業給付一年ということで単純に考えることができるわけです。
 介護というのは、お年寄りを面倒見る場合もありましょうし、あるいはもっと非常にお気の毒なケース、例えば自分のお子さんが介護が必要なような状況になってしまった、事故が起きたというようなケースもあるわけです。そうすると、これ何年かかるかわからないということになります。
 これは、介護休業制度においても給付でなくて制度においてでも問題になってくることで、これはいわゆる労働行政の問題というよりももう福祉行政の問題、それはもちろん労働行政と福祉行政というものが私は離れていていいと言っているんではないんですが、ただ分野としては、例えばお子さんが事故に遭った、十年介護をしなくちゃならなかった、十年たって会社に戻っても余り意味はないかもしれないし、その十年間介護休業給付というので当然育児休業の額から考えてもそれだけで暮らせるかどうかというのも非常に疑問も出てまいりますし、その辺の条件を考えるとこの検討というのは私は非常に難しいと思うんです。だから、やはり介護休業制度を先行させるのが筋かなというふうに私は思います。
#49
○西岡瑠璃子君 まず、制度を先行ということは結構だと思いますが、六月十二日の朝日新聞によりますと、今私がちょっとお聞きしたことに関連するわけですが、社会保障制度審議会の内部の委員会で公的介護保険についての検討案が報道されておりました。このことについて、その内容は御承知しておられましょうか。
 介護休業制度や介護休業給付と絡む部分があるのかどうかというのも含めて、最後にお尋ねをして次へ移ってまいりますので、よろしくお願いします。
#50
○政府委員(松原亘子君) 社会保障制度審議会の社会保障将来像委員会という中で、二十一世紀の高齢化社会に対応した社会保障の将来像などを構築するために平成三年の十一月から議論がなされているということは聞いておりまして、その議論の中で介護の問題というのも非常に重要なテーマになっているということは聞いてはおります。
 ただ、最終的にはまだ結論が出ていないというふうにも聞いておりまして、もちろん結論がまとまれば私どもも参考資料として勉強させていただきたいというふうに思っております。
#51
○西岡瑠璃子君 時間が迫ってまいりましたので、ファミリー・サポート・センターについて最後にお伺いしてまいります。
 約三億七千万円がファミリー・サポート・センターの設立経費として予算計上されているということでございますけれども、この当該事業の内容を伺いたいと思っております。例えば、人件費とか維持費とか、その器物ですね。これらのことをずっと考えてみますと、私はこの三億七千万円では、例えば一つの建物をつくったらそれで一巻の終わりですし、このお金は一体事業としてどういうところへ使っていかれるのか、そのことについてお聞きします。
#52
○政府委員(松原亘子君) ファミリー・サポート・センター事業の趣旨は、最初に大臣から御答弁がありましたので省略させていただきますが、この事業の補助金は、一つの部分は都道府県が実施します管内の市町村などに対するニーズ調査、ファミリー・サポート・センターの設立を促進するための啓発指導、各ファミリー・サポート・センターにこの事業実施のために置くこととしておりますアドバイザーに対する研修、こういったことに必要な経費。それから二番目の部分といたしまして、市町村などがファミリー・サポート・センターを運営するための人件費、活動経費、広報紙の発行、事務所借料など事業運営に必要な経費、こういったものが補助金として計上をされているわけでございます。
 この補助金の補助対象額は、都道府県が実施します最初の部分の事業ですが、これにつきましては約三百八十万円、市町村等が実施する後段で御説明した事業ですが、これにつきましては約二千四百万円でございまして、国はそれぞれの二分の一を補助するということにいたしているわけでございます。
#53
○西岡瑠璃子君 このセンターの設立なんですけれども、将来的に四十七都道府県全部に設立されるというお考えでしょうか。
#54
○政府委員(松原亘子君) 今年度は四十七都道府県に一カ所ずつはつくっていきたいというふうに思っておりますが、将来的にはどういう市町村にどういうニーズがあるかといったようなことも見きわめまして、必要なところにはさらに設置をするといったようなことで検討したいというふうに思っています。
 ただ、ちょっと一点誤解のないように申し上げたいと思いますが、このファミリー・サポート・センターはハードの、建物をつくる、こういうものではございませんで、先ほど事務所借料とちょっと申し上げましたけれども、一定の事務をやるには当然場所が必要ですが、そこでいわば援助をする人とされる人のコーディネーションをやる、いわばソフトの援助ということでございまして、建物を建てるというものではございませんので、そこは誤解のないように御説明させていただきたいと思います。
#55
○西岡瑠璃子君 このセンターの運営に関して、私はボランティアに依存していくということが非常に大きくなっていくと思うんですけれども、このボランティアに依存するということで予想どおりの目的といいますか理想どおりの活動が期待をされるかどうか、そのことをちょっとお伺いしたいと思うんです。
#56
○政府委員(松原亘子君) 現在私ども婦人局の一つの施策といたしまして、保育講習というものをやっております。これは実際には全国で二百数十カ所設置しております働く婦人の家でやっているわけでございますけれども、その保育講習を終えた方々が、例えば任意にまたその終了後も一つのグループをつくってこういった活動をしたいというような声があるということも聞いておりますし、そういった保育講習などをさらに今後充実させていくことによって、いわば援助をしたいという方々の人数の確保といいますか、そういったことは私どもはできていくだろうというふうに思います。
 今先生が御指摘のボランティア、そういったことについても、今ボランティア活動についての社会的な機運の醸成というのも高まっているわけでございます。そういった中でファミリー・サポート・センターをやっていくための人材の確保ということもできるというふうに考えているところでございます。
#57
○西岡瑠璃子君 この仕事は厚生省の事業とも非常に似たようなところがあると思うんですけれども、両省でどのような役割分担をすることになるんでしょうか。それで両省でお話し合いを、このことについて持たれておりますか。
#58
○政府委員(松原亘子君) この事業は、厚生省がやっています保育所を設置し、そこで子供さんを預かって保育をするというものをそもそもやろうというものではございません。
 そういったものでは対応し切れないようなニーズ、例えば勤務時間帯と保育園の時間帯とが合わないといったようなことからくる保育所への送り迎えについてのニーズですとか、それから保育所に子供を預けていますと、熱が出たりしますと電話が職場にかかってきまして、子供さんの熱が出ましたからすぐ引き取りに来てくださいといったような電話がかかってくるわけでございますが、そういったときに仕事の関係で出られないといった場合に、こういったところに登録されている方にお願いをするといったようなことですとか、それから通常の保育所では十分対応できないその保育時間後のいわば二重保育といいますか、そういった部分も対応するといったようなことを考えているわけでございまして、厚生省がやることとぶつかるということではございません。
 ただ、御指摘のように、密接に関連する分野でございますので、この事業をやろうというふうに私どもが考えましたとき以降、厚生省とは密接に連携をとり、数回にわたり連絡会議等も開いてやっているわけでございます。
#59
○西岡瑠璃子君 ファミリー・サポート・センターというのは国際家族年の記念事業といいますか、の一つとしてとらえられているというふうに伺っております。
 仕事と育児の両立のための特別援助事業ではありますけれども、とりわけことしか国際家族年ということでその記念事業の一環として取り組まれたという、そのことは非常に大きな意義があると思いますけれども、私はそういったことではあっても非常に場当たり的な設置であってはいけないと思うわけです。今後このセンターを、働く男女の期待にこたえるためにどういうふうに具体的に運営をしていかれるか。そして、設置についてもそのビジョンといったものがどのように描かれているのか。
 最後に、そのことをお聞きして私の質問を終わりたいと思います。
#60
○国務大臣(鳩山邦夫君) 要は、私もこのファミリー・サポート・センター事業のことを婦人局の方々からレクチャーを受けたときに、しかも雇用保険のお金が使われていくわけですから、これは本当に有効に機能するものでなければいけない。
 つまり、ファミリー・サポート・センターがあるから仕事ができる、あってよかったと。昔の人はこういうものがなかったから苦労したでしょうにと思うぐらいに本当に有効に機能するためには、それは当然厚生省との連絡も密にしなくちゃならないと思うし、どういう運営の仕方があるのか、私の浅薄な知識では今お答えできませんけれども、それは優秀なる婦人局の皆さんにこれから懸命に考えてもらいたいと思うし、また、婦人局ではわからないことに関しては、それは国民とじかに接している西岡先生を初めとするそういう婦人議員の皆様方にはとりわけ厳しく御指導いただいて、お教えいただければありがたいと思っております。
 恥ずかしいことですけれども、自分の思い出話を披露いたしますと、私は昭和二十三年の生まれで団塊の世代でございます。西岡先生と同世代のようなものですが、ちょっと先生の方が先輩かもしれませんが、中学へ入りましたのが昭和三十六年でした。そうしたら世界地理の授業で中国のことを教わった。託児所というのを全国に猛烈につくっているんだと、こういう話を聞いたんです。
 託児所という言葉は、何か日本でも聞いたような気がしたけれども、何のことだかさっぱりわからなかったんです。社会主義国家の建設は託児所をまず猛烈につくる、こういうことを先生が言った。どうしてかな、何でと質問をしたら、だって君、中国だったらもう広大な国土で人が何億いるかわからないんだ。男女みんな平等に働く社会なんだ。みんな働くのに、男子中学で女子のいない中学でしたからあれですが、君ら男は子供を産むわけじゃないが、女性は子供を産むんだ。子供を産んだら、子供の面倒で仕事ができなくなるだろう。だから中国というのは、社会主義国家を建設するためにまず子供を預かって、きちんと働ける場所をあらゆる職場につくるという計画でやっている、これは実に頭のいい考え方だと。こういうことを昭和三十六年当時教えられたことがあって、ははあと思った。というのは、日本ではまだ余り女性が働いておりませんでしたから、そういう意味では特に衝撃が大きかった。
 ですから、男女というのは平等だと思う。これはすべての面で平等であろうと思いますが、しかし反面、男の特徴と女の特徴というものは、これは消えるものではない。というのは、男は子供を産むことができない。将来科学が進歩すれば産めるようになるかどうかわかりませんけれども、多分そういうことは余りやるべきことでもないでしょう。だから、やっぱり女性が子供を産むということの大変な特質があるわけです。
 私の祖父の鳩山一郎は、いつも女性は太陽であるということをどこの演説会でもしゃべっている記録が残っていますが、女性は母であり、したがって母である限り太陽でありますと、こういう演説をしておるんですね、どこでも。そんな古い記録も残っておりますが、子供を産むという、宝物を産み育てる、この女性の力というものは、もちろん育児はこれから男女平等ではあっても、男が子供を産めない以上、どうしてもやはり子供との関係というのには婦人というのが男以上に強くかかわってしまうのは、これは仕方のないことだろう。
 だから、その問題をどうやって解決するかということが、やはり本当の雇用の世界での、先生おっしゃるように男女平等を実現するためには極めて重要であるからして、このファミリー・サポート・センターも有効にそして有用に機能できるように、大いに研究をさせなければならないと存じます。
#61
○西岡瑠璃子君 大臣が非常なうれしいお言葉をおっしゃいました。女性が本当に輝ける太陽になることができますように、大臣の大きなリーダーシップをよろしくお願いをしたいと思います。
 ありがとうございました。
#62
○委員長(野村五男君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。
   午前十一時五十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時二分開会
#63
○委員長(野村五男君) ただいまから労働委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、平成六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、労働省所管を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#64
○吉川春子君 労災認定問題について伺いたいと思いますが、まず中華航空機墜落事故について伺います。
 四月二十六日、名古屋空港で起きました中華航空機墜落事故は二百六十三名の死亡者を出すという大惨事でした。事故の原因の究明、被災者並びに遺族に対する補償問題も論議されているようですけれども、きょうは労災による補償について労働省の見解をお伺いいたします。
 中華航空機墜落事故被災者の中には、乗務員を除いて海外出張からの帰国途上の者、社員旅行中の者、協力会社の慰安旅行中の者など、労災を適用する場合に非常に微妙なケースの人も多いと思いますけれども、できるだけ柔軟な対応を労働省に望みたいと思います。
 海外出張からの帰国途上の者については従来から、出張中は全般にわたって事業主の支配下にあると言える、したがって出張の往復の路程における災害はもちろん出張に当然付随する通常の飲食、宿泊それ自体は私的行為中の災害であっても業務遂行性が認められて、出張の全期間の災害が原則的には業務災害となるという考えが確立していると思いますが、間違いありませんか。
#65
○政府委員(石岡慎太郎君) 出張中の災害につきましては、事業主の命令によりまして通常の勤務地を離れて就労するのでありますから、過度な恣意的行為にわたるものなどの特別の事情がない限りは、御指摘のとおり従来から業務上として取り扱っているところでございます。
#66
○吉川春子君 社員旅行中の労災認定ですけれども、過去の事例を調べてみますと、幹事だけではなくて一般参加者も業務上と認定されたケースが幾つかあります。
 例えば、会社主催の創立記念旅行に参加し自由時間中に遊泳し溺死した労働者、これは再審請求昭和五十七年十二月二十三日大阪ですけれども、が業務上として認定されています。その理由は、全員参加であった、遊泳は私的行為というよりは本件旅行中のスケジュール上必ず随伴する主要なものであること、遊泳は泳げない者もおり、参加者全員に一律に強制できないから自由時間という時間帯を組み込んだと考えるべきということでありましたが、そうですか。
#67
○政府委員(石岡慎太郎君) そのように承知いたしております。
#68
○吉川春子君 その次、三番目としては、協力会社の慰安旅行中の労災認定について、これは非常に微妙なケースですけれども、これもそのものずばりの例ではありませんけれども似通った事例があります。例えば、元請会社の野球部の選手として出場した下請会社の従業員が野球大会において負傷したのを業務上としたものです。この理由は、下請が元請の要請により被災者を出勤扱いとして野球大会に出席させたことは、元請、下請という間の友好信頼関係を維持し確保する上においても必要というものでありました。これも間違いないですね。
#69
○政府委員(石岡慎太郎君) そのように承知いたしております。
#70
○吉川春子君 大臣、以上のことを前提にいたしましてお伺いいたしますけれども、今回の中華航空の事故の被災者に直ちに当てはまるというものではありませんけれども、今回の被災者の状況に照らして参考にするのに値するものが多々あると思います。
 法の適用に当たりましてはぜひ広く解釈して、できるだけ多くの被災者が救済できますように御尽力をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#71
○国務大臣(鳩山邦夫君) 今回の中華航空機の事故で不幸にして大勢の方が亡くなられたことを心からお悔やみ申し上げなければならないと思っております。私もちょうどその直後に労働大臣に就任をした形でありましたから、新聞で中華航空の報道がなされて、労災の認定がどうなるかということが毎日のように載っておりまして、大変興味深くそれを拝見しておったというところでございます。
 既に四十二名の御遺族から労災補償給付の申請がなされているということで、所轄の労働基準監督署において調査を行っておりますから、できるだけ速やかに結論を出すように指導してまいりたいと思っておりますが、それぞれのケースがいろいろありましょうから、もちろん吉川先生おっしゃったように、過去の例にも照らしながら判断をすることになるのであろう、こういうふうに考えております。
 ただ、労災も保険でございますから、全国のすべての事業主の方々がそれなりの出費をして積み立てて、これは要するにお互いに助け合うという制度でございますから、その認定は当然労働基準監督署が公平、中立にやるものでありましょうが、こういうものはそういう制度に照らして厳正に行わなければならないとは思います。
 ただ、石岡局長が何とおっしゃるかわかりませんが、私は感覚からいえば、やはり制度がある場合に、できる限り狭く解釈してこういう場合しか労災になりませんと制限列挙したもののみが労災であって、その他は労災にあらずというような考え方は酷だろうなと思っております。
#72
○吉川春子君 ぜひ柔軟に、なるべく多くの方が救済されますように重ねて要望を申し上げておきたいと思います。
 さて、過労死の認定問題について伺いますけれども、過労死による労災の申請件数及び認定数をおっしゃっていただきたいと思います。
#73
○政府委員(石岡慎太郎君) いわゆる過労死に係る労災の請求件数を申し上げますと、平成二年度五百九十七件、平成三年度五百五十五件、平成四年度四百五十八件となっております。
 このうち業務上と認定されましたものは、平成二年度九十二件、平成三年度九十三件、平成四年度七十四件でございます。さらに、このうちいわゆる過労死といわれるもので認定されました数字を申し上げますと、平成二年度三十三件、平成三年度三十四件、平成四年度十八件となっております。なお、平成五年度につきましては現在取りまとめを行っておるところでございます。
#74
○吉川春子君 過労死として認定された件数が非常に低いわけなんです。認定卒が非常に低いというのが実情です。そして、その請求人の大多数は労働基準監督署において却下されています。その人たちが却下された後に各県の労働基準局の審査官に審査を請求して、その源処分が取り消されたのは何件でしょうか。昭和六十三年以降平成四年までのトータルの数字で結構です。ついでに率もおっしゃっていただければと思います。
#75
○政府委員(石岡慎太郎君) 昭和六十三年度から平成四年度までの五年間における審査官に対するいわゆる過労死関係の審査請求件数は六百十二件でございました。このうち取り消し件数は二十件でございまして、六百十二件に対します二十件の比率は三・三%となっております。
 また、同じ期間におきます審査会に対するいわゆる過労死の再審査請求件数は二百四十二件、取り消し件数は三件、その率は一・二%となっております。
#76
○吉川春子君 救済率がわずか一・二%という大変驚くべき低さであります。
 大臣は就任後の記者会見で、「先日、過労死の認定率をみたが、率直に随分低いとの印象を持った。事務方にもっと認めてもらうよう言っておきたい。」と述べられておられますのを週間労働ニュースという新聞で私も拝見いたしました。全く同感でございまして、大臣ならずといえどもびっくりするような低い数字でございます。それで、なぜそういうことになるのか。私は認定基準、そしてその運用、その両方に問題があると考えています。
 そこで、具体的な事件に即してお伺いしたいと思いますが、ことし四月七日、中央労働保険審査会におきまして労災不支給の原処分を不服とした再審査請求をしました村上俊雄事件というのがございますけれども、却下した事実はありますか。
#77
○政府委員(石岡慎太郎君) そのように承知いたしております。
#78
○吉川春子君 この事件のことについて伺いますが、請求年月日はいつでしょうか。それから、原処分、審査官、審査会、それぞれの段階で結論に至るまでどれぐらい時間がかかっているんでしょうか。年月日でお答えいただきたいと思います。
#79
○政府委員(石岡慎太郎君) 御指摘の村上俊雄事件につきましては、労災詰求年月日は昭和六十年の六月二十一日でございました。監督署段階における原処分の年月日は昭和六十一年十月二十九日でございます。それから、審査官の決定年月日は平成二年の三月三十日、審査会の採決年月日は平成六年四月七日でございました。
 これらに要しました期間をまとめて整理をして申し上げますと、原処分に要した期間は一年四カ月、審査官の決定に要した期間は三年五カ月、審査会の採決に要した期間は四年、合計八年九カ月となっております。
#80
○吉川春子君 請求してから実に九年近い年月がたっておりまして、しかも最後は棄却されていますからこれがまた裁判になっているんです。そうしますと、これから裁判で五年とか十年とか、ちょっと気の遠くなるような日にちがかかるやも知れず、そして大変な負担を請求人に強いるということにもなるわけです。
 幸いこの方は命は失わなかったんですが、後遺症で大変な苦しみを味わっています。ここでは採決したのがよかったか悪かったかということについては聞きません。そうじゃなくて、どういう手続でこうした結果になるのかという点を伺いたいと思います。
 こういう採決をする場合に、医師の判断、医証というのですか、それが非常に重要だと思いますけれども、この原処分、労基署の決定に当たって、その被災者が担ぎ込まれた病院の医師の意見のほか何人の医師の意見を聞いたんですか。
#81
○政府委員(石岡慎太郎君) 御指摘のケースにつきましては、最初に診察をされました主治医の医学的な御意見のほか、二人の医師から医学的な意見を求めております。
#82
○吉川春子君 審査会は何人ですか。
#83
○政府委員(石岡慎太郎君) 審査会におきましては特に医師の意見を求めておりません。
#84
○吉川春子君 審査官はどうですか。済みません、もう一度。
#85
○政府委員(石岡慎太郎君) 地方労働基準局の労災保険審査官段階におきましては、二人の専門医から医学的な意見を求めております。
#86
○吉川春子君 二人のお医者様の意見を求められたわけですが、そうしますと審査官は一九八七年十月六日に浜松労災病院に鑑定を依頼して、そして八八年の十月二十七日に意見が出されたんですけれども、これはどういう意見でしたか。
#87
○政府委員(石岡慎太郎君) 御指摘の医師の医学的な意見は、このケースにつきましては業務上であるというものでございました。
#88
○吉川春子君 業務上という意見が出されましたね。だから、本来だったらばここで労災として認められるということになるんですけれども、そうはならなかった。
 なぜかというと、審査官はこの意見に従うのではなくて、それから八カ月後の八九年七月に今度は産業医大の特定の教授を指名して再鑑定を依頼しています。この医師はどういう意見を出しましたか。
#89
○政府委員(石岡慎太郎君) 御指摘の医師は、このケースは業務外であるという判断を示しました。
#90
○吉川春子君 最初に意見を伺ったお医者さんは業務上と言い、しかしそれで結論は出さなかったわけです。八カ月間温めておいてもう一人の医師の意見を聞いたら、これが幸いにもというか不幸にもというか、立場によって違うんですけれども業務外という意見を出された。結果として、これはどちらのお医者さんの判断をとったかというと、業務外というお医者さんの意見と結論が一緒になったわけですね。そうですね。
#91
○政府委員(石岡慎太郎君) 御指摘の村上俊雄事件につきましては、一言で申しますと大変難しい事件でございまして、例えば二点申し上げますと、請求人は管理職的立場にありまして、またその業務は事業場外におけるセールス業務でございましたので、労働時間の管理がなされていないということで、この労働時間の把握が大変困難でございました。
 それを背景にいたしまして、医師の意見も、先ほどからお答えしておりますように、監督署の署長段階では業務外とされた方が三名中二名ということでございまして、医師の専門的な意見も非常に分かれる難しいケースであったわけでございます。その中で、労災保険審査官は医師の意見などを総合的に参考にいたしまして、またその他いろんな調査結果を踏まえまして、このケースにつきましては業務外ではなかろうかという判断を下したわけでございます。
#92
○吉川春子君 大臣、お聞きのとおりの事件であったわけなんですけれども、私はこの労災、過労死の認定の仕方、運用の問題点があると思います。
 最初に労働基準監督署が業務外という決定をする、それを何とか維持しよう、そういうことが先に立って、被災労働者の救済の観点が非常に薄れてしまっているんではないか。これがほとんど救済の制度としての役割を果たさないほどの救済率の異常な低さになってあらわれているわけです。先ほど数字はそちらの方から正確な数字を示していただきましたけれども、そういうふうにほとんど救済されない、こういう実態があると思うわけです。こういうやり方に不満を持ったこの方が裁判に現在持ち込んでいるわけですけれども、裁判の問題は司法の判断ですから、きょうはもちろん触れません。
 大臣に伺いたいんですけれども、行政改革といいますけれども、こういうことに問題意識を持って行政の姿勢を正していく、なるべく早くしかも被災者を救済するという観点で行政は当たっていただかなければならないんじゃないかと思いますけれども、その点についてのお考えをお伺いしたいと思います。
#93
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先ほど先生から御披露があった雑誌ですが、私の記者会見の関係のことと思います。
 正確にどういう言葉で言ったか覚えておりませんが、確かに過労死の認定の数字を聞いたときには、割合が随分低いものだなという率直な感想を持っだということは申し上げた記憶がありますし、現在でも、今回じ数字がここにありますが、随分低いものだなと思っております。
 また、結論をなるべく早く出さなくてはいけないということについては当然のお話でございますし、また労働省としても、いかに複雑なケースでもできる限り早く結論を出すように努力しなければならないのは当然だと思っております。
 ただ、この村上俊雄事件ということに関しましては、石岡局長からお話がありましたように、極めて難しい、この認定をするかしないかというのが非常に難しい事件であったことも確かでございまして、その辺、こういう難しい複雑な事件に関してどのように判定をしたらいいのか私が今申し上げられるようなものではありませんし、これは一応監督署としてやってきたことを私としては認めざるを得ないわけでございます。
 ただ、それとは別に、先ほど中華航空のことでも申し上げましたように、これも救済措置でございますから、およそ労働災害と認定してあげなければ救われないわけで、かといって、もともと拠出している方がいるわけだから、それがいいかげんに使われることは絶対に避けなければならない。
 したがって、それは厳正中立、公平公正な厳しい判断が要るわけですけれども、でも本来の目的が救済することにあることは間違いがないから、救済すべきを誤って救済できないと、本来救済すべきでない者を間違って救済してしまったという点、二つのケースがあるわけです。それはもちろん、救済すべきでない者を救済することも間違いですけれども、でも、その間違いから生まれるマイナスというのは、救済すべき者を救済しなかったというミスから生じるマイナスに比べればはるかに少ないものだというふうに私はとらえておりますから、その辺は当然労働省としてもよくわかって対処していくこととは思いますが、今後いろいろ迅速化等についてもよく打ち合わせをしてやってまいりたいと思っています。
#94
○吉川春子君 ぜひ大臣に御奮聞いただきたいと思うんです。
 もう一つ、認定基準についても見直しが必要だと言われていますけれども、私もそう思うわけです。既に裁判でも業務外とする判断を業務上と逆転させる判決がたびたび出されておりまして、客観的にも見直しの時期に来ているのではないでしょうか。
 そこで伺いますけれども、例えば大臣、毎日仕事で十五キロの物を取り扱って腰痛になった人がいるとして、この力の弱い労働者は労災の認定を受けることはできないんですけれども、力が強くて三十キロの物を取り扱って腰痛になった者は、労働省の基準、基発第七五号の二十キロを基準とするという認定基準によりますと労災の認定を受けることができるわけです。
 まず最初に、労働省に伺いますけれども、こういう基準になっているわけですね。
#95
○政府委員(石岡慎太郎君) 御指摘の腰痛の認定基準におきましては、腰部に過度の負担のかかる業務といたしまして三つばかり挙げております。
 一つは、おおむね二十キロ程度以上の重量物を繰り返し中腰で取り扱う業務、しかし、重さばかりではございませんでして、重さに関係なく腰部にとって極めて不自然な姿勢で毎日数時間程度行う業務、それから長時間にわたって腰を伸ばすことができない、そういう同一作業姿勢で行う業務などでございます。
 したがいまして、取り扱う物の重量だけではなく、腰部に過度の負担のかかる不自然な作業姿勢、同一姿勢などを持続して行うなど、さまざまな作業態様もあわせて勘案して業務上、外の判断を腰痛についてしているつもりでございます。
#96
○吉川春子君 重さだけではないのはもちろんなんですけれども、二十キロということを一つのあれでやると、例えば局長の場合だったらこんなのは平気かもしれません。でも、私だったら十キロでもすぐ過労になってしまう。こういうことは個人差によって違うんですけれども、それを今二十キロという基準によって、一つその判断基準としていることによって、弱い労働者は業務上ということにならない、よりたくましい強い労働者の方が業務上と認定される率は高くなると思うんです。そういう矛盾があると思うんです。
 同様に、過重な業務が三日間や四日間続いたぐらいで倒れてしまうような弱い労働者、体力的にも弱い労働者は認定されずに、もう十日間も継続して倒れたような強い労働者の場合は認定されることになる。これは労災の認定基準が、当該労働者のみならず同僚労働者または同種労働者にとっても、特に過重な精神的、肉体的負荷と判断されるものであることは言うまでもない、こういう立場に立っているからなんです。だから、余りにも通常労働者との同一性ということが強調されますと、か弱いといいますか、そういう労働者は救済されないことになってしまうわけです。
 だから、業務が過重か否かの判断はその被災者本人、一般の労働者じゃなくてその本人を基準にして判断すべきではないんでしょうか、現実に生きているのは個人ですから。平均的な人が働いたりしているわけじゃないんで、その労働者個人、当該の労働者に対して判断をするという方向にこの認定基準も転換させるべきではないか。私は、この辺は労働大臣の方が非常にすぱっとおっしゃってくださるような気がするんですけれども。
#97
○政府委員(石岡慎太郎君) ただいま腰痛及び過労死の認定基準の見直しにつきまして御指摘がございました。
 先ほど、大臣が申し上げましたように、こういう認定基準はやはり事業主の責めに帰す、そういう判断をするものでございます。また、その個人個人の事情も考慮しないわけではございませんが、やはりそのために明確な客観的な基準を示す必要もしたがってあるわけでございます。
 したがいまして、御指摘のように、おおむね二十キロだとか、あるいはまた業務が当該労働者のみならず同僚労働者などにとっても特に過重であると客観的に判断される場合とか、そういう客観的な基準を設けさせていただいているわけでございますが、これは何も行政が恣意的に設けたわけではございませんでして、腰痛の場合も過労死の場合もそれぞれ専門家会議を開きまして、専門家の御意見を十分にいただきながらこういう基準をつくらせていただいたものでございますので、御指摘の点もわからないわけではございませんが、役所側のそういう事情も御理解をいただきたいと思っております。
#98
○吉川春子君 私は行政が恣意的にやったとかと言っているんじゃなくて、そういう不都合が今生じてきてこの基準の見直しも必要になってきているんじゃありませんか、そういうときにはぜひ見直していただきたいというふうに申し上げているんです。
 最後に、大臣の答弁をお願いして終わりたいと思います。
#99
○国務大臣(鳩山邦夫君) 私ちょっとその前にお話ししたいのは、先ほど救済すべきでないものを救済してしまった誤り、救済すべきものを救済しなかった誤りというような表現を使いましたけれども、自分でそういう言い方をしてみて、心さえわかっていただければありがたいんですが、何も私はそういう誤りを認めてもいいということを言っているんではないし、誤りだとか正しいかというのは、これはある意味で言えば神のみぞ知るで未来永劫にわからないというケースも多いだろうと思いますが、私の心だけわかっていただければありがたいと思います。
 ただいまのお話でございますけれども、ただ先生は国会のトレーニングルームに二年間で百五十回行かれて、五十キロのものを持ち上げるとは書いてありませんけれども、先ほどの御自身に関する評価はやや違うんではないかと思う面もありますけれども、結局は、要はできるだけ温かく見てあげるということだろうと思うし、そういう認定基準も、これは石岡局長からも御答弁申し上げたように、できる限り総合的に判断をするということだろうと。その総合的に判断するときに、できる限り温かく見てあげるというのが私はそもそもが労災という制度の本旨ではないかなと。
 そういう本旨に帰って、それはもちろんだめなものはだめなんで、土井議長じゃありませんけど、それはだめなものはだめなんですけれども、だけれどもいわゆる境目というのか難しいなというケースの中で専門家が判断をしていく中で、専門家もまた判断に迷うようなときはできる限り温かい方向でというのが制度の本旨であって、その心は忘れてはいけないのではないかなと私は思います。
#100
○吉川春子君 終わります。
#101
○三石久江君 護憲リベラルの会の三石です。
 私は、まず労働省には婦人少年局から婦人局、各県には婦人少年室が置かれております。ネーミングには歴史がありまして、ネーミングは大切なものでもあると思っておりますが、一朝一夕には変えられないとは思いますけれども、最近のさまざまな行動計画とか報告書ではほとんど婦人の言葉は使われなくなりました。
 現在、婦人という言葉は女性をあらわすものとしては極めて限られた範囲でもあり、語源からも男女差別の意味が明らかなように伝えられておりますので、ぜひ変えていただきたいと思います。このことは今までも多くの人たちから指摘されてきたことですが、ぼつぼつ決断のときではないかなと思いますが、いかがですか。
 婦人部とか婦人何々の名称を他の名前に変えるとなりますと、事務的にはいろいろと大変煩雑な仕事があることでしょうが、いつかは変えなければならないと思います。総理府では、既に婦人問題担当室を仮称ですが男女共同参画室に変更することを決めていますし、婦人問題企画推進有識者会議を男女共同参画審議会にというように、婦人問題を男女共同参画型に変えると十七日の新聞で拝見をいたしました。その理由として、名称変更や組織を強化することで家庭や職場で男女が共同して担う社会づくりの実現を強力に推進していく方針であるとうたっています。
 例えば、女子学生とは言っても婦人学生とは言わないでしょう。社会的には、婦人学級といえばまず若い女性は参画できないということも聞きます。女性学級の方が範囲が広く、皆さんにも親しまれることになろうかと思いますが、大臣いかがでしょうか。
#102
○国務大臣(鳩山邦夫君) これは、私の感性ではよくとらえ切れない問題でございます。
 例えば、官房長官がかつて婦人問題担当ですが、今女性問題担当と呼んでいると思います。私は何も労働大臣やっているからというだけでなくて、婦人問題というといわゆる女性、婦人、そうした皆様方のさまざまな地位等の問題について議論するんだなと思いますが、女性問題担当というと、だれかが浮気がなにかしたのを担当しておるのかなと、私なんか女性問題と聞くとむしろ率直にそういう響きを感じるんです。
 だから、女性と婦人の区別じゃないんです。四文字の単語にした場合に、婦人問題担当と女性問題担当というと、かつて我が国にもそういう問題を起こした総理もおられたようですが、そういう担当の官房長官みたいな響きを感じるのは私だけではないと思います、率直に申し上げて。だから、私の感性は女性がいいのか婦人がいいのか。実は昨年五月の閣議では法令上の婦人を女性という表現に改めていこうということで、政府全体で統一的に取り組むよう官房長官に調整をお願いして、総理府が中心になって検討が進められてきているというんですが、いまだ結論が出ていないというふうに聞いているんですが、だから私もそれに従わなければならないのかと思います。
 ただ、私の感性は女性がいいのか婦人がいいのか。少なくとも後援会は婦人部として活躍をしていただいておりまして、そういえば多少若手が少ないかななどと反省もしますけれども、ただ私の祖母鳩山薫と申しますが、そういう女性や婦人の問題にみずから学校を経営しながら懸命に取り組んできて、働く女性という意味で職業婦人というような形で常々申しておりましたから、そういう家に生まれたせいか、そういうような婦人という響きにも私は割合と違和感を感じないものですから、どうなのかなと。
 また、労働省の婦人局につきましては、また婦人局としての歴史も持っておりますし愛着もおありだと思いまして、松原婦人局長のお姿を拝見しながら、この人は婦人なのかな、この人は女性なのかなとこれから考えてみようと思っております。
#103
○三石久江君 十分に考えていただきたいと思います。
 次に、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女子労働者の福祉の増進に関する法律、いわゆる機会均等法です。この機会均等法は施行以来八年が経過して女子の雇用管理の改善はかなり進んできたとはいいましても、平成四年度女子雇用管理調査によりますとなお技術系で四七・五%の企業が、事務・営業系で三四%の企業が四年制大学卒の男子のみの募集を行っています。最近の不況下におきまして解雇がふえる中で、女子に多くのしわ寄せがいくとか賃金の男女差別、女子大生の就職難など、女子差別の例は極めて多く、機会均等法の法律の弱点と申しますか努力義務とされたものが機能しなくなって、せっかくの法律の趣旨が生かされていない場面が見受けられます。
 そこでお伺いしますが、一昨年来、新規学卒者の就職状況が低迷して女子学生の就職差別が多いわけですが、差別の実態と労働省の見解を御説明願いたいと思います。
#104
○政府委員(松原亘子君) 私どもは、女子学生にこの不況の影響というのが大きく出ているのではないかというふうに思いまして昨年十月に、実はことしの春卒業する方々ですが、そういう方々に対する内定状況というのを調査いたしました。その時点での結果ですが、高卒も大卒も入れてのトータルですが、男子学生の内定状況というのは前年に比べて三割減、それに対して女子の方は四割減ということで、そこに差がございました。
 これは量的な差ですから、それだけですべてを判断するということはできないわけでございますけれども、昨年も六月から十月にかけまして女子学生のための特別相談窓口、これを六つの主要都道府県の婦人少年室に設置をいたしまして、そこで女子学生の方々のいろんな相談に応ずるということをいたしたわけでございますが、そのときに幾つか寄せられた声といいますか相談がございました。
 例えば、女子学生が会社に資料の請求をしたら送られてこない、自分の同じゼミにいる男子学生にはちゃんとその会社から送られてきているといったような実態があるとか、それから女性も募集するということだったので、要するに応募書類を持って行ったら、いやうちはそういう募集をしたけれども女性は採らない予定であると言われて受け付けてもらえなかったとか、それから企業説明会というのを多くの企業がやられますけれども、女子は説明会に参加してもらうことはできませんといって断られたといったような苦情が幾つか婦人少年室に寄せられました。
 それは昨年のことですが、その当時の景気情勢等から判断いたしまして、またことしもかなり厳しいということが予測されるんじゃないかということから、同じようなことが繰り返されてはいけないということで、婦人少年問題審議会では実は昨年の四月から雇用機会均等法のあり方、いわゆる見直し、それから労働基準法の女子保護規定の見直しの問題を議論しておりました。
 基本的な議論、合意点にはなかなかまだ達していなかった時点なんですけれども、そういった女子学生の実態というのを私どもが審議会に報告しましたところ、この問題がまた引き続き繰り返されるということになってはならないということから、とりあえず早急に対応できるようにということで、均等法に基づく指針を改正し、とりあえず次の年の学生の就職活動に対応するようにということに、そういうまとめができたわけでございます。
 そういうことから、私どもは指針を改正いたしまして、先ほどちょっと御説明いたしました説明資料が送られてこないとか、それから会社説明会に参加させてもらえないといったことについても、これまで指針には明らかにはなっておらなかったんですけれども、そういうものを指針にちゃんと明示をいたしまして、そういったことをやめるようにという指導を開始し、今全国的に周知のための活動をやっているわけでございます。
 それからまた、五月には事業主団体に対しまして女子学生に対する男子学生との均等な機会の確保についての要請文を出しました。これも昨年は七月だったんですが、実際上ちょっと遅いんではないかといったような声もありましたことから、二カ月前倒しで既に要請文を出しております。
 これを受け取った事業主団体の方では、かなりこの問題については問題意識を持っておられ、御承知かと思いますが、六月八日に永野日経連会長から学生の就職問題についての見解というのが示されました。その中でも、均等法について特に触れられておりまして、女子学生に対して男子学生と比べて不利に取り扱わないように男女雇用機会均等法にのっとってちゃんとやるように、そういう不利な扱いというのは厳に戒める、こういう見解も出されたわけでございます。
 私どもは、さらに六月一日から十月いっぱい昨年と同じような特別相談窓口を設置いたしました。昨年は主要な都道府県だけでございましたけれども、今年度は全都道府県に窓口を設置いたしております。既に幾つかの婦人少年室の窓口には若干の苦情が寄せられております。それにつきましてはなるたけ、個別企業名が把握できませんと私ども指導のしようがございませんので、個別企業名が把握できた場合にはその企業に対して調査をし、必要な指導もやって、現にその問題となったことが解決されたといったようなことも把握をいたしているわけでございます。
 私どもは、この女子学生の就職問題というのはやはり社会に出る第一歩でございますので、非常に大きな問題だというふうに認識しております。さらに一層均等法指針の周知を図っていきたいというふうに考えているところでございます。
#105
○三石久江君 まだまだ差別があり、苦情がありという実態だと思います。
 機会均等法の第七条にぼ募集及び採用に当たっては女子に対して男子と均等な機会を与えるように努めなければならないとして、第十二条で労働大臣は事業主が講ずべき措置についての指針を定めることができるとし、現に指針が出されているわけですが、その指針にどれほどの拘束力があるのでしょうか。
 女子を明確に差別するのではなく、例えば身長百七十五センチ以上というような体格基準、コース別雇用管理のように結果的に女子を差別する問題もあります。今年度の改定されたその指針で女子について募集、採用の人数を限定しないということにいたしましても、かえって最終的に採用されるかどうか最後までわからない。実際に採用試験の最終段階で女性の合格者ゼロというのでは涙も出ません。企業に振り回されてかえって逆効果ではありませんか。
 また、求人の情報提供で今お話がありましたけれども、女子に不利な扱いをしないと指針で示していましても、実際には資料請求をしても男子と同じようには送られてこないという現状も今お聞きしました。労働省が特別相談窓口をつくっても女子学生からの情報が少ないと前回の委員会で答弁をしておられましたが、企業に煙たがられては来年度以降の採用に響くから正直に言えないというのが実情だと思います。企業の指針違反に対して労働省が指導、勧告を行っても、その実効は保証されません。企業が指針に反し、指導、勧告に従わなかった場合には、労働省としてはどのような対処をするのでしょうか。
 これらのことから、均等法の見直しか各方面から要望されているわけでして、罰則のある禁止規定を早くつくってほしいというのが大方の希望のようです。大臣、いかがでしょうか。
#106
○国務大臣(鳩山邦夫君) 三石先生のおっしゃるお話よくわかるんです。先生から今御指摘いただいたようなことが非常に多くあるものですから、これらをどうやって解決をしていくのか、それぞれの行政指導でどこまでいけるのか等を真剣に考えていきたいと思います。
 先ほど、西岡先生からの御質問で、ILOの言う同一労働に対する同一賃金が日本ではどうなっておるんだと。それに対してうまい報告ができない、つまりぴったりとした答えを出せないというのも、どこに理由があるかということについては婦人局長から先ほども御答弁申し上げたと思うけれども、例えば来年の春の就職、もちろんことしもそうでしたでしょうけれども、来春の就職を考えてみても、いわゆる一般事務職というような形で募集の数を大幅に減らすということが事実上女性の締め出しになっていく。
 要するに、いまだに女性というものあるいは女子というものを基幹的な会社の人材、戦力と見ないで補完的な戦力と見るような風潮があるというようなこと、これらが是正できませんと、結局一〇〇対六〇・五というのが詰まっていかないです。詰まっていかないということは、結局日本はまだ女性問題、婦人問題がわかりませんけれども、決して先進国でないということになっていくわけですから、今この昇進等も含めてきちんとやっていきませんと、その差を詰めることができないという意味で私は強い問題意識を感じておるわけです。
 例えば、国会の議員会館なんかを全部回ってみると、男性の秘書が来客の応対をしておって、女性の秘書は電話を受けるのとお茶出すのだけやっているというところがどれくらいあるか調べてみると、結局そういう場合も男性秘書を基幹的な戦力と見て女性はお茶出していいなんというふうに考えている、私も考えていたかもしれませんけれども、実際にそういう議員会舘の部屋は多いです。だから、その辺が本当に変わらなければだめなんだなということを私はつくづく思うもので、あとは婦人局長の方から御答弁申し上げますけれども、そういう意味ではこの機会均等法がこのままでいいのかどうかということは、これは真剣に考えております。
 ただ、罰則がいいのか、どこまでの強制規定にすればいいのか、あるいはまたほかのやり方がいいのか、その辺はいろんな考え方がありますので、審議会の方々にも御相談を申し上げているという実態にあります。
#107
○三石久江君 局長から、企業が指針に反しているということについてお願いします。
#108
○政府委員(松原亘子君) 先生御指摘のございましたように私どもも調査いたしておりますが、例えば技術系の募集についてまだまだ男子だけといったようなところがあるというのはそのとおりでございます。さらに均等法の趣旨というのを徹底させなければいけないというのは、私どもも考えているところでございます。
 均等法に基づく指針に企業が違反したらどうなのかといった御指摘もございましたけれども、私どもは、労働者の方から婦人少年室に相談に来られる、また何かのきっかけで把握をするといったようなことで、雇用機会均等法なり指針に違反する可能性があるという事案が把握された場合にはまずその企業に出向きまして調査をする。場合によっては婦人少年室に来ていただいてお話を聞くといったような事情聴取をする。そして、そこでどうも改善をしてもらわなければいけないというような事項が見出されました場合には、事業主に対して助言、指導、勧告を行うということをいたしております。これは雇用機会均等法の三十三条に基づいてやっているわけでございます。
 これについて、余り実効性がないのではないかというふうに思っておられるような御質問のようにお見受けいたしましたけれども、私ども雇用機会均等法を施行いたしましてから昨年度末まで集計い失しましたところ、この法三十三条に基づきますいわゆる指導、広い意味での行政指導ですが、やりました件数は二万九百九十件、約二万一千件ございます。これのうち、ほとんどは当該年度ないし翌年度に改善をされているという実態でございます。
 ですから、確かに均等法は法律上見ると努力義務であり指針であり、おっしゃったように罰則がないということで、いかにもひ弱な法律のように見受けられますけれども、実際上は婦人少年室が調査をし指導をするということによって事態は大きく改善されていると。統計調査を見ますと、もちろん婦人少年室が把握できなかったところで問題がないとは申し上げられませんけれども、私どもは現在のこの法律の体系で相当効果は上がっているというふうに考えております。
 ただ、まだまだ問題が残されているというのは御指摘のとおりでございまして、そういうことから昨年の四月以来、この男女雇用機会均等法の趣旨をさらに徹底させるための方策のあり方、労働基準法の女子保護規定の問題をあわせまして婦人少年問題審議会で審議をお願いしてございます。
 まだ最終的な結論は出ておりませんが、この議論をさらに進めていただきたいと思っておりますし、その結果を踏まえて私ども対応したいというふうに思っております。
#109
○三石久江君 大変見解の相違があるなと思って聞いておりました。
 次に、第十三条には、配置及び昇進、教育訓練、福利厚生、定年、退職及び解雇に関して、女子労働者から苦情の申し出があったときは苦情処理機関で自主的な解決を図るように努力義務を課しています。
 そこで、指針で各企業は機会均等推進責任者を置くように奨励しておりまして、女性白書によりますと、平成五年末現在で五万人を任命したとのことですが、その実効はどのように評価しておられますか。
#110
○政府委員(松原亘子君) 機会均等推進責任者はかなりの企業に設置が進められておりまして、先ほど申し上げましたように、私どもは相談があるとかいろんなきっかけで機会均等法の趣旨が守られるようにという行政指導に結びつけているケースが多いわけですけれども、本当は企業が自主的に自分の雇用管理を見直して、ちゃんと法律に沿ったようなことになっているかどうかというのを見てもらうということが最初に必要なんじゃないかというふうに思ってこういう推進者の設置ということをいたしたわけでございます。
 そういうことから、この推進者の方々に定期的にと申し上げてもいいかと思いますが、自主点検表というのをお渡ししてございまして、機会均等法ないし指針の項目に沿って企業の雇用管理がそれに沿うような形になっているかどうかを自主点検していただくという事業をやっておりまして、これは相当程度効果を上げているというふうに思っております。
 ただ、まだこの推進者の設置というのは、ともすればやはり大企業に偏りがちだという面はございまして、中小企業まで含めまして全体の企業が自主的に取り組んでいただくということについては、もう少しさらにプッシュをしていく必要があるだろうというふうに思っておりまして、今後の課題として検討いたしたいというふうに思っているところでございます。
#111
○三石久江君 次に、第十四条には女子労働者と事業主の間で紛争が起こり、その解決についていずれか一万の当事者から援助を求められた場合には、都道府県の婦人少年室長は必要な助言、指導または勧告をすることによってその紛争の解決を援助することになっていますが、実際に紛争解決の援助が行われましたのは何件ほどでしょうか。
#112
○政府委員(松原亘子君) この法律が施行されましてから、十四条に基づき紛争解決の援助を求めて女子労働者から申し立てがあった件数は三百四十一件でございます。
 それにつきましては、三十三条の場合とかなり似ておるわけでございますけれども、婦人少年室長が企業の実態を聞き、必要に応じて助言、指導、勧告をやってそして紛争を解決するということでございますが、この三百四十一件につきましては、そのほとんどが解決をされております。
 ちょっと御参考までに例を申し上げさせていただきますと、ある企業では男子の独身寮しかない、女子労働者が、自分は高価な賃貸マンションを借りているんだけれども何とかならないだろうかという相談があったと。これに対しまして、均等法の十条では、一定の福利厚生について女子であることを理由に差別してはならないとなっていまして、その対象に独身寮も入っているわけでございます。そういうことから、婦人少年室が調査をし、やはり問題があるということで事業主を指導した結果、事業主が住宅を借り上げて女子の独身者を入居させることにしたといったような事例もございます。
 また教育訓練では、現場実習を受けさせてもらえないということで問題があったケースがございましたけれども、それについても婦人少年室の指導によりまして女子にも現場の実習が行われることになったといったようなケースもございました。
 それから、採用関係でございますが、男子は正社員、女子は契約社員として募集採用されて自分は女子で契約社員だと、おかしいんではないかといったようなことでちゃんと指導してほしいという申し立てがございました。それに対しましても、正社員の募集、採用について男子だけ、こういうことですから指針に反するということで、この件についても改善してほしいということで婦人少年室が指導いたしまして、最終的に女子も正社員として採用されるようになったといったようなケースもございます。
 先ほど申し上げたケースの一端でございますけれども、ほとんどのケースが今のような形で解決を見ているというのが実態でございます。
#113
○三石久江君 それでは次に、第十五条から第二十一条には機会均等調停委員会による調停を規定していますが、調停の申請があったのは何件ほどですか。また、実際に調停した件数はどれほどですか。
#114
○政府委員(松原亘子君) これまで十事業所に勤務する女子労働者九十五人から調停申請がなされました。今のところ調停は開始されておりません。
 その十事業所に勤務する女子労働者九十五人ですが、実件数でいえば十件になるわけですが、そのうち三件につきましては婦人少年室が調停を開始しようということで、この調停については一万の申請の場合には他方の当事者の同意が要るということになっておりますので、同意を求めようということで事業主に対していろいろ調査をしたり、働きかけなどをしたわけでございますが、その過程で事業主が自主的に差別的取り扱いを是正したということで解決をいたしたものですから、女子労働者の方から調停を取り下げたというケースが三件でございます。
 それから、申請事案が調停対象事項でなかったということから調停の不開始決定をしたものが二件でございます。それから、一件は調停を開始しようということで取り組んだわけでございますけれども、先ほど申し上げた相手方の同意が得られなかったということから調停が開始できなかったものが一件でございます。それから、残りの四件につきましては、最近調停の申請がなされたものでございますので、現在婦人少年室におきまして事情調査中ということでございます。
#115
○三石久江君 余り紛争解決の援助とか調停は機能していないんではないかなというふうに今お聞きして思いました。
 そこで、時間がもう余りありませんので最後の質問にさせていただきます。大臣にです。
 女子の就職とか職業の継続について男女差別が依然として存在するのは、せっかくの機会均等法の内容がいずれも努力義務にとどまっていること、間接差別を禁止する規定がないこと等が致命的だと私は思います。努力義務規定とか間接差別を禁止しない均等法は、女子差別撤廃条約からもはるかに乖離しているのではありませんか。機会均等法が立法趣旨どおり機能しないからといって労働省は直ちに罰則規定を設けることには反対のように思いますが、均等法を実効ある法律にするには罰則規定の創設が必要だと思います。今の均等法は、違反企業に絶対的な拘束力がありません。労働省は違反企業にどう対応するのですか。
 再度申し上げますが、均等法の見直しの声は各方面から上がっておりますし、その時期に来ていると思いますが、そのスケジュールはありますか。もしあるとすれば、その方向についての見通しを大臣にお伺いしたいと思います。
#116
○国務大臣(鳩山邦夫君) 昨年の四月に、婦人少年問題審議会においてこの男女雇用機会均等法といわゆる労働基準法上の女子保護規定について、これをあわせて検討を進めていただいているわけでございまして、そういうプロセスの中で、新規女子学生卒業者の就職問題に対応するために均等法に基づく、先ほど先生御指摘のあった指針を厳しく改正したというようないきさつがございます。
 これからも、さらに検討を続けてもらおうと思っておりますし、これは労使双方さまざまな委員から今後の方向性について御意見をいただいてきておりますし、これからもいただいていく予定でございますが、現時点で明確なスケジュールとかこっち側の方向へ参りますということを申し上げる段階にはないかと思います。
 ただ、じゃいつまでもこのような状況でいいかということであれば、例えば今回ポスターまで貼付いたしまして、問題がある事例については、全国都道府県すべての婦人少年室に窓口を設けておりますから、そういうところにどんどん相談を持ち込んでいただければ、そのことで私どもが指導をするというような道も開けていくと思いますし、今後の推移というものを見定めながら、他面審議会に御審議をいただいておりますので、それをあわせて今後の方向を決定してまいりたい。
 ただ、婦人局長とも特に御相談申し上げてはおりませんけれども、特に悪質な事例等があれば、これは公表すればいいと思う。これは明らかに悪質、もちろん企業にいろんな事情があってそれぞれのやり方をするんでしょうが、これは明らかに悪質だ、これではまさに女子が被害に遭っているようなものじゃないかというようなことがあれば、それは発表したって全然構わないことだと思います。それをじゃ法律上そういうような制度をつくるかどうかということについては、また別の問題ではないかというふうに思っております。
 私、いつも申し上げておりますように、本来労働省に、女性局か婦人局かは別にして、婦人局なんというのはなくてもいいような、日本には婦人局とか婦人問題担当という役所はないんです、だけれどもすべてうまくいっていますというような時代が早く来ることが望ましいわけでございます。
 現在、労働省でも一番の腕ききを婦人局長に据えて、こうした問題に対処していくという状態がまだ十年、二十年続いていくのかと思いますけれども、でもこれは理想としてはこういう問題を意識しないで済むような時代が早く来ないかなと、先生方からこういう質問を受けなくても済むような時代。それは、先ほど先生からお話があったように一〇〇対一〇〇じゃなければいけないので、これが一〇〇対一〇〇に近づいていけば、そのときに問題はもう消え去ったということになるのではないかと私は期待しております。
#117
○三石久江君 均等法違反企業にはどういうふうに対処しますかというのを、一言もう一度。
#118
○政府委員(松原亘子君) 均等法の三十三条に基づきまして労働大臣の権限というのは規定されております。
 違反の可能性がある事業所には事情を聴取するための調査もいたしますし、それに基づいた助言、指導、勧告をやっておるということで、それで先ほど申し上げましたようにほとんど多くのケースが解決をされているということでございますしつこく何度も指導する、こういうことでございます、
#119
○国務大臣(鳩山邦夫君) 私が先ほど申し上げたのは、法律上どうというんじゃなくて、例えばそうやって指導をしても言うことを聞かなかったら、労働大臣たるものがこういう会社にはこういうふうに指導をしたけれども言うことを聞かなくてこんなことをやっているということを、記者会見で堂々と言うというような道だってあるでしょうと、こういうことを申し上げているんです。
#120
○三石久江君 終わります。
#121
○委員長(野村五男君) 以上をもちまして、平成六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、労働省所管についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#122
○委員長(野村五男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時九分散会

ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト