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1994/06/10 第129回国会 参議院 参議院会議録情報 第129回国会 逓信委員会 第4号
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1994/06/10 第129回国会 参議院

参議院会議録情報 第129回国会 逓信委員会 第4号

#1
第129回国会 逓信委員会 第4号
平成六年六月十日(金曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月六日
    辞任         補欠選任
     大森  昭君     山口 哲夫君
 六月八日
    辞任         補欠選任
     中川 嘉美君     横尾 和伸君
 六月九日
    辞任         補欠選任
     及川 一夫君     菅野 久光君
     山口 哲夫君     北村 哲男君
     横尾 和伸君     中川 嘉美君
 六月十日
    辞任         補欠選任
     菅野 久光君     及川 一夫君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         森  暢子君
    理 事
                岡野  裕君
                陣内 孝雄君
                山田 健一君
                粟森  喬君
    委 員
                岡  利定君
                加藤 紀文君
                沢田 一精君
                林田悠紀夫君
                及川 一夫君
                川橋 幸子君
                北村 哲男君
                河本 英典君
                星野 朋市君
                鶴岡  洋君
                中川 嘉美君
                青島 幸男君
                田  英夫君
                鈴木 栄治君
   国務大臣
       郵 政 大 臣  日笠 勝之君
   政府委員
       郵政大臣官房長  木村  強君
       郵政省電気通信
       局長       松野 春樹君
       郵政省放送行政
       局長       江川 晃正君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        星野 欣司君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○放送番組素材利用促進事業の推進に関する臨時
 措置法案(内閣提出、衆議院送付)
○電気通信事業法及び電波法の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
○放送法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(森暢子君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る六日、大森昭君が委員を辞任され、その補欠として山口哲夫君が選任されました。
 また、昨九日、山口哲夫君が委員を辞任され、その補欠として北村哲男君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(森暢子君) 放送番組素材利用促進事業の推進に関する臨時措置法案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。日笠郵政大臣。
#4
○国務大臣(日笠勝之君) 放送番組素材利用促進事業の推進に関する臨時措置法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、有線放送を含めた放送に関する国民の需要の多様化に伴い、おのおのの放送においてその特色を生かした放送番組の放送が行われることの重要性が増大していることにかんがみ、多様な放送番組の制作に資する放送番組素材利用促進事業を推進しようとするものであります。
 次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。
 第一に、素材影像等、放送番組素材、放送番組素材利用促進事業等の定義をいたしております。
 第二に、郵政大臣は、放送番組素材利用促進事業の推進に関する基本的な方向、同事業を実施する者の要件に関する事項、放送番組素材の収集及び制作の基準に関する事項を審議するための機関に関する事項、同事業の内容等に関する基本指針を定めることといたしております。
 第三に、放送番組素材利用促進事業を実施しようとする者は、その実施計画が適当である旨の郵政大臣の認定を受けることができることといたしております。
 第四に、通信・放送機構の業務として、郵政大臣の認定を受けた実施計画に係る放送番組素材利用促進事業の実施に必要な資金の出資の業務を追加することといたしております。
 その他所要の規定の整備を行うことといたしております。
 なお、この法律の施行期日は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することといたしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようよろしくお願い申し上げます。
#5
○委員長(森暢子君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○陣内孝雄君 郵政省では、これまでにも放送番組ソフト制作に対するさまざまな支援策を講じてきておられる、そういうふうに思うわけでございます。例えば、放送番組センター、電気通信人材研修センターあるいは有線テレビジョン放送番組充実事業など、こういうものによりまして番組の収集、保管、通信・放送分野での人材育成、CATV事業者への番組配信などが行われているのではないかと思うのでございます。
 そういう中で、今新たに放送番組素材に関して施策を講じようというのはどういう理由からでありましょうか。そのことをまずお伺いしたいと思います。
#7
○政府委員(江川晃正君) 今、先生御指摘いただきましたように、私たちいろいろやってきております。基本的考え方といいますのは、多メディア・多チャンネル時代ということの到来によりまして、放送に対する新たな国民のニーズというのが高まってきております。こうした国民のニーズにこたえる放送ソフトの充実を図るということが、マルチメディア時代において放送が活力を持って国民生活の中に定着していく、そういう上で極めて重要だ、そう考えているところでございます。
 国民のそのような多様化、高度化する情報ニーズにこたえるためには、各種の専門的なソフトや、あるいは地域の情報ニーズにこたえるようなソフトなど多様なさまざまなソフトの制作、流通が図られ、またそれらの促進が図られることが必要だと。そういうことのために、放送番組の円滑な制作、流通を促進する環境の整備が重要な問題である、そう考えてやってきているところでございまして、先生ただいま御指摘いただきましたように、人材の研修であるとか有線テレビジョン放送番組の充実事業であるとかなどなどやってまいったところでございます。
 ただ、今翻ってみますと、そういう従来の施策といいますのは、一つには放送番組を制作する者の能力を向上するということ、それから二つ目には放送番組の制作設備の整備を図るという観点から行ってきているものでございます。今これらに加えまして、放送番組を制作する上での素材となる映像や音響、あるいは静止している写真なども皆含まれるわけでございますが、そういったものにつきましても円滑に利用できる状況にする必要があるということから、新たに考えられている問題点だろうと思います。
 そういう点に着目しまして、この放送番組素材の利用を促進することによりまして多様な放送番組の制作に資することにしようということで、この施策を講ずるわけでございます。
#8
○陣内孝雄君 この事業が採算とれるようになるには恐らく素材の蓄積などが相当進んでからではないか、こういうふうに思うわけでございまして、それまでの間の立ち上がりに公的な助成をしていくのも、今のお話を聞きますと当然大事なことではなかろうか、こう感じた次第でございます。
 ところで、こういう素材をどういうふうにして収集するかについては、私もさきの当委員会の一般質問のときにちょっと触れましたけれども、地方の情報発信を促すような取り組みにこの際大きく信を向けて取り組んでほしい、こういうふうに思うところでございます。
 といいますのも、今情報格差の解消ということで、全国四波体制が整っていく中で中央からの情報はふんだんに地方に送り込まれるようになってまいりました。その半面、ローカル番組とか自主番組というのは、郵政省が期待しておられる一〇%の水準というんですか、こういう番組制作の率に及ばない地方局がお聞きしますと全国にはまだ四十局ぐらいあるように伺っております。そこにはいろんな事情があろうかと思いますけれども、いずれにしても地方局は中央からの中継基地的な機能や役割だけを担うようになってしまってはならないと思うわけでございます。
 これが相愛に終わるようにするには、地方局のローカル番組、自主番組の制作意欲、あるいは制作能力の向上に大きな刺激を与え得るような放送番組素材利用促進事業のあり方を目指してほしいものだ、こう思うわけでございます。この新事業がそうあることによりまして、この事業に公的な支援を導入していく意義や必要性というものが一層高まるのではないか、そういう考えに立つわけでございます。
 そこで、伺いたいのでございますが、まず放送が地方の発展のために果たすべき役割についてどのようにお考えになっておられるのかという点でございます。
 私は、地方に住む人々が、それぞれに身近な自然や歴史や文化など地方の特色をなすものに親しむ中から自分のふるさとを理解したり、あるいは心から愛することができるようになると思っております。そういう思いを抱いた人々が、他の地域に関心を高め、交流が地域間で活発に行われるようになると、やがては互いに協調し競争しながら地域住民の熱意に支えられて地域の活性化が図られるようになるだろうとかねがね私は期待しておるのでございます。そういうふるさとを誇りに思い、ふるさとをこよなく愛する心が、またこれは日本への大切な愛着へもつながっていくというようなことも考えるのでございます。私はこういう観点あるいはこういう意味合いから情報通信の地方の発展に果たす役割の大きさを高く評価したいと思うのでございます。
 放送が地方の発展のために果たすべき役割についてどのようにお考えになっておるのか、その点についてお聞かせいただければと思う次第でございます。
#9
○政府委員(江川晃正君) まことに地方の発展に寄与する放送の力と申しましょうか、それは大きいなと私たちも考えております。それは、放送というものが国民にとって最も身近な情報入手のメディアとなっておりまして、いわば放送を通じて提供される情報は、それらが同時に多数の人に容易に伝達されまして、その結果非常に大きな社会的影響力を持っているものだ、そう認識しているところでございます。
 また、放送メディアがそういうものであるという特徴に着目いたしまして、郵政省といたしましても、放送を普及するのが郵政省の大きな放送政策の一つでございます。放送普及基本計画というところにおきましても、ちょっと言葉を正確に読みますと、「その放送を通じて地域住民の要望にこたえることにより、放送に関する当該地域社会の要望を充足すること。」というふうな放送の役割と申しましょうか、そういったものを定めているわけでございます。
 具体的には、このために、地域に密着したメディアである地方民放、地方の民放局に対しまして、一つは自主番組の制作能力を向上してもらう施策、あるいは隅々まで聞こえるようにするための、見えるようにするための中継局の設置とか、それからその地域に関連する情報とか、あるいは地域の人たちが欲する全国の情報であるとか外国の情報であるとか、そういったものも盛り込んだ放送番組を提供して、その地域経済、社会、文化等の発展に寄与すること、そういったことが地域の放送会社と申しましょうか放送事業者に我々としては求めているところでございます。
#10
○陣内孝雄君 それでは、自主番組の制作とか地域の情報発信の強化のために、基盤整備について郵政省はどういう取り組みをしてこられたのか、その点についてお伺いしたいと思います。
#11
○政府委員(江川晃正君) ただいま申しましたような思想、考え方に立ちましていろいろやってまいったところでございますが、現在のところ、地方で自分のところから自主番組をつくって発出しているといいますのはパーセントでいきましてもまだ非常に小そうございまして、十何%というところが平均なわけです。それら制作能力を高めるために、郵政省といたしましては機会あるごとにお願いするということを言っているわけですが、仕組み上では免許時とか再免許時、あるいは何かの会議とかというようなときには番組の制作能力の充実とともに地域からの情報発信に努めるように要望しているところでございます。
 それで、それらを実現するためにも実際にこれまでやってまいりましたのは、一つには、電気通信基盤充実臨時措置法というものに基づきまして、放送番組を制作する者を育成するための人材研修事業への支援とか、放送設備の整備に対する財政投融資の運用をそこにかけられるようにする、使えるようにするとか、それから税制優遇措置と申しましょうか事業税の減額措置など、そういったようなことをいろいろ講じてきたところでございます。
 そういったことに加えて、今度、ただいま御審議いただいております本法案による放送番組素材利用促進事業の推進が図られることによりまして、各種の放送番組素材の利用が円滑化することによって地方の放送事業者の放送番組の制作環境の整備に資するということを願って本法案を御審議いただいているところでございます。
#12
○陣内孝雄君 地域の情報発信の強化に寄与する方向でこのたびの放送番組素材利用促進事業を推進するということになりますれば、ローカル局やCATVの意向を十分踏まえて、地域に関連する素材をなるべく優先して収集、制作してもらう、そういうようなことが大事ではなかろうかと考えるわけでございます。
 さらに一歩進めるためには、地方局が制作したローカル番組や自主番組の中で収集に値するすぐれたものというのがあればこれを積極的に買い取っていく、こういうことがさらに大事なことではなかろうかとさえ考えるわけでございます。そうすることで、地方局が放送を通じて地方の進展にますます積極的な役割を果たしていく上での強いインセンティブとなるでありましょうし、地方放送を支える健全な経営基盤の強化にも大いに役立つのではないかと考えるからでございます。
 何にしましても先立つものがないとこういうものはうまくいかないと思うものでございますので、そのことを強調したいのでございます。このような方向にこのたびの新施策が向かうよう強く要望しておきたいと思います。
 それから、最後に大臣にお考えを承りたいと思います。
 これまで申し上げましたように、私は放送政策を推進する上で、東京一極中心の是正とかあるいは地方特性を生かした各地域の発展に貢献することへの配慮が必要であると考えておるのでございますが、大臣におかれましては、放送政策として地域の発展にどのように貢献しようとお考えでいらっしゃいますか。その点をお聞かせいただきたいと思います。
#13
○国務大臣(日笠勝之君) 地上民放はテレビ、ラジオ、CATV、こういういろんなメディアがあるわけでございますが、国民生活に大変密着をしておるわけでございまして、特に地域社会を基盤といたしまして地域の要望にこたえていけるだけの放送がこれからも大変重要であるということは先生の御指摘のとおりでございます。
 そこで、放送政策の基本的な考え方といたしましては、一つには、いつでもどこでもどこからでも情報がとれるという、これは非常に大事でございます。情報の格差を是正するという上からでも、今後、多メディア・多チャンネル化が進展をすると思います。そして、国民の視聴者が地域にかかわりなく多様な情報の選択の機会をできる限り享受できるような社会を目指すこと、これが基本政策の一つの柱だと思います。
 また、もう一つは、それぞれの地域の豊かな文化が息づくローカル番組でございます。できる限りこれもたくさん制作をされまして、できれば全国に紹介されるような、情報発信機能を持つようなそういう番組がまた期待をされるわけでございます。
 先ほど局長も申しましたように、まだ地方の自主番組は一三%程度でございます。とりわけそういう意味で、今後の地域の情報発信の活性化のため、地域民放の番組制作能力充実が大きな課題となってまいります。そういう意味で、この番組素材促進利用法は地域番組の充実に資するのではないか、貢献できるのではないか、かように考えておるわけでございます。
#14
○陣内孝雄君 終わります。ありがとうございました。
#15
○岡利定君 引き続いて御質問させていただきます。
 我が国の放送は、技術開発の成果もあって、従来型のラジオとかテレビに加えて、衛星放送だとか通信衛星を使ってのいわゆるCS放送だとか、さらに多チャンネルのCATVといったぐあいに非常に多くの多様なサービスが加入者に提供されておって、本格的ないわゆる多メディア時代、多チャンネル時代を迎えようというところにあると思います。放送が国民生活に不可欠の基本的なメディアであるだけに、この多メディア化、多チャンネル化というのは、国民の多様化する情報ニーズにこたえるという意味で大変結構なことだと思う次第であります。
 国民の期待にこたえる充実した放送を維持していくためには、いわゆるハード面といいますか技術開発の面と、それから先ほど局長のお話ありましたけれども、そこで提供される情報を充実していくというソフト面の充実のための施策という両面が相まって初めて立派な放送ができる、また国民の期待にこたえられるということになるわけであると思います。
 今回のこの法案も、そういう意味ではいわゆるソフトの充実ということの一環というものだと位置づけられると思うわけでございますが、その辺で、法律案の関係でちょっと御質問させていただきます。
 この法案を見ますと、第三条で郵政大臣が基本的な指針をまず定めて、そして第四条によりましてその基本的な指針に沿った事業認定を行うというスキームであるわけでありますけれども、この基本的な指針としてこういう事項を掲げるということで、二項で抽象的な形で掲げておりますけれども、今の段階ではどのような内容を考えておいてか、お教えいただきたいと思います。
#16
○政府委員(江川晃正君) 先生ただいま御指摘いただきましたように、第三条で「郵政大臣は、放送番組素材利用促進事業を推進するための基本的な指針を定めなければならない。」と書いてございます。これ、以下基本指針ということにしてございますが、その基本指針には六項目のことが第二項に書いてございまして、その六項目について現時点でどんなことを考えているのかということを、全部ですとちょっとくだくだしくなるかもしれませんので、ポイントのところで御説明をさせていただこうかと思います。
 お手元の三条をごらんいただけばおわかりでございますが、どういう基本指針のことを掲げているのかと申しますと、六つございまして、一つは放送番組素材利用促進事業の推進に関する基本的な方向というのが一つ、二つ目は同事業を実施する者の要件に関する事項、それから番組素材利用促進事業の内容に関する事項、あるいはこの事業の実施方法に関する事項、あるいはその実施に際し配慮すべき重要事項などなどが六項目あるわけでございます。
 そのそれぞれについて一応考えているところでございますが、例えば第一号目の放送番組素材利用促進事業の推進に関する基本的な方向という点ではどんなことを掲げようとしているのかということを申し上げますと、多メディア・多チャンネル化の進展に伴いまして、多様な放送の重要性が増大していることにかんがみまして、その制作の際路を解決するため、放送番組素材利用促進事業の実施を支援することにより放送及び有線放送の発展ある寄与を図る、そういう趣旨のこと。
 それから、二つ目のこの事業を実施する者の要件に関する事項のくだりでございますと、例えば株式会社であって、当該株式会社の出資者、役員等の構成が特定の者に偏ってはならない、幅広い利益を代表する者であり、本事業の趣旨に沿った公正かつ公平な運営が図られるものとするというようなこと。
 もう一項目ぐらいでとどめさせていただこうかと思いますが、学識経験を有する者をもって組織する機関でどんなものを収集しようかというようなことを議論していただくということが前条に、第二条に書いてございます。
 では、どういう人たちを集めるのかというようなことにつきましても、例えば委員七人以上をもって組織し、委員は学識経験のある者のうちから認定事業者の代表者が委嘱するとか、認定事業者の諮問に応じ素材収集及び制作基準に関する事項を審議する、認定事業者は素材収集及び制作基準を定め、またはこれを変更しようとするときはこの審議会に諮問しなければならない、諮問に応じて答申したときはこれを尊重して必要な措置をしなければならないというようなことを以下六項目について書こうかと考えているところでございます。
#17
○岡利定君 わかりました。
 その基本方針に適合する事業者ができてくるわけですね。その事業者が放送番組素材を収集し、制作し、保管し、それから番組の制作の用に供するというような一応定義になっておりますけれども、具体的にその事業者がどんな形でこの番組素材を収集し、制作し、保管することになるというふうにお考えなのか。また、その制作の用に供する、いわゆる使う側ですね、これはどんな人といいますか会社というか、どういう者が使うことになるのかということを一応予想されておりますか。
#18
○政府委員(江川晃正君) この法律によって認定を受ける事業者が行うことではございますが、我々今想定しておりますのは、最初に収集という点につきましては、既存の放送番組素材を記録したテープとかディスクとか、そういったものの媒体を放送番組の制作の用に供するために必要な著作権使用料を払って買い入れるいわば収集につきましては、現実に一から十まで、初めから終わりまでの番組としてでき上がっていると申しましょうか完結した、例えば物語でも結構でございますしドキュメントでも結構でございます。そういった完成品という場合もあります。
 それから、例えば深海の魚が遊泳しているのをただ撮ってくる、それだけのものというのもあります。そういうものをだれかが撮って持っているようなものを、利用権、著作権が中心でございますが、それらの処理をして収集する。収集するということは、言ってみれば購入するわけでございます。というようなものを著作権使用料を支払って買い入れるというのが収集の一つの非常にティピカルな手法だと考えております。
 二つ目の話で、では制作はどういうのかといいますと、今申しました例の話で申し上げますと、例えば海の中へ行って撮ってくるとか、あるいは山の中に入って森林を撮ってくるとか若い芽吹きの花を撮ってくるとか、そういうようなことがまさに制作になるわけでございますが、それは多分その会社が行ってじかに撮ってくるというよりは委託してだれかに撮ってきてもらう、そういう形で制作をすることになるだろうと考えております。
 中身は、そういうふうに自然のものを写したり、音をとってきたりというものであったり、またコンピューターグラフィックスを作製して、必要に応じてほかの映像との組み合わせで一つの商品的な素材をつくっていくというのがありまして、多分それらは大部分は委託で制作していくことになるだろうということが二つ目でございます。
 三つ目の保管でございますが、今の保管の仕方は、ディジタルでいきますと、ディジタルに限りませんけれども、テープなりディスクなりで全部保管されます。陽画のポジ、例えば関東大震災の写っている静止画の写真なんかですと、陽画であった場合に、普通撮ってきたりなんかしたものはテープとかディスクなんかにおさめられているということが大宗をなすと思います。
 そういうものをそういう形で、会社といたしますと、その中にラックなどを整備いたしまして順序正しく良好な引き出し、保存にとってもいい環境を整備して、そこに置いて保管していくということになろうか、そう思っております。
 最後の御質問の、だれがそれを一体使うというかお客さんになるんだろうかということにつきましては、法律の世界では放送番組の制作者と書いてございますが、具体的に言えば放送事業者であったりCATVの事業者であったり、番組制作のプロダクションであったり、あるいはCMをつくる人であったりというようなことで、放送番組を制作する者、放送番組として使えばいいわけでございますから、そういういろんな方が利用することになるだろう。大宗をなすものは今私が申し上げたような人たちではないか、そう考えておるところでございます。
#19
○岡利定君 この法律は、附則によりますと「十年以内に廃止する」ということにされております。まさに臨時措置法であるわけです。
 新聞では、事業の運営の関係でしょうけれども、こういう記事があります。「十年間の時限立法だが、同事業が単年度黒字化するのは事業開始七年目であり、累損解消には十年以上かかるとみられている。」というような記事があるわけでございますけれども、十年の限時法にしたという理由と、本事業の経営見通しというものを今どういうふうに考えておられますか。
#20
○政府委員(江川晃正君) おっしゃいますように、この法律は附則の第二条で「法律の施行の日から十年以内に廃止するものとする。」というふうに定めているところでございます。この法案は、放送番組素材を収集し、制作し、保管して放送番組の制作の用に供する業務等を行う事業の立ち上がりを支援するというところに中心目的がございます。そういう立ち上がりを支援するものでありまして、ちょっと話が前後するかもしれませんが、我々の予測によりますと、今先生がおっしゃいましたように単年度黒になるのが大体六年目ぐらいじゃないかなというふうに読めます。それから先はこの事業は需要があるはずでございますから何とかいけるだろうと思っておりますが、その立ち上がりを支援することが重要なんだということが一つございます。
 もう一つは、今後を展望いたしますと、西暦二〇〇〇年ごろにはいろんな放送メディアが登場してまいりますことは先生先ほどおっしゃいましたとおりで、放送衛星とか通信衛星とかを利用する放送も始まると考えております。ということは、それを利用する放送事業者の数もふえるということになると思います。今CS放送、通信衛星を利用する放送は十社ほどでございますが、向こう十年以内にはこの十が何十社になっているだろうと私たち予測いたします。
 それから、もう一つはCATVなんかでございますが、世間の人がつけてくれている名前ではございますけれども、都市型CATVといって一万以上の端子を持っている東京とか大都市でやるのが中心でございますが、それの加入者が大変増加しております。これがまた将来の大変重要など申しましょうか基幹的な情報通信基盤に発展していくものと予測しているわけでございますが、それもおおむね今後の十年間で多チャンネル化の基礎ができるものと考えております。
 そういったようなことを一つの目安として、放送番組の制作環境の整備を図るということで本法案を十年以内に廃止すると。変な言葉ですが、長くいつまでも国が支援するような形をとり続けているというのはいかがなものかなというのが背後にあるわけでございます。そういうことで十年ということにしたところでございます。
 なお、十年を経過いたしました時点で仮にこの法律が廃止されたとしても、会社は清算するものではございませんから、会社は続いていくところでございます。
 最後に、経営見通しみたいな話もございましたが、先ほどちょっと私申し上げましたが、多メディア・多チャンネル化し、マルチメディア化されてくる中で、この仕事がきちっと軌道に乗れば需要はますます広がるだろう、そう考えております。ただ、スタートのところの、利益を生むまでの懐妊期間は長い、それが六年とかそこらを考えておりまして、先ほど先生おっしやいましたように七年目ぐらいというような話がそこで出てくるわけでございます。
 それにしましても、中長期的には採算のとれる事業としてやっていけるというように我々は考えているところでございます。
#21
○岡利定君 最後に、大臣に一言お聞きしたいんですが、これからますます多様化、高度化していく国民の情報ニーズにこたえて、放送の分野で、特にハード、ソフト両面にわたって一層充実していくという放送政策の展開が求められるわけでございますけれども、今後の放送政策についての大臣の基本的なお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#22
○国務大臣(日笠勝之君) 国民の価値の多様化とともに、情報ニーズは非常に千差万別になってくるわけでございます。先生御指摘のとおり、ハード、ソフト両面の充実というものが今大変重要な岐路に立っておるわけでございます。
 特に、ソフトの場合は充実するというそのための一つの法案でもございますし、それから後ほどまた御審議をいただきます国境を越えるテレビ、こういう時代にもなってまいりまして、その近々の充実は課題であると思っております。
 それから、ハードの面は二十一世紀に向けた放送政策の非常に重要な課題でございまして、マルチメディア化の進展に対応した放送の高度化を図るためにはどうしてもディジタル化ということが不可欠になってくるわけでございます。
 ちょっと長たらしい名前でございますが、郵政省の中にマルチメディア時代における放送の在り方に関する懇談会、私たちはマルチメディア懇と言っておりますが、五月十六日に発足いたしまして、委員十八名で、二十一世紀のディジタル化に対する将来展望であるとか技術開発であるとか、こういうことを今御審議いただいておるところでございます。
 郵政省といたしましても、ハード、ソフト両面の充実をさらに目指してこれからも積極的に推進したい、このように考えておるところでございます。
#23
○岡利定君 ありがとうございました。終わります。
#24
○川橋幸子君 ただいま大臣からマルチメディア時代の放送の果たすべき役割ということにつきまして、ハード、ソフト両面からの支援といいましょうか振興を図りながら、また一般国民のニーズの多様化にも対応できるように、それから国際化の進む中での国境を越えるテレビ等々、多面的にもう既にお答えいただいたようでございます。また同じ趣旨の質問で大変恐縮でございますけれども、いま一度大臣の放送行政に対する所信をお伺いしたいと思います。
 ちょっと聞き方の角度を変えさせていただきまして、私はこんな聞き方をさせていただきたいと思うわけです。といいますのは、先般、電気通信審議会から「二十一世紀の知的社会への改革に向けて」、こういうタイトルで情報通信基盤整備プログラムを総合的におまとめいただいた答申を大臣は受け取っておられると思います。大変な意欲作でいらっしゃるわけでございます。放送だけではもちろんございませんで、電気通信事業、それから情報産業、場合によりましてはコンピューター産業から地域情報というんでしょうか、医療なり教育なりまで含めました総合的ないわゆる知的社会への改革に向けてと、そのために情報通信基盤整備をどのように段階的に体系的に進めるか、こういう答申を提出された、このように私は理解しているわけでございます。
 この電通審の答申を拝見いたしますと、非常にわかりよく整理されている部分がございます。まず、情報通信基盤の構造を整備するには四つのフェーズといいましょうか階層を整理して、これを発展的に整合性あるように整えていかなければいけない、そういう指摘でございます。
 四つの層というものが、一番下にありますのがいわゆる情報インフラ、ネットワークの整備でございます。それから、その次にありますのが、そういうインフラを活用いたしましてさまざまな情報が伝達され、提供されるわけでございますけれども、そうしたときの情報の流通システムを整えたいということが二層目。それから三層目に参りまして応用データベース、アプリケーションの整備を図っていく。ここで本当に個人がインフラを使ったりあるいは情報流通システムを使ったりしまして、個人ないし企業の中に情報が伝播され受け取られる、こういう活用の方法が出て、最後に第四層としましては取得をした情報インフラ、流通システム、アプリケーションの整備というものがきっとこれからの世の中のライフスタイルを変えていく、そういう整理の仕方でございまして、大変私どもにもわかりやすい整理になっているかと思います。
 それから、もう一つはタイムスケジュールの方の目標値でございましたが、高齢化社会がピークに達します二〇一〇年をターゲットにいたしまして、おおむね五年刻みといいましょうか、一番最初は先行整備期間、それからその後、二〇〇〇年以降本格的な整備期間、それから二〇〇五年を過ぎて一〇年に達する、高齢化社会がピークに達するころには需要成熟期というようなことで、またこれもタイムスケジュールもあわせて御整理いただいているわけでございます。
 さて、そこでお伺いしたいと思いますのは、こうした全般的な情報社会、知的社会の発展、成熟を図っていくという中で放送行政はどのような役割で、四層のうちのどのような部分を担当されてやっていかれるか。ちょっと答申にとらわれ過ぎた質問かもわかりませんけれども、初めに大臣の方から総括的なお答えをいただいて、その後もしテクニカルなことがありましたら局長の方から続けてお答えいただければと思います。
#25
○国務大臣(日笠勝之君) 二〇一〇年というのが日本の人口が一番ピーク、いわゆる一番人口の多いときではないかというふうに人口動態などで推測されておるわけでございます。
 その二〇一〇年を目指して全家庭に光ファイバー網を設置する、これは広帯域の双方向の光ファイバー網でございますから、マルチメディア時代においては最も有効にそれが活用されるということが先生おっしゃった一層から四層までの概念図になっておるわけでございます。映像が一方通行じゃなくて双方向でやりとりできる、こういうふうな時代を目指しておるわけでございます。
 先ほども申し上げましたように、いろんな情報がいつでもどこでも、だれでもどこからでも手に入るといいましょうか、番組とすれば見えるような、手軽に選択し楽しむことができるようなそういう双方向のサービスも可能となってくるわけでございます。その中でやっぱり核となりますのはディジタル技術でございまして、この活用によりまして番組データが自由に編集、加工できるような非常に柔軟性の高いものとなるわけでございます。
 このような高度化、多様化する国民の情報ニーズに適切に対応するために、知的社会の創造に役立つような、そういう新たな時代が放送のさらなる重要性を増すことになろうかと思っております。また、御承知かと思いますが、この七月から関西の学研都市で放送と通信の融合のパイロットモデル事業を行うこととなっております。
 それらの成果を踏まえまして、放送、通信、すべてマルチメディア時代にどのように対応していくか、政策展開をしていくかということの参考にさせていただこう、こういう状況でございます。
#26
○川橋幸子君 局長の方からは何か補足の御説明ございますでしょうか。
#27
○政府委員(江川晃正君) ただいま大臣が御説明したとおりでございます。
#28
○川橋幸子君 大臣の大変力強い御答弁、長期展望を踏まえての放送の役割、そのためにまず当面ディジタル技術というものについて精力的に行政を進めていかれるということを伺いまして、そのようなことで進めていただくということに私も同感でございます。
 答申を引きまして、かなり大きなことから始めましたわけでございますが、その中にこの法案も位置づけられるわけでございまして、今度はこの法案に焦点を当てましてお答えをいただきたいと思います。
 結局、その四層の中の今回のこの法案がねらいとする部分というのは、多分第三層の部分のアプリケーションを充実させていきたいと。一番下のインフラ、それから情報流通システムといいますかインターネットとか、そういうハード面の整備をするにしましても、ともかく提供する情報が豊富になっていかなければこれがうまくいかないんだということで、今回の法案は放送分野におきますソフトの部分、番組ソフト産業の振興にあるというふうに受け取るわけでございます。
 現実にこうした番組ソフト産業あるいは映像ソフト、これから支援に乗り出していかれるわけですが、現状はどんな環境にありまして、どこがネックになっていて、どこを解決することが必要か、そのあたりをお伺いしたいと思います。
#29
○政府委員(江川晃正君) 番組ソフト産業という概念が、私たちまだちょっと必ずしも明確に区切りを持ってやっているわけではございませんので十分には申し上げられないのが大変申しわけないところでございますが、一応放送番組に密接に関連する産業分野というふうにとらえさせていただきますと、放送事業者であったりCATVの事業者であったり、放送番組を委託を受けてつくるプロダクションであったりというようなものが放送産業に代表的なものとして登場してこようかと思います。
 それらのものが今どれだけの営業と申しましょうか生産をしているかということについて精査できているところではございませんが、例えば放送事業者あるいはCATVというような点で申し上げますと、放送事業者でいきますと、NHKのほかにテレビジョン放送を行っております一般放送事業者は、地上系、地上電波を流す、衛星を使っていないやつでございますが、それは百二十社ほどになってございます。
 それから、衛星を使うという意味では、BSと言っておりますが、衛星放送を使っておりますのが民間企業で一社ございます、NHKが二波を使っておることのほかに。それから、通信衛星を使って放送しているというのが、CS放送と言っていますが、それが十社ほど現にございます。
 それで、それら全体をひっくるめた生産高と申しましょうか、売上高と申したらいいのかもしれませんが、それは平成四年度レベルで大体二兆二千三百億ほどになっております。この値はGNPの大体○・四%ぐらいを占めております。この比率というのは年ごとにほとんど一定のような感じになっております。
 それから、そういう中で自分で番組をつくるといいましょうか、その反対概念は東京のキー局にぶら下がって地方がその放送をただ流すというのが反対概念でございますが、自分でつくるというのはその意味では東京のキー局が高こうございまして七三%ぐらいいっていまして、あとローカル局では十数%、先ほど大臣が申しましたような数字で推移しているところでございます。言ってみれば、七〇対十何ぼという格差がはっきりと出ているところでございます。
 そういう中で、しかし我が国の放送が多メディア・多チャンネル時代を迎えようとしておりまして、視聴者のさまざまな情報ニーズにこたえる放送ソフトの充実というのが求められておりまして、この放送産業への期待というのは大変高くなってきている、そう考えております。
 そこで、具体的に解決が急がれる課題といたしましては、一つは最新の制作技術を生かした制作設備を利用できる環境の整備をするとか、あるいは番組制作を行う人材が地域的に偏りのないようにしていこう。東京に集中をしているのはやむを得ないことではございますが、地方の局が自主番組をつくれるためにはそういう人たちが地方にもいなきゃいけないというようなこともございます。
 それから三つ目でございますが、ソフトの制作及びその二次利用ということのための円滑な権利処理というものが大事でございまして、御審議いただいております法案に予定する事業も、まさにこの権利処理が非常に重要な課題になっているところでございます。
 それから四っ目でございますが、放送番組の素材となる映像を蓄積して簡単に利用できる体制を整備していく。そのことは地方の人が、例えば南の人が北の地域の映像を一々自分が撮りに行かなくてもそこに行けば買って利用することができる、そういうようないわば映像のデータベースができ上がるというようなことが大事だ、緊急な課題だと考えているところでございます。
 今回は、これらのうちの素材を円滑に利用できる体制の整備を図るということを目的としてこの法案を御審議いただいているところでございます。
#30
○川橋幸子君 大変といいますかかなり巨大な付加価値を生む市場であるし、また発展が期待される産業であるし、その中では環境整備なり人材の育成ですとか、さまざまのこういう番組に関連するソフト産業についての支援策を体系的にやっていきたいというお気持ちはよくわかるのです。もちろん、私もそのような方向で御努力いただきたいと思うんです。
 番組ソフト産業というのは、やっぱり現状を見ますと非常に東京中心であるとか、あるいはNHKはNHKで非常に大きなデータベースなり情報を持っていらっしゃると思います。素材を持っていらっしゃると思います。大手キー局はキー局で持っていらっしゃると思います。
 日本の社会が縦社会で系列化されているということは別に放送業界に限らないことだと思いますが、放送業界も人間が生み出す産業であるから、余計に人的に縦の系列というのが強いような感じがいたすわけでございます。それは、一番ベースになる放送番組素材については共通の宝物にして、北でも南でも、あるいは地方の非常に意欲的な若いプロダクションがこうした新規事業に入っていこうとするときに、その共通の財産をうまく横に流動的に使えるようにしたい、こういう意図なんだろうと思うんですが、現実の社会の系列化を考えますと、そこがとても難しいような感じがするわけでございます。
 十年の立ち上がり期間の中にその御努力をなさるということはわかるにしても、この縦社会にどうやってどこから風穴をあけて横に円滑に流動化させていくのか。取っかかりのあたりを、どんなお気持ちでいらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
#31
○政府委員(江川晃正君) ただいま先生御指摘の日本国における縦社会と申しますか、そこのところはまことにいろんな意味で苦労させられるところがございます。しかし、逆に言うと、だからこういう会社をつくって番組が集められるとありがたいんだというのもまた希望としてありまして、この法律をつくるに当たりましてはたくさんの方々にいろいろとお知恵を拝借したり意見をいただいたりしてきたところでございます。そういう中では、ある意味では先生は総論だとおっしゃるかもしれませんが、ぜひともつくってくれという要望が大変高うございます。
 それから、もう一つ重要なことは、今先生ちょっとおっしゃいました、例えば固有名詞で、例としての固有名詞でございますが、東京の四チャンネル、NTVが自分の映像を持っておりますが、これは他の人に使わせでもいいと思うんだけれども、まさか売り歩くこともできない。それから逆に言うと、どこかの人があれを使いたいんだけれども何とかならないかというのがあります。そういった情報をここが集めることによって、もしじかにこの会社が買えないまでも、欲しい人とNTVとをあっせんしてやるとか、あるいは情報を提供してやるということによって仕事がうまくいくということも希望の中に出てきているわけでございます。
 そういうぐらいのことになりますと、NTVがという意味ではございません、わかりやすく例を申し上げたわけですが、NTVにしてみれば、そういうような提供の仕方というのは、これからこういういい番組を自分もつくるということを考えますと、そういう素材の入手の仕方ができるようになることはなかながいいことだということを強く考えているようでございます。
 我々は、その意味では収集に当たっても、縦割りの厚い壁が少しずつでもこれによって穴があいていくというとオーバーな思いですが、少しずつでも横断的に広がっていくことができるのではないかなと、立ち上がり、取っかかりという点ではそういうことを期待しているところでございます。
#32
○川橋幸子君 縦社会であるからこそ横に流動化させて、国が持っている知的な財産をうまく活用できるような知的社会にする、そういう御努力をお願いしたいと思うわけでございます。取っかかりといいましても、それぞれ御苦労が多いことかと思いますが、幸いこの法案の中では、指針を定めたり事業計画を定めたりいたしますときに幅広い分野の人が参加される、関係業界の方も参加されると。
 そういう中で、個人的には私も役所の出身でございますので、こうした自由な事業に対して郵政大臣が基本指針を定めたり実施計画を認定するというと、どうも管理の方だけが先に頭に立ちまして、自由度を活発化させるような方に御努力いただくというのはまた一抹の不安もございますけれども、ぜひそれはそのような方向で御努力いただきたい。管理したり規制を強めたりするのではなくて、自由度を高めるような方向での指針、事業計画の認定の方に御努力いただきたいと思います。
 さて、今度は観点を変えてなんですが、昨年来ガット・ウルグアイ・ラウンドの話があちこちで課題になりまして、日本の中も、この国会でも上を下へのかなりの大騒動があったわけでございます。ガット・ウルグアイ・ラウンドでアメリカとヨーロッパ、特にフランスとの間でオーディオ・ビジュアル・サービスをめぐる対立があったというようなことが報じられているわけでございます。
 今回の番組ソフトの振興というのは、どちらかというとこれは産業経済面からの振興策であって、文化保護だとか文化育成というのとはちょっと違うのかもわかりません。アメリカのハリウッド映画、それからフランスのシャンソンなりフランス映画ということを考えますと、あれは産業でありかつ文化である部分のような気もいたします。
 日本政府が何か民間のこうした部分に支援をするというと、産業保護政策ではないかというふうなあらぬ誤解を受けたり、日本の社会はまた日本の社会らしく何かをするというような誤解を受けるという、これは杞憂かもしれませんけれども、こんなことが心配されるわけでございますが、今回の問題についてはいかがでございましょうか。何か諸外国との間で問題となるようなことというのは考えられますでしょうか。
#33
○政府委員(江川晃正君) 先生御心配いただいております今回のウルグアイ・ラウンドにおけるヨーロッパと申しましょうか、EUとアメリカとの意見対立ということが、この事業とのかかわりで似たようなことにならないのかという御趣旨がと思います。
 結論的に申し上げますと、この事業の実施ということによって諸外国から何か問題とされるということは私はないと考えております。といいますのは、まずこの間のウルグアイ・ラウンドの争い、対立は何だったのかということをちょっと振り返ってみますと、先生御指摘の米国と欧州におけるEUとのガット・ウルグアイ・ラウンドのサービス貿易交渉に際してのオーディオ・ビジュアル・サービスをめぐる対立というのはどういうことだったのかと私たちなりの理解で申し上げます。
 一つは、米国は自分の国の放送番組をEUに輸出することに制限がかからないようEUにオーディオ・ビジュアル・サービスの自由化を求めた。それに対してEUは、EC指令というのが放送の世界にございまして、その指令によりまして、ニュース、スポーツイベント、広告等を除き放送時間の過半数をヨーロッパ作品のために確保するというような定めがございます。それを定めていることからアメリカの要望する自由化を約束しなかったというのが一つございます。
 二つ目に、特に先生御指摘なさいましたフランスでございますが、フランスは文化的価値に関することはガット・サービス貿易交渉の対象外である旨EUの一員として主張いたしまして、自由化に対し強硬に反対したということでございます。その結果として、EUのオーディオ・ビジュアル・サービスの自由化というのはその場で約束されないままガット交渉が終了した、そう私たち承知しております。そういう意味では、自由化に基づく文化侵略と申しましょうか、文化攻勢を受ける受けないということについての合意はなかったと。
 翻って、今度我々のこの法律に基づく番組制作というところに返ってまいりますと、この事業法におきましては、利用に関しまして外国人による利用や言語的制限というのは一切設けてございません。特段問題となるというようなことはその意味ではないのじゃないかなと思っております。それからまた、我が国では外国製の番組の放送につきましても法令上何も規制がございませんで、放送事業者は自由に外国製番組を利用することが可能であり、このような問題は生じない。このようなというのは、ヨーロッパでありましたガットのような文化侵略に基づくコンフリクトというようなことは生じないのではないか、そう考えているところでございます。
#34
○川橋幸子君 どうやらそれはやはり杞憂で、文化摩擦になるような話でもないし、放送素材の利用促進を図るという意味ではむしろ文化には余りかかわらない、物すごくニュートラルな、そういう支援なんでございましょうか。余りニュートラルというのもちょっと物足りない、表現の自由とか言論の自由とかあるんでしょうけれども、もうちょっと何か香りがあってもいいのかなという感じもいたしますけれども、まあそれは個人的なことでございます。余り神経質になることもないとは思いますけれども、国境を越えることが多うございますので、その辺も御判断いただいて何ら心配がないということであれば、それはそれで結構でございます。
 最後に、大臣に一問お尋ねして質問を終わらせていただきたいと思います。
 このように、今度は放送素材をみんなの知的な財産として自由に使いながら発信機能を高めていく、自主制作番組をつくっていく、地方でもそうしたプロダクションが元気に活性化されていくというそういう番組がつくられることは大変ウェルカム、いいことだと思っております。
 もう一面では、次回の委員会で審査されることになります放送法の改正ということもございまして、これはむしろ国境を越えてよその国のでき上がった完成品の番組がもうどんどん入ってくる、あるいは場合によっては日本も発信できるということなわけでございますね。
 そうしますと、視聴者のこれまたニーズということなんだろうと思いますが、国内で何かつくられるよりも、もう世界各国でいろんな、ニュースでも結構ですし文化的なドラマでも、あるいは音楽産業でも何でもよいのですが、世界各地でつくられているものがそのままリアルタイムで入ってきて、加工されないで完成品を見た方がおもしろい、こんなような視聴者のニーズも高まってくるんじゃないかと思われます。
 そういうような完成された番組に対する視聴ニーズが高まる中で、こうした番組素材を利用して自主放送、自主番組をつくっていく、このあたりのバランス、そういうものをどんなふうにお考えになられるか。自主的につくって発信する発信能力を高めるということが日本の場合は今までは非常に少のうございますので、この利用促進法がうまく活用されることを私も願うものでございますけれども、最後にこうした面についての大臣の所信を伺って、質問を終わりたいと思います。
#35
○政府委員(江川晃正君) 先生御心配の部分につきまして、考えてみればそういう心配はあり得るわけでございますが、入ってくるものに対する、どういうものかということは、今APTという会議の中でアジア地域で何か合意しようじゃないかということまではいっております。それから、出ていくものにつきましては、日本国の放送法の中でも一応その国の諸事情などを勘案しろというふうにやろうとしているところでございます。というのが事務的な法律のかかわりになってございますので、そこだけちょっと御説明させていただきます。
#36
○国務大臣(日笠勝之君) 国境を越えるテレビの件はまた近いうちに当逓信委員会で御議論いただけるものと思いますし、今局長申し上げましたようなガイドラインの勧告も四月のAPTの会合でなされておるわけでございます。
 今回の放送番組素材利用促進事業法というものは、特にローカル番組なんかの充実をしていく、一秒幾らという単位であっせんをしたり売買するようなことになろうかと思います。
 しかしながら、これからも海外の映像ソフトがどんどん入ってくるでしょうし、また日本も映像ソフトを提供する機会もふえてくると思います。そういう意味では、国内の映像ソフトの産業は非常に厳しい競争が強いられてくるとは思います。しかし、我々もいろんな面で支援をしておるわけでございますので、今回のこの法律が日本国内のソフト産業の制作能力を高めていく一助になろう、このように確信をしておるわけでございますので、ぜひ御理解をいただきたいと思う次第でございます。
#37
○川橋幸子君 ありがとうございました。終わります。
#38
○青島幸男君 ただいま議題になっておりますこの法案、私にとりましては急な話でございまして、不勉強で内容をよく理解していないところからくる質問がありましたらお許しいただきたいと思いますけれども、率直に申しまして、これは既存の映像、静止も含めまして映像と音のライブラリーをつくって、それで放送に携わる方々が自由に廉価に安全に活用できて、その眠っている素材を放送素材として自由に使って内容の質を高めるとかいうことのために便宜を図りたい、こういうことでおつくりになるということなんですね。
#39
○政府委員(江川晃正君) 大変わかりやすくおまとめいただきまして、全くそういう趣旨でこの仕事をやりたいと考えておるわけです。
#40
○青島幸男君 そうなりますと、例えば民放各局とかNHKとがそれぞれが持っている映像が既にあるわけですね。それが相互に融通したり今もしているわけですよ。ですから、そういう融通をうまくつけるように指導すれば事足りることでありまして、わざわざ郵政省が大臣の認可を得てというお墨つきを与えて、しかもその上で実施に必要な資金の確保または融通のあっせんをするというような格好で補助、援助していきますということは、一般の人間から見ると、それは郵政省の人たちの天下り先を確保するだけじゃないのかという見方もあるわけですよ。
 しかも、十年の時限立法で定めていて、立ち上がりを補助するだけで後延々と残すつもりはないんだというような言い方もなされましたけれども、それはまさに当面天下り先をつくるだけの話じゃないかという非難を受けても私は反論がしにくいんじゃないかと思いますが、局長、いかがですか。
#41
○国務大臣(日笠勝之君) 実は私、与党の政策幹事会でこの法案を審議したときに一番に先生のおっしゃるようなことを申し上げました。結果といたしまして、本事業を行う事業者に対しては郵政省の職員または元職員を就職させることは一切考えておりません。人数も数名規模と、このように聞いております。
#42
○青島幸男君 ですから、発足のときにそう思われても、従来あったことをずっと考え、思い起こしてみますと、事の流れで発足のときとは違った方向へ流れていくということは間々あるわけですよ。ですから、そのことを一般の方々も御心配になっているだろうし、不満に思っていらっしゃるだろうと思うんです。
 また、その映像を再三活用して放送を充実させるためには、これは資本主義の原則に従って需要と供給のバランスによって事は推移しますからね。ですから、あの映像がどうしても欲しい、幾ら出しても欲しいんだということがあれば自然発生的にそれは行われるべきでありまして、それを何も官で行うことはないんじゃないかという気が私はしますね。
 現実には、実際には、例えば火山の映像があるとします。世界じゅうの火山を系統的に幅広く集めて、こういうふうに火山というのはあるんです、ついては今度のはこういう系列に入るでしょうというようなことをドキュメントとして完成させるためには、前々からある映像も要るわけですよ。そのときは融通し合って現に使っていますからね。
 ですから、改めてそれをライブラリーにして、しかも立ち上がりの間補助をする、国から融資までして、そういう保障をするということは資本主義のルールにかなっているとは思いにくいんですが、いかがですか。
#43
○政府委員(江川晃正君) まず、官で行うというふうに先生おっしゃいましたけれども、これは官で行うものではございません。株式会社がやるということです。
 それから、郵政大臣が認可するというふうにおっしゃいましたけれども、こういう事業計画でやりたいというふうなときに、郵政大臣が基本指針を定めまして、それにのっとって事業計画を立てるわけですが、それが認定されたときに応援の金が出せますよということを言っているわけでございまして、そのことはなぜそうするかというと、基本的にはこれは民間がやることは当然なんですけれども、立ち上がりの、非常に懐妊期間の長いリスクの大きいことだということで応援しようとしているわけでございます。
 それから、現に民間放送会社、NHKがやっているということは私たちも承知しております。ただ、著作権処理が全部できて我々が考えているような意味でやっているかというと、必ずしもそうではないということがあります。その辺はむしろ青島先生の方がお詳しい世界かと思います。
 それで、ここでは一般的にだれもが来てそれを利用することができるそういう仕掛けをつくるというのが大事でございまして、それは民間企業でやることを原則にし、立ち上がりの期間で少し応援していこうということでございます。その意味で、言ってみれば図書館みたいなものでございますから、だれも図書館があって悪いということはないと思うんですね。
#44
○青島幸男君 ですから、郵政大臣に認可を求めるために事業計画を報告したり、それから途中でいろいろ事業内容について報告しなきゃならないというような制約を求めることは間違いで、民間の図書館が存在するのと同じような格好で、しかもそういう格好に指導していくべきだと私は思うわけですよ。そうじゃないと、そのそしりは免れませんよ、天下り先をつくるに違いないという格好はいかがですか。
#45
○政府委員(江川晃正君) 大臣から先ほど申し上げましたように、天下りのためにこれをつくるものではないし、郵政省の職員をというふうには考えていないということは大臣申し上げましたが、多分ここに集まる人たちはこの道の相当のプロと申しますか、わかっている人がやらなければなかなかうまくいかないだろうということは承知しています。この会社をつくる人たちは多分そういう世界から来る人たちで構成されるのではないかな、そう思っているところでございます。
#46
○青島幸男君 だからこそ事業計画を郵政大臣に報告をしたり、途中の経過を報告したり、融資を受けるような格好をつくったりするのは基本的に間違いだということを私は申し上げているわけですよ。もっと自然発生的なものにするように指導してこそ郵政省のあり方だ。だから、この法案には私はにわかに賛成しかねるという実情を今ひしひしと感じているわけです。
 それに、著作権の問題とか物を制作した人たちの意欲とか意図とか、著作権の問題なんかを絡めてまいりますと、ただ集めたから、だれでも使えるようにするからといっても、なかなかそういう方々の権利とか意欲、情熱なんかをそれぞれせんさくしたり報酬を払ったりするようなことを考えますと大変複雑な手続になりますし、それを統括していくということは、それは自由な流れの中に任せていく方が私は速やかにいくという認識を持っていますよ。
#47
○政府委員(江川晃正君) 著作権の処理その他が全部必要で、それが大変な作業だということは私たちも承知しておりまして、ですから収集するときには先方の人と著作権処理をきちっとして集めるというふうにするわけでございます。
 ポイントは、これは市場調査というほど商売っぽくやったわけではございませんが、多くのこの世界の人たちにお尋ねしますと、どこに何があるかもよくわからない中でそういう情報のあっせんができないか、情報をくれないか、それからあるいはあそこにあるのはわかっているんだけれども使えるようなあっせんをしてくれないかとか、もっと一歩進んで、ここに集めておいてくれたら後は金で普通より安く使えるようになる、これはとてもいいことだ、だからぜひやってくれというのが多くの放送事業者、CATV事業者、プロダクションなんかの我々が聞いている意見なのでございます。
 それで、認定とかなんとかというのは、まず立ち上がりのために金がかかりますから、金を出すのに何にもわからないところにぼんと国のお金を出すことができない、ただそれだけのことでございます。ですから、先ほども御質問ございましたけれども、ただいま先生御質問の中でもありましたが、基本方針で自由を妨げないようにしてくれという話はございました。私たちも全くそういうつもりで伸び伸びと仕事ができるように、ただ金を出すための、その会社のある程度の枠を認定する、金をもらうための、もらうためと言うと変ですが、金が出せるための相手の一定の枠組みをきちんと判断できるための行為として事業計画を認定させてもらう、そういうことで考えているわけでございます。
#48
○青島幸男君 ところが、それは教科書の認定じゃありませんけれども、南京虐殺の映像を出したいとかというと、これは実情に合っていないんじゃないかと抑えるというようなことだってあり得るかもしれないですよ。歴史認識の違いということから、映像を、情報を管理するようなことにまで事が及んだらこれは重大なことになると私は思います。
 ですから、そんなあいまいなことで発足なさろうとするなら、私は断固反対したいと思います。
 終わります。
#49
○田英夫君 私が申し上げたいと思ったことを青島さんが今言われたし、川橋さんも先ほど非常にやわらかい表現ですが警告を与えられたと思うんです。
 一つ伺いたいのは、局長はさっき株式会社になるというお話でしたけれども、株式会社と決めてかかっているわけですか。
#50
○政府委員(江川晃正君) 決めてかかっているというよりは株式会社を想定しているという意味で申し上げたところでございます。
 なぜ株式会社を想定しているのかと申しますと、将来的にはこの法律も十年で廃止しようとしているわけでございますから、もともと民間企業として、あるいは民間事業として発展することが好ましいと考えておりますから、株式会社ということになるであろうと想定しているということを、あるいは言葉が足りなかったかもしれませんが、株式会社ということで私申し上げた次第でございます。
#51
○田英夫君 実は御存じかどうか知りませんが、昭和三十年代の半ばに、テレビ草創期、まだテレビ局が非常に少ない時期に共同テレビニュースというものができまして、これは株式会社ですが、私は当時共同通信にいたんですけれども、共同通信が中心になってつくりました。それは、当然そういうものが必要になるだろうと。その内容はまさにこういうことを含めてニュースそのものも提供するということをやって、私も実はその仕事をさせられたことがあります。しかし、ニュースの提供あるいはこうした素材の提供というのは新聞を通じて非常に古い歴史がありまして、通信社というのはまさにそうです。
 共同通信と時事通信の違いというのは、実は共同通信は株式会社ではありません。社団法人です。時事通信は株式会社です。なぜ私はこのことを取り上げるかというと、共同通信あるいはアメリカのAPとかイギリスのロイターとか、歴史のある通信社というのは全国の新聞社が寄って集まって、そしてそれが会員になって社団法人という形でつくる。株式会社のような営利性がなくて、しかも非常に公正な立場に立ち得る。しかも、メンバーはまさに新聞社そのものでありますから、そういう形にすればいいのではないかという頭が私はあります、こういうものをもしやるとしても。
 それが全然視野の中にないとすれば、初めからお金を出すというようなことに直結していってしまって、何か政府の金を当てにするようなところから出発するということになると初めから間違ってしまうんじゃないか。つまり、国民の共有物である電波を使って放送をやろう、テレビの仕事をやろう、そういう人たちが常に心がけることは、言うまでもなく、放送法に決められるまでもなく公正でなければならない。こういうことをいつも考えているわけですから、それを下から援助するという立場のこういうものもできる限り公正な立場に立ち得るということを大原則にすべきじゃないかと思っていたところを、局長がいきなり株式会社というふうに決めてかかるような発言をされたので私は一言申し上げたわけであります。
 言いたいことは、要するになぜここで郵政省、官がしゃしゃり出てくるのか、そういう必要があるのかということです。全国のテレビ局が集まって、NHKを含めてみんなで協力してこういうものを社団法人というような形でつくる、そういうことでお任せしておいたらいいんじゃないか。自由な競争の原理の中の、あるいはそれに対して今度は株式会社で時事通信のようなものがもう一つできてくるかもしれない。そういう中で相競いながらいい素材の提供を受けるというようなことがあってもいいんじゃないだろうか。
 複数ということを想定されますか。
#52
○政府委員(江川晃正君) 先生のお言葉をお借りしますと、国がしゃしゃり出るということでございますが、我々国がしゃしゃり出る気は全くございません。
 もともとマルチメディア社会がこれから目の前に到来してくるであろうことはだれでもわかるわけで、その中でソフトの充実がまた重要だということもみんなが言うところでございまして、放送事業者とかCATVとかプロダクションとか、そういう人たちはこのソフトをどうつくるかということが今非常に大きな課題で、重荷になっているわけでございます。
 そういう中で、言ってみれば番組をつくる、ソフトをつくるに当たって欲しい基礎データがどこかで手に入るような仕組みができればこんなありがたいことはないというのが大体我々何十人にも当たっている企業の人たちからの意見なわけです。そういう要望がありますけれども、いざデータを集めるとなると、これは先生御案内のように結構大変でございますし、またそれを一回の使用のためにわっと金を出してつくって置いておく、これもまた大変なわけでございます。だから、使いたいときにそのものがぽっと入るようにしてくれということ、そういうことが必要だということで、これをやっているわけです。それで、懐妊期間が長いから資金も出すというふうにしております。
 そこで、そういう構造の上に立って法律は認定を受ければいいという形になっておりますので、認定を受けるところに金を出すという仕組みにしてございますから、一つには限らない。法律としては一つに限るようには書いてございません。二つもあり得るし、要するに複数もあり得るということだけは法律の上では確かでございます。
#53
○田英夫君 質問したことに簡潔に答えていただかないと、私ども時間が少ないですから。
 もう私が申し上げたいことはおわかりいただいたと思うんですが、さっき川橋さんの言葉で、管理とか規制とかいうことをやらないで自由にやるような方向でいったらいいじゃないかというお言葉がありましたが、私はもっと強い言葉で言いたいぐらいこのことを重要に思います。今の局長や先ほどからのやりとりも伺っていて、言論の自由とか、あるいは電波というものが国民の共有物であって、それを使った放送の仕事というものを全く理解していないんじゃないかというふうに思わざるを得ないんです、今のお答えを聞いていると。
 結局、この前、大臣に宿題のような失礼なことを申し上げましたが、お出しした電波法第四条の話はいずれまた機会があったら取り上げたいと思いますけれども、私は今の局長のお話を聞いていて、やはり郵政省の諸悪の根源は電波法第四条にあるという思いを改めて感じているんです。つまり、郵政大臣がテレビ局に対する免許権を持っている、認可権を持っているというところに最後は行ってしまう。だから管理だ規制だ、こういうことをすぐ思いつくんじゃないでしょうか。基本は憲法二十一条の言論の自由にあるということをまず根源に置いてやっていただきたい。
 私も実はここに入ってくるまで賛成をしようと思っておりましたけれども、やりとりを聞いていると賛成できない、こういう結論に達せざるを得ません。私の持論である電波法第四条を改めるべきだということからすると、その延長線上ではこの問題も認めたならば電波法第四条の問題に触れてくる、こういうことでありますから、反対せざるを得ないということになります。
 最後に、今私が申し上げたことに対する大臣のお気持ちを伺って終わりたいと思います。大臣の気持ちだけ言ってください。
#54
○政府委員(江川晃正君) ちょっと法律の構造だけ一言御説明させてください。
 この法律が官による管理だとか規制だとか、そういうものでないということは乱るる申し上げているつもりでございますが、この事業によって提供される素材というのを使用するかしないかは、その使おうとする人のすべて自由な判断にゆだねられているということが一つ。
 もう一つ、どんなデータを、素材を集めようとするかということにつきましては、この法律の中にも、審議の場を設けて、委員を設けて、それによって決めてもらおうということはしております。そこに国が口を挟む余地も一切ないし、そんな気も全然ないわけでございます。いわばそういうことで自律的な運営をやってもらおうとしておるわけです。
 そういうような仕組みをとっているところでございますから、ここに金を出すということが国による関与とか干渉とか、放送番組の編集の自由との関係で何からょっかいを出すとか、そういうことには一切ならないと私たちは考えているところでございます。
#55
○国務大臣(日笠勝之君) 電波法四条の件はこれまた先生といろいろと御議論させていただきたいと思いますが、周波数そのものが非常に有限であるというところから、この四条の無線局の開設については郵政大臣の免許を受けなければならないという、有限性というところに視点を当てたそういう第四条の仕組みになっておるんじゃなかろうか、現在そのように思っております。
#56
○田英夫君 終わります。
#57
○委員長(森暢子君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#58
○委員長(森暢子君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより採決に入ります。
 放送番組素材利用促進事業の推進に関する臨時措置法案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#59
○委員長(森暢子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#60
○委員長(森暢子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#61
○委員長(森暢子君) 次に、電気通信事業法及び電波法の一部を改正する法律案及び放送法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。日笠郵政大臣。
#62
○国務大臣(日笠勝之君) 初めに、電気通信事業法及び電波法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、最近の電気通信事業における国際化の進展にかんがみ、人工衛星の無線局の無線設備等により国際電気通信事業を営もうとする者については、外国人等であることを第一種電気通信事業の許可の欠格事由としないこととするとともに、その者が営む当該事業に係る無線局であって人工衛星の無線局の中継により無線通信を行うもの等については、外国人等であることを免許付与の欠格事由としないこととする等の改正を行うものであります。
 次に、この法律案の概要について申し上げます。
 まず、電気通信事業法の一部改正の内容についてでございますが、第一種電気通信事業の許可の欠格事由のうち外国性の制限に係るものについては、人工衛星の無線局の無線設備等のみを設置して国際電気通信事業を営もうとする者であって、国内に営業所を有する者には適用しないこととしております。
 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
 次に、電波法の一部改正の内容についてでございますが、無線局の免許の欠格事由のうち外国性の制限に係るものについては、前記の電気通信事業法の一部改正により外国性の制限の適用を受けなくなる外国人等が国際電気通信事業を営むために開設する無線局であって、人工衛星の無線局の中継により無線通信を行うもの等には適用しないこととしております。
 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。
 次に、放送法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、放送による情報の国際交流を促進するため、日本放送協会がその放送番組を外国において受信されることを目的として他人に委託して人工衛星の無線局により放送させる業務を行うこととするとともに、一般放送事業者である委託放送事業者がその放送番組を国内及び外国において受信されることを目的として他人に委託して人工衛星の無線局により放送させる業務を行うことができることとし、あわせて有料放送に係る規制を合理化するため、多重放送についてはその契約約款を認可制から届け出制に改める等の改正を行おうとするものであります。
 次に、法律案の概要を申し上げます。
 第一は、放送の定義に関する事項についてであります。
 日本放送協会の委託により、その放送番組を外国において受信されることを目的としてそのまま送信する放送であって、人工衛星の無線局により行われるものを受託協会国際放送と、また、他人の委託により、その放送番組を国内及び外国において受信されることを目的としてそのまま送信する放送であって、人工衛星の無線局により行われるものを受託内外放送ということとしております。
 第二は、日本放送協会に関する事項についてであります。
 日本放送協会は、電波法の規定により受託協会国際放送をする無線局の免許を受けた者または受託協会国際放送をする外国の無線局を運用する者に委託してその放送番組を放送させる委託協会国際放送業務を行うこととするとともに、日本放送協会は、放送番組及びその編集上必要な資料を外国有線放送事業者に提供することができることとしております。
 第三は、一般放送事業者に関する事項についてであります。
 受託内外放送を委託して行わせる委託放送事業者は、その放送番組の編集に当たっては、国際親普及び外国との交流が損なわれることのないように、当該放送の放送対象地域である外国の地域の自然的経済的社会的文化的諸事情をできる限り考慮しなければならないとしております。また、受託内外放送を受託国内放送とみなし、国内放送の放送番組の編集等に関する規定を適用することとしております。
 第四は、有料放送に関する事項についてであります。
 有料放送に関する規定は、国内に設置する受信設備により有料放送の役務の提供を受ける者との契約関係等に適用することとしております。また、有料放送事業者が多重放送である有料放送を行う場合の国内受信者に提供する当該有料放送の役務の料金その他の提供条件に関する契約約款については、認可制から届け出制に改めることとしております。
 その他、所要の規定の整備を行うこととしております。
 なお、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
 以上が、これら二法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同いただきますようよろしくお願いを申し上げます。
#63
○委員長(森暢子君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十八分散会
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ソース: 国立国会図書館
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