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1994/06/07 第129回国会 参議院 参議院会議録情報 第129回国会 商工委員会 第4号
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1994/06/07 第129回国会 参議院

参議院会議録情報 第129回国会 商工委員会 第4号

#1
第129回国会 商工委員会 第4号
平成六年六月七日(火曜日)
   正午開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         中曽根弘文君
    理 事
                沓掛 哲男君
                真島 一男君
                谷畑  孝君
                井上  計君
    委 員
                斎藤 文夫君
                下条進一郎君
                野間  赳君
                吉村剛太郎君
                一井 淳治君
                角田 義一君
                村田 誠醇君
                藁科 滿治君
                小島 慶三君
                古川太三郎君
                山下 栄一君
   国務大臣
       通商産業大臣   畑 英次郎君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       寺澤 芳男君
   政府委員
       公正取引委員会
       委員長      小粥 正巳君
       公正取引委員会
       事務局経済部長  矢部丈太郎君
       公正取引委員会
       事務局審査部長  関根 芳郎君
       経済企画庁調整
       局長       小林  惇君
       経済企画庁物価
       局長       谷  弘一君
       経済企画庁総合
       計画課長     吉川  淳君
       通商産業大臣官
       房総務審議官   江崎  格君
       通商産業大臣官
       房商務流通審議
       官        清川 佑二君
       通商産業省通商
       政策局次長    前田 正博君
       通商産業省貿易
       局長       中川 勝弘君
       通商産業省産業
       郵政局長     堤  富男君
       中小企業庁長官  長田 英機君
       中小企業庁計画
       部長       村田 成二君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        里田 武臣君
   説明員
       大蔵省主税局税
       制第二部長    福田  進君
       大蔵省国際金融
       局為替資金課長  河上 信彦君
       労働省職業安定
       局雇用政策課長  坂本 哲也君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○産業貿易及び経済計画等に関する調査
 (通商産業行政の基本施策に関する件)
 (経済計画等の基本施策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(中曽根弘文君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。
 前回の委員会において聴取いたしました所信等に対し、これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○沓掛哲男君 本日は、時間が余りございませんので、これから質問時間をとっていただきにくい方から順番に質問させていただきます。通産大臣にはこれから大きな法案が四つございますのでその際十分時間をいただきたいと思いますので、最初、公正取引委員長の方から質問させていただきたいと思います。
 まず最初に、公共入札ガイドラインを策定中と伺いますが、その進捗状況をお尋ねいたします。大変失礼ですけれども、時間がございませんので簡単にお願いいたします。
#4
○政府委員(小粥正巳君) お答え申し上げます。
 入札ガイドライン、公共的な入札に係る事業者及び事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針でございますが、簡単に御説明申し上げます。
 近年、入札談合事件が残念ながら数多く生じております。その状況を踏まえまして入札に係る事業者及び事業者団体のどのような活動が独占禁止法上問題となるか、これにつきまして、私どものこれまでの事件審査、審決例の経験を踏まえまして、具体例を挙げながらできるだけ明らかにすることによって入札談合の防止を図るとともに、事業者及び事業者団体の適正な活動に役立たせようとする、そういう趣旨でございます。
 このガイドラインにつきましては、御案内のとおり原案をせんだって三月四日に公表いたしました。その後、関係省庁、関係経済団体等、これは外国も含みます、に対しまして意見照会をいたしました。現在、意見照会として寄せられた御意見について整理検討を行っております。今後、これらの意見を参酌しながら原案についてさらに十分な検討を行いまして、本年夏をめどにこのガイドライン、指針を策定しようと考えております。
#5
○沓掛哲男君 それでは、今お話のありました公共入札ガイドライン案についてお尋ねしたいと思います。二点お尋ねしたいのですが、最初は「受注意欲の情報交換等」についてでございます。
 まず、「入札に参加しようとする事業者が、当該入札について有する受注意欲、営業活動実績、対象物件に関連した受注実績等受注予定者の選定につながる情報について、情報交換を行いことあるんですが、行うことは独禁法に違反するおそれが強いというふうにここに決められております。私は、独禁法の運用に当たっては検察官また裁判官としての絶大な権力をお持ちの公取が違反するおそれが強いと言うことは、実質上もうクロということだというふうに思います。
 そこで、これについて具体的にお尋ねしますが、「入札に参加しようとする事業者が、当該入札について有する受注意欲、営業活動実績、対象物件に関連した受注実績」についての情報交換というものは、すべて受注予定者の選定につながる情報であり違反となる、そういうことでございましょうか。
#6
○政府委員(小粥正巳君) ただいま私どもがお示しを申し上げましたこのガイドラインの案について、特に具体的に受注予定者の選定につながる情報についてお尋ねがございました。
 ただいま御指摘のように、原案の参考例一−一というところでございますけれども、そこに挙げておりますまず「受注予定者又は受注予定者の選定方法を決定すること。」、それ自体は申すまでもなくいわゆる入札談合の核心をなす行為でありまして、これが原則として違反となることは、これは申し上げるまでもないわけであります。
 そこで、ただいまのお尋ねは、その受注予定者あるいはその選定方法を決定することに関連をした留意事項として、私どもが原案では一−一−一という枝番号を振っておりますけれども、そこに挙げられている行為についてのお尋ねと存じます。
 これは、ある入札に参加しようとする事業者同士が、その入札につきましてそれぞれが有する受注意欲、あるいはその入札に対するそれぞれの営業活動の実績、あるいは当該対象物件に関連したそれぞれの会社の過去の受注実績等の情報について情報交換をし合うことなどを想定しているわけであります。そして、これらの情報はいずれも、それぞれの入札参加者がその入札につきましてどの程度切実など申しますか強い受注意欲あるいは必要性を持っておられるか、あるいはまた、どのような他の事業者に比べて有利な条件を持っているかなどの見当をつける目安となるものと考えられます。
 このような情報を当該入札に関しまして直接的な競争関係にある事業者同士が相互に情報交換をし合うようなことは、それ自体が競争制限的な意味を持ちまして、受注予定者の選定につながる性格、意味合いを有するものと考えられるわけでございます。ただいま申し上げましたように、このような行為が違反となるおそれが強いとされておりますのはこのためでございます。
 先ほど一般的に申し上げましたように、私どもがこれまでに手がけました過去の入札談合事件につきましてその具体例を検討いたしますと、今申し上げましたような情報の交換等が受注予定者の決定のための手段、方法となっていたような例は、実は数多く見られるわけでございます。
 また、入札は、申すまでもないわけでありますけれども、公正性、厳正性等の要請のもとに、入札者の入札の内容のみを客観的な基準によって判断をしそして落札者を決定するという、大変厳格な競争の手続を定めているということは申すまでもございません。このような入札における競争の実を確保するために、特定の入札へ参加しようとする事業者同士、いわば競争者同士がその入札に直接関連した情報を交換し合うようなことは厳に慎むべきものであると考えているわけでございまして、そのような意味でこのような情報交換について「違反となるおそれが強い。」、こういうふうに留意事項で記したところでございます。
#7
○沓掛哲男君 そこで、もう少し深みのある質問をしたいんですが、今入札談合事件となった事案を見ると、確かに指名を受けた事業者が集まり情報交換等話し合いの中で入札予定者を決めたものが多いと思います。すべてのものがそうだということでは決してありません。そうでない場合も非常に多いですから、受注予定者の選定につながらない範囲の情報交換はシロであるはずですから、そのシロの範囲がどうかということを示してほしいというふうに思います。
 時間の関係でちょっと私の意見も言いたいんですけれども、ではどんな程度がいいのかということについては、指名を受けた事業者が集まり当該入札について各社がどのような態度で臨むか、すなわち全社対応で臨んでいくのか、あるいは今度は工務課と営業課で対応していくのかといったような、そういう判断材料としての情報交換はよいというふうに私は思うんです。
 何となれば、毎回毎回のいわゆる競争入札に会社が全力を挙げていたら、それはもつものではありません。一週間ほど前のテレビで、たしか西松建設と五洋建設が激しい競争をやっているのをやっていました。全社挙げてやっていました。あんなことができるのは、西松建設や五洋建設という超大手だからなんです。あのことを毎回毎回入札でやれるような、それだけのエンジニアとか営業マンとか、そういう人はおりません。
 今公取委員長おっしゃったようにいわゆる完璧を期する、もう蒸留水のような完璧さで自分らが調べてみたら、みんな指名を受けた者が集まってそういうことをやっていたから、今度はそのこともすべてが悪だというんでは、私はこの世の中はやっていけないというふうに思います。やはりその中に、悪は悪でありますからそれは懲らしめていただかなければなりませんが、そうでないような、これからいわゆる全社対応するのか、あるいは課対応していくのか、そういうそれぞれ判断材料等をトップの者が決めていかなきゃならないというふうに思います。もしそういうことも全部否定してしまったら、じゃ各社はどうするのか。
 それぞれの各社は何にもしないで指名をもらったら一つずつについて、そして全力を挙げてというか、それはとてもできませんから、当然営業マンは一対一の対応をいたします。それは一対一となれば夜のときもあるでしょう。いろんなときも出てくるんですから、そういうことのないようにやはり透明性の高いところできちっとやれるような、そういうことをぜひ指導していただきたい。
 そこで、今のいわゆる指名を受けた人たちが集まった、そして情報交換する中でもここまではいいですよ、しかしいわゆる受注予定者を決定する、あるいはそれの選定につながるようなこういうところはだめですよというそういう厳格な線を引いていただきたい。公取さんの方としてはおそれが強いという程度だからそれぞれに判断すればとおっしゃるでしょうけれども、先ほど申しましたように、独禁法上の検察、裁判、その両権力を持った強いところが、これはおそれが強いと言えばクロは当然ですから、そういうことをもう少し世の中の実態に合わせたような形でぜひこの中身を検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#8
○政府委員(小粥正巳君) ただいまの御質問でございますけれども、先ほどのお話のような受注予定者の選定につながる情報と申しますのは、端的に違反であるとされたものは、先ほども申し上げましたこの原案の一−一にあります受注予定者または予定者の選定方法を決定することであります。そして、それにつながる情報交換、これは当然入札に参加するいわば競争関係にある事業者同士の相互情報交換を前提として申し上げているわけでありますが、そのことが競争制限的な効果をそれ自体持ち、受注予定者の選定につながる性格を有するというふうに申し上げまして、したがいまして、そのことが私どもの具体的な経験も踏まえて申し上げれば、やはり違反となるおそれが強いという分類として示さざるを得ないわけであります。
 先ほど来申し上げておりますように、受注予定者を決定する、あるいはその選定方法を決定すること、それはまさに違反行為そのものであります。しかし、それにつながる性格を有するもの、こういうふうに申し上げたわけでありまして、これはその意味で違反となるおそれが強い。しかし私ども、違反となるもの、ならないもの、そのいわば中間的な分野に違反となるおそれが強いという表現でいわば注意を強く喚起していく、そういう意味でこのような分野を設けて留意事項として説明をしているわけでございます。
 ですから、ただいまの御質問でございますけれども、これは例えば他の事業者と連絡調整を行わないで、仮に入札に参加するための必要な情報を個々の事業者が独自に収集するということは、これはあり得ることだと思うんです。このようなガイドラインの性格上、原則として違反となる、それからならない、そのいわばクロとシロの中間で私どもの経験に照らして違反となるおそれが強いものをいわば注意喚起の具体例として掲げることは、私は未然防止のためにやはり必要なガイドラインとしてのあり方だと考えております。
 ちなみに、このように独禁法上違反となるもの、ならないもの、そして中間的な行為類型としての違反となるおそれが強いものという、こういう三分類でガイドラインを独占禁止法上の運用についてお示しをするという手法は、実は他の分野でも私どもが既に公表したガイドラインで幾つか存在をするわけでございまして、今回の公共入札ガイドラインでこの手法を新しくとったということでもございません。念のために添えさせていただきます。
#9
○沓掛哲男君 それでは、いわゆる受注予定者の選定ということについてお聞きしたいんですが、いわゆる受注予定者の選定というのは、あくまでも受注予定者の決定を前提とした選定行為であって、例えばいろいろな行為をしている、情報交換もいろいろある、一部の者が意欲をなくするような程度のものは含まないというふうに解してよろしいでしょうか。
#10
○政府委員(小粥正巳君) あるいは御質問の意味を私が正確に理解していないかもしれませんが、今の御質問は、私の先ほど申し上げました説明、つまり入札参加に際しましての個々の事業者の必要な情報収集活動、それが他の事業者と連絡調整を行わないで独自に収集する、そういうことは実際にあり得ると思いますし、そのことを私ども特に取り上げて問題にするというものではないわけでございます。その点を私はお答えしたつもりでございます。
#11
○沓掛哲男君 そういう集まらないで一対一というものがいいということであればというお話ですが、指名を受けた業者が集まっての情報交換が不可となれば、そういうことになるんでしょう。しかし、一対一でやるということ、それは当然また地下にも潜っていくというそういうことになっていくのであって、そういうものにさらに外部要因も加わる、外部要因といえば暴力団などですが、そういう外部要因も加わる、それが大きな社会問題の火種となることのおそれが大変強いというふうに私は思います。過去における我が国の歴史においてもそういうことがございました。
 また、御承知と思いますが、先般ニューヨーク市長の要請によりニューヨーク州組織犯罪対策本部が捜査し、そして「ニューヨーク市の建設業における腐敗及び職業的犯罪」と題した最終報告書が一九八九年十二月ですか、四年半ほど前にニューヨーク州知事に提出されております。その中身を見ると、本当にいわゆるマフィアとか職業的な犯罪とかそういうものがこういう建設業のいろんな中に入ってきて大変なことになっておる。こういうことが日本で起こったら全く背筋が寒くなるというふうな、そういうことがこれに述べられております。
 私は、公取委員長も大蔵省の次官をなさった方ですから、常に国家がどうか、国民がどうかということをぜひ頭に置いていただきたい。そうするとき、そういうものは自分らの範疇じゃないから、集まらないで個々のものがやればそれで自分の責任は終わるというのではなくて、そういうことをした結果がどうなるか、そういうこともひとつぜひ頭に置いていただきたい。
 指名を受けた人たち、そういう人たちが集まって、そして今おっしゃった選定につながらない、もちろん受注予定者の決定につながらない、そういう形でのいわゆる粗ごなしというか、それからそれぞれが個々にそういう営業行為をしなくてもいい、そういうものをいろんな条件をつけてでもオープンな場で開いて、そしてあとはそれぞれ持って帰って自分らの判断で全体としてする、そういう仕組みをぜひ考えていただきたいし、そういう範囲での許されるものをここできちっと示していただきたい。
 今この三つに分けることについていろいろな分野とおっしゃいましたが、建設業の分野というのは他の分野に比べて非常に複雑で、また外部要因も大変入りやすい。これは日本だけでなくて国際的にそうなんです。この間梅沢前委員長にも来ていただいていろいろ議論したときも、梅沢さんもそのことはそうだなとおっしゃっておりましたが、そういう特殊な環境にあるということをぜひもう一度頭に置いて今申し上げたことの御検討をいただくことを心からお願い申し上げます。
 もう一つあるので、ちょっと時間がないのですぐ次の方に移らせていただきます。
 次にお尋ねしたいと思いますのは、原則として違反とならないものとして「発注者に対する入札参加意欲等の説明」というのがございます。これは「事業者が、指名競争入札において、指名以前の段階で、制度上定められた発注者からの要請に応じて、他の事業者や事業者団体と連絡・調整等を行うことなく、自らの入札参加への意欲、技術情報等を発注者に対して説明すること」は違反とならないものとしてございます。違反とならないものだからいいんじゃないかというと、それには非常な条件を幾つもつけているんですね。
 まず、いわゆる事業者が発注者に対して、自分が技術上こんなことを勉強していてこれをぜひ使ってもらいたいということをいろいろ言うには、まず制度上定められた発注者からの要請がなければだめなんですね。この制度上定められたというのは、恐らく契約上、例えば技術提案総合評価方式とかいろいろありますから、そこの方式では当然発注者が各技術上の問題を聞いてそれから判断するわけですから当然だと思いますが、そういうふうに制度上定められた発注者からの要請に応じて、そして他の業者等とは相談なくして発注者に行ったとき初めて業者は発注者に説明できるというんですね。これは大変なことだというふうに私は思います。
 では、こういうことはいけないんですね。私が仮にのり面業者だといたしましょう。私のところにすばらしいのり面保護の技術がございますから、そういうものを将来いろいろ使っていただける発注官庁、期待できる官庁のところへ行って、その発注者に、私のところはこういうのり面の技術を持っております、特別こういう特徴がございますと、そういう発注者に自発的に行くということはいけないということなんですね。そのことをお尋ねしたいと思います。
#12
○政府委員(小粥正巳君) 恐縮でございますが、ただいまのお尋ねにお答えする前に一言だけ、先ほどの御質問に対する私のお答え、それについての沓掛委員の御発言でちょっと一つだけ念のために申し添えます。
 私は、先ほど個々の事業者が入札に関して必要な情報を他の事業者と連絡調整を行うことなく独自に収集することはあり得るし、それ自体は問題としないと申し上げました。それに対して沓掛委員は、集まってその連絡調整をするのでなければ、一対一ならそれはいいというふうに御理解をいただいたように私承ったんですが、私は、競争関係にある他の事業者と連絡調整を行うことは、必ずしも集団として集まった場だけではなくて一対一を重ねていくということもあり得ると思いますから、それはやはり問題と考えざるを得ないわけでございます。その点だけは念のために申し添えさせていただきます。
 その上で、ただいまのお尋ねでございます、例えば技術的な新しい情報について発注者に説明をすること、それについてのお尋ねで、私どもこの原案ではその点について、制度上定められた発注者からの要請に応じて説明することは、これは原則として違反にならない、こういうふうに確かに書いてございます。
 そこで、沓掛委員のただいまのお尋ねは、それは非常に場合を狭く限定しているのではないか、そういう御趣旨がと存じます。私ども制度上の要請ということで考えておりましたのは、委員よく御存じのように、去年の十二月でございましたか、中央建設業審議会の御答申の中に公募型あるいは工事希望型の指名競争入札、こういう御提言がございまして、それはそれぞれ技術資料の公募なり技術資料の提出を依頼するという、いわば手続規定が含まれております。私ども、例えばこのようなケースを想定してこのガイドラインの条項を書いたつもりでございます。
 そこで、それに限らず発注者に対していわば自主的にと申しますか、事業者がみずからの新技術等について説明をすると、これはどうか、こういうことかと存じますけれども、これは具体的な事情によっていろいろなケースが考えられますので、なかなか私ども一概にそれが特に問題とならない、シロであると必ずしも言い切れない場合もあろうと思います。
 ですから、先ほど制度上の要請で発注者から技術情報を求められて、それに対して対応する、こういう例示で申し上げたわけでありますけれども、いずれにしても、いわば自社の新技術を採用するように発注者に働きかける、これについては私どもの考えでは、入札手続におけるいわば透明性あるいは公正な競争を確保する、そういう見地から、例示で申し上げたような発注者からの要請に応じて説明をするという手続が本来はやはり望ましい形式だと考えております。
 さらに、新技術について自主的に説明する、それをどう考えるかということをこの入札ガイドラインに違反となる、ならない、あるいはおそれがあるという、この三分類に当てはめてここで書くことはむしろかえって誤解を招くことになりかねない。申し上げましたように、それはそのときの具体的な事情を検討いたしまして判断をすべき問題である、こういうふうに考えているわけでございます。
#13
○沓掛哲男君 そうすると、ここできちっと制度上定められた発注者からの要請に応じて、そしてそれは違反とならないということになれば、今の時点はともかくとして、これが運用に入ってひとり歩きすればそれ以外はだめだなと、それ以外は問題があるんだなという意識になると私は思います。
 もちろん、そういう指名を受けた業者が説明に行くとか、あるいはあす、あさって出るような工事についてというのはいろいろ疑義があるにしても、一般のときはそうじゃなくて、しかし全然縁もゆかりもないところへ行くわけはないんで、まあことしの暮れか来年か、二、三年中にそういう可能性のあるところに対して、いわゆるそれぞれの企業の人たちが自分の得意とする技術はこういうものがあるんだと、そういうものについてお役に立ちたいと行くことまで禁止するというんだったら、私はこれは大変なことだというふうに思います。
 それは一つにはなぜかと申し上げれば、企業というのはいわゆる技術レベルをアップする意欲がなくなってしまいます。そんなことを言いに行けなくてというならやる必要はないですし、そういった分野の人はもう停止されてしまいます。企業の技術レベルのアップや新しい技術開発なんというのは何の意味もなくなって、会社でそんなことやっていたら要らぬことしているなということになってしまいます。あとはぺーパーカンパニーをつくっていかにたたき合いをするか何をするか、そういうことに専念するようになってしまいます。
 やはり日本がここまで来れたのは、特別頭のいい人というよりも、中小企業のそれぞれの人が一生懸命創意工夫して、そうして技術をアップしてきた。そのことが現在の日本を支えているんですよ。そういう意欲をなくしてしまうんですよ。また発注者にしても、研修会で勉強しろといっても、そんなに簡単にできるものではありません。また、忙しいとき私ども現場にいてそういう話は聞きませんでしたが、時間があって関心のあるものについてはそういう話を一たんいろいろ聞かせてもらう、それを通じていわゆる新しい技術また技術水準を知る、そして目的物の企画とか計画、そして設計、積算と、公共事業の効率的、安全、円滑な実施にみんなで努めて上げてきたんです。
 それが不幸なことに政治家の不心得の人たち、あるいは小さい発注者のトップの不心得の人たち、そのためにこんなことになったので、そのことは非常に残念だし、そういうことは絶対なくさなければならないけれども、そのためにせっかく日本の今まではぐくんできたそういうすばらしい環境をぶち壊してしまうようなことはぜひないようにお願い申し上げまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 では、もう時間も参りましたので、急いで経済企画庁長官にお尋ねしたいと思います。四問ほど用意したんですが、一問が精いっぱいだと思いますので、一問だけやらさせていただきます。それは公共料金値上げの凍結についてでございます。
 五月二十日に公共料金引き上げの年内凍結を閣議で決められました。
 そこで経済企画庁長官にお尋ねいたしますが、五月十八日、昼ごろに羽田首相から熊谷長官と寺澤長官に対し、今後予定されている公共料金の引き上げを年内いっぱい見送るように口頭で指示があったと伝えられているんですが、どのような指示があったのでしょうか。
#14
○国務大臣(寺澤芳男君) 委員御指摘のように、五月十八日のお昼ごろ羽田総理から電話がありまして、実はその前の日の五月十七日と記憶しておりますけれども、やはり羽田総理から同じような御意向が漏らされました。それで、その電話でもってはっきり公共料金の年内の値上げの凍結を考えている、そういう御意向が漏らされたわけであります。
#15
○沓掛哲男君 では、それに対して経済企画庁長官は、公共料金値上げの協議大臣としてどういうふうな意見を述べられましたか。
#16
○国務大臣(寺澤芳男君) 今国民生活で一番大事なことは物価を引き下げることであって、民間も一生懸命になって物価を引き下げるように努力しておりますし、円高とも相まって何とかして内外価格差も是正したいと私は思っておりましたので、もしそれが適法に行われるものであれば、大変結構なことではないかと思いました。
#17
○沓掛哲男君 これは事務局でも結構ですけれども、今回の公共料金値上げを年内凍結することによる経済的な影響をどのように見ておられますか。
#18
○政府委員(谷弘一君) 今長官から御説明ございましたように、現在円高が進行しておりまして、消費者の低価格志向というものが非常に強うございます。また、民間企業の価格の引き下げのようなものが非常に大きな努力を伴って進んでおりまして、今回の公共料金の措置がこうした民間全体、日本経済全体の動きと相まちまして、一層の物価の安定に資するのではないかというふうに考えられます。また、消費者のマインドの中にも価格引き下げということについてよい影響をもたらすということで、これがさらには経済全体の景気の回復にも資するのではないかというふうに考えております。
#19
○沓掛哲男君 公共料金の値上げは、いずれも基本的には法律に基づいてなされるものであります。今回の措置はその法律行為をストップさせる、いわば超法規的な措置でありますから、緊急避難的なときにのみ許されるものであるというふうに私は思います。昭和四十八、九年の第一次石油ショック後に公共料金の凍結が行われましたが、あのときは狂乱物価と言われた異常事態であり、年間に七、八割、倍近くも物が上がっていくというようなそういうときでしたから、これは当然だれが考えてもやるべきだというふうに思いました。
 しかし、現在のようなこんな状況において強権を発動すべきだというふうには私は思いませんが、現在においてもこの強権を発動すべき適切な措置であったというふうに長官はお考えでしょうか。
#20
○国務大臣(寺澤芳男君) 今度の公共料金の引き上げ実施見送り措置は、公共料金についてさまざまな批判が寄せられている現在の情勢を考慮いたしましての羽田総理の決断に基づき、既に政府において決定または認可が行われたものを除いて、本年じゅうの公共料金の引き上げの実施を見送ることを閣議で了承したものでございます。
 企画庁としては公共料金の改定については、今後とも引き続き、物価問題に関する関係閣僚会議において先般取りまとめられました公共料金の取り扱いに関する基本方針に基づいて、今回の公共料金の引き上げ実施見送り措置の対象となっている公共料金に係る事業の総点検を行うなど、案件ごとに厳正な検討を加え適切に処理してまいりたいと思っております。
#21
○沓掛哲男君 五月十八日の公共料金凍結の記者会見で熊谷官房長官は、凍結期間について情勢によっては来年一月からの再凍結もあり得ると言っておりますが、それは御存じですね。それは景気情勢が、この五月二十日ですかこの前後、四月、五月程度ならまた延長するというふうに長官はお考えですか。そうすることが適切なことだというふうに考えられますか。
#22
○国務大臣(寺澤芳男君) これは物価問題に関する関係閣僚会議並びに公共料金の取り扱いに関する基本方針等に基づきまして、今度の凍結された公共料金を一体どうしたらいいのか、まずそれぞれ総点検をした上で個々にその対処を決めようということになっておりまして、早急に総点検が始まることになっております。その結果を見てからにいたしたいと思います。
#23
○沓掛哲男君 もちろん景気情勢というのは非常に大切だとは思いますが、ことしの一月から三月まではちょっと前期よりもよくなっていますね。国内総生産で○・八%ですから年率三・一%ぐらい、四月、五月はそれよりちょっとダウンしているけれども、そんなに悪いという状態ではありませんですね。
 ですから、私はこんな状態であるのだったならば、そしてまた延長するというんだったら、公共料金はもう値上げを禁止するも同然だということになってしまうのじゃないかというふうに思いますが、現在の景気の情勢をどうお考えですか。そして、来年の一月にはこれよりもはるかにいい状態になっていくというふうにお考えですか。
#24
○国務大臣(寺澤芳男君) 委員御指摘のように、在庫とかあるいは出荷、そして生産に若干明るさが見えてまいりましたことは事実であります。
 公共料金の値上げにつきましては、先ほど御答弁申し上げたように、一件一件いろいろ事情が異なります。そういう事態を勘案いたしまして、厳正にチェックしてそれで決めることになるというふうに理解しております。
#25
○沓掛哲男君 そういうことは物価局が今まで十分やってきたことなんです。私も昔、大蔵省から来た藤井局長さんのときでした、それはもうさんざんやられて、たくさん資料をつくらせるのが物価局の仕事なんです。そうすればひとりでに期間が延びますから、まだないかまだないかという時代でした。
 そして、今まで上がっているものだって年越しでみんなやっているんですよ。今から見直すなんというのだったら今まで物価局は何をしていたんですか。ここへ至るまでに物価局はいろんな資料をつくり、いろんな検討をしているんです。その上で、だんだん進んできているものですが、それを今から見直すというのは何を言っているのかというふうに思います。
 それから、長官はこの公共料金の引き上げを申請された方々の気持ちを少しでも思いやったとか、そういう人たちはどう考えているか、どういう必要があったのか、そういうことを少しでも考えたことがありますか。
#26
○国務大臣(寺澤芳男君) それぞれの公共団体、あるいは私企業が真剣に検討した上での料金の値上げ申請だろうと私も思います。特に民間の場合にいきなりストップされて、それにかかわる企業の方で非常に困っている方々がおられるんじゃないかとも思います。そういうことで一件一件につきましては、これからたとえ年内であろうがいろいろ御相談に乗るというようなことになっておるように理解しております。
#27
○沓掛哲男君 例えば、短期的な話ではなくて、高速道路の料金も出ておりますけれども、高速道路は昭和三十一年からスタートして、いわゆる東名、名神は早くできたんです。人のいるいいところは早くできたんです。そのときだって日本はお金がなかったんです。わずかでございますけれども、いわゆる税金もいろいろ入れていただいてつくったんです。
 そして今、ようやく通産大臣のおられる大分県や宮崎県に東九州縦貫自動車道が着工されようとしているときなんです。そして、ここに来れば、あのときから見れば三十年もたっていますから、つくるには十倍以上の価格が当然かかります。交通量も幾分低いですから、そこだけでやれといっても成り立たないので、全体としてプールしてやろう、そういうことなんです。先発の利益を後発のために少しでもしてあげようということ。であればこそ、大分県平松知事とか出雲の岩國市長がこの前公聴会でああいういろいろな発言をされている。
 そういう長いいろいろなことがある中でこのことが出てきているので、今景気はそれほど悪くない、そういう状態において、少しでも人気を得られるのならやりましょうというのでは、これはやっていけないんですよ。そういうことを長官、ひとつぜひ頭に置いていただきたい。
 そして、長官に一つお願いしたいのは、ここまで来たんですから、今度はそれぞれの事業について今お話しになったようにもう一度見直して、そしてできるだけ速やかに、値上げ時期は来年一月以降にしても早くそういう認可を与えてあげる。そうすることが今とめられているこの人たちがもう一度元気を吹き返していろいろな仕事ができるもとになりますので、ぜひ長官にそのことをお願いして、私の質問、ちょうど四十分でございますので終えたいと思います。よろしくお願いいたします。
#28
○斎藤文夫君 畑、寺澤両大臣に所信を中心としてお尋ねを申し上げます。
 まず第一に、この十一日、柿澤外務大臣が急遽訪韓をされる。御承知の北朝鮮核疑惑問題をめぐりましてアメリカも安全保障理事会に制裁決議案を提出する意向だと、緊迫の度を加えておるところでございます。通産省は貿易関係を通じてやはり北朝鮮の経済制裁問題には非常に関係の深い省である、このように思っております。
 そこで、第三国を通じて日本の精密機械等が北朝鮮に輸出をされて今の開発されているミサイル等にも使われているよというような指摘も一部あるところでありますが、それらを踏まえて通産大臣、これからもしも経済制裁をしようというような段階になったときに通産行政の中でどういう姿勢をおとりになるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
#29
○国務大臣(畑英次郎君) ただいま御指摘がございましたとおり、我が方の所管といたしましてはいわゆる貿易分野でこの面に対するかかわり合いはある立場にございます。さような意味合いの中で、ただいま関係当事者の間におきましての話し合いといいますものが最終段階というような意味合いでのぎりぎりの折衝が行われておるわけでございますが、我が方としましては与えられております権限、こういうものを持ちましての対応を、最悪の事態にはその趣旨に沿った対応をしていかなければならない、かように考えておるわけでございます。ただいま斎藤先生御指摘のとおり、第三者を通してとかいろいろな問題がございますから、その辺も十二分に意を用いて対処してまいりたい、かように考えております。
#30
○斎藤文夫君 特におどしに乗るわけではありませんけれども、北朝鮮は経済制裁をされたらそれは即宣戦布告だ、本当に血迷ったようなニュースが放映されているのをテレビで見ましてこれは重大なことだな、国民的にもっとこの問題を真剣に考えて十分北朝鮮にも反省を求めながら、また我々も、とにかくミサイルが開発されればその範囲内、ターゲットになる国でありますから、これはまたちょっとアメリカとは雰囲気的に違う。その意味で私は別に特に慎重論ではありません。厳しくやるときにはやらなきゃいけない、おどしには乗れない、こういう立場には立っておりますが、十分通産省としても対応していただきたい。これは要望でございます。
 さて、きょうはたくさん質問をさせていただきますので、簡潔に御答弁を願います。
 景気について寺澤長官にお尋ねを申し上げます。
 この長期かつ深刻な不況はもう申し上げるまでもございませんが、政府は九四年度、二・四%をお決めになられた。昨日、OECDが日本の九四年、これは暦年で向こうはとっていますが〇・八%、そのかわり九五年は二・七%と明るい見通しを発表してくれました。
 私は前回、久保田長官時代に、昨年のGDPの訂正が全然行われない、ぎりぎりの段階でなぜ早く発表しないんだというようなことも追及をさせていただいたところでございましたけれども、政府のお考えになられた二・四%の実現というのはこれはもう現実論として私は非常に難しいなと。しかしながら、それを発表しなきゃならなかったいろいろ理由というのもわからなくはない。
 しかし、日本が今とり得る最大の方法は、貿易黒字をこれ以上ふやすのは大変だ、なれば内需拡大だ。ところが内需拡大には、設備投資が幾らか明るくなりそうだというほのかな期待感はお持ちでしょうけれども、個人消費は依然として低調である。こういう状況下で、平成五年から平成六年まで各種の緊急経済対策を打ち出してきた、本当のその効果というものが今どのように出つつあるのか、またそれにどう期待をしていったらいいのか、その辺をまずお尋ねいたします。
#31
○国務大臣(寺澤芳男君) 委員御指摘のように、企業の収益それから設備投資ともにまだまだ減り続けておりまして、日本の景気もその面ではなかなかぱっとしない、そういう低迷が続いているのは全く現実の問題であります。ただ、民間部門においてはストック調整が進展するなど、一部に明るい動きが見られることも事実であります。
 政府としては、ことしの二月に決定しました総規模十五兆円を上回る幅広い施策から成る総合経済対策を引き続き着実に実行していくとともに、景気に配慮しました六年度予算についても、その成立を待って着実に実行してまいりたいと考えております。
 こうした中で六年度の政府投資は高い伸びとなり、住宅投資も堅調に推移するものと見込まれております。これが国内需要全体に波及していくものと考えております。これに加えて、今度の大規模な所得税減税は、耐久消費財のストック調整の進展などと相まって個人消費の伸びを高めるとともに、民間部門のマインドを好転させるものと期待しております。以上のような動きの中で設備投資も回復に向かっていくものと考えております。
 こうして我が国経済は六年度中に本格的な回復軌道に乗るものと見込まれ、六年度の実質経済成長率は、政府見通しでお示しした二・四%程度になるよう一生懸命に努力してまいりたいと思っております。
#32
○斎藤文夫君 公共投資中心の在来の手法で、この三十八カ月とか言われている長期かつ深刻な不況を乗り越えていく、そういうことができるのか。特に、長官は証券界のいわゆる実学の御出身の大臣でしょう。御自身お考えになられて、こういうような方法でやっていけるのか。今もここで話が出たんですが、予算の提出が四月でしょう。今まだ衆議院にあるんですよ。これでいて、過去、昨年は二回にわたる補正予算、三次にわたる経済政策が打ち出されましたけれども、もう空鉄砲になっちゃうんじゃないか。
 なるほど、公共事業は地方その他いろいろ活発なところもありますのでも、その経済波及効果というのは昔の一時期のようなカンフル剤的即効剤にはなり得ない。それだけ今世の中が複雑多岐にわたってきている。それは証券という経済の最先端におられるあなたが一番わかるわけです。そういう方がお立場になられて、今までの手法で本当に景気回復、この秋から来年にかけてぐいと明るさが出てくる、そういうような自信を持っておっしゃれますか。
 それは確かに景気循環のサイクルから見ても、ぽつぽつ上がってきそうだと我々も期待しているんです。これだけ金をかけている。そういうような中で、絶対上がるだろうとは期待しながらも、例えばあなたが在庫調整とおっしゃるけれども、減産をした結果の在庫調整です。右へ倣えの生産で調整されていったらまだいいですよ。売れないから減産する、減産したからストック調整が行われる。特に製鉄関係なんていうのは大減産でしょう。これは大変なことなんです。その辺をどうお考えになりますか。
#33
○国務大臣(寺澤芳男君) 私の考えは、結局貯蓄と投資のバランスを今後どう変えていったらいいか。特に日本の場合に貯蓄、マイナス投資が中長期的に見ますと結局経常収支の黒字というふうになってこれがだんだんと大きくなってまいります。そういうことで一口で申しますと、消費を伸ばしていくということもさることながら投資、これは委員御指摘のように公共投資だけではだめなのでありまして、民間の設備投資、それから住宅、これがかなり伸びていくことによって景気全体を浮揚させる。その辺の観点からの見直しが必要だと私は思います。
#34
○斎藤文夫君 国民のためにぜひ期待をいたしておきます。
 それから、労働省おいでと思いますが雇用対策にちょっと触れさせていただきます。
 いよいよ企業がリストラを始めまして、人員削減、配置転換あるいは工場の統廃合、したがいまして失業者は二百万人を超えたと。統計を見ても非常に失業者の増加、雇用危機は深刻だと受けとめておるところでございます。
 本年四月の有効求人倍率、全国では〇・六六、私の神奈川県は○・四三、特に私の工業都市川崎においては、驚くなかれ〇・三九なんです。ですから働きたくても職がない。来年は特に、大学を出たけれども職がない、昭和初めのあのルンペンという言葉を思い出すような時代が今到来しつつある。こういう危機感を労働省はお持ちになっておると思っておりますけれども、一体この現状から判断をされて雇用対策をどういうふうにしていかれるのか。これも在来型では大変ですよということをお尋ねいたしたいのであります。
#35
○説明員(坂本哲也君) 景気低迷が長期化する中で、御指摘のように雇用失業情勢は大変厳しいものがございます。特に、大企業を中心といたしまして雇用過剰感には依然として高いものがございました。一部の企業では御指摘のような希望退職の募集ですとかあるいは解雇といった厳しい雇用調整が行われているわけでございます。
 私ども、こういった状況に対応いたしますために、昨年末取りまとめました雇用支援トータルプログラムによりまして積極的な雇用対策を実施していこうということで、平成六年度予算において三千億円を超える計上をいたしておるところでございます。
 具体的な取り組みといたしましては、各公共職業安定所におきまして、各企業労使の雇用維持努力に対する支援というものに力を入れていこうということで雇用調整助成金制度の拡充等を図っておるところでございますし、また、やむなく離職された方々につきましては、その早期再就職を促進しなきゃいかぬということで特定求職者雇用開発助成金制度を拡充いたしましてきめ細かな求人開拓ですとか職業相談、こういったものを通じまして再就職の促進に全力を挙げているところでございます。
 来年の学生の就職環境でございますけれども、これもなかなか厳しいものがあるということで、私どもといたしましても、例年にも増して早目に各事業主団体等に対しまして求人活動の要請に回っておりますし、さらに今後大規模な就職面接会ですとか、あるいはまた学生に対する求人情報の適切な提供とか、こういった取り組みに全力を挙げてまいりたいというふうに思っております。
#36
○斎藤文夫君 これは通産大臣にお尋ね申し上げます。
 今、来年学校を卒業する新卒の就職というのは大変狭い。とりわけ最近、私どもへ例年にも増してうちの息子だよ、うちのだれだれだよという御相談においでになる。特に女性の大学卒業予定者、四年制でも短大でも大変な狭い門だと。いろいろお尋ねしてみても、うちはこういう状況ですから特に女性の方は採用しません、そういう企業というのが私どもの承知する限りでは非常に多い。
 こういう状況の中で、産業界の元締めでいらっしゃるわけですから何か産業界にアピールするような方法をお考えになりませんか。
#37
○国務大臣(畑英次郎君) ただいま斎藤先生の御指摘のとおり、一つの問題意識としまして、産業の空洞化ということが、円高に伴って残念ながら問題をはらんで大きく進展されておりますことは御案内のとおりでございます。そういう中にございまして、ただいま来春卒業の学生さんたちの問題が大きな社会問題となっておるわけでございまして、連日のように新聞等々で報道がなされる。
 実は、そういうことの中にございまして、新規の市場開発の問題あるいはまた雇用情勢改善のために経済団体関係の方々にも先般来呼びかけをさせていただきまして、とりわけ女子学生についても御理解と御支援を願いたいというようなことをお話申し上げておるわけでございます。要は決め手といいますものは、やはり景気回復を急ぎまして新たな産業構造等々の推進を図る、そういうことをかなり早いテンポでやっていかなけりゃならぬなということの切実感を感ずるわけでございます。
 労働省とともに、ただいま先生御指摘のような意味合いのピンチを脱するべく引き続き全力を挙げてまいりたい、かように考えております。
#38
○斎藤文夫君 いよいよ通産大臣、本論に入らせてもらいます。
 日本は自由貿易体制を堅持するために犠牲を払ってもガット・ウルグアイ・ラウンドを成功させてきました。こういう中でふと振り返ってみると、日本が千三百億ドルの貿易黒字を持っている。対米では随分苦労してきたけれども、それでもなお五百億ドルぐらいのアンバランスである。漸減をする傾向にありますけれども、世界の主要国の中では日本が突出している。だから、これはアメリカのみならず、EUでも非常に大きな問題化しているきょうこのごろでございますね。これはよく御承知のところであります。
 そこで、いよいよ今日米の包括経済協議が進められて、アメリカは前々来、自民党内閣のときから数値目標を掲げて何とか日本にそれをのまそうとしている。日本はここ数年来必死の防戦をして何とかのらりくらりと逃げてきたというのが実態だと思うんです。そこで、今の交渉状況というものがどんなやりとりになっておられるのか。最後ほどこかで話し合いをつけていかなきゃいけない、その落ちどころというのはどういうお考えを持っていらっしゃるのか。
 加えて、時間がありませんから加えさせていただきますけれども、日本とアメリカでお互いに基礎認識にずれがある。これは例えば、日本は今までいい物を安くつくって、お買いをいただければアメリカ国民の生活向上にも役に立つ、いいことじゃないですかと。日本としては、何にも資源のない国ですから資源を買ってきて加工して、そしてそれに付加価値をつけて輸出をする貿易立国日本としての当然これは国民的な国家的な活路ですから、これでやってきた。ところが今、そういう感覚では世界貿易の中で突出する日本というものが許されなくなってしまった。ここに日本が今世界から場合によっては袋たたきに遭う危険すら感ずるわけですから、どう貿易バランスというものを調整していくのか。残念ながら少し落としていかざるを得ない、そういうようなことをやるのか。
 それは今政府の御方針を見ていますと、内需拡大という形でそれを実行したい、これもわかる。しかし、本当に内需拡大と言っても限られた内需拡大。しかも、今の円高だとどんどん海外へ生産手段が流出をしつつある。ますますもって、高齢化社会を迎える国内における産業力あるいは国際競争力というものが減退をしていく。こういう状況で、本当に貿易バランスというものを考えてこれからの具体的な手段、方法というものはどうあるべきなのか。これは難しい問題で、御説明だとこんなになっちゃうかもしれませんが、御所見だけでもちょっとお聞かせ願います。
#39
○国務大臣(畑英次郎君) ある意味におきましては今、我が国最大の懸案の難しい問題だというような位置づけができるんではないかというように考えるわけでございます。そういう中にございまして、たまたまと申し上げた方がいいと思いますけれども、ようやくにして日米間の経済摩擦に対する協議再開の一応レールが敷かれたという段階に相なっておるわけでございますが、ただいま先生御指摘のとおり、彼我双方におきましての、残念ながらまだまだ基本的な問題におきましても認識のずれがあることはこれは事実であります。
 しかしながら、例えば数値目標の問題等々につきましてはようやくそれなりの御理解をいただいた。しかしながら、客観基準等々の問題が場合によっては限りなく数値目標に近づくんではないかというような意味合いでの懸念材料も残されておるわけでございますが、私の立場にございましては、日米間、これは経済問題に限らず万般にわたりまして積極的な話し合いの中でやはり双方がそれなりの譲り合いの中で合意点を見出す、この限りない努力を引き続きやっていく必要が私はあるんではないかなというふうに考えております。
 とりわけ、先ほども申し上げましたとおり円高、ようやく最近は百五円といったような前後に相なっておるわけでございますが、いわゆる産業界が期待する数値、あるいはまた中小企業のお立場にございましてはまだまだ大変な大問題であるわけでございますから、この辺につきましては、ただいま先生御指摘のようないわゆる規制緩和の問題あるいはまた市場開放の問題等々、そういう中における我が国の問題解決を図りながら、主張すべき点は主張しながら事柄の決着を図っていかなくてはならぬ、かように考えているところでございます。
#40
○斎藤文夫君 日本の立場というものにアメリカとの認識のずれがあるわけです。これは本当に国内が、国際化あるいは自由化という波の中で流通からありとあらゆる分野で大変革が起きている。この変革は明治維新の変革よりもっと大変なんだ、そういう認識を持つと同時に、我々のやっぱり主張すべきことはとことん主張していただかなければならない。その意味では、特に今の御意見を聞いてお願いをさらにしてまいりたいと思います。
 それから、大臣のお顔を見るとどうしてもガット・ウルグアイ・ラウンドがちらつくわけでありますが、大臣が最後幕を閉められた、重要な役割を果たされた。ある意味においては本当に大丈夫なのかという気持ちを持っておるわけでありますが、その後WTO、世界貿易機構というものが引き継いで自由貿易体制をつくり上げていこう、こういうことになる。
 ところが、アメリカのずっとここ数年来のやり方というものは、自由貿易体制と言いながら、何か問題があれば日米間のようにスーパー三〇一条をすぐ復活してきてたたくぞという姿勢を示したり、あるいは二国間でそれは解決しろとか、そのくせNAFTAのように北米の経済機構というものをつくってそれでブロック化を進めるような雰囲気のものを持っている。
 日米間というのはそうでなくてもぎすぎすしている。ましてや戦後五十年、ことしは日米間で見直されなきゃならない時期に来た。ある本を読んだら、もうアメリカは日米安保条約なんて迷惑がっているよ、いつでも何か日本にあったときは手を引くよ、こういうアメリカからのニュースも流れてきたりしているんですが、それはさておきまして、ある意味において日米間が本当の意味で新しい時代を迎えるわけですから、やっぱり日本の主張というものを強く指摘していただきたい。
 そこで、WTOに対して日本は今後、当然ガット・ウルグアイ・ラウンドをあれだけ成功させるために犠牲を払ったわけですから、これに対して大きな期待を持っておられると思いますが、大臣の所感をお述べいただきたい。
#41
○国務大臣(畑英次郎君) 私は、斎藤先生御指摘のとおり、このウルグアイ・ラウンド問題は今日この立場にございましてもそれなりの責任と重大関心を持って見詰めていかなければならない、そしてまた微力ながらでき得ることは最善を尽くしていかなくちゃならぬというような思いに駆られるわけでございます。私は、平和の分野では国連、そしてまた経済分野ではいわゆるWTO、この二本柱という方向でのこれからの展開を念頭に置いておくべきではないかなというふうに考えます。
 実は、せんだってポーランドのワルシャワで東西経済担当閣僚会議がございましたときにも、ドイツの担当大臣が、日米間のみで何かこそこそ話で物事を決めるようなことはしないでもらいたいというようなことが指摘をされたわけでございますが、私は、今日米間の経済問題もそうでございますが、これはいわゆる全世界の中で通用するような問題の協議をし、決着を図らなければならない。と同様に、これからの貿易ルールのありようといいますものも、いわゆる二国間ということよりも多国間できちっと世界のルールとしての位置づけということが大切であろうかというふうに考えるわけでございます。
 私は、さような意味合いでの三〇一条の問題あるいは農業問題のウエーバー条項等々の問題、この問題はこれからの世界世論、世界のルール、世界の常識という中で問題をきちっと解決ができるような方向へのWTOの位置づけの強化を引き続き図っていかなければならぬ、かように考えております。
#42
○斎藤文夫君 話を変えます。
 為替レートについて、大蔵省おいでいただいているんで、これは一言でいいんです、今一ドル百五円、その前後でありますけれども、この水準を率直に言って日本の国力から見てどうお考えになるか。一言で言えというのは酷でありますけれども、お願いをいたします。
#43
○説明員(河上信彦君) お答えいたします。
 為替相場につきましては、私ども経済の基礎的諸条件を反映いたしました安定的な推移をたどることが望ましい、かように考えておるところでございまして、こうした理解は御案内のとおり主要各国共通のものとなっておるところでございます。
 ただいま具体的な水準についてのコメントのお尋ねでございますが、私ども通貨当局にある立場の者といたしましては、為替市場に不測の影響を及ぼす懸念もございますので、具体的な水準につきましてコメントすることは差し控えておるところでございまして、この点ぜひ御理解お願いしたいと存じます。
#44
○斎藤文夫君 経済企画庁、景気の立場から見て今の百五円、どう思いますか。
#45
○政府委員(小林惇君) 円高の影響につきましては、一般論ではプラスとマイナスの両面にわたりいろいろな影響がございますけれども、委員御指摘のとおり、急激な円高につきましては輸出産業の手取りを減少させ企業収益を圧迫させる、それは結果として企業の設備投資に対する意欲等を減殺する可能性がありますので、全体の我が国経済に対してはかなり厳しい影響を与える可能性がございます。
#46
○斎藤文夫君 通産省、先ほど大臣もちょっとお触れになったんですが、特に中小企業について今の百五円というのはこれは本当に大変なことでありまして、私どもの承知する限り、優秀な中小企業ですら百二十円、それがもう生命線だと言っているんですね。ですから、優秀な企業ですから海外へどんどん輸出した、百五円になったらもう生産性向上なんて内部の合理化では埋められる金額ではない、したがって百二十円ぐらいに円安誘導をしてくれたら一気かせいに立ち直るし景気は回復する、こういう経営者の悲痛な叫びをお聞きしているんですが、どう思いますか。
#47
○政府委員(中川勝弘君) 最近の急激な円高が大変輸出企業を中心にしまして大きな影響を与えております。輸出の企業の採算レートは、業種業態あるいは企業の規模等によりまして差異がございますので、一概には論じられませんけれども、私どもの中小企業庁の方で調査をした結果によりますと、これは昨年の十二月ぐらいの調査でございますが、特に中小企業の輸出採算レートは百十円から百二十円ぐらいが採算レートであるとする企業が多いという事情になっております。そういう意味では、最近の円高がこうした輸出産業のみならず自動車産業等のすそ野の広い産業を通じまして、直接輸出を行っていない産業までにも大きな影響を与えておりまして、私どもとしても懸念をしているところでございます。
#48
○斎藤文夫君 そこで中小企業問題でありますが、本年度予算、大蔵大臣の本会議における予算説明では千八百七十七億円、特別会計を含みますと二千百四十六億円、前年対比九十九億円増、融資は別でありますが発表されました。今の中小企業が置かれている立場は、畑大臣、前任の農水大臣のお立場で、農林水産行政と中小企業一般産業に対する政府の対策というものは、これは御承知のように私どもから言わせたら大変落差がある。
 例えば休耕田にすれば、いろいろな意味でお願いをしたんだ、何らかの対応をいたしますよと。ところが、一般の中小企業は、隣にスーパーができて倒産してもだれもそれに対する補助助成というものはないわけです。ただそれだけを農水産行政と比較するのは御無礼でありますけれども、お立場的に前任がそうでいらっしゃったからごらんをいただければ、一般産業とりわけ中小企業というものが九〇%、しかも今の日本の経済発展の原動力をなしてきた、そういうことから考えるとまことに手薄いものがある。
 平年度並みのこの対策で緊急事態の中小企業が果たして生存していけるかどうか。中小企業の実態に対する認識がいささか、失礼ですが甘いんじゃないか。要するに三年に及ぶ不況、これなぜ今まで耐えてきたか。結局今までの蓄積を、自分の足を食べるがごとく必死で歯を食いしばってこらえてきた。でも月々の倒産、とりわけ不況型倒産というものは御承知のようにどんどんふえてきている。こういう状況から見ると、平年並みの予算で中小企業対策十分ですよということは、私はちょっと言い過ぎかなと。
 ですから、今度は自民党が平成六年度予算の組み替え動議で、中小企業対策の予算としてさらに九千三百億円ぐらいプラスしなさいという主張をしているというのも私は当たり前のことだ。しっかりこの辺を見きわめないと、ただ一方景気は上がりましたといってもばたばたと討ち死にする企業がたくさん出てくる、この実態認識をしっかりしてくれとお願いをしたいと思います。いかがですか。
#49
○国務大臣(畑英次郎君) ただいま御指摘がございましたとおり、私の実感といたしましては、過密過疎の問題が一つの大きな国民的課題の中における、とりわけ地方の中小企業のお立場等々、こういうことを考えますと、従来の一般的な手法でもって中小企業のお立場に対応はできないぞという御指摘はそのとおりでございます。
 たまたま平成五年度、三次にわたります補正予算の中にございましてそれ相応の予算計上あるいはまた金融支援措置等々をさせていただいたことは御案内のとおりでございまして、釈迦に説法でございますけれども、今日いささかしのぐことができる一つの要素をつくり出しておるのはその三次にわたります補正予算であり金融措置ではなかったかなというふうに考えるわけでございます。御承知のとおり、三次にわたる補正予算のトータルにおきましては約二千億を超した予算計上をし、そしてまた四兆円前後の金融措置の枠をつくらせていただいた。こういうことが今ようやくいささか役に立っておる。
 しかしながらまだまだ厳しい実態にある、さような意味合いにおきましての今後の、新たにお認めをいただきましたいわゆる新分野進出円滑化法等々の趣旨を生かしまして、積極果敢な中小企業対策の展開をやっていかなければならない、さような認識に立っておるわけでございます。
#50
○斎藤文夫君 それから、規制緩和の今一番手として大店法の段階的解消とか、いろいろ論議されているようでございます。大店法ができるまでのいろんな経過は、御承知のように小売店商店街の命をかけた闘いの中でできた法律だと私は思っているんです。ところが、いろいろやはり問題があって大改正に次ぐ大改正、言うなら緩和に次ぐ緩和という形でやってきました。ここで本当に大店法がなくなると中小零細商業者はもう本当になくなっていく。それは即その商店街なり町というものが全部なくなっていくんです。いわゆる町としてのコミュニティーの大変な破壊につながるという御認識をぜひ持っていただきたい。
 なれば、この五月一日から大店法が緩和されていろいろと実態が緩くなりました。例えば、もう既に一流大型スーパーは夜の九時まで営業をやる。ところが今、中小零細企業、どんな駅前のいい場所にあっても、朝十時から夜九時まで営業するとなれば二直制をとらなきゃいけない。一方では労働時間短縮で絞められる、一方で二直の人件費を中小零細企業持てよと言われたって、それは持てないですよ。こういうところに大型店と零細企業との残念ながら差がある。
 しかも、大型店同士の出店争いは鎮静化したという御説明があるけれども、実態はブルドーザー商法の見本だと私は思っているんです。そういう中で共存共栄を図る、大型店をカットして、そしてウイングとして専門店がと、理想はわかる。でもその理想に至るにはまだまだ大変な距離があるということを御認識いただく、そうなれば大店法というものを本当になくしちゃうのか、その辺の御方針を特に明確にしていただきたい。
#51
○国務大臣(畑英次郎君) 先生御指摘のとおり、五月一日から大店法のいわば緩和された姿がただいま展開をされておりまして、私の耳に入ってまいりますところにございましても、かなり売り上げが上がりつつあるというようなことが言われておるわけでございまして、逆に申し上げれば、それだけまた中小企業のお立場ではいろいろ問題が新たな悩みとして、深刻な問題として目前に横たわっておるということではないかなというふうに考えるわけでございます。
 この五月一日から行われました大店舗法の改正の問題は、中小企業関係の方々も御参加を賜る審議の中でいわばぎりぎりの御理解を願って、最大限の御辛抱を願っての取り組みであったというようにも理解をいたしておるわけでございます。私は今、いわばこれは思い切った規制緩和がなされた姿の中にございます実態からしましては、しばらく実態を把握して物事の判断をすべきと、慎重な立場に立っておるわけでございます。
#52
○斎藤文夫君 大臣の所信を承りまして、ぜひ現状をしっかり把握していただいて、小売商店がぎりぎり生きていける道だけは通産行政の中でもきちんと開いていただきたい、このように思います。
 最後に、やはり中小企業に関係のあることですから、大蔵省、おいでをいただいているのでお尋ねをいたします。
 消費税のまたいろんな意味の見直しか言われておるところですが、御承知のように、導入時に免税とかあるいは簡易課税あるいは限界控除、これを創設したのは中小零細企業がなかなか三%の消費税を転嫁できない、あるいは事務能力がない、だからこそこういう便法で配慮をということでそのとき特に中小零細企業のためにつくった法律であるわけです。
 ところがその後、益税だというようなことで厳しく指摘をされているんですが、その益税の実態と、それから中小企業として三%消費税が転嫁できないと言っていたが最近どうできるようになったのか。ただ、政府税調でいろいろ意見を出すけれども、これらについては要するに今までの中小零細企業の置かれた立場から見てあくまでも慎重な配慮を私はされるべきではないかと思っているんですけれども、その辺についそお話があれば聞かせていただきたい。
 以上でございます。
#53
○説明員(福田進君) まず、転嫁のお話から御説明いたします。消費税の転嫁の状況につきましては、通産省がなさいました調査によりますとおおむね次のとおりでございます。
 すなわち、消費税の導入前には事業者の転嫁に対する懸念が指摘されたわけでございますが、結果といたしまして全体としては円滑かつ適正な転嫁が行われた、こういう調査結果になっております。ただ、小売業者やサービス業者などのいわゆる対消費者取引を主体といたします事業者の一部では転嫁を行っていないものの比率が高くなっていまして、これは事業者向け特例措置の適用を受ける中小零細事業者の割合が高いためと考えられます。特に、今御指摘ございました免税点制度の対象となる課税売上高三千万円以下の事業者の転嫁割合は低く、小売業者で約三分の一の事業者、またサービス業者で約三分の二の事業者がほとんど転嫁できていないという結果となっております。
 それから、今益税というお話がございましたが、益税という言葉につきましていろいろな方がいろいろなところでおっしゃっておられます。その定義として明確なものがあるわけではございませんが、一般的には中小事業者に対する特例措置によりまして消費者が支払った消費税相当額のうち事業者の手元に残っているもの、こういう意味で使われていると考えられます。これらの中小特例措置によりましてどの程度の益税が生じているかは、各事業者の転嫁状況を把握しなければ推計できない性質のものでございます。各事業者の転嫁の程度を正確に把握することは現実問題として不可能でございますので、益税額を計算することは困難でございます。この点は御理解いただきたいと思います。
 ただ、税制調査会の中期答申に示されておりましたように、中小企業者の転嫁の割合が相対的に低いこと、また平成三年の消費税法の改正によりまして、簡易課税制度のみなし仕入れ率がおおむね実態に即したものとされていること等から推測いたしまして、事業者の手元に残る額が広範かつ多額に生じているとは考えにくい、こういうふうに思っております。
 なお、これらの特例措置によって他方で減収額というのが生じてくることとなりますが、この減収額とは、特例措置がなければ本来納付されたはずの税額を言いまして、各事業者の転嫁状況いかんにかかわらずこれは発生するものでございます。適正転嫁によって益税が発生しない場合、益税が発生している場合、益税が発生していない場合、さらには転嫁ができず、いわゆる益税の逆でございますが損税が発生している場合にも減収額は生じるわけでございまして、益税の額と減収額とは全く異なる概念であることも、これも御理解いただきたいと思います。
 なお最後に、中小事業者の納税事務に配慮して設けられましたこの特例措置でございますが、まさに先生おっしゃいますように、これは消費税のような間接税の仕組みの中に事業者の事務負担を軽減する措置を設けること自体、それ自体には十分私どもは合理性があると考えております。諸外国においても採用されておりますので、その認識は同じでございます。
 ただ、この具体的な制度のあり方につきましては、税制における公平性と簡素性の間でどのように均衡を図るべきという政策判断の問題でございまして、消費税が導入されて六年目でございますが、国民の間に定着いたしまして、事業者も納税事務に習熟してきたと認められる今日におきましては、さきの益税問題にかかわりなく、公平性と簡素性という二つの要請をどのようにバランスさせるか、こういう観点から検討が行われるべきものだ、こういうふうに考えております。
#54
○谷畑孝君 まず、畑通産大臣にこの場をおかりしてお礼を申し上げておきたいと思うんですが、過日、大臣就任早々、休日にもかかわらず被差別部落、奈良のいわゆる部落産業を視察していただきました。私どもの一生懸命に頑張っておられる部落産業を担っている皆さんも非常に大喜びで、今後ともぜひまた理解を深めてもらってひとつ頑張っていただきたい、こういうお話でございました。本当にありがとうございました。
 御存じのように、部落差別の場合は士農工商えた非人と言われた身分制度に基づいて、そういうことの中で今なお差別をされてきた歴史、その中でとりわけ産業そのもの自身が非常に狭められた形の中で従事をするということにもなります。それが御存じのように、例えば牛肉であれば自由化の中で非常に厳しい状況に立たされてしまっていますし、また靴、革という産業も、ウルグアイ・ラウンドのTQ制度の見直しということで、今まで少し関税を上げてもらっていたと思うんですけれども、これも自由貿易の中で見直されて非常に厳しくなってくる、こういうことでございます。そのあたりも認識を深めていただいて、ぜひ今後とも通産行政の中でひとつ前向きな形で取り組んでいただくことをお願い申し上げましてお礼にかえておきたい、このように思います。
 さて、本題に入っていきたいわけですが、斎藤委員とほぼ同じ質問になってしまうことにもなるわけですけれども、また少し角度を変え、また問題意識を少し議論させていただきながら通産大臣からのお答えをいただきたい、このように思っているわけであります。
 まず、クリントン大統領と前細川総理との日米包括経済協議の物別れ、こういうことで国民の中におきましても大変な問題認識を深めていった、このように実は思うわけでございます。斎藤委員からもお話がありましたように、日本の経常収支の黒字あるいは貿易黒字、なかなか減らない。有効な手だてがあるようでない。規制緩和だって、総論は賛成、各論になってきますとやっぱり歴史的な過程がありますからなかなか難しい。また内需拡大だ、こう言っても、新社会資本整備どうするんだということを言ってみても、結局予算編成になってきますと従来のシェアをそのまま何%かこうだ、こういう枠組みでとらわれてしまう。
 我々が生まれて、気がついたときにはもうすべての道路が産業道路という名前でした。私の隣の道路も産業道路でしたし、よその県へ行ってもどこの県行っても産業道路。何もない日本の社会ですからまさしく勤勉に働く、一生懸命いいものをつくる、そういうことで輸出によって日本が栄えてきたことは事実です。私どももいいものをつくって安く売ることは何が悪いかと、こういう意識が国民の中には当然あるわけなんです。
 しかし、この貿易黒字ということ、いかに今大きな問題になってどんな問題があらわれたかといいますと、今お話がございましたように、一つは円高ということの中ではたばたと中小零細企業がつぶれていく大変な状況になっている。もう一つは、そのためにどうしても海外へ出ていかなければならない、そうすると空洞化が起こる。
 そんなこともあって、けさの新聞によりますと、経済成長率が三%未満ならこれは二〇〇〇年になっても労働力が過剰になるんだ、今日の雇用問題は不況だからという一過性の問題じゃなくてすぐれて長期にわたる、失業もヨーロッパ並みといいましょうか非常に高い状況に来るという、そういうような何か非常に暗くなっていくようなニュースであったわけです。やはり日本だけがひとり勝ちをしている貿易黒字、この問題はやっぱり避けることができない。
 そこで、ようやく六月一日から再開ということになっております。これは何としてもいい形で解決していくという方向でしていかないと、国民生活のさまざまな分野において影響があるので、そのことに対する決意と所信をひとつ伺っておきたいと思います。
#55
○国務大臣(畑英次郎君) ただいま谷畑先生御指摘のとおり、我が国の今最大の政治課題であり経済分野の大問題でありますこの経常収支黒字の問題あるいはまた日米間の経済摩擦の問題、円高等々によります産業の空洞化等々まことに厳しく、大問題を今日抱えております。
 さような中にございまして、この日米間の経済摩擦問題を何としても解決をしなければならない、この点におきましては双方が幸いにして基本的な方向性あるいはまた問題意識が一致をいたしておるわけでございますから、さような意味合いでの協議再開ということは、私は何としても協議再開を即やはり合意を見るべくベストを尽くしていかなければならない、かように受けとめさせていただいておるわけでございます。
 ただ、従来から言われておりましたいわゆる数値目標の問題は、とりわけ通産省の立場から言わせていただきますと民間企業のいわゆる経済行為であるわけでございますから、政府がそれに対して数値目標を設置して具体的な国同士の約束事をするというような意味合いのものはこれは何としても排除をしていかなければならない。
 さはさりながら、今御指摘がございましたような意味合いの中にございまして、客観基準等々の運用、ありよう、そういうようなものによりまして一定の時期が過ぎ、一定のいわゆる経済行為が進んだ段階でその実態を双方が検討を加えて、見直しをして、さらなる努力を、お互いに問題点を指摘し合うというような意味合いでのこれからの努力といいますものは大切ではなかろうかなというように考えるわけでございまして、いわば管理貿易ということをきちっと避けながらもお互いがそこに十二分に理解のできる取り組み、話し合いの場、そういうものをつくり上げていかなければならない、かように考えるわけでございます。
 ひとり日本とアメリカの問題じゃなくして、世界経済に大きく不安も与え、問題を惹起いたしております今日にございましては、ただいま申し上げましたような意味合いで、産業界の方々の基本的なあるべき姿勢といいますものは堅持しながらも、何としても合意を図るべく通産サイドでも努力を重ねてまいりたい、かように考えております。
#56
○谷畑孝君 これは通告はしていませんけれども、通産省の方に少しお聞きしたいんです。
 結局、貿易黒字を適正なものにしていこうとすれば、輸入をふやすか輸出を少し抑えるか、先ほど言いましたように、内需拡大なりあるいは大きな産業の転換、規制緩和等を含めてもっと日本国内の中における市場、こういうさまざまな要素が出てくるわけです。
 その中でどうしても交渉となってきますと、数値目標ということがいや応なしにテーマとして出てくる、あるいは目に見えぬその効果、こういうことが出てくると思うんです。その中で、いわゆる客観基準という問題と数値目標というのはどう違うのか。あるいはまた、この客観基準のとり方もある意味でとらえられると数値目標的要素の強い客観水準になるし、また自分の国の立場で考えると、いやそうじゃない、アバウトなものだということにもなるだろう。そこらの点は現在どう日米において見解があるのか、少しわかりましたらわかる範囲で結構ですから教えていただきたいと思います。
#57
○政府委員(前田正博君) ただいま大臣からお答えのありましたとおり、日米フレームワーク協議は、客観基準、それにもう一つのこの協議の目的について日米が合意をした結果再開をされたわけでございます。その際、この数値目標でございますけれども、客観基準として数値目標を決めることはないという合意のもとにこの協議は再開をされたわけでございます。
 ただ、そうは言いましてもお互いの交渉事でありますから、米側が将来にかかわる指標を提案してくる可能性は排除されるわけではございませんが、日本といたしましては、例えば将来にかかわる指標やあるいはトレンドを将来に延ばすような形で自由な経済活動に対する介入を招くようなものであれば、名称のいかんを問わずこれは市場経済の原則や規制緩和を進めようとする我が国の方針に反することでありますから、これは私ども受け入れることはできないと思っておるわけでございます。
#58
○谷畑孝君 わかりました。
 それでは、この件について最後にもう一度通産大臣にお聞きをして、次の問題にいきたいと思います。
 大事な、せっかく再開された日米包括経済協議ということでありますから、前回のような物別れ、そういうことじゃなくて、ぜひひとつ実りのあるものにしていただきたいと思うんです。それには単なる口約束というよりも実行ということが非常に大事だ、あるいは内外ともども日本はこうするんだ、こういうことが必要だと思うんです。
 そういう意味で、政府経済見通しの中で、経常黒字を九四年度にはGDP、国内総生産の二・八%に縮小するということが明記されているわけですが、これらをぜひ二%程度に経常黒字を抑えていくんだ、こういうような国の意思表示と言っていいのか、国内向けあるいは海外向けにそういうことができないものかどうか。その点についてお伺いして、次の質問に移りたいと思います。
#59
○政府委員(前田正博君) 政府経済見通しにおきましてはただいま御指摘のような数字が掲げられておるわけでございますが、政府経済見通しにおけるいろいろな数字といいますのは、これはいずれも民間活動が我が国の場合はその主体をなしておりますからある程度の幅をもって考えるべきものであります。
   〔委員長退席、理事沓掛哲男君着席〕特にそのうちでも経常収支は、予見しがたい国際的な環境の変化がございますから、特定の数字を公約として掲げるようなことは不適切であみうかと思います。したがいまして、いろいろな日米の協議その他におきましても、こうしたマクロの数値目標的なものを目標やあるいは公約としてお約束することは難しいだろうと思います。
#60
○谷畑孝君 そうだろうと思います。ぜひ実りのある日米交渉をひとつ成功させていただくことをお願いを申し上げまして、次に移りたいと思います。
 次に、寺澤経済企画庁長官にお聞きするんですが、いわゆる貿易黒字というものを削減していくためにはやはりどうしても内需拡大であると、そういうことが言われているわけです。
 その中で、非常に特筆すべきものが通商白書の中にも実は書かれています。それはどういうことかといいますと、日本が巨額の経常黒字を抱え、海外に資産を蓄積してきたことについて、最適な選択ではなかったことと指摘。円高により対外資産が目減りをしている上、高齢化社会に必要な国内の資産形成が十分でなかったため、今後は高齢化社会に備え経常黒字を国内投資に回すべきだとしている。これは、私、非常に大事な指摘じゃないかと思うんです。先ほど言いましたように、円高という形の中でどうしても海外に投資が向いていくわけですが、後ほどまたお聞きしますけれども、中小企業リストラ支援法もそういうことを前提にした法律であるわけなんです。
 しかし、日本の社会資本整備がこれだけの大国で本当に十分なのか。下水道だって、私の町でも大体六〇%、ある町に行きますと時には五〇%、四〇%と、下水道ですら一〇〇%が達成されていない。こういう社会資本ということでありますから、これから高齢化社会等々の中で、ゆとりある社会の中で、非常に充実した社会資本整備をしなきゃならぬと思うんですね。そのためには経済それ自身の方向性あるいは計画性を私は大いに改めていく必要があるんじゃないか。
 そこで質問ですが、公共投資基本計画です。二〇〇〇年までの十年間で四百二十兆円、こういうことになっておるわけですけれども、景気の回復ということでもう何回かにわたって補正予算が組まれたりしていますね。そういうことですから、とにかくこれを大いに見直してもっと上積みをしていく必要があるのではないか。百兆円ぐらいの上積みをしていく必要があるんじゃないか。その上積みの中で、新社会資本整備というのか、高齢化社会に向けた町づくりというのか、そんなところにもっとやはり資本を投下していく必要があるんじゃないか。そういうことを思いますけれども、どのようにお考えですか、質問いたします。
#61
○国務大臣(寺澤芳男君) 日本が二十一世紀に向かって高齢化社会に突入していく、我々は子供たちにあるいは孫たちにちゃんとした社会資本の整備を、まだ日本が活力のあるうちにやっておかなければならないのだろうと私は思います。
 日本の国内での公共投資、すなわち社会資本の整備ということは、委員がいみじくも御指摘になったように、とりもなおさず日本国内への投資ということで、海外への投資がその分だけ減るわけですから、これは経常収支の黒字を減らすということにも大きな意味を持つわけで一挙両得である、こう思います。
 今御指摘の公共投資基本計画を変えて、少し積み増したらどうかという御意見ではないかと思うんですが、経済企画庁の中に社会資本整備研究会というものが発足いたしまして、積み増しをも含めました配分、再配分をも含めましたいろんな研究を今始めたところであります。これを早急にやっていきたいと思います。
#62
○谷畑孝君 ぜひそういう立場で、今までほんまに見通しも含めて大きな批判も受けているさなかですから、経済企画庁ここにありということで頑張っていただきたい、こう思います。
 大分時間が過ぎてきましたので、用意しているものが消化されなくなってしまいますので、少しはしょりたいと思うんですが、次に中小企業リストラ支援法について一括してお聞きしておきます。
 この法案が成立をしてからそれぞれ各都道府県においてばらつきがある、そういうように聞いています。これを非常に有効的に利用しているところの地域もあれば、ほとんどされていないところもあると聞いています。そこらの点についてどうかということ。
   〔理事沓掛哲男君退席、委員長着席〕
 それと同時に、私ども中小企業の皆さんにいろいろお話を聞いておりますと、せっかくこの法律に基づいて海外に展開をしたいという場合においてどうしても情報が不足をする、こういうことが多いわけであります。そういう意味では、ジェトロが通産省外郭団体の中で長い経験も実績もあります。もちろんジェトロも情報についてはかかわったりいろいろしておるわけですけれども、制度的にそういう中小企業の皆さんがもっとわかりやすく便利に情報を得ることができるような、そういうことが非常に大事じゃないか。そういう情報の集約をもっと政策として確立していただきたいと思います。この点についてはどうですか。
#63
○政府委員(村田成二君) ただいまの御質問、二点に分かれるかと思いますが、第一点についてとりあえず私の方からまずお答えを申し上げたいと思います。
 確かに、昨年の臨時国会で御審議いただきました後、十一月二十五日にこの法律が公布、施行されたわけでございまして、その後約六カ月強だっております。約六カ月強の間に、新分野進出等を行おうとする企業が都道府県知事の計画承認を得ることになっておりますが、その承認件数で見ますと先週末までで三百七十八件の承認がなされております。ただ、おっしゃいますように、これを地域的に見ますとかなりばらつきがあることも事実でございます。
 ただ、これはいろいろ事情があろうかと思いますが、私どもとしましてはまず一つは、やはり業種的に見ましてかなり特定の業種に新分野進出の動きが集中している、その特定業種が集積されている、あるいは集まっている地方が割合と偏っているというのが第一点あろうかと思います。
 それから第二点は、やはり工場が地方にありましても本社が違うところにあるというケースがかなり多うございまして、この承認は本社の所在地で行うことになっておりますので、そういった関係で本社が集中している地域に割合と集中している、こういうことかと思います。
 それから第三点は、今し方申し上げましたように、本法が施行されましてまだ六カ月強でございます。私どもいろいろな形で周知徹底、PR、宣伝をやっておるわけでございますけれども、引き続きこうした努力を重ねることによりまして、より多くの中小企業の皆さんにせっかくおつくりいただいたいい制度をどんどん御利用いただくために頑張ってまいりたい、かように存じている次第でございます。
 それから、ジェトロ等の海外進出に当たりましての件でございますが、長官の方からお答え申し上げます。
#64
○政府委員(長田英機君) 先生御指摘のとおり、特に中小企業者の場合には情報の提供が非常に重要だと思います。こういう点から、中小企業の関係では、中小企業事業団とジェトロとこの二つの主力の機関が関係をしております。
 中小企業事業団につきましては、現地の情報、海外投資の成功、失敗事例をつくりましたり、講習会をしたり、あるいは中小企業者に対して直接専門家による個別指導を行っております。また、中小企業大学校というのを中小企業事業団が持っておりますが、この大学校におきまして現地に派遣される中小企業の管理者を対象に研修をやったりしております。
 さらに、ジェトロにおきましては、特に海外の投資国における交通とか上下水道、電力、いわばインフラ、そういう面の情報等につきまして具体的な海外情報の提供を積極的に海外の事務所において収集し、これを中小企業者に提供するということをやっております。
#65
○谷畑孝君 時間の関係があります。
 最後に、これも斎藤委員の方から厳しく質問をされたわけでありますが、やっぱり心配を私もしておる一人でございまして、大店法の問題です。
 行政改革推進本部の意見書の中で大唐法を五年以内に廃止する、そういうものが記事になっておりますし、また連立与党の行財政小委員会でも段階的に廃止と。これは御存じのように、大店法の改正をしてだんだん骨抜きになって、今や一〇〇%大型店もフリーパスで一年以内にでき上がって大変な状況に実はなっています。
 私どもがいろんな旅をしても、その町、一番散歩するところでおもしろいのはやっぱり商店街がおもしろいわけです、その地域のにおいが残っているわけです。また、その地域の祭りも自治会と商店街が大体一生懸命にその地域の伝統を守っているわけで、これはぜひ大臣、廃止するということじゃなくて、これからぜひ当該者から意見を聞く中で判断していくんだということは心強いと、もう一度ひとついい決意をお聞きして私の質問を終わりたいと思います。
 関連を村田さんに引き継いでいきたいと思います。
#66
○国務大臣(畑英次郎君) 御指摘のとおり、この規制緩和が先月、ある意味では思い切った規制緩和というような要素を含んだ展開が始まったばかりでございますから、その後の実態把握等々をいたしましてから問題を論議し合う慎重な取り組みが必要である、かように考えております。
#67
○谷畑孝君 ありがとうございました。
#68
○村田誠醇君 一点だけ御質問したいんですけれども、今政府税調でもそれから与党の税制協議会でも税制に関する論議をしているわけでございますが、先般大蔵省から税制改革に関する機械的試算というのが出されたわけです。このタイトルだけを見てみると極めて機械的に技術的にやった、こういうふうになっているんですけれども、この中身をよく読んでみますと、これはもう意図的にやっている。本来はこれは大蔵委員会なり予算委員会でやらなきゃいけないんですけれども、通産省の関係するところだけ取り出して、一体通産省の見解はどうなのか、それをお聞きしたい。
 というのは、まず前提条件として、この計算の前提条件となっている本年度の減税額、これ六兆二千億と数字が押さえられているんですけれども、この内訳の中に法人特別税の廃止と普通乗用自動車に係る消費税率の特例の廃止の金額も入っているんです。これ両方合わせると約四千億。この二つの税制というのは、国会の中でいろいろ論議がありましたけれども、有期限の過渡的につくった税制なんです。これがいろんな論議の過程の中で期限が来ましたから廃止をした、これが前提条件なんです。
 その結果として、大蔵省からすれば歳入減かもしれないけれども、国会で論議してきた過程の中でいけば当然廃止されて当たり前の話で、それを減収になったからといってこの部分を消費税を上げることで賄うという前提で計算されたこの機械的計算というんですか、これは極めて私は悪質なやり方だと思います。国会の今までの論議というのを全部無視しているんです。過渡的である一時的な税制を恒久的な税制に振りかえるんです。
 そして、大蔵省からすれば減収額というんですか、歳入減をカバーしようなんという発想自体は私はこれ極めて不見識な計算だと思うのに、通産省はこのことに対して一言の意見、見解というのを述べていないんです。私どもからすると、この見解あるいはこういう計算を通産省は是とする考え方とすれば、それでは消費税を上げなくて法人特別税や消費税率の特例をもう一回復活させたっていいじゃないかという論議は我々の中には出てくるんです、それは皆さんの賛同を得られるかどうかというのは別として。
 したがって、こういった前提で計算された税制の論議が進んでいるというにもかかわらず、通産省の見解というのは一体これを是とした立場でやっておられるのか、それともこういう計算方式はおかしいんだという意味で対応なさっているのか、あるいは腹づもりとして今言った法人特別税等の復活も歳入全体のことを考えればやむなしというお考えなのか、そのことだけをちょっと明確にわかるように御説明をいただきたい。
#69
○政府委員(堤富男君) 大変、私の立場からいいますと今答えにくい立場であるということはまず申し上げたいと思います。
 まず、この機械的試算を出した意味でございますが、これは本当の意味で機械的に計算をし、これで選択肢がこれでございますということを言ったのではなくて、その計算の中からいろんな意味での議論を巻き起こしていただいて、財政全体あるいは消費税の問題、そういう問題についての御理解を深めていただいて、議論が深まるということをねらったものというふうに伺っております。そういう意味では、いろんな御議論をこれをめぐってやっていただくということは私はあってしかるべきだというふうに思っております。
 まず、その法人特別税、自動車税に関しましては、先生のような御立論、期限が切れた、終わったのであるから当然これはもうその後は関係ないんだという立論も私はあろうと思います。それに通産省は反対ということは申し上げません。
 ただこれにつきましては、大蔵省の立場といたしましては、これは代弁することになりますのでお許しいただきたいんですが、出てくる前に聞いてまいりましたら、これの財源手当てというのは、実は今度の収入の中ではいわば赤字公債でやっておるという状況にありまして、それについて今回これを決断した理由の中では、税制改革一般の中でこれをどういうふうに考えるかということをあわせて議論していただくという前提で読むということになっておりまして、したがいまして、財政上の措置は残念ながら赤字公債という短期的な形でしかできていないというのも現実でございまして、そういう立論とどちらが正しいのか。
 通産省は、これを現在大蔵省が税制調査会あるいは国民の中で議論をしておる最中でございますし、特に税制調査会ではこれをめぐっていろいろ議論もあると伺っておりますので、通産省として今どちらが正しいんだということを意見を申し上げるのは差し控えさせていただきたいという立場にございます。
#70
○村田誠醇君 これはおかしいんです。その法人特別税というのは、湾岸の戦費調達の費用を、公債を発行してそれを充当するためにこの特別税制というものをつくったんです。特別な公債を解消するためにつくったのに、この公債が全部終わったにもかかわらず、税収額が不足したためにこれもさらに補てんしてくれというのは、それは大蔵省の取る方の論理としては当たり前かもしれないけれども、これは明らかに国民からするとおかしな話です。要らないんですからね。
 つまり、もっと表現悪くすれば、バブルでもってふえ上がった収入で計算したけれども、現実的にバブルが静まってお金が足りなくなったから、その差額の部分も補てんしてくれと言っているようなものなんです、この大蔵省の論理は。
 だから、この論理が正しいんだとすれば、それこそ今言ったように、それじゃ法人特別税を復活させるしかないんじゃないですかというふうにつながって、そういう論議がされてくるはずなんです。そういうことを考えれば、通産省としては少なくともこれはおかしな前提で計算されているものということを明確に言わないと、何だか大蔵省と通産省が一緒になって税金を巻き上げる方へ回っているんじゃないか、こういうふうにとられるんですけれども、その点については重ねていかがでございますか。
#71
○政府委員(堤富男君) 大変、繰り返しの答弁になって申しわけないんでございますが、そういう意味では政府全体として税制調査会に今審議をお願いしている段階でございますので、通産省としての意見は差し控えさせていただきたいというのが立場でございまして、大変申しわけございません。
#72
○村田誠醇君 最後に、もう時間が来ましたので、この後は大蔵委員会か予算委員会でやるのが妥当なんだろうと思うんですけれども、明らかに機械的という、いかにも人為的な要素を全部抜いたような表現になっていながら、今までの国会論議の経過を一切無視した形でこの税制の計算が出てきている。しかも、これが政府の税調にも配られて論議されているし、与党側の税制協議会にも試算として配られて論議が始まっているということになる。
 要するに、まだほかにも不満がありますけれども、意図的に間違えた計算をしてきて、そして気がつかない方がばかだみたいな論議では、これは−−いや、本当に大蔵省の担当官が言ったんですよ。私のところへ来て、こういうのは問題点じゃないですかと言ったら、そういうことを気がつく人が非常に少ないものですから堂々と入れていますと言うんですね。論議をしてわかる人はこの部分を抜いて論議をするけれども、わからない人はこれを入れて減税額で補てん財源ということでやっていますということを、まあだれが言ったとは言いませんけれども、平気で言うんですよ。
 だから、その意味では、この法律といいましょうか、取られるべき対象となる企業のことを所管する通産省はもうちょっと毅然たる態度をとって、大蔵省に対してこれはひど過ぎるんではないかと言うぐらいな決意をぜひ披瀝してほしかった。本当はこれは大臣に聞きたかったんですけれども、大臣も答えにくいだろうなと思ったんで、そういたしました。
 もう時間が来ましたので、とりあえず私の見解だけ述べて、終わらせていただきます。
#73
○委員長(中曽根弘文君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後二時二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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