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1994/06/03 第129回国会 参議院 参議院会議録情報 第129回国会 農林水産委員会 第6号
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1994/06/03 第129回国会 参議院

参議院会議録情報 第129回国会 農林水産委員会 第6号

#1
第129回国会 農林水産委員会 第6号
平成六年六月三日(金曜日)
   午後三時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月三日
    辞任         補欠選任
     菅野 久光君     谷本  巍君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         浦田  勝君
    理 事
                青木 幹雄君
                大塚清次郎君
                谷本  巍君
                野別 隆俊君
                林  紀子君
    委 員
                北  修二君
                佐藤 静雄君
                高木 正明君
                吉川 芳男君
                稲村 稔夫君
                中尾 則幸君
                三上 隆雄君
                村沢  牧君
                井上 哲夫君
                星川 保松君
                風間  昶君
                刈田 貞子君
                新間 正次君
   国務大臣
       農林水産大臣   加藤 六月君
   政府委員
       農林水産大臣官
       房長       高橋 政行君
       農林水産省経済
       局長       東  久雄君
       農林水産省構造
       改善局長     入澤  肇君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     日出 英輔君
       農林水産省畜産
       局長       高木 勇樹君
       農林水産省食品
       流通局長     鈴木 久司君
       食糧庁次長    永田 秀治君
       水産庁長官    鎭西 迪雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        秋本 達徳君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○農林水産政策に関する調査
 (平成六年度の農林水産行政の基本施策に関す
 る件)
○特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改
 正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(浦田勝君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、菅野久光君が委員を辞任され、その補欠として谷本巍君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(浦田勝君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(浦田勝君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に谷本巍君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(浦田勝君) 農林水産政策に関する調査のうち、平成六年度の農林水産行政の基本施策に関する件を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○大塚清次郎君 実は、加藤農林水産大臣におかれては今回が農林水産大臣、たしか二度目の御就任でございます。こういう内憂外患こもごもの中で大変だと思いますが、日本の農林水産業の非常に困難なかじ取り役としてひとつ頑張っていただきたいと冒頭に申し上げておきます。
 きのうの大臣の所信表明に大臣の並み並みならぬ意欲を感じ取ったわけでございますが、その中で、特にガット交渉合意を受けての新政策の取りまとめに論点を絞って、ただいまから農林水産事務当局並びに大臣にただしたいと思います。
 ただ、ガット条約が参議院にはまだ報告されておりませんし、そしてまた、この批准、対応につきましてもこれから国会の論議があるかと思いますので、そういったような留保条件つきで質問をさせていただきたい、このように思います。
 まず第一の質問でございますが、去年の十二月、政府におきましてガットの農業合意をされました。それによるところの農業施策の基本方針について閣議了解があっておりますが、それによって農水省では今、農政審議会でがくがくの論議がなされておるようでございます。これが一定の時点で最終取りまとめがなされるということになっておりますけれども、今までの論議の経過は新聞なりあるいはまた私ども国会の中でいろいろ伺っておりますが、それでは今後のプロセス、スケジュール、これを要約してひとつお示しいただきたいと思います。
#7
○政府委員(高橋政行君) ガット農業合意を受けての国内対策の今後の取り進めのスケジュールでありますが、現在、農政審議会を開きましていろいろ御論議を願っておるところでございます。
 農政審議会の方は、今まで、五月までずっと各界各層の方から御意見を聞くということで積極的に聞いてまいりました。特に五月には地方農政審議会というようなことで、七ブロックで開いてやってきたわけでございます。
 それで、そういった議論を踏まえながら論点を絞ってこれから議論をしていこうということでやっておりますが、今のところ、七月の終わりごろまでに、まず農政審議会としての御報告取りまとめをいただこうというふうに思っております。それを受けまして、政府としてどういうような具体的な対策を打ち出して、できれば、もしこの秋に国会批准が行われれば、その際にいろんな諸制度等について国会で御論議をお願いしようかなと、こんなスケジュールでございます。
#8
○大塚清次郎君 あらかたそのスケジュールが示されましたけれども、きのうあたりの新聞情報によりますと、今回その審議会の一つの論点といたしまして、ウルグアイ・ラウンドの農業合意に伴う国内対策としての食管法の問題、それから生産調整の問題が論点として大きくクローズアップされてきておるということを報じております。これは当然のことでございますが、そういうことがあるからそれを優先して、その他のいわゆる新政策に関するもろもろの国内対策を含めたこの答申がかなりおくれるんじゃないか、七月まで間に合わぬのじゃないかというようなことも議論がされたということを聞いておりますが、それは事実ですか、どうですか。
#9
○政府委員(高橋政行君) 委員の中でそういうようなお考えをお持ちの方もあるかもわかりませんが、我々としては、やはり先ほど申しましたように、これからピッチを上げまして農政審議会の議論を進めていただく、それで何とか七月の終わりごろまでには出してもらうようにというふうにお願いをしておるところでございます。
#10
○大塚清次郎君 そこで、大臣にお伺いいたしたいと思います。
 もう端的にお伺いしますけれども、農政審議会のこれからのスケジュールの審議結果によりましては、現にある私どもの農業政策の国のマグナ・カルタでございます農業基本法、あるいはこれに関連する法律についての抜本見直しというようなことはあり得ると思いますか。まず、大臣の御見解を聞いておきたいと思います。
#11
○国務大臣(加藤六月君) 今回のミニマムアクセスの受け入れに伴いましていろいろな議論、縦横斜めからしていただいておるわけでございます。その中で、今大塚委員がおっしゃいました農業基本法の見直しとか、あるいは食料・農業基本法というのを考えたらどうかとか、あるいは農村・農業基本法というのを考えたらどうかとか、あるいは今までの農業基本法と新政策、おととし熱心な議論をしていただきました新政策との相違、共通点はどうであるとか、あるいは新しい国境措置でそういうものすべてを含んで今度は見直すべきではないかとかとか、多くの幅広い意見を今承っております。それぞれの立場で見識ある御提言である、こう思っております。
 そういうもろもろの意見を幅広く検討し、今後集約していく必要がある。そして、私は、農業基本法というものが今日まで十分にその機能を発揮し、いろいろやってきたと、そこら辺も今、再検討というか再評価もあわせていたしておるということを申させていただきます。
#12
○大塚清次郎君 率直な御意見を聞きましたが、農業基本法の十三条ですか、これはやっぱりこのままじゃいけないんじゃないかと思います。したがって、それを拡張解釈して運用でやっていくというにしては、余りにもこれは運用では拡大的な解釈になっていく。だからそういうことも含めて、そういう問題があるとすれば真正面に取り組んでいただきたい、こう思うわけですね。
 そういう点で見守っていきたいと思いますが、そういうこともあるということで、さっき七月まで大丈夫かとこう官房長に言いましたら、前向きに大丈夫ですと言わんばかりの答弁が返ってきたわけですから、非常にこれは大変な問題だと実は思っておるわけでございます。
 と申しますのは、今までその場その場で補完的に政策手段を継ぎ足してきている、まとまったものがない。例えて言えば、おととしから出ましたいわゆる新政策にいたしましても、一番肝心な政策の目標、特に生産と需要のいわゆる数値目標、これが全然欠落しているということは、去年の六月の農林水産委員会で申し上げましたが、そういうことも全部今度はコンパクトに包んだものでなくてはならないわけでございますので、そういう点で今度は目の玉を入れておやりになるでしょうと私は思いますけれども、いかがですか。
#13
○国務大臣(加藤六月君) 大塚委員も御存じのとおり、農業というものは自然を相手にし、大地を相手にし、そしてまた天候という我々の今日進んだ世界においてもなおかつ解明できない、そういう問題もあります。
 また、逆の面で申し上げますと、国際化に伴ういろいろの問題も起こってきておりますし、それから消費者といいますか国民の皆さん方の趣味、好み、こういうものも刻々変化してきております。
 そういう中でございますけれども、要は、私といたしましては、新たな国境措置で農業関係者に不安を与えないように、そしてその受け入れの影響というものを最小限にしながら二十一世紀を目指した日本の農業構造というものを打ち立てていく、そこら辺に観点を置いていかなくてはならぬのではないだろうか。もちろん、今おっしゃいましたように、ウルグアイ・ラウンド全体の関連法案が幾つになるか、これから十分に検討していかなくちゃなりませんし、批准を願うときにはそれらの問題についても、もちろん今議論になっております食管制度を含めて多くの、何と何が要るかというのは目下検討中でございますが、それらを含め、まとめ、必死で今作業をいたしておるところでございます。
#14
○大塚清次郎君 今後、農業政策目標、理念はありますから、政策目標、これには数値目標も入ったもの、そして政策手段、これで法案の準備等もなさらなきゃならぬと。それで初めてコンパクトなものになるわけでございます。
 ただ、今までそれがどうしても見えなかったというのは、やっぱり環境行政が流動化しておったということがございます、特にウルグアイ・ラウンドの農業交渉等において。そして今度はいわゆる米を中心にしたものについては見えてきたと。しかし、従来ずっとその折々に状況の変化によって示さなきゃならなかった果樹については果振法があります、果樹農業振興特別措置法。それから酪農、牛肉についてもあるんですね。そして、それは一つの生産と需要の見通しについてはその折々に状況の変化に応じてつくって公表するということになっているんですね。これがどうもきちっとされてない。やっぱり生産農家にとって、目標設定をしてないというところに非常に不安感があるわけでございます。
 したがって、今度は将来修正するものにしても、やっぱりその折々に法と制度に根差してきちっとやっていかないと、もう生産者は暗闇なんですね。ですから、指標をここで掲げていくということが、日本農業の二十一世紀に向けての展開の指標を与えるということがまず第一でなくちゃならぬと思いますので、そういう点で、ひとつぜひ今回はこの取りまとめの段階で、当初からそういうものはきちっとしたものを出していただきたい。アラカルトじゃまことに困るんです。
 そういう点をひとつ要望いたしまして、私の質問を終わります。
#15
○稲村稔夫君 大臣御就任おめでとうございます。
 きのうは大分奮闘されたようでありますから、お疲れになっているんだと思いますけれども、きょう私は主として大臣に伺いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 加藤大臣は、私もかつて本委員会に所属をしながら、そのときにも大臣をおやりになっておられたときでありましたから、それこそ何もかも御承知の大臣ということになります。という気安さが少しあるのかもしれませんが、私の方も言葉足らずで誤解をされたり、あるいは失礼なことを言うということがあるかもしれませんけれども、どうぞ大物大臣でいらっしゃいますので、その矜持でひとつその際はお許しをいただきたいと思うわけであります。
 昨日、大臣の所信表明を伺わせていただきました。そこで、率直な感想を申し上げて大変恐縮なんでありますけれども、かなりガット・ウルグアイ・ラウンドにかかわるものには行間をお使いになっておられるわけでありますが、しかし、具体的な政策展開ということになってまいりますとやや網羅的で、今の私たちのこの農村の実態の中で、予算が不足をしているならば、もう少しウエートがかかった、色がついてもいいのではないか、どこに重点があるのかという感じがいたします。
 特に、平成六年度の農林水産予算の編成に当たっては、「今後の農林水産政策の着実な推進の第一歩として、十分に意を尽くしたところであります。」と、こういうふうにお述べになっているわけであります。かつて農林水産予算は国家予算の約一割という時代が随分長く続いたわけでありますが、今一体何%になっているでありましょうということを見てまいりますと、そして昨年あたりのBランクだCランクだ、農業生産基盤のランクをどうするなどという騒ぎをやったことなどを考えていきますと、農林水産予算というのがそう一気にふえるというふうには思われないわけでありますし、ことしの予算編成もそうなっていると思うんです。ここで「十分に意を尽くした」というふうに言われるところに、私は、若干というか大いに今後のことといたしまして、このまま続いたんでは困るという感覚があります。それだけにひっかかるところがあります。
 まずその辺から、大臣の言っておられる抱負と実態とのかかわりをどうお考えになっているか、お聞かせいただきたいと思います。
#16
○国務大臣(加藤六月君) 稲村委員がおっしゃるとおりでございまして、平成六年度予算をつくる、そしてその前に財政制度審議会の答申で農林水産業の主なものがCになったということで、私自身大蔵省へ出向きまして激しい議論をやりました。ある面で言いますと、我々の方にも各種長期計画がある、物によっては国会でお決めいただいておるものもあると。一官僚が法律違反を堂々とやるのは許されぬとか、それからSIIで四百三十兆を決めた。その中身は一つずつ全部議論しておる。これは対外的公約だと。それを財政制度審議会の一委員があるいは大蔵省の官僚が結託して変えるのか、許さぬぞとか、農水大臣になる前ですから一国会議員としていろいろやりました。また、予算編成時期にも、私はこの数年行ったことがないのでありますが、大蔵省の次官室や局長室に入り込みまして、大きな声を出しました。それで、本当はまだ足りない、こういう気持ちで最後まで頑張り、特に最後の一千億の新たなる公開財源の配分につきましては、連立五党の中で皆さんは本当に頑張った。特に農林関係の皆さん方が頑張っていただいた。私も目で見、私自身も一緒に行動しまして感心、感激もしておるところでございます。
 そういう御努力その他もありまして、平成五年度の第三次補正予算における措置、そして平成六年度の予算、総合的に見まして十二分とは言えぬが、「十分に意を尽くしたところであります。」と。これは余り褒めると来年度の予算要求はできません。さらに増加要求もできない。しかし、足りない足りないとこう言ったら逆に農業・農村の皆さん方が不安を持たれるというところあたりで、最大限努力した予算でございますという意味で、「十分に意を尽くしたところであります。」と、こう表現をさせていただいております。
 それから、次の予算につきましては、私は今度農水大臣になりましたから役人にいろいろ言っております。概算要求のときではもう間に合わないよ、シーリングを決めるときにはっきりやるんだと。それ以外にミニマムアクセスを受け入れてからの新しい農政の展開はできない。それからまた、逆に国会で批准をしていただくのも困難になるぞと、こうまで今言って叱咤激励をいたしておるところでございます。
#17
○稲村稔夫君 なかなか大変だと思います。しかし、羽田総理は普通の言葉とか普通の人とかということがお好きなようでありますから、どうぞ大臣、普通の人がわかるようにということで、今おっしゃっている意味を理解するといたしましても、少し普通の人にわかるようにということをひとつお願いしたいと思います。
 次に、ガット・ウルグアイ・ラウンドの問題にかなりの力点を置いて書いておられますけれども、このことについてはまた本会議質問等の準備がありますから、私はそちらの方にそれぞれの問題は譲るといたしましても、ただ伺っておきたいと思いますことは、「前内閣のもとにおいてぎりぎりの検討を行った結果、政府としては、この調整案受け入れの決断を下したところであります。」、こういうふうになっているのであります。さっき大臣は意を尽くしたということでの尽くしたという言葉の解説をされたわけでありますが、そういたしますと、これはぎりぎりの検討をされたのであって努力をされたのではなかったのか。これはちょっと失礼な言い方で大変恐縮なのでありますけれども、ぎりぎりの努力というふうに言われるならば、そのぎりぎりの努力だったと必ずしも評価ができるのかどうかという問題意識はそれぞれ持っていると思うんです。
 そこで、前内閣のもとにおいてぎりぎりの検討をされた、この点について大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#18
○国務大臣(加藤六月君) 二カ所でぎりぎりという言葉を使っております。この検討というところに含みがあるのであって、努力という表現を使ったら大変なことで、おしかりいただいて、おまえ、こんなものを受け入れるのに努力したのかと、こういうことになったら御審議さえ願えない状態になると思うわけでございまして、ぎりぎりとはまさにぎりぎりで、努力ではなくして検討と。
 我々は、包括関税化絶対拒否というので七年何カ月やってきたんです。そして、国会の決議を踏まえて努力してきた。ところが、世界全体の情勢は包括関税化拒否ということを許さないようにどんどんなってきておる。そこら辺のこと等を踏まえ、今後日本が国際国家の一員として生きていくということと、ここに書いてある自由貿易体制の維持だとか何やかんやをすべて検討し検討し、ぎりぎりの検討をした結果、前内閣において受け入れを決定していただいておるものと思います。
 また、そのときの連立各党の皆さん方の表現は苦渋の選択、こういう表現をされておりますが、ぎりぎりの検討というのも苦渋の選択というのも、わかりやすい言葉で言えば同じじゃないかな、こうも思っておるところでございます。
#19
○稲村稔夫君 そのぎりぎりの検討ということ、大体想像しておりましたような御返答をいただいたわけでありますけれども、ただ、そのぎりぎりの検討についても私は疑問を持っているところでございます。
 といいますのは、私どもは当時与党でありまして、そしてその与党でありましたときに、今お隣におられる村沢さんを政務次官にもそういうことで送っておりました。その村沢政務次官も最後までなかなかおわかりにならなかった情報などもあったようでありますから、そういう点では必ずしもぎりぎりだったかどうかということはいろいろと議論のあるところだと思います。これ以上の議論はこの程度にさせていただきます。
 さて、その苦渋だか、ぎりぎりだかということで受け入れざるを得なかったということで、今度は国内対策が問題になるわけであります。
 きょうは時間が極めて短いわけでありますから、いろいろな角度で問題がいっぱいあるわけでありますけれども、ここで私はごく限られた問題に絞って、それこそ普通の人間が普通に考える常識というのはこんなものなんだろうという観点から、大臣の今後の対策について伺いたいというふうに思います。
 まず第一は、米の問題であります。
 我が国の稲作農業は今後一体どうなるんだろうという不安感は皆持っているわけでございます。そういう中でミニマムアクセスを受け入れるわけであります。九五年、来年から四十万トンで始まって、だんだんとふやしていって、それで最終的には八十万トンぐらいは入れなければならない、一千万トンと仮定して。八十万トンといいますと、我が新潟県がちょうどそのぐらいにちょっと足らずぐらいの生産量でありますから、これだけの量の米が入ってくるということになりますと、現在でも農林水産省は潜在生産力などと言って、減反政策は続けなければならぬとかなんとかという考えをお持ちになっているわけでありますが、これに新たに毎年毎年ミニマムアクセスで入ってくる米とのかかわりで一体どうなるのでありましょうか。
 加工原料米にかなりの輸入米を使うという話もありますけれども、加工原料米に全部使うことができるかどうかということもありますし、仮に加工原料米に使っていったとしても、最終的に八十万トンも入るようになりますと、これは全部加工原料米というわけにはいかないですね。平年作でいつでも潜在生産力で減反を続けてなければならないのでしょう。そうすると、減反をしていかなければならないところに、さらにミニマムアクセスで最終的には八十万トンも入ってくる。この米をどうするか、米をどこか消化をする特別な方法でもあれば、それは一つの道でありましょう。米を消化する方法がなければ、私の試算、いろいろと計算してみると、いろんなあれがありましょうが、大体八十万トン分くらいの減反をしなければ間に合わない、平年作で、というようなことになるのが常識的ではないか。常識的なことより、数字のことは別にしても、とにかく今でも余っているんですから、潜在生産力で余るんですから、それで減反をしているんですよ。そこへ八十万トン、約十六万ヘクタールくらいの生産に当たる米が新たに入ってくるんですから、これは使い道をふやすか、それでなければ国内の生産を減らすか、常識で考えればどっちかしかない。これはどっちの方向をとろうとされますか。
#20
○国務大臣(加藤六月君) 前内閣におきまして、ミニマムアクセスの受け入れに伴って転作の強化は行わないということをお決めいただいております。そして、今稲村委員もおっしゃったようなことを考えるときに、考えるのは新規に新しい需要を何か開発できないかとか、あるいは米の消費動向がどうなるかとか、あるいはさらなる提言としたら、援助に使えとかなんとか、いろいろ四つ、五つの新しい提言等もきております。
 要は、私は国内生産と備蓄、そしてそれに伴ういろいろな関係という三つをうまくやる米の需給システムというのを新しく構築していかなくちゃならぬ。ここら辺が今おっしゃったような数字を考えれば考えるほど出てくるわけでございまして、率直に言いまして頭が痛い問題でありますけれども、要は、転作の強化は行わない、それから輸入米は輸入米として売るのでありますが、しかし、いつも今まで行ってきた米の需給関係、豊作、凶作関係というものでいろいろやってきておりますですね。それは、輸入米はこっちにおいて、やるときにはやらなくてはいけない。そこら辺の微妙な言い回しというのが、変な言い方をしたら、何ぞんなのおまえ、転作の強化になるのではないかという、そうではないと。そこら辺が先ほど来申し上げております豊作、凶作、天候あるいは米の消費動向等々でいろいろ今後変化があると思います。
 皆さんのお知恵を拝借して、備蓄を含めた新しい米の需給システムというのは真剣に考えていかないといけない。中には、加藤、もう援助だけに全部使えとこう言っておりますが、簡単に援助だけに使えないいろいろな制約、問題点があるというのはもう御存じのとおりでございますから、そこら辺、今後いろいろな御意見を伺いながら新しい需給システムを築き上げていくようにしなくてはならぬと思っております。
#21
○稲村稔夫君 大臣、最後のところはよくわからないように御答弁になっておられるので、普通の人ではなかなかわからない。普通の人というか、私でもよぐわかりませんが、非常に面倒な問題であることはもう間違いないわけであります。
 今後、この問題を大変私は重大視しておりますので、きょうはもう時間が余りありませんから余り突っ込みませんけれども、本委員会でこれは多分シリーズ物になっていくんじゃないだろうかというふうに思います。これから毎回毎回聞かなければならぬようなことになっていくんじゃないだろうか。食糧庁、覚悟してくださいね、そういうことになりますので。
 とにかく、いずれにしたって入ってきたものを全部消化をするということはまず不可能ですよ、今の状況でいけば。それから、備蓄というふうにおっしゃったけれども、今の状態の中で備蓄をある程度考えられていったもの、そしてその備蓄したものを今度はどう使うかといったら、これはまた加工原料米がなんかで使わなければならないというような問題だとかなんか、みんな含まれてくるわけでありますから、輸出の方もうまくなかなかそう簡単ではありませんという問題と一緒に絡めて、国内の問題だってなかなか大変、簡単な問題じゃないですよということになると思いますので、この辺はひとつ大臣、御苦労だとは思いますけれども、今知恵もありそうなお話もしておられましたから、いろいろと知恵も絞っていただきたいというふうに思います。
 次に、米ということに象徴されると思って私は伺ったのでありますけれども、きょうは米価審議会で麦価の審議をしておられます。これに政府は諮問案を出されて、それで去年並みに大体据え置かれる、こういうことで提起をされたわけであります。大変な御努力をいただいたことを評価いたしながら、だがしかしというのがやはり残るわけであります。
 といいますのは、一体これで麦は安楽死から免れ得るであろうかと、私は非常に問題だと思うんですね。これは米の問題のときも、それこそ各論ではまた議論しなければならない課題の一つなんだと思いますけれども、昭和六十年以降の動きをずっと見てまいりまして全生産費を計算していきますと、確かに生産費は若干下がっている部分もあります。下がっている部分は、例えば労働費のようなものは下がっております。しかし、物財費はほとんど変わらないんですね。物財費は大体もう変わりません。そうすると、下がっていくというのは労働費のところを絞っていくしかないですよ。極端なことを言えばそういうことになるんじゃないでしょうか。逆に、六十年時代に比べれば単収は随分かなり落ちています。こういう状態になっているということは、私は、一つは麦を生産するということに農家の皆さんが生産意欲をわかす、かき立てていただけるような、価格ばかりではありませんけれども、やはり価格体系にも問題があるというふうに思います。
 一体こういう状態で、去年と比べてもことしは物財費ではほぼ横ばいという中で、なぜその計算の中で二十七円だかなんか安く出てくるのかということだって、これはもう統計のとり方や、要するにサンプリングから加工するためのいろいろな掛けていく数字だとか、そういうものみんな問題はそれぞれあるわけであります。そういうことなどを私は考えてまいりまして、とにかく麦は、小麦はことし据え置くといっても、これではこれからとても生産意欲は出てこないんじゃないか。大体物財費が動かないでいるんだったら物財費をもっと安くするための、物財費を下げるための農業政策というのがもっともっと積極的に展開されていかなければならなかったはずなんです。その努力が怠られてきたから今のような麦の状態になっていると思うんです。本来、そのことを考えたら、物財費がほぼ横ばいであれば麦の価格というのは上げてやるぐらいのことをしなきゃ生産意欲などということにはならない。むしろ、また麦の安楽死への方向に向かってしまうんじゃないかというふうに思うのであります。
 大臣、これからの農政の中で麦はもうつくる必要がないと考えておられるのなら、これはまた論点が違っできますからあれですけれども、麦を生産する必要があるということであれば、私は少なくとも国内生産の自給のある程度のめどをたてることと、その生産を維持するために特別に対策をいろいろと講じなければならなかったんではないかというふうに考えておりますが、これから先のことがありますので、どうお考えになりますか。
#22
○国務大臣(加藤六月君) 後から政府委員にお答えいたさせますが、私はけさまでいろいろ麦価問題で議論し、若い国会議員の皆さん方に何やかや眠気覚ましに、暴論になるかもわからぬが申し上げたのは、我々の大先輩が昭和二十四、五年ごろから、積雪寒冷単作地帯、稲村先生のところもそうだったと思うんです、それを二毛作にするということが農家の所得向上に通じ、また狭い土地の有効利用ということでいろいろ関与し、私も二十二、三歳の青年であったんですが、その問題に取り組んできてやった内輪話をいろいろやったわけです。
 そして、そういういろいろなことをなぜやったかというと、米はとれても麦がとれないんじゃだめなんだ、有効利用だということ等であるんですが、今改めて見まして、まず麦というのが水田作の麦、畑作における麦というもの、そして今度は麦の特性として機械化対応性が高いとか、生産単位の拡大におけるスケールメリットが発揮できるとかいろいろあると思うんです。あると思いますが、簡単に申し上げますと、水田営農活性化と畑作輪作体系の確立という面において、そして土地の有効利用という面において、私は我が国の麦というのは非常に重要な地位を占めておる、こう認識しております。
 今の機械化に伴う問題、あるいは計算その他については政府委員からお答えいたさせます。
#23
○稲村稔夫君 簡単でいいですよ。また大臣に聞きたいことがありますからね。
#24
○政府委員(日出英輔君) 今の稲村先生からのお話でございますが、確かに麦の問題につきましては、麦といいましても畑作麦、御案内のとおり水田裏作麦、転作麦とございますが、畑作麦の方は北海道の輪作体系の中で去年からことしにかけて大体落ちつきを取り戻しておると思っておりますが、関東・東山以西の水田裏作麦にかなりの落ち込みが見られるようでございます。この地域も規模の大きいところは転作農家は減っていく中で、借地をする等々しまして規模を広げる努力をしておるわけでございますが、しかし規模の小さい方はメリットは感ぜずに、この方たちはかなり落ちてきている、こういう状況でございます。
 私どもとすれば、麦につきましては生産の組織化その他によりましてもう少しメリットが出てくるやり方があるのではないかということで、実は期間借地等を使った規模拡大、生産の組織化等を進めていくつもりでいるわけでございます。
#25
○稲村稔夫君 時間もありませんから、私は要望だけしておきます。
 今、農蚕園芸局長言われたけれども、しかしその北海道の農民自身が切々と僕らのところへ来て訴えておられるんです。実際なかなか大変なんです、実態を聞けば聞くほど。というのは、これは今、落ちついているなどということではない。ある意味で言ったら、やらざるを得なくてやっているという極端な表現もできるのではないかと思うんです。
 そういう中で、稲もそうなんですけれども、幾ら合理化をどんどんとしていくといったって常に物財費がすごく高いんですよ。その高い物財費に対する対応が農林水産省でもっと積極的にやられて、物財費を引き下げていくということをやらなければ、それこそ物財費のところでしなかったら、あと労働費を減らすというところしかなくなってくるんですから、物財費を減らす努力というものを積極的にやっていってもらいたいということであります。これはしゃにむに大型機械を入れるということがいいとは限らない場合も随分ありますから、そういう点も十分に考えてもらいたいと思います。
 そこで、あと二問だけ、時間がなくなりましたから。
 一つは、これも大臣のお考えを伺いたいのでありますが、食料というのは、世界的に今一億人ずつ人口がふえる。耕作面積はほとんどふえない。逆にいろいろ壊廃が出てくるという状況があります。こういう中で世界の食料ということを考えていくときに、我が国の貢献ということが非常に大事なんじゃないだろうか。食料に対する貢献というのは、一つは、去年のあれみたいなときに緊急輸入してそれぞれのところを困らせるなどということがないようにするということ、これも大事なことですね。もう一つは、最大限つくれる物はっくって飢餓を減らしていくための努力をしていくということだと思うんです。私は、米の生産調整にしたって、生産調整をしなければならないということは国際貢献に反すると思っているんです、非常に極端な言い方ですけれども。国際貢献の方法は米でもいろいろとあると思います。
 そういうことでありますから、食料に関する国際貢献について私は積極的に我が国が世界食糧機構でも提起して、飢餓をなくすための先頭に立つということが必要だと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
#26
○国務大臣(加藤六月君) この世界食糧管理機構問題につきましては、たしかアメリカのキッシンジャー国務長官から一度御提言が、たしか一九七〇年前半だったと思うんですが、ありました。そのときにキッシンジャーさんの提案は、六千万トンの国際備蓄、そしてKR援助等を通じて一千万トンの穀物援助を先進国が努力目標としてやったらどうだろうかという問題があったと私は記憶しておるわけでございます。これらの御意見というものを一九八〇年の国際小麦協定の改定のときに食料の備蓄や援助の枠組みに関するさまざまな議論がなされて、その結果として現在の食糧援助規約、世界食糧計画などの国際的な食料援助システムが構築されてきたと私は考えておるところでございますし、稲村委員もその御認識は同じだろうと思うんです。
 そこで、我が日本としましては、こういった国際的な援助システムには発足以来参加しまして、世界の食料不足、飢餓の克服に対し積極的に貢献してきておる、こう考えておるところでございまして、おっしゃるような世界食糧管理機構の具体的内容とか、あるいは今のお話しですぐ中身どうのこうのということまでいくかどうかわかりませんが、食糧・農業分野の、今申し上げましたような国際機関が果たしてきた役割というものを考えながら、慎重に検討していく問題である。しかし、今御提案をいただきましたものは、やはり念頭に置いて考えなくてはいけない。そういう中で、日本は世界の最大の農林水産物の輸入国でございます。
 それで、その御提言の中身が十二分にわからぬのでありますが、もしそれをやろうとして、日本がいろいろな国から食料を新たに買い込むという機構であるとすると、先ほどおっしゃいました昨年の日本の米不足でタイの国民の皆さんには大変御迷惑をおかけして申しわけないと思っておるのですが、ああいうようなケースが起こらないようなシステムをあわせて考えなければならないと思います。
 以上でございます。
#27
○稲村稔夫君 時間がなくなりましたから、あと一つ聞きたいと思ったのはやめます。
 女性の地位の問題について伺いたかったのでありますが、結局私も男性でありましたから、最後に回ったために女性の地位の問題が質問できなくなりました。これはやはり、全体の農村の女性の地位の問題として我々のところにもあるということを反省しながら、終わりたいと思います。
#28
○星川保松君 大臣、麦価についてはいろいろと御苦労さまでございました。私も麦価のことでゆうべほとんど寝ておりませんので、頭がぼおっとして質問のこともよく整理できない状態でありますが、せっかくでありますから、要点だけ三つ御質問を申し上げたいと思います。
 まず第一は、ガット・ウルグアイ・ラウンドを受け入れるということになりまして、農家の皆さんは、特に米だけは何とか最後まで守り抜きたいと、こう思っておったわけでありますから、その最後のとりでまで取り崩されるような感じを受けまして大変元気を失っておるような状況なわけでございます。
 それで、政府としては緊急農業農村対策本部というものをつくって、総理が先頭に立って本格的な国内農業・農村対策をやると、こうおっしゃっておるわけでありますが、それではどういう形でこれが行われるのかということを、元気はなくしましたけれども、農家の皆さんはそれを期待しておるわけでございます。
 それで、私どももどういう対策をするのかということを時たま聞きますけれども、こういう対策、あそこはこういう対策というような指摘はあるんですけれども、みんなどうも隠れておるような状況で、はっきりした形で見えてこないような感じがするわけでございます。やはり農家の皆さんに、ガット受け入れ後の国内対策はこうである、一つこれ、二つこれ、三つこれ、こういうふうに明確にわかる形で提示しないと農家の皆さん元気出せないんじゃないかという気がするわけでございます。
 聞くところによりますと、韓国ではかなり明確な具体的な方策を打ち出しておるということでありますから、やはり日本でもはっきりした形で打ち出すべきだ、そうしないと農家の皆さんが受け入れることはできないんじゃないかと思いますが、それについてまずお伺いいたします。
#29
○国務大臣(加藤六月君) 先ほど来いろいろ申し上げておることも、御質問も諸施策、諸対策をどうするかということに結局なっていくわけでございますが、私は、今回の受け入れを契機として逆に日本の農村・農業というものが活力のある、潤いのあるものになるように国会を初め各界各層の皆さん方と英知を絞って具体策を打ち出していかなくてはならぬ、こう考えております。
 なお、韓国がいろいろおやりになっておる問題については私も十分承知し、勉強もいたしております。また、その問題点あるいは韓国内におけるいろんな世論というのもいろいろな方面を通じて聞いておるところでございます。
#30
○星川保松君 今回の麦価の問題につきましても、やはり一番大きく財政当局が問題として取り上げるのはいわゆる内外価格差なわけでございます。麦について言いますと、輸入の小麦はトン当たり三万円で、国産の小麦はトン当たり十五万だということでございます。五倍の内外価格差がある。
 結局、そういう中で生産者を保護するということになると、消費者の犠牲のもとに生産者を保護するんだというような声もあるようなのでございます。そういう価格差があるということは、これは認めなければならないわけでありますが大変な価格差であります。しかし、これは何とか少しずつでも縮めていかなければならないことは当然のことでございます。
 それで、それを縮める方法として今農水省が考えておられるのが、生産性を高めながらコストをダウンさせていくんだということで、その方策の一つがいわゆる新農政ではないかと私は思うわけでございます。その新農政の目標というのは大体十年と、こうなっておるわけでありますが、麦のような五倍の価格差のあるようなものを、少しずつでもコストダウンして価格差を縮めていくとしても、十年で五分の一に持っていくというのはもう至難のわざではないかと、こう思うわけですね。しかしそれはやらなければならないということになりますと、この新農政の政策が本当に毎年着実に進度を高めながら進んでいかなければこれはどうしようもないということになるわけでございます。
 したがいまして、この内外価格差の問題と、いわゆるこの新農政における、規模を拡大してしっかりした経営体をつくって生産性を高めながらコストを下げていくという関係をどのように考えておられるのか、それについてひとつお伺いしたいと思います。
#31
○国務大臣(加藤六月君) 私たちお互いさま国会議員として、そしてまた農政に携わる者としていつも忘れてはならないことは、私は内外価格差問題はあると思います。
 そういう中で、一昨年お決めいただいた今御指摘の新政策、これを的確に確実に総合的に推進していくことによりまして規模を拡大し、生産性を向上して、国際競争力という言葉は大げさかもわかりませんが、内外価格差を縮めるようにたゆまざる努力をしていかなくてはならぬというのは星川委員と私と全く同じ考えでございます。そして、我が国の農産物価格をお互い議論し、決定するときにも内外価格差というものを頭の中に置きながら議論しないと、本当の意味で国民から日本の農業、農政というものが見放されてしまっては大騒動である、こういう考え方を持っております。
#32
○星川保松君 最後です。
 ただ内外価格差ということ、コストのことばかりを考えていってしまったのでは、これはもう日本の農業は成り立たないということになってしまうと思うんですね。ですから、それでは安いものは何でも外国から買えばいいのか、何も農業生産としてやらなくてもいいのかというところまでいくと、それではだめだ、消費者の皆さんもそれじゃだめだと、こうなるわけなんですね。
 それでは、どこまでこれは、国民としてのいわゆる食糧安全保障という立場からも、安全保障料として支払ってでもここまでは自給をしなければならないという線がはっきり出てきませんと、年じゅう問題ごとにその押し問答が始まるんですね。だから、年じゅう押し問答が始まらないように、国民的な合意のもとに、幾ら国民的なコストがかかってもここまでは自給するんだということをやはり農水省あたりが提示して、それで議会や世論に訴えてという、国民的な合意のもとに線を決めておいて、ここまでは自給するのにだれももう文句は言わないことというふうにしないと、年じゅう押し問答で押したり押されたりということでどうもけじめがつかないのじゃないかと、私はこういうふうに思うわけであります。
 とにかく最低限度、麦はここまで、米はここまで、何はここまでというふうに自給、それについてはもう後は一切文句を言わない、幾ら金がかかっても出しましょうというふうに決めてしまうのが大事だと思うんですが、これについてはどうお考えでしょうか。
#33
○委員長(浦田勝君) 官房長に申し上げます。もう時間も過ぎておるから簡潔に答弁してください。
#34
○政府委員(高橋政行君) 現在、自給率につきましては、平成二年に農作物の需要と供給の長期見通しを示しておりまして、その中で、自給率につきまして平成十二年度にどうするかという格好でお示しをしておるところでございます。御存じのとおり長期見通しから算出しておりますが、いわゆる計画経済というわけにもまいりませんので目標とか計画といったような強いものではございませんが、現在お示しをしているということでございます。
 それで、こういう新しい現在の状況の中で、今後どういうふうにしていくのかということは当然問題になるわけでございまして、主要農作物につきましての新たな長期見通しの策定につきましては、現在どんなふうにしていったらいいかということで農政審議会で御議論をいただいておりますので、その議論を踏まえまして検討作業を今進めつつあるということでございます。
#35
○風間昶君 それでは二、三点お伺いしたいと思います。
 まず、食料自給の問題ですけれども、先ほど大塚先生の方からもあったわけですけれども、現在輸入で不足分を補っている状況で、これから世界人口の伸びと、そして食料の生産量の伸びとをずっと見ていくと、恐らく数十年後にはかなり、国内的には高齢化社会だし、対外的にも日本は深刻な食料難のところに入っていくのではないかというふうに考えられるわけです。
 そういう状況の中で、今後とも豊かな食生活を維持していくには、農業白書では、国内供給可能なものは国内供給、そして輸入と備蓄とを適宜組み合わせた、安定したということをうたっておりますけれども、やはり一番大事なのは、その中で私は食料自給の問題だと思うわけです。
 先ほど大塚先生の方からも、今の農業基本法をアレンジしながら抜本的に改正していくことも含めた御意見、御議論があったわけですけれども、現在、自給率引き上げの根拠になる法的なものがないというのも私は問題点ではないかというように思うわけです。だから低下傾向にはどめをかけられないんじゃないかと。法的な問題だけではできないのかもしれませんけれども、この自給率アップを明確に法的に位置づけるという考え方について、まず大臣に所感をお伺いしたいと思います。
#36
○政府委員(高橋政行君) 今、先生からお話がございましたように、自給率を法律とかそういったものではっきり、計画とか目標とかそういった形で位置づけるとか、そういうことができないかというような御意見だと思いますが、御存じのように、この自給卒といいますのは結局、生産と消費、その関係で決まるわけでございますね。
 それで、例えば需要、いわゆる消費の方でございますが、この消費というのは、国民が日々の食生活においてどういうものを選択していくかという予測に基づいて計算をしているわけでございます。それからまた生産につきましては、農家の皆さん方がそれぞれ経営判断の中で主体的にどういう作物を選択するかとか、あるいは組み合わせていくかとかいうようなことで決めていくことになるわけでございます。
 したがいまして、そういうそれぞれの消費者なり生産者の皆さん方の選択の問題として決まっていくものを、非常に固定的に、計画とかそういうかたいものといいますか、というようなことで位置づけていくというようなことはなかなか難しい、なじまないものではないかというふうに思っておるわけです。
 したがいまして、現在、農業基本法に基づいて長期見通し、いわゆる生産と需要の見通しを定めておりますが、その際に我々試算値という形で自給率というものをお示しして、一つの目安といいますか、そういうことにしてお示しをし、いわゆる我が国の国土資源といいますか、そういうものをできるだけ有効に活用して可能な限り国内の農業生産を維持・拡大するという格好でつくっているというものでございます。
#37
○風間昶君 でも、これはハードの意味ではなくて、生産者の方々に目標を与えていくということも考えに入れるとある程度のあれは必要じゃないかというふうに私は思います。それがないからこそ今まで問題になったのではないかというふうに思うわけです。
 次に、ラウンド後の国内農業政策について、交渉の妥結に伴ってかなり農業市場も開放を迫られるわけですけれども、そういうことで日本の農業の持っていき方というか進め方が、一方では国際化に対応しなきゃならないということで競争力を向上しなきゃならない。あるいは低コスト化という国内農家の競争力の向上が不可欠であるということは大事なんですけれども、もう一方では、限られた日本の土地で、しかも農産物をつくるところは明らかに限定されているわけですから、いよいよそこにおける環境をどうやって、それこそ三十年から五十年単位ぐらいで考えた農業をやっていくかということが求められているわけです。ただ単に肥料をどうこうすればいいとか、リサイクルをちょこちょこやればいいとかというもう問題ではない。
 それは具体的手法としてはあり得るかもしれないけれども、もうちょっと自分自身のこれから種の生存を考えていくならば、そこのところに環境保全型農業の理念というのをきちっと打ち立てていくべきではないか。もちろん、理念はあるからこそ環境保全型農業の三つの大きな柱が六年度に講じようとする施策の中に柱として出てきているわけですけれども、新政策ではちょっと環境保全型農業の重要性がさらっといっているような感じが私はするわけです。
 そういう意味で、少なくとも二分の一世紀ぐらいの土壌の中で育っていくものをリンケージしながら人間が食べていくということを考えるならば、環境保全の農政をどうしていきたいというものをきちっと出すべきではないかと思いますけれども、どうですか。
#38
○政府委員(日出英輔君) 今、先生のお話でございますが、私どもも大変大きな課題であるとともに、今お話しのようないわゆる環境保全型農業推進をどういうふうにやっていくのか悩んでいるところでもございます。悩んではかりもいられませんので、先般、四月に農林水産省の中に環境保全型農業推進本部というのをつくりまして、いろいろな方のお話を聞きながら、実践的にこれから大々的にこの環境保全型農業を進めていきたいということでございます。
 ただ、先生もお話になっておられましたように、この環境保全型農業自体が非常に多様な地域で多様な形で行われております。これをどういう形で支援をしていくのかということでございますが、一応私どもは平成四年から環境保全型農業推進事業ということで都道府県段階で技術の実証というようなことを始めたわけでございますが、これからはもう少し幅広く全国各地で多様なものが広がっていくように、今度は市町村段階でこういった実践的な環境保全型農業に取り組んでもらう、こういうことを平成六年度から進めていこうということでございます。
 有機農業もあります。あるいは減農業、減肥料というのもございます。あるいはいろんな生産資材で新しいものを使っていくのもございます。私どもとすれば、今の段階では、こういった技術開発の進展もございますが、慌てずにこういった多様な環境保全型農業というものを着実に推進していくようなやり方をとっていきたいというふうに考えている次第でございます。
#39
○風間昶君 老人保健福祉計画を各市町村段階で策定して出して、それを総合的に判断して国も福祉ビジョンにのっとってやっていこうということですから、少なくとも農村地域に対しては、具体的に環境保全型農業としてどういう手がありますかということも含めて、もう少し幅広く農水省としても意見をとり、まずヒアリングをするという計画を出していただくというようなのも一つの私は方法じゃないかというふうに思いますので、ぜひ大臣御考慮をしていただきたいと思います。
 次に、これで最後ですが、捕鯨問題について若干伺いたいと思います。
 さきのIWCメキシコ総会で、例の南氷洋サンクチュアリーですか、設定されて、十年ごとに見直すということが採決され、また、私ども日本が出した沿岸小型のミンククジラが対象から外されるという状況になって商業捕鯨への道が閉ざされる状況になり、さらには、今まで毎年恐らく一億数千万円も拠出して全面的な支援を行ってきた調査捕鯨の道もこれから厳しいという状況を踏まえて、大臣も記者会見で述べられておりましたけれども、科学的根拠に基づいてやっているということを主張しているにもかかわらず、やっぱり感情的な捕鯨禁止論が根強いことは非常に残念ですけれども、巷間このIWC脱退というような意見まで浮上しているようでありますけれども、今後我が国としてはIWCとどういうふうにかかわっていくべきなのか、そういうことをお尋ねして、質問を終わりたいと思います。
#40
○政府委員(鎭西迪雄君) ただいま委員御指摘のとおり、我が国は従来から、IWCにおきます科学委員会の検討結果というものが総会の意思決定に反映されていないのではないかということで、いろんな場で発言もし、意思を表明してまいっているところでございます。
 本年のIWCの年次総会におきましても、科学的根拠が明らかにされないままに反捕鯨国の数の力でいわば一方的に南氷洋のサンクチュアリーが可決されたというようなことに見られますように、そもそもの根拠規定でございます国際捕鯨取締条約の精神である鯨類の保存と適切な利用というものが否定される結果になったということは、まことに残念なことだというように考えているところでございます。
 こういう状況にかんがみまして、IWC総会の最終日の我が国代表の閉会のステートメントにもございますように、我が国とIWCとのこれまでの関係を見直す必要があるんじゃないかというように考えている向き、おっしゃる向きもいろいろございます。
 私どもといたしましては、条約締約国の固有の権利でございます異議申し立て、あるいは極端な場合は脱退等を含めて、もう少し各方面の御意見を聞きながら、どういう対応をとることが海洋水産生物資源の持続的利用という、我が国の基本的立場でございますが、これは国際的にも国連海洋法条約あるいはアジェンダ21等々で確立している概念でございますので、そういう概念に沿い、かつ日本の国益に沿うことになるのかということを総合的に検討いたしまして最善の結論を出したい。まだ若干時間がありますので、十分そのあたりについて情勢分析というものをやっていきたい、かように考えているところでございます。
#41
○林紀子君 私も麦価の問題から伺いたいと思います。
 きょう米価審議会が開かれ今年産の生産者麦価が決定するわけですけれども、この決定は羽田内閣が誕生して最初の決定です。また、ガット協定に調印して最初の決定であるという点で大変重要な意義を持っていると思います。
 しかし政府の諮問というのは、基本価格は引き下げる、調整額二十七円を上乗せして据え置きという諮問だというふうに伺っているわけですけれども、ガット合意受け入れで今農家にはあきらめが広がっておりますから、今回の決定に当たりましては、特に農家が意欲を持って生産できるようなそういう引き上げというのがぜひ必要だと思いますが、大臣はいかがですか。
#42
○国務大臣(加藤六月君) ここ数日、今のような御意見を熱心に承ってきておりまして、熱心な御要請、御要望を承ってきておるところでございます。
 先ほど衆議院の本会議におきまして私はお答えいたしたのでございますが、本年産麦の政府買い入れ価格につきましては、従来どおりの算定方式、いわゆる産地方式によります算定結果が現行価格とほぼ同水準、九千百十円に対しまして九千八十三円、二十七円低い水準になったことを踏まえて、生産者の生産意欲に及ぼす影響にも配慮して据え置くこととさせていただきましたということで、そして、衆議院の本会議が済んで飛んで三番町の米審会場へ行きまして、就任のあいさつと諮問したことについて委員の皆さん方によろしく御審議いただきたいというお願いをしまして、こちらの参議院の農水委員会に出させていただいておるという現状でございます。
#43
○林紀子君 ガット最終合意に署名したと。それは政府はしましたけれども、国会の承認というのは先ほどお話がありましたようにこれからなわけですから、内外価格差の縮小などということで引き下げということは絶対に許せないということを強く申し上げておきたいと思います。
 次に、国営筑後川下流土地改良事業についてお伺いしたいと思います。
 この事業は、一九七六年度に国営市町村特別申請事業ということで着工して以来、県営の関連事業も合わせますと、総受益面積が三万ヘクタール、関係農家約七万戸、我が国でも最大規模の事業だということですが、事業工期の延滞、事業費の増加、そして生産者価格の相次ぐ引き下げ、農産物の自由化、そして農家所得の減少、こういう中で農家はその負担金が重過ぎるということで、東背振村や神埼町の地域では農家が集団で土地改良区に脱退屈を提出する、こういう事態にまでなっているということですが、大臣はこの事態をどのように受けとめていらっしゃいますでしょうか。
#44
○政府委員(入澤肇君) 事実問題ですので、私から答弁させていただきます。
 私も、きのう先生からの質問通告がありまして、改めてNHKのビデオを見せていただきまして、勉強させていただきました。かなり事実に誤認があるようでございまして、今、農家の負担の軽減の問題につきまして若干御説明申し上げますと、この事業の負担割合というのは、国営部分が六〇%、公団営部分が五八%、それから県が二五から二八%、農家が残りの一二%から一五%だったわけでございます。しかし、負担軽減が地元農家から強く要望された、それから平成四年度に国の負担割合が六〇%から三分の二に変更になったということから、福岡県、佐賀県両県、それから関係市町村におきまして、農家負担を軽減するように今、条例を定めるべく検討が進められております。その中身を見てみますと、具体的には農家の負担割合というのは、当初の案ですと国営では福岡県で一二・三%、これがゼロ%になります。それから、佐賀県では一五%でしたが、これがゼロないし四%になります。公団営の部分につきましては、福岡県では一二・三%だったんですけれども、これがゼロ%になります。それから、佐賀県では、農家の負担部分が一五・七%だったんですが、これがゼロないし四%になりまして、農家の負担割合はゼロないし四%、非常に軽減された形になっているということでございます。
#45
○林紀子君 農家負担ゼロということで御努力いただいているということでは、大変それは前進的な方向だと思うわけですけれども、しかし農家負担が軽減された分、今のお話にありましたが、国は三分の二ということですけれども、それ以外の部分というのは結局市町村の負担がふえるんじゃないかと思うわけですね。そうしますと、財政規模が小さな市町村に農家がゼロになった分負担がふえるということになりましたら、また市町村ということに対しては非常に新たな大きな問題というのが生まれると思うわけです。その分やはり国が負担をしていただく、そこのところをぜひ考えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#46
○委員長(浦田勝君) 入澤局長、簡潔にお願いします。
#47
○政府委員(入澤肇君) 簡潔に。
 確かにそのとおりでございますけれども、私ども平成三年度に市町村負担のガイドラインというものを出しておりまして、平成二年度から負担実態に応じた事業費補正など地方財政措置が充実してきておりますので、地方公共団体の安定的な財源確保に意を用いているということを御理解願いたいと思います。
#48
○新間正次君 どうも大臣就任おめでとうございます。
 質問に入る前に、実はきのうNHKの「クローズアップ現代」でタイ米の行方というのを特集でやっておりました。いろいろな話題を提供しておったわけなんですけれども、その中で私が一番実はびっくりしたのは、大阪の府警か何かの遺失物係のところに、何十トンですか、何かトン単位でタイ米の落とし物があったというニュースが出ておりました。それと、東京都かなどでもごみの収集の中に全く手つかずの二キロ入りのタイ米の入ったものがかなり収集されているというのを見まして、私大変ショックを受けました。これだけ我々が一生懸命、いわゆる今度の米騒動について骨を折ってきましたのに、そういうような事態が起きているということ、あるいは大臣ごらんになっていらっしゃらないかもしれませんけれども、御感想で結構でございますけれども、ちょっと聞きたいと思います。
#49
○国務大臣(加藤六月君) 実は、前週東京都内のある米の小売屋さんから長い長い手紙をもらいました。いろいろのことが書いてありました。そこで、私はこの日曜日の午後、時間をとりましてそこの小売屋さんを訪ねていきました。いろいろな苦情あるいは何やかんやと実は承りました。それから、米の小売屋さん何人がからこういう話も来ておったというようなことも承ったんであります。
   〔委員長退席、理事青木幹雄君着席〕
 どう申し上げたらいいでしょうか。タイ国の人はあのタイの米をおいしい、おいしいと食べておる。我が日本においては、そのタイ米についていろいろのことがありました。ある面では胸の痛む思いがいたしました。また、日本が買うということで相当な値上がりもした数字等を見まして、さらに突き進んでみますとタイの国民の皆さんに御迷惑をかけたなと。その米が、タイ米が今おっしゃったような格好になっているということはまことに残念であり、無念である。しかし、残念無念とばかり言ってもおられない、何とか具体的な方法、手段を講じないといけない、こう思って、食糧庁の方も今いろいろ検討、研究してくれておると思います。
#50
○新間正次君 私、全く同感でございまして、ぜひ食糧庁の方にも頑張っていただいて、こういうことのないようにお願いしたいと思います。
 私の時間が十六時二十九分ということでございます。実はかなり質問用意してきたんですけれども、ほとんど時間がありません。したがって、簡単にお答えいただければ結構でございます。
 中山間地域の振興ということについていろいろやっていらっしゃいます。ふるさと情報センターであるとかあるいは中山間営農支援ふるさと情報センターをこれからつくっていこうとか、あるいはグリーン・ツーリズムといいますか、などの予定もあるというようなことをお伺いしておりますけれども、この中山間地域の対策の推進に当たっては、私は地域の自主性を、創意工夫を生かすべきだと思いますけれども、大臣いかがお考えでしょうか。
#51
○国務大臣(加藤六月君) 私は地域の自主性、創意工夫を生かすことが一番大切だと。それぞれの地域において地形も違いますし、また異なった伝統、習慣、いろいろあると思います。
   〔理事青木幹雄君退席、委員長着席〕
 そして、総括的に申し上げますと、中山間地の活力、活性化なくして日本の政治全体、我が日本の農政全体がだめになってしまう、こういう認識の上に立ってもろもろの措置を講じていかなくてはならぬと考えております。
#52
○新間正次君 それでは、最後の質問でございます。
 私の方の地元の木曽岬干拓でございますけれども、本当にまさに四半世紀の長きにわたりましていろいろと皆様方に、関係省庁の皆さんにも御苦労をおかけして、今回は特に構造改善局あるいは東海農政局のお骨折りをいただいて、何とか線引きだけはできたわけでございます。本当に厚く感謝を申し上げますけれども、今回の合意について三重県が二十五年前に地元の漁協と交わしました、干拓地を農地として優先配分をするという協定があるわけでございますけれども、果たして本当にあの干拓地が農地として有効利用されるのか、あるいは今後土地利用の面で何か問題が起きてきた場合にどのように対応していくのかということについてお伺いしたいと思います。
#53
○政府委員(入澤肇君) 今御指摘のとおり、約二十六年間にわたる懸案事項でありました木曽岬干拓の県境問題が去る五月三十日の両県の知事間で合意されまして、来週中にも両県知事間で最終合意になる運びとなっております。
 今後、本格的に愛知、三重両県が共同で土地利用計画の策定を取り進めることになっておりまして、その土地利用の検討の結果を待って漁業者との調整もなされるものと考えております。
#54
○委員長(浦田勝君) 本件に関する本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#55
○委員長(浦田勝君) 次に、特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。加藤農林水産大臣。
#56
○国務大臣(加藤六月君) 特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び改正内容を御説明申し上げます。
 本法は、農産加工品等の輸入に係る事情の著しい変化に対処して、農産加工業者の経営の改善を促進するため、平成元年に五年間の臨時措置として制定されたものであります。
 その後の輸入自由化等の結果、製品の輸入が増加し、国内生産が減少する等特定農産加工業者の経営に影響が生じております。このような状況の中、特定農産加工業者は本法の活用により、新商品もしくは新技術の研究開発もしくは利用、事業の合理化等を行い、経営改善に一定の成果を上げてきたところであります。
 しかしながら、近年の景気低迷による食料消費の不振、価格競争の激化等から、自由化等の影響は、今後さらに強まるものと見込まれます。
 このため、特定農産加工業の経営改善を引き続き支援する必要があり、本法の有効期間を五年間延長するとともに、所要の規定の整備を行うこととした次第であります。
 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#57
○委員長(浦田勝君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#58
○大塚清次郎君 いわゆる特定農産加工法、これは五年前、牛肉・かんきつの自由化及び例の十二品目の自由化、こういうことに関連いたしまして、国内の食品加工に大変な影響を与えるので、場合によっては、この種のものについては国内の食品産業は空洞化する、またそういう兆候もあったのでもくろまれ、制定されたわけでございます。その後、五年間でそれなりの効果を上げてきておるということでございますが、五年という時限でございましたので、今回あと五年延ばそうということでございます。
 また、実際の法律を運用するに当たりまして、ふぐあいな業種の追加、関連業種の追加、こういうことも今度の改正案の骨子になっておりますが、それを推しはかるために、この五年間、これがどのように効果を上げておるかということについて、主管庁の考えをまず伺っておきたいと思います。
#59
○政府委員(鈴木久司君) 平成元年にこの制度が発足したわけでございますけれども、その発足の経緯につきましては、ただいま先生がおっしゃったとおりでございます。
 金融・税制上の措置を通じまして、農産加工業の経営改善を支援するという目的でこの制度ができたわけでございますけれども、実績について見ますと、まず金融措置につきましては、新技術資金を中心に活発に利用されておりまして、平成元年度から五年度までの五年間で三百二十一件、千二十一億円に達しております。また、税制上の特例措置につきましても、経営改善のため導入した機械、装置の特別償却等が活用されているところでございます。
 なお、具体的な実例を挙げますと、例えば輸入オレンジ果汁に対抗するために、風味向上のための窒素充てん施設を導入するとともに、ラインの大型化等によるコスト低減を図ったかんきつ果汁メーカーの例とか、あるいはリンゴのプレザーブなどの果実加工製造施設を導入し、多角化を図ったリンゴ果汁メーカーの例などに見られますように、各企業の経営改善への努力を支援し、一定の成果を上げたというように考えております。
#60
○大塚清次郎君 実は、五年前と五年たった今、それから今後の食品産業、特に農産加工業を考えます場合に、やっぱり流れといたしまして、生鮮農産物から加工食品への傾向は非常に顕著なものがあるわけでございます。これは消費者の食生活の嗜好が大きくそういう方向に傾斜しておるということで、ますます重要な意味を持つわけでございますが、その反面、やっぱり国際競争にさらされておりますので、これがありましても、なお外国の競合する農産加工品がどんどん入ってきておるということもあるわけでございます。
 そういう中で、いわゆる原材料の輸入、製品の輸入がかなり押し寄せてくる中で、やっぱりこの立法によってしっかりした今後の施策が必要だと思うわけでございます。特にその中での国産原料をどうしてこの特定農産加工業に使用させていくかということは、大きなこれは課題だと思いますが、それについて、国産の農産物を農産加工業に活用してもらうためにはどのような方途を講じていかれようとしておるのか、その辺をひとつ伺いたいと思います。
#61
○政府委員(鈴木久司君) 国内で生産される農水産物のうち、農産加工業や水産加工業の原材料にしむけられておりますものが現在約四分の一にも達しておりまして、自由化等によって農産加工業が縮小、撤退を仮に余儀なくされる場合には、国内農業にも大きな影響を与えることとなります。
 このような観点から、本制度におきましては、特定農産加工業と農業の双方の健全な発展を図ることを目的にうたうとともに、また、都道府県知事が具体的に個々の企業の経営改善計画の承認を行う場合には、地域の農業の健全な発展に資するかどうか、こういう観点から十分チェックをすることとしておるところでございます。
 今後とも、農産加工業と農業の双方の健全な発展を図るという本法の目的が達成できますように適切な運用に努めてまいる所存であります。
 このほか、農産加工業における国内農産物の利用促進を図るために地域食品産業の振興とか、あるいは農業生産者側と需要者側との間で原料農産物の情報交流の促進を図るとか、加工に適した品種の開発、普及、生産性の向上を図るといったような種々の対応をしまして、今後ともこういった国産農産物の活用を図るというために努力をしてまいりたいというように考えております。
#62
○大塚清次郎君 特にこの点については細心の注意を払って、そういう国産の原料をなるべく使っていくような体制をとっていただきたい。そうでないと、輸入原料は、ほとんど内外格差が生鮮よりももっともっと開いております。それから、これが調製品その他で入ってくると、化け物と我々は言っておりますけれども、外国産の原料にほとんど席巻されてしまうおそれさえあるわけでございますので、そう申し上げるわけでございます。
 ところで、この種の農産加工を含めまして、食品工業が今資本系列化の中にあるわけでございます。そういう意味では、やっぱりその地方地方の農業の特産地に根差した農産加工、ここにひとつ十分気を配らなきゃならぬ点があるんじゃないかと思いますが、その方途についてどのようにお考えになっておりますか。
#63
○政府委員(鈴木久司君) 地域に根差した加工食品産業の振興を図るという観点からは、この法律におきましても対象の業種のほかにそれに関連する業種の指定というものをしておりまして、その両者が相まって加工業の振興、発展を図っていくという仕組みになっておるわけでございます。
 現在、そういった観点から、関連業種としましてカンショ加工食品の製造業、バレイショ加工食品の製造業、この二種類が指定されておるわけでございますけれども、今回特定農産加工業を取り巻く情勢が厳しくなる中で、果汁メーカーがジャム等の果実加工食品に進出するなど多角化が進んでおるという実態にかんがみまして、さらに対象の関連業種を追加するという措置を講ずることとしておりまして、こういったことの対応をする中で加工業の全体としての発展を図ってまいりたいというように考えております。
#64
○大塚清次郎君 ひとつこの目的に沿って十分この法律が活用されるように御努力をいただきたいと思います。
 それから、この際お伺いしておきたいんですが、食品の日付表示の問題がかなり前から論議されております。製造年月日、それから賞味期限、このことについて例えば外国では賞味期限に非常に比重を置いて流通しておるわけですね。日本は製造年月日に非常に比重が置かれておる。そして、消費者の目も厳しいということでございますが、それはそれとして当然のことでございますけれども、やっぱりこの食品製造工場、食品業界におきましては今の流通の実態から大変なものがあるわけですよ。
 したがって、やっぱり世界各国並みに賞味期限、賞味期限といいますと問題はその容器になってくると思うんです。その容器は缶詰、これは永久のもので品質は変化しません。それから瓶詰、これは非常に変化があります。褐変その他があります、内容物について。それからアセプチック、いわゆるロングライフと言われる紙製品とフィルムのあわさったもの。それから、今度はプラスチック容器というようなのがあるわけですよね。
 そういったようなものに大別されますけれども、それはそれぞれいわゆる製造年月日から何日間はもてるんだという保証があるわけでございますので、そういう点ではやっぱり賞味期限というものを頭に置いていかないと、製造年月日中心にいきますと、主婦の方々がお店に行って、製造年月日の古いものは買わなくなっちゃう。そうすると、これがどうかすると製造業者に返品という形になってくる。そして、製造業者はその始末ができないわけですね。
 したがって、そういう点も考えていかないといかぬのじゃないか。そうでないと、食品工業はこれはなかなか容易じゃない、経営的にも行き詰まってしまうという場が出ようとしておるということがございますので、この問題を今扱っておられますけれども、今後どういうようにしてこの問題をきちっとした形にしようとされておるか、その点について食品流通局のお考えを伺いたいと思います。
#65
○政府委員(鈴木久司君) 現在、加工食品の日付表示につきましては、我が国の場合には製造年月日を原則とする表示になっておるわけでございますけれども、諸外国では販売期限、こういったような形でやっておるところが非常に多いという状況にございます。また、製造年月日表示をしているということに伴いまして、厳しい日付管理による深夜あるいは早朝の操業といったようないろんな問題、こういったものも出ております。
 こういったようなこととか、あるいは消費者の選択をさらに的確に行っていくというためにどのような表示がよいのかという観点から、平成四年三月から食品流通局の中に食品日付表示問題懇談会を設けまして検討を重ねてきたわけでございますけれども、昨年十一月に、今後の食品の日付表示につきましては、「原則を製造年月日表示から期限表示へ転換することが適当。」という報告を受けております。
 私どもとしましては、消費者や関係団体の意見を踏まえまして、また食品衛生法に基づく日付表示制度の見直しを進めております厚生省とも調整を図りながら、JAS法に基づく食品の規格及び品質表示基準の見直しの作業を進めているところでございます。年度内にはこの規格表示の見直しというものをしてまいりたいというように考えております。
#66
○大塚清次郎君 最後に、大臣にお伺いいたしたいと思います。
 先ほど私が申し上げましたように、消費者の志向傾向としては、生鮮から加工食品へ非常に大きな流れで今、流れが加速されておるということでございますので、今度、新農政についていろいろ施策をやっていかれる場合には、食品産業というのを一つの大きな今後の農政の柱にした施策の対応を、農政審議会等で今論議されておりますので、特にこの機会に大臣とされましても関心を強くされまして組み入れていただきたい、こういうことを思っておりますけれども、加藤大臣のお考えを聞いておきたいと思います。
#67
○国務大臣(加藤六月君) まず、それをお答えする前に、実はけさ、女子学生の就職に対する関係閣僚会合が開かれました。私は農林水産大臣として、食品産業は五十数%の女性の働く職場である、今後さらにその可能性をふやしていきたいということを中心とした趣旨の発言を早朝からの閣僚会合で言っておいたのであります。
 ということは、我が国の食品産業というものはさらにさらにこれから発展していくし、またいかなくてはならない。農政を考える場合に、農業と食品産業とが車の両輪である、こういう立場で考え、推進していかなくてはならぬ。
 そして、それはもう今まで局長が答弁しましたような、いろいろな思いを込めての問題でございます。したがいまして、農政審議会その他におきまして、我が国の食品産業のさらなる位置づけというものについて真剣に検討していただくようにお願いしたいと思います。
#68
○大塚清次郎君 ただいま御答弁いただきまして、そういう方向で進めていただくにいたしまして、それをあずかる食品流通局の予算をじっと見てみますと、それはそれはまだそういう車の両輪とは言いかねるようなお寒い限りでございますので、来年度ぐらいからひとつこれを一遍見直して、食品流通局が本当に食品産業の牽引車としてやれるような施策、予算化、これに全力を挙げていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
#69
○三上隆雄君 予定より早い時間を指名されまして、私は私なりに質問を展開していきたいと思っております。
 私どもの大先輩の大塚委員から、食品加工業を中心とした質問がございました。今回の農産加工法の改正につきましては、五年間の期限が間もなく到来してそれを継続するという趣旨の法案であります。原則的に私は賛成の意を表するものであります。しかもまだ、若干の希望、要請については、後ほど提案されます附帯決議にも私の意向が反映されておりますので、私は、限られた時間ですので私なりの質問を展開してまいりたい、こう思っております。
 この加工法ができたのは、そもそもその地域の生産者と、そして消費者に安全な良質の加工食料を提供するというのが本来の目的であって、加工業を振興、発展させるための援護法だと理解しているわけでありますけれども、五年間経過してその成果がどこにどういう形であらわれてきて、問題点がどこにあるのかをお答えいただきたいと思います。
#70
○政府委員(鈴木久司君) 今回もう五年間の延長をするわけでございますけれども、この五年間での融資実績、これにつきましては、件数で三百余件、金額にしまして一千億余の融資を行って、それぞれの加工業の振興を図ってまいってきているわけでございますけれども、その後の状況を見てみますと、五年前の自由化当初におきましては、消費者の志向が低価格品よりも高品質に向けられる傾向にありまして、外国製品との競争が価格面よりも品質面に重点的に行われることが多かったのに対しまして、近年では景気の低迷期を価格等を反映しまして、消費者の低価格志向がかつてないほど強まっておる。また、外国側の方でもその対応におくれが見られておったわけでございますけれども、その後、市場調査に基づきます新商品開発とか流通体制の整備等も積極的に行いまして、いよいよ輸出を本格化させようとしております。そういったような状況でございまして、加工業を取り巻く情勢はかなり厳しくなってくることが考えられるわけでございます。
 こういったような情勢変化も踏まえまして、今後とも、この法律を五年間延長しまして、引き続き的確な支援をしてまいりたいということでやっているわけでございます。
#71
○三上隆雄君 前段言いましたように、この法律を制定することによってその効果が加工業に及んで、その加工業を支えている生産段階に好影響を及ぼすというのがそもそもの法のねらい、願いである、こう思うわけでありますけれども、先ほど大塚先生も言われたように、その法律が制定された、しかしその間に牛肉・オレンジ、リンゴ果汁、そしてまた今回のウルグアイ・ラウンドの決着によって米までも入ってくる事態が出てきたわけであります。
 そこで、かつてはミカンの生産量が三百六十万トン以上あったものが、きょうの新聞にも出ておりますように、今回百四十万トンに調整すると、こういうふうに段階的に減少していることを見て、この加工法ができてオレンジの国内原料の需給というか、その点についてお伺いをしたいと思います。なおまた、オレンジの生果の消費動向も含めてお答えをいただきたいと思います。
#72
○政府委員(日出英輔君) 生鮮オレンジは、御案内のとおり平成三年四月に自由化され、あるいはオレンジ果汁につきましては、平成四年四月に自由化されたわけでございますが、生鮮オレンジの方につきましては、自由化された年の平成三年は、カリフォルニアの寒波の影響等もございまして、輸入量がそれほど多くなかったわけでございますが、四年はかなりふえ、五年はまた低迷といった形で、生鮮オレンジの影響は、直接的には温州ミカンへの影響はなかったように思いますが、晩かん類へのちょうど出荷周期の価格に若干の影響があったというふうに見ているわけでございます。
 なお、四年、五年の温州ミカンにつきましては、実は価格が低落をしておるわけでございますが、これは自由化の影響といいますよりは、果実が小玉であったこと、あるいは天候不順によりまして糖度不足によったといったようなことが考えられるわけでございます。
 ただ一方、オレンジ果汁でございますが、これは間違いなくやはり自由化の影響といいますか、平成四年四月の自由化以降、オレンジ果汁の輸入量が大幅に増加をいたしておるわけでございます。輸入オレンジ果汁の価格が極めて安いというようなことで、全体のかんきつ果汁の消費量が落ちていく中でオレンジ果汁が増加していることから、国産の温州ミカン果汁の消費量が自由化以前に比べて大幅に減少している、これが生果の方にも影響している、こういったようなことであろうかと思っておる次第でございます。
#73
○三上隆雄君 オレンジの自由化によってミカンの消費に影響があったのが、ミカン自体の品質なり特質なり、そういう関係で消費が減っているという趣旨のお答えでありましたけれども、日本のミカンはミカンの特性があって、そして、ミカンのいわば消費文化、そういういろんな要因をつくってミカンの発展があったわけであります。私は、しかもこの果物消費というのは、日本の一億二千万の胃袋というもの、そしてまたその胃袋のための予算というものが決められていると思うわけであります。ミカン産業がここまで停滞したことは、やはりオレンジの自由化によって、そこにオレンジが入ってくることによって一番類似の品種というか果物でありますミカンに影響したものだと、こう思っているわけでありますが、その私の認識をいかがお考えでしょうか。
#74
○政府委員(日出英輔君) 先ほど私が申し上げましたのは、生鮮オレンジあるいはオレンジ果汁の自由化が平成三年あるいは平成四年に行われたわけでございますが、私どもとすれば、生鮮オレンジの自由化によりまして直接温州ミカンへの影響は見られなかったというふうなこと、あるいはオレンジ果汁の輸入の方はかなり大きな影響があるということを申し上げたわけでありますが、ただ、この大前提としますと、先生も今ちょっとお触れになりましたが、我が国の一人当たりの果実の購入金額は順調に伸びてきているわけでございますが、一方で多様な消費という形で、かつてのミカンだけということから、多種多様なものの消費が購入金額あるいは購入数量ともにそういったような傾向が非常に顕著に見られるわけでございます。こういったものが、実は果実の王様でございました温州ミカンのいろんな需要あるいは生産に構造的な影響を与えているんではないかというふうな思いをしておるわけでございます。
#75
○三上隆雄君 限られた時間でありますから進みたいと思いますけれども、私は、その需給のバランスによって、消費者の志向の関係もあるけれども、やっぱり市場のバランスによって価格が低落し、そしてまた生産も消費も減ったものだと認識して、以後質問を進めていきたい、こう思っております。
 そこで、次にかんきつ果汁の国産原料の比率が、この制度をつくった段階と現在とではどういう推移をしているか、簡単にお答えください。
#76
○政府委員(日出英輔君) オレンジ果汁が、先ほど申し上げましたように、特に安価な輸入が大幅にふえた結果、かんきつ果汁全体の需要が伸び悩み、あるいは国産のミカン果汁の需要が減少してきているということで、先生お話しのように、かんきつ果汁に占めます国産ミカンの果汁の割合は、平成三年は約四割でございましたが、平成五年は三割を切る水準になっているわけでございます。
#77
○三上隆雄君 この単年度の推移を見てもやはりこれだけの影響があるということを、まずかんきつ関係の状況でおわかりになったと思います。
 そこで、リンゴの問題に入っていきたいと思います。
 先般、十六日ですか、ニュージーランドリンゴの第一便が入りました。これは昨年六月一日をもって、私ども、私も含めて生産者、農業団体、消費者の抵抗、反対があったけれども、国際情勢でやむを得ない、植物防疫法からいって技術的には問題がないという理由から入れることになりました。今度はアメリカから執拗に要請されているわけであります。
 そこで、そのニュージーランドリンゴの第一便が入って、第一便というか、航空便と船積みと二便入ったのかな、入って実際市場に流通した値段は幾らで、その値段はどういう評価をされますか、お答えをいただきたいと思います。
#78
○政府委員(日出英輔君) 先生お話しのニュージーランド産のリンゴでございますが、商業用の輸入ということで五月十八日に十九トン実は入ったわけでございます。
 この輸入価格、業者の売り渡し価格でございますが、一キログラム六百円程度と聞いておりまして、これはかなり高い水準でございます。現在の国産の平均卸売価格が二百六十五円程度でございますから、かなり割高でございます。小売価格につきましては、これはいろいろサンプル的に売っておりますのでよくわかりませんけれども、一個、二百グラムぐらいでございますが、これが百円ないし百六十円程度ということで、国産の平均小売価格に比べますと同程度あるいはそれ以上の価格で販売されておるわけでございます。
 ただ、基本的にはニュージーランド産のリンゴは一キロ一ドルぐらいが輸出価格でございますので、今後輸出戦略も考えますと、日本向けに……
#79
○三上隆雄君 ちょっとすみません。今、輸出価格は幾らと言ったんですか。
#80
○政府委員(日出英輔君) キロ一ドルでございます。
 結局、日本向けに販売戦略を考えた一つの価格で持ってくるということも十分考えられるかと思っております。
#81
○三上隆雄君 今、ニュージーランドの現地の輸出価格がキロ百円、それにどの程度のコストがかかって日本の小売価格ができると思いますか。
#82
○政府委員(日出英輔君) 正確にはまだ本格的な輸出が、十九トンという大変少量でございますのでよくわかりませんが、仮に輸出価格が百円といいますか一ドルということになりますと、それに輸入されるまでの間の運賃でありますとか関税、諸経費等を入れますと、これが大体一・五倍ぐらいの水準で輸入原価が構成されるのだろうと思っておりますが、これはあくまでも商業的に輸出しできますときにはそれぞれの国の販売戦略がございますので、一義的には言いにくいかと思っております。
#83
○三上隆雄君 大変巧みなお答えだと思います。
 そうすると、現地価格がキロ一ドル。私は百円と言います。百円に対して、集荷、薫蒸、輸送、国内の販売コストを入れておおよそ一・五倍と言いましたね。
#84
○政府委員(日出英輔君) 今、私が申し上げたのは、商業的に輸出をする場合にはそのぐらいかかるだろうというふうに申し上げたんですが、ただ本件のリンゴにつきましては、さらにいろいろな植防上の経費あるいは特別な荷口のもの等々かかりますので、ちょっと私ども正確にわかりませんけれども、かなり割り増しといいますか割高の経費がかかるんではないだろうかというふうに思っております。
#85
○三上隆雄君 そうすると、キロ百円に対して一・五以上かかるというような局長の答弁でありますから、二倍にしてもキロ三百円ということになりますね。十キロで三千円。十キロで三千円ということは、この間の十九トン入ったときの値段からいきますと、あれは一個の販売を逆算すると七、八千円という単価に相なるわけですけれども、あれが国内では、ニュージーランドのリンゴはあの程度の品質であの程度の価格ですよというイメージを与えたと思うんです。その意味では、ニュージーランド側にすれば大変な販売戦略的効果があったと思う。
 私は、その判断が早計ではないか、今、局長が言われたようなそういう販売単価、あるいはそれよりもっと安い単価で入ってくるんじゃないかなと思うんですが、私の認識をいかが思いますか。
#86
○政府委員(日出英輔君) これにつきましては定かには申し上げられませんが、先ほど申し上げましたように、ニュージーランド産のリンゴの輸入価格自体は六百円程度でございますが、今回は特に大手の量販店などでサービス品という形で実は提供していることもありまして、一個百円から百六十円程度ぐらいで販売されたようでございます。
 これはただいまの商業用の第一便として売られたものの値段、価格関係でございますので、こういったものが今後出血サービスで続くともちょっと思えませんし、まだまだ価格関係がどうなるかということについてはなかなか定かに申し上げられるような段階ではないんじゃないだろうかと思っております。
#87
○三上隆雄君 実はきのうの通告の段階で、政府の情報網からいったら将来どのくらいの販売単価が出るかという予想ができるでしょう、一日もあったら。それがなぜきょうの今の段階で予想できないんですか。あえてそれを回避しているんじゃないですか。
#88
○政府委員(日出英輔君) これはなかなかそれぞれの国の販売戦略がかかわっておりますので、単なる原価計算でやるわけではございませんし、一番問題なのは、先生も御案内のとおり、大手の量販店で目玉といいますかサービス商品になるかどうかというところだと思っております。
 私ども、例えばニュージーランド産のリンゴでございますとロイヤルガラということで、実際試食してみましたけれども、現在日本国民が食べております陸奥、つかるに比べますと品質的には、こう言ってはなんでございますけれども、いまいちだということでございますし、それほどサービス的な目玉商品になるとは思っておりませんけれども、ちょっと今の先生のお話につきましては、そういった原価的な問題以上に大手量販店の販売戦略等がかかわってまいりますので、定かに申し上げられないと申し上げたわけでございます。
#89
○三上隆雄君 ただいま局長の認識にしろ正しい認識かなと、こう思っております。私は相当低廉な価格で入ってくると思うわけであります。
 そこで、アメリカの情勢を若干お聞きしたいと思うわけであります。
 アメリカもこの間の三十、三十一日の専門家協議によって、きょうの新聞にも出ていますように、防疫上は問題ない、あと公聴会で利害関係者の賛同を得れば入れることの手順一つ残すのみだと、こういう状況に相なっておりますけれども、米国産のリンゴをいかが認識されておりますか。少なくともニュージーランドと比較して高いのか安いのか、品質的にあるいは病害虫の関係も含めて、できれば簡略にお願いしたい。
#90
○政府委員(日出英輔君) アメリカは今、特に主力になりますワシントン州のリンゴの九〇%がレッドデリシャス、ゴールデンデリシャスの二品種でございます。これは我が国に入りましたときには一昔前のリンゴでございます。そういう意味では陸奥、つかるに比べますといまいちといいますか、消費者がそう食いつくようなものではないと思っておりますが、一方では、先生も御案内のとおり、アメリカも販売戦略を考えまして、陸奥、つがるの新植がかなりふえつつあるというようなことも聞いておるわけでございます。そういう意味で、現段階で入ってくるかもしれない米国産のリンゴと、これから数年後に仮に日本向けのものということで持ってきますものには品種的にかなり違いがあるかもしれないということがまず第一点あるかと思っております。
 さらにもう一つございますのは、アメリカ産のリンゴは比較的小玉でございます。これを皮ごと丸がじりする食形態でございますが、こういったことが日本の消費者の嗜好に合うかどうかというようなことがもう一つこのアメリカ産のリンゴの力を考えますときに出てくることだろうというふうに思っておる次第でございます。
 いずれにしても、アメリカは収穫期にかなり安いメキシコ系の労働者の方々を活用した収穫作業などができておりまして、日本のリンゴ産業に比べますと大変強敵でございます。その意味で、私どもとしますれば今まで以上に産地対策の強化ということを考えていかざるを得ないというふうに思っている次第でございます。
#91
○三上隆雄君 隣の村沢先生も、入れなきゃ一番いいと言う。私も入れないことを前提としてやっているわけでありますけれども、それにしてもおのれを知らずして味方の態勢はできないわけでありますから、その意味で質問を続行させていただきたいと思います。
 今、局長はたまたま小玉だと言いますけれども、この間、実は私は社会党と全国の農業団体との調査団の団長として一週間行ってまいりました。オレゴン州とワシントン州の大方の有名優良産地は見させていただきました。私も実際リンゴの専門家としてあの現地のさまを見て、これは大変な驚異だと。今まで日本は、アメリカのリンゴというのは日本のリンゴに比べて大したことないよ、品質的にも収量的にも生産性からいっても弱いよと、そういう認識でおったけれども、全くそれは違うと認識を改めてきました。
 それはあの枝一本一本の神経の使いよう、園地全体の整備、そしてあの乾燥地帯にスプリンクラーなり点滴なり、かん水装置を完璧に施したあの大産地の状況を見て、しかも今局長たまたま言ったように、メキシコの安い労働力、アメリカ自体の安い労働力、失業者もある、そういう社会的条件からいっても、私は日本の産地よりもはるかに日本のマーケットが求める品質をいつでも対応できるそういう条件はそろっている、こう思うわけであります。
 したがって、もし病害虫が全く入ってこない、生産者が要望しているとおり、入ったときには当然国の責任で要望どおりそれはかなえてやらなきゃならぬけれども、もし入ってきて、それが経済的な影響を与えるということは私は目に見えて実感として受けてきたわけでありますけれども、それについて担当局長としていかが御感想をお持ちか、まずお答え願って後に進みたいと思います。
#92
○政府委員(日出英輔君) 我が国もそうでございますし、アメリカもそうでございますが、それぞれ今現実に輸入を禁止しているものを解除する場合には、それぞれ園地を指定し、それにつきまして相手国の植物防疫官がそちらに行きまして指定園地を検査し、それからずっと病害虫防除技術が確立されているかどうかということを厳しく見る、これが大原則でございます。
 そういう意味で、今回、実はアメリカ産のリンゴの対日輸入と日本産リンゴの対米輸出の話が同時に議論されておるわけでございますが、いずれにしましても原則禁止しているものを解除するわけでございますので、ある意味では外から見ますと輸入障壁とまごうような厳しい手続を経て入ってくるわけでございます。ニュージーランド産のリンゴにつきましてもそれは例外ではございませんで、ある意味では大変厳しい手続だということで非難する方もおいでになるぐらいの話でございます。
 私どもとしますれば、そういうことで問題になっております火傷病なりの病害虫につきまして、これが入らないように万全の防疫体制をとってまいりたいと思っておりますが、不幸にして万一そういうものが入りまして問題が出ましたときには植物防疫法上の緊急防除、あるいはそれによって損害を受けた生産者に対しては損失補償の規定といったような制度的な対応もございますので、私どもとすればそういうことを含めて生産者側の方に対しまして病害虫の防除技術の確立の問題、あるいは今申し上げたような損失補償の規定の問題、こういったことを含めて生産者側の方の御不安を少しでもなくするようなそういう努力をいたすべく、ただいま現地での説明会を各地でやっているところでございます。
#93
○三上隆雄君 今、局長は、問題のその病害虫の侵入は絶対あり得ないように万全な体制を組むと言っています。それは昨年度の公聴会でも重々言ってきたことであります。それから、いろんな機会にそのことを生産者からも消費者からも要望してきた。しかしながら、きょうの新聞を見て、ニュージーランドリンゴ、我々は輸出用果物からいくと常識で考えられない虫の被害のあるものがたまたま青森県の産地の農協の試食品に入ってきたんですね。きょうの新聞に出ています。
 これはどういう検査の体制でこんなものが入ってくるんですか。十キロのリンゴを三箱買った。三十キロですね。その中にたまたま一個入っているということは、入ってくる確率からいったら相当高いものなんだ、これは。今まで言っているような厳格な防疫体制をとっているのかどうか、その点についてお尋ねします。
#94
○政府委員(日出英輔君) 今、そういう報道が現地で出されたということは私承知しておりますが、実は先生お尋ねのようなことにつきまして具体的に技術陣が今調査をしているところでございますので確たることを申し上げられないわけでございますが、いずれにしましても、サンプリングで入ってまいりましたときには抽出の検査になりまして、一個一個リンゴ全部につきまして検査するわけではございませんので、やはり先生のおっしゃったようなことは、間々入ってくる可能性はもちろんあります。ただ前提としまして、例えば次亜鉛素酸ソーダあるいは臭化メチル等で薫蒸しあるいは浸漬するというようなやり方で、問題となります病害虫なりなんなりをきちんと根絶させて入れてくるということでございますので、私は基本的にそういったような心配はないんではないかというふうに思っている次第でございます。
#95
○三上隆雄君 いや、現実に心配ないんでなく、心配あるから万全を期してくれということをまず要望しておきます。
 その病害虫については、これは入った時点では当然国の責任において生産者の減収補償、いろんな生産者団体から要望のあるように、それについても万全な対応をしていただくように今この場からも要望をしておきます。
 なお、今、日本の果物の中でいろんな果物があるけれども、先ほど言ったような日本の大宗をなしてきたミカンが半分と言わず三分の一近い状況になっております。たまたまミカンについては特定果実ということで果樹振興法の特別措置法の中で指定されて、このような事態が生じた場合には当然にその法の精神からいって補償すべき、あるいは国境措置をすべき状況に相なっているわけでありますけれども、それが全く機能していない。機能していないということをいかが感じておりますか。
 時間がないようでありますから、どうぞひとつ、その機能していない法律ですけれども、リンゴも自由化になる、一国ではまずなりました、これからもまたそれが危惧されている状況でありますから、リンゴも特定果実に指定していただいて、こういう事態になったときは果振法そのものが機能するようにお願いしたいと思いますけれども、最後に大臣の御決意を聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
#96
○国務大臣(加藤六月君) 今さっき以来の質疑応答を承っておりまして、いよいよアメリカから来るリンゴについてもいろいろな問題が改めて浮き彫りにされたと思います。
 果振法につきまして、もし必要があるならば特定果実にするしないという問題があると思いますが、何も起こってない今日、すぐ指定するしないということは、私がこの席で申し上げるのはちょっと困難ではないかと、こう考えております。
#97
○三上隆雄君 まだ時間ありますから。
 大臣、問題が起きて生産現地が再生できないような状況になってからそれを稼働させてもだめなんですよ。なる前に、少なくともそういう事態になったときにはこういう法律で救ってあげますよというのが法の精神じゃないでしょうか。
 その意味で、ミカンに対して特定果実にその当時指定したわけですけれども、施行法が万全でないから今のような事態になっているわけですよ。ひとつ御検討していただくようにお願いしたいと思いますが、局長と大臣の再答弁をお願いします。
#98
○政府委員(日出英輔君) お言葉を返すようでございますが、果振法の第五条で、先生おっしゃいますように、輸入の影響で果実の価格が著しく低落したり、生産、出荷に重大な支障を受ける場合に、同法に基づきます生産出荷安定措置を講じてもなおそうした事態を克服し得ない場合には、いわゆる輸入制限等必要な措置を講ずる旨の規定が第五条に設けられており、先生はこの第五条の規定の運用をお話しになったと思います。
 先ほど大臣申し上げましたのは、今現在リンゴにつきましては、この輸入の影響で果実の価格が著しく低落したり、生産、出荷に重大な支障を受ける場合という、これに該当しないということで大臣は申し上げたわけでございますが、もちろん私どもとしますれば、こういった事態を招くことのないように、リンゴにつきましては生産流通対策なり需給調整対策なりを講じてまいる所存でございますが、いずれにしても先生お話しのように、今後の推移をしっかり見守る、そういう必要はあろうかと思っているわけでございます。
#99
○三上隆雄君 きょうは、法案が特定農産加工法の関係ですから、以上、質問なり要望を申し上げておきます。
 後日いろいろ機会があると思いますから、特に今回は法案がたくさんございますし、機会もございますから、ひとついいお答えの出るように、生産者に、特に新農政で稲作から転作した中山間地帯は、畜産はもうほとんど可能性はないわけです、そう言っては畜産農家に失礼ですけれども。中山間地の農業再開発には果樹に移行するというのが大きな目玉でありますから、その点も留意されながら慎重、大胆に対処していただきますことをお願い申し上げて終わります。
#100
○林紀子君 一九九一年に生鮮オレンジが、一九九二年にオレンジ果汁が輸入自由化されたわけですね。
 本法の改正に当たりまして、政府は、自由化等の影響は、現時点ですべて出尽くしたとは言えないと言っているわけですけれども、この間の実態は、ミカン農家や果汁加工業者に深刻な犠牲を負わせております。自由化の恐ろしさ、あえて恐ろしさと申し上げますけれども、十分過ぎるほど示していると思います。
 広島のミカン農家、果汁加工業者から聞いた実情をもとに、まず大臣にお伺いしたいと思います。
 農家の方は、ミカンは接ぎ木などして生産できるまでに五年程度かかる、ことしの生果用の手取りは、ハッサクでキロ百円、温州ミカンでキロ六十円から七十円、果汁用は若干の補償を受けてもキロ十円そこそこ、借金をして生産を維持している状況だ、営農意欲もわいてこないので、広島県の瀬戸田町というところですけれども、ここでは三〇%、因島市では五〇%がミカン畑を放棄している、こういうふうにお話を聞きました。
 また、生産者団体や工場の方は、国産ミカンの搾汁量を四分の一に減らしたのに在庫を二年分抱えている、昨年は全く売れていない、高品質を目指したけれども外国産の安いものが入ってきたら到底太刀打ちできない、経営を維持するために仕方なく輸入果汁を扱っている、既にミカンの生果の調整弁という役割は果たせなくなっている、このようにおっしゃっておりました。
 事実、輸入果汁価格というのは、大蔵省の貿易統計によるCIF価格、一九九三年平均価格で、五分の一濃縮オレンジが一リットル百七十六円、ストレートオレンジで一リットル百二十五円、こういう数字を今手元にいただいております。国内果汁を扱う場合は、原料をただにして、つまり農家の手取りというのをゼロにしても、搾汁費や運賃の経費だけで百八十円はかかる、こういうお話を聞いてきました。
 これを見ますと、全く太刀打ちできないというのはもう一目瞭然なわけですけれども、こういう事態をまず大臣はどういうふうにお考えになるかというのを伺いたいと思います。
#101
○国務大臣(加藤六月君) 何年か前でございますが、私は数台の車を連ねてサウジアラビアの砂漠の中をずっと行きました。何時間か随分走ったとき、ささやかな休憩所のようなものがありました。そこの売店でポンジュースがあったというので、日本の一緒に行った国会議員は随喜の涙をこぼすというか、感激の涙をこぼすといいますか、サウジアラビアの砂漠の中のど真ん中のここに我が国の缶ジュース、ミカンジュースがあったかと。
 こういうことを今思い出しておるわけでございますけれども、平成四年四月に自由化されまして、一九〇%、あるいは五年度には一三六%と、輸入はどんどんふえてきておる。そしてまたコストもどんどん高くなってきておる。さらに、それにかてて加えてといいますか、需要が減退し、全体的な価格が下落しておる。こういう現状を見ますと、サウジアラビアの感激どころではない。国内でさらに思いを新たにして対策を考えなくちゃならない。その体質強化を図っていかなくちゃならぬ。
 そこで、今申し上げましたような理由から、国産果汁の需要拡大対策、あるいはオレンジ果汁の輸入増の影響による国産かんきつ果汁原料の価格低下を補てんするための果汁原料用かんきつの価格安定対策、あるいは果汁工場の整備合理化、近代化、再編整備等を実施しまして、オレンジ果汁の自由化の影響を最小限にとどめるように努力しなければならないと、思いを新たにいたしておるところでございます。
#102
○林紀子君 今、大臣の方から対策も伺いましたけれども、特に、生果の調整弁の役割を果たしているということを本当に発揮させるためには、加工業者が輸入果汁を使用しなくても済むようなそういう経営をしていく必要というのがあると思うわけですね。
 ですから、加工原料用の価格保証制度、今大臣からもお話がありましたが、もう少し具体的にどういうふうに考えていらっしゃるのか。また、例えば加工業者に対しては、二年分も在庫を抱えているというわけですから、貯蔵施設への支援、こういうものをどういうふうに考えているのか、どういうふうに今後も検討していくのか、その辺をもう少し詳しく伺いたいと思います。
#103
○政府委員(日出英輔君) 今、先生お話しのように、果汁をめぐります厳しい状況がございます。この問題は、かんきつ果汁産業だけじゃなくて、お話しのようにかんきつ生産の存立そのものにもかかわるわけでございます。
 そういう意味で、私どもとしますれば、当然のことながら果汁工場の施設の整備合理化でございますとか近代化、再編整備のほかに、実は昭和六十三年度から八年間の特別補てんということで、果汁原料の価格低下を補てんするための果汁原料用かんきつの価格安定対策をやっております。これを基本的に行っていく、あるいは国産果汁の需要拡大対策を進めていく等々、これからこの問題につきまして施策の拡充強化をいたしまして、オレンジ果汁自由化の影響を最小限にとどめるように努力をいたしてまいりたいというふうに思っております。
#104
○林紀子君 それから、雇用対策についても伺いたいと思うんです。
 本法律の十条の規定のもとで、農産物の自由化に伴う雇用問題に係る協議会、こういうものを設けて、的確な雇用への対応を求めているわけですけれども、この協議会が開かれたのはいつかというのをお聞きいたしましたら、一九九〇年までの三回だけで、生鮮オレンジの自由化が始まった一九九一年以降というのはせっかくある協議会というのも機能していないというお話を聞きました。
 この協議会を開催して雇用の安定を図るということはもちろんですけれども、先ほど大臣の方から女子学生の雇用ということもお話出ましたから、特に雇用の安定それから拡大、そういうことも含めてどう考えているのか、具体的な問題について聞きたいと思います。
#105
○政府委員(鈴木久司君) 特定農産加工業に係る雇用情勢につきましては、この五年間、特に前半ですけれども、食料消費が比較的好調であったということ等も反映しまして、現在のところ、自由化等に起因して雇用面でも大きな影響が生じているという状況ではないというように認識しております。そういうことで、この協議会も当初の三回を開いてその後中断しておるのでございますけれども、今後とも事態の推移等を見定めながら、必要に応じて適切に対応してまいりたいというように考えております。
#106
○委員長(浦田勝君) 林君、時間がありませんので簡潔にお願いします。
#107
○林紀子君 私も、質問するに当たって労働省の方にもお話を聞いたんですけれども、やはり解雇というような問題は出ていないしというような大変のんきな対応だったんですが、いろいろ現地でお話を聞きましたら、農協関係では三重や徳島の工場はオレンジの搾汁はやめた、こういうことになっているし、それから冷凍食品や調理缶詰をつくるということで、何とか果汁だけではなくて自助努力といいますか、そういう努力もしながら今一生懸命事業も続けている状況だということも聞きましたので、のんきな対応ではなくて、きちんと対応していっていただきたいということをお願いしたいと思います。
 そして、最後に申し上げたいのは、私たち日本共産党は、日本農業を保護して食料自給率を引き上げる努力をすることが大変重要だと考えているわけです。ミカンやリンゴなどについては一〇〇%の自給を目指すということを提唱しているわけです。オレンジの自由化は既にその影響の大きさというのを十分示しておりますし、大臣もこの法律案の提案理由説明の中で、「自由化等の影響は、今後さらに強まるものと見込まれます。」というふうにおっしゃっているわけですね。政府の対策にミカン農家も加工業者も今山ほど不満を抱えています。今後の農政への不安を一層募らせているわけです。
 ですから、こうしたことを考え合わせますと、地域農業と農産加工業を守ろうとするならば、農産物の総自由化を進めるガット農業合意の受け入れを断固として撤回すべきだ、このことを私は強く主張して、質問を終わりたいと思います。
#108
○新間正次君 私の方も時間が余りありませんので、細かいことはともかくといたしまして、今回のこの改正に対してはもちろん賛成をするわけでございますけれども、一、二ちょっとお尋ねしたいことは、関連業種の追加のところでございます。
 今回、この関連業種が四種追加されております。果実加工食品製造業、それから牛肉以外の食肉調製品製造業、あるいは冷凍冷蔵食品製造業、また乳酸菌飲料・乳飲料製造業ですか、この追加される趣旨、それから、この特定農産加工業の経営改善というのは大変難しい問題でございますけれども、農産加工品等の輸入にかかわります事情の著しい変化にこれで十分対応できるかどうか、お答えいただきたいと思います。
#109
○政府委員(鈴木久司君) 法律の改正とあわせまして関連業種の追加を行うこととしておりますけれども、これは、近年における特定農産加工業における多角化などの状況、こういったものを支援し、その取り組みを一層強化するという観点から追加をいたそうというものでございます。追加する品目につきましては先ほど先生がおっしゃった四業種、これを関連業種として追加指定することとしているところでございます。今回の関連業種の追加に当たりましては、特定農産加工業の経営多角化の状況、関連業界の意向等を十分踏まえたところでございまして、今回の措置によって現在の特定農産加工業をめぐる情勢に対応できるものというように考えております。
 なお、今後とも業界等の意向等を十分踏まえながら、必要に応じ適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
#110
○新間正次君 必要に応じて対応していただけるということでございますので、それに期待したいと思います。
 大臣にお尋ねいたしますが、この法案は農産物十二品目の自由化に関して制定されたものだと理解しております。このときの動きをちょっと調べてみましたら、昭和六十三年六月二十日に日米牛肉・オレンジ交渉の合意があって、七月二十一日に農産物十二品目に関する最終合意がありました。そして、平成元年二月二十三日に法案が国会に提出されまして、六月二十一日に成立したと。過去にはそのようになっているように記憶しておりますけれども、七月にその日米合意がなされて、翌年の二月、つまりその七カ月後には法案が国会に提出されているわけでございますね。
 同様にこのことを昨年のガットの合意を重ねてみますと、昨年の十二月に合意されました、お米を含めてもそうなんですが、それから既に七カ月たっております。この時点において対策として法案が出てもいいんじゃないかなと思うのでございますけれども、ぞうお尋ねすれば、先ほどのお話ですとこの秋ぐらいというようなお話をちらっとお伺いしましたけれども、それだけ十分議論されて出てくるということになりますと、よほどいい法案が出てくるのではないかと期待をしております。今後のガット対策を早急に打ち出すべきではないかと思いますが、その辺についての大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
#111
○国務大臣(加藤六月君) 新しい国境措置のもとに、我が国の農業への影響を最小限に食いとめて、そしてさらに一歩前進して二十一世紀を目指した新しい農業構造というものをつくり上げていく、そこら辺で今幅広い視野から議論いたしております。今おっしゃいましたように後手にならないように、そしてまた思い切った案をつくり上げていくためにも、先ほどから申し上げておりますように、各界各方面の御意見をいただき、農政審の御意見もいただき、特に国会の意見を十分聞かせていただきながら万遺漏なきを期して進んでいきたい、こう思っておるところでございます。
#112
○新間正次君 農家などは大変不安に思っておると思いますので、その辺を十分熟慮していただいて、すばらしい法案ができ上がってくることを期待して、終わりたいと思います。
#113
○委員長(浦田勝君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#114
○委員長(浦田勝君) 全会一致と認めます。よって、本法案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 青木幹雄君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。青木君。
#115
○青木幹雄君 私は、ただいま可決されました特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、新緑風会、公明党・国民会議、日本共産党の各派及び各派に属しない議員新間正次君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 以下、案文を朗読いたします。
    特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  農産加工業は、農産物の重要な仕向先として、農業と密接な結びつきを有しているばかりでなく、食料の安定供給、地域経済の活性化等の面においても、大きな役割を果たしている。
  しかるに、近年、農産加工業を取り巻く情勢は、輸入自由化に伴う競合製品の輸入の増加等国際化の進行、人件費等コストの増大、景気後遇に伴う食料消費の低迷、価格競争の激化等一段と厳しさを増しており、農産加工業者はもとより原料生産農家にも大きな不安を与えている。
  よって政府は、農業及び農産加工業の発展に資するため、本法の施行に当たり、次の事項の実現に万遺憾なきを期すべきである。
 一 農産加工品の輸入自由化の進展等に伴い、農産加工業の経営に対するその影響は、今後更に強まることが予想されるため、本制度を初めとする関係諸施策の一層の充実とその十全な活用に努め、新商品・新技術の研究開発、事業提携等を促進して、農産加工業の経営体質の強化を図ること。
 二 本制度の運用に当たっては、今後の情勢変化に即応して対象業種を追加指定する等適切かつ弾力的に対処すること。
 三 農産加工業における輸入原料への依存や海外進出の進行に伴い、地域農産物の販路の確保が喫緊の課題となっている実態にかんがみ、原料生産農家の経営安定を図りつつ、高品質な国産原料農産物を量、価格ともに安定的に供給できるよう、加工適性品種の開発・普及、栽培技術の確立、実需者ニーズの迅速な把握のための情報システムの整備等原料農産物供給体制の強化に努めること。
 四 食品の安全性確保に対する国民意識の高まりにこたえるため、農産加工品の輸入増大に対応して、輸入検査体制の整備を一層促進すること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#116
○委員長(浦田勝君) ただいま青木君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#117
○委員長(浦田勝君) 全会一致と認めます。よって、本附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対して、加藤農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。加藤農林水産大臣。
#118
○国務大臣(加藤六月君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。
#119
○委員長(浦田勝君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#120
○委員長(浦田勝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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