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1994/03/29 第129回国会 参議院 参議院会議録情報 第129回国会 厚生委員会 第3号
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1994/03/29 第129回国会 参議院

参議院会議録情報 第129回国会 厚生委員会 第3号

#1
第129回国会 厚生委員会 第3号
平成六年三月二十九日(火曜日)
   午前十時三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月二十五日
    辞任         補欠選任
     斎藤 文夫君     佐々木 満君
     寺崎 昭久君     勝木 健司君
 三月四日
    辞任         補欠選任
     大森  昭君     小川 仁一君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         会田 長栄君
    理 事
                大島 慶久君
                大浜 方栄君
                菅野  壽君
                高桑 栄松君
    委 員
                岩崎 純三君
                尾辻 秀久君
                佐々木 満君
                清水嘉与子君
                前島英三郎君
                今井  澄君
                小川 仁一君
               日下部禧代子君
                菅野 久光君
                勝木 健司君
                萩野 浩基君
                横尾 和伸君
                西山登紀子君
   衆議院議員
       厚生委員長    加藤 万吉君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  大内 啓伍君
   政府委員
       厚生省社会・援
       護局長      土井  豊君
       厚生省児童家庭
       局長       瀬田 公和君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        水野 国利君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰
 国後の自立の支援に関する法律案(衆議院提出
 )
○児童手当法の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
○戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(会田長栄君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二月二十五日、寺崎昭久君及び斎藤文夫君が委員を辞任され、その補欠として勝木健司君及び佐々木満君が選任されました。
 また、去る三月四日、大森昭君が委員を辞任され、その補欠として小川仁一君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(会田長栄君) 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律案を議題といたします。
 提出者衆議院厚生委員長加藤万吉君から趣旨説明を聴取いたします。加藤万吉君。
#4
○衆議院議員(加藤万吉君) ただいま議題となりました中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律案について、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。
 本案は、今次の大戦に起因して生じた混乱等により、本邦に引き揚げることができず、引き続き本邦以外の地域に居住することを余儀なくされた中国残留邦人等の置かれている事情にかんがみ、これらの者の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援を図るため、帰国旅費、自立支度金等の支給、住宅の供給の促進等の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。
 第一に、この法律において、「中国残留邦人等」とは、中国の地域における昭和二十年八月九日以後の混乱等の状況のもとで本邦に引き揚げることなく同年九月二日以前から引き続き中国の地域に居住している者であって同日において日本国民として本邦に本籍を有していた者及びこれらの者を両親として同月三日以後中国の地域で出生し、引き続き中国の地域に居住している者並びにこれらの者に準ずる事情にあるものとして厚生省令で定める者をいうこと。
 第二に、国は、本邦への帰国を希望する中国残留邦人等の円滑な帰国を促進するため、必要な施策を講ずるものとすること。
 第三に、国及び地方公共団体は、永住帰国した中国残留邦人等の地域社会における早期の自立の促進及び生活の安定を図るため、必要な施策を講ずるものとすること。
 第四に、国は、中国残留邦人等が永住帰国する場合には、当該中国残留邦人等に対し、厚生省令で定めるところにより、当該永住帰国のための旅行に要する費用を支給すること。
 第五に、国は、中国残留邦人等が永住帰国した場合には、当該中国残留邦人等に対し、厚生省令で定めるところにより、中国残留邦人等及びその親族等の生活基盤の確立に資するために必要な資金を一時金として支給するとともに、国及び地方公共団体は、永住帰国した中国残留邦人等及びその親族等が日常生活または社会生活を円滑に営むことができるようにするため、これらの者の相談に応じ必要な助言を行うこと、日本語の習得を援助すること等必要な施策を講ずるものとすること。
 第六に、国及び地方公共団体は、永住帰国した中国残留邦人等及びその親族等の居住の安定を図るため、公営住宅等の供給の促進及び雇用の機会の確保を図るため、職業訓練の実施、就職のあっせん等並びに必要な教育を受けることができるようにするため、就学の円滑化、教育の充実等のために必要な施策を講ずるものとすること。
 第七に、国は、中国残留邦人等が一時帰国する場合には、当該中国残留邦人等に対し、厚生省令で定めるところにより、当該一時帰国のための旅行に要する費用を支給するとともに、出入国管理及び難民認定法その他出入国に関する法令の規定に基づき、円滑に帰国しまたは入国することができるよう特別の配慮をするものとすること。
 第八に、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。その他関係法律について所要の改正を行うものとすること。
 以上が本案の提案理由及び内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#5
○委員長(会田長栄君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。――別に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 討論の申し出はございませんので、これより採決に入ります。
 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#6
○委員長(会田長栄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(会田長栄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
#8
○委員長(会田長栄君) 次に、児童手当法の一部を改正する法律案及び戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。大内厚生大臣。
#9
○国務大臣(大内啓伍君) ただいま議題となりました二法案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 まず、児童手当法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 近年、出生率の低下傾向が続くとともに、夫婦共働き世帯の増加、核家族化や都市化の進展など、児童や家庭を取り巻く環境の変化は著しいものがあります。児童手当制度は、児童を養育している家庭における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健全な育成及び資質の向上に資することを目的としており、このような児童や家庭を取り巻く環境の変化に対応して、よくその役割を果たしていくことが求められております。
 こうした状況を踏まえ、今般、児童手当制度の福祉施設事業を拡充することにより、夫婦共働き世帯の増加などに対応したきめ細かな育児支援サービスや児童の健全育成のための事業の充実を図るために、事業主からその事業に要する費用に充てるための拠出金を徴収すること等を内容とする本改正案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、児童手当制度の福祉施設事業につきましては、これを児童育成事業と改称し、育児に関し必要な援助を行う者または児童の健康を増進し、情操を豊かにする事業を行う者に対する助成等の充実を図ることとしております。
 第二に、事業主から徴収している拠出金につきまして、被用者に対する児童手当の支給に要する費用に加え、新たに児童育成事業に要する費用をその対象とすることとしております。
 なお、この法律の施行期日は、原則として平成六年四月一日としております。
 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要であります。
 次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 戦傷病者、戦没者遺族等に対しましては、その置かれた状況にかんがみ、各種の援護措置を講じ、福祉の増進に努めてきたところでありますが、平成六年度においても、年金の支給額を引き上げる等の措置を行うことにより戦傷病者、戦没者遺族等に対する援護の一層の充実を図ろうとするものであります。
 以下、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、障害年金、遺族年金等の額を恩給の額の引き上げに準じて引き上げることとしております。
 第二に、子または孫に対する遺族年金の支給等について、十八歳に達する日の属する月まで行っていたのを、その日が属する年度の末までこれを延長することとしております。
 以上、二法案の提案の理由及びその内容の概要について御説明申し上げました。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#10
○委員長(会田長栄君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#11
○清水嘉与子君 自民党の清水でございます。
 私は、専ら児童手当法の一部を改正する法律案につきまして御質問させていただきたいと存じます。
 二十一世紀を迎えて、我が国の内政上の最大の課題は高齢化対策であろうというふうに思います。高齢化社会といいますと、高齢者がふえてくるという問題にどうしても関心がいきやすいわけでありますけれども、そしてまたいろんな施策も進められているわけでありますけれども、子供が少なくなってくるということに対してもやはりもっと考慮が払われなければいけないというふうに私は思っております。
 昨日発表されました「二十一世紀福祉ビジョン」を拝見いたしますと、子供が健全に育っていく環境づくり、安心して子供を産み育てられる社会的支援体制の整備のためにいわゆるエンゼルプランを策定するという方向が示されておりまして、今後この分野におきます施策が一層充実されるものと期待しているところでございます。
 先ほどの提案理由説明の中でもございましたけれども、日本は年々出生率が低下しているわけでありまして、現在ではもう一〇を割っているという段階でございます。これは先進国の中でも最低の水準にあるということでございます。
 まず、厚生大臣にお伺いしたいのですが、こうして出生率の低下傾向が続くということは、今後の我が国社会に及ぼす影響はどのような影響があるというふうに考えていらっしゃるのか、また厚生省の立場からこの問題にどのように取り組んでいくのかという点につきまして、まずお伺いしたいと思います。
#12
○国務大臣(大内啓伍君) 御指摘のように、少子社会の進行というものは我が国の民族の将来にとりましても非常に重要な問題でございます。同時に、社会保障負担の増加など、経済社会に与える影響や子供自身の成長への影響などが懸念されるところでございまして、何とかこの少子社会傾向というものを未然に防ぐあらゆる手だてをとらなければならぬという見地から、昨日も「二十一世紀福祉ビジョン」というものを作成していただきまして、これまでエンゼルプラン・プレリュードという形で対応してまいりました少子社会対策あるいは児童家庭対策に対しましても、さらに本格的なエンゼルプランというものをつくるよう御報告をちょうだいしているところでございます。私どももこの問題の重要性にかんがみまして、あらゆる努力を傾注したいと思っておる次第でございます。
 特に、子供が健やかに生まれ育つ環境づくりを進めるということとともに、最近女性の社会的な進出というものが顕著でございますが、女性の社会的進出というものを側面から支援するという体制も一層強化してまいらなければならぬ、こう考えておる次第でございます。
 厚生省といたしましては、御案内のとおり、現在平成六年度の段階におきましては、エンゼルプラン・プレリュードと位置づけまして児童家庭対策を推進していることは御承知のとおりでございますが、これまで以上に子育て家庭を社会的に支援することを重点に置きまして、ニーズに即応した保育事業の拡大強化、あるいは子育て支援のための基金の創設、特に企業内における保育施設の設置といったような問題についても支援を申し上げ、また出産と育児に関する施策の充実、例えば健康保険における出産育児一時金の創設、さらには育児休業期間中の厚生年金あるいは健康保険料の免除等、総合的な施策を講じてまいりたいと思っておる次第でございます。
 なお、私どもの人口問題研究所等の推計によりますと、現在一・五を割るような状況でございますが、二〇〇〇年の段階においてはこれが一・六にやや回復し、また二〇一〇年の段階では一・八程度に回復してくるという予測がなされておりますが、御案内のとおり二・一までなければ現状を維持することはできないという状況でございますので、私どもはこれを深刻に受けとめて、以上申し上げたような対策を総合的に進めてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
#13
○清水嘉与子君 今、大臣から合計特殊出生率のアップの傾向が見られる、推計されているというお話でございましたけれども、これはやはり子供を産みたい、産んでもいいという女性がふえてこなければ、そしてまた今おっしゃるようなエンゼルプラン・プレリュード、こういった施策が進んでこなければ改善されてこない問題だと思いますので、ぜひこの問題につきましてもさらに頑張っていただきたいというふうに思うわけでございます。
 本日審議されております児童手当というのもこの重要な施策の一つだというふうに思いますし、これは平成三年の制度改正の経過期間も終わりまして、本年一月から本格給付になったというふうに理解しております。
 ただ、今回新たに、児童手当制度の福祉施設事業を児童育成事業というふうに改めましてその事業を拡大するというふうになっているわけでありますけれども、この趣旨はもちろん賛成でありますが、まずその趣旨と必要性についてお伺いしたいと思います。
#14
○政府委員(瀬田公和君) 大臣からただいまも御説明がございましたけれども、近年の出生率の低下傾向に対応いたしまして、子供が健やかに生まれ育つための環境づくりを進めていくということは現在非常に重要な政策課題になっているわけでございます。とりわけ、働く女性の出生率というものが家庭におります女性の出生率に比べて甚だしく低くなっており、このことが、子育てに伴うさまざまな負担感を解消するためのきめ細かな育児支援サービスの充実によって仕事と子育ての両立を支援していくということが特に必要になっているということを示しているというふうに思います。
 児童手当制度は、先生御承知のように、家庭の生活の安定と次の世代の社会を担う児童の健全育成、資質の向上というものを目的としているものでございまして、この制度がこうした最近の状況変化に対応してよくその役割を果たしていくためには、やはり一律の現金給付だけではなくて、育児を支援するためのサービスというものを特に充実させる必要があるというふうに考えております。
 このため、今先生の御指摘もございましたが、児童手当制度の福祉施設事業というものを拡充強化いたしまして、共働き家庭を主な対象とした育児支援、また児童の健全育成のための各種のサービス、こういったものを充実することといたしまして、そのための財源を事業主の方々に御負担いただくということにしたものでございます。
#15
○清水嘉与子君 その児童育成事業の内容についてでございますけれども、少しその概要について御説明いただきたいと思いますし、またそれを具体的にどんな形で進めようとしていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
#16
○政府委員(瀬田公和君) 児童育成事業というものは、ただいま御説明申し上げましたように、出生率の低下傾向など最近の子供や家庭を取り巻く状況の変化を踏まえまして、共働き家庭などの多様なニーズに対応した各種の育児支援や健全育成サービスを行うものでございます。
 その内容といたしましては、就労時間等にも対応いたしました時間延長型保育サービスのようなもの、それから特に小学校の低学年の児童などを対象といたしました放課後児童対策というふうな児童健全育成サービス、それから特に家庭婦人などを対象といたします休日相談の出産、育児、家庭支援サービス、それからまた全体的に児童健全育成ボランティアの振興といったものの四つぐらいに大きく分類することができるのではないかというふうに考えております。
 児童育成事業の中でも育児支援事業を行う民間の事業者の助成事業などにつきましては、これは民意を反映しつつ多様なニーズにこたえて機動的、弾力的に事業を行う必要性が特に強い事業というふうに考えておりますので、新たに財団を設立してその実施をゆだねることとしておるわけでございます。
 一方、地域における保育所とか児童館というふうな既存の公的なサービス等との連携を図る必要がある事業につきましては、これは国及び地方公共団体として行うということとしておるところでございます。
#17
○清水嘉与子君 今お話を伺いまして、この児童育成事業を拡大することはまことに結構なことだというふうに思いますけれども、この事業はサラリーマンの子供以外の子供、例えば自営業者の子供等も当然対象になるというふうに思いますが、それでよろしいでしょうか。
#18
○政府委員(瀬田公和君) 児童育成事業として実施をいたします事業というものは、働く女性の増加とか就労形態の多様化といったものに対応する性格が非常に強いということは御説明したとおりでございます。このために、次代を担う子供の育成に対する社会的な責任を果たしていただくという立場から事業主の方々に御負担をいただくことにしたわけでございます。
#19
○清水嘉与子君 そうすると、一般の家庭にいる自営業者の子供たちは余り対象にしないというふうなことですか。
#20
○政府委員(瀬田公和君) 今申し上げましたように、児童育成事業が必要とされる背景というものは働く女性の増加とか就労形態の多様化といった面にございますので、私たちが、先生が御指摘いただきましたようにサラリーマンの子供とか家庭とかといったものを念頭に置いていくことは御指摘のとおりでございます。
 ただし、子供はすべて次の世代を担う層でもございますし、実際の事業の運営の面におきましてサラリーマンの子供以外の子供を排除するというふうな制度運営をするつもりは全くございません。
#21
○清水嘉与子君 私は、この児童手当の給付を受ける子供のこれからの数からいいましても、現行法の考え方だけでいきますと事業主の拠出金率というのは当然下がっていくはずだというふうに思うんです。
 ところが、今回はこの率を下げることをせずに新たにこういう事業を拡充するということで、その事業の経費を一般事業主の拠出金を充てて行うということですけれども、事業そのものは自営業者だってやっぱりお母さんが働いていらっしゃる方もあるわけでして、そして児童手当の分は自営業者の方は公的なお金だけでやっているわけですが、今回は全然その拠出をしないで一般事業主の拠出金だけでそれをやろうというから今みたいなちょっと何か納得できない御説明になるかと思うんです。初めから大臣の御説明をずっと伺ってみて、子供がどこにいようとやはり健全に育成されるためにこういうサービスが広がっていく、それは当然みんなが活用できるようになる。恐らく、拠出金を一般事業主にだけ求めるということによって多少そういう面での説明がしにくいのかなという感じもするんですけれども、この辺はいかがでございましょうか。
 つまり、もしそういうことでなかなか一般の自営業者の子供たちにそういうサービスができないのであれば、当然公費でもって今のその部分についてはやはり補充をして全部がそのサービスを受けられるようにするべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#22
○国務大臣(大内啓伍君) 子供の保育を受ける権利というものは、どのような立場にあろうとも平等に取り扱われなければならぬ、これが原則であろうと思います。
 今、局長が説明いたしましたのは、日本の少子社会の傾向というものが女性の社会的な進出という中で起こってまいりまして、この社会的な進出というものをスムーズに行えるような各種の支援対策が必要であるという見地から、今度の児童手当制度の改正についてもそうした方々を主として対象として考えているという説明があったのでございますが、もちろん自営業者の中にもお母さんがお働きになっているという方もたくさんあるわけで、むしろ非常に多いのではないかと思うわけでございます。したがって、そういう方々のお子様につきましてもこの児童育成事業の対象としてやはり平等に考えていく。そして、それが拠出金だけでは貯えないという問題が今後起こるとすれば何らかの財源対策というものを検討しなければならない、こう考えております。
#23
○清水嘉与子君 ありがとうございました。ぜひ、そういう方向で差別をすることなく進めていただきたいというふうに思っているわけでございます。
 ただ、今はとにかく一般事業主の拠出金で賄うということになるわけですが、いろいろ伺っておりますと、大変内容の濃い事業が行われるわけでございまして、これをもっと拡大しようとすると、さらにどこかからお金を拠出してこなきゃいけない。事業主の拠出金をふやすことになるのかという感じもいたしますけれども、事業費充当額相当率ですか、この部分についてある程度やはり限界が必要なのかなという感じもするんですが、この辺はどういうふうにお考えでしょうか。
#24
○政府委員(瀬田公和君) 児童育成事業に係る拠出金の率につきましては、これは児童育成事業の内容、規模、それまでの事業実績、または子供や家庭を取り巻く状況というふうなものを総合的に勘案いたしまして、毎年度定めていくという形に法律上なっておるわけでございます。
 こういった考えのもとで実際に拠出金率を定めるに当たりましては、やはり拠出者の側でございます事業主の方々の御理解を求めてそして設定するということになるわけでございますが、制度上も事業主負担が過大なものとならないように、前年度の値を標準とし過去五カ年間の値を勘案しながら定めるというふうな形で、できるだけ適切なものとなるように設定をしたいというふうに考えております。
#25
○清水嘉与子君 この児童手当制度というのはヨーロッパの先進諸国におきましてもかなりもう定着している制度でございまして、金額におきましてもまた給付の期間におきましても、我が国の制度に比べますとかなり充実しているというふうに理解をしております。
 我が国は、平成三年の改正で第一子から対象が拡大された、あるいは金額も倍になったとはいいましても、支給期間というのがだんだんに短縮されてきているわけです。昭和四十七年のときには義務教育を終了する前というふうになっていましたのに、六十年には義務教育の就学前、そして平成三年には三歳未満というふうにどんどん縮小されてきているわけでございます。
 実際には、子育てに非常にお金がかかるというような問題が少子の問題にもかかわってくるというようなこともあると思いますので、またこの金額にいたしましても、五十年から平成二年までずっと五千円で据え置かれたというようなこともございますので、この際、現金給付につきましても、金額の問題あるいは給付期間の問題について適宜見直しのルールというものがつくれないだろうかというふうに思いますけれども、これはいかがでございましょうか。
#26
○政府委員(瀬田公和君) 先生御指摘いただきましたように、児童手当制度に基づく給付については平成三年に法律の改正が行われまして、支給対象の第一子への拡大、それから支給額の改善、それから支給期間の三歳未満児への重点化といったものを内容とする制度改正が行われたわけでございます。平成五年の十二月にこの経過期間が終了をいたしまして、本年の一月から実は本格的に施行されたという状況でございますので、なおこの制度改正の状況というものを見定めて今後の制度改正の問題は考えていきたいというふうに考えているわけでございます。
 先生から、定期的にこの金額等を見直すルールについてはというふうな御指摘がございましたけれども、常に子供と家庭を取り巻く状況の変化に応じた制度の運営が必要であるというふうに考えておりまして、実は、今回御提案させていただいております児童手当制度の改正もその一環であるというふうに考えておるわけでございます。
#27
○清水嘉与子君 厚生省が子供の問題についてこれだけ一生懸命やろうとしていらっしゃるわけですので、やっぱり重要な施策だというふうに思いますので、ぜひ今後とも充実を図っていただきたいというふうに思うところでございます。
 次に、保育所の問題に移りたいと思いますけれども、今全国のいわゆる保育所が約二万二千六百というふうにありますが、子供の数の推移等から見まして保育所の数というのは全国的に見て十分なんだろうかどうだろうかということでございます。入所率を見ますと、民間が随分頑張っているようでございますが、公立では七七%ということで大分あきがあるのかなという感じもいたしますが、この数は全国的に見てどうなんでしょうか。
#28
○政府委員(瀬田公和君) 保育所の施設の数というのは、平成五年四月現在で二万二千五百八十五カ所でございます。そして、入所率は八二・四%ということでございまして、全国的に見れば量的には確保されているのではないかというふうに考えております。しかし、都市部等の人口急増地域における新たな保育所の整備とか、それから老朽化した保育所の改築等必要な整備につきましては、地域における保育需要の動向等を勘案いたしまして、今後とも意を用いてまいりたいというふうに考えております。
 なお、八二・四%の入所率だというお話を申し上げましたけれども、地域的には、特に大都市のようなところではまだ乳児等の低年齢児が入所しにくいという状況もございますので、乳児保育等のニーズに的確に対応した保育ができるように、やはり地方公共団体を指導してまいる必要があるのではないだろうかというふうに考えている次第でございます。
#29
○清水嘉与子君 次に、この児童育成事業は無認可保育所も対象にするということでございまして、今回の改正によりまして看護婦の子供のための育児保育所が児童手当勘定に移るということで、内容的には今までよりもっと充実するというふうなお話も伺っておりまして、大変これはありがたいことだというふうに思います。
 ただそのほかにも、今まで補助をもらっていなかったところ、そういった無認可保育所についても対象になるということでございますが、そのほかのものというのは具体的にどんなものが対象になるんでしょうか。
#30
○政府委員(瀬田公和君) 働く女性の増加や就労形態の多様化に伴いまして、働くお母さんもいらっしゃいます家庭における子育ての負担感を軽減するためのきめ細かなサービスの提供を図ることが必要になってきているという認識のもとに、いわゆる無認可の保育所についても今後いろんな形で援助をしていきたいということは実は考えているわけでございます。無認可の保育施設につきましても、こういった趣旨に合致をし提供するサービスについて一定の水準を満たすものにつきましては、多様化する保育ニーズに適切に対応しているというふうに私たちが考えられるものにつきましては児童育成事業の対象としていきたいというふうに一般的に考えているわけでございます。
 具体的には先生も今御指摘をされたわけでございますが、職場内の保育施設というか、事業所内の保育施設の整備及び運営に対する助成、これを今後積極的に実施していきたいというふうに思っているわけでございます。
 それからもう一つは、この職場内保育施設のやや変形的なものになるというふうに思っておりますが、駅型保育モデル事業というふうなものを実施していきたいというふうに考えております。
 職場内の保育施設への助成は、事業主が福利厚生の一環として職場内に保育施設を設置する場合に、その整備や運営に要する事業がこれに該当するものでございまして、病院の中に設けられます保育施設などはその典型的なものであろうというふうに考えております。
 それから、駅型保育モデル事業というものは、最寄りの駅ビルなどに保育施設を設けまして、お母さん方が出勤をする場合に通勤の便を考えた保育サービスというものをモデル的に実施してみようということでございまして、こういったモデル事業が極めて効果的だということになりましたら、改めてこういったものを育成強化するということも考えてみたいというふうに考えている次第でございます。
#31
○清水嘉与子君 かつて私は、厚生省で院内保育所ができるときの行政を担当していたわけでございまして、今お話を伺っておりまして、随分さま変わりしたなというふうに驚いているわけでございます。
 本来は、子供の健全な育成という観点からやはり整備された認可保育所で子供は保育されるものだというふうに考えておりまして、看護婦の定着のためにも地域で何とか優先的に預かってもらえないだろうかというようなこともいたしましたけれども、時間の問題でありますとか、あるいは産休明けにすぐ預かってもらえないだとか、地域保育所はどうしても使えないということがありまして、やむを得ず病院の中に保育所を持って看護婦定着対策を進めるというようなことになったわけでございまして、これはあくまでも地域保育所の補完的なものというような感じで進めたわけでございます。
 そして、当時はやはり児童家庭局も、無認可保育所に運営費等の助成をするなんということに対してかなり冷ややかだったというふうに思うんです。ところが、今伺いますと、企業内保育所あるいは駅型保育モデル事業などいわゆる無認可保育所に非常に積極的になったということでございまして、これはどう考えていいのか、ちょっと私も迷うところでございます。
 無認可保育所といいましても、実際に例えば看護婦の保育所なんかを見ましても、施設基準にいたしましてもあるいは保母の数にいたしましてもかなり認可保育所に準拠して、あるいはそれ以上くらいに十分な内容を備えたところもございますけれども、しかし特定の職員の子供だけを入所させるということでこれは認可保育所になりません。そういうところもありますけれども、またさまざまでございます。本当に単なる託児施設ではないかというようなところもありますし、また長時間保育をやっているところでは、保母さんが本当に気の毒な状況で働いているというようなこともございます。
 そういうことを考えますと、これからは認可保育所ではなかなか多様なサービスができないから事業所内保育所で多様なサービスをさせるというようなのも一つの考え方でありますけれども、子供の健全な育成という立場から考えますと、無認可保育所にもし助成を拡大するのであればその内容の充実というのをやはりある程度図っていかなきゃいけないんだというふうに思うんですが、その辺についてはどんなふうにお考えでございましょうか。
#32
○政府委員(瀬田公和君) 私たちもいわゆる無認可の保育所というものをいたずらに拡大しようということを考えているわけではございません。認可保育所が利用しやすい保育所となるように対策を講じていくことが現時点におきましては先決だというふうに考えておりまして、その点につきましてもいろいろとエンゼルプラン・プレリュードの中で対策を講じさせていただいているということは御承知のとおりでございます。
 御指摘の無認可保育所への助成というものは、先生も御指摘いただきましたように事業所の中の保育施設に関するものでございまして、働く女性の勤務の状況から特に現時点においては非常に利用しやすい面もあるということを踏まえまして、サービスの多様化を図る観点からこういった施設に対する助成というものも考えたわけでございます。
#33
○清水嘉与子君 今、局長も言われましたけれども、本来やはり認可保育所の中でサービスの多様化を図っていくのが必要だというふうなことでございます。
 その点についてお伺いしたいわけですけれども、サービスの多様化といいましても、具体的には例えば保育時間の延長の問題でありますとか、あるいは乳児保育だとか、そういったことが非常にニードが高いわけでございますけれども、具体的に平成六年度の予算でどんな措置がされるのでしょうか。
#34
○政府委員(瀬田公和君) 今まで御説明申し上げましたように、子育てと仕事の両立を支援していくためにはきめ細かな保育サービスの提供というものが不可欠でございまして、平成六年度の予算におきましては、このための事業というものを児童育成事業という形で大幅に拡充をいたすこととしているわけでございます。
 具体的に申し上げますと、保育時間の延長に係る既存の施策というものを見直しまして、飛躍的な拡大を図る時間延長型の保育サービス事業の実施を初めといたしまして、乳児保育の大幅な拡充、それからお母さんが病気になったというふうな場合のことを考えまして、一時的な保育事業の充実、それから保育所等の地域子育てモデル事業の実施箇所数の増というふうな各種の施策につきまして大幅な改善を図ることとしているわけでございます。
 また、さきにもお話がございましたが、事業所内の保育施設に対する整備費や運営費の補助、それからベビーシッター等による在宅保育サービスの事業とか、駅型の保育モデル事業等への助成など認可保育所以外の保育サービスについても推進を図っていくということでございます。
 今後とも、多様なニーズにこたえましてきめ細かな保育サービスを充実させていきたいというふうに考えております。
#35
○清水嘉与子君 予算では随分配慮してくださっているようでありますけれども、実際にこの実施状況を拝見いたしますと、なかなかそのニードに合ったような形では進んでいっていないのではないかという感じがするんです。
 特に、延長保育、乳児保育あるいは障害児の保育などを拝見いたしますと、公民格差というんでしょうか、こういうものがかなりあるように思うんですが、なぜ公的な保育所ではそういった多様なサービスというのができないんだろうか。厚生省は今後どのようにこれを進めていくのか。予算はとったけれども、実際これは進まなければ何にもならないわけですので、何かいい方法がございましたらお教えいただきたいと思います。
#36
○政府委員(瀬田公和君) 非常に難しい御質問をいただいたわけでございますが、平成五年度におきます公営の施設と民営の施設における特別保育対策の実施状況を見ますと、例えば乳児保育につきましては公営の施設の大体二〇%弱、これに対しまして民営の施設は約五〇%まで実施をしている、こういう状況でございます。また、時間延長型の保育サービスにつきましても、公営の施設は実はほとんどやっていない、三%以下というふうな状況でございますが、民営の施設につきましては一〇%強の施設で時間延長型の保育サービスをしているというふうなことで、公と民との間には御指摘のようにやや格差があるかというふうに思います。
 この理由といたしましては、それぞれの地方自治体の考え方もございますし、またそれぞれの保育所の取り組みの姿勢といったものも反映されているというふうに考えておりますけれども、いずれにいたしましても、来年度予算の大幅な増額というものを契機といたしまして、公営の保育所におきましても今後特別な保育対策というものが積極的に取り組まれるように、私たちとしても市町村に働きかけていきたいというふうに考えております。
#37
○清水嘉与子君 私は、サービスの多様化が図れないというのは、やはり今の市町村長さんに措置権限を与えている措置制度の限界があるんじゃないだろうかというような気がしてならないんです。保母さんたちのお話を聞きますと、いろんなことをやってみたい、しかしやはり市町村長の考え方によっては自主的にはそれはできないんだというようなことを聞きます。
 先般の保育問題検討会の報告書を拝見いたしましても、保育制度の見直しにつきまして、措置制度を維持というお考えと、それからまた直接入所制度の導入というような御意見の両論併記ということになったわけでございまして、今の段階になって利用しやすい保育所のあり方が必要だということはやはりみんな考えていらっしゃるんじゃないかというふうに思うんです。ところが、今回はそれが積極的に進められなかったというような問題を伺っておりまして、大変残念に思っているわけです。
 確かに措置制度のもたらしているさまざまなメリットは評価いたしますけれども、いわゆる地域保育所の方の多様なニーズにこたえられるような保育所の受けとめができなくて企業内だけにするというのもちょっとおかしな話でございまして、この問題についてやはり保育所の制度の見直しがどうしても不可欠じゃないかというふうに思えてならないんです。厚生省は、これだけ報告書も出ているわけですし、今後この問題にどういうふうに取り組んでいらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
#38
○国務大臣(大内啓伍君) 御指摘のように、保育関係におきまして公民の格差というものが出ている。それはやはりお子さんを預ける方の多様なニーズに措置保育というものがまだこたえ切れない面があるということが大きな原因になっております。
 さきの保育問題検討会の報告におきましては、御指摘のように、一つは現在の措置制度の維持拡充というものと、それから直接入所制度の導入というものが両論併記になったわけでございますが、その措置保育につきましても、私どもの承知しているところでは六つ、七つの改善方向が示されたということでございます。
 したがいまして、厚生省といたしましては、できるだけ利用しやすい保育所という見地から直接入所制度についても積極的に取り組まなければならない、こういう考えを持っておったのでございますが、その検討会の報告書で両論併記ということになり、まず措置保育について改善できるものは最大限の改善をすべきである、こういう御指摘も賜りましたので、その点にまず取り組みながら、今後市町村等ともお話をいたしまして、その他の多様なニーズにこたえ得る保育所のあり方、保育施設のあり方という問題についてもさらに鋭意取り組んでまいりたいと考えておる次第でございます。
#39
○清水嘉与子君 ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。
 次に、母子保健対策の問題につきまして二、三お伺いをしたいというふうに思います。
 子供の数も減ってまいりました。核家族化が進み、そしてまた地域での隣組感覚なんというのも本当になくなりました。そういうことで、出産とか育児について大変な不安を持っている女性がふえてきているんです。母子保健分野におきます育児不安を取り除く対策についてぜひ取り組んでいただきたいと思うのですが、これはいかがでしょうか。
#40
○政府委員(瀬田公和君) 先生御指摘のように、近年、子育てをめぐる環境の変化の中で、育児不安を持つ母親が多くなっているということが指摘をされておりまして、母子保健の分野におきましても、保健婦などによる相談または保健指導といったものを通じまして不安の解消を図っていくということが必要であるというふうに考えております。
 このため、従来から、昔は母親学級と言ったわけですが、現在は両親学級と称しておりますが、両親学級の開催、それから妊産婦や新生児の訪問指導等の事業を推進してきたところでございます。
 実は先般、国会にも地域保健対策強化のための関係法律の整備に関する法律案ということで、母子保健法の一部改正を行いたいということで御提案をさせていただいたわけでございますけれども、基本的には母子保健事業を平成九年度までの間に原則として市町村に移譲いたしまして、住民に身近な市町村で妊娠、出産、育児まで一貫した指導を行う体制の整備を図るようにしたいというふうに考えております。
 さらに、近年におきましては、中学や高校の生徒たち、こういった男女を対象に乳幼児と触れ合う機会を設けるとか、または育児についての知識の普及を図る事業というものを平成三年度から創設いたしておりますし、また来年度からは、共働き家庭の利用しやすい休日に出産や育児についての相談や情報提供を行うような事業を実施するというふうなことで、相談、指導の充実によりまして育児不安の解消を図っていきたいというふうに考えているところでございます。
 今後もこういった事業をさらに推進することによって、母子保健の分野におきましても育児不安の解消というものに取り組んでいきたいというふうに考えております。
#41
○清水嘉与子君 今御指摘のように、これまでの母子保健の対人サービスというのは、保健所あるいは市町村の保健婦あるいは開業助産婦、こういう方々が担ってきたわけです。今おっしゃるように、母子保健法の一部改正によってこれから直接のサービスが市町村に移っていくということでございまして、かなりきめ細かいサービスが行われるようになるのかというふうに期待をしているところでございます。
 しかし、そうはいいましても、市町村に必要な保健婦が充足するまでにはまだ時間もかかります。豊かな経験を持っている専門家たちの知恵をかりない手はないというふうに思うんですが、そういう方々についてもぜひ新しいサービスに参入できるようにしていただきたいというふうに思うわけです。
 例えば今、母子保健事業の中で、開業助産婦さんたちが保健所の委託を受けて母子保健訪問指導というのをやっているんですね。そうしますと、県によって違うんですけれども、開業助産婦さんたちが一回行きますと、大体九百円とか千円いただいて訪問指導してくる、こういうことをやっているわけです。ところが、九百円とか千円とかというのでは実は足代も出ないということで非常に困っている、何とかできないだろうか。今の予算の中ではなかなかこれはできないということで、厚生省にも何度も何度も陳情しているようでございますが、広がっていかない。これから地域市町村が行うサービスの一端を担ってもらうということであれば、やはりこういう専門家たちをぜひきちんと処遇していただきたいというふうに思うのですけれども、これはいかがでしょうか。
#42
○政府委員(瀬田公和君) 先生に御指摘をいただきました新生児に対する訪問指導というものも、平成九年度からは健康診査とあわせまして住民に身近な市町村で実施をすることといたしておりまして、今後とも助産婦の一層の活用が図られるように必要な指導を行うとともに、事業の一層の充実に努めていきたいというふうに考えております。
 先ほど先生から訪問指導料というものが一千円ぐらいというふうなお話がございましたけれども、現在はちょっと高くなっておりまして、大体一千五百円から一千六百円というふうなところが予算上の単価になっております。さらに、これでも低いという御指摘だろうというふうに思いますけれども、この問題につきましては、市町村への権限移譲の際に種々検討をしていくというふうな一つの検討課題になっているということを御報告させていただきたいと思います。
#43
○清水嘉与子君 この指導料はやはり県によって違いますので、低いところで九百円、千円というふうに伺っておりますので、もし予算が千五百円でとれているのであれば、せめてそのくらいの水準までいくようにぜひ各県をお調べいただけたらというふうに思います。ぜひよろしくお願いいたします。
 そしてまた、この新しい事業の中で、共働きの家庭の子育て支援というふうなことで休日にもそういうサービスをするんだということは、大変私も結構なことだというふうに思います。デパート等でそういうことをやったらどうかというようなお話を伺っているわけでありますけれども、私は保健所だとか市町村の保健婦がこういうところに出てきて仕事をしてもいいと思うんです。何も役所の中で平日だけお仕事するというのでなくて、本当にニードがあればこういうところにも出てくるというようなことも当然必要になってくるんじゃないかというふうに思うんです。
 今度、地域保健法の改正もありますので、そういう中で全体的に母子保健問題を、今までやってきた仕事でもありますし、どんなふうにやっていくのかということもあわせてぜひ十分な活用を図っていただきたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
 時間もなくなってまいりますので、もう一つ、病児保育の問題を少し伺いたいと思うんです。
 実は、病児保育の問題というのは働くお母さんにとっては非常に深刻な問題でございます。どうしても治療を要するような状況のときにはもうこれはお母さんが見るしかいたし方ないというふうに思いますけれども、病気が治って数日見てほしいというようなニーズも高いわけで、このときにも今はお母さんが休まなきゃいけないということになっているわけです。
 この問題については厚生省も随分これまでにも検討をされてきたというふうに伺っておりますが、この予算の中でもデイサービス事業をスタートさせるということでございます。その概要をもう少しお知らせいただきたいというふうに思います。
#44
○政府委員(瀬田公和君) 先生御指摘いただきましたように、保育所に適所中の児童が病気または病気回復期ということで集団での保育というものが困難である、しかもお母さんが勤務の都合によって家庭で介護をするということが困難な場合の、ある意味での一時的な保育というか、児童の受け皿となるようなサービスが求められているということは御指摘のとおりでございます。
 平成六年度から開始をすることになっております病後児デイサービスモデル事業は、実はそのような児童を乳児院等で預かる事業というものを市町村においてモデル的に実施をいたしまして、保護者の子育てと仕事の両立の支援及び児童の健全育成を図りたいというふうに考えているわけでございます。
 病後児のデイサービスモデル事業につきましては、実は平成六年度におきましては三十カ所を対象にモデル事業を実施してみたいというふうに考えているわけでございます。これにつきましては保護者のニーズが非常に高い事業でもございますので、そのモデル事業の状況を勘案しながら今後その推進に努めてまいりたいというふうに考えております。
#45
○清水嘉与子君 本当にきめ細かい事業をたくさんやっていらっしゃるわけですけれども、なかなか一般に活用する方々がそういう事業をやっているのを知らないということがあるんですね。ぜひその辺のPRもよろしくお願いをしたいと思います。
 それからもう一点ですが、ちょっと珍しいというんでしょうか、海外在留邦人への母子保健情報提供という事業があります。海外赴任などで妊産婦あるいは乳幼児を同伴して外国に出かける、そしてその国でお産をするなんという方があるわけですが、そういう国の母子保健に関する情報が少なくて不安を持っているというような妊婦さんがたくさんおられます。
 この事業の中身を少し伺いたいわけですが、諸外国の母子保健に関する情報を収集したり提供するというようなことも非常に大事なことではないかというふうに思いますが、これがこんなふうになるのかどうか、その辺ちょっと教えてください。
#46
○政府委員(瀬田公和君) 御指摘いただきましたように、海外赴任等で妊産婦または乳幼児が同伴するというふうな場合につきましては、外国の母子保健に関する情報が乏しくて非常に不安を招いているという実態がございます。国際化の進展に伴いまして、海外赴任等の短期または長期の海外渡航者が非常に今増加をしておりまして、妊産婦や乳幼児を同伴する場合に、母子保健に関する現地の具体的な情報というものが切に求められているというのが現状ではないだろうかというふうに思います。
 このため、平成六年度におきましては、海外在留邦人に対する母子保健情報の提供事業というものを実施いたしまして、諸外国の妊娠、出産あるいは予防接種といったものに係る制度やまたは医療機関についての情報などを収集いたしまして、出国前に事前準備のためにそういった情報を提供するほか、また海外在留者からの問い合わせにも応ずるというふうな事業を実施してみたいというふうに考えております。
 初めての事業でございますので、まだどこまで具体的に多くの国を対象にできるかということにつきましてはいろんな問題もあるかと思いますけれども、今後の国際化といったものを考えて、できるだけ充実強化したものにしたいというふうに考えているところでございます。
#47
○清水嘉与子君 今後の国際化を考えてという御説明でございますけれども、国際化を考えたら、むしろ本来そこを利用する外国人のためにも、そこの国がそういうサービスをするというのが必要じゃないかというふうに思うわけです。日本にも外国人がたくさん来ておられて、逆にそういう不安を持っていらっしゃる方々もたくさんいらっしゃると思うんですが、そういう方についてもぜひ正確な情報を提供できるようなことも考えていただきたいというふうに思います。時間がなくなりますので、これはもうお願いだけにしておきます。
 最後に、大臣にお伺いしたいわけですが、今ずっとお話を伺ってまいりまして、女性の多様な就労形態に応じてきめ細かな保育サービスを提供する、これは非常に重要なことでございます。
 しかし、私は看護婦の問題ばかり引き合いに出して申しわけないんですけれども、例えば看護婦の場合に見られますように、多様なニーズにこたえられるからといいまして働く母親支援のために二十四時間の保育所をつくって、そして寝ている赤ちゃんをお母さんが連れて真夜中に病院に来るなんという姿は、やはりこれが果たして本当の育児支援サービスなんだろうかというふうな率直な疑問を持ちます。赤ちゃんを抱えたお母さんがせめて夜中に働かなくてもいいシステムをつくるというようなことも重要なことでございますし、またお母さんがどうしても夜勤をしなきゃならないときには、育児即お母さんじゃなくて、やはりお父さんもいらっしゃるわけですから、お父さんも少し意識を変えていただくとか、それから長時間の労働、これをやはりもう少し子供の世話ができるくらいのゆとりを持った生活ができるようにする、こういうことも非常に大事なことじゃないかというふうに思います。
 また、子供を産みたくても産めない、これは住宅の問題などということもあります。そうしますと、いろんな意味で少しゆとりのある家庭あるいは社会を築くということが、これは母親だけでなくて子供にとってもまた家族にとっても支援になるんじゃないだろうかというふうに思うわけでございます。女性が子供を産みたくない、あるいは産みたくとも産めないというのではなくて、せっかく子供を産める性を与えられているわけですから、これを喜べるような環境を整えるということが行政の責任じゃないかというふうに思います。
 最後に、保育行政を担当しておられる厚生大臣の今後の御決意をお伺いしたいと思います。
#48
○国務大臣(大内啓伍君) 私どもが二十一世紀に向かっての一つの大きな目標としまして、生活水準という面で欧米に負けないような生活先進国をつくってまいらなければならないと考えておりますが、そのためには今の住宅を一層改善する必要があることとともに、住宅を取り巻く環境の整備という問題が二つ目には重要であり、三つ目には労働時間の短縮、その他には物価問題等もあるわけでございますが、それらを達成してこそ初めて欧米に負けないような生活先進国をつくることができる、こう考えておるわけでございます。
 したがいまして、今御指摘の諸点は全くそのとおりでございまして、それはまさにこれからつくろうとしておりますエンゼルプランの核心に触れる問題、御指摘でございます。
 特に、御指摘の長時間労働につきましては、看護婦さんの場合もそうでありましょうし、その他の例えはトラック輸送等における長時間労働等々、業種によりましては千八百時間の達成という方向で全体としては改善されつつございますが、業種によりましてはなお長時間労働というものが続いておりまして、これらの改善という問題もこれは大変重要な問題だと思います。
 それから、やはり住宅が狭い、質が悪い、それからその住宅を取り巻く子供の遊び場、公園等々の問題、この条件整備がうまくまだ進んでいないということ等が総合的に改善されませんと、本当の意味で御指摘のような成果が生まれてこないと思っております。
 そこで、政府といたしましては、十八省庁の連絡会議というものを持ちまして、雇用、教育、環境、住宅あるいは文化の面に至るまでについて議論を重ねておりまして、今先生御指摘のような諸点について総合的な施策が前進するように懸命に努力を払ってまいりたいと思っております。
#49
○清水嘉与子君 次代を担う子供たちのために本当に役立つすばらしいエンゼルプランを作成し、そして実行していただきますように期待して、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#50
○尾辻秀久君 尾辻です。本日もよろしくお願いを申し上げます。
 きょうは悩みました。援護法の改正で私が質問するのも今さらと思いましたし、かといって質問をしないのもおかしいと思いました。考えてみますと、恩給法は毎年日切れ扱いで、援護法は横並びなのにそうでない。これはおかしいと言い続けてきました。せっかく日切れ扱いにしていただきましたので、本日はお礼の意味を込めて質問させていただくことにいたしました。
 そうしたら、一時間いただきました。改正といいましてもしょせん支給額の引き上げでありますから、それだけで一時間質問するといっても、率直に申し上げて無理でありますし、また細かな数字は恩給法と横並びでありますから、総合勘案方式がどうだとか、公務員の給与の引き上げ率をどの俸給表でとるのかというような話をいたしますと恩給局に来ていただかなきゃならないということになりますし、一時間、せっかくの機会ですから援護行政全般にわたって質問をさせていただきたいと思います。そうなりますと、また逆に何時間あっても足らなくなりますので、きょうは私の予定時間だけで十二時を回りますし、またそれから一時間ほどということになっておりますから、できるだけ手短に切り上げて評判をよくしたいと思っておりますので、御答弁の方もよろしくお願いを申し上げます。
 そこで、まず基本の質問をいたします。
 援護年金はどのような考え方に基づき支給され、額の改善が図られているのか、またこれは当然今後とも改善をしていくべきだと考えておりますが、大臣はどのようにお考えか、お尋ねをいたします。
#51
○国務大臣(大内啓伍君) 尾辻先生が援護行政につきまして日ごろ極めて建設的な御提言をしばしばいただいているということは、大変評判のいいことであると承知をいたしております。
 お尋ねの援護年金はどのような考え方に基づいて支給され、額の改善が図られているのかという問題でございますが、これは言うまでもなく、援護年金は軍人軍属等であった方々に対しまして、国が使用者の立場から補償するという国家補償の精神に基づいて支給がなされているものであると考えております。援護年金は、恩給を停止された軍人などに対する援護を行うために恩給に準拠いたしまして創設されたものでありますことから、恩給の改善に準じた額の引き上げを行ってきているところでございます。
 今回も恩給につきましては一・八三%という改善がなされたのでございますが、この恩給の改善に準拠いたしまして、援護年金につきましても改善を図っていくという方向で今具体的に対応している次第でございます。
#52
○尾辻秀久君 大臣の御答弁を聞いて本当に安心をいたしました。まず、国家補償であるということを極めて明確にしていただきました。
 たまにはこんなことも思うんです。例えば戦没者の妻が支給される。そうしますと、正式な妻だと恩給法で公務扶助料を支給される。ところが、内縁関係だと援護法で遺族年金になる。私だけかもしれませんけれども、そんなふうに考えますと、何となくなんですが、恩給法で対象にならない人を援護法で救済している、まさに援護しておるというとらえ方をされないこともない。そうなると、援護法は何となく国家補償の精神が薄くなってしまうのではないかなと心配しないわけでもないんですが、今大臣が極めて明確に国家補償だと言っていただいた、そして今後ともきっちり改善をしていくんだということを言っていただいて大変ありがたいと思っております。お褒めをいただいたので冒頭からエールの交換みたいになりますが、先ほどの衆議院の厚生委員会でも大変いろいろと前向きな御答弁をいただいたそうでありまして、今後ともよろしくお願いを申し上げたいと存じます。
 そこで、ありがたいといいますと、非常に御遺族の皆さんがありがたいと思われたのは、平成五年度の法改正で措置されました戦没者の妻等に対する特別給付金の増額の継続支給が決まったことであります。
 そこで、今その事務的な処理がどのように進んでおるのか、お尋ねをいたします。
#53
○政府委員(土井豊君) 妻等に対する特別給付金の処理状況につきましてでございますが、本年一月末現在の状況を申し上げたいと思います。
 まず、父母等に対する特別給付金の処理状況でございますけれども、約一千件余り処理をしておりまして、予算上の予定件数に比べまして五七・六%という進捗状況でございます。
 次は、妻等に対する特別給付金でございますけれども、九万三千件余でございまして、予算上の予定件数に比べて三三%というような状況になっております。
#54
○尾辻秀久君 基準日が四月一日であります。あれが決まりましてから、私は全国の皆さんにこんなことまで言って回ったんです。三月三十一日までお元気だったというのは何にもならないんです。四月一日、時報がピーンと鳴るまでは何が何でも頑張ってください。お呼びなどが来ても早過ぎると言って追い返してください。万が一間違ってお行きになったら、しょうがないからまた戻ってきてください。そこまでお願いをしてきました。
 若い皆さんなら、ちょっと待てと言われれば待てます。しかし、もう本当にそんな話が半分冗談でないお年の皆さんであります。ですから、今三三%という数字を聞いて、もっと急いでいただけないか、特に四月三十日、第一回の支給日がもう差し迫っておりますから、そんなことを思って、もう少し何とかなりませんかということを重ねてお願いしたいんですが、いかがですか。
#55
○政府委員(土井豊君) おっしゃるお気持ちは大変私どももよくわかるわけでございまして、そのような気持ちで最大限の努力をしてまいりたいと考えておりますが、現実に裁定事務を行っている都道府県の担当部局の方々の御協力を得ながら、速やかに処理ができるようにいたしたいと思っております。
 これまで都道府県ごとに進捗状況を私どもも聞いておりまして、特に進捗状況の悪いところへは個別に督励をいたすとか、あるいは全国の関係課長会議の席上で、今申されましたような趣旨を踏まえまして督励をしているところでございまして、最大限の努力を尽くしたいと考えております。
#56
○尾辻秀久君 よろしくお願いをいたします。
 そこで、来年は戦後五十年になります。援護行政というお立場から、この戦後五十年をどのように迎えようとしておられるのか、厚生省の基本的なお考えだけをお聞かせください。
#57
○政府委員(土井豊君) 厚生省におきましては、これまで中国残留孤児を初めとする引揚者の援護措置、それから二つ目には、戦没者の遺族を対象とする遺骨収集や慰霊巡拝などの慰霊事業、それから三つ目には、戦傷病者、戦没者遺族等の援護、大きく分けましてこういった業務を中心に仕事をしておりますけれども、終戦五十年ということを目前に控えまして、これらの課題は引き続き重要な課題であると認識をしておりまして、今後ともそれらの施策につきまして最善の努力を続けてまいりたいと考えているところでございます。
#58
○尾辻秀久君 本当に区切りでありますから、ぜひ十分な配慮をしていろいろ考えていただきますようにお願いをいたしておきます。
 そこで、その区切りといいますと、戦後三十年、四十年という区切りで特別弔慰金というものが支給されてまいりました。そうなりますと、来年がまた戦後五十年という一つの区切り、節目の年に当たるわけでありますが、この特別弔慰金の継続につきましてはどのように考えておられるか、お考えをお聞かせください。
#59
○政府委員(土井豊君) ただいまお話がありました特別弔慰金についてでございますが、御案内のとおり戦後二十周年、三十周年、四十周年、そういう機会をとらえまして、戦没者などの遺族に対して国として改めて弔意をあらわすという趣旨から支給をされているものでございますが、平成七年度以降どのように取り扱っていくのかという点につきましては、今後慎重に検討してまいりたいと考えているところでございます。
#60
○尾辻秀久君 明確な御答弁をお避けになりましたが、慎重に検討していただくのは結構でありますから慎重に検討していただいて、ぜひやるんだという結論を出していただきますようにお願いをしておきたいと思います。
 次に、遺骨収集とか慰霊巡拝とか、そうしたことについて幾つかお尋ねをしたいと思いますが、これも俗に言います南方、それから最近始まりましたシベリア、そしてまたモンゴルの問題などもありますから、分けてお尋ねをしていきたいと思います。
 まず、俗に言います南方の戦没者に対する遺骨収集、それから慰霊巡拝の状況、ざっとお聞かせをください。
#61
○政府委員(土井豊君) 南方地域の戦没者の方々の遺骨収集でございますけれども、御案内のとおり昭和二十七年度から開始をしておりまして、その結果、海外戦没者約二百四十万人、これは沖縄、硫黄島を含めた人数でございますが、そのうち百二十二万人の御遺骨を収集したところでございます。海没している遺骨あるいは相手国の事情によりまして遺骨収集を望めない地域の遺骨を除きますと、全体の三分の二程度の遺骨を収集したというふうに考えております。
 五十一年度以降につきましては、遺骨の所在につきまして確度の高い情報のある地域につきまして実施をしてきておりますが、現在把握しておりますのは九地域三千柱ということでございまして、平成七年度までには概了できるように努力をしてまいりたいと考えております。
 なお、平成八年度以降につきましても、新規に残存情報がもたらされる御遺骨につきましては、できるだけ速やかな収集ができるように努力を続けてまいりたいと考えているところでございます。
 次は、慰霊巡拝についてでございますけれども、相手国の事情などによりましてすべての遺骨を収集することが物理的に困難な状況も踏まえまして、遺骨収集事業を補完いたしまして、旧主要戦域等に戦没者を慰霊するために昭和五十一年度から御遺族の参加を得て実施してきているところでございます。
 平成六年度におきましては、フィリピン、東部ニューギニアなどの五地域で実施をする予定にいたしているところでございます。
#62
○尾辻秀久君 おっしゃるように、いろんな条件があって遺骨収集の難しい国もございました。そういう非常に難しい国の一つに挙げられるのがミャンマーでありましたけれども、きょうはミャンマー一つ取り上げてお尋ねしてみたいと思うんですが、これは今後何とかなりませんか。
#63
○政府委員(土井豊君) 御案内のとおり、ミャンマーにつきましては三十一年から五十一年まで実施をいたしておりまして、五十一年度をもって終了したということで、その後は実施をすることができなくなっております。
 お話がございましたとおり、平成五年度におきまして外務省を通じましてミャンマー政府に交渉をお願いしましたところ、同国政府から、従来の見解を変更することはしないけれども、現時点において所在が確認されている遺骨につきまして収集を許可するという旨の回答が得られております。したがいまして、平成六年度において十八年ぶりの遺骨収集を実施する方針で臨んでいるところでございます。
#64
○尾辻秀久君 ミャンマーといっても当然のごとく広いわけでありまして、インパールからずっと撤退してくる道筋もありますし、それからずっとタイの国境に近い方までございますが、今ミャンマー政府はその辺の中で場所でも言っておりますか、どうですか。
#65
○政府委員(土井豊君) 今、残存遺骨の情報として地域的にわかっておりますのは、カレン州アパロンという地名を私ども伺っておりまして、ここ一カ所というふうに聞いているところでございます。
#66
○尾辻秀久君 一カ所であってもミャンマーが久しぶりに遺骨収集に入れてくれると言っておるわけでありますから、ぜひこれは引き続き御努力いただいて遺骨収集が実施できますようにお願いをいたしておきます。
 そこで、俗に言う海没遺骨でありますが、先ほどのお話でも平成七年概了ということは厚生省のお考えとして言っておられますので、今度これに対してどうするのかということもだんだん答えを出さなきゃならない時期だと思いますから、厚生省としては海没遺骨に対する考え方、どう考えておられるか、お聞かせください。
#67
○政府委員(土井豊君) 海没遺骨の収集についてでございますが、古くから航行中の死亡者について水葬に付するということは広く行われてきておりますので、そのような事情に着目しまして、一般的には海自体が戦没者の永眠の場所であるというような認識に基づいて、原則的には行わないという考え方をとらせていただいております。
 ただし、御遺骨が人目にさらされてその尊厳が損なわれるような特別な状況にありまして、かつ当該沈没船内の遺骨収集が技術的にも可能な場合には、例外的に遺骨収集を行いたいという方針で対応してまいっております。
 今後ともこのような考え方を基本に対応してまいりたいと考えておりますが、平成六年度におきましては、トラック諸島の沈没艦船の遺骨収集を実施したいと考えているところでございます。
#68
○尾辻秀久君 遺骨収集全体についてここでお願いだけさせておいていただきたいと思います。質問ではありませんから、お願いだとして聞いてください。
 私も何回も遺骨収集に行っております。そして、この厚生委員会での質問の中でも申し上げましたが、父も戦死をいたしております。そういう立場で遺骨収集に参りますと、本当につらいんです。これは作業そのものもつらいです。この作業の方は、これはきょう来ていただいておる厚生省の皆さんにも御一緒していただいておりますし、あの条件の悪い中でつらい作業を御一緒していただいておりまして日ごろ感謝いたしておりますから、この機会にその気持ち、御礼は申し上げたいと思います。
 そのつらさもあります。しかし、もう一つつらいのは、やっぱり親父がそこで死んでいますと、御遺骨を胸に抱くというのはこれはもう非常につらいことであります。収集作業をして宿舎まで御遺骨を抱いて帰りますけれども、このときの気持ちというのは、とてもうまく表現できない私どもの気持ちであります。
 それはそれといたしまして、それも頑張っていきます。しかし、そういう立場で私どもが一番服に落ちないといいますか、何でだと思っておりますのは、その作業に行く費用をみずからも負担しなきゃいけない、これは何でだというのはもう率直な気持ちであります。国のために戦って散っていって、そして遺骨がそこにまだ野ざらしになっている。その遺骨を収集しに行くのに、その死んだ者の子供が自分の金を払って行かなきゃならない、それはないだろうというのが率直な思いであります。
 平成七年に概了させたいと言っておられますので、きょうはそのことを質問の形にはしませんけれども、大臣、その辺のところは全額もう国が負担していただいて、行ってこいよと言っていただいてもいいのではないだろうか、それは国の責任ではないだろうか、こういうふうに思いますので、この際申し上げておく次第であります。
 次に、これも大変ありがたいと思っていることなんですが、戦没者の子供の立場を対象にいたしまして慰霊友好親善事業というのを実施していただいております。これは始めていただいたことは大変ありがたいと思っておりますし、余り欲を出すなど言われればそれまででありますけれども、やっぱりもう少し充実させていただきたい。これは切なる願いなのでありますが、この辺のところをどう考えておられるか、お尋ねをいたします。
#69
○政府委員(土井豊君) お尋ねの慰霊友好親善事業でございますけれども、お話がありましたとおり戦没者の遺児の方々のために、日本遺族会の御要望を受けまして平成三年度から同会に委託をして実施しておりますが、平成五年度までの三年間にフィリピン、マリアナなどの十三の地域で延べ六百五十人の遺児の方々に御参加をいただいて実施してきたということでございます。
 大変希望者が多いと伺っておりますので、平成六年度の予算におきましては、一地域ごとの班編成をこれまでの二班編成から三班編成に拡充するという形で、五地域において実施をしたいということで現在準備を進めているところでございます。
#70
○尾辻秀久君 申し上げましたように、六年度予算でもまたふやしていただいたこと、大変感謝いたしております。ただ、言わせていただくと、対象者はざっと百万人いると言われているんです。六年度予算で、大ざっぱな数字ですが約二百人。百万人を二百人で割ると五千年かかるという勘定になりまして、さっきの話じゃありませんけれども、私どもも五千年生きて待てと言われてもちょっと無理でありますので、ひとつどうぞもう少し充実をさせていただきますように、これもまたこの機会にお願いをさせていただきたいと思います。
 次に、慰霊碑の建立状況ですが、このところちょっととんざした感もございました。この件についてお尋ねをいたします。
#71
○政府委員(土井豊君) 慰霊碑の建立てございますけれども、御案内のとおりこれまで主要戦域、殊にその中心となる地域一カ所を選びまして建立をさせていただいてきております。昭和四十六年の硫黄島、それから昭和四十八年のフィリピン戦没者慰霊碑などを初めといたしまして、昭和六十二年までの間に海外に九カ所の慰霊碑を建立いたしてきております。
 これまで建立が認められておりませんでしたインドネシアとインドの二カ国につきまして、相手国の了解が得られましたので、平成五年度においてそれぞれ建設を進めましてこのほど竣工を見たところでございまして、インドネシアにつきましてはこの三月二十四日に竣工追悼式を行わせていただいたということでございます。インドにつきましても相手国政府と最終的な調整を行いまして、できるだけ早くそういう竣工追悼式を行いたいということで現在最後の調整をしているという状況でございます。
#72
○尾辻秀久君 霊安かれということで各地に慰霊碑をつくっていただきますように、ぜひお願いしておきたいと思います。
 ただ、つくるだけならまだ簡単なんですが、つくった後、きっちり維持管理していく。ちょっと表現は違うのかもしれませんが、草ぼうぼうの無縁仏みたいにしてしまっては大変申しわけないことでありますので、そしてまた場所によってはどうもそういう状況に近いものもないわけではないとも聞きますから、この辺のところをもう少し御説明いただけますか。
#73
○政府委員(土井豊君) 建立いたしました慰霊碑の維持管理の問題についてでございますけれども、相手国の関係機関などと維持管理契約を締結して適切に維持管理が行われるように努力をしているところでございますけれども、お話がありましたように、年月の経過とともに補修の必要が生じてくるというのも事実でございまして、昭和六十年ごろから逐次そういった補修工事あるいはそのための調査といったことを実施して今日に至っております。
 今後とも適宜に補修を行いまして、きちっとした維持管理が図れるように万全を期してまいりたいと考えているところでございます。
#74
○尾辻秀久君 私も何カ所か参りまして、これはそろそろ手を入れなきゃいけないなと思うところもございますので、十分配慮していただきたいと思います。
 そこで次に、ソ連抑留中に死亡なさった皆さん、言っておりますところのシベリアについてお尋ねをしていきたいと思います。
 これは今の話ですけれども、慰霊碑をシベリアにも建てる計画だと聞いております。まずこれについてお聞きをいたします。
#75
○政府委員(土井豊君) 旧ソ連地域におきまして抑留中亡くなられた方々の慰霊と恒久平和への願いということから、平成五年度、平成六年度の二年計画で、ロシア連邦のハバロフスク地方に建立をしたいということで取り組んでおります。
 平成五年度は一千二百万円で調査、設計、平成六年度の新予算案におきましては八千九百万円で建設、竣工という予定で準備をさせていただいているところでございます。
#76
○尾辻秀久君 今、場所はハバロフスクというふうにおっしゃっていただきました。これはあえてお尋ねするんですけれども、ハバロフスクを選んでいただいた理由というのは何かありますか。
#77
○政府委員(土井豊君) ハバロフスク市に建設をすることにいたしておりますけれども、その背景といたしまして、抑留中亡くなられた方々の約九割の方々がシベリア地域であるということが一点でございます。そして、そのシベリア地域の中でもハバロフスク地方における死亡者の割合は約三割ということで最も多くなっております。それから、御案内のとおり交通の便ということも考えまして、将来関係御遺族が訪問する上でも便利であろうというような考え方からここの場所を建立地として選んだという事情でございますので、御理解を賜りたいと存じます。
#78
○尾辻秀久君 別にハバロフスクにこだわる、そしてまたそれがどうだと申し上げるつもりでお尋ねをしたわけじゃございません。ぜひ立派なものをつくっていただきたいと思います。
 これまた質問じゃありませんが、お願いだけここでさせておいていただきたいと思います。
 かねて話題になっております北方領土に慰霊碑をつくりたいということでありますが、これは非常に微妙な問題であります。私どもは自分たちの領土だと言っておりますから、変に許可を求めるということになりますと向こうのものだということを認めかねないことにもなりますので大変微妙な問題でありますが、しかし御遺族の皆さん、関係の皆さん、そろそろ慰霊碑を建てたい、建てることができればいいなという思いは強いものでありますから、ぜひこの点も御努力を続けていただきますようにお願いだけさせておいていただきます。
 次に、ソ連抑留中死亡者に関する資料として、例のゴルバチョフさんが持ってきた名簿がございます。いろいろ数も言われました。そしてまた、いただいてみると非常に不鮮明な部分があったり、折り返しの部分で字がダブっていたりとかいろんなことがあって大変な作業をしていただいたようでありますが、この解読というんでしょうか解明というんでしょうか、作業はかなり進んでおりますか、そしてそれは御遺族の皆さんには御連絡いただいておるのかどうか、まずお尋ねをいたします。
#79
○政府委員(土井豊君) 平成三年に当時のゴルバチョフ大統領から提供を受けました名簿でございますけれども、三万八千六百四十七人分の名簿をいただきました。そのうち約二千人の方々が重複でございますので、それを除きまして約三万六千七百人という人数につきまして名簿登載者の特定作業というものを行いましたが、約六割に当たります二万二千八百人につきまして特定作業ができました。このうち御遺族の方々に連絡できましたのが約一万九千六百人ということでございまして、既にその記載内容についてお知らせを終わっているところでございます。
#80
○尾辻秀久君 今、特定できた方の数字を言われましたが、そうすると、その他の方はもう今後とも特定できないということになりますか。それとも、今のところ特定できないというふうに今の数字をお聞きすればいいんですか、お尋ねをいたします。
#81
○政府委員(土井豊君) ゴルバチョフ大統領からちょうだいした資料に基づいては一応作業が終わった、したがって、新しい資料等があればまたそういったものを参考にしながら作業を再開できるという状況でございます。
#82
○尾辻秀久君 その新しい資料ですが、今度個人資料を厚生省は入手されたともお聞きしますが、これはどういうものであって、今後どういうふうに扱われるか、お聞かせください。
#83
○政府委員(土井豊君) ただいまお尋ねの件でございますけれども、ロシア国家公文書庁の歴史文書資料館というところに保有をされております関係資料というものが判明をいたしまして、その資料の提供についてロシア連邦政府に申し入れを行っておりましたが、昨年の十二月に三万七千六百件の詳細な個人資料というものの提供を受けております。
 この資料の内容でございますけれども、そのうち日本語で署名をしてある氏名の載ったコピーが約一万五千件ございます。そのほかの資料も、氏名、出生地、家族構成等々十五の項目にわたりまして記載をされているというものでございます。全部が全部十五項目じゃなくて、中には省かれている資料もあるようでございます。
 いずれにしても、かなり詳細なデータを含む資料であるということで、現在この資料につきまして翻訳作業をまず始めさせていただいているということでございます。そういった翻訳の仕事を進めながら、名簿登載者の特定作業についてこれらをもとにして鋭意取り組んでいるところでございまして、できますればことしの秋ぐらいまでにそういう作業のめどをつけたいと考えているところでございます。
#84
○尾辻秀久君 戦没者の御遺族とお話ししまして皆さん言われるのは、どこでどうやって死んでいったのかわからない、せめてそれだけでも知りたいというのが本当に強い思いなのであります。できるだけ御努力いただいて、ぜひ判明できるようにしていただきますようにお願いをいたします。
 そのソ連抑留中死亡者の皆さんに対する遺骨収集と墓参も始まっておりますが、このところどういう状況か、お聞かせください。
#85
○政府委員(土井豊君) 平成三年四月に両国政府間で基本的な協定を締結いたしまして、遺骨収集それから新たな埋葬地への墓参ということができるようになりましたのは御案内のとおりでございます。平成四年度から実施をしておりまして、これまで遺骨収集につきましては千八百五十九柱を収集いたしております。墓参につきましては平成四年度は四地域、平成五年度は三地域について実施をしているところでございます。
#86
○尾辻秀久君 決して意地悪くお聞きするつもりはありませんが、平成五年度で予算が計上されておりましたが、実際実施されたのはその数よりも少なかった。すなわち、予算で計上された地域数よりも実施された地域数が下回っておりましたが、これは何か理由があったのか、お尋ねをいたします。
#87
○政府委員(土井豊君) 御案内のとおり、五年度予算におきましては、遺骨収集、墓参とも五地域ということで予定をいたしておりましたが、遺骨収集は四地域、墓参は三地域にとどまりました。
 その理由といたしましては、ロシア連邦内でジフテリアが流行したということで、いろんな事態も予測されましたので途中で中止をしたという事情でございます。民間の御協力、あるいは遺族の方々にも高齢の方等もかなり多くいるわけでございますし、また先ほどもお話がありましたが、遺骨収集の肉体作業というのもかなり厳しいものがございますので、ジフテリアに感染する危険ということを考えあわせまして、安全第一ということでそのような措置をとらせていただいたということでございます。
#88
○尾辻秀久君 その御説明は実は年度の途中で聞いたんです。そしてジフテリアだと聞きまして、私はついうっかり、それは犬の病気じゃないかと言ったら、あれはジステンパーだと言われてえらい恥をかいたのでありますが、御説明は聞きました。
 そのとき思いましたのは、ジフテリアはそれはしょうがない。しかし、何とか場所を変えるとかあるいは時期を少しずらすとか、シベリアの遺骨収集が可能な期間というのはもう極めて限られている、非常によく承知している私が言うのもとも思いますが、それでも何とか少し時期をずらしてと思ったりもしたんです。それであえてお尋ねしたんですが、その辺のところはお考えになりませんでしたでしょうか。
#89
○政府委員(土井豊君) ただいまお話がありましたような御要請もいただきまして、政府職員のみで構成をした収集団というのを、現地が冬に入る前の十月下旬に、プリモルスク地方でございますけれども派遣をいたしまして、遺骨収集を実施させていただいたというようなことで、不十分でございますけれども努力をさせていただいたということでございます。
#90
○尾辻秀久君 私が皆さんに申し上げるのは釈迦に説法になりますけれども、遺骨収集可能な期間がもう非常に短い地域でありますから、今後ともいろんなことが予想されますので、十分配慮して万全を尽くしてやっていただきたいとお願いをいたします。
 そこで、平成六年度なんですが、シベリアに対する遺骨収集と墓参はどういう計画か、予算案ができておりますので御説明をください。
#91
○政府委員(土井豊君) 平成六年度の予算案における予定でございますけれども、対象地域の増を図りまして計画をしております。具体的に申しますと、ハバロフスク地方、プリモルスク地方、イルクーツク州、この三地域のほかに新たにアムール州、アルタイ共和国、ブリヤート共和国及びクラスノヤルスク地方、この四地域に着手をすることにいたしておりまして、合計七地域において実施をしたいと考えているところでございます。
#92
○尾辻秀久君 そのように頑張っていただくのは大変ありがたいんですが、今言っておられるのは今のロシア連邦共和国の中だけだと私は理解しているんですが、違ったらまた言ってください。
 ただ私が申し上げたいのは、今のロシア共和国だけじゃなくて、旧ソ連の中に随分御遺骨があるところだとか、墓参をしたいと言っておられる方がおるところとかが広がっておるわけでありまして、この辺について何か今後手を打とうとしておられるのか、お聞かせください。
#93
○政府委員(土井豊君) 大変失礼いたしました。ロシア連邦以外の地域で平成六年度に予定をしておるところがございまして、カザフスタンとウズベキスタンの二カ国におきまして、遺骨収集、墓参の実施ということで事前協議を行いたいと考えているところでございます。
#94
○尾辻秀久君 私も一カ所だけ見せていただきました。南方も大変ですが、またシベリアも大変ですね。もう本当にこれは大変な作業だなと思いました。町になったところはどんどん開発されていますし、それから、どういう表現がいいんでしょうか、我々の言葉でわかりやすく言うと、ジャングルにどんどんなっていったようなところはもううっそうと木が茂ってしまって、今度はその木ごとひっくり返さないと作業ができないとか、実に大変なところだと実感しているんですが、こうした作業の進め方、どのように今後実施していこうと思っておられるか、この際ですから、お考えがあればお聞かせください。
#95
○政府委員(土井豊君) まず、埋葬地につきましては現状の把握、情報の収集ということが非常に肝要であると思っておりまして、現在外交ルート等を通じましていろんな要請をしているところでございます。これまで提供がありましたところにつきましては、なるべく早期にいろんな調査団等を派遣したいと考えているところでございます。
 それから、お話がありましたように開発でありますとか、場合によると、いろんな自然環境の変化によりまして物理的な事情から実施が大変困難になっておるといったようなことも予想されます。終戦五十年という非常に長い年月を経た今日においてでございますので、なおさらそういうこともあろうかと考えておりますが、関係御遺族の心情も十分踏まえまして、私どもとしてはどのような形で取り組むのがいいのか、さらに努力をし研究もしてみたいと思っているところでございます。
#96
○尾辻秀久君 南方でも一部そういうところがありましたが、南方では遺骨収集するのに機械力を入れたということはほとんどないと思います。ただ、シベリアの場合は表土が余りにもかたいとか、先ほど私が申し上げたようなこともあり、一部機械力を入れながら作業しております。
 そうすると、そういうものが映像で映ったり写真で出てきたりしますと、御遺族の皆さんからすると、あんなに掘り返して後はどうするんだろうという御心配の向きもありまして、あれはどうするんだというお尋ねもあるものですからあえてここでお尋ねするんですが、機械力を入れて遺骨収集した後はどういうふうにしておられるか、全般にわたってお答えください。
#97
○政府委員(土井豊君) お話のような遺骨の収集のやむを得ないような地域もございますので、いろんな形で実施をさせていただいておりますけれども、その後でございますが、遺骨収集団が責任を持って整地をいたしまして原状に復して、そして現地の関係機関の確認を得た上できちっと処理をしているという形で、後々心配がないように処理をしてまいってきているつもりでございます。
#98
○尾辻秀久君 行かれた皆さんは当然そんな思いで作業されるわけでありますから、きちっと処理しておられると思います。今のお答えはまさにそのとおりであろうと思いますし、なければならないと思いますし、信じております。
 ところで、私もシベリアは一回しか行っておりませんが、行ったときの感じを率直に言わせていただきますと、これは南方でも若干そんな面がないこともなかったなと思っているんですけれども、遺骨収集あるいは墓参といえども、日本人が行ってやっぱり金を落としてくれる。そうすると、現地の人たちからしてみれば大きな意味での観光客の一部になってしまう。その辺、非常に現地の皆さんの扱いが、ずばり言うと金目当てみたいな対応になってしまうところが出てくる。これは私たちもお互いに心しなきゃいけない問題だと思いますので、あえてこの際申し上げて御配慮をお願いしておきたいと思います。
 それから、シベリアの場合は完全に墓地になったところがあります。お墓として一つずつ埋葬されている。じゃ、遺骨収集だからといってその墓を掘り返すのかということも、これまた随分考えなきゃならないことだなと思いながら今見ておるわけであります。これもきょう御質問申し上げようという話じゃありませんので、今後の課題として私も考えたいと思っておりますけれども、こうした問題については厚生省もいろいろまた御配慮賜りますようにお願いをいたしておきます。
 最後に、モンゴルについてお尋ねをいたしますが、やっぱり抑留中に亡くなった方がかなりおられます。遺骨収集とか墓参とか、今後何か考えておられるか、お尋ねをいたします。
#99
○政府委員(土井豊君) モンゴル地域でございますけれども、抑留中に亡くなられた方々の遺骨収集、墓参についてでございますが、昭和四十一年に三カ所の埋葬地につきまして政府墓参を実施して以来久しく行っておりません。
 ただ、平成三年八月に当時の海部総理大臣がモンゴル国を訪問した際に、同国の首相から、我が国の遺骨収集、墓参の実施などにつきまして全面的に協力しようという旨の表明がなされておりましたので、これを踏まえまして、平成五年度にウランバートル周辺の新しい埋葬地三カ所を含めまして六カ所の埋葬地について墓参を実施いたしました。平成六年度におきましては、戦後初めてでございますけれども、遺骨収集を実施するとともに本格的な墓参もあわせて行いたいということで準備をしているところでございます。
#100
○尾辻秀久君 モンゴルにつきましてもぜひよろしくお願いをいたします。
 遺骨収集とか慰霊巡拝とかいろいろ申し上げてまいりました。大臣も今までお聞きをいただきました。今後一層促進を図っていただきたいと思いますが、きょうお聞きいただいたところで、大臣の御所感を最後にお伺いをいたしたいと存じます。
#101
○国務大臣(大内啓伍君) 御指摘いただきました諸点につきましては一つ一つ身にしみる思いで聞かせていただきましたが、終戦五十周年を迎えようとしている今日におきましても、なお私どもとしては力を注がなければならない重要課題である、こういう認識を持っております。
 確かに残存情報が少なくなってきているという面もございまして、特に南方地域の遺骨収集についてはもちろんのことでございますが、本格的な遺骨収集が開始されて間もないソ連抑留中の死亡者の遺骨収集につきましても、いろいろ困難な面はございますけれども、関係遺族の方々の心情を考えますときに、これは何としてもやり遂げなければならない。ましてや、その御遺族がだんだん高齢化されているという状況のことも配慮いたしまして、私どもとしては可能な限り努力をさせていただきたいと思っておる次第でございます。
#102
○尾辻秀久君 今お答えいただきましたように、遺族も本当に年をとってきております。それからまた、特に南方の御遺骨は、遺骨収集に行きましても、御遺骨があるなと思って拾おうとするともうぽろっと崩れるんです。まさに土に帰っておられるという状態でありますから、急いでその御努力をお願いいたしまして、ちょっと時間が早くなりましたが、こんなことで評判がよくなるとも思いませんが、質問を終わらせていただきます。
#103
○日下部禧代子君 児童手当法の一部を改正する法律案に関連いたしまして質問をさせていただきたいと思います。
 まず、大臣にお尋ねをしたいと存じます。
 ことしは国連の定めました国際家族年でございます。国際家族年の意義とその目的について、どのようにお考えになっていらっしゃいますか。また、共通のスローガンが「ビルディング ザ スモーレスト デモクラシー アット ザ ハート オブ ソサエティー」、日本語訳では「家族から始まる小さなデモクラシー」というふうに訳されておりますが、この共通のスローガンを大臣はどのように御理解なさっておりますでしょうか。
 大臣は大変に家庭的でいらっしゃるというふうに私は承っております。大臣のお宅にはもう既にデモクラシーは確立していらっしゃるとは思いますが、大臣の家族観も含めながら御意見を承れればと存じます。
#104
○国務大臣(大内啓伍君) 民主主義というものがあらゆる分野で発展するということが大体世界の人類のコンセンサスになってきているわけでございますが、その民主主義の発展の原点というものを家庭に求めよう、これが今回の「ビルディング ザ スモーレスト デモクラシー アット ザハート オブ ソサエティー」という意味であろうと思うのでございます。
 一九九四年の国際家族年は、各国におきまして多様化する家族の問題について政府や民間の関心を高めて、そういう意味で取り組みを強化することを目的として一九八九年の国連総会において採択されたわけでございます。その原点を、今申し上げたように家族、家庭というところから出発しようというこの着眼は非常に確かな着眼であろうというふうに考えておるわけでございます。
 特に我が国におきましては、近年、核家族化の進行、あるいは女性の社会的な進出や出生率の低下、家族を取り巻く環境が急速に変化しているわけでございます。先ほど来御指摘の標語のもとに、特に私どもが心がけなければならない問題は、男女が共同参画して社会をつくり上げていく、それからもう一つは家庭生活と職業生活の調和といいますか、そういうものを図っていくという諸般の課題につきまして積極的に取り組んでいくことが必要であろうと思っているわけでございます。
 そういう意味で、私といたしましては少子・高齢化社会に対応いたしまして、一方においてはゴールドプランというものを立てまして、これをさらに発展させる新ゴールドプランの創設というものを図りながら、特に国際家族年を契機といたしまして、少子化問題に対応した総合的な児童家庭対策としてエンゼルプラン・プレリュードと銘打ちまして、多様なニーズにこたえようとしている次第でございます。そういう意味で国際家族年というものを理解している次第でございます。
#105
○日下部禧代子君 どうもありがとうございました。
 今、大臣がお触れになりましたように、高齢化社会に対応いたしましてゴールドプランというのがございますが、児童対策、子供たちの環境ということを考えますと、やはりこのような具体的な年次別の数値目標を定めた計画、いわば子供のためのゴールドプランという、そういうふうな強力な計画を策定して推進すべきではないかというふうに思いますが、その点いかがでございますか。
#106
○政府委員(瀬田公和君) 先生がただいま御指摘いただきましたように、次の世代を担う子供たちが健やかに生まれ育つための環境づくりを進めるということは、二十一世紀に向けて我が国が生活先進国を目指す上におきまして重要な政策課題であるというふうに認識をしております。
 大臣から御説明がございましたように、厚生省といたしましては、平成六年度においてこのための第一段階ということでエンゼルプラン・プレリュードと銘打ちまして、子育て家庭を支援する各種の事業を行う基金の創設でございますとか保育対策の充実など、総合的な児童家庭対策の推進を図ることとしていることは先生御承知のとおりでございます。
 御指摘いただきました例えば十カ年戦略というか、長期的なプログラムというか、そういったものを策定することにつきましては、ゴールドプランのような数量的な目標というものが明らかにできるかどうかということにつきましては若干難しい点もあるというふうに私も思っておりますけれども、児童家庭行政におきましても、中長期的な視点から施策の推進を図ることは重要な課題であるというふうに認識をいたしております。
 このため、エンゼルプラン・プレリュードをさらに発展させまして、子育てと仕事の両立の支援、子供の遊び場の環境とか住環境の整備といったものを柱といたします関係各省庁とも連携をとりました総合的な計画であるエンゼルプランというものを策定できればというふうに考えておりまして、現在その検討を進めているところでございます。
#107
○日下部禧代子君 今回、児童手当法の一部を改正する法律案におきましては、いろいろときめ細かい児童福祉の施策というものが出されておりますけれども、これまで高齢者あるいは障害者のための施策を見ましても、メニューはあるけれどもなかなかそれを実際に利用する場合には利用できないとか、情報がきちんと行き渡っていないとか、手続が不便であるとかそういう形で、残念ながら利用者の視点ということから見ますとさまざまな問題があったことは否めないというふうに思うわけでございます。
 今回も、せっかくの施策というものがきちんと運用されていくために、そしてまた利用されるためには幾つかの問題点というものをクリアしなきゃならないと思うわけでございますが、私に限られました時間が非常に少のうございますので、そういった利用者の観点から一つ、二つ質問させていただきたいと思います。
 今回の施策の中で在宅保育サービス事業の助成というのがございますが、これは利用者が勤務する企業と個々のベビーシッター会社が個別に契約を結んだ場合に児童環境財団の助成が受けられるようになるというふうに承っておりますけれども、利用したい母親が契約している会社に行っていない場合にはどうなるのかというふうな問題も出てくると思うんですね。そういたしますと、やはり母親、父親がベビーシッターを利用するのにこれはいささか限定された部分が出てくるのではないか。本当にベビーシッター会社を利用したいということでございますと、今私が申し上げたような運用の仕方でございますと必ずしも利用者にとって便利というわけにはいかないと思うわけでございますが、その点いかがでございましょうか。
#108
○政府委員(瀬田公和君) 在宅保育サービス事業というものは、いつでもどこでも自由に利用できるというふうな形にするのが理想であるということは先生御指摘のとおりだというふうに思いますけれども、まず初年度といたしましては、事業主が福利厚生の一環としてベビーシッター等の在宅保育サービスを職員にあっせんする場合、これにつきまして利用料の一部を助成するという形で始めてみたいというふうに考えているところでございます。
#109
○日下部禧代子君 一括して受け皿というものをつくって、そしてそれを利用者が選ぶというふうな形には今回はいかないわけでございますか。
#110
○政府委員(瀬田公和君) ベビーシッター事業というものを保育事業の中で取り上げていくというのは、実は私たちとしては初めての試みでございます。したがいまして、ベビーシッターの業界というものもいろいろございますけれども、これの指導とか育成とかというものも考えていかなければならない分野でございます。
 そういった関連もございまして、まず第一段階としては、ただいま申し上げましたように、企業が福利厚生の一環としてベビーシッター等を社員のためにあっせんしていくというふうな場合に限らせていただきたいというふうに思っております。
#111
○日下部禧代子君 ぜひともこれを機会に、利用する側にとってより便宜が与えられるような運用を考えていただきたいということを切にお願いしておきたいと思います。
 それからまた、利用者がどのように利用できるかという観点からもう一つ質問をさせていただきたいと思いますが、児童関連情報二十四時間ネットワーク事業というのがございます。これは、コンビニエンスストアに端末を設置することでさまざまな子育てに関する情報を得るということでございます。今、これは何店ぐらいそのような御計画を考えていらっしゃるのでしょうか。果たして、そうした場合にどのような内容が情報として入手できるのでしょうか。実際にコンビニエンスストアに行って利用をするという場面を想定して、どの程度利用されるというふうなお考えのもとにこの施策を御企画なさったのでございましょうか。
#112
○政府委員(瀬田公和君) 非常に難しい御質問だと思いますが、児童関連情報二十四時間ネットワーク事業というものは、共働きの家庭が地域の保育所やそれからベビーシッター、児童館といった育児関連の情報を、休日でも祭日でも深夜でもというふうに私たち言っておりますけれども、どこでも気軽に入手することができるように、コンビニエンスストア等を活用して情報ネットワークというものをつくっていきたいというふうに考えているわけでございます。
 実は、こういったものをつくることによってどの程度共働きの家庭のお母さんたち、また一般家庭のお母さんたちに御利用いただけるかということについては、いろんな情報というか、そういった調査という面でもこれはやっぱりモデル的に最初は実施をさせていただくということになるだろうというふうに思っております。
 初年度におきましては首都圏を中心に百五十店舗ほど選びまして、それでどの程度の利用があって、どういった情報を組み込めばいいのかというふうな点の調査もあわせてモデル的に実施をさせていただきたいというふうに考えております。
#113
○日下部禧代子君 今の利用者の観点からということでもう一つ質問させていただきたいと思いますが、駅型保育モデル事業というのが今度の施策にございますが、これは例えば駅ビルの中とかそういうところに保育所を設けるということと考えてよろしいんでしょうか。大体これは何カ所ぐらいを考えていらっしゃいますか。そして、今具体的にその場所はもう決まっておりますでしょうか。
#114
○政府委員(瀬田公和君) 駅型保育モデル事業というのは、先生御指摘いただきましたように、共働きのお母さんたちが出勤をなさるそういった最寄りの駅ビルなどに保育施設を設けまして、昼間は例えば保育園等と契約を結びましてそちらの方で保育をしていただいて、夕方またそこに責任を持って連れてきていただくというふうなこともあるかと思いますけれども、ともかく御帰宅の際には駅で責任を持って子供さんをまたお渡しすることができるというふうな形を考えたいというふうな、いわゆる通勤の便を考えた保育サービスというものを駅型の保育モデル事業というふうに私たち呼んでいるわけでございます。
 モデル事業でございますから、どんなものが働くお母さんたちのニーズに一番適合しているかということもあわせていろんな形のものをモデル的に実施してみたいということで、初年度は八カ所を実は考えているわけでございます。
 まだ予算が御承知のように御議論されていないという状況でございますので、まだ具体的な場所についてはもちろん決定はしておりません。ただ、各大都市等の大きな団地があるようなところでいろんな形での御相談は受けているというのが実態でございます。
#115
○日下部禧代子君 先ほど清水委員もお触れになりましたけれども、児童手当につきましてお尋ねしたいと思います。
 我が国の児童手当というのは、スタートした時点も非常に他の先進国に比べて遅いわけでございます。一九七二年に発足しておりますが、フランスではもう一九三二年にスタートしております。イギリスが一九四六年、スウェーデンが四八年、ドイツが五五年でございます。また、支給対象の児童の年齢というのも、例えばドイツですと学生の場合二十七歳までということになっておりますが、我が国の場合では三歳未満ということでございます。いろんな点で他の先進国と我が国の児童手当というのはかなり違っているところが目立つわけでございます。
 前回の児童手当の改正のときに、平成三年でございましたが、私はかなり質問させていただいております。そこで非常に私が驚きましたことは、我が国の児童手当給付額というのは社会保障給付費の〇・四二%であるということをそのとき承りまして驚いたわけでございます。これは他の先進国に比べて大変に低いわけでございますが、今は他の先進国と比べまして社会保障給付費に占める児童手当の給付額の割合というのはどの程度になっておりますでしょうか。
#116
○政府委員(瀬田公和君) 一九八九年の時点で比較をさせていただきますが、社会保障給付費に占める家族給付全体の割合を国際比較いたしますと、日本は約一%というふうになると思います。旧西ドイツが四・七%、イギリスは六・一%というふうなことで、先生御指摘のようにヨーロッパの各国などと比較すると相当低い値になっているということでございます。
#117
○日下部禧代子君 今お答えいただきましたように、一%というこの数字は他の先進国の場合よりかなり低いわけでございます。これは、児童手当制度というものがどのようにその国において位置づけされているのかということにもつながってくるのではないかというふうに思います。果たして、我が国でこの児童手当制度というものが社会保障としてきちんと位置づけされているのかどうか、そしてこれからどのように位置づけをしていこうとされているのかということを、最後に大臣に承りたいわけでございます。
 大体日本の場合ですと、出産、育児、そしてまた老後の介護というものは私的扶養の範囲に入れられて久しいわけでございます。最近はもちろん変わってまいりました。特に高齢者の場合におきましては、昨日出されました「二十一世紀福祉ビジョン」の中におきましても、きちんと社会が責任を持っていくというふうにされているわけでございます。そしてまた、子供の問題、それもやはり社会的な責任があるというふうに位置づけされているというふうに私は解釈しておりますが、これから大臣はどのようにこの児童手当というものを位置づけていこうとお考えになっていらっしゃるのかということでございます。
 そして、それに関連いたしまして、エンゼルプランがプレリュードではなくて、いつ第一楽章を聞かせていただけるのでございましょうか。その点も含めまして、児童対策に対する御決意のほどを承らせていただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#118
○国務大臣(大内啓伍君) 幼い子供たち、児童というものを健全に育成していくということは、単に民族の将来だけではなくて、国際社会全体にとっても非常に重要な課題だと心得ておりまして、そのために児童が健やかに生まれ育つような環境の整備という問題は、国家や自治体やあるいは企業、個人それぞれの分野で担っていかなければならない重要な課題だと思っているわけでございます。
 児童手当という面だけで御議論を賜りますと、御指摘のように欧米に比しましてそのスタートもおくれておりますし、またその給付の内容、期間が欧米に劣っていることは御指摘のとおりでございます。したがいまして、この児童手当をこれからどのように位置づけていくかということについては相当の議論が必要だと考えております。
 欧米と日本との違いの中で、一つは児童手当を純粋の社会保障という物の考え方でこの問題に対応する欧米の考え方と、それから日本の場合は、御案内のとおり御主人が給料をいただく、そうすると家族扶養手当といったようなものがある、また税制面でも扶養家族に対する控除制度があるといったような全体的な仕組みの中で、児童手当というものが欧米に比しておくれてきているのではないかと思っているわけであります。
 したがって、一概にこの部分だけで比較して低い、安いということを論ずることについてはいろんな御議論があろうと思いますが、やはりこれから児童手当については社会保障の重要な施策の一つである。したがって、今度は児童育成事業という問題を大きく取り上げこれについて大幅な予算を獲得いたしましたのも、これを社会保障制度として位置づけていく必要がある、こういう考え方に立ったわけでございます。
 したがって、今日のエンゼルプランにつきましては、プレリュードという極めて控え目な名称をつけておりますようにまだその第一歩、序曲を踏み出したわけでございまして、第三楽章に至るまでにはもう少し時間がかかる。しかし、昨日の「二十一世紀福祉ビジョン」におきましては、これをプレリュードではなくてエンゼルプランとして総合的な施策として確立すべきであるという御提言を賜りましたので、そのような方向で我々はこれから鋭意検討して、できるだけ早く第三楽章を聞いていただくように努力をしたい、こう考えておる次第でございます。
#119
○日下部禧代子君 大いに期待しております。ありがとうございました。
#120
○勝木健司君 高齢化対策につきましては、いわゆるゴールドプランが発足をいたしまして着実に成果を上げておるようでありますが、先ほどもありましたように、少子化の進行というのが超高齢化社会を加速しておるとのことでありますから、やはりこの少子化の問題に歯どめをかけ、将来にわたって活力のある社会を築いていかなければならないんじゃないかというふうに思われるわけであります。
   〔委員長退席、理事菅野壽君着席〕
 そこで、先ほどもありましたが、本年は国際家族年でもあります。今年度から政府もエンゼルプラン・プレリュードと名づけた総合的な児童家庭対策を展開しているわけでありますが、こういうものはまさに時宜を得たものであると私も評価をいたしております。
 そこで、このエンゼルプラン・プレリュードの中で今回の児童手当法の改正がどのように位置づけられておるのかということ、そしてまた先ほどもありましたように、けさの新聞にもありますが、福祉ビジョン懇談会の中で少子対策についてどういう論議がなされておるのかということ、あわせて、これをまたエンゼルプランということで早期に策定をしろということでありますが、厚生大臣はこれについて具体的な構想を持っておられましたら御開陳をお願いしたいというふうに思います。
#121
○国務大臣(大内啓伍君) 昨日、「二十一世紀福祉ビジョン」というものを賜りまで、ゴールドプランの一層の充実という見地からこれを新ゴールドプランという形で拡充、発展を図るべきであるという御指摘とともに、少子化社会というものをにらみまして、単に厚生行政の分野だけではなくて、雇用あるいは住宅、教育、さらには文化といったような面にまでまたがりまして、総合的なエンゼルプランというものを確立すべきであるという御提言を賜りましたことは、今私どもが考えつつある認識とほぼ一致しておりまして、大変建設的な御提案であると考えております。
 新ゴールドプランにつきましては、ことしの夏の概算要求の段階で計画としてほぼこれを確立いたしまして予算要求をしたいと考えておりますが、エンゼルプランにつきましてはなお検討を要する面が多々ございまして、概算要求においてその全容を要求する状況になるかどうかまだ定かではございませんが、少なくともエンゼルプランというものに最大限近づけるような予算措置を要求してまいりたい、こう考えておる次第でございます。
 そして、その中で児童手当制度という面は、当然単なる現金給付という問題だけではなくて児童の育成事業がより重要な課題として登場してきている。そういう見地から、保育制度につきましても多様なニーズにこたえるような各種の保育制度、保育事業というものを展開していかなければならないし、また地域の子供たちが安心して遊べるような街づくりであるとか、あるいは低学年児童の放課後の児童館等の活用等による遊び場の確保、あるいは友人との交流といったような各面において児童手当制度というものを幅広く考えてまいりたいと思っているわけでございまして、何とか時代の趨勢、時代の要請にこたえるように、これから私ども懸命な努力を傾注したいと考えておる次第でございます。
#122
○勝木健司君 私は、児童手当制度は、児童養育家庭の生活の安定に寄与して、次代の社会を担う児童の健全育成及び資質の向上に資するためにあるものであると考えておるわけであります。
 そういった意味で、今回の法改正の特徴は、福祉施設事業という名称を児童育成事業に変更された、そして今まで事業主から児童手当の現金給付分として拠出金を徴収していたものを、今後は児童手当分と児童育成事業分とに用途を分けて徴収するようになる点であるというふうに考えておるわけであります。こういう特定財源を児童手当分と児童育成事業分とに分けられた理由と意義についてお伺いをしたい。
   〔理事菅野壽君退席、委員長着席〕
 あわせて、今回の拠出金率千分の〇・二を事業主サイドの理解を求めながら徴収をしていくということでありますが、この千分の〇・二という数字が出てきた根拠についてもお伺いをしたい。
 そして、将来変更される考えがあるのかどうか、どういった状況のときにどういった理由で変更されるのかということもあわせてお伺いをいたしたいと思います。
#123
○政府委員(瀬田公和君) 第一の点でございますけれども、とりわけ働く女性の低い出生率等の状況にかんがみますと、仕事と子育ての両立を支援していくということが現時点におきましては特に必要であるというふうに考えておりまして、当面はきめ細かな保育サービスや児童の健全育成のための事業の充実などに、児童手当制度に基づく福祉事業としての児童育成事業の拡充というものを考えていきたいというふうに考えております。
 それから、先生御指摘いただきましたように、今回の児童手当法の改正の一番の眼目となるものは、現金給付に要する拠出金率のほかに児童育成事業というものに要する拠出金率を定めさせていただくということに非常に大きな意味があるわけでございまして、新たに事業主側からいただきます財源によりましてこの児童育成事業というものを大幅に拡充していきたいというふうに考えているわけでございます。
 それから、拠出金率を千分の〇・二と考えているということだがということでございますが、平成六年度に予定をしております各種の児童育成事業等を勘案いたしますと、大体一千分の〇・二という拠出金率で充当できる、それに現在若干ございます積立金をさらに活用いたしまして児童育成事業を円滑に実施させていただきたいというふうに考えているわけでございます。
 将来的には、この児童育成事業というものを大きく伸ばしていくということになりますと、もちろんこの一千分の〇・二という拠出金率の改正ということが必要になってくるわけでございますけれども、共働き家庭のお母さん方のニーズとか、また事業主側の要望とか、あるいは一般的な経済状況とか、そういった各種のものを勘案しながら事業主側と折衝を重ねていきたいというふうに考えております。
#124
○勝木健司君 今年度の予算では児童育成事業費は約三百二億円となっており、平成五年度と比べますと約三倍強の伸びとなっておるわけであります。少子化を防ぎ、そして児童を健全に育成するために事業を拡大されていくということはまことに時宜を得たものであると考えるわけでありますが、この拠出金を財源とするには事業費との間で何がしかのギャップが生じておるんじゃないか。平成六年度では積立金の取り崩しによって賄うというふうにお伺いしたわけであります。
 そこで、この児童育成事業を将来どのように継続させまた発展させていくのかということで、今後もこの積立金の取り崩しが行われていくのかどうか、あわせて財源の安定化についてもどう考えておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
#125
○政府委員(瀬田公和君) さきにお答え申し上げましたように、事業主側からの拠出金とそれから積立金を活用することによって平成六年度の児童育成事業を実施させていただくわけでございますけれども、積立金につきましては、これは実は児童環境基金をつくる際に今まで積み立てられてきた金額をちょうだいいたしまして基金をつくるということが一つ、それからさらに余ったものにつきまして平成六年度の児童育成事業にも充当させていただこう、こういうふうに考えて予算を組ませていただいているわけでございます。
 今後の児童育成事業の拡充、発展につきましては、この事業主側の拠出金に対する考え方、いろいろ考え方はあると思いますけれども、いろんなお母さん方のニーズそれから事業主側の考え方、そういったものを各種勘案しながら御協議させていただきまして、毎年度適正な拠出金率で決定をさせていただくというふうな建前にさせていただいております。
#126
○勝木健司君 今もありましたように児童環境財団といったものを設立される、同時に児童環境基金というものも設置をするということでありますが、この児童環境財団、児童環境基金といったものの位置づけとか意義についてもお伺いをしたい。
 あわせて、中央児童福祉審議会の答申の中で、「新たな財団の設立を許可する場合には、行政改革の趣旨に徹して既存財団の廃止を行うこととするべきである。」という答申が出されておるわけでありますが、この件についてもお伺いをいたしたいと思います。
#127
○政府委員(瀬田公和君) 児童環境財団、児童環境基金というものの意義ということでございますけれども、共働き家庭などを対象といたしました育児支援や児童健全育成サービスの実施に当たりましては、そのニーズが非常に多様であるということから、きめ細かなサービスの提供というものに特に心がける必要があるのではないだろうかというふうに考えております。
 中でも、育児支援事業を行う民間事業者の助成事業などにつきましては、民意を反映しながら多様なニーズにこたえて機動的、弾力的に事業を行っていく必要があるというふうに考えまして、そこで新たに財団を設立して児童育成事業の一部の実施をそこにゆだねるという決断を私たちはしたわけでございます。
 それから、先生から御指摘がございましたように、中央児童福祉審議会の答申におきまして、新たな財団をつくる場合には特に既存の財団の廃止、統合というふうな、スクラップ・アンド・ビルドということにも心がけるべきであるという趣旨の御答申をいただいておりまして、その趣旨に沿いまして既存の財団の廃止ということも考えております。
#128
○勝木健司君 次に、平成六年度から子どもにやさしい街づくり推進会議の設置による長期的な街づくりプランの策定、児童館、児童センター、児童公園等の整備計画の策定、あるいは市町村が地域の実情に合わせて選択できる選択事業の実施等が盛り込まれておるわけでありますが、この子どもにやさしい街づくり事業の意義について、また将来展望も含めてどのように考えておられるのかということ。
 そしてまた、放課後児童対策事業も、平成五年度の実施状況が三千九百カ所ほどであるのに対しまして、平成六年度では四千五百カ所ほどになるとお聞きをしておるわけであります。これは児童福祉法の問題となるわけでありますが、いわゆる学童保育に対するニーズは非常に高いものがあると考えておりますので、児童福祉法を改正して学童保育を法制化しようという動きもあるやに伺っておるわけであります。こうした学童保育の法制化についてもどのようにお考えになっておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
#129
○政府委員(瀬田公和君) 近年の出生率の低下、都市化、核家族化といったものの進行等によりまして、児童の遊び場の不足、また児童が遊び仲間を通じて多様な人間関係を経験する機会というものが非常に減少してきておりまして、地域の実情に応じた市町村レベルでの健全育成対策の推進というものが特に今必要になってきている段階ではないかと思います。
 こうした問題を踏まえまして、平成六年度から児童育成事業により新たに子どもにやさしい街づくり事業というものを創設させていただきまして、市町村を主体として長期的な街づくりプランの作成、それから地域活動というもの、児童に即した地域活動のネットワーク化というものを図るとともに、子供の遊び場の確保とか地域の実情に応じた親と子の触れ合い、そういった事業の選択を実施いたしまして、地域全体で児童の健全育成の向上を図っていければというふうに考えているわけでございます。
 また、先生御指摘いただきました保護者が昼間いない特に小学校の低学年児童の健全育成を図るために、御承知のように平成三年度から放課後児童対策事業または児童クラブ事業といったものを実施してきておりまして、平成六年度におきましては、御指摘いただきましたように助成対象クラブ数の大幅な増というふうな内容の充実に努めているところでございます。
 放課後の児童対策事業というものが望ましい方向に発展することができるように、今後とも適切な方策を検討してまいりたいというふうに思っておりまして、私たちといたしましては、各小学校区に一つずつの児童クラブ、児童館といったものを長期的な目標に掲げて充実強化というものを図っていきたいというふうに考えているわけでございます。
 また、中央児童福祉審議会の答申におきましても、こういった児童育成事業につきまして法的位置づけも含めて今後検討してみてはどうかという御意見も伺っておりますので、その方向で私たちも検討させていただきたいというふうに考えております。
#130
○勝木健司君 次に、児童健全育成のボランティアについて厚生大臣にお伺いをしたいと思います。
 平成六年度から、地域児童健全育成ボランティアフェスティバルの開催、あるいはボランティアコーディネーター研修を通じてボランティア活動の環境整備を行うということで児童の健全育成に役立てるというふうに伺っておるわけであります。核家族化あるいは育児をしながら働く女性の増加に伴いまして家庭のぬくもりといったものが少なくなってきておるという中で、このボランティアによる児童の育成といったものは大事なことだろうと思うわけであります。
 そういった意味で、ボランティアに参加したいと考える方もたくさんおられるというふうに思いますので、参加しやすいような環境のものにぜひしていただきたいと思うわけであります。厚生大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#131
○国務大臣(大内啓伍君) 御案内のとおり、近年、大変な核家族化あるいは都市化というものが急速に進展しておりまして、これまで家庭が持っていた機能、例えば介護であるとか育児であるとかという機能が家庭の中でなかなか全うし得ないという事態が起こってきております。この家庭機能の崩壊といいますか、減少といいますか、そういう問題を社会的にどのように支援、救済していくかということが今大きな問題になってきているわけでございます。
 その社会的な支援も、もちろん国や自治体、あるいは場合によっては企業といったような分野でやるのが多いのでございますけれども、それだけではやはり介護の問題もあるいは育児の問題も解決できない。そういう意味で、ボランティア活動の重要性というものはこのところ急速に増大しているというのが私どもの認識でございます。
 したがいまして、御指摘のようなボランティアのフェスティバルであるとか、あるいはボランティアコーディネーターの研修事業といったようなものを考えますゆえんも、何とか一般の国民の皆さんにそうしたボランティア活動に参加をしていただきたい、その条件を我々として整えなければならないという趣旨からでございます。
 ところが、ボランティア事業というものが実際にどのような形で需要があるのか、要求されているのか、ボランティア活動に参加する人々には必ずしも周知徹底されていないという面がございます。私どもとしては、先ほど申し上げたようなフェスティバルやコーディネーターの研修制度のみならず、日本にございますボランティア諸団体に対しまして、こういうボランティア活動がある、こういう参加をぜひしていただきたいということをPRさせていただきますとともに、直接ボランティア活動に参加する中学生、高校生あるいは大学生といったような方々に対しても積極的に働きかけを行いまして、身近なところでだれでもが気軽にボランティア活動に参加できるような体制をつくり上げる、特に学生の皆さんの場合は休日でないとなかなか参加できないという面もございますので、その実施期日等々につきましてもいろんな工夫を凝らしてまいりたい。
 したがって、このボランティア活動の急速な発展というものを期するために、平成六年度予算につきましてもこの点に相当力を入れまして予算要求をお願い申し上げているという状況でございます。
#132
○勝木健司君 終わります。ありがとうございました。
#133
○西山登紀子君 児童憲章は、児童は人としてとうとばれる、社会の一員として重んぜられる、そしてまたよい環境で育てられるとうたっております。
 私は、国際家族年に当たりまして、経済大国と言われる今の日本の家族を見た場合に、家族の団らんが急速に失われてきているのではないかと大変心配をしております。家族の団らんを取り戻すためには、週休二日制や労働時間の短縮など働く人々の労働条件の改善とあわせまして、安心して子供を産み育てることのできる環境が必要だと思うわけです。
 そこで、まず児童手当についてですけれども、本改正案は児童手当法上、児童育成事業を行う根拠を置くためのものですけれども、従来、一般会計で行ってきた保育対策などを大幅に児童手当会計に移すのは厚生省の工夫の一つかもしれませんけれども、懸念を表明する人もいるわけです。
 現に、二月の社会保御制度審議会答申では注文がつきまして、答申は、
  今回の改正は一応了承する。なお、手当本体については、児童手当制度が平成三年に改正されその本格的施行が本年から始まったばかりであるという事情は理解できるが、今回の改正の効果を見据えつつ今後も内容の改善、手当給付と福祉施設事業の関係等について不断の検討を行い、国民の理解と納得が得られるよう努力を望みたい。
と注文をつけているわけですけれども、私はその答申の注文を前提として具体的に質問をしていきたいと思います。
 児童手当は九四年から支給年齢が三歳までとなったわけですけれども、私の地元でいろいろな女性団体の方にお聞きいたしましても、三歳までではねというようなことをお聞きします。児童手当制度が臨調答申で抜本的に見直すことと指摘をされて以来、いわば受難の歴史をたどってきたとも思うわけです。
 私は前回の改正時には議員ではありませんでしたので、会議録を読ませていただきました。議論が集中いたしましたのは、支給年齢、それから手当額、特例給付の継続、所得制限などです。しかし、やはり議論が集中いたしましたのは、支給年齢が三歳では短過ぎるという点と手当額の充実ではなかったかと思います。
 支給年齢の引き上げと支給額の充実というのはやはり国民の皆さんの要求の反映だと思いますし、またそういうふうに見るべきだと思うわけですけれども、厚生省は、前回改正時の委員会の論議が集中いたしましたこのような点について、これはやはり民意の反映だというふうに見ておられるかどうか、お聞きをいたします。
#134
○政府委員(瀬田公和君) 前回、平成三年の児童手当法の改正におきましては、児童手当の給付につきましては先生御指摘のように、支給対象を第一子に拡大し、それから支給額を改善する、それから支給期間を三歳未満児に重点化したという、この三点が内容になっているわけでございます。
 このうち支給期間を三歳未満児へ重点化するということにつきましては、当時の議論が、三歳未満の時期というものが人間形成の基礎となる極めて重要な時期である、また育児に手がかかり、母親の就業率が非常に低い実態にある、生活上の制約が大きい、また親の年齢も若く収入が低い時期と考えられることから経済的な支援の必要性というものが他の時期に比較して高いということが考えられるということに対応したわけでございまして、その時点におきましては種々の客観的要因から申し上げましてこれでやむを得ないだろうということで各党の御了解をいただいたところでございます。
 また、支給額につきましても、これは昭和五十年以降の諸事情の変化というものを勘案して改善を行った結果というふうに承知をいたしております。
 支給対象、支給額の問題等々につきまして種々検討すべき問題があるということは私たちも承知はしているわけでございますが、さきに先生から御指摘いただきました社会保障制度審議会の答申にもありますように、この制度改正というものが三年間の経過措置を経まして本年一月より本格実施になったばかりであるという状況にありますので、なお本格実施後の状況というものを見定めながら今後の方向というものを検討していきたいというふうに考えているわけでございます。
#135
○西山登紀子君 平成三年の改定のときには、当時の大臣がこのように答弁をしておられるわけです。「我々は今の三年を超えたところのなるべく早い時期に見直すということをこの間の改正で決めていただいたわけでございますこ「一番大きなことはやはり給付がどうあるべきか、あるいは拠出がそれに伴ってどうあるべきか、さらにまた今御指摘の支給年齢の問題等を総合的にその時点で」、つまり平成六年です、今の時点。「再検討いたしましてこの制度の充実を図ってまいりたい、このように考えておる」というふうに大臣は答弁をしていらっしゃいます。
 そこで、二点大臣にお伺いしたいわけですけれども、一つは、若い世代の子育ては非常に大変です。経済的負担を軽くするためにも支給年齢をせめて就学前に繰り上げる、または支給額の引き上げなどゆとりのある子育てをできるように児童手当を早急に見直すべきだと思いますが、この点。
 もう一点、この見直しの時期に当たりまして、若いお母さん、お父さんを対象とした要望だとか意向調査を実施して見直しの参考にしていただけないかどうか、そのような調査をしてはどうかということで、そのおつもりはいかがでしょうか、お聞きをいたします。
#136
○国務大臣(大内啓伍君) 児童手当に関する現金給付の平成六年度予算の数字を申し上げますと、事業主負担が一千二百十一億円、国の負担が二百五十五億円、地方自治体の負担が百二十八億円、こういう仕組みの中で実は児童手当の現金給付が行われております。
 その期間を三歳から例えば六歳ぐらいまで延ばす、あるいは今の支給額も大幅にふやすという問題になりますと、これはその財源措置について各方面の御理解をいただかなければならない非常に大事な問題がございます。
 そこで、社会保障制度審議会の御審議もいただきまして、平成三年度の段階でまず第一子への拡大のみならず、第二子、第三子の給付額というものをかくかくしかじかに改善すべきである、こういう御答申を賜りまして、その答申を踏まえながら実は平成三年度の改正をやらせていただき、そして本年一月からこれが初めて実施という方向になってまいりましたことは、先ほど局長も御説明申し上げたとおりでございます。
 御指摘の点は確かに御議論のあるべき問題の論点だと考えておりますが、私どもといたしましてはとりあえずこの実施状況を十分把握いたしまして、外国の場合とは先ほどもちょっと申し上げましたように給与体系とか税制の仕組みといったような面で相当の違いがございますので、単純にその部分だけを比較するということもいかがかと思っておりますが、御指摘の点につきましては、まずそういう方向で平成三年の改正の実施状況をきちっと見きわめて検討したいと思っておる次第でございます。
 それから、若い夫婦の皆さんの考え方を聞いたらどうか、そのための調査をという招請がございました。私どもとしては、この児童手当を考えるに当たりましてはそういう若い御夫婦の考え方をしっかり把握するということは大事なことだと考えておりまして、いろんな工夫はしたいと考えておる次第でございます。
#137
○西山登紀子君 次に、仕事と育児の両立に関しまして、夜間保育所と学童保育について質問をいたします。
 平成四年の合計特殊出生率は一・五〇に低下をしておりまして、史上最低記録を更新中ということです。中でも、働く女性の合計特殊出生率というのは無業者の女性と比べてはるかに低いことがこういう厚生省が監修のハンドブックでも明らかになっております。
 昭和六十年のデータですけれども、就業者の〇・七五に比べて無業者は三・〇五です。ですから、少子化と言われ、また一・五〇と言われるその中身は、働く女性の場合一人も子供が産めないような状況も出ているという極めて深刻な実態ではなかろうかと思います。就業しながら子供を産み育てるということがいかに困難であるかを示していると思うわけです。
 そこで、夜間保育所の問題ですが、現在三十六カ所ございますが、夜間保育のニーズが大きくなっているにもかかわりませず、現在の補助の仕組みでは保育園側の負担が大きくて二の足を踏むのが実態でありまして、お聞きしますと最近一カ園減ったそうです。
 今回、時間延長型保育サービス事業としてA型、B型、C型という三つのメニューが行われるわけですが、夜間保育所をやっておられる皆さんの中には、これで夜間保育所が解消されるのではないかという御心配を持っていらっしゃる方がおられます。これで夜間保育に対応されるのかどうか、お聞きをしたいと思います。
#138
○政府委員(瀬田公和君) 先生御指摘いただきましたように、女性の就労の増大または就労形態の多様化等というものが進んでおりまして、夜遅くまでの保育の需要というものも非常に増大しているというのが実態でございます。
 このため、ごらんいただいておりますように、平成六年度の予算案におきましては保育時間の延長に係る現行の施策というものを見直しまして、残業や通勤時間等に対応した時間延長型の保育サービス事業というものを実施することにいたしておりまして、これによりまして就労と育児の両立の支援を積極的に推し進めていきたいというふうに考えているわけでございます。
 夜間保育所は、先生御指摘いただきましたように現在三十六カ所あるわけでございますが、夜間保育所だけで夜遅くまでの保育事業に対応するということが、困難であるということは先生にもお認めいただけるかと思うわけでございますけれども、今回の時間延長型の保育サービス事業というものは、現在の夜間保育所における対応というものに加えまして、一般の保育所におきましても時間延長保育の取り組みというものがさらに一層推進されるように、職員の配置等補助内容の改善を図っていきたいというふうに考えているわけでございます。
 それで、夜間保育所というものについて今後どういうふうに考えていくのかということも御質問の内容だろうというふうに考えるわけでございますが、現在、全国社会福祉協議会、全国保育協議会の中に実は夜間保育事業に関する検討会というものを昨年十月から設置させていただいておりまして、夜間保育事業全般についての検討というものも今後積極的に行っていきたいというふうに考えているわけでございます。今後の夜間保育事業のあり方につきましては、この検討会の結果も参考にさせていただきながら今後の方向というものを考えさせていただこうと思っております。
#139
○西山登紀子君 夜間保育というのは、単に延長保育の延長というものでは済まない問題が多数あるわけです。全国夜間保育園連盟会長の信ヶ原氏は、ある新聞紙上で長時間労働を強いる企業の論理に親も子も犠牲になることへの疑問を表明されながら、「保育はサービスではなく、社会全体の子供に対する発達の保障でなければならない。」と強調しておられるわけです。単に荷物のように預かればいいというものではないということなんです。
 実際に私も信ケ原先生の夜間保育園を視察させていただきました。京都にあるわけですけれども、定員は三十名、うち十三人は母子家庭または父子家庭の親御さん、夜間タクシーの運転手さんだとかそれから研究者なども保護者の中にいらっしゃる。朝から晩まで働くわけでありまして、親のそういう事情がありますので、夜間保育園の建前は午後二時から開所、十時までというふうになっているわけですけれども、朝から来ています。ですから、この朝からの分は昼間の併設されている保育所の本体といいますか、保育所のかなりの持ち出し部分になっているわけです。
 子供たちは、昼食それから夕食を食べておふろに入れてもらって十時過ぎに帰宅する、こういう日程。夜に視察させていただいたわけですけれども、夜になりましても園長さんも事務所の方もそれから給食の方も残って子供を見てくださっているわけですから、国全体に明かりがついていて寂しいような状況はほとんどありません。私が予測をしておりました以上に子供たちの表情が明るいということに非常に感心をいたしました。お迎えの父母の皆さんも、ここがあるので安心して仕事ができる、みんな家族のようだからと話をしてくれました。
 全国夜間保育園連盟の要望書を見ますと、「夜間保育所独自の「保育指針」を策定し、モデル事業からの脱皮を図り、制度上の位置付けを明確にしていただきたい。」など、多数要望されているわけですが、厚生省の方も今度答申に基づいて検討されるということですけれども、こういう関係者の皆さんともよく相談をなさって抜本的な改善を望みたいと思います。もう一度御答弁をお願いいたします。
#140
○政府委員(瀬田公和君) 今回の時間延長型の保育サービスにおきましては、繰り返しになりますけれども、夜間における保育と時間延長保育というものが夜間保育所のみならず一般の保育所でも十分に取り組みが行われるようにしたいというものでございまして、特に働く女性のニーズというものを参酌した結果でございます。
 また、夜間保育所の今後の方向については、さきに御答弁しましたように、この検討会の結果なども参考にさせていただきながら今後の検討をしていきたいというふうに考えております。
#141
○西山登紀子君 最後に、学童保育の問題についてですが、最近NIRAという総合研究開発機構が注目すべき調査をしております。昨年の二月に発表しているわけですけれども、「母親の就労と子ども」について調査結果及び提言というのを発表しているわけです。
 それを見ますと、
  多くの母親が言及したのは、小学校入学後、それまでの保育園から出されてしまう就学児童の放課後の過ごし方についてでした。放課後から母親が帰宅するまで子どもだけの状態になってしまうことへの不安を訴えています。現在のところ公的には唯一の受け皿と言える学童保育がありますが、実態は開設と運営が市町村などの自治体の裁量に任されており、全ての市町村にあるわけではありません。国レベルでの関わりは、放課後児童対策事業などによる補助金の支給のみで、その金額も実際の開設、運営に際しては現実的な金額とは言えません。
  近年学童保育の充実を求める声は、働く母親を中心に拡がりを見せており、その法的根拠を伴った制度化が求められている様子は今回の調査でも伺われました。と述べております。
 先ほど同僚議員の方が法制化について質問されましたけれども、法制化を急ぐということと同時に、具体的に緊急の改善が急務だと考えております。
 そこで、現在は全国に七千五百カ所あるわけですが、補助対象の箇所数が四千五百二十カ所に伸ばされたとはいえそういう状況でございます。さらに、大規模施設についての指導員の加配、これが六百七カ所、そして指導員の待遇につきましては年収二百万円程度で身分も非常に不安定な方々が多く、献身的に子供たちをお世話してくださっているわけです。働く父母の仕事を支えるための学童保育で働いている人の仕事が不安定だということではやはり安心して預けることができません。
 この改善がどうしても必要ですけれども、そういう点につきまして御答弁をお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
#142
○政府委員(瀬田公和君) 昼間保護者がいない小学校の低学年児童の放課後の育成指導というものがどうあるべきかということにつきましては、社会教育等々とも関連がありましてさまざまな議論があることは御承知のとおりでありますが、就労家庭の児童に対する健全育成対策というものも重要な課題となっているということは御承知のとおりでございます。
 このため平成三年度から、従来の児童育成クラブ活動への助成というものを放課後児童対策事業(児童クラブ事業)という形で位置づけをいたしまして、事業内容の拡充を図るとともに、平成六年度におきましても助成対象クラブ数の大幅な増や職員の複数配置など先生から御指摘いただきましたけれども、その内容の充実に努めているわけでございまして、今後ともこういった放課後の児童対策事業というものの充実強化に努めていきたいというふうに考えております。
#143
○委員長(会田長栄君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより両案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより順次採決に入ります。
 まず、児童手当法の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#144
○委員長(会田長栄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#145
○委員長(会田長栄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#146
○委員長(会田長栄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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