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1994/06/22 第129回国会 参議院 参議院会議録情報 第129回国会 厚生委員会 第8号
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1994/06/22 第129回国会 参議院

参議院会議録情報 第129回国会 厚生委員会 第8号

#1
第129回国会 厚生委員会 第8号
平成六年六月二十二日(水曜日)
   午前十時七分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         会田 長栄君
    理 事
                大島 慶久君
                大浜 方栄君
                菅野  壽君
                高桑 栄松君
    委 員
                岩崎 純三君
                尾辻 秀久君
                清水嘉与子君
                西田 吉宏君
                前島英三郎君
                今井  澄君
                久保田真苗君
               日下部禧代子君
                菅野 久光君
                萩野 浩基君
                吉田 之久君
                横尾 和伸君
                西山登紀子君
   衆議院議員
       厚生委員長    加藤 万吉君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  大内 啓伍君
   政府委員
       厚生大臣官房長  岡光 序治君
       厚生大臣官房総
       務審議官     佐々木典夫君
       厚生省健康政策
       局長       寺松  尚君
       厚生省保健医療
       局長       谷  修一君
       厚生省薬務局長  田中 健次君
       厚生省社会・援
       護局長      土井  豊君
       厚生省老人保健
       福祉局長     横尾 和子君
       厚生省児童家庭
       局長       瀬田 公和君
       厚生省保険局長  多田  宏君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        水野 国利君
   説明員
       労働省婦人局婦
       人福祉課長    北井久美子君
       労働省職業安定
       局次長      中井 敏夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○平成六年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)、平成六年度特別会計予算(内閣提出、衆
 議院送付)、平成六年度政府関係機関予算(内
 閣提出、衆議院送付)について(厚生省所管及
 び環境衛生金融公庫)
○健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(会田長栄君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 去る六月十七日、予算委員会から、六月二十二日の一日間、平成六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、厚生省所管及び環境衛生金融公庫について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
 予算の説明につきましては既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入りますが、その前に自民党の西田君から発言を求められておりますので、これを許します。西田君。
#3
○西田吉宏君 発言の要求をいたしましたところ、委員長のもとで領諾いただきましてありがとうございます。私は、この委員会が始まります前に一言申し上げたい、こう思うのであります。
 委員長初め各会派の理事を中心にいたしまして、当委員会がきょうも精力的に審議をやろう、こういうことの御決定をいただきましたことは歩といたしておりますので、委員長初め皆さん方にはその御努力に心から敬意を表したい、このように思うわけであります。
 ただ、今委員長がおっしゃいますように、ただいまの議題は予算委員会の委嘱審査であります。現在、参議院では予算委員会がまだ続行中であると、こういう状況であります。かかる中で、きょうの報道を含めまして、野党の自民党もでありますけれども、与野党ともに衆議院側においてはさらに次の政権構想等を含めたようなことを発言なさっておるということは、まだ参議院の予算委員会の審議が終結しておらないうちにそういう問題が出るということは参議院としてまことに遺憾だということと同時に、当委員会に委嘱されたこの現場におきましても、まことに衆議院に対して遺憾の意を表する次第であります。
 委員長におかれましては、どうぞ御留意いただきながら委員会の進行をしていただきますことをお願い申し上げたい。
 以上でございます。
#4
○委員長(会田長栄君) それでは、ただいまより、質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○大島慶久君 順次質問を申し上げたいと存じます。
 最初に、病院経営の赤字についてお尋ねをいたします。
 医療機関は、それぞれの地域において医療水準の向上のためにたゆまぬ努力をされておりますが、約六割の医療機関の経営状況が悪化しており、そのうち三割が赤字となっていることは、昨年九月に病院経営緊急状況調査委員会の発表しました病院経営緊急状況調査の概要からも明らかであります。
 そこで、お伺いをするわけでありますけれども、医療機関の赤字問題についての認識と、その取り組み方について賜りたいと思います。
 平成六年度予算においては、病室面積の拡大等を行い療養患者のアメニティーに配慮した病院について、一定の条件のもとに建てかえ等整備経費を補助する医療施設近代化施設整備事業の拡大を図るなど、経営基盤整備のためのある程度の努力は認めますが、まだ十分と言えるものではありません。この点について厚生省の見解をお聞きしたいと思います。
#6
○政府委員(寺松尚君) 今、大島先生から御質問いただきましたことについてお答えをいたしたいと思いますが、御承知のとおり、国民に良質な医療を安定的かつ継続的に提供していくためには病院等の医療機関の経営の健全化が必要でありましで、それを外しまして努力しなければならないと考えておるわけでございます。
 先般、先生もこれは御指摘いただきましたが、民間病院を対象に行いました病院経営緊急状況調査によりますと、民間病院の約三割が赤字である、経営悪化が六割、こういうふうな数字が出ておりまして、医療機関を取り巻きます環境は非常に厳しいものがあると認識いたしておるわけでございます。
 このために、昨年の十月でございますけれども、医療機関経営健全化対策検討委員会におきまして、病院経営の実態等を踏まえながら経営健全化のための必要な対策について総合的な検討が行われるようにお願いをいたしまして、報告書が取りまとめられたわけでございます。
 この報告書によりますと、それぞれの病院においての経営努力と経営戦略、これが必要であることは当然でございますが、これを支援するための公的助成の拡充等を提言いたしております。これを受けまして厚生省といたしまして、まず第一は、医療施設近代化事業等の公的助成の拡充、二番目は、融資条件の改善等による資金確保の対策、三番目といたしまして、経営管理の改善のための支援策等に対しまして取り組んでまいっているところでございます。
 それからまた、つけ加えさせていただきたいことは融資の問題でございますが、社会福祉・医療事業団からの政策的な融資につきましては、平成六年度予算案においてごらんのとおり融資枠の拡大、五年度は千三百八十億でございますが、六年度は千六百十億円というふうに拡大をいたしております。そのほか、特に医療施設の近代化に伴う融資につきましては通常よりも低い金利を、従来の金利のマイナス○・五%でございますが、適用することなど貸付条件の改善に最大限の努力をいたしておるところでございます。
 今後とも、良質な医療と健全な医業経営が確保されますよう総合的な対策を講じてまいりたい、このように考えております。
#7
○大島慶久君 患者のニーズの多様化、高度化により、第一線のプライマリーケアを担う医療機関においても高度で専門的な医療機器が必要になっております。しかし、高度で専門的な医療機器は高額であり、設備経費が病院経営を圧迫しているわけであります。時代の要請に対応した医療機器を設置した医療機関の経営が赤字になるようなことのないように、医療機器の整備のための新たな施策が必要と考えますが、この点は厚生省いかがでしょうか。
#8
○政府委員(寺松尚君) 医療機関におきます医療機器等の設備の整備に対しましては、社会福祉・医療事業団等から公的資金の貸し付けあるいは医療用機器の特別償却等の税制措置を行っているわけでありますが、そのほか救急医療等の政策医療の確保を担っておられます医療機関に対しまして設備投資、設備の整備費の一部を補助しているところは御承知のとおりでございます。
 なお、医療施設等設備整備費補助金につきましては、平成六年度予算案におきまして院内感染対策設備整備費を新たにメニュー項目に追加するとともに、総額を五億円増額いたしまして三十億円計上いたしておるところでございます。今後ともその充実に取り組んでまいりたいと考えております。
#9
○大島慶久君 医療機関における医療事務は高度に専門的で、その人材養成は適正かつ適切な医業経営をする上で大変重要であると思います。その人材養成について伺います。
   〔委員長退席、理事菅野壽君着席〕
 まず、福祉ビジョンで「医療の質の向上のためにはこ「資質の高い人材の養成確保が不可欠」としておりますが、この人材養成の中に事務職員は入るのでしょうか。また、医療機関事務職員の人材養成について厚生省の見解を伺いたいと思います。
#10
○政府委員(寺松尚君) 医療は設備ももちろん大事でございますけれども、やはり根本は人でございます。したがいまして、事務職員も病院の中の一員でございまして、医療の質の確保という点から考えましても非常に重要な人材であろうかと思います。
 これにつきまして私どもの方の考え方をもう少し具体的に申し上げたいと思いますが、先般お示しされました二十一世紀の福祉ビジョンにおきましては、「医療の質の向上のため」「質の高い人材の養成確保が不可欠」と、こういうふうに指摘しておるところでございます。医療事務職員についての具体的な言及はないわけでありますけれども、私としては、医療機関におきます経営管理の充実を図る上で、事務長等事務職員の充実と質の向上は当然重要なものだと考えておるわけであります。
 このため、従来から国立医療・病院管理研究所あるいは社会福祉・医療事業団におきまして事務職員の研修を実施いたしております。そのほか、平成六年度予算案におきましては経営管理指標、病院役職員の研修のあり方というようなものにつきまして検討経費を盛り込んでおりまして、事務職員の質の向上について行政としても積極的に取り組んでまいりたいと考えておるわけであります。
#11
○大島慶久君 医療機関の医療システムは、高齢者、障害者を含めたすべての患者が利用しやすい療養環境の整備の一環として、カルテ等のコンピューター化が進んでおります。このような最新の医療設備の導入に際しては、職員の研修は欠かせないものであります。医療関係事務職員の研修費用の助成について厚生省の見解を伺いたいと思います。
 さらに、このような質の高い事務職員の医療機関での配置は、患者への質の高い医療の提供のため不可欠であります。適正に事務職員が配置されることによって看護婦等の医療専門職もそれぞれの職務に専念することができ、明確な医務分担が図られることになるわけでありますので、医療機関での事務職員の配置について厚生省の考え方をもう一度お伺いしたいと思います。
#12
○政府委員(寺松尚君) 医療関係の事務職員の確保、研修等についての御質問でございますが、これらにつきましては医療機関自身の努力によるということが基本であろうかと存じますが、効率的な医業経営を推進する観点から、行政におきましてもその努力を支援していくべきである、こういうふうに考えておるわけであります。
 このために平成六年度予算案におきまして、役職員の研修の充実を図るため都道府県単位で共同して行う講習会の企画、実施等の事業に対しまして支援を行います医療施設経営改善支援事業というものを創設しておるわけでございます。厚生省といたしまして、今後とも事務職員の質の向上に対しまして取り組んでまいりたいと考えております。
 今先生の後段の御質問の中に、医療機関での事務職員の配置等についての御質問もございました。そこで、そのあたりをちょっとお答えしたいと思うのであります。
 医療機関の事務職員については、これも御承知のとおりでございますが、医療法に基づきます省令の中で、病院の事務員につきましては「病院の実状に応じた適当数」、こういうことになっておりまして、そのように配置が定められておるわけであります。
 病院におきます人員配置につきましては、患者がいずれの病院においても一定水準以上の医療を受けることができますよう「標準」という形で規定をいたしているところでありますが、事務員の場合は患者に対しまして直接に医療サービスに携わるわけではございませんところもございます。また、それぞれの医療機関によって事務員の業務の実態もいろいろ多様でございます。そういうことから一律に配置を規定するのではなく、経営健全化に取り組みます各医療機関の実情に応じて医療機関自身が柔軟に対応することができる形が望ましい、こういうようなことで以上のような形になっておるわけでございます。
#13
○大島慶久君 いろいろと事務職員に関する御答弁をいただきました。私はここで一番申し上げたいのは、いわゆる病院経営の中での事務職員の位置づけということは、今いろいろな観点から御説明をいただきまして理解はできます。けれども、病院を一つの企業としてとらえた場合、事務職というのは非生産部門といっていいんでしょうか。例えば、私も病院の経営者にいろいろお聞きをいたしましたけれども、恐らく百五十床ぐらいの病院で平均して十名くらいのいわゆる事務職員は最低必要であろうと。私は全国を調べたわけじゃございませんけれども、厚生省がお調べになればすぐこれはわかると思います。
 そういった事務職員のいわゆるマンパワーという観点からいいますと、給与というものは残念ながら診療報酬の中には全く加味されておりません。けれども、こういった方々の協力なくして病院経営ができないということになれば、いわゆる医業経営の抜本改革ということを目指すとすれば、医療にかかわるそういった事務職員の予算的な措置もなされなければ、これはいつまでたちましても病院の赤字経営というものを大きく転換していく要素にはならないんじゃないか、こんなふうに私は強く感じているわけでございますけれども、その点はいかがでしょうか。
#14
○政府委員(寺松尚君) 先ほど私の方からもお話を申し上げましたけれども、事務職員自身は確かに医療に直接携わるわけではございませんけれども、縁の下の力持ちというんでございましょうか、陰でサポートする職員であろうかと存じます。
 したがいまして、最近特に問題になっておるわけでございますが、医療の経営の悪化と申しましょうか、そういうこともございますので、事務職員のノウハウといいましょうか、学識経験というふうなものも非常に大事なんではないかと思います。院長を助けられまして、事務部長あるいは事務長あるいは事務管理部門がサポートすることが必要でございます。
 また、診療報酬等におきましても、その事務は医事課の職員がやっておるわけでございまして、主として事務職員が医師の指示のもとに請求事務をやっておるというようなこともございます。それからまた、病院の中におきましていろいろと看護職員等との仕事の分担、あるいはそれの補完的なこともおやりになっておるわけでございますので、非常に重要な役割を占めておるのではないかというふうに私は考えておるわけでございます。
   〔理事菅野壽君退席、委員長着席〕
#15
○大島慶久君 次に、エイズ対策についてお伺いをいたします。
 厚生省は、本年度を二〇〇〇年までのエイズストップ七年作戦の初年度と位置づけ、総額百八億五千九百万円のエイズ対策予算を計上いたしております。医療体制の充実を図り、エイズ治療の核となる拠点病院の整備を図ることとしておりますけれども、拠点病院の指定状況と、昨年七月通達後の厚生省の取り組み方についてまず説明を願いたいと思います。
#16
○政府委員(谷修一君) 拠点病院の指定と申しますか選定といいますか、それは各都道府県が行うわけでございますが、昨年の七月にそういったような拠点病院の整備をするように各県に指示をしたわけでございます。
 現在、拠点病院として指定をしたものは七県、十六医療機関でございます。既にそれぞれの県におきましては、専門家を交えた委員会なり検討会を設けまして具体的な病院の選定なり指定に入っているわけでございますが、一応私どもの方に報告をいただいておりますのはただいま申しました十六医療機関でございます。
 私どもとしては、この六年度の予算におきまして拠点病院への医療機器の整備あるいは個室の整備等に対します補助事業を行うことにいたしております。そういったようなことで、この予算が決まりました後に改めて早急に対応するように都道府県の方にも指示をしたいと思っております。
#17
○大島慶久君 エイズはまさに人類絶滅の危機にもかかわりのある病気と言われておりますので、いろいろと御努力は評価いたしますけれども、今後とももっと力を入れてその対策に向けて計画実行あるいは実践をしていただきたいと強く要望しておきたいと思います。
 本年八月に、アジア地域で初めて横浜におきまして第十回国際エイズ会議が開催されますが、会議を間近に控え、エイズの正しい知識の啓発普及活動について改めてお伺いしたいと思います。
 そしてまた、国際エイズ会議への出席者の入国問題等について伺いますが、エイズ会議には各国の売春従事者や麻薬使用者の団体が多く参加し、エイズ教育の専門家として会議に貢献をいたします。また、海外の団体が啓発用のポスターを展示する予定ということも聞いております。厚生省として、この会議の意義を関係機関に周知徹底し、参加者の入国や展示用ポスター類の持ち込みに支障がないようにぜひともしていただきたいと思いますが、その点に関しましても厚生省の見解を賜りたいと思います。
#18
○政府委員(谷修一君) エイズにつきましては、現在治療薬あるいはワクチンがないということでございますから、正しい知識を持っていただく、啓発普及をしていただくのが最大の予防だという考え方で啓発普及事業には引き続き取り組んでいく考えでございます。
 今お話がございました国際エイズ会議、ちょうど十回目ということで、しかも初めてアジアで開かれるということで、私ども厚生省といたしましてもこの組織委員会をサポートし、かつまたいろんな意味で準備に当たっているところでございます。
 今、具体的にお触れになりました研究者以外の患者、感染者の方々、あるいはNGOなどエイズ対策に携わるさまざまな分野の方が参加をされる。今のところの予定では国内外合わせて一万人程度ということを想定いたしておりますけれども、この国際会議が支障なく円滑に開催をされますよう努力いたしております。
 また、入国の問題につきましては、法務省を初めといたします関係省庁に協力をお願いしているところでございますし、また地元の地方自治体、医療機関、飲食店あるいはホテル等、関係者に対しましても十分な対応ができるよう引き続きお願いをし、万全の態勢を整えてまいりたいと考えております。
#19
○大島慶久君 次に、二十一世紀の福祉ビジョンに関しまして質問をいたします。
 二十一世紀前半には、世界でもいまだ経験したことのない本格的な高齢・少子社会を迎えることが予想されている今、そのための基盤整備を図る一番重要な時期であります。そこで厚生省は、二十一世紀の本格的な高齢・少子社会を高齢化が活力に結びつくような社会としていくため、社会保障を含む社会経済全体のシステムをつくりかえていくことが必要との考えに立って、昨年、厚生大臣の私的諮問機関として高齢社会福祉ビジョン懇談会を設置されました。この懇談会報告書が三月にまとめられたわけでありますが、その内容について若干質問をいたします。
 世界でもいまだ経験したことのない本格的な高齢・少子社会のための基盤整備を図る一番重要な時期の担当大臣として、その意欲及び取り組み方について基本的認識をまず大臣にお示しいただきたいと思います。
#20
○国務大臣(大内啓伍君) 御指摘のように、我が国は急速な高齢化・少子社会が進行しているわけでございますが、二十一世紀の初頭、これは二〇一一年の段階でございますが、一億三千万人余の人口をピークといたしまして人口減少型社会の到来という未曾有の事態を迎えるわけでございます。このような本格的な高齢化・少子社会にありましても、経済社会の活力が失われずにその活力が維持されること、及び国民の一人一人が真に幸福を実感できる福祉社会を構築することが私どもの大きな責務であると考えている次第でございます。
 私といたしましては、そのためにはまず、国民の九割近くが不安を感じております年金制度の安定化、信頼の回復、さらには医療制度の安定化と効率化を図るとともに、高齢者介護や子育て対策等の福祉分野における施策の推進に努めてまいりたいと思っているわけでございます。
 こうした急速な高齢化の進行という大きな変革期に私どもは直面しているわけでございますが、こういうときにこそ私どもは将来への明確なビジョンを踏まえて行動していくことが必要であると考えておりまして、その見地から二十一世紀の福祉ビジョンを踏まえまして、また各方面の皆様方の御論議も踏まえながら、望ましい福祉社会の実現に向けまして努力を傾注したいと考えております。
#21
○大島慶久君 今回、高齢社会福祉ビジョン懇談会は厚生大臣の諮問機関として設置をされましたが、内閣の重要施策でもあります高齢者問題の機関を内閣総理大臣の諮問機関とせず、なぜ厚生大臣の諮問機関として設置をされたのでしょうか、お伺いをいたします。
#22
○国務大臣(大内啓伍君) これは、多少自民党時代からの歴史的な経過もございます。先ほど申し上げましたような高齢化・少子社会の到来という重大な変革期に当たりまして、これまでの社会保障全体を基本的に見直して二十一世紀にふさわしい社会保障制度を構築しなければならないということは長年考えていたところでございますが、これをやろうといたしますと、ひとり厚生省の分野でなくて、雇用、住宅、教育といったような多方面にわたるわけでございます。
 したがいまして、今度の私的懇談会におきましても所掌にとらわれない幅広い自由な議論をしていただくということを期待しながら、実は今経過があると申し上げましたのは、昭和五十年及び昭和五十七年の段階におきまして、今後の社会保障の見通しあるいは将来展望というものがそれぞれ検討をされた際にも、厚生大臣の懇談会で御審議をいただきまして取りまとめていただいたという経緯がございます。そして、私的懇談会ではございますが大変質の高い御提言をその当時も賜りましたために、その後年金法の改正や健康保険法の改正、その他多くの法改正に結びついていったわけでございます。
 こうした歴史的な経緯も尊重いたしまして、今回もビジョンの取りまとめに当たりましては、厚生大臣の私的諮問機関として懇談会の先生方にお願いを申し上げたわけでございます。
 今回の懇談会は、各界の有識者の方々にお集まりをいただきまして、今後の社会保障の目指すべき方向につきまして大変示唆に富む御提言を賜りまして、私どもは非常に画期的な御提案と受けとめさせていただいたわけでございます。それらの懇談会の報告につきましては、三月二十九日に私の方から閣議に正式に報告をいたしまして、今後の社会保障の推進について各省庁の御協力をお願いしたところでございます。
#23
○大島慶久君 大内大臣に重ねて質問をさせていただきます。大臣が所信の中で述べられておられます「生活先進国」のビジョンをお聞きしたいわけでございます。
 「国民が心豊かに安心して暮らせる生活先進国」とは、具体的にどういう社会をお考えであるのでしょうか。高齢社会福祉ビジョン懇談会の二十一世紀福祉ビジョンの内容を含め、大臣のお考えを賜りたいと思います。
#24
○国務大臣(大内啓伍君) 世界には多くの分野で先進国が存在するわけでございますが、特に欧米諸国と比較した場合に我が国としておくれている分野が幾つかございます。一つは、住宅でございます。二つは、住宅を取り巻く環境でございます。もう一つは、日常の家計に直結している物価の問題でございます。もう一つは、労働時間の問題でございます。
 私が着目いたしましたのは、特に福祉という分野において、我々は年金、医療という面では相当の水準を現在保持しているわけでございますが、その面で先進国になる必要がある、こう考えまして「生活先進国」という言葉を使わせていただいたのでございます。それは、理念的には国民一人一人が国家、社会の中で価値ある存在として大切にされ、その生活が尊重され、また不安なく老後を迎えることができる社会のことであると考えておるわけでございます。
 二十一世紀福祉ビジョンでは、「国民一人一人が安心でき、真に幸福を実感できる福祉社会の実現を図っていく」、こう規定しているわけでございますが、そのために今後我が国が目指すべきビジョンを明らかにすることを目的としたものでございまして、この生活先進国構想の考え方に沿ったものであると考えております。
 ビジョンにおきましては、少子・高齢社会にあっても国民が豊かに安心して暮らしていけるように、公民の適切な組み合わせ、また年金、医療、福祉等の社会保障制度を公平、公正、効率的な制度に再構築することが提言されております。私といたしましては、今後このビジョンの方向に沿って国民が安心できる福祉社会を実現してまいりたい、こう考えております。
#25
○大島慶久君 ありがとうございました。
 次に、社会保障の将来像と医療の安定化、効率化についてお伺いをいたします。
 二十一世紀福祉ビジョンは、二十一世紀に入って本格的な高齢・少子社会がどのようにあるべきかを示すものとして、昨年の社会保障制度審議会の社会保障将来像委員会の報告書より踏み込んだ内容となっております。この中で、年金、医療、福祉のバランスについて、これまでの給付構造五対四対一の割合を五対三対二程度を目指し転換していく必要があるとしておりますが、そもそも我が国の福祉の割合が諸外国に比べて低率となった理由をどうお考えか、伺いたいと思います。
 そして、年金、医療、福祉のバランスをこれまでの五対四対一から五対三対二を目指すとする中で、医療制度の安定化、効率化を図るとしておりますが、この具体的内容が示されておりません。人口の高齢化とともに医療費の増加が予想される中で、社会保障の中での医療の割合を減少させるためにどのような施策を今後行うお考えか、教えていただきたいと思います。
#26
○国務大臣(大内啓伍君) 先ほどもちょっと触れたわけでございますが、年金、医療の面におきましてはほぼ国際水準に達しているわけでございますが、福祉、特に介護や子育てといったような分野においては我が国は若干おくれているわけでございます。
 これは、これまで欧米諸国と比較いたしまして三世代同居率というものが高かったために、家庭の介護や子育ての機能が高かったという点に由来するものではないかと思っているわけでございます。しかし、この点が大きく変化してまいりましたので、これから福祉という分野に力を入れる必要がある、このことは福祉ビジョンでも示されているとおりでございます。
 そこで今、医療費の割合を五対四対一から五対三対二へ変化させていく、そしてそれは具体的に医療の分野ではどういうことをやっていこうとするのかというお尋ねでございます。
 国民の医療費は、高齢化の進展等によりまして今後とも急速に増大、俗に毎年一兆円ぐらいふえる、こう言われているわけでございまして、平成五年度におきましても二十五兆五千億ぐらいが推計されているわけでございます。
 したがって、今後この医療費の効率化というものを図っていく方向といたしましては、まず在宅ケアの推進あるいは介護対策の充実によりまして入院期間の短縮を図ってまいりたい。高齢者の心身の機能の維持回復を通じまして、高齢者の健康の増進を図っていくことも重要だと考えております。
 また、今回の健康保険法等の改正案で保健福祉施設事業の一層の充実を図ることとしておりますように、疾病の予防、健康づくりに努力をしていくこと、あるいはレセプト審査の充実や指導・監査体制の強化、診療報酬の合理化等を推進すること、さらに医療施設機能の体系化、あるいは病床数の適正化及び医師等の需給バランスの適正化を初めとする医療供給体制の効率化、合理化を推進すること等によりまして、医療の効率化を図ってまいりたい。これはもちろん良質の医療を提供するということがすべての大前提であることは論をまちません。
#27
○大島慶久君 ビジョンでは、「適正な給付を適正な負担によって実現するという基本的考えに立って」、「今後の社会保障の給付との見合いで負担規模を」考えることとしておりますが、限度はどの程度と考えておられるのでしょうか。
 また、「今後の社会保障の給付と負担の具体的在り方について、」「必要な基礎的情報を積極的に示していくことが重要」としておりますが、その具体的手法をどう考えておられるのか、厚生省の見解を伺いたいと思います。
#28
○国務大臣(大内啓伍君) 適正給付と適正負担という問題に関連したお尋ねでございますが、先ほど申し上げましたように、社会保障制度全体といたしましては相当の水準を今我が国も達成しつつあるわけでございますが、今後少子化、高齢化の急速な進行によりまして、年金、医療、福祉などの社会保障需要も増大していくことが見込まれまして、この中におきましても、それぞれの社会保障ニーズに適切に対応した給付をできる限り過重な負担にならないように配慮しながら実現していくことが重要な課題となっております。
 ビジョンにおいて提言されました適正給付、適正負担という考え方は、こうした状況にあって高福祉、高負担でも低福祉、低負担でもない給付と負担のあり方といたしまして、質の高い福祉をできる限り過重とならない負担で実現していく方法を目指しているものであると私どもは理解をしております。その際の国民負担の程度につきましては基本的にはもちろん国民の選択にゆだねられる事柄ではございますが、私といたしましては、行革審の答申等も踏まえまして、五〇%以内という国民負担率の枠の中に極力抑制するように努めてまいりたいと思っている次第でございます。
 また、ビジョンを取りまとめられました後には、データを収載した解説のパンフレット等も作成したり、あるいは政府広報のテレビや雑誌などを通じまして、将来推計の解説資料をつくるなど、できる限りわかりやすい広報、解説に努めてまいりたい。私といたしましては、今後ともそうした努力を重ねることによりまして、国民の意向を十分踏まえながら社会保障施策の推進に努めてまいりたいと思っております。
#29
○大島慶久君 福祉ビジョンでは、「社会保障の充実のための負担についても理解を示し、これを容認するという者の割合が大幅に増加するなど、国民意識の変化がみられる。一と報告をいたしております。けれども、現在議論の進んでいる税制改革の直間比率の見直しや、先行減税分を合わせた財源確保のための消費税引き上げを容認しているとは考えづらい点があります。消費税引き上げの材料としての福祉ビジョンではなく、二十一世紀の社会保障がどうあるべきかについてまず国民的論議と合意形成を図るべきと考えますが、あわせて大臣の御見解を伺います。
#30
○国務大臣(大内啓伍君) 今、大島先生御指摘の視点は私も全く同感でございます。昨年の八月に厚生大臣に就任した直後、私自身がこうした福祉ビジョンをつくる必要性というものを省内で提起したのでございますが、それは言うまでもなく税制改革論議と結びついたものではございませんで、その以前からそういう問題を意識し提起したのでございます。そして、既に八月から準備をいたしまして、予定どおり本年の三月末にお取りまとめをいただいたということでございます。
 ただ我が国は、るる申し上げておりますように、少子・高齢化の進行に対応いたしまして社会保障費用というものが相当の速度で増大していくということは避けられないことでございまして、こうした中で、このビジョンを素材といたしまして現在あるいは将来の社会保障のあり方とその際の社会保障の給付と負担のあり方などにつきましてさまざまな建設的な議論が行われることは、私どもとして大いに歓迎するところでございます。
 私といたしましては、こうした議論を通じまして将来の社会保障のあり方や社会保障の給付と負担に関する国民的な合意が形成されていくことを切に期待し願っているところでございます。
#31
○大島慶久君 今月、半官半民のシンクタンク、NIRA、いわゆる総合研究開発機構が発表した我が国の出生率変動要因とその将来動向に関する研究によりますと、合計特殊出生率は二〇一一年に一・三〇にまで落ち、その後横ばいで推移するとしております。これは厚生省の、一九九四年に一・四九まで下がった後は上昇に転じ、二〇二一年以降は一・八〇で推移するとの将来推計値とは大きく異なってまいります。その結果、二〇二五年の人口は約一千万人の差が生じることになります。
 また、労働省が発表した中期雇用ビジョンによれば、三%程度の経済成長率が確保されれば、二〇〇〇年の労働力需給は総体としてほぼ均衡するとしており、これまでの労働力人口の減少する中で高齢者の就労を促進するとの構図が崩れております。三月に出されたばかりの福祉ビジョンではありますが、早くも見直しが必要なのではないでしょうか。大臣の御所見を賜りたいと思います。
#32
○国務大臣(大内啓伍君) 統計にはいろいろな統計がございまして、そのとり方によりましていろんな相違が出てくることは間々あることでございますが、私どももそのNIRAの報告については承知をいたしております。
 しかし、私どもが策定いたしました二十一世紀福祉ビジョンは、我が国が本格的な少子・高齢社会を迎える三十年先の二〇二五年ごろまでを見渡しまして、あるべき社会保障の姿を描くことを目的とするものでございまして、またビジョンの将来推計は、今後の少子社会や高齢化の進行などに伴って年金、医療、福祉等の社会保障の給付と負担の規模やバランスがどうなっていくかということを試算したものでございます。この試算は、出生動向基本調査あるいは国勢調査、人口動態統計等を踏まえた平成四年九月の厚生省人口問題研究所の将来推計人口の中位推計をもとにしておるものでございます。
 出生率は短期的には微妙に変動し得る性格のものでございまして、またビジョンに基づく対策効果等も踏まえ長期的に見ていく必要がございまして、そのNIRAの発表によりまして直ちに変更が必要になるとは私どもは考えておらないところでございます。
 また、御指摘の中期雇用ビジョンにおいても、構造改革や労働時間短縮を進めることなどを前提にいたしまして、「若年人口の減少に伴い、中高年齢層など現在の労働力の有効活用を図ることが不可欠」とされておりまして、また当面、少なくとも六十五歳までそれぞれの希望に応じた形で働き続けるようにしていくことが必要である、こういうふうにされておりまして、若年労働人口の減少ということははっきり傾向として出てきているし、それを埋めるものとして高齢者の雇用の増大あるいは女性の社会的な進出が必要である、こういう考え方に立っていると理解をいたしております。
 いずれにせよ、本ビジョンは中長期的な方向性を示したビジョンでございまして、今後の具体的な施策についてはそのときどきのデータ、状況、御論議などを踏まえながら時宜に適して検討をし実施に移していくべきものである、こう考えております。福祉ビジョンといたしましては、現在私どもとして考え得る統計から推測される傾向値というものを踏まえたものでございますので、そうした一部の統計発表によって左右されるものではないと考えておる次第でございます。
#33
○大島慶久君 時間が大変少なくなりましたのではしょって質問いたしますけれども、ゴールドプランについてでございます。
 各地方公共団体で作成されました老人保健福祉計画を踏まえ、現行のゴールドプランの大幅見直し、新ゴールドプランの策定が必要と考えますが、見直しを行う上での基本的な考え方を賜りたいと思います。
 また、現在のゴールドプランはいわゆる独居老人を前提とした計画とはなっていないのではないでしょうか。今後さらに核家族化が進行し、ひとり暮らしの高齢者が増加することが予想されます。ひとり暮らしの高齢者を前提とした計画の見直しかぜひ必要ではないかと思うわけでございますが、厚生省の見解を伺いたいと思います。
#34
○国務大臣(大内啓伍君) 私どもの推計でも、ひとり暮らしの御老人が二十一世紀及びその前半に向けまして相当ふえてくる、このような立場に立っておるわけでございます。
 ゴールドプランにつきましては、そういう意味で、ひとり暮らしで寝たり起きたりの方など何らかの介護が必要な高齢者が増加してくるであろうということがまず第一点、第二点目には、地域のニーズを踏まえた老人保健福祉計画もほぼ出そろってまいりましたこと、三つ目には、ゴールドプラン策定後に訪問看護あるいは福祉用具の普及拡充など新たな事業が展開されつつあること等から、増大する介護のニーズに的確にこたえていくために抜本的に見直すことが必要であると考えておりまして、できればこの夏の概算要求の時点ぐらいまでにその中身を確定したいと考えておる次第でございます。
 また、二十一世紀の福祉ビジョンにおきましては、今後の高齢者の介護ニーズの増大、多様化にこたえていくため、サービスの目標水準の引き上げ等を内容とする総合プランとしての新ゴールドプランを策定すべきである、こういう御指摘もございますので、そのことを踏まえてそうした対応をしたいと考えておる次第でございます。このため、このような指摘や老人保健福祉計画の内容も踏まえ財源確保に配慮しながら、今申し上げたテンポで新ゴールドプランの策定を図ってまいりたいと考えております。
#35
○大島慶久君 最後でございますけれども、今回の雇用保険法の改正により雇用保険から育児休業給付を支給することとなりました。就労構造及び家族構造の変化により、家庭内機能の低下した介護の点に着目した介護休業給の制度化についても今後は考えていくべきではないでしょうか。
 労働省の平成五年度女子雇用管理基本調査によれば、現在介護休業制度のある事業所は全体の二割にも満たない状況であります。介護マンパワーの確保とあわせ、介護休業制度の普及が待たれるわけであります。厚生省及び労働省の見解を賜りたいと思います。
#36
○説明員(北井久美子君) 介護休業制度は、介護を必要とする家族を抱える労働者の方々が働き続けるために重要な制度であると認識をいたしております。このため労働省では、平成四年に介護休業制度等に関するガイドラインを定めまして、そのガイドラインに沿った制度の導入についての啓発指導に今全力を尽くしているところでございます。
 また、介護休業制度の法制化につきましても重要な課題と認識をいたしておりまして、現在専門家の方々に要介護の状態をどうとらえるかなどの問題につきまして技術的検討を行っていただいているところでございまして、来月の早い時期には最終的な取りまとめをいただけるものと予定しております。その成果を得まして関係審議会における検討が行われることとなっておりまして、労働省といたしましてはその結果を踏まえて対応してまいりたいと考えております。
#37
○政府委員(横尾和子君) 厚生省といたしましても、職業と介護の両立を図って生き方の選択の幅を広げるという観点からその普及を期待しているところでございます。
#38
○大島慶久君 それぞれの御答弁、ありがとうございました。
 また、持ち時間を少しオーバーしてしまいまして大変恐縮をいたしております。失礼をいたしました。
 これで質問を終わります。
#39
○日下部禧代子君 まず最初に、エンゼルプランについてお伺いいたします。
 エンゼルプランは厚生省の重点施策の一つでございます。厚生大臣も大変力を入れていらっしゃる政策でございます。児童対策あるいは家族政策というものが重要であることは言うまでもございません。
 今、我が国では、女性の就労率が高くなると出生率が低下しているという現象がございます。ところが、先日予算委員会の公聴会におきまして、慶応大学の丸尾先生がスウェーデンの例をお述べになりまして、スウェーデンの場合ですと、女性の就労率は上がっていくが同時に出生率も上がっているというふうなお話を御披露していただいたわけでございます。
 厚生省は、現在エンゼルプラン・プレリュードということでございますが、早く第一楽章を聞きたいというふうに私は思っておりますが、その第一楽章はいつ聞けるのでございましょうか。その時期と、そしてそのときには現在のプレリュードの内容が単に金額、予算がふえるというだけではなくて、質的にどのように変化をしていくのかということも承りたいというふうに思うわけでございます。
 それと同時に、平成七年度予算の概算要求に当たりましては新規内容を盛り込むということをここでお約束いただきまして、その内容もお示しいただければというふうに思います。もうその時期に来ております。今、今年度の予算の審議がまだ終わっておりませんけれども、時期的にはもう七年度の予算の御準備は着々と進んでいるというふうに思いますので、その点、大臣いかがでございましょうか。
#40
○国務大臣(大内啓伍君) プレリュードの方はまさに前奏曲でございますのでこれは始まっているわけでございますが、恐らく先生御指摘の点は、このプレリュードをとったエンゼルプランというものがどういう形でスタートしていくのか、その場合にどういうことを内容とするのか、それは夏の概算要求でも頭が出てくるのかという御指摘だと思っております。
 平成六年度に実施いたしますエンゼルプラン・プレリュードの成果をまず見きわめるということが必要でございますのと、それからエンゼルプランとするためには、厚生省の行政分野だけではなくて、雇用、教育、住宅といったような分野も特に子育てという面では非常に重要な分野でございますので、それらの分野を網羅した子育て支援の総合的な計画といたしましてエンゼルプランというものを考えなければならない。そのためには、相当の財源の確保も配慮をしなければならないということから、目下相当の作業を進めているところでございます。
 その中身を今申し上げられる段階ではないのでございますが、まずこの夏の概算要求に第一楽章に入れるかどうか、なお私どもとして鋭意検討しているところでございますが、そのエンゼルプランの頭は出したいなという感じで今作業に入っているところでございます。
#41
○日下部禧代子君 特にどの点におきましてさらに強化しようというふうにお考えでいらっしゃいますか。その辺のことはまだお聞きできないのでございましょうか。
#42
○政府委員(瀬田公和君) 若干大臣の御答弁の繰り返しになると思いますが、エンゼルプランは広範な分野に及ぶ計画でもございますし、相当な財源も必要になるということでございますので、関係省庁との十分な調整作業というものが必要でございます。現時点におきましては、大臣に御答弁いただきましたように鋭意その作業を進めさせていただいている、こういう状況でございます。
 しかし、エンゼルプランの中で厚生省として緊急に整備すべき事項、私たちといたしましては共働き世帯の増大に対応した子育てと仕事の両立を支援するための対策というふうに考えておりますけれども、こういったものにつきましては平成七年度の予算概算要求にその内容が反映されるようにできるだけ検討作業を急ぐということでやらせていただいている、こういうことでございます。
#43
○日下部禧代子君 待つ時間が長くなるということは期待も大きくなるわけでございます。したがいまして、我々の期待に反しないようなすばらしい音色の第一楽章を聞かせていただけることを期待しております。
 次に、リハビリテーションの問題についてお伺いしたいというふうに思います。
 平均寿命が延びることによって七十五歳以上の後期老年層の増加が見られることは当然のことでございますが、その後期老年層の増加に従って介護の問題も深刻化するというふうに一般的に言われております。しかしながら、後期老年層がふえるから介護を必要とする人々がただ自然増的にふえていくというのでは、これは政治の役割を果たしたとは言えないわけでございまして、いかにして介護を必要とする人々をつくらないかということだろうと思います。そのために知恵と金をいかに使うかということが先決ではないかというふうに思うわけでございます。
 先進国の中で日本特有の現象であると言われております寝たきりのお年寄り、そういった方々を再生産しないためにゴールドプランの中に寝たきり老人ゼロ作戦というものが位置づけられたわけでございますね。それを実効あるものにするためには、やはりリハビリテーション体制の拡充ということが非常に重要な役割を果たすのではないかと思います。その観点から質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、リハビリテーションを必要とする方々、これは脳卒中などの方々の後遺症ということになると思うわけでございますが、その後遺症を固定させないためにも脳卒中などの発症したすぐ直後にまずリハビリテーションをスタートする、つまり超早期リハビリテーションの体制というのが非常に重要なわけでございますが、我が国の病院におきましてこの超早期のリハビリテーションにきちんと対応が可能な病院というのは、病院の中で今どのくらいございましょうか。
#44
○政府委員(寺松尚君) 今の先生の御質問は、病院内におきまして早期リハビリテーションといいましょうか、離床のためのリハビリテーションということでございますが、一応診療報酬上におきましても早期のリハビリについての点数がついておるわけでございまして、そういう形で奨励をいたしておるわけでございます。
 一方、診療報酬上はそうでございますが、それに対応しますいわゆる理学療法士と申しますか、あるいは作業療法士というような方々の病院の中での勤務といいましょうか対応が必要なわけでございます。
 私どもの資料で申し上げれば、病院の種類別によって非常に違うわけでございますが、例えば一病院当たりのPTの割合というのは一人というのが全体的なあれでございまして、一般病院の方が一・一というようにやや多いわけでございます。そのようなことで対応しておるというのが現状でございます。
#45
○日下部禧代子君 私が御質問申し上げた内容をちょっと御理解いただいていないように思うわけでございますが、いわゆる早期というよりもその前の超早期リハビリというのがございますね。その超早期リハビリというのはもう本当にこれはチームでやらなければなりませんし、大変にスタッフが必要なわけでございます。超早期のリハビリに対応できる病院というのはそういうスタッフをきちんと整えている病院でございます。
 私が以前承りましたところ、九千程度の病院の中で約三分の一強ぐらいしかないというふうなお答えをいただいたのでございますが、それが現在どのくらい整備されていっているのかを私は聞きたかったわけでございます。
#46
○政府委員(寺松尚君) どうも先生の御質問にお答えがあれでございましたけれども、私どもちょっと手元に今先生のおっしゃった超早期の対応という数字を持っておりませんが、先ほど申し上げましたように、理学療法士自身は一般病院においては九千八百七十二人ほどおりまして、一病院当たりは一・一人というような形で対応しておるということでございますが、御承知のようにPTだけではございません。そういう場合には医師が対応いたします場合が多いかと存じます。医師とPTとのタッグマッチといいましょうか、相協力して対応していくということだと思います。ちょっと今、手元に具体的な数字を持っておりません。
#47
○日下部禧代子君 医師だけではなく、PTだけではなく、またほかのスタッフとの連携というものが非常に必要なのがこの超早期リハビリであることは御承知のとおりでございます。今お手元にないのでございましたら、後ほど資料をいただければというふうに存じます。
 次の質問に移ります。
 これは病院ではなく地域リハビリテーションというのも非常に重要なわけでございます。病院でせっかく機能を回復して地域に戻ってくる、お宅に帰ってきても、そこで機能回復訓練を継続しなければまたすぐもとに戻っていくというふうなことはもうしばしば聞かれるところでございます。せっかく病院において使われた労力、そしてまた経費というものも大変むだになってしまう。したがって、どうしても病院でのリハビリテーションと地域におけるリハビリテーションというのは連動しなければならないわけでございますが、この地域リハビリテーションの実施状況というものをお知らせいただければと存じます。
#48
○政府委員(寺松尚君) 前の方の御質問の超早期のものにつきましては、ちょっと調査をしてみたいと思います。後ほどまた資料をお見せしたいと存じます。
 今、先生おっしゃっておりますのは、地域におきますリハビリテーションというものがどのように行われているかということでございますが、理学療法士あるいは作業療法士の実数からちょっと簡単に御説明したいと思います。
 理学療法士につきましては、私どもが把握しております平成四年の免許取得者の数は一万二千三十九人ほどおるわけでございますが、そのうちの九三%ぐらいが医療施設に勤務いたしておるわけでございます。このほかの約八百人程度でございますが、福祉施設でございますとか保健所等に勤務しているか、または無職の方もいらっしゃるかと思います。
 また、作業療法士につきまして具体的に申し上げれば、平成四年の免許の取得者数は五千八百二十六人でございますが、そのうちの七六%に当たる四千四百人が医療施設にいる、そしてそのほかの千四百人が福祉施設だとか保健所等で活躍している、もちろん無職の方もあるという状況でございます。
 御承知のように、地域におきますリハビリテーションというのは非常に大事だということは先生の御指摘のとおりでございまして、今、勤務場所でちょっと御紹介しましたけれども、病院内におりますPT、OTもいろいろと場合によっては地域に出るというケースもあるかと思いますが、現在のところは非常に少ないというのが実情だろうと思います。
 そこで、全般的に私ども、理学療法士、作業療法士の将来計画というものを考えてみまして、これはそういう室内から室外へといいますか、地域へといいましょうか、そういうリハビリテーションをも考えながら、いわゆる入学定員等の増加あるいは養成所の新設というふうなものを考えておるわけでございます。
#49
○日下部禧代子君 第三次の保健事業計画におきまして、保健所にPT、OTはどのくらいの配置目標というものを立てていらっしゃいますでしょうか、そして今その達成率はどのくらいでございましょうか。
#50
○政府委員(寺松尚君) 私ども、先生のおっしゃっております将来需要を考えた数字というのは現在まだ取りまとめていない、検討中なのでございますけれども、今保健所におります数というのは、平成四年度の数字でございますけれども、非常に少ないわけでございまして、保健所では理学療法士が十八、作業療法士が十というふうな現状でございます。
 したがいまして、こういうふうなことが実態でございますので、先ほども申し上げましたこれからの将来計画の中でどの程度要るかということを踏まえまして入学定員等の増員あるいは新設の養成所をつくる、こういうことで作業に取りかかっております。
#51
○日下部禧代子君 それでは、第三次の保健計画の中には配置目標値というのは載せられていないわけでございますか。
#52
○政府委員(横尾和子君) 第三次の保健計画とおっしゃるのは老人保健事業の第三次のことかと思いますので御答弁を申し上げますと、この計画につきましては、地域のリハビリテーションに関しまして保健婦については具体的な数値目標を掲げておりますが、OT、PTにつきましては地域の関係機関の協力のもとに進めるということで、具体的数値を掲げていないところでございます。
#53
○日下部禧代子君 今承りましただけでもやはり非常に手薄であるということ、OT、PTの配置を保健所の中に位置づけていないだけではなくて、現在保健所にいらっしゃるOT、PTの数というのも、今御答弁のお言葉の中にございましたように非常に少ないわけでございますね。これは私、今数字を伺いましてかなり驚いておるところでございますが、余りに少な過ぎるというふうに思うわけでございます。これで寝たきりのお年寄りをゼロにしていくという作戦が本当に成功するのかなというふうな危倶を改めて持ったわけでございます。
 次に、関連して伺いたいのでございますが、それではこのPT、OTの需給見通しというものはどのようになっておりますか。そしてまた、PT、OTを養成する学校の定員増というのはどのようになっておりますでしょうか。
#54
○政府委員(寺松尚君) 先ほど私がちょっと申し上げましたように、将来計画を持っておるというふうに申し上げたわけでございますが、それにつきまして御説明を申し上げたいと思います。
 理学療法士及び作業療法士の将来計画につきましては、平成三年八月でございますが、医療関係者審議会の理学療法士作業療法士部会で策定していただきました需給計画では、今後の人口の高齢化の一層の進展、高齢者保健福祉推進十カ年戦略、これはいわゆるゴールドプランでございますが、そういうふうなものの展開等を頭に入れまして、平成十一年において理学療法士が二万三千八百人ぐらい必要だ、それから作業療法士が一万五千八百人必要だ、こういうふうなお話でございました。そして、平成四年度から私ども、養成施設の新設や、先ほど申し上げましたように定員増も図りまして、今増員を進めておるわけでございます。
 私どもは、今後ともこのような需給計画に沿いまして必要な理学療法士、作業療法士の養成確保に努めたい、このように考えておるわけでございます。
 今、先生のもう一つの御指摘でございますが、定員等をどういうふうにやるかということでございますけれども、私どもは平成四年度以降、理学療法士につきましては定員を八百七十五名分、作業療法士については五百六十名分を新たに承認いたしまして、現在それぞれ、理学療法士は二千名、それから作業療法士は千二百六十名の定員が確保されていると承知いたしております。
 何度も申し上げますが、こういうことで私ども必要な理学療法士、作業療法士の養成確保に努めてまいりたい、このように思っております。
#55
○日下部禧代子君 ぜひともその今の余り高いとは言えない、むしろ低いと言われるリハビリテーション体制の水準というものを、早急に対策を講じられまして充実させていただきたいということを強く望んでおきたいというふうに思います。
 このリハビリテーションの体制を整備するということは、また同時にこれは保健所、老人デイセンターなどの他の制度あるいはサービス、あるいはまたホームヘルパーさんや訪問看護婦さん、保健婦さんとの有機的な連携ということが非常に重要なことになってくると思います。そのことによってより効果が上がっていくというふうに思うわけでございます。
 昨日、本委員会で審議され可決されましたいわゆる地域保健法の目的も、保健、医療、福祉の連携、総合的なサービスのコーディネーションが非常に重要であるというふうに位置づけておりますが、それを実現するにはいかにこれは大変なのか、縦割り行政の厚い壁があるなということを昨日の本委員会の論議を通して痛感したところでございます。
 しかしながら、この福祉と医療と保健、また在宅サービスと施設サービスが分断されている限りサービスのオーバーラッピングということが起こりますし、労働あるいは経費のむだというものがどうしても生じてまいります。そしてまた同時に、サービスを利用する者にとっては本当に望むサービスが得られない、そういう悪循環が繰り返されるということになるわけでございます。
 そういうことで、いわゆる地域保健法の答申の際に社会保障制度審議会におきましても、特にさまざまなサービスの連携ということが重要であるということを添えて答申させていただいたわけでございます。また、地域保健基本問題研究会の報告書にもその重要性というものが明記されているわけでございます。
 ところで、そういうさまざまなサービスを連携させるその柱、核となるといいましょうか、その場所は一体地域の中でどういうところがその核になるのだというふうにとらえてさまざまなサービスのコーディネーションを考えていらっしゃいますでしょうか。
#56
○政府委員(寺松尚君) 今、先生のおっしゃっておりますのは、そういう各種の業種の方々をどういうふうに協力して連携をとっていくかということを、場所とおっしゃるものでございますので申し上げれば、一応保健と医療と福祉が一元的に行われるというのは市町村保健センターと考えております。
 それからもう一つ、大きな広域圏と申しますか、保健所の所管区域というようなことを考えていきますと保健所というようなことになるわけでございますが、そのほかに在宅介護支援センターとかいろんなセンターが現在あるわけでございまして、そこらと相協力するというような形で考えていかれるのではないか、このように思うわけであります。
#57
○日下部禧代子君 現場の方々に聞きますと、サービスの提供の決定者というのがばらばらであるということがサービスを円滑にしていく上で非常に障害になっているというお声を以前から私は耳にしております。
 そこで、調整会議というものが設けられているというふうには聞いておりますけれども、県レベルあるいは市町村レベルにおきまして調整会議というものが一体どのくらい開催されているのでございましょうか。
#58
○政府委員(横尾和子君) 高齢者サービス調整チームによる会議のことかと存じますが、この開催状況については地域によって非常にまださまざまなレベルであるというふうに考えております。
 非常に残念なことではございますが、中には年に数回の開催で形式的な論議にとどまっているというところも残されておりますが、非常にうまく機能されまして、私どもが期待をしていた保健、医療、福祉の関係者のみならず、例えば消防署であるとか地域の交番であるとかという幅広なメンバーを加えて極めて実践的に活動していただいているところもふえていると認識をしております。
#59
○日下部禧代子君 私の手元に持っている資料によりますと、都道府県あるいは市町村のサービス調整会議の開催された回数というのは、平均すると年に四・三回、町村の場合は三・九回。これは平成二年の数字でございますが、一週間にではなくて年でございます。余りにも少な過ぎるのではないか。言葉をかえて言えば、ほとんど機能していないというふうに言ってもいいのではないかと思うわけでございます。
 したがいまして、そういうレベルでの調整ということではなくて、現場における連携ということがこれから必要なのではないか。そういたしますと、それは一週間にということになると思うんですね。あるいは毎日ということになるかもわかりません。そういうふうなレベルでのコーディネーションというものが実現されて初めて、いわゆる実際のサービスというものが機能的に動いていくのではないかというふうに思うわけでございます。
 私、昨年訪れましたロンドンのチャーリングクロス病院の老年医学の権威でいらっしゃるウォルトン博士が、コミュニティーケアの効果を左右するかぎというのは各サービス間のコミュニケーションにあるというふうにおっしゃっておりました。そういう現場の声を取り入れまして、御承知のようにイギリスの昨年四月一日からスタートいたしましたコミュニティーケア法におきましては、新しい職種としてケアマネジャー、コミュニティーケアラーという新しい職種がつくられたわけでございますね。このような職種は日本ではなかなかなじまないと言われております。
 昨日、実はその問題について私質問いたしませんでしたけれども、先に大臣の方がお触れになってくださいましたので、これはきょうもう少し質問しなさいということかなというふうに私はとりまして、改めて、我が国におきましてそういう新しいいろいろなサービスを連携する専門職といいましょうか、これはイギリスにおきましてはいわゆる保健婦さんあるいは看護婦さん、リエゾンナースというふうな方がそういう役割を以前は担っていらしたわけでございますが、日本の場合にはそれを法制化するような御意向はございませんでしょうか。
#60
○国務大臣(大内啓伍君) 今、るる御研究の成果を御披露いただきましたが、保健、医療、福祉等の各種のサービスを組み合わせまして提供するケアコーディネーション、この機能はこれから非常に重要である、こう考えておるわけでございます。
 このケアコーディネーションを業務として行う、例えばイギリスの場合で言いますとマネジャーと言っておられましたが、そういうケアコーディネーターといいますか、そういうものを何か資格化して法制化する必要があるのではないか、そういうことは検討すべき問題ではないかという御指摘でございますが、私どもとしてもそれは検討に十分値するものであると思っておるわけであります。
 ただ、業務が保健、医療、福祉などの非常に広範囲の分野に関連いたしますために、お医者さんであるとかあるいは保健婦であるとか社会福祉士といったような既存の資格制度との調整という問題が非常に難しい問題としてあるわけでございます。そのことが、今御指摘いただいたように決定者がばらばらである、縦割りになってしまって本当め調整ができないではないか、また調整会議も形ばかりになっているではないかというような御指摘でございまして、そういう既存の資格制度との調整というものが検討されなければならないと思っておるわけでございます。
 したがって、そうしたことから当面はまず保健婦さんなどの地域で住民に直接接する機会の多い職種が、専門分野のみならず関連する福祉の知識を修得したり、あるいは地域住民の多様なニーズにこたえられるようにしていくということが必要ではないかと思っておりますが、しかし御指摘のようなイギリスの例なども参考にいたしまして、保健、医療、福祉の連携のあり方というものについてはよく検討したいと思っております。法制化というところまではまだ考えてはおりません。
#61
○日下部禧代子君 それでは最後に、ゴールドプランの見直しということは二十一世紀福祉ビジョンでも提言されているわけでございますが、いわゆる新ゴールドプランはいつ策定されるのでございましょうか。その御予定がいつなのか、そしてその内容というものはどのような内容のものが盛られるのでございましょうか。
 そしてまた、私は予算委員会においても申し上げさせていただいたわけでございますが、今、予算の配分のパラダイムというものを変える時期ではないか。そうなってまいりますと、ゴールドプランというのもやはりそういった形でシーリングの枠を超えたものとして位置づける、あるいはまたこれを三大臣の合意というふうな閣議決定ではない、そういったレベルからもっと法律に基づく計画というところに格上げしていくというふうなお考えはございませんでしょうか。そのことを承りまして、質問を終わりたいと思います。
#62
○国務大臣(大内啓伍君) 一つは、ゴールドプランの策定の時期でございますが、この夏の概算要求までに策定をいたしたいと思っております。
 それから、その中身につきましては今ちょうど検討最中でございますので、それらを詳しく申し上げることはできないわけでございますが、基本的にはこれまでゴールドプランの目指してきた目標の水準を大幅に変えるということが基本でございます。
 それからもう一つは、ゴールドプランというものを達成するためには、雇用とか住宅とか教育といったような他省庁にまたがる分野がございますので、これらについて各省庁との調整をしたい、それらを合わせた総合プランという形で提案をしたいということでございます。
 そうすると、先生が御指摘あるいは案じておられますように、そういうものを総合的に立法化する必要があるのではないか、例えば高齢者基本法といったような種類のものが要るのではないかという御趣旨かと思いますが、あるいはそういうものがあった方がいいかもしれないのでございますが、ゴールドプランという具体的な計画を各省庁にも御相談を申し上げまして、それが政府としてきちっとした確立された方針になるのであればその段階で調整は十分可能である。つまり、基本法というものがなくても可能であるとも考えられますので、そうした総合的な立法も含めまして検討させていただきたいと思っております。
#63
○西山登紀子君 私は、昨年の十一月の委員会で、骨粗鬆症の対策につきまして、婦人のモデル事業としての健診の実施と、それから老人保健法の健診制度に乳がんや子宮がんにこの骨粗鬆症を加えまして三点セットにしてほしいとお願いをいたしました。その後、このことにつきまして大きな反響がございましたのでぜひ御検討をお願いしたいと思いますが、きょうは厚生省の小児の骨発育と骨障害に関する研究班の調査報告についてお伺いをいたします。
 ことしの四月に新聞報道がございました。それを見て私は認識を新たにいたしましたが、これまで人の骨の密度というのは三十歳前後まで成長すると言われてきましたけれども、今回の研究では、その時期はこれまで考えられてきたよりも早い時期、十七歳から二十歳をピークにしてその後は次第に老化が進み、骨の密度は減少することがわかったということでした。男性の場合には推定で二十歳前後がピークとなるんですが、女性の場合ははっきりと十七歳ごろがピークだと判明したということです。とりわけ九歳から十四歳ごろに骨の密度が急速に高まり、その間三カ月間にふえる骨の量は、五十代以降の一年間に女性が失う骨の量と同じであるとしているわけです。
 ただ、報告書がまだ出されておりませんので厚生省にお聞きしたいわけですけれども、おおむねこういった内容がその調査内容なのでしょうか。
#64
○政府委員(瀬田公和君) 平成四年度から現在も続いているわけでございますが、厚生省の心身障害研究におきまして子供の骨折の実態を把握いたしまして、健康な骨の発達を促すための保健指導法を確立するという目的で小児の骨発育と骨の障害、骨折に関する研究というものを行っているところでございます。
 この中で、現在までの研究成果によりますと、先生も御指摘いただきましたけれども、十二歳から二十四歳の女子学生二百五十四名を対象に骨密度の測定を行った結果によりますと、腰椎の骨密度が十五歳から十六歳で最高値に達しているというふうな報告がなされているわけでございます。しかし、先生も御指摘いただいたことですけれども、このデータは非常に対象が限られているということで、さらに対象数をふやしましてより正確な調査を実施する必要があるというふうにも言われておりまして、その点を加味いたしまして研究を続行している、こういう状況でございます。
#65
○西山登紀子君 国立小児病院院長の小林先生が「大変興味深いデータだ。学校給食や健康指導、家庭での食事の改善など小児保健行政に反映させていく必要があろう。」、こういう談話を出しておられるわけですけれども、骨密度が十七歳から二十歳でピークになるとするならば、これは骨粗鬆症予防対策の抜本転換が必要になると思いますし、この談話にもありますように学校保健や学校健診にも対策が求められることになるわけです。
 そこで、問題は医学的な科学的真実の解明であるわけですが、この報告の内容につきまして、厚生省としても今後十分検討されて科学的な結論を確立されるように要望いたしますが、いかがでしょうか。
#66
○政府委員(瀬田公和君) 先生から御指摘をいただきましたように、骨の成長期を把握するということは、保健指導を効果的な時期に実施いたしまして子供の時期の健康な骨の発達を促すために非常に重要な課題であるというふうに私たちは考えておりまして、このため、さっきもちょっとお話を申し上げましたが、この研究を継続いたしまして、今回の研究報告のデータをさらに検証するなど研究の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。
#67
○西山登紀子君 よろしくお願いをいたしまして、次の質問に移ります。
 次は、アトピー問題について質問をいたします。
 アトピー性皮膚炎など小児アレルギーの問題は、一九八四年の衆議院の社会労働委員会、ここで取り上げられまして以来もう十年が経過をしております。アトピーという言葉は、奇妙なとかわけのわからないという意味のギリシャ語を語源としているそうですけれども、その名前のとおり現状では決定的な診断や治療法がまだ確立しておりません。そのために今は、薬だとか効果があるとされている食物の除去法など対症療法しかありませんし、これに加えて、わらをもつかむ思いでいろんな民間療法が取り入れられているわけですけれども、その治療も長期にわたり、また治療費やアレルギー食で家計が圧迫されて大変だ、こういうふうな声も聞いているわけです。
 しかし、何よりも大変なのはアトピー性皮膚炎の多くの患者、つまり小さな乳幼児です。このアトピー性皮膚炎というのは皮膚に単なる湿疹が出た程度のものではございませんで、長期にわたるかゆみ、そのかゆみも大変なかゆみです。寝られない、不眠になって、体じゅうひっかくわけですから血がにじんでくる、そこから感染症になって生命にかかわるほどの重症になる、このような問題も起こっているわけです。子供の心身の発達にも重大な障害をもたらすということで、お母さん方の間で大きな不安が広がりました。
 そこで、とりあえず実態の把握をしてほしいとか、原因の究明、治療・予防方法の確立をということで国の対策を求める切実な声が上がったわけでございますが、厚生省も研究班を設けて一九九二年の十月に統一診断基準をつくりまして、初めての全国調査を行われたわけです。この結果、全国調査でもありますし、しかも統一の診断基準に基づいた調査ですので大変貴重なデータだと思うわけです。予想されたとはいえ、私はその結果を見まして問題の深刻さに改めて驚きました。
 調査時点では、アトピー性皮膚炎と診断された三歳児は八%、過去に診断されたことがある子供の二三・九%と合わせて三一・九%、実に三人に一人がアトピーの経験者だということです。また地域別では、年齢が上がるにつれて郡部よりも都市部が多くなる。三歳児では郡部の四・八%に対して大都市部で八・二%、その他の市で八・四%、およそ倍近くの地域差が大きくあらわれているということは非常に重大な問題だと思うんです。
 これは大臣にお伺いいたしますが、乳幼児対策上もこのアトピー性皮膚炎の問題は放置し得ない重要な問題だと思いますけれども、いかがでしょうか。
#68
○国務大臣(大内啓伍君) 御指摘の全国調査の結果でも極めて深刻な事態が起こっているということは、私どもも非常に憂慮しているわけでございます。特に小さな患者はもとよりのこと、親の育児不安を引き起こす要因ともなっておるにもかかわりませず、現在のところまだ有効な治療法も確立しておりませんし、その対策は乳幼児の健やかな成長を確保する上で非常に重要な課題になってきていると認識しております。
 このため、適切な保健指導を通じましてアトピー性皮膚炎に伴う親の育児不安を解消するために、平成五年度、昨年度でございますが、保健婦等を対象といたしました指導書、つまり「アトピー性皮膚炎生活指導ハンドブック」というようなものも作成いたしまして各都道府県、市町村に配付し、その対策に腐心をしているわけでございます。
 また、アトピー性皮膚炎を含むアレルギー疾患につきましては、その予防・治療対策の確立を図るために、主な原因の一つとされておりますダニの除去等による予防法、あるいはたんぱく質を含まない食品の開発など幅広い総合的な研究を今行っているわけでございまして、まさにこのわけのわからない病気と言われるアトピーに対しまして、一刻も早い対策を確立するために私どもとして努力をしている次第でございますが、今後とも一層の努力を傾注したいと思っております。
#69
○西山登紀子君 ことしの三月にこういうハンドブックが作成されているわけですけれども、これはアトピーに対しましてさまざまな見解や治療方法が試みられている中で、現段階での専門医の共通の認識、そして一致点を示したという点では画期的なことだと私どもも思っております。
 このアトピー性ハンドブックは主に保健所の保健婦さんを中心に配付されているとのことですけれども、問題はお母さんにアトピーに対する正しい知識を持ってもらうということが大切だと思いますので、育児相談、栄養相談、母親学級などこの内容の普及に努力をする必要があるのではないかというのが一点。
 それから二点目ですけれども、この原因の解明というのも全国的な視野で進める必要があると思います。全国的に起こっております。しかも、発達的に系統的にこの問題を追いかけると新生児から発生をしているという点、あるいはもっと前にお母さんの体質を見れば生まれる子供がわかるというようなことも言われているような状況でございますので、そういう点からも解明を進める必要があります。
 それから、調査でも明らかになりましたように地域差があるという問題、ぜんそくや大気汚染の関係がどうなるのか、こういうような点も含めて原因の究明を急ぐ必要がありますし、有効な治療法の解明も必要ですし、何よりもアトピーにならない、子供たちがこういう大変な病気にならないための予防法の確立が急がれているわけですけれども、この点について今後強化する必要があるということでお伺いをいたします。
#70
○国務大臣(大内啓伍君) 先ほど申し上げました指導書につきましては、都道府県、市町村の保健婦さん等を中心に啓蒙をさせていただいているわけでございますが、それをもっと全国的に大々的に各方面にわたってやる必要があるのではないかという御指摘はまことにもっともでございますので、その方向で努力させていただきたい、検討させていただきたいと思っております。
#71
○西山登紀子君 次に、アトピー性皮膚炎に使われているステロイドについても一言お聞きしておきたいわけですが、ステロイドの塗り薬というのは炎症を抑える働きに大変すぐれていると言われているわけです。しかし、不適切な使用はかえって症状を悪化させ、さらにステロイド皮膚症になる場合もあるということでございます。
 私が心配いたしますのは、アトピーの子供がふえてきている、ですからステロイドの塗り薬を使用する子供が多くなっているということです。それとの関係で、このようにならないような治療薬の研究とともに、この医薬品、ステロイドの副作用情報の徹底などが図られるべきではないかと思うんですが、いかがですか。
#72
○政府委員(田中健次君) お話がございましたステロイドの外皮用剤、これを長期連用いたしますと、お話しのように下垂体とか副腎皮質系機能の抑制とか皮膚の感染症、あるいは皮膚萎縮、毛細血管拡張等の副作用が起こりますけれども、このことは従来より知られておりまして、これらにつきましては、医薬品の添付文書の使用上の注意欄に副作用として記載いたしまして使用者の注意を喚起してきておるところでございます。
 それで、お話しのステロイド外皮用剤は強い薬理作用を持つ医薬品の一つでもございますので、お話しのように安全で有効な使用が図られることがさらに大事でございます。ということで、その辺につきましてメーカーの医薬情報担当者、いわゆるMRでございますけれども、MRを通じてさらに医療現場に情報伝達を徹底させるとか、あるいはまた場合によりましては、私ども厚生省で副作用情報を二月に一度出しておりますけれども、その中で取り上げることも検討してまいりたいと思います。
#73
○西山登紀子君 よろしくお願いをいたします。
 最後の質問ですけれども、食物がアレルゲンとなるアトピーは、その食物を除去することによって症状が改善されるということがわかってまいりました。多くの子供たちが医師の診断のもとにこの除去食治療というのを行っています。しかし、実際には保育園や小学校でこの除去食への対応が迫られているところでは大変大きな負担となっているわけです。
 私も地元の保育園を何カ園か視察をしてまいりましたけれども、除去食、まずはメニューの段階から大変です。どの子は卵、どの子はエビ、どの子はお米、こういうふうに除去食をつくるわけです。そして、調理の手間はもちろん大変です。さらには、除去食の代替食品や代用ミルクなどの出費が、これは保育園の出費が重なる場合もありますし保護者の出費が重なる場合もあるわけですけれども、そういう経済的な負担も大きくなっているわけです。
 私は、こういう大変手間のかかる除去食の問題を保育園がやれるというのはまだ少ないんじゃないかと思っておりましたら、実はそうではないということがわかりました。京都大学医学部小児科の三河春樹先生らの研究班が、厚生省の委託を受けて平成五年十一月に、保育園における食品除去の実態に関するアンケート調査、こういうのをおやりになって発表されているわけです。実に八六・二%の保育園が除去食を必要とする子供を引き受けて保育をやっておられる、こういう実態が明らかになりました。しかも、その保育園の食物アレルギー児に対する理解と協力はよく得られていることが明らかになったというふうにまとめられています。
 実際に除去食がつくられてそれを子供たちに食べさせている保母さんの側にも大変な問題がありまして、間違って食べさせるようなことがありますと、発作が起こる、発疹が起こるということでそばに中和剤を置いている保育園もあるということをお聞きして、私は非常に大変だなというふうに思ったわけです。
 それに対して京都市保育園連盟も平成五年に要望書を出しておられますけれども、アレルギー疾患児に対しての対応が大変になった、極めて専門的、多様な対応をしなければならないのでこれを考えてほしいという要望書を出しておられます。
 また、東京の杉並区では、除去食を必要とする子供に材料費一人当たり月千円補助していますし、大阪の枚方市では、調理員を繁忙加配ということで〇・五人の加配を行っている、このように各地でいろいろな努力がされています。
 そこで、国としても特別な対策が必要な時期に来ている、量的にもこういう子供がふえておりますし、そういうことを検討するような時期に来ているのではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょう。
#74
○政府委員(瀬田公和君) 保育所を含みます児童福祉施設の給食につきましては、従来から子供の個々の体の状況に応じて適切に提供されるように必要な指導を行っているとこうでございまして、先生御指摘いただきましたように、多くの保育園におきましても適切な対応がなされているわけでございます。
 これに必要な調理員等の職員に係る経費でございますとか事業費につきましては、従来から措置費に含めまして計上をさせていただいているところでございます。
 それからまた、先ほど先生から御指摘をいただきました「アトピー性皮膚炎生活指導ハンドブック」につきましても、これは保育園の保母の皆様方にもできるだけ配付をして勉強していただくというふうなこともやらせていただいているわけでございまして、保育所におきましてもアトピー性皮膚炎の児童に対しより適切な給食が提供されるというふうに考えておりますが、今後ともまた検討を深めていきたいというふうに考えております。
#75
○委員長(会田長栄君) 以上をもちまして、平成六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、厚生省所管及び環境衛生金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#76
○委員長(会田長栄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 午後二時まで休憩いたします。
   午後零時一分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時七分開会
#77
○委員長(会田長栄君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。
 健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。大内厚生大臣。
#78
○国務大臣(大内啓伍君) ただいま議題となりました健康保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 人口の高齢化の進展や疾病構造の変化、医療サービスに対する国民のニーズの多様化、高度化など、我が国の保健、医療、福祉を取り巻く状況が大きく変化しております。こうした中、公的医療保険制度について、疾病、負傷に伴い発生する経済的な不安の解消という基本的な役割を維持しつつ、国民のニーズに対応した医療サービスの多様化や質の向上を図るとともに、老人保健福祉サービスについてその充実に努めることが重要な課題となっております。
 今回の改正は、こうした課題にこたえ、医療保険制度を通じ、良質かつ適切な医療を効率的かつ安定的に提供していくとともに、老人保健福祉施策の総合的推進を図るため、保険給付の範囲、内容等の見直しを行い、必要な措置を講じようとするものであります。
 以下、この法案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一は、健康保険法等の改正であります。
 まず、付添看護に伴う患者負担の解消であります。保険医療機関における看護サービスを充実し、保険外負担の中核をなす付添看護を解消するため、入院時の看護サービスは、保険医療機関がみずから提供するものとして法文上明確に位置づけることとしております。ただし、現行の付添看護の費用に対する給付は、原則として、平成七年度末までの間に限り行うことができるものとしております。
 次に、在宅医療の推進であります。在宅医療に対するニーズの高まりを踏まえ、居宅における療養上の管理及び看護を保険医療機関の行う療養の給付として法文上明確に位置づけるとともに、難病や末期がんの患者等が、居宅において訪問看護事業者による訪問看護サービスを受けられるよう新たな制度を導入することとしております。
 さらに、入院時の食事に関する給付の見直しであります。
 入院時の食事の質の向上を図るとともに入院と在宅との負担の公平を図るため、入院時の食事については、これまでの給付の方式を改め、新たに入院時食事療養費を支給する制度を創設することとしております。これに伴い、低所得者への適切な配慮を行いつつ、入院患者には平均的な家計における食費の状況を勘案した相応の費用として定額の費用の支払いをお願いすることとしております。
 また、子供が健やかに生まれ育つ環境づくりを図る観点から、現行の分娩費と育児手当金を包括化し、出産育児一時金として大幅な給付改善を図るとともに、育児休業期間中の保険料の負担軽減を図るため、被保険者負担分を免除することとしております。
 このほか、保健福祉事業の推進を図るための規定の整備等を図るほか、船員保険法についても所要の改正を行うこととしております。
 第二に、国民健康保険法の改正であります。
 健康保険法に準じた改正を行うほか、規制緩和の観点から療養取扱機関等の仕組みを廃止するとともに、市町村間の医療費負担の公平を図るため、特別養護老人ホーム等への入所のため他の市町村に転入した者について、転入前の市町村の国民健康保険の被保険者とすることとしております。
 第三に、老人保健法及び老人福祉法の改正であります。
 健康保険法に準じた改正を行うほか、平成十一年度末までの間、保険者からの拠出金を財源として、老人保健施設整備に対する助成等の事業を行うこととしております。
 また、老人保健福祉サービスについて、市町村による総合的な情報提供、サービスの質の評価等利用者本位のサービス提供体制の整備を図るとともに、高齢者保健福祉のあり方を総合的に審議するため、老人保健福祉審議会の創設を行うこととしております。
 最後に、この法律の施行期日は、一部の事項を除き、平成六年十月一日からとしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要でありますが、この法律案につきましては衆議院において修正が行われたところであります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#79
○委員長(会田長栄君) 次に、本案の衆議院における修正部分について、衆議院厚生委員長加藤万吉君から説明を聴取いたします。加藤君。
#80
○衆議院議員(加藤万吉君) 健康保険法等の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正部分について、その内容を御説明申し上げます。
 修正の要旨は、第一に、入院時食事療養費に係る標準負担額は、平成八年九月三十日までの間、六百円(厚生省令で定める者については、厚生大臣が別に定める額)とすること。
 第二に、医療保険制度及び老人保健制度については、この法律の施行後三年を目途として、この法律の施行後におけるこれらの制度の実施状況、国民医療費の動向、社会経済情勢の推移等を勘案し、入院時食事療養費に係る患者負担のあり方を含め、給付及び費用負担のあり方等に関して検討が加えられるべきものとすること。
 以上であります。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
#81
○委員長(会田長栄君) 以上で趣旨説明の聴取及び修正部分の説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#82
○大浜方栄君 私はまず、今後の医療保障と厚生省予算の現状について質問をさせていただきます。
 我が国では、現在急速な高齢化が進展しています。激変する社会経済情勢の中で医療や福祉政策が的確に対応しているのかどうか、きょうは今後の医療、福祉のあり方について、大内厚生大臣と大所高所から原理原則の問題、哲学の問題を議論してみたいと思っています。
 この十年で世界は大きく変わりました。日本も変わりつつあります。医療も変わらなくてはならない。日本の社会保障についてこれから私が申し上げる幾つかのこと、すなわちファンダメンタルズを確認した上で日本のあるべき方向を浮き彫りにしたいということが本日の私の議論の目的であります。
 健康保険法については衆議院において修正を含めた議論がなされており、本院においてもこれから同僚議員によって具体的な論点については十分に審議されるでありましょう。そこで、私は参議院のトップ質問でもあり、日本の医療、福祉のあり方という文脈の中で、今回の改正案と先ごろ公表された二十一世紀福祉ビジョンについて考え方を述べてみたいと思います。
 さて、厚生行政は平成六年度予算で見ると十三兆六千百億円と、国の歳出部分の三分の一という膨大な予算を占めております。しかし、そのうち医療費が五兆五千億円、年金が四兆円、生活保護が一兆円、高齢化社会の進展に伴っての自然増によるものが大部分であります。厚生予算は、手足を縛られて予算編成をしているのが実態であります。
 厚生省は、毎年予算編成になると財源捻出のために制度改革をする。そうしないと予算編成ができないような状態であります。平成六年度予算では、入院時の食事について患者負担をふやすことにした。でないと、今年度の診療報酬の改定の財源が確保できない、これが今回の健康保険法案の正体であります。
 このように、政府は診療報酬改定のたびに四苦八苦して何らかの制度改正を行い、財源を捻出しているのが現状であります。しかし今回、医療関係者のだれからも積極的に賛成されることのなかった給食の自己負担増しに手をつけたことで、私が本日の本会議の代表質問でも述べたように、もう財源捻出の手品の種は尽きたのではなかろうか、こういうぐあいに思っています。私の見るところ、今回の健康保険法案は付添看護の保険外負担を病院給食の保険外負担にすりかえただけで、我が国の社会保障財源をどうするのかという大問題に対しては何の解決にもなっていない。
 まず、大内厚生大臣には、厚生省の医療保障制度の予算編成の現状についてどのような認識をお持ちなのか、お伺いをしたいわけでございます。また、こういうような予算編成のやり方をいつまでお続けになるのか、大臣の本音をお聞かせ願いたい、こう思うわけでございます。
#83
○国務大臣(大内啓伍君) 先生はよく御存じの上でいろいろお尋ねでございますが、社会保障給付費が平成五年度の段階で五十九兆円、そしてその中で医療費が二十二兆にも達するであろうと推計され、その医療費は一兆円から時によっては一兆五千億も増加してくる。こういう状況の中におきまして、その要因が超高齢化社会の到来であったり、あるいは少子社会の到来であったりしているわけでございまして、この大きな流れというものは避けようと思っても避けることのできないものであると認識をいたしております。
 そういう中で、国民の負担が過大なものにならないように医療の効率化に努めなければならないということは、先生もよく御理解を賜っていると思うのでございます。現在、国民医療費のうち五七%を保険料で、三一%を国庫及び地方負担で、一二%を患者負担で賄っていることも御案内のとおりでございます。
 医療制度におきます財源、負担のあり方につきましては、関係の審議会等におきまして医療保険制度全般について審議の中で検討していただくことにしているわけでございますが、私どもとしてはその審議の状況を踏まえまして、国民に良質な医療を安定的に供給していけるような提供サービスの種類や内容に応じて適切な財源を組み合わせ、必要な医療費の財源の確保に努めてまいりたいと思うわけでございます。
 しかし、先生が今御指摘のように、厚生省は予算編成のたびごとにいろいろ四苦八苦して財源捻出を考えなければならない状況ではないかという御指摘がございました。私は、その一つの重要な要因というのは、日本政府としてあるいは日本の国家としてこれからどういう政策に重点を置いていかなければならないのか、その政策のプライオリティーというものについて必ずしも十分な検討がなされなかったし、その裏づけとなるようなビジョンといったようなものが明確に示されてこなかったということも大きな原因ではないかと思っているわけでございます。
 諸外国のそうした予算のつけ方を見ておりましても、政策についてのプライオリティーというものは非常に重要な予算編成の課題でございますが、そういう視点というものが欠けていたために、こういう問題について大事な財源というものが既定の一つの枠組みあるいはシーリングという中で片づけられていくというような傾向についても、これから根本的に考え直さなければならないときが来た。それはまさに、黒船ではございませんが、我々が直面している超高齢化社会と少子社会ではないか。そのことを直視いたしましてこれからの予算編成についての政策的なプライオリティーの決定をやっていくことが、今政治や政府に求められていることではないかと感じている次第でございます。
#84
○大浜方栄君 次に、地方分権と福祉政策の拡充による地域の活性化についてでございますけれども、これから私は、我が国の医療と福祉は今後こういう方向に進んでいくべきだという考え方を幾つか提示したい、こう思います。私がこれから述べる幾つかのファンダメンタルズは、互いに相関関係にあって、また相乗的な作用をしながら日本の医療、福祉を考えていく、こういうぐあいに思っております。
 開業医や民間の医療機関は、高齢化社会を迎え、医療費抑制の中で赤字経営を強いられて道に迷っているというのが日本の医療の現実でありますが、大内厚生大臣は率直に所信をお述べいただいて、我が国の医療の進むべき道を指し示していただきたい。今もお話があったように、大胆にこれからの医療政策のプライオリティーをどういうぐあいに持っていくか等もひっくるめてお願いをしたい、こう思うわけであります。
 それで、その幾つかのファンダメンタルズの中で、第一は保健と福祉における地方分権であります。
 地方分権は、連立政権の中においても重要な政策テーマであると位置づけておられますけれども、医療や福祉の分野でもさらに中央官庁の権限、許認可権を都道府県や市町村へ移譲すべきである、私はこう思っております。また、二十一世紀福祉ビジョンにおいても、自助、共助、公助、こういうような重層的な地域福祉システムの構築がうたわれているところでありますが、福祉八法、老人保健福祉計画の策定以外に、厚生大臣はどのようなことを今後の地方分権の対象として考えておられるのか。私は、福祉政策の大幅な拡充によって地域の活性化を促すことも真剣に考えなくてはならない、こう思っております。
 例えば、ふるさと創生、二十一まちづくりの福祉版を軸とすれば、福祉を中心にして人と物と金が地方に大きな流れとなっていく。またフランスでは、御高承のとおり、単に国の権限を移譲するだけではなくて福祉施設の種類とか規模に応じて市町村の再編が進んでいる。我が国においても、発想を転換して大胆に福祉を中心に据えた国づくりを行うべきである。我が国では、戦後の高度成長によってこれまで地域社会が果たしてきた機能が失われつつある。私は、福祉まちづくりを軸にすることによって地域社会を再建すべきだと考えております。そうすることによって初めて、地方の特性を生かした住民本位の創意工夫あふれるまちづくりが可能になるのではなかろうか、こう思っております。
 大内厚生大臣に保健、福祉の分野における今後の地方分権の構想をお聞かせ願えたらと、こう思っているわけでございます。
#85
○国務大臣(大内啓伍君) 今、先生から非常に具体的な御指摘がございまして、福祉というものを一つ中心に据えてふるさと創生あるいはまちづくりというものをやってみたらどうか、また福祉を中心にいたしまして人、物、金の大きな流れがそこからつくられるではないかというお話がございました。
 今、市町村というのは、歴史的な経緯を経て一つの単位が出てきているわけでございますが、外国におきましては、今先生がおっしゃったような福祉というものを進めるための規模というものが福祉を中心にして考えられているというところもヨーロッパにあるわけでございます。私どもといたしましても、今先生の御提言というものは今後の市町村づくりという問題を考えましても、また市町村の行政のあり方というものを考えましても、大変示唆に富んだ重要な視点だと考えておりまして、私自身は全く同感でございます。
 厚生省におきましては、御案内のように、これまで福祉八法改正などによりまして地方分権を推進してきたところでございますが、また今国会におきましても、地方分権を推進する観点から地域保健対策を強化するための法律案を提案させていただいている次第でございます。
 先生がおっしゃったような根本的なところまではまだメスは入っておらないわけでございますが、しかし今提案されておりますこの法律案が成立した場合には、市町村で保健と福祉にわたる総合的なサービスが提供されるようになる、私どもはそう信じておりまして、地域の特性を生かした住民本位の行政が展開されると考えておる次第でございます。
 またさらに、個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現するために、政府全体といたしましても行政改革推進本部に地方分権部会を設けまして、地方分権の推進を図ることといたしているところでございまして、厚生省といたしましても先生がおっしゃいましたような一つの方向性をはっきり持って地方分権を進めるよう努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
#86
○大浜方栄君 次に、公共福祉サービスの充実でございますけれども、二十一世紀福祉ビジョンには、社会保障の基本的あり方として年金、医療、福祉のバランスのとれた給付構造がうたわれております。すなわち、その比率を従来の五対四対一から五対三対二へと改める、こういうぐあいに具体的な数値目標を掲げて方向を示しております。この公共福祉サービスの充実は、数年来私が所属する委員会等で主張してきたところであって、せんだっての二十一世紀福祉ビジョンは我が意を得たりと、私はこういうぐあいに思っております。
 我が国の社会保障は、これまで医療施設に何もかも押しつけてそれでよしとしてきた風潮があります。しかし、今後はそうはいかない。医療の中に含まれる介護等を明確に分けて、福祉として取り上げるべきものは福祉にシフトさせるべきである、こういうぐあいに思っております。
 医療についても、施設医療から在宅医療へと積極的に転換を図らなければいけない。障害者については、国連・障害者の十年を契機にノーマライゼーションの理念が浸透しつつありますけれども、高齢者が障害を持つようになるとすべてすぐに病院に収容するというのもこれからは考え直さなければいけない。
 在宅医療というのは、患者さんを入院させないというだけではなくて、高齢者のノーマライゼーションを図るという積極的な意味があります。今後の医療のあり方としても、高齢者のノトマライゼーションという発想を議論の真ん中に据えて、高齢者に必要な医療サービスをどのように提供するかというふうに今後は問題の立て方を改めなくてはいけない。
 さきの医療法の改正の中でも居宅が医療の場として位置づけられ、また今回の医療保険制度改革の中でも在宅医療の推進が挙げられております。二十一世紀福祉ビジョンにうたわれている公共福祉サービスの充実についても、在宅福祉が重要になってくるものと思われます。
 こうした在宅福祉・医療の推進について厚生大臣のお考えをお伺いしたい、こう思います。
#87
○国務大臣(大内啓伍君) 私は一言で申し上げますと、高齢者のクオリティー・オブ・ライフといいますか、生活の質というものを大事にし高めていくということに国の施策が集中されなければならぬ、こういう考え方を持っているわけでございます。
 そういう意味からいいますと、高齢者が介護やあるいは療養を要する状態になったときに、高齢者にとって一番よいクオリティー・オブ・ライブとは何かといえば、やはり住みなれた地域や家庭で暮らし続けられるように在宅ケアを基本に施策を進めていくことが非常に大事である、こういう考え方に立ちまして、そのことは自民党の皆様におかれましても、ゴールドプランの創設といったような形で既に先駆的な御提言を賜ってきた、また施策を行ってこられたわけでございます。
 私どもはその方針というものを受け継ぎまして、これまでもゴールドプランに基づきまして、ホームヘルパーあるいはデイサービス等の在宅福祉サービスの大幅な充実を図ってきたほかに、かかりつけ医の機能の強化、あるいは訪問看護等の拡充といったような新たな視点をこのゴールドプランの中にも取り入れていく必要があるというふうに考え、これによりまして在宅医療の推進に今努めているところでございます。
 さらに、平成六年四月の診療報酬改定におきましては、在宅の寝たきり老人等に対するかかりつけ医機能、訪問看護等を積極的に評価したことも先生よく御案内のとおりでございます。
 これからの課題といたしましては、このゴールドプランを新ゴールドプランという形でさらに発展させまして、在宅福祉、在宅医療の推進に努めてまいりたいと思っております。
#88
○大浜方栄君 今の在宅医療、ノーマライゼーションの問題でございますけれども、私が一九六七年以来数回にわたってスカンディナビアを回ってみますと、向こうではお年寄りをいつまでも白い壁の囚人にしてはいけないのだ、こういう言葉を述べておりました。日本では、最近ややもすると医療費の節減の面で、施設医療から在宅医療へと転換しようとすることのみが強調されておりますけれども、ヒューマンライトの面から、人権の面から在宅医療にすべきであるということが言われておりますので、それは国民の側も現場の医療界も福祉の皆さん方も一体になって、ヒューマンライトの面から在宅医療というのを進めるべきじゃなかろうか、私はこう思っております。
 次に、医療・保健・福祉サービスの多様化、高度化の問題に移りたいと思います。
 国民の疾病構造が感染症による急性疾患中心から成人病等の慢性疾患中心へと変わりつつあります。このような疾病構造の変化に伴って、医療に求められるものが量から質へと変わりつつあります。そこで、医療の質をどのように評価すべきかという問題が重要になってまいりました。医療の質は次の三つの面から評価すべきではなかろうか。
 まず第一に、医療の提供者、医師にとっての、ドクターにとっての医療の質であります。これには医学、医術の水準が高いということ、医療提供の自由度が高いということ、すなわちプロフェッショナル・オブ・フリーダムの問題であります。
 次に、消費者、利用者、患者さんにとっての医療の質であります。これは当たり前のことであるけれども、患者さんを人間として扱うということ、すなわち患者さんの人権が医療関係者によって尊重されて、患者さん自身が積極的に治療行為に参加できるということであります。患者さんや家族と医療関係者の間のコミュニケーションの問題でもあります。最近の用語で言えば、いわゆるインフォームド・コンセントでございましょうか、そして生活空間としてはアメニティーの確保がなされるということが大事であります。これが二番目。
 第三番目は、医療費の支払い者、保険者にとっての医療の質であります。これは医療費支払いの効率性が高いということ、それから医療資源の使用の適正度が高いということ、私は以上三つの質のバランスがとれて初めて医療の質は高いと評価できるものと思っております。
 また、社会保障学者の方々ももう数年前からそういうことを強調しておられますけれども、従来ややもすれば医者の側から、ドクターの側からのみの質が強調された、あるいは患者さんの側からのがややもするとおくれてきた、または金を払う方の面からの質の論議が薄かったということを私は今痛切に考えているわけでございます。
 今後は福祉の質も同様に問われなければいけない時代になってきましたが、本日は大内厚生大臣に、医療の質についてどのようにお考えになっておられるのか、まずお伺いをしたい次第でございます。
#89
○国務大臣(大内啓伍君) 医療の質について先生が三つの立場、つまりお医者さんの立場、消費者あるいは利用者、患者という立場、もう一つは保険の支払い側から見た質という意味で論じられ、その三つがほどよくバランスをとることが医療の質にとって重要だという御指摘は、さすがに長いことその道を御研究になってこられた先生の御見識だと思って今拝聴いたしました。
 そういう意味ではまさにそのとおりだと私も確信をいたします。今後少子・高齢化社会に向けまして、全体として医療の効率化を図りながら、先ほども御指摘になりましたように、医療に求められているものは量より質であるという御指摘のとおり、質的な面で医療を充実させていくことが非常に重要だと思います。その際、医療は医師を初め専門家としての医療従事者と患者との人間的な触れ合いを通じて行われるものでございますので、御指摘のプロフェッショナル・オブ・フリーダムあるいはインフォームド・コンセントといったようなソフトの側面も十分考慮されるべきものであろうと思っております。
 したがいまして、厚生省といたしましては、患者から信頼される高い資質を備えた専門家としての医療従事者の養成確保を図るとともに、インフォームド・コンセントなど医療従事者と患者との信頼関係の確立を図るための方策につきましても十分検討いたしまして、生活先進国にふさわしい医療の実現に努めてまいりたい、こう思っている次第でございます。
#90
○大浜方栄君 次に私は、民活、規制緩和、競争原理について述べてみたいと思います。
 先ほどから申し上げているように、私は二十一世紀福祉ビジョンは高く評価しているものでありますけれども、ただ一点、この福祉ビジョンの中に民活、規制緩和、競争原理の導入という視点が欠けていることを非常に残念に思っております。私は、小さい政府という考え方が国の方針であるべきだと思っております。そのためには、医療や福祉の分野においても民間の活力を積極的に活用することが大切である。また、規制緩和は連立政権の重要な政策でありますけれども、厚生行政の分野ではどのような規制緩和が実施されようとしているのか。
 我が国の医療制度の基本は、自由開業医制、国民皆保険制、出来高払い診療報酬体制にあります。また、老人ホームや保育所などの福祉分野は社会福祉法人制、福祉対象者の行政保護、措置制度を基本に運営されてきております。
 しかし、高齢化の進展に伴って医療、福祉のニーズが増大し、あわせて多様化する中でこれまでのような制度の枠組みでは対応し切れない多くの問題が生じてきております。今日、医療、福祉とも網の目のように張りめぐらされた公的規制によって動きがとれなくなっているのが現状ではないか。その結果、これらの経営に携わる者はみずからの努力と工夫で事業を展開しようという意欲に欠けて、消費者の多様なニーズに十分こたえることができない状態にある。
 私だけではなくて、丹羽雄哉前厚生大臣も最近の著書の中で、医療、福祉に競争原理を導入すべきだとして、高齢化社会に向けて良質で多様な医療、福祉サービスを確保するためには、無意味となった規制を外し思い切った自由化を進めなければならないと、私と同様の考えをお持ちのようでございます。
 ただ、今は医療界を初め福祉の世界等もあわせて、民活とか規制緩和とか競争原理と言うと誤解を生むうらみがあります。ある面ではタブーでさえあります。しかしながら、先進諸国でも医療、保健、福祉の分野にも民活、規制緩和、競争原理が導入されつつあるということを国民に厚生省はもっと大胆に言うべきことは言う、啓蒙すべきものは啓蒙すべきという姿勢が大事じゃなかろうか、こういうぐあいに思っております。
 それで、自民党が提案した医療法人の資産要件の二〇%の緩和、特別養護老人ホーム、老人保健施設、老人病院などを一緒に建てる場合の食堂やふろやエレベーターやその他の設備施設の共有化を認めるといった規制緩和はどうなったのか、厚生省にまずお尋ねをしたいと思うわけでございます。
#91
○政府委員(寺松尚君) 今、先生の御質問の規制緩和の中の一環といたしまして、病院、老人保健施設、特別養護老人ホームを合築する場合に共用を認めるべきではないかというようなお考え、あるいはそういう方向でやるべきではないかというふうな御指摘があったわけでございます。
 私どもも病院や老人保健施設、特別養護老人ホームを合築する際に、どのような部分について共用を認めても支障が生じないか、また管理責任をどのようにするのか等、検討すべき課題があるということは先生もう御承知のとおりでございます。
 そういうふうな課題がございますけれども、利用者の利便あるいは敷地の有効活用あるいは施設の効率的な利用という観点から、やはり基本的には規制緩和と申しますか、合築を認めていくような方向で何らかの方策を考えなきゃならぬのじゃないか、こういうふうに考えております。もう少々お時間をいただきまして、その辺一日も早く結論を出して実行に移してまいりたい、このように思っておるわけであります。
#92
○大浜方栄君 ただいまの民活、規制緩和、競争原理に関連しますけれども、診療報酬上設けられている種々の規制が今大幅に緩和されているのも事実であります。診療報酬の中では、都道府県知事の事前承認事項が基準看護、基準給食、基準寝具、理学療法など五十数項目にも上っていましたが、これらは届け出制に改められて、行政が事後的に監視するということになっています。
 こうした方向に厚生行政全体が進むべきであると考えますけれども、このことについても厚生大臣の御見解を拝聴したい、こう思います。
#93
○国務大臣(大内啓伍君) 私は昨年八月に厚生大臣に就任させていただいたわけでございますが、その直後に事務当局に対しまして特に要請をいたしましたのは、規制緩和に力を入れて進めてもらいたいということを皆様に申し上げたわけでございます。そして、昨年九月の緊急経済対策やあるいは本年二月の行政改革の大綱で、総計百八十三項目にわたりまして見直しを行うことになりました。
 今国会におきましては、昨日、本委員会において御可決いただきました地域保健法案等の所要の法案を御審議いただいているところでございます。そして、今月末までに食品、医薬品分野等におきまして規制緩和の具体策を取りまとめたい、こう考えておる次第でございます。
 厚生省の規制は国民の生命の安全やあるいは健康の保持の観点から行っておりますので、いわゆる経済規制とは異なり原則撤廃というわけにはまいらない、なじまない面があるわけでございますが、御指摘の医療、福祉分野を初め厚生行政全般について国と地方の役割分担の見直し、あるいは国際的整合化の推進、申請者の事務負担の軽減などの観点から、引き続き規制緩和に努力をしてまいりたいと思っているわけでございます。
 各分野で相当多岐にわたっておりますので詳細は割愛いたしますが、そのような決意に立ちまして、引き続き先生のおっしゃる小さな政府を目指しまして頑張っていきたいと思っております。
#94
○大浜方栄君 ただいま厚生大臣がお述べになりましたけれども、私も本委員会で規制緩和に関して御要望申し上げたときに、厚生大臣が胸を張って規制緩和を断固としてやるのだ、こういうお言葉を覚えております。大体、規制緩和をやろうとすると、それに抵抗するのは官僚でありますけれども、今度は厚生省みずから規制緩和をきちっとなさったことに対しては高く評価するものであります。病院及び老健、特養等の合築の際の規制も徐々に外されつつありますので、短期間にこれだけの規制緩和をなし遂げようとしておられる大内厚生大臣並びに厚生省の実行力に私は深く敬意を表するものであります。
 次に、民間サービスの充実でございますけれども、二十一世紀福祉ビジョンにはその基本理念に、公民の適切な組み合わせによる適正給付、適正負担を目指すとあります。私は、最低限度の基本的な保障は公的に行い、それ以上の補完的サービスは民活で行うべきであると考えております。すなわち、プライベート・アンド・パブリック・ミックス、PPミックスという考え方であります。
 医療、福祉の分野にも民間の医療保険やシルバー産業が参入しようとしております。シルバービジネスのマーケットは二〇〇〇年には百兆円の産業に成長するとも言われているし、実際にアメリカのナーシングホームの七〇%は株式会社でやっております。
 しかしながら、アメリカのように民間医療保険やシルバー産業が過剰になると、公的医療保険の機能が相対的に後退するおそれがあります。その結果、民間医療保険やシルバー産業の中に医療機関が取り込まれるようになる。そうすると、先ほどから申し上げている医師のプロフェッショナル・フリーダムや、また医師の主体的活動が制約されるようになる。しかし、私はアメリカのそういう傾向に対しても考えをいたしているところでございますけれども、経営の効率だけじゃなくて医療の質の向上を図るということも非常に大切であることを民間サービスの充実とともに忘れではいけないのだ、こう思っております。
 現在、医療の世界で地域医療計画が新規参入を阻止する機能を果たしておりますけれども、訪問看護とか在宅医療については他の業界からの進出も考えられます。しかしながら、それを恐れてはかりいては進歩発展はないのであって、適正競争による緊張感があって初めて医療、福祉の質の向上も図られるべきである。先ほど私が申し上げた民間医療保険、シルバー産業の過剰な進出によって医療機関が取り込まれてしまうということは、先ほど申し忘れましたが、帝京大学の江見教授なんかもその点を指摘しておられるようでございますけれども、医療、福祉分野へのシルバービジネスの活動の拡大について厚生省はどういうようなお考えをお持ちなのかお聞かせを願いたい、こう思います。
#95
○政府委員(横尾和子君) 高齢者の保健や医療、福祉サービスにおける民間の役割でございますが、これまで私どもは、必需的なニーズについて公が提供し、それを上回る多様化あるいは高度化したニーズについて民間サービス事業者の参入と申しますか、事業展開を期待するというようなスタンスでまいってきたわけでございます。
 こういった面について事実かなりのシェアを占めているということもございますが、最近の状況でございますと、公的な福祉サービスを支援するような分野、あるいは公的福祉サービスの周辺部分と申し上げていいのかもしれませんが、支援型の民間サービスというのが大変進展をしているように思われます。
 また、今後の問題でございますが、必需的なニーズにこたえるための公的なサービスにつきましても、供給体制そのものは公の責任で体系化を図る中で、その一部については機動的あるいは弾力的なサービスの提供ということで民間サービス事業者が必需的なサービスを一部担うということもあり得るのではないかというふうに考えております。
 なお、御指摘のありました訪問看護事業につきましては、訪問看護事業を導入いたしました際に国会での御審議で、民間事業者についてはもうちょっと様子を見るというような御指摘があったこともございまして、訪問事業全体の展開を見ながら検討をしてまいりたいと思っております。
#96
○大浜方栄君 次に、医療、福祉サービスの財源と費用負担の問題でございますけれども、一三%のお年寄りが全医療費の三分の一を使っているわけでございます。殊に、お年寄りの入院費用はお年寄り以外の八・六倍にも及んでいます。
 施設医療だけに頼っていると、先ほども申し上げたとおり、高齢者の入院患者は白い壁の囚人さながら不本意な人生の終末期を過ごさなければならなくなる。心身の自立性を保障して患者さんの自己決定権を尊重しようとすると、中間施設や在宅医療がどうしても必要になる。そして、施設医療から在宅医療へ転換するに際しては受益者負担の考え方を大幅に導入すべきであって、受益者負担の大幅な導入なくしては国民の多様なニーズに対応した医療、福祉サービスの提供は不可能だというのが私の考え方であります。
 今回の給食費の自己負担も適正な受益者負担の一つとして積極的に位置づけて、ぜひひとつ医療の質の向上につながるように運用されるべきである。社会保障の費用負担のあり方について二十一世紀福祉ビジョンは、給付と負担の将来規模について国民的な議論と選択の必要性をうたっております。また同時に、「国民の誰もが応分の負担を」と述べておりまして、私が先ほど申し述べた受益者負担の考え方は間違っていないのではなかろうかとも確信をしております。
 最初の議論に戻りまして、本格的な高齢化社会を迎える我が国の社会保障の財源について、国民に負担を求めるには税か保険料か自己負担、受益者負担、この三つのいずれかしかないわけでございます。相当程度を受益者負担に求めるのであれば、国民の多様なニーズに柔軟に対応できる民間の活力を積極的に導入するのが望ましいと考えております。受益者負担と民活の積極的な導入は、財源対策の一助になるのはもちろんでありますけれども、それだけではなくて、先ほど申し上げた規制緩和と競争原理の導入によって活力ある高齢化社会を築いていくべきというのが私の考え方であります。
 厚生行政の責任者としての大内厚生大臣はどのような哲学をお持ちなのか、お伺いをしたいわけでございます。
#97
○国務大臣(大内啓伍君) 私は、公的部門のサービスあるいは民間部門のサービス、それぞれ長所短所を持っているように思うのでございます。
 特に民間部門の長所といたしましては、そのニーズヘの対応の敏速化あるいは弾力的な対応という面では非常にすぐれたものを持っておりまして、例えばアメリカのナーシングホーム等を見ましてもその多くが普通の民間の株式会社がやっておりますし、私が先般イタリアのミラノに行ったときには、老人介護の多くを株式会社が担当している、しかもそれは大変うまく機能しているということを勉強させていただきました。民間活力の導入という問題がこれからの福祉を向上、発展させる上で極めて大事だという認識を新たにしてきたのでございます。
 そういう意味で、我が国は今日大きな転換期を迎えておりまして、特に個々人のニーズも大変多様化してまいってきております。それだけに民活の長所の活用という問題は、これから新たな社会保障制度を構築していく上でその持っているウエートというものは非常に高いというふうに考えておるわけでございます。
 二十一世紀の福祉ビジョンにおきましても、「公民の適切な組み合わせによる適正給付・適正負担」というものが高らかにうたわれているわけでございますので、これを実現していくためにも、より多様で高度なサービスが提供できるよう民間サービスの健全育成のために政策支援を行ってまいりたい、こう思っているわけでございます。
 また、サービスの多様化、弾力化、あるいはサービスの提供機関の健全な競争によりまして、質の高いサービスが提供されるようなシステムが必要ではないかという先生の御指摘はまことにごもっともでございます。このため私どもといたしましては、社会保障分野において質の向上に資するような規制緩和や民間活力の活用といったような面で、特に競争原理の導入などを積極的に進めてまいりたい、こう考えている次第でございます。
#98
○大浜方栄君 私がただいま申し上げました六つ、七つのこれからの医療の方向、福祉の方向、保健、医療、福祉の一体化に当たってこういうファンダメンタルズを考えないと道に迷う。
 私は医療界の出身でございますが、今日本の公的医療機関でも五割が赤字の状態にある、民間医療機関は三割が赤字であり、六割、七割は経営悪化の状況にある。こういう中で二十一世紀の高齢化社会を迎えて道に迷っておりますから、高度経済成長時代の今までのようにただ単に診察室に閉じこもってはかりいないで地域医療の福祉の方にも活動の、活躍の場を伸ばしていくべきである、またそれにはそれなりの政策的な手を差し伸べてあげる、こういうことに対して厚生省としてはもっと積極的にやっていくべきである。今、こういうことを余り強調すると誤解をされる面があるので、厚生省の方々やまた医療団体のリーダーの方々はちゅうちょしている面もあると思いますけれども、私自身は医療、福祉の方向はそういう方向に流れている、こう思っているからあえてくどく申し上げたわけでございます。
 次に私は、今回の健康保険法改正の具体的な内容について、一、二お伺いをさせていただきます。
 まず、入院時の食事に係る患者さん負担の見直しでございますけれども、今回の負担増しに見合った額がそのまま食事の改善につながるのかどうかという誤解があるようです。医療機関に対して過大な注文がふえて混乱が生じはしないかと思っておりますけれども、厚生省としてはどのような対策を考えておられるのか、これが第一点。
 第二点は、今回の見直しに伴って特別注文食や特別材料費が廃止される一方で、特別メニューなどによって一日八百円の標準負担への上乗せ負担を求めやすくなる。こうしたことは患者さんの間の食事の格差、差別を招くようになりはしないか、こういうことも現場では憂えているようでございますけれども、ひとつ厚生省のお考えをお聞かせ願いたい、こう思います。
#99
○政府委員(多田宏君) 第一点は、今回の食費の負担額、これがそのまま食事の改善分として上乗せされるという誤解が広がるおそれがあるのではないかという御指摘でございますが、この点につきましては、そういう誤解のないように趣旨、内容につきまして、法案を成立させていただきました暁には十分に各方面に周知を図ってまいりたいと思います。
 ただ、今回の改正につきましては、食費を患者が負担するという側面から、サービスの改善への努力ということを相当促す力はあるのではないかというふうにも思っておりますし、またメニューの多様化とか、あるいは栄養士による栄養指導、あるいは食堂の整備等につきまして診療報酬上積極的な評価を行う予定でございますので、全体としては食事は改善をされていくという期待は十分持てるものと考えております。
 それから第二点でございますが、上乗せの負担をしていただくことによって良質の、患者の希望に沿ったようなメニュー等が提供されるということになると隣の患者さんとの格差が出るということは、これはまあそういうことになるわけでございますけれども、むしろ医療保険審議会の御議論などは、余りにも画一的で同じものしが食べさせてもらえないということで食欲もさっぱり出ないという非常に強い御議論もございまして、もう少し弾力的な部分を広げるべきだということを強く指摘されていることを受けた部分もございますので、多少そういうところがあるかもしれませんけれども、これについては時代の流れということで御理解を賜ればと思うわけでございます。
#100
○大浜方栄君 先ほど私が申し上げました医療、福祉サービスの多様化、高度化に相反するような御質問を申し上げたのでございますけれども、現場にはしかしそういう声もあるということをひとつ御記憶願いたい、こう思います。
 それからもう一つは、今度の法案の衆議院での修正と診療報酬の改定の問題でございますけれども、衆議院の修正によって、食事自己負担額が八百円から六百円に減額されるという経過措置が盛り込まれたのは御高承のとおりでございます。当初の八百円の食事負担徴収によって三千億円の財源が確保され、厚生省はこの三千億円を財源に、付添看護の解消に二千五百億円充てる、在宅医療の推進に二百五十億円充てる、同様に食事の改善に二百五十億円を回すと御説明しておられますけれども、衆議院の修正によって、これらの対策に必要な十月の診療報酬の改定一・五%アップは影響を受けやしないかと心配をしている向きがあります。
 約束どおりに診療報酬を改定しないと、医療現場は今度の四月の診療報酬改定だけでは不満でございますので、これを当てにして待っておりますので、診療報酬改定をしないと医療現場が混乱を来すことになる、こういうふうに思って、ぜひ約束どおり診療報酬の改定をやるんだ、それも十分にやるんだ、十分というのを上乗せして厚生大臣の御見解を拝聴したい、こう思うわけでございます。
#101
○国務大臣(大内啓伍君) 衆議院におきまして入院時の食事に係る患者負担について修正がございましたが、付添看護の解消等のための診療報酬上の評価につきましては、その円滑な推進が図られるよう中医協の御議論を踏まえまして適切に対応してまいりたいと思っております。
 今、上乗せというお話がございましたが、そこまではなかなかまいりませんが、現場に混乱の起こることのないように配慮してまいりたいと思っております。
#102
○大浜方栄君 どうもありがとうございました。
#103
○前島英三郎君 今、我が党の大浜理事から大変格調高い質問が行われまして、私は各論の中でいろいろと大臣初め厚生省の見解をただしてまいりたいと思っております。
 衆議院における修正を受けての参議院の審議でございますから、入院時の食費に係る一部負担問題に直接は触れません。ただ、付添看護・介護の差額負担の解消や、在宅医療の推進、食事の改善などをおっしゃるとおりにきちんと改革を進めていただきたいということを、まず冒頭率直に申し上げておきたいと思っております。
   〔委員長退席、理事菅野壽君着席〕
 ところで、制度改正というものは多くの場合よいことばかりとはいきません。給付があれば負担がある。きょうも本会議で適正給付と適正負担というやりとりがございましたけれども、何が適正で何が適正でないのかというのは難しい線引きだろうと思うんですが、その適切さ、公平さが常に問われるわけであります。一般論としてこのことは理解しているつもりでありますが、今回、厚生省が公平、適切に考えてくれたんだろうか、疑問な点も多々ございます。
 それは精神障害者の皆さん、精神病で入院されている皆さんのことでございます。きょう、私に与えられた時間は全部、精神障害者の問題につきまして各論としてお考えをただしていきたいと思います。
 そこで、まず精神病による入院の実態についてお尋ねしたいと思うんですが、入院患者数あるいは入院期間など、精神病患者が置かれている状況がどうなっているかということを御報告願いたいと思います。
#104
○政府委員(谷修一君) 精神病院におきます入院患者の実態でございますが、昨年の六月末現在、千六百七十二の精神病院に約三十四万四千人の患者が入院をされております。入院患者の数そのものはこの数年間横ばいでございまして、ほとんど三十四万台ということで変わっておりません。
 なお、入院の形態につきましては、任意入院が六二%、医療保護入院が三三%、措置入院が二%というようなことでございます。
 平均在院日数でございますが、全体としては減少をしてきてございますが、平成四年の厚生省統計情報部の病院報告によります精神病院の平均在院日数は四百八十六日となっております。
#105
○前島英三郎君 そういう点では、他の疾病の皆さんとは違って精神病による入院の皆さんは非常に長期療養型であるということが言えるだろうと思います。
 今日の精神医療の状況は多くの長期入院患者がおりまして、その中にはいわゆる社会的入院と呼ばれる、本来は入院せずに社会復帰のレールに乗れる方々がかなり含まれているということも言われております。また一方、長期入院の弊害が知られるとともに、在宅や通院による医療を受けている人も最近多くなってきた、これは精神保健法の改正などによってかってのイメージからだんだん変わってきたという一つのあかしでもあろうかと思うんです。
 さて、今回の改正で、この方々の医療はどう改善されるのであろうかということなんです。少なくとも、法律案の趣旨説明の中では一言も触れられていないんです。精神病による入院患者のこと、在宅で精神病と闘っておられる方々の医療の改善、改革という視点が欠けていたのか、あるいは弱かったのではないかという疑問の念をどうも禁じ得ませんけれども、改めて今回の健保法等の改正の目的を伺っておきたいと思います。
#106
○政府委員(多田宏君) 今般の医療保険制度の改革につきましては、今後とも国民が安心して良質な医療を受けられるようにするということと、それから給付の重点化、効率化等を図って、サービスの質の向上という切実な患者ニーズにこたえるというような趣旨から、付添看護に伴う患者負担の解消、あるいは在宅医療の推進、入院時の食事についての保険給付の見直しということを柱にして実施するという方向で進めてきたものでございまして、先生おっしゃるとおり、確かに特定の疾患についての特別の対策ということを念頭に置いて進めてきたということはないわけでございます。
 ただ、この法案の取りまとめまたはその後の御審議等におきまして、精神医療の推進ということが大変重要だということを各方面から御指摘いただいたこともございまして、特に精神医療につきましては、在宅医療を推進する今回の改正を契機といたしまして、従来の施策とあわせて診療報酬の面におきまして障害者の社会復帰の促進を図るための措置を積極的に講ずる、そして保健、医療、福祉の連携のもとに総合的な対策の推進を図っていくという方向を目指すことといたした次第でございます。
#107
○前島英三郎君 審議の中でそういう方向を新たに目指すというのは大変結構なことだと思いますが、目玉はいわば食費の負担ということであって、その負担をされた食費によってもろもろの政策に光明を見出したというやり方なんですが、全体の長期療養入院の中では精神障害者が最も多いわけですね。いわば大スポンサーなわけです。
 その大スポンサーの見返りの政策というものが非常に欠落していたという思いを大変強くいたしますから、きょうはこの問題に絞っていろいろお伺いするわけでありますが、ぜひ負担増に見合う改善とか改革を推進していただきたいと思います。その中でも、特に精神障害者の医療を含めた政策というものを改善、改革していただきたいということを強く申し上げておきたいというふうに思うんです。
 昨年、精神保健法の改正が行われましたが、それと並行いたしまして心身障害者対策基本法の改正作業が進められまして、衆議院の解散で結局秋になりましたが、議員立法による障害者基本法の成立ということになったわけであります。これによりまして、またこの基本法の中で最も重要なことは三大カテゴリーにいたしまして、これにより精神障害者が障害者に含まれることが明確にされたということであります。つまり、精神保健法の対象者はすべて障害者に含まれるということであります。
 私は、このことについて医療保健関係者の皆様に十分認識をしていただきたいと思うのでありますが、まだなかなかその認識も薄いような気がいたしております。精神障害者の社会復帰や福祉のあり方につきましても新しい考え方で臨む必要が生じたものと理解しておりますが、先ほど局長の方からはお考えを伺いました。ひとつ厚生大臣の認識を伺いたいと思っております。
#108
○国務大臣(大内啓伍君) 障害者基本法の制定によりまして、法律の目的や基本的理念に関する規定を初め各般にわたる改正が行われたことを踏まえまして、私ども厚生省といたしましても、従前にも増して障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するための施策の充実を図っていかなければならない決意を新たにしているわけでございます。
 特に、今回の障害者基本法におきまして、精神障害者が御指摘のように法律上障害者の範囲に入ることが明確にされたことに伴いまして、精神障害者の方々が地域の中で暮らしていけるように、病院から社会復帰施設、さらには社会復帰施設から地域社会へという新しい施策の考え方に沿いまして、社会復帰施設の整備やあるいはグループホームの普及、小規模作業所に対する支援の充実、精神障害者対策の一層の推進というものを図ることが必要であるというふうに認識をいたしております。
#109
○前島英三郎君 昭和六十三年の精神保健法の成立によりまして、今大臣もおっしゃいましたが、病院から社会復帰施設へという流れが始まりまして、そして昨年の次なる改正、精神保健法改正によって社会復帰施設から地域社会へと、こういうぐあいに二段目の流れが始まることが期待されておるわけであります。
 その主要な改正内容は本年四月一日の施行となっておりますので、ようやくこれも動き始めたところでありましょう。この改正では、地域社会での生活を念頭に置きまして市町村の役割を位置づけたことが特色であると思っております。これまで市町村レベルでの精神保健事業というものはほとんどなかったわけでありますから、それから芽が出てくるものだというふうに期待もされておるわけであります。
 精神保健法の第二条の三には、「地域に即した創意と工夫を行い、及び地域住民等の理解と協力を得るように努めなければならない。」というくだりがございます。都道府県が上手に支援して市町村がきめ細かな施策を展開するように新しい流れが生まれることを期待したいと思っているわけでありますが、市町村への指導の状況などがどのようになっているか伺っておきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#110
○政府委員(谷修一君) 今、先生お触れになりましたように、昨年の精神保健法の改正によりまして市町村につきましても、具体的なことといたしましてはグループホームの設置主体として市町村が位置づけられた、また、今具体的な条文としてお触れになりましたように、市町村が地域の実情に合わせて創意と工夫をする、また都道府県と連携を図って精神障害者対策を進めていくというようなことが設定をされたわけでございます。
 そういう意味で、市町村を含めました各機関が精神障害者の社会復帰促進のために今後相互に連携を図るということが必要だと考えておりまして、私どもといたしましては、新法はこの四月からでございますけれども、こういった趣旨に沿って都道府県並びに市町村の指導に当たってまいりたいと考えております。
#111
○前島英三郎君 さきの精神保健法改正でグループホームを法的に位置づけたということ、これは大変大きいものだというふうに思いますし、第二章のタイトルを「施設及び事業」と改正した上で法定化したわけでありますから、この先どう拡大し、どんな施設やあるいは事業が加わってくるのかということは大変楽しみでもあるという思いがするわけであります。
 このグループホーム、正式には精神障害者地域生活援助事業なんですけれども、これに関して今どのような施行状況になっておりますか。全国でどのくらい数があって、どういう状況か、伺いたいと思います。
#112
○政府委員(谷修一君) 地域生活援助事業、いわゆるグループホームにつきましては、本年の二月現在八十九カ所が設置をされております。
 私どもといたしましては、この法定化をされたということも踏まえまして、今年度、平成六年度の予算案におきましては百五十カ所設置できるような形で準備をしているところでございます。
#113
○前島英三郎君 年々ふえていくということですね。まさに地域福祉といいますか、向こう三軒両隣福祉と申しますか、そこが一番重要な福祉の出発点のような気がいたしますので、予算が伴うものでありますけれども、大いにこれは頑張っていただきたいというふうに思います。
 次に、精神障害者社会復帰促進センターの設置をこの法律の中でも定めたわけでありますが、これも重要な改正点だというふうに思っております。今後、各地域での社会復帰のための諸活動が円滑に、効果的に進められるように大きな役割を果たすことが期待されるわけなんですが、全国精神障害者家族会連合会、親の会、身内の会でありますけれども、ここを指定法人とする予定であると聞いておりますが、この点を含めて進捗状況を御説明願いたいと思います。
#114
○政府委員(谷修一君) 精神障害者の社会復帰の促進を図るという観点から、精神障害者社会復帰促進センターを厚生大臣が全国で一カ所指定するという制度を新たに法律上定めたところでございます。
 これにつきましては、財団法人全国精神障害者家族会連合会、いわゆる全家連を指定するという方向で現在準備を進めておりまして、全家連の方の寄附行為の変更といったようなことも含めて、今最終的な調整といいますか、指定のための準備の最終段階に来ているというふうに理解をしております。
 なお、この社会復帰促進センターにつきましては、精神障害者の社会復帰の促進に資するための広報活動あるいは研究開発、研修等を行っていただきたいというふうに期待をいたしております。
#115
○前島英三郎君 病院から社会復帰施設へ、社会復帰施設から地域社会へと、こういう社会復帰の大きな川がとうとうと流れ出すということで、私も心から期待をしたいというふうに思うんです。
 一口に社会復帰と申しましても、その流れはなかなかまた一方で簡単なものではございません。一人の精神障害者が病院などで治療をして、治って地域に帰ってくるといったものではないわけであります。ほかの、体に障害がある人は、病院に入っていてそれから地域に入ってくると、もうそこで完全参加というような形で迎えられることがあるわけでありますが、精神障害者の場合には、他の障害者と違ういろんな要素を兼ね備えておりますだけになかなか難しい問題があろうかというふうに思います。
 考えておかなければならない点が少なくとも私は三つあるように思っております。第一は、精神障害者の多様性ということであります。病状も家庭等の状況も周囲のもろもろの条件もそれぞれに異なっておりますし、ですから社会復帰の道筋も多様なメニューを用意しておく必要があるんではないかというような気がするんです。
 第二は、精神障害者の福祉や社会復帰は治ってから始まるものじゃありませんで、治るという過程の各段階で治療やリハビリテーション、社会復帰訓練等が受けられるようにすることが必要であろうというふうに思っております。
 これらに加えて、サポートという概念を明確にしておく必要があるんじゃないかと思います。今、サッカーでもサポーターというのが人気がありまして、いろんな意味でサポーターとかサポートするというのは重要な一つのことでありますが、選挙になるとこのサポートがなくして我々は当選できないというようなものでありますから、そういういわばサポーターをこういう社会復帰の中にも多く取り入れていくことが大変大切だと思います。そういう概念を明確にしておくことが精神障害者の社会復帰の場合には大変必要であろうというふうに思います。
 これは改正された精神保健法の中にも出てくる考え方でございますけれども、サポートという概念は、精神障害の症状や障害がある状態のままその人を地域社会の中で受けとめ支援するということでございますから、もちろんどのような症状でもというわけにはいかないでしょうけれども、例えばグループホームに関する規定は、「地域において共回生活を営むのに支障のない精神障害者につき、これらの者が共回生活を営むべき」と書いてあるわけであります。ここでは、治ってからではなく、一定の条件のもとで地域で生活できる状態にある人をあるがままに受けとめて支援することを制度化したということが私はわかると思っております。
 これは大変大事なことでありますが、この第一の精神障害者の多様性、それから第二点のサポートという点から、これからの取り組み、あるいは厚生省の認識、この精神保健法の中でうたわれた一つの趣旨も踏まえてお答えいただければと、このように思います。
#116
○政府委員(谷修一君) 今、先生がお触れになりました幾つかの精神障害者対策についての原理といいますか原則は大変大事なことだというふうに思っております。私どもも、社会復帰施設あるいは地域社会の中で生活をしていこうという精神障害者の方々に対しては、単に病気を有するということだけではなくて、社会生活を送る上でさまざまな意味での困難や不自由あるいは不利益と申しますか、そういうことに直面をしている方たちであるということをまず理解することが重要だというふうに思います。
 現在のそういった意味での対策といいますか施策といたしましては、今先生お触れになったような分類とは必ずしも一致しないかもしれませんが、医療という面では、通院医療費についての医療費の助成、あるいはまた訓練という意味からは、援護寮あるいは授産施設等を用いました生活訓練あるいは就労のための訓練を実施しております。また、今お触れになりましたサポートという、地域の中での生活を援助するという観点からは、いわゆるグループホームというものの推進に先ほども申しましたように鋭意努力をしていきたいというふうに考えているわけでございます。
 いずれにいたしましても、今の精神障害者の置かれている状況ということを十分に理解をいたしまして、地域の中での生活を援助する施策というものを今後さらに総合的に、また多様なものとして展開をしていくよう努力してまいりたいと思います。
#117
○前島英三郎君 第三の問題として、今局長からも御答弁があったことに触れるわけですが、精神障害者の社会復帰と医療との関係です。目指すゴールは社会復帰でありますが、医療が社会復帰を促すものでなければなりませんし、社会復帰のプロセスの中でも医療からの必要な支援、協力はもう当然適切に組み合わされるべきだ、このように思っております。
 さて、今回の健保法改正の眼目の一つは在宅医療の推進、こういうことをうたっているわけです。在宅医療の推進ということであります。精神医療、精神障害者の社会復帰にとっても在宅医療というのは大変重要でありますし、この辺は先ほど多田局長の方からも御説明があったわけでありますが、精神障害のいろいろな特性に十分配慮すべき必要性もありまして、単に一般の在宅医療の延長線上ではこれはなかなか解決できないというふうに私は思っているわけであります。
 在宅精神医療について、この法改正を一つのきっかけとしてどのような充実策を考えておられるのか伺っておきたいと思います。
#118
○政府委員(多田宏君) 精神障害者の在宅医療の推進には社会復帰対策の充実というのが非常に重要だというふうに考えております。そういう意味で、現在中医協で十月改定に関する議論が行われております。
 その中では、訪問診療、訪問看護などの訪問の評価みたいなものを、もう少し訪問をやりやすくするといいますか、そういう角度からの検討、それから医療機関と精神障害者グループホームや社会復帰施設等との連携をさらに強化するための方策、あるいは自立訓練等社会復帰のための専門療法について評価を行うというようなことについて検討が進められるのではないかというふうに考えております。また、精神障害の特性に十分考慮すべきだというお話でございますが、精神科デイケアあるいは精神科の外来機能に関する診療報酬上の評価といったようなことについても十分検討していただけるものと考えております。
#119
○前島英三郎君 社会復帰対策と医療との協力関係、連係プレーが重要であることは先ほど来何度も申し上げているわけでありますが、一般論として幾ら言っても余り効果はないようでもございます。
   〔理事菅野壽君退席、委員長着席〕
 極めて具体的に、社会復帰施設と医療機関との連携はどうあるべきか、あるいは社会復帰施設に医師や医療関係者が赴いてリハビリテーションを行ったり、あるいは社会復帰への活動の支援を行う場合にどのような方式が望ましいかとか、そういう点を研究、検討し、あるいはマニュアルをつくるようなこともやるべきじゃないかというような気がいたします。
 こうした研究、検討を踏まえて、社会復帰施設との連携や医師等の派遣などを医療保険制度の上でももっと適正に位置づけるべきではないかというような気がいたします。特に、精神障害者の場合は他の一般障害者やあるいはお年寄りや病院に入っている人とは違いまして、そこから一歩出たところも、そして歩いた先もいわばそれがすべて病院であり、社会であり、また地域への一つの道筋ではないかというふうな気がいたしますから、そういう意味で医療保険制度の上で適正な位置づけを考えて行くべきじゃないか、そういう時代に来ているんじゃないかというような気が私はするんですが、その辺厚生省はどんなふうに考えておられますでしょうか。
#120
○政府委員(谷修一君) 前回の法改正におきましても、先生御承知のように、精神障害者等の社会復帰への配慮ということで、地方自治体だけではなくて医療施設または社会復帰施設の設置者あるいは地域生活援助事業、グループホームの事業を行う者が、精神障害者の社会復帰を促進するためお互いに連携しかつ協力をしなきゃいけないといったような条文を加えたところでございます。私どもは、この精神障害者の社会復帰対策ということの中で、そういう意味でこの医療施設あるいは医療機関の果たす役割というのも非常に大きいというような認識でこういう考え方を盛り込ませていただいたところでございます。
#121
○前島英三郎君 もう一つ、精神障害者の病状の改善とか社会生活機能の回復など、社会復帰につながる療法の確立ということも必要です。
 さきの診療報酬改定では、集団入院療法や入院生活技能訓練療法の新設が行われたわけでありますけれども、長い間入院中心の精神医療が続いたこともあって社会復帰につながる療法がおくれているという指摘もかなりございます。また、こうした療法を行うに当たって家族のかかわりを重視した方法を取り入れるべきではないかということも指摘をされておるわけであります。こうした点を改革して医療保険制度の中に位置づけていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
#122
○政府委員(多田宏君) この十月の改定に向けまして今さまざまな検討を中医協で行ってもらっているところでございます。そういう意味で、先生の御指摘のものも幅広く検討の対象にしていただくようにお願いをしたいと思っております。どこまで今回取り入れるかということについては今定かでございませんけれども、先生のお話について中医協の方に検討を依頼したいと思います。
#123
○前島英三郎君 これからは、多様なニーズがあるんですからいろいろ組み合わせて、各局長と多田局長がこういうぐあいに交互に答弁をされると、そこに何か谷間が見えるような気がいたしますので、やっぱりその辺をしっかりと、厚生省内の縦割りというふうな部分もこの際はよくオーバーラップしながらそれぞれのニーズにこたえていただくということが大変重要だし、いわば精神障害者の皆さん方の一日も早い社会復帰、あるいは社会への統合という視点から考えると大変重要だという気がいたします。
 長期入院が続いてきた結果、家族等の状況も絡んで退院が困難になってしまった社会的入院患者も大変おられるわけであります。病院内での自立訓練等もこれからはやっぱり充実させる必要があると考えますが、そういう病院内における自立訓練というようなものは今どのくらい行われているんでしょうか、あるいはやってないんでしょうか。割合に収容型だと思うんですけれども、その辺はどうなんですか。そういうことも今後検討すべきではないかという気がするんですが、いかがでしょうか。
#124
○政府委員(多田宏君) 入院患者の自立訓練の充実という観点からは、今回の四月の診療報酬改定で、基本生活技能あるいは対人間関係保持能力あるいは作業能力等というものの獲得をもたらすことによって症状の改善と社会生活機能の回復を図るということを目的にした入院生活技能訓練療法というものを新設したということで、診療報酬上も認知をしたところでございますので、これからかなり広がっていってくれるのではないかというふうに期待をしておるところでございます。
#125
○前島英三郎君 今、いろいろ私も申し上げてまいりまして、局長の方からも大変いい答弁をいただいているんですが、精神障害者の社会復帰や福祉を考える上で、病院の中から福祉が始まり、病院の門を出て社会復帰施設から地域社会に至るまで、濃淡はあるにせよ医療との適切なかかわり合いがこの精神障害者の場合には保たれる必要があるというふうに思います。
 しかし、ただでこれを行えといってもなかなか無理でありますから、社会復帰の流れに対して診療報酬の面からもこれを支えるべきだと私は思っておりますし、今そういうことを検討されるということでありますから、これはきょうの大変いいスクープでありますから、局長さん、もう一回その辺の気持ちをしっかり述べておいてくれますか、
#126
○政府委員(多田宏君) 精神障害者の社会復帰、自立訓練、そういったものについて積極的な対応が必要だということにつきまして、我々もこの十月の改定の中で特に重点の一つとして取り上げていくという考え方で今臨んでおりまして、これから中医協とよく御相談をして、どこまでできるか固めていきたいというふうに考えております。
#127
○前島英三郎君 ぜひ中医協としっかり相談をしてください。
 精神衛生法から精神保健法に切りかわって以来、形の上では自由入院であるところの任意入院がずっとふえてまいりました。しかし、病棟の実態としては閉鎖病棟が多くて、開放と閉鎖の比率はおおむね三・五対六・五くらいだ、こう聞いておるわけであります。これで患者さんの任意性がどこまで保たれているかなかなか疑問なんですが、なぜこのような状態にあるのか、そしてこれを改善していく方針というのは厚生省として持っているのかどうか、その辺はいかがでございましょう。
#128
○政府委員(谷修一君) 精神病院の入院患者につきましては、その入院形態によりまして一定の行動制限を行わざるを得ないということがあるわけでございまして、そういう意味で閉鎖病棟が設けられているわけでございます。一方、入院中の精神障害者の処遇につきましては、それぞれの方の病状に応じましてできる限り制限の少ないものにしていくというのが基本でございまして、開放的な処遇を適当とする者についてはできるだけ開放的な処遇でやっていく、そういう意味での療養環境の確保に努めていくということが私どもの基本だと考えております。
 確かにおっしゃいますように、閉鎖病棟の数、あるいは全病棟に対する閉鎖病棟の割合というのはまだ五割を超えでいるわけでございますし、また病床数としては五割は切っておりますが四割近い数字がございます。
 これにつきましては先ほど申しましたように、できるだけ開放的な処遇が適切な者については開放的な処遇をしていくという基本で関係の病院団体等を指導しているわけでございます。また、その一環というわけではございませんけれども、平成五年度から、十分な療養環境を確保した病棟の整備についての国庫補助をするといういわゆる医療施設近代化施設整備事業の対象として精神病院も加えまして、その条件といたしましては幾つかございますが、その中の一つとして、鉄格子を設けない等の要件のもとに新たな精神病棟整備をするということに対しまして国庫補助の対象としたところでございます。
 また、基本的な問題といたしましては、精神障害者の入院患者についての行動制限、あるいは閉鎖病棟における患者の処遇ということについては、精神保健指定医の研修等でも常に研修の機会を設けて研修の対象としているところでございまして、今後ともそういった患者の病状に応じたできる限り開放的な処遇の確保ということについて十分指導してまいりたいと考えております。
#129
○前島英三郎君 さて、精神障害者の社会復帰と医療とのかかわりについてお尋ねしてまいりましたが、どこまでも医療から離れないのであってはこれは社会復帰になりませんので、福祉という角度から見れば所得保障や雇用、就労などについても多角的に施策が行われる必要があります。
 医療とそれ以外の多角的な施策との橋渡しか上手に的確に行われることが大切であると思っておりますが、近く指定される社会復帰促進センターに期待される役割もいわばこのあたりの接着剤としての大きな役割になるのではないかという気がいたします。またこの場合、患者自身や患者家族の知恵や経験、あるいは組織されたパワーといったものを生かす体制が必要であろうというふうに私は思っております。
 以上のようなことを総合的に考えてまいりますと、今後あるべき姿として一つの構想が浮かんでまいります。厚生省は、在宅精神医療の推進策として訪問看護ステーションの訪問看護の対象に精神障害者を含めることを考えているようですが、社会復帰促進センターの地域版のようなものをこの際各都道府県に設置して、そして訪問看護と社会復帰支援と両者の機能をあわせ持たせるといった構想が必要ではないか、こういう気がいたしますし、そういう構想も何やら持っているような気がするんですが、そんな構想はございますか、いかがですか。
#130
○政府委員(谷修一君) 先ほどもお答え申しましたように、精神障害者社会復帰促進センターに全家連を指定するということで現在準備を進めております。
 この社会復帰促進センターの行う業務につきましては、精神障害者の社会復帰の促進に資するための広報活動、あるいは社会復帰の実例に即して精神障害者の社会復帰の促進を図るための訓練あるいは指導等に関する研究開発、また社会復帰を促進するための関係者の研修といったようなことを主たる業務といたしておりますが、このほかにこれらの研究成果をそれぞれの地域に生かしていくといいますか、行政も含めた関係者に定期的に研究成果を提供するということがございます。
 そういう意味から私どもといたしましては、まず当面全国一カ所の精神障害者社会復帰センターの指定を行い、この事業の進捗状況ということを見ていかなければいけないんじゃないかというふうに思っております。全家連の中にこれを指定いたしまして、具体的な研究成果がどのような形になっていくのか。また、今お触れになりましたように、全家連というのは全国の精神障害者の家族の方々を中心とした、母体とした会でございますので、そういう意味ではそれぞれの地域における活動というものもこのセンターに集約をされてくるということを期待いたしております。
 今、具体的なお考えとして訪問看護あるいは地域における接着剤というような形での御提言でございますが、これにつきましては、新たにこれから指定をいたしますセンター、それからまたそれぞれの地域にございます精神保健センターとの関係、これらの関係等も含めて今後の検討課題とさせていただきたいと思っております。
#131
○前島英三郎君 全国精神障害者家族会連合会、全家連の来年度の予算に対する要望書なんかを見ましても、家族教室事業なんというメニューもあります。それから、家族相談事業というようなメニューも出ておりますし、社会参加促進事業などを行いたいとして助成を希望しておるわけであります。
 私自身も車いすになってもう二十一年でありますから、車いすに関してはかなりプロだというふうに思っておるわけでありますので、車いすについてなら私に聞いてもらえばかなりわかるという自信があるわけであります。
 同じように、精神障害を持った家族を抱えた皆さん方というのは、社会の中にあって、相談業務を、なかなか社会の偏見がありますから、お互いの電話連絡やあるいはこっそりと出会いながら、あるいは小さなグループで勉強会をしながら、偏見と闘いながら、それでも同じ障害を持った家族を抱えているという接点を持って、非常に強力な勉強、そしてまたひたむきな努力というものを今日まで積み重ねております。
 これから健保法の改正の中における訪問看護というのも、ただ単に専門家を派遣するんじゃなくてむしろこういう家族会の人たちを専門家に仕立て上げて、そして専門家と両輪のようになって精神障害者の一つの政策の中に組み入れていくというようなことも考えていくことが大変重要ではないかという気がいたします。
 そういう意味では、社会復帰促進センターはまずその先駆けだというような気がするわけでありますけれども、既に身体障害者の場合は各都道府県に社会参加促進センターというものがあるわけですね。これもあるんだから、精神障害者の皆さんもその都道府県の社会参加促進センターでといいましても、なかなか身体障害者と精神障害者の人々のドッキングというのはいろんな意味でまたギャップもあるし、お互いに協調し得ないいろんな部分もあるわけでありますから、いわば心に障害を持つ人々の問題は別の角度から、これから障害者の社会参加促進センターのようなものが最低都道府県、政令都市へまで拡充していくような方向、またそういう気持ちをぜひ厚生省でも持っていただきたいというふうに思います。
 そして、とりあえずは指定された社会復帰促進センターの中で、いろいろ家族会の皆さんがみずからがプロという思いに立って、これから精神障害者になるであろう人々のためにも、こういう皆さんの経験、体験を使っていくことが私はやはり福祉の心だというふうに思うし、この心の財源を使うことがこれからの抑えた負担の中では大変重要な施策でなければならないという気がいたしますので、ぜひ来年度予算の概算要求の中でも、この辺はしっかりととらまえて頑張っていただくことをお願い申し上げたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
#132
○政府委員(谷修一君) 今、具体的にお触れになりました身体障害者の社会参加促進センターについては、私どももそういうものがあるということは承知をいたしております。ただ、全家連の場合には、確かに全国の精神障害者の家族の方々の集まりではございますけれども、都道府県単位あるいは地域単位ということではまだまだ組織といいますかあるいは団体としての対応がかなりばらつきがあるように思います。
 そういう意味で、昨年の法律の改正の際に、全家連をこういった社会復帰促進センターというような形に指定をするということについて私ども内部でもいろんな議論があったわけでございますけれども、まさに今先生がお触れになりましたように、精神障害者の社会復帰にひいてある意味でのプロの方たち、専門の方たちだという意識も持って厚生大臣が指定をするということに決めさせていただいているわけでございます。
 そういったようにこの問題の経緯ということも踏まえて、私どもとしては、地域における社会復帰対策ということについては、精神障害者社会復帰促進センターの活動を育てるということをまず第一に考えていきたいというふうに考えている次第でございます。
#133
○前島英三郎君 精神保健法がまた五年後、あと三年ちょっとでしょうか、改正というようなことになって、時の流れによってまたいろいろ社会の環境も変わってくるとおのずと法律も変えていかなきゃならぬと思うんですが、そのときには、ぜひ社会復帰施設の設置を地方自治体の義務とするくらいのことは法案に盛り込むべきではないかというような思いもするわけでございます。
 精神障害者の場合は、まだまだ偏見が多うございまして、社会参加したければ、地域生活に入りたければ病気を治して生活や仕事の能力を身につけなさい、そうすれば地域も職場も受け入れますよというのがこれまでの精神障害者への一つの見方であったように思います。変わるべきは精神障害者であり、社会ではないというような意見を言う人もいたりしまして、いろいろな法改正の中で新しいメニューができていきましても、これがなかなか他のメニューの中でともに使われていくような仕組みではない実態というものがございます。
 この健康保険法の改正を一つの機会といたしまして、メンタルな部分で悩み苦しむ人、この人たちもみずから障害者になろうと思った人はだれもいない。また、目まぐるしい社会であればあるほどこういう方々もふえていくという状況、それはここにいるみんなすべてがその予備軍であるという意識を持つことからそういうきめの細かな精神障害者の問題もクローズアップされてくるような気がいたします。
 以上、大浜委員も時間を短縮し、私にも時間を短縮しろという御指示でございますから、最後に厚生大臣の、特に精神障害者の施策に関しての御見解を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
#134
○国務大臣(大内啓伍君) 先ほど来るるお話をよく拝聴させていただきました。私も、昨今一人の精神障害者の御面倒を見るというようなケースもございまして、先ほどの病棟から始まるいろんな問題は非常に切実な問題として拝聴いたしました。
 厚生省といたしましては、これまでさまざまな社会復帰に向けての施策を講じているわけでございますし、また今度の改正を通じまして、診療報酬という面におきましても、身体障害者、精神障害者の社会復帰の促進に対するいろんな措置、例えばグループホームに対しまして医師や看護婦あるいはソーシャルケースワーカーを派遣する場合の診療報酬上の措置等も講じたわけでございます。特に、そういうメンタルの面でいろいろな悩みを持っている方々に対しまして手厚い施策を講ずることが私どもの仕事であると、改めて拝聴させていただいた次第でございます。
#135
○前島英三郎君 終わります。
#136
○清水嘉与子君 非常に時間が限られておりますので、私は看護の問題に絞って御質問をしたいと思います。
 今回の医療保険制度の改正の目玉の一つに、付き添いの廃止ということがあるわけでございますけれども、この付き添いの廃止というのは基準看護をとっていない病院の問題なわけですね。ところが一方におきまして、基準看護をとっている病院につきましても基準看護制度を改正する、見直しをするということになったわけでございますが、一体なぜこの基準看護制度を今見直さなきゃいけないのか、その背景と基本的な考え方をお示しいただけたらというふうに思います。
 そして、この見直しによりまして、医療経済上の影響がどのようにあるんだろうか、そこを教えていただきたいと思います。
#137
○政府委員(多田宏君) 基準看護制度、これは昭和三十三年に病院である保険医療機関が責任を持って看護を行える体制を確立するということを目的として設定されたものでございまして、我が国の看護体制の充実に大きな貢献をしてきたというふうに評価をしているわけでございます。
 しかし、一方で中医協の基本問題小委員会の報告あるいは医療保険審議会の建議でも指摘されておりますように、制度創設以降既に三十年以上を経て、看護類型が大変多岐にわたり複雑化もしている、あるいは基準看護を実施している病院においても介護の面で必ずしも必要なサービスが提供されていないなどの問題も生じているという指摘がございます。また、基準看護を実施していない病院に入院した場合には付添婦等を雇わざるを得ないことが少なくなくて、サービスの質の確保の上でも、また患者負担が重くなっているという点でも問題だという指摘がございます。
 こういった状況にかんがみまして、時代のニーズを踏まえてさらに看護サービスの向上を図るため基準看護制度の見直しを行うということにいたしておりますし、またその中で付添看護・介護の解消を図っていくということを基本的な考え方としているところでございます。
#138
○清水嘉与子君 非常に類型化が複雑になってしまっている、そしてまたそれに応じて必ずしもサービスの内容と適合していないというような御説明でございますけれども、確かに複雑にはなっておりますが、その基準看護制度があることによって各病院が何とか看護婦を採用しようというようなことで努力してきたということも事実でございます。今度の改正によりまして、そうした病院がやってきた努力が果たしてそのまま続けられるのかどうかという不安がございます。それは恐らく、これから看護婦あるいは介護者の料金の設定がある程度なされてくればどういうふうに各病院が考えるかということになると思います。
 そこで、基準看護を見直す今回の診療報酬体系の検討というのが、十月改定となれば今後十月までどのような手順で進められるのか、見直しに当たっての具体的な考え方等ありましたら教えていただきたいと思います。
#139
○政府委員(多田宏君) 今後のスケジュールでございますけれども、スケジュールと言うほどに具体的ではございませんけれども、この法案を成立させていただきました暁には、できる限り早く中医協に正式の諮問をいたしまして、医療機関において準備等もございますので、御審議をいただいて早目に改定告示ということにいたしたいというふうに考えているところでございます。
#140
○清水嘉与子君 今度の改定では、看護婦、准看護婦の要するに有資格グループと、それから補助者といいましょうか、介護者のグループと分けて診療報酬を設定するという考え方ですね。その中で、有資格者の中でも看護婦と准看護婦というのがあって、従来はこの比率がかなり診療報酬に影響があったというふうに思うのですが、つまり同じ比率でありましても、看護婦を多く置くところについてはやはり有利に、有利といいましょうか、ちゃんと料金が設定されるようになるのかどうか、この辺についてはいかがでございましょうか。
#141
○政府委員(多田宏君) 今回の基準看護制度の見直しにおきましては、単に付添看護・介護を解消するということだけではなくて、看護の質の向上を図るということも重要なポイントであるというふうに認識しておりまして、中医協の御議論を踏まえて考えていきたいというふうに考えているわけでございます。
 具体的には、患者の状態に合った看護体制をとれるように、社会保険診療報酬においては、中医協の御議論を踏まえまして看護職員と看護補助職員を別々に評価する仕組みをまず導入する、そして看護婦、准看護婦の配置についても一定の評価を行うということによりまして看護の質の向上に十分配慮していくということにいたしたいと考えております。
#142
○清水嘉与子君 ぜひその辺についてはよろしくお願いをしたいと思います。そうでありませんと、看護婦を確保しようとせっかく努力している医療機関が評価されないような仕組みになっては困りますので、ぜひお願いをしたいと思います。
 それから、一般病院におきましては患者二対一というのが今最高になっているわけですね。ところが、看護協会がこの三月に調べた調査によりますと、特三類をとっている病院では結果的には一・七四対一くらいになっている。では、どのくらいになりたいかといいますと、一対一とか一・五対一くらいの要望が非常に高くなっているわけなんです。つまり、二対一では現場の中で十分対応できていないという実態ではないかというふうに思うのですが、今すぐには無理にしても、将来二対一以上に看護職を手厚くしてほしいという要望があるわけですが、これに対してはいかがでございましょうか。
#143
○政府委員(多田宏君) 特三の水準、二対一ということでございますけれども、それについてもさらに充実を図るということも検討の対象とはいたしたいというふうに考えております。
#144
○清水嘉与子君 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
 次に、看護と介護の問題でございます。
 一般病院におきましては、患者の看護に当たるいわゆる看護チームというのは看護婦、准看護婦あるいは看護補助者という名前を厚生省でも使っておられます。ところが、老人病院になりますと、看護婦、准看護婦と介護職員というふうに名前を変えております。恐らく、長期療養中の老人の場合には、いわゆる生活のお世話といった部分が非常に多いということからそんな名前をつけていらっしゃるのかなというふうに思います。
 しかし、老人病院は医療機関でございますので、当然のことながら患者さんのトータルのお世話をするのはやはり看護チームであろうというふうに思うんですが、その辺について病院では看護補助者、老人病院になったら介護職員というふうに使い分けている意味が何か特にあったら教えていただきたいと思います。
#145
○政府委員(横尾和子君) 従来、病院では、無資格の方の全体の病棟内のチームの位置づけとしては、看護婦さんの補助をするという意味で看護補助者という言葉が便宜的に使われてきて診療報酬上のそういう表現になっていたと思っておりますが、老人病院の看護体制を考えていく中で、特に御指摘のありましたような入院患者の対応ということから考えておりますと、看護職員の専門業務以外の日常生活上の介護サービスというものが非常に重視をされているという認識のもとに、介護職員という扱いにしてきたところでございます。
 もちろん、介護職員であれ看護職員であれ、病棟内での協力関係あるいはチームワークというのは患者さんの立場からしましても欠かせないところでございますので、どちらがどちらということではなくて、全体の看護の場におけるチームワークをどうするかということで業務を遂行していただきたいというふうに考えております。
#146
○清水嘉与子君 今のお言葉なのですけれども、やはり看護婦の仕事というのは、法律の言葉じゃありませんが、診療の補助と療養上の世話と。老人病院におきましても、その具体的な日常生活のお世話はすべてやはり看護婦の仕事の範疇に当然入るわけでございます。しかしその中で、当然のことながら看護婦を助けてくれる職種として必要なわけでございますから、そういう方々とチームを組んで仕事をするのは当然のことであるというふうに思っております。
 そこで、今局長の御答弁にもございましたけれども、チームを組んで仕事をするのはいいんです、当然なんですが、看護婦の場合には病棟の中で患者さん一人一人に対して看護の計画をつくりまして、それに応じて生活のお世話から医療のケアから当然全部やっているわけですが、老人病院の方へ行きますと、どうも看護と別に介護ケアをつくらなきゃいけないようなニュアンスで指導していらっしゃるように思うのですが、果たしてそういうことでいいんだろうか。
 医療機関の中でございますので、一体の看護ケアの中に介護の部分がたくさんあるわけでございますから一緒に仕事をするということはもちろんでございますが、何度も申しますけれども、その辺は現場の中で非常に混乱いたしますので、やはり医療機関の中では看護計画の中で、当然そういった日常生活のお世話全部含めた計画の中で仕事を担当してもらう、分担してもらうというふうな方針を出していただきたいというふうに思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
#147
○政府委員(横尾和子君) 老人病院でありましても、病院である以上病棟内は全体として医学的管理のもとに行われているわけでございまして、その中でさまざまなスタッフの方が、例えば看護婦さん以外にもOT、PTあるいは薬剤師さん、栄養士さんという方が働いているわけで、全体として機能面での調整というのが必要なのではないかというふうに思っております。
 たた御指摘のように、介護の職員と看護の職員との関係につきましては密接な連携は必要であり、また患者さんそれぞれについてどういう看護・介護の計画が必要かということも共同してやっていただく必要があろうというふうに思っておりますが、すべてが看護助手というような働きではないのが今後の老人病院のありようではないかと考えている次第でございます。
 ただ、お話のありました介護計画のことにつきましては、恐らくいわゆるケアプランと言われている個別介護計画の問題であろうと思いますが、私どもがこれまでいろいろなモデル事業として進めていく中では、ケアプランを立てる主軸になっていただく方は、老人病院の場合も老健施設、特別養護老人ホームの場合も看護婦さんがやはり主力になっていただいたということがございまして、それは全体として介護の計画ではございますけれども、やはり看護婦さんのお力添えというものが現場では欠かせないものだというふうに理解をしております。
#148
○清水嘉与子君 これを議論しておりますと余り時間がなくなってしまいますので、現場で余り混乱させないように、ぜひその辺をよろしくお願いしたいというふうに思うのです。
 実際に老人病院で看護婦と介護職がどんな業務分担をしているか見ていますと、やはり医療的なものはもちろん看護婦ですが、日常生活の中でも介護の方々がやってくださっている部分はかなりたくさんありますね。ですけれども、例えば同じ食事の介助とか清拭だとかだれでもできそうなことであっても、この患者さんにとってはやっぱり看護婦じゃなきゃできないという部分があるわけでして、そこの判断はやはり看護婦がしなきゃいけないというふうに思うのです。ですので、ぜひその辺のところを御理解いただきまして、うまく仕事ができればいいわけですし、私も余り補助者という名前を使いたくない、もっといい名前を使いたいという考えはあると思いますが、それはもう別にこだわりませんけれども、ぜひ現場の中で問題がないようにしていただきたいというふうに思う次第でございます。
 次に、付き添いの問題なのですが、五十五万床のその他看護の病院の付き添いをなくさなきゃいけないという問題でございますが、つまり付き添いをなくすために院内化を図ろうという話ですね。そのとき一体ここにどのくらいの人間が必要なのでしょうか、教えていただきたいと思います。
#149
○政府委員(多田宏君) 私どもの試算でございますと、看護職員が約三千人、看護補助職員が約六万人というふうに考えております。
#150
○清水嘉与子君 これはあくまでも例の看護職員六対一、それから介護者が六対一というふうなことを当てはめて出てくる数と考えてよろしいですか。
#151
○政府委員(多田宏君) これにつきましては、一般病院においては患者二人について看護・介護職員一人の体制づくりを、それから老人病院については患者三人に一人の体制づくりを推進するという考え方を基本といたしまして、一定の仮定のもとに試算をしたものでございます。
#152
○清水嘉与子君 基準看護がとれない病院の中で今村き添いの問題が出ているわけですが、今の数、看護婦が三千人、補助者が六万人という数は何か少しおかしいんじゃないかという感じを持ちます。
 それは確かにある程度の看護婦なり准看護婦の数が要るからだろうというふうに思いますが、付き添いをなくして看護・介護サービスの整った病院にするんだという今度の改正でございますけれども、例えば老人病院にいたしましても有資格者が六対一。ちょっと考えていただきたいんですが、例えば五十床のところに六対一といったら九人くらいです。そうしたら、九人絶えずいるわけじゃありませんから、交代制勤務をしますから、それはせいぜい夜勤に一人看護婦か准看護婦がいるかどうかという感じの数でございます。
 それで、今度は補助者を同じような数つけようというわけですから二人くらいになるわけですが、それで付き添いの負担をなくして本当に安心して入院できる看護・介護サービスの整った病院というふうに言えるかどうかというと、まだまだお寒い状況ではないかというふうに思うんですね。数がある程度限られているわけですから、その数の少ないところは補助者を多くとるということではなくて、私は、老人病院にあっても足りないのはやっぱり看護職員が足りないんじゃないかというふうに思いますので、その辺の充足をぜひよろしくお願いしたいというふうに思うのです。
 病院が努力してリハビリをして歩けるようになって帰した、ところがその患者さんがまた老人病院に入って寝たきりになってしまうとか、それから退院した患者さんがどこへ行ったかと思ったら、何かまた病院を二つ三つぐるぐる回しにされて褥瘡が出てくるというふうな話を大変みんな残念に思っているわけでございます。やはりニーズの足りないところ、そして看護婦の足りないところではそういった状況がまだまだあるんじゃないかというふうに思いますので、ぜひこの辺について、付き添いを廃止といいましても、厚生省でも相当十分な配慮をしなければこんなふうに人が置けないんじゃないだろうかというふうに思うわけですので、よろしくお願いをしたいと思います。
 それから、先ほど来問題になっておりますけれども、こういうことによって付き添いをしている方々が職を失うというような深刻な問題になるわけでございまして、三月から厚生省、労働省の中で連絡調整会議が開かれた、そして五月あるいは六月にはもう方向を出すというふうなことでございますけれども、そこの検討の進捗状況をぜひお聞かせいただけたらというふうに思います。
#153
○政府委員(多田宏君) 家政婦対策等連絡調整会議におきまして種々協議を進めているところでございまして、もう近々にはまとまると思いますので公表できるのではないかというふうに考えております。
#154
○清水嘉与子君 ぜひいい結果を期待したいというふうに思います。
 そこで労働省に対して、労働省でも直接付き添いの方々の所管をしておられていろんな心配を聞いていらっしゃると思うのですが、新しいこの平成六年度の予算でもいろいろと再就業対策をしているというふうなことをさっき大臣も本会議でおっしゃっておりましたけれども、少しその辺について具体的にどんなことを考えているのかお話しいただきたいと思います。
#155
○説明員(中井敏夫君) 今、先生御指摘の家政婦さん、今まで病院で働いておられました方、いろいろな職域に影響を及ぼすわけでございます。ただそうは言いましても、こういう人たちは長年の経験をお持ちでございますから、今厚生省の方のお話がありましたけれども、今後ともそういった形で病院等で有効に活用していただく手だてというのが一つございます。
 それからもう一つは、家政婦さん、今後は在宅介護分野というのが非常に多くなると予想されるわけですけれども、そういったところにもできるだけ働いていただきたいということでございます。そのためには何よりも資質の向上ということが必要で、今回も大幅に対象人員であるとか時間をふやすとかそういったこともしております。
 それからもう一つは、企業が従業員の介護需要に対していろんな助成をしております。そういったものと関連いたしまして、企業と紹介所の団体が提携して介護クーポンという制度を設けまして、企業の従業員に対する援助をこちらが助成する、そんなようなことを予算で措置しております。
#156
○清水嘉与子君 新しいことをいろいろ考えてくださっているようですが、いずれにいたしましても、病院の中で働く場所が得られなくなりますれば、当然のことながら地域に出てこなきゃいけないわけです。いろいろと資質の向上等で研修もしていらっしゃるようですけれども、片や厚生省におきましてもヘルパーさんの教育を相当していらっしゃる。しかし、どうもそこに共通する土台がなくて、こちらで研修してもこちらでは働けないというようなことの不満が出てきているようでございますので、ぜひその辺につきましては、どこで研修を受けましょうと必要なところで働けるような仕組みを、それはもう恐らく今度のまとめでいい方向が出るのかもしれませんけれども、厚生省、労働省でぜひ十分御検討いただきたいというふうに思っております。
 それから次に、訪問看護の問題なんですが、今回の改正によりまして老人以外にも訪問看護療養費が創設されることになったこと、大変うれしく思っております。ただ、対象になる患者さんなんですが、例示として末期がんでありますとか難病とか重障とかありますけれども、この対象はかなり限定されるんでしょうか、それとも医師の指示があればかなり広く広げられるんでしょうか、教えていただきたいと思います。
#157
○政府委員(多田宏君) 現在もがんの患者さんなんかにつきましては回数制限等もないというようなことで、かなり弾力的な対応をしているところでございますけれども、今回広げようとしているこの部分につきましては、難病患者、精神障害者、在宅の末期がん患者、重度障害者、初老期の脳卒中患者等が対象になると思いますけれども、それに限定ということではございませんで、「居宅ニ於テ継続シテ療養ヲ受クル状態ニ在ル者」ということで、被保険者等の状態で判断をすることにいたしているわけでございますので、先ほど申し上げたような対象が中心にはなろうというふうに考えているところでございます。
#158
○清水嘉与子君 ぜひ実効性のある形でやっていただきたいと思います。その辺のところについては恐らく医師の判断というのが相当出てくるんだろうと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 この場合には、診療行為ごとにあるいはやってくる内容によって料金が設定されますでしょうか、それとも老人の訪問看護療養費とほぼ横並びのような考え方でよろしゅうございますか。
#159
○政府委員(多田宏君) 基本的には老人訪問看護療養費の考え方を基本とするということを考えておりますけれども、これまでの経験を踏まえまして、重陣の患者に対する訪問回数であるとか、あるいは末期患者に対する訪問看護の評価といったようなところには改善を加えていきたいということで、今後中医協の御議論を踏まえて対処してまいりたいと思っております。
#160
○清水嘉与子君 ありがとうございます。
 ぜひそれはお願いしたいというふうに思っていたのですが、老人訪問看護ステーションをやっている経験からいろんな要望が出されてきております。今おっしゃったような重障患者へのサービスの問題でありますとか、あるいは二十四時間、深夜だとか時間外サービスのときの評価でありますとか、医療処置の必要性が高い患者の訪問看護回数の制限の問題でありますとか、それからこんな話も聞きました。患者さんから訪問に来てくれと言われる。初めに行くわけですね、訪問に。そしてその状況を見て、訪問が必要かどうかということを今度医者につなげるという作業をしているわけですが、そのとき相談事業には何もペイされないわけですね。そのようなこともいろいろ細かいことが出ておりますので、ぜひまた、相当経験も積み重なったと思いますので、十分に御配慮もちょうだいしたいというふうに思っております。
 それからもう一つは、これも私は何回かお願いしていることなのですけれども、訪問看護事業者として指定される者はかなり限定されているわけですけれども、現に看護婦さんたちで全国何カ所か、こういった仕事を自分たちで本当にやりがいを持ってやっている人たちがふえてきております。それは個人というのはやっぱりまずいと思いますので、何らかのきちんとした形で認めるという形がいいと思います。そういう意味で、例えば看護法人のような法人格を認めるようなことができないかとか、そしてもっとぐっと思い切って広げるようなことができないかというようなことを希望として持っておりますので、ぜひこれは御検討いただければというふうに思います。
 それからもう一つは、ターミナルケアの問題なんですが、これから恐らくもっと深刻なターミナルケアが必要になってくると思うんですね。そこで、全国でも多少の取り組みがあるわけですけれども、このターミナルケアに際して一体看護婦にどこまで医療行為が許されるのかとか、医師の指示との関係でありますとか、看護婦の責任の問題だとか、いろんな深刻な問題が出てくるというふうに思うのです。
 やはりそこまで広げませんと、在宅ケア、ターミナルケアは広げられませんので、これは推進しなきゃいけないと思うんですが、ぜひそのことについて検討をしていただけないだろうかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
#161
○政府委員(寺松尚君) 今の先生の御質問は、在宅のターミナルケアにおきまして看護婦の役割というんでしょうか、そういうふうな御趣旨の御質問だと思います。私どもは、ターミナルケアにつきまして総合的に今いろいろと検討をいたしたり、あるいは検討会を設けていろいろ御審議いただいたりしておりますので、特に看護婦の問題について御指摘がございましたその辺も含めて研究してまいりたい、このように思います。
#162
○清水嘉与子君 最近は、在宅でも医療が受けられるというキャッチフレーズでマルチメディア孝利用した在宅医療の構想が話題になってきております。こういったことに対しては医師法との関係とかいろんな問題があると思いますが、もしうまく利用できればこの訪問看護なども相当進むのじゃないかというふうに思っておりますので、時間もなくなりましたが、これはぜひ御検討をちょうだいしたいというふうに思っているところでございます。恐らく、うまくいけば医療費節減にも相当影響が出てくるんじゃないだろうかというふうな期待があるわけでございます。
 もう時間がなくなりました。最後の質問なんですが、今回の改正では特に看護関係の改正が多うございました。毎回診療報酬の改定では看護料の改定が出てきているわけでございますが、こういったものを審議します中医協にずっと要望しておりました。看護婦の代表を出すということをお願いしてきたわけでございますが、なかなかこれが難しい情勢にあるようでございます。
 昨年の予算委員会におきましても、大臣に対して私が質問をしましたところ、中医協の構成そのものについて根本的に考えたいというような前向きの御答弁をちょうだいしたんですけれども、まさにこれこそ規制緩和じゃないかというふうに思うんです。こんな大きな問題を全く知らないところで検討するよりも、もっとオープンにして検討するような仕組みをつくっていただきたいというふうに思っておりますので、この辺について最後に大臣に御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#163
○国務大臣(大内啓伍君) この前もその御質問を賜りまして、その問題は各方面からもいろいろ要請がございますので検討はしたいということを申し上げたのでございます。
 よく御案内のとおり、今中医協の組織構成につきましては法律上の決まりがございますだけにそう簡単な問題ではございません。しかし、皆様方看護婦の抱えている諸問題というのもある特殊な分野でございますし、非常に大きな分野でございますので、私どももそういう方々の意見というものが何らかの形で中医協に反映されるということは非常に重要だと思っておりますので、今後とも検討課題にさせていただきたいと思っております。
#164
○清水嘉与子君 よろしくお願いします。ありがとうございました。
#165
○今井澄君 日本社会党・護憲民主連合の今井澄でございます。
 大臣、政府委員の皆さん、それから委員の皆さん御苦労さまでございます。けさからずっと予算の審査、それから本会議、そしてまた午後の審議と、昼休みもお昼御飯を食べる暇もなく本当に頑張っていただき、特に大臣には本会議中もずっと御社席で大変御苦労さまでございます。
 本日、この健康保険法等の一部を改正する法律案の審議につきまして私は質問させていただくわけですが、まず最初に大変気持ちが重いということを申し上げておかざるを得ないと思います。
 この問題につきましては、私自身もずっと医療現場でやってきた立場から、特にこの成人病の時代にあって食事というのは何にもまして重要な治療の手段である、薬よりも何よりもまず食事であるということから、病気の治療のみならず予防ということについても自分自身が保健婦、栄養士の皆さんと一緒にやってきた立場から、こういったものが保険給付の対象から外されるということについて非常に違和感と申しますか、大変なことだという考えを持ちまして、昨年来ずっとそれなりに頑張ってきたわけです。
 しかし、その過程で多くの方々とディスカッションをし、厚生省の皆さんなんかともディスカッションをする中で、保険給付の対象からは外さない、保険給付の範囲内であるということです。それからもう一つは、入院に伴う追加的な事項ではないという表現ですが、これは確かに家にいても食べているものである。確かに治療の一張ではあるけれども、自宅でも皆さんちゃんと食事療法をやっているとか、あるいは端的に申しますと、社会的入院と言われる本当は医療の対象ではないはずのお年寄りが病院に長くいて、そうすると家にいる人との間のバランスを欠くとかいうことで、いろいろ考えまして私もこの法案には賛成するという基本的な立場で審議に参加したいと思うんです。
 しかし、例えばここにちょっとお見せいたしますが、これは私のところに来たきのう一日のはがき、電報、ファクス、手紙なんです。ほかの委員の先生方のところにも、皆さんこういうのが来ていると思うんです。この中にはもちろん、印刷されたようなもので定型的なことが書いてある断固反対とかなんとかいうのもあるわけですが、例えば年金生活者の方がきちっと自分の筆で、大変つらいというふうなことを切々と訴えてきておられるのもある。特にこの寄せてこられた方の中に共通にあることは、要するに徹底的な審議を尽くしてない、国民の意見を聞いてないということなんですね。
 翻って考えてみますと、これはもうざっくばらんに申し上げたいと思いますが、私自身もこの入院給食の自己負担化の話というのはせいぜい一年ぐらい前ですか、大体そんなころに具体的な話として挙がったと思いますし、早速栄養士会の皆さんが反対運動を起こして、昨年あたりはあちらこちらで陳情を受けるというところから始まったわけです。率直に申し上げまして、その当時の目的というのは、今年四月の診療報酬改定の財源探しと言ってはちょっと語弊があるかもしれませんけれども、そういうところから始まっていって、だんだん付添看護という非常に重い自己負担、保険外負担を解消しようというあたりに一つの解決の道を見出したというふうな経過だと私は率直に思っております。
 そういう意味では昨年の秋ごろからですね、こういう話が国民の皆さんの耳に入り出したのは。やはり十分納得していただけるような議論を尽くすには時間が足りない。しかも、今国会はまことに不正常でありまして、これは先ほどから自民党の先生方が一生懸命努力されて、今夜十時、十一時にならないように、せっかくの質問時間を節約して縮めておられるようですけれども、本当に異常な国会だと。ナイターをやり昼間やり、きょうだって昼御飯の時間もなく、夕飯を食べる時間も恐らくなく、この後すぐ本会議に行き、またここへ戻ってくるということになると思うんです。
 我々自身、十分審議を尽くせてない。これだけ重要な問題ですから、やはり参考人とか公聴会とかをやるべきですけれども、それもできない。こういう状態の中でこれを審議しなければならないということは、非常にやはり国民の皆様にとっても申しわけない。私は、十分議論すれば納得していただける面はあるだろうと思うんです。私自身がこの一年間の中でだんだん納得してきたように、納得すべきものはあるというふうに思いますが、そのことがやっぱり大変気になるし気が重い。しかし、この法律をここでそれでは時間をかけてやるということになりますと、十月の看護や介護の診療報酬の改定、体制の改定を含めてできないということになりますと、やらざるを得ない。こういうふうな非常に重い気持ちでやらざるを得ないということを最初に申し上げて、皆様方も共通の点があるだろうということをまず訴えかけておきたいと思います。
 そこで、これから質疑に入らせていただくわけですが、あらかじめ準備しました質疑の項目につきましては、けさからの審議の中でまた本会議での質疑の中で相当部分がもう既に取り上げられたということ、あるいは御返事をいただいたということがありますので、できるだけ重複を避けたいと思います。と同時に、重要な問題については重複になるかもしれませんがまた私自身の口からもお伺いして、短くて結構ですから確認をお願いしたいということもございます。そこで、あらかじめ質疑通告をいたしました内容と異なってくることがあるかもしれませんので、大臣や政府委員の皆様方にはちょっと御迷惑をおかけするかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
 そこでまず最初に、この法案の審議に当たっては、入院の給食費とこれまで言っていたわけですが、これを自己負担化する、定額の自己負担化することの目的と意義は何か、端的に大臣から御答弁をいただきたいと思います。
#166
○国務大臣(大内啓伍君) 社会保障制度というのは、その国々によって歴史、いろいろな経過の積み上げ等々がありまして異なるわけでございますし、また同じ国におきましても、その国の国力あるいは国民の意識によって随分変遷をしてくるわけでございます。
 私どもが今直面している二十一世紀に向かっての大きな流れというのは、諸外国に例を見ない速度で進んできている超高齢化社会にどう対応するか、それへの対応のための社会保障制度というものは給付、負担の面でどういう役割分担が必要なのか、非常に変革期の中で一つの検討を求められてきているように思うのでございます。
 それだけに、今まではこうであったという議論だけではなかなか済まない問題がございまして、その意味で今先生が御指摘のように、そういう変革期に対応する今後の社会保障のあり方について、国民の皆様に十分御理解をいただくような手だてを講ずることが非常に大事になってきているという御指摘はそのとおりでございます。
 私どもが今考えておりますのは、何といっても年金、医療、福祉という社会保障の三つの骨格的な部分におきまして、税や保険料やあるいは自己負担という形でそれぞれ適正な、あるいは納得し得る、あるいは国民のコンセンサスを得ることができるようなシェアリングをどうするかという問題に直面いたしましたときに、この入院時の食事の問題についての定額負担というものはやはりこれからの社会保障制度を構築していく上で大事な要素になってきたと。私どもはそういう自覚に立ちまして、国民の皆様にとっては大変な御負担をいただくわけでございますが、社会保障というのはそういう事態を今迎えているんだ、お互いに助け合い犠牲を払いながら構築していかなければならない事態に直面しているんだ、その各論の一つが入院時の食事の定額負担という問題であるというふうに理解をしているわけでございます。
 しかし、私どもがその中で考えましたのは、定額の自己負担をしていただきますが、それは給食の最も基礎的な部分、つまり追加的な負担にならないという原則を一つ考えていかなきゃなりませんし、もう一つは保険料給付の範囲内においてこの問題を考えるという、この二つの原則は貫かなければならないということで八百円、六百六十円、三百円といったようなことお願いしたわけでございます。
 それはもうるる御説明を申し上げておりますように、入院時の食事につきましては入院医療に不可欠な要素であることからいたしまして、今申し上げましたように、また先生が御指摘のように医療の一部であるという認識も持ちながら、保険給付の対象としつつ入院患者と特に在宅患者との間の負担の公平を図る。と申しますのは、恐らくこれから入院患者の多くの方々が在宅において医療を受けるというケースがふえてくるであろうし、またそのことが特に高齢者の皆様にとっては医療という面でも好ましいことであろう。そういう一つの傾向を考えてみますと、在宅で療養される方と入院で療養される方との間にそういう面で負担の公平を図る、また施設間におきましても公平化が求められている、そういう意味から実は入院時の食費について定額の自己負担を導入するということを提案させていただいたわけでございます。
 これらの改革というのは、冒頭に申し上げましたような二十一世紀の本格的な高齢化社会を控えまして医療保険制度の中長期的な安定を図り、医療サービスの一層の改善を目指すという面で避けて通ることができない、やはりやらなければならないことである、そう私どもは考えたわけでございます。
 先ほど来先生が御指摘のように、それらの点について国民に対して十分な理解を求めるような論議や審議というものが不足しているという御指摘については、これは素直にそういう面があることは認めざるを得ないと思うのでございます。しかし、これは全体的な改革の一部でございますだけに、短時日の中にありましてもぜひ国民の皆様に御理解を賜りたい、こう思っている次第でございます。
#167
○今井澄君 確かに、在宅と入院との負担の公平を図るというのは、私はそれなりに一つの説得力を持つ考え方だろうと思います。
 ただ、公平という意味で言いますと、この狭い日本の中にもいろいろな地域があったり、いろんな階層があるわけですね。私などは長野県の出身ですから、長野の自分の住んでいるあたりの方のことはわかるわけですけれども、例えば国民生活基礎調査ですか、それで平均的な食事の材料費が八百円ぐらいだというけれども、とてもそんなに使っているとは思えない。特に家庭菜園なんかやっていれば、一日の食事の材料費にそんなにかけてないという人はかなり大勢いるんですね。それから、家族構成によっても全然違うので、一人暮らしの人ですと家で食べる分が入院すれば家で食べなくなるわけですからいいんですけれども、家族の場合は一人ふえるか減るかで材料費はそんなに違わないという面だってあるわけです。
 また、お年寄りの場合は果たして八百円でいいのかということもありますし、それから赤ちゃんはじゃ一体どうなるのかというふうなこともあります。都市のサラリーマンですと、今まで外食で食べていた、一食それこそどんなに安くたって八百円とか六百円とかで食べているものが入院すればなくなるわけですからそれはいいということにもなるわけですが、その辺にもいろいろな不公平がまだ残ったままだということをやっぱり意識しなければいけないだろうと思うんです。
 ですから、公平ということはいいにしても、制度としては非常にそんな複雑なことはできませんので全国一律ということにはなりますが、相変わらずそこの不公平ということは必ずしも達成されないで残るということも考えた上でなければならないと思うんです。
 そこで、ちょっと飛び入りの質問で申しわけないんですが、今老人医療の上乗せ事業をやっている市町村、もう非常に少ないと思いますが、ありますね。それで乳幼児の無料化、これはほとんどすべての市町村がやっているんでしょうか。そうすると、そういう人たちの入院の場合の食事代は一体だれが負担することになるんでしょうか。
#168
○政府委員(多田宏君) 一般的に公費負担医療で賄われている入院費につきましては、これは患者さんが直接に負担するということではなくて公費負担医療の方で大半カバーをしていくということになりますので、例えば結核、精神の命令入所、あるいは措置入院というような形のものは、これは公費でそこを埋めていくという形になろうと思います。
 地方自治体の方で任意にやっていただいている部分というのは、私どもの今回の趣旨というのが負担の公平というところにあるわけでございますので、そういう意味からいきますと原則的には八百円、経過的には六百円ということでございますけれども、これは御負担をいただくというのが原則になろうと考えております。
#169
○今井澄君 そうすると、乳幼児の無料化というのは地方自治体の責任において行われているわけですが、これは自己負担の方向で厚生省としては指導される、こういうふうに理解してよろしいわけですね。
 そこで私は、本日この自己負担の問題を、付添看護という十万円を超えるような大変重い自己負担が解消されると、解消しようということで今回の改正案があるわけですから非常に好ましいわけですが、それにもかかわらずまだいろいろ自己負担があるという問題についてちょっと取り上げていきたいと思います。
 ただその前に、労働省の方がお見えなんですが、そこへずっと座っておられるのもお気の毒なんで、ちょっと質問を飛ばしまして、最初に家政婦問題についてお尋ねをして、自己負担の問題に戻りたいと思います。
 先ほどから清水委員の御質問にもありましたし、本会議での質問もありました。今、付添婦をやっておられる方、これは登録数だけで十六万人と言われる家政婦の皆さんが失業するんではないだろうか、あるいはこの家政婦さんを派遣している紹介所、これが廃業に追い込まれるんではないかということで大変現場の皆さん心配しておられるようですが、先ほどからのお話をお聞きしますと、できるだけ病院の介護職員になれるように、あるいはこれから進む在宅医療の中でいわゆるホームヘルパーとして働けるようにというふうなことでいろいろな施策が行われているということなんですね。
 ただ、そうは言いましても、先ほどからいろいろお聞きした制度、研修、そういう中で努力がされているというお話ですが、一説によりますと、家政婦さんの中には集中的に短期間働いて収入を得るという、一種の出稼ぎと申しますかあるいはそれに類する方が多いので、これを機会にもう見切りをつけて国に帰っている方が多いとか、あるいはどうも高齢化が進み過ぎているので今さら病院の中の看護補助者と申しますか、介護職員はできないんではないかというふうなことを聞いているんですが、その辺の実態はいかがなものなんでしょうか。先ほど七万人というお話があったり、必要なのは六万人というお話があるわけですが、それと現在登録されている家政婦さんあるいは看護婦さん十七万人との間の関係をどう見ておられるか。
 それから、もう一つは紹介所ですけれども、紹介所は非常に零細なところが多いわけです。職業紹介というのは非常に限られた職種について許可されているんだと思いますが、いわゆる派遣業というものにくらがえでもしない限りこれからの雇用関係の中で、先ほど会社のお話は介護クーポンでお聞きしたんですが、例えば市町村が行うホームヘルプ事業に紹介所が請負みたいな形でやるというのは恐らく法的にできないだろうと思うんです。
 そうすると、今後派遣業として脱皮を図っていく方向があるのかないのか、また派遣業として脱皮を図る場合に紹介所の皆さんが今大変心配しておられるのは、零細なものですから大資本とまで言わなくてもそういう大きな規模の派遣業に駆逐されてしまう、競争で勝てないという心配を持っておいでのようですが、労働省の方でその辺について実態とか今後の方向、お考えをちょっとお聞かせいただければと思います、
#170
○説明員(中井敏夫君) 今、家政婦紹介所の紹介で就労しておられる方で実際に付き添いという仕事をされている方は、私どもの調査で大体十一万人ぐらいというふうな数字が出ております。
 先生御指摘のように、確かに働いている方は高齢の方も多うございますし、これを機会にという話があるかもしれませんが、ただ私どもとしては、長年そういう介護ということに従事をされた方でありますし、またそういうシステムといいますか、家政婦紹介所システムというのは今後在宅の介護とかいろんな分野でやはり有効に機能すべきであるしまたするものであるというふうに基本的には思って、それに対する援助というふうないろんなことを考えております。
 それから、もう一つは派遣の問題でございますけれども、労働者派遣法におきましては、専門的な分野とかあるいは技術経験を有する分野とかで限定的に今十六業務ということを指定しております。ただ、派遣業務をどんどん拡大していくということは、実は労働者の保護とか福祉の増進というところからも十分注意しなければいけないところでございます。今、適用対象業務の見直しということもこれから一応法律の制定の経緯の中でありますものですから、制度の運用を見ながら、それからまた私どもでは具体的に関係労使の意見を聞きながら審議会の議を経て決めるということになっておりますから、そういった労使の御意見も伺いながら検討してまいりたい、そういうふうに思っております。
#171
○今井澄君 労働省の方には御苦労さまでした。もう結構だと思います。
 先ほどから御報告ありますように、厚生省と労働省との間でこの問題をめぐって連絡調整会議ですか、おつくりになられてやっている。私は、今の縦割り行政の弊害を言われる中で非常に先駆的な試みだと思いますし、近いうちに報告が出るということで、特に今後労働省、厚生省は密接な連携があると思いますし、一部では省庁を減らせというような、労働省と厚生省は一緒にしてしまえという意見もあるぐらいですから、ぜひ今後ともそういう連携はとっていただきたいと思います。どうも御苦労さまでした。
 さてそれでは、自己負担の問題についてちょっとお尋ねいたしますが、まず最初に問題の整理のために、保険制度の中における自己負担というのがあると思うんです。例えば保険給付の何割負担というような負担とか、あるいは保険財政では見ないけれども保険制度全体の中では制度づけられている、例えば高度先進医療の自己負担分とかあると思うんです。そのほかに、そもそも保険制度の中でこういう負担は認めてないという負担もあると思うんです。
   〔委員長退席、理事菅野壽君着席〕
 ですから、大きく分けますと、保険制度の中におけるそもそもの負担と保険外に出た負担、それと保険制度で認めてない負担、こういう自己負担について、まあ一番最後のは厚生省としては答えにくいかもしれませんけれども、現にあるわけですから、ちょっと整理してどんなものがあるのかお答えをいただければ幸いです。
#172
○政府委員(横尾和子君) 制度的に認められている自己負担は、今先生がおっしゃったような高度先進医療の自己負担等々があるわけでございます。それから、保険外の負担というふうにおっしゃいましたが、例えば室料差額のように保険外ではあるけれども負担が認められている部分というのがあります。
 認められてない保険外負担というのが比較的老人病院等で問題になっているわけでございますが、本来保険給付の対象であるにもかかわらず保険外負担、患者負担の押しつけられるようなものとして従来存在して、典型的な例がお世話料というような表現でされてきたものだろうと思っております。
 また、認められている保険外負担としては、保険給付の医療の直接の対象ではないけれども、理髪であるとかおむつであるとか実費を徴収してよい物品あるいはサービスというのは認められているところでございます。
#173
○今井澄君 今の御説明の中で、もう一つ最も根本にある被用者保険本人の一割負担とか、国民健康保険の三割負担とか、こういうのもあると思います。
 また、実は今度の食事療養費というものの創設によって、例えばこれは厚生省の資料によりますと、国民健康保険制度ではそもそもお年寄りが多いとかそういうこともあるわけですが、平成四年度の入院患者については、一件当たりの平均入院日数が十九・六日で、費用が三十・八万円ということで、入院患者は平均してみんな高額療養費制度にひっかかっているわけです。ですから、六万三千円ずつは自己負担をしているという状況にあるわけです。
 ところが一方、被用者本人の場合には入院日数も少ないし、費用は結構がかっているわけですが、負担が一割負担ですので三万二千円ということで高額療養費にかかってない。これに例えば六百円、三十日、この平均でいけば十四日ですけれども三十日とあえて計算しても、三、六、一万八千円ですか、これを足すと五万円。
 そうすると、同じような病気ではないにしても、被用者保険本人が入院した場合の平均値で見た場合には今の高額療養費制度の枠内で、枠内というのは要するに額の面でですけれども、その枠内でおさまっている。五万円でおさまっているのに、国保の場合には六万三千円払って、そのほかにさらに三、六、一万八千円払わなきゃならぬ。ここに非常に自己負担の面で不公平が起こっているんですね。
 そうしますと、やはり健康保険制度が今幾つも分立していて負担の割合が違う。自己負担の割合が違う。
   〔理事菅野壽君退席、委員長着席〕
 このことが、先ほどから負担の公平というふうなことが言われている中で非常な不公平を生んでいるという事実があると思うんです。この辺では保険制度の一元化ということを考えなければならないと思いますが、厚生省の方も一元化ということは随分言っていたんですが、最近ぴたりと言わなくなってしまった。この辺について、自己負担をできるだけ公平化しようという点からはどういうふうにお考えでしょうか。
#174
○政府委員(多田宏君) 先生御指摘のような、制度の分立に伴います給付率の差というものを二十一世紀まで引きずっていくということはいかがなものかということは、私どももそう考えております。
 医療保険審議会では、今回の改正は給付内容の見直しでございますが、その次のテーマとして給付と負担のあり方の公平化ということをテーマにして審議をしていただくことになっております。その前に国保の問題を一つ片づけてのことになると思いますけれども、そういう流れになっておりますので、これから精力的にこの問題に取り組んでいくことになろうと考えております。
#175
○今井澄君 今度の入院時食事療養費の定額自己負担の問題で、改めて保険制度の中での自己負担の不公平ということが厚生省の数字でも出てきたわけですので、ぜひその点はお願いをしたいと思います。
 さて、今横尾局長さんの方からお話がありました自己負担の典型的なものとして室料がございます。室料差額が取れる条件、どういう場合に取っていいかということについて、厚生省の現在の公式の見解をとりあえずまずお聞かせいただきたいと思います。
#176
○政府委員(多田宏君) 現在の制度でございますが、特別の病室の提供ということで個室または二人室につきまして、病床割合は原則として国以外のものは二割、国は一割、都道府県知事承認及び特定承認保険医療機関三割、大臣承認五割と。
 それから、療養型病床群に係る特別の療養環境の提供というので、四人室以下一人当たり六・四平米以上云々ということでやってきておりましたけれども、今回、特別の療養環境の提供ということで整理をいたしまして、四人室以下一人当たり六・四平米以上、そして病床ごとのプライバシーの確保を図るための設備の整備、それに民間及び特定機能病院は五割まで、国または地方公共団体は二割までというフレームで差額といいますか、それを取れるようにしているところでございます。
#177
○今井澄君 昨年の通常国会のこの厚生委員会で、特別の療養環境とプライバシーという名目ですけれども、四人部屋でもカーテンで仕切ればいい、差額取ってもいいみたいなのほかなりいい加減ではないかということを申し上げたんですが、それはここでは改めて蒸し返さないことにしますが、ことしそれが一般の病院にまで広がったということについて私は大変問題だと思っているわけです。
 前もって資料としてお渡ししましたが、これは私の知り合いが東京周辺のある大学病院に紹介されて二カ月入院したんですが、十日に一回ずつ請求書が来ます。その請求書、十三万五千七十円ということなんですが、この中に室料が四万八千円、つまり一日四千八百円なんですね。これは七人部屋なんですよ。大学の付属病院の七人部屋で一日四千八百円取るのは、これは法的にはどうなんですか。
#178
○政府委員(多田宏君) 現在、特別な料金の徴収を認めておりますのは四人部屋までということでございます。したがいまして、七人部屋で差額を取るということは認められないわけでございますので、保険医療機関の指定の更新に当たって十分な改善がなされた上で再指定を行う等の措置も考慮するなど、指導の徹底を図っていきたいと考えております。
#179
○今井澄君 ただ、この大学病院は必ずしも悪徳だとか特異な病院ではなさそうで、こういうところが幾つもあるらしいんですね。大変問題だと思っております。
 さてそのほかに、やはり現在の制度では認めていない、特に老人病院における自己負担の問題としていわゆるお世話料というのがずっと問題になってきているわけで、厚生省もたびたび通知を出したりして、いわゆるお世話料とかあいまいな名目、例えばお世話料、管理協力費、雑費等で費用徴収を行ってはならないということを言ってきているわけですね。私の友人が、これも東京都近郊をずっと茨城から静岡まで十幾つの病院をいろいろ調べてみたんですが、あいまいな名目で取っていない老人病院が一つもなかったんですね。
 それともう一つ、厚生省の方で指導されているのは、これは衆議院の厚生委員会でもつい先日局長さんが言われましたけれども、一部負担金を取るときにはちゃんと患者さんに明示しなさいということですね。掲示なりなんなりで明示しなさいということを指導しておられるというんですが、大抵は口頭なんですね。一体幾らかかりますかと言うと、大抵の病院は管理費が幾らとかおむつ代が幾らとか、こういうのを口頭でしか言わないわけですね。普通一般的に多いのは、一日三千円から五千円ぐらいをあいまいな名目で取っているというのがほとんどでした。
 中にはちょっとひどいところがあるんですけれども、こういう取り方をしているんです。何か入院の一部負担金ということで、これは名目が余りはっきりしないんですが、入院した日から五カ月までは一日二千七百五十円です、五カ月から一年までは一日三千二百円です、一年以上になると一日三千六百五十円ですというんですね。これは、入院料が長く入院していると逓減していく、ちょうどそれに逆比例して上乗せをしてお世話料というのか管理料を取っている、こういう病院があるんです。
 ついでに言っておきますと、この病院は入院保証金というのを国保や退職者や老人の方は十五万円、一般の方は二十万円というのをいただいているとか、本当に調べてみますといろいろあります。例えば維持管理費として、これは室料差額に当たるんでしょうか、四人部屋だと三千円、六人部屋が二千八百円、二千七百円、二千円という三種類があって、七人部屋、八人部屋で千円という、何か五段階で取ったりと。それから、この病院もちょっとおかしいのは、永代を一回百円取っているんですけれども、永代というのはこれは保険診療の中に含まれるから取っちゃいけないんですよね、これはたしかそのはずなんです。こういうところが随分あるんです。これは歩いた病院十幾つ、全部そうだったんです。
 それで、中には厚生省の指示どおりきちっと印刷して取ってるところがあるんですが、これも厚生省の方にちょっと資料のコピーを差し上げましたので御検討いただいたと思いますが、ちゃんと御丁寧に三枚物で親切に、患者さんにこういうお金はいただきますと書いてあるんです。@老人医療受給者の方は一日七百円と、これは法定ですね。A保険外負担、入院医療費のほかに下記の料金を負担していただきますと、一日の料金を次に列挙してあります。一、生活衛生費(温泉施設管理、維持・洗濯・室内衛生)千七百円。非常に丁寧に書いてある。二、生活理容費(患者さんの整髪・衛生)五百円。毎日髪を解かして五百円いただくということなんでしょうか。三番目、生活通信費。これは症状報告及び代筆代ということで家族の方に病状をお知らせする、一日二百円。それから四番目、アメニティー積立金。各種行事の積立金が一日二百円。それで五番目に、生活電気使用料。ラジオ等の個大使用電気製品電気使用料二百円。これはラジオ、テレビ、電気代というのはいただいていいということにたしかなっていると思うんです。合計して二千八百円、消費税は別である。そのほかにB生活用品費で、おむつ、おむつカバー、防水マット、おしりをふくタオルなどのレンタル及び衛生管理、一日千五百六十四円というふうに書いてあるわけです。
 これはあらかじめお渡ししてあるんですが、一体認められるんでしょうか、どうなんでしょうか。
#180
○政府委員(横尾和子君) まず、保険外負担として挙げられた生活衛生費とか生活理容費、生活通信費、いずれも一括して徴収することは問題があると思っております。
 五項目挙げられた中で、電気の使用料だけは従来から私的なものとして認めているところでございます。それからアメニティーの積立金、各種行事のための積立金ということでございますが、これも一律に徴収することは大いに問題があるところでございます。それからおむつ、おむつカバー、防水マット等でございますが、一括して一日幾らで徴収することは問題がありますが、個別に品目ごとに費用を提示してレンタル料を徴収することは可能ということで、概して申し上げれば、大変問題の多い内容になっていると存じます。
#181
○今井澄君 ほかにも、こういうきれいなパンフレットに、アメニティー、快適な生活のために、文化の部――手芸教室、生け花教室、書道、張り絵と。行ってみたら、ほとんど寝たきりだけでふろもなかったという病院なんですが、こういうことで費用を、保険外負担金、おむつ代等を含めて十四万四千円月々徴収しているという病院も、実にきれいなこういうものをつくって本当に堂々とやっておられるんですけれども、こういうことなんです。
 そのほかに、いわゆる自己負担の問題については昨年もこの場で議論させていただきましたが、厚生省の調査が二万数千円とかということであるわけですが、お医者さんで医療問題の研究家の二木立さんによると、全国平均で六万五千七百四十四円で、厚生省のデータがおかしいんじゃないかということ。これは私も申し上げたわけで、現にこういうふうに調べてみますと、首都圏の近傍は十万円を下るところはほとんどないんですね。しかも、片っ端から歩いてみたら全部そうだったというんですから、これはやっぱりかなり問題があるだろうと思うんです。
 そこで、もう一つお尋ねしたいんですが、今ちょっと入院時保証金というのを、さっきの大学病院も領収書を見ていただければおわかりのように、五万円の入院時保証金があるんです。この老人病院の中にも十万円とか十五万円とかさっき読みました二十万円、いろいろある。この病院が入院時保証金を取ることについて、厚生省はどうお考えかをちょっとお聞きしたいんです。
 確かに一部負担金を払わないで逃げちゃう患者さんもいるわけです。ですから、保証金をもらっておくというのはこういうお金のやりとりのある場では確かに常識と言えるのかもしれませんけれども、しかしこれは一つは、例えば長期入院の患者さんを考えてみますと、十万円いただいてこの患者さんは三カ月なりいるということになると、そういう患者さんの分が病院の運転資金に回せるということがあるわけです。そういうことが一つあると思います。
 もう一つは、これは返ってくるお金ではあるわけですけれども、この保証金というのは前取りという意味があります。あらかじめ前もって、実は最後にそれで精算して帰る患者さんがほとんどですから、結局は自己負担金を前取りされているという考え方も成り立たないことはない。
 それと、例えば五万円ぐらいだったらあれかもしれませんが、大学病院で五万円取っているというのは本当に私も知りませんでしたが、五万円ぐらいならいいかもしれませんけれども、十万円、十五万円、二十万円となりますと、すぐに払えない人もいるんですね。そうしますと、これは入院の抑制にというか、アクセスを阻害するんじゃないだろうか。今、大金というとどのぐらいになるんでしょうか、私なんかはやっぱり十万、二十万というと実感としても結構大金だと思うんですけどね、そんなにしょっちゅう持って歩くことのできる金額ではないので。
 この辺は厚生省としては、病院が入院時の保証金を取るということ、あるいはその額についてどんなお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
#182
○政府委員(多田宏君) 健康保険制度におきましては、患者の医療アクセスを確保するという見地から、医療サービスである療養の給付を受ける際に患者が一部負担金を支払うんだという構成にしておりまして、事前に保証金を徴収するということは認めておらないところでございます。そういう事案がございますれば、適切に指導をしていきたいと考えております。
#183
○今井澄君 そういうことで、例えば先ほどの付添看護の問題もそうですけれども、たしか清水委員も御指摘になりましたけれども、今基準看護をとっている病院は付添看護をつけられないわけですね。ところが、実際にはあるということで、なければやっていけない状況、だから看護基準をもっと上げたらどうかということだと思いますけれども、このことも厚生省としては当然そういうことがあってはならないということですから、今まで存在をお認めにならなかったんですが、医療保険審議会の今度の法改正につながる答申の中では、そういう事実はもう既にあるということで出てきたので、厚生省も大分現実を認めるような前向きな姿勢なので私も評価しているんです。
 こういう違法といいますか、あるいは患者さんのためにこれはあってはならないだろうというふうなものが当たり前にあるという事実を今幾つかお示ししたんですけれども、こういうことについてやっぱり厚生省としてもきちっと調べる必要があるんじゃないかと思うんです。恐らく、これは出先の保健所などには結構情報が入ってきていると思うんです。ところが、保健所には警察権がないとか、いざ医療監視などで行ったときには全部きれいにそういうものは片がついて表にも見せてくれないということからなかなかうまくいかないという事情もわかるんですけれども、その辺やはり保健所などに寄せられる住民や患者さんからの情報をもっと活用する方法を一つは考えるべきではないだろうか。
 それと二番目には、実は私の友人がちょっと何日か調べて歩いただけでこんなに首都周辺の十幾つの老人病院のお世話料に類するようなあいまいな自己負担がわかるわけです。ということは、厚生省がその気になればできると思うんです。例えば、保険局で東京で二名ぐらい、大阪で二名ぐらい、Gメンというとちょっと聞こえが悪いですが、そういう人を雇って、やり方は簡単なわけです。私のおばが倒れて、病院からもう退院しろと言われているので、行きどころがないんだけれども、入院したい。ついては、一体幾らかかるものかと行くと、ケースワーカーなり事務長さんなりが丁寧に説明してくれるわけですから、同じ人がいつまでもやっていると面が割れてしまうかもしれませんけれども、こういうことはやる気になれば簡単にできるわけです。そういうデータをしっかり握った上で、じゃこれをどう改善するかという方策が立てられると思うんです。
 そういう面で、保健所に寄せられる情報の活用とか、あるいは本当は余り厚生省に強くなってほしくはないんですが、どうもGメンというのは聞こえが悪いんですが、やっぱり実態を把握して、泣き寝入りしている人たちの被害をなくすという意味でそういうGメン的なものを厚生省に置くとかいうことについて、今後の方向について大臣はいかがお考えでしょうか。
#184
○国務大臣(大内啓伍君) るるお話を聞いておりまして、今度厚生省は付添看護に対する差額負担をなんとか解消しようという、これは先生も御存じのとおり長年にわたりまして懸案になってきた問題に切り込んだわけです。そこにさまざまな御意見があるわけでございますが、それは単に付添看護の差額負担というものを解消するという問題だけではなくて、その精神というのは、保険外負担、その他の保険外負担についてもあってはならないものについてはきちっと整理するということが根本になければいけないと思うわけでございまして、ただいまの御指摘は大変核心に触れた御指摘として承ったわけでございます。
 我々の考え方としては、これまで医療給付と重複した費用を患者が負担したり、あるいは実際に患者が受けていないサービスの対価を徴収されたりするようなことは絶対あってはならないという立場に立ちまして、例えば厚生省や都道府県の専門の職員が医療機関等に対しまして適宜指導監督を行ってきたわけなんですが、にもかかわらず先生の御指摘のような事態があるとすれば、これはやはり相当本腰を入れて考えなければならぬ。
 GメンがいいのかCメンがいいのかこれはなかなか難しいことではございますが、要するに実態を厚生省が責任を持って把握するということが大事なことでございますので、これまでの制度運用についてやはり何らかの落ち度といいますか、そういうものがあるからそういう事態も起こっているわけでございますので、その面で少し工夫をさせていただきたいと思っている次第でございます。
#185
○今井澄君 どうもありがとうございました。
 これで終わります。
#186
○委員長(会田長栄君) 午後七時まで休憩いたします。
   午後五時十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後七時開会
#187
○委員長(会田長栄君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、健康保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#188
○今井澄君 ここでちょっと話題を変えまして、今非常に大きな問題になっておりますソリブジン問題について質問いたします。
 私は、去る六月九日の当厚生委員会において質問させていただきまして、その際、この薬を開発した日本商事にいろいろ問題があるということもありましたし、中央薬事審議会などのことも触れました。その個々の責任についてはこの際は問わないといいますか、おいでおいで、大事なことは、お薬の開発から承認、そして現場で使われる、こういう全体の過程について今のあり方にやっぱり問題があるんじゃないかということで、それを検討するための何らかの委員会の設置を提案したわけですが、大内厚生大臣からは、この際専門家による研究会等の設置について検討したいという大変前向きなありがたい御答弁をいただいたわけであります。
 しかしその後、六月十六日の朝日新聞の報道等でさらに新たな事実がわかってまいりまして、このお薬の開発の段階での死亡者は一名だけではなかった、ほかに二名いたということがわかりました。そのほか、開発の段階で併用しちゃいけないという通知が出ていたとか、したがって併用実験は当然やっていないわけですから、一名プラス二名以外には死亡者がなかったので安全というふうに思われてしまったと、いろんな問題が出てまいりました。
 そこで、厚生省の方から論文、この前未公開なのを公開するように御指導いただきたいとお願いしたところ、早遠公開されましたのか、この論文をいただきまして拝見させていただきました。
 これを見ますと、五十匹のマウスを十のグループに分けて、このグループにはこのお薬、このグループにはこれとこれということで、十に分けてやっているんですね。五十匹のうち八匹死亡しているわけです。そのうちの五匹は何と今問題になっているソリブジンと、当時はそういう名前はついておりませんでしたが、それからフルオロウラシルとの併用で五匹全部死んでいる。まさにうわさに聞いていたとおり、恐ろしい結果がこの論文に出ているわけであります。
 そうしますと、こういう実験を追加実験が必要と感じてやった日本商事がその薬を申請したということ自身、やっぱり日本商事に非常に問題があるのではないかという問題点が改めて浮かび上がってまいりました。
 さらに、前の質問のときには私もあえて無視したわけですが、いわゆる株の売り抜けです。十月十二日午後二時に厚生省が発表するという、副作用があるという情報が会社の中にはっと伝わったわけですが、その午前中に売った人が何人かいるということで株の売り抜けをやっている。これも問題になって、当参議院の予算委員会でも肥田美代子議員が問題にしまして、これは今証券取引等監視委員会ですか、それがもう調査に入っているということだと思います。したがって、私はこの際、日本商事という会社自身が非常に問題があったということで厚生省も立入検査に入られたようですから、この問題はもうこれ以上この場では追及しないことにしますが、信賞必罰、こういうことについてはきちっとやっていただきたいと思います。
 ところで、この論文を拝見してみますと、もう一つ中央薬事審議会の方にやっぱり問題があったんじゃないかなということが出てまいります。これを読みますと、死亡例というところに、今言ったように八匹死んだけれども、そのうちの五匹は全部この組み合わせだった。つまり、その組み合わせでやったのは全部死んでいるわけですからね。これを見たら、中央薬事審議会でもうちょっとあの程度の警告文書じゃないことをやらなきゃいけなかったと思うんです。そこで、中央薬事審議会で見落とされた、パスしてしまったということは非常に問題だと思います。
 それで、これはやはり六月十八日の朝日新聞も、薬禍を根絶する仕組みをつくれということで三つの提案をしておりますが、その中で第二の提案として、「科学性の高い臨床試験と評価が行われるよう、組織を改革することだ。中央薬事審議会に学界の権威を並べるのをやめ、薬効判定の専門的知識を身につけた若い世代と交代すべきだろう。」というふうにあります。このことについて、薬事審議会の現在のシステム、体制について業務局長としてはどうお考えか、お答えいただきたいと思います。
#189
○政府委員(田中健次君) 中央薬事審議会の構成等の問題でございますけれども、中央薬事審議会は非常に大きな審議会でございまして、審議会のもとに部会がありまして、さらにその下に調査会がございまして、そういう構成になっております。それで、委員が五十六名でございますけれども、臨時委員としておよそ五百名の委員で構成をされておりまして、問題の新医薬品の審議の関係で申しますと、専門家はおよそ二百名ということでございます。
 ソリブジンを担当いたしました調査会では、品質試験の担当とか毒性試験の担当とか薬理試験の担当とか、あるいは薬物の動態試験の担当、あるいは臨床試験の担当、さらに統計の担当も入ってやっております。こうした調査会段階の専門家は大体四十代から五十代の教授等でございます。
 こんな構成でございますけれども、先生のお話もございましたように中央薬事審議会の審査のあり方も問われておる、こんな状況でございますので、御趣旨を体しまして検討してみたいと思います。
#190
○今井澄君 この論説にあるように、必ずしも権威を外せばいいという問題でもないと思うんです。現場を離れていても権威は権威なりに勘の働くところもあるので、そういう人を外す必要は必ずしもないと思いますし、今お聞きしましたようにかなり大勢の人数を集めること自身が大変だろうと思うんです。
 また、この中央薬事審議会の問題、余り責任を追及しますと、多分安い謝礼、謝金でやっているんだと思いますし、そんな責任を負わされるのは嫌だといって逃げられちゃうとこの審査業務自身がうまくいきませんので、私もそんなに深く追及しようと思いません。ただ、私も医者としての経験から考えますと、同じ医者仲間が治験の段階でちゃんとやっているんだ、彼らが出してきたのはまあ信用できるという仲間意識なんかがあると思うんで、やっぱり審議会の立場は審議会の立場で委員の先生方にもきちっと裁判官の側だという意識を持っていただかないと、仲間意識が働いちゃうとこういうことが起こってくるんじゃないかと思いますので、そういう点で薬事審議会の方も心機一転気持ちを引き締めて頑張っていただきたいと思うんです。
 もう一つ、これは専門家ということなんですが、その専門家の委員だけではやっぱり足りないんじゃないだろうか。ちょっと違った例になるかもしれませんが、私は国保のレセプトの審査を十二年やってまいりましたが、こういう審査については事務局というのがあるんですね。これがしっかりしていて、事務的なことや統計的なこと、計数的なことをきちっと審査して附せんをつけて上がってくるわけです。私どもは学術的な立場からの審査というのはできるわけですね。そういう意味ではこの薬事審議会も、人の命にかかわることですから事務局体制を強化するというふうなことも大事なんじゃないだろうか。そういうところに化学者ですとか、薬学者ですとか、あるいはそういう着手の人たち、もっと若手の人たちも配置してやっていくということも一つの方法じゃないかと思うんで御提案申し上げるわけです。
 最後に、しかし日本商事も問題がある、今の中央薬事審議会も問題があるということなんですが、やはりどうしても問題なのは個々のことではなくて全体の流れだと思うんです。
 この前も強調いたしましたが、今高齢化の時代を迎えて、幾つものお薬を知らないうちにあわせ飲むという新しい時代が来ているということになりますと、こういう新しい時代における新薬の開発、研究、承認、そしてその使用、医薬分業の問題、薬歴管理も含めて全体を見直すという意味で、先般厚生大臣から御答弁のあった専門家による研究会の設置というのはやっぱり大事なんだ、日本商事が悪いというだけでこの事件はおさめてほしくないというふうに思います。
 そういう点で、九日からわずかまだ二週間もたっておりませんが、厚生省の方として専門家による研究会の設置について何か着手したことでもございましたらお教えいただきたいですし、改めてそういう方向での御検討の決意を例えればと思いますが、大臣、よろしくお願いいたします。
#191
○国務大臣(大内啓伍君) 六月九日の今井先生の御提言を踏まえまして専門家による研究会の設置という問題の検討に入りました。その直後に、今御指摘がございましたようにソリブジン事件について新たな事態が発生いたしまして、立入検査とかあるいは治験医師等からの事前聴取ということで今業務局関係が非常に多忙をきわめております。そのために幾らかおくれてはおりますが、もう既にこれには着手をしておりますので、できるだけ早い機会に専門家による研究会の設置という問題を実現したい、こういう決意で今やっておるわけでございます。
#192
○今井澄君 どうぞよろしくお願いいたします。
 二度とこういう大事故が起こらないようにお願いをしたいと思いますし、私も医療現場にいた人間としては、やはり薬の使い方について現場でもうちょっと考えなければならないということと同時に、もう一つ、日本人は薬好きということがありまして、私なども薬はできるだけ出さない医療をやろうとしても、患者さんが築くれ築くれというのがありまして、やはりこういうのは自律、自己責任の問題もあると思いますので、全体で頑張らなければいけないと思います。
 さて、ソリブジン問題をお尋ねしたついでと言ってはなんですが、やはりお薬にまつわることでアルコール飲料の問題をちょっとお尋ねしたいと思います。
 アルコール飲料というと、一般的には飲食物の一部あるいは嗜好品の一部というふうに考えられているかもしれませんけれども、菅野先生はこの辺専門ですのでよく御認識だと思いますが、私どもにとってはこれはどちらかというと薬である、アルコール飲料は飲食物というより薬であるという認識の方があります。私も大分アル中の患者さんとおつき合いをしまして、いろいろなことがありました。
 そういう点から考えてこの問題を取り上げたいんですが、アルコール飲料の消費量の増加とともにアルコール障害の患者さんがふえている、それから若年者、高校生とか中学生にまで飲酒が広がっている。ある調査によりますと、中学生のうち六%が一週間に一度以上アルコールを飲んでいる、こういうデータがあるそうですが、厚生省としてはこの傾向についてはどういうふうにつかんでおられますか。また、アルコールというのは薬物の一種と考えるべきだと思うんですが、その認識はどうでしょうか。
#193
○政府委員(谷修一君) アルコール障害あるいはアルコールに関連した健康障害でございますが、その実態につきましては、個々の障害に対しましてアルコールがどの程度関与しているかというようなことについて私ども必ずしも十分なデータがございませんが、平成二年の患者調査に基づきまして、アルコール依存によって医療を受けている患者の数を見ますと、入院している方が一万六千六百人、通院している方が二千七百人ということで、これを合わせますと一万九千三百人というような数字がございます。
 それから、未成年者の飲酒の状況でございますけれども、今お触れになりましたのは中学生ということですが、私どもが持っているデータで一九九〇年から一九九二年にかけて関東地方の中学生約三千人を対象とした調査によりますと、週に一回以上飲酒をする者は中学生全体で七・九%、男子では一〇・七%、女子で四・六%というような調査がございます。一方、高校生につきましては、これも同様に国立療養所の久里浜病院が平成二年に首都圏の高校に在学する高校生男女約八千五百人を対象にいたしましたアンケート調査でございますが、これによりますと、週に一回以上飲むと答えた者が約一五%といったような結果が出ております。
 それで、アルコールの問題につきましては公衆衛生審議会の中にアルコール関連問題専門委員会というものを置きまして、そこでいろいろ御議論いただき、昨年の秋に報告をいただいております。今、先生のお話で一種の薬ではないか、それについて厚生省はどう考えるかということでございますが、この報告書の中でも、我が国においては酒は百薬の長とも言われておるというような記述もございますので、そういう意味では薬以上の薬なのかもしれません。
 この報告書の中では、アルコール飲料というのは国民の健康の保持、向上という観点からの考慮が必要だけれども、他の一般品にはない次のような特性を有しているという記述がございます。一つは、致酔性といいますか、意識状態の変容を引き起こす。それから、先ほどもちょっと申し上げました慢性影響による臓器障害を起こす。それから三番目といたしまして、依存性ということ。それから四番目といたしまして、先ほど先生もお触れになりました未成年者への影響、アルコールの心身に与える影響は、特に精神的あるいは身体的な発達の途上にある未成年者には大きいということが言われているというようなことで、他の一般品とは違う特性ということを報告書の中でも述べているところでございます。
#194
○今井澄君 そこで、未成年者やアルコール常習者にできるだけ飲酒の機会を与えないために、特にこれは本人の自覚も大事なんですけれども、アル中というともう病気ですし、酒を見せないことが大事なんですが、自動販売機、これが大変に問題であるということで、つい先ごろ東京都の公立高校のPTA連合会あたりでもこういう運動をまた強化しているようでありますけれども、この自販機を撤去すべきであるというふうに私は思いますし、そういう運動が広がっているわけです。
 この自販機については、例えば国税庁長官告示では、未成年者の飲酒は法律で禁止されていることを、五十七ポイントの活字以上の大きさの統一のとれたゴシック体の日本文字で書くんだと書いてあるが、まあこれ書いたって余り意味がないだろうと思うんですけれどもね。
 要するに、自販機は対面販売じゃないからいけないというのに対して、じゃプリペイドカード制を導入したらどうかなんてことを国税、大蔵あたりでまじめに検討しているらしいんですね。プリペイドカードを買うときは対面販売だから、そのときに子供に売らなきゃいいんだという。しかし、私はそういうようなものじゃないだろうと思うんですね。そういう意味で、この自販機については私は禁止すべきだろうというふうに思っております。今規制緩和のときでありますけれども、やっぱり規制すべきものは規制する。
 と同時に、今の規制緩和の中で、これは経団連の要望書の中にもありますが、アルコール飲料の通信販売を許可せよという要望が出ているんですけれども、私はやっぱりこれは許可すべきでないと思うんですね。子供が通信販売でアルコールを買うかどうかはちょっとわかりませんけれども、しかし対面販売でないところで気楽に酒が買えるような傾向はきちっと禁止していくべきだろうと思いますが、その辺についての厚生省のお考えはどうでしょうか。
#195
○政府委員(谷修一君) 先ほどちょっと触れました昨年の秋にまとめられましたアルコール関連問題専門委員会おきましても、未成年者の飲酒の防止を図るといったような観点から、まず一つは、アルコール飲料の販売についてはその特性を十分理解した者が対面販売することが望ましい。それから、酒類の自動販売機につきましては、消費者の利便とか販売業者の省力化ということに資するという面もあるが、健康教育等による未成年者飲酒防止対策の効果を阻害するということも考えられるため、一定の移行期間を設けて撤廃する方向で検討すべきであるということで、その実施に当たって関係各方面との調整が必要であるといったようなことが指摘をされているわけでございます。
 私ども厚生省といたしましては、この提言の趣旨を踏まえ、また関係団体の理解をいただきながらこの問題について積極的に対応してまいりたいというふうに考えております。
 それからもう一つ、プリペイドカードないしは通信販売のお話がございましたけれども、他省庁の問題でもございますのでその詳細は私ども承知をいたしておりませんけれども、今触れました専門委員会の提言、対面販売を基本とすべきであるということからいえば、好ましいことではないんではないかというふうに考えます。
#196
○今井澄君 アルコール問題で最後に一つ。
 断酒会とかAAとか、患者さん、家族の会がいろいろあるわけで、非常に努力をしながらお酒を飲まないように頑張っているわけですが、お金のない人も多いものですから、活動自身が困難をきわめている面があります。それで、しょっちゅうとにかく集まってないと、一人にしておくと酒を飲んでしまうというので、毎週月曜日はどこ、火曜日はどこということで集まったりしてやっているし、また全国的な交流もやっているわけですが、こういうような活動に対して厚生省としてはどんな支援をしているのか、あるいは今後より強力な支援をするおつもりがあるのかどうか、それを最後にお聞きしたいと思います。
#197
○政府委員(谷修一君) 断酒会の活動でございますが、昭和三十年代から各地域でこの活動が始まって、四十五年には全国組織ができているというふうに聞いております。現在では五百を超える市町村の中に市町村単位の連合会があって、その主たる活動は、今先生がおっしゃいましたように、週一回程度の例会をやるということが基本的な活動の形態だというふうに理解をしています。
 このような活動に対して、私どもは公的な意味での助成措置というのはやっておりませんけれども、保健所を単位といたします相談事業あるいは訪問指導というような活動を通じて、あるいは例会の場として保健所を使っていただくというようなことでかかわりを持っておるわけでございます。
 また一方、平成四年度には厚生省の委託事業として、全国九カ所で研修事業あるいはポスターの作成といったようなことに健康・体力づくり事業財団を通じて助成をしているわけでございますけれども、こういったような形で今後ともこの対策の援助といいますか、こういった対策を活用することによって断酒会の活動を支援していきたい、このように考えております。
#198
○今井澄君 どうもありがとうございました。
 それでは本題に戻りまして、健康保険法等の一部を改正する法律案について引き続き質疑を続けたいと思います。
 先ほど、違法なといいますか、合理的でない、あるいは当然とは考えられないような自己負担を取っているところがかなり多いということについて、厚生省の方でも今後実態を調べながら対処していただけるというふうに伺ったわけです。
 さて、老人病院を主として、あるいは大学病院は大学病院なりに、こういうふうな自己負担を勝手に取るあるいは話し合って取るということの背景に、やはり今病院経営が非常に厳しいので、やむにやまれず何か収入を得たいということで取っているんじゃないかという意見もあると思います。特に、先ほど御紹介したような老人病院は主として首都圏ということで、首都圏は物価が高かったりいろいろあるわけです。
 現に、首都圏のあるかなり有名な病院の五十二歳の病院長が、地方に比べ大都市部は介護の職員を雇う人件費が高い、看護料などの診療報酬を全国一律にしたまま、全額保険の範囲で十分な介護を提供するのは難しい、現状では差額を諸雑費として患者に求めざるを得ないというふうに言っているというのが新聞に公然と出ているわけです。そうだとすれば、これは公にちゃんと解決されなければならないことで、これが裏で不当な自己負担で解決されること自身おかしいわけですし、私など地方で医療をやってきた者からすると確かに都会は苦しいのかなという感じもします。
 しかし一方、先ほど御紹介した整髪料一日五百円取る病院ですけれども、アメニティー積立金二百円ずつですけれども、こういう自己負担を取るようになってから経営がよくなって職員が韓国旅行をやったといううわさもあるんですね。アメニティー積立金というのは職員のためのアメニティーではなかったのかというふうに思われるような一面もあるので、果たして本当に病院の経営は苦しいのかどうか。
 さっき健康政策局長の方から昨年の調査の御報告もいただいたわけですが、そういうマクロの数字はともかくとして、実感として苦しい病院もあるけれども、何かプラスアルファで余禄を得ている病院もある。こういうことについて、特に老人病院は定額制をとると割合に楽なんだ、経営はそこそこにはできるんだ、そういうところがもしプラスアルファを取っているとすると、それは余禄のためではないだろうかという気もするんですが、その辺について正直にどんなふうにお考えなんでしょうか。本当に苦しくてやむにやまれず取っているのか、いろいろあると思うんですけれども。
#199
○政府委員(寺松尚君) 今の先生の御質問でございますけれども、先ほども御指摘されましたように、昨年六月でございますけれども、民間病院の経営の実態調査というものを緊急に行ったわけでございますが、今ちょうど先生が御指摘になりましたようなことでございます。
 一つは、三割ぐらいの病院が赤字であるということ、それから二番目といたしまして、指定都市すなわち大きな都市で赤字の病院が割合に多いということ、それから精神病院等で非常に赤字の病院が多い、ただ老人病院では他の病院に比べまして赤字の病院が少ないというような結果が実は出ております。それから大体三割程度の病院がちょうど改築の時期にあるんだけれども、やはり資金的な手当てができない、こういうようなことが大体の概略でございました。
 今、先生がちょっとおっしゃっておりますようなことが細かく私どもの方では分析しておりませんのでよくわかりませんが、老人病院ではやはり介護強化型の病院というんでございましょうか、定額的にやっておられるところがどうもいいような感じで私どもは受け取っておるわけでございます。残念ながらその詳細の、なぜ黒字になっているかあるいはなぜ赤字なのか、具体的なところは私どもの調査では十分把握し切れないところでございます。
#200
○今井澄君 今のお話でも大分内容にわたって感じがつかめましたので、大変ありがたい答弁だと思っております。
 病院経営の悪化に対しては基本的なことは診療報酬の問題でございますが、それ以外で先ほど三点、一つは補助金、それから二つ目が融資、三番目が経営を上手にというかきちっとやるための指導あるいはマニュアルと、そういうことで厚生省としては取り組んでおられるということをお聞きしましたが、大変結構なことだと思います。
 さてそこで、診療報酬が一番基本になるわけでありますけれども、これは本会議でしたか、先ほどの厚生委員会でしたか、大浜議員の方からの質問にもあったことですけれども、十月一日の診療報酬の改定ですが、一応これは一・五%ということで、これはプラスはできないと大臣からお答えでしたが、一・五は一応大丈夫というふうに確認してよろしいでしょうか。
#201
○国務大臣(大内啓伍君) これはもちろん中医協で御議論いただくことではございますが、先ほど申し上げましたのは、現場で混乱が起こらないように我々として配慮したい、こう申し上げたわけでございます。
#202
○今井澄君 ぜひお願いをしたいと思います。
 ところで、医療費の問題につきましては――これが本会議で大浜議員が取り上げたことだと思いますが、これまでずっと国民所得の伸びの範囲内ということで八〇年代初頭以降厳しく抑制をされてきた、あるいは適正化と申しますか、されてきたと思うわけでありますけれども、今度の厚生省が出した二十一世紀福祉ビジョンの中では五%の効率化を図るということが言われているわけです。その効率化の内容についてもたびたび御答弁でお聞きをしておりますが、長期入院を減らすような施策でありますとか、医師の数を適正化するとか、いろいろなことをお聞きいたしましたが、この五%適正化するというふうに聞きますと、医療現場は今までの経験がありますからもう大変びっくりして、もっとこれ以上に締めつけられるのかというふうになるわけです。
 ところが実際は、福祉ビジョンにつけられました表とかグラフを見ますと決してそうではない、多分、これまでの国民所得の伸びの範囲内におさめるということができない時代になってきているという判断があるように私は受け取っているわけですけれども、今後の医療費がどのくらい伸びるだろうと、その伸びについて、この五%の効率化だとかその辺についてちょっと具体的にお答えいただけませんでしょうか。
#203
○政府委員(佐々木典夫君) ただいま先般のビジョンの中の試算に関連してのお尋ねでございますので、若干私の方から先に御説明をさせていただきたいと存じます。
 先般のビジョンの試算におきましては、まず現行制度の場合の医療費の推計につきましては、近年の医療費の傾向を基礎といたしまして将来の人口構成の変化を折り込んで推計をいたしたわけでございます。そうしまして、ビジョンの試算のいわゆるケースUにおきましては、今もお話がございましたけれども、在宅ケアの推進あるいは看護対策の充実などの医療の効率化を図ることによりまして、現行制度に比べて医療給付費の額が五%減少するものということで試算をしてございます。そしてもう一点、長期入院患者の医療費の一部を老人介護対策に移管、計上するというようなことで見込んだわけでございます。
 この結果で見ますると、医療給付費の額は一九九三年二十二兆円、二〇〇〇年で三十二兆円、それから二〇一〇年で五十五兆円、二〇二五年で百十五兆から百十七兆円というふうなことでございます。対国民所得比でこれを見てみますると、一九九三年度六%でございますが、二〇〇〇年度で六カ二分の一%程度、二〇一〇年度で七カ二分の一%から八カ二分の一%程度、そして二〇二五年度には八カ二分の一%程度から一二%程度というふうな形になりまして、対国民所得比でまいりますと推計試算の上では上昇していく結果になっているというような数字でございます。
#204
○今井澄君 ですから、これまでの国民所得の伸びの範囲内に抑えた上でさらに五%ということではなくて、高齢化が進むとそのことで医療費は今までの範囲を超えてふえる、それについての五%ということで理解してよろしいわけですね。
 その医療費の効率化ですけれども、私もやはり医療費の効率化については大変関心を持っているわけですが、この効率化の点について二つ考えていることがあるんです。
 一つは薬剤費の問題であります。これもかねてから何回も厚生委員会で取り上げさせていただいております。この薬剤費の比率が、確かに昭和四十年代に比べると医療費の中で四十何%がずっと減ってきておりますが、ここ七、八年三〇%前後でほとんど減っていないんです。昨年の厚生委員会で、私が前の業務局長さんとこの薬剤費が高いことについての議論をしたときに、薬の値段がそもそも日本は高いんじゃないかというお話をしたときに、前の業務局長さんは、高いものもあるし安いものもあるということでそれはわからなかったわけです。
 最近、大和総研というところが内外価格差の調査をして、よく使われる八種類ほどの薬をアメリカと日本で比べてみるとアメリカの方が薬価はずっと安い。ほかのものは全部日本の方が価格が高いんだけれども、薬価は日本の四〇%だという例を出しているんですね。この調査が本当にそうかどうかわかりませんが、もし薬価が日本の方が高くないとするとますます日本は薬剤の使用量が多い、こういうことになってこざるを得ないと思います。先ほどのソリブジンの話にしてもそうですけれども、結局薬の使い過ぎということ、このことを何とかしていかなければならないんではないだろうかと思います。
 その点で、これもきのう、きょうの質疑の中で出ていたわけですが、お薬を減らすために幾つかの方法がある。もちろん、今診療報酬の中でやっている方法だとか、薬価差益をなくしていく方法、いろいろあるようですけれども、今検討されているやに聞いている一つがこういうことです。保険給付の対象から外していく、漢方とかパップ剤とか外して自費にしていくということでできるだけ薬剤費を抑えよう、薬の使用量を抑えようと。二番目は、ドイツとか幾つかの国でやっているように、例えば薬代が千円だったら百円はいただく、千円から二千円だったら二百円いただくというふうな定額的な、とにかく薬をもらったら自己負担をいただくということをやっていこうと。もう一つは、つい最近聞いた話ですが、高いお薬や高い材料もそうですけれども、こういうのは償還制にしたらどうかというふうな話もあるようです。そうすると、非常に懐に響くわけです。後から返ってくるにしても、何割か返ってくるにしても、とりあえずは払わなきゃならないというふうなことがあると。
 幾つかの方法を聞いたんですが、そういうことについてはどういうふうに検討が進んでいるんでしょうか。
#205
○政府委員(多田宏君) 薬の問題につきましては常にいろいろな問題が指摘されておりまして、医療保険審議会でも種々の指摘あるいは議論がございます。そういうことで、先般の保険給付の範囲、内容の見直しという議論の中でも相当いろんな議論が出ておりました。しかし、専門的な検討なしに思い切った措置をとるということはなかなか難しいだろうということで、昨年の建議でも、「中央社会保険医療協議会との連携の下に専門的な検討の場を設けるなどして、更に検討を進めていく必要がある。」という指摘になっております。
 こういう経緯を踏まえまして今後専門的な検討を行っていくというために、ついせんだって十六日でございましたか、医療保険審議会では専門部会を設置するということを決定いたしました。中医協の方でも近々そういう決定をすることになっておりまして、両方の面で合同部会等を活用しながら、保険医療における薬のあり方というものについて十分に議論を詰めていただくという段取りにしております。したがって、今お話しのような具体的な方策についてちょっとコメントする状況にない、こういうことでございますので、お許しをいただきたいと思います。
#206
○今井澄君 いずれにしましても、薬剤費が国民医療費の中にもかなりのパーセントを占めているし、使用量が多いということ、これは経済的だけではなく健康上からも憂慮されることですので力を入れていかなければならないと思うわけです。
 薬の問題について、ちょっと幾つか派生的に御質問したいと思います。
 さっきのアルコールの問題のときにも出た規制緩和にかかわることですが、今薬については、例えばビタミン剤とか風邪薬とかは何も薬剤師のいる薬局で売らなくてもいいじゃないか、夜中にもちょっと買いに行けるようにコンビニあたりで売ったらどうかというふうなことが経団連の要望書の中にありましたけれども、私はこれは大変危険なことだと思うんですけれども、厚生省としていかがお考えでしょうか。
#207
○国務大臣(大内啓伍君) この件につきまして予算委員会等でも御議論がございまして、厚生省の立場としては国民の健康を守るという立場でございますので、服薬等につきまして知識や経験のない人が自由自在にこういうものを売るということになりますといろいろな問題が生ずるのではないか。規制緩和ということは一般論としては結構でございますが、特に医薬品等につきましては直接人の健康、生命にかかわることでございますので、私どもとしては、一般の経済的な問題とは違って社会的な規制でございますから、慎重の上にも慎重を期していただきたいと要望しているわけでございます。
#208
○今井澄君 安心いたしました。そういう方向でぜひお願いしたいと思います。
 もう一つ、薬の併用がふえているという中で副作用を防ぐ、ICカードの使い方として薬歴管理を、情報化の中でICカードを使うのが一番いいんじゃないかと私は前から実は思っているんです。今、健康カードを広めようという考え方があったりいろんな実験があると思いますが、これがなかなか広まらないんですね。
 その広まらない根本の原因は、ICカードやなんかがいまだ高くて、これをだれが負担して、本人負担なのか国で買ってみんなに配るのかという話ではいかないことも一つあるんですが、そのカードの中にどういう情報を入れるかということでなかなか一致しないんですね。血液型は最低入れましょうとか、アレルギー情報は入れましょうとかというんですが、例えば医者の世界一つとってみても、呼吸器の医者はレントゲン写真の情報を入れたがるし、肝臓の医者は肝機能二十何項目から三十項目入れたがるし、心臓の医者は心電図の情報を入れたがるし、全部入れるわけにはいかないし、全部入れたら意味がないということなんですが、持って歩くカードで一番役に立つのはこの薬の情報じゃないだろうか。
 要するに、薬をどこかで投与されたり、買うたびにそこに何の薬何日分というふうに入れておくと、次のところで薬をもらうと、前にもらった薬、つまりこれはもう飲んでいるものとしてそれと全部照らし合わせる。そうすると、これとこれは飲んじゃいけないとか、向こうでも同じものを飲んでいるというのでぱっと出てくるというか、そういうことでコンピューターとかカードを使う一番いいのがまさにこのICカードじゃないかと思うんですね。
 そういう意味では薬歴管理のために、どの医者からどこでもらったものでも、どこで買ったものでも一枚のカードに入っちゃうので突き合わせができる、重複投与やそういうものがなくなるというのでいいんじゃないかというふうに思っております。これは意見だけをちょっと述べさせていただきます。
 さて、医療費だけがどんどん伸びていくというのは実は余り好ましいことじゃなくて、何でも病院にいる、あるいは病院にいつまでも入院している、そういうことよりはできるだけ家へ帰る、あるいはノーマライゼーションの考え方で日常生活を楽しむ、あるいはクオリティーライフを高めるということが大事で、そういう方向での医療費の効率化、長期入院あるいは社会的入院の是正ということが非常に好ましいと思うわけです。
 そこで、結論から申しますと、これからの話の中でお尋ねしたいと思うんですが、さっきも話題に出てきました老人病院みたいなところ、非常に乱暴な議論かもしれませんけれども、これは率直に言って、医療費を差し上げるのではなくて福祉からお金を差し上げる機関に変えていく、財布を医療費から差し上げない方がいいんじゃないだろうか。そして、実際に救急医療の現場とか高度医療をやっているところでは本当に苦しんでいるわけですね。それで経営も苦しい。本当に医療らしい医療をやっているところに医療費は回して、それでどちらかというと、生活やお世話をしている部分は医療費で支払うのをやめてそっちは別に福祉の方で見てもらったらいいんじゃないか。
 もっと極端に言えば、そういう老人病院は、場合によっては看板を病院というのから老人保健施設とか特別養護老人ホームにかけかえてもらうぐらいの大胆な発想と政策の展開をしていった方が医療は医療らしくよくなる、福祉は福祉らしくよくなるというふうに思うわけで、医療費がふえ過ぎて困るといじめられずに本当の医療らしい医療が安心してできるようになって、医療現場の人にもそれが好ましいんじゃないかと思うわけです。
 そうなってきますと、結局ここで大事なことはゴールドプランの見直し、新ゴールドプランをどうやって拡充していくか。そういうことがないと、さっき言ったような福祉のお金で払うといったってそんな財布が今ないわけですし、老人病院は看板かけかえて福祉施設になりなさいといってもそれを受け入れる受け皿がないということですので、新ゴールドプランの一日も早い策定と実行に移すことをお願いしたいわけです。
 これは、きょう午前中の日下部議員の御質問に対してもう明快に答えられているので安心いたしましたが、夏の概算要求までに新ゴールドプランを出す、そしてもう平成七年度から着手するということで、これは厚生省、大蔵省、自治省というこれまでの枠から、建設省から郵政省から労働省含めてのそういうことにしていくということで大変安心したわけです。
 しかし、その中での日下部議員の質問に対しても、閣議決定事項にしていただきたいということ、つまりシーリング予算を外していただきたいということについては明快な御回答がなかったんで、それは厚生省の立場としては、厚生省だけがそういう返事を、そうしますなんてとても答えられない、相手のあることだと思いますが、やはり私もここで改めて、閣議決定として新ゴールドプランをはっきりさせそしてシーリングの枠を外していただきたいというふうに希望します。
 多分、これは今年度国費ベースでゴールドプランは五千億ちょっとですね。来年はそれが当然一〇%ぐらいは自然に伸びるわけです。新ゴールドプランということになりますと、これは中身をこれからお伺いしていきますが、たしかホームヘルパーを倍にふやす、デイサービスセンターも倍ぐらいにふやしたいというふうに漏れ聞いておりますが、それで全体としては費用が六割増というふうなことをお聞きしております。そうすると、五千億が自然増というか一〇%ぐらい伸びる上に、さらに三千億か三千五百億必要になるわけです。このお金はどうしてもどこからか調達しなければならないわけです。その点についてはいかがお考えでしょうか。
#209
○国務大臣(大内啓伍君) 新ゴールドプランの中身につきましてまだ申し上げられる段階ではないわけでございますが、新ゴールドプランというのは先ほども御指摘いただきましたように各省庁にまたがる問題でございますだけに、私どものところでもちろん立案をするわけではございますが、政府としてこれに対して全責任を負う体制をつくるという意味からいえば、やはり閣議で何らかの了解ないしは御決定をいただくということが必要になってくるであろうと思っております。もう既にこの問題については大蔵省あるいは総理ともお話をしている最中でございまして、何らかの権威あるものにしていきたいと思っているわけでございます。
 シーリングを外せという議論も、実は総理に対しても御質問をちょうだいしているわけでございますし、大蔵大臣に対してもなされていることでございますが、これは厚生省のレベルで申し上げられることではありません。また、省内全体の予算編成の中でこのゴールドプランをどう位置づけるかという省内の問題としてもあるわけでございますので、それやこれやを十分検討いたしまして、実質的に御指摘の点が生かされるように、実現できるように我々として努力をしたいと思っております。
#210
○今井澄君 そのゴールドプランの中身ですけれども、確かに厚生省としてはまだ明快に発表はできないと思いますが、私どもは連立与党の福祉小委員会が出しました報告書の中身から推測をするとほぼ近いんじゃないかと思うんです。
 その中で一つ心配になるのは、これを見ますと中学校区単位で考えていくんだということで、ホームヘルパーは十人を二十人、デイサービスセンターは一カ所を二カ所というふうなことが書いてあるんですが、特別養護老人ホームは今人口一万人についていえば二十四床、全体で二十四万床の整備目標ですか、それを「必要数を確保」というふうに書いてあるんです。これが私、実は大変気になるところでありまして、これも新聞記事あるいはこの小委員会の報告でしたか、特養待ちの人がないようにと。これは確かに国民のニーズ、願いでもあるわけですし、家族にとっては全く切実な願いであるわけでそれをかなえてあげたいというのは事実そのとおりなんですが、しかし今、特別養護老人ホームをここで全員が入れるようにふやすということが果たしていいかどうかということを私は大変疑問に思うんですね。
 というのは、例えば特養は個室化すべきであるといってもまだ個室化の段階に来ていない、モデル的にしか進んでいない。こんな段階で建物をどんどんつくっちゃいますと、十年たってみたら、全部個室にすればよかったというのを個室化しない特養ができて大部屋のままということになってしまう。一たんできた建物はやっぱり長く使わざるを得ないわけです。
 それから、この特養の一番の問題は、ついの住みか、預けっ放しで死ぬまでいるということ、預けられた方にとってみればこれはまことに悲惨なわけであります。広島県の御調町というところに国保の町立病院がありますが、この病院が県から委託を受けてやっている特養を私は見に行ったことがありますが、あそこはたしか平均入所日数が一年前後だったと思います。それで、半分近くが家へ帰るという非常にすばらしい日本では全く珍しい特養の運営をやっている。ここは死ぬ場所じゃないよ、必ずここから帰してあげるよと、そういう特養だったら私は特養をつくってもいい、それは言ってみれば老健施設だと思うんですね。
 だから、ここで私の受け取るところでは、厚生省もこれまで余り特養はつくらせたくない、つくっても余りいい施設じゃないというふうに思っておられたんじゃないかと思うんですが、ここで枠を外しちゃうと、特養というのは今一番ニーズが高いし手っ取り早いものですから、特養を一気にばばっとつくっちゃう。そうすると老健が余りできない、ケアハウスをつくるべきなのができない。そしてもう一つ、先ほど私が申し上げました老人病院は病院というよりは特養に変わってほしい、といっても特養をつくっちゃいますと、それ以上に老人ホームを特養に移管することもできなくなるというふうな、いろんな意味で私は特養は抑制していただきたいと思うんで、お考えを伺いたいんです。
 ただし、抑制するだけじゃどうにもならないんですね。在宅サービスをやるといってもすぐホームヘルパーをふやせない、またホームヘルパーをふやしても家の中をのぞかれたくないという人がいる以上、ホームヘルプサービスだけでは在宅でやっていけない。となると何が大事かというと、私はデイサービスセンターだと思うんですね。デイサービスセンターにお年寄りを集めて、要するに昼間預かるというデイサービスセンターを拠点とするような在宅福祉づくり、特養にとかくいってしまう、引かれてしまう傾向があると思いますけれども、何とかそこをぐっと我慢して、デイサービスセンターを中心のそういう方向でこの新ゴールドプランもお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#211
○政府委員(横尾和子君) 二つの観点からお答えをしたいと思います。
 まず、特養の問題でございますが、確かに各地からの御要請が非常に強くあるわけでございますが、現在の方針としては、特別養護老人ホームだけを単独で設置するものは極力抑える、地域開放の諸サービス、デイサービス、ショートステイそしてケアハウスを併設するものを優先的に整備するという方針をとっております。
 第二点目でございますが、地域の老人保健福祉計画をおつくりいただいておりますので、当該特別養護老人ホームのみならず地域全体の在宅サービスが整っていないところについてはこれも採択の順位をおくらせる、こういう形で特養についてはぎりぎりの必要数という点は今後とも続けていきたいというふうに考えております。
#212
○今井澄君 そういうことで、特養をつくるならばできるだけ個室率を高める方向でやるとかいうことで、何らか未来を切り開く形の施設でお願いしたいと思います。
 もう一つ、特養に限らないわけですが、特に特別養護老人ホームが寝たきりや痴呆性が多くなってきてとにかく職員の配置が足りないということで、たびたびそういう意見も出て厚生省にも要請があると思うんですが、この新ゴールドプランでは特養における人員配置基準を上げるという方向でお願いしたいと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
#213
○政府委員(横尾和子君) 新ゴールドプランの作業につきましては、福祉ビジョンでの御指摘や連立与党の福祉小委員会の報告、あるいは社会党の高齢社会福祉プログラム中間報告などを念頭に置きまして作業を進めさせていただきたいと存じておりますが、それらの諸報告の中でも、職員配置の問題あるいは療養環境の整備の問題を御指摘いただいておりますので、検討をさせていただきたいと存じます。
#214
○今井澄君 ぜひ三対一ぐらいにはお願いをしていきたいと思っております。
 さてそこで、またさっきのお金の問題、シーリングの問題にちょっと戻りますけれども、今回、健康保険法等を改正して入院の食事の費用を患者さんに御負担願わざるを得ないというところは最初にもお話が出ましたが、三千億ぐらいのお金が何ともならないためにこういうことも起こってきたという事実も私は否定できないと思うんですね。そうしますと、新ゴールドプランを来年からやっていくとなると三千億のお金を上乗せするというのはなかなか大変だと思うんです。国家予算全体の規模から見れば誤差の範囲内だと言う人もいますけれども、そんなに甘いものじゃないだろうというふうに思うんですね。
 そうしますと、一つの方法としては、それこそ福祉のための、新ゴールドプランのための特例債の発行、その特例債は将来消費課税で償還するとか、そういう議論にまで場合によっては行き着かざるを得ないようなシビアな状況にあると思うんですけれども、新ゴールドプラン、前向きの御返事をいただいているんですが、かなり財政的には厳しいんじゃないかと思いますが、その点いかがでしょうか。
#215
○政府委員(横尾和子君) 平成六年度のゴールドプラン関係予算は五千億を若干上回ったオーダーになっているわけでございますが、この伸び率が一二%弱という大きな伸び率でございましたので、既に平成六年度の予算編成におきまして省内的にも大変いろいろと調整を要したところでございます。新たな要求をするということになれば、財源的な手当ての問題は避けて通れないというふうに考えております。
#216
○今井澄君 お互いに協力して頑張りたいと思いますが、ぜひ新ゴールドプランを実現していきたいと思います。
 さて、午前中に日下部議員の方からもお話がありましたが、寝たきり老人ゼロ作戦を進めるべきではないかと。これはゴールドプランの中でもやっぱり非常に大事な項目だと思います。それはもう本人にとっても寝たきりになれば悲惨な人生ですし、周りの人も大変だということで、その中でPT、OTの大幅な増員をということを日下部議員の方から御意見が出ましたけれども、私も全くそのとおりだと思っておりますし、その主張を繰り返してきております。
 かねがね聞いていました北欧の寝たきり老人がいない国、私も昨年おくればせながら見に行ってきました。これなら寝たきり老人はできないということをはっきり目の当たりにいたしました。それは何かというと、徹底したリハビリなんですね。個人のリハビリに対しても、午前中はOTが来て、午後はPTが来て、しかも歩行訓練はPTが二人がかりで前と後からやっているなんということがありますし、それからデイサービスの集団リハビリだって十何人に対して三、四人もPTがついているんです。これはもう日本では考えられないぐらいのところです。
 ですから、私はPT、OTの十倍増ということを主張しているんですが、その点でこの厚生省の「寝たきり老人ゼロ作戦体系図」を見ますと、老人がいて寝たきりになる、その途中に「脳卒中等の発生」というのが書いてあるんです。老人が寝たきりになるのは脳卒中等を発生するからだということで、これをどういうふうにするかというので五つのブロックに分けて書いてある。
 一番左上には「寝たきりの原因となる病気やけがの発生予防」、ここに丸印で八項目ほど書いてあります。その次には「身体機能の低下した老人に対し適切なサービスを円滑に提供する情報網の整備」というくくりがありまして、そこに五項目ほど書いてありまして、情報提供のサービスだとか在宅介護支援センターとか書いてあります。左の下には「寝たきりにならず生活できる住環境の整備」ということで、丸印で十項目ほど書いてあります。そして、右上には「原因発生後の、医療機関、施設等における適切なリハビリテーションの普及」というくくりがあって、四項目ほど書いてあります。そして、右下に「在宅の保健・医療・福祉サービスの充実」ということで八項目ほどあって、ホームヘルプサービスなどが書いてあるんです。
 どうもこの概念図は、寝たきり老人ゼロ作戦の考え方として正しくないだろうと。というのは、老人がいて寝たきりになる途中に脳卒中等というのがあるんですね。これは東京都の調査では何%だとか、長野県の調査では何%だ、寝たきりの原因の大部分が脳卒中だ、次は骨折だ、リューマチだというんですね。この考え方はまず間違っている。
 これは医療現場にいるいろんな人に聞いてもそうですけれども、脳卒中になって半身不随になったから寝たきりになるんじゃないんですね。半身不随になった人でもその症状に応じてつえをつくなり、車いすに乗せるなりして必ず起こすことができるんです。完全な寝たきりなんてほとんどいないわけです。脳卒中が原因じゃないんです。一たんそこまで来るけれども、結局寝たきりになるのは寝かせたきりであるし、周囲の環境なんです。だから原因は違うんです。誘因は脳卒中や骨折でしょうけれども、寝たきりの原因は周囲と本人にあるわけです。このことはもう間違いないわけです。
 そこで、この左上の原因となる病気の予防をすることは大事だと思います。私も二十年間長野県で、減塩を中心とする食事療法とか、歩け歩けたとか、体重を減らすとか、もういろんなことをやってきました。でも、脳出血は予防できますけれども、結局年をとると、脳血栓というか、ぼけというか、体が弱くなるというか、何かこうなってくるんですね。ですから、予防に幾ら力を入れても、それだけじゃ寝たきりは予防できないんですね。
 どうも厚生省の話では、脳卒中を予防することというのを寝たきりの主流にしているように思えてならないんです。それも大事ですけれども、さっき骨粗鬆症の話も出ましたけれども、骨組羅症を幾ら予防したって年をとったら骨粗鬆症になるんです。だから、その予防だけでは寝たきり老人はなくせない。問題はリハビリだと思うんです。五つに分けたブロックの中で一番項目が少ないのが残念ながらリハビリのところなんです。私は、ここを重点にした寝たきり老人ゼロ作戦を厚生省として立て直してもらいたい。できれば、十倍とは言いませんが、五倍ぐらいPT、OTをふやしていただきたい。そうすれば、私は寝たきりゼロは日本でも可能ではないだろうかと。
 もちろん、これは国民も大事なんですね。リハビリをやるとすぐ痛い痛い、日本人の病気になったら寝たがるという癖を直さなきゃいけない。私はついでに、「お大事に」という言葉もこの際なくした方がいいと思うんです。成人病になった人にお大事になんてなまじ言わない方がいいというふうに思っているわけですけれども、その点どうでしょうか。
#217
○政府委員(横尾和子君) これまで寝たきり老人ゼロ作戦を展開してきまして最大の効果は、寝たきりはつくられるということの意識については、これまでの取り組みで国民の間にそういった意識が定着してきたのではないかというふうに思っておりますが、なお実際問題寝たきりの方がいらっしゃる。それは実は病院にもいるし、特別養護老人ホームにもいらっしゃる。それは先生御指摘のように、脳卒中が原因ではなくて、その間の処遇に問題があるということでございますから、まさに入所型の施設の中での寝たきりゼロというものを新たな観点から考えなければならない時期に来ているというふうに思っております。
 また、地域においての地域リハビリの項目が少ないというふうにおっしゃいましたが、ここは丸の数は少ないのでございますが、実際問題は大変強力に推し進めているわけでございまして、今、市町村において大体六カ月をワンクールという形で週二回徹底的なリハビリを行っておりまして、これが熱心に行われている地域においてはやはり大事な役割を果たしていると思っております。
 それにいたしましても、それで十分ということでもありませんから、なお一層努力をしてまいりたいと存じます。
#218
○今井澄君 どうもありがとうございます。
 最後に、これは全く違う観点ですが、PL法、先ほど難産の末成立して私も消費者保護の立場からよかったなと思っているわけですが、ただ、この厚生委員会においてもPL法について、やっぱり血液の問題に一言触れておかなければならないと思います。
 このPL法の対象に輸血用の血液製剤を含めることによって、消費者はほとんど何ら利益を得られないと私は思うんです。医薬品等被害救済制度においても血液の中にある未知のウイルス等による被害は救済されない。この血液による予知できない被害の救済について厚生省としてどういうふうにお取り組みになるか、それを一応お聞かせいただいて終わりにしたいと思います。
#219
○政府委員(田中健次君) ただいまの問題でございますけれども、先ほど参議院の商工委員会で附帯決議をいただいております。「輸血用血液製剤による被害者の救済については、その特殊性にかんがみ、特別の救済機関等の設置に努めること。」、こういう趣旨を踏まえまして救済等のあり方を検討することといたしたいと思います。
#220
○今井澄君 ありがとうございました。終わります。
#221
○西山登紀子君 今回提出されております法案の一番の問題点は、入院給食の自己負担が導入されていることです。現在、入院給食の基準給食費は千九百円、保険の対象ですから患者負担は一割から三割、百九十円から五百七十円となります。
 これについて修正されました案は、負担額を一般では八百円から六百円に、市長村民税非課税世帯は六百六十円から四百五十円、この世帯で長期入院者は三百円、さらに老齢福祉年金受給者は三百円から二百円へなどといたしました。
 この措置も九六年九月三十日までの二年間で、その後は修正前の政府案とほぼ同じ水準で徴収するというものです。そして、患者負担分の標準負担額は国会で審議することなく、審議会への諮問だけで大臣が自由に決めることができるようになります。
 健康保険法制定以来、病院給食を保険の給付から外して、入院時食事療養費という新しい仕組みをつくって一律に患者に負担を強いるなどということは今回が初めてのことだと思います。
 そういうような性格で今回患者負担を行うということですね。いかがですか。
#222
○政府委員(多田宏君) 今回の食事に関する患者負担につきましては、これまでもるる申し上げてまいりましたけれども、在宅とのバランスというようなことを重視いたしまして、そして家庭でも必要となっている食費相当額程度を入院のときにも御負担をいただくという考え方に立っているものでございます。
 そして、この額につきまして大臣が自由に決められるというようなお話でございますけれども、法文でごらんいただきますように、平均的な家計における食費を勘案するという基準的なものが明示されておるわけでございまして、これに即して厚生大臣が医療保険審議会に諮問をいたしまして定めるということでございますから、勝手に決められるものではございません。そういう性格のものとして今回御負担をいただくということにいたしておるわけでございます。
#223
○西山登紀子君 私が申し上げておりますのは、大臣が国会で審議することなく自由に決めることができる、こういうことで申し上げているわけです。
 次に、質問を続けますが、一律に八百円の患者負担をせよといっても入院の食事はいろいろございます。また、材料費もいろんな格差がある。日本医労連の資料によりますと、一日の平均材料費は最高で千二百十六円、最低が四百三十円、このように格差があるわけです。私の地元は京都ですけれども、大きな病院の栄養士さんに聞いてみましたら、患者さんの病状に合わせて百種類もの給食をつくるということです。このような実態を無視して一律に患者負担を負わせるということは現状に合わないと思います。
 また厚生省は、病院給食が治療の一環でないとは言われないわけですけれども、このような実情から離れました一律の負担というものは、個人の病状や回復の状況に応じてつくる給食の本来のあり方を実際上は無視した非常に乱暴なやり方だと思います。こういうやり方を推し進めていきますと、病院給食が治療の一環であるという役割を崩していくことになると思うんですけれども、いかがでしょう。
#224
○政府委員(多田宏君) 入院時に病院が提供する食事というものが入院時医療に不可欠な要素であるということについては全く異論があるわけではございません。入院時の食事の提供は、従来どおり医療機関側の医学的な管理のもとに行われるということについてもいささかも変わりはないわけでございます。
 個々の入院時の食事のコストを御負担いただくという物の考え方でいるわけではございませんで、家庭でかかっている程度の食費についてそれを入院したときにも御負担いただくという物の考え方でございますから、どういう調理が行われあるいはどういう材料が使われているという個々の病院におけるコスト、それとこの負担額とは一応切り離された考え方として整理をされているわけでございます。
#225
○西山登紀子君 その切り離すというところが私は問題だというふうに指摘をしているわけです。
 厚生省が、今回の法改正について改正案のあらましというパンフレットをお出しになっているわけですけれども、その真っ先に入院時の食事の質の向上、患者ニーズの多様化を挙げているわけです。患者さんの中には、今回の有料化で給食が改善されると思っている人もおられます。果たしてそうなるのか。もともと付添看護を解消するという別の目的で、きょうの本会議でもはっきりいたしましたが、別の目的でほとんどの財源を回すわけですから、病院給食そのものが改善される余地はほとんどないと言っても過言ではないと思います。
 今回の自己負担でどのように給食が改善されるか、御説明ください。
#226
○政府委員(多田宏君) 今回の食事に係る保険給付の見直しとあわせまして、診療報酬においても、中医協の御議論を踏まえた上ででございますけれども、一つとして、多様なメニューの提供あるいは適時適温等患者ニーズに対応した良質な食事の提供に対する評価、そして二つとして、食堂など良好な食事環境での食事の提供の評価、三つ目として、栄養士による栄養管理やベッドサイドにおける栄養指導についての評価、こういったものを検討していくことになっておりまして、これらが十月に実施されますれば、病院給食の改善ということにつながるものと考えております。
#227
○西山登紀子君 今回、その給食部分に予算の額でどれぐらい参りますか。予算の額的な問題はおっしゃらないわけですね。
#228
○政府委員(多田宏君) 今回の三千億の食費負担を願う部分について、これが全部食事に回るとは私ども一度も言ったことはないと考えております。
 当然のことながら、付添看護の解消に相当部分、そして在宅医療の推進ということにつきましても相当に力を入れていく、それに食事の改善、こういう三つの項目に食費で御負担をいただいた額を投入していくという考え方で整理をしているところでございます。
#229
○西山登紀子君 だから、その部分からどの程度給食の改善に回されるか、予算の額ですね。
#230
○政府委員(多田宏君) 三千億強の食事による患者負担がされますので、これを食事の改善の部分に大体二百億程度を投入したいというふうに考えております。
#231
○西山登紀子君 はっきりいたしましたように、三千二百七十億の負担をしていただいたのに二百億しか給食の改善には回さないということですから、これはやはり国民を欺く非常にずるいやり方、こういうふうに私は指摘せざるを得ません。
 次の質問に移りますが、この有料化というのは特にお年寄りや年金生活者、それから難病などの長期の入院患者の皆さんに与える影響は極めて深刻です。国民の皆さんからのファクスあるいは電報などで委員の皆さんのところにもさまざまな声が届いていると思いますが、私もスモンの会の方からこういう要望をファクスで受け取りました。
 「スモンをはじめ難病者の多くの患者は病気のため、収入が全くなく、日常生活にもこと欠き、難病者に死ねというのと同じ」だと、こういうふうな抗議の、――今、大層にというお声が出ましたけれども、厚生委員会の場ですから、そういうこと重言うのは非常に問題があると思います。
 スモンの会の方はそういうお声を持っていらっしゃるし、お年寄りの場合は入院費の自己負担一日七百円、これに一日六百円プラスする、合計すると毎月三万九千円の負担増になります。年金受給者の六割に相当する人たちが月に三万円程度の年金しかもらっていない。しかも、この入院給食の自己負担というのは高額療養費の対象になりません。この負担の影響というのは非常に深刻だと考えます。
 そこで、この保険外負担の問題なんですけれども、過日、予算委員会で我が党の上田議員が指摘をいたしましたが、日本福祉大学の二木教授の調査では、オムツ代や介護料、施設管理費などの保険外負担は全国平均で六万五千七百四十円、首都圏では九万四千五百九十三円で、厚生省の調査の二・九二倍にもなるわけです。厚生省は保険外負担をなくすために通達を出していらっしゃるんですけれども、一向に減らない。もっとこれを徹底すべきではないでしょうか、お考えをお聞かせください。
#232
○政府委員(横尾和子君) 保険外負担の取り扱いの問題でございますが、基本的に一部負担以外の保険給付と重複するサービスや物は名目のいかんを問わず費用徴収をしてはいけないという取り扱いをしております。
 また、負担を求めてよいものにつきましては、先ほど来の御質疑にありましたように、あいまいなものはだめ、またその料金も実費相当で妥当なものでなければならない、患者さん御自身の承諾が前提である、きちんとそのことを掲示しなければいけない、またそのサービスや物の名称ごとに金額を明らかにした領収証を交付するというようなルールでやっておりますが、いろいろ御指摘もいただいているところでございますので、今後とも徹底的な指導監督を行うつもりでございます。
#233
○西山登紀子君 保険外負担は先ほども議論になりましたが、今回の診療報酬の改定で差額ベッドが四人部屋についても認められました。一般病院では全病床の五割まで導入できることになったわけですけれども、この差額ベッド代の負担が非常に重いということが私のもとにも届いております。
 一例を挙げますと、八十五歳のお年寄りがけがで入院をした、四人部屋でも病棟管理料ということで十日で七千円の負担があった、息子さんがびっくりして私の事務所に相談に来られたわけですけれども、差額ベッド料は一カ月で二万一千円です。ということで、八十五歳になってもこんなに払わなければならないのかということで駆け込まれたわけですね。
 このような安易な差額徴収の拡大はぜひやめるべきだと。この差額ベッドの保険外負担、どのように解消しようとしているか、お聞かせください。
#234
○政府委員(多田宏君) 今回の特定療養費制度を活用してのいわゆる差額ベッドの問題でございますけれども、中医協の基本問題小委員会の報告におきましても、「特定療養費制度を活用して多様化していく患者ニーズに応えていくことが期待される。」ということで、医療サービスの基本的な部分につきましては保険給付で対応する、患者の選択による部分については患者の意思を尊重しながら特定療養費制度の拡充を図る、こういう方針をとっておるところでございます。
 制度の活用を図るに当たりましては、当然のことながら、患者に十分な情報提供をした上で自由な選択と同意のもとで運用するということにいたしておりまして、従来より医療機関において、見やすい場所にその内容、費用に関する事項について掲示をする、あらかじめ患者に説明し同意を得るというようなことを義務づけておるわけでございます。
 さらに、今回の見直しに当たりましては、特定療養費に係るサービスの内容、料金の変更等があった場合の随時報告を新たに義務づけますとともに、都道府県においてこうした報告をもとに情報公開に努めるといったような措置も講ずることといたしております。
 このように、基本的部分の保険給付と選択的な部分の患者の意思を尊重した負担ということ、両面を生かしたこの方式を今後とも推進していくつもりでございまして、縮小することは考えておりません。
#235
○西山登紀子君 四人部屋にカーテンをつけたり、その程度のことで差額ベッド料を取るということは非常に問題があると思いますので、私は引き続き検討を要望したいと思います。
 次に、付添看護の問題ですけれども、厚生省はあと一年で付添看護を解消すると言います。私はきょうの本会議でも、そうなるだろうかと、家族介護がふえたりまたは患者放置につながらないかと指摘をいたしました。
 日本医労連が九三年の六月に夜勤の実態調査をされています。その中で付添看護の状況も調べていらっしゃるわけです。秋田日赤は、職業の付き添いが八名、家族の付き添いが六十五名。大阪日赤は、職業の付き添いが一名、家族の付き添いが九十七名。広島の市民病院は、職業の付き添いが七名、家族の付き添いが百七名。これは概要であるわけですが、いわゆる一流の病院、当然基準看護病院なわけですけれども、こういう状況にあります。
 しかも、家族介護のやり方というのは非常に工夫がされているわけです。これはほかの一流病院の文書ですけれども、患者の付き添いを家族が病院に願い出て許可をしていただくというふうな文書になっているわけなんですね。「上記のとおり、附添を御許可されたくお願い申し上げます。尚、許可を受けた上は、貴院の諸規則並びに御指示に従います。」、こういう「患者附添許可願」、こういうふうなものも工夫をされているわけです。
 実際、家族介護はもちろん否定されるものではありません。家族がそばにいて見てあげたいという気持ち、それは当然のことだと思います。しかし問題は、足りない看護・介護の補充者として大変な苦労を伴って付き添わざるを得ない、こういうことはやはり避けなければいけないと思うわけです。こういうような形式をとっておりますけれども、実態はその逆であって、病院からついてはしい、こういうふうに指示をされているわけです。
 こういうふうな点も踏まえまして、付添介護の解消を図るという問題にどのように努力をされるか、お伺いをいたします。
#236
○政府委員(多田宏君) 家族による付き添いなどが、病院における看護を代替とか補完するといったような形で、しかも病院の方から求められてそういうことが行われるということにつきましては、現在の基準看護病院では許されないことでございます。しかし、現実の姿として、基準看護病院でさえ付き添いの実態があるということにつきましては医療保険審議会の建議の中でも指摘されておるところでございます。
 私どもといたしましては、十月の診療報酬改定におきまして看護補助職員に係る診療報酬の評価を拡充することによりまして、医療機関における看護サービスを質、量ともに充実させる中で付添看護・介護のない看護体制の整備を図っていきたいというふうに考えているところでございます。
#237
○西山登紀子君 次に、職業付き添いの方々の問題ですが、今度の法改正に関連いたしまして大変大きな不安を持っておられます。
 私も地元で懇談をいたしましたけれども、これらの方々は長い間医療を支えてきた人たちで、中にはお年を召した方々も従事しておられます。私たちはもう働けなくなるのではないかというような不安も非常に大きく持っておられます。全国的なそのような団体も要望書を出しておられるわけです。
 二、三脚要望を紹介いたしますと、「これまで介護の分野で貢献をしてきた看護婦家政婦紹介所を在宅介護から排除することのないように、介護福祉の諸制度を見直し、看護婦及び家政婦の活用を図っていただきたい。」、また、「看護・介護の院内化に伴い廃業や失業を余儀なくされる事業者及び労働者に対して、生活に困窮することのないよう適切な援助措置を講じていただきたい。」というような要望がなされているわけです。
 この要望は厚生省にも届いていると思いますけれども、このような点を十分酌み取っていただいて職業付き添いの方々の御要望にこたえられるように、どのように努力をされるでしょうか。
#238
○政府委員(多田宏君) 今回の付添看護・介護の解消ということを円滑に進めるためには、現に付添婦として働いている方々の雇用あるいは紹介事業を行っている紹介所の方々の御理解、御協力が不可欠だというふうに認識しているところでございます。
 本年三月に、労働省との間で家政婦対策等連絡調整会議というものを設置いたしまして、この中で家政婦紹介所の関係の方々の御意見もいろいろ伺いながら具体的な検討を進めてきておりまして、もう近々にこの方向もまとまるものと思いますので、それに沿っていきたいと思います。例えば、医療機関における短期雇用のあり方、あるいは雇用が円滑に進むような診療報酬上の評価といったようなものも含めて検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
#239
○西山登紀子君 十分に御検討をお願いいたします。
 介護と看護の充実の基本は看護婦さんの増員だと思います。六月十五日に日本看護協会が看護婦の勤務実態調査を発表されました。これによりますと、完全週休二日制は前回の調査からの四年間で三%から五三%に改善をされています。しかし、夜勤回数は平均で八・七回、前回よりも〇・三%減少していますが、やはり八・七回というのが実情です。中でも私がこの調査で心を引かれましたところは、患者さんが自分の健康問題に立ち向かえるようにじっくりと援助をすること、こういうことに関心のある看護婦さんが六割もいるということでした。看護婦さんはやはりよい看護をしたいと思っていらっしゃるわけですね。
 看護婦確保の指針では、夜勤は八日以内を目指すことになっております。この実現こそが今求められていると思います。看護婦の養成、労働条件の改善、潜在的看護力の活用など総合的対策を強化することこそ看護・介護力強化のかぎではないかと思いますが、この点の方針をお聞きいたします。
#240
○政府委員(多田宏君) 付添看護の解消に伴いましてマンパワーの確保ということが非常に重要になるということでございますが、既に二月の中医協の答申におきまして、この面に関しましての診療報酬の考え方というものが明示されております。
 一つは、計画的に付き添いのない病院への移行を促進するため、家政婦などを院内化する場合にこれを評価する。それから、現行の看護料体系を見直して看護補助者の評価を明確にするというようなことで、看護補助者の意欲ある仕事ぶりを期待するというようなことを考えております。今後、中医協の御議論や賃金の実態を踏まえて、必要なマンパワーの確保が図られるような診療報酬上の評価をさらに努力してまいりたいと思っております。
 看護職員につきましては、診療報酬上の評価とあわせまして、看護婦等の人材確保の促進に関する法律とこれに基づく基本指針というものを踏まえまして、離職の防止、再就業の促進、あるいは養成力の拡充等、各般の施策を着実に進めてマンパワーの確保に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#241
○西山登紀子君 国民皆保険が発足した当時の厚生白書をここに持ってまいりましたけれども、その厚生白書には、医療保険制度とは「すべての人が経済上の不安なくたやすく医療を受けられるようにする制度」で、「疾病と貧困との悪循環を断ち切るには、疾病にかかったとき費用の心配なしに治療を受けられるようにすることがその要ていである。」と述べています。これは昭和三十四年です。私はこのような考え方、理念は大変大事なことだと思うんです。
 ところが、厚生省のある幹部が最近このように言っているわけです。経済的に医療を支援するシステムである保険は、少しは身を引いてもいいのではないか。ここには大きな違いがあると思うんです。
 医療保険とは、単に経済的に医療を支援するシステムという立場と、疾病にかかったとき費用の心配なしに治療を受けられる制度だという立場と、二つの立場は非常に大きな違いがありますが、私は、国が目指すべき方向というのは後者、つまり疾病にかかったときに費用の心配なしに治療を受けられる制度、これを目指すべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#242
○政府委員(多田宏君) 公的医療保険制度というものがどういう機能を果たしていくべきかということについては、審議会でもいろいろと議論がございました。結論的に申し上げれば、疾病、負傷に伴い発生する経済的な不安の解消という基本的役割は維持しつつ、一方、国民のニーズに対応した医療サービスの多様化や質の向上を図るということが現時点での公的医療保険制度としての重要な課題だというふうに指摘をされているところでございます。
 したがいまして、基本的な役割そのものはきちっと維持しながらも、画一的過ぎるといわれる給付の内容につきまして、もう少し国民のニーズに対応した多様化、質の向上という部分も入れていくべきだという考え方を先ほど御紹介いただいた論者は言っているものと考えておりまして、その点では私も同感でございます。
#243
○西山登紀子君 最後に大臣にお伺いをいたします。
 厚生省は、今度の法改正の患者負担の方向以外にさらに患者負担をふやそうという方向を検討しているのではないかと思うんですけれども、昨年の医療保険審議会の建議書を見ますと、国民の生活水準の向上に伴いよりよい療養環境を求めるニーズが生じているとして、給食費や室料、薬剤、治療材料などに対する保険適用を見直すべきだと言っています。だから、厚生省の幹部が保険から少しは身を引いてもいい、すなわち患者負担をもっとふやす必要がある、こういうふうに言っているのではないかと思うのです。今回の給食費の自己負担化は、そのような方向に進める第一歩だと言われています。
 このように、患者負担がふえて保険給付の対象を狭めることが進めば、医療を受けたくても受けられない、いつも懐ぐあいを気にして病院に行かなければならない、お医者さんも患者の懐ぐあいを気にしながら治療をするようになる。このようなことは、疾病の早期発見や早期治療を困難にして受診の抑制を招き、逆に医療費の増大化にもつながる、いわゆる保険の空洞化にもつながると思います。
 厚生大臣、この医療保険の空洞化はしないと明言していただきたいのですが、いかがでしょうか。
#244
○国務大臣(大内啓伍君) 今度の食事の自己負担等につきましては、もうるるその理由を申し上げてまいりましたので繰り返しはいたしませんが、今御指摘の室料、薬剤あるいは治療材料等へ自己負担を切り開いていく突破口ないしは第一歩ではないかという御指摘でございますが、今回の食事の負担の場合は追加負担ではないというふうに我々は考えておるわけでございます。
 今御指摘のような薬剤とか室料とかあるいは治療材料といったようなものは、明らかに追加負担あるいは追加的に必要となる費用と考えられることから、こういう考え方の延長線として新たな自己負担を求めることになるというようなことは我々は考えておりません。
#245
○委員長(会田長栄君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#246
○委員長(会田長栄君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#247
○西山登紀子君 私は、日本共産党を代表して、健康保険法等の一部改正秦に反対の討論を行います。
 近年、成人病や慢性病がふえている中で食事療法が一層重視されてきており、病院給食は疾病治療の一環として重要な役割を担っています。病院給食を療養の給付から除外することは保険給付範囲の縮小であるばかりでなく、医学的常識をも無視したものであります。
 病院給食の有料化は、国民に大幅な負担増を押しつけるものであり、特に老人や低所得者にとっては入院もままならないという事態を招くことは明らかです。
 また、食事代の患者負担分は法律改正なしに負担額を引き上げることができます。しかも、高額療養費の対象に含まれないため、全額患者・家族の負担となるという点でも重大な改悪であります。
 次に、付添解消の問題です。
 厚生省は、付き添いの負担なく安心して入院できる病院とするとしています。しかし、私も委員会の審議で指摘しましたように、実態は付添婦がつくことが禁止されている基準看護の病院でも、看護婦が足りないため家族による付き添いをつけざるを得ない状態にあります。看護補助者を若干ふやす程度では、現在付添婦をつけている病院の介護・看護は大幅に低下することになります。また、現在の看護に関する診療報酬は、看護婦などを雇えば雇うほど赤字になる仕組みになっています。この赤字の構造をそのままにして付添看護を廃止すると、お世話料や差額ベッド代などの他の名目による患者負担の新たな増大を招くことは明らかです。
 以上のように、本法案は、入院時食事療養費という新しい仕組みを持ち込み、なお一層の患者負担を国民に押しつける一方で、明確な見通し、具体的手だてもないまま付添看護を廃止しようとするもので、薬や患者サービスの自己負担化拡大の第一歩となるものであります。このような医療保険制度の根幹の空洞化につながる制度改悪を、たった一日の審議で、しかも関係団体などの意見も十分聞かないまま採決を行うなどは過去になかったことであり、到底認めるわけにはまいりません。
 この点を申し上げ、私の反対討論を終わります。
#248
○委員長(会田長栄君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 健康保険法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#249
○委員長(会田長栄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、菅野君から発言を求められておりますので、これを許します。菅野君。
#250
○菅野壽君 私は、ただいま可決されました健康保険法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、新緑風会、公明党・国民会議の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 以下、案文を朗読いたします。
    健康保険法等の一部を改正する法律案に
    対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、適切な措置を講
 ずるよう努めるべきである。
 一、付添看護の解消に伴う基準看護制度の見直
  しに当たっては、看護・介護職員の配置につ
  いて診療報酬上適切な評価を行うとともに、
  看護・介護の質の低下を招くことのないよ
  う、事後の状況等の実態を調査し、その結果
  を踏まえ、所要の措置を講ずること。また、
  重篤な患者や術後の患者についての看護婦配
  置の評価を検討するなど、看護の質の向上を
  図るよう配慮すること。
 二、付添看護の解消に伴い、付添看護婦・付添
  婦及びその紹介に携わる事業者が、付添看護
  の院内化や在宅医療の推進に適切に対応でき
  るよう、弾力的な雇用形態、研修、診療報酬
  等の経済的評価など、適切な措置を講ずるこ
  と。
 三、入院時食事療養費の定額自己負担を定める
  に当たっては、一般の食費負担が、平均的な
  家計における食費の状況を勘案した額から経
  過的に六百円に軽減された趣旨を十分に踏ま
  え、市町村民税非課税世帯に属する者の負担
  についても、経過措置を講ずるとともに、そ
  の入院が長期にわたる場合に配慮しつつ、適
  切な措置を講ずること。
 四、付添看護の解消により保険外自己負担が解
  消される一方、入院時食事療養費の定額自己
  負担が創設されるなど、自己負担のあり方に
  ついての見直しにかんがみ、患者の自己負担
  が必要な受診の阻害要因にならないよう、今
  後とも格段の配慮を払うとともに、引き続き
  不合理な保険外自己負担の解消に向けて所要
  の措置を講ずること。
 五、入院医療における食事療法及び栄養指導の
  重要性にかんがみ、栄養士による栄養管理、
  ベッドサイドにおける栄養指導、在宅医療充
  実のための訪問栄養指導について、診療報酬
  上の評価など所要の措置を講ずること。あわ
  せて、入院時の食事の内容や摂食環境の改善
  を図ること。
 六、在宅医療の充実・推進を図るため、診療報
  酬上の格段の評価など、所要の措置を講ずる
  こと。
 七、入院・在宅を通じて、精神障害者や難病患
  者など長期療養を要する患者に対しては、施
  策全般にわたる見直し拡充を図ること。とり
  わけ、精神障害者については、社会復帰のだ
  めの各般の施策の拡充及び施設整備の計画的
  推進を図ること。その一環として診療報酬上
  の評価について検討を加え、また、マンパ
  ワーの確保を進めるとともに、精神科ソー
  シャルワーカー等の資格制度について、早急
  に検討すること。
 八、医薬品の適正な使用の推進を図るため、製
  薬企業における安全性に配慮した開発・製
  造、医薬品の評価・審査体制の充実、医療機
  関における医薬品情報の活用、医薬分業の推
  進と薬歴管理等関連施策全般にわたる一層の
  推進を図ること。
 九、今後の高齢社会における介護等のニーズの
  増大・多様化に応えていくため、新たなゴー
  ルドプランを策定するとともに、それを国家
  的施策として展開するため、所要の措置を講
  ずること。
  右決議する。
 以上であります。
#251
○委員長(会田長栄君) ただいま菅野君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#252
○委員長(会田長栄君) 多数と認めます。よって、菅野君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、大内厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大内厚生大臣。
#253
○国務大臣(大内啓伍君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、努力いたす所存でございます。
#254
○委員長(会田長栄君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#255
○委員長(会田長栄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後八時四十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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