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1994/06/20 第129回国会 参議院 参議院会議録情報 第129回国会 文教委員会 第4号
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1994/06/20 第129回国会 参議院

参議院会議録情報 第129回国会 文教委員会 第4号

#1
第129回国会 文教委員会 第4号
平成六年六月二十日(月曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月二日
    辞任         補欠選任
     南野知惠子君     狩野  安君
 六月三日
    辞任         補欠選任
     狩野  安君     南野知惠子君
 六月六日
    辞任         補欠選任
     南野知惠子君     服部三男雄君
 六月七日
    辞任         補欠選任
     服部三男雄君     南野知惠子君
 六月八日
    辞任         補欠選任
     上山 和人君     藁科 滿治君
 六月九日
    辞任         補欠選任
     藁科 滿治君     上山 和人君
     橋本  敦君     市川 正一君
 六月十日
    辞任         補欠選任
     市川 正一君     橋本  敦君
 六月十六日
    辞任         補欠選任
     橋本  敦君     市川 正一君
 六月十七日
    辞任         補欠選任
     上山 和人君     渡辺 四郎君
 六月二十日
    辞任         補欠選任
     渡辺 四郎君     上山 和人君
     市川 正一君     林  紀子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         石井 道子君
    理 事
                宮崎 秀樹君
                森山 眞弓君
                篠崎 年子君
                及川 順郎君
    委 員
                井上  裕君
                世耕 政隆君
                田沢 智治君
                南野知惠子君
                上山 和人君
                久保  亘君
                本岡 昭次君
                乾  晴美君
                江本 孟紀君
                北澤 俊美君
                小林  正君
                片上 公人君
                林  紀子君
   国務大臣
       文 部 大 臣  赤松 良子君
   政府委員
       文部大臣官房長  吉田  茂君
       文部省生涯学習
       局長       岡村  豊君
       文部省初等中等
       教育局長     野崎  弘君
       文部省教育助成
       局長       井上 孝美君
       文部省高等教育
       局長       遠山 敦子君
       文部省高等教育
       局私学部長    泊  龍雄君
       文部省学術国際
       局長       佐藤 禎一君
       文部省体育局長  奥田與志清君
       文化庁次長    林田 英樹君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊池  守君
   説明員
       外務大臣官房領
       事移住部領事移
       住政策課長    林   渉君
       大蔵大臣官房企
       画官       玉木林太郎君
       大蔵省主税局税
       制第二課長    福田  進君
       厚生省児童家庭
       局母子衛生課長  三觜 文雄君
       厚生省保険局医
       療課長      篠崎 英夫君
       労働省婦人局婦
       人政策課長    岩田喜美枝君
       労働省職業安定
       局業務調整課長  吉免 光顯君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○教育、文化及び学術に関する調査
 (文教行政の基本施策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(石井道子君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十六日、橋本敦君が委員を辞任され、その補欠として市川正一君が選任されました。
 また、去る十七日、上山和人君が委員を辞任され、その補欠として渡辺四郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(石井道子君) 教育、文化及び学術に関する調査のうち、文教行政の基本施策に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○南野知惠子君 ただいま御指名されました自民党の南野でございます。本日は大臣の所信表明に対して御質問をしたいと思っております。
 所信の中で大臣は、教育は知・徳・体にわたる人間形成を目指す活動であると述べておられます。同感でございます。
 知に関しては、識字率、教育制度、教育水準など、他国と比べて比較的高レベルであると思われますが、しかし今日の少子化、高齢化など家族をめぐる社会環境の変化から、特に徳への関心を深める必要を痛感いたします。
 徳は、人生の生きるありさまを示すものであり、社会における生活ルールでもあります。また、お互いに世代間の理解と認め合う心であるとも思われます。親孝行、敬老、夫婦愛、兄弟愛、師弟愛、友愛など、人と人とのきずなの大切さをどこで学び、習慣づけていけばよいのでしょうか。
 体では、近年の家庭、社会の生活様式の変化から、産育、生育、食育などの習慣は子供たちの体力、体形、栄養状態、病気などに影響が見られております。例えば、子供の成人病、肥満、カルシウム不足による骨の異常、視力の低下、足の裏の変形などもあります。
 我が国の少子傾向において、産むことへの期待もさることながら、生まれてきた子供の生命を大切に守り育てなければならないと思います。今こそ大人が、社会が、子供の健康教育に向けて環境づくりをしなければならないのではないでしょうか。いじめ、けんか、暴力、親の離婚による苦しみ等々、また交通事故などの予防対策も含めいろいろな危険や災害をなくし、大人は子供に対し、すてきな家庭人、社会人、国際人としての手本となる生活教育をしなければならないのではないかと思います。
 徳と体から心と体の健全育成が教育の効果を上げる方向を示し、その基礎になることと思われます。しかし今日、これらの事柄が軽んじられていたり、欠けたりしているのではないでしょうか。本年四月には児童の権利に関する条約も批准され、百五十八番目の締約国となりました。また、本年は国際家族年でもあります。家族から始まる小さなデモクラシーを近隣社会へ、国々へ、世界へと広げていきたいものです。
 そこで、国際家族年に当たり、関係省庁では連絡会議を設置して各省庁間で関連施策の連携、取り組みの推進を図っておられるようですが、文部省としての取り組みはいかがでしょうか。よろしくお願いします。
#5
○政府委員(岡村豊君) 文部省では、核家族化、少子化あるいは都市化等の家庭をめぐる状況の変化に対応いたしまして、家庭教育の振興施策を中心に国際家族年関係の事業を実施する予定でございます。さらに学校教育における家庭生活に関する教育の充実を初めといたしまして、女性、青少年、高齢者に対する学習機会の充実、あるいは家族の交流を深めるためのスポーツ文化活動の充実を図っていくことといたしております。
 主な記念行事といたしましては、ことしの九月にフォーラム家庭教育を開催いたしますし、また平成五年度から、これも国際家族年の記念行事として二カ年計画で、日本を含む六カ国の家庭教育に関する国際比較調査に取り組んでいるところでございますが、本年末にはその概要を公表できる予定でございます。また、国立婦人教育会館では、平成四年度から実施の家庭教育研究セミナーの成果をもとにいたしまして、ことしの十二月に海外の家庭教育関係の専門家、研究者をお招きいたしまして国際セミナーを開催する予定でございます。
 今後とも、国際家族年は国連の平成元年の決議に基づいて設定されたものでございますので、その決議の趣旨も踏まえつつ関係施策の充実に努めてまいりたいと思っております。
#6
○南野知惠子君 家族をめぐる環境の変化としましての少子化、高齢化の問題ですが、特に少子化につきましては、大きな原因の一つが子育ての経済的負担、お金がかかり過ぎるということであります。
 厚生白書では一人の子育てに二千万円かかると言われておりますが、大臣の御感想として、高いのでしょうか安いのでしょうか、お伺いします。
#7
○国務大臣(赤松良子君) 高いか安いかというのは、まさに観点の違いで高いとも言えますし安いとも言えると思います。
 なぜ安いと言えるかといいますと、それは子供の教育というのは非常に大事だ、だからどんなに高くても高過ぎることはないという観点に立ては安いとも言える。しかし、それが親の負担になっているという面からいえば高いとも言えるわけであろうかと思います。
#8
○南野知惠子君 いみじくも大臣がおっしゃってくださいました親の負担ということによると思います。
 同白書では、各家庭が負担している我が国の年間子育てコストの総計は二十五兆円と推定しております。教育費につきましては、従来、受益者負担で片づけられてきた傾向があります。教育費は次代の社会を担うすぐれた人材を育成するという観点にもなりますが、急激な少子化は子供たちに荷重をかけているということも言われております。
 例えば子供のいない成人が近年ふえております。私もその一人なんですが、その成人もやがては何らかの形で他人の子供に支えられるのではないだろうか。したがって、子育ては必ずしもその家族のみの責任ではなく社会全体の子供であるとの観点から考慮され、社会共通の費用として積極的に支援することが必要ではないでしょうか。
 また、意欲と能力のある子供が経済的理由により社会教育の機会を失うこともあってはならないと思われます。国立大学授業料の値上げ、また私学における助成金の半減などは学生の教育費負担がさらにふえることになります。
 社会の将来を託す大切な社会資源の教育育成の観点から、受益者負担ではなく社会資本という見地に立って社会全体で子育てを支援すべきと思いますが、大臣の御所見をお伺いいたします。
#9
○国務大臣(赤松良子君) 教育費の負担という点では、社会がどの程度負担し、親がどの程度負担すべきかというのはいろいろ議論もあろうかと思います。
 確かに外国では、教育費を全部国が賄うといいますか、国が持つという国も決して少なくないということも承知いたしております。しかし日本は、義務教育はすべて親の負担にならないように教科書まで含めて国がということになっております。国といいますか、地方公共団体を含めて社会がとなっておりますが、だんだん上の方にいきますと親の負担が高くなってきているということは事実でございまして、これが全く適当でないかということは、これまた観点が違えば違うのではないかと思いますが、少なくとも機会均等、だから子供あるいは親も含めて本人が高い教育を受けたい、受ける意欲も能力もあるのにそれが受けられないというのはよくない。これは一致しているところでございますから、それを授業料という形で国が面倒を見るか奨学金というような形で補助をするかという、やり方はいろいろあるかと思いますが、教育を受けたいと思う者が受けられるようにするということは大事なことだろうと思います。
#10
○南野知惠子君 安心して子供を産める環境を各省庁間で協力してっくらなければ、ますます少子化が進むものと思われます。国際家族年のことしこそ、少子化対策と同時にすばらしい人間教育を積極的に行うに当たり、文部省の予算を拡充する必要があると思いますが、大臣の御決意をお伺いいたします。
#11
○国務大臣(赤松良子君) 子供を育てるのにお金がかかるから子供が産めないというのは、これは非常に困ることでございます。子供がただ多ければいいというものではもちろんないわけで、子供をそんなにたくさん産まない方がいいという時代もあったわけで、また途上国におきましては今は人口爆発というのが問題になっている国もたくさんあるわけで、日本が少子化、少子化と言って騒いでいるというのはそういう国から見ればあるいは奇異に映るのかもしれないというふうに思います。
 しかし、長い目で考えますときに、日本の国の今の一・五〇というのはやはり相当憂慮といいますか危惧をしても不思議ではない数字だというふうにも思われるわけでございまして、それはいろんな要因があってそういうふうに出産率というのは低下してきたわけでございますから教育費だけの問題ではもちろんないわけでございますが、教育費といいますか、親の子供を育てるための負担、経済的な負担が高いということが少子化の原因、つまり子供をどうしてもっと産まないのかという質問に対する答えに経済的な負担というのが上がってきていることも事実でございますから、ほかの要因についても十分な配慮が要ると思いますが、文部省として一番関係の深いのはその点でございます。これが予算がないためにそういうことになっているということは非常に問題だというふうに存じます。
#12
○南野知惠子君 そういう意味では、予算獲得の面にもぜひ御努力いただきたいと願っております。
 次に、野外教育についてでございますけれども、文部省でもさまざまな取り組みをなされているということでございますが、大臣所信の中で、ボランティア活動の支援・推進、青少年の学校外活動の充実、そして子供の望ましい人間形成を図ることを目指す学校週五日制の円滑な定着などが述べられております。
 土曜休業日に学校生活では得られないような体験をさせ、これからの社会で生活していくための資質や能力を身につけていくことは私も必要と考えております。
 特に高齢化社会を迎えるに当たり、生徒、学生がそれぞれのレベルに応じたボランティア活動の重要性を知り実体験すること、また地球環境問題についても、身近な生活、環境の教育を実践し、自然との触れ合いを経験させたいものです。また、父母の職場の見学や、病院、老人施設、自動車工場、浄水水源地、コンピューター工場、科学博物館等々、社会のいろいろな場面でじかに見学することにより興味の範囲や考え方の視野も広がり、いろいろな社会の動きに感動を得て自分の進む方向を探す資料とすることにより、将来の明るい夢につながるような動機づけが得られる大切な教育ではないかと思っております。
 さらに大臣の御所見がございますればお伺いしたいと思います。
#13
○国務大臣(赤松良子君) 子供たちが、今、先生おっしゃいましたように、いろいろな体験を通じて、野外であるとか自然に触れるとか、そういう面で実態に触れるということは非常に望ましいことだというふうに存じております。
 子供たちが、今まで往々にして言われておりましたように、知識を詰め込むということに余りに重点が置かれていた、それを見直す意味で調和のとれたもっと幅の広いといいますか、いろいろな人格の形成にあるいは人間の形成に有効な経験を身近に得るということは非常に大事なことだというふうに存じます。
#14
○南野知惠子君 子供たちがみずからの立場、役割を考え主体的に判断して行動できる資質や能力の育成ができるよう、教育が学校で家庭で社会で充実されていきますことを願う者の一人でございます。
 今日のように価値観が多様化している社会におきましては、中学、高校などの学園生活から社会人としての生活を始めるに当たり、そのスムーズな適応に向けての指導が必要のように思われます。例えば、自立した健康管理、危険、誘惑など社会悪からの防衛、さらに社会人としてのマナー、金融カードシステムや消費者としての心得など、学園を巣立つ際の心得としての指導、助言をすべきではないかと思いますが、大臣の御所見はいかがでしょうか。
#15
○政府委員(野崎弘君) 今、大臣からお答えがございましたように、私どもも単に知識ということではなしにいろいろなことをみずから体験していくということは大事だと思っております。
 今、先生の御指摘ございましたカードローンとかあるいは訪問販売などの問題、そういう心得につきましても中学校、高等学校を通じてしっかり教えていかなければいかぬ、このように思っております。
 平成元年の学習指導要領の改定におきましては消費者教育に関します教科の内容の見直しをしておりまして、中学校におきましては社会科の公民的分野で消費者保護を扱う際に、近年におきますクレジットカードあるいは訪問販売等を初めといたします取引や契約の多様化、こういうものの実態を踏まえまして現代社会におきます取引の多様化や契約の重要性を取り上げ、消費者として主体的に判断し行動することが大切であることを考えさせるということを学習指導要領の中で明記をしたところでございます。
 また、技術・家庭科の新しい分野でございます家庭生活でも、物質、サービスの選択、契約、購入及び活用について考え消費者としての自覚を持つよう指導する、こういうことでございまして、高等学校におきましても消費者保護につきまして指導する、こういう考え方で現在進めているところでございます。
#16
○南野知惠子君 ぜひそこら辺の充実もお願いしたいところでございます。
 また、二十一世紀を目前に控えまして、いかにゆとりと潤いに満ちた教育を実現するか、これが現在の大きな教育課題であると考えます。しかしながら学校の現状には、登校拒否、いじめ、高校中退など、子供を取り巻く状況には深刻なものがございます。
 大臣も所信の中でこうした問題に対応するための生徒指導の充実について述べておられますが、まず初めに、登校拒否、いじめ、高校中退についての大臣の御所見と、あわせてその現状についてもお伺いしたいと思います。
#17
○国務大臣(赤松良子君) 新聞にたびたびいじめの問題が出ます。そして、それがひどい場合は子供の自殺につながる。これを見る日はもう本当につらい思いがいたします。
 いじめというのは昔から、世の中といいますか、子供の世界には大なり小なりあった問題だと思いますけれども、最近は何だがそれが陰湿化といいますか、ばかに広がってしまって、そしてそのために子供が自殺をする、何か非常に心の痛む遺書なんかが残っているというのはとても悲しいことでございます。
 それはなぜそういうことが起こるのかということを私どもとしては原因を分析しなければいけませんので、そういう調査もしているわけでございますが、なかなかその特効薬というか、いじめをどうしたらなくせるかということについては、新聞にしょっちゅう出ますのでそのたびにといいますか、起こらなくてもですが、調査の結果をもう一回見直すとかそういうことをして、今までしていること以外に何かないかといつも考えるんですが、なかなかいいアイデアというか、これぞというのはそうは見つからない。
 やっぱり今までしてきた、日常、先生たちが子供のことをよく相談相手になってあげるとか、何か起こりそうだった場合は気をつけて、それが自殺なんかには至らないように気をつけてあげるとか、もう少し楽しいゆとりのある生活が子供たちにできるようにして全般的に目を配るとか、そういうことは今までも学校教育あるいは地域の場での環境整備というような観点からいろいろとしてきているわけでございますが、それが余りうまくいっていないのか場所によってだめなのか、そういうことが後を絶たないで大変つらい思いでおりますが、特効薬はないのかもしれませんので、日ごろの活動を通じてそれをより充実してやっていくしかないのかなというのが今の実感でございます。
#18
○南野知惠子君 苦しい実感をお聞きいたしましたが、何か口ごもられたところで議員間にもいじめがあるのじゃないかと言おうとしておられたのじゃないかと思います。そちらもあわせた特効薬というものがあればいいなと思いますが。
 私は、これらの問題の解決には子供たちの心と体の健康を守る養護教諭の役割が重要だと考えております。学校内における養護教諭あるいは保健室の役割、またその位置づけについての御認識と、登校拒否の子供たちはいわゆる保健室登校が多いということも聞いておりますが、その現状はどうなっているのでしょうか。それにつきましては、教室には行けない子供たちが保健室には行けるということについてどのようなお考えをお持ちなのか、お伺いしたいと思っております。
#19
○政府委員(奥田與志清君) お話しのように、子供が心に痛みを覚えて授業に出られない、非常に痛ましいことでございます。保健室に子供が登校する、危険信号を既に発していると思うんですけれども、そのために温かく子供に対して養護教諭が対応し、また授業に出られるように指導してもらうということは大事なごとだというふうに考えております。
 例えば保健室に登校している子供は、小学校の場合ですと七%程度、中学校で二三%、高校で八%というふうな数字でございます。そこで、私どもは、できるだけ養護教諭がこういう子供たちに対しまして温かい手を差し伸べることができるように研修会等でいろいろ指導をいたしているところでございます。
#20
○南野知惠子君 保健室登校などの実態を踏まえてみますと、文部省は養護教諭の役割の重要性という認識が必要ではないかと思われます。
 また、現在実施されている定数改善の中でも養護教諭の配置の改善が行われていると承知いたしておりますけれども、現在、養護教諭が配置されていない学校は全国で何校あるのでしょうか。複数配置を算入した平均の配置率ではなく未配置校の実数を教えていただきたいし、また配置の標準についてはその引き下げを図るべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#21
○政府委員(奥田與志清君) ちょっと古い数字で申しわけございません。例えば小学校で平成三年の五月現在で申し上げますと、配置卒が公立の小学校の場合に九〇・七%、公立の中学校の場合ですと九一・四%、九割強ということになっております。
 御案内かと思いますけれども、平成五年度から六カ年計画によりまして配置改善計画を行っておりまして、これが実現いたしますと、今まで三学級以上の学校の場合には四校に三人配置しておりましたが、すべての学校に一人ずつ配置をするということを目標にいたしておりますし、お話にもございましたように、三十学級以上の大規模校におきましては従来一名でございましたけれども、二名配置するということで今、努力をいたしているところでございます。
#22
○南野知惠子君 ぜひそこら辺の充実もお願いしたいと思っております。
 保健室登校の状況からもおわかりのように、今や養護教諭は子供たちの単なる身体の健康管理のみでなく、いわゆる成人病、糖尿病、ぜんそくなど処置または看護の必要性と、特に心の健康についても大きな役割を果たしております。そうした中で、養護教諭の役割に着目して今度は養成課程や現職研修について一層の充実を図る必要があるのではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。
#23
○政府委員(奥田與志清君) 御指摘のとおりだと思います。
 文部省におきましては、従来から養護教諭を対象に研修会を行ってきておりますけれども、御指摘ございましたように、近年におきまして児童生徒の心の健康問題が重視されてきておりますので、こういう点におきます養護教諭の役割は大きくなってきているというふうに認識をいたしております。
 研修会におきましても、心の問題に適切に対処するため、ヘルスカウンセリング指導者のための講習会を開催し養護教諭の資質向上を図ってきているところでございまして、さらにこれを充実してまいりたいと考えております。
#24
○南野知惠子君 また、養護教諭は、性教育、健康教育、食育などの教育を積極的に行う必要があると考えておりますが、いかがでしょうか。あわせて教育委員会などに対する文部省の指導の状況をお知らせいただきたいと思います。
#25
○政府委員(奥田與志清君) お話ございましたような点の重要性が近年増大してきておりますので、この点につきましては教育委員会に対しましても、そしてまたいろいろな研修会におきましても、この辺の重要性を十分認識し、それぞれの地域、学校におきまして適切に対応していただくように指導いたしているところでございます。
#26
○南野知惠子君 よろしくお願いしたいところでございます。
 文部省が養護教諭の役割は重要であるという割には、その位置づけに対し、いまひとつ積極性に欠けているように思われます。これは私の思い違いであると信じたいのですけれども、文部省は養護教諭の役割を今後どのように強化していかれるおつもりなのか。例えば今、養護教諭は教壇に立てませんが、教壇に立てるようになるとか、またはホームルームで教育できるとか保健の主任になれるなど、具体的にお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
#27
○政府委員(奥田與志清君) お話しございましたように、学級活動、ホームルーム活動におきましては、養護教諭の活躍を期待し、そういう努力がなされております。
 教壇に立つ問題につきましては、先生御案内のように、養護教諭の仕事がそうでなくても増大いたしておりますので、教壇に立つことを前提にいたしておりません。したがいまして、保健の授業等におきまして十分な指導がなされるよう努力をいたしますけれども、その場合におきましても、例えば保健の先生の指導のもとで養護教諭に部分的に担当していただくことが適切だと、先ほどお触れになりましたけれども、性教育などはその点について御指導いただいた方がいいというふうな学校の判断で例外的に教壇に立っていただくというふうなこともあろうかと思います。
#28
○南野知惠子君 一番大切であろうと思われる性教育が保健体育というくるみの中で行われておりますので、そういう意味でもこの心を大切にする時代ではやはりそれを分離した形の保健というものの尊重がされてよろしいのではないかなと思っております。
 そういったことも含めましてよろしくお願いしたいんですが、そういう養護教諭の役割強化の前提として、幅広い観点から全国調査を行ってその実態を把握することが必要ではないかと思われます。また、その結果を生かし今後の施策を立案するため、協力者会議を設置することなどの御検討はないのでしょうか。社会の流れをくみ込んだきめ細かな教育をタイムリーに取り入れていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#29
○政府委員(奥田與志清君) 養護教諭の職務は、先生御案内のように児童生徒の養護をつかさどるということで、内容におきましても、学校において児童生徒等の保健管理、保健指導に従事するという非常に幅広くかつ専門的な仕事でございます。その内容につきましては、時代の変化に伴いましてお触れになりましたようないろんな状況変化がございます。こういうことにつきまして適切に対応できるように今後とも研修会あるいは研究協議等を重ねてまいりたいと思っております。
#30
○南野知惠子君 よろしくお願いいたします。子供が学校が楽しいと言えるような学校にしていただきたいというふうに思っております。
 次はスポーツのことでございますが、国民のスポーツへの関心を高める方策の一つといたしまして国際的な大きな大会を招致するという方法がございます。平成十年には長野オリンピックが予定されております。また、一昨日からアメリカにおきましては華々しくサッカーのワールドカップが開催されました。フランスの大会に次いで次はアジアに来ると聞いております。日本でも二〇〇二年のこの大会招致につきまして日本サッカー協会を中心に活動を行っていると聞いておりますが、実際には政府のバックアップが不可欠だと思っております。
 競技は一つの県にとどまらず他県にも及ぶものでありますし、我が国の経済効果、スポーツ振興、さらに国際貢献にもつながると思いますので積極的に援助を行ってはどうかと思いますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思っております。
#31
○国務大臣(赤松良子君) サッカーにつきましては、私は実は余り早い時期からサッカーに関心があったわけではございませんでしたが、一九八六年にウルグアイへ赴任をいたしました。そのときはメキシコで世界大会がある年でございました。
 ウルグアイという国は大変サッカーに熱心な国でございまして、着いた途端から何かすごい音楽で、ラジオをつけるとサッカーの世界大会の歌を流しているわけで、すごいんだなと思ったのがまずサッカーに対する関心の初めだったかもしれません。サッカーは国の中で見ようと思えば年じゅうやっているわけで、それから公園へ、公園でなくてもちょっとした広場へ行けば子供がみんなサッカーをやっておりました。それで嫌でもサッカーというものが世界的な競技なんだなというふうに思ったわけでございます。
 その後、イタリア、そしてアメリカというふうになって、次はフランスと決まっているようでございます。その次でございましょうか、日本へというあれが盛り上がっているというふうに承知をいたしております。
 これが我が国で開催されることになれば、今サッカーブームというものが起こってきているわけでございますが、いやが上にもそれは高まると思われますし、それはサッカーの普及にとどまらない、もっと広く国民がスポーツに対して関心を持つ、子供が一生懸命スポーツをやるという点でも効果があるものというふうに考え、さらに国際親善に日本が貢献をするという意味からいっても大きな意義のあることだろうというふうに考えております。
#32
○南野知惠子君 今、韓国も大いな勢いでノミネートしようとしているようなことも仄聞いたしております。また、高校野球のときには始球式を大臣はなさいましたが、サッカーのときは何をなさりたいのか、また私的な時間でお伺いしたいと思っております。
 次は国連大学のことについてお伺いいたします。
 国連大学では、昨年二月、ガリ事務総長をお迎えして華やかな開所式典が行われたと聞いております。日本に本部を置く唯一の国際機関である国連大学にしては、必ずしも一般の関心が高いとは言えないのではないかと思います。文部省としましても外務省や国連大学と協力して積極的なPRをしていく必要があると思いますが、大臣、いかがでございましょうか。
#33
○政府委員(佐藤禎一君) 国連大学は、人類の存続、発展及び福祉に係る世界的な問題についての研究、研修及び知識の普及を行うことを目的として設置をされたものでございます。これは通常の大学のように学生を直接受け入れたりそこに教授陣を持ったりということではございませんで、直属の研究研修センターのほか、提携契約を結んでおります研究機関等によりまして世界的なネットワークを構築する、そこで各種の事業を実施するというような形でございます。そのため、御指摘のように、多少見えにくい点があるわけでございます。
 文部省はこれまで恒久的な本部施設の建設も援助をしてまいりましたし、また各年の事業につきましても外務省と協力をいたしまして事業費の拠出等を行ってきているわけでございます。あわせまして、来年には東京都の協力によりまして本部施設の隣接地に研究研修センターが建設をされることになっております。
 こういう機会をとらえまして、私どもぜひこれが目に見えるように、そして活性化をするように、あわせて我が国の学界全体がそれによって大きな触発を受け、そして活性化をするということも考えまして、私どもの学術審議会の中に国連大学との連携協力に関するワーキンググループを設置いたしまして具体的な方策を検討する、こういう段取りにしているわけでございます。
#34
○南野知惠子君 国連大学は、発足以来、経済的基盤が十分でないとも言われたりいたしておりますが、今の御説明のように、いろいろな問題が着々と進んでいるようにもお伺いしております。また、日本はこれまでかなり支援を行ってきたというふうなことを言われておりますけれども、その内容は今、御説明がございました。国連大学は独立した国連の機関ということで、金は出せても口は出せないなどと言われているようでございますが、より充実した機関とするために政府としても積極的に注文をつけていくべきではないかと考えておりますが、御意見いかがでございますか。
#35
○政府委員(佐藤禎一君) 国連大学全体の運営につきましては、これは国連大学憲章に定めるところによって運営をされるわけでございますので、ある種の大学の自治のような仕掛けが備わっているわけでございます。
 しかしながら、ただいまお話がございましたように、我が国はこの基金に一億ドルを拠出いたしておりますけれども、全体で集められております二億ドル強の中でほぼ半分の基金を拠出しているという立場にございますし、またせっかく本部施設が我が国内にあるわけでございますので、これがうまく機能をするようにいろいろ御相談を申し上げ、その中で意見を申し述べていくことも私どもにとって大切な使命である、こういうふうに考えている次第でございます。
#36
○南野知惠子君 日本がたくさんお金を出しておりますので、そういう面でも十分なフォローアップをしていただきたい、またそれを活性化していただきたいというふうに願っております。
 次に、我が国が国際社会に貢献し国際化を果たす上で、留学生を通じた国際交流の役割は大きいと思います。政府は昭和五十八年から留学生受け入れを実施しておられますが、受け入れ数は飛躍的に伸びております。数字の上では順調に進んでいるのですが、しかし本来最も重視すべき受け入れ基盤の整備がおろそかであるということは十分感じられるようでございます。
 そこで、留学生受け入れの状況に関する評価を大臣の方からいただきたいと思っております。
#37
○政府委員(佐藤禎一君) 留学生の受け入れにつきましては、ただいまお話のありましたように、二十一世紀初頭には十万人にしようということでいろいろな計画を進めております。
 この留学生政策は、留学生がやってきて受け入れてからのことがもちろん一番大切なのでありますけれども、それと同時に、来る前にどのような事前の教育をしあるいはインフォメーションをちゃんと伝えるようにするか、あるいは帰ってからそのフォローアップをするかということも含めて総合的な対応が必要になるわけでございます。しかし、その中でも受け入れてからの体制というものが一番の肝心な部分でありますし、その中でも条件整備としては、宿舎の整備とそれから奨学金の整備ということが必要であろうかと思っているわけでございます。
 奨学金について申しますれば、これは国費留学生と私費留学生に対する修学援助のようなものの二本立てで進んでいるわけでございます。一応十万人計画に沿った措置というものはフォローできているわけでございますけれども、しかし全体としてこれから後半に入ってまいりまして計画が大きく伸びてまいりますので、私どもも一生懸命これをフォローしていかなければならぬ、こういうふうに思っているわけでございます。
 宿舎の方は多少事情が窮屈でございます。現在、私どもの持っております統計によりますと、これは平成五年五月の統計でございますが、留学生受け入れが五万二千人でございます。そのうち学校が設置をする留学生の宿舎、あるいは公益法人が設置する留学生宿舎、あるいは学校が設置をしております一般の学生寮に混住をさせている、そういうものを含めて合計してみましても一万二千人弱、パーセントにして申しますと二二%ぐらい対応できているだけでございます。
 このほかに実は日本国際教育協会が宿舎費を補助している留学生数もございまして、これを足しますと三分の一程度の措置ということでございますけれども、これまた後半に入りまして留学生がふえてまいります際の大きな課題である、こういうふうに考えている次第でございます。
#38
○南野知惠子君 留学生の間では、留日反日という言葉が日本留学を象徴する言葉として語られていることは本当に残念ですが、この言葉が示しますように、本来諸外国との相互理解や友好親善につながるべき留学が、留学生たちに日本への落胆や嫌悪感を与えてしまう現状は非常に憂慮すべきであると思っております。この前も発表された論文の一番がそのような論文であったということも気になることでございますが、留学生受け入れの数値目標を達成する以上に、先ほど申されました宿舎の整備、それに奨学金の充実、さらには学位授与の改善など、留学生の受け入れ基盤整備というものを進めていただきたい。
 留学生が安心して気持ちよく学べる体制づくりということが重要だと思われますので、今後の早急な留学生受け入れ基盤整備の必要性についてお言葉がありましたらお伺いしたい。
#39
○政府委員(佐藤禎一君) 冒頭にお答え申し上げましたように、留学生の問題は来てからだけではなくて総合的な対応が必要でございます。
 来る前に十分な情報があり、留学をしてからの状況、どういう大学を選べばいいかというような情報がある程度それぞれに伝わっていく、あるいは帰ってから学位のことも含めましてフォローアップをするというような体制が少しずつ進んでおりますけれども、そういう総合的な対応を通じまして改善に努めてまいりたい、このように考えております。
#40
○南野知惠子君 では次に、留学生の受け入れは学術研究面での国際貢献としての意味を持つものと思われますが、我が国の医療技術を留学生を通して諸外国に伝える意義は大きいと思います。看護の分野においても留学生を通した国際交流を積極的に進めていくことが望ましいと思いますが、我が国の現状ではその点非常におくれていると思います。我が国の大学院博士課程の整備を急ぎたいゆえんであります。
 大学設立に当たり、現在アメリカで学んでいる人を日本の看護系大学の教師として期待している、そのような現状がございますが、その一方で現在どのくらいの数の看護系留学生が日本で学んでいるのでしょうか。また、看護系留学生の出身国、留学先、そのようなことを把握しておられましたら教えていただきたいと思います。
#41
○政府委員(佐藤禎一君) 大変恐縮でございますけれども、現在私ども資料を持ち合わせませんので、後ほどお答えをさせていただきたいと思います。
#42
○南野知惠子君 看護系の問題は多少学問の世界では後進国でございますので、そういう意味では留学生カテゴリーの中にも看護系というものを入れて進めていきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお取り計らいをお願いしたいと思います。
 次は、文化の国際交流・協力の推進について文化庁にお願いしたいと思います。
 米国スミソニアン研究機構フリーア美術館所蔵の日本古美術品については、在外日本古美術品保存修復協力委員会の指導のもとに戦時中も共同研究及び修復を進めてきているということを知りまして、日本の姿勢として誇りに思っております。このたび天皇皇后両陛下も御訪問になり、そのような実態に触れてお喜びになられたことだろうと思っております。また、クリントン大統領はこのような日本の活動は御存じでなかったということも聞いております。
 海外流出日本古美術品や世界的文化遺産の保存修復に係る国際協力については、我が国の修理技術者が直接それらを行うほか、海外の修理技術者の養成も必要であると考えます。
 文化庁におかれましては、平成六年度より欧米の博物館、美術館の技術者を我が国に招聘し、取り扱い及び修理に係る研究協力を行われると聞いておりますが、今後、より一層文化遺産の保護を通じた国際貢献を行うにはこれらの施策のほかにどのような施策の推進が必要とお考えでしょうか。
#43
○政府委員(林田英樹君) 御指摘のように、海外にございます日本の文化財の修復や技術協力の必要性が最近特に高まってきておりまして、文化庁としても、今、先生お話がございましたような施策の充実に努めておるところでございます。
 平成六年度におきましては、先ほどお話しございましたスミソニアンのフリーア美術館が所蔵するものに加えまして、修復協力の範囲を米国全体に拡大するというふうなことをいたして事業の拡大を図りますとともに、修復の専門技術者が不在であるということを踏まえまして、新たに在外日本古美術品に係る博物館、美術館研究協力事業を実施いたしまして、修復技術者などの取り扱いそれから保存管理に関する資質の向上に資することとしております。
 今年度予算が成立いたしますと、今考えておりますのでは、欧米諸国から二名、北米から二名の専門家を招聘いたしまして、今のような研究協力をいたしたいと思っておるわけでございます。
 また、今後このような御要請はいろんなところからさらに広がってくると思っているわけでございます。既に幾つかの文化庁のバックアップによります調査も行われておりますし、例えば国際日本文化研究センターでございますとか国際交流基金の援助などを受けましていろんな専門家に諸外国の美術品の状況の調査、在外日本古美術の調査をしていただいておりますので、それらを踏まえまして、どのような状態にあるか、またどのようなニーズがあるか把握に努めながら今後とも対応の充実に努めてまいりたいと思っております。
#44
○南野知惠子君 文化保存というのは人類の生きたあかしでもございますので、ぜひ大切にお願いしたいところでございますが、国内に存在する美術工芸品、建築物などの有形文化財の保存についてもやはり修理技術者の確保、養成が絶対不可欠なのであります。しかし、宮大工を初め多くの分野で後継者の不足は深刻な状況にあると聞いております。
 文化発信社会の構築には、まず国民一人一人が古美術、文化財を理解し尊重する精神を持つことが何よりも重要であると思います。このような精神が宿るような文教・文化行政のより一層の推進、奨励をすべきと考えますが、いかがでございますでしょうか。
#45
○政府委員(林田英樹君) 御指摘のように、伝統的な文化財保護のための技術、技能の保存につきましてはこれまでにないような新たないろんな問題も出ておるわけでございまして、行政的な対応の充実が必要になってきておると私どもも感じております。
 これまで文化財保護法に基づきます選定保存技術というような制度も設けておりまして、いわゆる技術を持っていらっしゃる個人または団体につきまして指定をいたしまして、これらの方々に対しまして伝承者の養成や技能、技術の錬磨などの事業に要する経費につきまして国庫補助を行ってきておるところでございます。平成六年度予算案におきましては八千六百万円を計上しておるところでございます。
 しかし、なかなかこれだけでは十分と言えない点があるのはおっしゃるとおりでございます。私どもの毎年やっております建造物の修復にいたしましても、特に高い技術水準の大工さんなどの確保については十分と言えない状況でございます。文化財の建造物保存技術協会というふうな協会もつくったりいたしましてこの点での施策の充実を図っておりますけれども、御指摘のような必要性に応じましてこのような施策の充実に今後とも努めてまいりたいと思っております。
#46
○南野知惠子君 よろしくお願いいたします。
 次は教科書についてでございますが、まず言葉でございます。昨年から使用されています教科書に見られる単語でございます。
 これは前回もお尋ねしたことと関連するのでございますが、従軍慰安婦は、従軍兵士、従軍看護婦と同様、軍に所属する人の意味を示す言葉と解釈できるのですが、いかがでしょうか。しかし、単に軍に関連した慰安婦という言葉の軍隊慰安婦なら、従軍慰安婦と意味が異なってきますが、大臣の御認識はどちらでしょうか。
#47
○政府委員(野崎弘君) 今、従軍慰安婦の言葉ということでお尋ねがあったわけでございます。
 この言葉については今、特に法令上定義されているようなものではないわけでございますけれども、従軍慰安婦という言葉が辞書等におきましても収録をされている、そして広く社会一般にも用いられてきているわけでございます。そこで、これは文部省が従軍慰安婦という言葉を特に指定しているようなことではございませんで、高等学校の教科書においてこのような問題に触れる場合に教科書の執筆者の方で従軍慰安婦という言葉を使ってきた場合に、このような実態からこれを許容している、こういうことでございます。
#48
○南野知惠子君 それは正しいのでございましょうか、いかがでございましょうか。個人的な意見でもお伺いしたいと思いますが。
#49
○政府委員(野崎弘君) これは教科書検定の制度のことでございますけれども、教科書検定制度は、やはりそのときどきにおきます学説等の状況を勘案しながら検定を行う、こういうことでございます。
 したがいまして、教科書の中にこういう言葉を使わないで執筆をするということもあるわけでございますが、一方、従軍慰安婦という言葉を用いて教科書を申請してきたというときに、文部省の立場としてはそれを許容するかしないか、こういうことになるわけでございますが、現在の検定制度におきましては、学説状況ということを勘案したときに、先ほど申し述べたような状況になっておりますのでこの言葉を許容している、こういうことでございます。
#50
○南野知惠子君 では、それを訂正するということにつきましてはどのような方法がおありでしょうか。
#51
○政府委員(野崎弘君) 私どもとしましては、この訂正というような制度というものは現在ございません。いろいろな社会の変化の中であるいは事実関係が異なってきたというようなときに訂正を勧告するというような勧告の制度というのがございます。その勧告に至る前にまず執筆者の方が自主的に直してくるとか、いろいろ制度的にはございますけれども、制度としてはそういうようなことでございます。
 しかし、今回の場合に、従軍慰安婦という言葉につきましては、先ほど申し上げたような辞書等においても収録をされている、また広く社会一般にも用いられているというようなことから、この問題を一概に今の学説等の状況に反したものということで考えることには無理がある、このように考えております。
#52
○南野知惠子君 では、また後ほどお尋ねすることになると思いますけれども、大臣にこのたびはお尋ねしたいんです。
 いろいろな言葉を表現することがございます。言葉というのは大変不思議な魅力を持つものでございますけれども、最も難しい言葉として大臣はどういう言葉をお挙げになられますか。御発言なさるのに最も難しい単語でよろしゅうございます。
#53
○国務大臣(赤松良子君) 最も難しい言葉、いろいろ日本語は難しゅうございまして、そうですね、余りすぐに思い浮かびませんが、例えばどういう観点からおっしゃっていらっしゃるんでしょうか。
#54
○南野知惠子君 意思を御表明されるような場合にも使われる、何でもよろしゅうございますけれども。
 私の設問の仕方がまずかったと思いますが、私にとりまして最も難しい言葉といいますのは「はい」と「いいえ」だろうと思います。イエス、ノーという言葉だろうと思っております用意思を、または真実を表現することの大切さをその言葉に感じております。
 ところで、学校で用いられる教科書は、人類愛を教え、史実を正しく見詰め、伝達し、適正な言葉で真理を教え、学ぶ、最も身近な資料であります。子供のころ心にしみ込んだその内容といいますものは、生涯その人の考え、行動の基礎指標となるものです。日本人らしさも、国を愛する心も、美しい山河を懐かしむ心も、先人を敬う心も、社会環境を通し、その人の日常生活、日々の教育から培われているものと思います。
 今の子供たちには国旗・国歌に余りなじみがなく育てられているのではないかと悲しく思っていましたところ、大臣の所信に「国旗・国歌の指導についても引き続きその充実に努めてまいります」と述べられております。さすが文部大臣と感激いたしました。
 我が民族の誇りと実績を正確に主張し、正しい史実を、これは歴史の真実ということでございますが、後世に伝えていけるようにしたいものです。風光明媚な国土とその自然を大切にし、平和を愛する国際人として、さらに戦火の絶えない地球上の国々に対しては唯一の核被爆国であることの教訓を生かし、ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキを訴え続けたいと思いますが、また来年、戦後五十年という大きな節目を迎えますことからも、先人の心を大切にしたいと思います。
 最近の教科書には加害者意識が強いように思われます。これでは子供たちは先人を敬う気持ちになれないのではないでしょうか。教育のさらなる充実を目指す大臣の御意見をお伺いしたいと思っております。
#55
○国務大臣(赤松良子君) 私自身は戦前に歴史を小学校、女学校で学びました。その時代の歴史の教育というのは、もう日本はすべてよし、日本のしている行動は全く間違いがなくて非常によいということばかりを教わりました。その後、今度一転いたしまして、戦争に負けまして、その後の一時期は前にあった教科書を黒く墨で塗りつぶすという時期がございました。それから今度新しく出てきた歴史は、多分そのころまだ自分も学生でございまして、前の小学校の歴史がどういうふうに変わったというようなことはよく見る機会がございませんでしたが、ある範囲で見たところでは、今度は一転にわかにすべて日本のした行動が悪いというようになってしまったという印象を四十数年前に持っているわけでございます。
 それは私は、両方ともやはりおかしいのではないか、もっとバランスのとれたというか、真実を後世に伝えることが大切なのではないかというふうに思っている次第でございます。そのために今の歴史教育というのは、全く日本が悪くなかったというのでもなく、すべて悪かったというのでもない、ちゃんと正しい公正な客観的な歴史を教えていくべきであろう、こういうのが私の考え方でございます。
#56
○南野知惠子君 ありがとうございました。教育の一番大切なところはそこにあるだろうと思いますので、史実を正しく見詰め、言葉を正しく解釈していきたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。
 ありがとうございました。
#57
○森山眞弓君 国際的に見て日本の教育水準というのは高い方だと言われておりますし、私も多分そうだろうと思いまして誇りに思っているところでございます。
 特にその教育水準が高いと言われる根拠は進学率が高いということにあるのではないかというふうに思うのですが、進学率が高いということはそれ自身悪いことではありません。いいことだと言えると思います。特に高校の進学率が最近は九六%と聞いておりますが、ということはほとんどすべての子供が高校へ進学するということでございましょう。
 戦後間もなく、今の教育制度、新制と当時よく言われたものですが、その新制高校の制度がスタートいたしましたときには五〇%そこそこだった高校進学率が現在一〇〇%に近いということは、それ自体非常に改善され進歩したことだと評価されなければならないと思うのでございますが、しかしそうなりますと、その高校への進学ということの意味が以前とは大変変わってきたというふうに言わなくてはならないんじゃないかと思います。
 以前は、半分ぐらいの人がいろいろ考え迷った末に大変かたい決心を持って入学試験にチャレンジをし、そして合格した者が受け入れられて進学する、そういう感じであったわけですが、今日の進学者の中には、みんなが行くから、行くのが当たり前だからということで余り自覚もなく意識もないままに進学するという子供たちも少なくないのではないかというふうに思うのでございます。そうなりますと、親も先生もうちの子供が落第しないように、何とかみんなと一緒に進学だけはしてほしいというふうな気持ちになりまして、落第をさせないということが大変大きな目的になってきたという傾向がうかがわれます。
 その結果、そのような親や先生の心理、また子供たちの事情につけ込んでと言っては言い過ぎかもしれませんが、そのような求めに応じていわゆる業者テストというものが大変はびこるようになってまいりました。開発されたコンピューターを駆使していわゆる偏差値というものをはじき出しまして、ある日あるとき受験した業者テストの結果によるある科目に関する数字のデータがその子供の価値のすべてであるかのように扱われるということになりまして、これは余りにも人間無視ではないか、人間性を無視したものではないかということで大きな問題になってきたのでございます。
 本当に人間を育てるということから考えますと決してよいことではない。その子供全体の人格や可能性を把握して将来のためによい指導をしなければならないという学校の立場を考えますと、このような業者テスト、偏差値をはびこらせておくというのは決して感心したことではない。何とかこれをなくしていきたいという気持ちがこのところ大変強く教育関係者の間にあったことは確かでございます。
 平成四年の年末、鳩山文部大臣のときに、この問題意識を強く持たれました鳩山大臣が大変元気を出してこれを何とかしなければいけないという方針を打ち出されました。その後を受けまして私も責任者としてこの仕事に取り組んだわけでございますが、平成五年の一月末だったでしょうか具体的な方針を打ち出しまして、平成六年の入学試験からということでみんなでいろいろと努力をしたという記憶がございます。
 その平成六年度の入学試験も終わりまして、今、一段落したわけでございますが、その努力の成果はいかがであったでしょうか。どんな成果が上がりましたかということを教えていただきたいと存じます。
#58
○政府委員(野崎弘君) 今、業者テスト問題につきまして御指摘があったわけでございます。これは当時森山大臣のときに、昨年の二月でございますけれども事務次官通知を出しまして、今、御指摘ございましたような公教育が業者テストに関与しないように改善を求めたわけでございまして、その後繰り返し指導も行ってきたわけでございます。
 昨年一年間の状況ということでございますが、この四月末から今月にかけまして各都道府県の教育委員会と順次情報交換をしてきました。内容といたしましては、高等学校教育改革の全体像の各都道府県の取り組みを把握をしたいということで情報交換を行ったわけでございますが、その中でこの問題につきましてもお話を聞いたわけでございます。その中で把握した状況では、文部省からの通知の趣旨に沿いまして関係者の大変な努力によって全体として円滑に実施されたと、このような報告を受けているところでございます。
 新聞報道にございましたように、各地域におきましてもその間にいろいろな取り組みがあったことは事実でございますけれども、しかしそういうことも関係者の努力によって克服され円滑に実施されたと、このような認識を持っているところでございます。
#59
○森山眞弓君 関係者の努力によって円滑に実施されたというお話でございますけれども、具体的にはどうなんでしょうか。中学校において業者テストを先生方が監督されたりお金を集めたりして実施するということはほとんどなくなったと考えてよろしいんですか。
#60
○政府委員(野崎弘君) 業者テストにつきましては、まず県段階で関与したというようなことは私ども聞いておりません。むしろ業者テストにかわるものとして公的テストをどうするかというようなことがやはり話題としては大きかったのではないか、こんなふうに思っております。いわゆる公益法人あるいは校長会の行う公的テスト、つまり業者テストがだめならば公的テストならいいんじゃないか、こういうようなことでそちらの方がむしろいろいろな面で話題になったのではないか、このように思うわけでございます。
 これにつきましても私どもも当初から指導しておるわけでございますが、公的テストといえども業者テストと同じように偏差値を出して、そして子供たちを輪切りにしていくようなことであれば、効果としては全く業者テストと同じことになりますので、そのようなことは公的テストについてもぜひやめてほしいということで指導を続けてきたわけでございまして、その点につきましてもそれぞれ関係者の御努力をいただいたものと、このように考えております。
#61
○森山眞弓君 長年使ってきた便利なやり方ですので一朝一夕に全部なくすということは難しいとは思いますけれども、これからもそのような方向に向かってさらに努力を続けていただきたいと存じます。大臣の所信にも、「業者テストの偏差値を用いた入学者選抜が行われないようにする」というお言葉がございますし、その御努力に期待いたしたいと存じます。
 入学試験の改善充実に取り組むということがその次に必要なことなんですけれども、これについてはどのような工夫がされておりますでしょうか。それについてお願いします。
#62
○政府委員(野崎弘君) これも昨年二月に同じように都道府県の教育委員会等に対しまして通知を出したわけでございます。一言で言えば、高等学校教育の個性化、多様化あるいは生徒の実態の多様化などに対応いたしまして選抜方法を多様化し、そしてまた選抜尺度を多元化してほしいということで積極的な取り組みを求めたわけでございます。
 各都道府県そしてまた各学校におきましては、現在この通知の方向に沿いまして努力を重ねておるわけでございます。各県それぞれ実情がございますのでそれに応じまして、推薦入学の拡大、あるいは調査書いわゆる内申書と学力検査の比重の置き方を変えていくなどの工夫をするとか、それから生徒の個性や長所を評価するためにボランティア活動などの諸活動の実績を積極的に評価するなどの改善が図られておるところでございます。
 先般、これにつきましても各県の実情をお聞きいたしたわけでございますが、まだこれからいろいろ改善をしていかなきゃならない面もあるわけでございますけれども、それぞれ積極的な取り組みをしている、このように感じた次第でございます。
#63
○森山眞弓君 本当の目的は、高校教育の内容の改善、改革ということだと思うんです。入学試験というのはそのための入口にすぎないわけでありまして、実際にはほとんど一〇〇%近い子供たちが進学する高校というものの内容が今までと同じではいろいろ問題があるというところからさまざまなことが派生じているわけでありまして、高校生というものも、以前とは違って非常にさまざまな子供たちがいろいろな可能性を持ち、いろいろな特徴を持った子供たちが高校生となるわけでありますので、高校の教育というもの自体が変わっていかなければいけないというふうに思います。
 大臣の所信の中にも、「生徒の選択の幅を拡大し個性の伸長を図る」ということを述べておられますが、平成六年度から総合学科というものを新設されたと思います。その現状と今後の見通しについてお聞かせいただきたい。
#64
○政府委員(野崎弘君) 総合学科についてのお尋ねがございました。私どもも、全く先生御指摘のように、高等学校がいろいろな形で個性化、多様化していかなければいかぬと思っております。これは総合学科をつくったところだけではなしに、既存の学科につきましてもそういう取り組みが必要だと私ども思っておりまして、その中の新しい試みとして総合学科がことしから発足をしたわけでございます。
 平成六年度に設置された総合学科は、公立て六校、国立て一校の計七校でございます。岩手県立の岩谷堂高等学校、栃木県立の氏家高等学校、それから三重県立の木本高等学校、和歌山県立の和歌山高等学校、島根県立益田産業高等学校、沖縄県立沖縄水産高等学校、そして国立の筑波大学附属坂戸高等学校、計七校でございます。
 総合学科は、これは大きな規模から小さな規模までいろいろございます。例えば栃木県立の氏家高等学校は芸術や生活文化などの八系列が置かれておりまして、総合学科の中でも最も大きな規模のものだと、このように考えております。一方、益田産業高等学校は、生活文化そして生活福祉の二系列のみの小規模な総合学科でございますけれども、やはり生活とか地域に密着した科目が開設されるということで、規模の大きさにはいろいろありますけれども、それぞれ設置者におきまして工夫をして総合学科の新しい試みがなされているものと、このように考えております。
 総合学科の今後の取り組みにつきましても、これは何といいましても文部省がつくれといって命令するようなことではございませんで、やはり各設置者、特に都道府県段階におきまして御工夫をいただかなきゃならないわけでございます。特に生徒減の中で新しい高等学校をつくるということはなかなか難しいわけでございますので、既存の学科を改編していくという形で総合学科を設けていくような形になってまいると思うわけでございますが、既存の学科を改編する際にはぜひ子供たちの選択の幅が広い総合学科という形でお願いをしたいということで私ども指導しておるわけでございまして、平成七年度におきましても、まだ具体的にどこの県ということははっきりいたしませんけれども、そういう新しい試みを考えていこうというところが都道府県の中にあることは事実でございます。まだ平成七年度までに時間がございますので、さらなる努力をしていきたい、このように思っております。
#65
○森山眞弓君 総合学科については大変意欲的な試みだと思いますので、これからも努力を続けていただきたいと存じます。
 実は、先日、委員会の視察で埼玉県の国際高校というのを見学させていただきました。私は東京都立の国際高校も拝見しましたけれども、これは総合高校ではありませんが、それも一つの新しい方向なのではないかなというふうに思います。
 非常に語学に重点を置いて、いろんな外国語を選択できるし、それを集中的に教育するというようなプログラムが入っておりまして、特に語学について申せば年が若いときに徹底的に勉強するということは非常に効果が上がることでもございますから、その他の問題についても同じことだと思いますので、このようなある特定の一つの問題について集中的に専門的に勉強するというようなたぐいの試みもほかにもあってもいいんじゃないかなというふうに思いまして帰ってまいったわけですが、全国的にはこのようなたぐいの高校というのはどのようになっておりますでしょうか。
#66
○政府委員(野崎弘君) 今、御指摘ございましたいわゆる国際高校と申しますか、そういうタイプの高等学校も大分出てきております。私どもはこれを新しいタイプの高校ということでそういう工夫をしてほしいというお願いを各県に対しましてもしておるわけでございますが、そういう中では具体的にはいろいろあるわけでございます。各県ごとに実情がありますけれども、例えば情報関係で新しい学科を設けるとか福祉関係で設けるとか、それから御指摘ございました外国語関係で新しい学科をつくるとか、いろいろな形のものが各県で工夫をされておるわけでございます。
 ちょっと今、データを整理しておりませんので具体に数字の上で申し上げることができないことを大変申しわけなく思うわけでございますが、御指摘のような新しい取り組みが今、進んでおるという状況でございます。
#67
○森山眞弓君 後でそのデータを教えていただきたいと存じます。
 さらにもう一つお聞きしたいのは、子供たちあるいは若者の理科離れということが最近よく言われて心配されております。私もそういうことがあるのかなと思って気にしていたのでございますけれども、先日、私はアメリカに派遣する少年サッカーの選手を選考する選考委員長というのを仰せつかりまして、小中学生、全国から選抜されたサッカーが得意な二百人の子供たちに面接をいたしました。私はサッカーのことについて詳しく質問する能力もないものですから、そのやりとりの中で、学科で何が好きかということを随分多くの子供に聞いたんです。そうしましたら、そういう子供たちですからほとんどがもちろん体育というのが多かったんですけれども、続いて体育と数学、体育と理科というような子がとても多くてびっくりいたしました。恐らく六〇%ぐらいの子供が理科と言ったんじゃないかと思うんです。
 余り理科と言う子供が私の予想に反して多かったものですから、理科はどういうところが好きなのと聞いたらば、魚の解剖などしておもしろいというような言葉がございまして、なるほど子供たちというのは実際自分の手で新しいものを発見するといいますか、自分の目で新しいものを見る、自分の手でやってみるということに非常に関心があり、それに喜びを感じるのだなということを思ったわけでございます。
 ほかにも調査があるようでございまして、その調査によれば、小学生の好きな科目を幾つか挙げさせると、体育と図工が七〇%ずつで非常に高いんだそうですが、その次が家庭科と理科というんですね。ですからベストフォーには優に入っているわけでございまして、理科が好きという子供も五五%というデータもあるそうです。中学校はこれが三三%にちょっとダウンするんですが、高校になると著しく下がるという状況だと聞いております。
 ところが、子供たちは本当は理科は嫌いじゃないんですよね。今の私が個人的な経験をいたしましたことや小さな調査のデータを見ましても、決して本当は嫌いじゃない。それが少しずつ、高校生ぐらいになるとだんだんと理科離れになってきて、そしてさらに大きくなると本当に理科について敬遠するという感じが出てくるというのが本当なんじゃないかなというふうに思うのです。
 きのうの読売新聞にも、国立オリンピック青少年センターが企画した中学生向けの科学教室に定員八十人のところ二千人以上の応募があったということで、びっくりしたような記事が書いてございまして、やっぱりゆっくり時間をかけて実験をしたりいろんな施設設備を使って新しい試みをやってみるということについては決して興味が減っているわけではないというふうに私は感じるわけなのでございます。
 そういうことを考えていきますと、そのような子供たちの興味、関心をさらに刺激してより高度な科学技術ということに結びつけていくということが理科教育の面で非常に大事ではないかという気がするのでございますが、その辺について学校教育の立場からどのような改善、工夫を考えていらっしゃるか、教えていただきたいと存じます。
#68
○政府委員(野崎弘君) 今、先生から具体の数字を挙げて御指摘があったわけでございます。私ども明確な調査というのはないんですけれども、確かに高学年といいますか、小学校、中学校、高等学校と上がるに従って理科をおもしろいと思うという割合が低下しているというようなことは国立教育研究所の調査なんかでも示されているところでございます。
 ただ、この調査が理科のみを調査の対象にしているものですから、それではほかの学科がどうなのかというとわからないので、恐らく教科内容が高度化して全体的にあるいは好みが低下しているのかもしれませんけれども、いずれにしても、先生の御指摘のあったやはり高学年に上がるに従って知識に偏りがちだというようなあたりがこういうところの数字として出てきているんじゃないかというふうな気がしているわけでございます。
 平成元年の学習指導要領の改訂におきましては、小中学校もそうでございますけれども、高等学校におきましても、子供たちの探求活動というものを重視しよう、実際にいろんなことに目で触れそういう中でみずから研究をしていく、探求をしていく、そういうことを重視していこうということで改善をしたところでございます。小中学校におきましても、低学年で生活科を設けるとかそれから観察、そういうものを重視していこう。また、高等学校では新しい科目としまして総合理科というようなものを設けたりしておるわけでございます。
 私どもとしては、先生の御指摘のあったような方向でこれからの高等学校教育の内容につきましても考えていきたいと思っていますし、それから理科教育の設備基準の改定も進めておりまして、平成四年度小学校、平成五年度中学校、本年度は高等学校ということで改定をしておりますので、そういう理科の設備の整備あるいは教員の指導力の向上というようなことにも努めながら魅力ある理科教育ということを目指してまいりたいと思っております。
#69
○森山眞弓君 三月にやはり委員会の視察で訪ねました栃木県の真岡市に真岡市科学教育センターというのがございまして、それには大変深い印象を受けました。これがそのパンフレットですけれども。(資料を示す)
 こういうふうに大変大型の実験施設や設備がそろっておりまして、一つ一つの中学や小学校ではとても賄い切れない大規模な実験、あるいはお金がかかって大変だというようなものもあります。そういうものをここの一カ所にまとめまして、市内の小中学生を対象に理科の実験の中でこういうものが必要な部分はここで順番に各校が交代して勉強する、そういう施設になっております。小中学生の教育に使うだけではなくて、もちろん教えてくださる先生方の研修にも使えますし、土曜日曜などあいているときには市民の皆さんにも開放して興味のある方に勉強していただく。いろいろなプログラムを持っているようでございます。
 この真岡市というのは栃木県の中の小さな町でございまして、人口六万人ちょっとというところであります。市内に大きな、市の規模にしては比較的大きな工業団地を持っておりまして、一時は非常に財政的にも豊かな町として知られていたんですが、製造業の深刻な不況が続いております今日でございますので決してそんなに楽ではないはずなんですけれども、この科学教育センターというのは資料によれば二十五億円かかっているんですね。
 市長さんがこのとき来ていただいて説明してくださり、歓迎してくださったんですが、市長さんのお言葉によれば、こういうものを持っているのはほかにはないでしょう、これは日本一立派なものです、この真岡市からいつかノーベル賞の学者を出すんだというようなことをおっしゃっておりました。そのつもりで二十五億円を市の単独でやったんですと。文部省は多少こういうことを応援してくれる仕組みがあるのかなと思って調べたら、二百万円ぐらいならというお話があったので、そんなものは要らないといって断ったんだと、大変威勢がよかったわけでございます。
 そんなふうに小さな規模の町で理科教育を振興しようということで、相当はかのことを多分犠牲にしてこういうことを子供たちの理科勉強の振興のために思い切ってやっているわけでございますが、文部省といたしましては、そのような志のある市町村に対してあるいは県に対してもうちょっと具体的な応援ができないものでしょうか。そのことについてお考えをお聞きしたいと思います。
#70
○政府委員(野崎弘君) 理科教育につきましては、先ほどもちょっとお答えをいたしたわけでございますが、各学校におきます理科設備の整備につきまして補助をしてきておるわけでございまして、先ほどのような新しい計画も動き出したところでございます。それ以上に広げるということになりますと、財政的な負担も出てまいりますので、現時点におきましては、理科用の設備につきましては各学校の整備をまず優先して進めたい、こういう考え方でございます。
 ただ、先生御指摘ございました共同利用という考え方につきましては、産業教育施設設備の関係につきましてはこれは大変高額なものがかかるということで、これもことしから基準を改定したわけでございます。その中で共同利用的な発想も産業教育の施設設備につきましては入れたわけでございますけれども、理科教育の関係につきましては、まだそこまでの考えに至っておりませんので、今の先生の御提案は貴重な提案として受けとめさせていただきたいと思っております。
#71
○森山眞弓君 終わります。
#72
○宮崎秀樹君 田中内閣のときに一県一医大構想というのが出まして、国立大学の医学部、それから国立医科大学も全国で四十校を超えて今あるわけでございます。
 国立大学の医学部、医科大学というのはそれぞれ地域社会においていろいろな役割を果たしていると思うのでございますが、まず大臣、この国立大学の医学部、医科大学というものの存在価値と申しましょうか、使命と申しましょうか、そういうものについて御所見がございましたらお伺いしたいと存じます。
#73
○国務大臣(赤松良子君) それより以前の時点までさかのぼって考えますと、日本ではとてもお医者様が足りなくていろいろ、不便というのはいけませんね、国民生活の上で困ったことが多かった、起こったというふうに記憶をいたしております。ところが、すべての県で医科大学をという方針が打ち出されて、それが数年かかって実現をしたということで、その後はお医者様が不足でとても困るという声は余り聞かれなくなったということで、あのときの計画といいますか、それを大変努力して進められたのだと思いますが、大変効果があったというふうに考えております。
#74
○宮崎秀樹君 大臣、それはそれで結構でございますけれども、私は国立大学というのはやっぱり大学院をもっと充実して、国からしっかり補助金を出して、そしてきちっとやっていくのも一つの使命ではないかというふうに思っておるわけであります。
 そこで、大変細かいことで恐縮でございますが、全国の国立大学附属病院、収支は恐らく特別会計ということだと思いますが、黒字、赤字、おおよそどんな見当でございましょうか。
#75
○政府委員(遠山敦子君) 国立大学の附属病院の予算につきましては、特別会計の国立学校特別会計において措置をいたしております。これは歳入と歳出に分かれておりまして、歳入の中で病院収入というものを計上いたしております。同時に歳出の中に病院に要する経費というものを計上いたしております。したがいまして、黒字、赤字という概念にはちょっとなじまないわけでございます。
 歳入に関しましては、全体の国立学校の特別会計の中で、今ちょっと資料、手元に細かいものがございませんけれども、二割弱であろうかと思います。それに対応して歳出の方も、必要な経費につきましてはそれぞれの年次によりまして積算も違ってまいりますけれども、要する経費について計上しているところでございまして、そういう面については国立学校特別会計の中で必要なものについて措置をしているというふうにお考えいただければいいかと思います。
#76
○宮崎秀樹君 しかし、概算で大体病院の収入というのはわかるわけですよ。しかも、それに対する支出は病院のやつはわかるわけですから、これは診療面のやつは把握していると思うんですよね。ですから、そこら辺をやっぱりきちっとやっておかないと、みそも、まあいろんな悪い言葉はありますけれども、ごっちゃにしてどんぶり勘定でやるということでは私はまずいんじゃないかと思いますよ。
 それから消費税の問題でございますが、これは例えばお薬を買うと消費税がついできますね。そうすると国立病院でも消費税は、歳出の中へ税金も丸ごとお払いになっていらっしゃるんですか。どうですか。
#77
○政府委員(吉田茂君) 消費税がかかる例えば光熱費その他あるわけでございますが、これについては、その支出に当たって所要額を国立学校特別会計の中に予算措置を講じているという状況であります。
#78
○宮崎秀樹君 それは別途そういう予算を組んでいらっしゃるんですね、消費税分を。そういうことですね。
#79
○政府委員(吉田茂君) 御指摘のとおりでございます。
#80
○宮崎秀樹君 それともう一つは、差額ベッドの徴収もなさっていますね、例えば個室とか。それは患者さんから消費税をいただいていますか。
#81
○政府委員(吉田茂君) 御指摘の件についても消費税を収入としていただいております。
#82
○宮崎秀樹君 そうすると、消費税に関しては国立てあろうと何であろうといただくものはいただく、払うものは払うということでやっているわけですね。そして、消費税分についてきちっとした税収、それをいただいたらそのお金は国庫へ別途お払いになるんですか、それともどんぶり勘定で一緒に入れちゃうんですか。
#83
○政府委員(吉田茂君) 国立学校特別会計の歳入の中には、御案内のとおり、一般会計よりの受け入れあるいは付加税収入、非課税収入がございますが、その課税収入にかかわる部分については比例配分によって計算をして税額を出して、その分の税額は国庫に納入しているという形にしております。一部、課税収入がございますので。
#84
○宮崎秀樹君 そこらの細かい数字がぴしっと、税金ですから出ていますかね。そこら辺はどうなんですか。
#85
○政府委員(吉田茂君) 相当技術的になってまいりますが、最終的に税額の計算をして国庫に納入した額というのは六年度予算額幾ら幾らという形で出ております。
#86
○宮崎秀樹君 それは私どもに見せていただくことはできますか。
#87
○政府委員(吉田茂君) 資料として提供したいと思います。
#88
○宮崎秀樹君 ぜひその資料をいただきたいと思います。
 それから、きょう厚生省さんいらしているんですけれども、実は消費税問題関連ですが、最初に消費税が導入されたときに、たしか一カ月の在庫のコストを見込んで、そして調整をして〇・七六%を社会保険診療報酬に取り込んだということなんですね。実態的にそういう資料があれば実際全体がわかるわけですから、国がやっていることですから、そういう資料できちっと比較して、本当にそれで整合されているのかどうか、こういう調査をおやりになったことはありますか。
#89
○説明員(篠崎英夫君) 先生御指摘のように、平成元年四月の改定で消費税の分も含めまして全体で〇・七六%。若干細かく申し上げますと、明らかになっております薬のことにつきましては、薬価基準で〇・六五%の引き上げ。それから診療報酬につきましては百分の三でございますので、診療報酬の点数というのは非常に細かい点数がございまして一点未満のようなものも出てきてしまいます。したがってそういうものは除きましたり、あるいは明らかに消費税の影響の出るような例えば食費ですとかあるいは委託費、そういうものを重点的に〇・一一%の引き上げを行いまして合計〇・七六%としたわけでございます。
 それ以降の平成二年以降の改定につきましては、薬につきましては当然消費税のところを乗せたものを収載しておりますし、またその他のものにつきましては医療経済実態調査によって把握をしております全体の中でその改定幅を決めている、こういうことでございます。
#90
○宮崎秀樹君 それは一般論なんですが、実際は私どもが調べたデータでは、要するに消費税の補てんの基礎となる調査薬価総加重平均と実勢価格とが差がありまして、そして実勢価格より低い値段に三%を加算するということになりますと、実際に支払った額の補てんとはなっていないんですね。だからその差が〇・七%未転嫁分として出てくるわけですね。
 ですから、国がデータを持っているんですから、そこをきちっと一回おやりになったらいかがでしょうか。そういうデータを突き合わせれば実際どうなっているかというのはすぐ出てくるわけですからね。
 それともう一つついでに申し上げると、公共料金が値上げになっていますね。例えば電気料金、これは消費税がついていますね。それから輸送費、運送費、これも全部それが乗っかってくるわけですね。そうすると医療機関は、これは大学病院でもそうですけれども、附属病院は患者さんに転嫁できないですよ。それはそこの医療機関が全部吸収するんです。それをぴしっと明確にやるのはどこでやるかといったら、国がやっているんですから国と国とのデータで突き合わせれば、国立病院もございますけれども、きょうは文教委員会ですから、国立大学病院の中の会計できちっとおやりになれば明確に、ある程度これは本当かなどうかなと、言っていることがわかってくるわけですね。
 ですから、消費税、社会保険診療報酬は非課税だと、こう言っておりますが、それはそれで結構なんですが、その中で払われている消費税というのは本当に、益税というのはありますけれども、これは僕は損税だと思うんですね。担税があってはいけないです。
 きょう大蔵省来ていますね。大蔵省さん、今のこのやりとり聞いていてどういうふうにお感じになったか、御意見を聞かせてください。
#91
○説明員(福田進君) 今、御指摘のございました社会保険医療サービス等、消費税におきまして非課税品目が指定されております。この非課税品目につきましては消費税が課税されないということでございますので、その非課税売り上げに対応する課税仕入れにつきましては、若干技術的でございますが、課税の累積が生じないということから、仕入れ税額控除の対象とはされておりません。非課税というのはそういうものでございます。
 この場合に、それでは非課税売り上げに対応する仕入れに含まれる税負担分について、今、先生御指摘のように当該機関が負担するのかというと、そうではございませんで、これはコストアップとなるわけでございますから価格の引き上げによって転嫁を図るというのが基本的な考え方でございます。
 このような考え方から、消費税の導入時、具体的には平成元年四月には、私どもは仕入れにかかる消費税のコストアップ分を勘案して、今、御説明ございましたように、社会保険診療報酬等の引き上げが行われたと承知しているところでございます。
#92
○宮崎秀樹君 大蔵省は優等生の御返事なんですが、そこで実態調査を全日本病院協会がやったんです。総収入の一・四%が消費税分に当たるというんですね。これは今、三%ですね。ですから、七%になったら大変なまたアップになるわけで、そういうデータがちょうどいいのが今おありになるんですから、いわゆる国の施設の中で。そういう実態をぴしっと見ながらやってもらわないと、民間はとてもじゃないけれどもつぶれちゃうですよ。
 私は、そういうところをきちっと、やはり資料がとれるんですから、どうかその資料を有効に活用して、そしてやはり納税者が納得して納めるような税の体系というものをつくってもらいたいというふうに要望するんですが、どうですか、大蔵省さん。
#93
○説明員(福田進君) くどいようでございますが、制度をつくっている立場といたしましては、今申し上げましたように、非課税売り上げに対する仕入れに含まれる税負担分についてはコストアップとなりますので、しかるべく価格の引き上げによって転嫁を図っていただきたいというのが基本的な考え方でございまして、このもとに各担当のところでしかるべく対応していただいている、こういうふうに理解しております。
#94
○宮崎秀樹君 篠崎課長さんいらっしゃるけれども、今のお話を聞いて、やっぱり実際そこできちっとしたデータを出しまして、そして余り隔離のないそういう盛り込み方をしてもらわないと困るわけです。
 それと、やはりもう一つ、方程式がないんですね。これだけ優秀な方がいるんですから数学の大家もいらっしゃるでしょうから、ある程度きちっとした方程式を出して、そして公共料金が何%上がればどれだけこれにはね返るかというのはわかるわけですから、こういう基準が全くない中で消費税問題をやっていてもこれは意味がないんで、ちょうどきょう文教委員会で国立大学病院のその資料がおありになるという話ですから、どうかそれをひとつ詰めていただきたいと思います。篠崎さん、どうですか。
#95
○説明員(篠崎英夫君) 消費税をめぐります今後の対応につきましては、税制改革に関する御議論等も踏まえまして、また医療を取り巻くいろいろな諸般の動向を勘案いたしまして適正に対処してまいりたいと考えております。
#96
○宮崎秀樹君 ぜひお願いいたします。それでは、この問題はこれで打ち切ります。
 次は大学病院の委託研究費の問題なんですが、これは実は私が平成五年十一月九日に文教委員会で、ここで質問しております。そのときに大蔵省の玉木さんでございますか、御返答いただいております。ここで、「御要望の受託研究の非課税の取り扱いの問題でございますが、それ自体として現状では法令の規定に基づく事業でもなく」云々と書いてありまして、最後に「実は文部当局からもこの点御要望をいただいておりまして、よく議論をさせていただき、特に税制としての整合性というものに十分配慮しながら検討してまいりたいと考えております」。
 こういう検討は何かなさいましたか。
#97
○説明員(玉木林太郎君) 御質問の学校法人の受託研究でございますが、今、御指摘のとおり、昨年十一月の当委員会の場で御質問をいただいたところでございます。
 昨年の秋、ちょうど平成六年度税制改正の御要望ということで文部当局からもこの点について御要望をいただいておりまして、政府税制調査会での公益法人への課税のあり方の検討と並びましてこの点についてもいろいろ議論させていただいたところでございます。
#98
○宮崎秀樹君 その議論をしてどんなふうになったんですか。
#99
○説明員(玉木林太郎君) そのときも申し上げましたが、やはり我々の基本的な判断といたしまして、学校法人を初めとする公益法人については原則として法人税を課税しないことといたしておりますけれども、その中で民間と競合関係にあるような事業については限定的に列挙をいたしまして収益事業として課税しているわけでございます。
 やはり今回いろいろ検討してみましたが、民間レベルでも同様の事業が行われているということに着目いたしまして、法人税において収益事業に対して課税している制度の趣旨からすると非課税とすることはできないというのが平成六年度税制改正の御要望をいただいての結論でございます。
#100
○宮崎秀樹君 この間、理化学研究所を実は視察してきたのでございますが、御案内のように、あそこも民間からの資金でやっていらっしゃいますね。寄附行為でおやりになっていらっしゃるのでここはちょっと問題が変わるかと思いますが、学校法人、公益法人、寄附行為でこれが処理された場合には、この問題は起きないんですか、そうすると。どうなんでしょうか。
#101
○政府委員(泊龍雄君) 収益事業につきまして、法人税法上の取り扱いにつきましては先ほど大蔵省の方からもお話がございましたとおりでございます。また別途、私立学校法の体系におきまして、一定の収益事業を学校法人が行って、そしていわばそこから上がる収益によってその学校法人の教育研究活動を充実させるということができるような仕組みになっているわけでございます。
 したがいまして、概念的には法人税法上と私立学校法上の目的が違う。平たく申し上げますと、私学法上ではやはり教育機関ということがございますので、ちょっと適当な言葉でないかもわかりませんが、風俗営業的なことは例えば控えてもらうといったような観点が入っております。
#102
○宮崎秀樹君 大学でも附属のがん研究施設だとか、別途そういうところがあれば、そういう専門的なもので研究をするということになれば、これはまた別問題ですか。それはどうなんでしょうか。
#103
○政府委員(泊龍雄君) ちょっとお尋ねの趣旨を正確に理解していないのかもわかりませんが、今、話題になっている絡みで申し上げますと、私立大学がいわゆる民間企業等から受託研究費という形で資金を受け取り、そしてその委託された研究を行うという形で考えますと、当該私立大学、これは私立大学に限ることではございませんが、大学は一般に社会的な貢献を果たしていくということで非常に大きな意味があるということのほかに、大学自体もやはりそういう連携をとるということがみずからの研究の活性化になるというようなことがございます。
 したがいまして、私どもとしては、こういった受託研究の受け入れそのものは非常に有意義なものというふうに理解をいたしているところでございます。
#104
○宮崎秀樹君 何か今の御答弁はわからないようなところがございまして、結局私の申し上げたのは、私立医科大学にも独立した附属の専門の、がんならがんの専門の研究機関というものが別途あるとすれば、そこへ寄附行為でやって研究をするというようなことであれば、これは理化学研究所と同じようなシステムになるんですから、そういうところがあればそれは問題ない、こういうことですか。そういう私立大学の中でどんな方法をやっても、別途機関と言ってもだめなんだと、こういうことなんですか。
#105
○政府委員(泊龍雄君) お尋ねの私立学校といいますか学校法人に、研究所といいますか、こういうものはどういうものがあるかということだろうと思います。
 その場合に、一般的に大学で申し上げますとその使命は教育、研究の遂行ということでございますので、各大学が研究所等を設けて実際に研究を展開しているというところでございます。寄附行為との絡みで申し上げれば、いわゆる必要義務事項といいますか、寄附行為に書かなければ研究機関、研究施設を置けないという関係ではございません。
#106
○宮崎秀樹君 国立の大学で、こういう民間との受託というか委託でやっているところはありますか。
#107
○政府委員(吉田茂君) 国立大学における受託研究というのは実施されております。
#108
○宮崎秀樹君 実施されているんでしょう。そういうときの税制はどうなっているんですか。
#109
○政府委員(吉田茂君) 国立大学におきます受託研究による収入は、先生御指摘のように、民間等外部の委託を受けて研究という役務を提供するということの対価として徴収するという考え方から、それを徴収して、先ほどの消費税の議論でいえば消費税が課されるという形で、特別会計の中でそれを位置づけて処理しているわけでございます。
#110
○説明員(玉木林太郎君) 今の宮崎委員のお尋ねが、国立大学が受託した場合の法人税の課税ということであれば、これは国の機関でございますので法人税の課税対象とはなっておりません。
#111
○宮崎秀樹君 それはそうでしょうね。しかし、私に言わせると、全く同じことをやっていて一方では取りますよと。これで私腹を肥やすとかなんかするのはこれはだめなんだけれども、実際研究に全部これを使っているわけですよね。そういうことを考えると、同じ実態でありながらこういう研究に対してやるというのは僕は改善していく必要があると思うんですが、それはどうなんでしょう。
 国立は同じことで持っていってもそれを全部使っている。場を提供しているというようなことでも、それなら私立大学だって場を提供しているんだし、そういう格差をつけるいわゆる官民格差というのは非常に私はおかしいと思うんです、そういう発想が。その辺どうなんですか。
#112
○説明員(玉木林太郎君) お尋ねでございますが、学校法人を初めとする公益法人等にありましては、法人税法上の考え方としては、公益法人等が本来目的とする事業であってもそれが収益事業に該当するのであれば課税するという考え方に立っております。
 学校法人がその目的とします教育、研究という目的に沿って行う事業でありましても、収益事業に該当する事業を行い、そしてその収益から費用を差し引いて利益、この場合所得でございます、利益、所得がある場合には、これはしかるべき負担をしていただくことになるかと。
 法人税法におきましては、学校法人の場合には、収益事業から利益が出ました場合でもその半分は無税で公益活動に充てることが認められておりますし、法人税率も一般の法人の基本税率に比べまして二七%に軽減されているというような特別の配慮をしているということでございます。
#113
○宮崎秀樹君 それはもうわかっているんですよ。いつもオウム返しの返事しかこないんで、これはあなた方の見解だから仕方ないけれども、私はしかし大きく見た中で、こういうことをやっていること自体が日本の国のためになるのかなということを考えて今申し上げているんで、まあ結構です。
 もう時間がございませんので、最後に私、教職員の学校における休養室についてちょっとお尋ねします。
 生徒さんのいわゆる保健の分野における休養室というんですか、それはあるんですけれども、先生が腰が痛いと言っても休む場所がないんです。職員室しかないんです。職員室で寝ているわけにいかない。そして職員室にいると生徒さんが入ってくる。生徒さんの休んでいるところへ行って寝るわけにもいかない。これは大変悩みがあるようでございますので、一体どういうふうに解決したらいいのかなという相談がきております。その辺のところは実態をどういうふうに把握していらっしゃいますか。
#114
○政府委員(奥田與志清君) 御指摘のように、教職員が健康で授業に全力投球をしていただくということは大事なことだと考えております。そういう意味で健康的かつ安全で快適な環境を確保するということが必要でありまして、文部省におきましても、学校施設整備指針というものを策定いたしまして、学校における生活環境の改善充実にも努めてきているところでございます。
 その一環といたしまして、教職員室等の執務空間はもとよりでございますが、御指摘ございましたように、休憩室等につきましてもその設置に関する留意事項を示しまして、その整備充実に努めるよう学校の設置者に指導しているところでございます。
 今後ともこのような点について適切な指導をきめ細かく推進してまいりたいと考えております。
#115
○宮崎秀樹君 大変結構ですが、結局お金がないから設けられないんですよ。ですから、そこら辺のところをきちっと、時間がございませんので、ひとつその辺の裏づけもきちっとやっていただきたいということを要望して、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#116
○委員長(石井道子君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。
   正午休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十三分開会
#117
○委員長(石井道子君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、渡辺四郎君が委員を辞任され、その補欠として上山和人君が選任されました。
    ―――――――――――――
#118
○委員長(石井道子君) 休憩前に引き続き、教育、文化及び学術に関する調査のうち、文教行政の基本施策に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#119
○篠崎年子君 私は、六月七日から八日の新聞を見まして、その新聞に「原爆ドームを「世界遺産」に 首相、推薦検討を指示」という記事が出ておりまして、これを見ましたときに、ちょうどこの委員会で請願を採択いたしましたときのことをありありと思い浮かべたわけでございます。そのときにはこの委員会は全会一致でこれを採択いたしました。私どもが平和を願う気持ちというものが皆さんに認められた、そしてそれが政府も動かすことになった、そういうことでは私たち参議院の文教委員会の価値が高められたものではないかとも自負しているところでございます。
 ところで、もう首相からそういう指示が出ておりますので改めてお尋ねするまでもないと思いますけれども、幾つかについてお尋ねをいたしたいと思います。
 まず第一に、こういったような請願が採択されましたときに、一般的に国会が採択した請願については政府内ではどのような取り扱いになっているのかということについてお尋ねをいたしたいと思います。
#120
○政府委員(林田英樹君) 先生御指摘の第百二十八回国会におきまして参議院で採択されました「原爆ドームの世界遺産化に関する請願」につきましては、関係省庁とも協議をいたしまして、五月二十七日の閣議におきまして政府の処理意見を決定いたしております。
 その内容といたしましては、「我が国は世界唯一の被爆国であり、「原爆ドーム」を長く後世まで保存することは大切なことであるが、現段階での世界遺産一覧表への記載に関しては、国内法上の保護措置等の課題があり、今後慎重に検討してまいりたい」ということでございまして、閣議決定後、五月三十一日に国会に報告しておるところでございます。
#121
○篠崎年子君 ただいま読み上げられましたその言葉を黙って聞いておりますと、「課題があり、今後慎重に検討してまいりたい」、そういうことでございますが、普通、検討というときにはなかなか検討できない、されないことが多いわけですね。そのままになっていることが多いんじゃないかと思いますけれども、本当に検討するとすればどういうふうな点について今、検討していらっしゃるのか、お尋ねいたします。
#122
○政府委員(林田英樹君) この処理意見でも申しておりますように、「国内法上の保護措置等の課題があり、今後慎重に検討してまいりたいしという内容になっておるわけでございます。
 この「国内法上の保護措置等の課題があり」ということでございますけれども、世界遺産として推薦する遺産につきましては、世界遺産条約上、国内における法的保護措置が講じられていることが必要とされているわけでございますけれども、現在いわゆる原爆ドームにつきましては文化財保護法上の法的保護措置が講じられていないというような状況でございますので、これらの点についての課題を検討しておるということでございます。
#123
○篠崎年子君 そうしますと、文化財保護としての課題の検討ということですけれども、どういうふうな点について検討されているのかということが一つと、それからもう一つは、その説明の中にもありましたように、「保護措置等の課題」、こういうふうに書いてございますね。まず「保護措置」とはどういうことをするのかということ、それから「等」という言葉が入っておりますけれども、この「等」ということについてはそのほかにどんな問題があるのかということについてお尋ねいたします。
#124
○政府委員(林田英樹君) 我が国の文化財保護法上では、文化財として指定いたしますものにつきましては、歴史上、学術上の価値が高く、その評価につきまして定着をしているものにつきまして指定をしておるというようなことでございまして、現在のいわゆるこれらの史跡等につきましては最も新しいものでも明治二十三年のものであるというふうなことでございまして、それ以後につきましてはこのような評価が定着した段階で検討をするというような考え方で来ておるわけでございます。これらの点におきまして、昭和二十年ということでございますので、これまでの考え方とはかなり差があるわけでございまして、これらの点の問題が国内法上の保護措置などの課題ということでございます。
 それからそのほかにも、原爆ドームの世界遺産化ということになりますと今のような国内法上の保護措置ということのほかにも、例えば世界遺産化について必要とされますいわゆるコアゾーンだとかバッファーゾーンというような考え方がございまして、保護されるものの周辺も一定の保護地域がなければならないというようなことの制約があるわけでございますけれども、そういうこと、それから保存状況がどうかというふうなこと、それから世界遺産について実質的に審査を行う外国の専門家の意見はどうだろうかというふうなことも検討課題になろうかと思っておるわけでございます。
#125
○篠崎年子君 今、世界遺産に指定をすることについていろいろな問題点ということについて挙げられまして、その中の一つが法的保護、文化財保護をしておかなければならないということですけれども、これは逆に考えますと、今お話がありましたように、史跡の対象となるのほかなりの年数がたっているとか、また今、コアゾーンとかバッファーゾーンとかと言われまして、そういったこともその条件の一つになっているということですが、考えてみますと百年という、あるいは九十年ぐらいのものもあるわけですけれども、その期間にせっかくの大切な史跡が壊されていくとかあるいは朽ち果てるとか、あるいは原爆ドームで言いますと形をなくしていくとか、そういうふうなおそれがあるのではないだろうかということを考えますときに、こういったような問題についてあくまでも百年とか九十年という期間を決めておいてそれに当てはまらなければ文化財保護にできないんだ、そういう考え方は改めていくべきではないだろうかと思います。
 特に原爆ドームにつきましては、年数は確かに五十年ですけれども、これの持っている価値というものを考えますときに、やっぱりこれはそういう年数にこだわらないで史跡としていかなければならないんじゃないかというふうなことを考えるんですが、この辺で史跡に指定できるという可能性はあるでしょうか。
#126
○政府委員(林田英樹君) これにつきましては、先ほど申し上げましたように、現在の考え方が我が国の場合は世界遺産に登録するための前提といたしまして、現在いわゆる文化遺産につきましては我が国の法制上文化財保護法があるわけでございまして、したがって当然この保護法によります保護措置がなされているものの中から推薦していくことが適切であろうと判断しておるわけでございます。
 そういう意味で、原爆ドームにつきましては、先ほど申しましたように、今後、明治時代中期以降の遺跡に関する総合的、体系的な検討を行っていく中で原爆ドームもその一環として取り上げて検討していくべき課題ではないかというふうに思っておるところでございます。
#127
○篠崎年子君 この際、ちょっと地元のことでもお尋ねをしたいと思うわけですが、ここに長崎市の一つの写真があります。ちょっと遠くてわかりにくいと思いますけれども、御存じの片足鳥居なんですね。ちょうどここの上空八百メートルのところで原子爆弾が炸裂いたしまして、手前の方の鳥居は跡形もなくなくなったんですけれども、この鳥居は一本足で残っているわけなんです。これはよく片足で残っているなとみんなは言っておりますけれども、こういったようなことを見ましても、ほかに長崎市内では今、形として残っているものはなかなか見つかりません。
 そうしますと、広島の原爆ドームと長崎の片足鳥居、片や広島、片や長崎ということで、この二つをあわせて原爆遺産として指定ができないものだろうか。そしてこの指定は、先ほど来お話があっておりますように、いろいろな課題があり、あるいはここだけ特別にするということでは難しいかと思いますけれども、日本の国が今、世界の人々に対しまして平和を輸出していかなければならない、日本は核は持たないんだ、核廃絶を求めているんだ、そういう気持ちをあらわすためにもやはりここで思い切って期間は短くても原爆ドームを、あるいは長崎の片足鳥居を一緒にして、片足鳥居は周りがちょっと狭いんでゾーンということからいきますと不十分がなと思いますけれども、この辺で一つの決意をしていただけないものだろうかと、再度お尋ねをしたいと思います。
#128
○政府委員(林田英樹君) 今、先生からもお話がございましたように、例えば原爆関係の遺跡とも言うべきものにつきましても、どういう範囲でどういうものが重要と認められるかというふうなことにつきましてもいろんな御議論もあるだろうと思うわけでございますけれども、先ほど申しましたように、これまでの文化財保護法の指定の基本的な考え方といたしまして、歴史上、学術上価値が高く重要なものとして広く一般に認められ、そのことが定着しているということを前提にしての検討をしてきておるわけでございます。そういう前提があるわけでございますので、今後それ以後の時期、終戦の時期なら終戦の時期までというふうなことをいたしましても、その全体の中でどういうものをそういう立場から考えていかなければならぬのかというふうなことを含めての総合的な検討の中で一環として取り上げるという性質のものではないかというふうなことを考えておるところでございます。
#129
○篠崎年子君 今、定着しているとかあるいは価値が認められているとかというお話があっておりますけれども、私はこの場合ちょっと発想を変えまして反対に考えてみたらどうだろうかと。
 それは、世界遺産として指定をする場合に国内の保護がなされていなければならないということですけれども、逆に考えると、こういう世界遺産に指定することによって、それは保護を加えられるべきものだということで、国内の保護ということが後になってもいいんではないだろうかというふうに考え方を変えるわけにはいかないだろうかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
#130
○政府委員(林田英樹君) 考え方の順序につきましては、おっしゃるようにいろんな検討の仕方があるのかなとは思いますけれども、実際結果といたしまして世界遺産に推薦をするということになりますと、今の仕組みで申しますと、こういう文化遺産につきましては文化財保護法というものがあるわけでございますので、その範囲の中での保護があるということが前提になるわけでございますので、推薦します段階には、いずれにしてもそういうものがなければならないという関係にはなると思うわけでございます。
#131
○篠崎年子君 考え方のもとは一緒だと思うんですけれども、皆さんの方はどうしても法律によらなければならないということで、私どもは法律を乗り越えてこれはやるべきものではないだろうかと、こういうふうに思うわけですね。
 そこで、世界遺産にふさわしいかどうかという基準によってこれは決められていくべきものだと思うのですけれども、こういったものについて法的保護がない場合に、行政府と立法府とが協力して法的保護を与えるということも考えていいのではないだろうかと思うのです。この点につきまして大臣の方は、この原爆ドームの世界遺産としての価値ということについてはどのようにお考えになっていらっしゃいましょうか。
#132
○国務大臣(赤松良子君) 原爆ドームのことに関しましては、せんだって参議院の予算委員会で御議論がございまして私も答弁いたしましたが、そもそもの発想は、来年が終戦五十年に当たる、これを日本国民としては平和への誓いを新たにするというか、その五十年を記念する事業あるいはイベントというようなものを考えてはいかがかという総理の発想が原点にあったように思います。
 そこで、それに対して、原爆というのは戦争の終結との関係で非常に意義深いものがございますし、原爆を経験したのは世界じゅうで我が国だけだということもあり、原爆ドームを五十周年にちなんだ一つの位置づけをしてはどうかと、こういう御議論がまずあったわけでございます。
 そこで、総理大臣が積極的な姿勢を示されたというのは、先生が新聞でとおっしゃったのは多分そのことかなと今、伺っていたわけでございますが、そういう観点からの御発言があり、私はそういう総理の姿勢ということもあって、また私自身も原爆ドームの意義というものを認識しておりますので、種々の課題があるわけでございますからそれを検討していくというふうにお答えしたわけでございますので、ここでも同じように私は考えているというふうにお答えさせていただきます。
#133
○篠崎年子君 私も申し上げたいことで、ちょうど戦後五十年ということをおっしゃっておりましたけれども、仏教で申しますとことしが五十回忌ということに当たるわけですね、これはちょっと別ですけれども。
 文化庁の文化財保護部記念物課というところから出ておりました文書に「やさしい教育用語の解説」というのがありまして、そこの中に「毎年十月一日までに世界遺産委員会に推薦し、同委員会が自ら定めた指針に照らした審査等をしたのち、翌年の十二月に決定されることとなっている」と、こう書いてあるわけですね。
 ですから、来年が五十年ということになりますと、ことしの十月一日までにこれを申請をしても来年の終わりにしか決定をできないわけでございます。そうしますと、せっかく私たちが請願を採択した意義というものが、一年おくれたからなくなっていくということではありませんけれども、やはり薄れていくのではないだろうか。そういう意味から考えましてこの十月一日に間に合うように何とか御考慮いただけないものだろうかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
#134
○政府委員(林田英樹君) 請願の趣旨につきましては私どもも重く受けとめておるところではございますけれども、先ほどの処理意見でも答弁をいたしましたり、また今、大臣からもお話がございましたような考え方で、種々の課題もございますので今後検討をしていくということでございます。
 確かに手続なりその審査の期間は、先生今おっしゃいましたように、十月一日が各年度の推薦申請期限でございまして、その場合、翌年のおおよそ十二月前後に結論が出るというような手続になっておるのはそのとおりでございますけれども、今後、私どもとして先ほど申しましたような検討をいたしませんと現時点で何とも申し上げにくいという状況でございますので、御理解をいただきたいと思います。
#135
○篠崎年子君 大変くどいようで申しわけないんですけれども、私たちの政治というものは確かに法律によっていろいろなことが行われるということは、これはわかっております。しかし、時にはそういう法律を超えてやらなければならないこともあるんじゃないだろうか。戦後五十年ということを考えますときに、ここでその辺を飛び越していただいて考え直していただけないものだろうかと思うのですけれども、これはもう何遍申しましても同じようなお答えしか返ってこないと思いますので、十分に御検討していただきたいと思うわけです。
 そこで、委員長に、大変申しわけないんですけれども、せっかく私どもの委員会でこの請願を採択いたしました。そして、原爆ドームは世界遺産にふさわしいということをみんなで判断を示したわけですね。そこで、これを何とかして、今お聞きになりましたように政府の方の態度というのは非常にかたいんですけれども、それを打ち砕いていくためには、文教委員会として現地を視察するとかあるいは参考人の意見を聞くとか、そういう方法はとれないものだろうかということで、これは私の方から委員長に御提案申し上げたいと思いますので、御検討いただきたいと思います。
#136
○委員長(石井道子君) ただいまの篠崎委員の御要望の件につきましては、後日理事会において協議をしたいと思います。
#137
○篠崎年子君 それじゃ、そういうことでぜひよろしくお願いをいたします。
 そこで、最後になりますけれども、午前中の質疑の中にもありましたが、私どもは被爆国ということで、どうしても初めのうちは被爆というものあるいは戦争の被害を受けたという方を強く主張し、あるいはそのことを広く強く訴えてまいりました。その中の一つがこの原爆ドームであったわけで、今この原爆ドームを世界遺産にするということによって、もう一つ忘れられがちな、日本が加害者として東南アジアの皆さんあるいはアジアの皆さん方に御迷惑をかけた、そのことに対して、再びもう核は持たないんだ、戦争はしないんだと、そういうことのあかしにもなるかと思いますので、このことはもう急いで考えていただきたいということでこの項を終わらせていただきます。
 続きまして、いじめ、不登校についてお尋ねいたしたいと思います。
 初めに、先日行われました大臣の所信に関連して、いじめ、不登校のことについてお尋ねいたしたいと思います。
 先月の二十日にいわゆる鹿川事件という訴訟の判決がありまして、東京高裁は、いじめの存在とともにそれが自殺の引き金であったということを明確に認めました。事件から約八年が過ぎまして、どうかしますといじめに関する世間の関心が少し薄れがちになっているようでございますけれども、全国各地、午前中にもありましたように、どこにでもあちこちにこういったようないじめがあり、そしてまた、それが引き金になったとははっきり言えないけれども、そういったようなことが一つのきっかけになってやはり自殺があったりあるいはそのほかのことが起こったりしているようでございます。
 昨年末に発表されました文部省の調査でも、中学校のいじめが増加するということが出ておりました。小学校の方では、平成三年度は七千七百十八、四年度は七千三百というふうにちょっと減っております。中学校では逆に、平成三年度の一万一千九百二十二が四年度は一万三千六百三十二というようにふえてきているわけです。
 このいじめの事例を見聞きするたびに、教育に関心のある者としては大変胸の痛む思いがいたしておりますけれども、いじめの現状やその原因について大臣はどのような所見をお持ちでしょうか、お尋ねいたします。
#138
○国務大臣(赤松良子君) 午前中にもいじめの問題についてお答えいたしましたが、本当にもう先生今、心痛むとおっしゃいましたが、全く同じ思いでございます。それで、調査もいたしましていろいろ分析をしておりますけれども、これはやはりいろいろ複雑な原因があって、これというものでは必ずしも言えないのではないかと思っております。
 問題行動と言っておりますけれども、児童や生徒がいろいろ問題行動を起こす。その原因や背景には社会環境や家庭環境もある、学校における教育指導のあり方などにも不十分な点もあるということ、そういう原因がいろいろ複雑に絡まり合ってそのような現象が起こってくるということでございまして、たった一つの何かを取り上げるというのではなく、総合的な判断が必要だし、解決方法もいろいろと、これだけやればいいというものではないというふうに思っております。
#139
○篠崎年子君 大臣が今おっしゃいましたように、これは大変複雑で、一つだけが原因だということはないと思うんですね。それで、みんなで力を合わせてやっていかなければならないと思うんですけれども、ところで、教育委員会や学校のいじめに対する取り組みについて文部省は支援策としてどのようなことを考えていらっしゃいますか。
#140
○政府委員(野崎弘君) 私どもといたしましても、このいじめが特に中学校で増加傾向に転じたということで憂慮をしておるわけでございます。
 学年別にこれを見てみますと、小学校が学年が上がるに従ってふえてきている傾向はございますが、小学校六年生で千九百四十三人でございます。ところが今度中学校が、一年生になりますと五千五百九十六人、そして二年で五千六十二人、三年生になると二千九百七十四人ということで、中学校は一年生が一番多い、その後減ってくる、こういうようなことでございますので、教育委員会あるいは小学校長、中学校長の集まりなどで、特に中学校一年に多いというのは学校がかわることによるいろいろな精神的な不安とかそういうことも影響するんじゃないか、しかしこれは中学校の課題ということじゃなしに小学校からの課題として取り組んでほしいということをお願いし、あるいは中学校の先生には、とにかく一年生に多いということは入学時に十分注意をして指導をしてほしいというようなことをお願いをしたりしております。
 そのほか、支援策ということで御質問があったわけでございますけれども、教師向けの指導資料を作成配付するとか、教員研修を実施するあるいは教育相談活動を推進するとか、教員の配置上の配慮などいろいろな施策に努めてきているという状況でございます。
 そして、平成六年度におきましては、いじめ等の児童生徒の問題行動につきまして、教員、児童生徒、そして保護者を対象にいたしました実態調査を行いたい、このように思っております。と同時に、学識経験者によります調査研究協力者会議を設けまして総合的な対策等をさらに検討していきたい、このように考えております。
#141
○篠崎年子君 今、お話がありましたように、総合的な対策ということでいろいろお考えになっていらっしゃるし、また実際にそれを実施されていると思うんですけれども、私考えますと、先ほど大臣もおっしゃいましたように、いじめの原因というのは一つのものではない、単純なものではないということから考えますと、何かの類型を持ってそれに当てはめてこういう指導ができたというものではないと思うんです。
 一番根本にあるのは何かというと、私はやはり学校に対する子供の不信感あるいは親の不信感というものと、それから今度、逆に教師から見た場合に親や子供に対する不信感、その両方が交わったところにいじめが起こってきているのではないだろうか。後からお尋ねいたします不登校の問題も同じようなことではないかと思うわけなんです。
 そこで、私は、学校で教員が子供たちに接するときに、一人一人の子供の顔を朝一回全部の顔が一度見られる、そして目と目を見詰め合わせる時間的な余裕がある、そして帰りにはもう一度子供の顔を見て、それから子供にさようならと言って帰す、そういったような心の触れ合いというか、ただ表面的なものではなくて本当に心と心の触れ合いができなくてはいけないんじゃないかと思うわけなんです。
 こういうことを考えますときに、これは人権に基づくものだと思うわけです。子どもの権利条約が五月二十二日発効いたしましたけれども、これは字面の上だけで発効してもそれを行わなければ何にもならないわけで、子供たち一人一人の叫びというものが教員なり社会なりに通じていかなければならないと思うわけです。
 そこでお尋ねをしたいんですけれども、教員採用の場合に、これは文部省が採用するわけじゃなくて各都道府県が行うわけですけれども、どういうことに重点を置いて教員を採用していらっしゃるんでしょうか。
#142
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、いじめの問題に対応するためには、すべての教員が児童生徒の心理や行動について基礎的な知識を持ちますとともに、深い児童生徒理解に立って学校全体が取り組むことが必要でございます。このため、大学における教員養成課程におきましては子供の心理について学ぶことが極めて重要なことだと考えているところでございます。
 大学における教員養成においては従来から、教育心理学、児童心理学、発達心理学などの科目を必修としているところでありますが、さらに近年におきます児童生徒の実態に応じた実践的な指導力の向上を図るために、昭和六十三年の教育職員免許法等の改正によりまして、生徒指導及び教育相談に関する科目二単位を新たに必修とするなどの改善を行ったところでございます。
 そこで、各都道府県教育委員会が教員採用選考に当たりましてはいろいろな工夫をしていただくように従来から指導しているところでございまして、単に筆記試験、ペーパーテストのみならず、面接あるいは児童生徒に対する今申し上げましたようないろいろな接し方、心理的な面、そういうところを総合的に選考の上採用するように従来から指導しているわけで、また各県におきましても最近における教員採用の選考方法については極めて多様な方法を講じて、実際にそれぞれの県においてすぐれた教員の確保に努力していただいているものと、このように考えているところでございます。
#143
○篠崎年子君 今のようなことが行われるようにぜひ御努力いただきたいと思うわけです。
 実は私、ちょうど二、三日前に本屋さんに行きましたら、「学校に背を向ける子ども」という本が出ておりまして、これは一九八六年に第一制が出て、九一年に第十六制が出ているわけです。その中で、河合洋という先生ですけれども、その方がこんなふうに書いているわけです。
 さらに、教員の資質・専門性などの向上については、いわゆる教員資格の拡大を伴う抜本的見直しをはかっていくことで、各教師の個性を生かした多様化を積極的に押し進めていくこと、教員の採用方法についても従来のマンネリ化した、画一的方法を廃止して、“スマート(小利口で、抜け目ない自己中心的な成績優秀者というほどの意味)な教師”はなるべく御遠慮していただき、“子どもが好きで、それなりの情熱やロマンをもっている可能性のある教師”を発見していく工夫が期待されるのである。
こう書いてあるわけです。
 これは十年以上前の話ですけれども、今もこのことが当てはまるのではないだろうか。こういうことをもとにして教員採用が行われなければならないと思うわけで、先ほどのお話の中にもそういうことがありましたけれども、それを見抜くだけの採用する側の研修というものがまた必要になってくるんじゃないかと思いますが、いかがでございましょうか。
#144
○政府委員(井上孝美君) ただいま先生御指摘のように、各県においては、できるだけ子供に対する教育愛のある、また使命感を持った教員が採用できるようなさまざまな創意工夫をして、そしてすぐれた教員を確保できるように選考方法の多様化に向けた取り組みをしているところでございます。
 先生がおっしゃるように、この問題についてはかつて臨時教育審議会におきましても、教員にできるだけ使命感を持って教育愛を持った教員が採用できるような選考方法について改善すべきだという御指摘もいただきましたので、文部省といたしましては、各都道府県、指定都市にそのような趣旨の通知を差し上げましてそういう取り組みを各教育委員会にしていただいているところでございますので、先生御指摘のような方向で各県においても御努力いただいているものというように考えているところでございます。
#145
○篠崎年子君 そういう努力をしていただくと同時に、また外的な要因としては、学級の編制、定員数ですね、これが今、四十ですけれども、これを引き下げていって、そして先生が子供たち一人一人に目を向けられる、そういう状況へ持っていっていただきたいと思うわけでございます。
 続いて、不登校についてお尋ねしたいと思います。
 最近、不登校が大変ふえてきております。大臣は所信の中で、「文教行政は、人間そのものに深く根差した諸活動を扱う行政であります」と述べられました。また、登校拒否や高校中退などの課題に対応した生徒指導の充実を図りますと、こういうふうに述べていらっしゃいます。歴代の大臣も同じように、ここにもいらっしゃいますけれども、同様の趣旨を述べていらっしゃいます。しかし、そうした決意とは裏腹と言っては申しわけないんですけれども、やはり不登校が毎年ふえ続けているというのが実情ではないだろうかと思うわけです。
 平成四年度で見ますと、小学校で一万三千七百十人、中学校では実に五万八千四百二十一人が一年のうちに三十日以上欠席をしているということになっておりまして、まさに教育の危機と言っても過言ではないと思うわけですけれども、まずこの件について大臣の所見をお伺いしまして、あわせて文部省のこれに対する施策についてお伺いしたいと思います。
#146
○国務大臣(赤松良子君) 学校嫌いがふえているというのが大きな理由だと思いますが、先ほど先生が、生徒が朝出てきたときに、顔ですか目ですか、よく見てあげる。帰りにもう一回また朝とどう表情が違っているかというようなことを見てあげるということをおっしゃいました。
 実は、さっきお昼休みにちょっと勉強しておりまして、この御質問への準備などをしておりましたときに野崎局長や井上局長などとも、何かこういう問題について特効薬はないんだろうかと。毎日とあえて申しませんけれども、ちょいちょい新聞に出る。ひどいのはもう自殺に至る。本当につらい思いを私たちもいたしているわけで、何か特効薬はないのかしらと一生懸命考えたわけでございますが、やっぱり特効薬というのはないなという話をしていたんですが、さっき先生のおっしゃるのを伺っておりまして、これは特効薬なんじゃないかと。朝、生徒の顔を担任の先生がじっとよく見る、帰りにももう一回見てあげるというのはこれはいいことじゃないかというふうに感じながら伺っておりました。いじめも不登校も同じ地盤の上にあるんじゃないかと思いますので、どちらについてでもこれは言えることではないかなというふうに思うわけでございます。
 そういう先生が余り重労働にならず余裕を持って生徒と接するという状況を私どもはつくってあげなければいけないんじゃないかというふうに思うわけでございます。もう何か先生自体が追いまくられていて生徒の顔をじっと見る余裕さえもないということではいけないわけで、そういう状態でなくするということに行政としてはするということではないかなというふうに思っていたわけで、多分、篠崎先生は学校の先生をなさった御経験からきっとおっしゃってくださったんだろうと思って、大変印象深く承りました。
#147
○政府委員(野崎弘君) 文部省の施策ということでお尋ねがあったわけでございます。
 いじめに対する対策とほぼ重複する面もございます教師用の指導資料の作成配付とかございますが、特に不登校ということに対しましては、教育相談活動あるいは適応指導教室事業を充実していくというようなことを考えております。
 そして、平成五年度、ここでは適応指導教室事業の拡充を図りました。新たに登校拒否研修講座あるいは自然体験活動担当教員講習会というような事業も実施しております。平成六年度予算案におきましても、さらにこの適応指導教室事業の拡充を図るべく経費の増額を計上させていただいているところでございます。
#148
○篠崎年子君 ただいま適応指導教室のお話がありまして、私もちょっと調べてみましたら、平成六年度は新しくなったので少し数が違ってくると思いますが、不登校児が平成四年度で先ほども申しましたように合わせて七万二千人です。そして、適応指導教室というのがそのときの数で二百二十五カ所です。そうしますと、子供が七万二千人もいるのに指導教室は二百二十五カ所で指導員は九百六十二人、この数ではとても文部省として充実した対策をとっておりますというふうには言えないんじゃないだろうか。ですから、適応指導教室だけでなくてほかのところでもいろんな指導ができていると思いますので、これだけに頼るということは私も賛成いたしませんけれども、それにしましても余りの差に実は数を見ながら驚いたわけです。
 今後は適応教室ということだけでなくて、そのほかのカウンセラーとかあるいは民間の施設とかそういうところと提携をしながら、やはり子供たちのためにいい方向へ進められるようにということで御努力をいただきたいと思うんですけれども、その際にプライバシーの保護ということはこれは十分なされなければなりませんが、最近はコンピューターのネットワークなどというものができておりますので、そういうふうな事例をお互いに全国的に話し合いをしながらやっていく、そういうことは考えられませんでしょうか。
#149
○政府委員(野崎弘君) 適応指導教室でございますが、平成五年の五月現在が最新の数字でございますが、全国で二百九十三カ所に設置されておりまして、指導員数は千五百六十六人ということになっております。
 これは私どもが数をあらかじめ設定をいたしましてその範囲内でつくるということではございません。各都道府県そして市町村で必要があるという場合に設置をしておるところでございます。
 国が予算措置をしておりますのは、その中で調査研究をいたしましてさらなるいい適応相談なりそういうことをしていただくための経費を計上しているということで、予算に計上している以上に都道府県、市町村においては御努力をいただいておるという状況でございますし、さらに必要に応じて充実ということに努め、指導していきたいと思っております。
 コンピューターネットワークについてのお尋ねがございましたが、やはり教育相談につきましてのいろいろな情報収集、提供ということは私ども大変重要なことだと、このように思っております。現実にそうした事業をパソコン通信を利用いたしましていわゆる情報といいますか、こういうところでやっておるというような案内というような形でございますけれども、そういうことを実施している自治体もございます。
 ただ、これは本格的にコンピューターネットワークということになりますと情報関連技術等との関係もございますから、そういう今後の技術の発達状況というものも十分考えながら検討していかなきゃならない、このように思っておりますけれども、コンピューターに乗せるかどうかということは別にしても、情報を広く提供していく活動につきましては大変重要なことだ、このように考えております。
#150
○篠崎年子君 もう一つお尋ねしたいのですけれども、最近は民間施設というのが多くなりまして、文部省の方でも民間施設にある程度行った者は出席日数に数えるということが指導されているようですけれども、民間施設にしましても先ほどの適応教室にいたしましてもその前提には、子供たちを学校に帰さなければならないということが前提になっているんではないだろうか。あくまでも子供たちを学校に帰すための一つの通過点であるというふうに受けとめられているんじゃないかと思うんです。
 私は、ちょっといろんな事例やら私の周りの人たちの話も聞いたんですけれども、子供たちの中には、文部省の方で登校拒否児童生徒調査とかなんとかとなっておりますけれども、拒否ではなくて不登校、行きたいと思っても行けないんだ、そういうことと、それから拒否をして行かないというのと両方あると思うんです。そのどちらにも言えるのは、心の底には、学校には行かなければならない、しかし行きたくない、あるいは行けないんだ、そういうことがあるんだと思うわけです。
 そういうことを前提にしまして、もう子供たちに学校に行かなくてもある程度のことを勉強すればそれは民間であろうとどこであろうと卒業の資格を得られるんだ、そういうふうに思わせて子供たちの心を軽くしてやる、そういうことは考えられないでしょうか。
#151
○政府委員(野崎弘君) 実際上の指導上の手だてとしてどういう方法をとるかということはあろうかと思うんですが、ただ学校に行かないでもいい、つまり義務教育の段階について学校に行かなくてもいいというふうに考えますと、現在憲法で定めております我が国の義務教育の制度そのものとどういう整合性を保っていったらいいのかという基本問題にも発展いたしかねませんので、私どもとしては、小中学生につきましては義務教育ということでございますから、いずれはその義務教育の学校の場に帰ってくる、そして学校外の施設におきます対応というのはあくまでも学校へ帰ってくるまでの一つの手だてと、このようにとらえるべきものだと考えております。
 だからといって、できるだけ早く学校へ帰さにゃいかぬということで、かえって学校へ行きたくないという気持ちを起こさせるのがいいかどうかということはあろうかと思いますけれども、やはり基本的には制度の仕組みとしてそのような仕組みになっている、このように考えております。
#152
○篠崎年子君 制度としてはそう言わなければならないと思うんですね。
 そこで、この問題の最後にお尋ねいたしますけれども、こういったような不登校とかいじめとかについて考えますときに、その子供たちをそういうふうな行動に追い詰めているものは一体何だろうかということを私たちは十分に考えていかなくちゃいけないんじゃないだろうかと思うわけです。
 こういったような不登校やいじめの背景にあるものは何かと申しますと、私はやはり学歴社会や受験競争の激化があるのではないだろうかと思っております。こうした観点からすると、確かに不登校やいじめの解決にはいろいろな手だてを急いでやらなければならない問題もありますけれども、根本的には学校制度に少し踏み込んで考えるとか、あるいは学歴の重圧から子供たちを解放すること、そういったような個別の対策というものが考えられなければならないと思うわけですね。
 そして、学校が子供たちが行って締めつけられる学校ではなくて、行ったら自由に自分たちが行動できる学校、わくわくしながら通える学校、そういう学校を目指していかなければならないんじゃないかと思うわけでございます。それにはいろんな施設が必要ですし、また一朝一夕にはできない問題ですけれども、最後にこの点について大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
#153
○国務大臣(赤松良子君) おっしゃるとおり、学校へ行くのが楽しいというふうになれば不登校という問題は起こらないわけでございまして、じゃどうしたら楽しい学校にできるかということになりますと、楽しくない原因は確かに受験を控えての詰め込みといいましょうか知識偏重の教育にある、根本的な原因はそこにあるのかなというふうに思います。もう少しゆとりと潤いのある教育を目指して学校を楽しいものにする、生徒や児童一人一人が喜んで楽しく勉強できるような学校にする、大変抽象的でございますが、そういうことではないかというふうに思います。
#154
○篠崎年子君 次に、教科書の問題についてお尋ねしたいと思います。
 教科書の検定の問題についてはまだ日を改めて時間をとってお尋ねしたいと思いますが、大臣がいつかどこかでお話しになったというのが出ておりましたけれども、今の検定制度の密室性を改めて公開性を高めていきたいということと、それから何かごりごりした検査をやめて弊害を減らしたい、そういうふうにおっしゃったと新聞に出ておりまして、私もまことにそのとおりと同感するところでございます。
 そこで、最近の朝鮮民主主義人民共和国の問題につきまして、国内にあります朝鮮学校の生徒がいろんな被害を受けているということがございました。このことについては今回だけではなくてその前にも、何かそういったような朝鮮民主主義人民共和国の問題が取り上げられると朝鮮学校の生徒に対する嫌がらせがあっているわけですね。
 私は、このことにつきましては、やはり一つには人権ということについての教育が十分に行われていないのではないだろうか。自分の人権は守るけれども、人の人権についてはどうでもいいじゃないかという考え方があるんじゃないか。自分の人権を大切にするならば人の人権も大切にしなければならない。この人権教育というものを子供のときから十分にやっておくことが必要じゃないかと思うわけです。
 もう一つは、私は、小学校から中学校、高校にかけての歴史の流れの勉強のさせ方というものについて少し考えていかなければならないんじゃないかと思うわけです。
 実は、先ほどもちょっと大臣がおっしゃいましたけれども、私、小学校に長く勤めておりました。小学校では歴史と申しませんで社会科の方ですけれども、そのときに歴史を勉強します。そうすると、古代の方からずっと来るわけですね。古代の辺は大変おもしろい、平安もおもしろい、それから徳川時代も何かおもしろいものがある。そういうところへずっと時間をとっておりますと三学期の終わりごろになって、ああ時間がなくなったというので近現代史をぱぱぱっとやってしまうわけです。そうしますと、そこのところで大変抜けているのが、日本が現代、近代、その時代にわたって外側の国、日本外の国々に対してどういう態度をとってきたのか、また先般の戦争はどういう意味を持っていたのか、どういうことだったのかということについて軽く触れて終わってしまっている。
 中学校でもまた同じようなことをやって繰り返してきている。高校になりますと選択ですから、とらないところも出てくる。こういったようなことがあるんじゃないかと思いまして、これは逆に現近代を先にして古代にさかのぼっていく、そういうふうな教科書はないものだろうかと思って探してみましたら一つだけあったんです。それは高校の、本屋さんの名前、書籍の名前はちょっと申せませんけれども、ある書籍の日本史A、これが一つだけ現代を先にしてそれから古代にさかのぼっている。あとのものはほとんど古代からの流れの中に沿っていっているわけですね。
 ですから、こういったようなことを考えますときに、やはりこれから先の指導要領の改訂もあるかと思いますけれども、あるいは教科書の改訂もあるかと思いますが、そういう流れの中で人権とそして近現代史を大切に取り扱う、そういう教育に持っていきたいものだと思うわけですけれども、大臣のこの辺についての御所見をお伺いしたいと思います。
#155
○国務大臣(赤松良子君) 前段の方で先生がおっしゃいましたこと、私は全くそのとおりに感じておりまして、古い歴史もおもしろいけれども、やっぱり現代にまで教育がいかないというのは問題じゃないかと思いまして、昨年、文部大臣になりました割と直後だったと思いますが、私はそういうふうに思うけれどもと申しましたところ、ことしから日本史Aとか世界史Aとか新しくそういう科目ができて、そのAというのは何の意味だかと思いましたら近現代を中心に学ぶ歴史なんだということで、そういうことを新学習指導要領で決めまして、したがってそういう教科書もできているということです。
 今、先生がおっしゃったのはそれかどうかちょっとわかりませんが、現代の日本史というような教科書で、第一部はもうちょっと古いところですけれども、そこはごく簡単に触れてあって、近現代のところに詳しく多くのページを割いているというような教科書も出てきているわけでございます。
 そういう現代史についての知識がなければ今日の私たちの置かれている世界の中での日本というものの理解が行き届かないということは、全くそのとおりに私は感じております。
#156
○篠崎年子君 終わります。
#157
○本岡昭次君 朝から久しぶりに文教委員会の質問を聞かせていただきまして、いろんなことを思い浮かべたのであります。事前に通告しておった質問じゃなくてそういう午前中からの質問に、また先ほどの篠崎委員の質問に絡めながら私もひとつ議論に参加をしたいというふうに思いましたので、一応質問は通告しておりましたが、そこからちょっと外れますことをお許しいただきたいと思います。
 実は、一九八六年一月三十一日、今から八年前ですが、参議院の本会議で当時の中曽根総理に私は代表質問を教育と人権ということで行いました。そのときも私が大きく取り上げたのがいじめの問題であり、不登校児の問題であり、高校中退をする子供たちの問題であったわけですね。八年たっても結局同じ議論を我々はしなければならない。ここにその問題の深刻さがあります。と同時に、我々は本当に子供たちのこの問題を解決してやるための努力をしたんだろうかという深刻な反省も同時に私はしております。
 文部大臣が次々とおかわりになるわけであります。一体どういうことがバトンタッチされているのか。まさか文部大臣が終わられるときに、無事任期を満了させていただきましてありがとうございますというようなことではないだろうと思います。しかし、今の質問を聞いておりまして、本当に文教行政が日本にあるのかという感がします。
 私は、そのときの質問に材料としていじめの問題を取り上げたんですが、そのときに私が数字で挙げたのが「いじめなどを原因とする小中学校の登校拒否児は」、登校拒否児と言わぬのですか、不登校児と言うんですか、「三万百九十二人に及び」ということを言ったんですが、先ほど聞いておりますと七万二千人というふうになっているわけでございまして、これは大変なことであります。今、文部大臣も、学校が楽しくないんだろうと、こうおっしゃいました。
 そして、この当時でも学校が楽しくないということの理由に、いじめられるから楽しくないんだという生徒がアメリカの六倍もいました。これは日本とアメリカの中学生の意識調査であります。
 それで、このいじめへの対応では、アメリカの四割の子供たちがいじめがそこにあればとめに入ると、こう言う。日本ではほとんどの子供が見て見ぬふりをする。この純真な子供社会からさえも小さな正義や小さな勇気が消えようとしておる。いじめの内容では、相手の欠陥や弱点をしつこくいたぶる、そして仲間外れにする。結局、他人の人格や人権を大切にするというこの根本のところを子供社会が全部失っでいっている。一体この子供たちのつくる未来は何なのかというところに私たちは愕然とするという問題を私は警告を発し、もっと大げさに言えば、日本の民主主義が揺らいでしまうんじゃないかということをここで申し上げました。
 総理は私のその質問に対して、「いじめの原因については、やはり思いやりとかいたわりとか、心の大切さというものが見失われがちな教育の内容やあり方が問題であります。政府としても、これらの点について、人権尊重というものを小さいときからはぐくむように学校教育を改革していかなければならないと思います」と、こうおっしゃったんです。
 一体この「人権尊重というものを小さいときからはぐくむように学校教育を改革していかなければならない」という、今ここで文部大臣の責任を問いかけても、さあ私はとおっしゃると思うのでありますが、こういうことをおっしゃっても一体それではどのようにして文部省の中にそうしたものが引き継がれていっているのか。もしそれがうまくいっているとしたら、今日のようないじめが依然とあり、自殺が次々と起こり、不登校児が二倍も三倍もなるというようなことはなかった、こう私は思うんです。だけれども、これは文部省の責任に私は全部を責めても無理だと思うんです。
 しかし、文部省もこうした問題に対しての、今、私が申し上げているようなことに、こうします、ああしますという対応策をその都度おっしゃっているわけです。そして、このことに苦しむ現場の教職員や親に対してやはり希望を与えてきたけれども、そういうことについてはほとんど問題が解決していないという現状に対して、文部大臣のひとつ所感をいただきたいと思います。
 ちょっと細かいことはいいです。私、文部大臣を責める気は少しもないんですから、率直に文部大臣の感想をいただければいいんです。
#158
○国務大臣(赤松良子君) 午前中から、いじめ、不登校という問題がずっと出てきておりまして、本当に、いろいろその対策については先ほどから申し述べているわけでございますが、どうもその効果が上がらないということは何かどこか間違っているのかなと思わずにいられない。
 ただ先生、一時、いじめは統計的には大分減ったわけでございます。それは効果が多少あらわれたのかと思って喜んでおりましたところ、またちょっと反転をしたということで、なぜかと。その担任の先生方に注意していじめをなくすようにしましょうということは一生懸命言ったと思うんです。それで、具体的にいろんなところでそれが現場でもよく行われた結果が多少減少したということになったのかなと。それがまた逆に上がってきているというのは、一生懸命やっていたのが少し減ったので安心したのかしらというふうにも思います。
 それから先ほど判例をおっしゃいましたが、あれはちょっと古いから古い時期の出来事かと思っていましたら、最近また一つならず二つ、三つですか、また自殺の問題が出て、それはいじめがどうも原因だと。これはまたもう一回本当に基本的なことを考え直さなければいけないのではないだろうか。
 先ほど申しましたように、こういうことが起こった場合は、私は余り経験がございませんから、経験のある局長や担当課長にいろいろ本当に具体的にどうしようというお話もしているわけでございますが、先ほど篠崎先生にもお答えいたしましたが、なかなかこれをやればというのは今のところ余り見つからずに、これまでやってきたことを日常的に地道に現場でやっていただくしかないんじゃないかというのが今の結論のような、まあ結論を出す必要もないのかもしれません、一生懸命やりながら考えていく方がやっぱりよろしいのかとも思います。
#159
○本岡昭次君 同時に、その当時臨教審が組織されまして、その臨教審の答申というものも出されました。臨教審が第二次答申として、これは一九八六年ですか、同じですね、四月二十三日に答申しているんですが、この答申の中にこのような文章があるんです。
 「近年の校内暴力、陰湿ないじめ、いわゆる問題教師など、一連の教育荒廃への各教育委員会の対応を見ると、各地域の教育行政に直接責任をもつ「合議制の執行機関」としての自覚と責任感、使命感、教育の地方分権の精神についての理解、自主性、主体性に欠け、二十一世紀への展望と改革への意欲が不足していると言わざるを得ないような状態の教育委員会が少なくないと思われる」というような指摘をしているんです、この臨教審でいじめだとかいうことが問題になったときに。
 私は、これ非常に重要な指摘だと思っているんです。学校のいじめの一つ一つを文部省でどうこうしようといったって、これは私は極端に言うと不可能だと思うんです。また、そういうことをするために文部省があるとは思っていない。そういう問題状況をなくするためにどうするかという一般的な施策はあっても、やはり個々の問題は、都道府県あるいは市町村にある教育委員会が一体その問題に対してどう対応するのか。
 しかし、最近このいじめで自殺があるとかいろんなことが起こっても、教育委員会という顔が出てこないんです。教育委員会がそれに対してどうしたかとかいうようなことはほとんど出てこない。子供が悩み苦しみながら、親も学校に対してそのことをいろいろと注文をつけ何とかしてくれと訴えていても、教育委員会というのは一体どこにあるんだ。親は教育委員会にそのことを言っていくかというと、言っていけない。教育委員会の存在というのは完全にこういう問題からスポイルされてしまっているんです。私はそう見ているんです。全部とは言いませんが、そういうところが非常に多くなっている。
 だから、ここに指摘しているように、各教育委員会というものをここは、「各地域の教育行政に直接責任をもつ「合議制の執行機関」としての自覚と責任感、使命感、教育の地方分権の精神についての理解、自主性、主体性に欠け」と、「欠け」です、これがないというんです。そして「二十一世紀への展望と改革への意欲が不足」と。
 だから、ここのところをどういうふうにして文部省が、逆に言えば責任感を持ち、使命感を持ち、教育の地方分権への精神についての理解を深め、自主性、主体性を大いに持ち、二十一世紀の展望と改革の意欲がそこに沸き立っているような形の都道府県教育委員会をどうつくるかということを抜きにして、私はこのいじめだとか学校へ行かない子供だとかそういうふうな問題の解決はない、こういうふうに思うんです。
 また、同じ臨教審の中でこういうことも言っております。「戦後、教育における地方自治への大きな転換があったにもかかわらず、依然として、戦前の国から与えられた教育という意識が教育関係者の間に根強く残存し、自分のことは自分の責任で、身近な事は身近な機関の責任で処理するという自治意識が未成熟なため、制度の本旨が十分に生かされていないこと」と書いてあるんです。
 戦前の国から与えられた教育という意識が教育関係者の間に根強く残存し、何かというとすぐ文部省、文部省、文部省というこの問題構造、意識構造。それから自分のことは自分の責任でやるんだと、都道府県という限り、あるいはまた市町村という限り、その与えられた責任の中での教育の問題はみずから体を張って命をかけて、日本の未来のために生きていく子供たちを自分たちは育てるんだという、そういう使命感なり責任感というものをどうして持たせていくかということ。
 私は、文部省が今こそ力を入れることは、全国的な統計をとって、やれふえたの減ったの、やれ何をした、かをしたということじゃないと、こう思っているんです。どうでしょうか、文部大臣。
#160
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 ただいま先生から御指摘のとおり、臨時教育審議会におきましては、教育委員会の役割あるいは使命、それから今後の活性化についての方途、そういうものについて種々御議論いただき御提言をいただいているわけでございます。
 私どもとしても、そういう臨教審の答申を踏まえて、各教育委員会がみずから主体的にその使命の遂行を図りますとともに、それぞれ地域における教育の諸般の課題について積極的に取り組んでいただくような活性化についてのいろいろなアドバイスはしているわけでございますが、臨教審の指摘にもございますように、やはり教育委員会が地域の教育事情等を踏まえ、そういう地域住民の声を的確に把握した上で施策を展開するということが一番必要なことであろうということを私ども考えているわけでございます。
 先生が御指摘のとおり、教育委員会としても、いじめ問題等につきましてももちろん学校、地域社会、家庭が一体となった取り組みを従来からもしていただいているわけでございますし、また各学校現場につきましては、教育委員会が各校長等を通じまして、学校現場で生き生きとした教育活動が展開できるように、そして問題行動が減るような取り組みを積極的にするような指導というのは各教育委員会も取り組んでいただいていると、このように理解しているところでございますが、まだまだそういう点では、先ほどからお話がございますように、いじめにしろ不登校問題にしろ問題解決にはもちろん至っていないわけでございますから、今後とも教育委員会におけるそのような問題についての取り組みを私どもとしては大いに期待をしているところでございます。
#161
○本岡昭次君 教育委員会が地域住民の代表としてそうした問題をしっかり取り上げて、そして対応していく。上下関係に立つ権力構造の中での問題解決ということでは無理であろうと思うから私は申し上げておるのであります。
 それで、教育委員会の問題についても、先ほど言いました私が中曽根元総理に質問しましたときに、中曽根総理もこのように答えているんです。
 「教育委員会については、教育行政の中枢でございまして、これがややもすれば硬直化しマンネリズム化していると私は思うのであります。これを生き生きしたものにする。教育長あるいはその事務局の組織、運営等についていろいろ工夫を凝らす必要があると考えております」と、当時の中曽根総理もこのようにおっしゃっております。
 したがって、私は国会に参りましたときから一番おかしいなと思ったのが、都道府県の教育長を文部大臣が承認するという仕組みであります。
 教育委員会制度が発足した当時はそういったことがあってもいいと思うんですが、もう四十年もたって、地方分権の時代と言われ、先ほど言いましたように、それぞれ教育委員会がみずからの意思でみずからの責任で地域の教育の問題に当たっていくということを考えていくときに、まだこの時代になっても文部大臣が都道府県の教育長の承認をしなければ安心して任せておけないというふうな発想、あるいはまた優秀な人材、立派な人材をそこに得られないとか、国と地方自治体のかなめとしてそうした制度が要るんだとかということは、やはりもう今の時代に適応しないのではないか。あるいはまた、地方自治体に対するある種の不信感というふうなものがあって、やっぱり文部省が最後まであらゆる面で面倒を見ていかなければいかぬのだというふうな、そういう過保護的なものもあるのではないかと考えます。
 したがって、今すぐどうこうせよと私は申し上げませんが、もうそろそろ教育長の文部大臣の承認事項という地教行法の中にある条文の問題とあわせて、もっと生き生きとした教育委員会をつくるためにどうすればいいかということの検討を地方分権という問題に焦点を当てて議論を始められてもいいんではないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
#162
○政府委員(井上孝美君) 高等学校以下の学校教育における国と地方の役割分担につきましては、学校の設置、運営、教員大事など教育行政の多くは地方公共団体が担っておりまして、国の役割は基本的には学校制度の枠組みの整備、学校の設置基準や教育課程の基準など各種の基準の制定のほかは、地方公共団体に対する指導、助言、援助が主体でございます。
 教育行政におきましては、このような国と地方の役割分担のもとにおいて、地方自治を尊重しつつ、国、都道府県、市町村が相互に連携を密にし、全国的に教育水準の維持向上を図ることが必要でございます。
 教育長の任命承認制度は、その一環として地方教育行政のかなめとなる教育長に適材を確保するために設けられているものでありまして、今後ともこれを維持する必要があると考えているところでございます。
 地方分権の推進につきましては、現在、中期行革大綱に沿って政府全体で検討が行われており、また文部省でも政府全体の方針に沿って国の関与や機関委任事務等について検討を進めているところでございますが、今後ともこのような考え方に立って対処してまいりたいと思います。
#163
○本岡昭次君 どうしようもないですね、その古い頭は。十年一日のごとく同じことを繰り返して言うのも立派だと思いますが、やはり新しい時代には新しい対応をする柔軟な考え方がなければいかぬのと違いますか。
 文部大臣、やはりこれは政治の分野からのかかわりだと思うんです。教育を活性化するとかあるいは教育の地方分権とかと言われる場合、この問題は臨教審も検討せよと言っている、当時の中曽根総理もそうしたことを検討する必要があると言いながら、文部省はかたくなにそこのところは触らないでいるわけですが、どうでしょうか、文部大臣、一度そうしたことを文部省内で検討されてはいかがですか。
#164
○国務大臣(赤松良子君) 大変難しい課題でございまして、もちろん臨教審以来の課題だということでございますから当然のことながら考えてきているわけでございますが、やはり教育長任命承認制度というのは非常に地方教育行政の根幹をなす制度だというふうに理解をしているところでございます。
#165
○本岡昭次君 これ以上申し上げませんが、もう分権の時代でありまして、臨教審がこういうことを言っておるんです。「国は都道府県に、都道府県は市町村にそれぞれ委譲できる権限は委譲し、住民にできるだけ近いところに任せ、経験を通じて地方教育行政を成熟させていくという長期的、大局的な観点が必要である」と。これに反論できますか。
 過保護なんです。そして、ここでいじめはと言ったって、全国にごまんとある学校のそんなことわからないでしょう。それをここでいじめはと言うことの僕は問題を指摘したいわけなんです。それはここに書いてあるように、住民にできるだけ近いところに、子供の近いところへこの問題を任せなかったら、こんなもの文部省で解決できる問題じゃないんです。だから、そういう仕組みを変えなければ文部省は時代に取り残されてしまう、こう思うから私は言うんです。
 そして、このことは予算がひとつもかからぬ問題です。お金は一銭もかからないでしょう、これは。むしろ、承認のために教育長が面接に来たり書類を出す手間も省けていいんじゃないですか。お金のかかることはしんどいだろうけれども、お金はかからぬのです。せめてお金のかからぬことぐらいから文部省はやはり新しい時代に適応したものを打ち出してください。お願いをしておきます。
 それで、お金のことを言いましたが、羽田総理大臣が施政方針演説の中で非常に我々に勇気を与えてくれました。「教育や科学技術を未来への先行投資として位置づけ」と、こういうふうに。
 昨今の文教予算が非常に硬直化してしまってほとんど新規事業ができない。マイナスシーリングの中で悪戦苦闘している。去年もそれが高等学校の私学補助金のところへしわ寄せが行ったということ、今のような状態にある限り毎年文教予算はそういう状態に置かれるでしょう。そういう状況をどうして打ち破っていくかと私たちが頭を悩ませているときに、羽田総理大臣が所信表明演説の中で「教育や科学技術を未来への先行投資として位置づけ」と、こう言っていただいたのであります。
 このことを突破口にして、ぜひともことしの文教予算、文部大臣を先頭に概算要求の段階から頑張っていただかなければならぬと思いますが、赤松文部大臣の、先行投資というふうに教育を位置づけてもらったそのことに対する決意というのですか、それを少し聞かせていただきたいと思います。
#166
○国務大臣(赤松良子君) たしか先行投資という言葉は、羽田内閣が途中で非常に不幸な出来事がございまして少数与党になってしまったわけですが、その前の段階でいろいろ基本的な政策を討議されて合意を見たときに、この言葉が非常に新鮮な響きを持って出てきたんだというふうに私は認識をしております。それはその後状態が変わりましたけれども、この言葉は生き残って、そして総理の所信表明の中に登場しているというのが私の認識で、多分間違っていないというふうに思います。
 そこで、そういう合意のもとででき上がったこの言葉が所信表明の中でも言われたわけですから、もうこれは確固たる根拠のある今後の方針を目指す言葉になるわけでございますから、文教予算をつくる責任のある私どもとしては、ぜひこの言葉にふさわしいような予算要求をしなければならない。
 今は六年度の予算、本当にこのようになって、もうすぐ上げていただけるのかと思いますが、希望しておりますが、大きくおくれておりますために次の予算というのにまだ頭が回らないというのが実態でございますけれども、本当は六月というのは次の年の予算を考える時期に差しかかってきているわけでございまして、先行投資であるという所信表明の中にあらわれたこの精神をぜひ七年度の予算には生かして充実させていきたいというふうに考えております。
#167
○本岡昭次君 午前中から自民党の皆さんやそれから私どもの篠崎さんが議論しましたように、結局のところ教育全部、文教、科学予算というのはこれは先行投資として未来に向かってかくあるべきだというふうに皆、議論をしているわけで、そういう意味でぜひとも教育予算が未来への先行投資である、国づくり、人づくりの根幹であるというふうに考えて私は取り組んでいきたいと思います。
 最後に、その中で一番今、軽視されているんではないだろうけれども、実態として、先行投資の中で教育研究あるいは基礎研究とか言われるこうしたものは、文字どおり今に生きるんではなくて未来に生きてくるわけですが、その資料をちょっと見ると、研究費の国際比較、日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、一九九二年ぐらいのところです。
 研究費の対GNP比は、日本は二・七七、アメリカ二・六四、イギリス二・二三、ドイツ二・六五。これで見る限り変わらぬのです。ところが、政府負担というところになってくると変わってくるんです。日本が〇・四七%、アメリカは一・一四、イギリスは〇・八〇、ドイツは〇・九七%と変わってくるんです。結局なぜかというと、民間がどんどんとそういうところにお金を出しているが、国は出していない。こういうことで、日本の科学技術とか教育、すべてのこういう基礎研究に対しては、民間投資が国の本来出すべきものを補ってやっと欧米並みの水準を維持しているという現状です。
 だから欧米からこういうことを言われるんです。大学への日本の研究費交付は国際的に極端に少ない。このことは日本政府が基礎研究強化の意向を表明したにもかかわらず起きている。日本は基礎研究に科学資源の公正な分担をすることなく、科学的なフリーライダー、ただ乗り者であり続けた。こう言われるんです。
 基礎研究のところにお金をかけずに、よその国でやったものをかりてきて、あるいはそのできたものの成果を受け取って、そして自分はただ乗りしている。何で日本はそこでみずからのお金をみずからかけて研究をやらぬのかという問題ですよね。もうこれ以上こういう状態を続けることは私は不可能ではないか、こう思うんです。
 だから、教育の先行投資というものは、先ほど出たいじめとかあるいはまた不登校児の問題、あるいは養護教育がどうの事務職員がどうの、またさまざまな問題が出てきましたけれども、結局人づくりにおけるところの金が、資金が非常に全体として今、少ない状態にあることが原因となって起こっている問題だというふうに認識するときに、この文教委員におる者は、挙げて先行投資という問題を徹底的に究明して、そしてしかるべき成果を得なければこれは日本の将来にかかわる問題だというふうな問題意識を持って頑張りたいと、こう私も思っておりますので、文部大臣、先頭に立って陣頭指揮をひとつとっていただくように要請して、終わります。
#168
○小林正君 けさの朝日新聞に文部大臣の話が載っておりました。きのう父の日だったんですね。それに関する記事だと思いますが、文部大臣のお父様のことが載っておりまして、戦前の父親像といいますか、その底に秘める優しさといったようなエピソードも載っていたなということで感銘を受けました。
 昨今、父親の存在が家庭で希薄である。非常に産業戦士として多忙な中で父親不在という家庭の状況もあって、本当に子供が父から受け取るべきさまざまな資質というものを受けられない家庭が大変多いように思いますが、あの記事との絡みで、文部大臣として父親像についてどのようなお考えをお持ちか。ちょっとこれは質問の事項ではございませんでしたけれども、たまたまきょう新聞を拝見いたしましたので、一言お願いできればと思います。
#169
○国務大臣(赤松良子君) 何か余り大したことのない記事をお目にかけて恐縮に存じておりますが、私の場合は、全然父親は教育の具体的なことについては何一つ言ったことはございませんで、勉強しろなんというのは一回も聞いたことがないような記憶でございますが、何か大事なときにちゃんと支持をしてくれるというか、支持というのはサポートの方でございます。インストラクションじゃなくてサポートなんですが、できるようにしてくれたという気持ちがして、そのことは子供のときにはちっともわかっておりませんで、だんだん年をとるにつれてそのことがわかってきて感謝をしているわけですが、孝行したいと思うときに親はなしという状態でございます。
#170
○小林正君 今、申し上げましたように、週休二日制、そして学校も隔週というところになりまして、父と子の触れ合う機会もだんだんこれからはふえていくのではないかというふうに思いますが、やはり子供が両親から受けるものが将来の人間形成の資質にとって極めて重要であるということは、さまざまな識者の御指摘になるところでもございます。これを契機にいたしましてやはり父が家庭に存在する、そういうことが教育の基礎である、私はそのように考えているところでございます。
 それでは、きょうの質問に戻りますが、平成六年三月の卒業者の就職の状況につきまして、予算委員会等の場でもさまざまな指摘がされておりまして、若者が社会に巣立つに当たって大変不安な時代を今、迎えているわけでございます。言ってみれば、学校が終わっていよいよ人生のスタートを切る、そのときに社会生活にすぐ入ることができて、この間学んでまいりましたさまざまの学問、知識、技術というものを生かしていくことができる受け皿といいますか、そういうものが整えられていない状況というものが大変深刻な状況に今なっているというふうに思います。
 そこで、平成六年三月の卒業者について、労働省、きょうお見えだと思いますが、どういう状況になっているのか、御説明をいただきたいと思います。
#171
○説明員(吉免光顯君) お答えを申し上げます。
 ことしの春の卒業生でございますが、就職状況、高校卒業生の場合ですと三月末現在で九七・五%になっております。それから大学生の方でございますが、全体、特別に全国十七校一万人の学生を抽出しまして調査をいたしましたところ、九六・八%というのが三月末での就職状況になっております。
 なお、この数字は、私どもが出しておりますのは就職希望者に対してでございます。就職希望者を分母としてとっております。
#172
○小林正君 高校卒、それから短大、大学卒、いろいろ学校の種別もございますけれども、こうした中で特に特徴的な傾向というのはございますか。
#173
○説明員(吉免光顯君) 高校生につきましては全般的にこういった数字で、特に地域的にも大きく隔たりはございませんでした。ただ、決まっていきますまでの過程で少し地域的に、例えば北海道でありますとか九州方面は少し決まり方が遅かったという状況がございました。
 それから大学生の方につきましては、例えば私立大学の文科系でありますとか私立の女子大、短大、こういったところは比較的苦戦をしたかなと。最終的にはいずれも九割を超えておりますけれども、やはり途中経過としては決まり方が遅かったという状況がございます。
#174
○小林正君 そういう就職の状況についてお伺いしましたが、女子大生の就職が特に厳しいということが言われまして、マスコミでも連日テレビでその学生たちの声が、企業を訪問しても門前払いを食うとか、それから最初から男子のみとかいろんな形の中で、男女雇用機会均等法が制定をされて以来、比較的労働需要が売り手市場の段階では矛盾もなかった面もありましたけれども、こういう厳しい状況になりますとそうしたことが真っ先に出てくるという状況があろうかと思うんです。
 その辺のことしの春の卒業生についての対応はどうであったか。そしてまた、来春の就職活動も既に始まっているわけですけれども、そういうことの中で労働省としてどんな認識をされているか。また、今後の対策、対応についてお考えがあれば承りたいと思います。
#175
○説明員(岩田喜美枝君) 先生お尋ねの女子学生の内定、採用状況でございますが、昨年の十月の時点で証券取引所の一部、二部上場企業での内定状況を調査いたしました。その時点では、男子の新規学卒者の内定状況が前年と比べまして二九%減ということで、これまた大変大きな削減率でございましたけれども、その時点での女子の状況は四〇%減ということでございまして、男子と比べて女子の内定状況というのは昨年の秋の時点では大変厳しいものがあったように認識をいたしております。
 その後、昨年の三月まで内定率は徐々に上がりまして、特に女子の内定率は追い上げてまいりましたが、三月末の時点での先ほどの業務調整課長の御説明にありました一万人の学生の抽出調査でございますが、男子の内定率が九九%であったのに対しまして女子は九三%ということで、最終段階でもやはり女子の方に厳しい状況はあらわれていたというような認識をいたしております。
 以上、量的な話でございますが、それ以外の側面といたしましても、就職活動の中で例えば男子と比べて会社の説明資料が女子には送られてこないとか、募集では男女募集をしているというふうに見えるけれども、実際女子学生が応募しようとしたところ応募を受け付けない、ことしは女子は採らないというふうに言われたといったような企業もございまして、私どもの方に相談が寄せられたりいたしました。
 そういう状況でございまして、ことしも雇用失業情勢は現時点で依然として注意すべき状況にあるというふうに思われまして、来年三月の新卒者については昨年以上に厳しい状況ということも予想されるという認識のもとで、これまでも幾つかの対策を講じてきております。
 まず一つは、男女雇用機会均等法に照らしまして問題のある事案が生ずることがないように、均等法に基づく指針を女子学生の就職問題を念頭に置いてこの四月から拡充強化をいたしております。この指針に違反することがないように今、周知を図っておりますが、違反した事業所に対しましては個別に指導も辞さないということで対応しているところでございます。
 また、五月には労働省婦人局長の方から事業主団体に要請書を発出いたしまして女子学生の機会均等のお願いをいたしましたし、また六月からは全国の婦人少年室に一斉に女子学生のための特別の就職相談窓口を設けまして、ここで女子学生の相談にあずかり、必要な援助をしていきたいというふうに思っているところでございます。
#176
○小林正君 男女雇用機会均等法に照らしてどうかということが一つ。そして、それに違反する行為があった場合であっても現実には女子に対して窓口が閉ざされている、こういうことだと思うんです。
 婦人少年問題審議会婦人部会の中間報告というのが一月十日に出て、この中で雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女子労働者の福祉の増進に関する法律第十二条に基づく「事業主が講ずるように努めるべき措置についての指針」、先ほどお話があった内容だと思うんですけれども、それをやってなおかつそういう状況が改善をされていないということがやっぱり深刻な事態を招いているわけなので、このことについてこれからどういう対策が求められるのかということについて、特に今後の課題としてもう一回より具体的な中身があればお教えいただきたいと思います。
#177
○説明員(岩田喜美枝君) ことしの四月の指針の拡充をいたしました後、ことしが初めての就職活動を今まさに女子学生はやっているわけでございまして、現時点といたしましてはその指針を遵守していただくようによく周知をし、仮に違反をしている事業所があればそれは個別に指導するということで対応していきたいというふうに思っているところでございます。
 今、先生御指摘の婦人少年問題審議会婦人部会での検討のことでございますが、この女子学生問題に早急に対応するということで、当面のいわば緊急措置といたしまして今般指針を改正いたしましたが、さらに指針レベルではない法律レベルの問題も含めて今後の機会均等対策のあり方をどうするかということについては、もう一つの労働基準法の女子保護規定の見直しもあわせてでございますが、婦人少年問題審議会婦人部会でこれから引き続き御議論いただくということになっておりますので、当面はその御議論の状況を見ながら、それを踏まえて検討してまいりたいというふうに思っております。
#178
○小林正君 以上の御質問を労働省に対していたしましたが、文部省として、学校を出てそれからいよいよ社会に出る、そのときにたまたま不況という事態の中で、戦前ですと「大学は出たけれど」という昭和十年前後の状況がございましたね。それからヨーロッパやアメリカでも大学を出てからの就職の問題というのがいつも景気の動向とともに話題になるというのは、これは市場経済にある各国のそれぞれの対応の中では、市場経済は完全雇用を保障しないという問題があって確かに困難な状況があることは承知をしているわけですけれども、若い人たちが自分の技術や能力、知識というものを生かして社会の中で精神的にも心の問題としても本当に充足した生活が営めないということが結果としてどんな社会をつくり出してしまうのかという問題があると思うんですね。
 旧東ドイツの中で今、ネオナチの運動が非常に活発になっているという問題があったり、アメリカでも麻薬と暴力ということがはびこる一つの背景として定職につけない実態というものがあるということになると、日本ではまだ失業率が諸外国に比べてそれほど高くない、しかし今後の問題として、そういう「大学は出たけれど」というような実態が一体どんな社会をもたらすのかということから考えますと、やはり麻薬や暴力やあるいは政治的なプロパガンダによってファシズムに走るとか過激な行動に行く、そうした極めて社会不安の原因になってしまうような状況というものも考えられると思うんですね。
 そういう意味で、一つは、大学を出すまでの間に国がどれだけの費用をかけているのかということについて、まずお伺いしたいというふうに思うんです。どなたでも結構でございます。
#179
○政府委員(吉田茂君) 御指摘の点でございますが、小学校入学から大学卒業までに支出した一人当たりの純粋な国費という点で額を推計いたしますと、これは小学校から高等学校までは公立て大学は国立といったケースで額を試算しますと、平成三年度ベースでは推計で一人当たり八百六万円という数字が出てまいります。
#180
○小林正君 小学校から大学まで国も相当な巨費を投じて、教育のために八百万円を超える支出をして、これが国民の税金で賄われているわけで、その人たちが大学を出て知識と技術を社会のために生かせないということでは、これほどの税金のむだ遣いはないんじゃないかというふうに思うわけです。
 そういう意味で、文部省としてこの就職問題についてより積極的な対応が求められているというふうに思いますし、同時にまた、今度の連立与党の合意の中で男女共生社会という項目もあるわけで、この点から考えてみますと、女子に対する就職差別の問題というのはこうした政権の目指す方向とは異なる現実があるわけですから、これへの対応を今後どうするのか、文部大臣並びに関係の方々から御見解を承りたいと思います。
#181
○政府委員(遠山敦子君) 小林委員御指摘の点は、私どもも大学生を送り出す大学について所管している立場から大変懸念をしているところでございます。
 文部省といたしましては、従来から局長通知なりあるいは各種会議等を通じまして各大学等に対して就職指導の充実について指導してまいったところでございます。
 先週も国立大学長会議がございまして、その席上で、これまでになく事態の緊迫性があるというふうなことから、大学においても就職指導について一層の尽力をしていただくようにというふうなことでお話をしたところでございます。また、今月十四日には大学等の関係団体から成ります就職問題懇談会を開催いたしまして、各大学が、これは国公私を通じてでございますけれども、就職指導の改善充実に一層努めることや、特に女子学生の採用について大学側から企業へ働きかけを行うことなどを申し合わせたところでございます。また、大学側と企業側から成る就職協定協議会におきまして、文部省それから大学側から企業側に対しまして、学生、特に女子学生の採用について一層の配慮を要請しているところでございます。
 文部省自体が雇用の創出というふうなところについて直接の行動はとれないわけでございますけれども、特に大学を通じて企業の側に対していろいろと要請をし、事態の打開に向けて私どもとしてもいろいろ努力をしているという段階でございます。
#182
○小林正君 労働省にお伺いしますが、女子学生の就職問題に関する閣僚の会合というのが持たれて、そこで内閣総理大臣、官房長官、文部大臣、通産大臣、労働大臣、それからさらにこれに後の会合ではまた何人かの大臣がお見えになったようですけれども、こういう場所ではどういう話になっているんでしょうか。
#183
○説明員(岩田喜美枝君) 今、先生お尋ねのございました女子学生の就職問題に関する閣僚の会合、五月二十日と六月三日の二回にわたってこれまで開催されておりますが、第一回目の会合では、五人の閣僚であったわけですけれども、女子学生の就職問題に関しまして政府が一致して対応しようということを申し合わせましたのと、それからもう少しメンバーを広げ、特に事業、産業界を所管している大臣にも入っていただこうではないかということを第一回目の会合で申し合わせをいたしております。
 第二回目の会合は、それを受けまして関係閣僚に広くお呼びかけをいたしまして十一人の大臣がお集まりになったようでございますが、そこではそれぞれの大臣のお立場から関係する業界団体などに対しまして、新規学卒の積極的な採用、特に女子学生が差別をされることがないようにということを指導していこうという申し合わせをしていただいたようでございまして、その後、各大臣がいろいろ御努力をいただいているというふうに存じております。
#184
○小林正君 特に男女共生社会というものは、男と女があって一つの社会ができて、それが仕事の役割分担で住み分けていくというような時代ではなくて、能力と知識、技術に応じてそれぞれ自分の志すところで頑張れるという条件を整えるのが男女共生社会の基本だろう、こういうふうに思っております。
 そういう意味で、この閣僚会議への対応なり今後の決意を文部大臣から再度お願いしたいと思います。
#185
○国務大臣(赤松良子君) 私は今、文部大臣でございますし、またかって婦人局長として雇用機会均等法の成立にお役に立てたのではないかというふうに思っております。
 その直後、雇用機会均等法の成立の直後はやはり景気の悪いときでございました。その後、非常に景気がよくなって労働力不足ということになり、雇用機会均等法は順風を受けて企業にも受け入れられたという時代が続いておりましたが、一転、二年ほど前からこういう情勢になって、そういたしますと、それまで女子学生といいますか女子の労働者を大いに有効活用しょう、労働力不足の時代に活用しなければと思っておられたような企業も今ややっぱりということで、先ほどから述べられておりますような状態になってきたという現状でございますが、教育を男子と平等なチャンスで受けて、就職のときににわかに不平等があるということに直面する女子の卒業生の気持ちというのは、大変気の毒といいますか、暗い思いがいたします。
 そこで、先ほど遠山局長が申しましたように、文部省としても労働省と歩調を合わせて、あるいは通産省にも御協力をいただいているわけでございますが、いろいろ企業への働きかけというのをいたしております。文部省としては学校を通じてということが一つのチャネルでございますが、企業へも直接にもできるというチャンスもあるようでございますので、それもいたしております。
 私は、もし時間が許せば、といいますのは、今、大変タイトでございますのでまだ実現しておりませんけれども、できるだけ機会をつくりまして、私自身も企業への働きかけに実際に出向いていきたいというふうにも思っております。
 それからまた、その閣僚懇談会などの席でもいろいろと発言をして、内閣全体としてこれについては非常に熱心に取り組んでいるわけでございますが、さらにその中で積極的に働きかけをしてまいりたい。つい最近もこれは自治大臣からも、自治体での女性の採用は四割というような発言がございまして、そのチャンスにも私は、雇用者としての国の立場というものも女性に対してより大きく門戸を開くようにという御要望もした次第でございます。
 それからもう一つつけ加えさせていただきますと、卒業しようとしている女子学生に対しての職業意識の高揚といいますか、非常に売り手市場だった場合に、かなりこれから就職しようとする女性の意識は甘いよという指摘を随分と耳にしたわけでございます。それが一転こういうふうになりますと、もちろん彼女たち自身もそれに気がついて職業というものについての厳しい目というものが育っているかもしれません。育っていると思いますが、さらにそれについて認識を促すということも私自身の考えからいたしているところでございます。
#186
○小林正君 労働省、ありがとうございました。
 次に、日本人学校の問題についてお尋ねをしたいと思います。時間が切迫をしておりますので要約的に申し上げます。
 実は連休に私、中国の深川とそれから上海に行ってまいりまして現地を見てきたわけですが、特に上海の経済発展はすごいスピードで現在進行しておりまして、日本の企業の進出も大変激増しているという状況を目の当たりにしてきたわけでありますけれども、上海総領事、それから日本人会の代表の方々とお話をいたしましたところ、上海の日本人学校が、ことしの九月で今借りているところの契約期限が切れて、来年の十一月までの間どこか間借りをして対応せざるを得ない、そして以降は新たに土地を求めてそこに校舎を建設する、そういう計画の中で政府としても積極的な対応をお願いしたいという趣旨のお話を聞いてまいったわけでございます。
 大体ヨーロッパやアメリカの日本人学校の子供の数というのはだんだん減少期に入って、これからはむしろアジア地域、大洋州等がふえてくるであろうという見込みのようでございますけれども、こうした中でちょっと疑問に思ったのは、日本人学校というものの設立の趣旨、経過、そして現在の置かれている状況等について、これは憲法二十六条が示しているところの教育の機会均等とか無償の原則というものがどういう形で在留邦人の子弟に生かされているのかなということをまず疑問として思ってまいりました。
 帰ってきて、外務省、文部省、それから財団の皆さんの方からいろいろお話も伺いまして大体経緯は明らかになったわけですけれども、かつての法制局長官の見解、外地にいる日本人については適用されないという答弁が昭和五十三年時点でされておりまして、そのころはまだ在留邦人なりあるいは子供たちの数もそれほど多くなかったんですけれども、今、特に中国、東南アジア方面には大変多くなっている。この状況の中でなぜそういう実態になっているのか。この際やはり見直してしかるべき対応をしていかないと、国際化の中で、企業進出や、そしてさまざまな形でまさに国益にかなう仕事に携わっている皆さんが子供の教育の問題で大変不安な日々を過ごしておられる、身分的にも不安定だということになりますと、これからのボーダーレスと言われる国際経済の中で外地で働く皆さん方がそのことで大変な不安を覚えられる、こういう事態になってはいけないというふうに思っているところでございます。
 そうした視点に立って外務省としてこの問題意識についてどうお考えなのか、短く承りたい。
#187
○説明員(林渉君) 御説明いたします。
 海外子女教育につきましては、先生御指摘のとおり、かつて憲法二十六条との関係での議論があったわけでございまして、今現在も私どもとしましては憲法二十六条の規定は直接海外子女教育に及ぶものではないというふうに理解しておるわけでございますけれども、ただそうはいいましても、御指摘のとおり、非常に重要な問題でございますので、政府としましてはできるだけ国内の義務教育に近い教育が現地で受けられるよう最大限努力していくという方針でございます。
#188
○小林正君 海外での国情に応じて、そしてまたその地域社会との関係から、大変に外務省は御苦労されているということも目の当たりに見てまいりましたし、上海の日本人学校も直接訪問をして校長先生からお話も伺ってまいったわけでございますけれども、最近、日本国内の学校の施設設備が大変充実改善をされてきている。そして、私が行った上海日本人学校というのは三階建てで、一階が工場になっておりまして、二階、三階を間借りをした形で授業が行われている。かつてはそこはいわゆる招待所という形で使われていたところを借り上げてやっている。庭はかなり広いんですけれども、そういうところでございました。日本の小中学生が受益できる施設設備なり教育環境というような面からしますと大変厳しい状況の中で、派遣された先生方も大変御苦労されているという実態を見てまいりました。
 国情や地域社会がそれぞれの国によって違うわけで、教育施設や設備、そして地域社会が安定しているところでは、むしろ異文化との交流という面で言えば、その地域の学校に通って国際化というものを子供の時代から身につけるチャンスとして積極的に活用するという側面も大事でしょうけれども、やっぱりまだこれからという国についてはかなり日本の教育水準を維持させるための手だて、努力というものは今後とも必要な措置だろう、こういうふうに思っているところでございます。
 そういう意味で、文部省のこの時点におけるお考えを承りたいというふうに思います。
#189
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 先ほど先生がおっしやいました憲法二十六条との関係については法制局長官が答弁をしているわけでございますが、その中で、憲法二十六条は直接適用がないからといって国がほうっておいてもいいというものではないということは説明をしておりまして、「在外の子弟が教育を少なくとも義務教育を安く受けることができるように手だてをとるということが憲法二十六条の精神に沿うということは、もう当然であると思います」という答弁をあわせてなさっているわけでございます。
 したがいまして、私どもとしては、我が国の国際的活動の進展に伴いまして海外に在留をする日本人の子供の数は現在約五万一千人というように多数に達しているわけでございまして、そういう意味から、海外子女教育は我が国の主権が及ばない外国において展開されるものではございますが、国内とは異なる環境に置かれた子供に対しまして、我が国の学習指導要領に基づき日本国民にふさわしい教育を行うとともに、国際性を培うことを目的として展開をしているわけでございます。
 そういう意味で、文部省では、その重要性にかんがみまして教育の機会均等の精神に沿って、日本人学校への教員の派遣、義務教育教科書の無償配付、教材整備など、海外子女教育充実のための施策を講じているところでございます。
 文部省といたしましても、今後とも日本人学校の教育内容、水準の維持向上に努めてまいりたいと考えております。
#190
○小林正君 昭和六十三年に出ました海外移住審答申等の中でもさまざまな問題指摘がされていて、数が大変に多くなってきている、そのことに対応した新たな措置が求められるということも述べているわけでございまして、今後の課題として、本当に親御さんたちが教育水準の面で憂いのないように、そして規模の大きいところ、シンガポールのように二千五百人も子供のいるようなところはそれだけ分母が大きい日本人社会の中の支援があるから、一人当たりの負担というものはそれほど大きくないというふうに思いますけれども、日本人の数が少なくて分母が小さいところで一人一人の負担が大きいような地域、そういうところについてはやはり一定の負担水準というものを前提にして国の援助というものを考えていく必要があるんじゃないかというふうに思います。
 それから、せっかく海外にそういう日本人学校を設置したわけですから、当然のこととして地域の社会にも日本文化というものとの交流ができるような開かれた運営がされていくということも大事だというふうに思うんですね。
 そして、その場合に、先ほどのお話に戻りますけれども、雇用の創出という視点に立って考えた場合に、文部省として、現在派遣教員が約八割、現地が二割という割合で出されているというふうに伺っていますが、そういう中に、既に定年で退職をされた経験豊かな、もちろん健康でなければなりませんけれども、人材をどう活用するか。それから海外に出て自分の能力、知識、特に語学等の知識を十分生かしていく、日本人学校等の中でさらにそういう人員を多く配置をして、そしてその外国の地域との交流というものを進めていく。
 そういう意味で人材活用も図っていくというようなことが今後の課題として、せっかく海外にたくさんの拠点を持っておりますし、それから日本の超一流企業の方々が財団をつくっているわけですから、そうした連携をとりながら、雇用の創出、そういう日本文化の外への発展七あわせて交流ができるような体制がこのことを通して相当できるんじゃないかという気がします。
 アメリカンスクール等のやり方を見ておりましても、日本人学校に入れないでウェーティングになっている子供をアメリカンスクールに入れているというような実態もあるわけですから、そういうこととあわせて、同時にまた地域社会の子供たちが日本人学校と接触ができるようなさまざまな交流の機会、そのための運営方法、そして人材の配置ということを今後の課題としてぜひ御検討いただきたい。それは同時に雇用の創出にもつながるということを御指摘をして、私の質問を終わります。
    ―――――――――――――
#191
○委員長(石井道子君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、市川正一君が委員を辞任され、その補欠として林紀子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#192
○及川順郎君 当委員会は、私、質問は初めてでございますが、大変短い期間に与野党両方の経験もいたしました。どういう質問になろうかなということで内心いろいろ思案をしておりまして、午前中からの質問を承りまして私は大変意を強くいたしました。やはり未来を担う人づくり、文教政策の推進に与野党なし、こういうことで本当に見識の高い質問が午前中から続いておりますことに私は心から敬意を感ずるわけでございます。
 なお、最初にお断りを申し上げておきたいと思うんですが、後ろの方で質問する者の常に悲哀でございまして、質問通告をしましたのはほとんど同僚委員の質問の中に触れられてまいりまして、通告の質問から若干外れることを御了承をお願いしたいと存じます。
 まず、本日は所信に対する質疑でございまして、私は先日、大臣の所信を承りまして、総論における問題提起とその取り組み姿勢につきましては全く異論はないところでございます。そういう意味におきまして、ぜひ大臣のこの所信に具体的にこたえられるような文部省の施策推進に向けての御尽力を冒頭心からお願いを申し上げておきたいと存じます。
 さて、大臣所信の初めの、時代の変化に対する対応でございますが、非常に私は大事な視点として承ってまいりました。
 まず、国際化、情報化、科学技術の進展、産業構造の変化、高齢化、少子化、これはいずれも今日の社会相を映し出しているものでもございますし、しかもその中における教育のあり方というかかわりにおきましては、この多様化に備える教育の推進というのは非常に大事になってきている、このように思うわけでございます。しかしながら、総論であれもやるこれもやる、こういうことではなかなか作業は進まないわけでございまして、本年度のこの予算、そしてまたこれから中期的、長期的にわたって施策を推進するに当たりまして、やはり現時点において何に重点を置くべきか、何に重点を置いて施策を推進すべきか、これが非常に大事な要素になってくると思うわけでございます。
 そこで、まず文部省といたしまして、大臣所信の中で述べられました時代の多様化に備えて、本年度予算、どこに重点を置いて取り組もうとしているのか、この点について承りたいと思います。官房長、まずお願いします。
#193
○政府委員(吉田茂君) 本年度予算につきましては現在御審議をいただいておるわけでございます。いろいろの内容があるわけでございますが、やはり今、御指摘のあったような社会状況の変化の中で文部省として何をなすべきかということでございます。
 まず、みずから考え主体的に判断して行動できる資質、能力を育成するというようなことが第一にあるわけでございます。こういった個性と自立を目指した教育という意味で、ボランティア教育の推進、あるいは環境問題への教育の中での取り組み、こういった初等中等教育における重要な施策の推進があるわけでございますが、同時にまた、先ほどから議論になってございます基礎研究の充実につながる科学研究費の増額、あるいは国立大学における各種研究費の新設、こういったことをまず大きな課題といたしておるわけでございます。
 さらにその他の育英奨学であるとか各種の施策があるわけでございますが、教育、学術、文化、スポーツ全般にわたりまして、その中で特に重要なものについてめり張りをつけながらの本年度の予算のお願いということで現在御審議をいただいているわけでございまして、よろしくお願いをしたいと思っております。
#194
○及川順郎君 今、官房長がおっしゃった内容というのは非常に大事な要素でございまして、私はそのまま受けとめてまいりたいと思いますが、いろいろお話ししている中で、やはり国際化の進展というのは非常に日進月歩どころか物すごいスピードで進んでいる。こういう状況の中で、先ほども質問に出ておりましたが、留学生受け入れ十万人計画、この問題でございます。
 今、過程にありまして、今までの実績五万二千人と先ほどおっしゃっておりました。そういう状況の中で言われますことは、日本の奨学金制度の充実、これをぜひ諸外国に比べて本当に充実したものをお願いしたいということとあわせまして、留学生受け入れの施設、これが非常に貧困である、学生の健康等も含めて非常に大変だという、こういう状況を私はよく耳にするわけでございます。やはり国際化の時代に備える我が国といたしまして、これは教育施策として重要な柱、そのように思うわけでございますが、これは重点の柱として私はぜひ取り組んでいただきたい、また推進しなければならない、こういう自覚を持っておるわけでございます。
 そこで、この受け入れ十万人計画の今後の具体的な計画につきまして、完成に向けてどのようなプロセスをもって取り組んでおられるのか、この点をまず承りたいと存じます。
#195
○政府委員(吉田茂君) 留学生受け入れ、二十一世紀初頭十万人、今この計画に従いまして各施策を進めておるわけですが、おおよそ現在この計画の半分程度まで実施が進んでおるという状況があるわけでございます。したがいまして、さらにこれを推し進めてまいらなければならないわけでございますが、そういった全体計画のもとに、例えば本年度、六年度の予算案の中では、国費留学生受け入れの計画的整備等ということで三百億円の措置をしておるわけでございます。
 前年度に比べて三十三億円の増という中に、一つは国費留学生の受け入れを計画的に進めていくということ、それからもう一つは私費留学生への援助の充実という柱を立てております。それから三番目に、ただいま御指摘がございました留学生宿舎の安定的確保ということで、国立大学を中心にした留学生宿舎の整備はもとより、日本国際教育協会その他のいわゆる宿舎整備等の予算についても措置をいたしまして御指摘のような留学生の受け入れに対する対応に十分な努力を払ってまいるつもりでございまして、今後も努力を進めてまいりたい、こう考えております。
#196
○及川順郎君 ぜひ計画的に質的充実に努力をしてもらいたいと思いますし、私たちも精一杯尽力をしてまいりたい、こんなぐあいに思っております。
 さて、そこで先ほど指摘がありました少子化の社会的な動向でございますが、今、教育、特に低学年層といいますか義務教育課程の子育て支援策といいますか、それを総合的なイメージとして考えた場合に、一九九四年度段階現在で十八歳未満の児童数が二千六百十八万人、二〇〇〇年の段階で推計二千三百七十七万人に、三百万まではいきませんけれども二百万以上の減員、これが推計されておるわけですね。それからゼロ歳から小学校八歳児までを見ますと、現在千三百八万人が千二百八十六万人とこれもやはり下降線をたどる。出産、子育て期の女性というのを二十五歳から三十四歳までの状況から見ますと、労働力の率で見ますと現在五六%のものが六六%、約一〇%増加する、こういう状況があるわけです。
 子育ての女性が働き、そしてその中でゼロ歳から義務教育課程までの子供さんを育てなければならない。中学、高校、大学ということになりますと、ほかの資料で見ますと、大変な教育費の増大の中から奥さんも働かなければ教育費が捻出できない、こういう状況が続いておるわけでございます。
 そういう総合イメージの中で、ゼロ歳児、乳幼保育といいますか、それから一歳児から五歳児までが保育園、このゼロ歳児から五歳児までが延長保育という、この枠組みのくくりになると思うのでございます。小学校へ入りますと、やはり放課後の児童クラブ、こういうものの施設の充実ということになってくるんですね。
 いろいろなこういうデータというものは分析されているんですけれども、その具体的な費用がどうしてもかかるならば、かかるようにその支援策を立てなければならない。それから子供が減少していく中でお母さんが働きに出る、そういう状況の中で、保育施設や低学年の教育のための質的な変化、これに対応しなければならない。こういう点の取り組み方については文部省としてどのように分析をされ、どのような取り組みを今後計画しておられるか、この点についてもし所見がありましたら承りたいと思います。
#197
○政府委員(岡村豊君) 御指摘のように、教育におきましても少子化の問題というのが大きな問題でございます。
 先ほど御指摘ございましたように、平成四年度では十八歳人口二百万人ございましたけれども、その当時ゼロ歳、一歳の子どもの数はそれぞれ百二十万程度でございます。相当の少子化が進んでまいるわけでございます。それに伴いまして御指摘のようないろいろな問題があるわけでございますが、文部省といたしましては、子どもを育てるのが容易でかつ育てることに保護者が喜びを持てるような、そういう教育を推進するという方向で各般の施策を推進しているところでございます。
 一つは、教育費負担の軽減の御指摘でございますが、これにつきましては育英奨学の充実、私学助成の拡充等、できるだけ教育の機会均等の理念を実質的に確保できるように文部省としても負担軽減のために努力をいたしておるところでございます。
 それから子供自体が楽しく勉強し楽しく巣立っていけるような環境をつくるということで、学校教育の中におきましても、自己教育力の育成ということを基本にいたしまして、自分で考え自分で判断することのできる力を伸ばしていくということ等に基づきまして諸般の施策を進めているところでございます。
 また、家庭教育の分野につきましても、男女が協力して子育てをするということが一つ大変大切だ、それから家庭教育の充実そのものも大切だということで、家庭教育の面に関します施策も進めているところでございます。
#198
○及川順郎君 ちょっと時間の関係で限りがありますが、もう一点所信に関して質問させていただきたいのでございます。
 先ほどからお話が出ておりますけれども、学校施設の整備、これはお金がかかる。午前中の同僚委員の質問の中で、生徒の休む場所というのはあるけれども、先生のぐあいが悪くなったときの休む場所がなくて、結局お金がかかる、こういうお話が出ておりましたけれども、やはり施設充実にはどうしてもお金がかかる。確かに私たちもそういう問題意識を持っております。
 それで、特にこれは義務教育の施設という、こういう概念の中から出ているんでしょうけれども、財政措置の中でどちらかといいますと補助費による財政措置の部分と、公共による財政措置の部分と、両方を含んだそういう財政の組み立てが文部省予算の中でなされているというぐあいに私どもは思っておりまして、結局、公共的なものでありながら補助的概念の中で賄われているんだな、これはやはり財政的に変えていかなきゃならぬじゃないか、こういう問題意識を持っているわけでございます。
 先ほど、教育や科学技術予算を未来への先行投資と位置づけるという総理の所信のお話が出ておりましたけれども、そういう観点から私もずっと考えておるわけですが、個人的には私は教育施設費の財源というのは公共投資の財源の中できちっとくくって財政の確立をすべきである、こんなぐあいに考えているわけです。道路なんかをつくるときには建設国債等が発行されるという状況があるわけですから、ある意味では教育国債の発行が検討されてもしかるべきではないか、こんなぐあいに個人的に私は常々思っておるわけでございますが、教育施設の充実のための財源確保について、文部省としてはこういう問題意識をどのようにとらえておられるのか、今後の改善策について御意見等がありましたらあわせて承りたいと存じます。
#199
○政府委員(吉田茂君) 御指摘のとおり、教育施設の充実は私どもに課せられた大変大きな課題でございます。
 現在、御指摘のような公立義務教育諸学校の施設費あるいは国立学校の施設費、これはいわゆる公債発行対象経費ということで、この施設につきましては公債発行対象経費ということで原資は公債が充当できる部分になっておるわけでございますが、やはりその中でいろいろな新しい教育のあり方に対応する施設の拡充、充実、これが大きな一つの課題になっておるわけでございます。
 また、最近の特に国立学校の施設等におきます老朽化の進捗あるいは狭隘化、こういった状況に対しても対処しなければならないということで、大きな課題が山積しておるわけでございます。非常に厳しい財政状況の中でこれにどう対応するかということはこれから大きな努力が必要であるわけでございますが、御指摘に従いまして努力をしてまいりたいと思っております。
#200
○及川順郎君 最後に、さっき原爆ドームの世界遺産条約への登録のお話が出ておりました。私も全く同感でございまして、内容に時間的な状況から触れませんが、しかし文部省としてのいろんな規制、国内法的な規制はございますけれども、これはもう政治決断のときに来ているのではないか、こういう思いを強くするわけでございます。
 世界不戦の象徴、平和構築へのメッセージ、核廃絶へのこういう思いを込めた政治決断の状況として、文部大臣として、やはりいろんな法的な規制はあるけれども、気持ちとしての所見がございましたら最後に一言御発言を願って、私の質問を終わります。
#201
○国務大臣(赤松良子君) 先ほども申し上げましたように、原爆ドームというのは我が国が唯一の原爆被災国であるということを世界に向かって示し、平和への決意を示すという点で非常に意義のあることと存じます。また、総理大臣がその方向での検討を進めよとおっしゃる御趣旨もございますので、私どもといたしましては、種々の課題の検討を進めるという方向で進みたいと存じている次第でございます。
#202
○及川順郎君 終わります。
#203
○林紀子君 質問が重なる部分もあるかもしれませんが、お許しいただきたいと思います。
 私も、まず原爆ドームの世界遺産登録の問題についてお伺いしたいと思います。
 ただいま大臣から、総理の積極的な姿勢を踏まえて検討する旨のお答えがありましたので、私も大変心強く思っているわけですが、この世界遺産に推薦するにはまず国内で文化財の指定が必要だということを聞いております。そして、推薦の締め切り日というのは十月一日だということも伺っているわけですが、来年は被爆五十周年です。国の姿勢を示すためにも、五十周年には日本の政府は世界遺産にこの原爆ドームを推薦していたということが言えるように検討を急いでいただきたいということをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
#204
○政府委員(林田英樹君) この点につきましては、きょう何回か御質問もございましたけれども、そのときもお答え申し上げましたように、現在の文化財保護法の考え方ということの中で、明治中期以降の文化財の総合的な検討の中で検討しなければならないというような課題もあるわけでございまして、そういう意味で、今の総理や大臣のお考えも私どもとしても受けとめながら検討しなければならないと思っておるわけでございますけれども、現段階で今のおっしゃいますような日程的なことまで十分お答えできるような段階になっていないことをお許しをいただきたいというふうに思います。
#205
○林紀子君 私たち日本共産党は、この世界遺産条約を検討するとき、一九九二年六月の外務委員会で既にこの問題を取り上げまして、原爆ドームをぜひ登録してほしいということを主張してまいりました。既に二年前の話でございますので、今お答えありましたけれども、ぜひ検討を急いでくださいということを重ねてお願いしたいと思います。
 次に、広島市内にある被爆した建物というのは原爆ドームだけではないわけです。この被爆した建物をぜひ残してほしい、この問題についてお伺いしたいと思います。
 旧広島大学の理学部一号館というのは、爆心地から一・五キロにある被爆建物です。一九九二年の十一月に広島大学の名誉教授を中心に理学部関係者百二十六人にアンケートが行われました。呼びかけ人というのは歴代三人の広島大学の元学長です。そして、返ってきた百二名の回答者のうち九一%の方がこの理学部一号館を被爆の建物として保存してほしい、こういうふうに答えているわけです。
 そして、歴史学者である後藤陽一広大名誉教授を座長としまして原爆遺跡保存運動懇談会というものが持たれ、幅広い市民が運動を行っております。広島市長の諮問機関である被爆建物等継承方策検討委員会も、理学部一号館については保存することを前提とした意見を答申しているわけです。
 そして、もう一つこういう統計がございますが、広島教育研究所が調査をいたしました。初めて原子爆弾が落とされた国はどこですかという問いに対して、一九六八年には小学生、中学生の九五%が日本だと答えていたんです。ところが昨年の調査では、これを正しく答えた小学生が八一%、中学生七八%、高校生でも八三%。広島の子供たちでさえこういう状況です。
 平和教育の観点からも、歴史の証人として被爆建物の保存をぜひ政府として行うべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
#206
○政府委員(吉田茂君) 御指摘の広島大学の理学部、これは平成三年九月に現在の新しい敷地に移転をしておるわけでございます。移転前の旧理学部の一号館、昭和六年に建築されましたが、昭和三十三年に大規模な改修をした後、移転時まで使用されてきております。その本体と申しますか、それは原爆の被爆を受けております。
 同大学では、そうした歴史的意義にかんがみまして、被爆の跡の残る壁の一部を新キャンパスにおいて保存展示するなどの努力を一方でしておるわけでございますが、移転完了後の広島市内のキャンパスは地方公共団体等の要望に基づきまして公用、公共用の用地として売却する予定でございまして、その際にこの旧理学部一号館を含めた建物等も相手方に土地、建物を一体として引き渡すということとしておりまして、大学において取り壊す予定はございません。
 ただ、この取り扱いにつきましては、これを買い取る地方公共団体等においてその跡地利用全体構想の中で検討されるものと私ども考えておるところでございます。
#207
○林紀子君 私は予算委員会でこの問題を取り上げて質問したこともあるわけですけれども、そのときお答えくださった厚生大臣は、被爆建物の持ち主なり管理者が判断してそれを保存するかどうかというのは決めることだというふうにおっしゃったわけです。
 広島大学の理学部一号館というものの持ち主は今、国であり、文部省だと思うわけです。ですから、ぜひその所有者として国は責任を果たす。これから売るんだからとおっしゃいますけれども、今の時点で、しかも先ほど申し上げましたように、教育的、平和教育の観点からもぜひ文部省としてこれを御判断いただきたい。
 これはちょっと大臣にお答えいただきたいんですが、いかがでしょうか。
#208
○国務大臣(赤松良子君) ちょっとよく実情を承知しておりませんでしたが、今、説明では、お尋ねの件は旧理学部一号館ということでございますので現在というわけではなくて、したがいまして、これを買い取るのは地方公共団体だということでございますので、跡地利用の全体構想の中で検討されるというふうに理解をいたしております。
#209
○林紀子君 申しわけありませんでした。初め私お願いしたときに、大臣にお答えいただけたらということをお願いしたものですから。
 同じお答えなわけですけれども、やはりこの原爆の問題というのは国が責任を持って建物も保存する、その延長線上に原爆ドームを世界遺産条約に登録するということがあると思うので、重ねて国の方としてお考えいただきたいということをお願いいたしまして、次の問題に移らせていただきます。
 今、女子学生の就職難、重大な社会問題になっております。大手生命保険業界や大手商社など次々と、来春の女子の採用は行わない、こう発表しております。女子の大学、短大進学率が四〇%を超えまして男子を上回る時代になっているのに、不況のもとで女性が真っ先にしわ寄せを受け切り捨てられるという構図は全く変わっておりません。男女雇用機会均等法に罰則つきの禁止規定がないために軒並み門前払いを受けている状況です。
 その上、面接では、職業や本人の能力、資質とは何のかかわりもないプライベートなことが質問されている。中には体のスリーサイズを問われたり、あなたは処女ですかなどという、不況に苦しむ女子学生をもてあそぶような扱いまであるわけです。しかも、このようなセクハラは不況の中でかえってふえているということなんですね。私も女子学生の皆さんに会って直接お話を聞きましたけれども、こうしたセクハラには本当に皆さん傷ついて心底怒っているわけです。こんな人権侵害はすぐにでもやめさせるべきだと私も強く感じました。
 多くの女子学生が屈辱的な思いをしながら就職活動をしていることについて、大臣、どうお考えになりますか。そして、今すぐこんなことはやめさせるように具体的な手だてをとっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#210
○国務大臣(赤松良子君) 女子学生が学校で一生懸命勉強をして、学校の中ではほとんど差別もなく成績もいいと思われるわけでございます。その人たちが就職戦線へ出ていったときに、いろいろこのような状態では厳しい質問があるというのはやむを得ないとして、先生がさっきおっしゃったようないわば失礼なことを言うというのは本当に慎むべきことで、もしも私がそういうところへ行ったら憤然席をけって帰りたいような質問だと思います。
 文部省といたしましては、採用試験での基準が、能力あるいは意欲を聞くのはそれは当然だと思いますが、そういうことと関係のないいわば性による差別とでも言いたいような質問をするなどというようなことは、一種の不利益といいますか女性に対する差別につながるわけでございますから、ぜひそういうことのないように企業に対して、学校を通じてということが一つのチャネルではございますが、企業に対しても働きかけをする、指導と言ってもよろしいかと思いますが、するというふうにしてきているつもりでございますが、なおそのような方向でいたしたい。
 先ほどもいろいろな方法で指導をしあるいは企業への働きかけを行っているということを高等局長の方からも具体的にその機会について御説明しておりましたので、先生もお聞きになっていらしてくださったかと思いますので繰り返しませんが、そういういろんな機会を通じまして指導を続けていきたいと思います。
#211
○林紀子君 四月に日本私立大学協会が加盟二百三十八大学の連名で労働大臣に要望を提出いたしました。そしてその中には、男女雇用機会均等法の努力規定を罰則を含む禁止規定に改正をすること、また、最低の女子採用比率の確保に努めること、こういうことも含めた十項目になっているわけですけれども、今の厳しい状況の中で大学当局は挙げて女子の就職難打開のために行動を起こしているわけですね。ですから今、学校チャンネルでとおっしゃった部分だと思うわけです。
 私は、きょうたまたま朝日新聞を見ておりましたら、大臣が「おやじの背中」というコラムに書いていらっしゃるのを拝見いたしました。お父さんが下宿を見つけて進学を支えてくれた、それはもううれしかったとお書きになっていらして、私も当時の大臣のお気持ちがそのまま伝わってきたわけですが、今の女子学生といいますのは、進学まではできたけれども、その先がシャットアウトされてしまっている、就職の門戸が閉ざされている、その苦しみはどんなものかというのは本当に大臣もよくおわかりになると思います。
 そして、大臣はかつて労働省婦人局長として、また国連の女子差別撤廃委員会の委員も歴任されてきたわけですから、女性の地位向上のために先頭に立ってきた。ですから、この日本で女子差別撤廃条約を実現していくそのお気持ちも大変強いものがあると思うわけですが、そういうことからも、こうした差別を早急にやめさせていく、そのために大臣みずからが日経連など経済界に対して働きかけを行っていただきたい。セクハラの問題も含めまして大臣が直接働きかけを行っていただきたいというのをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
#212
○国務大臣(赤松良子君) 先ほど申し上げましたように、いろいろなチャンスで文部省は今まで働きかけを行っているわけでございますが、まだ先があるわけで、そういう場合に私も自分が役に立つときは必ず私自身の口からそういうことを希望申し上げる、あるいはそういうことはあってはならないことだということも申し上げたいというふうに思います。
#213
○林紀子君 そこで、次にお聞きしたいのですが、女性教員の切実な問題についてです。
 現在の学校現場は女性教員が働き続けられる環境、職場になかなかなっていない。ですから、全日本教職員組合が調査をいたしましたら、最近やめたいと思うことがあるという女性教員は何と七割にも及んでいて男性教員をはるかに上回っております。
 先日の衆議院の文教委員会では、男女別トイレがないことが問題になりましたけれども、これはトイレだけではありません。全日本教職員組合の調査では、小中学校の先生の男女別の更衣室があるのは六割だけ、男女共用で間仕切りをして使用しているのが二〇%、男女共用一二%、更衣室自体がないところ五%、また休養室に至っては男女別に独立しているのは一割もない、六割以上が休養室自体がないという状況です。これは文部省の学校施設整備指針から見ても、また労働安全衛生法から見ても大変な問題です。
 大臣は先日の委員会で、トイレについては実態を早急に調べて改善していきたいと答弁をなされたと聞いております。同じ女性としてこれは大変心強く思っているわけですが、トイレにしても、更衣室、休憩室にしても、女性にとっては大変切実な問題です。一刻も猶予できない問題です。ぜひこれもきちんとした改善策がとられるようにということをこれまた大臣にお願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。
#214
○政府委員(井上孝美君) お答えいたします。
 学校施設におきましても、他の公共施設等と同様、男女別に配慮をした施設整備を行う必要があります。文部省といたしましては、特にトイレ、更衣室につきましては、学校整備指針などによりまして設置者に対しその旨を指導しているところでございます。設置者がトイレ、更衣室等、新たに男女別に設ける場合の改造費につきましては、一定の基準のもとにこれらの施設を国庫補助の対象としているところであります。
 なお、文部省といたしましては、現在のところ、公立学校のトイレ、更衣室、休憩室の男女別の設置状況について特に把握していないわけでございますので、今後調査することといたしているところでございます。
#215
○林紀子君 これは一刻も猶予がならないということを申し上げましたが、ぜひ急いでお願いしたいと思います。
 次に、病弱児教育についてお伺いしたいと思います。
 一九九二年の六月、小学校の先生をしている尾下美代子さんという方は、広島大学医学部附属病院で次男の一城君を亡くされました。一城君の入院中、院内学級開設に取り組み、やっとこれが実現いたしました。小児がんと闘う一城君は、数時間置きに鎮痛剤を打ちながらも一日十分間のベッドサイド授業を続けました。しかし、六月の十一日に、一城君は十歳と五カ月の短い生涯を終えました。
 尾下さんは全国の大学病院に院内学級をつくる会を結成して、こう訴えていらっしゃいます。
 入院している子供たちは厳しい治療と退屈な日々です。自由に動き回ることもできず、外の空気に触れることもない。院内学級ができたことで、教室に通える、先生に会える、友達と一緒に勉強ができることが子供たちの生きがいになっています。それが病気と闘う意欲になっているのです。子供の笑顔は親の喜びであり、願いなのです。しかし、入院中の子供の親は病院に遠慮して、院内学級をつくってほしいとなかなか言い出せない。要求するゆとりがないのが現実です。だから、行政や病院側が院内学級をつくる姿勢を積極的に示してほしい。
 この訴えを大臣はどう思われますでしょうか。
#216
○国務大臣(赤松良子君) 切々たる御要望だと思います。
#217
○林紀子君 入院している児童への教育は大変おくれているわけです。多忙なお医者さんや看護婦さんが子供たちの質問に答えたり教育的な対応をしているという事態がかなりあると言われております。
 文部省は、入院期間がどれくらいかということを問わずに病院に入院している児童の教育実態、これをつかんでいらっしゃいますでしょうか。
#218
○政府委員(野崎弘君) なかなか最近、長期の入院ではなしに短期入院あるいは断続的に入院するというようなことで、必ずしもその数字自体を確認はしていないわけでございますが、平成五年五月一日現在で全国の医療機関と併設または隣接しています病弱養護学校数が九十一校、千五百十六学級ございます。それから同じ平成五年五月一日現在でございますけれども、全国の病院内にある病弱・身体虚弱特殊学級は二百四十七学級、このように把握をしております。
#219
○林紀子君 昨年、私はこの問題につきまして質問主意書を出させていただきました。そのお答えで見ますと、小児科を持つ国立の医療機関における教育的措置の現状といいますのは、文部省の所管の病院では四十六病院中十八、厚生省の所管では百七十七病院中百十六と、教育の機会均等が一〇〇%保障はされておりません。しかも、教育措置の一つの形態である訪問教育というのは、一人の子供について週二、三回、一回の授業は二時間程度というものです。お医者さんや看護婦さんが大変忙しい中、教育的対応をせざるを得ないという実態がこれから生まれているわけです。
 教育の機会均等を保障するために、教室の確保それから教員の配置など、直ちにこういう環境整備を行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#220
○政府委員(野崎弘君) 私どももそういう病気療養中の児童生徒の教育の必要性ということについては十分認識をしているつもりでございます。そういう病院が院内に設置をされるということになりますれば、当然それに応じた教員の配置ということも講じてきているところでございます。
#221
○林紀子君 教員の配置はあっても場所がなくてできないというところが大変あるわけですので、場所をぜひつくるように、そのことを文部省の方から本当に一枚の通達で結構ですから出していただけないものかというのは、非常にお母さんたちも願っているところなんです。
 ことしの一月、東京都障害児学校教職員組合と全国病弱児教育研究会が都内の病院を対象に行った実態調査の結果を発表しました。
 この調査は、百床以上のベッドを持ち小児科がある都内のすべての病院を対象に行って、有効回答数は四七・八%です。この調査ですと、一九九二年度に三十日以上入院した小中学生千三十一人、そのうち何らかの教育を受けた子供というのはわずか二百六十三人、四分の一です。残りの七百六十八人は、入院中、学校教育は受けていないということです。訪問教育や院内教育をしているのは二十三病院のみとなっています。
 この調査の回答が四七・八%ですから、それから類推いたしますと、東京都に限っても学校教育を受けていない児童というのは千五百人以上いるのではないかと思われます。お医者さんや看護婦さんが教育的対応をしている病院は六六%です。
 どの病院に入院しても、入院期間は長くても短くても、国は教育の機会均等を保障する責任があると思います。こうした調査結果を大臣はどうお思いになりますでしょうか。
#222
○政府委員(野崎弘君) 今、調査結果についてのお話がございました。
 私どもといたしましては、それぞれの教育委員会の方で実情を把握し、そして病院の確保についてのお話も先ほどございましたけれども、これは確かに病院の中に教室をつくるわけでございますから、勝手に教育委員会の方で教室を確保するというわけにはいきません。やっぱり病院側の協力によりましてこれを確保する。その場合に教職員についての配置もしておるわけでございます。
 ただ、先生御指摘のように、私どもとしても今の状況が十分なものというふうには決して考えておりません。したがいまして、特に最近、疾患の種類が大変変わってきておりますし、それから医療技術の進歩等によりまして入院期間が短期化するとかあるいは断続化するというようなこともございますので、そういうことも考えながら平成五年度から病気療養児の教育に関する調査研究というのを行っておりますので、その報告をまちまして今後さらに病気療養の児童生徒に対する教育の充実に努めてまいりたいと思っております。
#223
○林紀子君 それで、都障教組が調査したところによりますと、院内学級、訪問教育の制度の存在そのものが親にも病院関係者にも自治体にも余り知られていないという実態があるわけです。
 十年にわたって私立の大学病院で闘病生活を送った子供さんを持つお母さんはこう言っているわけです。
 私の子供は教育を受けていないので何とかしなければと思って、何人かの先生に相談したり、都の教育委員会、区役所の窓口などに足を運びました。しかし、だれも院内・訪問教育の制度を教えてくれませんでした。知ったのはことしになってからです。十年たってからです。
 こういうことなわけです。また、国立病院のある職員は、私が勤める病院では職員すら制度を知らない、こう言っているわけです。
 しかし、中には入院児の教育を保障するために努力しているところもあるわけです。東京都立清瀬小児病院は、「院内にある学校で学業も続けられます」というパンフレットをつくって、父母のみならず教職員や病院関係者の中でこれを知らせて大いに歓迎されているわけです。
 こうしたPRといいますか啓蒙といいますか、これは今すぐでもできることだと思うわけです。子どもの権利条約の二十三条でも障害児の教育の保障というのはきちんとうたわれているわけです。
 文部省は、直ちに目に見える形でこういうPRをするという対策、すぐできることとしてやっていただけないでしょうか。
#224
○政府委員(野崎弘君) この病院内学級の重要性ということは、私ども十分認識をしております。
 ただ、これにつきましては、先生のPR不足という御指摘もございましたが、一方、市町村をまたがるとか、手続面でもいろいろな実際に行政を進めている者にとっては問題があるようでございますので、そういう点を含めまして先ほどの調査研究の中で今、研究を進めております。したがいまして、その報告を待ってその辺のやり方等そういうことについての指導ということを進めたいというふうに思っております。
 もちろん今までも教育委員会等に対しまして理解を推進するための指導というのは行っておりますけれども、やはり具体的な形でさらなる指導ということを今後考えていきたい、このように思っております。
#225
○林紀子君 検討の結果を待ってというお話ですが、まだ検討結果は一年半ぐらいかかるわけですね。
#226
○政府委員(野崎弘君) 年度内と申しますか、来年の三月までを目途に結論を出したいと思っております。
#227
○林紀子君 こういうことは検討を待たなくてもできることではないかということで私はお願いいたしましたので、それの検討をぜひしていただきたいと思います。
 次に、この都障教組の調査で明らかになったことは、千八百十四人も乳幼児が入院をしていたということです。
 乳幼児期といいますのは、社会性、協調性、生活習慣を身につける子供の成長と発達にとって大変重要な時期だと思います。文部省は厚生省と連携をとってその対策も考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#228
○政府委員(野崎弘君) 乳幼児についての御指摘がございましたけれども、私ども今、調査研究しておりますのは、義務教育段階につきまして研究をしておるところでございまして、乳幼児につきましては現在検討することは考えていないところでございます。
#229
○林紀子君 もう一言。
#230
○委員長(石井道子君) 時間になっておりますので、よろしくお願いします。
#231
○林紀子君 厚生省からも来ていただいているんですが、文部省の方は何か今、大変冷たいお答えだったんですけれども、厚生省の方は何とかそのことについて考えていただけませんでしょうか。
#232
○説明員(三觜文雄君) お答え申し上げます。
 厚生省におきましては、平成四年五月に、これからの母子医療に関する検討会最終報告というのが出されているわけでございますけれども、この中で、入院中の子供に対する院内における教育の機会の確保並びに小児病棟における児童福祉の専門家、例えば具体的には保母さんになろうかと思いますけれども、そういった人を配置する必要があるという報告がなされておりまして、こういった乳幼児期の子供さんの入院に対しまして厚生省として、この保母さんの導入あるいは保母の訪問といったものについて、現在、心身障害研究という研究費の中で研究をしているところでございます。この研究結果を待ってまた検討してまいりたいと考えております。
#233
○委員長(石井道子君) 本日の調査はこの程度といたします。
  本日はこれにて散会いたします。
    午後四時三十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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