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1994/06/22 第129回国会 参議院 参議院会議録情報 第129回国会 外務委員会 第4号
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1994/06/22 第129回国会 参議院

参議院会議録情報 第129回国会 外務委員会 第4号

#1
第129回国会 外務委員会 第4号
平成六年六月二十二日(水曜日)
   午前十時六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月二十日
    辞任        補欠選任
     吉田 之久君     猪木 寛至君
 六月二十一日
    辞任        補欠選任
     田村 秀昭君     永野 茂門君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         井上 章平君
    理 事
                成瀬 守重君
                野沢 太三君
                松前 達郎君
                猪木 寛至君
    委 員
                大木  浩君
                笠原 潤一君
                宮澤  弘君
                矢野 哲朗君
                大脇 雅子君
                北村 哲男君
                清水 澄子君
                矢田部 理君
                武田邦太郎君
                永野 茂門君
                黒柳  明君
                立木  洋君
                椎名 素夫君
   国務大臣
       外 務 大 臣  柿澤 弘治君
   政府委員
       国際平和協力本
       部事務局次長   藤島 正之君
       外務大臣官房長  池田  維君
       外務大臣官房審
       議官       小池 寛治君
       外務大臣官房領
       事移住部長    畠中  篤君
       外務省総合外交
       政策局長     柳井 俊二君
       外務省総合外交
       政策局軍備管 
       理・科学審議官  林   暘君
       外務省総合外交
       政策局国際社会
       協力部長     高野幸二郎君
       外務省アジア局
       長        川島  裕君
       外務省北米局長  時野谷 敦君
       外務省欧亜局長  野村 一成君
       外務省経済局長  原口 幸市君
       外務省経済協力
       局長       平林  博君
       外務省条約局長  丹波  實君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        辻  啓明君
   説明員
       内閣官房内閣外
       政審議室内閣審
       議官       田中耕太郎君
       環境庁企画調整
       局地球環境部環
       境保全対策課長  松下 和夫君
       外務大臣官房審
       議官       中本  孝君
       運輸省海上交通
       局総務課長    東澤  聰君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○平成六年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)、平成六年度特別会計予算(内閣提出、衆
 議院送付一、平成六年度政府関係機関予算一内
 閣提出、衆議院送付)について(外務省所管)
○千九百六十九年の油による汚染損害についての
 民事責任に関する国際条約の議定書の締結につ
 いて承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付
 )
○千九百七十一年の油による汚染損害の補償のだ
 めの国際基金の設立に関する国際条約の議定書
 の締結について承認を求めるの件(内閣提出、
 衆議院送付)
○千九百六十九年の油による汚染損害についての
 民事責任に関する国際条約を改正する千九百九
 十二年の議定書の締結について承認を求めるの
 件(内閣提出、衆議院送付)
○千九百七十一年の油による汚染損害の補償のた
 めの国際基金の設立に関する国際条約を改正す
 る千九百九十二年の議定書の締結について承認
 を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(井上章平君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る二十日、吉田之久君が委員を辞任され、その補欠として猪木寛至君が選任されました。
 また、昨二十一日、田村秀昭君が委員を辞任され、その補欠として永野茂門君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(井上章平君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(井上章平君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に猪木寛至君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(井上章平君) 去る六月十七日、予算委員会から、六月二十二日の一日間、平成六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、外務省所管について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
 まず、柿澤外務大臣から説明を求めます。柿澤外務大臣。
#6
○国務大臣(柿澤弘治君) 平成六年度外務省所管一般会計予算案の概要について御説明申し上げます。
 外務省予算の総額は、六千九百四十六億四千九百万円であり、これを平成五年度予算と比較しますと、三百五億四千九百万円の増加であり四・六%の伸びとなっております。
 今日の国際情勢は、東西対立の構造が変化し、新たな国際秩序が模索されている中で、不透明で不確実な変革期を迎えております。
 世界経済については、多くの国が景気の低迷と深刻な失業問題に悩んでいます。地域紛争については、旧ユーゴスラビアやソマリアの紛争は依然解決の兆しか見えません。また、北朝鮮の核兵器開発疑惑や旧ソ連の解体等による大量破壊兵器の拡散の危険は世界の安寧を脅かしています。さらに、開発途上国の貧困の問題は一層深刻化しており、地球環境、麻薬、難民、人口、エイズ等の新たな地球的規模の問題に対する関心が増大しております。
 このような状況の中で我が国としても、その国際的地位、影響力を踏まえ、ますます増大する国際社会の期待にこたえ、一層積極的で創造性豊かな役割を果たす必要があります。かかる観点から、我が国外交に課された使命は極めて重大であり、流動的な国際情勢に的確に対応し、先を見据えた機動的な外交活動を展開していく必要があります。
 このため、平成六年度においては、その足腰とでも言うべき外交実施体制の拡充と国際貢献策の充実強化の二点を最重要事項として、予算の強化拡充を図る所存であります。
 まず、外交実施体制の拡充に関する予算について申し上げます。
 定員の増強につきましては、平成六年度においては百五十名の増員を得て、外務省定員を合計四千七百六十五名とする所存であります。また、機構面では、在ジャマイカ大使館及び在ドバイ総領事館を開設すること等を予定しております。
 さらに、在外公館の機能強化のために、在外公館施設等の強化及び海外邦人安全対策・危機管理体制の強化のための経費三百十四億円を計上しております。
 加えて、外交政策策定の基盤となる情勢判断を的確に行うために不可欠な情報・通信機能の強化に要する経費として五十二億円を計上しております。
 次に、国際貢献策の充実強化に関する予算について申し上げます。
 国際貢献策の充実強化の三つの柱は、二国間援助の拡充、平和及び難民・人道分野、地球的規模の問題に関する貢献そして国際文化交流の強化であります。
 まず、二国間援助等の拡充の大宗を占める平成六年度政府開発援助(ODA)につきましては、一般会計予算において政府全体で対前年度化四・八%の増額を図っております。このうち外務省予算においては、無償資金協力予算を対前年度比三・二%増の二千五百十億円計上しておりますが、その内訳は、経済開発等援助費が二千七十九億円、食糧増産等援助費が四百三十一億円であります。さらに、人的協力の拡充のため、技術協力予算の拡充に努め、なかんずく国際協力事業団事業費は対前年度比五・五%増の一千六百二十七億円を計上しているほか、国際協力事業団の定員につき三十二名の純増を図る等、援助実施体制の強化に努めております。
 次に、平和及び難民・人道分野、地球的規模の問題に関する貢献でありますが、新しい世界平和の秩序の構築のための国際協力を進めることが必要との認識に立ち、国連の平和維持活動を初めとする平和及び難民・人道分野での国際機関などによる活動の支援のため、対前年度比十七億円増の二百二十二億円在計上しております。
 また、地球環境問題あるいは麻薬問題といった国境を越えて国際社会に影響を及ぼす地球的規模の問題に取り組むため、国際機関を通じて積極的貢献を行うべく百億円を計上しております。
 さらに、国際文化交流の強化でありますが、各国との知的文化的交流を図り、異なる文化間の相互交流を促進するため百四十七億円を計上し、国際交流基金事業の拡充強化及び文化協力の推進を図ることとしております。
 以上が重点事項を中心とした外務省関係予算の概要であります。
 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
#7
○委員長(井上章平君) 以上で外務大臣の説明は終わりました。
 この際、お諮りいたします。
 外務省所管平成六年度予算の大要説明は、これを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○委員長(井上章平君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#9
○野沢太三君 昨日、政府は、北朝鮮の核開発疑惑に関する羽田総理の発言に関して統一見解を発表しておられますが、これにかかわりかつ最近の情勢の中で、米国が北の過去のプルトニウム抽出問題は高官会談の中で協議をするということで、開催の前提条件にはしないということが報道されているわけでございます。マイヤーズ報道官がワシントンからそのような話があった、こういうことでございますが、しかも新たに三条件としてIAEAの査察官の残留問題、それから抜き取りました燃料棒を再処理しないということ、また新たなる燃料棒の挿入をしない、こういったことも提案したと言われておるわけでございます。
 一方、韓国の政府の動きを見ますと、北朝鮮の過去のプルトニウム抽出に対する査察問題の協議実施を高官会談の前提条件にこれはしなけりゃいかぬ、こういうことで米側に提案をする方針である、こう伝えられているわけでございます。
 柿澤外務大臣におかれましては、二十日の外務委員会で、過去の検証は必要であるとの見解を示されておりますが、この米韓の食い違いに対してどのように対処される予定であるか御意見を伺いたいと思います。
#10
○国務大臣(柿澤弘治君) 事実関係について川島アジア局長から御報告をさせますが、私どもにとっては、やはり北朝鮮が核兵器を保有するような事態になるということは我が国にとって直接的な脅威になりますので、その点については今後の核開発計画がきちっと凍結されること、また過去についてもIAEAの検証が行われることが必要だというふうに考えております。
 各国の姿勢につきましてはまだ公式の意見交換をするまでに至っておりませんけれども、今までの経緯につきましてはアジア局長から御報告させます。
#11
○政府委員(川島裕君) 過去について調べるために一番重要とされておりますのは、未申告の二施設に関する特別査察でございまして、それからもう一つは燃料棒を調べることだったわけですが、燃料棒の方は抜き取ってしまったので燃料棒を調べることによって過去を調べるということはできなくなったということが現状でございます。
 それで、アメリカは、先ほど先生が言われました三点の条件が満たされれば米朝協議に動く、つまり使用済み燃料棒の再処理を行わないとか保障措置の継続、それから燃料棒をもう一度装てんしないということでございます。そういうのが満たされれば米朝協議が行われる。その中では、まさにずっと懸案となっておりました特別査察をどうするか、これを北朝鮮は受け入れるべきであるというやりとりをすることは当然想定されております。
 その意味で、過去については不問に付すということではなくて、とりあえず米朝協議を開く前提としては三点を確保して、その上で米朝協議を開いて、過去をどうやって調べるかについて篤と話し合うということが一つの話し合いの柱になるんだろうと思います。
 それから一方、韓国の方は、これまた二十八日に南北会談の準備の接触をやろうということでございますけれども、韓国は一貫して、過去にプルトニウムが抽出されてどうなっておるかということを見過ごすといいますか、そこは忘れて将来というようなことではなくて、過去に北朝鮮がどういうプルトニウムの抽出をやったかということをちゃんとフォローすべきであるという立場は、これは一貫しております。
 その意味で、今後の話し合いの中で、米朝であれ南北であれ、これまでに北朝鮮がどういうプルトニウムの処理をやったかということが一つの議題になるという点では変わりはないと思います。
 ただ、開く以前の時点で過去のことを問うというのは査察の活動上できないものですから、アメリカ側はとにかく現状維持の三点を言っておるということでございます。
#12
○野沢太三君 アメリカにしてみれば、過去の問題よりも将来に重点を置いた話し合いをしたいということはわかるんですが、隣近所におります韓国あるいは日本にしてみれば、たとえ一発二発であっても、核兵器がもしつくられるという状況にあるとすれば、大変な問題だろうと思いますので、その辺に取り組む姿勢としては、先般の委員会で大臣おっしゃったとおり、我が国としては、やはり過去も含めて核疑惑を解消していただく、こういう主張をひとつしていただきたいと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
#13
○国務大臣(柿澤弘治君) 野沢先生の御意見と私も全く同意見でございまして、その方向で努力をいたしたいと思います。
#14
○野沢太三君 それから、カーターさんとの会談の中でも、軽水炉転換を北が希望しておるということが出てきて、これについてアメリカも協力しようという姿勢のようでございますが、それに関する技術あるいは資金の援助を日本に求めるというような話もあるわけですが、これに対する御見解はいかがでしょうか。
#15
○国務大臣(柿澤弘治君) またそうした話は正式にアメリカ政府から承っておりません。
 ただ、カーター元大統領に先立って訪朝されましたカーネギー財団のハリソン氏等からそうした趣旨の発言がございますので、私の方はこの問題については、日朝は国交が正常化していない、そして国交正常化交渉というこれから厳しい交渉をしなければならない状況でございますので、そうその問題だけを分離して協力ということはいろんな難点がある、絶対不可能とは申し上げておりませんけれども、いろいろ問題点があるというふうにこの問もテレビでお答えをしたところでございまして、そうした考え方で、もし正式にお話があれば議論をしていきたい。
 ただ、全く一〇〇%否定してしまっていいのかという問題がございますので、できることなら日朝国交正常化交渉との関係も踏まえながらその問題を解決できればというふうに思っております。
 それと同時に、もう一つつけ加えますと、先ほど来御議論のありました従来の北朝鮮の核施設の運転歴も含めて検証されるということが大事な条件であろうかと思います。
#16
○野沢太三君 信頼関係が確立されてない、まして国交回復以前の段階で援助だけ先行するということがゆめないように、外務省としてもしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 それから、昨日の遅くの報道で、けさの新聞にも出てますが、三木元首相夫人に金日成主席が、八月半ばに金泳三大統領が北を訪問し、そこで南北の首脳会談が実現する、こういう報道がなされておりますが、外務省、これ確認しているでしょうか。
#17
○政府委員(川島裕君) お答え申し上げます。
 三木夫人が二十一日、北京に立ち寄られた際に、空港で記者団に対して次のとおり述べたというところは承知しております。それは金日成主席と会った際に、金主席は八月十五日に金泳三大統領が北朝鮮を訪れることになっていると述べた、記者より、それは金泳三大統領を招待したいということではないかと質問しましたら、いや訪れることになっているとはっきり述べていた、こういう発言があったということでございます。それ以上は確認しておりません。
#18
○野沢太三君 カーターさんといいあるいは三木夫人といい、やはりトップ、トップといいましょうか、直接接触をすることによって大変な問題の打開ができていると、ああいうお国柄であるからには一層そういう傾向がやはりあるだろうと思うわけであります。
 そういう意味で、先般も自社の有志議員の皆様が訪朝されまして、それぞれ御努力をいただいておるわけでございますが、今後ともこういった各レベルでの接触、特に先方のトップクラスとの接触についてはいろんな形でやはり努力をし、接触をやっぱり試みていく、こういうことが大事ではないかと思いますが、政府としてやりにくい場合には、その政府の意思を代弁できる人に向こうに行ってもらうかあるいは来てもらうか、あるいは第三国で会うか、そういった努力が大変今大事ではないかと思いますが、大臣、所見、いかがでしょうか。
#19
○国務大臣(柿澤弘治君) 適切な時期、そして適切な方、また事前のやはり準備というものが行われるならば、そうした方向も検討すべきであると私どもは考えております。
#20
○野沢太三君 引き続きの御努力をお願いいたしたいと思います。
 それでは、平成六年度の外務省予算について少し触れてまいりたいと思います。
 先ほど御説明がございましたように、総額が六千九百四十六億ということで、対前年四・六%増というのはことしの全体予算の中ではこれは大変積極的な、意欲的な予算と言ってもよろしいかと思うわけでございます。特に、外交の実施体制として定員関係厳しい中で純増百五十人をいただくほか、専門調査員とか派遣員とか、さらには在外公館の首脳強化あるいは安全対策、情報通信対策とさまざまな御努力をしておられますが、私ども、いろいろ在外公館にお邪魔したり、あるいは赴任されて帰ってきた方のお話を聞きますと、実際上の在外公館での運営経費といいましょうか、特に現地を視察して回るとかあるいは兼館をしております各国を回るとか、それから外交上の調査をするとかいった旅費あるいは調査費等の不足というものが大変だということを伺いますが、ひとつこの辺について、どうでしょうか。
#21
○国務大臣(柿澤弘治君) 野沢委員初め、日ごろから外交に対して大変御理解をいただき、温かいお励ましをいただいております皆様のおかげで、今年度の予算案におきましても機構、定員等の充実についてそれなりの成果を得たことは心から感謝を申し上げたいと思います。
 今後とも引き続き皆様方の御理解をいただきまして、外交体制の整備に努めていきたいと思っておりますが、今御指摘の具体的な点につきましては政府委員から御答弁をさせていただきます。
#22
○政府委員(池田維君) ただいま御質問のございました在外職員の旅費の関係でございますけれども、これは昨年度で十二億円の規模になっておりますが、その他諸謝金あるいは庁費等を入れまして前年度に比べまして若干の増を示しております。そういった意味では少しずつ外交機能強化のために効果が出てきておりまして、これは諸先生方の御協力のたまものだと考えておりますけれども、私どもさらに外交活動を強化いたしますために一層の改善を図っていきたいというように考えておるところでございます。
#23
○野沢太三君 人数をふやすのも大事ですが、今いる人がどれだけ働けるかといういわゆる足腰経費ですね、これをしっかりつけてあげませんと身動きができない。私、昨年申し上げましたけれども、非常に位の高い方が赴任していても動きがとれない。俊寛、為朝、後醍醐天皇というような立場で外交官の方の御苦労されているということはまことに残念でございます。
 私は、それに加えて頭の経費というのをぜひこれからも重要な項目として、現地におきましてコンサルタントであるとかあるいは世論調査をやるとか、いろいろな形でそういった調査機関を使いこなす、そういった経費も今後の経費要求の中でしっかりひとつやっていただきたい、これは要望でございます。
 続いて、国際貢献の実施ということでございますが、何と言ってもODAでございますけれども、五千三百四十二億、これ外務省分ということで四・四%ということでございまして、全部足しまして世界一の水準ということはまことにこれ結構なんですが、ただ、この中身について見たときにいま一つということが言えるわけです。
 まず、中期目標で掲げました七百から七百五十億を五年間でという目標がこの予算で達成できるかどうか。
#24
○政府委員(平林博君) 本年度の予算、御審議いただいているものにつきましては、従来の伸び率に比べますと多少低目になっておりますが、五カ年計画の中期目標でございますので、一つには今後の努力次第ということであろうかと思います。
 またもう一つ、この中期目標は予算ベースではございませんで、実際に相手国に支払われた金額で公約を掲げてございます。したがいまして、日本政府がお約束したいろいろな経済協力、プロジェクトを先方政府がどれだけ迅速に効率的に早くやっていただくかということでございます。そういう観点からも援助のそういった実施面での改善を目指していろんな国と今対話を深めておりますので、そういう努力が相まってできるだけこの中期目標が達成されるように努力してまいりたいというふうに考えております。
#25
○野沢太三君 それから、この贈与比率であるとかあるいはグラントエレメントというような要素から見るとDACの中では最低だという報告が外務省の資料にも出ておりますが、これについて改善する見込みはございますか。
#26
○政府委員(平林博君) DAC二十一の国の中で最低というわけじゃないんですが、非常に下の方にあるということは確かでございます。しかし、おかげさまで国会あるいは国民の皆様方の御理解を得まして徐々に贈与比率は上がってきております。本年も、もしこの予算案が通りますれば贈与比率は前年度に比べまして多少増加するということになります。
 また、贈与比率という点では二十一の国の中で下の方に位するわけでございますが、贈与の絶対額を比べますと、日本の全世界向けの贈与の絶対額はアメリカに次いで第二位でございまして、三位以下の国を大きく引き離しております。そういう意味では、日本政府のODAは贈与の面でも世界にそれほど劣るわけではない、むしろ誇ってもいい面があるというふうに考えております。
#27
○野沢太三君 さらに言えば、GNP比率ということでいくとやはりこれも余り上位ではない。金額は確かに大きくなっていますけれども、もうちょっと日本はその面での貢献をしっかりやって、しかもそのことはこれからの日本の国際貢献の一番やっぱり大きな柱だと思いますので、この数字だけではなくて、中身もあわせてひとつ頑張っていただきたい、かように思います。
 そういった総額という面から見たほかに、きめの細かい援助ということで、大分今回も外務省はたくさんいろいろと新しいアイデアを出し、やっていただいておりますが、この中でNGOに対する事業援助あるいは国連ボランティア計画に対する拠出金、さらには新たに国際ボランティアの補償支援制度を創設していただいた、大変これはいいことだと思うんですが、この面について今後一層ひとつ力をいれて、ただ向こうから頼まれたものを大きなものでどんと出すというんでなしに、血の通った援助という面では非常にこの分野は大事だと思いますが、この辺について外務大臣、いかがでしょうか。
#28
○国務大臣(柿澤弘治君) 野沢先生御指摘のとおりでございまして、政府といたしましても最近、開発途上国におけるNGOが実施する援助活動、そうした草の根レベルに直接届く、きめの細かな、迅速性においても政府援助の援助にない特徴を有している、そうしたものについてできるだけ援助をしていきたいということで努力をしております。
 また、NGOの活動は、我が国の国民が直接援助に参加できるという点からも顔の見える援助として大変有効であろうかと思っております。従来、私の経験からいいましても、NGOのグループの中には政府の援助政策に対する批判の声が強くて、むしろ対立関係にあったというような気がいたします。その意味では、私もフランクにNGOの皆さんにも語りかけて、政府の経済協力とNGOの活動とは決して対立するものではなく、ある意味では車の両輪として補完し合うものだということを訴えかけてきておりまして、最近ではNGOの方々もそれを理解してくださっているようになってまいりましたことは大変望ましいことだと思っております。
#29
○野沢太三君 ひとつその辺、外務省は懐広くして、とにかく自発的に奉仕をしようというグループと一緒になって活動する、こういったことで今後の国際貢献、外交の組み立てをお願いしたいと思うわけです。
 その中で、特に文化交流の強化の問題ですが、ことしは国際交流基金の補助金として百二十九億余り計上していただいております。額は小さいけれども、文化というのはやっぱり日本がこれからやっていきます国際活動あるいは理解の促進という面で、向こうから習う、教えてもらうという以外に日本の文化の発信という問題も大いにこれ大事ではないかと思うわけでございます。そういった意味でのハードからソフトに援助のの重心を移していくということも大事であろうかと思いますので、この面での今後の施策の重点化をぜひお願いしたいと思います。
 その中で非常に取り上げておきたいのはアンコールワットに対する保存協力でございますが、日本がこれはイニシアチブをとって技術、資金あるいは人材等も提供してまとめてきた経緯があるわけですが、この動きはその後どうなっておりますでしょうか。
#30
○説明員(中本孝君) ただいまの件につきましては、やはり日本といたしましても国力にふさわしい文化面での国際貢献ということで、世界のいろいろな文化遺産の保存のための活動に積極的に貢献してきております。特に、アンコール遺跡あるいはパキスタンのモヘンジョダロ、あるいは中国のシルクロードに関係します敦僅とか、それから近々西安の含元殿の修復といったようなものまで、いろいろ日本として積極的に取り組んでいきたいというふうに考えているわけでございます。
 特に、野沢先生の御指摘のアンコール遺跡につきましては、我が国としましては平成元年にユネスコに信託基金を設けまして、そこを通しまして二国間ベースのみならずユネスコを通じた協力ということもやっております。先生も御承知のように、昨年の十月に日本とフランスが共同議長となりましてアンコール遺跡救済のための国際会議を開いたわけでございまして、我が国としても積極的に東京宣言を採択して貢献に努めているというところでございます。
 この事業も東京宣言を受けました形で現地での会議を既に何度か行っておりまして、いよいよこの秋には日本としても具体的に政府としての事業を現地で始めるということでやっていきたいというふうに考えております。
#31
○野沢太三君 カンボジアに対する援助はいろいろな方面からのものがあろうと思いますが、アンコールヘの協力、それからそれに基づいてまた観光客を誘致する等、大変なこれは経済効果もあわせて期待できるわけでございますので、このような援助は一層ひとつ力を入れてやっていただきたいと御要望を申し上げます。
 そういう中で、一つ忘れられていることがあるんじゃないかというのが移住民対策でございますが、日本から既に百万を超す方々が移住をされて世界各国で御活躍と、まことにこれ、けなげなことでございますけれども、その中で中南米の移住民、特にドミニカ共和国へ戦後移住された方々が約束された土地ももらえずに苦難の生活を余儀なくされているという報道がございます。この方々に対する国としての対応は一体どうなっているんでしょうか。
#32
○政府委員(畠中篤君) ただいま先生御指摘のドミニカに対する移住につきましては、過去いろいろな経緯がございまして、移住者受け入れに大変熱心であったトルヒーヨ大統領の政権が倒れる、その他長い経緯がございますけれども、先生御指摘のようにいまだに厳しい生活状況にあるのは事実でございます。政府といたしましては、現地移住者の要望も踏まえまして、できるだけ支援をしていく考えでいろいろ協議を進めております。
 特に、最近は移住予算という範囲内で対応できる分野も限りがございますので、無償協力予算をも活用いたしまして、例えば移住者の住んでおりますコンスタンサという地方がございますけれども、そういうところでの畑地かんがいといったようなものも手がけるようになっております。
#33
○野沢太三君 確かに移住予算は横ばいで、大体これはもうそういう時代は終わったんだという認識ではないかと思うんですが、私はやはり、日本から行かれた方がそれぞれのお国において立派な仕事をして立派な生活をしていただくことが日本とその国との最大のパイプになり力になると思うわけでございますので、国籍が仮に変わったとしても日本人であるということが誇りに思えるような仕事の仕方、生活のあり方、これについてひとつ気を配っていただきたいと思うわけであります。
 今お話しのように、ODAの一部をそういった面でも活用できるということは大変大事だと思うんですが、こっちから援助というだけなくて、やはり向こうにおられる方の自助努力といいましょうか、自発的な能力開発といいましょうか、そういうチャンスをつくっていくということもやはり大事ではないかと。
 その意味で、いかがでしょうか、外務省としての先方の皆様方のそういった自助努力を助けるような施策は何かないでしょうか。
#34
○政府委員(畠中篤君) ただいま先生御指摘のとおり、近年は日本から出てまいります政府支援による移住者の数は激減しております。そのかわり、逆にと申しますか、中南米諸国から大量の日系二世、三世が出稼ぎに来るような状況になっております。したがいまして、こういうような状況を反映いたしまして、狭い意味での移住関連予算というものは最近横ばいになっております。
 現地におられます移住者の方々の状況は、おおむね申し上げますと、現地社会にも定着し、各移住先国で政官界、産業界、芸術文化等の広い範囲で活躍をされるようになっておりますけれども、個々のケースにつきましては、先ほど御指摘のドミニカのようにまだまだ厳しい状況下にある地域もございますし、これから解決していかなければいけない問題も残っております。特に、移住者の高齢化に伴いまして移住者の医療、福祉の問題とか、それから先生御指摘の移住子弟の人たちに対する日本語教育あるいは人材育成といった面もこれから手がけていかなければいけない分野だと考えております。
 先ほども申し上げましたけれども、移住予算というのはそういうことで横ばいではございますけれども、経済・技術協力事業とも連携しながら、今申し上げました人の育成その他につきましても、受け入れ体制の整備につきましても、今後とも強化していく必要があると考えております。
#35
○野沢太三君 日系人の中から大統領が出たりあるいは上院議員が出たりというようなすばらしい活躍をしておられる方もおる中で、日の当たらない生活を強いられているという人たちがいることは大変胸が痛むわけでございますし、何としてもひとつ、今日恵まれた生活とそれから経済力を獲得したこの日本の力が、有形無形に外地で暮らしております日系人の皆さん方に及びますような援助なり交流の施策を打ち立てていただきたい、かように期待をいたすものでございます。
 続きまして、総括質疑のときに残りました話題について残された時間を充てたいと思います。
 地球環境問題でございますが、九二年の六月にリオで開かれました環境と開発国連会議、UNCEDの中でいろんな議論がございましたが、これは地球規模での環境対策という面で見ると大変画期的な会議であったと思います。宮澤総理も立派な演説をして、これは行かれずにメッセージだけになりましたけれども、結果としては非常に評判がよかったわけでございますが、ここで決めましたアジェンダ21のその後の実行状況についてお話しをいただきたいと思います。
#36
○政府委員(高野幸二郎君) アジェンダ21にかかわります国際的な取り組み、あるいはその具体的な進展ということで申し上げさせていただきますと、二つあると思います。
 一つは、地球環境ファシリティー、GEF。先生御承知のとおり、各国が地球環境問題に取り組むに当たりまして当然資金問題がある、特に途上国の場合困難がございますので、それに対する手当てということで基金ができてございます。本年半ばまでということでリオ会議以降暫定的に走ってきたわけでございますが、このGEFの増資問題を中心とした改組問題ということがございまして各国間で協議が続けられてきたわけでございますが、本年三月に至りましてやっと増資規模を含めまして全体としてこのGEFの改組問題ということがけりがついた、合意を見たということで、本年七月からの本格的立ち上がりが決まったということでございます。これが一つございます。
 それからもう一つは、このリオ会議以降、地球環境問題につきましての法的枠組みの整備、関係条約を整備していこうという努力が続けられておりまして、あの会議のときに署名に開放されました二本の条約、例の地球温暖化にかかわります気候変動枠組み条約及び生物多様性条約、この二本の条約が最近に至りまして発効しております。それから、これに加えまして三本目の大きな条約として努力されてまいりました砂漠化防止条約、これが先週のパリにおきます最終会議において合意を見たということでございまして、いわゆる地球環境問題についての法的枠組みづくりが着実に進展しているということが言えるかと思います。
 なお、先生御承知のとおり、アジェンダ21の全体的な調整レビューというのは、CSD、持続可能な開発委員会というものが国連で設けられておりまして、日本もその五十三カ国のメンバーの一人でございますが、これは年に一回開かれておりまして、先月ニューヨークにおきまして第二回会合が開かれた、我が国もそのメンバーの一国として積極的に活動しているという状況でございます。
#37
○説明員(松下和夫君) ただいま高野部長から申し上げましたように、一昨年の地球サミットで採択されましたアジェンダ21におきましては、持続可能な開発を実現していくための世界的な課題が網羅的に述べられているところでございます。
 我が国といたしましては、このアジェンダ21に則しまして我が国が実施していこうとする事項を取りまとめました日本のアジェンダ21行動計画を昨年十二月に作成したところでございます。また、地球サミットにおける合意を踏まえまして、地球環境時代に即した新しい枠組みを定めました環境基本法を昨年十一月に制定しているところでございます。
#38
○野沢太三君 その中で非常に大事な柱になっております温暖化対策でございますが、最近に至りまして、二〇〇〇年の目標達成、これは一九九〇年レベルの一人当たりCO2排出量で抑えようということで進んでいたものが達成困難ではないかという報道もなされておりますが、これはいかがでしょうか、環境庁。
#39
○説明員(松下和夫君) 気候変動枠組み条約は今年の三月二十一日に発効しておりますが、我が国を含む先進国は九月二十一日までに二酸化炭素の排出量の予測などを取りまとめまして条約暫定事務局あてに送付することとしております。このため、現在関係省庁と連携を図りながら鋭意作業を進めているところでございます。
 昨日、省エネルギー等いろいろな努力を見込んだ新しい長期エネルギー需給見通しがまとめられて公表されております。それらと整合性を持って予測しますと、二〇〇〇年度における二酸化炭素排出総量は三億三千トンとなる見通しでございます。これによりますと、二〇〇〇年度における一人当たりの排出量はおおむね二・六トンとなりまして、一人当たり排出量をおおむね一九九〇年レベル、これは二・五九トンでございますが、これで安定化を図るという地球温暖化防止行動計画の第一項の目標は達成できる見通しでございます。
 一方、二〇〇〇年度における排出総量は一九九〇年の三億二千トンと比べますと増加するということから、二酸化炭素排出総量をおおむね一九九〇年レベルで安定化するように努める、そういう行動計画のもう一つの目標がございまして、この目標の達成に向けて今後とも一層の努力が必要であると考えております。
#40
○野沢太三君 お役所で目標をつくるだけではなくてこれを本当に徹底するためには、既にヨーロッパ諸国の一部で実施されておりますいわゆる環境税のうち炭素税、これを導入することが極めて有効であると思うんですが、これについては今どうなっているんでしょうか。
#41
○説明員(松下和夫君) 御指摘の炭素税などの環境税は、市場メカニズムを通じて広く環境保全のための自主的な取り組みを促すという観点から長所があると国際的にも言われております。既に先進各国においても導入例がふえてきております用地球温暖化問題などのように、その原因が幅広い経済社会活動に起因する複雑多岐にわたる環境問題への対策としてこういった手法の有用性が期待されていると認識しております。
 こうした観点から、環境庁におきましても炭素税につきましては現在調査研究を進めているところでありまして、先日、地球温暖化経済システム検討会におきまして第二次中間報告が取りまとめられております。
 環境庁といたしましては、今後こうした成果を踏まえながら、さらに内外の研究成果あるいは政策の実際などを参考といたしまして、その環境改善効果、あるいは我が国の経済に与える影響などにつきまして、引き続き研究を深めてまいりたい、かように考えております。
#42
○野沢太三君 いずれにいたしましても、今までのような大量生産大量消費、また大量廃棄というような生活スタイルではこれはもう環境の面で行き詰まるということになろうかと思います。
 そういう面で今後のやはり私どもの生きざまの問題とも絡みまして、また世界じゅうに日本の達成しましたこれまでの環境上の成果というものを及ぼしていくという、これが非常に大事ではないかと思いますが、その面でどうでしょう、外務大臣、ひとつ外交政策上の大きな柱としてこの環境問題というものをやっぱり据えていただきたいと思いますが、御所見を伺いまして私の質問を終わります。
#43
○国務大臣(柿澤弘治君) 我が国が一九六〇年代から七〇年代にかけて環境の問題で大変苦労をしたことは委員御承知のとおりでございます。しかしその中で、新しい環境に優しい技術等を開発してまいりまして、我が国の技術水準は世界でも大変高いものになっていると思います。そして、環境問題が地球的な規模の関心事項になってきておりますことも事実でございますので、できる限りそうした我が国の蓄積した経験を生かして、地球環境問題の解決に積極的に努力をする、そしてまた技術だけでなく資金的な面でもできる限りそうした方向へ振り向けるべく努力をしてまいりたい。これは、我が国の国際社会に貢献できる一つの大きな分野であろうかと確信をいたしております。
#44
○矢野哲朗君 先日まだ審議未了ということで、あえてきょうも継続して質問させていただきます。
 冒頭に申し上げたいんでありますけれども、再三にわたって外務当局に取り交わした議事録の資料提出を求めさせていただいたんでありますけれども、今日に至ってもその資料が提出されていないということなのであります。きょうの質問にも大変重要な資料だと思ってお願いをしたんでありますけれども、その辺、どうしてこの資料提出ができないものかどうなのか、ちょっと答弁願います。
#45
○政府委員(川島裕君) 今、先生のおっしゃった資料は、日本と台湾の間の航空関係に関して亜東協会とそれから財団法人交流協会の間で暫定的に合意した文書、昨年の二月だったと思いますけれども、その件かと思いますが、そういうことでございましょうか。
#46
○矢野哲朗君 そうです。
#47
○政府委員(川島裕君) 御指摘の文書は、財団法人交流協会と亜東関係協会との間で暫定的な意見の一致を見た協議の結果を、当事者間でお互いの記録のために残しておく目的で作成したものでございます。したがって、公表はされないという前提に作成したものであると承知しておりまして、その内容は、それを踏まえて政府としても所要の調整があるということで交流協会から報告されております。
 ただ、文書自体は亜東協会と財団法人交流協会の間の協議中の内容にかかわる暫定的な意見の一致の記録でございますので、それをそのまま日本政府として公表することは適当でないと考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。
 ちなみに、ほかの航空交渉におきましても、ある段階で両航空当局間が暫定的な合意に達しました場合には、公表を前提としない形で、ここまで意見の一致を見たというようなことを議事録をつくることがございますけれども、これも公表されていないというのが従来からのやり方だと承知しております。
#48
○矢野哲朗君 お互いにやりとりしても限界があるようでありますから、委員長にお願いしたいと思います。
 大変国民生活に影響のある案件だと思いますから、ぜひ理事会で協議いただきながら、資料の提出をひとつ要求していただきたい、お願いをいたします。
#49
○委員長(井上章平君) 理事会で協議します。
#50
○矢野哲朗君 それで、一昨日、川島アジア局長さんがおっしゃられまして、交流協会と亜東関係協会の取り決めは他国との間の航空協定のような法的拘束力はない、しかしながら政府としてはそれを尊重するというふうなことで発言をされていますけれども、その尊重するというふうな意味合いをちょっと説明をいただきたい。
#51
○政府委員(川島裕君) 御承知のとおり日中国交正常化に伴いまして、台湾との間は非政府のやりとり、つまり具体的にはこの二つの協会の間で交流についていろいろなことを取り仕切るということでやってきているわけでございます。そうして、しかしながらこれはその当時に、そういう交流は両協会の間で行う、それについて日本政府としてはできる限り必要な支援と協力を行うという政府の立場を、たしか官房長官談話の形で表明しておると記憶しております。
 ですから、航空のみならず貿易等々、政府レベルでの接触がないという中で、日本と台湾の間で起こるいろいろな交流すべてにわたって事実上この二つの協会のやりとりで取り仕切っていくというのが日本と台湾との間の枠組みでございますし、これは現在も続いておる。その中で航空についてもそういう両協会の間で取り決めができたということでございます。
#52
○矢野哲朗君 交流協会の実態を考えますと、少なからず外務省の監督下にあるという解釈でよろしいかどうか。
#53
○政府委員(川島裕君) 外務省の認可団体でございまして、実態的に外務省とそれから通産省が主たるその監督と申しますか、主務をつかさどっております。
#54
○矢野哲朗君 しからば、今回私もはっきつ把握はしていないのでありますけれども、内容については現在日台路線に就航している日本アジア航空と中華航空、それに加えて日本、台湾二社目の航空企業を参入させる必要性があるということを判断したように聞いておりますけれども、その判断根拠を説明願います。これはあえて外務省に私はお聞きします。
#55
○政府委員(川島裕君) これは若干長い経緯がございまして、日本と台湾の間の交流が拡大いたしまして、それで八〇年代の後半からまさに先生がおっしゃいました一社双方が飛んでいるのに加えて二社目を投入したいという台湾側の意向が伝えられてきたわけでございます。しかしながら、日台間の航空というものは中国との関係で非常に微妙なものを含んでおりまして、その辺で調整というものに時間がかかったのは御承知のとおりでございます。
 ただ、基本的にはこの二社目をどうしてかということが御質問であるとしますれば、それは需要が拡大し、かつやはり競争という観点から複数社の投入されている状況の方がよろしいんではないか、こういう判断であろうと承知しております。
#56
○矢野哲朗君 非常にあいまいな答弁なんですよね。需要が拡大したというふうな話なんだけれども、推移をずっと追いかけてみると、九〇年以降漸増じゃなくて漸減している。しかも台北―福岡間については今、週七便日本アジアが飛んでいる。そして週七便キャセイが飛んでいるのかな。その推移を見たとしても、九〇年以降低迷をしているということは客観的な事実なんだけれども、その点ではどうなんでしょうか。
#57
○政府委員(川島裕君) これはむしろ運輸省の御判断が一義的にあるべきものだと思いますけれども、運輸省の立場といたしましては確かに若干微減にあるにせよ、例えば昨年度の中華航空の座席占有率は七割強、時期によっては臨時便を就航させることもあるなどかなり需給の逼迫がやはり見られると判断しておる、そういう観点から競争促進による利用者の利益という観点から双方とも二社目の企業を参入することを検討し得る状況にあるというのが運輸省の判断と承知しております。
#58
○矢野哲朗君 運輸省の判断と振ってしまったんでありますけれども、そうすると、例えば亜東協会と交流協会の関係の中で、監督権は外務省にあると言いながらも、要するにその一連の約束事、この協議書については全く黙認すると。要するに尊重するという言葉が適切なのか、それともでき上がったことを追従するというふうな考え方なのか、その辺どうなんでしょうね。
#59
○国務大臣(柿澤弘治君) 今、アジア局長が答弁したとおりでございますが、私も運輸政務次官を努めておりましたし、航空協定については外務、運輸、両方の立場から見ておりますので、実態を申し上げますと、やはり国内便でもそうでございますが、できるだけ航空事業についても競争原理を導入するということで原則としてダブルトラッキング、トリプルトラッキングというのを運輸政策としては進めているわけでございます。それが現在は国際便の方にもそうした政策が適用されるようになりまして、各地で、例えばニューヨークについてもワシントンについてもダブルトラッキングが行われるようになってきている。そうした中で、台湾との関係でも、競争政策の導入という観点から進められたものと承知をいたしております。
 交渉の、具体的にはそれぞれ民間航空局といいますか、民間航空については責任を持つオーソリティーが交渉することになっておりまして、事実上の交渉は運輸審議官がおやりになるというのが従来の例でございます。それでそれが外交的に問題があるかないかというのを、外務省としてはそうした外交的な配慮ということでいろいろとアドバイスをさせていただく、そして最終的には協定にまとめさせていただくという仕組みになっておりますので、最初から外務省の判断が入っているということではございません。
#60
○矢野哲朗君 しかし、当面の交渉窓口は交流協会と亜東協会ということだと思うんですよね。そしてこの監督官庁が外務省だという関係があるということを先ほど確認をさせていただいた。しからばその観点で、ただ、最初のアジア局長の答弁が、非常に需要が増してきた、だからそれに対応すべきなんだという答弁があった。その辺が客観的情勢をどこまで認識しながら、果たしてこの対応が妥当性があるのかどうなのかというのは全く関与してないんですよね。その辺での余りの無責任さ、妄信というんですかね、こういうのは。
 もう一つちょっと確認するけれども、では例えば日本側からエアーニッポン飛ばしますよ、向こうから長榮を飛ばしますよと、こういうふうな内容だと聞いています。これはどういうふうな選定基準でこの二社が選ばれたのか、お伺いします。運輸省じゃなくて外務省に聞いているんです。
#61
○国務大臣(柿澤弘治君) 矢野委員の御質問でございますが、そうした点の選定権等は、もちろん交流協会と亜東協会がおやりになるわけですけれども、それに適切な企業であるかどうかという判断は私は運輸省がおやりになるべきことであって、一義的には外務省はそれを外交的な配慮として是とするか非とするかという観点から意見を申し上げるということでございます。
#62
○政府委員(川島裕君) ちょっと補足させていただきますと、手続的には、実は暫定的に合意と言われておりますのはまさに両者の名前が出ているわけでございます。これは一つにはその後で、これは普通の航空協定とちょっと違うところでございますけれども、中国の理解を得るという一つ手順が必要だったものですから、やっぱり具体的な航空会社の名前が必要だろうということでございます。
 それで、一応理解というものが得られて、所要の調整が整いますと、今度は最終的には運輸省自身の許認可権限に基づく認可によって両社の参入というものが最終的に決まるということでございまして、その認可行為があるまでの間はすべての決定は全く暫定的なものでございます。
#63
○矢野哲朗君 あくまでも運輸省の所管事項だというふうな話だけれども、この取り交わし事項をやっていいものかどうなのか、なおかつその内容については正当性があるものかどうなのか、妥当性があるものかどうなのか、当然外務省で確認の上ゴーサインを出す、こういうふうな一連の仕組みだと思うんだけれども、その辺はどうなんですか。
#64
○政府委員(川島裕君) ですから最初に長い経緯と申しましたんですけれども、確かに最近であれば伸びは微減ということがあるかもしれませんけれども……
#65
○矢野哲朗君 いや、そうではなくて、その手続の問題を聞いているんです。ですから、妥当性があるかどうかというのは当然運輸当局が判断するわけですね。しかしながらそういう合意書をお互いに取り交わすということで最終的にゴーサインを出すのは外務省でしょう。違うの。
#66
○政府委員(川島裕君) これはまさに台湾と日本との間の航空需要を考えて二社目を投入するという方向でいこうという両協会間の合意を踏まえて、外務省としてしますのは、それを引き取ってどう調整するかというところからが国の役割でございます。一義的にはまさに台湾との間は両協会の間でいろんな交流について取り仕切り、やりとりがあるということでございます。
#67
○矢野哲朗君 またきょうも時間が来ちゃったんだけれども、私は内容の妥当性は当然外務省が承知してしかるべきという判断をします。しかしながら、今、アジア局長の判断としては非常にいろんな事態の掌握自体があいまいだ、そして妄信しているという、ただ亜東協会と交流協会だけの問題であとは追認するぞというぐらいの考え方で外務省がやっているというふうな感じを受けざるを得ないんですね。そうすると、ほかの航空協定はすべて国会の承認事項ということでこの場に供する、反面こういうふうな特殊事情があるからこの案件についてはあくまでもそういうふうな状況で準政府間のこの取り交わしにお任せをする、こういうふうな実態が浮き彫りにされたと思うんです。
 私は非常にこの問題は、先ほどから申し上げるように国民生活に大変影響する事柄だということでありまして、外務大臣、ちょっと所見をお伺いしたいんですよ。先日答弁なかったんだけれども、政務次官という立場で当時はあった、そのときにどういうふうな報告を受けて、どういうふうな判断をなされたか。なおかつ一年間も経過して何の進展もなかった。しからばこういう問題点がなぜにこういうふうなことで経過してしまったか、その辺のちょっと考え方を聞きます。
#68
○国務大臣(柿澤弘治君) 私は宮澤内閣で外務政務次官をやっておりましたが、そのときにはこの問題については一切報告を受けておりません。
#69
○矢野哲朗君 では後半の、一年経過してなおかつ何の具体的な進展もなかったという原因はどこにあるのか。
#70
○国務大臣(柿澤弘治君) その点については、今、アジア局長が御報告したような事情であったと理解をいたしております。
#71
○委員長(井上章平君) 矢野君、時間が参りましたので……
#72
○矢野哲朗君 またますます不燃焼ですな、これは。とりあえず、ありがとうございました。
#73
○清水澄子君 ODA予算のうち今年度の小規模無償資金協力の予算額は対前年比五〇%ふえて十五億円になっております。これは大変NGO関係から非常に評価されているわけですけれども、こういう分野の予算を、今後ともこういう機動性のある制度を一層拡充していく必要があると思うわけですが、これを政府は今後どのようになさるおつもりか、そしてこれまで小規模無償協力に対してどの程度の要請があり、それにどういうふうにこたえていらっしゃるのか、それらをちょっと簡潔にひとつ数字でお示しください。
#74
○政府委員(平林博君) 予算につきましては、今、清水先生おっしゃったとおり、五〇%増の十五億円の小規模無償協力を要請させていただいております。これにつきましては、年々増大してきておりますが、まだまだ需要に応じ切れないのが現状でございます。
 平成四年度におきましては、日本の大使館を通じまして文書で要請がありました案件は総数で二千三百三十件、金額にいたしまして約九十一億七千万円に上りました。また、平成五年度につきましては今集計中でございますが、さらに増加しているものと思われます。
 これに対しまして、当方から行った支援について金額を申し上げますと、平成四年度は二百二十七件、約七億円、また平成五年度は二百五十八件、約十億円ということでございまして、各国からの要請、要望と我々の対応できる予算との間にはまだまだ大きなギャップがございますので、今後ともこれにつきましては、国民各階層あるいは国会の与野党問わず大変な御支援をいただいておりますので、政府といたしましても格段の努力をして増額に努めてまいりたいというふうに考えております。
#75
○清水澄子君 それでは次に、同じくODA予算の中で女性と開発、いわゆるWIDの情報整備調査の項目、これがことし新たに挙げられているわけですけれども、今後外務省はこのODA予算の中でこのWIDをどのように位置づけていかれるのか、そしてどのような具体的な援助を基本にしていらっしゃるのか、これも簡潔にお願いしたいと思います。
#76
○政府委員(平林博君) 先生今御指摘のとおり、女性と開発の問題は大変重要な問題でございますが、ますますその重要性を増していると認識しております。
 一九八〇年代の半ばからこの概念ができまして、一つには開発に女性をもっと参加させるように努力する、もう一つは開発の成果をさらに女性の各階層に行き渡るように努力する、こういうことでやってまいりまして、政府といたしましても、外務省あるいは国際協力事業団、海外経済協力基金等、援助実施機関におきましてそういう組織づくりにも努めて施策の充実に努めてまいりました。
 今後ともこれについては努力してまいりますが、例えば家族計画とか看護技術とか女性が直接かかわるような分野についての経済技術協力を充実する、あるいはその他保健衛生とか水の供給とか、いろいろ全体に稗益するわけでございますが、なかんずく、女性の地位の向上や福祉の向上に役立つようなプロジェクトを積極的に取り上げるということで考えております。
 特に、来年九月には北京におきまして国連主催の世界婦人会議がございます。これでは当然WIDが中心課題になりますので、日本政府としては、世界の援助のリーダーでございますので、この面でもリーダーシップが発揮できるようにぜひ努力してまいりたいと考えております。
#77
○清水澄子君 次に、私は、中国人強制連行の調査報告書についてお尋ねします。
 昨年の六月七日の参議院予算委員会でこの問題を取り上げてまいりました。その中で、第二次世界大戦末期に日本国内の労働力不足を補う目的で日本政府が閣議決定をして、そして約四万人の中国人を強制連行して日本の炭鉱やその他の企業で働かせた問題です。
 これらについて、敗戦の翌年にGHQの指示によって強制連行された中国人を使った百三十五の事業所について調査された外務省の記録の原本が、これは外務省はもうこれは絶対ないものである、そういうものは知らない、存ぜぬとずっと言ってこられたわけですけれども、それが東京華僑総会に保管されてありました。そして、それがNHKのテレビ放送や新聞で報道をされたわけですが、私は外務省がこの敗戦直後にこのような調査を行ったことの事実関係の認識を求めましたところ、池田前アジア局長はこれは誠意を持って調査すると答弁してくださいましたし、河野官房長官もこれは誠心誠意行いたいという答弁をいただきました。
 そこで、その結果を報告するということを約束してくださったわけですけれども、外務省、その調査結果はどうだったでしょうか、これは間違いのないことでしたか。
#78
○政府委員(川島裕君) お答え申し上げます。
 あの当時の答弁では、たしか外務省のものと蓋然性が高いけれどもちょっとわからないのでということになっていたかと思いますが、その後いろいろ調査いたしました。
 何分にも原本が外務省に見つからないものでございますから聞き取り調査等いろいろ調査を進めまして一連の調査をやりました結果、本件報告書が当時外務省が作成したものであることは間違いない事実であると思われる次第でございます。
#79
○清水澄子君 大臣、いかがですか、これはお認めになりますか、間違いのない事実として。
#80
○国務大臣(柿澤弘治君) ただいまアジア局長から報告いたしましたように、その後この問題については外務省としても誠意を持って調査に当たりまして、そうしたものが事実であったということを確認いたしております。
#81
○清水澄子君 では、その報告によれば、強制連行してきた中国人の総数は何人でしたか。そのうち死亡者は何人か、そしてその死亡率は何%に達していたか、そして最も死亡率の高かった事業所はどこかということについてお尋ねします。
#82
○政府委員(川島裕君) 昭和十八年四月から二十年五月までに合計三万八千九百三十五名が移入されて、三十五業者、百三十五事業所に配置されたというのが第一点。
 それから、この方たちのうち死亡者総数は六千八百三十人で、移入総数の十七・五%。ちなみに死亡原因の多くは、一般疾病、伝染病等々ということで、ちなみに二十一年二月末現在の残留者は百八十八名というふうになっております。
 それから、死亡原因でございましょうか。
#83
○清水澄子君 死亡率の高かった事業所。
#84
○政府委員(川島裕君) お答え申し上げます。
 戦線鉱業が五二%、川口組芦別、四五・五%、北海道炭鉱汽船、四五・一二%、その辺の数字が中に出ております。
#85
○清水澄子君 今回のこの外務省調査の結果で、どれほど残酷な虐待をされた実態であったかというのがはっきりしたと思います。そして、いわゆる華人労務者就労事情調査報告書の作成は外務省によって行われたということも明らかになりました。
 その外務省調査報告の中に、この中国人労働者を日本に連れてくるときの四つの方法というのが出ていると思います。それは、行政供出とか訓練生供出とか自由募集とか特別供出というふうにあるわけですが、その中で行政供出というところをひとつ読んでいただきたいと思います。
#86
○政府委員(川島裕君) 「行政供出 行政供出は中国側行政機関の供出命令に基く募集にして各省、道、県、郷村へと上級庁より下部機構に対し供出員数の割当をなし責任数の供出をなさしむるものなり」、こう書いてございまして、別途これに関連いたしまして、華北政務委員会の行政命令に基く割当に応じ都市郷村より半強制的に供出せしめたるもの」云々という記述がある次第でございます。
#87
○清水澄子君 では、その報告書にはっきり「半強制的」ということが明確に出ているわけですけれども、これによって外務省は、中国人労働者の連行は強制的であったということをお認めになりますか。
#88
○国務大臣(柿澤弘治君) こうした記述に基づきますと、やはり半強制的であったという事実は否定できないものと思っております。
#89
○清水澄子君 昨年八月十四日にNHKのテレビで「幻の外務省報告書 中国人強制連行の記録」というのが放送されて、大変大きな反響を呼びました。これがそのときの取材記録をまとめた本ですけれども、この中で募集というものがどういう残酷なものであったかという、非常にたくさんの人が縛られたり、それからもう非常に強制的な連行であったということで、いわゆる労工狩り、ウサギ狩りと称されて、こんな募集なんという問題じゃないということをここで明確に証言をしているわけですね。
 そしてしかも、これは日本政府がいわゆる一九四二年、昭和十七年の閣議決定によってこの中国人強制連行をされたわけで、この問題について今ここで明らかに強制連行であったということが判明し、しかもその調査は外務省自身が作成していたということもここで明らかになったわけですので、大臣、この問題についてどのようにお考えになりますか。そして、今後これらについてどのような対応をしたいとお考えですか、お答えください。
#90
○国務大臣(柿澤弘治君) たとえ戦時下という異常な状況の中とはいえ、当時多くの中国人の方々が半強制的な形で我が国に参りまして厳しい労務につかされたと、その中で多くの苦難をお与えしたということはまことに遺憾なことであったと思います。
 今後は、政府としては、このような認識を広く国民の間で共有するとともに、後世に伝えていくことが重要であると考えておりまして、そうした観点に立って本件報告書の写しを外交資料館等で一般の方々に閲覧する等の措置をとりたいと考えております。
#91
○清水澄子君 ぜひそういう姿勢で、この報告書が皆さんに公開して見ていただけるように、それから私たちの歴史の過去の教訓をしっかり心に刻んでいけるような、そういう処置をしていただくことをお願いいたします。
 そこで一つ、最近、実は茨城県の常陸太田市で地元の住民団体の人たちが中国人強制連行の犠牲者の碑を建てたいということで、中国より犠牲者の遺族を招いて碑を建てたんですね。そして、その除幕式をやったんですけれども、その際に中国人を使った日鉱日立は、日本政府は中国人の強制連行を認めていないんだと、だから碑文にそういう事実を書いてもらうわけにはいかないということで、その碑文に歴史的事実を書くことを認めなかったわけですね。現に今、そういうことが地域で起きているわけです。
 ですから、政府は今回ここでやっぱり公式に中国人の強制連行をお認めになったわけですから、今後やはり企業に対しても、こういう事実を認めてそれを反省する、そして犠牲者に対して謝罪が届くようなそういうことを何らかすべきだという、企業に対しても私は政府に指導的な役割をしていただきたいと思うわけですが、その点は大臣、いかがでしょうか。
#92
○国務大臣(柿澤弘治君) そうした事実があったことは私は承知はいたしておりませんでしたが、その面では、国民を含め企業も客観的事実を認識するという点では、政府としてそうした方向を勧奨するよう努力をしていきたいと思います。
#93
○清水澄子君 また、この報告書の中にありますように、秋田県の花岡鉱山、これは鹿島組の建設現場で起きた中国人強制連行者が蜂起した花岡事件ですが、その生存者が今もいらっしゃるわけですね。そして、その遺族が謝罪と補償を求めて記念館の設置を要求しているわけですけれども、今回これらの過去の事実を政府はお認めになったわけですが、これらについて、今までは政府は一九七二年の日中共同声明で終わりだというお答えはいただいているんですけれども、今この事実をお認めになった。ということは過去はこのことがなかったことになっていたわけですから、その日中共同声明の枠外の問題としてこれらの強制連行の犠牲者に対して何らかのやっぱり心を届ける必要があると思うんですけれども、その点はいかがでしょうか、大臣、お答えください。
#94
○国務大臣(柿澤弘治君) 今答弁いたしましたように、そうした事実があったことはまことに遺憾であり、多くの中国人の方々に苦難を与えたことについては私どもとしても大変残念に思っております。
 ただ、個々の請求権ということになりますと、今、清水先生御指摘のように、一九七二年の日中共同声明で全体をまとめて解決済みということになっておりまして、その枠組みは日中両国政府で引き続き合意をされているわけでございますので、特定の問題について政府としてその問題に関与することは非常に難しいというふうに考えております。
 先ほど、地域の皆さんが御尽力をされたというお話がございましたが、そうした形で関係の皆様による誠意の発露というものが出てくれば一番望ましい形ではないかと思っておりますし、それに対して政府として御協力できることはやらせていただきたいと思います。
#95
○清水澄子君 大臣、九二年の十二月の中央公論に、大臣の「天皇訪中後の日中関係」、とても立派に書いてあります。この中でははっきり、むしろ日本人の心と誠意の問題として今後日中間の戦後処理もとらえて対応していくべきだろうと、とってもここで格好いいことが書いてありますけれども、私はそれはみんなのやはり解決していかなきゃならない気持ちだと。そういう心というのは、日中共同声明でどうだということだけ言わないで、もっといろいろ工夫をするということでも、例えばここで六千人以上の方が、今回の調査でもはっきり死亡者の数もわかったわけですね。そういう人たちの合同慰霊祭を考えるということだってできるわけですね。
 ですから、私たちの心をどうあらわすかということについてはもっとやはり、ただもうこの報告書はつい去年までは知らぬ存せずで、この事実がわかるとわかったことは認められたんだけれども、その後もまた解決済みというんじゃなくて、やはり私たちの誠意というものをどうあらわすかということをいま一度検討していただきたい、このことについて大臣ひとつお答えください。
#96
○国務大臣(柿澤弘治君) 私どももそういう気持ちは持っておりますが、政府対政府ということになりますと、その点なかなか難しい問題があろうかと思います。
 国内に半強制的に連行されて犠牲になった中国の方々もいらっしゃると同時に、日本軍の中国に対する侵攻の中で中国本土で犠牲になった方々もいらっしゃる、その辺について一体どう考えるべきなのか。また、中国以外でも我が国は太平洋戦争の過程でいろいろな形で各国に犠牲を強いる結果になっているわけでございますので、そうした点を考えますと、政府が関与した形での補償というのはなかなか言うはやすく難しいのではないかというふうに考えておりますので、先ほど来申し上げておりますように、民間の皆さんの善意による御努力というのが行われることが望ましいと思っております。
 これは韓国の従軍慰安婦の皆さんに対する措置についても政府が苦慮しているところでございまして、これは何とか誠意ある対応をしたいと思いながら、どこまでで線を引くかという点その他いろいろ難しい問題があるということはぜひ御理解をいただきたいと思っておるわけでございまして、何とか我が国として終戦五十年の機会に未来志向型の施策の中でそうしたことができないかということを検討させていただいているわけでございます。
#97
○清水澄子君 大臣、日本の外交の中で、最近特に戦後補償の問題、戦後処理の問題で未来志向という言葉を盛んにお使いになるんですけれども、被害を受けた国の方が未来志向でいきましょうとおっしゃってくださることは私は大変感謝しだいです。だけれども、過去を清算しなければならない立場の者は未来志向のためにこそ過去をきちんと見直さなければいけない、そこの整理をきちんとしなければいけないという意味で、過去の問題についてやはり私たちが真心を持って整理したい、清算したいという思いで私は申し上げておりますので、未来志向という言葉を盛んに加害の国の方がおっしゃると、これは国際的にも余りいい影響を持たないわけですので、今後気をつけていただきたいと思います。
#98
○国務大臣(柿澤弘治君) その点ではそういう発言について注意をいたしますが、未来志向と申し上げているのは、犠牲を受けた方々に対する補償という形でなく次の世代の、例えば中国の方々、青年の交流に対して日本がお手伝いをするとか、韓国の青年の方々に対する交流やさまざまな点についてお手伝いをするというようなことで考えていったらどうかという意味でございます。その点だけ御了解をいただきたいと思います。
#99
○清水澄子君 次に、従軍慰安婦の問題に入りたいわけですけれども、政府は、昨年の八月四日に慰安婦関係調査結果発表に関する内閣官房長官談話というのを発表されました。
 この談話は、従軍慰安婦問題に対する政府の基本理念をあらわしたものだと私どもは認識しておりますけれども、そのように理解してよろしいでしょうか。そして、これは羽田内閣においても変わりがないのかどうか、その点をお尋ねします。
#100
○説明員(田中耕太郎君) 今、先生御指摘の昨年八月四日の官房長官談話でございますが、これは平成三年十二月から政府として調査を行ってまいりました結果をまとめて公表させていただいたわけでございますけれども、その際に、当時の内閣官房長官の方から、その調査結果の概要とそれから政府としてのおわびと反省の気持ちを申し上げられたというものでございまして、これが当時の政府の考え方であったというふうに御理解をいただいて差し支えないと考えております。
 それから、後段のお尋ねでございますけれども、この問題に取り組む姿勢につきましては、当時の内閣それから現在の内閣、基本的に変わっておらないというふうに承知をいたしております。
#101
○清水澄子君 では、昨年の八月四日から今日まで一年近くになろうとするんですが、どのような具体的な施策を講じてこられたんでしょうか。
#102
○説明員(田中耕太郎君) 大きく分けますと二つあろうかと思いますが、最初は調査の関係でございます。
 調査の関係は、今まさに申し上げました八月の時点で、それまでの政府として各省庁に協力いただいて広範に行ってまいりました調査結果を一つに取りまとめて発表させていただいたわけでございます。
 ただ、その後においても新たな資料等が発見されればこれについてはまとめて公表するということでやってきておりまして、例えば昨年の十月に韓国に対しまして、朝鮮半島出身の軍人軍属の方々の名簿を引き渡すという作業を行っている過程で関連する記載が発見されたということで、その調査結果を発表させていただいたところでございます。
 それから、二つ目のいわゆる従軍慰安婦の方々
 へのおわびと反省の気持ちを我が国としていかにあらわすかという点でございますけれども、この点につきましては、この発表以降、外務省を中心として政府部内で検討を重ねて今日に至っておるところでございます。
#103
○清水澄子君 それでは、外政審議室は調査にとどまるわけですね。
 何か新しいものが見つかったらとおっしゃいますけれども、国会図書館の中でこういうものに関係するものを見ましたら七千冊ありました。その中でも特に慰安婦の記述のところは少なくなってきましたけれども、でも、そういう積極的な調査はなさっていないんじゃないですか。
 それとまた、フィリピンやインドネシア、そういうところは今度は占領下においての問題ですから、新たな問題として調査をされる必要があるし、現地へ行かれる必要があると私は思いますが、その点ほどういうお考えでしょうか。
#104
○説明員(田中耕太郎君) 調査につきましては、今の先生のような御指摘もあるわけでございますけれども、私どもとしては、平成三年からずっと行っておりました調査結果を一つの取りまとめということで全体像を昨年の八月にお示しをしたわけでございまして、この全体については一つの全体像をお示しできたのではないかというふうに考えております。
 ただ、事柄の性格上、先ほど申し上げましたように政府の中からも発表されておりますし、それから先生その都度御指摘をいただいてきておりますけれども、関係の民間の研究の方々からの研究発表その他の調査結果等もいただいておりますので、こういったものについては引き続き政府として関心を払っていくということで対応してきておるところでございます。
#105
○清水澄子君 本当に調査をされるならば歴史の究明とか真相の究明ということが大きなテーマに、未来志向という中にはそれがあるわけですから、ぜひひとつそれは調査を再度される、検討するということをお願いしたいと思います。
 次に、この対応については外務省で検討されているということでございますのでお尋ねします。
 さきの内閣官房長官談話には、いろいろ調査をした結果、それから慰安婦にされた御本人と会って聞き取りをした結果、慰安所における生活は強制的な状況にあった、そして慰安婦の募集についても総じて本人の意思に反して行われたということを認めておられます。そういう慰安婦の強制性について認めていらっしゃるわけですが、このことは、日本が当時批准しておりました国際法、特にILOの強制労働二関スル条約というのがあるわけですが、この国際法に照らして違法な状況に置かれていたということを政府はお認めになるでしょうか。
#106
○政府委員(丹波實君) 先生がおっしゃっておられるILO第二十九号条約というのを確かに日本は一九三二年に批准しております。
 この条約の目的は、先生おっしゃるとおり、一言で申し上げますと強制労働を廃止することが目的になっておるわけでございます。他方、この条約では、第二条におきまして、条約にいうところの強制労働というものの中には、戦争の場合あるいはその他いろいろな事情がある場合にはそれは含まれないということが書かれておりまして、まさに戦争の場合等にはこの条約は適用されないという規定があるものですから、にわかに条約違反ということを議論できるのかなという感じを持っております。それにつけ加えましてもう一つ、先ほどから問題になっております請求権の放棄の対象になるわけでございます。
 いずれにいたしましても、そういう法的な問題は別といたしましても、日本政府としては、この問題についておわびと反省の気持ちをどのようにあらわすかということで、できるだけ早くこの検討を進めているということは御承知のとおりだろうと思います。
#107
○清水澄子君 では、この条約は、私人の企業については、私人などによる強制労働というのは絶対だめだということを言っているんですけれども、その関係はどうなりますか。
 それから、戦争状態でやったときは国家がやったということになるわけですので、やっぱりその範囲に入るということですね。
#108
○政府委員(丹波實君) 先ほど申し上げた第二条の2の(d)でございますが、「戦争ノ場合」「及一般ニ住民ノ全部又八一部ノ生存又ハ幸福ヲ危殆ナラシムル一切ノ事情二於テ強要セラルル労務」のことを言っておるということでございますので、先生のおっしゃっておられる問題もこの中に入ってきてしまうんじゃないかというふうに考える次第でございます。
#109
○清水澄子君 本人の意思に反して行われたということは、やはり強制的であったと認識していいですね。
#110
○政府委員(丹波實君) それは、官房長官談話の中での表現は強制性というものは認めている次第だと思います。
#111
○清水澄子君 それでしたら、本人の意思に反して行われた元慰安婦の人たちに対して、政府はどのようにその人たちの人権、それから名誉を回復なさるおつもりでしょうか。
#112
○政府委員(柳井俊二君) この従軍慰安婦の問題につきましては、問題の性格等にかんがみまして、昨年の官房長官談話に基づきまして我が国としてそこにもございますようにおわびと反省の気持ちをどのようにあらわすかということについて検討してまいったわけでございます。昨年の官房長官談話から先ほども御指摘がございましたようにかなりの時間がたっていることでもございますので、できるだけ早く結論を出すべく現在鋭意調整を政府部内で行っているところでございます。
 ただ、今日の時点ではまだこの調整を終了しておりませんので、この時点で具体的な措置について申し上げる段階に至っておりませんことは残念でございます。調整がつき次第、できるだけ早く調整を終了したいと思っておりますが、これが終了次第発表いたしたいと考えております。
 ただその際に、これも先生よく御承知の点でございますけれども、これまでに我が国が行ってまいりました賠償でございますとかあるいは財産請求権の問題についての処理というようなこと、そういうこれまでの対応等も考慮に入れたものにならざるを得ない。言いかえますと、これまで我が国として誠意を持って行ってまいりましたそういう問題の処理の枠組みを覆すようなものにはならないということは申し上げておきたいと思います。
#113
○清水澄子君 もう少しはっきり言ってくださる方がわかりいいんですよね。個人の補償はいたしませんということですか。
#114
○政府委員(柳井俊二君) はっきり申し上げればそういうことでございます。
 国家間の条約によりまして請求権あるいは賠償という問題の処理として処理済みの問題につきまして、個人に対する補償を行うということはできない次第でございます。
#115
○清水澄子君 では、最近非常に新聞紙上に「アジア交流センター設置へ」とか、新聞にいろんな報道が出ておりますね。政府は、中国、韓国、東南アジア諸国とのアジア交流センターを国際交流基金内に設置をして、そして青年や留学生の交流を中心に過去の歴史究明などを行う構想を立てている、そしてそれが元慰安婦の補償にかわる措置としてやるんだという、こういう報道が最近盛んに出てきているわけですけれども、これらと今おっしゃっていることとは一つのことですか。
#116
○政府委員(柳井俊二君) 私もただいま御指摘の報道を見たことがございます。ただ来年の戦後五十周年という一つの節目を迎えまして、これに向けて我が国としてどのように対応していくかということにつきまして検討をしていきたいと考えておりますが、外務省の関係の特殊法人でございます国際交流基金といたしましても、文化交流の促進という観点からいかなる事業ができるかということにつきまして種々検討をしているというふうに承知をいたしております。
 しかしながら、ただいま言及されましたアジア交流センターの設置というような報道された構想等につきましては、いまだ何ら具体策が決まったわけではないというふうに聞いております。
#117
○清水澄子君 具体策が最終的にはまだ調整はできないけれども、これら報道されているもろもろはすべて承知しているということですね。
#118
○政府委員(柳井俊二君) 私が承知しておりますのは、そういう報道があったということと、それから国際交流基金におきまして種々検討をしているということは聞いておりますけれども、具体的な構想についてはまだ承知していないということでございます。
#119
○清水澄子君 それはいつごろをめどにしていらっしゃいますか、その調整が終わるというのは。
#120
○政府委員(柳井俊二君) 政府部内の調整につきましては、先ほども申し上げましたように昨年の官房長官談話から相当日時がたっておりますので、そういうことも勘案しながらできるだけ早く調整を終えたいと思っております。まだ具体的に何月何日とまで申し上げられないのは残念でございますけれども、鋭意、最大限の努力を行っていきたいと思っております。
#121
○清水澄子君 私は今、政府の姿勢というのは、この新聞紙上に出ているような、いわゆるアジア交流センターというふうな、ここに書かれているようなそういう構想にあるんだということをここではっきり私は読み取りますけれども、そうであるならばこれは全くこれまで元慰安婦の皆様方が主張し要求してこられたその問題を全部すりかえておられるんじゃないか、このように受けとめます。
 そして、今までここまで調査をなされてきて、ここではっきりこの慰安婦の人たちの人間的尊厳を傷つけたということを明確に談話で発表されていながら、その人たちの個人としての人権とか名誉回復というのはそれらの構想とどのように結びついていくんですか。私なんか全然それが見えないんですね。結びついていないと思うんですけれども、その辺はこういうふうに結びつけていくんだというふうなことについて、ぜひお答えいただきたいと思います。
#122
○政府委員(柳井俊二君) 先ほども申し上げましたように、我が国としてのおわびと反省の気持ちをどのようにあらわすかということにつきましては、現在調整の終了を急いでいるわけでございます。
 したがいまして、この時点で具体的なことを申し上げられないのはまことに残念でございますが、先ほどもちょっと触れましたように、この検討に当たりましては、一つは我が国がこれまでに行ってまいりました賠償でございますとかあるいは財産請求権の問題の処理、それからさらに自国の、韓国の場合でございますけれども、自国の元慰安婦の方々に対しまして韓国政府として直接的な支援を行い、我が国に対しまして物質的な補償を求めないという韓国政府の方針等もございますので、そういったもろもろの状況を踏まえまして、こういう悲劇を二度と繰り返さないという観点からいかなる措置が適当であるかということで検討をしているところでございます。
#123
○清水澄子君 これは韓国政府から要求が起きてきたことではないんですね。慰安婦にされた人たちの個人の要求が起きてきた。反省とか謝罪を主張してこられたんですね。ですから、そういう今までのような政府の考え方を貫かれれば、やはりこの問題は、私は元慰安婦の方を含めてそういう気持ちを持っている多くのアジアの人々たちにとってこれは絶対納得されないと思うんです。今後これでもって何か八月四日を目指していらっしゃるんじゃないかなと私は思うんですが、そういう姑息なやり方をされても問題は残ってしまう、そのことを私は非常に懸念をいたします。
 そこで、これまで政府は、今もそうお答えになっているんですけれども、サンフランシスコ講和条約とか日韓基本条約などの経緯から個人に関して国家としての外交保護権を放棄されているということを再三主張しておられます。しかし、個人のレベルでは戦争行為による犠牲に対する補償問題は従軍慰安婦問題に限らず数多く残されているし、また今現実に数多くいろんな方々の要求や声が沸き起こっているわけですね。ですから、私はとりわけこの慰安婦問題についてきょうは質問をしているわけですけれども、昨年の官房長官の談話に見られますように、私は十分満足することはできなくてもやはりあの中では強制性を認められているわけです。そうであるならば、いろんな今までの政府がとってきた形式があったとしてもそれらにこだわらないで、既に今高齢に達しているそういう元慰安婦の方々に直接的に手が届く、私たちのおわびの心が伝わる、そういうことをなぜ実行できないのか。
 談話の中にも今後有識者やいろんな関係者と相談していきたいと。私は、その有識者というのはこの国際文化交流に関する懇談会のこういうメンバーのごとではないと思いますよ。政府がそういう人たちを有識者と言うんだったら、実際にやっている人たちとかNGOの人とか、当事者の皆さんをすっぽかしてそういうことをやられれば何にもそれは心に伝わらないわけですね。ですから、この問題に真剣に取り組んでいるいろんなそういう人々というのは、やはり日本の過去の歴史を何とかきちんと清算したいという、そういう道義的な気持ちで、そしてそれは、今後とも世界、アジアに対しても日本が道義に照らして恥ずかしくない対応をしたいという思いで取り組んでいるわけですので、そういう人々、関係者を交えて、やはりだれが見ても納得できる方法を見出すためにお互いに知恵を出し合う今時期だと私は思っております。
 ですから、そのためにお互いにもっと検討する機会を持つべきだと私は提案をしたいんですけれども、そのことについてどうお考えになりますか。
#124
○政府委員(柳井俊二君) ただいま清水先生から御提言ございましたように、この問題につきましては、有識者の御意見も伺いながら最終的には決めていきたいというふうに考えております。この点は昨年の官房長官談話の中でももう既に触れているところでございます。
#125
○清水澄子君 来年は本当に敗戦五十年、これはアジア各国ではむしろ解放五十年と言うかもしれません。そういう意味では非常に歴史的な節目にあるわけですけれども、それらについて、何かこれも新聞にいろんなことが出てくるんですが、一体政府は何を具体的に構想していらっしゃるのか。
#126
○政府委員(柳井俊二君) これは御指摘のとおり、戦後五十周年、一つの節目の年でございますので、政府といたしましては、過去の歴史を直視いたしますとともに、またさらに諸外国との間で未来に向けた関係を構築していくということのために、引き続き努力することが重要だというふうに考えております。
 そこで、このような節目を迎えるに当たりまして、外務省として具体的にどのような事業を行っていくことが適当かということにつきましては、現在野にいろいろと検討をしておるところでございまして、まだ若干時間もございますので、さらに検討を深めて具体的な施策を見出していきたいというふうに考えております。
#127
○清水澄子君 最後に、私は大臣にお尋ねいたします。
 私は、これからは本当に新しいアジアの時代、それから新しい二十一世紀を迎える、そういうときに日本はやはり過去への取り組みは明確な態度を打ち出さなければならないと思っております。しかし、政府は個人補償をする意思を全くお持ちにならないわけですが、来年は第二次世界大戦敗戦後五十周年、そのときにもやはりこのままでは戦後補償は終わらないということになると私は思います。国家間の戦後処理は外交的に幾ら終わったとおっしゃっても、それぞれ人々の心、人々の気持ちの中に、また個人の犠牲者の人たちが何ら納得をしないという中で五十年というのを終えても、私たちはずっと永遠にこの大きな傷を負って歩まなきゃならなくなると私は思います。
 ですから、これまでの国家間を中心として行われた戦後処理政策を改めて個人補償を中心とした戦後補償への政策に転換する、そして今までの考え方をやはり戦後五十周年というこの半世紀を迎えるときにもう一度見直す、そういう戦後処理政策の転換を私は大臣に強く求めたいと思いますけれども、大臣ひとつその決意をお述べいただきたいと思います。
#128
○国務大臣(柿澤弘治君) 戦後五十周年につきまして、過去の我が国が引き起こしたさまざまな行為による犠牲者の皆さんに対して、改めて心から遺憾の意を表明すると同時に、我が国としてそれに対して誠意ある対応をするということは清水先生御指摘のとおりだと思います。
 ただ、法的な枠組みといたしましては、戦後処理の問題については我が国は、サンフランシスコ平和条約、そして二国間の平和条約、またその他の関連の条約等に従いまして誠実に履行をしてきているところでございます。その意味で、今個人補償というお話がございましたが、その場合に、人的物的な損害を与えたとの方々を、一体どこまでをその対象にするのか等、これはもう考えただけでもなかなか難しい問題が多々あるわけでございまして、ドイツのように例えばユダヤ人に対する補償というような形の簡単なものではない。その点が、私どもとしては個人補償というのはなかなか法的な枠組みとしてはとりにくいのではないかというふうに考えているところもぜひ御理解を賜り、政府としてもできる限りそうした過去の経験を忘れることなく、未来の平和をつくるために努力をするという方向で生かすということで、近隣諸国の御理解をいただき、そして本当に近隣諸国との間で信頼関係、友情関係で結ばれるような関係をつくっていきたいと思っております。
#129
○清水澄子君 終わります。
#130
○委員長(井上章平君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時四十分に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十八分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時四分開会
#131
○委員長(井上章平君) ただいまから外務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、平成六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、外務省所管を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#132
○猪木寛至君 大分時間が迫ってきたので、ちょっとはしょってお話しをさせてもらいます。
 私は、先週十五日から五日間、ちょっと時間をいただきましてロシアの方へ視察を兼ねて、もう一つはボルガを救う会という会議がありまして出席してまいりました。この何年間かロシアを見てきて、また急激に変化をしているということで大変驚きました。もう一つは、ボルガの汚染の状態というのは、学者さんあるいは法律家、いろんな方が出席されまして報告がありましたが、救いようがないような状況ではないかなと。
 先ほども幾つか同僚議員から意見がありましたが、そんな状況で、一つは今回、クレムリンの中でエリツィンさんの側近中の側近と言われるタラピシチェワ氏と会見できたんです。外務省としてもこの方が出てきたということで大変喜ばれたようなんですが、一時間半ほどいろいろ話をさせてもらいました。きょうは時間がないので報告だけなんですが、今、日朝の関係も大変緊張しておりますし、同時に日ロ関係もこれから大変大事な部分だろうと思います。
 そういうことで、もうちょっといろんな交流を高めていこうということで結論に達したんですが、ちょうど赤の広場で、川の名前は忘れましたがアメリカ軍とそれからソ連軍があの戦争で勝利したときに合流した記念式典がありまして、バスケットボールをやっておりました。赤の広場に特設リングというか特設のコートをつくりまして、市民が相当赤の広場に入りまして、大変友好的ないいイベントではないかなと。そこで、来年はひとつ日本側も日ロのイベントをやろうじゃないかと。ちょうど同席されました東郷公使も、相撲を持っていったらどうでしょうかなんという提案がありました。そんなことで、来年はひとつ何か企画をしたいと思いまして、外務省の方にも御理解をいただきたいと思います。
 そこで最後に、今の情勢について、この大統領特別顧問はこれから大変重要な方じゃないかなと思いますので、その部分だけ御意見をお伺いして終わりにしたいと思います。
#133
○国務大臣(柿澤弘治君) 先般、猪木先生がロシアを訪問されましてタラピシチェワ大統領顧問と会談されたということは、私どもも在日大使館から御報告を受けております。そして、今お話しのありましたように、さまざまな分野でロシアと日本の交流を図っていくことは、今後の日ロ関係の発展、正常化のためにも大変有益なことだと思っております。
 幸いにも、ロシアにおきましては、大統領と議会の間で政治休戦を意図した社会的な合意というものも策定されているようでございます。経済の方もようやく落ちついてまいりました。その点で、今後、エリツィン大統領が来日したときの日ロ共同宣言に従って領土問題の解決、そして平和条約へと進んでいくことを期待いたしております。
#134
○猪木寛至君 もう一点だけ。
 今ロシアは大変日が長いというか、十一時ぐらいになってもまだ明るいということで、たまたま大使館の方を訪問いたしましたらまだ十時、十一時でも仕事をやっておりました。環境が余りよくない。在外公館はロシアで大変一生懸命にやられている方にとっteはいい仕事場ではないなと率直に感じましたので、何か新しい大使館の構想もあるようですが、ぜひその辺を早急に実現できるようにお願いいたしまして、終わりにいたします。
#135
○政府委員(野村一成君) ただいま先生御指摘のように大使館、特に事務所の関係につきましては長年来何とかしないといけないというふうに思っている次第でございまして、各方面の御協力を得ましてできるだけ早い機会に具体的に改善の措置をとってまいりたい、そういうふうに考えております。御理解ありがとうございます。
#136
○猪木寛至君 終わります。
#137
○武田邦太郎君 最近、国際紛争に対処するのに国連中心主義で対処する、しかし憲法の範囲内においてと、こういうことがよく言われますが、国連憲章では国際紛争を処理するのに軍事力を許容しております。日本国憲法では軍事力は使わないと、こういう建前になっておりますから、そこに慎重に整理すべき問題があるではないかということで大臣のお考えを伺いたいと思います。
 東洋古来の政治哲学によりますと、政治に二つの大きな要素があって、一つは高い平和モラルであると、一つは軍事力だと。政治はこの二つを欠くことはできないんだけれども、高い平和モラルにウエートを置く行き方が王道、軍事力にウエートを置けばこれは覇道である、こういうふうになっております。これはどちらがいいかということは、その時と場合によって違うと思いますけれども、最近の国連の対処した、例えばソマリアなどは失敗ですね。旧ユーゴもどうも成功になりそうもない。そういう考え方からいえばカンボジアだって成功したと言えるかどうか。こういうことが国連のややもすると武力を発動しからの姿勢と全く関係はないのかということになりますと、私はそこに日本国憲法が国際紛争を処理するに当たって持っているプリンシプルの深い価値を認めていいではないかというふうに考えるのであります。
 この地球上では、今、戦争が起きそうな条件は至るところにありますけれども、その基本的な原因は、例えば人権の侵害でありますとか、貧困でありますとか、飢餓でありますとか、教育の欠如でありますとか、あるいは環境条件の悪化、こういうようなことが重なり合って各地に戦争の起こる要因を形成している。
 こういうことに対して日本国憲法は、ただ戦争放棄ということにとどまらず戦争の起きるこれらの要因に積極的に対処すべきことを日本に要求しているわけでありますけれども、これは現在日本だけにとどまらず、この地球世界における民族的な動乱、国際紛争に対処する場合においても全人類的に深く掘り下げるべき価値を持っているではないか、こういうふうに思うんでありますが、大臣のお考えを伺います。
#138
○国務大臣(柿澤弘治君) 我が国は、先生御指摘のように国連中心主義といいますか、国連を重視した外交を展開してきておりますが、同時に憲法に基づく、平和主義に基づいての国連への参加、協力ということを基本にいたしております。その意味で、武田先生御指摘のように紛争を解決する手段は軍事力だけではございません。むしろ、まず紛争が発生しないように未然に予防するということが一番大事なことであろうかと思います。
 その意味では、我が国が行っております経済援助、ODA等は、今、日本はODA供与国としてはナンバーワンになっておりますけれども、南北格差の是正、そして貧困の撲滅のために大いに貢献をしているものと思っております。
 それから、環境の悪化についても言及されましたが、日本のODAの中で環境援助というものをふやしていって地球環境の保全のために、これも日本として主導的な役割を果たせる分野ではないかと思います。
 また、軍縮の分野でも広島における軍縮会議等を主宰する等、国連の活動に積極的に関与いたしておりますし、さらには難民に対する対応としての国連機関であるUNHCRは、日本の緒方貞子さんが高等弁務官として大変な指導力を発揮していらっしゃる。
 そういうことで私は、日本の憲法のもとで国連に対しても十分な貢献ができる、武田先生の御指摘のような方針で貢献ができると思っております。
 それからPKOにつきましても、ガリ事務総長の提案しましたアジェンダ・フォー・ピースの中では平和執行部隊的なものを提案されまして、それがユーゴ、ソマリア等で一部実行されたような形になっておりますが、これはなかなか思うようにいかない。今、国連の中でも反省が出てきていると思います。そうした中では、カンボジアは明石康代表による粘り強い交渉という、ある意味では東洋的なやり方が成功した、PKO活動の中では一つの成功例と、こういうことになっておりまして、これも武田先生御指摘の東洋哲学というか、そういうものが国際平和に貢献している一例ではないかと思っております。
#139
○武田邦太郎君 その方向で行かれることを祈っておりますが、私どもは必ずしも安心できない状況ではないかというふうに思っております。
 そこで、近い将来における日本の世界政策的な問題を考えますと、中国は今、経済が非常に発展しておりまして、国家経済のスケールからいえば今世紀中に世界第一位になるだろうという見解もございますが、その巨大になりつつある経済力を持って中国は軍拡に最も熱心な国であります。この勢いでいきますと、二十一世紀のもう初頭、十年になるかならないかぐらいの間に中国とアメリカが核兵器を持って太平洋を挟んでにらみ合う、こういう状況が起こらないとは限らない。
 こういう状況に対処して日本はどういう姿勢を持てばいいのか。やはり私は、戦争放棄の姿勢を持って、何とかしてアメリカと中国とが心を同じくしてお互いに信頼し合えるフェアな関係を実現するように、今のところではクリントン政権は中国の巨大なマーケットを期待していささか中国寄りの姿勢を示しておりますけれども、お互いにお互いを許してはいない、警戒しているということは間違いないところでありまして、こういう状況は日本にとって最も好ましからざる状況であると思いますので、こういう状況を展望すれば、現在の日米安保だけでは解決できない国際問題がそこにある。
 日中米安全保障条約のようなものは全く空想なのか、可能性があるのか。両国の間に危機が迫れば迫るほど可能性があるのではないか。あるいはこれは朝鮮半島におきましても、かつて苛烈な総督政治によって弾圧した隣人である我々が、南北心から平和的に一体化してくれ、こういう叫びを両方に呼びかける、こういう姿勢は少なくとも表面化しておりません。こういう状況はやはり同じ精神を持って、この日中米の安全保障条約を何とかして推進する同じ精神を持って、南北朝鮮なり、できればロシアをも包容して不可侵条約くらいは結ぶ、こういう世界政策的な展開は現実性を持っていないのか。こういうことについて、若い国際政治家として大いに成長していただきたい大臣のお考えを伺います。
#140
○国務大臣(柿澤弘治君) 励ましのお言葉、ありがとうございます。
 この七月には、初めてアジアにおける安全保障の問題を話し合うアジア地域フォーラムというのが開催されることになっておりまして、ここでは中国も日本も韓国もASEAN諸国も含めて、これからのそれぞれの持っている防衛力、軍事力の透明性を高める、そして信頼感を醸成するということで努力をすることになっております。
 御承知のとおり、ヨーロッパには北大西洋条約その他の機構がございますが、アジアにおいてはその国々の社会制度、政治制度、また発展段階等いろいろな差異がありまして、ヨーロッパと同じような仕組みをつくることは一足飛びにはできないと思いますが、まず対話を強化する、そしてそれぞれの軍事力の透明度を高めていく、そして信頼感を醸成するというところから着実にスタートをしようというふうに考えておりますので、そこにはアメリカもロシアも参加をすることになっております。また、APECの場でもアメリカと、この間はアメリカのシアトルに江沢民主席がいらっしゃって、クリントン大統領とともに語り合うということが実現しているわけでございます。何とかアジア・太平洋でそうした形の信頼感を醸成していくために、日本としても積極的な役割を果たしていきたい、こういうふうに思っております。
#141
○武田邦太郎君 最後にお伺いします。
 今おっしゃったことは、歴史の動向として非常に好ましい方向に動いていることは間違いないと思いますけれども、先ほど申しました東洋の政治的な考え方で高い平和モラルを主体にするという意味においては、まだ十分ならざるものがある。言いかえてみれば、日本国憲法はその王道の極致をいくものだという確信を日本の政府及び国民が十分に持って、戦争放棄以外には人類の本当の安全はない、これから先、途上国がどんどん核兵器を持つ可能性を持っているわけでありますから、そういう時代においては戦争放棄以外には安全はないということをまずあらゆる国際会議の前提に置いて、幸いにして唯一の戦争放棄の憲法を持っている国でありますから、これが人類の次の時代のあけぼのの最大の羅針盤だということを常に確信を持って前進していただきたい、こう思います。
 終わります。
#142
○立木洋君 私は、いわゆる北朝鮮の制裁問題をめぐって、その根拠に関する若干の問題をまず最初にお尋ねしたいと思います。
 これはもう既に明らかになっておりますように、九二年の一月に北朝鮮がIAEAとの間で保障措置協定を締結して、五月以降IAEAによって特定査察が行われた。ところが、これが北朝鮮の申告との間で食い違いがあって疑惑が生じたというふうな形で、IAEAの方が特別査察を求めるということになったわけですれ。これを北朝鮮が拒否すると言って一年数カ月、この問題が極めて深刻な問題として議論されてきている経過にあると思うんです。
 それで、まずこの特別査察の問題なんですが、査察を行う場合には、特定査察の場合には北朝鮮が申告した施設に対して査察を行う、ところが特別査察というのは申告をしていない施設に対して、どうしても査察する必要があるというIAEAの要望に基づいて査察を行うかどうかということが問題になるわけですが、北朝鮮とIAEAの間で結ばれたこの保障措置協定を見てみますと、七十三条で特別査察がどういうものかということが規定されております。そして同時に、七十七条で特別査察がどのようにして行われるかという問題が規定されておりますが、その七十七条の(b)項に、北朝鮮との合意によりと書いてあるわけですね。特別査察を行うのは北朝鮮との合意によって行われるんだと。だから、七十七条の規定どおり文言をとらえるならば、相手国が合意をしないという場合にはこの特別査察が行われなくなると。
 今問題になっているのは、特別査察を要望しているにもかかわらず、それを受け入れないのはけしからぬという形で問題になっていますが、これまでの経過で明らかなように、この特別査察は一方的な強制や押しつけは容認されていないというふうにも議論になってきているところであるわけですから、この特別査察に当事国が合意しないで拒否した場合、これが特別査察に合意しないということが直ちに違反になるのかどうか、この点について、まず見解をお伺いしたい。
#143
○政府委員(林暘君) 今、立木先生御指摘のとおり、七十七条の(b)におきましては、特別査察は北朝鮮との合意により実施されるというふうに規定をされております。
 ただ、その一番末尾に、北朝鮮政府の措置が不可欠かつ緊急である場合には、十八条の規定が適用されるという規定がございまして、十八条におきましては、北朝鮮政府の措置が不可欠かつ緊急であると決定する場合には、理事会は、北朝鮮政府に対して遅滞なく必要な措置をとるかどうかを要求することができるという規定がございまして、これに基づきましてIAEAの理事会は二度その決定を行い、かつ要求をいたしました。
 そういうものを踏まえまして、これは昨年の二月と三月にそういう決定が行われているわけでございますが、そういうものにもかかわらず、北朝鮮が特別査察の要求に応じなかったために、理事会は四月一日の決議で保障措置協定に北朝鮮が違反しているという認定をしたわけでございます。
#144
○立木洋君 だから、特別査察を合意しないで拒否したということから直ちに違反だということにはならないという前段はいいですね。
#145
○政府委員(林暘君) 特別査察が一義的には当該政府との合意によって実施されるべきものであるという点は、そのとおりでございます。
#146
○立木洋君 それで、IAEAのブリックス事務局長がこれは査察が不可能になったと、だからこれで核物質に移転されるかどうかという問題については確認できなくなったという結論を出した文書をこの事務局長が送ったのは六月一日ですね。その文書を送るのに当たって、そのことを確認する理事会はいつ開かれたんでしょうか、IAEAの。
#147
○政府委員(林暘君) ブリックス事務局長が国連事務総長にあてた書簡は六月二日付になっておりますが、事務局長が言いましたことのIAEAの理事会における決定がいつの決定であるかということでございますが、今ちょっと文書を見ておりますが、理事会の決定の日付というのがこれにはリファーをされて……
#148
○立木洋君 ないんですよ。
#149
○政府委員(林暘君) ないように思います。
#150
○立木洋君 これは非常に重要な決定なんですよ。つまり、IAEAの理事会でもう核物質の移転が確認できなくなったという結論を出すかどうかというのは、極めて決定的な結論なんですよ。それが国連に報告されて初めて国連で取り上げて、どうするかという問題になったわけですね。
 ところが、この問題は、御承知のように、このIAEAの憲章をごらんになっていただいたらおわかりのように、査察員から事務局長は報告を受けるわけです。そして報告を受けたらその報告を理事会に伝達する責任があるんです、IAEAの事務局長は。そして理事会に伝達して、理事会として協議して、それがさらに国連に報告されるということになっているわけですが、この報告を国連に事務局長が行った以前に理事会が行われたという形跡は全くないんですが、どうなんですか。
#151
○政府委員(林暘君) 先ほどもちょっと御説明申し上げましたように、これまで北朝鮮がとっておりました行動が保障措置協定との関係で違反であると、したがってそれに基づいて、これは保障措置協定の十九条、IAEA憲章の十二条でございますが、それに基づきます安保理事会への報告というのは、これは昨年のIAEAの理事会の決定でも行われておりますし、昨年のIAEAの総会のときのあれでも行われておりますし、そういう意味で北朝鮮の行動というものについて安保理事会に報告するということについての決定は、過去に既にIAEAでなされております。
#152
○立木洋君 この問題については、そういう形でもう核物質の移転が確認できなくなった、これは決定的な結論なんですよ。この決定的な結論を理事会での協議を経ないで国連に事務局長がなぜ急いでやったのか。理事会を開いているのは六月十日なんです、IAEAの理事会を開いているのは。そこで確認されているんです。ところが、その前になぜやらなかったのか、なぜ数日間を急いで事務局長はその重大な決定を事務局長の判断で行ったのか。
 このIAEAの機関というのは、もともと中立的、純粋に技術的な機関であって、中立的に守らなければならない内容なんです。それを守らないで、どこかの圧力によって理事会の十分な討議もしないでこういう重大な結論を出すという形で国連に報告されたとしたならば、一体これはどういうふうに判断したらいいのか。外務大臣、どう考えますか、これ。そんなことまで明確にしなくて制裁が起こったら、これはもう全部正当に順調に進められているようなことを前提にして問題を進めるなんというのは、これは大問題ですよ。答えてください。
#153
○国務大臣(柿澤弘治君) 事務当局から答えさせますが、私はそのブリックス事務局長の国連事務総長あての書簡はIAEAの組織上適正に行われたものというふうに確信をいたしております。
 具体的にどういう手続であったかというのは、私も正確には承知をしておりません。
#154
○立木洋君 確信というのは事実から生まれるんです。今あなたは憶測で、私はそういうふうに行われているだろうと思う、ということである。事実が違っておったらあなたの確信なんか吹っ飛んでしまう。問題は事実を根拠にして言わなければならない。
 だから、この重大な決定をされるIAEAの国連への報告が理事会の協議を経ないで行われた。理事会で協議を行うことになっているんですから、憲章では。それがやられないでこんな重大な最終決定がなされたといったら、どこからかの圧力によってやられたとしか考えられないじゃないぞすか。純粋な中立的な機関ですよ、IAEAのこの憲章に基づいてやらなければならない。何ぼ調べたってだめなんですよ、やっておるのは六月十日にやっているんですから、理事会は。六月十日で追認しているんです。だから、事務局長が出した報告が後でおかしかったといってひっくり返すことができなくなって追認しているに過ぎないんですよ、六月十日の理事会は。六月十日に開かれているでしょう、IAEAで。確認できなくなったという、そこで結論が出ているじゃないですか。
#155
○政府委員(林暘君) ブリックス事務局長が六月二日付で国連の安保理の方に報告をいたしましたのは、これはまず一点として、五月三十日の安保理議長の声明に基づいて報告が要請されたということによるわけでございます。それに基づきまして、ブリックス事務局長がブリックス事務局長としての報告を、安保理ではなくてこれは国連の事務総長あてでございますけれども、そういう報告をしておりますし、今、立木先生御指摘のとおり、六月二日から開かれておりましたIAEA理事会の結果、六月十日付のIAEAの理事会で決定は受けておるわけでございます。
#156
○立木洋君 だから、このガリ事務総長にあてたブリックス事務局長の文書の報告は、理事会の協議を経てなんという文言はないでしょう。
 それで問題は、国際原子力機関憲章の十二条のC項をよく読んでいただいたらおわかりのように、事務局長は理事会に伝達をしなければならないということになっているわけで、そして伝達をしないでやるということはできないんですよ。しかも、これはただ単なる状況の報告じゃないんですよ。重大な最終的と至言えるような決定、IAEAの理事会が行わなければならない決定なんです。それが理事会の協議も経ないで、理事会がいわゆるこういう重大な決定は報告しなければならない、安保理に。理事会がになっているんですよ、事務局長がじゃないんです。
 こういう問題は私はいいかげんにしてもらうのは本当に困る、国際的な基本問題なんですから。原則が守られていなかったら堂々と日本政府は申し入れるべきですよ。何で国連憲章の規定に基づいて理事会も開かないでこういう重大な最終的な決定を視察員だけの報告に基づいて事務局長がやったのか、それがどうして正当性があるのか。
#157
○国務大臣(柿澤弘治君) 私は、確たることを申し上げられませんが、六月十日に追認をしているということであれば、そこには日本だけでなくロシアも中国もすべてのIAEAの理事国が参加をしていたわけでございますので、もし立木先生のおっしゃるように、それが適法でないということであれば、そこでいろいろな形で注文が出てしかるべきだと思いますが、それが了承されていてさらに制裁措置が決められているわけでございますから、私は先ほど申しましたように適正に行われたものと思っております。
#158
○立木洋君 これは後で柳井さんに伺わなければならない、六月三日にあなたは行かれているんだから。
 これは問題は、事務局長がそういう報告を出した。事務局長がIAEAで私はこういう報告をしたと言った場合に、事務局長の報告を根本から覆す議論をやるというのはこれは重大な問題になるんですよ、国際的にいえば。そうでしょう。その問題については追認をするといっても、その事態についていわゆる事務局長の問題を根本的に覆すかどうかという問題になるとこれは変わった問題が出てくるということを考えなければならない、これが一点です。
 それからもう一点は、それならなぜそういう理事会の協議を経て国連に報告しなければならない手続をしないで、先に事務局長がそういう重大な決定をした文書を出したのか。これはやっぱりルールからいえば間違っているルールなんですよ。適切ではないルールなんですよ。だから、このルールの誤りについてはなぜそうなったのか。結論がいいからいいじゃないかということでは済まされないんです。問題が一つの国の運営にしたってそうです。国際機関の運営にしたってそうです。ルールが正常に行われるかどうかということが物事が正しく進むかどうかの基本になるわけですから、そのルールが乱されるということ自身には問題があるんだという認識を大臣お持ちにならないといけないと思うんです。どうです。
#159
○政府委員(林暘君) 事実関係についてちょっと補足をさせていただきます。
 先ほど冒頭に御説明申し上げましたように、北朝鮮が保障措置との関係でとった行動が保障措置との関係で違反であるという決定は既に昨年行われておりましたわけでございまして、そういう意味で、ブリックス事務局長が二日付で送った書簡も違反の範囲が拡大しているということを述べているわけでございまして、ここで初めて違反の事実ということを安保理に報告したというものではございません。
 それから二点目は、これは安保理事会の方の議長声明その他によりましてブリックス事務局長に対して状況を報告するように要請をされておる。その要請に基づいてIAEAの事務局長たるブリックス事務局長が、五月に二名の査察官を寧辺に派遣して燃料棒の取りかえについて報告を受けたところを安保理に報告をしたということでございまして、そういう意味では、IAEAの事務局長が国連に報告いたしましたことは、決議に基づいてないということではなくて、安保理から要請されていることを事務局長が行ったということだと承知しております。
#160
○立木洋君 だから、さっき私が言った特別査察の問題については繰り返し問題になってきたわけです。つまり二つの施設について特別査察を認めるか認めないかという問題についてやってきたわけです。だから、その前に出されたのでは、七十三条、七十七条に違反しているんじゃないかというふうなことが既に問題になっていますよ、IAEAの理事会で。ところが、今度新しく問題になったのは、五月の下旬に起こって、いわゆる燃料棒を急いで取り出したために確認ができなくなったという新しい決定を出しているんですよ。
 五月の二十八日のときに、アメリカと北朝鮮との間での協議の中身はどうだったですか。北朝鮮側が問題を提起して、この問題についてはすべてのいわゆる査察の技術的な可能性が失われだということにはならない、私たちはこういう方法であればそれについてのまだ可能性は保存されていると言ったら、アメリカの側がその問題については大変な関心を示した。そしてその問題については、アメリカ側がそういう形でいわゆる査察が可能かどうか、専門家の意見も聞いて研究しましょうというふうになったのが五月二十八日の協議じゃないですか。その後出された結論なんです、確認ができないという。それをなぜ六月一日なり二日なり急いで結論を出してやらなければならなかったか。査察ができなくなったということの重大な決定をやったのはこのときじゃないですか。あれじゃないですよ、特別査察の問題とは違うんですよ。
#161
○政府委員(林暘君) 今、立木先生御指摘の燃料棒の交換について、それを選別、分離、収納するために残っていた機会が失われたという結論を下したということがブリックス事務局長の書簡に入っておるわけでございますが、お読みいただければわかりますように、保障措置協定の違反という事実がそこの点について生じだということは書いていないわけでございまして、ここで事務局長が言っておりますのは、査察官が見てきた結果、燃料棒の引き抜き行為においてIAEAの基準に基づく査察という機会が失われたという現場の報告を事務総長にしているわけでございます。したがって、そこのその事実が保障措置協定の違反であるとか違反でないかということはこの書簡においては言っていないと承知しております。
#162
○立木洋君 機会が失われたとの結論に達した、その後に何と書いてありますか。その次の次の次の段落の最後のところに、IAEAの保障措置では核物質の不転用を確認できないと結論づけているじゃないですか。
 それはだめですよ。このルールを違反したという問題は厳然として残っているんです。これはこういう結論が正当か正当でないかという問題とは別に、もう一つは、IAEAの検証に基づくルールによって最終的な重要な決定を理事会でするという、そのルールが乱されておるということは厳然たる事実なんですよ。これについて大臣はどういう立場をとられるのか明確にしていただきたい。それはだめですよ。事務当局の答弁だけじゃだめです。大臣、責任を持って答えてください。これが制裁の前提になっているんだから。
#163
○国務大臣(柿澤弘治君) 私は、今、事務当局から報告いたしましたように、この事務局長の国連の事務総長に対する書簡といいますか報告につきましては、適正に行われたものと思っております。もしそれが適正でないとすれば、先ほど申しましたように、その後の理事会もあるわけですから、そこで北朝鮮の友好国という形で比較的北朝鮮側の立場に立った発言をしていらっしゃる中国なりロシアがその点に注文をつけるはずでございますが、それがついていないということを見ても、この点については全理事国が理解をしているものと考えております。
#164
○立木洋君 納得いきません。
 もう時間がないので、これはしょうがない、ここであれしなければなりませんけれども、大臣、この問題について事実を明確に調べてこの委員会にはっきりとした報告をしていただきたい。いいですか。
#165
○国務大臣(柿澤弘治君) 後日、立木委員に御報告をさせていただきます。
#166
○立木洋君 では、もう仕方ありません。後段にまた質問を続けます。
#167
○委員長(井上章平君) 以上をもちまして、平成六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、外務省所管についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#168
○委員長(井上章平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#169
○委員長(井上章平君) 次に、千九百六十九年の油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約の議定書の締結について承認を求めるの件、千九百七十一年の油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約の議定書の締結について承認を求めるの件、千九百六十九年の油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約を改正する千九百九十二年の議定書の締結について承認を求めるの件、千九百七十一年の油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約を改正する千九百九十二年の議定書の締結について承認を求めるの件、以上四件を一括して議題といたします。
 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。柿澤外務大臣。
#170
○国務大臣(柿澤弘治君) ただいま議題となりました千九百六十九年の油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約の議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 この議定書は、昭和五十一年十一月にロンドンで開催された政府間海事協議機関の会議において作成されたものであります。
 この議定書は、油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約における船舶の所有者の責任の限度額をあらわす単位を金フランから国際通貨基金の定める特別引出権に改めることを内容とするものであります。
 我が国がこの議定書を締結することは、船舶の所有者の責任の限度額をあらわす単位を国際的に統一する見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、千九百七十一年の油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約の議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 この議定書は、昭和五十一年十一月にロンドンで開催された政府間海事協議機関の会議において作成されたものであります。
 この議定書は、油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約における国際基金による補償の額等をあらわす単位を金フランから国際通貨基金の定める特別引出権に改めることを内容とするものであります。
 我が国がこの議定書を締結することは、国際基金による補償の額等をあらわす単位を国際的に統一する見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、千九百六十九年の油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約を改正する千九百九十二年の議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 この議定書は、平成四年十一月にロンドンで開催された国際海事機関の会議において作成されたものであります。
 この議定書は、油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約の適用範囲を拡大し、及び同条約における船舶の所有者の責任の限度額を引き上げること等を内容とするものであります。
 我が国がこの議定書を締結することは、我が国における汚染損害の被害者の保護を一層充実させるとともに、我が国が世界有数のタンカー保有国である事実にかんがみ汚染損害に係る国際協力を一層推進する見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。
 最後に、千九百七十一年の油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約を改正する千九百九十二年の議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 この議定書は、平成四年十一月にロンドンで開催された国際海事機関の会議において作成されたものであります。
 この議定書は、油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約の適用範囲を拡大し、及び同条約における国際基金による補償の最高額を引き上げること等を内容とするものであります。
 我が国がこの議定書を締結することは、我が国における汚染損害の被害者の保護を一層充実させるとともに、我が国が世界有数のタンカー保有国及び石油輸入国である事実にかんがみ汚染損害に係る国際協力を一層推進する見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。
 以上四件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いを申し上げます。
#171
○委員長(井上章平君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより四件の質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#172
○笠原潤一君 私は、自民党の笠原潤一であります。
 ただいま議題となりました油濁関係条約四議定書について質問をしたいと思います。
 まず、この油濁損害についての民事責任に関する国際条約を改正する千九百九十二年の議定書について、六十九年条約第二条の改正によりまして、一応我が国の何といいますか、区域といいますか、それは具体的に河海里をいわゆる海域としておられるか、その点についてまず第一点お尋ねをしたいと思います。
#173
○説明員(東澤聰君) お答えいたします。
 現行の責任条約及び国際基金条約につきましては領海内十二海里という考え方でございます。このたび改正されます責任条約を改正する千九百九十二年の議定書及び国際基金条約を改正する千九百九十二年の議定書は、現行の領海内十二海里から二百海里水域内に改めることとしております。
#174
○笠原潤一君 かつては十二海里であったんですけれども、二百海里に広げたということですからこれは非常に意義があります。しかし、この問題はある意味では漁業水域との問題もありまして、甚だ私ども、まあ区域の拡大は大いに賛成でありますけれども、将来的に日本が海外における沿岸漁業に対するその問題と相相違しないかという問題もありますので、その点に対して非常に疑問を持っておりますが、それはそれで二百海里については一応は私ども、了解するに異議はないと思います。
 それから第二番目としては、船舶所有者の責任の限度額を引き上げて被害者の保護を一層充実させることになっておりますけれども、具体的に被害者の保護は本当に十分なされるのかどうか。
 というのは、御承知のようについ二、三年前でありましたか、エクソンがアラスカ沖でああいう問題起こしましたですね。にもかかわらず、その後、被害の補償その他の問題で随分手間取っておったり、それが具体的にまだ解決されていないかに聞いておりますし、その後の推移はどうなっているか、その点もお聞きしながら、果たして本当にそういう問題で実際に対処し得るのか、こういうことでありますが、その点はいかがですか。
#175
○説明員(東澤聰君) アメリカにおきまして生じておりますエクソン・バルディーズ号事件の件につきましては現在裁判所におきまして手続が行われている最中であるというふうに聞いております。
 それはそれといたしまして、現行の責任条約及び国際基金条約は条約採択後二十年以上経過しております。その間におきまして物価水準も上昇、ちなみに我が国の物価水準も約三倍程度に上昇しております。したがいまして、このたびそれやこれやと勘案して、船舶所有者の責任額を現行の三倍程度、さらにそれに上乗せする国際基金からの補償額につきましても最終的には約三倍程度に引き上げるという、まず額の引き上げを行ったわけでございます。
 それからさらに被害者保護の観点から、今申し上げましたように適用範囲を領海内十二海里から二百海里水域に拡大する。それから、この点については現行も改正条約も同じでございますが、故意過失責任ではなくて無過失責任を課しておる。さらに被害者にいろんな手続をやりやすいように、船舶所有者に責任の集中を図っていくというようないろんな点で被害者保護に一層の充実を加えているところであります。
 そういうわけで、基金条約につきまして、民事責任条約について、千九百九十二年条約、これを批准することによりまして油濁事故に対する損害賠償係争がより一層充実されるものと考えております。
#176
○笠原潤一君 随分前進したと思うんですけれども、これで果たして十分であるがどうかということは非常に疑問でありますけれども、大いに前進したことは事実だ、こう思って評価をいたすところであります。
 それからもう一つは、二百海里になったんですけれども、公海上で油濁があった場合、いろんな船舶のやり方によっては、まあ持ち主のしっかりした船舶である場合はいいんですけれども、そうでない場合、特に油を漏らしたりいろんなことをすることが随分多いわけですし、それはたびたび新聞紙上でも報道されますが、公海上でこの油濁があった場合、それはまあ必ず公海上で油濁があった場合は油で汚染されたいろんなものが必ず沿岸部へ押し寄せてくるわけですが、そういう問題についてどういう措置があるのか、一応説明をしていただきたいと思います。
#177
○説明員(東澤聰君) 先生御指摘のように、油濁損害が生じる場合というのは、通常一般的に考えられまするのは沿岸近くということで現行も十二海里ということにしていたわけです。ただ先生御指摘のように、沿岸近く、十二海里の外でもそういう船舶事故が生じて油濁損害が中で起こるというふうなこともこれあり、それらを考えまして、千九百九十二年のこの両条約は二百海里内を適用したわけでございます。
 ただし、その二百海里という考え方の中でも、万が一、さらに二百海里水域外でタンカー事故が生じた場合でも、例えば流排出されました油が我が国の二百海里水域内に流れて我が国の二百海里水域内で油濁損害が生じた場合、あるいは我が国の二百海里水域内における油濁損害を防止するための措置を二百海里水域外でとった措置、これもこの条約の対象にするということで整理しております。
#178
○笠原潤一君 それで一応わかりました。
 それから、この条約にアメリカは加盟しているんですか。その点、説明してください。
#179
○説明員(東澤聰君) アメリカは加盟しておりません。
#180
○笠原潤一君 それはどういう意味でありますか。
#181
○説明員(東澤聰君) 詳しいことはアメリカの考え方の問題でありますので承知しておりませんが、一般的にアメリカのみならず我が国もいろんな国も、それぞれ民事法制につきましてはいろんな考え方がございます。したがいまして、その辺もいろいろあろうかと思いますが、アメリカに限らずいろんな諸外国について、現在たくさんの国が現行条約を批准しております。主要国も批准しております。その他の国につきましてもぜひこの条約を批准するように、IMO、国際海事機関等の場を通じまして、あるいはその他の場を通じまして働きかけを強めてまいりたい、かように考えております。
#182
○笠原潤一君 アメリカが入ってないのは非常に残念でありますし、例えば日本の国籍のタンカーが仮にアメリカでこういう不測の事故を起こした場合、これはどういうことになるんでしょうか。
#183
○説明員(東澤聰君) この条約は今申し上げましたような適用範囲になっておりますので、アメリカの法律は詳しく存じておりませんが、これは類推でございますが、アメリカの近辺で起きましたものについてはアメリカの法律が適用されることとなると思います。
 そこで、先生御指摘のように、我々としては、せっかくこのような国際的多国間のルール、条約ができたわけでございますし、現行条約につきましては多数の国が入っております。まあ千九百九十二年はできたばかりでございますので、我が国もこれからと、今お願いしているということでございますが、とにかくいろんな機会を通じてこの条約にアメリカのみならず未締約国が加入するように働きかけてまいりたいと思っております。
#184
○笠原潤一君 そのお話はわかるわけですけれども、例えば先ほどのアラスカ沖のエクソンの問題でもいまだに解決していないというのは、そういうアメリカの国内法が適用されていないんじゃないか。ですから、今エクソンと沿岸漁業、それからアラスカ州ですか、いろいろとトラブルがあるんですけれども、そういうことで入ってないのではないかと思っています。
 いずれにしても、これ一刻も早くアメリカ側も加盟するようにそれは説得してもらわなければなりませんし、世界一の大国ですから、まして、その問題が解決されない限り、何かこう日本だけがペナルティーになるということも非常におかしな問題ですから、早期にこの条約に加盟するように、これは外務大臣どうですか、そういう働きかけというのは外務省でするのかどうか、ひとつお尋ねしたいと思います。
#185
○国務大臣(柿澤弘治君) 今、笠原先生の御指摘でございますが、できるだけ多くの国が現行条約また関連する議定書に参加をし、そして汚染損害に関する統一された国際規則が適用されることが望ましいと考えておりますので、我が国としては、みずからが議定書に締結した上、非締約国に対してもその早期締結方を働きかけていくとともに、今後ともIMOの枠組みを通じまして、油による汚染損害についての賠償、補償の制度の改善、発展に積極的に寄与してまいりたいと思っております。
#186
○笠原潤一君 大体油濁の関係の問題はひとまずその程度にいたします。
 次に、柿澤大臣にこの前初めて委員会でお会いいたしまして、まあ委員会に出席されたわけですけれども、大臣は大変外交政策通でありますし、かつて私もアメリカに行くときに全日空で、たしか倉成外務大臣がおやめになった後、一緒にワシントンにおいでになったときにお会いいたしました。そのときに名刺の交換をしたんですけれども、あなたが文芸春秋に書いておられる国会議員の名称について、メンバー・オブ・ダイエット、まあダイエットというのは我々でいうと食事療法、減食するということだというようなことで、ちょっとダイエットというのは国会議員の名称としてはふさわしからぬではないかというようなたしか記事をお書きになったことを覚えておりまして、非常にそういう点であなたのことは印象的だったんです。
 それはそれといたしまして、前の羽田外務大臣にもお尋ねしたんですが、大概の外務大臣は皆、一番尊敬しているのは陸奥宗光であるとか小村寿太郎であるとかおっしゃるんです。それは、その当時の立派な日本の外務大臣でありますし、日本外交を背負って立った立派な方ですが、しかし、今日これだけ変転きわまりない時代で、そしてかつては首脳外交がなかったころ、みんな出先の大使館や総領事館あるいは公使館があって、そして外務大臣の訓令で動いた時代と今日は時代が変わってまいりまして、総理大臣みずからがもう飛行機に乗って飛んでいくという時代です。ましてや外務大臣もそうですが、そういう時代における外交の考え方また政策のつくり方、いろんなことも違ってくると思いますが、まず、あなたの基本的な外交に対するポリシーをちょっとお聞きしたいと思うんです。
#187
○国務大臣(柿澤弘治君) 戦後の我が国の外交は、ある意味で言いますと、敗戦の中から、廃墟の中から立ち上がって経済復興を中心に国の再建を図るということで、政治的な課題については国際情勢を十分に分析しながら、それに追随するという形で行われていた部分があったのではないかと思います。それはそれで私は小国の知恵であったと思いますが、しかしここまで国際社会の中で大きな責任と役割を担うようになった日本としては、我が国の外交の基本的な原則は何なのか、これをしっかりと打ち立てて積極的に創造的な外交を進める必要があるというふうに思っております。
 先ほど武田先生からも御指摘がございましたが、従来の外交がどちらかといえば西欧型の指導的な国家によってリードをされてきた。しかし、現在は御承知のとおり、アジア・太平洋地域が大変な勢いで交流をしているわけでございまして、その意味では中国の役割も大きくなると思いますし、日本の役割も大きくなってくる。東洋と西洋のかけ橋としても日本は大きな役割を果たせるのではないかと思っておりますし、日本独自の戦争での体験等も生かして積極的に平和のために貢献できると思っております。
#188
○笠原潤一君 一応外交のポリシーについてお聞きいたしまして、これからそういう意味で大いに頑張っていただきたいと思うんですが、きょうは非常に本会議がおくれたものですから、いろいろとお尋ねしたいと思ったんですけれども非常に時間がないので……。
 北朝鮮の問題が先ほどから出ておりますが、この北朝鮮に関する核疑惑について、あるいは北朝鮮いわゆる北東アジアの問題については現在の永田町と同じように変転きわまりなくて、まあ一時間前の話がきょうまた変わってくるというような話ですから、実に同じようなことで、非常に不透明といいますか、不可解といいますか、流動的といいますか、変転きわまりないというか、こういう実態であります。
 要は、カーター元大統領がちょうど北朝鮮へ行かれました。そして、ああいうふうで金日成とお会いになって一応ある意味での決着を見かけておるけれども、果たしてこれ本当にそうなのかということと、カーター大統領というのは一体どういう資格で行かれたのか。
 そして同時に、カーターさんのかつての外交というのは、御承知のように非常に失敗に次ぐ失敗の連続だったと思うんです。例えば、イラン・コントラの事件もそうだし、アフガニスタンのときもそうだったし、非常に対応がまずかった。そういうことでアメリカの中で非常に評判を落としてしまって、結局再選ができなかったんです。
 これは、カーターさんのバックグラウンドが南部出身ということもあるし、南部――柿澤大臣にそう言っては失礼かもわかりませんが、サザンデモクラットというのは、一種アメリカの民主党の中でも違っておって、いわゆる南北戦争以来の南の国の考え方というのがどうもそのバックボーンにあるのではないか。したがって、外交というものに対するスタンスというのは随分違っている。また、クリントンさんはアーカンソーの出身で、アーカンソーといえば、ついこの前まで御承知のようにKKKがおったり、かつて人種差別で州兵が出兵したのが一九五七年のことなんですよ。
 したがって、ああいう感覚で物をとらえておる反面、一つは、ちょっと違った意味で、何かひとつ外交的にそういうものを実績上げて国内的な問題をそういうふうにして、カムフラージュすると言うと言葉が悪いんだけれども、称揚したいんじゃないかというようなところもありまして、どうも拙速的に動き過ぎる、大局的な見地で動かないというような嫌いもなきにしもあらずだと私は思っております、まあこれは私の考えですが。
 したがって、今回のカーター外交が果たして本当に成功するだろうかということを私は非常に懸念しているんです。その点はどうですか。
#189
○国務大臣(柿澤弘治君) 笠原先生、さまざまな外交的な御活動をされている中で、特にアリゾナ、テキサスで名誉市民を持っていらっしゃるということで、そうした観点からの評価というのは私どもも傾聴に値するものであろうかと思います。
 カーター訪朝の歴史的な評価というのはもう少し時間をかける必要があろうかと思いますが、とりあえずは、第三回の米朝協議開催の基礎が提供されたこと、それから南北首脳会談の開催の見通しがつけられたこと等、話し合いによる解決に向けて一つの基礎ができたという意味では歓迎すべきことだと思います。
 ただ、米朝会談にいたしましても南北首脳会談にいたしましても、これから外交チャネルまた事務レベルで詰めていかなければならない点がまだ多々ございます。そういう意味では、今後カーター元大統領と金日成主席との間で話し合われました大枠がきちっとした形で合意されて前進することを私どもは期待いたしておりますが、その過程を見守っているということでございます。
#190
○笠原潤一君 実は、今次この北朝鮮の核疑惑の問題については、私のところへもある主婦の人、女性の方々から大変心配して電話がかかってきたんです。本当に戦争が起こりはしないかという懸念を持っている人が随分多かったと思うんですよ。それは、毎日の新聞報道なんかでも、北朝鮮は、核査察で制裁を強行するならば我々は宣戦布告とみなす、こういうことを言っているし、あるいはソウルを火の海にすると在中北朝鮮大使がおっしゃったりしておりますと、本当に衝撃を受けるわけですよ。
 考えてみますと、いろいろな報道、テレビから見ますと、北朝鮮の内情というのは、私らは戦中戦後ですけれども、防空ずきんをかぶって竹やりやったころのことを思い出して、本当に撃ちてしやまんじゃないけれども、どうも考えてみると、北朝鮮の青少年の考え方もやっていることも、そして金日成さんや金正日さんの言っていること、それから大韓航空の爆破事件にしても、あるいはミャンマーの霊廟爆破事件にしても、どうもここら辺で何か不穏であって、一体これはカーターさんが行って、北朝鮮がそういうことを言って本当に実行してくれるだろうかということが非常に懸念されると思うんですよ。
 本当に核の疑惑がなかったら、燃料棒の抜き取りだってIAEAの査察官に見せるべきだと思うんですけれども、それは北朝鮮にしてみれば、いや日本とか韓国なんか相手にしないんだ、絶えずアメリカをターゲットにしているということで、米朝会談、アメリカを相手にするということを考えて、言うならば韓国とかあるいは日本を抜きにしてやりたいというようなことだというふうに言う方もあります。それにしても余りにも今日の現状は非常に厳しい状況ですから、そうして過去のいろいろな事例からいって、李恩恵さんの問題もいまだに解決していない、いろいろな問題があってこれ本当に信用できるだろうかという、日本人の中にも大きな懸念があるし外国もそうだと思っていますよ。その点について、私どもこれが本当に防止されなきゃならぬと非常に心配に思っております。
 同時に、ノドン一号にしても、いわゆる関西以降が射程に入っているとか、あるいはTMD、シアター・ミサイル・ディフェンスですか、これだって実際に本当に向こうのノドンに対する要撃力があるかと言えば非常に疑問であって、また開発に随分時間がかかると。パトリオットミサイルというのは、本当に命中率が非常に悪いということになりますと、これはそういう点で本当に私も心配しているんですよ。
 それで、日本の社会党も自民党の方々も行かれたんですけれども、どうもそういう方々じゃなくて、カーターさんとか、まあ三木さんの話は先ほど出ましたけれども、そういう形で八月十五日にあるのかないのかこれはわかりませんよ。しかし、そういうような状況でありますので、北東の情勢というのは本当にだれしもわからないし、そういう点で非常に懸念を持っておりますが、大臣、その点についてどうですか。
#191
○国務大臣(柿澤弘治君) 笠原先生から今までの北朝鮮のとった行動、その他を前提にして、国際的な常識とも言うべきお立場からお話しかあったことを私は大事にしたいと思っております。
 ただ、北朝鮮の国内の経済情勢もかなり厳しい状況になってきておりますし、また今回、核開発疑惑について誠実な態度でIAEAの査察を受けなかったということによって、中国もロシアも含めて国際社会が大変北朝鮮に対して厳しい姿勢になってきていることも先方も感じているだろうと思います。
 そうした国内情勢、また国際情勢の中で、金日成主席がカーター訪朝という機会をとらえて和解の手を差し伸べたということもあり得るわけでございますので、そういう点でこれをできる限り前向きにとらえて生かしていきたいというのが私どもの希望でございますが、笠原先生おっしゃったような過去のいろいろな経験も私どもも持っておりますので、そこは慎重に評価をしていかなきゃいけない。日本も直ちに行動しろというような御批判、御意見もございますけれども、日朝交渉は、いろんな問題で先方から席を立って中断しているわけでございますので、私どもは心をあけて日朝交渉の再開を期待しておりますが、それにはもう少し先方側の誠意ある態度を見定めていきたいと思っております。
#192
○笠原潤一君 北朝鮮の問題、もっといろいろとお尋ねしたいのでありますけれども、実は柿澤大臣のこれからの中国の外交のスタンスについても、私は天安門の事件のときにたまたまあそこに行っていたんですよ、厚生省とのあれのときに行ってたものですから、そのときのいろんな問題とかいろいろなことを話したいし、きょう永野先生お見えになりませんけれども、中国に対する例の問題を初めとして、中国外交に対する、かつては上海に東亜同文書院がありまして、それで中国のいろんな歴史とか、いろんなものを研究していましたし、中国人との交流も非常にあったんです。
 一言で言えば、中国というのは四千年の歴史の中で、いわゆる黄帝という人がおって、尭舜があって、そして殷の紂王が倒れて以来、易姓革命の国なんですよ。そういう考えで中国とつき合わないと、何か日本は戦後中国に対する引け目といいますか、決して中国にどうこうというわけじゃないんですけれども、中国外交というものに対してもう少し考え方を、もっといろんな意味で考えなきゃいかぬと思うんですよ。それは根底に尭舜があり、易姓革命があり、孔孟、老荘の思想があるんですよ。そういうものからいったら、私は中国の今までの我々が思っていることとどうも違っているんじゃないかというような気がいたしますが、それはまあ時間がありませんから言いません。
 日本が特に明治以降、ドイツから割譲を受けたミクロネシアなんかでも、サイパン工学校の生徒はどういうことを言っているか。そういう点で言えば、マリアナ諸島の連中なんか本当に日本人を尊敬していますよ。それでインドネシアもそうなんです。私は長い話はできませんけれども、南米のブリティッシュギアナの人間だって、南米の連中もみんな日本に対して非常に尊敬持っている、かつて第二次世界大戦、いろいろあったけれども。
 ですから、そういうものはやっぱりいいものはいいとして評価しないと、日本人が何かいじけちゃって、何か自分だけが悪かった、戦後五十年でただ単なる謝罪とかそんなことじゃなくて、日本は戦後五十年たって、本当の意味での日本の外交、日本人のあるべき姿というものをもっと示すことが私は大事だと思うんです。それは外交の一番大事な問題だと思いますし、国際交流の一番原点だと思うので、もう時間が参りましたから答弁は要りませんけれども、そういう点を要望して私の質問を終わります。
#193
○矢野哲朗君 午前中の質疑、どうも中途半端で終わってしまったものですから、締めをさせていただきたいと思います。
 一連の日華関係の問題、日中共同声明に基づいて展開せざるを得ないというようなお話がありました。実態の関係は、この二十年間、加速度をつけて本当に太いものになってきたという実態があるわけですね。反面、そういった一つの外交ルートは二十年一日のごとくというふうなことで今日を迎えている。しからば、今後の展望をすると、やはり今までの繰り返しということで今後も同じような形で推移してしまってはいけないと私は考えます。
 ですから、私も今回、あえて日華の関係の問題をこの委員会に提起をさせていただいて、それでもって、こういうふうなことを一つ一つ積み重ねることによって新たな一つの流れができていくのかなと、そういうことでの前進が必要だという一つの考えに基づいて質問させていただいたつもりであります。ですから、その辺の基本的な考え方について、とりあえず外務大臣から所見をお伺いします。
#194
○国務大臣(柿澤弘治君) 台湾がアジア・太平洋経済圏において目覚ましい経済的な発展を遂げ、そして日本にとっても経済的また人的交流のパートナーとして存在していることは先生の御指摘のとおりでございます。その意味では、APECという国際的な組織の中にも台湾が参加をして、そうしたアジア・太平洋の交流の一翼を担っているということは歓迎すべきことだと思っております。
 ただ、政府間の関係の樹立ということになりますと、それは日中国交正常化の際の共同宣言の精神に基づいていろいろな制約があることも事実でございますが、先ほどの日台の航空協定のようにその点については民間の機関等を活用しながら、日本と台湾の交流には支障がないように、できるだけの努力はしていきたいと思いますし、今後とも努力は続けるべきだと思っております。
#195
○矢野哲朗君 諸外国のいろんな台湾との関係を見てますと、もっともっと日本より踏み込んだ、こんなことがよくできるなというような事例が幾らでもあるわけですね。ぜひ新しい大臣としてこの任期中に、これはやったぞという一つの何かの足跡を残してくださいよ。これは要望しておきます。
 それから、一昨日、何らかの形で国会に報告されたらどうかなというふうな一つの質問もさせていただきました。このような今回の航空協定ですか、亜東関係と交流協会の、準政府機関による取り決めも国民生活に大変関係するところ大だと思うんですね。ですから、何らかの形で私は国会に提出されるべきだと、こういうふうに考えています。
 これまでの条約の延長や暫定適用ですか、あるいは留保の撤回、いろんなケースがあったようでありますけれども、その点についても逐一理事会に報告がされたり、そして我々委員にもいろんな関係文書が配られたというふうな一つの経過もあるようでありますから、ですから、こういうふうな本当に重要な案件は、先ほど外務政務次官まで報告がなかったというふうな話を聞かされてびっくりしているんですけれども、こんなことじゃまずいなと思っているんですよ。ですから、その辺も含めてひとつ逐一、こういうふうな準政府機関レベルの話もぜひオープンな形で論議ができるようにやっていただきたいなと、外務大臣の所見をお伺いします。
#196
○国務大臣(柿澤弘治君) 先ほどアジア局長から御答弁しましたように、交渉のプロセスについては余り公にしないということが従来の航空協定の交渉の実態だったようでございますので、その点、運輸省が直接的な交渉の担当をやっておりますので、その辺とも御相談をさせていただき、可能な限り矢野先生の御趣旨にも沿えるようにいたしたいと思います。
#197
○矢野哲朗君 お願いします。
 最後に一言。今回の取り決めですけれども、一連の話を聞いていると、今、大臣の答弁にもあったように、運輸省の管轄事項だということであえて半歩一歩退いたような対応も十分うかがえる。そして、先日のアジア局長の尊重するという言葉の裏づけとして、きょうの答弁からすると、主体性は尊重するけれども中身までは少なくとも外務省としてどうあるべし、果たして真実がどうなのかというふうな確認だけはする必要性があると思うんです。
 ですから、その辺、今回の一連の流れが非常に民間同士の取り決めだということに余りにも主体性を置き過ぎて、その辺での真実、必要性があるのかどうなのか、果たして内容がどうなのかということを余りにも看過し過ぎているような私は感じを持たざるを得ないんです。
 ですから、今回の件、改めて外務省も監督官庁というふうな立場でどうあるべし、このことを正当に我々がオープンな議論としても評価できるような内容として改めて私は論議をしてもらいたいなと、このことを私は強く要望して、とりあえず今回の締めにさせていただきます。
#198
○大脇雅子君 油濁関係条約に関しまして、二、三質問をさせていただきます。
 いわゆる七十六民事議定書及び七十六基金議定書の締結が今回問題になっているわけですが、我が国がこの締結に関しましてここまで年限的におくれた理由はどこにあるのでしょうか。今まで、もう少し早く加盟をしていてもよかったのではないかと思うんですが。
#199
○政府委員(高野幸二郎君) まず、七十六年の二議定書につきましては、先生御存じのとおり、これは七十一年の基金条約及び六十九年の民事条約、この二つにおいて用いられております計算単位、補償額及び賠償額の計算単位を金フランからSDRに変更するという趣旨のものございます。
 そういういわば極めて技術的な内容のものにすぎないのではございますが、ただ、一九九一年にイタリアで起きましたいわゆるヘブン号事件というものがございまして、その際にイタリアの司法機関が、SDRによる換算を行うことなく従来の古い方の計算単位であります金フランというものに基づいて計算したという事例が起きまして、にわかにこの七十六年の二議定書を発効させる必要がある、特に日本から見ましても当事国になる必要があるというふうな事情が起きまして、そういう意味で国際的な認識が高まった、そういうことを背景に、政府といたしましてはこれらの二つの議定書の締結ということをお願いしたいということを言っておるわけでございます。
#200
○大脇雅子君 適用水域が拡大されるということは、これはよいことと考えるわけです。しかし、広い海洋でのタンカー同士の衝突などによります汚染損害の範囲は、海流などを考えますとかなり広がるのではないかと思うわけですが、この九十二年の民事議定書及び基金議定書の発効によって汚染損害というのはほぼ十分にカバーできるとお考えなんでしょうか。
#201
○説明員(東澤聰君) よくテレビ等で報道されておりますように、油濁損害が生じます場合は、沿岸付近、まさにそれと沿岸海域、それからノリ網だとか養殖場だとか海水浴場だとか、あるいは漁港の閉鎖だとかいうふうに沿岸近くでございます。
 したがいまして、そこが最も起こりやすいということで現行が領海内、日本で言いますと十二海里でございますが、今回さらにそのような措置が、タンカーの衝突事故等も領海外で生じることもある、あるいは先生おっしゃるような問題もあるということで二百海里まで広げるということで、私どもといたしましては、二百海里まで広げるならばほぼ十分にカバーされている、かように考えております。
#202
○大脇雅子君 この条約に加盟していない国の領海ないしは二百海里内あるいはまた二百海里を超えた海洋などでの汚染事故の処理というものと、この条約との関係はいかがなものなのでしょうか。
#203
○政府委員(高野幸二郎君) これら関連の条約及び議定書の基本的考え方は、油濁損害が一体どこで起きたかあるいはどこで起きそうかという、場所に着目いたしまして適用対象になるかどうかということが決まってまいります。別の言い方をさせていただきますと、被害者の国籍とかあるいは船主の国籍、船籍、それが基準になるわけではございませんので、したがいまして日本について言いますと、日本の領海内、九十二年の議定書で言えば日本の周辺の二百海里水域内において被害が発生した、ないしはしそうだという場合に適用があるということでございます。
#204
○大脇雅子君 そうすると、加盟していない国に対しては、これは結局その国の範囲では適用がないわけですね。
#205
○政府委員(高野幸二郎君) 被害が発生した、ないしは被害が発生しそうだという国が条約の当事国でない場合は適用にならないわけでございます。それはそのとおりでございます。
#206
○大脇雅子君 その場合は、民事的な責任で船主の無制限な責任、ひいては国の責任なんかも生ずるわけですか。
#207
○政府委員(高野幸二郎君) まさにその国の国内法によって処理されるということでございます。
#208
○大脇雅子君 そうしますと、できるだけ多くの国が加入した方が地球環境の保全という観点から油濁の汚染を考えた場合にはいいわけですが、我が国ではそういう場合にどのような、言ってみればイニシアチブをとるようなお気持ちがあるのでしょうか。
#209
○政府委員(高野幸二郎君) まさに先生おっしゃるようなことでございますので、私どもの考え方といたしましては、できるだけ多くの国が現行条約及び関連する議定書を締結する、そして統一された国際規則が適用されることが望ましいと考えております。
 したがいまして、我が国といたしましては、まず日本がこれらの議定書を締結した上で非締約国に対してもその早期締結方を働きかけていく。またこれとあわせまして、国際海事機関IMO等の枠組みを通じて、油による汚染損害についての賠償及び補償制度の改善、発展に寄与してまいりたいというふうに考えております。
#210
○大脇雅子君 それでは、ガーター元大統領の北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国訪問を契機に新たな和平の地平が開かれようとしているときに、日本の北朝鮮に対する外交姿勢についてお尋ねをしたいと思います。
#211
○国務大臣(柿澤弘治君) 先ほど来お話ししておりますように、今回のカーター元大統領の訪朝の結果として、米朝の第三回の協議の開催の基礎が提供されたこと、可能性が出てきたこと、それから南北首脳会談開催の見通しがつけられたこと等は歓迎すべき動きだと思っております。
 ただ重要なことは、北朝鮮がまずもって保障措置の継続性を維持し、原子炉への燃料再注入及び使用済み燃料の再処理を行わないこと、またはNPTを遵守して特別査察を含めてIAEAの保障措置協定を完全に履行すること、そうした点について明確になることが必要だと思っております。
 我が国としてはこうした問題につきまして、関係諸国とも緊密に連携をとりながら、今後とも北朝鮮がIAEA、NPT体制に復帰されるよう最善の努力をしてまいりたいと思っておりますし、その過程で日朝国交正常化交渉が再開できるようなきっかけがつかめますれば、ぜひともそういう形で努力をしていきたいと思っております。
#212
○大脇雅子君 その南北の交渉が再開されるという見通しについて少し深くお尋ねをいたしたいんですが、祖国統一の悲願というものに裏づけられて三大原則の合意というものがあります。非核化共同宣言、和解と不可侵、交流協力、この三原則というものは今なお南北朝鮮の交渉の基本原則として維持されるという認識はお持ちでしょうか。
#213
○政府委員(川島裕君) おおむねそのとおりだと思います。要するに、南北間の不信感をどうやって除去するかというのが南北間の最大の課題の一つであるというふうに南北とも認識しておると思います。
#214
○大脇雅子君 そうしますと、この三大原則が維持されているという上に立って南北の交渉が再開されていくとき、その交渉の展望というものは日本としてはどのように認識しておられるんでしょうか。
#215
○政府委員(川島裕君) これも、これを不信感という脈絡でとらまえますのが適当かどうかは別といたしまして、一つは南北間でも核の問題をどう取り扱うかというのが大変な懸案なわけでございます。
 これは、金泳三大統領の前の盧泰愚大統領のときに北との間で南北不可侵宣言というのができまして、これは実は大変画期的な内容で、半島の非核化を徹底的に行うことが可能となる文書でございます。それで、それ以後、盧泰愚大統領の時代さらに金泳三政権の時代になってからも、それを実施に移すべく南北間でいろいろな作業、話し合いが動いておりましたのですけれども、IAEAをめぐる査察が動かなくなったのとある意味では同じテンポと申しますか、同じ感じで全然動かなかったわけでございます。当然のことながら韓国側の雰囲気としては、やはりもう一度南北非核化宣言に立ち戻って相互査察の実施とか、それからあそこは再処理を両方ともやらないということがたしか一つの柱だと記憶しておりますけれども、その辺をどう動かすかということは、現下の状況では南北対話の一つの柱になると思っております。
#216
○大脇雅子君 そうすると、日本の南北の統一に対する認識として、そういった重要なことが柱になった場合、さらにどういう形で統一へ進んでいくだろうというプログラムなんかについて、何か情報はお持ちですか。
#217
○政府委員(川島裕君) これは、日本の基本姿勢は、やはり南北の話し合いでもって決めていただくべきものであって、当然のことながら日本政府としてああせいこうせいという話ではないということでございます。
 それで、実際上はやはり相当、四十何年にわたって全然違う体制が併存してきている中でどうやって統一を持っていくかというのはそう簡単な話ではないと思いますし、それぞれの体制は維持しつつとりあえず連邦とか、いろいろなアイデアはあるわけでございますけれども、いずれにいたしましてもその民族の中での話し合い、そしてその大前提としてはやっぱり不信感というものがなくなるということ、そうすれば三十八度線をめぐる軍事的な緊張感というものもおのずからなくなるんでしょうから、そういういろんなプロセスを踏んでいくということがどのみち大変重要だろうと思っております。
#218
○大脇雅子君 実はことしの五月にマニラでアジア・太平洋地域の軍縮会議がございまして、そこに金大中氏が来られまして一つの見通しを示されました。南北朝鮮というのは民族的には同じであるけれども、憎悪と誤解もこれまで多かった。しかし、これから統一に向けては、第一段階では連合国家、そして第二段階では独立政府として国連に加盟して南北同数を出して、経済、技術、文化の交流を進める。そして十年間共存、交流すれば和解の道も開けて国民の同一性も回復するだろう。そうすれば第三段階で連邦国家としていわば民族の統一を図る。こういういわば草の根の民衆の平和統一への熱望があるというふうに話されたわけですけれども、こういう考え方に対して日本は、内政干渉というのでなくて、いわば認識としてどのようにとらえられるでしょうか。
#219
○政府委員(川島裕君) これまたああせいこうせいという話ではなくて申しますれば、ドイツが東西に別れておりましたときに比べて南北の統一の方がより難しいということを指摘される方が多くて、その一つの理由は、東西ドイツの場合、人的な交流があってそれなりの何と申しますか、いろんな接触が保たれていたのに対して、南北の場合はそこは非常に薄いということを指摘する方が多かった次第でございます。
 ですから、金大中先生が言われるように、そういう交流を積み重ねるということは、四十何年にわたる全く隔絶されていた状態から少しでも不信感をなくしていくというプロセスとしては恐らく重要なんだろうなと。ただ、それをどうやるかということはそう簡単な話ではないという気もいたしますけれども。
#220
○大脇雅子君 大臣は、そういうことに対してどのような御感想をお持ちでしょうか。
#221
○国務大臣(柿澤弘治君) 南北が統一の日を目指してそれぞれの立場から努力をされるということは非常に結構なことだと思います。
 その中で金大中さんの御提案があったものと思っておりますので、私たちは、いずれにいたしましても南北問の緊張が緩和をし朝鮮半島全体の平和と安定が保たれるよう、隣国として御協力をしていきたいと思っております。
#222
○大脇雅子君 そうしますと、そういった一つの方向性を可能性の中に含んで考えた場合に、日本と北朝鮮の交渉をどのようなスタンスで再開していくか。先ほどは心をあけて先方の誠意ある態度があればいつでも受け入れるのだということですけれども、今必要なのは日本側からどういう働きかけを今の時期にしていって独自の外交を展開するかということだと思うわけですけれども、こちらから働きかけるという外交姿勢についてはいかがでしょうか。大臣にお尋ねしたいと思います。
#223
○国務大臣(柿澤弘治君) 必要があれば事実関係についてアジア局長から御説明をいたしますが、御承知のとおり一昨年の十一月、李恩恵問題をめぐって北朝鮮側が席を立ったという形で日朝交渉が中断をしているわけでございます。そういう点から考えましても、私どもとしては、この点について今後北朝鮮側がどう考えるか、またそこで私どもが懸念を表明いたしました核開発疑惑について今後米朝そして南北の会談を通じて懸念が解消されていくのか、そうした点についてはできる限り先方とも接触を図りながら、前向きに対応できるようにしていきたいと思います。
#224
○大脇雅子君 米朝高官協議の再開においても、要するに過去の核疑惑の解明ということは再開の条件にはなっておりませんよね。日本の場合も、日朝の交渉について柿澤外務大臣は過去の検証を条件とすると言われておりますことは、これは日朝交渉の要件とは違いますよね。軽水炉の支援についてのことなんですか。私ちょっとそこのところの発言の趣旨を……
#225
○政府委員(川島裕君) ちょっと事実関係だけ。
 核の査察について過去か未来かという話が出ましたのは割に最近でございまして、日朝交渉をずっとやっている間、とにかく核兵器開発疑惑をきちんと解消してもらわないと正常化の完結はあり得ない、ただ、疑惑の解消がない限り交渉はしないということではなくて、まさに疑惑があるからそこは大いに日本側に提起させていただくということできたわけでございます。ただし、これは一昨年とまってしまったということで、今でも核開発の疑惑がきれいにならない限り交渉はしないということでは毛頭ございません。むしろ大いに接触はして、その話も提起させていただきたいということでございます。
#226
○国務大臣(柿澤弘治君) 今、アジア局長から申し上げましたようなことで、私も前提とか前提条件というふうには考えておりません。
#227
○大脇雅子君 そうすると、重ねて御質問をいたしますが、日朝正常化のための交渉再開の要件については過去も未来も含めて核疑惑ということは要件ではないということでよろしいんでしょうか。
#228
○国務大臣(柿澤弘治君) 再開の条件ではございませんが、それを進めて円滑に正常化が実現するためには、その点についての北朝鮮側の誠意ある対応が必要であろうと思っております。
#229
○大脇雅子君 それは議題としてという意味ですか。
#230
○国務大臣(柿澤弘治君) 議題の中の一つでございます。
#231
○大脇雅子君 わかりました。
 そうしますと、あとは過去の問題であれば、我が国が朝鮮民族に対して耐えがたい苦痛を与えた強制連行とか、あるいは従軍慰安婦の強制供出の問題とか、これは南も北もかかわりなく存在したわけですが、そういった問題についてはこの交渉再開のときに我が国の立場としてはどういうスタンスをとられるのでしょうか。
#232
○国務大臣(柿澤弘治君) これは再三表明いたしておりますように、韓国との国交の樹立の際と同様の考え方で誠意を持って対応させていただくということでございます。
#233
○大脇雅子君 そうすると、先ほど言われましたような遺憾の意を表明するというようなことも、日本国としては交渉の中に、向こうが求めればそういう態度で臨むというふうに伺ってよろしいですか。
#234
○政府委員(川島裕君) 日韓の正常化、これは十何年かかった交渉でございますけれども、一つのポイントとなりましたのは、植民地時代を中心とする財産請求権の問題をどう処理するかと、日韓の場合は経済協力という形で決着を見たわけですけれども、そういう植民地時代の過去にかかわりまする問題、それからもっとより基本的な、ああいう分断国家の場合の管轄権をどういうふうに法的に整理するかとか、いろいろ正常化として詰めるべき問題があるわけでございます。
 それで、遺憾の意という御質問につきましては、日韓のときも国交正常化のでき上がったときに過去の植民地支配について認識を示したということがございます。
#235
○大脇雅子君 時間がございませんので結論から先に言いますと、我が国は確かに北朝鮮における核疑惑を追及しておりますが、アジアの諸国においては日本の核武装に対する疑念というものを捨て切れずにいるわけですから、心を本当にオープンにして相手に臨むなら、この際やはり無条件のいわば国交正常化への再開という道をとるべきではないか、必ず米国に従っていくということでは余りにも日本の顔がアジアの中に見えないというふうに私は思うのですが、どうでしょうか。大臣にお答えいただきたいと思います。
#236
○国務大臣(柿澤弘治君) 先ほど来申し上げておりますように、日朝国交正常化交渉につきましては私どもはいつでもテーブルに着くという姿勢でございますし、その点は北朝鮮側にも伝えられていると思います。
 それから、アメリカに追随するということでは全くございませんで、日朝国交正常化交渉をスタートいたしましたときにも、我が国の独自の判断で行ったわけでございます。
#237
○大脇雅子君 伝えられていると思われると言われましたが、今、オープンな日本の心が相手方にどういう形でどういうルートで通じておりますか。
#238
○国務大臣(柿澤弘治君) 非公式の接触についてはすべてここで申し上げるわけにはまいりませんけれども、先般の社会党の訪朝団の方々もそうした御趣旨のことは言っていただいたと思いますし、自民党の訪朝団の方々もおっしゃっていただいていると承知をいたしております。
#239
○大脇雅子君 それでは、さまざまなセンサーを通じてさまざまな民間外交も駆使して、今まさにそういう時期で、新たな日本の外交を展開していただきたいと心からお願いいたしまして、質問を終わります。
#240
○立木洋君 油による汚染損害の問題についての議定書四件については賛成ですし、時間も余りないので、また先ほどの続きを若干お尋ねしたいと思います。
 北朝鮮のいわゆる制裁問題に関して、米日韓の間でいつごろから話し合いをしてきたんでしょうか。
#241
○政府委員(川島裕君) お答え申し上げます。
 米日韓というのが折に触れて会っていたのは割に以前からでございますが、それのほとんどは、むしろアメリカと話をしない限りこの問題は解決しないという北朝鮮の立場を受けて、米側が国際社会を代表してと言うかどうかは別として、北朝鮮と接触する際にどういう前向きの話を提示するかという話でございます。つまり、核開発疑惑を査察受け入れを通じてきれいにするのならば国際社会の方も前に関係を動き出しましょう、アメリカであれば行く行くは米朝国交正常化まで見せましょうというような動きだったわけでございます。ですから、米日韓のやりとりというものもむしろ、そのころの形容でニンジンのメニューというような表現もございましたですけれども、前に動くのは何ができるかという意見交換が中心たつたということでございます。
#242
○立木洋君 いや、その時期、制裁という問題に触れて話し合いが行われるようになった時期はいつごろかということです。
#243
○政府委員(川島裕君) 他方、その国際社会の懸念にもかかわらず北朝鮮が査察を全然受け入れないという場合には国際社会としての確固たる姿勢を示す必要があろう、その中には制裁もあり得ようというやりとりがあったことはございますけれども、それ以上具体的なやりとりというものはなかったと記憶しております。
#244
○立木洋君 川島さん、ずばり日にちを、いつごろからというのをお聞きしたいのですよ、私は。
 つまり細川さんがクリントンさんと話し合いをして、制裁の問題が問題になったときには日本としても考えてほしい、わかりましたという話でやられたのが二月二十一日です。それから四月二十二日に羽田外務大臣がアメリカのペリー長官と話し合いをしたときに、それについては積極的に対応しなければならないだろう、段階的、漸進的に、制裁を行おうというようなことになれば対応しなければならなくなるでしょうと。それから五月四日に、つまり緊急対応計画会議というのがつくられて、五月十六日に駐日大使のモンデールさんが、結局、現在日本との間で制裁の問題については緊密に協議を続けていますと言って、テレビで放送しているんですよ。
 だから、政府としては今まで、そういう制裁問題については今は時期でございません、話し合いをしたことはございませんと言ってきたけれども、現実には前から話し合いがあったんじゃないかという疑惑がどうしてもぬぐわれないので、大体いつごろから話し合いは行われたのか、五月四日の会議を設置してから本格的な協議に入ったのか、その前からなのか、それとも柳井さんが行ってからなのか、いつからかということを聞きたいんですよ。
#245
○政府委員(川島裕君) 確かに閣僚レベルとかそういうときに、いずれ制裁になったときには確固たるとか憲法の範囲というような一般的な形でのやりとりはあったことは事実でございますけれども、それ以上に、具体的にどうこうとかいう話というものは柳井局長の訪米のときが最初であるということでございます。
#246
○立木洋君 そしたら、五月十六日にモンデール駐日大使が、緊密に日米間では制裁の問題については話し合いをしている、緊密に協議をしているというのはうそなんですね。モンデール駐日大使がTBSで放送したのはうそなんですか。
#247
○政府委員(川島裕君) 私、ちょっと日米韓の三者のことで申しましたけれども……
#248
○立木洋君 だから私は、日米でも、あれは……
#249
○政府委員(川島裕君) 日米の、在京の例えは大使館等を通じて日本の政府部内、各省がどうなっておるかというような話が若干個別にあったということはございますけれども、きちんとしたやりとりとしては柳井局長が最初でございます。
#250
○立木洋君 本格的な話し合いをしているんですよ。国会だとか国民に対して、いつから話し合いしたかだとかどういう内容だったかとかいうような問題についてはやっぱりオープンにすべきですよ。アメリカから、モンデール大使の方からそんなのが出ても結局いつまでもあいまいにしているというようなことは、私はやっぱり国会の審議を十分に進めていく上で結構なことではない、やっぱりはっきりさせるべきだということを、その点については申し述べておきたいと思いますよ。川島さん、今後ともよろしく頼みますよ、それは。ちゃんと言ってもらわないと。
 それで、柳井さんがおいでになったと。そして、六月の四日に三国の高官協議で、そして共同新聞発表しましたよね。この共同新聞発表で、国連安保理を通じて制裁を含む適切な対応策を緊急に協議することを、情勢を求めているという見解を共有したということになったわけですが、日本側として、国連でいわゆる制裁を含む適切な対応を緊急に協議するということが必要だというふうに考えた、つまり、言うならば北朝鮮に対して制裁を含む対応が必要になったというふうに考えた根拠は何でしょうか。
#251
○政府委員(柳井俊二君) 六月三日、四日にワシントンで協議をいたしまして、三日の日は日米、韓米でございまして、四日の日に日米韓の協議をいたしました。そのとき、ただいまおっしゃいましたいわゆる共同新聞発表というものを通じまして、その核心の部分は、事態は国際社会が国連安保理を通じて緊急に制裁を含む適切な対応を検討することを必要としているとの認識を参加者は共有したというふうに申し述べたわけでございます。
 その根拠と申しますのは、それまでの段階で、昨年の四月のIAEA理事会の決定、それからその後も二度ばかりIAEA理事会の決定がなされておりますが、それを通じて北朝鮮が保障措置協定の不履行をしているということが重ねて伝えられまして、そして、一番最近には、ちょうど私がワシントンに参りましたのは六月の三日でございましたが、二日付で、先ほどもお話にありましたIAEA事務局長からの書簡をもって、いろいろな過去の経緯が書いてございますけれども、特に、その五メガワットの実験炉の燃料棒の取り出しかIAEAの要件に従わない形で行われた、それによって過去において軍事転用されたか否かを十分な確信を持って究明する可能性も消失したというような報告があったわけでございますが、それを受けまして、国際社会として何らかの圧力を北朝鮮にかけて、これは何と申しますか、懲罰とかということではないけれども、対話の道をあげながら、しかし国際社会としては何らかの圧力をかけて断固たる姿勢を示す、その上で北朝鮮に翻意をしてもらおうということで、そういう認識が一致したということでございます。
#252
○立木洋君 そうしたら、その保障措置協定の何条に対して違反だというふうな認識をお持ちなんでしょうか。
#253
○政府委員(柳井俊二君) それは、先ほど来お話ございましたけれども、一つは、昨年でございますか、の特別査察を北朝鮮が受けなかったと……
#254
○立木洋君 七十三条。
#255
○政府委員(柳井俊二君) そうでございますね。
 それで、その受けなかったことに対して、昨年の四月一日の決議で特別査察を受けなかったことは義務違反だという認定をIAEAの理事会が行ったというのが一つございます。
 それから、ことしに入りまして、三月二十一日だったと記憶しておりますが、IAEAのやはり決議で、北朝鮮が一層の不遵守と申しますか不履行と申しますか、たしかそういうような言葉を使っていたと思いますが、そういう認定をしたということでございます。その後、先ほど触れました五メガワットの問題が生じてきたということでございます。
#256
○立木洋君 問題になるのは、つまり特別査察を受け入れない、再度要求してもそれも拒否される、こういうことでは査察ができないんじゃないかという、特別査察を受け入れないという問題が一つの問題になっているわけですね。それからもう一つば、燃料棒を速やかに取りかえ過ぎた、そのことのためにプルトニウムがどうなっているのかというようなことが査察ができなくなるという、その二つが大きな問題なんですよね。
 先ほども言ったように、特別査察というのは、結局これは強制的に押しつけてやるものではない。相手側のそれについての合意によってやらなければならないというこの保障措置協定の七十七条の第二項には、この文章は削除されていないんです、合意によるということになっているわけです。これはあくまで合意が必要なんです。
 それからもう一つの問題というのは、この燃料棒の問題については、それで本当に査察の技術的可能性が一切失われてしまったのかどうかという問題については、これは純粋に技術的な問題なんですね。だから、この問題については本当にそういう可能性がないかどうかということを再度よく研究する必要もあるんではないか。アメリカ側は五月の二十八日の場にその問題を提起したということがあるわけです。
 それからもう一つの問題は、例えばこの問題に関して、この保障措置協定の七十七条のいわゆる特別査察の問題については、意見の相違がある場合には二十一条及び二十二条の規定に従って解決されるという問題もあるわけです。二十二条の規定というのは何かというと、仲裁裁判に基づいて処理するという方法ですよ。仲裁裁判官を任命して平和的な方法でやる。
 だから、制裁という段階に至る前に、問題をもっと技術的に純粋に確かめる余地が本当に全くないのかどうかという問題と、二十二条の規定によるように仲裁裁判によって判断を求めるというふうな可能性が全くなかったのかどうなのか、速やかに制裁しなければならないという方向にいくという前にもう一歩考える必要があったんではないだろうかということに私は懸念がどうしてもあるわけです。
 柳井さんが行かれて、そういう制裁に同調すると言う前に、日本側としてやっぱり話し合いでやるべきだという立場をあくまでもとるならば、そういうもろもろのことを検証上の問題から、保障措置協定の内容から考えて、そういうことの必要性をやっぱりもう一遍考えるべきではなかっただろうか。そうならないとどうしても制裁が先行するということになりかねないんじゃないかという懸念があるわけです。
 もう時間がないので最後の質問に入りますけれども、日本政府が決めたという送金停止や文化、スポーツ、科学技術交流の制限、航空機の乗り入れの拒否など、政府が取り決めた十項目の措置というのは一体何なのか。
 それから、六月八日に柳井さんが帰ってこられて、自民党の北東アジア対策緊急プロジェクトチームに制裁に関する三国協議の内容について報告をし、日本として送金停止に応じるということをアメリカにも述べてきたということを報告されているならば、それらの内容について明らかにしていただきたい。
 もう時間がないのでそれが最後の質問になりますから明快にひとつ、また質問を繰り返してしなくてもいいように答えてください。
#257
○政府委員(柳井俊二君) ただいま先生のお触れになりましたいわゆる十項目の制裁措置というものにつきましては、これはあくまでも報道でございまして、日本政府としてどういう具体的な制裁措置をとるというふうに決めたことはございません。ただ、協議におきまして、過去の制裁というのはいろいろございますから、これは日本ばかりじゃなくて韓国もアメリカもやっておりますので、そういう経験に基づいていろいろな意見交換をしたということでございます。それで、あり得る制裁ということでいろいろ当時報道をされました。そういう報道の中で十項目というような報道があったことも私記憶しておりますが、政府として何か十項目を決めたということはございません。
 それから、私が帰りましてから自民党のプロジェクトチームで、これは内々の御報告ということでございましたが、そのときに私が御報告いたしましたことも、日米間で何らかの具体的な措置について合意をしたということではなくて、やはりいろいろなあり得べきあるいは過去に行ったことのある制裁の要素、これはアメリカ人はエレメンツと言っておりましたが、そういうことについて意見交換をしたと。
 それから、警告期間を置くべきだというふうなことを私申したんですが、そういうようなタイミングの問題とか、あるいはどういう影響が出てくるだろうかというようなことを事務的かつ非公式に協議をしたということでございまして、例えば送金についてこれを行うということを言ったということではございませんで、我が国の法制上、安保理決議がある場合には一定範囲の送金の規制というのはできるということを、制度の問題として申し上げたということをその場で御報告したことはございます。
#258
○立木洋君 委員長、一言だけ。
 この問題に関しては、この間柳井さんと外務省で会ったときもお話ししたように、制裁に入るとずるずるといく危険性があるし、この問題に対して大変な不安と関心を多くの人が持っているんで、できるだけやっぱり制裁にならないで平和的に解決する努力を本当に真剣に考えてほしいと思うんですよ。私はそのことを最後に強く大臣にも要望しておきたいと思います。よろしく。いいですか。
#259
○国務大臣(柿澤弘治君) 日本政府としては常に話し合いによる解決を求めて努力をしているつもりでございますし、今後ともそうした努力をいたします。
#260
○委員長(井上章平君) 他に御発言もなければ、四件の質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。――別に御意見もないようでありますので、これより直ちに採決に入ります。
 まず、千九百六十九年の油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約の議定書の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#261
○委員長(井上章平君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、千九百七十一年の油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約の議定書の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#262
○委員長(井上章平君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、千九百六十九年の油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約を改正する千九百九十二年の議定書の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#263
○委員長(井上章平君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、千九百七十一年の油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約を改正する千九百九十二年の議定書の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#264
○委員長(井上章平君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、以上四件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#265
○委員長(井上章平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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