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1994/06/16 第129回国会 参議院 参議院会議録情報 第129回国会 地方行政委員会 第6号
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1994/06/16 第129回国会 参議院

参議院会議録情報 第129回国会 地方行政委員会 第6号

#1
第129回国会 地方行政委員会 第6号
平成六年六月十六日(木曜日)
   午後七時四十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月十五日
   辞任          補欠選任
     大渕 絹子君     中尾 則幸君
 六月十六日
   辞任          補欠選任
     大森  昭君     上野 雄文君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
   委員長         岩本 久人君
   理 事
               石渡 清元君
               岩崎 昭弥君
               釘宮  磐君
               有働 正治君
   委 員
               太田 豊秋君
               狩野  安君
               鎌田 要人君
               久世 公堯君
               関根 則之君
               松浦  功君
               上野 雄文君
               中尾 則幸君
               安永 英雄君
               渡辺 四郎君
               長谷川 清君
               山崎 順子君
               続  訓弘君
               西川  潔君
  国務大臣
      自 治 大 臣
      国 務 大 臣
      (国家公安委員
      会委員長)    石井  一君
  政府委員
      警察庁長官    城内 康光君
      警察庁長官官房
      長        廣瀬  權君
      警察庁長官官房
      総務審議官    山本 博一君
      警察庁刑事局長  垣見  隆君
      警察庁刑事局保
      安部長      中田 恒夫君
      警察庁警備局長  菅沼 清高君
      自治大臣官房総
      務審議官     松本 英昭君
      自治省行政局長  吉田 弘正君
  事務局側
      常任委員会専門
      員        佐藤  勝君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○警察法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
○地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う
 関係法律の整備に関する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(岩本久人君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨十五日、大渕絹子君が委員を辞任され、その補欠として中尾則幸君が選任されました。
 また、本日、大森昭君が委員を辞任され、その補欠として上野雄文君が選任されました。
#3
○委員長(岩本久人君) 警察法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は前回既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○渡辺四郎君 大変な時間になっての開会ですから、なるべく時間を切り上げてやってくれないかという理事からのお話がありましたが、なかなか自信がありません。
 そこで、まず警察法の改正問題について若干お聞きをしてみたいと思います。
 今回の警察法の改正案は、提案理由の説明等にもありますが、内外の社会情勢の変化に対応した警察運営の展開を図るために警察庁の方に生活安全局を設置する等その内部部局の組織を改める警察庁の組織改正と、いま一つは、犯罪の広域化に効果的に対応するために都道府県警察相互間の関係等に関する規定の整備を図るという、いわば三十年ぶりの警察制度の改正というふうになっておりまして、大きく言って二本の柱でこの改正の内容が提案をされているというふうに思っております。
 そこで、まず第一点お聞きをしたいのは、この改正の中で、権限が警察庁長官官房に非常に集中をいたしまして大官房制へ移行するのではないかというふうに実は私自身は思うわけであります。現在の長官官房の所掌事務のほかに新たにかなりの部分が追加をされまして、現在の十一の所掌事務から二十へとほぼ倍増するわけです。そして、私らが一般的に言っておりますように、行政のスピード化という中からはできるだけ一局に権限が集中しない方がよりスムーズにいくんではないか、そういう点から見て若干私自身は危惧をする点があるわけですが、ここらについてどういうふうなお考えか、まずお聞きしたいと思います。
#5
○政府委員(廣瀬權君) ただいま先生御指摘のとおり警察庁の内部組織を改編するものでございますが、警務局を廃止いたしまして長官官房にこれを吸収するということにいたしました。
 御案内のとおり、文書、秘書、会計、人事といった事務を多くの省庁におきましては統一の官房部門で扱っているというのが多いわけでございますが、警察庁もその例に倣うことにいたしたいというものでございます。
 ただ、こういうふうにいたしましたのは、今回生活安全局というものを設置いたしますが、この生活安全局といいますのは、国民の生活の安全を確保するという執行面の仕事を強化したいというがために保安部を改組いたしまして生活安全局を設けるものでございます。スクラップ・アンド・ビルドの建前もございまして、やむなく警務局を廃止いたすことといたしたものでございます。決して権限の集中をねらって官房だけが組織の中で肥大化しよう、そういうことを図ったものではございません。執行面を強化するため、やむなく警務局を廃止し、その事務を官房に吸収したというものでございます。
#6
○渡辺四郎君 私の心配が杞憂であれば結構ですけれども、行政そのもののスピード化という中で問題として心配されるのは、権限が集中すればするほど、一たん緩急というとあれですけれども、急ぐ場合になかなか間に合わないんじゃないかという心配がありますから、これは私の心配であればそれにこしたことはないということを申し上げておきたいと思います。
 次に、具体的に幾つかの問題でお尋ねしてみたいと思うんですが、改正案の二十一条の長官官房の所掌事務のうちの一項十九号です。「前二号に掲げるもののほか、所管行政に係る国際関係事務のうち、基本的なもの」ということになっておりますが、この「基本的なもの」というのはどういうものなのか。例えばICPO国際刑事警察機構なんかを指すのかどうなのか。その点についてお尋ねしたい。
#7
○政府委員(廣瀬權君) まさに先生御指摘のとおりでございまして、ICPOあるいは外国警察機関との連絡、折衝、そういうことが「基本的なもの」ということでございます。
#8
○渡辺四郎君 次に、今度の改正で広域捜査の関係の部分が改正になっておるわけです。この広域捜査に関する改正というのは先ほども申し上げましたが、警察組織自身が約三十年ぶりの改正であるという点から見て、グリコ・森永事件みたいな非常に広範囲、しかも継続的に長期にわたる捜査等もありまして、グリコ・森永事件は十年経過をしたわけですが、こういう歳月の流れの中で事件に関する記憶がだんだん薄れて風化をしてきたわけですが、こういう中で、警察庁としてはこの事件を中心にどういう教訓を残し何を反省をしたんですか、あるいは何を学んだのですか。こういう点について考え方を聞きたいと思います。
#9
○政府委員(垣見隆君) お答えいたします。
 御指摘のようなグリコ・森永事件に代表される広域重要事件につきまして種々の反省点、教訓があるわけでございますけれども、中でも、現行の警察法では都道府県警察単位の事件捜査という形になっております。この種の事件、広域捜査については、関係府県が多数に及ぶわけでございまして、その連係プレーがうまくいくかどうかが決め手になるわけでございます。それがやはり一番大きな反省点でございます。
 これらを解消するために、これまでに都道府県警察間で広域捜査訓練を実施するとか、あるいは協力をして広域機動捜査班を設置して広域捜査体制を整備するとか、さらには広域連携を行うためには通信手段をきちっと確保するということが大変大事でございまして、そういう点についても整備を図ってまいったところでございます。
#10
○渡辺四郎君 そうした多くの教訓なりあるいは反省などもあったと思うんですが、そういうことに基づいて今回の改正が提起をされたと思うんです。
 その中で、特に現行の警察制度の枠組みにとらわれないで広域捜査体制という仕組みができるというふうに私自身は実は解釈したわけなんですが、そういうとらえ方でよろしいでしょうか。
#11
○政府委員(垣見隆君) その点につきましては、犯罪の広域化に対応するためのもう一つのポイントとして捜査指揮を一元的にするという点がございます。
 これまでは警察法六十条に基づきまして、一つの関係都道府県が他の都道府県に捜査員を応援させることによって統一した指揮のもとに捜査を進めるという形をとってまいったわけでございます。しかし、特に広域事件の中でも初動捜査の場合におきましては、迅速な判断または迅速な手続で共同、合同した捜査をする必要があるわけで、その場合にこの応援の規定に基づく捜査というのはやや問題があったわけでございます。
 このたびの改正によりまして、現行の警察法の基本的な枠組みは維持しつつ、また関係の都道府県警察がみずからの義務としてそれぞれの責任において捜査をするという形をとりつつ、その上でしかも指揮が一元化できる仕組みが整備されるわけでございまして、この仕組みができ上がりますと今後は従来以上に迅速な対応、また他府県の事案に応援するという応援意識というものが払拭をされて事案に的確に対応できるものというふうに考えております。
#12
○渡辺四郎君 六十条、六十一条の改正の内容について考え方が今述べられましたが、日本の警察といえば非常に検挙率が高いということで評価の第一に挙がってきたわけです。
 今日までの自治体警察を支えてきた裏には警察官の仕事に対する熱意ももちろんありますし、同時に一般的に言われておりましたように、縄張り争いの意識といいますか、みずからの手で犯人を逮捕するという、そういう非常に強い意気込みが今回の広域捜査に当たって、妨げと言っちゃ何ですが、今までみたいなそういう意識だけで何が何でも挙げなきゃいけない、逮捕しなきゃいけないというふうに燃えておった警察官の皆さんたちが、広域捜査になって、あるいはという気持ちが起きるんじゃないかという心配もあるわけです。
 そういう心配は心配としてありますけれども、改正法の枠組みができてもやっぱり円滑な運用をしなきゃいけないと思うんです。今までであれば、同じ府県内の警察職員同士でありますから交流もありますし異動もあるわけですから、そういう点では非常にお互いの連携がとれておったわけですけれども、こういう広域捜査になりますと、全くよその県警の職員と一緒になるようなことがあるわけですから、そういう意味で連携意識なんかをどう養っていくのか。そういう環境整備について、何かお考えがあったらお聞きしたいと思います。
#13
○政府委員(垣見隆君) ただいま委員御指摘のような点は大変大事なポイントというふうに考えておりまして、私どもといたしましては広域初動捜査活動に従事する捜査員等につきまして、関係県が集まった合同した訓練の実施、それから近辺の警察署単位になると思いますけれども、連絡会の頻繁な実施、場合によっては関係都道府県、特に隣接の都道府県同士で捜査員を人事交流させるというようなことも含めて、連帯意識またはそういう合同捜査、共同捜査のための環境づくりを進めてまいりたいというふうに考えております。
#14
○渡辺四郎君 今度の改正案の中で、先ほどちょっとお話がありましたが、六十一条の二項を設けて、複数の都道府県を舞台とする広域犯罪に向けての対応の仕方の内容の問題です。
 どうしても私ら地行委員会におりますと、自治体の財政問題が常に頭にあるものですから、広域捜査に当たって指揮の一元化というのは明確になっておるようですけれども、例えばかなりの部隊を配置をして、長期間とは言いませんけれども例えば、三日か一週間ぐらい、前であれば大体二キロ以内ぐらいということで、これは山岳の遭難なんかの捜索のときを想定した越県しての捜索のあれだったわけですけれども、今度の場合、聞いてみますと十キロないし二十キロぐらいまでというようなお話も聞いております。これは要人の身辺警護のと同じようなことでお聞きをするわけですが、そういう部分の必要経費についてはどういうふうにお考えになっておられますか。
#15
○政府委員(廣瀬權君) まず、六十条の二の「境界から政令で定める距離までの区域」、これはただいま先生お示しのとおり、現行は二キロでございますが、これを原則十五キロにすることを考えておるところでございます。
 また、捜査等に要します経費の関係でございますが、数都道府県が共同して事案を処理する場合におきましても、それぞれの都道府県警察の活動として見ますとみずからの事務としてその事案を処理することとなりますので、捜査経費についてもそれぞれの都道府県警察の活動に要する経費として分担することとなっております。警護活動につきましても同様でございまして、直接警護活動を行った都道府県警察の活動に要する経費として分担するということになります。
 この場合、警察法第三十七条第一項によりまして国庫支弁経費とされております数都道府県の地域に関係のある重要な犯罪あるいは警護に要する経費等については、関係都道府県警察において国費をもって支弁することとなっております。その他のものにつきましては、県費をもって支弁することとなります。
#16
○渡辺四郎君 それじゃ次に、非常に地域の皆さんから親しまれた派出所という名前を統一して交番にする、このことについては私別に違和感もないし、親しまれたことですからいいと思うんですが、問題は警察官全体の定数の関係があろうと思うんです。やっぱり駐在、今度は交番ですが、交番の皆さんは必ずしも一人で駐在所にずっと座っておるわけにはいかぬ、飛び回らなきゃいけない用件がたくさんあるものですから、住民の皆さんが事故やあるいは相談事で駆け込んでも留守が多いというのが今の交番の実態であるわけです。
 それで、本当に交番の機能を強化するためには、大きいところは別ですけれども、田舎の方に行きますと一交番一人なんで、そういう交番機能で果たして住民のニーズに対応できるかどうかという問題が一つあるわけです。確かに機械化の進んだ中ですから、昔みたいに自転車で回るわけじゃないから、若干のスピード化も行われておりますしあるいはコンピューター等も入れるというようなお話もありますが、コンピューターがあってもなかなか相談に行ったときに返答は出てこないわけですから、ここらについては、交番の強化というのはやっぱり人間ですが、警察官を増員するのか、その強化について考えがあればお聞きをしておきたいと思います。
#17
○政府委員(中田恒夫君) お答えいたします。
 現場を重視する、それから空き交番をつくらないという観点で、委員御指摘のような観点から、現在私ども警察本部や警察署の管理部門、デスク部門を合理化するということなどによりまして交番の人員の増強を図っております。それからまた、交番へのミニパトカーの配備などによりまして機動力を強化する。それからまた、警察官のOBがおりますが、こういうOBの警察官などのせっかくの知識、技能というものを利用するべきでございますので、交番相談員というような形で日勤で勤務についていただいていろんな相談業務なんかに当たっていただくというような措置をとっておりまして、地域の実態に応じた交番の体制強化ということを図っているところであります。
 このほかにも、幾つかの交番を統合的に運用するブロック制度でありますとか、時差勤務制の導入を図るとか、それからまた今委員御指摘のテレビ対話システム、こういうものの設置を図るなど、運用面、設備面、各般においてさまざまの努後にこの問題についてですが、月末に一斉にいろいろな株主総会が開催されます。この二年間でも、暴力事件が十六件発生して、二名が死亡して三名が十日から二週間程度のけがを負ったという事件、これも未解決のままになっておるようですけれども、この集中します株主総会に対する総会屋対策といいますか暴力団対策といいますか、ここについて今どういうふうなお考えがあるのかお聞きしたいと思います。
#18
○政府委員(垣見隆君) お答えいたします。
 ただいま委員御指摘のように、この六月下旬に株主総会が多数開催されます。最近、企業の幹部を対象にした襲撃事件が発生し、しかもそれらの事件の幾つかは総会屋等が関与しているのではな
 いかというように見ているところでございます。また、そういう総会の集中シーズンを迎えまして総会屋の動きも活発になっているところでございます。
 警察といたしましては、こうした動きに対処するため、本年三月以降、警察庁、関係都道府県警察におきまして特別の体制をとって総会屋等による違法行為の防圧、検挙、それから関係者の保護に努めているところでございますが、さらに本日、警察庁に警察庁次長を長とする企業対象暴力特別対策本部を設置し、六月三十日までの間を株主総会特別警戒期間として株主総会シーズンに向けた取り組みに万全を期すことといたしております。
 総会屋の問題につきましては、企業の毅然とした対応と警察と企業との緊密な連携が大変重要であるというふうに考えておりまして、先般この点については警察庁長官が経済四団体に対して協力方の要請をしたところでございます。この問題は大変重要な問題というふうに考えておりまして、あらゆる手段を尽くして万全を期してまいる所存でございます。
#19
○国務大臣(石井一君) この問題に関しましては、過ぐる六月十四日の閣議で発言そ求めまして、六月末の総会シーズンに警察は毅然とした態度でこれに向かいたいと思うので、各省各大臣の協力を求めたところでございます。
 特に懸念事項といたしましては、毅然たる態度をとった方が大変厳しい立場に立っておるというふうな結果が出ておるわけでございまして、この時期に警察といたしましては特にこの問題を重視して取り組んでいきたいと考えております。
#20
○渡辺四郎君 ぜひひとつ事故の起きないように万全の対策をお願いしておきたいと思います。
 次に、私は在日外国人人権問題について今から残りの時間で質問してみたいと思うんです。特にきょうは外国人問題での在日朝鮮人に対する人権問題を中心にお聞きしたいというふうに思います。
 と申しますのは、御承知のように、特に本年に入りまして、朝鮮民主主義人民共和国のIAEAの核査察問題をめぐって国連の場での働きが国内でも連日のようにマスコミで取り上げられて、非常に緊張感が漂った中で、私が今から申し上げたいのは、この動向に関連をしてかどうかは別といたしまして、国内で特に最近在日朝鮮人に対する多くの暴行なり暴言あるいは人種差別事件が多発をしておる。このことは十四日の予算委員会の中で我が党の上山委員が国家公安委員長にも質問を申し上げた。そして警備局長の方から、七件の報告を受けておるという答弁もあっておりました。
 昨晩テレビでやっておりましたけれども、ゆうべのテレビでは四月、五月だけで百二十件を超しておると。そして、民族衣装であります在日朝鮮人の女子学生が着用しますチマ・チョゴリが何か刃物で切られた、そういう現物をお母さんが見せておったのがテレビで放映されておりました。
 私が今一番心配をしておるのは、六月に入って十三日までに四十五件に及ぶそういう事件の報告を私らは受けたわけです。これは考えてみますと、四月二十五日の朝鮮総連の大阪府本部ほか七カ所と六月六日の同じ朝鮮総連京都府本部ほか二十六カ所の強制捜査、これと何か相呼応するような状況で在日朝鮮人に対する犯罪行為が非常に増加をしてきておる。ですから、この強制捜査が在日朝鮮人に対する人権差別につながっておるとかあるいは助長しておる、そんなことになればこれは大変な国際問題だと、実は私自身もこういう心配をしあるいは危機感も持っておるわけであります。
 時間がありませんから余り申し上げませんが、私は大阪と京都にはそれぞれ調査に行ってまいりました。両府警本部あるいは両朝鮮総連の本部、京都市の場合は市役所等々を含めていろいろとお話を聞いてまいりました。
 そこで、この二つに共通する問題として言えるのは、一つは、大阪の場合は府警本部とは若干違いますけれども、若干の数の違いはあったにしても、警察官約千四百名を動員して、そして朝鮮総連大阪府本部、ほかの支部あるいは幹部の皆さんたちの自宅の家宅捜査。生野西という朝鮮総連の支部がありますが、そこなんかは約二百名ぐらいの警察官が遠回しに支部の事務局を取り巻いておった。付近の人は余りに物々しい警備であるものですから、そこでうわさになったのが、その事務局内に殺人犯が人質をとって立てこもっておると。そういうことで、非常に恐怖におののいてその現場を見守っておったというお話も現地に行って実はお伺いをしたわけです。
 京都の場合も、朝鮮総連の京都府本部やそれ以外のところに百五十から二百人かけての強制捜査です。強制捜査を見てみますと、どうも余りに過剰な警備の中で強制捜査がやられたのではないか、あるいはやったんではないかという感じが実は調査の結果私自身したわけです。その中でも特に京都の問題で、きのうも新聞に出る、京都の市長さんはきのうも正式に朝鮮総連京都府本部を含めた関係者の皆さんに謝罪をしたわけですが、許されないことは、国家権力を行使するわけです、その行使に至るまでの間の行政上のミスによって全く関係のない人が国家権力の強制捜査によって被害を受けた。京都の場合、このことはやはり私は明確だと思うんです。したけれども、この中にも重要な部分で抜けておる部分があるわけです。私はこれを意識的だとかなんとか申しませんけれども、学校法人京都朝鮮学園等に対する捜査実施の嫌疑についてということで、平成六年六月八日、警察庁からいただいた文書があります。三つに分けておりますけれども、一番は大体そのとおりで、四月一日付で京都府警の方から照会があった。その一部については国土利用計画法の届け出がない旨の理財局長名入りの公文書によって回答したと。これはこのとおりなんです。
 ところが、私が不思議に思うのは、その次の五月二十八日の分と六月三日の重要な部分が落ちておる。これは山科署から、問題になりました二十七筆中の二十六筆について郵送による文書での照会がありました。これについては、京都市はまだ未回答申だったわけです。未回答申であったというのがここに一つ落ちておる。
 それから、二つ目の問題が大変な問題ですが、六月三日に府警から三名の警察職員が京都市に訪ねてまいりました。担当の部長とお会いをして、問題の二筆について国土利用計画法違反で告発するようにということを市側に要請をした。市の方は協議をして、市としての態度を決定するには告発をするかしないかを含めて国土庁とも協議をしなきゃいけない、だから一週間から十日間程度期間をくださいというふうに見えた三名の方にその場で協議をした結果をお話ししたわけです。これは金曜日なんです。そして土日の二日置いた六日の朝、突如として強制捜査に入った。それも先ほど申し上げたような大量の部隊を出しての強制捜査であった。
 そこでお聞きをしたいのは、誤認であったということについて、何日の何時ごろ、だれの口によってわかったか、これを明確にしていただきたいと思います。
#21
○政府委員(中田恒夫君) お答え申し上げます。
 現地の京都府警からの報告等によりまして私どますと、市役所の公文書による回答がミスである、内容が間違っておったということが確認できましたのは、捜索を行いました六月六日の午後八時ころであったと思われます。
 といいますのは、この確認に至る経緯についてもう少し敷衍して申し上げますと、当日の午後二時ぐらいに関係者の方から、これは土地の売買の仲介をした会社の役員の方でありますが、その方から、届け出をしているはずだといいますか届け出をしているんじゃないかということの申し立てもあり、そしてまたその方から、たくさんのこのほかにも土地の移転がございますから、たくさんの書類の中から、紙袋いっぱいの書類をお持ちになりましたので、そこから関係の書類をずっと探されたわけであります。午後三時ぐらいにこの人の提出された書類の中から届け出書の写しと思われる書類が出てきたということであります。
 それで、これはということで、その人に事情聞いておりましたのは宇治警察署でありますので、捜査の統括者なんかがおりますのは山科警察署でありますから、そちらへファックスを送ったりして連絡をしたわけであります。それが午後三時ぐらいでございます。
 午後三時半ころに、山科署の方から京都市に電話で、そのような話があるけれども、あるいはこのような書類というものがあるけれども、事実かどうかということを確認のため電話をしたわけでありますが、その三時半の時点では市役所の担当の課長さんがおいでにならなかった。お帰りになったら電話をいただけるようにということで待っておりましたら、午後四時ぐらいに市役所の担当の課長さんからこちらの警察の方へ電話があったということであります。それで、実はこういうことで調べてほしいということをこの午後四時の時点で連絡しているわけであります。
 待っておりましたところ、電話が向こうから来なかったものですから、午後五時半ごろにまた再度警察の方から催促になりますけれども市へ電話をいたしまして、どうでしたかということで聞きましたら、いや届け出があるようですという回答が電話でありました。
 それで、えっということで、これはまさかということで信じられないような事態でございましたので、早速、ではその届け出書、関係の書類などをお持ちいただいて山科の方で事情を説明してくださいということで、関係の市の担当の幹部の方が書類を持って山科署の方へおいでいただいて、事情を聞き始まったのが午後七時過ぎであります。
 そして午後八時ごろに、先ほどの仲介業者の方から出てまいりました届け出書の写しみたいなもの、そういうものと京都市の方からお持ちになった書類といったようなものを突き合わせて精査をいたしまして、これは届け出があったということがわかったのが午後八時ぐらいということであります。
 そのような経過をたどっております。
#22
○渡辺四郎君 京都府警の方からおたくの方にはそういう報告があったと思うんですよ。
 私が現地に行って調査をいたしましたところ、今お話しがありましたように、関係者、特に名前は出していなかったようですけれども、仲介人といいますかある会社の方から、あるいは朝鮮総連の顧問をしております前国会議員の人からというお話もあるわけですね、それは警察の方に届け出をしてあるんじゃないかという連絡をしたと。これはうわさですから。
 そういううわさもありましたが、大体二時ごろには届け出が済まされておるということは連絡があっておったということを私は調査の中でお聞きをしたわけですが、それは今正式な国会の中でお話があったわけですから、それはそのとおり受け取っておきましょう。
 問題は、ここにも出ておりますが、この捜査の過程の中で私は二つも三つもやっぱりミスといいますか過ちがあったんではないか。
 一つは、再三照会をしました二十七筆中の二十日ですかにできまして、これは国土利用計画法によりまして届け出は免除をされておるわけです。それを執拗に調査をしていった。ですから免除の規則そのものがあること自身を、京都府警かあるいは担当の山科署かどうかは別として、知らなかったのかどうなのか。
 といいますのは、六月六日に強制捜査がある。二十七筆中の二十五筆は時効であるから捜査をしなかった、残りの二筆だけについて捜査をしたという報道がありました。ところが、おとついの十四日付の新聞で届け出は不要だったということで出ておって、これは十四日の日に、これを含めてかどうかはわかりませんが、京都府警の方が陳謝をしたというふうに出ておるわけです。ところが、二十五筆は時効でなくて届け出の義務がなかったというのが六月六日の捜査の日にはっきりしておると思うんです。あるいは遅くとも七日の日にははっきりしておる。
 それはなぜかといいますと、捜査の翌日の新聞に出ておるわけです。ここに六月七日の読売新聞の夕刊があります。七日といいますと、捜査の翌日です。この翌日の新聞に、ところが六日午後、事情徴取された関係者が間違いなく届けたと反論したため二筆分を再度調べたところ、市から二年六月八日に届けがあった、残る二十五筆分もその後の調査で正規の手続が行われていたことが判明をしたと。その後の調査でです。六日の日の捜査で七日の新聞ですからね。
 そうしますと、これは時効でなく手続の義務がなかったわけですから、時効ということであれば犯罪はあったけれども捜査の対象にならないというだけのことでしょう。そのことによっても、二十五筆分については関係者の皆さんは非常に大きな犠牲あるいは被害を受けたわけです。その上に二筆の部分で強制捜査に入ってきた。二筆の部分も私の調査では平成二年六月八日に届け出をしておる。これは京都市役所の方に受理をした、受け付けをした記録があるわけです。そして、その翌年の三年には、これは証明か何かを求めたんでしょう、この二筆分について届け出があったということを再発行した記録もあるわけです。
 ですから、やっぱり捜査規範にもありますように、任意捜査の原則ということをここで守っていっておればこういう基礎的な過ちはなかったんではないか。この任意捜査の原則が警察規範の中に定められておりながら、それを抜きにして強制捜査に踏み切って、しかも過剰の強制捜査をやっていった。ここをどうしても私自身はやっぱり疑問に感じて、そういうことはないと思うんですけれども、何か別な目的があるんじゃないかというふうに感じざるを得ないわけです。
 そこで、長官とそれから国家公安委員長に最後にお聞きをします。
 私はもう申し上げますが、長官も先ほど言いましたように、梶原さんの予算委員会での質問の中で、間違っておれば訂正をしてもらって結構ですけれども、国家公安委員長に対して梶原委員が、京都府警が関係者に迷惑をかけて申しわけなかったとわびるという指示をしてくださいということを要請しました。石井国家公安委員長の方からは、大変御迷惑をおかけいたしておりますことを私の立場から大変遺憾だというふうに考え、警察庁を通じて京都府警に対しその指示が十分届くように私から指示をさせていただきたいと存じますと、そういう趣旨の答弁をされたのを私テレビを見ておりましたからメモしたわけであります。
 国家公安委員長の方では指示をされたと思うんですが、その指示を受けて警察庁の長官は具体的にどういうふうに府警本部に対して指示をされて、そして府警としてはどういうふうな謝罪をしたのか。あるいは謝罪をしていないというんであれば、常に一般論というふうに警察がおっしゃるわけですから、一般論としても、これほど大事な国家権力を使っての間違いですから、それは行政上の間違いですよ、警察に間違いがなかったとかたわけですから、そうすれば、一般論としても飛んでいってでも謝罪をする。これが私は日本の警察じゃなきゃいけないと思うんです。
 そういう立場から、国家公安委員長それから警察庁長官に、先ほど申し上げました、どういう指示をして京都府警がどういうふうな対応をしたのか。言いましたように、京都の市長さんはきのう正式に謝罪をいたしました。ぜひそこをお聞きしたい。
#23
○政府委員(城内康光君) お答えをいたします。
 大臣は本件につきまして、法的手続に問題はないけれども、結果的に関係者に大変迷惑をかけまことに遺憾であると考えておられると私ども理解しておりまして、警察庁としても全く同様に考えているところでありますが、六月十日に開かれました参議院の予算委員会においては、こうしたお考えに基づいて大臣が、京都府警本部長の気持ちが関係向きにまだよく理解されていないようなので、関係向きによく理解されるように努力したらどうかというような趣旨で御答弁されたというふうに私どもは理解しております。同日、官房長に対して大臣からその旨お言葉があったわけでございます。
 私どもとしては、かねてからそのように理解しておったところでありますが、改めて京都府警に対し、京都府警の気持ちが関係向きに十分理解されるようにしてはどうかということを伝えたのでございます。これは六月十日にそういうことを伝達いたしたわけであります。これを受けまして、京都府警においては文書をもちまして関係者に遺憾の意を表明したというふうに報告を受けております。
#24
○国務大臣(石井一君) 私も就任いたしましてこの事態を大変深刻に受けとめた一人でございます。
 国会で答弁をいたしまして、その前に、京都府警の本部長は翌日でございますが記者会見をいた意を表しております。そして、私の指示に基づきまして、その後京都府警は関係各所に対しまして、そういうつもりで捜査をしたわけではないけれども、こういう事態が起こったことはまことに遺憾であるということの、警察庁長官は非常にかたい言葉で今申しましたけれども、釈明と申しますか説明を申し上げたという手続をとっております。
 それからもう一つ、警察四局長名で、刑事局長、保安部長、交通局長、警備局長の四局長名で、全国の警察本部長、そして参考送付先として庁内の各局部課長、附属機関の長、地方機関の長すべてに、慎重な捜査の推進についてということで、今般、京都府警が国土利用計画法で捜索をしたが、刑事訴訟法の規定に基づくそういう形で行って、京都の理財局長の文書の回答よりこうなったけれども、そして警察は捜査を打ち切る状態に至ったが、言うまでもなく捜査は人権に深くかかわるもので従来から適正かつ慎重に行ってきたところであるが、各位にあってはこのような希有の事例があることをも念頭に置き今後とも慎重に捜査を推進されたい、こういう行為を次々にとっておりますので、警察当局といたしましても、今後このような事態が二度と起こらないように最大の注意を払って措置をしたというふうに考えております。
 なお、冒頭に申されました渡辺先生の御意見でございますが、私も、外国人の婦女、特に若い学生に対します行為が最近頻繁に行われておるということに大変心を傷めております。報道されております件数と警察が認知しております件数とには相当数の開きはございますものの、こういう国際的な事件が起こっておるときにこういうことが頻繁に起こりますということ、私は日本人の恥だと思います。
 終戦直後、私が青年の時代に、私の生まれ育った神戸におきましてはいろいろな事件が起こりました。私はそのたびに心を痛めてまいりました。それだけに政治家としてこの他人種に退出排他的行為というものに厳しく臨んできたつもりでございますし、また政治家としてもいろいろの仕事をしてきたつもりでございます。相当日本人も国際化し、こういう事件も少なくなっておると思うのでございますが、いろいろの事件が起こるたびにこういうことが頻繁に起こるということを私はまことに遺憾千万で残念だというふうに思っております。
 願わくば、今京都で処置をいたしましたような措置を全国の警察にもいたしまして、今後このような非道な行為をする者があれば厳しく取り締まるという姿勢を出さなければいけないのではないか、そういうふうに考えておる次第でございます。
#25
○渡辺四郎君 警察庁長官、今あなたがおっしゃったこととこの間の梶原委員の大臣に対する要請の中で大臣がお答えになったもの、これは私はメモしておりましたけれども、議事録ができましたらわかりますけれども、大臣がおっしゃったのは、各府県は独立して捜査をしていますが、しかし梶原さんの言った意を酌みまして、警察庁を通じて京都府警にその指示が十分に届くようにと、こういう趣旨の御回答です。これは議事録が出てまいりますから、今の長官のお答えになった問題と若干違いがありますから、これは申し上げておきたいと思います。
 最後ですけれども、確かに陳謝をされたということも聞きました。しかし、朝鮮総連を含めていわゆる強制捜査に遭った人たちは被害者であって犠牲者なんですね。こういう人たちがどういうものを求めておるか。府警の本部長に直接来てもらって謝罪をしてもらいたいというのが要求なんです。ですから、言いましたように、国家権力を使ってあれほどの犠牲と被害を与えたわけですから、出ていってでも本当に申しわけなかったということを素直に謝るべきじゃないか。これは最後に申し上げておきたい。また次回の委員会の中でもお聞きをしたいと思います。
 終わります。
#26
○久世公堯君 予算委員会のためにおくれましたことを申しさけないとおもっております。
 まず最初に、石井国家公安委員長にお尋ねをしたいと思います。
 通告はいたしておりませんが、石井国家公安委員長は前に国土庁長官をやっておられたわけでございます。そのころは四全総でございました。四全総は昭和六十二年につくられましたけれども、その前提として、たしか昭和五十九年だったと思いますが、二十一世紀への展望というものを国土庁が発表いたしました。二十一世紀に至る課題あるいは二十一世紀当初の課題として四つの課題を示しておりました。その一つが高齢化の問題であり、都市化の問題であり、技術革新、情報化の問題であり、四番目には国際化の問題であったと思うわけでございます。
 きょう審議をされますところの警察法の改正、特に警察の組織についての中央、地方の改正を見ますと、例えば警務局を生活安全局にする、国際部をつくる、あるいは地域の派出所なり交番というものをそれぞれ時代に合ったものにする。これを照らし合わせますと、今私が申し上げました二十一世紀の四つの課題でございますところの高齢化、都市化の問題はまさに生活安全局そして地域の交番なり派出所の改革の問題であり、それから国際化の問題は国際部の設置の問題であり、また情報化の問題は情報通信局の新設の問題だろうと思うわけでございます。
 今回の改正は、今まで何回も行われました警察法改正の中ではかなり重要な改正だと私は思っておりますが、私は、過去、現在、未来の警察のあり方、特に二十一世紀へ向かっての課題に即した警察法の改正であろうかと思いますが、国土庁長官の御経験も持たれるところの国家公安委員長にそういう二十一世紀を展望した率直なお考えを聞かせていただければありがたいと思います。
#27
○国務大臣(石井一君) 国土政策の二十一世紀のビジョン、私も薄々今覚えておるわけでございますが、それが高齢化、都市化、情報化、国際化というものをうたっており、また今日の警察の課題まして、なるほど示唆に富んだ御意見だというふうに感じます。恐らく、警察行政、国土行政以外の我が国の政治、行政が直面いたしておりますすべてのものがその四つの課題を抱えて、新しい政策の転換を求められておるのではないか、そういうふうな認識をさせていただくわけでございます。
 警察法に関しましては、久世先生はこの道のべテランでもございます。なぜこれを今しなければいけないのかということを私の口から繰り返して申し上げる必要はございません。ある言い方によれば、既に遅きに失しておったのではないかと。広域行政にいたしましても国際的な警察の対応にいたしましても外国人の数を見ましても、そのほかあらゆる客観的な情勢というものがそれが必要であるということ、そういう要件が十分そろっておるわけでございまして、そういう中で今御審議をいただくこと自体少し遅きに失するという感じもしますが、この際、これを契機に十分に内部も戒めまして、先ほどから渡辺先生等の御指摘にありますようなことをも踏まえて、慎重の中にも前進的に新しい警察行政に立ち向かっていくことが今必要ではないかというふうに認識をいたしております。
 ただ、私国家公安委員長を今させていただいておるからこういうことを言うわけではございませんけれども、日本の治安というものは他の国に比べて安定した立派なものを伝統としてつくり上げておるのではないかと思います。地方へ参りまして、交番所に人がいないじゃないかという御指摘もございましたが、地方の交番所と村人との温かいつながりというものも残っておりますから、新しい改革は潔くやると同時に、古い美しい伝統はしっかりと守っていく。古きよきものと新しき取り入れなければいけないもの、この両方を車の両輪のごとく進めていくことによって今後の二十一世紀に対する警察行政の万全を期すべきだ、そういう認識をいたしておる次第でございます。
#28
○久世公堯君 警察法の本論に入ります前に、ただいま渡辺先生の御質問の京都府警の問題でございますが、実は先般の予算委員会におきましても、梶原先生の御質問でこの問題はかなりの時間議論しましたのを私も予算委員会の理事としてよく承っております。たまたま今、国土庁ではありませんが、この問題は国土利用計画法違反の問題。私もこの法律はかなり昔やった法律でございますので、この事件に接触をいたしまして、一体この国土利用計画法違反の検挙状況というのはどのくらいあるんだろうか、あるいはまたこの事件でございますところの強制捜査であるところの捜索を実施したのがどのくらいあるんだろうか、さらに告発を受けないで検挙したものはどのくらいあるのか、まずその事実をお尋ねしたいと思います。
#29
○政府委員(中田恒夫君) 数字だけお答えを申し上げます。
 最近におきます全国の検挙状況でございますが、山数でございますが、平成三年に二十二事件、平成四年に二十六事件、平成五年に十九事件を検挙しております。これらのうち強制捜査であります家宅捜索を実施いたしましたのは、平成三年は二十二事件中二十一事件、平成四年は二十六事件中十八事件、平成五年は十九事件中十七事件でございまして、この三年間を合計いたしますと六十七事件のうち五十六事件、八四%に当たりますが、これについて家宅捜索を実施しております。
 なお、今お尋ねの告発を受けずに検挙したものの数でございますが、平成三年は二十二事件中十七事件、平成四年は二十六事件中十六事件、平成五年は十九事件中十一事件でございまして、三年間を合わせますと六十七事件のうち四十四事件、すなわち六六%が告発なしで検挙をしておるということでございます。
#30
○久世公堯君 この事件は、予算委員会のときも痛感したのでございますが、京都市によるところの行政指導を先行させるべきではなかったかという声を耳にいたします。
 そこで、行政指導を先行させないで強制捜査に着手したことについての警察庁のお考えを聞かせていただきたいと思います。
#31
○政府委員(中田恒夫君) お答えを申し上げます。
 国土利用計画法上の届け出制度でございますけれども、土地売買等の契約の締結前に届け出をさせまして、六週間の期間、一定の凍結期間を設けまして、その間に勧告を行う、さらに公表まで予定されておるというものでございまして、それで取引価格なり利用目的の適正を図る。これは私が解説するまでもないと思いますが、御承知のとおりでございます。
 本件の場合は届け出がなされないわけでございます。実際はなされていたわけでございますが、私どもの承知しておりましたのは届け出がなされていない、そして既に土地売買等がなされ登記も完了しているという事案と当時は理解したわけでございます。
 こういうような場合、同様なことについては届け出をするようにというような行政指導ということは考えられるわけでございますけれども、既にもうそこまで事が至った事案について、それを是正するための行政指導というものは難しいのではないだろうかというふうに考えた次第でございます。
#32
○久世公堯君 城内長官にお尋ねをしたいと思いますが、この問題は京都市の公文書に誤りがあったということが大きな原因でございまして、京都府警の捜査手続に果たして違法があったんだろうか。違法はなかったんじゃなかろうか。しかし、結果的に京都府警が捜索によって関係者に迷惑をかけたことは事実でございますので、これに対して最終的には一体どのように警察庁として対応されたか、また全国的な視野に立ってどのように対処をしておられるのか、そういうことを含めて警察庁長官のお考えを聞かせていただきたいと思います。
#33
○政府委員(城内康光君) ただいま御質問にもありましたように、今回の問題は、私どもが捜査をやる場合に判断の根拠といたします市当局の作成に係る公文書が誤っていたと。
 実はこういうことはかって私ども聞いたことのないことでございますが、刑事訴訟法の規定に基づいて犯罪の捜査に必要だから回答していただきたいという公文書を出したものに対して、市の理財局長という責任のある方が届け出がないという回答をされた。そういうことで、これ以上私どもにとって信用のできるものはないということで、結果としてそういうことになったわけでございますが、捜査手続そのものは通常やっているような手続でございまして淡々と進められていたわけでございます。したがって、捜査手続そのものに違法はなかったというふうに私ども考えております。
 ただ、結果として関係者に大変御迷惑をおかけすることになった。関係者の心情につきましては十分私どもも理解しておるところでございまして、まことに残念だと思っておるわけでございます。先ほども渡辺委員の御質問のときに我が方からお答えいたしましたけれども、京都府警本部長は、翌日の記者会見において遺憾の意を表するとともに、改めて一昨日文書で関係者に遺憾の意を表明しているわけでございます。
 警察庁といたしましても、こういう万が一にもあるわけがないようなことが起こるという、これも厳粛な事実でございますから、こういったものを踏まえて、今後とも慎重に捜査を推進するようにという意味の通達を六月十四日付で発出しているところでございます。
 今回の事案、こういった事案が再び起こらないようにするにはどうしたらいいかというような点を十分検討いたしまして今後の教訓にいたしたいと考えております。
#34
○久世公堯君 それでは、警察法の改正についての質疑に移りたいと思っております。
 今回の警察法の改正でございますが、これは各省庁を通ずる行政組織の改革の原則によって行われたものだろうと思います。ただ、過去における各省庁の行政改革を見ておりますと、例えば一省庁一局削減でございますとか、あるいは今回の行革審に基づくものでありましてもスクラップ・アンド・ビルドの原則でありますとか、どうしても各省庁共通の原則に立って行われる。今回の警察庁本庁の改正もその一連のものだと思うわけでございますが、果たしてこれが一番望ましいものか、あるいはこういう制約がないならばもう少し改善の余地があったのか、そのあたりのところをお聞かせいただきたいと思います。
#35
○政府委員(廣瀬權君) 今回の警察庁の内部組織の再編につきましては、まさに委員御指摘のとおり、平成六年二月の閣議決定の今後における行政改革の推進方策に従って行っているものでございます。すなわち、内外の社会情勢の変化に対応すべくそれぞれの組織の再編を図ろうというものでありますし、またスクラップ・アンド・ビルドの原則にのっとったものでございます。
 スクラップ・アンド・ビルドの原則にのっとらないとさらにもっとよく望んだことができるのではないかという御指摘でございますが、御回答になかなか難しい点もございますけれども、今回の組織改正は、社会の国際化の進展に対応するもの、あるいは生活の安全確保に対する国民の期待にこたえるもの、さらにはインテリジェント化による警察行政の効率化を図るためのものでございまして、中長期的に見た社会の変化に対応し得るものというふうに考えております。
#36
○久世公堯君 国家行政組織法の一般原則は、各省の場合におきましては以前は局なり官房の設置というものは法律事項でございました。ところが、昭和五十八年の改正で各省の場合におきましては政令事項になりました。それだけ行政が弾力性に富むようになったわけでございますが、警察法の場合は官房なり局なり、部もそうであったかと思いますが、すべて法律事項でございます。これだけ各省庁との間の差があることはどういう理由でございましょうか。
#37
○政府委員(廣瀬權君) お示しのとおり、昭和五十八年の国家行政組織法等の改正の際に、行政機関の組織編成の一層の弾力化を図りますために官房、局及び部の設置等が法律事項から政令事項になったところでございます。
 警察庁につきましては、警察庁が個人の権利と自由を保護し公共の安全と秩序を維持することを任務といたします警察組織の中央機関である、また人権に大変かかわる仕事をする警察組織の中央機関であるということにかんがみまして、政令事項として警察庁の内部組織の設置改廃の弾力化を図るよりも、従前どおりこれを法律事項として、その改正については国会の判断にゆだねることが適当であると判断されたものでございます。
#38
○久世公堯君 今回の改正によりまして、警務局がなくなりまして官房に、特に大事に関係するものは官房に統合されました。
 私もいろいろ古い思い出があるのでございますが、昔は県庁の警務課長というと非常な誇りに満ちた方がたくさんおられました。同じように、警察庁の警務局あるいは各都道府県警察の警務部警務課、これには警察官の皆様方は非常な愛着があったんだろうと思います。それはまた、警察というものはまさに人による行政であるというところに警務局というものの独立性があったんだろうと思います。これを今度官房に統合されたということについて、そのあたりのところはどうですか。一番この中では古い城内長官、どのように思われるでしょうか。
#39
○政府委員(城内康光君) 私は、前々職が警務局長でございまして、正直申してちょっと寂しい気持ちがいたします。
 ただ、先ほど官房長が答弁いたしましたように、スクラップ・アンド・ビルドという原則を貫かなきゃならない。私どもは現場第一主義をとっておりまして、とりわけ国民の身近な安全を確保することに大変力を入れております。交番制度なても局を一つ出さないといけない、こういうことになるわけでございます。
 管理部門として官房と警務局が従来ありましたし、また人による組織でございますから、ただいまの御質問のように人こそ一番大事な問題だというふうに考えておるわけでございますが、しかし大きく言いますと、管理部門ということで一つにくくれないわけではないんですね。また、よその官庁も官房ということでくくっておりますし、今回の改正によって都道府県警察の警務部と総務部をかえるというわけではございません。現場でたくさんの警察官の個々をよく掌握するための警務部はそのまま残っておるわけでございますので、中央機関としては他省庁並みに一つの官房でいいんではないか。大変寂しい思いをしながらそういう決断をしたというのが正直なところでございます。
#40
○久世公堯君 今度は国際部を新設されたわけでございますが、実は国際関係の部局というのが独立をしたことは、警察庁の場合は各省の中では一番遅い時期になったものだろうと私は思うわけでございます。国際部なり国際何々に一元化するというのは一番遅い方だと思います。各省において国際関係部局を一元化することについてはメリットもありますが、同時にデメリットもあるわけでございます。
 そこで、これからは各省庁の特にデメリットに対する教訓というものを生かしてこの運営に努めていただきたいと私は思うわけでございますけれども、一つだけ例を引きましてお尋ねをしたいのは、警察におきましては、たしかパリにございますところのICPO国際刑事警察機構、これの関係が具体的な問題としては出てくる。それから局別に見ますと、特に刑事局の部門とICPOなんかも含めて刑事警察におけるところの国際化の問題が一番大きな問題だろうと思うわけでございますが、刑事局としては国際関係も自分の局でやる。同時に官房に国際部ができる。その間の調整がいろいろとこれから私は問題が起こるんじゃないかと思いますが、刑事局長、そのあたりはいかがでございますか。
#41
○政府委員(垣見隆君) お答えいたします。
 御指摘のように、刑事部門では最近の情勢を反映いたしまして国際的な捜査を行う必要のある事案が多くなっております。したがいまして、今回設置をされます国際部との関係というのは大変重要になるわけでございますが、国際部とそういう刑事部門との関係で申しますと、国際部は、国際犯罪に関し国際刑事警察機構いわゆるICPOとの連絡や国際捜査共助法に関する連絡等対外的な窓口としての事務を行う予定でございまして、他方、犯罪捜査、特に国内的な犯罪捜査に関しましては刑事局、あるいはそのほかの部局も捜査を担当するところがございますけれども、そういう担当部局が都道府県警察と連絡をとって行うわけでございますけれども、窓口と実質的な捜査活動を行う部分とを切り分けた格好で運用するというふうに考えておりまして、それでスムーズに実施ができるんではないかというふうに考えております。
#42
○久世公堯君 この国際化の問題は実はお聞きしたい点もまだいろいろございます。特に最近は、外国人関係の要人の来日が多いし外国人労働問題もあるし、いろいろの問題があろうと思いますが、先ほど申し上げました国際部というものをつくって二元的な行政にならないように、ぜひともその運用のよろしきを得てもらいたいと思います。
 そこで、次には生活安全局の新設と刑事局との関係についてお尋ねをしたいと思います。
 従来、警察庁の組織について、たしか保安部は刑事局にございました。今度は生活安全局。この刑事局の理念と生活安全局の理念というのはかなり違うんだろうと思うわけでございます。従来刑事局にあった保安部がその理念の違う生活安全局ということになったことについて、どのように今回の改正について考えていけばいいんでしょうか、お尋ねをしたいと思います。
#43
○政府委員(廣瀬權君) 刑事局長は、先生御案内のとおり主として犯罪の捜査を担当する部局であります。今回の生活安全局は、犯罪の予防あるいは地域における安全の確保、地域生活侵害事犯の取り締まりなどを担当するものでございまして、手法が違うというところがございます。
 しかし、両局の担当する事務は大変密接な関連を有しておるところでございまして、従来は保安部は刑事局の中にありまして密接な関連をとっておりましたが、今回局になるということではございますけれども、引き続き緊密な協調、連絡をとることが重要と考えております。
#44
○久世公堯君 先ほどお尋ねをいたしました国際部、それから今度の生活安全局、これの本庁における改革と都道府県警察というものがどのように影響しているのか。
 最近の都道府県警察におきましては、一般の地域における国際交流あるいは草の根交流ということで国際化というのが地方にも進んでおります。また、冒頭に申し上げましたように、生活安全局と申しますか、そういう地域の問題というのは非常にこれからの国民生活にとって密着した問題になろうと思います。この二つの部局が都道府県警察においては組織的にどのようにやっているのか、特に警視庁等の大きいところではどうなっているのかお尋ねしたいと思います。
#45
○政府委員(廣瀬權君) 第一線の市民生活の安全を確保するという生活安全局の担当する部門から申しますと、警視庁の防犯部、これは近い将来生活安全部というふうに名称を変更いたしたいと思いますが、そういう生活安全部、あるいは街頭パトロールをしております地域警察、そういうところが国民に対しまして第一次的な警察の責めを負うということになります。
 また、国際部につきましては、先ほど刑事局長から話がありましたように、警察庁におきましては総合調整業務あるいは外国の捜査機関との連携ということになりますが、警視庁の実際の活動におきましては、刑事部、警備部それぞれ国際化にかかわる事案と対応するわけでございますので、それぞれの部門でそういう外国人にかかわる事案を処理していくことになろうと思います。
#46
○久世公堯君 通告はしておりませんけれども、テレビを見ておりますといわゆる犯罪捜査物というのはかなり番組としてあるわけでございまして、結構数も多いしおもしろい。
 あるものを見ておりますと、例えばどういう俳優が警察官にぴったりしているとか、あるいはまたパトカーとかけん銃は一体本物なんだろうかどうなんだろうか、そんな感じもいたすわけでございますし、制服なんかもどうなっているんだろうかと。片や「代議士の妻たち」というような番組を見ますと、あれがいかに衆議院議員や参議院議員の実態と違うかということを感じているわけでございますが、あの犯罪物番組というのは、皆さん方専門家から見るとどのくらい真実でどのくらいあれなのか、そのあたりの感想をお聞かせいただきたいと思います。
#47
○政府委員(廣瀬權君) 最近はそういうものを私見ていないのでありますが、かなりの番組でそういうものがあるわけでございますが、現実の犯罪捜査は大変難しゅうございまして、あのように一時間とか三十分とかそういう限られたところでは解決いたしません。また、今日の刑事警察を初めといたしまして、警察活動は常に人権に配慮して慎重かつ適正な活動を行っておりますので、中にはかなり過激なアクション物、そうしないと興味を呼ばないというところもあろうかと思いますが、現実とはかなりかけ離れた部分も多いというふうに考えてございます。
#48
○久世公堯君 今回の改正で地域の警察組織の問題が随分盛られておるようでございますが、警察署なり派出所なりあるいは交番、私は交番というのはもうとつくの昔から法律用語かと思いましたら、今回初めてだそうでございます。お巡りさんとか駐在さんとか交番というのは、どういうところに語源があるのでございましょうか。
#49
○政府委員(中田恒夫君) 法制上、交番という言番所は別でございます。
 交番につきまして、明治時代に現在の派出所をあらわす名称として、交代で番をするところというような意味で交番所という話が使われていたと言われております。国民の間では、それが省略された形で交番という話が親しみある名称ということで使われているのじゃないかと思われます。
 お巡りさん、駐在さんでございますけれども、やはり制服を着てパトロールや巡回連絡など地域を回る活動を中心に行うということで、親しみを込めてそう呼ばれているのかと思いますし、また駐在さんはそのような駐在するということから呼ばれておるんだろうと思いますが、しかとはっきりした語源等はよくわかりません。
#50
○久世公堯君 私は、一昨日のたしか読売新聞に、「着々進む交番改革」ということでOA機器を導入したりファクスとかパソコンとかが交番にあると、非常に市民生活に密着をしているという感じを深めたわけでございます。
 この地域警察というのは、諸外国でもそうでございましょうが、日本の場合においてもこれから非常に大事な要素になろうかと思います。今は国土庁長官を御経験の石井国家公安委員長のもとで皆さんおられるわけでございますが、社会経済が発展をいたしますと、過密問題過疎問題というのは一般の行政の分野においても極めて重要な分野になっております。
 そこで、警察署と申しますか、地域警察の実態として、都市化の進展に伴う地域警察の問題、あるいは過疎に伴うところの地域警察の問題、どういう悩みとどういう問題点があるのかということを御説明願いたいと思います。
#51
○政府委員(中田恒夫君) 都市化の進展に伴います私ども地域警察の問題点等についてのお尋ねでございますけれども、確かに、近年の都市化の進展に伴いまして人や物の交流が活発化するなどの傾向が当然のことながら見られるわけであります。そしてまた、それに伴いまして警察事象が複雑多様化しておるのは当然でございます。さらにまた広域化傾向もございます。
 私ども地域警察といたしましては、こういったものに対応いたしますために、事案の多い地域の交番等により手厚く警察官を配置するということを考えましたり、あるいはパトロールカー等によります機動警察力といいますか機動警戒力の強化を図るということも考えております。またさらに、地域住民の御要望にこたえていくために交番相談員の機能の強化を図るというような、そのようなことを中心に対策を練っておるところでございます。
#52
○久世公堯君 今回の警察法の改正の中で都道府県警察相互の関係等が、前にもそういう改正をやったことがあったはずでございますが、一段とこれを合理化と申しますか、やりやすいように改正をしたところに大きなポイントがあったかと思います。
 最近の事例で愛犬家殺し事件、どこに波及するかわからないような犯罪でございましたし、また別な面におきましては東京サミット等の警備、あるいはゴルバチョフ大統領なんかはたしか東京から京都に行かれて長崎から出ていかれたというような、そういう広域的なことを事例にとって今回の改正と絡んで御説明を賜りたいと思います。
#53
○政府委員(垣見隆君) 御指摘のございました大阪府警、長野県警、静岡県警、山梨県警で捜査をしております愛犬家殺してございますが、今申し上げましたように何県かの区域にわたるいわゆる広域捜査になっております。
 この事案につきましては、事件の発生自体は以前のものでございまして、今被疑者を検挙して事後的な捜査になっておりますので、事件発生直後の初動調査等とは異なりまして比較的大きな問題も生じず捜査が順調に進んでいるわけでございますが、それ以外というか、例えば先ほど御指摘のございましたようなグリコ・森永事件あるいは愛知と静岡の間で被疑者があちこち行動した誘拐事件のような数府県が絡んで犯人が動いているというような事件につきましては、やはり指揮の一元化というような問題が大変重要になります。
 現行の警察法では、応援捜査という手法、警察法六十条に基づく応援捜査の手法を使って措置をすることができるわけでございますけれども、その場合には、一体これに捜査員を応援させることが適当かどうかというような判断をいたす必要がございますし、その判断をした上で手続をとる必要があるわけでございまして、いわば早期にというか迅速に対応するというのがやや難しい面がございます。
 またもう一点、やはり応援捜査という格好になりますと他の府県の事件に応援をしているというふうな意識がどうしても払拭できませんで、そういう点も問題があるわけでございますが、今回の改正によりまして、複数の都道府県警察がみずからの事務としてそれぞれの責任において、しかも相互に協力しつつ指揮を一元化して捜査活動ができる仕組みができるわけでございまして、事案に対する的確な対応が図れるものというふうに考えております。
#54
○久世公堯君 今回の改正で、もう一つ情報通信局の新設の問題がございます。
 情報化というものも二十一世紀に至る、あるいは二十一世紀になってからの大きな課題でございますが、警察行政における情報化というものは非常にこれから重要な要素になろうかと思います。一体これからどのくらい情報化の問題が警察の機能の中に入っていくのか。聞いた話でございますけれども、一人一人の警察官の警察手帳というのが今度情報化されるというような話も最近聞きましたけれども、どのくらいまで今お考えなのかお聞かせいただきたいと思います。
#55
○政府委員(廣瀬權君) 御指摘のとおり、このたび警察庁に情報通信局を設けることにいたしました。これは、コンピューターシステムと通信システムの一体的な整備発展を図りまして、警察活動
 御指摘の最近の治安情勢は大変厳しいものがございまして、それに対応いたしますためには一人一人の警察官の業務処理能力を高める必要がございます。そのためには、一人一人の警察官を支える情報支援基盤の確立が重要であろうと考えております。まだ将来の展望についてはしっかりした具体的なものが描けていないのでありますが、例えば各種届け出事務等を警察署へ行かなくても交番、駐在所で受理して処理できる、あるいはパトロール中の警察官が街頭で各種照会等を即座に処理できる、そういうことが可能になりますと大変国民の皆様の利便に供することができるというふうに考えておりますので、そういうことを目指して今後研究開発を進めてまいりたいというふうに思っております。
#56
○久世公堯君 今回の改正のように、国際化、情報化、都市化というような情勢の中において警察の機能というものがいよいよ増すようなことになりますと、予算上のいろいろの問題点があろうかと思います。また、警察自身が人による行政でございますので、定数の配置というようなことについてもいろいろ課題があろうかと思いますけれども、そのあたりの実態と問題点についてお聞かせいただきたいと思います。
#57
○政府委員(廣瀬權君) 御指摘のとおりでありまして、国際化、都市化、情報化に対応する警察機能の強化を図りますために、平成六年度予算要求におきまして、国際化対策の強化、生活安全対策の強化、情報通信基盤の整備を重点に挙げまして予算額の確保に努めたところでございます。
 特に国際化対策の強化につきましては、来日外国人の増加に伴います外国人犯罪の未然防止等々のために通訳謝金の増額ということをお願いしているところでございますが、今後ともますますこの必要性は出てくるものと思います。
 また、生活安全対策の強化といたしましては、実際に街頭で国民を守る地域警察体制の強化を図ございます。
 また、情報通信基盤の整備につきましては、通信資機材の科学化、近代化、高度化の推進に必要な経費をお願いしているところでございますので、今後ともこの三項目につきましては必要な予算の確保に努めてまいりたいというふうに思っております。
 また、定員の配置につきましては、最近の厳しい犯罪情勢等からいたしまして一人一人の警察官の負担はますます重いものとなっておりますが、御承知の臨時行政改革推進審議会におきます原則凍結という答申がございますし、国、地方を通じての厳しい財政事情等を考慮いたしまして、このところ増員要求を行っていないところでございます。現在は、組織、人員の効率的な運用、優秀な人材の確保、個々の警察官の能力のアップ、資機材の近代化等々によりまして警察力の整備拡充を図っているところでございますが、今後とも治安情勢の長期的展望を踏まえまして所要の体制の整備充実を図ってまいりたいと考えております。
#58
○久世公堯君 警察官の採用にはいろいろな段階があろうかと思いますが、警察庁の最高幹部職員の卵の連中、実は私どもここに自治省出身が四人も並んでいるわけでございますが、おかげさまで自治省にも若い学生諸君から大変優秀な人材が来ているんです。俗に言われるのは、大蔵省、通産省、自治省。しかし、それにもまさる人材が警察庁に来ております。これは事実でございます。そういう学生ないし若い方に聞きますと、城内さんが文芸春秋に五ページぐらい出られて、城内さんにあこがれて来たという者もおりました。それから廣瀬さんにあこがれて来たという者もおりました。
 それぞれ魅力ある警察庁の幹部で頼もしいと思うわけでございますが、それ以上に大事なことは、中堅の警察官、さらには第一線の警察官、今これが各都道府県警察においてどういうふうに人ていたけれども、最近は地方の方がよくて、むしろ警視庁が非常に困っているというような話も聞いたわけでございますが、そのあたりの実情はどうでございましょうか。
#59
○政府委員(廣瀬權君) 採用情勢につきましては、昭和六十三年あるいは平成元年のときには応募者あるいは受験者が大変減少いたしました。その後、警察におきましては人材確保のための諸施策をいろいろ推進してまいりまして、昨今におきましては徐々に好転してきているというところでございます。
 警視庁もよくなってきておりますし、また各道府県におきましてもおおむね好転しているという状況でございます。ちなみに、警視庁につきましては、平成五年、男子警察官の競争率が十一・五倍、婦人警察官は二十一・〇倍ということでございます。
#60
○久世公堯君 ただいま現職の警察官の採用についてお話を聞きましたが、各省の官房長の連中に話を聞いておりますと、官房長の仕事の中の人事は、現職の人事も大変だけれども、最近はそれ以上にOBの人事が大変だ、こういう話を聞きます。
 警察庁におきましても、警備局長あるいは今度は官房長にそれが全部来るわけでございますが、そういうOB対策というものも大事だと思いますけれども、警察庁のそういう優秀な人材というものがOBではどういうふうに活躍しておられるのか。また、先ほど申しましたように、それ以上に都道府県警察の場合のOB問題、あるいは警察署単位で、今度はOBではなくて民間人をどういうふうに活用するか。これからはマンパワーの時代でございますので、そのあたりのところの御意見をお聞きしたいと思います。
#61
○政府委員(廣瀬權君) 警察庁のOBの例でございますが、あるOBの方は全国防犯協会連合会の理事長をやっておられまして、従来の経験を生かして、あるときには暴力団の排除活動に大変いろいろなアドバイスをいただいております。また、察に学びたいということで、当該OBの方も含めて現職警察官のチームがメキシコに行きまして日本警察の紹介をしたというようなこともございます。
 また、各都道府県におきましては、退職警察職員の豊富な知識あるいは経験を引き続き生かしていただくということで、例えば交番相談員でありますとか、あるいは暴力団の被害を防止するアドバイザーですとか、そういうことで、非常勤の職員として活動していただいている方がかなりございます。本年四月一日現在で、全国で非常勤等職員としまして約二千二百人の退職警察職員が雇用されておるところでございまして、うち約五百人が交番相談員という状況でございます。
#62
○久世公堯君 PKOの文民警察官で岡山県警の高田さんが亡くなられてからもう一年が推移をしたわけでございます。あの高田さんの殉職というのが、当時間山県警だったと思いますけれども、あの後、本部長をしておられました平沢さん、それから城内さんも直接行かれてのことだったと思いますが、それから一年、過般一周忌に当たってたしか城内長官と平沢さんが現地に赴かれたと承っております。
 私は、このPKOの活動におきまして文民警察官の果たした役割というのは日本の国際化にとって非常に大きな意義があった、そしてこれからの国際協力における人的な協力という面において警察の果たす使命というのはますます大きい問題があろうかと思います。そのあたりを含めて、城内長官、高田さんの一周忌に参列をされた御感想とこれからの国際協力の中における日本の警察の役割、あるいはそれにかかわる問題点について承りたいと思います。
#63
○政府委員(城内康光君) 七十五名の文民警察官がカンボジアに参りまして、カンボジア市民の生活に密着した諸活動を真摯に行いまして大変現地で評価されたわけでございますが、御承知のように高田君が現地で殉職するという痛ましい事件が痛恨のきわみでございます。
 しかし、今日カンボジアがいろいろの曲折がございますが全般に平和の方向に向かいつつあるというようなことを聞いておりまして、大変私どもも文民警察官が活躍したことの意味があったというふうに考えているわけでございます。
 また、カンボジアにつきましては、カンボジアの警察制度について日本の警察からいろいろと学びたいという強い意向がございますので、引き続きそういったいろいろな形でカンボジアの警察を構築するために我々も協力してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 国際協力全般の問題といたしましては、従来から、安全運転者養成セミナーなどの各種セミナーの開催とか、あるいはシンガポールの例に見られるように交番制度を輸出したり、あるいは鑑識技術あるいは交通管制技術などについて、フィリピンあるいは中国、タイ、そういったところに対して技術指導したりしてきておるわけでございます。
 こういった活動に加えて、さらにまた市民警察の分野において今後ともいろいろと各国の警察の発展のために協力してまいりたいと思います。
 過般、メキシコに日本の警察官、専門家を十名ほど派遣いたしまして、先進国としての日本がメキシコに対するいろいろな技術指導を各分野についてやってまいりましたけれども、私どもの得意とするのは軍隊的な行動じゃなくて市民警察の分野でございますから、私どもの得意な分野においてこれから力を入れて協力してまいりたい、こういうふうに考えております。
#64
○久世公堯君 そろそろ一時間近くになりますので、最後にお尋ねをいたしたいと思います。
 石井国家公安委員長にお答えいただきたいと思いますが、この国際化の中におきまして治安問題というのが論議をされております。先ほどもちょっとお触れになりましたように、我が国の治安問題というのは世界に冠たるものであるということ信に対する評価と国民に対する信頼というものが非常に国際的に高い。国際化時代におきまして、私は世界に誇れる日本の警察というものに対して改めて敬意を表したいと思いますが、それだけに国民からの期待も大きいわけでございます。
 そういう国際化の中における日本の威信、そして世界に誇れる警察、こういうことにつきまして国家公安委員長の御感想と御決意のほどを承りまして私の質問を終わりたいと思います。
#65
○国務大臣(石井一君) 私は若いころに外国生活をしておりましたことがございますし、その後もかなり国際的な分野で政治家としての仕事をしてまいったわけでございます。
 総じて申しまして先進国ほど治安が悪い後進国ほど治安がいいということになりますと、これは例外もございますしいろいろ問題発言にもなろうかと思いますが、要するに、社会が進歩し、科学技術等が働き、個人の価値観というものが非常に多様化するという中で、犯罪は高度化し、その検挙は難しくなり、そしてまた人々の考え方というものが違い、犯罪というものに対してそこにいろいろの工夫がなされる。教育だけでも解決ができないし、それからまた裕福な富だけでも解決ができるものでない。
 そういうふうな複雑な要素を考えましたときに、今日この時点で警察法の改正をお願い申し上げ、そして国際部等を設置し、いろいろと広域の行政を進めておりますけれども、今後の我が国の警察というのはさらに難しい段階に入っていくのではないか。
 特に考慮に置かなければいけないのは、外国人の犯罪に対する問題点である。非常に大きな経済的な格差もあるというふうなこともありまして、最近起こっております大量の中国からの密入国者のこういうふうな組織的な犯罪、それが国内の組織と結びついて起こっておるというふうなことの事態。またこの間、中華航空機事故が起こりました。ああいうときにも語学のハンディキャップというふうなものがございまして、地域の皆様方にもいろいろ御協力をいただいたようでございますが、警察は相当大きな活躍をしたというふうなことを聞いておりますけれども、いろいろもろもろの情勢を考えましたときに、今後、日本の警察の立場は冠たるものであるというふうなことを言っておれない。新しい時代に対応した形での国際化に対応する日本の警察を構築していかなければいけないのではないか。
 突然の御質問でございますので、それにはどうしたらいいかということにつきまして踏み込んで御答弁ができないわけでございますが、私はこういうことを自分の体験上から申し上げますとともに、警察庁長官を初め警察当局の幹部に対しましても注意を喚起し、今後ともにこの問題に取り組んでいきたいと考えます。
#66
○久世公堯君 ありがとうございました。
#67
○有働正治君 時間の制約上、端的にお聞きします。その点を考慮した答弁を最初に要望しておきます。
 生活安全局の所掌事務とのかかわりで、保安、防犯警察の人権侵害問題についてお聞きします。
 一例を挙げるにとどめますが、読売新聞のことし五月十五日付の報道によりますと、福井県警が少年の非行防止などを理由に、平成四年十月から五年七月までに補導した百七十人、九歳から十九歳でありますが、百七十人とその保護者、補導歴のない小中高校生二百五十一人と保護者の合計千七十五人に対しまして調査を行っています。そこでは、両親はそろっているかどうか、それは実母であるかどうなのか、離婚をしたのか死別したのかどうか等々家族環境やプライバシーに踏み込んだアンケートを実施しているわけであります。
 調査結果を報告書としてまとめて発行するということになり、それが実行されそうになったわけであります。福祉団体等から家族構成が非行に関係するという考えがうかがえて偏見を助長するとありますが、いかがでありますか。
#68
○政府委員(中田恒夫君) 生活安全局絡みでお尋ねでございます。
 新しく設置される予定でございます生活安全局でございますが、これは総合的な防犯対策とか地域社会の……
#69
○有働正治君 今のことについて答えてください、どうなのかと。前提は要りません。
#70
○政府委員(中田恒夫君) お尋ねのような事案でございますが、少年非行の防止と少年の健全な育成対策をより効果的に進めるために、少年非行の背景の一つとして家庭環境に関する調査を行ったというふうに承知しております用意に反して、偏見の助長を招くというふうな批判を受ける結果となったわけであります。まことに残念でございます。
 今後、調査を行うという場合には、調査の目的とその方法の相当性、総合性といいますか合理性、こういうものに留意して、個人とプライバシーの尊重に十分注意をするよう指導してまいりたいと思います。
#71
○有働正治君 県警は、五月二十四日、配慮が足りなかったとして報告書の県内の学校への配付の中止を決めているようであります。そういう点で、きちんと反省すべき点は反省すべきであるということを述べておきます。
 こういうことが起こりますのは、警察が警察法第二条、第三条の範囲を超えまして、いわゆる少年の健全育成、戦前の言葉で言えば善導という警察が本来やるべきでない分野に踏み込んできているということが背景にあり、極めて私は遺憾であるということを指摘しておきます。
 そこで長官にお尋ねします。地域警察の活動は国民の人権侵害を生み出すものであってはならない、この点は明確である、警察の責務に限定すべきであるというふうに考えるわけでありますが、明言していただければと思います。
#72
○政府委員(城内康光君) 警察官として地域警察官も活動するわけでございますから、警察法に規定されている警察の責務というものを忠実に執行する、それが私どもの任務であるというふうに考えます。
#73
○有働正治君 いやしくも国民の人権侵害を生み出すようなことを行ってはならないということは、そのとおりでありましょうか。
#74
○政府委員(城内康光君) 人権あるいはプライバシー、そういった問題については十分それを尊重するという観点に立って活動しなければならない、こういうふうに理解しております。
#75
○有働正治君 国家公安委員長、その点、今後明確にきちんと対応していただきたいということで、長官の今の答弁の確認を願いたいと思います。
#76
○国務大臣(石井一君) 長官が申し述べたとおりであると思います。
#77
○有働正治君 先ほど長官も述べましたカンボジアヘの協力の問題を国際部の設置に関連してお尋ねします。
 警察庁がことし四月四日から十一日までカンボジアに遠藤官房審議官を団長に五人の調査団を派遣し、カンボジアの治安情勢、警察機構等を調査し、カンボジアから協力要望事項等を聴取してこられたようであります。カンボジアの治安面で今後協力していくことを検討されているのでありましょうか。
#78
○政府委員(山本博一君) お答えいたします。
 カンボジアのPKOに対しましては、カンボジア政府ではPKOにおける我が国警察官の活動を高く評価いたしまして、今後警察分野につきましては日本から学びたいという意向を強く持っておるところでございます。これを受けまして、本年三月に同国の首相が来日いたしました際、正式にこの旨が国家公安委員長に表明されたところでございます。先ほど申されました調査団は、この要請を受けまして、我が国警察がカンボジアの治安の向上にどのような点で協力できるかを明らかにするために派遣したものでございます。
 具体的に今後どのような協力が可能であるかにつきましては現在検討を進めておるところでありますが、当然のことながら、犯罪の捜査や地域警察などの市民の生命や財産を保護する市民警察の分野で協力を行っていくことが適当と考えておるところでございまして、今後外務省とも協力しながらより具体的な計画を策定してまいりたいと考えております。
#79
○有働正治君 協力の内容いかんによっては、日本の警察官がカンボジアにおいて警察権を行使することにもなりかねないわけであります。警察の責務としては警察法第二条に定められているわけでありますが、その第二条は、日本国の領域における警察の責務を定めたものであります。治安面の国際協力を進めるというのは、警察の責務の範囲を超えるということになると考えるわけであります。法的根拠もないというふうに私は考えるわけでありますが、この点はいかがですか。
#80
○政府委員(山本博一君) 警察が行います国際協力は警察の任務の遂行に関する事務として行っておるところでございまして、例えば今回の調査は、具体的には所管行政にかかわる国際協力に関する調査、企画及び調整に関することという総務課の事務として行ったところでございます。
#81
○有働正治君 問題は、治安面の国際協力というのは範囲を超えるということであります。私どもは、憲法違反のPKO法に基づく活動はもちろんでありますが、法的根拠もない治安協力活動など、いかなる形であっても警察官を海外の軍事紛争地域に派遣すること等には強く反対するものであります。そうした意味での警察の国際協力というのは、警察法の定める警察の責務に反するものであるということを指摘しておきます。
 次に、警務局の廃止と長官官房への再編の問題で確認を求めます。
 ほかの省庁と異なりまして警察庁に警務局が設置されましたのは、警察官は警察事務の執行に当たる職員として特に国民の権利義務に深い関係をけでありますが、この点はいかがでありましょうか。
#82
○政府委員(廣瀬權君) 警察官はその事務を執行するに当たりまして国民の権利義務に深い関係を有するところから、その人事、教養等の人事管理が重要であります。
 昭和二十九年の現行警察法において警察庁に警務部が置かれまして、三十三年に警務局になったところでございます。
#83
○有働正治君 そこで、長官にも確認を求めます。
 警務局を廃して長官官房に再編されるに当たりましても、今官房長も述べました国民の権利義務に深い関係を有するがゆえに特にこういう部局を設けてきたんだというその精神は当然守られるべきであると考えますし、権限が拡大されることはすべきでないと考えるわけでありますが、端的にお答え願いたい。
#84
○政府委員(城内康光君) 申すまでもありませんが、今後とも人権の尊重に配意した警察活動を行うように努めてまいりたいと思います。
#85
○有働正治君 警察官が国民の人権を守って警察本来の責務を全うするためには、警察官の各種手当の完全支給あるいは公平な昇進制度、休暇、厚生などその待遇改善、こういうことが必要だと考えるわけであります。同時に私は、憲法に基づく市民的、政治的な自由、すなわち思想、信条の自由、プライバシーの権利、団結権、男女平等などを保障し、その人権感覚を育てることが大事だと考えるわけであります。その点では、警察官の労働組合を承認して警察官の自主的、民主的活動を保障するということが不可欠であると私は考えるわけであります。
 本日は、その是非についての議論は時間の関係で別に置くといたしまして、私がここでお聞きしたいのは、警察官の労働組合問題につきまして、個人参加の勉強会等を含めましてこれまで研究された経緯があると考えるわけでありますが、いかがでありましょうか。
#86
○政府委員(廣瀬權君) 先生もう既に簿案内のとおり、現行の国家公務員法及び地方公務員法において、警察職員について団結権が禁止されているところでございます。
 警察は日夜厳しい活動をいたしておりますので、警察職員の労苦に報いるため、給与や各種手当、勤務制度、宿舎等の処遇改善のための諸施策の推進を最重要課題の一つとして組織を挙げて取り組んでいるところでございます。
#87
○有働正治君 研究したかどうか。
#88
○政府委員(廣瀬權君) 研究したかどうかというお尋ねでございますが、部内の勉強会にどういうものがあるかというのは承知しておりませんし、内部の話であるのでお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
#89
○有働正治君 昭和三十八年、三十九年、一九六三、六四年に警察庁に採用されたキャリアの勉強会である金曜研究会が存在していたと私は承知しています。この金曜研究会参加者名簿を見ますと、菅沼清高現警備局長も参加しておられると思いますが、御記憶はいかがでありましょうか。
#90
○政府委員(菅沼清高君) お答えをいたします。
 委員の御質問の件は例の「星雲」の新井元長官のお話にかかわることではないかというように思いますが、今お話にございましたように、当時、見習いが時折いろんな方々に来ていただきましてそのときどきの問題等について勉強するという、一種の勉強会があったことは事実でございます。
 その折の例の「星雲」の問題だと思いますけれども、当時、警察官のいわゆるサラリーマン化の問題が話題になっておりまして、その活性化をどう図るかということがいろいろな観点から検討をされておりました。新井長官もその折においでになりまして、いろんな方策の中で一般の組織における労働組合の持っている一つのメリットとしてそういう機能があるということのお話はございましたが、警察官に労働組合が必要であるという趣旨の話ではございませんでしたので、その点、誤解のないようによろしく御理解方をお願いいたした
#91
○有働正治君 今御指摘のレポートを見ますと、確かに当時の新井警察庁長官が在任中の一九六六年五月二十七日に講演をされ、その中で、今述べられたようなものとはニュアンスが違いまして、警察官の労働組合結成について各国に動きが見られる、ヨーロッパ諸国では労働組合をつくらないと警察官採用が行き詰まるという具体的な差し迫った事情があるが、日本の場合はそういうことよりもむしろ警察官のオリジナリティを刺激、高揚せしめる一つの方策として労働組合問題を考えていくべきであろうと、こう記録として記載されているわけであります。
 それから、警察庁の中には一九六〇年代に、労務管理の研究の過程の中で労働組合問題についてしかるべき研究が行われた時期があるようであります。一九六五年ごろ、イギリスに派遣された幹部の一人は英国の警察労働組合に関するレポートを警務局首脳に提出していると言われています。また、一九七二年六月に警察庁長官に就任した高橋幹夫氏は警察のビジョンづくりを命じ、その作業部会の中に労働組合問題を研究するグループもあったというふうに私は聞いているわけであります。
 そこで、実情を調査して、当該の資料等があれば本委員会に提出願いたい。委員長にその旨取り計らいをお願いしたいと思うわけであります。
#92
○政府委員(菅沼清高君) 今の御質問のうちで、ちょっと私の方から御説明をさせていただきます。
 今の委員の御質問によりますと、「星雲」というのは何か公式なレポートのようなお話でございましたけれども、これはプライベートな集まりのときの、たまたまそのときの幹事役の者がまとめたものでございまして、今お話しの点にございましても、その後どうもそういう趣旨ではなかったではないかということを仲間うちでも話していたものでございまして、何かそのレポートを取り上げていかにもそういう議論があったかのごとく書かことではございませんので、私その現場にいた者でございますので、よろしく御理解方をお願いいたします。
#93
○有働正治君 資料について、委員長、取り扱いをお願いしたいんですけれども。
#94
○委員長(岩本久人君) 後日、理事会で協議いたします。
#95
○有働正治君 本の中で書かれているように云々ということを今述べられましたけれども、当時の「星雲」そのものにそのことが記録されていることを指摘しておきます。
 警察官のオリジナリティー、創意を刺激、高揚させるために労働組合を考えていくべきだという、こういう見地というのはしかるべく卓見だと私は思うわけであります。今、警察庁は警察官の自主性とか考える警察官の育成ということを強調しているわけでありますが、そのためにもこの問題は検討していく必要があるということをきょうは指摘、主張しておくだけにとどめておきます。
 それから次の問題、有事体制の問題で、佐藤前国家公安委員長は四月二十二日の閣議後の記者会見で、北朝鮮に対する制裁措置に備え、国内の治安維持のためのマニュアルを警察庁を中心に研究していることを明らかにしました。その中で、これは新聞報道でありますが、国内で起こり得る不測の事態に憲法と現行法内の枠内で対応するため、警察庁と各県警が連絡をとり合い、いろんなことを想定しながら研究している旨を述べておられます。
 そこでお尋ねするわけでありますが、前国家公安委員長はその研究のことに言及されたわけでありますが、現在こういう国内治安マニュアルを研究していることは事実であるかどうか。いかなる内容のものであるか。国家公安委員長、いかがでありましょうか。
#96
○政府委員(城内康光君) 私からお答えいたします。
 北朝鮮問題につきましては、警察庁においても治安維持の立場から、いろいろな事態について問題点を整理したり勉強したりしております。それは私どもにとって当然の任務であろうというふうに考えます。前国家公安委員長が記者会見の席上で述べられましたとおり、国内で起こり得る不測の事態に憲法と現行法制の枠内で対応するため、いろいろなことを想定しながら勉強するということであります。
 内容につきましては問題点を整理しているところでありまして、加えて北朝鮮との対話の努力が継続されている現下の情勢では、ただいまの御質問について中身をお答えする段階でもないし、することもまた適当ではないというふうに思います。
#97
○有働正治君 その内容は極めて私も注目していきたいと思うわけであります。
 今回、警察法改正で通信局が情報通信局と変わったわけであります。特に情報というのをつけられたのはどういう意味でどういう目的か。時間の関係で端的にお答えいただきたいと思います。
#98
○政府委員(廣瀬權君) 情報通信局を設けたいと思うわけでありますが、この情報といいますのは、現在長官官房にあります情報管理課、すなわちコンピューターによる情報処理をやっている課の情報管理課の情報をとって通信局とくっつけたものでございます。
#99
○有働正治君 例えば「講座日本の警察」第一巻「警察におけるC3の確立について」等々では、その内容を一々紹介いたしませんが、自衛隊との軍事情報を含む連携等を念頭に今後積極的に対応すべきではないかということが指摘されています。そういうことを進めているかどうか。
 それから、有事体制の確立ということが例えば全国通信担当課長会議等々で繰り返し強調されています。この有事即応体制について、地震、火山の噴火、災害など震災だけではなくて、例えば航空機の撃墜、大規模な大衆運動や日本の周辺での戦争などの場合を含むことが現にうかたわれるわけであります。それへの対応が進められているんではないかと思いますが、その二点について。
#100
○政府委員(城内康光君) 今、委員御質問の最初の部分は、正直申しまして私どもちょっと何をおっしゃっているのかわからないわけでございます。というのは、何かしておるかと言いますけれども、私ども全く勘が働きませんのでそれは何をおっしゃっているのかちょっと、C何とかとおっしゃいましたけれども、私どもそういうこととはおよそ無関係であろうというふうに思います。
 それから、全国通信関係の私の訓示でございますが、手元に訓示をしたものがございますのでこれをちょっと二、三行読めばおわかりと思いますが、これは大災害とか大事故の場合の通信活動がいかに大事か、そういう有事に備えていろいろと準備をしなきゃいけない、こういうことを申しました。これは、北海道の南西沖地震とかあるいは鹿児島県の集中豪雨災害のときに大変通信系の混乱があったわけでございますが、そういうものを踏まえた話でありまして、委員のおっしゃるような問題ではない、こういうように思います。
#101
○有働正治君 そうではないように読み取れる内容と私は解しています。
 そこで、最後に警察の通信施設がそういう大規模な大衆行動等への対応あるいは戦争協力のために利用されることを私どもは強く反対するということを述べておきます。警察は警察法で定められた本来の責務を厳格に実行して、国民の生命、身体の安全、犯罪防止、被疑者の捜査などを通じて国民の自由と人権を擁護する、事に当たるべきであることを主張して質問を終わります。
#102
○西川潔君 よろしくお願いいたします。
 交番のお巡りさん、そして駐在所の警察官は駐在さんという呼び名で親しまれているわけですけれども、地域住民にとりまして最も身近なところで私たちの日常の生活を守っていただいているということに関しましては本当に感謝いたします。特にこれからは、高齢化社会を迎えるに当たりまして、ひとり暮らしのお年寄りやお年寄り夫婦だけの世帯が大変多くなってまいります。そうなりますと、地域社会における警察活動は、これまで以上にお年寄りに限らずその家族にとりましても大切な役割を担っていかなくてはなりません。そういう意味におきましても、地域活動の拠点となる交番あるいは駐在所の活動内容も高齢化社会に応じた活動がなお一層求められると思います。この点、警察庁ではどういうふうにお考えでしょうか。
 また、警察庁では昭和六十一年に長寿社会総合対策要綱をまとめられました。それに基づいた高齢者対策にも積極的にお取り組みいただいておることは承知いたしておりますが、その活動内容と、その活動の中で明らかになりました問題点などがありましたらお聞かせいただきたいと思います。
#103
○政府委員(中田恒夫君) お答え申し上げます。
 御指摘の高齢者に対する対策でございますけれども、昭和六十一年七月に今御指摘の要綱をつくっております。それに従いまして昭和六十二年度から、関係機関、団体あるいはボランティアの方々との連携のもとに、高齢者の保護と社会参加の促進ということを二本柱とするパイロット事業を推進しております。
 その中で、高齢者に対するこれらの活動の中心となっておりますのは交番、駐在所でございます。高齢者に対する保護の観点からは、例えばシルバーデーあるいは訪問の日などを設定いたしまして定期的な巡回連絡をする、あるいはいろんなパンフレットをお配りする、それから防犯教室などを開催するというような活動をやっております。あるいは社会参加の促進の観点からは、いろんな防犯とか交通安全などのボランティア活動への参加を呼びかける、またそういった方々の行う活動へ警察が支援をしていくというようなことをやっております。
 今後、解決する問題といたしまして、例えば福祉分野を初めとする各種のボランティアあるいはどがあろうかと思います。一部には連絡協議の場を設けるなどという動きもございますので、一層そのようなことで緊密な連携をとりながら活動を推進してまいりたいと考えておるところであります。
#104
○西川潔君 どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、警察庁では、ことしの二月でありますが、全国の警察本部に対しまして「障害者の気持ちに配意した警察活動の推進について」という通達を出されたと伺っております。その障害者に対する通達とはどういう内容でございましょうか。
#105
○政府委員(廣瀬權君) お答え申し上げます。
 障害者対策につきましては、従来、警察は組織として交通安全施設ですとか警察施設の改善等各種施策を推進してきたところでございますが、最近第一線の現場におきまして、手話相談交番や障害者との触れ合い懇談会などさまざまに創意工夫をした取り組みがなされております。しかも、これらの活動は委員もよく御存じの地域警察官の手記であります「赤い門燈」にもありますように、第一線の個々の警察官の発意によって行われてきたものでございます。こうした活動は個々の警察官の自主性、自発性を尊重し、組織としてはこれを奨励助長していくという立場が大切であると考えております。
 今後とも警察といたしましては、職員のボランティア活動への参加、あるいは例えばいわゆる点字ブロックの上に放置されている物件を除去するなどいたしまして、障害者のために設けられておる各種施策の実効性が確保されるようにしてまいりたいと思いますし、またもう一つ大事なことは、警察の施策の推進が警察のひとりよがりのものとならないように障害者団体等からの御意見を承るなどいたしまして、障害者の気持ちに配意した警察活動を推進してまいりたいと考えております。
#106
○西川潔君 ありがとうございます。
 その通達を受けた各警察本部では、お年寄りや障害者の方々のために地域の実情に応じた取り組みが行われているところだと思うわけです。その中で、伺うところによりますと、沖縄県警では、警察学校の学生さんを対象に体験ボランティアということで、特別養護老人ホームと精神薄弱者更生施設で食事の介助や歩行訓練のお手伝いをされたというふうにお伺いしております。これは全国に今まで例のないことで、大変すばらしいことだと思います。
 これからは福祉のことは福祉部局にすべてを任せておくということではなしに、この点につきましては、警察行政だけではなしに消防行政にも同じことが言えると思うわけですけれども、北九州の消防局では、女性消防団員に福祉教育を始められたということでございまして、将来的にはホームヘルパーさんの三級の資格などを取得していきたいと。その背景には、消防職員がひとり暮らしのお年寄りなどに対する防火の訪問を行っている際に受ける相談に福祉に関係する内容が非常に多いということでございまして、私といたしましてもぜひ全国の警察学校へ普及を図っていただきたいと思うわけでありますが、長官の御意見をお伺いしたいと思います。
#107
○政府委員(城内康光君) 先ほど委員がお話しになりました通達のことでございますが、これはどちらかといいますと、現実に個々の警察官が既に手話をやったりして自発的に努力しておるのを知りまして、私どもが後追いでそれを引き上げて、そういったことを全国的に奨励助長すべきではないかと。個々の警察官の主体性に任せるというだけではいけない、私どもも側面から、主役じゃございませんが、側面から援助していかなきゃならないということで出した本年初の次長通達第一号がこれでございます。
 これを受けまして、ただいま御質問にありましたように、沖縄県を初め数県の警察学校におきまして、これも自発的に、強制ではいけませんので、生徒が自発的に体験ボランティアをやっておると、こういうことでございます。恐らく各県でこういうものが自然の勢いでどんどん普及されているわけでございます。
 いろいろとまたさらに工夫をして、障害者の人たちのためになるようなことをどんどん警察行政の中に取り入れてやっていきたいというふうに考えております。
#108
○西川潔君 大変だと思いますが、よろしくお願い申し上げます。
 このように、警察官の方々に対しまして福祉分野での相談が大変多くなると考えられるわけですが、他の機関、特に福祉部局との連携が大変重要になってくると思うわけです。一口に連携と申しましても、組織が違いまして、それぞれの持つ情報も違います。当然そこには守秘義務もあります。なかなか難しいことではあると思いますが、しかし、そうした中でも地域によってはその点をうまくクリアできるように工夫を凝らして活動しておられるところもございます。
 例えば愛媛県の小田町というところでございますが、小田PFWチームというのを発足しております。Pはポリス、警察です。Fはファイアで消防。Wはウエルフェアで福祉ということでございます。この三者の連携を強化いたしまして、それまでのひとり暮らしのお年寄りや障害者に対しまして別々に実施管理してきた健康状況、防犯、防火、生活指導の内容を共有化するために、社会福祉協議会が中心となりまして統一の台帳をつくりまして、それぞれ活動後、社協が保管する台帳に内容を記入する。そしてまた、それぞれが社協に立ち寄りまして情報を把握して、月に一度三者連絡協議会を開くということでございます。
 こうした連携はますます重要になってくるのではないかと思うわけですけれども、長官にこのことについても一言お願いします。
#109
○政府委員(中田恒夫君) 私から答えさせていただきたいと思いますが、委員御指摘のように、愛媛県小田町の方で小田PFWチームというような試みが始まっておりまして、私ども注目しておるところでございます。がそれぞれの立場で幅広い連携をとりながらそれぞれの責任を果たすということが重要になってくるということはそのとおりだと思います。その中で、確かに今委員御指摘のような守秘義務の問題その他まだ克服しなければならない点があろうかと思います。そういうことでさらに研究をしてまいりたいと考えております。
#110
○西川潔君 次に、警察官の方々の処遇面についてお伺いしたいと思うんです。
 警察官の方々に対しまして、あれについてもこれについても対応していただきたいという要求ばかりではないと私は思っております。その方々が本当に安心をして警察活動に取り組んでいただけるというような点についても、政治の場でやっぱり声を大にする必要があるのではないかと思います。
 前に労働省に御質問させていただいたんですが、最近若い方がちょっとも雇用住宅にお入りにならない。どうしてですかと若い人たちにお伺いしますと、朝シャンの設備がないからということで、早速につけますと全部が埋まったというような話もございます。
 そこでお伺いしたいのは、駐在所の勤務員と家族に対する処遇面であります。絶えず危険と直面され、正義感や使命感なくしては成り立たない職務だと思います。そうした中で、駐在所の勤務員の方々が地域に多大な貢献を果たしていることは地域の住民が一番理解しているところであるわけですが、まず現在の駐在所における勤務内容、その実態、駐在所勤務を好まない警察官がふえているともお伺いしますが、お伺いいたします。
#111
○政府委員(中田恒夫君) お答えいたします。
 駐在所勤務は基本的に一人制の勤務でございます。しかも、家族とともに事務所に併設された住宅に居住する。夜間の応対も事実上必要となることもあるわけでございます。そのようなことで、勤務は毎日勤制ではあるのでございますけれども、昼夜を問わず常に呼び出しがある、夫人を含というようなことから、現場においては駐在所の人事配置の面で苦労もあるというようなことを聞いておるところであります。
#112
○西川潔君 処遇の面は特にまたよろしくお願いしたいと思います。
 駐在所は全国に約八千七カ所あると伺っております。私もこちらに持ってまいりましたが、「妻たちの赤い門燈」を定期的に読ませていただいております。勤務員の方々が地域に多大な貢献をされているということは言うまでもないんですけれども、家族の方々も大変だと思います。
 この本の中で奥様が書いておられますが、ある雪が降り積もる夜に、道に人が倒れているという通報が入りまして、御主人は巡回中。駐在所に残っているのは奥さんとまだ小さい子供二人。しかし、人一人の命がかかっている。子供がおなかをすかして目が覚めてもいいように哺乳瓶に温かいミルクを入れてまくら元に置き、その地へ飛んでいきました。そこには酒に酔った初老の男性が雪に覆われてぐったりとしておりました。何度声をかけても返事がない。奥さんはとっさにばちんと平手を打ったそうです。やっとのことで男性は歩き出し、家に入っていくのを奥様は確認したとき急に子供の寝顔が浮かび、急いで駐在所に戻って眠った。
 翌朝、玄関先に菜っぱや大根の漬物、冬野菜などがいっぱい入った大きな袋があったそうです。そしてその袋の中には、小さい紙に、きのうは大変お世話になりました、奥さんのおかげで長生きすることができました、本当にお礼の申しようもありません、少しですけれども食べてくださいという手紙が入っていたそうです。
 お一人お一人の奥様の手紙を読ませていただきました。殺人犯が尋ねてきたことも読ませていただきましたが、胸が熱くなるとともに、地域住民の安全のために大変な御苦労を奥様もしておられます。改めて感謝の気持ちを強くしました。
 そこで長官にお伺いしたいんですが、こうした駐在所の奥さん方については法的にどういうふうに位置づけをされているんでしょうか。
#113
○政府委員(城内康光君) ただいま御質問にもありましたように、駐在所勤務員の夫人は勤務員である夫に対して補完的にいろいろ手助けをしておるということでございます。大変現場では苦労が多いということを私どもも知っております。しかし、この夫人は法的には特別な位置づけをしておりません。
 しかしながら、その労苦に報いるために、夫人に対しましては駐在所報償費というものを支給しております。この報償費というのはしからば幾らかというと、平成二年四月一日に定まったものでは月額二万八千円でございますが、平成五年四月一日からこれが月額七万八千円、五万円ほどアップするような大幅な改善をして報いておるわけでございます。
 御質問にもありましたように、駐在所へ行きたがらないということの一番の理由というのは、パートとかそういうことで働いている夫人が多いということでございますので、そういうことをしなくてもある程度報いていけるということで、夫婦ともども駐在所に勤務できることを実現したいということで改善したものでございます。
#114
○西川潔君 これを最後の質問にしたいと思います。
 今、長官に御答弁をいただきました。そうすると、パートの人ということになりますと百万円まで、非課税ぐらいまでは持っていってもらいたいというような気もやっぱり僕らはいたします。
 最後に、駐在所の報償費として七万八千円ということをお伺いしたんですが、事実上勤務員の補助や代行業務に携わっていることを考えますと、その評価の見直し、そしてまた奥さん方が事件、事故に巻き込まれることも少なくないと伺っております。そうした場合の補償制度についても法的措置が必要ではないかということを強く感じるわけですが、最後にこれは政治的な見地から石井大臣に御見解をお伺いして終わりにしたいと思います。
#115
○国務大臣(石井一君) 西川潔さんの話を聞いておりますと、ほのぼのとした庶民の味が感じられます。
 まず、駐在所の奥さん方にお渡ししている報償費でございますが、平成四年から急激に増加をしまして、二万八千円であったものが五万六千円になり七万八千円になっております。これも大きな配慮であろうかと思いますが、今後さらにこの数字をさっき申されました税金がかからぬ程度のところまで持っていきたいという感じがいたしました。
 それから、万一の場合に、警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律というのがございます。しかし、この法律の趣旨は恐らく全く警察に関係のない人が善行をした場合にこれをやろうということで、奥さんは多分入っておると思いますが、奥さんが直接対象になるものではないのではないか。間違っておったら訂正していただきたいと思います。ということになりますと、やはり奥様方の危険ということも十分今後配慮していくべきことではないかなと。恐らくこれでカバーされておると思いますが、十分であるかどうか、将来の課題として検討していきたいと思います。
 なお、さっき潔さんが御指摘されました「妻たちの赤い門燈」というんですか、これは私も一遍じっくり読ませてもらいたいと思うんですが、今の酒飲みの話でも、もうほのぼのとしたものを感じました。私は、政府やら国やら我々政治家がやるよりも、あなたのような庶民的な政治家に一遍お巡りさんの奥さんにありがとうと言う会とかいうようなものをつくってもらって、会長になってもらって、お金が余っているところもたくさんあるから、あなたが稼いだやつを、私も少しぐらい寄附しますから、それをプールして、そういう善行の方にひとつ感謝のしるしを示す、こういうような社会運動を政治家としてやっていただくのも、単に国の予算とかなんとかというよりも、これは庶民西川潔の面目すばらしいものがあると思いますので、逆にひとつ御提案しておきたいと思います。(「そんなことを選挙区でやったら大変なことになっちゃうよ、選挙違反」と呼ぶ者あり)
 選挙違反という問題がありますな。それは私は思いつきを申しましたので、さすがはやっぱり自治省の古い官僚、すぐにそういうところへいきます。私は野人で、そういうことを申し上げて恐縮でありますが、心ある社会の人々にそういうことを訴えて、何もあなたが会長にならぬで結構です、違反になったら困りますから。私が申しておりますのは、そういう形での国家的な補償とかなんとかという側面よりも、やっぱり社会的な善意に対しては善意に報いるというそういうこともあってもいいんじゃないか、こういうことでございますので、お許しをいただきたいと存じます。
#116
○西川潔君 ありがとうございました。
#117
○委員長(岩本久人君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 警察法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#118
○委員長(岩本久人君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#119
○委員長(岩本久人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#120
○委員長(岩本久人君) 次に、地方自治法の一部を改正する法律案及び地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案を一括して議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。石井自治大臣。
#121
○国務大臣(石井一君) ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案及び地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。
 まず、地方自治法の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。
 この法律案は、地方公共団体の組織及び運営の合理化を図るため、地方制度調査会の答申にのっとり、中核市に関する事務の配分の特例及び特別地方公共団体たる広域連合に関する制度を設けるほか、所要の規定の整備を行おうとするものであります。
 以上がこの法律案を提案いたしました理由であります。
 次に、この法律案の要旨について御説明申し上げます。
 第一は、中核市に関する事項であります。
 中核市は、指定都市以外の都市で規模能力が比較的大きな都市について、その事務権限を強化し、できる限り住民の身近で行政を行うことができるようにするためその制度を創設するものであります。
 すなわち、中核市またはその執行機関は、指定都市またはその執行機関が処理することができる事務のうち、都道府県またはその執行機関が都道府県の区域にわたり一体的に処理することが効率的な事務その他の中核市またはその執行機関において処理することが適当でない事務を除き、政令で定めるものを政令で定めるところにより処理することができるものといたしております。
 次に、中核市となる要件につきましては、人口三十万以上を有すること及び面積百平方キロメートル以上を有することとしておりますほか、当該市の人口が五十万未満の場合におきましては、さたに当該市を含む周辺地域における経済社会生活、中核市は政令でこれを指定することとし、自治大臣が当該政令の立案をしようとするときは関係市からの申し出に基づきこれを行うものとしておりまして、関係市がこの申し出をしようとするときは、あらかじめ当該市の議会の議決を経るとともに都道府県議会の議決を経た都道府県の同意を得なければならないものといたしております。
 第二は、広域連合に関する事項であります。
 広域連合は、多様化した広域行政需要に適切かつ効率的に対応するとともに、国からの権限移譲の受け入れ体制を整備するためその制度を創設するものであります。
 すなわち、広域連合は、普通地方公共団体及び特別区またはその執行機関の事務で広域にわたり処理することが適当であると認めるものに関し、広域計画を作成し、必要な連絡調整を図るとともに、これらの事務の一部を広域にわたり総合的かつ計画的に処理するために設置される特別地方公共団体といたしております。
 次に、国及び都道府県知事等は、その権限または権限に属する事務のうち広域連合またはその執行機関の事務に関連するものを当該広域連合またはその執行機関に委任することができ、また都道府県の加入する広域連合は国の行政機関の長に対し、その他の広域連合は都道府県知事等に対し、広域連合またはその執行機関の事務に密接に関連する権限または権限に属する事務の一部を委任するよう要請することができるものといたしております。
 また、広域連合は、広域計画に定める事項に関する事務を総合的かつ計画的に処理するため必要があると認めるときは、当該広域連合を組織する地方公共団体に対し規約を変更するよう要請することができるものとするとともに、広域連合を組織する地方公共団体の事務の処理等が広域計画のと認めるときは、当該広域連合を組織する地方公共団体に対し広域計画の実施に関し必要な措置を講ずべきことを勧告することができるものといたしております。
 さらに、広域連合においては、その議会の議員または長の選挙の方法を一定のものに限定するとともに、広域連合の区域内に住所を有する者が広域連合に対し直接請求を行うことができるものとし、さらに広域計画に定める事項を一体的かつ円滑に推進するため、広域連合はその長及び国の地方行政機関の長等をもって組織される協議会を設置することができるものといたしております。
 第三は、その他に関する事項であります。
 その一は、選挙権を有する者が身体の故障等により直接請求の請求者の署名簿に署名することができないときは、その者の属する市町村の選挙権を有する者に委任して自己の氏名を直接請求の署名簿に記載させることができるものといたしております。
 その二は、住民が地方公共団体に代位して行う損害賠償請求等の住民訴訟において地方公共団体の職員が勝訴した場合に、弁護士に報酬を支払うべきときは、地方公共団体は議会の議決によりその報酬額の範囲内で相当と認められる額を負担することができるものといたしております。
 その三は、罰金及び過料の額について所要の引き上げを行うとともに、別表の規定の改正等所要の規定の整備を行うことといたしております。
 以上が地方自治法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。
 次に、地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。
 この法律案は、中核市制度及び広域連合制度を創設するための地方自治法の一部改正に伴いまして、関係法律について必要な規定の整備を行おうとするものであります。
 以上がこの法律案を提案いたしました理由であります。
 次に、この法律案の要旨について御説明申し上げます。
 第一は、中核市制度の創設に伴う改正であります。
 地方自治法の改正により、中核市に関する特例を設けることに伴い、関係法律において中核市に関する事務配分の特例規定を定めることといたしております。また、中核市に保健所を設置することとするほか、関係法律について所要の規定の整備を行うことといたしております。
 第二は、広域連合制度の創設に伴う改正であります。
 地方自治法の改正により、広域連合制度を創設することに伴い、関係法律について所要の規定の整備を行うことといたしております。
 以上が地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#122
○委員長(岩本久人君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 両案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後十時二十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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