くにさくロゴ
1994/02/16 第129回国会 参議院 参議院会議録情報 第129回国会 本会議 第3号
姉妹サイト
 
1994/02/16 第129回国会 参議院

参議院会議録情報 第129回国会 本会議 第3号

#1
第129回国会 本会議 第3号
平成六年二月十六日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程第二号
  平成六年二月十六日
   午前十時開議
 第一 平成五年度の水田営農活性化助成補助金
  についての所得税及び法人税の臨時特例に関
  する法律案(衆議院提出)
 第二 国務大臣の報告及び演説に関する件
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、特別委員会設置の件
 一、裁判官訴追委員及び同予備員辞任の件
 一、裁判官訴追委員等各種委員の選挙
 一、国家公務員等の任命に関する件
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#2
○議長(原文兵衛君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 前島英三郎君から海外旅行のため来る十八日から十一日間の請暇の申し出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
 よって、許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#4
○議長(原文兵衛君) この際、特別委員会の設置についてお諮りいたします。
 科学技術振興に関する諸問題を調査し、その対策樹立に資するため、委員二十名から成る科学技術特別委員会を、
 公害及び環境保全に関する諸問題を調査し、その対策樹立に資するため、委員二十名から成る環境特別委員会を、
 災害に関する諸問題を調査し、その対策樹立に資するため、委員二十名から成る災害対策特別委員会を、
 政治改革に関する調査のため、委員三十五名から成る政治改革に関する特別委員会を、
 沖縄及び北方問題に関する対策樹立に資するため、委員二十名から成る沖縄及び北方問題に関する特別委員会を、
 地方分権の推進に関する調査のため、委員二十名から成る地方分権に関する特別委員会を、
 規制緩和に関する調査のため、委員二十五名から成る規制緩和に関する特別委員会を、
 また、交通安全に関する諸問題を調査し、その対策樹立に資するため、委員二十名から成る交通安全対策特別委員会を、それぞれ設置いたしたいと存じます。
 まず、科学技術特別委員会、環境特別委員会、災害対策特別委員会、沖縄及び北方問題に関する特別委員会並びに交通安全対策特別委員会を設置することについて採決をいたします。
 以上の五特別委員会を設置することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
 よって、科学技術特別委員会外四特別委員会を設置することに決しました。
 次に、政治改革に関する特別委員会、地方分権に関する特別委員会及び規制緩和に関する特別委員会を設置することについて採決をいたします。
 以上の三特別委員会を設置することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#6
○議長(原文兵衛君) 過半数と認めます。
 よって、政治改革に関する特別委員会外二特別委員会を設置することに決しました。
 本院規則第三十条の規定により、議長は、議席に配付いたしました氏名表のとおり特別委員を指名いたします。
     ―――――・―――――
#7
○議長(原文兵衛君) この際、お諮りいたします。
 田沢智治君から裁判官訴追委員を、荒木清寛君から同予備員を、それぞれ辞任いたしたいとの申し出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
 よって、いずれも許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#9
○議長(原文兵衛君) この際、
 裁判官訴追委員、同予備員、
 国会等移転調査会委員各一名の選挙を行います。
 つきましては、これら各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することとし、また、裁判官訴追委員予備員の職務を行う順序は、これを議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、
 裁判官訴追委員に寺澤芳男君を、
 同予備員に河本英典君を、
 国会等移転調査会委員に磯村修君を、
それぞれ指名いたします。
 なお、裁判官訴追委員予備員の職務を行う順序は、第三順位の磯村修君を第二順位に、第四順位の武田邦太郎君を第三順位に、河本英典君を第四順位といたします。
     ―――――・―――――
#11
○議長(原文兵衛君) この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。
 内閣から、中央社会保険医療協議会委員に井原哲夫君及び館龍一郎君を任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
 まず、井原哲夫君の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#12
○議長(原文兵衛君) 総員起立と認めます。
 よって、全会一致をもってこれに同意することに決しました。
 次に、館龍一郎君の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#13
○議長(原文兵衛君) 過半数と認めます。
 よって、これに同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#14
○議長(原文兵衛君) 日程第一 平成五年度の水田営農活性化助成補助金についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長上杉光弘君。
    ―――――――――――――
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔上杉光弘君登壇、拍手〕
#15
○上杉光弘君 ただいま議題となりました平成五年度の水田営農活性化助成補助金についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、衆議院大蔵委員長提出によるものでありまして、平成五年度の水田営農活性化助成補助金について、個人が交付を受けるものはこれを一時所得とみなし、農業生産法人が交付を受けるものは交付を受けた後二年以内に固定資産の取得または改良に充てた場合には圧縮記帳の特例を認めることにより、それぞれ税負担の軽減を図ろうとするものであります。
 なお、本法律施行に伴う平成五年度の租税の減収額は約四億円と見込まれております。
 委員会におきましては、提出者より趣旨説明を聴取の後、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○議長(原文兵衛君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#17
○議長(原文兵衛君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。
 これにて午後三時三十分まで休憩いたします。
   午前十時九分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時三十二分開議
#18
○議長(原文兵衛君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 日程第二 国務大臣の報告及び演説に関する件
 内閣総理大臣から帰国報告について、大蔵大臣から財政に関し、それぞれ発言を求められております。これより順次発言を許します。細川内閣総理大臣。
   〔国務大臣細川護煕君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(細川護熙君) 私は、二月十日より米国ワシントンを訪問し、十一日にクリントン大統領と三回目の日米首脳会談を行い、十三日に帰国いたしました。
 今回の米国訪問は日米包括経済協議の一つの節目に当たったため、首脳会談の直前まで双方の交渉者間で昼夜を分かたず交渉が重ねられるという緊迫した状況のもとでの訪問となりました。
 当初同行を予定しておりました羽田副総理兼外務大臣は、予定を一日繰り上げてワシントンに入られ、ゴア副大統領、クリストファー国務長官、ベンツェン財務長官、カンター通商代表とそれぞれ会談をいたしました。
 しかし、包括協議の中のいわゆる優先分野の問題、すなわち政府調達、保険、自動車・自動車部品の三つの分野別の問題では、客観的基準と数値目標との関係をめぐって今回の首脳会談までには両国の立場の一致点は見出されなかったところでございます。
 このような状況の中で、私は十一日にクリントン大統領との間で昼食も含めて二時間以上にわたり会談を行いました。
 この会談では、今日の日米関係の幅と深みを反映して、二国間の経済問題のみならず、北朝鮮、中国、ロシアなどの国際情勢やグローバルな協力に至るまで幅広い分野にわたり率直な意見交換をいたしました。一言で申し上げて率直ないい会談であったと思っております。
 焦点の日米包括経済協議につきましては、私の方から細川内閣の基本的方針として発足当初より規制緩和などの改革を追求しており、数値目標の設定はこのような自分の政権の改革の基本方針と相入れないものであることを意を尽くして主張をしたところでございます。これに対してクリントン大統領も米国の立場を主張されましたが、結局、日米包括経済協議については双方の合意の上でしばらく冷却期間を置くことになったところでございます。
 しかしながら、クリントン大統領と私は、日米関係は国際社会全体にとって極めて重要な関係であり、経済面で意見の不一致があろうとも、これまでの日米友好関係の歴史を踏まえ、極めて良好な状況にある政治・安全保障の分野やグローバルな問題についての日米間の協力関係が損なわれることがあってはならないという認識で一致をいたしました。
 さらに、環境や人口、エイズなど、日米が取り組むべき地球規模の課題について両国が協力していくことを確認したことは会談の大きな成果であったと考えております。具体的には、人口、エイズの問題で日米両国は今後七年間にわたり百二十億ドルの国際協力を実施することとなりました。
 北朝鮮の核開発疑惑につきましては、米側より、中長期的に朝鮮半島の非核化を確保していくことが重要であり日本との協力を重視していること、また、来るIAEAの理事会の結果によっては国連安全保障理事会において問題が取り上げられる可能性も排除できないので日本との連絡を緊密に維持していきたいとの話がございました。これに対し私からは、問題が国連安全保障理事会で取り上げられる場合には可能な限りの対応をする旨答えたところでございます。なお今般、北朝鮮がIAEAの要請する査察を受け入れたことは御承知のとおりでございます。
 ロシアにつきましては、米側よりエリツィン大統領の民主化、市場経済化に向けての努力及び外交政策を改革していこうとするロシア側の努力を支援していく必要性がある旨言及があったのに対し、私からも我が国のロシアに対する支援の努力を紹介いたしました。
 最後に、私の方から天皇、皇后両陛下の本年中の米国御訪問について米側の協力を要請したのに対し、大統領からは両陛下の御訪米の成功に向けできる限りの御歓迎をしたいという発言もございました。
 また、私から大統領に対し来年の日本への訪問を招待したのに対し、大統領はこれに感謝するとともに再び訪日できることを楽しみにしている旨答ええられました。
 日米首脳会談の後、私は当地の大学で政策演説を行い、我が国の外交姿勢について米国の若者に直接語りかけてまいりました。
 演説では、日本の内からの改革を説明し、この改革が我が国自身の利益にかなうのみならず、日本の国際社会における責任と調和するものであること、また、この内からの改革は日本の対外関係にも反映され、より安定した平和な世界を築くために日本がよりダイナミックな役割を果たすことにつながるということ、我が国は地域紛争の予防と解決や環境問題、人口問題といった地球的規模の問題への取り組みなどの分野で一層の役割を果たしていく決意であること、また、我が国が核武装をすることはあり得ないということ、世界で最も活力のある地域であるアジア・太平洋において日米協力の大きな展望が開けつつあるということ、日米のパートナーシップを支えている人間的なきずなに関心を払いつつ日米関係の強化に取り組む決意であることなどを強調したところでございます。
 また私は、限られた時間ではございましたが、ミッチェル上院民主党院内総務、ドール上院共和党院内総務、フォーレイ下院議長といった米国連邦議会の指導者を初め、米国各界の要路と直接話し合う機会を設け、自分の政治姿勢や私が推進している改革を説明するとともに幅広く意見交換をしてきたところでございます。
 今回の私の訪米は従来になく厳しい状況の中で行われましたが、包括経済協議をめぐる率直な議論を通じ、日米両国はそれぞれのなすべきことを自覚してみずから進んで最大限の努力を行うが、それにもかかわらずできないことについてはそれを率直に認め合うといったこれまで以上の信頼感に裏打ちされた関係への幕開けを示す一つの時代を画するものになったと思っております。
 同時に、このような日米関係をさらに発展させていくためには、我が国がみずからのなすべきことについてより一層の自覚と責任感を持ち、みずから積極的にやるべきことはやっていくとの意思を明確にする必要があると思っております。今後は、日米間の意思疎通をこれまで以上に率直で忌憚のないものにしていくとともに、国際社会における日米パートナーシップの重みを十分踏まえ、我が国が我が国としてとるべき措置を自主的に取り進めていくことが重要と考えております。
 私は、この内閣の発足以来、政治、経済、行政面での構造改革の断行を国民から託された歴史的使命ととらえ、その実現のために邁進してまいりました。今後も規制緩和を積極的に推進し、開かれた社会の創造と国民生活の向上のために最大限の努力を行っていく所存でございます。今回の包括経済協議の結果は結果として、我が国としてとるべき措置については積極的に行ってまいりたいと思っておりますので、議員各位の御理解と御協力をお願い申し上げる次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#20
○議長(原文兵衛君) 藤井大蔵大臣。
   〔国務大臣藤井裕久君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(藤井裕久君) 今般、さきに決定されました総合経済対策を受けて平成五年度補正予算(第3号)を提出することとなりました。その御審議をお願いするに当たり、補正予算の大要を御説明申し上げます。
 まず、最近の経済情勢とさきに決定されました総合経済対策について申し述べます。
 我が国経済は、依然として厳しい状況にありますが、好調な住宅建設と公共投資が景気を支える中、在庫調整や資本ストック調整が進展するなど、回復への機運が着実に熟しつつあります。政府としては、こうした回復の芽を大きく膨らませ、我が国経済を平成六年度中のできるだけ早い時期に本格的な回復に移行させ、七年度以降の安定成長を確実なものとするため、去る二月八日、十五兆円を上回る史上最大規模の総合経済対策を決定いたしました。
 今回の対策におきましては、まず第一に、現下の極めて厳しい財政事情のもとではありますが、五兆八千五百億円の所得減税の実施等を行うとともに、公共投資等の拡大、住宅投資の促進など、可能な限り最大限の内需拡大策を講じております。第二に、課題を抱える諸分野に重点的かつきめ細かな対応を行うため、土地の有効利用の促進、中小企業の構造調整等の支援、農業の国際化への対応、雇用の安定の確保、金融・証券市場の活性化等に関する施策を展開しております。第三に、我が国経済の将来的な発展環境を整備していくため、新規事業の拡大等につながる規制緩和の推進や新規産業の創出と発展への支援を図ることといたしております。
 以上のように、本対策は、質量ともに充実した文字どおり総合的な経済対策であり、こうした幅広い諸施策を一体として実施しつつ、平成五年度第三次補正予算及び平成六年度予算を通じて可能な限り景気に配慮するよう努めることにより、先行きに対する不透明感を払拭し、我が国経済の本格的な回復に大きく資するものと確信しております。
 次に財政改革の推進について申し上げます。
 我が国財政は、巨額の公債残高を抱え、国債費が政策的経費を圧迫するなど構造的にますます厳しさを増しておりますが、これに加え、平成四年度決算において税収が戦後初めて二年連続して減少し、約一兆五千億円の決算上の不足を生じ、また、その後の税収動向も引き続き極めて厳しいものと見込まれるなどまことに深刻な状況に立ち至っております。
 今後急速に進展する人口の高齢化や国際社会における我が国の責任の増大など今後の社会経済情勢の変化に財政が弾力的に対応していくためには、引き続き健全な財政運営を確保しつつ、公債残高が累増しないような財政体質をつくり上げていくことが基本的な課題であり、今後とも財政改革を強力に推進してまいる所存であります。
 次に、今国会に提出いたしました平成五年度補正予算(第3号)の大要について御説明申し上げます。
 さきに御説明いたしました総合経済対策の一環として、一般会計につきましては、歳出面において、一般公共事業関係費の追加として一兆五千億円、各種の施設費等の追加として四千二百一億円を計上するとともに、中小企業等特別対策費八百二十二億円、国際化対応緊急農業対策費一千四百三十八億円、産業投資特別会計へ繰り入れ等百九十一億円、都市開発資金融通特別会計へ繰り入れ二百九十一億円を計上しております。このほか、明るい選挙推進委託費十八億円を計上しております。
 他方、歳入面におきましては、総合経済対策に盛り込まれた公共事業関係費の追加に対応するもの等につき、やむを得ざる措置として建設公債二兆一千八百二十億円を追加発行することといたしております。
 これらの結果、平成五年度第三次補正後予算の総額は、歳入歳出とも第二次補正後予算に対して二兆一千八百五十二億円増加して、七十七兆四千三百七十五億円となっております。
 以上の一般会計予算補正等に関連して、特別会計予算及び政府関係機関予算につきましても、所要の補正を行うこととしております。
 財政投融資計画につきましては、総合経済対策を実施するため、この補正予算において、住宅・都市整備公団、公営企業金融公庫等十六機関に対し、総額八千四百四十九億円の追加を行うこととしております。
 以上、平成五年度補正予算(第3号)の大要について御説明いたしました。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださるようお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#22
○議長(原文兵衛君) ただいまの報告及び演説に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。鈴木省吾君。
   〔鈴木省吾君登壇、拍手〕
#23
○鈴木省吾君 私は、自由民主党を代表して、ただいま報告のありました総理の帰国報告並びに財政演説について、総理ほか関係閣僚に質問を行います。
 まず最初に、日米会談についての帰朝報告でございますけれども、ただいま総理から非常に有意義な有効な会談であったという御報告がございました。それについて率直にひとつ総理にお聞きしますけれども、自己評価して何点ぐらいになりますか。まず、どうぞひとつ自己評価をしていただきたいと思います。
 総理は記者会見で、できないことについてはそれを率直に認めることが成熟した日米関係、新しい時代の大人の日米関係であると認識している、互いの判断を信頼し、尊重する関係に成熟しつつあると思っていると誇らしく述べられましたが、それは一つの見識であるかもしれません。しかし、外交はそう簡単なものではありません。
 確かに、米国の固執する数値目標の設定は管理貿易につながり規制緩和の流れに逆行するものであるだけに、これを受け入れなかったことは当然のことでありましょう。
 しかしながら、すべての協議が物別れだったというふうに感じるわけでございますけれども、その間に、日本としてはどういう交渉をし、どういう提案をし、また、アメリカからはどんな提案があり、どんな要求があったのか。そして、その協議の過程で、何とかひとつお互いにまとめようという何らかの努力あるいは提案があったのか。そういった経過についてひとつ御説明を賜りたいと思います。
 総理は、今回の協議物別れに関連して、過去日米間ではその場を糊塗するような玉虫色の決着を図ってきた、こう発言したと聞いておりますけれども、この発言の真意はどのようなものですか。
 確かに今まで日米間に多くの問題がありましたが、歴代の我が党内閣は、日本外交の基軸として政治・安全保障、経済関係、文化交流はもとより、幅広い分野で友好信頼関係の構築に努力して一定の成果を上げてまいりましたと確信しております。外交で大切なことは、その継続性、安定性にあると言います。諸先輩の外交努力を単純に玉虫色と言い切るのは一国の総理としていかがなものでしょうか、発言の御真意をお伺いいたします。
 今回の交渉はまさに決裂そのものであります。その結果、一挙に、総理がお帰りになりますと途端にドルが下がり円が上がる。一ドル百円をやがて割るであろう、こういうことが言われております。米国の政府、議会筋からは、早々と制裁、報復の動きが出ております。総理はかような事態を予想していたのでしょうか。もし予想していないとすれぼ大変な誤算であったと思いますけれども、その辺のお考えをお伺いいたします。
 なお、この際、総理の外交スタンスについて伺いたいのでありますが、それは、昨年十二月に政府は米の実質関税化を認める決定をいたしました。ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉と言いますが、実は米国の圧力による裏取引であって、三度の国会決議に反して米の国内自給を放棄したものであります。これは、できないことはできないとなぜ言えなかったのでしょうか。今回の日米協議ではノーと言って、前回の米ではノーと言えなかった。何かそこに一貫性がないような感じがいたします。農業、農民のことにはノーと言わず、自動車産業のことではノーと言い、国内の農業、農村に困難をもたらしているのは首尾一貫しないような気がするのでありますけれども、総理のお考えをお伺いいたします。
 また、この件について、羽田外務大臣は多年の我が自由民主党の農政のリーダーでありました。我が党の農林部会長もお務めになり、総合農政調査会長も長くお務めになり、そして我が党の内閣の農林水産大臣もお務めになられました。今回は総理に随行いたしまして交渉の経過をよくお見守りになり、あるいは補佐されたでありましょうから、今回の交渉の経過はよく御存じでありましょう。そういう観点からすると、我々とともに米を守り農業を守ることをやっていただいた外務大臣は、今回はこの経過から細川総理の交渉を見守ってどんなお感じを持ちましたか。非常に違和感を持ちませんでしたか。率直なひとつ御意見を承りたいと思います。
 この点につきましては、また畑農林水産大臣にも同じ感想をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、総理はクリントン大統領との会談で、ただいまの報告の中にもございましたけれども、北朝鮮の核開発疑惑にも触れられたようでございますが、日本海を挟んで一衣帯水の隣国の核開発疑惑を持つ北朝鮮につきまして、我が国の国防、防衛に重大な影響を及ぼすものでありますけれども、この点についていかなるお話し合いがなされましたか。
 幸い、本日の朝の新聞によりますと、北朝鮮と国際原子力機関との間で核関連施設の査察の受け入れに関する合意が成立したと伝えられておりまして、まことに結構なことだと思いますが、この機会に大統領との会談の内容、それから北朝鮮の核開発に関する総理のお考え、対応、これをお聞かせいただきたい、かように考える次第でございます。
 次に、経済・財政問題について御質問をいたします。
 今回の不況は、戦後最長かつ最大規模であり、回復の兆しは全く見られません。これはバブル時の過剰投資などによる景気循環に、最近の円高、冷夏、凶作という要因がさらに加わって、巨額の資産デフレが金融・消費面にも大きく影響したものでありまして、我が国としてはかつて経験したことのない深刻なデフレ不況であります。
 このような深刻な不況を招いたのも、政策の適時適切な運用を誤ったことにも大きな原因があると思います。経済の不況対策というのはタイミングが一番重要であります。最重要であります。タイミングを失しては、これは効果が半分あるいはそれ以下にもなりましょう。今日の一円は明日の十円にも相当するというようなことが言われておりますとおり、これは今日、こんなに不況が長くしかも深刻でありますのは、政府のタイミングを失した不況対策である、そこに大きな原因があると私は考えざるを得ません。
 このような事態を心配しておりましたから、我が党は昨年十月に河野総裁を本部長とする不況・冷害対策本部を設置し、緊急不況対策の実施、予算の年内編成等を強く政府に要望いたしました。それにもかかわらず、政府はこれをことごとく無視し、政治改革を最優先して国会の越年大幅延長という暴挙を参議院が重要な補正予算審議の最中にあえて断行しました。
 しかもまた、新年になりましても政治改革の審議に名をかりまして、不況対策のおくれ、さらにまた新年度予算を今ごろになってようやく編成が終わったという、こういう醜態、これが今日の不況をもたらした深刻な原因であるというふうに私は考えますが、総理はどんなふうにお考え、どんな責任を感じておられますか、明快にお答えを願いたいと思います。
 政府は、ようやく第三次補正予算を提案し、本予算とあわせて十五カ月予算で対応などと言っておりますが、予算編成を延ばしに延ばしたあげくの果てに、しかもただいま大蔵大臣が自画自賛したような、景気対策なり補正予算について御説明ありましたが、全然これは景気対策にはなりません。今ごろ新年度の予算とか景気対策なんてそんなことを言っても、これはもう国民は信用しません。ますます私は深刻になるというふうに考えております。
 しかも、今度の景気対策の柱の一つでありますところの所得減税の財源問題で御承知のように大変な混乱を来しました。御承知のように、朝起きてみたら大変な総理の御決定があったようでございます。これを聞いてびっくりしました。びっくり仰天いたしたのであります。さらに、これまた一日で、何か与党の話し合いがつかないということで撤回されたようでございまして、これまたどうもびっくり仰天いたしたのであります。さような所得減税というものを公約しても、本当に所得減税の効果があらわれるのでありましょうか。
 御案内のように、もう景気は冷え切っておりますからそんな程度のまやかしては私は消費は伸びない、あるいはまた企業の投資等もできない、伸びない、かように考えるものであります。
 予算がこの時期に、二月の中旬になるに及んで、十五カ月とかあるいは十三カ月予算とかそんなことを言っていますけれども、これでは本予算が成立するのは恐らく五月でしょう。長期の暫定予算を余儀なくされると思います。細切れ予算によって景気回復等は望み得ません。
 総理は、予算提出が大幅におくれた責任をどう受けとめておられますか。また、第三次補正予算による景気への効果をどう考えているのかお伺いいたします。
 そこで、来年度予算編成の前提となりますところの経済成長の見通しでありますけれども、御承知のように、民間消費も伸びないでしょう、あるいは企業の投資も伸びないでありましょう。さらにまた、今回の日米外交交渉の結果、円高その他の経済面への悪影響が出て来年度はほとんど国内総生産でマイナスになるのではないかという悲観的な見方があります。政府は国民総生産の伸びを二・六%などと計算しておりますけれども、そんなことは全然私は見込めないと思います。
 今回の景気対策は、先ほども申し上げましたように、減税六兆円、公共投資七兆二千億円がその目玉となっておりますが、国民消費において果たして一年間のばらまきの所得減税でどの程度成長率を押し上げられますか。後に大幅増税というものをちらつかされておりますから、そんなことでは消費も伸びませんし、あるいはまた企業投資も伸びません。しかも、この間のびっくり仰天したような減税あるいは増税、そういうことではこれは国民はもう今の内閣は信頼できない、あきれ果てているというふうに私は考える次第でございます。
 しかも、その増税、減税の発表について不思議なのは、重要な政策を発表する場合には内閣官房長官がお立ち会いになることが普通でありましょう。ところが、その発表にはお立ち会いになっておらない。いかがなことなんでありましょうか。しかも、その翌日の新聞によりますと、内閣官房長官は「過ちを改めるにしくはなし」と、こうおっしゃったと新聞に出ています。全くこれは総理のお考えと内閣官房長官のお考えが違ったのか。内閣不一致、当然内閣辞職ものです。
 しかも、総理は新聞記者に七%の税率の根拠はどこかと言われて、腰だめであると。こんな総理のお考えありますか。腰だめで増税をするなどということがありますか。聞いたことがありません。あいた口がふさがりません。それでも総理はまだ国民福祉税の構想は捨てていないと言われておりますけれども、いかがなのでしょうか。今でもそういうお考えをお持ちなのでしょうか。この議場を通じて、ひとつお示しをいただきたいと思います。
 次に、公共投資の問題でありますけれども、今から補正予算を提案して、成案を得て、その公共投資を実施する時期というものは、もう年度内幾らも日にちが残っておりません。これから公共投資事業等をやろうとしましても、私のようなところの積寒地帯なんかはもう全然着工もできない。こんな見せかけの予算をもらっても、どうにもこれは実行できないんです。全然地方の実情も知らぬでやっている大蔵省とか総理とかいうものは、これはもう少し勉強していただかなきゃいけない。まやかしのものだと思っておるわけでございます。そんなことならむしろゼロ国債でよかったのではないか、そういうふうに考えますが、いかがでしょうか。
 次に、土地問題について一言申し上げます。
 今日の不況対策の最も決め手は土地問題である、こう言われております。土地の流動化を促進し、金融システムを円滑化するため、税制を改革し、設備投資の促進、消費拡大の突破口を切り開くことだと言われておりますが、先ほど来の御説明を聞いても十分なその対策ができておりません。
 その一例として、地価水準が暴落し、バブル再燃の心配のない今日、長期保有地の譲渡益の課税の軽減、地価税の一時凍結等についてもっと弾力的に考えてはいかがかと思いますが、総理並びに大蔵大臣の御所見を伺います。
 また、大不況や凶作により、中小企業、農業は疲弊の一途をたどっておりますので、負債の軽減や早急な再建のための抜本対策を講ずべきであると考えますが、いかがでしょうか。
 次いで、昨日提案されました第三次補正予算に、ただいま大蔵大臣の御説明がございましたが、政治改革法案のPR費として明るい選挙推進委託費十八億円が今回の補正予算に計上されました。
 政治改革法案はようやくトップ会談で成立するべく合意して、これからまたいろいろ協議を始める、そしてそれによって立法する。そうなりますと、これから法案、さらにそれに続いて衆議院議員の区画の問題、こういう問題を協議しなければならない。そうなると、恐らく自治大臣も新聞でおっしゃっておりましたが、今国会では無理だと、もう来国会だと、こうおつしゃつておるんです。それなのに今緊急に予算を計上するとはどういうことなんですか。ちょっと感覚がずれていると思います。これは撤回してください。
 最後に、総理の政治姿勢について伺います。
 細川政権が誕生してから早くも六カ月を経過いたしました。振り返りまして、異常とも言えた当初の人気から、最近は内閣発足以来最低の支持率になったようですね。また今度の日米交渉の失敗で下がるでしょう。まさに人気に対するおごりと慢心が国民不在の強権の政治となり、生活者優先の政策の欺瞞性が明らかになったではありませんか。
 GHQと称される権力の二重構造を背景に、力と数の暴力による議会運営の強行、年内予算編成の放棄の経済無策、三度に及ぶ国会決議を無視した米市場の開放、朝令暮改の国民福祉税、さらには官僚主導で政治の主体性のないこと。責任ある変革の政治を唱える細川政権のスローガンはまさにまやかし以外の何物でもありません。
 総理、プロンプターで国民に語りかけるからにはきちんと言ったことを実行してもらわなければなりません。総理の発言は重く、責任が伴うだけに、陳謝や白紙撤回は何度もやるべきではありません。総理は政治に対する責任問題をいかにお考えですか、お尋ねをいたします。
 また最近、新聞等の報道によりますと、内閣改造が伝えられております。その焦点は内閣のかなめである内閣官房長官の更迭であると報じられております。かねてから新生党の小沢君とかいう方より総理に対し武村官房長官更迭の要求があったと報ぜられておりましたが、内閣のかなめである内閣官房長官の更迭ということは、内閣の性格をあらわす重要なポストでもありますから、それは大変なことであろうと思う。それが一・一ラインとかいう、その確執によって更迭されるという報道も見られますが、そもそも一・一ラインとは総理にとって何なんでしょうか。どうぞひとつ御説明願いたいと思います。
 しかも、その一・一ラインと称するものは、参議院の政治改革法案審議の過程において強権的、ファッショ的議会運営を押しつけたものと言わなければなりません。議会運営にとって極めて危険な存在のようですが、総理は穏健な武村官房長官を切り捨てて危険な一・一ラインに乗り移るかのように報じられておりますが、まことに危険な処置だと思います。
 とかく政権末期になりますとこういうことが起きるものです。いよいよ細川内閣も末期になってきたのかなという感じもいたすわけでございますが、内閣改造もさることながら、総理自身の指導力、政治力も八方ふさがりで、まさに限界であるでありましょう。この辺でひとつ内閣改造などと言わないで自分の進退をお考えになったらいかがでしょうか。これを申し上げて、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣細川護煕君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(細川護熙君) 日米首脳会談の評価についてのお尋ねでございますが、今回の首脳会談は二国間の経済問題だけでなく、北朝鮮、中国、ロシアなどの国際情勢や地球規模の協力に至るまで幅広い分野にわたって率直な意見の交換をいたしまして、今日の日米関係の深まりを反映した実質的な会談であったというふうに認識をいたしております。
 客観的基準と数値目標との関係をめぐって両国の立場の一致点が見出されなかったことは大変残念なことでございますが、クリントン大統領との間では政治・安全保障の分野やグローバルな問題についての日米間の緊密な協力関係が経済面での意見の不一致によって損なわれてはならないということで意見の一致を見たところでございます。
 また、今回の会談におきましては環境や人口、エイズなどの地球規模の問題への積極的な取り組みに合意をいたしますとともに、北朝鮮、ロシアなどの主要外交課題に関する緊密な協調を確認をいたしてまいりました。経済面での立場の相違を残しつつもこうした幅広い分野における協力の強化で一致したことは、日米間の相互信頼と協力関係が強固なものであるということを改めて確認をすることになったというふうに受けとめております。
 それから、過去日米間ではその場を糊塗するような玉虫色の決着を図ってきたという発言の真意いかんというお尋ねでございましたが、今日の日米関係がこれまでの両国関係者の努力の上に成り立っているということは私もよく認識をいたしておりますし、御指摘のありました私の発言もこうした関係者の御努力を軽んずる趣旨で申し上げたものでは決してございません。
 私が強調したかったことは、日米関係が幅と深まりを増す中で両国が立場を異にする問題が生じてくることはむしろ当然であって、こうした状況の中でお互いが異なる判断をする場合があっても、それを信頼し、尊重し、かつ日米間の全般的な友好関係というものを損なわないようにすることが大切であるという趣旨を申し上げた次第でございます。
 それから、制裁、報復など今後予想される米側の動きについてどう考えるかということでございますが、我が国としては為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましいことは申すまでもございませんし、今後とも為替相場の動向に注視しながら適宜適切に対応してまいりたいと思っております。
 また、米側の制裁等の動きに関しましては、首脳会談におきましては包括経済協議について考察期間といいますか、冷却期間を置いて双方で対応を検討するということになっておりまして、米国の対応について予断を持つことは差し控えたいと思っております。
 ただ、一般論として申し上げるならば、米政府による一方的な制裁が仮に発動された場合には、我が国としては国際的なルールにのっとって解決を求めることになるわけでございますが、米国政府がこのような行動をとることがないように良識ある判断と対応を期待したいと思っております。
 農業ではノーと言わず自動車ではノーと言って首尾一貫していないじゃないかと、こういうお尋ねでございますが、自由貿易体制のもとで経済成長を遂げてきた我が国としてはこれに反するような数値目標の設定といった管理貿易的なアプローチの排除に努めていくべきことは言うまでもないことであろうと思います。
 先般のウルグアイ・ラウンド交渉の実質妥結の際も、我が国として自由貿易体制の維持強化に資するラウンドの成功のためにあらゆる努力を払い、農業分野を含む最終文書案を受け入れるという大変難しい決断をいたしたところでございます。
 私としては、今後とも分野を問わず、こうした自由貿易体制の維持強化という我が国にとっての基本的な原則というものはしっかり重視をして経済外交というものを進めてまいらなければならない、このように思っております。
 北朝鮮の核査察受け入れ問題についてのお尋ねでございましたが、この問題につきましても現在重要な局面を迎えているとの認識を共有し、今後の事態への対応につきましても日韓米が協力していくことが重要であるということで意見の一致を見たところでございます。
 今後は、早急に今回の合意どおりIAEAによる査察が実施されるとともに南北の真剣な対話が再開されることによりまして米朝協議が再開され、北朝鮮の核兵器開発問題が一刻も早く解決されることを願っております。今後とも関係国と協力をしながら対応してまいりたいと思っております。
 経済運営についてのお尋ねでございましたが、政府としてはこれまでも厳しい経済情勢の変化に対応すべく幾たびかの経済対策を講じてまいりました。
 特に今般、大規模な所得減税を盛り込んだ十五兆円を上回る史上最大規模の経済対策を策定いたしましたほか、平成六年度予算につきましても平成五年度の第三次補正予算とあわせて可能な限り景気に配慮するように努めているところでございます。
 政府としては、これらの施策を速やかかつ着実に実施していくことによりまして景気を本格的な回復の軌道に乗せてまいりたい、このように思っております。
 予算提出がおくれた責任、それから第三次補正予算による景気への効果ということでございましたが、六年度の予算につきましては、現下の経済情勢に対応するための第三次補正予算の編成や政治改革法案の審議といったもろもろの情勢を総合的に勘案をいたしまして越年編成とすることにさせていただいたところでございます。
 また、今般策定をされた総合経済対策は、経済に切れ目ないインパクトを与えるための内需拡大策、課題を抱えるもろもろの分野への対応など幅広い施策を盛り込んでいるわけで、こうした施策を早急に実施に移すことによって全体として相当の経済効果を発揮すると考えております。
 政府としては、こうした効果を持つ総合経済対策を実施に移すための第三次補正予算それから六年度の当初予算を通じまして、経済の本格的な回復に大きく資するものと確信をしているところでございます。
 それから、減税の経済に与える効果についてのお尋ねでございますが、今回の定率減税は五兆五千億というこれまでに例を見ない大規模な減税であるということ、それから第二には、減税をできるだけ早いタイミングで、かつ、まとまった形で実施することができるようにしたということなどを考えますと、可処分所得の増加を通じまして個人消費に対してプラスに働きますし、さらに民間部門のマインドの好転にも寄与すると期待されるところでございまして、今回の対策に盛り込まれた他のもろもろの措置とも相まって、我が国の経済をいい方向に向かわせるものと考えているところでございます。
 それから、国民福祉税創設構想の白紙撤回についてのお尋ねでございましたが、私の税制改革草案は、高齢化社会におきましても活力のある豊かな生活を享受できる社会を構築するためにはバランスのとれた税体系を構築することが必要であるという認識に立って、昨年の秋以来の税制調査会の御審議、政府・与党間における協議の積み重ねを踏まえて明らかにさせていただいたものでございます。
 この草案をめぐる一連の政策決定のあり方につきましてさまざまな御批判をいただいたことにつきましては、率直におわびを申し上げる次第でございます。
 その後、税制改革につきましては与党の合意が成立をいたしましたが、私としては、この与党の合意に沿って引き続き検討を進め、年内に税制改革が実現されるように政府としても努力をしてまいりたいと考えております。
 補正予算に関連してゼロ国債のお話がございましたが、今回追加した一般公共事業につきましては、先般の総合経済対策の趣旨を踏まえて補助金交付から契約に至るまでの手続など必要な審査、手続を円滑に進め、その早期かつ着実な執行を図ることとしているところでございます。
 それから、長期保有地の譲渡益の課税の軽減あるいは地価税の一時凍結などについて弾力的に考えたらどうかというお話でございました。
 現行の土地税制は、平成三年度税制改正におきまして長期的、安定的な制度として設けられたもので、今後ともその着実な実施に努めていくことが重要であると認識しております。
 六年度の改正におきましては、税調答申でも述べられておりますように、「現行の土地税制の基本的枠組みの範囲内において、国土政策等との調和に配意しつつ土地の有効利用を促進する観点から適宜・適切な対応を図ることが必要である」という考え方が出されておりまして、そういう考え方のもとで、市街地における土地の有効利用を促進するために、業務用を含む優良建築物を建設する事業などのために土地などを譲渡した場合を新たに長期譲渡所得に対する軽減税率の適用対象とするなどの有効な措置を講ずることにしたところでございます。
 なお、保有課税である地価税を軽減いたしましても土地の流動化を促進することにはつながらず、土地流動化策として地価税の一時凍結といった見直しを行うことは適当でないと考えているところでございます。
 中小企業の負債の軽減あるいは再建のための抜本策についてのお尋ねがございましたが、政府としては幾たびかの経済対策におきまして中小企業対策を盛り込みその実施に努めているところでございますが、二月八日の総合経済対策におきましても、政府関係中小企業金融機関に高金利の債務を有する企業に対する金利支払いの一部繰り延べ措置の導入、あるいは運転資金支援特別貸付制度の要件緩和などの経営安定対策の強化を内容とする総額一兆三千億円を超える規模の中小企業対策を盛り込んだところでございます。
 こういった措置が積極的に活用され、中小企業をめぐる景況が早く回復することを期待しているところでございまして、そうした観点からも対策にかかわる補正予算の早期成立を願っているところでございます。
 農業の再建のための抜本対策についてのお尋ねもございましたが、昨年の冷害などによる被害につきまして、政府としては被災農家あるいは被災地域に対しまして平成五年度第二次補正予算などを通じまして円滑な救済が行われるようにできる限りの努力をしてきたところでございます。
 また、平成五年度第三次補正予算におきましても、農村の活性化と生活環境の整備などのための社会資本の整備、国際化の進展に対応して農業の体質強化を緊急に進めるための基盤づくりなどを推進するために必要な予算を計上しているところでございます。
 政府としては、ウルグアイ・ラウンド合意を踏まえた農業政策を推進するために農業農村対策本部を設置し、農業構造の望ましい姿というものを早期に実現をするべく所要の措置を総合的にかつ的確に講じてまいりたいと考えております。
 三次補正に計上の政治改革法案のPR費の削除を求めるというお尋ねでございましたが、さきの臨時国会におきまして政治改革関連法が可決成立をいたしましたが、その成立に当たっては私と河野自民党総裁との間で修正項目を中心に十項目についての合意を行い、六年度当初予算審議に先立って修正を実現させることを前提にしているところでございます。
 政治改革の内容についての周知徹底を図るということは政府としての重要な責務でございますし、修正法が成立したならばできるだけ早く国民に対する周知啓発事業を行えるように所要の予算措置を講じたところでございます。
 政府としては、さきの合意の重みを真摯に受けとめますとともに、政治改革の重要性、その早急な周知徹底の必要性を踏まえた予算措置でございますので、ぜひひとつ御理解を賜りたいと存じます。
 それから、政治に対する責任問題についてのお尋ねでございましたが、総理大臣の発言は重く、責任が伴うものであることは重々承知をいたしております。今後ともこういう点をわきまえた対応を心がけてまいることは当然だと思っております。ただ、同時に私としては、国民や議員各位のさまざまな御意見に謙虚に耳を傾けなければならないと思っておりますし、一度発言したことでありましても、改めるべきことは改めて、国民の御期待にこたえる政治の実現を目指さなければならないと思っております。
 内閣改造問題についてのお尋ねでございましたが、連立与党の最終方針というのは代表者会議において全会一致を原則として民主的に決定されているものでございまして、特定の方々だけで物事が決められているということではございません。また、与党に政府を加えた連立政権としての最終意思決定は、さらに与党各党の党首を加えた政府・与党首脳会議によって決定されているわけでございまして、御指摘のような認識は当たらないというふうに認識をいたしております。また、連立政権は一致結束して国民の負託にこたえるべく努力をしてまいりましたし、これからもそのような気持ちで努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
 それから、私の進退についてのお尋ねでございましたが、私としては、政権として仕上げるべき課題や対応すべき課題がたくさん山積をしている現状におきましては、国民の御期待にこたえるためにも今後ともこれらの問題の解決のために最善を尽くしていかなければならないと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁をいたします。(拍手)
   〔国務大臣羽田孜君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(羽田孜君) 鈴木議員からのお尋ねは、総理の自動車は守らなければならないけれども米と農業、農村は切り捨ててもよいのかという御指摘でございました。
 先ほど御指摘のございましたように、先般のウルグアイ・ラウンド、ここにおきます農業を含めての合意、これに私どもは賛成したわけでありますけれども、これは先ほど御指摘がありましたように、私自身皆様と一緒にこの日本の米というものあるいは一億二千万人の主食というもの、これを何とか確保し守っていきたい。そういう中で七年と数カ月間皆様と一緒に努力してまいりました。
 ただ、やはり各国とも農業問題につきまして困難な問題をどこの国も実は抱えております。これがラウンドのテーブルに乗せられた中で、我々は率直な話し合いの中でここで決断しなければならない、つらい、本当に苦しいぎりぎりの決断であったというふうに考えておるわけであります。これもやっぱり自由貿易、ガット体制というものを日本として、一番恩恵を受けている国としてこれを守らなければならぬという姿勢から私どもはそういう対応をしたわけであります。
 なお、今般の日米包括協議、これにつきまして米と自動車ということでお話があったわけでありますけれども、ただ自動車を守るとかそういった問題ではございません。今度の場合には幾つかの分野につきまして、政府調達あるいは自動車と自動車部品、また保険の問題、こういった問題の実は話し合いが行われました。それぞれの分野で日本の市場というものをできるだけ開放する、またそのことが世界からも理解されると同時に、国民の生活もそれによって少しでもよくなっていく、そういったことを目指して私どもは宮澤内閣の時代にお約束した、話し合いをした。それをずっと今日まで続けながら、だんだんお互いに話し合いというのは進んでまいりました。
 ただ、これが話し合いがついた成果、その成果というものをはかる物差しについて実は議論があったところでございまして、この数値目標というものがややもするとひとり歩きしてしまって、これが行政が介入するとかあるいは規制緩和に反することになってしまったんでは、これは一体何のための、細川政権が今盛んに進めようとしておる自由貿易を進めるための規制緩和、こういったことに反するんじゃないのかということの中で、物差しの問題で実は話がっかなかったということであります。
 しかし私は、日本がこれからも市場を開放していかなければならぬという中で、これはただ決裂したということで、これでよかったんだなんというものじゃない。私ども、やっぱりこれからこういう中で世界に向かって市場を開放するために、みずからがさらに努力していかなければならないんだというふうに考えたいと思います。
 そういう意味で、このウルグアイ・ラウンドにいたしましてもあるいは今度の日米包括協議にいたしましても、日本の自由貿易体制、これをきちんと整備していくんだ、守っていくんだという中で、私どもがこういう決断をしたことを皆様にも御理解をいただきたいと思います。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣畑英次郎君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(畑英次郎君) 鈴木議員の御質問にお答えを申し上げます。
 ただいま羽田外務大臣からすべて言い尽くされておるわけでございますが、私の立場におきましても、ウルグアイ・ラウンドの農業合意は各国の対立する意見を踏まえ、関係者の努力により調整案が示されたことは御案内のとおりでございまして、また、ただいま既に御指摘がございましたとおり、我が国は自由貿易体制のもとで経済的発展を遂げ、今後とも世界経済発展のために重大な責務を負っていることなどを踏まえ、総合的な判断の上に立って苦渋に満ちた選択をとらざるを得なかった。この点について御理解を賜りたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#27
○議長(原文兵衛君) 及川一夫君。
   〔及川一夫君登壇、拍手〕
#28
○及川一夫君 私は、新緑風会、公明党・国民会議、日本社会党・護憲民主連合を代表して、ただいま行われました総理の帰国報告と大蔵大臣の財政演説につきまして質問をいたします。
 初めに、先日行われました日米首脳会談について、総理及び外務大臣にお尋ねいたします。
 日米首脳会談は、いわゆる物別れになりました。日本がアメリカの主張する数値目標を拒否した結果、両首脳とも玉虫色の決着を避ける強い決意を示し、いわば意見が違うことを確認し合ったことはそれなりに意義のあることと思います。私も、総理が自由貿易の筋を通したことには敬意を表します。しかし、会談後の記者会見で総理自身が言明しているように、できるだけ早い時期に日本側から一定の回答を出さなければならないことも間違いのない事実でございます。
 そこで私は、日米首脳会談がなぜ物別れに終わったのか、その原因について総理の認識をまずお伺いしたいのであります。
 昨日の新聞報道によりますと、斉藤外務次官は、合意できなかったことは日本にとってマイナスと指摘をし、国際貢献をもっと真剣に考える必要があるとの趣旨を記者会見で発言をしております。
 外務大臣、一体国際貢献やODAにより積極的に取り組めば日米包括経済協議は成功するのでありましょうか。余りに視点の外れた甘い認識ではありませんか。
 アメリカ政府の主張の中には、我が国の政官癒着や官僚主導などについての問題指摘があったと思います。要するに、約束をしても守らない、あいまいな表現で合意するが実行を迫ると逃げ道がつくられているなど、まさに肝心なところで問題の本質をずらされてきたというアメリカ側の不信と恨みが積み重なっての物別れだったのではありませんか。そうした不信は、主として過去の自民党政府の対米交渉が生み出したとも言えましょう。
 しかし、総理は現に政権担当者であります。包括協議に対する今後の対応について、打ち出すタイミングを含め何を重点に取り組むのか、基本的姿勢を明らかにしていただきたいのであります。
 昨日来、アメリカから入ってくる電気通信事業分野などでの報復含みのニュースは、急激な円高とともに私としても憂慮にたえません。要は、我が国として黒字減らしゃ市場開放のため、内需拡大策を基本として内外価格差の是正、規制緩和の促進など可及的速やかに実施すべきだと思うのであります。
 次に、内閣の人事権は総理御自身にのみ許された権利ですから、ここでとやかくおせっかいがましいことを言うつもりはありません。しかし、昨日十五日の新聞各紙を見て、私は正直に言って偶然といたしました。小幅か大幅か知りませんが、総理が改造を意図し、内閣官房長官などがその対象になっているという。私はうわさにすぎないと思いたいのですが、もし本当に内閣改造を考えておられるとしたら、その理由は何なんでしょうか。
 私は、少なくとも平成六年度予算及び関連法案の成立を見るまでは内閣改造はすべきではないと思いますが、いかがでしょうか。今は六年度予算をつくるはか、対米交渉など論議すべきことが山積しています。現内閣の一致結束こそ大切ではないでしょうか。これは私の要望、意見として強く申し上げておきます。
 次に、今回の補正予算の具体的な内容について順次お尋ねいたします。
 今回の補正予算には公共事業等の追加が盛り込まれており、これは減税と並び総合経済対策の重要な柱の一つになっているものであります。公共投資についてはこれまでの累次の経済対策の効果により堅調に推移してきており、景気の下支えに大きな役割を果たしてきたと認識しておりますが、引き続き公共投資の面から経済に対して切れ目なくインパクトを与えることが極めて重要であります。
 こうした観点から、五年度第三次補正予算及び六年度予算を通じて可能な限り景気に配慮するよう努めることを期待するとともに、今回の対策に七兆円もの公共投資等の拡大が組み込まれたことをまことに時宜を得たものと評価をしております。
 そこで、今回の公共事業の追加の概要及びどのような分野に重点を置いているのか、総理にお尋ねをしたいと思います。
 ただ私は、いわゆる平成不況に際し、今次の総合経済対策以前に既に事業規模三十兆を超える対策が講じられてきたことを指摘しておかなければならないと思います。しかし、その効果が必ずしも十分と言い切れないのは、今回の不況が単なる循環的なものでないことにもよりますが、従来型の公共投資重点の対策ではもはや効果が上がりにくくなっていることを実証していると言わなければなりません。
 最終的には、その財源は国民の血税によるものであることは自明であります。貴重な財源をより有効に配分することは、まさに政治の基本であります。生活関連の社会資本整備に重点的に配分することは当然として、景気対策の観点からも通信機器や大学、病院の研究環境の施設等の新社会資本整備に向けて集中的に投資をする必要があるのではないでしょうか。その点、五年度第三次補正予算ではそのような基本方針が貫かれているのでしょうか。大蔵大臣にお伺いいたします。
 今回の総合経済対策で、初めて消費拡大のための合計五兆四千七百億円減税が織り込まれることになりました。しかし、このような大規模の所得減税を行っても個人の消費拡大にはつながらないとする見方もありますが、政府はどのように考えておられますか。減税のほかにあわせて消費意欲を盛り上げる施策を考えておられるのかどうか、総理にお伺いいたします。
 次に、当面の減税財源としては赤字国債が発行されることになりますが、その国債の性格はどのようなものとなるのでしょうか。昭和五十年度以降発行されてきた特例公債と同じ性格のものですか、それとも湾岸戦争のときの特別臨時公債的なものなのか、大蔵大臣にお尋ねいたします。
 平成五年度は第三次補正で公債依存度は二〇・九%に、六年度も一八・七%に高まります。また、公債残高も六年度末には二百兆円を超える見込みとなっています。公債の累増は後世代に負担を残すという面で極力圧縮しなければなりませんが、これを恐れる余り、極端なデフレ経済に追い込み、失業者がちまたにあふれるような経済運営をしてしまいますと、その方がかえって後世代にとってマイナスが大きいとも言えるのであります。
 さらに加えるに、国の財政には、公債の残高二百兆円のほかに、いわゆる隠れ公債というものが存在します。これは主として昭和五十年代に特別会計への繰入金や地方への負担を繰り延べたいわば一般会計の借金ですが、これが十一兆円余に上ります。さらに日本国有鉄道清算事業団の長期債務が約二十六兆円あります。そして、この隠れ借金は平成四年度に比べて五年度は約一兆円ふえているのであります。
 これらは法律で返済が決められているものもあり、そうでないものもあります。その内容は複雑をきわめていて、国民の理解をはるかに超えています。恐らく国を預かる内閣の皆さんもこれを詳細に把握している人は少ないと思います。いずれにしても、国民が納めた税金によってとれを返さなければなりません。
 この際、これらの隠れ借金は国債によって償還し、つまり国債に振りかえて、国民に借金が幾らあるかを明示する必要があるのではないでしょうか。すべてを明らかにした上で、行政改革、経費の節減などぎりぎりの行政努力を行い、高齢化社会を支えるための財政需要、そして財源の必要性などについても明らかにすれば、そのよしあしについて議論はあるでしょうが、増税の提案にも国民の受けとめ方は今と違ったものになるのではないでしょうか。財政のわかりやすいディスクロージャーと将来の財政需要について、総理の率直な御見解をお伺いいたします。
 次に、住宅土地対策は、国民生活の質の向上に資するとともに景気に与える効果も極めて大きいと考えられますが、連立与党においては、本問題について土地・住宅プロジェクトチームのもとに精力的な検討を行い、報告を取りまとめたところであります。今回の対策では、この報告を踏まえ、国、地方公共団体などの公的主体による公共用地の先行取得を制度改善を含め積極的に推進しておりますが、総理の住宅土地対策に対する今後の取り組み方につきお伺いをしたいと思います。
 特に、今回の土地対策の中には、土地市場の低迷を背景とした民間の都市開発の停滞という事態に対応するため、民間都市開発推進機構を活用した都市開発事業用地の先行取得制度が創設されております。本制度の概要及びその効果について建設大臣にお伺いいたします。
 次に、地方財政について二、三お尋ねいたしたいと思います。
 国の平成六年度予算編成は大幅な越年となり、各地方公共団体の予算編成スケジュールへの影響が懸念されていたところであります。政府としては、こうした状況を踏まえ、地方公共団体の要望等に配慮して、税制改革や六年度の税制について連立与党代表者会議等の場において論議がなされている最中の去る二月五日、異例の早いタイミングで大蔵、自治両大臣による事前協議を行い、地方財政対策の大枠について決定したものと承知いたしております。この措置により、各地方公共団体の予算編成が円滑に行われたものと考えておりますが、この点について自治大臣はどのように認識されているのか、見解を伺います。
 平成六年度の地方財政は、地方税収及び交付税の原資である国税が前年度を下回る上に、今回の対策に盛り込まれた所得税、住民税等の減税によりさらに厳しいものになると思われます。政府としては、六年度の地方財政運営に支障を来さないように十分な措置をとる必要があると考えますが、六年度の地方財政運営に対する総理の基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
 また、地方単独事業について三千億円の事業費の追加を要請することとなっております。今後もさらに積極的に地方単独事業を推進し、地域の景気浮揚を図るべきだと考えますが、自治大臣の見解を伺いたいと思います。
 以上をもって私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣細川護煕君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(細川護熙君) 日米首脳会談が物別れに終わった原因についてどう考えるかということでございましたが、今般の日米首脳会談に先立ちまして、日米間では包括経済協議の妥結に向けて事務レベルあるいは閣僚レベルでできる限りの調整をしてまいりました。政府調達あるいは保険、自動車・自動車部品の各個別分野の問題で、客観的な基準と数値目標との関係をめぐって両国の立場の一致点を見出すことができなかったということが最大の妥結に至らなかった原因でございます。
 クリントン大統領との会談におきましても、残念ながら最終的に意見の一致を見ることがこの点についてできませんでした。しかしながら、先ほども申し上げましたように、政治・安全保障の分野でありますとか、その他のグローバルな問題についての日米間の協力を基礎とする良好な二国間関係が経済面での意見の不一致によって損なわれることはないという認識では一致をしたところでございまして、今日の日米関係の深まりを反映した実質的な会談であったというふうに認識をしているところでございます。
 今後の対応についてどうするのかということでございましたが、日米両国は包括経済協議におきまして幅広い経済問題に取り組んでまいっております。特に地球的規模の課題につきましては、今般の首脳会談におきまして行動計画も発表をいたしまして、今後大いに協力を進めていこうということになったところでございます。
 しかし、一方で、今申し上げました客観的基準をめぐる双方の立場の違いから合意に達することができなかった個別の分野につきましては、考察期間、冷却期間を置くことになりましたので、今後アメリカ側の出方もよく見た上で何らかの形で打開をする糸口を見つけたい、このように思っております。
 現内閣は、発足以来、規制緩和に積極的に取り組んでまいりましたし、開かれた社会の創造と国民生活の向上を目指してまいりました。我が国としては、今回の協議の結果は結果として、政府調達手段の改善を含む市場アクセスの一層の改善なり規制緩和に向けてとり得る措置を自主的にとってまいりたいと思っておりますし、そのような取り組みが両国の関係というものを一層強固なものにしていくために不可欠である、このように思っております。
 改造についてのお尋ねでございましたが、こと数日報道されておりますが、いろいろな機会に申し上げておりますように、この問題に対する私の立場は白紙でございまして、改造を行うという前提には立っておりません。本日から第三次補正の審議が始まったところで、また政治改革関連法の修正協議も進行中でございますし、現内閣としては一致団結してこれらの課題に当たってまいりたいと思っております。
 このたびの経済対策の公共事業の概要はどうか、また効果はどうかといったような趣旨のお尋ねでございましたが、政府としては幾たびかの経済対策の策定などを通じまして景気の低迷に対処してきたところでございます。
 今回の経済対策におきましても、一般公共事業の追加を行うほか、国民生活基盤、研究開発基盤等の充実を図るため事業費の追加を行うなど、公共用地の先行取得を含めまして七兆二千億円規模の公共投資の拡大を図ることにいたしております。
 政府としては、このたびの十五兆円に上る総合経済対策とともに、第三次補正予算とあわせまして可能な限り景気に配慮された六年度予算を実施することによりまして、できるだけ早く我が国経済を本格的な回復軌道に乗せていかなければならないというふうに考えております。
 減税の個人消費拡大の効果についてのお尋ねでございますが、依然として厳しい経済の状況ではございますが、耐久消費財のストック調整など種々の調整が進展をしていることもまた一面で事実でございます。こうした景気回復への芽を膨らませていくためにも可能な限り有効な施策を展開していくことが必要であると思いますし、こうした中で行われる今回の定率減税は可処分所得の増加を通じまして個人消費に対して相当の刺激効果を持つというふうに考えております。
 減税のほかにあわせて消費意欲を盛り上げる施策が何かあるかという趣旨のお尋ねでございますが、今後規制緩和などの施策が物価を一層安定させるほか、これまでの一連の対策や今回の総合経済対策における公共投資などの拡大あるいはまた住宅投資の促進、雇用の安定、あるいはまた新規産業創出の促進などの施策が減税の効果と相まって家計にも波及をしていくであろうというふうに期待をいたしております。
 政府としては、このような対策を一体として推進しながら、第三次の補正あるいは当初予算を通じまして可能な限り景気に配慮した予算を組むことによりまして景気の回復に努めてまいりたいと思っております。
 財政のディスクロージャーと将来の財政需要についてのお尋ねでございましたが、具体的にどういう措置をいわゆる隠れ公債と言うのかにつきましては必ずしも明確な定義があるわけではございませんが、従来からこれと関連して、毎年予算委員会に「今後処理を要する措置」という形で整理をして資料を提出しているところでございます。
 こういった措置はそれぞれの制度、施策をめぐる状況や考え方を踏まえてこれまでもその処理に努めてきたところでございまして、今後とも国の財政事情などを踏まえて適切に対応してまいりたいと思っております。
 今後、急速に進む高齢化社会を踏まえて、将来の財政需要が増大していくことにつきましてはこれまでもさまざまな機会をとらえて国民各位にもお示しをしてきたところでございますが、今後とも引き続き御理解を得るべく努力をしてまいらなければならないと思っております。
 住宅対策についてのお尋ねでございますが、大変重要な政策課題の一つと認識をしておりますし、従来から第六期住宅建設五カ年計画に基づいて良質な住環境の形成、あるいはまた大都市地域の住宅問題の解決、さらにまた高齢化社会への対応、あるいは地域活性化などに資するような居住環境の形成といったようなことについて、それらを基本目標として住宅政策を推進してきたところでございます。
 これを受けまして、さきの経済対策あるいは昨日閣議決定されました政府予算案では、住宅金融公庫の貸付戸数の確保あるいは税制の充実などを盛り込んだところでございまして、これによって住宅政策の推進を図ってまいりたいと思っております。
 また、先般、居住水準の一層の向上を目指して住まい21計画を提唱させていただいたところでございますが、今後この計画につきまして、その実現に向けて多面的に検討し、推進を図ってまいりたいと思っております。
 土地対策についてのお尋ねでございますが、土地基本法の理念を踏まえまして、引き続き総合土地政策推進要綱に従って、構造的、総合的な対策を推進してまいりたいと思っております。
 特に、合理的な土地利用の促進を図るという観点から、住宅供給や町づくりを初めとする土地の有効利用のための施策を講じてまいるつもりでございます。
 地方財政運営に関する考え方いかんということでございましたが、明年度の地方財政につきましては、所得税、住民税などの減税に伴う地方財政への影響額につきまして、その財源補てん措置を講じますはか、減税以外の地方財政収支につきましても大幅な財源不足が生じますが、必要な地方交付税総額を確保いたしますとともに、住民生活の質の向上のための社会資本の整備、福祉施策の充実などに配慮して、地方財政の運営に支障が生じないように措置をすることにいたしたいと思っております。(拍手)
   〔国務大臣藤井裕久君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(藤井裕久君) ただいまの及川議員の御質問の新社会資本整備でございますが、なかなかそういう正確な定義がないのでございますが、社会資本の整備につきましては、公共投資基本計画等の考え方に沿いまして、国民生活の質の向上に資する分野に特に配慮するなど、社会経済情勢の変化に即応した重点的、効率的な配分を行ってまいっているところでございます。
 特に、御質問の五年度第三次補正予算におきましては、一般公共事業については国民生活の質の向上に重点を置いた分野にできる限り配慮したほか、国民生活基盤であるとか研究開発基盤等の充実を図るために、教育、研究、医療等のための施設等の整備を推進することといたしております。
 及川議員のもう一つの御質問、平成六年度予算編成に当たりまして減税を先行させることとしたけれども、その結果生ずる税収減については、現下の財政状況から見てこれは公債の発行によって対処せざるを得ないわけであります。
 この公債の法形式はどうかということでございますが、財政法四条の特例であるという意味においては特例公債でございます。また、償還財源が現時点では確保されておらず、現時点において湾岸支援の際の臨時特別公債と同じ性格のものと言い切ることは難しいと考えております。
 しかしながら、減税財源の確保を含め、税制改革の年内実現が図られることにより、中長期的に特例公債依存体質をもたらすような歯どめのない赤字国債とは異なるものとなり得ると認識をいたしております。(拍手)
   〔国務大臣羽田孜君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(羽田孜君) 今回の日米包括協議におきます対応のように、我が国が原則的な立場に基づきまして外国の要求を受け入れない場合もあろうと思います。ただ、それだけに終始いたしますと、日本は自分にとって都合のいいことだけを考えている国という認識が広まるおそれもあります。
 御指摘の斉藤次官の発言は、そのような認識を持たれぬよう我が国としては世界全体のことを考えているということを行動をもって示していく必要があるとの趣旨を一般論として述べたということでございます。したがって、御質問のように、日米包括協議の成否と直接的なつながりを持って述べられたものではないというふうに認識をいたしております。(拍手)
   〔国務大臣五十嵐広三君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(五十嵐広三君) 及川議員の民間都市開発推進機構を活用した都市開発の事業用地の先行取得に関する御質問にお答えを申し上げたいと思います。
 今の御質問にもございましたように、近年、土地市場全体が低迷をしておりまして、民間の都市開発も停滞をしているために、都市部を中心として有効利用されていない遊休地が発生をしておりまして、こういう状況をそのままにしておりますことは良好な町づくりの好機を逃すことになるのではないかと懸念をいたしているような次第であります。
 このようなことから、この際、民間の都市開発事業に対する公的な支援機関であり、これまでも十分な知識と経験を有する民間都市開発推進機構が適切な用地を適正な価格で有効的に先行取得するということを考えていくべきであろう、こういうふうに思いまして、そのための新たな仕組みを創設いたしたい、こういうふうに考えている次第であります。
 また、この施策は今日の厳しい経済状況のもとにおきまして土地の有効利用への流動化の推進を図るという観点からも、緊急の措置として、せんだっての政府の総合経済対策の中においても重要な新規施策の一つとして位置づけられているものであります。
 この制度の創設によりまして、停滞する民間都市開発に弾みがついて、土地の有効利用のための税制上の措置やあるいは公共用地の先行取得制度の積極的な活用と相まって、良好な都市づくりと土地の動き全体の活性化につながることを我々としては期待しておるようなところであります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤観樹君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(佐藤観樹君) 及川一夫議員の御質問のうち、地方財政の問題について私の方から答弁をさせていただきたいと存じます。
 地方公共団体が予算編成をする場合には、御承知のように、地方財政計画の骨子でございますところの地財対策の概要というものをお示ししなければならぬわけでございますので、今日までも早期に決定するように努めてきたところでございます。
 したがいまして、地財対策を遅くとも地方公共団体が予算を組みます二月の第一週までに示す必要がございましたので、本年度におきましては極めて異例のことではございますけれども、税制改正大綱なりあるいは経済見通しがまだ決まらない前に、二月五日にその概要をお示ししたところでございます。
 地方公共団体はこれによりまして、この地財対策の概要を参考にいたしまして、現在平成六年度の当初予算の編成に向けて最大限の努力をしていただいておるところでございます。
 また、平成六年度の地財対策におきましては、住民税減税や税収不足による財源不足が約六兆円と見込まれるわけでございますけれども、これを借入金等によりまして完全に補てんをいたしましたし、地方交付税総額につきましても前年以上の十五兆五千億円を確保し、地方団体の財政運営に支障が生じないようにしてきたところでございます。
 特に、及川議員御指摘の地方単独の公共事業費の確保は、地方団体の自主的、主体的な地域づくりや生活者・消費者の視点に立った社会資本整備を促進するため極めて重要な課題であると考えております。
 また、地方単独事業費の規模の決定に当たりましては、景気に対しまして配慮する必要がありますので、三次補正では大変時間がない中ではございましたけれども三千億円をお願い申し上げ、また平成六年度におきましては前年度に対しまして一二%増の十八兆六千億円、金額におきまして約二兆円増でございますけれども、組んだところでございます。
 このような積極的な施策によりまして、各地方公共団体においては下水道とか公園とか生活者重視の社会資本の整備が行われるとともに、北海道から沖縄まで全国各地域での景気の下支えができるものと確信をしておるところでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#34
○議長(原文兵衛君) 高崎裕子君。
   〔高崎裕子君登壇、拍手〕
#35
○高崎裕子君 私は、日本共産党を代表して、総理に質問いたします。
 さきの臨時国会の最終日、本院で大差をもって否決され一たん死んだはずの小選挙区制法案は、細川総理と河野総裁の密室談合により強行されました。憲政史上例を見ない暴挙であり、心からの憤りを覚えます。
 合意の内容は、民意をゆがめる悪法の一層の大改悪にまかなりません。小選挙区制のねらいは国民に痛みを伴う強権政治を行うことは明白であり、憲法と議会制民主主義を踏みにじったもので、私は厳しく抗議を表明し、質問に入ります。
 細川連立政権が誕生じ七カ月が過ぎました。このわずかな期間に細川政権は、三度にわたる国会決議を踏みにじり農民に衝撃を与えた米の自由化、民意を切り捨て憲法と民主主義に反する小選挙区制の導入、国民生活を破壊する大幅増税計画など、国民に痛みと犠牲を押しつける政策を国民の意見に耳も傾けず推し進めてきました。
 その上さらに、年金支給開始を六十歳から六十五歳とする改悪、病院給食を保険から外し患者の負担をふやす、郵便、電話、大学授業料などメジロ押しの公共料金の値上げ、私学助成の大幅削減など、国民に痛みを伴う政治を次々と推し進めようとしています。
 総理は、みずからの政権を自民党の在庫一掃内閣と宣言し、新生党の小沢一郎氏も、歴代自民党政権が何代かかってもできなかったことを先頭に立ってやったと自賛するほどです。
 総理、あなたの言う生活者重視の政治とは言葉だけの偽りで、あなたの目指す強力な政治とは国民に痛みと犠牲を強いるものではありませんか。はっきりとお答えください。
 このような細川総理の政治姿勢を最も端的に示したのが、三日未明に突然発表した国民福祉税の名による大増税構想です。総理は、小選挙区制法案が成立した日、消費税率の引き上げは念頭にない、こう明言したのに、四日後の二月三日未明、国民の寝込みを襲うようにいきなり税率七%の国民福祉税を打ち出し、国民の激しい批判を浴びました。
 総理は、記者会見では国民におわびすると言いながら、国民福祉税の考え方の基本は変わっていないと明言したことは重大です。そうであれば、実質的な消費税大増税構想は撤回していないことになると考えられますが、撤回するのか、それともあくまでやろうというのか、この際、国民に対してはっきりと答弁してください。
 次に、減税を先行させるというけれども、政府・与党間で協議機関を設け新税創設を含めて協議し、年内に関係法案を成立させるとしています。とれについて総理は、私の提案を踏まえて議論していただくことで抜本的な税制改革の道筋ができたと述べています。これは減税先行とはいうものの、必ずそれ以上の大増税が国民に押しつけられるということは明白ではありませんか。これに対して国民が大きな怒りと不安を持っているのは当然です。与党協議機関は増税に道筋をつける協議を行うためのものなのですか、はっきりとおお答えください。
 しかも、今回の政府の提案は一年限りの臨時措置の減税ですから、さらに減税を続けてはしければ国民に増税を受け入れよと迫ることになると言わなければなりません。政府はなぜ恒常的な減税措置として実施しないのか、明確な答弁を求めます。
 政府は、国民に大増税を押しつけるために、一方では減税するという甘い言葉で国民を欺き、他方では高齢化社会を迎える対策として増税は必至だと高齢化社会論を使っておどしをかけています。しかし、この政府の言い分がいずれも道理がないことは明白です。
 第一に、増税なしの減税を行うため財源を確保することは十分可能です。この国民本位の新しい方向に踏み出すための財源は、ゼネコン中心の公共事業の腐敗と浪費の構造にメスを入れ、三割水増し発注の是正、その大部分を銀行や大企業が所有している国債の利払いの借りかえでの金利の引き下げ、AWACS導入、思いやり予算なと思い切った軍事費の削減、また大企業優遇の不公平税制の是正、国際的に見ても異常に短い減価償却の耐用年数の二割延長など大胆にメスを入れるなら、大増税も赤字国債の発行をしなくても十兆円の財源が確保できるのです。
 総理、あなたにはこうした浪費の一掃、大企業優遇の不公平税制の是正について正面から検討しているのですか、また検討する決意はあるのですか、お聞かせください。
 第二に、高齢化社会の点で言えば、今後の社会では確かにお年寄りもふえますが、働く人もふえていきます。六十五歳以上の高齢者も働けば、女性の社会進出も目覚ましいものがあります。総人口の中の労働人口を見るならば、働き手一人が支える人口は、政府の予測でも、現在も将来も二人強で変わりません。高齢化社会のために国民福祉税が必要だ、消費税アップだというのは増税の口実であり、まやかしです。このように政府の主張には全く道理がないことは明らかではありませんか。
 以上の点について明確な答弁を求めます。
 次に、深刻な不況対策についてです。
 戦後最大量長の不況の中、中小業者は、親の代からの仕事をついに廃業した、このままでは夜逃げしかないと悲痛な叫び声を上げ、労働者にはリストラの名による過酷な人減らし合理化など、社会全体がきしみ、痛めつけられています。その上、アメリカ政府の円高圧力による急激かつ異常な円高で一層深刻な事態に陥っています。政府はこれにどう対応するのかも含め、これまで政治改革を口実に適切な対策をなおざりにしてきた責任を総理はどう認識していますか。
 自民党政権下を含め、これまで合計四回、実に三十兆円もの国民の血税を注いだ景気対策は、従来型の大企業優先策に執着し、何らの効果も上げることができませんでした。三次補正でも、七兆円の公共事業、バブル崩壊による金融機関の救済など、従来型の延長にすぎず、今こそ国民の立場に立った真の景気対策への転換が必要です。
 以下、具体的に伺います。
 第一に、国民全体の購買力を引き上げる対策です。GNPの六割を占める家計消費を引き上げ、国民の懐を温かくすることです。
 所得減税は政府が直接実行できる最も確実な消費拡大策です。ところが、今回の減税案は納税額の二割を一律カットするため、平均年収五百六十九万円で六万二千円とわずか一%の割合に対し、三千万円の人では百九十一万円と六%も減税され、高額所得者ほど手取りが大きい金持ち減税となっています。しかも、一年限りの措置であり、来年以降も減税してほしいのなら年内に増税法案を通せということにもつながるものです。こうした増税に道を開く減税では消費拡大にも景気対策にもならないことははっきりしています。六兆円規模の減税をやるというのなら、課税最低限の大幅引き上げなどにより増税なしの庶民が潤う減税を行うべきです。そうしてこそ不況対策としても本当に役に立つのです。総理の決意を伺います。
 第二に、大企業の横暴を民主的に規制し、労働者と下請中小企業を守る対策です。
 大企業は、バブル時代の大もうけを内部留保などでため込む一方、リストラの名による労働者や下請業者を切り捨て、国内生産を減らしています。他方、海外での生産を大幅にふやし、逆輸入でカラーテレビ、冷蔵庫は初めて輸入が輸出を上回り、二〇〇〇年までに製造業で六十八万人から百二十六万人の雇用が奪われるという深刻な予想さえ出されています。にもかかわらず、本補正では開銀融資の拡充などリストラ支援を促進していることは重大です。大企業の海外投資や国内の大規模な事業縮小は、国内の雇用や地域経済に重大な影響を及ぼす場合は計画の中止、変更を勧告できる措置を講ずるべきです。明確にお答えください。
 第三に、我が国事業所の九九%、全従業員の七九%を占める中小企業の仕事の確保、経営の安定なしに不況打開はありません。
 自民党政権から交代した細川政権に期待したけれども、予算編成は越年するし、まともな不況対策が打たれない、細川総理は我々に死ねと言うのか。ちりめんの里、京都丹後地方だけで二十数人の中小業者が自殺するという痛ましい事態さえ起きています。この中小業者の血を吐くような言葉を、総理、あなたはどう受けとめますか。
 本補正で一兆三千億円の中小融資対策としていますが、リストラをする優良企業しか融資は受けられず、一番苦しんでいる圧倒的中小零細業者は借りたくても借りられないのが実態です。大企業による減産率を超える発注の大幅カットや単価の切り下げなど、下請対策関係法を厳正に運用して大企業の下請いじめをやめさせるべきです。答弁を求めます。
 中小企業に対する官公需発注の五〇%への引き上げ、銀行の貸し渋りに対する指導強化と政府系金融機関の公定歩合並みの低金利、別枠貸し付けでの二兆円規模の緊急融資制度を創設すべきです。明確な答弁を求めます。
 最後に、日米首脳会談について質問します。
 総理は、今回日米交渉で合意に至らなかったが、日米安保を基軸とするグローバルパートナーシップの関係はいささかも変わりないと述べました。これは、我が国が政治、経済にとどまらず、軍事的にも地球的規模でのアメリカの世界戦略に積極的に協力することを表明したものです。こうした状況のもとでの日米包括経済協議も、日本の経済、産業の成り立ちゃ国民の判断を無視し、無理やり米国製品の購入を押しつけるもので、直ちに打ち切るべきですが、いかがですか。
 また、北朝鮮の核開発での国連の制裁問題も、我が党は、唯一の被爆国としての立場から、現在の情勢のもとで核兵器保有国が拡大することはもちろん、核兵器保有国の核の独占は絶対容認できません。広島市長も平和宣言で、核不拡散を無期限の条項にしようとする核保有国に強い危惧の念を表明しているではありませんか。
 とりわけ、今でも一万発以上の核兵器を保有し、その独占的保有体制強化を図っているアメリカや核持ち込みの黙認をする日本がこれらのことを不問にし、アメリカなどの北朝鮮への制裁に協力することなどは全く道理がありません。こうした対米追随の外交姿勢をやめ、日本の平和と主権を守ることを貫いて、真に対等の日米関係を打ち立てるべきです。
 総理の答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣細川護煕君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(細川護熙君) 初めに、生活者重視の政治と強力な政治との関連についてのお尋ねでございましたが、米を含むウルグアイ・ラウンドの合意、政治改革における並立制の導入、あるいはまた高齢化社会に対応するための税制改革の実現などの必要性につきましては、それぞれの機会に御説明を申し上げているところで、いずれも国民の福利の向上のためのものであるということでございます。
 福祉税の今後の取り扱いいかんということでございますが、与党代表者会議での協議の結果、税制改革につきましては与党内に協議機関を設置して、年内の国会において関係の法律を成立させるものとするという合意が成立をしておりますが、協議に当たりましては草案に示された私の意のあるところも踏まえて御論議をいただけるものと考えております。
 政府としては、この与党合意に沿って引き続き検討が進められ、年内に税制改革が実現されるように努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
 与党協議機関は増税に道筋をつけるための協議を行うためのものではないかというお尋ねでございますが、与党合意に基づく協議機関におきましては、福祉社会のビジョン、高齢化社会の国民負担や税制のあり方、減税とその財源について協議をしていただくことになっており、その際、経済情勢、財政事情などを勘案しつつ、行政改革や不公平税制の是正、あるいはバランスのとれた税制改革、消費課税の欠陥是正なども協議をされるものということになっております。
 政府としても、そうした与党合意に沿って年内に税制改革というものが実現されるように努力をしてまいりたいと思っております。
 今回の減税のやり方はなぜ恒久的な措置にしなかったのかということでございますが、恒久的な所得税、個人住民税の負担軽減を含む税制改革につきましては、今後引き続き政府・与党におきまして協議を進めまして、年内にその実現を図るという方針でございます。そうした方針のもとで、当面の経済の低迷を打開するために緊急避難的な措置として大規模な所得税、個人住民税の減税を一年間の措置として行うことにいたしております。
 歳出の合理化、不公平税制の点についてのお尋ねでございますが、政府はこれまでも極力既存の制度、施策の見直しなどによりまして歳出の削減努力を積み重ねて財政の効率化に努めてきたところでございますが、今後とも行財政改革を一層強力に推進していかなければならないと思っております。
 また、税負担の公平確保の問題につきましては、租税特別措置の整理合理化など従来から努力をしておりますが、今後とも税制のあり方の問題として絶えず吟味をすべきことであると考えております。こうした努力は、申すまでもなく減税するしないにかかわらず続けられるべきものでございますし、減税財源の確保を念頭に置いてやるものではないと思っておりますが、いずれにしても、今後とも絶えずしっかりと努力をしていかなければなるまいと考えているところでございます。
 高齢化社会到来論による消費税率のアップについてのお尋ねでございますが、高齢化社会を支える費用負担のあり方を考えますと、現行の税体系のままではその負担がますます勤労世代に偏ってしまうことになりますし、勤労意欲が阻害をされ、経済社会の活力や安定性を弱めてしまうことになりかねない危惧をいたしております。
 来るべき高齢化社会を活力あるものとするためには、世代を通じた税負担の平準化を図り、社会の構成員が広く負担を分かち合うことが必要であることから、繰り返し申し上げておりますように、バランスのとれた税体系を考えていくということが必要であるというふうに思っております。昨年十一月の税制調査会の答申におきましても、このような基本的な考え方が示されているところでございます。
 高齢化社会を支える税制改革につきましては、先ほども申し上げましたように、先日与党の合意が成立をしたところで、政府としてはこの与党の合意に沿って引き続き検討を進め、年内に税制改革が実現されるように努力をしてまいりたいと思っております。
 景気対策をなおざりにしてきたのではないかというお話がございましたが、政府としては景気低迷に可能な限り対処してきたところでございまして、特に今般、大規模な所得減税を盛り込んだ十五兆円を上回る総合経済対策を策定いたしましたほか、六年度予算につきましても第三次補正予算とあわせまして景気に配慮するように努めているところでございます。
 アメリカ政府の圧力によって急激な円高になっているが、どう対応するのかということでございましたが、為替相場は経済のファンダメンタルズを反映すべきものであって、過度の変動は望ましくないというのが昨年四月のG7以来通貨当局共通の考え方になっているところでございまして、今後とも為替相場の動向に注視をしながら適宜適切に対処をしてまいりたいと思っております。
 減税は恒常的な減税にすべきではないかというお尋ねもございましたが、政府・与党におきましては恒久的な所得税、住民税の負担軽減を含む税制改革につきまして、再々申し上げますように今後引き続き協議を進めて、年内にその実現を図る方針でございます。
 こうした方針のもとで当面の経済の低迷を打開するために、このたび所得税制のあるべき姿を念頭に置いた税率あるいは人的控除といった制度改正による減税ということではなくて、納税者の現実の税負担に応じた、あるいはまた納税者にとってわかりやすい、実務的に簡便な税制あるいはまた減税、また景気刺激の即効性ということにも配慮をした減税というようなことで大規模な定率減税を実施いたしたところでございます。
 それから、大企業の海外投資や国内の大規模な事業縮小は、雇用や地域経済に影響を及ぼす場合は中止や変更を勧告できる措置を講ずるべきだと思うがどうかと、こういう趣旨のことでございましたが、企業はそれぞれに新たな環境に適応すべく努力をしているわけでございまして、政府としては、そのような企業の努力が新しい産業分野や雇用を生み出していくなど積極的な展開につながることを当然期待しているわけでございまして、そういった趣旨から、雇用の確保や下請関連企業の事業に特段の配慮を行っている企業による新しい分野の展開のための努力を支援していくためにリストラ関連融資制度などの施策を用意しているところでございます。
 中小企業対策についてのお尋ねでございましたが、政府としては昨年四月、それから九月の経済対策におきまして二兆九千億円を上回る規模の中小企業対策を盛り込んでその実施に努めているところでございます。
 去る八日の総合経済対策におきましても、構造的な経営環境の変化への対応の支援、経営安定対策などを内容とする一兆三千億円を超える中小企業対策を盛り込んだところでございます。これらの措置が積極的に活用されて、中小企業をめぐる景況が一日も早く回復することを期待いたしている次第でございます。
 それから、下請対策関係法を厳正に運用して大企業の下請いじめをやめさせるべきではないかということでございますが、政府としては、大企業による買いただきなど下請企業に対する不当なしわ寄せが行われないように従来から下請代金支払遅延等防止法の厳正な運用を図るなど下請企業対策に努めているところでございまして、今後ともよく注意をしてまいりたいと思っております。
 それから、官公需発注比率の問題についてのお尋ねがございましたが、官公需における中小企業者の受注機会の確保につきましては、従来からいわゆる官公需確保法に基づいて毎年度、国等の契約の方針を閣議決定するように努力をしてきているところでございまして、今後とも努力をしてまいりたいと思っております。
 銀行の貸し渋りに対するお尋ねがございましたが、最近、金融機関の貸し出しの伸びが低い状態が継続しておりますのは、基本的には現在の景気情勢のもとで企業の資金需要が低迷していることなどによるものと考えております。
 また、金融機関におきましても、バブル期の反省から安易な融資姿勢を改めてその適正化に努めていることは事実でございましょうが、政府としては、今後の景気回復に向けまして金融機関の資金が経済の隅々に至るまで円滑に供給されることが重要であると認識をいたしております。
 今回の対策におきましても、中小企業を含む企業の資金需要に適切に対応できるように、民間金融機関に対しまして融資態勢を一層強化するように要請をしているところでございます。
 また、政府関係金融機関の貸出金利につきましては、中小企業者の資金繰りを一層緩和するために昨年来の数次にわたる経済対策におきまして低利の融資制度である運転資金支援特別貸付制度の創設などの措置を講じているところで、こうした施策が中小企業者の資金繰りの緩和に役立つことを期待いたしております。
 別枠貸し付けでの二兆円規模の中小企業緊急融資制度を創設すべきではないかということでございますが、政府としては幾たびかの経済対策に基づいて三兆円近い規模の中小企業金融対策を実施いたしまして、加えて去る二月八日の総合経済対策におきまして、中小企業者に対する低利融資制度の拡充を初めとして、先ほども申し上げましたが、中小企業金融機関などに対する相当規模の貸付枠の増加などの思い切った措置を決定いたしたところでございまして、こうした措置が中小企業に対して相当な効果を持ってくるだろうというふうに確信をいたしております。
 それから、日米協議は直ちに打ち切るべきではないかというお尋ねでございますが、包括経済協議は日米双方の努力によって両国の対外不均衡の中期的な改善を図り安定的な日米経済関係を築きますとともに、グローバルな問題に共同で取り組んでいくという非常に重要な意味を持っているわけでありまして、包括協議の今後につきましては、双方の合意によって冷却期間を置くことにしておりますが、米側の出方もよく見た上で何らかの形で打開をする糸口を見つけたいと考えております。
 対等の日米関係構築を目指すべきだと考えるがというお尋ねでございますが、冷戦後の国際社会の平和と繁栄のためには、両国の円滑な協力関係が不可欠なことは申すまでもございません。我が国としては、従来からそのような建設的な日米関係というものを発展させていくために主体的に取り組んできているところでございまして、対米追随という御指摘は当たらないものと思っております。
 また、北朝鮮の核兵器開発問題は、我が国の安全保障上の重大な懸念であるだけでなく、核不拡散体制や国際社会の安全保障にかかわる重要な問題であると思っております。そうした観点から、我が国としてはこの問題解決のために関係国と緊密に連携をしながら自主的に対処をしてきたところでございます。(拍手)
#37
○議長(原文兵衛君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト