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1994/03/08 第129回国会 参議院 参議院会議録情報 第129回国会 本会議 第7号
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1994/03/08 第129回国会 参議院

参議院会議録情報 第129回国会 本会議 第7号

#1
第129回国会 本会議 第7号
平成六年三月八日(火曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第六号
  平成六年三月八日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(原文兵衛君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演税に関する件(第二日)
 去る四日の国務大臣の演説に対し、これより質疑を許します。山本富雄君。
   〔山本富雄君登壇、拍手〕
#4
○山本富雄君 私は、自由民主党を代表いたしまして、さきの政府演説に対し、当面の緊急課題につきまして細川総理に若干の質問を行います。
 本題に入ります前に、今起こっている大変な問題、お米がない、お米が買えないという事態について指摘をしておきたいと思います。
 総理、ここ数日のテレビ、新聞は、奥さん方がお米を買いに行っても米がない、米が買えないと連日報道されております。一方、政府・与党首脳会議では、米の絶対量はある、もっとしっかりPRしようとか、農林水産省幹部は消費者が買いだめをし過ぎるなどと言ったと、これまた報道されております。
 何を言っているのか。これは批評や理屈の段階ではないのであります。明らかに一億二千万人国民の主食、米がない、買えない、食糧パニック以外の何物でもないじゃありませんか。それこそ為政者最大の責任であり、失政これに過ぎるものはありません。
 総理、きょうも日本列島北から南、四十七都道府県のあちこちで、春は名のみの寒空の中、奥さん方、消費者が米を求めて行列をしている姿を想像してごらんなさい。お互いじっとしてはいられないでしょう。どうか総理、あなたが陣頭指揮で、つかさつかさ要所要所に直接働きかけ、一刻も早くこのような状態をなくしていただくよう切望しておきたいと思います。
 去る二日夜半、総理官邸からのテレビ中継を全国民はかたずをのんだり、またかと思ったり、熱い目や冷めた目で、しかし細川さんが例によって何を言うかを皆見詰めておりました。私もいろいろな思いを持ちつつ拝見をした一人でありますが、まず驚いたことは、会場にあらわれたのは総理一人、女房役の武村さんも鳩山さんも姿をあらわさず、お供の席には役人副長官の石原さんが一人ぽつんと座っている光景でありました。国民だれしもがこれは不自然だなと思ったのではないでしょうか。
 武村さんがいないことを記者に問われたあなたの答えは、本人がいづらいだろうから今夜は欠席を命じたとのことです。これにも唖然としました。俗な言い方で恐縮ですが、せっかく夫婦仲直りをして一家立て直しと国事に立ち向かう、その再スタートの夜のことであります。
 その後、あなたのいろんな発表と発言がありましたが、こういうやりとりもありました。記者、結局改造はできなかったんですね。総理、いや、改造は総理の専権事項で、結局やらなかったんだと。
 細川さん、私は、かねがね政治家は信なくんば立たず、特に一国の総理は決してうそを国民についてはいけないと事あるごとにあなたに言い続けたつもりです。武村さんとあなたは昨今急速にことごとく意見を異にし、不仲になっていったことを国民はみんな知っています。また、本家筋のどなたとどなたかが早く別れろ別れろと。家の中での皆さんは、こんな大事な時期に別れるどころか我慢をし力を合わせることこそ大事と武村コールが起こり、それでも頑固なあなたは最後まで、別れる、やめさせるつもりだった。それも周知のことであります。しかし、夜半に至って力尽き、やれなかった。すなわち、結果はやらなかった。これが本当でしょう。
 いつもあなたの言動は人を驚かせる。いわゆる思いつきであり、突然であり、中途半端であり、無責任であります。それを、何とないムードとパフォーマンスでごまかしてきたと言う人が最近国の内外に大変ふえています。一国の総理がこれでは困ります。
 さきに、首相の特別補佐を辞任した田中秀征新党さきがけ代表代行は、細川首相が歴代首相と違うことは、自分を最近の首相と比較するのでなく、近衛文麿首相と比較していると発言しています。私も、まさに細川首相の母方の祖父に当たる近衛公の生い立ち、思考、言動、振る舞い、政治的対応等が全く細川首相のそれにことごとく類似しており、血統、環境のなせるものと改めて思い知らされました。
 ここに、昭和十一年に粛軍演説で軍部を批判し、さらに十五年に反軍演説で議員を除名された故斎藤隆夫代議士の記された「近衛文麿公を論ず」よりその関係部分を要約引用し、御紹介を申し上げたいと思います。
 一 是まで国事に関しなんらの苦労も嘗めずして国家の政権を握った。世人は之を歓迎した。公は我が国における最高の名門出身、然るに年齢は五十歳、革新気分が横溢して居るやうに見えた。
 二 内閣存続中一年有半の間に屡々閣僚を更迭、凡そ我が国歴代の内閣において近衛内閣ほど自由勝手に閣僚を更迭したる内閣はない。碁石の如く置き代へるに至りては、総理大臣として又国務大臣として自己の不明、奏上に対する責任はどうなるものであるか。
 三 全国民が近衛公に対して最も失望したことは、公に政治上の実力が欠けていたことである。馬鹿を見たのは国民である。近衛内閣で最も承服できないことは、支那事変の勃発と拡大、得体の知れない大政翼賛会の設立てあった。皇室に次ぐべき門閥に生れ、世の中の苦労を嘗めた経験を有せない貴公子が自己の能力を顧みず、一部の野心家等に取巻かれて国政の大任に当たり、国を誤り害毒を胎す。其の罪は極めて大なるものがある。
云々、以上であります。
 議員各位はこの言をいかが受けとめられましょうか。時代や背景の違いはありましても、そのことごとくが余りにも酷似しているこの歴史の事実に慄然たる思いを持ったのは私だけでしょうか。
 大変失礼ですが、こうした論評について総理はいかなる感想をお持ちでしょうか、率直にお伺いをいたします。
 次に、政界再編の問題であります。
 かねてより仲たがいでありました小沢新生党代表幹事と武村氏との確執が国民福祉税構想、内閣改造をめぐって一挙に表面化し、今細川内閣を支える連立与党は、新生党・公明党のグループと社会党・民社党・新党さきがけのグループとに分極化の方向にあるようであります。これは、社会党側は小沢氏の言う二大政党制ではなく、穏健な多党制は多様な国民の意見を反映する政治システムであることを唱えていますほか、「小さくともキラリと光る国」の主張と「普通の国」を掲げることによる日本の国際貢献のあり方等にかかわる国家観の違いのあることによるものと思われます。
 しかし、政治改革法案が成立した今、やがて来るであろう総選挙において、およそ政治理念の相異なるグループが単に非自民だけのスローガンで、政策抜きの数合わせだけでいいのでしょうか。政党の本旨はあくまでもその理念と政策にあります。政策論争を通じた政界再編であるべきと考えますが、総理は政局の展望をどう見ておられるか、所見を承りたいのであります。
 さきに、参議院においては日本新党、民主改革連合、参議院新生党などが新緑風会を結成いたしました。なぜ今、新緑風会なのか。真意のほどは存じませんが、数の力で院の役員をとればよいとか、まして総理が陰でこれを操り、衆議院に先行して他の会派をも吸収し、大会派をつくって来年の参議院選挙に備えるなどと世評言われること自体、大問題ではありませんか。院の各会派間の問題まで行政府の長が一々しゃしゃり出るなどは全く言語道断、総理の真意をしかと承りたいのであります。
 最近の米国中央情報局、CIAのスパイ事件、イスラエル占領地ヘブロンでの大虐殺事件、セルビア人武装勢力の戦闘機撃墜事件、そして今月一日には北朝鮮における国際原子力機関、IAEAの核査察の再開などを見るまでもなく、冷戦終結から既に三年を経過いたしましたが、局地的にはいまだ紛争が鳴りやまず、核兵器は拡散し、国際情勢の流動化はむしろ増大しており、PKO等国連の役割は以前にも増して求められております。また、世界は依然として経済摩擦、南北問題、環境、エイズ、麻薬、難民などの問題が深刻化しております。
 このような状況のもとで、日本だけよければよいといった一国平和主義や一国繁栄主義に陥ることなく、世界の期待と要請にこたえ、相互依存の国際社会においてその持てる経済力、技術力を活用して世界に貢献すべきであります。
 まず、我が国の担うべき役割と外交の基本方針を総理より伺っておきたいと存じます。
 二月中旬の包括経済協議の物別れにより、その後日米間にはぎすぎすした空気が随所に漂っております。本来、通商は民間の市場原理に基づき行われるべきものでありまして、米国の固執する数値目標の設定は管理貿易となるだけにこれを我が国が拒絶したことは当然としても、しかし言いたいことを言い合ったままで物別れになり、それが大人の成熟した関係のあかしと自賛しているだけでは、しょせん外交は成り立つはずもないのであります。文字どおり、日米関係は我が国外交の基軸であり、そのパートナーシップが世界の平和と繁栄を構築するかぎであります。それだけに相手の要求が無理だからとして拒絶し、壊れて済むものではないのであります。
 これまで我が党内閣が日本と米国の緊密な同盟関係を築き、政治・安全保障、経済関係、文化交流など幅広い分野で長年にわたり友好親善外交に努力してきただけに、今回の物別れはまことにもって遺憾であります。
 そうしたこれまでの粒々と積み上げた外交努力をも顧みず、総理が、過去日米間ではその場を糊塗するような玉虫色の決着を図ってきたなどと発言するに至っては、先人に対し無礼きわまる言辞であり、まさに責任を転嫁するもので容認するわけにはまいりません。むしろ、細川総理自身が対米交渉を官僚任せにし、政治のリーダーシップを怠った責任こそがこの際問われるべきものであります。
 総理、あなたが記された雑誌文芸春秋、「「自由社会連合」結党宣言」によると、「官僚主導の政治を排する。立法府主導体制による政治の刷新とリーダーシップの確立を図る。」と言っています。失礼ですが、あなたは官僚を使える総理なのか、それとも官僚に仕える総理なのか。官僚を使っていく総理なのか 官僚にお仕えする総理なのか、どちらですか。この際、よくよく伺っておきたいのであります。
 そこで総理、あなたは交渉決裂をどう反省され、今後の包括経済協議の打開に向け日本として対処していくおつもりか。あなたは既に、規制緩和の推進、輸入投資促進策の推進、競争政策の積極的展開、政府調達の改善の四項目について具体策の策定を急ぐよう指示していますが、その後の具体的取りまとめの進捗状況はいかがになっておりますか、説明を願いたいのであります。
 ともあれ、昨年千三百億ドルにも膨れ上がった経常黒字を現実に減らす数値目標を具体的に示すことが貿易の不均衡是正を促すことになるのではないかと思います。
 このことに関し、去る二月二十五日の関係閣僚懇談会で、総理は、一九九四年度の国内総生産、GDPに対する経常黒字比率を経済見通しで示した二・八%に抑制することを達成すべき目標として自主的に表明すべきであると発言をされました。しかし一方、外務省サイドは、時を同じうして、達成されなかったとき日米関係はより悪化するとして懸念視する発言等がございましたが、政府としてどう調整されるのかお伺いをしたいと思います。
 今回の物別れを受けて、米国からは早くも円高容認、制裁措置などの報復的な動きが出始めました。円について見れば、二月十日の百八円から二月十五日には一時百一円九十銭まで急騰しました。日銀等による介入でその後一応おさまってはおりますが、米高官の口先介入などによりいつまた揺さぶられるかわからない状況ではありませんか。円高傾向が進めば不況にあえぐ日本経済に及ぼす影響ははかり知れず、深刻であります。さきの十五兆円の総合経済対策等はあっという間に吹き飛んでしまいます。
 さて、去る四日未明、クリントン大統領は包括通商法スーパー三〇一条に署名しました。いよいよ市場開放圧力は具体化してまいったのであります。我が国としても、日米関係は世界の経済秩序を支える根幹として、大局的見地から交渉期間内の妥結を目指してこれに積極的に対応すべきと存じます。政府として、こうした円高問題や制裁措置の報復的な動きについてどう受けとめ対策を講ずるのか、その対策を承りたいのであります。
 いずれにせよ、日米関係の先行きは不透明であり、決して明るいものではありません。あす九日、クリストファー米国務長官が来日し、協議が行われると聞いておりますが、このままの状況が長引けば国民経済や国民生活に及ぼす影響はさらに大きいものとなります。決裂、物別れのままでなく、揺るぎない日米関係の再構築に向かって、総理、アメリカの納得のいく自主的な市場開放策を速やかに政治決断により決定し、日米関係の円満修復を図るべきであります。
 対ロシアとの関係については、さきの総選挙後、エリツィン大統領は孤立、ロシア大国主義の復活の懸念が高まっている中で、国内情勢も混沌としております。我が国としては、領土問題を解決して平和条約を締結すること、ロシアの改革を支持し、国際協調のもと応分の支援を行うこととしておりますが、ロシア状況の変化の中で今後の方針を伺っておきたいのであります。
 さらに、ロシアは昨年十月、日本海で九百トンの液体放射性廃棄物の投棄を行い、二度目は関係国の強い抗議により中止いたしましたが、近く核投棄再開の懸念はないのか。事が生じてからでは遅過ぎます。事前に強く中止を要請すべきと思います。
 中国との関係は、昨日、日中平和友好条約締結十五周年を迎え、総じて良好であります。今後、中国の進める改革・開放政策への支援が重要であると考えていますが、対中国政策にどう臨む決意であるかお伺いをいたします。
 韓国関係につきましては、昨年二月発足しました金泳三政権は対日関係の発展を重視しております。今後とも個別案件の解決を図りつつ、日韓関係の強化を図っていく必要があります。総理も昨年十一月訪韓され、首脳外交を展開されましたが、対韓政策をどう進められるのか。
 特に、朝鮮民主主義人民共和国の核兵器疑惑については、唯一の被爆国として核兵器の拡散に強い懸念を持つものであります。政府として米国、韓国、中国及び国連と連携し、北朝鮮の核兵器開発阻止に一層の努力を求めるものであります。幸い米国と北朝鮮との合意で、北朝鮮が今月一日、国際原子力機関IAEAの査察を七つの施設に限って受け入れましたことは核問題解決の第一歩として評価いたしますが、いまだ多くの不透明な問題を残していると思います。政府としてこの実態をどう把握しているのか、また我が国としての対処の方針を総理にお伺いしたいのであります。
 資源のない我が国が経済大国として存立てきるのは相互依存の自由貿易体制によるおかげであります。そのためにも、持てる経済力、技術力を開発途上国の国づくり、人づくりに貢献すべきは当然のことであります。そしてその際、現地の情報、ニーズを的確に入手して、環境への配慮を初めとして徹底的な事前調査を行い、国民の血税によるその援助が現地の人々に役立ち、効果が上がるよう十分に配慮すべきであります。それとともに、それが自後どのように評価されているか、フォローアップが肝要と思います。援助の実施体制や評価状況に政府としてどう取り組んでおられるかお伺いをいたします。
 今や我が国のODAの予算規模は約二兆円、世界一の規模であります。一昨年、政府開発援助大綱を定め、ODAの基本理念が明らかにされましたが、今後とも我が国は平和国家としてこの制度を拡充していくためにも、この際、例えばODA基本法という形で法制化を図る必要があるのではないかと考えます。総理のお考えをお尋ねいたします。
 総理、政治改革にばかりかまけて、今日本経済はどうなっているのでありましょうか。
 この三年、経済活動は大きく後退、かつて経験したことのない不況のどん底にあります。バブル経済の崩壊による影響で巨額の資産デフレが金融、消費面を圧迫して景気が落ち込んでいるときに、昨年来の急激な円高に加えて、冷夏、凶作が追い打ちをかけ、今日本経済は戦後最長かつ最大規模の深刻なデフレ不況の様相を呈しております。企業は倒産、勤労者は首切りにおびえ、あすどうなるかという不安が全国に充満をしております。
 政府としても総合経済対策などを講じておりますが、総理はどうも役人や中央財界の声だけに耳を傾け、地方や中小企業などの悲痛な叫びを御存じないのではないかと思わざるを得ません。
 これほど経済の落ち込みが著しいにもかかわらず、政府は本年度の経済成長率を〇・二%と見通しているのでありますが、一方民間の調査機関ではいずれもマイナス〇・五%程度と、第一次石油危機不況時すら下回る戦後最悪の落ち込みを見込んでいますが、政府の景気の現状認識は大変甘いのではありませんか。
 今回の不況克服に対処するため、我が党は昨年十月に河野総裁を本部長とする不況・冷害対策本部を設置、三たびにわたる大規模な緊急不況対策を決定し、この実施を政府に要請するとともに、新年度予算の年内編成等を強く要望してきました。政府はこれをことごとく無視、第百二十八回国会において四十五日間の大幅越年延長を強行、新年度予算の編成が二月中旬にずれ込んだことは御案内のとおりであります。
 そして、ようやく去る四日、新年度予算が国会へ提出されました。政府は第三次補正予算と本予算をあわせて十五カ月予算で対応などと言っていますが、こうした細切れ予算では第三次補正予算に盛り込まれた公共事業の執行にかなりの困難を伴うほか、新年度に入っても政策的経費が盛り込まれない長期の暫定予算を余儀なくされるだけに、景気対策の効果を一段と弱めるおそれがあるのではありませんか。まさに経済無策のツケがこうしたところにあらわれてくるのであります。
 後手に回り、遅きに失した新年度予算について、総理はどう責任をお感じになっておられるか、御所見を承りたいのであります。
 新年度の景気見通しにつきましては、来年度も民間設備投資の回復がはかばかしくなく、民間調査機関は所得税減税などを前提としても大半が弱気で、平均〇・六%の低成長と見ています。もともと経済成長見通しは税収に直ちに響くほか、国民の経営マインドにも影響しますので、不況期はどうしても高目に見がちであります。今回も、結果的には国内総生産で二・四%に決定されましたが、過大であるとの論調が高まっています。この成長率を打ち出した根拠をこの際お示し願いたいのであります。
 政府は、二月八日の総合経済対策において、現在の景気の低迷を打開するため、平成六年度限りの措置として五兆四千八百億円の所得税、住民税の特別減税を実施する、また公共投資等の拡大七兆二千億円を決定しています。果たして、こうした一年間だけのぼらまき所得減税や土地関係費のウエートが大きくいわゆる真水部分の少ない公共投資等を中心とした対策で、成長率をどの程度押し上げることができるのか。減税の後には大幅増税の心配があり、またローンの負担にあえぎ、雇用不安が拡大する中、消費者心理から見て過大な期待はできないのではないでしょうか。具体的に減税分の消費性向、成長率押し上げ効果を総理はどう見ておられますか。
 特に、私がこの際指摘をしておきたいのは、本年、公共料金や年金掛金のアップがメジロ押しであるということであります。厚生年金の保険料率が十月から二%引き上げられると、家計負担は年間一兆三千億円を超えると報ぜられております。これ以外に、既に値上げの行われた郵便料金を初め、国立大学入学金、首都高速道路料金、NTT料金、簡易保険料等の改定も予定されているだけに、国民の負担加重は一層大変になります。
 こうした公共料金の総値上げ的傾向は単に国レベルだけではなく、昨今の都道府県議会は知事サイドに立ってオール与党化の傾向が強いだけに、地方における公共料金の値上げにも歯どめがかからない状況にあります。
 政府として、このような国、地方を通ずる料金改定の総額と結果をどう見通しているのか。多分、膨大な額に上る国民負担増はせっかくの所得減税効果の相当分を減殺することは必至であり、史上最大の減税、レーガン減税を上回るなどと盛んに宣伝していますが、その内実は見せかけの減税ではありませんか。値上げラッシュは国民の懐を直撃します。これでは生活者優先、消費者重視の表看板が泣くというものであります。総理はこれにどうお答えになられますか。物価は経済政策の帰結であります。確たる御所見を承りたいのであります。
 規制緩和につきましては、政治改革に次ぐ経済改革の柱として推進されるそうでありますが、この中には当然に時代の進展や国民ニーズの変遷により存続する必要のないものもあり、また一方、国民生活の安全の上から、例えば環境、薬品、食品など健康等にかかわるものは当然残さねばならず、ただ一律に自由化すれぼよいというものではありません。役所の指導、規制には、それとの兼ね合いで保護と助成があり、それらと均衡のとれた形で経済の活性化、内需の拡大、輸入の促進を図っていくべきであります。
 規制緩和は、これまでも臨時行政改革推進審議会などが何回となく提言しながらも、目に見える成果を上げることができませんでした。その最大の理由は、権限の縮小を恐れる官僚と既得権益を守ろうとする業界の抵抗、反対でありました。規制緩和はいよいよ総理のかけ声により実行段階に入りますが、どうか絵にかいたもち、結果として腰砕けに終わらないよう毅然たる決意で臨まれることを強く希望しておきます。
 大天災、不況の真つただ中、農産物の総自由化により農業は大きな衝撃を受け、国を挙げて早急に農業、農村の再建に取り組む必要があります。この問題は同僚の竹山議員の質問に譲りたいと存じますが、農業合意に伴う批准や食管法等の改正はこれからであり、農政の信頼を回復できるかどうかが大きな問題であることを一言この際強く申し上げておきます。
 細川内閣は、内閣の看板に、責任ある変革と質実国家の形成を掲げ、これを六年度予算に反映させることを公約としてこられました。しかし、連立政権のもとで初めて編成された六年度予算の一体どこを見れば変革がわかるのでありましょうか。一例として、最も注目された公共事業費の配分比率を見ましても、その変更は前年度対比の構成比が五年度当初の〇・五%から六年度は一・六%になった程度で、これではだれが見ても生活者重視の変革の名に値しません。証拠をぜひお示しいただきたいのであります。
 また、防衛関係費を三十四年ぶりに一%以下に抑制したとして得々としておられますが、世界の動向を見れば当然の方向で、連立政権ゆえに可能になったものでないことは明らかであります。加えて、防衛関係費が抑制されたのは六年度支出予定の国庫債務負担行為が五十七億円も後年度に繰り延べられた結果ではありませんか。総理の明確な答弁を求めたいと思います。
 我が国の財政は、バブル経済の崩壊に伴い大幅な税収の減少に見舞われ急速に悪化しております。特に、五年度は累次の景気対策の策定で建設国債の増発が続き、さらに六年度も建設国債発行が史上最高の十兆五千億円余に上るほか、所得税減税の財源として三兆円を超える赤字国債の発行とあわせて総額十三兆六千四百三十億円の国債の発行が予定されております。その結果、公債依存度は五年度当初の二・二%から一八・七%へと昭和六十二年度の水準まで一気にはね上がり、六年度末の国債残高は二百一兆円になるのであります。またその一方では、歳出の後送り等の措置で二兆円近くも隠れ借金をふやしています。さらに、平成二年度から再開していた定率繰り入れを再び停止しており、細川連立政権になって以降、我が国財政は急激に悪化していることは紛れもない事実であります。
 政府は、六年度予算で減税見合い分を除く赤字国債の発行を回避できたと自画自賛しておりますが、それこそ小手先の小細工を弄したにすぎません。すなわち、建設国債を発行してNTT資金の償還資金を確保し国債整理基金に繰り戻す方式は赤字国債発行による定率繰り入れの修正版で、見せかけの赤字国債発行回避であります。連立政権のこのようなその場しのぎの財政運営の手法は、我が国の財政運営の基本を誤るものと断ぜざるを得ません。
 加えて、平成七年度に公債依存度を五%以下に抑制するという財政再建目標が今や完全に破綻したことはだれの目にも明らかであります。
 これらの問題点について、政府として今後財政の体質改善をどのようにして図り目標の達成に結びつけるのか、財政運営の基本方針とあわせてお示しをいただきたいと思います。
 細川内閣は、六年度予算で五兆四千八百億円の所得税・住民税減税の実施を決断されました。しかし、それが決定されるまでの手順と経緯はまさに拙劣かつ不透明、非民主的なものであったと言わざるを得ません。真夜中に突如として国民福祉税創設が発表されたかと思うと、たちまち白紙撤回されるという騒ぎはおよそ近代議会制民主主義のもとでは考えられない軽挙妄動で、連立政権による政策立案過程の不透明さと限界を露呈したものと言わざるを得ません。
 長引く不況対策として所得税減税の先行実施は今や国民的合意であるにもかかわらず、減税をだしに実質増税をのませようとしたかと思うと、突然一年限りの減税に値切ってみたり、かてて加えて、さきにも触れましたように、他方では景気刺激効果を大きく薄めるような年金保険料の大幅引き上げを行うなど政策の一貫性はみじんもなく、およそ政策の名に値するものとは申せません。
 また、今般のG7蔵相会議において、包括協議が決裂した米国等から一年限りの減税がやり玉に上げられて報復措置をちらつかされると、藤井蔵相は慌てて七年度以降も減税を行うことをほのめかすなど、その対応は支離滅裂で、あいた口がふさがらないのであります。
 所得税減税は国民が要求してもやらないが、米国から要求されれば唯々としてやるというものなのか。総理は、藤井蔵相にそのことを指示されたのかどうか。指示されていないとすれば、これはまさに内閣不統一ではありませんか。答弁を求めます。
 連立与党では、今年中に税制の抜本改革をまとめ、法案を成立させることで合意し、先月中旬には与党内に協議機関が設置されたと言われていますが、今後はどのような手順と方式で協議を進められますか、まずお示しいただきたいと思います。
 どうか国民に開かれた形で協議が行われ、将来のあるべき国民負担率や所得・消費・資産の間のバランスのある税体系の姿を政府は国民の目の前に示す責任があります。それと同時に、これから行おうとしている政治改革の理念と基本的方向を明確にしていただきたいのであります。
 去る一日衆議院で、また四日本院で、我が参議院が一月二十一日否決した政治改革四法案が総理・総裁会談の合意を受けて修正議決されました。
 事ここに至ったもろもろの原因は、我が自民党も大いに反省しなければなりませんが、主として、解散風をちらつかせ、両院協議会で事がうまく運ばなければ憲法第五十九条二項に戻り三分の二の再議決を求めるという連立与党指導部、いわゆるGHQの両面作戦によるものであります。戦後議会史にこれまで実例がなく、学説的にも意見が分かれている一方の説をとろうとするときは、少なくとも両院の正副議長、議運の委員会で円満な話し合い、合意に基づいて行うべきは当然であります。
 また、総・総会談という政略的なこそくな手段で何が何でもという強権的姿勢が結果として我が党などの反発を招き、必要以上の妥協を余儀なくされたのではありませんか。合意事項を取りまとめた一方の当事者として総理は今回の経緯をどう受けとめておられるのか、所見を求めるものであります。
 参議院が二院制のもと、良識の府として衆議院に対する抑制、均衡、補完の役割を果たし、独自性を発揮するには、衆議院と異なる選挙制度の仕組みにより議員を選出することが肝要であります。それとあわせて議会の運営についても、参議院らしい充実した審議を通じて民意を正しく反映することが求められていると思います。
 我が党が国民のこうした期待と関心にこたえて、参議院の真価を発揮するため党内に参議院改革研究会を設置し鋭意真剣に検討していることは、昨年一月私がこの壇上で申し上げたとおりであります。
 参議院の選挙制度の改革問題については、我が党はかねてより検討を続けてまいりましたが、昨年八月、改めて参議院選挙制度検討委員会を設置し、一、参議院選挙制度の仕組み、二、総定数、三、比例区選挙、四、選挙区選挙について改革案を取りまとめております。
 現実の政党政治を肯定しつつも、衆議院選挙制度との対比においてどうあるべきか、また、過ぐる大阪高等裁判所における選挙区定数の違憲判決等に照らし、その是正は急務と存じます。
 もとより、選挙制度の改革案は各党の土俵づくりであるだけに、各党の合意を踏まえたものであることが望ましいのでありますが、政府として、参議院選挙制度の改善についていかなるお考えをお持ちであるか、また、いつを目途に法案の提出をされるおつもりか、総理の御所見をしかとお伺いいたします。
 選挙制度の改革と並んで、否、それ以上に大事なことは、二院制の妙味が発揮されるよう参議院の組織や運営を改善することであります。
 私は、これまで参議院自民党の国会対策委員長として、また幹事長として議会運営に少なからずタッチしてまいりましたが、絶えず念頭にありましたことは、いかにして国民の目から見える開かれたガラス張りの運営を行うか、そしてまた、六年という長い任期に基づいて総合的、長期的、専門的な立場から重要国策について長期的なビジョンを示せないかということでありました。今こそ、多様化した国民のニーズを踏まえて新しい参議院へ脱皮するために、与野党が胸襟を開き、垣根を乗り越えて思い切った改革に取り組むべきと思います。
 また、ここで特に私が強調したいことは、立法府の使命に照らし、議員立法の積極的推進を図るということが急務であると考えます。幸いこの一年間において、小さな芽ではありますが、我が党の発議による議員立法が四件の成立を見ましたことは、関係委員会並びに同僚議員各位の御協力のたまものであり、深甚なる敬意を表したいと存じます。もとより、議員立法は一党一派の提案やメンツにこだわることなく、広く本院を構成する与野党が協調し、その合意に基づいて積極的な推進を図ることが本院の使命の達成に通ずるものと信じます。
 参議院議員たる我々は絶えず国民の厳粛な負託に心し、あるべき参議院を求めて改革の灯を常に掲げるべきであります。衆議院のカーボンコピーと言われる中で、いかにしてその独自性、自主性を発揮していくか、さまざまな角度から原点に立ち返って与野党が真剣に議論し合い、国民のために新しい参議院の構築を目指すのはまさに今であります。
 以上で質問を終わりますが、最後に一言申し上げます。
 総理、総理大臣は議院内閣制のもと、国会と行政の接点に位置して両者を調整統合する大きな役割を担い、日本国政府を代表する顔であり、国のすべてを担う総責任者であるはずであります。それだけに総理大臣に最も要請されることは、国政を統治する強い強い指導力がなくてはなりません。
 細川総理、あなたは政権を担当して七カ月、これまで国内外の事に当たり、国民だれしもが納得する冷静な判断力と強いリーダーシップを発揮したとの自信がおありでしょうか。
 顧みてはっきり言えることは、一つ、細川政権の意思決定が権力の二重構造と言われる特定の偏った人の指示どおりに動き、総理自身の信念に基づいた行動がいつも見えないということであります。
 二つ、内閣にとって最も重大な年内の予算編成を政治改革にかまけて放棄し、中小企業や勤労者の嘆きを犠牲にする経済無策でありたということであります。
 三つ、突如としてあらわれ消えた国民福祉税構想や日米包括協議の物別れに見られるように、重要政策の多くが官僚に牛耳られ、政治の主体性、責任が全く欠如していたことは紛れもない事実であります。
 かかる事態を見るにつけ、冒頭、例として申し上げた近衛公とまさにうり二つと思えてなりません。すなわち、参議院の議会政治のよき伝統を否定し、二枚舌で米の市場開放を強行し、新年度予算を越年編成し、日米包括協議を決裂にし、さらに内閣の統治能力を喪失するに至っては、もはや刀折れ矢尽きたのではありませんか。世に言うガラス細工の連立野合政権の基盤は根底から音を立てて崩れ始めたのであります。
 現下、国内外の難局を乗り切るため、先見性と責任感、真に決断力に富んだ新しいリーダーの登場こそ必要であります。入党会派から成る連立政権は自民党の政策を承継することでスタートしましたが、基本理念の相違はいかんせん重要政策であればあるほど混迷し、対応はすべて先送りされたではありませんか。
 そうしたあなたの政治姿勢から、今や期待性、可能性の魅力は消え、内閣は機能不全に陥り、国民の熱い期待は冷笑に変わりつつあります。
 にもかかわらず、あなたは政治改革の次は経済改革などと真顔で言われていますが、政治改革を唯一共通の政策課題として誕生した八頭立ての馬車、細川連立政権の使命はもはや終わったものと思います。
 一内閣一仕事というよい言葉があります。春風とともに咲く桜の花も我が世の春を謳歌するのはほんのいっときにすぎません。ここに細川総理の潔い退陣を求めまして、私の代表質問を終わりたいと思います。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣細川護熙君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(細川護熙君) 初めに、米不足についてのお尋ねでございましたが、政府としては三月は国産米の売却量をふやしたところでございまして、全体的な供給量に不足はございません。また、輸入米の配送の機動化、迅速化あるいはまた国産米と輸入米とのブレンドの積極的な活用の指導など、当面の事態に対応して最善の措置を講じているところでございます。
 それから、私と祖父との比較についてのお話がございました。祖父と私の比較論がいろいろなされていることは私も承知をしておりますが、時代も異なりますし、置かれた背景も置かれた状況も全く異なるものでございまして、比べてみること自体、私は関心もございませんし、余り意味のあることだとも思っておりません。
 次に、政策論争を通じた政界再編についてのお尋ねでございますが、何回かの選挙を経て各党が政策や理念に従って分かれて、いわゆる穏健な多党制に収れんをしていくであろうという私の見通しにつきましては、再三申し上げてきたところでございます。しかし、当面は来るべき国政選挙への対応に関して連立与党各党の一致結束が必要であるということを申し上げているところでございます。
 そういうことを申し上げますのは、自民党の長期一党支配のもとで進んだ政治、経済、社会の構造の硬直化を打破することがこの連立政権を誕生させた国民の期待であったというふうに考えているからでございます。
 参議院の院内会派のことについてのお尋ねでございますが、本院の新会派はそれぞれの会派の自主的な御判断によって発足をしたものでございまして、私がそれを陰で操ったというようなことは全くございません。
 次に、我が国外交の基本方針についてのお尋ねでございますが、今日の国際情勢は依然不透明で流動的な状況でございますが、このような中で我が国としては経済的な支援はもちろんのこと、人的な協力や知的な協力など我が国が有する資産を十二分に活用して、またそれをうまく組み合わせることによって平和憲法を有する我が国ならではの多角的な国際貢献を展開し、より平和で繁栄した世界の実現に取り組んでいかなければならないということだろうと思っております。
 官僚主導の政治ではないかというお尋ねもございましたが、この政権は「責任ある変革」の旗印のもとで入党合意の政策を着実に実行しておりまして、官僚の方々は我々の意を体してそれぞれの施策の推進に御努力をいただいているわけで、御懸念のようなことはないと思っております。
 規制緩和の推進についてのお尋ねでございますが、御指摘の具体策につきましては今月中に取りまとめるべく現在検討をしているところでございまして、まだその内容を明らかにする段階ではございません。
 次に、経常収支黒字の目標についてのお尋ねでございますが、私はそれを自主的に表明すべきだと、そのようなことを申し上げたことはございませんが、基本的に、政府経済見通しの数字につきましては、我が国の経済は民間活動がその主体をなすものでございますし、ある程度の幅を持って考えられるべきものであると考えております。特に、経常収支は各国間の自由な経済活動の結果であって、また予見しがたい国際環境の変化に大きく左右されやすいものでございますから、単に一国の経済政策や構造調整によって自由に調節できるものでもございませんし、特定の数値を目標として掲げることは不適切であるというふうに考えております。
 円高についてのお尋ねでございますが、為替の相場は経済の基本的な要因というものを反映して安定的に推移することが望ましいことは申すまでもございません。今後とも為替相場の動向に注視し、適宜適切に対応してまいりたいと思っております。
 スーパー三〇一条についてのお尋ねでございますが、このたびの米国政府の決定には政府としても懸念をいたしております。今後、米国政府がどのような措置をとるのか注視をする必要がございますが、政府としては、米国政府に良識のある判断と行動を強く期待をいたしますとともに、我が国としても冷静に対処していかなければならないというふうに考えております。政府としては、米国内の動きいかんにかかわらず、一層の市場開放への自主的な措置を三月中に打ち出すというととで、できる限りの今努力をしているところでございます。
 対ロ政策についてのお尋ねでございましたが、政府としては昨年十二月の新議会選挙以降のロシアの国内情勢を注視しているところでございます。我が国のロシア外交の基本は、あくまでも北方領土問題を解決して平和条約を締結することによって日ロ関係の完全な正常化が実現するように粘り強く交渉していくとともに、ロシア国内の改革に対しては他のG7諸国とも協調をしながら適切な支援を行っていくというものでございまして、その基本的な立場に変更はございません。
 また、ロシアの核廃棄物の投棄についてのお尋ねもございましたが、ロシアの行為は近隣諸国に対する配慮に欠けるものでありまして、大変遺憾なことだと思っております。我が国としては、ロシア政府に対しましてこのような投棄を全面的に中止するように繰り返し申し入れをしてきたところでございます。今後とも、機会をとらえましてロシア政府に対してこのようなことを行わないように申し入れをしてまいりたいと思っております。
 中国政策についてお尋ねがございましたが、我が国としては、中国が政治、経済両面にわたって改革・開放政策を着実に進めていくということを希望しておりますし、中国のこのような努力に対してできる限り支援をしていく方針でございます。
 また、新たな段階に入りました日中関係を一層良好な、また国際社会が直面する諸問題についてともに積極的に貢献をしていく、そういう関係に発展をさせていきたいものだと思っておりますし、今月後半に予定しております訪中の際にも、今申し上げましたような観点から中国側の指導者と率直な意見の交換をしてまいりたいと考えております。
 対韓政策についてのお尋ねでございますが、日韓両国は自由・民主主義あるいは市場経済という基本的な価値を共有する隣国でございますし、両国関係の発展は両国の利益であるだけでなく、アジア・太平洋の地域にもまた世界にとっても極めて重要な関係であると認識をいたしております。そういう認識に立ちまして、今後とも、今お話がございましたように個別案件の解決を図りながら未来志向的な両国関係の構築に努めてまいりたいと思っております。
 北朝鮮の核兵器開発の問題についてのお尋ねでございますが、北朝鮮が現在既に核兵器を保有しているかどうかということにつきましては、明確なことを申し上げられる段階ではございません。そのような疑惑を払拭するためにも、IAEAによる査察を完全に受け入れることが重要であると認識をいたしております。我が国としては、この問題の解決のために、米国、韓国を初めとする関係国と連携をとりながら北朝鮮に強く働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、政府開発援助の実施あるいはその評価についてのお尋ねでございますが、我が国は相手国国民のニーズに即したきめの細かい援助を実施してまいりますために、相手国政府との政策の対話、意見の交換や入念な事前の調査を行いますとともに、事後の評価の拡充にも努めているところでございます。また、援助の実施体制につきましても、関係省庁や援助実施機関との連携の強化に努めてきているところでございまして、御指摘の点も踏まえましてさらに努力をしてまいりたいと思っております。
 ODA基本法についてもお尋ねがございましたが、途上国の援助につきまして、一昨年、政府開発援助大綱を定めまして、援助についての基本姿勢を明らかにいたしました。また、本年度より新たにODA報告書を作成いたしまして、援助の透明性を一層高めることに努めてきているところでございます。現在の実施体制は、全体として順調に機能しているというふうに考えております。
 他方、援助基本法は我が国の国際貢献あるいは外交の上で必要不可欠な援助の機動性、柔軟性を損なうという懸念もございますので、援助基本法の問題につきましては、今後とも大綱や現行の関係法令等の枠内で、改善すべき点は改善しながら効率的な援助の実施を図っていくことが適当ではないかと考えております。
 景気認識についてのお尋ねでございますが、我が国経済は民間部門でストック調整が進むなど一部に明るい面が見られますものの、総じて低迷が続いております。
 政府としては、このように厳しい状況にある我が国の経済を六年度中のできるだけ早い時期に本格的な回復軌道に乗せて七年度以降の安定成長を確実なものにしていくために、来年度末までの間に可能な限り有効な施策を展開していくことが重要であるという認識のもとに十五兆円を上回る総合的な経済対策を策定いたしましたほか、六年度予算につきましても、さきの第三次補正予算とあわせまして可能な限り景気に配慮するように努めているところでございます。
 新年度予算の提出が遅かったのではないか、こういうことでございましたが、政治改革法案の審議など諸般の情勢を総合的に勘案をいたしまして越年編成とすることにいたしましたが、同時に第三次補正予算を編成し、切れ目なく景気の浮揚に努めることとしたところでございます。
 経済成長の二・四%の根拠はいかなるものか、こういうことでございますが、政府としてはできるだけ早い時期に本格的な回復軌道に乗せるべく、先ほども申し上げましたように諸施策を着実に実施をしてまいりたいと考えております。これらの諸施策によりまして、政府投資は高い伸びとなり、住宅投資も堅調に推移するものと見込まれるところで、これが国内の需要にも波及していくと考えているところでございます。
 それに加えまして、大規模な所得減税は個人消費の伸びを高め、民間部門のマインドを好転させるものと期待をしているわけで、設備投資も回復に向かっていくものと考えているところでございます。
 そういうことから、六年度の国内総生産の実質成長率は政府経済見通しにお示しをした伸びになるものと見込んでいるところでございます。
 減税による消費性向、成長率押し上げ効果をどういうふうに見ているか、こういうことでございますが、約五兆五千億円という今回の所得税、住民税の減税は、所得税や個人住民税収の約一六%を占める巨額のものでございますし、家計や企業におけるストック調整が着実に進展し、好調な住宅関連の消費や耐久消費財の買いかえ需要が見込まれる現時点におきましてこれだけの規模の減税をまとまった金額で実施をするということは、消費者のマインドを好転させ、相当な景気刺激の効果を持ってあろうというふうに思っております。
 経済成長率に与える影響について試算をいたしますと、これが実行された後一年間の波及効果は四年度名目GNPの〇・六%程度になるものと考えております。
 なお、今回の所得減税が消費性向に与える影響につきましては適当な資料がなく、試算を行うことは難しいということを御理解いただきたいと存じます。
 公共料金の問題についてのお尋ねでございましたが、公共料金につきましては経営の徹底した合理化を前提として、物価や国民生活に及ぼす影響を十分考えながら取り扱うこととしておりまして、その値上げに当たりましては真にやむを得ないものに限るとともに、その実施時期や改定幅につきましても極力調整をしてきているところでございます。今後とも適正な公共料金が確保されますように、政府部内におきまして緊密に連携を図ってやってまいりたいと思っております。また、円高差益の還元、競争政策の推進などを実施していくことによりまして、今後とも物価の動向によく注意を払ってまいりたいと考えております。
 公共料金の値上げと物価についてもお尋ねがございましたが、今申し上げましたとおり、公共料金につきましては国民生活への影響なども十分考慮して取り扱うことにしているところでございますが、物価の安定は何と申しましても国民生活安定の基本要件でございますし、経済運営の基盤となるものでございますから、物価の安定には当然のことながら十分に意を用いてまいりたいと思っております。
 規制緩和についてのお尋ねでございますが、規制緩和は経済構造の改革を進めていく上で避けて通れない課題であると認識をしております。さきに閣議決定をいたしました行政改革の推進方策におきましても、規制緩和の推進を大きな柱として、まず当面の緩和措置の着実な実行に加えまして、規制緩和推進計画の策定など中期的な取り組みの方策について定めたところでございます。重点的にこれを推進していくことが重要であるというふうに考えておりまして、特に、住宅、土地、情報・通信、流通などの分野に関するそういった規制の見直しにつきまして積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 公共事業費の配分についてのお尋ねがございましたが、六年度予算における公共事業の配分に当たりましては、住宅、下水道、環境衛生、公園などの事業につきまして他の事業に比べて相当高い伸びの予算を確保しておりまして、国民生活の質の向上に資する分野に重点的に配分をいたしたところでございます。
 次に、防衛関係費についてのお尋ねでございますが、平成六年度の防衛関係費につきましては、国際情勢の変化などを受けて修正されました中期防のもとで、財政事情などを踏まえて対前年度比〇・九%増に抑制をしたところでございます。
 正面経費につきましては、六年度歳出額が五年度歳出額に比べて五十七億円減少しておりますが、これは六年度調達予定の装備品の調達スケジュール、生産工程などが五年度調達の装備品と異なっていることなどのために生じたものでございまして、御指摘のように後年度に繰り延べたものではございません。こういうことでございます。
 財政再建目標と財政運営の基本方針についてのお尋ねでございましたが、我が国の財政は平成六年度末の公債残高がついに二百兆円を超えるものと見込まれておりまして、国債費が歳出予算の約二割を占めるというように大変深刻な状況に立ち至っております。
 そういう認識に立ちまして、財政審議会会長の談話におきまして、今後の中期的な財政運営のあり方として、公債残高が累増しないような体質をつくり上げるという努力目標に改めて取り組むべきであるという指摘がなされたところでございまして、今後すべての歳出項目について制度の根本にまでさかのぼった見直しや施策の優先順位の厳しい選択を行うなど、従来にも増して徹底した洗い直しを進めてまいりたいと思っております。
 今回の所得税減税についてのお尋ねがございましたが、今回の所得減税は、御承知のように連立与党代表者会議の合意を踏まえまして、年内に税制改革を実現するという方針のもとで、現在の低迷する経済状況を打開するために緊急避難的に六年度限りの措置として行うこととしたものでございます。
 さきのG7、日米蔵相会談におきましては、今申し上げましたような税制改革や今回の所得減税の意義、内容、効果などにつきまして十分説明をし、今回の所得減税は年内に実現を目指す税制改革につながる重要な第一歩である旨の理解を各国に求めたところでございます。
 税制改革の年内実現を図ることにつきましては既に閣議決定を行っておりますし、さきの合意に基づく与党の協議を踏まえて、政府まその実現に向け努力をしてまいりたいと思っております。
 税制の抜本改革についての手順と方式、あるいは理念と基本的な方向といったようなことについてのお尋ねでございますが、税制改革につきましてはさきに年内の国会において関係の法律を成立させるという与党の合意が成立をいたしました。これを受けまして、その後、福祉社会に対応する税制改革協議会がスタートいたしますとともに、その下に三つの小委員会が設置されて既に検討が始められているところでございます。今国会中には協議会としての結論を出すという方向で、今後積極的な議論を詰めていただけるものと考えております。
 いずれにしても、高齢化社会におきましても活力のある豊かな生活を享受できる社会を構築するためには、国民一人一人がそれ相応の費用、責任を分かち合わなければならないわけで、バランスのとれた税体系を構築をすることが必要であると考えております。政府としては、このような基本的な考え方に沿って、年内に税制改革の実現を図るように努力をしてまいりたいと思っております。
 政治改革と総・総会談についてのお尋ねでございますが、議会の審議の手続に従って与野党の合意が得られない場合に、政党のリーダー同士が話し合うことは政党政治のルールの一つであって、また国民の声もトップ会談で事態の打開を図るべしというところにあったと思いますし、そのことが政略的なこそくな手段であるとは思っておりません。いろいろな経緯はございましたものの、ともかく政治改革関連法案の成立を見たことで国民各位の御期待におこたえすることができたと考えているところでございます。
 参議院の選挙制度改革についてのお尋ねでございますが、参議院の選挙制度改革に関して参議院自民党におかれては既に改革案を取りまとめておられるわけで、そのことには敬意を表する次第でございます。また、参議院連立与党におきましても、改革案づくりに向けて鋭意検討を進めていただいていると承知をいたしております。
 参議院の選挙制度のあり方につきましては、今回の衆議院の選挙制度の改革を踏まえて、二院制の趣旨が生かされることを基本として、今後、各党各会派間で十分御論議をいただきたいと考えておりますし、政府としてもその結果を尊重してまいりたいと思っております。
 以上でございます。(拍手)
#6
○議長(原文兵衛君) ただいま理事が協議中でございますから、しばらくお待ちください。
 答弁の補足があります。細川内閣総理大臣。
   〔国務大臣細川護熙君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(細川護熙君) 国民福祉税の撤回の経緯について、これはお尋ねではなくて御指摘だったというふうに思いますのですが、再度答弁を求めるということでございますから、私から再度答弁を申し上げます。
 この経緯につきましては、昨年の九月以来、税制調査会あるいは連立与党の中の各党の協議会等におきまして随分と論議を重ねてまいりました。しかし、連立与党の中でも異論が出ましたために、最終的により慎重な判断が必要である、こういう判断のもとにこれを撤回させていただいた、こういうことでございます。
 それから、大蔵大臣と私との間で、G7の大蔵大臣の発言等々の間で違いがあるのではないか、こういうお尋ねでございますが、これはそういうことはございません。一部の報道でそういうことがなされておりますが、それは事実と違うということを申し上げておきたいと思います。(拍手)
#8
○議長(原文兵衛君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時二十六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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