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1994/03/09 第129回国会 参議院 参議院会議録情報 第129回国会 本会議 第8号
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1994/03/09 第129回国会 参議院

参議院会議録情報 第129回国会 本会議 第8号

#1
第129回国会 本会議 第8号
平成六年三月九日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第七号
  平成六年三月九日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(原文兵衛君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。松尾官平君。
   〔松尾官平君登壇、拍手〕
#4
○松尾官平君 私は、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議の御了承をいただきまして、新緑風会を代表して、細川総理大臣の施政方針演説を初め、当面する諸問題に対して質問をいたします。
 昨年八月、細川連立政権の誕生、それはまことに衝撃的かつ歴史的なものでありました。さらに、わずか七カ月の間に国民待望の政治改革を実現し、七年がかりのガットのウルグアイ・ラウンド問題を決着させ、高齢化社会に対応する税制改革の本格的協議に入るなど、前政権が解決し得なかった重要懸案問題を処理し、または処理しつつあるのでありまして、国民の熱い支持が感じ取られるのであります。
 野党側の厳しい攻撃を受け、さらに連立政権内部での激しい論議を越えて、国家、国民の将来を見定めた諸施策を断行し、「責任ある変革」を実行した細川総理を初め、閣僚の各位に衷心より敬意を表するものであります。とともに、ここで「前進する国家は変化を免れることはできない」というホフマンの言葉を閣僚の皆様にもかみしめていただきたいと思うわけであります。
 二十一世紀への新しい扉を開くべく歴史は激動を続けております。米ソ冷戦終結後の世界各国は変革の波に洗われ、混迷の中にも政治、社会、経済など人類社会全体にわたって新しい枠組みへと次々と改革が行われています。ひとり日本がこの歴史の流れから取り残されて生き続けることは不可能であります。今こそ日本は前進のための苦労を回避すべきではないと思います。
 細川総理は、就任初の所信表明で、連立政権を歴史の通過点ではなく新しい歴史の出発点を画するものと位置づけ、政治改革の断行を成功させました。さらに、さきの施政方針演説においては、経済改革、行・財・税制改革を初め、規制緩和、地方分権などにより、「質の高い実のある社会」を実現することを国民に誓いました。まことに適切な政策展開であります。
 そこで、まず細川総理に申し上げたいことは、実現した政治改革諸制度を適切に施行するためにも、新たな経済改革などに臨むためにも、今日最も大事なことは政治に携わる人々や国民の皆さんの意識改革であるということを訴えるべきであろうと考えるものであります。それは長い間続いた米ソ冷戦のもと、日本人の甘えとして根づいた意識、日本だけが繁栄すればよいという一国繁栄主義、我が国だけ平和であればよいという一国平和主義、この意識から脱却することが必要であるからであります。
 これからの日本の生存と前進は、世界の平和と繁栄が確保されることが大前提であります。世界の平和と繁栄は、人間個人、民族、国家、さらには宗教、文化などがいかにして自立し、ともに生きていくかにかかっております。この自立と共生の発想は、これからの地球上の諸問題を解決するかぎとなる理念であります。とりわけ、現在の我が国の諸改革を実行するため欠かせない発想であると言えましょう。
 細川総理は施政方針演説で、制度、政策の改革の実現について決意や内容について述べてはいますが、改革を推進するに当たって意識の改革に関しましては言及されていません。国政を総理する立場から見解が述べられてしかるべきだと思いますが、どのような御所見をお持ちかお聞かせ願いたいのであります。
 当面する最大の課題は、通商問題をめぐる日米関係の修復であります。さきの日米首脳会談の不調を引き金に、クリントン大統領はスーパー三〇一条を復活する行政命令を決定し、日本側に対して早急な解決を迫っております。日米関係の重要性にかんがみましても、適切でかつ緊急な解決を要望するものでありますが、細川総理は米国の意図をどのように認識され、解決に向けいかなる方策で臨み、決着の目途及び段取りについてどのように考えておられるのか御所見をお聞かせ願いたいのであります。特に、本日来日と言われているクリストファー国務長官との会談において、いかなる方針をもって当たられるか、今の段階で可能な範囲でお漏らし願いたいのであります。
 さて、細川総理は国際社会から信頼される「質の高い実のある社会」の実現を提言されました。これは国民が安心して暮らせる質の高い福祉国家を建設しようということだと思います。福祉国家が健全に発展し維持されていくためには、国家社会の総合的な安全保障が確立されていることが根本であります。福祉は個人の安全保障であり、安全保障は国家社会の福祉とも言えましょう。
 ところが、現実の世界情勢は、残念ながら、旧ユーゴスラビアやソマリアを初め、地域紛争は複雑な要因を包蔵して、その解決は決して容易なものではありません。が、しかし前段で触れましたように、一国平和主義だけでは世界の信頼を失うのは明らかであります。一方では国内の福祉国家建設の努力、一方では自由、民主主義、人権の尊重が確保され、福祉を享受できる世界を求めての改革努力、支援が求められるでありましょう。
 冷戦時代には安全保障と福祉の理念や政策上の違いが議論されることが多く、予算編成などにおいても対置するものとして扱われてまいりました。今日、私たちが自立と共生という理念に立ったとき、国家社会の安全保障と個々人の生命を守り福祉を向上させることは、同一次元の政策判断のものと理解すべきことであります。
 残念ながら、細川総理も指摘されておりますとおり、アジア・太平洋地域は依然として不安定な要因を抱えております。我が国の安全保障は日米安全保障体制を基軸に、事態に十分対応できる適切な防衛力を保有することが必要であります。また、これからの我が国の安全保障は、国連への協力を初めとする国際貢献を重視することにより、より確実なものになると思います。
 細川総理は、先般、防衛計画の大綱の基本的な考え方を整理するためとして、私的諮問機関、防衛問題懇談会を発足させましたが、私が提起しました諸点についても議論が行われるのか。また、細川総理自身どのような御所見をお持ちかお聞かせ願いたいのであります。
 現下、我が国をめぐる安全保障で最大の問題は北朝鮮の核疑惑であります。
 どうにか査察が始まりましたが、最終解決に遠いことは国際的に共通した認識であります。北朝鮮の核疑惑は残され、国連による経済制裁の可能性もあるわけであります。報道によりますれば、日本が国連の措置にのっとった対応ができるかどうか米国政府部内には危惧があるとのことであります。また、核拡散防止条約からの脱退や、ミサイルの開発による核兵器の拡散が世界の安全と平和を脅かすものと思います。
 細川総理、これらの問題について、さきの日米首脳会談で議論があったと思いますが、その概要と御所見をお聞かせ願いたいと思います。
 ところで、細川総理は、不況からの脱出と経済改革の推進を内政の最重要課題として位置づけております。
 依然として続く深刻な不況から脱出するためには、まずその根本原因をきちんと知る必要があると思います。細川総理は施政方針演説で、景気循環、バブル崩壊の影響に加え、これまで合理性を有してきた経済の仕組みが有効に機能しなくなったという構造的な要因によるものと述べているわけであります。自民党政権下、宮澤前総理が景気循環論にこだわったことに比べ評価いたすものでありますが、もっと根本問題に立ち返るべきではないでしょうか。
 なぜ、従来の経済の仕組みが有効に機能しなくなったのか、どごがどのように問題があるのか、この点について総理も大蔵大臣も経済企画庁長官も演説で残念ながら触れていないわけでありますが、経済改革を標榜する限り当然言及すべきことではないでしょうか。
 それは、我が国の市場経済体制が機能障害を起こしていること、言いかえれば糖尿病と高血圧、それに肝臓、腎臓と複合した成人病症状を呈しているわけであります。対症療法として、従来の公共投資や金融政策などを駆使しても効き目が少女かったことはここ数年経験しているわけであり冒す。対因療法として、経済の仕組みを変えるとか事業のリストラだけで果たして解決できるでしょうか。市場経済・自由経済システムだけではかく、我が国の社会全般の体質改善が必要かつ不可欠だと思います。
 政治改革、行政改革、そして経済改革、いかなる改革も仕組みや制度を変えただけでは画竜点睛を欠くものであります。それぞれの指導者の人間としてのあり方が問題であります。
 他人や他国のことを全く配慮せず、自分だけもうければよいという企業人。世論受けたけを考え責任をとろうとしない政治家たち。局あって省たし、自己保身のための企業との癒着と言われる官僚の体質。これが冷戦のもと日本の繁栄の中で生じた複合した成人病であります。これを治療すること、そして企業活動のフリーハンドとソーシャルジャスティスとの調整。こういったことが真の改革への道だと思いますが、総理、いかがでしょうか。
 社会主義国家や経済体制が崩壊した原因に、指導者層の人間としての堕落があったことを肝に銘すべきだと思います。
 世界第二位の経済大国となった日本は、多くの国民が生活の真の豊かさを実感できないという不思議な国と言えましょう。その根本原因を一言で言えば、東京圏への諸機能の過度なる一極集中にあると思います。逆に申せば、東京一極集中政策によって効率的で画一的な経済活動が確保され、戦後の復興、繁栄、大幅な貿易黒字が生じ、諸外国から批判されるようになったのであります。
 同時に、日本列島にわたってアンバランスが生じ、均衡どころか、私の出身地青森県などでは著しく社会資本の整備がおくれ、今なお出稼ぎの悲劇が続いているのであります。
 地方分権政策が細川連立政権の重要課題でありますが、その実施に当たりましては東京圏の混迷を地方に分散することであってはなりません。地域の主体性が生かされ、創意工夫により地域の個性ある文化や歴史が尊重されることが大切であります。そのためには、過疎・山村地域の振興を早急に行い、財源的にもハンディキャップをできるだけ小さくすることが前提となりましょう。地方分権が新しい地域間の格差をつけることにならないよう配慮すべきであります。
 地方分権の基本理念や取り組むべき課題、そしてどのような手順で進めていくのか、過疎地域では重大な強い関心を持っております。各地域の経済の浮揚を図っていくためには地方公共団体こそが積極的な役割を果たしていかなければならないと考えられます。
 そこで、平成六年度の地方財政対策においてはどのような形で景気に配慮することとしているでしょうか。多極分散型国土の形成を実行するのなら、地域の地政的特性によりましては国家機関や教育機関の分散も積極的に検討されてしかるべきだと思います。年内にも策定される予定の地方分権の大綱について、細川総理の基本構想をお聞かせ願いたいのであります。
 深刻な不況の最大の被害者は中小企業であります。今日までの我が国の経済発展を犠牲的に支えてきましたのが中小企業であります。
 先日の政府演説を拝聴しましたところ、中小企業対策については、私のひがみかもしれませんが、余り触れられませんでした。発言の内容を紹介しますと、苦境にある中小企業の皆様方を支援するための対策に最大の配慮を尽くしておりますとか、中小企業の新分野進出の支援を推進してまいりますというものであります。藤井大蔵大臣は、中小企業を取り巻く厳しい経営環境に配慮し、構造調整支援策など特に緊要な課題に重点を置いて施策の充実を図っておりますというものであります。
 そこで、熊谷通産大臣にお尋ねするわけでありますが、政府演説で中小企業問題が取り上げられた内容に関して、具体性がなく、何々をしておりますと、今やっていることで十分との印象を受けました。残念ながら画期的な中小企業の新政策について言及がございませんでした。これらのことについてどのような御所感をお持ちか、率直な御意見をお聞かせ願いたいのであります。
 規制緩和は、自由な経済発展を目指す我が国の現状からぜひとも目指すべきものではあります。しかし、その犠牲になるのは中小企業が大半であるという現実に適切な手当てをし、環境を整えて実施するのでなければせっかくの規制緩和も大きな犠牲を生んでしまうのであります。
 問題は、規制緩和のための環境整備や新分野進出への援助が絶対必要でありましょう。伝家の宝刀たる規制緩和が中小企業の血を流すだけのものに決して用いられてはならないのであります。中小企業の皆さんこそ生活者・消費者そのものであります。所管大臣としてかくあるべしという御決意があればお述べいただきたいのであります。
 次に、福祉と負担について意見を申し上げ、細川総理の御所見をお伺いします。
 私は、新聞やテレビなどを見て一番悲しい思いをすることは、ひとり暮らしのお年寄りが亡くなられ、何日も人知れず放置されていたというニュースや、お年寄りの火事による死亡記事のニュースであります。これが果たして世界第二位の経済大国でしょうか。豊かな社会が日本にあるのでしょうか。政治家としての責任を痛感し、いても立ってもいられなくなるのであります。
 年をとり、あるいは病気とか事故で働くことができなくなったり、生活のための収入がなくなったとき、果たして生きていけるのか。この不安が解消しない限り、どんなに経済大国になっても国民は豊かさを実感できないと思います。
 日本人で貯蓄が最も多い世代は六十代であると言われておりますが、老後に対する不安感がその原因ではないでしょうか。六十代のみならず、日本人の各世代の貯蓄額が大きいことが国際収支の過剰な黒字の原因だと専門家は指摘しています。目前となった超高齢化社会に備えて、日本人は各世代とも本能的対応をしているものと推測できます。このことは、国家社会として、高齢化社会に対し国民の不安を解消するだけの制度的整備ができていないことを証明するものと言えましょう。
 現在、いかなる国におきましても社会福祉を国政の基本政策と位置づけております。我が国の憲法は、第三章に「国民の権利及び義務」を規定しております。その中で第二十五条は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と宣言しているわけであります。
 社会福祉や社会保障は、憲法上の受益権として経済大国にふさわしいきちんとしたものが整備されるべきであります。お年寄り、心身の不自由な人々、病気の方々が安心して生活できることを保障するのが国家社会の義務と言えるのではないでしょうか。
 そのためには膨大な経費が必要となります。
 憲法は、同じ第三章の第三十条で、「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」と規定しております。国家の財源の主たるものは租税であります。憲法上の権利を充足させるため経費を必要とする場合、原則として国民の義務である納税によって賄うというのが憲法第三章の構成と言えます。
 憲法上の権利を主張する場合、その裏づけとしての義務を放棄することはできません。二百兆を超える公債残高にいかに対応するか、六兆円近い史上最大の減税財源をどうするのか、さらに高齢化社会への対応、あるいは硬直した直接税中心の税制制度をいかに改革していくのか、資産・消費・所得のバランスのとれた総合的税制改革を目指して連立与党の中で税制改革協議が行われ始めたところであります。細川総理の国民福祉税構想が協議の契機となっていますが、総理は、我が国の将来の福祉社会をどのようにイメージされ、それをどのような手順で実現させようと考えておられるのかお聞きしておきたいのであります。
 藤井大臣にお伺いいたします。
 税制改革は年内に行うことが合意されていますが、実現しない場合、財政上重大な問題が生じるのではないでしょうか。大蔵省として具体的にどのような問題が発生すると想定しているのか、またそれにどのような対応策があるのか、答弁願いたいのであります。
 ところで、本年は十二支でいう戌年であります。「戌」という文字にくさかんむりを乗せると「茂」という字になります。さんずいを左に、火を中に、すなわち水と火で物事は「滅」するということになります用語源学で申しますと、物事は茂り過ぎると滅することになり、滅することによって改革ができるということになります。その意味で平成六年はまさに改革の年と言えます。
 政治改革関連法もようやく成立し、不況脱出と国際社会へ適用するための経済改革、行財政改革に本格的に取り組もうとしているところであります。政策的にも、日米通商交渉、北朝鮮の核疑惑への対応、衆議院小選挙区の区画法案の立案と審議、税制の抜本改革、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉の決着に伴う諸施策の実行等々重要な課題が山積しております。まさに改革の実効を上げるにふさわしい厳しくもまた重要な年となるでありましょう。
 それぞれの問題に対する具体的な質疑は関係委員会での同僚諸君に譲ることにいたしまして、当面の問題で若干の指摘をいたしておきたいことがあります。
 第一は、最近急増した公共料金の値上げであります。
 郵便料金、大学入学経費、病院給食費、高速道路料金、水道料金等々でありますが、減税効果が薄まり、深刻な不況が続く中で国民の皆さんからの批判の声が高まっています。必要やむを得ないもので合理的根拠のあるものについて異議を唱えるものではありませんが、不況から脱出できるまで待てるものは待ち、やむを得ないものにつきましては国民にきちんと説明して理解してもらうことが最大の努力目標でなければならないと思います。
 第二は米問題であります。
 二百万トンもの緊急輸入により数字上は米不足は存在しないはずでありますが、現実には各地で国産米が販売されなくなり、米不足が生じております。他人よりおいしい米を食べたいという心理を利用した買い占め、売り惜しみが一部に発生しております。食糧庁は昨日、五項目の行政指導に踏み切ったようでありますが、関係省庁においては、今後とも十分な監視と指導により善良な消費者が混乱しないよう配慮すべきだと思います。
 なお、生産者側で昨年の冷害により被害を受けた農家や中山間地域で苦労して農林業を営まれている方々には、十分な政策手当てを行うよう要望しておきたいと思います。
 次に、参議院改革について少し申し上げたいと思います。
 昨年秋から本年にかけて、本院では政治改革関連四法案の審議が行われました。審議を通じてさまざまな問題が提起され、国民から参議院のあり方が注目されました。今後、参議院の選挙制度を初め、国会運営の立場からの諸制度の見直しが協議されることと思います。その際、重要なことは、与野党とも参議院の存在意義や性格について共通した認識を持つことが必要であると思います。
 新憲法が施行された昭和二十年代の初期、国会は参衆両院と呼ばれていました。現在では衆参両院という呼称が定着しております。これは、第一院が衆議院で第二院が参議院であることからくる呼び方であると思います。それにもかかわらず、昭和二十年代は逆の呼ばれ方がなされていたのであります。理由は、憲法の精神を体して国政を大所高所から論じ、衆議院や政府に対立したり抵抗するのではなく、衆議院を抑制、啓蒙する機能を果たしていたからであります。当時、参議院を構成していた多くの人たちは著名な学識経験者、専門家、各界を代表する立場の方々でありました。
 衆議院が内閣に対して不信任案を提出でき、内閣は衆議院を解散できるという関係を憲法が規定したのは、政権の争奪を衆議院が担当することを定めたものであります。国会の中で生々しく内閣の権力に抵抗したり、強烈に支持したりして政権の生殺与奪を握るのが衆議院であります。この衆議院の機能をチェック、抑制するのが参議院の機能であります。この機能を果たすためには、良識と理性と論理によりまして衆議院を指導するという見識に立って初めて可能なのであります。
 昭和三十年代から参議院での政党化が進むとともに、衆議院への抵抗意欲が増進し、参議院が政権の生殺与奪を握る事態がしばしぱ起こるようになりました。昭和四十年代から参議院改革が議論されるようになったものの、独自性ということで権限を求めたため逆に権威を失うことになったのであります。昭和三十年から始まったいわゆる五五年体制が定着していくにつれて、国民から参議院のことを衆議院のカーボンコピーだと言われるようになったのです。
 参議院の改革は、まず憲法が規定し要請している原点と現状を率直に比較することから始めるべきだと思います。
 政治改革関連法の成立は、四十年近く続いた五五年体制の幕を閉めました。特定の指導的立場の人たちが合意しなければ憲法や国会法の手続が機能しないのなら、もはやそれは議会政治とは申せません。参議院の独自性は、政党間の駆け引きによって発揮されるのではなくて、質疑や論議の品位、格調そして質によって発揮されるべきことなのであります。
 参議院の改革は以上のような観点から推進すべきではないかと思いますが、かつて参議院議員でおられた総理の御所感がありましたら伺いたいのであります。
 最後に、細川連立政権の閣僚の皆さんに要望しておきたいことがございます。
 連立政権の運営にはさまざまな困難がつきまといます。連立政権が諸改革と重要な政策課題を解決していくため、閣僚の皆さんを初め連立与党各党の指導者は重い責任を公平に分担し、今こそ一致結束を旨とし、国民の負託にこたえるべきであることを強く要望するものであります。
 以上で私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣細川護熙君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(細川護熙君) 初めに、改革を進めるためには意識の改革が必要ではないかという趣旨のお尋ねでございましたが、あらゆる改革には意識の改革が伴わなければならないことは当然のことでございますし、御指摘のような自立とかあるいは共生とかいったようなことも大事なことではないかと考えております。
 しかし、日本の政治や経済、社会の変革のためには今おっしゃったようなことも大事だと思いますが、自己責任の確立というようなことも一つの重要な要素ではないか、このように思っております。
 次に、スーパー三〇一条の復活のことについてのお尋ねでございますが、既に繰り返し申し上げておりますとおり、今回の米政府の決定には政府として懸念をしておりますが、米国政府は特定の国を対象とするものではないとしておりまして、その意図につきまして予断を持つことは適当ではないと考えております。今後、米国政府がどのような措置をとるのか注視をしたいと考えているところでございます。
 政府としては、米国政府に良識のある対応を期待いたしますとともに、我が国としても冷静に対処していきたいと考えておりますし、米国内の動きいかんにかかわらず、一層の市場開放に向けた自主的な取り組みをしてまいりたい。三月中に我が方の自主的な措置を打ち出すべく今鋭意詰めの作業をしているところでございます。
 次に、防衛問題懇談会についてのお尋ねでございますが、冷戦の終結に伴って国際情勢が大きく変わって科学技術の進歩にも目覚ましいものがある中で、今後の我が国の防衛力のあり方について、防衛計画大綱の基本的な考え方について整理し直す必要があるという認識に立ちまして防衛問題懇談会を開催することとしたところでございます。
 懇談会におきましては、大綱にかわる新しい考え方の骨格について御意見をいただきたいと思っておりますが、その中身につきましては今後幅広い角度から御議論をしていただけるものと考えているところでございます。
 また、広い意味での我が国の安全保障についてもお尋ねがございましたが、我が国は日米安保体制を堅持するとともに、みずから適切な規模の防衛力の整備に努め、我が国を取り巻く国際環境の安定を確保するための外交努力を行うという安全保障政策をとってきており、このような幅広い角度から総合的に我が国の安全保障を確保していかなければならないということは御指摘のとおりでございます。
 北朝鮮への経済制裁についてのお尋ねがございましたが、さきの日米首脳会談におきましては、米国側から北朝鮮の核兵器開発問題が国連安保理において議論される可能性について言及されましたのに対しまして、私の方からは国連安保理において経済制裁が決定されるという事態となれば可能な限りの対応をとっていくという考えを申し上げたところでございます。
 目下、日米韓が協力して、また国際社会におきましても対話を通じた問題解決に向けて努力をしているところでございますし、経済制裁につきまして現時点で具体的に申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。
 現在の不況から脱出するためには仕組みや制度を変えただけでは不十分ではないか、こういう趣旨のお尋ねでございましたが、現在の不況は、景気循環の要因やバブル崩壊の影響に加えまして、構造的な要因も大きく作用しているものと思いますし、これまで我が国を支えてきた生産者重視の経済社会構造の見直しが求められていることは、これもお話があったとおりでございます。
 そうした状況を踏まえますと、今後築き上げていくべき新しい枠組みというものは、市場の機能が活性化され産業の活力が遺憾なく発揮される、あるいはまた国際的にも透明で開かれた経済社会でなくてはなりませんでしょうし、また生活者たる個人がみずからの選択によって豊かさやゆとりを享受できるような経済社会ではないかと考えているわけで、おっしゃいましたように、政府、個人、企業それぞれがとうした経済社会への変革は避けて通れない道である、相当な痛みを伴うものであるという認識に立って、みずからの責任を自覚して実行をしていくことが必要であるというふうに思っております。
 六年度の地財対策についてのお尋ねでございますが、公共投資は地方団体が実施する割合が高いことから、景気対策におきまして地方財政の果たす役割は従来に増して大きくなってきていると思っております。六年度の地財対策におきましては、地方単独事業につきまして対前年度比一二%増を確保することとしているところでございます。
 国の機関や教育機関を地方分散すべきではないかということでございますが、昭和六十三年に閣議決定されました国の行政機関等の移転を今後とも推進するとともに、国会等の移転に関する法律に基づいてその移転の具体化に向けまして検討を行っているところでございます。
 大学などの高等教育機関につきましても、その適正配置を図るという観点から大都市圏の既成市街地における集中を極力抑制し、地方圏への配置を促してまいりたいと考えております。
 それから、地方分権大綱についてのお尋ねでございますが、去る二月十五日に閣議決定をいたしました今後における行政改革の推進方策におきましては、国、地方の関係等の改革に関する大綱方針を策定することを決定いたしました。今後、この推進方策に沿って法律の制定も視野に入れながら、基本理念や取り組むべき課題と手順を明らかにした大綱方針を年内をめどに策定をしたいと考えております。
 将来の福祉社会をどのようにイメージをするか、どのような手順で進めていくのかということでございましたが、活力のある福祉社会の実現に向けまして、一つは本人が希望すれば少なくとも六十五歳あるいはそれ以降も働くことができる仕組みをつくっていくということ、二つには仕事と育児が両立し得る働きやすい環境をつくっていくということ、三つには高齢期にも健康で安心できる医療の確立を図るということ、ほかにもいろいろあるかもしれませんが、そういうことが大事なポイントだと思っております。
 裏づけとなる財源の負担や関連施策のあり方も含めた総合的なビジョンの策定につきましては、今厚生省におきまして今月末をめどに検討をいただいているところでございます。
 また、連立与党におきましても、福祉社会に対応する税制改革協議会のもとに御承知のように三つの委員会を設置されまして、今国会中に結論を出されるというふうに承知をしております。
 公共料金の値上げについてのお尋ねでございますが、公共料金につきましては、経営の徹底した合理化を前提として物価や国民生活に及ぼす影響を当然のことながら十分考慮して厳正に取り扱うこととしているわけで、その値上げに当たりましては、やむを得ないものに限って、またその実施時期や改定幅につきましても極力抑制をしてきているところでございます。また、その改定に当たりましては国民の御理解が得られるように努めてきているところでございますが、政府としては今後とも適正な公共料金が確保されるように、政府部内においても緊密に連携を図ってまいりたいと思っております。
 米の買い占めにつきまして、監視と消費者への配慮をどうするのかということでございますが、御指摘のような状況に対応いたしまして、三月は国産米の売却量をふやしたところで、全体的な供給量に不足はないということを昨日から申し上げてまいりました。さらに、輸入米の配送の機動化、迅速化あるいは販売業者に対する特別巡回指導や国産米と輸入米とのブレンドの積極的な活用の指導など、当面の事態に対応した措置を講じまして政府としても最善の努力をしてまいりたいと思っております。
 冷害と中山間地域対策についてのお尋ねでございますが、昨年の冷害につきましては、戦後最悪の作柄となったことから、総額四千四百億円の共済金の年内支払い、あるいは天災融資法や激甚災害法の発動、天災資金等の金利の引き下げ、あるいはまた冷害等関連対策事業の緊急実施など、特例的な措置を含めまして早期に対策を実施したところでございます。
 また、中山間地域につきましても、山村振興対策を初め生産基盤や生活環境の整備など、できるだけの対策を講じてきたところでございますが、今後におきましてもこうした施策の一層の充実を図り、また昨年制定されましたいわゆる特定農山村法に基づく措置の推進などによりまして、農林業の活性化に心がけてまいりたいと思っております。
 参議院改革についてのお尋ねでございますが、参議院の選挙制度改革に関しまして参議院自民党におかれては既に改革案を取りまとめておられるということでございますが、連立与党におきましても改革案づくりに向けて鋭意検討が進められていると承知をしております。
 参議院の選挙制度のあり方につきましては、二院制の趣旨が生かされるということを基本として、今回の衆議院の選挙制度の改革を踏まえて今後各党各会派間で十分御論議がなされることを期待しているところでございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁をいたします。(拍手)
   〔国務大臣熊谷弘君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(熊谷弘君) 中小企業をめぐる厳しい経営環境にかんがみ、中小企業対策における新政策をどう考えるのかという御質問でございますが、中小企業をめぐる経営環境は景気の低迷、円高の進行とまことに厳しいものがございます。
 政府は、こうした状況を踏まえまして、昨年四月以来三回にわたる景気対策の中で四兆二千億に上る金融対策を講じてきたところであります。その結果といたしまして、いわゆる新規資金供給の中で民間資金を上回る規模を政府金融機関が担当するという状況になっているわけでございます。
 しかしながら、従来で言いますと、不況が好況に変わる時期には中小企業がいわば先導役を務めるということが見られたわけでありますが、今回はむしろ中小企業が大変厳しい状況にあるわけでございます。議員御指摘のとおり、今回の不況はいわゆる構造不況という要因がこれに大きく起因しているものだろうと思うのでございます。
 政府といたしましては、こうした状況を踏まえまして中小企業の構造調整の支援、これを最大の眼目といたしまして、中小企業の新分野進出等円滑化法を中心とした総合的施策の展開、あるいは研究開発型中小企業の育成を初めとする新規事業支援の強化等の施策を推進する、こうした政策を展開しているところでございます。
 御案内のとおり、中小企業は、事業所数にいたしましても、また従業員数にいたしましても、日本経済の圧倒的な比重を占めているまさに活力ある多数でございますが、この中小企業の時代にふさわしい構造改革、これを実現していくことを最大の政策の眼目にしたいと考えているところでございます。
 次に、規制緩和を進めるに当たり、環境整備や新分野進出への援助等中小企業に対しても配慮すべきではないかという御質問でございますけれども、規制緩和につきましては、政府としては最重点政策課題の一つとして積極的に取り組んでいるところではございます。
 規制緩和につきましては、中小企業の事業活動に影響を与える場合があるのではないかという懸念があることは承知しております。しかし、その一方で新たな事業機会の創出、低迷する消費需要の喚起という積極的側面を有しておるわけでありまして、むしろ我が国経済の活力の源泉でもある中小企業の活性化につながるものであると考えております。
 また、累次の経済対策におきまして、さきに申し上げましたように、中小企業新分野進出等円滑化法の制定、新事業育成貸付制度の創設などを行うとともに、平成六年度の中小企業対策におきましても新分野進出等の円滑化支援、新規事業支援等の措置を盛り込むなど、中小企業の経済の構造的変化への対応をきめ細かく支援することとしているところであります。
 規制緩和と中小企業対策の効果が相まって、中小企業の旺盛な企業家精神の発揮を通じた新たな時代への活力ある対応が促進されることを期待しております。(拍手)
   〔国務大臣藤井裕久君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(藤井裕久君) 今、我が国財政の持っている問題を取り上げていただきましたけれども、御指摘のように平成六年度末で公債残高が二百兆円を超える見込みで、構造的にますます厳しさを増していることはもう御指摘のとおりです。このようなまことに深刻な財政事情に我々は無責任でいることは許されないと考えております。特に、本格的な高齢化社会に備えまして、財政の対応力の確保に努めていかなければならないのも極めて重要な課題だと思います。
 こういう観点から、今後ともあらゆる経費について制度の根本にまでさかのぼった見直しゃ、施策の優先順位の厳しい選択を行うなど徹底した洗い直しに取り組み、財政改革を強力に推進していかなければならないと考えております。
 今お話しのように、高齢化社会においても活力ある豊かな生活を享受できる社会を構築するためには、国民一人一人の皆様がそれ相応の費用、責任を分かち合っていただかなければならないと思いますし、またその際、経済社会の活力が十分発揮されるためには、所得・消費・資産等のバランスのとれた税体系を構築することが必要であると存じ、速やかに政府・与党間の合意を得て、年内に税制改革の実現を図るよう最大限の努力をしてまいります。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(原文兵衛君) 立木洋君。
   〔立木洋君登壇、拍手〕
#9
○立木洋君 私は、日本共産党を代表し、細川首相の施政方針に対し質問をします。
 まず最初に、細川政権の基本的政治姿勢についてであります。
 さきの政治改革四法の成立について、首相は政府の第一の使命を果たしたと自賛しましたが、これは参議院で否決され当然廃案となるべき法律を議会制民主主義と国会のルールを無視して、主に特定政党の総裁と首相の政治談合によって生き返らせた上、改悪したものであります。
 内容は、民意の正確な反映という選挙の民主主義的原則の根底からのゆがみを一層著しくさせ、いわゆる改革の魂とまで主張してきた政治家個人への政治献金の禁止を一転して容認し、その上、国民の税金から公費助成まで配分するという全くの改悪にはかなりません。
 しかも、法律の根幹を変えておきながら、それを衆議院では政治改革特別委員会理事会で委員会提案にするとして質疑の省略を提案し、参議院でもほとんど審議を尽くさないで可決、成立させたものであります。
 このように議会制民主主義を二重三重に踏みにじる不当きわまりない事態は強権政治への道を進めるもので、民主主義と無縁の暴挙ではありませんか。明確に答えていただきたい。
 もともと、国民が真に求めた政治改革は金権腐敗の一掃であります。
 ゼネコン疑惑はついに中央政界に波及しました。
   〔議長退席、副議長着席〕
 中村前建設大臣に対する逮捕許諾請求というこの事態を首相はどう受けとめているのでしょうか。ゼネコン疑惑は公共事業の計画発注や発注企業についての政府の決定がゆがめられた問題であります。そのゆがみの解明は検察とは別個の政府自身の重大な責任です。検察に任せるのではなく、政府としてもみずからの政治的、道義的責任の徹底解明をすべきではありませんか。答弁を求めます。
 首相が最初に就任したときの所信表明の演説で政治改革を最優先の課題と述べて、その政治改革を真に成功に導くために金権腐敗や金権選挙や利権選挙を根絶する決意を有権者に求めました。そして、今回は政治腐敗の根絶のために政治家一人一人の倫理観の確立を強調したのであります。
 それならば、あなた自身にかかわる佐川急便からの一億円借り入れの問題、義父名義のNTT株購入問題にかかわる疑惑について十分国民が納得するようにすべきであります。あなたが深山秘書の証人喚問や国会の求めている資料の提出を拒否していることは重大な背信行為ではありませんか。
 政治倫理綱領の第四項には、疑惑を持たれたらみずから疑惑を解明し責任を明らかにすることが求められているのであります。このことを首相はどう自覚され、どう対処されるのか、具体的に明確に答えていただきたい。
 不況対策の柱として、まず国民本位の大幅所得税減税が緊急の課題であります。
 今回の不況の最大の特徴は、個人消費が大きく落ち込んでいることにあります。不況を口実にした残業手当や賞与の大幅カット、一時帰休などによって労働者の収入減は年数十万から百万にも上る例は少なくありません。労働省の調査でも、九三年の実質賃金の伸びは〇・七%減少に転じています。
 このようなときに政府が直ちに実施できる内需拡大は、所得税減税による国民の購買力の引き上げであることは言うまでもありません。所得税減税は、一年限りの臨時措置でなく恒常的措置として行うこと、また基礎控除など人的控除の大幅な引き上げと税率の適用区分の緩和により、庶民に広く厚く行き渡る減税を行うのが肝要であります。
 ところが首相は、その所得税減税を口実に、その財源として減税を上回る税率七%のいわゆる国民福祉税についての構想を発表したのです。その直後に、余りにも見え透いたその手法については二月八日の記者会見でわびたものの、増税の考え方の基本は変わっていないと述べています。これは首相自身増税の姿勢をあくまでも変えないということではありませんか。はっきり答えていただきたい。
 特に、消費税が導入された八九年以降の五年間が示した実態は、わずかな年金を頼りに生活している高齢者に対して最も深刻な打撃を与えている点であります。政府は口を開けば高齢者対策のためと言いながら、消費税導入以降、高齢化対策のためのゴールドプランの予算は消費税による収入額のわずか三、四%にしかすぎません。今回の税率七%の九兆五千億円の税収も福祉に充てられるのはわずか八千億円。これでは高齢化社会対策などと言っても、看板に偽りありと国民が怒るのは当然ではありませんか。
 今日、消費不況の対策として労働者の雇用と生活の安定を守ることはいよいよ重大であります。
 今日の労働者の雇用の現状を極めて深刻にしているのが不況を口実にした大企業の労働者に対する賃金抑制と雇用の削減であります。すなわち、NTTの希望退職を含む三万人の削減を初め、主な大企業だけでも数十万と言われる人減らしの強行です。
 例えば、この十日を目標に進めている東芝系列の大手、東京電気の六百人の希望退職募集もその一つの典型であります。日本共産党の調査によりますと、五十五歳以上、病弱者、女性、育児休業中の労働者などをねらい撃ちにした退職強要が行われています。事態を重視した地元職安からの雇用調整助成金による雇用維持要請にも拒否するという態度をとり続けているのです。こうしたやり方を許すなら政府の雇用対策はなきに等しいではありませんか。
 今政府が直ちにすべきことは、雇用や地域経済に重大な影響を及ぼす雇用削減計画を有する大企業に対しては調査をし、その計画の中止や計画の変更を勧告して、雇用を実際に確保する行政指導を含め措置を講ずることであります。答弁を求めます。
 さらに今日、一連のリストラと称して生産拠点を海外に移転するため雇用は一層悪化しています。海外投資をふやして国内産業の縮小による産業の空洞化によって、二〇〇〇年までに製造業では百二十六万人にも上る雇用機会が奪われるという深刻な予想すら出され、その影響は無視できない段階に来ています。さらに下請中小企業の減産で、東京都かの下請工場はこの一年間で実に二千六百社も減らされています。
 それにもかかわらず、今回の政府演説ではこの産業空洞化の対策には一言も触れられず、反対に海外移転を支援するという姿勢であります。不況期には生産拠点の海外移転や大量の雇用削減を中止する歯どめ措置をとることは政府の大切な役割ではありませんか。明確に答弁をしてください。
 大企業の下請構造の全面的再編と切り捨てによって存続の岐路に立たされている中小企業への対策は極めて急がれる課題であります。
 大企業みずから減産した比率を大幅に超えて中小企業への発注を削減したり、常軌を逸脱して納入期間を短縮することは明らかに下請振興基準に違反するものであります。また、単価の切り下げで元単価の三〇%そこそこにしかならない「半値八掛け二割引き」という言葉さえ使われる事態も下請代金支払遅延防止法を厳正に適用して取り締まるべき問題であります。明確な答弁を求めるものであります。
 また、国内の中小企業産地と競合し、その存立基盤を脅かす大企業の部品や製品の逆輸入を規制することは中小企業基本法第二十二条に明確にうたわれているものであって、日本の権利として実施すべきではありませんか。
 また、国の官公需の中小企業向け発注比率の検討を例年七月の閣議を待つまでもなく直ちに五〇%に引き上げる措置を実施し、さらに現行の融資制度は借りたくても受けられないで困っている中小零細業者のために中小企業金融公庫などで公定歩合並みの一・七五%の金利で、保証料免除、別枠貸し付け、長期据え置きで融資規模二兆円の緊急融資制度の創設を求めるものであります。
 あわせて見解をお伺いいたします。
 景気回復のためにも従来の公共事業をゼネコン優先ではなく国民生活優先に転換することが今求められています。ところが、九四年度の予算で見ると、これまで以上に福祉などの切り捨てを進めようとしていることは断じて容認できません。
 第一に、厚生年金などの支給年齢を原則六十五歳におくらせ、年金水準をさらに低いものにしようとしていることであります。また、現行保険料比率の引き上げやボーナスからも徴収して国民の負担を一層ふやそうとしています。
 今日、中年層までに退職が勧告され、工作機械メーカー・オークマでは、暫定措置として定年を現行の六十歳から五十六歳にするとの就業規則の変更を監督署に提出する事態が生まれているように、六十歳定年制さえ危ぶまれています。これで六十歳定年制を法制化しても六十五歳までの継続雇用の保障が確実だというのでしょうか。年金が半額にされてどうして生活していけというのでしょうか。
 長年、社会の発展に貢献してきた労働者には安心して暮らせる生存の権利を保障するのが政府の使命であります。この際、年金の六十五歳支給延長をきっぱりと撤回し、世界的常識である退職と年金の継続を国の負担増と保険料負担割合を労使三対七への見直し等によって保障すべきであります。はっきりとした答弁を求めます。
 第二は医療の問題です。
 政府は入院患者の給食材料費を患者負担にして、さらに室料や薬剤などの保険給付の見直しを進めています。これが実施されれば入院するサラリーマン、公務員は現在の四倍の負担増となります。特に七十歳以上の高齢者が入院医療費と給食費と合わせて月四万五千円も支払うことになれば、わずかの年金しか受けていないお年寄りは入院治療をあきらめるほかないではありませんか。これで国民医療は保障されるのでしょうか。
 第三に、高校以下の私学への国庫助成を二五%も大幅にカットすることは私立学校振興助成法に反し、教育への財政的援助を定めた子どもの権利条約の精神にも著しくもとるものであります。政府は、今回の削減は地方交付税で措置すると説明していますが、それが必ず私学助成に回される保証はありません。高校生の三割が学ぶなど公的教育の重要な一翼を担っている私学への国庫助成は国の当然の責任であります。削減の見直しを強く要求します。
 最後に、日米関係に関連して質問をします。
 三月四日に、クリントン米大統領は包括通商法スーパー三〇一条の復活を決定しました。これはアメリカ自身が主張している自由貿易の建前にすら反して、市場開放などの経済要求を相手国に押しつけ、受け入れなければ一方的に制裁を加えるという身勝手なものであります。ガットでは貿易上の紛争が生じたとき国家間の協議や紛争処理機関への提訴によって解決するルールが決められており、今回のアメリカのスーバー三〇一条復活はガット違反であると国際的にも厳しく批判されています。
 ところで、アメリカの脅迫的なこの不当な措置に対し、首相は施政方針演説でも何一つ抗議すら行っていません。政府は、このアメリカの態度に対して毅然とした態度をとるべきではありませんか。
 言うまでもなく、この日米の大企業の日本市場分割の協議は、アメリカが一方的に対日圧力を加える仕組みであって、結局日本国民に犠牲を強いることにほかなりません。私は、不条理なアメリカの要求に基づく日米包括経済協議は直ちにやめるべきことを強く要求するものであります。
 貿易摩擦の深刻な事態を生じている日本の大幅な黒字の解消は、日本側の努力としては、日米双方の道理に立った努力が必要ですが、これが長時間・過密労働、下請企業への低い単価などによる大企業の輸出競争力の異常さにあることに真剣に目を向け、国民本位の内需拡大への政策転換のために全力を傾注すべきことをこの際重ねて指摘をしておきます。
 さらに、昨年十二月に、細川内閣は不当にも国会決議に反してウルグアイ・ラウンドの農業合意を受け入れましたが、もともとガットでも加入したときの国内法の範囲内の合意という加入議定書の条項に照らしても明らかなように、国内自給を前提とした食管法と相入れない関税化を強制されるいわれは全くないのであります。これも結局、日米秘密協議を通じてアメリカの圧力に屈したものではありませんか。
 私は、重ねて米自由化受け入れの撤回を求めるものであります。
 緊急に解決すべき米不足の問題があります。大阪の消費者団体が設置した「コメ問題一一〇番」には、国産米が十キロ九千円から一万二千円に値上がりしている、買う量を制限された、売ってくれなかった、タイ米とセットで買えと言われたなどの声が多数寄せられています。
 政府は三月分の国産米をふやしたといいますが、それにとどまらないでこうした事態を招いた責任を真剣に考えるなら安全または流通上の問題もあわせて直ちに調査し、国民の不安を一刻も早く取り除くべきであります。また、減反の拡大や押しつけをやめ、繰越在庫と余裕米を合わせて二百万トン以上の備蓄をするよう強く要求をいたします。
 次に、軍事費の拡大についてであります。
 来年度の軍事予算も四兆六千八百三十五億円に達しています。細川首相はどの国にも率先して軍縮のイニシアチブの発揮をと述べてきましたが、イギリスやカナダの今年は一千億円以上の実質軍備削減と比べるならば、日本は世界第二位の軍事費をさらにふやす軍拡であります。前年比伸び率は〇・九二%といいますが、中身は重大な問題が含まれています。
 第一に、後年度負担という形で正面装備八千八百二十億円の契約ベースのほとんどをツケ払いとしているのであって、当年度分はわずかに二百四十一億円しか計上していません。第二に、換算レートは前年比一三・一%の円高となっています。そのため正面装備の〇・二%増と言われるのも実質は三%増にもなるのであります。まさに低い伸び率というのはからくりであります。
 クリントン米大統領は、国連演説で、あらゆる国際問題に引き続き関与し指導していくと述べ、我々の最優先の目標は市場を基礎とした民主主義諸国の世界共同体を拡大し強化することと強調しています。実際、アメリカは今でも軍事同盟を堅持し、海外に数百の米軍基地と数十万の米軍軍隊を置いて世界のどこにでも軍事干渉できる体制をとり、核抑止力に固執して軍事力による拡張戦略をとり続けることを明らかにしています。
 このことでもはっきりしているように、在日平軍基地も日本の異常な軍拡も、軍事力を背景と一て全地球的規模で進めるクリントン政権の危険九介入拡張戦略に対する追随ではありませんか。
 それは世界に例のない在日米軍駐留経費の日本側負担が五千九百億円に膨れ上がって、この十年足らずで二倍以上にも達している異常さを見ても明らかであります。アメリカ国防総省の防衛責任分担に関する報告は、自衛艦によるアメリカ艦艇への燃料補給についても、これまでの制約を取り除いて太平洋海域や国連平和維持活動が展開する地域などに広げて行うことさえも示唆しています。
 首相、太平洋海域や国連平和維持活動の展開地域で米国の軍事活動を自衛隊に支援させることは……
#10
○副議長(赤桐操君) 立木君、時間が超過しております。簡単に願います。
#11
○立木洋君(続) これまで自民党政府でさえ専守防衛からの逸脱と述べてきたものであります。さらに、自衛隊の米軍の軍事作戦に対する協力は集団的自衛権の行使につながり、憲法上許されないのは明白ではありませんか。あわせてお答えください。
 以上、首相の責任ある明確な答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣細川護熙君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(細川護熙君) 政治改革四法案の成立は民主主義と無縁の暴挙ではないかと、こういうことでございますが、参議院で否決された法案は当然廃案となるべきという御趣旨のお話でございますが、憲法は衆議院で可決され参議院で否決された法案のその後の審議手続を定めているわけで、今般の政治改革四法案の成立はあくまでもこの手続に従ったものだと思っております。
 河野総裁との総・総会談は、その手続を進めるに当たって、公党を代表する者同士が話し合いをしたということで、政党政治のルールの一つと考えていることは再三申し上げてきたとおりでございます。
 逮捕許諾請求という事態をどう受けとめているかということでございますが、検察当局は、中村前建設相に対するあっせん収賄被疑事件につきまして慎重に捜査を進めてきた中で逮捕状請求に踏み切ったものと理解をしておりまして、内閣としては、裁判官からの逮捕許諾に関する要求書の提出を受けて国会に対し逮捕許諾請求の手続を行ったところでございます。検察当局は今後とも法と証拠に照らして適正にその職責を果たしていくものと考えております。
 ゼネコン疑惑についてのお尋ねでございますが、いわゆる公共工事をめぐる地方公共団体の首長の汚職についての事件の解明につきましては、検察当局におきまして厳正に捜査が行われてきたと認識をいたしております。
 今回の御指摘の事件につきましても、検察当局におきまして厳正な捜査が続けられるものと思われますので、それを見守ってまいりたいと思いますし、また一連のゼネコン疑惑を引き起こした建設業界に対しましては、建設省におきまして厳しく指導を行っていると承知をいたしております。
 また、この一連の不祥事根絶の対策として、入札・契約制度の改革が具体的に進められていることも御承知のとおりで、今後、国はもとよりすべての発注機関がその趣旨を体して制度の改革に取り組まれることを強く期待しているところでございます。
 佐川急便からの私の一億円借入問題等についてのお尋ねでございますが、本件はもともと私の私生活に関するものでございますが、私としては既に国会の場に資料も御提出をし、本会議や委員会での御質問にも誠心誠意お答えをしてきたつもりでございます。衆議院議長名による記録の提出につきましては、関係省庁において決定された判断を尊重してまいりたいと思っております。
 また、元秘書に対する証人喚問につきましては、国会のお決めになることではございますが、私としては私自身が資料も提出をし、また質問にもお答えをしている以上、喚問するまでもなくその疑念は晴らしていただけるものと考えております。
 増税についての考え方の基本は変わっていないのか、こういうことでございますが、活力ある高齢化社会を構築するためには国民一人一人がそれ相応の費用、責任を分かち合うことが必要であって、バランスのとれた税体系を構築することが必要であるということを繰り返し申し上げてまいりました。
 いわゆる税制改革草案は、こうした認識に立って昨年来の税調の御審議あるいは政府・与党間における協議の積み重ねを踏まえて提案をさせていただいたものでございます。
 税制改革につきましては、先日、「年内の国会において関係の法律を成立させるものとする。」という与党の合意が成立をいたしました。政府としては、この協議を踏まえつつ、年内に税制改革の実現を図るように努力をしてまいりたいと思っております。
 ゴールドプランの予算についてのお尋ねでございますが、ゴールドプラン関係の予算額は平成五年度、六年度、おのおの対前年度比で一〇・一%、一一・六%の伸びでありまして、極めて重要な予算として配慮しているところでございます。今回の新税の提案の際にも、ゴールドプランの見直しを行うことによって公費全体で約六千億円、現在のゴールドブラン関係経費の約六〇%に当たる増額が必要と考えたところでありまして、その点はぜひ御理解を願いたいと存じます。
 それから、人員削減に対する雇用対策いかんということでございますが、公共職業安定所におきまして産業、地域における雇用動向の的確な把握に努めているところでございまして、雇用維持のための労使の努力を積極的に支援いたしますとともに、事業主が安易な解雇などを行わないように必要に応じて助言や指導をしてまいりたいと思っております。
 雇用削減計画の中止などについてのお尋ねでございますが、経済環境が変わっていく中で企業はそれぞれ新たな環境に適応すべくさまざまな努力をしておりますが、政府としてももちろん雇用の安定を図るということが極めて重要な政策課題だと認識をしております。先般決定いたしました総合経済対策や六年度当初予算におきまして、雇用支援トータルプログラムの実施など積極的な雇用対策を盛り込んでいるところでございます。今後とも雇用の安定に心がけてまいりたいと思っております。
 産業の空洞化対策についてのお尋ねもございましたが、昨年来の急激な円高などを背景に、今後さらに製造業を中心に海外進出が進展する可能性がございますが、それが行き過ぎた場合に空洞化が生じるのではないかという懸念があることはよく認識をしておりますし、今般の経済対策におきましても、新規事業の創出や事業の拡大あるいは市場の効率化の観点から規制緩和を推進し、また新規産業の発展や創造的な事業展開を促すために、創造的な研究開発の推進でありますとか、あるいは独創的な人材の育成でありますとか、高度情報化に向けた環境の整備などにつきまして種々の施策を講ずることにしたところでございます。
 こうした政策対応によりまして、我が国企業の海外展開が我が国と世界経済の両方に利益をもたらしつつ進展をしていくように、今後ともその動向をしっかり注目をしてまいりたいと思っております。
 大企業による発注の削減についてのお尋ねでございますが、政府としては、大企業による買いただきなど下請企業に対する不当なしわ寄せが行われないように、従来から下請代金支払遅延等防止法の厳正な運用を図るなど下請企業対策に努めているところでございます。
 中小企業基本法に基づく輸入規制についてのお尋ねでございますが、中小企業基本法二十二条に基づく輸入品との関係の調整措置は、いわゆる緊急避難的な措置でありますことから慎重に対応することが必要だと思っております。
 一方、現下の景況におきましては、中小企業の経済の構造的な変化への対応を支援していくということが特に必要であるという認識のもとに、中小企業新分野進出等円滑化法を制定することなどによりまして、中小企業の活路を切り開いていく努力をできるだけきめ細かく支援をすることにしたところでございまして、政府としては、むしろこうした施策の適切な実施に努めてまいりたい、このように思っております。
 官公需の中小企業発注比率についてのお尋ねでございますが、これも本会議場で再々申し上げておりますように、官公需における中小企業者の受注機会の確保につきましては、従来から官公需確保法に基づいて毎年度、国等の契約の方針を閣議決定するなど努力をしているところでございまして、今後とも意を用いてまいりたいと思っております。
 中小零細企業者のための緊急融資制度についてのお尋ねもございましたが、政府としては、幾たびかの総合経済対策などによりまして財投金利を下回る低利の融資制度の創設など、総額四兆円を超える思い切った中小企業金融対策を決定したところでございまして、これらによりまして中小企業の金融の円滑化に相当な効果があるものと期待をしているところでございます。
 六十歳定年制や六十五歳までの継続雇用についてのお尋ねでございますが、高齢化の進展に対応して、六十歳定年制を確立するとともに、六十五歳まで働ける環境づくりを行うために、法的な整備を含めて高齢者の雇用対策の一層の拡充を図ってまいりたいと思っております。
 年金の六十五歳支給延長と保険料負担割合についてのお尋ねですが、六十歳代前半の厚生年金の見直しは、年金財政の観点からだけでなく活力のある長寿社会を築いていくために必要な改正でありまして、見直しに当たりましては、年金制度も雇用促進的なものとし、雇用と年金との連携に配慮しているところでございます。
 また、国庫負担の引き上げは、社会保険方式による国庫負担のあり方といった問題や財源をどう確保するかといった問題があって、中長期的な検討課題だと認識をいたしております。
 なお、保険料の負担割合は、労使折半が定着をしておりますし、見直すことは困難であると考えているところでございます。
 保険給付の見直しについてのお尋ねもございましたが、このたびの医療保険制度等の改革は、今後とも国民が安心して医療を受けられるようにするとともにサービスの質の向上といった新たな課題にこたえるために、付添看護に伴う患者負担の解消、あるいは在宅医療の推進、さらにはまた入院時の食事についての保険給付の見直しを柱として実施をするものでございます。本格的な高齢化社会を控えて、医療保険制度の中長期的な安定を図りながら医療サービスの一層の改善を目指していくという観点から不可欠の改革であると考えているところでございます。
 私学への国庫助成の削減についてのお尋ねでございますが、平成六年度は私学等に対する補助金を削減いたしましたが、一方で地方交付税措置を充実しておりまして、補助金と地方交付税措置をあわせた財源措置につきましては拡充を図ったところでございます。今後とも、私学振興助成法の趣旨に沿いまして、国と地方団体とが相協力して私学助成の推進に努力をしてまいりたいと思っております。
 外交問題について、スーパー三〇一条についてのお尋ねでございますが、繰り返し申し上げておりますとおり、三〇一条の復活には政府として懸念をいたしております。今後、政府としては米国政府に良識のある対応を期待いたしますとともに、我が国としても冷静に対処し、また自主的にとり得る措置は積極的に講じてまいりたい、このように思っております。
 包括協議は直ちにやめるべきであるという御指摘もございましたが、包括経済協議は日米双方の努力によって両国の対外不均衡の中期的な改善を図っていこう、そしてまた安定的な日米経済関係を築いていくものであるという重要な意義を持ったものであると認識をしておりますし、当面考察期間を置いておりますが、何らかの形で打開の糸口を探ってまいりたいと考えているところでございます。
 内需拡大への政策転換についてのお尋ねでございますが、総じて低迷が続いている我が国の経済を内需を中心とするインフレなき持続可能な成長へと移行させていくとともに、豊かさを実感できる経済社会を構築していくということは、申すまでもなく重要な課題でございますし、経済情勢に対応して適切な経済運営に努めることはもちろん、経済社会の制度、仕組みそのものを見直して活路を切り開いていくことは、おっしゃるように不可欠なことだと思っております。国際的に調和がとれ、活力を備え、生活者を重視した経済社会の実現に向けて構造的な改革というものを着実に進めてまいりたいと考えているところでございます。
 米のウルグアイ・ラウンド合意の撤回についてのお尋ねがございましたが、本調整案の受け入れば、ウルグアイ・ラウンド交渉の成功のために応分の貢献を果たすということが我が国の国際的な責務であるという観点から、ぎりぎりの判断をしたものでございます。この受け入れが農家の方々に不安や動揺を来さないためにも、できる限りの国内対策を講じていかなければならないと考えているわけで、関係閣僚による緊急農業農村対策本部を設置して農政の推進に全力を尽くすこととしているところでございます。
 米不足問題につきましても昨日来お答えをしてまいりましたが、御指摘のような状況に対応して三月は国産米の売却量をふやしたところで、全体的な供給量に不足はございませんと申し上げてまいりました。さらに、輸入米の配送の機動化、迅速化、あるいは販売業者に対する特別巡回指導、あるいは国産米と輸入米とのブレンドの積極的な活用の指導など、当面の事態に対応した措置を講じまして、政府としても最善の努力をしてまいりたいと思っております。
 同じく米の備蓄についてのお尋ねもございましたが、平成五年産米の作柄が戦後最低の水準となったことに対応いたしまして、安定的な米の供給を確保するために水田営農活性化対策の見直しを行い、平成八米穀年度末の在庫数量を百三十万トン程度をめどとして、転作など目標面積を七万六千ヘクタール緩和することとしたことは御承知のとおりでございます。今後、中期的な視点に立った備蓄と用途に応じた需給の均衡を確保することができる新たな米管理のシステムの整備につきまして検討を進めることとしております。
 軍事費をさらにふやすことは対米追随外交ではないかというお話でございますが、我が国の防衛費は我が国が自主的な判断に基づいて決定をしているものでございまして、対米追随との御指摘は当たらないと考えております。
 集団的自衛権についてもお話がございましたが、自衛隊による米軍に対する支援活動が我が国憲法の枠内で実施されることは当然のことでございまして、憲法上禁止されている集団的自衛権の行使に当たるような支援活動をしないということは言うまでもないことだと思っております。(拍手)
#13
○副議長(赤桐操君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時三十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開議
#14
○議長(原文兵衛君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。竹山裕君。
   〔竹山裕君登壇、拍手〕
#15
○竹山裕君 私は、自由民主党を代表いたしまして、さきの政府演説に対して、経済、中小企業、農業問題、行政改革、社会保障、外交・安全保障について、総理大臣を初め関係大臣に質問を行います。
 平成三年五月から始まったバブル崩壊の影響は政府の見通しをほるかに上回り、不況突入から三年近くを経た今、なお経済のあらゆる面でその後遺症に苦しんでおります。設備投資の減退を初め、個人消費も停滞を続けたまま、景気はまだ十分な底固めを見ていない状況にあります。
 このような戦後最長、最悪と言われる深刻なデフレ不況にもかかわらず、総理の指導力不足により、おくれにおくれた政治改革が決着するまでは経済対策に手をつけられなかった上、減税問題では閣内不統一を露呈し大混迷に陥り、予算の国会提出が異例の三月上旬になるに及んでは、経済無策、政策不況とそしられるのは当然であり、総理の責任は極めて重大であると言わなければなりません。総理の見解を明らかにしていただきたいのであります。
 政府は、予算編成の前提となる経済成長を国内総生産で二・四%としておりますが、景気対策の目玉である所得減税にしても、単年度の見せかけ減税であり、公共料金、年金掛金のアップにより減税の効果が大きく減殺されることになります。政府の成長率見通しは、幾ら努力目標であるにしても過大見積もりであると言わざるを得ません。
 予算編成に当たって、景気対策はもう今回で終わりだとの政府高官の安易な発言がありましたが、総理も今後新たな景気対策は必要ないと考えておられるのかどうか。米国との関係だけでなく、景気の今後を真剣に見据えた上での所見をお聞かせ願いたいのであります。
 我が国がかって経験したことのない資産デフレと不良債権問題が不況回復のネックとされている中、住宅建設は唯一高い水準で推移しておりますが、需要全体を引っ張る機関車役としては、なおおのずから限界があります。したがって、大規模な生活関連及び情報・通信等の公共投資の積極的な推進とあわせて、土地の有効利用が強く望まれているのであります。
 このため、税制を初め、金融、財政の各般にわたり土地の流動化を促進し、金融システムを円滑化することにより住宅の質量両面にわたる改善、インフラの充実、産業活動の活性化の突破口を開いていくことが緊要であります。その一端として、地価が暴落してバブル再燃の心配がない今、長期保有土地の譲渡益課税の軽減や地価税の一時凍結などについてもっと弾力的に対応すべきでありますが、総理としての御所見をお聞かせください。
 我が党としては、土地取引の活性化の緊要性に照らして、議員立法をも辞さない考えであることを申し添えておきます。
 景気の回復には、経済活動において血液の役割を果たす資金の供給が円滑に行われなければなりません。しかし、金融機関の貸し出しを初めとするマネーサプライは閉塞したままであり、これの円滑化には不良債権問題が立ちはだかっております。連立与党内でも種々の大構想があったと聞いておりますが、とどのつまりはノンバンクごとの特別目的会社の設立という対策に終わっております。これらの対策だけでは不良債権の償却は長引き、金融危機を招来する懸念を払拭し切れないのであります。大蔵大臣の見解をお伺いしたいと存じます。
 雇用問題については、有効求人倍率が昨年十二月で〇・六五となり、完全失業率も二・九%、女子の失業率は三・一%と過去最悪の状況となりました。本年一月の数字は若干改善しておりますが、日銀短観の雇用判断では、主要企業、中小企業とも悪化の一途をたどっております。
 日本的雇用慣行のもとで、企業がぎりぎり支えている雇用が不況対策のおくれにより持ちこたえられなくなる心配が出てきております。企業が抱えている社内余剰人員は百数十万人とも言われております。雇用調整が本格化しつつあり、高齢者の首切りゃ就職難がますますひどくなり、大学は出たけれどという昔の流行語が今よみがえり、社会不安が現実のものとなりつつあります。
 また、大不況のもと経済構造の調整が進む中で、日本的な終身雇用の慣行が崩れていくとの見方が出ています。その中で、中高齢者の雇用安定にどのような対策を講ずるのか、当面最もしわ寄せを受ける女性、新規学卒者の採用にどう手を打っていくのか、社会不安が拡大しないように総理は責任を重く受けとめ答えていただきたい。
 次に、中小企業、農業問題に移ります。
 企業のリストラにより、中小企業は下請業務の激減、単価引き下げにより苦境に追い込まれ、不況型倒産も一段と増加しております。大凶作に加えて農産物の総自由化の追い打ちをかけられた農村も疲弊の一途をたどり、早急な再建対策の実施が要望されております。また、地域経済の一層の冷え込みにより地方税の大幅減収、予算編成の大幅なおくれにより地方財政は大ピンチに立たされております。
 厳しい不況のしわ寄せを受け、大凶作のダメージの真つただ中、中小企業や農業経営は過去に借り入れた高金利の負債が経営を押しつぶそうとしており、このままでは立ち上がれなくなるところにまで追い詰められております。一定金利を上回る高金利分の減免や一層の低利融資等、積極的な応急手当てを実施すべきでありますが、大蔵大臣の答弁を求めます。
 特に、農業については、本院の三度にわたる国会決議にもかかわらず、ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業合意を受けて日本の農業は大きな衝撃を受けています。このため、食糧の安全保障に必要な国内生産体制の改善、安定を基本として農業者が安心して営農にいそしめるよう国を挙げて早急に再建対策に取り組むべきであります。農業合意の受け入れで強い農政不信が渦巻いていますが、予算において従来の枠にとらわれない抜本的な対策を講じ、信頼を回復すべきであります。どのような特別な対策が織り込まれているのか、農林水産大臣の明確な答弁を求めます。
 具体的に、新たな国境措置のもとで国内の農業生産への影響を最小限に食いとめるための需給・価格対策をいかに講じていくか、関税化畜産物の価格をどうするのか、輸入増大に打ちのめされている肉牛経営者の救済も迫られている上に、外米輸入下の米の生産調整、国産米の入手難や価格の高騰など、重要問題は山積しております。
 批准や食管法の改正はこれからです。これらの対策をどうするのか、具体的に答えてください。もう勝負あったなどという考えのもとでの無策な対策では絶対に農民は許しません。
 ウルグアイ・ラウンド交渉について、政府は国会に対してその後の報告をしておりません。ウエーバーの取り扱い等、いろいろ隠れた問題があるはずです。早急な報告を求めます。
 さらに、林産物、水産物の関税引き下げや国際漁業規制の強化などにより、林業、漁業も一段と苦境に立たされております。国産材の広範な利活用、つくり育てる漁業のための海の畑づくりなどに特段の施策強化を図るべきではありませんか。農水大臣の所見を求めます。
 細川内閣は、地方重視と言いながら、不況対策においても中小企業や農業の多い地方の声に耳を傾けず、公共投資の配分方針にも見られるように地方切り捨てをもたらすのではないかと危惧せざるを得ません。
 特に、農業、農山村の再建の基礎条件として不可欠な農業基盤整備や漁村と一体的整備が肝要な漁港建設について、これを抑制すべき分野として扱っていることを見過ごすことはできません。農業再建元年と宣伝されている以上、農山漁村を活性化するために、これをぜひ優先すべき分野として重点投資されることを強く要望いたします。総理の所見を求めます。
 世界経済は米国を中心に上向きに転じ、海外の株式市場が活況を呈している中、日本の株は景気対策のおくれ、日米関係の先行き不安を反映して低迷しています。これはまた、米国、アジア諸国との競争力関係が変化し、円高の影響もあって景気回復パターンが内需依存型に変化しているにもかかわらず、その対応がおくれていることによるものであります。
 日本の内需拡大の牽引役となり、構造転換を主導する新しい投資分野の創出が急務であります。今のままでは日本の産業は空洞化します。新しい産業振興政策とリンクさせ、高齢労働力の活用、中小企業の活性化にも考慮して、かつ、グローバルな視点に立った産業ビジョンがぜひとも必要であります。その産業ビジョンは三月にはできると聞いていますが、総理、具体的に内容のポイントをお聞かせ願いたいのであります。
 平成六年度予算に見られるように、政府の対応は遅きに失し、見せかけが多く、景気回復に直接効き目のある真水の部分が少ない景気対策予鈴であり、先ほども例示いたしましたが、我が党の要請している予算重点項目や税制改革のあり方などから見て、内容的にも極めて不十分な点が多いことを指摘せざるを得ません。この際、景気回復のおくれを取り戻すためにも一層の改善が必要であると考えますが、総理の明快な答弁を求めます。
 次に、行政改革について伺います。
 細川総理、あなたは施政方針演説において、政治改革実現後の内閣の最重要課題が行政改革であることを強調されました。
 ところで、細川内閣になって最初の第三次行革審の最終答申や、去る二月八日に政府が発表した中期行革大綱は、縦割り行政とそのシステムによって既得権を守ろうとした官僚の抵抗により、行政の本体にメスを入れることはできず、総理が指導力を発揮したとは到底考えられない内容であります。
 先進国水準へのキャッチアップという我が国の歴史的課題が終了した今日、国家目標を失った官僚機構は自省の権益防衛、既得権の保護のエゴイズムへと走ったのであります。こうした官僚機構の改革について、第三次行革審の最終答申は、セクショナリズムにとらわれず国益全体を重視する公務員に脱皮するような意識改革が必要であるとしております。
 言うまでもなく、国家目標を創造し、その実現のためのビジョンをつくるのはまさに政治の役割であります。
 そこで、政策の基本的な方向の決定を政治が主体となって行うためには現在の強過ぎる官僚組織の改革が必要であり、そのためには、まず国と民間との役割分担がいかにあるべきかを見きわめ、効率的かつ十分な行政サービスが提供できるメカニズムを導入することが必要だと考えますが、細川総理は官僚組織、中央省庁改革をどのように実施するつもりか、お伺いいたします。
 官僚機構の改革とともに公務員の雇用システム自体の改革もまたぜひとも必要ではないかと考えますが、あわせて総理のお考えを伺います。
 次に、地方分権についてお尋ねします。
 我が国が経済大国と言われながら生活に豊かさが実感できないのは、今申し上げたような官僚の既得権、中央省庁の縦割り行政とあわせて、中央集権的な行政システムにより生活者本位の行政が実現していないからではないでしょうか。
 抜本的な地方分権の確立には地方と国の役割分担の見直しを行い、機関委任事務の廃止、移譲をも検討すべきだと考えます。さらに、権限を移譲するに当たっては財源問題を含めることが必要だと考えるのでありますが、細川総理は地方分権確立についていかなる施策を実施するつもりか、具体的な策をお聞かせ願いたい。
 あわせて、規制緩和について伺います。
 第二臨調・行革審による規制緩和の長期目標は十年以内に実質的半減という方針を打ち出しました。しかし現在、規制は増加の一途をたどり、一万一千四百二件存在しております。規制緩和の推進が急務であるのは何よりも現在の経済情勢からであります。対外経済摩擦の緩和、民間経済活力の向上、内外価格差の解消など不況対策としての規制緩和の意義を再認識すべきであります。
 規制緩和の真の目的は民間の自由な競争、創意、活力の発揮を可能にする基盤整備であると考えますが、総理は規制緩和の具体策をお持ちなのかどうか、どのように実施するつもりかお伺いいたします。
 我が国は、今や人生八十年時代と言われる世界最長寿国となりました。二十一世紀の本格的な高齢社会を迎えるに当たって、あるべき社会保障の全体像を国民の前に明らかする必要があると考えます。政府としても既に検討中のことと存じますが、改めて将来のあるべき社会保障の全体像をどのように考えているか、総理にまずお伺いしておきます。
 高齢社会福祉ビジョンの作成に当たって重要なことは財政負担の問題であります。去る二月三日未明に総理の国民福祉税発言が突如浮上し、結局幻となって消えたわけでありますが、今最も重要なことは、高齢社会がピークに達したとき国として持ちこたえられる財政とシステムを今世紀中に確立することであると思います。三月中に取りまとめが予定されている高齢社会福祉ビジョンの中で国民福祉税にかわる新たな財政負担の構想を示す意図があるのかどうか、また、行革審答申で国民負担率は高齢社会のピーク時において五〇%を下回ることを目標とするとしておりますが、高齢社会福祉ビジョンの中でもこれを堅持するおつもりなのか、考え方をお伺いします。
 年金改革は、今国会における最重要課題の一つであります。
 今回、政府は本格的高齢社会を目前に控え、厚生年金について満額年金の支給開始年齢の段階的引き上げとともに、六十歳から六十四歳の間は部分年金制度を導入する改革案を取りまとめております。
 一方、保険料については五年ごとに二・五%ずつ引き上げ、ボーナスからも徴収するとととしておりますが、ここに支給開始年齢引き上げの理由及び部分年金制度導入の意図、そして保険料率引き上げの根拠を国民の前に明らかにしていただきたいのであります。保険料率引き上げについてはせっかくの所得減税の効果を大きく減殺することになりますが、この影響についてもどのように見ているか明らかにしていただきたい。
 また、これらの改正が年金財政に与える影響をいかにお考えか。さらに、高齢者雇用を促進するような仕組みについて、年金と雇用との連携のとれた制度が必要であると思いますが、政府として具体的にどのような施策を講じようとしているのか、お伺いいたします。
 国庫負担の問題につきましては、連立与党では直ちに検討に着手すべき重要な課題と位置づけておりますが、政府としては国庫負担をどうするのか、その財源をどこに求めるのか、基本的な構想を厚生大臣にお伺いをいたします。
 また、公的年金制度の一元化については、昭和五十九年二月の閣議決定で、平成七年を目途に公的年金制度全体の一元化を完了させるとするスケジュールを定めておりますが、政府は今後一元化に向けてどう取り組んでいかれるのか、所見を伺います。
 次に、当面する我が国の外交・安全保障問題についてお尋ねします。
 細川連立政権が発足して既に半年が過ぎました。この間における細川政権の国際政治への対応を見るにつけ、この政権の外交の実態を厳しくたださなければなりません。
 細川総理、あなたはこれまでの対外政策について胸を張って国民に誇ることができるでしょうか。連立政権はその発足に当たって外交と安全保障に関しては自民党政権時代の政策を継承する旨を表明しました。しかし、実際に行ってきたことは、我が国を取り巻く国際情勢が刻々と変化する中で、みずからの外交・安全保障上の基本理念を示すことなく、その戦略を立てることもなく、そしてまた、一方では重要な決定をできるだけ先に延ばし、あるいは逆に日本の命運にかかわる外交上の選択を唐突に行ってはばからない、国民無視のまさに場当たり的外交と言われてもやむを得ない無責任きわまるものであります。
 米自由化のように、特に待ったなしの決定を迫られた事態では、事前に連立政権の内部でさえ徹底した議論を行うことなく、ましてや納得のいく外交手段を講ずることもなく、周りの情勢に押し流される形であっさりと受け入れを決定したのであります。
 そして、日米の経済協議では、ノーと言ったことをあたかも自慢でもするかのように、将来の日米関係にとって重要な事態をもたらしかねない結論を唐突に国民に突きつけたのであります。
 さらには、北方領土問題、日中問題、北朝鮮の核疑惑、頻発する地域紛争や民族紛争への対応など、その他の山積するさまざまな課題に対して細川外交は全くなすすべもないのが現実ではありませんか。
 国際関係がこれだけ複雑多様化し、各国がこれに速やかに対処するため懸命の努力をしているにもかかわらず、ひとり我が国だけは蚊帳の外にいるように見受けられるのですが、細川政権にはそのような自覚、問題意識すら欠落しているのではないでしょうか。
 確かに、細川政権発足の当初、多くの国民は期待に胸を膨らませたでありましょう。しかし、今国民の大多数は、理念もなく問題の深刻さや重要さを認識することもなく、徹底的に議論をすることを避け、ただ情勢に押され言行不一致、閣内不一致を露呈し、時には平然と前言を翻すパフォーマンスだけにたけた細川外交に気づき始めております。
 心ある国民の間には、細川外交の危うい性格を鋭く指摘し、細川外交には早急に終止符を打たなければならない、経済と外交をずたずたにして害毒をもたらしているなどという厳しい声があることを総理は御存じでしょうか。こうした声に総理はどうおこたえになり身を処すおつもりか、この際、はっきりと伺っておきたいのであります。
 日米関係は今、経済的なあつれきを生じておりますが、冷戦終結後の今日、重要性を増しているのは日米安保体制のあり方についてであります。
 かつての超大国、米ソのような対決の構造はもはや現実ではなくなりましたが、それにかわって多発する地域紛争の危険性が高まっている状況のもとで、我が国としても日米安保体制が新しい状況に合うよう検討を加えるときに来ていると思うのであります。
 我が国周辺で不測の事態が起こったときに備えて、日米両国は共通の防衛政策、そしてまた国防上の政策についてきちんとしたプランを持っておくべきではないでしょうか。今後とも日米関係を基軸として日本外交を進めていくために、より機動的な日米安保の将来像の検討を開始すべきときであると思いますが、総理にお伺いします。
 これと関連して、防衛計画の大綱の見直しの問題でありますが、総理は基盤的防衛力構想の見直しにも踏み込むと伝えられております。申し上げるまでもなく、この基盤的という意味は、平和時において必要最小限の防衛力という意味であり、独立国家としてまさに最低限保有すべき防衛力なのであります。自民党政権下で、冷戦時代にあっても現在のレベルに防衛力を抑えてきたことは、軍縮の先取りであったと高く評価されるべきものであります。
 しかし、冷戦は終結したといっても、我が国の周辺には膨大な軍備の質的向上に力を入れている中国、依然危機、緊張が高まる朝鮮半島の現実を見れば、自衛隊を現状より縮小してよい状況はどこにもないと思うのでありますが、今なぜ基盤的防衛力構想を見直さなければならないのか、総理、理由をはっきりお聞かせください。
 以上、我が国の当面する現状への政府の対応策の一端についてただしてまいりましたが、質問を終えるに当たり、細川内閣のこれまでの政策決定とその運営について一言申し述べたいと思います。
 連立政権下における半年の間、政治改革を初めとして、つい先日の内閣改造のリハーサル劇に至るまで、我が国の命運を決する重要課題への細川内閣の対応を野党の立場からつぶさに見てきて言えることは、重大な変革期に立たされている我が国の進路をどの方向に決め、その実現のために何をどうするのかの政治理念と哲学、そしてビジョンと指導力が欠落しているということであります。
 国民福祉税構想やタイミングを失した内閣改造騒ぎで支持率が急落した細川内閣も、いましばらくは国民も許容するでしょうが、しかし政治の課題は間断なく押し寄せできます。日本の選択を決定する重要課題について、これ以上のミスリーディングを犯すことのないよう強く要望して、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣細川護熙君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(細川護熙君) 初めに、経済対策についてのお尋ねでございましたが、政府としてはこれまでも適宜適切に対処してきたところでございますが、総合経済対策あるいは五年度の三次補正予算、六年度の当初予算などの諸施策を速やかに、かつ着実に実施をしていくことによりまして、我が国の経済をできるだけ早く本格的な回復の軌道に乗せてまいりたいと思っております。
 新たな追加対策についてのお尋ねもございましたが、ただいま申し上げたような諸対策を進めていくことによりまして、我が国の経済は経済見通しでお示しをした姿になるものと見込んでいるところでございます。
 土地税制についてのお尋ねでございますが、現行の土地税制は平成三年度税制改正におきまして長期的、安定的な制度として設けられたもので、今後ともその着実な実施に努めることが重要であると考えております。六年度の改正におきましては、年度答申でも述べられておりますように、現行の土地税制の基本的な枠組みの範囲内において、国土政策等との調和に配慮しつつ、土地の有効利用を促進する観点から適切な対応を図ることが必要であるという考え方が示されておりますし、その考え方のもとで有効な措置を講ずることとしているところでございます。
 雇用問題についてのお尋ねでございますが、御指摘がございましたように、有効求人倍率あるいは完全失業率も厳しい状況が続いておりますが、先般決定いたしました総合経済対策、六年度予算におきまして雇用支援トータルプログラムの実施など積極的な雇用対策を盛り込んだところで、今後とも全力で取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 農業基盤整備、漁港建設についてのお尋ねでございますが、六年度予算におきましても、農林水産関係公共事業につきましては、農業農村整備事業につきまして三次補正予算で計上した国際化対応緊急農業対策をあわせて考えますと、農業の体質強化を進める上で当面の事業量は確保できていると考えておりますし、また、漁港事業につきましても前年度を上回る予算を計上し、第九次漁港整備長期計画において必要な事業量を計上したところで、総体として必要な事業量を確保していることを御理解いただきたいと存じます。
 産業ビジョンについてのお尋ねがございましたが、先般の総合対策を受けまして、去る二月に通産省におきまして新規市場創造プログラムを取りまとめたところでございます。このプログラムは、住宅関連、情報・通信関連を初めとする新規成長分野につきまして、その将来展望や関連する研究開発、規制緩和あるいはまた社会資本整備などの政策を示すとともに、新規の市場を創造するための業種横断的な環境整備について取りまとめているものでございます。
 また、産業構造審議会において、中長期的な産業構造の展望と政策課題につきましてこのプログラムをも踏まえながら総合的な検討をいただいているところでございまして、六月をめどに取りまとめていただく予定になっております。
 それから、平成六年度予算と景気回復についてのお尋ねでございますが、お話がございました真水という概念につきましては明確な定義はございませんで、そのような概念を使った整理というものはしておりませんが、平成六年度予算は第三次補正予算とあわせて可能な限り景気に配慮するように努めますとともに、特例公債の発行を抑制するために従来に増して歳出の洗い直しに取り組む一方で、重点的、効率的な配分に努めたところでございます。
 具体的には、一般歳出は五年度当初に比べまして二・三%増と極めて抑制された姿になっております中で、投資部門の経費は経常部門に比べまして高い伸びを確保することとして、平成五年度の第三次補正予算とあわせまして景気に可能な限り配慮したところでございます。
 特に、公共事業関係費につきましては、六年度予算において対五年度当初比で四・〇%増の約九兆弱を確保しておりますし、さらに五年度の第三次補正予算による追加分を合わせてみますと相当規模の公共投資を確保いたしております。
 また、地方単独事業につきましては、地方財政を取り巻く厳しい状況の中でございますが、六年度におきましても昨年度と同率の一二%増という高い伸びを確保いたしました。
 このほかにも住宅投資の促進、中小企業対策あるいは雇用対策など、できるだけきめの細かい対策を実施するということにしておりまして、できるだけ景気に配慮したものにしたところでございます。
 官僚組織、中央省庁の改革ということについてのお尋ねがございましたが、先般、閣議決定をいたしました行政改革の推進方策におきましては、行革審の最終答申を踏まえまして、内閣の総合調整機能の充実、各省庁の人事交流、あるいは啓発、研修の一層の拡充整備などの方策を決定したところでございます。また、中央省庁の再編につきましては、さきの行革審答申を踏まえまして、中長期的な観点から引き続き検討すべき課題と考えております。
 公務員の雇用システムについてもお尋ねがございましたが、従来から各省庁の職員を対象とした啓発の機会やあるいは合同研修を実施いたしますとともに、省庁間の人事交流を推進するなど、政府職員としての一体感の涵養、あるいはまた各省庁の枠にとらわれない視野の養成などを図ってきているところでございますが、御指摘の点も含めまして、国家公務員の人事管理については先ほども申し上げました行政改革の推進方策に基づいて今後さらに検討をしてまいりたいと思っております。
 地方分権についてのお尋ねでございますが、昨年十月の行革審からの最終答申を踏まえまして、行革の推進につきまして閣議決定をいたしたわけでございますが、これは先ほども申し上げたとおりですが、その中で政府の重要課題として分権の推進を図ることといたしております。お話にございました機関委任事務の問題を含めまして、権限の移譲、地方税財源の充実など具体的な成果を上げるべく、文字どおり前向きに取り組んでまいりたいと思っております。
 それから、規制緩和についてお尋ねがございましたが、先ほど申し上げたところの行政改革の推進方策におきまして、規制緩和の推進を大きな柱にしているところでございます。
 まず、当面の緩和措置の着実な実行を図るということで、規制緩和推進計画の策定など中期的な取り組み方策について定めたところでございます。重点的にこれを推進をしていくということが大事であろうということで、特に住宅、土地、情報・通信、流通などの分野に関するそういった規制の見直しについて取り組んでまいりたいということで今作業を進めております。
 将来の社会保障の全体像についてのお尋ねでございますが、厚生省において二十一世紀におけるあるべき社会保障の全体像について今月末をめどに検討をしていただいております。
 連立与党におきましても、協議会のもとに年金・医療等福祉に関する小委員会など三つの委員会を設置いたしまして、今国会中に結論を出されるというふうに承知をいたしております。
 あるべき社会保障の全体像につきましては、こうした懇談会等において示されるものと考えておりますが、その結果につきましては、いずれにしても幅広い御論議をいただきたいと考えているところでございます。
 高齢社会福祉ビジョンと財政負担、それから国民負担率といったような点についてのお尋ねでございますが、国民所得に対する租税負担と社会保障負担を合わせた国民負担率につきましては、欧米諸国と比べても低い水準にとどまっておりますが、今後高齢化、少子化が進んでいく中で相当程度増加をしていくことが見込まれるところでございます。その場合の国民負担の程度につきましては、基本的には国民の選択にゆだねられるべき事柄でございますが、将来の社会保障に関する給付と負担につきましては、厚生大臣のもとに設置されております懇談会において現在まさに御検討をいただいているところでございます。
 外交の評価についてのお尋ねでございましたが、何をもって危ないとおっしゃるのかよくわかりませんが、私としては、我が国が今日山積している世界的な諸問題の解決に積極的な役割を果たし、国際社会の中で一層信頼される国となるように真剣に取り組んでまいりましたし、また今後ともそのために全力を尽くしてまいりたいと思っております。
 日米共通の防衛政策についてのプランあるいは日米安保の将来像といったことについてのお尋ねがございました。
 我が国としては、日米安保体制の信頼性の維持向上を図るため、引き続き緊密な対話と協力を当然推進をしていかなければならないと考えておりますし、日米安保条約の円滑で効果的な運用のために今後とも努力をしてまいりたいと思っております。
 それから、基盤的防衛力構想についてのお尋ねでございますが、冷戦終了後におきましてもアジア・太平洋地域は依然として不安定な要因を抱えておりますが、大綱が策定されてから約二十年が経過したことを考えますと、その間の国際情勢の変化や目覚ましい科学技術の進歩を踏まえて、例えば基盤的な防衛力とはいかなるものであるべきかというようなことも含めて、現在の大綱の考え方の中にも再整理をすべきところがあるのではないかというふうに思っているわけでございます。そのような観点に立ちまして、今後の防衛力のあるべき姿を見定めていくべく政府部内で検討を進めているところでございます。
 なお、この検討は初めから防衛力の削減を目的としているものではございません。
 残余のお尋ねにつきましては、関係大臣からお答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣藤井裕久君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(藤井裕久君) 不良債権の問題についてございましたが、これを解決するためには、やはりおっしゃるとおり厳しく真剣な取り組み努力と相当の調整期間が必要であるということは事実だと思います。
 そのために、平成四年の八月に「金融行政の当面の運営方針」でこのことを述べ、それに基づいて各種の施策を盛り込んで逐次具体化して実行に移してまいったのは御承知と思います。
 今回の総合経済対策、そしてそれと同時に「金融機関の不良資産問題についての行政上の指針」というものを公表いたしましたが、これに沿って不良債権問題の解決に向けて最善の努力を払うことにより、預金者保護と信用秩序の維持に万全を期するとともに、資金の円滑な供給が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
 また、中小企業者や農業者の方々の低利融資の問題について御質問がございましたが、政府関係中小企業金融機関による財投金利を下回る低利の特別貸付制度である運転資金支援特別貸付制度や、農林公庫による償還円滑化資金といったものがあるほか、御指摘ありました冷害対策、昨年の十月でございますが、天災融資法に基づく天災資金、農林公庫の災害資金について金利引き下げ等の特例措置を講じております。
 さらに、今般の総合経済対策を受けまして、政府関係中小企業金融機関の返済資金緊急特別貸付制度を改善し、対象となる債務の金利水準の引き下げや高金利部分の金利支払いの一時的繰り延べといった措置を講じておりますが、これらを通じまして中小企業の方々、農業者の方々に対して政府として適切な措置を講じてきているところでございます。(拍手)
   〔国務大臣畑英次郎君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(畑英次郎君) まず、今回の農業合意の受け入れに対する対策についてのお尋ねをいただいたわけでございます。
 今回のこの受け入れに伴います影響を最小限に食いとめますとともに、我が国農業の将来展望を切り開きまして、二十一世紀に向けました農業構造の早期実現を図ることがただいま与えられた最大の課題である、かような受けとめ方をさせていただいておるわけでございます。
 そういう中にございまして、今回の平成六年度予算におきましては、御案内のとおり、担い生育成のための総合的融資制度の創設、低コスト生産や規模拡大に必要な条件整備のための対策の強化など、新政策の推進に格段の厚みを持たさせていただいている内容に相なっておるわけでございます。
 とりわけ、ガット・ウルグアイ・ラウンドの関連対策といたしまして、お気づきのとおり、新規項目をかなり計上をさせていただいておるわけでございまして、担い生育成のための総合的融資制度の創設に当たりましては農業経営基盤強化資金、これは公庫資金でございますが、金利三・五%、利子助成により実効金利二%といったような対応も計上をさせていただいておるわけでございます。あるいは農業経営改善促進資金、これは運転資金であるわけでございますが、これも新規でございまして、金利三・三%。あるいはまた農業経営育成促進農業構造改善事業、これも新規として取り上げさせていただいておるわけでございます。あるいはまた担い生育成畑地帯総合整備事業、これも新規事業として取り上げさせていただいておるわけでございます。
 なおまた、いわゆる農業経営基盤強化促進法に基づきます望ましい農業経営育成の指針となります市町村基本構想の策定を当初予定を繰り上げまして六年度中にすべて完了をさせていただきたい、こういうような内容の計上もさせていただいておるような次第でございます。
 なおまた、そのほか青年農業者等育成確保資金、無利子資金の拡充等んも計上させていただいておりますし、あるいはまた中山間地域活性化推進事業、こういうことにも力を入れさせていただき、あるいは集落排水事業の積極的な展開等々につきましてもこれまた大きく事業費を伸ばさせていただいておるわけでございます。
 御案内のとおり、細川総理を本部長といたしますいわゆる対策本部のスタートをさせていただきまして、従来の農林水産省サイドの対応策もさることながら、面的に例えば地方の地域対策、さような見地から、自治省サイドにおきましても三千九百億円に上ります地方財政対策を御高配賜りまして、中山間地域対策を中心に町村段階におきさしても対策を取り行うことができますような姿になっております点につきましても御理解を賜りたいというように考えるわけでございます。
 新たな国境措置のもとでの農産物需給・価格対策につきましては、昨年暮れに閣議了解されました基本方針にありますように、今後におきまして、需給調整対策及び価格安定対策等につきましては農政審議会等々の御意見を踏まえつつ、所要の対策に十分対応をしてまいりたいというように考えておるわけでございます。
 次に、畜産に関するお尋ねをいただいたわけでございます。
 この問題につきましては、加工原料乳等畜産物の平成六年度の行政価格につきましては、本年三月末までに関係法令に従い、畜産振興審議会の意見を伺いまして適正に定めてまいる所存であります。また、肉用牛経営に対しましては、御案内のとおり、従来からの肉用子牛生産者補給金制度を活用いたしますとともに、収益性の悪化を救済するための対策等々を講じておるところでございます。今後とも、これらの対策を適切に実施をいたしまして肉用牛経営の安定に努めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
 次に、米の生産調整についての御質問をいただいたわけでございますが、従来から申し上げておりますとおり、ミニマムアクセスの導入に伴います転作の取り扱いにつきましては、昨年十二月十七日の閣議におきましても、米のミニマムアクセス導入に伴う転作の強化は行わない旨の方向で検討し、その具体化を図ることを閣議了解いたしておるところでございます。
 いずれにいたしましても、今後はそれを可能とするゆとりある米需給を確保するため、中期的観点に立った米備蓄のあり方、新規用途の開発、加工用米への弾力的な対応等、新たな米管理システムの整備の検討の中で、ミニマムアクセスの導入に伴う転作の強化は行わない方向で農政審等々の場において十分御検討を賜りたいというように考えておるわけでございます。
 さらに、最近の御心配を煩わしております国産米の問題、価格の高騰等についてお尋ねをいただいたわけでございます。
 従来から申し上げておりますとおり、三月から八月までのいわゆる米の消費量は、毎月五十万トン平均でございますから三百万トンを必要とするわけでございます。現在政府の手持ちといたしまして、国内産米におきまして百二十万トン、そしてまた輸入等々の分野におきまして七十万トン、これが一応の姿が今日はっきり打ち出されておるわけでございます。さらにまた、早場米等々の問題、こういうものを考えますと、量的な面におきましては全く心配は要らないという段階であるわけでございますが、一部消費者の根強い国産米志向等も加わりまして、安定的な販売に支障を来していることもこれまた事実であるわけでございます。
 私も現場に再三参りまして実態把握をいたしておるわけでございますが、三月は国産米の売却量をふやしまして、内外比率をほぼ五対五といたしたところでございまして、全体的な供給量に不足はないということを重ねて申し上げさせていただく次第でございます。
 これからの対応といたしましては、輸入米の配送の機動化、迅速化及び運送・倉庫業者に対する協力要請、そしてまた国産米と輸入米とのブレンドの積極的活用、あるいは販売業者に対する特別巡回指導、なおまた「米一一〇番」の活用による米の流通円滑化及び価格監視の強化、さらにまた消費者等に対するPRの実施等々によりまして安定供給にさらなる努力を傾注してまいりたい、かように考えさせていただいておるような次第でございます。
 いずれにいたしましても、本年の新米が出回るまでは限られた量の国産米を輸入米とあわせてバランスよく消費していただきますことを国民の皆様方にもお願いを申し上げたいというように考えるわけでござ、ます。
 なおまた、国産材の広範な利用等についてお尋ねを賜ったわけでございますが、林業そしてまた木材産業の活性化の問題につきましては、従来から大変な国民的課題としての位置づけに相なっておりますことは御案内のとおりであるわけでございます。
 我が国の森林資源を有効に利用しまして、国産材を中心とした木材の需要拡大を図ってまいることが喫緊のこれまた課題であるというように受けとめさせていただいておるわけでございます。国産材の低コスト安定供給体制の整備、木材利用に関する普及啓発、木材の新規用途の開発等々に取り組んでおるわけでございます。今後とも、国産材を中心とした木材の需要拡大に一層努力を傾注してまいりたいと考えておるわけでございます。
 最後に、つくり育てる漁業のための海の畑づくりに関するお尋ねを賜りました。この問題につきましては、沿整事業による漁礁設置や増養殖場等造成を通じましたいわゆる海の畑づくり、そしてまた栽培漁業によります魚介類の種苗生産、放流等の海の種づくりを一体的に推進をさせていただいておるところでございます。
 特に、平成六年度からは、今後六年間を対象期間として新たな第四次沿岸漁場整備開発計画、総事業費六千億円を策定しまして、海の畑づくり等々を従来以上に積極果敢に展開をしてまいりたい、かような取り組みを予定いたしておるところでございます。(拍手)
   〔国務大臣大内啓伍君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(大内啓伍君) 六点にわたり御質問をいただきました。
 まず、年金制度につきましては、御案内のような二十一世紀の超高齢化社会というものを展望いたしまして、長期的に安定したものとするとともに、人生八十年時代にふさわしい仕組みにしていく必要があると考えております。
 このため、六十歳代前半の年金につきましては現行の仕組みを見直しまして雇用促進的なものとし、雇用とあわせて生活を支える年金といたしまして、六十五歳以降の老後生活の保障の中心である年金とは別個の給付といたしまして報酬比例部分の年金いわゆる部分年金を支給することとした次第でございます。
 厚生年金の保険料率の引き上げ根拠についてのお尋ねでございますが、将来の保険料負担の軽減を図り、現在の現役世代と将来の現役世代の負担の公平を図るために今回の財政再計算におきまして見直しを行い、五年ごとに二・五%の引き上げを行うこととした次第でございます。
 なお、今回の改正に際しましては、保険料を納める方々の立場あるいは経済情勢等を配慮いたしまして保険料率の引き上げを二段階に分けて行うことといたしまして、平成六年十月からは二%、平成八年十月からは〇・八五%引き上げることとした次第でございます。
 次に、所得減税の効果への影響についてでございますが、経済全体として見れば、今回の年金保険料についての引き上げ等による厚生年金等の負担の増加は給付の改善や制度の成熟化による給付費の増加とほぼ見合っておりまして、保険料率の引き上げが減税の効果を減殺するものではないと考えております。
 ちなみに、平成六年度の厚生年金及び国民年金に係る保険料の増というのは全体で一兆五千六百億円弱でございまして、これに対しまして給付費の増は一兆五千六百億円を相当超えるという状況でございますので、今申し上げたように減税の効果を減殺するものではない。もっと正確に言いますと、減税が実施されます平成六年という単位で申しますと、保険料率は自己負担、事業者負担を合わせまして四千億にとどまるところでございます。
 次に、年金改革が年金財政に与える影響についてでございますが、現行制度のままでは最終保険料率、これは二〇二五年でございますが、三五%近くになるところを、今回の年金改正によりまして、六十歳代前半の年金の見直しを初めとするさまざまな措置を講ずることによりまして、最終保険料率を三〇%以下にとどめることができるという結果になっているわけでございます。
 それから、基礎年金の国庫負担のあり方についてのお尋ねでございますが、基礎年金の国庫負担率の引き上げにつきましては、昨年の十月にまとめられました年金審議会の意見書におきましても、中長期的課題として十分検討すべきであるとされているところでございます。
 この問題につきましては、一つには、保険料の拠出に見合った給付を行うことを原則といたします社会保険方式のもとで国庫負担のあり方をどう考えたらいいか。二つには、現行制度のままでも国庫負担は人口高齢化に伴い急速に増加するわけでございます。
 例えば、平成六年度の国庫負担は三兆九千億でございますが、六年後の二〇〇〇年におきましては、これが五兆三千億に膨らみ、さらにその十年後の二〇一〇年においては七兆円に膨らむ。現行の国庫負担率をもってしてもそのような結果になるわけでございまして、その辺を一体どう考えるかといった問題がございまして、単に年金制度のみならず、二十一世紀の高齢化社会の中で国民の負担をどうするかといった幅広い観点からの検討が必要でございまして、先ほど総理から申し上げましたように、そういう意味で今私どもは社会保障の全体像というものを定量的にも明らかにし、その中で幾つかの選択も明らかにいたしまして皆様の御論議を賜りたい、こう考えているところでございます。
 公的年金制度の一元化についてのお尋ねでございますが、公的年金制度の一元化につきましては、これまで昭和六十年改正によりまして全国民共通の基礎年金制度の導入を初めとして、逐次一元化に向けて取り組みを進めてまいったわけでございますし、また平成二年度からは、一元化までの当面の措置といたしまして、被用者年金制度間の費用負担の調整事業が実施されているところは御案内のとおりでございます。
 政府といたしましては、平成七年を目途にいたしまして一元化を完了させる、こういう目標に向かいまして関係者間の合意の形成を図るために、本年二月に被用者年金各制度共通の審議の場といたしまして公的年金制度の一元化に関する懇談会を発足させたところでございまして、今後この場における結果等を十分吟味いたしまして、公的年金制度の一元化の方向を積極的に推進してまいりたい、こう考えている次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#20
○議長(原文兵衛君) 下村泰君。
   〔下村泰君登壇、拍手〕
#21
○下村泰君 私は、二院クラブ所属議員の了承を得まして、障害を持つ人々、難病の人々にかかわる諸施策について、総理以下関係大臣にお尋ねいたします。
 私の伺いますことは、国政全般にかかわるものではありませんが、障害を持った方々、難病の方々には極めて重大なことでございますので、どうか誠意ある御答弁をお願いいたします。余りおざなりのお答えはいただきたくございません。
 昨年、二十三年ぶりに心身障害者対策基本法が改正され、名称も新たに障害者基本法となりました。まず、この件についてお尋ねいたします。
 第一点は、対象として本則には精神障害者が明記され、また参議院厚生委員会では、難病、自閉症、てんかんの人々についてもこの法の対象とするとの附帯決議がつけられました。これまでもこの中の一部の方々は対象とされてきましたが、既存の福祉法の対象外となり、法の谷間で苦しんでこられた方々が大勢おられます。今回の改正及び決議を生かすために、今後、具体的に対象者の範囲をどのように決め、そのために施策をどう講じようとされるのか、厚生、労働そして総理のお考えをお聞かせください。
 第二に、昨年十二月二十日、国連において障害者の機会均等化に関する基準規則が採択されました。これは二十二の分野で各国政府が実施目標とする障害者政策の基準を具体的に定めたものです。私は、基本法の具体化とこの規則の具体化は相互に関係する大変重要な問題と考えます。この基準規則に対する政府としての評価と今後の対応について、障害者対策推進本部長としての総理に伺いたいと思います。
 第三に、これまでの障害種別の福祉法ではなく総合的な障害者福祉法に統合し、厚生省の障害への種別による縦割り行政を改め担当部局を統合すべきと考えますが、厚生大臣及び総理のお考えはいかがでしょう。
 次に、難病の人々に対する施策について伺います。
 難病への対応は、特定疾患治療研究事業三十五疾患及び小児慢性特定疾患治療など二十年前に定められた難病対策要綱によって実施されているにとどまり、今なお治療偏重であり、他の障害者施策に比べてその対応は大きくおくれています。しかも、表皮水疱症のように、介護が大変だとして入院さえも拒否され、十分な治療を受けられず亡くなるという事態も起きています。そして、障害者手帳を持たぬ難病の方々は雇用、福祉からも排除されているのです。公衆衛生審議会の中で検討はされているようですが、福祉、医療、雇用、教育など多岐にわたる問題について法制化も含めた抜本的見直しを行う必要があると考えますが、厚生、労働及び総理はいかがお考えでしょう。
 次に、障害のある子供の教育について伺います。
 先ほども触れましたが、国連で採択された障害者の機会均等化に関する基準規則では、日本の特殊教育については例外的に認めていますが、統合された環境での教育の機会均等の原則を政府は認識すべきであるとの国際的原則を示したと思います。日本でも、人工呼吸器をつけたお子さんを初め多くの障害や難病の子供たちが普通学校に入学し、懸命に頑張っています。こうした子供たちが選択した人生をよりよいものにするために教育というものはあります。その子及び親の選択を最大限尊重し、極力普通学校への就学を促進すべきと考えます。基準規則に示された原則を踏まえ、文部大臣及び総理の率直なお考えをお聞かせください。
 さて、昨年来、建設省及び厚生省の関連団体から相次いで出された二つのレポートの中で、高齢化に対応した住宅整備をすれば二〇二五年には十一兆五千億円から十二兆円の経済効果があると述べられています。
 ところが、現実の社会では、車いすを見ただけで、あるいは難病とわかると、また高齢者というだけで民間住宅を借りられない人々がたくさんおられます。公営住宅においても、そうした人々への対応は少しずつ改善されつつありますが、重度障害者の単身入居や重度の難病の方の入居に当たっては多くの制約があり、排除されているのが現実であります。アメリカではこうした住宅に見る差別を禁止する法律が既に施行されています。法制化だけで解決するとは思いませんが、日本でもこうした積極的対応が必要と考えます。建設大臣のお考えをお聞かせください。
 高齢化社会に向けてという言葉を盛んに耳にしますが、障害者や難病者を含め、官民間わず、今後の住宅施策の基本的方向について伺います。
 去る一月二十六日、建築審議会は「高齢社会の到来及び障害者の社会参加の増進に配慮した優良な建築物の在り方に関する答申」を行いました。答申は、高齢者、障害者の利用に配慮した建築物の構造、設備基準の必要性を指摘しております。
 二十一世紀の超高齢社会を迎えるに当たり、高齢者、障害者も住みやすいように、建築物、道路、そして公共交通機関を国として町づくりの視点から縦割り行政の枠を払い一体的に整備する必要があると考えます。おのおのの省庁別の取り組みについては承知していますが、そこにはおのずと限界があります。財政負担のあり方も含め、いかに具体的に一体的に進めるのか、建設大臣、厚生大臣及び総理にお伺いします。
 次に、障害や難病、痴呆の方々の人権問題について伺います。
 障害、難病、痴呆であるというだけで財産を奪われ、だまされ、差別されたという事例は後を絶ちません。こうした事態を放置していいはずはなく、東京都でも精神薄弱者権利擁護センターを設置し対応しています。また最近、アメリカの広域障害者法律センターの呼びかけもあり、同様のものをつくろうという動きもあります。国として積極的な人権擁護、救済機関が必要と考えます。
 また、現行の禁治産宣告制度は一律に能力を奪うなどの問題があり、それにかわるものとしてイギリス、ドイツなど多くの国で、多少の違いはあるものの成年後見法が導入されています。日本において法制審議会や厚生省内の研究班でも検討が始められているように伺っています。この問題の政府の取り組みについて、総理の御答弁をお聞かせください。
 施政方針演説で総理も触れられたように、ことしは国際家族年です。この機会に障害者の社会的自立の視点から民法の扶養義務の見直しを行う考えがないか御答弁ください。
 次に、障害者施設について伺います。
 施設に対する考え方は立場によってさまざまですが、重度化、重複化、高齢化が進み、介護機能の充実のほか医療的ケアの必要性が大変高まっていることは紛れもない事実です。
 本年四月に、仙台の筋ジストロフィーの患者さん、これは「ありのまま舎」という舎を経営しておるんですが、この方たちが難病と闘い、命をすり減らしながら資金を集め、身体障害者療護施設を活用した難病ホスピスを開設します。しかし、従来の制度の基準の中では彼らの思うものをつくることはできず、資金、人材の面で基準以上の自己負担による対応が求められてきました。ここに至る血のにじむ患者さんたちの努力を見るにつけ、私は障害者施設のあり方が大きく変化していることを感じました。
 難病の人も含めた人間としてだれもが求める質の高い生活空間にふさわしいあり方が求められています。施設体系も含めた難病、障害者の生活施設の抜本的見直しを行う考えはないか、仙台の取り組みも含めて、厚生及び総理に伺います。
 次に、障害者雇用について伺います。日本は、障害者雇用促進等に関する法律に基づき雇用率制度を中心とした施策を展開してまいりました。一方、授産施設は数の絶対的不足もあり、思うような成果は得られていません。それを補うように、いわゆる法定外の小規模共同作業所は毎年二百五十カ所以上ふえ続け、昨年末にはとうとう全国で三千五百カ所にも達しています。
 私は、雇用におけるノーマライゼーションとは何かを問いつつ、今の雇用促進政策における重度障害者及び難病の方の就労促進に限界を感じております。雇用促進法の対象を拡大し、さらに保護雇用制度の導入など福祉的就労の充実に取り組む.へきと考えますが、そのようなお考えはないか、労働及び総理にお伺いします。
 次に、無年金障害者への対応について伺います。
 本年は年金法改正の年です。現在、日本には多くの無年金障害者がおられます。その数は正確にはわかりませんが、決して小さな数ではありません。無年金となった理由には、保険料負担が困難な場合や、加入したくとも一九八二年以前は加入さえ認められなかった在日外国人障害者や、加入期間がわずかばかり足りないなどさまざまですが、こうした多くの方々が制度の谷間で苦しんでおられます。無年金障害者問題について、保険の原理のみによることなく、社会連帯の立場から今後何らかの対応を真剣に考えるときだと思いますが、総理のお考えを伺います。
 生活者重視を標榜する新政権が、これまで以上に障害を持つ人や難病の人々のように声なき人々の抱える問題の解決に向けて誠心誠意取り組んでいただくことを強く要望いたします。そのために、ゴールドプランのような障害や難病の方々向けのこれまでの計画より具体的な長期計画を作成するお考えはないか、総理にお伺いいたします。
 質問の終わりに当たりまして、細川総理に申し上げます。
 落ちたとはいえ、まだ高い支持率を得ていらっしゃるようです。その支持率にはどうやってこたえなければならないか、それは総理自身がお答えを出すことですけれども、その改革政治を期待する人々を裏切ることのないように、問題解決に向けての御決意を承って、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣細川護熙君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(細川護熙君) 初めに、障害者基本法の対象者の範囲などについてのお尋ねでございますが、てんかんあるいは自閉症や障害をお持ちの難病の方々につきましては、従来から身体障害者福祉法などの各法によって必要な施策を講じてきているところと承知をしておりますが、先般の附帯決議の趣旨も踏まえて、今後とも障害者のニーズに応じたきめ細かな施策の推進に努めてまいりたいと考えております。
 それから、障害者の機会均等化に関する基準規則についてのお尋ねでございますが、政府としては、御指摘の基準規則の趣旨に賛同するものでございまして、その趣旨を踏まえて今後の我が国の障害者対策の推進につきまして努めてまいりたいと思っております。
 それから、統合的な障害者福祉法についての所見でございますが、障害者に対する各種の福祉施策の実施に当たりましては、身体障害者、精神薄弱者、精神障害者といった障害の種別や状況に応じて対応していくことが必要で、個別の法律に基づいて施策を講じることとしておりますのは今申し上げたような考え方に基づくものであって、今後ともこれらの法律を運用していくことによりまして障害者のニーズに対応した施策の推進を図っていくことが適当であろう、このように思っております。
 それから、難病対策についてのお尋ねでございますが、難病対策につきましては厚生省などの担当省庁におきまして、医療、福祉、教育や雇用などの各種の対策を推進いたしますほか、必要に応じて施策の充実を図っているところでございます。
 難病対策の今後のあり方につきましては、現在厚生省の審議会におきまして検討を行っているところでございますが、この審議の結果を踏まえて対策の充実に努めてまいりたいと考えております。
 次に、障害を持ったり、あるいは難病の子供たちが希望すれば普通学校に就学できるようにできないかと、こういうお話でございますが、心身障害児の教育につきましてはその障害の種類と程度に応じて適切な教育を行い、その能力をできるだけ伸ばし、可能な限り積極的に社会参加ができるように育てていくということが重要だと思っております。
 そこで、障害の程度の重い児童生徒は盲・聾・養護学校で、障害の程度が軽い児童生徒は小中学校の特殊学級などでそれぞれ教育をしていることは御承知のとおりでございます。障害の程度が重い児童生徒が小中学校の通常の学級で教育を受けるということは、その障害の種類、程度、特性、発達段階などに応じた適切な教育を受けることを難しくするものではないか、障害のある子供の真の健全な育成をかえって阻害する可能性があるのではないかと考えているわけでございまして、今後ともきめ細かくその一層の充実に努めてまいりたい、こういうふうに思っております。
 高齢者などの住宅対策についてのお尋ねでございますが、現在、第六期の住宅建設五カ年計画に基づいて、公共住宅の的確な供給、あるいは住宅金融公庫融資による民間住宅の誘導、住宅行政と福祉行政の連携などを通じまして高齢者や障害者に配慮した住宅の整備を推進しております。今後とも、高齢者や障害者の方々が安心して生活できるような住まいづくり、環境づくりを進めていくことを基本として住宅政策を展開してまいりたいと考えているところでございます。
 高齢者や障害者の住みやすいような町づくり、今のお議との関連でそういうお話もございましたが、そうした町づくりは、六年度の予算案におきましてもその推進に必要な予算を計上しているところでございます。今後とも、関係省庁間でよく連携をとって関連の事業の積極的な実施に努めてまいりたいと考えております。
 障害者などの人権擁護についてのお尋ねでございますが、政府としては、法務省の人権擁護機関や都道府県の精神薄弱者更生相談所などが家族や本人からの相談に応じて援助を行う体制を整備いたしております。したがって、障害者などの人権擁護について新しい制度を創設するということではなくて、人権擁護機関などの相談活動の充実強化を図ることによって対応してまりたい、このように考えているところでございます。
 また、法律上の問題が生じた場合に、貧困者に対して訴訟援助や弁護士による法律相談を行う法律扶助制度がございますし、このような制度の充実強化によりまして、これらの方々の人権擁護や救済を進めてまいりたいと考えているところでございます。
 成年後見問題についてのお話でございますが、成年後見の制度につきましては、高齢化社会を迎えるに当たっての課題であると認識をしておりますし、諸外国における法制度の進展などもにらみながら、今後関心を持って検討を続けてまいりたいと考えております。
 民法上の扶養義務の見直しについてのお尋ねでございますが、この点につきましては、民法は扶養を一般的な私人間の権利義務の関係として規律をしておりますので、この中で障害者の扶養について特別の取り扱いをすることには難しい問題があるというふうに考えておりますが、障害者の社会的な自立に関して民法の扶養制度がどのように対応できるかということにつきましては、なお考えでまいりたいと思っております。
 難病・障害者の生活施設についてのお尋ねでございますが、難病患者や障害者につきましては、こうした方々が必要とする医療サービスや福祉サービスの適切な提供が図られるように、関連施設の整備など各種の施策を講じてきているところでございます。今後とも、障害の程度や疾病の状況に応じましてさらに適切なサービスが受けられるように努力をしてまいりたいと存じます。
 障害者の雇用についてもお尋ねがございましたが、この点につきましては、働く意欲と能力を持つすべての障害者の方々にその適性と能力に応じた雇用の場が確保されるような社会を実現していくことが基本であることは申すまでもございません。
 そこで、特に重度障害者雇用対策に重点を置いた雇用率制度の厳正な運用でありますとか、あるいは重度障害者の雇用の場の確保、職業リハビリテーションの充実、あるいは精薄者、精神障害者の雇用の促進などを積極的に推進し、障害者の職業を通じての社会参加を今後とも促進をしてまいりたいと考えているところでございます。
 無年金障害者問題についてのお尋ねでございますが、さまざまな理由によって無年金となっている方々がおられることは承知をしておりますが、社会保険方式という年金制度の基本的な仕組みのもとでは、そうした無年金の方々に特別の措置を講じるのは大変難しい問題だというふうに思っております。
 政府としては、無年金の方々も含めて障害者の方々につきましては、福祉サービスの充実など広く障害者施策の推進に取り組んできているところで、今後ともそのような観点からの努力を続けさせていただきたいと考えているところでございます。
 障害や難病の方々向けの長期計画をつくったらどうかと、こういう趣旨のお尋ねでございますが、今後の障害者施策につきましては、昨年三月に障害者対策推進本部におきまして新長期計画を策定させていただきました。これは向こう十年間の施策の基本的な方向と具体的な方策を明らかにしたものでございまして、御承知のとおりかと思いますが、今後その着実な実施に向けて努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
 最後に、改革政治を期待する人々を裏切ることがないようにというお説でございましたが、申し上げるまでもなく、この政権は改革に対する国民の熱い期待を担って誕生したものでございますし、また改革を推し進めることによって国民の御支持を得てきているものであると肝に銘じております。今後とも、生活者重視の観点から我が国の経済社会が抱える構造改革に積極的に取り組んでまいりたい、このように考えている次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣大内啓伍君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(大内啓伍君) ただいま総理から相当部分についてお答えがございましたので、補足的に残余の問題にお答えをいたします。
 まず、障害者の対象でございますが、これは先般国会において可決されました障害者基本法、ここにおきまして初めて「身体障害、精神薄弱又は精神障害があるため、長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者」と明定がされたわけでございます。これらの方々に対しましては、身体障害者福祉法それから精神薄弱者福祉法並びに精神保健法によりまして、それぞれ所要の施策を講じてきておる次第でございます。
 附帯決議において触れられておりますてんかんの方々につきましては精神保健法で、また自閉症の方々につきましては精神薄弱者福祉法で、また難病によりまして身体または精神上の障害を有する方々につきましては身体障害者福祉法等によりまして、万全の対策をこれから講じてまいりたいと思っている次第でございまして、御指摘の附帯決議に係る諸点につきましては、これからも十分留意してその対策を充実してまいりたいと考えておる次第でございます。
 もう一つは、障害者の種別による縦割り行政を是正せよ、厚生省の担当部局も統合せよというお話がございましたが、障害者の種類というのは非常に種々ございまして、これに対してはそれぞれ相当きめの細かい対策が必要でございます。したがいまして、障害の種別に応じまして身体障害者福祉法であるとかあるいは精神薄弱者福祉法等、それぞれの障害の特性を踏まえまして施策を展開していることは御案内のとおりでございます。
 厚生省の中におきましてもいろいろな部局が分かれて対応して、るわけでござしますが、それらの内部におきましては日ごろ緊密な連携を確保しておりまして、御指摘のような縦割り行政の弊害が出ることのないように、我々としてはこれからも十分注意してまいりたいと思っておる次第でございます。
 それから、難病対策についての見直しについてお尋ねがございましたが、難病患者につきましては、患者の置かれた状況もこれまたさまざまでございまして、平成六年度予算におきましては予算ベースで約七百七十四億円を計上いたしまして、これは重点施策の一つとして取り上げているわけでございまして、在宅患者の緊急一時入院事業の新設、あるいは訪問看護制度の創設、あるいは訪問診療事業といったような在宅対策の充実を重視して推進をしてまいりたいと考えておりますし、また、今回の診療報酬改定に当たりまして医療保険における難病関係の診療報酬の引き上げ等も図った次第でございます。
 今後の対策のあり方につきましては、公衆衛生審議会難病対策専門委員会におきまして今抜本的な見直しが進められているわけでございますので、それらの御意見も踏まえまして、委員御指摘の諸点が前進いたしますように努力をさせていただきたいと思っている次第でございます。
 町づくり関係につきましても、大体総理からお答えを申し上げた次第でございまして、平成六年度予算案におきましては、「障害者や高齢者にやさしいまちづくり推進事業」というものを推進いたしまして、地方公共団体の取り組みを全面的に支援する、約三十の市町村にわたりまして補助金の対象にするというようなことを推進しているわけでございます。
 この事業は、地域社会全体として町づくりに取り組んでいくことが必要という考え方から、協議会の設置やあるいは総合計画の策定を支援いたしまして、加えてスロープや点字ブロックの設置あるいは段差の解消等の具体的な施設整備を推進していく次第でございます。
 なお、関係省庁といたしまして建設省あるいは運輸省等々との関係を十分密にいたしまして、これからそれらの町づくりを推進してまいりたいと思っている次第でございます。
 なお、仙台での難病ホスピス、これは筋ジストロフィーの専門のホスピスの問題についてお触れがございましたが、私ども今重度の筋ジストロフィーの患者の方々につきましては、国立療養所におきまして必要な治療や介護をするために万全の体制をとっておりまして、そこには一定のベッド数の確保といったようなものもお願いを申し上げておりまして、また軽度の筋ジストロフィーに対しましては社会福祉施設等において対応をさせていただいているところでございます。
 また、無年金の問題について御質問がございましたが、先ほど総理が御答弁申し上げた諸点で尽きているように思いますが、これからも一生懸命努力いたしまして御期待に沿うようにしたいと考えておる次第でございます。
 以上、御答弁申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣坂口力君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(坂口力君) 私にいただきました御質問、三点ございましたが、私の方も総理の方からもうほとんどお答えをいただきましたので、補足的にお答えを申し上げたいと存じます。
 一つは、心身障害者対策基本法が名前を含めて改正をされて、それで附帯決議もつけられた。これに対する対象の範囲をどう決めていくかという御質問でございました。
 障害者基本法におきましては、身体障害、精神薄弱、そしてまた精神障害を有する者が同法の対象であるということが明確に定められたわけでございまして、そうした意味でこの三点におきまして私たちもきめ細かくやっていきたいというふうに思っておりますが、とりわけその中でも精神障害の問題はまだ緒についたばかりでございまして、この精神障害の問題を特にこれから力を入れてやっていきたいというふうに思っております。もちろん身体障害、それから精神薄弱の方も力を入れていかなければならないことはもう言うまでもございません。
 それから二番目に、難病の問題でございますが、難病の問題につきまして、障害者雇用促進法におきましては、この障害者の定義につきまして、「長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者」と、こういたしておりますので、障害者手帳がない難病の方でございましてもこの中で取り扱いができるというふうに思っております。したがいまして、法的な見直しを行わなくても先生の御指摘におこたえができるものと考えております。
 それぞれの病気ごとの研究調査におきましては、日本障害者雇用促進協会がございまして、熱心にここでやらせていただいておりますが、手帳がない方でもこの中で対応ができるというふうに思っておりますので、これからひとつ頑張ってやっていきたいというふうに思っております。
 それからもう一つは、障害者雇用促進法の対象範囲の拡大についてでございましたが、この対象につきましては、先ほど申し上げましたとおり幅広く網がかぶされておりますので、今後その範囲内できめ細かく職業指導を行ってまいりたいというふうに思っております。
 特に、就職が困難な重度の障害者の雇用につきましては、先ほど総理からもございましたが、職業リハビリテーションの実施体制の整備と、それから通勤、住宅、福祉施設の面での働きやすい環境づくり、この二つを中心にいたしました障害者雇用促進法の改正案を今国会に提出をさせていただきたいと考えておりますので、何とぞひとつよろしくお願いを申し上げたいと存じます。
 以上、簡単でございますが、御答弁をさせていただきました。(拍手)
   〔国務大臣赤松良子君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(赤松良子君) 私に対する御質問は、障害のある子に対する教育についてであったと存じます。
 心身障害のある子の教育につきましては、その障害の種類と程度に応じて適切な教育を行い、その能力を最大限に伸ばし、可能な限り積極的に社会に参加する人間に育てることが重要であると考えます。このため我が国では、従来より障害の程度の重い児童生徒は盲・聾・養護学校で、障害の程度が軽い児童生徒は小中学校の特殊学級などできめ細かな教育を行っているということは、先ほどの総理の御答弁のとおりでございます。
 御指摘の国連の障害者の機会均等化に関する標準規則でございますが、これはガイドラインとしての性格を有するもので拘束力を持つものではございませんが、内容としては、医療、リハビリテーション、教育等二十二の分野を定めて、差別禁止や機会均等の実施に向けて具体的方法を示しており、このうち教育の分野に関しましては、加盟国の統合された環境における教育の機会均等の原則が提言されておりますことはよく認識をいたしております。
 しかし、一方で特殊教育の重要性も述べられていると承知いたしております。したがいまして、我が国の教育制度はこの規則の趣旨に反するようなものではないと理解をいたしております。
 今後とも心身障害児につきましては、障害の種類と程度に応じて、盲・聾・養護学校または小中学校の特殊学級等においてそれぞれ適切な教育を行っていくことにいたしたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣五十嵐広三君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(五十嵐広三君) 私への質問は三点であったと思いますが、いずれも大変大事な御指摘で、しっかり受けとめさせていただいてお答え申し上げたいと思う次第であります。
 御指摘のように、障害者、高齢者の方々が差別されることなく安心して居住できるということは、それはもう生きることの基本でありますから、したがって私どもの住宅政策におきましても最善の努力をしていかなければならないと考えております。
 建設省としては、特に公営住宅につきまして、高齢者向け、障害者向けのものを従前ふやしてきておりますが、これら住宅への入居につきましては、倍率優遇措置それから別枠公募などの方法で優先入居などの措置を講じている次第であります。また、重度の身体障害者の方も、専門の方に自活できると認めていただければ単身入居できるようにしているところでございます。大体、障害者とそれから高齢者の特定目的公営住宅は、ただいまそれぞれ一万六千ないし一万七千戸ぐらいに上っているところであります。
 民間の賃貸住宅につきましては、御指摘のような面が確かにあるわけでございまして、これらにつきましては貸し主の団体やあるいは宅地建物取引業者の団体などを通じて啓発を行っているところでありますが、なおこれからこのようなことのないように一層力を入れてまいりたいと思う次第であります。
 民間の方が建設した賃貸住宅を地方公共団体などが借り上げて、高齢者、障害者用に賃貸する福祉型借り上げ公共賃貸住宅制度を平成四年度に創設しておりまして、これまで年間約六百戸ぐらいずつやっているわけでありますが、今年度は公団の建てかえなどを含めて千五百戸に拡充をいたしていく方針でありまして、なお今後ともこれらにつきましては一層努力をしてまいりたい、こういうふうに考えているところであります。
 第二点目の御質問は、高齢化社会に向けて、障害者や難病の方々も含め、今後の住宅施策の基本的な方向についてのお尋ねでございます。
 ただいま申し上げましたように、高齢社会を目前に控えた我が国において、高齢者や障害者のニーズに対応した住宅政策を推進することは極めて重要なことであると認識しております。このため、第六期住宅建設五カ年計画に基づいて、同居、近居等多様な住まい方に応じた住宅供給の促進、設計・設備の面で配慮した住宅の供給、医療・福祉施策と連携のもと高齢者向けの住宅対策の実施などの施策を推進しているところであります。
 具体的には、第一に、公団賃貸住宅において高齢者とその子供などの世帯が同一団地内に居住できるように、入居について倍率優遇を実施いたしました。また、高齢者や障害者とその子供らの世帯が同居するための住宅建設に対する住宅金融公庫による割り増し融資の実施などをいたしているところであります。
 第二に、新設のすべての公営住宅、公団賃貸住宅において、段差の解消、手すりの設置等のバリアフリー化を進めるほか、既存の住宅を改造する場合においても可能な限りバリアフリー化を推進することといたしました。また、バリアフリー化を取り入れた民間住宅の整備に対する住宅金融公庫による割り増し融資の実施をいたしているところであります。
 第三に、公営住宅に関しましては、高齢者仕様で緊急時の連絡がとれるよう設備を備えるとともに、生活援助員が管理人として同居して、入居者に対して生活指導、安否確認などを行うシルバーハウジング・プロジェクトを実施いたしております。これは今大体千戸ぐらい入居してやっているわけでありますが、さらにこれから三千戸ぐらいの計画を持たさせていただいております。
 また、住都公団と住宅供給公社において、生活相談、定期健康診断などのサービスのほか、将来の家賃支払いの不安を解消するため、終身年金保険などを活用した仕組みを織り込んだシニア住宅供給推進事業の実施等も進めてきているところであります。
 なお、平成六年度政府予算案におきましても、住宅金融公庫融資の割り増し貸付額の引き上げやシニア住宅供給推進事業の拡充などを盛り込んでいるところであります。
 さらに、高齢社会への対応は、今後一層重要なテーマになるわけでありますから、次期住宅建設五カ年計画の策定に向けた検討を進めている住宅宅地審議会においてさらに突っ込んだ議論をいただいておりまして、その結果を住宅政策に反映させてまいる所存であります。
 最後に、第三番目の御質問でありますが、高齢者、障害者が住みやすい町づくりのためには、建築物や道路、公園等の公共施設はもとより、鉄道などの公共交通機関や介護サービスなどを含め、総合的な環境の整備がお話しのとおり大切であります。特に各種施策の実効を上げるためには、公共交通機関や社会福祉施設など関連する行政分野の相互連携が重要であることは申すまでもありません。
 例えば平成三年度から、市町村が中心になって公共交通機関や社会福祉部門などと調整の上、総合的な計画を策定し、建築物、道路など関連事業を進める「福祉の街づくりモデル事業」を実施しておりますが、さらに平成六年度からは、これを「人にやさしいまちづくり事業」に改組して、より一般的な制度として事業の推進を図ることといたしております。
 また、建設省としては、本年一月の御指摘の建築審議会の答申を踏まえて、高齢者、障害者が円滑に利用できる建築物の建築を促進するため所要の措置を講ずることを内容とした新しい法律案を今国会に提出することとしております。さらに、二十一世紀の高齢社会に対応した福祉の生活空間づくりのため、建築行政におけるその基本理念と施策の方向を明らかにする福祉大綱の策定を進めているところであります。
 これらの諸施策について御指摘の点をよく踏まえながら懸命に努力をすることを申し上げて、お答えにかえる次第であります。
 ありがとうございました。(拍手)
#27
○議長(原文兵衛君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十分散会
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ソース: 国立国会図書館
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