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1994/05/16 第129回国会 参議院 参議院会議録情報 第129回国会 本会議 第17号
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1994/05/16 第129回国会 参議院

参議院会議録情報 第129回国会 本会議 第17号

#1
第129回国会 本会議 第17号
平成六年五月十六日(月曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十六号
  平成六年五月十六日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 第二 国立学校設置法の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員、裁判官訴
  追委員及び同予備員辞任の件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員等各種委員
  の選挙
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(原文兵衛君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 勝木健司君、浜四津敏子君から裁判官弾劾裁判所裁判員予備員を、寺澤芳男君から裁判官訴追委員を、武田邦太郎君から同予備員を、それぞれ辞任いたしたいとの申し出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
 よって、いずれも許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(原文兵衛君) この際、
 裁判官弾劾裁判所裁判員予備員二名、
 裁判官訴追委員、同予備員、
 検察官適格審査会委員予備委員、
 国会等移転調査会委員各一名の選挙
を行います。
 つきましては、これら各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することとし、また、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員及び裁判官訴追委員予備員の職務を行う順序は、これを議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、
 裁判官弾劾裁判所裁判員予備員に足立良平君、
荒木清寛君を、
 裁判官訴追委員に武田邦太郎君を、
 同予備員に山崎順子君を、
 検察官適格審査会委員予備委員に井上哲夫君
 を、国会等移転調査会委員に星川保松君を、
それぞれ指名いたします。
 なお、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員の職務を行う順序は、足立良平君を第二順位とし、荒木清寛君を第三順位といたします。
 また、裁判官訴追委員予備員の職務を行う順序は、山崎順子君を第三順位といたします。
     ―――――・―――――
#7
○議長(原文兵衛君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 去る十三日に引き続き、これより順次質疑を許します。浜本万三君。
   〔浜本万三君登壇、拍手〕
#8
○浜本万三君 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表し、羽田総理並びに関係閣僚に対し、新内閣の基本姿勢及び政策に関し質問をいたします。
 質問に先立って、去る四月二十七日に起きた名古屋空港での中華航空機事故の犠牲となられた方々の御冥福をお祈りするとともに、その御遺族に対し心からお悔やみを申し上げます。また、けがをされて入院中の方々の御快癒を祈念するとともに、事故の原因究明並びに再発防止について政府として万全を期するよう強く要望をいたします。
 最初に、羽田内閣の政治姿勢について伺いたいと存じます。
 前細川連立政権は、国民が、従来の金にまみれた権力政治、数の論理に基づく政治ではなく、道義に基づく高い倫理性と筋の通ったわかりやすい妥協、この二つに裏打ちされた政治権力の確立を求めたがゆえに成立したものと言えましょう。
 これにこたえるべく我が日本社会党は、与党第一党としての責任を自覚し、政治改革に真剣に取り組むとともに、戦争責任の表明、所得減税、地方分権の推進、規制緩和による経済改革、汚職防止のための入札制度改善、さらには平成六年度予算における防衛費抑制、生活者重視といりた諸施策に取り組んでまいったのであります。
 これらの新しくかつ重要な成果を上げるために、少なくとも我が党は、数の論理や金の論理でなく、大胆な妥協と信頼関係に基づく政策の一致を重視してきました。昨年七月の八党派合意、去る四月の確認事項についての合意と、それに続く総理大臣指名選挙における羽田氏支持もそのあらわれでありました。
 ところが、数の論理優先の発想に立つ人たちが我が党抜きの新会派結成の策謀をめぐらしていることが明らかになったため、我が党は連立の基本である信義が失われたものと判断いたしまして、連立を離脱することに至ったのであります。
 連立政権に寄せられた国民の期待を裏切り、かかる信義則に反する事態を総理はどう受けとめておられるのか、この真意をお聞かせいただきたいと存じます。
 羽田総理は所信表明演説で、細川連立内閣の「改革」の旗を受け継ぎ、かつ同政権発足時の志を忘れないと述べられております。そうであるなら、昨年の八党派による合意と覚書の内容と精神を継承するものと理解いたしますが、それでよろしいでしょうか。
 また、確認事項についてでありますが、我が党は連立を離れ、これに拘束されない立場にあるとはいえ、一たん調印したものである以上、国民への公約として政治的、道義的責任を免れるものではありません。その意味で、新政権による実施姿勢を厳しく監視していく所存であります。羽田総理は、これを誠実に実行する御意思をお持ちなのか、その決意のほどを伺っておきたいところでございます。
 ところで、羽田総理が任命された永野前法務大臣の南京大虐殺でっち上げ、侵略戦争否定の発言、柿澤外務大臣や神田防衛庁長官、熊谷官房長官など主要閣僚による集団的自衛権の憲法解釈の見直し、有事立法制定の積極的発言などは、連立政権発足時の志を踏みにじる許しがたいものであります。しかも、これらの発言はたまたま偶然に特定の閣僚が不規則に行ったといったたぐいのものと見過ごすことはできません。強権的政治手法を背景とした羽田新内閣の性格がはしなくもあらわれたものと私は強い危惧を覚えるものでございます。
 実は、羽田政権は社会党が連立政権から離脱したため、細川政権とは全く質の違うものになっていると言わざるを得ません。総理の御見解を承っておきたいと思います。
 次に、外交問題について伺います。
 永野発言はアジアの人々の感情を逆なでにし、歴史的な事実を否定するものであり、我が国の国益を著しく損なったのであります。このような考え方の持ち主を安易に重要閣僚に任命した総理みずからの責任はどのように考えられておりましょうか。憲法第六十六条第二項に規定する閣僚の文民起用に照らしても、問題なしとしないのであります。総理の責任ある説明を承っておきたいと思います。
 今回の永野発言は、細川前総理がその正しい歴史認識に基づいて、さきの戦争は侵略戦争であったと明確に認めたことによってようやく芽生えつつあったアジア諸国の我が国に対する信頼を一気に突きます結果となりました。この信頼を回復することは並み大抵のことではありません。それだけに羽田総理の責任は重大であります。今後どう信頼回復に努めていかれるのか、お伺いをいたしたいと思います。
 我が党は、戦後補償対策特別委員会をつくってその問題に取り組んでまいりました。また今後、国会におきましても調査特別委員会を設置いたしましていろいろと取り組んでまいりたいと思いますが、日本政府といたしましても、南京事件などの真相を中国側の協力を得て調査するぐらいの対応が必要ではありませんか。総理の考え方を伺っておきたいと思います。
 そこで、私は羽田総理に提案したいと思います。
 羽田総理、あなたが今国会で答弁されているように、羽田政権がさきの連立政権の平和・軍縮路線を踏襲するものであれば、来年の戦後五十年という節目の年を前にして、戦争責任を反省し不戦の誓いを内外に明示するため、国会決議を行うとともに、内閣に戦後五十年問題調査会を設置されまして調査することを真剣に考えるべきではないでしょうか。御答弁願いたいと思います。
 あわせて、被爆五十周年を考慮し、被爆後、病気、生活、孤独の三重苦で苦しんでいる被爆者のために、ぜひとも懸案事項となっております国家補償に基づく原爆被爆者援護法を制定していただきたいと被爆地の声を代表して訴えておきたいと思います。羽田総理の誠意ある御答弁をいただきたいと思います。
 朝鮮民主主義人民共和国の核開発疑惑に関連して、集団的自衛権や国民に犠牲を強いるおそれが大きい有事立法についての閣僚の突出発言も国民にまた大きな不安を与えておるのであります。核疑惑の徹底解明、核開発の阻止は当然であります。しかし、これを好機とぽかりに危険きわまりない戦争のふちに国民を導くようなことは、決して許されてはなりません。
 羽田総理、集団的自衛権についての憲法解釈は絶対に変更しない、有事立法は考えない。このことを国民にはっきり約束していただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  また、国際貢献に名をかりて、国連が行う集団安全保障の一環としてであれば共和国に対する制裁行動に自衛隊が参加することも可能であるかのごとき議論が羽田政権になってまことしやかに語られていることはゆゆしい状況であります。PKO協力法制定の際、武器使用に制限を設けたように、平和憲法が我が国を防衛するための必要最小限度の範囲にとどまる自衛権行使以外のいかなる場合にも武力の行使を禁止していることに一点の疑いもないのであります。
 かかる平和憲法に沿った我が国の独自性を誇りとし、たとえ国連の方針が決定された場合であっても、そうした制約のもとでの協力であるということをはっきり約束していただきたいと思うわけであります。ましてや、あってはならないことでありますが、国連の枠外での米国の軍事活動に我が国は協力できない、してはならないことは明瞭であります。総理の確たる答弁を求めたいと思います。
 総理は、ヨーロッパ諸国歴訪の際、ドイツ、フランスで我が国の常任理事国入りに強い意欲を示されました。総理のこの行動は、さきに指摘したこれまでの憲法解釈を変更しようとした一連の大臣の発言と同様のものではな、かと私は疑いを持っておりましたが、先日の総理の答弁は必ずしもそうでないということでございましたので、しからば伺いますが、なぜ常任理事国に入らなければならないのか、入って何をしようとされるのか、全く不明であります。しかも、この問題についてはいまだ本格的な論議が尽くされておるとは言えません。今最も必要なことは国民的な議論を喚起することであると思いますが、総理の御認識を伺っておきたいと思います。
 物別れ状態になっておる日米包括経済協議については、羽田政権になって以来早期再開への期待が高まっておりますが、市場開放や黒字削減を求める米国の対日姿勢にはなお厳しいものがあります。我が国の国益を損なうことなく、と同時に円満な問題処理のために羽田総理には官僚主導を排した強力なリーダーシップの発揮が求められていると思います。今後この問題をどのように進めていかれるのか、対策と展望についてお伺いをいたします。
 次に、経済、景気対策問題について伺います。
 バブルに踊った景気が平成三年四月を境に、一転してかつて経験したことのない厳しい不況に突入してからこの五月で丸三年と一カ月が経過しようとしております。ようやく一部に明るい動きが伝えられるようになっておりまするが、政府として今日の景気の現状をどう認識し判断されているのか。また、円高が景気にどのような影響を及ぼすと判断されているのか、あわせて御答弁願いたいと存じます。
 また、政府は、今年度に公共料金の一斉値上げが予定されていることに対して、その引き上げ幅の圧縮や実施時期の延期について検討したと伝えられていますが、その検討結果は一体どうなったのでありましょうか。値上げ幅を圧縮した公共料金は何と何で、実施時期を延期したものはどんなものがあるのでありましょうか。国民の前に明確にしていただきたいと存じます。
 国民の間では、せっかく五兆四千億円もの減税を行っても、保険料や診療報酬の引き上げで実にその四割が食われてしまい減税効果が大きく損なわれているとの試算結果も出されていることは総理も御承知のとおりだと思います。公共料金の値上げに対し国民が不満を感じている本当の理由を総理は御存じでしょうか。減税分が食われてしまうこともさることながら、国民が不況の中で必死になって厳しいリストラに耐えているのに、政府を初め公共機関が赤字になれば経営の努力よりも値上げに走ろうとするその安易な姿勢にあることを知るべきであります。
 今年度に予定されておる公共料金の一斉値上げに羽田内閣はどう対処していかれるのか、国民にわかるような具体的なお答えをいただきたいと存じます。
 細川前政権は、厳しい雇用問題について、政府助成等を柱にした雇用支援トータルプログラムを策定し百万人雇用創出計画を打ち出しましたが、羽田新内閣がこのプログラムを継承することは当然として、これをさらに充実強化するために具体的にどのような取り組みをするのか、国民の不安が一掃されるような明快な総理の御答弁を求めたいと思います。
 次に、税制改革問題について伺います。
 もとより、租税制度は国民の理解と協力なくしては成り立ち得ません。この見地に立つなら、国民の声を十分聞き民主的プロセスのもとで議論を深めることが不可欠であります。
 羽田内閣の発足当時の確認事項には、税制改革は「国民の理解を得つつ」行うとありますが、このような文脈の上でとらえるべきものと考えます。羽田総理の御見解を伺っておきたいと思います。
 また、国民の合意、理解を得るためにどのような措置を講じるお考えなのか、国民の理解を得られたとする基準に何を据えられようとしておるのか、明確なお答えをあわせてお願いいたしたいと思います。
 改めて触れるまでもなく、今日の我が国の抱える最大の課題の一つは、高齢化社会に対応するシステムをいかに築いていくかであり、税制はその主柱に位置づけられるべきものであります。連立政権から離脱したとはいえ、確認事項は社会党の国民に対する公約という性格もあわせ持つものであり、国民生活擁護の立場からその責任を果たす決意にいささかも変わりないことを改めて明らかにしておきたいと思います。
 ただし、消費課税の問題に着手するためには乗り越えるべき課題が多いことも事実であります。福祉ビジョンの内容は言うに及ばず、まず政府みずからが襟を正す意味での歳出削減の努力が要請されます。行財政改革は総理の強力な指導力なしには大きな成果は期待できません。歳出構造のリストラに向けた総理の決意をお聞かせください。
 税をめぐる不公平是正の柱は、金持ち優遇になっておる現行の分離課税を廃止し、所得課税の総合課税化を急ぐことでなければなりません。総合課税化のための手段、そのために要する期間をどのように考えておられるのか。また、益税や逆進性の問題を抱える現行消費税の改革について、藤井大蔵大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
 また、地方税源の充実強化はまさに今日的課題となっております。地方分権の趣旨にかなう地方税源のあり方に関し、石井自治大臣の率直な御意見をお伺いいたしたいと思います。
 次に、ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業合意に関する国内対策及び農業農村の再生のための抜本的対策についてお尋ねをいたします。
 政府は、昨年、自由貿易体制の維持強化という幅広い国民的利益を考慮し、米のミニマムアクセスと米以外の輸入制限品目の関税化の受け入れを決断いたしました。その際、当時の細川首相は、農業維新を実現できるよう全力で国内対策に取り組むことを表明され、ガット農業合意の実施に伴う農業施策に関する基本方針を決定いたしまして、農業に携わる人々にもたらす影響を最小限に食いとめるため、総理みずからが本部長になられ緊急農業農村対策本部を設置されたのであります。
 羽田総理は、当時外務大臣としてウルグアイ・ラウンド交渉の責任者であり、また農林水産大臣を歴任されております。ウルグアイ・ラウンド合意の批准を本年中に行うことは我が国の当然の責務であるというならば、批准と万全の国内対策は一体である以上、農政をどういう方向で改革されたいのか、総理のお考えをもっと具体的にお聞かせいただきたいと思います。
 国内対策は地域の自主性を尊重することを基本に、特に担い手の確保と中山間地域振興に努力を集中すべきであります。所得補償制度など外国での成功例を謙虚に学び、抜本的な政策転換を行うべきであります。また、農業生産基盤整備は緊急を要しますが、あくまで抑制する考え方なのでしょうか。その場合自給率は向上するとお考えでしょうか、御答弁を願いたいと思います。
 さらに、今回の米騒動は食糧管理制度に対する不信を増大させ、備蓄の不備を明らかにいたしました。国民の間に米などの基礎的食糧については備蓄を含む自給体制を確立すべきという合意が熟したものと私は思います。総理の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
 最後に、政治の基本である政治倫理の確立についてお尋ねいたします。
 ゼネコン汚職問題は、宮城県知事、茨城県知事、仙台市長らに続き中村喜四郎自民党代議士が逮捕され、検察庁も刑事事件としての捜査が終結したことを宣言されました。しかし、ゼネコン関連の疑惑事件として報じられている問題はなお数多く、真相はいまだに明らかになっていないのであります。国民の政治に対する信頼を回復するため、これらの疑惑事件について検察などの捜査資料を公開し、国会においてその経緯を明らかにすべきではありませんか。政治改革を金看板に掲げる羽田総理の決断を求めたいと思います。
 また、こうした課題は国会みずからの努力にかかっていることは申すまでもありません。設置されていながら一度も開かれたことのない政治倫理審査会の活用を初め、国会の改革を進めていかなければなりません。社会党としても、全力を挙げて取り組んでいくことを国民の前にお誓いいたしたいと思います。
 さらに、参議院の選挙制度改革の取り組みも一刻の猶予も許されません。逆転区の解消を柱に各党派の話し合いで成案を得、今国会中に定数是正法の成立を期してまいる所存であります。また、参議院のあるべき姿を実現するため、選挙制度の改革、党議拘束の緩和などの基本問題については真剣に時間をかけて検討していかなければならないものと思います。
 政府としても、こうした改革に協力していく御決意があるかどうか、総理のお考えを伺っておきたいと思います。
 以上、羽田政権発足に当たり、基本問題を中心に質問をしてまいりました。総理は、所信表明演説において、普通の言葉で政治を語ると言われ、また改革という言葉を三十回以上も使われたと思います。しかし、改革という言葉を唱えるだけで当面の難局を乗り切ることは到底不可能でありましょう。
 もし国民の求める政治、経済、行政の三つの改革に背を向け、強権的手法で危険な道に踏み出そうとするときは、我が党は国民の信を問うことを含め、あらゆる手段で羽田内閣に立ち向かうことを表明いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣羽田孜君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(羽田孜君) まず、お尋ねのございました中華航空の事故につきましては、これは事故の原因の究明を急ぎまして、このような惨事が再び繰り返されることのないよう、御指摘のございましたとおり安全対策に万全を期してまいりたいというふうに考えます。
 社会党抜きの新会派結成の策謀は連立政権に審せる国民の期待を裏切り信義に反するものであるというふうに思うが、所見いかんということであります。
 この点につきましては、私どもまさにあの当日であったということでございまして、まさに策謀というふうなとられ方をされること、これは本当に残念なことでございまして、私どもはこういったことを踏まえながら、やはり理解をいただくためにさらに努力を続けていきたいということをまず申し上げたいと思います。
 また、この三十八年間にわたる自民党の単独政権にかわって誕生した細川連立政権におきまして、社会党とともに我が国の政治、行政、経済、社会の改革に取り組んできたこの八カ月、この経験というものは、我が国の政治の新しい歴史と一つの新しい道筋を開くものとして国民の皆様からも評価されてきたものというふうに私は信じております。お互いに責任ある政権政党として存分に政策論議を尽くしまして、相違を乗り越え、改革の実施に社会党とともに取り組んできたという実績は大変に貴重なものであり、私はこれを常に誇りとしたいということを申し上げてきております。
 その社会党が政権から離脱されました過程につきましては、まことに残念という言葉の以外にございません。新政権は少数与党政権として発足することとなりましたけれども、私といたしましては、今後とも連立の枠組みを大切に維持しつつ、与野党の御意見に一層謙虚に耳を傾け、国民的合意というものを追求しながら政治を進めていく決意でありますことを申し上げたいと存じます。
 また、八党派による合意と覚書、確認事項についてでありますけれども、御指摘のありましたとおり、新内閣は連立政権が掲げました改革の旗をしっかりと受け継いでいく考えでありまして、このため今後とも連立与党問の合意、そして覚書を含めた連立の枠組みを大切にしながら十分尊重していく考えであります。
 また、先ごろの確認事項は、さらに着実に改革を進めていくためには、結果的には閣外に去られたことになりました会派も含めまして合意されたものというふうに理解をいたしておりまして、これを誠実に実行していく考えであります。
 このように、新内閣としては、与党内はもとより閣外に去られた会派とも率直に御相談しながら、その理解と協力を得ていくことといたしておりまして、改革の推進という歴史的使命の遂行に誠心誠意努めていきたいというふうに考えておりますので、今後とも御協力を賜りますようお願い申し上げたいと思います。
 また、前法務大臣の南京虐殺の問題につきまして、こういった発言というものがある中で、強権的な政治手法、あるいは細川政権と全く質の違うものになったのではないかという御指摘であります。
 さきの大戦につきましては、歴史的認識にいたしましても、集団的自衛権の憲法解釈にいたしましても、あるいは北朝鮮の核疑惑の解決についての考え方にいたしましても、私がしばしば答弁を申し上げましたことを御吟味いただければおわかりになることでございますけれども、いわゆる内閣として極めて穏当な姿勢を打ち出しておりまして、細川政権とも基本的に異なることはないということ、そして強権的な政治手法などという御指摘でございましたけれども、私たちはそういった手法というものをとっていくことはございません。
 ただ、よく誤解されるわけでありますけれども、どうしても時間ですとかあるいは期限があるものについて、たくさんの政党がありましたときにどこかでこれをリードしていかなければならないということが強権的というふうにとられることがあると思いますけれども、この点はひとつ御理解をいただきたいというふうにお願いしたいと照うわけであります。
 また、憲法第六十六条二項に照らしていわゆる閣僚の任命についての問題が御指摘されておりさずけれども、憲法六十六条二項は「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。」と規定しておりますけれども、ここに言う「文民」とは、旧陸海空軍の職業軍人の経歴を有する者であって、軍国主義的思想に深く染まっていると考えられる者、そして自衛官の職にある者以外の者を言うものと解釈されております。
 前法務大臣につきましても、この文民の解釈に関する従来からの政府統一見解もこれは議論をした上で任命したものでございまして、再三申し上げておりますように、同氏の発言というものはまことに遺憾でありましたけれども、同氏が辞任をされたこと、そしてその後考え方といいますか、発言したことについてこれを撤回されておりますこと、そして私どもと実際に政治活動をしてまいりましたときにも、この戦いというものはよくないということをあの方はずっと主張されておったということ、こういったものを考えましたときに、そして私どもが歴史的な認識につきまして新たに私どもの考えを申し上げたことによりまして大方の私は理解が得られたというふうに考えておりまして、しかし任命権者としての責任というものはあるんだということ、これは私も申し上げたいと存じます。
 また、アジア諸国との信頼関係をどうするのかということでありますけれども、過去の我が国の侵略行為に対します歴史的な認識というものは先般の所信表明演説において申し上げたとおりでございまして、我が国といたしましては、過去の歴史を直視して、いわゆるアジア諸国の声に謙虚に耳を傾けながら、これらの諸国と未来に向けた関係というものを構築して信頼を回復するために引き続き地道な努力を行っていく考えであります。
 これは、私が外務大臣当時もアジアの閣僚の比様方にお集まりいただきながら議論をしてまいりましたけれども、先ごろもアジア全域の各大使の皆様にお集まりをいただきまして、今日までの日本とアジアとの関係、そして将来アジアと日本がどのように協力していくのか、いろんな実は御書見も賜ったところでございまして、そういうことを繰り返す中で、さらに日本の国がアジアで果らしていく役割というものを、未来志向に向けて私どもは今後とも努力をしていきたいというふうに考えております。
 なお、中国側の協力を得て調査するくらいの、これは南京事件に関してでありますけれども、お話がございました。南京事件の真相の調査につきましては、日本軍の南京入城後、非戦闘員の殺害あるいは略奪行為等があったことは私どもも否定できない事実であるというふうに考えております。浜本議員の御指摘のようなお考えも私どもあろうというふうに考えますが、これは必ずしも簡単なことではないというふうにも思っております。
 いずれにいたしましても、政府といたしましては、未来に向けた関係を構築していくためにも禍去の歴史というものは直視していかなければならないという考えに基づき、今後とも誠実に対応していきたいというふうに存じます。
 また、戦後五十周年を前に戦争責任を反省し不戦の誓いを明示するために国会決議ということを御提案がございました。これは私自身、この大戦というものあるいはそれ以前の問題等についての反省あるいはおわびというようなこと、これを含めまして、内閣としてその方向を示すと同時に、国民を代表する国会、これが決議をするというようなことをかねて私は主張してまいったものであります。
 その意味で、今、浜本議員からの御指摘は私にもよく理解できることでありますけれども、今の私の立場で申し上げられることは、国会決議を行うか否かにつきましては専ら国会で御議論をいただくべきものであろうというふうに考えまして、今私からこうあるべきであるということを申し上げることはお許しをいただきたいと存じます。
 なお、五十年という節目を前にして、戦後五十周年問題調査会を設置したらどうだろうというお話でございます。
 これは今御指摘がありましたように、歴史を正しく客観的にとらえるということが大切であろうというふうに考えまして、その意味で私もこれは評価できることであろうというふうに思います。また、こういうものを検討した上で未来志向、未来に向けてどのように進んでいくべきなのか、こういった問題を検討することも大事なことだろうというふうに思っております。
 また、昨今におきます従軍慰安婦問題などの個々の戦後処理の問題をめぐりまして諸外国との間で懸案となっております問題につきましては、それぞれの問題の関係省庁におきましても対応しておるところでございますけれども、ただいまお話しのありましたことも含めまして、それぞれの省庁におきまして今後とも鋭意取り組んでいくことといたしたいと思っております。
 しかし、いずれにしましても、戦後五十年というのは一つの区切りであるということでありまして、これに向けて我々がどういう対応をしていくかということは、今後ともいろんな意味で皆様のまたお知恵をいただきたいということもこの機会に申し上げたいと思います。
 被爆五十周年を考慮いたしまして、国家補償に基づく原爆被爆者援護法を制定すべきではないのかというお話でございます。
 被爆者に対します戦争責任に基づく国家補償を行うことにつきましては、これは、例えば東京の空襲等あるいは一般戦災者との均衡上基本的な問題があろうというふうに認識しておりますが、その取り扱いにつきましては、現在、与党内でもプロジェクトチームをつくりまして検討が進められております。これを見守ってまいりたいというふうに思っておりますし、今後ともこの点につきましても御意見を賜りたいと考えております。
 集団的自衛権についての憲法解釈は変更しないことというお話でありますけれども、この点につきましては、この院でも繰り返し申し上げておるところでございますけれども、国際法上、国家は集団的自衛権、これを有しているものというふうにされております。我が国が国際法上集団的自衛権を有していることは、これは主権国家である以上当然であろうというふうに思います。
 ただ、憲法第九条のもとにおいて許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限の範囲にとどまるべきものであるというふうに今お話がありましたけれども、私どもの方もそのように解釈しており、集団的自衛権を行使することはその範囲を超えるものであって、憲法上許されないと考えております。
 集団的自衛権の問題につきましては、政府は従来から一貫して、これはもう自民党政権のときからでありますけれども、このように解釈しておりまして、今私どももこの解釈というものを変えることがないということだけは申し上げたいと思います。
 北朝鮮への核開発疑惑への対応、そして有事立法ということでありますけれども、北朝鮮の核開発問題に関しましては、これまでももうたびたび申し上げておりますけれども、現在、国連にありましても対話による解決に向け努力がされておるということでございまして、御指摘のような新たな立法措置の問題については、仮定の話でございまして、これは具体的にコメントは差し控えることをお許しいただきたいと思います。
 ただ、一般論として、国連の安全保障理事会で何らかの措置が決定される場合におきましては日本としても憲法の範囲内で責任ある対応というものをとるべきであろうというふうに考えておるところであります。
 なお、必要最小限度の自衛権の行使以外の武力行使を禁止している憲法の制約のもとでの協力か行わないということで、これは国連の方針が決定された場合であってもという前提でお話でありました。
 北朝鮮に対する制裁につきましては、先ほど申し上げましたように、現時点でこれについて具体的なことについてお話しすることはお許しいたかきたいと思います。そして、先ほども申し上げ生じたように、やはりどういう場合でも憲法の範囲内で責任ある対応をとるという考えであるということであります。
 なお、国連の枠外で米国の軍事活動への協力は許されないと考えるが所見いかんということであります。
 先ほどからもう既に申し上げているとおりでありまして、仮定の問題では申し上げることはやめますけれども、一般論として言いますと、我が国として米国の活動に対しまして協力する場合におきましても、これはいかなる状況にありましてもあくまで憲法の枠内で行われることは浜本議員のおっしゃったとおりであろうというふうに私も考えるところであります。
 また、国連常任理事国に入らなければならない理由は何か、入って何をしようとするのか、国民的な議論を喚起することが必要ではないかということでありますけれども、冷戦終えん後の今日、国連の役割というものは新しい世界の紛争の状況その他の中におきまして新しいニーズというものが生まれてきております。その意味で、国連の機能というものを一層強化していく必要があるという点におきましては、私は国際的にも広い合意があるものであろうというふうに考えます。
 安保理の改組に関する動きもそのような背景のもとにこれは活発化したものでございまして、御案内のとおり、昨年の十二月に国連の改組にかかわるところの作業部会というのがつくられ、たしかもう百カ国以上の国々がそれぞれ意見を表明されておるわけでございまして、そういう中にあって平和の中で今日の繁栄というものを築いてきた日本として、世界の平和と安定のためにどのような責任を果たすかが国際的に問われているのではなかろうかというふうに考えます。
 我が国は、これまで一貫して平和主義、そして国連中心主義、この理念を堅持して実践してきたところでございまして、常任理事国になるということは我が国が過去に蓄積した平和のための実績ですとかあるいはノウハウ、憲法の平和主義の理念を生かして真の平和の構築のために主体的に責任を果たすことであろうというふうに考えておるところであります。
 いずれにいたしましても、常任理事国の機能というのは皆さんもう御案内のとおりでありますけれども、ともかく国連の常任理事国というところでいろんな、例えば環境問題にいたしましても人口の問題にしましても、ここで多くの方向というものが実は定められてしまっておるということ、そしてこれは戦勝国が今常任理事国になっておるという中にあって、我が国のような国がこの中で一つの役割を果たすことというのは、今新しい時代の国連の中で求められているものじゃなかろうかというふうに私は考えておるところであります。
 今申し上げたことにつきましては、私は、これは外務大臣の職にありましたときにも国会ですとかあるいはマスコミのインタビューあるいは講演、そういったところで常にお話ししてまいったところでございまして、今後ともそういったつもりで国連というものに我々は寄与してまいりたいということはぜひともひとつ御理解をいただきたいというふうに存じます。
 また、包括協議に向けての政治的リーダーシップ、官僚主義というものを排したリーダーシップというものが求められているというお話でありました。
 現在、冷却期間にある日米包括協議の個別分野の交渉につきましては、日米双方とも交渉のドアはオープンという立場にございます。自分も細川内閣時代からこの問題には深くかかわってきておりまして、その重要性はよく理解しておるつもりであります。今後ともいろんな機会をとらまえまして交渉再開の糸口を精力的に模索していきたいというふうに考えております。
 その際、政府といたしましては、これは不調に終わったその日、これは私自身が各担当者を明け方でございましたけれども集めました。そのときに私から申しましたことは、今回は不調に終わったけれども、しかしこの問題が起こっている原因というのはやはり日本が大きな黒字というものを積み上げていること、しかもこれが非常に長い期間積み上げておるという現実、こういう中でこの問題が起こってきた、この事実を我々は直視しなければいけないんだということ。その意味で、いわゆるよそから言われたからということではなくてみずからがやるんだということ、これは実は私自身が主張してまいったことでございまして、官僚主義ということではなくて、我が国自身、国民の生活の向上という視点にも立って、これはまさに我々が主体性を持ってやるべきであるということを申してまいったわけでございます。
 このような観点から、一日も早くこういった交渉を成功させるために、鋭意大変な議論を重ねながら、今、日米間の窓口といいますか、この窓口はあいておりますから、今度この打開のための糸口というものを探っておるということをこの機会に御報告申し上げたいと思っております。
 景気の現状及び円高の影響についてでありますけれども、景気の現状を見ますときには、公共投資は堅調に進んでおると思います。また、住宅投資というものは高い水準で推移しております。個人消費は、いろんな商店その他の皆様方の御努力もありまして、やや持ち直しておる。あるいは個人のストックというものは、やはり一つの循環的なものにきておるというようなこともございまして、動きが見られるというふうに思います。ただし、設備投資のストックというものはまだ高いところにあろうということで減少が続いておりますし、また企業収益というものやあるいは雇用状況、これは依然厳しい状況にあるという認識をいたしております。
 このように、我が国の経済というものは一部には明るい兆しが見えてきたというものの、総じて低迷が続いておるという認識であります。
 円高の影響につきましては、一般論として申し上げれば、プラスとマイナスの両面があるということでありますけれども、急激な円高というものは輸出産業の円建ての手取りというものを減少させると同時に、企業収益を圧迫するということから企業活動に悪い影響を与え、我が国の内需拡大のための努力を阻害する懸念があります。
 こうしたことを踏まえまして、政策に対する市場の信頼を確保するためにも、政府といたしましては税制改革の実現に最大限の努力を払う一方、二月に決定した総合経済対策の着実な実施、また平成六年度予算の一日も早い成立を図るとともに、規制緩和を初め対外経済改革要綱に盛り込まれた事項の具体化に努めていくことが急務であろうというふうに考えておりまして、私どももこの円高の状況というものを十分注意しながら、適切な対応をしていきたいというふうに考えます。
 公共料金の引き上げ幅の圧縮や実施時期の延期についてでありますけれども、現下の厳しい経済状況のもとで、公共料金の取り扱いについてさまざまな御意見が寄せられていることはただいまお話があったとおりであります。
 私どもは、従来の方針、考え方を整理して体系化し、また本年四月、政府として初めて統一的な「公共料金の取り扱いに関する基本方針」、これを打ち出すことによりまして公共料金の厳正な取り扱いの趣旨を一層徹底するとしたところでございます。
 現在のところ、御指摘のあった個々の問題も含めまして、幾つかの公共料金の引き上げの申請が出されておりますけれども、これらについては現在政府部内で厳正に審査を行っているところでございまして、この結果について、今どれとどれをどういうふうにするということについては申し上げられる段階でないということはお許しをいただきたいと思っております。
 予定されている公共料金の値上げに対する対処方針ということでありますけれども、政府といたしましては、公共料金については経営の徹底した合理化を前提として、物価及び国民生活に及ぼす影響を十分考慮して厳正に取り扱うことといたしております。
 今お話がありましたように、国民が不況の中でリストラを図っている中で公共料金をあれすることは慎むべきだという御指摘はそのとおりであろうと思います。
 ただ問題は、今申し上げたような中で、いろんな公共料金を扱う機関におきましては、やはりいろんなリストラを図る、そして値上げというものを延ばし延ばしにしてきた現状というのも踏まえなければならないだろうというふうにも思います。しかし、これも真にやむを得ないものに限るとともに、その実施時期ですとか改定幅につきましては極力調整していかなければいけないとの認識は新たに持ちます。
 先般の物価問題に関する関係閣僚会議におきまして「公共料金の取り扱いに関する基本方針」これを取りまとめたところでございまして、国民に理解のいただける適正な公共料金が確保されるよう私どもとしても努力をしてまいりたいというふうに考えます。
 なお、雇用政策の問題でありますけれども、失業状況は、景気の長期にわたる低迷を反映いたしまして厳しい状況が続いておることは御指摘のとおりであります。
 このような厳しい状況に対応するために、去る二月に決定した総合経済対策、平成六年度の予算におきまして雇用支援トータルプログラムの実施など積極的な雇用対策を盛り込んだところでありますけれども、今後とも雇用情勢の迅速かつ的確把握に努め、こうした雇用対策が効果的に実施されるよう全力を挙げて取り組んでまいりたいというふうに思っております。
 それと同時に、景気の回復というものを図っていくこと、そして新しい雇用を開発すること、これが大事なことであろうというふうに考えておりまして、規制緩和等もこの一つであろうというふうに考えておるところであります。
 さて、租税制度は国民の声を十分に聞き、民主的プロセスのもとで議論を深めることが不可欠と考えるが、見解いかんということであります。
 これは再三申し上げてまいりましたけれども、活力のある豊かな高齢化社会を目指して、個人所得課税の軽減と消費課税の充実を柱とする税制改革を年内に実現することは緊急に取り組まなければぱならない重要な課題であり、国会で全会一致で議決が行われていることを踏まえれば、その速やかな実現は今や国民的課題であろうというふうに考えております。
 政府としては、税制改革の具体案づくりに向けまして、国民の皆様の御意見に十分耳を傾け、税制調査会の審議を進めていただきながら、先般の各党間の確認事項に沿って与党の協議会においても引き続き協議を進めていただくとともに、これまで税制改革の実現に向けましてともに協議を進めてきた社会党やさきがけの皆さんを初めとして野党の皆様方にも御検討を進めていただきながら、各党会派の御理解と御協力をいただいて六月中に成案を得て、ぜひとも年内に税制改革の実現を図りたいというふうに考えておるところであります。
 いずれにいたしましても、これはどのような方法で国民の理解を得られるかということについては、私どもも積極的に対応をしていきたいというふうに思っております。
 また、税制改革につきまして、国民の合意、理解を得るためにどのような措置を講じ、国民の理解を得られたとする基準に何を据えるのかというお話でありますけれども、やはり税制調査会、このメンバーの皆さんは幅広い分野からお集まりいただいております。そういう中でいろんな角度から御意見をいただくということ、そういう意見というものを反映させながら審議が進められるとともに、こうした審議の状況につきまして各種の媒体を通じまして国民の皆様に知っていただくことが意義深いものであろうと考えております。
 きのう街頭等でお話をいたしましたのも、こういった問題についても今まで私どもは、税制しかも増税を伴うことについては国民には余り声をかけなかったというのが現実でありました。しかし、なぜ今必要なのか、どうしてこんなことをしなければいけないのかということを率直にお訴えし、そしてそういう中でいろんな声もいただいております。
 また、私どもといたしましては、例えばいわゆる平成の目安箱なんということで政策提言というものもファクスによっていただいたりなんかもいたしております。こういう努力というものを積み重ねていく必要があろうというふうに思っております。また、国民の方々の御意見を直接聞くために各地でヒアリングを行うこともしていきたいというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、そういった御意見を踏まえながら答申を税制調査会でも取りまとめていただき、私どももそういうものをもとにしながら対応していかなければいけないというふうに考えております。ぜひともこういった問題につきまして、非常にこれは難しい、痛みを伴う問題でございますので、また皆様方のいろんな意味での御指導あるいは御鞭撻も賜りたいと思います。
 また、歳出削減の努力あるいは行政改革、そして歳出構造のリストラ、こういったものについての決意についてのお尋ねであります。
 行政改革につきましては、税制改革のいかんにかかわらず不断に進めていくべきものと認識をいたしております。今後ともこの行政改革、これを強力に推進していく、勇断をもってこれを進めていかなければいけないというふうに考えます。
 ただし、この臨調・行革審の答申等を受けまして、これは自民党時代から改革の努力というものは行ってきたところでございまして、行財政改革による歳出の削減というものを量的なものとしかも短い期間の中に多大なものを期待するというととは、なかなかこれはできないということについてもぜひとも御理解をいただきたいと思っております。
 いずれにいたしましても、引き続き健全な財政運営を確保して公債残高が累増しないような体質をつくり上げていくという財政運営の基本的方針を堅持していくことが重要でありまして、今後ともあらゆる経費につきまして制度の根本にまでさかのぼった見直しや施策の優先順位の厳しい選択を行うなど、徹底した洗い直しに取り組み、財政改革を強力に推進していく考え方であります。
 ウルグアイ・ラウンド合意後の農政の改革の方向についてという御指摘でございました。
 ウルグアイ・ラウンドの農業協定の実施に伴う影響を最小限に食いとめるとともに、我が国農業の将来展望を切り開き、二十一世紀に向けた農業構造の早期実現を図ることは、我が国農業の発展の上で何よりも肝要と考えておるところであります。
 政府といたしましては、今回のウルグアイ・ラウンドの農業協定の実施に伴います問題、そして後継者難という現実をも含みまして、国内対策については昨年閣議了解された基本方針に沿って農政審議会の議論も踏まえながら農業の本当の意味での体質強化あるいは地域活性化対策等の所要の対策について進めていかなければいけません。
 今お話のありました中山間地帯、これについては今デカップリングのお話もあったわけでありますけれども、ヨーロッパの中でも実はいろんな問題が起こってきております。ですから、こういった問題についてま、本当こそこで雇用の場といいますか、きちんと収入を得られるような場というものをむしろ支援していくことも大事なんじゃなかろうかというふうにも考えております。
 こういった問題も引き続き考えると同時に、やはり国際競争力、こういったものなんかについても我々は考えなければならないということで、お話がありましたように、抜本的な対策というものを考えるときであろうということに私も同感であるということを申し上げたいと思っております。
 なお、国際競争力のためには農業基盤というものがさらに強化されていくということ、これが重要なことであろうというふうに考えておりまして、平成六年度の予算におきましてもこういったものの対応をすると同時に、五年度の補正予算につきましても対応をしてまいったところでございます。今後とも、生産基盤整備の着実な推進など農業生産性の一層の向上を進めることにより、可能な限り国内の供給力の維持強化を図ってまいりたいというふうに考えます。
 この中で自給率が確保されるのかという実はお話もあったわけでありますけれども、自給率ということになりますと、いわゆる畜産のえさ、こういったものに対してどう対応するのかということがあろうかと思いまして、私どもといたしましては自給力を強化することが大事なんだろうというふうに思っておりまして、基盤整備というものは大変重要な問題であるというふうに思っております。
  米などの基礎的な食糧について備蓄を含む自給体制の確立ということであります。
 これは国土資源の制約のある我が国におきまして、現在の豊かな食生活を今後とも維持していくためには、国内生産、輸入及び備蓄などを適正に組み合わせて食糧供給を行っていくということが必要であろうというふうに思っております。
 特に、国民の主食であります米につきましては、不作の経験からいたしましても作柄の変動に対応し得る安定供給というものが必要であるというふうに考えておりまして、水田営農活性化対策の見直しを行うと同時に、平成八年度の米穀年度末の在庫数量を百三十万トン程度とすることを目途として七万六千ヘクタールの緩和等を考えました。二百万トンという実は御議論もあるところでありますけれども、かつてこれは二百万トン、しかし豊年の年が出てきますと途端にこれが大変な過剰になってしまって、これを処理するために大変なお金を使ったということも私たち考えなければならないことであろうというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、ウルグアイ・ラウンドの農業合意というものを踏まえながら、安定的な国内生産と国民への安定供給を確保できるよう、中期的な観点に立った備蓄を含む米管理システムというものを真剣に検討していくべきときであろうというふうに思いまして、皆様の御理解を賜りたいと存じております。
 なお、捜査資料を公開して経緯を明らかにすべきということでありますけれども、国会の国政調査権の行使に対しましては、政府といたしましても法令の範囲内でできる限り協力すべきものはしなければいけないというふうに考えております。ただ、捜査資料の公開等につきましては、法令上の制約があることはもう既に御案内のとおりでありますけれども、御理解をいただきたいというふうに存じます。
 なお、定数是正法の成立を期するほか、参議院の選挙制度改革につきまして検討を進める必要があるが、こうした改革に協力していく決意はあるかということでありますけれども、既に与野党間で検討委員会が設置され、来年の通常選挙を念頭に置きながら定数是正を含めて検討が進められていると承知しておりまして、速やかな成案づくりに向けまして各党各会派で十分御論議を深めていただきたいと考えております。各党各会派の合意が得られた場合には、政府といたしましても当然これは尊重していきたいというふうに考えるところであります。
 終わりに、私どもは、強権的な政治を進めていくという御指摘もありましたけれども、そういったことではない、本当の対話というものを十分尊重した政治を進める、これが我々少数政権のなしていかなければならない姿勢であろうということを認識しながら対応してまいりたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣藤井裕久君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(藤井裕久君) 浜本議員の二点についてお答えいたします。
 一点は、所得税の総合課税の問題と存じます。
 現行の所得税制は、御指摘のとおり、総合課税を原則としながら、その所得の性格等に応じまして実質的な公平確保等の観点から、特定のものは分離課税にしているのは御承知のとおりであります。例えば、利子や株式等の譲渡益課税については基本的には総合課税を目指すべきものだと考えておりますが、現在の所得把握体制のもとにおける実質的な公平性の実現であるとか、経済活動等に対する中立性だとか、制度の簡素化等の観点を総合的に勘案して、現在分離課税方式をとっているところでございます。
 いずれにしましても、所得税の総合課税の問題については、所得把握体制の整備ということが不可欠であると考えておりまして、その観点からも納税者番号制度をめぐる議論と切り離すことができないこと等を踏まえながら、必要に応じ今後とも検討を加えてまいりたいと思っております。
 第二点が消費税でございますが、いわゆる益税というお話がございました。
 税制調査会の中期答申にも示されておりますように、中小事業者の転嫁の割合が相対的に低いということはこれは事実だと思いますし、また国会でも大変御議論をいただきました平成三年の改正によりまして、簡易課税制度のみなし仕入れ率がおおむね実態に即したものとされていることなどから、事業者の手元に残る額が広範かつ多額だということは考えにくいと私どもは考えております。ただ、中小特例措置の具体的なあり方につきましては、税制における公平性ということと簡素性との間でどのようにバランスをとっていくかという観点から検討を加えていくべきものだと考えております。
 また、消費税が所得に対して累進的か逆進的かという問題の御指摘がございましたが、私は所得税等を含めた税制全体、さらには社会保障等を含めた財政全体で判断すべき問題であって、所得税等を含めた税制全体での負担割合は依然としてかなり累進性が高いと考えております。
 ただ、真に手を差し伸べるべき人々に対しては、引き続き社会保障制度等を通じきめ細かな配慮が必要と考えております。(拍手)
   〔国務大臣石井一君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(石井一君) 御質問の趣旨は、地方分権の趣旨にかなう地方税源のあり方はどうかということでございます。
 地方分権の推進は、両院におきましても決議をされましたように、今や時代の要請であり、地方分権の観点から国と地方の関係を見直し、税財源の配分のあり方について取り組んでいく必要があると考えております。
 特に、本格的な高齢者社会に向かい地方団体の仕事は一層増大いたしておりますので、その裏づけとなる地方独立税の拡充、これが税制改革の重要なテーマであるというふうに認識いたしております。地方団体がより一層自主的、主体的かつ安定的な財政運営が可能となるよう地方税制の確立を目指して努力をしていきたいと思います。
 五月十日に税制調査会第六回総会が開かれましたときに私出席をいたしまして、政府税調の皆様にも抜本的な税制改革のときに地方税源の位置づけをしていただきたいということを強く要請したところでございます。
 国、地方が車の両輪として相協力し、今後の税制全体を支えることができるように引き続き努力を続けてまいりたいと存じます。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○議長(原文兵衛君) 黒柳明君。
   〔黒柳明君登壇、拍手〕
#13
○黒柳明君 黒柳明でございます。
 冒頭、さきの中華航空の事故によって亡くなられた皆様方、また御遺族の方々に心からお悔やみを申し上げるとともに、まだ入院加療中の皆様士が一日も早く治癒されますようお祈り申し上げる次第であります。
 あわせて、政府に対しまして安全対策、原因の究明、そして非常に難航するであろう補償問題につきまして万全を期するよう厳重に要望する次第でございます。
 私は、新緑風会の皆さん方のお許しを得まして、公明党・国民会議を代表しまして羽田総理に質問いたします。
 自民党の諸先輩の皆さん方、社会党の皆さん方、与党は圧倒的に少数でございますが、私ども誠心誠意、国会運営、そして政策立案に頑張りますので、どうかひとつ皆さん方の心からの御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。また、御批判も賜りたい、御注意もどんどんしてください。あわせまして、ぜひひとつ御理解と温かい御支援も賜りますようお願い申し上げます。よろしくお願い申し上げます。
 政界再編成の流れは、もうだれ大もとどめることができないような激しいものになっております。きのうの敵はきょうの友、きょうの友はあしたは敵でありまして、目まぐるしい動きがあります。もう与党・野党の対立とか自民・非自民の色分けなんて言っているときではないんじゃないでしょうか。政治の本来の使命であります政策中心に私たちはやらなければならない時代が参ったのかな、こう思っております。私ども微力でございますが、一生懸命ベストの政策をつくりまして皆さん方忙御検討賜りたい、こう思っている次第でございます。
 連立第二期は、是々非々の立場で良識の府参議院としての本来の使命を発揮しなければならないときではないかと私は強く思っている次第でございます。
 総理大臣、お待たせしました。
 八十代目の総理大臣の就任、まことにおめでとうございます。と言いますと、総理が就任する前、私テレビで見ました。羽田総理が、今日本の総理になったっておめでたくも何ともないと、こうおっしゃっていまして、おめでとうなんて言うとおしかりを受けるかもわかりませんが。
 文字どおり、現在内外ともに難問山積のときでございます。どうかひとつ、強いリーダーシップと勇気と決断を持って羽田政治の改革と協調を遂行して国民の要望におこたえいただきたい。美辞麗句は必要ありません。パフォーマンスも必要ありません。国民の中に飛び込んでください。国民とともに語ってください。国民とともに一緒に政治をやってください。そして、国民の琴線に触れる羽田政治を展開していただきたい。重ねてお願いする次第でございます。
 連立内閣の第一期は見事な成果をおさめました。失礼ですが、自民党が三十八年間でき得なかったことを次々と実行に移してまいりました。さぞや、この連立内閣に対して、憲政の神様でああります尾崎咢堂翁も本院の玄関から、連立政権よくやった、善哉、善哉、あっばれ、あっぱれと、賛辞を送っているのではないかと私は確信をする次第でございます。
 しかし反面、国民の皆さん方はこの連立政治のよさというものをどの程度理解していただいているのか、私は疑問に思う次第であります。まだまだ第一期の連立政権を国民の皆さん方は、におい程度でしかわかっていないのかなと。羽田内閣は、ひとつこのにおいではなくて、味でひとつ連立政治のよさを引き出していただきたい。
 幸い、総理はグルメ志向で、時々台所で包丁を握っているということでありますが、どうか、メニューはそろっております、おいしい料理を国民の皆さん方のためにたくさんつくっていただきたい、腕を振るっていただきたい。国民に愛され、国民に好かれる総理になっていただきたい。
 不安定、弱体、短今、羽田内閣に対して厳しい活字が新聞紙上に踊っております。しかし、御案内のように、各マスコミの支持率は五〇%前後という非常に高い支持率を得ております。永田町では少数与党ですが、永田町を一歩出れば多数の国民に支持された連立羽田内閣であるということを自覚されて、堂々と胸を張って政治に取り組んでいただきたい。我ら与党も一致して羽田総理をバックアップすることを決意しております。
 なかんずく、当面の急務は景気対策であり、政治改革に引き続き、税制、行政、国会改革、規制緩和、そして分権問題など改革継続をモットーとする羽田内閣であるべきだと思います。
 以上、期待と要望とちょっぴり苦言を呈しましたが、これらを踏まえまして次に質問をいたします。
 まず第一に、羽田政治の理念と哲学は何か。
 第二に、総理大臣は国政全般に面倒を見ますが、なかんずくこの内閣で断行したい重点項目は何か。
 第三番目は、羽田内閣が長期本格政権となるための総理の構想は何か、お聞かせいただきたい。
 次に、税制改革と所得税減税についてお伺いいたします。
 今後の税制改革論議は、単に税体系の見直し問題にとどまらず、高齢化社会における政府部門のあり方、行財政改革など財政全体を見据えた考察が必要であります。その際、我が国の中長期的な国家ビジョンを国民の前に明らかにすることが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 将来の福祉社会のあり方については、国家ビジョンを作成して、米国のような民間の自助努力によるのか、EC型のある程度の公共サービスによる制度とするのかという政府の方針を示すべきであります。そして、その国家ビジョンにより国民の負担について理解を求め、あるべき税制を提言することが必要となってくるのではないでしょうか。こうした国家ビジョンを達成していくための財源として、税負担と社会保障負担のバランスをどうするか、税制改革の前提として政府の方針を示すべきです。
 また、税制改革関連法案の法制化に取り組む前に、今回の税制改革で実際の税制の体系がどうなるのか幾つかのシュミレーションを行い、社会保障、特に年金の改革プログラムと税制改革案を一体として国民の前に提示すべきではないでしょうか。総理の見解をお伺いいたします。
 また、連立与党は既に高齢化社会に対応する税制改革協議会を発足させて議論を重ねております。六月までに結論を出し、本年中に関連法案を成立させることを確認しております。減税継続を初め高齢化社会に対応する福祉の充実、社会資本整備の財源確保などのためには、この確認はぎりぎりの判断であると思いますが、税制改革の確認事項を総理はどう評価し、実現されようとしているのか、その決意をお伺いいたします。
 さらに、七年度以降の所得税減税については与党内の協議機関において検討した上、年内の国会で関連法案を成立させることとしておりますが、その場合、六年度の減税規模を維持するのか、どの所得層に重点を置いて減税をするのか、六年度と比べ増税となる階層が生じることはないのか、いかがですか、お伺いいたします。
 次に、景気対策と金融政策についてお伺いします。
 新しい連立政権にとって最大の課題は、国民が切望しております不況からの脱却でございます。総理は、景気の現状とその底入れの見通し、また、景気回復の阻害要因となっている長期金利の上昇及び円高の影響についてどのように判断しておられるのか、御見解を承りたい。
 そして、何より大事なことは、景気回復の起爆剤となる今年度予算の速やかな成立であります。
 一日も早い審議入りと予算早期成立へ向けた総理の御決意を承りたい。
 政府は、三月二十九日に取りまとめました対外経済改革要綱の中で、公的規制の抜本的見直しに重点的に取り組むことを約束しましたが、これをどのように具体化するのかお知らせいただきたい。
 対外経済改革要綱に対する米国の評価は非常に厳しいものがあります。米国は数値目標などを再度要求してくると思われますが、今後の日米包括協議、サミット等での対処方針についてもお尋ねいたします。
 消費拡大に向けては内外価格差の是正を着実に実行していくことが大切であります。公取委は、ビール、乗用車等市場寡占度の高い製品ほど円高差益還元は行われていない、円高効果の浸透を妨げる要因となっていると指摘しておりますが、これらの問題について今後の対応策はどうなっておりますでしょうか。
 規制緩和が新しい活力をもたらすという議論の方向性は誤っていないと思いますが、これに伴い一時的には競争力激化や雇用調整による痛みも考えられますが、この問題についてはどう認識されているか、お伺いいたします。
 次に、北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国の核問題についてお伺いいたします。
 北朝鮮はIAEAの追加査察を容認し、きょうにでも査察団一行が北朝鮮入りすると言われております。一方、燃料棒を引き出したとも言われております。現時点におきまして、北朝鮮の核開発問題について政府はどのような把握をしているのか、また、総理はどういう御見解をお持ちなのかお聞かせください。
 ぺリー国防長官は、北朝鮮は既に二個以上の核兵器を保有、さらに年間十個以上製造できる開発計画に着手し、近々核爆弾四個ないし五個分のプルトニウムを抽出すると語っております。一方、金日成主席は、核兵器は持っていない、将来も開発しない。軍事秘密はあり、それはどこの国にも公開しないと、全く相反する議論を立てておりますが、北朝鮮の核開発について総理はどのように判断しておりますか。なかんずく、北朝鮮は既に核爆弾、核弾頭を保有しているのかどうかお尋ねいたします。
 総理は、北朝鮮が心を開き査察を受け入れ、NPTに完全復帰し、朝鮮半島の非核化宣言をすろ行動をしてもらいたいと述べる一方、今、制裁についてどうこう言うときではないとしておりますが、私はこの判断は正しいと思います。北朝鮮がそうした行動をとるよう今後我が国としてはどのような具体的な行動をとっていくつもりなのか、お聞かせください。
 一方では、米国はIAEAによる査察が実現しなければ国連による制裁に踏み切らざるを得なくなると警告し、場合によっては国連の枠外での制裁もあり得ることをほのめかしています。
 そこでまず、連立政権の確認事項によれば、「国連の方針が決定された場合には、これに従う」とありますが、どのような決議であっても日本は無条件で国連の決議に従うことになるのかどうか、いかがでしょう。仮に安保理決議がなされない場合でも、日米安保条約などに基づき、米国、韓国と連携協調した行動をとるのか。その際、具体的に日本はどんな行動をとるのかお伺いしたい。
 全面的な経済制裁となった場合、米国の艦船が行う海上封鎖などに対して、日本が寄港を認め、食料、燃料、水などの補給物資を提供し、気象その他の情報を提供したりすることは現行法の枠内で可能でしょうか。また、制裁実施の場合、日本から北朝鮮への送金規制などをどのように実施するのか。国連が経済制裁を決定し我が国がこれに従う場合、我が国の法制度は必ずしも十分に整備されているとは思えません。具体的にはどのよ上な法律、政令を改正する必要があるのでしょうか、いかがでしょうか。
 次に、日米経済問題についてです。
 二月の日米首脳会談が決裂して以来、日米経済関係は空白状態が続き、いまだ打開のめどが立っておりません。クリントン政権は、経済協議で日本が譲歩しなかったのは官僚のせいだとして、官僚相手にせずという態度でいると伝えられております。こうした米国のかたい態度を和らげ、膠着状態をどう打開していくつもりでしょうか。
 羽田総理は決裂前の最後の交渉者であり、米国側としても問題を最もよく知った政治家だと評届し、強いリーダーシップの発揮を求めております。次官級を米国に派遣するとも伝えられておりますが、交渉再開のめどをどのように考えているでしょうか。
 これまでクリントン政権は、経済交渉の不調は日米全体に影響ないと述べてきましたが、ナポリ・サミットまでに進展がなければ日米関係は重大な局面を迎えると思いますが、いかがでしょうか。
 マラケシュでの羽田総理とカンター通商代表が交渉再開の条件として三点を挙げてま、りましたが、総理は持ち帰って検討すると約束しております。検討の結果はどうだったのでしょうか。客観基準をめぐる日米の隔たりは大きいとも聞いておりますが、今後どのようにこれを埋めていくつもりですか。
 報道によれば、米国は自動車・自動車部品について、数値目標ではなく各メーカーによる自主的な目標を示すよう主張しているようでありますが、どのように対応していくつもりでしょうか。
 総理は、国連の常任理事国入りを強く希望しているようですが、所信表明で言われた「なし得る限りの責任を果たしていく」とはどういうことなのか、具体的にお聞かせください。
 政治改革についてでありますが、現在、衆議院の議員選挙区について画定審議会がその作業を進めております。政治改革を実現するためには、審議会の勧告を尊重して早急に関連法案を国会に提出し、可能な限り今国会で審議し成立させる必至があります。政府としても最大限の努力をしていただきたいが、総理としてどのような方針をお佐ちかお聞かせください。
 最後に、浜四津環境庁長官にお尋ねいたします。
 環境の憲法とも言うべき環境基本法が前国会で実現を見たことを踏まえ、環境保全に関する多横な施策を推進するための環境基本計画の内容について、本年末をめどに中央環境審議会で審議されております。我が国の今後の環境保全についての施策の方向性を示すものであり、持続可能な発展を目指す上でその内容の充実を図るべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 また、オゾン層を破壊するフロンガスの規制については、使用済みフロンの回収、再利用、破壊を進めることが求められております。各自治体では独自に回収、再利用を行っているところもありますが、それらへの支援策も含め、国レベルの回収、再利用、破壊促進への方途をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣羽田孜君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(羽田孜君) まず、励ましの言葉をいただきましたことを感謝申し上げますと同時に、誠心誠意努めてまいりますことを申し上げたいと存じます。
 中華航空の事故につきましては、安全対策、これに万全を期すようにということでありまして、これはもうおっしゃるとおりであります。また、今回の事故の被災者に対する補償につきましては、現在、中華航空と被災者との間で話し合いが始められておるというふうに承知しておりますけれども、政府といたしましても当面の中華航空の誠意ある対応を見守るとともに、必要に応じて適切な対応をとってまいりたいというふうに考えております。
 また、基本的な理念、哲学は何かということであります。
 私は、かねてから血につながる政治、心につながる政治、普通の言葉の通じる政治、これを心がけ、お互いに普通の言葉で率直に議論し、理解し、ともに歩んでいくことを大切にしてきたところでございます。今日我々は、国際社会、国内社会のいずれにおきましても、古い秩序が壊れ、しかしまだ新しい秩序が見えない、大きな激しい変革のうねりの中にあります。このようなときでありますからこそ、私は普通の言葉で政治を語り、考え、国民の皆様とともにだれもが安心して生活できる国、そして世界の国の皆様方に本当に信頼される国、これを目指してまいりたいというふうに考えます。
 このため、基本的には三十八年間にわたる自民党の単独政権にかわって誕生した細川連立政権が全力を挙げて取り組んでまいりました政治改革、経済改革、行政改革という改革、これこそ二十一世紀に向けて実現しなければならないものであるというふうに信じております。
 政治の運営につきましては、先ほど来申し上げておりますように、対話というものを中心にしながら誠心誠意努めることであろうというふうに考えております。
 税制改正論議について、税体系を見るだけではなくて、行財政改革など全般的に見る必要があろうというお話でありますけれども、これはもう御指摘のとおりであります。
 高齢化社会の福祉ビジョンについては、先般、厚生省の高齢社会福祉ビジョン懇談会が「二十一世紀福祉ビジョン」を取りまとめまして、二十一世紀の少子・高齢社会における社会保障の全体像とその主要施策の進むべき方向性について、その負担のあり方を含めまして具体的、定量的にお示しいただいたところでございまして、税制調査会ですとかあるいは連立与党の税制改革協議会、この福祉ビジョンを踏まえまして、高齢化社会の国民負担や税制のあり方などについて論議を進めていただいておるというふうに承知いたしております。
 いずれにいたしましても、行政経費を圧縮すること、これも望まれておるということでありまして、行政改革は勇断を持って進めていかなければならないことであろうというふうに考えておるところであります。
 また、国民の税負担と社会保障負担のバランスについてのお話でございますけれども、国民が安心できる福祉社会の実現を図っていくことは、これはもう当然重要な課題であります。との場合に目指すべき将来の福祉社会像といたしましては、公的保障中心型でもなく、また自助努力中心型でもない、公と民間の努力の適切な組み合わせによる我が国独自の福祉社会の実現、これを目指していくことが必要であろうというふうに考えます。
 こうした福祉社会実現のための税負担と社会保障負担のバランスのあり方につきましては、先般、厚生省の高齢社会福祉ビジョン懇談会が取りまとめました答申、租税負担と社会保険料負担の関係については、社会保険料の負担中心の枠組みを基本的に維持し、租税財源については国民的公平性が確保されるような財源構造の実現の確保を図っていくこととされております。
 また、連立与党税制改革協議会を初め多くの場所におきましても、現在、高齢化社会の国民負担ですとか税制のあり方などにつきまして議論を進めていただいているところでございまして、政府といたしましては、これらの多くの皆さんの御論議とその検討結果を踏まえまして、国民的なコンセンサスが得られるような税負担と社会保障負担、これのバランスというものを考えて対応してまいりたいというふうに考えます。
 なお、社会保障、特に年金の改革プログラムと税制改革案を一体として国民の前に提示すべきというお話でありますけれども、これも税制改革を進める上においてはもっともな御指摘であろうというふうに思っております。
 今も申し上げましたように、税制調査会あるいは連立与党の税制改革協議会における税制改革の具体案づくりのための審議の過程では、先般、厚生省の懇談会が述べられたように、先ほど申し上げた御指摘があったところでございますが、そういうものを踏まえて高齢化社会の国民負担や税制のあり方などについて議論を進めていただいておるということは承知しております。今後どのように審議を進め、どのように結論を取りまとめていただくかにつきましては、十分その作業の動向というものを見守っていきたいと思っております。
 いずれにいたしましても、政府といたしましては、これらの御論議を踏まえましていろんな角度から国民の皆様の声を耳にいたしまして、六月中にやはり成案を得まして政府案をつくり、年内にこれの実現を図るということが我々に課せられた重要な課題であろうというふうに思っております。
 また、税制改革の確認事項はぎりぎりの判断と思うけれども、これをどう評価し実現するのかということであります。
 各党首間で行われました先般の確認事項は、昨年来の税制改革をめぐる連立与党内での議論の積み重ねを踏まえまして、いろんな議論の経緯はあったものの、活力ある豊かな高齢化社会、これの実現を目指した税制の抜本的改革について国民の理解を得ながら六月中に結論を出すということ、そして本年中に関係法案を成立させるとの方針が確認されたというふうに考えております。
 政府といたしましては、仰せのとおり、この確認事項はぎりぎりの判断であったというふうに考えまして、これを十分尊重し、再三申し上げてまいりましたように、その趣旨に沿って、これまで税制改革の実現に向けましてともに協議を進めてきた社会党の皆さんやさきがけの皆さんを初め野党の皆様方にも御検討を進めていただきまして、各党会派の御理解を得たいというふうに考えておるところであります。
 また、七年度以降の所得税減税の規模や具体的な内容についてというお話でございますけれども、御指摘の今後における所得税減税の問題につきましては、中堅所得者層を中心とした税負担の累増感を緩和するため、全体として税率構造の緩和を進めること等によりまして税負担の大幅な軽減を図るといった税制調査会の中期答申、この考え方に沿って、年内に実現を図る税制改革の一環として所得税制のあるべき姿の検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
 景気の現状とその底入れということでありますけれども、これも再三申し上げましたけれども、公共投資は堅調、そして住宅建設は非常に高い水準で推移しております。個人消費というものはやや持ち直しの動きが見られますけれども、設備投資は減少が続いておりまして、企業収益ですとか雇用情勢も依然厳しい状況にあろうというふうに思っております。
 ですから、底入れという表現はどうかと思いますけれども、一つの明るい兆しが見えてきておるということでありますけれども、総じて言いますと、やはりまだ低迷が続いておるということであろうと思っております。
 政府としましては、例の十五兆を上回る幅広い諸施策から成る総合的な経済対策、これを決定いたしましたし、平成六年度の予算におきましてもあるいは五年度の第三次補正予算、こういったものとあわせて可能な限り景気に配慮するように努めたところでありまして、これらを盛り込んだ諸施策というものを着実に進めることが重要であろうと思っております。
 そして、六年度の政府投資は大変高い伸びとなっておりまして、住宅投資も堅実に推移するものと見込まれております。これが国内需要というものにも広く大きく波及していくものというふうに考えられております。
 そして、このたびの大規模な所得税減税というものは、自律的な回復要因と相まって個人消費の伸びを高めるとともに、民間部門のマインドを好転させるものというふうに期待されております。このような動きの中で設備投資も回復に向かっていくものと考えられ、我が国経済を六年度中に本格的な回復軌道に乗せるように私どもは努力していきたいというふうに考えております。
 また、円高と長期金利上昇の景気に与える影響でございますけれども、円高の影響につきましては、一般論として申し上げればプラス・マイナス両面にわたりさまざまな影響がありますけれども、急激な円高というものは、先ほども申し上げましたとおり、輸出産業の円建ての手取りを減少させ、企業収益を圧迫するということから企業活動に悪い影響を与え、我が国の内需拡大のための努力というものを阻害する懸念があります。
 こうしたことを踏まえまして、政策に対する市場の信頼を確保するためにも、政府としては税制改革の実現に最大限の努力を払う一方で、二月に決定した総合経済対策、これを着実に実施すると同時に、やはり六年度の予算、こういったものを一日も早く進めていただきたいというふうに思っております。
 これまでの累次にわたります公定歩合の引き下げを受けまして、金融機関の貸出金利というものが依然として低い水準にあることを考えますと、これまでの長期金利の動きが直ちに民間の経済活動に大きな影響を及ぼすというふうには考えにくいというふうに思います。しかし、政府といたしましては、今後とも長期金利の動向については十分注視していかなければならないというふうに考えます。
 また、予算の早期成立に向けた決意ということでありますけれども、この点につきましては黒柳議員の方からも院の皆様方に大変丁重にお願いしていただきましたことにつきまして感謝申し上げると同時に、私どもも努力をしていかなければいけないというふうに考えております。
 また、公的規制の基本的な見直しについてのお話でありますけれども、これは去る三月の末に決定された対外経済改革要綱におきまして六月までに取りまとめることといたしております規制緩和方策につきまして、鋭意作業を進め、内外から十分に評価され実効性のあるものをまとめ上げることはこの内閣の大きな使命であろうというふうに考えます。
 同要綱におきましては、住宅・土地、情報・通信、輸入促進・市場アクセス改善・流通、金融・証券・保険の各分野に重点的に取り組むことにしておりまして、その取りまとめに当たりましては内閣を挙げてこれに取り組むことといたしております。この間の閣議におきましても、あるいは政務次官会議におきましても、事務次官の会議におきましてもこのことを督励いたしまして、特別に規制緩和のための閣僚懇談会も開いたところでありまして、これを本当に実のあるものにするためにさらに努めていきたいというふうに存じております。
 なお、米国が数値目標などを再度要求してくるおそれがあると思われるがということであります。
 この点につきましては、双方ともドアをオープンにしてあるということで、我々は交渉の打開の糸口というものを見つけるために努力をしていくことは当然であります。この際、政府といたしましては、先ほどから申し上げましたように、これはよその国から言われるということでなく、我が国自身のために行うという姿勢で、規制緩和を中心とする市場開放ですとか内需主導型の経済運営の確立など、主体性を持って大胆に経済改革を進めてまいる考えであります。
 先般の経済改革要綱は、このような観点から内外価格差の是正、あるいは消費者の選択の多様化、これを通じて国民生活を向上させる、そしてそういう中で活力と創造性に満ちた我が国の経済というものを構築したいということを申し上げ、そのための努力をしたものでございます。
 しかし、いずれにいたしましても、今後の話し合いにおきましても、いわゆる数値目標ということで、この数値目標というのが達成されないときには制裁措置がとられるんだというようなことになりますと、これは単に我が国だけではなくてよその国にも及ぼすものであるという心配があります。このことは率直にアメリカ側にも申し上げてまいったところでありまして、私どもはこの基本的な原則というものは堅持していく必要があろうというふうに思っております。
 それから、内外価格差の是正が重要であるということ、また市場寡占度の高い製品ほど円高差益が還元されないという御指摘でありますけれども、この問題につきましては私自身これが全うされることになりますならば、例えば給与の上昇がそんなに高くなくても国民生活の向上を図れるということを従来から主張してまいったところでありまして、流通面における競争条件の整備あるいは輸入の促進や生産性の向上、公共料金の適正化、消費者への情報提供、円高差益の還元などに重点を置いて取り組んできておりまして、最近におきましても緊急経済対策において円高差益還元対策など各般の施策の着実な実施を図っておるところであります。
 政府といたしましては、生活者・消費者重視の観点から今後とも内外価格差の縮小に努めていくことが重要であると認識しております。
 なお、御指摘の公正取引委員会の調査は、円高差益還元の一環として実施されるものでありますけれども、公正取引委員会におきましては今後ともカルテル等の独占禁止法違反行為によって円高差益の還元が不当に妨げられることのないよう、独占禁止法を厳正に運用していくものというふうに私は考えておるところでございます。
 規制緩和の痛みということでありますけれども、規制緩和というもの、あるいは行政改革もそうでありますけれども、改革というものは必ず痛みというものを伴うものであろうというふうに思っております。しかし、今新しい時代の中にあって経済社会の透明性というものを高めること、国際的にも調和のとれたものにするためには、やはりどうしてもこれらを進めなければいけませんし、消費者の皆さんが多様な製品というものを選択できるということのためにもこれを進めなければならぬというふうに思っております。
 しかし、この痛みに対して、やはり経済社会と国民生活の安定というものを十分に留意しながら着実に進めていくということが大事であろうということも、我々は念頭に置きながら進めなければいけないというふうに考えております。いずれにいたしましても、御指摘の点を念頭に置きながら対応してまいりたいというふうに考えております。
 また、核疑惑についての御指摘があったわけでありますけれども、この問題は我が国を含む北東アジア地域の安全保障につきましても重大な懸念であるだけではなくて、核不拡散体制や国際社会の安全保障にかかわる重大な問題であろうというふうに認識いたしております。
 私どもは、この問題の解決のためには各国と連携しながら、北朝鮮に対しまして、核不拡散条約、NPTへの完全な復帰と、いわゆるIAEA、保障措置協定の完全な履行、原子力機関の保障措置協定に対してきちんとした履行をしてもらうこと、そして南北の非核化共同宣言の実施を通じまして、核兵器開発に対する国際社会の懸念というものを払拭するよう今後とも努めていく必要があろうというふうに思っております。
 可能性についての判断でありますけれども、北朝鮮が既に核兵器を保有しているということについての指摘のあったことはもう今御指摘のあったとおりでありますけれども、まだ今私どもは明確なことを申し上げる段階にないというふうに思っております。
 いずれにしましても、この核疑惑というものを払拭するために北朝鮮が国際原子力機関の査察というものを受け入れることが重要であろうというふうに考えておるところであります。
 また、今後どのような具体的な措置をとるのかということでありますけれども、私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、米国ですとか韓国ですとか中国などの関係国、こういった国と共同しながら、あらゆる機会をとらまえましてこの懸念に対して注意を喚起すると同時に、こういつった査察というものを受け入れてくれるような粘り強い対話の努力というものをしていく必要があろうというふうに考えております。
 また、具体的に国連の方針が決定された場合にはこれに従うということになっておるけれども、どのような決議、決定であっても日本は国連に無条件で従うのかという御指摘であります。これはまだ制裁等については決定がされたわけではございませんので差し控えますけれども、安保理の決定がない場合の我が国の行動ですとか、あるいは経済制裁の場合の米国に対する協力ですとか、あるいは送金規制等の問題についての具体的なお尋ねにつきましては、現段階で申し上げることはひとつお許しをいただきたいと存ずるところであります。
 なお、国連の経済制裁に必要な法律改正、政令改正についての御指摘でありましたけれども、これも一般論として憲法の範囲内で責任ある対応をとるということにとどめさせていただくことをお許しいただきたいと存ずるところであります。
 それから、包括協議の膠着状況をどう打開し再開のめどをつけるのかということは、これは先ほども申し上げたところでありますけれども、個別の分野におきましては日米双方ともこれは常に交渉はしようということになっておりますので、目下このために関係各省を督励して、私どもといたしましては何とか窓口を再開するために努力をしていることを申し上げたいと思っております。
 そして、ナポリ・サミットまでに進展がなければ重大な局面を迎えるという御指摘でありますけれども、冷戦後の新たな時代において、日米間で、政治・安全保障、グローバルな協力、経済関係の各分野におきまして協力関係を深めていくことが両国にとっての共通の責務となっております。二月の日米首脳会談では、経済面での立場の相違にもかかわらず、このようなグローバルな全体的な協力関係を堅持していかなければならないという点につきましては、二国間において基本的に合意をいたしておるところでございます。
 いずれにいたしましても、そう言いましても経済関係というものが、これが不調でいつまでもあるということは、これは日米だけではなくて各国も懸念を持っておるところでございますから、私どもといたしましてはせっかくの努力をしながらナポリ・サミットまでの間に一層の強固な日米関係の構築というものをつくるために努力をしていきたいというふうに考えておるところであります。
 もう一つ。先ほどもちょっと申し上げましたけれども、客観基準についての日米間の隔たりは大きいが今後対応はどうなのかということでありますけれども、マラケシュで私がカンターさんとお話ししましたときには、カンター代表からはマクロ経済政策、そして包括協議の一般的な目的、そして客観的な基準、この三点が日米間の話し合いのための共通の基盤であるとの指摘があったところであります。
 この問題につきましては私ども今検討をいたしておるところでございまして、ただ客観的な基準につきましては米側の主張が、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、一部が実質的に数値目標になるおそれがありそうになるということになりますと、これは政府の介入というものはできるだけ削減をしていくということで今規制緩和等を進めておるところでございますから、私どもといたしましては基本的な原則というものは堅持しながら、実質的ないわゆる数値目標にならないような適当な客観的な基準、これを得るように米国とともに私ども努力していきたいというふうに考えておることを申し上げさせていただきます。
 なお、自動車及び自動車部品への対応ということでありますけれども、アメリカは米国製の部品の購入につきましては年率二〇%の増加という過去のトレンドの継続、あるいはビッグスリー並みの現地の調達率の達成、米国車を販売するディーラーが年率一定の割合で増加することの要求、こういうことがあったわけであります。
 これらの米側の要求というのは、事実上数値目標の設定と同じくなってしまうということでありまして、私どもはこれを受け入れられない旨を主張したわけであります。
 その後、日本側といたしましては、自動車・自動車部品の問題は基本的に民間のビジネスの問題であるとの認識のもとで、この問題についての対応を検討しておるところであります。その結果、これは民間主要団体及び主要自動車メーカーは今後の外国業界との交流計画、部品の購入見通し等を発表するなど、それぞれ自主的な措置を発表されたところでありまして、政府といたしましても民間の自主的な対応というものを歓迎するとともに、取引拡大のための支援措置というものを盛り込んだところでございます。
 我が国としては、このような努力を図りつつ包括協議再開のための方策を引き続き努力いたしてまいりたいというふうに考えておるところであります。
 それから、「なし得る限りの責任を果たしていく」ということで軍事的な役割を果たすということもあり得るのかということでありますけれども、安保理改組が必要であるとの認識は既に国際世論ということは、もう先ほども申し上げたとおりであります。日本が国連においてより大きな役割を果たすべしとの期待が国際社会において高いことも客観的な事実であるということでございます。
 我が国はこれまで一貫して平和主義、国連中心主義の理念を堅持し、これを実践してきたところでありまして、カンボジア和平の実現に至るプロセスにおきましても重要な役割を果たしたこと、あるいは通常兵器登録制度を提唱するなど、軍縮・不拡散の分野におきましても尽力していることはその一例であろうというふうに思っております。
 ですから、「なし得る限りの責任を果たしていく」ということは憲法の枠内で最大限貢献を行っていく趣旨であるということでありまして、私どもはこの点につきまして御理解をいただくと同時に、これは軍事的な役割ということについて私どもは申し上げておるということではないことであります。
 なお、政治改革についての御指摘のありましたことにつきましては、区割り法のことについてだけを考えているのかという御指摘、これは今までも実はありました。そして、黒柳議員の方からも御指摘があったわけでありますけれども、単にこれは区割り法の施行ということだけを私ども申し上げているわけではなくて、区割り法というものの法律が通らないと、ここで施行の期日も実は書かれているわけでありますから、例えば政治資金規正法ですとかあるいは選挙制度、こういったものもこの区割り法を早期に成立をさせないと、これは残念ですけれども通らないということでございまして、御指摘のありましたとおり、私どもといたしましてはそういったことにきちんと対応していかなければならないであろうというふうに考えておるところであります。
 いずれにいたしましても、御指摘があったように、比較的公正な意見を反映できるような対応というものをするためにも、この改革法というものは一日も早く通さなければならないということのために我んとしてもさらに努力していくことを申し上げさせていただきたいと思います。
 残余の質疑につきましては、関係閣僚の方から答弁させていただきます。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣浜四津敏子君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(浜四津敏子君) 私に対しまして、二問の御質問をいただきました。
 第一問は、内容の充実した環境基本計画を策定すべきとのお尋ねでございますが、環境基本法は健全で恵み豊かな環境を維持しつつ、環境への負荷の少ない持続的な発展ができる社会を築くことを目指しております。この法律に基づく環境基本計画は、こうした社会を築くために関係省庁などの環境政策を総合的に、そして計画的に推進していく上で極めて重要なものと考えております。
 この環境基本計画については、現在、中央環境審議会においてさまざまな方々の御意見をお聞きするなど、精力的に審議を進めていただいております。
 環境と経済社会の望ましいあり方はどうあるべきなのか、またその達成に向けた国の施策は全体像としてどうあるべきか、そして地方公共団体や事業者の方々、また国民の皆様の役割やあるいは参加などが重要な事項であります。
 中央環境審議会にはこれらを中心とした環境政策を総合的、計画的に推進していくことができるような全体像を示していただけるものと期待しております。私としても、お示しいただいたところを十分踏まえまして、充実した計画の策定に努力してまいりたいと思います。
 第二問でございますが、オゾン層保護のためにフロンの回収、再利用、破壊の促進は大変重要であると考えております。
 このため、環境庁では平成五年度から地方自治体と協力いたしましてフロン回収のモデル事業を実施するなど、社会的システムを築くことに努めているところであります。また、本年四月、政府部内にオゾン層保護対策推進会議を発足いたしまして、関係省庁と連携してフロン回収などを進めていくこととしております。
 大変重要な地球環境問題の一つでありますオゾン層保護対策につき、今後とも積極的に取り組んでまいります。
 以上でございます。(拍手)
#16
○議長(原文兵衛君) これにて午後一時十分まで休憩いたします。
   午後零時二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十二分開議
#17
○副議長(赤桐操君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。市川正一君。
   〔市川正一君登壇、拍手〕
#18
○市川正一君 私は、日本共産党を代表して、羽田総理の所信表明に対し、総理並びに外務大臣に質問を行うものであります。
 羽田総理の所信表明は、先日、衆議院において我が党不破委員長が厳しく追及したように、国民の前に釈明すべき三つの問題、すなわち細川前総理が資金疑惑で政権を投げ出した問題、首班指名の直後に政権の基盤を変えるような暴挙を行った問題、永野前法務大臣の暴言問題、そのいずれについてもみじんの反省もない無責任なものでありました。
 その反面、二っの重大な政策方向については具体的に提起しています。その一つは、消費税の税率引き上げを年内にやるということ。その二つは、朝鮮問題で緊急の事態が起こったときには、アメリカ及び南朝鮮と緊密に連携し、協調して対処するということであります。こうした羽田政権の方向は、小選挙区制の導入、米の輸入自由化などを強行した細川前内閣以上に強権的で危険な政権であると断ぜざるを得ないのであります。
 まず、金権問題についてでありますが、政治改革を看板にした細川前総理が金権疑惑で退陣を余儀なくされたことは、次期政権に対して何よりも清潔な政治姿勢を求めるものでありました。それにもかかわらず、金権腐敗根絶の問題は所信表明において全く欠落しています。
 そこで、総理に伺いたい。
 あなた方の言う政治改革とは、結局小選挙区制の導入によって完了すると言われるのですか。
 第二に、実際にもロッキード、リクルートなどの灰色高官と言われている加藤六月氏の入閣は、国民世論への挑戦であるという厳しい批判をどう受けとめておられるのか。
 第三に、細川前総理が一億円借り入れ問題などについて国会と国民を欺く虚偽の答弁と資料提出を行ってきたことは、細川前総理自身の辞任の記者会見でも明らかになったところであります。先日の本院予算委員会における藤木参考人の陳述でも、前総理の答弁が信用できないことはいよいよ明白になりました。
 ところが、この細川疑惑について総理は、プライベートな問題という答弁を繰り返しています。事は単なるプライベートの問題ではありません。一国の総理大臣をめぐる国政上の重大問題であり、国会の権威にもかかわる問題であります。したがって、細川前総理の証人喚問、深山元秘書を含め、疑惑の徹底解明は当然であります。羽田総理にその意思があるのかどうか。
 以上、三点について明確な答弁を求めます。
 次に、総理は間接税の税率引き上げを中心とした税制の抜本的改革、すなわち消費税の税率引き上げを六月中に結論を得て年内に実施すると述べています。また皆さん、今、国民生活は深刻化する不況のもとで重税と物価高が暮らしを直撃しております。その中での消費税の増税は、国民福祉税で示された七%の引き上げとすれば、勤労者の一世帯当たり平均で二十六万円の大負担になるものです。したがって、どの世論調査をとっても国民の多数が消費税の増税に反対し、廃止を要求しているのは当然のことではありませんか。
 そこで伺いたいのは、さきの総選挙において、連立与党は消費税の税率引き上げを国民に約束したのですか。事実に基づいて明らかにしていただきたいのであります。
 一九八九年十二月、第百十六国会の本院において消費税法廃止法案が多数で可決されました。この法案の提案者として、社会党、公明党、民社党、連合などの代表は、この参院の議政壇上に立って消費税廃止を論じたのは記憶に生々しいところであります。例えば、次のような発言もありました。
 憲法の前文におきましても、「国政は、国民の厳粛な信託による」と記されております。国民は無条件で信託したのではなく、信託の条件は選挙公約であり、したがいまして選挙における公約は極めて重いものであると考えるものであります。今回の参議院選挙の結果は、一つには公約違反に対する国民の厳しい審判であると考えるものであり、これは、本日もここに出席しておられる民社党議員の発言であります。
 総理、国民は消費税を引き上げる政党や政府を選んだ覚えは毛頭ありません。いかなる名称、形態であろうとも、消費税の税率引き上げ計画は直ちに撤回すべきであります。答弁を求めます。
 次に、北朝鮮をめぐる問題であります。
 日本共産党は、ラングーン事件、大韓航空機爆破事件、日本漁船銃撃事件など、国際法を踏みにじる北朝鮮の無法行為に対して最も厳しい糾弾、批判を行ってきたことは周知のところであります。
 また、北朝鮮の核兵器開発に対しても反対であることを繰り返し明らかにしてまいりました。それは核保有国の核独占を容認する立場からではなく、核兵器の全面廃絶という立場からであります。これに反して、アメリカは核保有大国の既存の核兵器は問題にせず、核不拡散条約、NPTの無期限延長によって核兵器独占を合理化しようとしています。
 そこで質問したいのは、世界でただ一つの被爆国である日本の政府が核兵器保有大国の不当な特権を永久化し核兵器廃絶に逆行するこのNPTの無期限延長をなぜ支持するのか、国民の前に明らかにしていただきたいのであります。
 国の政治責任者が外国のマスコミに対して核兵器を持たないと言明しているのに、アメリカが北朝鮮の核開発疑惑を一方的に認定して直ちに制裁せよと主張するのは、アジアと世界の平和を脅かす無法行為と言わなければなりません。そもそも制裁を強行する根拠は一体国連憲章の何条に規定されているのか、伺いたいのであります。
 総理は、まだ決議されていない今の段階では差し控えたいとして答弁を拒否しておりますが、そもそも国連の決議はまだなされずに、その内容もわからない段階早々、無条件に製措置に従うなどと言明しているのは連立与党であり、日本政府自身ではありませんか。そのことに国民が大いなる疑問と不安を持つのは当然であります。
 そこで、以下具体的にお聞きしたい。
 一つ。制裁措置に従うと言うが、どんな制裁に加わるというのですか。
 二つ。湾岸戦争の際、多国籍軍、米軍は、経済制裁の実施を確保するためと称して臨検や海峡監視など事実上の海上封鎖を行い、必要な場合発砲することも認めていました。アメリカ国防総省の報告では、臨検を行った艦船数は七千五百隻に上りました。こういう行動への参加は、これまでの政府の憲法解釈からしても、第九条が禁止している武力の威嚇に当たることは明白ではありませんか。
 三つ。緊急事態に日米、日韓で共同するとしておりますが、この緊急事態に備えるとはどういうことなんですか。その場合、自衛隊が米軍に対する輸送や補給、洋上給油などの協力を行うのですか。
 四つ。新生党小沢一郎代表幹事は、連立与党代表者会議で、経済封鎖や海上封鎖になった場合、有事立法という形で国内法改正の準備をしておかないと何もできないと述べ、また、総理も衆議院の答弁で有事体制づくりを表明しております。かつて一九六五年、自衛隊制服組がひそかに行った朝鮮半島有事を想定した三矢作戦研究が暴露され大問題になりましたが、今、北朝鮮問題を口実にして憲法に反するこういう有事立法を推進するというのですか。
 以上、四点についてお答えいただきたいのであります。さらに羽田総理は、四月二十三日のインタビューで、集団的自衛権の行使を容認する方向で議論を進めるべきだとの考えを明らかにいたしました。また柿澤外相も、集団的自衛権行使について憲法を見直すと発言いたしました。これは、集団的自衛権の行使は憲法上許されないという従来の政府解釈を変更するものではありませんか。総理並びに外相の責任ある答弁を求めます。
 さらに総理は、集団的自衛権の問題で、これが国際的な当然の権利であって、これを行使し得ないことがあたかも日本の憲法の残念な弱点であるかのような説明を繰り返しています。しかし国連は、もともと集団的自衛の名による軍事同盟が二度にわたって世界大戦を引き起こしたことの反省に立って、軍事同盟のない世界を目指して設立されたものであります。日本の憲法の立場は、この国連憲章の根本精神に照らして先駆的意義をこそ持つものではありませんか。総理の見解を改めて求めるものであります。
 このように見てまいりますと、今回の永野前法務大臣の暴言問題は、個人の問題にとどまらず、総理を初め羽田内閣の閣僚が有事立法とか集団自衛権とか憲法の解釈変更などを平気で発言していることの一つの象徴ではありませんか。
 総理、あなたが憲法第六十六条の規定を無視し、永野氏が旧帝国陸軍の職業軍人、自衛隊の最高幹部であった経歴、そしてまた今も深い軍国主義思想の持ち主であることを承知の上で法務大臣に任命した責任は重大であります。そのような首相と内閣が国際社会に参加し、国政の任に当たる資格を持っているのかどうかが今や問われているのであります。総理の責任を明確にすべきであります。
 この際、総理が十二日、衆議院で否定答弁を行った核密約問題についてただしたい。
 第一に、六九年の佐藤・ニクソン会談におけるこの密約の内容と経過の詳細が、七九年刊行のキッシンジャー元大統領補佐官の著書に続いて、今回、若泉敬元京都産業大学教授の新たな著書で明らかにされ、合意議事録の全文も判明いたしました。また、我が党の上田副委員長は、木村俊夫元官房副長官が若泉氏が密使であったと認めたことを先日記者会見で公表いたしました。
 総理は、調査もせずにどういう根拠で交渉当事者の二人と佐藤内閣の当事者が確認をしたこの歴史的事実を否定できるのですか。
 第二に、真田元法制局長官の答弁によれば、国と国との取り決めは、不公表であっても廃棄されない限り拘束し続けるものとなっております。公表された合意議事録の末尾には、その一通を日本側は極秘に首相官邸でのみ保管すると記してあります。たとえ羽田総理が知らなくても、非核三原則に背いて沖縄への核再持ち込みを約束したという重大な内容のこの密約文書を直ちに調査し、国会に報告し、廃棄することを要求し、答弁を求めるものであります。
 最後に私は、羽田政権なるものが今や衆議院では三分の一、この参議院では二百五十二議席のうち六十二議席、四分の一にすぎないという少数与党内閣であり、政権の存立基盤そのものが崩壊していることを指摘しなければなりません。この少数与党政権が国民の信も問わないまま、以上論じてきたような一連の悪政を強行しようとすることは、憲政の常道に真っ向から反するものであります。
 国民世論も六割から七割の多数が解散、総選挙を要求しております。
 もともと細川前内閣のもとで強行された小選挙区並立制は、一度も民意に問うたことのないものであります。その小選挙区制を含め、消費税の増税、有事立法など重大問題で信を問うという場合、民意をゆがめ、少数意見を切り捨てる小選挙区制ではなしに、民意をよりよく反映する現行中選挙区制のもとで行うことは当然の道理であります。小選挙区制を何年かけて仕上げたとか、そういういきさつを云々するような技術論、経過論ではなしに、解散で民意を問うという本質論の立場に立つことこそ議会制民主主義の本筋であります。
 私は、現行中選挙区制のもとで早期に解散、総選挙を行うことこそ、今、羽田内閣が国会と国民に対してなすべき役割であるということを主張し、答弁を求め、質問を終わるものであります。(拍手)
   〔国務大臣羽田孜君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(羽田孜君) 政治改革とは小選挙区制の導入で完了するということかというお話でございますけれども、国民の政治への信頼回復のため具体的行動を起こしていく必要があると考えております。その第一歩として、衆議院議員選挙区画定審議会の勧告に基づきまして、いわゆる区割り法を早期に成立させ、このことによって腐敗防止策の強化拡充等をも含みます選挙制度及び政治資金制度の改革を早期に実現させることが重要というふうに考えております。
 また、加藤大臣の問題についての御指摘がありましたけれども、国政の場におきます幅広い経験を有しておられる方々に職務を遂行していただくという方針のもとに御入閣いただいたものでございます。加藤大臣は、昭和四十二年に衆議院に当選されて以来、北海道開発庁長官、国土庁長官、農林水産大臣を初め数々の要職に就任された立派な方でありまして、いわゆる農林水産業をめぐります困難な状況の立て直しのために農林水産大臣として最も適任と判断したものでございます。
 また、細川前総理の証人喚問も含めた疑惑の徹底解明についてということでありますけれども、御指摘の細川前総理の問題につきましてはたびたび申し上げておりますけれども、あくまでも前総理御自身の私的な問題でございまして、私といたしましては、との前総理の決断というものを潔い身の処し方として重く受けとめているところであります。
 なお、前総理の証人喚問につきましては、これは国会の中でお決めになることでございまして、私からこれについて申し上げることではないというふうに思っております。
 なお、間接税の引き上げを中心とした税制改革の抜本改革、すなわち消費税の税率引き上げをという話であります。これは再三申し上げますけれども、活力のある豊かな高齢化社会を実現するためには、社会を支える勤労者に過度の負担がかからないよう、個人の所得課税の軽減と消費課税の充実を柱とし、社会の構成員が幅広く負担を分かち合い、福祉政策など積極的な展開にも適切に対応し得るバランスのとれた安定的な税体系、これをつくることが必要であろうというふうに考えます。
 年内に実現を目指します税制改革は、このような考え方のもとで進めているものでございまして、初めに消費税ありきといった態度をとるものではないことはぜひとも御理解をいただきたいと思います。
 税制改革につきましては、国会で全会派一致で議決が行われていることはもう既に御案内のとおりであります。
 なお、消費税の税率引き上げは撤回すべきということでありますけれども、個人所得課税の軽減と消費課税の充実を柱とする税制改革を年内に実現することは、やはり緊急に取り組まなければならない重要な課題であり、国会で先ほど申し上げたように全会一致で議決が行われていることを踏まえれば、その速やかな実現というものは一つの国民的な課題であろうというふうに考えます。
 政府といたしましては、税制改革の具体案づくりに向けまして国民の皆様の御意見に十分に耳を傾け、税制調査会で審議を進めていただきながら、先般の各党間の確認事項に沿いまして与党の協議会におきましても引き続き御協議を進めていただいて、各党派の会派の御理解と御協力を求めながら六月中には成案を得て、ぜひとも年内に税制改革の実現を図りたいというふうに考えながら、皆様の御協力をお願い申し上げたいと思っております。
 また、NPTの無期限延長を支持する理由でございますけれども、我が国は、国際的な安全保障を確保するため、核不拡散体制を安定的なものとする観点からNPTの無期限延長を支持するものでありまして、これ以上核兵器国をふやすことは絶対に避けなければならないことであるというふうに信じます。
 他方、NPTの無期限延長は、核兵器国による核保有の恒久化、これを意味するものではありません。我が国は、引き続きすべての核兵器国に対しましてNPTの第六条、核軍縮交渉義務でございますけれども、この規定に従って一層の核軍縮努力を行うよう促していく考えでありまして、これこそ唯一の被爆国として主張すべきことであろうというふうに私は信じます。
 北朝鮮に対し制裁を強行する法的根拠、また、国連の決議もないのに日本は無条件に制裁措置に従うということを言明しておるということでありますけれども、北朝鮮の核兵器開発は我が国を含みます北東アジア地域の安全保障上の重大な懸念であるだけではなくて、核不拡散体制や国際社会の安全保障にかかわる重大な問題であり、北朝鮮に対し核兵器開発に対する国際社会の懸念を払拭するよう強く求めていくのは当然のことであろうというふうに考えます。            他方、御指摘の北朝鮮に対する制裁につきましては、国連安保理において議論さえされておらず、そのような状況のもとで具体的なことを申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますし、私は従来もこのことを申し上げてまいったわけであります。
 湾岸戦争の際の多国籍軍の海上封鎖への参加は武力の威嚇に当たるかということでありますけれども、湾岸戦争の際の多国籍軍による事実上の海上封鎖とは、平成二年八月二十五日の国連安全保障理事会の決議六百六十五号を受けて行われた措置のことを指しておるものと考えられますが、これに参加していない我が国として、これが武力の行使または武力による威嚇に当たるどうか等について確定的なことを申し上げる立場にはないというふうに申し上げます。
 次いで、日米、日韓が共同して緊急の事態に備えるということで、米軍に対する輸送や補給、洋上給油などの協力を行うことについてでありますけれども、政党間の確認事項によって政府として云々すべき事柄ではないが、北朝鮮に対する制裁については、国連安保理にて議論されてない現段階におきまして、自衛隊の米軍に対する協力といった仮定の問題を政府が論ずることは差し控えたいと思います。ただ、一般論として申し上げますと、我が国として米国の活動に対して協力する場合においては、憲法の枠内で行われることになるのは当然であるということであります。
 有事立法を推進するのかということでございますけれども、与党の中で発言をされたことを政府として確認するということではございませんけれども、北朝鮮の核兵器開発問題に関しましては、現在、対話によって解決する努力、これが行われておるところでございまして、これもまさに仮定のお話であり、具体的なコメントは差し控えたいと存じます。一般論としては、私どもは、憲法の範囲内で責任ある対応をとる考えであるということだけを申し上げさせていただきます。なお、集団的自衛権の行使は憲法上許されないという御指摘でございますけれども、私どもが申し上げてまいりましたのは、国際法上、国家は集団的自衛権を有しているものとされております。我が国が国際法上集団的自衛権を有していることは主権国家である以上当然ではありますけれども、憲法第九条のもとにおいて許容されている自衛権の行使は我が国を防衛するため必要最小限の範囲にとどまるべきものであると解しておりまして、集団的自衛権を行使することはその範囲を超えるものであって、憲法上許されないと考えております。
 集団的自衛権の問題につきましては、政府は従来から一貫して以上のように解釈しており、この解釈を変更する考え方はありませんことについては、もう再三申し上げてきたとおりであります。
 また、日本国憲法は国連憲章の根本精神に照らして先駆的な意義を持つものであるがということであります。日本国憲法が掲げる平和主義の理念、は国際紛争を平和的手段によって解決することを旨とする国連憲章の原則にも基本的に合致するものというふうに理解しておりまして、将来にわたってこの理念を堅持すべきものであるというふうに私も考えております。
 また、法務大臣に任命した責任は重大であるということでありますけれども、御心配をかけたことについては恐縮に存じます。
 この六十六条第二項は、「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。」と規定しておりますけれども、ここに言う「文民」とは、旧陸海軍の職業軍人の経歴を有する者であって、軍国主義的思想に深く染まっていると考えられる者、自衛官の職にある者以外の者を言うものと解されております。
 永野前法務大臣につきましては、軍国主義的思想の持ち主でないことは、今日まで政治行動をともにしながら明確に私はそのことを感じております。この文民の解釈に関する従来からの政府統一見解の考慮につきましても、この問題について議論した上で実は任命したものであるということであります。
 再三述べておりますとおり、この発言というものは大変遺憾でありますけれども、同氏の辞任、そして歴史認識についての私の考え方の表明や諸外国への説明によりまして理解が得られつつあるということを私は確信しております。
 また、佐藤・ニクソン会談の密約の内容と経過、そしてこれを国会に報告するようにという御質問が続けてあったわけでありますけれども、御指摘のような密約は存在しておらないということを申し上げたいと思います。
 沖縄返還交渉に際しての核持ち込みにかかわる問題は、日米間で極めて明確に確認されておるところでありまして、密約の当事者とされております佐藤総理大臣自身を含む歴代の総理大臣、また外務大臣が、密約は存在してない旨国会の場で繰り返し明らかにしていることはもう御承知のとおりであります。したがって、御指摘のような調査や報告といった問題はそもそも生じ得ないというふうに申し上げざるを得ません。
 また、少数意見を排除しない比較的公正な民意を反映する現行中選挙区制のもとで早期に解散、総選挙を行うことということでありましたけれども、私ども新内閣は決意も新たにして取り組んでまいりたいというふうに考えておりまして、このため、私は誠心誠意を尽くして政府の責任者として重責を果たしていくという考えを持っております。
 特に、政治改革の推進は最重要課題の一つでありまして、第一歩として、新内閣としては衆議院選挙区の画定審議会の勧告を尊重して関連法を早急に提出し、可能な限り早い時期にその成立を目指し、次回総選挙が新制度のもとで実施できるよう努力していく考え方であります。
 細川内閣のもとで既に国民に対しお約束した諸々の政治改革が新しい選挙制度とともに実施されることとなっておりまして、現行中選挙区制のもとで総選挙を行うことは、これまでに行われてきた政治改革への努力を大きく後戻りさせることにならざるを得ない点をこの際強く申し上げざるを得ません。
 残余の質疑につきましては、関係大臣から答弁させていただきます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣柿澤弘治君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(柿澤弘治君) 市川正一議員にお答えをさせていただきます。
 羽田総理が既に答弁されましたように、集団的自衛権については憲法九条のもとでその行使が許されていないという従来の見解を継承していくということでございますので、私もその方針を守ってまいります。
 また、閣僚として憲法の見直しについては言及したことはございませんので、その点はぜひとも誤解のなきよう、よろしくお願いをいたします。(拍手)
#21
○副議長(赤桐操君) 吉川芳男君。
   〔吉川芳男君登壇、拍手〕
#22
○吉川芳男君 私は、自由民主党を代表して、羽田総理並びに関係大臣に若干の質問をするものであります。
 まず、政治姿勢について伺います。
 先月八日、細川総理の突然の辞意表明により、ちょうど三週間日にようやく羽田内閣は成立を見たわけであります。疑惑に満ちた細川内閣が退陣すれば、連立与党が続く限り、だれの目にも羽田副総理兼外務大臣が総理の座を引き継ぐ人だと思われながら、何ゆえかくも日時を要し難産になったのか。
 それは、今さら私が指摘するまでもなく、連立与党内の政策の合意形成に手間取ったことと、唐突な統一会派「改新」の結成により、これに反発した社会党の政権離脱にあります。つまり、別な言い方をすれば、衆参両院とも首班指名選挙は難なく一回でクリアしたけれども、その後の改新劇以降では政治的基盤が全然違ってきたことに思い知るべきと存じます。
 各種報道機関は、この傷跡にライトを当てて、これでもかこれでもかと内閣短命説を言い立てております。まあ一時期、非自民をもてはやすがごとき報道ぶりから見れば相当風向きが変わってきたのかとも思いますが、何にしても困難な船出には違いありません。
 まず、質問の第一点は、この政治状況をどう把握しておられるか、お伺いするものであります。
 この内閣、マスコミの指摘するまでもなく、基盤の脆弱性は疑いを入れません。
 まず、平成六年度予算を可決成立した時期が一つの終えんの潮どきと考えられます。ただし、それでは余りにも短く、せっかく連休中、根回しにヨーロッパ各国を歴訪し、いわゆるナポリ・サミットに向けて努力を重ねてこられたのだから、これをなし遂げてもらうべきだ。いや、アメリカとの関係修復が何といっても当面の最大急務であり、幸いアメリカの大統領、国務長官とも新政権のお手並み拝見とばかり六月末までの協議再開の猶予期間を与えてくれているのだから、貿易不均衡、規制緩和、内需喚起にいかなる方策を見出し得るのか、そこを見届けるべきだと、さまざまな意見が飛び交っております。
 総理には、こうした意見の交錯していることは十分承知と存じますが、みずからはどんな政権維持構想をお持ちであるのか、明らかにされたいのであります。
 また、ここで一言聞いておかなければならぬことは、世に言う一・一連合、小沢的政治手法についてであります。
 言うまでもなく、民主主義、議会政治は、目的もさることながら、手続とそこに至るまでの手段、方法を大切にする政治形態です。しかるに、昨年の八月以降、連立政権の幾つかの切所節目においてこの一・一ラインによる強権的手法が云々され、小沢的発想が随所に見られるとマスコミは報道しております。すべてが真実とは思っていませんが、相当蓋然性があると考えられます。このままでは世に言う権力の二重構造に拍車をかけることになりまするが、総理はどのように受けとめ、対処なさるのか承りたいのであります。
 さらにお聞きしたい点は、前任者細川前総理、細川政権とのかかわりについていかなる認識を持っておられるかという点です。
 疑惑が高じてにっちもさっちもいかなくなったらさっさと辞任表明をやって、後は野となれ山となれとばかりの態度には、無責任の感を通り越してあきれ果てたる所業と断ぜざるを得ません。ずさんきわまりない資料を国会に提出し、遁辞を繰り返し、しからば証人を招致してそのいきさつを明らかにしてほしいとすればこれを拒否し、あげくの果てには重大な問題点が発覚したから辞任する、そういった後にもその問題点は目くらましであったとコメントして平然としている、これは到底常人ではない感覚であります。
 しかも、辞任表明の中にも平成六年度予算の早期成立に一言半句も言及してないのは一体何ゆえなのか、全く理解に苦しむ態度であります。
 この一連の事柄に副総理であった羽田現総理はいかなる進言をやってこられたのか、一切連立政権側から聞こえてこないのであります。羽田内閣は改革継承内閣とみずからを位置づけております。改革とは何か。政治の腐敗、金権体質からの脱却こそその第一歩ではなかったのではないでしょうか。細川前総理の疑惑解明にいかなる決意を持たれているのか承りたいのであります。
 次に、熊谷官房長官、あなたは就任の日、内閣記者会との初会見のとき、国民との間に信義信頼が大切だと盛んに強調されていましたが、その後、記者の小沢氏の女性べつ視ともとれる暴言に対しての質問には、一切その事実関係を明らかにすることなくうやむやに言い過ごされたのであります。およそ事実の隠ぺいや非を非と認めない態度から信義や信頼が生まれるはずのものでないことは言うまでもありません。
 私は、あなたの態度や発言には一片の誠意も認められず、官房長官としては不適任だと思うものであります。この際、はっきり事実関係を示し、それに対する長官の見解を披瀝するか、はっきりさせたくないなら辞任するかの道を選ぶべきだと思うのであります。明確な答弁を要求します。
 次に、内需拡大、税制問題について質問します。
 政治の空白、混乱のしわ寄せが我が国の危機管理問題に重大な影響を及ぼしていることを大変危惧するものですが、この問題については既に我が党の平井議員が質問いたしておりますので、私は経済面への悪影響を中心に質問いたします。
 羽田内閣の発足早々円相場がまた急上昇し、一時百一円台と八カ月ぶりの高水準となりました。円高の背景は言うまでもなく千三百億ドルにも及ぶ日本の経常黒字であり、日本が内需拡大、輸入促進等により黒字削減をどの程度行い得るか、国際的な最大関心事となりつつあります。今回の円相場の高騰は、少数与党政権である羽田内閣が本格的な減税を含めた景気対策を打ち出すのは困難ではないかと市場関係者の多くが見ていることによると思われます。
 米国のベンツェン財務長官は、日本の政策が内需拡大と貿易黒字の大幅削減につながることが大切だと強調しております。このような米国の期待にこたえなければ、失望感からさらに円高が進むリスクが当然生ずるわけであります。大手でも一ドル百円では輸出の採算が合う製品はほとんどゼロという状態であり、これ以上の円高は景気の足を大きく引っ張ることになります。
 これに対して総理はいかなる方策をお持ちか、まずお尋ねします。
 不況は三十七カ月と戦後最長を更新し、企業がリストラに懸命に取り組んでいる中で倒産や首切りの不安が拡大しております。景気動向は、先行、一致指数とも一月に急上昇いたしましたが、二月には急落し、非常に不透明であります。どうも景気回復のパターンが従来と大分変わってきたのではないか、景気対策がタイミングを失したこともあってもはや急速な回復が期待できないのではないかとの見方が出ております。
 今までにも経企庁の判断の公表がおくれて、手の打ち方が後手後手に回った例が多いわけでございますが、これは経済成長見通しの適否にかかわる重大な問題でありますので、経済界出身であります経済企画庁長官の率直な答弁を願います。
 かつて経験したことのないデフレ不況の深刻さを十分認識せずに、前内閣は政治改革法案のみにかまけ、我が党の昨年秋からの緊急景気対策のたび重なる要請、予算の年内編成についての強い申し入れをことごとく無視し、じんぜんと日を過ごしてまいりました。このような経済無策のしわ寄せがいまだ景気の底固めを見ない深刻な事態をもたらしたことは明白であります。
 羽田総理は、当時の副総理としてどう責任を感じておられるのか、所信表明でも何らの反省の言葉が見られません。明確にお答え願います。
 不況対策のおくれにより、景気は再び失速するおそれも出ております。予算の早期成立が強く望まれ、我々もそれに協力するにやぶさかではありませんが、そのためにも羽田総理は予算の審議促進のネックとなる問題の排除に積極的に協力するおつもりがあるか否かをお聞きするものであります。
 予算の早期成立と並行して、内需拡大の最大の柱である減税の継続、財源問題について早急に結論を得ることが不可欠であります。さきの連立与党間の確認事項においては、この問題は最大の争点であり、社会党との妥協を図るため、内容が全く不明瞭な、まさに玉虫色そのものになっております。社会党は、政権離脱後、その確認事項に拘束されないとの立場と聞いておりますし、与党内の税制改革協議会で社会党を除く協議がどういう形で進むのでしょうか。
 他方、藤井大蔵大臣は、再任時の記者会見で減税を上回る増税を示唆する趣旨の発言をいたしております。
 このような状況で、六月末までにいかなる方法で国民の理解を得つつ税制改革要綱をまとめるお考えなのか。
 私たちは景気回復による税収増も当然考慮すべきだと考えます。そのためには景気回復にマイナスとなるような増税はすべきでなく、均衡のとれた国民負担のあり方や行政経費の節減について思い切った方策をまず確立すべきであります。それが不十分なまま安易な増税を図ることは問題であると考えるのでありますが、その点について総理の所見を伺いたいと存じます。
 ナポリ・サミット、日米協議再開のタイムリミットから見て、六月末までにまとまらなければ景気の先行きに冷や水をかけることになるだけでなく、日米関係の破綻を招き、日本が国際的に孤立することにもなりかねません。六月末までにまとめることは、前政権、連立与党の公約でもあります。これがまとまらなかった場合、総理自身の進退問題に当然発展すると見ておりますが、総理の明確な答弁を求めます。
 次に、財政に関し幾つか質問いたします。
 我が国財政は、税の大幅な減収により極めて厳しい状況にあります。財政に期待されるものは、後世代に大きな負担となる国債残高が累増しないような健全な体質をつくり上げることが財政再建の原点と思っております。しかるに、「責任ある変革」を目指して誕生した連立政権が初めて提案した平成六年度予算を見ますると、景気回復の至上命題にこたえなければならないとしても、赤字国債の五年ぶりの復活を初め国債の大幅発行増や歳出の繰り延べ、後送り等の隠れ借金などによる帳じり合わせが顕著に目立ち、ツケを将来に回し、生活者重視の予算編成とは裏腹に、およそ改革の名に値しない、従来の硬直的、固定的な予算配分に陥っていることはまことに遺憾であると言わねばなりません。
 また、税制面でも同様な例が見られます。一例として、暴落した地価の現状に合わせて課税が見直されてしかるべきでありまするが、固定資産税の評価がえは実勢と大きく乖離し、税の過重を招き、不満が高まっております。自治大臣、これを見直すべきではないでしょうか。
 具体的に財政面から平成六年度の予算の特色を見ると、国債依存度が一八・七%と極めて高くなり、平成七年度の国債依存度五彩以下の財政再建目標の達成が困難となったことであります。
 今後の財政運営は、減税財源、公共投資の拡大等景気対策の財源のため、より厳しい状況が続くことを考えますと、再び赤字国債依存体質へと逆戻りする懸念を抱えておりまするが、政府として、今後財政再建目標をどう講ずるのか、隠れ借金依存体質からどう脱却するのか、将来の財政展望をどう構築するのか、その方針を総理大臣及び大蔵大臣より示していただきたいのであります。
 次に、規制緩和について伺います。
 総理は、みずからのために行うという姿勢で規制緩和を中心とする経済改革を進めると発言されていますが、もちろん市場開放のみならず、不況対策として規制緩和はミクロ経済対策の最大の柱として火急であり、新たな投資、市場開発分野を創出し、競争により民間部門を活性化することがかつてなく強く要請されております。
 総理は、就任早々二カ月足らずの短期間のうちに、民間の自由な発想を尊重し、いかに官僚、縦割りの省益の壁を打ち破るか。そのためどのように蛮勇を振るい内外の要請にこたえるか、まさに指導者としての力量が厳しく問われるところであります。
 総理は、霞が関官僚の評判がよろしいようでございますが、官僚のおぜん立てに乗る発想では失敗することは目に見えております。官僚は、先行き、政権が不安定のため、小出しの様子見を決め込むことをしかねません。規制緩和について、推進方針と決意を具体的に聞きたいのであります。
 次に、行財政改革についてお尋ねします。
 税制改革のてこにするため、中央省庁、特殊法人の統廃合を細川前総理が指示したと報道されたやさきの退陣となり、行革は依然としてたなざらしとなったままであります。連立政権の行財政改革がいかにかけ声だけのものであったか、本年度の予算編成内容を見ると歴然としております。
 先ほど申し述べましたように、財政負担のツケを将来に回しながら、行政経費について国民が納得するような大幅な節減は行われていません。まして、国民が目に見える形での行政機構の簡素合理化がどうなるのか、具体的に何も検討されていないのであります。
 平成元年、消費税の導入は中曽根内閣の行革断行の成果を踏まえ初めて可能になったのであります。大不況にあえぎ、生き残りをかけて必死にリストラが行われている中、行政システムのみが旧態依然のままではもはや許されません。
 企業マンとしての経験も持つ総理はこの辺の重要性は十分認識されていると思いますが、国民に国も一生懸命リストラをやっていると納得してもらうためにはどうしたらいいのか。総理は「簡素で賢明な政府」をつくると言明されていますが、例えば中央省庁、特殊法人の統廃合について具体的にお考えがあればお聞かせ願いたいのであります。
 さらに、抜本的な地方分権の確立を図るためには、地域住民のニーズに密着した行政サービスを円滑に提供する観点から、地方と国との役割分担を徹底的に洗い直すことがまず必要であります。その上に、赤字、借金に苦しむ地方財政の現状を踏まえ、権限を委譲するに当たり財源問題を含めて検討することが肝要と考えますが、総理の基本方針を承りたいと存じます。
 農業問題について質問します。
 去る四月十五日にウルグアイ・ラウンドの合意文書が署名され、羽田総理も日本の代表として参加されましたが、米の隠れ関税化を初めとする農産物の総自由化は大凶作にあえぐ日本の農業に大きな衝撃を与えました。真剣に農業経営の規模拡大等に取り組んでいた農家が一番大きなダメージを受け、日本農業に絶望しております。
 かてて加えて、ことしに入り、生活者重視とうたいながら、米の緊急輸入の手当て、配送のおくれ、外米と国産米とのブレンド問題等、消費者無視の場当たり行政によるパニック的な状況が全国各地に起こりました。
 ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉において、日本の食糧の安全保障、国の基たる農業を守ることを忘れ、たび重なる国会決議を無視し、官僚任せの秘密外交、二枚舌の国会答弁に終始した責任は決して許されるものではありません。
 協定の批准や食管法を初めとする関連法制の改正はこれからであります。農政不信は全国に渦巻いており、いまだ新しい食糧の安全保障、農業の再建方策は示されておりません。このような状況のもとでは農民は農業合意をとても受け入れられませんし、すべては今後農政の信頼の回復ができるか否かにかかっております。
 このためには、食糧の安全保障に必要な国内生産体制の改善、安定を基本として、農業者が安心して営農にいそしめるよう国を挙げて早急に再建対策に取り組むべきです。
 特に米の問題については、ミニマムアクセスにより生産調整が拡大するのではないかと稲作農家は大きな不安を持っており、外米を備蓄に回す等によりまして安定した稲作づくりができるよう具体構想を早急に示すことが緊要です。
 農政通を任じている総理は、どのような展望のもとで画期的な再建対策を考えているのか、承りたいと存じます。
 次に、総理は所信表明で改革と並べて協調を掲げておられましたが、この点について関連して伺います。
 連立政権になってから、数を頼む政治手法により議会運営がゆがめられ、参議院においてもよき慣行が踏みにじられてきました。内閣の構成を見ましても、参議院出身の大臣、政務次官の数がここ十数年来と比べ、連立政権になってから明らかに少なくなっており、この面でも参議院が軽視されていると言わざるを得ません。少数与党政権として協調を声高に言われるのは当然としても、どのように協調していくのか具体的に定かではありません。参議院軽視とならないようどのような方法で協調するのか、お聞かせ願います。
 最後に、今後の政局展望について伺います。
 我々も一刻も早い景気回復を図るため予算の早期成立を望むものでありまするが、他方、細川前総理の疑惑の解明も政治の信頼回復のため急がねぼならず、国家の命運を左右する重要問題については、総理の責任を徹底的に明確にしていくことが我々の当然果たすべき責務であります。このようなことで予算成立後政局が行き詰まった場合、羽田総理はどのように決断なさるのか、政局の混迷自体がもはや国益を大きく損じかねないところまで来ておるのです。
 総理は、今はども現行中選挙区制度における解散を否定された答弁をされておりまするが、新しい選挙制度が間に合わないということだけを理由に、民意を代表し得ない少数与党政権がいつまでも立ち往生じて無策を続けることは許されません。そういうことになると総辞職しか道が残されていないと考えざるを得ませんが、明確な答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣羽田孜君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(羽田孜君) 首班指名後社会党が政権離脱した、そして政治的基盤が全然違ってきて、内閣短命説が出ておるというお話でございました。
 新内閣が少数与党政権として発足せざるを得なかったのは、まさにまことに残念な経過によるものであろうというふうに私は考えます。しかしながら、国民の大きな期待と支持を受けて前内閣が掲げました改革の旗は、このたびの新内閣におきましてもしっかりと受け継いでいかなければいけないと思っております。
 我が国の政治、行政、経済、社会の改革は、新内閣に課せられた歴史的な責務であろうというふうに考えまして、政権維持というよりこの国の置かれた現状というものを踏まえながら誠心誠意を尽くすならば、各党の御理解も得られようというふうに私は信じております。
 また、どんな政権維持構想を持つのか、二重構造の問題、御指摘がありました。私としては、前内閣から受け継いだ歴史的使命を果たしていくとの思いから、改めて内閣総理大臣という政府の最高責任者としての重責をかみしめまして、難局に取り組んでまいらなければいけないと考えます。
 その際、可能な限りの機会をとらえまして、国民の皆様あるいは与野党の方々と誠心誠意を尽くして率直に語り合い、議論を尽くして、開かれた中での政策決定を旨として、広く国民的合意を得ていくといういわゆる生きた政治、本物の政治を実行していくことが大事だろうというふうに思っております。こうした努力を懸命に行い、我が国の進むべき方向を見定めていくということこそ、直面する難局を乗り切る方途というふうに私は考えております。
 また、前総理の退陣の仕方について、あるいは前総理の疑惑の解明についてというお話でありますけれども、私は、政治家たるものは、権力の地位にあると否とにかかわりませず、常に国民に対してみずから襟を正していくということでなければならないというふうに考えます。前総理の疑惑問題の解明につきましては、前総理は御自分のことについて、みずからの知る範囲において語ろうということで懸命に語ってまいったわけでございまして、このたびの決断というものは潔い身の処し方であったというふうに私は理解をいたします。
 また、円高による景気低迷に対する対策いかんということでありますけれども、我が国経済を本格的な回復軌道に乗せて今後の新たな発展の基礎を築くためには、時代の要請に合わなくなった制度や慣行の改革を含めた各種施策を強力に遂行していくことが不可欠であるというふうに考えます。また、対外不均衡に適切に対処し調和ある対外経済関係の形成を促進していくことも喫緊の課題であり、具体的な対策の実行が急務であろうというふうに考えております。
 為替の急激な上下というものは当然景気に影響を与えるものでありまして、これは単に日本の経済というだけではなくて、アメリカを初め国際的な経済にも大きな影響を与えるものであります。その意味で、関係の立場にある者同士が十分に連絡を取り合っていくことが大事で、何といってもその国の経済の基礎であるファンダメンタルズというものが反映される為替にしていかなければいけないというふうに考えておりまして、私どもはその意味でも為替相場の変動につきましては十分注意していきたいというふうに思っております。
 それと同時に、引き続き内需を中心とした持続的成長、これを可能たらしめるために、規制緩和を初めとして国内経済改革の方針、これを着実に進めていくことが重要であろうというふうに考えます。
 また、経済無策の責任ということでおしかりをいただいたわけでありますけれども、さきに対処した総合経済対策の措置というものは、今日わずかでも明るい兆しというものが見られておるというふうに考えておりまして、これは無策ということは当たらないというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、我々は厳しい経済情勢の変化、これに細心の注意を払いつつ、累次にわたる景気対策を通じまして、景気低迷に可能な限りの対応というものをしていきたいと思っております。
 なお、今後とも我が国経済を本格的な回復軌道に乗せ、将来の発展の芽をはぐくんでいくためには、現内閣といたしましては、先ほど申し上げましたように、引き続き内需を中心とした持続的成長というものの確保に努める必要があろうと思っております。
 いずれにいたしましても、昨年の春からの急激な円高、そして冷夏によりまして農産物が不作であったこと、あるいは夏物商品あるいは夏物市場というものが非常に低迷したということが、残念ですけれども今までの足を引っ張ってしまったということであります。しかし我々は、そういう経験を踏まえながら適切に対応していきたいというふうに思っております。
 また、予算審議の促進のネックとなる問題の排除に積極的に協力するつもりはあるかということでありますけれども、平成六年度予算については、これを引き継ぎ責任を持ってその実施に当たる考えでありますし、現下の厳しい経済情勢等にかんがみまして、私といたしましても、この六年度予算の円滑な審議と一日も早い成立を切にお願いする次第であります。
 この予算審議の進め方につきましては、政府の立場といたしましては、もうこれは懸命に皆様にお願いを申し上げていくというこの一語に尽きるところでございまして、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。
 なお、いかなる方法で国民の理解を得つつ税制改革の要綱をまとめるのかということでありますけれども、先ほど来何回か申し上げましたように、活力ある豊かな高齢化社会というもの、これは間違いなく到来しておるわけでございます。こういう中にあって、個人所得課税の軽減と消費課税の充実を柱とする税制改革を年内に実現することは、喫緊に取り組まなければならない重要な課題であろうというふうに考えておりまして、そういう中でも、前回、国会で全会一致で議決が行われたというふうに私も理解をいたしております。
 我々といたしましては、税制改革の具体案づくりに向けまして、国民の皆様の意見というものにいろんな形で耳を傾けまして、それと同時に税制調査会で審議を進めていただきながら、また各党派の確認事項、これに沿いまして与党の協議会におきましても引き続き御審議を進めていただくと同時に、野党の皆様とも検討を進めていただく機会というものをいただきたいというふうに考えております。
 いずれにしましても、六月にはこの成案をつくりませんと年内には間に合わないということでありますので、皆様の御協力を心からお願い申し上げる次第であります。
 また、安易な増税を図ることは問題であるという御指摘はもうそのとおりであります。しかし、高齢化社会というものがやってくるというときに、福祉政策等の積極的な展開をしなければいけない。また、減税措置に対する財源確保の観点というものを含めまして、個人所得税の軽減と消費課税の充実というものを柱に均衡のとれた税体系をつくるために、六月中には成案を得なければならないというふうに考えております。
 なお、今後とも行財政改革を強力に推進し、財政の効率化に向けた努力を続けることは申し上げるまでもございません。ただ、臨調・行革審の答申を受けまして、私どもは自由民主党の時代から苦しい対応をする中で改革の努力というものを行ってきたところでございます。行政改革による歳出の削減というものは、先ほども申し上げましたように、量的に多大なものというものは期待することはできない、また、直ちにその効果をあらわすことはできないというのが現実であるということも、ぜひとも御理解をいただきたいと存ずる次第であります。
 また、税制改革がまとまらないと公約違反で進退問題に発展するのじゃないのかということでありますけれども、政府は、税制改革の実現に大きな責任を有していることは、これはもう当然のことであるというふうに自覚をいたしております。税制改革については、先ほどから申し上げておりますように、国会でも前回もう大変な御議論をいただいておりまして、そういう御議論を踏まえまして、その速やかな実現は今や一つの国民的な課題になっておるというふうに考えております。
 政府としましては、このような税制改革の具体化に向けまして連立与党並びに野党の皆様方のいろんな意味での御協力というものを賜りますように、これもあわせてお願いを申し上げたいと存じます。
 財政再建の目標ということでありますけれども、我が国の財政というのは、もう御案内のとおり、六年度末の公債残高につきましてはおよそ二百兆円を超えるものというふうに見込まれております。これに係る国債費が歳出の約二割を占めておるということで、非常に硬直した財政になっておることはもう皆様御案内のとおりであるわけでございます。
 このため、引き続き健全な財政運営を確保し、公債残高というものが累増しないような体質をつくり上げていくという財政運営の基本的方向、これを堅持していくことが重要でありまして、今後とも歳出の優先順位の厳しい選択を行うなど徹底した洗い直しを行うとともに、税外収入等歳入面におきましてもあらゆる努力を傾注しまして、財政改革を強力に推進していかなければならない命題であるというふうに考えております。
 なお、御指摘の隠れ借金ということでありましたけれども、いわゆる特例的な歳出の削減措置等につきましては、これまでも返済や見合い財源の確保などその処理に努めてきたところでありまして、今後におきましてもそれぞれの制度、施策というものをめぐる状況やこれまでの考え方、国の財政事情等を踏まえつつ適切に対応していかなければ、もう御案内のとおり、硬直化をさらに進めるものになるということを注意しなければならないと私も確信をいたします。
 また、規制緩和の推進方針ということでありますけれども、規制緩和は、我が国経済社会の透明性を高めることと、国際的にもやはり調和のとれたものにするとともに、市場原理というものを生かして自由で創意にあふれた経済社会を築き上げていく上でぜひとも取り組むべきこれも喫緊の課題であろうというふうに理解をいたします。
 政府といたしましては、中期行革大綱におきまして規制緩和の推進を第一歩の柱として、基本的な方針とともに相当数の具体的な措置を決定したところでございます。また、さらに三月には、住宅ですとか土地、情報・通信、輸入促進・市場アクセス改善・流通、金融・証券・保険の各分野における検討の基本的方向を示しましたし、新たな規制緩和方策につきまして、その成果をやはりこれも六月末を目途に取りまとめることになっております。
 もとより、規制緩和の推進に当たりましては、これはなかなかお役所任せということではならないことは私も十分承知しておりまして、政治のリーダーシップは欠かせないものでありまして、私ども内閣を挙げてその積極的な推進に取り組んでまいりたいというふうに考えております。これはもう院の皆様方の御協力もぜひとも賜らなければならない課題であろうというふうに考えますので、よろしくお願い申し上げます。
 なお、省庁、特殊法人の統廃合の問題でありますけれども、行政改革は簡素にして効率的な行政を目指して不断に進めていくべき国政運営上の重要課題であることはもう当然であります。
 これまでも、臨調・行革審の答申に沿いまして、各省庁の定員の削減、国有林野、郵政等の現業の合理化ですとかあるいは三公社の民営化、その他の特殊法人の整理合理化などの改革を推進してまいったところであります。
 特殊法人については、やはり行革審の答申を受けながら本年二月の閣議決定に基づきまして、各省庁において、おおむね二年間を目途にいたしまして、所管の特殊法人などにつきまして順次、事業の社会経済的必要性等の観点からその事業内容等を見直し、必要な措置を講ずることといたしております。こうした方針に沿いまして、私ども検討を進めてまいりたいと思っております。
 また、省庁の再編成につきましては、やはり社会経済状況というものが大変大きく変化をしておるわけでございまして、そういうものを踏まえ規制緩和あるいは地方分権を推進しながら、基本的にとれは中長期的な観点から検討していかなければならない課題であろうというふうに考えております。
 国民の皆さんあるいは企業の皆さんも一生懸命これはリストラしていることでありまして、まさに国自身も時代の大きな変化に適合したものにしていかなければならないわけでありまして、どうかこの院におきまして十分なひとつ御議論を賜りますことを心からこれもあわせてお願い申し上げたいと思います。
 地方分権推進の基本方針につきましては、私は、何よりもそれぞれの地方特有の歴史ですとか文化あるいは風土を生かした特色を持った魅力のある地域づくりを進め、それが国土の均衡ある発展につながるような基盤を整備していくことが必要であろうというふうに考えております。私は、地方分権推進のためには地方の自主性そして自立性の強化を図ることが必要と認識をしております。
 昨年十月の臨時行政改革推進審議会からの最終答申、これを踏まえまして閣議決定を行いました「今後における行政改革の推進方策について」の中で、政府の重要課題の一つとして地方分権の推進を図ることとしたところでございます。
 この閣議決定に基づきまして、住民に身近な問題というのは身近な地方公共団体が担っていくことを基本としておりまして、御指摘の財源の問題を含めまして権限の委譲あるいは地方税財源の充実等、二十一世紀に向けた時代にふさわしい地方自治を確立するために、私といたしましても具体的な成果を上げるべく強い決意でこれに臨んでいきたいということを申し上げます。
 なお、ラウンドの合意後の農業再建のための施策ということでありますけれども、ラウンド協定の実施に伴います影響を最小限に食いとめると同時に、我が国農業の将来展望、これを切り開くことが重要であり、二十一世紀に向けた農業構造の早期実現を図ることは、我が国農業の発展の上で、また食糧政策の上でも何よりも肝要というふうに考えておるところであります。
 ブレンド米ですとかあるいは外国米、こういったことについての実は御指摘がありました。消費者重視ということでどういうことが行われたということでありますけれども、御案内のとおり、昨年の七五%という不作のもとで国民に食糧を安定供給しなければならないという中でとられた措置でありまして、これは万やむなき措置であったというふうに御理解をいただきたいと考えております。
 しかし、いずれにいたしましても、このラウンドの協定の実施に伴います国内対策というもの、それから昨年の不作というものを経験したことを踏まえまして、私どもといたしましては農政審の答申等も十分参考にしながら、これから緊急農業農村対策本部におきまして検討の上、万全を期してまいりたいというふうに考えております。
 この問題につきましては、五年度の第三次補正予算におきましても、緊急に農業の体質強化を進めるため国際化対応緊急農業対策を盛り込むとともに、六年度の予算におきましても新政策の推進に格段の厚みを増すよう工夫を凝らしたところでございまして、備蓄問題等もあわせまして、私どもといたしましても、農業政策、農村政策、そして食糧政策という観点からこの問題に真剣に取り組んでいくことを申し上げさせていただきます。
 なお、大臣、政務次官の内閣の構成面で参議院の軽視が見られるという御指摘があったわけでありますけれども、国民的な歴史的課題としての改革の推進に当たりましては、私自身、今後とも衆議院、参議院を問わず、また与野党というものも問わず、皆様の御意見に十分に耳を傾けていかなければならないこと、これを私の基本的な政治を進める上での考え方としなければいけないと思っております。
 このため、我が国の議会の二院制を支える参議院におかれましても、実りある政策論議が行われますよう格別の御協力をお願いし、我が国の向かうべき進路につきまして、まさに長期的な視野から御示唆を賜りますことをこの機会にお願い申し上げたいと存じます。
 なお、このたびの内閣の構成、政務次官の任命に当たりましては、識見ともにすぐれた皆様方に最も適した職務を遂行していただくよう十分に考慮したわけでございまして、参議院を軽視するということは全然考えておらないということを理解いただきたいというふうに思います。
 また、少数与党政権、これは立ち往生じて無策を続けるのは許されないということでありますけれども、当面する難局にあって、政治改革ですとか経済改革、行政改革はもう今や与党野党を問わず、国家国民を挙げて取り組むべき歴史的な課題であろうというふうに考えます。これは回り道をすることは許されない問題であるというふうに考えます。このため、今後とも諸々の政策につきましては各党の御理解を得ながら進めてまいりますので、この国のあすのためにぜひとも御協力をお願い申し上げたいというふうにお願いを申し上げる次第であります。
 残余の質問につきましては、関係大臣の方から御答弁することになっております。(拍手)
   〔国務大臣熊谷弘君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(熊谷弘君) 御指摘の点につきましては、内閣組閣閣僚名簿発表時の記者会見におきまして、記者の質問に対し、事実関係を全部承知していないのでコメントは控えたいが、一般論として申せば、男女は平等であり、男女共同参画型社会の構築が重要と認識しており、発言もこのような考え方に基づかなければならない旨お答えしたところでございます。
 私としては、今後とも、男女が平等であり、男女共同参画型社会の構築へ向け努力してまいる所存であります。(拍手、発言する者あり)
   〔国務大臣寺澤芳男君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(寺澤芳男君) 吉川議員より、今後の景気回復の見通しにつき御質問がありましたので、お答えいたします。
 景気の現状は、明るい面としては公共投資が堅調であること、住宅の建設が高い水準で進んでいるということ、個人消費にやや持ち直しの動きが見られますが、一方、設備投資は減り続けておりますし、企業の収益や雇用情勢も依然厳しい状況にあります。一口で言えば、我が国経済は一部に明るい動きが見られるものの、総じて低迷が続いているというふうに言えると思います。
 政府は、何回かに分けた経済対策の実施によってこの景気低迷に対処してまいりました。ことしの二月には十五兆円を上回る総合的な経済対策を決定いたしました。平成六年度予算についても、可能な限り景気に配慮するよう努めてまいりました。これからもこれらに盛り込まれましたいろんな施策をきちんと実行していきたいと思います。
 平成六年度の政府投資は高い伸びとなり、住宅投資も堅調に進むものと見込まれ、国内需要にも波及していくものと思います。これに加えて、今度の大規模な所得減税によって耐久消費財のストック調整が進み、個人消費の伸びも高まり、民間部門のマインドを好転させるものと期待いたします。
 このような動きの中で設備投資も回復に向かっていくものと考えられ、我が国の経済は六年度中に本格的な回復軌道に乗るものと見込まれます。(拍手)
   〔国務大臣石井一君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(石井一君) 固定資産税の評価に関して国民の不満が大きいので見直す、そういう姿勢はないかという吉川議員の御指摘で、傾聴に値するものと拝聴いたしております。
 平成六年度の固定資産税の宅地の評価がえは、土地基本法第十六条の趣旨を踏まえて、地価公示価格の七割程度をめどに評価し均衡化と適正化を図ったものでございます。また、昨今非常に地価の変動が大きかったために、総合的な調整措置を講ずることによってその増加を極力抑制し、過重な負担などのないように十分配慮したものでございます。
 その過程におきまして、一、住宅用地に対する特例措置の拡充、二、評価の上昇割合の高い宅地に対する特例措置の創設、三、よりなだらかな税負担となるような負担調整措置の実施、さらに家屋に関しての耐用年数の短縮等を考慮したわけでございますが、なおそれにもかかわらず、都市部等におきましては地価の著しい下落によりまして固定資産税に対する不満が充満しておるということを認識いたしております。
 直ちに見直すということは非常に技術的にも年数的にも問題があろうかと思いますが、土地問題の重要性もかんがみ、新しい評価がえの時期等をにらみ合わせて今後検討していきたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣藤井裕久君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(藤井裕久君) 将来の財政展望あるいは今後の財政再建目標につきまして総理とあわせて御質問がございましたが、重複を避けてお答えします。
 現在の財政の状況に対する認識、それから、これに対する基本的考え方は総理のお答えのとおりでありまして、現在の財政構造の改善を図っていくことはますます急務になっていると考えております。
 このような認識のもとで、ことしの二月でございますが、財政審の会長談話で、今後の中期的財政運営のあり方として、公債依存度の引き下げ等により、公債残高が累増しないような体質をつくり上げるとの努力目標に改めて取り組むべきであるという指摘がなされまして、この努力目標を目指すに当たっての公債依存度の具体的水準といたしましては、現在の公債依存度等の水準を勘案いたしまして、引き続き五%を下回る水準が中期的な一つの目途となるという指摘がなされたところでございます。
 政府としても、今後とも歳出の根本にさかのぼっての見直しや施策の優先順位の厳しい選択などを通じまして、財政改革を強力に推進してまいりたいと考えております。
 また、御指摘の隠れ借金、いわゆる特例的な歳出削減措置、これも総理からお答えございましたけれども、今後においてもそれぞれの制度、施策をめぐる状況やこれまでの考え方、国の財政事情等を踏まえつつ、適切に対応していく必要があるという点を重ねて申し上げたいと存じます。(拍手)
#28
○副議長(赤桐操君) 答弁の補足があります。熊谷国務大臣。
   〔国務大臣熊谷弘君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(熊谷弘君) 先ほどの御質問につきまして、繰り返しになるようでございますけれども、私どもこの発言の場面、内容等について事実関係を承知いたしておりませんし、また、その内容について誤解を招くような発言も差し控えたいと思うわけでございますけれども、一般論として申し上げますと、やはり誤解を招くような発言は、これは自省、私ども自身の自省を込めてでございますけれども、気をつけなければならない。この社会におきましては男女は平等であり、まさに共同作業をしていくということでやっていかなければならないとも思っておるわけでございます。
 何度も申し上げますように、事実関係を掌握いたしておりませんので、その間違った事実に基づいて、あるいは伝聞に基づいてコメントをいたすのは差し控えさせていただきたいと思っているわけであります。(拍手)
#30
○副議長(赤桐操君) ただいま理事が協議中でございます。しばらくお待ちください。
 答弁の補足があります。熊谷国務大臣。
   〔国務大臣熊谷弘君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(熊谷弘君) 補足をして答弁させていただきます。
 もし伝えられるような、いわゆる報道に伝えられるような発言があったとすれば、これは適切であったとは思いませんし、好ましいことでもないと考えておるところでございます。
    ―――――――――――――
#32
○副議長(赤桐操君) 糸久八重子君。
   〔糸久八重子君登壇、拍手〕
#33
○糸久八重子君 私は、先ほどの浜本議員に引き続き、日本社会党・護憲民主連合を代表して質問をいたします。
 「改革と協調」を掲げられた羽田内閣、看板に偽りのないような御健闘を御期待申し上げます。特に、重責を担われる二人の女性閣僚に心から激励を送ります。しかし、この議場のひな壇を見ますと、どうもお二人が末席に追いやられたように見えますのは私だけでしょうか。いかがでしょう。もっと女性を大事にしていただきたいということもここで申し上げておきたいと思います。
   〔副議長退席、議長着席〕
 以下、私は主として女性、福祉、教育問題等についてお尋ねいたします。
 総理は所信表明の中で、女性が社会のあらゆる分野に男性と平等に参画する男女共同参画型社会の形成に取り組みたいと述べられました。御承知のように、国連は西暦二〇〇〇年に向けての女性の地位向上のためのナイロビ将来戦略の実施に関する見直し、勧告において、一九九五年までに指導的地位につく女性の割合を三〇%にまでふやすことを目標として掲げています。
 総理、来年、第四回世界婦人会議が北京で開催されます。アジアで開催される意味は大きく、我が国が果たすべき役割も重いものがあることは言うまでもありません。そこで、目前に世界会議を控え、国際的な目標を実現するためにどのようなリーダーシップを発揮されるおつもりなのかをお尋ねいたします。
 さて、一九八五年に国連の女子差別撤廃条約を批准して以来、私どもが強く求めてきたILO百五十六号条約、いわゆる家族的責任を有する労働者条約の批准についてお伺いいたします。
 政府がようやく今国会にその批准、承認を求めることを具体的に検討されていたことについて大いに期待をしておりました。ことしは国連の国際家族年でもありますので、私どもはぜひともこれを実現したいと考え、細川連立与党としても積極的に取り組むよう連立各会派に提案をし、賛同を得ていたところであります。同条約の批准については他の野党も異存はないと思います。しかしながら、今なお案件が提出されていないのは極めて残念であります。
 そこでお伺いするわけですが、総理、この際、男女共同参画型社会の形成を具体化する意味からも、総理御自身のリーダーシップを発揮され、この条約の批准をぜひとも今国会で実現すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 関連して、看護・介護休業の法制化についてもお尋ねいたします。
 さきの九四年度政府予算案の取りまとめに当たり、私ども社会党が強く主張して、その法制化を検討することを連立与党の方針として確認していただきました。公務員については、介護休暇を認めるための政府法案が既に今国会に提出をされていることは御承知のとおりであります。民間労働者についても、これにおくれることなく早急に法制化を図るべきと考えるのでありますが、総理いかがでしょうか。
 二十一世紀に向かって高齢人口が急速にふえていく一方で、子供の数がどんどん少なくなっていく少子・高齢社会の到来を目前にして、あるべき福祉のシステムと水準を国民の前に明らかにすることは政府の重要な責務であります。
 私がまず最初に強調したい点は、少子・高齢社会を個人責任やあるいは家族の責任に帰す、いわゆる自助型福祉で乗り切ろうとする考えはもはや時代おくれであり、国や地方公共団体が第一義的な役割を果たす公助を中心として、それを地域社会や企業が補う共助や自助を組み合わせる形こそ追求すべき姿であります。低福祉低負担は論外であり、また適正福祉適正負担というようなあいまいなものでもなく、国民が本当に安心して老後を迎えたり、子供が健やかに育つためには、高福祉こそが不可欠であります。そして、それに必要な費用は国民の納得の上で相互に分かち合うという給付と負担の公正なルールが重要だと確信するものですが、福祉給付と負担について総理の基本的なお考えはいかがですか、お聞かせ願いたいと思います。
 福祉分野の中で国民が今最も切実に望んでいるのは、介護対策の飛躍的充実であります。ゴールドプランに沿った在宅福祉が現在進められており、着実に成果を上げつつある反面、介護がいまだに女性に専ら依存している現状は克服されておりません。寝たきり老人をゼロにし、年をとっても尊厳を持ち自立した生活を送れるためには、現行ゴールドプランを抜本的に見直して新ゴールドブランの立案を急がなければならないと思いますが、総理の見解をお尋ねいたします。
 新ゴールドプランにおいては、ホームヘルパーの倍増を初め、現在の各施策の整備水準を少なくとも二倍程度には引き上げ、一九九五年度予算から実施に移すべきだと思いますが、具体的な手法についてもお示しいただきたい。
 第二に、政府の年金改正案において基礎年金の国庫負担引き上げが見送られたことは甚だ残念なことと言わなければなりません。六十五歳以上の人々にひとしくミニマム所得保障を行うと同時に、多くの無年金者の出現を防止する上からも、基礎年金の国庫負担の引き上げは焦眉の政策課題であると思いますが、そのおつもりがあるのかどうか。
 また、政府案の中では、育児休業期間中の保険料支払い免除など女性の年金権について幾つかの改善が含まれてはおりますが、専業主婦の保険料負担のあり方やパートタイム労働者の年金適用の促進など重要課題が放置されております。年金を女性の雇用促進的に改める視点も今後ますます大切になっていくと思いますが、どのような展望を持ってこれらの課題に取り組まれるのか、明らかにしていただきたい。
 第三に、子育てを社会的に支援するために、産む、ともに過ごす、働きながら育てる、学ぶという子育てサイクルのそれぞれに応じてめり張りのきいた政策を重点的に取り上げ、お金を効率的につぎ込むという方法が重要だと考えます。育児休業期間中の所得保障のさらなる拡充、乳児保育、延長保育、夜間保育など保育サービスの普及と学童保育の制度化、児童手当と奨学金制度の大幅な拡充による経済的負担の軽減などの三点を重点施策に据えることを提案したいと思います。
 特に保育問題については、子どもの権利条約にもうたわれているように、子供を中心に置いた制度、そして子供の育つ環境をいかに地域に整備するかという根本的課題に取り組んでいただきたいと思います。総理の御見解はいかがでしょうか。
 次に、教育問題についてお伺いをいたします。
 文教予算の特色は、人件費の比率が七七%と異常に高いことにあります。教育は基本的に人によって行われる事業であり、人件費の比率の高いことは当然であるとしても、これまでの一律削減方式では政策的経費が抑制されやすく、予算を弾力的に編成することが困難になりつつあるのが現状です。
 また、教育や研究機関への支出はその効果が直ちにあらわれず、また反対に抑制しても直ちに影響があらわれにくいこともあり、財政難の中では予算が抑制されやすい側面を持っております。しかし、教育は将来を見通した投資であり、その意味では最も重要な公共投資と言えるものであります。
 とりわけ、欧米へのキャッチアップから最先進国への転換が迫られる今日にあっては、個性豊かで独創性を持った人材の育成や基礎研究への重点的な投資が今後の日本の命運を左右すると言っても過言ではありません。その意味で私は、総理が所信表明の中で教育や科学技術を未来への先行投資として位置づけられたことを評価するものであります。
 そこで、総理に今後の文教予算の編成のあり方について、シーリング方式も含めてどのように考えておられるのか、御所見を賜りたいと思います。
 また、投資を効果的にするためにはどういう人づくりをするのかというビジョンや戦略を持ち、長期的な投資計画を立案することが今後の重要な課題になると思われます。総理及び文部大臣のお考えをお聞かせください。
 国際化、情報化時代と言われる今日では、情報の洪水の中からみずからに価値ある情報を収集、選択し、自分の考えをまとめ上げ、価値観が異なる人々へも自分の主張を理解されるように再発信する能力を身につけることが重要になってまいります。また、みずから学びみずから育つ力をつけることは生涯学習時代を生きる基礎能力を養うことでもあります。こうした力を育てるには、知識詰め込み型の教育から脱却する必要があります。例えばアメリカなどでは、学校図書館の周りに校舎が配置されるなど、学校図書館なくして学校教育はないという思想が根づいています。
 日本の現状は、図書館というのにはほど遠く、いまだに図書室のイメージのままであります。学校図書館のイメージをもっと豊かなものにし、それにふさわしい設備の整備、人的配置の改善を行うことは未来への投資として極めて重要な課題であると考えますが、いかがでしょうか。
 あわせて、子供たちが学校、家庭、地域でゆとりと希望を持って生活が送れるように、学校五日制を早期に完全実施されますように要望しておきたいと思います。
 次に、障害児教育についてお尋ねいたします。
 昨年十二月、国連において採択された障害者の機会均等化に関する標準規則では、統合された環境での教育の機会均等の原則を政府は認識すべきであるとして、統合教育の原則をうたっています。現段階での特殊教育の例外も認められてはおりますが、段階的な統合教育への移行を国の目標とすることも定められております。
 こうした国際的な流れを踏まえ、将来的な統合教育を展望しつつ、学校教育において障害者が障害の種類及び程度に応じてできる限り障害を有しない者とともに教育を受けることができるようにするため必要な施策を検討していくことが政府の責務と考えます。標準規則に対する政府の評価と今後の対応について、文部大臣のお考えをお聞かせください。
 私は、特に核兵器の廃絶を念願する立場から、現在、世界保健機関が国際司法裁判所に意見を求めている核兵器の使用が国際法に違反するか否かの問題に関して、国際司法裁判所は各国政府に対して本年六月十日までに陳述書の提出を求めていますが、我が国は未回答だと伺っております。世界唯一の被爆国である我が国こそ被爆の悲惨さを訴え、違法性を明確にした陳述書を提出する責任があると考えますが、なぜ提出をしないのか、明確にお答えください。
 次は、規制緩和について伺います。
 規制緩和は、政治改革とともに細川連立内閣の重要な課題であり、羽田政権もこれを継承されるようであります。私どもとしても協力を惜しむものではありません。その立場から一つの提案があります。これを積極的に実行していくため、事業者の公正自由な競争を促進する視点から、独禁法とこれを所管する公正取引委員会の役割がこれまで以上に重要なものになってくるものと考えられます。
 したがって、私どもは公正取引委員会とその事務局を思い切って大幅に拡充強化することが求められておると理解いたしますが、対外経済関係の打開等も視野に入れて思い切った施策を総理が打ち出されるべきときではないかと存じますが、いかがでしょうか。総理の明確な御答弁をお願いいたします。
 最後に、三世紀余りにわたった長い長い束縛から解放され、性差別も人種差別もない民主主義国家として生まれ変わろうとする南アフリカのネルソン・マンデラ新大統領は、その就任演説で、新政権はすべての人々に正義を、平和を、仕事やパン、水、塩が行き渡るようにしよう。この美しい大地で、人間が人間を抑圧し、世界の嫌われ者になる不名誉を繰り返してはならないと述べられたと聞き及びます。世界が、また我が国がこの言葉の指し示すように進んでいくことを心から願いつつ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣羽田孜君登壇、拍手〕
#34
○国務大臣(羽田孜君) 女性の登用にかかわりますリーダーシップについての御質問でございます。
 女性が持たれる能力、これを存分に生かされる政治、社会のあらゆる分野に男性と平等に参画する男女共同参画型社会の形成は、今後の政府施策の重要な柱でありまして、私の所信表明でも言及したところでございます。
 西暦二〇〇〇年に向けての新国内行動計画の第一次改定におきましても、審議会委員の女性の割合を平成七年度までに一五%にするという目標を立て、その達成に努力をいたしております。また、行政の分野において、女子公務員の採用、登用について努力いたしておりますこともあわせて申し上げさせていただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、新しい時代のニーズにこたえるためには多くの女性の参加は今や欠かせないと信じますか。糸久議員を初め各議員の皆様方の御支援もお願いを申し上げたいと存じます。
 ILOの百五十六号条約の批准、これについてでありますけれども、本条約は家族的責任を有する男女労働者が差別待遇を受けることなく、また、できる限り就業にかかわる責任と家族的責任とが両立できるようにすることを規定したものであろうと思います。
 本条約につきましては、この趣旨に沿った育児休業等に関する法律等が制定されるなど、我が国においても批准に向けての環境整備が進められてきておりまして、政府としては国会提出を目指し関係省庁で努力をしてきたところであります。しかしながら、なお検討を要する問題が残されておりますが、前向きにできるだけ早期に批准できるよう努力を続けたいというふうに申し上げたいと存じます。
 なお、介護制度の問題は、働く人々が介護を必要とする家族の皆さんを抱えながら安心して働くために、今や深刻な問題であるというふうに私も認識をいたしております。私どもは今日までその普及に努めているところでございます。
 介護休業制度の法制化につきましては重要な課題と認識をしておりますけれども、その検討に先立って必要な介護の状態をどうとらえるのか、また専門的、技術的研究を深める必要があるということでございまして、このため、それらにつきましてただいま専門家による検討を行っておりまして、その成果を得てできる限り早く検討に着手することを申し上げたいと存じます。
 なお、給付と負担のあり方でございますけれども、御指摘ありましたように二十一世紀の少子そして高齢社会におきましても、経済社会の活力を維持して国民が安心できる福祉社会の実事図っていくことは重要な課題であります。
 このためには、国際的にも相当高い水準にあります社会保障の現状を踏まえながら、社会保障制度を公平公正、効率的なものへと再構築していくとともに、公と民間、これを適切に組み合わせた、先ほど適正給付適正負担型ではだめだという御指摘があったわけでありますけれども、高福祉高負担というのも厳しい、そして高福祉で負担が少ないというのも実はなかなか難しいということであります。
 そういうことで、適正給付で適正負担型の我が国独自の福祉社会というものの実現を図っていくことが私どもは大事じゃないのかというふうに考えながら、これを徹底して懸命に究明していきたいというふうに思います。
 このような考え方に基づきまして、福祉社会のビジョンや今後の税制のあり方などを検討いただいております連立与党税制改革協議会を初め多くの皆様方の御論議を踏まえまして、望ましい福祉社会の実現に向けて具体的方策を講じてまいりたいというふうに考えます。
 専業主婦の保険料負担のあり方や。パートタイム労働者の年金適用の促進などが重要課題であるという御指摘でありました。パートタイム労働者に対する厚生年金の適用につきましては、被用者はなるべく厚生年金の被保険者にするという基本的な考え方に立ちまして、企業者等関係者の意見というものを十分に聞きながら、制度の適用について検討を進めてまいりたいというふうに考えます。
 また、サラリーマンの被扶養者、これはいわゆる専業主婦の方々でありますけれども、保険料負担のあり方につきましては、収入のない主婦に新たな保険料負担を求めることは所得に応じて保険料を負担するという社会保険の仕組みとして適当かどうかといった問題などもございまして、これは引き続き検討を要するものであるというふうに考えておるところであります。
 子育て支援対策への取り組みということでありますけれども、今後本格的な少子・高齢社会というものの到来に対応する上で、子育てを家庭だけではなくて社会的に支援するための施策を進めていくことは重要な政策課題の一つであろうというふうに認識をいたしております。
 このために、雇用保険法の改正による育児休業給付制度の創設、また二番目として、多様なニーズに対応した保育サービスの提供や放課後の児童対策の拡充、また、児童手当制度における児童育成事業の創設ですとか育英奨学事業の充実なども含めまして、子供の立場に十分配慮して関連の諸施策というものを推進することに努めなければいけないというふうに考えております。
 今後とも関係省庁が十分に連携をとりまして、保育あるいは雇用、教育等の広範な分野におきまして、健やかに子供が生まれそして育つ環境づくり、これに向けた施策の総合的な推進を図ってまいりたい、このように申し上げます。
 また、教育は将来を見通した投資である、今後の文教予鈴の編成のあり方についての御指摘がありました。
 教育は、国民一人一人の人格の完成を目指しつつ、次代の国家あるいは社会の形成者を育成するものでございまして、国づくりの基本となるものという認識は私も全く同感であります。他方、概算要求基準というのは経費の性格に応じまして各省庁の要求の総枠を示すものであります。各省庁は、その枠内で施策の重要性に応じまして要求を行うこととされておりまして、近年の財政事情が厳しい状況のもとにおきまして、引き続き極めて重要な役割を果たすものであろうというふうに考えておるところであります。
 私自身大蔵大臣として務めておりますときにも、特に皆さんから御要請のあるものについてこたえようというときに、じゃどこの役所のものをどうやって切るのかというのに大変実は苦労したことがあるわけでございまして、これはそういう作業もしなければいけませんけれども、各省庁の中でやはり検討していただくことも必要であろうと思っております。
 文教予算の多くというものが、これは人件費の中に占められておるという実態も御指摘があったわけでございますけれども、そういうものも踏まえ私どもは議論していかなければいけないと思っております。しかし、いずれにいたしましても、今後ともそのときどきの財政事情なども適切に踏まえながらも、真に緊要な文教施策につきましては、その重点的な推進に配慮していかなければいけないというふうに考えます。
 人づくりに関するビジョンや戦略ということでありますけれども、先ほど来申し上げております少子化や高齢化などが進展する中で、我が国が創造的で活力に満ちた、しかも真に豊かさを実感できる社会をつくるとともに、国際社会に貢献していく上で教育、学術等にかかわります諸施策の充実を図ることは重要であります。
 このため、文部省におきましても、臨時教育審議会の答申ですとかあるいは中央教育審議会の御意見を承りながら、個性や創造性を発揮して社会の変化に主体的に対応できるとともに、日本人としての自覚に立って国際的にも存分に発言する中で信頼と尊敬を得られる人間を育成していくという視点から、新学習指導要領の実施、教職員定数の計画的改善などに取り組んでおるところであります。
 また、人類の知的創造活動として学術研究の推進につきまして、学術研究基盤の計画的・重点的整備と世界に開かれた学術研究体制の整備、こういったものに重点を置きまして、総合的な施策を展開しておるところであります。今後とも、人づくりは国づくり、この基本に立ちまして、教育、学術にかかわります政策というものを充実させていくこと、これも私も同感に存じます。
 なお、核兵器の使用というものは国際法に違反するのか否かということについてであります。それで、被爆の悲惨さを訴え、そして違法性を明確にした陳述書を提出する責任があるという御指摘がございました。
 この点につきましては、国際司法裁判所から世界保健機関及び我が国を含む関係国に対しまして陳述書の提出を要請してきているのは御指摘のとおりでありまして、六月十日まで同陳述書を受理するということでございます。現在、政府の部内におきましてその対応ぶりを検討いたしておる段階にあります。御指摘のございました点も十分に参考にさせていただきたいというふうに考えます。
 公正取引委員会の拡充強化でございますけれども、規制緩和を積極的に推進し、事業者の公正かつ自由な競争が行われるよう競争条件を整備していく上で、公正取引委員会の役割というものはさらに大きくなっているというふうに認識をいたしております。この委員会につきましては、このような観点から、従来からその体制の整備ですとか充実に努めてきておりますけれども、今後とも引き続きそれの拡充のために我んも努力したいというふうに思います。
 最後に、南アのマンデラ大統領の心からの叫びについてお話がありましたけれども、私どももこの言葉というものは大切にしていくべきであり、まさに普遍性のある言葉であろうというふうに私も認識をいたします。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣赤松良子君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(赤松良子君) 糸久議員の御質問の冒頭での温かい激励のお言葉にお礼を申し上げます。御激励にこたえられるように努力をいたしたいと思います。
 御質問のうち、総理の御答弁と重複を避けまして、三点についてお答えいたします。学校図書館の整備、学校週五日制に向けての取り組み及び国連の障害者の機会均等化に関する標準規則についての三つでございます。
 まず、学校図書館の整備についてでございますが、学校図書館は児童生徒の知的活動を増進し、人間形成や情操を養う上で、学校教育上重要な役割を担っているものと考えております。新学習指導要領におきましても学校図書館の機能の活用を明示したところでございます。また、平成五年度からは学校図書館図書整備新五カ年計画をスタートさせまして、蔵書の充実を図るなど施策を実施いたしております。さらに、学校図書館の新しい時代のあり方についても研究を進めているところでございます。今後とも学校図書館の充実を図るため、諸施策の実施に努めてまいる所存でございます。
 次に、学校週五日制についてお答え申し上げます。
 学校週五日制は、学校、家庭及び地域社会の教育のあり方を見直し、子供の生活にゆとりを持たせ、望ましい人間形成を図ることを目指し、平成四年九月から月一回ただいま実施しているところでございます。次の段階である月二回の学校週五日制の導入につきまして、現在実験校を設けまして検討を行っているところでございます。この検討結果を待って適切に対応してまいりたいと存じます。
 さらに、毎週土曜日を休みにするという学校週五日制の完全実施には、学習指導要領の改訂が必要となります。あわせて、今後予定される月二回の学校週五日制の実施状況や世論の動向などを考慮いたしまして、慎重な検討が必要かと存じます。
 最後に、国連の障害者の機会均等化に関する標準規則についてでございます。
 心身障害児の教育につきましては、その障害の種類と程度に応じまして適切な教育を行い、障害の程度の重い児童生徒は盲・聾・養護学校で、障害の程度の軽い児童生徒は小中学校の特殊学級等できめ細かな教育を行っているところでございます。
 御指摘の国連の障害者の機会均等化に関する標準規則は、ガイドラインとしての性格を有するものでありまして、拘束力を持つものではございませんが、教育の分野に関しては加盟国の統合された環境における教育の機会均等の原則が提言されております。
 しかし、一方で特殊教育の重要性も述べられているところでございます。したがいまして、我が国の現在の特殊教育制度はこの規則の趣旨に反するようなものではないと理解をいたしておりまして、盲・聾・養護学校または小中学校の特殊学級等におきましてそれぞれ適切な教育を行っていくことといたしたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
#36
○議長(原文兵衛君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#37
○議長(原文兵衛君) 日程第二 国立学校設畳法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。文教委員長石井道子君。
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   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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   〔石井道子君登壇、拍手〕
#38
○石井道子君 ただいま議題となりました国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして、文教委員会における審査の経過と結果について御報告を申し上げます。
 本法律案は、宇都宮大学の教養部を改組して国際学部を設置し、岡山大学の教養部を改組して環境理工学部を設置するとともに、新潟大学商業短期大学部、静岡大学工業短期大学部及び神戸大学医療技術短期大学部を廃止して、それぞれの大学の関係学部に統合するほか、昭和四十八年度以後に設置されました国立医科大学等の職員の定員を改めようとするものであります。
 なお、衆議院におきまして、施行期日について修正が行われております。
 委員会におきましては、教養部改組、廃止後における一般教育充実の確保、医療業務の高度化に伴う看護及び医療技術教育の拡充、大学院生の研究条件の抜本的改善等の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 質疑を終了し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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#39
○議長(原文兵衛君) これより採択をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#40
○議長(原文兵衛君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十五分散会
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ソース: 国立国会図書館
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