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1994/03/25 第129回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第129回国会 農林水産委員会 第2号
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1994/03/25 第129回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第129回国会 農林水産委員会 第2号

#1
第129回国会 農林水産委員会 第2号
平成六年三月二十五日(金曜日)
    午前十一時三分開議
出席委員
  委員長 竹内  猛君
   理事 亀井 善之君 理事 中川 昭一君
   理事 二田 孝治君 理事 前島 秀行君
   理事 仲村 正治君 理事 錦織  淳君
   理事 千葉 国男君
      赤城 徳彦君    菊池福治郎君
      岸本 光造君    栗原 博久君
      栗原 裕康君    塩崎 恭久君
      鈴木 俊一君    中村  力君
      保利 耕輔君    松岡 利勝君
      松下 忠洋君   三ッ林弥太郎君
      山本 公一君    石橋 大吉君
      遠藤  登君    沢藤礼次郎君
      田中 恒利君    辻  一彦君
      青木 宏之君    実川 幸夫君
      田名部匡省君    広野ただし君
      玄葉光一郎君    木幡 弘道君
      初村謙一郎君    上田  勇君
      長内 順一君    倉田 栄喜君
      小平 忠正君    藤田 スミ君
      石破  茂君
 出席国務大臣
        農林水産大臣  畑 英次郎君
 出席政府委員
        農林水産大臣官
        房長      高橋 政行君
        農林水産省畜産
        局長      東  久雄君
        水産庁長官   鎭西 迪雄君
 委員外の出席者
        環境庁自然保護
        局国立公園課長 鹿野 久男君
        厚生省生活衛生
        局乳肉衛生課長 森田 邦雄君
        農林水産省経済
        局統計情報部長 嶌田 道夫君
        農林水産委員会
        調査室長    黒木 敏郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十四日
 辞任         補欠選任
  玄葉光一郎君     佐藤謙一郎君
同日
 辞任         補欠選任
  佐藤謙一郎君     玄葉光一郎君
同月二十五日
 辞任         補欠選任
  七条  明君     中村  力君
  中谷  元君     塩崎 恭久君
  浜田 靖一君     鈴木 俊一君
  辻  一彦君     沢藤礼次郎君
  白沢 三郎君     青木 宏之君
同日
 辞任         補欠選任
  塩崎 恭久君     中谷  元君
  鈴木 俊一君     浜田 靖一君
  中村  力君     栗原 博久君
  沢藤礼次郎君     辻  一彦君
  青木 宏之君     白沢 三郎君
同日
 辞任         補欠選任
  栗原 博久君     七条  明君
    ―――――――――――――
三月二十四日
 食料自給の回復と食料の安全に関する請願外四
 件(伊東秀子君紹介)(第五三六号)
 同(沢藤礼次郎君紹介)(第五三七号)
 同(早川勝君紹介)(第五三八号)
 同(早川勝君紹介)(第五五九号)
 同(畠山健治郎君紹介)(第六三四号)
 同(佐藤泰介君紹介)(第六五九号)
 同(畠山健治郎君紹介)(第六六〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整
 備計画の変更について承認を求めるの件(内閣
 提出、承認第二号)
 農林水産業の振興に関する件(畜産問題等)
 畜産物価格等に関する件
     ――――◇―――――
#2
○竹内委員長 これより会議を開きます。
 漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件を議題といたします。
 まず、趣旨の説明を聴取いたします。畑農林水産大臣。
    ―――――――――――――
 漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整
  備計画の変更について承認を求めるの件
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#3
○畑国務大臣 漁港整備計画の変更について承認を求めるの件につきまして、その提案の理由及び主な内容を御説明申し上げます。
 漁港につきましては、漁業生産の基盤であり、かつ、水産物流通の拠点であるという重要性にかんがみ、漁港法に基づき、漁港整備計画を定め、国会の承認を受けて、計画的に漁港施設の整備を図っているところであります。
 現行の漁港整備計画は、昭和六十三年第百十二回国会において承認を受けたものでありますが、本年度をもって計画期間が終了するため、最近における水産業をめぐる情勢の変化に即応するよう、その全部を変更し、国会の承認を求めることとした次第であります。
 次に、本件の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 今回の漁港整備計画は、漁業と漁港施設の現状を基礎とし、我が国周辺水域の高度利用等による漁業生産の確保、流通機構の改善、水産加工業の振興、漁港の安全性及び快適性の確保並びに活力ある漁村の形成の観点に立って策定いたしました。
 計画内容といたしましては、沿岸漁業及び増養殖漁業の振興上重要な漁港並びに漁場の開発または漁船の避難上特に必要な漁港を重点的に整備するとともに、沖合漁業の根拠地として重要な漁港及び遠洋漁業の根拠地として重要な漁港についても整備を図ることといたしております。
 整備漁港の選定に当たりましては、指定漁港のうち漁業振興上及び地域振興上重要であり、かつ、漁港施設の不足度が高く事業効果の大きいもので緊急に整備する必要があるものを採択いたしました。その結果、平成六年度以降六年間に、四百八十港の漁港について漁港修築事業を実施することといたしております。漁港修築事業の内容といたしましては、それぞれの漁港に適応した外郭施設、係留施設、水域施設、輸送施設、漁港施設用地等を整備することといたしております。
 なお、以上申し上げました漁港整備計画につきましては、漁港法に基づき、漁港審議会の意見を徴し、適当であるとの趣旨の答申を得ております。
 以上が、本件の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御承認くださいますようお願い申し上げます。
#4
○竹内委員長 以上で本件の趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#5
○竹内委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木俊一君。
#6
○鈴木(俊)委員 自由民主党の鈴木俊一であります。
 私は、漁港法に基づく漁港整備計画の変更について質問をいたしたいと思います。
 日本の国は周りを海に囲まれまして、古来より食糧を農耕とともに漁業に頼ってまいりました。我が国周辺水域は、大陸棚が広がり、寒流と暖流が入りまじる世界三大漁場の一つに数えられておりますけれども、我が国水産業は、このようにすぐれた自然環境を背景に、国民の必要とする動物性たんぱく質の約半分を供給し、また地域における社会経済の発展や国民生活の発展に大きく寄与するなど、極めて重要な産業であるということは改めて申し上げるまでもないことであります。
 我が国水産業は、かつて沿岸から沖合へ、沖合から遠洋へと外延的に発展を遂げてまいりましたけれども、昭和五十一年から五十二年にかけまして二百海里体制が始まり、その体制が定着するに従いまして、海外漁場からの撤退を余儀なくされた上に、従来操業が自由であるべきはずの二百海里の外の公海におきましても、最近では自然保護、環境面から、これは資源状況の把握など科学的な根拠を欠いた甚だ情緒的な議論によるものでありますけれども、大型流し網漁業のモラトリアムに見られますように、操業の規制がさらに強化されつつある現状にあります。さらに、このところ我が国周辺水域の水産資源の状況も、魚種によってばらつきはありますけれども、総体的には悪化の傾向にあり、水産業を取り巻く環境というものは大変に厳しいものがあると思います。
 このような状況の変化の中で、かねてより官民挙げまして、つくり育てる漁業、資源管理型漁業というものを推進してまいりましたけれども、これからはなお一層この方向を充実強化していくことがぜひとも必要であります。そしてまた、これら漁業を推進する母体であります漁村の活性化が緊要であると思います。こうしたこれからの水産政策の基本方向を考えますと、漁港というものはまさにこれからの施策を実行するための最も基本的なものであります。
 このような意味からも、漁港の整備を推進することが今後の我が国周辺水域、特に沿岸漁業の振興を図る上で大変重要と考えますが、大臣は漁港の重要性、その整備の緊要性についてどのような認識をお持ちか、まず大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。
#7
○畑国務大臣 ただいま鈴木先生から、この水産漁港整備、漁村整備の問題にはかねがねから大変御熱心な、そしてまた御指導をいただいておるわけでございますが、ただいまの御発言の中にございました位置づけ、全く同感であるわけでございまして、残念ながら第一次産業の水産業、そしてまた林業、農業、それぞれかつてない厳しい条件下に置かれておるわけでございますが、この水産分野におきましてのいわゆる漁港整備の問題、あるいは漁村の生活環境条件整備の問題等々、残念ながらその位置づけは極めて厳しい状況下にありますことも御案内のとおりでございます。
 水産日本、そういうような意味合いの姿を考えましたときには、従来とは比較にならない、これから漁港整備につきまして、あるいは漁村整備につきましても力を入れていかなければならない、さような責任を持った、今日の私どもに与えられておる政治責任である、かように心得まして、引き続き努力を重ねてまいりたいと考えておるところでございます。
#8
○鈴木(俊)委員 ただいま大臣から漁港についての認識、重要だという認識を伺いまして安心をいたしましたが、そういう漁港の重要性を大きくしております背景といたしまして、今の水産業というものが大変厳しい状況にあるということがあろうかと思います。
 そこで、今こういう厳しい状況の中で、それぞれの漁家経営というものがこれまた押しなべて厳しい状況にあるということは大臣御存じのとおりだと思うのでありますが、今日その漁家経営を非常に圧迫している要因、さまざまなものが考えられますけれども、その大きな要因の一つは、海外からの水産物の輸入圧力による魚価の低迷があろうかと思います。昨年末、ウルグアイ・ラウンドが妥結をいたしまして、幸い水産物のIQ品目については堅持できましたけれども、関税については原則として現行税率から三分の一程度引き下げるとの合意がなされました。これによって、さらに水産物の無秩序な輸入というものが増加して魚価の一層の低迷を招くのではないかと憂慮されております。
 ウルグアイ・ラウンド対策といいますと、どうも農業ばかりに目が行きまして、そういう状況でありますけれども、農山漁村は一体でございますから、水産業についてもしっかりとした対応が必要と考えます。漁港の課題とはちょっと離れますけれども、極めて重要な問題でありますので、このウルグアイ・ラウンド対策に今後どのように対応していくのか、大臣にお伺いをいたしたいと思います。
#9
○畑国務大臣 ただいま御指摘がございましたとおり、水産関係におきますウルグアイ・ラウンドの問題、関税分野におきましては五カ年間で三分の一の残念ながら引き下げというような内容に相なりまして、先生御指摘のような大変な懸念を、関係の皆様方に御不安を与えておる今日の姿であるわけでございます。
 内閣の方で設置をいたしましたウルグアイ・ラウンド対策本部、その取り組みのありようにつきましては、直接の漁業そのものに力を入れてまいりますこともこれまた当然のことであるわけでございますが、いわゆる点ではなくて面的な面にも力を入れていかなければならない。
 さような意味合いにおきましては、漁村の生活環境整備の問題等々、各省庁におきましての公共事業の張りつけにつきましても、漁村地域に対しましての優先的な箇所づけ、こういうことに十分配慮を願うべき、平成六年度予算案の中にもさような意味合いの要素を数字をもって計上をさせていただいておるような次第であるわけでございます。
 そしてまた、自治省サイドにおきましても、地方財政措置の中にございましても、いわゆる町村段階等々におきましてきめの細かい、漁村に対しまして、漁港に対しましての対応ができるような考え方に基づきましての対策本部の取り組み、こういうことにも力を入れさせていただいておるわけでございますが、私も与えられました対策本部の副本部長という立場で、農林水産省はもちろんでございますが、他省庁のこの分野に対する力をさらにおかりをしながらの改善を、対応を進めてまいりたい、かように考えているところでございます。
#10
○鈴木(俊)委員 次に、第九次漁港整備長期計画についてお伺いいたします。
 私は、これからの我が国の水産業を振興していく上では、資源管理型漁業を通じて周辺水域の高度利用というものを図ることが極めて重要であると認識しておりますが、こうした方針を展開していく上で、最も重要かつ基本的施策が漁港、漁村の整備であると思います。先ほども大臣も同じような認識をいただきました。
 今さら申し上げるまでもなく、全国津々浦々に存在する約三千の漁港と約五千の漁村は、国民へ食糧としての水産物を安定的に供給するという重大な使命を担っているほか、離島、辺地などの地域の重要な雇用機会の場として、またこれら漁港、漁村の背後に立地している冷凍冷蔵工場、水産加工場、造船所等の漁業関連産業を含めますと、国民経済的にも重要な位置を占めておりまして、今日大きな政治課題となっております国土の均衡ある発展を図っていくということにも大きく寄与していると思います。
 さらに、土地が狭隘な漁村におきましては、漁港は漁村の唯一の公共施設としての一面もございまして、日常生活において多目的に利用されており、殊に離島などにおきましては生活必需品の搬入の拠点でもあり、まさに漁港というものは生活基盤施設であるとも言えると思います。
 また、最近におきましては、余暇時間の増大などによりまして、漁港は国民の海洋性レクリエーション活動の拠点として今後公共施設としての重要性を一層増すものと考えられます。
 水産業や国民生活にとってこのように漁港、漁村の持つ重要性、いろいろあるわけでありますけれども、本日提案されております第九次漁港整備長期計画においてはどのように整備を進めていこうとお考えになっておられるのか、大臣にお考えをお伺いしたいと思います。
#11
○畑国務大臣 私は、ただいま地方分権、地方の時代等々が言われてから久しいわけでございますが、これからも地方分権を強力に進めていかなければならない、そういった際の地場産業の最たるものとしての水産業でなくてはならない、こういうような位置づけを考えておるわけでございます。
 そういうような意味合いの中にございまして、現在の漁港整備の問題におきましても、あるいはまた漁村の整備の実態におきましても、残念ながらいささかおくれをとっておるという認識に立っておるわけでございまして、とりわけ漁村の生活環境整備の問題等々、残念ながら男性軍の方々がお仕事の関係で離れる。そういうような中におきましても、より一層他の地域よりも力を入れていくのがこれからの大きな課題ではなかろうかなというように考えますし、従来からこの日本が水産分野が世界一、その座を明け渡しておる今日の姿にございましても、より一層各界各層の方々の御理解をいただく努力をしながら国民的課題としての漁港、漁村整備に力を入れていかなければならない。そしてまた、ただいま先生御指摘のございましたような資源管理型あるいはつくり育てる漁業等々、あるいは沿岸漁業の問題、そういったいささかおくれをとりつつあるこの姿を、活性化を、挽回をしていかなければならない、さような意味合いでの全力投球をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#12
○鈴木(俊)委員 このたび提案をなされました第九次漁港整備長期計画でございますが、その額を見てみますと、当初農林水産省が要求として出しておりましたのは三兆四千億円でありましたけれども、これが大蔵省の査定によりまして四千億円削られまして三兆円の事業費になったわけであります。
 これを額だけで単純に考えてみますと、当初要求額の八八%にすぎない。それぐらい削られてしまったということでありますし、しかも今年度で終了いたします第八次の漁港整備計画の進捗率というのは最終的には結局九六・六%、進捗率が一〇〇%に達しないということでありますから、こういうことをいろいろ勘案いたしますと、三兆四千億円から削られた三兆円が、これも進捗率によってはさらに下回る可能性が最終的にはあるのではないか、そういう可能性が大きいと心配されるわけであります。
 しかし、一方におきまして、漁港の整備の現状というものを考えてみますと、漁船の係留に必要とされる岸壁の半分がようやく確保される水準に至った、こういうことも聞いているわけでありますし、一方、一定の整備が進んだ漁港におきましても、施設が利用を生み、利用が施設を生むというのでしょうか、整備がなされますと、そこの地域の漁船の隻数がふえましたり、また船型が大きくなったりして結局は手挟になって、さらにこの漁港区域というものを広げなくてはいけない、こういうような状況のあるところもたくさん見られるわけであります。
 そして、先ほど大臣からも御指摘がございましたけれども、依然として漁村の生活環境整備というものは都市に比べまして大きく立ちおくれている状況でありますから、この面におきます事業推進というものも今後大いにやっていかなくてはならない。
 こういうようなことを考えますと、私は、やるべきことがたくさんあるのに、当初要求からかなり大幅に減額された三兆円という規模で果たして十分な施設が整備できるのか心配に思うのでありますけれども、政府のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#13
○鎭西政府委員 第九次の漁港整備長期計画におきましては、修築事業の対象として四百八十港、改修事業の対象としておおむね七百二十港の整備のほかに、漁港、漁村の環境整備を予定しておるところでございますけれども、これらは、各漁港におきます将来の漁業情勢あるいは地方公共団体の財政事情等を総合的に勘案いたしまして、緊急に整備すべき施設、規模、事業量等を個々具体的に積み上げたものでございます。
 したがいまして、私どもは現行の第八次計画、御承知のとおり二兆四千百億円でございますけれども、これとの比較におきましても、我々がこれから六年間にわたって達成していくべき所要の施設整備を行うために必要な投資規模はこの総事業費三兆円で確保できた、かように考えておるところでございます。
#14
○鈴木(俊)委員 当初要求額から大分減っているわけでございますから、何とかその減った中でもきちんとした計画どおりのことが推進できるように御努力をいただきたいと思います。
 そこで、先ほど来お話もいたしましたけれども、私は、水産政策の基本方向というものは、資源管理型漁業、つくり育てる漁業の推進であると思うのでありますけれども、そのためには漁場づくりを行う沿岸漁場整備開発事業というものがまたこれ重要でありまして、この沿整事業と漁港事業の連携というものもしっかりとやっていかなくてはいけないと思っております。
 ちょうど平成六年度からは、議題になっております漁港のほかに沿整、それから非公共でありますけれども沿構という三つの、水産にとりまして重要な長期計画が時あたかも平成六年度から始まる、こういう年でございますので、こうした互いに密接な関係のあります三つの長期計画相互の関連性、整合性というものはどうなっているのか、これについてお伺いをしたいと思います。
#15
○鎭西政府委員 水産業を取り巻く内外の厳しい諸情勢を踏まえまして、我が国の水産業の健全な発展をこれから図っていくという観点からいたしますと、ただいま委員が御指摘の三長期計画というものを中心にして、これらが十分連携を取り合い、整合性を図りつつ実施していく必要があるということは、まことに御指摘のとおりでございます。
 特に、平成六年度は三長期計画が新たにスタートする年ということでございまして、二十一世紀への橋渡しとなるこれらの計画につきまして、大分前から計画の始期というものを合わせるというようなこともやっておりますし、整備方向等につきまして、それぞれの基本目標の中に、それぞれの整備計画との整合性を保ちつつきちっと実施するというように明確に書き込んでおります等々、これらを計画的、総合的な事業として展開をしていきたい、かように考えているところでございます。
 このことによって活力ある漁村あるいはすぐれた海洋環境の保全整備というものを図りまして、私どもとしては来るべき沿岸の新時代というものに向けましてその施策というものを有効、効率的に実施していきたいと思っているところでございます。
#16
○鈴木(俊)委員 次に、漁港からちょっと範囲を広げまして、漁村の問題についても関連してお尋ねしたいと思います。
 言うまでもなしに、漁村というものには中心施設として漁港というものがございまして、漁業者の方々はそれを中心に漁業生産活動というものを日々行っておられるわけであります。同時に、漁村は漁業者を初めといたします地域に住む人々の生活の場でもあるというわけであります。
 その漁村の生活環境というものがどのようにあるかということを見てみますと、これはやはり全国、地域によって多少の違いというものもあるわけでありますけれども、例えば私の地元の岩手県三陸海岸などをイメージしながらお話しいたしますと、押しなべて猫の額ほどの大変狭い土地に家屋が密集をしておりますし、道路というものも大変狭くて集落内に車も入れない。例えば火事でありますとか救急患者が発生をしたといたしましても、そこに救急車でありますとか消防車も入っていけない、そんなような状況でもあります。そして、最近脚光を浴びております下水道の普及率というものも低いわけでありますし、あるいは子供の遊び場、そういう広場というものもなかなかない。
 そういうこと等々を考えますと、生活環境全般にわたりまして漁村というのは都市に比べまして大幅におくれている現状にあると思います。そしてまた、漁港そのものについて見ましても、快適で潤いのある就労環境をつくるという観点から見ますと、いまだそれが一定の水準まで達していない、そういうような状況にあろうかと思います。
 私は、このような漁港でありますとか漁村の環境整備の立ちおくれというものが、一面、若者の地元離れ、都市への流出の一つの大きな要因になっておりまして、これがこの漁村の活力の低下にもつながっているのではないか、そんなふうに思うわけであります。
 そこで、まず漁村の生活環境の整備状況は都会に比べてどのようになっているのか、そして漁港の環境整備の状況はどのようであるのか、政府の御認識をお伺いしたいと思います。
#17
○鎭西政府委員 委員ただいま御指摘のように、漁村は概して背後に山が迫る狭隘な土地に位置しておりまして、集密居的な集落を形成しております。このため、公共施設の整備をするための用地が非常に少のうございまして、集落内の道路あるいは下水道等の生活環境施設の整備が都市に比べて著しくおくれた状況にございます。これも御指摘のとおりでございます。
 特に、下水道の普及率でございますけれども、都市部では約五〇%でございますけれども、漁村はわずかに五%程度である、非常に格差がございます。それから、休憩所なり緑地の整備など漁港を快適で潤いのある空間とするための整備もいまだ十分でない状況にございます。こういったことから、若い優秀な後継者の確保等を図り、活力ある漁村を形成するためには、漁港施設の整備とあわせまして、漁港、漁村の生活環境の整備を着実に推進する必要があるというように考えているところでございます。
#18
○鈴木(俊)委員 今、水産庁長官からも、具体的な数字を挙げまして漁村における生活環境面での立ちおくれというもの、お話があったわけでありますけれども、そういう御認識をお持ちであるわけでありますから、今後はなお一層力を入れて、このおくれております漁港、漁村の環境整備を積極的に進めていただかなければ困るわけでございまして、この点はぜひにお願いを申し上げておきたいと思います。
 そこで、提出をされました資料を拝見いたしますと、第九次漁港整備長期計画三兆円の中に新たに「漁港漁村の環境整備」として三千五百億円の枠が設けられているわけでありますけれども、長期計画にこれを加えた理由をお聞かせいただきたいと思います。そして、その内容はどういうものなのか。さらに、平成六年度から漁港漁村総合整備事業というものが新たにつくられたということを聞いておりますけれども、この事業の内容につきましてもあわせて御説明をいただきたいと思います。
#19
○鎭西政府委員 漁港、漁村におきましては、生産と生活が一体的に営まれておりまして、従来から私ども、漁港事業におきまして、生産基盤の整備とあわせまして漁村の生活環境の整備を一体的に推進してまいっているところでございます。さらに加えまして、国民生活の質の向上というのが非常に強く求められている今日、立ちおくれた漁村の生活環境整備を促進することは、緊急かつ重要な政策課題になっているところでございます。
 このため私ども、ただいまお話しのように「漁港漁村の環境整備」というものを九次計画に明記したわけでございますが、その内容は、漁業集落排水施設等を整備いたします漁業集落環境整備事業といったようなもの、あるいは漁港内の植栽等を行います漁港環境整備事業、さらには、ただいま御指摘のございました六年度から新設を予定しております漁港漁村総合整備事業というものがこれに含まれているところでございます。
 この漁港漁村総合整備事業でございますけれども、離島なり辺地といったいわゆる条件不利地域に立地する漁村を対象にいたしまして、漁港施設の整備と漁村の生活環境施設の整備というものを一体的かつ総合的に実施しようとするものでございまして、六年度以降積極的にこの事業を展開していきたい、かように考えているところでございます。
#20
○鈴木(俊)委員 次に、この報告書に出てまいります開かれた漁港ということについてお伺いをいたしたいと思います。
 近年、労働時間の短縮、それによります国民の余暇時間の増大などによりまして、海洋性レクリエーションというものが大変盛んになっているような気がいたします。従来でありますと、海洋性のレクリエーションというのは、釣りを楽しむとかそういう程度のものであったと思うのでありますけれども、最近はそういうものにとどまらず、自分でプレジャーボートを持って釣りを楽しむとか、あるいは最近の若者の中ではサーフィンとかそういうのも漁港区域内でやろうとか、海洋性のレクリエーションにつきましても多様化をしておりまして、そういったことに伴って、国民の漁港利用に対する要求というものも以前に比べますと大変高まりがあるということを聞いておりますし、所によっては、そういう漁港を利用したいという方と漁業者との若干のトラブルというようなこともあるようにも聞いております。
 私は、漁港というのは、本来、漁業活動や漁村に住む人々の生活の根拠地として整備されてきたものでありますから、当然このことが第一義的に考えられなくてはいけない。つまり、漁業者の利用それから漁村に住む方々の利用、そういうものを第一義に考えるべきであるとは思いますけれども、しかし、このように時代というものが変化をしているわけでございますから、地域の実情に応じまして、遊漁船や釣り人、あるいは近年盛んになりつつありますヨットでありますとかプレジャーボートでありますとか、そういったような海洋性レクリエーションを楽しむ方、一般の利用という側面におきましても、これに対応できる漁港整備というのを進める必要があるのではないか、そんなふうに思うわけであります。
 そこで、最近、漁港整備の目標の一つに、国民に開かれた漁港づくりというものがございますけれども、開かれた漁港というのは具体的にはどういうものであり、第九次漁港整備長期計画における開かれた漁港づくりの推進のための基本的な取り組み方針につきまして、漁港の管理対策も含めてお尋ねをいたしたいと思います。
#21
○鎭西政府委員 海洋の利用に対します国民の多様なニーズの高まりの中で、一般利用者による漁港利用につきましては、円滑な漁業活動に支障のない限りにおきましては、ただいま委員お話しのとおり、公共施設たる漁港ということから、国民に開かれた利用という観点からも、適切な対応が望まれるところでございます。
 こういう観点から、私ども、第九次の漁港整備長期計画におきましては、「ふれあい漁港空間の創出」というものを漁港整備の基本目標の一つとして積極的に推進していくこととしているところでございます。
 具体的には、フィッシャリーナあるいは良好なウォーターフロント等の整備など、海洋性レクリエーションのニーズにこたえていくとともに、都市住民等との交流を図りつつ、漁民の所得向上なり漁村地域の活性化を図るということがねらいでございます。
 一方、ただいまお話がございました漁港の管理面でございますけれども、漁港の公共性を確保しつつ適切な利用が行われるよう、漁協のみならずプレジャーボート等の他の漁港の利用者をも構成員といたします協議会の設置というものを検討しておりまして、安全管理対策なり、守るべき事項あるいはサービス料等の開示を行うなど、適正な漁港管理体制の強化につきまして今後指導していくことを考えているところでございます。
#22
○鈴木(俊)委員 次に、財政審の問題につきましてお伺いをいたしたいと思いますが、昨年十一月に財政制度審議会報告というものがございまして、これによりまして、漁港事業及び沿整事業というものはCランクに位置づけられまして、今後重点的かつ抑制ぎみに行う事業、こういうような位置づけをされたわけであります。しかし、考えてみますと、そもそも公共事業を何か事務的に、生活環境整備、国土保全、それから産業基盤整備と三つに機械的に分類をいたしまして公共事業費の配分を当てはめていくというのは大変乱暴なやり方ではないか、そんなふうに思うわけであります。
 例えば、国土の均衡ある発展を図っていくということが今国政の大きな一つの目標になっているわけでありますけれども、そういう観点から見ましても、地方というのは押しなべて、どこも水産業に限らず第一次産業というものが基幹産業でありまして、この基幹産業たる第一次産業というものが充実しなくては地方の発展というものはおよそ考えられないわけでありますから、この第一次産業振興の柱となっている産業基盤整備の諸事業を今後抑制的に行うということは、これはそういう観点から見ましても、到底私は認めることのできないところでございます。
 しかも、今議題になっております漁港につきましては、先ほどから御指摘をしておりますとおりに、漁港というのは漁業者の生産基盤である、それと同時に漁村に住む住民の方々の生活拠点でもあり、さらには今後の国民の海洋性レクリエーションに対する需要というものが高まってまいりますと、国民全体の憩いの場でもあるわけでございますから、これらを整備する漁港事業というものを単純に生産基盤整備というふうに位置づけて、一刀両断にCランクに位置づけるということは、漁港の機能というものも、また漁港事業の内容というものも十分に精査をしていない、大変単純な財政審の判断である、私はそういうことを言わざるを得ないわけであります。
 予算編成に際しまして、政策省庁というのは泣く子と大蔵省には勝てないのかもしれませんけれども、このランクづけというのは絶対おかしい、このままこれがずっと継続しては本当にとんでもないことになってしまう、私はこういうふうに思うわけでありますけれども、水産庁を含め、農水省はこのランクづけでよろしいのでしょうか。納得をされておられるのでしょうか。この問題につきましての大臣の御見解というものをぜひにお伺いをいたしたいと思います。
#23
○畑国務大臣 ただいま鈴木先生御指摘のCランクの問題は、これはちょっと言い方が大げさかもしれませんけれども、あまねく関係者の大きな反発を買った、こう断言してはばからないというふうに考えますし、私もあの当時、記者クラブの方々にもまことにもって遺憾千万というような意味合いのことを申し上げさせていただいたわけでございます。
 細川内閣は、御案内のとおり生活者優先ということが言われるわけでございますが、その生活者といいますものは、漁村における、漁港における生活者、そういうことの、残念ながら先ほど来お話がございましたような意味合いにおけるおくれがある分野でございますから、産業基盤という位置づけの中にございましても、重点的に漁港には力を入れなければならない。そしてまた、生活者優先という意味合いにおきましても、漁村地域の方々の生活環境整備の問題等々、先ほど長官が御答弁申し上げましたように、いわゆる水洗化の問題等、生活道路の問題等あるいはまたごみ処理の問題等、万般にわたって残念ながらおくれをとっておるわけでございますから、私どもの立場からいいますと、これをいわゆるばねとして、こういうような姿の中の数字の位置づけがあってはならない、かように考えておるわけでございます。今回の九次漁港整備におきましても、本年度、前年度予算をやや上回りましたものの、伸び率におきましてはまことに残念ながら御案内のような姿に相なっております。しかしながら、三兆円という単純平均を考えました場合は、毎年六・一%の伸びが可能というような要素もございますので、幸いに広く関係者の方々の、ただいま申し上げたような意味合いでの御同意を得つつございますので、この点に十二分に力を入れたこれからの予算の張りつけの努力を続けてまいりたい、かように考えております。
#24
○鈴木(俊)委員 財政審の答申の中に、Cランクにつきましては、今後重点的に、かつまた抑制的にこれを行う、こういうことがあるのでありますけれども、私も昨年末、年末に予算編成が行われるのではないか、こういうことでございましたから、この漁港の問題につきまして、盛んに大蔵省の担当者のところに参りまして、何とか漁港予算、しっかりつけてほしいということでお願いをしてきたわけであります。そのときに大蔵省の担当の方が、これからは漁港につきましても重点化といいますか、重点的な整備というものをやっていかなくちゃいけないんだということを盛んにおっしゃるわけであります。しかし、私は、ちょっとその認識は違うのではないか、そんなふうに思えてならないのであります。
 今までと申しますか、例えば二百海里時代の来る前の漁船漁業、沿岸の漁船漁業を中心に漁業をしていたころというのは、例えば港から船で出て操業をして、そして漁獲物、魚がとれましたらそれをどこかの港に入れればいいということでありますから、ある程度拠点、拠点に漁港があれば、海の上からはどこでも三角形のようなものでありますから、入ればいいわけでありますけれども、先ほど来お話しのように、二百海里時代というものがもうすっかり定着した中で、今後は資源管理型漁業、つくり育てる漁業というものをやっていこう、これが日本の水産政策の基本になっているわけであります。
 そして、このつくり育てる漁業というもののあるべき姿をしっかりと考えていきますと、これは、それぞれの集落の前浜といいますかその地先におきまして、そこの漁場というものを十分に耕して、そしてこれを高度に利用する、沿岸水域の高度利用をつくり育てる漁業に結びつけていく、こういうことが資源管理型漁業のあるべき姿であると私は思います。したがいまして、それぞれの集落の前浜を耕していく、こういうことでありますから、これから資源管理型漁業を進めていこうという基本政策のもとにおきましては、そもそも沿岸漁港というものは基本的に集約化、重点化はできないのではないか、そういうことをすることは、つくり育てる漁業の推進に相反する形になっていくのではないか、そんなふうに考えているわけであります。
 この計画を伺いますと、修築事業、改修事業の採択港数が八次計画の千四百港から今回は千二百港に、現実の問題として減っておるわけでございまして、そういう点を見ましても、今後の水産政策の行き方と漁港整備の行き方がどうもそごを来しているのではないか、そういうふうに私は感じてならないのであります。この点についての御所見をお伺いいたしたいと思います。
#25
○鎭西政府委員 漁港は全国に約三千港ございますが、そのうちの九割以上が、その利用範囲が地域を中心とする比較的狭い第一種あるいは第二種漁港でございまして、これらの漁港はただいま委員おっしゃった、つくり育てる漁業なり資源管理型漁業の推進の基地になっているという現状でございます。
 いわゆる沿岸漁港とおっしゃられたわけでございますけれども、これらのところにおきましては、漁業生産と漁村の生活との結びつきが非常に強いために、それを集約化するというのは現実的には相当困難があると考えておりまして、私どもといたしましては、こういうところにつきましては、漁村整備との一体性に配慮した必要最小限の施設整備というものは今後とも必要であろうと認識しておるところでございます。
 しかし一方で、先ほど来御議論がございますように、漁港の基本的施設の水準の底上げが相当なされてまいった、累次の漁港整備計画によりまして相当なされてまいったという状況も考慮いたしまして、限られた予算の中で整備の効率化を図るという観点からは、漁港間の役割分担、例えば生産拠点港でございますとか、避難、交通手段の漁港でございますとかあるいは海洋性レクリエーションの機能もあわせ備えた漁港でありますとか、そういう役割分担を踏まえた整備の重点化というものは図っていく必要があるのじゃないか、かように考えております。そのことが投資効果の早期発現ということにも結びつくわけでございますので、その点はぜひ御理解を賜りたい、かように考えているところでございます。
#26
○鈴木(俊)委員 それでは、時間が参りましたので、最後に大臣にお尋ねをいたします。
 平成六年度予算編成におきまして、漁港予算は細川内閣の方針によりまして遺憾ながら抑制され、公共事業の中でも一番低い伸び率に抑えられたわけであります。第九次の漁港整備長期計画は、先ほども指摘をさせていただきましたけれども、農林水産省の当初要求額の八八%という規模に縮小をされているわけでありますから、進捗率一〇〇%完全達成をしなければ、我が国水産業の今後にとりまして大変大きな影響を与え、禍根を残すと思うわけであります。
 そこで、第九次長期計画、これを一〇〇%完全達成するんだ、こういうことについての決意を大臣からお伺いしたいと思います。
#27
○畑国務大臣 本問題の予算案作成段階におきましては、農水委員会御関係の諸先生方が、鈴木委員を初めとする御関係の先生方が大変なお力添えを賜っての成果としての九次計画であるわけでございますから、これを一〇〇%達成を目指しまして、私どもにおきましても御期待に沿うように全力を挙げてまいりたい、かように考えております。
#28
○鈴木(俊)委員 大臣の最後の発言、本当に重要な決意だと思います。どうか一〇〇%達成のために、今後この計画が続く間、ぜひ水産庁の方々も頑張っていただきたいと思います。
 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
#29
○竹内委員長 藤田スミ君。
#30
○藤田委員 まず最初に、大臣にお伺いいたします。
 先ほども問題になりましたが、昨年十一月二十六日に財政制度審議会が「公共事業の配分のあり方に関する報告」を出されました。この財制審の報告の中では、関係者をびっくりさせたのは、配分の見直しについて、生活環境、国土保全、産業基盤整備、三類型に区分をするということで、漁港、沿岸漁場等が抑制型の産業基盤整備というところに区分されたわけであります。改めて言うまでもなく、漁港は漁民にとっては生活基盤そのものである。また、漁港整備には漁港そのもののほか漁港、漁村整備が含まれているわけであります。同時に、国民の食糧にかかわる分野がおろそかにされてはならないことは言うまでもないわけでありまして、これを単純に産業基盤だと区分されて抑制されるなら、将来の漁業の振興に大きな支障が出てくるんじゃないか、大変心配をしています。
 漁業について言えば、今日、二百海里問題、急増する輸入魚など我が国漁業を取り巻く環境が非常に厳しくなる中で、沿岸漁場整備は重要性をいよいよ増してきているところであります。大臣はこの問題をどのように考えているのか、明確にしていただきたいと思います。
#31
○畑国務大臣 ただいま委員御指摘のとおり、この一つの物の考え方の中にございまして、産業基盤整備の問題がいわゆる財制審におきましてのCランク、先ほども述べさせていただきましたけれども、まことにもって遺憾千万である、そういうような基本的な認識をさせていただいておるわけでございまして、そういう中にございましての今度の九次計画等あるいは沿整の計画等々、この与えられた枠は一〇〇%その実行態勢を、これからも全力を挙げて取り組みをしていかなければならない。
 そしてまた、この水産業におきましては、今日の国民的課題であります過疎という問題の解決へもつながる重要案件、課題であるというようにも受けとめさせていただいておるわけでございまして、さような意味合いでのただいまの委員の御指摘を十二分に体しましての努力を引き続き展開してまいりたい、かように考えております。
#32
○藤田委員 ところが困ったことに、平成六年度に漁港関係の公共事業費は無限に抑制されているわけです。第一に、予算の伸びは前年度比のわずか〇・五%にすぎません。農水省全体では一・八%、公共事業全体では四%増になっている中でです。まさに財政審の報告そのままの実行じゃありませんか。この結果、全公共事業に占める漁港整備のシェアは〇・一一%低下して二・四四%となりましたが、この数字は、ここ十数年間の最低の数字なんです。これを見れば、財政審の報告に沿って抑制が働いてきたことはもう一目瞭然であります。
 一方、農水省が今回策定した第九次漁港整備長期計画と第八次計画とを比較すると、事業費ベースですと全体として二四%増、一般公共分で一六%増ということになっておりますから、来年度の予算の漁港関係は〇・五%増じゃ、これどうすることもできないわけでして、単純に計算しても、先ほどお示しのように六・一%の伸びが必要になってくるわけです。このままでは長期計画の達成はおぼつかないんじゃありませんか。
 漁港整備長期計画の達成率は、第八次で八二・七%、その中の修築事業でも八八・六%で、一九九一年以来漁港整備費のシェアが低下してきておりまして、漁港関係者は異口同音に、計画をきちんと達成できる保証を示してほしい、こういうことを強く求めております。大臣、計画をきちんと達成できる保証を示していただきたいと思うんです。
#33
○畑国務大臣 ただいま委員御指摘のとおり、いわゆる伸びが〇・五であるといったことも、数字をもって、残念ながらその実態にあるわけでございます。そういうような意味合いの中にございまして、九次計画の中の一〇〇%実行に向けまして引き続き、その都度全力を挙げての実現を図っていかなければならない。本年度は残念ながら厳しい財政事情の中にございます数字とはいいながら、私どももそのことを絶えず念頭に置きましての取り組みの展開をやっていかなければならない。
 なおまた、先ほどいささか触れさせていただいたわけでございますが、地方財政計画等々におきましても、この分野のいわゆる漁村整備に、町村段階で首長さんのお立場、議会の同意を得てのお仕事がやっていただけますような財源措置等々も今回の平成六年度予算の中には計上されておる、こういうこともこの厳しい実態の中における一つの手法である。この辺につきましても御理解を賜りますとともに、さはさりながら、やはり本筋であります我が方の公共事業等々、この関係の伸び率を引き続き努力をしていかなければならない、かように考えているところでございます。
#34
○藤田委員 もう一度答えていただきたいんですが、そうすると、財政審のこの区分Cの中に組み込まれているという点については、漁港の整備は、そうじゃなくて位置づけを変えるということを、少なくとも来年度の予算の編成のときにはそこを変えさせる、そういうことでよろしいんでしょうか。先ほども関係者の同意が得られつつあるという御答弁がありましたが、関係者の同意が得られつつあって、そういうふうに生活基盤という明確な位置づけのもとに進めるというふうに理解をしていいんでしょうか。
#35
○畑国務大臣 あの答申そのものは、御案内のとおり大蔵大臣に対しましての答申であるわけでございまして、農林水産省の立場、我が方の立場といたしましては、やはり生活関連も重要であり、そしてまた産業基盤の整備もおくれておるこの漁港関係におきましては、従来以上に力を入れていかなければならぬ、そういう主張をこれからも力強くやっていかなくちゃならぬというように考えます。幸いに関係の方々の、そしてまた農水関係の諸先生方のバックアップ等々もいただいておるわけでございますから、そういう意味合いを踏まえて引き続き努力を重ねてまいりたい、かように考えております。
#36
○藤田委員 私は、さらに一歩大臣の認識が、本来の漁港の整備そのもの、やはり漁業というのは生活なんだということを本当に大きく打ち出していただきたいと重ねて申し上げておきたいと思います。
 次は、リゾート計画と漁港整備の関係についてお尋ねをいたしますが、従来から、例えば第八次漁港整備長期計画の基本目標や施策の方向に、活力ある漁村の形成という課題との関連で、都市との交流と広域リゾート地域の形成などが挙げられ、開かれた漁港が強調されているところであります。この来年度の予算案を見ましても、関連した事業が盛り込まれております。
 今回の漁港整備計画の四百八十港の約三分の一の百四十六港はリゾート地域内の漁港でありまして、さらにまた海洋レクリエーションの問題もあるわけです。日本海洋レジャー安全・振興協会というところが推計しているところによりますと、プレジャーボート、要するにヨットやモーターボートなど、二つ合わせて二十八万三千そうに上るというふうに数字が出されておりますが、全くこれだけのものが出てまいりますと、当然放置プレジャーボートの事故とかあるいは漁船などとのトラブルが出ておりまして、特に漁船等とのトラブルの発生がトップに挙げられてきております。
 漁業関係者も、私も地元の漁港に参りましたが、ふれあい漁港という言葉に対していささかの抵抗感を持っております。漁港の整備そのものはもう両手を広げて待っておりますので誤解のないようにしていただきたいのですが、しかし正直なところ触れ合わぬでもいいんだというようなことを言っているわけです。それはごみの問題もそうです。車が狭い漁村の中に入り込んでくるという問題もそうです。それから、思いがけない釣り人と漁船とのトラブルが起こって補償問題までひっかかってくるというような、聞いておりますともっともだなというような例がいっぱい出てくるわけです。
 したがって私は、こういうふうな漁業活動に支障を来すような水域の専有だとかあるいはまた漁港施設の利用などの問題について、一体水産庁はどういうふうに対応しようとしているのかということをここで明確に聞かせていただきたいわけです。
#37
○鎭西政府委員 漁村地域は良好な自然環境に恵まれておりますために、近年国民の健康志向の高まりや、憩いと潤いを求めまして海洋レクリエーション、散策、キャンプ等の多様な余暇活動のために漁港、漁村を訪れる人々がふえてまいっておることは、ただいま委員御指摘のとおりでございます。
 このたび、私ども、第九次の漁港整備長期計画におきましては「ふれあい漁港空間の創出」というものを基本目標の一つといたしまして、漁業と多様な余暇活動との調和のとれた漁港整備というものを積極的に推進していく考えでございまして、このことが海洋なり漁村に対します一般国民の多様なニーズにこたえるとともに、漁民所得の向上なり、漁村地域の活性化を図る上でも必要なことなんだろうというように考えているところでございます。
 ところが、今委員プレジャーボート等の例を引用されまして、漁港秩序が乱れるのではないか、漁業活動に支障があるのではないか、こういう御指摘でございます。おっしゃるとおりプレジャーボートは大変急増してまいっておりまして、これが漁港を利用するということにつきましては、我々は基本的には漁業活動に支障のない範囲で受け入れるというような対応をとっているところでございます。
 ただ、プレジャーボートが非常に増加しております現在、漁船と漁港利用上のトラブルが発生しております等、漁業活動に支障を与える事例というものもふえてまいっておりますので、私どもといたしましては、漁船とプレジャーボート等との漁港におきます利用の調整を図る、いわゆるフィッシャリーナの整備というものを漁港整備事業の一環として実施しておりますし、既存の漁港施設の利用に関しましても、漁船の利用に支障のない範囲内でプレジャーボート等を受け入れまして、より適切な漁港利用というものが行われるように指導していくことにしているところでございます。
#38
○藤田委員 最後になりますが、漁業と海洋レクリエーションの関係は本当に難しい問題を含んでいます。私は、海洋施設、漁港施設を国民がレクリエーションに利用することについて一律に否定するものではありませんけれども、やはり漁港は漁業のための施設なんですから、基本は漁業活動に支障がないようにすべきであって、その上で漁民と一般の国民が共存できるようにすることがあくまでも基本でなければならないというふうに考えるわけです。
 そこのところを水産庁がしっかり押さえて対応していかなければ、軒先貸して母屋とられるのたぐいになりますので、大臣にもう一度、漁港の整備というのはあくまでも関係漁民本位、漁業本位に行うということを明確にしていただいて、質問を終わります。
#39
○畑国務大臣 先般、実は私自身も漁業関係者の方々とこの話が論議になりまして、やはり基本はあくまでも漁業そのものに支障を来すような実態をあらしめてはならない、そういう視点からしました場合には、やはり漁村整備の場合におきましても、その辺を加味した、開かれた漁港という、都市の方々が利用できる、しかもまだ漁業に支障のないような受け入れ体制整備をもこれからの水産行政の中ではやってもらいたいというようなお話も伺ったわけでございますが、あくまでも基本は漁業本体が支障のないように、そういう中にございましても、今後におきましては地域のいわゆる海洋水産物等々の直販施設等々、こういうものも念頭に置きながら、所得向上等のプラスの要素もございますので、その辺の調和を図って事柄を進めていきたい、こう考えております。
#40
○藤田委員 終わります。
#41
○竹内委員長 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#42
○竹内委員長 これより本件について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#43
○竹内委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#44
○竹内委員長 この際、本件に対し、中川昭一君外六名から、自由民主党・自由国民会議、日本社会党・護憲民主連合、新生党・改革連合、さきがけ日本新党、公明党、民社党・新党クラブ及び改革の会の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。仲村正治君。
#45
○仲村委員 私は、自由民主党・自由国民会議、日本社会党・護憲民主連合、新生党・改革連合、さきがけ日本新党、公明党、民社党・新党クラブ及び改革の会を代表して、漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件に対する附帯決議(案)
  漁港は、水産物の生産・流通・加工の基地であるばかりではなく、漁村住民の生活の基盤として、さらには、都市住民に憩いを提供する等の場として、重要な役割を果たしている。
  よって政府は、漁港の整備に当たっては、左記事項の実現に万全を期すべきである。
      記
 一 漁港の果たす役割の重要性と漁港整備の現状に十分配意し、第九次漁港整備計画の完全実施のために必要な予算の確保等に最大限の努力を尽くすこと。
   また、漁港の役割とその整備の必要性について、広く国民の正しい理解が得られるよう努めること。
 二 国民の海への関心の高まりに対処し、生業である水産業との調和を十分勘案しつつ、都市住民とのふれあいに配慮した漁港の整備を進めるとともに、漁港利用料等の徴収のあり方を含め、漁港の適正な管理体制が整備されるよう指導すること。
 三 漁村地域における生活関連公共施設等の整備の立ち遅れが、若年齢層の流出、後継者の減少、地域活力の低下等の重大な要因となっている現状にかんがみ、漁港漁村の環境整備のための事業を積極的に推進すること。
 四 漁港整備事業の実施に当たっては、我が国周辺水域の高度利用と漁村地域の活性化等を促進する観点から、本整備計画と同じく平成六年度からの発足が予定される第四次沿岸漁場整備開発計画、沿岸漁業活性化構造改善事業及び新マリノベーション構想と密接な関連をもって効率的に推進すること。
  右決議する。
 以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。
 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
#46
○竹内委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 中川昭一君外六名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#47
○竹内委員長 起立総員。よって、本件に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。畑農林水産大臣。
#48
○畑国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力をしてまいる所存でございます。
    ―――――――――――――
#49
○竹内委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本件の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#50
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#51
○竹内委員長 次に、農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。二田孝治君。
#52
○二田委員 いよいよ畜産物価格の決定も迫ってまいりまして、どうなるのかというようなことで、生産者は大変期待と不安のまなざしで見守っておるというのが今の現状じゃないかと思うわけでございます。でございますので、この際、畜産をめぐる諸情勢をつまびらかに明らかにいたしまして、どういう対策をとってもらえればいいのかということもまた十分に御考慮をお願いしなければならないわけでございます。
 昨年でしたけれども、テレビで盛んに畜産危機ということが言われました。岩手県にあります国営牧場、秋田にも入植した牧場等があるわけでございますけれども、ここにいる方々が、もう借金でどうにもならないのだ、こういう状況を続けていくよりはむしろやめさせてもらった方がいい、いわゆる離農していく。そして、離農したいにも離農ができない、後始末をどうすればいいのかという問題がたくさんございますので、そういったことが報道されておったわけでございます。さなきだに自由化、関税化、こういうものが調印されまして、畜産業そして酪農業の方々の経営にかかわる実態はどうなっているのかということが一層注目される時期ではないか、こう思います。
 そこで、お尋ねいたすわけでございますけれども、まず今現在の畜産経営の本当の実態というのはどうなっているのか、そしてまた、それに伴う負債、そういったものはどうなっているのかということをつまびらかにしていただきたいと思います。
#53
○東(久)政府委員 お答えさせていただきます。
 畜産業それぞれについて御答弁させていただきたいと思います。
 まず酪農経営につきまして、その経営の収益性でございますが、ここ数年好調に来ておったのですが、二年の後半から三年にかけましてちょっと収益性が悪くなりまして、その後四年、五年とちょっと回復してきている、ちょっとというところを強調しなければならないのですが、そういう状態だと思います。
 それから、借入金でございますが、四年度の統計が私の方で調べたものがございます。それによりますと、借入金はいわゆる全国の平均で一千万円ございます。ただ、北海道は二千四百万円でございます。
 それから、資産といいますと相当大きくなるのですが、貯蓄というところで限ってみますと、北海道は二千五百万、それから全国では二千七百万ということでございます。これは四年度の数字でございます。五年度は先ほど申し上げましたように経営の収支がちょっと改善されておるので、その辺改善されておるのじゃないかと思いますが、その趨勢といたしましては、借入金は多少減少傾向は見られますけれども、ほぼ横ばいということでございます。
 なお、これで見ますと随分貯金があるという感じでございます。これは、我々もそうなんでございますが、感覚が合わないという方がいらっしゃいます。中身をよく調べてみますと、特に北海道の場合は約半分近くのものが共済等生命保険の掛金でございまして、そこのところで多少違った実感を持たれることがあるのじゃないか。サラリーマンの方の預金残高についても我々もそういう実感をよく持つわけでございます。そういう点があろうかと思いますが、借入金は酪農についてはそういう状態でございます。
 次に、肉用牛の状況でございますが、肉用牛につきましては、まず繁殖経営と肥育経営に分かれるのは御承知のとおりでございます。
 繁殖経営の方は、しばらくは子牛価格が非常に高い水準で推移しておりましたので安定的だったのでございますが、五年度に子牛価格が低下してきましたことからやはりその収益性が悪化しているという状態でございます。
 次に、肥育でございますが、和牛と乳牛の雄の肥育ではちょっと情勢が違います。肥育につきましては、実は先ほどの裏腹でございますが、子牛が非常に高かった、それから、和牛の場合には二年強後に出荷してくるものですから、出荷時に自由化の影響があって牛肉価格が低落しておったということで、収益性が非常に悪うございました。ただここへ来て、少し安くなったときの子牛を導入して肥育したものがそろそろ出荷されてくる状態になりましたので、回復の傾向が見られます。
 それから、乳牛の雄の方でございますが、これは三年、四年と、先ほどと同じような状況で、導入したときの子牛の価格が高いものが肉になった段階で安いという状態で、経営が悪化してきました。それが、五年以降は大分導入時の子牛の価格が安くなったものを出荷してきましたので、収益性は相当改善されておるということでございます。
 借入金の方は、肉用牛全体では借入金の割合はここのところ減少してきているという状況でございます。
 それから、養豚経営につきましては、二年度以降割合豚価がよかったものですから相当回復傾向で推移しておったのですけれども、五年の昨年でございますが、特に夏、いつも高くなる豚価が冷夏で上がらなかった、需要が伸びなかったということもありまして、枝肉価格が低迷いたしました。そういうことで五年は収益性は悪くなっているというふうに、ここは統計としてまだきちっとつかまえておりませんが、悪くなっているだろうというふうに思われます。
 なお、借入金はずっと減少傾向をたどっておりましたけれども、これも借入金の調査が四年度までですので、五年度はもしかしたら先ほどのような状況からふえているかもしれないという傾向が見られます。
 以上、三つの業種についてお答えいたしました。
#54
○二田委員 今の東局長のお話を聞きますと、報道されているような、また世間一般に言われているような状況ではない、こういうことになるわけでございますけれども、このギャップというのは統計のとり方、それからいろいろな面から非常にあるのじゃないかな、こう思うわけでございます。畜産酪農経営というのは、今おっしゃったように決して楽な状態でやっているものではない、こういうふうに御認識いただきたいと思います。
 ここに農家の経営状況の資料をいただいておるわけでございますけれども、これを拝見いたしましても、負債とそれから資産の状況、これはそう悪いものではございません。しかし一方、資産の状況を調べてみますと、全然換金できないものですから、例えば牛舎にしろそれから農機具にしろ土地にしろお金に換算できないものが固定資産になっておりますので、こういう状況から見ましても、資金の回転率というのは大変悪うございます。でございますので、収益率とか資本装備率とか、そういうものから見ました資金の回転率というものはどうなっているのでございましょうか。
#55
○東(久)政府委員 資金の回転率という統計は、私たちきちっとしたものをとっておりません。ただ、先生お話しのように、畜舎等はやはり耐用年数三十年、それからまた乳牛等の個体、これは相当大きな資産でございますが、そういうものについては四年くらいで回るというような形でございまして、平均して幾らというのはちょっととっておりませんが、先ほどおっしゃったとおり、やはり資産でいかにも豊かそうに見えるというのは遺憾というお話でございまして、私は貯蓄ということで先ほどちょっとお答えさせていただきました。
 それから、もう一つ非常に平均的なことで統計が出てまいりますので、個別農家の場合は、確かに特に急激に規模拡大しているというものについては相当の借入金がある、これは個別に私も訪れましたところでは、大きなところでは億の単位の借入金があるというようなものも聞いておりますので、そう平均的に見てはいかぬという点につきましては、私たちもその点は認識しているつもりでございます。
#56
○二田委員 ただいまお伺いいたしましたように、意欲を持っておやりになる方につきましては、大規模にやりたい、だれでもこれは望むところでございます。大規模にやっていくと、やはりそれだけ労働時間も短縮されるだろう、収益性も出るだろう、そういうことになってまいりますから、大抵やはり資本装備というのは意欲のある人は多くなってまいります。ですから、将来の日本の畜産というものを考えていった場合、酪農の安定経営というものを考えていった場合、この大資本装備に向かう方々にどういう手だてを考えているのかということを伺いたいと思います。
#57
○東(久)政府委員 御指摘のとおり、酪農の大規模化というものを図っていく場合には、やはり相当の資金投入を行う例が間々見られるわけでございます。そのほとんどの場合は借入金で対応するという形でございますので、これらにつきましては、いろいろな制度資金というようなものを活用していただくという形が多うございます。それで、後はとにかく非常に大規模にやっていくということでございますので、単位生乳当たりのコスト面での縮減が図っていけるという見込みのもとに借入金等をやって経営を拡大していくという状態であろうというふうに思います。
#58
○二田委員 ですから、そういう大規模面の経営者に対する、今現在でなくても将来の厚い手当て、資金手当てとかいろいろな金利の面、そういった面の資本装備をされやすくするための手だてというものは考えられないのか、こういうことをお伺いしているわけでございます。
#59
○東(久)政府委員 先生御承知のとおり、新農政の中で経営展望というものを出しまして、認定農家に対する低利融資という形で新たな資金を準備するというようなことも平成六年度から行われることになっておりますし、これまでも畜産についての、畜産ということに限定されませんが、公庫資金、それからいわゆる近代化資金等の低利のものを準備しつつ、また特に畜産の場合には大規模な金額になりますので、その貸付限度額等について特例を設ける等の措置をとってきているところでございます。
#60
○二田委員 大臣、ひとつ畜産ばかりじゃなく、今新政策の話をお出しになったのですけれども、今後新政策を施行していく上にも、意欲を持った農家経営者の育成というものはやはり大変大事でございます。ただ単に兼業農家、そういうものばかりじゃなく、やはりそういった方々が今度は農業を支えていくだろうという部面がいつかは日本に来る。そういった場合に、今のような体制ではなかなか育ちづらいということはまず御認識いただきたい。これは畜産ばかりじゃなく農業全般に対して言えることでございますので、その辺の御考慮、御見解というものを大臣にお伺いしたいと思います。
#61
○畑国務大臣 畜産、酪農、そしてまた農業全般についてのそれぞれの分野におきましても、御指摘のような意味合いの問題を抱えておる、かように認識をいたしておるわけでございますが、専業というお立場あるいは複合経営のお立場あるいは極めて零細なお立場、そういう中にございまして、やはり一つの大きな柱としましての専業経営等々が十分成り立つような方向への、そしてまた新農政の話も、新政策の話もございましたけれども、やはり後継者が他の産業分野と比較をし得る、そういうような要素のものを今後におきましてつくり出していくことが極めて急がれる課題ではないかなというように考えるわけでございまして、とりわけ若い方々がこの分野にも見出すことができる、あるいはまた魅力を感じて来ていただくことができる、そういうことを急がなければならない今日の厳しい実態である、こういうように受けとめさせていただいております。
#62
○二田委員 先ほど新政策の話が出たわけでございますけれども、これに資料がございますけれども、中に将来の日本の畜産像、そしてまた酪農家像というものが示されておるわけでございます。この実現のためにも、やはり今言ったような手だてがぜひ必要だと思いますので、よろしくひとつ努力してもらわなければならない、こう思うわけでございます。
 ところで、この新政策が出てきたわけでございますけれども、畜産もしくは酪農に対する新政策の骨子というのはどういうことになるのでございましょうか。
#63
○畑国務大臣 私の立場から少し粗っぽい表現をさせていただければ、御案内のように一つの目安としましての十年後というものが大きな枠組みに相なっておるわけでございますが、その政策展開に当たりましては、今日の実態あるいはまたウルグアイ・ラウンド受け入れ等々の推移、こういうことを考え合わせました場合には、やはり前倒しで厚みを持ってこの展開を急いでいかなければならない、これが一つの大きなこれからの課題ではないかなというふうに考えるわけでございますが、そういう意味合いの中にございましての長期あるいは中期、こういうものを絶えず念頭に置いて取り組みの展開をやってまいりたい、かように考えております。
#64
○東(久)政府委員 ただいま大臣から大枠のお話がございましたように、私たち、新農政の酪農についての展望という意味では、二十一世紀初頭において普及、実用化が見込まれる技術水準というものを念頭に、家族経営という形でその所得並びに労働時間というものを他産業に劣らないようにというような形で展望を示しております。
 これにつきましては、例えば北海道の場合、経産牛八十頭規模という形でフリーストール・ミルキングパーラー方式という方式での、これは西欧諸国等では今主流になりつつある方式でございますが、こういうものでやっていく。それから、主たる従事者の年間の労働時間二千時間というような形での体制をとっていっていただくということで、酪農のいわゆる展望をお示ししているところでございます。
#65
○二田委員 そうしますと、所得とかそういうものは他産業に従事する者並みになっていく、労働時間もそういうふうになっていくのだというようなことになっていきますと、今のような状況の中でこういった取り組みをする人たちが育つかどうかということが、やはり一番の問題点なわけでございます。いわゆる希望があるかどうか。そういった意味で、今現在、畜産にそういう意欲を持って取り組む人がふえているのか減っているのかというと、これは減っていっていると思うのですよ。
 ですから、先ほどから申し上げていますように、この価格の問題、それから将来の問題、それから限度数量の問題、いろいろ重要な問題が今日かかってきている、こう思うわけでございます。そこで、ただいま我が国畜産の将来像についてお伺いしたわけでございますけれども、こういったことが実現できるのかどうかということに確信を持てますか。
#66
○畑国務大臣 これはよく言われることでございますが、物事の優先順位をどの辺に置いて取り組むか、いろいろな課題があるわけでございますが、絶えずその実現を目指してベストを尽くす。極めて抽象的な話になるわけでございますが、そういうような意味合いでの私どもの立場とあわせまして、先ほど来申し上げております、それぞれの畜産あるいは酪農等の分野におきましての条件整備を急ぐ、いわゆる魅力ある要素をつくり出すことのテンポを速める、かような意味合いでの努力を、引き続きベストを尽くしてまいりたい、かように考えております。
#67
○東(久)政府委員 ちょっと具体的な数字で申し上げますと、実はこの規模のものを今の北海道の酪農の状況と比較いたしてみますと、これは十年後程度を目標にしておるわけでございますが、今の状態で北海道は平均頭数七十頭。これは経産牛だけではございませんで、経産牛だけに直せば四十頭少々ということになろうかと思いますが、七十頭の規模まで来ております。
 それで、成牛五十頭以上規模層というところで見ますと、先ほど言いましたミルキングパーラー方式の普及が今や一二・五%という状態でございまして、私たちは十年後というところへ目標を置いたときに、こういう経営体が、先ほど大臣からお話がありましたように、種々の奨励策、合理化に対する対策というものをとっていくことによって実現は十分可能ではないかというふうに思っております。
#68
○二田委員 繰り返して申しますけれども、将来に希望を持たせるためには今の政策というのが非常に大事だと思います。目に見えて畜産がどうなっていくのか、酪農がどうなっていくのかということが非常に大事でございますので、これは後にまた言うわけでございますけれども、畜産価格というのはいわゆるこの新政策にも影響を及ぼしてくるということをまず当局の方では御認識をいただきたい、こう思います。これは答弁要らないわけでございますけれども、以上のことをひとつ心得てほしいな、こう思うわけでございます。
 今現在、畜産物価格は決して上昇しているとは言えません。低迷している、こう言っても過言じゃない、こう思うわけでございます。こういうときにいかにして、先ほどから繰り返して申すようでございますけれども、あすの畜産経営に対して希望を持てる施策を当局で打ち出すことができるのか、これは非常に大事なことでございます。そういった意味合いから、来年度の経営展望、短期の経営展望というものについてはどういうお考えですか、これは新政策とまた別に。
#69
○東(久)政府委員 短期の経営展望という形でどういうふうにお答えしていいのかちょっとわかりかねる点がございますけれども、私ども実は、現在の大家畜経営というもの、特に酪農というものは二つのきちっとしたいわゆる所得といいますか制度のもとに育成、育成という言い方はちょっと語弊があるかもしれませんが、育ててきたというふうに思います。その一つは、いわゆる加工原料乳の不足払いの制度でございます。もう一つは、牛肉の自由化に伴う子牛の価格安定措置、この二つであったと思います。
 それらは、コストが低下するものについては消費者に返していくというか、それを削減していくという形で運営をしていくというのが基本でございまして、過去においても、ここのところ数年、えさ代が相当下がってきている等の事情があり、また合理化をした部分もあるということから、そういうものについては価格を下げてはきておりますが、しかし農家の所得面というものを考えますときには、これはしっかりした対応ができていけるものというふうに考えておりまして、そういう意味では、いわゆる所得という形で農家の方は考えていただくことが重要ではないかと思います。
 来年度の状況につきましても、えさについては、えさは安定基金もあることでございますし、資材の方にも安定が見られるということが言えるというふうに思いますと、私はいわゆる農家の所得という面ではいい方向と言っていいのか、要するに悪い方向へ展開していくとは考えられないと思います。
    〔委員長退席、前島委員長代理着席〕
#70
○二田委員 局長はそう言いますけれども、農家所得というのは平成二年度を契機にして低下していっている。殊に酪農、畜産は低下していっているという数字が出ているわけでございます。これが来年度に向かって上昇していくという根拠はあり得るのでございましょうか。
#71
○東(久)政府委員 酪農の所得につきましては、過去において、昭和六十三年度に自由化を決定しながら子牛価格が暴騰するというような状態がございまして、非常に好調なときがありました。好調と言っていいのかどうか、非常にいいときがございました。それから、自由化の直後から少し悪くなっていったという状態でございまして、平成四年度までの統計を農家の所得という意味では農林省の方でつかまえている状況でございまして、それは先生おっしゃるとおり、四年度まではずっと低下してきたことは事実でございます。
 ただ、平成五年度はまだ所得の統計は出ておりません。しかし、五年度のいわゆる生産費の調査、五年八月の生産費の調査で見ますと、一頭当たりの所得が少し上がっておりますので、改善されているのではないかというふうに思います。
#72
○二田委員 それはまた五年度の統計がきっちり出てから、そしてまた六年度がどうなっていくのかということの議論に残しておきたいと思います。上がっていくとは私はちょっと思えないものでございますから、こういう質問をいたしておるわけでございます。
 次に、いよいよ畜産物価格の決定が間近になってきた感じでございまして、生産費調査の内容が発表されておるわけでございます。これは、細かい数字は別にいたしまして、総体的に見ますると生産費が一・一下がっている、こういう結果になっております。これを生産者の方たちが見まして、いやこれは自分らの生産費の感覚とちょっと違うのじゃないか、こういう意見が非常に現場からは上がってきております。特に酪農を中心といたしまして、生産費のとり方というのはどうなっているのか、そしてそれは実情を本当に把握しているのか、ここの点をひとつ明確にしていただきたいと思います。
#73
○嶌田説明員 今先生の言われました生産費と農家の実感ということでございますが、一般的に言えますことは、我が方の統計は平均でございますので、平均と個々の農家との感じというのはあろうかと思います。ただ、我々調査しております、例えば牛乳生産費調査で申しますと、これは標本農家をとるときに、今ありますのは一九九〇年、平成二年の農業センサスがありまして、それで乳用牛を一頭以上飼養しているすべての農家を母集団といたしまして、標本理論に基づいて北海道、都府県に調査農家を配分いたしまして、北海道については、例えば二百二十五戸を飼養頭数規模別、地域別に無作為に選定して調査を行っているわけでございます。
 この我々の調査の結果で見ますと、例えば北海道の場合、一頭当たりの生産費、今平均五十二万六千円でございますが、これを中心といたしまして生産費の高い農家、低い農家、いわゆる二項分布、きれいにしておりまして、このような状況からいいましても、我々のとっている標本につきましては生産実態を適正に反映しているというふうに考えております。
#74
○二田委員 例えばよく議論になりますのは、厩肥を生産費の中に入れておるとか、いろいろな実態とそぐわない点も多々ある、こういうふうに私どもは聞くわけでございます。そしてまた、生産努力によって生産費を低下させた、それはやはり農家の取り分になるのじゃないか、こういう声が強いわけですね。ところが、それを台にしてまた保証価格が引き下げられたりなんかしてくる。これは努力すれども努力すれども至って追いかけっこみたいなもので、それだけ努力しただけかえって下がってくるのじゃないか。これは農業全般について言われることなのでございますけれども、そういった意見というのは非常に強うございます。
 そこで、生産費の調査の中でとられる労働費とかそういうものを格別安くしているのじゃないか、こういった声を多々聞くわけでございますので、普通の都市並みの労働者の賃金に査定してほしいものだ、自分らだけ何も別に安くされる必要はないだろう、こういう声も多々聞かれるわけでございますので、この辺はいかがでございましょう。
#75
○嶌田説明員 今先生の言われました、例えば厩肥の問題でございますけれども、この厩肥の問題につきましても、調査農家の申告に基づきまして、廃棄したものは廃棄したものとして取り扱いますし、また販売したものはその販売額、それから牧草などへ自給肥料としてしむけたものはその原価を副産物の厩肥として計上しておるというような実態になっております。
 それから、あと労働費等でございますが、都市近郊労賃と言われたものですが、実は昨年生産費の見直しをいたしまして、従来は農村雇用賃金をとっていたわけですが、昨年から労働省が行っている、俗に言う毎勤統計をとるようにいたしまして、大体農村の雇用労働状況と合ったような調査を行っているというふうに我々は考えております。
#76
○二田委員 ここのところはずっと前から議論している点でございまして、畜産ばかりじゃなく、生産費のとり方、そして生産費の試算の仕方、生産性の向上によって低下したものをどう取り扱うのか、非常に難しい問題だと思いますので、今ここで議論して解決される問題でございませんから、課題として残しておきたいと思いますので、よろしくまたお願い申し上げたいと思います。
 昨年、ガット・ウルグアイ・ラウンドが妥結いたしました。そしてまた、畜産物価格それから乳製品、こういうものについても関税化もしくは関税の引き下げ、こういうことになってしまいましたので、大変生産者は不安がっておる。これはどういう影響を及ぼしてくるのかということで、将来に対する不安感をたくさん持っているわけでございます。それに対する説明というものが、当局から、また方々からは余りなされていない。ですから、またそれだけ不安感を増幅している、こうも言えるのじゃないかと思うわけでございます。
 そこで、ウルグアイ・ラウンド合意の影響やその対策について、局長からひとつお伺いしたいと思います。
#77
○東(久)政府委員 ウルグアイ・ラウンドの合意で、畜産関係につきましては、乳製品関係と牛肉と豚肉と三つに大きく分かれるのだと思います。
 乳製品の関係でございますが、乳製品、これはまた非常に品目細かくてわかりにくいところなんでございますが、基本的には従来の貿易措置というのは、我が国におきましては、飲用牛乳を自給していくということが基本にありまして、その飲用牛乳の供給基地を涵養していく、ないしはその飲用牛乳の、要するに季節的な調整措置が必要だということで、いわゆるバター、脱脂粉乳につきまして国家貿易の対象にするという国家貿易のグループが一つ、それからもう一つは、その国家貿易と関連するような品目について数量割り当て制度をとっていたものが一つ、それからもう一つは、関税だけでやっておったものと、三つのグループに分かれます。
 それで私たちは、現在の国内の生産との関係では、この国家貿易品目が一番重要なポイントであるというふうに認識しております。それらにつきまして結局関税化ということを受け入れたわけでございますが、先生御承知のとおり、この酪農品についてはガットでクロ裁定を受けていたという事情がございまして、我々はこの国家貿易を守って、しかも需給調整上問題のないようにするということを念頭におきまして今回の合意に至った次第でございます。
 したがいまして、乳製品の一番重要なポイントのところで申し上げますと、いわゆるバター、脱脂粉乳を中心にしたものについては関税化をやり、そのときに国家貿易を存続させるということ、それから相当高い関税相当額を張ったということ、それからもう一つは、どうしても現行のアクセスを保証しなければいけないわけですが、これについてはいわゆるバターと脱脂粉乳の需給ギャップというものがございますので、それを埋めるということで、過去において輸入しておりましたものを基準にした形での保証にとどめたということで、影響は最低限にとどめることができたのではないかというふうに考えております。
 また、次に牛肉の問題でございますが、これにつきましては現在五〇%の関税になっておるわけでございます。それにつきまして種々激しい交渉をやった結果、これを六年後に三八・五%に下げるということで合意せざるを得なかったわけでございますが、それと同時に、もし急増した場合には五〇%まで関税を戻すという措置を入れ込んだということでございます。
 それから豚肉については、基本的に差額関税制度というものを今回の中においても温存するという方向で合意に至ったということでございます。
 そういう形でございますが、今後の対策につきましては、御承知のとおり緊急農業農村対策本部というものが置かれまして、農政審の意見を聞きながら適切な措置をということで、私たちもこの中で十分な対策を考えていきたいというふうに考えております。
 なお、来年度からこのガットのウルグアイ・ラウンドの合意の実行であるということは、御承知のとおりでございます。
#78
○二田委員 局長、そうすると、例えば乳製品については、今度は、やはり関税化されたことによって大幅に外国から入ってくるのかこないのか、またその量は国内的な影響を及ぼすだけのものなのかどうかという点をお伺いしておきます。
#79
○東(久)政府委員 先ほど申し上げましたように、基本的な酪農品という意味では脱脂粉乳とバターでございますが、これらについては国家貿易という中でアクセスの保証をいたしております。しかし、これはどちらでもいいようにしておりまして、バターと脱脂粉乳の過去における需給ギャップから、十分そのアクセスのところは吸収できるというふうに考えております。
 それからまた、それでは関税相当額を超えたものが入ってくるかどうか。これはバターと脱脂粉乳というものはほとんどが業務用のものでございまして、相当高いところに関税相当額を張っておりますので、それを乗り越えて入ってくるというものはほとんどなく、それで結局需給操作を畜産振興事業団を中心にやっていけるというふうに考えております。
#80
○二田委員 関税というのは逐年減っていくわけでしょう。関税率ですから、毎年毎年税金は減っていくわけですよ。将来はゼロになるわけでしょう。ゼロになるということは、同じになってしまうわけですよ、国内と。そうなった場合の対策というのは、将来に向けての対策というのは、何か特別なことをしていますか。
    〔前島委員長代理退席、委員長着席〕
#81
○東(久)政府委員 六年後の状況でも相当高い関税相当額になることは先生御承知のとおりでございますが、その後のことにつきましては、五年目に再度レビューの中で議論されるというふうに聞いております。
 私といたしましては、それは諸外国にも同じような状況がある、特に酪農品につきましてはECもアメリカも、対ニュージーランド、対オーストラリアについては守らなければならない部門であるということで、今回あのような枠組みを我々はとることができたわけでございます。我々は、この枠組みをとったことによって不足払いの制度というものが今後とも十分守っていけるというふうに考えておりまして、その枠組みを維持することによって十分国内の酪農を安定させていくことができるというふうに考えております。
#82
○二田委員 それでは、不足払い制度を考えていくことができるということなんですね、最終的には。
#83
○東(久)政府委員 現在の不足払い制度が制度的に維持できるという枠組みを維持できたというふうに考えております。
#84
○二田委員 不足払い制度を維持できるというような枠組みを維持できた、それで将来どうなるのです、さっきから聞いていますように。
#85
○東(久)政府委員 不足払い制度というのは、加工品、いわゆるバター、脱脂粉乳については実勢価格による価格というものでいわゆる基準取引価格、メーカーの支払い価格が決まってくる、それに財政的な負担で不足払いをやるという制度でございます。したがいまして、乳製品そのものについて将来そんなに大きな落ちは私も考えられませんけれども、その乳製品の実勢価格というものを基準にしてやっていけるという制度でございますから、不足払い制度というもとで生産者に対しては安心感の持てる制度を維持していけるというふうに考えております。
#86
○二田委員 ですから、関税がゼロになった場合でも、不足払い制度で維持できるということなんでしょう。国際競争にして、それだけどんどん値段が下がっていくわけです。これは何についても言えるのですけれども。その場合でも不足払い制度というものは維持できるということで解釈してよろしいのですね。
#87
○東(久)政府委員 現在の不足払い制度というものは、基準取引価格の算定に当たりまして、バター、脱脂粉乳の市場の実勢価格を基準にして決めることになっておりますので、今の制度のそのままの運用という形では、市場で実現されるという価格になると思います。
 なお、その関税がゼロ云々ということについては、世界の酪農の事情から見てそこは考えにくいところだというふうに私は考えております。
#88
○二田委員 でも、いずれ関税化というものはやはり、ゼロにはならぬでしょうけれども、どんどん低下していくことには間違いないわけです。そして、国際競争力にさらされていくということもこれは間違いない事実であって、その場合に、実勢価格と申しますけれども、生産を賄えるような日本の価格を維持していくとするならば、やはり不足払い制度というものは導入していかざるを得なくなるんじゃないでしょうかということをお聞きしているわけです。
#89
○東(久)政府委員 現在の不足払い制度というのが、ちょっと輸入のところで、こういう合意を実行していく上において手を加えなければならぬところはございますが、現在の不足払い制度というものはそれにたえていく制度であるというふうに考えております。
 なお、現在の制度は、御存じのとおり合理化したものはできるだけ消費者の方へ返していくという制度でございますので、その点はやはり合理化の努力を酪農関係、我々もやっていかなければいけない。そのための酪農に対する支援というものが必要でございまして、それらに対する対策はこれからの農政審の審議の中でも、私たちは十分なものがとれていくように、それを支援していけるような対策が必要だというふうに考えております。
#90
○二田委員 その部分はわかりました。
 それから、牛肉なんですけれども、関税化してから、輸入自由化してから、非常に日本の国に多く入ってきているわけでございます。この増加率というものはどういうものなんですか。
#91
○東(久)政府委員 自由化した初年度というのは対前年マイナスになりまして、それは、その前年度に数量できちっとした数量を約束していたがためにそれだけの大量入荷が自由化前年にあったために在庫があって、対前年比マイナス一〇%くらいだったと思いますが、減りました。その後、二年にわたって二九%、それから昨年は、昨年というのは十二月まででございますが、二四、五%の増加になっております。一たん沈んだところからの増加という形で、そういうふうな増加になっております。
#92
○二田委員 例えば、いろいろな統計を見ますると、非常に外国の牛肉が入ってきている。もう五〇%以上入ってきているわけでしょう。五五%くらいですか、そのくらい入ってきている。それに対して、やはり日本の国にある程度、セーフガードということも考えているようでございますけれども、このセーフガードの内容についてはいかがなものでございましょうか。
#93
○東(久)政府委員 牛肉のセーフガード、今持っておりますセーフガートというのは、日米、日豪の合意によります、対前年二割以上増ないしは目標数量の二割以上増。その目標数量が毎年毎年、先へ先へ伸びていくような形になっているために、具体的な数字で言いますと、例えば今年度の場合は前年より百五、六十%伸びないと発動できないというようなこと、それからもう一つは、年度間を通じての運用になっていたこと、こういうことで、今の状態では、また先ほど言いましたように一時数量が減ったというところから伸びております関係上、セーフガードが発動できない状態でございます。
#94
○二田委員 ただいまのお話では、政府のセーフガードについては、私はやはりとても生産者は安心を持って畜産業を営むことができないと思います。
 そこで、議員の皆様方にお願いなんですけれども、我が党では、仮称なんですけれども、牛肉輸入調整法案というものをただいま大変研究中でございます。いずれ議員立法として提案申し上げたい、こう思っておるわけでございます。
 内容をちょっと言いますと、生産者や消費者双方にとって調和のとれた安定供給を図ることを目的としておるわけでございまして、「政府は、輸入牛肉の量が国内生産量と等量に達すると見込まれ、」等量ということは半分ですね、五〇%に達すると見込まれ、「かつ、牛肉の国内生産に重大な損害が見込まれる時」、価格等の問題でございます、それから生産の問題でございます、というようなときには速やかにこういうような法律を発動してもらいたいということでございます。
 三つ目としましては、では「等量」とは何を平均にして等量というのかといいますと、その年度を含めて過去五年間の平均供給量が同じな場合に等量と認める。
 そして四番目に、「事前通告」といたしまして、「輸入牛肉が前項の量に達すると見込まれた時は、輸出国に対して一か月前に通告する」、ではどういうことをするかというと、通告を行った後に、政府は、輸入牛肉に対して七〇%の関税を課するか、もしくは通関等の輸入手続を停止する、港まで来ることはいいのですけれども、輸入手続を停止することによって実質上入らないようにしてもらう。
 こういった法案を今作成中でございます。いずれかの時点で皆様方にひとつお願い申し上げると思いますので、これは政府の答弁は要りません。どうかひとつ先生方に、お願いといいますか一緒にやってもらいたい、こういう意味で申し上げた次第でございますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 大臣に、ちょっと確認したいことがございます。
 この間、前の補正予算のときの予算委員会で、中川先生が大臣に質問をしているのでございます。この中で、こういう御質問をしているのですね。間もなく始まります畜産物価格の決定において、これは十分な価格、十分な生産量を確保するというふうにとらえるのが筋だと思います、政治家としての畑農林大臣にその決意をとお伺いいたしておるわけでございます。これに対しまして、大臣は、はっきりしたことも言えておりませんけれども、上手に逃げているというふうにとらえてもいいわけでございますけれども、このような「厳しい」ということを申しております。「厳しい要素を踏まえる」、非常に厳しい要素があるのだけれども、「前向きで問題の解決を図るべく全力を尽くしてまいりたい、こういう決意で今後の措置に当たってまいりたい」、こうお答えになっております。これはまさに価格のことでございますので、今回の価格決定に当たりまして、この決意をまだお持ちであるのか、そして十分な価格、十分に生産費を償うような価格決定というような決意で前向きに取り組んでいただけるのかどうか、この御答弁をいただきたいと思います。
#95
○畑国務大臣 きょうは二田先生の御質問、当初からのそのお話の内容から、ただいまの御指摘のお気持ちは痛いほど先ほど来受けとめさせていただいておるわけでございますが、御案内のとおり、価格問題等々につきましては、事務方がそれなりの法にのっとったきちっとした対応をさせていただいておりますことも御承知のとおりでございます。そしてまた、天下に公表していささかもその辺に問題点を指摘されるような余地のない取り組みというものが、これからも筋を通した対応といいますものがやはり必要であるというように考えております。ただ、御指摘がございましたような意味合いの中にございましては、ウルグアイ・ラウンドを受け入れた問題、あるいはまた農業事情の厳しさ、先行き不安等々の問題が厳然として横たわっておるということも私の立場では認識をさせていただいておる、そういうことでございます。
#96
○二田委員 大臣にお伺いしておりますのは、生産費を十分に償えるような価格にしていただけるのかどうなのかという問題点でございます。中川議員もそういうことをお尋ね申し上げておりまして、それで決意を持って当たっていただけるという答弁をいただいておるわけでございます。そのときの気持ちと今とお変わりになりませんね。
#97
○畑国務大臣 ただいまも申し上げましたような意味合いでのきちっとした一つのルールを踏まえた作業がただいま進められつつある、そういうような意味合いで先刻御答弁申し上げましたような情勢認識を私なりにいたしておるというところでございます。
#98
○二田委員 その情勢認識というのがなかなか危ないのでございますけれども、これもいずれ結論が出てまいりますから、そのときまで十分な御考慮をお願い申し上げたい、こう思うわけでございます。
 最近、チーズの需要量が非常に伸びておる。発音が悪いからチーズも知事も、秋田弁ですからちょっと変に聞こえたでしょうが、チーズです。チーズの需要量が非常に伸びておるそうでございます。ですから、このチーズの振興対策というのが、バターも非常に余っておりますし、非常に必要になってくるのじゃないか、こう思うわけでございます。チーズ基金というものがあるのですけれども、この基金を今後継続していくのかどうしていくのかというようなお考えを局長からお伺いしたいと思います。
#99
○東(久)政府委員 先生御指摘のとおりチーズの消費が非常に伸びておりまして、私たちも、この点大変期待の持てる品目であると思っております。
 このチーズの伸びた大きなポイントは二つあると思います。
 一つは、外国品との抱き合わせ義務を課しておるということでございまして、これはガットの交渉の中でそれをはっきり位置づけることができましたので、これが非常によかったと思っています。
 もう一つは、チーズの基金でございます。今先生お話しの基金がことしで切れるわけで、この年度末で空になります。その点について、今ここで現時点でどうするかというのは私としては言いにくいわけでございますが、実はこのチーズ基金発足のときに、大変個人的なことで恐縮でございますが、私がかかわっておりまして、そういう意味でこのチーズ基金が果たした役割というものは私は大変高かったと思っております。そういうことを答弁にかえさせていただいて、よろしくお願いしたいと思います。
#100
○二田委員 これは今後の乳製品の主力商品になってまいりますから、やはり十分に振興策というものを図っていかなければいけない、こう思いますので、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。
 次に、厚生省の方に質問したいと思うのですけれども、食鳥検査につきまして多少お尋ねいたしたいと思います。
 今私どもの方にいろいろな陳情とか苦情が参っておるのでございますけれども、食鳥検査というのは時間がかかってなかなか容易でない、時間がかかるというのは、土日も休みになるので、生ものでございますから、これを停滞することによって商品としての値が全然なくなるんだ、こういう話なわけでございます。それから、鳥の病気の傾向と対策等、前向きの情報の提供がない、検査羽数の速やかな発表がなされないで生産計画にデータが生かされない等の不満があって、やはり厚生省では対応できなくなってきているのじゃないか、そこで農林水産省に管轄を移してはどうかという意見等があるのでございますけれども、いかがなものでございましょうか。
#101
○森田説明員 御説明申し上げます。
 食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律でございますが、食鳥処理の事業について衛生上の見地から必要な規制を行うという観点から食鳥検査制度を設けておりますし、また、食鳥肉に起因する衛生上の危害の発生を防止し、もって公衆衛生の向上及び増進に寄与するというこの法律の目的でございますので、「飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止する」という、こういう所掌を事務とする厚生省が所管するというのが妥当ではないかなと考えております。
 また、先生御指摘のございました休日あるいは早朝の検査の対応でございますが、現在も地方自治体で土曜日の対応あるいは早朝対応もやっております。また、今後も業界の要望等も受けまして、各地方自治体に対していろいろな、非常勤職員の活用等ございますけれども、そういう方法をもって土曜日あるいは早朝の対応をするように先般も各地方自治体に指示をしたところでございます。
 また、検査データの生産サイドに対するフィードバックでございますけれども、これも鶏病対策という意味では非常に重要なことだと思っておりますので、私ども従来から各地方自治体に対し、食鳥生産者あるいは食鳥処理業界に食鳥の検査羽数ですとか疾病のデータ、そういうものを提供するように従来から指示しておりますけれども、さらに先生御指摘のございましたとおり、関係業界に強い要望もございますので、その徹底を図るということで、先般、全国の担当主管課長会議におきましても、情報の適切な提供というようなことで厚生省といたしましても鋭意いろいろな努力をしているということを御報告申し上げまして、御説明といたします。
#102
○二田委員 時間が参りましたから簡単にお尋ねしてまいりますけれども、実際上は獣医さんが食鳥検査をするわけでしょう。一つは獣医さんがする。それからその役割を代行する食鳥処理管理者というのもあるんだと。ですから、獣医さんといったってなかなか忙しくて容易でない、こういう話を聞くわけですよ、端的に。そうしますと、この食鳥処理管理者に大幅に権限を委譲してみたらどうなのかと。獣医さんも大変やはり高齢になっていますそうで、女性もまた多いんだ、それから、今後ともまた人手不足がどんどん増大してきた場合に、やはり検査体制が万全でなければ供給ができない、こういう大変な不安がありますので、その辺を、じゃそうでなければ食鳥処理管理者に権限を任せられないのかどうかということはどうなんですかね。簡単に。
#103
○森田説明員 先生お話しの食鳥処理衛生管理者に権限を任せられないのかという御指摘でございますが、この食鳥検査というのは公的な検査という位置づけでありますので、あくまでも公務員が原則的に行うということが、国際的にもそういうような状況になっております。
 そういう意味で、現在の食鳥検査法はぎりぎりのところまで食鳥処理衛生管理者の方に権限をおろしているところもありますので、これ以上この方に責任を持たせることは無理かなと考えております。
#104
○二田委員 以上のような問題点があるということをひとつ御承知おきをお願いしたいと思います。
 それから検査料なんですね。これは一羽五円なんですね。これは全部生産者の負担になっている。ところが、最近、食鳥業者も非常にやはり深刻な不況に見舞われている。五円が非常に負担になってきているんですね。それで、恐らく農水省に対して、これに対して少し補助金を出してもらえないか、こういう要望が参っているんですよ。これはできるできないは別なんですけれども、厚生省なのか農水省なのかよくわかりませんけれども、この五円の検査料というものはどうにもならない問題でございましょうか。
#105
○森田説明員 先生お話しのとおり、私の方にそういう要望が参ってきています。ただ、検査手数料、政府側といいますか都道府県かもしれませんが、検査手数料を直接我々また補助するということは、これはなかなかルールとして難しいわけでございまして、前からそういうお話があったときに、私たちでできる支援措置、いわゆる流通の処理施設の合理化等に対する支援でございますとか、それから鶏肉の品質改善とか、それから国内での需要拡大というような形での御支援を充実してきたというのが現実でございまして、なかなか手数料そのものには難しいということを御理解いただきたいと思います。
#106
○二田委員 時間が参りましたので、これで終了させていただきます。ありがとうございました。
#107
○竹内委員長 松岡利勝君。
#108
○松岡(利)委員 それでは、引き続きまして質問をさせていただきたいと思います。
 私は、実は畑農林水産大臣とは隣の選挙区でございまして、私も政治家になりまして、当選をさせていただきまして国会に出させていただきまして以来大変いろいろと御指導もいただき、また何かにつけましてお世話になっているようなことでありまして、大変御尊敬も申し上げております。しかしながら、きょうはこういうことで、大臣のお立場に対しまして、また大臣の御職務に対しまして、私も、お世話になっておること、御尊敬申し上げておることは重々踏まえながら、失礼なことも申し上げるかもしれませんが、その点につきましてはあらかじめ御容赦を賜りたく、お願いをする次第であります。
 まずきょうの本題は、平成六年度の乳価、畜産物価格、これがきょうの本題でございますが、本題に入ります前に、私は、農業、食糧というものにかかわりまして、その基本的な点について大臣の御認識をぜひお伺いをしておきたいと思います。
 まずそれはどういうことかといいますと、昨年の米の不作、これは天明以来の大飢饉、大変な大凶作であったわけであります。その第一義の原因は、これは天候不順だ、こういうことが言われておるわけでありますが、第二義的な原因として、これは減反政策なり備蓄政策の至らざるところがやはりあった、こういうことでありまして、言ってみればそういった点につきまして、私ども政権を担当しておった自民党の立場からいたしましても、それは十分なる責任をやはりこれは感じておる、そういうような認識でございます。そういった私どもの責任も含めまして、これはもう政治、行政の見通しの甘さといったようなものが、現在、特に消費現場におきまして大変な大混乱を招いておる、そういうようなことになってきたんではないかとこういうふうに私は深く認識をする次第であります。
 ただ、そういうようなことはそういうことといたしまして、私は、もっと基本的、本源的な大問題といいますか、本質といいますか、そういったことをしっかりとらえておかないと、これはまたいずれもっと取り返しのつかない大問題になお連なっていく、こういった危惧を持つものですから、私なりの認識を申し上げまして、大臣の御認識を承りたいと思うわけであります。
 物質優先、そしてまた、そういう一方で世界的にはいろいろな飢餓の地域がある。その飢餓の地域のいろいろな困難な状況をよそに、この私どもの日本も飽食の時代と言われて久しいわけであります。そういう状況の中で、金さえ出せば何でも買える、またある一面では、安ければいいんだと。私も、米の自由化反対、これは単なる反対ではなくて、いろいろな意味を込めての反対であったわけでありまして、いろいろな場面で、いろいろなところで議論をいたしました。そうすると、とにかく消費者の立場からすれば安ければいいんだと。これは、言ってみれば一時的な目先の利害というか利益、ある意味ではそういう面での考えといいますかそういったことで、要するに安ければいいんだ、こういうこともあったわけであります。
 そういうことを考えますと、国民全体というか消費者全体というか、やはり私は、そういう国民全体、消費者全体の意識の中に、今言いましたような、ややもすればこれは、金さえ出せば何でも買える、そしてまた安ければこれはすべていいんだというこういう風潮、こういったことがとりもなおさず農業の、無視とは言いませんが軽視、そしてまた食糧、これはもういつだってどこだってスーパーに行けば、お店に行けば何だって買えるというようなことから来る食糧の軽視、こういうようなことが知らず知らずのうちというか、それがずうっと醸成されてきていたんではないかと思うわけであります。
 昔から、農は国のもとなり、私は、今なおというか、逆に今だからこそ農は国のもとなり、こう思うわけであります。米問題もずっと取り組んでまいりました。アメリカにもジュネーブにも何度も行って、いろいろ私ども議論もいたしてまいりました。
 そういう状況の中で、どの国もやはり農は国のもとなりというのは、それぞれの考え方でしっかりきちっと持っているのですね。そういうような意味で、もちろん食糧のもとでもありますし、また特に日本にあっては、水田というのは、これはもうダム以上の働きで水を蓄え、そしてそれを供給する、そういう形で都会の生活をしっかりと支えておる。また災害というものを防いで、その都会の生活を守っておる。こういう意味で国民生活の土台であります。そしてまた、昔からありますように兵糧攻め、戦いの最後は兵糧攻め。したがって、これは外交も、戦争ではないけれどもある種の戦いであります。その外交をやるときに、食い物もなくて相手に強いことが言えるか、こういうことを考えますと、これはまた外交のもとでもあります。
 そのような意味で私は、まさに農は国のもとなりということだろうと思うのです。国民全体そして消費者全体が、きょう議題になります酪農、畜産はもとよりでありますが、それも含めまして、この農林水産業、そういったものの重要性、さらにまた安定的な食糧を安全に確保していく、こういったことの必要性を十分認識して、その上に立っての農林水産業または食糧に対する政策でなければ、私はただ単なる手当てだけの、言ってみれば表面を糊塗するだけの対策では、これは国家百年の大計、民族の将来、そういったことをちゃんと見定めた本当の農業政策、食糧政策にはなっていかないのではないか。そこが基本だと思うわけであります。
 そういう認識に立つわけでありますが、まずこの点について大臣どういう御認識をお持ちか、ちょっとお伺いしたいと思う。
#109
○畑国務大臣 ただいま松岡先生から、従来から先生御自身が主張をされております、そしてまた一つの政治課題として真摯なお取り組みをされておりますことを、私も十二分に承知をいたしておるところでございます。
 今お話しのございました具体的な内容は、すべて我が意を得たりと申し上げた方がいいと思いますが、私自身の考え方も認識もそういう立場に立っておるわけでございます。
 何といっても、これからの地球規模で物事を考えました場合におきましては、毎年人口が一億ずつふえつつあるということは、言葉をかえて申し上げれば人口問題即食糧問題である、こういう認識に立つべきではないかなというように考えましたときに、この第一次産業分野の農、林、水、この分野におきまして、いわゆる農業も山あっての農業であり、農業あってのまた海岸地域における水産業であるという、持ちつ持たれつ、欠くことのできないお互いの必要条件といいますものをお互いに補いつつ今日の日本というものがあり得る。
 そしてまた、さような意味合いにおきましては、公益的な面のこれからの重要性、環境問題あるいは国土保全の問題等々、御指摘のございましたような水資源の問題、黒四ダム三十数個分に相当する等々のお話もあるわけでございまして、さような意味合いで国民に幅広く御理解を願う。
 そしてまた、昨年いわゆるガット・ウルグアイ・ラウンドの問題がああいうふうな姿で今日の運びに相なっておるわけでございますが、私どもはこれからも国際社会の中における、ただいま御指摘のございましたような意味合いでの事柄の重要性といいますものは、これから年々世界的な規模で理解を深める、そういう努力を我が国が推進力となってやっていかなければならない。さような意味合いでの今後の取り組みが私どもにも与えられておる一つの大きな政治責任である、かようにも受けとめさせていただいておるような次第でございます。
 今日のいわゆる水産業の問題、林業の問題、そしてまた何といっても農業問題の米問題等々、いろいろ問題点を十二分に承知をいたしながらも、先般来のいわゆる国際化という中にございましてのミニマムアクセスの問題等々、ただいま御指摘を賜りましたような要素を踏まえた中におけるこれからの米管理のありようといいますものもだんだん話を詰めていかなくてはならない。その前提としましては、ただいま先生の御指摘があった諸要素、いわゆる重要性、位置づけ、こういうものを尊重して、念頭に置いて、誤りなきを期してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#110
○松岡(利)委員 大臣の御認識といいますか御見解、承りました。ひとつその点は、これは政策体系全体の一番の基本でありますので、農林水産省はもとよりでありますが、これはやはり国民全体にわたって御認識を賜ることが一番基本だろうと思いますので、その点、大臣のお立場からも農林省のお立場からも、そのようなお取り組みを政府全体に広がるようにあらゆる形でひとつお願いをしたい、こういうふうにお願いをする次第であります。
 そこで、そういった観点に立ちまして、若干基本的なことをお伺いいたします。
 私は、今の細川政権、大臣もその中の一角を占めておられるわけでありますが、連立政権は、農林漁業、食糧政策、これをやはり若干軽視されているのではないか、このような感をどうしても持たざるを得ない。また、持つだけではなくて、そういう事実もまた指摘せざるを得ない、こう思うわけであります。
 私は、国会議員になりましてちょうど丸四年になります。平成二年に私は当選させていただいたのですが、この間、農林漁業をめぐる状況ということをさらっと見てみますと、これはもう大変な大打撃を受けた。その繰り返しであった。本当に相次ぐ大打撃を受けた、そういう状況下に農林漁業は置かれた、こういうことでありました。
 平成二年に、これは日本全国、全体ということではなかったかもしれませんが、大水害を私の選挙区は受けました。これは七・二水害というわけでありまして、九州も大変でしたが、死者だけでも、私どもの阿蘇だけでも二十名くらい死んだという大変な大水害を受けました。
 そしてまた、平成三年は、御案内のとおり大臣の地元も大変な風倒木でありましたし、背中合わせの私のところも大変な風倒木。そして、北は青森のリンゴまで本当に壊滅的打撃を受ける。こういうような台風被害。そして平成三年からは、牛肉・オレンジの自由化、さらに昨年の大凶作、こういうことでありますから、本当に自然の面から、またいろいろと人為の面から大変な大打撃を受けてきたというのが、私が政治家になって四年間の農林漁業の置かれた状況だったわけであります。
 その状況の中で、経済的にも心理的にも、私は農家というのは大変な落ち込んだ状況にあると思うのです。その落ち込んだ状況にさらに、こういう言い方は妥当かどうか知りませんが、首つりの足を引っ張るような大凶作に打ちひしがれて、本当にどうしようかと思って途方に暮れているところに米の自由化。そしてまた、酪農乳製品の自由化、関税化です。そしてまた、牛肉・オレンジのさらなる関税率の引き下げ、そしてまた木材のまたこれも関税化、このようなわけでありました。本当に昨年の十二月のそういうような、どうやって立て直すかではなくて、これなら死ぬしかないではないか、これなら奈落の底に落ち込んでしまうしかないではないか、このような状況に置かれておるのが私は今の状況ではないか。
 しかも、先ほども漁港の話のときでしたか、鈴木先生からもちょっとありましたが、連立政権としてどういう考え方でこの政策運営をしていくか。それを具体にあらわすのが予算編成であります。その予算編成のまさに予算配分の基準として出てきたのが、財政審答申と言われるこのABCランク分け。ABCというのは、A組だ、B組だ、C組だ。あなたはA組だ。A組とは何だ、生活環境だ、B組とは何だ、国土保全だ、C組とは何だ、産業基盤、そういったことを中心とする分野だ、こういうことでありました。
 そうしますと、農林省関係はどうなるか。これは、土地改良、漁港、そういったものを初め全部Cなんです。先ほどそのことに対しては、大臣のお立場としてもこれはまことにもって遺憾にたえないと。もっと違うところでも大臣のお言葉を聞いておりますから、大臣自体とされましては、このことに対して大変な怒りも含めてけしからぬというお考え、お立場にあられるということは私も理解いたしておりますが、しかし、細川連立政権としてはそのようなことで、土地改良、これは〇・六%ぐらい切り込まれたのですかね。大臣、これは末端の事業規模にすると六百億円ですよ。これはアバウトな話ですから詰めて言う話ではないのですが、六百億円。これは、初年度だからということでこれぐらいにしている。これをもっと切り込んでいくということになると、じゃ、〇・六が一・〇だ、一・二だ、一・五だ、こうなっていきますと、六百億のまま十年たって六千億ですから、ちょっと傾斜をつけて切り込んでいけば、一兆だ、一兆五千億だにすぐなってしまう。
 そうすると、その土地改良の中には、これは農道もあれば集落排水もある。まさに農業、農村地域の生活環境というものはみんな含まれているし、まさに最も都会に比べておくれておった必要なものが全部組み込まれている。それが一兆だ、一兆五千億だという形で抜かれて、都会にそのお金が持ってこられるのであれば、これはどういうことになるのかということであります。そのようにCランクに位置づけられておる。これは後回しというわけです。Aは最優先、Bは普通、Cはあなた後回し、こんなわけであります。
 そして、林業関係の林道とかそういったものがB、こういうことでありまして、私は大蔵省の竹島次長にもお話しに行ったときに申し上げたのです。水道の整備、確かにこれは生活直結で大事かもしらぬけれども、幾ら水道の蛇口だけ整備したって一番奥の水源、もとのところがきちんと整備されなければ水は来ないわけであります。そういう意味では、農林業というか、そういう農山村地域というのは、言ってみれば生活のもとなんですね。そういうようなことも考えていただいたときに、細川連立政権としては、そういった観点を捨てたまさに農林業軽視の予算配分であり、そういうことになっているというのは、これは事実としてそうではないか、こういう思いを私は持つわけであります。
 したがいまして、このことはきょうの本論ではございませんから、私はこれ以上言うつもりはございませんが、先ほど申し上げました、大臣もちょっとおっしゃいました、そういう今日の食糧の状況、米の混乱、こういったことをまさに今見るにつけ、経験するにつけ思いますのは、誤りを正すのに何のはばかりあるということが昔からありますよ。
 畜産局長は、当時農林省の立場で、国際部長でジュネーブにもずっと行かれて、私ども何度も一緒でした。私もアメリカにもずっと行ってまいりましたが、今ウルグアイ・ラウンドが終わってみますと、ヨーロッパのオーディオ・ビジュアル、そういったものは例外というか、話がまとまらなかったから交渉は別途やっていきましょう、こんないいかげんな形になっているのですね。そしてまた、アメリカは、木材関税、自分たちも納得して一遍合意したものを、ゼロ・ゼロ関税にしなければ、何品目か知らぬけれどもそれは合意から引き揚げる、こういうことも言っておるわけであります。これは、公平な、平等なことを実現する責任のあるガット、そういう立場からすれば、平等でも公平でもない。
 アメリカやECにはまさに例外的に、もう例外と言ってもいいと思うのですが、別枠で認めている。それならば、そういったものが調うまでお互い国際間の協定の調印というのは凍結。そういった不平等のままこれを受け入れるというようなことは私どもはとても考えられない。したがって、我が国としては、そういった国際的なまさに平等性、公平性が保たれるまでこの点については留保する。そして、今日のこういう食糧問題、また地球環境等を考えればなおのこと、今こそ勇気を持って――あのアメリカにもあれだけノーと言われたのですから。工業製品の分野ではノーと言った。
 私もここまで言うつもりはなかったのですが、せっかくですから申し上げますと、アメリカに何度も行って交渉して、いつも議論になって最後の結論は、アメリカからすれば六百億ドル近い貿易赤字なんですよ、これをどうしてくれるんですか、こういうことなんです。ですからそのときにも申し上げた。それであればなおのこと米の三十万トンぐらい輸入したって一億ドルかそこらじゃないか、そんなもので何の解決ができるのですか、解決の足しにならないそういうものでお互いいがみ合って、けんかし合って労力、エネルギーを費やすよりも、本当に正面から取り組んだ形でひとつ解決の道を探そうじゃないか。だから、帰ってきて外務省にも通産省にも言いました。行けば行くほどはっきりしてくる。要するに、これはあなたたちがごまかして、問題を農業にすりかえているんだ。だから、経済界よ、通産、外務省よ、逃げずに正面から受けとめて、そして、五百億ドルも六百億ドルもつくった張本人が、これだけの赤字を半分にするなり三分の一にするなり、そういう基本的解決策を自分でつくれ、こういうことを私どもは申し上げたのです。
 私は台湾にも行きました。台湾の経済界と話したら、台湾は、李登輝総統が何とかしろと言ったそのツルの一声で、本当に経済界が百億ドルくらいの対米貿易黒字をある一定期間であっという間に減らしたのです。
 そういうことを考えますときに、日米間の一番の問題をつくった工業製品、その工業製品を守るときはノーと言って、問題どころか、もういっぱい入れるだけ入れて三百億ドルも輸入している農産物では、もうあとちょっと残ったものまでイエスと言って入れてしまう。これは、国家の将来とか民族の安全とか、そういったことを考えたときに、先ほどから言っておりますように、いま一度基本に立って考え直すべきではないか、このような考えを私は強く持っておりました。
 今こそ大英断をもって、ウルグアイ・ラウンドの問題、酪農の関税化の問題、まだ時間はあるわけでありますから、この点につきまして大臣、十分ひとつお考えをいただきたい。きょうここでこのことについて大臣と討論をするというような予定ではございませんので、このことは強く申し上げまして、ひとつ大臣の腹に入れていただきたい、このことをお願いする次第であります。
 そこで、いよいよ本題に入りたいと思いますが、牛肉自由化がなされました。先ほど二田先生のいろいろなお話もございましたが、今日、酪農経営、畜産経営はもう大変な、惨たんたる状況になっておる、そのように私は思っております。
 私は、今から十五、六年前に、北海道の天塩川のある天塩町というところに営林署がございます、その営林署長をさせていただいておりました。そういった御縁があるものですから、きのうもその天塩の酪農の方々がお見えになった。もちろん議長さんとか町の議会や役場の行政関係、そしてまた農民代表、そういった方々が忙しい合間とにかく必死でお見えになったわけでありますが、話を聞けば、このままいけばもう死ぬしかない、もうおれたちは首をつるしかない、そのようなお気持ちで必死で訴えられるわけであります。そしてまた、中身を聞いてみれば、これはなるほどそうなんですね。
 したがって、私はまず畜産局長にお聞きをしたいのですが、先ほど二田先生も言っておられ、局長もさらっと数字的に答弁をされておられたけれども、そんな話じゃなくて、今まさに、畜産経営なり酪農経営、自由化前と自由化後、どういう状況に立ち至っているかということをどのように認識をされておられるのか、私はそこを篤とお伺いしたい。
 私は当時政治家ではなかったのですが、牛肉・オレンジの自由化が決まったときに、いろいろ人の話を聞けば、決して農家には迷惑をかけない、こういうことで牛肉自由化を受け入れた、こう聞いておりますが、迷惑はかけないどころか、もう死ぬか生きるかわからないというところまで来ているわけでありますから、迷惑がかかるどころかそれ以上のものがかかっておる、こういう状況だと私は思っております。
 まず、局長の御認識を、当時どの程度の影響があると想定されておったのか。想定があったのかないのか。もし想定をされていたとするなら、それは想定をよほど上回る今の状況か、まあ大体想定どおりだったということなのか。したがって、対策はとっていたはずだから、その対策にしても今のこの状況はやはり賄い切れなかったというような状況なのか。ちょっとその辺の御認識を、ひとつまず局長にお伺いしたいと思う。
#111
○東(久)政府委員 牛肉の輸入自由化によりまして、その後のまず肉に対する影響という形では冷蔵品を中心に輸入が急増いたしました。輸入牛肉そのものの価格はまだ低下傾向でございます。しかし、輸入牛肉の価格の低下というものの影響は、これは物によってといいますか、ちょっと低規格という言葉がいいかどうか、物によってその影響度が違ったわけでございます。
 私の承知しておる限りでは、自由化後どこに影響が出るか、これは、一番弱い繁殖経営のところへ出るであろう。したがって、子牛価格の不足払いというものを制度的に組む必要があるという認識が強かったと思います。不足払いという形での子牛の価格安定制度が導入されて、そこにいわゆるしわが寄るといいますか、牛肉価格が安くなったことの影響が強くあらわれるであろう。そこで、自由化前の子牛の価格というものを基準にした価格の安定制度というものが自由化を控えてつくられておったわけでございます。
 そういう状況のもとで、その後、牛肉価格につきましては、先ほど言いましたように、物によって影響が違ってきました。和牛肉については余り影響がなかった。ただし、平成五年の一月ごろになってちょっと和牛肉が、これは他の要素という人もございますが、ちょっと一割程度値が、特に和牛のA4と言われる高級規格の次の規格ぐらいのところへ影響が出たという状況がございます。それから、中級という言い方がいいかどうかあれでございますが、乳雄の肥育の牛肉には次に影響が出まして、それがやはり三割程度値が下がったという状態がございました。さらに、その下というか、低位規格といいますか、そのものにつきましては、主としてやはり繁殖素牛の廃牛並びに乳牛の廃牛、この辺に大きな影響が出ておるわけでございます。
 これらの背景でもちろん子牛価格というところに影響が出てきましたので、特に子牛の場合には乳雄を中心に影響が出ました。それらはずっと価格補てんという形で価格支持をしてきているというのが現状でございますが、それとはちょっと別に、自由化決定直後に子牛が暴騰したという、特に和牛の子牛が暴騰したという事態がございまして、これは大変憂慮すべきは、自由化で牛肉が下がるときに、その高い子牛で育てたものが出てきて、肥育経営に大きな影響を与えるのではないかということで、そこで急遽肥育経営に対する緊急措置、いわゆる所得を割り込んだ場合の援助措置というものをつくっていったという経緯がございます。これはもう自由化後でございます。またさらに、最近特にでございますけれども、経産牛のいわゆる廃牛等に大きな影響が出ているということで、これらに対する特別の措置も取り込んだということでございます。
 またさらに、国産牛肉を奨励しなければならぬということで、国産牛肉の差別化といいますか、商品としてJマーク、Jビーフというのは御存じだと思いますけれども、それをやりまして、国産牛肉の回復に努めたということでございます。その結果であるということは必ずしも言えないかもしれませんが、輸入牛肉自身は昨年の夏以降も依然下がり続けておるわけでございますが、国産牛肉は別の動きを始めました。五年の六月はちょっと底になりましたけれども、そこから国産牛肉は回復に向かっております。そういう背景で、子牛も五年度はほぼ横ばいの状況になってきております。
 まだ十分回復しているということは言えないのでございますが、最近は、一時の非常に厳しい状況からは回復しつつある過程にあるのではないかというふうに考えております。
#112
○松岡(利)委員 局長、ちょっと一言だけ簡単に。思っていたことに比べて、今の畜産なり酪農経営の状況は思っていたよりも大変な打撃を受けたと認識をしているか、いやまあこんなものだったという認識、どっちか、この一言、それだけちょっと答えてください。
#113
○東(久)政府委員 影響が出てくることに対する対応策をとっておるという状態で、そこのところについて、そのときに想定した影響よりも大きかったかどうか。特にそれをいえば、一つは、御存じのとおり、乳雄の子牛の合理化目標価格というのがございます。これをさらに割り込んでいるということについては、合理化目標価格以下ということはちょっと想定していなかったということはあろうかと思います。しかし、その点については対策、これは御存じのとおり、県の方の基金で払っているものに対する、借金に対する対応をいたしております。
#114
○松岡(利)委員 今局長、合理化目標価格、これを下回ってまでは思っていなかった、そういう認識、そして三割程度とおっしゃったけれども、ちょっといろいろ整理して言いますと、これは大変な、今おっしゃっているような認識以上なんですよ。
 これはきのう私がもらった資料ですが、それこそ北海道の豊富町豊富市場の自由化前と今、自由化してから一番最低まで下がったときの価格差ですよ。廃用牛、これは平成元年度に比べますと、一番下がったときというのは何と実に九〇%下がっているんです。要するに、九〇%になったんじゃないですよ、百円のものが十円になったということ、九〇%下がった、それぐらいの打撃を受けておる。そして、いわゆるぬれ子、これが一〇〇のものが七〇なくなった、要するに三〇になった、こういうことなんです。地域的な、つまりいろいろなその地域による差はあるでしょう。あるけれども、やはり地域的なそういうところをとっていくと、こういう大変な打撃を受けているのです。だから、このことはよく認識をしていただきたい。これがまさに、牛肉だからと思っていたら、肉牛だけではなくて、酪農経営を直撃したわけです。今まで副産物として入っていた収入が、たった一割とか三割しか入らないわけですから、これが酪農経営を直撃をした。これがまず一つの実態です。
 そして、私は熊本の阿蘇ですから、肥後の赤牛といいまして、阿蘇の赤牛ともいうのですが、ここは一時は四十万ぐらいしていたのですよ、局長今保証価格とおっしゃった、保証価格。ところが、黒と赤と一緒だったものですから、黒は高いのだけれども赤はもう本当に、去年の二月、おととしの暮れくらいは十九万まで下がった。十九万をちょっと割り込んだ。私も一時行って見てみましたけれども、割り込んだ。言ってみれば、いいときの半分以下ですよ、半値以下まで落ち込んだ。そうすると、物財費が出ない。俗に言うえさ代が出ないという状況にまでおととしの暮れから去年の初めにかけては落ち込んだ。ところが、それだけ赤牛が落ち込んでも、黒と赤と一本になっているものだから、保証価格は三十万四千かこういうことで、平均するとそれ以下に下がらないものですから、もうまさに赤牛から見て絵にかいたもち、保証の制度はあるけれども、実態は全く保証にならない。そこで、もう本当にこれこそどうしようもないというので、赤と黒と分けるということで、去年は大変な御配慮をいただいて、赤牛は分離していただいてやっていただきました。しかし、それまではまさにその十九万、半値以下になっても何一つ補償をもらえない。それは安定基金とか、いろいろな県とか基金協会からの多少の対策はありましたよ。しかし、国として制度としてつくっていただいたその制度は何一つ受けることができない、そういう状況だったわけですよ。それは一年間まさに野放しのまま、言ってみればおぼれかかっているのに見ていて助けられない、こういう状況だったわけです。だから、これは想定以上の、それこそ予想以上の、思った以上の大変な状況だったのです。ひとつここのところはよくわかっていただきたいと思います。
 その結果どうなったか。先ほど局長は資産に対する負債の割合みたいなものをだあっと述べておりましたけれども、熊本の私が調べた例でいつでも、二年ぐらい前までは一戸当たり八百五十万ぐらいの借金だった、二年ぐらいたって幾らになったか、平均して一千万を超えた。だからこれは、結局、まず二割近く借金がどこも伸びているわけです。これは台風被害もあったり、搾乳システムですか、これを新しくするとか、そういうこともあるのですね。
 きのうも北海道の人の話を聞きましたら、言っていましたよ。トラクターでもアメリカのトラクターが七十五馬力で二百万だとすると、日本に来るとこれが四百万になる。だから、向こうの酪農経営に比べると、こっちは設備投資するにしても、言ってみれば倍ぐらい負担しないと同じものが設備投資できないんだ。ほかの機械もそうだ。だから、そういったところもちゃんとしてくれなければ困るという話がありました。
 いずれにいたしましても、今言ったように、非常にそういう設備投資の問題も含めて借金がかさんできた。それは当然かさむはず。ぬれ子にしても廃牛にしても、今まで百円で売れておったものが十円でしか売れない、三十円でしか売れない。こんな形で、副産物として収入になっていたものがないわけですから、当然それに見合うものは借金でかさんでいく、こういうことになるわけであります。
 自由化後の今日までの酪農、畜産の経営がそういう状況にあるということはひとつ十分、これはトータルの期間の問題として、単年度の価格でとらえるのではなくて、やはり経営という状態としてとらえていただきたい。私はそのことは強くお願いをしたいと思います。
 そして赤牛の保証価格、これもそうやってやっともらえるようになった。もらえるようになったところが、これはせっかく今そういうことでこれならほっと一息というときに、それまでのことはもうさておいて、今年度はまた新しく計算すれば保証価格が下がるかもしらぬよなんということになれば、じゃ今までの分はこれは絵にかいたもちでもらえなくて、やっとこれでほっと一息と思ったら、今度はその実態に合わせてさあ切り下げるぞなんということに私はならないというふうに確信をいたしておりますが、この辺も十分ひとつ御理解をいただいて、御認識をいただきたいと思います。
 そこで、いよいよ平成六年度産の価格について、これはお願い、そしてまた大臣のお考えも承りたいのですが、今まさに春闘、花盛りです。乳価や畜産物価格、これはやはり酪農家、畜産農家にとっては給料なんですよ。今景気が不景気だ、非常に悪い。しかしどこだって賃下げのところはないです。三%乗せるか乗せないかとか、百円積むか積まないか、いずれにしたって上げる幅をどうするかという話であって、下げる幅をどうするかという話のところはどこにもない。
 そういうことを考えますときに、少なくとも私は、農家もまさに一般のサラリーマン並みにおれたちもことしは幾ら、これはいろいろ景気も悪いし仕方がないけれども、ほかも上がらないからおれたちも上がらないかな、しかしどれくらいかは上がるかな、やはり世間並み、一般並みの気持ちでこの価格決定を見詰められるような、ひとつそういう方向にいきますように取り組んでいただきたいと思うわけであります。
 そこで、平成六年度の価格決定に当たりまして、その決定権を持っておられます大臣としまして、どのような基本的な考え方に立ってお取り組みいただけるか。
 先ほど二田先生のときもお話がございました。私は、我が国の酪農、畜産の発展、そしてまた酪農家、畜産農家が、とにかくきょうよりあすがよくなる、そしてまたあすから将来に向かって意欲も希望も持っていける、そういうようなことを成り立たせていくのが政治じゃないかと思っておりますが、まさにそのような意味で、それこそ大臣、血が通い、そしてまた酪農家、畜産農家の方々が本当に花も実もある政治だと思って受けとめられるような、そういうようなお気持ちでひとつこの価格決定に臨んでいただきたい、そういう方針で臨んでいただきたいと心からお願いをするわけでありますが、ひとつ大臣の御所見を伺いたいと思います。
#115
○畑国務大臣 先ほど来、松岡先生の農林水産行政各般にわたります、とりわけまた目前に迫りました畜産関係の価格決定の問題につきまして、痛いほどそのお気持ちを酌み取りながらお話を承らせていただいたわけでございます。
 御承知のとおり、畜産振興審議会での諮問という段階が目前に迫っておるわけでございますが、先ほども申し上げましたとおり、従来のいわゆる数字をはじき出します一つのきちんとした事務方の物の考え方、これを全く無視するということはあり得ないことも御案内のとおりでございますし、そしてまた、畜産振興審議会の各分野のそれぞれの専門的な方々の視点にたえ得るような説得力のある姿でもって諮問をしなければならない、この辺は十二分に御案内のとおりであるわけでございます。
 先ほども申し上げましたように、そういう中にございましても、ガット・ウルグアイ・ラウンドの問題等々厳しい現実が横たわっておるということも念頭に置いての今回のさような意味合いでの取り組み、そういうような認識はございますけれども筋は通していかなくちゃならないというような意味合いの中で、各方面の御意見をこれからも、短期間ではございますが、さらに受けとめさせていただいての諮問をさせていただきたい、かように考えております。
#116
○松岡(利)委員 昨年のことを申し上げて恐縮ですが、昨年は審議会の答申、例えば乳価の場合は一円引き下げでございました。しかし、これは自民党、まさに政治的な判断、決断、こういうことで、私ども当時は政権与党の立場で、審議会で引き下がってきたやつをまた逆に一円積みまして、最終的には農林大臣として御決定をいただいた。こういう経緯もございますので、私が申し上げたいのは、政治として本当に血の通った、そしてまた農家の人たちが意欲を持って、よしやろう、これなら何とか頑張れる、こういうような結果になりますように、このことを大臣に強くお願いをいたす次第でございます。
 そこで、事務当局にお伺いしたいのですが、去年とことしと比べて一番大きな差のある要因は何ですか、端的にお答えいただきたい。これは乳価と子牛というふうに代表して、この二つについてお伺いしたい。
#117
○東(久)政府委員 乳価の問題につきまてしは、生産費調査が出ているのは御承知のとおりでございますが、さらにその後の大きな変動要因というのは、一つはえさ代の低下でございます。ただし、先ほど来先生からお話がございましたように、廃牛の価格が非常に安くなっている、これは逆にコストのアップの要因でございます。そのほかちょっとマイナーではございますけれども、金利の低下の問題がございます。それからもう一つは、労賃の動向が昨年と比べますとちょっと状況が悪いというような感じでおります。それらが乳価に対する増減のポイントだと思います。
 それからもう一つの子牛の方でございますが、子牛の方は、基本的には、要するに繁殖素牛の価格が下がったということは逆に今度は子牛のコストが下がるという要因になります。今度は合理化目標価格の方にいきますと、輸入の関税が昨年来五〇%になっているということと、それから円高が進んでいるということで、合理化目標価格は下げ要因になります。
 ただし、先ほど来、私、ちょっと答弁を落としまして、先生が強く御主張になったというふうに前任者から聞いております赤牛の件でございますが、昨年設定したばかりでございます。私は明確な方向がどうなるかということについては今申し上げられる立場にはございませんけれども、昨年来の状況で赤牛の子牛の価格が最近上昇を見ているという非常にいい傾向になっているという事実を認識しております。そこはよく認識した上で対応してまいりたいと思っております。そこはちょっと、なかなか申し上げにくいところでございますが、そういうことでございます。
#118
○松岡(利)委員 ここで水かけ論をやるつもりはありませんが、いつも農林省の統計と私どもが生産団体なり農家から聞きます統計との間に大変差があるのですよ。概して言うと、生産費は農林省の統計では下がっている。ところが、例えばことしも私は熊本の自分の県のところから聞きますと、乳価にしても、生産費はやはり二%ぐらいは上がっている。そのようなことで、これはいつも平行線なのですけれども、一つとり方の問題もあると思うのだけれども、やはり生産費は実感としては農林省が示されるほど下がってはいない。そういったところも私は十分補強していただきたい、いろいろな聞き取りも含めて、こういうことを特にお願いをしたいと思います。
 そして、とにかくどこの会社も、どんな企業でも、どんな経営でも、一生懸命頑張って一生懸命利益を上げた、生産コストを下げた、それはやはり内部留保なり経営の安定の土台として、そのために頑張るわけでありますから、これを、生産費が下がった、生産コストが下がった、その分は価格に反映して、じゃあ価格を下げる。先ほども言ったように単年度でやられたのではたまらないわけであります。本当にもう何年も続いて赤字が累積している、たまっている。やはりそれを思えば、ことしあたりの生産費がちょっと安くなったってとてもそれは充当できるものではない、賄えるものではない。
 こういうことを思いますときに、経営の状態としてとらえていただいて、その経営を安定させるという観点からもぜひひとつ御判断いただきたい。私は、事務当局に無理を言おうとは思っていないのです、なぜかと言うと、計算式がちゃんと定まっていますから。定まっている計算式の中で役人の皆さんの裁量の範囲というのは限られている。しかし、法律にはちゃんと考慮事項というものもあるわけでありますから、考慮事項のところで、政治的な、大臣なりまたそういった立場の、政治としての立場での御判断を十分いただいて、ひとつよろしくお願いをしたいと思うわけであります。
 あと幾つか具体的なことでお願いをしたいと思うのですが、まず一つは、今熊本県あたりでは非常に酪農をやめていっております。この二年間で百五十軒ぐらいやめたのです。千三百軒ぐらいあったものが百五十軒ぐらいやめましたから、もう一割以上やめていった。しかし、このやめていく人も大変なんです。これをどうちゃんと、やめていく人も、言ってみればやめてほかに移るときに少しは移りやすいような対策はやはり必要であります。
 今、熊本県の酪連ではこういうことをやっている。キログラム二十五円で枠を買い取る。言ってみれば退職金みたいなものです。そして、まだなお今度は規模拡大ということで、その分を組み込んで規模拡大する人に、ではあなたが二十五円払え、こういう形でやっております。したがって、これは今個人が、生産者が、規模拡大する人の負担でやっておるわけであります。これはやはり規模拡大をする、そしてそういう転廃業を円滑に進めるという観点から、ひとつ十分農林省も、県と国のこういったことに対する助成ということをぜひお考えをいただきたい、御検討もいただきたいと思うわけでありまして、ここで、わかりましたとかそうしますとかいう御返事をいただこうとは思っておりませんが、十分御検討いただきたい。もし御検討いただける、十分検討したいというのであれば、後でまた御答弁もいただきたいと思います。
 あともう一つはふん尿処理の問題、これは施設費がかさみますから、個人でやるというのは非常に無理であります。環境保全との関係も絡む問題でありますので、この点についても十分行政当局で適切なる助成をしていただくように、その政策をとっていただきたい、これは二つ目としてお願いをいたすところであります。
 それと今度は肉牛の関係ですけれども、繁殖経営の規模拡大、維持強化、そういうことで子牛の生産拡大奨励事業というのをやっていただいておるのです。特に規模拡大する人たちに対しての助成、これはぜひ拡充強化をお願いをしたいということで強く要請をしたいと思います。
 さらにまた、赤牛の価格安定なり流通経路の強化ということで、どうしたって、赤牛は熊本県が大体九割を占めているのですよ。そういうこともありますが、地方特定品種緊急総合活性化対策事業というのをやっていただいているのですけれども、これは非常にありがたいことでありますから、またなお必要でありますから、ぜひ継続をして、また充実していただきたい、これをお願いしておきたいと思います。
 さらにまた、肥育経営の観点から肉用牛肥育経営安定緊急対策事業、これもぜひまた御継続をお願いしたい、この点につきましても御配慮をお願いいたします。
 さらにまた家畜の改良促進、こういった点から受精卵の移植とか体外受精といったことを初めとする畜産新技術の実用化、普及、また技術者の養成、技術開発、こういった点についても、これはいろいろな意味で必要でありますから、ぜひともお取り組みをお願いしたい、このように強くお願いをしたいと思います。
 それと、これはどの程度農林省としてやっていただけるか、限界もあるかもしれませんが、今問題になっているのは加工用ですから、これとちょっと話が外れますが、要するに大手乳業三社から飲用向けのものに対しまして五円引き下げるという申し入れがあっているわけであります。それはなぜかというと、要するに、末端の販売から逆算して、原料をそうしなければいけないからそうするんだ、こういうことであります。
 私は思うんだけれども、ウーロン茶なんかはそうやって決めているのかなと。あそこの秩父源流水も、よく私も加藤卓二先生にもらいますが、あれは本当に末端が幾らだからここは幾らでなければいかぬと決めているのですかね。ウーロン茶だってお茶だって、こんなことを言ってはなんだけれども、あの辺は自然の水をとってくる。とってくる労力はかかるかもしれないけれども、一丁とってきて、はいこれは百十円と言って売るわけでしょう。牛乳は牛を養って乳搾りをして、そういう労力のもとに出していくわけです。それを売る方から決めてきて、おまえのところは幾らだ、それは一つの決め方かもしらぬけれども、ちょっとひどいのではないか。やはり酪農経営、酪農家の経営の安定というのは農林省の大変な役割だと私は思いますから、弱い個別の農家の立場に立っていただきまして、できる限りで、私どもも折につけてこれは求めてまいりたいと思っておりますので、何とぞひとつ、農林省の方からも大手乳業三社に対しまして、この辺についての御指導なりなんなりお取り組みをお願いしたい、これも強くお願いをしておきたいと思う次第であります。
 あとは一括して御返事いただきますが、どうしてもお願いをしておきたいことがあります。
 畜産局と環境庁、環境庁は来ていたただいていますね。
 阿蘇山、世界の阿蘇と言われる、国立公園になっておりますが、あそこの阿蘇の景観は何で維持されてきたか。これは、毎年放牧をするために野焼きをいたします。この野焼きというのは、中学校を卒業すると農村では男は一人前でありました。中学校を卒業した男が出ると、これは夫銭といいまして、負担を払わなくていいのです。だから私も高校時代、二回出ましたよ。昔は野焼きで巻き込まれて焼け死んだ人もいる。これは最近、みんなあれはイベントでやっていると思っている人がいますけれども、イベントなんかじゃない。牛を放牧するための準備作業として、それぞれの入会区ごとに全部、野焼きをするために出るのです。牛がいようがいまいが、これは強制的に出なければいけない。出ないと、今は安いところは六千円、高いところは一万円負担をさせられる。そういう大変な負担のもとにあの野焼きというのは成り立っているわけでありまして、去年も申し上げましたが、そういう作業行為によって阿蘇の景観というのが実は一方で維持されておるわけです。人間で言うなら、月に一回床屋に行くようなものです。最近野焼きができないところが出てきました。しないところが出てきました。もう草ぼうぼう、やぶぼうぼう、これが十年、二十年続けば恐らく阿蘇の景観はなくなる。
 そういうことを考えますときに、私は、環境行政の観点からも、これはあの阿蘇の、世界の阿蘇という国立公園、幾つか国立公園があると思いますが、我田引水で言うわけじゃないけれども、これはやはり世界の阿蘇なんという名前がつくのはあそこぐらいしかないのではないかと思います。ひとつ環境庁さんも、ただで管理して威張っておるばかりじゃなくして、そういう負担をしてやっておるその負担を支えるような、何かそういった観点からの環境行政のお取り組みをひとつぜひお願いしたいし、畜産局におかれましても、原野維持というか、原野の粗飼料の確保、こういう観点からもこの野焼きというのは重要な準備行為でありまして、そういった点からひとつ助成措置ができないか。
 時間がなくなりまして大変恐縮でありますが、もろもろ申し上げまして、時間の中で質問は終わりましたけれども、多分御答弁は時間内に終わらないと思いますが、ひとつよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。
#119
○東(久)政府委員 簡単に答弁させていただきたいと思います。
 御指摘いただきました種々の問題、最初の点でございますが、それらについては私たちも重要な検討事項というふうに認識しております。
 ただ、ちょっと一言だけ申し上げますと、例の枠の関係でございますが、これは中央酪農会議という御存じの指定生乳生産者団体の団体の中で今検討が進められております。これは、実は県内でやっている限りはまだいいのでございますが、枠の県間移動の問題でございますとか、増枠したときのその権利問題でございますとか、そういうちょっと難しいテクニカルな問題がございまして、全国で検討していくということでございますので、ちょっとここは私たちもその検討の状況を見詰めていきたいというふうに考えております。
 それから、もう一つの飲用乳の取引の問題でございます。
 これは先生御承知のとおり、なかなかこの交渉に農林省が乗り込むということは、御存じのとおり、かつて公取法上の問題をちょっと起こした点もございまして、そこで農林省は、これは一元集荷多元販売ということで、いわゆる指定生乳生産者団体にバーゲニングパワーをつけるという方向をとってきています。しかし、ことしいろいろ問題があるのは承知いたしております。したがいまして、農林水産省といたしましても、今後とも生産者団体と乳業者との交渉について重大な関心を持って見守っていきたいというふうに考えます。
 それから、最後に阿蘇の野焼きの問題でございます。
 阿蘇の、私は二万五千ヘクタールぐらいあそこの草地があるというふうに聞いておりますが、これは肉用牛の重要な生産基地でございます。従来これにつきましては、粗飼料確保ということで、草地造成というようなことで相当事業をやってきておるわけでございますが、畜産振興という形であの野焼きに対しての補助というのはなかなか難しい。ただ、今県の方で何か手がないかというふうに検討されておるようでございまして、ちょっとその辺も状況を見きわめたいというふうに思っております。
#120
○鹿野説明員 先生御指摘の阿蘇くじゅう国立公園でございますが、これは先生ただいま仰せられましたとおり、世界一の大カルデラ地形とそれから雄大な草地の景観、これが阿蘇くじゅう国立公園の特徴となっております。
 この阿蘇くじゅう国立公園の雄大な草地の景観といいますのは、長い間牧草地として火入れが行われ、また草刈りが行われ、そういった人為的に維持されてきた草原でございます。その草原がすばらしい景観であるということでございます。私どもとしましても、火入れ等のこういった行為、これは国立公園の特徴であります雄大な草地景観を維持していく上に極めて重要であるというように認識いたしております。
 また、ただいま先生御指摘のとおり、近年この阿蘇では火入れの行われないような、そういう草地も増加しつつあるというように聞いております。このままそういう草地が増加いたしますと、阿蘇の雄大な草地景観というものが維持できなくなるのではなかろうかというような点で憂慮しているところでございます。
 環境庁といたしましては、基本的には、放牧、火入れ、草刈り等、阿蘇の畜産産業が将来とも健全に継続され、その結果として雄大な草地景観が維持されるということを期待しているところでございますが、今後私どもも草地景観の保全ということを目的とした火入れ等、そういったものの実施方策につきまして、関係省庁や地元の関係機関等とも連携を保ちながら検討してまいりたいと考えているところでございます。
#121
○松岡(利)委員 今の最後の点は、畜産の健全な発展に期待をするという、期待は期待といたしまして、ひとつみずからも何か取り組んでいただきたい。これは重ねてお願いをしておきたいと思います。
 それと、畜産局長、肉牛、肉用牛の関係と酪農の関係で継続なり御検討なりお願いいたしました点は、十分趣旨は承っていただいたと理解してよろしいですか、ちょっとそれを答えてください。
#122
○東(久)政府委員 御指摘のありましたすべての点について、重要な点であるというふうに認識しております。
#123
○松岡(利)委員 それでは、時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。
#124
○竹内委員長 倉田栄喜君。
#125
○倉田委員 公明党の倉田でございます。私は、畜産経営一般についてお尋ねをいたしたいと思います。
 まず、ガット・ウルグアイ・ウンドの影響でございます。
 現状下の認識については先ほどお尋ねがありました。私は今後のことについてお伺いをいたしたいと思うわけでございますが、昨年十二月十五日にガット・ウルグアイ・ラウンドの最終農業合意が採択をされ、七年間にわたる交渉が決着をしたわけであります。これによって、我が国は当面米の関税化を回避することができた、こういうふうに考えておりますが、その反面で、乳製品等の農産物の二十品目が九五年度から関税化されることになり、今回の最終合意では、約一千五百品目の農産物関税化を、包括協定案の要求どおりに九五年からの六年間で一品目平均三六%削減することを約束しております。一昨年三月の国別表提出では平均二四%の削減であったことを考えますと、かなり厳しい数字であります。
 こうした国際的な動きが今後の我が国の酪農にどのような影響を与えるのか、これは今後の六年間、それから六年以後、中長期的にひとつ大臣の御所見をまず最初にお伺いいたしたいと思います。
#126
○畑国務大臣 ただいま御指摘のございましたガット・ウルグアイ・ラウンドの問題、これは各般にわたりましてそれなりの懸念材料が横たわっていることは事実でございまして、それをやはり乗り越える、あるいはまた足腰の強い分野としての活性化を促す、これから与えられた一つの課題であるというふうに考えるわけでございますが、ただいま御指摘がございましたように、酪農関係、乳製品等々につきましては、関税化、その中にございまして六年間で三六云々というような御指摘もございましたが、すべて一五%カットというような形に位置づけさせていただいたわけでございますし、これから与える影響のマイナス要因といいますものを和らげる、そしてまたプラスの要因をつくるべき環境整備に全力を傾けてまいりたいが、かように考えておるところでございます。
#127
○倉田委員 大臣の取り組みに対する強い姿勢は私もよく理解できるわけでございますけれども、今、酪農家の方々がお考えになっている現状、それから将来展望、非常に暗い思いを持っておられる。ラウンド合意の実施期間である九五年から二〇〇〇年においてはある程度の高関税が設定されております。しかしそれ以降になると関税率が引き下げられていく、相当なことだな、こういうふうに思います。
 これに対して、では具体的にどのような対策を考えておられるのか。ウルグアイ・ラウンドにおいては同時に国内保護の削減についても、例えば政府による乳製品管理価格というのですか、維持価格、あるいは加工原料乳生産者への不足払い制度、そういった国内保護の政策、制度も問題になってきている。こういうことを考えますと、酪農家は非常に厳しい状況に置かれていくのではないのか。そうしますと、これに対して何らか具体的な対策を講じていかなければならない。この点も踏まえて、乳製品の関税化に伴う国境措置対策といいますか、そういうものを具体的にどのようにお考えになっているのか、お尋ねしたいと思います。
#128
○畑国務大臣 御案内のとおり、畜産振興事業団の機能はそれなりの継続ができるという要素を残したわけでございますし、そしてまた、当面問題になっております不足払い制度の活用等々、この辺を生かした今後の対応ということが急がれるわけでございます。
 先ほど来御指摘がございましたように、新政策の中にございまして、何としてもこの分野の後継者対策等々が確保できるような条件整備を、これはひとり農林水産省のみならず細川内閣挙げての地域対策という要素も絡めまして、この分野におきましても力を入れて展開を図って、いささかでもテンポを速くしながら、所期の目的を達すべく努力を続けてまいりたい、かように考えているところでございます。
#129
○倉田委員 私は、大臣のお答え非常によくわかるのですけれども、今、中長期的な、具体的な展望を示すということは、ある程度具体的な施策というものをきちんと示していくことではないのか。例えば、今回の乳製品関税化による国内の酪農家への影響を緩和する対応策として、いろいろな問題があるかも知れませんけれども、国家貿易品目体制みたいな形でどういうふうに維持していけるか、関税収入の扱い方を、どういうふうに使っていくのか、こうしていきますよということを具体的な施策としてある程度示していただくことが必要なのではないのか、この点について再度お尋ねをしたいと思います。
#130
○東(久)政府委員 基本的なラインは大臣からお答えいただいたとおりでございまして、私ども畜産、酪農の関係者といたしましては、不足払いの制度を今回の交渉の中で守りおおせた。それは国家貿易を守り、相当高い関税相当額を張ったということで、そのままとはいきませんが、その不足払い、すなわち、生産者の合理化のペースに従って安い畜産物を供給していくことができる体制を維持できたというふうに我々は考えております。したがいまして、その合理化の努力というものは、むしろ今度は逆に、我々も含めて酪農関係者の一つの大きな任務であると思います。したがいまして、我々といたしましても、酪農家にどういうふうにそれを支援していけるのかという形でその対策を考えていく必要があるのではないかと思います。
 なお、国家貿易の品目につきましては、国家貿易対象品目と申し上げておきたいと思いますけれども、やはりこれからの審議会等の御審議もいただかなければなりませんが、それらについて、これは特に原料品でございますけれども、国家貿易以外に入ってくる可能性はほとんどないというふうに考えます。
 それでは、いわゆるアクセスを保証したもの、現行アクセスでございますが、これをどうするかということでございます。
 これは、過去における乳製品の需給ギャツブというものがございます。それは先生方御承知のとおり、同じ牛乳からバターと脱脂粉乳ができるわけでございますが、その脱脂粉乳に対する需要は非常に旺盛でございますが、バターに対する需要がもう一つということで、バターの消費量に生乳生産を合わせていきますと脱脂粉乳が足りないということになります。そこをかつてずっと入れておったわけですが、ここのところ飲用の落ち込みからバターの過剰という状態に陥っておりますが、長期的に見れば、そこは需給調整の中でこなしていける部分だと思います。それによって従来と同じように、マークアップと申しますが、差益が生じます。これらは、今回の国際的な合意のもとにおいて畜産振興事業団が従来どおり収益として取るという形になっておりまして、これらの使用についても、事業団というのはため込むだけのところではございませんで、今後、対策本部等の議論を経て、しっかりしたものにしていかなければならぬというふうに考えております。
#131
○倉田委員 酪農経営については、今まさに乳価、畜産価格の問題を検討しておるわけでございますけれども、価格もなかなか難しい。それから限定数量も、国内生産、入ってくる輸入との関係で難しい。価格があって、限定数量があって一つの所得が出てくる。酪農経営の展望というのは、この現状だけを見てもなかなか先行き果たしてどうなんだろうか、こういう気持ちが出てくると思うのですね。
 そこで、貿易自由化がどういうふうに酪農経営に影響をするか、先ほど大臣にお答えをいただいたわけでございますが、生産者の方々が酪農に関して、酪農経営の二十一世紀はどうなるんだろう、我々は本当にどうなっていくのか、これは何回もいろいろなところで議論が出てきますけれども、これに対して具体的に確たる将来像を示していただくことをぜひお願いしたい。この点はいかがでしょうか。大臣にお答えをいただけますでしょうか。
#132
○畑国務大臣 私は、具体的にというお話の中では、後ほどまた局長の方から具体的な内容をお示しするわけでございますが、問題は、一つの例を申し上げれば、酪農分野におきましても、年間の労働時間が今のような労働時間であったのではこれまた酪農、畜産の将来展望はあり得ない、この改善策やいかに、あるいはまたヘルパーの活用によっての云々、そういったことがこれからの問題点になってくるというような意味合いにおきましては、御指摘のような、ただいま申し上げましたような要素を踏まえて、これらの具体的な問題の改善策、そしてまた魅力ある酪農経営がなし得る、こういう方向への政策展開を我が方としては努めていかなければならない、かように考えております。
#133
○東(久)政府委員 経営展望ということで具体的な数字で申し上げたいと思います。
 一つ北海道の例で、フリーストール・ミルキングパーラー方式という、牛を大量に同時搾乳できるような形での省力化した技術というものが今確立されております。欧米諸国はほとんど、これが相当普及しております。それらを普及させていくということで、八十頭の経産牛の規模というものが一つの例になろうかと思います。本州の方では大体四十頭規模。そうなりますと、ミルキングパーラーでやりますと少しコストがかかり過ぎますので、恐らくミルカーを使ったスタンチョン方式、ちょっと専門的になりますが、そういう形になるのではないかと思います。
 それから、労働時間については、主労働が二千時間程度になるようにと。今、主労働の平均の労働時間が大体二千五百時間ぐらいでございますので、そこのところを労働削減的に持っていくということが主体になろうかと思います。このような経営を育成していくということが主眼になっております。
#134
○倉田委員 お尋ねをしておって、酪農家の方がわかるだろうかという気が若干するわけです。
 結局、酪農経営というのは、経営というのは入るをはかって出るを制すみたいなのが基本的な考え方なんでしょうけれども、収入をふやす、一方で経費をできるだけ少なくする。収入の部分が価格の問題であり、あるいはどれぐらい生産をすることができるかが所得の問題。一方で、所得がふえても経費がいっぱい出ていってはどうしようもない。経費の問題としては、もうお話も出ましたけれども、例えば飼料の、今回は円高により下がっておりますけれども、なおかつ内外価格差の問題はまだある、機材の問題もある。こういう問題もきちんと検討しなければいけないことだろうと思うのです。
 同時に、いわゆる議論をされている負債対策の問題がある。公的資金の安い金利を借りておった。ちょっといろいろなことがあって一月なり二月支払いがおくれた。でも役所の方は待ってくれない。返していかなければいけない。どこかで無理をしてお金をつくる、あるいは私の方で立てかえておきますよという形で、結局それが、安いものが高い金利に置きかえられていってしまう。こういうことも、やはり経営全体として見たときには非常に大きな問題だと思うのですね。
 だから、価格の問題もあるでしょう。所得の問題もあるでしょう。同時に、経営の合理化ということを考えるならば、そこもきちっと手を入れていかなければならない。そこに具体的な施策、こういうことでやっていきますよという展望も示していただきたいというふうに私は思うわけです。
 もう時間がなくなってまいりましたので、続いて質問をさせていただきますけれども、先ほど御質問がありましたが、国内で供給される量が決まっておる、そうしますと、例えば熊本の例では、やめていく農家の方々に、生産者が、規模拡大をする人たちが二十五円を出して、いわば退職金がわりみたいなものでやっている、こういう制度をもう熊本でやっていることは御承知かと思います。
 先ほど局長は、なかなか県を越えてそういうことをするのは大変だ、こういうお話もございましたけれども、この間の大会で、続けるのも地獄だ、やめるのも地獄だ、こういうお話もございました。そういうことを考えますと、一定の生産数量の中で規模拡大というのを考えるならば、離農をされていく方々に対しても、やはりそういう形できちんとした手当てをしていくこともまた必要なのではないのか、こういうふうに思うわけでございます。
 先ほどの、経営に対する未来的な展望という点と、今の、一方で供給と需要の関係がある中で規模拡大をどういうふうに進めていって、いわゆる所得が上がり出費が下がる、そういうことに対して、やはりもうちょっとお答えいただければ、こういうふうに思います。
#135
○東(久)政府委員 資金の問題でございますが、二つあると思います。
 一つは、前向きという言い方がいいかどうか、要するに未来に対しての投資の金融の問題、それから既存負債の問題とあろうと思います。
 前向きの投資というものにつきましては、御承知のとおり、認定農家に対して平成六年度から低利の資金を制度資金として準備するという形で今御審議をいただいているところでございます。それらを十分活用できると思いますし、今までもいろいろな制度が制度金融をやっております。
 それから、負債の対策でございますが、実は酪農関係で申し上げますと、過去において、やはり負債というのは酪農の場合は非常に大きいものでございますから借りかえを相当やってきております。いわゆる自作農維持資金の金利に近いような金利への資金に置きかえ、しかも平成五年度からは、そうして借りかえた資金について、さらにその年間内に償還不能というときにはさらなる借りかえをやれるという形で、低利の資金を準備してきたところでございます。
 それから次に、枠の売買の問題でございますが、これにつきましては、実は非常に大きな問題というのは、先ほど県間移動と申し上げましたけれども、本当に生産力があって買えるとなればそれは、極端な話は北海道が一番力があることになるわけでございますが、そういうことはやはり、今計画生産というのを各都道府県の指定生乳生産者団体の自主的な措置としてやっている中で、なかなかその許諾が得にくいという条件があるのじゃないかということが考えられます。
 それからもう一つは、枠自身が、今は減産ということで枠、枠という意識がありますけれども、それじゃ増産をする、過去において、ことしと来年はちょっと違うと思いますけれども、その前まで増産をしておった。増産枠のときはどうするのかという問題が生じてくるわけでございまして、やはりこれらは枠をどういうふうに、相当きちっとした枠でないと、増産のときに枠にお金を出してやる人はいないので、自分で勝手に増産していくというような形になってしまいます。そういう点どういうふうにするのかというような非常に難しいテクニカルな問題がございまして、本当に指定生乳生産者団体の間で真剣に議論をされているようでございまして、これはちょっと、一年ぐらい議論を要するのじゃないかというようなことも聞いております。そういう議論の経過を見ながら私たちの方も対応を考えていきたいというふうに考えております。
#136
○倉田委員 確かに、今局長からお話をいただきましたように、この県間移動等々難しい問題がございますでしょう。農業、酪農というのは、やはり地域地域にきちんと頑張っていただくことが必要なわけであって、熊本の酪農が全部北海道で独占されてしまう、そういうことであってはならないのだろうと思うのです。だけれども、地域ごとにやはりやめていかれる方々もおられるわけでございますので、そういう方々に対するそれなりの施策というものは必要なんではないのか、こういうふうに思います。
 時間が参ってしまいましたので、ちょっと予定をしておった質問ができなくなってしまいましたが、最後に一点だけ、いわゆる肉用子牛の生産者補給金制度の問題でございます。
 これは、例えば県基金の問題、なかなか資金手当てが大変だという問題もある中で、保証基準価格、合理化基準価格、これが一般的に下げられていくんじゃないのか、こういう不安があるわけでございます。先ほど熊本の赤毛の話は出ましたけれども、昨年分離されたばかりである。今まさにやっている最中でございますので、なかなか御答弁は離しいところもあるかと思いますが、この点について、生産者の方々のお気持ちにこたえられる範囲でぜひお答えをいただきたいと思いますし、私もこの点はぜひ御要望にこたえるような方向で進んでいただきたい、こう強く要望をいたしておきたいと思います。この点についてちょっと。
#137
○東(久)政府委員 一般的に言いますと、子牛の価格というものはその母親の価格に相当左右されます。母牛の価格が下がっているという状態のもとで子牛の価格は一般的には下げ傾向になるというのが常でございます。ただ、赤牛につきましては、昨年分離したばかりでございまして、その傾向値というようなものは他の子牛ほど大きな影響とはなってないのではないかというふうに思います。母牛自身がもう既に昨年設定されたときに相当安かったという事態があったようでございます。そういう事態だと思います。
 ただ、それらについては、今先生からもお話がありますように、もう少し精査をした上で方針を明らかにしていく必要があるというふうに考えております。
#138
○倉田委員 以上で終わります。ありがとうございました。
#139
○竹内委員長 前島秀行君。
#140
○前島委員 時間も二十分でありますので、余り多く質問できませんものですから、大臣に乳価、畜産等々の価格を決めるに当たってどういう観点、どういう認識の中で決めていかなくちゃいかぬのか、そういう点を中心に聞きたいと思うわけであります。
 といいますのは、確かに畜産、乳価というのは毎年毎年決めていくことでありますから、ある意味では単年度的というふうにとらえていいと思うし、そのための根拠が数字だ、生産費調査だ、これ自身私は否定をしないで、それが基礎になることは間違いないと思いますけれども、その数字状況そのものも、もう少し部分的にじゃなくして全体的にとらえるとか、あるいは時間的問題でも、単年度の畜産価格を決めるのでありますけれども、もう少し長い目で見てことしはどうするか、こういう観点がどうしても必要ではないだろうかというふうに実は思っているわけであります。
 それはなぜかというと、ウルグアイ・ラウンドの合意等によっていわゆる農業を取り巻く状況が自由化になってきた、国際化になってきた、こういう状況。あるいは、国内だけではなくして国際的にも経済の変動というのは激しく動いている。当然、国内の乳価にしろ畜産にしても、そういう国際的な経済の動きというものが間接的にもあるいは直接的にも動いて影響をしてくる、こういう状況、こういう時代になってきたと思うわけですね。そういう状況の中で、今酪農、畜産の皆さんは果たして見通しがあるのだろうか、展望があるのだろうかということを常に思っているわけですね。その中での、勤労者でいえば春闘に当たる、賃金に当たる乳価がどうなるか、牛肉がどうなるかという形で今日重要な関心を持っておる、こういうことだろうと思うのですね。
 そういう面で、単年度であるけれども、そういう乳価、畜産を決定するに当たっては、もう少し大きな意味での畜産あるいは酪農の日本の置かれている状況をどうとらえていくのか、あるいはこれからの見通しはどうとらえていくのかということをぴしっと受けとめた上で、単年度の数字をもとにしたものも中心にして、さらにそういう状況をして決めていくということが今日非常に重要ではないだろうか。そういう観点でとらえてもらわないと、農家の皆さんも畜産の皆さんも展望につながっていかない、意欲につながっていかない、こういう状況だろうなというふうに私は基本的に思うわけであります。
 そういう面で大臣、第一に、そういう意味から今畜産、酪農等々を取り巻いている状況というのは基本的にどうとらえていいだろうか。何か今までの窮状、話を聞いていますと、局長はどうしても数字を中心にということになるのだろうけれども、部分的にとらえると確かにいい面もあるから何か見通しあるなというふうに思うけれども、必ずしもそうでないことは皆さん御案内のとおりだろうと私は思うのですね。
 昨年九月に出されたあの農政審の中でも、いわゆる畜産を取り巻く課題というのは、いろいろちゃんといっぱい挙げているわけですね。確かに酪農にしてみれば、規模はEC型になったけれども飼料基盤というのはまだまだ脆弱だよとか、労働時間の問題をとらえても、あるいは自由化の影響があるとか、負債の拡大とか等々いろいろある。そういう関連の状況だとか、あるいは直接の需給あるいは経営動向を見ても、もう国内需給というのは頭打ちであるとか、あるいは片っ方、生産性は上がっているけれどもそこの消化の道がなくて、逆にここのところは減産の方向に酪農も動いてきているとか、若干中長期に見て、酪農、畜産を取り巻く状況というのは非常に厳しいぞ、これからも厳しくなるぞ、こういう基本的な認識を持つべきではないだろうか、またそういう認識のもとでことしの価格問題も考えていかなければいかぬのではないかな、こう思うのですが、その最初の、日本の畜産、酪農を取り巻く情勢というのは厳しい、さらに厳しくなるだろう、こういうふうにとらえていくべきだと思うけれども、大臣のその基本的な認識というものをぜひお聞かせ願いたいというふうに思います。
#141
○畑国務大臣 物事を、あらゆる分野におきまして長期中期、そういうものを絶えず念頭に置き、そしてまたその都度見直し等々の作業を加えていく、極めて肝要な要件であろうかというように考えるわけでございますが、例えば生乳等につきましては、平成二年に平成十二年には九百三十万トンということを念頭に置いてというようなことも論議をされておりますことも御案内のとおりであるわけでございます。
 そういう中にございまして、ただいま前島先生、この道の本当のベテランでございまして、いろいろ専門的な分析の中での御質問を賜ったわけでございますが、そういうような方向づけとしましては、厳しさが増す、しかしながらその厳しさを乗り越えるべく、関係の当事者の方々、そしてまた行政サイドにおきましてもより積極的な対応を、努力を、政策展開をやっていかなければならない、そういうのが私どもに今日与えられておる姿ではないかなというように考えるわけでございます。
 物事が決して生易しい分野の、とりわけ農業、そしてまた畜産、酪農分野は、本当の意味で当事者の方々が、私自身も酪農団地等々を行政のサイドで田舎でつくらせていただいたことがございますので、あの方々の長時間にわたる労働の中における今日の実態等々を考えれば、そういうものを改善ができる余地をこれからも努力を重ねていかなければならない、かような受けとめ方をさせていただいているわけでございます。
#142
○前島委員 やはり厳しい、またさらに厳しさも増してくるだろう、そういう客観的状況なんだという認識は大臣もそうしてもらったんで、そのとおりだと私は思います。そういう一般的認識に立ちますと、特に酪農の場合、今後の生産的な見通し、あるいは需給的に見た場合どうなるのか、その辺の、まあ過去の、十二年の一応見通しもありますけれども、厳しいぞという前提に立ってくると、またウルグアイ・ラウンドの状況、あるいは今後六年後のまた新たな状況だとか、あるいは乳製品、酪農等々の関税化、これは当然影響することは間違いない、直接でなくしても影響することは間違いない。等々のことを考えると、従来やった酪農、畜産の長期見通しというのは再検討の要があるのかなというふうにも思いますが、その辺の長期見通しを見直すという点はあるのかないのか、その辺のところをちょっと聞かせてください。
#143
○東(久)政府委員 先ほどちょっと農林省が現在持っております長期見通しの点にお触れいただいたわけでございますが、我々のその長期見通しでの牛乳・乳製品の需給見通しというのは、平成十二年度で九百三十万トンと見ております。今の国内生産量は八百六十二万トンでございます。実は、この趨勢線で延ばした場合に、平成四年度でございますが、約八百万トンというのが長期見通しの数字でございまして、それを上回る生産になっている。実は、これは御承知のことと思いますけれども、昭和六十三年度以降急激に需要が伸びたというところへ少し加速した形での生乳生産が行われた、それがちょっとここへ来て需要の頭打ちに遭ったというところが実情でございまして、まだまだ私たちは十分希望を持って生産増の、これはもう日本の食生活から考えましても需要の増加、特に日本の酪農の場合には飲用乳は国内でどうしても供給しなければならぬ体制でございますから、そういう意味ではまだまだ明るい生産増の見通しはあると思います。
 ただ、全体の見通し問題につきましては、農産物全体についてどういうふうに見ていくかということは、全体の見通しをどうするかという問題の中で取り扱われるべき問題でございまして、ちょっと私の方から直接今お答えすることができない状態でございます。
#144
○前島委員 最近、畜産にせよ酪農にせよ、農民が受けとめている印象というのは、先ほど言ったように厳しい客観的な状況がある。その上に昨年のウルグアイ・ラウンドの合意があって、率直に言ってそれに追い打ちをかけられたという感じだろうと思うのですね、畜産全体の認識が。当然そのことで酪農なんかでも影響を受けることは間違いない。肉牛生産はもろに受けた、こういう状況であると思うのです。そうするとどうしても、とりわけ酪農の皆さんにすると、これからどのくらいの国内生産というものができるのだろうかなというものを常に頭に置きながら、自分の地域あるいは自分個人の、どのくらいの規模にしたらいいのかなというものを考えてやっていると思うのですね。
 そういう面で、数字的なものは必ずしも明確ではなくていいにしても、いわゆる九百万トン台の生乳生産というのが今後もずっと確保できるだろうか、それとも八百万トン台というものは間違いないのだろうか、下手をすると昭和時代のように七百万トンに下がってしまうのだろうかということが、農家の皆さん、酪農家の今後の中長期の見通しとして、それを踏まえた規模をどの程度にしたらいいのか、どういう投資をしたらいいのかというものの大きな物差しにもなるような私は気がします。そのことと価格という問題とがオーバーラップされて、酪農家の皆さんは今後の展望を開いていくのではないだろうか。
 そういう面で、長期見通しを九百万トン台でいく、八百万トン台でいくという明確な数字は示せないにしても、現行の八百三十万から五、六十万の線というものは間違いないぞ、このような数字的なもの、そんな認識を今後も持っていいだろうか。また政府としても、そういう方向でこれからの政策をさまざまに追求していきたい、あるいは関連対策をしていきたい、それで成り立つような政策を実行していきたい、こんな認識でいいだろうか、どうでしょうか。
#145
○畑国務大臣 今お話がございましたとおり、一つは需要という問題に、消費拡大といいますかこの辺の力の入れぐあい、関係者の方々の御努力、そういうものがある意味では一番原点に相なるわけでございます。逆に申し上げれば、そういうようなもろもろの期待される努力というものを前提とした中にございましては、方向づけとしましては、国民の食生活あるいはまた健康管理等々総合的に考えまして、いわゆる上向きのラインに乗せた政策展開、そしてまた関係の方々の御努力をこれからもお願いしながら、スクラムを組んだ姿の中でのこの分野の展開を図っていくべきだ、かように考えております。それぞれの、酪農あるいはまた畜産分野の縮小ということではなくして、その中におきましても合理化を図って、いわゆる生産コストを下げることによって、需要の増大というようなものも極めて大切な要素でございますが、少なくとも考え方としましては、ただいま前島先生からお示しになったような数字に向けて努力を重ねていかなければならない、かように考えております。
#146
○前島委員 少なくとも今から下がるようなことはない、マイナスに働くようなことがないように、そのことを信じて農家の皆さんも酪農家の皆さんもできるような方向でぜひお願いをしたい。
 次は、いわゆるガット合意、あれをのんだ、承認をした細川内閣と農家の皆さんの気持ち、そして今回の畜産価格の決定の問題との関係をちょっと大臣に基本的に聞きたいと思います。
 昨年十二月十四日のガット合意の承認というのは農家、農民にとってみれば衝撃的な事実だった、私は間違いないと思うのですね。我々社会党も、正直言って二日間徹夜をして議論をした。これも、我々社会党にとっても苦しい選択であったことは事実であります。
 そういう中で、細川総理は談話の中でこう言っているのです。農家の方々に不安や動揺を来さないためにも万全の国内対策を講ずる、こういうふうに言っているわけです。大臣自身も、その受け入れに当たってという形で、農家の方々の不安を解消し、農業、農村の将来展望が開けるようその具体化に最大限の努力を傾注する所存であります、こういうふうに言っているのですね。そして、閣議了解の具体的な方針が、基本原則が出ていて、農産物の需給、価格対策では、新たな国境措置のもとで乳製品、でん粉等に生ずる影響を最大限に食いとめるため需給調整対策及び価格安定対策の見直し、充実をします、こうなっているのです。
 要するに、十二月十四日のあのドゥニー調整案受け入れという衝撃、これを受け入れた農家、農民、特に畜産、酪農の皆さんに対して、総理も大臣も、対策本部をつくって政府全体が不安のないようにするから心配するな、こういうふうに言ったわけです。その中で、そういう前提で来た最初のこの約束を細川内閣としてどう実現してくれるか、やはりかたずをのんで農家の皆さんは見ておるというのが今率直なときだと私は思うのです。この期待を裏切ってはいかぬだろうと私は思うのです。担当大臣としてもこの約束を守るために精いっぱい努力をしないと、細川内閣の支持率が下がってしまうと思うのですね。
 そこで私は、確かに数字の面だけ、短期間的な面で見るといろいろな議論があるけれども、私が大臣に聞きたいのは、そういう状況の中で来ていると、今、この酪農、畜産の価格を下げるような政治的な状況にあるのだろうか、私は、ないような気がする。大臣、どうでしょうか。
#147
○畑国務大臣 正直申し上げまして、前島先生の言わんとするお気持ちは十二分に肌でも感ずるわけでございますが、御案内のとおり、一両日中にこの問題を諮問し、物事の決着を図らなければならない責任者の立場でございますので、この辺についても御賢察を賜りたい。
 しかしながら、今お示しになりました文章、そしてまた、従来のガット・ウルグアイ・ラウンドの厳しさ、こういうものは厳然として目の前に横たわっておるという事実も私自身が否定できる立場ではございませんので、そういう御指摘の点を念頭に置きながらの対応をこれから進めていかなくてはならない、こう考えるわけでございます。
#148
○前島委員 やはり大臣、これ以上具体的なことは御無理だろうと思うし、また、連立与党の中でもワーキングチームをつくって今いろいろな検討をしていますから。
 ただ、ぜひ大臣にお願いしたいのは、キロ七十六円七十五銭、いわゆる保証価格値下げなんて、こうぼんと出ると、それに与える衝撃というのは物すごく大きいと思う、私が言った先ほどのいろいろなことから見ましても。そういう面で、私は、昨年大臣は酪政連の副会長として一円上げるために先頭立って頑張った、だからおれは農家、酪農の皆さんの気持ちがようわかるから頑張れよとこの前我々がお願いに行ったら言ってくれたのだろうと思う。その決意は聞いているのですね。
 ぜひ私は、具体的に幾らとかどうかということじゃなくて、決意として、いわゆる関連対策を含めてあらゆる努力をして、細川内閣が言ってきたこと、そして大臣も決意表明をしたこと、そして今、農民の期待あるいは農民の客観的な最初に言ったような不安にこたえるために頑張る、こういう決意をもう一度聞かせてもらいたい。
#149
○畑国務大臣 あるいは誤解をされるかもしれませんけれども、行政の私の立場にございましては、先ほども申し上げましたけれども、畜産振興審議会のそれぞれのお立場の専門家の方々の御審議にたえ得るような筋の通った諮問ということも一つの大きな柱である。そういうことも踏まえながら、ただいま先生の御指摘の面も政治情勢としての中に現存していることも事実、かような受けとめ方をさせていただいているわけでございます。
#150
○前島委員 これ以上この問題についてはあれですが、ともかく、数字と現場はなかなかずれがあるのもまた実感でありますから、ぜひその政治的な課題、あるいは内外の数字に出てこないこと等々も配慮して、ぜひ大臣、頑張っていただきたい、こう思います。
 それから最後、具体的なこと。先ほど松岡先生が言われた点の中で、需給調整の問題です。枠の流動化の問題あるいは負債の問題、もう一つ、土地の問題がどうしてもこの一連の対策の中でついて回っているわけであります。
 私のところは、やはりある程度していかないともうだめなんだという状況の中で、坪三千円なんですよ。やはり坪三千円だったら、農家が何ぼ意欲を持ってやろうといっても買い切れない。やはりそこに公的な土地を仲介するような機関がないと、やめたくてもやめられないし、集約したくても拡大したくてもできない、こういう点があるのです。先ほどは枠の問題と負債の問題を言いましたけれども、この土地の問題に対してどうかということが一つ。
 それと、やはり構造的な問題を抱えているのですから、いろいろな法律を適用していくという形ではなくして、この酪農の問題、流動化の問題あるいは集約化の問題について独立した本格的な対応をしていく、でないと間に合わないような気がする、ついていけないような気がするのですが、その点だけ質問させてもらって終わりたいと思います。
#151
○畑国務大臣 酪農、畜産の分野におきましては、従来から、ただいま先生御指摘のような問題を含めましてこれからさらなる検討課題、懸命な努力をしていかなくてはならない重要な検討課題であろうか、かように考えておる次第でございます。
#152
○前島委員 終わります。
#153
○竹内委員長 藤田スミ君。
#154
○藤田委員 私は、まず最初に大臣に、自由化問題についてお伺いをいたします。
 全国の農業者、消費者が、米輸入自由化反対とともに乳製品の自由化に対して、決して認められないと政府に対して一貫して要求してきました。昨年の畜産振興審議会の政府に対する建議におきましても、「乳製品に関する国際協議においては、我が国の牛乳・乳製品の生産の健全な発展に悪影響を及ぼすことのないよう適切に対処すること。」としているわけであります。にもかかわらず、乳製品の関税化を行うガット農業合意を受け入れたことに対して、これは国会として決して認めることができないということをまず指摘をしておきたいと思います。
 三月十日に開かれました地方農政局長会議においても、北海道開発局の報告を見ますと、受け入れ表明直後は、国会決議に反することや交渉経過が不透明だったとして農業団体が一斉に反発するとともに、市町村議会でも市場開放反対等の決議が行われた、特に酪農地帯では、牛肉自由化の経験から国内対策が明確でないままでの関税化受け入れに強い不信感が示された、先行き不安の動揺や合意への不満が若い農業者を中心にして内在していると、政府のガット農業合意受け入れの影響の大きさを指摘しているところであります。
 特に、政府の規模拡大政策に乗って、多くの酪農家が長時間の過酷な労働に追い込まれ、過大な借金を背負い、乳価が下がり、生産調整も強制されるという八方ふさがりの中に置かれている状況下で、大臣は乳製品関税化受け入れの決定を行われた、このことに対して酪農家がどのように受けとめていると大臣は考えていらっしゃいますか。
#155
○畑国務大臣 酪農家のお立場にございましては、いわゆる関税化という姿の中にございまして、不足払い制度の問題あるいはまた国家貿易の問題等々の骨格といいますか、筋道は残されたという意味合いの御理解はいただきながらも、将来に対する関税化といったような意味合いでの御心配を煩わしておることは、十分承知をいたしておるところでございます。
 先ほど畜産局長からも申し上げましたような意味合いでは、いささか高関税率というものをもっての対応を進めさせていただいておるわけでございますが、いずれにいたしましても、さらなる条件整備を行い、あるいは合理化の御推進を願いながら、この問題を乗り切るべく、活性化を図るべく、足腰の強いという要素のさらなる実現のために政策展開への努力を進めてまいりたい、酪農家の方々のいわゆる痛みといいますものを和らげる、そして乗り越え得る方向への努力を引き続きやってまいりたい、かように考えております。
#156
○藤田委員 一体自由化の前にどんな痛みを和らげる施策というのがあるんでしょうか。農業者は牛肉・オレンジの自由化のときに、いかに国内対策と呼ばれるものが歯どめにならないものであるかということを嫌というほど知っているわけです。大臣、地方農政局長会議のときも、その点からも、三月に決定される加工原料乳保証価格等について、農業合意以降初の政府価格となることから大きな関心が寄せられている、このように報告されているわけであります。
 そこで、大臣にお答えをいただきたいのですが、今回の乳価決定について、あなたは国内対策として位置づけられているのか。そうであるのか、そうでないのか、明確にお答えください。
#157
○畑国務大臣 この価格問題につきましては、いわゆるこれからの消費者向けの分野の影響もこれあり、また国内対策という要素もこれあり、さような意味合いでのそれぞれの波及をする分野のことを十分念頭に置きながら、そしてまた、先ほど来申し上げておりますとおり、一つのきちっとした行政サイドの筋道の通った対応の中での審議を煩わしたい、かように考えているところでございます。
#158
○藤田委員 おっしゃることがよくわかりません。一つ聞いておきますが、その保証乳価、一体現在の価格は何年前の価格のレベルですか、答えておいてください。
 酪農経営における乳価の位置がどれだけ大きいものを占めるかということは、もう私がここでくどく指摘するまでもありませんけれども、政府が、これまで足腰が強い酪農経営をということで規模拡大を進めてこられた。生産性向上として、これが乳価引き下げを招き、そして生産者は乳価引き下げによる所得減を避けるためにまた規模拡大に取り組んでいく。もちろんその過程で借金が雪だるまのようにふえていく。まるで坂を転がるように悪循環が進んで、生産者は極限状態に追い込まれているわけです。その悪循環を断ち切って、所得の十分な確保とゆとりある酪農経営を今確立できるような乳価の引き上げが求められているわけであります。これこそ足腰の強い酪農経営の第一歩なんです。
 そこで、私ははっきり要求をいたしますけれども、今回決定する加工原料乳価格は、労働費の評価などについて従来型の価格決定方式を改め、製造業労働者並みの労働報酬を保障する水準に引き上げること、あわせて、加工原料乳の買い入れ限度数量を拡大すること、これを求めて、答弁をお願いいたします。
#159
○東(久)政府委員 まず、現在の不足払いの制度についてもう一度御理解をいただきたいことがございます。
 それは、乳価というものはコストがあるわけでございます。いわゆる労賃といいますか、春闘の労賃とはちょっと違いまして、コストがあるわけでございます。コストの下がる部分というもの、これは合理化努力の結果でもあるわけでございますが、それらを反映した乳価水準というのが現在の法律のもとでの制度でございます。
 それで、これまでのそういう要素を勘案しての乳価水準でございまして、農家の手取りといいますか、所得と言った方がいいのかもしれませんが、所得の状況というものは、それは十分その乳価算定の中で、従来のやり方の中で確保されてきているわけでございます。それで、乳価の水準というものは、そういう意味で、中にコストが含まれておりますから、何年前の乳価の水準であるということは、それは賃金とはちょっと違うわけでございます。
 それからもう一つ、賃金の問題について申し上げますと、製造業五人以上の北海道地域の労賃で飼養管理労力を評価がえをしております。五人以上、青天井でございます。それは、北海道地域に限っておりますのは、加工原料乳法の中での加工原料乳地域のコストを勘案するということになっておりますので、そういうことで北海道の五人以上の製造業という形で勘案しておるわけでございます。それらは順次上がってきているということでございます。
 なお、現在の七十六円七十五銭がいつの水準か、実はここのところ、去年も七十六円七十五銭、四年度も七十六円七十五銭でございます。もっともっとさかのぼれば、それは確かに五十年代の水準ぐらいになろうかと思いますけれども、その間のえさの価格の低落と合理化というものが、乳価に反映された。それで消費者に還元していくというのが、この不足払いの基本でございます。そういうものを放棄するということは、なかなか不足払いの制度の中では対応しにくいということを御理解いただきたいと思います。
#160
○藤田委員 その方向ではもう酪農家は希望を持てませんよ。まじめに、輸入自由化しても日本の酪農経営を守るんだというお気持ちがあるなら、その考えを変えなければならないのです。
 ところが、あなた方が昨年の九月に発表いたしました「稲作以外の主要経営部門についての経営の展望と政策展開の基本方向」、いわゆる酪農新政策を見ますと、その方向性は引き続く規模拡大でありまして、生産性の向上ということを一貫して強調しています。九一年度の生産費調査の平均を一〇〇とした場合、十年後には生産費を、北海道で七四、都府県で七九にまで引き下げようというものです。そのために経営規模は、北海道で経産牛八十頭、総飼養頭数百十四頭、都府県で経産牛四十頭、総飼養頭数六十一頭にまで拡大していこう、まさに現在の二倍の規模に拡大をするべきだ、こういうことなんです。そのための総労働時間は、北海道で六千百時間、都府県で四千七百時間に達します。一人で経営するとなると、北海道では毎日十七時間近く働かなければならないわけであります。しかも、この六千百時間というのも、実はフリーストール・ミルキングパーラー方式という最新鋭の飼養管理方式を導入して達成できる時間でありまして、ここでまた新たな負債が加わるわけです。しかし、これを導入しなければ、一体一日どれだけ働いたらいいのかということが本当にわからないような、そういう代物であります。
 大臣、北海道にしても都府県にしても、もう規模拡大しようなんて考えている酪農家は数えるほどしかありません。今、北海道に参りましても、酪農家は、生きるためにマイペース酪農だ、みずからの生活のゆとりが確保され、所得が確保される規模で酪農経営を考えなくちゃ、このままでは規模拡大で殺されてしまうということを言っているのです。それでも、こんな規模拡大に酪農家を追い立てようとするのでしょうか。高価なフリーストールを買わされ、負債を大きくし、乳価は引き下げられる一方。そして自由化、さらなる生産調整をかけられてくる。それで一体どうして生きよというのか。私はここで大臣にはっきりその答えを求めたいわけであります。
#161
○畑国務大臣 物事の展開に当たりましては、一つの指針を立てまして、その指針の内容につきましての関係者の論議の中から方向づけといいますものが当然決められていく。とりわけ、ただいま御指摘ございましたような酪農関係等々にございましては、さような中にございましての当事者のお立場、そういうものを絶えず念頭に置きながら政策展開をやってまいりたい、かように考えております。いろいろなケースがあろうというふうに考えるわけでございますが、経営規模の拡大ということについて、引き続きお取り組みが願えるというお立場の方々に対しましては、それ相応のこちら側の対応も進めていかなければならない、かように考えております。
#162
○藤田委員 そんなことをここでは言っていないのです。「今後育成すべき代表的な」云々ということで挙げられているのです。そこに政策のライトを当てていこうというわけでしょう。そういう方向に進めていこうというわけでしょう。これではもう生きていけないじゃないか。大臣の今の御答弁は答弁になっていませんよ。酪農家は、そうかと言うわけにはいかないのです。今、本当に答えを求めているのです。
#163
○東(久)政府委員 先ほどお述べになった数字についてちょっとコメントさせていただきたいと思います。
 まず一つは、六千百時間というのは家族労働全体でございます。主労働二千時間、補助従事者千七百時間二人、雇用労働も含めての時間でございます。
 それから、五十円云々ということでございますが、五十円というのは生産コストでございます。したがいまして、先ほどの乳価とは違う形でございます。乳価は工場渡しの価格でございます。
 そこで、これらのものにつきましては、一つの指標でございます。指標で、このような規模というものは既に北海道では相当程度いっておりまして、労働時間等の問題が今生じているのが実情でございます。
 それからまた、酪農家につきましては、私が聞いておりますのは、時間があればふやしたい。それから、計画生産がきついとおっしゃる農家もありますが、やはりそれだけの枠があったら絞りたい、それでチーズ用の牛乳を別途つくってくれという声があって、チーズ基金というものが発足しております。
 そういう意味で、そういう意欲的な農家の声が強いということだと私は思います。
#164
○藤田委員 あなた方、酪農家の実態にもう一度しっかりと目を向けるべきだ。いろいろの理屈を言わないで、一回酪農家の皆さんと懇談してごらんなさいよ。このままじゃ本当に大変だなとだれだって思いますよ。別海という大きな酪農地帯でも、行くたびに自殺者が出ていたり、離農者が出ていたり、どうするのだという思いでいっぱいになるのが今の実態であります。
 いみじくも今労働時間の問題について触れられましたけれども、確かに新政策の中では、酪農経営では六百時間から八百時間をヘルパー雇用等により対応すると麗々しく書いておられます。ならば、このヘルパーの皆さん方に対して、政府として賃金助成に取り組むべきではありませんか。九〇年のヘルパー基金創設時にも、賃金助成は制度定着の必須条件だと強く主張されていたわけでありますが、今ヘルパー制度が広がって、利用組合の財政基盤の確立が酪農家のヘルパー利用率の向上に直接つながる、そういうことも明らかになってきている以上、政府としては賃金助成に取り組むべきだと考えますが、御答弁を求めます。
#165
○東(久)政府委員 酪農ヘルパー事業というのは非常に重要な事業であることは事実でございまして、これが大変高く評価され、今利用度が上がっていき、さらに副次的なことを申しますと、その中から酪農のお嫁さんになる方だとか、後継者になる方というようなことが出てきて、非常に歓迎されているところでございます。
 我々も、できるだけの御援助をということで、ヘルパー利用組合に対して、事務所の借り上げ料ですとか、ヘルパーの活動車、通信機器のリース料など、ヘルパーの人件費以外のところでは相当いろいろな手を講じております。そのための基金を造成してやっていっております。
 ただ、人件費につきましては、他の農業部門でも、雇用というものは自己の、みずからの負担で労働者を雇用するという体制が基本であると考えておりまして、それを助成対象とすることは不向きではないかというふうに考えております。
#166
○藤田委員 何を言ってもそれではこたえてもらえないということになるわけです。
 最後に大臣、このヘルパー体制の確立のためには、ヘルパーの社会的地位の確立とそのための利用組合の財政的な確立が不可欠だというふうに考えます。
 最後に、大臣のヘルパー制度を拡充していくための決意といっても、さっきの答弁からいったら決意のしようがないかもしれませんが、しかし、拡充していくんだというその心意気だけは見せておいてください。
#167
○畑国務大臣 平成六年度予算の中にございましては、いわゆる自治省サイドにおきましても、市町村段階でのヘルパー事業等に対する地方財政的な措置等々が盛り込まれておるというようなことに見られますとおり、政府側としましてもこの分野に対する力を入れておるわけでございますが、農林水産省としましても、その重要性を認識をしながら今後も取り組んでまいりたい、かように考えております。
#168
○藤田委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、私は、新政策に示されたような悪循環、これまでも立証されてきた悪循環をさらに大きくしていく、そういう方向性は今本当にまじめに検討し直さなければいけないときだということと、それから今度の乳価の決定というのは、これは本当に酪農家にとっては生きるかどうかという問題にかかわっておりますので、ぜひとも二十年昔の価格、それと今日もなお同じ価格という、このどう説明されても納得のできない実態を改め、乳価を引き上げていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。
     ――――◇―――――
#169
○竹内委員長 この際、二田孝治君外六名から、自由民主党・自由国民会議、日本社会党・護憲民主連合、新生党・改革連合、さきがけ日本新党、公明党、民社党・新党クラブ及び改革の会の共同提案による畜産物価格等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。二田孝治君。
#170
○二田委員 私は、自由民主党・自由国民会議、日本社会党・護憲民主連合、新生党・改革連合、さきがけ日本新党、公明党、民社党・新党クラブ及び改革の会を代表して、畜産物価格等に関する件の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    畜産物価格等に関する件(案)
  我が国農業の基幹的部門である畜産業は、牛肉の輸入自由化等の影響が顕在化する中にあって、昨年十二月、乳製品の関税化をはじめ、牛肉・豚肉の関税率引下げ等を含むガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉について政府が合意したこと等により、農家は一段と先行きにつき不安を感じている。
  このため政府に対しては、いわゆる「新政策」に基づく諸施策を強力に展開すること等による畜産経営基盤の強化が望まれているところであるが、平成六年度畜産物価格の決定に当たっては、左記事項の実現に万遺憾なきを期すべきである。
      記
 一 加工原料乳保証価格については、副産物価格の低迷、農家の営農意欲等を総合的に勘案し、また、長期にわたり生乳の生産調整を実施している実情を踏まえて、生乳の再生産を確保することを旨として決定すること。
   また、加工原料乳限度数量については、特定乳製品の需給動向と酪農経営の安定に配慮しつつ、国産生乳供給の十分な確保を旨とした生乳需給計画の下、適正に決定すること。
 二 豚肉・牛肉の安定価格については、再生産の確保を図り、経営の安定が図られるよう適正に決定すること。
 三 肉用子牛の保証基準価格については、繁殖農家の再生産の確保を旨として適正に決定し、合理化目標価格については、我が国の肉用子牛生産の実態等を十分考慮して適正に決定すること。
 四 畜産物の安定的供給と畜産経営の健全な発展を図る見地から、畜産物生産の新たな中長期目標の設定を検討するとともに、生産基盤の整備、担い手確保対策、環境保全対策の充実強化など総合的対策を講ずること。
 五 畜産経営の安定を図るため、生乳の需給調整機能の強化対策並びに国産ナチュラルチーズ生産振興対策、酪農ヘルパー制度等の充実などを講ずるとともに、子牛生産の拡大奨励対策、肉用牛肥育農家に対する経営安定対策、都道府県肉用子牛価格安定基金協会の財政基盤の強化対策、肉豚生産の生産性向上を図る特別対策等を引き続き実施すること。
 六 国産畜産物の消費拡大を図るため、新商品の開発、販売促進対策等を強化するとともに、原産国表示を含め表示の適正化を促進すること。特に、バターの過剰在庫の解消に努めること。
 七 牛肉輸入の急増が我が国食肉需給に悪影響を与えていることにかんがみ、その影響を緩和し、国産食肉の安定生産を確保するための適切な措置を講ずること。
  右決議する。
 以上の決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。
 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
#171
○竹内委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 二田孝治君外六名提出の動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#172
○竹内委員長 起立総員。よって、本動議のごとく決定いたしました。
 この際、ただいまの決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。畑農林水産大臣。
#173
○畑国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従い、最近の畜産をめぐる情勢を踏まえつつ、十分検討を加えてまいる所存でございます。
#174
○竹内委員長 ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#175
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二十八分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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