くにさくロゴ
1994/06/08 第129回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第129回国会 厚生委員会 第7号
姉妹サイト
 
1994/06/08 第129回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第129回国会 厚生委員会 第7号

#1
第129回国会 厚生委員会 第7号
平成六年六月八日(水曜日)
    午後九時三十二分開議
出席委員
  委員長 加藤 万吉君
   理事 衛藤 晟一君 理事 木村 義雄君
   理事 野呂 昭彦君 理事 持永 和見君
   理事 井上 喜一君 理事 山本 孝史君
   理事 網岡  雄君 理事 桝屋 敬悟君
      荒井 広幸君    伊吹 文明君
      狩野  勝君    栗原 博久君
      鈴木 俊一君    住  博司君
      田中眞紀子君    竹内 黎一君
      戸井田三郎君    根本  匠君
      藤本 孝雄君    宮路 和明君
      山口 俊一君    岩浅 嘉仁君
      小沢 辰男君    岡島 正之君
      岡田 克也君    笹木 竜三君
      矢上 雅義君    柳田  稔君
      吉田 公一君    金田 誠一君
      五島 正規君    土肥 隆一君
      森井 忠良君    青山 二三君
      久保 哲司君    福島  豊君
      三原 朝彦君    岩佐 恵美君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 大内 啓伍君
 出席政府委員
        厚生省健康政策
        局長      寺松  尚君
        厚生省保健医療
        局長      谷  修一君
        厚生省薬務局長 田中 健次君
        厚生省老人保健
        福祉局長    横尾 和子君
        厚生省保険局長 多田  宏君
 委員外の出席者
        労働省職業安定
        局次長     中井 敏夫君
        厚生委員会調査
        室長      高峯 一世君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月七日
 辞任         補欠選任
  荒井 広幸君     後藤田正晴君
  伊吹 文明君     志賀  節君
  住  博司君     江藤 隆美君
  堀之内久男君     若林 正俊君
  山口 俊一君     中山 太郎君
  岡島 正之君     栗本慎一郎君
  岡田 克也君     月原 茂皓君
  森井 忠良君     後藤  茂君
同日
 辞任         補欠選任
  江藤 隆美君     住  博司君
  後藤田正晴君     荒井 広幸君
  志賀  節君     伊吹 文明君
  中山 太郎君     山口 俊一君
  若林 正俊君     堀之内久男君
  栗本慎一郎君     岡島 正之君
  月原 茂皓君     岡田 克也君
  後藤  茂君     森井 忠良君
    ―――――――――――――
六月七日
 国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出第二六号)
同日
 豊かな老後のために公的年金制度改善に関する
 請願(北沢清功君紹介)(第二二八二号)
 同(北沢清功君紹介)(第二三三四号)
 同(坂上富男君紹介)(第二三六四号)
 病院給食の自己負担拡大・有料化等健康保険の
 改悪反対に関する請願(森井忠良君紹介)(第
 二二八三号)
 同(山原健二郎君紹介)(第二二八四号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第二三三五号)
 同(佐藤泰介君紹介)(第二四〇一号)
 同(藤田スミ君紹介)(第二四〇二号)
 人権保障に基づく障害者施策の確立に関する請
 願(池端清一君紹介)(第二二八五号)
 保健所法の廃止と保健所の統廃合反対、公衆衛
 生対策の強化に関する請願(佐々木陸海君紹介
 )(第二二八六号)
 同(不破哲三君紹介)(第二二八七号)
 同(山原健二郎君紹介)(第二二八八号)
 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(五島
 正規君紹介)(第二二八九号)
 重度戦傷病者と妻の援護に関する請願(山崎拓
 君紹介)(第二二九〇号)
 同(平林鴻三君紹介)(第二三三六号)
 同(小里貞利君紹介)(第二四〇五号)
 療術の制度化促進に関する請願(岸田文雄君紹
 介)(第二二九一号)
 同(亀井静香君紹介)(第二三三七号)
 同(森井忠良君紹介)(第二三六五号)
 骨髄移植医療体制の充実と拡充に関する請願
 (池端清一君紹介)(第二二九二号)
 同(今村修君紹介)(第二二九三号)
 同外八件(小池百合子君紹介)(第二二九四号)
 同(五島正規君紹介)(第二二九五号)
 同(山元勉君紹介)(第二二九六号)
 同(和田貞夫君紹介)(第二二九七号)
 同(池端清一君紹介)(第二三三八号)
 同外七件(上田勇君紹介)(第二三三九号)
 同外二件(草川昭三君紹介)(第二三四〇号)
 同(五島正規君紹介)(第二三四一号)
 同外三件(坂口力君紹介)(第二三四二号)
 同(畠山健治郎君紹介)(第二三四三号)
 同(藤田スミ君紹介)(第二三四四号)
 同外二件(三野優美君紹介)(第二三四五号)
 同(山元勉君紹介)(第二三四六号)
 同(和田貞夫君紹介)(第二三四七号)
 同(池端清一君紹介)(第二三六六号)
 同外三件(坂上富男君紹介)(第二三六七号)
 同(関山信之君紹介)(第二三六八号)
 同(畠山健次郎君紹介)(第二三六九号)
 同(山元勉君紹介)(第二三七〇号)
 同(和田貞夫君紹介)(第二三七一号)
 同(池端清一君紹介)(第二四〇七号)
 同外三件(石田幸四郎君紹介)(第二四〇八号)
 同(海部俊樹君紹介)(第二四〇九号)
 同外二件(坂上富男君紹介)(第二四一〇号)
 同外三件(高市早苗君紹介)(第二四一一号)
 同外一件(畠山健治郎君紹介)(第二四二一号)
 同(村山達雄君紹介)(第二四一三号)
 同外五件(山元勉君紹介)(第二四一四号)
 同(山本拓君紹介)(第二四一五号)
 同外七件(米田建三君紹介)(第二四一六号)
 同外三件(和田貞夫君紹介)(第二四一七号)
 国民年金初め公的年金制度の改善に関する請願
 (辻一彦君紹介)(第二二九八号)
 同(石橋大吉君紹介)(第二三四八号)
 同(三野優美君紹介)(第二三七二号)
 同(佐々木秀典君紹介)(第二四一八号)
 同(佐藤泰介君紹介)(第二四一九号)
 同(細谷治通君紹介)(第二四二〇号)
 医療保険制度の改善に関する請願(大畠章宏君
 紹介)(第二三四九号)
 同(岩田順介君紹介)(第二三七三号)
 同(畠山健治郎君紹介)(第二四二一号)
 社会保障の拡充に関する請願(藤田スミ君紹介
 )(第二四〇三号)
 国立病院・療養所の人員削減及び合理化計画反
 対、充実・強化に関する請願(寺前巖君紹介)
 (第二四〇四号)
 入院給食の新たな患者負担の導入など健康保険
 法、老人保健法等の改悪反対に関する請願(佐
 藤泰介君紹介)(第二四〇六号)は本委員会に
 付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出第三五号)
     ――――◇―――――
#2
○加藤委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。根本匠君。
#3
○根本委員 自由民主党の根本匠であります。私は、まず今回の法改正に際しまして、負担の問題についてお伺いしたいと思います。
 今回の法改正によりまして、病院の食事代の一部負担、これが八百円。これにつきましては、患者、利用者、病院関係者からの反対が大変強いわけであります。したがいまして、今回の制度改正によって入院患者にとって実際の負担がどのくらいになるのか、まずこの観点からお伺いいたします。
 今回の負担については、一般が八百円、低所得者への配慮として六百六十円、三百円、三段階の案がありますけれども、この根拠、考え方、これをお伺いしたいと思います。
 それから、従来から医療費は一部本人負担でなされているわけですが、実際の追加負担額がどの程度になるのか、この点をお伺いしたいと思います。
#4
○多田政府委員 今回の食事の患者負担、八百円、六百六十円、三百円というような点につきましての、どうしてこういう額になるのかというお尋ねだと思いますけれども、まず、この額につきましては、医療保険審議会の建議におきまして、「平均的な家計における食費を勘案した相応の費用」ということに基づいて額を設定するようにという指摘がございます。
 これに基づきまして、総務庁の家計調査、平成四年におきまして食費の支出は一人一日平均七百七十八円ということになっておりますので、その後の物価上昇も見込みまして、一般の方々では一旦二食八百円というふうにしておるところでございます。
 また、低所得の方々に配慮しまして、市町村民税非課税世帯等を対象として、総務庁の家計調査による食費を勘案した上で、一日六百六十円に負担を軽減することとしておるところでございます。
 また、老人につきましては、市町村民税非課税世帯に属する老齢福祉年金受給者につきましてさらに負担を軽減いたしまして、低所得者の半額程度というところで一日三百円というふうにしているところでございます。
 これらの負担は、通常の給食料、これは一日大体千九百円ということで今保険の方でお払いをしておりますけれども、千九百円を前提といたしますと、従来の一日負担額ということで計算いたしますと、健康保険の本人では百九十円、千九百円の一割ということで百九十円、家族では三百八十円、国民健康保険被保険者で五百七十円というふうな形になるわけでございまして、これらのそれぞれにつきまして、各制度共通に、今後は食事の負担といたしまして、先ほど申し上げました八百円、六百六十円というような額が設定されているということでございます。
#5
○根本委員 次に、入院患者、利用者の立場に立って、具体的な負担のボリューム、目安、これをお伺いしたいと思います。
 サラリーマン等の健康保険、自営業者などの国保、それから老人保健、これの別に平均的な入院日数、それについての平均的な金額がどうなるのか、これについてお伺いいたします。
#6
○多田政府委員 平均的な入院期間を想定して負担増がどのくらいになるかというお尋ねだと思います。
 平成四年度の実績から試算をいたしますと、健保本人では平均入院日数は十四日ということになっておりまして、そういたしますと、負担額は、従来であれば三万二千円というところが四万一千円というような程度になります。低所得者でございますれば三万二千円から三万九千円という姿になっております。
 それから、健保の家族では、平均入院日数は同じく十四日程度でございます。負担額は、一般ですと五万二千円から五万七千円、低所得者では三万五千四百円が四万五千円というような形になっております。
 それから、国保の被保険者でございますと、平均入院日数が多少長くなりまして二十日程度ということになります。負担額は、一般で六万三千円が七万九千円に、低所得者ですと三万五千四百円から四万九千円程度になる。
 老人につきましては、一件当たり平均入院日数二十三日を前提といたします。そういたしますと、一般で一万六千円から三万五千円程度に、低所得者は一万六千円が三万一千円程度に、住民税非課税世帯の老齢福祉年金受給者は六千九百円が一万三千八百円ということになるわけでございます。
#7
○根本委員 今の御答弁のように、要は、問題は高齢者の問題だと思うのですね。
 厚生省の調査では、全入院患者のうち六十五歳以上の高齢者が四六%、六カ月以上入院している高齢者が三十万人に上る、こんな調査結果が出ております。こういうことになりますと、今七十歳以上の高齢者は医療費では一日七百円の負担にとどまっているわけですが、食事を自己負担化いたしますと、この負担が倍以上になる。しかも、ここで考えなければならないのは、例えば民間の生保の入院特約、これは今七十歳以上の方はほとんど特約がとれていない。したがって高齢者の負担感が非常に強い、こういう問題点があるわけであります。
 一般の医療費では高齢者の負担を老人福祉の観点から一日七百円にとどめておりますが、こういう老人福祉の考え方からすれば、今回の改正の考え方のように、入院と在宅との負担の公平を図る、こういう見地を入れたにしても、これは老人福祉の精神に反するのではないか。高齢者の負担の重さ、程度、これを考慮すれば、老人福祉の視点を入れながら高齢者の負担を緩和すべきではないかと思いますが、この点についての御答弁をお伺いいたします。
#8
○横尾政府委員 今回の食費の負担が家計における食費を勘案して同じような額を定めるという趣旨からいたしますと、高齢者についても、やはり在宅との均衡という観点から同じ額を負担をしていただくことが適当だというふうに考えております。
 また、高齢者については、今後の高齢者対策を考えていく上で、高齢者であれはすべて低所得であるという前提ではなく、実態上も非常に高齢者の経済基盤は幅広なものになっているということに着目をして今回の提案をさせていただいているところであります。
#9
○根本委員 私は、在宅との公平負担の見地に老人福祉の観点も入れながら、高齢者の負担の程度も勘案しながら緩和すべきだと思いますが、この点についてはまだ後ほど申し上げたいと思います。
 次に食事代の一部負担の問題でありますが、私は、この点については二つの問題があるだろうと思っております。
 一つは、食事代を在宅などとのバランスから負担を求めたわけでありますが、当然のことながら食事も医療の一環であります。一般食と違って栄養士が管理しておりますし、医療の中の治療の側面が大変強い。その意味では、今回の改正により
まして、病院の食事は医療の一環であるという哲学、考え方、これに変わりがないのか。ないとすれば、医療の一環としての食事という観点からどのような対応を行っているのか、この点をお伺いいたします。
#10
○多田政府委員 食事が医療の一環だ、あるいは治療の一環だというような表現もしばしば使われるわけでございますけれども、私どもといたしましては、入院時に病院が提供する食事というものは入院医療に不可欠な要素だというふうにとらえておりまして、今回見直しか行われても、入院時の食事の提供が従来どおり医療機関側の医学的管理のもとに行われるということについてはいささかも変わりはないということにしております。
 したがって、例えば栄養士による栄養管理といったようなものにつきましては保険給付の対象として評価をし続けるわけでございますし、またベッドサイドでの栄養士による栄養指導等につきましても、今後中央社会保険医療協議会の御議論を踏まえまして新たに評価をしていくというような考え方でございまして、入院時の食事というものの持つ意味につきまして、今回特段変更を加えるという意味ではございません。在宅でもかかっている経費を経費として御負担いただくという思想でございます。
#11
○根本委員 今のお答えでわかりましたけれども、食事代の一部負担にはもう一つの問題があるのですね。
 具体的には、病院の収入には変わりがないわけでありますが、患者にとっては負担がふえる。通常、負担を求める場合には当然サービスの対価が伴う、こういう意識が一般的だと思いますが、こういう意識からすると、食事代の一部負担を導入すれば当然食事に対しての注文が非常にふえてくる。それから、食べないから払わない、こんな問題がもう既に現場では懸念されております。ですから、これを導入いたしますと、要は受益と負担とのリンクがないものですから相当食事について現場サイドでいろいろな問題が出てくるだろう、混乱が生ずるだろう、こう私は思うわけでありますが、この辺についての厚生省の態度、どのように考えているのか、お伺いしたいと思います。
#12
○多田政府委員 先ほども御説明申し上げましたような趣旨で今回の食事患者負担というものをお願いするわけでございまして、この分だけ食事がプラスになる、単純にそういうふうに理解をされますと、これは全くの理解違いということになるわけでございます。しかし、これを機会に入院時の食事サービスをできるだけ改善していくということから、メニューの多様化、栄養士による栄養指導あるいは食堂が整備されているかどうかというようなことを診療報酬上は評価いたしまして、なるべく質のいいものに変えていくという点につきましては、診療報酬上も積極的に評価していく考えでございます。
 いずれにいたしましても、先生御指摘のような誤解が生じないように、制度の改正の趣旨あるいは内容というものについては、法案成立後十分に各方面に周知徹底を図っていきたいというふうに考えているところでございます。
#13
○根本委員 負担とサービスが一致しないものですから、入院と在宅との負担の公平を図るのですよと言ってもなかなか理解されにくいのですね。ですから、本来であれば、食事代というのを大変強調して、当然そういう理屈でやっているわけでありますが、実は私もこの辺の表現上の工夫は必要なのではないかな。要は、入院の自己負担のアップを求めるのに食事代を余り強調しない方がこの辺の理解は求められるのだろう、こんな感じはしております。
 それから次に、今回の制度改正の内容、それと財源との関係についてお伺いしたいと思います。
 今回新たなニーズにこたえるための政策メニューをいろいろと用意してあるわけでありますが、その内容、予算と財源についてお伺いしたいと思います。財源は食事代の一部負担と言われておりますが、新たな政策メニューに対応する財源の中身、それからこれに伴って保険料負担があるのかどうか、これについてお伺いしたいと思います。
#14
○多田政府委員 今回の制度改正によります影響額というものを改正項目ごとに平成六年度の平年度ベースで申し上げますが、入院時の食事に係る給付の見直しによりまして、影響額三角の三千二百七十億円、つまり給付がこれだけ減るということでございます。公費負担医療分の食事の補てんというのを別にやりますので、これによる公費の支出減といいますか支出増といいますか、そういった影響が百五十億ございます。
 それから医療給付の改善といたしまして付添看護・介護の解消、在宅医療の推進、それに入院時の食事の内容的な改善の方に使う額もございますので、これら医療給付の改善の面で給付増になります部分が三千三百二十億円。それから、出産育児一時金というものを創設いたしますので、これによる給付増が六百五十億円。それから、傷病手当金の減額率の見直しをやっておりまして、これが所要五十億円。それに老人保健施設整備等の実施ということでこれが二百五十億円。それに付添看護の解消ということで看護療養費という現金給付が廃止になりますので、これが減が立ちまして一千八十億円、こういう姿になっておりまして、全体では七十億円の給付増ということでございますが、全体として見ればほぼ増減拮抗というふうにお考えをいただければというふうに思います。
 したがって、保険料負担につきましても、この限りでは増減ほぼ等しいということで、保険料率に大きな影響を与えているものではございませんけれども、先生の御質問にはないことで恐縮でございますが、この四月に実質一・二%の診療報酬改定を行っておりまして、これに伴う影響は、給付費ベースで二千六百五十億円、保険料で千七百八十億円増ということになっております。
 以上でございます。
#15
○根本委員 要は、食事代の一部負担の大半が付添看護をなくすための介護財源になっている、こういうことですね。そうなりますと、これに見合う介護のマンパワーが果たして確保できるのか、こういうことが課題になろうかと思います。特に、今回の改正におきましては、医療保険からの療養費の扱いを打ち切る、こういう手段も講じておりますので、今後介護マンパワーの確保が果たして担保できるのか、この点につきましてお伺いいたします。
#16
○多田政府委員 付添看護・介護の解消に必要なマンパワーでございますが、私ども、一般病院におきましては患者二人に看護・介護職員が一人という体制を目指していこうということでございますし、老人病院におきましては患者三人に対して一人という体制づくりを推進したいというふうに考えているところでございまして、これを一定の仮定のもとに試算をいたしますと、新たに必要となる看護職員数、看護職員の方が約三千人、それから看護補助職員の方が約六万人という数字になっております。これらの確保につきまして、十月実施予定の診療報酬改定の中でもきちんと配置できるような手当てをしていきたいというふうに考えているところでございます。
 また、確保につきましては、看護婦等の人材確保の促進に関する法律という先般つくられました法律に基づく基本的な指針というものを踏まえまして、各般の施策を進めていくことによって確保に努力していくという姿勢で臨みたいと思っておるところでございます。
#17
○根本委員 多分マクロで見れば計算上は充足される、こういうことだろうと思うのですが、恐らく地域的にはアンバランスも生ずるでしょうし、実は私が懸念しているのは、多分大病院は可能だろう。しかしながら、中小の病院あるいは有床診療所、この辺で本当に確保ができるのか、難しいのではないかという懸念も随分聞いてますので、マクロ的には充足されるというお話なんでしょうけれども、本当にスムーズに全病院に配置されるのか、この辺はこれからも種々の問題点が出てくるのだろうと私は思うのですね。この点につきましてはまた後ほど関連質問いたします。
 次に、高齢の重症者、これにつきましては、付添婦がいないと十分な世話ができない、こういう不安は恐らく残ると思いますけれども、そうなりますと、介護の量的確保と同時に介護の質の確保が必要になってくると思います。今回、医療保険制度上の体系の中で積極的に介護を位置づける、こういうことも聞いておりますが、介護を医療の中でどう位置づけていくのか、その点についてお伺いしたいと思います。
#18
○多田政府委員 看護補助職員の質的向上ということは大変重要なことでございます。労働省の方で職業講習ということで家政婦等に対して行っております講習等を通じまして、全体的な意味での資質の向上ということを期待するわけでございますけれども、そのほかに、今回看護補助職員として採用をいたしますと、医療機関の中でチームの一員としてこの仕事をしていくという姿になろうと思います。そうすると、オン・ザ・ジョブ・トレーニングといいますか、その中でまだかなりのトレーニングをしていかなければなりませんし、そして、それによって資質の向上というのは大いに期待ができるというふうに思っているところでございます。
 また、看護補助者の評価というのを高めることによって、張りといいますか、そういうものを高めていくという側面もございますので、今回改正を認めていただけましたら、十月の診療報酬改定におきましては、看護婦、准看護婦それから看護補助者が今まで一体となった形で看護料体系というものをつくっておりましたけれども、今後は看護婦及び准看護婦を評価する体系と、それから看護補助者を評価する体系とをはっきりと分けまして、それらの組み合わせによって評価をしていく、こういった形で看護補助者の評価というものを極めて明確に出していくというようなことを考えております。
 こういうようなこと全体を通じて、看護補助業務に従事する方々がプライドを持ち、そして生きがいを持って頑張っていただけるように私どもも支援を申し上げていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
#19
○根本委員 いずれにしても、看護・介護の質の向上、これが大変大事だと思いますが、今回の制度改正によって、いわゆる個人が付添婦さんを雇う、これはいわば禁止されて、診療報酬上認められない、こういうことになるわけですね。そうなりますと、実際の高齢の重症者、これは現在もう二十四時間付き添いというのが多いわけですが、付添婦がいないと十分な世話ができない、こういう不安が残るわけであります。
 この辺の不安を解消させるために、制度が成熟するまでの間、個人で契約する道も選択肢として残すべきではないかと思いますが、これについてはいかがでしょうか。
#20
○多田政府委員 現在の付添看護というものに対しての強い反省に立って、今回こういう体制をとるということに踏み切ることになったわけでございまして、この辺は、扱いを間違えますと、もとのもくあみといいますか、そういうことになりかねない性格でございますので、原則的にはやはり院内のサービス、院内職員によるサービスという形でサービスを進めていきたいというふうに考えているところでございます。
#21
○根本委員 患者との個人契約が困難というのであれば、チーム医療の視点を反映しながら、例えば、医療機関が関与する制度的仕組みをつくって、そして患者のニーズにこたえる道、こういうものを検討すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#22
○多田政府委員 医療機関の方で何人かの付き添いさんを用意しておいて、その中から患者さんがその都度選択をしてつけてもらうというやり方ということでございましょうけれども、なかなか運用上も難しい問題をたくさんはらみそうな気がいたします。現在のところ、その方式については私どもは消極的でございます。
#23
○根本委員 介護問題の締めくくりとして、私は、やはり介護については、この介護のマンパワーが本当に全病院で確保できるのか、担保できるのか、これが非常に大きな問題だと思っておりますが、この付添看護・介護の解消、これを一年半以内でやる、こういうお話ですけれども、本当にこの短期間で実現できるのか、大臣にお伺いしたいと思います。
#24
○大内国務大臣 今非常に機微に触れるいろいろな具体的な御質問がございましたが、付添看護はサービスの質、あるいは御案内のように非常に重い負担等が問題点として指摘されてまいりまして、医療保険審議会の建議におきましても、この点の改善は急務の課題である、こういうふうに指摘されてきたわけでございます。したがいまして、付き添いを必要としない看護・介護を体制として早急に整備するということは我々にとっても非常に大きな課題でございました。
 具体的には、今回の制度改正及びこれに合わせて本年十月に実施する予定の診療報酬等におきまして、一つは、平成七年度末をもちまして、付添看護を原則として廃止することを法令上明らかにいたしました。二つには、診療報酬上、看護職員あるいは看護補助職員を新たに雇用し、サービスを充実できるような評価を検討することといたしました。そして三つ目には、労働省との連携のもとに、現に付添婦として働いている方々の雇用あるいは付添婦の紹介事業を行っている紹介所に関する対策を積極的に講ずるといったようなこと等を今やろうとしているわけでございます。
 実際に、今その計画が一年半でできるかという御指摘でございますが、この程度の期間の中でこれを何とかやり遂げるように我々としては全力を尽くしたい、こう思っている次第でございます。
#25
○根本委員 本当に、その点が一番の問題だと思うのですね。やるつもりである、この御決意はよくわかるのでありますが、本当に物理的に可能なのか、そこが問題だと思います。ですから、現在、例えば家政婦を含めてどのぐらいの人数がいて、それがどのくらい転換してくるのか、その辺の見通しはいかがでしょうか。
#26
○多田政府委員 現在、付き添いをつけておられます患者の数が一日平均、断面でとりまして七万人、そして付添婦として活躍しておられる方が、実際についておられる方が一日平均、これも断面で四万人という数字になっております。したがって、四万人の方で七万人の患者さんをケアしておられる、こういう姿になるわけでございます。
 私どもとしましては、実際に付き添いをやっておられる方々がこれからどういうふうになるか、病院の方で雇用しやすい条件というのを積極的につくりだしていく、そしてまた資質の向上、トレーニングをやっていただきまして、ホームヘルパー等の方向に転換していっていただく方もおられる。こういうことで、付添婦を現にやっておられる方々の行く先というものにつきましても、労働省とも十分相談をしながら問題のないように進めていきたいという一面がございます。
 それから、今付き添いをやっておられる方以外の方がらも相当数これは雇用していくことになるのではないかと思います。現下の労働市場から考えますと、また現実に動いている姿を見ますと、まずまずこれくらいの数は恐らく確保できるのではないか。大体これから雇用する看護補助者数、六万人でございますが、この程度であれば大丈夫ではないかというふうに考えておりますが、個別のケースにおいていろいろ問題も出てくる場合には、相談にも乗りながらやっていきたい、こんなふうに考えているところでございます。
#27
○根本委員 今は不況が三十数カ月続いて戦後最長の不況ですから労働市場が非常に緩んでいるので、そんな状況で可能性をおっしゃられていると思うのですが、景気も回復して労働市場がタイトになってくれば、これは相当はかの職種との競合も起こってくると思うのです。ですからこの辺は私は非常に実現可能性が危ぶまれるのではないか、こう思っております。
 こういう問題点も含めますと、私は今回の改正の問題点、これは四点ほどあるんじゃないか、こう思っております。
 一つは、負担と受益がパラレルになっていない。これは二つの点があるわけです。一つは、負担は入院患者がすべてする。ただし、これで受益する方は付添婦を頼んでいた方で、差額負担が解消される。ここが受益と負担がリンクしていないのですね。それからもう一点は、食事代の負担としているために、先ほども申し上げましたけれども、病院収入が変わらないのに食事サービスヘの注文が出てくる。ここも負担と受益が、サービスがリンクしていない。だから非常に国民の皆様から理解がしにくい。これが一つの問題点だと思います。
 それから二点目は、負担のウエートが高齢者にかかり過ぎている。負担する人の約半数は高齢者でありますし、しかも七十歳以上では負担が倍になる。例えば月収二十万円の年金生活者、これが一カ月入院した場合は、六百六十円としてもこれは月二万円新たに負担増になるわけですね。これに、収入に平均消費性向を掛けて、十六万ぐらいの月々の消費支出だとすると、この七十歳以上の入院される方、これは二万円の負担増でありますから消費税が一五%上がったような勘定になるわけです。要は非常に高齢者に対しての負担が過重である。これが私は第二の問題点であると思います。
 それから三点目は、食事代に負担を求めて確保された財源の使い道。これは大半が介護のマンパワー確保に充てられるわけでありますが、このマンパワーの確保が質量とも担保される保証があるのか。この辺が担保されないと、予想される費用というのは結果的に減ってくるわけですから、要は介護財源として求めた食事代の負担の八百円、これが結果的に過重になる。こういう問題点。
 それから四つ目は、以上の三つの問題点もあって国民に理解と協力を求めるのに大変時間がかかる。要は、理屈は理屈としても国民に理解が得にくい、こういう四つの問題点があると思うのですね。
 私は、医療サービスというのは準公共財でありますから、やはり医療費の自己負担を求めるには、公共料金的な性格を有するものとして国民の理解を求めながら慎重に検討する必要があると思います。今回の羽田政権は公共料金を凍結したわけでありますが、これも一種の公共料金のようなものでありまして、今回の制度改正には今述べたような四つの問題点があるわけであります。
 ですから私は、内容から見れば、これは負担は八百円を下回る少なくとも必要最小限の額にとどめるべきではないか。特に高齢者の負担が大きい。さらに、六カ月以上の高齢者の入院は三十万人にも上るわけでありますから、この長期入院者の高齢者負担、これについては大幅な減額措置が必要ではないかと思いますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
#28
○大内国務大臣 先ほど来両局長からるるお話を申し上げたのでございますが、今度の食費負担というのは、先ほど来るる申し上げておりますように、平均的な家計における食費を勘案し、特に入院と在宅との格差をなくそうという考え方でございます。
 その中で、御指摘のように高齢者の場合は、例えば入院期間が長いとか、いろいろな区別して考えるべき要素もございますが、先ほども申し上げましたように、一口に高齢者といいましても、高齢者即貧しい人ということでは必ずしもなくて、その経済的な基盤というのは千差万別でございます。したがいまして、高齢者であることのみをもって特別の配慮をするということは私どもとしていかがであろうか。
 しかし、高齢者を含めまして負担能力の低い方々、また特に高齢者であるがゆえに負担能力の低い方々、これらの方々につきましては適切な軽減措置をとろうとしているわけでございますので、そういう点では皆さんに過重な負担にならないようにいろいろ配慮しているつもりでございます。
#29
○根本委員 現在でも六割の病院が基準看護をとれない、こんな現状を見ますと、私は一年半で本当にやれるのか、こんな危惧を持つのですね。特に中小病院、有床診療所、これらは介護が不十分になる可能性もあるので、この場合に行き場のない高齢者が出てくる可能性もある。さらに、高齢者の負担の比率それから程度を考えると、制度を導入するにしても、問題点、現状をしっかりと把握しながらこの制度を導入する必要がある。その意味では、私は国民の理解を得ながらやるのであれば、これは高齢者の負担の緩和を含めて余り制度改革を急いではいけない。したがって、この負担の程度にかんがみて、これをぜひ減額すべきだと思っております。
 終わりまます。
#30
○加藤委員長 衛藤晟一君。
#31
○衛藤(晟)委員 自民党の衛藤晟一でございます。質問させていただきたいと思います。
 私は、二年半ほど前に父を亡くしまして、それから半年ほど置いて母が亡くなりました。父が三年間ぐらい寝たきりでありまして、そのときは母が元気でしたので非常に助かりました。ですから、母が中心になって、私どもの家内や姉に帰ってもらって順番に交代したりしながらしましたが、しかし特に最後の一年ぐらいは完全に寝たきりでありまして、そのときは本当に大変でした。次々やはり家族が倒れていきまして、付き添いの方を二十四時間お願いしなければいけないというぐあいになりました。
 ところが、基準病院では正式には付き添いを入れられない。入れられないけれども、もう身内も倒れますので、しばらくはいけるのでありますが、もうどうしても身内だけでやっていけないという事態が起こってまいります。そうしますと病院側からは、親戚ということにしてだれかつけなさい、親戚ということであればいいですよと。これは相当大きな公立病院でも現実はそういうぐあいになるのですね。やはり付き添いというのは本当に大変であります。
 それから半年ぐらいしまして、看病疲れで私の母が亡くなったのですが、母は発病してすぐ半年間ずっと寝たきりでありまして、肺がんでしたから非常に大変でした。次々に看護を妻とか親戚の者がしましたが、やはり最後の方は三カ月間ぐらいはどうしても付き添いの方もお願いしなければいけないということになりまして、これも県立病院ですから余り言っていいのかどうかわかりませんけれども、入院していてもやはりそういうぐあいに、親戚ということでちゃんとつけなさいよ、でないと二十四時間とても面倒見れませんというようなことでありました。ですから今回、付添看護について改善がなされるということは、私は非常にそのことを身をもって苦労いたしておりましたので、よかったなというぐあいに思っています。
 さてそこで、大臣に一言お尋ねいたしますけれども、現在のこのような状況の中で、この付添看護ということについてどういうぐあいに認識され、改善しようとされているのか、一言見解をお聞かせいただきたいと思います。
#32
○大内国務大臣 先ほども申し上げましたように、看護及び介護におけるサービスの質と負担の軽減という問題は、これからの介護問題の中心的な課題でございます。したがいまして、私どもといたしましては、この問題にひとつ重点を置いてこれからの施策、行政というものを進める必要がある、こういう見地から、実は一年半ぐらいで院内において看護・介護というものが完全な体制がとれるようにしなければならぬ。先ほどの根本先生の御指摘のように、そういうものがマンパワーという面からいきまして、果たしてマクロ的、つまり総論的には可能であっても、特に中小病院等を中心にして細部まで行き届くであろうかという懸念、疑問が呈されたのでございまして、もとより私どもはその辺が一番心配でございます。
 というのは、現在付き添いをつけている患者の数は、先ほども申し上げたように約七万人でございますが、実際に実働として付き添いが行われているのは四万人でございます。しかし、この付添婦の登録数は、御案内のとおりその三倍以上の十五万人もいるわけでございます。今度、介護を全うするために必要なマンパワーというのは、看護
婦及び准看護婦数で言えば三千人、そして看護補助者の数としては六万人必要であるということでございまして、先ほど申し上げたような付添婦の十五万人という登録者をどうやって顕在化させていくか。
 あるいはもう一つは、潜在的な看護婦及び准看護婦というのは大体今四十万人ぐらいいると言われているわけでございますので、今度ナースセンターというものをつくりまして、一斉に、全国的にどのような配置状況にあるのか、そしてそれらの方々が看護婦として就職することを希望されているのかいないのか、そういうものをデータベースで全部調べまして、そのナースステーションを中心にしてあっせんをやっていく、開発をやっていくということが重要であると考えております。
 少し敷衍いたしましたけれども、看護・介護という問題はそういう意味で非常に重要な課題として登場してきている、こういう認識を持っております。
#33
○衛藤(晟)委員 私どもも自民党の各部会、政調会の中で相当な議論をずっとさせていただきましたので、そういう認識は十分納得のできるところでございますが、これに関連して今までいろいろな質問が行われました。
 さてそうしますと、現在の付添婦さん、十五万人がいらっしゃる。一体この方々はどういうぐあいになっていくんだろうか。大臣のお話ですと、看護婦さんや准看護の方々が今度新たに三千人必要になってくる、付添看護解消に伴う看護要員が病院で必要になってくる。それから看護の補助者が六万人となってくる、これは何とかなるだろう。ただ私は一年とか一年半の間に何とかなるかどうかということはちょっと疑問があると思っていますけれども、一つの見通しとしてそういうことを言われました。
 そうしますと、現在登録されている家政婦さんだとか付き添いの仕事をされている十五万人の方々、この方々は今度失業するのだろうかどうなんだろうか。どれくらいの方々が看護補助者になり、あるいはどういうぐあいになっていくのだろうか。あるいは厚生省が言っているヘルパーにどれぐらいなるとか、いろいろな見通しがありますので、そこについてまず厚生省の方に、どういうようになっていくと思うのか、そのことをお聞きしたいと思っているのです。十五万人の方がどういうぐあいに今後流れていくし、流れていかせたいと思っているのか、それをお聞かせいただきたいと思います。
#34
○多田政府委員 この点に関しましては労働省の方とも緊密な連携をとって、問題が起きないように、今後の身の振り方みたいなものにつきましても考えていくべきだということで、労働省との間に本年三月に家政婦対策等連絡調整会議というものを設置をいたしまして、現在鋭意検討を進めているところでございます。
 ただ、今の段階で、何人はおやめになるだろう、何人はホームヘルパーに、何人はという具体的なところまでとてもいきませんけれども、問題が起きないように、また御相談にいろいろ乗れるようにそういう体制をつくるべく、この連絡調整会議を活用していきたいと考えているところでございます。
#35
○衛藤(晟)委員 厚生省はホームヘルパーについて大分予定されているんでしょう。これである程度、数は具体的でなくても結構でありますが、当然、相当吸収し得るというふうに思っていらっしゃると思うのですね。そうなんでしょう。
#36
○横尾政府委員 ホームヘルパーは二〇〇〇年までに十万人を目標としておりまして、そのための講習を鋭意進めているところでございまして、従来の付添婦さんのかなりの部分がこのホームヘルパーの講習を受ける御希望も持っておられると伺っておりますし、私どもも期待をさせていただいているところでございます。
 今後、労働省との御相談の上ではございますけれども、関係団体がヘルパーの講習会を実施されるときには両省で共同して円滑な転換ができるように努めてまいりたいと存じます。
#37
○衛藤(晟)委員 そうしますと、今付添看護をやられている方々は相当高給というか、いろいろな御家庭で特殊な事情も抱えられている方が多いようでございまして、そういう中で大変な、通常ちょっと勤めたぐらいではとてもというぐらいの、結構高給をもらわれていますね。そういう方々が今度言われるところの看護補助者にある程度変わってくると思うのですが、賃金の面からいうと、恐らく病院に正式に雇用されるということは所得としては落ちるようになると思いますね。そうすると、相当変わると見られますか。それとも一割ぐらいじゃないのかなと見られるのか、半分以上はとんと来られると見られるのか。十五万人の中で、一般の家政婦さんがいらっしゃるでしょうから、それを引きますと十一万人ぐらい。十一万人ぐらいの方々から、片方は厚生省のヘルパーに行かれるでしょうね。そうすると、残りの方々が、ぽんと今度の六万人の看護補助者の方に流れると思われますか、それともそんなには流れないんじゃないかと思われますか、どうですか。
#38
○多田政府委員 この点に関しましては、労働省ともいろいろと連絡、情報交換はやっておりますけれども、現在のところ、大体こんな感じだというところまでなかなかつかみ切れてはおりません。しかし、そういうものが実際に動き出したときに、非常に問題が多発してくれば、当然にこの連絡調整会議でまたいろいろな対策をそれなりに打っていくという体制はつくってありますので、そういう意味で、極力問題のないようにこのことを処理していきたいというふうに考えているところでございます。
#39
○衛藤(晟)委員 それでは、ちょっと労働省にお聞きしたいと思うのですが、現在の付添業務に携わっている付き添いの方々が結果的には職場を失われるようになると思うわけであります。これらの人々約十一万人ぐらいの方々が職場を失うように予想されるわけでありますが、これについて労働省として、どういう受け皿を考えられているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
#40
○中井説明員 今回の制度改正によりまして、家政婦への影響をできるだけ少なくするということで、長年付き添いとして病院の介護業務の中で重要な役割を果たしてこられました方々が引き続きその病院や在宅で有効に活用されるように、先ほどからもお話がありましたように、今厚生省ともよく話し合っているところでございまして、当面の対策を近々取りまとめたいと思っております。
 さらに、労働省といたしましては、平成六年度の予算におきまして、長年付き添いとして介護の業務に携わっておられた方々が、今後非常に増加すると思われます在宅の介護の分野において有効に活用されますように、資質の向上であるとか、あるいは企業と紹介者団体との連携を促進する介護クーポン制度の普及促進、そういった各種の施策を積極的に実施をすることによりまして、職業の安定に努めてまいりたいと考えております。
#41
○衛藤(晟)委員 わかりました。介護クーポン制度をつくるということで、相当数がこの中から、十一万人の中から吸収できるというふうに考えていらっしゃるのでしょうね。
 そうしますと、今まであったいわゆる家政婦さんの紹介所というのは一体今後どうなるんだろうかなということを考えるわけでありますが、労働省、どうでしょうか。
#42
○中井説明員 今申し上げましたように、制度改正によりましていろいろな影響があります。それに対して、家政婦さん、その紹介所もいろいろまた新しい役割が果たせるものだ、またそのための施策も私どもこれからも充実していきたいと思っております。(発言する者あり)
#43
○加藤委員長 なるべく雑音はやめてください、聞こえませんから。
#44
○衛藤(晟)委員 次に移りたいと思います。
 訪問看護ステーション、老人の分野で大変実績を上げているように思います。今回立派に拡大するということでありますけれども、対象をどういうぐあいに考えるのか。特に私は難病患者あるいは精神障害者にとってもぜひ拡充すべきだと思う
わけてありますが、どの程度今回拡充されようとしているのか、お聞かせいただきたいと思います。
#45
○多田政府委員 老人訪問看護の分野に活躍していただいておりましたけれども、訪問看護事業の対象に今回は老人だけではなくて拡大をしていきまして、難病患者あるいは精神障害者あるいは在宅の末期がん患者、重度障害者、初老期の脳卒中患者等、この方々について、居宅において継続して療養を受けているような状態にある場合に、この訪問看護を行うということにいたしたいと思っております。
#46
○衛藤(晟)委員 そうすると、将来相当需要がふえてまいると思いますけれども、どの程度まで拡充しようとしていますか。
#47
○横尾政府委員 訪問看護ステーションは平成十一年度を目途に、約五千カ所の整備を目標としております。現在のところ、その総数は三百八十九カ所となっております。
#48
○衛藤(晟)委員 次に、精神障害者の問題についてちょっと質問をさせていただきたいと思います。
 精神障害という疾患は大変家族の負担も重いし、入院されても長期になります。在宅医療といってもなかなかやはり精神障害者の社会復帰対策が、私どもは何度も指摘したり、あるいは自民党の政調会の活動の中で相当強固に主張をしてまいりましたけれども、まだまだでございます。今後こういう問題について、中医協の今度の答申の中でもまだ明確に取り上げられていないわけでありますけれども、私は、やはり精神障害者の問題というのは、文明病として私どもの前に残った極めて大きな課題だというように思っています。
 私どもの過去のいろいろな施策の中で、身体障害者の問題も大分進んでまいりました。精神薄弱者の問題も大分進んでまいりました。しかし、やはり明らかに精神障害者の問題が福祉と医療のそのはざまにあるということが、どういう原因がよくわかりませんけれども、そういう理由の中で大変おくれてきたというように思いますね。これを今後どういうぐあいに取り上げていくのかというのが極めて大きな問題であるというぐあいに思っています。ぜひ大臣にここのところの認識についてお伺いさせていただきたいと思います。
#49
○大内国務大臣 今御指摘のように、精神障害者に対する対策というものが相当おくれぎみであったということは御指摘のとおりでございます。したがいまして、私どもとしては、保健、医療、福祉の連携のもとに総合的な対策の推進を図らなければならない、こういう見地から、今度は今お話が出ておりました付添看護・介護の解消の問題あるいは在宅医療の推進、入院時の食事の質の向上といったような三つの柱と並びまして、精神障害者の社会復帰対策という問題に力を入れたいということで、相当きめ細かな対策を御提示していることは御存じのとおりでございます。
 それは一つは、昨年、精神保健法の改正におきまして、精神障害者の地域社会への復帰を促進するという見地から、一つはグループホームの法定化という問題を今進めている次第でございます。もう一つは、精神障害者社会復帰促進センターの創設等の措置を講じておもわけでございますし、または本年度予算におきましては、適所授産施設を初めとする社会復帰施設の整備の推進、あるいはさっき申し上げましたようなグループホームの普及促進、もう一つは、小規模の作業所に対する支援といったような一連の政策を準備いたしまして、精神障害者の皆さんに対する社会復帰をできるだけ強力に推し進めたい、こう考えている次第でございます。
#50
○衛藤(晟)委員 この問題はぜひ、中医協の答申の中でまだ明確に出ておりませんけれども、ちゃんと入れるように努力していただきたいと思います。特に私は、これからこの問題について非常に大きな努力を払わなければいけないというのは大臣と同じ認識でございまして、私どもも一緒に頑張ってまいりたいと思います。
 さて、そういう状況の中で、この精神障害者の社会復帰のために在宅医療を推進するということはよく理解できますが、地域の受け皿であるこの社会復帰施設などの整備がまだまだおくれているのです。特に、精神薄弱者の施設なんかと比べると、補助金の額も低いわけなんです。精薄の適所授産の措置費に比べて、精神障害者の適所授産の補助金の額というのはまだ結構低いということになっています。
 ただ、今まで私どもも何度も指摘した中で、大分進んできたことは事実であります。例えば、その建物等の施設整備につきましては、四分の三がいろいろな形で見られるようになったし、あるいはその運営費についても、四分の一が自己負担、法人負担であったものをちゃんと見ましょうというぐあいになりましたけれども、まだまだ全体としての補助金の額が精薄の適所授産の措置費に比べて相当低いわけでありますが、それについて具体的にどのような認識を持っていますか。
#51
○谷(修)政府委員 精神障害者の社会復帰対策の充実ということについて、ただいま大臣の方から基本的な考えのお話がございましたけれども、ただいま先生の方からお話のございました社会復帰施設についての具体的な問題についてお答えをさせていただきたいと思います。
 特に例としてお挙げになりました適所授産施設でございますけれども、精神障害者の施設は、精神薄弱者の施設に比べて補助金の額が低いという御指摘がございました。これにつきましては、補助率等は他の施設と同じなのでございますけれども、それぞれの障害の特性に応じた職員の配置の数が異なっているというようなことから、相対的に金額の違いが生じているわけでございます。
 ただ、いずれにいたしましても、この社会復帰施設については、精神障害者の地域社会への復帰を進める上での重要な拠点であるし、重要な施設でございますので、これまでも積極的な整備に努めてきておりますけれども、先ほど御指摘ございましたように、他の障害者に比べてまだ十分整備が進んでいない、あるいはまた未設置の県があるといったようなおくれがあるということは、私どもも率直に認めざるを得ないのが実情だと思っております。
 そういう意味におきまして、平成六年度の予算案におきましても、精神障害者の社会復帰施設の運営費の補助について、業務の省力化等勤務条件の改善を図るといったような内容も盛り込んでいるところでございますけれども、精神障害者の社会復帰施設についての予算の確保ということについて、引き続き努力をしてまいりたいと思っております。
#52
○衛藤(晟)委員 精神障害者は全国で百八万人と言われています。精神薄弱者は全国で三十五万人と言われています。同じ二十大規模の適所授産の施設の整備の数ということでいきますと、精神障害者の方が四十六カ所、精神薄弱者の方は五百十四カ所、十倍以上のいわゆる社会復帰に関する施設としての差が出ているわけですね。それは今まで、先ほど申し上げましたように、施設の建設段階あるいは運営費についても、法人負担をなくするとか、いろいろなことをやってきましたけれども、やはりどうしてもそのおのおのの措置費あるいは運営費の金額が違う。
 例えば、年間ですと、精薄の場合ですと三千三百万ぐらいは出る。ところが、精神障害者の場合だと二千万ぐらいで、その差が結構大きい。これは、もとはどこかといいますと、精神障害者の場合がお医者さんを入れて五人程度、精神薄弱者の場合はお医者さんを入れて九人程度と、約倍の携わる方の規模の違いがあるわけですね。そういうところから、極めて施設運営として大変だ。社会復帰の施設として運営もなかなか大変だし、それから具体的な運営費としても、運営そのものも人数が少なくて大変だ、それに伴って運営費の方もどうしても少ないので大変だということになっているところに起因しているのじゃないかと思います。ですから、ぜひできるだけ精神薄弱者の授産施設に近づけるような形で今後増員を図るように、基準を変えるように私は要望したいと思っています。
 それと、もう一つ要望申し上げて、大臣の見解をお聞きしたいと思うのであります。
 このような適所授産等の社会福祉施設のおくれがまだずっとあるわけでありますが、それと同時に、一県に一つぐらいのこの精神障害者のための適所授産のセンターになるような、入所機能を持ったいわゆるハブ施設というかメーン施設となるようなところが、やはりどうしても必要だと思うのです。それは、精神病院によって全部やはり代替機能がとれないのです。だから、行政がタッチしながら、福祉の面についてちゃんと行き届きますよという機能を持ったところのメーンの、入所機能も備えた総合的なハブ施設のようなものを一県に一つぐらいはやはり整備していく必要が出てきているというぐあいに私は認識をいたしています。ぜひこのことを私は要望申し上げたいと思います。
 大変唐突でありますから大臣もお答えにくいかと思いますけれども、この社会復帰のための精神保健の各県ごとのハブ施設のようなものを今後検討していただきたいということと、それから先ほど申し上げましたように、適所授産施設等におきましても、やはり精神薄弱者のための施設と比べて、従業員の数というか職員さんの数が約倍ぐらいの違いがありますので、どうしてもここで差が出てきていて、整備がおくれている。一けた以上も施設数が違っている、どうしても施設整備がおくれていっているというような問題が出ていますので、これについてぜひ御努力をいただきたいということで希望を申し上げるわけですが、どうですか。
#53
○大内国務大臣 先ほども御質問の中で、精神障害者に対する対策がおくれているということは認めざるを得ないということを申し上げたわけでございます。したがって、そういう認識のもとに幾つかの対策をこれからやりたいということを先ほど申し上げたのでございますが、特に今御指摘の、適所授産施設の数が絶対量が非常に不足している、そういうものをうまく配置していくためには、何らかのセンターみたいなものがあって、そしてそこが各県ごとに少なくとも整備されて、各県のその適所授産施設というものを管理していくような体制が必要ではないかという御指摘は、全くそのとおりなんでございます。
 そこで、私が先ほど精神障害者の社会復帰促進センターというものを今後つくりたいと申し上げているのはそういう意味でございまして、今各県を見ておりますと、まだまだできていないのです。ですから、各県に一遍にできるかどうかというところはなかなか難しい点がございますが、私どもとして最大限努力して、少なくとも各県に一つぐらいはそういうものができるように、そしてそれによって適所授産施設の管理というものがしっかりできるようにできるだけの努力をしたい、こう思っている次第でございます。
#54
○衛藤(晟)委員 ぜひ強力な推進をお願い申し上げます。
 さて、先ほどからもお話が出ておりますが、入院時の食事にかかわる患者負担増について質問を申し上げたいと思います。
 入院時の食事にかかわる患者負担は、一般が八百円、低所得者、いわゆる住民税の非課税世帯が六百六十円、それから老齢福祉年金受給者が三百円となっておりますけれども、この額の設定について、どういうぐあいな考え方でここに決められたのか、それについてまずお答えいただきたいと思います。
#55
○多田政府委員 この八百円、六百六十円、三百円の額の決め方でございますけれども、医療保険審議会の建議におきまして「平均的な家計における食費を勘案した相応の費用」という指針が示されておりまして、これに基づきまして、総務庁の家計調査にその後の物価上昇を見込みまして、一般の方々については一日三食八百円ということで設定いたしたわけでございます。
 低所得の方々には配慮いたしまして、同じサービスではございますけれども、額としては、市町村民税非課税世帯等を対象といたしまして、総理府の家計調査の食費を勘案した上で一日六百六十円に負担を軽減しているところでございます。
 さらに老人につきましては、市町村民税非課税世帯の老齢福祉年金受給者について、低所得者の半額程度ということで一日三百円ということにいたしております。
#56
○衛藤(晟)委員 一日八百円の負担は、確かに原理論として私は理解するところでありますけれども、ただ、一日八百円の負担ということになりますと、長期入院の場合等は、支払いができずに必要な医療が受けられなくなる患者さんも出てくるということを心配いたしております。これについてどういうぐあいに考えられているのか、考えをお聞きしたいと思います。
 その前に、長期入院の方々、難病の方々、特に多いのは精神病の方々、そういうような方々がいらっしゃるわけでありますけれども、こういう方々に対する何らかの措置を考える必要があると思いますが、基本的にどういうふうに思われますか。
#57
○多田政府委員 今回の定額負担の導入に当たりましては、入院と在宅における負担の公平という観点から、患者負担の額については「平均的な家計における食費を勘案した相応の費用」ということで考えられておるわけでございまして、その程度の費用ということであれば、家でもかかる費用でございますので、低所得者への配慮は行いつつも、これでお願いをいたしたいと考えているところでございます。
#58
○衛藤(晟)委員 ただ、長期の方々、難病の方々、労災が切れて長期になっている方々、大体長期にわたるわけでありますが精神病の方、一家の働き手の方々は病気をしてしまうことになったら働けないわけでありますから収入の面が厳しい。そういう方々が一日に八百円の負担増ということになりますと、一カ月で二万四千円、一年間で二十九万弱、金額にすると非常に大きいのですね。これは本当に吸収し得るのだろうかなと思うのであります。
 ちなみに、いろいろなデータを出してみるのですが、なかなか出てきません。長期にかかる人にどういう人がいらっしゃるのか、そして、その方々の所得、収入の関係はどうなっているのかということは両方の数字として出てくるものがないのですね。どんな方が長期かというのは出てきます。しかし、残念ながら、その中でどういう方々がどういう所得なのかという統計数字が出てこないのではっきりわからないのでありますが、今のところ、そういう中で精神病の方々に焦点を合わせて私は調べるだけ調べてみました。
 そうすると、精神病の方々は全国に百八万人、それから精神病院の入院患者の方々は三十四万七千人、それから六カ月以上の長期入院の方々は、約八割とか八四%とかありますが、八〇%にしたときに約二十八万人になっているのです。半年以上の長期の方々が三十四万七千人のうち二十八万人、この中で公費負担医療というのは、いわゆる措置入院されている方々が約八千人、それから生活保護で医療扶助を受けられている方々が六万六千人ということになるのですね。
 そうすると、あとの方々はどうなんだろうといいますと、障害年金を受けられている方がいらっしゃいますが、この方々は非常に難しいのでありまして、百八万人のうち、国民年金の一種が十一万人で二種が九万人、それから厚生年金で四万人となっていますので、約二十四万人の方々がいらっしゃるのですね。ただ、これは入院患者さんの中でどれぐらいかという数字が出ていないのですね。百八万人のうち二十四万人の方々が障害年金を受給されているということしか出てこない。これは家族会の方に聞いても正確な数字は出てこないのであります。
 しかし、いろいろなところから推計してみますと、百八万人のうち二十四万人の方々が障害年金を受けている。病院に入院されている方々は、その中でも全体の率よりはもうちょっと高いだろうということが予想されるわけでありまして、その想定でいきましても、大体十万人前後ぐらいの
方々が三十四万人の中で障害年金を受けられているのではなかろうかなという推定ができるわけですね。平等推定でいくと八万ぐらいになりますが、もうちょっと率は高いだろうというわけでありますから、八万から十二万、平均すると十万人ぐらいの方々が恐らく障害年金を受けていらっしゃるのだろうというぐあいに思います。
 そうしますと、あとの方々は一体どうなるのだろうか。いわゆる措置入院の八千人の方々、それから医療扶助を受けられている方々、これはまあまあでしょう。それから、障害年金を受けている方もそれだけ上がると、負担が重くなるとまた大変になります。しかし、何とかなるかもしれないという何とかが予想されますけれども、あとの方々、二十八万人から引きますと約十万人ちょっとの方々は収入の道が余りないということになっているわけでありまして、どうしても今回のこの食費の問題について原理的に、先ほどお話がありましたように、自宅にいても食事はされるのですから、少なくともその原材料相当分というか、一応の原価的なものについては御負担いただくというのは、これは国民公平という意味から原理ではなかろうかということについて私ども議論したところでありますし、そのとおりだと私は思います。
 しかし、負担できない方々が相当数出てくるのではないのか。ただ、全部に広げて推察というのは極めて難しい問題でありましたので、これは精神障害者の方々だけに限定して私どもが一応数を追ってみたところでありますが、そのことが出てきたので、これだけは何とかしなければいけないな。
 長期の方々、それから収入の道が閉ざされている方々について、長期ということと収入の道が閉ざされている方々、低い方々という問題を考えると、どうしてもこの八百円の負担、あるいは低所得者の六百六十円の負担ということは、これは思い切ったことを私どもとして考えなければ、治療が終わっていないのに早く病院を出ていかなければいけない、そういう事態まで起こってくるのではないかなと大変心配しているところなんですね。これについてどうでしょうか。
#59
○多田政府委員 具体的なケースにつきまして、それぞれ実態をよく掌握しながらこれに対処していくということにいたしたいと思っております。
#60
○衛藤(晟)委員 大臣お聞きと思いますけれども、実際大変だと思うのですね。今多田局長からもお話ありましたように、正直言って、必ずしも実態的に、長期の方々、そしてその所得の関係というのは明確に調査の中でも出てこないのですね。だから、本当のところはやってみないとわからないかもしれない。しかし、少なくとも数字の中で予想されるのは、精神病の方々だけでもこれだけ多くの方々について問題、トラブルが予想されるということでありますから、これは本気でこの数字の八百円、六百六十円についてどういうぐあいにするかということを考えなければいけない。私は思い切った措置が必要ではないのかというぐあいに思っておりますので、ぜひ大臣、この点について考えていただきたいと思います。大臣、御見解を。
#61
○大内国務大臣 今百八万人のうちで約十万人ぐらいが本当は無収入になるのではないか、そういう人たちに今の給食費を払えということになると、これは実際問題として払えない状態ができるのではないかという御指摘でございますが、これはもう少し私どもとして精査をしなければならぬ、こういうふうに思います。
 ただ、実際には、そういう形で無収入になっていく、そして扶養義務者もいない、また資産もないという事態の方々が出てくる場合には、これは当然生活保護等の適用がされてくることになるわけでございまして、その場合には当然医療扶助というものも起こってくるわけでございますので、そういうはざまにある方というのが出てくるかどうか。御指摘のようなことが本当に出てくるとすれば、我々としてはこの問題の救済のために真剣に考えなければならぬ、こういうふうに思っております。
#62
○衛藤(晟)委員 どうも大臣ありがとうございます。
 先ほどから申し上げますように、措置入院が八千人、それから、今みたいに本当に所得がなくて生活保護、医療扶助を受けられている方が六万七千人、三十四万人の入院の中に。それから、ある程度の収入として障害年金を受けられているだろうという方が八万人から十二万人ぐらい、十万人前後というぐあいに予想されるわけですね。そうすると、残りの十何万人の方々の所得は、現実に入院しておりますので、極めて低いのですね。ですから、あと家族の方々が何らかの負担をするというぐあいになっているのですね。これらの方々が、八百円の場合は月に二万四千円、それから六百六十円の低所得者の場合は約二万円という負担増を一体だれが負担するのかという問題が出てくるのですね、先ほど言いましたように。
 今、大臣からありがたいお言葉をちょうだいいたしましたので、ぜひ具体的に今後煮詰めていただきたい。この後の質問は、私ども木村委員の方から引き続き次回にこの問題を詰めるということになってまいりますので、ぜひ今のうちに早急に御検討をお願いしたいというぐあいに思います。
 最後に、健康保険証についてちょっとお願いと検討をしていただきたいと思うのです。
 私どもは大体土日は地元に帰っております。こちらに出てくるときにちょっとぐあいが悪いと、自宅にある健康保険証をコピーするか、ちょっときょうは僕が持っていくよと言って、東京にそのまま持ってきてしまうのですね。そうすると、大体途中で家族から、あれ何番でしたかなんて電話がかかってきたりするのですね。これは私ども自身も非常に不便を感じております。いろいろ調べてみますと、そういう方が結構多い。私どもだけではないのですね。本当に長期の方とか学生さんには特別のそういう保険証がちゃんと出るようになっていますけれども、ちょっとした出張だとか、だれかがちょっとした旅行に行くとか、最近の家庭内の傾向でそういう傾向がたくさん出てきているのですね。
 ですから私は、家族が複数で病気になったときとかちょっとの期間生活を別にしなければいけないというようなことを考えると、世帯に複数の保険証があれば大変便利だなと私自身が考えるわけですね。結構そういう方も多いと思うわけでありまして、そういう被保険者の利便の向上という点から、この保険証の世帯一枚交付方式を改めるべきではないのか。申請があれば一軒に二枚でもあるいは三枚でも交付をしますよ、そういうぐあいに変えることをぜひ検討していただきたいと思っているのですね。
 もう一つは、保険証というのは私ども男性のポケットには入るのですね。胸には入らないのですね。定期入れにも入らない。大きさについてもこの際御検討いただきたい。
 この二つを要望申し上げたいのですけれども、大臣、これはどうでございましょう。
#63
○大内国務大臣 急な御質問でございますが、本当は、利便からいいますと一人一枚の健康保険証があるということが一番いいと思います。特に最近は、単身赴任とかあるいはお子さんが大学等で東京へ出ているとか、そういう例もございますし、その他でもいろいろございます。
 同時に、何枚も出しますといろいろなところへ行ってお金を全部借りてしまうというような弊害もあるわけでございまして、光カードみたいなものができれば問題は解決するわけでございますが、現在では、療養費払い等々のいろいろな制度がございまして幾らかカバーできるような措置もあると私は承知しておりますが、せっかくの御提言でございますので、そういう面で何かいい工夫がないか、それから、カードをもう少し小さくするとか、それから弊害防止策はそれでできるか、それらの点を少し検討させていただきたいと思っております。
#64
○衛藤(晟)委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。
#65
○加藤委員長 五島正規君。
#66
○五島委員 時間が大変迫りまして、当初与えられた時間どおり質問をいたしますと延会手続をお願いしないといけないという状況になりました。それを避けるために、できるだけ簡潔に質問を行いますので、できるだけ御回答も簡潔にお願いしたいと存じます。
 まず最初に、今回の改正にょりまして、入院時の食事について、これまでの給付の方式を改めて入院時食事療養費というものを支給するというふうになったわけでございますが、食事と治療ということについて各団体から大変御意見がございます。もちろん、人間にとって食事というのは重要な問題であり、そして治療にとっても食事というのは切り離せないということは言うまでもないわけでございます。これまでもそうでございますが、厚生省は入院患者さんの食事について保険給付を行ってまいりました。その保険給付を行ってきた根拠は具体的にどういうことで行ってこられたのか。治療の一環として行ってこられたのか、それとも入院にかかわるところの療養の一連の関連経費として行ってこられたのか、その点についてまずお伺いしたいと思います。
#67
○多田政府委員 入院医療に不可欠な要素であるというふうな考え方で食事の提供を保険で行うということにしてきたところでございます。
#68
○五島委員 ということは、食事によるところの治療ということについては、これまでも行ってきたのではないということですね。
#69
○多田政府委員 食事の中には、治療そのものとして食事を提供しているものもございますし、それから、例えば足を骨折したというようなことで、それも、ある程度治癒しながらも、それは当然その中で生活をしながら治療を受けなければなりませんから、食事を当然に提供しているという側面もあるわけでございますから、すべてが治療そのもののためにというか、治療として提供しているということになるかどうかというのはいろいろ議論のあるところでございます。
 しかし、いずれにしてもこれは、入院医療というものにとって不可欠な要素であるということについては万人が認めているところでございまして、そういう趣旨でこれまで対応してきたというふうに考えております。
#70
○五島委員 今のお答えも非常にあいまいでございまして、確かに、治療にとって食事そのものが治療の一環である部分、そして療養に伴うところの、当然人間は食わなければいけませんからコストである部分、この両方があることは重々理解しているわけでございますが、それをどのように分けてこられたのか。今までその点について厳密に、治療の一部としての食事をどの部分としてやってこられたのかということについて保険の上では明確になっていなかったのではないか。
 例えば、治療の一部として食事を提供しているということであるとするならば、では、外来の患者さんに対して当然、今日では糖尿病の治療であったとしても在宅で行います。また、一部の非常に特殊な治療食を必要とする代謝性疾患の患者さんについても、在宅においては実はその食事代は保険では給付されていないわけでございます。
 そういう意味で、厚生省の考え方で、食事というものに対する、治療といわゆる入院関連費用という部分を厳密にどのように分けておられるのか、そこのところをもう少し明確にお伺いしたいと思います。
#71
○多田政府委員 治療そのものである場合には、これはもうまさに医療そのものだと思っておりますが、医療に関連して、あるいは医療を受けるために付随してといいますか、同時に必要になるというものにつきましては、これは治療そのものとはまた別のものであろうというふうに考えておりまして、その点については、どうもこれでは明快でないとおっしゃられると、ほかにちょっと言い方がよくわからないのでございますけれども、そんなことでございます。
#72
○五島委員 非常に保険局長のお考え自身が、その辺が言葉では言われるのだけれども、実際として明確に分かれていない。したがって、逆に言えば、例えば今社会で非常に問題になっているのは、アトピーのひどい患者さんに対する特殊な食事、そういうふうなものが、外来において御家族も非常に困っておられたとしても保険では給付されていないわけでございます。そうした食事と治療ということが関連する疾患について、どのように仕分けするのかということを一つは整理していないところに大変患者さんその他の混乱もあるというふうに思います。
 もう一つは、今局長もお答えになりましたように、入院をしている患者さんにとって、療養生活の上で食事というのは当然必要な経費でございます。この経費が非常に高くなるようになりますと、皆保険制度の原則である、だれでもいつでも治療を受けられるという、この原則が費用の面からいってできない、すなわち皆保険制度の精神に反するという事態が予想されるわけでございまして、その部分についてどうするのか。この二つに分けて考えないといけないのではないか。
 もしそのように考えるとするならば、先ほど自民党の衛藤議員の大変すばらしい御質問があったわけでございますが、例えば短期で一週間ぐらい入院しておられた方々の食事代の問題、あるいは難病や精神障害の患者さん等々比較的長期にわたって療養生活をやらなければいけない患者さん、その方々に対するそうした入院関連の費用を同じように一日幾らという形でやっていくことには若干問題があるのではないかというふうに思うわけですが、その辺がどうも整理されていないのではないかと考えるわけです。
 その辺を含めて、やはりこれから食事の問題それから治療の問題、入院に関連する必要な費用の問題、入院に関連する必要な費用の問題については、当然お年寄りの老健施設や特別養護老人ホーム等々における負担の問題とのバランスをも考えなければならないと思います。その辺について、もう一度抜本的に厚生省としてお考え直しになる気はないかどうか。ひとつ大臣いかがでしょうか、その辺非常に重要な問題だと思いますが。
#73
○多田政府委員 最後に先生おっしゃられた、特別養護老人ホームあるいは老人保健施設あるいは在宅というものとのバランスからいって、費用負担という問題でこの食事の問題をとらえるならば、これは今非常にインバランスという状態になっているということが明らかでありまして、その点が医療保険審議会でも大変大きな問題として取り上げられたことは先生御承知のとおりだと思います。
 そういうことで、家でもかかる、そして保険で見るのは、家でもかかっている経費をかからなくするための経費を保険が優先的に見るべきであろうか。そうではなくて、やはり家ではかからない経費が入院するとかかる、新たにかかるような経費について保険という強制移転システムを使って補てんをしていくということが基本的な物の考え方ではないか。そういう議論がかなり行われた結果、こういう整理になっているわけでございますので、医療であるかないかというようなことではなくて、負担の角度からどう考えるべきかということで整理がされているというふうに御理解を賜りたいと思います。
#74
○五島委員 負担の問題としてこの問題を考えていくというふうに厚生省お考えであるとするならば、私はそれも重要な視点だと思います。負担の問題として考えていくとするならば、例えば高額医療費の限度額と医療費の総額、さらには今回非常に重要な問題であります、付き添いの解消という問題はありますが、付添看護の問題、差額室料の問題、あるいはお世話料の問題等々、保険外の負担というのは非常に数多くございますし、また保険の中における負担の問題もございます。
 その中から食事だけを恣意的に取り出して、これは在宅でも要る、入院でも同じじゃないかという議論は成り立たないだろう。もし負担の問題として議論するとするならば、トータルに治療を受けておられる患者さんの負担そのものがどの程度のレベルであることが適切かという観点から議論されるべきではないかと考えるわけでございます
が、いかがでございましょうか。
#75
○横尾政府委員 先ほど来先生が特別養護老人ホーム、老人保健施設、老人病院、それぞれの施設への入所者の負担の問題をおっしゃいました。現在の仕組みといたしましては、特別養護老人ホームの場合ですと応能負担を原則としておりまして、本人の所得以外に扶養義務者の収入にも着目をして徴収することになっております。現在の平均は三万六千円ぐらいでございますが、実際はゼロ円の方から二十四万円を取るというようなことにもなっております。老人保健施設は、食事やおやつや日用品費を含めまして五万円から七万円の利用料を負担していることになるわけでございます。
 この三者のサービスを比較いたしましても、それぞれの沿革がありますので急に一律に同じようにすることはできませんが、今回食費の負担をお願いすることは、こうした医療以外のサービスと、在宅も含めて食事についてはどこにいても同じ負担になるという点から、高齢者については短期であろうと長期であろうと同じような負担の方向が適切であると考えた次第であります。
#76
○五島委員 先ほどから同じことを、もう時間がございませんので繰り返しませんが、多くの国民が食事は治療の一環であるという形で話をしておられます。私は医者として、食事が治療の一環である部分と、それからそうでない部分がある。その治療の一環である部分とそうでない部分というものがきれいに厚生省として仕分けできてない。そのことを入院に要する費用のトータルな重要な部分であるという形でこれまで保険給付でやってこられた。今回そこの部分だけを取り出して負担の増という形になったということは、これはなかなか納得が得にくい。そうなった場合には、やはり長期療養患者さんについてはどうするのか、あるいは他の施設等々で療養しておられる方々とのバランス、負担の総額のバランスをどう考えるのかという配慮が必要ではないかというふうに考えます。
 今回の改定については、食事代が介護に化けたというふうな言い方がよくされるわけでございまして、食事の自己負担はふえた、そのかわりにいわゆる付き添いというものの解消ということが進められるということでよく言われるわけでございますが、この差額の問題は付添問題だけではないわけでございます。
 付添介護の解消と今回の食事の自己負担の問題というのは、費用の問題とリンクして考えておられるのかどうか、これは全く別のものとしてお考えなのか、お伺いしたいと思います。
#77
○多田政府委員 付添看護・介護を解消するという問題と給食に自己負担を願うという問題とは、事柄としては当然のことながら直接の関係はございません。それからまた、在宅医療の強化というものにつきましても、これも別に論理的な必然性を持って関連しているというわけではございません。
 ただ、もっと大きな視野から考えますと、これからの医療保険というものは、どういう姿で何を本当に補てんしていかなければならないのだろうか、そしてその財源というのが大変厳しい状況にある中でどんどんふやせるならばこれはまた話は全く別でございますけれども、そうでない、非常に厳しい制約の中で、しかし医療保険に課された生活の安定という使命をしっかりと受けとめていくための制度として一体どういう制度を構築していくべきかということが一年にわたって医療保険審議会で大いに議論をされた、その結果として出てきましたのが、この三点を一体として考えるべきだという結論であったわけでございまして、そういう意味で、広い意味から考えますと、相互に関連しているといえば関連しているという性格のものだというふうに申し上げたいと思います。
#78
○五島委員 保険財政全体の立場から考えると、相関といいますか、関連していないとは言えないというお言葉でございますが、そうなりますと、今回の改定によって一つ非常に問題になってきますのは、付添看護を要求していた医療機関が幾つかございます。例えば、基準看護でありながらも付添看護を強要され、そして非常に負担が増加していたというケースもございますでしょう。また多くの場合に、医療法に示された基準にも満たないという状況の中で付添看護がづけられていた。
 言いかえれば、日本の医療というのは非常にヒューマンパワーという意味においては劣悪な状況に、これは医療の水準ということではございませんが、ヒューマンパワーという意味においては非常に劣悪な条件にある。その中においても極めて問題のある医療機関、そういうふうなところにおいてやはり付き添いが多かったというふうに言えるかと思うわけですが、言いかえれば、そうした医療機関を結果的に救済するために食事代の自己負担を設けたということになるのではないかというふうに思うわけですが、その辺いかがですか。
#79
○多田政府委員 今回のこの議論を審議会でしている過程におきましても、基準看護病院というところでも事実上付き添いというものが必要になっているというか、求められているというか、そういう側面もあるではないかという指摘もございまして、建議の中にもその点が指摘をされているわけでございます。
 先生御承知のように、基準看護病院の中にも看護補助者というのはゼロということを前提にした診療報酬体系というものが現在も存在しているわけでございまして、こういった点もあわせ見直すということが今回の一つの眼目にもなっております。したがって、今回の診療報酬改定におきましてはその点にも配慮をいたしまして、介護力というものをそれなりにきちっとどの病院でも対応できるように診療報酬の体系を組み直していこう、こういうふうに考えているところでございます。
 また、これまで非常にマンパワーの確保に努力をされなかった医療機関、こういう医療機関に重点的に資金が行くというような結果になるのではないか、それはおかしいのではないかというお話でございますが、実はそういう医療機関も、今度新しく人を雇って、そして運営をしていくということには相当な努力が必要であることは間違いないわけでございまして、決してそれらの医療機関を優遇しているというふうには私ども認識しておりません。それらの医療機関に大いに指導を強めまして、しっかりした医療機関になっていただくように努力をしていきたい、そういうふうに考えているところでございます。
#80
○五島委員 この質問に対しても混同された御答弁をされているわけですね。私も申しておりますように、日本の医療というのは非常にヒューマンパワーに乏しい、したがって、特三類の基準看護をとっている医療機関であったとしても重症患者を持てば持つほど看護以外にも介護のマンパワーが欲しい、これは事実でございます。そういうふうなところの介護力を強化していくということ、あるいは看護力を強化していく、それは非常に大事であるし、そのことはいい。しかし、もしそういうふうにしていくとするならば、これから国際並みに必要なマンパワーの充実を図っていくその費用はすべて保険財源ということの中において、振りかえでもって、どこかの診療報酬の中の療養関連費用をどんどん削ってそれに振りかえていくんだ。もっと端的に言えば、飯代や寝具料や、場合によっては室料まで、そういうふうなものは自己負担にしていって、その必要なマンパワーの経費に出していくんだということに将来なるとするならばこれまた、先ほども申しましたように、皆保険制度の原則である、いつでもだれでも必要な医療が受けられるという原則を崩すことになるわけでございます。
 それからもう一つ大事なことは、今努力していってもらわなければいけないとおっしゃいましたが、医療法に示しただけの看護力が確保されてない医療機関に対しては、これは法の建前からいうならば、その確保された看護力で看護できる患者さんしか扱うべきでないというのは、これは本来なら原則なんです。ところが今厚生省は、医療機関の使用ベッド数の認可というのは各医療機関に対して与えておられる。そして、その結果とし
てそこにマンパワーが足らなくなったとしても、それを付き添いで補っているという状態があったとしても、これまでそれが極端に二〇%も三〇%も割っているという状態でない限りは目をつぶってこられたんですね。それが今回、この付き添いを廃止という形でもって、付き添いさんを介護者として新たに病院が雇うならばそれでも医療法の基準を満たしたことにしましょうよという、いわば日本の医療の底辺をつくっているところの医療を何としても救おうという形での措置であることは間違いないわけです。
 そうしますと、そういうふうな措置をするために療養関連費用であるところの給食費の自己負担がふえていくということに対して釈然としない部分というものがどうしても残るんではないかというふうに思われるわけなんですが、そのあたりについてどのようにお考えでしょうか。
#81
○多田政府委員 先生のお話のような角度からこの問題を見るということも可能であるというふうには私も思いますけれども、しかしこの付添看護の問題というのは、この国会でも何度も何度も御決議もいただきまして、私どもとしてこれは早急に解消しろということについて強い御指摘をいただいてきた、そしてついに今までできなかったという状況の中で今回この問題に思い切って踏み切っていったという姿でございまして、そういう角度からごらんいただきますと、これはやはりどうしてもやらなければならないプロセスではないかというふうに御理解いただけるのではないかというふうに思っております。
#82
○五島委員 この問題、時間がございませんので、私の質問、この部分については終わりたいと思うのですが、最後に大臣にお伺いしたいと思います。
 いずれにいたしましても、付添介護を解消していかなければいけないということについては、もう国民すべてが合意している内容だと思います。問題は、付き添いを院内化するということによって医療のレベルが上がるのかどうか国民は大変不安に思っているわけでして、その点について実効を上がらせていくためには、医療機関に対しても、厚生省が、これまでの護送船団方式と言われたような、どういう病院もともかく一たん認可してしまえば何としてでも持ちこたえさせようという形で、各医療機関の積極的な介護の強化あるいは医療の内容の強化の努力が余り診療報酬の上で反映されないというシステムについては、ぜひ考え直していただきたい。
 また、給食の問題につきましても、今回の措置については、金額は別として、当面やむを得ない措置であるかもしれない。しかし、基本的に、食事という問題の中には、密接に治療と結びついている部分もございますし、あるいはそうでない部分もある。そこのところを、これまでの厚生省の行政の流れということだけにこだわって、そこを余り整理しないままに療養環境費みたいな形で処理していくということは、結果としていろいろな意味において不公平をつくっていく。特に、長期療養患者の問題と短期療養患者の問題というのは、そういう入院環境費という立場から見ても、それぞれ違った措置が必要かということもございます。そういう意味では、やはり抜本的にこの問題については十分な御検討を再度していくということが必要ではないかと私は考えるわけでございますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
#83
○大内国務大臣 五島先生はお医者さんとして現場の状況を一番よく御存じの上で御質問いただいていると思うのでございますが、先生自身が御指摘のように、看護・介護をめぐるいろいろな難しい、かつ重要な問題が発生しておりまして、医療保険審議会においても、これは早急に是正しなければならない。それは、サービスの質、つまり看護・介護の質という問題と、もう一つは、差額負担といったような患者の負担が大変な額に達している。これを改善するために、看護・介護については、いろいろな難しい問題があろうけれども、その院内化を図るべし。しかし、院内化を図る以上は、それだけに必要な診療報酬についてはこれを改定しなければならぬ。こういう中で、今私どもが相当勇気を持って、これはもう長い間できなかった懸案でございますが、その問題に挑戦しているということは御理解いただけると思うのでございまして、にもかかわらずいろいろなお問題があることは先生御指摘のとおりでございますので、私ども、念には念を入れまして、一層検討させていただきたいと思っている次第でございます。
 それから、食費の負担の問題につきまして、つまり、医療の一環とするか、医療にとって不可欠のものと見るか、その辺の区分が必ずしも明瞭ではないのではないかというような御指摘もございましたが、先生よく御存じのとおり、給食についての現行制度につきましてはそれなりの枠組みがあるわけでございまして、専ら治療食として食事を差し上げるものについては特別食加算という形で診療報酬でも見ているわけでございまして、そのほかに特別管理給食加算というものもあるわけでございます。
 今度八百円を何とか御負担いただきたいという意味は、いわゆる最低の給食費、それから、その上に乗っている、厚生大臣が基準を指定した場合の食事でございますが、基準給食加算、これを合わせて大体今千九百円くらいになっているわけでございます。その中のほんの一部を八百円という形で御負担をいただきたいということでございまして、医療にかかわるいわゆる食費というものと別に混同して物を見ているのではない。基礎的な給食費に対してその一部を御負担いただけないだろうか、こういう提案をしているわけでございますので、その辺は我々としても相当区別しながら考えている。
 本当は、給食というのは病状によって全部違うわけです。違うわけですが、それを全部の病状によって分けてその食費を区分していくというようなやり方は、これは余り煩雑に過ぎてできるものではない。したがって、基礎的な給食費と実際に治療のための給食費というものを分けて考えながら、その中の基礎的な部分について、これは在宅であろうが入院であろうが必要なものであるから、その一部を御負担いただきたい、こういうことを申し上げているわけでございますので、その辺についてもなお御理解いただければありがたいと思っております。
#84
○五島委員 どうもありがとうございました。
 続きまして、同僚議員の網岡議員の方から後日継続して御質問するわけでございますが、本日、時間がございませんが、これと関連いたしまして、今回の健康保険法の問題と関連いたしまして、ちょっと薬の問題についてお伺いしておきたいと思います。
 時間がございませんので少し簡単にお伺いしますが、御案内と存じますが、昨年の八月にソリブジンという抗ウイルス剤の薬が日本商事から出されまして、八月に薬価に収載されました。九月に発売されまして、その後現在までに十五名の副作用死亡が起こりました。この副作用というものがあったということで自社株五万株売り抜けて、インサイダーではないかというふうな問題にもなったということで御記憶のある方も多いと思います。このソリブジンの薬事審における承認の経過あるいは治験の経過について、非常に問題があるのではないかということで、少しお伺いしたいと存じます。
 この薬は、八六年の十一月に第一相の試験、すなわち健康人の安全性や代謝のテスト検査が始まりまして、そして八七年の六月に第二相検査、すなわち患者さんを対象としての有効性の検査、八八年の四月に後期の第二相試験、すなわち用量の検定試験、そして八九年の四月に第三相の試験、すなわちダブルブラインドによるところの多施設における治験をやっています。
 この過程の中におきまして、ソリブジンそのものの副作用というよりも、5−FUという抗がん剤がございますが、この5−FUと併用した場合に、非常に5−FUの体内の貯留を高めて、それによる副作用が高いということがいろいろな形でわかってまいりました。特に、八六年の段階で既にベルギーの学者が、「キャンサー・リサーチ」と
いうかなり有名なアメリカの医学雑誌でございますが、これが一九八六年の三月に、これの併用によって非常に問題があるということについて報告いたしております。メーカーの方もこのことについて気がついて、八九年の三月から動物実験を、予備実験を入れまして三回行った。最終的には、一週間投薬してその後一週間経過を見るという実験の中で、実験に使ったラット十五匹全部が死ぬというふうな事態まであったわけでございます。
 問題は、この治験の経過の中においても一人の女性患者が亡くなっています。これらについて、治験を担当した医者にはどうも、こうした動物実験の結果あるいは「キャンサー・リサーチ」に載ったベルギーの論文等々というものは、その治験をやった医者には全く知らされないままに治験をやらされている。
 そこで、まず第一点お伺いしたいのですが、こういう新薬の治験に従事する場合、治験する医者の責任の範囲はどう考えているのか。すなわち、そうした資料その他のデータの提供というものは、当然治験する医者に対してメーカーの側から完全に提供されてしかるべき、そうでない限り、安全性を云々と言われてもわからないということか。もし治験をする以上は、それらの論文についてもあらゆる手だてを講じてその治験医自身が収集して研究した上でなければ治験医になるべきでないというふうにお考えなのかどうかということが第一点でございます。
 それから第二点には、治験には総括医というのがございます。この場合は、東京医科歯科大学でしたかの新村先生が総括医になっています。この方は、結果的にこれらの動物実験のデータ等々を提供されないままに、治験中に亡くなった患者さんについても原因不明であるという結論を出して、使っていいだろうという報告を出されたわけでございます。このことについて新村さん自身が新聞に、そうしたデータが自分のところに提供されていなかった、動物実験のデータが知らされなかった、もしそういうふうなデータがあるとすれば自分はそういう判断をしなかったということを、本年の五月二十一日毎日新聞に書いておられるわけでございます。
 しかも、これらのすべてのデータが唯一集中した場はどこかといいますと、中央薬事審議会においてはこれらの論文や、あるいは実験の、治験のデータあるいは動物実験のデータが全部集中している。にもかかわらず、この薬事審において、これらのそれぞれの論文や実験の結果を総合的に関連して判断し、そしてこの発売について禁止をするあるいは明確な形で注意書きを、警告を出さすということをしなかった。そのために、発売されました平成五年八月の段階では、相互作用として書いておられるのは、5−FUとの併用によりそれらの血中濃度を高め作用を増強するおそれがあるので併用投与を避けることという簡単な注意に終わっている。そして、死亡例がすぐに三例出まして、その後慌てて警告という形で、5−FU系薬剤との併用により重篤な血液障害が発現し死亡に至った例も報告されているので併用は行わないことということを警告として掲示したものを、今摩はその二月後ですか、平成五年の十月に日本商事としては出された。
 こういうふうなことは、薬事審の段階においてもしそのデータが慎重に検討されていたら、最初からこの十五名の副作用による死亡例というのは防げたのではないか。そういう意味において、新薬の審査ということが非常に形式的になっており、またその過程の中における、さまざまな新薬の検討過程が本当に学問的に検討されていないのではないかという疑いを持たせた事例でございますが、この点について、厚生省の御見解をお聞きしたいと思います。
#85
○田中(健)政府委員 いろいろお尋ねがございましたけれども、まず、新薬開発の治験で副作用が生じた場合の問題でございます。
 まず、治験を実施するに際しましては、製薬企業が遵守をすべき基準が薬事法の施行規則に規定をされておりまして、この中で、製薬企業は動物実験成績等治験に必要な情報を提供することになっております。治験医は、これらの情報をもとに被験者に対しまして説明をいたしまして、その同意を得るようにする等の倫理的、科学的に治験を実施する責任があるわけでございます。
 それで、治験を実施する際には、治験依頼者の製薬企業と治験実施医療機関との間で契約をするということになっております。万が一、治験の過程で副作用被害が生じた場合につきましては、製薬企業と治験実施医療機関との間の契約の規定に従いまして対応することになるわけでございます。一般には製薬企業が必要な対応をすることになっておりまして、倫理的あるいは科学的に逸脱した行為があった場合を除きまして、治験医に責任は生じないというふうに考えられるわけでございます。
 それから、ソリブジン事件では動物実験等のデータが治験の総括医師や治験医に伝えられていなかったのではないかということでございますけれども、これも日本商事からの報告によりますと、先ほどお話ございましたが、ベルギーの例でございますけれども、ソリブジンの類似薬とフルオロウラシル系の抗がん剤との相互作用に関する動物実験の論文を、この日本商事は、二年おくれておりますが、一九八八年の十一月ごろ入手をした。それで翌年の三月に追加の併用実験を開始をいたしました。その段階で治験総括医師と検討して、八九年の五月にすべての治験担当医師に対しまして、その論文の要約をつけてフルオロウラシル系の薬剤との併用を避けるようにと依頼をしたという事実はございます。しかし、先生お話ございましたが……
#86
○加藤委員長 答弁を簡単にひとつお願いします。
#87
○田中(健)政府委員 動物実験の結果でございますが、これはその五月にベルギーのケースを報告しておりますので、治験の総括医師や治験医に伝達するのはもうそのときに、五月に伝達をしておりますので、動物試験の結果は伝達をしていないという報告が来ております。
 それから、中央薬事審議会でございますが、中央薬事審議会ではこれらのデータを含めまして慎重に審査をいたしまして、それで先ほど先生からお話ございましたように、併用を避けることということで注意を促して対応したということで、私どもとしては、この時点で中央薬事審議会は厳正に対応しているというふうに考えております。
#88
○五島委員 時間がございませんので、今の御答弁、不満でございますが、これで終わります。
 ただ、委員長に申し上げます。
 現在、まだ動物実験のデータについて、こうした問題について公表されておりません。ぜひその資料を委員長のところでお集めいただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。
#89
○加藤委員長 岩佐恵美さん。
#90
○岩佐委員 病院給食の有料化の問題については、日本医師会や日本病院協会等の病院団体や日本栄養士会等医療関係団体がこぞって反対をしています。また、九百三十四の自治体が反対の意見書を採択をしています。患者の皆さんもこの病院給食の有料化に反対をしておられるのですけれども、こういう夜中、みんなが寝静まっているときに委員会が開かれているということで、傍聴もできないという怒りの声が非常に聞こえています。こういう委員会の運営というのは、私も理事会で申し上げましたけれども、負担をしなければいけない国民が聞けないような、そんな時間にやるというのは本当におかしいというふうに思います。これからは、きちんと国民に開かれた、そういう中でこの審議を行うべきだということをまず申し上げておきたいと思います。
 昨年の当委員会でも質問しましたけれども、成人病、慢性病がふえている中で、食事療法が一層重視をされています。病院給食は、疾病治療の一環として重要な役割を担っています。病院給食を療養の給付から外したということは、病院給食を治療の一環として考えていないということだというふうに思います。病院にいても家にいても食事をするのだからという言い方に端的にあらわれて
いるように、家庭と病院食事を同列に置く考え方が基本にあるとしか思えません。
 病院給食はもともと療養の給付の収容に含まれていたものを、今度除外をするということにするわけですけれども、欧米諸国で、病院給食が入院料に含まれていない、そういう国があるかどうかお聞かせをいただきたいと思います。
#91
○多田政府委員 欧米諸国において病院給食が入院給付に含まれていない例ということでございますけれども、明示的にそれをやっている国はございませんが、例えばフランスにおきましては、定率の患者自己負担以外に、食事代等に対応すると言われている定額負担というものを設けている、またスウェーデンにおいても、食費等を念頭に置いて患者の自己負担が設定されているというようなことでございまして、明示的には食事だけを指して自己負担にしているというところはないと承知しております。
#92
○岩佐委員 給食料を保険料から外した国も、あるいはそういうことを計画している国もないということです。日本病院会会長が指摘をされておられますけれども、欧米諸国では給食は入院料にすべて含まれている、これがもう世界の常識になっているのです。
 ある外来通院の老人ですけれども、医者から入院しなさいと言われたら家人に弁当を持ってこさせなければいけないな、そう言っていたとか、あるいは、余分に払う分今よりおいしいものが食べられると誤解している人も多い、また、実際は保険からの分が削られ食費は変わらないのに、病院がもうかると思われるのが大変困る、これは病院関係者の声です。病院給食の有料化によって、食事の持ち込みや、あるいは、おかゆの場合高過ぎる、そういう病院内でのトラブルが発生する可能性が非常に大きいと思います。治療効果にも影響を及ぼしかねないと関係者の多くは心配をしています。この不安は当然だと思いますけれども、いかがでしょうか。
#93
○多田政府委員 食事の負担について今回改正をさせていただいておりますけれども、入院医療に不可欠な要素として病院が食事を提供するということについては、何ら変わりのないことでございます。入院患者が、医師の指示に反して、みずから食事を持ち込むというようなことを認めるということもないわけでございます。こういった制度の趣旨あるいは内容について誤解があってはいけませんので、私ども、この法律が制定されました暁には、十分な周知徹底を図ってトラブルのないようにいたしたいと考えているところでございます。
#94
○岩佐委員 幾ら十分説明しても、おかゆだとか重湯だったら家から持ってきた方がいい、一日八百円払うのは嫌だ、こういう声が出るのは当然だというふうに私は思います。現場でもってそういうトラブルが起こるだろうということは、これはもう十分想定されるのではないでしょうか。
 病院給食の患者負担ですが、一日八百円は国民に大幅な負担増を押しつけるものです。老人に対しては、従来の入院時一部負担一カ月二万一千円に加えて、入院時の食事代二万四千円が新たな負担となります。入院すると、これが最低一カ月四万五千円にもなるわけです。これはもう先ほどからも話があるところです。
 八四年の健康保険の改悪のときに、本人一割自己負担導入によって日雇い労働者の受診が激減をしました。この激減は一八・五%ですけれども、そういうふうに激減しているわけです。今回も、この低所得者や老人の入院が減るというようなことが考えられると思いますけれども、この辺についていかがでしょうか。
#95
○多田政府委員 今回の患者負担の額につきましては、平均的な家計における食費を勘案した相応の費用というものを御負担をいただくということで、低所得者への配慮もそれなりにしていくということでございますので、御負担にそんなに無理をしていただかなくても大丈夫ではないかというふうに考えておりまして、入院を妨げるというふうには考えておりません。
#96
○岩佐委員 一カ月四万五千円がどんなに人々にとって痛いか、痛みであるかということが本当にわかっていないなというのを、今の答弁を聞いていて痛感しました。
 低所得者対策ということで、市町村民税非課税世帯の老齢福祉年金の受給権者の負担というのは一日三百円とするそうですけれども、この対象となる人は何人と推計しておられるのでしょうか。
#97
○横尾政府委員 大まかの推計でございますが、約三万五千人であります。
#98
○岩佐委員 厚生省の推計、老人保健加入者一千五十万人中三万五千人ですから、これはもう〇・三%にしかすぎないということです。老人に配慮したものと言いながらこれだけの人たちしか救えない。まさに低所得者や老人の入院を抑制することは、この数字からも明らかだと思います。月額三万円台の年金で暮らしている、そういう高齢者が今半数を占めているということですから、幾ら大変な人は救済するといっても、本当にひどい仕打ちだというふうに思います。
 一品追加する特定注文食、あるいは特別材料食の患者負担によるいわゆる選択メニューが制度として導入されていますけれども、この制度を採用している病院というのは、前回の委員会でもやりとりしました大病院にすぎません。結局、厚生省の期待に反して広がってこなかったわけです。今度は、この患者の自己負担による特別食が一般的になって、医療、病院の食事に大幅な差別を持ち込むことになるのではないかというふうに思いますが、その点いかがでしょうか。
#99
○多田政府委員 標準負担額一日八百円の支払いで標準的な食事というものは確実に提供されるということになっておりまして、それ以上に特別なメニューを期待をする向きにはその分をお払いをいただくという形をとろうということでございます。これは審議会でも非常にいろいろ議論がありましたけれども、患者の希望というものもかなり強いということを踏まえたものでございます。
#100
○岩佐委員 松竹梅というような、そういうランクづけの食事が一般的に行われるようになると、治る病気も治らない、お金がないのに何で自分だけそういう食事を食べなければいけないのかというようなことが広がっていくのじゃないかということで、今現場では非常にそのことを心配をしています。
 入院時の食事療養標準負担額は、「食費の状況その他の事情が著しく変動したときは、速やかにその額を改定するものとする」ということになっています。医療保険各法で定める一部負担と異なって、医療保険審議会に語るだけで法改正なしに負担額を引き上げることが可能です。国会での審議を経ずにどんどん引き上げられるようになるのではないでしょうか。
 しかも、高額療養費の対象に含まれていないわけですから、そういう意味では六万三千円プラス二万四千円ということになってしまうと思いますが、その点いかがでしょうか。
#101
○多田政府委員 入院時の食事の標準負担額を法律で規定しないで大臣告示でやるというのはおかしいではないかというお話でございますけれども、これにつきましては、法律にその性格といいますか、物の考え方というものがきっちり書かれておりまして、平均的な家計における食費を勘案するというふうになっておりますので、そういう性格がはっきりしたものについてはその額を具体的に法律で書かなくても処理をするというのは、幾つか前例もございまして、法制局でもこれを認めているということでございます。
 それから、高額療養費の関係でございますが、今回の食事に関する患者負担というのは、在宅と入院との負担の公平という見地から御負担をいただくということでございまして、今までの定率負担というものとは基本的に物の考え方も違うわけでございます。したがって、この思想の違う負担の仕方というものについて無理のない範囲でお願いをするということでございますので、高額療養費とは別の処理をするということにいたしているところでございます。
#102
○岩佐委員 結局今まで六万三千円だったものが、これが二万四千円プラスされるわけですから、八万七千円は最低でも払わなければいけないというふうになるわけですね。それに一日八百円の食費といいますけれども、これが平均的と言われても、人によって平均というのは本当に受け取る額が違うと思うのですね。本当にそういう点では、これはもう今全体のレベルが上がっていますから、一日八百円じゃなくて、もうちょっと高いんだとか、いろいろな解釈が成り立ってどんどん上がっていく、そういうことだって考えられると思うんですね。
 高度先進医療とか差額ベッドあるいは金歯等の特定療養費制度による患者負担、これは患者に選択の余地があることはもうわかり切ったことですけれども、新たに導入された入院時の食事療養費制度では、一律に患者から強制的に取るものなんですね。ですから、今までの一割から三割の自己負担、老人の定額負担に加えて、新たな患者負担をふやすものになります。こういう考え方でいくと、今後入院給食と同じ考え方で薬とかあるいは寝具だとか治療材料等に新たな患者負担を導入する、そういう道を開くのではないか、こういうことが考えられるわけですけれども、その点いかがでしょうか。
#103
○多田政府委員 今回の食事の負担につきましては、るる申し上げておりますけれども、家庭でも要している程度の額を入院したときにも御負担をいただくというものでございまして、家庭ではその分節減といいますか費用がかからなくなるというものを、入院した場で今度は御負担をいただくという性格のものでございます。
 薬剤あるいは寝具、治療材料といったようなものにつきましては、一般的には在宅で家にいたら当然かかる経費というわけではなくて、やはり治療のために入院したときにその費用がかかるんだという、いわば私どもの言葉でいいますとかかり増し経費といいますか、そういう性格のものだと思います。そういうものと今回の食事の考え方とは、全く別の考え方に立っているものでございます。
#104
○岩佐委員 厚生省は、医療費全体を抑制をするために患者が病院にかかりにくくなるような制度改悪をしてきました。つまり、国民、患者に負担を転嫁してきたわけです。さらに、国庫負担を減少させてきています。これは前回の委員会でも申し上げましたけれども、八三年には三〇・六%だった国庫負担が九一年には二四・五%に減ってきているわけです。その結果、医療制度が今重大な事態になっているわけです。過度の医療費の抑制と国庫負担のあり方を見直す、そういう時期に来ているのではないかというふうに思います。
 今の厚生省の和田総務課長は、当時保険局企画課長だったのですが、この和田氏がこう言っておられるのですね。いろいろなことを厚生省としてやってきたけれども、現在はこれらのテクニックをやり尽くしてしまった、つまりタコの尺八本を順番に食い尽くしてしまい、いよいよ食べるものがなくなってきたというのが最近の状況であるというようなことを言っておられるわけですけれども、まさにあれこれやってきて、そしてもう大蔵省に金を削れと言われていろいろやってきて、国民、患者に負担を転嫁してきて、もう医療全体が行き詰まってきてしまっている、そういう事態に立ち至っているんじゃないですか。
 それをまた新たに患者負担でこの急場を切り抜けるというのは、本当に間違った方向にどんどんと突き進んでいくということになるのではないでしょうか。まさに国庫負担をちゃんとふやして、そして医療費の抑制というようなこういうひずんだ考え方、それを大いに改めるべきときに来ていると思いますけれども、厚生大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
#105
○大内国務大臣 委員よく御案内のとおり、今の医療費は平成五年度の段階で二十四兆に達しまして、平成六年度の段階では二十五・五兆、これは推計でございますが、一兆五千億もふえる。平均的には一兆円ずつ大体ふえるという状況にあるわけでございまして、それはいずれにいたしましても保険料で賄うか、あるいは税をもって充てるか、自己負担をもって充てるか、その組み合わせをどうするかという問題になってきているわけでございます。
 国庫負担を投入せよという議論がよくございますが、現行制度の中での国庫負担増もこれは大変急ピッチで伸びていくわけでございまして、国庫負担卒というものを変えた場合には、これは莫大な国庫負担をしなければならない。国庫負担も、言うまでもなく国民が納めている税金でございまして、これはやはりその辺を我々としても十分考えなければならない。
 したがって、今度は入院、在宅を問わず、一定のお食事をされるということは、これは人間にとって不可欠のものでございますので、そのバランスを図るという面から、何とか入院時の給食にかかわる最低の部分の一部について患者さんの皆さんに御負担をいただきたい、こういう意味でお願いを申し上げている次第でございまして、これはこれからの医療費の状況を見ますと、やはり国民の皆様に御理解をいただかなければならない大事な問題である、こう考えて御提起申し上げている次第でございます。
#106
○岩佐委員 残余の質問につきましては、次回に回したいと思います。
#107
○加藤委員長 次回は、来る十日金曜日午前九時二十五分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後十一時五十九分散会

ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト